本会議 第4号
- 発言数
- 36 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1977/08/02
会議録
○議長(安井謙君) これより会議を開きます。 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日) 去る七月三十日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。栗原俊夫君。 〔栗原俊夫君登壇、拍手〕
○栗原俊夫君 私は、日本社会党を代表して、福田総理大臣の所信表明演説に対し、当面する緊急問題について、総理並びに関係大臣に質問し、政府の姿勢をただしたいと思うのであります。 第十一回参議院議員通常選挙は、与野党逆転が大きな政治争点として展開されました。自民党は、権力機構の動員や利益誘導等による運動の結果、保守系無所属で当選した議員までも含めて、辛うじて与野党逆転を阻止することができたのであります。しかし、前回の選挙での七議席差の伯仲が今回の選挙では四議席差に縮まり、自民党に対する厳しい国民の審判が下されたことは明らかであります。福田総理を初め自民党首脳部は、与野党逆転成らずの結果に対して、あたかも大勝したかのような錯覚をしておるようでありますが、これは選挙に示された国民の厳正な審判を全く履き違えたものと言わざるを得ません。選挙の結果は、確かに与野党逆転にはなりませんでした。しかし、得票の数を見れば明らかなように、自民党の得票は地方区で四〇%弱、全国区は実に三六%弱と、野党の総得票を大幅に下回ったものであり、自民党の勝利などとはまことにほど遠いものなのであります。 福田総理は、この参議院選挙に示された国民の意思をどのように受けとめ、今後の政治にどのように生かそうとしておられるのか。所信表明演説の冒頭に、選挙で示された国民の期待と願望を正しく、また謙虚に受けとめると述べております。総理の言う国民とは、自民党に投票した有効投票の四割足らずの人たち、全有権者の二割八分に満たない人たちを指しておるのかどうか。国民が示された期待と願望といえば、全有権者の七割以上が自民党に期待をしておらぬという意思表示をしておるのでありますが、この辺をどう認識されておるのか、率直に御見解をいただきたいのであります。 まず、福田内閣の政治姿勢について質問をしてまいりたいと存じます。 国民の政治不信を招いた重大な政治腐敗事件が、田中金脈事件、ロッキード事件、日韓癒着事件と、次から次に暴露され、目下、ロッキード事件の公判が東京地方裁判所において行われておるのでありますが、こうした腐敗事件の真実を一日も早く解明し、再びかような事件の起こらないような対策を確立することこそが政治に課せられた重大な任務であると思うのであります。 こうした政治腐敗事件解明のため、ロッキード事件、日本の主権侵害にかかわる金大中氏事件、日韓癒着事件等の関係資料国会提出について、政府は関係委員会等の要請があればいつでも受けて提出する用意があるのかどうか、これらについて御所見を承りたいと思います。 また、腐敗事件再発防止のために、企業献金の禁止などの政治資金規正法の改正、多国籍企業の不正、不法行為に対する制裁措置ができるような国際的取り決めの締結や国内法の整備、一定期間を経過した行政資料の公開などの制度を確立すべきであると考えるものでありますが、総理の見解を承りたいと存じます。 次に、日本経済の現状を見るとき、きわめて厳しい不況局面にあります。これをどう打開するかは当面の緊急課題であります。 福田総理は、五十二年度予算審議の過程において、公共事業の前期大幅契約によって景気の回復に心配は要らないんだと公言してきたのでありますが、景気は一向に回復をしておりません。中小企業の倒産件数も、本年五月は千六百五十三件、負債額は三千五百余億円と、史上最高を記録する深刻な状況にあります。一方、輸出は好調に伸びてきたとはいうものの、輸出競争力の強さを反映して、一ドル二百六十円台と円高傾向となり、その結果、輸出競争力の弱い繊維、雑貨などの産業では円高倒産という深刻な事態を引き起こしているのであります。しかも、産業構造のひずみが長期にわたる不況の中で表面化し、石油化学、繊維、造船、金属鉱山、合板、平電炉等の多くの産業が構造的不況にあえぎ、企業の投資意欲も大きく後退しているのであります。福田総理の言明とはうらはらに、景気は明らかに低下傾向を示しており、政府の景気政策は失敗であることが明確になっていると思うのであります。 福田総理自身が地元の群馬県にお国入りをした際に、地元の人たちに、政府が公共投資を重点的に実施しているというけれども、地元へはさっぱり仕事が来ないではないかとかみつかれて、急いで全国的規模での実態調査を命じたと伝えられておるのでありますが、公共事業の上期契約は七三%という政府の目標であるにもかかわらず、六月の契約率は五〇・二%にとどまり、倉成経済企画庁長官も、六月二十日の日本記者クラブでの講演で、景気状況について言及し、政府の判断は甘かった、景気は自律的拡大の段階に達していないと、はっきり政府の失敗を認めているのであります。 このような中で、景気対策の一つとして投資減税なるものが一部の財界から主張され始めております。これは不況産業の投資を刺激することにはならず、好況産業にのみプラスになるだけであって、景気全体を盛り上げることにはならないと考えるのでありますが、総理の見解をお伺いいたしたいのであります。 景気対策の基本は、わが党がいち早く指摘してきたように、第一に、所得税の減税、福祉の充実を図って国民の消費需要を拡大すること、第二に、公共事業も、住宅、学校、保育所等、一般大衆に直結したものに重点的に行う必要があることがいよいよ明らかになってきておるのであります。 福田総理は、八月の景気動向を見定めた上で補正予算を編成すると言明しております。私は、早急に次の臨時国会を開会し、大型の予算を編成すべきであると考えます。衆参両院を中心に、財界、エコノミスト、中小零細企業、労働者、農漁民、消費者等、まさに文字どおり各界各層の英知を集めて、誤りのない景気の対策確立のために万全を期rべきであると考えます。当面する不況打開のための補正予算、昭和五十三年度の予算編成についても、休会中の予算委員会等の開会要求に応じて、積極的に難局打開のために取り組むべきであると考えますが、総理の見解はいかがでありましょうか、お伺いを申し上げます。 次に、最近の不況の長期化の中で、中小企業の倒産が増大しております。中小企業が倒産した場合、企業の当事者が生活基盤を失うのはもちろんでありますが、その従業員の生活難や地域経済に与える損失、さらには関連倒産等の原因等をつくるなど、その社会的損失はきわめて大きいものがあります。現在、中小企業対策としては、政府関係中小企業金融機関での運転資金の貸し付けや、中小企業信用保険制度などがありますが“いずれも通常の融資と、それに連動した信用保険であり、とうてい今日の経済危機にこたえられるものではないのであります。そこで、中小企業倒産防止基金制度の創設を提案いたしたいのでありますが、政府はこれに賛同し、次期国会に法案提出の用意があるかをお尋ねしておきたいと思います。 次に、物価対策についてであります。 不況の中での物価高騰で、国民生活は非常に深刻な状況にあります。物価の安定は何よりも増して緊急な課題と言わなければなりません。最近の円高傾向の中で、輸入製品は、本来末端価格まで安くなるべきはずのものであるにもかかわらず、一向に安くなっていないのが実態であります。石油精製会社のごときは為替差益によって大幅な利益を上げておると言われておるのでありますが、家庭暖房用の灯油の価格のごときに至っては、逆に値上がりをしているような始末であります。不況の中の物価高という、えたいの知れない経済状態の中に、国民はいま生活苦にあえいでおります。経済の国際化等、いろいろな複雑な理由はありましょう。勤労国民が真剣に働き、GNP世界第二位という生産性の高いわが国において、景気上昇の大黒柱とも言うべき個人の消費需要が一向に伸びないということは一体どうしたことでありましょう。労働に対する価値評価が低きに過ぎ、労働配分が十分でないところに、その根源があると考えられないものでございましょうか。最低賃金制度の要求等は、こうしたところから当然起こってくるものであります。不景気の中の物価高、消費需要が伸びない、景気の低迷にもかかわらず、下がるべき物価が下がらないどころか、逆に上昇するということは一体どういうことなのか。生産や流通を担当する業界が独占化が進み、寡占化が進んでおり、下がるべき物価も下げないという仕組みがこれらの中にできているところに、その根源があると考えられないでございましょうか。独占禁止法の強化拡充の要求も、こういうところから起こってくるわけであります。経済の名医をもって自任しておられる福田総理の見解をお伺いいたします。 次に、行政改革についてお伺いいたします。 政府は、行政改革問題について、八月下旬までにその結論を出すことを明らかにしました。そこで、行政改革の重要課題としてたびたび指摘されながら何ら改革されないまま放置されてきた次の諸点について、政府の見解と態度を明らかにしていただきたいと思います。 第一には、機関委任事務の廃止、政府の地方出先機関の整理についてであります。機関委任事務は、理論的にも問題とされているばかりでなく、地方自治体の行政上、財政上放置できない弊害をもたらしております。また、政府地方出先機関についても同様であります。それが国と地方自治体との関係をあたかも上命下服のごとくにしている大きな原因となっていることは、識者の一致して指摘するところであります。しかも、その廃止ないし整理縮小が叫ばれながら、かえって増大し続けてきたのは一体なぜでございましょうか。この際、政府が、行政改革の重要な柱として、機関委任事務の廃止、政府出先機関の縮小整理を断行されるよう強く要望をいたします。 第二には、地方事務官の廃止の問題であります。歴代の自治大臣がその地方公務員への身分移管を行うべきであると言明し、三木前首相は、昭和五十一年三月末日までにこの問題を解決すると約束されたにもかかわらず、今日なおその約束が果たされていないのであります。地方事務官は、公務員制度上も行政組織上も異常な変則状態であり、これ以上放置することは許されません。行政改革の重要課題としてその解決に当たるという決意を、この際はっきり聞かせていただきたいと思います。 次に、食糧問題についてお伺いいたします。 政府は、七月二十一日、昭和五十二年産生産者米価を決定いたしました。基本米価で昨年に比べて四%、良質奨励金を含めて四・六%の引き上げであり、これは、一俵六十キロ当たり二万円以上、前年比二十数%引き上げを求める農民の要求に比べてみれば、まことにお話にならない低率の引き上げに終わったのであります。このような事態になった背景は、食管制度における二重米価の逆ざやの解消であり、食管会計の累積赤字の解消であり、米の生産過剰論議であります。国民の主食である米の価格が財政の赤字の観点から論ぜられ、国民の主食である米の生産が輸入食糧の立場から生産過剰ときめつけられる。これでは、米の生産農家に後継者のなくなるのは当然の成り行きでありましょう。 食糧の確保は、国民が生きるための絶対的な命題であります。食糧自給率の向上は、国の自主独立にとって最大の課題と言わねばなりません。穀物の自給率わずかに四〇%そこそこにすぎないわが国において、米の生産過剰、在庫古米の増加を理由に、明年度もさらに百五十万トンの生産調整を決定する政府の態度は、はなはだ理解に苦しむところであります。米は一年草であります。まして、台風の常襲地帯である日本列島においては、その収穫はきわめて不安定であり、まして、外国依存の食糧の供給は、より以上の不安感がつきまとうものであります。あってはならないことは思いますけれども、日本は島国であります、万が一にも何らかの事情で外国依存の食糧の供給が絶たれることを考えてみるならば、それは国民を死地に追いやるものであり、はだえに冷や汗をするものであります。特に、食糧が石油とともに政治的戦略物資として位置づけられているとき、FAOの指摘をまつまでもなく、食糧は自国ででき得る限り自給を図ることは当然と言わなければならないと思うのであります。そのためには、工業製品輸出のための見返りとして外国食糧の輸入に依存することをやめ、食糧の自給政策を優先させるべきであると考えます。外国食糧が安いから買い入れるという単純な経済合理主義による外国食糧依存の政策を改めて、確固たる食糧自給政策を打ち立てる必要があるのではないかと考えますが、総理並びに関係大臣の見解を求めるものであります。 最後に、福田総理は、来る六日からASEAN諸国を歴訪するようでございます。しかしながら、アジア外交の基本を確立することなしに、ただ開発途上国の経済発展のための要望にこたえる、こういう形で十億ドルの借款を手みやげに日本の経済進出をもくろむようなことがあるならば、それはかえって、かつての田中首相東南アジア訪問の二の舞になることは必至であります。わが国の開発途上国に対する経済協力のあり方、中国、ベトナム社会主義共和国をも含むアジア外交の進め方と、そしてその方向について明確にした上で出発すべきであると思いますが、いかがでございましょうか。 ことに、東南アジアにおける中国の地位はきわめて大きく、中国との正常な関係の確立なしにわが国のアジア外交は成り立たないと言っても決して過言ではありません。一九七二年九月、当時の田中首相が現自民党大平幹事長とともにみずから中国を訪問し、中国政府との間に日中共同声明を発表し、曲がりなりにも国交を回復してから、すでに五年を経過しようとしております。しかし、当時中国との間で約束した日中平和友好条約の締結は、今日に至るまで実現を見ておりません。 総理は、所信表明の中で、双方にとって満足のいくような形で速やかにこれを締結するために努力を払うと述べております。大平幹事長も同行して発表した日中共同声明は、双方にとって満足できるからこそ合意ができたのではございませんか。本日、中国の新任駐日大使符浩氏も来日されます。わが国の佐藤新大使も、十日には任地北京に向けて出発する予定と聞いております。衆参両院の日中友好議員連盟もその数五百名に上り、党派を超えて日中友好平和条約の一日も速やかな締結を熱望しております。機はまさに熟しました。残るはただ一つ、総理の決断のみであります。総理の決意のほどを伺って、私の質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(福田赳夫君) まず第一に、今度の参議院通常選挙、その結果をどういうふうにとらえ、どういうふうに認識し、また、どういうふうに対処しようとしておるかというお尋ねでございますが、栗原さんは、いま、私があの選挙で勝った勝ったと、こう言っておるというお話でございますが、私は勝ったと一言も申し上げたことはございませんから、その辺は誤解ないように願います。 私は、あの選挙の結果を、自由民主党を中心とする政局の安定、これを国民がこいねがい、そのような判断を示したと、そういうふうにとらえておるのであります。その安定の上に立ちまして何を政治に望むかといいますと、経済の安定だと、こういうふうに受け取っておるのであります。私は、そういう選挙の意義、これをとらえまして政局に立ち臨んでいきたい。もちろん、栗原さんがおっしゃるように、選挙の結果は依然として保革伯仲でございます。私はこの伯仲状態ができる前からも言っておるわけでございますが、国会のまた政治の運営、これは、私がかねて言っておる協調と連帯、この精神でなければならぬということを言っておるのでありまして、何も伯仲になったからそうしなければならぬというふうには考えておりませんけれども、伯仲になればなるほど、実際問題といたしましても、そのような姿勢、これでいかなければならぬと、こういうふうに考えておる次第でございます。 なお、協調と連帯、そうは言いながらも、あなたは、日韓大陸だな協定、ああいう強行をあえてしたじゃないかというような御指摘でございますが、協調と連帯、これはもう押し貫いてはまいりますけれども、しかし、最後にはこれは採決でいかなきゃならぬという問題も、また出てくるわけなんです。日韓大陸だな協定は、国際信義、そういう立場から言いましても、どうしても先国会でこれは成立さしていかなけりゃいかぬと、さように考えまして、まあ御無理をお願いをしたと、こういうふうに御理解を願いたいのであります。 また、私の政治姿勢に関連いたしまして、どうも政治の浄化刷新という問題に熱意がないんじゃないかというお話でございますが、政治の浄化刷新ということにつきまして、私は本当に人後に落ちない強い意欲を持っておるわけでございます。 日韓問題につきまして、所信表明演説で言及がなかった、そういう御指摘でございますが、私は、選挙の結果をとらえまして、これは国民が経済の安定を期待しておる、その経済のことに主として触れたんです。関連いたしまして当面の外交問題にも触れるということでありまして、そういうことで日韓問題につきましては触れませんでしたけれども、私が決して日韓問題をおろそかにしておる、こういうわけではございません。この日韓問題につきましてはいろんな報道がありますが、具体的な事実関係が明らかでない現在の状況では、特別の措置、捜査権の発動とか、そういうことはまだとる考えはございません。しかし、政治の刷新浄化、こういうことにつきましては今後ともさらにさらに強い姿勢でやっていきたい、かように考えております。 景気の現状をいかに判断するかというお話でございますが、私は、三年半前のあの石油ショック、あのとき、大変なことになったと思ったんです。そして、あのとき、これは通常の景気循環じゃない、いかに努力いたしましても、これはかなり時間が治療にはかかる、全治三カ年説を提唱したわけです。そうして、石油ショック直後、あの時点におきましては、国際収支が実に百三十億ドルの赤字になる、物価は狂乱状態になる、経済の成長は戦後初めてマイナス成長を記録する、そういう状態になっちゃった。しかし、三年目でありました昭和五十一年度においてどうだったかというと、狂乱というような状態はもうない、また、国際収支は経常収支におきまして四十数億ドルという黒字である、国際社会から黒字批判が起こるくらいな状態である、経済成長は先進諸国の中で最も高い五・六%を記録する、こういうような状態になったわけです。まあ、一応このショックからの立ち上がりはできたわけでございまするけれども、しかし、何としても、あれだけのショックでありまするから、後遺症が残っているんです。それが今日の不況であり、また物価水準の高さである、そういうふうに考えておるわけであります。 この今日の景気停滞の状態、これは何とか直さなければいかぬ。これは日本の経済の活力を失わせることになりはしないかということを心配いたしまして、私は、考えられるあの手この手を打ってきておるんです。昭和五十二年度予算で公共事業をあれだけ多額に盛り込んだ。しかも、それを早期に消化しようという努力をしておる。また、公定歩合の引き下げ、大幅な引き下げ、これによりまして長期金利の引き下げを行うというような施策もとってきておるのです。ただ、公共事業は、とにかく契約は約半分を六月までに了したわけでございまするものの、それが実需につながってくるのにはタイムラグがある、二、三カ月のラグがあるわけであります。そういうことを考えますと、私は、八月ごろには、つまり今月、今月の時点には公共事業発注の効果が相当大きく出てくるのではないか、そういうふうに見ております。おりますが、しかし、他面、円高の問題等、経済の上昇の足を引く要因もあるわけでありまするから、そういう総合的な立場に立ちまして、日本の経済が一体どういうふうに動いていくかということにつきましては、今月中の動きをじっとよく見詰めなければいかぬだろう、こういうふうに見ておるわけであります。今月の動きをはだに感じ取りまして、そうしてこの動きが一体どういう処置を要するか、それを判断して今月末の時点でこの対策の骨子を決める、こういうふうにいたしたい、かように考えておる次第でございます。私は、とにかくわが国の景気状態を回復する、これはひとり国内における経済の秩序を維持するというばかりじゃない、国際社会に対する責任でもある、そういう立場に立ちましてこの景気対策には取り組んでいきたい、かように考えております。 そういう中で、中小企業の困窮というものは私は大変なものだ、こういうふうに思っておるんです。まあ大企業でも、とにかく三年半の不況でございまするから、それは青息吐息、まして力の弱い中小企業になりますると、これはもう本当に息を引き取る寸前というようなものが多くなってきておるんです。そういう状態はよく承知しております。それに対する対策につきましては通産大臣からお答えを申し上げます。 物価問題につきましては、これはもう私は非常にいい状態で動いておると、こういうふうに申し上げていいんじゃないか、さように思います。特にことしの下半期になりますと、年度間の上昇率はかなり低くなる、さような展望でありまして、私は、五十二年度予算の編成に当たりまして七%台に上昇を抑制すると、こういうことを申し上げたわけでありまするが、これは達成できるし、達成させるというふうに考えておる次第でございます。 行政整理の問題につきましては、これは私は非常に重大な問題と考えておるんです。つまり、いま有史以来の世界の変革の時代でございます。いままで人間は、とにかくわれわれに必要な資源・エネルギー、これが不足するであろうというようなことを考えたことなしに暮らしておる。ところが、それがよく検討してみますると、特に二十一世紀前後になりますると、なくなろうとしておる。資源・エネルギーの有限時代の到来であります。非常にこれは大きな人間生活の変化の時代だと、こういうふうに考えるのであります。その変化の時代を考えてみますると、家庭生活も、あるいは企業のあり方も、あるいは政府、行政のあり方も、みんながこれはもう変革に対応する構えを取り直さなけりゃならぬ時期に来ておる、そういうふうに思うわけでございます。そういう際におきまして、もう何としても政府は率先して身を正すという態度に出なければならぬだろう、こういうふうに思うわけでありまして、いままでの行政機構というものが積み重ね積み重ねで膨大化してきておる。これは栗原さんも同じ考え方じゃないかと、こういうふうに思いますが、この際、スクラップ・アンド・ビルドといいますか、これを徹底的に行いまして、そして、とにかく政府は率先して姿勢の転換をしたという国民の御理解を賜りたいと、こういうふうに考えておるのであります。 そういう中で、機関委任事務を廃止せよというお話でございまするが、行政はできる限り住民の身近なところで住民の意思を反映しながら行われることが望ましい、これはもうそのとおりでございます。そういう角度から考えますと、やはりこの行政整理の場面におきまして、国と地方との適切な機能の再配分ということも重要な問題になってくるわけであります。これはしかし時間のかかる問題でありますので、すぐというわけにはまいりませんけれども、この問題も鋭意検討、掘り下げていきたいというふうに考えております。 また、地方事務官の廃止ということをおっしゃいますが、これはもう実に長い問題。また、政府におきましても、もう何だびか最善の努力をしますということをお答えをいたしてきておりまするけれども、遺憾ながら、今日の段階でまだ結論は得ておりません。おりませんけれども、これは今度行政整理をやるんですから、その一環といたしまして何とかこの決着をつけたいものだ、さように考えておる次第でございます。 次に、栗原さんから食糧問題につきましていろんなお話がありましたが、この食糧の自給力の向上、これは私は栗原さんと全く同見でございます。そのための施策を強力に進めたい、かように考えておるのであります。ただ、財政経済の合理主義の羽目を外してやれというような御所見でございまするが、そういうわけにはいかぬ。やっぱり日本社会、日本経済、日本財政全体の中の農政でございまするから、その辺はちょっと私は感覚が栗原さんと違うんでございまするけれども、とにかく食糧自給力の向上につきましては最大の努力をするということだけは、はっきり申し上げておきたいであります。 また、栗原さんから、アメリカやカナダ、オーストラリアなどからいま食糧の供給を受けておるわけでございまするけれども、不安な状態じゃないか、一朝事ある場合にどうなるかわからぬじゃないかというような御指摘でございまするけれども、食糧の海外依存、この状態につきましては非常に慎重に考える必要があると思うのです。何といっても国民生活の基盤である食糧の問題、これが一朝事があった場合にその供給がとだえるというような状態になること、これはあらしてはならないわけでありまするから、私は、アメリカでありますとか、オーストラリアでありますとか、カナダでありますとか、そういう国々が戦略的な立場におきましてわが国に対する食糧供給を断つ、こういうような挙に出るとは思いませんけれども、とにかく依存度の非常に高いわが国の食糧問題につきましては、思いを新たにいたしまして、この自給力の向上に取り組まなければならぬ、かような見解を持っておるのであります。 日中平和友好条約早期締結についての栗原さんの非常に御熱心な御提言でございますが、私も、この問題につきましては所信表明演説で申し上げたとおりに考えておるんです。最善の努力をいたすということを申し上げておるわけなんです。日中問題、これを動かすかなめというものは、日中共同声明であります。あの共同声明を忠実に守っていくということが日中両国の私は正しい立場でなければならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。あの共同声明に日中平和友好条約を締結するということが書いてあるんですから、それに向かって努力をする、私のこの態度に何の批判を受ける余地はないのじゃあるまいか、さように考えておるのであります。 それから、ASEAN諸国を私が訪問することにつきましていろいろ御所見がありましたが、私は、今度のASEAN訪問というのはアジアの政治史の中で非常に画期的なことじゃないか、こういうふうに思っておるんです。ASEAN五カ国、またオーストラリア、ニュージーランド、そしてわが日本、その首脳が一堂に会してアジアの問題を論ずる、アジアのほとんど大部分の国々の首脳が会談をするわけですから、これはもう、アジアとすると画期的なことなんです。わが国とアジア諸国との関係を見てみますると、田中総理が訪問をしたあの以後、ほとんど首脳間の交流接触というものはなかった。ただ、ことしになりまして、シンガポールのリー・クアンユー首相、またフィリピンのマルコス大統領の来訪がありましたが、ほとんど接触らしい接触はないままで来ておる。しかし、いまアジアをながめてみますると、その一角というか、大きな部分を占めるところのASEAN五カ国、この国々において、みずから立ち上がろうという努力が起きてきておるわけであります。私は、大変これはいいことだと思う。それから、ベトナム戦争も済んで、インドシナ三国は新しい建国に向かっていそしんでおられる。私は、ASEANの首脳と会談をいたしますが、同時に、インドシナ三国、これとも接触を進めまして、そして全体としてアジアの安定した状態をつくっていきたい、これが私のアジア問題に対する基本的な構えであります。 私は、よく人に聞かれるんです、今度はみやげは何ですかと。みやげなんか持っていく考えは全然持っておりません、私は。みやげをぶら下げて、ばらまいて、そうして歓心を呼ぶというような、そういう姿勢では私はアジア外交は前進をしない、さように考えております。お互いにお互いがイコール。パートナーだという立場におきまして真の友人としてのつき合いを建設する、それが私は近隣としてのアジアに対するわが日本の姿勢でなければならぬ、こういうふうに考えております。そのような姿勢でアジアに一つの大きな段階を画す東南アジア訪問にいたしたい、かように考えておる次第でございます。(拍手) 〔国務大臣坊秀男君登壇、拍手〕
○国務大臣(坊秀男君) 御質問に対しまして総理から詳細なる御答弁がありましたので、私に残された財政の問題につきまして一、二御答弁を申し上げたいと思います。 まず、投資減税について申し上げますが、御指摘がありましたとおり、投資減税というものは、ある程度経営が順調であって、それで収益をおさめておるというような企業に対しましては、この企業は投資の意欲もありますし、それから法人税も納めておるというような場合に投資減税をやるということは、その人が投資をしたとした場合に減税をする、しかも、税額控除で減税をするということになりますれば、法人税を納めておるその法人税から税額が控除されるから、これは大きな効き目があらわれるというわけでございますけれども、今日、産業界におきまして、非常に経営が順調でない、そういうようなことで収益もあんまりおさめていない、したがって投資の意欲も燃えていない、したがって法人税も納めていない、あるいは納めておってもわずかなものであるといったような、いわゆるいま一番不況の苦境にあるというような企業に対しましては、投資減税の効果が、これはもう効き目が発揮のしようがないというようなことから考えてみますと、これは相当慎重に考えていかなければならない。単純には考えられないという事態にあるということを一つ、これは質問者の栗原さんが御指摘になったことでございますけれども、それを考えなければならないということと、それからもう一つ、投資減税をすると言いましても、あらゆる企業、あらゆる産業に対しまして投資減税をするということは必ずしもこれは適当ではない。したがいまして、今日の産業界におきまして、やっぱりある選択をいたしまして、こういう産業に対しましては投資減税をするということが私は必要であろうと思いますが、しかし、そういった今日非常に重要な産業、たとえば公害防除をやっておる、そのために設備に投資をしておる、あるいは省エネルギーのために投資をしておるといったようなところは、当然これは投資減税の対象になるべきものだと思いますけれども、そういったような企業に対しましては、これは大変評判が悪い税でございますけれども、租税特別措置法、その中におきまして、そういったような投資をした場合には特別償却をやるというような方法でもってすでにこの投資減税が行われておるのでございますが、いまこの方式をさらに拡大していくということは、とにもかくにも租税特別措置法はひとつ全面的に見直したらどうだと、こういうふうな御議論が強いときに、これも単純に考えていくということはちょっとどうも考慮を要するというようなことでございます。 それから、投資減税も減税でございまするから、国の歳入が大変いま窮迫いたしまして、何とかして健全財政に立ち直ろうとしておるときには、そういったような貴重なる税額を減税するということは、これはひとつ考えてみて、いまの日本財政のためにそういう財源はどういうふうに使ったらこれは一番効率が上がるかということも考えてみなければならないというようなことから、投資減税につきましては、これは相当慎重に考えなければならない。ただいま税制調査会において、これについて慎重に考えていただいておるというような事態でございます。 それから、これも総理からすでに御答弁がありましたけれども、公共投資のタイムラグでございますが、タイムラグは、例年の予算にとって調べてみましたところ、四、五、六に公共投資の契約をして、それから前渡金なり前払い金なりというものを払いましたものは、その効き目があらわれてくるのが、それから四、五、六に契約をしたものは、これは七、八、九という月に効き目があらわれてくると、こういうようなことでございまするので、やっぱり総理が八月の経済情勢をながめた上、それで臨機応変の措置をとっていかれるということは、恐らくそこから私はお考えになっておるんだと思いますが、私もそのタイムラグを調べてみた人間といたしまして、そういうことでやっていかなければならないと、かように考えております。 以上、私の答弁を終わらしていただきます。(拍手) 〔国務大臣西村英一君登壇拍手〕
○国務大臣(西村英一君) お答えいたします。 政府は、行政の簡素化、合理化につきましては努力してまいっておるところでございますが、最近におきまする社会経済の状況も大変変わっておりますし、また新しい行政の需要もありますので、この際、やはり行政の全般につきまして見直すべきだという総理の御指示を私は受けまして、行政管理庁長官といたしましてただいま取り組んでおる最中でございます。内閣に行政改革本部が常置されておりますので、まず、その本部におきましていろいろ検討いたしておるつもりでございます。 改革の課題といたしましては、第一番には行政の機構、第二番には定員の管理、第三番には特殊法人、四番には審議会、五番には補助金、六番に行政事務等、大体そういう分類ができるわけでございます。その各項目にわたりましてただいま審議をいたしておるところでございますが、御指摘の出先機関、地方の出先機関の問題について整理をすべきだというお話が特にございましたが、これは行政機構の一部分でございまして、いま検討しておる最中でございます。問題は、これらの行政改革を行います場合に、事務的ベースでやれるものと、事務的ベースでは手が届かない、政治的判断を要するものとあるわけでございまして、一たん機構等を改正しますと、直ちにまた変えるわけにはいきません。朝令暮改のそしりを免れませんので、慎重に取り組んでまいりたい。総理からはおおむね八月を目途にして骨子だけは決めなさいと、こういう命令を受けておりますので、鋭意検討いたしておる最中でございます。 皆様方にもよろしく御協力のほどをお願い申し上げる次第でございます。(拍手) 〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
○国務大臣(鈴木善幸君) 食糧の安定的確保を図るということは国民生活を守る上から最も重要な課題であると、このように心得ております。いま世界の食糧事情は小康状態を保っておりますけれども、しかし、長期的展望に立ちます場合には予断を許さない状況にございます。私は、そういう意味合いからいたしましても、食糧の問題で国際分業というものは絶対にとってはならないものであると心得ております。わが国の食糧の安定確保を図りますためには、何といっても日本農業の体質を強化をする、そのために基盤整備を進めるとか、あるいは農業の担い手の確保の問題でありますとか、あるいは米と主要作物との間の相対価格を是正するとか、そういう総合的な施策を進めまして自給力の向上を図ってまいりたい、これが農政の基本と心得まして、今後とも最善の努力を傾ける所存でございます。(拍手) 〔国務大臣鳩山威一郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(鳩山威一郎君) 最初に、金大中事件にお触れになりましたので……。この事件につきまして、最近、アメリカ議会におきまして、いわゆるフレーザー委員会におきまして金炯旭氏の証言等が行われております。御承知のように、この事件は国際的な刑事事件でございます。この刑事事件としての捜査は続けられておるわけでございまして、七三年の十一月の二日に一応の外交上の決着はっけられたわけでありますけれども、なお事件の捜査は継続中であるということで、新たな事実が出てまいりました場合には、わが国といたしましても責任の追及、主権侵害の事実がありとすればそれに対します責任の追及は行うことを、あるべきことを留保をいたしておるわけであります。ただ、現状におきまして、ただいままで正確な議事録等はまだ入手しておりませんけれども、その中で言われておりますことは、金炯旭氏の語っておられることは、金在権氏から聞かれたこと、すなわち伝聞に属することでありまして、したがいまして、わが国といたしましては、アメリカ国務省に対しまして、金在権氏に対する接触ができますように、いま折衝中でございます。 それから、日中関係につきまして、双方に満足のいくような形でというのは何か共同声明に不満があるのか、このようなお話でございますが、私どもは決してさようなことで申しておるのではなく、これから条約を取り結ぶのでありますから、この条約が未来永劫にわたりまして両国民のために真に幸せになる、条約を結んでよかったと、このような内容にいたしたい、このような趣旨を申し述べておるのでございます。その点は誤解のないようにお願いを申し上げたいと思います。 以上であります。(拍手) 〔国務大臣田中龍夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(田中龍夫君) お答えをいたします。 中小企業の倒産並びに現在の不況の問題につきまして御指摘がございました。御案内のとおりに、日本経済の特色といたしまして中小企業のウエートは実に九十数%に及んでおりまして、経済問題であると同時に社会問題でもあり、重大な問題でもございます。この問題につきまして御指摘の倒産の件数は、本年に入りましてからも相当増加いたしておりまして、この措置といたしましては、まず根本的には景気が立ち直ることが中核でございますが、当面の措置といたしましては、御案内のとおりに、政府系の中小企業三金融機関に対しまするきめの細かい指導なり、あるいはまた助成をいたすのでございます。同時にまた、企業の大体八、九割が民間信用機関から借りておりますので、これに対しましては、信用力の少ない中小企業に対しましては、信用補完の機構でありまする信用保証協会、保険公庫、こういうところのきめ細かい指導が必要でございます。特に不況業種の指定に基づきまする保証枠の拡大、融資サイトの延長でありますとか、あるいはその他金利の問題等いろいろといたしておりまするが、御指摘の倒産防止につきましては、不況業種の指定に基づきまする具体的な処置のほかに、その企業は健全でありましても取引先が倒産することによりまする連鎖倒産の問題につきましては、これは何とか救済しなきゃならぬということで、いろいろと通産局あるいはまた地方庁、あるいはまた事業団等々と、末端におきましてはいろいろと処置をいたしておりまするが、制度といたしましては、あるいは共済制度あるいは保険というようなものも目下検討中でございまして、この連鎖倒産防止に対しまする処置は万全を期してまいりたいと、かように考えております。(拍手) ─────────────
○議長(安井謙君) 植木光教君。 〔植木光教君登壇、拍手〕
○植木光教君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表いたしまして、総理に対し若干の質問を行うものであります。 まず最初に、政治姿勢について伺います。 第十一回参議院選挙における国民の審判により、わが党が過半数の議席を与えられましたことは、国民多数の方々がこれまでの政治経済体制に変化を求めず、わが党の新しい出発に強い期待を持っておられることを示されたからにほかなりません。(拍手) しかし、われわれは、もちろんこの事実におごることなく、その責務と使命の重大性を自覚し、決意も新たに党改革を断行し、清潔で公正な、愛情あふれる責任政党として力強くスタートすることが、政局安定をこいねがう国民の輿望にこたえる道であると信ずるのであります。(拍手) 総理は、選挙で示された国民の期待と願望を正しく、また謙虚に受けとめるとの決意を表明されましたが、何をどのように行動されるのか、国政に取り組む基本姿勢を具体的に伺いたいと存じます。 次に、参議院制度の改革について伺います。 本院発足以来三十年、参議院制度の改革についてはこれまで幾多の論議がなされてまいりましたが、総論においては一致しても、具体論になると各党各派の意見が調わず、制度改革はほとんどなされていないのがこれまでの経緯であります。衆議院や内閣に対する抑制と均衡の機能を発揮するという参議院本来の使命が果たされているのかという国民の疑問に対して、新しく誕生した参議院は、この際、党派を超えてそのあり方を模索し、良識の府にふさわしい改革を断行すべき時期に来ているのであります。 そこで、当面考えられる本院の改革は、一つには選挙制度の仕組みであり、二つには運営のあり方であると思います。 本院選挙制度の特色とも言える全国区制度は、両院制度の中にあって、全国的視野から学識経験にすぐれた人材や職能的代表者を選ぶという趣旨で創設されたのでありますが、四十七都道府県にまたがる選挙区は余りにも広く、七千八百万人に及ぶ有権者に、二十三日間の運動期間を通じて、候補者の政見をどの程度浸透させることができるのかなど、幾多の問題を抱えているのであります。これまで拘束比例代表制を中心として、その他ブロック制あるいは全国区制の廃止などの見解がありますが、総理の全国区制度に関する率直な意見を伺いたいのであります。 いま一つは、本院の運営、審議のあり方であります。諸外国で二院制を採用している国の多くはそれぞれの機能に特色を持たせてありますが、わが国の場合は、衆議院と全く同じパターンで審議が行われ、その独自性が薄らいでいるのではないか、自主性がなさ過ぎるのではないか、衆議院は国民の数を代表し、参議院は国民の理を代表することが望ましい等という意見がございます。これらの論議はいずれも国政の一翼を担う本院に期待する国民の声であり、われわれはこれに十分耳を傾ける必要があります。今回の選挙戦の中で、各党も参議院の改革を大きく取り上げた経緯もあり、これらの改革は本院議員自身の責任において議論されるべきものでありますが、総理は、党の総裁として、二院制下の本院の機能、特色のあり方についてどのような意見を持っておられるか、御参考までに承っておきたいのであります。 次に、経済問題について伺います。 政府は、景気の回復という至上の要請にこたえて、財政金融政策各般にわたり努力を続け、今後その効果が次第に経済の実態に浸透するものと期待されており、七月中旬発表された経済企画庁の月例報告では、緩慢ながら回復の基調にあることが述べられております。しかしながら、このようなマクロ的な見方はともかく、依然として景気は低迷を続け、今後底割れるるのではないかという疑念すら私どもは持っております。大中小の規模を問わず、特にその声が産業界から強く打ち出されていることも看過できません。政府は、景気てこ入れに対し、大型補正予算案の策定、公定歩合の引き下げ、また、種々の問題があることは承知いたしておりますが、投資減税などの景気対策を積極的かつ速やかに行うべきであると考えるのでありますが、いかがでございますか。特に補正予算を編成する場合、いつこれを行うのか、その見通しを明らかにしていただきたいのであります。 さらに、現在、十分に留意すべきことは、企業家が経済の前途に自信を持っていないことであります。政府は、このことを十分理解し、産業界の不況感がいたずらに増幅されることがないよう具体的対策を明示し、先行きに対する見通しを明らかにしてその不安を一掃し、企業家の自信を取り戻させるよう指導、助言することが何よりも重要であります。すでに総理が表明されている五十二年度経済成長率六・七%の目標を必ず達成する決意を改めて披瀝していただきたいのであります。 なお、この際、あわせて重要なことは、構造不況業種に対する施策と物価問題であります。 従来の一〇%以上という高度成長から約半分の成長に落ちざるを得なかった日本経済の中で、みずからの打開の努力にもかかわらず経営困難な状態に陥っている構造的な不況業種の存在を見逃すことはできません。アルミ、平電炉、繊維、肥料などの業界では、労使一体となり再建に必死の努力をしているにもかかわらず、膨大な過剰設備を抱え込み、需要の減退に苦悩しております。これら構造不況業種と呼ばれる産業に働く人々はわが国産業の約二〇%にも達しており、雇用問題の観点からも決してゆるがせにできない大きな問題であります。 この対策のためには、当面する短期的な施策も必要でありますが、中期的、長期的観点に立ち、設備廃棄、事業転換などを含めた総合的な構造対策に取り組む必要があると思いますが、政府の具体的な対策をお示しいただきたいのであります。 また、構造対策によって雇用調整が今後一層大きな社会問題になることが予想されるのでありますが、現在の職業訓練や雇用安定資金制度など、これら構造不況業種を対象とする一層の充実が必要であると思いますが、政府としてこれに対しどのような強力な対策をもって対処されるか、お考えをお伺いいたしたいと存じます。 一方、消費者物価につきましては、あの狂乱物価時代に比べ、多くの世界先進国が依然として二けた台の物価高で苦しんでいる現状であるにもかかわらず、一けた台の上昇率にとどまっていることは評価されるべきでありますが、上昇率が低下したとはいえ、その水準は決して低いものではありません。総理が国民に表明された、預金金利程度以下に消費者物価の上昇を抑制するという公約は、残念ながら、いまだその実現を見ておりません。物価抑制に対処するお考えをお示し願いたいのであります。 なお、円為替レートの上昇による輸入品価格の低下の効果を消費者物価にも波及させ、円高差益を消費者に広く還元させるべきであると存じますが、その努力をしておられるか否か、伺いたい。 さらに、政府は従来から、流通機構を整備し物価抑制の一助にしたいとしばしば発言され、また、そのための対策も講じられてきたところでありますが、残念ながら、その目的が十分達成されたとは申せません。今後いかなる方法でこれを整備していくのか、政府の考えを伺いたいと存じます。 なお、この機会に、沖繩県は祖国復帰後五カ年を経過したのでありますが、依然として多くの問題を抱えております。沖繩県の振興開発のため政府はいかなる基本姿勢をもって臨んでおられるのか、お聞きいたしたいと存じます。 次に、エネルギー、資源、食糧の長期ビジョンについてお伺いをいたします。 世界のエネルギー予測は、一致して、一九八〇年から九〇年初頭にかけて石油の供給はとだえがちになり、深刻なエネルギー不足時代が到来すると報じております。また、その他の諸資源についてもそうでありますが、食糧についても、世界食糧会議での食糧備蓄、増産、援助などの議論があり、わが国でも食糧自給率の強化とその安定的輸入が重要な課題となっております。すなわち、エネルギー、諸資源、食糧の大部分を海外に依存しているわが国の長期的対応策の樹立が緊急の課題であると強く指摘しなければならない現状であります。これに対応するため、エネルギー閣僚会議を初め、エネルギー推進会議、総合エネルギー調査会、農政審議会や国民食糧会議等が設置され、民間団体などでも各般の討議、検討が行われているのでありますが、エネルギー、資源、食糧の将来不足が確実に予測され、まさに資源有限から枯渇時代へ移行しつつある今日、その長期的な対応策を講ずるためには相当の準備期間が必要であり、万一、総合的な対策のおくれを生じた場合、その影響は、現在の世代のみならず、次の世代の国民生活全般にきわめて深刻な影響を及ぼすことは必至であります。私は、現在各機関でばらばらに行われている政府、民間の対策会議を統一的に集約して、総理の直轄下に権威ある国民会議的機関を設けて、将来計画を早急に打ち出すとともに、国民に危機的な実態を周知させ、この危局についての理解と協力を得る必要があると存じますが、総理の見解と決意をお伺いしたいのであります。 なお、原子力の開発利用こそが今後のエネルギー問題の解決の決め手であると思いますが、現在、東海村の再処理施設是非について、政府は重要にして困難な対米交渉を乗り切るべく最大限の努力をしておられます。ここにその労を多とするとともに、今後の交渉に当たっての基本姿勢について御所見を承っておきたいのであります。 次に、行政改革について伺います。 総理は、就任以来、行政改革に取り組む強い態度をとってこられました。さらに、去る六月には、世界の環境が変わってきた、家庭、企業、政府も対応の仕方を変えなければいけない、最も重大なのは機構改革であり、私はリーダーシップを発揮してやってのけたいと発言され、この八月をめどに行政改革に強い意欲を燃やしておられます。社会、経済の著しい変化に応じて行政需要も複雑多様化してきております。行政改革は、新しい時代の変遷、国民の要望に対処して、絶えず行政事務、機構、運営及び定員管理について見直し、能率的な行政を実現して、国民負担の軽減を図る必要があります。私は、今日の厳しい内外情勢と困難な財政事情のもとで、大がかりな行政の運営と組織の見直しを断行するという総理の英断を高く評価している一人でありますが、ここに改めて決意のほどを確認しておきたいのであります。 また、今後行政改革の具体案が本格的に提案されることと思いますが、行政改革本部の本部長に総理みずからが就任され、強力な組織によって国民注視の課題を解決すべきであると存じますが、その御決意をお答えいただきたいと存じます。 次に、外交問題について伺います。 総理は、近くASEAN及びビルマ六カ国を訪問されることになっております。これら開発途上のアジア諸国の歴訪に当たり、総理は、物心両面にわたる真の友人としての協力関係を確立するとの所信を述べられておりますことは、きわめて評価すべきことであります。高い人口密度、人口増加の中で、世界的不況、貿易の縮小、通貨不安、食糧不足等により深刻な打撃を受けているこれらの諸国がわが国の経済協力を求めていることは当然であり、これにわれわれもこたえなければならないことは言うまでもありませんが、私は、特に心の交流について特別の配慮と努力を行うべきであると信じます。結論的に申せば、アジア諸国民の立場に立って協力関係を確立するということであります。日本の経済協力が経済侵略との印象を与えておりますのも、この基本的な外交姿勢を忘れがちであったということに大きな原因があります。今後の協力関係に当たっては、相手に物を与えさえずればよい、相手に迷惑をかけなければよいなどというのではなく、相手の立場に立ってすべての問題を考え、人的交流、文化交流、すなわち、心の交流を重視し、アジアの一員として平和と繁栄を分かち合うよき隣人同士の関係をいかに育成強化するのか、それを基礎として経済協力にいかに対処するのかということがわが国の新しいアジア政策でなければならないと考えるのであります。(拍手)総理の御所見をお伺いいたしたいのであります。 最後に、教育について伺います。 総理は、教育は国政の基本であると申されております。激動と変革の時代を乗り越えていくためには、豊かな創造力とたくましいバイタリティーに富み、広い視野と心温かい人間性を持った日本人を育成することが肝要であります。そのためには、幼児期から、わが国の宝とも言うべき青少年の健全な育成を図る必要があります。家庭教育において、社会教育において、特に学校教育において、青少年諸君が新しい時代の経済社会生活に適応する知識や技術を修得することはもちろんのこと、同時に、われわわの先人が築き上げてきた日本民族のすばらしい精神文化や、よき伝統を維持し、後代に伝えていくという重大な使命感を養っていかなければならないのであります。(拍手)私は、戦後の教育の中で、個性に富み、合理的で率直な若者たちが成長してきた事実を評価しております。しかし同時に、忍耐力と社会連帯意識に欠け、郷土愛と祖国愛を忘れた新しい世代が多くなった事実も否定することはできません。総理が指摘されたように、新しい世紀が指呼の間に迫ろうとしているとき、この二十一世紀を担う国民の人間形成のために、政府は、国民全体、とりわけ教職員及び父兄の方々と一体となって、最善の努力を払うべきであります。総理の所信をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。 まず、今度の選挙、この選挙の結果をどういうふうに受けとめるかというお話でございますが、先ほど栗原さんにお答え申し上げましたとおり、私は、国民が政局の安定を望んだ、それがこの選挙の結果としてあらわれてきておると、こういうふうに理解しております。政局の安定と申しましても、これは、自由民主党を中心とするところの政局の安定ということ——いま自由民主党の改革問題に植木さんが触れられましたが、私は、自由民主党を中心とする政治の安定という、そういう国民の判断、審判のその背景といたしましては、自由民主党が昨年の暮れ新しい体制になった、その直後から党の出直し的改革に乗り出しておる、その点も国民がこれを評価してくれたと、こういうふうに思うのでありまして、自由民主党の総裁としての私の任務は、この自由民主党の出直し的な改革、これをさらにさらに推し進めまして国民の期待にこたえなければならぬと、かように考えておる次第でございます。 さらに国民は、自由民主党が、自由民主党を中心とする政局の安定、その上に立ってどういうことをなすべきかということにつきましては、これは私は、もう何をおいても当面この経済の安定だと、これをやってくださいと、こういうことだったと思うのであります。そういう立場に立ちまして、認識に立ちまして、私は——まあいろいろ問題はあります。外交の問題文教の問題、福祉の問題、いろいろあります。ありまするけれども、とにかくこの国民の願い、関心というものがどこに一番あるかというと、当面の経済のこの状態、これにあるという認識で対処してまいりたいというふうに存ずるのであります。 参議院の全国区制度についてお話を承りましたが、私は、全国区制というのは金がかかり過ぎる、また、選挙人にとりましても候補者の選定が非常に困難である、また、この短期間に候補者が広い地域にわたりまして選挙運動をするということ、これ自体がまた大変な問題じゃないか、そういうふうに思うのです。恐らく、今度の参議院候補者として闘われた皆さん、また、そうでない形におきましてこれに関係された方々、この全国区という制度は今日の状態で果たしていいんだろうかと、何とかしなけりゃならぬという感想を皆さんがお持ちになっておるんじゃないかというふうに私は見ておるのでありますが、私は、この問題が言い古されて長い問題になっておるけれども、今日ほど国民各階各層の者が全国区問題につきまして疑問を投げかけておるという時期はないように思うのです。鉄は熱いうちに打たなきゃならぬ、私はそんな感じがしてならないのでありますが、どうかひとつ、各党間で十分話し合いをされまして、いろいろ選挙制度の問題はありまするけれども、この全国区の問題をまず先駆けて決着をつけてもらいたい、かように考え、私も自由民主党の総裁として、そのような姿勢で立ち臨んでまいりたいというふうに考えております。 なお、植木さんから、二院制下の参議院の機能、運営につきまして御指摘があったわけでございますが、わが国の国会が二院制を採用しておりますのは、衆参両院の二重の審議によりまして民意をより正しく反映させる、また、議事の公正と慎重を期するという意味合いと、それからもう一つは、衆議院の機能が働かない、こういう際、つまり衆議院の解散というような際ですね、そういうような際に、国政としてできるだけ国会というものが機能をする、それにはまた第二院を必要とするんじゃないか、そういうようなところに二院制という一つの意味合いがあるんだろうと、こういうふうに思います。そういうような趣旨でできた二院制、その二院制のあり方につきましてはいろいろ御見解が述べられておるわけで、衆議院は数の政治だと、参議院は理の政治だと、また、衆議院は幅の政治であり参議院は深さの政治であるというような、いろいろなことが言われておりまするけれども、私は、参議院が二院制のもとにおいて果たすべき役割りを言い尽くしておるような感じがするんです。まあ、とにかくそのような意味合いにおいてこの二院制を運営していっていただきたいというふうに存ずる次第でございます。 次に、国民が最も期待しておるところの景気対策につきましてお話しでございますが、私は、五十二年度予算を編成するに当たりまして、六。七%成長ということを申し上げておるわけであります。この六・七%成長を実現するためには、これは設備投資、これに期待をすることが非常に困難である。つまり、今日の企業の情勢は総体といたしまして設備過剰の状態、そういう状態下において、この設備投資に景気回復の推進的役割りを期待することは、これは困難である。どうしてもまず経済を正常化する。それには、この設備過剰の企業状態、これを国全体としてなくするというようなことを考えなけりゃならぬ。そのためには、どうしてもこれは国が需要を喚起する政策をとらなけりゃならぬだろう、こういうふうに考えまして、御承知のように、公共事業、これを大幅に予算に盛り上げまして一しかも、それを早期に発注、契約をするということにいたしておるわけなんですが、先ほど栗原さんにお答え申し上げましたが、公共事業も、契約、発注をいたしたからすぐ物材の需要となるわけにもまいらない。第一.四半期に公共事業費の半分の契約を実行したわけでございまするけれども、その効果というものは、第二・四半期、七、八、九の時点で出てくる、こういうふうに思っております。ですから、今月あたりから公共事業執行の影響というものはかなり私は出てくる、こういうふうに見ております。おりまするけれども、とにかく六・七%成長、これは日本社会に活力を与える、このためにも、また国際社会に対応する構えからいたしましても、私はこれは必要であると、こういうふうに考えておるわけであります。もちろん、六・七といったって、コンマ以下がどうなるかと、こういうようなところまではなかなかハンドリングはそう的確にはまいりませんけれども、その周辺のところをねらいまして、どうしてもこれは実現をいたしたい、こういうふうに考える。これを実現をするにどうも不安があると、こういうような状態でありますれば、それに対しまして、そういう目標を実現するために必要な手段、これをとっていきたい。その手段につきましては、八月中の経済の動き、これをじっとにらんでいまして、そうしてどの程度の施策を必要とするかということを判断してみたい、さように考えておるのであります。その判断ができまして、そうして国会に御審議をお願いしなきゃならぬ問題が出てくるということになりますれば、これはなるべく国会を早期にお開き願って、そうして御審議願うようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。 先々の見通し、これにつきまして日本の経済社会が非常に不安を持っていると、こういうような御指摘でございますが、これは私いつも申し上げておるのでございまするけれども、高度成長時代を回想いたしまして、そうして夢よもう一度というようなことは、これはもう絶対に私は不可能だ、こういうふうに思うんです。これから資源・エネルギー有限時代である、その展望に立ちますると、これは、成長の速度というものは低ければ低いほどいいんです。しかし、そういう低い成長ということになりますると、これは失業の問題、雇用対策の問題等非常に困難な諸問題が出てくる。そういうこの日本経済社会に活力、こういう角度から言うと、もう高い成長ということになりますけれども、その高い成長、低い成長、この接点をどこに求めるかということだろうと思うんです。私は、いろいろ考えまして、これから当分の間の日本の経済の歩みというものは、まあ大体実質六%成長、その周辺を目指すべきものではなかろうかと、こういうふうに考えておりますが、いま今日この時点は非常に異常な状態なんです。つまり、まだ設備に過剰がある、労働力にも過剰がある、その過剰な設備と労働力を企業が抱えておる、企業が非常に経営困難な状態になっておるという異常な状態下でありますが、それをいま乗り切ろうとしているのが今日この段階でございます。この段階を乗り越えるということになりますれば、まあ大体六%成長、いわゆる安定成長路線に日本経済を定着さしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。 今日わが国の当面する問題は、何といたしましても、この日本経済全体のスケールを発展させなければならぬ、向上させなければならぬ、こういう問題が一つあります。しかし同時に、いま不況感、不況感と、この不況感が非常に広くみなぎっております。その原因のもう一つは、これは、いま御指摘のように、構造的不況業種の問題があるのです。通産省では十三業種と、こういうふうに言っておりまするが、これらにつきましては個別の対策を必要とする。その不況業種の多くに共通した困難は、何といっても設備過剰、こういう問題であります。当分の間、この設備過剰は普通の経済の歩みの中では解決できないという非常にむずかしい問題を抱えておるのであります。そういういわゆる構造不況業種に対しましては、設備の廃棄でありますとか、転業でありますとか、いろいろ長期的な対策を必要といたしまするけれども、しかし、当面、そういう企業が倒産というような事態に立ち至り、そしてその周辺の企業にまた連鎖的な影響を及ぼしてはならぬと、こういうことを考えますと、当面の施策といたしまして、金融上の施策、これは非常に周到に綿密にやっていかなければならぬというふうに考えて、そのような考え方でこの構造不況問題には対処をしておるんですが、なお、カルテル——まあ公正取引委員会が、この不況業種対策、これに対しまして積極的にカルテルの弾力的運用ということで対処せられるよう私は切に期待したいのであります。 また同時に、構造不況の問題に関連いたしまして問題になりますのは、これは雇用の問題なんです。平電炉や、あるいは繊維などの不況業種につきましては、雇用調整給付金制度の適用といたしまして離職者に対する雇用保険の給付日数を延長するなどの措置を行っておりまするし、さらに、本年十月一日から新たに雇用安定資金制度が発足するのでありますが、この制度の円滑な運用によりまして、職業転換に必要な教育訓練の助成をいたrなど、万全の対策をとってまいりたいと、かように考えておる次第でございます。 さらに、植木さんから物価問題についての所見を求められましたが、私は、予算の編成のとき、ことしの卸売物価は四・八%、また消費者物価は七・七%ということを申し上げたはずでございますが、卸売物価について見ますると、これは円高の影響が非常に響いておるのではございますけれども、非常に鎮静してまいりまして、非常に大づかみに言いますと、横ばいに近いような状態になってきておるわけであります。消費者物価の方は、それから半年とか若干のずれがありますが、その卸売物価の影響も受けてまいります。また、円高の影響を直接に受ける物品もあるわけであります。昨年の同じ月と比べまして、いわゆる年度間上昇率から見ますると、ことしは——先月は東京の消費者物価は八・一%ですか、高い水準になっておるんです。しかし、毎月毎月の動きとすると下落になっておる。恐らく八月は、去年が非常に鎮静した月でありますので、今月の現実の物価水準を昨年に比べますと、あるいは高い数字が出てくるかもしれませんけれども、昨年は九月以降この消費者物価動向というものは悪化しております。ですから、それの一年前の時点に比べますることしの物価の歩みということ、そういうことになると、九月以降はかなりいい数字が出てくると、こういうふうに見ておるのであります。いわゆる年度間上昇率七%台と、こういうふうに申し上げてきたわけでございますけれども、これは何としても実現をしなきゃならぬし、またこれは実現できると、かような確信を持っておる次第でございます。 なお、御指摘の円高による輸入品の為替差益を物価に反映させるというようなこと、それから流通機構を整備すべしと、こういうような御所見、これはもうごもっともなことでありますので、そのような努力をいたしておるところでございます。 さらに、沖繩県の振興開発のことにお触れになりましたが、私は、沖繩におととしも、ことしも行ってまいりました。皆さんの御意見を承り、また私もいろいろな調べもしてみておりまするけれども、復帰後五年、この間における沖繩の情勢、これは私は、豊かな沖繩ということを目指してやったわけでございまするけれども、その効果はかなり上がってきている、こういうふうに見ておるわけであります。県民所得全体といたしましても、かなりいいところまで来ておる。ただ沖繩は、世界全体がいま不況の状態である、そういう問題の中で、あの海洋博、あの反動不況、これがあるわけであります。そこで、失業率なんかは一般の水準に比べますると非常に高いところへ来ておる、非常に困難な状態に当面あると、こういうふうな認識をいたしておるわけでありまして、そういう認識の上に立ちまして、何とか雇用情勢を改善するための政府の施策、公共投資でありますとか、そういうことについて十分考えてみたい、かように考えておる次第でございます。 エネルギー問題及び食糧問題についていろいろ御指摘があったわけでございまするけれども、これの基本的な考え方は植木さんと私は全く同じでございます。ただ、ばらばら行政という御指摘でございますが、行政面に確かにまだそういう点があろうと思います。これも行政機構改革の中でよく検討してみなきやならぬ問題であるというふうに思っておりますが、今日におきましても、総合エネルギー調査会というような場がありまして、かなり精力的に総合的なエネルギー問題の検討をいたしておるわけなんです。しかし、これはもう御指摘の点もありますので、行政機構改革、そういう際にいろいろ考えてみたい。 また、食糧の問題でありますが、これも国民食糧会議というものがありまして、広く国民の意見も聞いておりまするけれども、要するに、こういう非常に基本的な問題は、やっぱり国民の協力、合意というものが必要だと思うのです。これは植木さん御指摘のとおりでありますから、これをどういうふうに取りつけるかということにつきましては、いろいろ工夫をしてみたいと考えております。 核燃料の再処理問題につきましての御所見でございますが、政府といたしましては、これは日米折衝、精力的にいまやっておるわけであります。アメリカにつきましては、核の不拡散ということを非常に強く押し出してきておる。わが国といたしましては、核の平和利用という主張を強力に主張しておるわけであります。この二つの主張というものは、私は、お互いにお互いの立場を理解したと思っているんです。つまり、アメリカの核不拡散の立場、これはわが国はよく理解した。また、わが国の平和利用の立場、これはアメリカは理解した。そういう段階に来ておりますので、何らかの妥当な結論が得られるのではあるまいか、それもそう時間を要するものではないということで最後の詰めの段階に入ろうとしておるのであります。 行政改革につきましては、これは非常に御協力をくださるという力強い御所見を承りましたが、これは何としてもやってのけなけりゃならぬ問題だ、こういうふうに考えておる次第でございます。福田、おまえ行政改革本部長にみずから就任せい、こういうお話でございますけれども、この行政改革本部長に私がならぬでも、本部長と緊密な連絡をとり、一体の関係で推し進めておりますので、その辺は御安心を願いたい、かように考えておる次第でございます。 アジア外交について植木さん御自身の御所見が述べられたわけでございますが、これは全く私は同感であります。アジア諸国との接触が、何といたしましても、いままでは物と物との交流、物と金との関係でずっと来た、こういうような感じがしてならないんです。やっぱり物と金がアジア諸国とわが国との間に動くにいたしましても、それは相互の理解、よき友人としての関係の定着、その上に立ってのことでなければ何の意味もない、こういうふうに考えます。御所見のとおりな考え方で対処してまいりたい、こういうふうに考える次第でございます。 最後に、教育問題についてその重要性を強調され、私の意見を求められたわけでありますが、私も、教育問題、これはわが国の基本的な大問題である、こういうふうにとらえておるのであります。とにかく、これから資源・エネルギー有限の時代に入っていく。わが国の前途というものは、そういままでのようにたんたんたるものじゃないのでありますが、やはり私は、そういう際において、日本の国が頼みとするところは日本人だと思うのです。どこの国のどなたにもすぐれた日本人であるという日本人をつくり上げれば、私は、道は険しくとも、また、いかなる変化があろうとも、それに対応する能力というものを発揮し得る日本人である、こういうふうに考えておるわけでありまして、ことし、この年は経済の問題である、こういうふうに申し上げておりまするけれども、少し長期な基本的な問題として、私は、教育の問題、これを国政のかなめとして取り上げてまいるという決意を申し上げまして、お答えといたします。(拍手)
○議長(安井謙君) これにて午後一時三十分まで休憩いたします。 午前十一時四十四分休憩 —————・————— 午後一時三十三分開議
○議長(安井謙君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。田代富士男君。 〔田代富士男君登壇、拍手〕
○田代富士男君 私は、公明党を代表して、総理の所信表明に関して、現在わが国の国政に係る重要課題について、総理並びに関係各大臣に質問をいたします。 昨年末の衆議院選挙に続いて今回の参議院選挙の結果も、自民党は後退を余儀なくされ、無所属で当選した議員を自民党に加えて辛うじて過半数を超えるという、まさに与野党均衡の時代を迎えたのであります。国民の政治選択は、自民党の単独支配による対決の政治より対話の政治への志向を強め、新しい政治を待ち望む声が僚原の火のごとく次第に高まりつつあることを示しました。自民党総裁である総理が、もし今回の選挙結果から、得票率三割台の自民党が勝利であり、国民の信任が与えられたと考えるならば、錯覚もはなはだしいと言わねばなりません。総理の見解を伺っておきたい。 いまやわが国は、内外に山積する多くの問題を抱え、政治の果たすべき役割りはますます重大となってきました。本院では、いわゆる逆転委員会は九つを数え、それだけに私たち野党の責任も一段と重みを増してきたことは、ひとしく認めるところであります。このような状況の中で、総理は、連帯と協調のもとに新しい日本を築くことを明言しておりますが、総理の言う連帯と協調とはどういう内容のものなのか、今後の国政にどういう姿勢で取り組むのか、しかと承り、以下、当面のわが国の内外にわたる諸問題について質問してまいりたいと思います。 第一は、景気回復の見通しと対策についてであります。 「経済の福田」と言われる総理が石油ショックのとき全治三年と見立てた経済見通しは、いまや完全に崩れ去り、四年目の現在、回復の前兆すら見出すことができません。生産は伸びず、企業の倒産件数は史上最高を記録し、失業者は五月末で百九万人となり、また、個人消費は停滞し、民間設備投資は冷え切るなど、景気は依然として低迷し続けているのであります。先進国首脳会議において総理が公約したとおり、国際的にもわが国への景気刺激圧力が高まるなど、景気の着実な回復はいまや最大の緊急課題であります。 しかるに、今年度公共事業費の七三%もの前倒しにもかかわらず、なおこうした低調が続いており、しかも、下半期には公共事業費はわずか二七%しか残っておらず、景気回復の息切れはもはや必至であります。総理は、この景気回復の見通しの狂いについてどう見ているのか、また、一体景気はいつになったら上向いてくるのか、それで実質六・七%の成長は本当に可能と考えているのか、明快なる御答弁をいただきたい。 次に、景気対策と補正予算の取り組みなどについて伺いたい。 さきの国会において、総理は、補正予算についてはその必要性を全く認められなかったが、景気回復の足取りから、金利の引き下げを含む総合的な対策を打ち出すとの報道があるが、現状では六・七%の成長率を達成するにはどの程度の補正予算を組む必要があると認識しているのか、総理並びに大蔵大臣にお尋ねしたい。 特に私は、真の景気回復、不況克服には、一部の大企業のみが優遇される港湾、鉄道、架橋等の大型プロジェクトではなく、地方財政の強化を図りつつ、住宅、学校、病院、保健所等、国民生活と最も不可欠の公共事業こそ中心とすべきと思うが、どうか。中でも、住宅建設に関しては、中古住宅建てかえへの公庫資金の融資などを含む住宅金融公庫の融資枠の拡大、民間住宅ローンの金利の引き下げ等によってその促進を図ることも景気回復の推進力となると考えるが、あわせて総理並びに大蔵大臣の補正予算に対する方針を伺いたい。 次に、中小企業問題について伺っておきたい。 一つには、企業倒産に伴う連鎖倒産を防止するため、中小企業信用保証協会を窓口として、関連企業が倒産し債権回収が困難となった場合に保険金の給付を受け取ることができるという、関連倒産防止保険を創設すべきであると思うが、どうか。 二つには、中小企業の仕事量を確保するため、国、公社、公団等の中小企業向け官公需を五〇%確保を目標に、分割発注、共同受注の促進等を強力に推進すべきであると思うが、あわせて総理、通産両大臣にお伺いしたい。 第二に、物価問題についてであります。 物価対策の基本は、何といっても公共料金政策のあり方によって大きく左右されるのであります。公明党は、この公共料金のあり方については、あくまでも国民生活優先を基本に、国民福祉料金体系を取り入れるべきことを強く主張するものであります。すなわち、従来の公共料金政策は、個々のサービスについてそれぞれ独立採算的に受益者負担の原則だけで決定されてきたのであります。しかるに、国民福祉料金体系とは、これとは異なり、受益者負担の原則、所得応能負担の原則、生活必需的サービス最低保障の原則の三つの原則に基づいた総合的な公共料金体系であります。総理はこの国民福祉料金体系についてどう考えているか、まずお伺いし、物価に臨む姿勢について若干お伺いいたします。 まず、現在一年定期預金の金利の五。七五%に対して、六月度においては消費者物価は八・五%であり、その差は二・七五%と開いております。これがこのたびの景気総合対策の一環としてさらに預金金利が下げられるとすれば、ますますその差が大きくなりますが、福田内閣は消費者物価の上昇率を定期預金の金利水準以内にとどめるといった目標を放棄したのかどうか、総理に伺いたい。 次に、為替レートの円高の物価への活用策について伺いたい。 政府は、先般来、輸入品の追跡調査を約束しておりますが、その結果はどうなったのか。また、円高が価格の引き下げに反映されていない場合、強力な値下げ指導が必要であると思うが、これらの点について総理の御所見を承りたい。 第三に、税の不公平の是正についてであります。 大企業や有資産者を優遇rる租税特別措置や、法人税の各種引当金、所得税の分離課税などの徹底的な改廃、土地や有価証券など資産、不労所得の課税強化を図るとともに、富裕税の創設を提言したい。総理並びに大蔵大臣にお伺いしたい。 また、税制調査会の審議で打ち出されている所得税や一般消費税の増税は大衆課税の強化につながるものであり、断固反対するものであります。中でも、付加価値税は負担の不公平や物価高を引き起こし、消費者の生活と中小企業の経営を圧迫するものであり、その導入については国民からも厳しい批判があります。この際、付加価値税導入についての総理並びに大蔵大臣の御見解を承りたい。 第四に、行政改革についてであります。 総理は、さきの国会において、この八月までに行政改革の具体案をまとめる方針を明言されました。行政改革は歴代内閣の実行力を測定するバロメーターとも言われております。まず総理が強いリーダーシップを発揮し、改革の実現を目指すべきであります。決意のほどを伺いたい。 次に、今回の行政改革に当たっては、事務的、機械的に一律削減するとか考えられているようでありますが、単に目先の効果のみにとらわれることなく、まず行政制度の仕組み、組織体制等について、財政制度の改革ともあわせて抜本的に見直しが必要であります。今回の改革に当たってどのような見直しを行っているのか、総理に伺いたい。 第五に、資源・エネルギー問題についてであります。 近い将来、石油危機が到来することは国連の機関その他が強く警告しております。わが国として石油をどう確保するか、石油依存率をどう下げるか、石油以外の新しいエネルギーをどう開発するか、総理の考えをお伺いしたい。 特に原子力については、安全性について専門家の間でも十分な裏づけが保証されず、国民の十分なる納得とコンセンサスが得られておりません。このようなときに性急に原子力発電所の建設を促進すべきでなく、むしろ多発する事故の原因究明、廃棄物処理処分体制、低レベル放射能の影響等の解明に全力を挙げるべきであります。さらに、産業構造の転換を図り、抜本的、長期的エネルギーの節約対策を強力に実施することこそ先決であります。総理並びに通産大臣の見解を伺いたい。 第六は、教育問題についてであります。 現在の教育界には、たとえば大学の自治に触れるとはいえ、大学入試にまつわる問題として巨額の寄付金要求と点数の不正水増しや入試問題漏洩事件があり、その他、心ない教師の事故や、さらには受験地獄、乱塾時代、落ちこぼれ、無気力・無責任・無関心・無感動の四無主義など、実にさまざまの憂慮すべき問題があふれ出しているのであります。総理として、この教育の現状を正しく認識するならば、所信表明のこの機会に当然言及すべきであるにもかかわらず、総理は全く触れることなく過ごされており、教育への熱意のなさに私は深く失望するところであります。ただいま申し上げた社会問題化する教育の現状を総理はどのように認識しておられるのか。さらに、教育問題解決への決意とその方途について、まず総理の御見解をお伺いしたい。 次に、大学入試制度についてお伺いしたい。現在、国立及び公立大学において昭和五十四年度入試の実施の方針が決定されつつありますが、共通第一次学力検査の予備選抜への利用や、第二次学力検査の科目数の減少が十分でない大学が相当数見られ、多年の準備と多額の経費がかけられた第一次テストの軽視や受験生の過重負担が危惧されるところであります。文部大臣は、この現状をどう認識し、今後どう対処をするつもりか、お伺いしたい。 次に、各学校が個性を持ち、教師の自主性が発揮される生き生きとした人間教育の場に変革していくことが急務であります。その変革のバネとして、学校を地域、父母に開かれた存在とし、学校、教師と地域住民、父母が人間教育を創造するために意見をぶっつけ合い、お互いに教育し協力する体制、すなわち、親協議会といった地域に根差した教育広場づくりに取り組むべきだと思うが、文部大臣の見解を伺いたい。 次に、総理が参議院選挙中に打ち上げられましたいわゆる教育ローン構想は、その後文部省の反対に遭って引っ込められてしまったような状態でありますが、総理の教育に対する無定見を暴露したものとして世論の厳しい批判があるのであります。もとより教育ローン構想は小手先の選挙目当ての政策とはいえ、一国の総理の公約としてはお粗末に過ぎはしないか、総理にお伺いしたいのであります。 第七に、国鉄問題であります。 国鉄の昨年の運賃値上げ後の状況を見てみますと、利用客の国鉄離れがはっきりとあらわれ、このことは、国鉄運賃の値上げが、もはや利用客の負担能力の面からも、また、他の交通機関との競争面からも、限界に来ていることを明確に示しているのであります。ここに至って、政府は、グリーン料金等の値下げ、九月から予定していた一九%の運賃値上げの見送りなどを余儀なくされております。政府は、国鉄財政の立て直しを真剣に考えるならば、現在の国鉄再建対策要綱を抜本的に改め、国民の同意を得られる新たな観点に立った国鉄運賃制度のあり方、国の助成、経営の合理化等についての具体的な国鉄再建案を明示すべきであります。かかる見地からすれば、現在衆議院において継続審議中の国鉄運賃法及び国鉄法一部改正案は当然撤回されるべきものであり、総理並びに運輸大臣の考えをお伺いしたい。 関連して、大都市における交通問題について伺いたい。首都圏の国鉄の混雑状況は、総武線、高崎線など、通勤時に定員の三倍近いという異常な混雑を記録しており、うだるような暑さと人いきれは、まさに異常としか言いようがないのであります。大阪では、既設の城東貨物線を利用して、現在の国鉄環状線の外側を大きく囲む外環状線の必要性が叫ばれて久しく、昭和四十六年には都市交通審議会からいわゆる十三号答申も出されております。また、道路交通の渋滞緩和のため期待されているのが阪和線の高架化であります。あわせて、現在工事中の片町線の複線化については完成の目標はいつごろか、以上三点を運輸大臣にお伺いいたします。 第八に、当面する外交の諸問題についてお伺いしたい。 総理のASEAN諸国訪問については内外から注目されているところであります。わが国の東南アジア諸国への経済進出は目覚ましいものがあり、一方、原材料の多くはこれらの国々から輸入しているわが国にとって、これら諸国との関係はまことに重要と言わねばなりません。しかし現実には、さきの田中元総理訪問の際に見られたように、東南アジア諸国の反日感情はまことに厳しいものがあります。総理はこのようになった原因がどこにあると考えているのか、お伺いしたい。 また、今後の東南アジア諸国との外交において、どのような姿勢で臨むのか、これら諸国に対してわが国はどのような役割りを果たそうとされるのか、基本姿勢を伺っておきたい。 今日までのわが国の経済援助は特定の国に偏り、しかも一、経済援助をめぐる種々の政治疑惑が生じていたのであります。また、経済援助も民間ベースが多く、しかも相手国の立場に立ったものでなく、わが国中心の考えであったこともこれらの諸国の反日感情の原因となっていることが各界から指摘されております。これでは税金のむだ遣いと言わねばなりません。わが国の経済援助のあり方の根本的改革が必要でありますが、総理のお考えをお聞きしたい。 次に、日中平和友好条約の締結の問題でありますが、日中共同声明発表よりすでに五年、いたずらに延ばすことは好ましくありません。平和友好条約締結への条件はすでにできており、あとは政府の決断のみと思うが、総理の考えはどうか、お伺いしたい。 また、日ソ間の北方領土問題の解決にどう取り組むのか、伺っておきたい。戦後すでに三十二年を経過しており、さらに時間を経過させることは北方四島の日本への返還をますます困難にさせる方向にあることは当然であり、なおざりにできない緊急の課題であります。政府の今後の取り組む姿勢をしかと伺っておきたい。 また、日韓両国に横たわるさまざまの問題についてお伺いしたい。KCIAの活動への疑惑、金大中事件の政治決着、ソウル地下鉄入札問題、日韓経済関係の疑惑など、これらの問題については米国議会での証言であり、その信憑性がきわめて高いだけに、国民は一層その疑惑を深め、政治不信をつのらしていると言ってよい。総理は、これらの疑惑の解明と国民の政治不信一掃のため、いかなる決意でおられるのか、お伺いしたい。 次に、昨日より朝鮮民主主義人民共和国が経済水域二百海里を実施したことが報ぜられております。しかし、経済水域二百海里設定についての詳細な内容が明確でないため、北朝鮮海域で操業している千五百隻に上るわが国関係漁業者はその対応に苦慮しております。外交関係を持たないわが国としてはどう対応していくのか、総理に伺っておきたい。さらに、昨日はあわせて軍事境界も設定された様子だが、見解をお伺いしたい。 最後に、総理が東南アジアに出発される予定の八月六日は、広島に原爆が投下され、満三十二年目の痛ましい記念の日であります。この日の記念式典にはアメラシンゲ国連総会議長も出席する予定となっています。二つの被爆体験を持つわが国こそ、核兵器なき世界平和の実現に先駆を切って努力すべき使命があります。しかし、今日までの日本政府は、わが国がアメリカの核のかさのもとにいるという理由から、世界への働きかけも全く弱腰であったことは、今回の国連総会議長の日本訪問が日本政府によってではなく、広島、長崎両市によって行われたことからも明らかであります。アメリカ政府は、建物に被害を与えず人を殺傷する恐るべき中性子爆弾の製造に着手すると言われております。かかるときに、秋の国連総会を控え、また東南アジア訪問を前に、核兵器なき世界平和実現に向かってどのように努力していくのか、総理の真剣な決意をお伺いして、質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。 まず、参議院議員の通常選挙、この結果をどう踏まえるかというお話でございますが、私は、田代さんがおっしゃっておるように、勝った勝ったなんといって、そんな不遜な態度はとっておりません。まあ、国民がこの選挙を通じて政局の安定を強く望んでおったということがこの選挙の結果に示されておるということを申し上げておるわけであります。私は、この選挙の結果いかんにかかわりませず、かねて申し上げております協調と連帯と、この考え方で国政に当たってまいりたい、特に国会に対処してまいりたいと、かように考えております。 私がそう申し上げるのは一体どういう趣旨かというようなお話でありますが、これは通常国会の施政方針でつぶさに申し上げたんですが、私は、協調と連帯、これはもう近代社会における一人一人の個人の処世の基本原理でなけりゃならぬと思うのです。人間は一人で生きていくわけにはいかない、やっぱり人間は自己をみがかなけりゃなりませんけれども、そのみがいた成果を人に分け与える、また、他人のみがいた成果も受けとめる、そうして相互いに補い合い、助け合いまして、そうして共同の力によってこの自分というものがさらに一段と伸びていく、私は、そういう仕組みとしてこの社会というものはあるんだろうと思うのです。社会がよくなるその中で個々の人間というものもよくなっていくんだと、こういうふうに思います。同じことが国際社会でも言われるのじゃないかと、こういうふうに思います。つまり、一つ一つの国が幾ら一つ一つの国だけでよくなろうといたしましても、それには限界がある、やっぱり国々が相寄り、相助けて、相補い合って、そこに世界社会というものができてくる、その世界社会が平和であり、繁栄するその中で、本当に個々の国の平和もあり、繁栄もある、こういうふうに思うのでありまして、そういうような考え方で国際社会にも臨まなきゃならぬし、また、各党間の話し合いにつきましても、これは一党の力では限界があります。どうしても補い合い、助け合うというところでやっていかなけりゃならぬだろうと、こういうふうに思うのでありまして、この姿勢は、私は今後とも堅持してまいる決意でございます。 次に、経済、景気の問題につきましてのお話でございますが、六・七%成長はこれは達成できるのかというお話でございますが、ぜひこれを達成したいというふうに考えております。まあ、六・七という、この端数のついた、そういうところへきっちり来るかどうか、これはもうわかりませんけれども、その周辺のところには今年度の経済成長の勢いというものを持っていきたい。で、いまじっと経済の動きを見ているのです。もしその周辺にわが国のことしの経済というものが動いていかぬという際におきましては、臨機機動的な対策、方策を打ち出さなければいかぬと、こういうふうに考えておるわけでありまして、まあ、六・七%成長をねらいといたしまして五十二年度予算の編成がなされたわけであります。これが実施段階に入った。しかし、実施段階に入りましたけれども、その効果が直ちにあらわれてくるわけじゃないので、やっぱり四−六、第一・四半期、この財政運営の成果というものは、第二・四半期、つまり七−九の期間にあらわれてくるんじゃないか。そういう意味におきまして、私は、八月の経済の動きというものはこれは非常に重大であると、こういうふうにながめておるわけであります。これをしっかり八月の動きをつかみ取りまして、このはだにつかみ取りまして、そして六・七%周辺の成長が達成できるかできないか、できないとすればどういう手段が必要であるかということを打ち出してまいりたいと、かように考えておる次第でございます。 そういう中におきまして、田代さんが、大型プロジェクトよりも生活関連の公共事業、これに重点を置くべきじゃないかというようなお話でございますが、私も、これはもう、もとよりそのとおりに考えておるわけでありまして、この私の考え方は、るるさきの通常国会においても申し上げたとおりでございます。そういう中の住宅公庫融資なんというものは、これはもう景気との関連も非常に多うございますし、また、生活環境整備という上からも重要なものでありますので、この上とも重視してまいりたいと、かように存じております。 またさらに、中小企業問題にお触れになりましたが、私は、いま、とにかく三年半の不況でございまするから、もう中小企業といわず、大企業までがほんとに四苦八苦しているんじゃないかというふうに思います。まして、力の弱い、小さい立場の中小企業の困窮、これは本当に胸の痛むものを感ずるのでございまするけれども、それにはどうしても一般の経済力をわが国経済につけていかなきゃならぬという問題があります。そのための施策はとりまするけれども、同時に、その中で中小企業への特別な対策もまたこれ必要であると、こういうふうに考えておりまして、いま御指摘の、官公需の中小企業向け発注、また分割発注、共同発注、こういうようなことにつきましてもきめ細かな配慮を使っておりまして、五〇%の官公需を中小企業に向けるというようなお話ですが、そこまではなかなかむずかしい。むずかしゅうございますが、精一ぱいの努力をいたしてみたい、かように考えておる次第でございます。 それから物価問題に関連いたしまして、公共料金が非常に重大だという御意見であり、その公共料金の算定につきましては、まあ、トータルプランですね、公明党のあれで提唱されておる公共料金算定三原則、生活必需サービス最低保障、受益者負担、所得応能負担、こういうことを強調されましたが、この生活必需サービスの最低保障でありますとか、所得応能負担でありますとか、これはなかなか考え方として適用が非常にむずかしいのじゃないかと思います。私は、公共料金の決定は、これは受益者負担に従ってやる、そうしてそれが所得負担との調整問題があるとするならば、これは別途社会保障的見地で処置するという考え方の方が妥当じゃないかと思うのです。所得に応じまして汽車の切符が違いますなんていう、そういうことじゃなかなか対処し切れないのではあるまいか、さように考えます。しかし、お気持ちはよくわかるんですね。お気持ちはよくわかりますので、じゃ、受益者負担ではいきまするけれども、でき得る限り応能負担というような面も取り入れていくということにはやぶさかではございません。しかし、中心はどこまでも受益者負担でなければならぬという亡とを強調しておきたいのであります。 それから消費者物価上昇水準でございますが、今日確かに非常に高いです。ことしの消費者物価の年間上昇率の目標は七・七%、こう置いておるわけでございますが、七・七%なんというのは、これは非常に高いんです。しかし、国際物価が上がってくる、それから賃金も八%、九%上がりますと、そういう環境の中で、これは物価をそう低位に安定させるということはむずかしい。物価も賃金も、海外の物価も、みんなこう、だんだんと安定していくことが私は望ましいと思うのでございまするけれども、これはだんだん順を追っていかなければならぬ。ことしは何といたしましても七%台の水準を実現したい、こういうふうに考えておるのでありまして、政府の五十年代前期見通しにおきましては、五十五年度までに六%以下にする、こういうふうに申し上げているんですが、それ以前にも、とにかくそういった目標を早く達成いたしたい、その努力をしていきたいというふうに考えるのであります。 次に、税制の問題にお触れになられました。不公平税制を是正しろ、これは五十二年度予算御審議の過程におきまして、与党、野党の間で五十三年度におきましては税の特別措置を洗い直すということをお互いに約束をいたしておるわけであります。その考え方に従いまして対処いたしていきたい。それから長期的展望といたしますと、どうしてもこの数年間のうちには国民の負担がかなりふえざるを得ない、財政は非常な窮状に立っておる、それから他方、社会保障その他の関係の諸費用は増高の傾向である、そういうことを考えますと、どうしても国民の負担を現状のままで置くということはなかなかむずかしいんです。その場合に、所得課税に打開の道を持っていくか、あるいは資産課税に持っていくか、あるいは消費課税に持っていくか、これはいろいろ検討しなければならぬわけであります。大蔵省においていまこれを検討いたしておりますが、いまどの税をどういうふうにするという予断はいたしておりません。 行政改革に対しての私の決意はどうかというお尋ねでございますが、先ほど来るる申し上げているとおり、行政改革は、これはもう政府がここで率先してやらなければならぬことである、こういうふうに思うのです。しかし、これをやろうといたしますると、これはもう各方面から非常な抵抗があるだろう、こういうふうに思うわけでありますが、どうかひとつ、決意を持ってやりますから、御協力のほどをお願い申し上げます。 また、エネルギー問題につきましていろいろ御意見がありました。石油の供給を確保せよ、これはもう今後も相当の期間にわたりまして石油依存度は依然として高いと思うのです。そういう際で、石油の供給確保につきましては内外にわたりましていろいろな施策を講じなければならぬだろう、こういうふうに思いますが、しかし、そういう間におきましても、石油依存度の引き下げということは、これはもうどうしてもやってのけなければならない。これは、地熱でありますとか、太陽熱でありますとか、新エネルギー、いろいろ考案はされておりまするけれども、その実用化というか、そういうことになってまいりますと、さほど実質的な影響力のあることにはなるまいと、こういうふうに思われるのでありまして、やっぱり実質的に大きな力を持っておるのは原子力エネルギーであると、こういうふうに思いますので、原子力エネルギーの開発、推進につきましては、今後とも大いにこれを進めてまいりたいと、かように考えております。そういう立場にあるわが国でございまするけれども、やっぱりこの問題は国民のコンセンサスを得なければ実現はできないわけでありまして、特に安全の問題につきましては配慮してまいりたいと、かように考える次第でございます。 原子力発電所の建設よりも廃棄物処理体制、低レベル放射能の影響などの解明に力を注げと、こういう御所見ですが、それはもうもとより大事なことでございます。ございまするけれども、原子力エネルギーの安全を確保しながらその開発を進める、この大目標、これはどうしても推し進めなければならぬところであると、さように考えておる次第でございます。 なお、他面、省エネルギー政策を進めろというお話でございます。これはもう当然のことでございます。もう少しエネルギーを大事にする、家庭においても企業におきましても、国におきましてもしかりと、こういうふうに思いますが、この方向は強くこれを進めていかなければならぬ問題である、さように考えております。 また、教育問題に所信表明で触れなかったのはおかしいじゃないかというお話ですが、私は、今度の選挙はとにかく政局安定を国民が期待する、その安定した政局の上に立って当面は経済の安定を図れ、つまり、景気対策、物価対策、これを推進せよということであったというふうに受けとめておるんです。そういうことから、所信表明では、特に経済問題、それから当面する外交の問題に触れたにとどめたということでありまして、教育の問題につきましては、私は、これは国の基本にかかわる問題として非常にこれを重視しておるわけであります。いよいよ資源・エネルギーの有限の時代がやってきた、そういう中で、資源に、エネルギーに乏しいわが国が歩む道というものは、これは本当に狭く険しい道だと、こういうふうに思うんです。その狭く険しい道をどうやって切り抜けるかという、そういうことになれば、やっぱり私は、これは人材開発、それ以外にはないと思うのです。そういうことで、これからの政治の大きな課題は、国づくり、人づくりである。人づくり、人間開発であると、こういうふうに言っておりますが、文教の問題は、これは当面というどころのものじゃない。もうこれからの日本政治のかなめに座るべき問題であるというふうに受けとめて、今後ともこの問題を重視し、推進してまいりたいと、かように考えております。 なお、これに関連いたしまして、私が選挙中に教育ローンということを言ったんです。それが何か文部省の反対で私が引っ込めたというようなお話でございますが、どこからどういうふうな情報でそんなことおっしゃるのか存じませんけれども、教育ローン構想というのは、確かに私は選挙中に、つまり、教育の問題とすると何としても一番大事なことは教育の機会均等ということである、この機会均等、これを実現するためにいろんな方策を考えておるが、その中の一つとして教育ローンということを申し上げたんです。この教育ローンは、いま金融機関において実施の準備中でありますので、誤解のないようにお願いしたい。 国鉄二法はこの際撤回して、国鉄再建に対し抜本的に取り組めと、こういうお話でございますが、この国鉄二法につきましては、これは政府におきましても検討に検討した結果、あの御提案をいたしておるわけでありまして、いま継続審議中でございまするけれども、せっかく引き続いて御審議のほどをお願いしたい、かように考えております。 東南アジア諸国における反日感情、この原因はどうかというお話でございます。確かに、私は、一時期におきまして、この東南アジア諸国におきまして、わが国の国民に対して思わしからざる、思わしくない感情があったということ、時期があったというふうに思うのです。つまり、高度成長期にどうっと財界が進出する。何か経済社会が、先方の国々から見ますと、荒らされているような感じを持つような側面があったんじゃないか。また、財界人でありますとか、あるいは一般の旅行者でありますとか、そういう人たちの現地の方々に対する接触の仕方、そういうものがどうも本当の友人というような接触の仕方でない、何か物と金で結ばれているような色彩が強かったというような事情があったんじゃないかと思いますが、最近そういう傾向がかなり緩和されてきておるというふうには考えておりますが、なお完全にそういう色彩がなくなったというふうにも考えないのであります。私は今度ASEAN諸国を歴訪いたしますが、みやげをぶら下げていって、それをばらまいて、そして、よってもって歓心を買うというような行き方はいたしません。私は、アジア諸国との接触は、本当に真の友人として、連帯と協調の中で、本当に心の触れ合うところの接触でなければならぬ、こういうふうに考えているんです。そういう心と心の触れ合いの上に立って経済上の接触が出てくるという姿にぜひこのアジア諸国との接触は持っていきたい、そういうふうに考えておるのであります。いまASEAN五カ国の間に、相協力いたしまして自立いたしましょうと、こういう努力の傾向が始まってきておる次第でございます。このASEAN五カ国が相協力して自立する、自立するというか、国力が充実される、そういう反面、インドシナ半島におけるベトナムなど三国が、また対立の関係がASEAN諸国との間になくなっていくというようなことになると、全体としてアジアは非常に平和な状態になってくるんじゃあるまいか、わが国は外交の考え方として、そのような方針のもとで立ち臨んでいきたいというふうに考えておる次第でございます。 日中平和友好条約に対する私の考え方は、これは先ほど来るる申し上げているとおりでございまして、この日中共同声明、これを忠実に守るということであります。その中には平和友好条約を締結するということになっておるわけであります。その方向で努力をいたしたい、かような考え方でございます。 日ソ間の問題も、いわゆる北方領土問題、これを解決いたしまして、そうして平和条約を締結する、これが基本的な考え方でございます。しかし、なかなかこの北方領土問題というものは、そう簡単に片づくという展望は持ち得ないようなむずかしい問題でございます。まあしかし、そういう中でも、文化の交流、あるいは貿易、あるいは経済開発、そういう面、あるいは漁業、そのようなことで日ソの間の接触を友好的なものとし、逐次そういう面も積み上げながら最終の目標に到達したい、かように考えておる次第でございます。 日韓問題にお触れになりましたが、金大中事件につきましては、これもるる申し上げておるのでありますが、政治的にはこれは決着済みとなっておるのであります。いま、しかしながら、わが捜査当局は捜査を継続中であります。捜査の結果、わが国の主権が侵害されたというような事実が明らかになるというような段階におきましては、この政治決着につきましても再検討しなけりゃならぬだろう、こういうふうに考えております。 また、癒着の問題ですが、いろんなことがアメリカあたりから言われてくる。最近は金炯旭氏がいろんなことをしゃべっておるというような報道が行われますが、この人は、これは八年前にもう韓国の情報部長をやめておる方なんですよ。その人が四年前に起こった金大中事件の実相なんかにつきまして権威ある発言をなし得る立場に私はないと思うのです。そういう人の一言一句につきまして、とやかく騒ぎ回るというようなことは、これはちょっと私は解しかねるのでございまするけれども、しかし、そういう伝聞的な発言の中、伝聞を根拠とする発言の中におきましても、参考となるものがありますれば、これは取り上げているんです。たとえば、金炯旭氏が金在権氏と会談したというような話が述べられておりまするけれども、その会談等につきましては、これは金在権氏に聞けば話はわかるわけですから、これは接触してみるということにつきまして、いま検討をいたしておるわけであります。 それから朝鮮民主主義人民共和国の二百海里実施に対しまして、外交関係のないわが国としては、漁民の操業確保等にどう対処するかというお話でございますが、遺憾ながら、いま、朝鮮民主主義人民共和国との間にわが国は外交関係を樹立する、こういう条件が整っておりません。そういう中におきまして、朝鮮民主主義人民共和国では二百海里宣言をするというようなことになってきたわけでありますが、これにどういうふうに対処するか、これはやっぱり民間協定というようなことを考えるほかはないんじゃないか、さようなふうに考えておるのであります。 また、朝鮮民主主義人民共和国が軍事境界線を引いたが、これに対してどういう対応をするか、こういうお話でございますが、これはそういう情報をきのう聞いたんですが、内容はさっぱりまだわかりません。まだ対応の仕方について決めた考え方は持っておりません。まあ、さようなことでございます。(拍手) 〔国務大臣坊秀男君登壇、拍手〕
○国務大臣(坊秀男君) お答え申し上げます。 実質六・七%の経済成長をやるのには一体補正予算をどういうふうにすればいいかという御質問でございますが、この点につきましては総理から詳しくお述べになりましたから、私も総理と全く同じ見解でございますので、差し控えさしていただきます。 それから、住宅公庫をひとつ充実したらどうだと、こういうお話でございますが、それにつきましては、五十二年度の貸付枠の下期九万戸というものが残っておるのでございますが、その九万戸の中で五万戸というものを八月に繰り上げてこれを募集するということになっておりまして、相当これは効果を上げるものだと、かように考えております。 それから、租税の公平について御意見がございましたが、全く同感でございます。租税の目的というものは、これはどうしたって租税が公平でなければその目的を達成するということができないと私は思うのでございますが、それにつきまして、たとえば租税特別措置法だとか、あるいは法人税の各種の引当金だとか、あるいは所得税の源泉分離といったようなものだとか、あるいは証券課税を強化するとか、富裕税を考えたらどうかと、こういう御意見でございますけれども、非常に問題は広範にわたっております。そういったような広範にわたっておるものにつきまして、全部それはそのとおりでございますと、こう言うわけにもまいりませんけれども、いずれにいたしましても、租税の公平ということは、負担の公平ということはどうしても考えていかなければならないということでございますので、今後も鋭意これを考えてまいりたい。いずれにいたしましても、財政の健全化を図っていくためには、税制の改正をやりまして、ある程度のこれは負担の増強ということも中期税制において考えていかなければならないということに相なりまするならば、やはり私は、租税の公平ということをまず前提としてこれをやっていかなければなるまいと、かように考えておりますが、そういったような点につきましては、今日鋭意税制調査会でやってもらっております。 それからまた、いま何税をどうするというようなことをここで皆さん方に申し上げる段階には至っておりませんけれども、いずれにいたしましても、租税を整備していくというためには、租税の中には、御案内のとおり、所得税、法人税等の直接税、それから間接税、それから資産税といったようなものがございますが、そういったようなものの各税の中で、一体どの税を増強していく、負担を強くしていくというようなことにつきましては、これは何といたしましても、やっぱり国会を通じて国民の皆さんにその御選択を願うというようなことに私は持っていくべきものであって、所得税が世界の各国の税に比べてやや低いから所得税を上げようというような意見もありますけれども、それはやはり世界各国には世界各国の課税の受け入れる状況というものが、必ずしも日本と同じではないというようなことがございますから、これは何税をどうしていくか、あるいは何税、何税を組み合わしていくかといったようなことにつきましては、これはひとつ税制調査会で真剣に検討してもらいまして、私どもといたしましても、最もいい方法でやってまいりたいと、そのためにはぜひとも国会の皆さん方の御協力をお願いを申し上げたいと、こういう次第でございます。 私に与えられましたる御質問につきまして御答弁を申し上げた次第でございます。(拍手) 〔国務大臣田中龍夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(田中龍夫君) お答えをいたします。 中小企業の問題につきまして、特に関連倒産防止の問題をどうするかという御質問がございまして、ついては信用保証協会を窓口とした関連倒産防止の保険の創設をしたらどうかという御意見でございました。 先ほど栗原議員にお答えを申し上げたのでありまするが、この問題につきましては、なお検討中でございまして、保険がよろしいか、あるいは共済制度がよろしいか、検討中と申し上げる以外にはまだ進んでおりません。なおまた、この中小企業の関連の倒産につきましては、鋭意政府といたしましては全力を挙げてこれが防止に努めておる次第でございます。 第二の点の官公需の問題でございまするが、これは総理が先ほどお答えを申し上げたので十分でございまするけれども、昨年の五十一年度分といたしまして、目標でありました三四%の官公需内におきまする中小企業分、これは完全に消化をいたしました。また、先般、閣議におきまして、五十二年度の分といたしまして三五・二%を目標に中小企業に枠づけしていきたいと、かように存じております。 なお、五〇%というお話でございまするが、地方公共団体の分を加えますると五二%になっておりまするが、御要望の点は、官公需−地方公共団体を加えない五〇%ということであろうと、かように考えまするが、これはなかなかむずかしい問題でございまして、努力中でございます。 その次には、御質問の中に、近い将来石油の危機の到来することは国連の機関等で非常に強く警戒をしておる、ついては、わが国として石油をどう獲得するかという問題、それから第二は、石油依存率をどう下げるかという問題、第三は、石油以外の新しいエネルギーとしてどう開発するかという、三つの問題でございます。御案内のとおりに、このエネルギーの問題は最も重大な問題でございますので、今日は総合エネルギー調査会の中の需給部会におきまして鋭意この点につきましては研究をいたしておるのでございまするが、何分にも、国産のエネルギー、それから準国産と申すべき原子力等のエネルギー、それから輸入のエネルギー、この三つの分におきましては、昭和六十年ということを目標にいたしまして、できるだけ石油依存度を低めてまいりたい、海外依存度を低めていきたいと存じておりまするけれども、なかなかこの点はむずかしい問題でございます。 なお、この輸入の問題につきましても、これをいかに安定確保するかということでありまするが、依存率から申しまして、昭和六十年と今日とを比べてみましても、なかなかこのいまの原子力等の準国産的なものをふやす以外には国産のエネルギーをふやすことはむずかしいことでありまして、ことに日本経済の成長とともに総需要量がやはり相当な伸びがございまするが、それに従いまして国産の伸びというものはほとんど不可能でございます。そういう点では、やはりこの石油の輸入の安定供給という点が最も重大な問題であります。さらに、そのために、石油の備蓄の問題やら、あるいは自主開発の問題やら、あるいは海外からの石油給源の分散の問題、こういう問題を考えると同時に、LNG等の問題、あるいは海外から石炭を輸入するという問題、そのほかエネルギーの節約を徹底して行わなければならない、同時に、石油以外のサンシャイン計画というようなもので石油以外の何か新しい給源はないか、こういう問題でございます。 次は、この核の原子力の点でありまするが、原子力発電ということにばかり依存しないで、原子力の安全性、あるいはまた国民大衆の皆様方に対する深い御理解と御協力、こういう問題、特に安全性の問題から放射性の廃棄物の処理をどうするかと、こういう御質問でございまするが、廃棄物につきましては、現在発電所の敷地内の固体廃棄物の置き場に厳重に保管されております。その保管は相当の期間にわたりまして十分可能でありまするが、同時に、将来陸地処分あるいは海洋処分につきましても考慮する必要がありますると存じまするが、現在は通産省と科学技術庁共同で具体的な問題を検討中でございます。 さらに、最後に、このエネルギーがこういうふうな状態になった場合におきまする産業構造の根本的な転換がなされなければならないじゃないかと、こういう御意見でございまするが、本件につきましては、エネルギー利用の効率化をより一層図りまするとともに、エネルギーの技術の開発の促進をする、同時にまた、この廃熱利用というようなものの技術的な開発を徹底して行う、同時に、エネルギーの節約の産業的な構造につきましてわれわれは真剣に取り組まなければならぬ、かように考えておる次第でございます。 以上お答えいたします。(拍手) 〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
○国務大臣(海部俊樹君) お答え申し上げます。 大学入学試験に関しましては、昭和五十四年度実施の分から国公立大学について実施をすべく、ただいま努力をいたしておりますが、この共通一次試験に関しましては、御承知のように、長年にわたる国立大学協会の調査研究の結果でき上がったものであり、また、全国高等学校長協会の要望の線にも沿ったものであると理解をいたしておりますし、御指摘の第二次試験につきましては、去る七月に各大学が自主的に検討してその案の発表をいたしましたが、ほとんどの大学が従前の教科科目を相当数減らしておりますし、また、二次試験に学科試験を行わないで、実技、面接、小論文に切りかえた大学・学部もあり、これらに関しては入学試験の制度が改革されるのではないかという期待と評価が得られておるものでございますので、今後とも大学の自治を尊重し、大学入学試験センターの自主的な努力に期待しつつ、文部省といたしましては、大学入学試験改革の趣旨がより効果を上げますように指導、助言を続けてまいりたい、こう考えております。 二番目の、地域の親、学校と父兄がお互いにいい教育をするための学校教育、社会教育について話し合いをする場をつくったらどうか。先生の御指摘は私も同感でございます。現在、地域における学校及び教師と父兄との間に、いろいろな交流、協力をしつつ、児童生徒の校外指導あるいは地域の教育環境の改善を目指して理解を深める組織として、PTAが四万四千を超える数全国で設置され、活動を続けておるわけでありますけれども、御質問の御趣旨を体して、お互いにこれらがより協力し合い、お互いに社会教育、学校教育をより高めていく場として、教育委員会等を通じ今後も指導を続けてまいりたい、こう考えております。(拍手) 〔国務大臣田村元君登壇、拍手〕
○国務大臣(田村元君) 国鉄の再建を達成するために必要な三本の柱があります。一つは、適時適切に運賃を改定することができる、それからいま一つは、徹底した経営努力、そういうものを必要としますが、それに加うるに国の助成、つまり国鉄の本来経営負担にかかわる以外のもの、そういうものに対する国の助成、こういうことで私どもは二法案を提出をいたしておるところでございます。どうか御理解を賜りまして御協力をお願い申し上げる次第でございます。 それから次に、大都市交通問題についてでございますが、大都市におきます通勤隘路打開のための輸送力の増強対策につきましては、従来から重点を置いてまいりました。本年度からこの大都市交通の助成が制度化されまして、大変結構なことでございます。これからもなお一層大都市交通問題の解決のために努力をいたしましてまいる所存でございます。 それから、若干地域的なことになりますが、御質問の大阪の片町線の複線化でございます。現在、鋭意工事を行っておりまして、早期完成を図るよう国鉄を指導いたしております。 城東貨物線の旅客化につきましては、今後輸送需要の推移、投資の効率性、国鉄の財政事情等、いろいろ事情がございます。そういう諸事情を考慮しながら、都市交通整備の一環として今後も検討してまいりたい、こう考えております。 阪和線の高架化でございますが、これは阪神高速道路との二層高架となるものでありますから、環境問題が生じております。現在、大阪府におきまして解決に努力しておるというふうに聞き及んでおります。(拍手)
○議長(安井謙君) 答弁の補足があります。福田内閣総理大臣。 〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
○国務大臣(福田赳夫君) 大事な問題を一つ落としまして申しわけございませんが、わが国は核廃絶運動の先頭に立てと、こういうような御趣旨の御意見でありまして、私の見解を述べよと、こういう話でございますが、私、全く同感でございます。核兵器を持っておるというようなことはまことに愚かなことなんです。その愚かなことをあえてしなければならぬような世の中になっておることはまことに残念でございますが、それは愚かなことなんだと、この地上から核兵器は廃絶しようじゃないかという、この説得力を持つ発言をなし得るのはわが日本なんです。わが日本は、持たんとすれば核は持てるんでr。核を持つ力のない国が幾らそう叫んだって説得力になりません。わが国はそれを持ち得るところの経済力もあれば技術力も持っておる。また同時に、わが国は世界でただ一つの被爆国なんです。そういう立場もある。私は、この立場はもう世界の平和のために非常に貴重な立場であると、こういうふうに思うんで、これはフルにわが国はこの立場を世界の平和のために活用すべきであると、さように考えておる次第でございます。 ただ、核兵器の廃絶と直接にこう言いましても、現実の問題とすると効果はない。やっぱり私は段階的にいかなきゃいかぬと思うのです。まず核実験の禁止、これからいかなけりゃならぬだろうと、こういうふうに思いますが、終局的には核兵器の廃絶は目指すにいたしましても、段階的にこれを進めて、現実的に進めていかなければならぬだろうというふうに思いますが、そういう立場をもちまして、国連における政治活動、また、世界の政治舞台におけるところのいろんな論議、そういうものにわが日本としては最善の努力を尽くすと、こういう構えでございます。(拍手) —————————————
○議長(安井謙君) 市川正一君。 〔市川正一君登壇、拍手〕
○市川正一君 私は、日本共産党を代表して、いま国民が切実に解明を求め、解決を求めている緊急の諸課題に関し、総理並びに関係閣僚の見解をただしたいと思います。 その第一は、当面する深刻な不況打開の緊急対策についてであります。 福田総理、あなたが総理になってから、一部大企業の顕著な伸びと対照的に、中小企業の倒産は、この一−六月期に対前年比で三〇%以上も増加しております。これでは「経済の福田」とはまさに「倒産の福田」なりと言わざるを得ないではありませんか。昨日、衆議院でわが党工藤議員が、今日の構造的経済危機を打開する方策として、わが党が提起した「日本経済への提言」に基づく代表質問を行いましたが、私は、これを前提とし、かつ総理が昨日来の答弁できめ細かな対策なる言葉を連発されておりますので、若干の質問を行いたいと思います。 その一つは、中小下請企業に仕事を保障するために積極的な手だてをとることであります。特に大企業による下請の切り捨て、工賃や単価の切り下げ、支払い手形の長期化など、目に余る大企業の横暴なやり方を規制するため、発注元大企業の義務の明確化、下請企業の交渉権の保障などが確立されるよう、下請関係法を改正することがいま切実に求められていると考えます。 二つは、官公需の中小企業への発注の問題であります。もともと目標を五〇%にすることは、昭和五十年、さきの七十五国会で、わが党議員の質問に対して、当時の総理や通産大臣が五〇%を目標にすると答えたものであります。したがって、現政府も当然目標を五〇%に高め、さらにこれを達成するための具体的計画を作成し、公表する必要があると考えます。先ほど田中通産大臣はむずかしいと答えられましたが、もし中小企業の苦境を真剣に考えるならば、わずか五〇%にすることが何がむずかしいのか、私は問いたいのであります。 三つは、いわゆる逆輸入を規制する問題であります。特に繊維、伸線——これは針金でありますが、など多くの分野で韓国からの逆輸入がわが国の中小企業を圧迫している現状からして、この規制を直ちに行うべきであると考えます。 わが国の労働者の六割が雇用されている中小企業のこうした切迫した危機を救う立場から、以上三点について、総理の責任ある具体的な答弁を求めるものであります。 第二に、国民の命と暮らしを守る緊急課題についてであります。 いま不況と物価高のもとで最もそのしわ寄せを受けておるお年寄りや身体障害者など、恵まれない人々に温かい手を差し伸べることは、政治の焦眉の課題であります。 そこで、その一つとして、老人医療制度についてまず伺いたい。政府は四十八年から老人医療の無料化を実施しましたが、一昨年来、この有料化の動きが伝えられ、お年寄りに大きな不安を与えています。しかも、政府は今日もなお無料化継続の明言を避け、いよいよ不安を広げていることはまことに遺憾であります。総理、有料化はやらない、皆さん安心してください、こう全国のお年寄りに向かって言明すべきであると考えますが、ここで明確な答弁を求めます。 二つは、原爆被爆者救済の問題であります。ことしは、あと数日後に被爆三十三回忌を迎えます。時あたかも、NGO、国連非政府組織主催の被爆問題国際シンポジウムが広島で行われております。自民党だけがいまなお拒否し続けている被爆者援護法、この制定、被爆者すべての血のにじむような悲願であるこの願いを総理は一体どう考えておられるのか、お答え願いたい。 なお、昨日の衆議院におけるわが党工藤議員の質問に対して、総理は、核兵器全面禁止国際協定の実現はまだ現実的課題でないといった趣旨の答弁を行いましたが、これは日本国民の意思に反し、また、昭和四十八年七月九日、本院において行った決議、核兵器の全面的な禁止の締結に努める決議にも反するものであります。私は、この総理答弁がきわめて重大であることを指摘し、今後も厳しく追及していくものであります。 三つ目は、生活環境整備の問題でありますが、たとえば大都市圏の自治体で起きているごみの焼却処分及びその残灰の最終処分をめぐる問題もまことに深刻であります。わが党は、さきの八十国会においてこの問題を取り上げ、石原環境庁長官らも、ごみの広域的処理の推進、総合的対策の強化などを約束されましたが、いまだに進捗を見ておりません。こうした事態のもとで、この七月、東京、大阪の市長会が合同で、まさに党派を超えて廃棄物処分対策部会を発足させました。私は、政府がさきの答弁を直ちに具体化し推進するとともに、ごみ問題解決のために、新規焼却場建設費補助を少なくとも五〇%に引き上げ、さらに残灰処理場の用地確保のための国庫補助と大幅低利融資を行うことを強く要求し、回答を求めるものであります。 第三に、総理の所信表明には触れられませんでしたが、私は、教育に関して差し迫った幾つかの問題を取り上げ、政府の見解をただしたいと考えます。 その一つは、大学入試の改善についてであります。この問題は、今日の教育のゆがみの重大な要因の一つであり、したがって、その正しい解決には、大学、高校関係者の合意、受験生を初め国民に不安や疑問を残さない慎重な準備が必要であります一ところが、五十四年度実施予定の共通一次テストに対して、先ほどの海部文部大臣の答弁とは全く反対に、高校関係者や父母などから、生徒に過重な負担を増大させ、十二月実施による高校教育へのしわ寄せ、受験の機会が狭められることなどについて、切実で、かつ道理ある不安が表明され、全国高校進路指導連絡協議会を初め、各方面からも延期を含む再検討が要請されておるのであります。こうした状況のもとで、政府は、高校、大学関係者の間での意見調整ができない場合、実施を延期すべきであると考えるが、どうか。また、各県に国立総合大学をつくるなど、大学間の格差が一定程度是正されるまでは、国立一期、二期校の区分を残し、受験の機会を狭めることのないようにする必要があると考えるが、この点どうか。 二つは、新学習指導要領において「君が代」国歌と一方的に規定した問題であります。これは、教育課程審議会では議題にもならなかったのに、行政側でにわかにつけ加えたもので、手続そのものも異例の非民主的なものであります。もともと「君が代」は、戦前の修身教科書でも、臣民が皇室の繁栄を祈って歌うものと教えております。このような「君が代」を、総理、あなたは、主権在民の現憲法の理念と合致するものと考えるのか。事は憲法の根本の理念、教育の基本そのものにかかわる問題であるだけに、明確にお答えいただきたい。 第四に、さきの参院選挙で、国民固有の権利である投票の自由を不当に抑圧するいわゆる企業ぐるみ選挙、官庁ぐるみ選挙がまたしても繰り返されたことは、国民主権と議会制民主主義の見地からして黙過できない重大問題であります。しかも、計画的で大がかりな地位利用、買収、供応が繰り広げられた国鉄、防衛庁、農林省、建設省など、鉄道局の総務部長や自衛隊の元陸将など幹部クラスを含め、大量の逮捕者が出ております。これについては、さきの国会で具体的な事実を挙げてわが党が厳しく警告し、また総理自身も、四月の予算委員会では、直ちに改めるようこの場において国鉄総裁に申し入れておきますとも言明した問題であります。にもかかわらず、今日このような事態が発生したことについて、福田総理、あなたは総理として、また総裁として、どのようにその責任を感じ、どう対処しようとされているのか、国民の前に明らかにしていただきたいのであります。同時に、今後この種の企業ぐるみ、官庁ぐるみ選挙並びに高級官僚の地位利用の禁止を厳しく抜本的に強化すべきであると考えますが、あわせて所見を求めたい。 最後に、こうした、ぐるみ選挙を生む体質、すなわち金権体質、政、財、官の醜い結びつきが生み出したものとして日韓問題、ロッキード事件について伺いたい。 金炯旭元KCIA部長の証言によれば、日韓の癒着が自民党政権の深層部に及んでいるのではないかという重大な疑惑が国民の前に提起されております。総理は、昨日来の答弁で、捜査中であることを口実に、逆に居直りの態度にさえ出ておりますが、事は国の主権と民主主義の根幹にかかわる問題であり、こうした無責任さは断じて許せないものであります。当然、政府としても事実を究明するために捜査官の派米など責任ある万全の方途を講ずべきであり、改めて総理の姿勢をただすものであります。 ロッキード事件の全容解明は、いよいよ深まる運輸行政についての疑惑、また児玉、小佐野の公判を通じてますます濃厚となったPXL導入をめぐる疑惑など、一段と重要となっております。ところが、昨今、疑惑の中心の一つであるP3C採用の内定が報道されております。これはまさに国民に対する挑戦と言うべきではありませんか。 そこで、ロッキード徹底究明に対する総理の姿勢を伺うが、さきに政府が解明なくして選定なしと約束したPXL問題について、疑惑が明白なP3Cのいかなる形での導入もあり得ないと、ここではっきりと言明していただきたい。 さらに、総理は再発防止のための最善の努力を繰り返し言明してまいりましたが、わが党が提案している、国会が任免権を持った行政監視官制度の新設、また、国会に国政監察委員会を新設するなど、抜本的対策を講ずるべきであると考えるが、これらについて総理の見解を求めます。 総理は所信表明で行政改革の推進を強調されましたが、私は、何よりもまず、こうした不正腐敗の根を断ち切ることこそ真の行政改革推進の不可欠の前提であることを最後に強調いたしまして、私の質問を終わるものであります。(拍手) 〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(福田赳夫君) 下請問題についてのお話でございまして、下請関係法の法規の改正を行うべきではないかというような御所見でございますが、ただいま、下請代金の支払遅延等防止法などの厳格な適用によりまして、下請の立場を擁護するというために行政上の最大の努力をいたしておるわけであります。当面は現行法の厳正な運用でやっていきたいということで、法の改正は考えておりません。 次に、官公需の中小企業向け発注目標を五〇%にせいと、こういうお話でございますが、遠い将来をにらんでのことであれば、それはまあそういう目標も立ちましょうが、当面、ことしの目標をどうするかというような立場に立ちまして現実的に考えるときに、五〇%というお約束は、これはできません。しかし、今後ともこの拡大には努力をしていくということは、はっきり申し上げさしていただきます。 また、繊維や伸線などの逆輸入の問題でございますが、繊維につきましては、海外進出企業の産品がわが国に逆輸入され、わが国繊維産業に重大な悪影響を及ぼさないように、必要に応じ事前に海外投資について指導いたしておるところでございます。また、銅線や銅合金線などの伸線につきましては、現在のところ、逆輸入でごたごたということはないようでございまするけれども、そういう問題が起こる可能性もありますので、十分注意いたしてまいりたいと、かように考えます。 老人医療制度につきまして、これを有料化せぬという宣言をせよというお話でございますが、これから老人社会になっていくわけです。しかも、経済の方は、これは低成長時代に入っている。そういう中で老人を大事にしなきゃならぬ。これはもうそのように、本当に真剣に考えておるわけでありますが、これは老人問題を単に医療費問題だけで考えるのは妥当じゃないと思うのです。やっぱり老人問題の全体として総合的に考えなきゃならぬ、そういう立場をとるべきであると、かように考えておるということを申し述べます。 また、被爆者援護法の制定についてどう考えるかというお話でございますが、これは、一般の戦災者等の健康問題を考えますと、そう簡単な問題じゃないのでありまして、現行法体系の中でできるだけ被爆者に対して手厚い対策をとるということが妥当であるというのが政府の見解でございます。 次に、学習指導要領で「君が代」を国歌として規定することは不当である、こういうような御所見でございますが、「君が代」というのはもう国民的に国歌として定着しているんじゃないでしょうか。もうオリンピックだって、あの「日の丸」が上がれば「君が代」が歌われるわけですから。(拍手)その定着した国民の考え方、これを学習指導要領の中に取り入れる、これはきわめて妥当なことであると、かように考えておるのであります。 また、理屈を言うわけじゃございませんけれども、天皇は日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴である、憲法にそう書いてあるんですから、憲法を遵守するという上から申しましても、また当然のことである、かように考える次第でございます。 また、参議院選挙で、国鉄、防衛庁などで地位利用や買収、供応などの大がかりな選挙が行われたと、こういうことについての御批判でございますが、これはまことに私は遺憾なことであったと、かように存じます。このようなことがないように気をつけていかなきゃならぬと、かように考えまするし、同時に、これは公務員法あるいは地位を利用して選挙運動をしてはならぬという法の規定、これに照らしましていま捜査当局において捜査している段階でございますので、これらの規定が十分に遵守されるよう今後とも努力をいたします。 また、金炯旭元韓国のKCIA部長の証言について言及をされましたが、あの金炯旭発言、この中で、わが国の政治に関係し、検討するに値する問題がありますれば、これはどしどし取り上げていきたいと思うんですよ。たとえば金在権氏との接触、ただいま検討中でございまするけれども、しかし、ちょっとこの金在権氏という人の話をあんまり取り上げ過ぎるんじゃないでしょうか。そんな……(発言する者多し)金炯旭、金炯旭氏の話。金炯旭さんは八年前にもうやめた人なんですから、その人にそれだけの証拠力があると、こういうふうに私ども思いません。その一言一句を取り上げてこれに対応するという考え方はとりません。 また、児玉、小佐野の公判を通じてP3Cの導入をめぐる疑惑がますます濃厚になる、ロッキード事件の全容解明、これ徹底せよというようなお話でございますが、その方向で対処をしておるわけであります。ロッキード事件の全容は今後公判の進展に伴い漸次明らかになる、新しい事実が出てくると言いますれば、それをとらえて捜査を進展させるという考え方をとっておるわけであります。 それから、P3Cの導入を直ちに停止しろ、こういうようなお話でございますが、これは純粋に防衛上の見地から、また所望の性能が得られ、費用対効果、その効果を見た上で最もすぐれたものを選択すると、これが私は妥当な考え方ではあるまいか、そういうふうに考えます。そういうような考え方に基づいて検討を進めておりますが、いずれにいたしましても、機種選定に当たりましては、国民に疑惑を持たれることのないように万全な配慮をいたします。 それから、こういうような不祥事件の再発防止、これはいろいろの努力はいたしておりまするけれども、その中で市川さんが、行政監視官制度を新設したらどうだろう、あるいは国会に国政監察委員会を常設したらどうだろうというような御提言でございますが、行政監視官制度、これはスウェーデンでありましたか、ノルウェーでありましたか、オンブズマンという制度があります。しかし、あの国とわが国はちょっと憲法なんかの組織が違うので、あの国の制度、それをそのまま取り入れるという考え方にもなりませんし、また、わが国には行政管理庁というような組織もあり、国会には国政調査権というような権限があるわけでありますから、どうも新しい制度を導入するという必要はないんじゃないか、現行法の厳格な推進で事足りるのではあるまいか、そういうふうに考えております。 自余の問題につきましては関係大臣からお答えいたします。(拍手) 〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
○国務大臣(渡辺美智雄君) ごみ処理等の問題についてお答えを申し上げます。 個々の市町村の行っておる最終処分場を含んだいわゆる廃棄物の処理施設の整備につきましては、すでに御案内のとおり、廃棄物処理施設整備緊急措置法、これに基づきまして五カ年計画でその推進をいたしております。昭和五十一年度からは、その施設整備費に対しましても国庫補助制度を採用することにいたしました。 なお、それらにつきまして、新規の焼却場建設費の補助金を現行よりも大幅に上げて、五〇%に上げろというような御質問でございますが、このごみ処理施設整備補助金の補助率につきましては、現在一般地区で二五%でございます。公害の防止計画地域におきましては、現在すでに五〇%にかさ上げをいたしておりますから、大都市周辺等は大体その五〇%のかさ上げの対象に大部分入るだろうと、かように考えられます。 なお、この最終処分場の用地確保のために国庫の補助金を出せということでございますが、大体この最終処分場等は、まあ、捨て場でございますが、谷間とか埋め立てとか、そういうことをやるのでございまして、たとえば谷間に捨てる場合は堰堤工事をする、その堰堤工事については当然補助はいたします。それから、堰堤でそのごみを捨てますが、そこから悪水が出る、そいつについての再処理、これも補助はいたします。しかしながら、でき上がった、新しい宅地造成等ができるわけでございますので、その跡地利用との問題等もございますから、用地の確保についての国庫補助というものは問題があろうと存じます。融資はいたしておるわけで、しかも、その充当率は一〇〇%の地方債で跡地の問題は融資でやっておると、こういうことでございます。 なお、広域の府県に、二つの都道府県にまたがるような大きな最終処分という問題につきましては、目下厚生省が中心になって実態の調査をいたしておりますので、その結果に基づきまして積極的な施策の推進を図ってまいりたいと、かように考えております。(拍手) 〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
○国務大臣(海部俊樹君) 大学入学試験の改善についてお答え申し上げます。 御承知のように、長年にわたる国立大学協会の意見の一致を見る段階で、各界の方々の御意見がそこに十分反映されてあのような意見がまとまったものと私は理解をいたしておりますし、また、全国の高等学校長協会からの御意見も十分踏まえて、五十四年度からの実施ということにし、ただいまその準備を進めておるところでございまして、本年は八万人の高校生を対象に試行をいたしたいと、こう考えますが、この五十四年度の実施をただいま延期するという考えはございませんけれども、今後とも、高校側の意見を聞きまして、実施の経験を踏まえながら、改善すべき点については漸次改善が図られるべきものと私も考えております。 二番目の、国立大学の整備充実につきましては、御承知のように、ただいま地域間の定員の格差の解消とか、あるいは地域における専門分野の格差を是正するということをめどにして、特に地域大学、地方大学の充実整備を計画的に行っておるところでございますが、社会的な要請等もある医師の養成については、無医大県解消計画を立てて、全国に無医大県がなくなるように、ただいま進行中でございます。 また、一期校、二期校の一元化の問題は、これはより適切な入学者選抜を行い得ると考えておりますし、また一元化によって大学間の格差感も解消されると、こう期待をいたしておりますので、どうぞ御理解をいただきたいと思います。(拍手) —————————————
○議長(安井謙君) 柄谷道一君。 〔柄谷道一君登壇、拍手〕
○柄谷道一君 私は、民社党を代表して、当面緊要な幾つかの政治課題に関し、総理の見解と方針をたださんとするも一のであります。 総理の所信表明演説は、二十一世紀に向けての政治を強調はしていますが、それは総論にとどまり、その内容は抽象的なスローガンを羅列しただけの義務的かつ空疎なものであり、国民の期待を全く裏切った、血の通わない官僚作文であることをまず指摘せざるを得ません。これは単に私のみの受けとめではなく、各新聞社の社説がこぞって指摘しているところでもあります。 今回の臨時国会は、福田内閣が参議院選挙で国民の信を問うた後の最初の国会であります。参議院選挙では、一般に予想されていた逆転はなかったとはいえ、与野党の差がわずか一議席となり、前回の参議院選と昨年末の総選挙を通じ、両院ともに伯仲化、すなわち、政府・与党の退潮が明白な事実として示されたのであります。総理、あなたは参議院選で勝ったと錯覚しているのではありませんか。それは、自民党の政治姿勢と政策が全面的に国民の支持と信託を受けたものでは決してありません。この動かしがたい事実に照らして、総理はこれまでの自民党政治のあり方、その政策等について当然謙虚に反省、再検討をされていると思うが、その内容を本議場より国民に明らかにしていただきたいのであります。 同時に、伯仲時代に対処するため、総理は常に協調と連帯を呼びかけていますが、その前提は、政府みずからが政策決定の過程や必要な資料を公開し、それによって野党や国民各層の責任ある参加を積極的に求めることであります。すなわち、公開、参加、責任という政治原理の確立は、新時代に処す民主政治のより高次な発展のために緊喫の課題であると信じます。総理は、所信表明で、従来の表現を変え、「連帯と参加」という言葉を使っておられるが、私のこうした提案について総理はどのような見解を持っておられるのか、明確な答弁を求めるものであります。 次に、具体的問題について質問いたします。 第一は、当面する最大の課題である経済と雇用問題についてであります。 経済運営について総理は全体の基調として楽観的な見通しに固執していますが、これは産業界や国民の抱いている実感とは大きく乖離するものであります。総理は「経済の福田」と自称していますが、その経済財政政策は常に対症療法に追われがちで、省資源時代に見合った中・長期の展望や具体的対策が欠落しているとは、いまや天下の通説でもあります。あすに対する確実な明かりが欲しい、そしてきょうの具体的な施策を示してほしいと訴える産業界、特に中小企業者の声がどうしてあなたの耳に届かないのでしょうか。現在の不況が深刻であることは、たとえば在庫調整が政府見通しより大幅におくれ、六月の在庫は過去最高を記録していること、また鉱工業生産は横ばいを続けていること、さらには倒産件数が依然として千五百件台の高水準を続けていることなどを見れば明らかなことであります。 そこで、総理に端的に伺いますが、政府の公約でもあります六・七%の経済成長率の達成は果たして可能であるのかどうか。不可能になった場合にはどのような責任をとるつもりか。ここではっきりと答弁していただきたい。 私は、現状のまま推移するならば六%の成長率を達成するのも困難だと考えます。そこで、当然、景気対策を中心とした臨時国会を早期に召集し、官僚主導型ではなく、大胆な政府主導型で補正予算案を組み、これを提出すべきであります。民社党は、補正予算は少なくとも住宅建設、中小企業対策などを中心に、一般会計一兆円、財投五千億円を追加すべきだと考えます。総理は、いつ次の臨時国会を召集し、いかなる内容の補正予算案を提出されようとしているのか、その大綱を明らかにして不況克服のための心理的効果を上げるべきであると思いますが、いかがですか。 なお、これら一般的な景気対策と同時に、総理の言う八月末を待てない緊急かつ深刻な問題として対処しなければならない二つの課題があります。 その一つは、円高により打撃を受けている輸出関連産業、特に中小企業対策であります。余りにも急激な円高は、繊維、雑貨などの産業にとって採算割れ、成約の停滞をもたらし、死活問題となっておりますが、政府は、為替の乱高下をいかにして防止し、その安定を図ろうとしているのか。また、現在の二百六十五円前後のレートは今後どのようになると見通しておられるのか。さらに、打撃をこうむっている業種や企業に対してどのような救済対策を講ずるつもりなのか、お聞きします。 次は、十二に及ぶ構造不況業種対策でありますが、これらの業種に対しては、業界の結束、協調と強力な行政指導を結合させて構造改善事業を積極的に推進する必要があり、このため、過剰設備の処理、事業転換等に対する思い切った特別融資、残存業者負担方式の改善、信用保証制度の充実などの総合策が要請されております。政府の具体的見解を伺いたいのであります。 こうした構革事業と一体をなすものとして、雇用対策が重要であります。政府は、早急に構造不況業種離職者対策臨時措置法を制定し、失業給付のほか、就職促進手当の支給、就職指導の強化等に万全を期すべきであり、また、法制定までの間、雇用調整給付金制度の弾力的運用と基準の再検討などを図るべきであると思うが、政府の決意のほどを明らかにしていただきたい。 第二に、私は、ともすれば社会保障政策に消極的だと批判されている福田内閣に対し、その姿勢転換を求めるとともに、八種に及ぶ公共事業五カ年計画に優先する位置づけのもとに、社会保障五カ年計画の策定を強く要求するものであります。 もとより、私は、経済事情が大きく変化、変質しつつあることを無視するものではありません。しかし、むしろそれゆえにこそ、かえって社会保障における優先順位を明らかにし、その効率化を図り、計画的にそれらの拡充を着実に推進する必要があると思うのであります。こうした中期計画の樹立と実行という政策選択は、総理の政治的決断にかかる問題であります。総理の率直な所信を伺います。 また、当面の課題である健康保険制度改正の前提条件とその抜本改正や、官民格差が指摘されている年金問題については、すでに各審議会の答申、意見書は出尽くされ、改革の方向は明らかであると考えるが、これにどう対応しようとされるのか、具体的にその所信を明らかにしていただきたい。 第三は、当面の重要な政治課題となっている行政改革についてであります。 わが国の財政が巨額の赤字国債に依存せざるを得なくなっている現状において、行政改革を断行することは政府として当然の責務であります。しかし、高級官僚を中軸にした執権者と官公労の枠の中でこれが語られ、それがなれ合いに堕する限り、思い切った改革がなされるわけはありません。 わが党は、去る七月三十日、政府に対し、中央官庁については国土庁、北海道及び沖繩開発庁等、省庁の廃止、統合、国税、郵政、営林、海上保安等の現業庁を除く地方ブロック出先機関の原則的廃止、教育、警察、消防等を除く一般職員だけでも三十五年の六十二万人から五十一年には百十万人に膨張している地方公務員の抜本的改革、宅地開発公団、鉄道建設公団等、公団事業団の整理、年率二〇%程度の増加率で伸び、いまや一般会計の約三分の一を占める国の補助金の一〇%を目標とする削減等を柱とする具体的提言を行ったところでありますが、これらに対する総理の大胆な所見を承りたい。 また、行政改革を超党派で強力に推進するため、この際、国会内に行政改革特別委員会を設置すべきだと考えるが、あわせて御意見を伺いたい。 第四は、資源・エネルギー問題であります。 総理の所信は、その重要性の指摘にとどまり、その具体策と決意を全く欠いております。この問題については、衆議院で同僚議員からも質問したところでありますが、エネルギー行政の一元化を図るためどう対応するのか、エネルギーの供給制限という長期的展望に立って、当面の経済運営をどう両立させるのか、また、省エネルギーを図る場合、国民にどのような協力を求めるのか、総理の御所見を明らかにしていただきたい。 また、ナフサ価格の国際水準との格差が化学産業の国際競争力を著しく弱めている現状に照らし、石油価格体系の根本的見直しを行う考えがないかどうかについても所信を述べてもらいたい。 第五は、外交問題ですが、時間の関係上、ASEAN関係についてのみ伺います。 総理が今般ASEAN諸国を歴訪することは、きわめて意義あることだと考えます。総理として何らかの経済協力を約束してくるようでありますが、ASEAN諸国に対する経済協力は、かつての石油ショックのときの産油国に対する協力約束のような場当たり的なものや、リップサービスであっては、むしろ逆効果であります。五年以内に経済協力を倍増させるという国際的な公約を達成するため、政府は今後どのような基本方針で取り組むのか、さらに、ASEAN諸国とインドネシア三国との共存共栄は東南アジアの平和と安定にとって不可欠と考えるが、これにどう対処するのか、この際、あわせてお伺いします。 最後に、参議院改革について質問します。 さきの参議院選挙で、各党、各方面から参議院改革についての提言がなされましたが、これをどう具体化させていくかがわれわれに課せられた共通の責務であります。一部に参議院無用論すら出ている現状の中で、院を衆議院とは機能を異にするユニークな第二院とし、多党化時代にふさわしいものに改革するため、いまこそ院を挙げて取り組まなければなりません。わが党が、さきの議長、副議長選挙に際し、第一党、第二党と候補者に、参議院改革に真剣かつ積極的に取り組むことを要求したのも、この見地からであります。わが党としては、委員会制度の抜本改革や自由討議の促進を含む具体的改革案を用意していますが、この改革は、一党一派の案ではなく、小会派を含む全党が参加して議を尽くすべきであり、そのため常設の特別委員会を速やかに設けるべきだと考えますが、自民党総裁としての御所見を承りたいと思います。 同時に、懸案となっている地方区の定数是正について、一票の重さの格差をなくすため、早急に取り組むべきだと考えますが、あわせてお伺いいたします。 総理、あなたは選挙中、野党に対し、わらは千本束ねても柱にならないと広言されました。あなたの言う柱は、かつてのかたいカシの木がシロアリに食い荒らされ、空洞になりつつあります。それはさておき、あなたの所信表明演説は、不況と雇用不安の中で、わらでもつかみたい気持ちで期待していた国民を裏切るむなしい内容でした。それを補う意味でも、具体的に思うところを率直に表明することを強く求めて、私の質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(福田赳夫君) お答えいたします。 参議院選挙で示されました国民の審判をどういうふうに受けとめ、どのように対処するかというお話でございますが、これはしばしば私が申し上げているんです。国民は政局の安定を望んだと、その政局の安定の上に立って経済問題を急速に処理せよと、こういうことだったと思うのです。そのような認識でこれから政務に取り組んでまいりたいと、かように考えます。私の国会に臨む姿勢は、前から申し上げているとおり、協調と連帯。協調と連帯を実現していくというためには、やっぱり参加という考え方がそこへ入ってこなけりゃ——これは方法論としての問題でありまするけれども、参加とい、う問題をも強く取り上げていきたい、そういうような立場から、いろいろ政策上の問題、国会の運営上の問題、そういう諸問題につきまして、できる限り各党各派の皆さんと御相談を申し上げるという態度をとってまいりたいのであります。 また、景気に.ついてのお尋ねでございますが、特に六・七%成長を達成できるのかというお尋ねでございますが、これはしばしばもう申し上げておるので、簡潔にお答え申し上げますが、ぜひそのようにしたい、六・七%周辺、ことしの成長はそこへ持っていきたいと、そういうふうに考えております。これが実現できそうもないというような徴候が出てくるという際には、これに対しまして、六・七%周辺の目標が達成できる、このための手を着実に打っていかなければならぬと、かように考えておるのであります。 まあ、柄谷さんは大変経済の状態を心配されておる。私もそうなんです。そういう立場におきまして、臨時国会を速やかに開催せよというお話でございますが、私どもは、この今月の経済の動き、これを非常に重要視しておるわけです。これを踏まえまして、あるいは補正予算編成ということになるか、あるいはその他の対策になるか、とにかく国会にお願いをするという問題が出てくるということになりますれば、速やかに国会をお開き願いたいと、こういうふうに思っておるんですが、これは各党各派の御意見も篤と承った上、具体的な日程等は決めるべきであると、かように考えております。 それから、繊維、雑貨産業などの円高による打撃、これに対する救済策に触れられましたが、目下のところ、この問題につきましては、政府系の中小企業三機関、この融資面でありますとか、あるいは信用補完制度の活用でありますとか、あるいは政府系中小三機関の中での中小企業倒産対策緊急融資、こういう措置でこの問題にただいま対処しておりまするが、円高の問題、今後の動向もよく見てまいらなきゃなりませんけれども、その影響につきましては深刻にこれを受けとめ、これが対策をきめ細かく進めておるというふうに御理解を願いたいのであります。 それから、為替相場自体について、どういうふうに持っていくのかというお話でございますが、これは人為的にどうこうというわけにはいかないんです。いま、これはもう主要各国全部が変動為替制をとっておるわけです。そういう中で、わが国が政策的に為替相場をどうするというようなわけにはまいりません。これは円の実勢の動くままに任せるほかないわけですが、ただ、これが乱高下というか、そういう状態になることは、これは非常に悪い影響のある問題でありますので、そのことのないような仕組みはとっていかなければならぬ、かように考えております。円はこの先どういうふうに相なるかというような見通し問題に触れられましたが、これは私の口から見通しを申し上げるわけにはまいりません。 それから、構造不況問題につきましていろいろお触れになりましたが、構造不況の問題につきましては二つの側面があると思うのです。大体において、これは過剰設備、過剰労働力、そういう問題を抱えておる状態でありまして、その問題にどういうふうに取り組むかと、こういう問題が共通した問題でございます。そういう問題をどういうふうに解決していくか、それはその各業種によりまして対応の仕方が非常に違ってくるんです、一々申し上げませんけれども。しかし、その基本的な構造的な対策をとっていくその過程がまた問題なんです。構造不況対策をとっておるそのさなかにおきまして、この倒産破産というような問題が無秩序に起きるというようなことがあってはならない。そのための対策が必要なんでありまするが、そのためには、やっぱりカルテル、 これを弾力的に活用するということが必要になってきていると、こういうふうに思います。それから、やっぱり何といっても金融、この問題が非常に大事だと、そういうような角度から、まあ、小さいものにつきましては、政府系中小三機関でありますとか、あるいは市中銀行等につきましても、日本銀行を通じて親身に対処するように申し入れをいたしておるところでございます。同時に、雇用対策、これが非常に大事になってくるわけでございますが、これは先ほど植木議員に対しまして申し上げたとおりでありまして、雇用問題を重視し、それに対して適当な応対を考えておる次第でございます。 なお、社会保障五カ年計画を策定せよというような御提言でございます。私も、社会保障問題、長期的な展望を持ちたいというふうに考えておるのでありますが、事細かに具体的な施策をずっと並べて、そして五カ年計画だということは、なかなかこれはむずかしいようです。まあ、大枠についての展望、少なくともそのくらいのものは持ちたい、かように考えまして鋭意作業をいたしておるというところでございます。まあその中で最も大事な問題である年金の問題、医療の問題、こういう問題につきましては、具体的に厚生省におきまして今後長期的にどういうふうにするかということを検討いたしておる最中でございます。 それから、行政改革についていろいろ御提言を承りました。これは私は心から敬意を表します。ただ、この問題は、民社党の御意見、これははっきりわかりましたが、なお各党各派の御意見も承りたい、そうしてなるべく皆さんの御理解、また御協力のもとにこれを実行したい、こういうふうに考えておるわけであります。大変早々と御提言を下さいまして、ありがとうございました。 また、これに関連いたしまして、国会に特別委員会を設置したらどうかというお話でございまするが、これも私は、大事な行政改革の問題でありますから、そういうことも一つの行き方ではないかというふうに思いますが、これは国会においてひとつ御論議を願いたい、御相談を願いたい、かように存じます。 エネルギーにつきましていろんな問題の御提起であります。エネルギー行政を一元化せよというような御意見でございまするが、これはエネルギーに限らないんです。いま行政機構の改革という問題がありまして、いま世の中が変化してきた、それに対応しなきゃならぬ、それからさらに財政が非常に窮屈になってきた、その窮屈な事情も取り入れなきゃならぬ、いろんな角度から行政機構の改革ということを考えておる次第でございますが、エネルギー問題に限らず、あらゆる問題につきまして、この際、スクラップ・アンド・ビルドといいますか、いろんな改革をしなきゃならぬだろうというふうに考えております。 それから、エネルギーに供給制約が出てくるという長期展望の中で、当面、需要拡大を図る不況対策による経済運営をどのように両立させるかと、こういうお話でございまするが、これは本当にお話しのとおり、むずかしい問題でございます。エネルギー問題といえば省エネルギーということが非常に重大な問題になってくるんです。しかし、余りこれを強調し、またこれを実行に移すということになりますと、これはいま需要を拡大しなきゃならぬという景気対策と相矛盾するという面もありまして、なかなかやりにくいのでありまするけれども、とにかくこれが両立するというようなことになるように極力いま努力をしておるという最中でございます。 ナフサ価格の問題から発展して、石油価格全部を改定すべきじゃないかというお話でございまするが、どうもいま価格統制はやっておりませんものですから、政府がああせい、こうせいと言うわけにはまいらない。業者、つまりメーカー、供給者と需要者、この両者において価格についてはいずれの場合にも相談をしてくれる、こういうことだろうと思うんですが、ナフサの場合におきましても、私は基本的にはそうだと思うのです。ぜひナフサの価格につきまして石油業界等との間に相談をしてもらいたいと、こういうふうに考え、それを慫慂しているという最中でございまするが、話し合いの結果、適当な結果が出てくることを期待いたしております。 それから、ASEAN諸国とインドシナとの共存関係は東南アジアの平和確立に不可欠である、こういうお考えでございますが、私もそう考えます。私は、ベトナムのあの戦争の終結後、十年前に結成されましたASEAN、これが再び首脳会談を開くというような活発な動きを示すことになってきた、大変いい動きだと、こういうふうに見ておるわけです。しかし、このASEAN諸国が、またインドシナ三国、この国々と一線を画して緊張があるというような状態になったんでは、アジアには平和はない。やっぱりASEANはASEANで五カ国が協力して、そして平和を選ぶ、繁栄を求めるということが大事だと、こういうふうに考えております。しかし同時に、インドシナ三国との間に共存関係ができるということ、これはアジア全体として安定するかなめであるというふうに考えまして、ぜひそのようにいってもらいたいということを考えながら、わが国のアジア外交を、東南アジア外交を進めてまいりたい、さような考え方でございます。 最後に、参議院制度、選挙制度の改革についてお触れになられましたが、私は、もう本当に国民の中に、とにかく全国区ですが、あれはこのままでいいのかと、これは改革しなけりゃならぬというコンセンサスができたんじゃないかと、こういうふうに思うのです。それをきっかけといたしまして、参議院の選挙のあり方、これ全般につきまして私は再検討されたらどうでしょうかと、こういうふうに考えるわけでありますが、この選挙制度の問題は一党一派で決めるわけにはいかぬ問題だと思うのです。やっぱりこれは各党の共通の土俵であるという認識をとるわけであります。ですから、これは各党各派でよく御相談し合って、そしてお決めになるということにさるべきであると、こういうふうに思います。 その改革を進めるために特別委員会を国会に設置する、これも一つのお考えだというふうに思いますが、これもまた各党各派で御相談になって決めらるべき問題であると、こういうふうに思うのです。要は、これはいま私は、もう改革の機運は盛り上がってきているその最中だと思うのです。鉄は熱いうちに打たなけりゃならぬというのは、まさにこのときであると、この問題に当てはまる問題であると、こういうふうに思うわけであります。ありがとうございました。(拍手) —————————————
○議長(安井謙君) 村田秀三君。 〔議長退席、副議長着席〕 〔村田秀三君登壇、拍手〕
○村田秀三君 私は、日本社会党を代表して、福田総理の所信表明に対し質問をいたします。 まず初めに、福田内閣発足以来、ロッキード疑獄に対する公権力の追及が緩やかになったのではないかとする国民の疑念は高まっております。加えて、最近、米国下院フレーザー委員会における金炯旭元韓国KCIA部長の証言から、金大中事件や経済援助をめぐる日韓政財界癒着の構造が次々と明るみに出されつつある今日、総理みずからが、退官した人の無責任な発言とか、また伝聞による発言とか、むしろこれらを隠蔽するがごとき言辞を弄し、ますます疑惑を深めておることは、まことに遺憾と言わざるを得ないと思うのであります。「信なくば立たず」とは古い言葉でありますが、政治もまた、政策以前の問題として、国民との信頼関係を保つことが緊要であることにかんがみ、これら国民の疑念を積極的に晴らすべき総理の責任があると考えるのでありますが、いかがでしょうか。 その意味で、ロッキード特別委員会の焦点でありました国会議員の証人喚問は野党の要求にすべて応ずべきであろうし、また、今般、米国下院フレーザー委員会の求めている金大中事件に関する三人の在日韓国人の証言が実現するよう渡航手続など進めるべきであろうと考えますが、総理の見解を求めます。 さらに、一部新聞で、金氏の発言を打ち消す意図をもって政府高官あてに金在権元駐日公使の私信が届いた旨報道されましたが、事実かどうか。もし、ありとすれば、その政府高官はだれでありますか、資料とともに明らかにしていただきたいと思うのであります。 次に、私は、今日の不況、倒産、失業、インフレ物価高のもとに苦しむ国民の生活安定のために緊急不可欠と考えられる幾つかの課題についてお伺いをいたします。 その一つは、雇用の安定であり、全国最低賃金制度の確立であります。 昭和四十八年の狂乱物価以降、五年続きの不況倒産は、常時百万人を超える完全失業者と三百万人に上るとも言われる潜在失業者を生み出し、中高年齢労働者に対する有効求人は十人に一人という深刻な情勢に加え、賃金もまた物価上昇に追いつけず、特に零細企業は、地域最低賃金制の示すとおり、一日働いて二千円にも満たない状態の中で、多くの勤労者は雇用と生活の不安におののいているのが現状であります。失業を防止するためにはまず景気の回復からと言うかもしれません。しかしながら、その反面、収入減は消費の縮小となり、また、あすの不安に備えて貯蓄に振り向けるのは当然であり、そのことが個人消費動向の停滞となって、より不況を深刻化させているというような悪循環の中にあることをも指摘せざるを得ないのであります。ましてや、失業のためにお金がないとて、親子がパンの耳をかじり、力尽きたといって先を急がねばならないような社会をつくり上げた政治の責任は問われなければならないと存じます。失業は社会悪であります。その悪を根絶するために、すでに先進諸国で実施されております解雇規制措置を講ずべきでありましょう。政。労・使構成の雇用保障委員会を中央、地方に設置し、一定規模以上の解雇についてあらかじめ調整勧告等実施できる制度をつくることについて所見を伺いたいと存じます。 さらに、不況産業に対しては、職種転換、不況脱出まで雇用調整給付金の支給を延長するなど特別措置を講じ、また、週休二日制など労働時間を短縮し、完全雇用のために調整を図る必要があろうかと存じますが、所見をお伺いいたします。 それとともに、全国最低賃金制度を確立することも緊急課題であろうと存じます。業種間、地域間、あるいは同一業種であっても労働力の評価に差があること自体問題であろうと考えますが、今日の個人消費生活の動向から見て、勤労国民の所得を底上げし、日本の生産力、経済力に適合した国民生活水準の向上を図ることは不況打開の道にも通ずるものと考えますが、制度確立についての所見をお答えいただきたいのであります。 次に、社会保障の分野で特徴的な課題についてお伺いをいたします。 その一つは、年金の格差問題であります。さきの国会でも官民格差について議論されましたが、もちろん、年金制度は、それぞれの制度の発生、発達の経過があり、一概に格差とのみ言いがたい点もありますが、しかし、今日国民の要求は、官民間を問わず、拠出制、無拠出制を越えて、生活できる年金、だれでも理解できる年金制度を望んでおります。国民にとって年金は生活の一部であり、生涯の重要な課題であると言って過言でありません。もはや年金制度の抜本的改革が必要であります。しかしながら、制度改革を達成するためには、暫定的、経過的措置も必要であり、それだけに速やかに着手する必要があろうかと存じます。総理は、当面する年金問題をいかに認識しておられるか、そしてまた、いかに対処しようとするかについてお伺いをいたします。 また、年金制度の改革と並んで緊急に解決を迫られているのが医療保障の問題であります。その抜本的改革は限りなく論議が続けられておりますが、毎年、各保険組合等の財政処理に追われ、その方向性すら定まらないまま、ずるずると今日の医療の荒廃を見る結果になったことは、まことに遺憾と言わざるを得ません。抽象的な言い方ではありますが、究極のところ、貧富や地域、また制度間の差を越えて、いつでも、どこでも医療の恩恵を享受できる体制をつくることが政治の責務であろうかと考えますが、総理の所見をお聞かせいただきたいと存じます。 そしてまた、最近の傾向として、行政の方向が公的医療機関よりもむしろ民間医療機関、なかんずく個人開業医重視の方向がとられ、国民が求めている、日曜日でもかかれるお医者、すなわち救急医療体制や僻地医療体制を整えにくくしていることについて指摘せざるを得ません。それは、ある県の自治体病院が財政上の理由をもって民間移管が進められていることからして理解できるのでありますが、政府の医療行政が安上がりを求めていると言わざるを得ません。私は、この際、公的医療機関を積極的に充実し、地域医療の中核として当面する救急医療や僻地対策の解決と、日曜日にもお医者さんにかかれるような医療体制をつくらねばならないと思います。しかし、このことは言うべくして容易なことではないと思いますが、総理の決意のほどを伺いたいのであります。 次に、農業問題、主として農畜産物価格支持政策についてお伺いをいたします。 去る七月二十一日、生産者米価を決める米価寒議会は、混乱のうちに、昨年に続いて無答申の結果に終わりました。このことは、現在の米作日本農業がのっぴきならない状況にあることを象徴していると思うのであります。この審議会の中で、農相は、この秋、米価算定方式の再検討のための米価審議会開催を言明いたしておりますが、確かに開催されますかどうか。また、農相は、この審議会に無原則で臨むはずもないと思いますが、いかなる態度で対処されるのか、その構想についてお聞かせをいただきたいのであります。 ことしの諮問米価は余りにも政治的でありました。農村における物価指数は対前年比で約七%を超えており、とりわけ昨年は、冷害の中で苦しい農家経済にもかかわらず、今春闘賃上げ率のほぼ四分の一の二・五%の引き上げ率は、農林省の「ことさら作為をこらさず自然体ではじいた」と幾ら説明されても、納得できるものではないと思うのであります。要するに、米の需給事情のみ念頭に置いた、生産費所得補償方式の放棄であると指摘をせざるを得ないのであります。 そして政府は、今年十月の在庫米は三百三十万トン、来年十月には四百万トンに達するとしきりに宣伝をするのでありますが、私は、この程度の備蓄は当然であり、決して米過剰の状態ではないと考えます。しかし、振り返って、米の生産調整が開始されて数年、自己開田なども加えて水稲作付面積はむしろ増加し、昭和五十一年には昭和四十八年に比し十七万一千ヘクタール増加いたしておるのであります。まさに無計画農政のそしりを免れません。しかし、その反面、むしろこうした米過剰状態をつくり上げながら、その宣伝の上に算式の変更を行って食管法廃止の方向に動きつつあると看破するのでありますが、いかがでありますか。しかと御答弁をいただきたいのであります。 いま、政府は総合農政を唱えております。しかし、他の作目の生産が停滞を続けている事実を指摘せざるを得ません。それは余りにも価格政策が不十分であるからにほかならないと思うのであります。安いとはいっても米生産を志向するそれは、不完全であっても生産費所得補償方式によって一定の価格が保証され、他の作目に比べてまだ、ましだからつくるのであります。真に総合農政の実を上げるためには、必要とするすべての農畜産物について完全なる生産費所得補償制度を確立し、需給関係を計画的に進める計画農政の展開こそ不可欠であろうと考えますが、総理の見解を求めます。 次に、水産問題であります。 総理は、二百海里時代の急速な到来と言っておりますが、私が申し上げるまでもなく、今日の混乱は、海洋資源問題の国際的、歴史的趨勢を無視した漁業外交と、乱開発、沿岸汚染を進めた産業政策に加えて、大企業優先の略奪漁業を進め、沿岸・沖合い漁業の軽視にあったことは歴然たる事実であります。だとすれば、当面する北洋漁業関連被害者に対する十分な国の補償は速やかに実施すべきは当然でありますが、それとともに、水産政策の転換とそれに伴う基本的具体策の提示の上に関係者の協力を求めることが必要であろうと存じます。 第一に、ますます複雑化する漁業外交の重要性にかんがみ、漁業省を設置し、積極的な国際協力と、距岸二百海里の内外を問わず、水産資源の調査、保護、開発、調整に乗り出すべきと考えますが、いかがでありますか。 第二に、大手漁業中心の遠洋漁業構造を沿岸・沖合い漁業中心に改めるべきであり、かつ遠洋漁業は国が常に掌握できるごとく公社化、協業化を推し進めるべきと考えますが、いかがでありますか。 第三に、八月一日、朝鮮民主主義人民共和国は二百海里を実施いたしました。入域漁船に対し域外退去を指示したとのことでありますが、国交のない状態で、ただに撤退のみ続けることは無策のそしりを免れません。国交樹立こそ急務ではありますが、民間漁業協定の締結などを通じ解決を図り、政府もその保証をすべきであり、本問題を通じて国交回復の窓あけとすべきであると考えますが、いかがでありますか。 なお、七月二十七日決定されました北洋漁業救済対策は、生き残った三分の一の船が約四割の相互補償の責任を持たねばならないことは、魚の消費価格にも影響することは必然であり、すべて国の責任で処理すべきであると考えますが、お答えをいただきたいと存じます。 次に、財政、税制についてであります。 総理は、財政の健全化に触れ、歳入面における見直しを表明いたしました。まさにわが国財政は、昭和五十二年度のそれが示すように、年間予算の三〇%を国債に依存し、それを上回る三十二兆円になんなんとする累積国債を抱えているこの現実は、まさに異常と言わざるを得ません。昭和四十年財政新時代を唱え、国債の導入を図ったのは、時の蔵相、現在の福田総理その人であります。いま歳入の見直しを言うからには、その反省の上に新たな構想があるものと思いますが、具体的にお聞かせをいただきたいと存じます。 その一つは、今日安易に国債が発行されておりますが、国債は功罪それぞれ議論があるにせよ、適正規模を求めることが重要であろうと考えます。総理は、かつて五%以下にとどめるべきであると言っておりましたが、現在予算上の比率において適切な数値はいかほどと考えますか、お答えを願います。 その二つは、総理は、去る三月当院大蔵委員会において、租税負担率三%程度の引き上げを示唆されましたが、歳入の見直しとは当然に増税を意味するものと考えます。その増税構想について具体的にお聞かせをいただきたい。 その三つは、今日の税制は積極的な資本蓄積を命題に高度成長政策推進の体系であったと考えます。総理の言う資源有限時代を迎え、減速経済下の今日、それに適合する体系に抜本的に改めるべきであろうと考えますが、いかがでしょうか。その際、租税特別措置こそ大幅に見直され、富裕税の新設など、勤労国民に対する課税強化は極力避ける必要があると思うが、いかがでありますか、あわせてお尋ねをいたします。 次に、エネルギー問題であります。 総理は、就任直後の所信表明に続いて、また有史以来の資源有限時代を力説されました。しかし、何と空疎な響きでありましょうか。言わずもがな、資源に限りあることは昔から決まっております。でありますから、わが党は、これまでエネルギーの多角的活用について提言をいたしてきたところであります。にもかかわらず、その採算主義を盾に石油中心の産業と社会生活構造をつくり上げてきたのは、紛れもなく、自民党の政治であります。しかしながら、この際、総理の提言を謙虚に受けとめ、エネルギーについての恒久策を講ずることは異論のないところであります。したがって、わが国のエネルギー政策を根本的に改め、エネルギー節約計画、供給計画、新エネルギーの開発計画など、エネルギー基本法の制定の上に官民協力して対処する必要があろうかと考えますが、いかがでしょうか。もちろん、安上がりエネルギー政策の犠牲となった石炭産業について、直ちにその活用化を図る必要があると思いますが、お答えをいただきたいと存じます。 次に、教育問題であります。 毎年春ともなれば、高校や大学入試に失敗し、春秋に富む青少年がみずからの命を断った新聞記事を目にいたします。まことに悲惨と言うべきでありましょう。このような事例が諸外国にあるでありましょうか、私はその例を知らないのであります。それがわが国にのみ存在するのは一体いかなる原因なのか究明し、その対策を急がなければならないと存じます。 私は、端的に言って、ますます深刻化する学歴社会にありと指摘をするのでありますが、さきの国会の論議の経過から見て、総理並びに文部大臣の考えもそこにあるように思います。そして、指定校制の廃止など企業に要請はしておられますが、いまだ不徹底のうらみなしとしない現状を見るとき、さらに確固たる基本方針と積極的な具体策を講ずべきと存じます。ついては、まず指定校制廃止は五十二年の採用試験実施の時期に実現できますかどうか。また、その際、新卒に限るとする差別扱いもやめさせるべきと考えますが、いかがでありますか。そして、この際、政府自身が政府機関の学歴構造、すなわち部長級以上八〇%が東大出身であるというような姿は改むべきと思いますが、所見をお伺いいたします。 さらに、学校格差の解消に努力するとのことでありますが、来年度以降に向けての具体案をお聞かせいただきたいと存じます。また、学校格差の解消と教育の機会均等のために、一県一国立総合大学の設立整備が必要であると考えますが、この構想についての所見をお伺いいたします。 私は、いま多岐にわたって質問をいたしました。時間の関係上、要を得ない点はお許しをいただきたいと存じます。しかし、これらの課題は選挙の中で国民が示した関心事であり、それが困難であろうとも解決を急がねばならない要点であろうと存じます。要は実行の決意があるかどうかであります。時たまたま五十三年度予算編成の準備期でもあり、これらの課題が前向きに、しかも積極的に反映されるように強く要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(福田赳夫君) ロッキード事件、日韓問題等を掘り下げよという御提言でございますが、ロッキード事件にいたしましても、鋭意これが捜査をいたしまして、今日公判段階に来ておるわけです。公判段階で新しい事実が出るということになりますれば、またそれを手がかりとして捜査を進めるという方針でございます。 日韓問題につきましては、これも証拠性があるというような材料が出てくれば、それを手がかりとして捜査を進めるということにいたしますが、どうも伝聞みたいなことが海外から流れてくると、こういうことで少し騒ぎ過ぎるんじゃないかというような感じがしてなりませんが、本当に証拠性があるというような資料が出ますれば、これはそれを踏んまえまして調査を進めるというふうにいたします。 また、ロッキード特別委員会における国会議員の証人喚問について自民党は応ずべきと思うがどうかと、こういうお話でございますが、これはケース・バイ・ケースで判断をすべき問題だというふうに考えます。いろんな戦略戦術というような立場から、むやみと証人を喚問するというようなことは慎むべきと思いまするけれども、本当にこれが事件解明のために必要であるという証人につきましては、これは応ずべきであると、こういうふうに考えます。 次に、三人の在日韓国人が米議会で証言できるように渡航手続について政府は協力すべきであると、こういうお話でございますが、御質問の在日韓国人三名は、いずれも出入国及び再入国許可の手続に必要な有効な旅券、またはこれにかわる証明書を所持していなかったので、再入国許可申請を受理しなかったものと聞いております。 それから、金在権元公使の私信が政府高官に届いているのは事実か、その政府高官はたれかというお話でございますが、政府高官に手紙が届いていることは事実であります。その内容についても報告を受けております。内容は、金炯旭氏の証言は正しくないとの趣旨であります。(「だれか」と呼ぶ者あり)だれかということは申し上げるわけにいきません。 それから、失業防止のため雇用促進委員会の設置構想でございますが、これは労働基準法なんかの運用でやっていける問題で、新たなる立法は要らぬと、こういう考えでございます。 それから、雇用調整給付金の延長、これもいまの制度で十分だという見解でございます。 週休二日制等労働時間の短縮、この問題につきましては、これは社会の動きに従って政府としては対処すると、こういう考え方でいくべきであるということでございます。 それから最低賃金制につきまして建これは非常にむずかしい問題でありまして、目下、中央最低賃金審議会で検討中であります。答申を待って善処すると、こういう考えでございます。 年金制度の抜本的改正、これにつきましては、現在年金制度基本構想懇談会で検討中であります。これは今秋中にも御意見が期待されておりますので、その御意見を見て善処したい。 それから、医療保険の問題につきまして、これは格差問題が重大問題であると、こういうふうに考えます。これは五十三年度を目途といたしまして十分検討の上善処したい、かように考えます。 それから、救急医療、僻地医療、この問題は公的医療機関だけでは解決できない問題と考えます。公的医療機関の任務も重大でございまするけれども、私的機関の任務も重大である。おしなべてこれは対処しなけりゃならぬと、かように考えます。 それから、畜産部門に生産費所得補償方式を導入したらどうだと、こういうお話でございますが、これは米のようなわけにはいかぬと思うのです。まだ需給があのように安定してない、こういうものでございますので。しかし、価格につきましては、これは需要が伸びるというような方向でいろいろ対処しなければならぬ、こういうふうに考えます。 それから、二百海里時代を迎えた水産政策、これにつきましては、この二百海里は、かなりこれは日本とすると広域な水域になるんです。そういう立場を踏まえますと、かなり基本的な環境はいいというふうに見ております。したがいまして、この二百海里水域、わが国の水域をフルに活用すると、これは私は、相当前途明るい展望が持ち得るんじゃないか、そういうふうに思いますが、二百海里水域におきまして、この水産資源の開発調査、水産増養殖の推進、水産物利用加工の推進、それから外国の周辺水域における漁場の確保開発、そういう問題もあわせてやっていくべきである、かように考えます。 それから、水産省の設置、この問題につきましては、これはやっぱり水産物ばかりでなくて、他の食糧につきまして統合的にこれを管理する必要がある、そういうようなことで、水産省という省を独立してつくるということは妥当でないと、さような考えであります。 それから、北朝鮮の二百海里経済水域設定に対処し、国交回復を前提として民間漁業協定の締結を促進すべし、こういう御意見でございますが、この問題につきましては、北鮮といま国交を正常化するというような環境、条件ができていないんです。しかし、そういう中におきまして北鮮が二百海里宣言をする、どういうふうに対処するかという問題がありますが、この点につきましては、これは民間漁業協定を締結する、こういう方向で何か道はないかというふうに考えております。 それから、政府決定の北洋漁業救済対策ではきわめて不十分である、再検討せよというお話でございますが、政府におきましては、六月二十一日閣議了解せる基本方針に基づき、具体化措置として、減船漁業者に対する救済金額等につき七月二十七日にこれを決定いたしていることは御承知のとおりでございます。その内容といたしましては、政府の交付金、残存漁業者等の共補償、この両者から成るわけでございまするけれども、その他におきましてもいろんな対策をあわせ行っております。この対策で大体まあカバーできておるんじゃないか、そういうふうに考えておりますので、さらに抜本的にこれを再検討するという考え方はいたしておりません。 それから、財政健全化のため公債依存は適正規模にとどめるべきである、そういう考えであるが現在何%を適正と考えるかというお話でございますが、財政の中における公債の規模、これが何%という問題、これはそのときの経済の客観情勢によって判断すべきものである。私は、四十年ごろ大蔵大臣をいたしましたころ、公債発行に踏み切ったわけでございまするけれども、その当時の時点の考え方といたしましては、五%というところへ将来は持っていきたいというふうに思っておりました。しかし、いかなる規模の公債が適正な規模であるかということは、経済の客観情勢によって判断さるべき問題なんです。不況であるという際には多額の公債を出して、そうして政府需要を注入するという考え方をとってしかるべきである。しかし、好況であるという際におきましては公債の発行額というものをもう極端に減らしてよろしい、こういうふうに考えるのでありまして、そういう客観情勢いかんがその時点における適正。パーセントはどうであるかということにつながっていくんだというふうに考えておりまするけれども、いずれにいたしましても、野方図な公債発行ということにつきましては警戒的であらねばならない、さように考えております。 それから、税制改正についてのお尋ねでございますが、私は、御指摘のとおり、これから国民の負担は増高していく傾向にある、また、それをしないと国家財政はやっていけないんだということを申し上げてきたわけであります。そういう考え方でいきますと、どうしても五十五年度までの間に国民総負担、中央・地方を通じまして三%ぐらいの増加が必要になってくるんじゃないか。その増加というのは全部が増税じゃないんです。一部は自然増収というような形で出てくるかもしれませんけれども、いずれにいたしましても、国民負担の増加、これが三%ぐらいはふえざるを得ない形勢にある。その場合に、その負担の増加は、自然増収もありますが、税制改正によるという場合には一体どういうふうな税制改正に求めるかということになりましょうが、それは資産所得に求めるということもあり、また、所得課税という方法もあり、消費課税という方法もある。その三つのほかにはないわけでございまするけれども、そのいずれにその負担を求めるかということにつきましては、いま大蔵省で検討中であるというわけであります。 租税特別措置を見直すべしというようなお話でございまするが、この租税特別措置といいましても、その中には勤労者の負担軽減の問題もある、中小企業者の負担軽減の問題もある。一概には申し上げられませんけれども、いずれにいたしましても、課税の公平という見地から五十三年度予算編成の際には見直しを行いたい、かように考えております。 それから、エネルギーの問題につきまして、従来の安上がりのエネルギー政策を抜本的に改め、エネルギー基本法を制定し、総合的な節約計画、供給計画、新エネルギー開発計画などを策定し、官民協調によりこれを進むべしというような御意見でございまするが、エネルギー基本法を制定せぬでも、そのとおりのことをしなけりゃならぬと、こういうふうに考えております。また、安上がりエネルギー政策の犠牲となった石炭産業を直ちに活用すべしというお話でありまするが、これも私も、そうしなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。ただし、それにはもうなかなか限界がありまして、そう多くを石炭エネルギーに期待することはできないというのが実情でございます。 学歴社会について総理はどのような認識をし、具体策を講じているかというお話でございまするが、学歴社会の学歴偏重の社会的風潮が入学試験の過熱など教育に与える影響は大きいものがあることは御指摘のとおりであります。何とかして広く社会の理解と協力のもとにこれを改善したい、こういうふうに考えますが、そのためにも、たとえば企業の排他的な指定校制、これはぜひ是正されなけりゃならぬ問題だというふうに考えておるのであります。現在、文部大臣や労働大臣の方で鋭意これを努力しているという最中でございます。 それから、政府や政府関係機関でどうも学歴構造が変になっておる、これを改むべきじゃないかというような御所見でございますが、この点は政府におきましてもずいぶん意は使っておるわけであります。政府職員の採用、昇任などにつきましては、これは公開平等の採用試験制度、成績主義の任用の原則、これを二つの方針といたしまして、そして運用いたしておるわけでありまして、政府としても、今後この方針で人事管理を適正にやっていかなけりゃならぬだろうと、かように考えておる次第でございます。 以上。(拍手) 〔国務大臣鈴木善幸君登壇拍手〕
○国務大臣(鈴木善幸君) 私に対する三点の御質疑に対しましてお答えをいたします。 昭和五十二年度産米の生産者米価の決定の問題についてでございますが、御承知のように、厳しい生産過剰と、こういう状況の中ではございましたけれども、食管法の精神を踏まえまして、生産費所得補償方式に基づきまして、最近における物価、賃金の値上がり等を十分正しく反映せしむるように算定をいたしたわけでございます。米審におきましても、いろいろの御意見がございましたので、この米価審議会の御意見等も踏まえ、関係方面とも協議をいたしまして、前年度対比四%の値上げの米価を決めたわけでございます。いまの厳しい過剰基調の中での米価としては、生産を過度に刺激すべきではないということもございまして、国民の皆さんが納得できる米価であったと私は確信をいたしております。 なお、需給の均衡をできるだけ早く回復をするということは、食管制度を守ってまいります上からもきわめて大事な問題でございまして、農政上あるいは財政上の観点からも、一方におきましては、お米の消費の拡大を進めますと同時に、水田の総合利用等を積極的に進めまして、需給の均衡を確保できるように、そして食管制度をあくまで堅持してまいるという政府の方針を今後進めてまいりたいと考えております。 次に、米価審議会のあり方についての御質問がございました。私は、今回、麦価の算定並びに米価の決定をお願いをしたところの米審の状況をつぶさに拝見しておりまして、米価審議会につきましては、ただ米価なりあるいは麦価を決めるということでなしに、米や麦の周辺の問題、総合的な農政のあらゆる問題を御検討願って、その共通の認識の上に立って価格についての御審議を願わなければいかぬと、こういうことを痛切に感じたわけでありまして、米価等のホットなシーズンでなしに、秋ころ、冷静な客観的な条件の中で、今後の米価のあり方、あるいはその算定方式、算定の要素、そういうものにつきまして各方面の御意見を聞きながら米価審議会で御検討いただきたいと、これが私の考えでございます。 第三の問題は、総合農政を進めてまいります際におきまして、価格政策が非常に重要な要素を持っておるわけでございまして、私は、すべての農産物を生産費所得方式でやるべきだという御意見には、にわかに賛成はいたしかねるところでございますけれども、お米との相対価格を是正をする、またさらに、価格のほかに生産条件、生産政策、構造政策というものもあわせて進めまして、どの主要作目をつくってもおおむね農家の所得は同じ水準になると、そういうような条件整備をしながら総合農政を進めてまいりたいと考えております。(拍手) 〔国務大臣坊秀男君登壇、拍手〕
○国務大臣(坊秀男君) 総理が財政、税制につきましては詳細にお答えになっておりますが、簡単に補足をいたします。 今後日本の国の財政を健全化していくためには、中期的にながめてみまして、ある程度の租税収入の増強ということを図っていかなければならないということでございますが、それをお願いするに当たりまして、ただいま御指摘の租税特別措置法などというものについて、これは公平化していかなければならない——私は、非常にごもっともなことと思います。そういったような租税特別措置法も含めまして、今日、直接税、間接税、それから資産課税といったようなものの全般にわたりまして、ただいま税制調査会におきまして鋭意研究をしてもらっておるというところでございます。租税は、申し上げるまでもなく、国の財政需要を満たす支出を賄うために国民の皆さんに負担をしていただくというものでございますけれども、その租税の誘因的の機能というものを活用いたしまして、そのときどきの社会経済情勢に応じまして、特定の政策目的を果たすために、租税にある役割りをやってもらっておるということでありますが、これが私は租税特別措置法だと思います。この租税特別措置法は、いま申し上げましたとおり、そのときそのときの経済社会情勢に応じてつくられておるものでございまするから、きわめてこれは弾力的なものであって、それがいつまでもそのままでおるというようなことになりますと、これは租税の不公平ということを疑われるということに相なりますので、これにつきましては絶えず留意をいたしまして、その目的が果たされておるか、その目的がすでに終わったかというようなことについて常に研究をいたしまして、そしてこれを税制改正していかなければならぬものだと、かように考えております。 以上でございます。(拍手) 〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘ありました、学歴が必要以上に幅をきかせ過ぎる採用試験の実態は間違いである、指定校制度の廃止は強く何回も要請を続けておるところでございますが、御質問の今年度からやるつもりかという点に対しましては、もちろん、今年度から実施してほしいと強く願っておりますし、そのため、さらに一層の徹底を図るために、具体的な事例に応じて、きめの細かい要請ができるように、関係の大学、団体等とただいま検討を続けておりまして、一層趣旨の徹底を図り、企業の理解と協力を求めてまいりたい、こう考えております。 また、二つ目の、学校間格差をなくするようにする具体策はどうかとの点でございますが、これは、大都会にあります大学と地方にあります大学との格差の問題、もう一面は国公立の大学と私立の大学の格差の問題、この二面からとらえなければいけないと思いますが、先生御指摘のように、教育の機会均等を図る上において、一県一つの総合大学を考えてはどうかという、その御趣旨は十分に体しまして、ただいま地方大学の整備については、定員の格差の是正とか、専門分野の足りないところを補充していくとか、計画的な整備充実を考えておりますし、また、国公立大学と私立大学との格差の是正に関しましては、学校経営に対する経常費の助成、学生個人に対する育英奨学資金の貸与月額の差を設けるなど、教育費負担の格差についても解消の具体的な努力をいたしておりますが、率直に申し上げて、国公立大学と私立大学とは専門分野構成に差の見られることも事実でございますし、また、大学院の比重についても差が見られることは事実でございますから、特に専任教員数の改善等については十分に配慮をしなければならぬと考えております。私立大学が建学の精神に基づき自主的に発展への努力を計画される場合、文部省は大いに努力、協力をしてまいりたいと考えております。(拍手)
○副議長(加瀬完君) これにて質疑は終了いたしました。 本日は、これにて散会いたします。 午後四時三十分散会 —————・—————