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80回国会参議院1977/03/30

予算委員会公聴会 第1号

発言数
91
登壇者
22
会派数
5
開催日
1977/03/30

会議録

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) ただいまから予算委員会の公聴会を開会いたします。  公聴会の問題は、昭和五十二年度総予算についてでございます。  この際、公聴会の進め方について御報告いたします。  本日の公述目標、公述人氏名及び公述順序はお手元に配付いたしましたとおりでございますが、その進め方につきましては、昨年と異なり、本年は一項目ごとに公述、質疑を行い、終了した公述人は退席していただき、次の公述人が入室して次の項目を公述するという方法で取り運ぶことで理事会の協議が決定いたしました。以上、取り運ぶことといたします。  それでは、松本達治公述人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中にもかかわらず本委員会に御出席いただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。  次に、議事の進め方につきまして申し上げます。  まず、公述人の方から約二十分程度御意見を述べていただき、その後、委員の皆様から質疑がありました場合はお答えをお願いし、公述人から委員に質問することはできません。また、本問題に対する公述と質疑を合わせまして六十分の範囲内でこれを進めてまいりますので、各位の御協力をお願いいたします。  それでは、松本達治公述人から御意見をお述べ願います。松本達治公述人。

松本達治京都産業大学教授

○公述人(松本達治君) 私、京都産業大学の松本でございます。  ただいまから昭和五十二年度の予算案につきまして、経済並びに景気という観点から若干の私見を述べさしていただきます。  まず、第一点といたしまして、政府がこの予算案の前提条件の一つとされております国際収支の見通しについて一言申し上げますが、オイルダラーの還流こそ一応順調とは申しながら、OPEC諸国に対する非産油国全体の経常収支の赤字は年間四百億ドル以上にも上っており、OECD諸国だけの経常赤字も三百億ドルという巨額を算しまして、先進国による景気の回復を大きく阻害していることは、皆様よく御承知のとおりでございます。実際、産油国に対する膨大な経常赤字の恒常化といった事態にさらされた世界経済の現状はまことに深刻きわまりないものでございまして、それにもかかわらず、もし主要国が経常収支の均衡に固執しようとするならば、たちまちにして世界経済の崩壊といった一九三0年代の再現に至らざるを得ない実情でございます。このような環境のもとでは、政府が意図されておりますような経常均衡の保持といった国際収支目標は近隣窮乏化政策の最たるものとして非難され、OECD諸国間における経常赤字の共同負担ということが強く泊られる可能性が少なくないと存ぜられます。それにもかかわらず、わずか七億ドルの経常赤字しか見込まれていない政府の御方針が果たして貫かれ得るものかどうか、私には少なからぬ疑問でございます。  しかし、その点は意見と申しますよりは疑問の提起にとどめまして、私がきょうここで最も力説強調したいと存じておりますのは、五十二年度予算における政府の経済運営の基本目標が、世論に引きずられまして景気回復を焦るの余り、物価の安定という目標をいささかおろそかにされ過ぎているのではないかと存ぜられる点でございます。  言うまでもなく、三年も続く今日の不況は企業にとってきわめて苦痛の多いものであり、その投資意欲の極度の萎縮沈滞により民間経済が完全に自主的浮揚力を喪失するという、景気循環論的に申せば最悪の事態に立ち至っているという事実は、私も十分に承知しておるところでございます。実際、政府の膨大な赤字財政支出と好調な輸出にもかかわらず、多くの産業がいまなお深刻な需給ギャップにあえいでいることは明白な事実でございまして、私といたしましても、政財界を中心としてさらに一段と積極的な拡大策を求める声が強い、そしてそれが世論ともなっているという事実を承知していないわけのものではございません。  だが、本年度の消費者物価の動きを見ましても、政府の見通しを上回りまして一0%近い上昇がなお根強く続いており、物価が鎮静化したなどとはお世辞にも申せない段階でございます。しかも、明年度につきましての政府の経済見通しは、名目賃金の上昇率を過年度の一一・四%を上回る一一・八%と想定されました上、消費者物価につきましても依然として預金金利を大きく上回る七・七%にも及ぶ高騰を見込まれておられます。長引く不況局面で企業がいかに苦しいからといって、賃金と物価の悪循環も断ち切れず狂乱物価の名残をとどめているこの段階で、政府が物価を第二義的に見た安易な拡大政策を推し進められようとしておりますことに対しては、私は基本的な疑義を有するものでございます。  顧みまして、ここ十数年、不況の深刻化を恐れるという名のもとで、常に賃金、物価の鎮静化もいまだしい段階で時期尚早な景気回復策がとられてまいりましたことが、景気循環ごとに段階的に物価の上昇率を高め、ついに四十八年から四十九年にかけての狂乱物価に至らしめた根因でございます。今日のいわゆるスタグフレーションにいたしましても、いわばその後遺症にほかならないと見られるわけでございまして、もしなお一0%近い物価上昇が続いているこの段階で景気回復策をさらに積極化されるとするならば、ここにまた物価の上昇率は一段とかさ上げされ、五十年代前半を通じて二けたインフレが定着してしまうであろうことは間違いのないところと存じます。  このような状態というのは、投機活動の常態化を伴って経済社会の運営を著しく困難なものにするとともに、年々の預貯金の目減りと先行き不安感の増大を通して物心両面から国民生活の安定を破壊し、自由社会を崩壊に導くものでございます。実際、今日すでに見られておりますように、ためてもためてもたまらぬ機構のもとでは、一般の勤労者階級がいかに努力しようともマイホームの夢など蜃気楼のように遠のいていく一方でございまして、また、自力では、長過ぎる老後の安泰など確保できるどころの騒ぎではございません。  このように、人々の自助、セルフヘルプの努力を不可能ならしめ、社会の中堅階級を総弱者化に導くような経済社会に道を開くことは、たとえ福祉政策という名のパンとサーカスの政治によって破局を引き延ばすことは不可能ではないといたしましても、これはいわゆる日本の自殺を意味するものと申すほかはないと存じます。もし、自由社会の崩壊を避けようとするならば、たとえ目先の苦痛を忍びましても、まだ病が完全にいえていない麻薬患者にまた麻薬を与えるような愚は避けて、物価と賃金の安定を第一とする政策を堅持すべきものだろうと存ぜられます。  もちろん、私といえども、今日の景気情勢が大量の失業を伴い、国民生活を危機に陥れるような状況にあるとするならば、あえてそのような主張はいたしません。だが、現状は失業率も二%そこそこで、勤労者階級の実質所得も着実にふえつつあり、断じてそのような状況にはございません。少なからぬ産業で企業の稼働率が低く経営状態が苦しいことは確かでございますが、企業というものは経営状態が苦しくなってこそ合理化や賃上げの抑制に真剣に取り組むものなのでございます。そして、それこそまさにインフレ抑制の決め手なのでございます。私見では、そうした努力も不十分なまま、ただひたすら政府の有効需要喚起策に依存して局面を糊塗しようとする企業の甘えと、百年の計を忘れてそれに耳をかし過ぎる為政者の甘やかしの構造こそが今日までインフレ問題の解決を阻んできた最大の原因でございまして、今日ここで甘えと甘やかしの構造を断ち切らないことには、日本の自由社会にあすはございません。  さて、以上申し述べましたように、私は財界などで支配的であるかに思われます考え方に比べてはもとより、政府のお考えに比べましても、はるかに物価の安定を重視するものでございますが、現段階において財政面からの景気支持活動が不要だなどと申すものではもとよりございません。要は程度の問題でございまして、この景気の冷え込み方に加えて昨年のような輸出超過依存が許されないということになった現在、最低限において五十二年度政府予算案に盛られた程度の景気支持策は当然に必要と存じております。ただ、肝心なことは、物価の安定にきめの細かい配慮を払いながら、物価に悪影響を与えないような形と程度での景気支持策を行うことにあろうかと存ぜられます。  このような視点に立って五十二年度予算案の骨組みについて申し上げますと、まず第一に、これだけの積極予算を組まれながらも公債の発行額を総予算の三0%以内に抑えられました政府当局の自己規制に対して、私は非常な敬意を払うものでございます。世上、ともすれば一不況期の赤字は好況期の黒字によって埋め合わせさえすればよいのだ、三0%の枠などというのはナンセンスだといった議論も聞かれますが、政治、経済の現実においては、好況期における黒字財政によるバランスというのは不可能に近いところでございまして、このような批判は現実を知らざる書生論以上の何物でもないと存じます。現に、昭和四十年代を通しまして赤字財政が解消されましたことはただの一度もございません。四十七年から四十八年にかけての狂乱物価当時においてさえ、赤字国債の償還がなされるどころか、財政規模の一0%以上に上る建設国債依存の財政運営がなされてきたのでございます。このような実情から申しまして、財政当局がみずからの手を縛るような財政規律を重視されて国債依存度に枠をはめられていることは、高く評価されてよろしいところかと存じます。  第二点といたしまして、政府が景気支持政策の方途を国民の目先の人気にこびた減税に求められず、主力を公共投資の増大に置かれましたこと対しましても、私は同感を禁じ得ないものでございます。これには、今日の資源配分上公共投資の方を可とするという理由もあるわけでございますけれども、時間の制約上その点はおきまして、景気調整策としての有効性という点だけにしぼってその理由を申し上げます。  まず第一に、乗数効果という点について申し上げますならば、今日までに議論はほぼ出尽くしており、減税よりも公共投資の方が即効性も強くはるかに効果的であることについては疑問の余地はございません。だが、私がより以上に強調したいと存じておりますのは、公共投資と減税とでは産業活動と物価に与える影響が全く異なるという点でございます。四十八年以来の需要構造の動きを見ますと、消費と輸出は順調に伸びておりますのに対して、投資がきわめて低い水準に落ち込んでいる事実が特徴的なわけでございまして、一概に不況と申しましても、産業間の跛行現象が目立つわけでございます。具体的に申せば、中進国の追い上げによる繊維産業などの構造的不況の問題は一応別といたしまして、消費関連部門の多くは、輸出の好調な自動車、家電などを初めといたしまして、現在でもフル稼動もしくはそれに近いような状態でございますし、また、電力などもむしろ供給余力の不足が憂慮されているような状態でございます。いわゆる需給ギャップはもっぱら建設業を初めとする設備投資関連、あるいは鉄鋼その他の素材部門に集中しておるような次第でございます。  このような状況のもとで、減税による消費需要の喚起に景気支持政策の支柱を求めようとすることには多大の疑問がございます。第一に、消費支出の三割前後は食料品に向けられることと存じますが、農産食糧の供給量は一定いたしておりますから、それは農産物価の上昇に役立つだけでございます。その他の支出にいたしましても、その約半分というものは、個人サービスを初めといたしまして医療とか教育など、少なくとも短期的に見る限りは供給の弾力性が著しく低い分野に向かってしまうわけでございます。さらに、一般の消費財にいたしましても、先ほど申しましたように、稼働率がそう低いとは言えないといたしますと、消費需要喚起策は物価の上昇を確実にもたらしこそすれ、生産活動を拡大する余地は至って少ないと、こう考えるほかはございません。それはいたずらに害のみ多く益少ない政策であると私は存じます。もし、野党の方々がこの消費減税を主とする景気振興策というものを真剣に考えられているとするならば、私は何としても農産物の輸入自由化による農産物価の安定化政策を併用されることが不可欠の前提条件になるだろうと存じます。それなくしては物価を上げてしまうだけでございます。  農業政策の自由化の点について申しますと、元来、これまでの日本の農政というものは、自由化に対する内外の要請を拒否して、生産性も上がり得ない零細規模経営を基本前提として、これに都−市の勤労者並みの所得と生活を保証しようというやり方だったわけでございますが、そのような政策のもとでは、都市勤労者が生産性を上げ、その結果として賃金も上がると、ほぼそれに近い率で農産物価、なかんずく食料品価格も上がるという仕組みが機構化されることになってしまいまして、ここに賃金上昇の効果は大きく相殺されますとともに、農産物価と賃金のイタチごっこという日本独自のインフレ機構が定着してしまい、事態を救いがたいものとしてきたわけのものでございます。そして、その帰結はどういうことかと申しますと、これは国際価格に数倍する食料品価格でございますし、また、日本農業の荒廃であったわけでございます。  ここで、自由化拒否の結果として生じました日本農業の荒廃ぶりについて多少触れておきますと、四十九年度の日本の農業生産は七兆八千億円でございます。そして、その生産に必要としました肥料、飼料、農機具などの費用は三兆五千億でございます。農業の生産所得は、七兆八千億から三兆五千億を引きました四兆三千億でございます。これは実に驚く.へき数字なんでございます。御承知のように、日本の農産物価格は国際価格の二倍ないし三倍でございます。したがいまして、七兆八千億の産出高と申しましても、これは国際価格に換算いたしますなればわずか三兆円そこそこのものでございます。そういたしますと、日本の農業は、三兆五千億の資材を使って三兆円の生産しかしていなかったと、八百万人に及ぶ貴重な労働力と、より以上に貴重な土地資源の大半を用いて実にマイナスの生産しかしていなかったと、こういうことになるわけでございます、三兆円から三兆五千億引きますのでございますから。しかも、四十九年度の農林予算を拝見いたしますと、多少重複計算もあろうかと存じますが、政府は、国と地方とを合わせまして、このマイナスの生産しかなし得ていない農業のために、実に三兆円以上の国費を費やされているかに見受けるわけでございます。こうなりますと、納税者の立場は、消費者として五兆円近くを余分に払い、さらに納税者として三兆円近くの負担をし、しかも農民が汗水たらして受け取る所得は四兆三千億円という、まことに奇怪な結論となるわけでございます。  私は、このような政策の継続はだれにとっても利益のないものであり、明年度も一財投を含めて三兆円、地方予算を合算すれば恐らくは五兆円、これは農家一戸当たりにいたしまして百万円でございます、この農林予算を、挙げて転業者に対する所得補償に充てた上で、農産物の完全自由化に踏み切った方がよろしいと考えるものでございますが、まあそこまで極言いたしませんでも、さしあたって外圧が激しい物価対策上も重要な畜産物あたりからそうした方策を実行に移されることが時宜に適しているかと存ぜられます。下手な減税よりも、それを挙げて生産者に対する所得補償に充てて、牛肉の値段でも安くした方が国民も望むところでございましょう。  少しく横道へそれましたが、ここで減税か公共支出かという問題に戻らしていただきますと、公共投資の場合には土地代金に二割前後のお金が流れてしまうという問題がある。これは広く指摘されているとおりでございます。しかし、それはむしろ私に言われせればマイナーな細かな問題でございまして、真の問題点は、現在の土地制度あるいは土地税制のもとでは、納税者の負担による公共投資の成果が、受益地——利益を受ける土地でございますね、受益地の保有者の手中に帰してしまうという不公正さにあると存じます。  私は、元来、今日の土地の値上がり益というものは、農耕時代とは異なって、所有者本人の努力によるものではございません。経済の発展と公共投資のいわゆる外部経済効果、いわば国民努力の結晶にほかならないものである。したがいまして、私有財産という名のもとにこれを労せざる土地保有者の手中に帰属させることは社会的に見て不公正であり、公害が補償さるべきものならば、そうした公益というものは当然に国家の手中に吸収され、国民全体の用に供せられなくてはならないと、こういうように考えるものでございますけれども、その点を解決しないまま公共投質を推進いたしますときは、田中内閣の列島改造論当時の二の舞となることは必定であると存じます……

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) 松本公述人、あなたの持ち時間が参りましたので、大変済みませんが、また質問がありましたらその際にどうぞひとつ答えていただきたいと思います。

松本達治京都産業大学教授

○公述人(松本達治君) はい、どうも……。

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

青木薪次日本社会党

○青木薪次君 青木であります。  松本公述人、きょうは御苦労さんでございます。  いまいろいろと御高見を拝聴いたしておりました。特に今日経済成長率は低下いたしました。いまお話にありましたように、物価上昇原因が強まっております。雇用情勢は、景気変動や産業構造の変化や労働力の高齢化と失業問題を起こしやすいと。したがって、雇用確保のために需要の拡大の方向はこれは必要だけれども、特価上昇に結びつき、その調和がきわめてむずかしいということを政府もいま言っているわけであります。このために、各種の競争政策とか構造政策を進めて、政策手段をあわせて総合的な物価安定政策を推進していく。いま公述人もおっしゃったように、昭和四十年代を通じて、あるいはまた五十年代に、国債発行というような多額な国債を抱えた経済におきましては、通貨の供給量を適正に配置しながら生鮮食料品等の国民生活に必需的な物資に対する対策を重視する。そして経済全体のバランスを考慮しつつ年平均の上昇率を保っていくというようなことにいま要約できるかと私は考えたわけであります。  問題は、いま日本は物価と雇用といいますか、この二重の困難を抱えていると思います。高度経済成長政策から低成長経済へ移行をするに伴いまして、政策面と産業経済の立場からいま非常にバランスを失していると思うのでありますが、特に企業は、投資の方向としかも規模について全く自信を失っていると私は思うのであります。これは今日公述人のおっしゃりましたように、政府に有効需要を求めているということについては、これは企業が甘え過ぎている。すなわち、財政面から相当援助してもらいたいという気持ちをあんまり持つことは危険だ。私も実はそうは思いますけれども、しかし、今日の経済というものは、堅実な個人消費が下支えになってそして輸出が景気回復を主導する、それから設備投資がそのための回復へさらに連動するというような形でなきやいけないのを、今回はこの輸出の回復が昭和五十年の前段でできた。しかし、これは外圧が伴った。そこで停滞した。しかし、そのときに個人消費がそれを支えておればよかったのを、これが低迷いたしまして、設備投資もしたがってさらに冷え込んでしまったというように私は考えます。したがって、輸出も減退ということになりまして、アメリカ経済に頼ろうとしたところが、アメリカ経済は今度また中だるみになってしまったというようなことで、さらに片肺飛行のような状態を呈していると思うのであります。  私ども野党五党は、連合して何とかしてひとつ減税をしてここに経済の刺激を求めようじゃないか、少しぐらい減税しても貯金に回ってしまうというようなことから、これを一致して政府に要求して、ミニ減税であったけれどもそういう形になったということでありまするけれども、個人消費及び設備投資の動向にかかっていると言っても過言ではないと思うのでありまするけれども、その点について公述人は、余り減税という方向については——言われることはわからぬわけじゃありませんけれども、これは公共投資もやる、その次に減税も大幅にやるということを循環的に繰り返していかなきゃいかぬのじやないか。それでなければ、消費意欲も減退するし、日本経済は構造的な不況の定着化ということになってくると思うのでありまするけれども、その点はいかがでしょうか。

松本達治京都産業大学教授

○公述人(松本達治君) お答えいたします。  ただいまの御質問にございました消費財部門と投資財部門とのアンバランスを、消費財部門を立て直すところからこれを波及させて投資財部門に及ぼしていかなきゃいけないと、こういうふうな御意見だと思いましたですけれども、現状の基本認識に関しては全く同じことなんでございます。高度成長時代のころの民間投資が非常に高いと、こういう状態に適合したような産業構造になっているわけでございますね、現状は。そこで、需要のバランスとしてはそれが今度はそうなり得ないというようなことになってまいりますと、どうしても消費財部門をふやして、それでそれが次第次第に波及していけばこれは非常に理想的であると、この考え方は私はわからないわけではないのございますよ。しかし、これは少なくとも短期的に見ますと、消費財部門はわりあいとフル稼働をしている。あるいは供給弾力性の非常に乏しい部門である。だから、少なくとも短期的に見る限りはこれは直ちに物価の上昇につながりやすい。たとえば農作物なんかの場合には明らかにそうでございましょう。それから、先ほど例を挙げました医療施設とか、こういうものに対しては急速に医者を育てるわけにいかぬと、こういう事情がございますから、これは直ちに物価の上昇につながりやすいと私は存ずるわけでございます。  それからもう一点申し上げますと、投資財部門あるいは輸出部門というものが中心にきたことは悪いんだとおっしゃいましたけれども、私は必ずしもその点はそう思わないのでございます。と申しますことは、輸出産業というものは、その輸出によって得た金によって海外から石油なりあるいは食糧なりを買ってきているわけでございましょう。そうすれば、これこそむしろ高能率な石油産業であり、農業であると考えたって差し支えないわけでございますよ。自動車という一つの中間財で石油をつくっているんだと、こうお考えになったって差し支えないぐらいだと私は存ずるのであります。それですから、その点を御指摘の産業構造を直すという点も一概には言えないのではないかというふうに私は考えますのでございます。  以上です。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 いま先生のお話を聞きまして、こちらがまともと思っておったのが、どうも反対にこちらが何か精神分裂症にかかったような感じがするんですが、いまから四つ、五つお聞きしますから、端的にお答えいただきたいと思います。  まず、国民の消費傾向弾性値調査というのを私は資料をいただいたことがあるのですけれども、この結果によりますと、所得が上がれば、消費者の皆さんは、イチゴとかあるいは牛肉とかミカンというものをたくさん食べたいと、こういうのが圧倒的に出てくるわけですが、そういう点からいたしまして、私はいま所得が上がることは国民の消費を幅広く広げていくという景気浮揚策として非常に重要だという点が一点でありますが、その点に対する考え方。  それからいま農業に対して極端な国際分業論というのを先生はおっしゃったわけですけれども、農業というものは食糧供給をするということと同時に、また自然を守る、国土を守るという重大な任務を持っているわけでありますから、国際分業が進めば国土が荒廃をするという原則をあなたはどのように踏まえているのかということですね、これが第二点。  それから日本経済の中における農業の役割りというものは、これは私どもから考えると若干ゆがんではおりますけれども、しかし、戦中戦後を通じて一貫して考えられました、いま行われておりますことは、たとえば農業生産の場合に圧倒的に加工原料生産が多いということです。これはもちろん工業を進めていくという加工原料生産をしているという部門を農業が担当しておるということについてどうお考えか。  それからもう一つは、逆に農業が市場になっている、いわゆる第二次産業の市場になっている。農機具、肥料、農薬、これに対する日本の経済に占める役割りというものは一体どういうことなのか、第二点。  それから圃場整備等を進めているこのものが日本の経済の振興にどのように影響を及ぼしているのか、そういう点についてあなたはどのようにお考えになっているか。  それからもう一つは、さっき私が申し上げました世界の食糧事情というものが、特に四十八年、九年のあのソビエト、中国の凶作を契機にして.非常に大きな問題になってきた。安定的供給というものは将来未来永却にそのことが可能であるかどうかということを考えてみると、非常に重要な問題があるわけでございますから、これからは戦略物資としての食糧というものを私たちがいつも配慮に入れて農業政策というものを基本に考えなければならない。むしろ、国際分業というものは第一次産業ではなくて、第一次産業は国連の場で、それぞれの国が自給をするというぐらいの宣言をやるべき筋合いのものであると私は考えているわけですが、むしろ工業製品こそ国際分業というものを貫くべきではないかと思いますが、その点に対する御意見を伺います。

松本達治京都産業大学教授

○公述人(松本達治君) お答えいたします。  第一点の、減税というものは非常に幅広く需要を喚起してよろしいのである、私もそう思うのでございます。ただ、いま御指摘のように、たとえばイチゴや何かに対する需要がふえると。ところが、イチゴの供給というのは、少なくともことしのイチゴの供給量はふえるわけではございませんね。そうなれば、価格が上がるだけという結果になって、生産は直接にはふえないということを私申し上げたわけでございます。  それから第二点、農業というものが国土の保全に必要であると。これは農業も林業も必要だと私は存じます。それですから、たとえば林野会計なんかで非常な赤字をお出しになっても林業を維持していかねばならぬと、これはそれなりの私は意義があるところであろうと存じます。ただし、農業について、私はつぶしてしまえなんということは一言も言っていないのでございます。ただ、いまの零細経営から国際競争に耐えるような形に持っていくことが重要であるということを申し上げているだけなんでございます。  それから第三点、この第三点は私はちょっと聞き違いかもしれませんけれども、農作物が他の二次産業の原料を多く提供しているとおっしゃる点でございますか、それは私もごもっともだと思います。  それから第四点、飼料とか肥料とか農機具とかの市場として農業部門が非常に大きいという御指摘でございますね。これは輸出に転換するなり何なり、私は十分可能なところであろうかと存じておるわけでございます。  それから第五点は、私ちょっと聞き漏らしたかと存じますのでちょっとお答えをいたしかねるので、もしあれでしたら、もう一度後でおっしゃっていただきたいと存じます。  それから第六点は、食糧自給率の向上という問題だと思います。世界の食糧需給というものは非常に逼迫してきているということは、これは六0年代と七0年代と非常に違う点だと私も思いますんですよ。しかし、ちょっと委員会の名前はいまあれしていて出てまいりませんけれども、農業の方の委員会のおととしの答申でございますか、あれでも昭和五十五年まででございましたか、七三%から七年か八年かけて七五%に向上させるのがやっとだと、それも非常に値段を高くして費用を投じてやっと二%程度向上できるんだというような答申であったと思いますのでございます。この日本の狭い国土では、やはり食糧自給と申しても私は困難なように存じます。たかだか二%程度の向上のためにそれだけ犠牲を払う必要があるかどうかということが私は非常に疑問なんでございます。それよりは、むしろ備蓄と開発輸入に力を入れるのが本当ではないか。ことに、現在のような外貨が余って海外からも非難されている、もし輸入自由化をしなければ輸出を減らさなきゃならぬと、こういうふうな状況の場合には、思い切って五十億ドルぐらいの備蓄を行った方が私はよろしいと、輸入備蓄でございますね。これは日銀の外貨を金にかえるかわりに小麦にかえる、あるいは石油にかえるというようなことでございますから、日銀引き受けの公債だって構わないわけでございます。そういうことで、現在の国際収支問題にも対応し、同時に国民の安定感を高めるといった方が私はオーソドックスな政策ではなかろうかと存じておるような次第でございます。

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) ちょっと待ってください。工藤委員、あなたの五番目のあれを聞きそびれたそうですから、もう一度御説明願えませんか。公述人はただいま第五点目をちょっと聞きそびれたと申しておりましたから、その点をどうぞもう一度お願いします。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 第五番目、最後に申し上げたのは、世界の食糧事情というものは、四十八年、九年のソビエトそれから中国の凶作というものが非常に国際的に——いま先生は備蓄の問題をおっしゃったわけですけれども、輸出能力が非常に低下をしたと、アメリカ、カナダも。それ以降、いま生産に入りましたから若干回復したわけですけれども、まだその能力については以前と比較をいたしますとそこまで行っていないという状態なんですね。ですから、食糧事情というものは、長期安定的に供給できるという要素というものは、農業が天候に支配されていく限りにおいては非常に問題があるんだと。したがって、私は、やはり国内の自給体制をできるだけ可能な限りやるということが前提であって、最初から先生のように備蓄を重点と言いましても、備蓄には貯蔵していくわけですから、これ金がかかるわけなんです。一方の方は年々増産をしていくわけですから、私は、備蓄というのは努力した上の最後の手段であって、備蓄を最初から考えるというのは本末転倒もはなはだしいと、こういうことを言っているわけで、この点については先生と若干意見が違うわけですから、この点の御見解を伺ったわけです。

松本達治京都産業大学教授

○公述人(松本達治君) 多少勘違いがおありになったのじゃないかと存ずるわけでございます。その前におっしゃいましたところが私ちょっと聞き取れなかったのでございます。私のメモによりますといまのが六番目でございまして、一つお答えしなかったことがあるのじゃございませんですか。そうでなかったらよろしいのでございますけれども。何かお答えしなかったことがございましたらどうぞ。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 年間三千億超して約四千億近くの、国の予算にいたしましても、圃場整備を中心にしてかなり農業に対する対策を講じているわけです。それはやはり日本の景気浮揚と、まあさっき言った公共事業の一部になるわけですけれども、農業の占める役割りというものはそういう面でもかなり大きいのだ、だから農業軽視というのはそういう点から言っても大変先生のおっしゃる言い方は問題があるのじゃないかということを私は指摘申し上げたわけです。

松本達治京都産業大学教授

○公述人(松本達治君) それじゃお答えいたします。  いま農地を四反歩ぐらいずつまとめている事業でございますね。ですから、ああいうふうなことを積極的に推進した上で、たとえば米なんかでも五町歩か十町歩を一軒の農家でやるといったような経営に移行さしていくことが私はいいのだろうと思っているわけで、すべての農業支出が悪いなんてことは一言も申しておりませんし、またそうも思っていないわけでございます。それはもう非常に結構な事業だと思っております。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 ですから、私、最初から申し上げましたように、先生の考え方というのはとにかく国際分業論的な考え方から出発をしているというところに問題があるわけなんで、食糧というものはまず国内で万全な体制をとる、そのための努力をすることが大前提でなければならないという考え方を私はまず最初に申し上げた。その点が先生と根本的に違うと私は理解をしたから、そのことを申し上げたわけです。

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) 答弁されますか、いいですか。

松本達治京都産業大学教授

○公述人(松本達治君) よろしゅうございます。

坂野重信自由民主党

○坂野重信君 さっき先生が公共投資問題で途中で時間切れになっておやめになったようですから、ちょっと土地の問題は触れられましたけれども、引き続いて公共投資の景気浮揚効果とか、その他率直な考え方をお述べ願いたいと思います。

松本達治京都産業大学教授

○公述人(松本達治君) 私、公共投資の方が現在の情勢から申してその必要において減税よりも高い。これは、野党の方々も、いままで自民党政府を追及されるときに、社会資本の不足ということを非常に強調していらしたわけで、これは私は目的として公共投資の方がまず第一によろしいと考えるわけでございます。  それから第二番目に、先ほど申しましたとおり、これは土地代金に二割ぐらい食われようとも乗数効果が大きいということははっきりした事実でございます。  それから第三番目に、この公共投資支出が向かう先はでございますね、次は乗数効果の問題になりますけれども、第一義的に向かう先は建設業とか鉄鋼業とか現在非常に余剰設備を持っている部門でございますね。それですから、こういう部門へ金が出ていく分にはわりあいと価格が上がらないで済む、生産活動がふえる方へいくということを感じるわけでございます。そういう意味で公共投資の方が私はよろしい。ただし、先ほど申しましたような、それに伴いまして土地の価格が上がってしまうということがあるわけでございますね。これはやはりぐあいが悪いのじやないか。これはやはり不労所得がふえ過ぎて富の分配が不公平化する、そして土地代金が上がればますます勤労者階級は生活がしにくくなると、こういうふうで、また同時に公共投資自身がやりにくくなってしまう、しまいに。現在よく公共投資の不足と混同して、社会資本の建設と混同して、公園が日本は少ないのじゃないかという話がありますけれども、日本の財政力をもってすればこの辺に幾らだって公園に木植えることぐらいできるわけでございますよ。ただ、何百万円の土地が買えませんでしょう。それですからできないだけで、これはちょっと勘違いされた議論も非常に多いように思うのでございますね、そういう点で。とにかく、地価を安定させませんと、いま言ったように富の分配を不公平化する。そしてまた、経済成長あるいは公共投資の成果というものが本当に勤労者を初めしする国民のものになっていいところが、それが一部の地主階級の不労所得になってしまう。これでは非常に不公平ですし、それでは資本主義というものはだれからも飽きられてしまうと、こういうことになるのじやないか。その意味で、どうしてもこの地価問題というのは大事である。  私は資本主義を擁護する方でございますけれども、資本主義を擁護するというのは、別に既得権を擁護するとか私有財産を擁護するという意味じゃございませんで、人間の努力というものが最高に評価されるシステムでなきゃ資本主義というのは生き延び得ない。そして、企業の努力というものが結果として賃金の値上がりなりあるいは物価の値下がりなりによって勤労者大衆のものになると、こういうシステムがなければ、だれも資本主義を支持しないだろうと思いますのですね。そういう点で、この不労所得−私有財産制度の上にあぐらをかいたような不労所得というものを容認するというか、放任したような税制というものはだめだと。公共投資なり経済成長の成果による土地の値上がり益というものは国の手に回収するような、まあ技術的にできるできないは別としましても、一00%国の手に回収するような施策が必要であろうと。それを前提としないと、公共投資は、重点はまた田中内閣当時の列島改造論の二の舞いになるということを私は申し上げたかったのでございます。

園田清充自由民主党

○園田清充君 私は、これは与党の立場から、さっき工藤委員の質問から聞いているとちょっと誤解を受ける向きがあると思いますので、ひとつこの点について私なりの考え方と、同時に先生の考え方をお聞かせを願いたいと思います。  というのは、さっき農業の国際分業論をじっと聞いていますと、農業切り捨て論に通ずるようなことが私としては誤解を与えているのではないかという気がいたします。そこで、私ども為政者というものの立場からすると、やはり食糧の自給ということは歴史の必然性として求めていかなければならないことだと思います。というのは、世界の歴史の中で食糧の自給の可能な国民というのは今日存続をして、他民族の支配を受けながらでもやはり国家形態を維持している。ところが、食糧の自給できない国民というのは他民族の支配を受け、かつまた滅亡の歴史をたどっておると、こう私は考えておるわけでございまして、そこでいまおっしゃったような厳しい中にでも農業というものの持つ体質、これらを改善をして国民食糧の自給度の向上を図っていくということは私どもが求めなければならない必然的な道だと。同時に、先生がさっきおっしゃったように、国際農業に耐え得る日本農業の姿というものを探究しろということをおっしゃった。それなりに私どもは努力をしているつもりではございますけれども、もし先生にこういうことだという具体的な御構想があるならばひとつお聞かせを願いたいと思います。  以上です。

松本達治京都産業大学教授

○公述人(松本達治君) お答え申し上げます。  私はどうもどぎつく物を言う方でございまして、どうも切り捨て論に通ずるような誤解をお受けになった方が多いようでございますけれども、別にそういう意味ではございませんで、現在でもこの予算に計上されておりますとおり農業の後継者を養成せねばなかなか大変なんでございますね。それは、日本の農業のように五反歩か七反歩の農家というものが大多数を占めている。それでじいちゃん、ばあちゃん農業になってしまっている。こういうふうな状態では、本当の日本の農業の再建はおぼつかないのではないか。むしろ、国際比較に耐えるような規模で経営を推し進めるというようなことが日本農業を再生させる道ではないか、生き残らせる道ではないかと、こういうふうに私は考えているわけでございます。それですから、たとえば、先ほどもちょっと申しましたけれども、ことしあたりの農林予算というのは農家一戸当たり百万円ぐらいじゃないかということを申し上げましたけれども——百万円というような数字は少しあやふやかもしれませんですよ、これは地方財政なんか推定でございますから、また重複もございますから。しかし、たとえば八十万円とか百万円ぐらい、その問でございましょう。こうなりますと、むしろ離農奨励金といったようなものを出して、それも毎年出す。もっと具体的に申すならば、じいちゃんばあちゃん農業をやっているのが、本当に農業をやりたいという人にその土地を貸せば八十万円出すと、そうすれば、喜んで貸すわけでございますな、いままでつくった以上の収入になるということになれば。それで大農化を進めていくへきではないか。そして、それによって、食糧自給との関連でございますけれども、私は日本の農業の生産はそれほど落ちないのではないかというふうに感じているのでございます。むしろ上がりこそすれ落ちないのではないか。もっとも、私は農業の技術者ではございませんから、あんまり細かなことはわかりませんですけれども、その方がむしろいいのではないか。  それからついでながら食糧自給というものをやらないと国が滅ぶとおっしゃいましたけれども、これはちょっと私は議論がございます。十九世紀のイギリスというものは、むしろピールの手で穀物条例を撤廃した、そして工業国として生きたということが十九世紀におけるあの繁栄の原因なんでございますよ、だと私は存ずるのでございます。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 時間もございませんので、二問だけお伺いをしたいと思います。  松本君の意見を聞いていますと、私は、コスト主義というか、能率主義というか、そういう感じで貫かれているというふうに感じられてならないのですが、まあ大学が産業大学ですから、そういう趣旨でいつも考えられておられるのかとも思うのですけれども、いま全体的に物を考えてみますと、ただ単に能率主義、コスト主義という論理だけが世の中に通用していかない、私はそういう事態になっているのじゃないのかという感じがいたします。そういう点で、政治、その政治の大きな物質的な表現としての財政ということを見ますと、ただ単に能率主義だけではやっぱりいけないのじゃないのか。もう少し厚生の問題、あるいは環境と産業の問題、資源と産業の問題、そうしたものを全体的に考えていかないと、ただ単なる能率主義からいきますと格差が一層拡大をしていくのじゃないかという心配が一つありますから、これは基本的に松本君の考え方が間違っているとは私は思いませんけれども、余り能率主義に論じ過ぎているのではないだろうかという疑問を一つ持ちます。  それから第二番目の問題は、国際収支に関しての話は途中でとめられて、七億ドルの赤字というのは疑問だということでありますが、これは私が推測する——後で私の推測が間違一ていれば直していただきたいのですが、恐らくいまの日本のあなたのおっしゃっているような能率主義、合理主義、それをそのまま貫いていくと、それはむしろ黒字になるのじゃないのかという一つの疑問と、しかし、世界的な情勢から見て七億ドルという赤字だけではこれは済まされないのじゃないか、もっと大きな赤字をしょわなくちゃならないような事態になるのではないのかという二つの内容を何か含んでいるような気がするわけでありますが、国際的な問題を見ましても、私は、いま松本君がおっしゃった能率主義だけでいけば、やはり国際的な保護主義への傾向というものが今後出てくるのじやないだろうか。最近のECあるいは南北問題に見られるように、ただ能率主義だけでいけば日本の黒字がふえていく。むしろそういう主義に対しまして、EC等におきましての鉄鋼の問題にいたしましても、あるいはアメリカの農業生産の問題にいたしましても、ただ単なるコスト主義という形のものでないような気がいたします。そういう意味では、今後の国際収支の中で日本の負うへき役割り、あるいは赤字国の債務の負担もせざるを得ないような、これは合理主義とは大変相反するわけでありますけれども、そういう事態にいくのではないかと思いますが、この二点について御意見を承りたいと思います。

松本達治京都産業大学教授

○公述人(松本達治君) お答え申し上げます。  どうも、コスト主義、能力主義という色彩が強過ぎるという御批判だったようでございます、第一点は。それはそうかもしれません。これは私はかなり強度の合理主義者の色彩が強いのかもしれませんですけれども、しかし、やはり経済というものは主力はコスト主義、合理主義でいかないとだめなものだと私は存じます。それにどれだけの色合いをつけるかという問題でございます、あとは。  それから格差の拡大とおっしゃったのは私はよくわからないのでございますけれども、この点はまあ別といたしまして、第二番目の国際収支の問題でございますね。これはどうも、私の感じでも、七億ドルより大きな赤字を押しつけられるという可能性が非常に強い。それからまた、逆に申せば、現在の情勢をもってすれば、ことしも政府の見積もりを上回った輸出になっておりまして、輸出超過が政府の思っていた幅よりずっと大きいわけでございますね。これは、このままでいけば来年度もそうなってしまう可能性が非常に大きい。国際的要請としては、たとえば四十億ドルぐらいの赤字を経常で出す。ところが、政府の見積もり七億ドルの赤字でございますか、これが逆に何十億ドルかの黒字になってしまう可能性は非常に強いわけでございます。これは、たとえば円レートが二百三十円とか二十円とか、ここいらまで上がれば別でございますね。現在のレート近辺でやっていると、竹田さんのおっしゃるようになる可能性は非常に強いと思います。しかし、私の感じでは、先ほど申し上げましたとおり、アラブが経常収支で黒字、まあ資本収支を通して還流さしてはいるけれども黒字と。国際収支というやつは結局マージャンみたいなものでございまして、だれかが勝てばそれだけだれかが沈むわけでございます。しかも、アラブが四百億ドルの黒字、そして日本がさらに均衡なりあるいは二、三十億ドルの赤字、これはだれかがしょわなければならないわけでございますね。現在では、イギリスやフランス、イタリーがしょっている。これを、そっちが赤字はいやだということになれば、これは押しつけ合いでございますね。そうなりますと、最初に申し上げましたとおり、一九三0年代と同じ状況が出てくるわけでございますね。お互いに近隣窮乏化政策をやり合う。そこで、やはり国際協調というものが、どういうかっこうをとるか知りませんけれども、必要になってくるということだろうと存じます。これは確かに必要となってくると思います。  それから日本の立場として申しますと、そうすると、これをどうやってしょうかというしょい方の問題になるわけでございます。結局、輸入をふやすか、あるいは輸出が減るまで為替レートをあれして輸出産業をいじめ尽くすかという、どちらかという問題になってくるのでございますね。これ以外に解決のしょうがないのでございますから。そこで、日本にとって一番いいのは、先ほどちょっと申し上げましたけれども、むしろここで、先ほどの食糧不安の問題もございますし、エネルギー源の不安の問題もございますから、これは思い切った五十億ドル程度の備蓄輸入をやるのが一番いいのではないかという感じを私は持ちますのです。これは^要するに、いままででしたら外貨を金にかえましたのを、外貨を金にかえるかわりに、牛肉だの、豚肉だの、あるいは小麦だの、あるいは石油にかえるだけのことでございますね、これならインフレ要因にならないから。この分については政府の、日銀借り入れでも構わないのじゃないか、日銀引き受けの公債でも構わないのじやないかというふうに私は考えるわけです。

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) それでは、一応この程度で終わらせていただきます。  松本達治公述人には、お忙しい中を御出席いただき、また、短時間に貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。退席していただいて結構でございます。(拍手)     —————————————

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) この際、島田とみ子公述人に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多忙中にもかかわらず本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。  次に、議事の進め方につきまして申し上げます。  まず、公述人の方から約二十分程度御意見を述べていただき、その後、委員の皆様から質疑がありました場合はお答えをお願いし、公述人から委員に質問することはできません。また、本問題に対する公述と質疑を合わせまして六十分の範囲内でこれを進めてまいりますので、御協力をお願いいたします。  それでは、島田とみ子公述人から御意見をお述べ願います。島田とみ子公述人。

島田とみ子東海大学講師

○公述人(島田とみ子君) きょうは、社会保障について、その中で特に婦人にかかわる福祉の問題について申し上げたいと考える次第でございます。  なぜ婦人と社会保障という問題を申し上げるかと言いますと、ここ十数年の間に婦人を取り巻く社会経済情勢というものがかつてない変革が起きているのは、御承知のとおりでございます。ところが、わが国の社会保障、社会福祉の諸政策はそういった婦人の現実に十分に対応していないという問題があるからでございます。  たとえば、夫婦と子供だけの核家庭というものがふえておりますが、非常に物価が上がる中で母親も働かざるを得ない。乳幼児を抱えている母親が働きます場合には、どうしても子供を預かる保育所が必要ですが、これが非常に足りません。また、保育料の家庭負担というものも非常に増大しております。特に一歳未満のゼロ歳児の施設というものが非常に足りません。まあ保育所問題というのは婦人にとってはまさに嘆きの壁となっているわけでございます。  さらに、子供の数が二、三人というふうに非常に減りまして、大体婦人は三十代半ばに達しますと育児の手間が省けてくるわけでございます。このころは、家庭においては子供の教育費とか住宅ローンの返済、その他家計が非常に苦しくなるときでございまして、どうしても婦人たちは再就職をして働きたいと考えるわけでございます。ところが、中高年の婦人の就労というものは非常に困難であります。こういう家庭婦人たちが働こうとする場合にある職種と申しますと、身分も非常に不安定なパートタイマーとか臨時雇いとか、あるいは内職といった仕事しかありません。こういった雇用対策というものを私は広い意味での福祉の対策と考えております。つまり、生存権の保障ということから雇用を確立しなければいけないと考えております。  こうして婦人の経済的自立を保障するということは、後に申し上げる婦人の老後保障を築く基礎でありまして、老後の安定につながっているわけでございます。そうしてまた、婦人の自立促進ということは社会保障の財政の見地から見ましても大きな寄与をなすものであると考えるわけでございます。  こういった婦人に対する社会保障における対応というものが必要であるということは非常に指摘されているわけでございますが、また、婦人を取り巻く社会情勢の変化については今度の厚生白書で非常に詳しく分析されているのでございますけれども、じゃ一体どうするのかという施策がこの白書では具体的には余り述べられていないという点は非常に遺憾なことなのであると思います。  私は、きょう、その婦人のための福祉対策の中で二つ申し上げたいと思います。一つは、母子裏庭の母親の就労対策でございます。もう一つは、婦人の年金権の問題、これにしぼって申し上げたいわけでございます。  母子家庭の母親の対策というのは、従来もいろいろと行われておりますが、その根底をなすものは経済的な自立を援助するということが第一の問題であります。で、そのためには、まず遺族年令の引き上げということが大きな問題なんでございますが、これは後に申し上げたいと思います。  雇用対策といたしまして、今度の予算案では母子家庭の母親に職業訓練を受けてもらう、そして技術を持って就職をさせる。そのためには雇用期間中七万円近い訓練手当を支給する。生活を保障しながら技能を習得させるということが予算案に出ております。つまり、これは未亡人団体などがここ二十年来叫び続けてきたものでございまして、そういう意味で一歩前進した施策であるというふうに考えます。  母子家庭の母親が一体いまどのくらいの収入を得ているかと申しますと、昨年の交通遺児家庭の調査では月平均七万円でございます。また厚生省の調査では、月五万円以下が六割、五万円から九万円が二三%というわけで、非常に低所得層に集中しております。彼女たちの多くが中小零細企業で非常に劣悪な労働条件のもとで働いており、世間並みの収入を手にすることはできないわけでございます。この新しく実施される職業訓練のニュースを聞きまして、東京都などではもうすでに数十人の申し込みが続いております。また、問い合わせば非常に多いということでございます。  この制度と関連して、問題点及び今後の施策の方向について二、三気になる点を申し上げたいわけでございます。  第一は、乳幼児を抱えた母親でありますと、保育所その他に子供を預けることができない場合は、このフルタイムの訓練を受けることができないということがございます。  第二は、来年度訓練を受けるであろう千人という人たちは、まずまずの職場に入ることはできるでしょうけれども、母子家庭の母親、それから子供のいない未亡人などを合わせて何十万人という人たちは、依然として条件の悪い職場で生活を背負って働き続けているわけで、この人たちへの対策というものもあわせてやっていかなければならないと思います。  この職業訓練に関連して私は一つの話を聞いたのでございますが、東京都の担当者が、交通遺児家庭のお母さん方を招いて意見を聞いたというわけでございます。そのお母さん方は何と言ったかと申しますと、私たちは訓練を受けるのは非常にありがたい、しかし訓練を受けてから民間企業へは入りたくない、東京都の職員になりたいんですと、こういう答えをしたそうでございます。つまり、収入と身分の安定した就労というものを彼女たちがいかに望んでいるかということをこの言葉ははっきりと訴えているわけでございます。そして、いかに劣悪な民間の労働条件のもとで働いているかということをやはり考えなければいけない言葉であると、こう思います。  就労上の問題というのは、本人の場合にも不安定な要因はあるわけですけれども、より大きな問題は、事業主側が、母子家庭の母親である、あるいは中高年であるという理由から雇おうとしない。で、この傾向は大企業にいくほど大きいわけでございます。それから、母子家庭の母親を雇う事業主には月一万一千円の雇用奨励金というものが出ているわけです。ところがこれは職安を通じて就職した場合にだけ支給されることになっております。ですから、善意の事業主が、小さな企業の事業主が、たまたま母子家庭の母親を雇って雇用奨励金をもらいたいといっても、これは出されていない、こういう問題についても改善が必要であると思います。  第三の問題点は、今度の訓練の対象者は二十歳未満の子供を持つ母親にのみ限られている。しかしながら、その子供のいない寡婦、未亡人の場合でも問題の性質は全く同じであります。パートタイマーの調査をいたしました折に、子供のない未亡人たちがいわゆるこのパートタイマーとして、つまりそれきり職場がないわけでございますから、五、六万円の月収で終日働いているというのに私はずいぶん会いました。母子家庭福祉政策というものは、多くが子供のない寡婦へもいま拡大されてきております。したがって、この職業訓練というものもぜひとも子供のない寡婦へも及ぼすべきであると思います。  二番目に申し上げたいのは、婦人の老後保障、年金の問題でございます。御承知のように、人口の老齢化が進む中で婦人の高齢者というものが非常に増加しており、ヨーロッパ諸国の場合では、六十五歳以上の老人人口の三分の二は婦人となっております。わが国でもやがてこの水準に達するのではないかと思います。わが国の場合、これはヨーロッパも同じですが、婦人の寿命が長いこと、それから結婚年齢が婦人は低いということがありまして、夫との死別者というものが非常に多いわけでございます。わが国の六十五歳以上の婦人の七割近くが未亡人でございます。また最近の統計では、ひとり暮らし老人のうち、男子は十九万人、女子は六十八万人という数字が出ております。  老後保障の基本となるのは、申すまでもなく経済的な保障、年金でございます。私が婦人の高齢者に最近五十人ほど面接して話をする機会がございまして、調査をいたしました。その結論として痛感いたしましたことは、女のお年寄りは実に貧しいということでございます。ひとり暮らしで福祉年金以外に収入のない人たちが、七十代になっても料理店のさら洗いとか、八百屋の店番とか、家政婦とか、そういった条件の悪いところで働いております。この人たちは、病気とか交通事故などで働けなくなりますと、生活保護受給へと転落していくわけでございます。長い間待った後に特別養護老人ホームにやっと入ったという方にも会いました。そしてこの老人たちは、息子が戦争で亡くなった、あるいは引き揚げ者である、あるいは戦災ですべてを焼いてしまった、そして立ち上がることができなかったという人が多いわけでございます。福祉年金は来年から一万五千円という引き上げが予算案に出ておりますけれども、こうしたお年寄りの実態を考えますと、少なくとも三万円以上に引き上げる、生活できるだけの年金とするということが必要であると思います。  子供がおりますと、同居して扶養を受けているからいいんじゃないかという考え方があるんでございますけれども、家庭にいるそういうお年寄りに会って感じましたことは、子供の扶養能力というものが低い、食べさせてやることがやっとであるという点でございます。七十歳以上の老人では夫の遺族年金もない人々が多くて、こうした人たちの唯一の収入というのが老齢福祉年金でございます。これを一体何に使っているかと、小遣いじやないかという声がありますけれども、聞いてみますと、自分の身の回り一切はこれで賄う。それから、交通費あるいは慶弔交際費とかいうものが年寄りになるとかかるんだということをるる話してくれました。つまり福祉年金というものは同居老人にあってもやはり生活費に充てられている現実なのでございます。  現在の老人のこういった福祉年金の問題と同時にこれから考えていかなければならないのは、これから老後を迎えようとしている婦人の年金の問題でございます。婦人の年金権の確立という要は、婦人自身だけでなく、労働組合からも社会保障の関係者からも強く出ていることは御承知のとおりでございます。サラリーマンの妻で国民年金に任意加入していない人々は四、五百万人と言われておりますが、この人たちは離婚をすれば年金制度から全く縁が切れる。廃疾時の障害年金というものも保障はないというわけでございます。国民皆年金のもとでこういう状況があるということはまことに遺憾なことでありまして、家庭婦人の場合も年金制度にすべて加入する制度とすることが必要であります。  この場合に、いつも伴って問題として指摘されるのは、夫の遺族年金との二重支給という点であります。つまり、国民年金の自分の老齢年金と遺族年金と両方もらえるという事態が出てくるということがあるわけです。しかし、二重支給というのは夫婦の加入する年金が異なる場合にもうすでに起こっているわけです。そして、この二重支給の内容、つまり、実際にもらう額も、実に少ないところから大きいところまで多様であります。格差があるわけです。たとえば夫が大学の先生であった、妻が高校の教員であった、この妻がもらっている自分の老齢年金と恩給扶助料合わせて十三万円というふうな話を私は当人から聞いたことがございます。この二重支給については、これをどうするか、どう扱うかという原則がはっきりと確立されていないという状況でございます。そしてまた、この二重支給があるために遺族年金の引き上げも簡単にはできないというふうなことを言われているわけで、それがひいては、さっき申し上げたような未亡人、母子家庭の生活難を招いているというわけなんでございます。遺族年金は、私は現在の二分の一から、少なくとも七割ないし八割の支給へと引き上げるべきであるというふうに考えております。また、国民年金は個人加入である、被用者年金は世帯単位である、そういうふうな年金体系の中で、妻を強制加入とするという場合には、一体その年金体系はこのままでよいのかという問題があるわけでございます。つまり婦人の年金権ということを考えていきますと、現在の年金のあり方の根本に触れる。これを検討し直さなければならないということがありまして、結局婦人の年金権の実現というものが後回し、後回しになってきているわけでございます。  しかしながら、世界各国の状況を見ますと、この問題をおくらせておくということはもうできない情勢になってきております。一昨年の秋、ジュネーブでILOの社会保障専門家会議というのが開催されまして、その結論は、婦人は独立した人格として固有の社会保障の権利を持つべきであるということをはっきりと出しております。つまり、社会保障の上で妻は夫の制度加入によって保護を受ける、夫の被扶養者として子供並みに扱われているということは、これはだめなんだ、改革しなくてはならないという結論がはっきりと出ているわけでございます。特にその中で問題が大きいのは年金である。つまり、老後の生活にじかにかかわってくる年金の問題が非常に大きいということが指摘されております。妻に固有の年金権を保障するということは世界の趨勢となっておりまして、イギリス、西ドイツその他の国々ですでに改革案がつくられ、実施に移されようとしております。西ドイツでは、離婚した妻の年金の権利をどうするかということを、結局夫の年金権を分割して妻に与えるという新しい施策が実施されておりまして、さらに本人の年金を本人に持たせるという方向へ検討が進められているわけでございます。で、年金権だけでなくて、健康保険その他の分野も含めて婦人の社会保障権を確立するという方向を検討することが必要であると思います。  特に、当面予算において問題になるのは、医療保険におきまして、家族療養費の高額給付というものが、三万九千円から五万一千円に引き上げられるという案が出ております。これは非常に負担が増大するので問題であると思います。それから、いわゆる分娩給付、母性給付、これはわが国では現金給付の形をとっておりまして、健保においては十万円というふうになっておりますけれども、いわゆる先進国ではすべて現物給付になっております。現金給付を今度の予算では十万円で前年度と同じにしておりますけれども、これは現在お産は二十万円時代と言われておりまして、とうてい足りる額ではありません。根本的には現金給付を引き上げますと、それに応じて医者に払う分娩料というものがどうしても上がってくるという実態があるわけで、現物給付に変えていかなければならないと思います。  最後に申し上げたいことは、働いている婦人の場合、婦人の賃金が低い、それから勤務年数が短いということから、たとえば厚生年金におきまして、婦人の年金額が男子と比べて非常に低くなっているわけでございます。男子の平均が約七万円ぐらいでございますが、女子の平均は五万円というふうに格差が開いております。つまり、勤務年数と賃金に比例して年金額が設定されるという現行の制度のもとにおいては、どうしても働く婦人の年金が低くなってくるわけでございます。これの対応策としては、まず最低保障額を設定するということが必要であります。それから婦人の勤務年数を延ばしていく。これは婦人の勤務年数が短いということは、結局子供の育児の問題、それから老人や病人の看護ということで職場を退かざるを得ないという問題もある。これは結局福祉対策というものが絡んでくるわけでございます。  それからもう一つは、賃金が安いということ。これは男女同一価値労働に対する同一賃金の実現ということが根本問題でございますが、最近一つの実例を申しますと、三和銀行が女子に対する賃金上の差別的な取り扱いについて労働基準局からの勧告を受け入れて、総額にして五億円に上る未払い分を婦人たちに支払うということになりました。つまり、女子に対する賃金差別というものは、これまで裁判によってのみ決着をつけられてきたわけでございますが、行政の努力によっても解決できるということがここで示されているわけでございます。  で、女子の低賃金に対する低年金という問題について、これが年金財政に響くのだということを、年金は低いにもかかわらず言われております。そこで、賃金が上がってくれば、女子の年金コストは非常に軽減されるということを保険の専門家もはっきりと言っております。  以上申し上げましたように、婦人をめぐる社会保障の改善というのは、主として雇用と福祉の両面からの総合的な対策を進めることが必要であり、そういった非常に細々とした施策が相関連いたしまして婦人の福祉を改善し、生活保障を実現するものであるということを申し上げて終わりたいと思います。(拍手)

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

桑名義治公明党

○桑名義治君 ただいま島田先生からるる婦人の社会保障問題について御意見を伺ったわけでございますが、婦人の社会保障問題、これだけをとらえてどうしても論議するわけにいきませんで、国全体のいわゆる制度なり、あるいは予算措置なり、あるいは姿勢なり、こういったものの中からとらえていかなければ、これは解決のつかない問題だというふうに認識するわけでございますが、五十二年度の社会保障関係費をながめてみますと、四十九年度の三六・七%、五十年度の三五・八%、こういった伸び率に比較をしてみますと、今回は一七・七%の上昇ということで、大幅なダウンが示されているわけでございます。そこで、社会保障予算の前年度伸び率が一般会計予算の伸び率を上回るようになったのは昭和四十七年からでありまして、高度成長のひずみ是正の名のもとに、年率三0%程度の上昇を始めてから、わずか二年で見直し論が現在出ているというのが実情でございます。そこで、低成長下の社会保障予算はどうあるべきかというふうな問題が現在問い直されているわけでございますが、この問題について先生の御意見を伺っておきたいと思います。  それから、先ほどからるる女性の独立した年金権という問題についていろいろと御意見を伺ったわけでございますが、女性の独立した年金権という、そういう意味でも、被用者の妻の国民年金任意加入制度ということは大変に不合理だというふうに考えるわけでございます。現在約六百万人が任意加入をしているわけですが、将来、任意加入をしたお年寄りと任意加入しなかった人との間に老後の所得保障で大きな差が開く、こういうふうに考えるわけでございます。特に、給付について三分の一の国庫負担があるわけですから、このような制度を任意加入として存続させることについて大変疑問を考えるわけでございます。そこで、女性の独立した年金権という問題を含めて、この問題をどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、再度お尋ねをしておきたいと思います。  それから、わが国の社会保障は、政府の説明では、制度としてはある程度の水準に達しているが、老齢人口の増加が急速で、そういう意味で未成熟である、こういうふうな答弁がなされているわけでございます。しかし、現在の国民経済に占める振替支出の割合、これは社会保険における国、使用者、被用者の負担割合を見ると、決して全面的に未成熟なだけではないと、こういうふうに考えるわけですが、わが国の社会保障のおくれについて、考え方のおくれといったものを含めてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、この三点について先生の御意見を伺っておきたいと思います。

島田とみ子東海大学講師

○公述人(島田とみ子君) お答え申し上げます。  低成長下におけるこういった福祉予算の伸びが鈍ったと、低成長下でどう福祉予算はあるべきかという御質問でございますが、たとえば公共投資とか、そちらの方にお金がどんどん使われている、福祉には少ない、使われない、それは低成長だからしょうがないんだという議論があるわけですけれども、私はそうは思いません。なぜならば、現実に福祉というものはニードに対応してやる、へきものですから、そういう必要がある以上は使っていかなければならない。そうして、現在の日本の経済から言えば、低成長といえどもそういう余裕はあるのではないか。予算の配分の問題でもあるというふうに考えております。  それから妻の年金権の問題でございますが、任意加入というのは、いま御指摘になりましたようにまことに不合理な制度であると思います。これは本来任意加入がつくられたときに暫定措置としてつくられたものと聞いております。妻の年金権の問題は早急に検討するという約束のもとでこの任意加入制度がつくられたわけでございます。それが発足以来、昭和三十六年からずっと今日までそのままになってきているのが現状であると思います。この中で三分の一つ国庫負担がある。したがって、遺族年金と両方支給する場合には、この国庫負担は削るという形になっているわけです。しかし、この二重支給の問題というのはよく考えなければいけないと思います。支給が問題というのじゃなくて、削るということです。つまり夫の遺族年金というものは、夫が保険料を支払ってきた、それに対する権利として遺族年金が出てくるわけです。妻自身の老齢年金というものは、国民年金にずっと加入してきた、それに対して老齢年金が支給される。両方とも権利、加入する際の約束であるわけです。だから、両方とも、国庫負担が入っていようと、それも含めてもらえるというのが権利としての筋であると私は思います。ただ、全くその二重支給ということが起こらないケースがあるわけです。それは夫が国民年金、妻が厚生年金の場合、これは夫が死んでも遺族年金は出ません。そういった非常に不合理、不公平というものがあるわけです。それから、年金というものは最低生活の保障であるという考え方をとれば、二重支給によって、たとえば二十万円もそれ以上もの年金を手にする人々が出てくるということはやはり問題ではないかというふうに考えるわけです。私は一つの考え方として、両方、自分の老齢年金と遺族年金合わせてたとえば十五万円というふうな最低限、これは十五万円というのはたとえばでございますけれども、そういった、最低限ではない最高限、天井を設けるということが必要ではないかというふうに考えております。これは金額で設けるか、あるいはそのときの労働者の平均賃金、月額というものと関連して設けるかといういろいろな方法が考えられると思うわけでございます。  三番目の御質問は、社会保障のおくれというか、社会保障に対する考え方のおくれというものが日本の社会保障の進歩が遅いということを招いているのじゃないかというふうに御指摘でございますけれども、全くそのとおりでありまして、社会保障というものは、日本でまじめに考えられるようになりましたのは戦後でありまして、まだまだ私どもの生存権の保障としての社会保障という考え方が徹底しておりません。つまり一つは、福祉というのはお慈悲であるというふうな考え方もあります。それから、国民の側におきましても、自分の権利というものを求めるという声が弱い。それからもう一つは、権利を知らないということもあります。それから、配慮というか、たとえば、厚生年金に非常に短い間加入していたけれども現在福祉年金しかもらっていない。つまり加入して保険料を払っていたにもかかわらず福祉年金しかもらっていない。それは加入期間が短いからですけれども、そういうお年寄りは、要するに払いっ放しで何らの給付も受けていない。まあ脱退手当金はもらった人もいるでしょうし、もらわない人もいるようでございます。つまり、そういう人たちが現在の福祉年金の受給者になっているわけです。そういった、問題への何というか、たとえば公務員の恩給なんかですと、ずっと戦前までさかのぼってもらえる。ところが民間企業に働いていた場合にはそういうふうにして切り捨てられている。つまり、年金制度の成熟と申しますけれども、その成熟への努力というか、それが余りなされていないんじゃないかというふうなことを考えているわけでございます。  以上でございます。

内藤功日本共産党

○内藤功君 二点ほどお伺いをしたいと思うんですが、一つは、先生の本論に入られる前に、パートタイマー、臨時作業員の方の雇用対策の確立も重要な福祉政策の一つと理解しておられると、こういうお話です。私どももこのパートタイマー、これは特に婦人に多いわけですね、臨時作業員、この雇用対策をどう確立するべきかということを非常に考えているわけですが、先生の具体的な御提言がありましたらお伺いしたい。たとえば、いま議論されています最低賃金法の改正問題ですね、そういう中で、こういう方にも適用するんだということをはっきりいまうたうという問題も一つの問題だろうと思うんです。労働基準法の諸権利の中で、できるだけの保障をこういう方々にも与えるということを明記していくことも問題だろうと思うんですが、まあその他いろいろあると思いますが、お考えを伺いたい。  それからもう一つは、三和銀行のお話。三和銀行で約五億円のいわゆる差別賃金を払われた、これはやはり重大なことだと思うんですね。ただ、これはこのように三和銀行に働く婦人労働者の方が結束をして基準監督署を動かす力があったわけです。ところが、世の中にはまだまだそういう方法も知らないと、規則の内容も知らないというために非常な差別賃金のもとに苦しんでおる人もいる。これをやっぱり監督するのは労働行政なんですが、十四年に一回しか基準監督官が回っていけないという少なさですね。これはもっともっと、むだなところは省く必要があるが、こういうところはふやす必要があるんじゃないかとわれわれ主張しているわけです。そこらあたりの問題につきまして、私の考えもすでに言っちゃったんですけれども、なおいいお考えが御専門のお立場でございましたらお教え願いたいと思います。

島田とみ子東海大学講師

○公述人(島田とみ子君) お答えいたします。  パートタイマーに対する対策というものは、御指摘のとおり最低賃金法による救済というものが非常に重要であるわけでございますが、最低賃金の定め方がひとつ問題でありまして、現在の最低賃金というものは審議会方式によって決められているわけで、全国一律最低賃金制というものはないわけです。これは非常に問題であると私は考えております。で、パート労働というのは、たとえば非常に合理化が進められる中で、もう、一つの職場の中でたとえば食品とか電気とか、そういうところではパートばかり組み立てとかそういう作業をやっておりまして、本雇いというのはそこの部屋に一人いるだけと、実態はそういう状態になっているわけです。つまり婦人の労働力というものをできるだけ安く使おうと、そういう合理化が進んでいるわけでございます。で、彼女たちが一番望んでいるのは、本採用にしてくれと、自分たちは朝八時から五時まで働いている、全く同じに働いて賃金だけが安いと、社会保険もないとい百ことでございます。ですから、本採用化ということが一番必要なんですが、企業の側はそういうことはなかなか承知しないという点で非常にむずかしいわけでございます。  それから、三和銀行の件で、もっと監督を強化しろというお話でございました。確かにそのとおりでございます。監督官をふやしてやっていかなければならない。で、私は女性に対する賃金差別というものをなくしていくことは企業の側に大きな責任があると思うのです。同じ仕事をしていても、女であるがゆえに男と同じ賃金を払わないわけです。それには監督強化によるということはもちろんなんですけれども、つまり考え方として、婦人を雇う際に同じ仕事につかせる、同じ仕事をさせていく、そういう姿勢が企業の側に欠けているわけでございます。ですから、男女同一賃金が実現されている職種——職種というか職業分野というのは、公務員と学校の先生、そこに女子の希望者が最近は非常に多いわけでございます。で、一般の婦人たちは、同一賃金というふうなことを口に出してはそう言いません。黙々として働いて、ずいぶん安くて困ると言っているわけですけれども、みんな非常にそれは賃金の問題ですから敏感で、自分たちが差別を受けているということはよくわかっているわけです。で、労働基準監督署の人員が足りないから監督できないんだということでございますが、私は労働対策の姿勢そのものの中に、同一賃金を実現しようという意欲というものがどのくらいあるのかということをやはり考えるわけでございます。

粕谷照美日本社会党

○粕谷照美君 私は、伺いたいと思ったことをみんな島田先生がおっしゃったので、ちょっと広い範囲になりますのではないかと心配をしながら質問をしたいというふうに思います。  一つには、私たちは、年金というものは生きていく最低の保障だと、あるべきだというふうに考えておりますけれども、たとえば老齢福祉年金というものはお小遣い程度に考えているといういまの政府の考え方に対して非常な抵抗を持っているものなんです。世界各国で、一体年金というものの概念といいますか、生活保障であるというような、そういう考え方というものが定着しているのかどうなのかということを一つ。  二つ目には、年金における婦人の問題の中でも特に私が伺いたいのは、厚生年金のあの掛金に男女差がありますね。それから脱退手当金という制度が女性にのみあるというふうに思います。これはなるほど、婦人の労働実態に合わせれば確かに女のためになるようにその時点では思ってつくったのかもしれませんけれども、長期的な目で見ていきますと、非常に大きな、何というのですか、婦人にとって不利な条件が出てくるというふうに思いますので、この辺についての先生のお考えをお伺いしたいと思います。  以上です。

島田とみ子東海大学講師

○公述人(島田とみ子君) 生活保障としての年金の考え方が、ヨーロッパ等ではどうなのか、確立しているのかどうかという御指摘でございますが、おっしゃいますようにはっきりとそれは言えると思います。年金は生活を保障するものであり、その人の生きる上での権利であると、生存権を保障するものである。ですから、年金というものは私は天賦人権説のように、生まれながらにして年金権というものは皆が持っているものである、保障されなければならないと考えております。  それから、厚生年金の男女に掛金の差があるということは、これは発足当時に、女というものは年金をもらうまで長く勤めるものではないからその掛金は安くしておこうというふうな考え方でどうも始められたようでございますけれども、保険料率が安い、これは男女同権という立場から言えば当然料率は同じにすべきであると私は考えております。で、共済組合等ではもう全く同じであるということは御承知のとおりでございます。  それから脱退手当金は、これはもう五十三年の五月で、たしか現在の法律は切れると思いますけれども、これはまことに悪法であると思います。こういうものがあるために、いかに脱退手当金を何も知らないでもらってしまった人が、いま老齢に差しかかって自分の厚生年金ももらえないで困っているか、独身婦人の場合、あるいは離婚した人等の場合に、そういうことをしばしば聞いております。ですから、脱退手当金、もらったのを返すから加入していた権利を取り戻してほしいというふうなことまで社会保険庁の方に言っていく方があるそうでございます。

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) それでは、一応この程度で終わらせていただきます。島田とみ子公述人には、お忙しい中を御出席い・ただき、また、短時間に貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。退席していただいて結構でございます。(拍手)  午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩      —————・—————    午後一時二分開会

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) ただいまから参議院予算委員会公聴会を再開いたします。  この際、矢島均次公述人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中にもかかわらず本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。  次に、議事の進め方につきまして申し上げます。  まず、公述人の方から約二十分程度御意見を述ベていただき、その後、委員の皆様から質疑がありました場合はお答えをお願いし、公述人から委員に質問することはできません。また、本問題に対する公述と質疑を合わせまして六十分の範囲内でこれを進めてまいりますので、各位の御協力をお願いいたします。  それでは、矢島均次公述人から御意見をお述べ願います。矢島均次公述人。

矢島均次東京工業大学教授

○公述人(矢島均次君) 私に与えられました問題点はエネルギー問題でございまして、予算委員会の中においてひとつお考えをいただきたいという問題点を、エネルギーの問題のサイドから意見を申し述べさしていただきたいと、こういうぐあいに思います。  私の勤めております学校が東京工業大学でございますので、私は世間から一般に考えますとエンジニアというように考えられますが、私の専門は経済学でございますので、ひとつその点をお含みおきいただきたい、こういうぐあいに思います。  まず、このエネルギー問題を考えるに当たりまして、二つ前提としてわれわれは考えなければならない問題点があるだろうと、こういうぐあいに思います。  一つの問題点は、政策というのが、もう先生方御存じのように幾多の選択肢がございまして、対内的な事情と対外的な要件と、いろいろなそういう問題の中から幾つかの選択肢が当然国益の観点から出てまいります。その選択肢の中の、どれか選択するかということに当然なってくるかと思います。それが単数の場合もあれば複数の選択肢の組み合わせということもあり得ると思います。ただ問題は、どうも私ども外側から見ておりますと、短期的にこのエネルギー問題を考えるという傾向が非常に強いんではないだろうか、こういうぐあいに思えてなりません。エネルギー問題と申しますのは、やはり資源の有限ということを前視にしなければなりませんので、短期の問題をもちろん含みながら中長期の観点から考えていかなければならない、こういうことがまず第一の問題点でございます。  それから、第二の問題点と申しますのは、われわれ新価格体系とか高価格体系、いわゆるハイプライセスシステム、こういうことを一般に言われておりますけれども、ハイプライセスシステムというものがあるならば、当然その前にロープライセスシステムというもの、低価格体系というものがあったわけでございます。私は、低価格体系というのを昭和三十五年以降の卸売物価、消費者物価等々を考えてまいりますと、そうすると食糧、石油、原材料等々が安い値段で好きなだけ購入できると、そういう世界の経済のメカニズム、これを低価格体系というように考えております。それに反して、昭和四十八年ごろからいわゆる世界の経済のメカニズムはハイプライセスシステム、つまり高価格体系に入ってきたと、それは、つまり石油、食糧、原材料が高い値段で、しかも場合によっては限られた数量しか入ってこないという新しい世界の経済のメカニズムに入ってきたのだと、つまり世界のそういう大きな経済のメカニズムというものが変わってきたということを考えてみなければならないと思います。   〔委員長退席、理事坂野重信君着席〕  そういたしますと、そういう二つの前提のもとに、これからごく限られた時間でエネルギー問題の大要を申し上げたいと思いますけれども、結論といたしましては、欧米の国々がやっておりますように、もっと国家的に中長期の観点、短期の問題をうまく消化しながら中長期の観点に立って、国家的にこのエネルギー問題に取り組んでいかないと大変な事態に立ち至るということが、これ結論の一つでございます。  それから二つ目の問題は、やはり日本の経済の置かれている環境というのが、決して、いままでの高度成長期と違いまして、それからまた、世間が一般に理解しているものと違いまして、たとえばこれは極論でございますが、対ECとか、それから対米とか、こういう外堀内堀が埋まってまいりまして、そうして大阪城という日本の経済、こういう中で私どもがやはり内に向いている政治姿勢というものをもう少し外に向けていただきたい、今日いかに国内で精密なる経済のモデルができて、それによって経済政策が展開されるということがありましても、対外的な要因が変わってまいりますとこれは全部崩れてまいります。したがって、私どもはやはりグローバルな観点から日本の経済というものを位置づけて、そうして機能づけを行うと、こういうような観点でやはりエネルギー問題のその結論というものを私は結んでいきたいと、こういうぐあいに考えております。  そこで、私は昭和四十六年の二月にテヘラン協定ができまして、これは公示価格の引き上げというものを非常にドラマチックに行った会議でございます。そうして昭和四十七年の一月にジュネーブ協定が結ばれまして、ここでいわゆる平価調整、つまり原油価格の購入はドル建てでございますので、したがってニクソン・ショック、それからスミソニアンの合意と、そういうようなことから産油国は必要物資の大半を先進工業国から輸入をいたしておりますから、ドルの切り下げということは実質的な購買力の低下につながりますので、平価調整を行ったわけでございます。そうして、御存じのように一九四七年の十月にニューヨーク協定ができると、そうじてニューヨーク協定は、実は私はちょうどそのときアメリカにおりまして、このニューヨーク協定の一部始終を実はオブザーバーとして拝見をしたわけでございます。メジャーズは相当の程度譲ったわけでございます。これでしばらくの間、石油問題は遠のくであろうというぐあいに考えられましたところが、母国へ帰りましたOPECの人々は、これは特にOAPECでございますが、OAPECはこれを了承しにくいということで一方的にニューヨーク協定を破棄いたしまして、リヤド協定というものを結びまして経営参加の問題を取りつけた、こういうことがございます。  そして、ちょうど昭和四十七年の十一月の十四日に、アメリカの石油業界の年次総会がシカゴのヒルトンホテルで開かれましたときに、その当時商務長官をやっておりましたピーターソンがポパイ演説という有名な演説をやったわけでございます。つまりアメリカというポパイが安いホウレンソウ、つまり安い原油を失おうとしつつあると、私もこの演説をヒルトンホテルで聞いたわけでございます。そしてアメリカは一九七三年からは、つまり昭和四十八年からはエネルギー問題を最優先政策として国を挙げて実行していくんだ、こういう取り決めを一九七三年の十一月から十二月にかけて決定をしたわけでございます。  私ども、やはりこの国を挙げてエネルギー問題に取り組んでいくという姿勢をもう一度考えてみなければならないんではないだろうか。つまり、福田総理が言っておられますように、オイルショック以後全治三年と、もう三年はたったわけでございます。しかしながら、私はこの三年は入院期間であった、そしてその三年過ぎてこれから三年ないしは五年、六年にわたるかもしれませんけれども、日本の経済というのは入院から退院して直ちに力仕事をするというわけにはいかない。いわゆる自宅療養期間というように考え、非常に厳しく判断をいたしております。そして、この石油問題の長期展望が必要であるということを申しました理由として、十年後それからまた二十年後に生産がピーク時に達しまして、少なくとも現在考えられている可採埋蔵量から判断いたしますと頭打ちの見通しがある。  それから二番目に、代替エネルギー源の開発ということには多額の投資とそれから長い時間が必要であるということ。  三番目に、産業構造の転換というものを相当ドラスチックにやっても、やはりそれぞれ摩擦がございますし、そしてそれが軌道に乗るまでには相当の長期間を必要とするであろう。  四番目は、そこへもってきて環境問題という問題が絡んでまいります。  それから五番目に、生活水準というものを向上させていかなければいけないという国家的な考え方もありますし、それから高度近代技術というものを、これをここでもってどういうような方向に向けていくのかというような問題点についても何らの合意に達していない。  そういうようないろいろな問題がございますので、やはり石油問題というもの、エネルギー問題は長期展望が必要であろう、こういうぐあいに考えられます。そして日本が考えております考え方というのは、基本線においては私は正しいと思います。省エネルギーの努力などをできるだけ行って、そして石油の年々の増加率は落とすとしても、基本的には経済成長期におきますと同様に、エネルギーの需要というものはどうしても増大をさしていきながら国民生活の水準なり、それからいろいろなでこぼこをならしていくということの考え方は、これは基本的には正しいと思います。だけれども問題は、いかにしてそういうように、これから増加率は減少いたしますけれども、実質的にやはり需要量はふえてまいりますから、その需要量のふえたものに供給力をどのようにフィットさしていくかということが非常に私重要な問題になると思います。少なくとも一九八五年までの経済成長率を六%程度と、それから一九八六年から二000年ぐらいまでを四%程度というぐあいに考えましても、この基本的な考え方に立って予算を執行し、経済の政策を立てていくということになりますと、エネルギー需要は現在の約三倍程度、大体十億トンから十一億トンぐらいに私はなるだろう、こういうぐあいに考えられます。  そうすると、こういうような問題に対して一体何を行うべきか。たとえば節約という問題もこれは非常に重要でございまして、今度カーターが非常にドラスチックなエネルギー政策を打ち出すということが報じられております。節約の問題でございます。諸外国を回ってみて一番節約ムードが欠けているのがどうも日本ではないだろうかというような感じを受けるわけでございます。大体もう、桜の花が咲いているときに、この参議院の議場がこれだけ暖かく暖房されているということ自体は、節約の精神が私欠けている問題だろう、こういうぐあいに考えられるわけでございます。  それから二番目の問題といたしまして、輸入の制約条件というのがどうしても出てまいりますので、これはもう言い古されている問題でございますが、原子力発電の問題であるとか、それから一般炭の輸入であるとかLNGの問題であるとか、そういうようなものの増加や、その他大陸だなとか地熱とか、いろいろわれわれが言い古されている、そして実行に余り移されていない、そういう問題を早く私どもは国家的な一つの目標として、使命としてこれに取りかかる必要がある。  それから経済外交の問題でございますが、要するに内向きの政治から、これからはどんどんと外向きの政治に転換をしていっていただきたい、これが政策の課題だろうと思います。  それから、それじゃエネルギーのこういうものの供給力をつけるための資金をどうするのかということがこれ問題になります。これはもう、エネルギー技術の研究、開発、投資を除外いたしましても一九八五年までには約五十兆円の資金、エネルギーに対する供給力をつけるための投資が必要になります。それから一九八六年から二000年までに約百兆円近い投資が必要である、こういうぐあいに推計されます。そうすると、過去十年の、今後十年は二倍、それから二十年の後は四倍、こういうようなことになってまいります。これは昭和五十年代に比べて昭和六十年代は約三0%年平均増加率というのがダウンいたしますけれども、だが、必要平均投資額というのは四0%大体アップするというように考えることが必要であろうと思います。そうすると、民間の企業だけでこういうようなものの、エネルギーの需要量に見合うだけの給供量を提供するだけのいま能力を持たない。そうするとどうすればいいのか、これはやはり投資額を調達するということに当たっての新しい金融のメカニズムというものを考えなければならないということが第一点でございます。  第二点目は、公的な資金というものをどうしてもそこに導入せざるを得ない。そういうことに対しての新しい財政の仕組みというものを考え直していただかなければならないのではないだろうか、こういうぐあいに思うわけでございます。  それでは石油の備蓄の問題がある。少なくとも昭和五十五年の三月末までに九十日分の石油備蓄の義務づけが石油企業に課せられているわけでございます。ですから、日本では五年間で原油を二千六百万キロリッター積み増しをするということが必要になります。ところが石油会社というもののランニングストック、つまり適正在庫というのは大体四十五日分、こういうぐあいに経営の上からは判断されております。そうすると、四十五日を越える四十五日分ということが、これ非常に大きな問題になります。確かに十五日分については政府の助成ということが行われておりますけれども、しかしながら、その後の問題について、つまり六十日分の後の三十日分についての備蓄については余り資金的な割り当て等々、援助等々も行わ一れていないということが私は非常に大きな問題になると思うのです。つまりキロリッター当たり原油価格が二万四千円、それを四十五日分の超過備蓄で四千五十万キロリッターを備蓄しなければならない、その資金量が約九千七百二十億円でございます。  それから原油の貯蔵、そういうことのために十万トンのタンク約六百二十基の新設……

坂野重信自由民主党

○理事(坂野重信君) ちょっと矢島公述人に申し上げますが、大体時間が経過しましたので、あと簡単に締めくくってください。

矢島均次東京工業大学教授

○公述人(矢島均次君) わかりました。  こういうことで約二十兆円の金が要るということになります。  そこで、どうも日本としてはまだ備蓄の水準が少ないということを考えますと、私どもやはりこの備蓄に対する国家的な立場からの配慮を行っていくということをしなければいけないのではないだろうか。  それで、最初にも申し上げましたように、私どもはこういうエネルギー問題というものが、目先の問題としてのみ処理されないで、中長期の問題として十分に処理される必要があるし、これは国際海峡の問題等々、いろいろの複雑な他の要因と絡み合っているということを十分に考える必要がある。そういう意味において、どうも現在の日本及び予算の編成上においても、このエネルギー問題において、よその国々の取り組み方とやや努力が欠けている点が多いんではないだろうかということを結論として申し上げたいと思います。  どうもありがとうございました。(拍手)

坂野重信自由民主党

○理事(坂野重信君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

対馬孝且日本社会党

○対馬孝且君 公述人、どうも御苦労さまでございました。  簡潔に三点だけちょっとお伺いします。  いまのエネルギーが中期、長期の展望を持つ、へきであるということはわかるわけでありますが、そこで対外要因が非常に重要だということは同感であります。  そこで、第一点でありますが、昨年のIEA会議で、国際エネルギー会議の石炭専門会議が開催をされています。ここの方向、結論というのは、第一点は石油の供給限界点が一九八五年に大体到来をする。したがって、一九八五年以降はきわめて石油は深刻化をする段階に入ると、これが一点であります。第二点目は、原子力開発につきましては、安全性に伴う住民の問題点を、コンセンサスを得るという段階からいけばかなり長期的な見通しが必要である。これは第二の理由であります。第三は、つまり一九九0年以降における新しい代替エネルギーの技術発展の、つまり実現の段階というのはかなり長期的に展望が必要である。こういう三点の結論に立ちまして、このIEA会議の結論の方向としましては、つまり水力、石炭の見直しをする今日的段階が必要であると、こういうふうに方向づけられておりますが、この点について先生のひとつ考え方をお聞かせ願いたいと、これが第一点であります。  それから第二点、簡潔に申し上げますから。いま、先生もおっしゃったように、一九八五年以降はきわめて石油に関する供給が減っていく、こういう状況はまあ明らかになっております。この問の総合エネルギー調査会でも、向坂先生が議長になって出されました結論も、一九八五年以降における、つまり石油にかわる代替エネルギーを一体何に求めるか。代替エネルギーを求める段階というのは一九九0年以降になるわけでありますが、その代替エネルギーとは日本の国情に合わして、あるいは対外要因も含めて、つまりクリーンエネルギーとして判断をした場合に、これからのエネルギー源として代替エネルギーを求める場合一体何を必要とするのか、何の種類のエネルギーを求めることが妥当なのか、この点が二つ目であります。  それから第三の問題でありますが、つまり長期的な展望に立って考えますと、いまかなり原発を中心にいたしまして、去年も私は商工委員会で質問をしておるのでありますが、サンシャイン計画なるものについては日本でも行っております。しかし、これは太陽、地熱計画を中心にした問題でありますが、つまり石油、原子力開発の安全性の問題とも関連をするわけでありますが、この点について、つまり実現をする段階というのは相当先の見通しにならざるを得ないのではないか、この点を国際、国内的につまり第三のエネルギーと言われる開発の段階をいつごろに判断をされているか、この三点をお伺いをいたします。

矢島均次東京工業大学教授

○公述人(矢島均次君) お答え申し上げます。  第一点でございますが、確かにIEAの会議の結論はそのとおりでございます。水力及び石炭に求めていくということは、これは最近のアメリカそれから西ドイツ、フランス等々の動きを見ても大体そういうような事情でございます。ところが問題になるのは、日本の現状から考えますと、石炭の量についても西ドイツとの大きなギャップがある、エネルギーの構造の問題から考えましても、石炭に非常に高く依存している西ドイツと日本というようなものが非常に大きな問題として出てまいります。したがいまして、私が考えますのは、日本として、三番目の問題でございますが、代替技術、これは石油にかわる代替エネルギーというようなものも私は核増殖炉の問題を、核融合の問題を含んだ、そういう問題の技術というのがこの十年来に開発されるかどうかということは、いまの段階では大変にむずかしいという局面に到達をいたしております。したがって、私が考えますのには、でき得ることならば石油の問題についても、これはまだ、たとえば最近東南アジア、中国等々で石油が出てきておりますし、それがいまのところはなかなか採算ベースに乗らないということでございますので、そういうような問題を含めて、多角的な石油を輸入するパイプをよその国以上に努力をしてつけていかなければならないということが第一の問題として考えられると思います。  それから第二番目の問題として考えられますのは、日本が、たとえば中東原油に非常に依存する割合が多いわけですが、その中東原油に依存する場合に、中東に対して、たとえばプラントであるとかいろんなものを輸出をする。しかしながら、それが韓国は第五位でございますが、全体で、その入札量の額が。ところが日本は韓国以下であるというようなことを考えますと、もう少し中東に対する見返りの要するに経済的進出ということが必要ではないだろうかと、こういうぐあいに考えられます。  それから第三番目の問題は、やはり原子力の問題についてどうしても私どもが安全性の問題はもちろん十分に考えながら、しかし、やはり原子力の平和利用というものに私どもが国家的な立場から踏み切っていかざるを得ないということが私は考えられるわけです。たとえば石炭においても、これは石炭は無尽蔵と言われるほどございますけれども、もし石油が頭打ちになりますと、そうすると当然その代替エネルギーとして石炭価格が非常に高くなってまいります。そうすると石炭にかえますよと言っても、それはおありになる国は結構でございますが、ない日本のような場合には非常に高いところの石炭を購入せざるを得ない。それから水力の問題は、これは日本のいまの経済を賄うには余りにもパーセンテージが少な過ぎるし、自然的な要因によって非常に規制されるところの面がある。干ばつになれば直ちに水力にエネルギー源を求めることができない、こういうような問題がございます。そうすると、やはり科学技術的に私どもが入手できるところのものというと原子力が残ると、現在の技術の段階では。ということになりますと、私どもは国家的なプロジェクトとして原子力の安全性を含めながら平和利用に向かってのやはり開発、そしてそれにエネルギーを求めていくというような対策を私はとらざるを得ないだろうということでございます。  以上でございます。

向井長年民社党

○向井長年君 矢島先生、御苦労さんでございます。  ただいま二点を中心にして概略をお聞きいたしました。なるほど短期、それから中期から長期にかけてエネルギー問題は取り組まなけりゃならぬということを私たちも痛感いたしております。しかしながら、今日までの現況を見ておりますと、言うならば国家的エネルギー対策というものが非常に欠乏しておるんではないか。言うならば資本主義社会において企業依存という問題が余りにも今日まで表に出過ぎたんではないか、こういう感じをいたしております。特にいまもお話がありましたように、エネルギーと言えば何であるか。まず第一に、基礎エネルギーというものは石油であり、あるいはまたただいまでは原子力である。あるいは今後将来にわたって太陽熱とかあるいは地熱、こういう問題の研究、考究もしなけりゃならぬ、こう政府は言っておりますけれども、現状の中で過去から考えてみたときに、たとえば電力一つとってまいりますならば、昔は水力一本で行ってもよかった。続いて火力が若干石炭を中心にして出てまいりました。そして、その石炭が非常にカロリーが低い、経済性が伴わぬ。そういう中から、やはり将来は原子力にわたっての開発をしなければならぬという形で歴史を持っております。  ところが、いまお話がありましたように、一つは、やはり経済性というものが非常に私は重要視されておるのではないか。そういう経済性から考えて、やはり石炭より、あるいはまたその他石油より、まず原子力の方が経済性は今日のところはこれが安い、そして効率的である。こういう中から原子力導入というものが非常に強くなってきたと思います。しかしこれとても、先ほど申し上げますように、企業が中心になって国家的な対策として今日までとられてなかったというところに最近非常に大きなエネルギー不安というものが出てきて重要課題になっておる。こういうことになっておるわけでありますが、たとえば、いま原子力は七百万キロワット程度でございますけれども、これが少なくとも今度の計画では四千九百万キロワットは開発計画を持っております。しかし、事実上これは安全性の問題、環境問題でそう簡単に消化できる状態ではないわけであります。そのネックは何であるかと言えば、もちろん国民合意という問題がまだまだ薄らいでおる。これに対して先生は、国民合意を取りつけ、これからのエネルギー対策として政府自身が国民に対してどうこれを理解せしめるか。もちろん安全性は必要でありますから、十分なこれは検討あるいはその対策は必要でございますけれども、そういう問題について、国民に対して政府が本気に腰上げて重要なエネルギー対策として取り上げるためにはどうしたらいいかという問題、あるいは現状、今日までの政府のエネルギー対策に対する考え方が、私は全く甘いというよりも、されていないという感じを持っておりますが、この点を先生はどう見ておられるか。今後政府がこれに対して、推進するためにはいかにこれを進めようとしたらいいか、この点をお聞かせいただきたいと思います。  なお、特に先般来御承知のように、原子力がどんどんと進んでまいりますと使用済み燃料の再処理、リサイクルの問題がございます。この問題は、やはり原子力委員会あるいはまた国際原子力機構、こういう中で非常に問題化されているわけですね。特にアメリカの態度、こういう問題に対して政府は強く当たるということをこの国会でも言っておりますけれども、いまだにカーター政権の原子力対策に対する問題は非常に困難を擁している。このリサイクル問題について、これは政府は今後アメリカに当たるにいたしましても、国際的な場においてどうわが国が推進すべきであるか、この点を伺っておきたいと思います。  以上でございます。どうもありがとうございました。

矢島均次東京工業大学教授

○公述人(矢島均次君) お答え申し上げます。  第一の問題でございますが、いままで大変に企業に、石油関連の企業に負担をかけてきたということは先ほどの公述で申し上げたとおりでございます。したがいまして、石油業界が、たとえば円高というような、そういう事態によってこの赤字分を埋め合わしていくという、およそ経済の面から見ますと、企業努力によって赤字を埋めるとか埋めないの問題でない、そういう問題で赤字を埋めめている。したがって、これからはやはり、たとえば九十日備蓄の問題にいたしましても、日本は先進工業国の中で一番低いわけでございます。したがいまして、企業の備蓄の問題につきましても、九十日備蓄の問題につきましても、政府が、それから国家的な観点から与野党が、この問題についてやはり財政的なしかるべき措置を私はとるべきだというように考えるわけでございます。だからといってエネルギー問題だとえば石油企業を直ちに国有化しろという形をとれと言うのではございません。これは非常に安易なことに陥りますので、したがって、まず企業の独自性を認めながら、なおかつエネルギー対策の一環として政府が積極的にこういう企業にのみ負担をかけるという態度から脱却をするというのが、このエネルギの現実を考えた場合言えるんではないだろうかと思います。  それから二番目の問題でございますが、経法性、効率性の面から見まして、現在日本に残されているカードは、ないしはサイコロは原子力しか実はないわけでございます。もちろんサンシャイン計画も通産省おやりになっておられます。これも私結構だと思うんです。しかしながら、サンシャイン計画というのは相当の広さを持たないとなりませんし、これは代替エネルギーには違いませんけれども、そしてまた日本のエネルギー政策にプラスになることは事実でございますが、直ちにこれが石油にすべて代替するというところまでいかないというように考えるわけでございます。  しからば、残されたカードが原子力しかないということになりますと当然原子力をふやしていかなくちゃいけませんが、それには先ほど御質問ございましたように、国民的な合意を取りつける必要がある国民的な合意を取りつける場合に、私が考えますのには、クールにやっていただきたいと思います。たとえば原子力の問題について、なるほど安全性の問題について十分に私どもが注意しなければならないところを、非常にイージーに、ないしは技術の発展段階のトライアル・アンド・エラーということで処理をしてしまうという面がございます。しかし、この問題については私ども厳しく反省をし、そしてどこでも再びこういう間違いを起こさないという問題をきわめる、そしてそれをクールに事実関係を発表すると同時に、それから、どうしても私どもが残されている、今日日本の経済が水準ないしは水準を落ち込んでも比較的快適な生活を維持できるためには、原子力に依存せざるを得ないんだという面もクールに考える必要がある。いたずらに原子力アレルギーというような形でエキセントリックな形になることはここではやはり極力抑えるべきだというように考えます。そうしませんと、日本は、一九八五年ないしは長期に見ましても一九九七年ごろには完全に世界の石油事情の行き詰まりの中において、日本の経済というものがばったりとその動脈がとまるというようなことになるとこれは大変でございますので、やはりその段階で徐々に現実を正しく報道していく。正しく報道して、そしてクールに皆様にお考えいただくということが私は必要であろうというぐあいに二の問題としては考えます。  それからエネルギー対策について政府も十分にお考えでございましょうけれども、しかしながら、もっと私はエネルギー問題についてはドラスチックに政策を立てていただきたいし、長期に対しての青写真を努力目標として出していただきたい。これは産懇で出しておりますが、それよりももっと後の問題に実は重要な問題がございます。  それから四番目の再処理問題については、これはやっぱり国際的な場において日本のエネルギー事情というものを、まず当事者のアメリカに十分に訴えると同時に、西ドイツとも話し合いをし、そして西ドイツの要するに独走もチェックしながら、国際的な場で解決していくということも、できることならば今年じゅうにやっていただかないと、時計の針はとまらないというように申し上げたいと思います。  以上でございます。

工藤良平日本社会党

○工藤良平君 いまの件でちょっとお伺いしたいんですが、これからの中長期のエネルギー問題を考えた場合に、原子力というのが日本の進んでいく最高の道だというお話ですけれども、一点だけお聞きいたしたいのは、もちろんこの核を燃料として使う、いわゆる核燃料棒ができ上がるまでの過程で、やはりかなりのたとえば石油なら石油を使ってその核燃料棒をつくらなきゃならぬ。そうすると、本来、私たちがエネルギーとして使うものの原料として使うために大量の石油を使うとするならば、これは大きな問題が起こってくるのではないか。ですから、そこにもおのずから限界が出てくる。石油が有限であるというだけに、核エネルギーについても石油と同じような運命をたどるのではないかという気がするんですが、その点に対してはどういうことでございましょう。

矢島均次東京工業大学教授

○公述人(矢島均次君) いま工藤先生からの御質問のございました点に、私二点ぐらいお答え申し上げたいと思います。  一つの点は、原子力の核の製造に非常に石油を要します。しかしながら、私ども、足し算引き算をやってみますとこれはわかるわけでございますが、石油の持っているエネルギーパワーというものと、それから原子力の持っておりますエネルギーパワーというものとが非常に幾何級数的に違いますので、したがって、短期的に原子力に向けていく、短期、中期に原子力生産に向けていくところの石油エネルギーというものと、それからパフォーマンスとして出てまいりますところのエネルギーのパワーというものとは、これは比較にならないほど大きいということがまず第一の問題だと思います。  それから第二の問題点といたしまして、一たんそういう原子力の基礎が固まりますと、今度はそれのパワーを利用しての原子核の問題というものが、核製造の問題というものは私は技術的に十分に可能であろうというのが第二の問題点でございます。  そういたしますと、たとえば省力化とかそういうことのために、非常に逆に、その省力化の機械をこしらえますのにはたくさんの人員を、労働力を必要とするわけです。省力化の機械をこしらえるのには、逆に、皮肉にも非常にたくさんの人員を必要といたしますけれども、原子力エネルギー生産のために使われるところのパワーというもののパフォーマンスと、原子力の出てくるエネルギーパフォーマンスと、それからそれに投入されるところの石油のパワーというものとは相当パワーに、そのパフォーマンスの方が使ってもいいであろうというほど私は小さな量で済むというように判断をいたしております。

坂野重信自由民主党

○理事(坂野重信君) 他に質問ございませんか。  それでは、一応この程度で終わらせていただきます。  矢島均次公述人には、お忙しい中を御出席いただき、また、短時間に貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。退席していただいて結構でございます。(拍手)     —————————————

坂野重信自由民主党

○理事(坂野重信君) この際、大山明雄公述人に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多忙中にもかかわらず本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。  次に、議事の進め方につきまして申し上げます。  まず、公述人の方から約二十分程度御意見を述べていただき、その後、委員の皆様から質疑がありました場合にはお答えをお願いいたします。なお、公述人から委員に質問することはできません。また、本問題に対する公述と質疑を合わせまして六十分の範囲内でこれを進めてまいりますので、各位の御協力をお願いいたします。  それでは、大山明雄公述人から御意見をお述べ願います。大山明雄公述人。

大山明雄谷山税制研究所主任研究員

○公述人(大山明雄君) 大山でございます。  私は、谷山税制研究所という民間の税制問題の研究所に勤務しておる者なわけですが、この十数年来税金の問題を研究をしてまいりまして、それからまた、一人の国民といいますか、納税者として、きょうはこの機会をおかりいたしまして五つほど御提案を申し上げて、ひとつ皆さんの御検をお願いしたいと思うわけでございます。  まず第一番目には、一兆円減税のいろいろな院内外の動きの中で、戻し税という問題が出てまいったわけでございますが、これは一種の税額控除というふうに私は理解しておるわけでございますが、このような税額控除を、これから所得税の本法の中に組み入れていく方向でぜひ検討すべきじゃないかということをまず第一に申し上げたいわけでございます。  それから第二番目には、事業所得者でございますが、事業所得者に勤労所得控除という新しい控除をつくるべきであると思っております。これが第二点でございます。  第三点は、今度の一兆円減税の問題の中でもいろいろ論議されたわけなんですが、いわゆる粗税特別措置とは一体何なのだろうかということを国会ではっきり国民の前に示していただきたいと思うわけでございます。  それから第四番目には、これは地方税法の問題になるわけでございますが、地方税法で言う法定外普通税があるわけですが、この法定外普通税を地方自治体がつくる場合、現在は自治大臣の許可が必要となっておるわけですが、それを届け出制に改めて、地方自治体が自由に法定外普通税をつくるようにすべきである、これが第四点でございます。  それから第五点は、まあ予算編成の民主化といいますか、財政民主化といいますか、そういう問題の中で、もっと国民にいろいろな資料を公表していただきたいということでございます。具体的に言いますと、租税収入予算を公表すること、公表といいますか、国民の目に届くようにはっきり資料を公表するということ、もう一つは、現在税制調査会がございますが、これは自民党にもございますし、政府にもございますが、これをもっと民主的に開放して、国民の声をもっと広く取り上げるべきであると、こういう点を提案したいわけでございます。  以上のことを少し順次御説明申し上げたいわけですが、まず第一番目の、税額控除を所得税の本法の中に取り入れていく方向で検討すべきということは、今度の一兆円減税のいろいろな運動の中ではっきりしてきたことは、やはり戻し税といいますか、税額控除、これはいろいろ技術的な問題で区別できるわけでございますが、税額控除の方が本当に国民の低額所得者のためになるということははっきり国民の前に示されたわけでございます。従来までは、減税の方法といいますと、いわゆる基礎控除とか、配偶者控除とか、扶養控除とか、そういうものの引き上げがあったわけでございますが、今度の五十二年の税制改正におきましても基礎控除などが三万円ずつ引き上げられたわけですが、私はこれは全く悪いというわけではないわけですが、本当に大多数の国民のことを考えれば、やはりこれも人的控除も税額控除にすべきである。これは理由は簡単でございます。たとえば、所得控除を一万円引き上げます。そうしますと、最低税率——御存じのとおり所得税は一0%から七五%までの累進税率になっておるわけでございますが、所得控除を一万円引き上げますと、最低税率の方は千円の税額が軽減されるわけでございますね。   〔理事坂野重信君退席、委員長着席〕 ところが、八千万円を超えた方は、七千五百円税額が軽減になるわけでございます。これは現在の累進税率の構造からいってあたりまえと言ってしまえばあたりまえなわけですが、やはり私はそういうことでは本当の現在国民が要求している減税にはならないと思いますので、やはりそこははっきりと税額控除にして、人的控除を所得控除をやめて税額控除にして、たとえば一人三万円とか、まあ金額はいろいろ御検討いただきたいと思うわけですが、そのようにすべきであるということでございます。これは、税額控除を入れますと、税務行政上いろいろ複雑になろうという意見がございますし、また、かつては税額控除だったものが現在は所得控除に逆に組み入れられてきているのが戦後の歴史でございますが、たとえばこういうような人的控除以外に医療費控除というのもあるわけなんですが、最高二百万まで所得から控除できるわけですが、しかし、これも本当の国民大多数の立場に立てば、税額控除としてはっきり税負担を現金で還元していくという方向がよろしいというふうに理解しているわけでございます。これが第一点。  それから二点目でございますが、事業所得者に勤労所得控除をつくれということでございます。これは、現在の給与所得控除というものは、たしか私の記憶では昭和二十八年までは勤労控除となっていたわけでございまして、勤労控除という名前があったために事業所得者にもわれわれにもそういう勤労控除を認めろという声が強かったわけですが、これに対してどういうような形で処理したかといいますと、給与所得控除と名前を変えてそこですりかえたわけでございます。私は、事業所得というのはまあいろいろあるわけですが、事業所得が勤労所得部分と資産所得部分の渾然一体となった所得であることはいままでの税制調査会の答申なんかでもはっきり示されているわけでございますから、これは疑いのない事実なわけですから、そこで勤労所得控除を設けるべきだ。これはどういう趣旨かといいますと、一種の自家労賃を認めて、自家労賃ですからこれは給与所得になるわけですから、給与所得控除を自動的に働かせるべきだという考え方なんです。これをまあ一応、税法というのは簡単なほどわかりやすいわけですから、事業所得に、まあ名称は何とつけるかいろいろあると思うのですが、たとえば勤労所得控除として、基本的な考え方とすれば給与所得控除的な考え方——金額的にですね、考え方で控除すべきだというふうに思っております。これは現在青色申告の特典として事業主報酬とかいろいろあるわけですが、これは青色の特典でございますから、私はこういう勤労所得控除というのは、特典ということはおかしいわけでございまして、これは根本的なものでございますから、そういう青色、白色を問わず、はっきりと勤労所得控除というものを本法に創設すべきだと思っております。  それから三番目の租税特別措置とは何かということでございますが、これはまあいろいろ論議はあるわけでございますが、去年の十二月に税制調査会からいわゆる中間報告というのが発表になったわけです。ところが、これを見てみますと、三つの考え方が出ているわけですね。一つは、いわゆる準備金とか特別償却というものはこれははっきり租税特別措置だというふうに認めているわけでございます。そして、これは、「課税の公平を図る見地から、今後とも一層その整理合理化に努めるべきである」という考え方が示されている。これは私も全くこの限りで異論はないわけでございます。それから、法人税法上の引当金及び受取配当のいわゆる益金不算入というやつについては、こういうふうな表現をしているわけで、「引当金については、法人の課税所得を合理的に計算するために設けられているもので」あるから、「今後ともその繰入率等の適正化を図っていくことは必要である」が、これは特別措置じゃないという考え方ですね。それから「受取配当益金不算入については、法人税の基本的仕組みに係る問題であり、これまた企業優遇措置とみるべきではないとする意見が多かった。」と言われているわけです。この法人税の基本的な仕組みというのは、御存じのとおりいわゆる法人擬制説から生まれてくる二重課税の排除という、調整という問題だと思うわけでございますが、私は、このように税制調査会の答申で言っておるわけなんですが、もう一つは、この答申の資料に、所得税と法人税の租税特別措置一覧という付表がついておるわけでございます。これを見ますと、私は計算してみましたら、所得税に関係するものとしては六十三、それから法人税に関するものとしては六十六、それから地方税に関するものとしては二十五の租税特別措置一覧というものが出ておるわけでございます。この中に引当金も入っております、受取配当の益金不算入も含まれておるわけでございます。この表では租税特別措置という考え方らしいわけなんですが、一体これをどのようにわれわれは理解すべきかということです。これはなぜこれが必要かといいますと、私は、日本の税制の民主化のためには租税特別措置と言われるものは全面的な検討が必要であり、最終的には全廃すべきであるという考え方を持っておるわけでございますが、国民的に一体租税特別措置とは何かということが合意がございませんと、なかなか論議がかみ合いませんので、現実に今度の一兆円減税でそれぞれ各野党が財源を出しましたが、野党によっていろいろ出てきた数字が異なっているわけでございます。これは一つはどこまで租税特別措置と認めるかという範囲の問題もございますでしょうし、また、それを推計するということは非常に技術的に困難な問題がございますから、これはやむを得ませんが、やはり国として租税特別措置とはこういうものだということをはっきり国民の前に示していただきたいというふうにお願いしたいわけでございます。  それから四番目の法定外普通税の問題でございますが、これは地方税法という法律にあるわけですが、現在、法定外普通税をつくる場合は、自治大臣の許可が必要というふうになっております。私は、これは地方自治体の自主課税権を侵害するものであるというふうに理解しておりますので、自治大臣の許可ではなくして、自治大臣への届け出制にすべきだと思います。御存じのとおり、現在、法定外普通税というものは、都道府県民税で二団体、それから市町村の段階で四十六団体が法定外普通税をつくっているわけでございますが、やはりこれは許可ではなくて届け出制にすべきだ。許可制にしませんと勝手に地方自治体がいろんな法定外普通税を乱発するのじゃなかろうかというそういう御考えがあるかと思いますが、私は、地方自治体がそういうものをつくるのは条例でつくるわけですから、条例は言うまでもなく地方自治体の議会がそれをつくっていくわけですから、住民の意思に反するような法定外普通税というのはどこかで必ずチェックされるわけでございますから、そういう乱発されるのではなかろうかということは全く恐れる必要はなかろうと思います。  これは、一つは、法定外普通税の問題は、租税特別措置によって、まあこれは範囲がいろいろありますが、いろいろ地方税にそれがストレートに影響しておりますし、また地方交付税が減収するという、そういう二重にも三重にも地方自治体の財政に影響を及ぼしているわけでございますから、そういう点を、まあいわば国税における租税特別措置に対する地方自治体の抵抗権といいますか、そういうものとして法定外普通税を私は位置づけしたいわけでございます。  それから第五番目の予算編成の民主化という問題でございますが、一つは、これは私の記憶違いかどうかわかりませんが、私はこの仕事を十数年やっておりますが、毎年予算の時期になりますと、財政支出の方は非常に細かく各新聞に載るわけでございます、項目が。ところが、租税収入の全体の十何兆円という数字は新聞にも発表になりますが、じゃ一体税目別にどうなるのかということになりますと、これは全くといいますか、私の記憶違いかどうかわかりませんが、新聞に発表にならないわけでございますね。われわれもこういうものを国会のお知り合いの方に頼んで手に入り、まあ現在は市販されておるわけですが、なかなか手に入らない。これはやはり財政の民主主義といいますか、国民主権の立場から言って、私はおかしいことだと思いますので、たとえば、五十二年度の減税というのが三千五百億あったと言われているわけですが、じゃそれだけを見ますと、去年よりも所得税が三千数百億全体として減っているのかということを国民が素直な受けとめ方をするわけです。ところが、この予算を見ますと、所得税では九千四百七十億の増税になっておるわけでございますね、去年より。こういうことは、新聞になかなか、新聞といいますか、報道されませんので、これはやはり国民主権という立場で私は問題だと思いますので、少なくとも理想的なことを言えば、予算の詳しい内容を国民全員に知らせる。これはいろんな点でむずかしいことかもわかりませんが、場合によっては地方自治体の議員クラスまでにこういうふうなものをきちんと配付して、国会の論議と同時に、国民が自分の目で数字をいろいろ検討できるということ、そういうことが私は必要だと思うわけでございます。そういう点で、そういう何といいますか、義務づけといいますか、それは専門的に何かお考えいただきたいということでございます。たとえば、東京都の新財源構想研究会が第五次報告を出しましたが、それに対して税制調査会の中間答申では批判しているわけでございますね、しかし、批判されても私は東京都でも困ると思うわけです。国の方は税制調査会はこれだけたくさん資料を持っていろいろやっている。東京都の方は自分のところへ申告されたもの以外データはないわけですから、それでいろいろ研究されておやりになった。当然そこで考え方が違ってくるのはあたりまえなわけですから、自分の方は手の内を全部知っていてやっていて、相手はそれがわからないでやったから、これは、何といいますか、まあ言葉をちょっと忘れましたが、そういう形で批判していることは私は民主主義の立場から言ってきわめて不平等、不公平だと思うわけでございます。それがいわゆる公表の問題でございます。  それから税制調査会の民主的——現在の五十五人の委員の方が民主的に選ばれないという意味じゃないわけですが、私たち国民の声をもっと深く広く入れるためには、たとえば私はこういう提案をいたしたいと思うのですが、衆議院の得票数によって、たとえば五十五人いまいるわけですから、衆議院の得票数によって一種の比例代表みたいな形で五十五人の委員をそれぞれ各党の推薦の委員を入れると、そういうふうなことをやれば、いろいろな各方面の声がもっと民主的に入るのじゃなかろうかと、そのように考えておるわけでございます。これは技術的にはいろいろあるかと思うわけですが、一つの考え方としてそういうことを御提案申し上げたいわけでございます。  時間になりましたので、一応私の五点の問題提起を終わりまして、あとはいろいろ御質問の中でお答えしていきたいと思います。(拍手)

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

青木薪次日本社会党

○青木薪次君 大山先生、御苦労さんでございました。  今回、三木内閣のときでありましたけれども、政府が五十年代の前期経済計画を発表いたしました。若干の修正はいたしましたけれども、この内容は、昭和五十五年度におきましていわゆる特例公債、赤字公債をゼロにするという内容のものであります。したがいまして、政府の財政収支の試算というものは、この減速経済のもとで赤字財政から脱却するということについてはきわめて困難な問題だと思うのであります。五十三年度以降、大幅増税や、しかも実現不可能なほどの増税をしなければ、とうてい赤字財政脱却は無理だと言わなければなりません。しかし、これは政府サイドからのいわゆるものの見方であるわけでありますから、増税かあるいはまた付加価値税を初め大衆課税化の道しか残されていないと思うのであります。きのう、三月二十九日でありますけれども、福田総理大臣は、この予算委員会が終わって衆議院の大蔵委員会において、今後の増税の柱として法人税と間接税を挙げ、中でも税収規模の大きい一般消費税に重点を置くことを見通しているということを発言いたしているわけであります。これは付加価値税でもない、物品税でもないということになりますと、物品税と付加価値税の中間をとったいわゆる一般消費税を選択するということになると思うのでありますけれども、これは課税品目をいろいろ一々挙げて課税をしていくということになると思うのであります。  そこで、いま先生のおっしゃいました東京都の新財源構想研究会というものについて、不公平税制を改革するについて五十三年度に三兆三千三百二十五億円の増収ができると、それから五十四年度に三兆八千億円、五十五年度は四兆三千億円ということになりますと、政府の試算の赤字国債の発行額を上回るものになるというように考えているわけでありまするけれども、この点について、大蔵省が、いわゆる引当金については企業会計上これは合理的なものであると。さらに、受取配当益金不算入、いま先生のおっしゃいました、これは法人税法上合理的であるとして、税制上の不公正については全く現行税制の矛盾点については反省を加えていないどころか、企業優遇の基本的立場を露骨にしていると言わなきゃならぬと思うのでありまするけれども、この点について先生のお考えをお伺いいたしたいということがまず第一点であります。  それから三月の三日に大蔵省が国会に提出しました先ほど申し上げた財政収支試算です。これは前期経済計画に基づく財政の収支試算でありまするけれども、これは五十二年度予算をベースとして改定したものなのでありまして、それは前回いわゆる昨年の試算で五十年度の税収の伸びを二四%と見込んでいるのでありまするけれども、現実には一六・四%しか期待できないと、こういう試算について、税収の見通しでありますけれども、ケースA、ケースBといたしておりますが、このケースAでいきますと二七・四%、ケースBでいきますと二三・七%、これは現実離れをしている点について驚かざるを得ないと私は思います。GNPの伸び率に対する税収の伸び率の比、すなわち弾性値については、一・四ということが言われているのでありまするけれども、このように近ごろのように企業収益が鈍化いたしてまいりますと、個人所得の伸びが期待できない状態のもとで、税収の弾性値は通常の場合よりも低い数値となることは当然であると思うのです。ところが、いま申し上げましたケースAの二七・四%でいきますと、GNPの成長率を一五%と実は見込んでいるんです。そういたしますと、二七・四%の税収増は、弾性値一・八三となる。ケースBの場合におきましても十三%で、税収増は二三・七%で、弾性値は一・八二になるんです。こういうように、税制改正がない場合の弾性値を一・三程度と見込んでいくということになりますと、そのギャップである弾性値の0・五、これは増税あるいは新規の税を創設して税収を確保しなければならぬということになると思うのです。先ほど先生がいろいろと新しい税体系の変更、いわゆる税収の関係について問題点を指摘されたのでありまするけれども、現状で税収の伸びを期待するということになれば、一体どうしたらいいのかという点について先生の御所見をお伺いいたしたい、こう思います。

大山明雄谷山税制研究所主任研究員

○公述人(大山明雄君) 三点あるように承ったわけですが、第一番目の引当金の問題でございますが、私は、引当金の問題は、これは会計理論的な問題と、税務上の問題と、二つ分けて考えなければいけないと思っておるわけでございます。私は、先ほどもお話ししましたが、税務上といいますか、課税所得の計算上は、引当金、準備金は全く無視してよろしいというような理解の仕方をしております。もちろん、企業会計上、引当金を立てることは全く自由でございますが、私は、課税所得の計算上全く必要はないと。つまり、現実にその費用が支出され、その損失が生じたときに、それが税務上のいわゆる損金になればそれで十分だというように理解しておるわけでございます。これは課税所得計算上の問題でございますが、しかし、今度は会計学的に引当金が果たして成立し得るかどうかということも、これは私は常に疑問に思っておるわけでございまして、たとえば国会でも論議になっていますが、貸し倒れ引当金の問題でございますね。これは、私は、いまの税法の考え方をベースにしたものは、会計学的に言っても成立し得ない。現在の各企業が挙げている引当金は準備金であり積立金であって、利益処分のものであるというふうに理解しておるわけでございます。  それから二番目の受取配当の益金不算入の問題でございますが、これは先ほどお話ししましたように、法人擬制説というそういうところから生まれてくるわけですから、そういうことをどのように考えるかということですね。私は、二重課税どうこうということは考える必要はないと、受取配当をはっきり益金に算入すべきであると理解しておるわけでございます。これは第三番目の税収の伸びをどうするかという問題の一つのお答えにもなるわけでございまして、要するに、私の現在の基本的な考え方は、いわゆる租税特別措置というものを全面的に洗い直して、その後にどうしても税収が足らないのであれば、新しい税金を検討すべきである。現在はその段階ではない。そのためにも、先ほどお話ししたように、租税特別措置とは何ぞやということをはっきり論議して、その後で新しい税金の問題を考えるべきである、私はそのように理解しております。

太田淳夫公明党

○太田淳夫君 ただいま先生の貴重な御意意をいろいろとお聞きさしていただきましたが、租税特別措置の問題ですが、よく政府の一部では大企業より中小企業の方を守る部分が非常に多いんだと、全廃するとむしろ中小企業に不利になるのではないかと、こういうような意見もございますが、その点に対する先生の御意見。  第二点は、中小企業の方々の要望の中には、法人税をもっと段階を分けてほしいと言っているのですね。これはやはりこういう不況のときになりますと、資本の蓄積を図っていかなければならない。そういう点で、法人税の段階をもっと大きく分けて中小企業を守ってもらいたいという要望とそれからこれは同族会社によくある問題ですが、中小の同族会社の中には、法人税率を下げて配当課税を上げてもらいたい。これも内部留保をしやすくなるような方途をとってもらえないか、こういう要望もあるわけです。その点に対する先生の御見意。  第三点は、欧米諸国においてはいま敷かれております付加価値税ですね。この問題は今後の問題でございますが、わが国で付加価値税を創設することが果たしてプラスであるかマイナスであるか。  この三点について先生の御意見をお聞かせ願いたいと思います。

大山明雄谷山税制研究所主任研究員

○公述人(大山明雄君) お答えいたします。  まず、第一番目の、租税特別措置を廃止した場合、中小企業に不利になるのじやないか。それはまさにお説のとおりでございまして、私は、一たん見直した上で、先ほどの税率の問題にも絡んでまいりますが、新しく中小企業に対するいわば逆の租税特別措置といいますか、租税特別措置という表現が適切でなければ中小企業に対する優遇措置を別個考えていくべきでありまして、かといって現在中小企業に有利になっている特別措置を現時点では廃止しろということではないわけで、廃止するということになれば、それにかわるべき何らかの措置はしなければいけない。たとえば、いまお話があったように税率を下げる。たとえばいま七百万でございますが、たとえばの話千四百万にいたしますとかということでやっていって私は十分カバーできるというふうに理解しております。  それから二番目の支払い配当に対する軽減税率を一0%じゃなくもっと下げられないかというお話でございますが、私は、これはこの段階で考えることではなくて、もっと基本税率そのものの中で考えるべきである。つまり、私は支払い配当に対する軽減税率も租税特別措置の一つであると理解しておるわけで、基本的にはこれには賛成しかねるわけでございます。それよりも自己資本をたくさんつくりたいといういまの御質問なんですが、そのためには、中小企業に対する、いわゆる同族会社に対する留保金課税をこの際やはり全廃すべきである。だんだん定額控除分も上がっておりますが、これははっきり言って中小企業に対する逆の差別課税になっていることは否定できない問題でございますから、内部留保を厚くするということであれば留保金課税はこれはおかしいわけでございまして、内部留保を高くしようとすると税金がかかるという妙な仕組みでございますので、これは廃止すべきであるということでございます。  それから三番目の付加価値税の問題でございますが、これは、私、日本の場合とフランスを初めEC諸国の段階では租税の歴史が違うということをまず基本的に頭に入れなければいけないのじゃなかろうかということなんです。つまり、御存じのとおり、付加価値税はフランスにおいていろんな形で発展してきたわけでございますが、まあこういう分け方がどうかわかりませんが、いわばフランスとかイタリアは間接税中心の税制を基本的につくっている国でございます。日本の場合は、所得税とか法人税というそういう直接税中心の税制を持っているわけですから、いわば付加価値税を日本に入れようとすれば、フランスなどのEC諸国の柱を日本に持ってくるというわけですから、現在所得税と法人税という大きな柱がある。大黒柱が二本あるようなことになるわけでございます。そういうことになりますと、これは大変汁ことになりますので、現時点においては付加価値税を導入することは私は真っ向から反対いたします。これは、その前にやはり日本の直接税中心、それはいいか悪いかいろいろ論議はあると思うわけでございますが、現在の日本の税制を基本的にもっと再検討した中で、くどいようでございますが、付加価値税導入の問題は考えるべきであると、このように理解しておるわけでございます。

内藤功日本共産党

○内藤功君 大山先生から非常に貴重な五項目の御提言をいただきました。十分今後研究さしていただきたいと思っておりますが、いまの御提言の意味をさらに深く知る意味におきまして三点ほどお伺いしたいと思います。  まず、事業所得者にも勤労控除を認めるべきであるという御提言のように承りましたが、その場合に、勤労所得者の必要経費とは一体何か、どのようにこれを押さえるかという問題が出てまいろうかと思いますが、この点はどういうふうにお考えでいらっしゃるか、これが第一点です。  それから二番目は、租税特別措置について、政府筋の見解もいろいろ違っておる場合があるし、それから政党間でもいろいろ違いがある。一体これはどうしてくれるか、国会ではっきり決めてくれ、固めてくれと、こういう御提言のように承ったのでありますが、その場合、先生の考えておられる租税特別措置というのは一体どういうものかという点を逆にお伺いしたいわけなんですが、どのように考えておられるか。  それから三点目は、地方税に関係しまして法定外普通税の問題のお話があった。これをもっと自由に取るべきものであると。私も御趣旨には非常に賛成なんですが、この場合、先生としては、現時点におきまして、法定外普通税としてどのようなものをいまお考えでいらっしゃるか。  まず、その三点をお伺いしたいと思います。よろしく……。

大山明雄谷山税制研究所主任研究員

○公述人(大山明雄君) 第一点の勤労所得者の必要経費とは何かという、これは非常に重要な問題でございまして、総評が起こしました減税闘争の中でも、私も一人の当事者といたしまして国側の答弁を裁判所を通じていろいろお聞しているわけですが、そこでもはっきりしないわけですが、その前に、必要経費とは何かという所得税法上の概念をはっきりさしていかなければいけないわけですが、必要経費とは収入を得るために文字どおり必要な経費であるというふうに言われているわけでございます。としますと、普通の事業所得者の場合は、売り上げを起こすためには仕入れがなければいけない、そのためにいろんな雇い人費やなんかが必要だ、これが必要経費と言われているわけでございます。それでは給与所得者の場合の必要経費とは何かということなわけですが、給与収入を得るということの絶対不可欠の要件といいますのは、その給与所得者いわゆるサラリーマンがこの世に存在しているということが不可欠の要件でございますので、そのサラリーマンが、給付所得者が、ずっと働いてい続けられる、また次の世代にいわゆる労働力を継承していく、そういうものに必要な経費が勤労所得者の必要経費だというふうに私は理解しております。ということになりますと、勤労所得者の必要経費というのは生活費そのものでございます。ところが、現在の所得税法上では、必要経費とはこれこれであるが、家事関連費は除くというふうにはっきり示されているわけで、つまり家事関連費というのはわれわれの生活費でございますから、そこで一番問題でございまして、やはり勤労所得者の必要経費というのは生活費である。これは生活費はばらばらでございますから、行政的にはある程度枠をもちろんはめることが必要かと思いますが、生活費であるということになりますと、現在、事業所得者の場合、必要経費というのは、先ほど言ったように、仕入れ代金とかなんとかということになるわけでございますが、ここで一つ数字を挙げておきたいと思うのですが、今度の五十二年度の改正で給与所得者の課税最低限というものが二百幾らというふうに決まったわけでございます。ところが、これは給与所得者の四人家族だけの課税最低限でございまして、事業所得者の課税最低限というのは、四人の場合は、百十六万円という人的控除の合計そのものだけなわけでございますね。これにいわゆる社会保険とか生命保険が普通は入るわけでございますが、厳密にいきますと、そういう人的控除だけでございます。ですから、そうしますと、話をわかりやすくいたしますと、今度は一人二十九万円でございます、基礎控除が。つまり、事業所得者にとって二十九万円で一年生活できるというのが現在の税法の考え方でございます。果たして一人一年間二十九万円で生活できるかどうか、これは私が言うまでもないことだと思います。ですから、事業所得者の場合、事業所得者という人間の存在そのものを再生産する必要経費は認められていない。これを税法的に認めるのが先ほどお話しした勤労所得控除であるというふうに私は理解しているわけでございます。ですから、事業所得だけでなくて、現在総評が全国的に起こしております減税闘争の中でも、給与所得控除というところに線を引いて、その上に必要経費と書いてこれを申告している、それは全く正しい考え方でございます。要するに、事業所得者の必要経費というのは、労働力の生産費、生活費そのものが必要経費だ、そこをはっきり認めなければいけないわけで、それを現在の税法でははっきり所得の処分形態である、家事関連費は除くという所得税法上の文言が大きな問題だということを指摘しておきたいと思うわけでございます。  それから二番目の、一体租税特別措置とは何か、おまえの考えはということなわけですが、私は、租税特別措置というものは、どんな理論、どんな説明をなされようとも、課税公平の原則から逸脱するものが租税特別措置であるというふうに理解しておるわけでございます。しからば、課税公平の原則とは何かということになるわけですが、私は能力に応じて負担するということが課税公平の基本的な原則だというふうに理解しております。そこからいきますと、先ほどの法人税の問題になるわけでございますが、現在、所得税の税率は、曲がりなりにも、ということはいろんな分離課税やなんかありますから、曲がりなりにも一〇%から七五%までの累進税率になっておるわけでございますが、法人税の場合は、先ほどから問題になっておりますように、四0%という税率が基本でございます。これを、私は、やはり法人が何千億、何百億という所得を上げておるわけですから、その法人にははっきり負担に応じた、つまり法人税にも累進税率を導入することが課税公平の原則からいって当然であるというふうに理解しておるわけでございます。これ政府——政府といいますか、税制調査会の答申なんかも、負担公平の原則を破壊しても、なお、そういうデメリットよりも、そういう特別措置をつくる方の効果が多い場合にのみつくるんだということを言われておりますが、しかし、それは私は同意しかねるわけでございます。やはり基本的にはそういう負担に応じた原則を貫いていく、へきであるというふうに理解しておるわけでございます。  それから三番目の、法定外普通税としてはどんなものがいま考えられるかという御質問でございますが、私は二つほど具体的に考えておるわけでございます。  一つは、利子所得に対する法定外普通税でございます。これは、御存じのとおり、現在、住民税の計算上、分離課税された利子所得は課税から外されているわけでございます。これは所得税法上曲がりなりにも三0%、今度三五%になるわけでございますが、三0%の分離課税——それ自体が大きな問題でございますが、分離課税で課税されております。ところが、住民税は全く課税されていないわけでございます。これはまことに先ほどからお話ししている課税公平の原則からいって同意しかねるわけでございます。じゃ、しからば、それを東京都なら東京都が何かの形で課税しようかということになりますと、これは地方税方では課税から除くというふうに決まっておるわけですから、これを各地方自治体の税条例で課税することはその限りでは不可能なわけでございます。それで、具体的にはこういうことを私どもは考えているわけでございます。法定外普通税として所得税の源泉徴収される税額を課税標準とする法定外普通税、まあ仮に名前をつければ利子所得特別住民税とでも言いましょうか、そういうものを課税したいと思うわけです。つまり、地方税法の考え方ですと、法定外普通税では国税及び地方税で課税標準としているものを再び法定外普通税の課税標準とすることはできないという規定になっております。ですから、たとえば法定外普通税として利子所得——所得そのものに地方自治体が課税することは、これは地方税法の法定外普通税に抵触するわけです。しかし、私いま御提案申し上げているのはそうではなくて、その所得税額、現在法人の住民税が法人税額と同じような意味で所得税額を課税標準とする法定外普通税をつくるべきであるというふうに理解している。これは現在、租税特別措置によって課税されてない利子所得に対する住民税に課税するという地方自治体の課税自主権の行使として緊急に検討されるべきものであるというふうに考えておるわけでございます。  それからもう一つは、いわば自己資本税といいますか、そういうものでございまして、一種の財産課税でございまして、これは法人に限ってお話しいたしますと、法人の自己資本に対する何%という法定外普通税を課税するものでございます。現在、国税、地方税を通じて、そういう自己資本を課税標準とするものはないわけでございますから、これは地方税法の考え方からいっても法定外普通税として理論的には十分成り立ち得るというふうに理解しておるわけでございます。  以上でございます。

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) それでは、一応この程度で終わらせていただきます。  大山明雄公述人には、お忙しい中を御出席いただき、また、短時間に貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。退席していただいて結構でございます。(拍手)     —————————————

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) 次の公述人にお願いいたします。  この際、大下勝正公述人に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多忙中にもかかわらず本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。  次に、議事の進め方につきまして申し上げます。  まず、公述人の方から約二十分程度御意見を述べていただき、その後、委員の皆様から質疑がありました場合はお答えをお願いし、公述人から委員に質問することはできません。また、本問題に対する公述と質疑を合わせまして六十分の範囲内でこれを進めてまいりますので、各位の御協力をお願いいたします。  それでは、大下勝正公述人から御意見をお述べ願います。大下勝正公述人。

大下勝正東京都町田市長

○公述人(大下勝正君) 町田市長の大下でございます。  きょう、こういう機会を与えていただきましたことを、まずもって御礼申し上げます。  町田市は東京近郊でも代表的な人口急増都市でありまして、この十年間に人口が二倍にふえまして、現在約二十六万五千人と、こういう規模であります。  今日は、地方財政の一般論につきましてはもう皆様方よく御存じの方ばかりでございますから、同時に、あわせて時間も非常に限られた枠内でありますので、実際に行政を担当しておる者といたしましてきわめて具体的に申し上げていきたい、こう思います。  ただその前に、若干最近の地方財政論議、こういうものについて私の感ずるところを率直に申し上げますと、どうも政府ぺースで進められているように思えてならないのであります。といいますのは、自治省と大蔵省が非常に地方財政をめぐって論議をしておりますが、その自治省を支援しな.がら、地方交付税なり地方債の問題をめぐって、少しでも改善が行われているということにつきましては、これは率直に感謝を申し上げたいわけであります。しかし、これらの問題についても、私なりに申し上げたい点が多々あるのでありますけれども、きょうは時間がありませんので割愛さしていただきます。  問題は、実は一昨年から昨年にかけて、地方財政の危機をめぐっての大きな論議の中心は、超過負担解消の問題で実はありました。しかし、残念ながら、今日の地方財政論議は地方交付税あるいは地方債、こういうことにどうも論議の中心をいっておりまして、非常に物足りなさを感ずるわけであります。しかし、超過負担の解消の問題は、今日なお厳然として根本的な課題でありまして、これをひとつ具体的に申し上げたい。これは一昨年から昨年にかけての論議によって大方解消されたというようなことでは決してないと、現実は町田市の実績を見ましても、四十九年度約二十億円、五十年度財政規模、一般会計で二百五十七億円のうち二十四億円、こういうふうに着実にふえておりまして、恐らく五十一年度決算でもさらにふえることになると思います。ちなみに、五十年度の超過負担額が二十四億円といたしまして、私どもいただいております地方交付税、これは十一億です。でありますが、簡単に言いますと、超過負担を完全に解消していただければ交付税のお世話にならなくていいと、こういうふうにまで実は超過負担の問題が大きな課題で今日なお続いておる、こういうことを改めて御認識をいただきたいわけです。  そこで、具体的な数字を挙げてこれを御説明したいのです。特に人口急増都市では、教育費というものが、特に義務教育の教育施設、こういうものが大きな課題になっておりますから、これについて御説明したいと思います。  町田市では、私が市長に就任しましたのが昭和四十五年、それ以来この七年間、教育優先ということで毎年毎年三十数%ずつ教育費に割いてきております。そのために、もうほかのことはほとんどできない、学校に追われっ放し、こういう状況であります。しかし、五十年度決算で三六・四%、教育予算です。これぐらいつぎ込んでまいりまして、なおかつ今後三、四年の間、わずか三、四年の間に子供がまだどんどんふえてまいりますから、新しく小中学校を十五、六校は間違いなくっくらなければなりません。さらに、増築、改築、こういうものは、計算しまして三十校は手がけなければいけない。これでないと子供の教育環境は保障できない、こういう実態に実はあるわけです。  そこで、きょうの公述に当たりまして、この委員会から資料を送っていただきました。これは議員の皆さん方にお配りした資料だということです。その中に自治省が三月十四日提出したものがございます。「人口急増地域対策の施策と予算の推移」、こういうものが出ております。そこをちょっと読ましていただきました。こういうもので、超過負担が解消したという説明になっているのかと、これは大変だと、これはぜひ知っていただかなくてはと、こう思って来たわけであります。その一つに用地補助があります。学校用地の補助につきましては、昭和四十六年に創設されまして、これは非常にありがたいことであったわけです。三分の一の補助率、そして交付率は当初四四%、これは五年間続けるということで、五年目には六五%に交付率は改善されました。しかし、今日の状況で、なお継続する必要があるというので適用期限がさらに五十五年まで延長されて、交付率も五十一年度から七0%に引き上げられております。そういう御説明が書いてありますから、さぞかし超過負担も大幅に改善されたとお思いになるかもわかりません。しかし、決してそうではないのでありまして、一事が万事ということがございますが、この一事を具体的に申し上げますので、あと超過負担の万事をひとつ御推察いただきたいわけです。  その具体例を一つというのは、私どもで一昨年開校百周年を迎えた学校があります。この学校は、何十年間お寺の土地を借りていたわけです。昔ですから敷地が二千坪ぐらいで十分だということであったのでありますけれども、その後人口が増加してくる、学校の内容も高まってくる、こういうことでありますけれども、敷地が何しろ狭いために校舎の増改築あるいは体育館の建設というものができません。完全に行き詰まってしまいました。木造プレハブで、とにかく校庭が半分になってしまう。そこで、やむなく周辺地区に新たに学校用地を買収いたしまして、学校を新しく建設したわけです。さて、そこでこの改善されたという補助がどういうふうに働いたかと、具体的に御説明いたします。  新たに買収した用地の面積が一万九千九百八十平米であります。大体六千坪ぐらいですね。買収費は総額約八億円。近郊都市としては比較的安かった、地元の御協力を得て安かったと思います。これに対してまず補助対象面積、これがまずカットされるわけです。これだけの面積を買ったからそれが対象になるわけじゃありません。そのカットが非常に理にかなわない。つまり、買収した面積から、いままで長年借りていたお寺の用地、これはもう長い間安くただみたいにお借りしてきたのでありますが、お返しするわけですね。ところが、この面積を、新しく買収した用地から、対象面積を差っ引いちゃうわけですよ。つまり、一万九千九百八十平米から、従来お寺から借りていた敷地分五千九百八十四平米を差っ引いて一万三千九百九十六平米が補助対象面積だ、こういうふうに一方的に決められるわけですね。全く理解できません。それからその次に、その削った面積、この用地買収費、これを全部対象にしてくれるのならいいんですけれども、それに対して五十年度は.六五%の交付率と、こういうわけです。その額の六五%掛けしか補助対象にならない。一体交付率というのはどういう意味かわからないわけです。これは言葉をかえて言いますと、超過負担を当然視している言葉ですね。全く理解ができない。そうして、六五%にカットした分に対して補助率三分の一を掛ける、こういうわけです。どんどん削っていきます、まだ削りますから。  次に金利負担の問題がございます。こういう新設学校用地を買うのは、政府の補助起債がつきますのは、ことし建てる学校の場合、あるいは来年建てる、この範囲内でしか補助対象になりません。しかし、用地は先に手当てする、先行取得します、土地開発公社で、この場合は農協で借りて買ったわけです。そうして前年にこれを一般会計で買い戻すわけですね。その間は自治体の金利負担になるわけです。当時は金利が高うございますから、九・五%です。そうしてその総額が八千五百三十万円ということになります。この金利については補助対象になるわけですけれども、いろんなやっぱり規定でいきまして全部見ません。そして約半分の四千百二十五万円、これが金利負担の補助対象になる、こういう結果になっておるわけです。そうして、カットして算出された補助基金額、これが約一億一千六百万円、そういうふうに出てきたわけです。じゃ、これはくれるんだろうと思いましたら、まだくれないんですね。さらに予算の範囲内、こういう名目がつきまして約二0%の足切りの措置があるわけですね。そしてやっと交付決定を見た額が九千三百九十万円、八億円かかったのが九千三百九十万円です。この用地取得に対して、さらにこれを三年分割で支払う、こういうわけです。用地取得は表向きいまの皆さん方に出された資料では三分の一となっておりますけれども、かくして十二%に満たない、これが今日の現状です。簡単に結論を申し上げますと、用地買収補助といいますけれども、実際は用地の先行買収の際の金利分だけを見ていただいておる、こういうことになるわけです。用地買収の実額については補助はなし、ゼロだ、これが一つの具体的な超過負担の実例です。  さらに校舎の建築、これをやはり見てみますと、お配りになった要求資料によりますと、国庫負担が改善され、昭和四十八年度から五十二年度までの問特例措置として三分の二の補助率に引き上げる、人口急増都市に対しまして。一般は二分の一です。また本年度から門とかさくとか、こういうものが、いま対象外になっておりますが、こういうものも補助対象に追加された。これは私たち半歩でも前進であるということでありがたいと思っておりますけれども、しかし、小学校の例をいまと同じ小学校の例で申し上げます。建築総事業費が、これに約五億一千二百万円かかりました。二十二学級です。文部省基準は十八学級というんですけれども、それではとてもおさめ切れない、二十二学級です。これに対して国庫補助は一億六千百万円でありました。したがいまして、三分の二補助といいますけれども、実際には三一・五%、三分の一に足りない、これが校舎に対する補助の実態です。したがいまして、単価差はかなり解消されたと言われております。しかし、実際はそうでなくて、単価差は依然としてあり、さらに対象差、数量差、こういう超過負担がきわめて多くて、いまだ改善の道遠しと言わざるを得ないわけであります。  そこで、一つの小学校の用地、学校校舎こういうものを合計して見ますと約十三億円かかっています。新しくつくる学校にしては安い方です。この二十二学級の新設校を建設したのに対しまして、国庫補助の総額は約二億五千万円です。つまり一九・五%、五分の一になお足りない。これが一つの学校をつくる場合の実態であります。そのほか学校では、あと備品類、これはほとんど自前であります。それから学校給食ということが言われますが、最近栄養士の問題につきましては、国からの補助になってまいりましたが、調理員あるいは事務助手、用務員、警備員、こういう、当然市が負担しなければいけない人件費が、これは完全に持ち出しです。これは町田市全体で、教師と同様に本当は市に負担させるべきでないと思う人件費が、総額七億円に達します。こういう問題につきましても、政府の方では、これは交付税の算定基準にちゃんと入れてある、常にそういうことに回答が戻ってまいります。しかし、この交付税の算定方法ほど、率直に申し上げまして奇々怪々たるものはないのでありまして、結局は現在の交付税率三二%の枠内で処理される。補正係数をどんどん掛けていって足切りもやってくる、こういうことであります。したがって、幾ら交付税の算定の基準に入れると言われても、交付税率を引き上げてパイを大きくしてもらわぬ限りは、これは何にもならない、こういうことになるわけであります。  以上、一事が万事の一事だけを申し上げたわけでありますが、こうした学校を私どもはこれから三、四年の間に新増改築を四十数校もやらざるを得ない、こういうことであります。それ以外に下水道、市民病院、あるいは機関委任事務、こういうものの超過負担が重なってまいりまして、これはもうあと御想像にお任せしたいと思います。  そういうことから、今日の地方財政の危機が叫ばれておりますけれども、私どもは率直に申し上げまして、決して放漫財政をやっているんじゃない。こういう批判がありますけれども、そうじゃない。自治体の運営に問題があるように言われるのは非常にありがた迷惑でありまして、これは問題のすりかえじゃないか、こういうふうに実は思うわけであります。もし、こういう国からのしわ寄せというものがない、国が法令で定めたもの、これを法令どおり忠実に負担していただく、あるいはまた当然負担すべきものをいま負担していない場合が多いわけでありますが、これを負担するように法令を改めさえすれば、それだけで全国の自治体財政の大半はたちどころに健全化する、こう言ってはばからないわけであります。この点をひとつよりよく御認識を賜りたいわけでありまして、その上にさらに自主財源確保のための税の再配分が行われればもう申し分ございません。  次に、同じ資料に、日本住宅公団等による関連公共施設等に関して、五省協定に基づく立てかえ施行制度の改善が述べられているわけです。しかし、事学校に関して言いますと、その中の文部省基準、これは全く実態に合っていない。これはもう早急に改定されるべきだろうと、こう思うわけであります。たとえば、いまなお続いております文部省の基準は、小学校一校当たり十八学級というふうな押さえ方をして、十八学級で用地面積は二万二千百平米、これだけの学校敷地が適度規模、こういうふうに基準が定まっておるんです。そして、小学校の就学児童数は二月当たり0・四五人、中学は0・二二ですが、こういう基準が適用されております。五省協定は、これに基づいて公団が団地をつくる場合に、学校の敷地をとって学校建設の立てかえを施行する、こういうわけです。しかし現実にそうして行われた町田市の学校の実態を見ますと、一つの学校の敷地面積は一方七千平米です。十八学級で二万二千百平米と言っている文部省の基準、これは実際は一万七千平米足らずの敷地、これに四十数学級入れられるわけですね。これでは超マンモス校になってしまう。これは文部省の基準が非常に間違っているためです。つまり、一世帯当たり0・四五人じゃなくて、実際は一世帯当たり一人、少なくとも0・九、これぐらいまで児童は多いわけです。こういう矛盾した文部省基準がなお生きている、これは全く不可解なことであります。このような五省協定というような政府機関相互の取り決めというやり方は、実は非常に問題がありまして、最終的に責任の所在がどこにあるのか皆目わからない、文部省を責めても、公団を責めても、どこを責めてもみんなお互い責任の所在がないわけです。そういうものによって行政が運営されている。自治体側から見ましてまことに迷惑至極なわけであります。  そういうことで、最後にせっかくの機会でございますので、この場をおかりいたしまして、簡単にこの種、現在政府機関相互の取り決めで迷惑している問題を御説明いたしまして、改めて国会の関係常任委員会で早急に善処方を要望したい点がございます。  それは違反建築物、これに対する対策であります。人口急増の私どものような都市では、当面する町づくりの課題というのは、いかにスプロール化を防ぐか、将来に向かって安全な防災都市を構築していくか、こういうことが一番重要な課題であります。しかし、これを阻害しておるのが違反建築物であります。建築基準法が改正されたときに、実はその施行に関しまして建設省が音頭をとって、厚生、そして通産に呼びかけて三省で覚書を——違反建築物取り締まりのために、電気、水道その他の供給保留に関する協力方の覚書が結ばれております。ところが実際には、電力会社というのは電気事業法の定める供給義務、これを理由に、現在無届け違反建築物に対しましてもどんどん電気を一方的に供給しておりまして、私どもの建築確認事務に対して、これはもう全く無視されている、このためにスプロール化に非常な拍車をかけられておるわけです。これがどんどん進んでいきますと、将来防災都市を建設していく場合に、たとえば建築基準法にいう最低四メートル以上の幅員、これにセットバックさしていく、こういう一つの行為をとるにしましても莫大な財政支出を将来余儀なくされる、こういう問題が出てくるわけです。少なくとも、電力会社が事前に当然市と連絡をとって、建築確認行為を確めた上で電力を供給する、こういうふうに徹底してもらわなきゃ困るのであります。ところが、この三省覚書を追及したり、電力会社に問い合わせ、いろいろ意見を求めても、最終的に責任を持って処理する機関が不明確なままに放置されております。現在大変困っております。せっかくの機会でございますので、特に早急の善処方をこの機会に御要望申し上げたいと思うわけであります。いろいろ、あと下水だ、病院だ、いっぱいございますけれども、これをもって一応終わらせていただきます。(拍手)

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

野田哲日本社会党

○野田哲君 どうも御苦労さまです。社会党の野田でございます。  ただいま東京近郊の人口急増都市の財政負担の生々しい実情をお聞きをいたしたわけでございますが、時間の制約もありまして、なお全体の問題に言い尽くせない点があったんじゃないかと思いますので、私の方から二、三点お伺いをいたしたいと思います。  その第一点は、下水道の問題もいま公述人の方から触れたいような口ぶりだったわけですけれども、時間の制約で触れられなかったわけでございますけれども、何といいましても、人口急増地帯において生活環境を向上さしていくための下水道の問題というのは、今日の自治体では非常に大きな課題になっているんじゃないかと思います。  この下水道につきましては、合流式と分流式というやり方があると思うんですが、いまは政府の方では分流式という方向をとって指導されているんだと思うんです。で、その分流式の場合に、この下水道施設について、自治体において財政上どのような問題点がおありになるか、こういう点をまずお聞きをいたしたいと思います。  それから二つ目には、これもいま全国的に、単に自治体の問題だけでなくて、国民の健康を守るという立場で大きな政治問題、社会問題になっております医療の問題でございます。特に救急医療等の問題等が社会問題になっている、政治問題にもなっているだけに、公立病院に対する市民、住民の期待は非常に大きいのだと思います。その公立病院が現在もう軒並み非常な赤字に悩んでいる、こういう状態だというふうに伺っているわけでありますけれども、この公立病院を維持運営していくためには、その隘路はどこにあるか、どういう解決策をとっていけばいいか、この点についての公述人の御所見を伺いたいと思います。  それから三つ目には、税制の問題についてでございますけれども、今日の地方財政の問題について、即効薬的には地方交付税交付率の引き上げという問題があるわけでありますけれども、これだけでは、抜本的な解決策をとっていくためにはかなり大幅な改正をやらなければならないと思います。つまり税制の改正、こういう問題を考えていかなければならないと思うわけでありますけれども、その場合に、地方税を強化をしていくための方策としてどのような具体案を進めていけばいいか、この点について、税制改革についての、特に地方税を強化をする、そういう立場に立っての税制改革についての御意見をお伺いをいたしたいと思います。  以上、三点について御意見を承りたいと思います。

大下勝正東京都町田市長

○公述人(大下勝正君) 第一点の下水道につきまして、いま全国的に大きな問題になっておりますのは、この大きな管渠なり処理場につきましては、それなりの補助が行われておるわけです。しかし一番大切なのは、いかに地域に普及させるか、面整備ということが一番大切な課題であります。従来は合流式でありましたから管が口径が長いわけであります。ところが、今日ではいろんな河川の汚濁防止、こういう環境を守る立場から、建設省を中心として分流式、汚水と雨水を分ける、こういう管の敷設が指導されておるわけですそういたしますと、汚水管の口径もしたがって短くていいと。大体いま全国的に二百五十ミリ、これが使用されて面整備に入っております。ところが、政府の補助の対象は三百ミリ以上、従来の合流式の面整備を考えていたそのままが続いておりまして、三百ミリ以上が補助の対象になっておるわけであります。そして、下水道普及のために補助対象事業が拡大されたということで、補助率も十分の六というふうに改善されたわけです。これは表向き非常にいいように見えるんでありますけれども、実際自治体にはほとんど関係がないと。面整備には二百五十ミリのは対象になっていない、こういう矛盾が出ております。したがって、これは私どもの市だけでなく、これから下水を行っていく各都市として何としても二百ミリないし二百五十ミリ以上の汚水管の口径についてこの十分の六の補助対象にする、こういうようにしてもらわないと困るわけです。これも超過負担の最たるものだろうと思うわけです。  それから市民病院、公立病院につきましては、これはもう自治体病院の共通する課題として、いまいろいろとその危機突破のための御要請をしておるわけです。私どもも、昨年までかかって実はベッドの増床を行いながら増改築を行いました。これに総額二十七億ぐらいかかっております。これに対して、市民の健康を守る病院をつくる場合にどういう補助が行われておるかといいますと、増築分に対してのみ補助があるわけです、増築分に対して。改築については一切補助はございません。日進月歩する医療機械、これを入れるについても補助は全くない。全額起債です。二十七億かけた増改築のうち、国庫補助で出てまいりましたのはわずか千八百六十三万七千円だけであります。これはどういう理由かといいますと、起債の対象にするために、補助対象にするという名目の金額と考えていただいて差し支えないわけです。こういうふうに、一つにはやはり住民の健康を守る公立病院につきまして、やはりその建設改良費につきまして国庫負担制度というものをしっかりと確立していただきたい、そういうことが一つございます。それから、病院の運営につきまして、これも大変な不採算医療、救急その他不採算医療を強いられておるわけであります。またそういう任務を公立病院は持っておると思います。しかし、これに対して国はゼロ回答でございまして、東京都は一ベッド当たり四十万の、あるいは救急に対しては九百二十万の一応の運営費補助を出してくれておりますけれども、国は全くゼロであります。これは国立病院は全部国が見ておるわけでありますが、地域にあっては公立病院がその任務を分担しておると、こういう立場から、国においても応分の負担をぜひ制度的に保障していただきたい、こう思うわけであります。  なお、全国の自治体病院でどんどん赤字が実は累積しております。このために三年前にこの赤字をたな上げしょうと、こういうことで特例債を発行していただいて、一応の措置がとられたわけです。しかし、ほかに社会保険診療報酬の改定その他そういういろんな問題がおくれておりますために、また不採算医療をやらなきゃいけない。なお赤字がふえております。昨年もそうでありますが、恐らくことしも自治体病院の五十年度末、あるいは今度は五十一年度末累積赤字。もう一度諸制度の改革まで特例債をぜひ発行して、そして自治体病院を救済してもらいたい、こういうことが今日緊急の課題として出ておるわけであります。ぜひそういう点もあわせて御理解いただきまして、公立病院が本当に地域における中核病院として住民の健康を守っていける、そういう財政的な補完を、バックアップをお願いいたしたいと思います。

野田哲日本社会党

○野田哲君 税制の問題。

大下勝正東京都町田市長

○公述人(大下勝正君) もう一つございました。もう一つは税制、これは非常にむずかしい問題でありますけれども、私ども近郊の急増都市、つまり地価が高騰する、そういう近郊都市では、都市問題というのは実は土地問題であります。公共用地をいかに取得するか、これでないと町づくりはできないわけです。この土地が、なかなかいまの用地取得についての補助制度が非常に弱いということに関係しまして、ぜひ現在の交付税率を直すとか、いろんな問題がございますけれども、この土地に絡む税目というものを自主財源として保障してもらいたい。自治体に、特に市町村にこれを譲渡してもらいたい。その税目として、相続税、贈与税、こういう問題があります。これは七割全部国がすっかり持っていきます。五十年度国が吸い上げたのが大体三千数百億に達しております。私の方の八王子管内、これで大体四十億ぐらいございますから、これが市の財源に入ってくれば大体いま交付税が本年度十億ぐらいとしますと、十四、五億は町田市に戻ってくる。これがどういうことになるかといいますと、実は相続税を取られるために、土地の所有者、相続を受けた人は売却しなければ相続税が納められない、こういう問題が起こって細分化する。そういうことも実は出てスプロール化を促進しておるわけです。これが市の財源に入りますと、これは物納というものをミックスしながら行政運営ができる。そして、必要なところは公園に残すなり、学校用地にそのまま残すなり、こういう措置もあわせてできるわけでありまして、こういう相続税、贈与税というのは、特に都市化するところにあっては、当然これは市町村の税目として決しておかしくない。ヨーロッパの各国におきましては、すでに土地のこの値上がりに見合う、いわば不労所得なる部分の税目は独立財源として自治体に皆与えておりますね。これはもうヨーロッパの税制を調べていただければわかります。土地増価税とかいろんな費目も設けておりますが、日本ではそこまでしなくても、この相続税、贈与税をひとつぜひ注目していただいて、何らか、全部税目移しが無理であれば、その半分ぐらいは地元に還元するとか、こういう具体的な提案はこの機会にさせていただきたいと思うんです。いろいろ全般に制度改革の問題はたくさんございますけれども、そういうことを言っても余りかないませんので、一つぐらい例示的に申し上げます。

野田哲日本社会党

○野田哲君 どうもありがとうございました。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 私も一問だけ質問いたします。  大変いい御意見を聞かしてもらいました。実は先般、福岡で地方公聴会のときに、大野城市という人口急増の市の市長が参りまして、いまの公述のような実情を切々と訴えられました。いま公述人が言われました、国が定められた法規、法令を完全に守ってもらうならば、地方財政というのは早急に確立しますとおっしゃいました。このことは、私はこの総括質問の中で内閣に迫っていきたいと思いますが、皆さんのような人口急増市町という、そういう範疇に入るのが全国でどのくらい概略あるのか及びその横の連絡など市長会などであるのかないのか、その点だけお聞きしておきたいと思います。

大下勝正東京都町田市長

○公述人(大下勝正君) 人口急増都市、これがいま加盟している数、ちょっと——六百数十都市がありますが、二百ぐらい入っているんじゃないでしょうかね。そうして、これは人口急増都市連絡協議会、こういうものを結成しておりまして、ここで毎年いろいろな会議を開きながら各省庁に要求しているわけです。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 ありがとうございました。

桑名義治公明党

○桑名義治君 大変に貴重な御意見を聞かしていただきましたが、私も昭和四十七年だったか、おたくを伺ったことがございます。そうして、東京都周辺あるいはまた千葉県内あるいは埼玉県内、それから、私福岡でございますが、福岡周辺の急増都市、そういった土地を訪れていろいろと御意見を聞かしていただいたことがあるわけでございますが、改めてきょう市長さんのいろいろ公述をお聞きいたしまして、大変な御苦労があるということを身につまされたわけでございますが、その御努力に対して深甚の敬意を払いたいと思います。  総括的な質問を、まず二、三聞きたいと思ったんですが、きょうはそれは一つにしまして、あと直接の町田市における問題点について少々お聞きをしておきたいと、こういうふうに考えております。  地方自治体は深刻な財政危機に陥っているわけでございますが、五十年度決算においては一千四百八十四もの赤字団体が現在生じていると、このことは、ただ単なる景気変動のみに原因があるのではなく、先ほどからの公述の中にもいろんな点がございましたが、それと同時に現行の地方税制度が地方公共団体の財政需要に照らして機能を十分に果たし得なくなっていると、こういうふうにわれわれは認識をしていかなければいけないというふうに考えるわけでございますが、この点について、いかなる地方税源充実策を市長としてお考えになっていらっしゃるか、もしお考えになっていらっしゃる方策があるならば、きょうはお聞きをしておきたいと思います。  それから、人口急増地におきましては、いわゆる旧市街地と新興団地、この間に大きないわゆる意思の断層があるやにも聞いているわけでございますと申しますのは、新興団地というものは、地方税が一年おくれでございますから、したがって新興団地周辺の土地の整備というものは、これはもう旧都市の人の払った税金でもって整備をしていかなければならないという、端的に申しますとそういうことになるわけでございまして、そういったところから旧市街地の不満があるというお話も聞いているわけでございますが、町田市におきましてはその点はどうでございましょうか。  それから、新興団地は、町田市の場合は非常に急激に伸びているというお話でございましたが、新興団地に入ってこられる方々は比較的に若夫婦でございまして、子供が大きくなる上におきましては、教育費等のいわゆる財政需要というものが非常に増大をしてくる反面に、税収入というのは比較的に少ないと、こういったことで、非常な市の負担が重くなっていくと、こういう点が見られるわけでございますが、たしか町田市のおたくの方で白書を出されたことがございますが、その中にも、この点も触れておられたんじゃなかったかというふうに記憶しておるわけでございますが、改めてこの点の相関関係をお聞きをしておきたいと思います。  それから、人口急増地におきましては、そういうふうに新興団地等の都市整備費というものが非常に多くなっておるために、旧市街地におけるいわゆる新規事業というものが非常に圧迫をされていると、こういうふうに考えるわけでございますが、そういった面における予算措置が全体の予算の大体何%くらいになっているのか。この点について、また急増地でない都市と比較をした場合には、このように新規事業費の占める割合が低くなっているんだと、こういう点がわかりましたらお聞かせ願いたいと思います。  以上です。

大下勝正東京都町田市長

○公述人(大下勝正君) 第一の税源対策は、全般的にはなかなか広範に及びますけれども、先ほどそういう実質的な独立税というものを付与すべきだということを申し上げておるわけです。といいますのは、いま中枢になるのは市民税、市税の中心は市民税と固定資産税ですね、それに付加されているように形式の都市計画税、こういうものもありますが、率直に言いまして市民税というのは所得に関係してまいりますからどうしようもない。で、固定資産税はどうかといいますと、大資本に対する超過課税の問題、最近問題になっておりますが、これはぜひひとつ国の責任において制度化していただきたい。しかし、一般の勤労者なり零細な中小企業者の固定資産税、これはもうマキシマムに来ていると思います。売り上げがふえるわけじゃない。あるいは定年退職して退職金を中心にして土地を買っておうちをお建てになったと、しかし、開発が進んで地価の評価が上がったという理由で固定資産税がかけられてくる。収入は減る、あるいはそうふえないのに評価が上がってそれにどんどんかけられてくる。これは、そういう階層にとってはもう非常に極限に来ているという感じです。ですから、固定資産税も大資本に対する超過課税、外形課税の問題以外は困難だろうと。そうすると交付税率をアップしろと、これは交付税法でそういうふうに三年連続ということはもう当然だとなっておるわけですから、これは何とかしてもらわなきゃならぬ。そして単独の税目も考えてほしい。で、いま御議論になっている地方債の問題もあります。われわれは地方債というのをもっと弾力的に政府は考えてほしい。つまり、いま一番長いもので三十年ものですね、それが日本で最高です。しかし、下水とか学校とか公園とか、こういうものは、将来何十年、場合によっては百年以上の将来の市民が共通に利益を受けるわけです。そうすれば、そういう将来の住民に対して共同の負担区分があっていいわけですね。そういう合理性を持っているわけです、地方債。したがいまして、これはもっと長期化すべきである。で、いつかイギリスの大ロンドン市長が日本に来たときに、イギリスでは、下水は七十年から七十五年ものがあるんですね、これは当然だという見解です。もっと日本の地方債も長期化すべきだと。しかし、長期化すると金利負担が大変になるわけです。現在の金利、政府債大体七・五%ぐらいでしょうか、民間資金はもう九%を超えておるわけですね、この縁故債の割合が非常に高い。当初言われておったようなやっぱり七0%ぐらい最低政府が保証しなければうそじゃないか。今度の地方債のいろんな論議の中で、かなり政府もその保証をやっていこうという前向きの見解が述べられておりますからいいわけでありますが、しかし、縁故債は依然として残る。この民間消化が、国債がどんどん出されていますからなかなか民間で引き受け手がない。私どもの方でもシンジケートつくってお願いするわけですが、なかなか引き受けがむずかしい。とどのつまりは、これは日銀の担保の適格性を与えてほしいと、そうでないと引き受けられぬという、こういう極限に来ております、民間は。こういう問題について、三月一日でしたか、衆議院の本会議における一般質疑の中でその問題が出て、総理大臣が日銀に対してこれは前向きで善処するようにという指示を与えているというお話でありますが、どういうことになりましょうか。こういう地方債の期限を長期化して、そして金利をやはり下げて、そして、同時にこの政府保証の割合を高めるなり、縁故債については日銀の担保適格性を与える、こういうような措置をとって、もっと弾力的に地方債を運用してほしい。これが一つ一つチェックされるわけですね。で、自治省の見解は、大体公債比率二0%になれば危険信号と、こういうことになっておるわけです。私どもまだ数%です。まだまだ余力はあるわけですね。そういう場合には、たとえば二0%までいかなくても一五%ぐらいになれば危険信号だから、それまでもう自動承認、包括的な自動承認制度、これはやはり自治権を保障することだと思うんです。それ以上超えた場合にはチェックする。これはやむを得ないと思います。でありますから、そういう包括自動承認制度といいますか、こういうことによって諸事業が円滑にできるように自治権を保障する。地方債については特にそういうことを要望しておきたいです。そういうことでその自治体の税源を保障していただきたい。  それから、第二の新興団地と旧市街地、もう仰せのとおりでありまして、新しく入っておみえになるのは若い世帯。しかも、保育園、幼稚園、小学校ぐらいに上がるお子さんを持って、所得は低い。しかし一方では、今度は行政需要というのはそういうふうに要ると、二重のパンチを実は受けているわけです。私どもも、一人当たり市民税大体年間二万円ぐらいでしょう。非常に低いですね。年間二万円というと非常に低うございます。そういう状況でありますから、勢いそういう新興住宅地の学校建設なり保育園、幼稚園建設に投入せざるを得ない。これは待ったなしの学校施設。そうしますと、旧市街地の下水整備なり道路整備なり学校建設がおくれる。新しい学校は全部鉄筋でつくっておりますね、ところが、いまさっき申し上げたように、百年の学校は依然として木造のままで改築に踏み切れないと、こういうアンバランスが起こるわけです。住民の不満がそこで爆発する。やむなく新しく開発するところに対して宅地開発指導要綱というものを、もう人口急増都市はみんな持っているのじゃないでしょうか。自主防衛ですね、どこも守ってくれませんから。本当はこれは法律でやってもらわなければならぬのです。政府はやってくれない。もう自力で守らなければいけないというので、法律によらないで要綱でやっておるのです。こんな法治国でおかしな現象はありません。しかし、それはもうそうやらないと、旧市街地に対する住民の税金を還元できない。開発業者にそれなりの応分の負担をしてもらう。こういう措置をとって、そしてこの旧市住民のバランスを考えておるわけです。  一体どれぐらいの比率か、これはなかなかむずかしいですね。ただ、そういう人口急増都市で極端に出ておる教育予算というのが、そこの開発の状況の一つの指標になると思うのです。大体人口急増都市であっぷあっぷしているところは、教育予算は大体三0%を超えている。極端なところは四0%を超えるでしょう。私どものところは三六・四%といいますけれども、債務負担行為——その年どうしても学校は間に合わさなければいかぬけれども、お金はない、お金は来年払い、こういう債務負担行為をやっているわけですね。これは大体やはり十数%あるでしょう。実際そういうものを洗って集計しますと、教育予算は五0%年間出ますね、実質は。ですから、そういうところが非常に極端な指標として出ておる。これをひとつさじかげんで見ていただければはっきりすると思います。

内藤功日本共産党

○内藤功君 簡単に二点だけお伺いしたいと思うんですが、一つは、町田市は都市再開発法に基づくモデル地区として、いまこの再開発の事業決定の問題に直面しておられると思うんですが、この再開発の事業費の市の予算からの持ち出しというのも相当なものに上ると思うんですね。この再開発というものについての市の国に対する要望を聞きたい。これが一つ。  それからもう一つは、この再開発に伴いまして、国鉄の横浜線の町田駅の移転問題でありますとか、あるいは複線工事というような問題が起きておって、これについても財政上の負担というものが市に要望されておるというようなことを聞きます。はなはだけしからぬことだと思うんですがね。この国鉄に対する要望。  この二点をお伺いしたい。

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) 公述人、あと五分ですから。どうぞ。

大下勝正東京都町田市長

○公述人(大下勝正君) 再開発事業というのは、これは大変な実は事業でございます。法律によって集中的な投資が行われると、こういう実はメリットがあるわけでありますから、国への要望ということは、補助がもっと増額されること、これはもう当然の要望であります。しかし、もういま仕事が始まっておりますし、これは一応超過負担というものはほとんどなく、補助なり、起債も政府保証債全部完全にくっついてくると、こういうことでありますから、さらに補助割合が高くなるということになればそれは申し分ございませんけれども、現在ではこれでひとつ完成していきたいと、こう思っておるわけです。  それから、駅の問題あるいは複線化の問題、国鉄との関係が出てくるわけです。で、この問題につきまして、実は横浜線については一つ経緯がありまして、請願の路線だと、こういう経緯から、全額実は利用債を関係四団体で持つと、こういうことで出発をして、約束がそうなってしまったということで来ておるわけです。したがいまして国鉄の利用債の引き受けをやると、こういうことで現在行っておるわけであります。駅移転は、こういう場合も実は都市計画上必要やむを得ざる措置でやるわけでありますが、しかし、駅移転ということは市の独自の施策に結果するんであって、国鉄当局としては関知しない。つまり現駅で駅を建て直す、複線化に合わせて建て直す、これで用足りると、こういう見解。食い違うわけですね。本来ならば市の自治体の町づくりに、国鉄も市民が利用する公共の輸送機関でありますから一致してやってほしいわけでありますが、国鉄の財政が今日そういうところにありますからなかなかそれは許されない。したがって、駅改築費、これと駅移転に伴う費用、この差額分については自治体が負担してくれと、こういうことになるわけですね。したがいまして、これは膨大な、十数億になる自治体の完全な持ち出しということになるわけです。この辺がいまの法制上非常に重要な問題になってくるわけでありますが、しかし住民の利便を考えればこれは都市政策としてやむを得ないということで、いまはやらざるを得ないわけです。でありますから、国鉄はいまいろんな問題を抱えておりますけれども、国鉄自体でそれが解決できるのか、やはりもっと国の財政なり投融資が国鉄に注入されることによって、それが間接的に自治体の負担を軽減すると、こういう措置をとられるべきか、これはなかなか政治上判断のあるところだと思います。いずれにしましても、そういう現状で進んでおりまして、自治体なり国鉄に対して、やはり国民の足を守るという立場から、もっと政府自身がそういう輸送機関に対する資金の直接の財政支出なり財投資金を注入する、こういうことが必要だということを痛感しております。

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) それでは、一応この程度で終わらせていただきます。  大下勝正公述人には、お忙しい中を御出席いただき、また短時間にもかかわらず貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。退席していただいて結構でございます。(拍手)     —————————————

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) この際、伊吹和子公述人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中にもかかわらず本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。  次に、議事の進め方につきまして申し上げます。  まず、公述人の方から約二十分程度御意見を述べていただき、その後、委員の皆様から質疑がありました場合はお答えをしていただき、公述人から委員に質問することはできません。また、本問題に対する公述と質疑を合わせまして六十分の範囲内でこれを進めてまいりますので、各位の御協力をお願いいたします。  それでは、伊吹和子公述人から御意見をお述べ願います。伊吹和子公述人。

伊吹和子大阪消費者友の会会長

○公述人(伊吹和子君) 大阪消費者友の会の伊吹でございます。  私は、主婦たちでつくっております小さな消費者団体の会長をいたしておりますが、一昨年、歯の苦情一一〇番を開設いたしまして歯科医療の実態を知りまして以来、医療問題に大きな関心を持ってまいりました。病気は貧乏につながると言われますように、社会保障の中でも最も重要な問題だと考え、本年二月、わずか一週間ではございましたが、医療の実態を一般の住民に電話で訴えてもらうという医療一一〇番を開設いたしました。きょうは、この体験をもとにして私の考えを述べさせていただきたいと思います。  まず、諸先生方及び行政の方々に苦言を呈したいと思っておりますことは、医療に関する政策立案がなされますときは、医療のことは医師か医療従事者に聞けばよいと考えられる向きがあるということでございます。たとえば三月三日に本院の社会労働委員会で救急医療の問題の集中審議がございましたが、招かれた七人の参考人の中で、利用者または被害者の代表は一人もいないというありさまだったわけでございます。しかし、本当の医療の実態を知るには、医療を受ける側、住民の側、患者の側の声をお聞きいただくことこそ重要だというふうに思うわけでございます。結局、医療は、それを必要とする住民のためにあるわけですから、もちろん医師や看護婦さんの意見も大切ですが、利用者住民の切々たる訴え、要望、そして真の実態をあらゆる機会に聞いていただいてこそ国民のための医療が生まれるのではないでしょうか。  幸い、きょうこのような機会を得ましたことは、大変ありがたいことだと感謝いたしております。関係諸先生方は、今後より一層利用者住民の声を中心に、営利医療の打開の方向を積極的に御検討いただきたいと思うわけでございます。  医師と患者の信頼関係ということをよく言われますが、医師と患者の立場は、命を預けるという関係上、患者側が絶対に弱い立場であり、医師、医療者が絶対に優位な立場であることはおわかりいただけると思います。患者は言いたいことも言えず、言われるまま、されるまま医療を受けているのでございます。そして、その結果不満があっても、どこへ訴えてよいのか、訴えるすべもなく泣き寝入りしている人たちがいかに多いか、私たちは身をもって知っております。  歯科医療の問題にいたしましても、まる二年過ぎた現在、いまだに私の家へ数多くの電話がかかってまいります。御存じのように、昭和五十年三月一日の厚生省保険局長通知で全国に五千カ所の歯科医療に関する公的苦情窓口が設置されましたが、その窓口へは行かず、素人の私のところへ来られる人たちが多いということは、行政窓口はだめだということではないでしょうか。行政側は、これをとらえて、苦情は減った、歯科問題は鎮静化したなど申しておりますが、見当違いもはなはだしいと思っております。その証拠に、私どものところへ訴えてくる人たちは、歯科医師会の窓口へ行っても行政の窓口へ行っても、同じような答えしか返ってこないと申しております。苦情窓口と処理機関は、医療を受ける側が住民自治の立場でつくる、へきだと思っております。そして、これに対して行政は物的条件を整えるために補助金を出せばよいと思うわけでございます。  私たちは、一昨年、歯科問題で受けた六百余件の苦情に対して、こつこつと一年がかりで解決してまいりました。さらに、今後、さまざまな団体に呼びかけて、恒常的な医療監視委員会、これは仮称でございますが、を結成して、医療に関する苦情処理を利用者住民の自主的な運動として定着させていきたいと思っております。これはきょうの段階では私案にすぎませんが、私たちはこれまでの実績と市民の反響から見て、間違いなく成功するという確信を持っております。  次に、私どもがことしの三月十六日から二十二日までの一週間開設いたしました「医療一一〇番」の概要について御報告したいと思います。集計結果につきましては、お手元にお渡ししておりますのでしょうか。

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) 回っていません。

伊吹和子大阪消費者友の会会長

○公述人(伊吹和子君) 集計結果につきましては、別にコピーしておりましたのですが、それが何かお手元へ行っていないようなので申し上げますが、まず、受け付け総件数は二百七十四件でございました。そのうち、差額ベッド・付添看護につきましては三十九件で、その三十九件の中の九件が基準看護違反病院でございます。救急医療の問題では、二十七件ございましたが、その中にはいわゆるたらい回しの結果、死亡に至った事例が六件ございました。子供を亡くした母親の涙ながらの訴えは、私どもの胸を締めつけましたが、このとうとい犠牲を絶対にむだにしてはならないと思いました。そして、治療に対する不満というのが七十七件ございますが、これは、医療過誤だとか、薬害、過剰医療——いわゆる薬づけとか過剰検査の問題でございます。そして、制度に対する不満というのが三十六件ございます。これは、健康保険の適用範囲の拡大の問題、水増し、不正請求に関するもの、老人医療の問題等でございます。そして、その他といたしまして六十件、これは意見だとか要望、あるいは施設設備の問題、それから衛生面の問題等でございます。  付添看護料につきましてはわずか十七例でございますが、その平均をいたしますと、一日六千百五十円という結果になります。付添看護料というのは、一日二千円から一万円という事例があったわけでございます。それと、差額ベッド料というのが一日四百五十円から八千円、その平均をいたしますと三千七百八十円ということになっております。そして、この付添看護料と差額ベッド料とをトータルいたしますと九千九百三十円ということで、一日一万円近い数字になるわけでございます。病人を抱えた家族がこれらの負担にどれだけ苦しんでいるかということがおわかりいただけるものと思います。私たち庶民にとりまして、このことがどれほど重荷であり不安であるか、諸先生方にもぜひおわかりいただきたいと思います。  そして、差額ベッド料に関しましては、五十一年七月一日付の厚生省調査がございますが、これでまいりますと、三千円未満のものが全体の約八五%を占めて大多数だということになっておりますが、私たちの調査では、先ほど申しましたように、平均が三千七百八十円ということで、実感としては、とてもそんなものではないという気がいたしております。これは、わずか三十例でございますが、無作為に出てきたものであり、また、現に支払った人たちのものでございます。いずれにいたしましても、保険外負担が家庭を崩壊させてしまった例もあるということでございます。  私たちの医療一一〇番の経験では、医師、医療機関に対する不満、不信、それが充満している。これをほうったらかしにして何ら有効な手を打っていない国、自治体に強い批判が出ていることが改めて浮き彫りにされたと言えます。国も自治体も医師会のかいらいだという趣旨の声が圧倒的に強かったことも申し添えておきます。  私たちは、医師、医療機関も、医療行政も、ともに信頼できなくなっております。一昨年火を噴いた歯科医療問題を見ましても、保険の二重取り、保険のきく材料を使いながら差額徴収、保険治療ではだめだと言って自由診療の強要、治療ミスを居直って放置するなどの事例を私たちは余りにも数多く見過ぎてしまいました。そればかりではありません。私たちの周りには、斉藤病院のにせ医師に殺された人々を初め、スモン、未熟児網膜症、大腿四頭筋短縮症などの被害者が多く、このほかに、実にさまざまな形の犠牲者、被害者が埋もれたところに存在しているのでございます。医師と患者の信頼関係が必要なことは、利用者である私たちがだれよりも一番よく知っています。信頼できる医師、医療機関がめったにないということが、即、私たちの切実な生活不安だからです。そこで、一体どうすれば、利用者側が、医師を、また医療機関を信頼できるようになるかということについて、これまでの経験から考えてみました。それは、およそ次の七項目になると思われます。  まず、医療問題に取り組み始めてから、医療に消費者主義をというのが私の主張でございます。消費者の知る権利を医療の中でも要求していきたいと思っているわけでございます。このような観点から、何よりもまず、患者が十円でも支払いをしたら、必ず領収書を発行するということを義務化すべきだと思います。国公立病院では領収書をくれるところもございますが、開業医の場合、ほとんどいただくことができません。私たちにとっては、税制上の医療控除の問題もあり、絶対に領収書が必要なわけでございます。厚生省は、患者の請求があるときは領収書を出せという指導をしておりますが、前にも申し上げましたように、患者は絶対に弱い立場にあり、医師の側にいやな顔をされますれば、もう強いことは言えないのです。このことを考えると、厚生省の方針はきわめて実情にそぐわないと申さねばなりません。請求しようがしまいが、いつでも領収書を出すことを義務づけることがどうしてできないのでしょうか。  次に、薬名を明らかにするということでございます。私たちは、薬をもらっても、それが何であるのか全く知らされておりません。用法、用量については袋に書かれておりますが、その薬を指示どおり飲めば一体何にどう効くのかわからないまま飲み続けているわけでございます。私は、カルテの写し、レセプトの請求をしてもよいと思っておりますが、そこまではすぐには無理だといたしましても、せめて薬名ぐらいは明らかにすべきではないでしょうか。それによって医師と患者の信頼関係が助けられこそすれ、損なわれることは絶対にないと信じております。病気の克服は、患者と医者の共同作業だという立場でものを考えていただきたいのです。現在は、原則として知らされておらず、例外的に知らされている状態ですが、この原則と例外とを逆転すべきだと考えております。  三つ目は、基準看護病院の問題ですが、これは、実際には制度として存在しないのではないでしょうか。もともと基準看護病院というのは、どんなに重い患者でも病院の看護婦がめんどうを見られる病院という趣旨のはずでございます。ところが、ちょっともこのようにはなっていないのです。昭和四十年の人事院のいわゆるニッパチ勧告、つまり、一病棟で二人の夜勤、月八回以内という条件を厳守するためには、二・五ベッドに一人の看護婦が必要だというのがこれまでの政府の見解だったわけでございます。ところが、一方で政府は、六ベッドに一人という劣悪な条件のところまで基準看護病院として認定しているわけですから、初めからインチキと言わなければならないのではないでしょうか。二人夜勤、月八回以内という労働基準法の側からの要求さえ満たせないところで、重い患者の付き添いなどに手の回るはずがないことは、これは労働組合に説明されなくなって、だれでもわかる話だと思います。そこで、いまのように二・五ベッドに一人から、六ベッドに一人に至るまでを広く基準看護病院でございますと言うことはやめて、せめて二・五ベッドに一人以上の看護婦がいるところというようにはっきりさせるべきではないでしょうか。このように小学生でも見破れるようなペテンがまかり通っている制度を諸先生方はいつまでもほうっておかれるおつもりなのか、私の方からお尋ねしたいぐらいでございます。基準看護病院のたてまえを知っていても、病院側にそんな苦情を言えば患者がひどい扱いを受けるのではないかと心配して泣き寝入りをしたり、私どものところへ電話をするのも、絶対に名前を出さないでほしいなど、不満をいっぱい持ちながら、じっとがまんの子でいる人たちが、不信感を徐々に徐々に大きくしていっている過程を、私たちはつぶさに見ているのでございま  第四は、差額ベッドの問題ですが、四十九年の厚生省保険局長通知では、差額ベッドは個室又は一人部屋ということになっております。しかし、八人部屋で一日五千円払ったとか、カーテンで仕切った六人部屋で一日三千円取られたという事例があり、また、私どものところに寄せられた訴えでは、九七%の人たちが、本人の意思に関係なく差額ベッドに入れられているという結果になっております。そして、安い部屋にかえてほしいと言った人が、それなら病院をかわりなさいと言われて、仕方なく泣き寝入りしたという事例もあり、差額ベッドは強要以外の何物でもありません。私たちは、せめて国公立病院では差額ベッドをなくし、私立においても厚生省の方針である二0%以下を実現し、個室または二人部屋という基準を完全に実施していただくことを切望いたします。また、差額ベッドに関する厚生省の調査は、関係団体の間でもおよそ信用がないので、医療機関に自由に記入させるような調査はやめて、実際に負担した患者の側に聞く調査をやっていただきたいと存じます。  五番目として、救急医療の問題について申し述べたいと思います。営利化する医療の落とし子とも言われる救急医療の立ちおくれは、このままでは済まされないぎりぎりのところに来ていると思います。私たち母親は、いわゆるたらい回しにより幼児が死亡しているという現実をしっかり見詰めなければならないと思います。私は、電話を通して、そのときの家族の人たちの不安、焦り、いら立ち、そして嘆き、悲しみ、これらが痛いように伝わってまいりました。このとうとい犠牲をむだにしてはならないと、私はそのときに強く決心いたしました。これに対処するためには、まずすベての国公立病院では二十四時間診療の救急部門を置くべきだと思います。三年計画などで体制を整備して、必ず実施してほしいと思います。いや、必ずやるべきだと思います。そうなれば、幼児を持つ母親にしても、どれだけ安心できるかしれません。しかし、これが完全に実施されたとしても、数の上から見れば国公立施設というのは、病院、診療所総数の四%程度しかございませんから、焼け石に水の感は避けられないと思います。その上、国公立施設を拡充するについては、当然医師の確保が問題になってまいります。これをどうするかということになるわけでございますが、私は診療に従事するすべての民間の医師が協力してこれを補うべきだと考えております。国公立施設まで当番制で順に出向いてもらうわけでございます。そして、各市にせめて一台ぐらいはドクターズカーを置いて、必要な場合はこのドクターズカーが駆けつける。これも民間の医師が輪番制で乗っていただく。こういう体制を国、自治体の責任でとれれば、私たち国民は不意に訪れる病気やけがに対してよほど安心して過ごせることになるのではないでしょうか。これにはお医者さんの言い分もいろいろあると思います。しかし、毎日毎日どこかで医師不在とか、専門医不在とかといって診療を拒否され、たらい回しされたあげく、亡くなっている方々があるという現実をしっかり見詰めていただくならば、この程度の協力はがまんしていただくよりほかはないと思います。私たちが、医師、医療機関の協力の義務化を諸先生方にお願いする理由は、もうその自発的協力を待ってはいられないからでございます。大阪府医師会は、去る三月二十三日に発表した見解の中で、「法で強制される義務としてではなく、人道主義の立場から積極的に協力する」と言われました。しかし、たとえば全国百七十三の休日夜間急患センターのうち、毎晩次の日の朝まで診療をしているのはたった十六カ所しかございません。残りのほとんどが休日の昼間だけでございます。ここには地域医師会の方々が交代で出向いておられるわけでございますが、果たして人道主義の立場からだけで毎晩協力していただけるようになるものでしょうか。たとえば、この四月一日から一斉にこれを実行するというのでしたら、もちろん法で強制するなど必要はないと思っております。私たちは、医師の方々にただ働きをしていただこうと申しているわけではございません。でも、国、自治体が金で自発的な協力を誘導することはもう限度に来ているし、そんなことをやっていてはとうてい間に合わないのでございます。たとえば、大阪府には二十四の休日夜間急患センターがございますが、ここに来ておよそ八時間診療していただきますと、看護婦や事務員にはたかだか六、七千円の酬報でも、その医師には五万円ないし六万円が支払われております。それでも毎夜間協力していただけるのは高槻市と島本町にある二カ所だけだという実態でございます。もともと所得水準の高いお医者様に一体どれだけのお金を出せば自発的に協力していただけるものか、先生方も首をかしげざるを得ないのではないでしょうか。  医師法では、正当な事由がなければ医師は診療拒否をしてはならないということになっております。これは、すべての医師が、専門外の患者に対しても、応急処置と、その症状のおよその判別ぐらいはできるということを前提にしていると考えられましょう。しかし、実際には患者をみもしないで専門外として門前払いをされているのが一般的でございます。この原因の一つは、医師がさまざまな急患を扱うことを医学教育の中で身につけていないこと、それから日進月歩の医学医術について行けない医師もたくさんいることなどが予想できるのではないでしょうか。国会の先生方は名医と言われる一流教授のところに直接行って診てもらっていらっしゃることが多いでしょうから余り実感としてはおわかりにならないかもしれませんが、近ごろのお医者さんは専門外のことは全くわからないという人や、自信がなくて急患には手を出せないという人が多いのです。このような実態を克服するためには、救急医療についての医師の研修、再研修を制度化することが必要だと思います。一たん医師免許を取ると一生そのまま通用するということは、どう考えてもおかしいのではないでしょうか。たとえば、五年に一度再研修を義務づけて免許証を書きかえるようにする、そういうことを考える.へきだと思っております。  最後に、医療で金がもうかるという制度がある限り、私たちはいつまでたっても医師、医療機関に対して十分な信頼感を持つわけにはいかないという問題がございます。これを克服するためには、当面、次の二つの改革が必要ではないでしょうか。一つは、点数出来高払い制度をやめていただくことでございます。この制度のもとでは、医学医術の上から必要となる治療行為よりも、点数のより高い行為を優先させる結果を生み出すことになりますし、水増し請求や二重請求などの不正が日常化することに歯止めをかけることができません。しかも、医師その他医療従事者の人件費が一体どれだけの部分になっているのか全然はっきりしませんし、結局つかみ金のような意味しか持ちません。この制度を、何とかしてそれぞれの人件費をガラス張りで公務員並みに保障されるシステムを考えていただきたいと思います。もう一つは、薬を大量に投与すればするほどもうかるという制度をやめていただくことでございます。医療機関が製薬会社から購入した価格の倍近い水準で支払基金から薬剤費が支払われているために、患者がとても飲み切れないほどの薬が使われることになります。私たちは、せめて使用頻度の高い薬だけでも支払基金が直接メーカーから買い上げるようなシステム、そういうものを考えていただくよりほかはないというふうに考えております。  以上、自分の経験を通じて気のついた点を申し上げました。どうも失礼いたしました。(拍手)

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

粕谷照美日本社会党

○粕谷照美君 伊吹さん、私たち社会党はしょっちゅう医療問題について発言をするのですけれども、その発言が常に日々ニュースに取り上げられましてこっぴどくたたきつけられるというのがいままでの実態だったというふうに思います。いまのあなたの発言は、この触れてはならない秘境に対して大変なメスを入れた勇気ある発言だというふうに思って伺っているわけですが、消費者友の会の会長として、消費者運動としてこの医療の問題に取り組んでいくという考え方ですね。たとえば、消費者というのは、物を売る、物を買う、その問でこの物はおかしいじゃないか、値段に合わないじゃないかというような、いままでの運動であったらそういう受け取られ方しかしてこなかったというふうに思います。けれども、最近はそういうものが変わってきまして、公正取引委員会あたりでも、どうもこのごろ各種学校の広告と実態は違うのじゃないかなんということに気がついて、地域主婦の会あたりに、地婦連ですか、あすこに調査を依頼して、不当な広告があるではないか、不当表示ではないかなどというようなことをやっているようでございますが、そういうような意味も含めた消費者の立場の運動だというふうに理解をしてよろしいでしょうか。そして、私はあなたの提案はよくわかりましたので、党としても十分検討をしていかなければならないというふうに思いますが、その検討に当たっては、やっぱりもう少し実態を知りたいというふうに思います。  それで質問ですけれども、一つは救急医療でたらい回しがあって死んだという悲惨な事故があったとあなたはおっしゃったけれども、大阪保険新聞というのを見ますと、たらい回しを否定したというのが出ているわけですね。その新聞には厚生大臣が顔を出しているようにちょっと見られるのですが——これは写真が小さいから、厚生大臣ではないようですね。悲惨な例というものを具体的にお話しいただきたいというふうに思います。  二番目は、一日じゅう医療一一〇番だとか歯科一一〇番なんかを開設しますと、皆さんが本当にボランティアでつきっきりになっていなきやならないと思って、大変な御苦労をやられたというふうに思いますが、それをやられてどんな問題点があったのかということですね。そして、それと同時に、何か壁がなかったでしょうか。それだけの勇気あることをやっていって、厚生省の発表と全然数字が違っている、そういうことになると、何だおまえたちのはおかしいじゃないかというような圧力があったのではないだろうかというふうなことが考えられますが、その辺はいかがですか。  それから大阪府の医師会あるいは保険医協会ですか、これがやっぱりニュースを見てみますと、ちょっと問題があるような発言をしているように思うわけです。それで、あなたは政治的な動きとしてこれを取り上げていらっしゃるのですか。  それからこういうことをやっていくことで、こういうふうにしなきゃいけないという国営論者ですか、その辺のところをお伺いしたいというふうに思います。  以上です。

伊吹和子大阪消費者友の会会長

○公述人(伊吹和子君) お答えいたします。  まず、最初のたらい回しの実例でございますが、これは先ほども申しましたように、死亡に至りましたケースが六件ございますが、その一つといたしまして、生後一年十カ月の幼児でございます。かぜを引いて近所の開業医にかかっていたわけでございますが、ある日、一月二十四日ですが、午前二時に急にふるえと引きつけを起こしてその先生に往診を依頼したわけです。ところが、夜中の二時ですから来ていただけなくって、そこのおばあさんが電話帳を見ながらあちこち十五カ所も電話をかけてみたわけでございますが、結局どこもだめだということで、その幼児が九カ月のときに入院した病院がありますので、そこへも電話してみたわけでございますが、十二時を過ぎてからの受け付けはだめだというふうに断られ、結局一一九番で救急病院へかけつけたわけでございます。ところが、そこでは処置をしてもらって薬をもらって帰りなさいということで帰って来たわけでございますが、その翌日の午後になって死亡したというふうな例がございました。私どもがその事例を目を通しておりますと、集約的にわかりますことは、開業医の先生方が夜中にはなかなか診てくださらないということと、それから結局たらい回しという言い方をされますが、小児科の先生がいらっしゃらないとか、あるいは専門の先生がいらっしゃらないという形で救急病院でも断られる、そういったケース、そういったことが実例でございます。  それから二番目の、運動の問題点といいますか、運動をやっていてどういうふうなことがあったかということでございますが、私たちは患者側から見て最低必要な情報も知らされていないということでございます。たとえば、訴えてきた人たちの実態を調べたい、実情がどうなっているのか調べたいと思いましても、レセプトは見せていただけないし、カルテの写しもいただけない、そして領収書ももらっていないということで、私どもに対して最低必要な知る権利が知らされていないというふうなことでございます。  それから自治体行政と医師会、歯科医師会の癒着といいますか、そのあり方の問題でございますが、たとえば、今回の場合、私どもが府下の病院ごとの差額ベッドの状態を調査した資料を見せてほしいというふうなことを言ったわけでございますが、それは一種の企業秘密として公開できないというふうに断られました。それからまた、歯科医療の問題のときにそうでございますが、健康保険法違反という形で府も認めているケースがございましても、その医師名あるいは医療機関名を公表できないというふうに断られたというふうなことがございます。それと、私は歯科問題をやりましたときに、普通の主婦だったら恐らくまいってしまっただろうなと思いましたことは、明らかに歯科医師だと推定できるような方たちから非常に多くの脅迫電話をいただいたということでございます。それからまた、ある期間でございましたが、私の行動を逐一尾行されたということでございます。これは断定できませんけれども、恐らくそういった筋からのものであっただろうと私は考えているわけでございます。  それから最後に、私は国営論者かというふうに聞かれましたけれども、私自身とにかく周りにいろんな問題が起こってきて、歯科問題をやりました一番最初は、若いお母さんが痛がって泣いている子供を連れて歯医者さんへ行ったけれども診てもらえなかった。それで次々と歯医者さんを回って、四軒目にようやく応急処置をしてもらった。そういった事例が私の周りに非常にたくさん出てきて、これは黙っていられないということで歯科一一〇番を始めたわけでございます。ですから、私は、今回の問題にいたしましても、現実に私の周りでいろいろな問題が起こってきて、それをどうしてもほうっておけないということでやっているわけでございまして、思想的に全くどうとかこうとかということはございませんし、ですから、国営云々ということは、私どもはどう考えていいのかよくわかりません。ですから、思想、そういうことではなくて、全く周りの市民の要求の中で起こってきた運動でございますので、その点御理解いただきたいと思います。

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) それでは、一応この程度で終わらせていただきます。  伊吹和子公述人にはお忙しい中を御出席いただき、また短時間にもかかわらず貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。退席していただいて結構でございます。(拍手)     —————————————

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) この際、育木茂公述人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中にもかかわらず本委員会に御出席いただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。  次に、議事の進め方につきまして申し上げます。  まず、公述人の方から約二十分程度御意見を述べていただき、その後、委員の皆様から質疑がありました場合はお答えをしていただき、公述人から委員に質問することはできません。また、本問題に対する公述と質疑を合わせまして六十分の範囲内でこれを進めてまいりますので、各位の御協力をお願いいたします。  それでは、青木茂公述人から御意見をお述べ願います。

青木茂大妻女子大学教授

○公述人(青木茂君) 御紹介をちょうだいいたしました青木茂でございます。  私は公述人といたしまして、一応五十二年度の予算につきましては反対という立場で申し上げたいと思いますけれども、これはいわゆるイデオロギー的な反対であるとか、抽象論、概念論における反対であるとかいうことでなしに、まあ五十二年度の予算案をざっと見まして、いわゆるこの形で所期の成果というものが上がらないんじゃないかという可能性と危険性、これを強く持っているものでございます。それは、当然現在の予算と申しますものが、一番の問題点が景気浮揚にあるということはこれは当然でございまして、これがもう国民最大の願望であるわけなんですね。しかしながら、この形で果たして景気が浮揚するものなんだろうかということが一つの疑問でございます。しかも、今回の予算というのが、後にも先にも経済の第一人者でございますところの福田さんのもとで行われたものであるだけに、もしこれが所期の成果を上げ得なかったということになりますと、国民の失望というものは非常に大きくなってしまって、その失望が結局リアクションを起こしまして、よけい設備投資にいたしましても個人消費にいたしましても沈滞を深めてしまうのではないか。そうすると逆に、今回の予算というものが景気浮揚型を意図しながら、スタグフレーションをエスカレートさせるというのか、景気抑止型という思わざる結果を出してしまうのではないかという可能性と危険性というものを強く意識し、深刻に意識せざるを得なかったわけでございます。その理由は、今度の予算の中心が、公共事業というものに集中的に資金投下をやることによりまして、景気浮揚を図ろうという性格のものであるということは、これはもう周知のことでございます。  しかしながら、日本経済の戦後の歴史におきまして、公共事業のみに資金投下をやることによって景気が浮揚したという前例がないわけなんでございます。つまり、公共事業投資方式というものは、ある一定の条件が備わりませんと景気刺激効果にならないということでございます。よく比較をされることでございますけれども、昭和四十年の不況のときに、これは公共事業方式がみごとに成功をいたしました。そのときの責任者も福田さんでございましたし、そのときまた初めて国債が発行されたわけでございます。しかしながら、あのときの先例が今回もそのまま繰り返されるかということになりますと、少し問題があるわけでございます。あの昭和四十年当時におきまして、公共事業投資方式というものが成功をしたというのは一つの条件があったわけです。その条件というのは、一方において企業の設備投資意欲は衰えていなかったということ、地方において国民の個人消費支出というものは堅調であったと、こういうことなんです。  なるほど、あのときも大変刻深な不況でございましたから、いわゆるメーカーですね、製造業の設備投資は現在と同じように冷え込んだわけです。しかしながら、非製造業——卸、小売、運輸、通信、電力その他の非製造業の設備投資は非常に活発であったということ、これが一つと、それからもう一つ、個人消費におきましても都市勤労者家庭の個人消費は今回と同じように大きく冷え込んだわけです。冷え込みましたけれども、昭和四十年当時は、都市勤労者家庭の十倍に相当する農村消費の非常に大きな伸びがあったということ。したがいまして、景気が落ち込むと、それを非メーカーの設備投資と農村の個人消費によって下から突き上げる、こういう作用があったわけなんです。したがって、公共投資中心方式というものが私は成功したんだと思っております。  ところが、今回におきましてはメーカーはもちろんのこと、非メーカーの設備投資も大きく冷え込んでおりますし、都市勤労者家庭はもちろんのこと、かつて四十年不況のときに個人消費というものを大きく突き上げましたところの農村消費も落ち込んでいる、こういう状況があるわけでございます。そういう意味におきまして、公共事業方式というものが四十年と同じような成果を上げるかどうかということについて疑問があるということなんです。したがいまして、まあ公共投資がもし成果を上げるとするならば、これで景気はよくなるという企業経営者の自信が回復して、景気がよくなるから設備投資を広げるんだと、こういうことにならなきゃならない。一般の国民も、これで景気に明るさが出たんだから、ひとつ個人消費を広げようじゃないかという、国民の将来に対する不安が解消されなければならない。ところが、その国民の不安が解消されずに、都市、農村とも消費が冷え込んでおりますから、企業経営者もうっかり設備投資をやりまして広げたなら、つくったものが売れなくてかえってえらいことになるという不安があるわけです。それが非常に実は今回の予算の、公共投資方式というものが四十年と同じような成功をおさめないのじゃないかという危険性があるということでございます。  したがいまして、これは外国の例なんかで明らかに見られるところなんですけれども、外国の場合は同じように不況だと、その場合、不況でも自分たちが選んだ、自分たちが信頼している政治家の皆さんが、いつかは何とかしてくれる。そのいっかは何とかしてくれるまで、それぞれの国民、それぞれの企業は必死になって、ひとつ個人努力でもって生き抜いていこうじゃないかという期待でもって経済が支えられている。ところが、われわれが選んでわれわれが信頼している政治家の皆さんが、いつかは何とかしてくれるというその信頼感が日本にあればいいですけれども、もしないとするならば、国民としては当然何とかしてくれないならば、自己防衛努力をしなければならない。そうすると消費より貯蓄だと、こういうことになりますし、国民が消費より貯蓄だという中において、一般の産業が設備投資の拡大をやるという条件がなくなってくる.こういうことなんですね。したがいまして、たとえば今回の話題になりました減税問題にいたしましても、国民のためにやってやるぞという形、前向きの意欲でもって減税というものをやるなら、たとえそれが三千億であろうと四千億であろうと、実は景気浮揚効果というものは大きいわけなんです。そのいやだいやだと言って、無理にやらされてしまったというかっこうになりますと、仮に一兆円やろうが三兆円やろうが、国民の信頼感は取り戻せないというような状況になってくるんではないかという危惧があるわけなんです。  そうして、まあ今回の予算というものが、そういうようにどうも景気浮揚対策として、公共事業を効果あらしめる地ならしというもの、つまり個人消費の拡大ということの配慮が足らないところに一つの危機感があると同時に、この予算が何としてもお役人のおつくりになった予算であって、政治家のおつくりになった予算じゃないのじゃないかという危惧があるわけなんです。たとえば、公共事業投資を拡大するのだと申しましても、まあ総予算が一七・何%ふえているのに公共事業は二一%ふえているんだから、公共事業が重視されているんだという完全な数量主義、数字以上の問題ですね、こういうことで果たして国民感情といたしまして納得が出るだろうかということ、もっと予算の背景にございますところの質的な問題に対して国民の不満があるんではないかということを考える。たとえば、これは大変言い過ぎかもしれませんけれども、環境庁があるのに何で国土庁が要るのかと、国土庁があるのに何で環境庁が要るのかと、同じでいいんじゃないかという批判もあるでしょうし、あるいはよく言われておりますように、環境衛生金融公庫なんというのがございまして、一体どこの国に、国の財政でもってバーやキャバレーまで融資対象になっているところに援助するのがあるだろうかという批判もございます。  たとえば、五十二年度の財投計画で見ましても、環境衛生金融公庫に対する財投援助は、沖繩振興開発金融公庫に対する援助の二倍以上です。もう沖繩というのは、沖繩県民挙げて戦争をやりまして、沖繩県民かく戦えりということで、戦後の後遺症がまだ残っている。そちらへ重点を置くということなら大変これはわかるんだけれども、どうもああいうところに、いわゆる水商売に近いようなものに財政援助が二倍行われているという点については、国民感情としては何か逆なでされているような感じがなきにしもあらずだという感じがいたします。あるいは昨日テレビを見ておりますと、住宅ローンなんかの住宅政策の問題が盛んにやりとりをされていたようでございますけれども、この住宅政策の問題でも、ローンの枠をどうするとか、住宅金融公庫の枠はどうなるのかという数量的な問題の背景に、住宅なら住宅に対する政治ビジョンというものが、一体どこまであるんだろうかということですね。よく言われますように、住宅というのは二、二の原則というのがある。うちをつくりたいと思う者には、年収の二年分でうちができるような配慮をしなければならないんだ。うちを借りたいと思う者にとっては、月収の二割でもって家が借りられるような配慮をしなきゃいけないんだというのが、一応世界共通の常識になっている。それに近づくためにどういうふうな住宅ローンの問題があるのかというような議論ならわかるんですけれども、その基本的なところが欠けて、単に数字のやりとりでは少々おかしいんじゃないかという感じがしないでもなかったわけです。  以上が、今度の予算について概括的に外から見ておりまして私の率直な、歯にきぬを着せない印象でございました。  だから、現在の問題は、どういうふうにして企業経営者の持つ設備拡大に対するところの不安——国民が貯蓄しないでもいいような状況、それをどうつくり出していくかということが、これはもう与野党の問題を問わず、一つの大きな問題点だと思うわけです。そういう意味において、国会が国民のために真剣にものをやってくれているんだということを、企業経営者並びに一般国民が納得するような態勢というものが必要なんじゃないかと思うわけでございます。  そのためには、何よりも予算の背景には税があるわけですから、税制そのものが国民本位に切りかえられていく。つまり、税の公平というもの一これから国債を返していかなければならないんだから、当然増税時代に入ってくる。増税と言ったって、税の不公平をそのまま残しながら増税だったら、これはとても納得のいくものではないわけです。よく言われておりますように、医師課税の問題がある。この医師課税の問題につきましては、不公平税制の代表だと、もう十数年にわたって言われながら、これはもう与党も野党も及び腰じゃないか。よく保険料単価の問題とのバーターなんだから、それが解決されなければどうしようもないということなんですけれども、それはいわゆるたてまえ論であって、本音は特定少数のプレッシャーグループに振り回されているんじゃないかという感じが、私自身はするわけですよ。あの昭和二十九年当時医師課税の問題が出たのは、医師の所得を一般の勤労者の何割増しにするかということで、ああいう問題が出たんですね。いまや医師の所得は、一般勤労者の四倍近いわけです。  それから、これは私自身もわからないことですから、大蔵省も教えてくれないからわからないんですけれども、医師の七二%、保険診療について。それから、自由診療については大体三四%の経費率らしいんです。じゃ三四%の経費率の中にいわゆる特別経費というのは含まれているのかどうかということなんです。特別経費——たとえば減価償却費で見ましても、一般の機械、什器、備品、そういうものの減価償却費は一般経費でございます。しかしながら、建物の減価償却費は特別経費でございます。人件費は特別経費でございます。それから借入金の利子は特別経費でございます。そういうものが経費率の中に含まれているのか、そういうものは別なのか、一般の企業においてはそれは別なんです。特別経費は一般のいわゆる経費率に含まれていない、別に見るということになっているわけなんです。もしその特別経費が、医師の場合におきましても別に見られているとするならば、ほとんど一00%経費率に近くなってしまうわけなんです。これは私はどうなっているか、いわゆる税務行政の取り扱いがどうなっているか私自身が知りません。知りませんけれども、一般の企業等はそういうふうになっているわけなんです。そこら辺である数ならば不公平がますます拡大をしていくということ。  それから、クロヨンだ、トーゴーサンだという捕捉率、これは俗語でございまして、必ずしもそのとおりそうなっているということはございませんけれども、しかしながらどうも税の適用というものを完全に受ける層とそうでない層との格差というものはある。それがどのくらい格差があるかということはまだ国税庁が発表してくれぬ限り全然わかりませんけれども、ただ税務統計による業種別所得と、それから国民所得統計によるところの業種別所得というものを対比してみますと、これは同じものを違った統計の方式、料理の仕方をするのだから、そんなに大きな差があるはずはないと思うのですけれども、一般の勤労者においては、大体国民所得の九四%ぐらい税務統計でもキャッチされております、おりますけれども、事業経営者においては二二%しかキャッチされていない。それから農民に至っては八%しかキャッチされていない、そういうような現実があるわけです。もちろんこれは勤労者というのが非常に所得が多くてみんな税金を納めている。農家の方々、事業経営の方々が非常に貧しくて、税金を納める対象になっていないということになりますと、それが立証されればそういう格差があってもそれは当然でございますけれども、まあ常識としてそこまでの大きな格差があるということは、やはりそこに捕捉率の問題であるとか、必要経費のつかまえ方の問題であるとかいうものが、事実あるのではないかという気がしておるわけでございます。まあそのほか利子・配当分離の問題であるとか、企業における交際費課税の問題であるとか、いろいろ不公平と言われているものはあるわけで、それを全部は直らないにしても、一歩一歩直す方向の中で、税なら税というものを考えていただかないと、政治が本当に国民の立場に立って行われているという実感が出てこないということでございます。  しかしながらどうも公聴会というのは一種のセレモニーのような感じがしてしょうがないし、それからすでに衆議院でも予算が通っているわけですから、ますますその感を深くするのですけれども、過去の繰り言を幾ら言っても仕方がございませんから、あともう二、三分しか与えられた時間がございません。それで、これから・でも問に合う一つ二つの提言をさしていただきまして、私の公述を終わらしていただきたいと思うわけでございます。  第一は、今度減税が行われることになりまして、それが戻し税方式をとるのかとらないのか、これははっきりいたしませんけれども、アメリカ的な戻し税方式をとるということならば、ひとつぜひ六月か十二月にやっていただきたいということ。これはよく貯蓄に回っちゃうから景気浮揚効果はないじゃないかということがよく言われます。言われますけれども、なるほど日本の貯蓄率は高いのです、高いけれども、それはボーナスというものがあるから高いのです。ボーナス以外の月の貯蓄率は一般の欧米諸国に比べてそんなに差はございません。したがって六月、十二月というボーナス期に戻し税が行われるならば、貯蓄の方はボーナスからいっていますから、これは戻ってきた税金そのものは消費に回る確率が非常に高いということですね、そういう意味で戻し税をもしおやりになるならば、ひとつ六月、六月に問に合わなければ十二月と、ボーナス期に合わせてやっていただきたい、これが御提言申し上げたい第一でございます。  それから第二の点は、どうしても都市勤労者家庭を中心にして税の不公平感は残っているのだから、そのために源泉徴収者だけ源泉徴収特別控除というような新控除体系、つまり給与所得控除とは別なものを、この際おつくりいただいたならばどうか。それがいわゆる捕捉率の問題にいたしましても、必要経費の問題にいたしましても、特別措置の問題にいたしましても、そういうものをカバーする意味で、源泉徴収特別控除というものをもしつくってくださるならば、都市勤労者家庭の税に対する不満感、不公平感、それはかなり緩和されるのではないかと思うわけでございます。  大変急ぎましたけれども、時間でございますから。どうも大変暴言を吐きまして、その点は御寛容をいただきたいと思うわけでございます。(拍手)

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 青木先生にはどうも貴重な御意見ありがとうございました。  そこで、先生の御意見と政府の言っている意見の中で、投資の問題、これは少し違うように私は思うわけです。政府の方は、なるほど製造業関係については非常に設備投資が冷え切っちゃっているんだけれども、非メーカー関係は、これは電力等々を初め、あるいはその他のサービス企業を初め、かなり伸びる気配があるんだと、こういうふうに言って、大変その辺が食い違うわけですが、先生は非メーか−投資も冷え込んでいる、こういうふうにおっしゃっているんですが、何かその関係で先生のまとめられた資料がありましたら教えていただきたいと思います。  それから、確かに私これからを考えてみますと、赤字国債が非常にたくさん増発されて、これもいまのままではインフレの大きな原因になりますから、これを何とか解消しなくちゃいかぬというふうなことで、政府も五十年には赤字国債をゼロにすると言うんです.が、それを埋めていくためには、結局これは増税しなくちゃならぬという問題が一つあります。  それから、もう一つは、私は国際的にもやっぱり増税しなくちゃならぬという時期に入っているような気がいたします。国際関係の赤字の集積、これを先進国あるいは三つのエンジン・カントリーといわれている日本としては、これは当然何らかの形で貿易経常収支を赤字にするか、あるいは何らか政府の方が後進国援助の基金を出していくか、あるいは二国間の借款をやっていくか、いずれにしても、結局は国民の税金ということになりますから、さあ、そういう面でやっぱり大増税時代に入ってきそうな気が私はしてならないわけです。  しかし、増税時代に入って一体何が重要なのかということになりますと、やっぱりナショナルコンセンサスを得るためには、まあ税の公平ということがない限りは、私は恐らく、増税ということを幾ら政府が強権をもってやってもこれはできないんじゃないだろうかと。もしそういうことができないということになれば、今日のイギリスのような経済状態、あるいはイタリアのような経済状態に日本の国というのは追い込まれる危険性というのは、私は多分に持っていると思うんですけれども、そういう意味では、増税に対する国民のコンセンサスというものがどうしても得られなくちやならぬだろう。それには、一体どういうところにポイントを置くべきか。私は、所得もあるいは税制も、公正なあり方以外には国民のコンセンサスを得ることはもう非常に困難だと思うんですけれども、先生は、その辺で増税時代に入るというふうにおっしゃっておりますけれども、まずどの辺から、どんな手順で手をつけていくのがよいのか、その辺を税制に造詣の深い先生でありますから、ひとつ教えていただきたいと思います。  以上、二問でございます。

青木茂大妻女子大学教授

○公述人(青木茂君) お答えを申し上げます。  第一の御質問でございますけれども、たとえば、昭和四十年当時におきまして十−十二月ですね、十−十二月の数字を見まして、メーカー側の設備投資は、前年同期比でマイナス五・四二というふうに落ち込んでおります。これに対して、非メーカーはプラス三・八七、比較すれば大変大きなプラスが出ております。で、現在はメーカーと非メーカー、これだけの差がないということでございます。  きょうは、実は数字を用意してきておりませんけれども、たとえば昭和四十九年の十−十二月の一番不況に入りかけてきたときですね、そのときはメーカーの落ち込み率が八・五0、非メーカーの落ち込み率がマイナス二・00というような数値がございます。もちろん五十、五十一年において経済情勢というものは変化をしてきておりますけれども、非メーカーの設備投資によって景気を浮揚させるだけの大きな伸びというものは、ちょっとまだ見つけられないんじゃないかというふうに存じております。これ、ついでに申し上げますと、四十年当時は都市勤労者家庭の実質消費支出は前年同期比0・五でしがなかったけれども、農村の場合は五・一ございました。ところが現在の場合は、都市が一・一、農村でも一・四でございますから、農村消費におきましても景気を下支えするだけの力はちょっと持ってないんじゃないかと思うわけでございます。  それから、第二の御質問は、これはもうすでに御指摘のとおりでございまして、私もいい悪いは別問題として国会でお決めになって、国債を抱いた経済より国債に抱かれた経済ということになってしまったわけですから、そうなりますと、利子をつけて当然返していかなければならないんですから、それが景気が思うように浮揚せずに自然増収が出てこないということになりますと、当然増税時代に入るということは、これは避けられないと思うわけでございます。  その場合、それならば、やはりただいま御指摘のように不公平税制と考えられるものを徹底的にひとつ洗い直していただいて、その中での増税、それも単に付加価値税というような新税を創設するというより、これは思い切って国会がお決めいただけばいいじゃないかと思います。税制の中において一0%増税しなきゃならないのならば、すべての不公平を是正しておいてすべての税収に対して一0%増税するんだと、また減税ができるようになったらすべての税に対して一0%減税するんだというふうに何かしていただいた方が、その増税時代は避けられないにしても、反対の多い新税を創設するより何かすっきりいくような、これは全く素人判断でございますけれども、そういう感じがいたします。

対馬孝且日本社会党

○対馬孝且君 先生はサラリーマン・ユニオンという立場でかなり市民運動に立ち上がって御苦労さんでございます。そういう体験を通しまして、いま政府が出している五十二年度予算の柱は、経済成長率が六・七、個人消費の伸びが十三・七と、こうなっているわけですね。ところが、ことしの物価公約が結果的には九・二%と、これはまあ大きく政府はこの公約を達成できなかったわけですよ。個人消費が、結果的に物価が上がって九・二%台ですから、個人消費の伸びに影響することは事実ですね。私は十三・七というのは非常にむずかしいんじゃないかと、こう見ているわけです。これはまあ私の感じですから、これは別にいたしまして、仮に政府の言ったとおりにしたとして、今日の時点ではもう物価指数が狂っちゃっているわけです。そういたしますと、これはまあわれわれサラリーマンとして当然なんですが、いま春闘でわれわれ立ち上がっているわけですけれども、結果的に個人消費の兼ね合いとしてこの物価公約が達成できなかったという実体論から判断をして、ことしのベアというものは最低でもこれはわれわれ要求しておるからということでなくて、やっぱり一五%前後というのはまあ妥当なところではないかと、こう考えるんですが、もし先生の許せる範囲で、感想がございましたらお聞かせ願いたい、こう思っているわけです。

青木茂大妻女子大学教授

○公述人(青木茂君) これは、まあお答えを申し上げるということより、感じをひとつ申し上げさしていただくより仕方がないのでございますけれども、前半の問題、いわゆる数字的予想ですね。これはだれがやっても神様じゃございませんから狂います。それから予想というのは、これは下がら読みますと「うそよ」と読むんであって、まあ余り気にしなくてもいいことだと思います。  それで、ただ私は、総理府統計局が物価指数を、大変あれは世界的に認められた権威のある数字でございます。それを御発表になるのはいいけれども、統計というものは統計の持つ意図、やり方、その他によりまして数字というのはかなり狂うものだと。それで、総理府の統計局の出しました数字を唯一絶対の政策基礎としてお使いになるということには、私ちょっと疑問があるわけなんです。生活実感指数というようなものを各党でおつくりいただいて突き合わしてみるということも必要なんじゃないかと。  サラリーマン・ユニオンというお話がございましたけれども、サラリーマン同盟でございますからひとつあれですけれども、そのサラリーマン同盟が生活実感指数というものを過去五年にわたって毎月発表しておりますけれども、それによりますと、現時点におきましては総理府の発表する数字より四%高ぐらいになっております。これは四十九年当時総需要抑制策が非常にシビアに行われましたときは、私どもの生活実感指数と総理府統計局の発表する物価指数とぴしゃっと一致していました。だから、その両方ともそれぞれの意味は持っていると思います、一致すべきときは一致したわけですから。現在は約四%違う。したがいまして、私は総理府の発表なさるところの物価指数プラス四%ないし五%だけは春闘のベースアップ基準にしていただかないと、勤労者の生活は実質ダウンではないかという感じを持っております。これはお答えになりますかどうか。

吉田実自由民主党

○吉田実君 一点だけお伺いしますが、御案内のとおり、景気の浮揚につきまして一つは財政、一つは金融ということでずっといま論議を続けておるわけなんです。しかし、いま先生のおっしゃいましたような、大変設備投資の意欲が企業に低いと申しますか、もう日本のほとんどの企業というのは、直接間接輸出産業にこれはもう関連しておることは御案内のとおりなんですが、御案内のような、ECなりあるいはアメリカなり、日本の商品についていろいろ問題が出てきておる。どうも輸出がうまくいきそうもないということが、私は設備投資の現在の非常に低い一番大きな原因じゃないかと思うわけなんですが、そういう意味で財政政策、金融政策とともに、輸出の問題をもっと国会でも論議されてしかるべきでなかったか。  通産省あたりでは何と申しますか、プラント輸出だとか、あるいは外国における公共事業を日本の建設業がやるとかというふうなことに力を入れて、少しそういった面もやりたいというふうなことも考えておるようですが、何かこの景気浮揚についての輸出政策について先生の御提案がありますれば承りたいと思いますが、急な質問でありますので、もしおありになれば御回答いただければ結構でございます。

青木茂大妻女子大学教授

○公述人(青木茂君) 大変むずかしい問題でございますけれども、現在輸出でほとんど日本経済が支えられているような状況ですね。特に、先ほど来申し上げましたように、内需が非常に冷え込んでおりますから、企業として生きんがためには輸出中心にならざるを得ない。で、そこでどうしても無理な輸出形態というものが出てまいりまして、それが現在のアメリカの対日輸出規制の問題、ECの問題というような形になってくるわけで、今後の輸出の見通しというものは必ずしも楽観を許されないから、とにかく内需の掘り起こしというものを考えなきゃならないんだと私は存じております。  輸出政策というものは、輸出というのは相手があることですから、やはりこれは——これは本当にもう政治の素人の暴言だと思ってお聞き流しをいただきたいんですけれども、輸出の背景には外交があるんじゃございませんか。つまり、アメリカがだめならヨーロッパがあるさ、ヨーロッパがだめなら東南アジアがあるさということで、しかし現在みたいな売り込みで、エコノミックアニマルでもって売り込みさえすればそれで事足れりというような状況の中でどうしても世界の、やはり良識ある世界人のひんしゅくを買うような輸出の伸ばし方というものをやっておるとするならば、それは私は日本の輸出の前途というものは百年の大計から見て少しこわいと思うわけでございます。  だから、これは素人でわかりませんけれども、たとえば東南アジアの輸出なんかでも、向こうの経済ひっかき回しやいいんだというようなことでなしに、もう少し向こうの経済をどうやって、つまり誠心誠意ですね、日本の経済力でもって引き上げていくかという誠意、それに基づいた外交というものがあったら私はまだ輸出の前途というものは開けてくるんじゃないかと。これは全くの素人考えでお答えになりませんけれども。

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) それでは、この程度で終わらせていただきます。  青木茂公述人には、お忙しい中を御出席いただき、また、短時間にもかかわらず貴重な御意見をお述べいただき、ありがとうございました。(拍手)  明日は午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十六分散会

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