外務委員会 第2号
- 発言数
- 110 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1977/10/21
会議録
○竹内委員長 これより会議を開きます。 昨二十日、付託になりました所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とチェッコスロヴァキア社会主義共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。 まず、政府より提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣鳩山威一郎君。 ――――――――――――― 所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とチェッコスロヴァキア社会主義共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件 〔本号末尾に掲載〕 ―――――――――――――
○鳩山国務大臣 ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とチェッコスロヴァキア社会主義共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 政府は、チェコスロバキアとの間に所得に対する租税に関する二重課税の回避のための条約を締結するため、昭和五十年以来交渉を行いました結果、昭和五十二年十月十一日にこの条約に署名を行った次第であります。 この条約は、わが国が社会主義国との間で署名した租税条約としましては、ルーマニアに次ぐ二番目のものでありますが、基本的にはOECDモデル条約案に沿ったものであり、また、若干の部分を除きルーマニアとの租税条約と同一の内容となっております。 この条約の主な内容は、次のとおりであります。事業利得につきましては、一方の国の企業が相手国において支店等の恒久的施設を通じて事業を営む場合に限り、かつ、当該恒久的施設に帰属する利得に対してのみ相手国で課税できるものとし、船舶または航空機を国際運輸に運用することによって生ずる利得につきましては、相互に全額免税としております。投資所得に対する源泉地国での課税率につきましては、配当に関しては、親子会社間の配当については一〇%、その他の場合は一五%、利子に関しては一〇%、工業的使用料については一〇%をそれぞれ超えないものとしております。また、文化的使用料については、源泉地国において免税としております。 両国間の経済関係は、外国企業の活動に関するチェコスロバキアの法令が最近整備されたこともありまして、その発展が期待されております。また、従来より活発であった文化交流は、一層の促進が望まれるところであります。このような機会に、この条約を締結することによりまして、両国間の経済的及び文化的交流は、一層促進されるものと期待されます。 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、本件につき速やかに御承認あらんことを希望いたします。 以上でございます。
○竹内委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。 ――――◇―――――
○竹内委員長 次に、核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の規定の実施に関する日本国政府と国際原子力機関との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺朗君。
○渡辺(朗)委員 今晩三十分ほどの時間をいただきまして質問をさせていただきます。 私はこの協定に関連いたしまして二、三の点をまず御質問をさせていただきますが、第一番目には協定の中身であります。これにつきまして、まず、今回のこの協定はユーラトム並みに確保できたということを外務省の方からいただきました説明書では書いてございました。保障措置のユーラトム並み確保ということの中身でございますが、まず具体的に御説明をいただきたいと思います。
○小林説明員 お答え申し上げます。 NPTの保障措置協定によりますと、その保障措置は、設計に関する情報、それから記録の保持、それから報告の提出、それから立入検査、この四つの活動を保障措置協定で行うことが規定されておりますが、その場合に、わが国の場合はそれを基本的には国内の自主査察制度というものを確立しまして、その運用を中心に、それとIAEAの行う査察とをあわせて行うということを確保したわけでございます。それがユーラトム並みと言われるゆえんでございますが、その中身について申し上げますと、たとえば議定書の十三条(a)にありますように、IAEAの査察がわが国の自主査察と同時に実施される、わが国が行う自主査察と同じときにIAEAの査察が行われるということ。 それから議定書の第十五条に規定しておりますけれども、わが国の行う査察に対してIAEAが一部立ち合うということ。 それからIAEAとして通常査察の面で、その日本の査察で十分足りるというように判断される場合には、日本の行っておる査察を観察することによって保障措置を実施していくということが、たとえば通常査察の場合においては規定されております。 それから設計情報に関しましても、IAEAの査察はわが国と共同してその設計情報の検討を行うということになっております。これは議定書の第四条で規定されております。 それからさらに個々の施設、どの程度までどうするかという具体的な査察の中身につきまして、補助取り決め、これはファシリティー・アタッチメントと呼んでおりますけれども、その補助取り決めをIAEAとわが国との間で取り決めることになっております。これは議定書の第六条で規定しております。 それからわが国と合同委員会を設置して、そして個々の具体的な実施について話し合って実施していくということが規定されておりますが、これらのことが一般に一口でユーラトム並みという具体的な中身でございます。
○渡辺(朗)委員 いまの点で私はユーラトム側の協定の中身を逐条比較したわけじゃございませんけれども、大体パラレルな形でそれは同じようなことがユーラトム側の方の規定の中にもあるということでございますか。
○小林説明員 基本的にはそのとおりでございます。
○渡辺(朗)委員 いま御説明の中でちょっとありましたけれども、たとえば自主査察で足らないとIAEA側が判断した場合にさらに立ち入って調査を行う、こういうお言葉がございましたが、そうしますと、IAEA側で日本の自己査察を不十分だとした場合にはさらにどんどんと突っ込んでくるということも考えられるわけですね。それが、同時に私お聞きしたいのは、やはり商業機密その他もあろうと思います。こういったものがどこまで確保されているのか、特にユーラトムとの関係においてそこら辺をもうちょっと御説明をいただきたいと思います。
○小林説明員 わが国におけるIAEAによる査察は、このNPT協定によりますと、協議しながら具体的に進めていくということになっておりますので、IAEAとしてそのわが国の行った査察が不十分であるというようなことは起きないものと考えております。そして、秘密、機密保持に関しましては、第六条、第九条の規定で、IAEAとしても、また査察員としても、その職務遂行上わが国において知り得た産業機密等情報に関しましては、必要なところ以外の外部には出してはいけない、必要な場合の必要なところ以外には出してはいけないという規定がございますので、そこで保護されております。
○渡辺(朗)委員 関連してお聞きいたしますけれども通常査察という言葉、特定査察、さらに特別査察とございますが、私、特に心配なのは、特別査察ということの中身でございます。この中身はどういうふうなものと解釈してよろしいのでしょうか、まずちょっとお聞きをしたいと思います。
○小林説明員 お答え申し上げます。 通常査察の場合は、通常わが国政府が管理しております、わが国の政府の管轄下にあります平和目的のため使われる核物質につきまして通常の査察が行われるわけでございますけれども、特定査察と申しますのは、輸出入に際してまだわが国の国内で在庫目録等に記入される前の段階、またはこの保障措置の通常査察が実施される前の段階等におきまして行われる査察のことでございます。特別査察と申しますのは、七十三条にも規定がございますが、異常な事態、たとえば核ジャックというような事態によりまして、かなりの核物質が紛失したというような事態が起きた場合に、この協定に基づきまして、日本政府は、直ちにIAEAに事実を通報しなければなりませんが、その通報に基づきまして行われる特別の査察でございます。
○渡辺(朗)委員 さらにそこの際に、核ジャックという言葉が出ましたが、たとえば爆発事故というようなことも特別査察の対象となるわけですか。
○小林説明員 場合によりましては、たとえば原子炉の大規模な事故等もその異常な事態ということに含まれると考えられております。
○渡辺(朗)委員 その際に、特別査察の対象となるというのは、そうしますと、相当商業機密の中まで突っ込んでくるということはあり得るわけでございますか。そこら辺お尋ねをいたします。
○小林説明員 お答え申し上げます。 特別査察の場合も、通常査察の場合と全く同じように、IAEA及びその査察員に守秘義務がございまして、全く同じ守秘義務を負っておりますので、もしそれによって産業機密というようなものを知り得たとしても、それを外部に漏らしてはならないという規定がございます。
○渡辺(朗)委員 もし万が一、これはないことをもちろん希望しておりますけれども、そういうような機密を漏洩したような場合、どういう手段が想定されますか、どういう手段をとることが考えられますか。そこら辺御説明をいただきたいと思います。
○村田(良)政府委員 産業機密の漏洩に関しましては、基本的な規定は第六条とそれから第九条とにあるわけでございますけれども、もしもその機密が漏らされたといった場合にどういう手段がとれるかということを申しますと、一つのとられる措置はIAEA内部の措置であろうと思います。すなわち、日本国との条約の違反が行われたわけでございますから、IAEAの内部において、その違反の程度によると思いますけれども、たとえば減俸であるとか、極端な場合にはその人間を退職させるというような内部措置がIAEAの中でとられると思います。 それから、わが国が被害を受けるわけでございますから、それに対する求償の問題が生ずるわけでございますけれども、これに関しましては第十七条に規定がございます。これは一般的な国際責任を規定しておるものでございますけれども、当然原子力事故に起因する損害以外の損害ということで、機密の漏洩に関して日本国が受けた損害というのは、国際法に従って処理されるという規定がございますので、恐らく損害賠償等をわが国が要求して、IAEA側がそれに応ずるということになるというふうに思います。
○渡辺(朗)委員 その点でいままでユーラトムとIAEAの間でそのようなことはございませんでしたでしょうか、いかがでしょうか。事例は、いまだかつてございませんか。そこら辺お尋ねいたします。 〔委員長退席、有馬委員長代理着席〕
○小林説明員 いままで私たちの承知しております限りにおいては、ございません。そういう事態はいままでございませんでした。
○渡辺(朗)委員 それから、さらに査察員の指名でございますが、それはこの協定によりますと、日本政府の同意を必要とするということになっておりますが、日本側が同意しなかった場合、どういう事態が生じるわけでございますか。
○小林説明員 お答え申し上げます。 わが国政府が、IAEAの指名する査察員を拒否する場合は、それに異議を申し立てる場合には、IAEAはそれにかわる、日本が受け入れ得る一または二以上の指名の提案を行うということになっております。
○渡辺(朗)委員 そうすると、大変仮定の話でございますけれども、向こうから氏名が出てきた、好ましくないということでこちらが拒否する、また再度出してきた、それを拒否するということを繰り返しておりますと、向こうは無限にそういう調査員の手持ちがあるわけではございませんので、仮定の話でございますけれども、どうしても同意ができなかったというような事態の場合は何が起こるわけでしょう。
○小林説明員 二度目の提案に対しまして、わが国として受け入れられないというような場合がございましたら、その場合にはこの問題が理事会に持ち込まれまして、理事会は、第九条の(a)の(iii)にございますが、IAEAの事務局長の付託によって、適当な措置をとるため検討を行う、IAEAの理事会でどう措置したらいいかを検討するということになっております。 さらにその結果につきましても、わが国とIAEAとの間で協議が調わないような場合には、この協定に協議条項がございまして、協議それから仲裁に関する協定もございます。そういうところで措置されることになると思います。
○渡辺(朗)委員 それからちょっと観点を変えまして、これからのわが国の原子力産業というものと、この協定との関連でございます。そういう問題で一、二お聞きしたいと思いますけれども、これはNPTに基づく保障措置のシステムがそれに移行するに従いまして、一国の全核燃料サイクルヘの保障措置の適用というものは、そのサイクル上重要施設への保障措置重視ということが強まってくる。したがって、その実施適用方法が変化するということはございませんか。
○小林説明員 あり得ると考えられます。ただし、具体的にどういうふうにしていくかにつきましては、常にIAEA側と日本国政府側とで協議することになっております。協議しながら具体的な査察の方法、範囲、程度というものを決めていくことになるわけでございます。
○渡辺(朗)委員 それから、実はこの数日の新聞報道によりますと、INFCEPの会議が開かれている。そこにカーター大統領から核燃料銀行というような構想が出されたり、あるいは廃棄物つまりリサイクルのための材料そのもの、こういうものもアメリカが一手に引き受けて持っていってしまう、こういうような提案もあるかに聞いております。そういうことになると、わが国の原子力産業にとっては大変大きな影響をもたらされると考えますけれども、このカーター大統領の最近の一連の発言、これとわが国の原子力産業というふうな問題の関連性、ここら辺について何かお考えがありましたらひとつ示していただきたいと思います。
○小林説明員 お説のとおり、カーターの演説の中で、核燃料銀行というような構想、それから使用済み燃料の貯蔵というような点について触れられましたが、具体的な構想の中身についてはまだ知られていない部分がございます。これは構想として打ち出されたものと了解しておりますけれども、この中身はこれからおいおい検討していかなければならないと考えますが、これは恐らく本年の四月七日にカーター大統領が打ち出しました新しい米国における原子力平和利用政策というものと軌を一にしているものと考えられます。これの国際的な広がりにつきましては、まさにこの二つに関連する問題、すなわち核燃料銀行というのは核燃料の安定供給というものを確保しようという観点からの構想だと了解されますし、それから使用済み燃料の貯蔵の問題はやはり再処理問題との関連、それから各国における使用済み燃料の貯蔵に伴う国民的な受け入れの度合い等、その他の問題と直に結びついている問題でございますが、この問題はまさに現在ワシントンで行われております国際核燃料サイクル評価計画というところで大きな検討項目の一つとなっておりまして、これから二年間かかって関心のある国で検討していくという大きな課題の二つとなっておりますので、その過程を通じまして、わが国としてもこの中身につきまして十分検討を加えた上で、わが国のこれに対する対処の仕方を考えていくべきであると考えております。
○渡辺(朗)委員 私はこれから十分検討を加えてでは間に合わなくなるということを懸念をいたしております。むしろここら辺で日本の国民に対しても、それからまた同時に国際的にもわが国の原子力エネルギーに対処する基本的な方針というものをはっきり打ち出して、カーターさんが思いつきでいろんなことを言う、そういうようなものに対してもぴしっとやはり言わないと、残念ながら日本は確かに原料を持っておりませんので、原料の提供国であるアメリカが何か言い出すとがたがたっとこっちの方が揺れてしまうということで、しょっちゅう原子力行政についての揺らぎみたいなものが起こってくるというようなことでは、これは将来の見通しも立てられないのではあるまいか。 その点で一、二お聞きしますけれども、わが国の原子力産業というのは一九八〇年を一応めどといたしますと、どのぐらいの産業規模というものを考えておられるのか、政府の方で計画がありましたらお示しいただきたいと思うのです。聞くところによりますと、アメリカでは原子力発電だけで一九八〇年には年間一兆八千億円ぐらいの産業になる、こういうふうな形で言われております。各国がそれぞれ原子力エネルギーの問題に取り組んでいる中で、まず日本はどういう方針で臨もうとしておるのかということをひとつ示していただきたい。それに対してアメリカの言うような、カーターさんが言うような燃料バンクみたいな考え方やら、それから廃棄物の貯蔵の問題やら、そういうことが障害になるのかならないのか、そういうところもひとつはっきりとおっしゃっていただきたいと思います。十分にこれから検討しますではちょっと困るので、その意味でひとつこれからの日本側としての計画をお示しいただきたいと思います。
○川崎説明員 大変重要な御指摘をいただいた次第でございますが、科学技術庁並びに原子力推進に関係のあります関係省庁といたしましては基本的には内閣総理大臣の諮問機関でございます原子力委員会がまとめ上げました原子力平和利用長期計画に従いまして今日及び今後とも原子力開発を進めてまいる所存でございますが、特に御指摘のありました核燃料サイクルに関しましてはわが国において自主的に核燃料サイクルを確立するということを大きな目的にいたしております。 しかしながら御指摘のとおり天然ウランというものにつきましては海外に多くを依存しなければならないという点がございます。しかし原子力開発を準国産エネルギーとしてわが国の中に定着化させエネルギー供給安定化に一役買わせるためには、それ以降、濃縮、それから原子炉をつくる技術、さらに使用済みの燃料を処理いたします再処理、さらにそれから出てまいります。プルトニウム等をまた燃料として加工するための技術あるいは産業、さらに最後の廃棄物の処理処分といったこれら一連のものについて、すでに技術開発に鋭意努力をいたしております。特に再処理というかなめになりますところにつきましては、先般来の日米交渉によりましてとにかく実証施設でございます動燃の工場の運転が可能になりまして、この二年間の運転によりまして再処理技術について一層研さんと技術蓄積を図り将来の燃料サイクル確立のための技術の涵養に努めてまいりたい、かように考えております。したがいまして、天然ウランを獲得するという見地からあらゆる外交努力と相まって自主的に天然ウランの買い付けが容易に行えるような努力を今後とも続けていくというのが第一、第二には、うちにあっては核燃料サイクルの諸重要なパートにつきまして技術を蓄積し、自主的な技術によってこれを確立していくという、この二つが大きい課題かと、かように考えております。
○小林説明員 したがいまして、ただいまのようなわが国の原子力平和利用政策に基づきまして、それを踏まえまして、INFCEPにおきましては、わが国はわが国の自主的な立場を貫きつつ、かつ核不拡散という国際的な努力には積極的に協力しつつ、たとえば先ほど申し上げましたような再処理に関しましても、わが国が行う再処理についてのデータを提供する、INFCEP等の作業に提供しながら、核不拡散の具体的な確保の方法につきましても積極的に協力していくという形で、わが国の自主的な原子力平和利用推進計画と、国際的な核不拡散の努力というものとを踏まえまして総合的な国際協力というものを図った上で、わが国の基本的な利益を擁護し伸ばしていきたいというのが基本的な姿勢でございます。
○渡辺(朗)委員 INFCEPの会議、これは初めての会議ですね。しかも国際的に非常に重要な会議でもあります。それだけにもう少し具体的かつ基本的な日本のとるべき態度というようなものをやはりお示しいただきたいと思うのです。あるいはいまの時点に発表するというのはまずいのかもわかりませんけれども、時を見まして、そこら辺もひとつ教えていただきたい。特に訓令は恐らく発しておられて日本政府の代表が向こうに行っておられるでございましょう。そういうときに本当に日本の国益の立場からの方針が打ち出されているのかどうか、そこら辺はやはり大変大事なところだと思うのです。そういう点で、もし補足していただけるものなら、そこら辺、言い得る範囲内で、どういう方針を打ち出すようにという訓令が出してあるのか、ひとつお示しいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 先ほどカーター大統領の、INFCEPの総会で一昨日行われました演説について触れられましたので、私どもの、これは科学技術庁並びに通産省、関係省庁、もう考え方は同じであると思いますが、わが国といたしまして従来主張してきました線を強く主張するということでまいる所存でございます。核拡散防止と原子力の平和利用は両立し得るものである、従来わが国が進めております燃料サイクル、これを核拡散を防止しながら進めることもできるはずであるということが、わが国として考えておる根本的な考え方で、このような考え方はヨーロッパ諸国、西ドイツなどはわが国と同じような条件にあるわけでありますから、そういったアメリカのカーター大統領が、プルトニウムサイクルというものにつきましてまだ非常な疑問を持っておる、何とかこれにかわる手段はないかというようなことをこのINFCEPの大きな目的にしていはしまいかという気がいたすわけでございます。しかし、わが国といたしましては、従来から進めております原子力開発計画が、もしこの燃料サイクルがとれないということになりますと、大きな変更を生ずるわけでありまして、わが国といたしましては、従来わが国が詰めておる原子力開発計画を実行できるように、したがってINFCEPの結論というものをあらかじめ決めてかかるようなINFCEPの会議の持っていき方について、わが国としては他のヨーロッパ各国と共同な歩調をもって、これについては反対をしていこうという、大ざっぱな考え方を申せばそのようなことになろうかと思うのでございます。 〔有馬委員長代理退席、委員長着席〕
○渡辺(朗)委員 非常にいま国際的にも注目されている会議でありますから、この際に日本政府がはっきりとしたそういう意思表示をするということは、私は日本が平和利用に徹しているという立場も理解させる意味で、協定に私どもはこうやって論議をしていること、そしてそれが国際的にも国会においても批准されるということより以上に重要な意味を持つ。同時に日本国民に対してもやはり重要な点であろうと思いますので、そこら辺ははっきりと大きな声で、ひとつ国民の方に向かっても国際的にも打ち出しておいていただきたい、これは要望をいたします。それからさらに、いま再処理の問題、濃縮あるいは再処理、こういうプロセスの問題が非常に重要になっている。特に日本は燃料の乏しい国でもあります。ないと言ってもいい。そうした場合にやはりリサイクルの中で燃料を確保していこうとする努力というものは私は非常に重要だと思うのです。それをいま日本では、たとえば民間の企業がこれをやっているということでございますけれども、よその国ではいかがでございましょうか。たとえば英、独、仏、米というような国を挙げまして、よその国では、これは国営あるいは公社、そういうところがやっているのか、民営でやっているのか、そこら辺、リサイクルの問題につきましてひとつ教えていただきたい。
○川崎説明員 再処理に関しまして各国の概況を御説明させていただきます。まずアメリカでございますが、アメリカの場合、完全なる民間の企業として三工場の建設が計画され、一部は完工いたしたものもございますが、現在まだ運転には至っておりません。その他は軍用の工場が政府機関の中に設けられております。それからフランスにつきましては、当初は動燃のような一種の政府機関の中で再処理を研究開発として行っておりましたが、現段階ではCOGEMAという企業体で再処理を行う計画になっております。それからイギリスにつきましては、原子力公社の中にございますBNFL、英国核燃料公社でございますが、ここが再処理を行っております。なお、ドイツにつきましては、小規模の実験工場が政府の出資しておりますカールスルーエ原子力研究所で運転中でございますが、これに続きます大型再処理工場については民間出資によりますケバ社という会社によります民間の再処理工場を現在計画中で、一部敷地について決定がなされた、かように承知しております。
○渡辺(朗)委員 関連して。これは五十一年度になりますからちょっと古いかもわかりませんが、私、こういう資料も見たのです。アメリカではクリンチリバー炉というのですか、デモンストレーション炉、三十八方キロワットのものが七七年着工、こういうことだ。ところが、そういうものを建設するに際しましても、これは政府の出資とそれから民間負担というのはずいぶん大きな格差がある。たとえば八分の一ぐらいが民間の負担であって、あとは全部政府が出資している。それからフランスにいたしましてもスーパー・フェニックスの百二十万キロワット、これの大型炉にいたしましても、これは高速炉増殖炉の問題でございますが、これなんかも全額国費負担というふうな数字でございます。どうもそうやって見ますと、こういう施設というものに対して建設費では国の費用というものが大変大きくつぎ込まれている。日本の場合はその点、どうなっておりますでしょうか。
○内田説明員 お答えいたします。 原型炉建設のための建設費の費用分担につきましては、昭和四十三年の三月に決定いたしました「動力炉・核燃料開発事業団の動力炉開発業務に関する基本方針について」というものがございまして、この基本方針によりますと、建設費の五〇%を民間企業等に期待するということになっております。この動力炉・核燃料開発事業団の開発いたします新しい動力炉と申しますのは、新型転換炉と高速増殖炉、二つの炉を開発することになっておりますが、新型転換炉につきましてはほぼ建設を終わりまして、来年の春に運転を開始するという予定になっておりまして、総額約六百八十四億円でございまして、この二分の一を民間に負担していただいたわけでございます。高速増殖炉につきましては、まず第一段階といたしまして実験炉を建設いたしまして、その実験炉は本年春運転を開始いたしましたが、これは全額政府負担でございます。引き続きまして原型炉を建設するわけでございますが、これにつきましては、十年前に決めました基本方針のとおりでいいかどうか。ただいま先生御指摘のございましたように、当時考えましたよりも高速炉の開発というものの状況が変わっておりますので、そのとおりでいいかどうかということにつきまして、原子力委員会の新型動力炉開発専門部会というものを設立しまして、動力炉の新型炉開発の進め方について総合的に御検討いただきました際にあわせ御検討いただいたわけでございます。ただ、この場合にはいろいろな御意見をいただきましたが、結論といたしましては、全体の建設費として幾らかかるかというような問題が必ずしも明らかではございませんでしたので、その建設費の見通しが明らかになった段階で具体的に検討するということで答申をいただいておるわけでございます。 私どもといたしましては、その建設費を詰める作業を現在やっておりまして、それを踏まえまして、またこの新型動力炉開発専門部会で御検討いただきましたいろいろな御意見をも踏まえまして、現在・原子力委員会で長期計画専門部会を設置いたしまして原子力長期計画の見直しをしていただいておりますが、その中で官民分担の問題を含めまして、原子力全体の開発に必要な資金問題を総合的に御検討いただくということにしております。したがいまして、この答申をいただきまして、できる限り早期に結論を出したいというふうに考えております。
○渡辺(朗)委員 いまお話を聞いておりましても、まだまだ基本方針的なものができておらない。こういう建設費そのものをとりましても、いままでどうも大蔵省は折半主義みたいなことで、民間が半分、政府が半分。その点でも、原子力エネルギーを開発していこう、推進していこうという熱意において、どうもわが国は大変立ちおくれているようにも思えます。 石油危機が叫ばれたり、エネルギー危機が叫ばれている今日、大事なことは、やはり国家がそういうエネルギー問題に取り組むことだろうと思うのですけれども、それは具体的には、単なるスローガンで大切だというようなことを言うことではなくて、たとえば、そういう建設費についても、民間の企業にリスクを全部かぶせてしまうようなことではなくて、むしろドイツ並み、フランス並みに大部分を国家が保証する、それを持つというような形にでもしなければ、開発というものは進まないのではあるまいかということを考えます。その点で、ぜひとも関係省庁におきまして前向きに検討していただきたいと思うのです。 なぜかといいますと、燃料を持っていないわが国が、こうやって民間企業に原子力エネルギーというものの開発を、しりをたたきながらやらせる。ところが、他方、アメリカや何かが先般のカーター大統領の発言のようにいろいろな政策の変化を来しますと、もろにそのしわ寄せをこうむるのは民間になってしまう。そうすると、先行き不安というようなことから、本気になって原子力エネルギーの問題に取り組もうという姿勢がだんだんと薄れていってしまうのではあるまいか、ないしは弱気になるのではあるまいか、こういうことも考えますので、政府としての姿勢というものをもっと積極的に打ち出してもらいたい。これを要望いたしたいと存じます。 きょうは私自身の都合によりまして、あといろいろ御質問したいこともございますが、この次の時間に回させていただきまして、これにて質問を終わります。 本当にありがとうございました。
○竹内委員長 次に、土井たか子君。
○土井委員 まず、端的にお尋ねいたします。 この核兵器不拡散に関する条約にまず加盟をいたしまして、今回の保障措置協定に加盟をするのが、わが国ではなくて、少なくとも全世界各国のそれぞれの国がこれに加盟をするという状況になってまいりましたら、核の拡散防止は徹底してできるという確信をお持ちになっていらっしゃるかどうか、ひとつお尋ねしたいと思います。
○鳩山国務大臣 核拡散防止条約にあらゆる国が入れば核拡散の危険が完全になくなるものか、こういう御趣旨の御質問でございますが、現状のところいろいろな、たとえばインドが実験をするとか、あるいは南アで問題が起きるとか、こういうことが相次いでおるわけでありますが、これらはやはり核拡散防止条約に加盟していない国で起こっておるということから、私どもといたしまして、あらゆる国が核拡散防止条約に加盟することを心から願っているわけでございます。 しかし、現行の拡散防止条約が完璧なものであるかということになりますと、これはまた御批判もあろうかと思いますけれども、これらの点につきましては、INFCEPの結果どのような改正を要するような事項が出てくるか、このようなことはなお今後検討すべきことではあろうと思います。
○土井委員 効果はなくはないけれども、これで万全だというわけにもいかない、そういうニュアンスがただいまの御答弁の中にはあると私は思うのです。ただしかし、少なくともNPTに加盟をする、したがってこの保障措置協定にも加盟をするということをより多くの国がやることによって、核に対して拡散防止をしていくことができるのだという意味があるからこそやはりこれに加盟をするという努力が大切だ、こう言われるわけですね。 ところが、この核の拡散防止に対して、いま問題をだんだん見てまいりますと、ただいまこのNPTとさらにそれに基づく保障措置協定で核拡散防止をやっていこうとすると、端的に言えば、この国際核燃料サイクル評価計画というふうな討議は必要なくなるのではないかという認識を持つ人たちがあると思うのです。これに対してどう考えていらっしゃいますか。この国際核燃料サイクル評価計画はどういう意味を持っているのか、お答えいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 カーター大統領が主張しております核拡散の危険というもの、平和利用におきましてもその危険があるのだという考え方をしておると私は想像しております。その意味は、やはり純粋なプルトニウムを製造できるということ自体が大変危険なことではないだろうか。それは条約というもので、条約に定める義務を各国が皆履行をしておれば、仮に一〇〇%の純粋。プルトニウムができても、それは心配ないだろうと思うのでございます。しかし、世界全体が非常な危険な状態といいますか、戦争の危険というようなことが生じたときに、そういう一〇〇%のプルトニウムがあった場合に、それが何らかの誘惑に駆られるということもあるかもしれない。そういうときには、条約がありましても、その条約だけで安心できるか、そこまで突き詰めていきますと、やはり何だか心配な要素があるという考え方も私は成り立つと思いますので、したがいまして、そのようなことを極力防ぎながら平和利用を進めてまいる、こういう方法を見出すべきだ。その点では、わが国といたしましても、平和利用とそれから核兵器の拡散防止、これが両立し得るような結論が見出し得るということを信じてこのINFCEP計画にも積極的に参加すべきだ、こう考えておるわけでございます。
○土井委員 この核兵器の不拡散に関する条約が当初つくられたころは、いま御答弁になりました国際核燃料サイクル評価計画の中でいま重要視されているような部面というのをそう強く認識する必要がなかった時代なんですね。またそういう役割りがその当時にはそう強く迫られた時代ではなかったとも逆に言ったら言えるだろうと思うのです。それが今日は、いま大臣からの御答弁にあったとおり、国際核燃料サイクル評価計画というものが必要視されるような状況だということをお互い認識ができるのであるならば、この核兵器の不拡散に関する条約そのものに対しての手直しということが、その意味において必要視されているのではないかとも言えるわけであります。この点は大臣どのようにお考えになりますか。
○鳩山国務大臣 NPT条約におきます原子力の平和利用についての権利が妨げられてはならないという条項もございます。その問題と核拡散防止、平和利用でありましても危険なことは避けるべきだ、こういうことが入ってまいりますと、私はそこにやはり問題が出てこようかと思うのでございまして、INFCEPの結果におきまして核防条約のある部分につきまして直すべきではないかという議論も当然出てくるということも想定されるわけでございますが、いままだ議論に入ったばかりでございますので、ちょっと想定しにくいと思います。
○小林説明員 大臣の御答弁をさらに補足させていただきます。 お説のとおり、この核不拡散条約ができましたいまから約十年前の段階におきましては、世界各国における原子力平和利用計画というものが現在ほどには進んでおらない状況でございました。たとえば再処理の問題につきましても、現在のように具体的に問題になっておるような状況ではございませんでした。それからその後、核ジャックというような危険性の問題、そういう、当時では余り想定されていなかったような新しい問題も起きてきております。 したがいまして、NPT、核不拡散条約と申しますのは、一言で申し上げますと、これに加盟する国が、その当時の核保有国以外は核兵器を持たないという政治的意思をここではっきり表明し、それを条約上コミットするという条約でございますが、それを裏づけるものとして保障措置制度というその制度をつくったわけでございまして、その制度に加入する。しかし、その制度を適用する中身、その保障措置がいかに効果的に適用し得るかということは、各国政府の政治的意思のほかに技術的な要素、これを改善することによって保障措置をできるだけ完全なものにしていくということがございますが、諸般の情勢の進展によりましてその技術が進んでいくと同時に拡散の危険も進んでいくということで、それを技術的にどうやってより効果的な、技術的な面で査察制度、それから保障措置の制度というものにしていくことができるかということでINFCEPというものが考えられてきた。 それに対して多くの国、現在四十カ国が参加しておりますけれども、そういう考え方に同調して、協力して何とかその点を解決していこうということでできてきたものだと考えております。したがいまして、NPT及びそれに基づく保障措置制度自体、が欠陥があるということではなくて、当時予想されておったそういう制度というものをさらに具体的に技術的に補完し補強し、そしてできるだけ完全なものにしていこうという努力の一環だと考えております。
○土井委員 それはいまの御答弁はよくわかるのですが、ただこういうことが言えるのじゃないでしょうか。 核兵器の不拡散に関する条約は、核保有国の立場から核保有国本位に考えられた条約であった。ところが、いま平和利用の問題になりますと、むしろ非核保有国が率先してこの中身に対して物を言わなければならないだろうと私は思うのです。したがいまして、この核兵器の不拡散に関する条約に対する手直しは、むしろ核保有国の立場からでなくて非核保有国が大きく声を上げて、これに対しての手直し、さらに安全性の確認に対して、この平和利用という問題について中身をいろいろ改善していく努力というものが必要視されるときになっているんじゃないか、こういうふうに私は思うわけでありますが、外務大臣どのようにその点はお考えですか。
○鳩山国務大臣 現行のNPT条約が核兵器保有国の立場で考えられておるという御批判は、私はまあそのとおりと申し上げた方がいいだろうと思います。これから先々になりまして、やはり核保有国だけの立場ではなく、むしろ非核兵器保有国、この立場で物事を考えていくべきだ、今回のINFCEPの会議におきましても、わが国といたしましては非核兵器保有国という立場で物事を主張していくべきであろうと考えます。したがいまして、このINFCEPの結果につきましても、わが国の立場が貫かれるように、したがって、また現行のNPT条約を手直ししていく場合におきましても、非核兵器保有国の立場を主張していくべきものと考えております。
○土井委員 そうすると、そういう意味からも、わが国としてはこの核兵器の不拡散に関する条約に対して是正すべき点、改善すべき点、改めるべき点というのに対して積極的に提唱していくと、こういうことでありますね。
○小林説明員 核不拡散を確保しながら原子力平和利用計画というものを各国が推進していけるように、このNPTの中身につきまして、たとえばINFCEP等を通じましてそれを各国具体的に確保できる方向で努力していくというのが現在のわれわれの姿勢でございます。
○土井委員 現在わが国が二国間原子力協定を結んでいる国があるわけでありますが、相手国、一体どれくらいその二国間協定を結んでおりますか。
○村田(良)政府委員 米国、英国、フランス、豪州、それからカナダの五カ国でございます。
○土井委員 その五カ国それぞれの間に二国間原子力協定という形で結ばれているそれぞれの中身を見てまいりますと、いまお答えになりました五カ国の中で、イギリスの場合とカナダの場合の協定の中には、今回のこの協定の二十三条によって効力が停止されるという旨の規定がないように思いますが、この点はいかが考えたらいいのですか。
○村田(良)政府委員 御指摘のとおりでございまして、第二十三条におきまして「この協定が効力を有する間停止される。」という表現がございますけれども、これはわが国とIAEAの間の合意でございまして、したがいまして、第三国との関係では、これが停止されるようにIAEA及びわが国が措置するという意味以上のものは持たないわけでございます。そこで、この措置をとるということになりますと、米国、フランス、豪州、三カ国との間におきましては、すでに既存の協定におきましてこのような事態を想定した条項が入っておりますので、この際特別の措置をとらないで、いわば自動的にこの第二十三条によりまして現在存在しておりますところの三者間の移管協定というものの効力が停止されるわけでございますが、イギリスとカナダに関しましてはまさに御指摘のとおり、このように第二十三条の規定に基づいて三者間協定が自動的にいつでも停止されるということにはならないわけでございます。 そこで、わが国はNPTに参加いたしました後に英国及びカナダと話し合いをしたわけでございますが、その際に、わが国の立場といたしましては、この既存の日英協定第四条あるいはカナダとの協定の第四条におきましては、特にいわゆる三者間移管協定という形に固定した保障措置の形式を規定しておりませんで、効果的な何らかの保障措置がIAEAによって行われるということを想定した規定があったわけでございます。 したがいまして、今回御承認をお願いしておりますようなこういった保障措置協定をもってしてまさに日英、日加の現在の原子力協定で言っておるところの保障というものが達成されるという見地から英国及びカナダの意向を打診いたしましたところ、両国ともわが国と同じような考え方でございました。したがいまして、恐らくわが国がこの協定を批准するという際に、別途日本と英国と場合によってはIAEA、それからカナダについてもそのような三者間で合意をいたしまして、現在の三者間移管協定が停止されるということを改めてそこで合意するという手続が必要になるというふうに考えております。そのことに関しては両国とも基本的に同意をいたしておりまして、目下どういうふうな文書でやるかということを話し合い中でございます。
○土井委員 そういたしますと、わが国との間に締結しているこの二国間原子力協定について言うならば、ほかの三国に比較して英国とカナダの協定の内容は違っているわけですね。特に本協定二十三条に関係をして違っているわけですね。そうしますと、それはやはり本協定審議に対してはこのような事情があって、このカナダと英国との間における協定に対してその効力を停止する話し合いというものをいま進めているという意味においても、これはやはり協定を審議するために出されるべき資料の一つだと思うのです。本協定審議に当たりまして委員会に提出されている資料としてそれはございましたですか、いかがですか。
○村田(良)政府委員 資料という御指摘でございますけれども、そういった事実についてもっと事実関係を国会に説明すべきであるという御指摘であれば、あるいはそうであったかと思いますが、まだいかなる形で、どういう文書でこの現在の三者間移管協定を停止するかということについて交渉中でございますので、その合意文書を参考資料として御提出するというわけにはいかないわけでございます。
○土井委員 私は合意文書を添付するようにとは申し上げておりません。よく聞いていただきたいと思うのです。イギリス、カナダとの間に結んでおります二国間原子力協定については他の三国とは協定内容がそういう意味で違うわけでありますから、したがって、この二十三条によって効力が停止されるということに対しては、ただいまいろいろと話し合いの最中であるということの説明があればそれで足りるのですよ。こういうことは何らここに述べてないわけですよ。したがいまして、そういう点からすると、このわれわれがいただいております審議のための資料としてはなおかつ十分であるとは言えない。不十分さがそこにある。これを意地悪い物の言い方をすればそうなるだろうと私は思います。やはりここで審議のための資料というものは十全であってほしいという気持ちはだれしもあるはずでありますから、そういう点からすればそのようなことがはっきり言えると私は思いますが、いかがですか。
○村田(良)政府委員 その点に関しましてはまさに御指摘のとおりだと思います。したがいまして、たとえば説明書等にそういった問題があるということを記載する等の方法があったかと思いますが、将来このような場合にはそういう点にも留意して措置をいたしたいと思います。
○土井委員 さらに、その英国との間、カナダとの間での二国間原子力協定というのは国会の承認を得ているわけでありますね。したがいまして、今回もこの協定に対してやはり話し合いを進めて、どういう形式になるか、それは私はよくわかりません。了解、覚書のようなものになるのか、あるいは交換公文がそこで取り交わされるのか、それはいずれといたしましても、そういう文書化されたものができ上がった節は国会にそれが提示されるのが至当であると思いますけれども、この点はいかがですか。
○村田(良)政府委員 この点に関しましては、現在の三者間移管協定を停止するということが協定に関してどういう意味合いを持つかということに関しましては、先ほども若干触れましたように、それぞれの現在の協定の第四条におきましてIAEAの保障措置を現行の三者間移管協定というもの、そういう形に限定した約束にはなっていないわけでございまして、相手国政府と合意いたしまして三者問協定にかわる別途の有効なIAEAの保障措置をとるという道も規定上開かれておるというふうに考えられるわけでございます。 そこで、英国及びカナダと協議いたしましたところ、これら両国も現在の協定そのものの手直しは必要でないという考え方でございまして、したがいまして、従来の三者間移管協定を停止するという合意を行政取り決めとして取り結ぶという方向で現在話し合いを行っている次第でございます。しかしながら、国会で御承認をいただきました条約あるいは協定の運用に関する問題でございますので、英国あるいはカナダとの話し合いがまとまりました際には、しかるべき形で御報告等の措置をとりたいというふうに考えております。
○土井委員 先ほども御質問の中ですでに一部取り上げられた問題でありますが、一昨日国際核燃料銀行設立の提唱を、カーター大統領がINFCEPでの第一回会議でされたようであります。このカーター提唱の核銀行構想などは、考えてみますと、明らかに国際原子力機関のなすべきことのように思われるわけでありますが、どのようにこの問題については受けとめておられますか。
○小林説明員 確かにこの構想がだんだん具体化してくるような場合にはIAEAで取り上げられることも十分考えられると思いますが、現在の段階では、INFCEP自体が関心のある国の集まりでございまして、そこで技術的な観点から供給保障の問題も含めまして総合的な核燃料サイクルの検討をしようということになりましたので、その枠の中でまず主要関係国が検討するということになるかと思われます。その上でもしそれをさらに拡大化してやる必要があるということになりますと、IAEAに持ち出されることも十分考えられるかと思います。いずれにしましてもこのINFCEPの作業に関しましては、そのあらゆる段階におきましてIAEAがそれに参加するということになると思われます。
○土井委員 このINFCEPというのは同調する国が寄って運営をされていくからというふうな御発言でありますけれども、私たちが懸念するところは、アメリカが覇権主義というものを発揮してイニシアチブをとりたがっているのではないかという問題なんです。こういうことになってまいりますと、国際原子力機関というものは本来どういうふうな機能を持っているかというところに非常に焦点が移るわけでありまして、この国際原子力機関が、この保障措置協定の十八条で言うような条文の内容からすると、もしアメリカがいまのようなイニシアチブをとりたがっているということであるならば、それに対して果たしてしっかりとした抑えがきかせられるかどうかということは大変大きな問題だと思います。これらは技術的な問題じゃございませんで、政治的な措置であり、政治的なそれに対しての判断ということが非常に大切でありますから、そういうことが果たしてこの国際原子力機関に対して求めることができるかどうかということが非常に大きな焦点になってこようかと私は思うのですが、この点はどのように考えられますか。
○小林説明員 御説のとおり、これは政治的にも非常に大きな重要性を持ってくる問題だと思います。ただ今回のINFCEPの会合は全部で四十カ国でございます。IAEAの加盟国は現在百十カ国でございますけれども、そのメンバーの国の主な国が、この原子力平和利用計画上主要国と思われる国がこの四十カ国の中にほとんど含まれております。そして、これは西側だけではなく、その四十カ国の中にはいわゆる開発途上国と言われる諸国が十四カ国入っております。それからソ連、ユーゴを含めましたいわゆる東欧諸国と言われる国が六カ国入っております。そういう形でこの作業が行われますので、実質的にIAEAのメンバーの中でこの問題に最も大きくかつ具体的に関心を持っている国が集まってこの作業をするということになるかと思いますので、基本的にはIAEAの方としても問題にされない。むしろIAEAもこの作業に積極的にともに参加していくという姿勢で臨んでおりますので、そういう政治的に大きな問題にされるということはないかと考えます。
○土井委員 いまそういう御返答でありますけれども、国際核燃料サイクル評価計画それ自身がまさに政治的なものじゃないでしょうか。それぞれの国が寄って、この中に参加をしてやっていくというこのINFCEPそのものは、まさに私は政治的なものだと思います。だからそういうことからすると、問題は、政治的にどう取り扱われるだろうかということが大変に気にかかるわけですが、端的にひとつ聞きましょう。この核防条約の違反というのはどこが決めるのですか、違反だ、違反でないということは。
○小林説明員 お答え申し上げます。 核不拡散条約の違反、すなわち核不拡散条約締約国のうち非核兵器国が違反するということは、すなわち核物質を軍事目的に使うということでございます。核爆発を行う、または軍事目的に核物質を使うという事態でございますけれども、軍事転用を行うという事態でございますが、それはまさに保障措置協定で行われる査察の結果それが発覚しました場合には、問題はIAEAの理事会にかけられます。そこで理事会でとられるべき措置が検討されるということになります。IAEAは、IAEA憲章第十二条に基づきましてそれらの措置がとれるということになっております。
○土井委員 そうすると、やはりここでIAEAの機能というのが非常に重視されるようになってくるわけであります。したがいまして、そういう点から言うと、いまのIAEA、つまり国際原子力機関というもののあり方は、いまのあり方で大丈夫だというふうに考えていらっしゃいますか。それともやはりこの内容に対して改善すべき点があるとお考えになっていらっしゃいますか、いかがですか。
○小林説明員 現在までのところ、IAEAはその機能を十分果たしてきていると思われますが、新しい事態に立ち至りまして、現在IAEAの加盟国の中でも、IAEAの機能をさらに強化しよう、特に査察の制度を強化していこう、と同時に、IAEAの中では百十カ国もメンバーがございますので、その百十カ国のメンバーの原子力平和利用活動がさらに発展するようにお互いに協力していこうということで、さらにそれを進めていこうという動きがございます。したがいまして、現在のIAEAの機能改善につきましても、IAEAの内部においてもいろいろと話し合いが行われている次第でございます。
○土井委員 ところで本年九月の日米間の核燃料再処理交渉なんですが、これによって共同声明が出されたのが、実は日本語に訳されて私たちの手元にもいただいているわけです。これを見てまいりまして、この中で大きな項目Ⅲの中の小さい項目6のところをごらんいただきたいと思うのですが、「国際原子力機関(IAEA)は、該当する現在及び将来の国際協定に従い、本施設において常時査察を含む保障措置を適用する機会を十分に与えられる。」こう書いてございますね。ここに言うところの「該当する現在及び将来の国際協定」というのはどういうものを想定しておられるわけでありますか。
○小林説明員 その時点で具体的に想定しておりましたのは、現行の三者間協定、いま五つございますが、日本と五カ国それぞれとIAEAとの三者協定並びに御承認をいまお願いしておりますNPT保障措置協定、そういうものを具体的には頭に描いてこの書き方になったわけでございます。
○土井委員 したがって、いまの御答弁からしてもはっきりするように、いま審議をいたしております当保障措置協定もこの中に当然含めて考えられるわけですね。ところがいま審議している保障措置協定においては、従来二国間において締結されてまいりました原子力協定などに比べますと、査察のやりようが限定的になるというところが一つの特徴だと思うのです。いつでもどこでもというわけにはいかない。これに対して査察のやり方というのが一定の制約を受けるというところに今回の保障措置協定の特徴があると考えているわけでありますが、いまのこの文面をもう一度読んでみると、「該当する現在及び将来の国際協定に従い、本施設において常時査察を含む保障措置を適用する機会を十分に与えられる。」こうなるのですね。「常時査察を含む」ということになりますと、これは常に査察ができる、つまりいつでもという意味がここの中にはあるのではないか。これは、この文章を読めばだれでもがそういうふうに理解するであろうと私は思います。この点はどうなんですか。
○小林説明員 ここに書かれております「常時査察」の意味は、あくまでも先生の御指摘になりました現行の保障措置協定、またはNPT保障措置協定に基づく常時査察でございます。その「常時」と申しますのは、IAEAが常にわが国における原子力平和利用活動の実態を把握し得る査察というふうに解釈されます。したがいまして、IAEAの査察員が四六時中その査察の場所にいなければならないというふうには解釈されるべきではないと考えられます。
○土井委員 解釈されるべきでないとおっしゃいましても、これは端的に読めばそうなりますよ。「国際原子力機関は、該当する現在及び将来の国際協定に従い、本施設において常時査察を含む保障措置を適用する機会を十分に与えられる。」これは英語の翻訳でありますが、日本語ではこう書いてある。これを素直に読んでごらんなさいよ。IAEAはいつでも常に査察するということができるという内容を含んでいると考えられますよ。いかがですか。
○村田(良)政府委員 ここで申します査察という意味は、この保障措置協定にもその査察というものの性格に関する規定がございますけれども、第八十条がその該当のところでございますが、「査察制度は核物質の移動及び在庫を常時把握しておくために必要かつ十分な程度を超えるものであってはならない」ということになっておりまして、この査察制度そのものが常時核物質を把握するという点がこの査察の本質でございます。したがいまして、IAEAの査察員が現実に立ち会うという査察ではなくて、日米の、先ほど御指摘の第六項にございますインスぺクションという意味は、この査察制度が適用される結果、常時核物質の移動等が把握されるということを指しておる次第でございます。第八十一条等におきまして、具体的にどれくらいの査察量を決めるかということに関する個々の規定がございますけれども、再処理施設と申しますのは最もいわばセンシティブな施設でございますので、当然それに対しては他の施設よりもより濃厚なと申しますか、厳密な査察が適用されるということは当然のことでございまして、したがってそういった感じも加えながら「常時査察」ということをこの日米の共同声明に書いたという次第でございます。
○土井委員 そうすると、従来の国際協定に比較すると、保障措置協定は、いつでもどこでもという査察が限定されてくるということの例外をここに認めていることになるわけですか。
○村田(良)政府委員 例外ではございませんで、あくまで「現在及び将来の国際協定に従い、」という限定が生きておりますから、基本的にはその協定の規定に従う査察制度が適用されれば十分でございます。
○土井委員 それでは、もう一度繰り返しになると思いますけれども、その協定の根拠になるところをひとつ条文をお示しいただいて、その文章の中身についても、簡単で結構です、説明をお願いします。
○村田(良)政府委員 査察のあり方、特にその回数であるとか程度であるとか態様に関しましては、第八十条というのが一番重要な規定でございまして、そこに「最大限度の場合であるかそれ以外の場合であるかを問わず、査察制度は核物質の移動及び在庫を常時把握しておくために必要かつ十分な程度を超えるものであってはならない」、したがって、こういう要件以上の査察というものは行われないということでございます。
○土井委員 そうすると、これは当然、この日米間における共同声明の内容に言うところの核燃料再処理の内容に対して、今回の保障措置協定の八十条の内容に拘束を受けた中身であるということはもう言うまでもないわけですね。そうしてここの中で「核物質の移動及び在庫を常時把握しておくために必要かつ十分な程度を超えるものであってはならないという原則に基づいて決定される。」その「程度を超えるものであってはならない」というこの「程度」は一体だれがどういうかっこうで確認をすることになるのですか。
○小林説明員 これは第一義的には、IAEAとわが国の当局者との間での協議により決められていくことになります。
○土井委員 そうすると、具体的にはその協議はまだこれからというかっこうなんですか、どうなんです。
○栗原説明員 お答え申し上げます。 再処理施設に対する査察は具体的にどういうところをやるかということでございますが、これは、NPT下におきましては、たとえば第七十六条のC項でございますが、IAEA、国際原子力機関の査察員が査察をする場合には、「補助取極に規定する枢要な箇所」というところに近づくことができるというふうに書いてございます。 したがいまして、先生御承知と思いますが、一応保障措置ないし査察を実施する上で一番重要なところということになりますと、再処理施設の場合には、これは原子炉から運ばれました使用済み核燃料が、一番初めは再処理施設の中の貯蔵プールというところに貯蔵されるわけでございますが、それが一本づつ順番に勇断されまして、そして溶解されます。溶解された後に再処理工場におきまして化学処理が行われまして、ウランとプルトニウム、それからそのほかの核分裂生成物に分離されるわけでございますが、査察の上で一番重要なポイントと申しますと、まさにこの剪断をされて溶解をされるというところでございます。ここにつきましては、恐らく私ども、IAEA両方共通でございますが、一番重要な、枢要なポイントであるというふうに考えておりますので、ここへの接近ということにつきましては、これはほぼ一〇〇%ベースということにはなると思います。 しかしながら、再処理施設の運転と申しますのは、先生も御承知と思いますが、バッチと申しまして、連続的に行わずに、何と申しましょうか、一回それを溶かしますと、それからまたそれが最後まで行きまして次に溶かすという形をとりますので、必要な場合にはいつでも、そういうような場所につきましては、それがあるときに査察のために接近ができるということでございまして、したがいまして、そういうようなポイントを決定いたしますと、必ずしも国際原子力機関の査察員が常駐をする必要はないということになります。
○土井委員 つまり常駐する必要はないといういまの御答弁でございましたけれども、そうすると、素直にこの日本語に翻訳されたところを見ました場合と、いまお答えになった御返答とのニュアンスはちょっと違うように思いますよ。やはり日本語で翻訳してあるのは「本施設において常時査察を含む保障措置を適用する機会を十分に与えられる。」と書いてあって、それで終わりなんですね。これでマルで次に続くわけですが、これで一区切り区切られて終わっているわけですね。ところが、先ほど外務省の側から御答弁をいただいた限りでは、この八十条という条文が非常に大事であって、そこに言うところの査察制度では「核物質の移動及び在庫を常時把握しておく」、これが査察制度だと、こういうふうに言われました。なるほど文章を見ていくと、査察制度はそこまでは、そう書いてある。やり方についてが問題なんですよ。やり方については、同じ八十条でもお読みにならなかったところに書いてあるんじゃないですか。お読みにならなかったところでは「十分な程度を超えるものであってはならないという原則に基づいて決定される。」こう書いてある。だから、「十分な程度を超えるものであってはならない」、一体その「程度」というものはどういうものであるかということが実は問題になって、後「当該施設に対する最大通常査察業務量は、次のようにして決定される。」と言って、(a)、(b)、(c)とわざわざ具体的に特定されているのですよ。だからこういう趣旨からすると、いまの協力の内容で言う原則に基づいて決定されるのは、以下このように特定的に決めているところに基づいてやられなければだめですよと言っている趣旨が、日本語で「常時査察を含む保障措置を適用する機会を十分に与えられる。」というところでは出ていないのです。むしろ私はこの日本語では大変に誤解を招くおそれがあるだろうと思う。私は、IAEAによっていつでもどこでも査察というものはできるのであるというふうに間違って読まれてしまうという可能性があるような日本語に見えてならないわけであります。これは英文をそのまま直訳されたんでありましょうから、その辺は訳し方というふうなことよりも、内容に対しての説明というものが、少しは読んでわかるような文章化のされ方というものはないものかなと思いながら、私はこれを見ているわけであります。どうですか。この辺ちょっといまの査察制度に対してよくわかっていない人、私もその一人でありますけれども、読むと、「常時査察を含む保障措置を適用する機会を十分に与えられる。」となったら、もうこれは限界がないように思いますね。ここには何ら限定措置というものがないように思います。そうすると、今回の保障措置協定に対しては、これは特例をここに認めておるのかな、保障措置協定の中で縛れないある特例を日米間においては共同声明の形で認め合ったのかな、こういうふうに思われるという可能性もなきにしもあらずと私は思うのですが、この辺はどうでしょうね。
○村田(良)政府委員 先ほど来これが英語の翻訳ではないかというような御指摘がございましたが、これはあくまで英語及び日本語がともに正文の声明でございます。 私どもといたしましては、「該当する現在及び将来の国際協定に従い」ということが大前提となっておりますので、それ以下に言う「常時査察」であるとか機会を十分に与えるということは、当然そういった協定の規定に従いまして認められるというふうに考えておりますし、米側もそういう考えでございます。この将来の国際協定あるいは現在の国際協定の内容に通暁しない方がこれをお読みになって、若干保障措置協定以上の義務を何かこれで負ったんじゃないかというふうにお感じになる方もあるいはあるかもしれませんけれども、あくまでこの趣旨は国際協定の枠内においてこのような機会を与えるということでございます。
○土井委員 「国際協定に従い、」という、いまその枠内だという趣旨を強調されて御答弁になったんだと思います。そういう点からすると、この「常時査察」と言っている中身もいまの協定の中身にとどまるわけで、これを超えることは絶対にできないという大前提をここに設けて考えているわけですね。それはちょっと、その辺の読み方はいろいろあろうと思いますけれども、「常時査察を含む保障措置」、こうなりますと、おやつ、こう思う向きというのはあるようでありまして、やはりこれは英語の直訳ではないということになったら、日本側が用意するときの文面、何かこの辺がもう少しぎこちなくない、われわれが読んでも一目瞭然わかるような文章というのが、国際間で、特に共同声明として出すような場合には非常に重要なように私は思います。どうも日本文というのは、国際間で取り交わされる文面というのはわかりにくいことがまず一つ。むずかしい用語を使うことが二つ目。そして、誤解を招くような文面というのは、日本語としてもおかしいなというのがよくあったりいたしますので、この節、これがそれに該当するかどうかは別といたしまして、これはやはり大事な問題じゃないかなと思って少し聞きました。 さてもう一つ、再処理に関する日米交渉の中で、第二再処理工場については日米両国がINFCEPの期間中「主要な措置」は行わないことに対して合意をいたしておりますね。この際の「主要な措置」についてはお互いの間で了解をしておられるようでありますけれども、この主要な措置というものは一体どういうものを指して主要な措置と言うのかということに対する了解を具体的にした、第三者がこれに対して認めることができるような文書化されたものがございますか、いかがですか。
○小林説明員 特にそういう文書化したような了解事項というのはございません。
○土井委員 しかしこれは大きな問題だと思うのですね。日米両国はINFCEPの期間中は「主要な措置」は行わないということに対して合意したので、どういうことを行わないのかという、この主要な措置に対しては単に口頭の約束であるとか口頭で合意に達したということだけじゃこれはいろいろ問題が起きてくるのじゃないか、やはりこれは文書化される必要があるように常識的には判断されるのですけれども、この点は、文書化されるということに対しての合意を見なかったのですか、どうなんですか。
○小林説明員 この点につきましては、双方、アメリカ側からもこれを文書化したいという申し出もございませんでしたし、それから議論の過程におきまして、ここで言っております主要な動きというようなものは、たとえば工場を建設しますとか、そういうようなことが念頭に置かれて議論されておりましたので、そういうことにつきまして相互に誤解の余地が余りないということが明確になっておりましたので、特にこれを了解事項として中身について文書化するという試みはなされなかったのが実情でございます。
○土井委員 そうすると、立地の選定とか会社そのものを設立するという行為であるとか関係法に対して改正をするなんというふうな行為は主要な措置に含まれるのですか含まれないのですか、いかがでございますか。
○小林説明員 立地の選定だとか、それから関連の国内法をつくるというようなことにつきましては、この「主要な措置」には含まれないと解されております。
○土井委員 そういうふうなことは具体的なことに当たって、これは主要な措置に当たるか当たらないかということは、お互いが、これは主要な措置に当たらないと言ったら、相手がそうですねと言えば、それで決まっていくというたてまえなんですか、どうなんですか。この辺よくわからないのですよ、どうなんです。
○小林説明員 この共同声明は法律文書ではございませんので、お互いの了解というものの主要点を記したわけでございますが、その個々の具体的な点につきましては、それぞれ双方の常識的、良識的な措置の範囲内で行うということになるかと思われます。したがいまして、具体的にどれとどれが主要な措置で、どれとどれが主要な措置ではないというような明確なものというのは特にはございませんが、先ほど申し述べましたような法律を制定するとか立地についていろいろ調べるとかいうようなことにつきましては、議論の過程を通じまして、そういうものが「主要な措置」というものに含まれるものでないことが明らかになっている次第でございます。
○土井委員 そうすると、「主要な措置」と言いながら、中身は至極あいまいなんですね。非常に心臓の弱い人だったら、主要な措置が、何でもかんでも皆主要なように映って何にもできない半面、非常に心臓の強い、まあ私なんかよく心臓が強いと言われるのですが、心臓が強い立場からすると、何でもかんでもがこれは主要な措置にあらずということでやり得みたいにやられるということになると思うのですよ。この点がINFCEPの問題に対して一番肝心かなめのあたりではないかと私は思うのに、この主要な措置に対してお互いが具体的に合意することを第三者が見ても歴然とわかるような体制にしてないということは、これはちょっと問題があるように私は思いますが、いかがですか。
○小林説明員 私たちの常識的な判断によりまして、これはかなり大きなものと解釈されそうであるというような懸念がもしございましたら、当然のことながら、この共同声明の全体の精神に照らしましてアメリカ側とも話し合うということになるかと思われます。
○土井委員 そうすると、これからアメリカとの間でそれを具体的に文書化するということに対しての話し合いも、可能性としてはあるわけですね。それで、将来その必要があるということであるならばというふうな前提でそういう話し合いをするということになるかもしれないというふうな、半ば消極的な御返答でもありますけれども、それは、いままでのところは文書化されていない、これから先文書化されるかもしれない、こういうことは考えておいてもいいのでしょうね。
○小林説明員 現在のところ具体的な可能性としてそういうことは考えられていないということは、申し上げられると思います。
○土井委員 そうですか。これは次回、私質問を続行する節、さらにもう少し具体的に聞きたい点がありますから、その点を取り上げて問題にしたいと思います。 最後にちょっと一つだけ。 もしこの協定が本国会で成立しなかったといたしましょう。つまり、承認が国会から得られなかったといたしましょう。そうすると、十八カ月が経過いたしまして、ついに核兵器の不拡散に関する条約そのものも消えてなくなる。つまり、われわれは加盟国ではなくなるというかっこうになると思うのですが、いまこの国会でもし国会が承認をしないという具体的な現実問題が出てきたときには、外務大臣とされてはどうなさいますか。
○鳩山国務大臣 これはもし十二月四日までに御承認がいただけなかったらどうするかということでございますが、政府としては大変困る事態に立ち至りますので、そのようなことのないように、ぜひとも御承認をいただきたいものでございます。もっぱら、御承認をいただくように私どもとして最善の努力をいたしたいと思います。
○土井委員 いろいろとお困りになるという点は、いろいろな側面から困られるだろうと思うのですけれども、外務大臣とされてはどういう点で一番お困りになりますか。
○鳩山国務大臣 やはりわが国といたしましてこのNPT条約に対する姿勢が問われるという点で、私どもといたしまして大変困った事態に立ち至ると考えるのでございます。
○土井委員 このNPTに対する姿勢というのは、もう一つ大きな意味で言うと、やはり国際信用を日本としてはなくすという意味にも通ずると理解してようございますか。いかがですか。
○鳩山国務大臣 そのとおりに考えます。
○土井委員 国際信用というものをかち取っていくことのためには、国連で決議されたことに対して日本が賛成をする、そして、賛成をしてその決議が存在しているということに対して確認をした以上はこれを遵守する、憲法の九十八条でもそういう規定がございますけれども、やはりそれは大事なことだと思うのですね。そういう点から、いまもしこの核兵器の不拡散に関する条約に対してわが国の姿勢が疑われるようなことでもあったら、国際信用というものをなくすということになるというふうな点から、ひとつ私、お尋ねをしたい点があるのです。 それは日本の国際信用の問題なんですが、かつて南アフリカのアパルトヘイト政策というものを非難した国連総会の決議がございますね。これに対して日本も賛意を表して、これを尊重するという立場をとって今日まで来ているはずでございます。そして、その国連総会の決議に基づいて、日本としては、人種差別政策を続けている南アフリカ共和国との間のスポーツ、文化、教育交流というものを停止する方針を政府としておとりになったという問題がかつてございます。これはもう大臣よく御存じだと思うのですけれども、具体的にはいろいろそれ以後、南アフリカ共和国の国民がスポーツ、文化、教育交流ということを目的にして、日本への入国を申請しても、許可しないということになって今日まで来たわけですね。 政府でこのことの方針をお決めになったのは一九七四年の六月五日だと思うのですが、それからこちらに、こういう政府の決定に従ったならば、南アフリカから日本に対して恐らく入国はできなかったであろうという事例が実はございます。これは大臣、御存じだと思うのですが、たとえばプロテニスの選手であるとか、いろいろあるわけであります。中には、ゴルファーが日本に対して入国申請をしたときに入国できなかったという例もあるようであります。 ところがごくごく最近、これはきょう事実行われたらしゅうございますけれども、ジョディー・シェクターという南アフリカでは大変人気のあるスピードレーサーがいるのですね。この人が日本に入国をすることに対して政府はお認めになっているわけでありますけれども、政府としては、かつて南アフリカに対しておとりになったあの決定というものはもうほごになったわけでありますか。どうなんでございますか。
○小林説明員 お答え申し上げます。 入国の問題につきましては、実は私のところの直接の担当ではございませんけれども、国連の決議に関連いたしました国内措置でございますので、少しこれに関連しておりますのでお答えさせていただきます。 一九七四年六月の措置、これは国連の関連決議を尊重してわが国政府が自主的にとる措置として、南アとのスポーツ交流、文化交流というものはしないという方針を立てまして、その目的をもって入国してくる南ア人に対しては入国査証を出さないという方針を決めたわけでございます。そして、その方針は現在でも変わっていないと承知しております。
○土井委員 現在でも変わっていないのだけれども、現に南アの国籍を持っておられるスポーツ選手に対して入国をお認めになっているということからすれば、その点は、いま御答弁の趣旨には反するわけですね。
○小林説明員 私の承知しております限りにおきましては、問題の南ア国籍を持つ南アの自動車のレーサーでございますが、入国したケースがあるということを承知しておりますが、それは国際自動車連盟の規程によりまして一その南ア人の場合はイギリスのクラブのメンバーであって、しかも南アの外に在住している人間であって、イギリスのクラブのメンバー証を持っておって、国際レースにおいては、そのレースに参加する者の国籍というものはその所属するクラブの国籍ということになっていると承知しておりまして、したがいまして、これはその国のチーム、この場合は英国だと承知しておりますけれども、英国のチームの一員として入ってくることになっていると聞いておりますけれども、この英国のチームのメンバーの証明書を持っておりますので、これは英国のチームの一員ということで、英国からのチームというふうに観念していると了解しております。
○土井委員 そうすると、入国ビザは、英国から申請されたものに対して認可をなすっているのですか、許可を出していらっしゃるのですか、いかがですか。これはおかしな話ですね。国籍はあくまで南アフリカですよ。
○小林説明員 国連の決議、これは勧告的決議で、法的拘束力がない決議でございますけれども、日本政府が尊重しております国連の決議は、レイシスト・インスティチューションズ、南アの人種差別主義的なインスティチューションズとの文化交流、スポーツ交流というものをやめるようにという勧告でございますので、このケースにつきましては、たまたま英国のチームに南ア人が入っていたということで、解釈としては、南アの人種差別主義団体とのスポーツ交流、人種差別主義者とのスポーツ交流ということにはならない、こういうことで入国を認めることになるということではないかと了解しております。私、実は直接の担当ではございませんので、これ以上のお答えはできかねる次第でございますけれども、私が関連の局の者として承知している限りの御答弁できることは、以上のとおりでございます。
○土井委員 さて、おかしな御答弁なんですよ。これは南アにおいて人種差別主義者であるか、そうでないのかという判別を日本の外務省がおやりになるのですか。これはおかしな御答弁ですよ。考え方によったら大変な御答弁だ。人種差別主義者でなければ認めましょう、人種差別主義者であるからだめだ、この判別を日本の外務省がおやりになれるのですか。同じ南アの国籍を持っている人でも、人種差別主義でないグループに入っているからこれは認めてあげよう。逆に言うと、人種差別主義のグループに入っているからだめだともなるのですね。これはおかしな御答弁です。 しかし、それ以上詰めても、これは具体的によく御存じでないらしい。ひとつ時を改めてもう一度私、このことは申し上げたいと思います。 きょうは、これで終わります。
○竹内委員長 次回は、来る二十六日水曜日午前九時三十分理事会、午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後七時五十七分散会 ――――◇―――――