予算委員会第二分科会 第1号
- 発言数
- 380 件
- 登壇者
- 35 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1977/04/13
会議録
○源田実君 ただいまから予算委員会第二分科会を開催いたします。 本院規則第七十五条により、年長のゆえをもちまして私が主盃及び副主査の選任につきその議事を主宰いたします。 これより主査及び副主査の選任を行いますが、選任は、投票によらず、主宰者の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○源田実君 御異議ないものと認めます。 それでは、主査に中村太郎君、副主査に内藤功君を指名いたします。 〔中村太郎君主査席に着く〕
○主査(中村太郎君) ただいま皆様の御推挙によりまして主査を務めることに相なりました。皆様の御協力を得ましてその責務を果たしたいと存じます。よろしくお願いいたします。(拍手) それでは、審査に入ります前に、議事の進め方についてお諮りいたします。 本分科会は、昭和五十二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、防衛庁、経済企画庁、外務省、大蔵省及び通商産業省所管を審査することになっております。 明十四日の委員会において主査の報告を行うことになっておりますので、議事を進める都合上、主査といたしましては、本十三日は午前の部、防衛庁、外務省一括、午後の部、通商産業省、明十四日は大蔵省及び経済企画庁の順序で進めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(中村太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○主査(中村太郎君) 次に、お諮りいたします。各省庁予算審査の冒頭、各省庁から聴取する予算の細部にわたる説明は、これを省略し、それぞれの審査日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(中村太郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 ―――――――――――――
○主査(中村太郎君) 分科担当委員の異動について御報告いたします。 田渕哲也君が委員を辞任され、その補欠として三治重信君が選任されました。 ―――――――――――――
○主査(中村太郎君) 昭和五十二年度総予算中、防衛庁及び外務省所管を一括議題といたします。 それでは、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○主査(中村太郎君) 速記を起こして。
○瀬谷英行君 二百海里の問題で、いま漁業交渉が続いておるわけでありますが、きょうは時間の関係もございますので、端的にお伺いいたします。 感情的にいいとか悪いとかいってみても、決まるものが決まらないと困るのは漁民だということになると思うのでありますが、二百海里の問題と北方領土問題、領土問題と切り離してこの二百海里の漁業問題を妥結をするということは可能だというふうにお考えになっているのかどうか、この問題は根本的な問題なので、その点を外務大臣にまず最初にお伺いしたい。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 漁業交渉と北方四島の問題のお尋ねでございますが、領土問題と漁業の問題は、これは次元の違う問題であるというように考えております。 領土問題につきましては、御承知のとおり田中・ブレジネフ会談におきまして戦後の未解決の問題、これを解決して平和条約を締結しようと、こういうことが言われておるわけでございまして、毎年の日ソ間の定期協議におきまして領土問題の交渉を重ねているところでございますが、残念ながら未解決でございます。 一方、漁業問題といたしましてこの二百海里の水域の設定が行われたわけでありますけれども、二月二十四日の閣僚会議決定というものが出されておるわけであります。この閣僚会議決定というものが、ソ連邦沿岸につきましての海域の設定をいたしておるわけでございます。この問題につきましては、漁業の観点から決められるべき問題でございますが、その閣僚会議決定の中に北方四島とのある意味での関連性が出てきておるということでございます。そういうわけで、現在ソ連邦の二百海里をどのように表現をするかということが最終段階の大きな問題として残っておる、このように御理解を賜りたいのでございます。
○瀬谷英行君 型どおりのお答えのような感じがするんでありますけれども、二百海里というのは、私はまことに不都合だと思ってんですよ、個人的にはね。東京-名古屋間の距離なんですね。それを勝手に公の海をおれのなわ張りだと、てめえら勝手に入るなと、こういうことを言うんですから、これはまことにむちゃな話だと思うんでありますけれども、むちゃな話だとは思うけれども、これを言い出しているのはソビエトだけじゃない。アメリカがそもそも言い出した。そしてソビエトも日本も反対したけれども、向こうで決められると、今度こっちの方だけ遠慮するわけにいかないということになると、二百海里の根拠なんというのはまことにいいかげんなものだと思うけれども、一たんどこかの国で決めてしまうとみんな右へならえするという形にならざるを得ない。そうすると、二百海里で線を引くったって、海の上に線を引くったってこれはむずかしいと思うんです。道路なら白墨で書けば、ここからこっちへ入っちゃいけないとか、いいとかいうことができるけど、海の上じゃこうはいかないからね。そうすると、その中へ入った場合は取っつかまえるというようなことになると、これはまことに理不尽な話だと思うんですよ。理不尽な話だと思うけれども、現実にそういう二百海里問題が国際慣例になってしまうということであれば、国際会議か何かでもってもう一度二百海里を御破算にしろというような主張でもしないことには、もとへ戻らぬと思うんですな。これはもう感情的にけしからぬとかけしかるとか、そういう問題を乗り越えて、着々と現実の問題になってきているわけです。日本だってそれに対応するのにぐずぐずしていると立場が困るだけになると思うんですな。 そうなった場合に、この二百海里の線引きと領土問題というのはこれはごまかしがきかない問題になってきやしないかという気がするんですね。何とかそれを、次元が違うから話は別だといって済ますことができるのかどうか。私はごまかしのきかない問題のような気がするんですけれども、そこのところはうまいことやれると、現在またやれるような話が進んでるというふうにおっしゃるのかどうか、その点をお伺いしたい。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 二百海里の漁業水域、あるいは海洋法会議で問題になってるのは経済水域という観念で問題になっておるわけでございますが、この二百海里漁業あるいは経済水域というような問題が領土紛争といいますか、これを大変激化するという働きを持つことは当然だと思います。二百海里問題が出ましたときにもそのようなことが非常に心配をされておったわけでございますが、現実に領土というものに対しまして、特に海洋国家におきましてはその漁業なら漁業、あるいは経済水域の場合はもっと経済的な権限が広く及ぶということになりますから、この二百海里のそのような水域にある程度の沿岸国が管轄権を持つと、こういう制度は、領土の問題に仮に紛争のある地域におきましてはこの領土問題を大変拡大をするという働きを持つことになる、これは必定だろうと思います。日本には特に北方四島の問題、竹島の問題、尖閣列島の問題、こういう領土の未解決のところが三つあるわけでありますが、これらの領土問題の持つ意味というものがもう飛躍的に大きくなったということが言えると思うのでございます。そういう意味で、この領土問題の解決が非常に日本としては急がれることになったんだと、このように私どもとしては考えております。そして、世界の大勢がこのようになってきて、日本としても二百海里を早急に実施しなければならなくなったわけでございます。そういう意味で領土問題がますます大事で、かつ緊要な問題になったということで、私どもといたしましても領土問題の解決に全力を挙げる所存でございます。――先ほど未解決の問題の中に尖閣列島を含めましたけれども、尖閣列島は次元の違う問題で、未解決とは考えてないところでございます。 そのように、漁業と領土とは、あるいは漁業水域と領土というものは密接に関係を持っておることは確かでございます。今回の鈴木・イシコフ会談におきまして最終的な詰めが行われる段階でございますので、これ以上のことは申し上げにくいわけでございますけれども、この現状に置かれます状況におきまして、領土問題に関係しないでこの漁業問題を解決したいというのが政府の立場でございます。
○瀬谷英行君 政府の立場というのは、政府の願望であるというふうに聞き取れるわけですよ、気持ちはわかるけどね。しかし、幾ら次元が違うといっても、もっと具体的に言うと――大臣は非常に抽象的な言い方をしましたけどもね、もっと具体的に言うと、国後島と択捉島をソビエト領とみなすという立場に立った場合と、これは日本の領土なんだという立場に立った場合とでは、それは二百海里の線の引き方が変わってくるのはだれが考えたってわかることです。しかもあの近辺というのが漁場としてはこれは見逃すことのできない漁場なんですから、だからあの北方領土問題に関して言えば、国後、択捉、あるいは歯舞、色丹といったこれらの島の所属と、それから漁業上の専管水域といったようなものをどうやって決めるかということは、ごまかしがきかない問題のような気がするんですよ。その場合に、日本の政府とすればどこに重点を置くのかということを考えざるを得ないでしょう。まず漁業問題を解決するのか、漁業問題を解決するためには領土問題についてはこれはたな上げをするといいますか、後回しにするといいますか、そういう方法をとるのか、領土問題で突っ張っていけば漁業問題はぶっ壊れるということになるということも覚悟しなけりゃならぬということになるんじゃないかという気がするんですがね。まあ、私が感じている感じ方が違っているんならば違っていると、そうじゃないんだというふうにおっしゃるんならそういうふうにお答えをいただきたいと思います。どうですか。
○政府委員(宮澤泰君) ただいまおっしゃいましたことは事実でございまして、領土問題はわが国は平和条約でソ連側と解決すべき問題でございまして、逆に申しますれば、この領土問題が解決しないために平和条約がソ連との間にまだできていないという状態でございます。これが現実でございまして、その平和条約ができるまでの間、日本漁民は警戒をしつつあの水域で魚を実際とっておるということは、いまおっしゃいましたあの四島に対する日本の行政権の実際上の行使が現在妨げられておるという現実に基づくものでございます。 そこで、ただいまソ連側が二百海里を引きましたこのソ連側の線というものも、実はただいま私申し上げましたような現実に基づいて引かれたものである。したがって、そのような現実の上に立ちつつ、しかも日本の領土権に対する請求権を損なうことなく魚をとるということをただいまソ連との間で折衝しておるわけでございまして、その方法についてただいまソ連側と詰めておると、こういう実態でございます。
○瀬谷英行君 私の言ったのは、そんな器用なことができるのかということなんですよ。領土問題と漁業問題、いままではよかったといいますか、何とかごまかしがきいた。ところが二百海里という問題が出てきた。たとえばソビエトの漁船がアメリカのコーストガードパトロールですか、これにつかまったといったような具体例が出てきたわけです。そうするとこの二百海里という問題はソビエトだけの問題じゃない。アメリカでもカナダでもヨーロッパの国でも、みんながこの二百海里問題というものをもう宣言をして実施をするということになってくる。ソビエトも、賛成とか反対とかという経緯はともかくとして、その国際慣例にならって自分の領土から二百海里という宣言をすると。そうなってきますと、領土というものは、これは特に国後とか択捉とかいう島はかなり長さが長いわけですから、あれが帰属があっちかこっちかでもって大変な違いが出てくるのは当然でしょう。そこのところを何とかうまいこと、悪い言葉で言えばごまかして漁業問題についての手を打つことが可能なのかどうなのかということなんです。その点はだれが考えたって疑問だと思われる。疑問だと思われるならば、どこに重点を置くかということを決めるのが政府として、為政者として考えなきゃならないことになるんじゃないかと思われるので、その点をお聞きしているわけです。
○政府委員(宮澤泰君) ただいまそういうことが可能なのかどうかとおっしゃいまして、大変実はこれはむずかしいことでございます。率直に申し上げまして非常にむずかしいので、ただいま私どもその点について苦労してソ連側と折衝しておる。そして私どもが考えておりますことは、魚はとりながら日本の請求権を傷つけられない形で保持すると、こういう方法を考えてソ連側と折衝しておるわけでございます。その具体的な内容につきましては、ただいま折衝中でございますので差し控えさしていただきとうございますが、これはただいまおっしゃいましたように大変むずかしい点で、私ども頭を痛めておるところでございます。
○瀬谷英行君 まあ、頭を痛めていると言われるとそれ以上こっちも聞きようがなくなっちまうんですがね。多分そうだろうと思うんですよ。 そこで、そういう場合に腹を決めなきゃならないのは、これは局長が頭を痛めている問題は大臣の方で腹を決めると、こういうことになってくるんですね。昔ならば、この種の問題が出てくると駆逐艦か何か出動さして、力ずくで魚をとるということを昔はやっておったと思う。いまはそうはいかない。防衛庁幾ら船を持っていたって、そんなことをやる度胸も勇気もないだろうと思うし、いかに自民党の会議の中で勇ましい議論が出たと――これは週刊誌に載っておったことなんですが、出たとしてもそういうわけにいかぬと思うんですよ。そうすると、これは話し合いでもって決める以外に手はなくなってくる。国会の中で悲憤慷慨しただけじゃ問題の解決にならぬ。 そこで、話し合いの問題なんですけれども、具体的に一体じゃあ何月何日までにといったような期限は切らないで、このまま交渉を継続していくとなると、これは時期がずれればずれるほど、一方漁業関係者は困ることになると思うんですが、この点一体現在の交渉段階について、報告できることとできないこととあると思うのですけれども、大臣としてある程度の、いつまでにどのような形で、話はどういう方向でまとめられるということは報告できるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 現在までの交渉経過を見ておりますと、予定どおり進展をしておらない。鈴木農林大臣も、きょう十三日お帰りになる予定であったわけでございますが、これも延ばさざるを得ない状況でございますので、ここで何日になったらばということは見通しがまだつかない状況でございます。この条文の交渉が終わりましてから漁獲量の交渉に入る、こういうことになっておりますので、漁獲量自体につきましても相当問題が大きな問題であろうと思います。そういう意味で、いまはっきりした見通しはここで申し上げるわけにはいかない事態でございます。 以上でございます。
○瀬谷英行君 どうも余り頼りにならないお答えなので、これ以上聞いてみても始まらないような気がするんですけれども、ただここで私がちょっとお聞きしたいのは、ソビエトの態度というのはきわめて強硬であるということはわれわれにもわかるんですが、ソビエト側の神経を逆なでするような事実が過去においてなかったかどうかということですね。 それは、一つにはミグ25戦闘機の函館着陸に対してとった日本側の態度、確かにあの事件は日本にとっては迷惑千万な話だと思う。したがって、迷惑をかけたというあいさつがあってしかるべきであるという言い方はわれわれの方でもできるとは思うんですけれども、しかし、あのミグ25戦闘機を取り込んでこっちへ持ってきて、アメリカに十分その中身を見せるという行為が国際信義上果たしてどんなものなのかという疑問はいまでもある。防衛庁としては、あのミグ25戦闘機の取り扱いはあれでよかったというふうに考えておられるのかどうか、その点をお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(三原朝雄君) お答えをいたします。 ミグ25の事件につきましては、いまも先生から御質疑がございましたように、わが国としては迷惑至極なことでございます。 そこで、いま御指摘のような問題をどう見ておるかということでございまするが、私ども、その後軍事面からソ連の動き等を見ておるわけでございまするけれども、特に変化が見られるような状態でございません。航空機の状態あるいは艦船の動向等を見ましても、特にミグ25の事件があって以来特別な変化があったという事態は認めておらぬわけでございます。 しかし、いま御指摘のような、ソ連に一つの考え方ができたかなということは、私どもも一応そういう見方をして全般の軍事的な動向を見ておるわけでございまするけれども、軍事面からは特に変化があったという事態は認めておらぬわけでございます。
○瀬谷英行君 軍事面で変化がやたらとあっちゃ困るんですがね。しかし、あのミグ25の問題はあのベレンコ中尉の亡命なのか、あるいは緊急避難なのかという点は、まだ確かに疑問と言えば疑問なんです。ソビエト側の言い分によればあれは緊急避難であると、亡命じゃないんだ、こういうふうに言っている。日本側は、本人の意向を聞いてみたんだがこれは亡命なんだと、こういうふうに言っておる。その点の食い違いがまず根本で出てきてしまっているわけです。しかし、仮に亡命であったというふうに見たとしても、亡命であったとすれば、あの行為はソビエト政府の意図に基づいて行われた行為じゃないということになる。家出息子みたいなもんですよね。そうすると、一番迷惑をかけたのはその飛行機を操縦してきた人間なんであって、ソビエト政府のこれが意思ではないんだというふうに考えられるわけですから、そうすると、その飛行機はそのまま持っていってくれとか、あるいは返すから引き取りに来てくれとかいうことで、飛行機はそのまま返してやるということが穏当な方法じゃなかったのかという気がする。あの飛行機は機密中の機密と、どの程度までの機密だかわかりませんがね、私ども軍事面のしろうとには、機密中の機密というふうに言われている。それを、事もあろうにライバルのアメリカに十分に見せるということは、どう考えてみてもソビエト側の神経を逆なでをする効果以外には考えられない。それは友好的な措置であるということにはならぬわけです。というよりも、日本政府に対する極端な不信感をあそこから招いているんではないかというふうに思われるわけでありますが、防衛庁としては、あの種の亡命の飛行機はアメリカ側に直ちに渡さなければならないような義務があることなのか、あるいはアメリカに対するひとつの友誼的なまあ配慮でもってなされたことなのか、その点はどうなんですか。
○国務大臣(三原朝雄君) お答えをいたします。 国際的な慣例に従ってやったわけでございます。これは返す義務というようなものは、ああした領空を侵犯し強行着陸をするというような行為につきましては、返還をする義務は、即時そのままの状態で返還をするという義務はございません。十分調査の上、返すべきものは返すという処置に出たわけでございます。 なお、詳細な点につきましては、政府委員からお答えをさせます。
○政府委員(伊藤圭一君) いま先生から御質問がございましたが、私どもあのミグ25が入ってまいりましたときには、やはりいま先生がおっしゃいましたような観点で、外交上の問題ということを非常に重視いたしました。したがいまして、外務省とも十分打ち合わせをいたしまして、日ソの外交関係を損なわない範囲で、しかも、国際慣行上許される状態で必要な調査をするということであのことをやったわけでございます。したがいまして、調査に当たりましても、やはり航空自衛隊が主体的にやるということで実施をいたしておったわけでございますが、政府の方針といたしまして、できるだけ早い機会にあの機体を返還するという方針がございましたので、その間に必要な調査をするためには米軍が持っている機材あるいは知識、そういったものを借りて調査の手助けを必要とするという判断をいたしまして、自衛隊の調査に協力をしてもらったというのが実情でございます。
○瀬谷英行君 そういう一通りの言い分は向こうにはこれは通らぬと思うんだな。これは防衛上の、ソビエトにとっては軍の恐らく機密だろうと思うんです、当然。最高の機密だろうと思う。それが、だから自分の国の人間にだってやたらと見せないようなものではないかと推測をされますよ。日本の自衛隊の人たちが考えている日本の軍事的な機密は、ソビエトや何や外国に手のうちを全部明かすということはしないだろうと思う、したくないだろうと思う。それを事もあろうにライバルのアメリカに渡してしまう。最も秘密にしたいと思っているものをですよ、裸にして自由にしてしまうと、こういうことなんですからね、相手がこれは屈辱を感ずるということは当然想像される。そのはねっ返りが外交問題に返ってくるということを考えないというのは、少し思慮が浅いということになりゃせぬかと思うんです。 そこで、アメリカに対する配慮でやむを得ずやったことなのか、アメリカに対して何かそのような約束があらかじめあったのか、どちらなのかという点をお伺いしたいと思うんです。
○政府委員(伊藤圭一君) ただいま先生の御質問がございましたが、独立している主権国家として国際慣例上許される範囲というのが私どもの外務省との打ち合わせの結果でございました。したがいまして、いま先生はソビエト側からの不満というような形でお述べになりましたが、同時にまた、仮に日本の飛行機が不時着というような形で行った場合にも同じような結果になっただろうと思います。これがいわゆる国際常識で行われている慣行だというふうに私どもは理解したわけでございます。したがいまして、私どもはあくまで航空自衛隊が主体的にこれを調査するというたてまえで調査を実施いたしました。 しかし、外交上の配慮がございまして、九月の末の時点で、十月の中旬までには返すという方針が政府として決まったわけでございますので、その間必要な調査も行えないということではいけないということで、最小限の協力を求めたというのが実情でございます。
○瀬谷英行君 日本の飛行機がソビエトへ亡命をしたなんということは、余り仮定の問題としてはいい話じゃないけれども、そうすれば同じような目に遭っただろうとあなたおっしゃるけれども、この場合、ソビエトの飛行機が日本へ来た。日本の航空自衛隊がこれを点検をしてソビエトに返したということならば、まだ問題は単純と言うか、常識的に判断できるんです。それをアメリカに渡した。秘密をアメリカに全部見せてやった。こういう配慮は余分な配慮になりゃしないのか。ソビエトにとっては、神経を逆なでされるようなことになりはしないのか。自後の外交交渉に重大な影響を与えることになりはしないんだろうか。これらのことは防衛庁としても当然考えるべきではないか、それを考えたならば、防衛庁は防衛庁独自でこれをソビエトに返すということをやるべきである。わざわざアメリカのためにこの機密をあからさまにしてやるというような親切なことをやるのは、これは出過ぎたことではなかったのかということを私は言いたい。
○政府委員(伊藤圭一君) 当時、過去の例などを調べましたところが、アメリカあたりでは、たとえば調べるに当たっては半年も一年もかけて調査をするということでございますし、また、通常亡命してきたような飛行機がよその国に入った場合に返すのには、二カ月とかそれ以上の日数を要しているというのが実態でございました。私どもはそういう意味で、やはり日ソの外交関係を損なわないという範囲でいつまでに調査を完了し、そしてお返しするというようなことをすればよいのかということを常時外務省の方とも連絡をいたしまして、それが一応十月十五日ということが決まりましたので、その間にできるだけ防衛庁で必要な調査をした上でお返しするというようなことでございまして、それは防衛庁が主体になってやったものでございまして、いまおっしゃいましたように、すべてのものをアメリカに渡すためにやったんだということではないわけでございまして、もしアメリカの言うなりになっていたならば、あのままもっと長い間調査をするというようなこともあったかもしれませんけれども、いわゆる領空侵犯のその背景を調査するという範囲の、自衛隊が必要とする最小限の調査ということで、あの期間に航空自衛隊が調査をしたということでございます。
○瀬谷英行君 そういうことは社会通念的には私は通らぬと思う。返そうと思うならば、何も百里基地の方まで運んできてアメリカ側に十分見させて、それからゆっくりと返すという必要性は私はなかったと思う。それをこちらの方まで持ってきたというのは、アメリカ側に見せてやろうというような配慮があったからではないかというふうにこれは見られてもしようがない。だから、今日の漁業問題と防衛庁とは何のかかわり合いもないと思っているかもしれませんけれども、実際は案外こんなところにいろいろなつながりがあるのかもしれないというふうに私どもは憶測をするわけです。 そこで、外務省と防衛庁と両方に若干関連があるんでありますけれども、時間の関係でこのことをちょっとかいつまんで質問したいと思うんですが、暗号が解読をされておった。外交交渉についても全く手のうちがわかっておったというようなことが伝えられている。オーストラリアの外交官をやった人がそういうことを言っておるということなんですね。オーストラリアですらそうなんだから、ソビエトなりアメリカとの外交交渉なんというのはみんなわかっているんじゃないのか、こういう推測をされても仕方ないということになる。 そこで、暗号電報などというものがそんなに簡単に解読をされるようでは暗号なんか使う必要はないわけですから、その点は一体どうなっておるのか。機密という点は十分な配慮がされていないというふうに懸念されるわけですが、その点はどうなんですか。
○政府委員(松永信雄君) ただいま御質問がございましたオーストラリア人の著作にかかる書籍に、御指摘のような部分が中にあることを私どもも承知いたしております。この書籍につきましては、私人の著作にかかるものでございますので、日本政府がこれについての見解を申し述べるということはいかがかと思いますけれども、読みました印象といたしましては、憶測あるいは誤解による記述ではないかというふうに推測いたしております。 ただ他方、いま御指摘がありましたように、外交上の秘密が暗号の解読によって外国に読まれているという事態があるといたしますれば、これは私どもにとりましてはゆゆしき一大事でございます。現在外務省が使用しております暗号電信は無限乱数表を使用して作成しているものでございまして、これは多数の国が使用しているシステムと同じものでございます。これは現在外国によって解読されることはあり得ないというふうに考えております。
○瀬谷英行君 乱数表を用いる暗号ということになると、その暗号の方式は数字式な暗号を用いているというふうに推測をされるわけなんでありますけれども、そうすると、この暗号が解読をされるためには乱数表だけではなくて、もとになる暗号書を初め、一式がそろっていないと学理的には解読をされないというはずのものである。ところが傍受をされなくたって、そのもとがどこかの手に渡っておれば解読されちまうということになるわけです。それらの機密保持については、これは外務省としてはどのような万全策をとっておられるのか、その点をお伺いしたい。
○政府委員(松永信雄君) その点は御指摘のとおりでございます。したがいまして、私どもといたしましてはいわゆる電信物件の取り扱いにつきましては細心の注意を払いまして、この管理に当たる者を指定いたしまして、きわめて限定された者にしかこの使用、管理をさせない。その管理も十分に保全の措置が講ぜられた管理体制のもとに置いておりますし、また、非常にしばしば定期的にこの管理の点検を行っております。これは本省におきましても在外におきましても同じでございまして、暗号書あるいはその他の電信物件が盗まれるということがないように万全の措置を講じております。
○瀬谷英行君 防衛庁の方にもついでにお伺いしますが、暗号書というのは防衛庁でも同じだろうと思うんです。生文で打電をするというようなことはあり得ないと思うんですが、昔は非常に暗号書というものは軍事上の機密ということになっておって、その機密保持のためにきわめてやかましい注意が払われたわけなんですが、外務省、防衛庁、多少それは暗号の書式は違うかもしれないけれども、大体暗号の形態は同じようなものではないかと思われますが、その形態並びに機密保持について、防衛庁としてはどのようにされておるのか、この機会にお伺いしたいと思います。
○政府委員(伊藤圭一君) 私どもも秘密の連絡の際に必要な暗号を使っておりますが、これは防衛庁といたしましては部内の連絡でございますので、外務省と同じものではございません。独自なものでございます。まあ、乱数式などを使ってやっておるわけですが、この秘密の保持につきましては特に注意いたしておりまして、先ほど外務省の方から御説明がございましたように、それぞれ担当部局の者は限定されまして、そしてその間で暗号書あるいは暗号の仕方、そういったものを厳重に管理している次第でございます。
○瀬谷英行君 最後に、超党派議員団というのが、これはかっこうのつかないことになっておりますけれども、これは一体どうなるのか。ビザが出るあてがあるのかないのか。向こう側の対応は一体どうなっておるのか。日本側としてはどうするつもりか。この点をちょっとお伺いしたいと思います。
○政府委員(宮澤泰君) 私ども、議員団が編成されまして訪ソの決定が行われました当初から、全力を挙げましてソ連政府にビザの発給方を要求しておりますが、ソ連側は現在まだこれをお迎えする体制にない、四月中にはビザを差し上げるわけにいかないと言っておりますが、私どもは引き続きこの発給方を強く各種のレベルでソ連側に要求を続けております。たまたま私、その件の、外務省の欧亜局長で責任者でございますので、昨日、一昨日、議運及び訪ソ議員団の方にお呼ばれいたしまして、ただいま議員団の方でも様子を見て、その態度をお決めになる、そういう状況のように伺っております。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 訪ソ議員団の訪ソがまだ実現できませんことを大変申しわけなく思っておりますが、その点につきましては、鋭意もうあらゆる努力を払ってきたところでございますし、また園田特使が行かれましたときに、コスイギン首相との間にこちらからの要望事項の重要なる一つとして訪ソ議員団をぜひ迎え入れてほしいということを直接向こうにお願いをしたところでありますが、それにつきましても、直接自分の権限ではないというような返事であったわけでございまして、その点まことに残念に思っておるところでございます。
○糸山英太郎君 三原長官に改めて申し上げておきます。 せんだってのたしか六日だと思いますが、当委員会で一般質問の最後に私がお尋ねした趣旨は、自衛隊の中途半端論ではなくて、予算の方がむしろ中途半端的であり、せめてGNPの一%程度という考え方に立ってその年の経済情勢に見合った上下の波があってもいいのではないか、そうしなければ防衛構想も達成がむずかしいのではないかという現状改革の提案を申し上げたわけであって、たしか長官の答弁は、自衛隊が中途半端だなんということを答弁をいただいたわけですが、私は経済面からいった中途半端論を言ったわけでございますから、自衛隊自身が中途半端だということを言ったわけじゃございません。重ねて申し上げますが、長官御自身は防衛費がGNPの一%以内といういまのあり方に関してどのようなお考えをお持ちでいらっしゃるのか。私の提案はもしかしたらこれは無理なのか。もう一度この機会に、一%程度ということが恐らく無理なら無理でも結構ですけれども、長官の率直な答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(三原朝雄君) お答えをいたしますが、この前のお答えを繰り返すようでございますけれども、御承知のように、わが国の平和と独立を守るために昨年防衛計画大綱を設定をしたことは御承知のとおりでございます。しかし、この大綱の中身を整備するためにはこれから私どもが努力してまいらねばなりません。その点で、しかしこれには一応の制約があるというようなことを申し上げました。それは御承知のように、この計画大綱はできるだけひとつ早期に整備をいたしたいというのが防衛庁の考えておることでございます。しかしながら、これにはいま申し上げたように制約がある。それは国際情勢でございまするとか、あるいは国の経済、財政の問題でございまするとか、あるいは国内の諸施策との調整の問題等があるわけでございます。われわれとしては、できるだけ多くの予算をつけて、そういう状態の整合を考えながらも整備してまいりたいということで努力をいたしておるわけでございます。そこで、なおまたそういういま申し上げましたような整合の問題に関連をして、国防会議なり、閣議におきましても、いま申されましたように一%を超えない程度ということが一応枠組みがされたということでございます。しかし、いま先生からせっかく御指摘をいただいておりまするように、この一%というのは固定的なものではございませんし、また固定的にいつまでだということを設定されたものではございません。これはお互いの努力とともに、情勢の推移によりましてはいま申されましたように一%台に持っていかねばならぬというようなことも考えねばならぬと思うわけでございます。そういう点につきましては、情勢を判断しながら、いま先生の御意見のようなものも十分受けとめながら、私どもとしては予算折衝の際には努力してまいるということは努めてまいりたいと考えておるところでございます。
○糸山英太郎君 ただいまの長官の御答弁は、上下の波があってもいい、一歩努力をしようと、してくださるというように私は受け取りましたので、この質問は了解いたしました。 次に参ります。非核三原則の矛盾点をただした先日の私の質問に対して、外務大臣の御答弁はまことに期待薄で残念でした。もう一度お尋ねしますが、領海が三海里でも十二海里に広がっても、領海の内と外を問わず単に核が一時通過する、つまりトランシットするだけの場合はどちらも無害だと私は考えます。非核三原則の第三項に関する政府の統一見解は、一口に言って歴代内閣がなぜか次第にエスカレートをしてしまって、一時通過も事前協議の対象となると拡大解釈されてしまったようです。領海の外を通過するならば無害で、領海の中では有害であり、通過すること自体も持ち込みになるという解釈はどうもよくわかりません。外務大臣からどうかぜひすっきりした御説明をいただきたい。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 糸山委員の御議論はよく承知をいたしております。政府も四十三年まではいわゆるトランシットは持ち込みではないという解釈をとっておったわけでございます。この解釈が次第に変遷を経て今日に至っておる。特に領海条約の審議の際にこの点が大変問題になった、そして政府としてその見解が次第に固まってまいった次第でございますので、今日単なるトランシットはこれは核の持ち込みではない、そのような考え方に変えるべきである、その御議論は御議論として承りますけれども、今日の段階におきまして、非核三原則の解釈を変えることは不適当であると考えておるところでございます。
○糸山英太郎君 外務大臣、核兵器のない世界を悲願とする青年の一人として、核の持ち込みはできればないにこしたことはないと考えます。しかし、力の支配する国際政治への対応として、わが国の安全のためにアメリカと安保条約を結び、アメリカの核抑止力に戦略防衛をゆだねている以上、トランシットさえもノーという政府の見解に不可解なものを感じます。恐らく大臣もそう感じていると思いますよ。大臣、おかしいと思うんですが、この点をどのようなお考えでもってでは国民に納得させるのか、ちょっと伺いたいと思います。
○国務大臣(鳩山威一郎君) この非核三原則の重みと申しますか、わが国が唯一の被爆国であるということから参りますところのその非核三原則というものの重みを考えましたときに、これは国民の多くの方々が私は御理解いただけることであるというふうに思うわけでございます。御議論として、日本はこの日米安保条約のもとに、日本はアメリカの核のかさのもとで日本の安全保障が保たれている、こういうことからの御説だろうと、こう思うのでございます。それはそれとして、この安保条約の効果というものは大変大きな効果があるわけでございますけれども、それがために日本の領海内にこの核がどうしてもなければならないということにはならない、このように考えますので、非核三原則を遵守する政府、わが国の権限の及ぶ限りにおきまして、このいわゆる国際海峡と申しますか、こういった問題につきましても今後非核三原則を遵守しながら参りたい、このように考えておるところでございます。
○糸山英太郎君 外務大臣ね、非常に苦しそうな言いわけをしているので大臣にだけは申し上げません。どうか外務省の方、官房長以下皆さん、非核三原則、非核三原則という苦しい答弁をするんじゃなくて、今後ますます国民にコンセンサスを取りつけることが必要だと思うし、国民に説得することが一番必要だと思いますので、どうかこういうことについての答弁を、統一見解――大臣がいろいろとかわりますけれども、どうもはっきりしない答弁ばかりですから、そういう点では鳩山外務大臣が一番素直で正直な大臣と私は見受けますので、これ以上この問題はもう突っ込みません、与党ですからね。松永さんもさっきから青い顔ばかりしていますからもうこれ以上やりません。やらないけれども、どうかお願いしておきます。この問題についてはもっとはっきりとした答弁を用意しておいていただきたい。そうでないと、私でも納得できなければ国民は全部納得しません。非常にこれは大きな問題になってくると思いますから、どうかその点をひとつお願いしまして質問のポイントを変えましょう。 防衛庁、自衛隊のミサイル部隊についてお尋ねします。たとえばナイキハーキュリーズは、一九五〇年代高空からの侵入機用として開発された防空ミサイルですから、低空侵入機に対しては余り役に立たない性能と言えます。これに対して、ホークは中低空域から侵攻する航空機に対応するためのミサイルであると私は認識しております。 そこで質問の第一は、ナイキとホーク部隊の配備現状について、まず場所、ランチャーの数をお示しください。
○政府委員(伊藤圭一君) ナイキ部隊の配置の場所を申し上げます。 五つの高射群がございまして、第一高射群が関東地区でございまして、配置の場所が入間、習志野、武山、霞ケ浦でございます。第二高射群が北九州地区でございまして、芦屋に二個中隊ございます。築城、高良台、それぞれ一つずつございます。第三高射群が北海道地区にございまして、千歳に二個高射隊、長沼に一個高射隊でございます。第四高射群が中京地区にございまして、岐阜、饗庭野、白山にそれぞれ一個高射隊ずつございます。第五高射群が沖繩にございまして、那覇、知念、恩納、それぞれ一個高射隊がございます。それぞれの高射隊は九基のランチャーがございます。沖繩だけが一個高射隊十二基になっておりまして、トータルいたしますとランチャーの数は約百六十基でございます。 ホーク部隊について申し上げます。ホーク部隊は八高射特科群ございまして、第一が北海道地区、南の方でございまして、東千歳、北千歳、それから島松、ここに二つの高射中隊がございます。第二高射特科群が関東地区でございまして、松戸、それから朝霞に二つ、それから下志津と、それぞれ高射中隊がございます。第三高射特科群が北九州地区でございまして、これは飯塚に四個高射中隊がございます。第四高射特科群が北海道の北にございまして、名寄に四個高射中隊がございます。第五高射特科群が東北にございまして、八戸に四個高射中隊がございます。第六高射特科群、これが沖繩でございまして、白川、勝連、知念、南与座にそれぞれ一個高射中隊がございます。第七高射特科群、これが九州の西の方にございまして、竹松に四個高射中隊がございます。第八高射特科群が青野原、兵庫県でございますが、青野原に四個高射中隊がございます。それぞれの高射中隊が六基のランチャーを持っておりまして、総数が約二百基ということになっております。
○糸山英太郎君 それぞれの実弾及び予備弾の数、そして実弾一発当たりの単価はどのくらいについておりますか。
○政府委員(伊藤圭一君) 実弾と予備弾数の正確な数というのは、これは実は秘になっておりますので詳しく申し上げるのは差し控えさしていただきますが、一応ナイキとホークのコンバットレディネスと申しますか、いわゆる最小限必要な実弾数というのは現在ありますランチャーに載せておりまして、そのランチャーの数だけというのが一応米軍の規定にございます戦う状態、コンバットレディネスの状態ということになっておりまして、これは持っております。しかし、予備弾数についてはまあほとんどないというのが実情でございます。
○政府委員(江口裕通君) ただいま価格の御質問がございましたので申し上げますが、ナイキ、ホークそれぞれ四十八年度の契約でもって契約は一応打ち切りになっております。納入は、それぞれ五十一年度、五十年度をもって終わっております。したがいまして、価格はいささか古い価格になるわけでございますが、ナイキについて申しますと約九千六百万円、一発でございます。それからホークが約四千七百万円という数字になっております。
○糸山英太郎君 ホークは陸上自衛隊が担当しているようなので、航空自衛隊のレーダーサイトとの連携はどのようになっているのでしょうか。そして陸上自衛隊がホークを担当しているメリットは一体何であるか。
○政府委員(伊藤圭一君) 御承知のように、ナイキもホークもアメリカでは陸軍が開発した防空ミサイルでございます。したがいまして、アメリカでは両方とも陸軍が持っているわけでございますが、わが国がこの防空ミサイルを入れますときに特に重視いたしましたのは、ホークは、先ほど先生から御指摘ございましたように、低高度の航空機の対処でございます。そうしてこれは性能から申しましても防空できる空域というのはかなり狭いわけでございます。したがいまして、いわゆる地点防空と私ども申しておりますが、ある一つの地点を防空する、そのために陸上自衛隊の部隊等が移動するたびにそういったものが移動して防空に当たるということでございました。もっとも、たとえば関東地区のような場合には、ナイキとホークを組み合わせまして重要地区というものを守るということで同時に配備をいたしておるわけでございますが、ナイキはそれに比べましてかなり広範囲の防空能力でございます。したがいまして、日本の場合には、これは要地防空という形で、機動性も余りございませんので、要地要地に配置するというような形で航空自衛隊が持っているわけでございます。その連携というものは当然必要でございますが、この点につきましては当時もいろいろ議論がございまして、同じ自衛隊が持たないと血の通った運用ができないではないかという意見もございました。同時にまた、必要な機能を発揮するためには陸上自衛隊、航空自衛隊が緊密な連携をとればそれは可能ではないかという議論もございました。そして現状におきましては、レーダーサイトに陸上自衛隊のホーク部隊からの人員が派遣されておりまして、レーダーでキャッチしました情報というのは、それぞれのナイキの部隊には自動的に航空自衛隊から行くわけでございますが、同じような形でホークの部隊にも流れていくようなシステムをとっております。また、有事の際にはホーク部隊は航空自衛隊の統制下に入るということが長官の指示によって決まっているところでございます。
○糸山英太郎君 スクランブルは通常F104またはF4ファントムが二機編隊で行われていると聞きますが、目標が一機でもあるいは複数でも同じ状態なんでしょうか、同じようにするんですか。
○政府委員(伊藤圭一君) いま先生がおっしゃいましたように、一機の場合にも二機で上がっております。それから、いままで数機参りましたときも一応二機で上がっております。しかしながら、これは目標数が多くなりますともっと数をふやさなきゃならぬということでございますが、二機上がりましてやはりお互いに連携をとりながら対処するというのが原則になっております。
○糸山英太郎君 防衛庁は五月二十七日から二十七日間、早期警戒機、AEWシステムの導入基礎調査のために調査団をアメリカにたしか派遣するそうですが、具体的な対象機とか調査内容はどういうことでしょうか。また、この警戒機を二十機一年間飛ばすと百億円はかかると伝えられているようですが、AEWのほかに、たとえば下に弱いと言われているF4ファントムのレーダー改良とか、何かほかに検討しているものは何かあるんでしょうか。
○政府委員(江口裕通君) 現在、御指摘のように、五月から六月にかけまして米国に調査団を派遣する予定でございます。で、この主たる対象といたしましてはグラマンのE2C、それからボーイングのE3Aという、俗称AWACSと言っておりますが、このそれぞれにつきまして、性能あるいは価格、それからその他の早期警戒関係の資料を収集に参るわけでございます。 それでもう一つの問題といたしまして、F4のルックダウンの問題をお取り上げをいただいておるわけでございますけれども、これはF4を導入いたしますときにもそういう低空対処の問題がございました。しかしながら、その後、これは各国ともそういうことをやっておりません。一応計画としてはそういうものがあったわけでございます。われわれの方といたしましても、現在F4を改修いたしましてルックダウン能力を付与する、そして低空侵入に対処するということを検討はいたしておりますけれども、現在問題点といたしましては、これはやはり開発をするのに若干の時間、数年の時間がかかるということと、コストから申しましてもかなり高いものにつきはせぬだろうかということでございます。そういうことではございますが、一応そういう考え方はございますので、それは引き続いて検討をいたしております。
○糸山英太郎君 時間がないので国防会議の問題に移りたいと思いますが、久保さんお見えになっておりますね。 国防会議のレギュラーメンバーをふやすということで、四十七年十月九日、当時の田中内閣は、総理を初め副総理、外務、大蔵、防衛庁、経企庁の六閣僚に通産と科学技術庁、官房長官、国家公安委員長の四閣僚を加えるという閣議決定をされました。しかし、五年目を迎えた今日でも実現していないようなのですが、久保さんからごらんになって、実現しない問題点をどのように分析され、理解されているでしょうか。
○政府委員(久保卓也君) 四十八年当時の政府側の姿勢としましては、防衛二法案が出ておりますが、当時このための国防会議議員の構成に関する法律の改正については、野党側で必ずしも歓迎しておらなかったという国会情勢がありまして、それをくんで遠慮をされたようでありました。その後、この問題についてある程度国内でも議論がありましたが、その際に科学技術庁長官については、学術会議が、軍事問題について科学技術の分野が協力するのは適当でないという大変強い御意見もあったようであります。それから国家公安委員長につきましては、野党の一部の方からこれまた参加について反対をされておった。その後、国防会議の審議の過程におきまして運輸大臣を入れてはどうかという御意見もあったということで、必ずしも政治の場で、あるいは国内一般の趨勢としまして意見の一致を見ているということではなかった情勢が続いておりまして、そこで、三木内閣の末期に、三木総理から当時の国防会議事務局長に対しまして、単にこの議員のメンバーをふやすというだけじゃなくて、国防会議のあり方についてもう一度検討してはどうかという御意見が出され、私が就任しましたときにもやはり同様の趣旨の御意見がありました。私自身も、事務的に考えれば単に議員の数をふやすということだけが文民統制の強化につながるものとは必ずしも考えられませんで、もう少し広範囲に考えるべきではないかというふうに事務当局としては考えておりました。
○糸山英太郎君 国防会議は防衛庁設置法六十二条の規定によって内閣に所属していますが、防衛庁は総理府の外局ですし、どうもちぐはぐな感じです。シビリアンコントロールが政治上非常に重要な問題の一つであることからしても、設置法から外して、たとえば現行の国防会議の構成等に関する法律と一本化した方がすっきりするのではありませんか、それとも現行のままでいいというお考えですか、これは久保さんから。
○政府委員(久保卓也君) 現在の防衛庁設置法の中に国防会議の設置に関する規定が入りましたのは、防衛二法が当初国会に提出される以前に各政党間で調整されまして国防会議を設置する旨が決められ、いわば急遽二法案の中に取り込まれた、防衛庁設置法の中に取り込まれたということで、ある意味では便宜的であったということも今日からは言えようかと思います。そこで、本来組織的な問題がいま御指摘のとおりでありますし、もともと文民統制、あるいは防衛庁、自衛隊をコントロールすべき国防会議が防衛庁設置法の中に入っているのは形の上では何かおかしいような感じがしますので、これは分離すべきであるという御意見が実は従来国会の中でもしばしば質疑の形で御意見として出されておりました。そして現在の政府の姿勢としましては、いまの国防会議あるいは事務局の運営自身も必ずしも十分ではないので、現行法に基づいても、なおかつよりよき運営をすることが可能である、まずそれをやるべきである、そして将来の問題として国防会議のあり方についていろいろ基本的に検討し直す際に、そういった設置法から外して単独立法にするということも考えられるということであります。いずれにせよ、この問題は文民統制をやられる政治がお決めになること、あるいは国防会議議長もしくは国防会議そのものが御方針をお出しになることでありますので、私ども事務当局としては、そういう御指示がありましてもこたえ得るように準備をしなければならないということで、現在検討は進めております。
○糸山英太郎君 私は、ただ単純にメンバーをふやしたりあるいは法律を修正するとか、そういうことが国防会議の充実に結びつく、そういうことは思っておりませんが、しかし、いろいろな角度から十分検討の結果これがベターであるという結論が出たときは、どうかスピーディーに実行すべきだと考えます。この点はむしろ政治の責任ということになると思いますが、久保局長は、御自分のポストにおいていま何を一番政治に求められているのか、どうぞ率直に遠慮なくこれはどうぞお話ししてください。
○政府委員(久保卓也君) 防衛というのは、国の安全、国の独立というものを維持するための一つの重要な手段であります。すべての手段ではありませんが、重要な手段であります。したがって、防衛の責任は行政当局であるよりも政治の責任であるのは言うまでもないところでありますが、したがって政治があらゆる分野にわたって十分の御検討をいただき、御見識を持ち、そうして行政事務当局に御指示いただきたいというふうに思っております。
○糸山英太郎君 国防会議は防衛問題だけがテーマではないと私も考えます。食糧、資源エネルギー、情報あるいは啓蒙などといったわが国の安全保障にかかわるいろいろな問題を幅広く取り上げるのが本来のあり方と思います。防衛問題はその中の一テーマにすぎません。国防会議というよりも安全保障会議とすべき理念と性格ではないのでしょうか。いまのままでそうした目的が果たせるのかどうか、この点伺います。
○政府委員(久保卓也君) 現在国防会議は防衛会議とはなっておりませんから、単純に軍事力だけではありませんで、もう少し広い範囲での検討が行われるものであり、その趣旨は一番最初に決められました国防の基本方針の中にもあらわれているところであります。ところで、国防といってもなおかつ狭いのではないかという御議論が実は政府内外にもございます。ただ、外国の中ではディフェンスの会議あるいはナショナルセキュリティー、つまり国家安全保障の会議、両方使われておりますが、必ずしも統一されておらないような状況であります。ただし、国の安全というもの、国の独立というもの、自由というものが、もっと広範囲な問題であるということを認識していただくためには、何か軍事力中心の印象である防衛とかあるいは国防とかという問題よりも、むしろ安全保障ということの方がベターであるということは理屈の上では言えようかと思います。しかし、これらも私たちが申し上げることではなくて、やはり政治がいろいろ御検討いただいて私どもに御指示いただきたい分野の問題であります。
○糸山英太郎君 時間がございませんから、最後に一言申し上げます。 わが国の安全保障を考えるとき、政治的、戦略的な発想が弱いと私は思います。アメリカでは学者が政府に申し入れ、政府も柔軟に取り入れ、政策となるケースが多い実情です。ブレジンスキー氏やキッシンジャー氏に代表されるように、たとえば大学教授がどんどん政府部内の重要スタッフとしてスカウトされているのに比べ、わが国は学者と政治がお互いに反発しているということが多いように見受けられます。何でもアメリカのまねをせよというわけではございませんが、最近はずいぶんオープンになってきているようですが、イデオロギーや党利党略を乗り越えて民間のいい知恵はどんどん積極的に取り入れ、知識や情報を公開し、相互交流を盛んにして国民の立場に立った現実的な考え方に基づきながら、わが国の安全保障の上に役立たせる努力をもっとすべきではないかと考えます。久保局長も私の意見に御賛成と思いますので、何か具体化されるプランはないでしょうか。そうしたプランがこれまでも皆無だったとは言いませんが、具体的改革の用意があるのかないのか、お願いいたします。
○政府委員(久保卓也君) 改革の用意があるとは申しませんけれども、おっしゃいまするように、やはり私どもがいろいろ考えましても、一定の枠からなかなか出にくいと、しかし一般の庶民、一般の大衆の感覚というものがもっとわれわれの中に入った方がよろしいし、そしてまた学者、評論家、マスコミの方々から、ある種の理論的根拠のある御意見が伺えればきわめて望ましいのでありますが、そういう意味では、かつて防衛庁が防衛を考える会をおやりになったように、正規の機関ではなくても、防衛庁あるいは国防会議の事務局の周辺にいろいろそういった外の知恵と知識を導入するような機会を多く設けるということは望ましいし、私どもも、事務局としてはそういう方向を考えております。
○塩出啓典君 それでは、まず外務省に国際学友会をめぐる問題についてお尋ねをいたします。非常に時間が限られておりますので、状況については私がここで申しますので、それが正しいかどうか、間違っておれば間違ったところだけ言ってもらえれば結構ですから。 まず、国際学友会の目的は、「本会は学生に依る国際間文化の交換及び本邦留学外国人学生の保護善導を図り以て国際親善を増進するを目的とす」と、これは間違いないと思います。 で、国際学友会は昭和十年、東南アジア留学生の施設として創設をされ、戦後は昭和二十七年ごろから外務省の補助金で復活をし、外務省の外郭団体として出発をしておる。現在東京本部、京都支部、仙台支部、関西国際学友会を持ち、東京本部は、現在定員二百人の日本語学校と百五十室の留学生寮などを経営してきておると、こういう点は間違いございませんですね。
○説明員(田中常雄君) お答えいたします。 そのとおりでございます。
○塩出啓典君 それで二億四千万円の累積赤字を出し破産寸前になったと、そこで学友会は敷地の一部を売って借入金を返済をし、残りの資金と政府補助金、さらに自転車振興会補助金等で建てかえると、こういう再建策を決定をした。しかし、建設するものは定員三百人の日本語学校と四百席の留学生ホールや事務所であって、寮は建設するようになっていないと、このことが寮生たちにとっては問題になっておるようでありますが、建てかえ工事中は、港区の旧日大三中校舎で日本語学校を続け、そうして新しい建物ができてから、来年春から新校舎に移る計画であったと、このように理解してよろしいですか。
○説明員(田中常雄君) 大筋において先生のおっしゃるとおりでございます。
○塩出啓典君 土地の売買契約は、三月七日、日本パイロットハウスと結び、三月末までに所有権移転仮登記申請の手続を完了するという条件、さらに当該物件上に存在する抵当権その他一切の権利はそのときまでに除くと、抹消すると。当然そこに宿泊している学生たちも全部三月末までに引き払うという条件で契約をし、そうして三月七日に第一回入金として三億三十三万円を国際学友会は受け取っておると、これは間違いないですね。
○説明員(田中常雄君) おっしゃるとおりでございます。
○塩出啓典君 そこで、昨年十二月に国際学友会は約三百人の留学生に対して、今年四月から国際学友会の日本語学校に入学するという許可を出した。ところが先ほどお話ししましたように、寮ができると思っていた寮生が、再建計画では寮がないということを知って寮の立ち退きを拒否し、したがってこの契約も御破算となり、再建計画は暗礁に乗り上げ、今年の三月十日に留学生の来日を見合わせるように連絡をした。しかし連絡のおくれからすでに来日してしまった人がいる。こういう人たちは日本語学校が開校されず実は途方に暮れておると、大体こういう状況で間違いないのかどうか。 そして、現在国際学友会の日本語学校に入学するために来日をして途方に暮れている人たちはいま何人いるのか。すなわち連絡の手違いから、すでに日本に来てしまった人は何人ぐらいいらっしゃるのか、その二つをお尋ねしたい。
○説明員(田中常雄君) 前段につきましては大筋において先生の御説明のとおりでございます。 それから、後段の現在何名日本に来ているかと、外務省で確実につかんでいる数は現在百名でございます。そのうちの七十五名が台湾系の学生で、残りが香港、またその他タイ、韓国、アフガニスタン、ペルー、米国等、そういう数になっております。
○塩出啓典君 私は昨年の十二月に入学を許可をするという通知を出しておいて、それで三月十日になってあわてて来日を見合わせると、こういう連絡を出すのはちょっと常識から考えても非常に行き当たりばったりではないか。やはり外国から日本へ来るわけですから、それぞれ準備もあるでしょうし、非常に行き当たりばったりではないかと思うわけでありますが、その点外務省はどう考えておるのか。
○説明員(田中常雄君) 昨年十二月二十日入学許可を出す前に、学友会当局は現在入っている入寮生、学友会の寮に入っている在寮生でございますが、その百五十名に対して三月三十一日までの退寮の意思を確認したわけでございます。そのときは百五十名の在寮生のうち約百四十名が、直接または間接に退寮の意思を学友会当局に表明したわけでございます。それに基づいて学友会当局は、十二月二十日の段階におきまして四月十五日から開講をするために入学許可を出すという行為に入ったわけでございます。ところが本年の二月に入りまして事態ががらりと変わってしまったわけでございます。まず労働組合がこの再建計画に反対したわけでございます。それと同時に学生も非常に寮の建設の問題及びその他退寮の立ち退き条件等々につきまして反対を始めまして、ここにおります在寮生のいろいろ反対している理由は各国によって種々まちまちでございますが、大体いま申しましたような状況に立ち入って紛糾を続けまして、それが二月の後半でございます。そのような事態を踏んまえまして、学友会当局は仕方なく、三月十日をもって急速、今後開講のめどがつかない、来日を見合わせるようにという通知を出したわけでございます。しかしながら、現在百名の学生が日本に来ているという事態は非常に遺憾に思っております。
○塩出啓典君 私は、寮の再建問題は再建問題といたしまして、いやしくも外務省の外郭団体である国際学友会が、一度は入学を許可し、その取り消しが間に合わなくて日本へ来た人たちに、日本語学校の教育をしていくということは、これはひとり国際学友会の問題のみならず、日本の国際信用の上からも当然すべきではないかと、そういう点から、この再建をすることは私は必要ではあると思いますが、あんまりこのやり方が行き当たりばったりで、やっぱり住んでいる者を追い出すというのは普通の日本の場合でもかなり期間を置いて、そうしてやっていかないとなかなか出ないわけでございまして、それを留学生の場合急に出ろと、しかも出るということを条件にするような契約を結ぶという、こういうのはちょっと習慣にも反する強引なやり方である。したがって、これはどうなんですか、一年間再建計画を延期をして、そしてまず来日している人たちの日本語学級を、学友会の校舎もあるわけですし、先生方もいるわけですから、その日本語学級を早急に始めるべきじゃないか、そうして一年かかっていろいろ話し合いをして次の再建計画を考えるべきではないか、このあたりが一番妥当ではないか。その点あなた説明して、あと外務大臣のこれは大きな問題ですから。
○説明員(田中常雄君) お答えいたします。 その第一の御質問でございますけれども、余りに寮生に対して急激であり、強引な寮からの立ち退きの押しつけではないかという点でございますけれども、実は再建計画を説明いたしましたのは去年の秋の段階からでございます。それで無条件で出ていけということでは決してないんでございます。まず、現在入っておる百五十名の寮生のうち、百二十名は寮費を払わない、そういうタイプの学生でございます。それにもかかわらず、学友会当局は、彼らを立ち退かせるためにこれらは出世払いで結構であるという条件を出したわけでございます。そのぐらいの条件を出さない限り現在あそこにおります学生は相当の学生でございまして、なかなか立ち退かないタイプでございます。それから、やはり現在の日本において、立ち退きに当たりましてはいわゆる若干立ち退き支援金というものをどうしても出さざるを得ないということで、学友会当局は立ち退き支援金も提示いたしました。それにもかかわらず、現在学生たちはいろいろな条件をさらに提示いたしまして、現段階において実際に立ち退きをした人は十名でございます。言いかえると百五十名のうちから百四十名までいま減っているわけでございます。そのほかに、公式、非公式に立ち退きの意図を示している者が現在三十一名おります。 それが第一の御質問に対することでございますがそれから第二は、いわゆる現状のままいまの日本語学校及び寮経営を続けろとおっしゃる点でございますけれども、すでに学友会は累積赤字で、何が累積赤字になったかと申しますと、人件費の赤字、それから食堂経営の赤字、それから寮生の寮費未納、この三つが大きな要件でございます。それで、それらがたまりにたまりまして現在二億二、三千万円になるわけでございます。五十一会計年度においても約四千万円近い赤字が入ってきておるわけでございます。そして、このまま転がせば学友会は毎月赤字の累積という事態でございまして、非常な経営的にも危機の状態になっているのが現状でございます。そういたしますと、要するに、現在すべて去年と同じようにスタートすれば年度の中途に来ましてどうともならない経済的な危機が出現して、その段階において急速学友会を閉鎖というような事態になりましたら、事態はますます惨めなことでございます。 それから日本語学校の件でございますけれども、これは曲がりなりにも教育の場でございます。現在学友会は労組問題、留学生問題等々を含めまして非常にもめている真っ最中でございます。そして、そのど真ん中でいわゆる教育の場を開くということは、果たして教育というアングルから物を考えて妥当であるかというのは、これは非常に重要な問題だと考えております。したがって、やはりこれは単純に再建計画を一年そのまま延長というわけにはなかなかいかないわけでございます。それから、現在財政が非常に窮屈な現状におきまして、諸先生方に御審議いただいております予算、これが現状においてとり得る最大限ではないかと考えております。
○塩出啓典君 いまの、そういう日本語学校を続けるような状況でないし、それを続ければ赤字がふえるというお話でございますが、実は寮生は、いまお話ではなかなかおいそれと出るような人たちじゃないようなお話でございますが、しかし、寮生と、いま日本へ来ている人とは全然別なわけでありまして、したがって、この赤字もきのうきょうできた赤字じゃないわけですから、そういう点は国際的な問題になりますので、やはり外務省は応急的立場として、これは土地を売ればある程度再建計画のめどは立つわけなんですから、少なくともやはりいま日本に来ている人たちには授業を、もしそこの学友会がだめだというならば、日大の学校をすでに借りておるわけなんですから、そういうところで日本語学級を早急に始めるべきである。これは外務大臣、どうでしょうか。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 国際学友会がこのようないわば紛争状態になりまして、昨年来計画していた計画が実行できない、このような事態に立ち至って大変御心配をおかけしており申しわけないことでありますとともに、これは、これから日本に来日して日本で勉強しよう、そういう若い人たちのことを考えますと、大変これは国際的にも申しわけないことであると、こう痛感をいたしたところでございます。 学友会の再建問題につきまして、これは大変大事な問題でありますので、この留学生関係に明るい方々、教育関係者に集まっていただきまして、この再建問題をもう一度見直しをして根本的な対策を立てていただきたいということで、月曜日に会合を持っていただいた次第でございます。この学友会はぜひともこれは再建をしたい、こう考えておるところでございます。 ところで、現在来日してしまった若い方々の志をくじかないように、これは何とか最大限の努力をもちましてこれらの方々のお世話をしたい、そのように考えて一生懸命取り組む所存でございます。
○塩出啓典君 長期的には、国際学友会は歴史のあるところですから再建をしたいと、そういうことで、いま学識経験者による諮問機関を設けて検討していきたいと。応急的にいま来ている人たちについては勉強の機会を与えるように努力したい、こういうことですね。まあそれはきょう時間もありませんので、早急に、私は願わくば学友会で教育する、できなければやはり日大なり借りるようなところで教育をする、あるいは、それがなければ日本の責任のもとに勉強する機会を設ける、このことにひとつ速やかに努力をしていただきたい、このことを強く要望をしておきます。 そこで、やはり先ほどのお話でありますと、非常に寮生も、いわゆる百五十人のうち大半が寮費も払っていない。大体入っておればそこの寮費を払うというのは、これは社会の原則でありまして、それがいろいろ収入がない、かつてのベトナムの学生のように、本国からの送金がない、そういうことであればこれはやむを得ないと思うわけでありますが、そうでないのに払わない。こういうことでは本当に学友会のやっていることが国際親善に役立っているのかどうか。私はやはり、やるべきことはやらせると、けじめをつけると、そういうやっぱり日本の社会の道徳というものを知らせるということも、これは一つの目的じゃないかと思うのですね。けれども、そのためには、やっぱり言うべきことを学生に言うにはこちらの体制もがっちりしなくちゃいかぬわけで、どうも話を聞いてみると、なかなか学生たちに言うべきことも言えない体制じゃないかと思うのですね。そういう点で私はやはりこちらの体制をちゃんとつくって、そしてやっぱりけじめのあるそういう寮にしてもらいたい。お金を払わないのばかりおるようになったんでは、それは困ると思うのですね。こういう点を要望しておきます。そのために、やはり寮を預かるいわゆる理事長、理事長はもうこの間三月三十一日にやめたそうでありますが、私に言わせるなら全く無責任で、どうも元大使とか、そういうような方が歴代の理事長で、ちょっとこういうものを預かる責任者としてはもうちょっと人選というものも考えるべきじゃないか。やっぱり天下りが必ずしもいいわけではないわけでありまして、そういう中心者の人材をはっきりすべきである、私はそのように思うわけでありますが、その点はどう考えておりますか。
○政府委員(松永信雄君) ただいま外郭団体の人事につきまして御意見いただいたわけでございます。三月末をもって辞任いたしました理事長は、自分が計画をした再建計画が実行に移されず中断のやむなきに至ったということについて、責任を非常に感じて辞任したと私どもは了解いたしております。いまの辞任いたしました理事長は、私は弁護するわけじゃございませんけれども、誠心誠意、私利私欲を一切乗り越えて再建計画を立てた、非常にまじめに真剣に学友会問題というのを検討しまして再建計画を立てた人物でございます。私どもはその再建計画を適切と考えて、そのために必要な予算措置も講じたわけでございます、ところが、先ほど御説明申し上げましたような事態の推移によりまして、遺憾ながらこれを四月一日から実行に移すことができず、現在いろいろな問題をあわせてこの問題今後どういう方針で対処するかということを鋭意検討中というのが実は現状でございます。今後、理事長をどういう人を持ってくるかということにつきましては、もちろん学友会という重要な外郭団体の事業を遂行していくに十分その任に耐え得る人でなければならないという観点から慎重に考えたいと思っております。
○塩出啓典君 理事長は非常に真剣にやっておられたそうでありますが、結果から物事は判断すべきだと思いますし、また理事長が一生懸命やっていてこういう結果になったとするならば、それを監督するでは外務省の責任ということになるんじゃないかと思うのであります。外務大臣の所管に属する公益法人の設立及び監督に関する省令の第九条では、外務大臣のこのような公益法人の業務の監督ということが明記をされているわけであります。私のお聞きした範囲では、第九条第二項に基づき国際学友会に対し正式な勧告を行ったということはいまだない。監督官庁の立場から、視察をしたり補助金を出したり、そういうことはやっておったようでありますけれども、これは外務省としては監督不十分であるというそしりは免れないと思うのでありますが、外務大臣はその責任を感じておるのかどうか。これは一言で結構ですから、感じておるかいないか。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 私も所管大臣として責任を痛感しているところでございます。この予算のときにも再建計画がとにかく認められたというので非常に明るい見通しを持ったのでありますけれども、最終の段階になりましてそれが大変な騒動になってこのような結果になりましたことをまことに大きな責任を痛感いたしております。所管の行政といたしまして学友会の事業はまことに大事でございます。常時密接なる連絡のもとに運営をしてきたと存じております。形式的な、そのような法律的ないろんな文章というようなものはないかもしれませんが、きわめて密接なる連絡をとりながらやってきたと存じておりますが、このような現状になりましたことは重々責任を痛感しているところでございます。
○主査(中村太郎君) 塩出君、時間です。
○塩出啓典君 最後に、やはりこの際、国際学友会のあり方をも含めてさらに留学生のあり方について抜本的に検討すべきではないか。留学生の人たちは、将来国へ帰ってそれぞれの国を背負って立つ人たちが多いわけでありますが、そういう人たちが日本に対する反日感情を持って帰っている例が多いんではないか、こういうようなことがいろいろ指摘をされてきておるわけであります。そういう点から、日本の予算にももちろん限りはあるわけでありますが、ただ数が多いだけがいいというものでもないと思いますし、この留学生のあり方について外務省としては抜本的に検討する用意があるのかどうか、それを伺って終わります。 防衛庁の方は、きょうは質問する予定でございましたが、時間がございませんので……。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 留学生の問題は文部省の所管に属すると思います。この留学生の教育の面におきまして、日本におきます教育の面は文部省でお世話を願っておりまして、私どもの方ではこの国際学友会を経営をいたしておるということであったわけでございますが、この留学生問題のあり方、これが将来の日本の各国との友好増進のために役立つようなそのようなものでなければならない、こう考えますので、文部省ともよく協議をいたしたい、今後根本的な問題として考えたいと思っております。毎年この留学生の問題につきましては鋭意努力をしてきたところでございます。しかし、結果としてこのような現在の事態を招いておりますことを大変残念に思う次第でございます。
○内藤功君 まず外務省と図書館長にお伺いをいたします。 それはアメリカにいまあります国立公文書館、ここに包蔵されておりますGHQ関係の資料であります。私は昨年の三月から四月にかけまして渡米をして、このワシントンDCの国立公文書館、それからしてメリーランド州のスートランドにあるナショナル・リコーディング・センター、ここに参りましていろんな資料を見てまいりました。まあいろんな資料があるわけです。たとえばいまの日本の憲法ができるときのいろんなGHQからの連絡資料、それから日本の最高裁判所以下のこの裁判制度をつくるときのいろんな経過、それからまた、民法というものを新しく改正するときの資料、農地改革やあるいは財閥解体の資料ですね、それから下山事件、三鷹事件、あるいはまあちょっと違うが昭和電工事件、こういったような事件の、日本じゃ見られない非常に貴重な資料が埋もっておりまして、私はこれはもう日本の戦後の歴史のかぎを解く宝庫の一つだという感じを自分で行ってみて感じてまいったわけです。去年あたりからアメリカの公文書館を訪れる人がふえまして、非常に忙しくなってきている。 私は、行ってきた感想で四点持っているわけです。一つは、アメリカの公文書館は資料の扱いとして日本のお役所と比べると非常に無造作で扱いがぞんざい、ファイルのやり方が非常に不十分で、細かい話ですが肝心の部分が破けてたり破損したり外れてたりするものがあって、物理的な書類整理があんまりうまくいっているとは言えない、これが一点。これはやっぱり日本人ならもっと大事にすると思うんです。二つ目は、いわゆる検索、インデックスですね、問題別の索引がないんです。民政局だとか、それから法務局だとか副官部だとかいうようにGHQの部局別の索引はあるんですが、たとえば昭和電工事件というものを見たいと、そういうインデックスはないんです。それから旧財閥解体、これもない。こういう事項索引がない。これは日本人の専門家がやったらもっと早くもっとうまく熱心にやると思う。三つ目は、やっぱり旅費ですね、これはもう各大学の先生、研究所の研究員、あるいはその他の会社の人がそれぞれ別々に飛行機代を払って、旅費を払ってそれぞれ行くわけ。ですから膨大な旅費と宿泊費というものが、人件費というものがばらばらに使われていて、大変これは国費のむだであり、またその研究費や学費をもっと有効なところへ使えばいいと思う。それから四つ目は、まあ一々コピーするコピーの機械が少ないんですね。ですから、日本人がたくさん行ってあれこれとりますというとコピーが遅くなるんです。私の行ったときもお国へ帰ってから送りましょうと言うから、冗談じゃないと、とにかく頼むと言っていただいたようなわけです。まあ外務省にもいろいろそのときお世話になりましたが、そういう状況なんです。 私はいま四点挙げたが、これを解決するにはどうしたらいいかという問題です。私は、具体的にはこれは日本の役所ではやっぱり国立国会図書館が一番いいんじゃないかと思うんです。国立国会図書館に向こうのものをコピーしてきて、そうして、ぼくの調べで約三千万枚あると言われている。で、コピー代が一枚大体三十円、約十セントというものですから、十億円くらいの予算で全部コピーして日本へ持ってこられます。その分を今度は日本で保管をして、ちゃんと索引をつくってやれば、これは日本の研究者や学者が一々アメリカに行かなくてもということになって、日本の学術研究にも、歴史研究にも、また、役所が歴史的な日本の政策立法過程を研究して将来の政策に役立たせるためにも非常にいいことじゃないかと、私はそう思っているわけです。大変長くなりましたが、まず外務省にこの点の認識を伺います。このことを知っているでしょう。それから図書館長に、これに対する図書館側の考えをお伺いしたいと思います。
○政府委員(松永信雄君) アメリカにおきますいわゆる公文書の公表あるいは資料の公開の問題につきましては、私どもが承知をしておりますところでは、いわゆる外交文書に関しましては、これはいろいろな国においてとられております公開原則、すなわち、具体的に申しますと、二十五年あるいは三十年を経過した時点におきまして外交文書を公開するという基準がアメリカにもあり、これに従いましてアメリカの国務省におきまして米国外交文書として随時公刊をしていると承知いたしております。ただいま御質問がありました公文書、すなわちGHQが日本から入手して持っていった公文書という範囲は、恐らくいまの外交文書の範囲よりは少し広い範囲の文書を御指摘になっておられるのではないかと思います。そのうち公表して差し支えがないとアメリカ政府が考えております文書につきましては、随時アメリカの公文書館の規則に従って恐らく公開されるなり閲覧者の便に供されていると思います。その規則自体につきましては、私どもはこれはアメリカ政府の考えるべきことだろうと思います。他方、たとえば国会図書館におかれてこういう資料の入手が非常に希望されるというようなものがもしございますれば、それを私どもはアメリカの方に取り次ぐことにはやぶさかでないというふうに考えております。
○国立国会図書館長(宮坂完孝君) 日本占領時代の連合国総指令部の公文書につきましては、その資料の重要性につきましては私から申し上げるまでもないことだと思います。われわれもっとにその重要性を認識いたしまして非常な関心を持っておったわけでございますが、数年来これが整理のつき次第アメリカの公文書館において公開されるということになっておりましたが、これにつきましては国会を初め各行政庁、地方庁、いろんな方面、公的な機関を初めといたしまして、学者、研究者あるいはまた報道陣、各方面が非常にそれに関心を示して、いま先生お述べになったような状況で、公文書館を訪れて膨大な複写を要求しておったわけでございまして、先方の公文書館におきましても、こうばらばらに来られて膨大な複写を要求されては非常に困るというような御意見もわれわれは承っておりまして、それやこれやの事情がございましたので、われわれといたしましては、国内の各関係者の御意見、それから先方の御意見も参酌いたしまして、われわれ国会図書館が、これが一括収集に取り組まなければいかぬというふうな決意をいたしたわけでございまして、それに基づきまして、昨年後半期に担当官をこれへ派遣いたしまして、三カ月かかりましてつぶさに向こうの事情を聴取してまいりました。その結果に基づいて着々計画を立てて、いまこれが実施に邁進しておるところでございます。われわれといたしましては、非常に画期的事業でございまして、予算その他非常に手当てしなければならぬ部面が多うございますが、大蔵省、外務省、内閣、各方面の御援助と御協力を得て善処いたしたいと思っております。
○内藤功君 そうすると、図書館長、計画があるということですね。そういう一括収集の計画があるということですね、図書館としては。
○国立国会図書館長(宮坂完孝君) ただいまは非常に何と申しますか、具体的な詰めはいたしておりませんが、われわれとしては大略の計画を持っております。
○内藤功君 その内容をちょっと。
○国立国会図書館長(宮坂完孝君) 何と申しましてもアメリカの公文書館本館並びに別館にあります資料は、本館には整理をされて十五万枚という、これはページ数にするともっと多いのでございますが、これ以外にメリーランド州のスートランドの別館には約三千万ページの資料があるわけでございまして、これをいかに処理するかという点についてわれわれは種々協議を開きまして研究させまして、初めのころは向こうへ調査員を派遣して先方で選別をいたしまして、日本に重要なものだけを持って帰るというような考え方もしたのでございますけれども、何と申しましてもわれわれが国内で伺っておる各方面の御要望は非常に多岐にわたったものでございまして、どの資料が重要でどの資料が必要だというような判断を下すのも非常にむずかしい問題でございますので、この際一括向こうのあるものをマイクロフィルムに撮りましてこちらへ持ってくる、こういう計画に踏み切ったわけでございます。
○内藤功君 そういう計画に踏み切ったことは私は結構なことだと思う。 そこで大蔵省にお伺いいたしますが、お聞きのとおり、約三千万枚、目の子算ですが十億円というものがマイクロフィルム代等でかかる。ここに私が持ってきたのは、実際コピーして持ってきたものですが、こういう形と、それからマイクロフィルムといろんなやり方がありますが、その気になれば大蔵省の腹一つで非常に貴重な資料が日本に入ってきて、日本の学術文化さらに政策立案の上でも役に立つという状況です。大蔵省の方でもこの国会図書館の計画にひとつ深い理解を示して、次年度からこれについての予算をつけていくように、こういう努力をひとつお願いしたいと思いますが、どうですか。
○説明員(岡崎洋君) 計画の具体化をまちまして、国会図書館と十分御相談をいたしたい、このように考えております。
○内藤功君 努力をしてください。 次に、防衛庁にお伺いをしておきます。まず、これは防衛庁と外務省ですが、日米防衛協力小委員会の問題、最近の会合ではどういうことが議論されているかという問題ですが、時間がないから二つだけ伺っておきたいと思う。 一つは、有事の際の米日両部隊の通信あるいは補給あるいは哨戒偵察、こういったような両部隊ですね、両軍と言ったら語弊があるけれども、両部隊の行動の調整についてどんな議論が行われておるのかということ。 もう一つは、有事の際の日本国内の、たとえば運輸、医療、こういった有事体制というか、こういう問題についてはどんな論議が行われているのか、あるいはそういう論議には全然入っていないのか、あるいは研究を進めている段階なのか、そこをこれは局長でもいいですよ、端的に説明してもらいたい。
○政府委員(伊藤圭一君) いま先生から御指摘のございました内容は、実はまだやっていないというのが実情でございます。いままでやりましたのが、三回やりまして一応合意ができましたのが、いわゆるわが国が直接武力行使をなされた場合、またはそのおそれのある場合の基本構想とか、それから機能調整に関する問題、これをこれからやっていこうという合意ができまして、実はその後二カ月に一回というペースがいろいろな事情で延びておりますので、この次あたりそういった問題をもっと下におろす、いわゆる部会というようなものに勉強してもらうというような方向が打ち出されるのではないかというふうに私ども考えておりますけれども、現時点においてはまだやっていないというのが実情でございます。
○内藤功君 最近、陸海空三幕長をやった経験者の座談会を収録した「自衛隊戦わば」という名前の本が出ましたね。私は読んでみて非常にいろいろ考えさせられるところがありました。この本、これはある新聞によると、部内でもよくあそこまで公刊の本に書いたという声やら、逆に今度はずいぶん物を遠慮して言ったじゃないかなという声やらいろいろあると聞いているのだけれども、こういう本についてはいまの防衛庁内局は、ここに書いてあるいろいろな有事のときの共同作戦、アメリカの航空母艦は来るか来ないかという点で三人の意見が違っている。それから航空母艦が日本海に入るか入らないかなんという点もいろいろ議論をしている。ずいぶん細かい議論ですよ。ああいう議論はいまの部内の中で大分やられていると思うんだが、防衛局長、あれは単なる三人の放談なんですか、どうなんですか。
○政府委員(伊藤圭一君) これは前の幕僚長をやられた方々の座談会を収録したものだと思いますが、あの一冊目といいますか、発行されておりますのは私も読みました。かつての幕僚長さん方が、自分たちがやっていたころいろんなことで勉強したようなことをお話しになったのだろうと思いますけれども、具体的にあれが防衛庁の政策として考えられるとか、そういうような点はある部分はありますけれども、ない部分もあるというのが実情でございます。
○内藤功君 次に、いまの幹部自衛官の教育の中で、もう防大から始まって、部隊の教育から、それから各種の学校、それから幹部学校に至るまで含めたいろいろな教育だけれども、外国、特にアメリカとか韓国とかいういわば自衛隊サイドから見れば友好国、こういう国に対する関係の中で、そういう国の軍人やそれから軍隊やあるいは政府機関員等の話し合いというか接触というか、広い意味の接触、これについてはどういうような基準をもって処するように防衛庁は指導しておるか、あるいは教育しておるか、この点どうです。
○政府委員(伊藤圭一君) これは特に基準というものはないわけでございますけれども、たとえば、アメリカのような国でございますと、日米安保体制ということでございまして、きわめて友好国というふうに考えております。したがいまして、向こうに行って留学をするというようなこともあるわけでございますから、親密の度というものは一番深いかと思います。それからやはり自由主義諸国におりますので、自由主義諸国との交流というものは、いわゆる共産圏の諸国の方々との交流よりは頻繁であり親近感を持っているというのが実情だろうというふうに考えております。
○内藤功君 友好国だからと言って、自分の国の利益というものを軽く考えちゃって友好国だから安心だと、友好国だから軍事的にも何にしてもこの国に頼れば安全だ、友好国の軍隊に頼れば安全だという余り心を許してはならないと思うのです。私はそういう意味でいま方針を聞いたわけです。長官でもいいんです。これは長官でもと言ったら失礼だが、長官もお考えあってしかるべきだ、一言。
○国務大臣(三原朝雄君) もちろん、いま言われたように、私どもといたしましては一応友好国ということが、一つのいま局長が話しましたようなそういう考え方もあろうと思いますけれども、あくまでもやはり独立国として独自の立場で教育を見ていくということが大切だという御指摘の点は私もそのとおりだと考えております。
○内藤功君 これについては、さきの上田議員の質問との関連もこれあり、また後日この点については具体的に触れることがあるかもしれません。 次に、伝えられるところによりますと、最近発行の米週刊誌タイムの記者会見で、前院内総務のマンスフィールド氏が在韓米軍撤退後の問題について、地上軍の撤退後は米空軍力のかさによって埋め合わせることができよう、それでこの空軍力のかさは日本に基地を置き、韓国援助にかけつけることができると、こういうことを言明したと報ぜられておる。お読みになったと思うが、これは米地上軍の撤退というこの後の事態が特に日本、これは本土、沖繩を含む日本を基地とする米空軍力の機能の強化、それからそれに対する日本政府の一層の協力体制の強化というものを必然的に呼び起こすと思うけれども、これに対する対応の姿勢、あくまでいままでどおり、地上部隊撤退後も全面的に積極的にこの在日基地からの朝鮮半島に対する米空軍の出撃、出動、展開というものを支援していくということに、同じ考え方でいくんですか。それとも、いまこの事態になってこれはなかなか全面的な協力というのは日本の国益から見ると危ないぞと、これはこういうように腹を据えてかからにゃいかぬというような気持ちもあるのかないのか、ここのところを確かめておきたい。
○政府委員(山崎敏夫君) 今回、駐日大使に指名されましたマンスフィールド氏が、御指摘のタイム誌との記者会見においてその種の発言をしたということは私たちも承知しております。まあしかし、われわれの理解するところでは、現在アメリカが撤退の対象として考えておりますのは在韓米地上軍、陸軍のみでありまして、在韓米空軍は撤退の対象とはなっていないと承知しております。朝鮮半島におきまして、万一紛争が発生した場合に、米軍は空軍力による支援というものをどういう形で行うかということはこれは米国が判断する問題でございますけれども、もし万一、在日米軍施設区域を戦闘作戦行動のための基地として使用する場合には、当然日米安保条約に基づいて事前協議の対象となるものと考えております。
○国務大臣(三原朝雄君) アメリカ局長から大綱的な御意見がございましたが、私どもマンスフィールド氏の記事は承知をいたしております。しかし、事実その背景なりというようなものもあろうと思いまするし、正確にその発言内容を受けとめるというようなこともできないわけでございまするが、いまここでその論評をすることはできないわけでございまするが、いま局長が申されたように、自衛隊自身は、御承知のようにもう外国に出るというようなことはございません。しかし、まだ実際の地上軍の引き揚げの態様というようなものも明確でございません。大きな関心は持ってその推移を見ておるわけでございますが、特別にまあ事態に対してどうだという変わった体制を考えておるわけではございません。
○内藤功君 最後にもう一問だけ。 これは防衛庁になると思いますが、いま朝鮮半島で米韓両軍のかなり大規模な演習が行われている。これは新聞でも報道されている。チームスピリットという名前だと、ニックネームだとも言われておる。この演習には、私も細かいことは聞きませんが、在韓米地上軍の第二歩兵師団ですね、これが参加しておるという情報を得ているか得ていないか、この点だけ。つまり師団名、部隊名にこだわらなくてもいいが、在韓のいまの米地上部隊は参加しているかどうか。
○政府委員(伊藤圭一君) その在韓の第二歩兵師団が参加しているかどうかという具体的なことは知りませんけれども、米韓の統合合同演習であるというふうに聞いております。
○内藤功君 参加しているんだな、そうすると。判断はどうだ、当局の判断、判断を聞いている。
○政府委員(伊藤圭一君) 米韓の統合演習でございますから一緒にやっていると思います。
○内藤功君 そういう判断か。
○政府委員(伊藤圭一君) はい。 〔主査退席、副主査着席〕
○三治重信君 防衛庁にお伺いしたいのですが、よく防衛庁との関係で議論をされておりますのは、いまのお話のように、日米の安保条約の施行の問題からの議論が非常に多いわけですが、私は非常に素朴な疑問かもわかりませんが、自衛隊が独自の行動をとる場合のいわゆる法的な規制が、どうも民間というんですか、一般の素人にはわかりにくい体制になっているんじゃないかと、こう思うわけなんです。したがって、厳密な法的な解釈ということではなくして、一般の普通の人たちが常識上の判断として自衛隊の行動について、ああそういうもんかと、こういうふうに判断をする材料を得たいと思って御質問するわけなんですが、聞くところによると、国内に外国の軍人や、それから部隊が無断で来るというのは事前にわかるかもわかりませんが、集団的に日本に上陸をする、こういうふうな場合に、警察がまずそれについて防衛対策といいますか、つかまえるなりあるいはそれに対する取り調べなり、そういうことをしないと、自衛隊は外国軍人でありあるいは外国のそういう武器を持って入ってきた者、それが逃亡であろうが、まあその他であろうが、それに対して防衛庁が独自でそういうのに対処できない、こういうようなことを聞いているんですが、それはほんとなんですか。
○政府委員(伊藤圭一君) いまのお話でございますけれども、まず国内の治安の取り締まりといいますか、これは第一義的に警察が持っているわけでございます。したがいまして、取り締まりの観点からいたしますと、通常の場所にぽつんと不法入国したというような場合には警察の取り締まりになるということでございます。ただそれが武器を行使するといいますか、攻撃的なものであれば自衛隊がそれに対処するということでございまして、ただ不法に入ってくるというだけのことでは取り締まりの責任というのは警察なりあるいは海上保安庁なりが持っているということでございます。
○三治重信君 そうすると、これは外国がしたがって日本へ攻めてくる場合は、日本の自衛隊の体制からいくと、武器や戦車やいろんなものを持っていってもただ発砲しなければ日本は占領できるのだと、こういうことを聞くわけなんですけれども、実際武器を行使しなくてどんどん陸へ上がってくる、空からおりてくる、そうするとそれは警察がやる。相手が発砲もしない、武力も行使しないんだから、軍隊の兵隊さんがどんどん上がってきて、 〔副主査退席、主査着席〕 その一般的な判断で言うと占領だと、こういうこと、武力行使しなければ自衛隊は動かぬということになっているんだということを聞くわけですが、それはほんとなんですか。
○政府委員(伊藤圭一君) 自衛隊が自衛権を発動するに当たっては三つの要件というのが私どもしばしば御説明申し上げておりますが、その一つはわが国に対する急迫不正な侵害があるということ、それが急迫不正な侵害であるかどうかという判断が一つあろうかと思います。いまおっしゃられたようなケースでございます。それからもう一つは、他に適当な手段がないことということがございます。したがいまして、ほかにたとえばそういう場合に、ただ上がってくるというだけで直ちに外交チャネルを通じてそういうことはけしからぬことではないかということで帰っていくようであれば、それはまた一つの方法であろうかと思うわけでございます。それから、その場合にもなお必要最小限の実力行使にとどまるべきことというこの三原則があるわけでございますが、いま申されたようなケースというのはまあきわめて起こりにくいとは思いますが、たとえば国際情勢が非常に緊迫している状態のもとでそういうことが行われるということになって、それが急迫不正な侵害であるというふうに政府が判断し、そして、ほかに手段がないということになれば、これは排除するということになろうかと思います。
○三治重信君 そうすると、あくまでそれは政府、いわゆる東京の政府として判断しないと自衛隊は現地では動けない、こういうことなんですか。
○政府委員(伊藤圭一君) これは防衛出動といいますか治安出動といいますか、この行動につきましてはきわめて厳格に私どもは考えておりまして、また、法律上もそういうふうになっているわけでございまして、現地の部隊長の判断だけで直ちにこの自衛権を発動する行動というのはとれないことになっておりまして、御承知のように、内閣総理大臣の権限の発動によりましてそれが初めて行われるということになっておるわけでございます。
○三治重信君 そうしますと、結局現実に外国へ自衛隊は行かぬわけですから、専守防衛なわけなんですから、それから、それはどういう原因であろうが武装兵力なり、また外国のいわゆる軍艦といいますか、艦艇なり船なり、そういうものが日本の領海や陸地へ上がってくると、こういうものは当然現地の、各地に配置してある自衛隊によって何らかの対処の仕方、判断がなければ、まあ東京で対処すると言っても、それは警察情報によって、何というんですか、政府が判断すると、もちろん自衛隊からも来るわけですが、その点の体制というのか、政府が判断をする、対処する、意思決定をする場合の現地からの――それはその現地からは、現地は中央の指令だけでやって、そこはそうきちんとはいかぬでしょうけれども、いずれにしても、そういうもののいわゆる予防的なものとか、現実の対処というものは一切とめられていると、こう判断していいわけですか。
○国務大臣(三原朝雄君) 先ほど局長から申し上げましたように、自衛権の発動につきましては非常に厳しい歯どめのあることは御承知のとおりでございます。しかし、ある日突然そういうことが起ころうとも考えません。諸般の国際情勢等の動きというようなものが、私はそういうことを決するものだと思いまするし、まあそういう意味で、平和国家あるいは専守防衛の日本にいたしましても情報の収集ということがきわめて重要なものになるわけでございまするが、したがって、非常に険悪な周辺の情勢でございます場合には、あらかじめ総理大臣の承認を受けて待機をさせるというような予備的な処置が行えるようになっておるわけでございます。
○三治重信君 それは何といいますか、今度は領海を広げるとする、まあいま領海三海里の中の問題でもいいわけですが、十二海里になるともっとやはり上ばっかりじゃなくて下、いわゆる海の中で、その領海に――まあ領海になると陸地と同じに考えられる。それから空も領海が広がるといわゆる防衛範囲も広がるわけでしょうが、それに対して自衛隊が固有の領土に対していわゆる敵の軍隊らしきもの、また軍隊がとにかく侵攻の目的だろうが何だろうが入ってくる。また、そういうことに対して日本の陸上、海の中、海の下、それから空に対して、そういうものに対してやはり一切合財何かいかなる侵入があろうとも、自衛隊は武力行使ができないんだという、そういう体制というものはやはり私は余りにも何というんですか、もうちょっと考え直していい時代になってくるんじゃないかと、こういうふうに考えることと、それがやる場合においても、内閣総理大臣がそういうことに対する指令というものを決意しなければできないんだと、そういう歯どめはいいとしても、それに対する臨機応変、直ちにやれる対策というものが検討されなければならぬと思うんです。 そういういわゆる何といいますか、日本を占領する目的とか、そういうことがわからぬにしても、そういう外国の軍隊また軍人というものの侵入に対してどう対処する体制ができているのか、そういうものに対するのは余り研究してないのか、日米安保条約の実行については微に入り細をうがっていろんな条件が考えられているけれども、自衛隊が独自にそういうふうにいわゆる不意にというか、どういう条件を考えましても現実がそういうぐあいになった場合に対する対処の仕方というものについてもう少し応急対策と申しますか、きちっとした対策がなければ、国民は、自衛隊が国民を守ってくれるんだという信頼感というものについて非常に不安を感ずるんじゃないかと思うんですが、その点どうですか。
○政府委員(伊藤圭一君) いま先生の御指摘になりました点につきまして具体的に御説明申し上げたいと思いますが、そういった突発的な侵犯といいますか侵入が行われる可能性があるのは空でございます。航空自衛隊は法律に基づきまして領空侵犯に対する任務を負っているわけでございます。したがいまして、これは一瞬のうちに判断して飛び上がっていかなければなりませんので、この措置につきましては長官の命令によりましてスクランブルについております飛行機が、これは総理の命令とかなんとかいうことではなくて、防空識別圏の中で、しかも日本の領空に近づいてくるというものに対しましては自動的に上がるような対策がとられているわけでございます。これがいわゆる起こり得る突発的なものに対して自衛隊がとっている措置でございますが、海上におきましてはやや異にいたしておりますのは、平時におきます海上の取り締まりの責任というのは海上保安庁が持っておるわけでございます。そしてまた領海と領空の違いは、一言で申しますと、領空の方は無害であろうが有害であろうがとにかく入ってくるものは侵犯ということでこれに対する措置ができるわけでございますけれども、領海の方は無害で通航しているものについてはこれは国際的にも認められているわけでございます。したがいまして、その取り締まりというのは海上保安庁がやっておるところでございまして、いまお話しのような形で仮に軍艦なんかが入ってきて海上保安庁が取り締まりをしようと思っても威嚇するというようなことになりますと、これはいわゆる暴力的な不法行為ということでございますので、自衛隊法の八十二条の特別の警備行動ということで海上保安庁の足りないところを補うという任務が与えられておるわけでございます。ただ私どもの経験でまいりますと、この条項が発動されて自衛隊が海上の場合に警備行動で出動したということは過去にございませんでした。
○三治重信君 そういうふうに空の領空侵犯に対して直ちに飛び上がって警戒に当たるということはよく聞いておりますが、そういう場合にでも、いかなることがあっても侵犯機が発砲しなければこちらは一切発砲しちゃいけないんだと、絶対発砲しちゃいけないんだ、こういうふうに聞いている。 それからもう一つ、いまの海上保安庁のそういう侵犯に対する警備、こういうふうなことを考えると、海上保安庁は軍隊じゃないわけです。軍事力とか軍隊じゃないわけですね。ところが向こうは潜水艦なり軍艦が入ってくる、こういうときに、やはりこれは外国でも海の場合にはそういう海軍ではなくして、そういう護衛艦といいますか、沿岸警備隊というのが敵の海軍に対してでもそういうことをするのが常識といいますか、そういう法体系といいますか、そういうことになるんです。上だけは警察力がないから自衛隊が警察の警備も兼ねてぶんぶんぶんぶん上を飛んだり、すぐ飛び上がったりするが、これは警察は飛行機を持っていなくて、空の守りは日本においては自衛隊しかないから、いわゆる日本の治安、保安の限界がないと、こういうことは限界のある海に対しても、それは外国に対しても一般的にそういうことです。 私は、敵のといいますか、どこの国にしても、いわゆる軍事力の一部がそういう領海なり陸上なり空に入ってきた場合に、警察というものの手を経なければ、軍隊といいますか実力部隊が、実力を行使できないという体制というのは日本だけじゃないかと思うんです。もっともそれが厳格に行われて、またそれも事実上そういうふうなことが内閣総理大臣の指令がなければ絶対できないということになると、これは非常に――日本だけじゃないかと思うんですが、その外国との比較の関係においてそういう問題はどう思いますか。
○政府委員(伊藤圭一君) ただいまの御質問の前段の分について御説明いたしますと、向こうが撃たなければこちらが撃てないというのは、私どもは領空侵犯措置の際もその他の場合にも、やはり正当防衛と緊急避難という面で必要な自衛措置をとるということになっているわけでございまして、ただ正当防衛の場合に、向こうが撃たなければ絶対に撃てないかということになりますと、これはやはり航空機というものの持っている性能その他もございますので、いわゆる正当防衛の範囲に入る中では武力が行使できるというふうに理解いたしております。 それから後段の部分でございますが、世界各国を見ますと、平時におきます領海の取り締まりを海軍でやらせている国と、それからまた別の組織、これは軍の組織ではないものでやらしている国とまちまちでございますが、少なくとも軍の組織、海軍の組織以外の組織でやっている国というのが私どもの承知している限りでも二十カ国以上あると記憶いたしております。そして、またそういうところは平時におきます領海の取り締まりというものはそのコーストガードというようなものがやっているわけで、日本の場合には海上保安庁がいわゆる武力というものをほとんど持っていないというのが外国と多少違うところだと思いますが、必要に応じては海上保安庁はそれなりの武装をするということも可能でございまして、現に例の李承晩ラインの問題が起きましたときには、海上保安庁が単なる拳銃だけでは足りないだろうということで、これは政府の中で話し合いまして、防衛庁にございました大砲の一部を海上保安庁に移管いたしまして海上保安庁の船に乗せたというようなこともございました。しかし、第一義的には海上保安庁がその取り締まりに当たるというのが現在の法のたてまえであろうと私どもは考えておるわけでございます。
○三治重信君 それから、ちょっと話が変わりますが、そういう問題の前提として非常にいろんな情報収集というものが自衛隊にもやはり必要じゃないかと思うわけなんですが、そういう一口に言えば一般的なスパイ対策、まあ日本にそう秘密がないかもわかりませんけれども、しかしそういう日本のいろいろのスパイに対する対策、また自衛隊が世界の軍事力、防衛の考え方、方法というものに対するいろいろの資料の収集と、こういうものに対する軍事情報の収集体制というものは予算の中には項目として別にないようなんですけれども、これが非常に私は必要だと思うんです。世界――アメリカは特別、どこの国でも相当行われているんじゃないかと思います。そういう体制はできているのかどうか、どういうふうなことを考えているのか、簡単にひとつ。
○政府委員(伊藤圭一君) 御承知のように、わが国にとって情報の収集というのはきわめて重要であると私ども考えております。この情報には国内の情報と国外の情報があるわけでございますが、自衛隊は治安出動の任務を持っておりますので、国内の情報というものも必要でございますが、これはおおむね警察等の治安関係機関からいただいておるというのが実情でございます。外国の軍事情勢につきましてはいろいろな努力をいたしておりますが、一つには、いま各国で出されております公刊の資料がございます。これを分析し、評価するというような仕事も一つございます。それからもう一つは、私ども外務省を通じて在外公館からのいろいろな情報が入ってまいります。こういうものを分析し評価するという仕事もやっております。さらにまた、先ほど御指摘がございましたように、アメリカとの軍事情報の交換というようなことも積極的にやっております。さらに近隣諸国から飛んでまいります通信といいますか電波、これも聞いていろいろ情報の資料にいたしておるわけでございます。さらにまた、これは一般の方方が外国旅行などをした際に、目新しいようなこと、気づいたようなことを伺えるような機会には、そういう方々からもお聞きするというようなこともいたしておりまして、いろいろな角度から情報の収集には努力はいたしているわけでございます。これは防衛庁におきましては防衛局、それから統幕の二室というところ、それから各自衛隊におきましては各二部関係、いわゆる情報担当の関係のところでそういうものを集めて分析しているわけでございます。さらに運用関係にいたしましても、たとえば海上自衛隊は航空機、艦艇によって調査をし監視をしたり、あるいは海峡を通過する船なんかを調査し監視をするというような形でいろいろな情報を得て分析しているわけでございます。
○三治重信君 私はそういうふうにいろいろの世界の軍事情勢、また国内のいろいろの情勢について情報収集なり分析を積極的にやられるということは非常に敬意を表するわけですが、それとともに、防衛の関係でやはり国民一般にそういう、ことに私は米ソの超大国の軍事力によって世界の、ほかの国との軍事力の物すごい差によって、米ソが戦わなければ局地戦はあるとしても国際戦争というものは成り立たぬと思っておるわけなんです。しかし、そういう判断は別として、実際の軍事情勢やそういう軍事力の開発というのはどういうふうなことまで行われているのだと、こういうことについて国民に対するPRというものをもっとしていただくと、われわれのところへ回ってくる防衛関係の資料というのはなぜ日本は、日本はどの程度の防衛力が必要かとか、防衛の観念はどうだとか、資料の中身を読んでみると非常にむずかしい文面ばかりですね。現在において、一部のそれは一般の人、民間の市民はわかるかもわかりませんが、もう少し国民にわかる本当の軍事力の簡単な比較、世界情勢というものを国民に知らす対策というものをぼくは考えるべきじゃないかと思うのですが、それによって終わります。国民へのPR。
○政府委員(伊藤圭一君) いま先生の御指摘をいただきましたが、私も五年ほど広報課長をやっておりましたが、そのとき多くの方々から言われたことでございます。私どもは私どもなりに努力はいたしておるつもりでございますけれども、やはり一般の方がわかりやすいような形で材料をなかなか与えてくれないという御指摘が当時からございました。一昨年やりました防衛を考える会の際にも、一般の有識者の方にお集まりいただきましたときも、最初に御指摘をいただいたのはその点でございました。したがいまして、私どもも広報に努力すると同時に、大臣からも特にそういう点を御指示をいただいておりますので、そういう努力は今後もぜひ続けなければならないというふうに考えておるわけでございます。
○秦豊君 時間が時間ですから長官、簡潔に答えてください。冗漫な答弁はお断りします。 アメリカのブラウン国防長官が北東アジア歴訪の旅に出る、恐らく六月以降と思いますが訪日要請をすでにされていますか。あるいは来日しない場合にはあなたが、三原長官がペンタゴンを訪問される予定がおありですか。
○国務大臣(三原朝雄君) 近く韓国を訪問される、六月に入りますればそういう予定があることを承っておるわけでございまするが、その際に日本に立ち寄られるのではないかというような判断をいたしておるわけでございます。したがいまして、私といたしましてはせんだって申し上げましたように、坂田・シュレジンジャー会談の際の原則的な、年に一回はひとつ会おうではないか、そして安全保障等の問題、運用の問題等について話し合いをやろうではないかということが合意を受けておりまするので、ことしは私の方から訪ねたいと思っておるわけでございますが、まだ日程等は決まっておりません。
○秦豊君 そうすると東京-ソウルという日程になるかどうかわかりませんけれども、それを受けて東京会談、そしてワシントン会談、まあ秋以降国会の日程を見て訪問される意向は強いというふうに理解していいですね。
○国務大臣(三原朝雄君) 大体そういう考えでおるわけでございます。
○秦豊君 ならば注文が一つあります。それは四月六日の予算委員会でFXを聞いてもあの調子ですね。ところが翌日四月七日の朝日新聞ワシントン村上特派員発、例のコーチャン回想のジャーナリストです。彼によるとF15の欠陥説は消えていない、日本に対するレター、山崎さんへのレターを含めてこれはリップサービスであるということがちゃんと書いてある。ぼくの質問と同じ角度、同じ観点と同じ構成で報道がなされています。したがって、私はもう執拗にこのFX問題をやっているんだけれども、胸にすとんと落ちない。PXLも時期が迫った。AEWも日程に上りつつある。いろいろと大きなアイテムがある。だからむしろ積極的に三原長官が行かれて、東京に来た、ちょこっと会った、終わったじゃなくて、マクティブにあなたの方が行って話し合うべきだというむしろ意見を持っている。その際は専門スタッフを帯同されて、このFX問題についてわだかまっている重大なる疑惑、国民的な疑惑、腑に落ちないポイント、これをあなたは長官として晴らす必要がある、明らかにする必要がある、こう思っているんですが、いかがですか。
○国務大臣(三原朝雄君) 現在の時点におきましては、今日まで調査団も派遣をいたしました。なおまた外務省を煩わしたりMDAOを通じたりいたしましたもの、あるいはブラウン証言、また私に対する文書等もあるわけでございまするが、そういう点でいま防衛庁が内定をいたしておりまするのを見直すというような判断はいたしておりません。しかしながら、いま先生が指摘されますように幸いの機会と申しまするか、たまたまそういう機会が予定されるとするならば、私はその時点に立って必要性をやはり認めながら処置をせねばならぬかなという判断をいたしておるわけでございます。
○秦豊君 江口さん、価格調査は別班をお出しになるんですか。
○政府委員(江口裕通君) そういう必要性は一面においてはあると思いますけれども、現在のところは決めておりません。
○秦豊君 六月ごろではないんですか。
○政府委員(江口裕通君) まだ未定でございます。
○秦豊君 それは考えてください、長官の日程と合わせて。そして長官、これは要請ですが、FX問題、内定に執する気持ちはわかる。わかるが国民的な共感を得られていない、しゃにむにFX、正面装備、この路線に反対、トータルとしてのとらえ方が足りない。ぼくは何も14、15、16を並べて15が悪くてこの機種がいいなんというつもりは毛頭ない。あなた方のやり方が余りにもずさんだから、急ぎ過ぎるから、粗雑だからそれを問うているんです。だから江口さんは考えると言うが価格調査は労務費からいろいろなライフサイクルを含めて調べ直さなければだめですよ。アメリカの議会だって質問するたびに値段が上がっている、急上昇じゃありませんか、ぼくの質問に対しても昨年以来十七億円上がっている。こんなことでは納税者が納得しません。だから長官ちょうどいい機会じゃありませんか、いろいろな専門スタッフを帯同されて、それが実質的にFXの再調査になったらそれでいいじゃありませんか、重ねて答弁を願いたい。
○国務大臣(三原朝雄君) その時点になりまして必要性を認めますればいまの御指摘の御意見のような点は考えてみたいと思っておりまするが、特にその前提となります、強引に私どもはこれを最終決定に持ち込もうということよりも、幅広く国民の理解と協力を受けたいというその姿勢だけは崩さずにまいりたいと思っております。そして特にロッキード事件のごとき轍は絶対に踏んではならないという戒めもあるわけでございまするから、そういう姿勢でこの問題と取り組んでまいろうと考えておるところでございます。
○秦豊君 あなたの信念は結構だが、信念が空転しないことを祈りたいと思います。 前回の予算委員会でこういう防衛アンテナ程度の何か子供だましじゃ困るから、より踏み込んだ資料を提出していただきたい、FX選定基準について、と申し上げたら伊藤さんはちょっと走って来られたが、長官は御自分の信念で出しましょうとおっしゃった。その後検討されてどの程度の資料なら提出可能になっていますか。
○国務大臣(三原朝雄君) ただいま検討を進めております。特に先生からも御指摘がございましたように、自分もこういう点についてひとつ必要な資料と申しまするか、意見があれば整理をして出してもやろうという御意見も拝聴いたしましたし、そういう先生方の御意見等も参考にさしていただいてもっと踏み込んで出せないかということで検討をさしておる段階でございます。
○秦豊君 ちょっとあえて逆戻りして触れますけれども、長官ね、訪米日程ですが、あおるわけじゃありませんけれども、言った方がいいと思うから言うんですが、来年度予算要求の時期もありますから、それからFXでしょう、PXLもありますからね、間を縫うとすればやっぱり八月とか九月の余り遅くないとき、秋が深まらないころというのが常識的な日程になろうと思うんだが、そういうふうな幅でお考えになるつもりはありませんか。
○国務大臣(三原朝雄君) ちょうどその時点に日本の政治情勢、参議院の選挙というような問題もあるわけでございます。そういうものを済ませた後ではないかというような一応の判断をいたしておるわけでございます。
○秦豊君 あなたの方でぼく並びにわれわれに提出していただく資料をいま練っていらっしゃるそうですが、ほどなくまとまりそうですか。
○政府委員(伊藤圭一君) 先般そのお話がございましたが、まず先生がおっしゃったような資料というものが出せるか出せないかということになりますと、私どもはきわめてむずかしいというふうな判断をいたしておるわけでございます。といいますのは、実際に調査団が行って向こうでいろいろな調査をしてきましたが、そのデータといいますか、その資料を提出するということはこれはきわめてむずかしいことでございます。それからたとえば運用解析といいますか、そういったものにつきましても個々のデータというものをお示しするということはこれはまさに手の内をさらけ出すことでございますし、また個々の飛行機の運用のデータということになりますので、その辺はきわめてむずかしい問題でございます。たとえば運用の解析などである一つの、一定の効果を上げるためにやった場合に、現在の他のナイキホークその他と一緒にやった場合に一番効果的であったのがF15であったというようなこと、そういうようなことは御説明できるかと思いますけれども、じゃそのときの上昇能力が何分間に何方メートル上がって、そしてそのミサイルの発射の効果が、命中率がどのぐらいであったとか、そういうような数字になりますと、これはきわめてむずかしいというふうに判断いたしております。
○秦豊君 山崎局長もいらしておるようですね、あなたあてに来た手紙の抜き書きをちょっと読んでみましょうか。桧町クラブと内閣委員全員に配った例のもう実に簡略きわまる要旨、情報、あれと全く違う点だけ読んでみますね。これはブラウン氏の二月二十四日上院軍事委員会のものです。「装備体系にいくつかの欠陥があります。具体的には、AIM・7F空対空ミサイルと火器管制装置」でありますけれども、以下略すると。それから、「いずれにせよ、この機種」つまりF15イーグルです、「この機種は、もともとの性能仕様の要請を満足させるものではないし、ここ当分は、それを望めないでしょう。あと五年ぐらいたたないと、あの性能基準を満たすものは現れないと思います。」これ完全な訳です、これは専門家の完全な完訳です。こういうものがあり、一方では記者クラブの全員とわれわれ内閣委員会をまさか愚弄するつもりはなかったにせよ、あんな雑駁なものをよこして、そうしてこの路線を進めようとするその路線自体に私は立ちはだかろうとしているわけだから、こういう重大な疑惑のある問題については再調査だろうが、言葉に、メンツにこだわる必要は毛頭ない。納税者に対する、国民に対する防衛当局側の、それこそあなた方が目指す国民合意の防衛というからには、こういう重大な欠落、疑念というのは積極果敢にあなた方が晴らさなきゃならないという前提だからこういう要求をしている。山崎レターは長官お読みになったでしょう。山崎さんからおたくへ回ってきた、ぼくも資料でもらったぐらいだからお読みになりましたね、私の言ったことお認めになりますか。
○政府委員(伊藤圭一君) 山崎局長にあてましたレターの内容は、ブラウン長官が二十二日、二十四日それから三月二日に発言されたことをまあ伝えてきているわけでございます。その二十四日の発言の中に、いま先生がおっしゃられたようなことが書いてございます。で、その後実はブラウン長官から三原長官あてのレターが参っておるわけでございますが、こういった点につきましては、私どもも関心があるわけでございますから、外交チャネルを通じましてさらに必要な問題点を指摘し調査をしたいというふうに考えておるわけでございます。
○秦豊君 村上特派員のを借用します。ブラウン長官の欠陥証言が米国内ではそのまま生きているのに、それに矛盾するような対日回答が行われる背景には何があるか、アメリカ空軍を中心としたアメリカ側のF15の生産をめぐる思惑が強く働いている。思惑とは何かというと、日本の防衛庁が昨年末に内定した百二十三機と言われるF15の採用予定機数をぜひとも確保しておかなければ、アメリカ国内における価格が末恐ろしいように高騰するからである。イスラエルも削ってきた、頼みは日本、はっきり書いてある。だからこそ私は疑念が晴れないと言っているのであって、やっぱりブラウンが素人だなんだというのは、あなた、伊藤さん失礼ですよ、専門家ですよ、あの人は。一月未満だから言い間違った――とんでもない、三回も右手を挙げ宣誓しているんですよ。きょう衆議院でやっている中曽根さんのようなああいうような不遜な態度じゃなくて、ちゃんと右手を挙げているんですよ。冗談言っちゃいけません。だからやっぱり再調査を出して長官が引き具して行かれてお調べになってはいかがか、これが私の方の持論です。ぜひとも考えてくださいね、長官、よろしいですね。
○国務大臣(三原朝雄君) 御意見はよく拝聴いたしましたが、いよいよそういう段階になりました時点で十分判断をいたしたいと思います。
○秦豊君 伊藤さん、あなた方がお考えになる参考資料としてこういうのはじゃあいかがですか。FX選定の前提とか根拠になったいわゆる脅威ですね、脅威について具体的に聞くことは許されましょうかね。たとえば評価解析をしたときの敵、対象機、この機種はどういうふうにインプットされたのか。スホーイ15なのかミグ23なのか、いやバックファイアなのか、いや全部入ってますと、もうおさおさ怠りなく全部入れてますと、ミグ28もできれば入れちゃいますと、こういうふうなんですか、どうなんですか、それも言えませんか。
○政府委員(伊藤圭一君) これはアンテナに書きました中にも書いてございますけれども、次の戦闘機というものはいわゆる第三世代から第四世代、いわゆる私ども現在のファントム等は第二世代の飛行機というふうに認識いたしております。第三世代の飛行機として考えら細る、現実に現存するものといたしましてはスホーイ15とかミグ23、そういったものがございます。 それから第四世代になりますと、まあそういったものの技術開発の延長線上にある飛行機だというふうに考えておりますので、一応そういった機能を持った飛行機のデータというものはインプットの中に入れてございます。
○秦豊君 こういうことですね、機種と一緒に機数、来る方向なんというはもう常識中の常識だから、そういう作業も済ませられたわけですね。
○政府委員(伊藤圭一君) これは私どもの方でいろいろな角度から見積もりをいたしまして、現在わが国周辺に配備されております飛行機、その飛行機が仮に日本に侵略を目指すようなときには、そのうちのどの程度を差し向けることができるだろうかというようなことは計算の中に入れてあるわけでございます。
○秦豊君 私、私見ですから、あなたは専門家だから言うてください。八〇年代の中期までを見通しましてスホーイ19とかミグ23などを含めて日本に対するソ連の戦闘機、爆撃機じゃなくて戦闘機ですよ。戦闘機の長距離侵攻などというものは、ぼくはそもそも成り立たない、あり得ないと思っているんですが、あなたはどういうふうに思っていらっしゃいますか。
○政府委員(伊藤圭一君) いわゆる第三世代から第四世代にかけますわが国の脅威の一つとして私どもが受けとめましたのは、第二世代まで、すなわち現在のファントムを整備するまでと違った点が一つございます。それはいままさに申されましたいわゆる戦闘爆撃機の航続距離というのがきわめて伸びてきたということでございます。したがいまして、そういった戦闘爆撃機に対処できるいわゆる飛行性能といいますか上昇能力といいますか、そういった機能を持つ必要があるということも大きな要素になっているわけでございます。したがいまして足の長い爆撃機だけ、すなわちその爆撃機も二マッハ程度の爆撃機、いわゆる飛行性能というものが鈍重な爆撃機というものに対するだけでは足りないだろうと、もっと機敏な行動をとる戦闘爆撃機もやはりわれわれが考えられる脅威の中にカウントしなきゃいけないだろうという判断をいたしておるわけでございます。
○秦豊君 伊藤さんね、ソビエトの第三世代、あなた方のカテゴリーで言うと第三世代ですね、あの程度のと言っちゃあれだけども、あの種類の戦闘機ならばファントムで十分に対処ができるというのがわれわれの判断です。例外はありますよ、例外というのはたとえば高々度でミグ25とか、それから一部の低空域におけるミグ23とかね、これはちょっとしんどいと思いますけれども、ほとんどファントムでカバーできるという認識を持っているが、それは間違いですか。
○政府委員(伊藤圭一君) 私ども、もうすでに第三世代のものがあらわれております。そしてそれに対処するためにファントムを持っているわけでございますが、大部分のものについては対処がある程度できるというふうに考えております。しかしながら第四世代といいますか、そうなってまいりますと、さらに軍事技術というものも発展するであろうということを予測いたしておりますし、同時にまた次のFXというものは先生も御承知のように、従来の104とかあるいはファントムなんかに比べますと非常に寿命が長くなるだろうという判断がございます。したがいまして、104などが三千時間で落ちていくのに比べるとかなり長期にわたってこれを維持しなきゃならない。そうすると能力の足りないものを長く持っているということになりますと、ますます対処ができなくなるんではないかという考え方も持っているわけでございます。
○秦豊君 防衛局長、あなた方の防衛アンテナで一応ざっと述べている第四世代のソ連機ですね、あれはぼくなんかの目から見ると非常に理想化されているんですよ。物すごく理想化されている、あんな理想的な飛行機だったらF15イーグルなんかじゃ対処できませんよ。そうじゃありませんか。
○政府委員(伊藤圭一君) まあこれは判断の問題でございますから、先生のが間違っていると申し上げるわけではございませんけれども、私どもが、いわゆる軍事技術の専門家たちの考え方、そういったものを参考にして判断したのでは、やはり第四世代の航空機というものはかなり高水準のものになるだろうという判断をいたしたわけでございます。
○秦豊君 こういう点も答弁できませんか。たとえば費用対効果。あなた方は高い税金をお使いになってもうぼんぼんぼんぼん進められる、あなた方にとっては義務ですね。その費用対効果、あるいは防空効果を判定する基準になるのは一定の防空効果という概念でしょう、戦術概念として一定の防空効果。その内容を具体的に答弁することは国会ではだめなんですか。たとえば来襲機に対してどれだけ撃墜すれば効果があったと判断されるのか。全機撃墜はあり得ない、ならばどうするのかとか、あるいは候補三機極がそれぞれどれだけの成績の差がOR段階であったのか、そういうことももう極秘ですか、機密ですか、そういうことも一切国会では言えないですか、どうなんでしょか。
○政府委員(伊藤圭一君) その数字を具体的に申し上げるということはきわめてむずかしいといいますか、たとえば効果として一〇%の効果しか見ないということになりますと、もう攻めていっても一〇%しかやられないのだからというようなことになりますので、その数字はきわめてむずかしいわけでございますが、私どもが戦史などから調べたのを参考にいたしますと、たとえばロンドンをドイツが空襲したような場合に、三〇%撃墜されるとほとんどその後空襲が行われなかったというような戦史もございます。したがいまして、まあ常識的なものといたしまして、いま先生が申されましたように全機落とすなんということはもちろんできないわけでございますから、そういった戦史なども勉強しながらこの程度ということは持っておりますけれども、それを具体的に申し上げるのはきわめてむずかしいというふうに思っております。
○秦豊君 それから、これも検討して回答してください。時間がないので大変困りますが、答弁じゃなくて、検討して確実に答えてください。つまり費用対効果を算定するために基準にした、いまから申し上げる金額を私に対し明らかにすることができるかどうかをお問い合わせをします。まず、各候補機の機体及び補給品、あなた方のテクニカルタームだと補用品という言葉なのかと思いますが、補給品の価格、それから各候補機種の支援整備に要する人員の数、そして各候補機の維持経費、これは値段を考える場合に必須のものですから。アメリカの議会などでは軍事委員会に全部この資料が出ています。日本ではいままで要求したこともないそうですが。それからもう一つ資料として、費用対効果で、いま申し上げた一定の防空効果を上げるために各候補機は何機あるいは何スコードロン必要と判定されたのか、具体的な比較の数値を聞きたい。私は何も防衛庁がこんなとらの子にしている手法を、手口を全部と言っているんじゃなくて、余りにもFX選定がこの程度ですりかえられているから納得できない。いま申し上げた資料は、長官は半歩前向きの答弁をされている。伊藤さんはためらった。空幕に抵抗があるかもしれない。それを突き破ってこのような資料が提出可能かどうかだけを、後ほど正確にお答え願えますか。
○政府委員(伊藤圭一君) いま直ちにお答えはできませんが、検討をさせていただきたいと思います。
○秦豊君 日米防衛協力小委員会が次回十八日に開かれますね、今度の議題は何ですか。
○政府委員(山崎敏夫君) まだ十八日に開かれるということを正式に決定しておるわけではございませんが、十八日開催の可能性を含めて米側と話し合っております。御承知のとおり、従来から防衛協力小委員会は三回にわたりまして開かれておりまして、これまでに研究協議の前提条件その他につきまして合意いたしたわけでございますが、今回はこの小委員会の研究協議の進捗を図るために作業部会の設置を決定したいと考えております。
○秦豊君 その専門部会、作業部会ですね、一部報道はされているが、正確なセクションの名前を挙げてくれませんか。たとえば作戦運用とか、補給、輸送とか、救難とか、物資調達、通信なんかありますね。六部会ができたんですか、それとも四つなんですか、ちょっと明確にしていただけませんか。
○政府委員(山崎敏夫君) 実は今度の会合で初めてその作業部会の設置を決めるわけでございまして、いろいろわが方も構想を持っておりますし、先方も考えておるようでございますが、その席上決まる問題でございますので、正確なところは現在ちょっと申し上げかねる次第でございます。
○秦豊君 当然、この指揮連絡、海空の防衛分担、補給、通信システムの標準化、基地の例のリエントリーですね、再使用、こういうふうな問題も当然含まれるわけですね。
○政府委員(伊藤圭一君) この前の会合のときに一応話し合われましたのは、機能調整に関する問題として、作戦機能、情報機能、後方支援機能等ということになっております。したがいまして、いま先生がおっしゃいました中で、たとえば海空の防衛分担というようなことは、ちょっと今度の研究の直接の対象にはならないかというふうに考えております。
○秦豊君 結局、これは日米連合戦略骨子というふうなものを踏まえてなさるわけですね、あるいは共同大綱というのか、そういうものが当然踏まえるわけでしょう、時間かけて。
○政府委員(伊藤圭一君) これはわが国に直接武力攻撃がなされた際の共同対処の基準といいますか手順といいますか、そういったのを前もって研究しておこうというものでございます。
○秦豊君 いまそれは全くないんですか。
○政府委員(伊藤圭一君) これは御承知のように、以前いわゆる幕僚研究として、統幕とそれから在日米軍司令部の間で勉強したことはございました。しかし、現在そういうものは、いわゆる勉強をかつてしたことがあるということで、常時行っているということではございません。
○秦豊君 あなたは私に何か間違った答弁をこの問題でされた記憶がおありですか、たとえば前国会で日米連合日本防衛戦略構想というのがあると私が申し上げたら、そのようなものは全くありませんと断言して、そんなに自信を持って答えない方がいいんじゃないですかと言ったら、いいえ大丈夫です、ありませんとお答えになったのを御記憶ですか。
○政府委員(伊藤圭一君) 前国会といいますと昨年の国会でございますか。――昨年の国会のとき私まだ防衛局長でなかったのでございますが……。
○秦豊君 いや、局長になって間もなくです。
○政府委員(伊藤圭一君) そうでございますか。いわゆる防衛構想というものをいま持っているかということだと、その防衛構想というのがどういう意味でございますか、わが方は年度の防衛計画というのは持っておるわけでございますけれども、共同の防衛構想というのは持ってないわけでございます。
○秦豊君 そうですか。文書の確認を願っていいですか。
○主査(中村太郎君) どうぞ。
○秦豊君 これを確認してくれませんか、これは防衛庁の部内の文書なのか。ここにちゃんと統合戦略あるじゃないですか、ぼくが書いた文書じゃないんだから、もしかしてあなた方のじゃないか。取扱注意なんて判こを押してあるようだが、それは外部文書ですか内部文書ですか、確認だけしてください。
○政府委員(伊藤圭一君) 私いまちょっと、これ見たことございません。
○秦豊君 いえいえ、あなたでなくて、防衛庁の内部文書か外部の文書かだけ確認してくれればいいです。
○政府委員(伊藤圭一君) ちょっとわからないです、これだけでは。
○秦豊君 そうですが、これは普通の官庁の書式に非常に似てますので、別表も二枚ついているから、あなた方のじゃないかと。社会党じゃありませんよ、あなた方だと思いますがね。 それを見ますと、日米連合日本防衛戦略構想の骨子というのをユニホームはもう一生懸命考えてスタンバイしているわけですよ。そういうものが全部これから下敷きになるんです、山崎さんたちや伊藤さんたちが出ていく――何にもなかったら進まないんです。こういう文書があるんです。あなたは引き継ぎを受けていらっしゃらないだけかもしれませんよ。あるいはユニホームは知っている、背広は知らないと。幕は知っている、内局はつんぼさじきかもしれませんよ。余りいいことではありませんよ。お調べになってください、そういうものがあるのかないのか。これは架空の文書であれば、ぼくの方があなたに脱帽しましょう。本当の文書ならば、これはやっぱり見逃せない問題を含んでいます。きょうは時間がないからそれだけやっているわけにいかぬけれども、とにかくあなた方は一九六三年の三矢作戦、六四年のフライングドラゴン、以後のブルランプラン等々、一貫してやはり自衛隊の指揮権と米軍の指揮権の調整とか――もっとも自衛隊の指揮権が米軍の下に来るんだけれども、それから有事の際の核持ち込みの公認とか、在日基地からの自由発進とか、危険なことがいっぱい書いてある。こういうふうなものがユニホームの頭の中にはたくさんあるわけですよね。それをだからぴしっと、それこそ三原長官のガバナビリティのもと、間然するところなく水も漏らさないようなシビリアンコントロールでぐっとやっておかなきゃ、一体どっちに向かって突っ走るかわかりませんよ。そこで統幕とこの在日米軍司令部というのはどういう連携になるんですか、この路線を推し進めていくとどうなんですか。
○政府委員(伊藤圭一君) 統幕と在日米軍司令部とは常時幕僚の間で連絡はとっておりますが、いま先生がおっしゃいました中で、指揮系統というのはこれは全く違うわけでございますから、そういった指揮機能の調整、そういったものをこれから勉強していくわけでございますが、統幕もそれから在日米軍司令部のスタッフも、それから私どもの防衛課の者も、外務省の安保課の者も一緒になりまして、そういったものをこれから勉強していこうということでございます。
○秦豊君 これは要するにこんな文書があろうがなかろうが、あなた方が日米共同で有事に備えるならば、両者の間、両軍の間の作戦思想、統一調整が当然必要になるわけだから、どっちみちこれにたどり着くわけですよね。そうじゃありませんか、こういうものに。
○政府委員(伊藤圭一君) いま先生がお示し願ったのは、私もよく読んでおりませんのでよくわかりませんけれども、いわゆるわが国に直接武力攻撃がなされたときの共同対処の要領でございますので、いろんな形で共同対処する勉強というものはなされるということは予想いたしております。
○秦豊君 そうなると、日米共同の統合戦略ができ、合意が成立し――恐らく表面的には二、三年かかると思うが、実際にはもっと早かろうけれども。そうすると全般的な作戦支援の要領ができるわけです。そして日本の直接防衛に対する増援兵力の運用あるいは後方支援補給、緊急不足物資の支援の規模、時期及び受け入れの要領、輸送支援の手当て、割り当て、日本に対する海外からの後方補給路の確保、その日米の海域分担、米軍の全般支援作戦の後方基地としての日本基地の使用と日本直接防衛作戦との関連とか、あるいは情報についても情報支援ということになると思うのだけれども、やはり戦略情報の相互交換、情報の調整手続及びそれを裏づける機構、特に太平洋軍司令部と直接接触の必要性と陸海空の情報組織及び活動の統一、こういうふうなものが全部今後お二人の検討のフィールドに入ってくるわけでしょう。こういうものがすり合わされてまとまっていかぬと防衛協力小委員会というものは機能しないわけでしょう、日米の共同防衛は、違いますか。いま言ったことは絵そらごとを言ったのではなくて、こういうふうな範囲も検討の対象かということを伺いたいのです。どうでしょうか。
○政府委員(伊藤圭一君) いま先生がおっしゃられましたのを全部フォローできなかったわけでございますけれども、まあ共同の対処の仕方にもいろいろ違いがございます。まあ非常に小規模な場合にはまず自衛隊が独自で行うというような場面もあるでございましょう。そういうときの対処の仕方もありますでしょうし、規模が大きくなってまさに共同対処しなければならぬ、米軍の強力な支援が必要な事態というものもあると思いますが、いろいろな場合を想定しながら対処の仕方というものを勉強していくことになろうかと思います。
○秦豊君 いま私が引用した文書の根拠は、三矢作戦計画、基礎研究四、対米関係事項の中にある日米共同作戦調整所のところを私は読んだのです。 つまり、あなた方は国会で追及されると、文書を廃棄しました、個人的な研究です、全く危険性はありません、こういう答弁、これでパターン化されていままで国会を通ってきた。ところが私の申し上げたのは、まさにいま日米防衛協力小委員会とかこういうものは三矢なき三矢作戦なんですよ、三矢なき三矢路線なんですよ。それがユニホーム同士のむしろ常識なんです。あなた方はなかなかついていけないのです、失礼だが。息せき切って行ってもなかなかついていけない。ユニホームのテンポが早いからです。三矢なき三矢路線です。ただきょうその問題をやっているととても時間が許されませんので、この問題は、もう時間ですからやめますけれども、引き続き追及をしていきたいし、先ほど要求した資料については的確な対応あらんことを要請します。
○政府委員(伊藤圭一君) ただいま三矢研究というので思い出しましたが、あのときに三矢研究というのが統幕を中心にして行われました。そこでそういういわゆる幕僚監部だけの仕事ではいけないだろうということで、今度の共同対処はやはりいわゆる政府のレベルでそういった方向を打ち出すべきだという反省の一つの材料であったかなというふうにいま感じているわけでございます。
○主査(中村太郎君) 以上をもちまして防衛庁及び外務省所管に関する質疑は終了いたしました。 午後二時まで休憩いたします。 午後一時十六分休憩 ―――――・――――― 午後二時四分開会
○主査(中村太郎君) ただいまから予算委員会第二分科会を再開いたします。 分科担当委員の異動について御報告いたします。 神沢浄君及び塩出啓典君が委員を辞任され、その補欠として久保亘君及び小平芳平君が選任されました。 ―――――――――――――
○主査(中村太郎君) 昭和五十二年度総予算中、通商産業省所管を議題といたします。 それでは、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○秦豊君 私はYXの問題にしぼりたいと思います、時間が時間ですから。 私のいま手元にありますのは、第七十五国会の予算委員会第二分科会の議事録なんです。当時の局長は森口八郎氏であったわけですけれども、このYX自体についてそのテークオフ、離陸を危ぶんでいるという、そういう前提で質問した私の質問に対して、森口さんは、それは私――秦とは意見が違うと、いまはボーイング社と最終的な詰めをしている最中でありまして、ほどなく離陸は必至でありますという、まあ担当局長らしい確信に満ちた答弁を私にるる述べられた。しかし、私は最後までYXは飛ぶはずはない、離陸はもうむずかしいですよということを申し上げて、一応これは平行線で終わっているんですよ。ところが、五十年三月二十九日から二年有半たって事態はまさに私が指摘申し上げたとおりになって、YXいまだ浮上せずと、これが現実ですね。何も先見の明を誇るほど甘くできていませんけれども、やっぱりこれは日本の航空機工業の位置づけ、YXの位置づけの中で大変問題があろうと思います。 そこで、本論に入る前に、田中通産大臣も担当されてかなり時間がたっておりますので、田中通産大臣の日本の航空機工業観、その中におけるYXを大臣としてはどのように見据えていらっしゃるのか、こういう点をまず概論として伺っておいて、それから本論にいきたいと思います。
○国務大臣(田中龍夫君) お答えを申し上げます。 航空機工業というものは、御案内のとおりに非常に付加価値の高いものでありますと同時に、また技術の波及効果が大きいという点から申しましても、典型的な知識集約型の産業でございます。今後わが国産業構造の高度化を図りまする上から申しましても、私はきわめて重要な問題であると、かように考えます。しかしながら、わが国の航空機産業というものは、その規模、技術開発力等の点で他の先進諸国に比べましたらかなり立ちおくれておりまして、その需要も防衛需要に極端に依存をいたした現状にありまするために、民間航空機部門の振興が特に必要であると痛感されるのでございます。 このような観点から、通産省といたしましては、YXの開発計画を推進してまいったところでございますが、今後ともにYX開発を中核といたしまして航空機産業の育成を進めてまいらなくてはならぬと、かように考えております。 なお、YXの開発には巨額な資金と大きなリスクを伴いますのでありまして、十分な事前評価と準備を行いまして、国民の方々の幅広い支持の得られる形でプロジェクトの遂行が図られることが最も重大な問題ではないかと、かように考えるのでございます。
○秦豊君 ちょっと最初に確認をさしていただきたいのですが、今年度のYX関係予算ですね、これは事業費が総額だと十四億五千万円、しかし、国家の助成率がありますから、これの七五%と記憶しておりますが、そうすると、十億九千万円で間違いありませんか。
○政府委員(熊谷善二君) そのとおりでございます。
○秦豊君 そうしますと、この十億九千万円の予算の性格、それから事業の見通しを恐縮だが簡潔に――後で本論がまだ肝心のところがありますから、簡潔に述べてもらって、特に私が知りたいのは、まさにボーイング社との間の覚書の締結、それから共同開発作業、ゴーアヘッドの時期についてはことさら明確に答えていただきたいと思うのです。
○政府委員(熊谷善二君) 五十二年度の予算の性格でございますが、私ども、この予算で先生御指摘の十四億の事業を持ちまして、いわゆる国際共同開発の事業につきましての可能性の探求、それから共同事業に入った場合にそれに対応していくという予算としてお願いをしておるわけでございます。内容的には、たとえば設計を行うとか、あるいは風洞試験等その他の試験を行うとか、あるいは市場調査を行う、あるいは実大の模型をつくって研究をする、こういったような予算でございまして、これは国際共同開発を行うための日本側のいろいろな準備を行う、あるいは日本側の力を培養する、こういった性格の予算であるというふうに考えております。 それからただいま御指摘のYXのゴーアヘッドの時期はいつかという問題につきましては、私どもが最近ボーイング社から聞いたところによりますと、明年の春ないし春以降、こういうことを期待いたしまして、ボーイング社はいまエアラインといろいろな注文その他についての打ち合わせもやっているようでございます。 それから覚書の時期につきましては、私ども現段階を御報告申し上げますと、昨年の秋ごろ申し入れがございまして、ボーイング社としては最終的な本プロジェクトに対する総合評価作業を行いたい、ついてはその作業の完了を待って交渉を再開したいということで、現在ただいまは中断になっておるわけでございますが、恐らくは本年の夏ごろには交渉が再開になるのではないかと考えております。
○秦豊君 大蔵省に伺いたいのですけれども、大蔵省は、このYXの予算を認めた際に、共同開発事業の相手先というのは必ずしもアメリカボーイング社に限定しないという一種の条件のようなもの、あるいは条件めいたものをおつけになった事実がありますか。
○説明員(吉居時哉君) YXの開発につきましては、わが国の産業構造の知識集約化を進めるために航空機産業という技術的先端産業というものの振興を図るという考え方に立ちまして次期民間輸送機の開発を推進しようということはいまさら言うまでもないことでございます。このような観点から、五十二年度の予算におきましては、YXの開発に必要な試験、設計、市場調査等の準備を進め、もし諸条件が整えば国際共同開発にも円滑に移行できるようにという配慮から、いわば弾力的な対処ができるようにというふうにして配慮した予算でございます。 ボーイングとの関係につきましては、これまでいろいろの交渉がございますけれども、五十二年度の予算につきましては、いわば具体的にどこというようなことは特に明示はしてございません。ただ、これまでの経過からいきまして、国際共同開発の相手先としてはボーイング社というものが最も有力ではあろうかというふうには考えておりますけれども、特にこの条件といったものはございません。
○秦豊君 ボーイングの7X7、向こうにはYXという言葉はありませんから、7X7に対して日本の参加比率、これは非常に肝心な点ですからきっぱり答えていただきたいんだが、日本の参加比率は一体どうなっているのか。つまり、先年の当分科会ではたしか私の質問に対して森口さんが二九%というふうに答えられたと思うのですけれどもどう変わったのか、これが一つ。 もう一つは、これはまあ一種ののれん代というふうな平たい表現をしていますけれども、格差調整費、これは幾らになる見通しなんでしょうか。
○政府委員(熊谷善二君) まず第一の参加比率の点でございますが、一昨年の末、ボーイング社の会長と通産大臣の会見を契機といたしまして双方の作業がかなり具体化、進展を見たわけでございまして、昨年の夏の時点で、これはボーイングのいわば子会社でございます民間輸送機会社でございますが、この会社と日本側の民間輸送機開発協会との間で進められておりました交渉の中で出ました意見は、結論から申しますと、日本の参加比率は二〇%程度が相当ではないか、こういう意見でございます。これは私ども当初はできれば五〇%、ただいま御指摘になりましたように森口局長時代のときは二九%ということを念頭に置いておりました。共同事業でやります場合の技術者の数、それから分担する作業の範囲等々を勘案いたしまして日本側としましては二〇%程度が両方の合意する線ではなかろうか、こういうふうにその時点では考えたわけでございます。なお、本件につきましては、ボーイング本社におきまして現在最終的な検討が進められております。この問題を含めまして新しい交渉再開になった時点では先方の考え方をもとにさらにわが方とのすり合わせが行われることになるかと思います。現段階では決まっておりません。 それからもう一点のいわゆる格差調整費の問題でございますが、この問題につきましても、昨年の夏の時点である種のめどはついたわけでございますが、しかし、これも最終的な検討の上で今後詳細な交渉が行われた上で決まるべきものであろうと、こういうふうに考えております。
○秦豊君 もっと話が進んでいるんでしょう、熊谷さん。つまり、参加比率は二〇%、ぼくもそうだと思うのです。のれん代というのは、その二〇%の開発費負担のさらに二分の一の線でもうすり会わせが終わりつつあるのじゃありませんか。そういうところは秘密でも何でもないのだから、討議の裏づけを確実にするためにもはっきりお答えを願いたいんだが。
○政府委員(熊谷善二君) ただいま御指摘のありましたように、さらに参加比率の半分の開発費をいわゆる格差調整費として考えると、こういう骨子になっておるわけでございますが、先ほど申しましたように、これを含めまして最終的な検討が現在本社で行われておりますので、現段階においてはそれが決まったという段階ではございませんで、もろもろの他の条件とともにこの夏の再交渉のときに議論されるべき課題であろうというふうに考えております。
○秦豊君 じゃ、少し質問の表現、ニュアンスを変えましょう。 開発参加比率が二〇%、のれん代はその開発費負担の二分の一であれば、日本側ものめる、アメリカ側も納得する、非常にいいバランスじゃないですか。
○政府委員(熊谷善二君) 昨年の夏の時点で私どもも実はその線で航空機工業審議会の方に報告をし、今後の最終的な交渉取りまとめにつきましての交渉方針について御了承を得たわけでございまして、その際は、おおむね、いま先生御指摘のように、骨格としまして、参加比率二〇%、それからいわゆる格差調整費につきましては考え方として二分の一の調整費を支払うと、こういう考え方につきましては審議会におきましても了承をいただいたわけでございます。しかし、その段階におきましても、いろいろ共同事業を実施するに当たりましての、たとえば体制の問題であるとか、どういう体制で事業を運営していくか、あるいはまた生産の分担の範囲の問題、各種の問題がございます。そういった諸条件の成熟を待ちまして最終的結論を出すべきものというふうに考えておりまして、中間段階として骨格について御了承を得た、こういうふうに思っているわけでございます。
○秦豊君 恐らく、あと二、三カ月もすれば、私が局長に申し上げたようになりましょうよ。それ以外は、なかなか時間の制約もあるし、これ以外の決めようはないと、私の調査ではそう思いますよ。恐らく、そうじゃありませんか。仮にその比率を当てはめてみますと、こうなるわけですね。7X7の開発費はいまでもアメリカで十億ドルと言われているから三千億円だと。しかし、やや諸事高騰でインフレの波及効果があるから、そうすると四千億円とも見られる。仮に四千億円という予測の数字を当てはめると、二〇%で日本側の開発費負担というのは八百億円という膨大な負担になりかねません。それはしかも開発費の負担であって、おまけにのれん代というのは、仮に私の観測によればその半分なんだから、少なく見ても四百億円、下手をすると五百億円というのがボーイング側に対する支払い金額として義務を負う。そうすると、一千二百億円という航空機工業の育成は、大臣も言われたように、なるほど波及効果は大きいかもしれぬが、財政の負担もまた巨額であるということになりかねない、そういうことになるわけですね。
○政府委員(熊谷善二君) 開発費が三千億になりますかあるいは四千億になりますか、現在いろいろ計算が行われておるところでございまして、正確には申し上げられませんが、たとえば四千億という計算をいたしますと、概数その程度のものになろうかと思います。ただ、一つコメントしておきたいのは、これは開発期間が四年間かかりますので、その準備等を考えますと、四年ないし五年の期間にわたって日本側が負担すべきものになる。これだけの大きなプロジェクトでございますので、私どもはこれに対して応分の政府助成を、これがいわゆる共同事業に着手いたしますればそういった政府の助成を考えるべきものかと考えて、財政当局にもお願いしたいと考えておるわけでございます。
○秦豊君 それじゃ、大蔵省に伺いましょう。 もしもお聞き取りのようにこの共同作業がゴーアヘッドするというときには、当然財政負担が生ずる。あなたの序論は伺いましたけれども、そうすると、大蔵省は、いま私が述べたような一種の想定金額一千二百億円の日本側負担というのを、意義ある国家事業だから気前よくお認めになる方針なのかどうか。その場合、もし認めるとおっしゃる場合には、その場合の国家の助成率ですね、国家としてどの程度助成をするかという助成率は幾らなのか、この辺もあわせて伺っておきたい。
○説明員(吉居時哉君) 先ほど申し上げましたように、YXの開発というのは、その性格にかんがみまして、次期民間輸送機開発の調査に対しましてこれまで国が助成を行ってきているところでございます。その現在の助成の内容は開発の準備段階ということで七五%の補助を実は行ってきているわけでございますが、ただいま先生のお話のように、将来YXが本格的な開発段階に入ったらどうするかという点につきましては、これは今後の計画全体の可能性、あるいは民間の資金負担能力がどうか、あるいは財政の事情はどうなるかということを総合勘案しまして、これに対しまして国がどのようにかかわるべきか、かかわれるかというようなことを総合的にその段階において検討したいと、こう考えております。
○秦豊君 そんなにあなた悠長な話じゃありませんよ。熊谷さんの話によっても、ゴーアヘッドは来年ですよ。普通の大蔵省のあなた方の感覚で言えば、そういう大きな国家的なアイテムがあると、もう一、二年前からいろいろと通産はそう言ってもMITIはMITIだ、大蔵は大蔵だ、われわれは大蔵であるという観点で優位性を保ってかなり精密な分析調査をされているのがあなた方の習性であって、そのときになって考えるなんというそんな悠長な、五年先の話なら私もあなたのその程度の答弁で納得するけれども、来年の春以降というような話のときに大蔵省として大体の方向もないというふうな答弁ではとっても納得できない。だから、大蔵省の方向はどうなんだ。そのときに考えると。とんでもない。もうあと何カ月もありませんよ。だから、その程度の答弁じゃなく、大蔵としてYXについての基本的な腹構え、財政負担の見通し、これを重ねて伺っておきたい。
○説明員(吉居時哉君) YX開発全体の計画というものにつきましては、まだ現在いろいろ検討中でございます。いままでの経緯でいろいろの経緯があったわけでございますけれども、現段階においてはまだそれがはっきりしておらぬ。そういうことから、五十二年度予算につきましても、従来と若干性格が変わりまして、まずYXの開発に必要な試験、設計、市場調査というようなものの準備を進めるということでもってでき上がっているわけでございます。もちろん先ほど申し上げましたように諸条件が整えば国際共同開発にも円滑に移行できるようにという配慮はしておりますけれども、まだ全体の構想は固まっておらぬ、こういう段階でございます。したがいまして、今後どのように一体なっていくのか、また、その場合に国がどのようにかかわっていくかということは、もう少し全体の構想を伺わなければわれわれとしては何も言えない、こういうことでございます。
○秦豊君 それはだめですよ、主計官。もう少し煮詰まってからと言ってもかなり煮詰まっているんですよ。覚書の締結寸前なんですよ。日本とアメリカの参加比率が決まり、のれん代の負担額まで決まろうというそういうときに、もっと全体計画をよく拝見してから考えるなんという悠長さは、はなはだ大蔵省的ではない。そうでしょう。私の疑問の方が常識的ではありませんか。それを知りたいんですよ。そういう答弁しかできませんか、主計官。
○説明員(吉居時哉君) このようにお答えして申しわけございませんけれども、現段階におきましては、全体のプランにつきまして、通産省の方からも将来についてどういうふうに官民の負担をやるべきかというふうな御意向についてもまだ十分われわれ伺っておりませんので、十分伺った上でもって私どもも十分考えていきたいと、こういうふうに考えております。
○政府委員(熊谷善二君) 大蔵省と私どもがいろいろ本件につきまして話し合っております概要につきまして申し上げたいと思いますが、いま大蔵省からお話しございましたように、昨年の八月の段階で、民間ベースと申しますか、次期輸送機開発協会と先方側との間で先ほど申しましたような骨格ができた。さて、それが具体的にどの時点からどういう事業採算のもとで行われるかといった問題につきましては、いまボーイングにおいて最終的な総合作業が行われておりまして、採算性を含めましたいろいろな検討が行われるわけでございます。その上で夏ごろ交渉再開ということで先方とさらに交渉を煮詰めました段階で具体的な先行きの計画がかなりのはっきりしたものができ上がるかと思っております。先ほど先生の御指摘になりましたように、一体この開発費が三千億なのか、あるいは四千億になるのか、これはもう採算にずいぶん大きな影響が実はあるわけでございまして、その場合のエスカレーションが一体どういうふうな見方をとるのかと、いろいろな点が実は議論がなされておりますが、結論に至っておりません。まさにその点をいまボーイングが議論しているところでございまして、いま大蔵省の方でただいま全体のプロジェクトの内容につきましての詳細な話をまだ聞いておらぬと、こういうお話はごもっともなんで、私どもとしましても、今後の交渉の中でそういった点をよく煮詰めて日本側としての最終的な結論を出し、その結論を持ちまして一体どの程度の民間の協力が得られるか、あるいは民間が資金を負担すべきか、政府がどれだけ負担すべきかということを案を持ちまして大蔵省と折衝をして将来についての取り扱いについての合意を得たいと、その段階で細かい話が具体化する問題であろうというふうに思っております。 ちょっと補足させていただきます。
○秦豊君 何かわかったようなわからないような補足で、補足されるたびにわからないというような感じなんですが、あなた方のお立場はわかりますよ。森口さんもそうだったし、あなたもそうなんだけれども、YXの背景というか、見通しに非常に失礼だけれども甘さがあるんじゃないかな。期待が大き過ぎて実態の認識が甘いのじゃないかと、ぼくはそう思うんですよ。なかなかこれはむずかしいですよ。ヨーロッパには競争機種がありますし、アメリカで生産機数の六〇%を自国内消費にしたって、ラテンアメリカと北東アジアを含めて売らなければ採算点に達しない。マーケッティングリサーチをすればそうなりますよ。甘くないですよ、この7X7というのは。そんなに容易じゃないんですよ。 では、あなた方そうおっしゃるけれども、じゃ、大蔵省ね、こういう質問をしたらどうお答えになるのですか。なるほどこれは国家的なプロジェクトです。一ころはナショナルプロジェクトという言葉もあったんだが、二〇%の負担でナショナルという言葉を冠するのはいかにもおこがましいとぼくは思うから、ナショナルプロジェクトなどという言葉は取り下げた方がいいとさえ思っているのですよ、大臣の意気込みにもかかわらず、この程度ではね。第一、航空機工業審議会の二度にわたる答申の中の自主性も失礼だけれどももう薄れ切っておるし、それから二〇%の負担では、イタリアと日本――イタリアはナショナルなんという言葉を使っていませんよ、ごく普通の言葉を使っています、普通のプロジェクト。日本だけは国家のプレスティージがかかっているというような意気込みが感じられるが、実態はこんなお寒い状態ですね。しかも、7X7はなかなか浮上しませんよ、これは。ぼくは依然としてそういう見方を変えられないんですよ。がんこじゃなくて、こちらのデータの方がクールだからですよ。通産は期待する側だから、どうしても、いや、大丈夫、大丈夫、大丈夫。大丈夫と言ってから、この議事録から二年半たった。これからどうなるかわかったものじゃありません。そういうふうなプランに対して、大蔵省は、方向として、案が煮詰まれば金額によって相談しましょうと。あんまりはね上がったらうちとしても渋くならざるを得ませんよというふうな方向なのか。まさにむなしい言葉だが、ナショナルプロジェクトなんだから大蔵は全面的にMITIに協力するという方向なのか。その辺はどうなんですか。
○説明員(吉居時哉君) これまでYXの開発につきまして何年かにわたりまして補助金をつけてきているわけでございますが、これは再三申し上げましてあれでございますけれども、わが国産業構造の知識集約を進めるために、技術的先端産業である航空機産業の振興を図るという見地から実は補助金をつけてきているわけでございます。そういう意味におきましては、われわれもこの次期民間輸送機の開発ということにつきましては重大性は十分認識しているわけでございますけれども、ただ、今後それに対してどれだけ一体補助金をつけるかどうするかという話につきましては、これは先ほどから申し上げておりますように、全体のプランは決まっておらぬということ。さらに、官民の負担ということは結局その全体のプロジェクトの採算性ということにもかかわってくる話でございます。その辺の採算性がどうなるかということにつきましてもまだ確たる見通しはついておらぬという状況でございますので、いまの段階ではまだ何とも申し上げられないというのはそういうふうな意味でございます。
○秦豊君 通産としてはね、熊谷さん、まあ恐らくあなたがどこかの長官になって栄転されてどこかに行かれる時期はいつかわかりませんけれども、あなたが担当局長でいらっしゃる間に、たとえば覚書とか、ゴーアヘッドになるかどうかも私たちよく門外漢はわかりませんけれども、あなたは所管の事項だから、大蔵大臣クララス、あるいは主計官の上位ランク、大蔵の局長クラスから、このYXについては、まあ話し合いも緊密らしいし、かなり開発費が決まる、のれん代も決まる、負担が生じていく、こういう中で、大蔵はちゃんとわれわれをバックアップしてくれるんだというふうな確信をお持ちなんですか。
○政府委員(熊谷善二君) YS11の後継機問題という形で今日まで約十年近くこのYX計画がいわばはぐくまれてまいったわけでございまして、いわゆる航空機産業の重要性というものにつきまして大蔵省初め関係の方々の御理解とバックアップなくしては今日まで来れなかったわけだと思います。そういう意味で十分理解をしていただいていると思います。 ただ、民間輸送機の問題というのは、まあ先生十分御承知のことではございますが、この機会に改めて申し上げたいのは、何といっても売れなければ勝負にならないわけでございまして、エアラインに売れる飛行機がどの時点で生産さるべきかというのがまさにポイントでございます。いま私どもが一番悩んでおりますのは、市場の動向というのは特に石油ショック後非常に状況が流動的になってまいりまして、どの時点からどういう種類の飛行機がエアラインに買われるかというその点が現在なお見きわめがついていない。この点が私ども明確にどの時点からゴーアヘッドできるということを申し上げられない事情でございまして、そしてまた同時に、低燃費あるいは離着陸の短距離性等々の新しい要請もございます。低騒音という問題もございます。そういった新しい要請を織り込んだ飛行機というものをつくらなければ売れないわけでございまして、その辺の見きわめが非常にむずかしくなっておるというわけでございます。関係の方々の十分な御理解、バックアップのもとで今日までまいっておるわけですが、まさにそのマーケットの状況が見きわめられないというのが今日に至っている原因でございます。見通しが甘いというおしかりがございましたが、私どもとしましては、マーケットの状況にうまくミートできるかどうかが事業の成功するかしないかのポイントである、こういう認識の上で今日までの関係者の努力は私どもなりに一生懸命にやったつもりでございまして、その点は御理解をいただきたいというふうに思います。
○秦豊君 これは理解の範囲を越えていますね、局長。ボーイングもいま非常にデリケートなんですよ。日本の民間航空機工業界の幹部と最近お会いになったことがありますか。かなり弱気ですよ。強気でもう進め進めばあなただけですよ。そして、あいまいなのは大蔵ですよ。業界は非常に弱気になっているんですよ。だから、YXはまるでYXXだと。全くわからないと。自信が持てない。だから、せめてアメリカの下請というふうな一定の作業量だけでも確保してくれた方がもう早いと、話は。千九百八十X年か七十X年かわからないこういう巨大な幻のアイテムにナショナルプロジェクトなんてむなしいことを言って取り組むよりか、アメリカの航空機工業界のある一定の作業量だけでもむしろ安定受注した方がいいというぐらいに弱気になっているのが業界主流の本音ですよ。熊谷さんたちの感覚と全くずれているとぼくはあえて思うのだが、そういう認識をあなたは持っていらっしゃらないのですか。
○政府委員(熊谷善二君) いま航空機産業が需要が非常に停滞いたしておりますので、注文がほしいという気持ちは私ども痛いほどわかるわけでございますが、御承知のように、新しい飛行機の開発は、この数年間、ボーイングのみならず、どこの国でも行われていないわけでございまして、これはまさに市場の流動性というところが一番ネックになっているわけだと思います。構想は花盛り、しかし成案を得ていないというのが実情でございます。業界としましては、一方におきましてこのプロジェクトの一日も早い浮上を願い、かたがたこれによりまして安定的な作業量の確保並びに技術水準の維持、こういうことを期待いたしておると思います。 下請という御指摘でございますが、下請はこれはコマーシャルベースの問題で、いつでも、たとえば現在でも、ボーイングのある種の飛行機につきましては、翼をつくるとか、あるいはフラップの一部をつくるとか、こういった下請はあるわけでございまして、これはコマーシャルベースで採算が合えばやっておるわけでございます。このプロジェクト、YXをやめれば需要が確保できるというものではございませんで、これはこれ、あれはあれということにならざるを得ない性格のものではなかろうかと思っております。ただ、業界としましては、このYXプロジェクトにつきまして、かなりボーイングは需要の採算点について厳しい作業検討が進められているということは感じていると思います。そういう意味で、昨年の夏の時点で求めましたある種のラフな形ではございますが、合意を見たものにつきましては、さらに詳細な厳しい交渉が将来行われることになるのではなかろうかということは懸念しているとは思いますが、本格的にホームプロジェクトをもうあきらめた方がいいというような感じは私どもは持っておりません。
○秦豊君 大蔵省、あのね、まああなた方のトップは、局長から上ですね、このYX問題はかなりもてあましていると思うのですよ。あなたはその席からそんな日本語は一言だに吐けませんがね。なぜならば、さっきの熊谷さんの答弁でも、覚書の締結ね、これは夏かもしれないんですよ。ゴーアヘッドは明年の春かもしれないんですよ。そんなところまで一応表面状況は差し迫っていて、大蔵側の、いや、全部の案を拝見してからと。これはあなた方に大きな迷いがあるという、はしなくもその部分だけ正直な答弁だと思うんですよ。ぼくがこういうことを言うというのは、じゃ仮にこういうふうに具体的に聞いたら、これは大臣じゃなきゃ答えられないかな、もしも開発費や格差調整費について確実に大蔵が裏づける、引き受けたと、国家助成の見通しが仮にないとしたならば、この夏にでも結ぼうかと言われている輸送機開発協会の新しい覚書ですね、これは結べないわけです、第一。結べないことになりますよ。そうじゃありませんか。そういうことが懸念されるから、あなたに再三再四聞いても、あなたはそれこそむなしいエンドレステープでよくもああいうことが繰り返して言えるものだと失礼だが思うぐらい言わされているのはわかりますが、そんな悠長な話じゃないんですよ。どうなんですか。
○説明員(吉居時哉君) まあ先生のお話でございますけれども、結局、国が本件とどういうふうにかかわり合うかということにつきましては、これはやはり全体のプラン、それからそれがどういうふうな内容を持つか、それから民間がどのような資金能力があるか、それから財政の負担能力がどのくらいあるか、いろいろなことを見なければわからぬわけであります。特に一番大事なのはやっぱりこのプランの採算性でございまして、採算性につきましては現在の非常に流動的な航空業界の情勢ということにかんがみますと、一体どの程度の販売の可能性があるのか、あるいはその場合の販売価格はどうなるのか、コストはどうなるのか、いろいろなことにかかわってくるわけでございます。そういうことを全体的に見ましてこの問題を考えなければいかぬということがわれわれの態度でございますので、それで、大変申しわけございませんけれども、現在の段階におきましてはYXは何とも言えないと、こういうことでございます。
○秦豊君 まあきょうは分科会だから、大臣もいませんし、局長もいないんだけれども、こういうことになるんですよ。来年の財源は大変タイトになりまして、国債の依存率やなんかがたがたやってきますと、たてまえとしては航空機産業の育成、それも防衛の比率より民需を高めようと。これはきれいですよね。世論の納得も得られるかもしれない。確かにマスコミの一部もYXをキャンペーンして早くまとめなきゃいかぬというような声もあるだろうし、いや、逆に慎重になれという声もある。まあまあいろいろ論調は盛んなんだけれども、ぼくの懸念は、きっと大蔵の中に議論が起こってくると思うんですよ、あなたの頭の上を通り越してね。YX、たてまえはいいが、このような巨額な財政負担を国家が担うということは、今後幾年にもわたって助成したくてもできないという壁にぶつかるときが必ず来る。しかも、それは非常に近いわけですよ。そうすると、どういうことになるかというと、輸送機開発協会の方は夏なら夏に一応新しい覚書を結んじゃうんですよ。もうそのテンポになっているんだから結んじゃうでしょう。そうすると、仮に覚書だけを結んでおいて、後になって大蔵省がもめてきて、そうして通産と大蔵の話し合いができない。そうすると、日本政府として、一民間協会が結んだ契約とはいえ、国庫の助成が絡むから、対外信用問題になりかねない。そういうことさえ懸念されるから、くどいぐらい聞いている。あなたは専門主計官だから、私は主計官でしかないからこれ以上言えないというふうなわきを固めていらっしゃるんだけれども、必ずそういう点について問題が起こってきますよ。あなた方は大きな楽観をもって五十年三月二十九日に私に答弁されたけれども、事態は二年半そのとおりこのままだった。私が指摘した事柄は何も過大でも誇大でもなく、むしろ的確であり、むしろ実態に即していた。今度もまた覚書を結ぼうという時期が近づいている。ゴーアヘッドが来年の春だ。にもかかわらず、大蔵側の基本的な態度が決まっていない。これはむしろ怠慢に類することではありませんか。ゆっくり考えるなんという段階じゃありませんよ、あなた。違いますか。
○政府委員(熊谷善二君) 私ども大蔵省と実はこういう話で今日までまいっておりますので、ちょっとそれを御報告を申し上げたいと思います。 この夏にも交渉再開ということを申し上げました。これは交渉の再開でございまして、まずそこで交渉にどのぐらい時間がかかるかちょっと明らかではございませんが、そこで決まりますのは共同事業の着手、これはまだ具体的なゴーアヘッドを含めました長期の計画はその段階で決まらない場合が多いわけでございます。まずはその共同事業のための準備、これがいわゆる覚書になるわけでございます。それからいわゆるゴーアヘッドの時期を決めます段階が事業契約を取り交わす段階になるのですが、一歩進んだ次の段階になります。これはいわゆる覚書を結びましてからもう少し詳細なデータを見た上で決まることになろうかと思いますが、この間、私ども、事業の採算性等を中心にいたしまして国がどのようなこれに対する助成をすべきかという問題につきまして逐次大蔵省ともよく御相談をした上で進めたいと考えておりまして、いま先生の御懸念されておりますような将来国際的な問題になるのではないかと、こういう御指摘の問題が起きないようにあらかじめよく財政当局とも打ち合わせをしつつ本件のまとめを行いたい、かように考えております。
○秦豊君 大臣ね、ナショナルプロジェクトというのは、これはMITIとしての意気込みをあらわすネーミングであって、これは別にこのことについて国家事業なんだからといって閣議でその方向を決めたなんということは一回もなかったんでしょう。
○政府委員(熊谷善二君) 先生御指摘のように、閣議で本プロジェクトを決めたことはございません。ただ、今日まで航空機工業審議会におきまして累次にわたりましてこのプロジェクトの進行について方針を了承されつつ今日までまいっておるものでございまして、これは通産省の審議会でございますが、今日までのところ関係のところからはそれぞれサポートをいただいて進めていただいておるものというふうに私は理解をいたしております。
○秦豊君 これで時間になると思いますから控えますけれども、大蔵省ね、やっぱり通産側とよく事情を話し合われて、協議されて、パイプを全開されて、こういう金額的に大きなプロジェクトなんですから、なるべく早くはっきりした方針を早期にお立てになるべき命題だと思いますが、そのおつもりはあるんでしょうね。
○説明員(吉居時哉君) MOUが早期に近づいておるかどうか、これはよくわかりませんけれども、MOUが結ばれましても、ただいま通産省からお話がありましたように、これはこれから共同開発のいわば内容、準備段階というふうなことになると思うのでございます。したがいまして、全体のプロジェクトというものの内容はむしろMOUの締結後に固まっていくべきものだとわれわれは考えています。そのような段階がだんだん固まっていきますにつれまして、通産当局ともいろいろ内容につきまして十分相談していきたいと、このように考えております。
○秦豊君 最後に要望だけしておきますけれども、これはやっぱり申し上げたような立場は私は堅持したいと思います。それで恐らく今回もまた行き迷うと思います。なかなか簡単ではありませんよ、これは。三百機売ってようやく採算点に達するというふうな飛行機ですから、ヨーロッパは頭打ちです。だからアメリカ国内と言ったって、これも競争機種がありますからそんなにそれも簡単じゃない。日本への要請が大変強くなる。日本も簡単じゃありません。八方ふさがりみたいなYXです。YX離陸せず、見通しなしと。だから、一番シャープな情報を持っている業界が一番先に弱気になっているんです。あなた方はマストビーで考えるから、ねばならないとか言って肩を張っていらっしゃいますけれども、それは二年半前と同じく今回もまた行き詰まる。大蔵はふらついている。だから、一日も早く両省において協議されて、本当にYXについて日本の行政としてどういう視点でどういう割り切り方でどういう論拠で、したがってこういう財源負担をすると、納税者にもっとよくわかるような説明が的確にできるように要望しておいて、一応質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(田中龍夫君) いろいろと貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。現状におきましてはボーイング社を最も有力な相手方として国際共同事業の可能性を追求いたし、早期にYS計画を定着させたいという気持ちでございますが、日本の航空機産業というものは何分にも先進諸国に対しまして非常におくれておりますが、当計画の定着によりまして着実に実力を養成いたしまして次のステップに進みたいというのがわれわれの願望でございます。何とぞよろしく御協力を願います。
○久保亘君 最初に、私、午前中第三分科会で運輸省に対して造船業界の著しい不況が地方の開発にもたらしている影響が大変大きいことを申し上げて、その例として石川島播磨重工業の鹿児島進出が大幅に延期され、事実上計画が断念に近い状態になってきていることについて運輸省のお考えをいろいろとお聞きしたのであります。私がIHIから聞いております状況とそれから運輸省がIHIから聴取をされております報告とはほぼ一致いたしておりまして、明後日十五日石川島播磨重工業は鹿児島市においてこの進出計画を長期間少なくとも数年間は延期せざるを得ないという事情について地元の了解を求めようとしているのでありますが、このことの中で四十九年の三月に鹿児島開発事業団が造成いたします土地約四十万坪を買い取る契約を石川島が開発事業団とやりました際の事業計画書によれば、鋼船修理ドックとそれから陸上機械でもってこの四十万坪の土地に進出をするということになっておるのであります。造船部門の今日の不況回復の見通しが石川島の言葉をかりれば視界ゼロという状況の中では進出の見通しが立たないし、また、運輸省自身も新たな造船ドックの新設については今日の状況でこれを許可できない、こういうようなことを言われたのでありますが、この石川島がたとえ鋼船修理ドックが出れなくとも陸上機械部門だけは出てくるだろうという期待を地元に持たせてきたことも事実なんであります。ところが、今日、石川島重工業が地元に了解を求めようとしておりますことは、陸上機械部門についても造船と一緒に進出を延期せざるを得ない、こういうことで了解を求められようとしているのであります。そのことによって地元の受ける影響は、雇用、経済全般にわたるだけではなくて、鹿児島県、鹿児島市の石川島の進出を想定した上でのいろいろな計画にもかなり大きな影響を及ぼしてくるだろうと思うのでありますが、陸上機械部門についても今日の業界の状況から見れば進出することは大変むずかしい状況であるというふうに通産省としてもお考えになるのかどうか、これは担当の局の方でひとつ御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(平林勉君) ただいま御指摘の石播重工と鹿児島県との問題でございますが、この点につきましては、県と企業――石播重工でございますが、この二つの間で話し合いが行われておりまして、通産省といたしましては現在まで詳細な内容は聞いておりません。しかし、全般的な見地から申しますと、工業再配置ということで鹿児島県のような県に企業が進出することは非常に有意義な計画であるというふうに考えております。ただ、ただいま御指摘のように、造船不況その他経済の状況が変わっておりますので、企業としてなかなか当初の予定のように進出ができないというような事情もあるようでございますけれども、できるだけ早くこの計画が実現するように期待したいと考えております。なお、この計画延期ということに万が一なりますと、その場合、地元と企業との間でいろいろ十分話し合いが行われまして、納得のいく対応ができるように私どもとしても望んでいるところでございます。
○久保亘君 これは私がいまお聞きしましたもう一つの点は、造船を主体とした企業が進出をしていきます場合の陸上機械部門というのは、やっぱり造船と同時進出でなければ現実には不可能なものなのかどうか、その点はどうお考えでしょうか。
○政府委員(平林勉君) 造船と陸上機械という計画というふうに伺っておりますが、特に陸上機械につきましてどのような機種、どのような業種の進出を石播が考えているか、私ども先ほど申しますように詳細に計画を聞いていないわけでございます。しかし、造船設備といいますのは、船の修理施設というふうに聞いておりますが、それに関係したものであろうと。そうしますと、やはり船の方が進出がおくれれば、それに伴って陸上の方もおくれることもあり得るのかという感じでおります。
○久保亘君 やっぱりこの陸機部門というのは造船企業の場合にはかなり強い一貫性を持っておるというふうにあなた方の方もごらんになっておりますか。
○説明員(間野忠君) 私どもの方で理解しております限りでは、一応陸機と申します場合には船舶の新造あるいは修理とは別のものをつくるというのを陸機と考えておりまして、船舶の中に搭載されておるものの機械、そういったものの修理でありますとか製作というものは舶用機械もしくは船舶の新造、修理というふうに考えておりますので、ちょっと陸機のことについては私どもは余り知識を持っておりませんので正確なことはわかりかねます。
○久保亘君 いずれにせよ、通産省が一貫性を持つと言うのは、単にこの機械が船と直接関連をしているということだけではなくて、造船を主体とした石川島のような企業がやります場合には、陸機部門と造船部門というのは営業面からいっても全体としてなかなか切り離しがたく結びついておるから、片一方だけが出ていって、そして船の方は数年後からというわけにはなかなかいかないのだろうと、まあこういうふうに私どもも考えるわけなんですけれども、そうなってまいりますと、通産省の工場再配置計画とか、それから通産省自体がいろいろこういう業界の地方進出について指導されてきたことについて、これらの問題が地方でひっかかってまいりますと、根本的にやっぱり見直し、考え直しをやらなければならないようなことになってくるのではないかと思うのですが、この石川島の問題だけではなくて、こういう状況は現在の石油ショック以来の企業の浮き沈みの中で見直しが非常に強く迫られているのじゃないか、こう思うのですが、いかがでしょう。
○国務大臣(田中龍夫君) ただいま御質問の工場の地方分散でありますが、工業再配置促進法を軸といたしまして、工業再配置計画によりまする立地のガイドラインの設定とか、あるいは工業再配置促進費補助金とか、工業団地造成利子補給金等の助成、誘導措置、各種の立地情報の提供等によりまして立地促進のための環境整備を図ってきておるところでありますが、ただいま御指摘のように、個別企業に対しまする立地指導につきましては、現在のところ特に行っておりませんが、今後は、現在作業中の工業再配置計画の策定を踏まえまして、経済情勢を勘案しつつ、必要に応じて指導を行っていくことといたしたいと、かように考えておりますが、また、関係省庁とも必要がありますればさらに協議、検討を進めたい。ただいまお話しのような計画につきましても、地元の方、あるいはまた通産局を通じまして本省の方にも連絡もございましょうし、また、ただいまのような工業立地再配分の問題は個別企業の進出とは直接当初からその一貫としてということでは明確な線がないのではないかと私は考えます。 なお、その点は、担当の政府委員からお答えいたします。
○政府委員(平林勉君) 現在、工業再配置法によりまして通産省の仕事として工業立地調査というのがございます。これは、個々の企業がどのような立地についての希望を持っているか、あるいは現在どういう計画段階にあるかというようなことをヒヤリングで知るわけでございます。そういうような情報をもとにいたしまして個別の工業の立地につきましても指導をすることができるようになっておりますが、先ほど来御指摘のような不況の影響ございまして、最近はこの工業立地についての動きが非常に鈍くなっております。しかし、いろいろ情報をもとにいたしましてできるだけの指導を今後はしてまいりたいと考えております。
○久保亘君 それじゃ、企業の進出の問題については一応以上で質問を中止しておきます。 次に、私は、鉱山の鉱害の問題について具体的な事例をお尋ねしたいと思うわけですが、まあ鹿児島の例をとって大変恐縮でありますが、鹿児島市内にかなり高含有率の錫の鉱山があります。この鉱山は四十七年に新しい坑道を掘り始めまして、現在では協和鉱業という会社が掘っているのでありますが、この協和鉱業の坑道がずっと延びてまいりまして、昨年の十一月ごろ突然十五戸ぐらいの集落が点在をいたします地域の井戸水や農業用水が一斉に枯渇してしまいまして、そして現在ではその地域一帯は水に関する限り生活が非常に困難な状態に陥っておりますが、この地域について本年に入ってから地域の住民並びに鹿児島市の要請等を受けられて通産局が調査をされたと聞いておりますが、その調査をされた結果について御報告をいただきたいと思います。
○政府委員(橋本利一君) ただいま御指摘の現地調査でございますが、本年の二月十五日に福岡通産局の鉱山部の職員が三名現地に赴きまして調査を実施いたしております。 調査の内容といたしましては、現地の井戸の枯渇の状況、それから陥没口のあるかないか、いわゆる存否、地質状況の調査、旧坑調査及び坑内調査、こういった調査を実施いたしたわけでございます。特に坑内につきましては、地元の県、市の職員と地元の関係者とともに入坑して湧水状況等を調べております。 この調査の結果でございますが、現地には旧坑と申しますか、旧藩時代の坑道がございまして、そこに陥没口がある、また、短期間のうちに水脈調査を実施することは事実上困難であるというようなこともございまして、今回の調査におきまして地元の井戸水が枯渇した原因が錫山鉱山につながっておるのかどうかということにつきましては正しくまだ断定し得ないということでございます。
○久保亘君 これは専門的にかなり期間をかけて調査をしなければならない問題かもしれませんけれども、少なくともこの水源が枯渇いたしました地域というのは、坑道が延びてきている方角にあるということについては通産局の調査はお認めになっているのでしょうか。
○説明員(福原元一君) 鉱山の稼行に当たりましては、あらかじめ施業案を通産局に提出いたします。その施業案が先生おっしゃいましたようなこと等がないかどうかをチェックいたしました上で認可いたします。 今回の調査に当たりましては、その認可いたしました施業案どおりに坑道が掘られているということで、施業案違反は見られなかったというふうに聞いております。
○久保亘君 いや、違反かどうかじゃなくて、その水源に異常を来した地域の方向へ坑道が延びていっているということは、これは図面でもって出されたものを調べればおわかりになるわけでしょう。それはどういうふうに見ておられるのでしょうか。
○説明員(福原元一君) 図面は私どもまだ見てございませんが、福岡通産局で検討したところ、先生のおっしゃいました民家の方には延びていないと聞いております。
○久保亘君 やはり現地でそういうふうな説明をされておるんです。ところが、実際には現在その水源の枯渇しつつあります民家の六十メートル下を行っておるわけです、そこで、発破の音を住民たちは自分の家の下で聞くわけです。それから通産局と鉱山側が説明される方向へもし延びておるのであれば、この反対側の方では、そういう方向へ延びているのであれば、絶対に自分の家の真下で聞かなければならないはずの発破の音を、ずっと自分の家よりも離れた方角で聞いているわけです。だから、この地域の人たちは、われわれに説明する図面は違うと、こう考えているわけです。六十メートル下のことですから、企業と通産局が一緒になってこういう方向ですよと言ったら、それを知りようはないのです。住民は。しかし、常識的に考えても、私はつい最近現地へ行きましてずっと調べてまいりました。それで、常識的に考えて、山の配置やそういうものから突然水脈が切れるというようなことは考えられないところなんでありまして、何か人工的な作用が働かない限りそうはならない、こういうところなんです。それで、通産局側が調査に来られて、そしてこれはこの地下坑道とは関係ないというような意味のことを説明されたということについて、地元の住民たちは必ずしも信頼していないのであります。 それからこの調査をされたときに、坑道からくみ上げられる水は時間何トンぐらい排出していろというふうに、その調査の段階で見られたのでしようか。
○説明員(福原元一君) 調査時点の湧水量は、福岡通産局の報告によりますと、毎分一・四立米、一・四トンと聞いております。――一・四立米でございますから、目方にいたしますと一・四トンでございます。
○久保亘君 それはかなりな量になりますな。そうすると、四十七年三月に協和鉱業が開坑したときの排水量と現在の排水量、つまり坑道が先へ延びた段階における排水量とは変化がないということを地元に説明したそうですが、そうでしょうか。
○説明員(福原元一君) 四十七年の九月時点では一・一立米・パー・ミニット、それからことしの一月の時点で一立米・パーミニット、先ほど二月で一・四立米・パー・ミニット、大差ないというふうに聞いております。
○久保亘君 ただ、そのときに、会社側と通産局が二月十五日に現地で調査をされたときには、ポンプアップしてくる排水口のところの水の出方というのは非常に少なくなっておったと、一緒に行った地元民は。しかし、実際にはそれじゃどれぐらい出ているのだというので、それで私が依頼をいたしました者が一人で夜行きまして排水口の状況を写真にとってきている。その写真を見せますと、調査したときにはとてもこんな状態ではなかったと言うのです。まああなた方は専門家ですから、これぐらいの流出というのは大体いま言われたような水量なのかどうか。――まあよくわからぬと思いますけれども、ただ調査されたときにはそこで水の勢いが強くて渦を巻くような状態じゃなくて、その板の上をようやく水が越してくる状態であったと、こう言うのです。
○説明員(福原元一君) ちょっと私も写真ではわかりません。――一立米は超えているのではないかというふうなことでございますが……。
○久保亘君 あなたはいま一分に幾らと言われたんだけれども、現地で説明したのでは時間当たりで説明しているようなんですがね。
○説明員(福原元一君) 通常、数量は一分当たりで……。
○久保亘君 そうですか。ただ、これが開坑いたしましたときといたしますと、中で仕事をしておりますこの鉱山の労働者の証言によれば、もう十二時間連続ポンプアップをしなければ中では仕事ができないほど湧水があるというのです。だから、これは、この地形から見ても、それから十一月に突然そういう状況が起きたということから見ても、この鉱山の坑道と関係がないというようなことはとても考えられないのではないか、こういうことなんで、この地域の人たちはもう一遍通産局がそういう点を明確にして調査をし、そして具体的に対策を講じてくれることを要求しているわけです。私がいま申し上げましたようなことについて、通産局はもうこの前二月十五日に調査をされてこれは鉱山とは関係ないよということでそれでもう終わりになってしまうのでしょうか。そうすると、十一月に突然水が切れた、それはあんたのとこと関係ないよということで、それはもうがまんしなさいよと、そういうことで終わりになるんだとするならば、ずいぶんひどい話だということになると思うのですが。
○政府委員(橋本利一君) いまの問題につきましては、地元の県、市が通産局と協力いたしまして原因究明並びに対策について検討中であるというふうに承知いたしております。したがいまして、通産省といたしましても、関係者と十分連絡しながら原因の究明あるいは対策の検討を続けていきたいと、かように思うわけでございますが、ただ、原因究明のためにはかなり時間がかかるわけでございますので、現在御指摘のように水不足問題が生じておる。お聞きするところによりますと、十五戸のうち二戸については市の方から給水しているということでございますが、他の十三戸についても同じような問題がございますので、私の方で関係の企業を呼びまして、その間何か対策を考えろと、給水装置を検討しろという指示ないしは要請をいたしたわけでございまして、現に四月の十一日だったと思いますが、この錫山鉱山の責任者が県と市に参りまして給水等について協力する旨をすでに申し入れておる、こういう段階でございます。
○久保亘君 わかりました。とにかく、こういうような状況が続きますと、私が調査をしました限りでは、この地域は水田がずっとあるのでありますが、ことしは田植えのできる状況にならない、こう思われます。それから鹿児島市の水道局が管轄できる地域じゃないんです、鉱山のあるところですから。そのために、いまやっている給水というのは、市役所の出張所の庶務課が担当しまして運んでいるのです。それで二戸にはそういうような設備をしたというのですが、一戸の方はセメントのタンクを置いてありまして、そこにときどき行って水を入れてくれるんです。一戸の方は、あれはプラスチックでしょうか、何かの給水タンクみたいなのを水田のわきに置きまして、それで湿田の中に入っていってバケツで出口からくんで百メートルぐらい自分の家まで運んでいくという給水の状況になっております。新たな井戸を掘ってみたのですが、全然だめなんです。それで、非常に問題が多いので、ただ、やろうと思えば、この地域の別の方向を流れております河川を水源にしてできないことはないのですが、そのためにはかなりな経費を要するだろう、こう考えられるところなんです。 それで、私はここで長官あるいは大臣の方で確認をしていただきたいのは、こういう地下の問題でありますから、専門家からそうじゃないと言われると、どうしようもないわけです。それで、住民が十分に納得し得る調査をして、そうして監督すべきその鉱山に対して必要な措置をとらせるべきときにはそれをやってもらいたいし、それからこういう問題の場合には、結論が出るまではどうにもならぬということでは、現にそこに人間が住んでおって生活できないということになれば、どうにもならない。だから、原因ではないかと思われるものは、やっぱりある程度その責めに応じなければ問題は非常に深刻になってくるだろう、こう思います。 それからもう一つは、鉱山法によれば、鉱害に対しては賠償請求を行うことができる決まりになっておりますが、しかし、こういう状況のところでわずかな人家が点在するようなところで、しかも地下水の枯渇というような状況などについて、企業を相手どって鉱山法によって問題の解決を求めようとすることは、これは不可能に近い状況ではないかと思うのです。だから、そのためには、監督官庁である通産省が地域住民の生活権を守ってやるという立場に立って適切な指導をしないと、法律に基づいて問題を解決させるということは私は非常にむずかしい点があるように考えるのですが、いかがでしょう。
○国務大臣(田中龍夫君) いろいろとお話を承りました。なお、この坑道は、承りますところによりますと、旧島津藩時代に一遍掘った坑道の跡のようでもございますが、この件につきまして地元の県、市町村と私の方の通産局とよく御連絡をとらせまして、原因の究明ということも検討をしなきゃなりませんが、しかしながら、これを稼働いたしておりまする企業に対しましても、地元の県、市町村とお話し合いの上で所要の御協力を申し上げるように通産局の方からも指示をいたさせたいと思います。大体そういうことで、原因の究明を根本的にするということはなかなかむずかしい技術上の問題もございましょうが、地元とのまずもって調整をとることが当面の問題だろうと思います。
○久保亘君 これはここだけの特殊な問題ではなくて、鉱山に関連をする地域において将来とも別の個所においてもこういう鉱害、まあこれは鉱害であるかどうかまだわからぬということになるのでしょうけども、鉱山の影響を受けて生活権を侵害されるというような事例が起こらないとは限らない。その場合に、法によって住民が守られるということは、たてまえはそうでありますが、大変むずかしいことなんですよ。これをたとえば賠償請求を訴訟を起こしてやるということになれば、ずいぶん長い年月がかかるでしょうし、その間に現にそこでは生活ができない状態が起きてくるわけです。だから、法によって解決しなければならない場合も多いと思いますが、行政的に通産局が問題を住民の側に立って解決をするという強い姿勢を監督官庁としてぜひ持ってもらいたい、こういうことなんですが、それはそういうような立場で錫山鉱山の場合にも指導してもらえると考えてよろしゅうございますか。
○国務大臣(田中龍夫君) そのように指導いたします。
○林田悠紀夫君 本日は、絹織物の問題にしぼりまして質問をいたします。 最近、この生糸の、昭和五十二生糸年度の価格が決まったわけですが、四月になりましてから、四月の一日がキログラム一万三千十五円です。それが八日には一万三千百四十六円。毎日ずっと上がってきておるわけです。そこで、この生糸を原料にしておりまする、まず、ちりめんでありまするが、これがどういうふうな価格状況かと申しますると、変わり無地で一反が四月の一日が一万三千八百円でした。それが八日は一万三千六百円です。だから、価格はむしろ下がってきておるわけなんですね。それから、紋意匠はどうかと申しますると、四月の一日一万五千八百円、八日が一万五千八百円というように、大体同じ価格であります。そこで、生糸相場はこういうふうに毎日上がって、これからもまた上がるであろうということが見込まれており、現に先物ほど価格は上がってもう決まっておるわけですね。こういうような原料生糸の価格でこの絹織物がやっていけるかどうかということなんですが、どういうふうにお考えでしょうか。
○政府委員(藤原一郎君) いまお示しのように、生糸価格は順次上がっておりまして、にもかかわりませず、絹織物の方は需要の減退ということもございまして、値段が下がりぎみであるというのが実態、お示しのとおりであろうかと思います。したがいまして、工賃の問題につきましても非常に低目に推移いたしておりまして、現在糸代が織物の中に占めますウエートが非常に高くなっておりまして、企業としてその中から利潤を生み出すということは非常に困難と、非常に赤字の状態にあるというふうに考えております。
○林田悠紀夫君 私が試算をしてみますと、紋意匠の場合、大体一反で千七百十六円の赤字です。それから、変わり無地の場合九百六十七円の赤字というような状況ですね。それですでにこの絹織物は四十八年の終わりごろから過去三年以上ずっと不況なんですね。そうしてこれからも好転の見通しが余りないと。ところが、生糸の値段の方は、今回決まった価格でも、農家の方ではこれは生産費を償っていないんだということで非常な不満を持っておるわけですね。 そこで、これからこういうふうな状況にある場合に、絹織物の需要というものはどういうふうにお考えになっておるんでしょう。この業界がこれからやっていけると、このままでやっていけると。びほう策をその都度やりながら生存していけるかどうかということについて非常に心配しておるわけです。どういうふうに担当の通産省としてはお考えでしょうか。
○政府委員(藤原一郎君) いまお話ございましたように、絹織物につきましては現実に赤字を生み出しておると、このように考えております。今後の需要動向につきましては、私どもまあ需要振興につきましていろいろと手を打っておるわけではございますが、製品価格がやはりどうしても上がりぎみであると。それから景気の停滞に加えまして、和服着用層が縮小してまいっておりますし、また、生活の様式の変化等、いろいろ構造的要因もございまして、需要はなかなかふえないというのが現実であろうかと思います。 そういうことで、需要につきましては実は一部の学者に依頼いたしまして需要の分析をやってみたケースもあるわけでございますが、絹製品につきまして需要のあり方と言いますと、やはり価格の上昇が及ぼしますところの需要減小効果というのが非常に大きいようでございます。所得の上昇というものがもたらしますところの需要増進効果に比べまして、むしろ絹製品の価格の上昇が及ぼしますところの需要減小効果の方が大きいというふうな感じで出ております。ちなみに五十二年以降の実質所得が六%ぐらいの上昇といたしまして、消費者物価が八%の上昇というふうな前提で計算した例があるわけでございますが、その場合、基準糸価が八%ないし一〇%上昇いたしました場合、綿製品の需要が大体年率二・五%から四%ぐらいの減小になるというふうな一応の計測結果が出ておるわけでございます。このように、どういたしましても生糸の価格の上昇に伴いまして絹製品の需要というものも減ってくるというのが現実であろうかと思います。
○林田悠紀夫君 そうすると、この業界にとっては、何か抜本的な対策を講じなければこのままではやっていけないということになるわけですね。そこで、業界の方では、外国の競争者と同じ条件で競争したいということを主張しておるわけですけれども、生糸は農業生産者の立場から生産費が上がって価格が決まる、こういうことになるわけなんで、同じ条件で競争しようと思ったならば、外国の生糸と日本の生糸と同じ価格ぐらいじゃないと困る、こういうことになるわけですね。そこで、農林省の方では、たとえば不足払い制度ですね、原料繭に対する不足払い制度とか、そういうようなことは考えられたことはあるんでしょうか。
○説明員(池田澄君) いま御指摘の繭に対します不足払いという考え方につきましては、昨年あるいは一昨年来通産省とも、現在の繭糸価格安定制度のほかにどういう制度があるかという関連で検討してまいったことはございますけれども、繭あるいは生糸という物品、すなわちわが国の国民生活におきます重要度、そういった点からまいりまして、その不足払いの財源をどこで負担するか、国費で負担できるものか、あるいはほかからそういう道があるものかという問題、それから、農林省でほかの政策で不足払い的なものをやっておるものがございます。大豆とか、加工原料乳などやっておりますけれども、そういったものの経緯あるいは効果、こういった点いろいろあわせ考えまして、いま直ちにそういった制度に移っていくということは非常にむずかしい問題があるというような結論で現在に至っております。
○林田悠紀夫君 なかなか財政上不足払いはむずかしいだろうということを考えざるを得ないわけです。そこで、農林省が上流の方をやり、下流の方は通産省がやっておると、こういう所管状況なんですが、その間にどうもせきが設けられたような状況でうまく流れない。そこで、農林省と通産省が行政を一元化して、少なくも絹織物については原料から製品まで一貫して所管するというようなことはいかがでしょうかね。
○政府委員(藤原一郎君) いまお話のございます行政の一元化というふうな御趣旨かと思いますが、やはり製品の、農産品というふうな性質を持っております面と、工業製品という性質を持っておりまする面とのやはり性質の差ということもありまして、いろいろむずかしい問題があろうかと思います。で、私どもといたしまして、昨年、蚕糸綿業は一体的な政策体系が必要であるというふうなこともございまして、昨年の夏に緊急絹業対策要綱というものを決めまして、大蔵省、通産省、農林省と三者で覚書をつくりまして、実はそれに基づきまして一貫して対策を進めておるというのが現状でございます。
○林田悠紀夫君 十分よく相談して、むしろ行政一元化してもらいたいと思うぐらいなんです。 そこで、時間がありませんので、いろいろなことをずうっと抜本対策として私の考えておることを申し上げまするが、この絹織物輸入を生糸と同じように一元化すべきだというような意見がありますね。これについてどういうふうに考え、実行できると思っておられるかどうかということが一つ。 それから、その次に、輸入織物は安いわけです。だから、その安い輸入織物から一定の差益を徴収して、織物業者の救済を行うんです。たとえば、織機を整理するというような場合に、残存業者の負担をその差益によって軽減する資金に回すとか、そういうようなことを考える。それから、ガットのセーフガード条項を適用する。織物業界が非常に困っておるような場合にそういうことをやり、あるいは関税割り当て制度をとるというようなことですね。それから、織物業界の方ではどうしてもやはり供給の方が多いわけですから、過剰設備を廃棄するということをやらにゃいけませんですね。それで過剰設備の廃棄を速やかにやっていくとか、こういうような抜本対策、それについて考えておられるところを申し述べてください。
○政府委員(藤原一郎君) 織物一元化が可能かどうかという最初の御質問でございますが、物の性質上、絹織物ということになりますと非常に需要者が各般にわたりまして、また品物も千差万別でございますので、これを一元的に政府輸入をいたしましてこれを売り渡すということは実情としては非常に困難なことであろうかと私どもは考えております。 そこで、どういうふうな輸入に対する対策があるかと、こういうことになるわけでございますが、現状は御承知のとおり、主たる輸入国でございます韓国と中国との間では二国間協定を一応昨年結びまして、今年度も目下鋭意交渉中でございますが、二国間協定によりまして総枠を決める、その中で適宜輸入をする、こういうことにいたしておるわけでございます。 ところで、その輸入の課徴金の問題でございますが、確かに輸入品と国内品との価格差というものが生糸の価格差に基づきまして非常に大きな開きがあるわけでございますが、課徴金をとりまして、いわば調整金制度というふうなものを設けまして、これによって調整をするというのも一つの方法であろうかと考えております。 まあしかし、この問題につきましては、先生もちょっと言及されましたが、ガット上の問題その他国際関係の問題が非常に微妙な問題がございまして、国際関係の調和というふうな点も含めまして、内外の諸条件を勘案いたしまして、総合的かつ慎重に検討を進めてまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。 なお、最後にお話のございました共同廃棄でございますが、これは現在、昨年の夏、三省覚書といいますか、三省の了解事項で決めまして、絹織物につきましては特段の条件を設けまして共同廃棄を進めよう、こういうことになっておりまして、現在逐次各地でそのプランが進展しつつある状況でございます。
○林田悠紀夫君 このセーフガード条項とかあるいは関税割り当てとか、そういうふうなことは考えていませんか。
○政府委員(藤原一郎君) 現在のところセーフガードあるいは関税割り当てというところまでは考えておりません。現実には、その輸入の大宗を占めますところの中国、韓国とは協定ができて、協定量の範囲内で処理できると思っておりまして、量が激増するというふうなことはございませんで、昨年度も大体協定の枠内におさまったというのが現実であるわけでございます。
○林田悠紀夫君 どうも余り何もが抜本的にできそうにないんですね。 そこで、この韓国、中国との輸入交渉ですが、三月末で協定が切れておりますね。もう四月も半ばである。で、この切れておる間どういうふうにやっておるのか、そして大体いつごろこれをまとめるつもりなのか。 それから五十二年生糸年度の輸入についてお伺いしたいんですがね。生糸、撚糸、絹織物別にどの程度輸入する計画であるのか、そういう点でお願いします。
○政府委員(藤原一郎君) 最初に二国間協定の件でございますが、韓国とは二月に一回、三月に第二回、それから先般四月の七、八、九と三日間にわたりまして第三回の会談を行ったわけでございます。中国との間におきましては、三月の初めに一回会談を行っておりますが、いずれも結論には達しておりません。 韓国との間のまず合意を最初に得たいと私ども考えておるわけでございますが、韓国との間におきましては、先般九日の夜一応中断いたしまして、五月の上旬に最終的な協定に入ろうと、交渉をしようと、こういうことに相なっております。その間の経緯でございますが、まあ三日間にわたりまして韓国との間に相当シリアスな交渉をやりまして、私どもの方といたしましては、昨年実績並みではとても困るということで、昨年実績を下回るラインで本年度の協定数量を決めたいと、こういう交渉をしておるわけでございます。韓国側は、やはりまあ少なくとも総体として前年並みというふうなことでございまして、まあなかなか話が合わないわけでございますが、相当程度日本側の事情も了解をされたという段階に立ち至っているかと思います。 その経過的な措置でございますが、協定ができますまでの間、一応昨年実績を下回るラインで向こうは自主規制をすると、その自主規制量につきまして、日本側は通関時におきまして貿易管理令による確認を行うということで、その昨年実績を下回ります量というふうなところで暫定期間は厳密に抑えることができると、このように考えておるわけでございます。 で、総体といたしましては今後の交渉によるわけでございますが、私どもとしては絹織物につきましては少なくとも昨年実績を下回るというラインで合意に達したいと思っておりますし、撚糸につきましては、これは本来撚糸で入るのはおかしいんで、生糸で入るべきものである、こういうたてまえで、撚糸は大幅に減らしましてそれを生糸にシフトいたしたい、こういうふうな考え方でおるわけでございます。 生糸につきましては農林省に……。
○説明員(池田澄君) これからの生糸、撚糸あるいは織物の輸入の数量につきましては、いま局長から御説明がありましたように、現在なお交渉中でございますから、的確な数量としての確定したものとしてはまだ定まっておりませんけれども、基本的な考え方といたしましては、全体量といたしましてもわが国の現在非常に厳しい需給事情、こういったものを相手国にできるだけよく理解していただくというふうなことに努めてまいっております。 で、内容といたしましては、いま通産省の局長から説明ありましたように、織物、撚糸をできるだけ減らしてそれを生糸の方へシフトをさしていくと、その基本的な考え方は、できるだけ加工度の高いものを減らすと同時に、生糸の方でございますと日本蚕糸事業団というもので調整的な機能を持っておりますから、わが国との需給のギャップが生じました場合にその機能が発揮できるということでございますので、できるだけ生糸へシフトしていきたいと、こう思っていま交渉に当たっておるところでございます。
○林田悠紀夫君 農林省の池田さんにちょっとお伺いしたいんですが、五十生糸年度では繭の輸入が北朝鮮から大体五千トンあったわけですね。それから五十一生糸年度が二千トン。ことしはどういうふうに考えておられるんでしょう。
○説明員(池田澄君) 御存じのように、繭は乾繭という形、すなわち乾いた非常にかさばるものとして入ってまいりますけれども、そういう物品でございますので、これまた商品的にはつぶれますと価値がほとんどなくなるということもありまして、従来から余り貿易物品としての輸入はなかったわけでございますが、昨年の一月以降、中国を中心にいたしまして、わが国の繭の減産ということもありましてかなりの輸入が見られたわけです。五十生糸年度、これは昨年の五月まででございますけれども、いま先生御指摘のとおり約五千トン相当の輸入が見られました。これは初めてのことでございますので、国内的にもある程度混乱がございましたので、五十一生糸年度につきましては極力これを抑えてまいっております。幸いにいたしまして、特殊な商品でございますから輸入商社が限られております。そういうことからいたしまして、輸入商社等の理解も得まして約二千トン少々に抑えてまいっておりますが、新しい五十二生糸年度にかけましては、できるだけ繭の輸入というものは今後とも減らして、必要な繭は国内の生産というものを強化していくということでまいりたいというふうに思っております。
○林田悠紀夫君 生糸や絹織物を抑えても、繭で入ってくるんじゃこれは何にもなりませんので、いまおっしゃったようにできるだけ抑えていただきたいと思います。 それから絹織物の輸入につきまして、貿易管理令をこれからは適用しようというような考え方をもって通産省は大変御努力いただいておると評価をしておるわけですが、事前確認制でやられるような方針をやっておられるのかどうか。
○政府委員(藤原一郎君) 先ほど御説明申し上げましたように、一応事前確認制によりまして確認をしてまいりたい、このように考えておりますが、現在のところ、韓国側で出しますビザの確認を税関におきまして確実に知ると、こういう方法でやっていぎたいと思います。
○林田悠紀夫君 先ほどちょっと御質問いたしました過剰設備の廃棄ですが、実は私のところを申し上げて恐縮ですけれども、京都は、たとえば兵庫県とか石川県とか、そういうような県と共同してやりたいというようなことを考えておるわけです。そこで、これ四県以上にならないと府県の負担分が少なくならぬというような問題があるわけで、なかなかこの共同廃棄計画ができていないわけなんですね。そこで、これを促進するために考えていただいておると思いまするが、どういうふうないま状況になっておりますか。
○政府委員(藤原一郎君) 過剰織機の中小企業振興事業団によります設備共同廃棄事業の助成措置でございますが、この制度、実は非常に制度自体といたしましては特別な配慮が行われておりまして、融資比率が事業規模の九〇%、返済期間が十六年、無利子というふうなことで、一般の高度化融資に比べまして特段に有利な内容となっているわけでございます。もちろんさらに有利にということになれば、またいろいろとあるわけでございます。特に先生からお話しの都道府県の負担分につきまして、四県以上になりますと通常の府県の負担の半分の一一・二五%ということになるわけでございますが、これは実は共同廃棄、なるべく同業種多数府県共同してやらないと実効が上がりにくいというふうなこともございまして、そのための一つのメリットというふうに考えておるわけでございます。その他いろいろ共同廃棄につきましてはもっと弾力化すべき点というふうなものがあるように考えられておりまして、私どもといたしましてもさらにきめ細かい配慮をしてまいりたい、このように考えております。
○林田悠紀夫君 いろいろ多くの県でやらなければいかぬという問題で、実施する団体の補償問題、こういうようなことでなかなかまとまりませんので、十分御指導を願って早く共同廃棄事業ができるようにお願いを申し上げます。 それから、海外から最近、絹の二次製品が急増して輸入されておるというように聞いておるわけです。最近は何か二百八十万点にまで及んでおるというようなことなんですが、この数量の確認あるいは対策、どういうようにお考えでしょうか。
○政府委員(藤原一郎君) 最近、絹の二次製品の輸入が急増しているということが言われておるわけでございますが、実は統計で見まする限りにおきましては、一般に言われているほどの輸入増加が見られるわけではないようでございます。やはり一般的な不況状況というふうな中で非常にそれが印象として強くあらわれるんではなかろうかと、こういうふうに考えておるわけでございますが、数字について申し上げますと、一九七三年に大体、絹の衣料の輸入でございますが、約一万三千ダースでございます。それから七四年が約九千ダース、七五年が三千ダース、この辺は非常に激減したわけでございますが、七六年は一万二千ダースというふうにもとの数字に戻った感じでございまして、七五年が非常に激減したというふうなところから見ますと、七六年やはりふえたという感じがするんではなかろうかと、こういうふうに感ずるわけでございます。ただ、私どもといたしましては、わが国の絹の業界の不況といいますものは非常なものでございまして、いまのような数字でございましても、先生のお話のように、非常に多いという印象を受けるというぐらいにやはり負担になる数字であろうかと思います。私どもといたしましては、韓国が一番多いわけでございますが、韓国等の主要輸出国に対しまして、製品、半製品等の二次製品の輸出につきまして自粛を訴えておるわけでございまして、先般の三日間にわたります日韓の話し合いにおきましてもこの点は強く申し入れておりまして、先方も自粛を一応いたそうと、こういう意向のように考えております。
○林田悠紀夫君 なお今後ともよろしくお願いを申し上げます。 そこで、現在の機屋の採算状態というものは先ほど申しましたとおりですが、これをいま救済してもらっておる唯一の政策があるわけです。それは何かというと、高い国内産生糸だけでは採算がとれませんので、輸入生糸の実需者売り渡しをやっていただいておるということであります。そこで、どうしてもこの政策がコンスタントに行われるということが必要であるわけでありまして、本年度は大体どの程度の実需者売り渡しをお考えいただいておるんでしょうか。実需者売り渡しというのは、瞬間タッチで売り渡していただくという方法の売り渡し数量です。
○説明員(池田澄君) 日本蚕糸事業団が行っております一元輸入の扱い方の方法の一つといたしまして、いま先生御指摘の実需者売り渡しというものを昨年の後半から行ってまいっております。これは先ほどからいろいろ出ております、八月に定まりました絹業対策の一環として行ったわけでございますけれども、期間がずれましたために、昨年といいますか、この三月までに二度ほど行っておりますけれども、四月以降新しい年度といいますか、それに対しましては、三カ月を一期といたしまして一年を四回に分けまして、できるだけ安定的にほぼ均等的といいますか、そういった数量の実需者売り渡しを行ってまいりたいというふうに思っております。現在は、四月、五月、六月に対応いたしますものといたしまして、六千五百俵を現在まさに手続中でございまして、大体実需者と輸入関係との間の結びつきといいますか、契約等もできてまいっておりますから、これが今後安定的に輸入されてくるものというふうに思っております。 で、今後年間を通じまして幾らぐらいにするかというお話でございますけれども、これは生糸全体の輸入量が、先ほど申し上げましたように、中国あるいは韓国等と、なお取り決めといいますか、合意に達しておりませんし、これを行いますに際しまして非常に大きな意味合いを持っておりますものは、撚糸の輸入量のいかんでございます。で、私どもも先ほど通産省の局長からの説明がございましたように、できるだけこれを抑えて生糸のかっこうで輸入していく。その生糸で入ってくるもののうち、できるだけ多くの割合といいますか、そういったものを実需者売り渡しへ回していきたいというふうに思っておりますが、まだ明確に数量を申し上げる段階でございませんけれども、めどといたしますと年間で約三万俵程度を私どもは頭に置いております。
○林田悠紀夫君 この政策が本当の唯一の政策ですから、ぜひうまくできるだけ多量に売っていただくようによろしくお願いを申し上げます。 そこで、現在の生糸の価格安定対策というものは、一方におきましては価格が下がってまいりますると買い上げて、価格が高くなると売り渡して価格をある水準の中に維持していこうと、こういう政策なわけなんです。そこで、この実需者売り渡し制度が停止されることなく行われるというためには、基準糸価を割るおそれがある場合には売ってはならないという規定があるわけですね。それで、基準糸価を割るおそれがあるという場合、これは五十一生糸年度におきましては基準糸価が一万二千百円であったわけで、標準中間売り渡し価格が一万主千百円、こういうわけです。そこで、大体その中心をとり、そしてそれの中心の半分というようなことで大体二百五十円、だから基準糸価の一万二千百円より二百五十円上回る一万二千三百五十円というようなところを考えられまして、それ以上の価格が維持されるようにしたいと、こういうことをやったわけですね。そこで、この五十二年の基準糸価一万三千百円というようになった場合に、基準糸価を割るおそれがある場合というのはどういうふうな価格水準を考えておられるのかということをお伺いいたしたいんです。
○説明員(池田澄君) 現在、今年度の中間安定帯は基準糸価という一番下の水準でございますけれども一万二千百円と、標準売り渡し価格、これが上の水準でございますが一万三千百円、こういう中間安定帯と言われる中に糸価を安定させことを目途として運用してまいっております。で、現在の法律によりますと、いま先生御指摘のとおり、事業団が輸入生糸を売る場合におきましては、もちろん実需者売り渡しも含めまして、基準糸価を切るおそれがあるというときには売ってはいけないというふうに相なっているわけでございます。 そこで、どのような水準で切るおそれがあるというふうに判断したらいいかということにつきましては、昨年来から非常に多くの方々、関係方面の方々と議論といいますか、打ち合わせをしてまいっておりますけれども、何しろ初めての事業でございますし、また一元輸入下におきます糸価変動、生糸の値段というものはどのように動くかということにつきまして蓄積、いわゆる資料等もございませんために、一つのめどといたしまして、いま先生の御指摘のとおり、中間安定帯の真ん中と一番下との間、下から四分の一の水準で、何といいますか、輸入生糸の売り渡しを停止する、実需者売り渡しを停止するめどにしたらどうかということで運用してまいったわけでございます。これは安定帯の今後の運用の問題にかかわるわけでございますけれども、そこを一つのめどといたしますと、今度は逆に価格が標準中間売り渡し価格を超えていく、今度は騰貴するときのめど、騰貴するのを抑えるめどというものと絡んでまいるわけでございますけれども、これにつきましてもなおいろいろ蓄積がございませんで今日にまいっておりますが、私どもといたしますれば、新しい年度につきましてもこういう考えを基本といたしまして、ただ、いま先生も御指摘のとおりいろいろの意見なり批判はございますけれども、この実需者売り渡しが非常に苦境にございます繭業界から期待されておるということもございますので、このスムーズな運用に支障を来さないような観点から今後ともこれは進めていきたいというふうに思っております。
○林田悠紀夫君 最後の質問にいたしますが、いま池田さんおっしゃいましたように、非常にこれは期待を持っているわけですね。だから、これ余り高いところでもう売っちゃいかぬということになっても困るわけです、余り下がっても困りますけれども。そこで、まあことしぐらいのところで、二百五十円というぐらいなところを考えていただいたらどうかというように思うわけです。 それからいまお話のありました今度は価格が上がった場合ですね。価格が上がった場合にはどういうふうな価格水準を考えてそして売っていくかということがやはり問題になるわけです。それで、その場合の価格水準、これもやはり適当な価格水準というものが必要であるわけで、下から二百五十円ぐらい上回ったというような場合を想定し、上から二百五十円ぐらい下のところというようなところで、大体いままでと余り変わらないというような運用でやっていただきたいと思うわけです。それをぜひ要望いたしておきます。何か御答弁がありましたらお願いしますが、これは要望でありまするのでよろしくお願い申し上げたいと思います。
○国務大臣(田中龍夫君) 就任以来、実はこの非常に落ち込んだ繊維関係なかんずく絹の問題に対しましては実際心を砕いておるわけでございますが、林田先生るるお話がありましたようになかなか容易ならない問題でございます。つきましては、政府といたしまして原料価格差に伴います輸入急増に対処をいたしますために、当面お話が出ました中国及び韓国との二国間の取り決めの締結を急ぎますとともに、需要者割り当て制度の拡充など、いろいろな措置を講じたいと考えておりまするが、さらに蚕糸業及び繭業の調和のある発展を図りまするとともに、長期的視野から、関係方面とも緊密に連絡をとりながら、生糸一元化輸入制度にかわるべき方策を含めまして検討を進めてまいりたいと考えております。この場合、御指摘のように、輸入絹織物から調整金を徴収するという方策も、生糸一元輸入制度を前提といたしましての繭業の安定を図りまするための一案であろうかとも存ぜられますが、国際関係との調和などの問題点がございますので、内外の諸条件を踏まえまして今後慎重に検討を進めるべきものと、かように考えております。 なお、農林省、通産省両省ともども、緊密な連絡のもとに今後の施策を進めてまいりたいと考えまするが、どうぞ、林田先生を初め、地元におかれましていろいろと御苦心をなさっておられまする各位の今後ともにいろいろと御意見も承りたいし、また、政府の施策に対しましていろいろと御協力、御指導も賜りますようにこの機会にひとえにお願い申し上げまして答弁といたします。
○林田悠紀夫君 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
○小平芳平君 私は、きょうは限られた時間で短かい時間ですので、現在時点で多くの国民生活に欠くことのできないプロパンガスの問題について質問をいたしたいと思います。 最初に通産省から、現在の家庭用燃料と言えば都市ガスとプロパンガスがほとんどだと思いますが、その需要世帯はどのくらいになっているか。そしてまた、そう遠い将来でなくて、将来この都市ガスとプロパンガスの傾向といいますか、あるいはそれ以外に考えられることがあるかどうか、将来の見通し等についてお答えいただきたいと思います。
○政府委員(橋本利一君) 昭和五十一年時点でございますが、都市ガスの需要世帯数は千四百三十八万世帯でございます。プロパンガスの需要世帯数は、推計値になりますが、おおむね千七百六十万世帯ということでございます。 また、将来の家庭用エネルギーについての御質問でございますが、将来価格がどういうふうに変動していくかといったような不確定要因もございますので、なかなか断定的には申し上げづらいわけでございますが、今後とも灯油、電力、LPG、あるいは都市ガスと、それぞれの家庭用エネルギーがその特性を生かして活用されていくんではなかろうかというふうに考えているわけでございます。
○小平芳平君 私は、都市ガスに切りかえていくということに対して頭から反対するとか、それをどうこうしようというような趣旨でこれから質問するわけではございません。が、プロパンガス業界は、言うまでもなく中小企業、零細企業がほとんど大多数であるわけでして、通産省としては、こうしたプロパンガス業界に対してどのような姿勢なりあるいは保護なりをなさっていらっしゃるか。具体的にプロパンガスに対する通産省の対処はどうなっておりますか。
○政府委員(橋本利一君) いま先生も御指摘になりましたように、都市ガスを使うか、あるいはLPガスを使うかということは、最終的には消費者が選択すべきものだと思います。ただ、いまも御指摘のように、LPガス業者というのはきわめて中小企業性の強い業種でございますので、そういった観点から、中小企業政策の一環といたしまして、近代化、合理化等につきまして必要な措置を講じてきております。具体的にというお話でございますが、四十六年度に、中小企業近代化促進法に基づく指定業種といたしまして近代化基本計画を策定いたしまして、その計画に基づいて近代化、合理化を行ってきておるわけでございます。ただ、これは四十九年度に適用期限が切れたわけでございますが、さらに五十二年度まで、本年度いっぱい延長いたしたわけでございます。 今後五十三年度以降どうするかということでございますが、これにつきましては、単純な近代化、合理化ということではなくて、LPガス業界におきまして構造改善事業をやるかどうか、これはもちろん業界サイドで考えるべき問題、第一次的にはさように考えるわけでございますが、そういった構造改善事業に移行するかどうかということも含めまして対策等を考えていく必要があるだろう、かように思っているわけでございます。
○小平芳平君 プロパンガスと、それから都市ガスの供給区域についていろんな紛争が起きつつある。その具体的な事例を挙げて御説明いただきたいんですが、通産省が許可認可をするというその供給区域の変更とか、そういう通産省の許可認可をめぐってなおさらこの紛争を悪化させているんじゃないか、そういうケースがありはしないか。 次に具体的に事例を挙げますが、第一に、供給区域拡張の許可がある前にガス供給を行っていたというガス事業法違反ですか、こうした事例、ありましたら挙げて説明していただきたい。第二に、ガス会社が供給区域外に導管を敷設したということをめぐってのトラブル、こうした事例について具体例があったら御説明いただきたい。
○政府委員(服部典徳君) 供給区域の拡張の前にガスを供給しているというガス事業法違反のケースでございますが、これは実は残念なことでございますが、藤沢市に一件ございまして、これは厳重に会社に二度とそういうことがないようにということで指示を与えたというケースでございます。 それから二番目の、供給区域の外にガス事業法の工事計画の認可を得て導管を敷設したというケースにつきましては、これは平塚でそういうケースがございます。平塚市の花水川から徳延の五百六十六番地の間の本管埋設工事につきましては、いま申し上げたように供給区域の外でございますけれども、ガス事業法の認可を受けて導管を施設すると、こういうことでございます。
○小平芳平君 その平塚市のことについては具体的にまたお尋ねいたしますが、この供給区域外に埋設したということで、その係争というものは相当各地に起きているんでしょう。いかがですか。
○政府委員(服部典徳君) 先ほど申し上げた藤沢の例、平塚の例以外は私ども承知いたしておりません。
○小平芳平君 それでは藤沢の例を挙げますと、許可を得て埋設をしたというんですが、それはどういう理由でいつ許可になっていますか。
○政府委員(服部典徳君) 御指摘は平塚の例だと思いますが……。
○小平芳平君 はい、そうです。
○政府委員(服部典徳君) 平塚の花水川から徳延の五百六十六番地の間の本管の埋設工事につきましては、昭和五十二年四月に、日本住宅公団の高村団地、これが入居予定となっておりまして、また県営の山下団地というのが将来建設予定ということに予定がなっておりますので、それらの団地へのガスの供給を前提といたしまして導管を埋設したということでございます。トラブルが起きましたのは、供給区域の増加の許可を受ける前に敷設工事を行ったという点につきまして、地元のプロパン販売事業者が通産省に対しまして苦情の申し立てを行ったということでございます。それで私どもといたしましては、その内容を検討いたしまして、昨年の十一月の二十九日に申し出者に対して、通産省の見解ということで、本導管につきましてはすでにガス事業法二十七条の二の第三項の基準に照らしまして厳正に審査が行われ認可されているということで、法に違反するものではないという内容の回答を行ったわけでございます。 なお、供給区域の増加にかかわる許可申請、それから供給規程の変更認可申請につきましては、五十一年の十二月二十五日に許可、認可それぞれなされております。
○小平芳平君 ちょっと御説明がよくのみ込めないですが、金目川から徳延五百六十六番地までのその区間と、それから徳延五百六十六番地から公団住宅までの区間と、それは全く同じケースとして許可になっているんですか。
○政府委員(服部典徳君) 法律的には両方とも同様の取り扱いでございまして、供給区域外に、供給区域の拡張の許可を受ける前に工事計画の認可を受けたという点においては同様でございますが、ただ、道路事情から申しますと、いま先生が仕分けされました区分で申しますと、片方はすでに道路があり、片方はこれから舗装を新たに行うという点で、道路の事情というのは確かに違っているというふうに認識いたしております。
○小平芳平君 それでは、この二つに区分けした場合の前段の方は、現に舗装されている道路を掘り起こして埋設をしたんですが、それは合法的であると、そういうことを見越して認可を与えていたと、こういうことですか。
○政府委員(服部典徳君) そのとおりでございます。
○小平芳平君 そして、平塚市のその地区の問題として公聴会を開かれましたね。その公聴会はいつ、参加者はどういう人がどういう資格で参加し、それで公聴会の後何日で許可をしておりますか。
○政府委員(服部典徳君) 供給規程の変更の認可に係ります公聴会でございますが、これは昨年の十二月二十一日に公聴会を開催いたしておりまして、陳述希望者は実は三名ございましたが、出席いたしましたのは一名でございます。それから傍聴の希望は三十四名出ておりましたが、出席いたしましたのは十二名でございます。二十一日に公聴会を開催いたしまして、供給区域変更の許可及び供給規程の認可はいずれも十二月二十五日に手続が終了いたしております。
○小平芳平君 それは、わずか五日間くらいでそういうふうに結論が出るものですか。
○政府委員(服部典徳君) 公聴会の前から予備的な審査は続行いたしておりますので、公聴会終了後結論を出すということで、日数的にはこれで検討が十分できたというふうに考えております。
○小平芳平君 いや、ほかのケースでも五日くらいで結論出るんですか。
○政府委員(服部典徳君) ケースによるかと思いますが、予備的な審査がかなり進んでおります場合には、そう日数をかけずに公聴会後認可ができるというふうに考えております。
○小平芳平君 それから、県営山下団地と先ほど言われましたが、県営山下団地は申請人に入っているんですか、あるいはこの決定の条件に入っているんですか。
○政府委員(服部典徳君) 先ほど申し上げましたように、日本住宅公団の高村団地とそれから県営山下団地と、この二つの団地にガスを供給するということを主たる目的といたしまして導管を敷設したわけでございまして、当然対象になっているということでございます。
○小平芳平君 ところが、山下団地については地元との話し合いもまだついていないし、全く、県当局の説明では、事実そこまで山下団地の計画は具体化してないと説明をしておりますが、いかがですか。
○政府委員(服部典徳君) 私ども報告を受けているところによりますと、日本住宅公団の高村団地につきましては五十二年の四月一日から都市ガス供給を開始していると、それから県営の山下団地についてはなお将来の問題として残っておるというふうに聞いております。
○小平芳平君 それは、ガス会社が公団と山下団地と両方の申請をすれば、公団の方はもう完成していても山下団地の方はまだ手もついてない、地元との話し合いもついてないというにもかかわらず、それを条件として許可がおりるんですか。
○政府委員(服部典徳君) 導管敷設をいたします場合には、現実の需要及び将来にわたります需要も想定いたしまして導管を敷設するというのが通常でございますので、本件の場合も、具体化されている住宅公団の団地とそれからやや将来にわたる山下団地と、両方の需要を見越して導管を敷設したというふうに考えております。
○小平芳平君 そうしますと、公団と県営山下団地、それは企業から将来の計画としての書類が出たのであって、県はどう言っているんですか。
○政府委員(服部典徳君) 神奈川県からは、これは東京瓦斯あての文書でございますが、五十一年の三月でございますが、平塚山下団地に対しましてガスの供給の引き合いが出されているわけでございまして、予想の戸数、それからいつの年度にできるかというような内容も添えましてお申し出が出ているということでございます。
○小平芳平君 その予想の戸数と期間はいつですか。
○政府委員(服部典徳君) 戸数は九百四十八戸でございまして、年度は五十年度に四百三十六戸、五十一年度には五百戸、それから五十二年度以降十二戸という内訳が記載されております。
○小平芳平君 五十一年度はもう過ぎちゃいましたが、その段階で何戸できていますか。
○政府委員(服部典徳君) 工事がおくれておりまして、まだできてないというふうに聞いております。
○小平芳平君 ですから、通産大臣か、長官か、そういうように実態に合ってない許可認可が行われているじゃないですか。要するに、企業からの申請は公団と県営と両方出ているんです。そこで、導管埋設をしたと。そして、こんなにあわてて五十一年十二月二十一日に公聴会をやって、二十五日にはもう結論を出している。そんなにあわてて結論を出しているんですが、実際問題県営団地の方はまだ全く一戸もでき上がっていないという、そういう実態に合わないことをどうして平気でやるんですか。
○政府委員(橋本利一君) 当事者としては慎重に検討をいたしたと私は確信いたしておるわけでございますが、いわゆる大規模な開発、特にこういった団地が形成される場合に、一般的に申しまして、道路の本舗装を行う前に、先行投資と申しますか、準備をしておく必要があるということでもございますので、そういった関連で認可をおろしたものと私は理解いたすわけでございます。
○小平芳平君 いや、それが舗装する前に敷設するんだという説明をするから、さっきのような混乱が起きるんです。そうでしょう、部長。舗装する前にこの工事をやったんだということになると、金目川から徳延五百六十六までは現に舗装ができちゃっていたんだから、それを掘り起こして工事をやったんでしょう。
○政府委員(服部典徳君) 御指摘のとおりでございますけれども、先行的にと申しますか、先行的に導管を敷設する場合におきましては、道路の舗装の前にするというケースもございますし、それから大規模な団地ができるという場合にもやはり先行的に導管を敷設するというケースもございます。本件はたまたま徳延の地点までは舗装されているわけでございますので、そこはむしろ、団地造成がなされるということから先行的に導管を敷設したというケースに当てはまりますし、もう一つの徳延より先の地点は、大規模な団地ができたこと及び道路舗装の前に導管を敷設すると、こういう両方のケースに該当するというふうに考えております。
○小平芳平君 その大規模団地が、一方はできたが一方はできてないということなんですよね。 次に、今度は都市ガスを引く場合の負担金はどうなるんですか。これは世帯が多くなれば、参加世帯が多くなれば負担金は低くて済むということで、盛んに勧誘が行われるんですね。きわめて勧誘が盛んになるわけです。この負担金制度というのはどうなっていますか。
○政府委員(服部典徳君) 工事費負担金制度でございますが、本来、既存と申しますか、現在ガスを使っている需要家と、それから新設の需要家との負担の公平を図るという観点から工事費負担金制度を決めているわけでございまして、新たにガスの供給を受ける需要家に対しまして、一定限度額、これを会社負担限度額と申しておりますが、それを超える部分につきましては、新たな需要家から徴収を図るということでございまして、御指摘の東京瓦斯のケースで申しますと、一戸当たり大体平均十六万三千円程度ということに相なっております。
○小平芳平君 十六万円よりもたくさんのがずっとこう出ておりますけれども、それはともかく、負担金を払いますと言って申し込みをしなければ、申し込みのないところは原則として本支管は引かれないんですか、それから後は。
○政府委員(服部典徳君) 一定の需要家の希望によりまして導管を敷設するわけでございますが、その需要家だけに工事費負担金を負担させるという性格のものではございませんで、導管を敷設した場合に、将来の需要がそこでどれだけ出てくるかということを見込みで計算をいたしまして、それを均等に負担していただくということで工事費負担金の制度を運用いたしております。
○小平芳平君 ということは、そうあわてて申し込みしなくても差別扱いされることは、将来にわたって差別扱いされることはないと、こういうことですか。
○説明員(山崎衛君) ただいまも部長が説明いたしましたが、開発地域の場合でございまして、これからかなり戸数が伸びるという場合には、既存の需要家だけに負担をさせますと工事費負担金が高くなるということで、この場合にはガス事業法の二十条の規定を用いまして、将来の見込みを立てて均等割りをするという制度を運用しております。
○小平芳平君 時間がこれでなくなりますので、最後にお尋ねしますが、プロパン業者はメーターを設置するということが義務づけられますね。そしてメーターを設置したり、要するに投資してあるわけですよ。それがそういう投資をして間もなく都市ガスに切りかえるということになりますと、業者がまるまる損失をこうむってしまう。そういうことに対する救済策は考えられないのかどうか、これが一点です。 それから、現行のガス事業法ができた段階では、このようにプロパンガスが大量の家庭に使われているという実態になかった。それが現在時点では、こうしたガス事業法ができた当時とは社会情勢が変わってきている、エネルギー事情も変わってきているんだから、こういう点についての検討をするお考えはないかどうかが第二点です。 第三点は、こうしたプロパン業者に対する法律、規制はあるけれども、保護するという、権益を守っていくというような制度はないように思いますが、もっと中小零細企業の多い業界を保護していく、権益を守っていくというような制度を検討する必要があるではないか、以上三点についてお答えいただきたい。
○政府委員(橋本利一君) まず第一点でございますが、御指摘のように、消費者が都市ガスに転換してまいりますと、メーターが不要になってくるということでございまして、この不要ガスメーターをどうするか、どういうふうに補償するかということについて、いままでもずっと検討いたしているわけでございますが、現実論と申しますか、具体的な実施方法になってくるといろいろむずかしい問題が出てまいっておりますので、これはまた引き続いて検討いたしたいと思います。ただ、御参考までに申し上げておきたいのでございますが、昭和四十七年の十二月に液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律、この法律ができまして、LPガスの販売に当たりまして体積で売るということになりたわけで、これに従ってメーターを取りつけることになったわけでございますが、その際、御指摘のように、都市ガスに転換する場合の問題も考慮いたしまして、内容積が二十リットル以下の容器で販売する場合、あるいは近い将来都市ガスに転換される可能性が明らかになっておるといったような場合には、従来どおり重量売り、要するにメーターを使わずに重量売りでもよろしいということに措置いたしておりまして、そういった方向で指導いたしておる、こういうことでございます。 それから、二つ目の御質問でございますが、現行のガス事業法が昭和四十五年に改正された。その際、ガス工作物に対する保安規制の強化、それからガス用品の取り締まり、あるいは簡易ガス事業規制の創設、こういった三つの点に重点を置いて大改正をやったわけでございますが、この改正に当たりましては、昭和四十二年から昭和四十三年にかけまして総合エネルギー調査会の中にガス部会というのがございますが、このガス部会にプロパン関連業界の方々三人ほど参加していただきまして、そこでいろいろと御審議を願っておりますので、プロパン業界の意向は十分四十五年の大改正の際にも反映されておるというふうに理解いたしております。ただ、先ほど来御指摘のように、都市化の進展の中でいろいろ都市ガスとLPガスとの間で紛争も発生いたしておりますので、われわれといたしましては、両当事者の話し合いで円満に解決するように指導する、あるいは場合によっては話し合いの場をあっせんする、こういったいわゆる行政指導と申しますか、そういった形におきまして問題の解決を図るようにいたしておる、こういうことでございます。 それから第三点のLPガス業界に対しての保護措置いかんという御指摘でございますが、都市ガスとの紛争のような場合には、ただいま申し上げたようなことで対処いたしておるわけでございますが、さらに積極的な問題といたしましては、当初お答えいたしましたように、中小企業近代化促進法に基づきまして近代化、合理化を進めておる。これは五十二年度まで延長いたしておりますから、それ以降の問題については、今後業界の考え方も踏まえまして検討してまいりたい、こういうことでございます。
○国務大臣(田中龍夫君) 本日、小平先生からるるお話を承りましたが、われわれも各地に参りまして座談会等いたしますると、LPガスの方々と非常にいろいろなお話を、特に中小企業の業界といたしましてのお話を聞いております。本日も先生のお話でなかなかむずかしい問題もございますけれども、特にただいまエネルギー庁長官も申し上げたように、当省といたしましてもその問題について本当に四つに組んで問題の解決なりあるいは紛争の調停なりいたす考え方でございます。 なお、きょうお話が出ませんでしたが、事故のありましたときの賠償の問題等につきましても、陳情の際に、非常に等差がある、不公平であるという御意見も承っておりますので、それらの点も十分に配慮いたしまして、今後の行政をいたしてまいりたい、かように考えております。
○内藤功君 スーパーの進出問題と、これに伴う地元中小業者、商店街の営業権の保護の問題、非常に重要な問題でありますが、この問題について伺いたいと思うのです。 一番最初に本問題についての基本的な考え方はどのように持っておられるか、通産省の御見解を伺いたいと思います。
○政府委員(濃野滋君) お答え申し上げます。 先生御指摘のような、スーパーと中小の小売商業者との間の調整の問題、特に最近スーパーの進出が従来のいわゆる大都市から地方中小都市にふえてまいりました。おまけにいま経済の情勢がこうでございますので、大変問題がいろいろたくさん起こっておるという実態を、私ども非常に深刻に受けとめております。 私どもといたしましては、先生御案内のとおり、この問題の調整を図りますために、いわゆる大店法という法律がございまして、基準面積千五百平米で一応の基準はつくっておりますが、国会の御決議等の線に従いまして、この基準面積以下のものにつきましても、紛争の起こりましたものにつきましては、私ども現地通産局中心に、いろいろ調停に入っております。その基本的な考え方といたしましては、法律の立て方の大枠の中で、地元の意見がまず円満に調整をされる、そういう結果の出たものについてスーパーの進出を認める。地元の円満調整ということを第一にいたしまして、実際の運用に当たっておるわけでございます。
○内藤功君 この不況とインフレの時代の中で、政府の統計が示す以上に、一般勤労者の消費者物価の値上がりに対する危機感、その家計への影響は非常に大きくて、消費の伸びというものも非常に問題になっておる。また地元の中小企業にとっては非常に厳しい昨今の経済情勢であります。こういう中で、最近特に大型スーパーの進出が深刻な問題を投げかけておりますが、こういうスーパーなどの進出が地元の小売店、中小業者に対してどういうような実際影響を与えているかという点についての通産省の正確なひとつ調査をここで報告してもらいたいと思うのですよ。というのは、この間、三月四日の衆議院の商工委員会におきまして、私どもの方の衆議院の工藤晃議員の質問に対しまして、そういう影響がどういうふうになっているかという実態については、現在調査中だという答弁がたしかあったやに記憶しておる。その調査はその後直ちになされたと思いますが、その調査の結果、経過をお伺いしたいと思います。
○政府委員(濃野滋君) ただいま御質問の調査でございますが、先生御案内のように、現在の大店法が施行になりまして、ちょうどこの三月で三年でございまして、施行後新しく、いわゆる新設の第三条の届け出をした数も九百を超えております。その間にいろいろ問題を起こしているところもございますが、私どもも昨年五十一年度でいま御指摘の調査をぜひやってみたいということで、昨年の十月に調査を行いました。私ども産業政策局におきましては、消費者が一体どういうふうに受けとめておるかという、消費者側の調査、それから中小企業庁長官がおられますが、中小企業庁におきましては、むしろ小売の商業者がどういうふうに受けとめておるかという調査をいたしまして、若干御説明を申し上げますと、私どもは地方の都市の人口別にある程度の区割りをいたしまして、今度は一方、スーパーの面積、大きさがいろいろございます。この区割りをいたしまして、大体地域を八十九地域選びまして消費者約百人程度、これに調査の依頼をいたしました。中小企業庁の方は、私どもが中小企業庁から承っているところによりますと、約一万一千軒の中小小売の方、これを対象にこの小売の方たちがスーパーの進出をどういうふうに受けとめ、どういうふうに考えているかという調査をいたしました。本調査の結果につきましては現在集計中でございまして、まだ結論が出ていない、これが現在の状況でございます。
○内藤功君 中小企業庁長官はいいですか。
○政府委員(岸田文武君) ただいま産業政策局長からお話し申し上げましたような形で現在集計を進めておるところでございます。報告がまとまり次第発表いたしたいと思っておるところでございます。
○内藤功君 いつごろできるんです。
○政府委員(岸田文武君) 私ども大体六月ごろにまとめたいと思っておるところでございます。
○政府委員(濃野滋君) 約一月ぐらい結果の最後の取りまとめにかかるようでございます。
○内藤功君 一方は六月と言い一方は一月ぐらいと言うと、そうすると発表はいつごろになるんですか、もう一遍正確に。
○政府委員(濃野滋君) ただいま申し上げましたように、私どもの対象にいたしております消費者の対象の数と中小企業庁でおやりになっております数が非常に違いますものでございますから、恐らく中小企業庁は取りまとめにおかかりになると思います。われわれはこれをスーパーの進出と地方の問題というかっこうで取りまとめますので、結果といたしましては中小企業庁の結論が出ました後両者で取りまとめにかかると、こういう段取りになると思いますので、結果はむしろ中小企業庁の結果が出ました後になると考えております。
○政府委員(岸田文武君) 私どももそのように考えております。
○内藤功君 非常に深刻な問題ですから、やはり調査というものが早く出ることが非常に望まれているわけですから、おくれないように。それから、いまここでお約束いただいたんですからおくれないように、むしろ早める可能性があれば早めるようにひとつこれは督励していただきたいということをお願い申し上げておきます。 そこで、全国の中でも何と言っても東京でありますが、一番激しいところだと思う。私ども調べたところでも、大手のうちダイエー、これが板橋、青梅、小平というようなところ、それから西友が中野、八王寺、町田、保谷というようなところ、イトーヨーカ堂が江東、足立、府中、東村山というように進出してきておる。二十三区の中では世田谷が非常に顕著なように思いますね。特に、七日に開通した新玉川線の沿線では、大手スーパーが進出しまして、二子玉川では東急ストア、高島屋の増築、用賀ではOKストア、桜新町ではサミットストア、OKストア、駒沢では西友ストア、さらに用賀周辺では三越バラエティー・ショップ、桜新町には大丸ピーコック、東急ストア、三軒茶屋には青楓ストア、全部いま読み上げてみましたが、こんなに出てきているということは、非常にこの世田谷の地元の業者の方々は深刻な問題なんですね。たとえば桜新町のを言いましたが、東急ストアと大丸ピーコックの売り場の面積だけで桜新町の全商店の売り場面積とほぼ同じだというような状況です。こういう東京の状況については特に大都会の中でも真剣に把握しておられると思いますが、どうですか。
○政府委員(濃野滋君) ただいま先生の御指摘になりましたように、最近の傾向といたしましては地方の中小都市にスーパーの進出が非常に目立っておりますが、同時に東京を若干広げまして首都圏等につきましてもかなりの数のものが出ております。私どもが正式に法律に基づきます届け出のあったものをとりましても、法律施行後三年間でいわゆる東京都を含めます一部七県、いわゆる首都圏、届け出約二千七百件出ております。――失礼しました、首都圏のものが七百六十五件になっております、かなりの数でございます。 それから、特にいま先生の御指摘の東京都につきましては、たとえば新玉川線の開通というようなことで住宅地域の拡大の傾向がございますし、それから新しい地域にいろいろな動きがございまして、先生御指摘もございましたが、桜新町の東急ストアあるいは大丸ピーコックの問題等、私ども現実にいろいろ情報等をとっておりますのは東京通産局でございますけれども、これは法律による届け出のむしろある前にいろいろ情報をとりまして、地元等の意見を聞きながらその後の調整に備える体制をとっております。
○内藤功君 私はきょうそういう世田谷の問題をやる時間がないのでありますが、一つだけ都内の例としまして、通産省もこれには関係していらっしゃると思いますが、東京都荒川区西尾久七町目のボウリング場跡に進出せんとしておるキンカ堂ですね、年商四百五十億円。ですから、第一クラスではないがその次ぐらいに年商額からいくと位置するんです。このてが非常にいま問題になってきているわけです。大店法の床面積をちょっと下回るようなところですね。それで通産省としましては、恐らくこのキンカ堂の進出に対して反対をしておる地元の商店会の方々の陳情も受け、また一定の指導もやってきたと思うのだけれども、まだまだこれは不十分な気がするんですが、どういうふうにいままでこれに指導してこられたか、この点をひとつ簡潔で結構ですから述べていただきたいのです。 それから、どういうところに、特にスーパー側の問題点、後でぼくは指摘しますが、私はきのうも行きましてつぶさにもう一遍状況を聞いてきたんですが、スーパー側の問題点が非常に多いようなケースだと思うので、そこも御見解を承りたいと思います。
○政府委員(濃野滋君) 御指摘の荒川のキンカ堂の問題は、先生御指摘のような問題がございまして、東京通産局から私どもの方にもいろいろな報告が参っております。これは東京通産局長が非常に大きな問題として取り組んでおりまして、最初キンカ堂は御指摘のようなボウリング場跡地に、約二千平米くらいと私ども聞いておりますが、店を出すということで地元との話し合いを進めたようでございますが、いろいろ地元の反対も強いということで、東京通産局の報告によりますと、この二月の一日に商工部長がキンカ堂側を呼びまして、地元の情勢を話し、今後新しい動きをする場合には事前に十分話し合うように約束をいたしました。ところが、その後四、五日たちましてキンカ堂側がショーケースを地元に搬入をするというような不測の事態が出てまいりまして、この問題は片づきましたが、つきましては、東京通産局は二月五日の日に、一日の商工部長との約束を守らなかったんじゃないかということで、キンカ堂の担当部長を呼びまして詰問をいたしております。その後、私どものところに入っている話によりますと、二月の下旬に至りまして区役所の仲介で地元側から関係資料の提出要求がキンカ堂に対してございまして、キンカ堂が関係資料の提供等をやっているようでございまして、三月の末に、先月の末でございますが、区のあっせんによりまして、キンカ堂側とそれから地元の反対の方たちの間で今後のスケジュール等を打ち合わせたという報告が入っております。 以上がただいままでの情勢でございますが、いま御説明しましたように、東京通産局としてこの問題は一つの大きな問題としてずっとフォローアップをしていくと、こういうことになっております。
○内藤功君 私はこの経過をずっと見てみまして、ひとつ注意をしてもらいたい点が幾つかあるのです。ほかのまあいろんなスーパーのケースと比べて非常に問題になるのは、一つは地元の業者との話し合いということを念頭に置いていないということが非常な特徴なんです、スーパー側が。これは最初、ここにぼくは持ってきましたが、念書を区役所に入れたんです。「関係住民と十分協議いたします」という念書を入れたんです。これ入れたのはいいんです。入れたのはいいんですが、さあ住民側が「十分協議いたします」だから、協議してくれと言ってきたら、いや、この関係住民との協議というのは隣近所にあいさつする程度でいいんだと、いいですか、協議というのは隣近所にあいさつする程度でいいんだということで、約二カ月間協議らしいものはほとんどなかったということ。これ、なめられているんですよ、いまのこの行政がね。ぼくはそういうことだと思います。あるいは法律がもういまのままじゃだめだということなんです。業者もスーパー側も悪いけれどもね。もうこういうふうになめられているということじゃないですか。これが一つです。 まとめて言いますと、二番目は、普通はこういうスーパーが出てくるときは資料をもうちゃんと持ってきてやりますよ。大体売り上げがどのぐらいで、面積がどのぐらいで、それから御当地一帯はこういう状況でという詳しい資料を持って、粘り強く納得得るようにやるのがまともなスーパーですよ。そうじゃないんです、これは。求めると資料はないと、商売は勘だと、こう言っておるんですね。こういう答えです。これ一つ問題です。 それから三つ目の特徴は、いま話しのように、四月から確かに協議が始まるようになったんだけれども、週二日やってくれと言うのです。常任委員会じゃないですよ。週に二日協議をやってくれ、週に二日。しかも一時から五時半までやってくれ。一時から五時半――商売やっているだんなさんどうですか、この辺のだんな衆はみんなもう本当に心臓がとまるくらいいろんな心配をして飛び回っているのが一時から五時半。この間、週二回このおやじさんたちに集まってくれと、こういう日程の決め方。あなたは日程を決めたそうですと簡単に言ったけれども、これ容易なことじゃないです。 それから四つ目は、最後通牒的なものを最近出してきている。大変個別的な問題に入って恐縮ですが、もうちょっとでほかに移りますが、この商店側に対するスーパー側の要求は、五月中に話し合いを決着したいと十二日に出してきた、スーパー側は。五月中に話し合いを決着したい。もし五月中に基本線で決着つかない場合は六月に入ったら工事を再開して、そうして八月に開店したいと、こう言ってきているんです。 以上、私は四つとりあえず問題を整理して、私なりに、非常に普通のケースと違った点がここにあると思うんですよ。それともこれは普通なんですか、こういうのは。これが普通ならば、いまのあなたの言った中小企業擁護政策はなめられているわけです。まあ少しきついことを言ってしまいましたが、そうだと思いますよ。これ一体こういういまぼくの言った四つの点の特徴は、局長あなたはつかんでいますか。そしてこれに対してはいままでのようなただ呼んで一回ぐらい言うというだけじゃだめですよ。どういうふうに行政指導をやられますか。
○政府委員(濃野滋君) ただいま先生から四点の御指摘がございました。私、このスーパー進出問題は先ほど御答弁にも申し上げましたように、法律で一つの仕組みというのができておりますが、実は実際の運用は法律の正式の届け出がある前にも地元との関係を円満に調整して、中小企業者、同時に消費者の利益保護というようなことも考えなきゃいけませんが、そこで話がついて進むという、非常に実態的な円満な解決ということで運用をいたしております。スーパー側、進出側にとりましても当然のことながら十分の資料を提供し、自分らの考えを述べて地元の納得に努めるのが当然でございまして、もし大変失礼な言い方でございますが、先生の御指摘のような態度が、キンカ堂が本件についてとっておるというならば、これはちょっと進出者としても非常に足らないところがあるという点が一つ。それから東京通産局は、先ほど二月一日と申しましたが、これは商工部長がわざわざキンカ堂の社長を呼びまして、今後の進展、話を進めるに当たっては十分話し合いをしたいということを言っておりました。その後も東京通産局は誠意をもってやっていると思いますが、先生御指摘のように、もし相変わらずキンカ堂がそういうことでやっておるとすれば、確かに、なめられたという言葉を使われましたが、われわれとしても十分考えなければいかぬことでございまして、私自身は、ただいま整理になって四点お話しになりましたキンカ堂側の地元における言い分については、私は存じておりませんが、早速東京通産局と相談の上、最初の基本方針で円満に解決のつくように通産局に従来以上の指導をするように私どもの方から東京通産局に話をしたい、かように考えております。
○内藤功君 ぜひ、ひとついまおっしゃったことを速やかに局の方にも命じていただいて、実行していただいて、貫いてもらいたいということをお願い申し上げておきます。 この商店街はいわゆる旧小台商店街といいまして、これは戦後約三十年間、焼け野原の中で築き上げて、そして今日の商店街をつくったんです。何と言っても住んでいるところとお店が一緒だということは、売る人、買う人、心が通うわけですよ。物がちょっとばかり安いかどうか、包装がきれいかどうかというのじゃなくて、やっぱり小売店の精神というのはここにあると思うんですね。私はそういう面でもこの下町のこういう商店街を守っていくということは政治のやっぱり大きな仕事だと思うのですよ、大臣どうですか。
○国務大臣(田中龍夫君) 御案内のとおりに、いま大店法の問題が非常に議論になっておりますことは御承知のとおりでありまして、従来のように消費者擁護だけで考えられない、すなわち中小企業の在来のところに新たに大企業が進出するというようなことでありまして、この点はまた新しい問題としてわれわれは真剣に受けとめていかなきゃならぬと考えております。いろいろと御審議をいただくと同時に、本日お話しいただいたような具体的なそういうふうな問題につきまして、私の方も調べておりまするが、またいろいろと御注意をいただきたいと思います。
○内藤功君 そこで、こういうスーパーが進出してくると、これが激増しているということの一つに、現行の大店法では売り場面積が東京の場合は三千平方メートルでしたね、こういうことになっている。しかしこの三千平方メートル以下、場合によってはすれすれというような面積の場合にはいまの大店法の規制はない。大店法ができましたときに、日本共産党はこれは大手スーパーの促進法であるという指摘も当時していたんですが、残念ながら施行後三年後の今日そういう現実も出てきているということを指摘せざるを得ないわけです。全国の三十五ぐらいの自治体や商工会議所では、それぞれ大スーパーだけじゃなくて、中小スーパーの規制条令、要綱、規則というものをつくっている。売り場の床面積をずっと下げていくというふうな規制もやっておる。全国知事会からもいろんな要求が出ている。こういう状況であります。 政府として、お伺いしたいことは、現在の大店法についての見直しですね、これをやっぱりもうやるべきじゃないか。さっき私が、言葉は余り適当でないかもしれぬが、なめられておるじゃないか、ただキンカ堂が悪いというだけじゃなくて、いまの制度そのもの、法律そのものがなめられておるんじゃないかと言ったのはその点なんです。 私はひとつ三つの提案をしたい。これについての御見解を承りたいです。現在の大店法の改正に当たっては、店舗面積一千平方メートル以上の店舗を大規模小売店舗の対象とするということ、これまず一つ。最近では政府与党の方でもこういうことを害われてきておるようですから、これはもうぜひやっていただきたい。二つ目には、店舗の新増設をやはりどうしても都道府県知事の許可制にするということがどうしても必要だと思う。三つ目は、この許可、不許可に当たっては周辺の人口や小売店の現状をよく調べる、関係市区町村長や消費者、小売業者の意見もよく聞く、そしてその結果、周辺の商店に著しい影響を与えるおそれがある場合は不許可にする、こういうような基準を盛り込むべきものであると私は考えるんです。なお、罰則その他の問題もあとありますが、ついでに言っておきますと、罰則はぼくはなるべくない方がいいと思うんです、物事は。世の中のこと、政治のことに罰則はなるべくない方がいいと思うんですが、しかし目に余るような場合は、やはり罰則も考えなくちゃいかぬ、体刑はいかぬと思うが、罰金刑ぐらいは考えなくちゃいかぬ。熊本県の条例ではたしか罰金十万円がありますね。ぼくはいまの憲法のもとでも罰金刑をつける、地元業者の営業権、生活権を守るために罰金つけるということは、やれということは好ましくないにしても、やってもいいことだと、どうしてもそれ以外に方法がなければつけてもいいことだ、こう思うんです。ですから論点は四つになってしまいましたが、この四点についての御見解を伺って、最後に厚生大臣の、さっきのキンカ堂問題も含めた御見解をもう一回伺っておきたいと思います。
○政府委員(濃野滋君) ただいま先生から四点現行の大店法について改正を考えるべきではないかという御指摘がございました。確かに今回、いわゆる中小企業分野調整法、最近では確保法と私ども呼んでおりますが、この議論を中心といたしまして、小売業、これをどう取り扱うかということが非常に大きな問題になりまして、それと関連をいたしまして各般のいろんな方面から、いま御指摘になりましたいわゆる基準面積の引き下げ等々の御意見が出ております。私ども十分に承知をいたしております。 時間がございませんので、各項目について簡単に私どものただいま持っておる感じを申し上げますと――まずその前に、こういう御意見も出ておりますし、私どもとしましては、成立後三年若干の運用実績、先ほどの調査等もその実態把握のためにやったわけでございますが、私ども事務的には現在の法律の運用で、しかも千五百という一応のラインを引いてはおりますけれども、それ以下のものにつきましても実際は運用で問題のあるものを片づけておる、あるいは中小企業庁の所管でございますが、いわゆる小売商業の調整法がございまして、この二法でカバーできるとは考えておりますが、最近の情勢を踏まえまして、小売商業問題のあり方、それを含めて大店法の問題点の検討に取り組みたい、こういうふうに考えております。 以下、各項目別に若干申し上げますと、店舗面積の引き下げ、これにつきましては千五百、大都市では三千でございますが、これはいわゆる大規模店舗法という法律で、いわゆる大規模店舗としてどこまでこの法律の対象にするか、その一つ法律の立て方と申しますか、その問題が一つございます。そういう面でいろいろ考えてみたい。 それから第二番目の許可制の問題、これもいろいろ御意見が出ておりますが、実は現在の大店法自身が、法律としましては最後に大臣の法律による勧告、一番最後にそれを聞かなければ命令ということで、四番目御指摘の罰則で担保をされております。ちょっと私忘れましたが、たしか罰金三百万円、それよりもっと痛いのは一年以内の営業停止をかけられるという最後のにらみがございまして、この許可制にするか、いまの届け出制にするかというのはずいぶん議論がございましたが、実際上は許可制と同じような私ども運用ができておる、こういう考え方を私どもいま持っておりますが、この点も検討の対象にしてみたい。 それから三番目の地域の実情を調べまして、つまり、スーパーの及ぼす影響等をよく調べて、その上で影響を及ぼせば強化しなければならないということにつきましては、現在の運用におきましてもある地域の商工会議所なり、商工会を母体といたしました商調協で片づかない問題はその関連のところの意見も聞きますし、商調協で御意見のある小売業者その他の反対者の御意見も聞くという態勢をとっておりますし、府県の御意見も実際商調協の場に参与というかっこうで入っていただきますと同時に、通産局に届け出の書類が出ましたときには、法律には規定がございませんが、関係都府県には全部お渡しをして十分そこで御意見をとる態勢をとっておりますので、われわれとしては運用面で十分可能ではないかと思っておりますが、この点も最初に申し上げましたように、小売商業のあり方、それに絡まる大店法あるいは商調法の改正の問題ということで今後検討に取り組んでみたい、こういうふうに考えております。
○国務大臣(田中龍夫君) 本日、御指摘になりました問題につきまして、ただいま政府委員からお答えをいたしましたとおりに、われわれといたしましても、この問題に取り組んでおる次第でございます。 〔主査退席、副主査着席〕 大店法、商調法によります小売規制の方法については、今日までの高度成長から安定成長への転換ということが構造的にいろいろなひずみ、変化をもたらしておると思うのでありますが、しかしながら、今日の安定成長下におきまする小売業のあるべき姿や小売業の振興策と関連づけまして、御指摘の諸点も含めて総合的に検討すべきものである、かように考える次第でございます。 今後の検討の進め方につきましても現在部内でせっかくいろいろと検討を続けてまいっておる次第でございまして、今後ともにいろいろと御注意なり御協力を賜りますようお願い申し上げます。
○三治重信君 もちろん、本国会で何回となく恐らく議論されていることと思いますし、エネルギー問題でも特に限られた石油を原料とする石油化学工業からそういう関連物資が生産されておる繊維化学工業、こういう問題の原料価格の問題をまず最初にお願いを申し上げて、それから後繊維産業の問題を質問して終わりたいと思います。 石油政策は、資源エネルギー政策の重要な柱として通産省も取り組んでおられる。その中で石油の備蓄のために原油一キロリットル当たり百十円の引き上げを提案されて実行されていこうと。そうしますと、いわゆる石油の価格は国際価格として上がることはあっても下がることはない。しかも日本は輸入する石油に対して一キロリットル当たり百十円の関税を新しくかける、こういうふうにしますと、いま現在の石油精製会社から石油化学工業や化繊会社に出す、ことにナフサの価格は上がることはあっても下げられることはない見通しなのかどうなのか、まず最初にそれをひとつ伺いたい。
○政府委員(橋本利一君) ナフサ価格は将来どうなるかということでございますが、ただいま先生の御指摘になりましたように、毎年あるいは上期下期といったようなことで、OPEC諸国では原油価格を引き上げてきておる。今後またその傾向は当分の間続いていくんではなかろうかというふうに見ておりますので、御指摘のように、よほどの事情変化がない限りナフサ価格は下がるということは考えられないんじゃなかろうかというふうに見ておるわけでございます。
○三治重信君 そういうふうになりますと、結局これを原料としている石油化学工業、また化繊も壊滅的な打撃を受ける、再起不能の状態になる。これは製品の価格に転嫁できない、いわゆる石油ショックで三年の期間を経て石油ショックの症状を取り払って正常化していこうというときに、この石油を原料とする日本のいままでの高度成長の重要な柱をなした化学工業が、その価格を製品に転嫁できない、また製品の価格に転嫁できなければ、高度成長のときのように量産をして価格を維持する、価格に転嫁しないで済むということもできない、そうかと言って中途半端な操短はなかなかできにくいと、これ一体どうしてくれるんだというようなことも聞くわけですが、その中で業者というのか、りっぱな石油会社の幹部でも言うのが、いわゆる石油から出しているいろんな製品の値段ですね、重油、ナフサ、それから灯油、ガソリン、この価格体系のゆがみが非常にあるんだと、これを通産省は直せぬのかと、こういう問題を非常に強く希望しているんだが、そんなことぐらい通産省に行ってこの理由はわからぬのか、そういう資源エネルギー庁までつくってやっているのに、そういう原油からとる価格の均衡、それもしかも石油というものが国際価格である。その製品も重油からガソリンまで、若干の高下はあるにしても、日本の国内価格において外国のいわゆる価格とそうえらい隔たりがあってはまずい。まあ、こう思うわけですね。しかも業荷の方から、そういう関係から見ればナフサが特別に高くなっていると、こういう説明、その説明について私も原価計算はよくわからぬので、結局そういう石油製品の国際価格の比較というものが、日本は何の製品が一番高くて何の製品はわりあいに低いのか、この現状と、そういうものを調整ができる余地があるのかないのか、また調整をしたいと思っているのかどうかという問題をお答え願います。
○政府委員(橋本利一君) ただいま御指摘の石油製品の価格あるいは価格体系というのは現実問題として国の事情によって異なるわけでございまして、いわゆる石油の需給構造の差、あるいは各国における取引形態の差によりまして、ユニバーサルな石油製品の価格体系というのは私はないと思います。その国における需給事情に応じて価格というものは形成されていっておるというふうに考えておるわけでございます。そういったところから一律的に国際的に石油製品の価格を比較するということは必ずしも容易でないというふうに考えるわけでございます。 ただいま御指摘の製品価格は各国でどうなっているかというのをまず申し上げますと、私たちがいま持っております資料で申し上げますと、ナフサにつきましては日本では二万九、千円でございますが、フランスでは三万円、イタリーでは三万一千円、こういう数字でございます。御参考までにガソリンについて申し上げますと、日本では税金を含まずして六万一千円、アメリカが三万八千円、イギリスが四万二千円、フランスが五万一千円、こういう数字になっております。二つの製品について申し上げたわけでございますが、これからおくみ取りいただけますように、日本におきましてはガソリンはかなり各国に比べて高い、ナフサにつきましてはむしろわずかながらフランスあるいはイタリー等に比べて低いということは申し上げられるかと思います。これは数年前ずっとナフサ価格につきましても、御指摘のように石油化学あるいは化学合成繊維の工業用原料であるといったようなこともありまして、行政指導して低位に押えてきておったわけでございます。その後昨年の夏ヨーロッパ諸国におきまして、渇水であったということもございまして、重油を火力発電所で使用する量がふえた、それに従って得率の関係からナフサの生産量がふえた、そういったものを、言ってみれば押し出し輸出と申しますか、低い価格で出してきたというのが昨年下期の実態ではなかったろうかと思います。ただ、今後とも考えられますことは、アメリカを除きましてEC各諸国は日本と同じようなエネルギー事情がございます。ただ、産油地に近いという差はございますが、OPECの今後の生産のあり方、あるいは価格引き上げのあり方を、やはり日本と同じように影響を受けてくるということもございますので、この差というものは日本の方が依然として高く、それだけEC諸国と石油化学あるいは化学合成繊維において競争力が劣っていくということは断定的には言えないのじゃないのじゃなかろうかという気がいたすわけでございます。それからそういったものを通じまして、そういった需要業界に即応した価格体系がつくれないかという御指摘でございますが、これはやはり石油にかかわらず、価格というものは、需給両サイドにおける値決めと申しますか、あるいはしからざる商品につきましては、市場メカニズムを通じて形成されていくというのが実態であろうと思います。現行法のもとで人為的に価格を何と申しますか、価格体系を改めていくということはなかなかむずかしい問題ではなかろうかと思うわけでございます。ただ一言申し上げておきたいのは、燃料として使うよりも工業用原料として使う場合に、それが直に製品にはね返る、それがまた国際競争力に影響を及ぼすということも重々私も認識いたしておりますので、そういったことを頭に置いて、いろいろと対処してまいりたい、かように考えるわけでございます。
○三治重信君 いまちょっと奇異に感じたのは、ナフサの値段なんですが、フランスやイタリアの方が日本より高いと、しかし何かアメリカがいまの話でも一番低いようです。隣の韓国、台湾もアメリカとほとんど余り違わない価格でナフサを使っているので、化学工業として非常に石油等価格においても、化繊においても、要するに日本を取り巻くアメリカ、韓国、台湾というナフサの価格体系からいくというと日本の方が急に高くなって、これじゃあとても競争はできないのだと、こういうことを言っているのですが、いまのお話だと、フランス、イタリアの値段なんだけれども、その点はどうなんですか。
○政府委員(橋本利一君) 韓国におけるナフサ価格がどのようになっているかというのは、ちょっとしさいに知り得ないわけでございますが、ナフサ価格の差もあろうかと思いますが、近隣諸国と特に繊維の競争力を比較する場合に、やはり人件費等においてはるかに差がございます。そういったものも影響しているのじゃなかろうかと思います。そうかと言って、決してナフサ価格が全く関係がないのだというところまで申し上げるつもりはございませんが、国際競争力というのは、諸般の生産要素の絡まり、複合したものとして意識するわけでございますので、必ずしもナフサ価格だけという断定的な言い方はできないのではなかろうかと思うわけでございます。
○三治重信君 そうしますと、問題はもう一つ、通産省の方はナフサを安く輸入できれば輸入したいのだがということについて、何か輸入を事実上できぬように規制してあるというふうなことも聞くわけですが、その点はどうなっておるのか。それからもう一つ、国内で高くするように、まあこれは電力会社の問題もやらなくちゃいかぬですが、最近発電所でナフサをだんだんたくようになって、非常にナフサの需要がふえてきた。それも原因があるけれども、石油化学工業の大切な原料で、しかも国際競争上原料価格というものが非常に重要な地位を占めているのに、発電所が公害をなくするための燃料としてナフサをどんどんたかれたのではナフサが無制限に高くなる。何というのか今後もそれを通産省が、エネルギー庁が自由に認めていくということになれば、どうしてもこれはほかの国よりか高くなっていくんじゃないか。そういう調整はできぬものかと、こういう問題があるわけですが、どうですか。
○政府委員(橋本利一君) ナフサにつきましては、毎年七百万キロリッターほど輸入いたしております。これをさらに無制限に輸入したらどうかと、石油化学業界が所望する量まで自由に入れてはどうかという御指摘かと思いますが、御承知のように、石油製品というものは連産品でございまして、そういったところからナフサを無条件で輸入するということになりますと、国産のナフサの持っていき場所がなくなる。あるいはそれによりまして、得率の関係からいたしまして、需給がアンバランスになる製品も出てくるということになりますと、これは安定供給という問題点につきまして、非常に憂うべき状態になるということもございまして、われわれといたしましては石油業法に基づいて策定いたしておりますいわゆる石油需給計画をベースにいたしまして、需給の均衡を図っていくというたてまえをとっておりますので、そういうふうに御理解いただきたいと思います。 二番目の生だきの点、私はまさに先生御指摘と同感でございます。産油国でもノーブルユースといったようなことを言っておりまして、ましてやナフサを生だきするということは非常に国民経済的に見まして、また有限資源という立場から見ましても、大いに反省すべき段階に来ておると思うわけでございます。 〔副主査退席、主査着席〕 ただ、一方公害防止協定と申しますか、地元協定で非常にシビアな条件がついておる。現在ナフサをある程度使わないとその協定を実行できないといったような事情にもあるわけでございます。それで、五十二年度を含む今後五カ年間の石油供給計画を策定するに当たりましても、私の方といたしましては、今後の公害防止技術の開発との関連を頭に置きながらナフサの生だきを極力漸進的にもせよ減少していく方向で検討するということで、勉強さしておるというのが現状でございます。
○三治重信君 それからもう一つ。こういうふうな関税がかけられたり何かするための原料の高値、この石油製品で輸出をする肥料とか化繊の糸とか、そういうものについて、関税や何かで特別かけたやつを輸出製品については関税の割り戻しとかいうようなのは――よく国際商品にはこういう制度が、特別に税金をかけている場合には、それは国内の消費のためにはそういう関税を国民に負担さすけれども、それを外国に輸出する場合にはそれの関税は戻すと、こういう制度があると思うんですが、そういう制度はいま現在、また、これから需給の調整のために関税で、暫定的といえども通していく場合に、それの関税をかけた石油製品、石油を原料としてやった製品についての輸出については、関税をかけた分だけは輸出品についてだけは戻すと、こういうことは配慮されておるんですか。
○政府委員(橋本利一君) まず先ほども御指摘になりましたように、今般キロリッター百十円の原重油関税の引き上げを行ったわけでありますが、それは石油の安定供給を図るために必要な財源を確保するという観点から、必要最小限を増徴することにいたしたわけでございますが、今回の増徴に当たりましては、ただいま御指摘のような輸出に対して還付するという措置はとっておりませんが、原料として使っている石油化学用のナフサ等につきましては、関税の還付につきまして石油化学業界の負担が大きくならないようにということで十分配慮を行ったつもりでおります。
○三治重信君 大臣、そういうエネルギーの問題は、資源を確保するという問題も一つあるんですが、それから出てくるいろいろの製品を重要な産業の原材料として使っている業界が、これからエネルギー資源の政策から見ると、石油を原料としてやっていくのに国際競争がとてもじゃないがいまのところ見込みが立たぬと、こういうふうな業界がまだ相当残っているということを見ますと、やはり石油ショックのやつが三年で何とか対処するというのが、この価格の相互補完関係やお互いにそれがだんだん、石油の四倍の値段からだんだん影響が均等に配当されてくる、その共同負担、末端までだんだん分配負担されるやつが何か途中でとまっていると、こういう現象が、きょういまのお話で十分頭にあるだろうと思うのですが、終わってないと思うのですね、こういうのを聞いてみると。こういうふうなものに対する対策を、今後のエネルギー対策としても十分配慮してやっていただきたいと思うのですが、その点についての御配慮をお願いしたいと思います。
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまナフサの問題からお話が出ました化学原料としての石油の問題でありますが、御案内のとおりに、特にカプロラクタムなんかの場合は、化繊関係におきまする原料としてナフサは最も重要な問題でございます。いまエネルギー庁長官から御説明申し上げたように、さような次第でございますけれども、しかしこの原料としてのナフサの価格の調整という問題は、確かに一つの大きな問題でございます。同時にまたエネルギーの問題がOPECの石油ショック以来、非常に石油価格が高騰いたしましたが、また第二次の値上げというような問題も出てまいっておりますが、こういうふうな化石燃料ということになりますると、構造式も分子式も同じような関係にある、もう一遍石炭化学という問題を反省させられるような次第でございます。ことに非常にある時期におきましては、コールケミカルとして相当程度までいったものが、一朝非常に安価低廉な外油に依存するようになりましてから、特に石炭の関係の設備をみんな破壊してしまって、それでまた今度は新たにつくるということはまた大変なコストアップするというようなことでございますが、しかし何はともあれ資源のない日本でございますから、ペトロケミカルの問題と、さらにそれが価格の高騰という問題と相関連いたしまして、コールケミカルに対しまする反省という問題も真剣に考えなきゃならぬ、特に空中窒素の固定というような問題になりますと、そういう問題は真剣に考えた方がいいという気持ちも持っております。ただしナフサの問題は御意見のとおりでございますので、今後いろいろと長官が申し上げたような、生だきというふうな問題につきましても調整をいたしてまいりたい、かように考えております。
○三治重信君 もう一つの問題は衣料問題ですが、私は現在の政府の衣料政策、繊維政策というのは、業界も処置なしかもしれませんけれども、やはり何かどうも余りにもいままで多く低廉多種多様、最も国民がぜいたくをしてきた衣料のいわゆる供給関係から、少し国民の衣料に対する政策というものがなおざりになっているんじゃないかというふうに最近思うわけであります。 したがって、その中で特に私は、この繊維製品の輸入、またそれがあらゆる段階で、先ほど申し上げましたように、ナフサから関連して化学繊維からできる高度のものまでどんどん隣の国やアメリカからも輸入されるようになると、繊維の競争力というものがいままで一番日本としては強かったのが、真っ先に繊維産業が没落するということになってきます。日本の国民の衣料というものを総合的に、国内の繊維産業としてどれだけのものを生産し、国民の需要に何%は当面つくるのか、こういう国民の衣料需要に対する充足対策というものを国がしっかり決めないと、いまの各繊維産業がどこを向いて合理化したらいいのか、どの程度まで整備、廃業したらいいのか全然各産地とも、また各業界とも見当がつかぬ。国内生産はこの程度までは政府としては国民の衣料の確保のために需要を確保するんだという全体の――まず国内の需要の見通し、またそれの確保の決意というものをはっきり国民並びに業界に示すという、繊維産業の非常な衰退、急激な衰退に対する政府の施策が何より重要なことだと思うのですが、こういうことを行われているのかいないのか。 また、そういうことについて、これからの繊維政策というものは、農業だといわゆる食糧の自給率、こういうことで非常に明治政府以来いろいろやかましい。繊維の方面ではむしろ日本資本主義の発達とともに輸出商品となっているものですから、むしろ国内の――いわゆる繊維の原料はつぶしちゃった、しかしながら、原料はとにかくとして、現在のいわゆる国民の衣料の最終製品、こういうものの需給というものが、需要の何割までは国内生産で充足さすんだと、こういうものが出て、初めてこれがまたいろいろの繊維の各分野に割り当てられ、そしてそれが目安となって各業界が、いわゆる過当競争といいますか、一つの目安をつけるように、過当競争から目安をつけるような、産業の安定を求める考え方に変わるんじゃないか、そういう方向転換か何か、大きなよりどころを示さぬことには、いまの繊維産業というものは政府に対する不信、また業界の内部に対する相互不信、それから今度は労使とも不信、こういう問題が起きていく、これは将棋倒しにいく可能性があるんではないかと、こう思うわけで、その基本をひとつ考えるべきじゃないかと思うのですが、それに対する対策、考え方。
○政府委員(藤原一郎君) いまお示しのように、大変繊維産業は非常にむずかしい段階で、苦しい状態にあるわけでございますが、お話にもございましたように、所得水準の上昇に伴いまして、繊維製品全般に対しまする需要が非常に多様化してまいっております。また今後の消費者の好みといいますものも、ますます多様化、個性化の傾向を強めていくというふうなことが予想されるわけでございますが、こういうふうな繊維製品につきまして国内で需要を満たす割合が幾らというふうな目標を設定いたしますことは、実は非常に困難でございます。またわが国の繊維産業の現状を固定化するというふうなことになりますと、産業の活力を失わしめると、それは、ひいては消費者利益にも反するということも考えられますので、国内の比率を幾らにするかということを政府が決めるというふうなことは、ちょっと私どもとしては、いま現在のところは考えにくいわけでございます。 ただ、お話にありましたように、非常に繊維産業が混沌たる状態にあるということはおっしゃいますとおりでございまして、そういうふうなことから、わが国の繊維産業のあるべき姿ということにつきまして、昨年一年間かかりまして繊維工業審議会で検討を加えたわけでございまして、その提言が昨年の十二月に出たわけでございます。それによりまして、消費者需要の多様化とか高級化、個性化というふうなものへの対応を目指しまして、発展途上国との競合度合いの低い高付加価値分野へ日本の製品の生産の重点を移行していくべきではなかろうかというのが基本的な問題であろうかと思います。 ちなみに、現在の輸出入について若干数字的に申し上げますと、五十一年におきまして衣料品の輸入が金額で大体十八億ドル弱、十七億九千六百万ドルということでございますが、一方輸出が四十億八千百万ドルでございまして、依然として繊維につきましては、わが国は今日も輸出国というべきポジションにあるわけでございます。したがいまして、繊維の輸出入につきましては余り軽々な手段はとるべきではないというのが私どもの判断ではございますが、今日の不況の一つの大きな原因として輸入の問題があることも十分承知いたしておりますので、輸入の動向を十分にウオッチしながら一提言に沿ったような業界の構造改善努力というものを、最大限の努力をもちまして支援していくと、こういう所存でおるわけでございます。
○三治重信君 私は、そういう通産省の政策が、もうここ十年来十分承知しておってやってきて、それが現在のいわゆる繊維産業の構造的な不況というよりか、繊維産業そのものに対する、業者からあらゆる段階において、これからどうなっていくんだと、こういう不信感、見通し難、こういう問題を提起しているわけだ。そこで、そのもとをつくるのは、細かい議論をしてもしようがないんですが、私は、やはり食料、衣料というものは国民各人の生活にとっては非常に必需品なわけです。必需品について、やはり業界を安定をさすからには、これだけの需要がありますよと、国民にあるんだと、それに対して少なくとも、皆様方も努力をすれば――この国民が使うものは一切国内で生産さすんだと、外国からの輸入はだめだという考え方はだめだと、しかし趨勢によって、たとえこういうふうにパーセンテージが五%から一〇%、あるいは国民の需要に対して八〇%ぐらいまでここ十年下がるにしても、これだけの需要があるんだと、そういうものを大きな目安にして国内の生産構造なり構造改善をしたらどうですかという、どれだけのものが需要があるんだという、少なくとも輸出は、いま言われたように、四十億あって、また六十億になろうが三十億になろうが、それは各業界の努力目標でいいと思うのですが、ことに需要が十分見込まれるやつについてそういう政策、発想を、ただ合理化とかいうことだけでやっていくということは、やはり私は転換しないと非常に問題だと思うのですね。エネルギーなんかでも、やはり日本にどれだけのエネルギーが必要なんだと、だから備蓄が必要なんだと、こういうことになって、繊維だけはもう輸出もよけいしているんだから、どれだけ需要があるか、そんなことは勝手に各自判断しろと、こういうことだと非常に恐怖感を持つ。非常にみんな輸入圧迫、それから原料価格の格差というもので非常な恐怖感を持っている。こういうものに対する安定度、見通しというものをひとつつける政策に転換しなければ、従来の政策を幾らやっても――私はそういう構造改善事業はもういまや放棄される、こういう状況だと思いますので、再検討をお願いしたいと思います。
○主査(中村太郎君) 答弁は簡単に願います。
○政府委員(藤原一郎君) 先ほど申し上げましたように、国として幾らの割合が輸入か輸出かということは別といたしまして、繊維工業審議会の貿易需給部会とか、あるいはいろいろな需給協議会というふうなものがございまして、全体の需要がどのくらいになるかというふうなことは検討することにいたしておりますので、大体御趣旨のようなものは出せるかと思います。
○主査(中村太郎君) 以上をもちまして通商産業省所管に対する質疑は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時三十九分散会 ―――――・―――――