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81回国会衆議院1977/08/23

決算委員会 第2号

発言数
215
登壇者
20
会派数
4
開催日
1977/08/23

会議録

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員長 これより会議を開きます。  本委員会は、歳入歳出の実況等に関する調査のため、去る八月八日から十一日までの四日間にわたり、北海道に委員を派遣いたしました。その調査の概要につきまして、便宜この席から私が御報告申し上げます。  本派遣団は、自由民主党天野光晴君、宇野亨君、丹羽久章君、森下元晴君、葉梨信行君、日本社会党原茂君、馬場猪太郎君、公明党・国民会議林孝矩君、及び日本共産党・革新共同安藤厳君並びに私の都合十名をもちまして、運輸省千歳空港事務所、防衛庁航空自衛隊第二航空団、北海道開発庁苫小牧港湾建設事務所、苫小牧東部開発株式会社、北海道開発庁北海道開発局、北海道庁、海上保安庁稚内海上保安部、防衛庁陸上自衛隊第二師団、北海道上川支庁、林野庁旭川営林局、北見営林局、農用地開発公団根室開発事業所、海上保安庁根室海上保安部、北海道開発局釧路開発建設部、運輸省釧路空港事務所の歳入歳出の実況等を調査してまいりました。  まず、日程及び調査の経過について申し上げます。  第一日目の八月八日は、午前八時二十五分東京羽田空港を出発し、千歳空港に到着、直ちに千歳空港事務所長から空港の概況、今後の航空輸送需要見込み、これに対処するための新千歳空港建設計画等の説明を聴取いたしました。  続いて、防衛庁航空自衛隊第二航空団に赴き、栄誉礼を受け、第二航空団司令から任務、装備状況等について説明を聴取した後、警戒待機体制の実態と緊急発進の状況を視察いたしました。  次に、苫小牧市に赴き、苫小牧港湾事務所長より苫小牧西港及び苫小牧東部地区の港湾建設状況について、苫小牧東部開発株式会社、苫小牧市、苫小牧市議会、苫小牧圏総合開発協力会から東部開発についての説明及び陳情を聴取した後、現地を視察いたしました。  次に、札幌市に赴き、北海道開発局において開発局長及び北海道副知事から道勢状況並びに開発事業の実施状況等について説明を聴取し、さらに、道当局から北方領土の復帰促進、漁業水域二百海里対策等十一項目について要望が行われ、また有珠山噴火による災害状況について説明がありました。  第二日目の八月九日は、自衛隊機に搭乗して、丘珠空港を午前十時三十分に出発し、悪天候の中を稚内空港に着陸いたしました。直ちに、海上保安庁稚内海上保安部において、領海の警備、漁業水域における漁船の監視体制等について説明を聴取いたしました。  また、宗谷支庁長、稚内市長、稚内機船漁業協同組合、稚内漁業協同組合から漁業水域二百海里実施に伴う対策として海上保安体制の強化、減船補償金並びに税の減免措置などについて陳情がありました。  なお、当初予定では、海上保安庁巡視船「ほろべつ」で利尻島まで洋上視察を行うことになっておりましたが、悪天候のため、これを中止し、稚内空港から再び自衛隊機に搭乗し、旭川空港に到着いたしました。  空港から旭川市に入り、防衛庁陸上自衛隊第二師団に赴き、栄誉礼を受け、第二師団長から師団の任務、編成、装備状況、災害出動及び公共土木事業への協力等の説明を聴取した後、隊内を視察いたしました。  次に、北海道上川支庁において、支庁長から管内概況の説明を聴取いたし、さらに、旭川市長、上川町村会長、管内農業団体から農業基盤整備、道路網の整備、旭川空港の拡張整備、地熱開発等の促進について陳情がありました。  第三日目の八月十日は、上川町層雲峡の現地において旭川営林局長から管内国有林の概況等について説明を聴取した後、大雪山系の国有林の現況を視察しながら、北見営林局へ赴き、営林局長から管内概況について説明を聴取いたしました。  営林局を出発し、美幌峠を経て、根室支庁管内の別海町の農用地開発事業団根室開発事業所に到着し、事業所長から新酪農村建設事業の概要について説明を聴取して、現地視察を行い、オホーツク海の洋上に浮かぶ北方領土の国後島を遠望しながら根室市に入りました。  第四日目の八月十一日は、根室海上保安部において領海の警備、漁業水域における漁船の監視体制等について説明を聴取いたしました。  さらに、根室支庁長、根室市長、根室管内漁業協同組合長から北方領土の復帰促進、二百海里漁業水域の設定に伴う対策の推進、四島周辺海域における安全操業等について陳情がありました。  続いて、巡視船「いしかり」に乗船し、午前十時に根室港を出発し、珸瑶瑁海峡に向かい、貝殻島、水晶島が真近に見える水域に至り、根室半島を迂回して花咲港までの重要な海域を約二時間にわたり、つぶさに視察いたしました。  次いで、釧路市に入り、釧路開発建設部において、建設部長から業務概況について説明を聴取いたしました。  さらに、釧路市長及び釧路漁業協同組合関係の代表から二百海里対策の促進、減船補償金等の免税措置、釧路空港の拡張、整備、釧路西港の建設促進などの陳情があった後、釧路港を視察いたしました。  最後に、運輸省釧路空港事務所に赴き、事務所長から空港の概況などについて説明を聴取いたしました。  本派遣団は、四日間の強行日程を完了し、釧路空港を午後七時二十分出発、空路無事帰京いたしました。  次に、今回の調査の結果に基づき、政府において早急に対策を講ずべき、主な事項について御報告申し上げます。  一、領海及び漁業水域の警備体制等について   1、領海十二海里への拡大、二百海里漁業水域の設定に伴い、新海洋時代に対応し、漁業資源の保護、操業秩序の維持及び海洋汚染の防止等のため、広大な海洋での警備体制を強化し、迅速に対処すべきである。    すなわち、海上保安庁並びに水産庁の巡視船、監視船、航空機等配置の増強と要員の確保を図り、これに伴う予算上の措置を講ずべきである。   2、日ソ間の漁業暫定協定が締結され、これに伴い、ソ連漁船(韓国漁船を含む)の日本水域での操業については、必要と認められる禁止区域の設定等の規制措置を講じ、わが国の水産資源の保護、沿岸漁業の振興のため万全な措置を講ずべきである。   3、日ソ漁業暫定協定に伴う北洋海域における漁業者の減船等に対する、国が行う補償金の早期支払い及び税の減免等の優遇処置について速やかに検討する必要がある。   4、二百海里水域内における新漁場の開発整備の促進、浅海増養殖事業の振興等について抜本的対策を立て、これに必要な予算措置を講ずべきである。  二、北海道の公共事業について   北海道における工事の施行適期は、おおむね四月から十一月までとなっている。したがって、冬期間における工事の施行は、特殊の工事を除いては技術的にも困難があるので、公共事業の予算の実施については、早期発注に努め、四月から十一月までに完了するよう努めるべきである。   なお、補正予算の配分に当たっては、冬期間の特殊性を考慮し、事業実施上の改善を図るべきである。  三、北海道農業の振興について   1、北海道は広大な農業地域を抱え、食糧基地としてきわめて重要な役割りを果たしている。   したがって、政府は水田・畑作・酪農の総合的長期生産計画を立てて、国内食糧の自給向上に努めるべきである。   2、畑作・酪農地帯の土地基盤整備は、相対的に立ちおくれているので、特に、畑地帯総合土地改良事業の促進を図るべきである。   3、現行の農畜産物価格制度は、それぞれの農畜産物について価格の決定時期及び算定方式が異なり、相互間に必ずしも均衡がとれているとは言いがたいので、農業経営の実態に即した総合的な価格制度を確立すべきである。   4、生産性の高い近代的農業経営の育成、助長を図るためには、経営改善に多額の投資を要し、かつ収益性が低い農業の特殊性に対応するために、経営規模拡大の総合資金制度等の抜本的改善を図るべきである。  四、道路整備の促進について    北海道の道路密度は全国の最下位にあり、道路舗装率は、国道八四・九%、道道五〇・七%、市町村道五・七%と、全国平均に比べ、きわめて低い。特に、積雪寒冷地帯における特殊性と市町村道の改良率のおくれ及び舗装率全国最下位の現状は、地域住民の生活、文化向上に大きな障害となっている。    本道のように広大な面積で人口密度が低く、自動車輸送に依存度の高い地域においては、道路整備が開発上欠くことのできない要件であり、なお一層の促進を図るべきである。  五、空港整備事業について    北海道内の各空港の利用状況は、年々大幅な増大を示しており、なかんずく左の空港整備については特段の措置が必要である。  1、千歳空港は可及的速やかに民間機と自衛隊機の使用施設を分離して、騒音防止と航空交通の安全性を確保するため、新千歳空港建設工事を促進すべきである。  2、釧路空港の安全就航と航空機の大型化に対処するため滑走路拡張の整備を促進すべきである。  3、旭川空港の旅客増大に伴い、ジェット機就航のための滑走路拡張及び施設の整備を早期実施すべきである。  六、苫小牧東部開発について    苫小牧東部開発計画の実施については、最近の経済不況により予定される企業立地はきわめて厳しい状況に置かれている。   したがって、本計画に慎重な検討を加え、環境保全と地域経済の発展に配慮しつつ、港湾整備事業等を実施すべきである。   特に、苫小牧東部開発株式会社は、北海道東北開発公庫等から莫大な融資を受け、その上、欠損金が累増しているので、政府は、これに対し万全な措置を講ずべきである。  七、国有林野事業について    国有林野事業の経営及び特別会計の財務状況は、近年、木材価格の低迷、人件費及び諸物価の上昇により支出超過の傾向をたどっている。    近年、国有林野の公益機能の発揮が望まれている実状にかんがみ、これに要する費用は、一般会計からの繰り入れ措置を講ずる等、経営の健全化に努めるべきである。  以上をもちまして報告を終わります。  この際、お諮りいたします。  ただいま報告いたしました内容の詳細につきましては、これを調査報告書として会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は本号末尾に掲載〕      ————◇—————

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員長 次に、昭和五十年度決算外二件を一括議題といたします。  農林省所管及び農林漁業金融公庫について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として畜産振興事業団理事長太田康二君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森下元晴君。     —————————————

森下元晴自由民主党

○森下委員 農林大臣にお伺いしたいと思います。  二百海里時代を迎えまして、水産行政強化の要望が強く叫ばれております。これに対応されまして、水産庁は独立して、水産省を設置せよというような声が業界から強く出ております。大臣におかれましても、十九日の閣議後の記者会見で、水産省設置を表明しておるようでございます。いわゆる農林水産省に名称を変更するという意向のようでございますけれども、これについて確認をしたいと思いますので、よろしくお願いします。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 森下先生から、ただいま御指摘がございましたように、政府におきましては、近く行政機構の改革に取り組んでまいるということで、各省庁におきましても検討を加えておるところでございますが、農林省といたしましては、御指摘の二百海里時代を迎えまして、これに対応するために総合的な水産施策の強化と展開を図っていく必要があるわけでございます。  水産業界その他からは、この際、世界一の漁業国であり、水産国である日本として、漁業省あるいは水産省を設置すべきではないか、このような御要望のありますことも十分承知をいたしております。しかし私どもは、食糧問題全体を対象とした総合食糧政策を今後とっていかなければならない状況下におきまして、この水産行政も、その一環として整備強化を図るべきだ、このように考えておるわけでございます。  そのような観点に立ちまして、農林省を農林水産省あるいは農林漁業省、こういうぐあいに名称も明確に、水産漁業に今後重点を向けていくんだということを明らかにいたしますと同時に、具体的には、現在の水産庁を整備強化をいたしまして、一つには、日本列島周辺の沿岸、沖合いの漁場の資源調査並びに資源の増強及び栽培漁業等の積極的な振興を図る、そういうような観点から、一つの部を設置いたしまして、沿岸漁業の飛躍的な振興を図ってまいりたいと考えております。  また、各国におきまして、続々と二百海里宣言をする状況下にございますので、漁業外交をさらに強力に展開をいたしますために、所要の陣容の整備も図ってまいりたい、このように考えておる次第でございます。

森下元晴自由民主党

○森下委員 ただいまの大臣の御発言で、水産行政に取り組む大臣の前向きの基本姿勢について、よくわかりました。  そこで第二問でございますけれども、これは水産庁長官にお伺いしたいと思います。  先般、私どもは北海道に参りまして、根室とか釧路のいわゆる北洋の漁業基地に参って、関係者からいろいろ陳情を受けましたし、私どもも目の当たりに、あの狭い水域で苦労しておる方々の姿を見てまいったわけでございますけれども、これは北海道だけの問題じゃなしに、ソ連船の監視船による臨検と罰金が、日々に新聞をにぎわしておる。われわれ見ましても、非常に痛ましい内容でございまして、日ソの間に、まだそこまで細かい協定ができておらないのかどうか、また末端まで伝わっていないのかどうだろうかという心配を実はしております。  まあ新聞の情報でございますけれども、たとえば、ソ連の海上汚染禁止法というものに違反したと言われて、十一日の夕方から六十六時間もソ連の警備艇の監視を受けていた、これは長崎県のイカ釣り漁船若宮丸ですね。こういう船長の談話等が載っております。それに書いてある内容を見ても、本当に不可思議な、何かこう国力の非常に乏しい日本という国に対する一つの侮辱のような仕打ちのように、われわれは受け取ります。実は厳重に抗議してもらいたいと思っているのですが、ちょっと内容を読ましていただきます。  「十一日午後六時二十分ごろ、ソ連の警備艇がやってきた。私服姿の六人が乗り込んできた。小型。パンフレットに書かれた日本語の「あなたは海上汚染禁止法違反です」という場所を指さしてその下に二百万円と書き込んだ。こちらは「悪質な汚水の排出ではない」と懸命に釈明した。  しかし相手は警備艇へ連行するとか、銃で撃つような身ぶりをし始めたので、書類にサインした。  二百万円を手渡したときは向こうから何度も握手を求めてきて、初めに見せた日本語パンフレットの「大漁を祈る」などというところをみせて上きげんだった。」  こういうふうに、何かこう侮られておるような、これはもう若宮丸だけではなしに、もう日本国自身が軽べつされておるような、非常に不快な気持ちでございますし、ほかも連日のように、このイカ漁船が罰金要求または水揚げ没収ということが載っております。これに対しまして、どういう手を打っておるのか。まあけさの新聞では、解決の方向、めどがついたと言っておりますけれども、果たして、そのようでございますかどうか。この点につきまして御答弁を願いたいと思います。

岡安誠水産庁長官

○岡安説明員 ソ連が二百海里漁業水域を設定いたしまして、私どもも日ソ協定を結び、現在北洋に出漁いたしております。  御指摘のとおり、最近までの間におきまして、ソ連によりまして取り締まりの対象になりました船が約四十隻ございます。合計四千五百万円程度の罰金の支払いというものを命令されているわけでございます。私どもその内容につきまして、処罰の対象になりました船から、いろいろ事情を聞いております。  態様を分けますと、停船命令に違反というような態様、それから操業区域に違反をいたしておる、それから操業日誌について、その記載、それから内容等が不備であるというような問題、その他、いま先生御指摘のような海洋汚染というものについて犯し行為をしているというような御指摘もあるわけでございます。  そこで、私ども先般、ナホトカに係官を派遣をいたしまして、八月の十六日から十八日までの間、いままでのソ連船による取り締まりをされた船につきまして、私どもがおかしいというふうに考えている点につきまして私ども意見を述べ、向こうの解釈等を聞いているわけでございます。  いま、たまたま御指摘ございましたけれども、長崎県の若宮丸につきましては、ソ連の主張によりますと、若宮丸がエンジンのビルジを若干でございますけれども、海に流した、これは海洋汚染をしたのだ、その根拠をただしたところによりますと、ソ連の二百海里に関します幹部会令、これの違反であるという。これは海洋の生物資源を保存しなければならないということが書いてございますが、それに違反をしているということで二百万円の罰金ということになっているわけでございます。  私どもは、たとえ二百海里の幹部会令に海洋生物の保存ということが書いてありましても、若宮丸は四十九トンの船でございまして、それが若干ビルジを流したということによって、果たして海の汚染になるのかどうか、これはおかしいではないかということを指摘いたしましたならば、相手方ソ連としましては、場所等を確認しておりますので、これが果たして幹部会令違反になるかどうかは、さらにモスクワに持ち帰ってよく相談をしてみるというようなことにはなっております。  ともかくも、私ども遺憾に思っておりますのは、ソ連が日ソ漁業協定違反またはソ連の各種法令違反ということで処罰をいたしておりますけれども、どうもその内容につきましての理解が、ソ連と日本とは違うのみならず、ソ連の取り締まり官憲の方でも、また理解が違っている点があるのではないかという点が一点と、それから慣習が相当違います。そういうような日本の慣習、それからソ連の慣習が違うという点によりまして、私どもとしては処罰の対象になり得ないと思っているものを処罰の対象にしている点もございますので、それらはすべて指摘をいたしまして、正すべきものは正してもらいました。  なお、残った問題につきましては、それぞれ持ち帰りまして検討をし、今後は外交ルートを通じて解決を図り、また必要があれば、再度専門家の会議を開きまして解決をするという方向で、現在合意をいたしておるわけでございます。

森下元晴自由民主党

○森下委員 そういう事件を見ましても、何か規則に違反とか協定に違反という以上に、いやがらせ的な内容を含んでおるような感じがいたしまして、今後とも厳重に申し入れをするとか、また協定内容でも早くびしっと決めていただくように、お願いしたいと思っております。  水産問題は、それくらいにいたしまして、次に、農業の機械化問題について、お尋ねしたいと思います。  米づくりを例にとりますと、日本の米価は、国際米価の約三倍と言われる非常に高米価でございます。しかしながら、現実には米づくりだけでは、農家は食っていけない。ここに国際米価の問題と、国内の米価の問題の矛盾がございます。また総合農政の中で、米づくりをどういう方向に持っていくか、農業問題として非常に大切な問題を含んでおるように思っております。現在の米作農家では食ってはいけない、十分生活もできない、こういう現状で、毎年生産者米価、また、それに絡んでの消費者米価の決定時期になりますと、消費者並びに生産者の方が上京されまして、政治的な陳情をされております。  この問題は、昭和三十年代を例にとりますと、大体十アールのたんぼ、約一反歩のたんぼで、二十五日の労働によって米作は行われておったと聞いております。それが現在は十日しかかからない。二十五日の労働が十日に省力されたということは、その分だけ結局機械化されたというふうに解釈できると思います。そういうことになりますと、米価を決める基準の生産費所得補償方式で計算いたしましても、十五、六年前の昭和三十年代でございましたら一町五反歩、一・五ヘクタールで、ほぼ一年間の都市の労働者並みの所得がある計算でございますけれども、これが十日に減った場合には、少なくとも三・六ヘクタールなければ、一年間のいわゆる労務収入は得られない、こういう計算になります。残念ながら三・六ヘクタールのたんぼをつくっておる農民は、恐らく全体の一%か二%である。大半の農家は、農業経営だけをとってみますと、もうすでに倒産してしまっておる、こういうふうに実は解釈できます。  これは、やはり耕地面積が少ないという日本の国土に起因する。しかし、農家の実態が世界の農業に比べまして、非常に零細農業でございますからいたし方ないにしても、いわゆる二十五日の労働が十日の労働に減ってしまうということは、その分だけ機械化されておる。どうしても機械化という問題が、将来の米作を初め日本の農業にかなり大きな影響をする。だから、機械の占める農業のコストの割合がどうであるか——もちろん機械を使えば人減らしができるし、それだけの生産性は上がりますけれども、機械の償却がかなり大きなコストを占める場合に、それだけ農業経営は破綻を来すということになっております。  農業機械の発展によりまして、それだけ農業が近代化されたことは、大きな功績でございますけれども、今後農業機械をどういう方向に持っていくか、いわゆる農業機械にどういう指導をしていくか、これは農政にとっても非常に大事な問題でございます。  そこで大臣は、そういう転換期に当たって農業機械に対して、どういうような御所見を持っておるか。私どもも、自民党の中で農業機械に関する小委員会をつくりまして、何回も会合いたしまして、関係者を呼んで検討いたしました。  その中で、モデルチェンジを余り頻繁にしないようにとか、それから、部品を共通にしてくれ、これはメーカーが違いますと、ボルト、ナットに至るまで全部変えなくてはいけないとか、それからモデルチェンジをいたしますと、その後の部品は、前の品物では合わないとか、それから中古品がなかなか値段がとれない、自動車でございましたら、中古車は中古車なりの下取り価格がございますけれども、農業機械の中古品は、なかなか市場性がないというような問題がございまして、かなり機械の償却の占める農業コストの割合が年々増大しております。  特に、いま非常に景気が悪いものですから、兼業収入も余り望めない、いわゆる機械の負担が農家に大きくかかっておる、こういう現状でございまして、大きい意味で、この農業機械と農業の問題を農林省としては、どういうふうに指導されていくべきであるかということの御答弁をお願いしたいと思います。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 ただいま御指摘がございましたように、日本の農業に農業機械を導入をいたしましてから、その生産性が向上し、また省力化も進んできた。これが農業の近代化に果たしておる役割りというものは、相当大きなものがあるわけでございます。しかしながら、一面におきまして、機械化貧乏と言われるように、生産性は上がっておるけれども、農業経営の面から言うと、その償却なり農機具の支払いなりで農家経済は大きな圧迫を受けておる、これも否めない事実であるわけでございます。  私は、今後日本の農業の安定を図ってまいります観点に立ちました場合に、この農機具に対する行政、農機具のあり方というものが大変重要な問題になっておると考えております。  いま具体的にお触れになりました、通産行政の中ではございますけれども、メーカーの段階において、しばしばモデルチェンジを行う、またモデルチェンジを行いましても、それの一定の耐用期間に見合った部品の供給確保というものが十分なされていない。また整備の段階におきましても、農業団体なり、あるいは各県におきまして、それぞれ農機具の整備工場等の設置、センターの設置を進めておりますけれども、まだ不十分でございます。  さらにまた、まだ将来も十分使えるような、耐用年数が来てないような農機具、これを畑地等に利用すれば、まだ十分使えるというような中古機械等についての下取りの制度、そういうようなものも一部販売業者なりメーカーとの間にはなされておりますけれども、自動車のように、制度的に中古機械の下取り制度も一できてない。  さらに、生産面の実態から見ましても、農作業における農業機械の共同利用の促進の問題でありますとか、あるいは零細規模の耕地を抱えておる第二種兼業等においても、各戸に農機具を持っておるというような実態でございますが、これも賃貸借等農地の流動化も進めまして、耕地の拡大を図って、農機具の効率的な使用を図るというような、いろいろな改善すべき問題点を抱えておるわけでございます。  農林省といたしましても、通産省と十分緊密に話し合いをいたしまして、生産から流通、整備、あるいは生産面の合理化等々につきまして、総合的な農機具の行政の見直しというものを現在やっておるところでございます。  また、全農あるいは中央会等とも話し合いをいたしまして、生産の場におけるところの農機具の効率的な使用、こういう面につきましても、いろいろ具体的なお打ち合わせをしながら、今後十分な改善を進めてまいりたい、このように存じておる次第であります。

森下元晴自由民主党

○森下委員 大臣から非常に詳しく御答弁いただきましたので、私はほかの問題に移るために、これ以上質問はいたしませんけれども、結論的に申し上げますならば、農民の労働力が日本の高度経済成長のための重要な要素として、今日までの日本の発展に多大の寄与をしてきたということを、われわれも認めます。その方向で悪くはなかったと思っております。  ただ問題は、そういうような農民の労働力が、日本の経済全般に非常に大きな寄与をしたけれども、現在のように、高度成長がとまって低成長になりまして、農村まで不況の波が押し寄せておる、いわゆる農工一体という考え方が一歩後退しようとしておる、機械を買うための兼業収入を求めようと思いましても、その場が得られる機会が非常に少なくなってきた、機械の負担がますます重くかかる、こういう悪循環が実は来たわけでございます。  この点、私はただ米づくりとか国民食糧をつくるだけではなしに、農民の労働力というものが、日本の全般的な発展に非常に寄与したという功績をわれわれは認めながら、この機械による大きな圧迫というものを、今後いかなる方法で解消していくかということに方向を向けていかなくてはいけない、このように実は思っておるわけでございます。  次に、山村農業について、一言だけお伺いしたいと思います。  平地農業は、いろいろ問題がございましても、山村の急傾斜地等の農業に比べまして、まだ恵まれております。特に都市近郊の農村は、地価もかなり高いし、それなりの高度農業ができますけれども、やはり奥地山村の農業は、つくられるものが、たばこであるとか、蚕さんを飼う桑であるとかで、他の品種はつくれないというのが現実でございまして、機械も余り使えないし、また耕地面積も少ない。といって、過疎対策上外に出ていく指導をすることもできない。同じ農業地帯でございましても、過疎地域の山村地域は非常に恵まれておらない、このように思っております。  ちょうど、たばこの収納価格がぼつぼつ決まりそうな段階であるわけなんです。たばこの問題につきましては、これは専売公社で、大蔵省が所管しておると思いますけれども、やはりつくる農民にとりましては、お米づくりであろうと、野菜づくりであろうと、また畜産をやろうと、やはり農林省におすがりしておるのが現状です。  たばこの場合は、やはり専売公社の方で決定するものですから、農林省は何かわきに置かれておるというような感じさえいたしますけれども、やはり総合的な農政から考えまして、山村農業をいかに発展させるかというのが、私は農林省の大きな使命じゃないかと思うわけですが、農林省としては、基盤整備とかいろいろな問題で、たばこ耕作者が恵まれるように、いわゆるコストが下がるように、こういう点で農林省の考え方、急傾斜地農業をどうするか、山村農業をどうするかということにつきまして、大臣から一言御所見だけをお伺いしたいと思います。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 山村地域の振興の問題、これは自然環境その他の制約のために、十分な成果が上がってないということは御指摘のとおりでございますが、山を守るためにも、また山村の連年の過疎化を阻止いたしますためにも、どうしても山村地域の農業の振興というものが重要であると心得ております。  そこで、山村地域でも、いま御指摘の葉たばこの耕作というのは、相当大きなウエートを持っておりますし、採算上もわりあいに有利な作目であるわけでございます。農林省といたしましても、専売公社が主体的にはやっておりますけれども、この葉たばこの耕作農民の生産性を高めるために、土地改良等の基盤整備の問題にいたしましても、あるいはその合理化のための近代化資金等の融資の活用の問題でありますとか、できるだけ配慮をいたしまして、努力をいたしておるところでございます。今後とも大蔵省並びに専売当局と十分話し合いをいたしまして、葉たばこの耕地面積の縮小にならないように、特に山村地域に十分な配慮がなされるように、そういう面につきましては十分今後も努力をしてまいりたいと考えております。

森下元晴自由民主党

○森下委員 非常に恵まれない山村につきまして、大臣から明快な御答弁をいただきまして、了承いたしました。よろしくお願いしたいと思います。  最後に、林業問題について二、三質問をしたいと思います。これは、最後に大臣から御答弁願いまして、それまでは林野庁長官にお願いしたいと思います。  初めの問題は、国有林野事業の特別会計の財務悪化に対処して、今後国有林事業の中で公益的機能を発揮する分野、たとえば林道それから造林、そういうものを一般会計の方から積極的に導入すべきであると思います。従来は、特別会計がかなり黒字を続けてきたわけですから、林野庁としても、できるだけ一般会計からお世話にならなくても、御迷惑をかけなくてもいいという一つの考え方があったと思うのですが、今日のように林業が慢性的に不況でございます。国有林も大変な時代でございますから、そういう一般会計から当然支出すべきものは、積極的に私はそういう予算を要求すべきであると思っております。  この点について、林野庁長官から御答弁を願います。

藍原義邦林野庁長官

○藍原説明員 ただいま先生御指摘のように、国有林野事業は従来から特別会計という形で、収支をみずから償うという形で実行してまいりました。最近木材価格の低迷あるいは伐採量の減等々、いろいろな因子がございますけれども、財政的に非常に厳しい問題が出てまいりました。そういう点で、従前から国有林野事業の中には公益的な機能を占める仕事も一部やっておりますし、そういう意味からも、治山事業等につきましては、従前から三分の二の補助をいただいて実行いたしてきております。いま申し上げましたように、従前からそういう形で公益的機能の仕事については、一部一般会計の援助をいただいて実行いたしておりますけれども、さらに最近の情勢等々を見ますと、今後の国有林野事業のいろいろな将来の見通しを立てましても、なかなかむずかしい問題がございます。  そういう点で、私どもといたしましても、いま先生御指摘のような公益的な仕事というのは、造林あるいは林道というようなものも、ある意味で公益的な性格を持っておりますので、こういう問題につきまして、今後の国有林をどう整備していくかということを基本的に考えながら、またみずからの努力をしながら、その中で今後検討していく必要があるというふうに現在考えております。

森下元晴自由民主党

○森下委員 そこで、全国市町村林野振興対策協議会という会がございまして、いろいろ林業施策についての要望が出ております。いま長官が触れました林道問題、これについても、林道事業の拡充強化、特に用地補償の早期実現、改良舗装事業の充実強化及び林道開設に伴う地元負担の軽減、こういう項目も言っております。  林業が非常によかったときは、国有林にしても民有林にしても、負担については非常におおようでございましたし、農道等と違いまして、自分の土地を通る用地補償なんか、ほとんど要求しなかったし、そういう習慣があったわけでございますけれども、現在の林業の状況は非常に悲観的な内容でございます。負担をなかなかしにくい。また用地補償等についても、小面積の所有者にとっては、道ができたかわりに自分の山がなくなったというような悲劇さえ起こるような傾向も実はあるわけなんです。そういうことで、この林道事業一つとりましても、従来と違った感覚で行政をしていただきたい。  林業の振興は、また山村の振興は、林道網の充実にあると言われておりますけれども、いろいろな林道がございまして、それぞれ負担率も違っております。ときには純粋の林道でない、いわゆる観光道路であったり、行政道路であったり、また山村の労務者が通う通行道路でもあったり、多目的な林道が非常に多いわけなんです。そういう性格を考えましても、従来の林道の性格と違った道がございます。それに同じような負担金がかかるということは、非常に負担が重いという印象をわれわれも持っております。  特に最近は、環境保全という問題が出てまいりまして、従来のような安い単価の林道はできません。ほとんど捨て場をつくりまして、トンネルを掘るようなかっこうで道をつくることを要求されておりますから、したがって単価が上がる。それだけ工費が上がるということは、負担率が同じでございましても、負担金が上がるというようなことで、大変板ばさみになっておるのが山間の町村でございます。また森林所有者でございますから、そういう面で、いまの林業の状況は非常に悪い、また、山村の経済は疲弊しておるということも勘案して、林道の負担金の問題等についても新しい感覚で取り組んでもらいたいと思うわけなんです。  そこで、初めに林道問題について、長官の御所見をまずお伺いしたいと思います。

藍原義邦林野庁長官

○藍原説明員 林道問題につきましては、いま先生御指摘のように、山村におきます林業、これからの林業の生産強化のための基盤整備の仕事として非常に重要な仕事でございますし、先ほど御質問ございました農山村の振興という意味からも、私ども重要な仕事であろうというふうに考えております。  そのために、林道につきましては、いろいろ種類ございますけれども、従前から、それぞれなりにいろいろな努力をしてまいりましたし、特にいま先生御指摘ございましたように、最近、環境保全というような意味からも、林道の工法等につきましては、いろいろシビアな面もございます。そういうものにも対応しながら、山村の振興、林業の振興のために林道の進展を図ってきたわけでございますが、ただいま林野庁におきましても、いま先生が御指摘になりましたような用地の補償の問題、あるいは賦課金の問題、あるいは工法の問題等々含めました林道問題の検討会を進めておりまして、こういう中で諸先生方の御意見を聞きまして、これからの林道のあり方、これからの農山村の林業振興、あるいは農山村の発展のための林道のあり方というものを基本的に検討し、対応してまいろうというふうに考えておりますので、そういう意味からも、今後私どもも林道につきましては、真剣に検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

森下元晴自由民主党

○森下委員 時間の関係で、最後の質問になります。  林業の衰退、沈滞の原因は、やはり外材が大量に入りまして、それが国内林業を非常に圧迫しておる。国有林、民有林を問わず、材価に大きな影響をしておりまして、日本の有名な林業地帯の山の奥まで、海を渡った外材が大きなトラックで川をさかのぼって山の中に入って、そこで製材されておる。非常に矛盾した現象が起こっておるように思います。  われわれの経済常識からいたしましても、外材と内地材の接点は、やはり臨海地帯にある。最近臨海工業地帯で、この外材専門の製材所等が全国でかなりできておりますけれども、そういう地帯で接点が設けられるべきである。大体海を渡ってきた木材が山に入って林業地帯で製材されるというような矛盾は、すなわち、林政がどうも間違っておるのではないだろうか。林業に対する政治の思いやりがないのであろうか。  もちろん林業政治力の貧困ということになりますけれども、そういう意味で、外材対策が国内林業、特に山村の発展にも大きな影響を及ぼします。また、将来の水資源の確保等にも、環境保全のためにも大きな影響を及ぼす。国民食糧のお米の問題にしても、また油の問題にしても、かなり手厚い施策が講じられておりますけれども、残念ながら水資源と非常に関係がございます森林行政、特に植林等の問題にまで影響を及ぼすような——現在、外材か大量に輸入されて、国内の林業が保護されておらない。たとえば、国内の林業には木材引取税が、いまなおかかっております。撤廃できません。外材には、製品を含めまして一銭の関税も課徴金もかかっておらないという事態を見ました場合に、やはりこの外材問題は、国内林業を圧迫する大きなインパクトであると思うわけでございますけれども、この問題について、ひとつ長官、そして最後に大臣から総括して、林業問題についての御所見をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

藍原義邦林野庁長官

○藍原説明員 ただいま先生御指摘されましたように、外材の輸入というのが、いま非常に大きな問題になっておりまして、昭和四十年に大体二八%の外材依存でございましたのが、現在では六六%という外材依存になっております。そういう形で外材が入ってまいりましたけれども、これはやはり日本の経済発展あるいは日本の戦後の復興等々のために、木材がどうしても需要がふえてまいりまして、その間、国内の木材生産は間に合わないという形で外材に依存をせざるを得ない状況、またこれが当分の間続くと私は思います。  そういう中で、ただ、日本の需要に見合った外材の安定的な、計画的な輸入がされなければいけないだろうというふうに現在考えておりますし、いままで外材輸入というものは、主として林産業との関連でございましたけれども、いま先生御指摘のように、今後の日本の林業との絡み合いにおいても、外材問題というものを私どもとしては受け取らなければいけないということで、ただいま外材につきましても、いろいろ行政指導をいたしております。米材につきまして、最近非常によけいに入りましたけれども、最近の行政指導等の面から、また業界の自粛等の面から、最近では米材の輸入も少々下降ぎみになっております。  そういう意味で、今後とも行政指導を強めてまいりますと同時に、基本的な問題につきましては、今後林野庁といたしましても十分検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 森下先生御指摘のように、わが国の林業を取り巻く情勢は非常に厳しいものがございます。現在木材の需要は、国内の景気の停滞を反映いたしまして、必ずしも伸びておりませんし、それだけに木材価格も低迷をしておる。こういう情勢で森林木材業界は大変な苦しい立場に置かれておるわけでございます。  これには総合的な施策が裏づけてなされなければならぬわけでございまして、先ほどお話がありましたように、林道の問題。これは林業の経営の面からいっても、山村の経済の面からいっても、動脈とも言っていい重要性を持っているわけでございますから、この林道の整備等に対する国の財政的な助成、協力の問題、あるいは植林に対するところの国としてのできるだけの財政、金融上の助成の措置を講ずる必要がある。特に最近国土保全あるいは水資源の涵養というような面からいたしまして、公益的な機能というものが重視されておるわけでございますので、そういう公益的な機能を重視をして、これに対して国としても、できるだけの対策を講ずる必要があると考えております。  あるいはまた、外材の輸入の問題かございますが、ただいま林野庁長官からお話を申し上げましたように、国内の森林資源が相当増強を見るまでの間、外材の輸入は、ある程度やむを得ないものがあると考えておりますが、それにいたしましても、国内産のものと両方十分にらみ合わせまして、需要に見合ったところの外材の輸入の適正化と秩序のある輸入というようなことは、これは十分考えていかなければならぬわけでありまして、こういう点につきましても、需給協議会その他の御意見を伺いながら、その適正な運用を図ってまいる考えでございます。  金融、財政、その他の面で、いま厳しい状況下に置かれておる林業の育成振興につきまして、今後とも政府としては最善の努力を傾けていきたい、このように考えています。

森下元晴自由民主党

○森下委員 終わります。ありがとうございました。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員長 丹羽久章君。

丹羽久章自由民主党

○丹羽(久)委員 委員長のお許しを受けましたので、農林大臣に少しお尋ねいたしたいと思います。  日ソの漁業問題が起きましてから大変な御苦労をしていただき、やや、これに関係する業者の皆さん方も落ちつきを取り戻したようでありますが、将来に対する非常な不安を持っておるわけであります。それは大臣、もちろん御存じのとおりに、日ソ漁業交渉が年々漁獲量が制約せられてきて、しかも、それが多くなれば結構でありますが、少なくなってくる。こういうことで、極端な言い方でありますが、一方的に何か押しつけられた形で受諾をせなければならぬということが、大臣の本当に御苦労のほどは察せられるのでありますが、国と国との関係の力の差と申しますか、そういうようなことから今後私どもの日常生活の上において、たん白質等を求めている資源が減ってくるということになりますと、日本の一番大きい漁場であり、日本に一番近いところであるだけに、将来に大変な危惧を持たなければなりません。  それに伴いまして、政府の方針と申しますか、今後の漁業に対して基本的な心構えというのは、聞くところによりますと、八月に交渉を再開せられるようであります。暫定的には終わったわけでありまするが、基本的に、来年度は八月から始められるということが伝えられております。どのようなお考えか、大臣からひとつ御答弁をいただきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 日ソ間の漁業交渉が行われまして、日ソ協定並びにソ日協定の一九七七年の間の暫定取り決めができたわけでございます。その間におきまして、わが国は北洋の海域で百七十万トン程度の漁獲を上げておったわけでございますが、それが先般の交渉におきまして約三六%程度の漁獲量の削減を見たわけでございます。年間にいたしまして、おおむね百万トンから百十万トン程度に、わが国の許容漁獲量というものが決まった、こういう結果に終わっております。  それから、わが国の沖合いにおけるソ連の漁船に許容いたしましたところの漁獲量は三・五%程度の削減率になっておりまして、年間にいたしまして四十五万トンから五十万トンの間、こういうことに相なっております。  でありますので、削減量から言っても、わが方に与えられたものは三六%程度の削減量、わが方がソ連側に与えた漁獲量は三一・五%程度の削減量、こういうことに相なっております。  しかし、そういう削減率ではありますけれども、数字で申し上げましたように、わが方がソ連二百海里海域内で漁獲をいたします漁獲量は、わが方がソ連に与えた量の二倍を超える量に相なっておるわけでございます。  そこで、このアンバランスにつきまして、いろいろ御批判なり御不満も、国民の皆さんの間にはあろうか、こう思ってはおりますけれども、一対二のような漁獲量の関係から見まして、これ以上厳しくやった場合におきましては、ソ連側としては、今後の長期協定、基本協定の際におきまして、日本の沖合いにおける操業については、採算上成り立たない、もう興味は持てないというようなことになりまして、お互いに自分の畑だけをひとつ耕すことにしようじゃないか、こういうようなことに相なりますと、北洋漁業に依存しております漁業者並びに製造加工業者、関連企業等々に甚大な経済的な影響を与えるというようなこと等もありまして、今回のような漁獲量の相互の割り当てがなされた、こういうことに御理解を賜りたいと思うわけでございます。  なお、八月の下旬から基本協定についての話し合いを行うことにいたしておりまして、九月中には、日ソ間の基本的な漁業協定をやろうではないかということに、先般東京において、イシコフ漁業大臣と私との話し合いによりまして、大体合意を見ておるところでございます。私どもは、この基本協定並びに基本協定ができた後における操業の海域並びに漁獲量の問題等につきましては、この暫定期間中の措置で、いろいろソ連側に対して改善を求めたい点がございます。そういう点も基本協定におきまして、私どもは、わが方の北洋漁業が今後に向かって安定をしてまいりますように、年々漁獲量が変わるというようなことでは、関係業界も非常に不安になるわけでございますから、今後基本協定のもとにおいて、漁獲量の面においても、安定的にやっていけるように、ぜひ話し合いをつけたい。  基本的には、やはり資源の保存、それから有効利用ということが基本でございますが、資源と見合ったところの安定的な漁獲量の割り当てを確保して、北洋漁業の今後の継続的な安定を期するように、今後とも努力をしてまいりたいと考えております。

丹羽久章自由民主党

○丹羽(久)委員 ただいま大臣からお話を承りますと、基本的な今後の八月下旬から行われる交渉については、努めてこういうことが年々繰り返されないように、さらに漁獲に対しても、この量を下回らないように、現在の二百海里を中心にした問題点等々を研究せられて、そうした点についての日本側の不利なような問題点も、あえて向こうと話し合っていただく、非常に結構なことだと思っております。  このような御苦労をせられておりましても、国民感情から、物価の値上がり、魚の値上がり、これは何と否定せられても、現実はそういうことではなくて、二百海里がこのように決められました、魚のとれる量は大変減りました、値段を上げていただくのは、あたりまえですというようなことを、売り場の方では平気で物を言っておる。国民側からは、消費をしていく上におきましては、何でこんなふうに上がるのだろう、何とか物価が下がってもらいたいと思っておるのにという声と相入れないものがありますから、どうかひとつ大臣、現職として八月に、また交渉していただくのでありますが、長い経験と体験を持っていらっしゃる大臣ですから、国民の希望するところを本当に命がけで、またお骨折りいただいて、いい結果になるように、十分な体制を整えて、ひとつ交渉していただきたいということを、私は国民の一人としてお願いするものであります。  第二点について、時間的に制約せられておりますので、お聞きしたいと思いますことは、こういう二百海里という問題が各国に起きてきたことは現実であります。日本と特に仲のいいオーストラリアだとか、ニュージーランドだとかというところにも、こういうような問題で、二百海里に関連して、漁獲高の問題、そして、それに対する日本側に対しての輸出のものと関連した話し合いが、あるがごとくに伝えられておりますが、こういうことについては、もうすでに、このような話ができてきたときは、おくれなくしてその協定に入る場合、あるいはそれに対するこちら側の言い分等々は、すでに心の用意と申しますか、できておるでしょうか、どうでしょうか、その点をひとつ大臣にお尋ねをいたしたいと思います。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 すでに二百海里漁業水域の設定をいたしましたアメリカ、ソ連、カナダ等とは具体的に協定を結び、あるいは来年度の漁獲量等の交渉もやっておるわけでございますが、また、いま御指摘になりましたように、南太平洋の諸国は、ニュージーランドにおきましては、すでに国会に二百海里法を提案して、いま国会で審議がなされておる。また、オーストラリアにおきましても、ニュージーランドその他の動向と歩調を合わせまして、大体同時期にやるのではないかというようなことの情報もございます。そういう状況でございますので、現在すでにニュージーランド並びに豪州等とは非公式ながら接触を保っておるわけでございます。  先般クアラルンプールにおけるASEANに出席をされました福田総理も、豪州のフレーザー首相、それからニュージーランドのマルドーン首相等とも広範な問題で話し合いをしておりますが、その際に、やはり豪州側、ニュージーランド側からも、いろいろな農産物の輸入その他と絡めまして、二百海里を設定した場合における日本漁船の取り扱い方、そういうものも意見が表明をされておるわけでございます。  わが国といたしましては、漁業の問題は漁業の問題、その他農畜産物、乳製品等の輸入の問題は輸入の問題、こういうぐあいに問題を切り離しまして、漁業の問題につきましては、漁業分野におけるところの経済協力なり技術協力なり、そういう面においてできるだけの御協力を申し上げる、そのことによって、今日までのわが国のそれらの海域における伝統的な操業実績を尊重するように、こういう立場で話し合いをしておるところでございます。  つい三、四日前にも、 ニュージーランドのボルジャー漁業大臣が、非公式ではございますが、日本を訪問されまして、私も前後二回にわたって話し合いをしておるところでございます。いろいろな問題と絡めてきておりますが、それだけに非常にむずかしい面もございます。私は、国益を踏まえながら、二百海里時代に対して誤りのない対応をやってまいりたい、このように考えております。

丹羽久章自由民主党

○丹羽(久)委員 ありがとうございました。  この際、ちょっとお願いがありますが、大臣は午前中から引き続いて答弁に立っていらっしゃるのでありますので、私の質問は、これから大臣を外して水産庁の方々に質問いたしたいと思いますから、食事をちょっとしていただくようにお願いしたいと思います。どうぞ大臣、食事に行ってください。  水産庁の岡安長官いらっしゃいますね。——今度漁獲量が少なくなりました。それに当たりまして、減船をしてくれということを政府から言われたのか、自主的に漁業者が、漁獲量が大変少なくなったから、われわれは経営が成り立っていかない、食べていくことができないので減船をいたしますよと言ったのか、この点を一つお尋ねをして、政府が特に減船をしてくれという話であったら、それに対して、どのような補償をお考えになっておるかという点も、ひとつあわせて答弁をいただきたいと思います。私はおりませんでしたから、もし、このことに対して質問が重複しておるというならば、ごく簡単に要点だけ聞かしていただけばいいと思います。

岡安誠水産庁長官

○岡安説明員 まず減船の問題でございますが、これは先ほど大臣が御答弁申し上げましたとおり、ソビエトと日ソの漁業暫定協定交渉をいたしまして、今年中の漁獲量を決定したわけでございますが、そのときに、やはり操業する漁船の数というものも協定で約束をいたしたわけでございます。そうしますと、従来北洋にわが国の漁船が出漁しておりました実績よりも下回る数になったものでございますので、私どもの方から、それぞれの各業界にお願いをいたしまして減船をしていただきたいというふうに申したわけでございます。もちろん、これは法律的に政府の行政措置としてやったのではございませんで、お願いをいたしたわけでございます。業界の方でも、その私どもの考えを御了承いただきまして、形式的には自主的に減船をするということになっております。  しかし、これは私どもの方からお願いをして減船をしたわけでございますので、私どもは、この減船に伴います救済対策につきましては、去る六月二十一日に決定をいたしました閣議了解に基づく方針に基づきまして、減船等に伴います措置を七月の二十七日に決定をいたしております。その内容は、簡単に申し上げますと、減船のされます漁業者に対しましては、政府の交付金、これはことし出漁ができなかった期間にかかわります材料費とか労務費とか、その他の経費等につきまして、その損失を補てんするような意味におきまして、政府の交付金を交付するということが一点でございます。     〔委員長退席、原一茂)委員長代理着席〕  それから減船をするわけでございますので、今後操業はできなくなる。そういたしますと、その操業に伴いまして、従来船を持っておりまして、のれん権というようなものも生じておるわけでございますので、そういうような、のれん権につきましては、残存の漁業者が共補償でもって、これをお互いに助け合う。それに必要な資金につきましては、農林漁業金融公庫から低利長期の金を貸し付けるというような措置、これもいたしております。  それから、さらには減船をいたしまして、ほかへ漁船を転用できないという場合には、漁船を処分をいたさなければならないわけでございます。その場合に、スクラップをした場合にスクラップ代と、それから不要漁船の評価額との差額につきまして、政府がこれを助成をするというような措置を決定をいたしたわけでございまして、私どもは、これらの措置によりまして円滑に減船が行われるようにお願いをいたしている次第でございます。

丹羽久章自由民主党

○丹羽(久)委員 長官、この転廃業を中心にして交付金を出すという金額は閣議決定で決まった七百九十七億ですか、こうした金額と思って間違いありませんか。

岡安誠水産庁長官

○岡安説明員 七月二十七日に決定いたしましたのは、先生御指摘のとおり、減船見込み千二十五隻に対しまして、政府交付金の総額は七百九十七億でございます。それから共補償に伴いまして、農林漁業金融公庫から貸し付ける資金は四百九十一億ということでございます。それから不要漁船の処分、スクラップ化するための評価額との差額についての助成の金額は、総額で百三十六億ということを決めております。

丹羽久章自由民主党

○丹羽(久)委員 大蔵省にお尋ねしますが、急にこのような事態になって減船をしなければならない。政府による閣議決定で七百九十七億、これは幾つかの種類には分かれるであろうけれども、やはり減船するために、こういうような金を必要と認めて閣議決定になったのであるが、大まかに言って、こういう金を与えられ、交付金をもらう人々に対しての税金をどういうふうにお考えになっておるのか、それは一つ一つを今後検討していくのか、その点をひとつお尋ねをいたしたいと思っております。

矢澤富太郎大蔵省主税局税制第一課長

○矢澤説明員 お答え申し上げます。  特定の場合に国、地方公共団体あるいは残存事業者が交付いたします転廃業助成金につきましては、租税特別措置といたしまして課税上の特例を設けられているわけでございますが、今回の減船交付金につきましては、この転廃業助成金の課税上の特例を適用し得るのではないかと考えておりますので、その方向で検討を進め、善処いたしたいと考えております。

丹羽久章自由民主党

○丹羽(久)委員 もう一度大蔵省に尋ねますが、税に対する租税特別措置を考えて処置するということは、非常に結構だと思うが、税の問題ですから、これに伴って地元側と十分な話し合いとか、あるいは現地におけるところの視察だとか、そういうようなことで、これはもう一銭も出さなくても、租税特別措置を適用さしていけばいいとか、これはもう税として出してもらわなければならないとかという点についての、きめ細かい話し合いは、転廃業せられる人あるいは漁業組合を通じて、本省として話を進めておられるのか、あるいは現地の国税局がそれを担当して進めておるのか、その点ちょっと聞きたいと思います。

矢澤富太郎大蔵省主税局税制第一課長

○矢澤説明員 ただいま作業の段階を申し上げますと、この交付金に転廃業助成金の特例措置を適用するかどうかを検討中でございますので、適用するということが決まった段階におきましては、国税庁を通じまして出先の税務署等で、その取り扱いを円滑に進めるよう地元の方々と協議を進めるように指導してまいりたいと思っております。

丹羽久章自由民主党

○丹羽(久)委員 私どもは決算委員会として、委員長を中心にして決算委員十名が現地へ参りまして、いろいろと陳情を聞いてきたのです。その陳情の中に、いまの七百九十数億の交付金に対して、税金がかけられてくるということならば大変ですというのが異口同音の皆さん方の声なのです、転廃業する人たちの。また、それに伴って共補償をするのには大変な金がかかる。  これは公庫の方から融資をするということであるが、それはそれとして、前段の問題については、いま言ったように、みんなが心配しておるのですから、一日も早く結論を出して、すでに減船する予定の船は出ていないのだから、もうそれでストップしておって、すでに次の体制を考えなければならぬというときですから、こういうような交付金が水産庁から渡されるのか大蔵省から渡されるのか、何にしましても、なるほど政府は本当に温かい処置をとってくれたのだという感謝の気持ちというか、やはり政府はきめ細かく相談に乗ってくれたということにしてもらいたいと思うけれども、いま話を聞くと、作業を進めつつあるということですが、大体のめどはいつごろ、そうしたものに対して、どういう場合にはどういうふうな税金をもらう、どういう場合は無税にしてもよろしいということが決まってくるかということが、いまの時点でわかっておるならば、答えていただきたいと思います。

矢澤富太郎大蔵省主税局税制第一課長

○矢澤説明員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げました転廃業助成金にするかどうかという話でございますが、これは大蔵大臣の告示で決まるものでございまして、交付金の支払いが決定してから二ヵ月以内に、その告示を出すことになっておりますので、そのような方向で話が進めば、その期間内に告示を出すということに相なろうかと思います。  それから、その適用でございますが、個人の場合でございますと、来年の三月十五日の確定申告の際に、その取り扱いが問題になりますし、また法人の場合でございますと、それを受けました日の属する事業年度の決算で、それが問題になるわけでございますが、この転廃業助成金の中には、買いかえ資産を取得した場合、圧縮記帳を認めて実質的に税金がかからないようにする制度がございますけれども、それは二年間の期間内に取得すればいいということでございますので、直接課税関係が直ちに起こるというような事態は余りないのではないかと考えております。  いずれにいたしましても、御趣旨を体しまして、善処いたしたいと思います。

丹羽久章自由民主党

○丹羽(久)委員 もう一度申し上げておくが、できるだけ早くやってもらうように作業を進めてくださいね。みんなの声が一致して、それを非常に心配しておる。  それから、水産庁長官、もう一度お尋ねしますが、どなたかからの専門的答弁で結構ですが、最近船が二百海里の制約をせられるようになってから、逮捕せられたというのでなくて、臨検を食って、あるいはいろいろの不備があるために、ソ連側から罰金を受けておるという情報を得ておりますね。これはどこの答弁になるか知りませんが、それに対して少しきめ細かく、どういう場合に、そういうようなことがあるのかということを、ちょっとお尋ねしたいということと、日本の二百海里には向こうの船は全然、入ってくるような不行跡なことはしないというのか、この点もあわせて二つの答弁をしていただきたいと思います。

岡安誠水産庁長官

○岡安説明員 まず、ソ連の二百海里の中の問題でございますが、これにつきましては、日ソ漁業暫定協定によりまして、私ども日本の漁船は、ソ連の発給いたします許可証を携帯いたしまして、現に操業をいたしております。現在まで約二ヵ月操業いたしておりますが、その間におきまして、ソ連の官憲によりまして、日ソ漁業暫定協定違反またはソ連邦の漁業の関係法令違反ということで取り締まられた船が四十隻ございます。その関係で約四千五百万円の罰金の支払いを言われております。  簡単に、その内容を申し上げますと、まず、向こうの監視船の停船命令に違反いたしまして、停船しなかったというようなものが約五件ございます。それから操業区域が決まっておりますが、その操業区域に違反したということで取り締まられたものが約三件。それから操業日誌を備えるということになっておりますが、その操業日誌の備え方、また記載方法等が不備であるということによって取り締まられたものが約二十四件、その他漁獲量の虚偽の記載、漁具の標識がついていないとか、また海洋汚染をしたとか、その他のもろもろの違反の事由を問われておるわけでございます。  それらの中につきましては、私どもから事情聴取をいたしましても、非常におかしい。これは、われわれとソ連との間で取り交わしました内容から見ましても、ソ連が取り締まるのはおかしいという内容もございます。  先般、私どもの担当官をナホトカに派遣いたしまして、八月十六日から十八日まで日ソの専門家会議をいたしました。その際、私どもの方からソ連邦の取り締まりの不備、不当のものは主張いたしまして、約四千五百万円の罰金を科せれもののうち、約三件、合計千二百万円につきましては、これは罰金を科せないというようなことにもなりました。それ以外の点につきましても、私どもの主張を申し述べたところ、ソ連邦といたしましても、さらに検討をしたい、改善をしたいというような点もございました。  私どもは、今後さらに密接な交渉を持ちまして、お互いの理解不足であるとかということによる不当な取り締まりが行われないように、十分私どもは注意をしてまいりたいというふうに思っております。  それから、わが国の二百海里の中につきましては、先般、ソ日の交渉が妥結いたしましたので、これに従いまして、わが国の発給する許可証によりまして、ソ連邦の船が操業するわけでございますけれども、現在までのところ、すでに許可証はソ連邦の関係官に渡しましたけれども、その許可証が個々の漁船まで渡っていないようでございまして、まだ現実には、わが国の二百海里の中では操業は行われていないというのが現状でございます。

丹羽久章自由民主党

○丹羽(久)委員 いま話を聞いてみますと、約束の、条約を結んだ中に、罰金をかけるのについて、少し向こうも無理でないか、結論を言うと、理解が乏しかった点があるということですが、こういうことから、いろいろと新聞なんかで報道せられてまいりますと、何かソ連の船が不当に日本に圧迫を加えるがごとき感を与えては、将来の漁業交渉に対しても私はいい結果が出ないと思うのです。  先日、私どもが視察にあちらこちら回ったときの話、海上保安庁の意見なんかを聞いてみますと、やはり日本の船の方が守ることが余り正確でない、極端な言い方をすると。向こうの船は比較的入っていけないところは、きちっとしておる、こういう話なんです。  その点は、私は逆的に考えるかも知れないけれども、それはそれとして、今後お互いに、そうした罰金を取られる、取った、どうもそれは納得ができないというようなことのないように、漁業船にも周知徹底をさせるということと、また向こうに対しても、そうしたわずかな航海日誌が書かれていなかったとか、ナンバーが打ってなかったとかというような、きめの細かい問題は、どうしてもやらなければならぬのかどうかという話し合いの理解を深める交渉を十分にしてもらって、今後は少なくとも二十そうだ、何そうだといって、たくさんの船が乗り込まれて、そうして調査をせられるというようなことのないような指導監督を、水産庁やあらゆる関係庁と話し合っていただいて、中心になるのは水産庁ですから、長官、ひとつその点十分な心がけをしていただきたいと思いますが、こんなことの決意のほどを聞く必要はないと思いますが、これは私の要求としてお願いをしておきたいと思います。  やはり国民の感情というものは、日本人の場合は日本人にみんなひいきするのですから、そういうことが起きると、何でこの際、魚をとる量を減らしたか、そうして、しかもちょっと入ったら罰金の数百万円もかけるそうだ、実に理不尽じゃないか、こういう声がだんだん上がってくると、政府が一生懸命になって向こうとの長期交渉をしながら、長期契約を結ぶ、長期の日本の水産関係の漁獲に対しても、私はいい結果にはなってこないと思うのです。そういう点、十分にひとつ長官、心していただきたいということをお願いいたしたいと思います。  その次に、北海道開発庁、いらっしゃいますね。——ちょっとお尋ねいたしたいと思いますが、私には与えられた時間が、もうほとんどありません。開発庁というのは、私の知った範囲では、戦後の昭和二十五年に発足したと思っております。そのときの開発庁をでかした趣旨というものを一遍、この際聞かしていただきたいと思います。

吉岡孝行北海道開発庁総務監理官

○吉岡説明員 北海道開発庁は、いま先生御指摘のように、昭和二十五年に発足したわけでございますが、これは戦後のいわゆる日本経済の発展のため、結局、北海道の国土資源というものが日本全体の発展のために重要である、それでいろいろ食糧資源、鉱物資源その他の面から、北海道の開発というのを特別に国策として力を入れていかなければいかぬという趣旨で発足したわけでございます。  御承知のように、北海道の開発というのは、明治以来、固有の国土条件に照らして、いろいろと独自の機構を持って施行されてきておるわけでございます。そういう意味で、戦後におきましても、そういう北海道開発の国策としての重要性ということに着目して北海道開発庁が発足した、こう了解しております。

丹羽久章自由民主党

○丹羽(久)委員 開発庁の二十五年にできた当時の考え方というのは、もちろん開発は中心になるであろうが、開発の中に、食糧の事情も芳しくないのでありますから、用水路だとか、そういうのが重点になって食糧増産の意味と、もう一つは、先ほどの話の石炭の増産等々もあったろう、引き揚げ者に仕事を与えるという面も考えられてきたろうが、その当時の考え方と、いまの北海道の開発というものの考え方は大きく相違したと思っておるが、その点どうでしょうか。

吉岡孝行北海道開発庁総務監理官

○吉岡説明員 広い意味で、北海道の国土資源を開発していくということにおいては、意義は変わらないわけでございますが、御承知のように、その後日本経済の高度成長の結果、本土、特に太平洋ベルト地帯、瀬戸内海沿岸地帯等におきましては人口の密集、それから産業の過密ということで、いろいろな問題が起きておるわけでございます。そういう意味で、今後日本の発展ということを長期的に考えた場合、この人口なり産業なりの地方分散による適正配置ということが重要な課題になっておるわけでございます。  それからまた、今後二十一世紀にわたる長期的展望に立った場合、現在の人口が、さらに二十一世紀初めまでに二千数百万、東京圏の人口に匹敵する人口がふえると言われておるわけでございます。こういう人口の適正配置、それを雇用して、これに高い生活水準を保障していく産業というものの立地を考えた場合、北海道なり東北、そういうところが今後の日本としての開発可能性を持った非常に期待の大きい土地であると考えるわけであります。  そういう意味で、終戦後、開発庁が設立された当初の食糧確保なり石炭という狭い意味でありましたか、そういう意味の、いわゆる北海道の資源の開発という意味とは若干、幅広い見地から見て北海道の開発の必要性というのは、ますます高くなってきているのじゃないか、こう考えておる次第でございます。

丹羽久章自由民主党

○丹羽(久)委員 いまの吉岡総務監理官の話を聞きますと、食糧事情等あるいは開発の上において若干考え方が変わっておると思うが、若干どころでない、二十一世紀には二千一百万という人口を抱えるということならば、それに的を持って進めていく。それは、公共事業なんというのは大切な仕事であって、まして札幌なんというのは大都市になり、小樽も大変な都市になってきた。北海道の人口は着々とふえておる。ほかの方は減っているところがあっても、北海道というところは大きな未開発地であり、日本国の人口の増加に伴う北海道への期待というものは、大変な期待であるから、私は大きな姿が、基本的方針というものも変わらなければならぬと思うが、若干程度ですか、その点どうですか。

吉岡孝行北海道開発庁総務監理官

○吉岡説明員 先ほど申し上げましたように、昭和二十五年に北海道開発庁が設立されました当初におきましては、現在におけるような本土における工場なり人口の過密状態ということは、まだ存在しなかったわけでございます。そういう意味で、そういう問題が発生し、人口なり産業の適正分散を考えなければいかぬ。     〔原(茂)委員長代理退席、委員長着席〕 それから、今後ますますふえてくる人口について、適正な配置を考えなければいかぬという意味では大きく変わっていると思いますが、北海道の広い意味における国土資源を日本の全国的視野から大いに開発して、日本経済社会の発展に寄与せしめなければいかぬという考え方においては変わってない、こう考えるわけでございます。

丹羽久章自由民主党

○丹羽(久)委員 北海道というところは、ほとんど全島と言ってもいいと思いますが、非常に寒いところである。これは御承知のとおりだと思います。冬季は、やはり事業なんかは屋外ででき得ない個所が非常に多いわけですけれども、この五十二年、五十一年、五十年の通算で、大体一兆円ぐらいの金が北海道に投じられておるわけです。私ども現地を見せていただきまして、苫小牧といい、あちらこちらの仕事の進め方に対しては非常に敬意を表して、よくやっていただいておるなという感じを持ってきたのですが、最初に申しましたように、冬季の公共事業の実施が相当あちらこちらで不可能なところがあります。  そういうような場合、どのような進め方を、いままでしていらっしゃったかということと、今後、いまのような状態で進めていっていいのか。公共事業は、寒いところはやれないけれども、そうしたものは冬眠的なものであるのか、あるいはそうでなくて、そういうところは、トンネルの中で仕事を進めるから十分だとおっしゃるのか、その点をお聞きいたしたいと思います。

吉岡孝行北海道開発庁総務監理官

○吉岡説明員 北海道の積雪寒冷という特殊な気象条件によりまして、公共事業の施行にいろいろな制約があることは御指摘のと「おりでございます。  それで、北海道における公共事業につきましては、現行の会計制度のもとで、いろいろ工夫をこらしまして、事務手続上、設計業務なりそういうものを事前に準備して、予算の成立と同時に施行できるようにするとか、それから予算の繰越制度なり国庫債務負担行為の活用というようなことで、限られた工事適期の中で効率的に仕事ができるように、いままでもいろいろと工夫をこらし、配意をしてきているわけですが、今後も、その方向でさらに事業の推進ができるように努力していきたい、こう考えているわけでございます。

丹羽久章自由民主党

○丹羽(久)委員 監理官、私どもは現地へ参りまして、親しく皆さん方と話し合ってみたのです。その話し合いの中には、寒いときは現場職員の皆さん方は戻ってきて設計をしたり、あるいは次の仕事の態勢固めに準備をする、こういうことですね。これはよくわかるのですが、現地では実際仕事ができるかという問題になると、できませんという声があるわけです。  そこで、いまおっしゃるような現状のままでは、本当に一年を一年、上手に使いこなすことができない。たとえば十一月から三月までは、雪で全然できないところがある。そうした三ヵ月なり四ヵ月をどう縮めて、そして年間予算をうまくこの期間に利用していくんだ。無理のあるような、寒いときに工事を出して、コンクリートが割れるとか、本当にいい仕事ができ得ないような、結果はよくない。  そうした場合には、——いまは、ややもすると予算どきに予算が通過しない、延長国会になる。そして予算が成立しないというようなときには、こういうことを私どもから言うのはおかしいけれども、本当に仕事を進めていく上において、私どもの口をあけて言うならば、暫定予算を組まれるときに、特に北海道でやらなければならぬ地域に対しては、暫定に繰り込んでもらうというような積極的姿勢を示すことが必要でないか、こういうような私ども委員の皆さん方の意見も一致したし、現地でも、そういうことが願えれば非常に結構だと思いますが、なかなか困難なことでありますので、そういうことがいままでできませんから、何とかしてその期間休む上において早く、少しでも暖かくなったら仕事を出してやってもらうように考えております。こういうことですけれども、いま言ったようなことは現地の声であるとするならば、どうお考えになるのか。いままでのままで、別に支障がないとおっしゃるのか。もう一度これに対するあなたの答弁を聞きたいと私は思います。

吉岡孝行北海道開発庁総務監理官

○吉岡説明員 ただいま御答弁しましたように、従来からいろいろ工夫をこらしてきておるわけでございまして、そういった従来のいろいろな方法のほかに、現在も、いわゆる冬季も工事ができるような通年施工の技術等、いろいろ研究をしておるわけでございます。  それから、先生先ほどおっしゃいましたように、いろいろトンネルの工事とか橋梁の工事、それから渇水期における護岸工事等については、冬季でもできるものがあるわけでございます。そういうものは冬季に施工するということにしております。  それでできない部分につきましては、先ほど申しましたように、いろいろ実施計画作成の資料とか、いろいろ工法の検討なり設計図書の作成、積算業務等事前にやっておきまして、予算成立と同時に早速仕事にかかれるように準備を進めておるわけでございます。  それから暫定予算のお話でございましたが、われわれとしては、予算が年度当初から施行できるよう年度内に成立することが一番望ましいわけでございますが、従来から暫定予算が長期にわたる場合は、その積雪寒冷地の特殊事情というものを考慮されまして、その暫定予算の中に公共事業費を見込むという方法がとられておるわけでございます。今後ともそういう事態になりました場合には、われわれとしては、いろいろそういう方向で要請してまいりたい、こう考えております。

丹羽久章自由民主党

○丹羽(久)委員 監理官と、私どもが現地のいろいろの人に会って話を聞いてきたことと少し食い違うのですよ、率直に言って。そういうように暫定的にも入れてもらったり、あるいはどうしても施工しなければならないというのは、よく御検討を願って、予算が通らないときには何らかの処置でやらしていただくというと非常にいいと思いますというのが、別に開発庁の役人が言ったわけでなくて、その付近のその関係者たちの声は、そういう声があるわけなんです。きょうは時間がありませんので、克明にこの問題は、またいつの日にかやってみましょう。  私どもは冬季のときに、寒冷地帯の本当にそういうときに仕事を休んでおって、そして一挙に暖かくなったら仕事を出すという、そして予算の締め切り時期というものとのタイミングが、帳面づらでは合っておるが、実質的には全然合わないというのは、やはり機構の上において変えるべきもの、そして改革すべきもの、改正すべきものはしていかなければならぬ今日の時代が私は訪れてきておると思うのです。  役人の考え方という、いままでの長い伝統で、自分が、そのときにそういうことを言ったならば、やはり先輩の残していったのに何かけちをつけたようであるから、言わない方がいいだろうというような考え方の時代では、私はなくなったと思うのですね。新しい一つのとびらをあけ、限りなき一つの前進をしていかなければならぬこの時代に、私どもが現地で耳傾けて話してきた、あるいは声を大にして本当のことを言ってくれ、本当のことを協力するからと言ってきたのと、あなたのおっしゃるのとは、いささか私は腑に落ちない点があるから、後日これは委員長も聞かれた問題でもあるから、またこれをまとめて、いつの日にか質問いたしたいと思っております。  さらに、こんなことはどこでもあることですが、こういう問題が起きましたから、一応聞いておきたいと思いますが、入札制度の予定価格というのですね。これはたとえば設計がせられた、これに対してこの何%か引いた予定の価格をつくる、それより一銭でも安ければ決めない、その線以上の人に決めるという制度、これの基本的な考え方は那辺にあるか、これをひとつ聞いておきたいと思います。——これはよそにもあることであるが、特にあなたのところには激しいそういう話が、あるところから出ておるから一遍聞きたい。

吉岡孝行北海道開発庁総務監理官

○吉岡説明員 その入札の場合の予定価格の決め方につきましては、これは会計法なり、それに基づく予決令の規定で決められているわけでございますが、現在の会計法の規定によりますと、いわゆる予定価格の範囲内といいますか、の場合でございましても、それが著しく低くて契約の内容に適合した適正な履行が期待されない、ないしは公正な取引の秩序を乱すというおそれがある場合は、そういった安い価格以外の者を契約の相手方とするという規定がございます。  じゃ、そういう最低の価格、これ以下だったら、そういうふうなものとみなして、これを契約の相手方としないものにするかという基準につきましては、いろいろ各省で実際には、それを決めておるわけでございますが、建設省の場合ですと、私聞いているところでは、一般の全体の事業費の中の直接工事費、大体これは全体の——ですから、予定価格の中の七割程度になるのじゃないか、その辺が最低のめど、ないしはその他いろいろ特殊事情において、それぞれ裁量の余地があるわけであります。そういう見地から、予定価格の以下であっても著しく低い者については、これを契約の相手方としないというのが会計法上決められておるわけでございます。

丹羽久章自由民主党

○丹羽(久)委員 そこで、ちょっと会計法にどういうふうに決められておるか、読んでくれませんか、それ。

吉岡孝行北海道開発庁総務監理官

○吉岡説明員 これは会計法二十九条の六にある規定でございます。これは三十六年の改正で追加された規定でございますが、ここでは、いわゆる原則として、まず競争入札に付した場合は、予定価格の範囲内で一番低い価格をもって申し込みをした者を契約の相手方にするという原則があります。それにただし書きで「ただし、国の支払の原因となる契約のうち政令で定めるものについて、相手方となるべき者の申込みに係る価格によっては、その者により当該契約の内容に適合した履行がされないおそれがあると認められるとき、又はその者と契約を締結することが公正な取引の秩序を乱すこととなるおそれがあって著しく不適当であると認められるときは、政令の定めるところにより、予定価格の制限の範囲内の価格をもって申込みをした他の者のうち最低の」——ですから、一番低いものとは限らないわけです。「他の者のうち最低の価格をもつて申込みをした者を当該契約の相手方とすることができる。」これが基本的な規定でございます。

丹羽久章自由民主党

○丹羽(久)委員 会計法の二十九条の六に、予定価格というのは言いかえれば、その当時最低ということになって余りにも安い入札をした者があるとするならば、それは著しく害を及ぼすようなことであり、適当な入札でないということになるから、これは契約を結ばずして、一応の役所が考えた適当な予定価格で契約をすることがよろしいというふうになっておるということですか。  入札するときに業者を選定するには、いまどこの県でも市でも、これに対する審査委員会、資格委員会、これは適当な入札資格者であるのかないのかという資格審査会というものを持って、そして選定して入札の参加者として、指名業者として決めるのですから、そこの中に安いからといって適当でないという判断は、少し判断しにくい面があるけれども、これはどういうふうにお考えになりますか。

吉岡孝行北海道開発庁総務監理官

○吉岡説明員 ただいま御指摘のように、各省、各機関とも、その入札の資格業者を決める際、いろいろ内部でそういう委員会等によって決めているわけでございます。  ただ、先ほど読み上げました現在の会計法の規定が設けられましたにつきましては、もちろんそういう資格業者を前提にしました場合でも、いろいろ何かの特殊事情により、そういう工事の適正な施行が期待できない、ないしは取引の秩序を著しく害するというような入札が行われる場合があるということを想定して、そういう者を排除するために設けられている規定でございます。  それから、先ほどいろいろそういう場合——ですから、安い価格で入札しても、それを契約の相手方としないで、勝手な価格で契約をしておるじゃないかというお話ですが、別に勝手な価格で契約するわけではなくて、そういう範囲内に入ります次の低い価格で落札した者を契約の相手方とするということでやっているわけでございます。

丹羽久章自由民主党

○丹羽(久)委員 監理官の答弁と私の考えている質問の点が、ちょっと食い違っておりますので、またこれは後日時間をもらって質問をいたすことにいたしたいと思いますが、大臣、食事も済んだようでございますので、大臣に最後のお願いをいたしておきたいと思います。  大臣が食事中に、漁業者に対して、漁獲量が減ってきたということで、一応それに対する減船をする、減船をするに対して閣議であなたが主張せられ、皆さんが理解をせられまして七百九十数億という金が転廃業に対してとか、またのれん金とか、いろいろなもので認められることになったわけであります。  私ども委員長を中心にいたしまして、大臣のいらっしゃる二、三日前からずっと北海道各地、国後、択捉島等四島周辺も回りながら現地視察をさせてもらったわけなんです。そこの中で、声をそろえて言うことは何かというと、転廃業していく同僚に対して、われわれはさびしい気持ちを抱きながら、これもやむを得ないことである、しかし政府は、それに対して措置をとってくれ、それに伴う転廃業、のれん等々に対してもらう金、与えられる金、交付金に税金が大変かかるという話である、われわれは好きこのんで、これをやめるのじゃない、われわれも政府の意のあるところに協力をし、そして政府も、われわれを気の毒だという気持ちで話を進めてくれたのだ、そこで合意の上において減船することに決まったのだ、だから、この税金に対しては努めて免税にしてもらいたい、これが皆さんの声なんですね。  ただいま大蔵省にも来てもらいまして、次長も食事に行っておられたので、かわって課長が答弁をせられましたが、これは大蔵大臣の告示によりて交付金というものが決められて、それが実行に移されるわけだということですが、転廃業していく人のメンバーも大体決まったようであります。すでにその人たちは現在漁場へ行っていないということであります。決算期におけるそのような措置をとっていくということでありますが、これには税金かけるんだ、これは無税でいけるんだということを緻密に検討せられたら、一日も早くそれを発表して、そしてわれわれ国民も心配してあげた問題の解決方を早くしてあげることが必要でないか、こう思っております。  八月下旬から本格的な将来に向かっての日ソの漁業問題の基本的話し合いに入られるようでございますので、大変御苦労さんでありまするが、現場にそういうものがまだ残されておるということについて一日も早くやっていただきたいと思いますが、大臣の心構えをこの際、聞いておきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 今回の二百海里の影響を受けまして漁獲割り当てが相当減りました。そのために減船、休業の余儀なきに至った漁船並びに加工業等関連企業に対しましては、政府としても誠意を持って、また大蔵当局も最大限の理解を示しまして、特別救済金とも言うべき交付金を含めまして救済措置を、まず漁船関係につきまして七百九十五億先般交付することに決めたわけでございます。そこで、これに対するところの税の減免の問題が関係者から強く要請をされておるところでございますが、この政府からの救済措置と、さらに今度は業者間におきまして、政府からはそういう救済の措置を講じてもらったが、実際に減船に応じるために残るところの業者から協力を得たい、こういうようなことで、それに上積みをして救済措置がなされておる、こういうケースが多いようでございます。  いま農林省としましては、政府が責任を持ってやりましたところの救済措置に対する税の減免措置につきましては、大蔵当局と御要請にこたえるようにという方向で鋭意話し合いを進めております。しかし、その上に上積みをしたところの業者間の問題につきましては、なかなかむずかしい問題があるように思うわけでございますが、いずれにしても、こういう窮状にある諸君の救済に伴う税の問題でございますので、十分理解を持って今後も努力してまいりたい、こう思っております。

丹羽久章自由民主党

○丹羽(久)委員 大臣、閣議決定七百九十七億ですからね、二億違うと大変ですからね。  どうもありがとうございました。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員長 馬場猪太郎君。

馬場猪太郎日本社会党

○馬場(猪)委員 先ほど農林大臣からお話がありましたように、福田総理がASEANの首脳会議に出られて、そのときにニュージーランドやオーストラリアの代表とお会いになった、漁業交渉と絡めてというお話もございましたが、肝心の方の牛肉の輸入の問題については、どういうお話があったのか、明らかにできる範囲で、ひとつお教えをいただきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 豪州のフレーザー首相と福田総理との話し合いの中で、牛肉の問題は、きわめて短時間触れられておるようでございます。     〔委員長退席、原(茂)委員長代理着席〕  と申しますことは、三木内閣以来、牛肉の輸入の問題が相当政治問題化しまして、私が農林大臣に就任いたしまして、直ちにこの問題に取り組んだわけでありますが、当時来日をしましたところのシンクレア第一次産業大臣との話し合いで、五十一年度の下期の輸入量、輸入割り当ての枠も合意に達しました。その際に、今後こういうようなトラブルと申しますか、ぎしぎししたような事態が起こらないように、年に二回、相互に相当ハイレベルの実務者を派遣をして、情報の交換その他輸出入等に対する相互の立場を話し合いをして、スムーズにいくようにしようではないか、こういうことで合意に達したわけでございます。  今回の福田総理とフレーザー首相との話し合いでは、基本的にはそれでいいわけでございますけれども、フレーザー首相は、できれば枠の設定を年二回でなしに、年一回程度にしてほしいというようなニュアンスの希望を表明されたということを伺っておりますけれども、実際の担当者であるシンクレア大臣とは、そのように話し合いがつき、現に円滑にそれが運ばれておりますので、私としては、その話し合いの線で今後も進んでいったらよかろう、このように考えております。     〔原(茂)委員長代理退席、委員長着席〕

馬場猪太郎日本社会党

○馬場(猪)委員 牛肉の需給の関係というものは、半年や一年という単位ではなしに、最低三年から五年という単位でやらなければならない問題ですから、当然相手側の立場に立っても、やはり長期的な展望に立った見通しというものをはっきりさせなければいけないと思うのですが、そういう意味では、七三年には十六万トンの輸入を決めながら実際には十二万トンにとどまった。そしてその翌年にはとまった。そしてまた七五年には、毎月スポット的な発注をするというようなことに対して、相手国のニュージーランドやオーストラリアから、いろいろな苦情が出るのは当然だと思いますし、その上日本における販売価格が輸出国側から見れば、三倍も四倍もというような状態について、なかなか理解がしにくい点があるのではないかと思うのですが、そういう点についても、ある程度お話をなさったのかどうか、お伺いしたいと思います。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 詳細に福田総理からはまだお聞きしておりませんが、これらの問題につきましては、シンクレア大臣と、また先般ニュージーランドの漁業大臣、これは漁業大臣であると同時に農業副大臣でもあるというようなことで、肉の問題も話し合ってみたわけでございます。  しかし、いまお話がございましたけれども、五十年、五十一年という時期になりましてから、比較的わが国としても国内の生産、需給の関係をにらみ合わせながら安定的に輸入をしていくという基本的な立場で、これに対処いたしておるわけでございます。その前は、すでに御案内のように石油ショックのときでございまして、家畜の飼料が国際的にも暴騰いたしまして、国内でも畜産危機ということが叫ばれまして、国としても、これに対して特別な救済対策を講ぜざるを得ない、こういうような時期でもございましたので、やむを得ず輸入をストップしたという異常の事態でございます。  しかし大局的に見ますれば、日本の食肉の需給の関係は、最近安定的に着実に生産も伸びてきておりまして、八〇%近いものが国内で供給ができる、海外から大体二〇%前後の輸入で需給の均衡を保持するようにということでやっておるわけでございまして、そういう意味合いでシンクレア大臣との間でも年二回、上、下両期に分けて、そうして国内の需給の関係等をにらみ合わせながら、向こうに御不安を与えないように十分安定的な輸入もできるようにということで進めておるということでございます。

馬場猪太郎日本社会党

○馬場(猪)委員 外国の問題ですから、外交の基本問題にまでかかわり合いがありますので、あくまで相手国の立場というものも十分尊重しながら、今後の方策に取り組んでいただきたいと思いますが、きょうはオーストラリアの食肉関係の公社自体が、せんだっての新聞に出ておりましたように、いまの日本の状態、三倍も四倍もで売られているような状態、あるいはまたオーストラリアでは日本の業者から買いたたかれている状態の中で、直接出かけて売りたいのだ、いわゆる産直をやりたいのだというような発言が出るような状態になっている一方、国内の消費者の立場から見ても、せっかく安定的な状態になっておるにもかかわらず、われわれの手元に入るときには、消費者に直接入るときには、ちっとも値段が下がってないじゃないかという非難もございます。  本来輸入牛肉については、高値のときにはこれを冷却するのだという趣旨で始められたはずなんですが、それが一向にそういう効果をあらわしておらないという非難がずっと出ております。最近見ましても、四月ぐらいはキロ当たり四百九十二円ですか、六月は四百三十七円、八月には四百十二円ぐらいまでFOB価格が下がっております。それが実際に市場価格では、どういうふうに流通しておるのか、ひとつお答えいただきたいと思います。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場説明員 チルド牛肉の例でありますが、これは最近の例をとりますと、FOBがキロ当たり四百三十七円、これにフレートと保険料というものがつきまして、CIF価格、国内到着価格というものはキログラム当たり五百八円、そういうような段階であります。さらに、これに関税だとか、あるいは輸入諸掛かりというものが加算されます。関税はたしか二五%だったと記憶しておりますが、そういったものが加算されて、畜産振興事業団が買い取る価格というものは六百六十三円、これはキログラム当たりでありますが、そういった流れになっております。  そして畜産振興事業団が、それに課徴金、調整金とも言っておりますが、三百五十円、キログラム当たり加算いたしまして、売り渡し価格がキログラム当たり千十三円であります。それが小売の段階に行きまして、この間にいろいろ運賃、保管料とか、あるいは小売のマージン、われわれ大体二四%ぐらいの小売のマージンを見ておりますけれども、そういったものが加算されまして千四百七十六円ということになるわけであります。  いままで申し上げました値段は、いわば部分肉でございまして、一般の消費者が購入する場合には、それをさらに脂を取ったり、あるいは筋を取ったりして、いわゆる精肉の形で販売するわけであります。ですから、当然目減りというものが生ずるわけでありまして、部分肉の段階から精肉、枝肉の段階になりますと千七百四十円、こういった形で現実に流通されている。こういうのが、われわれは現実に指定販売店制度というものを事業団で設けておりますけれども、事業団で設けております指定販売制度の目安価格の基準というようなことで指導をしております。そういうような目安に従って国内に輸入された牛肉というものを販売しなさい、こういった指導を現在している段階であります。

馬場猪太郎日本社会党

○馬場(猪)委員 輸入に伴う運賃であるとか、保険料であるとか関税手数料であるとか、いま言われたそれらの問題については、だれでもすぐに理解できるのですが、課徴金と言われたのですが、課徴金というのが正当なんですか、差益金というのですか、あるいは調整金というのですか。正確には、どういう言葉を使っておるのかわかりませんが、これについては生産者保護、そして国内の自給率を高めるという意味は私どもわかりますが、オーストラリア側の立場に立つと、なかなか理解もしにくいし、国内的に見ても、消費者の皆さんにもなかなかこれは理解ができないと思うのです。正式な名前といってもあるのかどうか知りませんが、その差益金について、どういうふうな考え方を持っておいでになるのか、ひとつお答えいただきたいと思います。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場説明員 事業団は外国から買う場合には、これはインポーターを通じて買います。三十六社指定輸入業者がございますが、そのインポーターが海外で競争契約で買ってくる、こういった形でいわば時価で買ってくるというのが買い方であります。  それから事業団が現実に国内で販売する、放出するということになりますと、その放出する基準というものは国内の時価ということで売り渡す、これはこの制度の趣旨が、国内の牛肉価格安定帯というものを設定しておりますから、それとリンクした形で輸入というものをしていく、こういったことにあるわけでありますから、リンクさせながら放出価格というものを決めていく、こういったことになってくるわけであります。ただし、国内の価格が非常に暴騰している、こういう場合には事業団の売り渡す予定価格というものは、その上限のところでとどめる、安定帯の中に国内の相場が入っている場合には、その相場で売る、こういった形であります。  そういった形で放出しておりますから、たまたま海外の相場が現在非常に安くなっておる。オーストラリアの例をとりますと、四年前の大体三分の二ぐらいに現在低落しているというのが実態じゃないかと思っております。そういった形で片方が非常に下がっております関係上、また日本の放出価格は時価で売るといった関係上、その間に差益というものが発生するわけでありまして、それが事業団に累積して、それを別途生産振興あるいは流通の合理化等のために使う、こういったことになっているわけであります。  ただいま私が御説明を申し上げました牛肉はチルド、冷蔵牛肉でありまして、これはなまものでありますから、事業団が一たん買って保管しておいて、そうしてまた競りにかけるというような売り方になじまないものです。あらかじめ売り手、買い手が決まっておりまして、その間に事業団がいわば瞬間タッチ的に介在する、こういった形で売っておりますので、あらかじめ時価で買い、時価で売る、そういった結果として差益が発生する形はとれませんので、いわば差益に見合う分を調整金という形で予定しておきまして、それを加算して販売する、こういった形になっているわけであります。

馬場猪太郎日本社会党

○馬場(猪)委員 正式にはこれは調整金と言っておられるのですか。事業団自体も、差益金と使ったり、調整金と使ったり、課徴金と使っておられることはないのですか。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場説明員 ときどき用語が混乱いたしますけれども、調整金という言葉を便っております。

馬場猪太郎日本社会党

○馬場(猪)委員 いまその調整金で、輸入のときにまず関税が二五%かかりますね。その上に、さらに関税的な性格も持った調整金があるわけでしょう。そしてまた、いま言われたように安定価格帯の上限価格を超えたときに、そのときには売り渡しをして市場に放出をされるわけですね。そのときの売り渡しの手だてといいますか、方法ですか、システムといいますか、ひとつお教えていただきたい。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場説明員 放出の仕方でありますけれども、これは安定帯の上限価格を突破したときだけではございません。常時足りないわけでありますから、常時放出はしている。毎月毎月放出はしているということであります。ただ、現実に国内の相場が高いときと安いときとございますから、安定帯の上限を出ているときは、もちろんどんどん放出するという形でありますし、安定帯の下限の方に近づいてくる場合には多少量を加減する、こういった量を加減しながら常時放出している状況であります。  それから売り渡しの方法でありますけれども、原則としてこれは法で決まっておりまして、卸売市場において競りで売るというのが原則であります。現在卸売市場は中央、地方を通じまして全国二十五市場ございます。しかし地域的にも偏っておりますし、また二十五という数が必ずしも多うございませんので、それだけでは足りないという形で、卸、小売を構成員とする団体等を対象といたしまして指名競争契約で売る、こういった形であります。いわば競りとか競争契約で売るというのを原則にしております。  これはフローズン、冷凍牛肉でありまして、事業団が一たん買いまして保管をいたしまして、そして事業団が売る。こういったように輸入と放出というものは、必ずしもつながらないで切断するわけであります。そういった買い方、売り方があります。  それから先ほど御説明いたしましたチルド牛肉、冷蔵牛肉につきましては、これはいわばなまものでございまして、事業団が一たん買っておいて、しばらくたってから売るというような売り方になじみませんので、やむを得ず随契という形で売っております。

馬場猪太郎日本社会党

○馬場(猪)委員 いまのコールドビーフの方ですね、入札をなさるときには、いま言われた二十五の市場あるいは中央卸売市場の価格を基準にしてお決めになるわけですね。その卸売市場の価格というのは、全国流通の中で大体どれぐらいの基準たり得るものか。ちょっとややこしいですが、果たして基準として適当なのかどうか。それに対して、入札をなさるとき、指名といいますか指し値というものをなさるわけですね。指し値というものは、どういうふうなパーセンテージをお掛けになってやられるのですか。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場説明員 入札にかける場合あるいは競りにかける場合、時価というものをベースにして予定価格というものを事業団はつくりまして、そして競争契約にかけるわけでありますけれども、いま先生御指摘になりました市場のシェア、これは卸売市場全体で、たしか枝肉流通量の一二%程度である。これは二十五市場全部であります。しかし、まあその中で主な市場といいますと、これはもう御存じのとおり東京と大阪でございますが、東京と大阪合わせまして一二%程度だったと思います。大阪が三%、東京が九%、こういった流通量になっております。

馬場猪太郎日本社会党

○馬場(猪)委員 そうすると、東京と大阪で一二%ぐらいの流通シェアで、そこで決めた時価プラス一〇%ぐらい指し値に決められるわけですか。そして、その指し値以下であった場合には、お売りにならないわけでしょう。そうすると事実上は、一番いま時価の高値のところに一〇%プラスして、その上さらに競りをやらせるわけでしょう。しかも一定の量しか出さないということになれば高値、高値にいかざるを得ないのじゃないかと思うのです。いまの売り渡しの方法でいけば、どうしても高目、高目についていくという方向になると思うが、そうはお思いになりませんか。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場説明員 売り渡しの方法として、畜産振興事業団みたいな公的機関が売る場合には、これは法で規定されているわけでありますから、やはり競りないしは競争契約で売るというのが原則であるということは言えるのじゃないかと思うわけであります。  それで、現実の予定価格というものは結局、時価ということを先ほど申し上げましたが、これは現実には国内の相場を勘案して、——現実に事業団が売るのは和牛ではございませんで、輸入牛肉でありますから、当然品質格差というものもありますし、いろいろ差があるわけでありますから、そういった品質格差等を勘案しながら時価というものを事業団が推定して、予定価格を決めて、そして競りにかける、こういった形になっているわけであります。時価に加算してというようなことではないわけでありまして、時価で売るということと、したがって時価でも安定帯の中の時価で国内で売るわけであります。しかし外国の相場は先ほど申し上げましたように、現在なおさら低落している、こういう状況でありますから、その差額が差益という形で事業団で徴収した結果になっている、こういうことでございます。

馬場猪太郎日本社会党

○馬場(猪)委員 私いま言っておりますのは、時価で売るということになれば、最初にまず関税が入るでしょう。その次に課徴金が入るわけでしょう。そして今度売り渡しのときにも、時価で売るときに、また調整金的なものがついてくるわけでしょう。ですから実際の内容は、実質的には関税的な要素を持ったものが三つ、との価格の中に加わってくるのじゃないですか。売り渡しのときに指し値をなさるわけでしょう。指し値以下だったら売られないわけでしょう。事業団そのままでしょう。そうすると、指し値以上になったその差額は、また事業団に入るわけでしょう。これも課徴金でしょう。そうすると、三つの説明のはっきりしない調整金ですか、これが輸入価格に諸経費を入れたもの以上にまたプラスされているというのが、いまの現実の取引価格じゃないのでしょうか。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場説明員 事業団が買う場合は、その買い入れ価格には当然それ以前に関税だとか、輸入諸掛かりだとかいうものが加算された価格で事業団は買う、こういうことであります。事業団は、それを時価で入札ないしは競りで売るということになりまして、さらには予定価格は時価ということを申し上げたわけですが、それは結果として売れ残っていれば、非常に高い予定価格ということになりますけれども、現実には事業団の指した値段で売れ残りがなく、全部消化されている、こういったことで、競りによって事業団が価格を競り上げている、こういうようなことでは必ずしもないと思います。それはもちろん放出量と絡むわけでありまして、ただ観念的に議論はできないわけでありますから、量が多いかどうかということとも実は絡むわけでありますが、現実には事業団の放出というものは、スムーズにいっているというふうに思っております。

馬場猪太郎日本社会党

○馬場(猪)委員 私の質問が悪いのかもわかりませんけれども、指し値以下では売らないわけなんでしょう。そうすると、指し値以上というのは、入札で自然に競争させているということになりますし、しかも競争する指名業者というのは限られているわけでしょう。限られた業者で限られた量で、そして最低価格では売らない。それ以上になれば、これは自然につり上げている意図はないでしょうけれども、結果的に上がらざるを得ない仕組みになっているんじゃないでしょうかと言っているのです。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場説明員 そういう御議論になりますと、これは市場の一般原則ということになるわけでありまして、卸売市場、これは牛肉に限ったことではございません。やはり競りないしは競争契約というかっこうで売っているのがかなり多うございますから、そういう自由な市場で競争原理の中で事業団も売る。特定のものだけに特定の値段で売るということは、むしろ例外的な売り方で、やはり公平な売り方をするというのが法の定めた趣旨だろうと思います。予定価格より下のときには、もちろん売らない。そのための予定価格でありますから、そうでありますけれども、現実には、事業団が豊富な量を出しておれば、価格をつり上げているというような機能は発揮してないというふうに思っております。

馬場猪太郎日本社会党

○馬場(猪)委員 実際には事業団、自由競争の場合だったら、ほかも一緒だと言われるけれども、まず指し値そのものは、わずかシェア一〇%か一三%の市場、それが果たして基準価格として妥当かどうかという議論もあると思いますね。しかも大体において、それは少ないときもあるでしょうけれども、需給の関係からいけば、需要と供給のバランスがとれてないと、むしろ供給の少ないときに放出する機会の方が多いわけでしょう。そうすると、品物が少なくて買い手が多いというときに放出する機会が多いわけですよ。結果的には高値をつけるような仕組みになっているんじゃありませんでしょうか。  その証拠に調整金を年度別に見ますと、四十八年度に三十四億、四十九年度には八億、五十年度は百五十一億で、五十一年度は三百七億という非常に大きな額になっておりますね。この三百七億は、最初に輸入するときの調整金はどれくらいなんですか、そして入札のときの調整金はどれくらいになるんですか。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場説明員 確かに御指摘のように、事業団の差益金というものは年を追って増加しております。四十九年に比べまして五十年、五十一年とふえておりますが、これは五十年から、この事業団の制度が発足したということでございまして、五十年から大体輸入量の九〇%に当たるものを事業団が操作して、いわば事業団が一元的な運営機能を発揮するというふうに法改正になったわけでありまして、そういったことで事業団が輸入牛肉のほとんどを扱うということから差益が多く発生した、こういったことであります。それから五十年に比べまして、五十一年はふえております。これはやはり輸入量の増加といったことが影響しているというふうに考えます。

馬場猪太郎日本社会党

○馬場(猪)委員 これだけ調整金が大きくなる。これはただ単に輸入牛肉だけで三百七億でしょう。そのほかに乳製品等の調整金が約七十億ほどあるわけですね。そうすると四百七億ほど調整金が事業団の中にあるということですね。それはどういう使われ方をしているんでしょうか。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場説明員 事業団の輸入牛肉勘定等に発生いたしました差益金は、一定のルールに従いまして積み立てまして、残余は助成勘定に繰り入れて、助成勘定で畜産振興あるいは流通の合理化といったものに使う、こういったことになっております。  現実には事業団が使う場合には、ちょうど国の予算と同じような手続を経まして、一々大蔵省の査定を受けまして額を決め、使途を決めている、こういった状況であります。  それから、なお補助金適化法というものは、もちろんこれに適用されますし、それから当然会計検査院の検査を受けるというような形で、その経費につきましては監督を受けている、こういった状況であります。  具体的な使途につきまして申し上げますと、五十一年度の例で申し上げますと、使用予定額百四十億でありますが、実際そのうちには五十二年度に支出するものもありますから、五十一年度支出は約百十三億ということになります。その主な内訳を申し上げますと、三十七億五千三百万、これは肉用牛の生産振興資金特別融通事業という形で肉用牛農家に対して低利資金を三百億融資する。末端利率五分にするために利子補給するわけでありますが、その利子補給額、こういったものであります。それから同じく豚生産資金特別融通事業、これは十三億でありまして、同様百四億の融資枠に対して末端利率五%とするために利子補給をするそういった額、あるいはそのほか主なものを申し上げますと、肉用子牛価格安定資金、これは繁殖農家、子を取る農家でありますが、子を取る農家の生産物であります肉用子牛の価格安定のための基金、一たん値段がある一定のラインより下がりました場合に、それを取り崩して補てんする、こういった制度でありますが、そういったものに充当する予算十三億というものがあります。そのほか、産地で部分肉にして直接消費地に出荷するようないわゆる食肉センターの増設、そういったものでありますが、そういった食肉流通体系整備事業等に四億弱、こういったもの等が主なものになっております。

馬場猪太郎日本社会党

○馬場(猪)委員 それじゃ、いまの百四十一億のほとんどが大体生産者対策ということですね。そのうちで消費者対策としては、どれぐらい使われておりますか。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場説明員 私ども、これは議論になって恐縮なんですが、そういった生産者のための対策というものは、結局生産の合理化あるいは流通の合理化という過程を通じて食肉の供給の安定なり価格の安定、こういった形で究極的には、やはり消費者の利益につながる、こういう認識で仕事をしているわけであります。  もちろん御指摘になりましたように、そのほかに、それはそれとしても、より直接的に消費者の利益につながるような仕事はないか、こういう御指摘だろうと思うわけでありますが、たとえば先ほど申し上げました産地における食肉センター、こういったものは生産者対策というよりも、消費地に生体で持ってくるよりは枝肉にし、枝肉で持ってくるよりは部分肉にして、そして直接に消費者に届ける、そういった何といいますか、流通経路の短絡、ショートカットということにもつながるわけでありますし、物流の合理化ということにもなって、それは消費者対策にもなるわけであります。  それから、ちょっと年度は失念いたしましたが、東京都の食肉公社という制度がございますが、そこでやはり消費地で値段が安いときは備蓄しておいて、値段が火を噴いたときには放出して鎮静を図る、こういった機能を営んでおりますが、これは明らかに消費者対策だと私は言えると思うわけであります。そういった食肉公社に対する出資等についてもしているわけであります。  しかし、ほかの直接的な、生産者対策に比べまして額がどうかということでありますれば、それはまだ決して十分であるというふうには認識しておりません。私ども決してこれを単に生産合理化だけに使うということではございませんので、より直接的な意味での消費者対策ということには、今後いろいろ使っていきたいと思っております。いろいろ消費者団体の方々というものと御相談をしながら、いま想をまとめている、こういった段階であります。

馬場猪太郎日本社会党

○馬場(猪)委員 いまの総額のうちで、直接の消費者に向くような流通対策は何%ぐらいになっていますか。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場説明員 パーセントとしては出しておりませんが、食肉流通体系整備事業、五十一年度で言いますれば三億六千万、これは食肉センターへの出資ということでありまして、パーセントとしては、全体が百十億余というのに比べれば非常に少ないということは、もちろんこれは御指摘を待たず言えると思います。  それから五十二年度では、まだ全体のスケールは決まっておりませんけれども、標準食肉販売店の設置とか、あるいは消費者啓蒙とか、あるいは消費者運動と手を組んで、産地からいわば産直的な形で消費地へ持ってくる、そうしてそこで販売店で部位別に、上、中、並というような形の表示ではなくて、部位別に価格何円というような適正な表示をして売る、そういった制度を、いまこれは大蔵省等と話ば詰めて、具体的にどの団体にお願いしようか、そういったことも考えております。これは五十二年度では、五億余りのものを財源としては予定しております。

馬場猪太郎日本社会党

○馬場(猪)委員 直接的には消費者に使ってなくても、生産の振興ということで、それは回り回って消費者に役に立つんだ、こういうふうないま説明なんですけれども、それじゃ本当に役立ってきておるのかということです。  そうすると、安定価格帯を決めてから、その後の経過はどうなっておりますか。  四十九年に去勢和牛で年平均千百十六円の価格をお決めになった。乳雄牛で大体八百四十六円をお決めになった。それが五十年は去勢和牛で一六・一%のアップですか、それから乳雄の中で二八%ほど上がっていますね。そして安定帯価格を毎年毎年上げながら、安定帯価格に合わせて輸入牛肉をまた放出する。どんどん高いところ、高値安定に持っていくようなシステムに、いまなっているんじゃないか。そういうふうになっているように思うのですが、その点はいかがですか。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場説明員 一つは、安定価格帯の決め方の問題を御指摘になりましたが、私どもの考えとしては、これは生産費所得補償方式という方式はとっておりません。過去一定期間の実現した価格というものを、その後の生産費の上昇率で補正する、いわば生産費パリティと言った方がいいのかもしれませんが、そういったものを中心にして決めている、いわば一種の需給均衡価格水準に近いものではないかと思っております。  それで今年度の場合には、たしか対前年度五%の補正はいたしましたけれども、しかし一般物価に比べて、ことさら必要以上に安定帯価格を上げたというふうには思っておりません。過去、ここ二、三年、これは豚でありますけれども、いろいろ異常な物価騰貴のために、かなり上げたことはありますけれども、牛肉につきましては、ことし五%という補正にとどめたつもりであります。  それから現実の価格の問題でございますが、この安定制度が発足いたしましたのは、二年前の昭和五十年五月であったわけであります。発足いたしましてからの経緯を、いま先生が御指摘になりましたように、卸売価格について見ますと、乳雄の例で申し上げますと、確かに昨年の九月ごろまで、ずっと安定帯の上限を突破しっ放しであったというのが、その後の実態であります。  これは先ほど大臣が申し上げましたように、三、四年前に、いわゆる畜産危機というものがあって、片一方において飼料、穀物の暴騰、これは世界的な食糧危機の反映でありますけれども、そういうものがあって、片一方オイルショックの後の不況の進行という形で畜産物価格が下落してしまった。そういったことで畜産農業が牛を殺してつぶしてしまったというようなことが、その後遺症として反映してきておるというようなことでありまして、そういうことがあったわけでありますけれども、その後の推移を見ますと、去年の九月ごろから、乳雄の場合には安定帯の中で推移しております。そして最近では、安定帯のいわば中心価格のところにシフトしている、こういった状況ではないかと思います。  それから和牛につきましては、これもやはりなかなか生産の回復が遅かったという関係で、供給不足という期間がかなり続いたということで、かなり高原相場を呈したわけでありますが、ことしに入りましてから、安定帯の中で推移して鎮静化の道をたどっている、こう言っていいだろうと思うわけであります。  現在の卸売価格のレベルでありますが、昨年の同期に比べまして、月によって若干違いますが、大体一割前後下がっている、こういう状況であります。ですから、最近の卸売価格につきましては、鎮静化をたどっているというふうに言っていいのではないかと思っておるわけであります。  小売価格の方でありますけれども、これは私ども、そこのところに実は問題があるんだという意識は持っておりますが、下がっております。ここへ来て上がっているということではございません。大体弱含みに推移し、下がってきておるということでございますが、この二、三ヵ月の推移を見ますと、対前年比一%ないし二%の下落ということであります。ですから、ここへ来て値段が暴騰して上がったということではございません。  しかし一方におきまして、卸売価格が一割近く下がっている、しかし小売価格が必ずしも敏感にフルに反応し切っていないというところに、確かに先生のおっしゃったような問題はあるというふうに私どもは認識しております。

馬場猪太郎日本社会党

○馬場(猪)委員 六月の中ごろだったかの答弁の中にも、輸入牛肉なんか安くしても、結局流通過程で吸収されてしまって、消費者には還元しないんだというような答弁があったと思うのです。ということは、流通対策について、まだ十分でないところがたくさんあると思うのです。そういう意味では、先ほども五十一年度の数字をお聞かせいただきましたけれども、五十二年度はどうなんでしょうか。  先ほど私申し上げましたように、乳製品のものを入れますと、三百七億に七十億、結局四百七億の調整金の積み立てがあるわけでしょう。そして間接には、回り回って消費者には役に立つんだということで、先ほどいろいろ申された項目についての乳牛の生産振興対策の補助金であるとか、助成であるとかいうような形でお決めになっているのが、いまたしか二百二十四億だと聞いております。あと百四、五十億の金を消費対策とか流通対策とか、そういう方面にもっと有効に生かす方法はないんでしょうか。先ほど部分的には、部分肉の流通をするための地域センターをつくるとか、あるいはまたその他いろいろ方法があると思いますが、流通対策について、いま現在農林省がおとりになっている範囲で、どういう程度のことをいまおとりになっているのか、ひとつまず明らかにしていただくと同時に、今後五十二年度から以後、こういう点でやりたいんだということがあれば、ひとつお教えをいただきたいと思います。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場説明員 いま差益の問題で、牛肉の問題とそれから乳製品と御指摘になりましたが、乳製品、確かに五十一年度の発生見込みといたしましては、七十四、五億であります。これは助成勘定に繰り入れません。と申しますのは、牛乳につきましては、加工原料乳、バターだとか脱脂粉乳をつくる原料でありますが、それにつきましては、不足払い制度をとっておるわけでありますから、その不足払い制度の財源に充当することも考慮して、これは助成勘定の方に繰り入れない、補給金等勘定に留保しているわけであります。ですから、助成勘定に繰り入れて、いわゆる助成の対象とするというものは、牛肉から発生いたします三百七億、こういったことでございます。  そこで先生が御指摘になりました中で、ほかにいろいろ私ども考えておりますのは、現在三百億程度まで大蔵省と相談して予定はしておりますが、まだなお詰まらない点もありますから、そういったものにつきましては、何かやはりこれだけの世論もありますし、私どもやはりより直接的な形で消費者に何か還元するような、これはばらまきであっても、また困りますし、それからわれわれの意図と反しまして途中でまた吸われても困るわけで、非常にその点がむずかしいわけであります。そういうわけで苦慮しているわけでありますが、具体的な案をいろいろ消費者の方々とも相談してお知恵をかりながら固めていきたいと思っておる最中であります。  それから流通の合理化についてどう思うか、こういう御指摘でございますが、私どもの考えといたしましては、産地段階あるいは消費地の段階、小売の段階、それぞれの段階に、やはり流通の合理化というものは進めていかなければいけないだろう。率直に申しまして、流通の合理化が立ちおくれているということは私ども認めざるを得ないし、そこが問題の焦点だと思っておるわけであります。事業団が輸入牛肉を通じて価格操作をして、そして価格の安定を図るということをやっておりますが、これも結局事業団みずから配給統制というかっこうをするわけにはいきませんし、配給公団でもないわけでありますから、結局現在の流通のメカニズムを使って価格安定を図らざるを得ないというような限界があるわけであります。  そういう意味で、流通の合理化をやっていきたい。産地におきましては、食肉センター等を中心としてやはり集出荷体制を整備して、生体よりは枝肉、枝肉よりは部分肉というかっこうで、そこで工場をつくって部分肉にして直接消費地に持つていく。それから消費地におきましては、先ほど先生が御指摘になりましたように、卸売市場のシェフが少ないということは、やはり事実でありますから、そのシェフを高めていくということが必要ではないだろうか。温屠体取引から冷屠体という方向へ持っていくことも必要でございましょう。  それから小売の段階でも、いろいろ牛肉につきましては規格がどうも整っていない。上、中、並というような、ややあいまいな形で取引されておりますし、そういうことでありますから、芝浦あるいは大阪でできます建て値は、これは枝肉の建て値でございます。枝肉の建て値と、われわれの一般の主婦が買う場合の肉の形が違うわけで、スライスされたものでありますから、なかなか連動しにくい、こういったことがありますから、やはり枝肉についての規格はすでにできておりますから、それを部分肉の規格も昨年末つくりました。これを普及する。それから小売の段階での規格といいますか、販売の基準というものも、設定をことしの二月にいたしましたし、これを普及していくということが必要じゃないか、かように考えております。  それから同時に、部分肉について、現在の卸売価格というものは、枝肉については価格形成が行われているわけでありますが、現実には部分肉は、牛肉の場合も四分の一以上が部分肉で流通されているわけでありますから、部分肉自身の価格形成をする場というものも必要じゃないだろうか。いまは部分肉は芝浦とか大阪の値段を写真にいたしまして、そして形成されている、こういう事情でありますから、そういうことよりも、より直接的な形で部分肉というものの価格形成を図っていくということも検討の一つではないか。検討というか、早晩日程にのせる必要があるのではないかというふうに思っております。

馬場猪太郎日本社会党

○馬場(猪)委員 時間が参りましたので、最後に大臣にお伺いしたいと思います。  いまの価格安定制度が、逆に高値に安定するような結果になりつつあるだろうと思いますし、流通対策については、まだまだ非常に欠けている点があると思うのです。そういう意味では、制度もある程度試行錯誤を経ながら改正していかなければならない点もあると思いますと同時に、最終、やはり消費者というものと結びついて畜産の生産も考えなければならぬわけですから、畜産審議会の中に、たとえば消費者の代表も参加するというような形で、もっと抜本的な改正というものを、ひとつお考えいただかなければならないというふうに考えますが、大臣の考え方をお聞かせいただきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 先ほど来畜産局長から現状を御説明申し上げておったわけでありますが、卸売段階におきましては、畜産振興事業団の運営操作によりまして、おおむね安定をしておるわけでありますが、これが卸売の段階の価格が実際の小売価格に反映をしていない、ここに流通問題としての問題点が一つあると考えております。私は、やはり消費者である国民の皆さんのお立場というものも考えまして、今後ともこの流通機構の改善ということには、大変立ちおくれをしておりますから、重点の一つの問題として取り組んでまいりたいと考えております。  九月の中旬ころに畜産振興審議会の食肉部会を開くことにしておりますから、その際に消費者の皆さんの御意見等も十分お聞きをいたしまして、これを現在問題になっております食肉流通の改善の施策に参考として取り上げていきたい、こう考えております。

馬場猪太郎日本社会党

○馬場(猪)委員 終わります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員長 林孝矩君。

林孝矩公明党・国民会議

○林(孝)委員 私は、最近問題になっております牛肉の輸入の問題に関連して、消費者保護の立場から、この問題を取り上げたいと思います。  最初にお伺いいたしますが、牛肉の生産、需要、輸入量の五十年度、五十一年度の実績並びに五十二年度、そして今後の見通しについて報告を願いたいと思うのです。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場説明員 部分肉ベースで数字を申し上げます。  五十年度は、国内生産量が二十三万五千トンであります。輸入量が六万四千トン、これは必ずしも割り当て量と輸入量は合致しておりません。到着ベースで申し上げているわけであります。合計が二十九万九千トンということでありまして、ちょうど全体需要量の中に占める輸入量の割合は二一%、こういったことになっております。  それから五十一年度でございますが、国内生産量は、畜産危機の影響を受けまして、二十一万六千トンに減っております。それで、輸入量は逆にふえまして九万四千トン、合わせまして三十一万トンということになっておりまして、輸入量と国内生産量の比は三対七、こういったことであります。  五十二年度でありますが、五十二年度は、生産はいままでのところ、対前年二〇%程度ふえてきている、毎月大体二〇%ぐらいふえてきている、こういった状況であります。もっとも、先ほども申し上げましたように、前の年が畜産危機の影響で、その後遺症があらわれた年でありまして、下がっているわけでありますから、ふえるのは当然といえば当然でありますけれども、生産は回復基調にある、こういったことであります。これから下半期にかけて生産というものは、日本の牛肉は、和牛とそれから乳雄とございますが、大体乳雄を中心にして増勢をたどるであろうというふうに思っております。  輸入は、一般枠で申し上げますと、上半期三万五千トンということで発注を決めましたが、下期の輸入割り当てをどうするかという問題は、これから十月ないしは十一月、その辺のところにめどを決めていきたい、今後の価格の動向、供給の動向というものを、もう一回その時点において精査し直して決めていきたい、かように思っております。

林孝矩公明党・国民会議

○林(孝)委員 輸入牛肉の割合は、いまの説明によりますと、五十一年度において約三〇%、九万四千トンの輸入がなされておるわけですが、この輸入牛肉の役割りはどういうところにあるか、これは非常に重要な問題であります。国内の牛肉価格の安定、これを量的にコントロールをして価格の安定を図ろう、こういうところに輸入肉の役割りというものがある、私はそのように理解しているわけでありますが、価格的な面で直接的に安定させようとするものなのかどうか、いわゆる輸入肉の役割りの基本的な考え方といいますか、輸入肉を指導する行政当局としての基本的な姿勢といいますか、そういう点について考え方を伺っておきたいと思うわけです。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 私は、この際、各政党また国民の皆さんにも、食糧問題についてのコンセンサスを得ておきたい、こう思うわけでございますが、私は、食糧に関する限りは、やはり国内の自給力を高めていく、いやしくも国際分業というような政策はとらないつもりでございます。  そこで、食肉に関しましても、その一つでございまして、やはり国内の畜産業の振興、食肉の生産の安定、向上を図るということを基本に考えております。しかし、自給度がまだ七〇%ないし八〇%という段階でございますから、消費者である国民の皆さんにも、その不足する分につきましては、安定的にこれを輸入をするということは当然考えなければならない問題でございます。  なお、価格の面におきましても、先ほど来申し上げますように、安定帯の上限をオーバーするというような場合におきましては、消費者の立場も考えまして、安定帯を上回らないように、輸入されましたところの牛肉の放出によりまして、価格についても安定を図る、こういうことに方針を決めまして、やっておるわけでございます。

林孝矩公明党・国民会議

○林(孝)委員 食糧自給の原則はわかりました。ただ、大臣、現在七〇%の自給ということで、あと三〇%をどうするかということになりますけれども、農林省の見通しを数字的に見ますと、六十年に八〇%の目標という設定がなされておるわけでありまして、その自給を高めるという努力、これはもう当然でありますけれども、その可能性という面になりますと、今後の問題として非常に大きな問題を抱えているわけです。  そこで、私はここで一つの問題を指摘いたしますが、先ほど答弁を聞いておりますと、卸売価格が下がってきたという話がございました。しかし、小売価格の方はどうかといいますと、下がっていない、こういう現状であります。このために消費者から非常な関心といいますか、批判等が高まっているわけでありますが、牛肉に対する私の率直な印象を申し上げますと、高値安定という実態、これに対して農林省は今春以来どういう措置をとってこられたか、その点についてお伺いをしておきたいと思うわけであります。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場説明員 この制度の第一義的な目標というのは、卸売価格、具体的には、大阪だとか、あるいは芝浦だとかいう市場で形成される卸売価格でありますが、それを安定帯の中におさめるということにあろうと思います。そういう意味で事業団は、去年までは高値でありました卸売価格を、いろいろ放出いたしまして、和牛、乳雄とも最近は安定帯の中に鎮静化させることができている、こういうふうに思っております。  しかし、いま御指摘になりましたように小売価格の方は、下がってはおりますが、卸売価格の下げほどには下がっていない、残念ながら、そういう実態でございまして、どうも連動性が鈍い。これは昔から言われていることでありまして、そこがまさに問題だという認識を私ども持っているわけでありますが、そこのところを次に、私どもは、最終的には卸売価格をさらに小売価格に連動させて、これを引き下げる、こういうことが、やはり行政の目標ではないかというふうに思っているわけであります。  牛肉の卸売価格と小売価格がなかなか連動しないというのは、これはいろいろわけがあるのでありまして、保存期間が長いとか、あるいは食肉小売店は日々価格を動かすわけにはいかないということで、卸売価格の低下が水準として定着する見通しがないと、なかなか下げにくい、こういったいろいろな事情はあるわけであります。  それからまた、枝肉からさらに部分肉に変わり、その間いろいろの加工過程を経て、スライスされた薄い牛肉に変わって消費者の口に入る、こういった過程がありますから、ほかの商品と違って、かなり複雑な取引過程があるというような特色がありますが、そういった点は、ある程度は理解しなければならない点はあるにしましても、やはり卸売価格が下がれば、ある程度のタイムラグはあるにしても、小売価格は下がらなきゃならないということは当然であります。  そういう意味で、私ども、ことしに入ってからの行政のとってきた対策といたしましては、一つは、小売価格を引き下げるということのために、たびたび小売団体を招致いたしまして、小売価格の引き下げを、これはかなり強く勧奨したつもりであります。また同時に、都道府県知事に対しましても、これは従来なかったわけでありますが、通達を出して、現段階におきましても価格の引き下げというものをお願いしている、こういった状況が一つあります。  それから、キャンペーンということも同時に必要であろう、こういうことで、輸入牛肉だけではございませんで、国産牛肉というものにつきまして、これは生産者団体の協力を得まして、たとえば東京都の場合、毎週水曜日、必ず市価の二割ないし三割くらいの値段で大衆肉であります乳雄を安売りさせておる。こういったこともやって、これは現在かなり定着しつつあるわけであります。  それから輸入牛肉につきましては、事業団の機能といたしましては、一般市場に放出するというのが本来的な形であろうかと思いますが、特に流通経路を短絡することができるというようなケースの場合には短絡いたしまして、事業団が直接に指定販売店制度というものをつくってそれに売る、こういった制度を通じて価格の引き下げの展示的効果をねらっている、こういった一連の対策を講じておるわけであります。

林孝矩公明党・国民会議

○林(孝)委員 小売業界に対する小売価格を引き下げるようにという要請、さらに小売価格引き下げ、消費拡大のキャンペーン、安売りデーということですね、事業団指定輸入牛肉販売店、指定価格別の実施、こういうことを、いま話されたわけですが、後でこれは私、問題にします。  輸入食肉の販売に関してお伺いいたしますけれども、牛肉の小売の際の表示についてお伺いするのです。  食肉の小売店における表示は、各小売店によって全くさまざまであります。品質別に上、中、並と分けている、そういう分け方、部位別に肩、もも、バラ、ヒレ等に分けている分け方、用途別にすき焼き用、ビフテキ用、焼き肉用、シチュー用というように分けている分け方、産地別に、たとえば松阪牛であるとか、神戸牛であるとか、あるいは輸入、外国のものですね、オーストラリア云々とかそういう分け方など、消費者にとって牛肉の品質を見定めるに非常に困難な表示なんです。  したがって、これは十分な表示と全く言えない、このように私は受けとめておるわけですけれども、不当景品類及び不当表示防止法という法律の第四条に、このようにあるわけですね。「事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号に掲げる表示をしてはならない。」どういうことをしてはならないかといいますと、「商品又は役務の品質、規格その他の内容について、実際のもの又は当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認されるため、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示」これをしてはならない。  この不当表示防止法第四条一号の文言から判断しますと、この小売店における販売の仕方に非常に問題がある。これに対して第十条では、公正競争規約の設定が認められているわけですけれども、それにもかかわらず、具体的に公正競争規約を設けているところは東京都、京都府、神奈川県、宮城県、岐阜県、この一都四府県にしかないわけです。  私は、ここでその問題を指摘して見解を伺いたいわけでありますけれども、早急に全国各県において、この公正競争規約の設定がなされるべきである、そのように考えるわけです。これは公正取引委員会、きょうお見えになっておると思いますが、それと農林省の両者の見解を承っておきたいと思います。

土原陽美公正取引委員会事務局取引部景品表示指導課長

○土原説明員 いま御指摘がございましたように、食肉について公正競争規約を設定しておりますのは東京都ほか四府県、それから先生おっしゃいました以外に愛知県がございます。現状は、このように六都府県でございますが、現在設定を検討中、作業を進めておりますものが北海道初め数県ございます。  私たちといたしましては、こういう公正競争規約が全国的に設定されるようにということで、従来から指導しておりますけれども、今後もその方向で積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場説明員 小売の段階における牛肉の規格が統一されていないというところは、まさにいま御指摘になりましたように、非常に問題点の一つであろうと私は思っております。上、中、並とかいうような形で表示されておるわけでありますが、必ずしも隣の上肉と、その隣の上肉とは同じではないし、極端な言い方をすれば、同じ店の上肉であっても、一ヵ月前といまとでは同じであるかどうかという問題もあるわけであります。そういう意味で、小売の段階における規格の設定がおくれている商品の中でも、最もおくれている一つじゃないかというふうに私どもは思っております。そういう意味で、これの規格を統一するということは必要じゃないか。  先ほど例をいろいろおっしゃいましたが、私ども、基本的な考え方といたしましては、小売の段階における表示の仕方は、上、中、並というような形ではなくて、肩だとか、あるいはももだとか、バラだとか、そういった部位別に価格を表示する。この肉は肩に属しまして百グラム何円ですよというのが正しいやり方だと思っております。単にそれだけではなしに、でき得べくんば消費者サービスという意味で、それが同時に肩の肉に属してシチューに向きますとか、あるいはすき焼きに向きますとか、そういった用途もあわせてやった方がいいだろう、消費者にサービスした方がいいだろうという形で、これは特定の県ということだけではなしに、全国的にそういう指導をしつつあります。  そういう形で、先ほども申し上げましたが、別途市場で部分肉としての価格形成が行われるようにすれば、卸売価格も部分肉で価格形成が行われるし、それから小売の段階でも部分肉の価格表示がなされれば、その間の連動というのは、しやすくなるわけであります。現在は、卸売価格は枝肉で骨つきの価格、小売のものはスライスされた形でありますから、そういった統一をする必要があるだろうと思います。  それから、具体的に輸入肉というかっこうで表示するのかどうかということにつきましては、これは加工用の肉、フローズンとか、そういったものは別といたしまして、なまもので直接テーブルミートに回るものにつきましては、できるならば、やはり輸入肉というかっこうで表示するという形で、業界で実態に即して御相談してお決め願った方がいいのじゃないかと私は思っております。

林孝矩公明党・国民会議

○林(孝)委員 その公正競争規約が、たとえば全国的につくられたとしても、現在すでにできておる東京都あるいは京都府、神奈川県、宮城県、岐阜県、愛知県、こういうところの例から考えますと、輸入牛肉というものについての表示義務は全く不明確である。どれが輸入牛肉であるかどうかということが明確に表示されていない、こういう実態があります。  京都府以外は、畜産振興事業団あるいは全肉連から直接買い受けた輸入肉の表示義務は定めてあるものの、それ以外の流通ルートから買い入れた輸入肉については努力する、こういう表示にとどまっているわけですね。したがって、現実には全く表示されていない、これが現実の問題なんです。こういう状態では、牛肉が輸入肉であるか、あるいは和牛であるかというような判断が、消費者にとっては全くできない、そういう状況に置かれているわけですね。こういう規約の定まっている中でも、実際は行われていない、これが輸入肉の実態ということになりますと、この表示という問題は、消費者にとっては、さらに重大な問題になってくるわけであります。  そこで、この輸入肉であるかどうかということの判断ですけれども、たとえば素人の消費者が小売店の店頭で、これは輸入肉、これは輸入肉でないという判断は私、非常にむずかしいと思うのです。  大臣にお伺いしますが、大臣だったら、どういうことで輸入肉と、そうでない肉との判断をされますか。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 これは商売人でも、その見分けがなかなかむずかしいそうでございまして、この点は、いま御指摘になったように、表示の問題を今後十分徹底するようにしなければならないのではないか、このように考えております。

林孝矩公明党・国民会議

○林(孝)委員 農林大臣をしても判断がむずかしいということなんです。しかし、表示の義務が必要だという認識は、いま表明されたとおりです。表示の義務が必要だということならば、その規約の中で、流通ルートで差別して、事業団と全肉連以外から買い入れた肉が輸入肉であるとの表示は、どうして義務づけられていないのか。はっきり規約の中に輸入肉の表示を明確にすべきである、事業団あるいは全肉連以外から買い入れた肉についてもすべきである、このように私は考えます。この点については、いかがでしょうか。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場説明員 御指摘になりましたように、事業団から売却するもののうち、事業団が特定の店を直接つかまえて、そして、いわば直接的に売る、そういうものを指定販売店制度と呼んでいるわけでありますが、そこでは輸入牛肉という表示をさせて、そしてまた同時に目安価格を決めて、それに準じて売らせている、こういった形をとっているわけであります。いわば小売の引き下げのためのデモンストレーション効果をねらった制度であるわけであります。  そういった場合には、当然輸入牛肉という形で表示をしなければ価格との関係もはっきりできませんし、また店も特定しておりますから、そういったことは可能であろうと思うわけであります。また、この店に事業団が幾ら売ったよということもはっきりわかるわけでありますから、そういった輸入牛肉の表示をさせるということも、監視さえ十分であれば、ある程度担保ができる、こういった形でやっておるわけであります。  しかし、加工牛肉等につきましては、冷凍牛肉につきましては加工用に回りますし、たとえばハムとかソーセージとか、そういった原料に回ります場合には、ちょっと無理だろうと思います。またレストラン等の業務用に回る場合もちょっとできないことだろうと思うわけであります。あと、事業団が売っているチルド牛肉、食卓に回る牛肉につきまして指定輸入牛肉という表示をさせるかどうかということについては、これは一概に、一律的に、強制的にやっていいかどうかということにつきましては、いろいろもう少し議論する必要があるのじゃないか。  国内でも、同じく和牛というふうに大ざっぱに申し上げましても、和牛の中でも、いわゆる古来の和牛もありますし、ホルスタインから由来する乳雄もございますし、あるいは乳をしぼった後の乳廃牛ということもあるわけでありますから、そういったものの区別は実はしていないわけであります。そういった関係で、輸入牛肉と国産牛肉だけを分けること自身、それとの関連をどうするかという問題もあります。  それから、御議論になりましたように、実際の判別がなかなかむずかしい。これは自由の流通のメカニズムの中に投げ込まれるわけでありますし、またどの店で売ったかということも、必ずしも特定できないわけでありまして、その辺の問題を詰めた上で、各地域の業界の皆さんが、自主的に公正規約というかっこうで処理されるということの方が実態に即しているというふうに私は思います。それを輸入牛肉という形で、すべて一律的に表示をしろ、強制的な形でやることについては、なおやはり議論は残るんじゃないか。要するに、業界が自分の取引の実態、地域の実態ということからコンセンサスを得て決めていくということが、私は筋じゃないかと思います。

林孝矩公明党・国民会議

○林(孝)委員 大臣にお伺いしますが、いまのところは非常に重大な問題だと私は思っております。といいますのは、安い輸入牛肉、これが輸入されるところにおいては、これはもうはっきり輸入とわかっておるわけでしょう。ところが、その流通過程において、事業団の指定店においては輸入肉とはっきりしておる、それ以外のところでは、全然輸入肉というのははっきりしてない。こういうふうな状態で、じゃ指定店に行っている輸入肉の比率は何%かというと、十何%でしょう。何%ですか。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場説明員 チルドの例で申し上げますと、二五ないし二六%というところであります。

林孝矩公明党・国民会議

○林(孝)委員 あとの大半のものが輸入肉かどうかわからないという形で市場に流れるということは、これは大臣、非常に重大な問題であります。ですから、この公正規約の中で表示すべきであるということについて、先ほど表示すべきであるという考え方を表明されました。表明したけれども、ただそう思うだけであって、具体的にそれを実行するという、ここのところが、いつも問題になるわけですけれども、果たして農林省は、それができるのかできないのか、それとも現在の状態のままで、あいまいな状態で市場に輸入肉が流通しているのでいいのかどうか、この点について、明確に大臣としての見解を表明していただきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 指定店につきましては、明確に義務づけて励行するようにいたしております。その他の小売店につきましては、業界の一つの申し合わせとしまして、それを実施するということで努力を願っておるところでございますが、農林省としては、今後とも業界を指導いたしまして、御指摘のように、それが末端にまで十分反映できるように努力をしてまいりたい、こう思っております。

林孝矩公明党・国民会議

○林(孝)委員 これは、ぜひとも末端に至るまで表示を明確にしていただきたい。そうでなければ、消費者の立場に立って考えても、公正取引ということから考えても、先ほど公正取引委員会の答弁にあったように、重大な法違反ということになります。ですから、それは厳重に実行していただきたいと思うわけであります。  そこで、たとえば昭和五十一年度における事業団の輸入肉のうち、事業団指定店での販売量、これをパーセンテージで見ますと一二%、こういうふうになっております。事業団は輸入量の九〇%をコントロールしているわけですが、その九〇%の中の一二%だけが指定店に行っているわけでありまして、それ以外は、指定店以外の流通経路を通って流れていく、こういうことになるわけであります。  そこで、その表示の問題について大臣が決意を表明されたわけでありますが、その実行を望みますけれども、私の立場から申し上げますと、もう一歩、輸入肉であるという表示をする、そういう業界あるいは団体ですね、そういう表示を守る団体にしか輸入肉を売らないというぐらいの姿勢があってしかるべきだということを、私は付言しておきたいと思うわけであります。  その次に、先ほど来議論の中で出てきております指定店制度、この制度についてお伺いいたします。  五月十一日の指定価格制の実施以降、八百の指定店を六月中に二千二百に拡大する、こういうふうに発表されているわけでありますが、これが七月末になった、おくれた理由というものは、どういうところにあるのか、この点をお伺いしたいと思います。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場説明員 御承知のとおり、そういう時期に発足させたい、増加させる予定であったわけでありますが、申請する側の手続、内部体制が若干手間取った、そういった関係で、私どもは急ぎたかったわけでありますが、その申請が出てくるのを待っていた、そういった関係で時間がかかったということであります。

林孝矩公明党・国民会議

○林(孝)委員 それから指定店制度の周知徹底については、どのようになされておるのか、お伺いしたいと思います。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場説明員 これは、あるいは事業団から御発表願った方がいいのかもしれませんけれども、私どもの承知しておりますのは、事業団は指定店制度を発足するときに、もちろん私ども省内で新聞記者クラブに行きまして発表、御説明はしております。それから同時に、事業団自身新聞紙上をかりまして、たしか十四紙くらいでありますが、かなり広範にわたって、かなりのスペースを割いていただいて、そして指定店の趣旨とか、あるいは店の数とか数量とか、そういった所要の事柄あるいは目安価格、そういったものを周知徹底を図っております。  また同時に、具体的な地区について、どこの店が指定店になっているかということは、当然消費者として御関心がおありでありますから、そのこと自身をお尋ねになりたい方は、こういったところに電話をかけてください、こういった形で電話等についても発表する、こういったような形で公表、周知徹底を図っております。  それから役所といたしましては、そういった事業団の徹底方法を受けて、一方地方公共団体の主管部局に連絡いたしまして、あなたの県は、どこそこの店が指定店になっているよ、こういったリストも送って、消費者からお尋ねがあった場合には教えてあげてください、こういった依頼、それからモニタリング、監視等につきましても協力をお願いしている、こういった形で周知徹底をしております。  それから事業団の新聞への公表は、原則として隔月、一月置きごとにするというふうに聞いております。

林孝矩公明党・国民会議

○林(孝)委員 この指定店について、私は実際に、この指定店の店頭に出回っている輸入指定肉の状況を調査をいたしました。その実態について、これから質問したいと思います。  委員長にお願いですけれども、ちょっと私の調査した内容について農林大臣に見ていただいておいた方がいいと思いますので……。  五月十一日以降、発足した新しい制度によって八百店の指定店が全国にできたわけであります。この八百の指定店で畜産振興事業団が輸入肉を表示して扱う、こういうことであります。先ほど新聞広告というのがありますが、この新聞広告には、店頭小売価格について畜産振興事業団が広告しているわけですね。バラが幾ら、肩が幾ら、外ももが幾ら、ランプが幾ら、サーロインが幾ら、リブロースが幾ら、ヒレが幾らというようにして、このように価格について明示されております。  問題は、この広告どおりに消費者が店頭で買い入れることができるかというような問題、これもあります。それと同時に、この指定八百店の実施以後どうなっているか、実情はどうかという問題があるわけです。  この八百店の指定店のうち、東京都内には百六十店舗指定店があります。この百六十店舗のすべての指定店に対して調査をいたしました。そして、その中から非常に驚くべき問題が出てきたわけであります。私の百六十店の調査のうち、十三店は調査不能の状態がありましたから、百四十七店舗、これが調査の結果です。  まず第一番目に、百四十七店舗のうち、価格、販売品目とも指定店として適正であると考えられるものは、わずか二十店舗。百四十七店のうち二十店舗しか、価格、販売品目とも指定店として適正だと言われる店はありません。たとえば、当日販売されていない部位があったとしても、次回販売予定が明らかである、こういう場合なんかは、この不適格という中に入れておりません。これは適格という中に入れておりまして、それを入れてもわずか二十店舗しか適正な店舗はないわけであります。  二番目に、百四十七店のうち十五店は、指定店として全く資格がない。指定肉を置いていない、あるいは事業団の配給は八月末ごろからですというような返事が返ってきたり、指定店でありながら、いわゆる輸入指定肉を置いていないのが、百四十七店のうち十五店もある。  次に、残る百十二店について見ますと、次のような問題があります。指定価格より高く売っている店、これが百五十三店舗。百四十七店の調査対象のうち三六%が指定価格より高く売っておる。これは指定された価格よりも十円や二十円高いというのは入れてないわけです。三十円以上高い場合を抽出した結果、五十三店舗、三六%が指定価格より高く売っておる。  それから、サーロインであるとか、リブロースであるとかヒレ、こういう肉のどれをも扱っていない、こういう店が百四十七店舗のうち七十五店舗、五一%ありました。向こうの人たちの話の中には、そういうものは、うちは置いておりませんと、はっきりと言う店、肩とももしか農林省の配給がありませんというような店であるとか、ステーキ用のものは和牛だけです、輸入のリブロースだけとかヒレだけとか、そういうものは扱っていませんという店であるとか、五月ごろに一度だけ売りましたけれども、その後事業団の配給がありませんという店だとか、割り当てがないとか、もう一つは、チェーン店なんかの場合に本部が一括して仕入れて、本部でコントロールして、そのチェーン店には置かない、こういうところもあります。そのような返事が返ってきた。  さらに、バラ肉を扱っていない店が百四十七店舗のうち六十四店舗、四三・五%もあります。その中には、バラは安いので、すべてレストランなどへ流していますと、こういう答えをする店もあったわけであります。  こういう実態を畜産局長あるいは畜産振興事業団の理事長として御存じなのかどうか、まずそれを伺いたいと同時に、最近実態調査を始められているようで、その中間報告がわかりましたら、そちらの方の中間報告を、この席でしていただきたい。お願いいたします。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場説明員 いま御指摘のありました事柄につきましては、その調査方法等調査内容につきまして、差し支えのない範囲において、私ども聞かしていただきまして、でき得れば、われわれの行政、事業団指定の運営の材料として活用さしていただければ、ありがたいと思っているわけであります。いずれにいたしましても、実態をよく聞かしていただきまして判断をいたしたいと思います。  なお、事業団におきましては、みずから、制度発足してから今日に至るまで、もちろん悉皆調査はなかなかできませんが、サンプリング的な形の調査でありますけれども、調査はいたしております。その結果は畜産振興事業団から、あるいは御説明願った方がいいかもしれませんので、私からはあれします。

太田康二畜産振興事業団理事長

○太田参考人 ただいま御指摘のございました、事業団の指定店における販売の状況についての実態をどういうふうに見ておるかということでございますが、私どもも、指定店が発足すると同時に、これの成果をひとつ十分消費者の方に享受してもらうためにも、指定店の監視ということが大事である、これはもちろんわれわれもやらなければならないわけでございますけれども、消費者の方の監視もお願いしなければいかぬということで今日までやってまいったわけです。  一応私どもは、この指定店の指定の要件といたしまして、常時継続して消費者に販売することということが一点ございました。  それから、輸入牛肉である旨の表示をするということと、畜産局長が定められた食肉小売品質基準の部位表示の方法による表示をして売るのだ、これが第二点です。  それから第三点は、事業団が別途示した価格を目安として販売することと、この三つの要件を指定店の指定の際の要件として課したわけでございます。  そこで、これらの点に注目しまして、実は私どもも調査をいたしました。その結果を御報告申し上げまして、私どもが現在まで、かように認識しておるということをお話し申し上げたいと思います。  私どもは、私どもの食肉部の職員並びに農林省の若干の応援も得まして、八月一日から八月十三日の間に、六十八店舗につきまして、三回にわたって店に参りまして調査をいたしたわけでございます。  まず、私どもが期待をいたしました第一の事業団貸与の看板の掲示の問題でございますが、この点につきましては、当初の第一回では、六十八店中、七店が掲示をしていなかった。なぜ掲示をしていないかということを問いただした結果、輸入牛肉の販売をしていないために、現在は掲示をしていないというようなことを申したようでございます。なぜ販売していないかという点につきましては後ほど、私どもが調査の結果、こういう理由で販売していないということは申し上げます。そういったことで、私どもは、販売をしていないときでも、指定店である以上は掲示をしてもらいたいという指導をいたしました結果、第三回目の調査では、大体ほとんど全部のものが掲示をしておるというような状況を確認いたしております。  それからプライスカードの使用でございますが、これが部位別の表示と絡むわけでございますけれども、私どもが貸与したプライスカードを使わないで、自家用を使用していた店が第一回で九店、第二回で四店、第三回で二店というような状況でございました。これらにつきましては、やはり私どもが貸与したプライスカードを使うように指導をいたした次第でございます。  それから、輸入牛肉の販売についてでございますが、これが一番問題なので、調査も実は大変むずかしい問題であるわけでございますけれども、私どもの調査によりますと、売り渡しました輸入牛肉を調査時点で一品目以上売っていた店が、第一回で、調査の店の数で売っている店を割りましたパーセンテージで申し上げますと、六六・二%、第二回が七〇・九%、第三回が七九・六%ということで、モニタリングの回数がふえるに従って販売する店が増加をいたしております。  そこで、販売していないという店の実態を聞き取り調査をいたした結果でございますが、これを御報告申し上げますと、毎日売っておりますが当日売り切れ、またはいまから売り出すものと、たまたま調査に参りました時点で売っていない——それはすでにその日の分は売ってしまった、あるいはこれから売り出すという意味で調査時点で売っていないという店が、第一回の調査で十三店、第二回で四店、第三回で三店ということに相なっております。  それから、次に申し上げるのが問題なのでございますが、過日大量売り出しによる現時点での品切れ。私どもは、売り渡しの全体の数量が少のうございますから、なかなか困難ではあるわけでございますけれども、毎日継続して売ってもらいたいということを言っておるわけでございますから、特定の目玉商品的にぱっと売ってしまうというようなことは困るわけですが、そういったことをやった店が第一回で五店、第二回で六店、第三回の調査では一店ということに相なっております。  それから、やはり目玉商品として輸入牛肉を使って、特定日に限って売り出してしまったために販売するものがなかったというような店が、第一回はなかったわけですが、第二回で一店、第三回で一店。したがいまして、この大量売り出しによる現時点での品切れとか特定日の売り出しというのは、実は私の方の指定の条件には違反をしておるということになるわけでございます。  それ以外に、先ほどちょっとお話にも出たのでございますが、通関の入荷待ちというのがあるわけでございます。これは御承知のとおり、チルドビーフは私どもが、それぞれの売り渡しの相手方に随意契約で売っておりまして、瞬間タッチで売っておるわけでございますから、ちょうどフローズンを私どもが保管をして売るという形のものではございませんので、中にはまだ荷が到達しないという意味で、その日に売っていなかったというようなものが、第一回で一店、第二回の調査で二店、第三回で二店ということに相なっております。  それから、たまたま行きましたときが定休日であったというようなことで聞き取りができなかったという店が若干ございまして、先ほど申し上げたような数字に相なっておる次第でございます。  それから次に、表示の有無でございますが、先ほど申し上げたプライスカードとの関連にもなるわけでございますけれども、表示をいたしておったものが第一回では四十五店で六六%、第二回が三十九店で七一%、第三回が四十一店で八〇%。調査の店舗の数が私どもの調査員の関係で減ったりいたしておりますので、少なくなってもパーセンテージが上がっておりますが、そういった結果に相なっております。  それから、次が価格でございますが、価格につきましても、先ほど来申し上げておるように、目安価格というものを指示いたしまして、これを一つの目安としてやってもらいたい。目安価格と言っておりますのは、私どもがはっきりと基準になる価格ということで決めますと、やはり公取の再販価格維持の問題にもぶつかりますので、目安価格ということで指導いたしておるわけでございますが、第一回の調査では、四十五店で百七品目を調査いたしております。目安価格またはそれ以下で売っている店舗が、パーセンテージが七二%という数字を得ております。  それから、長くなりますから飛ばしますが、第三回では四十三店で百一品目を調査いたしましたが、七十八品目が目安価格またはそれ以下で売られておる。七七・二%という比率に相なっております。その逆が目安価格以上になるわけでございますけれども、十円以上の高で売っていたというものが、第一回で二十九品目で二・七%、第三回では二十品目で一九・八二%ということに相なっております。  以上、申し上げたようなことでございまして、私どもの率直な感じといたしまして、この制度が大変期待を持たれて、私どもも期待を持って発足したにもかかわらず、いま申し上げたような数字で、私どものモニタリングをさらに強化しなければならぬだろうというふうに考えておりますし、またこの指定店の制度そのものの趣旨が、私ども発足のときに関係団体の人を呼んだり、あるいは文書を出したりして十分趣旨の徹底を図ったつもりでございますけれども、率直に申し上げまして、まだ趣旨の普及が足りない、自分の努力の不足を感じておるわけでございまして、さらに今後モニタリングの強化とかいうようなことで趣旨を徹底してまいりたい。  なお、さらに調査の内容を深めまして、問題のある店舗につきましては、私どもの指定の際の条件にもうたっておるわけでございますけれども、責任者を呼びまして個別に事情を聞いて、もちろん十分指導の強化を図ってまいるつもりでございますが、調査の結果、やはり横流しをしておるというような事実がはっきりつかめたものにつきましては、当然指定を取り消す、しかも、その理由を付して公表いたしまして、一般にこういう店がこういう横流しをやったというようなことで公表をしてまいりたい、かようなことで対処してまいりたい、かように存じております。

林孝矩公明党・国民会議

○林(孝)委員 現実問題として、私はこの調査を通して問題点を指摘したいわけでありますが、たとえばサーロイン、リブロース、ヒレ、これは一店舗につき三十三・四キログラム、これだけが平均して売られている、なければならないわけですね、事業団の販売体制から言えば。ところが、半数以上は売られていない。それじゃ一体その上質肉はどこに流れていったのか、こういう疑問が起こってくるわけです。特にわれわれの調査で目立ったことは、大手スーパーあるいは百貨店にそうしたものがありません。小さい指定店の方がまじめに置いているところがある。したがって、たとえば畜産事業団が輸入肉の九〇%をコントロールしておって、それで指定店に一二%を現在のところ流しておる。今度二千店舗ということになれば、さらに範囲は広くなり、量もふえると思うのです。  そうしたときに、その指定店ですら、いまの東京都内百六十店舗、これだけに限ってすら、こういう実態なんです。これが八百店舗あるいは二千店舗、こういう広範囲な指定店ということになった場合いまでもこうした運用がずさんな状態にあって、本当に本腰を入れてこの輸入肉の販売は、これは価格の面においても、あるいは種類の部位の面においても、考えて、腹をくくってかからないと、いま私が重大問題として指摘しているこの事実が、全国的にさらに大きな問題となって起こってくるという心配があるわけです。そういう重大問題としての受けとめ方をしなければならないと私は申し上げておきたいわけであります。これだけの量が店頭に売られてなければならない。しかし店頭にないということになったら、一体どこに行ったのかという疑問がわくのは当然のことでありますね。  もう一つは、たとえば百貨店が指定店になっておるのか、百貨店の中で店舗を持っている業界が指定店になっているのかということが、非常にあいまいなわけなんです。たとえば、それがどういうことになるかというと、もしこの取り決めどおり行われなかった場合は、罰則規定として、指定の取り消しであるとかということを、先ほど答弁をされたとおり、決められておるわけですね。それが不明確であると、百貨店がそういう横流しをやっておるのか、あるいはその中にテナントとして入っている店舗がやっておるのかということが、非常に影響として重大な問題を起こしてくるわけです。  それから、チェーン店というような場合も、本部というのがあって、そこに輸入肉は販売される。その本部が、どこの店にそれを持っていくかということになる。では、これは店に出すけれども、この上質の肉は全東京都下のホテルに売ろう。こういった場合は、チェーン店には上質肉はなくなって、それは都下のホテルに全部販売されていきます。表示がないから、わからない。実際食べてみても、焼き肉なんかにして食べると、もう全然わかりません。ですから、消費者は、輸入肉なのか何の肉なのかわからないで、高い肉を買っている可能性が十分ある。指定店ですから、こういう状態でしょう。  指定店というのは、事業団の扱っている肉の一三・五%くらい、あとのものは全肉連であるとかいろんな、そういう販売ルートを通って末端に流れていくわけです。こっちは小売価格を監視する、そのために指定店制度をつくった。それでもこんな状態でしょう。では、それ以外の大半のものというのは、一体どこが監視して、どういう行政で消費価格安定のためのコントロールがなされておるのか。こういう問題について、これは大臣に見解を伺いたいと思います。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 ただいま御指摘になりました点、私もお聞きしておりまして、大変残念に思うわけでございます。今後、事業団並びに畜産当局におきまして、その指導並びに監督を強めまして、この指定店が、本当に食肉の販売店として消費者に直結する大事な役割りを持っておるわけでございますから、その使命に十分こたえるように、消費者の御期待に沿うように指導と監督を強めてまいりたい、このように考えております。

林孝矩公明党・国民会議

○林(孝)委員 畜産振興事業団の理事長さんに、具体的な数字を挙げて私は申し上げた方がいいと思いますので申し上げますけれども、現在指定店にチルドが一店につき二百四十キログラム、これだけ流れることになっておる。八百店に流れるチルドの量は百九十二トンになります。このチルドの中には、サーロイン、リブロース、ヒレ、この三つを合わせて一三・八%含まれています。これは構成比率です。百九十二トンのチルドがいくわけでありますけれども、そのうちの一三・八%ですから二十六・五トン、これだけが上質のサーロイン、リブロース、ヒレだ、こういうようになるわけですね。  私の都内での百六十店の実態調査、そのうちの五一%の店でこの上質のサーロイン、リブロース、ヒレを扱っていなかった。これがもし仮に全国八百店舗で都内と同じような傾向があるとするならば、五月十一日に指定された八百店で一ヵ月に事業団から流れる肉のうち二十六・五トンがサーロイン、リブロース、ヒレでありますから、莫大な数字の上質肉がどこかに消えているということになるわけです。こういう点について振興事業団として本気になってメスを入れなければならない、これがまず一点ですね。  それから、事業団に対して指定店にしてもらいたいという、いわゆる指定申請ですね、このときに事業団は十五万円から二十万円の上納金を取っている、こういう話がありますけれども、それは事実かどうか。なければないでいいのです。  それから、個人店が指定店になるということについての負担というものも、業界が一定地域の指定を共同負担している、こういう事実があるかどうか。  それから、保証金とかいうようなものを指定に当たって取っているというようなことがあるかないか、この三点をお伺いしておきたいと思います。

太田康二畜産振興事業団理事長

○太田参考人 まず、ヒレとかロースとかいう上質な肉の問題をお尋ねでございましたが、これは先ほども局長も申されたわけですけれども、先生の方の御調査なさった結果、取り扱っていなかったということの意味を私どもはよく伺ってみたいと思っております。先ほど私が申し上げましたように、私どもの調査をした段階で、その日はもうすでに売ってしまったとか、あるいはこれから売るのだとかいう形で売っていなかったというのがあるわけでございますね。それから、大売り出しで売っちゃったとかいうようなものもあるわけでございまして、取り扱っていなかったということの意味を、それだけではございませんけれども、全体を含めて調査の結果の中身につきまして、私どもにもぜひお知らせいただきたいと思う次第でございます。  ただ、いま御指摘のとおり、全体としてそういう上質の肉が非常に少のうございますから、平均的に売れと言いましても、そういう肉の部位を何日かで売り切っちゃったということもあろうかと思います。これはお話を伺ってから、すっきりいたしたい、かように存じます。しかし、もちろん横流れは防止しなければいかぬことも間違いないわけでございまして、私どもの調査では、それほどのひどい結果にはなっておりませんが、もちろん違反している者もあるわけでございますから、今後厳重にやっていかなければならぬというふうに考えます。  それから、二点と三点の話は、私ども全然承知をいたしておりません。私どもとの関連におきましては、たとえば上納金を取るというようなことは一切いたしておりません。

林孝矩公明党・国民会議

○林(孝)委員 それから牧草飼料のものと濃厚飼料のものとの価格的な変化、違いといいますか、こういうことはどういうことなんでしょうか。

太田康二畜産振興事業団理事長

○太田参考人 御承知のとおり、チルドビーフは品質が二つございまして、グラスフェッドのものとグレーンフェッドのものがございます。私どもが先ほど来申し上げておる目安価格の基準になる方は、実はグラスフェッドの肉であるわけでございます。したがいまして、末端に参りましたときに、私どもはグラスフェッドのものは千七百四十円と置きまして、これを各部位に比価率で分けまして、肩が幾ら、モモが幾ら、ヒレが幾ら、ロースが幾らというような目安価格を決めたわけでございますけれども、グレーンフェッドになりますと、これより若干高いということもあり得るわけでございまして、そこは私どもの指示の通達で、その旨を十分表示して、私どもの目安価格を修正することは認めておるわけでございます。したがいまして、三割高というようなお話も出たわけでございますけれども、あるいは中身がそういうものがあったのかなというようなことも想像いたしたりいたしたわけでございますけれども、なおそこらもよく実態を調べた上でやってまいらなければならぬというふうに考えております。

林孝矩公明党・国民会議

○林(孝)委員 調査並びに監視体制の問題ですが、上質の肉がないという店がある。一体その肉はどこへ行ったのか、こういうことを、この議論について一言申し上げておきますけれども、たとえばそういう店が一軒あったというのと十軒あったというのと——振興事業団が調査したら一軒しかなかった、私どもの調査では十軒あった、だから私の調査では一軒しかないのだから、そんな大きなことではありませんというような認識に立たれているのかどうかということは、重大な問題ですから、確認しておきたいと思うのです。

太田康二畜産振興事業団理事長

○太田参考人 私が申し上げましたのは、私どもが調査をいたしましたときに販売していなかったという中には、先ほど来五つほどの理由を挙げて申し上げたようなことがございましたということを申し上げたわけでございまして、おたくの党の方でおやりになられました調査の中身につきましても、よくその辺をお聞かせいただきたい、かように申し上げておるわけでございます。

林孝矩公明党・国民会議

○林(孝)委員 それから、先ほどの答弁の中に保証金問題についての答弁が漏れておりますので、お伺いしたいと思います。

太田康二畜産振興事業団理事長

○太田参考人 私、答弁をいたしたつもりでございますが、そういうものは私どもの指定店との関係では一切取ったりなんかいたしておりません。

林孝矩公明党・国民会議

○林(孝)委員 それから、今回の調査の中で問題になっております新聞広告での消費者への案内、これは非常に不十分である。特に先ほどの濃厚飼料であるとか、それから牧草ものの区別であるとかというようなことを現場で消費者が、いまの説明を頭に入れておいて、肉屋の店頭で判断して買えるかというと、そんなことは無理なことでありまして、もっともっとわかりやすく消費者に十分サービスができるような体制を、事業団としてもとるべきではないか、こう思うわけであります。  それから新聞だけに頼るPRの仕方、いま情報化時代ですから、たとえばテレビであるとか、そういうスポット等を通してやるというような消費者へのサービスは考えてないのかどうか、こういう点についても伺っておきたいと思います。

太田康二畜産振興事業団理事長

○太田参考人 この制度が本格的に発足しました七月二十三日に私、農林省のクラブの方に参りまして、今度指定店が全国的に二千二百店ということで——まあ全国的といいましても、十四都市でございますけれども、拡充強化されて実施されますということを申し上げまして、新聞にも翌日大きく報道していただいたようなことを覚えているわけでございますけれども、さらにテレビ等でも、その際、報道されたことを記憶いたしております。  それから、これも先ほど局長が申されたわけでございますけれども、おおむね二ヵ月に一遍、中央の主な新聞並びに地方の大きな新聞には、私どもの事業団の価格等を出しまして、さらにお店の名前につきましては、こういったところに聞けばわかりますよというようなPRもいたしておるわけでございます。  しかし御指摘のように、私どもの今回の調査の結果も、趣旨が徹底しでいないというようなこともございますし、消費者の方に監視していただくということが、この制度を最終的にうまくやるための一番大事な点であろうと思いますので、趣旨の徹底等につきましては、なおいま御指摘のございました点等も検討いたしまして、今後も努力を続けてまいりたい、かように存じます。

林孝矩公明党・国民会議

○林(孝)委員 消費者の監視だとかおっしゃいますけれども、また消費者に趣旨を徹底するという意味で広告を出されていることもわかりますが、じゃその地域的なバランスですね、指定店がどういうバランスで地域に設けられておるかということになりますと、非常にばらつきがある。こういう問題については、どうお考えでしょうか。

太田康二畜産振興事業団理事長

○太田参考人 この制度が拡充の際は、農林省からの御指示もございまして、全国十四都市を中心にとりあえずやったらどうかということでございました。なお私どもの、先ほど来先生が申されておる指定店の八百店、これはそれ以外の地域もございまして、実は百四都市入っておるわけでございます。ただ、制度そのものが強制してやるわけじゃございませんので、結局手を挙げてきたお店の中から、私どもが店舗の規模等を十分見まして、大体私どもが売り渡す数量を売るだけの力のある店を選定をいたしました。  そういったことでございますので、いま御指摘のように、若干の地域のばらつきがあることも間違いございません。しかし、まあ一応そういうことで、趣旨が強制してやらせるという趣旨でもございませんので、各地域ごとのアンバランスがあることは承知いたしておりますが、今後この制度の評価あるいは定着のぐあい、こういったものも考えて、今後どうするかというようなことは検討していきたい、かように存じております。

林孝矩公明党・国民会議

○林(孝)委員 実態の調査を通しての質問を、いままでやってきたわけでありますが、いわゆる今後の問題として、たとえば表示の問題をどうするか、価格の問題をどうするか、横流しされているんではないかという重大な疑惑がここにある。これに対しては事業団として——笑い事じゃないですよ。いいですか、これは重大な問題ですよ。事業団として、どのような調査をするのか。  それから、事業団が指定店に流している、販売ルートを通して指定店に販売しているその一三・五%という輸入肉以外の肉の販売、この流れの過程でどういう問題があるか、末端価格がどうなっているか、店頭に行った場合に、それがどういう形で売られておるか、あるいはレストランであるとか、ホテルであるとか、いわゆる直接消費者じゃなしに、大口に使うそういうところへの輸入肉の流れというものはどうなっておるか、こういう実態についても、これは農林省としても、振興事業団としても重大な関心を持って、この実態を把握しないと、えらいことになりますよ。  そういう意味で、私は決意を伺って、私の質問を終わりたいと思うのです。

太田康二畜産振興事業団理事長

○太田参考人 私どもの監視の体制の強化の問題でございますが、従来やってまいりました私どもの職員による巡回指導あるいは監視、これを続けることはもちろんでございますが、それだけでは不十分でございますので、一つは社団法人の格付協会という、市場で枝肉の格づけをしておる職員を抱えておる団体がございます。この連中に依頼をいたしまして、六十三人動員してもらいまして、指定店のうち約二百六十店舗ぐらいを月三回、この八月中旬から九月中旬にかけて、とりあえずやはり監視を続けてもらうということをやっております。  それからいま一つは、二千二百店のうちの二千店でございますが、地婦連のモニター六百人を頼みまして、これは月一回ということに相なっておりますが、やはり見回り、監視をしていただくということによりまして、いま御指摘のような点につきまして、これまた実態を把握するのは、なかなかむずかしいわけでございますけれども、これらのモニタリングをすることによりまして、この制度が円滑にいくように今後もやってまいりたい、かように存じております。

林孝矩公明党・国民会議

○林(孝)委員 大臣、どうですか。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたように、食肉の流通機構の問題、これはその他の農産物に比べましても、どうも十分でない、改善すべき点が多々あるように私も考えております。畜産局並びに事業団等が力を合わせまして、この流通機構の改善の問題並びに監視、指導の問題、これは今後とも十分力を入れてまいる所存でございます。

林孝矩公明党・国民会議

○林(孝)委員 終わります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員長 安藤巖君。

安藤巖日本共産党・革新共同

○安藤委員 私は、朝鮮民主主義人民共和国の二百海里経済水域の宣言、それから八月一日からの実施に関する問題につきまして、対外関係と、それから対国内、特に漁民に関する問題についてお尋ねしたいと思います。  お尋ねする前に、この二百海里宣言によって、朝鮮半島の海域において操業をしてきた漁民に対して大きな戸惑いと不安と、それからさらに大きな損害を与えているわけです。ところで、この責任は日本政府のこれまでの対米一辺倒、偏った朝鮮民主主義人民共和国を敵視する外交政策、そして対応の仕方のおくれ、これに責任があるということを最初に強く指摘しておきます。  ところで、御承知のように八月の二十六日、もうすぐですけれども、日本を出発して訪朝する日朝議員連盟の代表団の方々は、これは外交関係がないので、やむを得ず二百海里経済水域設定に伴って大きな影響を受けている漁民の人たちの声を代表して、北の方の民間漁業団体との間に、民間の漁業協定を締結するというのを大きな目標の一つとして出発されるわけですけれども、この民間漁業協定の締結の成否について、あるいはその内容について、鈴木農林大臣としては大きな関心を持っておられると思うのですが、その関心の度合い、あるいはその期待もしくは注文、どういうような注文を持っておられるか、これをまず最初にお尋ねしたいと思います。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 朝鮮民主主義人民共和国が二百海里宣言をしたわけでございますが、いまお話しのように、わが国と北朝鮮との間には、いまだ国交が回復をされていないということでございまして、私どもは、かつて中国との間に国交正常化以前におきまして、民間協定という形で、黄海東海における操業が話し合いの中で確保されてきた歴史がございます。     〔委員長退席、原(茂)委員長代理着席〕 私どもは、中国とのそういう時点における同じような状況下にございますので、今回、日本海を中心とする関係漁業団体の間で、対策協議会というものがつくられました。  今回、日朝友好議員連盟の皆さんが訪朝をされまして、日朝間の貿易協定の問題、あるいはただいまお話がございました二百海里水域での民間協定の問題等について、隔意のない話し合いをしていただくということにつきまして、私は大きな関心と、また成果について期待を寄せておるところでございます。  あらゆる努力をしてまいりましたけれども、まだ朝鮮民主主義人民共和国の二百海里の中における適用海域の問題、あるいは規制措置の具体的な内容、その他今後の操業上の条件等、平壌放送以上の情報を私ども持っておりません。そういうようなことで、訪朝団の皆さんがそういう事情も十分御聴取を願って、また向こう側がどういう条件ならば民間協定を結ぼうと考えておるのか、そういう事情を十分把握した上で、わが方としての態度も決めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。

安藤巖日本共産党・革新共同

○安藤委員 この日朝議員連盟の訪朝、そして民間漁業協定の締結につきましては、多くの漁民の人たち、それから全漁連関係でも、中身としては、これは当然のことながら安全操業、それから漁業実績の確保、そして緊急避難の場合にとり得る措置の確保ですね、それからもう一つは、この海域の無害通航権の確保、こういうようなものがあるわけですけれども、当然大臣としても、こういうような内容を盛り込んだ民間漁業協定ができるように望んでおられるというふうに理解してよろしいですか。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 いま申し上げましたように、あの海域におきましては、朝鮮民主主義人民共和国が二百海里宣言をする以前におきましては、わが国の漁船が安全に航行もでき、また操業もいたしており、さらに相当の漁獲実績も持っておった海域でございまして、関係漁民の諸君にとりましては、直接生活につながる大きな問題であるわけでございます。  したがいまして、この海域内においてどういう条件、手続、内容のもとに——民間協定として操業の安全なり、あるいは実績の確保なり、あるいは緊急避難の問題を含めまして、漁業の継続ができるようにということにつきまして、訪朝団の皆さんの御努力の成果に私は大きな関心と期待を持っておる、こういうことでございます。

安藤巖日本共産党・革新共同

○安藤委員 ところで、この民間漁業協定の問題につきましては、朝鮮民主主義人民共和国の方では、政府保証のない協定は無意味だというようなことを言っておるようなんですね。だから、協定が成立した暁において、政府がこの協定の内容を遵守して、そして日本の漁船が操業するようにというようなことで、何らかの政府保証をされるというようなお考えはないのでしょうか。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 民間協定ができるかできないか、できた場合にどういう内容、条件のもとで民間協定を結ぶことができるか、また、ただいまお話がありました朝鮮民主主義人民共和国が、わが政府に対して、どういう保証をせよという具体的な条件として提示があるのか、その辺を十分見きわめた上で、政府としての対応の具体的な措置を決めてまいりたい、このように考えております。

安藤巖日本共産党・革新共同

○安藤委員 そこで、先ほど大臣も触れられたのですけれども、日中国交回復前の民間の漁業協定というのが成立しましたときに、政府として協定の遵守と尊重の意向を表明されたことがございますね。これはもちろん民間漁業協定が成立した暁のことなんですけれども、一応いまの段階として、その程度のことは御用意があるかどうか。いかがですか。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 私も、日中間に民間協定が行われました際に、政府の責任者から国会を通じまして、お話しのような御答弁を申し上げ、見解を表明したことを承知しております。そういうことを十分参考にして対処していきたいと考えております。

安藤巖日本共産党・革新共同

○安藤委員 ところで、三十八度線以北の朝鮮半島海域に入って操業しないようにという指示が水産庁の方から出されまして、現在その海域には日本の漁船は入って操業してないわけなんですね。いま八月ですが、特に八月、九月、十月というのは、朝鮮半島の東側の日本海の方ですが、イカ釣りの最盛期なわけです。で、そこへ行ってイカ釣りができないということは、漁民には何ら責任のないことで、そういう操業ができないという損害をこうむっておるわけなんです。  冒頭に申し上げましたように、これは政府の外交政策によって、こういう羽目になっているわけですけれども、一体どういうような損害を漁民の人たちがこうむっているのか、現在の時点までに、いろいろ水産庁あるいは農林省として調査されておられるかどうか、お尋ねしたいと思います。

岡安誠水産庁長官

○岡安説明員 御指摘のとおり、あの海域のイカ釣りの漁期は大体七、八、九月というのが例年の最盛期でございます。ことしの八月一日以降につきましては、御指摘のとおり、わが国の漁船は二百海里水域内に入らないようにという指導をいたしております。  ただ、私どもが聞いておりますのは、あの近辺、二百海里の外でございますけれども、あの近辺のイカの漁は、ことしは大変不漁でございまして、従来あの水域に出漁していた漁船は、現在ほかの方に移動して操業をいたしております。たとえばソ連の二百海里内の漁場とか、また北海道の太平洋側の漁場というようなところに移動をいたしまして、現在、操業をいたしております。  私ども、もし八月一日以降もあの水域に漁船が入ったならば、どれだけとれたであろうかということは想像はできますけれども、現にどれだけ損害を受けたか、また受けるかということは、やはり今後の操業の実績を見なければ、にわかには断定はできないというふうに考えております。

安藤巖日本共産党・革新共同

○安藤委員 実は私、ごく最近、山口県の萩、あるいは下関、あるいは長崎県の長崎、あるいは対馬へ行きまして、直接漁民の人たち、あるいは漁協の役員の人たちから事情を聞いてきたのです。  それで、たくさん申し上げると時間がございませんので、典型的なものだけ申し上げたいのですけれども、この二百海里海域に入るなと言われて、大型船は、先ほど水産庁長官がおっしゃったように、ソ連の海域とか太平洋の方へ出ていっておるけれども、二十トン、三十トンのイカ釣り船は、日本の沿岸をあちこちうろついて、何とかかんとか漁をしておる。けれども、そこはイカがたくさんおるところじゃないので、とれないという不満が出ております。それから、イカの余りいないところへ赤字覚悟で出漁しているんだ、遊ばしておってもしようがないからという、こういう悲痛な声も聞いております。  それから、これは一つの漁協の話なんですが、例年なら、いまごろは四十五隻から五十隻がこの二百海里海域に出漁しているけれども、ほとんどの船は、ほかの海域でははかばかしくないので、港へ帰ってきてしまっておる、現在操業しているのは十五、六隻に満たないというような実情が訴えられております。それから、従来は二航海で千百万円の水揚げがあったけれども、現在では五百万円にしかならない。さらには、このままでは農林漁業金融公庫からの借入金の償還ができない、倒産寸前だというような非鳴も聞いているわけなんです。こういうような実情だということは、いまの水産庁長官の御答弁によると、水産庁の方としては、しっかり把握しておられないようですね。  そこで、私、お尋ねしたいのですけれども、ちょっと先ほどの続きになりますが、対馬のある漁協では、出港準備のために農林漁業金融公庫の方から七千万円借り入れて、そして小型船にこれを分配してやった。ところが、水揚げがぐっと落ちている、漁に行けないということで、返還のめどがつかない。資材とか燃料などを加えると一億四、五千万円になっているということが訴えられております。それから、ちょっと大型の九十トンクラスの船でも、一隻当たり一億二千万円借りているけれども、これは返還のめどがつかない、こういうような実情をもう切々として訴えられたわけなんです。  これはごく一、二の例なんですけれども、そのほかに漁民の人たちは、船の建造費、これをやはり金融公庫から借り入れていて、その借金もしっかりたまっているわけですね。  だから、いま漁民の人たちが一番切実に希望しているのは、これは大臣に御答弁をお願いしたいのですけれども、仕込み資金に対する緊急融資ということを考えていただきたい、こういう要望が出ているわけなのです。それから建造費の借り入れの償還期限を延期してほしい。とにかくもうこの九月に来るのだけれども、とうていこれは払える状況でない。そういうような状況にあるわけなのですけれども、そういう措置をとるというようなことをお考えになっておられるのかどうか、お尋ねしたいのです。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 いま安藤さんから対馬その他の漁協の模様を伺ったわけでございますが、日本海の関係漁民のこの海域での操業ができなくなったということの影響、この把握につきましては関係業界と、いまいろいろ話し合いをいたしまして、その影響の度合い等を調査いたしておる段階でございます。これらの状況を十分把握をいたしました上に立ちまして所要の措置も考えたい、このように考えております。

安藤巖日本共産党・革新共同

○安藤委員 できるだけ前向きに漁民の危急を救っていただきたいということを要望しておきます。  それから、漁民の人たちの要望の一つとして無害通航の問題があるということは最初に申し上げたのですけれども、これはもう異口同音に、萩の漁協の方でも、あるいは長崎県漁連の方の話でも、あるいは対馬の漁協の話でも、三十八度線以北の日本海側の二百海里内の水域を無害通航できるように、もうきちっとした権利を確保してほしい。というのは、私が聞いているところでは、一隻ですか、警告を受けて退去を命ぜられたということを聞いております。だから、そういうようなことがあって水産庁の方としても、そこを通るな、迂回してこいというような指導をされているというふうに聞いておりますけれども、そこを迂回してくることによって、ソ連の沿海州とか、あちらの方へ漁に行って帰ってくるときに十二、三時間余分にかかるのだそうです。だから、これは相当な損害だと思います。当然これは公海の中、あるいは領海内でも、国際法上からすると無害通航はできるのじゃないかと思うのですね。それができないというようなことは、とんでもないことだと思うのですけれども、この点についてどういうふうに考えておられるのでしょうか。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 二百海里経済水域あるいは漁業水域におきましても、それは資源保護上の観点でとられる措置でありまして、これが公海であるということには国際法上も変わりがないわけでございます。ただ、これも的確ではございませんけれども、軍事警戒ラインであるとか、そういうようなことを一方において宣言もしておるとかいうことを聞くわけでございますが、いずれにしても、本質的に公海でありますところの海域における航行、当然国際的にも無害航行は確保されなければならない、保障されなければならないものである、このように考えておるわけでありまして、今回の訪朝議員団の皆さんも、この点については非常な関心をお持ちになっておるわけでございますから、そのお話し合いの結果を待ちたい、こう思っております。

安藤巖日本共産党・革新共同

○安藤委員 時間がありませんので、ほかの問題をお尋ねしたいのですが、先ほど、ソ連の二百海里海域内におけるソ連監視船の臨検、罰金の徴収等についての問題がありましたけれども、先ほどのお話ですと、操業日誌の記載漏れ、あるいは記載がきちっとされていなかったという問題が一番多いというようなお話がございましたけれども、水産庁の方としては、操業日誌のつけ方についてどういうような指導をしておられるのか。  聞いているところによりますと、ページ数が打ってなかった、あるいは操業日誌のとじ方、ひもで操業日誌をとじて、それでちゃんと縛って、その縛ったところを封印をして、ちゃんと船長なり、あるいは船主なり、漁業主なりの印鑑が押してなければならぬのだとか、ところが、そうしてなかったので罰金を取られたとかというような話を聞いているのですけれども、とじ方の問題については、どういうような指導をしておられるのでしょうか。

岡安誠水産庁長官

○岡安説明員 操業日誌のとじ方の御質問でございますが、操業日誌につきましては、私どもはソ連との話し合いの過程におきましては、操業日誌は、とじひもでこれをとじるという打ち合わせをしておったのでございます。なお、ページ数の記載の話もございましたけれども、これはやはりページを確実に打つということで合意をいたしまして、そういう指導をしておったのでございますが、たまたまページ数が打っていないというようなこととか、操業日誌につきましては、とじひもでとじてあるけれども、その先が封印されていないということで罰金を食うという事例が発生をしたわけでございます。  私ども、やはり操業日誌というものは大事なものでございますので、これを完全にとじて、ページ数を打っておくということ、これは従来も指導しておりましたし、今後も指導しようと思っております。封印の点につきましては、わが国の漁船にはそういう慣習がなかったわけでございますが、ソ連船の場合、これはとじひもの端について紙を張って、これを表紙に張りつけてサインをするということで加除訂正がないようにすることが普通であったようでございます。そういうお互いの慣習の違いというものがございましたので、この点につきましては、やはり大事なものであるので、一定の猶予期間は置きますけれども、たとえば十月一日以降は、完全に操業日誌をとじた上で、このとじひもの先は紙を張りつけて捺印をするということにしようというような合意をいたしております。  その他の細かい点いろいろございまして、結果的には操業日誌関係の違反事例が非常に多かったということが現状でございます。

安藤巖日本共産党・革新共同

○安藤委員 いろいろほかにもあるのですが、時間がありません。いまのとじ方の問題ですが、おっしゃるように、ひもでとじて、とじたそのひもを封印するということまでは、水産庁としては漁船の船長なり、あるいは漁業主なりに指示はしておられなかったわけですね。  ところが、水産庁の指示どおりに——そういう封印をしなくてもいいという指示ではないにしても、そこまで指示されなかった。その範囲で水産庁の指示どおりに操業日誌を整備しておったんだけれども、結局罰金を取られてしまったという点について、漁民の人たちは大きな不満を持ってみえるのです。指示どおりにやったけれども、だめじゃないか。この点について水産庁としては、取られたその罰金を補償するとかなんとかということは考えておられないのでしょうか。

岡安誠水産庁長官

○岡安説明員 この点につきましては、先般ナホトカで行われました専門家会議の席での双方の合意は、操業日誌の紙をひもでとじるということしか記載されてないから、封印をしないことによる違反、それによる罰金の納付はおかしいということを、われわれはソ連に強く主張したわけでございますが、先ほど申し上げましたように慣習の違いがありまして、どうしてもソ連側は、そうしてもらわなければ困る、それが操業日誌を備えるための常識であるということで譲らないわけでございます。これはお互いに見解の相違でございます。  したがって私どもは——もちろんいままでの合意というものは、そういうことである必要はないというふうに私どもは文章上は確認をしておりますけれども、しかし相手方がそう言う以上は、やはり今後の操業の安全を確保するためには大事な操業日誌でございますので、先方の言うとおり封印をしなければならないということで、今後は指示をしようと思っております。いままでの指示につきましては、向こうもやはり誤解があったということは認めておりますが、しかし罰金を返すとは、なかなか言わないわけでございます。はなはだ残念ではございますが、できるだけ早くそういう体制を整える。猶予期間を設けるということは、向こうも同意したわけでございますので、その期間におきまして整備をしまして、今後のそういう事故、トラブルの発生は防止するということが、私どもの今後すべきことではなかろうかと思っております。

安藤巖日本共産党・革新共同

○安藤委員 私がお尋ねしているのは、罰金を返せという交渉もしていただいて、返してもらうということもやっていただきたいのですけれども、返してもらえないにしても、水産庁の指示どおりにやって罰金を取られたのですから、その点については、水産庁の方が漁民に対して責任を負うべきじゃないかということをお尋ねしているのです。  それから若宮丸の話が出ましたけれども、この若宮丸の関係は、ビルジを流したかどうか、いや、それはイカ汁を流したのだというような問題があります。これはモスクワへ帰って検討することになっておるようですけれども、これは油による海水汚濁防止条約によっても、五百トン以下の船は、もちろん大々的に流してもいいというわけじゃないと思いますが、流してもいいということになっているわけですね。     〔原(茂)委員長代理退席、委員長着席〕 だから、そういう関係からしても、これは違法じゃないと思うのですね。だから、これもきっちりと罰金を返してもらうなり、あるいは若宮丸の船主に対して補償するというようなことも、ぜひとも考えていただきたいと思うのです。  それから時間がありませんから、少しあれですが、私は実はこの若宮丸の船長の聞き取り書きを持っているのです。この聞き取り書きによりますと、まず第一の点は、二百万円罰金を取られたけれども、領収証を受け取っていないというふうになっているのですね。領収証はもらうことになっていると思うのですけれども、この点はどうなっているのでしょうか。  それからもう一つ、ソ連の監視船に臨検を受けるというときに、近くにいる清洋丸に対して、水産庁の監視船に連絡をしてほしいというふうに連絡をしたところ、「日本の取締船」これは監視船のことだろうと思うのですが、「は入域出来ないから、ソ連側ともうすこし充分話をして納得を得るよう」にしてくれというような指示があったというのですけれども、水産庁の監視船は、この二百海里水域内に入っていないのでしょうか。

岡安誠水産庁長官

○岡安説明員 まず最初に罰金の点でございますけれども、これはもちろん私どもの指導に手違いがあれば、それは私どもの責任として措置しなければならないという点も考えておりますが、先ほど申し上げましたように、私どもはソ連との間で約束したとおりに指導し、指示をしてきたわけでございます。向こうの解釈といいますか、それにそごがあったわけでございますので、直ちに国が罰金を弁償をするということができるかどうか、ちょっと問題があるのではなかろうかと思っております。  それから若宮丸の点でございますけれども、ソ連側の言い分といたしましては、二百海里の魚族の保存に関します幹部会令、この一条に違反をするということを言っております。ただ私どもは、二百海里内の生物なり魚族の保存に四十九トンクラスである若宮丸程度がビルジを少々流したということぐらいで影響があるのかどうか、これは非常におかしいではないかということを強く申し入れて、これはソ連の方も、なお調査検討するということになっております。  それから領収証の点でございますが、その前に、もし違反があった場合に調書をとられます。その調書の写し、それから向こうの罰金を納めろという命令書並びに領収証、これは必ずもらってくるようにという指示をしておりまして、この点くれない船があるようでございます。これはおかしいということを強く申し入れまして、ソ連側も担当官は大体それを認めておりますが、なおこれはモスクワに帰って相談をして返事をする、なるべくすべての船にそういう場合には給付するようにしたいということで、まだ決定はしておりませんけれども、検討して返事することになっております。  それから監視船の話でございますけれども、私どもは、一般的にはソ連の二百海里内でありましても、わが国の漁船の操業の指導、監督のためには、わが国の指導船等が入ることは可能であると考えております。いまお話しのどういう連絡等がありましたのか、私ども早速調べてみたいと思っております。

安藤巖日本共産党・革新共同

○安藤委員 最後にお尋ねしたいのですが、いまの水産庁の監視船の問題ですけれども、向こうの監視船とこちらの監視船とが、洋上で小さなトラブルについてケース・バイ・ケースで話し合って解決をつけるというようなことをやっておられるように聞いているのですけれども、それを制度化するというようなことはお考えになっておられるかどうか。  それから、外務省の方もお見えになっておられるのでお尋ねしたいのですが、いまお話しの、ナホトカでの専門家会議というのが行われておるというのですが、これはきちっと定例化されて、しょっちゅう行うというようなものではないように聞いているのですけれども、これをさらに外交ルートを通じて、きちっと制度化していくというようなことは考えておられるのかどうか、これだけお尋ねして終わりにします。

岡安誠水産庁長官

○岡安説明員 トラブルが起こったときに、両方の監視船が相談をするということを必ずしょうというわけには、なかなか船の配置等でむずかしい場合もあると思いますけれども、そういうことができるように、可能な場合にはそういうことをするように私ども心がけてまいりたいと思っております。  それから、ナホトカにおきます専門家会議、これは第一回でございまして、これは実はソ連側の要望でやったわけでございますけれども、きわめて有意義な会議であったというふうに双方認めております。私どもは今後、それぞれ外交ルートをもって所要の措置はいたしますけれども、おっしゃるとおり、できるならば定期的にこの種の会合はやりまして、トラブルを未然に防止する、減少させることに努めたいと思っております。

加藤吉弥外務省欧亜局外務参事官

○加藤説明員 外務省の見解も、ただいまの水産庁長官の申し述べられたこととほぼ同じでございます。  過般、八月十六日から十九日まで行われましたナホトカの専門家会議というのは非常に有益であり、お互いの理解を促進する上できわめて効果があったと思っております。  このような会議を今後制度化するかというお尋ねでございますが、現在のところはまだ、いきなり制度化することは考えておりません。と申しますのは、先般の会議で先方が検討ないし再検討を約した問題もございますし、その返事が出たところ、それから、さらには今後の日ソのいろいろな漁業関係の交渉その他の成り行きを見た上で、その問題を考えたいと思っております。当面は問題が起こり次第、必要に応じてこのような会合を持っていこうと考えております。

安藤巖日本共産党・革新共同

○安藤委員 終わります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員長 原茂君。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 最初から断られていた、大臣の退出する時間がもうすぐ来ますので、時間が来たら、お下がりいただいて結構です。食糧庁長官もおいでですから、一点だけ大臣と長官にお答えいただきたいと思います。  ついこの間の報道によりますと、何か来年の米の生産調整を本年度の倍程度考えているということでありました。さもありなんという感じもいたしますが、そうでなくても、いまの生産調整が強引に行われておりますその陰で、基本的な農政に対する手当てが何らできていない、ために農民の生活というものは非常な矛盾と混乱と困難の中にいるわけですが、またこれを倍にするという状態になりますと、何かそういった手当てまで考えた上で、いままでにない施策をするという前提があってやるのかどうか、大臣と長官から、この一点だけ答弁願ったら、後下がって結構です。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 御承知のように稲作指向と申しますか、相当稲作重点の生産が行われておりまして、また一方におきましては、米の消費が年々減少傾向にあるわけでございます。その結果、ことしの出来秋には三百二、三十万トンを下らない相当の在庫が蓄積をされることに見通されております。また明年には、さらに四百万トンにもなろうかというような状況にあるわけでございます。これは農政上からいたしましても、また財政上からいたしましても、お米だけがこういうような過剰基調になってまいるということは、どうしても避けていかなければならないと考えております。  なお、一方におきまして、需給の関係からいたしまして、麦でありますとか、大豆でありますとか、あるいは飼料作物でありますとか、そういうぜひ増産をお願いをしなければならないというような主要な作目もあるわけでございまして、総合的な自給力を高めるということを農政の基本といたしておりますので、そういう観点からも、今年度は九十万トンの転作をお願いをしたわけでございます。  明年は、最終的に決定したわけではございませんが、百七十万トン程度の生産調整、これはぜひお願いをしなければいけない、このように考えております。そのために、水田の総合的な利用を進める。これには転作奨励金その他相当の国費も必要とするわけでございますけれども、いまのようなわが国の食料事情を総合的、全体的に考えまして、来年度予算につきましては、必要な予算の確保はぜひともしなければいけない、このように考えております。  また基本的には、お米をつくっていただきます場合におきましても、また麦、大豆、その他の飼料作物をつくっていただきます場合におきましても、その農家の所得というものが余り不均衝にならないような米価との相対価格の問題もございますし、あるいは生産対策としての奨励金の問題、その他全体として農家所得がバランスがとれるような条件整備ということが必要であると考えております。また、もとよりその基礎になりますところの土地改良その他基盤整備の問題来年度におきましては水田の灌排事業等ももとよりでありますが、畑地の総合的な灌漑あるいは土地改良事業、そういうものにも重点を置いてまいりたいと考えております。  なかなか厳しい情勢にございますので、農民の皆さんにも、いまの状況というものをよく御理解を願い、そして御協力を心からお願いをしなければいけない、こう考えておりますが、政府としては、そういう方向で今後の施策を進めてまいる考えでございます。

大河原太一郎食糧庁長官

○大河原説明員 お答え申し上げます。  ただいま大臣からお述べになりましたように、最終の数字は検討中でございますが、おおむね米の潜在生産量は千三百四十万トン程度であろう、需要は千百七十万トン程度であろう。したがいまして、差し引き百七十万トン程度の転作をお願いせざるを得ないというような状況でございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 長官も大臣も結構です。きょうは、大臣退席の後、北富士の問題に関して、これからお伺いをします。したがって、構造改善局長の森さんや理財局次長の川崎さん、前へどうぞ。答弁の時間を節約するように、ひとつ簡潔な答弁をお願いしたい。  前置きは余り要らないと思うのですが、事の起こりは、御存じの閣議了解と言われる民生安定を中心にした、いわゆる北富士問題の対処にあるわけです。今日まで、ずっと何回かの当委員会における私の質問や、あるいは意見を述べまして、民生安定に通じないどころか、逆に問題をこじらせ、特に大蔵当局の誠意のない対処の仕方が、やがて私どもの心配する事態をも招来しかねないという意味で、私に知恵があるなら私も協力をして、この問題の解決をしようじゃないか、誠心誠意訴えてまいりました。  残念ながら今日まで、いよいよ山梨県が払い下げの申請を行う、その申請を受理をしたという事態になりましても、まだ私の満足するような事態になっていない。また経過を見ましても、これに対する大蔵省当局の誠意ある処置なり態度が私には理解ができない。このまま問題を推移させることは絶対に不可であるという決意である。皆さんにも、その点は理解をいただくように。少なくともなすべきことをなし、解決すべき問題は解決した後に売買の契約を行う、当然のことを当然やるようにということを、きょうはその意味で、締めくくり的には、その意思表示をしたいために、現在総括的に考えまして、こういう問題はこうしなければいけないのじゃないかという点をるる挙げてまいります。  その間に十点か十二、三点にわたって答弁をお願いしますが、どうぞ簡潔に答弁をしていただいて、時間を節約するように協力をお願いしたい。  このことを申し上げる前に、会計検査院の局長においでいただいておりますが、よけいなことのようですが、従来の当委員会における大蔵当局と私とのやりとり、きょうもまた、なおだめ押しのように問題点を浮き彫りにいたしますが、これに対する大蔵当局の答弁なりが、やがてこの売り払いが実施されました後に、会計検査院としては、いままでの経過とその内容を十分に知った上で、大蔵省に過ちがあれば、いかに大蔵省であろうと、断固たる会計検査院の意思表示がさるべきだと思いますし、そのこともまた今後非常に大事だと思いますので、会計検査院として、いま私の期待をしていることに対して、どういう決意でおられるかを先にお答えをいただきたい。

前田泰男会計検査院事務総局第一局長

○前田会計検査院説明員 お答え申し上げます。  国会で、これほどの問題になったことでもございますし、また国会の議決事項でもございます。さらに、恐らくこれほどの払い下げは、今後はないであろうというぐらいの大きな払い下げでございます。われわれといたしましては、いまのところは会計検査を実施するに至っていないわけでございますけれども、この契約書ができまして、いよいよ会計行為が執行されました段階におきましては、その契約書を熟読玩味させていただくと同時に、いままでの審議の過程その他も参照いたしまして、厳重に検査してまいりたい、そのように考えておる次第でございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 検査院には、また途中で、もし必要がありましたら、お伺いをしますので、お聞きを願いたいと思います。  そこで、私は前回に引き続きまして、いま申し上げたような本旨から、北富士の国有地二百十四ヘクタールの払い下げに関しましてだけ、国、すなわち大蔵当局ですが、と山梨県とが、やがて締結しようとしている契約内容の実体は一体どんなものか、土丸尾地区の耕作地、檜丸尾地区の牧草栽培地、檜丸尾の植林地をどのように処理するのかについて、これをとば口に順次お伺いをしてまいります。  いま締結しようとするこの契約は、普通財産の処分に関する契約であって、私法上の契約であります。そして、大蔵大臣のあらかじめ作成した標準契約書式に準拠して、契約書を契約担当官は作成することになっております。手続上の問題です。予決令第百条第二項。  論ずるまでもなく、本契約の目的は、買い主たる山梨県が、払い下げ地二百十四ヘクタールにおいて林業整備事業を実施することを条件とした土地の売買にあるわけであります。言いかえれば、同地の林業整備事業に供される土地の面積を国が契約において明示し、かつ、この面積を基礎として代金が定められた、いわゆる数量指示売買が本契約であります。単に観念的な所有権の移転を目的とした契約ではなくて、すなわち底土権を売るという契約ではなくて、買い主たる山梨県が同地を林業整備事業に供することを目的とした売買契約であることに間違いありません。  このような契約にあっては、売り主たる国は払い下げ地二百十四ヘクタールを買い主たる山梨県が、その目的に従って完全に利用できるような状態で所有権及び土地の占有を移転しなければならない義務を負っているのであります。このことは、民法第五百五十五条規定の売り主の義務として明らかであります。我妻栄教授などの論説もありますが、あえて引用はいたしません。  一体、大蔵当局は、この土地の占有移転義務をどのように果たそうとしているのか、ここに大きな疑義があります。すなわち、払い下げ地二百十四ヘクタールの中には、土丸尾地区の耕作地、檜丸尾地区の牧草栽培地、植林地が存在していることは事実であります。その占有は忍草、新屋の農民にある。しかも、これらの農民ば、適法な権原に基づく占有であることを主張して今日に至っています。  まず、この事実について大蔵当局は承知しているかどうかを、順序として答弁をお願いしたい。

川崎昭典大蔵省理財局次長

○川崎説明員 お答えいたします。  対象になっております二百十四ヘクタールの中で、従来から権利を主張されておる方がいらっしゃるということは、よく承知しております。  私どもの立場といたしましては、権利はない、消滅しておるという考えに立って事を処理いたしております。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 その調子で、明快に、要点だけ答弁してもらって結構です。  その事実は知っているが、権利はないのだと、いままで主張してきたのが大蔵省の立場でございます。事実は認めるが、権利はないと、いまでも考えておりますよ、こういう御答弁をいただきました。  そこで、そもそもこの二百十四ヘクタールの地上には、二百人にも及ぶ数多くの農民が耕作していることは、いまおっしゃったとおり、事実であります。これらの農民が事実上土地支配を行っていることも、無視することはできない現実なんであります。権利があるかないかは別であります。  いまの答弁で、かかる事実の存することを承知しているということであるから、これを前提にして、これから質問をしてまいります。  では、一体売り主として二百十四ヘクタールの土地の完全な所有権及び占有権の移転及び譲渡義務をどのように履行しようというのか、その義務履行の仕方を明らかにしてもらいたいのであります。  一体どういうようにして、いまの義務を完全に履行できるかどうかを、ひとつお答えをいただきたい。

川崎昭典大蔵省理財局次長

○川崎説明員 土地の状況につきましては、現状のままで売り払いを行うということで、国と山梨県とで合意がされております。ただし、これは非常に大きな問題でございまして、国有財産審議会の議も経たことでございますし、国会でもしばしば御討議になったことでございますので、国会の御審議の成果を踏まえまして、また審議会の審議の内容、そういったものから山梨県が円満に地元問題を解決するために万全の努力を払うことという条件がついておるわけでございまして、県もその使命といいますか、円満に解決するための努力を自来ずっと続けておる現状でございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 要するに要点は、現在権利があるないは別にして、実際に耕作をしているこれら農民のあることは承知の上で、その問題を完全に解決しないまま、国会の議決もあり、審議会の答申にも沿いながら、できるだけ努力は続けていくが、原則としては、これを含んだまま山梨県との払い下げ契約を行いたい、いまこういう答弁だと思います。  法の一般原則として、売り主の占有移転義務というのは、それは承認できます。その根拠たる民法の五百五十五条は任意規定でありますから、これを特約によって排除するというので、きっといま特約を行って、その問題で民法五百五十五条の規定を排除していこうという考えが内心にある、説明されると恐らくそういうことになるだろうと思います。  問題は、そういうようないま大蔵省の考えている特約、契約に対して特約を行う、そういうものによって、売り主たる国の法的責任が一切なくなるかどうかという点にあると思います。この点を無視できない。なるほど本件契約は、私法上の契約であることは間違いない。随意契約なんですから。私法的基礎において契約が行われるということは、国が公権力その他あらゆる権利を離れ、全く私人と対等の立場において行動するという意味であることは間違いない。したがって、本契約は、その効力その他基本的事項については、民法その他法の適用を受けることを、その本質といたします。契約の自由の原則も、本契約にあっては適用されるだろうと私は思う。その意味において、特約条項をすることによって売り主としての義務を法的には回避することができるかもしれません。これは今後の問題です。  だが、これら農民の占有はいかにして、いつ開始されたのか。いままで非常に長い歴史がある。それは、ほかならぬ売り主たる国が、あなた方権力を持った国が設定した権利に基づいて、新屋は陸軍、忍草は国管法により耕作を始めて、営々と今日まで三十六年の長きにわたって耕作を続けているのが現実であります。国が設定した権利に基づいてやっているのが土丸尾地区の耕作地であり、あるいは売り主たる国が植林目的で使用許可を出した檜丸尾地区の植林地であり、かつ売り主たる国が立ち入り、使用、収益する入会慣行を承認したその入会慣行に基づいて、牧草栽培を行っている檜丸尾地区の牧草栽培地にほかならない。これが現状であります。  そこで農林省に伺いますが、法の原則として、農地などの賃貸借は、その登記がなくても、その農地等の引き渡しが現にあって、現実にその用に供している場合は、その後その農地について所有権を取得した第三者に対抗することができるものと思われるが、どうでしょうか。これは森局長からお答えをいただきたい。  農地法の第十八条一項に現に記してありますから、参考にしていただく。すなわち、農地などの賃貸借、いわゆる貸した借りたは、その農地の賃借人が、その農地の引き渡しを受けて耕作しておれば、たとえ所有者が第三者に売却した場合でも、新所有者との間で従来どおりの賃貸借条件で耕作を継続することができるものと思われるが、どうでしょう。明瞭に簡潔にお答えをいただきたい。

森整治農林省構造改善局長

○森説明員 御指摘のように、一般論としましては、農地法の十八条で、登記がなくても第三者に対抗できるという規定がございます。そのとおりでございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 また、入会権についても登記なくして第三者に対抗できるものと思いますが、いかがでしょうか。

森整治農林省構造改善局長

○森説明員 権利の性格上、そういうふうにわれわれは理解をいたしております。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 さて、いまお聞きになったことを前提に、大蔵当局は、この土地の利用権は、昭和四十八年五月の国管法適用除外地になることによって完全になくなったと言っているだけなんです、今日まで大蔵当局は。そうですね。だが、新屋、忍草の農民は、国管法制定以前の戦前から同地を使用、収益しているのであります。適用除外になった今日においても、一貫して継続的に同地を用益に供しているのであります。これは間違いない。だからこそ、いま国管法に基づく使用権があるのだと言って強く主張しているのです。ただ、この農民たちの主張というのは、国管法に基づく使用権があるのだというたてまえで、現在の耕作権その他を主張しているのではないのですね。ここが非常に問題なんですよ。それ以前の権利の存在を前提として強く主張しているわけですね。ここを誤ってはいけないわけです。  仮に百歩はおろか千歩譲って、耕作人の主張する永小作権、入会権等が存在しないというふうに大蔵当局と同じような立場に立って考えたにせよ、この土地を耕作している継続的な用益という外形的事実は否定できない事実であります。否、むしろ、この事実こそが、その権利の存在に根拠を与えていると私は思います。民法第百八十八条は何と規定しているか、大蔵当局から、条文をひとつここで読み上げていただきたい。

川崎昭典大蔵省理財局次長

○川崎説明員 それでは条文を朗読いたします。  民法第百八十八条「占有者カ占有物ノ上ニ行使スル権利ハ之ヲ適法ニ有スルモノト推定ス」

原茂日本社会党

○原(茂)委員 いまお読みになったとおりです。  そもそも、新屋、忍草の農民は、大蔵当局の主張するような何の権原もなく耕作しているのでは決してないという立場を、これは私はあたりまえだと認めます。端的に言って、何の権原もなく耕作しているのだと大蔵当局がもしお考えなら、それはまさに違法使用にほかならない。違法使用ですから、そうだとするなら、大蔵当局は、国有財産は常に良好な状態において管理されなければならないと財政法九条二項にきちっとあります、この財政法上の責任を果たしていないことになるのじゃないですか、大蔵省は。  だが、これは違う。そうじゃない。そうではなくて、大蔵当局がかかる責任を果たしていないというのでは決してなくて、むしろ農民の主張する権原を完全に否定することができないから、耕作を継続させているというのが事実だと思います。完全に否定することができない。だからこそ、口先では国管法で使用権は消滅したと言いながら、かかる耕作の事実を排除すべき義務ある大蔵当局は、何ら法的にそれを排除しようとしない。本来すべきです、こんなことは。  確かに昨年、五十一年六月、忍草の牧草栽培地については、仮処分の申請を大蔵当局はした。しかし、その申請にもかかわらず甲府地裁はその立ち入り、使用、収益を禁ずる決定は下しておりません。また、本年七月二十七日、先月であります、新屋農民の耕作地、忍草入会組合の占有する入会地に仮処分を申請しましたね。しかし、これもその耕作を禁じ、または立ち入り、使用、収益することを禁ずる何らの決定を裁判所は下していない。  もし大蔵当局の主張するように、これら農民に何らの権原もなければ、なぜ一体大蔵当局みずから耕作の禁止を命じ、かつ土地の明け渡しを求めることを内容とする占有排除の仮処分の申請を行わないのか。やっていない。もし仮に何の権原もなければ、被保全権利たる所有権が国に存在すること明らかな本件の場合は、新屋、忍草の農民において同地の占有、使用をなすべき権利が全然存しないことを疎明できれば、大蔵当局が疎明すればいい。それで十分なんだ。その疎明ができてない。だからできない、法的に。にもかかわらず、これを行わない。口では新屋、忍草の農民において同地を占有、使用する権利がない、こう言っていながら疎明できないために、ついにいまの現実があるわけであります。この点間違いでしょうか。簡単に。

川崎昭典大蔵省理財局次長

○川崎説明員 先生おっしゃいますように、疎明できないために今日の現実があるとも考えておりませんけれども、本問題につきましては、山梨県が地元問題として誠意を持って解決に当たるというふうな方針が、いろいろの方々の御努力によって出されて、もう久しくなっておるわけでございますので、いまここで大蔵省が直ちに信ずるところに従って法的な措置に訴えるということは差し控えているわけでございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 そのことだけに時間をとるのはあれですから、後に譲りますが、それは詭弁です。後で論じるとわかりますが、それは詭弁だというふうに私の考えを言っておきます。山梨県に期待をしてというような無責任、それが許されない大蔵当局は、いま立場にあるんだということを後に申し上げます。  したがって、大蔵当局は確かに仮処分を申請したことは間違いない。土地の明け渡しを含めて、この払い下げに障害となるような忍草、新屋農民の占有を明け渡させようと企てたことは間違いない。だが一体どうしたんだ。その仮処分の結果たるや、単に塔、くいなどだけを立ててはいけないということしか裁判所は認容しなかったではありませんか。何たることですか。裁判所は、あなた方の仮処分申請に対して、塔を立てちゃいけない、くいを新たに立てちゃいけないという決定を下しているんですよ。しかも、ただそれだけではないのです。この仮処分の決定は、国の主張する完全な所有権、これが保全されるべき権利でありますが、それについて、きわめて疑義あることを司法当局は明らかにしております。  その証拠に、仮処分に当たって裁判所は債務者たる農民の利益の重大性を考慮しないわけにいかないものですから、その考慮の結果、実に驚くべき多額の保証金六千七百万円を担保として国に供託させているのであります。国は六千七百万円供託をいたしました。これは言わずもがなのことでありますが、昭和五十二年度の保証金の法務省の予算額、これは九千万円でしょう。そのうち本件保証金は、その約七五%を、いまここで使ってまいりました、あなた方は。恐るべき多額の保証金です。これで裁判所がいかに農民の権原の存在を考慮しているかが明らかだと私は思う。大蔵当局の疎明が下手だったからではない。大蔵当局ができる限りの、だれが見ても、なりふり構わぬ、でたらめの疎明を一方的に申し立てても、なお裁判所は、農民の利益保全を考慮しなければならなかったほど農民の権利は重いという決定であります。  さて、問題は、国がかかる仮処分の申し立てを行ったこと自体にある。私は非常に問題だと思う。大蔵当局は、完全な所有権があるとの前提で、本件国有地の払い下げを一方的に進めてまいりました。ここに至って、ついに農民の耕作という事実を隠蔽、抹殺することができなくなって、これを法的に処理しなければならない段階にきたために、いまの仮処分の手続をしたのです。  ところが、きのうの、いわゆる新しい事態が起きました。けさの新聞をごらんかどうか知りません。朝日新聞の山梨版、山梨日日を見ますと、仮処分を受けた農民は、これを機会に、果たして大蔵当局の主張するがごとく、自分たちに何の権原もないのか、それとも多くの学者がその存在を主張しているように、入会権があるのか、小作権があるのかを公正な裁判所の判断を求めようというので、裁判所に、国に対して本案の起訴命令を出すように申し立てをいたしました。受理されました。新聞に出ております。御存じだと思います。きのうやったわけであります。  大蔵当局は、従来一貫して、単にこれら農民の権利はないとだけ主張して黙殺し続けてまいりました。農民の権利主張の内容に耳を傾ける努力がないばかりか、反論することもしなかった。しかし、事態がこうなった以上、大蔵当局は当然これを受けて立たざるを得ない状況に追い込まれていると思います。これを、いやだって受けて本裁判を起こさなければいけないのですから。大蔵当局が仮処分の申請をした機会に、農民がそれじゃ一体おれたちに本当に固有の権原があるのかないのか、入会権あるいは小作権に対して、ひとつ国の公正な判断を求めようというので、起訴命令の申し立てをいたしましたから、いやでも短時間の間に大蔵省は受けて本裁判に持ち込まなければいけないということに法的にもなったわけであります。  そうだといたしますと、払い下げそのものができなくなると私は思うのです。こういう仮処分を大蔵当局がやってしまった。これを契機に本裁判を起こせという農民の方から訴えが出されました。国は、いやでも裁判をしなければいけない。これが解決しない間は、売買の契約ができないというおそれか——私の考えではしてはいけないと思います。  さきに理財局長の答弁の例として、私がここで聞いたもんですから、きょう局長いませんが、無理して過去の二つの事例を私のところによこしました。問題があるままに払い下げたことがあります、問題を解決してから払い下げた事例、問題があるまま、それを包含して払い下げた事例がありますなんて言っちゃったもんですから、一生懸命探して、つい無理して持ってきたのだろうと思う。あの事例を次長ごらんになったかどうか。いただいて、そのままそうかと言っていたら、これは黙認になりますから、したがって、私は私なりに調べた。とんでもないことだ。  いま、新宿の戸山町の東京都への払い下げ地について、少し私の調べたことを申し上げておきます。  本件地は、東京都が都市計画事業で住宅建設を実施するために昭和五十年三月三十一日、国から払い下げを受けたものである。国有財産特別措置法の減額払い下げを受けました。これはあなたの方の専門だ。払い下げ面積は約二千八百平方メートル、その一部三十平方メートル、約十坪だけに不法占拠者がいたのです。国は、昭和四十二年ごろに、東京地方裁判所に建物収去、土地明け渡しの訴えを提起しました。東京都が払い下げを受けるまでに勝訴の判決がおりていました。しかし、不法占拠者が、なお建物の収去をしないので、東京都はその訴訟の結果に基づいて、五十二年三月十八日に強制執行を行ったという例なんですよ。  これが、いま問題になっている山梨県北富士の二百十四ヘクタールの例でございますと言わんばかりに持ってきたその神経たるや、驚くべき神経だと私は思う。このことに関して、いま詳しく論ずる時間がありませんが、皆さんがひとつ腹に手を当てて冷静に考えていただきたいと私は思う。とにかくこんなばかげた事例が、まるで問題を含んだまま払い下げた本件のごときに適用できる事例だと言わんばかりに持ってきたその神経に驚いたことを重ねて申し上げておきます。  さて、この入会権、小作権の存否が確定するまでは、これら農民が係争地の占有を継続し続けると思いますから、払い下げを受ける県、すなわち買い主たる山梨県は、林業整備の用に供し得ない。また、国としても、かかる問題が解決しない以上、用途指定を付して払い下げることはできませんよ。国がどのようにして用途指定の履行確保が図れるというのか、非常に私は疑問です。  また、国は、そもそもそれを果たす意思があるかどうかを私は疑う。腹のうちは、単に山梨県に払い下げさえすれば、それでよいと考え、用途指定の実を上げる気もなく、昭和五十三年度の使用協定を、とにかく早く結ばなきゃだめだということだけに焦りを感じて、ただそれだけのために契約をとにもかくにも早く結んじゃおう、結んじゃおうというのが、私は手にとるようにわかるのであります。  だが、この北富士演習場の契約の更改は、来年の三月だ。何回も言っていますように、いまあわてくさって、山梨県がやいのやいの言ったからといって、これをいろんな問題があるのに、問題の解決を一切ネグって、早く払い下げちゃおうというような態度に対しては、断じて国のとるべき態度ではないと、私はいまだに考えます。まだ時間があります。  政策の具に国有財産を供してはいけない、これは一番基本です。憲法に準ずる基本なんです。北富士演習場というものを、来年三月に使用協定を更改したい、更改したいために大変な無理をして、いま二百十四ヘクタールを山梨県に売り渡そうというような政策の具に供することは、厳に戒めて今日まで来たのは、ほかならぬ大蔵当局であります。一番大蔵当局は自粛自戒して、非常にこのことを守ってまいりました。今度の場合には、それが見えません。まことに財会法の根本規範に反する契約であると私は断ずるものであります。  しかし、忍草、新屋の農民の本案起訴命令申し立てによりまして、国が真っ向からこれを受けて立たざるを得なくなったのが、とにかくいまの現実でございます。だから、山梨県も林業整備の用に供することができないし、また、国としても、この問題の法的決着がつかない以上、用途指定を付して払い下げることはできない。まさかできないものまでも、できるとしてごまかして、そして事終われりとするわけには私はいかないと思います。大変な問題が起きた。この点について、大蔵当局は一体どうお考えか、これも簡潔にお答え願いたい。

川崎昭典大蔵省理財局次長

○川崎説明員 ただいま先生御指摘の申し立ての件でございますけれども、それを受けて本訴に移行するか、あるいはしないかという点は、私どもも実はきょう知ったわけでございまして、これから関係官庁とも協議をいたしまして、態度を決めなければならない新たな事態だと考えております。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 私の本旨にまともに答えていませんが、まあ苦しい状態はわかります。おっしゃるとおり、きょう知って、一体本訴に出るかどうかを、これから協議をすると思いますが、本訴をしないことに決めたら、仮処分の撤回を意味します。したがって、仮処分の申請状、内容がここにございますが、ずっと読んでみまして、それを撤回するという事態になりますと、この中にいろいろ大蔵当局の立場、国の立場を主張していますが、その主張を全部取り下げるということ、これも後で重大な問題になりますということも、ひとつ論理の上からお考えをいただかなければいけないと思います。  また、そうだとすれば、本件払い下げ価格が更地評価による林地としての時価である点についても、これはきわめて重大な問題を惹起するのではないかと私は思う。更地として、これは評価しているのです。この間、三百四十有余円、そして二百十四ヘクタールで七億四千万円、これは更地という前提で評価したのですね。すなわち、林地としての時価とは、いわゆる現時点での近傍類地の取引実例によって算出された価格によって算出された価格にほかならないのですから、同地が直ちに林業の用に供される状態にあることを前提として算出された価格にほかなりません。にもかかわらず、同地は決して直ちに林業の用に供せられる状態にあるとは、とうてい言いがたい。それでいて、同地が直ちに林業の用に供されるものとしての、更地としての価格で売却されるということは、一体これが適正な価格ということができるか。  これが安過ぎるとか、時価に比べて差があるとかないとかを私は論じようとは思わない。安い方がいい立場の国民もあります。しかし、余りにも不当に安過ぎると、国民の財産である国有地が不当に払い下げられることは、その国民の側から言うと、がまんができない事態にあることも間違いない。だが、その問題の高い低いを私は論じようとは思わない。この点について、更地としての評価が、本件において適正な価格を形成し得るものかどうかは、これはしかし重要な大きなポイントになってくると思いますが、この更地としての評価、現在売買の単価を決定になりましたが、山梨県との間に話し合いが進みましたが、一体それが適正な対価を形成しているんだというふうに、これだけ申し上げても、いまでもお思いになりますかどうか、これをひとつ伺いたいと思います。

川崎昭典大蔵省理財局次長

○川崎説明員 たびたび申し上げておりますように、権利は消滅をしておるという考え方でございまして、したがいまして、更地評価ということは当然の帰結でございます。現在、それで評価をしました価格が適正なものであるというふうに考えております。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 権利がない。先ほどから時間の関係で早口にしゃべっていますが、問題にしているところに二つあるのですよ。現に二百人の耕作権を主張し、入会権を主張する農民が、事実そこで生活をしていることだけは現認された。しかし、大蔵当局は、おまえたち権利はないのだよということを言っている。その権利がないという理論的な根拠、あるいは現にそこで生活をしておる、耕作をしておる諸君があるという事実の方が、更地としてこれを売り払おうとするときの障害になることは、間違いないんじゃないですか。  単に権原があるかないか、権利があるかないかということだけを論ずるだけで、現に更地である場合なら、それはいい。現に更地だといって評価して、そこにとにかく幡踞して自分たちの生命を守るためにも、自分たちの三十六年の生活権を擁護するために、ここに二百人いるわけだ。現にいるそれを更地と考えるなんということは、少し理論の矛盾じゃないのですか。そういう矛盾を、無理を冒してはいけないと私は思いますが、その点は、いまのような私の考え方も、また冷静に後で考えていただかなければいけないと思います。  次に、このように新屋、忍草の農民が現に占有、耕作し、その本権、すなわち占有することができる権利を、おのおの永小作権、入会権などであると主張して、かつ、それらの権利が登記なくても買い主たる山梨県にも対抗できる権利である——先ほど言われたとおり、そう推定される場合であるにもかかわらず、大蔵当局は、これを三年以内に林業の用に供すべきことを条件に付さんとしています。だが、かかる用途指定は、その実現きわめて不可能なものであると言わなければなりません。  論ずるまでもなく、近代法治国家にあっては、裁判制度を確立し、権利の救済と法秩序の維持の任務を国家の手裏に集中する反面において、そのコロラリーといいますか、論理的帰結として自力救済を禁止するたてまえをとっていることは、縷説をまたないと思います。したがって、買い主たる山梨県は、三年以内に永小作権、入会権不存在確認、土地明け渡し請求訴訟を提起し、かつ、それに勝たなければ、右用途指定を実現することはできない、それが現実であります。現下の民事訴訟に要する平均的な日数からも、また、当該事案の複雑性から言っても、とうてい三年間で片のつく問題でないことは、これは常識だと思います。また、勝訴の見込みもこの事案では私はないと思う。  なぜに、こんなあらかじめ不可能な用途指定を付するのか、この用途指定そのものが現在では大きな支障にぶつかって、できないではないかと思いますが、この点どうでしょうか。

川崎昭典大蔵省理財局次長

○川崎説明員 おっしゃいますように、いろいろむずかしい事態があるということは考えておりますけれども、その植林の性格に応じまして、二年なり三年なりという期間を置いての用途指定でございますから、山梨県が全力を挙げて解決を図ると申しております現段階で、私どもはやはりできると考えております。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 さっきから、山梨県、山梨県がと言って逃げるのですが、国は、何もその問題解決の責任を負おうとしない、後でこの点申し上げますが。全く私は国会を軽視し、審議会の答申を無視して、答申にも言われ、国会の決議でも言っている、国としてなすべきことを何もやろうとしない。すべて山梨県、山梨県と、ばかげたことをいまだに言っているその態度は、笑止千万だと思います。そんなことでは問題の解決になりません。これはまた後ほど論じます。  そもそも契約自由の原則の名のもとに、先ほど私が指摘してきたように、あなた方が付そうと思っている特約条項で占有の移転義務を回避して、これをもって売り主としての法的義務を回避すると言うが、なおその法的義務は厳に存しているのだ。私がるる申し上げたとおりです。なるほど売り主の責任は、一般に取引の信用を維持しまうとして民法が特に規定を設けてはいますが、具体的には個々の売買の当事者の利害にのみ関しているのであって、公の秩序に関しているのでは断じてありません。したがって、原則としていかなる特約をすることも妨げないでしょう。しかしながら、売り主がみずから第三者のために設定した権利については、国が設定した権利については、その責を免れることはできません。けだし、このような場合に、売り主にその責任を免れさせては、著しく信義則に反するからでございまして、これはもう民法第五百七十二条の言うとおりです。  本件にあって、土丸尾の耕作地、檜丸尾の植林地は、ほかならぬ国みずからが権利を設定した場合なんです。買い主たる県がその責任を追及すれば、売り主たる国は、仮にその責任を負わない旨の特約をしていたとしても、なお売り主たる国の責任は追及されることになっております。法的にこれは厳たる事実であります。現に山梨県民は、この点につきまして、県に代位して国の責任を追及するため、本年八月二日、今月の二日でございますが、監査請求を提出いたしております。  国は、かかる売り主としての義務を追及された場合、しかるべき代金減額か、さもなくば担保供与か、いずれかの法的責任を負わなければならないことになっております。大蔵当局は、あらかじめこの責任を果たすつもりがあるのか、それとも県民に指弾されるようになってから果たすのか。いまの二回にわたる答弁を聞きますと、山梨県が、山梨県がと、きっとおっしゃると思いますが、これは山梨県がなすべき案件ではありません。  そもそも土丸尾地区の土地は、昭和二十年に米占領軍によって占領接収されていなかったと仮定いたしますなら、当然にほかの多くの小作地や他の旧軍用地内耕作地と同じように、農地改革の線に沿って、自作農創設特別措置法施行令によって農林省に管理がえされ、疑う余地もなく、これら農民が当時において、すでにその所有権を取得していたはずの土地だと私は確信しています。仮に、これらの権原が不明のまま山梨県に払い下げられるとしても、新屋、忍草の農民が「平穏に、かつ、公然と耕作の事業に供している」事実から、この土地は農地法第六条五項に言う、いわゆるみなし小作地として農地解放の対象地であることは間違いない。農地の認定に当たって現況主義をとる農地法によれば、新屋の畑地、忍草の牧草栽培地は、ともに農地法上の農地であることは間違いない。農地解放の要件は充足していると私は思う。  なるほど国有地には農地法の適用はないとおっしゃるでしょう。しかし、地方公共団体有地には適用があるのですね。だとすれば、山梨県が払い下げを受けたとしても、その払い下げを受けた途端に山梨県は不在地主となって、檜丸尾の牧草栽培地、土丸尾の一般耕作地は、みなし小作地として解放されることになる。これはどんなに法文をひもといてみても、間違いありません。  そこで、念のために農林当局に伺いたいと思っていますが、国以外のものは何人も、その所有者の住所ある市町村の区域の外にある小作地を所有してはならないと私は思いますが、いかがでしょう。  また小作地以外の農地で、その所有者またはその世帯員でない者が平穏に、かつ、公然と耕作の事業に供しているものは、小作地とみなされるのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。この二つを一遍にひとつ森局長から……。

森整治農林省構造改善局長

○森説明員 前段の御質問は、農地法の原則でございますから、そのとおりでございます。  それから、後段の問題につきましては、小作地以外の農地で、所有者でない者が平穏、かつ、公然と耕作の事業に供しているものは、小作地とみなす、いわゆる小作地とみなすという規定でございます。その小作地につきましては、一般のルールによりまして、所有制限がかかるわけでございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 そこで、大蔵当局は知っていると思いますが、山梨県は甲府に県庁が所在していますから、甲府市以外の土地は不在地主になりますよ。そうですよ。そういうことを言いたかったわけですよ。また、この場合の「平穏」というのは、法律上許されない、強暴または強迫の行為をしないことだと私は思います。「公然」というのは、他人の目に触れないよう隠秘して行わないことだと私は思います。たとえば農地法三条の許可を受けない場合等耕地の権原を有していない場合で、そのことに対して所有者が異議を申し立てて争っているとか、暴行などによって泣き寝入りさせられているとかの事情がなければ、この「平穏に、かつ、公然と耕作の事業に供しているもの」に該当するものと思われますが、これもどうぞひとつ森局長お答えいただきたい。

森整治農林省構造改善局長

○森説明員 ただいまの、そういういわゆるやみで、実は両者合意のもとに耕作をしている、小作地に出しているもの、そういうものは法律上有効な小作権にはならないけれども、それは小作地という扱いをいたしますよという規定でございますから、いま一般論としては、そういう考え方で処理をいたすべきものと考えておるわけでございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 ぴちっと的確な答弁ではないのです。  いま法文の解釈をお聞きしたのですが、とにかく大蔵省は、山梨県に林業整備の目的で同地を払い下げても、県は同地を所有できない小作地として新屋、忍草の農民に解放せざるを得なくなって、結局は林業の用に供することができなくなるのだと私はどうしても思う。農地法は強行法規ですから、大蔵省のどんな見解があろうと、このみなし小作地というものを前提にいたしますと、山梨県が払い下げを受けても、この林業整備事業そのものが不可能になると私は解釈しますが、どうですか。みなし小作地をお認めになるかどうかにかかっていると思いますが、簡単に。

川崎昭典大蔵省理財局次長

○川崎説明員 本件の土地が、いわゆる農地法で言うみなし小作地になるかどうか、これは私どもからお答えするよりは、農林省の方かと思いますので、私からお答えするのはちょっと遠慮さしていただきたいと思います。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 みなし小作地に対する農林省の見解は、先ほどきちっとお伺いをして意見を聞きました。それを前提にして、いまお伺いをしている。この点は非常な問題になりますから、ひとつ検討をされた方がいいと思いますよ。  もちろん農地法上の文言には若干の解釈が要るだろうと思います。だが解釈は、すでにできている法規を見出すための手段なのです。法規を変更することでも、新しい法規をつくり出すことでもない、解釈とは。これは非常に大事なことなのです。あなた方は、よく解釈とか運用という言葉をお使いになりますが、法の解釈というものは、結局新しい法律をつくったり、あるいは法規を変更するということじゃない。そうじゃない。すでにできている法規を見出すための手段なのだということだけは、肝に銘じてお考えをいただかないと、ややもすると御都合主義で法の解釈、運用というものを勝手に広げて、とんでもないことを——大蔵当局は独裁者のような法の運用をするおそれがあります。  本件払い下げの目的は一体何なのか。それは本当に同地に依拠して生存している農民が、少しでも豊かになることと私は考える。だが一体大蔵当局は、そう考えていないのじゃないかと私は思う。その地で食えなくなったら、日雇いにでも荷役にでも何でも出ていきなさいと平気で言い放つ方が契約の目的に合致すると思っているようにしか私には思えません。何らこれを解決しようとしていないのですから。私は、これに対する価値判断を抜きにして、本件国有地払い下げに関する一切の関連法規を論ずることは無益だと思う。それはもともと事実の問題なんですから、法の問題でないことは確かなんだ。しかし、いかに法を論ずるにしても、その前提としての一定の価値判断が必要だと私は思う。これが政治です。それがあなた方のなすべき行政なんだ。  大蔵当局は、一体いずれの価値判断に立つのか。そして、それが払い下げ目的たる地元住民の生活安定というのに、どれだけ適合的だとお考えになっているのか。食えない者はどこへでも出ていって、とにかく日雇いにでもなったらいいだろうという考え、あるいは何としても、ここで生活をしておる諸君の民生安定を考えるんだというそのいずれをとるのか。これも一応次長からお伺いしておきたい。

川崎昭典大蔵省理財局次長

○川崎説明員 どうなってもよろしいというふうなお話で考えておるんじゃないかということでございますけれども、そういうことではございませんで、円満に解決がいくように考えておるわけでございますけれども、何分地元問題というものは、前回もお答えしたかと思いますけれども、直接大蔵省がやるよりは、山梨県がやった方がよろしいであろうという判断が先にございまして、県側からもそういう希望がございます。大方の方々の御意見もそういうことで、こういうふうに事務処理が進んでまいったというふうに考えております。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 その点の不当であることを前からも言っておるし、いまも何らそれに対する反省の余地がないのですが、これは日ならずして、いまの答弁、考え方を変えなければいけないときが現実の問題として来ると思います。甲府地方裁判所の本訴申し立て等をどう処理するかにもかかっているし、いろいろな契約の内容を法的に全部調べていただきますと、ただ山梨県、山梨県という、その考えが、いかに間違いであるかということを、また後でこれから申し上げます。

森整治農林省構造改善局長

○森説明員 先ほどの答弁に関連して。  私、先ほどみなし小作地の問題に関連しまして、ちょっと誤解があるといけませんので、私がお答えいたしました意味を申し上げたいと思いますが、農地法の解釈につきましては、先生御指摘のとおりだと思います。ただ本件につきましては、県に売り払われた後の状態につきまして、要するに、国の場合には小作地がどうのこうのということはないわけでございますから、県に売り払われた後におきまして、いま問題の耕作者なりが、平穏、かつ、公然と耕作の事業の用に供している状態というのが認められれば、みなし小作地として、そういう小作地の所有制限に該当するということも考えられましょうというふうにお答えいたした方が正確かと思います。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 それで結構なんです。裁判所がすでに、平穏、かつ、公然と行っていることを認めている。仮処分を出したおかげで逆に裁判所、国がそれをきちっと認めている。したがって、土地の明け渡し請求、その他何をやっても、そういう決定が下されないという客観的な事実からいって、裁判所がそれを認めている。したがって、このまま売り払いをされようとも、売買契約が行われた後でも裁判所のその決定のある限り、みなし小作地であることは間違いありません。  私は、次にこういうことを申し上げたい。山梨県に払い下げる以前に、大蔵省が当然処理しなければいけない法的、行政的な諸問題があることを、これから二、三指摘をいたしてまいります。  山梨県知事は、昭和五十二年七月十四日の山梨県定例県議会におきまして、北富士演習場返還国有地の払い下げ問題について、次のような要旨の所信表明を行っております。余り言わなくてもわかると思います。  国との間において、国有地の払い下げに関する条件が合意の運びとなりました。それらは「一本地を林業整備事業の用に供する。二 払下げ財産は普通財産とする。三 林業整備事業は分収造林方式で実施する。四 用途指定期間は六十年とする。五 払下げ価格は林地としての時価とする。六 諸懸案事項の処理は、県、地元市村及び保護組合等が地元問題としてこれを解決する。」という内容の六条件。五十二年七月十四日、知事の説明要旨、皆さんもお持ちだろうと思います。  このことは、私が、さきに当決算委員会で本地払い下げ問題をただした際に、国有財産の総括責任者たる大蔵、いわゆる坊大蔵大臣が、同地の払い下げに当たっては、山梨県知事の意見も私の意見も十分聞いた上で処理をしたいと確約をいたしました。私は、その約束に大蔵大臣、反しているのだと思う。国会での発言をたがえて、独断的に払い下げ手続の進め方をやって、きわめて重大な、私は国会軽視の事案だと思うのです。  その第一は、山梨県に払い下げ手続をする以前に、大蔵省が当然処理しなければいけない法的責任論の上からの問題が、まずあります。  次に言います。そもそも、この払い下げ国有地内には、農林省所管の開拓財産、総面積十・五ヘクタールが、しま模様状に存在しております。御存じのとおり。紛れもなく、これは農業上の利用に供されていない開拓財産として、国、農林省は、これを「その買収前の所有者又はその一般承継人に売り払わなければならない。」農地法第八十条二項、これに該当いたします。  前の決算委員会、五十二年七月十五日における農林当局の答弁によると、この件については大蔵当局と協議して早急に処理するという答弁がございました。本来なら、協議するまでもなく、速やかに不要地認定を行って、旧所有者に払い下げるべきところを、当該開拓財産、この十・五ヘクタールを囲続している土地、すなわち返還国有地二百十ヘクタールが払い下げられるということなので、農林当局も、大蔵大臣との協議をしてと答弁したのだと私は思うのですね。これは事実でしょう。  なるほど国有財産法では「大蔵大臣は、国有財産の総轄をしなければならない。」そうである以上、「国有財産の管理及び処分の適正を期するため、」「その管理及び処分の事務を統一し、」「その管理及び処分について必要な調整」をしなければならないと規定しています。  これは条文を読み上げるまでもない。であるから、この開拓財産が農林省所管のものであれ、国有財産を総括する大蔵当局は、その管理、処分について、国有財産の管理及び処分事務の統一を図らなければいけない。またその調整を行わなければいけない国有財産法上の法的責任を負っているのであります。この返還国有地の管理、処分について、大蔵当局がみずから一体どのような調整を行ったのか。また、どのような事務の統一をしたというのか。  そもそも当該払い下げ地内には、かかる回復請求権の付着した開拓財産が存在していることは、国有財産の現況を常に把握し、かつ、これらの財産の総合計画の実態というものを国会、すなわち国民に対して明確にしておかなければいけない国有財産法上——七条ですね、の責任ある大蔵当局にあっては、当然知悉しているところであるはずだ。ましてや、その土地の一帯を包含して売却せんとしているのでありますから、知りながら知らぬ顔の半兵衛を決め込んでいる、こう言って間違いがない。とっくの昔に、この処理に対して大蔵当局が発動をして、農林当局と相談をしなければいけないはずであります。この払い下げを審議会の答申にかけるというようなことの前に、すでに問題のこの開拓財産というものに対してどうするかを協議しなければいけない。私が指摘しても、これをすぐに行おうとしない。この間も指摘した。まだ行っていない。これはまさに違法、ある意味では違法な不作為と断ぜざるを得ないと思う。  旧所有者、すなわち回復請求権者の買い取る意思のいかんでは、払い下げ地がずたずたに引き裂かれる。これはもう間違いがない。皆さんの方にもあると思いますが、これが払い下げ地内にある開拓——この筋に見えているのか開拓財産なんです。こんなにずたずたにあるのですよ。これは大変な問題ですから、ごらんになっていると思いますが、旧所有者、すなわち回復請求権者の買い取る意思のいかんでは、いま申し上げたように、払い下げ地がずたずたに引き裂かれるという事態になりますよ。そうしてそのことは、この開拓財産より生起するもろもろの法的な問題、たとえば囲続地通行権があります。民法第二百十条、袋小路に対する囲続地通行権等の問題も当然考えておかなければなりません。そうでなければ、この国有地払い下げを受けても使えない。  さらにまた、東富士有料道路の予定敷地に当該払い下げ地が入っていることも事実なんです。あらかじめ、この計画がわかっていながら払い下げるとは、一体どういうわけか。少なくとも現実に予定敷地が決定されるまでは払い下げを待っておくか、または予定敷地が決定しているならば、その部分を除外して払い下げるのが当然のことだ。そうすれば、なすべきことをやったということになる。払い下げて、また買い上げる。全く二重の手間を、金も時間も人も浪費している。国税のむだ使いきわまれりと私は思う。  このように当該払い下げ地内には、払い下げる以前に当然処理すべき問題が多々存在しているのであります。開拓財産問題、みなし小作地問題については農林当局、東富士有料道路については建設省といったぐあいに、各省と当然に大蔵当局は協議し、当該国有財産の処分の適正を期さなければならない国有財産処理上の責任が大蔵当局にはあるのだ。したがって、これを売却するとかしないとかということが論議をされて、そして各審議会にそれを諮問するという以前に、すでにこの問題に対しては、こういうふうにやっております。こういう手当てをいたしております。問題なく払い下げができる二百十四ヘクタールでございますが、答申をお出しいただきたいというのが、当然行政上の責任を負った大蔵当局の立場なのだ。それをやっていない。  再度繰り返すまでもなく、国有財産の総括大臣たる大蔵大臣は、国有財産法第四条において「国有財産の管理及び処分の適正を期するため、」「その管理及び処分の事務を統一し、」「その管理及び処分について必要な調整」をしなければならないことになっている。何回言っても、これは同じことです。なぜに、この事務統一、必要な調整を行っていないのか。また、行っていないにもかかわらず、県への払い下げ手続だけ優先的に進められるのか、その根拠を明らかにしてもらいたい。やっていない事実があります。どうしてこうなったのでしょう。

川崎昭典大蔵省理財局次長

○川崎説明員 広い面積の土地でございますので、いろいろの問題があるという点は御指摘のとおりでございますが、まず御指摘第一点の、格子状にいろいろ入り組んだ開拓財産が残っておる、そういう点は大蔵省は、もうずっと古くから気がついておりまして、具体的に農林省と協議をするということは非常に技術的な点もございますので、正面切って局長同士というような話は、なかなかございませんでしたけれども、何年か前から事務的な打ち合わせはしておりました。  ことしに入りまして三月に、きちっと打ち合わせをいたしまして、大蔵省が土地の売買契約をする際には、その開拓財産があって、土地の利用ができなくなるといったようなことがないような処理を、農林省においてあわせてするということになっております。  それからまた、第二の御指摘の点でございますけれども、道路が通るのじゃないかというお話でございますが、これは政府部内で意見がいろいろございまして、そういう道路を通したらということが案として出されたことはあるというふうに聞いておりますけれども、まだ計画という段階でもなく、したがいまして、今後売った土地をまた買い戻さなければいかぬ、国費のむだ遣いといいますか、二重使用が起こるのじゃないかといったことはないという前提で処理をいたしたものでございます。

森整治農林省構造改善局長

○森説明員 いま大蔵省から御答弁ございましたとおりでございますが、私どもといたしましては、大蔵省と連絡をとりまして開拓財産の処理を進めておりまして、大蔵省の国有地の払い下げと相前後して開拓財産の旧所有者への売り払いを行うことにいたしました。八月二十日、旧所有者あて、その旨の通知を出した次第でございます。  なお、売り払いが行われますまでの間に、山梨県が道路用地として使用する開拓財産につきまして、県が旧所有者の同意を得まして、一時的に転用借り受けをしたい、そういう申請が七月四日付で出されております。これに対しましても、大蔵省と協議はいたしまして、その使用の必要性が認められるという場合には、農地法の規定によりまして、一時貸し付けを行いたいというふうに考えておる次第でございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 みなし小作地の問題は、いま答弁がありませんが、これも問題であることば指摘しておきました。  それから開拓財産の問題に対しては、いまお話を聞くと、最近になって処理がどんどん進んでいる、大蔵当局としては、この処理が進むと、ぴしっと遅滞なく開拓財産というものを全部国に一応回収し、あるいは農林省に回収ができていく、そうして遅滞なく一括して払い下げができる、こう考えておる前提のように思うのですが、そうですか。そういうたてまえですか。

川崎昭典大蔵省理財局次長

○川崎説明員 ちょっと御質問の趣旨で、国に回収する云々とおっしゃられましたけれども、もとの所有者に払い渡すというシステムでございますから、大蔵省と相談をしながら農林省において払い渡しを行う。ところが、これもちゃんと所在がわかっていない方もありますので、全部一斉にもとの地主に払い戻すことができるといった簡単なことではございませんが、その間は、やはり農林省所管の国有財産として残る面がある。そういった場合には、林業を施行するに差し支えないように貸し付けをするとかいろいろな措置をとる、そういう考えでございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 それだけで時間をとるわけにいかぬのだが、要するに、とにかく本人に返す、返したものを農林省か大蔵省か知りません、あるいは県か知らないが、そこでまた売ってもらうといいますか——本人か自分で買い戻す意思かあった場合には、これは買い戻しっ放しでおくのですか。買い戻しの意思によっては、これはさっき申し上げたように、ずたずたになってしまうのですよ。  これから、そういう問題があるというのを、まるで簡単に、これからどうにかなりそうな気がして処理をすること自体が、事前に処理すべき問題を、まともに処理していないんだという指摘を私はしているのです。いいですか、これはそう簡単にいきませんよ。東京に出ていって不在でわからないという地主もある。現に地主はわかっているんだが、その地主は全然自分が買い取ったままの意思の人もある。それを、これからまあまあ皆さんの思うように簡単にいくだろうという考え方は、いまの事態ではいかないと私は思う。  だから有料道路の問題は、いまおっしゃったように、結論的に言うなら、有料道路はつくらない方針でいまやっている、こういうふうにお聞きをする以外にないわけですね。そんな計画があるようなことを、ひょっと聞いたことがあるけれども、計画にもまだなっていない、有料道路はつくらない前提だというふうに、いまの大蔵当局の立場、見解が表明されたというふうに思います。有料道路に関しては、これで間違いないですね。

川崎昭典大蔵省理財局次長

○川崎説明員 有料道路に関しましては、政府部内で話し合いがついておりませんので、計画がないという段階と考えていただいた方がよろしいかと思います。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 計画がないということ、要するに有料道路をつくることはない、こういうことがようやくはっきりしたわけです。これはこれでいいでしょう。  そもそも財政法、国有財産法等の規定は憲法に直接依拠する、いわば憲法付属の法典だと私は思う。国家の財政、財務会計制度の根幹にかかわる重大な規範だと私は思っています。その規範に反して独断的に県に払い下げるというふうに、払い下げ手続をひとり大蔵当局が進める、各省各省、必要なものに対する諸問題があるのに、いまの答弁を聞いても、完全にこういう見込みが立った、完全にこういうふうに処理できる、一年後には、二年後には、こうなるというような処理が完全にされないままに、問題が未解決で、問題によっては払い下げを行っても、山梨県はこれを受忍できないという、事態がまだ未解決であるのに、そのままこれは払い下げようとする。各省庁の間に当然いわゆる事務の統一を図る責任がある大蔵当局は、完全にそれをやってからでなければ、私はやるべきではないというふうに考えますが、とにもかくにも、この点は、いま答弁のありましたようにINGである、しかも見通しが、いまついていない、問題があるまま払い下げを進めようとしていることは事実だ、これはまことに不当であるし、いけないこと、だと私は申し上げておく。  第二に、払い下げ以前に大蔵省が当然処理しなければいけない、今度は行政的責任論の上からの問題を指摘いたします。  先ほどは法的な問題。そうでなくても、この払い下げについては、去る五月二十四日の国会指摘事項において、利用権者、地元の意思を十分に尊毒すべきであるとされ、坊大蔵大臣は、その実行を確約し、福田総理も、みずから発言して、このことに意思表示をしました。さらにまた、大蔵大臣の諮問機関から、右のごとき開拓財産問題や、みなし小作地問題等について、その「円満な解決のため、払下げ相手方である山梨県が、現地の実情を十分勘案して、適切な措置を講ずるよう、国としても十分」——みなし小作地なんて言葉は使っていませんよ。私が指摘した、こういった問題がある。「指導を行うこと。」と、昭和五十二年五月三十一日返還財産処理小委員会報告書(4)2び同年六月二日の中央審議会答申も、そう特記しています。「未解決の地元問題については十分適切な処理を講ずる」、六月十六日の関東審議会も確認をいたしております。  つまり、国が利用権者の意思を十分に尊重すること、国が十分適切な処置を講じなければならないことを言っております。これも間違いない。先ほど次長も、答申なり、あるいは国会の決議云々という言葉があります。そのとおりです。この点には、なお一層の注意が払われなければいけないと思いますが、なぜなら大蔵当局の諮問は、払い下げを山梨県とすることの妥当性について諮問したのだ。山梨県に払い下げることの妥当性について。あの中央審であろうと、小委員会であろうと、関東審であろうと、その諮問という趣旨は、山梨県に払い下げることが妥当かどうかの諮問をしたのですよ。うっかりすると、これは履き違えるおそれがあるから、いま改めて言っておく。  新屋、忍草農民の権原の存否に関する諮問でもない、絶対にありません。その使用、収益している農民の処理についてではありません。そんなことは大蔵当局が一方的、かつ断定的に新屋、忍草農民の権原は存在しないとの前提のもとに、この答申をさせたのだ。諮問機関もかかる前提に立脚した上で、しかし、なおこれらの問題は、国が処理すべきことを妥当とする旨の答申を添えたのだ。  なるほどそうであれば、本件諮問については、当該諮問機関には私権の存否に関する司法的判断を下し得る権限もないし、その権限の存否、実態把握等について独自に調査、検討する必要も、だから審議会はなかったわけです。大蔵当局は、私権の存否についての紛争当事者の一方でありながら、かかる諮問機関の制度上の限られた権能を奇貨として、あたかも大蔵当局とは別個の独立した立場から諮問機関が検討した結果、新屋、忍草農民の権原がないとの意見を勧告したかのように装って、大蔵当局の主張を正当化しようとしていることは間違いない。  この点は重要なんです。諮問をしたのは、山梨県に払い下げることが妥当かどうかだけだった。いま指摘しているような問題の、その当否までも審議会が論議したのではない。したがって、大蔵当局のいままでずっと主張しているようなことは、私は成立しないと思う。私権の存否にかかわる紛争の一方の当事者である大蔵当局が自己の主張を前提として専断的に諮問した、そのこと自体が、やはりいま冷静に考えると間違いだったと私は思う。  こうなると、もはや諮問機関の存在理由というものはなくなっちゃうのです。その諮問機関は大蔵当局の正当化の機関に成り下がったと言っても差し支えない。いかにもまるで忍草、新屋、あるいは解決すべきいろいろな権原の問題なり、みなし小作地の問題のなにがある、そのことを審議会は十分に審議した上で、山梨県に払い下げが可であるといったような雰囲気を、いまずっと持続していることは大変な問題だというふうに考えます。だが、そういうふうな解釈を一応しない。よし大蔵省が審議会に提出した諮問案に言うがごとく、新屋、忍草農民の権原が全くないものとしても、国はこの問題を解決しなければならないとしたところに、諮問機関としての審議会の答申の真の意義があると私は無理に考えています。無理に考えている。決して諮問機関の答申というものは——国が十分に考えて手当てをしろよと、ああいうつけ加えをしたところに一部の真意があって、やはり諮問機関の存在理由はあるのではないかというふうに私は解釈します。  ところが、この山梨県知事の七月十四日の定例議会における発言によりますと、国どの間の合意その六として、これらの問題の処理は、「県、地元市村及び保護組合等が地元問題としてこれを解決する。」としている、この六項めは。なぜ国と県との合意が、国会指摘事項や答申の内容と大きく違うのでしょうか。答申にある言葉も、条件も、国会の指摘事項も、国を絶対にオミットしてはない。国も十分にこの解決に当たるように、いずれも指摘しているのです。にもかかわらず、今度は国が山梨県と契約を結ぼうとすると、第六項に、知事が報告したのなら間違いないと思うのですが、問題の処理を、国は全然ない、県と地元市村と保護組合、しかもこれを地元問題として解決するんだ。これは私は実に重大な問題だと思う。大蔵当局というものは、結局国権の最高機関たる国会の指摘事項を全然無視している。べつ視している。しかも、これは、いまそのまま県との間の契約事項として進めようとしている態度は、まさに私は背信行為だと思う。  さらにまた、返還財産処理小委員会や中央審議会及び関東審と言われる審議会について言えば、これら大蔵省に設置された財政法九条二の付属機関、その行政組織上の地位というものは大蔵省の組織の一部である、いわゆる国行法の八条から言っても、ということは間違いないと思う。だから審議会たる諮問機関の存在理由は、独立、公正に行わるべき行政事務の専門的分野事項について、行政庁とは別個に独立した立場から検討し、意見を勧告するところに私はあると思う。  なるほど、その意見は行政庁を法律上拘束するものではない。しかし、大蔵大臣が答申を尊重し、その良識をもって参考としつつ払い下げの決定をなすことが期待されることは当然なんです。不当にこれを軽視するときは、法律上の責任は生じないと言っても、その行政上の責任はきわめて重大だと私は言わなければならない。なぜに国会指摘事項や答申の内容と、大蔵当局と山梨県の合意事項は異なるのか。大変な違いをここに見せています。一体どういうわけなんだろう。これは後にお聞きしたい。  さらに五月二十四日の国会指摘事項を無視することによって国会を軽視し、財政法、国有財産法をじゅうりんし、はたまた諮問機関の答申を軽視した、この山梨県への払い下げのための合意とは、一体何を意味するのか。こうなると、単にこの国有地払い下げについての問題ではない。ほかならぬ国の行政権の根幹にかかわるゆゆしき問題である。その法的責任、行政的責任はきわめて重大だと私は思う。この法的な、あるいは行政的な問題について、大蔵当局の責任ある答弁をひとつ、ここで聞かしていただきたい。

川崎昭典大蔵省理財局次長

○川崎説明員 いろいろ御指摘を賜りました点につきまして一生懸命やってまいっておるという考えでございます。具体的に申しますと、先生御指摘の山梨県知事の発言、そういったものを具体的に聞いておりませんけれども、その中に国と協議をしながらやるということが載っていなかったとしましても、それは決してそういうことを否定する趣旨ではございませんで、県とたびたび相談をしながらやっておるわけでございます。  この前も先生から御指摘がございまして、山梨県と協議を持ちました際に、いろいろ今後の手順を進めるやり方としまして、やはり全面積について直ちに分収造林契約といったようなことはせずに、十分話し合いをした後にやるとか、いろいろな面で県も工夫をいたしておりますので、決して御指摘のような点をすべて無視してやっておるということではないということを御了解願いたいと思います。  しかしながら、またいろいろな問題がございまして、それが全部解決しなければ大蔵省は契約をしないというわけにもまいらぬような事態になっておりまして、審議会のいわゆる答申をいただきました内容も、五月における国会の審議の状況、それを踏まえて、六月での審議会の審議でございますから、十分国会の意思を尊重して行われたものというふうに私ども理解いたしております。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 であるなら、知事が公式に県議会で説明をした一、二、三、四、五、六の六項めは、いまおっしゃった意思が全然あらわれていないことに対しては、これは間違いですね。

川崎昭典大蔵省理財局次長

○川崎説明員 六項めと申しますと何でございましょうか。(原(茂)委員「知事説明の……」と呼ぶ)六項目でございますか。いや、間違いと申しますか、要するに知事の御説明になった内容は、国と協議をしてやるということを否定する趣旨ではないと私ども考えております。現に県は、国といろいろ協議をいたしております。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 次長はそう言っても、こういう文章がちゃんと県で正式に知事から説明された限り、大蔵省として、これは間違いである、こういう説明の仕方は困るという異議を言うのはあたりまえじゃないですか、国会を尊重し、答申案を尊重するなら。このものを黙認するわけにはいかないじゃないか、こんな活字があるのに。こういう活字にきちっと書いたものを、そのまま黙認しておきながら、口先だけで、つべこべ言うということがありますか。県に、これに対しての意思表示すべきじゃないですか。

川崎昭典大蔵省理財局次長

○川崎説明員 その県知事の発表された文章といいますか、それは国と協議をすることを前提といいますか、あるいは国の指導を受けながら、こういうことをやるんだということが当然の前提になっておると思いますので、先生がおっしゃられるように、県が国と全く関係なく何かやられるということではないと考えております。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 あなたがそう考えていることが、知事の発言に全然出てない。これは定例県議会における正式の記録じゃないですか。これを見ながら、なぜ一体、国会尊重の気持ちがあり、答申案尊重の気持ちがありながら、これに対して意思表示をしないということがありますか。これは誤りじゃないですか。この文章を見てごらんなさい。あなたの言った説明がどこに出てきますか。読んで、ぼくに説明してごらんなさい。

川崎昭典大蔵省理財局次長

○川崎説明員 その文章自体、いまちょっと持っておりませんけれども、先生がただいま御指摘の点は、十分県にも伝えまして、今後御指摘の気持ちが十分出るように、やっていただくようにしたいと思っております。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 それを、これ以上やっている——またそれも後でペンディングでじっくり考えていただけば、私もその後を見守ります。  そこで、大蔵省が山梨県との間において合意した返還国有地払い下げに関する六条件、いまの六つの条件、これを全体にいま総括して申し上げますが、法令及び審議会答申に反する違法、不当なる条件で、これらの条件をもって国有財産払い下げをなすことはできないと私は思う。とする立場から、以下、尋ねていきたいと思います。  さて、ここまでるる申し上げてきましたように、大蔵当局は、この国有地を山梨県に払い下げんとして、違法、不当にも、あたふたと払い下げ手続を行おうとしているように私には見られる。それ以前になすべきことを適正にやっていないというふうに私は断ぜざるを得ない。  だが、仮にこの点を一応捨象して、大蔵当局が山梨県と合意した条件を検討してみると、これまた国家財政の運用の根幹にかかわる重大な違法が存在しているように私は思う。  その第一は、一、二、三、四、五、六とある合意条件の二です。合意条件の二には、「払下げ財産は普通財産とする。」としている。  そもそも当該国有地は、予決令第九十九条二十一号によって、山梨県に払い下げられることが、従来の大蔵当局の答弁では明らかです。ここで銘記しなければならないのは、昭和四十八年六月十九日、大蔵委員会議録の第四十一号の二十一ページ、これによりますと、当時の大蔵省理財局次長小幡琢也氏の答弁は、わが党の佐藤観樹委員の質問に対して「地方公共団体であるということになりますと、その地方公共団体が公用、公共用の用に供するという場合には、予算決算及び会計令九十九条二十一号の規定に基づきまして随意契約の適格性があるということになるわけでございます。」「地方公共団体がその用に供する、要するに造林の用に供するということであれば、むしろ公共用よりも直接公用であるといっていいのではないかと思います。」と、小幡さんが明言しているんですね。これは銘記していなければいけない、非常に大事なことだと思う。  すなわち大蔵当局が、この返還国有地二百十四ヘクタールを山梨県に造林の用に供するという、公用で払い下げるというのである。論ずるまでもなく、公用とは、直接地方公共団体が公務のために使用し、あるいは公営事業のために使用する等、公の行政主体が自己の公の用に供すことであって、かかる目的に供される財産は公用財産以外の何ものでもない。公用財産は、他の公共用財産と合わせてこれを行政財産と言うことは、地方財務事務のこれはイロハと言っていいか、非常に初歩的なだれでも知っていることである。にもかかわらず、あえて「払下げ財産は普通財産とする。」としている。  なるほど、随意契約で山梨県に払い下げるとしたら、予決令二十一号をもって払い下げる以外には法律上できません。おっしゃるとおり。そこで、造林の用に供するということをもって、二十一号払い下げの要件たる公用性を満たすものと牽強付会に解釈をしているんです。  しかし、公用で払い下げて、山梨県が行政財産にしてしまうと、来年の北富士演習場使用協定に際して、ぜひともその協力を得なければならない吉田恩賜林組合への再払い下げ、これはトンネル論と言われるやつです。利権供与——分収造林論、法的にこれが困難になってきます。  元来行政財産は、地方公共団体において公用に供し、または供するものと決定した財産、地方自治法の二百三十八条三項前段にあります。直接公の目的に供される公物であり、したがって行政財産は、普通財産に比べて相当の制限が課せられているのであります。すなわち行政財産は、原則として「貸し付け、交換し、売り払い、譲与し、若しくは出資の目的とし、又はこれに私権を設定することができない。」これは地方自治法の二百三十八条の四の一項にあります。というふうに規定をされているんです。だが、そもそもこの払い下げは、恩賜林組合の自衛隊不法使用訴訟取り下げの密約条件として決定したもの、これはもう隠れもない事実です。だから、行政財産にしないで普通財産として、恩賜林組合の再払い下げ、利権供与が法的に可能なようにするために、こういったことにしたわけです。  現に、昭和五十二年七月八日に開かれた恩賜林組合の会議、先月の八日ですよ。同地に県からの再払い下げ——県をトンネルとして、を受けるため、その資金をつくるために、財政調整基金の設置が条例を改正して設けられているんです。恩賜林組合は、県から払い下げようというので、とりあえず一億二千万積み立てることをやった。いいですか、もうすでにやっているんだ、このために。  だが、このようなことは、いまも全く法的には筋が通っていないことは、もちろんなんだ。公用財産と普通財産との関係は、二律背反の関係にある。公用性を充足しなければ、払い下げることはできない。公用性を充足するものとして払い下げる以上は、買受人たる山梨県は、これを公用財産としなければいけないという二律背反の関係にある。公用で払い下げて普通財産にする、論理の矛盾もはなはだしいじゃないですか。違法な条件だ。直ちにこれは、私は撤回しなければいけないと思います。  なるほど、地方自治法第二条には、地方公共団体の行える事業が列記してあります。もちろんこの列記は例示列挙であって、本件規定以外の行為能力を自治体が有していることは疑いありません。すなわち本条は、地方公共団体の行為能力に関する規定であって、これを行うということが直ちに公用であるとは決して言えない。これは非常にむずかしいところですが、間違いありません。にもかかわらず、地方公共団体の行う事業を、すべて公用であると言うのは、公用概念の何たるかをわきまえない、私は牽強付会の暴論だと思う。  これは非常に大事なことです。ほかならぬ公用とは、地方公共団体が公有財産をその用に供する目的に従って分類される概念の一つであって、行政主体が直接に自己の行政目的に供するものを言うのである。これはもう間違いない、だれでもわかる。さればこそ、随意契約第九十九条二十一号の規定は、公用のため地方公共団体に払い下げるときと規定しているのであり、もしいま申し上げたような公用概念を理解するならば、あえて公用のためと規定する意味が全くない。ただ、地方公共団体に払い下げるときと規定すれば足りるわけであります。この点について、ぜひとも大蔵当局の見解をこれは聞いておきたい。大至急に答弁をいただきたい。

川崎昭典大蔵省理財局次長

○川崎説明員 随意契約ができるということの意味と、払い下げを受けた場合の相手方が財産をどう分類するかということとは、一応別のことだというふうに考えるわけでございますが、本件の場合、地方自治法の解釈ということになりますので、山梨県が普通財産に分類することが適当かどうかという問題は、私からお答えするのは適切じゃないかと思いますが、自治省と合い議をしました節には、差し支えないというふうに返事をいただいております。  もう一つ、直接に使わなければならぬという趣旨は、まことにごもっともでございますが、県なり、あるいは地方公共団体というものが直接に林業事業をやるといいましても、県とはだれか、個人ではございませんから、やはり一つの団体がやる場合に、いろいろなやり方があろうかと思いますが、本件の場合、予定されております分収造林契約というもので直接性が一応損なわれないという結論を出していただいておるわけでございまして、私どももそういうふうに考えております。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 自治省の見解というのも非常に疑義があって、どういう法規のどういう条令に基づいて、どういう項目に基づいて、そう言っているのかを具体的にはまだお示しをいただいていない。ただ自治省との合い議でいいと言っている。自治省が大蔵省におもねているのか知りませんが、この問題は、もっともっと具体的にぴしっと整理する必要がある。絶対にこんなことが法的に通るものではない、私は自信があります。ただ自治省と合い議をしました、そうしたら自治省が差し支えないと言いました、そんなことで、こういうものを通していいかどうか、国会における法の論議を、そんなあいまいなことで通していいかどうか、拡大解釈していいかどうか。今後のために非常に問題がある。したがって法的にまた、後に論議します。  第二に、合意条件の三には、「林業整備事業は分収造林方式で実施する。」と言っている。おっしゃるとおり。このことは五十二年七月十三日付読売新聞の山梨版に、もうすでに分収造林方式だと言っているのですね。新聞がぴしっと言っている。すなわち、県が同地の払い下げを受けたら、直ちに土地所有者として、保護組合のためにその払い下げ地について、造林の目的に使用する地上権を設定し、組合が同地を使用、収益するようにするということが、もうすでに決まっている。だがこのことは、先ほど言った予決令九十九条二十一号の払い下げ適格性についての要件の一つ、直接性を欠くことは間違いない。大蔵当局はかかる分収造林方式を前提として払い下げることは、法的には絶対にできないものであると私は思うのです。  何となれば、この直接性とは、買受人みずからが直接使用、収益する場合に限定されているからである。これは大蔵省自身がこれに対しては、いやというほど厳しく、いままで予算決算及び会計令第百二条の四、本文の規定による随意契約についての大蔵大臣の協議についてという、そのことを厳しく、二十回も出していますよ。これをひとつ、あなた方みんな知っていると思うのですが、よく読んでごらんなさい。いま次長が言っている、そんなことが言えた義理ではない。いままでの全部。非常に大事なことです。大蔵省のいままでの指令、みんなこれはインチキなんだ。そんなことはないはずです。いままでの事例を全部調べてごらんなさい。  すなわち、県が同地の払い下げを受けたら、直ちに土地所有者として保護組合のためにこれをやろう、こういうことが、もうすでに地上権を設定して何をするということをずっとやっているということが、何といったって直接性という点に違反するということは間違いない。この直接性というのは、買受人みずからが直接使用、収益する場合に限定されている。これはどんなに方々から見たって間違いない。このことは、随意契約が一般公開競争入札のごとく、その買受人選定について、その公正性を担保する制度原理を有しない、もっぱら買受人の特性にその公正性を担保しようとする契約制度の特例方式であるからだ。  要するに予決令は、その買受人が直接払い下げ物件を使用、収益するというこの直接性の要件規定において、公正性を担保し、かつ、わら人形の登場を禁ぜんとしているのである。論ずるまでもなく、予決令は会計法の委任に基づく、いわゆる委任立法であって、かかる委任立法は、主要な行政活動の一つであり、個々の国民に対し、あるいは特定の事項に関して、法を定立する権限に基づく広義の法律にほかならないと思う。  しかるに、もしかかる分収造林方式が認められるということであれば、買受人とその造林者とが共同で同地の払い下げを受けたことになって、かつ、その収益の分収の割合いかんでは、造林者が払い下げを受けたのと全く同じような経済的機能を結果することになります。本件について言えば、県と恩賜林組合の分収率は、県が四分、組合が六分なんです。したがって、かかる分収造林方式は、予決令第九十九条二十一号の直接性に反することは明らかである、これはもう明らかに違法であると言わなければならない。  もっとも大蔵当局は、この直接性は買受人が、これは山梨県ですが、直接払い下げ物件を受けるということで、その後は同地を買受人の山梨県が、どのように利用するかの問題であって、直接性とは関係がないと、先月、七月十五日のこの決算委員会で答弁をされています。この直接性の法的意味のすりかえを、まことにずうずうしく行ったものと、あのとき私は聞いておりました。許しがたいのであります。  だが、繰り返すまでもなく、直接性というのは随意契約の公正性の担保なんです。ほかならぬ買受人山梨県が、厳格な適格性審査の後に、その買受人であれば払い下げてもよいということになって払い下げを受けるのであり、第三者が、その払い下げ物件を使用、収益できるとすれば、かかる厳格な適格性審査を受けないで払い下げを受けたのと同じことになる。かかる弊害を避けるために、あえて直接性が規定されているのであり、かような大蔵当局の解釈は直接性の曲解であり、違法だと私は思います。  また、この予決令第九十九条二十一号の直接性が、買受人みずから直接使用、収益する場合に限定しているとの解釈こそ、ほかならぬ大蔵当局の理解しているところでもあります。  何となれば、従来から同令二十一号は、抽象的であり、かつ包括的であるため、その運用に当たり、その範囲をめぐって問題が多いからというので、「官公庁契約の理論と実務詳解」によく出ていますが、各省庁において、その運用が不統一となるおそれがあるので、本号を適用して随意契約によろうとするときには「あらかじめ、大蔵大臣に協議しなければならない。」という規定に基づいて、大蔵当局が包括的に協議に応じた昭和三十三年三月二十四日の蔵管第八百四十三号の同号解釈によりますと、「施設又は事業の用に供するため直接必要な物件を、直接にこれが経営に当る公共団体、公益団体その他の起業者に売り払い又は貸し付けるとき。」と明記している。大蔵省自身がこれはもう一番知っていて、大蔵省が明記しているのです。  まことに、山梨県が林業整備の用に供するため直接必要な土地を、直接にこれが経営に当たる山梨県に売り払う場合と解するのが、従来の大蔵当局の同号直接性の理解であると言わなければなりません。よく読んでみればみるほど、大蔵省自身がこのことをずっと守ってきた。指令をしてきました。決して買受人に直接払い下げる、あとは買受人がどう利用するかの問題だというような、とんでもないものではないのです。分収造林に当たって樹木を植栽し、並びにその植栽に係る樹木の保育及び管理を行い、それから上がる収益の半分以上を享受するのは造林者である。この者こそ同地を直接必要としているのであり、また直接にこの者が経営に当たっていると言うべきなのであります。直接性は分収造林を決して許さない。もし払い下げるならば、法の原則上、この造林者に直接払い下げるべきなのであります。  もっとも大蔵当局は、分収造林と言っても千差万別で、本件の場合は通常の分収造林契約とは違って土地所有者である山梨県の主導性が強く打ち出されているから、その実態から判断して、県がみずから行う事業であるとの見解に立っているような前々回の答弁がありました。だが、しかし、本件分収造林契約において、県の主導性が確保されているとしても、それが分収造林契約である以上、共同造林であるという経済的、法的な実体は、一般の分収造林契約といささかも違うものではありません。だから山梨県に主導性があろうとなかろうと、分収造林を前提としている限り、随意契約による払い下げは、予決令第九十九条二十一号の直接性の要件、すなわち払い下げ相手方が直接その用に供する場合でなければならないとの要件に反していることは明白であります。  ここで再度、直接性の要件の持つ意義を確認するならば、まず第一に、山梨県と国との間の売買において、その中間に介在するものがあってはならないという意味であり、すなわち国が山梨県に土地を払い下げる場合には、仲介者に任せてはならず、山梨県へ直接に売り払わなければならないということであり、直接にという規定が、文言上当然にこのような意味を有していることは疑いありません。  だが、しかし、直接性の要件は、単にこれだけの意味に限定されるものでは決してない。端的に言って、山梨県が直接にその用に供する場合でなければならないという規定でもある。同時に、「直接に」という規定は、国と山梨県との間の売買において、その中間に第三者が仲介者として入り込むことを禁じているのみならず、山梨県自体が仲介者となり、第三者の利益を図ることをも厳に禁じている規定でもある、こう解釈するのが法解釈上正しいのであります。いろいろな学者先生とよく接触して聞きました。間違いありません。もしそうでないとすれば、県への払い下げが単なる県の一時預かりであり、したがって県が、国有地が第三者に渡るためのトンネルに過ぎない場合であっても、随意契約により払い下げることは違法でない、一向に構わないということになってしまう、大変であります。  問題は、まさに山梨県が直接利用に供するか否かにあるのであって、県に主導性があるかないかではない。したがって、いかに県に主導性があろうとも、分収造林が共同造林である以上、造林者、組合の地位は法的に強く保障されており、造林者、組合のイニシアチブは確保されている。たとえ、いかに本件分収造林が通常の分収造林と比較して、相対的に土地所有者たる県の主導性が強いものであると仮定しましても、それは法的に山梨県がみずから行う事業であると言えないことは明らかであります。およそどのような分収造林であれ、それが分収造林である限り共同造林であるという法的性格は変わらない。  以上のごとく、予決令九十九条二十一号規定の直接性を解さなければならない以上、大蔵当局は分収造林を前提として払い下げることは、この直接性の要件に反し、法的にはできないと言わなければならない。払い下げ相手方が直接利用する場合に限り、随意契約による払い下げはできるのだというふうに解釈すべきであり、また、この直接性の要件が、買受人が直接使用、収益しなければならないということであることは国有財産法第二十九条、普通財産取扱規則第二十七条の用途指定制度からも指摘されております。  すなわち、先に述べたごとく、随意契約による公正性は、競争の原理によって担保されていないので、この公正性を担保するためには、買受人の特性が重視されなければならない。そのために厳格な買受人適格性に関する要件充足を要求しているのであります。だが、これだけでもだめだ、不安だ。その払い下げ用途がその買受人によって直接履行されなければ、まだ公正な財政の運用とは言えない、流用されたらどうしようもないということで、国有財産法二十九条は用途指定制度を規定しているのであります。  すなわち「普通財産にかかる用途指定の処理要領について」これは申し上げませんが、条文があります。大蔵省が全部出している。というのは、国有財産法第二十九条及び普通財産取扱規則第二十六条、第二十七条を受けて買受人が払い下げ地に「地上権、質権、使用貸借による権利、賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利の設定をした場合」には、用途指定違反に該当するものとして、国が払い下げ地を買い戻し得る場合の一つの事由として二十六条、二十七条に明記されております。  敷衍すれば、本件の随意契約による払い下げの場合にあっては、その払い下げ目的、用途は、買受人みずからこれを用途に供すること、使用、収益することによって公正性を担保し得るという公法上の規則を受けた契約である以上、たとえ同じ目的に沿って使用、収益するものとして第三者と該地の利用をする場合であっても、その第三者の該地利用それ自体が随意契約による公正性を害するものとして用途指定違反の事由となることが規定されています。  繰り返すまでもなく、ほかならぬ買受人たる山梨県それ自身が、その払い下げ地を必要として、かつ、直接に利用するものとして買受人適格性を承認されたのであるからであります。また、だからこそ中央審答申も「本地を、林業経営に豊富な経験と能力を有する山梨県に対し、林業整備事業の実施を目的として払下げることが適当」であり、「払下げ相手方である山梨県が本地においてできるだけ長期にわたり林業整備事業を実施するよう用途指定を付す」とする特記がございます。これを受けて関東審も「県が長期にわたって六十年林業を行う」として、いずれも第三者、たとえば恩賜林組合等への再払い下げを禁じ、山梨県のみが直接に払い下げ地を利用するようにと明示しているのであります。  要するに随意契約による用途指定の売り払いの場合にあっては、その買受人と、その用途は密接不可分なのであります。よって随意契約による用途指定の売り払いの法的意義を前提に、本国有地の買受人たる山梨県と恩賜林組合との分収造林計画を考えてみましても、さきの委員会における林野庁の説明にもあったように、分収造林とは土地所有者と植林者との契約による共同造林にほかならず、その植林者をして林地を使用、収益させしめることは明らかであります。まさに違法だと私は思う。  以上、一、随意契約制度、二、用途指定制度の観点から、本国有地払い下げを論ずるに、そのいずれにおいても、山梨県が払い下げ後、組合と該地において分収造林を行うこと明らかな場合には、直接性の要件規定に反し、また、これを行った場合においては用途指定違反になることが明らかで、違法であると私は断ぜざるを得ないのであります。  すべての近代国家においては、単に一般国民のみならず、国家権力もまた法の規制に服すべき原理的な要請が存しています。しかし、この原理は、しばしば恣意的な立法、恣意的な法の解釈適用によってゆがめられ、踏みにじられてきたことは再三、幾多の例があります。いままさに、その嘆を再び深く感ずるものであり、大蔵当局は牽強付会の恣意的解釈によって、しばしば、あたかも合法であるかのごとき言を発している。だが大蔵当局が良心をもって、およそ恣意的運用を否定するならば、少なくともこの払い下げが財政法、会計法等の枠によって規制されることを認めるはずだと私は確信する。そうでなければ法律あってなきに等しいし、予決令の枠を緩めるために、ことさらに法の解釈とか、法の運用とかいって、予決令の規定を伸縮自在のものにしてしまうことは、結局大蔵省みずからが国家財政制度を根幹から破壊し、恣意的運用に道を譲ることになると私は思う。  それだけではない。私は、本委員会において幾たびも警告している。成田のごとき惨事は絶対に避けなければいけない。だが大蔵当局は、山梨県と払い下げ手続を進める以前になすべき法的処理を違法、不当にも全く行っていない。また行おうとしている手続は違法なんです。同地には二百人という農民が生存をかけて耕作しております。明治四年八月、長野県筑摩郡の騒動、明治十二年八月、新潟県北蒲原郡の乱闘、明治十三年十月、群馬県群馬郡の騒擾等、幾多の事例を引くまでもなく、明治よりこの方、農民の生存をかけた土地に対する大騒擾は非常に多くございました。  私は、その真因が那辺にあるかをつまびらかに知りません。だが、この北富士においては、はっきりと断言できます。現行法の地盤の上で行動し、法律の侵害に対して現行法を擁護する北富士農民を、大蔵当局自身があえて暴徒に変えようとしているように感じられてならないのであります。  私は、きょう十二、三の答弁をいただきました。いずれも私の満足するものではないどころか、ある意味では皆さんに検討と再考を促した事例がたくさんございます。  何をおいても、来年三月に北富士演習場が更改の時期を迎えたことは事実でありますから、これを否定しようとは思わない。しかしながら、かといって、県がいかにせっつこうとも、いま私がるる申し上げたような、総ざらい的に言った、これだけの大きな法的な疑義があり、問題がある限り、その問題の解決の見通しをまずつくり、解決の方途がこれでというところまでは、一切国会を軽視するような、答申案を無視するような、現在進めているような、いわゆる売買契約というものが、そのまま直ちに進められるようなことが、もしあるとするならば、大蔵省当局自体が法をじゅうりんし、財政法をけ散らし、本当に今後いわゆる国家の財産たる、国民の財産たる国有財産を正しく払い下げようという歯どめを一挙に外したことになるという大変な前例が、いまできるかどうかの立場にあると私は思う。  こういうことは、今後の日本の国民のためにも、あるいはなけなしの国有財産の保護のためにも、大蔵当局は財政当局として、みずから守るべき法律は、すべて守り、これを守っていきながら解決するためには、どうしたらいいかを真剣に考え、ある意味では山梨県にただ押されて、おどかされて、来年三月をめどにして言いなりになってみたり、ついに理を曲げるようなことのないように。私は私なりに、私自身の解決策なり、あるいは考えを必要があれば述べます。  どうかなるべく早期にこれらの問題の解決をし、あるいはそのめどをつけた上で、この払い下げを契機にして、国有財産の払い下げには、かくかくのいままで守ってまいりました法律、条文一切のものを守りながら、これは厳として国有財産を払い下げるときの一番正しい道なんだというものを、ここにいまつけておきませんと、かつて田中事件にありましたような幾多の国有財産の払い下げ問題を通じてのとんでもない事件が再び起きる。そういうことのないようにということを念願して、国の政治、国の法律、国の財政が正しい運用のできるようにということを心底から願って、私の質問を通じての意思表示を終わり、皆さんの再考と、また一段と精進をした検討をお願いして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員長 次回は、明二十四日水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十一分散会

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