外務委員会 第1号
- 発言数
- 315 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1977/10/14
会議録
○竹内委員長 これより会議を開きます。 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。 本委員会といたしましては、国際情勢に関する事項について調査を行いたいと存じますので、その旨、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○竹内委員長 この際、小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。 国際経済の動向、特に多国籍企業の現状を調査し、必要な措置の検討を行い、わが国外交政策の樹立に資するため小委員十四名よりなる多国籍企業等国際経済に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 小委員及び小委員長は、委員長において指名し、公報をもってお知らせいたします。 なお、小委員及び小委員長の辞任並びに補欠選任に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○竹内委員長 第八十回国会から継続になっております所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とルーマニア社会主義共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とブラジル合衆国との間の条約を修正補足する議定書の締結について承認を求めるの件、投資の将励及び相互保護に関する日本国とエジプト・アラブ共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、国際海事衛星機構(インマルサット)に関する条約の締結について承認を求めるの件、アジア=太平洋電気通信共同体憲章の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。 お諮りいたします。 各件の提案理由説明につきましては、すでに第八十回国会において聴取いたしておりますので、これを省略することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
○竹内委員長 ただいま議題となっております五件のうち、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とルーマニア社会主義共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とブラジル合衆国との間の条約を修正補足する議定書の締結について承認を求めるの件の両件について、質疑の申し出がありますので、これを許します。土井たか子君。
○土井委員 ただいまから私は二つの案件、すなわちブラジル合衆国との租税条約修正補足議定書とルーマニア社会主義共和国との租税条約について質問をさせていただくことにいたします。 まず、ブラジルとの租税条約修正補足議定書についてお尋ねをしたいと存じますが、昭和四十二年の一月に署名されましたこのブラジルとの租税条約を今回改正をいたします必要性、言葉をかえて言うとその理由でございますね、それはどういうことになるか、簡単にひとつ御説明を賜りたいと思います。
○宮本説明員 お答え申し上げます。 現行税額は、先生御指摘のとおり、四十二年一月二十四日に署名されたわけでございますが、この日本とブラジルとの条約は、ブラジルが日本以外の国と行っております条約の中では一番古い条約でございまして、ブラジル側の課税権を最も低く抑えておるというふうなものでございまして、そのためブラジルはこの条約を他の先進諸国十カ国、ノルウェー、フランス、フィンランド等十カ国とやっているわけでございますけれども、その他の租税条約並みに改正したいという希望を強く持つに至りまして、昭和四十九年の九月にわが国政府に対しまして条約の改正を申し入れてきた次第であります。わが国といたしましても、日本とブラジルとの関係の重要性並びにブラジルの開発途上国としての立場、こういうことも十分考慮いたしましてこの交渉に応じた次第でございまして、この交渉の結果、御承知のように、配当、利子、使用料、こういう投資に対します制限税率をある程度調整した、こういうふうな理由が主たる理由でございます。
○土井委員 そうすると、つづめて言うと、ブラジル側の課税権の増大の要求に基づいて改正されることになったという経緯だと理解をしていいわけですね。端的に言うとそうでしょう。
○宮本説明員 ブラジルが他の国と行っております税率と申しますのは大体一五%というふうなことでございまして、日本は最も古いものでございまして一〇%というふうな税率でございました。これに対しまして、ブラジルの方は他国並みにしたいというのに対しまして、一二・五というふうなところで話し合いかついたということでございます。
○土井委員 したがって、いまの御説明どおりで、ブラジル側の課税権増大の要求に基づいて改正されるという経緯があるというかっこうですね。 そうしますと、わが国としては、他の先進諸国といま締結しております租税条約かございますが、この租税条約との関係から考えて差異はなくなったことになるかどうか、この点はいかがなんですか。
○宮本説明員 お答え申し上げます。 他の国との租税条約につきましては、それぞれその相手国の事情に応じ、先方との交渉の結果個々に決まってまいるものでございますが、一般的には、御高承のように、OECDという場でつくっておりますモデルを基準にいたしましてつくっておるわけでございます。ブラジルの場合はOECDに入っておりませんわけで、そういう意味でブラジルの経済のそういう実情をも勘案しつつ決めておるわけでございまして、OECDに加盟いたしております他の先進諸国は、ブラジルと先ほど申し上げましたような一五%というふうな水準でいたしております。それに対しましてわが方は一二・五という水準で一応今回の話し合いが成立したというふうな状況になっております。
○土井委員 そうすると、先進諸国と締結している他の租税条約との関係から言うと、大きな差異はなくなったことになるというふうに理解をされているわけですか、いかがですか。
○宮本説明員 お答え申し上げます。 日本が他の先進国と行っておりますのはOECDモデルに基づいておるということは申し上げたとおりでございますが、その率は一〇%ということでございますので、それに比べますと二・五の開きがあるというふうな状況でございます。
○土井委員 いろいろブラジルの現地の事情というのはまことに深刻化していっているという問題が実は現実の問題としてあろうと思うのです。それはもう申し上げるまでもないことですが、オイルショック以来大変なインフレである。したがって対外債務の累積と国内経済状況から考えると、七五年、七六年を通じて輸入抑制措置というものをブラジルの側は大変強化してきた。これを七七年も引き続き継続して輸入抑制を強化するということをすでに決定をしている、こういう状況なんですね。それで、日本政府の側はブラジルに対して輸入制限撤廃についての交渉をいろいろ継続中というのを私どもはニュースで聞き知っているわけでありますが、外務大臣、この点の見通しというのは一体どういうぐあいになるのでございますか。
○内藤説明員 お答えいたします。 先生のおっしゃるとおり、ブラジルにおきましては国際収支悪化という状況にかんがみまして、短期的ではありますけれども輸入制限を現に行っております。そして、これに対しましては、わが方に及ぼす影響も非常に大きくございますので、たとえば昨年九月ガイゼル大統領が訪日された際におきましてもこの輸入制限が可及的速やかに撤廃されるようにということも話しましたし、その他の機会におきましてもこれがなるべく早く撤廃されるようにという申し入れば随時行ってまいっておるわけでございますが、それに対しましてブラジル側は、この輸入制限は国際収支改善のためにやむを得ざる措置として、でき得るなれば比較的短期的にやりたい、ただ無差別に諸外国と行っておるということ、それから国際収支が改善された時点においては早急に撤廃する考えであるということについてひとつ御了承願いたいという答えがございます。それから、現にその輸入制限の措置は続いておるわけでございますけれども、一番最近のニュースといたしましては、ちょうど八月九日に一部の従来の制限品目についての解除が行われたというニュースが入っておりまして、これは約九品目くらいで、魚、野菜、果物、ウォッカ、その他八ミリ、十六ミリの撮影機、こういったものについても従来の制限が解除されたというニュースが入っております。以上のとおりでございます。
○土井委員 いまの御答弁というのは現状に対しての事情説明をいただいたわけですが、この継続中についての輸入制限撤廃の交渉の見通しというのはどういうことになるのか、その辺はいかがかということをお尋ねしているわけですが、いかがですか。
○内藤説明員 お答えいたします。 おっしゃいますように、われわれの方では随時輸入制限撤廃をするように、なるべく早くという意味の申し入ればしておるわけでございますけれども、ブラジル側は先ほど申しましたような事情でやむを得ざるということでございます。ただ、ブラジル側がこのような制限を撤廃するかどうか、いつごろというのは国際収支がどれほど改善されたかということの見通しと当然に関連しておる次第でございまして、ブラジルにおきましては輸入抑制を非常に強力に進めておるということにおいて、たとえば昨年末から今年にかけまして次第に国際収支は改善しつつある、貿易収支におきましても、今年の前半期でございますけれども、ようやく少し黒字に転じたというようなこと、そういった事情でありますので、われわれといたしましては、そのような事情にかんがみてブラジル側が早期に改善するように引き続きいろいろな機会を通じて申し入れてまいりたい、そういうふうに考えております。
○土井委員 そうすると、見通しは決して暗いとは言えないというふうな読みでもってこの交渉をさらに継続されていくというふうにいまの御答弁からすると承ることができると思うのですが、先ほどの、先進国との間の租税条約との関係から言うと、この差はなおかつあることを御答弁になったわけですが、その点について、そうすると今後その差をなくすための努力というのはどういう方向で払われるのですか。
○宮本説明員 お答え申し上げます。 やはり、今後の締結する両国のそれぞれの経済の状況、あるいはお互いにその経済交流の高まり、そういった度合いによって個別に決まってくるものが原則だと思うのでございますが、御承知のように、OECDという場ではそういう共同の場を持っておる。そういうところでは共同の場のものが一般的になってくるだろうと思います。また、先進国と後進国との間でも、先進国と後進国との間に適用されるような租税条約の理想的なパターンというようなものをいま国連の場で研究対議しておるわけでございますが、そういうものができ上がれば、またそういうものに応じて修正していくというふうなことになるのですが、基本的にはやはり両国間のそういういろんな事情、そういったものによって決まってくるのであろうかというふうに存ずる次第でございます。
○土井委員 それはまことに常識的な御答弁なんですが、私ちょっと揚げ足取りを言うわけではありませんが、一時後進国という表現は心して使わないということに意を用いられたのじゃないかと承っていたのですが、ただいまの御答弁では先進国と後進国という表現をなすっているのですが、後進国というのを表現としては正式にいろんな場所でお使いになるわけでございますか。
○宮本説明員 大変失礼いたしました。私どもはデベロッピングカントリーと申しておりまして、開発途上国というのが、あるいは発展途上国というのが正しい表現でございます。訂正させていただきたいと思います。
○土井委員 昨年の九月でしたか、秋にガイゼル大統領が日本を訪問された際に、わが国側はアマゾンのアルミの製錬プロジェクトなどを初めとして大型経済協力というものに対しての話し合いをして、そして約束をするということがいろいろ、新聞のニュースにも掲載をされました。それで日本とブラジルとの経済交流というのは事実年々拡大していっているわけですけれども、このアマゾンのアルミ製錬のプロジェクトなんかを考えますと、アルミ製錬ということが日本の国内のいろんな状況から考えまして、ここで成功するかしないかということは、今後に及ぼす影響が非常にあると私は思うのですね。 いまお尋ねしたいのは、人的な交流だとか企業の進出ということの現状がどうなっておるか。特にこのアルミ製錬のプロジェクトに対して、具体的にそのうちどういうふうな進展状況かあるかということをお尋ねしたいと思うのですが、いかがですか。
○内藤説明員 お答えいたします。 アルミ製錬についての計画についてますお答えいたしますと、先生御指摘のように、昨年九月にガイゼル大統領訪日の際に、大きなプロジェクトについて両国間でこれを推進するということの話がまとまりまして、その後双方の当事者間において引き続きいろいろな事務的な詰めが行われておりまして、その一つの結果といたしまして、本年一月に、本計画に関して日本側の当事者となるところの日本アマゾン・アルミ会社というものが設立された次第でございます。そしてその後、この会社がさらにブラジルにおいて行うところの開発会社に対してどのような形で投資その他の融資、そういったことを行うかということについて先方からも折々代表者が参っていろいろな細かい問題について詰めを行っておるという事態でございまして、現在の見通しといたしましては今年末を目標といたしまして現地の開発会社を発足させるという予定で進んでいるのが現状でございます。とりあえず、アルミについてはこの程度でございます。
○土井委員 会社が今年末発足なんですね。操業開始は一体何年ぐらいという見通しはもうすでにできておりますか、どうですか。
○内藤説明員 当初におきましては一九八一年に発足ということでございましたが、いろいろな詰めの段階におきまして若干予定かおくれておるということでございます。
○土井委員 そうすると、いまのところ操業開始についてはまだはっきり言い切れるというふうな状況ではないということでしょうね。それは確認をさせていただいていいと思いますが、そうですね。
○内藤説明員 詰めの段階においていろいろ問題か出てまいりましたので、一応目標としては一九八一年を、できるならばそれに達したいということで詰めを急いでいるという状況でございます。
○土井委員 ところで、企業進出の問題になりますと、一時期一種のブームの観を呈したという時期があるようでございます。一九七五年末調査で大体五百六社ぐらいがブラジルに進出しているというふうなことが伝えられておりますが、サンパウロ・ジャパン・トレードセンターが調査をいたしました中身を見てまいりますと、大体一九七三年以降日系企業のブラジル撤退、また操業中断状況に陥った事例というのが二十三件ぐらいある。そのうちで日本側にその原因が求められるものが、いろいろな理由があるというふうなことが書かれているわけですが、この操業中断状況に陥った、またはブラジルから撤退せざるを得なかった企業の、日本側にその要因が求められると言われるその要因というのはどういうものがあるとお考えになっていらっしゃるかお聞かせいただきたいと思うのです。
○内藤説明員 お答えいたします。 御指摘のように、非常にブームの時期において非常に多く、五百数十社というものが出ましたのは事実でございますが、その後ブラジル側におけるところの、先ほど先生御指摘のような経済的な不況であり、国際収支の悪化とか、そういったような全般的な経済の問題があったりいたしまして、若干の企業につきましては御指摘のような事態がありましたが、通例それは資金不足によって撤退せざるを得ないとか、あるいは規模を縮小せざるを得なかったというような事態と承っております。
○土井委員 そういうふうな既存の事例についてまだまだこのサンパウロ・ジャパン・トレードセンター調査の中身は言及している部分があるわけですが、その中で、私は見ていてこれは深刻だと思うのは、失敗例というのはほんの氷山の一角であって、表面化していないいろいろな事例があるということが掲げられております。その中で、パイロット会社だけをあわててつくってそのまま計画を中断している例というのは無数にある。これらの中にはすでに当局から設立認可をもらったり、減免税なんかのいろいろな措置についても、もう具体的手続は完了していたり、種々の恩典を与えられて、ブラジル政府としても早期に操業を期待しているという事例についてこういう例があるということが掲げられている。これは私は深刻だと思うのですよ。こういう状況が、こういう租税条約についてブラジル側の状況をどれだけ考えながら改正を試みましても、具体的に向こうでの企業活動なり、日本から進出する企業の態度なりが、日本とブラジルとの間での友好関係を考えていった場合に、促進じゃなくてむしろ損なっていく危険性もはらんでいるということを心して思わなければならないのじゃないかと、実は私は調査内容を見ていて感じるわけです。こういうふうな状況に対して、一体どういうふうな手当てが必要なのだろうか、どういうふうな手だてが必要なのだろうか、こういうことをしきりに思うのですが、いかがですか。
○内藤説明員 御指摘のように幾つかの会社がそのような設立の認可を受け、その後その計画が必ずしも円滑に進まないというような事態もあったように承っておりますけれども、われわれの承知いたしますところ、通例、石油ショックの前にそのような計画を立てて企画をしたところが、その後の事態、ブラジル全体の経済的な情勢が悪化したことにおいて、企業採算その他において問題があるということで、規模をやや変更しなければならなかったというような事態がございます。そして、先生が御指摘のように、現地においてそのような事例が余り多く出ますと、当然に日本の企業のビヘービアであり、日本の信用そのものにかかわることはそのとおりでございますけれども、個々のケースに際しまして、随時ブラジル政府に対しましてもそれについて事情を説明する、あるいは当事者間において問題がないように相互に友好的に話し合わせるというようなことで幾つかの事態が解決されつつあるということで、今後も引き続きそのようにして問題か大きくならないように、そして日本の信用が失われないようにわれわれ努力してまいりたいと考えております。
○土井委員 そうすると、外務省とされては、いままでこういう事例について御存じになった段階で、すべからくブラジル政府に対して事情説明をし、そうして善後策についてもいろいろと話し合いを進めるということを心がけてきておられるのですね。どうなんですか。
○内藤説明員 現地において問題が生ずる場合にいろいろございまして、一つは、日本のオーバープレゼンスということに対して先方の同業の業者筋から、むしろ経済的な理由から差し支えるということで、新聞その他を操縦しての一種の反論が起こったという事態もございますし、その他の場合においては、善意ではあったけれども経済情勢の変化に応じてそうせざるを得なかったという事態がございます。そして、このように問題になった場合においては、先方の商務省の方から、通例当事者に対して呼び出しがあり、事情説明を求められて、その時点においていろいろ説明をして了解を得るとともに、相手側当時者との友好的な話し合いに努めるということで従来処理してまいっているように承知しております。
○土井委員 そういうふうに事情をいろいろと確かめられていらっしゃるのだったら、このことについて確認をさせていただきたいと思いますが、わが国のブラジルにおける進出企業の中で、脱税行為等で問題を起こした例はいままでにございませんか。
○内藤説明員 その件については承知しておりません。
○土井委員 そういう例はいままで一件もなかったわけですか。
○内藤説明員 その点について、われわれの方でもそのような事例の存否について少し調査したこともございますけれども、いままでのところその事例がございません。
○土井委員 今後日本の企業活動というのは、ブラジルに対しては両国間の友好関係ということを考えれば考えるほど、それからさらにいろいろな経済交流ということをブラジルを相手にして、さらに増進させていかなければならないということを考えれば考えるほど、大きな問題になってこようと思います。したがって、この点に対しては一層外務省の方にいろいろな点での企業活動に対して注意をしていただくということを促して、この問題に対しての質問を終えたいと思うのです。 もう一方のルーマニア社会主義共和国との租税条約の問題に移ります。 今回、ルーマニアと租税条約を締結するということになりますと、わが国としては租税条約を何カ国と締結することになるわけでしょう。すでに締結交渉というのが完了したのもあるようでございますから、それも具体的に御説明を賜って、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
○村田説明員 現在までに締結いたしました条約は二十八カ国ほどでございますので、このルーマニアが二十九番目でございます。なお、近日中に国会に御提出するチェコとの租税条約が、したがって三十番目ということになるわけでございます。 その他交渉が完結しておるというケースは、いまのところございません。
○土井委員 政府は、昨年五月だったと思うのですけれども、東欧社会主義諸国との間に租税条約の締結を促進することのために政府の代表団を派遣されたということが伝えられておりますが、政府が東欧諸国の、特に社会主義圏の諸国との間の租税条約を積極的に締結しようというふうにお考えになっていらっしゃるねらいと申しますか、わが国にとってどういうふうなそれにおける目的というものがあるのか、その辺をひとつ御説明賜りたいと思うのですが。
○宮澤政府委員 東欧の社会主義諸国におきましても、近時、東西交流の活発化に従いまして、国によって多少の差はございますが、経済の国際化ということを進めておるわけでございまして、一部社会主義諸国、ルーマニアなどがその例でございますが、外国投資の受け入れ整備あるいは非居住者税制の整備等を行っております。したがいまして、このような東西交流の機運に乗って経済的な交流及びそれに伴う文化、人的交流ということを進めますことは、世界平和の見地からも大変に好ましいことであると考えております。特に、ルーマニアにおきましては、このようなことから先方から口上書をもってわが国との間に租税条約を結びたい、こういうことでございました。したがいまして、これはわれわれから見ましても、体制の異なる国におきまして経済活動を行う場合に、このような条約があればそのような意味の不安感は取り除かれる、したがって、積極的に経済交流等も進めることができる、このような考えで結ぶわけでございますので、先方の社会主義諸国の中で外国投資を受け入れ、あるいは事業活動を認めるというような国があれば、そのような経済交流、文化交流等の見地から積極的にこれを結ぶことがわが国の利益にもなるのではないか、こういう考えでございます。
○土井委員 いまお答えのとおりで、わが国とルーマニアとの関係で申しますと、経済体制が異なりますから、そういう点から考えて税制上の法的相違というものも大きいというふうに考えなければならないのじゃないかという当然の疑問が出てまいります。この二重課税回避制度というのを設定する上で、特徴的な点というのはどの点にあるのですか。
○宮本説明員 お答え申し上げます。 二重課税が一般的に生じますのは、ルーマニア、日本、課税権のある両当事者同士の間で課税権か競合する、そういう場合でございまして、たとえば居住者に対して税金がかかるという場合、他方、所得の発生について税金がかかるというふうな場合には、その所得について、その発生した所でかかると同時にその所得を受ける居住者の地でかかるというふうな形で二重課税が生ずるわけでございます。また、もう一方の典型的な例といたしましては、その両方の国で居住者というふうに扱われる場合があるわけでございます。それは両方の国で居住者というものに対する概念の違いからそういうことが生ずるわけでございます。 そういうふうな形で生ずる一つの所得に対する二重課税をいろんな形で排除してあげようというのが、租税条約の基本的なねらいでございます。
○土井委員 いまのは、租税条約上、二重課税を回避することに対して手だてをどういうふうにとるかという御説明を賜ったわけで、ルーマニアとの間で、経済体制が違うということに対するいろんな配慮というものに対しては後でまた質問を簡単にさせていただきますから、ちょっとそれはそれとして保留したかっこうで次に進みます。 今回ルーマニアとの租税条約を締結したことによって、これをモデルというふうなかっこうで、さらに社会主義圏の中でも大きい国であるソビエトであるとか中国であるとかいうふうな国と、租税条約締結交渉を進めるお考えが現におありになるのかどうかということを、ひとつ外務大臣にお伺いしましょう。いかがですか。
○鳩山国務大臣 ソ連、中国に対しまして租税条約を進めるかどうかというお話でございますが、ソ連、中国のような社会主義が徹底して行われている国と申しますか、これらの国につきまして、日本の投資とかいうようなものは現状におきまして余り行われておらないということもありまして、租税条約の必要性が現在のところまだそれほど論ぜられておらないというのが実情でございます。一番関係のあります運輸関係、まあ船舶でありますとか航空機等、これは国際的な活動をするわけでありますが、これらにつきましては相互に租税を免除し合っているというような形で解決をされておるということが言えるのではないか。 なお、大蔵当局の方の見解も——私もまたよく確かめておりませんので、私から申し上げますのはその程度で御勘弁いただきたい。
○土井委員 そうすると、端的にお答えをいただいて、租税条約締結交渉というものを進めるお気持ちは当面のところないというふうなことですか、いかがです、大臣。いまのお答えからすればそうですね。
○鳩山国務大臣 ただいまのところ、先方からも租税条約をつくろうというような申し出もありませんので、現在までのところ、ない、こういうことでございます。
○土井委員 現在までのところないということだけれども、私がお伺いしているのは、将来について進めるお考えはわが国としてはおありにならないかということをお尋ねしているのでありまして、先方から言ってこないから現在までのところないとおっしゃるのは現状報告にしかすぎないわけであります。いかがですか。
○鳩山国務大臣 租税条約は、必要性が出てきた場合にはやはりあった方がいいわけであります。したがいまして、将来といたしまして課税が重複するというような事態が生じてくる場合におきましては協定が必要ではなかろうかと考えております。したがいまして、将来全く租税協定を結ばないということまでは申し上げられないと思います。
○土井委員 そのいまのお答えからするともう一つ釈然としないのですが、将来そういう必要性が生じたときには交渉を進めるというふうなお答えなんですね。 この同じ社会主義圏の中で、ソビエトとか中国に対してはそういう段階であり、特にルーマニアについてはこれはもうすでにこの租税条約を締結するということに日本としては踏み切ると言われる理由というのは一体どの辺にあったのですか。
○宮澤政府委員 先ほど申し上げましたように、ルーマニア等につきましては、経済の国際化という観点から事業活動の自由を認める方向に進んでおりますので、これに対応するためにそのような条約を結ぶわけでございますが、ソ連、中国等につきましてはまだ事業活動がそのように十分に認められておらない、こういうことでその状況を見きわめつつ日本側としてはこちらの態度も決めていきたい、このように考えております。
○土井委員 そこで、このルーマニアとわが国との間の投資とか人的往来の現状というのをひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
○宮澤政府委員 わが国がただいまルーマニアに投資しております唯一の例は、ロニプロットという現地合弁の会社一件でございます。これは一九七四年四月に設立されたものでございまして、出資者は大日本インキ、それとブカレスト医薬・化粧品・染料工業セントラル、この二つでございまして、日本側が四二・六%、ルーマニア側か五七・三%余を持っております。これはルーマニアの法律によりまして、外国の投資は合弁事業としてのみ認めるということで、ルーマニアがその際五一%以上を資本を所有しておるということか必要であるという制度がございます。このロニプロットは石油たん白の製造販売を目的とする生産合弁会社でございまして、わが国かルーマニアとやっております合弁会社の唯一の例でございます。 これに関連いたしまして、多少ルーマニアとの経済関係を申し上げますと、わが国では十六商社が駐在員を置いておりまして、これは主に貿易の引き合いをやっております。その他貿易は総額昨年度で一億八千二十三万ドル、わが国が一億三千三百七十三万ドル輸出をいたし、四千六百四十五万ドルの輸入をいたしておるということで片貿易の現状になっております。
○土井委員 いま御答弁のとおりで、日本からは一社、合弁会社をつくるために進出しておるのが大日本インキという会社であるわけですが、ここで生産される物品が御答弁のとおり石油たん白であります。 そこで、きょうは農林省の方からも大蔵省の方からもここに御出席をいただいているわけですが、昭和四十七年から四十八年にかけましてこの石油たん白をめぐる一連の動きがあったと思うのです。厚生省の食品衛生調査会の方では石油たん白というものに対して、一応その食品衛生調査会での取り扱い自身に対してもいろいろ疑義があるわけですが、結論はシロというふうに言われた。しかしながら、農林省としてはこれに対して生産をよろしいというお墨つきをお出しにならなかったはずであります。しかも、それを日本において製造しょうとされた大日本インキは、この石油たん白の製造を日本において中止するという措置を当時講じられたはずでありますが、農林省御出席ですね、その間の事情に対してちょっと御説明賜りたいと思うのです。
○鈴木説明員 お答えいたします。 ただいまのロニプロット社に関連をいたしまして石油たん白の製造技術を輸出することにつきましては、昭和四十八年四月六日に参議院大蔵委員会に通産省、農林省、厚生省の統一見解をお出しいたしましたが、これに基づきまして、石油たん白の安全性についての内外の確認か得られる等、その諸条件が確保されるまでの間、今後各国に対して新たに技術輸出契約を締結することは認めないというふうにいたしております。ただ、そのロニプロット社の技術輸出につきましては、すでに仮契約が締結されていたこともございまして、これを認めることにいたしたわけでございます。 また、国内での石油たん白の製造につきましては、現在企業が自発的にその製造を取りやめております。
○土井委員 これはおかしな話じゃありませんか。今後外国において合弁会社というものを石油たん白製造のためには認めない、そういうことをはっきりさせながら、すでにもう交渉が成立している一社についてのみは例外だという措置を講じられるという理由はどこにあるのですか。特に日本の国内においては石油たん白というものは製造しないのですよ。日本においてつくれないものを外国に企業輸出するという、これはおかしいじゃないですか。外国から見ると、日本の国でもってつくれないものをわざわざここに持ってきてつくるというふうな意味において、当然日本の国のやり方に対して不信を持ちますよ。外務大臣、この問題についてどうお考えになりますか。
○鳩山国務大臣 石油たん白の問題につきましてこのような経緯のあったことは承知しておりますが、ルーマニアといたしまして先方の化学工業省はこの問題について慎重に審査をいたして、ルーマニアといたしましては石油たん白を生産利用するという方針を決めておるというので、したがいまして、そういう先方のルーマニアとしての考え方もありまして、恐らく当時すでに仮契約をしておるというので、今後の政策として、その当時、それ以後のものにつきまして技術輸出をしない、こういうことが決められたものと理解をいたしておるのであります。
○土井委員 その理解は結構なんですが、いま私が質問申し上げている点は、仮契約をしているから仕方がないという態度ですね。日本においてはこういう石油たん白生産の企業活動は認めないのですよ。外国に対してもこの技術を輸出することは以後認めないということを決定なすっているわけでしょう。しかし仮契約に向けて交渉が進みつつあるからこれは仕方がないという態度でこの問題に対してはお取り扱いになったのかどうかということを私はお尋ねしているのです。
○鈴木説明員 この問題につきましては、先ほど申し上げました統一見解の中にもございますが、関係三省の担当官が在日ルーマニア大使館に出向きまして、わが国の国内の現状について説明いたしまして、ルーマニア政府の慎重な検討を要請したところでございます。その際ルーマニア側は、石油たん白の同国内における安全性の取り扱いについて責任を持つという見解を示されたと聞いております。したがって、企業化もそういう観点から踏み切られたものと考えております。
○土井委員 こういう場合は大蔵省とされては、許可基準というのが一応外為法によって決められると思うのですが、この外為法にいう日銀通達の中にあるいろいろな項目の中に、こういう事例というのは触れるのか触れないのか。大蔵省、いかがですか。
○竹内委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○竹内委員長 速記を起こして。 土井君。
○土井委員 ルーマニア政府との間にいろいろ話を詰められたという先ほど来の御答弁がございましたけれども、これは生産されて販売される、その販売については日本の国に逆輸入をするということはないですね、いかがですか。どうなんですか。
○鈴木説明員 お答えいたします。 そういう話があるということは聞いておりません。
○土井委員 そういう話があるということは聞いていないということになれば、つまりその話はしていないということなんでしょう。だから、その販売網についてどういうことになるかということは相談の外だったのではないですか、いかがですか。
○鈴木説明員 この合弁会社の製造品について日本に輸出するということにはなっておりません。
○土井委員 それはどういうふうなかっこうで確認されていますか。
○鈴木説明員 技術輸出の承認をする際にそういう限定を付しております。
○土井委員 それでは、大日本インキが向こうで、技術を持っていかれて合弁会社を設立して企業活動をやられる、この石油たん白の使途、つまり食品として使われているのか飼料として使われているのかによってまたこれは違ってくるのです。だから、その企業活動の内容、それと生産量、販売内容、これをひとつ資料として御提出願います。よろしゅうございますか。
○鈴木説明員 では、別途提出するようにいたします。
○土井委員 大蔵省の方がまだ御出席じゃありませんから、その時間を待っていたらずいぶんこれは遅くなるに違いありませんので、ちょっと外務大臣に申し上げますけれども、今回ルーマニアと日本が租税条約を締結するというのは社会主義圏では初めてなんですよ。社会主義圏で初めての国と租税条約を締結する相手方であるルーマニアに対して、まず一社だけが日本から進出して、その一社かどういう企業活動をその国でやるかということは今後に及ぼす影響は非常に大きいと私は思っております。その企業活動の内容がこれですよ。大臣はこれは好ましいとお考えですか。
○鳩山国務大臣 石油たん白につきまして日本国内で大変な論議があったことは私どもも記憶をいたしております。これはやはり人体に対する影響ということについての大変な議論があったのだと記憶しておりますが、これが本当に人体に有害なものであるということであれば私はこれは好ましいものとは思いませんし、そういうことはすべきでないと思います。しかし、人体に有害であるかどうかという点につきまして学者の間で大変な議論があったと思います。その有害であるかどうかという点につきまして私は判断する自信を持っておりません。したがいまして、ここで好ましいかどうかという判断を求められましても、私から申し上げるわけにはいかないのであります。その点はその当時の判断として、これは恐らく飼料用と思うのでありますが、やってみなければわからないことではなかろうか、こう思うので、いまここで私端的な判断を申し上げる能力を持っておらないのであります。
○土井委員 外務大臣、私は外務大臣に安全かどうかなどというふうな質問をしているんじゃないのです。そんなことを外務大臣に聞いたって、そのことに対しての御答弁がいただけるなんて私は思っておりません。安全であるかどうかというのは、問題があったからこそ、日本の国内ではこの生産に対して企業がみずから生産中止をするというかっこうになってしまったのですよ。疑わしきものは使用せずというのが原則なんです。したがってそういう点からすると、安全であるかどうかが疑われている間は生産してほしくないという声が国民の中に大きかったから、日本においては生産を見合わせるという企業者の態度が出たのです。厚生省の方でも、食品衛生調査会でこのことに対してシロと出す場合に付帯条件が出ているのですよ。それに対して農林省は、生産に踏み切ってよろしいという声を上げるのにちゅうちょなすったのです。そういう経過があったことを十分に踏まえて先ほど来私が質問しているので、いまさら外務大臣に、このことに対して安全であるか安全でないかということの質問をしているのじゃありません。そういう過去の経緯が日本にあったということをお考えになった場合、そういう企業活動を外国においてやることは好ましいか好ましくないかという大変な問題があるのです。 と同時に、いま問題になっている具体的な事例というのは、社会主義圏の中で初めてルーマニアを相手にして私たちは租税条約を結ぼうというのじゃないですか。そのルーマニアに対してただ一社きりいま日本から進出している企業活動がこれであるということが、今後与える影響が果たしてあるかないかということは大変大きいものがあると日本の国民としては考えざるを得ないのです。だからこういうことに対して外務大臣は、まことに結構だというふうにお考えになっていらっしゃるのかどうかということについて私はお尋ねをしているのですよ。少し履き違えないで御答弁をいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 まことに結構であるかどうかということであれば、私は、このような大変問題である企業が社会主義国に進出をするという点につきましては疑問を持つわけであります。しかしその点につきまして、過去のことでありますが、先方の当局に対しまして、日本の国内においてはこのような国民的な世論である、そしてその問題点につきましても十分了解を取りつけてあるというふうに承っております。今後の問題としては、このようなことはもっともっと慎重にしなければなりませんし、この石油たん白の問題につきましては、今後は技術輸出は当然しない、これははっきりしておりますが、同様な事例につきましてもやはり慎重に対処すべきであるというふうに考えます。
○土井委員 私は残念でなりません。幾ら相手側との交渉をして相手に了解を得たとはいえ、日本の国内で生産しないようなこの物品に対して技術を輸出するということは、やはり国際信用上私はゆゆしい問題だと思っている一人です。だから日本の国としては事情を説明して、こういうものは出したくないというのが、私はやはり国際的な信用をかち取る一つの手だてだと思っておりますよ。だからそういうことからすると、私は大変問題が今後大きいというふうに考えています。ひとつそういう意味においても的確な資料を私は提出要求します。 さて、わが国とルーマニアとの間の経済関係から考えると、ルーマニアにとって一方的に歳入減というものを強いることになるおそれはないのかということが私は非常に気にかかるのですが、この点いかがですか。
○宮澤政府委員 ただいま御指摘の点は確かにあると思いますが、しかしながら、ルーマニアにとりましてはこのような条約、取り決めを結ぶことによりまして外国の投資を促し、あるいは経済交流を促進する、こういう利益もあると考えられまして、恐らくそういう理由につきましてルーマニア側の方からこのような取り決めを日本に結ぶように申し入れてきたものと考えております。
○土井委員 ルーマニアとわが国とでは経済体制、税制が違うわけですから、租税条約締結交渉の中でいろいろと問題点があったと思うのですが、焦点となった問題点は何であるかということをお尋ねして質問を終えたいと思います。
○宮本説明員 お答え申し上げます。 租税条約の締結は、基本的にはそういう経済、文化の交流を促すために二重課税を排除するというふうなことが基本的なことでございます。それでルーマニアの場合には、日本とそういうふうな経済体制、社会体制が違うというふうなことでございますので、わが日本の方はOECDのモデル条約を基本にしつつもその両国のそういう体制の違いというものを取り入れつつそれを修正しつつ、そういうもので結んでいっておる。 その違いの非常に大きなものを二つほど申し上げますと、一つはその二重課税を排除するために、お互いの税額を控除するという方式がございます。たとえばルーマニアの国営企業か日本で仕事をいたしまして日本の税金を課せられたといたしますと、日本の税金を納めた場合に、かつそのルーマニアで、国営企業でございますから国に納付金をいたしました場合に、その納付金を仮に税というふうに考えますと、それは日本の税と国への納付金ということで一つの所得に対しまして二重の税金をかけられるという形になるものでございますから、そのようなルーマニアの国営企業の納付金をこの条約上では租税とみなすというふうな規定を置きまして調整いたしておりまして、そのルーマニアの国営企業の所得に二重課税が生じないようなそういう措置を一つしておるということか大きな特徴でございます。 それからもう一つ、日本の企業が先方に行きまして国営企業とジョイントベンチャー、合弁企業をつくったというふうな場合、それを混合企業というふうな定義をいたしておりますが、その混合企業は株式会社ではございませんので配当というものはいたしません。そのかわり、その出資に対しまして一定の利益の配分というふうなことを行っておりますが、その利益の配分を株式会社における配当というふうにみなしまして、その配当に対する制限税率を適用するというふうな、こういう調整をいたしております。この二つがいわば大きな制度の違いに着目して調整いたした点でございまして、問題といいますか、争点になるようなものではございません。
○土井委員 それでは質問を終わります。
○竹内委員長 以上で両件に対する質疑は終了いたしました。 ただいま質疑を終了いたしました両件を除く三件につきましては、質疑の申し出がないようでありますから、三件に対する質疑はこれにて終了いたしました。 —————————————
○竹内委員長 これより各件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、順次採決をいたします。 まず、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とルーマニア社会主義共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○竹内委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とブラジル合衆国との間の条約を修正補足する議定書の締結について承認を求めるの件について採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○竹内委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。 次に、投資の奨励及び相互保護に関する日本国とエジプト・アラブ共和国との間の協定の締結ついて承認を求めるの件について採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○竹内委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。 次に、国際海事衛星機構(インマルサット)に関する条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○竹内委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。 次に、アジア=太平洋電気通信共同体憲章の締結について承認を求めるの件について採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○竹内委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○竹内委員長 次に、第八十回国会から継続になっております核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の規定の実施に関する日本国政府と国際原子力機関との間の協定の締結について承認を求める件を議題とします。 お諮りいたします。 本件の提案理由説明につきましては、すでに第八十回国会において聴取いたしておりますので、これを省略することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の規定の実施に関する日本国政府と国際原子力機関との間の協定の締結について承認を求めるの件 〔本号末尾に記載〕 —————————————
○竹内委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大坪健一郎君。
○大坪委員 核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の規定の実施に関する日本国政府と国際原子力機関との間の協定が締結されまして、批准といいますか、承認を求められておりますけれども、この中で問題になっておりますのは、原子力の平和利用の結果さまざまな問題が起こってくる。特に核兵器に転用されるような核物質の拡散を非常に規制したいというNPTの原則があるようでございます。しかしわが国の国益から考えますと、原子力の平和利用ということは非常に重要な問題でございますので、その点にしぼって若干御質問を申し上げたいと思います。 まず最初に、日本の現在の条件から考えますと、国民経済的に見まして日本の完全雇用を達成しつつ経済発展を確保していかなければならない。その場合に適正成長率をどのように政府としては考えておられて、そして将来ともどういう見通しで経済の運営を図ろうとしておられるか。もう少し具体的に申しますと、たとえば失業率をどの程度に抑えていこうとしておられるのか、それに必要な成長率をどういうふうに考えておられるのか、そういう点をまずお聞きしたいと思います。
○鳩山国務大臣 将来の日本経済の見通しにつきましては、中期計画がつくられておるわけでありますが、御承知のように、これからわが国といたしましては、中期的には年六%程度の成長が好ましいというような考え方に立っておることは御承知のとおりでございます。 〔委員長退席、有馬委員長代理着席〕 過去におきます日本の実績的な成長率から見れば低目ではありますけれども、世界全体から見れば、これは相当高い成長率であるというふうに考えられておりまして、これから将来、やはり資源有限時代を迎えておるということを考えまして、その程度の成長率を確保していきたい。そして一失業率につきましては現在二%程度でありますけれども、これをやはり一・三%程度だったと思いますが、その程度の失業率まで改善をいたしたい、このような考え方でおる。 なお、担当は経済企画庁でございますので、私の理解しているところを申し述べた次第であります。
○大坪委員 いまのお話ですと、大体失業者は実数では常に百万以下に抑えておきたいというふうに考えられますし、実際、経済成長率六%を維持していくということになりますと、わが国のように原材料とエネルギー源をほとんど輸入しておる国にとっては相当大きな問題になろうかと思います。今後七、八年ぐらいの見通しがあちこちでできておりますけれども、そういう六%成長を継続していく場合に、エネルギーの需要を一体どういうふうに見積もられておるのか、それから、その可能性をどういうところに求められておるのか、これを実は伺いたいわけでございます。通産省の方がお見えになっておられれば御説明いただきたいと思います。
○小林(惇)説明員 お答え申し上げます。 先生いま御指摘のありました、これから七、八年後、一九八五年、昭和六十年度のエネルギーの需給見通しにつきましては、通産大臣の諮問機関でございます総合エネルギー調査会が去る六月に暫定的な見通しをまとめておりますけれども、それによりますと、いま以上の省エネルギーに努めたといたしましても、現在の七割増し程度の、石油換算で六億六千万キロリットル程度のエネルギーが必要であるというふうに見通しが立てられております。そのうち輸入石油につきましては四億三千二百万キロリットルというような膨大な数字が必要であるという見通しがございます。
○大坪委員 何年ですか。
○小林(惇)説明員 これは昭和六十年度の数字でございます。
○大坪委員 そうするといまのお話で、現在約三億キロリットルぐらい輸入していると思いますが、四億三千二百万キロリットル程度の輸入が必要だ。これは中東情勢とか各国の石油の現在の産出量から見て相当大幅な、相当無理のいく計画ではないかと思いますが、石油換算エネルギー量ですから、もちろんその内訳は石油のみの依存ではなくて、代替エネルギーをいろいろ考えておられると思います。代替エネルギーをこの中でどのように見積もられておるのか、そしてその中で原子力をどういうふうに考えておられるのか、原子力発電を中心に御説明いただきたい。
○小林(惇)説明員 いま先生御指摘の点でございますけれども、石油換算で昭和六十年度に六億六千万キロリットルのエネルギーを必要とするわけでございますけれども、その中で原子力発電につきましては、昭和六十年度に三千三百万キロワットの設備を稼働せしめるという前提に立っておりますけれども、これはエネルギーの量に換算いたしますと、昭和六十年度におきまして、全体のエネルギーの七・四%を原子力発電に依存するという前提に、立っておるわけでございます。
○大坪委員 現在はどのくらい原子力発電でこのエネルギーの分担を受け持っておるのでしょうか。それから昭和六十年には太陽熱利用とか地熱利用とかそういった種類の新しい代替エネルギー源の開発計画というのはあるのでしょうか。
○小林(惇)説明員 現在の原子力発電に対します依存度でございますけれども、全体のエネルギーの供給の一・七%でございます。それから昭和六十年度におきますその他の代替エネルギーの供給の見通しでございますけれども、地熱につきましては百万キロワット、これは全エネルギーの〇・三%ということになっております。それから輸入のLNG、天然ガスでございますけれども、これを昭和六十年度において三千万トン利用するという見通しでございまして、これが全体のエネルギーの六・四%、それから海外の石炭を利用するのが全部で一億二百万トン、これが全体のエネルギーのうちの一二・四%、それから先生御指摘のいわゆる新エネルギー、太陽熱利用も昭和六十年度には緒につくわけでございますけれども、それは石油換算のエネルギー量で二百三十万キロリットルという見通しでございまして、これは全体のエネルギーの量の〇・四%ということでございます。
○大坪委員 いまのお話を伺いますと、いわゆる新しいエネルギー源として世の中で盛んに喧伝されております地熱ですとか太陽熱利用では、うまくいったとしてわずかに〇・七%程度、それから石油に代替するものとしてLNGとか海外石炭を使うとして、これが二割近くなっております。全体として見て、エネルギー供給の整合性が非常にうまくいってないように私は見受けるのですけれども、そうなると原子力発電、これは現在わずか一・七%しかないものを、昭和六十年には、七、八年後にはもう七・四%に引き上げたい、五倍程度に引き上げたいというわけでございますが、そういう非常に積極的な原子力発電の計画を立てておられるようですけれども、これについて燃料であるウラニウムまたは濃縮ウラニウムの確保をどういうふうに考えておられるのか、それをまずちょっと伺いたい。
○高橋説明員 ただいまお尋ねのございました原子力発電の量に見合います天然ウランの確保の見通しでございますが、昭和六十年度におきまして原子力発電の目標を三千三百万といたしますと、それに対応します天然ウランの需要量はカナダ、フランス等との長期購入契約等によりまして、全量をいわゆる契約ベースで確保済みでございます。
○大坪委員 どのくらいになりますか。
○高橋説明員 現在の天然ウランの長期契約ベースの確保量、累計で約十四万トンないし十四万五千トンぐらいになるかと存じますが、三千三百万に相当します累計量はこれをかなり下回る量でございます。
○大坪委員 実は、カナダとの長期契約と言われたけれども、カナダとの間にはちょっと問題があるようです。これは後で聞きますけれども。 その三千三百万キロワットを昭和六十年度に予想して計画を立てておられるようですけれども、その原子力発電の中身、どういう炉を使われるのか。アメリカが開発して非常に経済性があると言われておる俗称軽水炉の使用をほとんどとされるのか、あるいは最近問題となってまいりました高速増殖炉、あるいは軽水炉から高速増殖炉にいきなり行くのではなくてその間に転換炉のようなものを考えておられるのか、その辺の中身について少し御説明いただきたい。
○高橋説明員 お尋ねの、アメリカ型の軽水炉を今後どう見通すかというお尋ねでございますが、先生御存じのように世界の商業用発電の開発状況を見ますと、いわゆるアメリカ型の軽水炉技術をもとといたしました軽水炉がその大宗を占めておるわけでございまして、御存じのようにわが国におきましてもこの軽水炉の導入、国産化という線を歩んでおりますが、今後相当の期間、日本におきましてはやはりこの軽水炉が中心になる、そして将来技術開発によりますFBRにつないでいくというのが基本路線かと存じております。私どもとしましてもそういう意味でまず軽水炉の自主技術によります日本への定着化ということを優先的に考えておりますが、なお今後の新しい動力炉開発計画と見合いまして、通産省といたしましてもたとえば重水炉等については十分検討する必要があるだろうというたてまえで現在検討を進めております。
○大坪委員 とにかく原子力発電をうまくやりませんと、さっき申しました必要な成長率の確保が非常にむずかしくなる。原子力ばかりではございませんが、もちろん石油の確保等も最大の要件でしょうが、昭和六十年代に予期した経済成長が達成できなくなるという非常に重要な責任が政府に出てくると思います。 そこで、その原子力発電の中身はなるたけアメリカ型の軽水炉を導入することと、これを国産化していきたいというお話のようでございますが、国産化することについてアメリカとの間に問題はございませんか。
○高橋説明員 お答えいたします。 この導入した原子炉を日本の経験、技術に基づきまして改良し、かつ日本型に標準化していくという施策を私ども現在進めておりますが、それに伴いまして技術的な面でのアメリカとのトラブルはございません。
○大坪委員 技術的な面でトラブルがないにしても、その他いろいろな面でトラブルはありませんか。たとえばこの間カーター大統領から東海村の燃料再開発、使用済み燃料の処理について待ったがかかったというようなことが今後わが国の原子力発電計画の国産化について出てくる可能性はありませんか。
○大川政府委員 ただいまの御質問に対しましては、答えは、そういうことはないと申し上げられるかと思います。日米原子力協定におきましては、たとえば御案内のこの間の再処理、日本の施設におきまして使用済み燃料の再処理を行うときは日米両方でいわゆる共同決定を行うというような規定がございますけれども、原子炉そのものを日本で自主的に開発することにつきましてはそういった規定がございません。
○大坪委員 そういたしますと、将来の原子力発電の中心がここ当分の間少なくとも十年ぐらいは軽水炉を中心に発展していくということになりますと、軽水炉は御承知のように濃縮ウランを使うわけでございますから、濃縮ウランについて今後その供給をどういうふうに考えておられるのか。現在は濃縮ウランはほとんどアメリカから入っておるようでございますが、アメリカ以外に濃縮ウランを導入することを考えておられるのか。 〔有馬委員長代理退席、委員長着席〕 聞くところによると西ドイツなどはソ連からも濃縮ウランを入れているようですけれども、そういうようなことが考えられるのかどうかということが一つでございます。 それから、濃縮ウランを使用いたしました後には使用済みの核燃料問題というのがどうしても出てくる。相当数の濃縮ウランを使って発電を行うわけですから、毎年相当の使用済み核燃料が出てくるだろう。これを、アメリカの考え方は再処理をするよりもむしろ廃棄物として処理せよというような考え方もあるように聞いております。また現にアメリカはそういう方針をとっておるようですけれども、この辺についてどういうふうな見通しを持っておられるのか、ちょっと御説明をいただきたい。
○高橋説明員 濃縮ウランの供給の見通しの点につきまして私からお答えいたします。 濃縮ウランにつきましては先ほど申し上げました六十年度三千三百万キロワット目標ということで考えますと、濃縮ウラン役務につきましては現在アメリカそれからフランスと契約を締結いたしておりまして、昭和六十年度までにつきましては十分確保済みというぐあいに考えております。
○田中説明員 使用済み燃料の処理の問題につきましてお答え申し上げます。 先生御指摘のように、原子力発電軽水炉を運転いたしますと、年間相当量の使用済み燃料が出てまいります。百万キロワット当たり年間ざっと三十トンぐらいの量で出てまいります。この使用済み燃料はこの中にまだ、放射線廃棄物のほかに、燃え残りのウランとそれから新しく出てまいりましたプルトニウムが入ってまいります。したがいまして、ウラン資源をできるだけ有効に利用するという、日本の資源に恵まれない国としての立場から、わが国としては燃料は再処理してその中に含まれております有効な残存ウランとプルトニウムは回収して利用するという方針をとっております。一方、そういう再処理をすることによって廃棄物としての量もずっと減ってまいりまして、三十トンの使用済み燃料を再処理することによりまして、まず液体状の高レベル廃棄物が十五立方メートルぐらいになります。それをさらに固体——これはガラス状に固化することを計画しておりまして、その固化することによって二立方メートルぐらいに減ります。したがいまして、そういう観点からも再処理はぜひ必要であるというふうに私どもは考えております。
○大坪委員 廃棄物にはいろいろなものがあると思うのですけれども、これはもう公害との関係もあるからちょっとお聞きしておきたいのですが、いま申された残存ウランとプルトニウムというような非常に利用度の高率の価値のあるものと、そうでない、工場で使ったいろいろな残存物が出てくると思いますが、その辺の処理はどうなさいますか。
○田中説明員 工場で使った後の廃棄物あるいは原子力発電所から直接出てまいります廃棄物は、放射能レベルが比較的低うございます。こういう低いレベルの放射能しかありません廃棄物につきましては、これをたとえばコンクリート状に固めるとかああいう形にいたしまして、同時にまた、できるだけ量を減らす努力をいたします。そういうふうにして量を減らして、かつ安全な状態にしたもので処理処分するということを計画しております。
○大坪委員 抽象的じゃなくてもう少し具体的に。
○田中説明員 具体的にお答えいたしますと、この低いレベルの放射性の廃棄物につきましては、たとえばドラムかんの中に詰めまして、これはセメントで固めるわけでございます。こういう状態にしたものをたとえば沖合いの海の中を処分場とするというようなこともいま計画してございます。これは漁業に影響のないような深いところに投棄するわけでございます。
○大坪委員 いままでの廃棄物はどうなっているのですか。まだ工場に置いてあるのですか、それとももう何らかの形で処理されたのですか。
○高橋説明員 現在、日本には再処理工場はございませんので、日本にあります廃棄物といいますと、発電所から出る廃棄物のみということに相なります。したがいまして、先ほど説明がございましたように、レベルも低うございます。中身を申し上げますと、作業衣あるいは床をふいた雑布、いわゆるそういった雑固体と、それから、たとえば換気をします、あるいは床をふいた水等をろ過しますけれども、そういうフィルター類とかいったものが主体になっております。これらはセメントによりましてドラムかんに入れますが、現在日本の各発電所を合計いたしますと、本数は約五万本ないし六万本あるかと存じます。これらは表面線量率を監視いたしまして、コンクリートの廃棄物貯蔵所というところに安全に保管をしておる、そういう状態でございます。もしも可能であれば、行く行くは先ほど説明がありましたような海洋投棄ができればベターでございます。ただし、現在の状態でも十分安全に保管をしておるということでございます。
○大坪委員 これも政府の方で、一般の私ども国民にもわかるようによく御説明をいただいた上で将来の処理を決めていただかないと、五年、十年たち、さっき申したように一・七%のものが七・四%にふえてくる、非常に大量の廃棄物が出てくるというときには社会的な問題に非常になりやすいと思います。この点についてどうも、私どもにも十分な理解がないけれども、政府側の方も何か臭い物にふたのような感じもするので、もう少しいろいろな機関、手段を通じて国民に説明を開始しなければいかぬのじゃなかろうか。好むと好まざるとにかかわらず原子力発電に依存せざるを得ないわけですから、安全問題について特に御考慮いただきたいと思うのです。 それから、アメリカやヨーロッパではどんなふうにしておるんでしょうか。それをちょっとお伺いしたい。
○高橋説明員 発電所につきましてお答えいたします。 アメリカ、ヨーロッパにおきましても、発電所におきます雑固体につきましては日本とほぼ同様でございます。ただしヨーロッパ諸国では、OECD機構を通じまして一部海洋試験投棄という形で処分をされておるというぐあいに聞いておりますが、発電所の中におきます保管状態は日本と同じでございます。
○田中説明員 ヨーロッパにおきます高レベル廃棄物の処理、処分の状況について御説明申し上げます。 フランスとイギリスがそれぞれ再処理工場をすでに動かしておるわけでございますが、再処理工場から出てまいります高レベルの廃棄物については、現在のところ液体の状態で保管しております。しかし同時に、これをガラス状に固化する技術開発をしておりまして、すでに実証プラントの建設の段階に至っております。私ども得ている情報によりますと、フランスでもイギリスでも、高レベルの廃棄物を商業規模の施設で固化するという技術開発にすでに成功しているというふうに伝えられております。
○大坪委員 そういたしますと、この問題については今後また問題が出てくるでしょうから、それぞれ関係のところでまた詰めなければならないと思いますけれども、いまの高レベルの廃棄物、つまり残存ウランとプルトニウムの問題です。これはNPTと非常に関係の深い拡散防止の対象物質になるわけですけれども、日本の原子力発電所で使用済みの核燃料を処理する東海村の処理工場の操業について、アメリカから厳しい注文がついたのですけれども、この日米共同決定のあり方あるいは問題提起の仕方は、NPTに保障された平和的利用のわが国の権利あるいは平和的利用に関する保障規定の違反にはならないのでしょうか、一体。こういう形で今後とも濃縮ウランを特定国からだけ輸入しておって、その使途について一々非常に厳しい注文がつく。それも、どうも協定に盛られた内容以上の注文がついているような気もするのですが、その点はそういうことはございませんか。協定の条文に照らして明快に御説明いただきたいと思います。
○大川政府委員 ただいまの御質問は恐らく核拡散防止条約第四条の平和利用に関しまする「締約国の奪い得ない権利に影響を及ぼすものと解してはならない」というところを指されたのではないかと思います。 最近のアメリカを初めとする幾つかの国々の原子力平和利用問題に対する姿勢がいかにも厳しいということはおっしゃるとおりでございまして、それは一つには、核防条約か最終的に国連総会でテキストが採択されましたのがいまからすでに十年近く前の一九六八年でございました。その時点で実は予想され得なかったいろいろの事態がその後に発生しているわけでございます。その最たる例は恐らく一九七三年の石油ショックでありましょうし、またインドの七四年の核爆発の実施ということでありまして、いろいろこの条約のテキストが採択された以後に新事態が発生したということで、この核防条約はもちろん核の拡散を防止するための最も基本的な法的な枠組みでありますけれども、新しい事態に対処するためにこれを補完、補強していくような措置が次々に必要になってきたというのが国際的な認識ではないかと思います。 それではアメリカの最近の再処理につきましての態度が現実に第四条の規定に違反するかどうかということになりますと、必ずしもこれは直ちに違反だときめつけることもできないのではないか。少なくとも核防条約は百カ国以上の締約国がおりますし、その解釈につきましても一カ国だけで云々する性質のものではございませんで、やはり締約国全部が集まって違反であると解釈するというような過程は経るべきものではないかと思います。しかし、アメリカが核防条約に加盟した非核兵器国の平和利用についての権利に制約を加えることは、あるいは少なくとも第四条の規定の精神には必ずしも沿うものではないではないか、非核兵器国としてはそういうような主張をしてまいったわけでありまして、でありますからこそ昨年の暮れからアメリカ等々と一連の交渉をやってまいったわけで、その結果御承知のような東海村についての共同声明が発出されるに至ったわけであります。 なお、この問題は今後ともいろいろの面で出てまいりますので、それに国際的に対処するために、アメリカ合衆国の大統領の提案でごく近々から向後二年間にわたり、いわゆる国際核燃料サイクル評価計画という国際作業が開始されることになっておりますので、その場におきましても、いろいろな角度からこういった問題について議論が交わされることになるかと思います。
○大坪委員 いまのお話でございますけれども、どうもやはりアメリカが少し当初の約束よりは強く出てきておるような感じがいたします。たとえばプルトニウムの分散を非常に恐れる。まあこのごろは赤軍派のようなこともありますから、簡単な知識と技術で原子爆弾ができる、プルトニウムが拡散するということは非常にまずい、これはよくわかるわけでございますけれども、そういうことが可能になるような監視体制の弱い、あるいは問題のあるような国に物を言うのならともかく、そういう点について最も神経質で、かつ国内的にも整備されていると思われるわが国に、これは世界の教育効果をねらってやっているのかもしれませんけれども、非常にきつく問題を提起してきたということは、私どもにとって将来についてもいろいろな問題を予測させて、ある意味では非常に不愉快でございます。 今度の共同決定に二、三問題がありますが、一つはINFCEPと共同開発をして、使用済み核燃料の再処理が終わって、プルトニウムだけを分離して出すのではなくて、プルトニウムは硝酸プルトニウムの形で出てくると思いますが、残存ウランの方はフランス方式ですと酸化ウランの形で出てくる、ばらばらに出てくるやつを出てくる前に一緒にして、混合方式と称するやつで分離ができないような形にして出そう、そういう研究をしようということのようです。INFCEPと日本とで技術を共同開発するといっても、実際は日本がやることをINFCEPが見るというだけのことになるんじゃないかと思いますが、そしてもし混合方式が二年以内に出てくれば、それに全面的にかえるとなると、これは日本で開発した新しい技術、新しいノーハウになると思うのですけれども、そういう日本で開発した新しい技術なりノーハウなりを、それに非常に多額の投資をし苦労を重ねてできたものを、言ってみれば、保護する方法というのはあるんでしょうか。日本で将来そういう形でこれを使っていきたいとすれば、当然、カーター大統領の行き方からすれば、これは使用済み核燃料の再処理についてはこういう方式を一般化しようということになろうと思いますけれども、その場合の開発努力と権益はどうなるんでしょうか、その辺をちょっと御説明いただきたい。
○内田説明員 ただいまの点でございますが、国際核燃料サイクル評価計画、INFCEPに提出いたします資料と申しますのは、一般的なデータを提供するというふうに私ども了解しておりますので、細かい技術的なノーハウというようなものはわが国の特許あるいは国際特許というようなものを通じまして保護されるというふうに考えております。
○大坪委員 それからもう一つは、たとえば、その共同声明に、「日本国及び合衆国は、軽水炉へのプルトニウムの商業利用に関する決定を少なくとも、今後二年」延ばす。INFCEPとの間でいまの話が詰まるまでは延ばす。ところが、日本がもしプルトニウムを必要なら、アメリカがプルトニウムを提供しよう。日本の核燃料再処理によってみずからつくり出そうとする努力は全部抑えておいて、プルトニウムはアメリカが提供しようということは、プルトニウムというより、使用済み燃料を合理的に使おうとする日本の技術開発なりあるいは今後考えられる新しい技術の領域に対して何か制約を課しておる。いわば問題を先に引き延ばして、その間アメリカの既存の燃料供給システムの余力を日本に提供してやろうというふうに非常に恩恵的に聞こえるんだけれども、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。
○大川政府委員 アメリカか恩恵的に日本にその燃料を保証するといったような御表現でございましたけれども、これは過去八、九カ月の間にわたって、さんざんにいろいろの場面でいろいろの形でアメリカと議論をし続けてまいった結果、とりあえず今後二年間につきましてはこのような形でやっていこう、それからその間に例の国際核燃料サイクル評価計画か発足するので、その場におきましていろいろの角度からいろいろの問題を十分に国際的に、二国間ではなくて多数国間で話し合って、その結論を、初めから約束するわけではございませんけれども、その国際核燃料サイクル評価計画の結果を一応見てみた上で、それから先どうするかということを考えようではないか。一言で申しますと、アメリカとの今度の話はそういうような趣旨でございます。
○大坪委員 私ども大変その辺に関心を持っておりますので、今後いろいろ問題が起こった場合にはひとつ十分国益を守る観点をお貫きいただきたいと思います。 それで、この間ロンドン会議が開かれまして各国の首脳が集まりましたときにも、このカーターさんの新しい行き方、特にプルトニウム不拡散の非常に厳しい方針に対して、南米に使用済み燃料再処理施設の輸出をしようとしておった西ドイツ等を中心に、それぞれの国の国益とカーターさんのいわゆる一種のプルトニウム不拡散国際主義との間でなかなか厳しい議論があったというふうに聞いております。フランスやドイツがどういう見解をそこで述べたのか、もし公表が差し支えなければひとつお教えいただきたい。
○鳩山国務大臣 ロンドンのサミット会議におきまして、特にドイツは、ブラジル等への技術輸出契約があるということから、やはりそういう立場を主張いたしました。それに対しまして、やはり核拡散防止という点、インドの例もあることでありますし、プルトニウム再処理の結果プルトニウムができるということは大変危険だという主張があったわけでありまして、これは両者主張をし合ったという状況であります。 それで、ドイツがブラジルに対しまして、技術輸出についてどう考えているのか、先般外務大臣も見えたので確かめてみましたが、ドイツ政府といたしましては、すでに約束済みのことにつきましては方針は変えておらないという態度を堅持しておるということでありまして、アメリカとの間にどのような話し合いがあったかは私ども存じませんけれども、ドイツ政府としては既定の方針を変えておらないということであります。
○大坪委員 いまのお話にうかがえますように、そうしますと、たとえばブラジルに核の再処理工場ができるということになって、そこでプルトニウムが出てきたときには、幾ら日本だけを抑え込んでプルトニウムの不拡散の範例をつくろうとしても、一方で破れてくるということになるのではないかと思うのです。だから、そういう点については、やはり関係国との連絡なり共通の対処態度などというものがもう少しちゃんと出てもいいのではないかと私は思うのですけれども、そうしないと、一方的に、一番言うことを聞く優等生の日本だけが常に抑え込まれて、それは悪いことじゃありませんけれども、どうも私どもとしては、自分の国の将来のエネルギー源確保について非常に神経質になっておるところですから、そこら辺はどうもちょっと納得できないような点もあるわけです。これは別にお答えをいただく必要はございません。 そこで、原子力発電の将来の一つの新しい機器として、転換炉のような形、あるいは高速増殖炉のような形が考えられておる。まあ、高速増殖炉については冷却に技術上の問題がずいぶんあるようでございますし、ソ連では一時この技術上の問題でトラブルもあったということを聞いておりますけれども、しかし、それにもかかわらず、高速増殖炉について、ソ連なりフランスか相当研究を進め、相当規模の発電所をすでに持っておるということでございます。わが国も高速増殖炉については、将来は加圧水型にかわる希望の持てる原子力発電の中心炉だというふうに考えておるという意見も聞いておるのですが、そこら辺の事情をちょっと御説明いただきたい。
○鳩山国務大臣 いまの御質問にお答えする前に先ほどの話の続きでございますが、これから再処理かどうなるか、プルトニウムの取り扱いがどうなるかという点につきまして、これはINFCEPで検討する。したがいまして、INFCEPにドイツも当然参加をいたすわけでございますから、私どもは、INFCEPで方針が決まるとすれば当然それに西ドイツ政府も従わざるを得ないだろうというふうに見ております。したがいまして問題は、INFCEPでいかなる結論が出るかというところに問題がすべて集中しておるというふうに考えておりまして、日本だけが東海村の運転につきまして非常な制約を受けたということにはならないと思うのでございます。
○内田説明員 高速炉の開発問題に関して御説明申し上げます。 国内資源に非常に乏しいわが国にとりまして、またウラン資源もございませんわが国にとりまして、ウラン資源を飛躍的に有効利用を可能にする高速増殖炉というものの開発は、わが国のエネルギーの安定供給確保の上で最も重要な課題の一つであるとわれわれ考えておる次第でございます。したがいまして、昭和四十二年、動力炉・核燃料開発事業団というものを設立いたしまして、この事業団を中核といたしまして、官民一体の国のプロジェクトとして高速炉の開発を推進しております。 現在の状況でございますが、開発の第一段階でございます実験炉、これは常陽という名前をつけておりますが、その建設を茨城県の大洗町に進めておりまして、この実験炉は本年四月に臨界に達しまして、現在引き続き運転試験を行っております。次の段階でございます原型炉、これは電気出力三十万キロワット程度のパイロットプラント規模の発電所でございまして、もんじゅという名前をつけておりますが、これにつきましては、福井県敦賀市を候補地点といたしまして、現在敷地調査を行っておる段階でございます。また、これに必要な研究開発、設計等は鋭意進めておりまして、今後地元の了解を得まして安全審査等所要の手続をとりまして、可能な限り早い時期に建設に着手するという予定になっております。 なお、私ども、開発の目標といたしましては、高速増殖炉のわが国における実用化の時期は一九九〇年代の半ばというふうに考えております。
○大坪委員 ソ連とフランスは、いまどの程度までいっているのでしょうか。
○内田説明員 お答えいたします。 ソ連、フランスは大変高速炉の開発が進んでおりまして、ソ連におきましては、電気出力に換算いたしますと三十万キロワット、これは全部がBN350と申しまして、約十五万キロワットの電気とそれから脱塩と両方を行う原子炉でございますが、このBN350と申します高速炉の原型炉がすでに運転を行っております。それから、それに引き続きまして、電気出力で六十万キロワットの、これは実証炉と考えられますが、そういう次の段階の炉を現在建設中でございます。 また、フランスは、実験炉、原型炉がすでに運転を開始しておりまして、これに引き続きまして、電気出力で百二十万キロワットの実証炉、これは実用規模の大きさの炉でございますが、この炉の建設計画を進めておりまして、近く建設に着手するというふうに聞いております。
○大坪委員 高速増殖炉の研究が、ヨーロッパ大陸型と称しましょうか、そういう方面で非常に進んでおって、アメリカがちょっと立ちおくれておるようですけれども、そういう点もあるので、今後、核兵器の不拡散にに関する条約に基づく国際原子力機関の査察受け入れの協定をのむ場合に、日本にとって非常に重要な問題が幾つか出てくる。 そういう観点で御質問したいのですが、日本の場合は御承知のように、軍事用は全然ございません、商業用の開発ですけれども、その開発を進めていく、発展していく場合に非常に制約がかかるのではないかというのが一つの心配点でございます。それは、条文によりますと、非常に詳細に日本の自主開発に制約がないようには書かれておりますけれども、しかし、現にアメリカでは高速増殖炉の開発が余り進んでおらないという点から見ると、日本の開発のノーハウの脱漏と申しますか、秘密の漏洩が防げるのかどうか、それから、これから進められていく安全保障の担保がこの国際原子力機関の査察によってもてるのかどうかというような問題があるように思われるわけです。 そこで、条約の中にちょっと入りたいと思いますけれども、国際査察を受けるということになりますと、従来は二国間の条約で、国際査察というよりは相手国の査察を入れるという形になっておる。すでに五つの国と査察協定を結んでおるようでございますけれども、二国間条約と申しますか、協定と申しますか、それで査察を受け入れることになっておることとの関連で、この国際機関の査察を受け入れることになると、二国間の条約によって決められた査察がどうなるのか、特に、核防条約ができる前にもうすでに協定を結んでおりましたイギリスとかフランスとの関係はどうなるのかということをお聞きを申し上げたいと思います。
○大川政府委員 初めに申し上げたいのでございますが、現在も二国間協定に基づく査察の規定がございますけれども、その査察を実際に実施しておりますのは、ほかならぬ国際原子力機関でございます。それは、わが国が締結している五つの原子力協力協定の相手国と日本とそれから国際原子力機関の三者の間で査察に関する取り決めをつくっているわけでございます。ですから、すでに国際原子力機関の査察を受けているというのが現状でございまして、今度この協定に入りました場合には、協定第二十三条によりましてその機関とのほかの保障措置協定に基づく保障措置は、この協定の効力が存続する限りは停止される、したがっていままで五つの三者協定の体制にありましたのが全部核防条約保障措置協定というもののもとに一本化されることになるわけでございます。ただし、その査察に関する規定以外の五つの国との原子力協力協定のその他の規定は、全部そのまま有効に存続するということでございます。
○大坪委員 NPTを批准しております国の中で東欧とソ連が商業用の問題を持っておらないようにも見受けられるのですけれども、たとえばわが国のような場合には全面的に査察を受ける。いま東欧諸国ではどういうかっこうで商業用として査察を受けておるのか。それからアメリカやソ連は一体査察を受けておるのかどうか、その点をちょっと御説明いただきたい。
○大川政府委員 まず、核兵器国につきましては、核防条約のもとでも平和利用についての国際原子力機関の査察を受けなければならない義務は実は定められておりません。にもかかわらず、アメリカ合衆国それからイギリスにつきましては、それぞれ自主的に自分の国の原子力平和利用活動について国際原子力機関の査察を受ける用意ありということで、それぞれ昨年原子力機関との間に協定をつくっております。まだそれは発効しておりませんで、日本との保障措置協定が発効するのを待って発効させるというような態勢にいるようでございます。ただし、ソ連はまだそういったような措置をとっておりませんで、日本は従来からソ連に対してもぜひ英米と同じように自主的に国際原子力機関の査察を受け入れるように呼びかけてまいりましたし、今後とも呼びかけてまいる所存でございます。なお、その非核兵器国につきましては、西欧側であろうとあるいは東欧圏の国々であろうと、同じようにこういった保障措置協定を結んで国際原子力機関の査察を受けておるものと了解しております。
○大坪委員 もう時間が迫ってきましたので少しはしょりたいと思うのですけれども、幾つかまだ重要な問題点が残っておりますので、その分だけ御質問さしていただきます。 一つは、いま日本とカナダとの間でウラニウムの供給協定に基づく供給がとまっておるというふうに聞いておりますけれども、この問題点が何か。聞くところによると、カナダで天然ウランを買い付けてアメリカで濃縮ウランにして日本は入れておるようですか、濃縮ウランにしたアメリカの査察が問題になっておって、カナダの方はアメリカに回した分についても査察したいけれども、まあ二重査察になるからという二重査察問題があるようでございます。これは今度の新しい協定に基づけば、国際原子力機関の査察がある間は二国間の査察がないということで解決するようにも思われますけれども、そこのところをちょっと御説明いただきたい。
○小林(智)説明員 お答え申し上げます。 カナダとの間では、カナダが供給します天然ウラン、アメリカで濃縮されて日本へ入ってくる天然ウランにつきまして、その天然ウランを使って出てくる使用済み燃料を再処理する場合、またはカナダが供給した核燃料を第三国に移転する場合、それからその核燃料を日本においてさらに高度に濃縮するような場合にはカナダの同意が必要であるということを主張しておりまして、日本に直接カナダから入ってくる核燃料につきましてはもちろん問題がないわけでございますけれども、第三国を経て入ってくるものについてそういう同意権というものを主張しているわけでございます。この問題につきましては、従来はわが国は日米協定の枠の中で処理されてきた問題でありますので、新しい問題としてわれわれとしては内部で検討したわけでございますけれども、この問題は、日本とカナダとの問題だけではなくて、ほかの核燃料輸入国とも共通の問題でございますので、近く関心のある国が集まりまして、こういう二重に同意権を要求するような国が出てくる問題につきましてどう国際的に処理したら一番いいかということを協議することになっておりますので、そういう協議を通じてできるだけ早急にこの問題を解決していきたいと考えておる次第でございます。
○大坪委員 その問題についてはまたそのときにお伺いをしたいと思います。 それで核防条約の中身ですけれども、IAEA、国際原子力機関は、現在わが国から幾ら分担金を取っておるのか、各国の分担金の状況。国連に準じてやっておるならそうお答えいただけば結構でございます。 職員がどのくらいおって各国がどういう案分になっておるのか。 それから査察員がやってくるわけですけれども、査察員は外交特権を持つのかどうか。そういうところをちょっとお伺いしたいと思う。
○大川政府委員 国際原子力機関は、国連のいわゆる専門機関に準じたような存在で、一種特別の存在でございますけれども、法人格を持った国際機関であります。 その職員数は約千四百人くらいで、日本人が現在十二、三名おります。 予算は、大体国連の分担金の割り振り方に準じた形で決めておりますけれども、具体的に申しますと、アメリカ、ソ連、日本といった順で上から大きな拠出国がおりまして、日本の分担率は七%余りだったと記憶いたしております。 本年度一九七七年の国際原子力機関の通常予算総額は、円にいたしまして約百三十三億円ということのようであります。 それから査察官がやってまいりますときは、国際原子力機関の特権及び免除に関する協定がございまして、日本もそれに参加しておりますので、それに準じた持権、免除が日本にやってくる査察官にも与えられるようになっております。
○大坪委員 査察員が来て査察をするわけですけれども、この協定を拝見しますと、非常に苦労して、日本の自主検査が先行する、日本の自主検査に乗っかって検査をするようなかっこうになっておるようですけれども、しかし原子力機関の権利としては、必要な場合には実際の検査に踏み込むことができるようになっているようです。それでその辺のボーダーラインと申しますか、つまりわが方の自主検査で済むところにまで踏み込んでくるようなことはないと思いますけれども、日本の国益から、いってみれば純粋に核不拡散の用に立つだけの検査にとどめるという査察の保障をどういうふうにお考えになっておられるか。条文上の規定だけで十分とお考えになっておられるかどうか、そこをちょっとお伺いしたい。
○栗原説明員 お答えいたします。 NPTに基づきます保障措置協定によります査察ということでございますが、これは先ほど先生がおっしゃいましたように、原則といたしましてIAEAが行います査察は、わが国が自主的に実施いたします査察の一部へ立ち会いをすること、それから、わが国が自主的にやっております査察の実施状態について観察をすることということで行われることになっております。 それからさらに、これは協定に書いてあるところでございますが、先ほどちょっと出ておりました、現在の査察でございますと、IAEAが査察する立ち入りの場所については制限がないわけでございますが、NPT下におきます査察につきましては、これが査察の上で必要なところのみということで、立ち入り場所の制限をかけております。この立ち入り場所をどのように制限するかということにつきましては、わが国とIAEA、原子力機関との間で事前に合意をして、それに基づきまして立ち入りの制限個所を決定するということになっております。 さらに査察がどのぐらい行われるかという査察業務量につきましても、現行の査察でございますと制限はないわけでございますが、これにつきましては、最大査察業務量というものを決めることにしておりまして、そのようにしてIAEAの査察というものを最小限にするということによりまして、わが国の原子力施設等の運転等に支障がないようにやっておるところでございます。
○大坪委員 時間がなくなりましたのでこの質問で終わりますが、最後に、議定書の一番最後の十八条に合同委員会を設けるという規定があるようでございます。この合同委員会は、協定とか議定書の実施から生ずる問題の検討も含んでおるようでございます。「査察業務量の合意された推定値の検討を含む。」ということになって、いろいろ検討ができるようになっておるようですけれども、この合同委員会はいつ発足をするのか。それから、日本国政府と相手国からどういう人がこの委員会に参加するのか、これは実際この査察を動かしていくときに非常に重要な問題をつかさどる委員会になると思いますので、その点を最後に御質問して質問を終わりたいと思います。
○大川政府委員 議定書十八条の合同委員会は、この協定が発効いたしました時点でIAEA、国際原子力機関と協議いたしまして、できるだけ速やかに発足させるというふうに考えております。 それに出ます日本政府側は、政府の代表者とそれから専門家ということになるかと思います。
○大坪委員 もう少し具体的にお教えいただけませんか。現在どこのどういう方を考えておるのか、相手側はどうなるのか。
○栗原説明員 合同委員会の日本側の代表と申しますか構成員でございますが、これは先ほど大川局長の方からもお答えになりましたように、まず第一に政府の方の代表者が入ることになっております。これにつきましては、保障措置を実施しておりますのが、わが国におきましては科学技術庁原子力安全局が実施しておりますので、原子力安全局の担当官が参加することになると思います。そのほかに保障措置関係につきまして専門家がいろいろいらっしゃるわけでございまして、その専門家の方にも参加をいただくことになっております。またこれは保障措置協定の実施でございますので、当然ながら外務省、これは私の方の担当ではございませんが、恐らく国際連合局であろうと思いますが、外務省の方からも御参加を願う、このようなことを現在考えております。
○大坪委員 相手はわかりませんか。
○栗原説明員 相手につきましては、これは国際原子力機関の中に保障措置局という局がございます。それでこの保障措置局の中に、実際に査察を担当しております業務部、実際には業務A部と業務B部と二つございますが、その業務部、それからもう一つの部といたしまして査察と申しましょうか保障措置技術に関する開発を実施しているところがございます。その開発部、それからさらに保障措置に関する各国から報告か参りますが、その報告を統計的に処理しております情報処理部というのがございます。この四部の専門家がそれぞれ入ってくることになると思います。
○大坪委員 この原子力機関の保障措置、日本の査察の問題は、実は今後日本でいろいろな技術開発が進んでエネルギー源の一番重要な問題の一つである原子力発電の開発が進むに従っていろいろむずかしい問題が出てくるような気もいたします。国益とそれから国際措置との矛盾のぶつかり合いの点でございますので、専門家の技術者の方々にお任せにならずに、常時外務省なり科学技術庁では、国益との関連で十分な御監視と問題点の検討をお進めいただきたい。当委員会で異常な事態か起こってから問題が取り上げられてがたがたするようなことのないようにひとつお願いをいたしたいと思います。これで質問を終わります。
○竹内委員長 午後一時三十分委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後零時二十八分休憩 ————◇————— 午後一時四十二分開議
○竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。中川嘉美君。
○中川(嘉)委員 本日の議題でありますNPT第三条1及び4の規定の実施に関する協定につきまして、その問題点を二、三挙げながら御質問をしてまいりたいと思います。 その第一点ですけれども、機関の査察についてでありますが、これはユーラトム並みの待遇が確保されたことになっていますけれども、議定書の第二条、ここではそのためには国内制度の整備が条件となっているわけであります。そこで、言うところの国内制度、これは整備されているのかどうか。国内の査察制度の現状、この辺は果たしてどうなっているのか、まずお答えをいただきたいと思います。
○栗原説明員 お答えいたします。 ただいま御質問の国内の保障措置体制の制度の整備状況ということでございますが、これまで科学技術庁原子力安全局におきまして、保障措置を担当いたしますために保障措置課というものを新設いたしました。それから、保障措置課に属しております査察官の増員もいたしております。さらに、保障措置のためには核物質の計量管理を行うことが必要でございますので、その計量管理のための技術の開発、さらに査察のために用います機器、それの機械器具でございますが、その機器の整備を進めるということをやっております。それとともに、さらにNPT下を想定いたしまして現在すでに実験的に試験的な査察を実施し、経験の蓄積を図るというようなことを進めておりまして、その体制の整備を図っているところでございます。 さらに、NPTの保障措置協定に伴いまして、国内法でございます核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部改正法案につきまして、今次国会におきましても御審議をいただくことになっております。 このような整備によりまして、私どもといたしましてはユーラトム、ヨーロッパ原子力共同体の持っております保障措置制度に比較しまして、遜色のない国内保障措置体制が整備できるものと考えております。 なお、今後とも効果的な保障措置体制というのはより整備していかなければならないと思いますので、現在におきましても、査察によってとってまいりました核物質等のサンプルを分析する体制の整備、それにさらに保障措置のための関連の研究開発の推進等を進めているところでございます。
○中川(嘉)委員 現在いろいろと進めておられるという御答弁がありましたけれども、この第二条の中を見ますと、「国内制度の機能的独立及び技術的実効性の程度が他の国又は一群の国におけるものと同等」とありますけれども、その程度が同等と見ることについては、機関がわが国の国内制度をユーラトム並みと果たして見ているのかどうか。ただいま御答弁いただいたわけですけれども、果たして機関はどうなのか、見ているかどうかをお答えをいただきたいと思います。
○栗原説明員 お答えいたします。 ユーラトムにおきます保障措置体制でございますが、ユーラトムにも保障措置局というものをつくりまして、査察官がおります。それでやはりわが国と同様に、ユーラトムの場合は地域でございますが、そのユーラトムに加盟しております国内の原子力施設に査察に参りまして、その実際の実施状況を検認しておる。 それから、わが国におきましても同様に、先ほど御説明いたしましたとおり査察官を備えておりまして、そして国内の原子力施設に参りまして査察を実施するということと、それからそのために必要な技術開発でございますが、これにつきましては私ども国際原子力機関、IAEAのもとで、保障措置の技術開発のためにかなり頻繁に技術的な会合がございます。そのような会合に出かけて行きまして、一つは保障措置の技術のための情報交換を行うとともに、各国のレベルがどのくらいになっているかということにつきましても、これはIAEAを含めまして、それからユーラトムと日本だけではなくて米国とかその他の国も入っているわけでございますが、そういう国による技術情報の交換ということがかなりあるわけでございますけれども、そのようなところから判定いたしまして、私どもとしてはユーラトムの持っておる技術レベルというものと遜色がないと思っておるわけでございますが、恐らくIAEAにおいてもそのように認められているものだと思っております。 その一つの例は、本年の五月にオーストリアのザルツブルクにおきまして、これは通称ザルツブルク会議と呼んでおるわけでございますが、原子力発電と核燃料サイクルに関する国際会議というのがございました。これは世界の数十カ国から約二千人ばかりの主として技術者が集まってやった会議でございますが、そのときにわが国からも、現在の国内の保障措置制度のレベルについて論文を発表いたしました。これは各国のその専門の方から非常に好評をもって迎えられたということもございます。このようなことを考えましても、私どもとしては少なくともユーラトムとは全く遜色のない、体制だけではなくて内容的にも遜色がないものと思っております。
○中川(嘉)委員 それでは査察員について若干伺いますが、六条の(a)項においては機関そのものが、また九条の(c)項では機関の査察員が知り得たところの秘密を守ることになっておりますが、これがもし漏れた場合、わが国及び機関はどのような措置をとることになるのか、この辺を伺ってみたいと思います。
○村田説明員 とられるべき措置に関しましては、この協定上は特に規定がございませんけれども、IAEAの方の内部の規則によりまして、このような秘密を漏らした場合には当該職員に対して処分が行われるということになっております。たとえば辞職させるというふうなことがIAEA側ではございます。 それから、わが方の企業がこういった産業上の秘密が漏れることによりまして被害を受けるという場合には、当然その被害を受けた側、日本側からIAEAの責任を国際法的に追及できるということになるわけでございまして、たとえば金銭的な損害賠償の要求を出すというふうなことになるかと思われます。 その処理の方法等についてもしもIAEA側との間に合意ができません場合には、この協定の紛争解決条項等を利用して交渉を行うということになるものと考えます。
○中川(嘉)委員 それでは、わが国が機関の査察員を受け入れる場合にどのような手続をとるのか。さらに九条(a)項の(ii)に関連しまして、指名を拒否する場合もあるわけですけれども、これはどのような場合を果たして指すのか。また、この協定が発効するならば査察内容が現在のものよりも簡単になる。そうすると、わが国に派遣される査察員は少なくなるのじゃないかと思いますが、この点についてはどうでしょうか。二点お答えをいただきたいと思います。
○大川政府委員 国際原子力機関の査察員の指名は、この御審議いただいております協定の第九条(a)項それから第八十五条の規定に基づきまして、原子力機関から、こういう者を日本に査察のために派遣したいということで、その査察貝の候補者の氏名、資格、国籍、等級等いろいろな関連事項を書いた書面をよこして、日本政府の同意を求めてくることになっております。日本政府としては、その事項を慎重に検討しました上で、受け入れる場合にはそれに同意の意向を回答する。わが国が不適当と仮に判断した者が出てきましたときには、これはお受けできませんということでお断りできることになっております。
○中川(嘉)委員 いまちょっとお答えいただいたわけですか、伺ったのは、九条(a)項(ii)に関連をして指名を拒否する場合もあるわけだが、それは一体どういう場合なのかというところですね。この辺はいかがですか。どういう場合をもってその指名を拒否することがあり得るか。
○大川政府委員 その点は、当該査察員候補者の人柄でありますとかその他の事項並びに、たとえばもう少し具体的な例を申し上げますと、ソ連は自分の原子力平和利用活動について国際原子力機関の査察を自主的に受け入れておりませんので、そういったような国の査察員を受け入れることは必ずしも適当でないと判断し得るわけでございます。そういったようなことかと思います。
○中川(嘉)委員 さらに、繰り返しになりますが、協定が発効すると査察内容そのものが現在のものよりも簡単になるだろう。そうすると、派遣されるところの査察員は少なくなるのではないかということですね。
○栗原説明員 お答えいたします。 NPTの保障措置協定におけるIAEAの査察というのは、先生御指摘のとおりかなり簡単なものになることは事実でございます。しかしながら一方、わが国におきましても、たとえば原子力発電所が、建設が済みまして運転に入りますとか、それから、たとえば動力炉・核燃料開発事業団の再処理施設が本格運転に入るということになりますと、このような査察業務量がかなり多くなってくるということもございます。そのようなバランスで将来考えることだろうと思います。
○中川(嘉)委員 次に、このNPT及び今回のこの協定にも関連いたしまして外務大臣に伺ってみたいと思いますが、カーター大統領の外交政策、その意図がよくわからないということが定評化しつつあるわけですけれども、再処理停止についても、各国はもとより、米国内でさえ反対が多い、こういうことでありますが、大臣はカーター大統領の原子力政策、これをどう見ておられるのか、伺ってみたいと思います。
○鳩山国務大臣 カーター大統領の原子力政策と申しますか、特にプルトニウムの利用につきまして大変な疑問を提示されたわけでございます。 福田総理にお供してワシントンへ参りましたときに、総理との会談の際に新しい本を渡されたわけでありますが、そこに名を連ねておられます原子力関係の学者の方々が、プルトニウムにつきまして非常な問題を提示されておった。恐らくカーター大統領の思想の裏づけとしてそのような学者の意見が相当根底にあったのではないかと私どもは考えております。 〔委員長退席、山田(久一委員長代理着席〕 そして、このプルトニウムの利用につきまして、これが本当に実用化するにはまだ数年先なんだ、大分先の話だというお考えのようで、その前に早く再処理がされますと、もっぱらそれは平和利用の面よりも軍事利用、すなわち核兵器の拡散という危険の方が非常に大きいという観点から、とにかく期間を置いて、その間にもう一度プルトニウムサイクルにつきましては再検討すべきだという、そういう信念ではなかろうかと思います。 そういう意味で、この二年間くらいの予定をかけて行われますINFCEPにおきます検討、この過程が大変大事であろうと私は思いまして、日本もINFCEPには積極的に参加して日本の立場を主張いたすべきでありますし、そこの場におきまして、核兵器の拡散とそれから原子力の平和利用、わが国といたしましてはプルトニウムを使った燃料サイクルを考えておりますので、このプルトニウムを使ったサイクルが可能になるような、しかも核拡散が防止できるというこの二つを両立させるべく努力をいたすべきものと考えておるのでございます。
○中川(嘉)委員 米国内ではいわゆるこのプルトニウム再処理工場に予算支出が認められたり、それから高速増殖炉の建設が進められたりしているわけですけれども、わが国には非常に厳しい条件をつけておきながら、米国のこういった現状、これを大臣としてどのように思われるか、このことについて御意見を伺いたいと思います。
○鳩山国務大臣 米国自体といたしましても、新しい再処理工場については、これは動かさないということをカーター大統領としては言っておられたわけでございます。一方、議会関係筋にはこれを促進すべきであるという意見も強いわけでありまして、議会方面と大統領の主張とはいささかその辺で食い違いがあるのではないかと思います。
○中川(嘉)委員 いまもお伺いしたことですけれども、念のためにもう一回伺いますが、非常にわが国に対して厳しいわけですね。こういった点について、果たして米側のそういういまの現状と比べてどんなふうにお考えか、この点もう一回……。
○鳩山国務大臣 わが国が非核三原則を持っておる国であるということにつきましては、アメリカ政府、大統領もこの点はよく理解をしておられるところであって、わが国が核拡散の危険な方向に行くということは毛頭考えておられないところである。しかし、これから新しい工場を動かすという場合には、日本だけ特別扱いということはなかなかむずかしいというのが実際の悩みであっただろうと思います。東海村の運転の仕方につきまして、その辺の両者の、日本にはとにかく配慮を示したいという気持ちは十分あらわれてこの協定ができたものと思うのでございます。
○中川(嘉)委員 それでは核防条約第四条ですが、いかなる国も平和目的のための原子力の研究、生産及び利用を発展させる権利が保障されているわけですけれども、今回の米国の態度というものはどうも核防条約に違反するんじゃないかと考えますが、この点はいかがでしょうか。
○鳩山国務大臣 私も、第四条の平和利用が妨げられてはならないという趣旨につきまして、カーター大統領の新しい政策はいささか矛盾するのではないかというようなことも申し上げたことがございます。しかし、核の拡散という問題は確かに世界平和の上で重大な問題でありますので、核の拡散を防止するという核防条約の本来の趣旨とあわせ考えますと、その点は、問題はあろうと思いますけれども、本来の趣旨を考えた上で平和利用をしていかなければならない。そういう意味で両立をさせていかなければならないというふうにた だいまのところ考えておるわけであります。
○中川(嘉)委員 いずれにせよ一たん保障された権利というものが条約そのものに違反する形をとってくる、わが国の再処理に厳しい条件をつけたということですね。これは条約に違反するという、こういった点でただいま御答弁があったように私も非常な矛盾を感じているわけで、この問題はこのまま過ごしていくわけにいかない非常に重要な問題でもあろうかと思います。別の機会にこれはまた時を得て伺っていきたいと思います。 次に、原子力の平和利用の促進とそれから核の拡散を防止する目的で国際核燃料サイクル評価計画のいわゆる国際会議が十九日からワシントンで開かれることになっておりますが、この会議の見通しと、それからわが国のこの会議に臨む態度、すなわちどういう態度で臨むのかという点を伺いたいと思います。
○大川政府委員 この会議はこれから少なくとも二年間開催されることになっておりまして、そこで、核燃料及び重水の入手可能性の問題でありますとか、あるいは各国におけるウランの濃縮能力の問題、それから燃料の供給の長期保証の問題でありますとか、あるいは使用済み燃料の再処理、プルトニウムの再使用といったような問題、いろいろなテーマにつきまして、八つ、あるいはもっとになるかもしれませんけれども、それくらいの作業グループをつくって各国約三十五、六カ国かと思いますが、専門家が集まって検討することになるわけでございますが、非常に広範囲にまたがる検討でございますし、それぞれの国がそれぞれの立場からいろいろ議論をいたすことになりますので、いまから二年先のこの会議の結論を予断することは大変むずかしいかと思います。しかも、各国とも、大体これに参加いたしますのに、初めから二年後の結論を受諾するという条件つきではなくて、全く二年後の結果を見て、それぞれがその時点で判断してそれに従うかどうかということを決める自由を留保して臨んでおります。でございますので、かなり自由な立場からいろいろ議論が行われることになるかと思います。 わが国は、これに対しまして、いやいやながら引きずり込まれて入っていくのではなくて、先ほど外務大臣が申し上げましたように、とにかくこれに積極的に入っていく。たとえば東海村の現在進展中の工場の運転実績に基づいたいろんな専門的なデータもこちらから積極的に提供する一方、また各国から出されるいろいろの資料をこちらとしても日本の役に立つものはどんどんくみ取っていく、そういった積極的な姿勢で臨んで、こういた国際協力の場を通じて核の拡散防止とそれから原子力平和利用の推進という両方の命題を調和できるような方向にみんなと協力していく、こういう考え方で臨みたいと考えております。
○中川(嘉)委員 日独外相会議のために来日したゲンシャー西ドイツ外相は、十一日の首相との会談で、国際核燃料サイクル評価計画の会議では日独共同歩調をとるとの姿勢を示したわけですけれども、この辺の内容についてお答えをいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 ゲンシャー外務大臣とお話をいたしました中で、日本とドイツはいろんな点で共通点を持っておる国である、日本の経済活動の面で貿易に非常に依存をしておる、また、ウラン資源を持っておらないというような点で非常に多くの類似点を持っておるというので、INFCEPにおきましては情報を交換しながら共同して対処してまいろう、こういうことを申したわけであります。 〔山田一久)委員長代理退席、委員長着席〕 先ほど国連局長からお答え申し上げましたが、実体的な面では私どもはやはりプルトニウムを使った核のサイクルというものを変えるということはほとんど困難だ、それが変えられるということはいままでの日本の原子力計画というものが全部覆ることになりますので、そのようなプルトニウムのサイクルというものを否定するような形で会議が進むということは、これはわが国にとって大変致命的なことであるということで、私どもは この会議に臨むに当たりまして、日本のこれからを考え、プルトニウムのサイクルというものは、先ほど第四条の趣旨のときにも申し上げたことでありますが、日本としては何とか貫きたい、それを貫くに当たりまして、核の拡散をいかにして防ぐか、この点を防ぐ方法を見出すことによってプルトニウムサイクルというものはわれわれの権利として主張いたしたい、これは私専門家でありませんけれども、日本としてはそのように考えて臨むべきであると考えております。
○中川(嘉)委員 本協定、すなわちNPT第三条1及び4の規定の実施に関する協定ですね、これはわが党としてはさらに同僚委員の質問か若干あるそうなので、きょうのところはこれは留保いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○竹内委員長 次に、伊藤公介君。
○伊藤(公)委員 NPTについて御質問申し上げます。 わが国は核防条約を署名する際に、まず第一に核兵器国の核の軍縮、それから非核兵器国の安全保障の確保、平和利用におけるユーラトム並みの扱いを条件とする、こう宣言をしておりますけれども、この三つの条件についてお尋ねをしたいと思います。 核軍縮について、SALTの期限切れあるいは中性子爆弾の開発などが行われているわけでありますけれども、その実効が少しも上がっていないと思うわけでありますけれども、こうした、現実に核を保有している国々の動きに対してまず大臣はどんな評価をしているのかお尋ねをしたいと思います。
○鳩山国務大臣 ただいまおっしゃいましたとおりで、核防条約、これが本来不平等な条約であるにもかかわらず日本がこれに加盟をいたしたということは、他方におきまして核保有国が特に核兵器の軍縮につきまして努力をする、こういうことと見合いでなければならないと思います。そういう趣旨は先般ニューヨークにおきます国連総会の席上におきましても強く主張をしてまいったところであります。また、アメリカのバンス国務長官との会談をいたします際にも、日本の立場としてはとにかく核軍縮に努力してもらいたい、SALT交渉につきましては逐次バンス長官の方に説明を求めてきたところでございます。SALT交渉がなかなか時間がかかっておったのは事実でありまして、SALTIの期限ももう切れるという事態になってきておる、しかし、この交渉につきましてはおおむねソ連との間のいろいろな話し合いも進んでおるというように先般は報告を伺った次第でございます。
○伊藤(公)委員 アメリカのカーター大統領は、きわめて条件つきではありますけれども、国連総会で、核兵器を最初には使用しないという宣言をいたしました。中国は当初からこの意思を表明しているわけでございますし、これからそれぞれの国の努力によって核兵器の不使用協定というようなものの作成に発展をしていくという可能性も生まれてきているのではないかと思います。特に鳩山外務大臣は、先刻行われました国連総会でも、わが国の非核三原則堅持を表明しておりますし、また核軍縮の促進を訴えておられたようでございます。国連という場で幾たびかわが国のこうした立場を主張してきたわけでありますけれども、しかし核に関しては特殊な立場にあるわが国が、もう一つ国連の中ではっきりした形でイニシアチブをとる、具体的に新しい提案もし、決議案の提出等をするということもできるのではないかと思いますけれども、何か国連の場で新しい、一つのまとまった成果を上げるという考えを持っていられるのかどうなのか、お尋ねをしたいと思います。
○鳩山国務大臣 核軍縮またそれ以外の軍縮の問題につきまして、来年に軍縮の臨時総会が開かれるというので、現在はそのための準備的な会合が持たれております。 この会合におきまして、日本といたしまして核軍縮の一層の進展を強く主張いたしますとともに、その他の軍縮問題、たとえば通常兵器の輸出の問題でありますとか軍事費の急増の問題、これらにつきまして、わが国といたしまして最大の努力をいたしたいと思っております。
○伊藤(公)委員 この協定による保障措置につきましては、わが国はユーラトム並みの待遇を獲得かできた、こう言われているわけでございます。しかし、それにはユーラトム並みの技術水準が満たされるということが条件となっているわけでありますけれども、すでに長い期間にわたって域内査察をしてきた実績のあるユーラトムに対して、自主査察の経験のないわが国がユーラトム並みのものをつくるのは大変むずかしいのではないか、こう思うわけでありますけれども、現在のわが国の国内体制はどのようになっているのかを御説明いただきたいと思います。
○栗原説明員 お答え申し上げます。 わが国の国内保障措置制度でございますが、これにつきましてはNPT下におきましては、たとえばわが国において自主的な査察を行うということでございますので、わが方としましては、それに対しまして目下いろいろな準備をしておるところでございます。 ちょっと例示で御説明をさせていただきたいと思うのでございますけれども、保障措置を実施するために科学技術庁の原子力安全局に保障措置課というのを新設いたしまして、そこにおいて査察官の増員を図ったわけでございます。そうしまして、それからさらに査察並びに保障措置を行いますための種々の技術が必要でございますが、その技術についても、わが国におきましてはすでに五、六年前より研究開発を実施しておりまして、NPTに入った場合に、国内保障措置制度のレベルがユーラトムと同等になるように準備を整えているところでございます。さらに現在におきましては、NPT下の保障措置ということを想定いたしまして、わが国政府の保障措置のための査察官が自主査察を実験的に実施しております。このような活動を通じまして、わが国としてユーラトムと遜色のない保障措置制度を確保することができると考えているところでございます。
○伊藤(公)委員 協定上の問題を一、二点お聞きしたいのですけれども、協定の第三条(c)項と議定書の第十三条の規定によって、直接的な査察は日本側が行うということになっているわけでありますけれども、例外として国際原子力機関が独自の査察を行うという場合がある。一体それはどのような場合に行われるのか、具体的に御説明をいただきたいと思います。
○栗原説明員 お答えいたします。 ただいま御指摘がございましたとおり、原則的にはわが国日本が行います保障措置制度に基づきます査察ということで、査察を観察するというのがIAEAの役目でございますが、それでは目的が達し得ない場合にはIAEAが独立してやるということも書いてございます。 この例でございますけれども、たとえば、施設に参りまして査察をやるときには、一番初めに、その施設の方から報告書が出ておりまして、その報告書を施設に備えつけてございます記録と比較検証するわけでございますが、このときに、比較検証するということにつきまして施設の記録のオージットといいましょうか、監査をやるわけでございますが、これをたとえばIAEAの査察官が後ろから見ていても全然わからないという場合もございます。このような場合には、記録というのは、変な話でございますが、日本語で書いてございますので、たとえばこれはどういうことかということで、IAEAの査察官がわが国査察官と肩を並べて実際に検証するということもあり得るわけでございます。ただ、このような場合を除きまして、あとの査察の活動と申しますと、たとえば放射線の測定器を持っていきまして、核物質ウランとかプルトニウムがそこにあるということを測定することが主でございますが、計器を持っていって、計器による測定ということは国内の査察官が自主的にできることでございますので、そのような活動を観察するということが基本になると思います。
○伊藤(公)委員 予告なしの査察ということがこれからの問題として大変重要だと思うのでありますけれども、八十四条でも予告なしの査察が規定をされているわけでありますけれども、議定書の方でこれを何らかの形でなくすという方法はできなかったものか、その辺のいきさつをちょっと御説明ください。
○栗原説明員 お答えいたします。 議定書に書いてあるところでございますが、IAEAの査察はいつでも日本国政府の査察と調整をし、したがって同時に行うということになっております。したがいまして、その規定に基づきまして、IAEAが日本国政府並びに原子力施設に全く無通告で行くということは、そのような権利は一応それを調整するという形で議定書においてやわらげたわけでございます。
○伊藤(公)委員 プルトニウムを抽出するための再処理を禁止するというカーターの原子力政策の意図は、もちろん核の拡散を防止するという目的はあるわけでありますけれども、一方においては欧州のそれぞれの諸国に非常に追い上げられてきた、特に原子力の平和利用面での技術的な独占をその反面では意図をしているものだ、こう考えられている節もずいぶんあるわけでありますけれども、外務大臣はどんなふうな理解をしておられるのかお聞かせをいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 私は、必ずしもそのような動機から出ておるものとは考えておりません。しかし、カーターのエネルギー政策全体を見ますと、やはりアメリカという非常にいろいろなエネルギー資源を持っておる、そういった前提で物事が考えられているのではないかという感じは持っているわけであります。使用済みの核燃料につきましても、これをいま直ちに再処理をして使わなくても、もっと相当先になってから使うべきだというような思想があるような感じを私は率直に持っておるところでありまして、そのための結果として、ほかの国の再処理をおくらすべきだという発想がそこから出てきているのではないかというふうに考えるわけでございます。しかし、実際、どのような動機から出ているかということは推測以外にないわけでありまして、私といたしましては、やはり核の拡散ということが何より先にあって、その次に、将来長きにわたりますエネルギーの利用計画ということから高速増殖炉によるエネルギー、この問題につきましても、私どもよりも大分先におくらすべきだと考えているのではないかと思います。
○伊藤(公)委員 欧州に対するアメリカのカーター政権の考えている意図もさることながら、ことしの夏、私もワシントンに滞在をしている間に、アメリカの上院や下院の国会議員の方々に、こうした問題について個人的ないろいろな接触をしながらお話を伺っている中にも、特に原子力の再処理の問題には非常にいろいろ関心を持っているということを私も受けとめてきたわけであります。 先ほども大臣お答えになっておられましたけれども、核防条約の中では平和利用、いままでは原子力の平和利用という面においてはいかなる研究であるとか開発ということもその権利を認められていたわけでありますけれども、今度のこの協定で非常に制限をされざるを得ない、特にエネルギーの少ない日本にとっては、商業炉としての見通しというものは非常に制限をされてきてしまったのではないかという気がするわけでありますけれども、今度のこの交渉をするに当たって、わが国はこうした問題について具体的にその経過の中で一体どのような主張をされてきたのか、その経過を東海村の問題も含めてちょっと御説明をいただきたいと思います。
○大川政府委員 東海村の再処理工場の操業に関する交渉でございますけれども、これは大体昨年の暮れぐらいからことしの九月にかけて、かなり長期間にわたって行われたものでございます。 わが国としましては、そもそも非常にエネルギー資源に乏しいし、原子力の平和利用を推進することは日本として不可欠なものであると考えているということで、アメリカにるる説明してまいったわけでありますが、先方としては、そのこともわかるけれども、同時に核の拡散を防がなければいけないのだということを強く主張していたわけでございます。 もちろん、日本はとにかくこの地球上でただ一つのいわゆる被爆国である。だから、核の拡散が危険なんだということを叫ぶ国がいるとしたら日本以外に強く主張する国はないのだというくらいのことを、私どもはしばしばアメリカに説明してまいりました。アメリカがわが国の核武装の可能性を疑っているのかというようなことも担当に聞いたこともございますけれども、いやそうじゃないのだ、日本については、日本に関する限りはそういう心配はしてないのだ、しかし世界的な問題であるので日本だけについて例外を設けるわけにはいかないのだ、こういうような説明ぶりでございましたけれども、いろいろ話し合っていますうちに、だんだん相互の考え方がわかってまいって、先方も、日本側の核拡散防止に対する国際努力には協力する用意があるのだという意図は、よくくみ取ってくれたのではないかと思います。わが国は初めから、原子力の平和利用という問題と、それから核の拡散を防がなければいけないのだという命題と、これは相反するようで両立させることができるのだという確信のもとに、累次の日米交渉に臨んでまいったわけでございまして、その結果、ことしの八月から九月にかけてのいわゆる第三次交渉で、一応あのような形での日米共同声明の文章がまとまったわけでございます。しかし、これは当面のこれから二年間の東海村の再処理工場の運転に関する了解でございまして、もちろんいろいろ問題が今後将来にわたって残るわけでございますが、それについてはいわゆる国際核燃料サイクル評価計画の中で、今度は日米の二国間だけではなくて、ほかの国々も全部交えた場でいろいろな角度から検討して、お互いに勉強していこうということになったわけでございます。その国際的な勉強会の結果を見て、ふたをあけてみて、その段階でまた今後どうするかということを一緒になって相談しようということで日米の了解ができ上がったわけでございますが、その核燃料サイクル評価計画には日本としてもできるだけ積極的に取り組んで、日本の立場を十分に主張すると同時に、世界全体の核拡散を防がなければいけないという要請並びに原子力の平和利用を推進していかなければいけないという、この二つの要請をなるべく調和させる方向で先へ進めていきたい、そういう角度からできるだけ協力してまいりたいと考えております。
○伊藤(公)委員 今回の日米交渉の結果、今後に関しては単体では認めない、混合抽出法による再処理をある意味ではのまされたのではないか、こう一般的に見られているわけでありますけれども、共同声明では二年後に両国政府が合意をする場合か条件となっているので、必ずしも混合抽出ということに最終的な決定をしたわけではないと思いますけれども、この共同声明では一つの方向が示された、こう受けとめていいと思うのでありますけれども、宇野長官は帰国後の記者会見で、二年後に関しては全く白紙である、こういう記者会見をされているわけでありますけれども、この記者会見はそのまま受けとめてよろしゅうございますか。
○大川政府委員 日米の共同声明第三章の第五項に書いてありますとおり、当初の運転期間が終了した時点において、もし運転試験設備、これは東海村の再処理工場の横にくっついている小さな実験施設でございますけれども、そこでこの二年間も、本体の方ではいわゆる単独抽出で進めていくわけですけれども、その付属の施設では、二年間にわたっていわゆる混合抽出法についてのいろいろな実験を、同時に並行的に進めていくことになっておりますが、その実験作業の結果として、それからさらに先ほどの国際核燃料サイクル評価計画の結果に照らして、混合抽出法が技術的に実行可能であり、かつ効果的であるということについて、日米両国政府で合意した暁には、第三年目からいわゆる混合抽出法に移行するんだということでございまして、先ほど先生も言われましたとおり、すでに必ず混合抽出法に移るんだということではございません。条件がついておりますし、両方の政府がその時点で改めて合意することになっております。その意味では、宇野長官が空港で言われたという、その御説明ぶりはそのとおりではないかと思います。
○伊藤(公)委員 もう一点。日ソ間の問題をお聞きしたいのでありますけれども、ことしの五月に行われたザルツブルクでの国際会議の際に、ソ連は、濃縮ウランを日本に供給してもよい、こういう意思表示をしたと言われておりますけれども、そういう事実はあったのでしょうか。
○大川政府委員 ソ連との間には実は数年前から、日本で言えば民間ベース、先方はそうでないかもしれませんけれども、日本で言えば民間べースの話し合いがずっと続いているように承知しております。それは、一般的な情報交換あるいは共同研究、技術者の交換といったようなことを内容とする原子力面での協力協定をつくろうという話のように承知いたしております。いま言われました、たとえば濃縮ウランの問題でありますとか、そのほか伝えられております日本からの原子力機器の対ソ輸出といったような問題は、これはまた全く別の問題と承知しております。いずれにしてもこれは民間の話でございまして、私ども政府としてはまだ関与していない問題でございます。
○伊藤(公)委員 仮定の話で大変恐縮でありますけれども、もしソ連にそのような意思があるとすれば、わが国はそれを受け入れる用意があるのかどうなのか。
○大川政府委員 これは第一義的には、交渉をやっておられる日本の民間側の当事者の御意向の問題ではないかと思います。伝えられているところによりますと、濃縮ウランの提供という話は、日本から原子力機器を輸出した場合の、それの支払い手段として先方が言っているやに聞いております、正確なことは存じませんけれども。しかし、これもどこまでも民間での話の問題でございまして、われわれとしては、まだその問題について具体的に相談を受けているわけではございません。
○伊藤(公)委員 そうしますと、この民間協定による日ソ間の原子力協定の交渉が進められているようでありますけれども、政府間協定にしない何か理由があるのかどうなのか。
○大川政府委員 実は日ソ政府間にはすでに日ソ科学技術協力協定というのが存在しております。これは一九七三年にできたものでございまして、その枠内で原子力分野につきましても、たとえば情報交換の具体化などについて話し合いが進められております。でございますので、民間ベースの原子力協定とは別に、さらに政府間でいわゆる原子力協力協定を結ぶような考えはただいまのところございません。
○伊藤(公)委員 ことしの五月に、私ども新自由クラブは、当面の問題それから将来の問題を含めてエネルギーの総合政策の確立が必要であるという立場から、エネルギー政策についての提言をさせていただきました。ことしの夏は、日本の国会議員の方々もたくさんアメリカやヨーロッパに旅行されて、直接それぞれの国、特にアメリカにおいて、エネルギーの節減ということを具体的にそれぞれの国民の生活の中にまで持ち込んで、エネルギーを今後どうするかということに関して政府も民間も非常に深刻に受けとめているという場面にわれわれもずいぶんぶつかり当ったわけであります。何といっても、サンシャインエネルギーだとかいろいろなことが考えられると思いますけれども、当面は原子力エネルギーというものが石油エネルギーにかわって非常に重要なポストにあることは間違いないと思うのであります。今度のこの協定をいろいろひっくり返してわれわれも検討させていただきますと、将来の問題として非常にいろいろな心配が残るわけでございます。現在のような軽水炉、アメリカのみによる核燃料の供給という、言い方がいいかどうかわかりませんけれども、アメリカに縦属をしている、あるいは従属をしていくという姿勢を改めて、わが国の技術的な独立ということを図る必要があるのではないのか。政府は、安全性ということと国産技術の開発ということについて、一体どのような姿勢で今後進めていくおつもりなのか。基本的な考え方をお尋ねをしたいと思います。
○川崎説明員 大変むずかしい、非常に大きい問題でございますが、私ども科学技術庁原子力局並びに原子力に関係いたします関係省庁、それに原子力委員会といたしましては、先生御指摘のとおり、わが国の将来のエネルギーの安定供給を図るためにはやはり当面原子力発電に依存をしていかなければならない、かように考えておりまして、その原子力開発利用を有効裏に進めるという見地から、御指摘のとおり安全性の確立、あるいは安全体制の確保という面が第一の政策のカテゴリーと存じております。この点に関しましては、先般来、今回の国会においてもお願い申し上げておるとおり、現在の原子力委員会を安全委員会というものに分け、かつ規制行政が今日までやや区々に関係各省間で分かれておりますものを規制の一貫化を図る。すなわち、原子力発電につきましては通産省において規制の一貫化を行い、研究用の施設につきましては科学技術庁、それから、船舶に利用いたしまする原子力機器については運輸省というふうに、安全委員会と原子力委員会という、安全確保と推進というのを並び立たせる委員会の存在と規制の一貫化ということを一つの行政的な柱として、そのもとで安全研究の充実並びに規制基準の見直し等の所要の準備を進めている次第でございます。 それから第二の問題は、原子力発電あるいは原子力平和利用の根源は、いわゆる核燃料をどうするかということにございます。この点につきましては、まずアメリカに依存してきております濃縮につきましては動燃で研究開発を続けておりまして、本年ようやく濃縮工場のパイロットプラントを自力で建設に着手することができるようになりまして、これも将来、一気に全部というわけにはまいりませんが、資源の許す限り自立化の方向へ歩み始めた、かように評価いたしております。さらに、先般来問題になりました再処理につきましても、動燃工場におきます再処理施設が日米交渉の結果稼動することができました。したがいまして今後、この運転の経験と実績を積み上げまして再処理技術をわが国において確立し、将来の再処理需要に備えてまいろう、かように考えております。 さらに長期的には、ウランを中心とする原子力開発利用の体系から、さらに核融合という新しい重水素を中心にしますエネルギー源へのシフトのために、核融合についても、国際協力を含めて鋭意推進をするよう本年度の予算においてもすでにお願いをし、かつまた来年度も要求をしておる。 以上でございます。
○伊藤(公)委員 もう時間が参りましたから終わりますけれども、簡単に、本当に短くお答えいただければよろしゅうございます。フランスとイギリスに再処理の委託をするというお話がありましたけれども、その交渉は一体どうなっているのか。そして、フランスとイギリスで処理をしたものを再び日本に持ってくる、受け入れるということに関してのアメリカとの交渉はどう進んでいるか、お尋ねをして、質問を終わります。
○田中説明員 お答え申し上げます。 イギリスとフランスに日本の原子力発電所で発生いたします使用済みの核燃料を委託する件でございますが、すでに英国とフランスに対する委託につきましては契約しておるものもございます。そのほか、さらに今後発電か伸びますと、日本独力の民間の工場ができます間はどうしても海外に委託しなければならないという認識で、電力会社の方で英国とフランスとにそれぞれ委託する契約をいままで交渉してまいりましたところ、フランスとの間で先般契約が成立いたしまして調印されております。英国との間のものにつきましては、英国の国内でその再処理工場を建設することにつきまして、地元の問題がございますので、いま公聴会が行われている。その関係でまだ契約はできておりません。 そこで、そういった契約が実施されるための使用済み燃料が日本から持ち出されるということにつきましては、これは日米原子力協定に従いまして米国の同意が必要なわけでございますが、これにつきましては実際に使用済み燃料の移転が行われますのはまだはるか先のことでございますので、その時点において日本がアメリカからの同意を得る、こういうことで解決できるかと考えております。(伊藤(公)委員「日本に持ってくるというのはアメリカと交渉しているか」と呼ぶ) 御質問の趣旨は、再処理された後のプルトニウムあるいはウランを日本に持ち帰る、こういうことてございますか。——その点につきましては、これはその時点でまたアメリカとの協定に基づく同意ということになろうかと考えております。いま一応……。 協定上の問題につきましては外務省の方からお答えさせていただきます。
○大川政府委員 英仏で使用済み燃料が再処理されて、今度はその再処理の結果出てきたものをこちらにまた戻してくる場合には、これはそもそもアメリカから日本へ運んできた核燃料がもともとのものでございますから、改めてまた日米協定上の手続に従って日本に搬入するという手続を踏まえることになるかと思います。 改めて御説明申し上げますが、まず日本から英仏へ再処理のために運び出して持っていくときに日米協定に基づくアメリカの同意が必要であります。その手続は日米協定の第十条に従った手続でございますけれども、その再処理された結果出てきたものを、今度改めて日本に持ってくるときにも日米協定上の手続があろうかと思います。先ほど科学技術庁から御説明がございましたように、運び出すこと自体まだ相当先、少なくとも五、六年先のことになりますので、具体的な交渉はアメリカとはまだいたしておりません。
○伊藤(公)委員 どうもありがとうございました。
○竹内委員長 次に、寺前巖君。
○寺前委員 時間がきょうはないようでございますので、二つばかりの点だけをお聞きをして、あとまた次回にやらせていただきたいと思います。 まず第一点は、一九七七年九月十二日、日米核交渉の共同声明なるものが出ました。これといま検討している条約との関係について、二つばかりきょうは聞いてみたいと思うのです。 これの第三項の六番目にこういうことが書いてあります。「国際原子力機関は、該当する現在及び将来の国際協定に従い、本施設において常時査察を含む保障措置を適用する機会を十分に与えられる。日本国は、本施設におけるセーフガーダビリティ及び核物質防護措置を改善する意向を有し、並びにこの目的のために改良された保障措置関連機器の試験のためにIAEAと協力し、及び当初期間中かかる関連機器の使用を容易にする時宜にかなった準備を行う用意がある。合衆国は、合意された手段により、この保障措置の試験に参加する用意がある。」あと云々というふうに書かれております。これは、結局のところアメリカが直接査察に乗り込むことになるという文案だと思うのですが、間違いございませんか。
○大川政府委員 ただいま御引用になりました第六項でございますけれども、これはアメリカがIAEAの査察に参加するのだという趣旨ではございません。これは保障措置の改善、向上のために日本がIAEAと一緒になって努力をする、その保障措置改善のための努力にアメリカも参加する、そういう趣旨でございまして、アメリカにいわばその査察の権利を認めたというような趣旨ではございません。
○寺前委員 そうは読めないんじゃないですか。「合衆国は、合意された手段により、この保障措置の試験に参加する」と書いてある。試験に参加するということは査察をやらしていただきますよということでしょう。これは自由新報の、科学技術庁長官宇野さんが書いた文章を見ても、日本を信用できぬのだということで大激論をやったということが書かれておりますが、あれを見ておっても、私はアメリカはそのことを要求したんだなということを思うんですよ。間違いないでしょう。アメリカが査察に参加するのだ、試験に参加するのだ。文章上、読んだってそれ以外のことにはならぬと思うのですが、間違いないでしょう。これを否定するとなったら、いよいよこの文章おかしなことになりますよ。どうですか。
○栗原説明員 お答えいたします。 ここに書いてございます「試験」と申しますのは、保障措置の技術を向上するための研究開発ということでございまして、査察と申しますのは、日米協定とかまたは保障措置のNPTに基づく協定に基づきます権利義務関係としての実施ということの査察ではないわけでございます。 ここで申し上げます「試験」と申しますのは、あくまで保障措置の技術を向上するための研究開発という意味で参加ということが書いてあるわけでございます。
○寺前委員 これそんなことに読めますか。「合意された手段により、この保障措置の試験」だよ。研究するとかなんとかそんなこと書いてないですよ。こういうのは文章でいかなければいかぬので、勝手な解釈をしたって始まりませんよ。「この保障措置の試験に参加する用意がある。」というのは査察をやるということじゃないですか。どんなに読んだってそれ以外に読めへんがな。えらい抵抗するけれども、どういうことかな。
○大川政府委員 お言葉を返すようで大変申しわけございませんけれども、御引用になった文章の一つ前の文章で「日本国は、本施設におけるセーフガーダビリティ及び核物質防護措置を改善する意向を有し、並びにこの目的のために改良された保障措置関連機器の試験のためにIAEAと協力し、」ということが書いてございます。それを受けて、その保障措置関連機器の試験にアメリカ合衆国も参加する用意があります、こういう趣旨でございます。
○寺前委員 それは、日本政府はこういう用意があると、こう言った。「合衆国は、合意された手段により、この保障措置の試験に参加する」、この保障措置というのは、こういうことを保障措置とは言わぬですね。その一番前はこう書いてありますよ。「国際原子力機関は、該当する現在及び将来の国際協定に従い、本施設において常時査察を含む保障措置を適用する機会を十分に与えられる。」日本国はこの研究に準備を行う用意がある、合衆国は、合意した手段により保障措置の試験に参加する用意があるんだ。私はこの解釈問題についてはちょっと納得ができませんので、これは保留さしてもらいます。もう一度よく討論をしてみたいと思います。 これは、なぜこういうことを言うかというと、日米原子力協定の第十二条では、「旧協定又はこの協定に基づく保障措置の対象となる資材、設備及び施設に同機関の保障措置が引き続き適用されることに合意する。」と規定しておって、米側の直接の査察というのはないことに、日米原子力協定ではなっていると思うのですよ。ところが、今回のこれになってくると一直接にアメリカが査察をするというふうに読めるから、そうすると、日米原子力協定よりも新しい段階をここにまた提起してきたんじゃないかということを思うわけなんです。これが一つなんです。 それからもう一つは、NPT保障措置協定の議定書の第十条を見ると、「個々の施設に対する機関の査察の実際の回数、程度、期間、時期及び態様を決定するに当たっては、この議定書に従い日本国政府により実施される査察活動を考慮する。」こうなっているわけでございます。ここで査察活動というものを限定的に、日本側により実施される査察活動を考慮するのだというのがこのNPT保障措置協定の議定書の中にも書かれているわけです。全体として、このNPTの保障措置協定をめぐってわが国で論講されているのは、直接査察問題というのが今日まで大きな問題点として論議されてきたはずだ。それとこの日米核交渉の共同声明との間には、明らかに食い違いがあるのじゃないだろうか。アメリカが信用ならないから直接査察をさしてもらいますよと、ここのところが客観的にも一番大きな焦点になっているし、だから科学技術庁長官も苦労したということをインタビューでやっておられるというふうに私は理解するのです。一番ポイントになるところなんで、絶対にそういうことにならないというふうに言われるのかどうか、明らかにしてほしいと思うのです。
○大川政府委員 日米原子力協定に基づく現在の査察も、実は日米及び国際原子力機関の三者の取り決めによりまして、国際原子力機関が日本に来て行っているわけでございます。それが今度、NPTの保障措置協定に移行した場合には、日、米、国際原子力機関の三者協定の査察が消えまして、そのかわりにNPT保障措置協定に基づく同じ国際原子力機関の査察という体制に移るわけでございます。この日米共同声明にあります問題の個所も、どこまでもこの日米原子力協定に基づく国際原子力機関の査察を踏まえた文章でございまして、たびたびお言葉をお返しするようで申しわけございませんけれども、アメリカの直接査察を認めたような趣旨ではございませんので、さよう御了解いただきたいと思います。
○寺前委員 これはまた次の機会にしたいと思います。保留します。 この際には私は、最近のカーター米大統領の国連演説について、大臣に聞きたいと思うのです。 十月四日の国連総会で、核についてカーター大統領が発言をしておられます。米本土、米領土、米国軍隊またはアメリカの同盟諸国に対して、核または通常兵器による実際の攻撃があった場合を除いて、アメリカは核兵器を使用しないことを宣言する、こう言っています。ということは、実際のこういう通常兵器による攻撃があった場合には核を使うぞということを言っていることになる。私はこれは大変な問題だと思う。一九七六年の八月に、NATOで、ソ連が、最初に核使用をしないという条約を結ぼうじゃないかということを提起したときにも、アメリカを含むNATOは直ちにこれを拒否するという事態がありましたけれども、ともかく通常兵器による実際の攻撃があった場合に核兵器を対応措置として使うんだという態度表明をしてしまっている。ブラウン米国防長官も十月四日の記者会見で、通常兵器による攻撃を受けた場合、アメリカが最初に核兵器を使って反撃することがあり得るということを言っているわけです。核兵器の使用というのをこのように軽々しくアメリカの大統領なりあるいは国防長官が発言をしているということは、事はきわめて重大な問題だと思います。外務大臣はこの発言についていかなる見解をお持ちになるのか、お聞きをしたいと思います。
○鳩山国務大臣 核兵器の使用につきまして、最初の核攻撃をしないというような主張もあるわけでありますけれども、先般のカーター大統領の国連演説は、御承知のように自衛のため——侵略のためには一切使わない、こういう趣旨であると思う次第でございまして、その限りにおきましては、どんな目的にも使うということよりは、これは一歩前進ともとれる発言ではなかろうか。したがって、もっぱら自衛と申しましても、アメリカの本土あるいは米国軍隊、これ以外にもアメリカの同盟国に対するものも含んでおるということから、他国の侵略を核によって抑止しておるということではなかろうか、このように考えるところでありまして、特に通常兵器の大規模な侵略があった場合にこれを抑止するということも考えなければならない、こういったことからこのような演説になったものであろうというふうに考えまして、現状におきます現実的な立場に立って侵略を防ごうというためにやむを得ざる発言ではなかろうか。私どもは、核が使われないこと、またもちろん核が将来は廃絶されることを希望いたしておるわけでありますし、核兵器の使用というようなことにつきまして議論されることも余り好ましいものとは思いません。しかし、アメリカの政府の立場としてとにかく自衛に限るということの点にむしろ意味を見出すべきではなかろうか、このように考えております。
○寺前委員 自衛の名のもとに戦争が行われてきたというのは、過去の歴史の中に明らかです。そういう歴史上の時点に立って考えるときに、核兵器をいかなる理由であろうとも最初に使わないんだということを中国やその他の側から提起されている、そのときに受けて立ってくれてしかるべきではないかということを、被爆国の外務大臣として考えませんか。日本の国の核武装化の問題をめぐってアメリカが信用しないという、今度の核燃料の再処理問題をめぐっての交渉の過程で、意見がかなり向こう側から出てきているという事態の中において、非核三原則を国内的には、法律化するということで法律で縛るということを明確にすること、国際的にはそういう核兵器を使用しないという協定を締結させるということが、これが本当にただ一つの被爆国としての日本の使命ではないかというふうに思います。それで、来年の五月に国連総会があります。この国連総会に、日本政府は核兵器をこの地上から廃絶することを強く希求するということを文章の中で述べながらも、実際行動の面においては、いま言ったような、理解することができるというようなことでは、この使命を果たすことにならないのではないだろうか。 先般、八十六カ国の代表がコロンボで開かれた非同盟首脳会議で軍縮に関する決議をやった。核兵器の使用、製造、貯蔵を緊急に禁止する課題をそこでは第一に掲げております。この問題をもって国連の軍縮総会に臨んでくるでしょう。そのときに、日本政府はこの問題に対してどういうふうに対応するつもりなのか、私はお答えをいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 私どもといたしまして、核の軍縮または究極におきまして核兵器の廃絶、こういったことを希求するわけであります。現実の政策として、これは徐々に行われなければならない。まず、あらゆる包括的な意味の核実験の禁止、これはもう当然取り決められてしかるべきことであろうと思います。そして、核兵器を減らしていく。したがって、SALT交渉の進展というものを期待をいたすわけであります。 しかし、核兵器があって全く使わないということは核兵器を廃絶するということとこれはほぼ同じような意味ではなかろうか。使わないものを何ゆえに保有しているんだ、こういうことになるわけでありますから、核の完全な不使用ということは、これはなかなか現実問題としては時間がかかるのではないか。 その次に、じゃあ先制して使わない、こういう話があるわけであります。どこも一番先に使わなければ、これも使わないということになるんだろうと思いますけれども、しかし、現実において、通常兵器によります大規模な侵略というようなことが企てられるおそれがあるとすれば、それに対する安全保障ということも必要でありましょうから、その点を考えて、現状では自衛のためということ以外には核を使わないということの方にむしろストレスを置くべきであって、それ以外の通常兵器であっても使うんだぞという点の方に重きを置いて解釈すべきではないのではないか、そういうように考えて——やはりアメリカとしては、世界の多くの国々の安全保障を引き受けているわけであります。日本もその一つの国であります。仮に日本が日本の自衛力ではとてもできないような大規模な侵略を受けたときに、果たして日本の立場として、日本はアメリカの核のかさに入っていてやはり安心しているわけでございますから、核の使用というものはそういう意味で戦争の抑止力である、これが使われることなどというものは毛頭私どもは希望も期待もしておらないし、使われてはならないと思うわけでありますけれども、現実において核の抑止力、戦争を抑止する核の力という点で、このような発言になっておるのではないか、このように思うわけでありまして、通常兵器の攻撃に対して核は使うぞ、こういうことを、その点を主として理解をされることは、いささか本旨に反するのではないか。自衛のため以外に使わないという点を理解をすべきではなかろうか、このように考えておるところでございます。
○寺前委員 お約束の時間が来ましたから言いませんが、国連総会で来年の五月に、現実的には核兵器使用を禁止するところの問題提起が行われることは、もう日程の問題です。そのときにいまのような日本政府の態度では、私は日本の国民にとっても、あるいは世界の人々にとっても、とんでもない態度だという批判を受けざるを得ないだろうと思う。積極的に日本の国内においては非核三原則を法制化し、国際的にもそういう協定を積極的に提起する側に参加してこそ、被爆国としての政府の姿だろうと私は思うのです。 引き続きまた次回に論議さしてもらいますので、きょうはこれで終わります。 ————◇—————
○竹内委員長 この際、国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。各党十分以内で質疑を終了されるよう御協力をお願いいたします。土井たか子君。
○土井委員 私は、今回の日航機ハイジャック事件につきまして、二、三旅券をめぐる問題で質問をいたしたいと存じます。 ところで、きょう急なことではありましたけれども、この日航機ハイジャック事件で現地に向かわれた団長である石井運輸政務次官の御出席を要望いたしましたところ、いま大変な緊急時でございまして時の人である次官ではございますが、選挙区に行かれてお留守であるということで、大変残念ながら御出席をいただけません。したがいまして、あと運輸省から御出席の技術部長さんもここにおいででありますから、それぞれ御出席の皆様にひとつお尋ねしたいと思うのです。 今回新聞で初めて明らかにされて実はびっくりしているわけですが、当時のハイジャックに遭われた一般乗客の方のうち、旅券をとられて、そして帰国されて羽田の入管でそれが具体的にされているということが明らかになっているのですが、羽田の入管を通られるときに、入管当局はどのような措置をその方々に対して講じられたのか、まず御答弁いただきたいと思います。
○山野説明員 通常日本人が帰国する場合には、有効なる旅券またはこれにかわる証明書を所持することがたてまえになっておりますが、有効な旅券またはこれにかわる証明書を持っていない場合には、帰国証明書というものを発給いたしまして、帰国を認めております。
○土井委員 それは、今回の九人の方いずれに対しても帰国証明書というもので間に合わせたというかっこうになっているのですか。もう少し丁寧に具体的にお答えいただかないと困りますよ。
○山野説明員 問題の日本人は九名でございます。そのうちの一人は帰国のための渡航書というものを携行して入ってまいりました。それから、残りの八名が無旅券でございますので、この八名に対しまして帰国証明書を発給いたしました。
○土井委員 そうすると、九人の中のお一人だけに帰国証明書があって、ほかの八人には、羽田に入管の手続を得るその段階では何にも持たないで帰国されているかっこうだということですね。つまり、一人に対する取り扱いと、あとの八人に対する取り扱いは、入管の段階で違うのではないですか。いかがです。
○山野説明員 帰国のための渡航書は有効な旅券とみなすことになってございます。 そこで、帰国証明書は、族券もしくは帰国のための渡航書を持たない場合に発給するものでございます。これを発給する場合には、そういった、旅券または証明書を持っておらない場合でございますので、その理由について聞くことになっております。それから、当該人間が日本人であるかどうかを確認して、その上で証明書を発給することになっております。
○土井委員 いま私がお尋ねしたことに対して正確にお答えいただきたいと思うのです。一人だけは渡航書、つまり帰国証明書を持って帰っておられる、ほかの八人にはそれがなかった。だから入管においては、九人のうちの一人に対する取り扱いと八人に対する取り扱いは違いますねということをお尋ねしているのです。もう一度正確にお答えください。もう時間がむだです。
○山野説明員 おっしゃるとおり、帰国のための渡航書を持って入ってくる場合と帰国証明書を手交する場合と、手続は異なっております。
○土井委員 その帰国のための渡航書を持って帰られた方はどこから帰られた方であって、ほかの、渡航書を持たずに帰られた方はどこから帰られた方であって、なぜ持たずに帰られたのか、なぜ持って帰ることができたのか、その間の事情は入管当局でお確かめになっていらっしゃいますね。いかがです。
○山野説明員 通常の手続といたしまして、先ほど申し上げましたように、そういった証明書を発給された事情、それから紛失の事情を聴取することになっております。今回もその点については一応聞いております。
○土井委員 どうもはっきりしない答弁なんです。その節、その帰国証明書、渡航書を持っておられない八人の方に対して事情聴取されたら、なぜパスポートがないかという理由ははっきりしているのですか。いかがです。
○山野説明員 そのときの事情聴取によりますと、パスポートを返してもらわなかった、そういう説明であったと報告を受けております。
○土井委員 警察の方、御出席だと思いますが、いま返してもらわなかったというふうなことだけの御答弁でありますが、どういう状況で、どこで、だれに奪われて、返してもらえなかったのかというふうなことも、警察では事情聴取されていると私は思いますが、いかがです。
○福井説明員 警察では、七日から九日の間に、乗客、乗務員、百十九人の方から事情を聴取しております。警察としましては、犯人の特定なり犯行状況を特定するための資料を得ることが目的でございます。ただ、この場合は、乗客、乗務員の方が大変疲労しておられるということを考慮いたしまして、ごく簡単な事情聴取をしておるわけでございますが、その際に、ハイジャックされた直後に犯人らは旅券と筆記用具を乗客等から取り上げた、ほとんどの方がその後旅券は返していただきましたという供述があるわけでございますが、外国人を含む六人の方が旅券を返していただかなかった、こういう供述を得ております。ただ、私の方は何さま乗客、乗務員の方の疲労状況を考えてのごく簡単な供述を聴取した段階でございますので、以上のことを承知しておるだけでございます。
○土井委員 いずれにしろ、旅券がなくて日本に帰国されたのは、入管の段階で、その時点ではっきりわかっていたことであると言わざるを得ません。これはその時点ではっきりしていたことだと思います。それがいままでわからなくて、新聞発表がなされるまでこのことは全然だれも知らなかった。法務省はその時点で御存じだと思います。外務省もその時点で御存じだと思うのです。法務省や外務省がそのことに対していままで全然言われなかった理由はどの辺にあるのですか。
○賀陽説明員 ただいまの御質問の点でございますが、帰国時におきましてどういう状態でこの方々が帰ってこられるかということにつきましては、緊急の事態でございまして、恐らくアルジェリア等における取り扱いとダッカにおける取り扱いというのが変わっておることはある程度想像しておったわけでございますけれども、その状態……(土井委員「そんなことを聞いているのじゃないのです」と呼ぶ)御質問は、事件発生についての中身をいつ発表するかというその時点の問題でございますか。
○土井委員 そんなことじゃないですよ。一般乗客の方の旅券がなくなったということは重大な問題じゃないですか。しかも、それは警察の事情聴取からしてどういう状況でなくなったかということはよくわかっておると思うのです。このことに対して御存じなのは法務省であり外務省である。それは入管を通過されるそのときにはもうわかっておるのです。帰国されたその瞬間にわかっておるんですよ。それがいままで公にされなかったのは一体どういう理由かということを聞いておるのです。
○賀陽説明員 ただいまの御質問に対しましては、そういう事態についての事実関係を逐一発表するという形には通常なっておらないのじゃないかと思いますが……。
○土井委員 大事な問題という認識をお持ちになっていらっしゃらなかったのですか、こういう問題について。
○賀陽説明員 これは非常に重要な問題でございますけれども、同時に、旅券の問題は個人のプライバシーその他の関係がございまして、きわめて国民世論の敏感性の強い問題でございまして、この問題につきましては一実は外務省も従来普通の場合にもいろいろの配慮をしなければならなかった経験を持っておるわけでございます。したがいまして、この種事件を、単にハイジャック等の関係におきまして、特殊な事案であるからこれを逐一詳細に発表しなければならぬということについては、従来の慣習上は一応そういうことにはなっていないかと考えております。
○土井委員 それは時間の関係がございますから、先を急いでさらに聞きたいことがあります。 六冊の旅券冊子というのは一体だれの指示でつくって持っていかれることになったのか。これは官房長官の指示でございますか。石井団長の指示でございますか。総理大臣の指示でございますか。それとも賀陽さんの指示でございますか。だれの指示なんですか。
○賀陽説明員 旅券冊子につきましては、これは先生御案内のように世界各地のわが方の公館が所持しております。それから東京の外務省ももちろん持っております。それから都道府県の発給事務所も全部持っておるわけでございます。したがいまして、今回持参いたしました旅券冊子は、私、領事移住部長の判断で、何かの用に立つことがあるだろう、本来は、持っていくことは——ダッカということは想定いたしておりませんけれども、必要があれば最寄りの公館で旅券冊子というのは入手できるわけでございます。したがって、持っていくことについての絶対必要性があったかどうか。しかし、ああいう火急の予測せざる事態の連続の場合でございますので、私どもとしては何かの用に立つということで旅券冊子を携行した。これは特定の目的に供するために携行したものではございませんで、通常の心がけであるかと思っております。
○土井委員 いまの御答弁でわかりましたが、外務省の領事移住部長の判断で持っていかれたというかっこうになっておるようでありますが、外務大臣はこのことを御存じだったのですね。
○鳩山国務大臣 このことにつきまして、当時私はニューヨークにおりましたものでございますので、本当のところ後で報告を聞いた次第でございます。しかし、私昨日予算委員会で申し上げたのでございますが、前回クアラルンプール事件のときに、出国の際に旅券を発給した、しかし今回はその発給をするかどうか、これが未定のまま出国をしたというような経過があって、そのときに旅券を発行しなかった、こういうように新聞に発表されております。その新聞に発表された事態と、旅券の冊子を持って行ったということが、なかなか一般の国民にはわからない。なぜそのような措置をとったのかがわからないであろうと思いますし、私どももこの点につきましては、事件が、旅券が先方に渡った段階におきまして、やはりすぐ経過をよく国民に明らかにした方がよかったと、いまになりましては考えているところでありますが、石井団長の判断によりまして、この旅券、持参されたところの旅券冊子が先方に渡ったというものでありますので、石井団長の帰られてからのお立場その他いろいろ御説明を伺った上で発表すべきものであろうということで、発表の時期がおくれたことは大変残念であったと思うのでございます。
○土井委員 最後に聞きたいです。 これは、四日の自民党の総務会で、長谷川峻議員からの質問に答えて賀陽さんは、今回はパスポートのたぐいというものは一切持っていっておりませんというふうな説明を、非常にきっぱりなさっていたはずであります。ところが、事はこういうことなんですよ。ためにそういう説明をなさったのかですね。また、今回までそう。いうことを言わなかったというふうな理由は一体どの辺にあるのか、それをはっきりお聞かせいただきたいと思うのですよ。
○賀陽説明員 先生御指摘の自民党総務会は、解決の日の四日の、たしかあれは十一時からか正午からか始まったものでございます。長谷川先生から御質問がありまして、私がお答えいたしました趣旨は、現在までのところ非常に現地の状態がまだはっきりしていないので、私はどういう言葉を使いましたか、恐らく現在までのところ私の知り得ている範囲におきましては、正規の旅券は発給されておりませんということを申し上げたわけでございます。したがって、旅券冊子の話は、この際はもちろん申し上げるという立場にもないわけでございますし、そういう時点でもございませんし、正規の旅券を発給してないという事実をお答えしたのでございます。
○土井委員 最後に、これだけは確認しておきますが、この旅券冊子というのは、旅券並びにそれに類するものではない。しかし、赤軍派の方から要求されたのは、旅券並びにそれに類するものである、したがって渡したものは向こうからの要求に従って渡したものではない、向こうの要求をしているものではないものを渡した、こういうことなんですね。
○賀陽説明員 この点でございますが、奥平が石井団長に対して実際に何を要求したか、私どもが石井団長から拝承しておりますのは、旅券または旅券に類するものということでございます。しかし、御判断でマームド参謀長に渡された旅券冊子であったわけでございますが、この旅券冊子が先方の要求したところであったかどうかということは、これはそのときの非常に厳格な会話で何を向こうが要求したかということを、私は承知いたしませんので、先方の要求にこたえてそのものか向こうに手交されたのか、それともそうでないものが手渡されたかということにつきましては、私としては自信を持ってお答えをする立場にないと思っております。
○土井委員 終わります。
○竹内委員長 次に、中川嘉美君。
○中川(嘉)委員 私は、現在わが国にとって大変重大な問題となっておりますこのハイジャック事件、時間も制限がございますので、大臣に二、三質問をしたいと思います。 このハイジャック事件について、このたび奥平ら犯人六人に対して日本政府の旅券を渡していた事実が判明したわけですけれども、ここで伺いたいのは渡した冊子ですね、これといわゆる旅券とどう違うのか、まず、お答えいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 旅券の冊子と申し上げていることは、正規の旅券の要件を全部満たしてない、書き込んでないという点にあるわけでありますが、その細かい点は領事移住部長からお聞き取りいただきますが、大きな相違点は、本人の写真の貼付とそれに対する割り印がない、この点が決定的に違うところであると考えております。
○賀陽説明員 大臣の申されたとおりでございます。最終的な旅券になりますものは、写真を張りましてその上にパックトシートを張りまして、その上下のすみに官印をまたがって押すという操作をもって旅券が有効になされるということでございます。
○中川(嘉)委員 しかし一説によると、本人の名前までタイプされているということを聞いておる。犯人が偽造旅券に使用することは十分可能ではないか、こういうふうに私は大変な問題を意識しているわけですが、そういうものを犯人側の要求があったかどうか、先ほどの御答弁でもう一つ明確ではないわけですけれども、こういうものを渡すということ、外務省が用意をするということはどうしても私は納得できない。今回の外務省のとった措置ですね、これは旅券法違反ではないかどうか。この旅券冊子を勝手に出していいという規定が一体どこにあるのか、法務省の見解をひとつここで伺いたいと思います。
○山野説明員 旅券に関する事項は旅券法の問題でございまして、法務省の所管外でございます。
○賀陽説明員 本件につきましては、旅券冊子が石井団長の御判断によりまして緊急の事態において、先ほど御指摘のございました人質、乗客の降機、それに伴う、状況によりましては政府の人質等の乗機、そういう要素との関連におきまして旅券冊子を交付されたという緊急の事態の御判断であったと思っておりまして、これは旅券法との問題とは考えておりませんし、旅券法の問題とはなり得ないものと思っております。
○中川(嘉)委員 緊急の事態ということが決してわからないわけではありません。これは後でまた聞きますが、クアラルンプール事件の際は出国の際にパスポートを渡した。現地でこれは回収していますね。この事実関係というものはどうなっておるのか、なぜそのときに回収をしたのか。恐らく私は犯人がこれを使用して新たな事件を起こさないための措置ではなかったかと思いますが、今回は、当初パスポートを渡さなかった。それでは何のためにそうした冊子を用意をしたのか。当初犯人からの要求もなかったのに最終的にはこの六冊というものか犯人の手に渡った。いわば、今後どうか使ってくださいと言わぬばかりの行動ではないか、私はそれにも等しいのじゃないかと思いますが、新しい事件が、それじゃ起きないとは決して言えないと私は思いますが、この点はどうでしょう。
○賀陽説明員 ただいまの点でございますが、旅券冊子に名前を記入したということでありますが、これは、旅券冊子と申しますのは御承知のように姓名欄が空欄でございまして、これはだれでも自分の名前をタイプし得るわけでございます。この点につきましては、今回の犯人が自分の名前の入ったこの種旅券をそのまま使うということは通常考えられないことでございます。これがまず第一点でございます。 それから第二点といたしまして、旅券は御承知のように番号のところが非常に偽造しにくくなっております。これは、それに手を加えることはほとんど不可能であるということになっております。私どもといたしましては、いろいろ専門家の意見も徴しておりますけれども、いわゆる今回の旅券冊子がそういう意味で犯人によって悪用される公算は非常に少ない。赤軍は独自の偽造旅券を持って行動しておるということは明らかなことでございますので、今回の旅券冊子がその点で悪用される危険は非常に少ない、公算は非常に少ない、こういうふうに考えております。
○中川(嘉)委員 偽造できるかできないかという問題ですが、これは技術的な問題で絶対にできない、だからその可能性はないとはここでは言えないのではないか。それでは、たとえば偽造したとして、余りうまくなかった、しかしながら空港において果たしてその番号のところをどれだけ精密に一人一人を個人別にチェックしているかということになると、これは大いに問題がある。それでこの問題も偽造そのものの技術的な問題になってきますので、ここでは余り言うわけにはいかない、時間もない、こういうことですが、私はもっと聞きたいことがここである。先ほど来土井委員からもいろいろと御質問があったようですが、この冊子は一体だれの責任、だれの許可に基づいてつくられたか。領事移住部長は先ほど、何かの役に立つと思って携行させたという表現をされましたけれども、正式の旅券でなければこれが偽造旅券として使われることは十分に予想される。こういうことを知りながらこういうものがつくられていいものかどうかですね。少なくとも旅券偽造幇助ということになるのじゃないかと私は思う。まず、だれの責任とだれの許可ということをもう一回明らかにしてもらいたいし、そのこととあわせて、いまこの旅券偽造幇助との関連をひとつ御答弁いただきたい。
○賀陽説明員 第一点の御質問でございますけれども、これは土井先生にお答え申し上げましたので繰り返しませんが、私の判断でございまして、旅券冊子を通常携行する。これは在外公館その他にございますけれども、そういうものが何らかの状況で使用できない場合もあるわけでございますし、何らかの目的で役に立つことがあるかと思ってこれを携行せしめたわけでございまして、これについては私は外務省の省員として通常の心がけであったというふうに考えております。このこと自体は私の判断でいたしたことでございます。 第二点でございますが……
○中川(嘉)委員 いま答弁の途中のようですが、そうしますと、外務大臣の許可、対策本部長のいわゆる指示、そういったものはなくしてこういう冊子か出されたということ、これは外務省の独断で行われたと本件については考えざるを得ない。
○賀陽説明員 携行自体は外務省の独断とかそういう問題ではございませんで、これはわれわれの行政官としての一つの判断で、やはり何かの役に立つということで持参いたしましたものでございます。これは外務省の独断とかなんとかという問題ではなく、われわれの権限の普通の心がけのことだと思っております。
○中川(嘉)委員 そうしますと、第二の答弁がまだ残っていますか、万一偽造が行われた、技術的にうまかったか下手であったかは別として、それが通ってしまったという場合、そういうことが実際に発生した場合に、少なくとも旅券偽造幇助ということになるのじゃないですか。
○賀陽説明員 この点につきましては、私どもの解釈でございますが、この旅券冊子はもともと有効でございません。もっとも、念のため、さらに六日に全在外公館に対して訓令を発出しまして、各政府の関係に対しましては、当該番号はもともと有効でも何でもないものであるけれども、この種の番号のものはひとつ注意してほしいということを通知したわけでございます。そういう意味におきまして、この旅券冊子はもともと法的効果は全くございませんが、念を入れて各国関係に、それが見つけられる場合には特に注意してくれということを申しておるわけでございます。 それから旅券の変造云々の問題でございますけれども、私どもといたしましては、この旅券冊子の赤軍による変造その他の可能性というものは、先ほど来るる申し上げておりますように非常に少ないものと考えております。
○中川(嘉)委員 では、もう時間がありませんので、二点だけ簡単に聞きます。 外務大臣に伺いますか、先ほど来、超法規的といいますか緊急な事態といいますか、こういうことでそういう措置がとられたということですが、外務省の独断でそんな措置がとれるのかどうか。聞くところによりますと、法務大臣が遺憾の意を表しているということでありますが、この法務大臣の遺憾であるということに対する外務大臣の御意見はどうでしょうか。
○鳩山国務大臣 いま賀陽領事移住部長からお答えしたように、通常の心得であるという意味でありますが、この旅券はダッカの大使館にも、リビアのわが方の大使館にもあるわけであります。そこで、先方が最後の人質との引きかえにおいて現地で旅券の発給方を強要した場合に、恐らくそれは現地限りでも出さざるを得ない場合も起きるかもしれません。そういったときには完全な旅券を出さざるを得ないかもしれないわけであります。そういう意味で旅券というものは、その冊子自体はどこにも置いてあるものですから、犯人が要求しようと思えば、それは人命と引きかえでありますから、出さざるを得なかったかもしれない。そういう意味から申しますと、今回、東京で、しかも全く白地でない、犯人の名前も打ち込んで番号もはっきりつかめるものをひそかに用意しておったということ自体、私は結果的に見まして、これは国民感情には非常にわかりにくい点だろうと思います。しかし、人命との引きかえということになりますと、それはどうしても、本当にいやなことでありますけれども、のまざるを得ない事態もあるだろう、そういうようなことでこれはひそかに携行しておったと思います。そのために発表がおくれたこともあろうかと思うのでございますが、そういった意味で国民に御理解願うことは大変むずかしいことかと思いますけれども、赤軍の犯人たちがみずから名前を名のってその旅券を行使するということは、彼らからすればかえって大変危険なことではなかろうか。 そして、奥平か強く要求したかといいますと、その点は、一体旅券はどうなっているのだ、出国をさせるというときに、日本は旅券も持たせないで出国をさせるのか、こういったような言い方ではなかったかと、私も石井団長からいろいろお話を伺っておりますけれども、そのときに石井団長が一時間以上にわたって奥平を説得したという経過がありまして、その経過の過程におきまして旅券の問題か一これは奥平かその前から非常に言っていたそうであります。旅券はどうするのだということを言っていたというので、石井団長は、人質を全部救出してもらいたい、そして人命の安全の保障を彼に求めた。そういう石井団長と奥平との、本当に二人だけの長い間の話し合い、説得過程におきまして、旅券も持たしてやろう、まあ旅券と申しますよりは旅券冊子を持たしてやろうという判断を石井団長がされたわけであります。この点につきまして、私どもといたしましては、緊急の場合であり、しかもそれが悪用される可能性はきわめて少ないということも考えまして、今回の措置はまことにやむを得なかったものであるというふうに考えておるところでございます。
○中川(嘉)委員 もう時間がありませんから最後に一つだけ。 その辺のいまの御答弁、人命尊重とかいう点については、私たちは何らここで云々するものではありません。問題はどういうことかというと、その事実をなぜこれまで明らかにしなかったか。園田対策本部長も、十二日夜になって初めて耳にしたのだ。これはもうとても考えられない今回の出来事である。犯人に手交したときに発表すればよかったというような御見解もあるようですけれども、なぜこの事実を対策本部長はもとより、国民の前に明らかにしなかったのか。これを最後にお答えいただきたい。こんな重大なことを、うっかり発表がおくれたのでというような答弁で片づけられてしまってはならないのじゃないか。緊急であればあるほど、超法規的であればあるほど、この関係の対策本部長である園田本部長が最も早い機会に知っていなければならないことじゃないか。この辺に対してはどうですか。最後に伺って、終わりたいと思います。
○鳩山国務大臣 この点は私ども国民の皆様方に大変申しわけないと思っております。しかし、石井団長の御判断で、マームド空軍参謀長を通じて犯人に渡った、こういう経緯がございまして、石井団長のお立場等もありまして、私ども、石井団長がお帰りになって、石井団長からよくお話を伺った上でということから発表の機を失ったというふうに考えているところでございまして、その点につきましては、むしろ国民の皆様方に大変無用の疑惑を与えました点につきましては残念であったと思っております。
○中川(嘉)委員 どうも残念ながら完全なお答えになっていないように、私は思います。最後の質問、時間が参りましたので、これはさらに詰めるとして、一たんこれで終わりたいと思います。
○竹内委員長 次に、東中光雄君。
○東中委員 外務省にお伺いしますが、クアラルンプールのときは旅券は一応発給をした。後、回収をしたにしても発給をした。同じような超法規的な措置がとられた今回は、発給しないという方針を堅持されているわけですね。方針が変わった理由は何ですか。
○賀陽説明員 東中先生のただいまの御質問でございますが、お答えいたします。 発給しない方針というのは変わっておりません。正規の旅券を発給しないということで終始しておるわけでございます。
○東中委員 クアラルンプールのときは出国の際は発給をして、後、回収をした。今度は出国のときから発給をしない。そして今日に至るまで発給をしていない。その方針をとられている理由は何かと聞いているのです。
○賀陽説明員 二年前の九月のクアラルンプール事件におきましては、超法規的措置をとられた第一回の例であると思います。恐らくそのときはいろいろな議論があったと存じますか、やはり出国に際しては何らかの文書が必要であるという考え方もあったものと存ぜられます。しかし、クアラルンプールに犯人かいる間に旅券そのものを還納せしめておるわけでございまして、いわばその一連の措置をいま回顧いたしますと、やはり旅券は一たん正規に出したけれども、それを還納せしめた。これは当時のいろいろな事情があったことと思います。それを踏まえまして今回は旅券は発給しないという一貫方針によったわけでございます。
○東中委員 答弁になっていないじゃないですか。なぜ発給しないようにしたのかと聞いているのであって、あなたのいま言われたことは私が言うたとおりのことじゃないですか。事実経過は私が言っているのであって、なぜ発給しないのかということを聞いているわけですよ。発給をしろと言っているのじゃないですよ。発給しないという方針を貫いてこられたから、それには根拠があるのだろう、その根拠を聞いているのです。
○賀陽説明員 これは私どもの判断では、超法規的な措置を今回とりましたことの帰結において発給をしていないということと思います。
○東中委員 まるっきり答弁になっていないのですが、超法規的措置をとられたのは前のときもそうだし、今度のときもそうだ。前は回収した。今度はもう初めから発給しないというのは、この発給をしたら釈放犯人に協力をすることになって国際的な泳がしになるからぐあいが悪いということで、これは発給すべきではないという態度をとられたのじゃないんですか。
○鳩山国務大臣 私は当時いなかったものでありますか、私といたしまして、クアラルンプールのときには、出国のときには発給いたしましたがクアラルンプールでこれを回収してしまったということか事実である。そういうことであれば、旅券を発給すること自体がおかしいのではないか、こういう判断であったと思います。本当に発給をするということになれば、なぜクアラルンプールでそれを取り上げたのか、こういうことになるわけでありますが、これはその後いままで私の理解しているところは、クアラルンプールで召し上げたという事実があったので今回は発給しないことにしたというふうに単純に理解をいたしております。
○東中委員 超法規的な措置というのは、あくまでももう実定法を無視し、法理を無視し、国の刑罰権とか統治権をいわば放棄してやる処置なんでしょう。いいかげんなことでやられたらたまったもんじゃないわけです。だから、そういう釈放犯人に対して、その身柄を保障するような旅券をどうして国が出せるのか。出すとすればこれは大変なことなんですから、出さないのはあたりまえなんです。それを今度は、向こうがまだ要求していないのに、あるいは要るかもしれないといってその冊子を持っていく、この態度は私たち国民の立場から見てどうしても理解できない。 そこで、冊子というのは、旅券を正式に発給した場合でも、用済みになったら回収をするんでしょう。われわれの旅券だって回収をしているじゃないですか。数次利用の場合は別ですけれども、用済みになったら回収をするでしょう。渡すときには記念につくって特別の、一見明白に判こといいますか穴を抜いて、そして記念に渡すということはあっても、旅券というものはそういう性質のものなんだ。だから、旅券冊子だから渡してもいいということにはならないわけです。 そこで、私、旅券発給の、そして旅券冊子を管理しておられる外務省にお聞きするのですけれども、もしこの事件から離れて一般的なケースとして、外務省の職員が、あるいは他省の職員が、冊子だからといって、発給じゃないといって、あるいは個人的に脅迫され、あるいは個人的に誘惑され、どこかへ流したとしませんか。そしてそれを今度は偽造した、あるいは行使したというようなことになった場合には、その流した人はどういう責任をとらなければいかぬでしょうか。明白に公用文書の毀棄罪になるし、犯罪行為になりますね。旅券の偽造幇助ではなくて共犯になると思うのです。そうじゃないでしょうか。
○吉村説明員 犯罪の成否に関する事柄でございますので私からお答えさせていただきたいと思いますが、一般的に偽造罪の共犯関係に立つか、幇助罪になるかということは、具体的な事実関係が判明しなければわからないわけですが、ごく一般論として申し上げますならば、まず偽造行為というものがなければ幇助罪も成立しないわけですね。偽造されることの認識がどの程度あったかという問題と、それと、実際渡すに至った具体的事情、違法性の問題ですが、そのあたりが解明されないと、断定的には申し上げられないのではないか、このように考えております。
○東中委員 へ理屈を言ってもらっては困るのであって、私が言っているのは、外務省の冊子を正式の発給行為じゃなくて横流しをするということになれば、それはそれ自体がたとえば公用文書毀棄罪になるか、とにかく犯罪になることは間違いない。もしそれが偽造行使されたら、それを知っておって渡した人は共犯になるという性質のものではないか。冊子だからどうでもいいんだというような性質のものじゃないんじゃないか。だって、一貫番号が打ってあるのでしょう。そのことを言っているのです。その点はどうですか。
○吉村説明員 いまおっしゃったようなことを前提とするならば、偽造の幇助には該当するであろうと思います。違法性阻却の問題はまた別だと思います。
○東中委員 冊子というのは、冊子だから、単なるブックだからというわけにはいかない性質のものだ。しかも、この冊子については、冊子自体が非常に重要な意味を持っているのだということは、四十八年のハイジャック防止対策を政府が決めたときに、第三の一の「新旅券の発給」「偽造旅券の使用を防止するため、明年一月一日から新しい印刷技術による新旅券の発給を実施することとする。」そして実際これは実行されているわけです。その後も切りかえられている。「新しい印刷技術による」そこまで冊子自体について非常に重要な意味を持たせているわけですよ。しかも、一貫番号を打ってあるということは、同じものは一つしかないわけですね。それを特別な、たとえば緊急避難とかあるいは正当防衛とかいうことであれば違法性を阻却することはあり得ます。しかし、今度の場合は人命にかえられないと言いますけれども、そんな性質のものじゃないのですね。釈放と六百万ドルをよこせというのが彼らの要求だったでしょう。旅券をつけてとかいうようなことは要求でも何でもないのです。むしろ犯罪者に対する対抗処置としては正当防衛でなければいかぬわけですね。正当防衛で国の刑罰権を守る、あるいは発給権といいますか、あるいは出入国管理権、そういうものを守る立場から言えば、反撃をせねばいかぬわけですね。ところが、何とかみんな返してもらうために、要求されてないのにむしろ進んで渡しているという面が出てきているわけです。これは緊急避難とか正当防衛とかの概念に全く入らない、本来は違法性を阻却しない性質のものです。だからもっと真剣に考えるべきじゃないか。これを渡せば偽造を進めることにさえ役立っていくことになる。現に今度の緊急対策要綱を見ても、偽造旅券の判別方法を外国官憲に緊急に手配する、送るということを言っていますね。偽造すること、それは紙の質の問題もあるでしょうし、印刷の問題もあるでしょう。それについてさえいろいろ手配をしているのに、そのものずばりを、部分的に空白のところがあるというだけで、そのものずばりを渡している。これは余りにも人命ということを口実にしてずさんなことをやっているのじゃないか。だからなかなか発表もできなかったのじゃないか。もっと厳格にやるべきじゃないか。犯人に対する対応の処置として、そもそもその姿勢がなってないんじゃないか、こう思うのでありますが、いかがですか。
○賀陽説明員 ただいまの御質問でございますが、これは恐らくあの段階における石井団長の御判断の問題かとそんたくいたします。あの段階では全員釈放を実現することが日本政府の方針でございまして、これに対して、そのラインで奥平を説得されたわけでございますけれども、あの段階で奥平に対してぜひ同志を説得して全員を釈放してくれという交渉をされたわけでございます。それに対しまして奥平の出してきた条件が、石井団長によれば、旅券またはそれに類するものを渡してくれ、こういう話であったと承っておるわけでございます。ぜひ全員釈放ないしは全員釈放とともに政府人質がそれに乗り込むということをあのダッカの段階で実現しなければ、本件は人命の問題にかかわるという御判断を恐らく石井団長はされたからこそ、先方の要請に応ずる何らかの措置はないかということを検討されたのであろうと思います。したがって、石井団長の御判断は、あくまで人命尊重という今回の事件解決の方式の決定というものの線で御判断になったことでございまして、その緊急状態というものはわれわれとしても十分認識しなければならないのではないか、かように私は考えております。
○東中委員 時間が来ましたので終わりますが、全員を解放するか、人質に政府のだれかと交換するかということで渡したのだとあなたはいま言われたけれども、そのどっちも実現しないじゃないですか。何も実現しない。だからそのことによっては何の効果も出なかった。石井団長が判断したのだろうと賀陽さんが言っておるそのことは、実際は実現していないわけです。実現していないままで渡しておるわけですから、そういうものは緊急性でも何でもないということを指摘して質問を終わります。
○竹内委員長 次に、伊藤公介君。
○伊藤(公)委員 今度のハイジャック事件が、いろいろな国民の関心の中で、緊急事態という形で一つの結論を得たわけでございますけれども、しかし、今度のこの旅券の問題を含めてやはり一番大事な問題は、その手続あるいはその真相が国民の前にわかりやすく明らかにされなかったというところに大きな問題があって、一昨日、昨日、きょうと、いろいろな議論を呼んでいるのだろうと思うのであります。 私も海外旅行はずいぶんさしていただきましたし、海外にも長く滞在をしていたことがございますから、日本国からパスポートをいただいて国を出たわけでございます。しかし、かつて一度も旅券冊子というものを手にしたことがございません。どういうものか私はわかりませんので、旅券冊子というものを現物をひとつ見せていただきたいと思うのです。いま見せていただくことができますか。パスポートもあったら一緒にちょっと見せてください。——いま私は初めて旅券冊子というものを手にしました。こちらは正式なパスポートでございます。パスポート・オブ・ジャパン、こちらもパスポート・オブ・ジャパン、日本国、同じものでございます。これは法的な根拠も含めて、旅券の冊子とそれから旅券、パスポートとどこがどう違うんですか。
○賀陽説明員 旅券冊子は先生いまごらんになっておりますとおりでございまして、旅券の方をごらんいただきますと、全部所要事項欄に記入がございます。先ほどお答え申し上げたところでございますが、写真の欄をひとつごらんいただきまして、そこに写真が張ってあると思いますが、その上に写真がはがれないようなパックトシートが貼付してございます。それもおわかりと思います。その上辺と下辺に官印か押してございます。これもちょっと浮き出した形になっている印が押してあるわけでございますが、それもおわかりいただけると思います。先ほどお答え申しましたとおり、所要欄は全部点検いたします。その上で最終的には所要欄に全部必要な記載があることを確認した上で、最終的にはその写真の官印を捺印すると申しますか、それによって正規の旅券になるわけでございます。
○伊藤(公)委員 写真を張ってあるというのと写真を張ってないのということはよくわかるんです。しかし、たとえば海外旅行、海外に出た場合に、両方持っている法的な効力の違い、どう違うんですか。
○賀陽説明員 これは御想像のとおり、法的効力は旅券冊子の方は全くございません。
○伊藤(公)委員 そうすると法的な根拠は全くないということは、どういう場合にこれは使われるわけでございますか。それでは、いままでにこれはどういう形で使われてこられたんですか。
○賀陽説明員 これも御推察のように、旅券を申請いたします場合に、まずそれを申請者に差し上げまして、所要の記載をお願いし、必要な書類の提出を求めるときにお渡しするものでございます。
○伊藤(公)委員 普通の場合にこれは使えるんですか。
○賀陽説明員 これも御案内のとおりだと思いますが、一般旅券、外交旅券、公用旅券の種類がございます。
○伊藤(公)委員 この旅券の冊子を今度のこの事件の中で出そう、あるいは出す事態になるかもしれない、こういう話し合いは事前に打ち合わせを恐らくされたと思うのですけれども、どの時点でどういう範囲内でこの話し合いをされているのか、御説明をいただきたいと思います。
○賀陽説明員 これは先ほど来申し上げておるところでございますけれども、これは繰り返しません。しかし通常の心がけとして、われわれとしては旅券冊子を準備するということは望ましいと考えまして、それを携行せしめた。これは領事移住部長の判断でいたしたことでございます。
○伊藤(公)委員 外務大臣にお尋ねしたいのですが、この旅券の冊子をこういう形で出す、あるいは出した、これを確実に掌握をした時点はどのときでございますか。
○鳩山国務大臣 その時点がいつであったかということをいま一生懸命考えているのですけれども、数日前だったと思います。はっきりした何日という記憶まではございませんが、人質になられました方が帰ってこられた時点では承知いたしていたという記憶であります。
○伊藤(公)委員 そうすると、この旅券の冊子を最終的に発給をするということは、人質を釈放する以前に外務大臣はこのことを理解をしていた、報告を受けていた、こういうことでございますね。
○鳩山国務大臣 その交付をするときは私は存じておらなかったのでございます。しかし、正確にいつという記憶が定かでないのでありますが、羽田にお帰りになった石井団長を迎えにまいりましたときは報告を受けていたと記憶します。
○伊藤(公)委員 重複するかもしれませんけれども、この旅券を発給をしていないという答弁をずっと続けてきて、実は旅券の冊子は出していたのだ、こういう答えが出て大変不明確になってきたわけでありますけれども、事件後こうしたことを、旅券の冊子を発給したということも含めて真相を明らかにするという場合に、この問題を皆さんの中で発表するしないという議論をされたのか、あるいはそのことは全くまだ議論をされていなかったのか、その点をちょっと確認をさせていただきたいと思うのです。
○賀陽説明員 お答えいたします。 この点につきましては石井団長がお帰りになった時点で実情を拝聴する、いろいろ当時の実情を伺うということであったわけでございまして、その後どういうふうにこれを扱うかというのは、石井団長御帰国の段階後いろいろ部内でも、何と申しますか、相談しておったわけでございます。
○伊藤(公)委員 時間が参りましたから、もう一点だけお尋ねしたいと思うのでありますけれども、こうしてみると、これだけの赤軍派がかなりもういろいろな訓練を積んで、そしてかなり組織的にいろいろな技術もある、かなり高度なものをつくり得るということが当然予想されるわけでありますけれども、こうしてみますと、赤軍に渡されたものが、いまの技術から考えれば簡単に偽造できると想像せざるを得ません。政府は、これは無効で、無害だ、こう言っておるわけでありますけれども、私にはどうも無害などとはとても思えない。外務大臣はどういう理解をされているのか、一体これは本当に無害だとなお言い切れるのかどうなのか、その責任をどうするのか、重ねてお聞きをしたいと思います。
○鳩山国務大臣 先ほども申し上げたのでございますけれども、この旅券の冊子というのは在外公館には置いてあるということ、それから本当に白紙のものが出回るよりは、名前も入れてしまったものの方が、これは使う方といたしまして名前にも自分の名前を、本当の名前を書くわけでありますから、それが打ち込んでたった方がより悪用される危険は少ないであろう、そのようなことから、たとえば奥平が奥平と書いた旅券を入管に示すということはなかなかしにくいだろうというふうに考えております。しかし、それ以外にこれがいろいろな偽造の材料に供される危険が全くないということは言えないかと思いますけれども、この旅券が行使されるという率は非常に少ないのではないかというふうに考えております。
○伊藤(公)委員 無害だとは言い切れないという大臣のお答え、その害もある、あるいは容易に偽造もされるということが想像できる、それを正式に手渡すかどうかということ、その問題について、緊急事態ではあったけれども、もちろんそれだけの連絡をとる時間はあったわけですから、その刻々の情報を受け取りながら、現地と日本のこちら側との判断というものは、その時点では最終的になかったのか、現地にすべて任せられていたのか、その点を確認して質問を終わります。
○賀陽説明員 お答えいたします。 その点につきましては、私どもの申し上げます点は、石井団長の御判断によって旅券冊子をマームド参謀長に渡すようにという御指示があったという点は、石井団長から承知させていただきました。
○伊藤(公)委員 終わります。
○竹内委員長 次回は、来る二十一日に開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時二十二分散会 ————◇—————