予算委員会 第21号
- 発言数
- 683 件
- 登壇者
- 51 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1977/04/15
会議録
○委員長(小川半次君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 まず、委員の異動に伴う理事の補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小川半次君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に桑名義治君、向井長年君の両君を指名いたします。 —————————————
○委員長(小川半次君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 昭和五十二年度総予算三案審査のため、本日、新東京国際空港公団総裁大塚茂君、日本住宅公団総裁南部哲也君及び日本銀行総裁森永貞一郎君の三君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小川半次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(小川半次君) 次に、締めくくり総括質疑の取り扱いについてお諮りいたします。 理事会におきまして、審査期間は本日及び明日の二日間とし、その質疑総時間は二百三十三分、各会派への割り当ては、日本社会党九十九分、公明党及び日本共産党それぞれ三十六分、民社党十八分、第二院クラブ九分、ただし、自由民主党は通例日本社会党の割り当てと同様九十九分となるところ、今回に限り、先例としないで三十五分とすること、また、質疑順位につきましては、お手元に配付いたしました印刷物のとおりとすること、以上協議決定いたしました。 そのように取り運ぶことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小川半次君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 —————————————
○委員長(小川半次君) 次に、昭和五十二年度一般会計予算 昭和五十二年度特別会計予算 昭和五十二年度政府関係機関予算 以上三案を一括して議題といたします。 この際、日ソ漁業交渉問題につきまして、外務大臣鳩山威一郎君から発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣鳩山威一郎君。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 日ソ漁業交渉につきまして御報告申し上げます。 去る四月の八日からモスクワで開かれておりました鈴木農林大臣とイシコフ漁業大臣との間の会談は、前後四回にわたって開かれましたのでありますが、昨日の第四回目の会談におきましても最終的な合意に達することができないまま一時中断されまして、鈴木大臣は十六日モスクワを立って帰国をされることとなりました。次回の会談の時期は両国政府間の話し合いで決定されることとなろうと思われますが、イシコフ大臣が十七日より月末まで海外に出張されるので、五月上旬以降となろうと思われます。 御承知のように、今回の日ソ漁業交渉に当たりましては、わが方としてはソ連の二百海里漁業水域設定という現実を踏まえながら、北洋漁業におきますわが方の伝統的な操業を維持すること及び今後の日ソ平和条約交渉における領土問題についての政府の立場に影響を与えないことという見地から交渉に当たり、漁業問題と領土問題は切り離して処理することに努めたのでございますが、交渉は妥結に至らなかった次第でございます。政府といたしましては、基本的国益を守るためやむを得ず交渉を一時中断することとなり、鈴木大臣は帰国されることとなったわけでございます。すでに二週間以上、北洋における漁業を停止してきました漁業関係者は、さらに当分の間操業停止を余儀なくされることとなるわけでございます。政府としては北洋漁業関係者等に対しまして、全国民的な課題としてその対策に万全を期するとともに、対ソ交渉につきましては、今後とも粘り強く方針の貫徹に努力をいたしたいと存じておるところでございます。 以上御報告申し上げます。 —————————————
○委員長(小川半次君) 一般質疑の際、四月六日に質疑を行った秦豊君及び九日に行った野田哲君の質疑保留の部分につきまして、理事会で協議の結果、本日の締めくくり総括質疑に入るに先立ち、これら積み残し分の質疑を行うことが決定いたしました。さよう取り運ぶことにいたします。 それでは、野田哲君の保留した部分から行います。野田哲君。
○野田哲君 総理にまずお伺いいたしますが、昭和四十年の五月十四日の閣議で、「公団公庫等役員の選考について」、こういう決定が行われております。さらに、昭和五十一年五月十一日に、「特殊法人の役員の縮減について」、こういう決定がなされておりますが、総理はその概要について御承知でしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は詳しいことは存じませんが、そのような決定のあることは承知しております。この問題は、私なかなかいまとなりますと重要な問題なってきておると、こういうふうに考えるのであります。つまり行財政の整備、これはもうどうしても必要な段階になってきた。その時点の今日的問題といたしますと、御指摘の問題はきわめて重要であるというので、まあこれから八月にかけてその問題等の整理、また新しい方針の確立、これをしてみたい、かように考えております。
○野田哲君 そういたしますと、何回も総理はこの八月に向けて公社公団等の問題についての成案をつくると、こういうふうにおっしゃっておられるわけで、その際には、先ほど申し上げました二つの閣議の了解事項、これはやはり基本線として、現在も政府の方針としてこの方針を貫いていくと、こういうことでよろしいですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 当然、これらの閣議決定、閣議了解、これは大きな資料になると、こういうふうに考えております。
○野田哲君 私、いろいろ公社公団の実態について調査いたしましたので、二、三の例を申し上げて総理の見解を伺いたいと思うのです。 たらい回しは極力避けると、こういう、項目が閣議決定であるわけでありますが、代表的な例をこの前も申し上げたわけですが、現在、国民金融公庫総裁の佐竹さん、大蔵省の銀行局長を退職された方ですが、以降今日まで十年五カ月の間に四つの公庫公団を渡り歩いておられる。あるいは通産省の官房長のポストから就任された讃岐さんという方、これは民間に二カ所、それから公庫公団を三カ所、こういうふうに渡り歩いておられる。あるいは農林省の農地局長を退職した昌谷孝さんという方、十年二カ月の間に三つのポストを渡り歩いている。こういう例があるわけです。明らかにこういう状態は閣議で決定された内容、これを空文化されている、こういう状態を示しておると思うのです。 役員の縮減についても全くこれは実行されていない。役員縮減を行うということを決定された二十九の対象法人のうちで、縮減が実行されているのは四法人だけです。待遇の面で見ますと、一般の公庫公団の職員の場合には二十年勤めて約五百数十万円、こういう状態です。高級官僚から行った人は一年で五百七万円、こういう状態があるわけであります。時間がございませんので、ぜひひとつ総理はこういう状態について、この本にも、「役人天国の実態」ということで公庫公団の実態がつぶさに記録されております。どうかひとつこういう点、厳密に調査をされた上で、国民のひんしゅくを買わないように、そして部内から登用する、こういう立場をぜひとってもらいたい、このことを要望いたしまして、総理の見解を伺って終わりたいと思うのです。
○国務大臣(福田赳夫君) ごもっともな御指摘と思うんですが、よく実情を調査いたしまして、国民に納得していただけるような対策を講じたいと、かように考えます。
○野田哲君 終わります。 —————————————
○野田哲君 終わります。
○秦豊君 総理にまず伺いたいんですが、あなたはどういう理由で成田空港の開港をしゃにむに急いでいらっしゃるんでしょう。
○国務大臣(福田赳夫君) 理由は二つあるんですが、一つはやはり数千億円という国費を投じまして、その投資が生かされないままで眠っておる。こういうことは国家国民に対しまして相済まぬと、こういう問題が一つ。 それからもう一つは羽田の状態です。過密という言葉で言い尽くせないような非常な状態である。あの状態を見て、さあ何か一朝事故があるというようなことになると、これは本当に重大な人命の問題に関係してくる。この状態を一刻も早く解消しなければならぬ。それには多大の国費を投じて準備して、もう完成も間近に見え得るという状態になったあの成田空港の完成を早くする。こういう二つの理由、これが主な理由でございます。
○秦豊君 見通しとしては年度内ですか、年内ですか。
○国務大臣(田村元君) 年内を考えております。
○秦豊君 真田長官、前回の委員会における成田空港の法的問題をめぐる私とあなたの争点、覚えていらっしゃいますか。
○政府委員(真田秀夫君) もちろんよく覚えております。
○秦豊君 せっかく総理もお見えです。正確にそれを繰り返してもらいたい。
○政府委員(真田秀夫君) 去る六日の当委員会の一般質問の第一日目でございましたが、新東京国際空港公団法の施行関係について秦委員から御質問を受けまして、その際詳しく申し上げましたので、ここでまた重ねてくどくどしく申し上げるのもいかがかと思いますので、かいつまんで結論的な形でお答えをいたします。 新東京国際空港公団法の附則第八条の問題でございましたが、その八条は、新東京国際空港公団の最初の事業年度について定めている規定でございまして、この規定は公団の事業年度の期間を定めた同法の本則第二十五条の規定に関する経過措置といたしまして、公団の最初の事業年度の期間が、公団の成立の日に始まり翌年の三月三十一日に終わる一年未満の期間であるということを定めている技術的な規定でございます。ところで、同法附則第八条は、公団が昭和四十一年三月三十一日よりも前に設立されていることを想定いたしまして、最初の事業年度の終期を同日と定めておるわけでございますけれども、同条は、いま申しましたように単に最初の事業年度の期間を明確にする趣旨の、いわば念のため確認的な規定でございまして、公団の設立を同日よりも前に行うべきことまでを義務づけている規定とは解せられませんので、したがいまして、同日を経過した後に公団が設立されたからといって、その設立が違法であるとか、あるいは無効であるとはとうてい考えられません。そして、公団の最初の事業年度は、同法の第二十五条及び問題になりました附則第八条の規定の趣旨をあわせて考えますれば、その設立の日、つまり四十一年の七月の三十日に始まって、翌年の、つまり四十二年の三月三十一日に終わったものと解するのが妥当でございます。 なお、同法附則八条の規定につきましては、公団の成立の遅延が予想された時点で、あらかじめ実情に即した法律の改正を行う方がベターであるというような考えももちろんございますけれども、しかし、ただいま申しましたような解釈が成り立ちます以上は、あえてそのような改正をしなくても、つまりそのような改正が公団の設立のための絶対な前提要件として必要であるというふうに厳しく解釈する必要はないと、かように思っている次第でございます。 以上のことを先日詳しく御説明したつもりでございます。
○秦豊君 いま述べられたのがあなたの見解ですね、法制局の。
○政府委員(真田秀夫君) 私と運輸省の方と御相談した上、到達した結論でございます。
○秦豊君 大変歪曲されていると思います。私に対しては、前回、正論と言ったり、ベターと言った。そういう趣旨や議事録がこの新たな見解では踏まえられていない。なぜでしょう。
○政府委員(真田秀夫君) 先日も申し上げまして、つまり法律をその時点において改正するという方法ももちろんあります、それがベターだということも言えますということも言ったわけなんです。 ただいま申しましたように、しかし、解釈というものも幅もございまして、先日も私はそういう解釈を踏まえてお答えしたわけでございますけれども、現実に空港公団法の施行ができなかった。できなかったというのは、先日繰り返し申しましたように、あの法律の施行関係が政令にゆだねられておりますけれども、政令にゆだねられているゆだね方が二段構えになっておりまして、まず最初に、同法の本則の第二条に基づく政令、つまり新国際空港の場所を決めなさい、その場所を決める政令を出しなさい、そしてその後で、第二段目の施行として、その他の規定の施行期日をまた政令で決めなさい、こういう二段構えになっておるわけなんでございまして、その第一段階目の政令が、これが現実において場所の選定ができなかった。いろいろ候補地がありましたけれども、反対があったり、いろいろ富里だとかどこだとかというような話がありまして、結局、法律が当初予測しておったであろうと思われる四十一年の三月三十一日までにその場所が決まらなかった。その場所がようやく決まったのが四十一年の七月に入ってからであって、そこで第一段階目の政令の公布ができて、そして、引き続いて第二段階目の政令の公布、つまり公団法のそのほかの規定の施行ができた。それを踏まえて公団の設立が行われた。したがって、三月三十一日よりおくれたけれども、これは、政府が政令を出すのを怠っておったわけではなくて、鋭意努力をしたけれども、現実において場所の選定ができなかったというその結果そうなったということをこの前も申し上げたつもりでございます。
○秦豊君 あなたの答え方は法制局長官的ではない。せいぜい運輸省政務次官的だ。政治的だ。解釈が非常に曲げられている。一言伺うが、あなたに、じゃ一般的に附則というものの法的な効力はどうなんですか。
○政府委員(真田秀夫君) どうも御質問の趣旨がよくわからないのですが、附則も法律でございますし、本則も法律でございます。ただ、附則には通例、法律の施行期日の関係とか、他の法律の改正とか、経過措置とか、そういうものを書くというだけであって、効力においては附則も本則もひとしく法律でございます。
○秦豊君 その答弁だけが正しい。 そうすると、附則も効力があるとすると、政府の見解は、附則の一般的な効力を成田公団法八条のみには認めないということになるわけですよ。しっかり答えていただきたい。
○政府委員(真田秀夫君) 新東京国際空港公団法附則八条もこれも法律でございまして、普通の法律と同じ効力を持っております。ただ、法律というものは、文言だけ————————じゃなくて、その規定の裏にある趣旨をよく踏まえて解釈し適用するという余地が残されているわけでございまして、法律であることには変わりございません。
○秦豊君 じゃ、この解釈に関連してほかの特殊本人についてあなた方が調査された結果を述べてもらいたい。ますます怪しくなりますよ。水資源とか。通知をしてあるはずですから、どうぞ。
○政府委員(真田秀夫君) たとえば、現在、日本下水道事業団というのがございますが、この日本下水道事業団といいますのは、これは初めは下水道事業センター法という法律であったわけでございまして、その法律によって下水道センターという法人ができておるわけですが、その法律の附則の第三項を見ますと、「センターの最初の事業年度は、第二十九条の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする。」という規定がございます、これなどはその一例でございます。
○委員長(小川半次君) 委員長から申し上げます。 先ほどの真田法制局長官の答弁の中で、まあ百姓読みという熟語でない言葉を使っておりましたが、不穏当でございますので、委員長はこれを速記録から削除いたさせます。
○秦豊君 もう一つだけ伺います。 船舶安全法の附則第三条第二項というのをお読みいただけませんか。解釈をお述べください。
○政府委員(真田秀夫君) これを正確に申し上げますと、船舶安全法の附則三条ではございませんで、船舶安全法の一部を改正する法律というのが昭和四十八年にできまして、その改正法の附則でございますが、その改正法の、つまり四十八年法律八十号の附則第三条二項、これは小型船舶検査機構という法人の話でございますけれども、その検査機構、附則の三条二項では裸で「機構」と書いてございますが、「機構の最初の事業年度は、新法」、つまり改正法による改正後の法律、「新法第二十五条の三十三の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする。」、こう書いてございます。
○秦豊君 これ大事だから伺っているんです。成田だけは無視している、ほかでは守っている、だから適法性がない、これがぼくの主張なんです。いまのは「翌年」となっていますね、事業年度。
○政府委員(真田秀夫君) ただいま読み上げましたとおり、法文の規定はまさしく「翌年」と書いてございます。
○秦豊君 そうしますと、特殊法人をつくった場合、最初の事業年度を決める場合には、確定日を指定、政令に委任あるいはいま言った翌年、こうなっているんです。だから、附則八条は改正しておかなければならなかった。なぜそれを怠ったか。
○政府委員(真田秀夫君) 先ほど申しました下水道センターなり、あるいはただいま申しました小型船舶検査機構について、最初の事業年度の終期が確定の日付ではなくて翌年となっているではないか、そういう御趣旨の御質問だろうと思いますけれども、これも御説明いたしますと、成田空港公団のようなのはいわゆる特殊法人でございます。つまり、政府が設立委員を命じまして、政府が設立行為を行って、そして登記に至るという特殊法人でございますが、この小型船舶検査機構とかあるいは下水道センターはいわゆる認可法人というものでございまして、これは民間の人が発起人となりまして定款をつくって、そして主務大臣の認可を受けて設立に至るという性質のものでございますので、それで初めから特定の年次を押さえて書くのにはなじまないのが普通でございます。したがいまして、いわゆる認可法人につきましては特定日を書かない、特定の年次を押さえない、ただ年度末の三月三十一日で終わるということは書きますけれども、昭和何年というふうに押さえないというのがむしろ通例の法文の書き方でございます。その違いが出ているんだろうと思います。
○秦豊君 どうしても拡張解釈が過ぎます。附則第八条というのは、空港公団は四十一年三月三十一日までに公団が成立することを命じているんです。やっぱり八条は改めるべきであった。どう思われますか。
○政府委員(真田秀夫君) その点は、先日も繰り返し繰り返し申し上げたわけなんですが、それを改めるという方法もあるわけで、むしろその方がベターでないかという気もいたしますと、そこまで私は申し上げたんです。ただ、その附則八条は、よく法律の趣旨、その八条の裏にある本旨を考えますと、そうすると特殊法人である空港公団が設立するのは四月一日とは限らないと、限らないから初年度についてはまるまる一年ではなくて、成立の日から三月三十一日までだと。翌年の、というのが規定の本旨でございますから、本旨でございますから、おっしゃいますように、四十一年とある附則八条の規定のその部分を四十二年と改めるという方法ももちろん考えられるわけですけれども、いま申しましたような解釈が成り立つ以上はあえて、あえてその改正をしなくても公団の設立が無効になるとか違法であるというふうには言う必要はないと、こういう解釈でございます。
○秦豊君 牽強付会です。恣意的です。運輸大臣、やはりこれは公団の成立自体が適法性を持っていません。違法だということをお認めなさい、あなた。無理です。
○国務大臣(田村元君) 違法だと認めろというお話でございますが、法制局長官からあれだけの見解が示された以上は、私も適法だと考えております。
○秦豊君 総理、ほかの特殊法人では適法性を満たしている。なぜ成田だけを除外したのか。こんな違法を積み重ねることを、総理としてのあなたはどうお考えでしょう。
○国務大臣(福田赳夫君) 私も、法律問題につきましては法制局長官以上の見識を持っておりませんので、法制局長官の答弁で御理解願いたいと、かように存じます。
○秦豊君 そろそろやめますけれども、成田空港計画については当初から根本的に疑念があります。国民的な疑念と言うべきです。仮にお二人がおっしゃったように、年内開港とした場合の東京−成田間のじゃアクセスは一体どうなるんですか。確信をお持ちですか。
○国務大臣(田村元君) 開港時におきます都心と新空港との間の航空旅客、送迎客等、アクセス旅客の輸送手段としましては、鉄道輸送につきましては京成電鉄——これは上野駅−空港駅間でございますが、及び国鉄総武線、成田線——成田線は東京駅−成田駅間を予定しております。 道路輸送につきましては、首都高速七号線、京葉道路、東関東自動車道の利用を考えております。これらにつきましては、すでに所要の整備が完了しております。また、京葉道路のバイパス機能を果たす湾岸道路につきましても、東京−千葉間は本年度末までに供用開始される予定でございます。 これらの輸送手段によりまして当面の需要、これはおおむね一日片道平均で三万四千人程度と推定しておりますが、この当面の需要には一応対応できる見込みでございます。 それから道路輸送につきましては、京葉道路等の既存の道路は混雑が予想されますので、空港関連旅客をできるだけ鉄道等の大量公共輸送機関へ誘導するための適切な措置を講じたい。それからまた、予想されます渋滞に対しては、交通情報の提供等の対応措置を講ずることについて、関係機関において検討が行われております。また、今後のアクセス需要の増大に対しましては、これに対処するために、成田新幹線、湾岸道路の高速道路部分の建設を促進することになっております。
○秦豊君 手塚さん——成田の責任者であった方が、日本の行政はいよいよせっぱ詰まらなきゃやらないと、高位高官の車が動けなくなったときに初めて気がつくだろう、こう言っています。季刊「おおぞら」の座談会で。これが本当だと思います。あなたが言ったのは単なるペーパープランにすぎないと思います。実現不能です。 最後に、資料を一つだけあなた方に見てもらって、それに対する資料を要求して質問を終わりたいと思いますが、委員長、これを運輸大臣に提示してよろしゅうございましょうか。
○委員長(小川半次君) 提示だけにしてください。
○秦豊君 はい、わかりました。 ちょっと運輸大臣。これは国際基準を図表化したもので、東京大学の五十嵐教授たちの御意見も伺っています。あなた方と全く違うのです。国際基準で例の騒音——うるささ度七〇WECPNL以上のところをこうやりますと、六万戸という家屋がその下に入る。いまから六年たてばあなた方はその防音工事をやらなければいけない。こういうことが一体可能かどうかということについて伺いたかったが、時間が来たから委員長のおっしゃったようにやめますけれども、これについて権威のあるコンターを出していただきたい。お約束いただければいいと思います。いかがでしょうか。
○国務大臣(田村元君) 非常に専門的のことでございますので、航空局からお答えをさせます。
○政府委員(松本操君) いま先生お示しの絵を私拝見しておりませんが、承っておったところでは七〇WECPNLのコンターではなかろうかと思います。その前提となる要件がどういうことになっておりますか、私どもは八五の数字をベースにいたしまして、現在騒音区域の指定をしてございますので、それに至りますまでの過程については詳細チェックをしてございます。これはいつでもお出しできる状態にあると思いますが、七〇という数字になりますと、現在の予測手法その他から言いましてかなり困難があるのではないか、前提一条件等についてもかなり詰めなければならないのではないかと、このように承知しておりますので、七〇という数字で現在資料を出すようにと、こういう点につきましては、ちょっと技術的にも私困難なのではないか、こういうふうに考えます。
○秦豊君 終わります。
○委員長(小川半次君) 以上をもちまして、一般質疑中の積み残し部分に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(小川半次君) 以上をもちまして、一般質疑中の積み残し部分に対する質疑は終了いたしました。くくり総括質疑に入ります。 小柳勇君の質疑に入ります。小柳勇君。
○小柳勇君 さっき、外務大臣から日ソ漁業交渉の経過を報告されました。まことに遺憾であります。国家の非常事態と言っても過言ではないと思いますが、たとえば、五月中旬まで待ちましても、領土問題と絡んでおる以上、この交渉はなかなか妥結困難ではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(鳩山威一郎君) わが方といたしましては、交渉方針といたしまして、漁業問題とこの領土問題とを切り離して解決していただきたいと、こういう態度で貫いているわけでございます。何とか先方の御理解を得るように万全を尽くしたいと、こう思っております。
○小柳勇君 国会も超党派でこの問題を重大視いたしまして、代表団の訪ソを決定しています。ビザが出たようでありまするが、出たのか出ないのか、私どもは非常な重要な段階でありますから、この際言うべきであるという見解でありますが、いかがでございましょう。
○政府委員(宮澤泰君) 今朝七時半に、在京ソ連大使館から外務省にビザを発給する旨の通報がございました。
○小柳勇君 その後の問題は後で質問いたしますが、いま北海道その他の漁民はこの交渉の妥結を一日千秋の思いで待っておりました。法的な問題なりその後の日本のこれに関連する問題は逐次質問いたしますが、いま大変心配いたしております漁民の心を安らげるために、政府は緊急の措置をとるべきであると思いますが、いかがでございましょう。
○国務大臣(長谷川四郎君) 緊急の問題でございまして、けさほど関係閣僚にお集まりをいただきまして、いま読み上げるようなことを決定をいたしました。 北洋漁業に関する当面の対策 一、日ソ漁業交渉の中断に伴い、三月中に出漁予定のニシン漁船のほか、四月中に出漁予定の漁船についても、当面出漁できないことが明らかになったので、政府としては、これらの漁船に対し所要の救済措置を講ずる。 二、とりあえず、これらの漁船に対し、出漁不能の状態の下で必要となる資金について、特別の緊急融資措置を講ずる。 三、日ソ漁業交渉の経過からその操業に顕著な影響を受ける水産加工業者に対しても、影響の度合、業態の性格に応じ、所要の措置を検討する。 こういうように、漁民のまず安定をというわけにはいかないかもしれませんけれども、万全を期して今後この漁民に対する処置を講じていく考え方でございます。
○小柳勇君 政府部内に対策本部をつくって総合対策をすべきではないかと考えます。また、現地も大変動揺しておるでありましょうから、いま関係者行っておると思いますけれども、対策本部から正式に派遣をして、その出先の漁民の皆さんと話し合うべきであろう。また、いま具体的に、漁業関係労働者に対して雇用保険法を適用してほしい、操業準備のための運転資金を無利子で貸与してほしい、雇用調整給付金制度の指定などそれに加えてほしいという具体的な要求もありますが、この点についていかがでしょう。
○国務大臣(長谷川四郎君) 船舶によりまして、三十トン以下とかあるいは五トン以下とか、各省にわたっての問題がございます。なかなかこれに向かって、いろいろなことを漁民が言って来ることも大変だろう、こういうふうに考えますので、窓口を一本にしてそして今後の対策のお話し合いをしていきたい、こういうことになりまして、水産庁が窓口になりまして、各省から事務官が出て、そしてその御要望にこたえるように申し上げて、決定をしたわけでございます。
○小柳勇君 鈴木・イシコフ会談の決裂いたしましたその内容、さっき外務大臣から概略の説明はありましたけれども、一番問題点になったのはどういうところであるか、もう一度御説明を願います。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 鈴木・イシコフ会談におきまして、問題が大きく分けますと三つあったわけでございますけれども、最終的に残りましたのは適用水域の問題でございます。
○小柳勇君 適用水域の問題で日本の農林大臣はどういう提案をしたのでしょう。
○国務大臣(鳩山威一郎君) イシコフ漁業大臣と鈴木農林大臣との間では相当な突っ込んだ話し合いが行われたと聞いておりますけれども、その両大臣間のお話し合いにつきましては、大変微妙な点もありますので、ここではっきり申し上げることは控えさせていただきたいのでございますが、何とぞその点は御理解を賜りたいのでございます。 考え方といたしまして、当方といたしまして主張いたしましたることは、いわゆる線引きと称されているものがわが国の領土問題に悪い影響を与えては困る、こういう観点で日本政府の案は主張をいたしているところと、そういうふうに御理解を賜りたいのでございます。
○小柳勇君 総理大臣に質問いたしますが、いま中心的な問題は日本の領土問題と漁業権益の問題であろうと思います。いま国民世論としては、申すまでもない領土問題でありますが、それかといって現在までの漁業権を一歩も譲ってはならぬだろうと思う。ただ、交渉でありますから、今後どの辺まで話が出るかわかりませんが、いま国民が領土問題か漁業権益かと、そういう大きな選択もあると思うのです。この点に対する総理の見解を聞いておきたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 本交渉に対する基本的な考え方は方針として二つあるんです。わが国は北洋漁業、これを長年にわたって培ってきておる、この漁業権益をなるべく確保するということが一点。それから、どうしても固有の領土であるところのいわゆる北方四島、これは終局的にはわが方の主張のとおり解決をしなきゃならぬという立場にあるわけであります。この立場をこの漁業交渉において阻害することがあっては相ならぬ、この二つの大方針を踏まえていま交渉に当たっておるわけでありますが、漁業量の問題につきましては、これはある程度の話し合いがなされておりまするけれども、まだこれも妥結には至っておりません。しかし、領土の問題につきましては基本的な意見の食い違いがあるわけであります。どうも線引きというか、そういうようなことのいかんによりましては、わが国の国民全体の悲願である北方領土の返還という問題に傷をつけるということにもなりかねない、こういう問題が出てきておりますので、粘り強く鈴木・イシコフ会談で論議されたんですが、今日までその解決点が見出されない、やむを得ず中断ということに相なった次第でございます。
○小柳勇君 わが国も二百海里法案を準備し、二十日ごろは閣議決定したいということでありますが、このわが国の二百海里法案の裏にある領土問題はどのようなことですか。外務大臣。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 政府委員から説明させます。
○政府委員(佐々木輝夫君) 二百海里の漁業水域の問題でございますので、水産庁から現在の検討状況を御説明いたしたいと思います。 これはわが国周辺の二百海里の水域内における漁業資源の適切な管理と利用、そのための秩序を外国漁船に対して確立をするということを目途にして現在進めております。中で、いまお尋ねの領土の問題でございますけれども、これは当然日本の固有の領土の周辺の二百海里を前提にして検討しているわけでございます。
○小柳勇君 ソ連の二百海里の裏にある専管水域とわが国の二百海里法案の中にある専管水域とが重なり合ってまいりますが、わが党は先般共同規制水域などというものを定めて、とりあえず漁業の問題を話したらどうかということの方針を決めておりますが、この点に対して総理から見解を聞きたいと思うんです。
○国務大臣(福田赳夫君) わが方の立場とソビエト側の立場とどういうふうに調整するか、これは領土は領土、漁業は漁業というたてまえで調整を行うということになりましょうが、その調整のやり方につきましてはいろんな方法があろうかと思うんですが、いまその調整の具体案まで論議をされるというところまで至っておらないんです。その手前におきまして、まあソビエト側の主張がわが国の領土権に対する年来の主張、これを傷つけるというような方向が出されておる、こういうようなことで、わが方としてはこれを承諾することができないというんで、まだ方法論の手前で議論が彷徨しておる、こういう状態でございます。
○小柳勇君 今日まで交渉でまとまりました附属書及び暫定協定の一部の合意事項はこのまま残りますか。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 現在、技術的な問題につきましては最終的な詰めが行われておりまして、この方は進捗をいたしておるわけでございまして、条文から申し上げますと、第一条と第二条が未決のままということになっております。その他の問題につきましては、性質といたしまして今後とも残していけるものではあるまいかと考えております。
○小柳勇君 わが国から国会議員の代表団も参るようでありますが、農林大臣は帰ってまいります。次の交渉についての見通しはいかがでしょうか。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 先ほど申し上げましたとおり、イシコフ漁業相御自身は十七日から今月いっぱいお留守となるということでございまして、大臣間の折衝というものは今月中はなかなか見通しが立たないという状況でございます。訪ソいたしております随員一行も、恐らく鈴木大臣とともに帰ってこられることと思うのでございますけれども、その後のことは外交折衝でまた先方と打ち合わせを要することと、こう思っております。 以上でございます。
○小柳勇君 イシコフ漁業相は来月の上旬ごろまで外国旅行のようでありますが、いまの推測では五月上旬ごろまで再交渉はないのではないかと推測されますが、その間におけるサケ・マスの漁業など、日本の漁業は大変な問題であります。この問題に対する補償金額など推定されておるのか、あるいは漁民に対しては、いまお話がありました。その他、日本のたん白資源の問題など、けさも関係閣僚御相談になったようでありますが、もう少し具体的に国民が安心するようにお話しを願いたいと思うんです。総理からお願いしましょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 日ソ交渉は不幸にして中断となったわけであります。その間、私どもが非常に心痛しておりますのは、もう一刻も早く交渉が妥結いたしまして出漁をいたしたいと待機しておるところの漁民の問題であります。この漁民に対しまして、もう政府としてはできる限りの対策を講じなければならぬというので、けさ大蔵大臣を交えまして関係閣僚を参集してその対策を決定したわけでありますが、これら交渉の遅延に基づきましてこうむるところの漁民の損害、これに対しましては必要な万全の措置を講ずる、こういうことを考え、決定したわけです。その措置があるいは財政措置ということもありますが、また金融措置ということもあります。いろんな措置はありまするけれども、さしあたりもうすぐ手を打たなきゃならぬそれは、そういう政府の大方針を踏んまえまして関係金融機関において特別の緊急融資を行ってつなぎをとる、こういうことでございます。
○小柳勇君 急激に好転するようなこともいま考えられないのでありまして、国会もあるいは政府も一体となってこの問題早期解決のために努力しなければなりません。いま総理並びに関係大臣から言われました対策を早急に立てて安心さしてもらいたい。そして次の再交渉が早くできてよい結果ができますようにしてもらいたいと思うんです。きょうだけでは問題解決しませんから、次の問題に移ります。 次は、朝鮮半島における両国の平和的統一の問題であります。先般、日米首脳会談でもこの話がありました。われわれとしては、いま日本のとるべき道は、北の方は敵で南は味方だといういままでの従来の観念は捨てなければならぬ、アメリカのカーター大統領が、人権外交と言っていま両国の平和的統一を推進すべくやっておられる。総理はどういう決意で両国の対話を進めるように御努力になるか、お聞きいたします。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、日米会談におきましてもカーター大統領に申し上げたんです。朝鮮半島の理想的姿は、これは南北が平和的に統一されることである、これを目指すべきだ、こういうこと。しかし同時に、今日朝鮮半島の平和が保たれておるという現実の姿はどこからきているかというと、南北の均衡、これからきておるんだ。それから、当面といたしましては、この南北の均衡が破れて、そして朝鮮半島に混乱が起きるという事態を防止しなければならぬ、こういうふうに考えると。同時に、南北の間に緊張というか対立がある、その中でも対話が始まるという状態が好ましい、その環境づくりには努力をいたしたいと、こういうお話を申し上げておるわけであります。そのとおりの考え方で朝鮮半島には対処していきたい、かように考えております。
○小柳勇君 総理は、いま韓国で進められつつあります民主救国憲章の署名拡大運動など、いわゆる民主化運動に対してどのような見解を持っておられますか。
○国務大臣(福田赳夫君) お話しの民主化運動の実態につきまして、私もつまびらかにこれを承知しておりませんけれども、やっぱりこれは、一国の国内における内政上の問題に他国の方からあれこれと批判する。これはまたそれなりに好ましからざる影響もあろうかと思いますので、その点は私の見解をここで申し述べることを差し控えさしていただきたい、かように考えております。
○小柳勇君 カーター大統領の人権外交は、推測するところ、キリスト教精神のいわゆる人権外交であろうと思うし、したがって、韓国のいまキリスト教徒を中心にする民主化運動に対しては黙視できないのではないか、そういうものを踏まえておかなければ、今後の問題を正確に、日本のつき合いもできぬのではないかと思うが、この国会で日韓癒着の問題が論議されました。そのときにわれわれが頭にきますのは、南ベトナム政権が倒れまして、あの政権の崩壊、腐敗、堕落、そういうものが明らかになったのでありますが、いま私は、いまの朴政権がそうだとは断言いたしません。ただ、日韓癒着の中でわれわれが感ずるものはそうでありまして、カーター政権、カーター大統領が南北の両国統一を叫んでおります。その中にはそういうものもあると思う。したがって、この国会で日韓癒着問題が追及されたものを受けて、今後日韓関係、特に経済的なものも含んで正常化する必要があると思うが、総理の見解を聞いておきたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 朝鮮半島は南北のバランスの上でいま平和が保たれておると。まあ北の方は中国なりソ連なりその他の国々がこれを承認をいたしておる。また韓国につきましては、わが国、またアメリカ、こういう国々が承認をいたしておる。そういう国際構造の中で、北は北なりに北と関係のある国々と大きな関係があるが、また国交のない国々に対しましてはそう大きな関係はないというような実情になっておるわけです。わが国の韓国に対する立場もそのような裏返しの関係になっておる。そういう状態であります。私は、朝鮮半島の平和のためには、南北がそういう形でバランスがとれておる、そのバランスに大きな影響を与えるということは、今日この時点とすると妥当ではない。そういうふうに考え、韓国とは国交を持っておる国といたしましてのつき合いを、これは堂々とやっておる。同時に、北に対しましては人事の往来、文化の交流、また、ささやかでありまするけれども経済上の接触、そういうものを持ちながら友好の関係を進めておると、こういうことで、現状とするとそういう行き方をとるほかないんじゃないか。一挙に平和統一といっても、なかなかそういうわけにはいかない。南北が分かれて対立しておる、そういう中でも、だんだんとわれわれ朝鮮半島をめぐる利害関係国が、南北がまずまずとにかくその対立の中にも対話ができるような状態をつくっていくということが大事じゃないかという考えのもとに、私どもはこれからも行動していきたいと、さように考えております。
○小柳勇君 外務大臣にも、朝鮮半島における朝鮮民主主義人民共和国と韓国との関係を平和的に統一していくということは、日本の一番緊急な外交問題ではないかと思いますが、この点に対する見解をお伺いいたします。
○国務大臣(鳩山威一郎君) ただいま、福田総理から御答弁のありましたように、究極的には、南北朝鮮の平和的な統一が本当に望ましいという気持ちには変わりないわけでございますが、現実問題としてはなかなかそこまで現実が進んでないという、総理と全く同じ見解を持っておるところでございます。 現状におきまして、南北の対話を何とかして再開すること、また国連等の場におきまして、その専門機関等におきましては、南北の同じ問題を討議するような場もあるわけでございますけれども、こういうような場を通じまして、次第に南北間の対話が進んでいくということをしばらく見守ることしか、現状においては考えられないのではないかというふうに考えております。
○小柳勇君 重ねて総理に聞きますけれども、南北の両国の対話を進める糸口などをどういうところに求めようとされておりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、対話は当事者がおるわけですから、南北の当事者、南北がそういう気持ちになるということがかなめであると、こういうふうに思うのでありまして、そういう気持ちに南北がなるという環境づくりに私どもは協力して差し上げるということが大事じゃあるまいか、そういうふうに考えております。
○小柳勇君 アメリカの政権などは積極的に代表など派遣して話し合いを進める方向で動いております。日本の政府としてそのような気配を感じないんですか。その点いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 日米会談ではそのような気配を私は感じませんでした。
○小柳勇君 先般、韓国にアメリカの代表など訪問いたしております。米国の代表が韓国の政府との話し合いで平和外交を進める方向で動いているとわれわれは受け取っておるんですけれども、すでにアメリカの陸上軍が韓国を撤退し始めております。そういうものもカーター大統領の平和外交の一環だと考えますが、いかがですか。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 私も総理のお供をいたしまして、バンス国務長官等とその機会にお会いすることがあったわけでございますけれども、これからアメリカ政府といたしまして朝鮮問題につきましてどのように取り組むかということは、従来と変わったような政策が打ち出されるというようなことは、まだお話がなかったわけでございまして、今後の問題であろうと、こういうふうに考えております。
○小柳勇君 いずれにいたしましても、これからの日本の一番近隣であります朝鮮半島の平和統一というものは、大きな日本民族の課題でありますから、最善を尽くして努力していただきたいと思います。 次は、貿易の問題に入ってまいりますが、五十一年度の輸出、輸入の実績から見まして、総理が言っておられる経常収支七億ドルの赤字になる経済運営はなかなか困離ではないかと思うんですが、この点に対する経済企画庁長官の見解をお聞きしましょう。
○国務大臣(倉成正君) 経常収支の赤字の問題でございますけれども、これから先の五十二年度の輸出というのは、世界の貿易の伸びがだんだん減ってまいりますから、これに応じてわが国の輸出も減ってくるであろうと、また景気の上昇によりまして日本の輸入もふえてくるということでございますので、それからもう一つの要件としては、貿易外の収支がやはりわが国は経常的に赤字でございまして、これがまたふえてくると。そういう要件がございますので、的確な七億ドルの赤字ということはいろいろ問題があろうかと思いますが、おおむねそういう経常収支の赤字という程度でおさまると、そういう感じでございます。
○小柳勇君 最近の経済情勢を見まして、輸出、輸入とも政府の見込みとずいぶん違っておるように思います。国内経済については後で触れますけれども、現状からいけば国内景気の六・七%の実現も不可能であろうし、また経常収支が赤字になるということについては見通しできないのではないか、そういう見解でございます。国内経済の方はあとでですね。 したがって、どういうふうな措置をとって、輸出、輸入について、今度総理が日米首脳会談に行かれるそのときに日本の貿易に外圧がかからないように、どういうふうな施策をとられますか。
○国務大臣(倉成正君) ただいまもお話しをいたしましたとおりに、まあ現在の輸出の状況はまだかなり高水準であることは事実でございます。しかし、円高ということもございまして、若干輸出のかげりの出ている業種もございますし、また二月の通関輸出を見ますと、船舶を除きますとマイナスの二・〇ということが前月比で出ておる次第でございます。OECDの見通しを見ましても、大体五十一年と五十二年度と比較しますと、半分の世界の貿易を見ているわけでございます。したがいまして、輸出が五十一年度のように大きく伸びるということは世界の情勢から考えられないということでございます。 それから先ほども申し上げましたけれども、貿易外の収支というのがやはり恒常的に日本の貿易構造で赤字でございまして、これはやはりふえてくるという感じがいたしておるわけでございます。また、景気が回復してくるということになれば輸入がふえてくるということは当然でございますから、全体として輸出、輸入のバランス、また貿易外収支ということを考えてまいりますと、ことしのような経常収支の大幅な黒字ということはあり得ないと、そう考えておる次第でございます。
○小柳勇君 通産大臣、いまの点、五十一年度は輸出六百六十七億ドル、輸入五百七十九億ドルで八十八億ドルの出超でございますが、これからの経済運営、特に外国貿易などで経常収支が赤字になるといまの段階では考えませんが、日本の貿易に対するどういう指導をやられるか、輸出、輸入ですね。通産大臣の見解を聞きたいんです。
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。 ただいまの企画庁長官のお話のごとくに、ただいま為替レートが非常に高くなっておりまする関係から、必然的に輸出を抑制しまた輸入を促進して、結果として貿易の黒字幅を縮小させるような効果を持つものでございますけれども、貿易の動向は、貿易の実態また商品需給動向など、為替レート以外の要因にも影響をいたすものでありまして、円高によりまする貿易のバランスに及ぼす影響を見通しますには、いましばらく事態の推移を傍観する必要があるのではないか、かように存じておりまするが、しかしながら、わが国の、御案内のとおりにあらゆる食糧以外の資材、原料を海外に求めておりまする関係から申しましても、貿易それ自体のいわゆる拡大均衡ということに向かいまして全力を挙げたいと、かように存じております。
○小柳勇君 総理大臣に伺いますが、この貿易のバランスというものですね。いま日本が今日まで輸出を中心にして経済を成長さしてまいりました。ところが、それによって外圧が非常にひどい。しかし、日本は品物を売って経済成長——生きていかなきゃならない。したがって、日本の貿易のバランスというものは総理はどのようにお考えでございますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 基本的には、わが国は貿易がかなり大きな黒字でなければならない国であります。と申しますのは、一つは石油を世界じゅうのどの国よりも多く輸入する国であります。産油国に対しまして百億ドルを超える赤字になっちゃうんです。これを他の国でカバーしなけりゃならぬ、こういう特殊事情がある。 それからもう一つは、恒常的に貿易外収支が赤字なんです。大体七十億ドルぐらい赤字、合わせますと百七十億ドルの赤字になる。そうしますと、それも貿易によってカバーしなけりゃならぬ。そういうことで輸出貿易、非常にこれはわが国の経済を維持する上に大事なことでありますが、私は国際収支の問題は、これは貿易だけで見るべきものじゃないということを国際社会に対して強調しております。貿易外収支もまた含めて、いわゆる経常収支において論ずべきものである。この間日米会談におきましても、私はカーター大統領に対して、貿易外収支、これはアメリカに対して赤字が二十数億ドルあるんです。毎年毎年あるんですからこのことも考えておいてもらいたい、こういうことを力説しておいた。それから同時に、貿易のバランスの問題はある一年についてこれを論ずべきものじゃない、数年間をとって論ずべきものである。現にアメリカに対しましては数年前は貿易上赤字だったんですから、それが、時の両国の経済関係で貿易がわが方に黒になることもあるし、わが方に赤になることもある。しかし、数年間をとってやや中期的に見て均衡がとれればそれでいいのではありませんかと、こういうことも申し上げたわけでありますが、問題は、私は反省しなけりゃならぬ点があると思っておるんです。それは、わが国の商品が集中豪雨的にある一地区に対しまして殺到するということは、それはかなり相手国を刺激し、相手国に混乱を起こすと、こういう問題があるんですよ。この点は私は本当にわが国として気をつけなきゃならぬところである。諸外国から指摘を、ある種の品目につきまして受けておることはまことに残念でありますが、今後そういうことのないように注意してまいるということがかなめでなければならぬと、かように考えております。
○小柳勇君 外貨保有高百七十億ドルというのが一番いま大きな問題であろうと思うんです。円高の原因などもそういうところにあると思いますが、この二国間のバランスを考えるのか、世界的なバランスを考えるのか。貿易して全部日本に持ってきて金を、ドルをためる、そういうところのあり方を変えなければ、将来なお輸出はしなきゃならぬ、しかし、外国からは外圧がかかるということで圧力がかかると思うんですけれども、二国間のバランスを考えていくのか、世界的な日本のバランスを考えていくのか、この点いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) まあそれは双方を考えなけりゃならぬだろうと、こういうふうに思うんです。わが国はとにかくアメリカに次いで第二の工業国と、こういうことになっておるわけでありますから、わが国のとる施策、これはもう世界に影響があるわけです。世界の中での日本の貿易ということで考えなけりゃならぬ一面もあると同時に、そればかりじゃ足らぬと思うんです。二国間におきまして相手に輸出が過剰であって、そうして相手国の就業の状態だとか、あるいはその他の問題について混乱を生ぜしめるということであってはならない。双方にらみ合わせながらやっていくと、こういうことだろうと思います。
○小柳勇君 今度先進国首脳会議に行かれますが、先般アメリカに行かれました後のワシントン・ポストで、三月二十二日号ですけれども、しかし、何よりも働くために輸出しなければならない島国の人々の能力であると、こういうことをアメリカでも論評しておりますけれども、先進国首脳会議で、日本は品物をつくって売らなければ生きていけない国だということの基礎の上に、エネルギー問題なりその他貿易問題を話していただかなきやならぬのじゃないかと思うのですけれども、その点いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) もうそれは当然のことでありまして、そのことは常に強調いたしておるわけです。同時に私は、昨年五十一年度はああいう世界情勢の中でわが国の輸出がちょっと伸び過ぎたと、こういうふうに思います。まあ百億ドルを超える輸出超過、経常収支におきましても四十億ドルの経常収支の黒を出すと、こういう状態。世界じゅうがいまドルを産油国に召し上げられるわけです。油の値段が急に高くなった、そういう関係で産油国に外貨が集中する。そういうことで、産油国でない国は大方国際収支に非常に窮屈な状態になるわけであり、特にその中でも石油を産出しない開発途上国、その困窮は本当に名状すべからざるような状態だろうと思う。そういう中で、それほど大きな黒字をわが日本が出すということにつきましては、これは反省しなければならぬというふうに考えまして、五十二年度におきましては、まあ経済見通しでは七億ドルの赤字ということにしております。まあ経済政策ですから、ぴったり七億ドルというところにいくかいかないかわかりませんけれども、大体そういう気持ちで、黒字でなくってまあ均衡かやや赤字、その程度になるようにという経済指導をしていきたいと、こういうふうに考えております。
○小柳勇君 貿易と同時に経済協力の問題も、先般のこの委員会でもずいぶん批判がなされました。他の先進諸国に比べて、日本のGNPに比べて大変低いと、そういう援助も貿易をする上で日本を厳しく批判しておると思うんですが、その経済協力も、外国の政権なり政府を利して、あるいは一部の指導者を利して国民大衆の利益にならないような経済協力は排除すべきであると思うが、いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) まあそういう基本的な考え方でいくべきだと思います。ただ、国民と申しましても、それを代表しておりますのは当該国の政府でありますから、政府を相手にして交渉が行われる、これはまあ避け得ざるところでございます。しかし、気持ちといたしましては、やっぱりわれわれが経済協力をするその相手の国がその国を本当に安定させるんだという自助努力、これが必要だろうと、それから一つの一定の計画を持っておる、これも必要だろうと思うんです。そういう国々に対しまして、その国の国民経済がそのようになるようにという配慮で経済協力はしていかなきゃならぬ、こういうふうに考えております。
○小柳勇君 貿易の問題で、先般シベリア開発でガスを日本で輸入するという話がありました。また先般、中国の石炭を輸入するという経団連の約束もあったようでありますが、そのお話を聞きたいんです。通産大臣。
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。 経済協力の中におきまして、対ソ関係のヤクーチャの天然ガスプロジェクトにつきましては、現在日本及びアメリカがソ連に資金の貸し付けを行って、ソ連側が探鉱中でございまして、今後さらに探鉱に二カ年間程度の時日を要すると存じております。その後の開発計画は、日米ソ三国間の検討課題と相なっておりまして、具体的には日本へ輸入されてくる時期を現段階では見通すことはちょっと困難であろうと存じます。 それからもう一点の、先ごろ経団連が中国に参りまして石炭の契約をしたようだがというふうなことも、また石油の問題もございますが、去る三月の三十日から四月の四日まで、経団連の訪中代表団、土光団長以下が中国を訪問いたしました。その際に、長期協定を結んで、中国から石油、石炭を輸入して、日本からはプラント建設資材等を輸出するというような合意がなされたと聞いておりまするが、ただ、ただいま基本的に考え方につきまして合意されたのみでありまして、具体的内容につきましては今後の検討を待たなければならぬと、今後、日本側といたしましては日中経済協会、中国側といたしましては対外貿易部をそれぞれの窓口としまして実際の進め方が話し合われておると、かような報告を受けております。
○小柳勇君 日本の自動車産業など外国輸出する、一生懸命努力をいたしておりますが、たとえばシベリアのいまの開発のバーター、あるいは中国石炭に対する貨物自動車などのバーターなど、通産省でお考えになっていることございますか。
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。 共産圏貿易の場合におきましては、バーターシステムが相当用いられておるようでございまするが、なお、これらのプロジェクトにつきましての具体的なバーターにつきましては、担当の政府委員がおりますのでお答えいたします。
○政府委員(矢野俊比古君) 現在シベリア開発の中で、南ヤクートの原料炭開発プロジェクトがございますが、これにつきましては、現在これまで約五百億円ばかりのダンプトラックあるいは貨物トラック等の輸出が行われてございます。今後、先ほどの御指摘のありましたようなLNG開発というものに絡みまして、開発段階になればこういった自動車関係の輸出というものも考えたいと思いますし、それから中国の石炭、石油関連としましては、現在向こうが日本に期待しておりますプラントについて特にこういった要請はございませんけれども、今後の、先ほど大臣が御答弁いたしましたように、実務的にいろいろ進むと思いますから、そういうときにも十分御意見を反映さしていただきたい、こう思っております。
○小柳勇君 これは大蔵大臣に質問ですけれども、非産油発展途上国の累積債務への融資についてはいかがお考えでございますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 発展途上国の累積債務ですね、これは大変な額に上ってきたんです。石油ショック以降特にそれが増加いたしておるわけなんです。これを一体どうするかということは、いま国際社会において大変な問題でありますが、さあ棒引き論なんというのもありますが、棒引きになったら、もう棒引きされるような国に次の融資はしないというような問題も起こってきて、そういう考え方はなかなかむずかしいなというふうに言う人が多うございますが、そういうことでなくて、何か累積債務を消すように、それらの国の経済の発展に対して協力をするというようなことが有効ではないかというような意見もまた出てきておるわけです。あるいは、とにかく累積債務問題はむずかしい問題であるから、ケース・バイ・ケースで、この問題はその国の事情によって処理すべしというような有力な意見も出ておると、こういうような状態でありますが、この問題はそう簡単に結論の出ない問題じゃないか。そういうふうに見ておりますが、それに関連いたしまして、そういう苦しい国々に対しまして金融でつなぐ、そのためにIMFというような機関を通じてするという考え方のもとに、IMF資金の充実をしたらどうだろうと、新たに相当額の充実をしたらどうだろうと、こういう意見もあるなどいたしまして、諸説紛々、そういうような状態でありますが、だんだんとそういう中で国際世論の動き等も見ながらわが国の考え方を固めていかなきゃならぬと、こういうふうに考えております。
○小柳勇君 今度の先進国首脳会議で、当然総理に対する、そういう日本に対する諸外国の意見、要望が出ると思うのですけれども、総理としての御見解はどうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) これは世界に対するわが国の責任、こういう問題もありまするが、同時に、その責任を果たすためには国民の負担、これにも非常に大きな関係がありますので、まあこれはそう簡単にこうしようと、こういうわけにはいかぬだろうと、こういうふうに考えておりますが、こういう問題は皆さんと話をしてみて、そうしてその中でこういうふうにいこうというような結論がおのずから出てくるのじゃないか、こういうふうに思いますが、私は国民の負担ということを一方において考え、同時に国際社会において日本も日本なりの責任も尽くさなきゃならぬ、そういう二つの中でどういう案がいいかということにつきましていろいろ出る意見、わが方としても考え方を固めていかなければなりませんけれども、わが方だけの意見で通るわけにもいかぬ。皆さんの意見も聞いて妥当なところで結論を得たらどうだろうと、かように考えております。
○小柳勇君 経済協力と労働問題で一問だけ質問しておきたいのですが、外国における日本の進出企業は、外国の労働者を使う場合も、少なくとも日本の最低賃金ぐらいは支払って——それでも失礼ですけれども、日本の労働者の賃金に見合う賃金を支払って、ドルを減らし、かつ諸外国から信用を得るべきだと思うが、いま日本の進出企業の労働問題が厳しいときでありますが、労働省の見解を聞きます。
○政府委員(関英夫君) お答え申し上げます。 海外に進出しておりますわが国の企業がその国の経済発展に十分貢献し、労働問題でトラブルを起こすことなく事業活動を行いますためには、その国の法令を遵守いたしますことはもちろんでございますが、やはりその国の労働慣行等を、賃金問題を含めまして、十分尊重し配慮して経済運営を行う必要があろうかと思います。 このために、労働省におきましては、日本労働協会を通じまして、公労使の三者構成によります調査団を東南アジア等に派遣いたしまして、その国の労働事情、労働慣行等を十分調査いたしまして、その成果を公表し、あるいは個別の相談業務に応ずるというような形で企業及び関係労使を指導しているわけでございます。また、さらに国内におきましても、政労使から成ります多国籍企業の労働問題連絡会議を開催いたしまして、関係労使の意思疎通あるいは相互協力、こういうものを一生懸命やっているところでございます。そういうことによりまして、進出先の労働慣行、こういうものを乱すことなく事業活動が円滑に行われることを期待いたしております。
○小柳勇君 外務省、外務大臣に質問しますのは、青年海外協力隊が出ておりまして、先般アフリカでも会ってまいりましたが、大変評判がいいわけです。アフリカなどの学生が日本に留学して帰っても、全然基盤が違うので活動できないけれども、日本の青年が向こうへ行って十分その地域に入りまして活動している。それがボランティア活動で現在百七十ドル、四万七千六百円ぐらいしかその援助がないわけなんです。だから、これからの経済協力ベースの一環としてもっと活発に日本の優秀な青年を発展途上国に出して、そしてそういう人たちに一緒になってその国の経済を発展させる方向に政府は考慮すべきだと思うが、いかがですか。
○政府委員(菊地清明君) お答え申し上げます。 青年海外協力隊につきましては、全く仰せのとおりでございまして、ただいままで累計で二千人ぐらい出ております。アフリカ、主として北アフリカの方、それからアジアの方は、昔はラオスに一番多く出ておりました。そういう人たちが、その国の青年と同じような生活をしましてその間に技術の移転をするということで、大変先方からも高く評価されているところでございます。 御質問の手当といいますか、それにつきましては、現在月額百九十ドルということになっております。これは低いではないかということもあると思うのでございます。御意見もあると思いますけれども、いま申し上げましたように、相手国の青年と同じレベルの生活をして、同じような生活環境でやるということでございまして、まあある意味で意識的にそういうふうな水準に抑えているわけでございます。ただ、それで生活に困るというようなことがあっては困りますので、逐次これを上げておる。前回百七十ドルでございましたが、それが百九十ドルになっております。
○小柳勇君 海外協力の最後はベトナムに対する協力ですが、ベトナムはまだ日本を本当に仲間と考えていないような論評もありますけれども、大変、発展途上国として厳しいですが、ベトナムに対する経済援助あるいは経済協力についてはいかがですか。
○国務大臣(鳩山威一郎君) ベトナムにつきましては、わが国といたしましても、たしか合計百三十億円の経済協力を実施してきたところでございますが、今後ベトナムとの関係におきましては、過去の債権債務をどのように解決するかという問題が残っておりますが、今後ともこれからの援助方針につきましては検討をしてまいりたいと思っております。
○小柳勇君 経済企画庁長官に聞きますが、いまの日本の現状、円高のこの状況に対して何か特別に考えておりますか、経済企画庁としては。
○国務大臣(倉成正君) お答えいたします。 為替の相場は為替の需給関係で決まるわけでございまして、今日の円高は日本の輸出が好調であるということが大きな背景になっていると思います。したがいまして、為替の実勢に任せるのが筋ではなかろうかと思っておる次第でございます。
○小柳勇君 日銀総裁、お見えになりましたが、この円高に対して特に日銀として何かお考えになっていることございますか。
○参考人(森永貞一郎君) お答えいたします。 御承知のように、いまフロート制下にあるわけでございまして、市場における為替需給によって円の相場が決まる。その間、投機的な動きあるいは一時的な資金の流出入などによりまして乱高下的な動きがございますときには、それをならす意味でのオペレーションもいたしておりますけれども、原則はやはり市場の需給によって為替相場が形成されるのにゆだねるということであるべきかと存ずる次第でございまして、そのようなつもりで運用いたしております。昨今、二百七十円ぐらいの相場も出かけましたが、その後また少しドルが強くなりまして、今日は二百七十三円がらみのところでおるようでございますが、落ちついた市場の需給関係が望ましいわけでございますけれども、相場そのものにつきましては、人為的な介入をすべきものではないと思っておる次第でございます。
○小柳勇君 総理大臣に質問ですが、現在の景気をどう感じておられますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 景気は、全体といたしましては緩やかな上昇過程に動いておると、こういうふうに見ております。ただ、これが六・七%成長ということを五十二年度は期待しておるわけでありますが、それに対しましてははずみをつける必要がある、こういうふうに考えまして、いま御審議を願っておる五十二年度予算、それから、すでに可決いただきました五十一年度の補正予算、これはいずれも公共事業を非常に重視しておると、こういうふうになっておるわけです。で、いよいよ十六日に一五十二年度予算が成立をするということになりましたら、これを、そのうち公共事業につきましては上期に集中して、集中と申しましても全部というわけにはまいりません、七割前後と考えておりますが、それくらいは上半期中にこれを発注する。しかも、それもなるべく早くこれを発注するというようなことを考えておるわけであります。そういうことになりますと、これから先々はかなり景気は上昇カーブに転じていくと、こういうふうに見ております。しかし、それが望ましい上昇カーブを描かないというような際におきましては、その際はその際で、私は機動的、弾力的な対処をしていくと、こういう考えでございます。
○小柳勇君 経済企画庁長官、いま総理も、景気が基調として回復過程にあると言われましたけれども、おたくから出している資料を見ましても、回復過程ということは想像できないわけです、この政府が考えている指標などを見ましても。経済企画庁長官はどうお考えですか。
○国務大臣(倉成正君) 総理からただいまお答え申しましたとおりに、基調として回復過程にあることは間違いないと思います。具体的に申し上げますと、大体昨年の七項目並びに補正予算の効果というのがやはりことしに入ってからずいぶん出てきておるわけでございます。したがいまして、指標で申し上げますと、たとえば住宅の着工戸数を見ますと、五十二年の一月は前月に比較しまして一四・六%伸びておると。それから、公共事業の請負金額が前年同月に比較いたしまして、一月が六・三、二月は一八・四、三月は四二・二ということで、非常に大きく伸びておるわけでございまして、これは昨年の七項目並びに補成予算の効果が如実にあらわれておるものと思うわけでございます。また輸出も、先ほど申し上げましたようにかなり高水準であるわけでございまして、マクロとしては伸びておると、これは間違いありません。しかし、今日の景気は、御案内のとおり構造的な要因を抱えておりますので、業種別、企業別、地域別には非常に不況感を持ったものがあると、これが全体の景気感を引っ張っておるというのが実情ではなかろうかと思うのでございます。
○小柳勇君 昨年の一月の本会議で、私は公共投資をしても景気はよくなりませんよと言った。そのとおり去年の暮れまで景気はよくならなかった。ことしまたこの予算で公共事業に三兆八千五百五十二億。四十九年から三カ年、五十一年までの計が八兆五千三百十二億です。これだけ公共事業に投資しましても、民間の皆さんは、いま総理や経済企画庁長官がおっしゃったようには言わぬわけです、みんな。消費者もそれから企業家も、不景気ですと、もう大変だと。皆さんが景気、景気と言っているからなおどうも個人消費がふえないという私どもは見解を持っているのです。 日銀総裁にお聞きしますけれども、先般支店長会議をおやりになって各地の景気状況などをお聞き取りのようでありますが、その状況をお話し願いたいと思うのです。
○参考人(森永貞一郎君) 今週前半、三日間にわたりまして支店長会議をやりましたが、各地の報告は、地域により、また業種により、あるいは企業により、跛行性がかなり顕著になりつつあるようでございますが、おしなべて申しますと、この回復路線から踏み外してはいないものの、そのテンポはきわめて緩やかでございまして、いわば足踏み的な状態が続いておるということでございました。ことしになりまして輸出がかなりの伸びを示したわけでございますし、また住宅も少し持ち直しておる。さらにはまた公共事業費等の支出も促進されるというプラスの面もあるわけでございますけれども、設備投資ないしは個人消費につきましてはどうも盛り上がりに乏しいのではないかということでございました。それを受けまして、一時この収益もかなり回復の傾向を示しておりましたのでございますが、少し改善のテンポが鈍りそうな感じでございます。そういう状況のもとに、企業心理はむしろ実体経済以上に少しかげりが生じつつある、明るさが余り見受けられなくなっておる心配がある。そのことが実体経済にどういう影響を及ぼすかというような意味で少し心配であるというようなことでございました。しかし、この今年度の予算が成立いたしますれば、政府で計画しておられますように、前半に前倒し的に支出が行われる、そのことに対する期待が大変強いわけでございますし、さらにまた私どもの方では三月十二日から公定歩合を下げましたが、その貸出金利への影響、浸透状況は思いのほかピッチが速いような感じでございまして、金利負担もだんだんに下がっていくと。そういうことが当面のこの経済情勢にそれなりにいい影響を及ぼすであろうということの期待が強かったというのが、支店長会議全体を通じましての私の得ました感触でございます。
○小柳勇君 日銀の対民間財政支払いを調査してみましたら、五十一年の三月は六兆七千八百九十四億円、五十二年の三月は八兆九千七百十三億円、二兆円もことしは、この三月は支払っておる。にもかかわりませず株は下がっておる、株はよくなりません、不景気ですね。三年続きで公共事業、公共事業とこう一つ覚えでやってまいりましたけれども景気はよくならないと。たとえば、アパートをつくりますというとセメントや鉄筋が要りますけれども、その材料であるセメントも操短、あるいは平電炉など、鋼材をつくる産業がこぞって赤字です。で、公共事業と言いましても、この滝の上に雨が降りますと、滝の水はふえて滝のつぼには大きくなるけれども、この水の奥の方の岩にはちっとも水がしみないという、そういうものを感ずるわけです。三年続けてどんどん、どんどん雨が降って水は流れたけれども、わりと肝心の滝つぼの横の方は干からびているという、そういう印象をしてならぬのです。平電炉もそうです、繊維もそうです、合板もそうですね。公共事業にうんとそうすればそういう産業はさあやるぞと言わなければならぬのに、そういう人がちっとも言わないし、株も下っています。そういうものを総理はどうお考えになりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) これは、いまの生産水準は大体石油ショック前の状態まで回復してきておるわけです。そうなりますと、この設備さえふえなければフル稼働という状態になるわけでありまするが、その間、やっぱり設備投資が毎年毎年あるわけでありまして、したがって、設備と生産との間のギャップ、これがまだある、こういうような状態でありますので、つまり別の言葉で言いますれば、設備過剰というような状態がまだありますので、それが特殊の産業につきましては強く出ておる。そういうことで設備投資というものがいままで意欲として起こってこない。これからしかし、大体そういう段階を越えまして、設備投資意欲もまた起こってくるという状態に徐々になっていくだろうと、こういうふうに思いますが、一番問題は、いまとにかく三年続きの不況であります。高度成長期に比べますと、長い長い不況です。普通の状態でありますれば、不況というのは半年か一年で回復できるわけなんでありまするが、今度は石油ショックというあの異常な事態下における不況でありまするから、不況が長引いている。そうすると、その間、設備の遊びが出てくる、あるいは人件費の遊びが出てくる。こういうようなことで企業の収支が悪化する。その悪化に耐え切れないという状態に大方の企業がある。これが私は不況感の実態ではないか、こういうふうに見ておるわけでありますが、やっぱりこの辺でかなりの需要を喚起して、徐々にではあるけれども設備投資を誘導、意欲を誘発するというような状態に持っていくことが必要である。いまとにかく世界じゅうがあの石油ショックで大混乱のさなかです。そのさなかの日本経済の動きとしてはまあまあ、私は世界でそう見ておるように、わが国としてもそう悪い状態ではない。ただ、ばらつきが多うございますから、そのばらつきの悪い面につきましては特別の手当てを必要とすると、そういうふうに考えております。
○小柳勇君 言葉じりをとるんじゃありませんけれども、その人ごとのように言われる総理のその姿勢が、私はいま景気がよくならぬ大きな原因じゃないかと思います。三年続きの不況だからとおっしゃるけれど、それは三年間全部総理が関係しておられるんですから、経済企画庁長官、副総理として。みずから三年間やってこられた景気が、なお景気よくならぬということですよ。それじゃどうしたらいいかと、発想の転換をしなけりゃ同じでしょう。今年度のこの予算が通りましても、景気はよくならぬというのが一般の見方ですね。新聞によりますと政府は不況対策を緊急にお決めになったようでありますが、それを御発表願いたいと思うのです。
○国務大臣(福田赳夫君) 先ほどから申し上げておりまするとおり、もう予算をとにかく早期に執行する、これが私は決め手である、こういうふうに考えておるんです。同時に、企業が長い間の不況で苦しんでおる、経営が悪化しておる。その悪化の一つの原因としては金利の問題がある。こういう問題につきましても、今後とも考えていかなきゃならぬ問題である、そういうふうに考えております。
○小柳勇君 もう少し正確に不況対策を発表願います、経企庁長官。通産大臣ですか、どちらでもいいですよ、政府の答弁として。
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。 去る三月十一日の経済閣僚会議におきまして、経済の先行きに対しまする信頼を取り戻す、同時にまた、景気の回復により一層これを確実のものとしなければならぬ。まず公共事業の早期の執行でありますとか、あるいはまた金利政策の推進、住宅建設及び民間投資の促進を内容といたしまする景気対策を出しましたが、なお、これだけではなく、ただいまるる総理からもお話のございましたように、予算が成立いたしますれば、これをできるだけ上半期に集中いたして、そうして資金散布をし、景気を誘導いたしたい。さらにまた、電力その他民間の投資におきましても、これを繰り上げることによりまして、五十一年度の下期か五十二年度の上期並びに五十三年度の分におきましてもこれを集中的に発注いたすことによりまして、相当程度の資金需要といいますか、喚起ができるのではないか。さらにまた、中小企業その他に対しまする対策におきましても、特に通産省の所管でございまするが、一昨日も倒産防止のための、関連倒産防止の処置を特に通達いたしましたり、政府系三機関あるいはまた信用補完制度の活用、同時にまたこれらの総合的な、都道府県にいたしましてもきめの細かい中小企業対策を行うことによりまして、ひとつ全面的な総合的な景気対策を打ち出しておるような次第でございます。
○小柳勇君 通産大臣がいま答弁されましたけれども、そういうところにやっぱり不況の原因、不況を克服できない原因があるんじゃないですか。総理がみずから発想を転換して、各閣僚をちゃんと握っておられて、特に景気の問題などは、経済企画庁長官でしょうからね、直接の責任は。いずれにいたしましても、後でまたやりますが、日銀総裁がいらっしゃいますから、日銀で、総裁がお考えになっておる景気対策、特に公定歩合の引き下げを、政府も日銀の方も新聞だけで了承いたしておりますから、公定歩合の引き下げについてはどのくらいか、その引き下げの額と、時期はいつごろか、お話し願いたいと思います。
○参考人(森永貞一郎君) 当面は予算の成立に伴う公共事業の上期集中、さらにはまた、三月に引き下げました公定歩合引き下げに伴う市中貸出金利の低下の促進、それがどうあらわれるかということを見守っておるところでございまして、次の公定歩合の引き下げにつきましては、ただいまのところ考えておりません。もちろん、今後の経済情勢の推移に即しまして適時適切な対策を講じなければならぬことはもちろんだと心得ております。
○小柳勇君 いま日銀総裁は公定歩合の引き下げは考えていないとおっしゃったが、総理はいかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私も経済の動きにつきましては目をさらのようにしてこれを見守っておるんですよ。それで何よりもとにかく公共事業の早期執行、これがかなめになる、こういうふうに考えているんですが、また金融政策も、これもまた一つの大きな景気対策の柱でございまするから、これは景気の状況をよく判断いたしまして、日銀総裁には適時適切に対処してもらいたいと、かように考えております。
○小柳勇君 けさの新聞で出ました政府の新景気対策の検討開始でありますけれども、公定歩合など大きなウエートになっておりますが、いまは考えておらないということですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、内閣をつくったその当初、五十二年という年は経済の年である、こういうふうに宣言しているんですから、経済の問題につきましては異常な関心をいま持っておるわけであります。適時適切な対策を講じましてね。そして国際社会もまたわが国の経済の動きを見守っておるんです。内外に対する責任を果たしてまいりたいと、こういうふうに思っております。
○小柳勇君 私の質問に答えてないわけです。私は公定歩合引き下げについていま聞いています。これは先進国首脳会議に行かれる総理が、この予算委員会はきょう終わりますから、これだけ黙っておりゃまあいいわいということじゃ済みませんよ。国会に相談をして、国会で論議をして、それを背景にして会議に出るというのが総理の姿勢でなきゃならぬと思いますよ。これだけはっきり各新聞に出ているんですよ、公定歩合の引き下げなど、あるいは四項目か七項目の対策が。私が二、三日前に質問通告を出しました。私は出したから全部これに合うように政府が考えたかなあと思って、いま質問しているんですけれども、全然木で鼻をくくるような答弁で、答弁になりませんですよ。じゃなぜ新聞はこういうのを書きますか。
○国務大臣(福田赳夫君) ちょっと見せてください。まだ見てないんです。
○小柳勇君 いや、各紙ですよ、これは一つです。そんなごまかしはききませんぞ。
○国務大臣(福田赳夫君) 先ほど申し上げておりまするとおり、私は景気回復、これは国民全体が念願しておると思うんです。それから世界もまたこれを見守っておると、こういうようなことで、景気をどういうふうにするか、対策をどういうふうにするか、これは日夜考えておるんです。いろいろのことを検討しておるということだけは申し上げておきます。
○小柳勇君 また、いろいろ具体的なものを掘り下げて午後論議いたしますけれども、あと五、六分ですけれども、日銀総裁もいらっしゃいますから、では日銀総裁、私の方は最後ですけれども、竹田君があと質問いたしますが、一いまこの景気を直すには、まず公定歩合を下げて、そしてみんなが仕事をやる意欲がないと、残念ながら三年続きの公共投資、公共事業一辺倒では、もうみんなそっぽを向いていますよ。日銀総裁としてはどうお考えでしょうか。もう一度お聞きしたいんです。
○参考人(森永貞一郎君) 最終需要が停滞をいたしておりますことが足踏みの一番大きな原因だと存じますので、需要を振興することが何より大切なことじゃないか。その意味で、景気対策の主役はやはり財政が担うべきものであるとは存じます。金融ももちろんお手伝いをしなければならぬわけでございますけれども、量的な意味ではもう緩和し切っておりますので、必要な資金は大体借りられるような状態が起こっておりますので、量的な面では問題はないと思います。ただ金利負担を少しでも軽減することによって、企業の収益をよくする必要があるのではないかと。そういう意味で三月に公定歩合を引き下げましたわけでございますが、その結果としての市中金融機関の追随は比較的順調にわりに速いテンポで行われるような感じでございまして、その点につきましては金融機関の協力に感謝しておる次第でございます。今後ともそういう面からの追随を完全に行いますよう、金融機関の協力を要請していくつもりでございます。 ただいまのお尋ねは、その上にさらに次の公定歩合をどう考えるかというお尋ねでございますが、これはもっぱら今後の情勢の推移によることでございまして、今日ただいまのところは具体的に引き下げることは考えておりません。しかし、もちろん今後の情勢を冷静に判断いたしまして、情勢に即し適宜、適切な対策を講じなければならぬことは当然だと心得ております。
○委員長(小川半次君) 小柳君の質疑中でありますが、参考人の御都合もあり、この際、竹田四郎君の総括質疑を許します。竹田四郎君。
○竹田四郎君 総理と日銀の総裁にお伺いをしたいと思いますが、去る十二日にアメリカの連邦準備理事会の議長のバーンズさんが講演をなさっておりまして、その中に九項目の提案をなさっておりますが、詳しいことは別にしまして、その概要は御承知でしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は承知しておりませんです。
○参考人(森永貞一郎君) 新聞記事で見ただけでございまして、まだ正確なテキストそのものは入手いたしておりませんが、新聞紙に伝えられるところは十分承知いたしておるつもりでございます。
○竹田四郎君 この九項目の提案について、わが国に関係ある項目というのはたくさんありますか、どうですか。
○参考人(森永貞一郎君) まず、この九項目のよって来る趣旨でございますけれども、世界の経済の現状はなかなか厳しい、その厳しさを打開していくためには、関係各国がエゴイズムに走ることなく、みんなで協調してこの難局を打開していかなければならぬという趣旨に出るものでございまして、その趣旨には私ども全面的に賛成でございます。 掲げられております九項目でございますが、アメリカ国民に対しての訴えの度合いが強いものもございますが、おおむね世界的な視野でのものでございまして、日本もいずれの項目につきましてもやはり関係があると、そういう重要な問題ではないかと。で、その九項目につきましても私はおおむねその趣旨には賛成でございます。きわめて当然なことを改めて訴えたものだとは存じますが、趣旨にはおおむね賛成いたしております。
○竹田四郎君 この中で特に私はお聞きしたいのは、「黒字国は貿易相手国の競争力が回復するまで自国通貨の価値を上昇させるべきである。」という項目がありますけれども、これはどのようにお考えでございますか。
○参考人(森永貞一郎君) ただいまの項目の、この「上昇させるべきである。」というのが、どういう言葉が使われておりますか、その言葉によりましてもいろいろニュアンスが違ってくると思いますが、私どもはこの主張を次のように受け取りました。フロート制下でございますので、各国が人為的に、技巧的に為替相場を上げたり下げたりする、いわゆる切り上げ切り下げはこれはできないわけでございますが、各国の国際収支の実力に応じて為替が上がったり下がったりする、それを人為的に余り妨げてはならない。特に黒字国におきましては為替が上がる傾向にあるわけでございますが、その上がる傾向を人為的な手段によってブレーキをかけるようなことはできるだけ慎んだ方がいいと、そういう趣旨だと理解をしておるわけでございまして、そういう理解がもし正しいといたしまするならば、私どもが為替政策に際してとってまいりました方針と全く一致するわけでございまして、現に日本は国際収支の実情に応じまして、円為替がだんだんに上がってきておるわけでございますが、それをやはり容認をすると、そういうことであると存ずる次第でございまして、賛成をいたしておる次第であります。
○竹田四郎君 時間がありませんので、総理にもお聞きしたいわけでありますけれども、午後にこれは回します。 そこで、日銀総裁のいまのお話は、おおむね私も理解するわけでありますけれども、先ほども御答弁ありましたように円高基調になって、この間二百七十円台にまでいったわけでありますが、一方、景気回復の問題があるわけでありまして、その景気回復の大きな問題点は、一つは輸出が大きなパートを占めておると思うのですが、この二つの問題は大変トレードオフ関係に私はなっていると思うのですけれども、世間でもいま二百七十円台、これでは国際競争力がなくなるんだ、こういうことを言っておりますが、総裁として現在の相場というのは大体国内の景気回復との関連でどんなふうにお考えでございますか。
○参考人(森永貞一郎君) 二百七十円台が出ましたときに、ひょっとしたら二百七十円を割り込むのではないか、そして、一体どこまで上がるだろうか。そういう意味で輸出産業の一部におきましては、採算上非常に困ったなというような感じの話も承っております。これは産業それぞれの事情によるものでございまして、一律には申せませんが、そういう困ってくる産業もある半面、また差益が出る産業もあるということでございまして、その辺のところがこの為替市場における需給ということを通じまして、万事うまいぐあいにバランスがとれる。それがフロート制のねらっておる為替相場の落ちつき方であるわけでございまして、為替相場における自由なる為替の需給に任せることによっておのずからその辺の均衡はとれるのではないかというふうに考えておる次第でございます。もちろん思惑的な要素ないしは一時的な資金の流出入によりまして乱高下的な相場が出現し、あるいは為替市場が混乱をいたしますと、これは大問題でございますので、そういうことがないようにという意味でのスムージングオペレーションを時として行うこともあるというようなことで、自然の均衡が見出されるようになる、その仕組みがフロート制であるというふうに考えておる次第でございます。
○委員長(小川半次君) 森永参考人には、御多用の中を当委員会に御出席いただきありがとうございました。御退出されて結構でございます。 午後は一時から再開することとしそれまで休憩いたします。 午後零時二十二分休憩 —————・————— 午後一時六分開会
○委員長(小川半次君) ただいまから予算委員を再開いたします。 午前に引き続き、昭和五十二年度総予算三案を一括して議題とし、小柳勇君の質疑を続行いたします。小柳勇君。
○小柳勇君 経済企画庁長官に質問いたしますが、午前中に申し上げましたように、公共事業に財政支出をやるだけでは景気がよくならないと、そのことが地方の企業家、消費者、現在の景気不況の原因はそういうところにあるんではないか。けさの新聞では、政府が新しい景気対策を検討しておると書いてありますから、経済の側からどういう考えを持っておられるか、お話し願います。
○国務大臣(倉成正君) この三年間の景気の動きを見てまいりますと、小柳委員御承知のとおり、四十八年は六・四と、それまでは一〇%近い高度成長を続けてまいりましたけれども、四十九年はマイナス〇・三%という初めてのマイナス成長を経験いたしたわけでございます。このときは卸売物価、消費者物価ともに二〇%を超すと、四十八年の国際収支の赤字は百三十億ドルという異常な状態でございました。特にエネルギー資源を海外に頼っておる、大部分を海外に頼っておる日本としては大変な事態であったと思います。これはアメリカや西ドイツの場合と大分事情が異なるわけでございまして、この三年間の間にとにかく国際収支は黒字になった、また物価も一けたになった、また成長の問題も、五十一年度五・七%はとにもかくにも成長できると、そして来年度は六・七%の成長を目指すということでございますので、これはやはり公共事業を軸とした政府の政策がやはりここまでもたらしたというふうにわれわれ評価しているわけでございます。しかし、もちろん公共事業がすべてではございません。すなわち他の需要項目が着実に伸びていくことが大事でございまして、個人消費、設備投資、住宅投資あるいは在庫投資と、こういうものが重なり合いまして経済成長を達成するものと考えているわけでございます。 そこで、いま小柳委員のお話でございますが、現在の景気に対してさらに新しい対策が要るのではないかという御認識でございますけれども、御承知のように、いまの景気というのはどうしても企業にとって収益が非常に回復が鈍い。これは一つは卸売物価が安定しているということで価格景気というのが出てこない、また円高が輸出産業にかなりある意味においては圧迫を加えている業種もある、また操業率が低いものですから固定費の負担があると、こういう状況だと思うのでございます。そこで、いま政府として考えている施策は、とにもかくにも五十二年度の予算を成立さして、先般の四項目において少なくとも七〇%の契約率を達成するということを、上期に集中して契約をするということを、国も公団も公社もあるいは地方財政にもお願いしているということですが、これがどこまでできるかということを大蔵省を中心として各省庁に、非常にきめ細かく、どの程度の事業ができるのか、どの程度の契約ができるのかということを大蔵省を中心にいまいろいろと検討していただいておるわけでございますので、最低七〇%、それ以上さらにできるかどうかというのが一つの問題でございます。それから、住宅投資については、九万戸の募集を四月中にいたすわけでございますから、これもかなりの効果が出てくると思うわけでありまして、先ほども申し上げましたように、七項目、補正予算の効果が出てくるというのが一月からこの三月ぐらいに顕著に出てきておるわけでございますから、この五十二年度の予算の効果というのは私はかなり出てくるんじゃないかということでございます。したがって、新聞等も私も細かく拝見をいたしておりますけれども、まあ金利政策その他についての推測記事は別といたしまして、特別いま政府が新しい政策をこれにつけ加えていまの段階でやるというようなことは載っていないわけでございまして、現在の四項目について最善を尽くしていくというのが基本的な姿勢でございます。もちろん、経済は生き物でございますから、その状況を見ながらこれからの政策を、あらゆる政策を動員して六・七%の成長に至るべく、忠切れがしないようにやっていこうということを、まあしばしば総理からも申されているとおりでございます。これが政府の基本的な姿勢でございます。
○小柳勇君 公共事業の財政支出を一つ例にとりまして、たとえば新幹線を計画いたしますね。するとその周辺の土地がうんと上がります。あるいは本四架橋をやろうとすると、あの辺の町の土地ももちろん上がりましょうが、フェリー業者は失業いたしますね。公共事業を財政支出することによって民間需要というのがぐっと下がるんじゃないかと。それは先般公聴会で、たとえば平電炉の鋼材が一千七百十万トンばかりできますと、四十九年、五十年、日本で売れないものを外国に出しまして、そしてやっとしのいできている。半分ぐらい外国に出している。で、三年間公共事業に財政支出しながら、それに使うべき棒鋼とか小型棒鋼とか、あるいは鋼板が不況になって売れないということ。及び日銀で三月末に八兆九千億も財政支出しておる、民間に支払っているにかかわらず、なぜいま、あれからずっと、出したら四月の株が下がっておるか、そういう点どう御判断になりますか。
○国務大臣(倉成正君) ただいま平電炉のお話がございましたけれども、平電炉につきましては、これは構造的に設備過剰の状況にあるわけでございまして、御案内のとおり四十七年、四十八年当時非常に過剰設備が行われておりまして、過剰設備、過剰雇用を抱えておると。そういう状況で非常に設備能力が余っておる、しかも多くの小さな業種の人たちがたくさん集まっている、こういう状況がいまの状況でございますから、これが公共事業ですぐ活発に大きく動くということは、なかなかそれは考えられない。やはり構造的な問題に対処していかなければならないと思うわけでございます。仰せのとおり、まあ非常に苦しいものですから、非常に採算ベースを度外視してでも輸出しなきゃならないということの事情は私も承知しておりますけれども、しかし、平電炉が全部動くような公共事業とかいうこと、あるいは他の需要項目を刺激しましても、今日の平電炉業界が全部潤うような形のものというのは、これはちょっとむずかしいんじゃなかろうかと思います。基本的に構造的な問題があるというのが大方の一致した見方でございます。
○小柳勇君 平電炉は一つの例として申し上げましたが、たとえば鋼板なり繊維なりあるいは化学なり、不況産業としていま通産省も考えておられますが、そこで発想の転換と言いましたのは、公共事業に財政支出するからこれで景気がよくなるんだと、それで、安心しないで、そういうふうな中小企業とか不況産業に一つ一つ手を入れていくと。そうして地方から、下部からの盛り上がりをやらなければことしはだめでしょうと、そう言っているわけです。 そこで平電炉の問題ですけれども、いま百二十万トンばかり在庫がありまして、どうしようもないから三十万ないし五十万トンばかり資材を買って、建設省が公共事業に資材支給してくれないかと。これはほかのも同類ですから例をとって言いますけれども、一年ぎりでいい、あるいは二年ぎりでいいからそういうことはできないものであろうか。
○国務大臣(長谷川四郎君) ただいまのお話でございますが、かつて四十年までは買い上げて官給をやったのでございましたけれども、その後の情勢を見、またいろいろな、その間に年々六千名ぐらいの人間を、それをなくしたために人員が整理をされておるというような関係もありまして、いずれにいたしましても、現在社会的、経済的構造の上に立って考えて、直営施行という点については、特に合理的施行への改善が行われていかなきゃいかぬ。これに伴って資材の官給制というものをやっぱりいまここで再びやるということはどうかというように考えております。過日もそんなようなお話がございまして、いろいろこれもどうだろうという、いい話のようにも一応聞こえますのでどうだろうという話も出してみましたけれども、なかなかこれをやることは現在としては困難だろう、こういうようなことで、官給制も廃止したばっかりだと。出先機関も、工事の発注、施行、監督等においてこれに即した体制になっている今日であるので、御提案の鋼材の原物支給についてはまあ困難な問題だろうと、こういうように——全体を小柳さんはしろというんじゃなくて、それ一つでございますけれども、それをやりますとほかにもいろいろ波及してくる問題がある、こういうようなお話でございまして、具体的なことについてはなんでございますけれども、鋼材はもとより、必要な資材のすべてについて実勢単価、全部を実勢単価で見積もって建設業者に渡すわけでございますから、これから建設業の諸資材の不当な買いたたきというようなこともないように、したがって、これらには十分今後、今度の予算を通じましてそういう点には私の方からも注意をして発注をしていく考えでございます。
○小柳勇君 四十年まではやっておられて、汚職などあってやめられたそうであります。私は長期とは言わぬのですよ。たとえばこの間ここで問題になりました病院の白衣の問題、いろんなものがあると思う、考えれば。だから公共事業に財政支出するときに、金はさあ出しましたと、だからやってくださいと、大手建築業者などに任せるんではなくて、もうちょっときめ細かに各省がその下部の方を見ながら手入れしていって、そして総体的にその八兆円の金が使えたと、そのことが当面、この一年間ぐらいの景気浮揚の一番具体策じゃないかと思うんですがね。これは総理から聞きましょうか、総理が一番詳しいでしょうから。
○国務大臣(長谷川四郎君) いろいろ私も小柳さんの御意見——そういうのをちょっと一年か二年やってみたらどうだろうというように考えましたけれども、これに対していろいろな、これだけの問題で済まない問題になってくる。他にもやはり波及してくる問題になってくる。人員の問題、それの買い受けた資材の整理、監督、こういうような面になかなか困難を来していく。それよりも平炉メーカーがそれだけあるんですから、なるべく早く発注を出して、そしてとにかく価格の何というか、安買いをしないような、こういう点にひとつ十分気をつけてやるように注意を唱えながらやってもらった方が合理的だろう、その点は通産省の方とも十分に話し合ってその発注をしようじゃないかと、こういうような考え方で先日われわれは考えたわけでございます。
○小柳勇君 通産大臣に後で聞きますけれども、国土庁長官に一つ聞きますが、いま国土問題を解決しなければこの景気はよくならぬと、したがってさっき例を一つ申しました、新幹線の例を。その土地問題については、たとえば評価価格がありますけれども、評価価格で売買しているようなところは一件もありません。したがって、当面、一年間ぐらいの景気浮揚のための土地政策はいかがですか。
○国務大臣(田澤吉郎君) お答えいたします。 調査をしてみますというと、国土法が施行される前には確かに新幹線等のいわゆる公共事業が地価に大きな影響を与えまして、たとえば計画が発表される前あるいは発表された時点で、やはり相当程度の地価の高騰を見ているのは事実なんでございますが、国土計画法が施行されましてから、先生御案内のように地価が安定的な推移をたどっているわけでございます。ことに地価の公共事業に占めるいわゆる割合というのは、四十七年度には二三・八%、四十八年度では二三・四%、四十九年度では二〇・七%なんでございます。ですから、現状では地価の高騰によって用地の負担が大きな原因であるというようには私たちは受け取っていないわけでございまして、しかしながら、五十二年度の地価公示価格の中で地域別の格差水準というものが、地域別の地価公示というものをながめてみますというと、これは直接公共投資とはつながらないかもしれませんけれども、たとえば東京が丁三に対して東北が一・七、九州が一・六、北海道は二・六という数字を示しているわけでございますが、これはいろいろ地下鉄工事だとか、あるいは流通センターができたというようなこともありはしないかという見方もございますので、私たちは今後土地利用の適正な運用を図りまして、先生御心配のような地価の高騰のないように、いわゆる投機的な取引のないような進め方をしてまいりたいと、こう考えておるような次第でございます。
○小柳勇君 いま最後に言われたそのことを聞いているわけです。土地が騰貴しないような具体策、そのことをいま聞いているわけですよ。たとえば学校用地を国の法律では三分の一補助するようになっていますけれども、ほとんど、どの地方に行きましても、人口急増都市では約一割か一割五分しか補助していない。そんなものがいまあなたの統計に挙がっておるわけだ。また、民家を建てようとしても、マイホームを建てようとしても、その住宅団地の近所にはもう建てられません、公団の近所には、公団の方で土地が上がるから。したがって、いま最後におっしゃった民間の宅地が十分手に入るようには一体どうします。具体的な方策を聞いているわけです。
○国務大臣(田澤吉郎君) お答えいたします。 宅地の問題については、先生御案内のように、大都市近郊のいわゆる宅地化が非常におくれているということに大きい原因があるわけでございまして、その大きい問題としては、やはりただいまお話しのございましたように、宅地開発に当たってやはり公共の施設を整備しなければならない。しかしながら、それが市町村財政に大きな影響を与えることがいわゆるミニ開発を招く大きな原因になっているわけでございまして、そういう点から、国土庁といたしましては、この宅地化に切りかえるためのいわゆる計画策定費を市町村に助成をしていると。予算の面では四千万程度でございますが、そういう措置を講ずる、あるいはまた遊休地制度によりまして、遊休地のいわゆる宅地化への活用を図るというようなことがただいまの私たちのいわゆる計画でございます。
○小柳勇君 いま私は、現在の景気が浮揚しないから、当面一年なり二年の景気浮揚の具体策を聞いておりますので、そういう見解で答弁を願いたいと思うんです。 では通産大臣、平電炉産業に対する施策、それから繊維産業に対する施策及び中小企業の倒産防止に対する施策をお話し願います。
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。 小柳先生の景気対策の問題は、むしろグローバルな問題もさることながら、具体的な、あるいは平電炉あるいは繊維という個々の問題に対する対策がまず肝要であると、こういう御意見、全くわれわれがいたしておりまするその問題もまさに通産省の所管でございます。 ただいま平電炉の関係は、もう先生よく御承知のとおりに、今日百十八万トンからの在庫があり、同時に七百七十万という需給ギャップが今後将来を見通しましても余り明るい計数が出てこない。そういう中におきまして、われわれといたしましてはこの構造的な需給ギャップの解消が根幹となるわけでございますが、この補完的な措置といたしまして、電気炉の新増設の抑制でありますとか、あるいは経過年度における生産調整措置が必要でありまするが、特に商工組合をつくりまして、従来の独禁法の不況カルテルでありましたものが、さらに恒久的な過剰設備に対しまする商工組合の指導をすると、かような問題等も特に平電炉の問題の構造的な面についての措置として当面必要であろうと、かように存ずるのでございます。 また、先ほど先生がおっしゃいました、いわゆる公団その他官需等につきましてのこれらの買い上げと申しますか、現物支給の問題も当然でございまするが、なかなか思うようにもまいらないのが現状でございます。 次に、繊維の不況対策の問題につきましては、政府系の金融機関にかかわりまする既往制度融資の返済条件を緩和いたしますとか、あるいはまた最終期限の到来時におきまする期限の延長の問題でありますとか、あるいは在庫金融の円滑化等の指導、さらにまた中小信用保険法の倒産関連特別保証業種の指定でありますとか、あるいは短繊維紡績業にかかわりまする不況カルテルの問題とか、かような具体的な措置を適時いたすことによりまして、何とかこれが防止に努めてまいりたい。 さらに、具体的な詳細の個々の問題につきましては、担当官がおりますので、政府委員からさらに詳細お答えをいたします。 中小企業の問題につきましては、すでに申し上げておりまするように、まずもってこれらの金融の問題を考えなきゃならぬと。資金の問題といたしましては、政府系三金融機関に対しまするまず枠の設定といたしましては三兆六千億の枠を今年度取っておりまするが、しかしながら、それだけではなく、中小企業というものの大部分がやはり相互銀行、信用金庫といったような民間中小企業の金融機関でありますとか、あるいは一般市中銀行に依存をいたしております面も多いのでありまして、これらに対しまする信用補完制度というものが信用保証協会でありますとか、あるいはさらにそれをギャランティーする意味の保険公庫といったようなものがございます。さらに御承知のとおりに、非常に零細な規模の企業に対しまして、商工会議所、商工会あたりから非常に要望がございました無担保無保証の問題につきましても、四千七百億の枠を設定いたしております。そのほか、あるいは不況業種の指定でありますとか、あるいは倒産関連企業に対しまする特段の保証措置といったような問題、また、通産局を通じまして、先般も各地に対しまする県あるいは市町村その他公共団体等との緊密な連絡を持ちまして中小企業のきめの細かい指導をいたしていくと。ことに御案内のとおりに、先般大蔵省との話もつきましたので、倒産関連企業の倒産防止という問題につきましても特段の配慮をいたしたような次第でございます。 なお、詳細な措置につきましては、中小企業庁の長官もおりまするし、関係政府委員もおりますので、さらに具体的にはお答えいたしたいと思います。
○小柳勇君 いま大臣がおっしゃったことは全部私もわかっておるわけです。で、中小企業の問題は、これはいま不景気打開よりもちょっと深刻な問題がありますからおきます。 前の平電炉と繊維の問題は、通産省の報告を持っていますけれども、質問通告いたしましたように、抽象論ではいま解決しないのです。具体的にどうします、どうしますと、一つ一つ手当てしていきませんと、もう購買力も何にもありません、企業能力がなくなっておるわけです。そして二、三年してから、さあ鉄鋼つくれ、あるいは繊維つくれでは間に合いません。そういう意味で、もう少し具体的なものを事務当局から御説明願います。
○政府委員(天谷直弘君) 平電炉の問題につきまして御説明を申し上げます。 現在、平電炉の市中価格は、先生御承知のように、五万円すれすれというところまで落ち込んでおりまして、大幅なコスト割れでございます。年間の赤字額が大ざっぱに言いまして一千億に迫るというようなそういう状況を呈しておるわけでございます。したがいまして、こういう窮状を打開する最大の問題は、市中価格をもっとコストに近いところまで引き上げるということが基本的に必要であろうかと存じます。そのために、現在、公取の認可によりまして不況カルテルを実施しておるわけでございますが、さらに七月ごろを目途といたしまして商工組合を設立する、この商工組合の調整事業によりまして数量の制限等による市況の引き締め等を図っていくということが最も肝要な方策ではなかろうかと存じておるわけでございます。 並びに構造的な問題がございますので、その報告書にもございますように、さしあたりまして三百六十万トン程度の設備の廃棄を進めていきたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。設備の廃棄をする傍ら設備の新設が行われましては意味をなしませんので、設備の新設につきましてもしかるべき制限を加えていきたい。なお、これらの事業を円滑に行いますために非常に必要なことは、金融的な措置を講ずるということでございます。このうち中小企業関係につきましては、中小企業金融等の制度を極力利用させていただきたいと思っておりますが、平電炉業の中には中小企業でないものも多数含まれておるわけでございます。こういうものにつきましては、市中金融が円滑に行われるように、日銀、市中金融機関、商社等のそれぞれの援助をお願いをしておる次第でございます。あるいはまた設備の廃棄に伴いましては、労働者の転換等の問題が生じますので、これに関しましては高炉メーカーの協力をお願いしておるような次第でございます。まあこれらの措置によりまして、非常にむずかしい問題でございますけれども、できるだけこの難関を切り抜けていきたいというふうに考えておる次第でございます。
○小柳勇君 繊維は。
○政府委員(藤原一郎君) 繊維関係につきましてお答え申し上げたいと思います。 いま大臣からも詳細お答えがございましたように、当面の不況対策ということでは御承知のような手を打っておるわけでございますが、繊維産業につきましては、御高承のとおり、当面の循環的な不況とあわせまして、非常に長期的な構造問題というのが基本にございまして、従来輸出産業として非常に伸びてまいりました繊維産業が、主として国内需要に対して向かわざるを得ないと、こういうふうな基本的な要請のありますところの構造問題がありますので、目下構造改善ということが基本的な問題になっておるわけでございます。すでに四十九年に成立しました新しい構造改善立法というのがございまして、これが五十四年の六月まで一応期限があるわけで、目下構造改善を鋭意取り進めているわけでございますけれども、不況と競合いたしまして、なかなかそれがうまく進まないと、こういうふうな状況にあるわけでございます。 そこで昨年以来、繊維工業審議会におきまして、どうすれば構造改善がうまくいくかということで種々検討してまいりまして、昨年の暮れに一応その方途につきまして提言があったわけでございまして、まあ主として今後設備というものは過剰な設備は処理をする、一方国民の多様なニーズに応ずるような新しい繊維産業の構築といいますか、特に衣料産業、アパレルと言っておりますが、アパレル産業の振興というふうな方向に縦型の垂直の構造改善をやっていく必要があるということで、目下私どもその方向に一生懸命努力をいたしておる。具体的には、設備の廃棄につきましては、中小企業振興事業団によります共同設備廃棄措置という措置を用いておりますし、それから新しい方向につきましては、近代化促進法というものを用いまして、あわせましてその構造改善を推進してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○小柳勇君 総理大臣、あなたに意見を聞きます。建設大臣からお話があったとおり、鋼材——小棒ですね、平電炉は、くず鉄が日本にいっぱい出ます。そいつをいまもう高炉の方は使いません、平電炉だけで消化しているわけですから、言うなら公害産業です。したがって、いまの若干三百三十万トンぐらいは整理するという、これは業界も納得していますからやりますが、ただ、いまの急場をしのぐのに二千億ぐらいの赤字があると言っている、業界は。したがって、三十万ないし五十万トンぐらいを財政支出から買って、現物支給を公共事業にやったらどうか。建設省ではなかなか大変なようですけれども、これは一例ですね。繊維産業についても申し上げたいけれども、もう言いません。それから先は各省で知恵を働かしてもらいたいが、そういうアイデア、そういう考えについてどうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) まあアイデアとしては理解できるところでありまして、この間も各省に研究してもらったんです。特に鋼材につきまして、平電炉製品ですね、これにつきまして検討してもらったんですが、どうも手続上とてもそれは煩にたえぬ、非常に非能率な仕事になる、こういうことで、まあそれはしようがないかなといってあきらめたところなんですがね。まあ平電炉ばかりじゃなくて、あるいはそういうようなことができるものがあるかもしれません、それは頭に置いてひとつやってみたいと思います。
○小柳勇君 次に、中小企業問題をもう少し深く聞きたいんですが、中小企業の倒産防止に対して、政府としてお金を——新聞で見ました、ここに資料を持っています。ただ業者は、いまお金を借りてももう返すめどがないからだめだと言っているんです。金では救済になりませんと言っている、仕事をくださいと。それが中小企業の偽らぬ願いです。それと、あと倒産した場合の労働者をめんどう見てください、この二つです。仕事を与えることについて、どうです、通産大臣。
○委員長(小川半次君) この際、委員長から申し上げますが、先ほど来、通産大臣、通産省の答弁者、答弁が少し長いようでしたから、答弁は簡単に要点のみを答えてください。
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまおっしゃいましたように、あれだけの資金枠に対しまして、むしろそれがこなせないんじゃないかというような批判すらございます。要は仕事が欲しい、仕事がなければ今後賄えないというのがおっしゃるとおり実情でございます。 なおさらに詳細なことは政府委員からお答えいたします。
○政府委員(岸田文武君) 御指摘のとおり、中小企業としては仕事が欲しいという声が切実でございます。景気の回復を一日も早くということを念願いたしておりますが、私どもはいま、与えられた情勢の中で、少しでも中小企業に対する仕事の機会を多くしようという意味合いで、たとえば下請振興協会を活用して、下請業者の方々にお仕事をあっせんするという面であるとか、あるいは官公需における中小企業の事業機会の確保であるとか、こういった中小企業庁としてできるだけの手をいま打っておるところでございます。
○小柳勇君 とにかく仕事を与えると同時に、倒産防止のために政府が金融措置をやられたようでありますが、この親企業が倒産しなければ中小企業に金が貸せないようなことでは、中小企業の方が先に倒れたらどうなるかと言っているんですよ。だから、今度のこの案は通産省ですね、中小企業庁です、これももう少し見直してもらいたいと思います。 それから労働大臣、中小企業倒産の場合の手当てですね、労働者に対する手当て、それから原則的に、まあそれは皆さんも全部おわかりのように、GNPの中で財政支出は二割ちょっと、あと個人消費というのが六割近くですから、労働者の賃金というものをできるだけベースアップして購買力をふやさなければ私は景気よくならぬ。私は、福田総理が三年前に春闘八・何%でということでガイドライン出された。これは本人はガイドラインのつもりじゃないんですけれど、それが大変響いています。三年続いていますよ。だから労働大臣、中小企業の倒産した場合の労働者の救済措置と、それからいま春闘のさなかでありますから、私はできる限り労働者の賃金というものは出して、あるいは八兆何千億の金があるならば、その中から若干別の何らかの方法で、たとえば失業者に対する給付をふやすとか、何らかの方法でやるとか、そういうことも購買力を、景気を浮揚する大きな具体策だと思いますけれども、その二点を御答弁願います。
○国務大臣(石田博英君) 賃金や失業給付その他が購買力になることは、よく私もわかっております。ただ昨年度、いわゆる実質賃金の伸びは、名目で十二・八%ぐらい上がっております。したがって、消費者物価の上昇を引きましても実質で三・二%ぐらいは上がっていると思うわけです。賃金については、あくまでこれは労使で決定していく問題であります。したがって、これに直接政府は関与する意思はございません。ただ政府は、一方においてやっぱり物価の安定と景気の浮揚というものに努力することによって、勤労者の実質的な所得をふやしていくということに力を注ぐ立場にあると思います。
○小柳勇君 もう一つ、中小企業。
○国務大臣(石田博英君) 中小企業の倒産に対する処置でありますが、まず第一に、倒産に至らないように雇用安定のための雇用調整給付金、これを中小企業に対して特別に手厚く実施をいたします。それから、失業した場合の失業給付でありますが、これにつきましても、不況産業についてはやはり特別の配慮をいたしておるつもりでございます。それから、昨年から高年者に対しましては個別延長給付の制度を実施いたしましたが、これをさらに継続して行っていくつもりであります。で、不況産業に対する個別延長も実施いたしております。
○小柳勇君 労働大臣、いま親企業が倒産しないまでも、需要が減りますと減産するわけです。減産しますと下請はそれをもろに受けまして、二百人おりました労働者を百人に減らさなきゃなりません。下請、中小企業では、その後の労働者のめんどうを見れないわけです。だから、そういう人たちを、いま七十日間の雇用調整給付金というのはありますけれど、それは労働組合と話し合って、しかも親企業の方からの証明がなきゃいけませんね。もっと親企業と離れて、そういう場合には市町村でもだれでもわかりますから、たとえば三カ月なり六ヵ月なりめんどうを見て、そして景気がよくなったらすぐまた工場に帰ると、こういうことを考えられないですか。
○国務大臣(石田博英君) 雇用調整給付金というのは、そういうことを考えて、休業、休職に対する処置をすることによって失業に至らないようにするという配慮で行われておるわけであります。で、これを給付するときの条件についてのお話でありますけれども、これはやっぱり御意見は一つの御意見として承り、検討さしていただきたいと思いますけれども、この制度の運営の趣旨から申しまして、やはり労働組合との合意と、それから主力の親企業の合意ということが要るような現在の制度が私は妥当ではないかと思います。思いますが、その給付しやすいような方法についての検討はいたしたいと思います。
○小柳勇君 今度は大蔵大臣に質問します。中小企業の倒産に対しまして金を一それじゃあもう一つ労働大臣に前に言った方がいいでしょう。労働大臣、たとえば繊維産業などは韓国産の製品が返ってまいりますね。まあ大島つむぎについては四月に妥結しましたから結構なことですけれども、これからプラント輸出いたしまして外国の労働者を使いますね、日本の出た企業が。労働者の賃金が安いから日本の企業が出るわけです。そして安い品物が日本に上陸してきますね。そうすると日本の産業を抑えてくるわけです。午前中は大臣いなかったから、海外に出た企業の労働賃金の問題は企画庁が答えましたけれども、たとえば韓国に出る企業、あるいは発展途上国にこれから出る日本の企業の現地で使う労働者の賃金については、少なくとも日本の労働者の賃金をちゃんと見て支払うように指導すべきであると思うが、いかがですか。
○国務大臣(石田博英君) まあその国のそれぞれの労働事情、慣行、いろいろあると思います。それから生活する条件ですね。したがって、日本の賃金と見合うようにしろと言ってもこれは無理な点が出てくると思いますが、しかし、そのことが日本の産業を圧迫し、あるいは日本の労働者の労働条件を低下させるということのないように配慮をいたしたいと考えております。
○小柳勇君 御存じのように、大島つむぎなどは韓国製は六万か九万で買えます。日本のは三十万から四十万ですね、これは労働賃金が安いからですよ、ほかにもまだ理由はありますけれども。したがって、これはまた別の機会に譲ります。 大蔵大臣に申し上げたいのは、銀行は、いま余り倒産していないと——中小企業の皆さんが言うのは、もう銀行から殺されると言うわけです。景気がいいときには貸してくれるけれども景気が悪くなると、あるいは倒産するともう取り上げてしまう。銀行の金融の運営によって倒産している企業もたくさんあるように思いますが、そういうものについてはどういう御見解ですか。どう対策をとられますか。
○国務大臣(坊秀男君) いま倒産する中小企業等がたくさん出ておることは、私はこれは承知いたしております。そういったような関係で、健全なる中小企業がそのために思わざる金繰りがつかなくなって、健全企業が倒産しているというようなことは、これは何とかして助けていかなければならないというようなことで、先ほど来通産大臣はいろんなことを申し上げておりましたが、たとえば中小企業倒産防止緊急融資といったようなものだとか、それからまた政府三機関におきましては、その中小企業に対しまして、業種だとか地域だとかいったようなそれぞれの中小企業の状態をよく勘案いたしまして、それで既往の債務の元利の支払いを猶予するとか、あるいは担保の提供というようなものを緩和するとかと、いろんなことをやっておりますけれども、しかし、なかなか小柳さんのおっしゃるとおり、そういうようなことで中小企業がなかなか助からない。要は仕事がほしいんだと、私もそれはよくわかります。やっぱり中小企業に適当なる仕事をやってもらうということに持っていかなければならないということはもう言うまでもないことでございますが、そのためにはやっぱり政府のやることといたしましては、公共投資ということで仕事をふやしていく、あるいは雇用をふやしていくというようなことに結びつきまして、そうしてそれを早くやっていかなければならない。いろいろな景気浮揚対策というものを今日までやってまいっておりますけれども、なかなか効果がないじゃないかというお話でございますが、今度思い切りまして、四項目の景気浮揚策の中には、今度の公共投資を五十二年度前期におきまして七〇%を下らざる実行をやっていこう、こういうことで真剣にいま考えまして実行計画を立てております。これは、おっつけこの計画というものを皆さんにお目にかけることができると思いますけれども、その七〇%を下らざる仕事をやるということがいままでの、あるいは七項目だとか、あるいは五十一年度の追加予算だとか、あるいはまた今度御審議を願っております五十二年度の予算というようなものの実行と相まちまして、私は相当な効果を上げるものだということを期待いたしておりますが、中小企業にぜひ仕事をしていただくようになれるようにしたいと思っております。
○小柳勇君 それがならぬと思うから言っているんですよ、ずっと論争しているのは。皆さんがおっしゃるように、公共事業で財政支出をしたら景気がよくなるとおっしゃるけれども、三年間同じことをやって景気がよくならぬではないかと、だから具体的に聞いているわけですよ。じゃ、その実行計画をいま見せてください。
○国務大臣(坊秀男君) いや、いまその実行計画ができておるというわけではございません。早晩これはできます。これはお目にかけます。
○小柳勇君 ありますか。
○国務大臣(坊秀男君) いまはありませんよ、いまは。今日ただいまはありません。
○小柳勇君 どこにありますか、どこに。
○国務大臣(坊秀男君) いま計画を早急につくるべくやっております。作業をやっております。
○小柳勇君 詭弁だ、それは。速記録を見てもらったらいい、実行計画はありますと言っているんですよ。不見識だよ、そんなこと。
○国務大臣(坊秀男君) 現在鋭意、もうそんなに遅くかかりません。できます。
○小柳勇君 だって計画あると言ったでしょう、いま。見せてくださいよ、それを。
○政府委員(吉瀬維哉君) 小柳委員御承知のとおり、上半期に公共事業を前倒しして相当集中的にやるということでいま鋭意各省と詰めております。まず、その総額を確定する段階が先でございますが、本年度の公共事業の施行促進の対象となる経費、これは前年度からの繰り越しなども含みましてほぼ十兆、その十兆という額をまず確定いたしまして、それと同時に各省庁に能力的にも、またいろんな資材的にも施行可能な限度をいま鋭意詰めておりまして、近日中にできると思いますが、いま大臣がお答え申しましたとおり、十兆の範囲内でどの程度できるかというのを作成中でございます。
○小柳勇君 吉瀬さんの論文も見ましたけれども、あのとおりにならぬと思うからずっと論争しているんだ、朝から。七〇%とおっしゃいますけれども、三兆何千億かの七割を上半期に出しますとおっしゃる。それならば三月期に八兆九千億各地方銀行、日銀とも公共事業のために民間支払いしていますよそれで、いま四月の株は全部不景気で落ちてしまっておるではないかと。だから上半期に三兆何千億の公共事業の七割を出しましても景気になりませんでしょうと。だから、もうおたくの方の河本政調会長は秋には三千億以上の大型補正を組むとおっしゃっている。それは景気がよくならぬと思われるからですよ。そういう認識に立って計画を立てておるならば、この予算委員会に出さなきゃならぬのですよ。これから立てますなんということは——そうしてこの予算委員会に出して、こういうことで景気をよくしますがどうでしょうかと、それが予算委員会でしょう。でないと、ただこの予算委員会が終わる、それだけでは本当にこの一カ月間の論議も無意味です。総理の見解を聞きましょう。
○国務大臣(福田赳夫君) もう諸般の準備、つまり予算が成立したならばどういうふうに執行するかということは所管の官庁でそれぞれ準備をしておるんです。ただ、まだここで、これこのとおり施行しますというところまではまだ行けないんじゃないかと思うんです。それなら、それができたということになれば、それはもう十六日に予算が成立しました翌日にでも発注ができるわけですが、そういうわけにはいかないんです。上半期中にとにかく七割、少なくとも七割をこなしたいと、こう言っておるわけで、そのために必要な準備を進めておるというので、物によっては私はもう準備が整っておるものもあるかもしれませんけれども、とにかく予算の成立を待って、そうしてたとえば業者との契約、交渉するとか、そういうふうになるわけでありまして、いま全部整っておるとは言えないのであります。
○小柳勇君 そういうことはおかしいです。いまの不景気というのはことし始まる不景気じゃありません。もう三年続きの不景気です、四十九年から。それであるならば、去年の補正のときもあるいはことしの補正のときもそういうものをちゃんと計画してそして出すべきです。そして、こうしたら景気がよくなりますと言うべきです。いま三兆何千億のこの予算が通るから、これから七割使う計画出しますなんということはまことにそれはもう言語道断です。もうそれは聞いたって同じですから、私は福田総理が経済の内閣なんとおっしゃることについては本当に不信ですが、ただ官房長官に質問しますのは、私どもは一カ月間慎重に審議してきました。これで大臣からいろいろ約束を受けました。これが各省庁どういう手続で行政に生かされてこれが国民生活に結びつくでしょうか。その手続をお話し願います。
○国務大臣(園田直君) 閣議で総理から各閣僚に、委員会、本会議等で答弁したことは具体的にこれは記録をしてその成果を見届けるようにしばしば注意があっております。それに基づいて私の方でも関係大臣にはいまの御注意を十分留意しつつ委員会等における政府の約束、答弁等は実行に移すように注意したいと考えております。
○小柳勇君 途中ですけれども、その問題を、私が二カ年間本会議や予算委員会で質問したのを追跡しました。約束ができたのは約三割、三割弱です。あとはただ聞き流し。ここで私どもが質問して約束されて、ただの予算委員会が終わるためにおっしゃるなら、もうこんな一カ月の予算委員会は要らぬと思う。だからこれからは、たとえば各省に年次報告がありますから、お約束になったことは一年間でもいい、半年でもいいから、主なるものは年次報告で政府が議会に出していただきたいと思いますが、総理いかがでしょう。
○国務大臣(福田赳夫君) 国会の御論議で、私ども質問にお答えしておりまして、そのとき気がついてこれはやらなきゃならぬというふうに考える問題もあるし、やろうやろうと思っておって質問の過程で思い出して、ああこれはやらなけりゃならぬと、こういうふうに思うものもあります。私は大体そういうようなことをちょっとメモにとめておきまして、そしてなるべくここで申し上げたことの実行には間違いないようにということに努めてきておりますが、まあ各省みんなそれぞれ委員会があるんですから、国会が始まる、委員会が始まる、そういう際に、前の国会でその省で検討をお約束する、実行をお約束する、あるいは慎重に検討してみるというようないろんなことがあると思いますが、それらのことを書いたものなりにいたしましてごらんをいただくということも私は有効なことじゃないか、そのような感じがします。
○小柳勇君 総務長官に質問しますけれども、きょうもこう真剣に論議されています。私だけ真剣と言ってはおかしいけれども、これは国民だれも知らぬわけです。昼のテレビにちょっと出たそうでありますけれども、したがって、相撲も野球もあれだけ放映して国民と密接につながっています。だから予算委員会の総括と本会議ぐらいはちゃんと放映をして、そして国民が、台所につながって政治を密接に感じて、政治と国民とつながるように、国会と政治と国民とつながるような方策は立たぬものでしょうか、総務長官。
○国務大臣(藤田正明君) おっしゃるとおりに、この国会における政府対与野党の質疑を国民に周知徹底せしめることは非常に必要なことだと思うんです。いま総括質問のうちの代表質問だけが放映されていると思います。しかもこれはNHKであります。これは御承知と思いますが、放送法によってNHKもその放映番組の自主制作権を持っておりますから、こちらから強制するわけにはまいりません。それからまた、民放におきましてはこれはなかなか大変でございまして、こちらからこれもまた押しつけるわけにもまいりません。おっしゃるような意味はよくわかりますので、できるだけ郵政大臣の方とも御相談を申し上げまして、代表質問だけではなく総括質問も国民に周知徹底せしめるような方法を研究いたしたいと思います。
○委員長(小川半次君) 郵政大臣、よろしいんですか。
○小柳勇君 いいです。これは法律論争ではありませんで、政治論争ですからもう構いません。いまの方向でこれは予算の理事会で予算委員長に一任しておりますから、話し合ってください。 そこで、中小企業の景気の問題はもうちょっとありますけれども、先に具体的にいきまして、最終的に景気回復の問題にいきますが、貨物輸送のことを問題といたしますが、現在の貨物輸送量とトラックの輸送能力とに差がありましてダンピングが行われ、また不況も伴いまして、もう運送事業が全部手を挙げております。運送事業の社長などは、財産をつぶすなら運送事業をやれというぐらいです。したがってこの現状、トラックの輸送能力と物の動いている量とどのくらいの差があるか、運輸大臣から御報告願います。
○政府委員(中村四郎君) お答え申し上げます。 昭和五十年のトラックの車両数を四十五年と比べてみますと、車両数で約二百万台程度増加しておりますが、その間、トンキロ、トン数ではほぼ横ばい、こういう状況でございまして、現在この五年間に増加した二百万台を、すなわち現在の車両数のうち約三〇%程度が余っておると申しますか、そういったような数量に相なっております。
○小柳勇君 いまおっしゃったように、輸送能力がうんと余っているわけです。けさ、アメリカのカーター大統領がガソリンの消費抑制のために税率の増加などという教書を出しておりますけれども、先般ここでも論議がありました、省エネルギーのために自動車を考えないかという問題がありましたけれども、いまおっしゃったとおり、将に青ナンバーのトラックがいま四十三万から四十五万動いておりますが、その約十二、三倍、白ナンバーの会社の車が、やみじゃないですよ、会社の白ナンバーのトラックが十三倍ぐらいも動いているわけです。それは効率が五分の一ぐらいで動いているわけです、五分の一か六分の一で。だからこの際、省エネルギーと言うなら、もう少し会社のやつも青ナンバーにして効率を高めるとか——全部白ナンバーは悪いとは言いませんけれども、同時に少しは運輸省が運送事業などにも規制を加えて、運賃もダンピングが勝手にできぬように、野放ししちゃいかぬですから、そういうことをやってもらわなきゃならぬと思うが、運輸大臣の見解。 それからもう一つは、ダンピングなどできない——余り損しないように、運送事業が成り立ちますように、共同運賃集金所を全国に数カ所、荷物を運んだらそこに伝票を送ればコンピューターで自動的に共同集金ができるようにすれば、運賃はいまの国鉄貨物運賃みたいに大体統制がとれますね。ドイツもフランスもそれをやったんです。そういうことをお考えになるかどうか、見解を聞きます。
○国務大臣(田村元君) 自家用トラックは自己の需要に応じまして貨物を随時輸送するほか、生産、販売あるいはサービス業等の業務に一体的に利用されております。自家用自動車として使用されているものの中にはむしろ営業としての運営になじむと考えられる形態のものも見受けられることはおっしゃるとおりでございます。でございますから、そういった形態のものにつきましては、輸送秩序の確立の見地から申しましても、必要に応じまして業務の範囲を限定する等の措置をとって、営業用としてこれをとらえていくということも必要かと思います。その場合におきましても、構造的にこのトラック業者というのは零細企業がわりあいに多うございますから、経営基盤をさらに悪化させることにならないように、これはもう当然配慮をしていかなければならないと存じます。いずれにいたしましても適切な配慮をして対処してまいりたいと思います。 それから、貨物運賃共同集金機構。私は小柳さんのおっしゃるこの機構については、非常におもしろいというとちょっと言い過ぎかもしれませんが、失礼かもしれませんが、率直に言っておもしろい御提案だというふうに実は関心を抱いております。トラック運賃は認可制でございますが、事業者が零細であること、それからその数が多いというために、どうしても荷主との力関係が弱くなります。実際上認可額を収受し得ない事例が多々見受けられるのでございます。こういうことがトラック事業者の経営を圧迫して、結果的には労働者の過重労働を強いるおそれがあるということは、安全運行の確保という点から問題をとらえましても、運輸省として心しなければならない問題であることは申すまでもございません。そういうことから、認可運賃の適正収受ということを強力に指導しているところでございます。 いまの共同集金機構でございますが、これは私率直に言って、認可運賃の適正収受を確保する上において一つの有力な手がかりであるというふうに受けとめております。やり方でございますけれども、これはまあいろいろとございましょうけれども、事業協同組合とかというようなことを構造改善上の一環として考える、そういう共同集金制度、これは運輸省も実は推奨はいたしております。一部の地域におきましては現実に共同集金制を実施しているケースもございます。しかし、一部の事業者だけがこれをやっても結局アウトサイダーの不適正収受防止にはなかなか役立たないということもございますので、外国の事例等を十分調査いたしまして、関心を持ってこれを検討していきたいと、こういうふうに考えております。
○小柳勇君 もう御存じでしょうけれども、アメリカもやっておりますし、それから輸送能力と輸送貨物の動きとが大体似通っておるということが一番原則ではないかと思いますので、そういう面も——そういうふうにしますと、自動車産業がどんどん生産しますと余るじゃないかと、それは輸出をして、午前中に言いましたように、シベリアに持っていくとか、中国にも売るとか、それから自動車産業にも労働者がたくさんおりますし、それでうんと伸びなければなりませんから、それやこれやもう少しやっぱり政府は目を光らせて、規制とはいきません、計画経済ではありませんから。で、そういうもので指導を願いたいと思います。 国鉄総裁がお見えでありますが、国鉄総裁、今度鉄道の貨物を三分の一に輸送量を減らそうとおっしゃるのですが、その構想をお話し願います。
○説明員(高木文雄君) 現在レールで運んでおります貨物のボリューム、いわば全体の量、それからいわゆるトンキロでございますが、これは最盛期に比べまして大体七割に落ちておるわけでございます。しかし、御存じのようにレールの計画が非常に窮屈にできておりますので、荷物の量は減っておるにもかかわらず、列車そのものは従来どおり運行しておるというようなかっこうになっています。そこで現在の考え方は、全体の量が七割減っておるわけでございますので、列車の編成も三割程度近く落としたい。それから貨車があいておるようなかっこうになっておりますので、老朽貨車の整理を少し早目に進めていきたい。それから車をつないだり、あるいは外したりいたしますヤード作業をもう少し簡素化をする趣旨で、ヤードの数も約三分の一ほど減らしたい。それからお客様へのサービスをどうやって落とさないようにしながらできるかという点が一番問題でございますが、それを十分配慮しながら、取り扱い駅数も減らしたい。その考え方は、一番最盛期に比べて何分荷物を運ぶ量が減っておるわけでございますから、その減ってきた量に合わせまして、現在の運搬量に合わせまして全体の計画を一遍落とすということでございまして、将来に向かっては一遍落とした後で、もう一遍縮んだ上で伸びるという姿勢をとりたいと思っております。
○小柳勇君 運輸大臣、いまの国鉄は貨物を一億四千万トンぐらい運搬しておりますね、動いておりますが、これを全部トラックに移したとしましたら、トラックは何台ぐらい要るか、あるいは自動車の運転手が何人ぐらい要るか、また建設大臣、道路をどのくらい大きくしたらいいか、ちょっとお話し願いたい。
○国務大臣(田村元君) 現在の輸送量を全部トラックで運ぶとすればどれぐらいの台数ということですね。国鉄の貨物輸送量は五十年度で四百六十六億トンキロでございます。これを全部トラックで運ぶとした場合のトラック台数につきましては、その推計の方法のいかんによって異なると思いますけれども、単純に営業用トラックの全台数と輸送量の関係から比例計算をしてみますと、三十数万台というふうに算出されます。しかし、鉄道輸送を代替するトラックとしましては、大型車が使われるものと考えられますから、十トン車が使われるものと仮定して試算いたしますと約二十万台程度となります。それから、これに伴う運転単数でございますが、トラック一台について、雑に計算しまして一・五人というふうに仮定いたしますと、トラック台数を三十数万台とした場合には五十数万人、それから十トン車に換算して約二十万台と、このように見た場合には約三十万人程度と試算されます。なお、通運事業に使用されているトラックや運転者がございますので、この数値が純増として出てくるものでないことをつけ加えておきたいと思います。
○小柳勇君 建設大臣、聞いていなかったでしょうね。
○国務大臣(田村元君) どうも失礼しました。道路を建設大臣と御指名だったものですから、私お答えしなくて恐縮でございました。 道路交通量への影響につきましては、地域、時間帯によりまして異なります。また、個々の道路網の状況によっても異なるので一概には申せませんけれども、マクロ的に見ますと、自動車総台数三千万台、そのうちトラックが約一千万台、この中での二十万台程度ということでございますから、必ずしも道路に影響があるという事態には立ち至らないというふうに考えます。
○小柳勇君 エネルギー消費の増加が、国鉄から営業トラックになりますと大体三倍の概数ですね。 そこで国鉄の総裁、いまは三分の一減を考えておられるようでありますが、この間、全国トラック協会の幹部諸君ともいろいろ討論いたしました。全国トラック協会の諸君も、たとえば九州から北海道まで二人乗務で運転するなんということは、これはやはり経過措置でしょうと、将来はこれでいきませんでしょうと、ただ国鉄の貨物輸送の皆さんと対話したことがない、話し合ったことがないと、いままで競争相手でございましたと、それよりもちゃんと答申が出ているように、長距離貨物は国鉄さん、私どもは地域輸送と、話し合って、通運事業法なんというあんなややこしいものをしないで、もっと話し合いながら、地域の輸送はわれわれがやって、長距離は国鉄さんというような、将来はそうでないでしょうかと、ただ、いまのところじゃ競争をやったら負けませんよと、だから総裁は、いま全部もう国鉄貨物はやめようという意見さえ方々で聞くわけです。私はそれではいかぬ、ガソリンの将来を考えたりなんかいたしますとね。だから私、積極的にもっと貨物輸送を考えて、トラック業者ともよく話し合って、そして貨物の輸送を円満にすべきだと思うが、いかがですか。
○説明員(高木文雄君) 先ほどのお尋ねの際にも触れましたように、私どもは決していま貨物輸送をやめてしまおうというような考え方は持っておらないわけでございまして、一部学者、評論家の間で鉄道の貨物輸送安楽死論というものがございますけれども、私どもはそうは考えておりませんので、ただいまお触れになりましたように、鉄道の輸送による方が省エネルギーという面から申しましても、また他の面から申しましても、国民経済的にプラスであると確信を持って言えるフィールドがあるわけでございますから、それをぜひ私どもで引き続きやらしていただきたいというふうに思っております。 その際に、いまお触れになりましたように、トラックとの関係あるいは通運業者との関係がどうもうまくいってない実情にあることは御指摘のとおりでございますので、私どもがトラック業界の方々といろいろお話をして、それぞれがそれぞれ引き受けるべきフィールドをだんだんとはっきり決めていくというようなことであるとか、あるいはまた、私どもはいずれにしましても両端はトラックにお願いしなければいけないわけでございまして、中はレールで運びますけれども、戸口の両端はどうしてもトラックにお願いしなければいけないわけでございますので、ある意味では競争しながら、ある意味では協調体制をとりながらということで進めるべく、いままでのやり方とはいささか変えていきたいというふうに考えております。
○小柳勇君 運輸大臣、したがって運輸省には自動車局なり鉄監局なり海運局なりありますから、各局が集まられまして、総合交通体系などというやかましい、かた苦しいことを言わぬでも、運輸省だけでもう話し合えばうまくいくんじゃないかと思うわけです。だから、そういうことで省内の意見を取りまとめながら、国鉄や全トラの諸君を集めて、将来のエネルギーのことも考えて早急に具体策を出してもらいたいと思うが、いかがですか。
○国務大臣(田村元君) いまの御提言、確かにそのとおりでございます。二年余り前に運輸省に流通対策本部というのができまして、そこで各局の首脳部が集まりましていろいろと物流問題について広範な検討をしておることは事実でございます。まあ運輸省という役所が他の役所と若干違いますところは、各局が何かこう商売がたきのような形になっております。(笑声)いや、全くそうなんです。でありますから、いまそれだけに小柳さんが提案された問題は意義の深いことだと思うのです。かた苦しいことを言うなとおっしゃいますけれども、やはり総合交通体系というものは対策の基礎にしていかなきゃならぬ。でございますから、私、全省に言い渡しまして、おっしゃったような御趣旨を十分に生かしていきたいと、こう考えております。
○小柳勇君 わかりました。 次は、通産大臣、産炭地振興です。産炭地振興については、商工委員会でずいぶん論議されたようでありますが、とにかくまだ鉱害復旧ができません。ボタ山対策も進んでいない。特に工業団地をつくりましたけれども、誘致企業が約三割しか来ていないわけです。あいていますよ。こういう産炭地振興に対する政府の決意をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(田中龍夫君) お答えします。 産炭地に対しまする、閉山後の現地に対しまして振興事業団等が行っておりまする工場誘致あるいはまた土地造成、そういう問題につきまして、いろいろと処置をいたしておりまするが、同時にまた、御案内のとおりに、第二次公害といったようなものもございます。これらにつきまして、詳細な計画を、政府委員が参っておりますから、詳しくお答えいたします。
○政府委員(橋本利一君) いま工業団地のお話がございましたので、それを中心にして申し上げます。 地域振興整備公団でいままでに造成いたしました工業用団地は全国で約二千十五ヘクタールになるわけでございますが、そのうち北九州におきましては七十二団地千百六十二ヘクタールでございます。このうち約八一%に相当する九百四十一ヘクタールがすでに譲渡済みになっておるわけでございます。一方、こういった団地に対する企業進出でございますが、全国ベースで昭和三十七年以来集計いたしますと、千二百三十二社、これはこの三月末でございます。このうち、九州が約半分の六百十二、それから福岡が四百三、これは全体の三分の一になろうかと思います。トータルではこの程度まで進出しておりますが、御指摘のように、石油危機以来、進出企業の数が非常に減っております。特に五十年におきましては、全国で五十、福岡県で八と、最盛期に比べまして三分の一程度になっておりますが、幸い五十一年度集計をいたしますと、福岡地区で昨年の八件に対して十五件、九州全体で十一件が十九件、わずかながら増加の傾向が出てきておる、こういう事情でございます。
○小柳勇君 産炭地域はもう全般的に落ち込んでしまっています。特に、いまの不況でなかなか大変でございますので、法律もきのう延長していただきました。十分の手当てを願いたいと思います。 次は、定年制の延長と年金制度の抜本改正の問題でありますが、労働大臣は他の用のようでありますから、事務局から答弁してもらいます。 これは地方公聴会で切々と訴えられました。労働者代表から、いま五十五歳定年というものは全く若過ぎるから、少なくとも厚生年金の支給年齢六十歳まで、一日も早く定年を延長してもらいたい。したがって、これに対する労働省の見解。それから年金制度が現在八つに分かれておりまして、ばらばらです。だから、これはもう十数年前から社会保障制度審議会の答申などもありますが、この年金制度の抜本改正についてはどうなっておるか。言うならば、一生懸命若いとき働いて、定年になったら、それから先はもう年金で食える、そういう体制が一日も早く来てほしいと。卑近な例で、いいか悪いかわかりませんが、ここの参議院の職員は大体六十四歳のようであります。これは定年でございませんで、六十四歳になりますと、もうやめて、年金がありますし、ほかに就職しないでもいいと、そういうことでありますから、それでまあこれに準じたような役所などはできるのではないか。ただ、筋肉労働のところなどはなかなかいきませんけれどもね。だから、定年制の延長は労働省、年金制度の抜本改正は厚生省、御答弁願います。
○政府委員(北川俊夫君) 先生御指摘のように、厚生年金支給と定年制が結びつくということは、私たちとしては非常に大事だと思います。そういう方向で定年延長につきましては強力に行政指導をしておるところでございますが、昨年、中高年雇用促進法を改正いたしまして、高年齢者につきまして六%の雇用率を設定いたしました。これを軸といたしましてこれから定年延長の行政指導をいたしますとともに、御承知のように定年延長奨励金あるいは高年齢者雇用奨励金等の制度もございますので、これの普及を図りまして、定年制が六十に近づくようにさらに一層の努力をいたしたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 先生御指摘のように、年金開始年齢を大幅に分けますと、五十五歳、六十歳、六十五歳、さらに福祉年金が七十と、こうなっておるわけであります。いまも労働省からお話があったように、どれぐらいの年でやめられる率が多いかと。定年制は、五十五歳が四七%になっておるそうです。ところが、最近は六十歳というのがふえてきて、これもおかげさまで三二・三%が六十歳定年と。これは新しい傾向で、それ以外は三%とか二%しかそのシェアがない。せひともこういうことで定年制を延長してもらうと、六十歳の厚生年金に乗り移ることができると。われわれとしてもそれが一番いいのじゃないかと。外国の例は、御承知のとおり大体六十五歳、ほとんど欧米はもう六十五歳定年制といいますか、年金開始の時期でございます。年金は、いろいろいま言ったように、年齢的にも違うし、歴史も違うし、給付内容も違うし、いろいろ違うところが多いところがあります。したがって、これを一本にするということは言うべくしてなかなか歴史もございますしすぐには考えられない。しかしながら、私は、やはりこの年金問題というものは大きなこれからの問題でございますから、どういうふうな形で給付を受けるのか、掛金はどういうふうにしていくか、国の助成はどういうふうにしたらできるか、どこまでできるか、これは本当に大きな問題だと存じます。御承知のとおり、国鉄の共済年金なんというのはもう四〇%近い成熟度を持っておりますから、負担もまあ大変である。こういうことで、厚生年金まで老齢化していったら一体どういうふうなことになるのか、これは実際大変なことでございます。したがって、この年金の基本構想につきましては、かつて齋藤大臣のときですか、先生からも御指摘を受けて、検討をいたしますというお約束になっておるそうでございますが、実は去年からこの構想についての懇談会を持って、専門家の間でいま話を詰めております。ことしの秋ごろまでに何とかその話の大筋だけはきちっともう取りまとめて、それでまあ準備期間というのは二年かそこらかかるでしょう、そういうふうなところで、年金制度についても根本的な見直しをやりたい、やるつもりで準備をいたしております。
○小柳勇君 年金制度も長い懸案でして、私も一生懸命取り組んできた問題でありますから、早期の実現を期待いたしまして、労働省にいまの問題でもう一問。 中山先生の社会経済国民会議が提言した定年延長法の構想を参照して定年延長法というものを制定していただいたらどうかと、そして定年延長の奨励金制度をもっと活用してもらったらどうかと、これについての見解を聞きます。
○政府委員(北川俊夫君) わが国の定年制といいますものは、いまの賃金制度あるいは雇用慣行、そういうものと結びついてできておりまして、経営者及び労働組合の自主的ないろいろの話し合い、その理解に基づいて延びていくのでなければ、法律に基づきまして強制することのできるものでないという認識に私たちは立っております。ただ、先生御指摘のように、やはりいまの人間の生存期間が非常に長くなってきておる時期でございますので、定年延長につきましては、先生の御指摘の定年延長奨励金制度その他先ほど申しました法律の雇用率等を活用いたしまして、行政の最重点として努力をいたしたいと思っております。
○小柳勇君 これは総理大臣に質問いたしますが、ここで集中審議で地方財政と教育問題を論議しました。その中で各党から出ましたのは、学歴偏重主義が日本の青少年の生活をゆがめていると。この際学歴偏重社会を一日も早くなくしてもらいたいと。そこで、ここに国家公務員法の第五条第五項に、人事官の任命のことですけれども、「人事官の任命については、その中の二人が、同一政党に属し、又は同一の大学学部を卒業した者となることとなってはならない。」と書いてあるわけですね。これは一つの国家公務員、まあ人事官ですから、三名しかいないから、最高なんですけれども、少なくとも霞が関から学閥偏重とか集中審議で言われたようなことを率先してひとつ解消してもらいたいと、そう思うわけですが、総理大臣の見解をお聞きいたします。 〔委員長退席、理事中山太郎君着席〕
○国務大臣(福田赳夫君) さあ、それはなかなかむずかしい問題のようですが、国家公務員は、これはもう三権分立の中で行政をつかさどる、この行政職にある者のあり方いかんというものは国民全体に非常に大きな影響を及ぼすわけでありますので、やはりこれはそれにふさわしい人をその職につけせしめるということをまず旨として考えなけりゃならぬことだろうと思います。そういう中でどういうふうにしてそれを実現するか、そういう仕組みとして国家公務員試験というようなものがある。その国家公務員試験の受験資格ですね、そういうものに差別があるなんというようなことがあったらこれはいかぬと思います。しかし、その試験をいたしまして、そしてその中ですぐれた人を採用した結果、ある種の学校の人が多かったという結果が出てくるのはこれはやむを得ないことじゃないかというような感じがいたしますが、しかし、この学歴社会の問題はわが国の社会の大きないま問題の焦点になっておる問題でありまするから、それ以外にもいろいろ配慮しなけりゃならぬ問題があると思います。そういう問題は私は逐次是正していきたいと思いますが、いま御提案のように、何%の者は国立であってよろしいが、というような制限となるとなかなかこれはむずかしい問題かと思いますが、しかし、学歴社会の打破という点につきましてはいろいろ工夫をしてみたいと、かように考えています。
○小柳勇君 集中審議で熱心に各党から出た問題でありますから、総理並びに各閣僚とも心にとめておいてもらいたいと思います。そして、なるべくいまの日本の子供がとにかくいい学校に行くためにもう骨身を削ることの減りますように心から期待をいたします。 それで、さっき残しました景気回復のもう一問を最後に総理の見解をお聞きしたいのでありますけれども、私は去年の参議院本会議でも質問いたしましたように、一年に一回ばあんと財政支出を出すことはこれは刺激になると思いますけれども、何回か小刻みに出していきましてもそれはだめではないかと。まず第一は自力で各企業がはい上がる力を自分でつくっていかなければなりませんから、だから、一回ばあんと来ましてその金が来ないともうがっくりしてしまいますね。そういうものでありますから、この予算委員会というものは、今度の国会の大きな目的はやっぱり景気回復ではないかと思うわけです。だから、衆議院では減税論争がありました。こちらでは地方財政の問題などやりましたけれども。したがって、よく言えば、この予算委員会に、これだけの予算が通ったら具体的には各省庁こうやるぞと、そういうものが実は欲しかったわけです。そして見通しをですね。でないと、ここに経済見通し、これは二月の閣議決定でありますけれども、これは経済企画庁の月例報告ですね、これを見ましても、あるいはきょう銀行の調査報告を見ましても、景気はなかなか秋までによくならぬというのが一般の見方ですから、一カ月間の予算委員会のこの論争を経済の総理と言われるから腹に入れて、あの手でいかなければこの手と発想の変換をやってもらいたいと思うわけです。そしてあらゆる手を尽くすと。その政治に対する信頼が景気回復ではないかと、そう思うのですが、総理の見解を聞きます。
○国務大臣(福田赳夫君) 私どもは、こうして毎日毎日皆さんからいろいろ御意見を承る、また御質問を受ける、これはもう本当に私どもは真剣にそれを承ったりお答えしておるわけなんです。まあとっさの問題もありまするし、あるいは前日予告を受けてそうしてお答えするという問題もあります。ですから、的確な、お気に召すようなお答えをなすことができない場合も多々あるわけでございまするけれども、この御議論を承っておりまして、そして、これはまあ国会の議論というのは世の中の縮図みたいなもんですから、ああこういう世の中の動きもあるかなあ、こういう御意見もあるかなあ、また、大変貴重な意見だなあというふうに感ずるものが多々あるわけなんであります。きょうの小柳さんのお話なんかを承りまして、私どももいろいろ鞭撻されるところが多々あるわけでありますので、こういう御議論を踏まえまして、予算が成立すると、その上は、その上に立ちまして適確な行政運営に当たってまいりたいと、こういうふうに考える次第であります。
○小柳勇君 最後の質問ですけれども、これは総理と大蔵大臣からお聞きしたい。 今度衆議院で予算が修正されました。それが政府修正になって出てまいりました。私は、議会制民主主義ですから、国会が修正してもちっともおかしくない、それが本当の財政民主主義ではないかと思うんですよ。その点で、まあ大蔵省も大変苦労してつくったんだから、修正されたらしゃくにさわるでしょう。そういうものはもう来年もまた出ると思うんですね。それが本当の議会制民主主義ではないかと思います。 〔理事中山太郎君退席、委員長着席〕 そこで、総理は、今度野党党首に会談されました。それから各財界などとも懇談されました。密室の予算編成をやめて、いままで自民党の政調と大蔵省とこうやって、そしてそれを大臣査定でやってきたと、こういうようなものよりも、むしろその前に各党の政調会長と大蔵省とがちゃんと前もって話し合って、たとえば六月でも八月でも十月でもいいですけれどもね、そしてもう予算が出るときには野党が余り反対ないような調整ができるならば一でないと今後ますます混乱する、したがって、各党と大蔵省で政策調整機関的なものをつくって、そして予算案が確定する前に調整して国会に提出すると、そういうようなお考えがあるかないか、総理大臣と大蔵大臣からお聞きいたします。
○国務大臣(坊秀男君) ただいまの御意見でございますが、これは真剣になってお聞きしなければならぬ意見だというふうに考えます。ただ、しかし、現在の与党と野党との——野党が三つも四つもございまして、その上野党のペースというものも全部歩調が御一緒になっていらっしゃるということでもないといったようなときでございまして、それを、たとえそうであろうとも、私が就任したときには、総理の御意向もありましたので、各党の政審関係の方々とお目にかかって一応のお話を承ったのでございますけれども、何しろこれが一つにまとまっていらっしゃれば何回かこうお目にかかれる。ところが、予算編成の大変忙しいことは小柳さんもよく御理解していただけるだろうと思います。各党にお目にかかって一々御相談を申し上げる、それが一番いいのでございましょうけれども、なかなかそういったような時間的余裕もございませんし、私も十分お話を承ったり申し上げたりするという機会がなかったということでございますけれども、とにもかくにもできるだけ野党の皆さんの御意見というものを承ってまいりたいと、かように考えております。
○国務大臣(福田赳夫君) 大体大蔵大臣の申し上げたような考えでございますが、私は、やっぱり、与野党は常に、政策問題ばかりじゃありませんけれども、特に政策については話し合いをした方がいいと思うのです。ただ、話し合いをしたからそれで国会へ出して満場一致でもうすぐ通るんだというような結果を生み出すことは私は困難だろうと、こういうふうに思います。ですけれども、どこにどの党の考えの焦点があり、また、どの党の考え方のどこに非常にいい点があるというような点をお互いにそしゃくし合っておくことは、私はこれからの国会を運営していく上において非常に必要なことであると、こういうふうに考えますので、何らかそういう方向のことを具体的に考えてみたいと考えております。
○小柳勇君 質問を終わります。
○委員長(小川半次君) 以上をもちまして小柳勇君の質疑は終了いたしました。(拍手)
○委員長(小川半次君) 次に、秦野章君の質疑に入ります。秦野章君。
○秦野章君 最初に、官房長官に、日ソ首脳会談、本当に御苦労さんでございました。 あのときに、何か添え物のようなかっこうで、新聞記事を見ると、首脳会談の中で、秦野が委員会議事録とか国会で、アジアのいかなる国においてもというようなことで反ソ宣伝をやったと、こういう新聞記事もあるわけですね。私は、真相は、官房長官の手元になかったかもしれませんが、向こうの手元にはあったわけですね。そこらが筒抜けになっているというわけだけれども、議員総会で述べたことは、日本の二つの新聞と一つの通信社の世論調査では、ソ連はいやな国だ、きらいな国だということがトップクラスにいつも出ているんだと、だからソ連がアジアにおいて平和外交を進めるということであるならば、超党派議員団が向こうに行くというような機会に、この事実を向こうに言うべきではないかというような意味で、言うならば鞭撻の意味で私は言ったんです。まあ唐突なことであれだったと思うのですけれども、まあ何だか警察上がりだけが対ソ問題でおかしなかっこうになっているというような、長官はあれはまあ警察上がりだからと、国会議員なんてみんな何かの上がりですけれども、上がりだけれども、いま国民の意識というものは客観的データによって私は言ったんだし、国会じゃなくて委員会じゃなくて議員総会で言ったんです。ここは日本の国会の場ですから、私の個人的意見じゃ全然ない。私がソ連がきらいだと言ったことは一遍もない。ひとつ長官にそこのところを釈明していただきたいと思うのです。
○国務大臣(園田直君) 私もいまのことではよく真相を申し上げて釈明しておくべきであったのでございますが、その時間がなくて御迷惑をかけたことをおわび申し上げておきます。 真相をそのまま申し上げますと、コスイギンと私の会談が当初一時間ぐらい激しい議論になったわけでありまして、会談の目的に議論が触れることができなかった。そこで、困ったなあと思っているときに秘書官がやってまいりまして、五分間ほかの用件で急用があるから休憩することを許してくれと、こういう話があって、コスイギンは中座をいたしました。その五分間の休憩中、会談ではなくて休憩中に、いろいろ漁業相や外務大臣代理との間に雑談が行われました。その中で出てきた話題でございまして、当初、私が、漁業相に、あなたの名前は日本人はほとんど知っている、あなたが日本から立候補したら当選するぞと、こういう冗談を言いましたところ、漁業相は笑っておったわけでありますが、外務次官が突然印刷物を持ち出しまして、それは外交辞令だ、うそだと、ここにこういう事実があるといってきれいな印刷した文書、私が見たところではちょうど予算委員会の議事録みたいなペーパーを出しました。この中に、秦野という人が、ソ連という国はみんなきらいだ、私もきらいだ、アジア全国民もそうだという趣旨の発言があると。そこでそれをだれも制止しなかった、批判もしなかった、だからいまの園田特使の発言はそれは外交辞令だと、こう言って、秦野という人はどういう人かとこう聞いたから、私、最初秦野ということが突如出てきましたから黙っておりましたら、秦野章と、こう言いましたから、じっと考えているときに、横からほかの人が、本人だけじゃなくてアジアの国は全部きらいだと、こういうことを言っているんだからこの人は勇気のある人だ、どういう経歴の人かと、こう言うので、警察出身だと、こう言ったら、ああそうかと、こう言ったんですが、実は秦野委員の経歴は全部知っておったようで、東京都知事の選挙に出て立候補したこの人かなどと詳細述べておりました。これが真相でございまして、そういうことのために秦野委員に御迷惑をかけたことを深くおわびを申し上げます。
○秦野章君 総理、日米首脳会談にこの間おいでになって、日本と米国あるいはないし先進国の間に不協和音が拡大をしておるという事実もありまするし、世界の中にはいまでも硬化論が存在するというような状況の中で、二国間でアジア太平洋地域の問題とか世界の問題を論じられたということは、私はこれはいままでの二国間会談よりも格を上げたのじゃないかと、そういうふうに思うんですよ。あのときに、しかし、当委員会は、羽田に行くまで質問して、また帰って来たら羽田から総理を呼び出す、総理をいびるようなことをやった。ああいうことは参議院の格を上げるのじゃなくて下げるのだと私は思いますので、委員長、ひとつ善処を、ああいうやり方をしない方がいいと、こう思うのです。 まあそれはともかくとして、あの日米首脳会談で日本における分担の問題、経済の問題、その他世界的に特に日米が役割りをどうやっていくかというようなことについていろいろ話し合われたことは、私も記者会見やあるいは国会論議あるいは新聞等で知っているのですけれども、きょうは、安全という問題につきまして、安全保障というと何か仕掛けを考えますから、もっと素朴な意味の日本の安全、これを日本の覚悟といいますか日本人の覚悟、哲学といったような基本的な問題について総理のお考えをお伺いしたい。 私の一つの意見は、ここで二つ基礎的な問題で考えなくちゃならぬ。一つは、日本列島というものはアジア大陸に非常に接近しているわけですね。船で一時間、一時間半、日本は島国だから安全だなんというそういう時代はもう今日の科学時代では問題ではない。私は、地理的にここまでアジアに接近している日本は、少なくとも地理的には——地勢学的というと、地勢学というのは国家拡大の論理に昔活用されましたから、誤解を招くといけませんからあえて地理的と言いますけれども、地理的には日本はアジアの方へくっついた方が自然で、一万五千キロ離れたアメリカの方にくっつく方が不自然だと思うんですよね。これがハワイの向こう側ぐらいに日本列島があると話は別だけれども、向こうへくっつくのが不自然、こっちへくっつく方が自然なんだと、この認識からいかにゃいかぬ。総理、いかがでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ、くっつくというか、いま秦野さんは安全保障だけの立場からごらんになっておりますが、私は、心情的というか、そういう立場から見ますると、これはわが日本はアジアの一国ですよ、どこまでもアジアの一国であると、こういうふうに思っております。ですから、心情的にはアジア、しかし、経済の角度から見るというと、やはりわが国の最大の貿易国はアメリカなんです。わが国の貿易の三分の一はアメリカなんですから、これはどうしてもアメリカと緊密な関係にならざるを得ない。それから終戦後の歴史的経過から見まして、わが国の置かれている安全保障上の立場、そういうような立場から見ますると、東西の中にはさまれた日本とすると、ものの考え方、それから先ほど申し上げましたような経済的な結びつき、そういうようなことを背景とすると、やはりこれはアメリカとの間に特別の関係が出てくるということ、これもまた自然なことではあるまいか、そのような感じがします。
○秦野章君 いや、私は、政治的な自然さを言っているのじゃなくて、地理的な問題あるいは地勢的な問題で、いま一つの基礎的な条件でやっぱりすばっとこっちにくっついた方が自然だというのが地理的な条件だと思うんですよ。 いま一つの条件では人種問題がある。私は反米で言っているのじゃないですよ。基礎的な事実の認識から始まらぬと、国防とは何ぞやということが出てこないから言っているんですから、経済とか政治とかいう問題を抜きにしてください。そんなことを言ったらキューバがアメリカにくっつく方が自然だけれども、政治的にはああやってがんばっているのがキューバの宿命であり見識であるわけですね。私は地理的な意味でいまお尋ねしたわけです。いま一つは、ちょっとこれをごらんいただきたいと思うのだけれども、アメリカのボガーダスというかなり著名な社会学者ですけれども、アメリカ人が結婚をする場合にどこの国の人と結婚したらいいのかという、これはかなり貴重な文献としていろいろな文献に利用されているデータですけれども、アメリカ人が四十カ国のどこの人と結婚したら一番いいかというと、アメリカ人はイギリス人と結婚することを一番望んで九三%ですね。その次に自分の国なんですよね。それからあとは、カナダとかずっとこうヨーロッパ、白人なんです。東ヨーロッパもドイツもロシア人も全部結婚は有色人種よりはるかにしたいんですよ。それで、有色人種は一番びりっかすの方に五つ六つ並んでいるんですけれども、日本は二・三%、フィリピンが一・六、まあ日本、フィリピン、ニグロ、トルコ、中国、朝鮮、インド人と、こういうところが下の方にあるわけですね。こういう問題というものは、これは実は百年とか二百年で変わる問題ではないと私は思うのですよね。これも事実の問題を私は言っているんですよ。 そういう二つの事実があって、これをやっぱり一応確認をして、その上に立って日米関係というものを考えていかなきゃならぬと、こう思うわけでございます。これは、私も、さっき申し上げたように、一種の覚悟というか、日本人の一つの考えの根本に認識しておかなければいかぬという意味で申し上げている。 そこで、安全保障条約を日本とアメリカと結んでいるわけです。この安全保障条約の効果というものは、われわれいままで聞かなくてもある程度もうわかっておりますから、ここではもう時間もあれですから聞きませんが、これはやっぱり信頼関係で日米安保があると、これは当然なことですね。しかし、安保条約も、国家と国家との打算という要素があることは抜きに考えられないと思うのですね。日本のメリットもあるし、向こうのメリットもある、これは当然なことだ、そこに信頼がある、こういうことだと思うのですが、この安保条約の問題でいわば日本は専守防衛といいますか自主防衛といいますか、この自主防衛、専守防衛の安保条約は補完なのかどうか。補完ではないですね。この点ひとつ外務大臣でも結構ですから答弁していただきたい、単なる補完ではない、補完なのか。
○委員長(小川半次君) 秦野君、あなた先ほど資料を総理に配付されましたが、これは理事会の承認をなくして資料を配付してはならないことになっております。回収させましたからどうぞ。
○国務大臣(三原朝雄君) お答えいたします。 単なる補完ではございません。お互い、日本の防衛力、それからアメリカのそうした安全保障というようなものは相補うものでございまして、単なる補完ではございません。
○秦野章君 そこで、また一つ安全保障の覚悟といいますか、日本はやっぱり平和で生きていくほかはないし、あくまでも善隣友好という線は全うするほかないのでございますが、それは当然なんですけれども、その中で安保条約を結んで日本の安全を確保していきたいという、これは安全保障は軍事的側面だけじゃありませんけれども、軍事という側面を抜きにしてもまた考えられない。そこで、安保条約の何といいますか一つの限界といいますか、その一つとして戦略核の抑止力というものがあるわけですね。この戦略核の抑止力というものにやや神話化する危険があるかないかという問題をお尋ねします。神話化する、つまり、核がここまで来てしまうと互いに使えないんだという、存在だけの意味しかないということになる危険がないかどうか。巨大な核で人類が絶滅するということになったら、日本がたとえば攻められたら核をぶっ放すよと言っても、やっぱりそれはなかなかできない。神話化の危険がちょっとあるような感じがするんですよ。これはやっぱり安保の限界としてちょこっと頭に感じておかなければならぬと私は思うのですがね。
○国務大臣(福田赳夫君) 私はいま核時代という世界になっていると思いますが、核が用いられるような戦争ですね、これは非常に起こりにくくなっている。私は、しかし、絶対とは言い切れません。しかし、起こりにくくなっているということは私はそのとおり理解すべきものであり、多数の人がそう理解しておると、こういう認識です。
○秦野章君 アメリカが世界で安保条約というか、安全保障をしている国は幾つぐらいありますか。これは政府委員で結構です。
○政府委員(山崎敏夫君) この点につきましては、アメリカの国務省が発行しております現行条約集等で私たちが承知しておりますところでは、米国が防衛上安全保障関係にあります国は、二国間条約によるもの及び多数国間条約によるものと両方合わせまして、約五十カ国ございます。
○秦野章君 アメリカは、世界戦略として五十カ国と安全保障をしていると。そうすると、まあどこで起きるか、起きたときには、戦略的にどこを重点にやるか、いろいろ選択があると思うんですね。そこで、日本の通常兵力による安全保障という問題につきましても、アメリカの都合というものはかなりあるだろうと思うんですよ。そこで、日米協力委員会というものが去年でしたか発足して、そこではどういう話し合いをしていますか。
○政府委員(山崎敏夫君) 日米防衛協力小委員会は、昨年の七月でございましたか、第十六回安保協議会の結果つくられましたものでございまして、現在までのところ三回開いております。ここで、有事の場合に備えての両国の協力について、防衛協力について研究協議いたすことになっております。いままでのところは、その研究協議の前提条件及びその研究協議の対象となるべき事項について、大体合意を見たわけでございまして、これからその内容に入っていきたいと思っております。
○秦野章君 まあ内容にこれから入っていくとおっしゃるけれども、この世界の五十の国と約束をしていて、恐らくこの委員会では形式、手続みたいなことは一生懸命やると思うんですよ。内容で、たとえば侵略を受けたら何個師団送るとかなんとかというようなことは、話し合いができるわけは私はないと思うんですよ。だけれども、まあこういう委員会をつくって密接におやりになることは結構ですけれども、したがって、この通常兵力についてもそう万全を期すなどというものではないと、そこにおのずから限界があるということを、これも覚悟の問題としてやっぱり考えておかなきゃならぬと、こう思うんですが、総理いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりだと思います。もうみずからの国はみずからが主体となって守らなきゃならぬ、これは当然のことなんです。
○秦野章君 そこで、日本は日本を守るということにやはり節度を持ったことでなきゃなりませんけれども、これは基盤防衛力とか——昔は戸締まり論とかありましたよ。このごろ戸締まり論なんか余り言わなくなったのは非常にいいことだと思うんですけれども、戸締まりというのはしんばり棒からかぎになった程度で、これは要するに物理学ですから、やっぱりこれは活力というかエネルギーでやる。要するにひじ鉄砲を食らわすと、普通の国土に侵略するものに対しては。そういうふうなひじ鉄砲を食らわすという、そういうものだろうと思うんですよ、この自主防衛というのは。玄関から入ってきそうなのが、入られちゃ困るからばんとやると、これだと思うんですよ。それを国民にわかりいいように、やっぱり私はもう少し言った方がいいと思う。ひじ鉄砲以上のものでもなければ以下のものではないと、こう私は観念というか、考えるのがわかりいいと思うんですけれども、防衛庁長官いかがですか。
○国務大臣(三原朝雄君) お答えをいたします。 基盤的防衛力についての御指摘でございますが、御承知のように、われわれが基盤的防衛力構想を昨年決定をいたしますに当たりましては、まず、各国が世界の安全に努力をいたしておるわけでございます。そうした国際情勢、あるいは日本を取り巻きます国際政治構造と申しますか、それと国内の情勢等が現在のような状態で、安全、平和の体制で一応ある程度の目安がつくわけでございまするが、進んでまいるという前提に立ちまして、そこで、日本の平常におきましては警備体制がとれ、あるいは限定的な小規模の外部からの侵略がある、そのくらいのものに備えるだけのわが国の防衛体制ということを一応考えてみたわけでございます。それが基盤的防衛力でございます。で、一次防から四次防までは列国の脅威を中心にしてぐんぐん国防の整備をいたしてまいりましたけれども、どこまで防衛力を整備するであろうかというような問題もございました。そういうものも踏まえ、国内外の情勢を見て、まあ一つの、この程度あれば平素の警備体制はできる、そして外部からの限定的な小規模のものならば排撃できるということで考えてまいりましたのが基盤的防衛力でございます。 しかしながら、ということは、いま先生が御指摘になったように、その程度ではひじ鉄も食わせられぬではないか、もっと大きな力が来た場合は国家の安全は守れるかという御心配があろうと思いまするので、その点につきましては、世界のいま申しましたような安全、平和の状態が非常な変化をしてきたという場合には、それに即応し得る防衛力の強化をその上に整備できるという体制を考えてまいっておるわけでございます。それを基盤的防衛力と申し上げておるわけでございまして、この日米安全保障条約を基調としながら日本の防衛体制を、そのような整備をいたしていこうという考え方でおるわけでございます。
○秦野章君 軍事バランスというものが平和を維持しているという、非常にこれ悲しい現実だけれども、そういう現実があるということも認めなきゃならない。しかし、われわれは、そのバランスといっても、結局通常兵力ということでひじ鉄砲を食らわすような程度のものだろうと私は思うんですが、さてしかし、それはひじ鉄砲を食らわせるほどのいま防衛力があるのかということがちょっと心配なんです。 そこでその前に、GNPに対するNATO諸国の防衛支出と日本とをちょっと比較したいんですが。
○政府委員(伊藤圭一君) これはよく言われておることでございますが、NATO諸国は大体三%から五%程度でございます。わが国は御承知のように一%以下でございまして、来年度の予算でお願いいたしておりますのが〇・八八%でございます。
○秦野章君 これは、そういったパーセントだけでもいかぬとは思うんですね、これ質の問題がありますから。しかし、やっぱり低いでしょうね、日本の程度では。しかし、問題はやっぱりひじ鉄砲の質が問題だというふうに思うんですが、質の問題で非常に弱いところを具体的にわかりやすくひとつ防衛庁は説明してくれませんか。非常に弱いところ。
○政府委員(伊藤圭一君) 弱いところと申しますと、私ども一過去二十年間整備してまいりますにつきましては、陸海空それぞれ必要な面から整備してまいりましたけれども、御承知のように、まず航空自衛隊から申しますと、新鋭の戦闘機というものを中心に進めてまいりました。そしてそれをバックアップするバッジシステムというようなことを進めてまいっておるわけでございます。その中で弱いところは、よく私どもの言葉で申しております抗たん性といいますか、後方支援体制を含めまして、いわゆる戦う力に即時応ずることができるかというような点で弱いところを感じております。たとえば、弾薬の備蓄の問題、あるいは低空で侵入してくる飛行機をつかまえるような問題。次に、海上自衛隊におきましても同じような弾薬の問題、あるいは燃料の備蓄の問題あるいは、最近の兵器は非常に精密化されておりますので、それを使う場合の整備に時間がかかります。そういった問題がございます。陸上自衛隊につきましては、やはり弾の問題というのが大きな問題になっております。
○秦野章君 機関銃は何分、弾。
○政府委員(伊藤圭一君) 機関銃は、よく言われますが十分間でなくなるという計算もあるわけでございますけれども、これは全部の機関銃を並べて撃ったときのことでございまして、機関銃の弾というものは、それぞれの戦闘場面においての使い方があるわけでございますので……
○秦野章君 じゃ、いいんだな。
○政府委員(伊藤圭一君) はい。十分とは申しませんけれども、小銃、機関銃の弾というものは、他のものに比べますと比較的持っているというふうに考えております。
○秦野章君 日本が、外交とかいろんな国際関係で努力をしていけば、そういう侵略というようなものはまずないだろうと、こう思うんですけれども、私は、覚悟の意味でやっぱり考えておかなきゃいかぬという問題では、どうしても国土戦にしちゃいけない。日本は第二次大戦でも国土戦の体験がないわけですよ。原爆の悲惨な問題は別として、三百万の戦死者を出しましたけれども、みんな外へ行って死んでいる。ヨーロッパは一千万死んでいます。これは国土戦ですよね。目の前で女や子供が殺されるんです。ソ連は二千万死んでいる。中国はそれを上回るでしょう。しかし、日本の戦争体験というものは、国土戦の体験がないから、私はどうしても国土の安全ということは、ひじ鉄砲国防ということだけには、やはりちゃんとした力を入れておく必要があると思うんでございます。ひとつ総理、その点について、いまの国防という問題、やっぱりもうちょっと充実していくということはやっていかなきゃならぬ問題と思うんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(福田赳夫君) いろいろ見方がありますが、わが国の防衛力で欠けておるというのは潜水艦だと、こういうふうに言われておりますがね。次いで防空能力、こういうふうに言われますが、おっしゃるとおり、何か紛争があっても国土戦という事態にはぜひ持ち込みたくない。これはもう断じて避くべきものである、こういうふうに考えます。
○秦野章君 防衛庁から自衛隊の支持率、なるべく、客観的な支持率をちょっと示してください。
○政府委員(伊藤圭一君) 総理府で調査いたしました世論調査によりますと、三十年代の初めごろまでは六〇%程度でございました。四十年代に入りましてから大体七〇%を維持しておりまして、昨年、五十一年度は七九%の支持率という結果が出ております。
○秦野章君 どこの。
○政府委員(伊藤圭一君) 総理府の広報室でございます。
○秦野章君 ほかはないかい。ほかは、民間の……。
○委員長(小川半次君) 秦野君、私語的なことをやめて。
○政府委員(伊藤圭一君) ほかにもございますが、私もはっきり記憶いたしておりません。
○秦野章君 それは勉強不足だよ。君、民間の新聞とか通信とか、そういうもので言わなきゃだめだ。政府のもいいけれども、やっぱりそういう客観性のものを追求しているんです。 自衛隊の支持率が、とにかく私の調べた範囲では、NHKその他民間のもかなりの支持率をとっていますね。自民党の支持率よりもはるかに高いというのは、私は歴史的事件だと思うんですよ。このいまの美しい憲法ね、もう侵略なんかする国は一つもないというような、平和を掲げたあの美しい人類始まって以来の理想憲法の中から、軍隊なんかできるわけがないんですよ、本当は。軍隊なんかできてたまるかという国民のあの痛烈な、憲法違反を初めとするあの声は、私は当然だったと思う。これがデモクラシーのいいところなんだ。しかし、その風雪に耐えて自衛隊がこれだけのコンセンサスを得たということについて、総理の感慨はいかがでございますか。私は、その風雪に耐えた自衛隊に感謝をするとともに、これを批判をしている——デモクラシーですから、批判をした日本の一部の人たち、野党の人たちもそうだけれども、この人たちにも心から感謝すべきだと思うんですが、総理いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) いずれの国といえども、これはもうみずからの国はみずからの手で守るという気概を持たなければならぬ。その気概を代表するわが自衛隊、まあ私は、そこまで世論の理解を高め得たということについては深く敬意を表します。
○秦野章君 教育の世界でも、過保護というのはだめなんだ。それと同じように、自衛隊もやっぱりこの平和憲法の中からぬくぬくっとこう育つなんというのではろくな自衛隊はできない。私は、その意味において、非常に厳しい環境に育ってここまでの支持率を得たということは、これは歴史的事件と言ってもいいだろうと思うんですね。 それはこの辺にしておきまして、次は、ミニ開発の問題をちょっとお尋ねしたいと思いますが——きょうは、資料を配るのは理事会でなんて言うもんだから、いっぱい資料を持ってきたが、だめだ。弱ったな——空中写真を撮りますと、後でごらんに入れますけれども、これは物すごいミニ開発がここ数年来進んでいるんです。過密の中の過密なんですよね。国土庁は調査をされました。東京都も調査して新聞に出ています。この実態を報告してください。
○政府委員(松本作衛君) お答えいたします。 国土庁におきまして、最近におけるミニ開発の問題が出ておりますので、東京と大阪地区につきまして五百カ所のミニ開発を調べてみました。このミニ開発の定義といたしましては、開発規模が二千平米以下、それから一区画の面積が百平米以下という基準で調べたわけでございますが、それによりますと、五百地点の平均の開発面積が約六百平米でございますが、一区画につきまして、私道を除いた面積をとってみますと約六十六平米ということになっておりまして、有効宅地当たりの建蔽率、容積率というようなものが非常にきついものになっているというふうな実態でございます。
○秦野章君 地価がどのくらい上がっているか。それから違法建築がどのくらいあるか。
○政府委員(松本作衛君) 地価の点につきましては、ただいまその地点の正当な地価の鑑定評価をやっておりましてその鑑定評価との比較をやっておる最中でございますので、どの程度高いかということをはっきり申し上げるわけにはいきませんけれども、やはり高い実態が出ておるというふうに考えております。 それから、違法建築につきましては、私ども違法建築があるかどうかということは調べておりませんので、その実態はつまびらかでございません。
○秦野章君 それはあなたの方は発表しにくいだろうけれどもね、これは、朝日新聞の三月二十日の記事は、私の手元にあるデータと全く違わない。これが間違いないところだと思うんです。これは違法建築が四割ある。価格はやっぱり五、六割上がっちゃって、ひどいのは公示価の三倍にもなっているというのがこの実態調査。これは、あなたのところは民間に鑑定を依頼したもんだから、データは幾らでもこっちへ入るんだよ。これはもう正直に言った方が一この現実を認識しなくてはやっぱりビジョンは出てこないと思うんですよね。現状認識をぴしゃっとするという意味において、いまの答弁なんかじゃしようがないんだけれども、相当土地の価格は上がっているということと、違法建築が四割もあると。しかし、四割違法建築があってそして値段も上がっているけれども、このミニ開発はやっぱり一概に責め切れないというところに問題がある。やっぱり持ち家が欲しいんですよ。そういうことになるとそっちに行ってしまうんですよ。一概に責められないというところに問題があると思うんですけれども、このミニ開発の実態というものから一体何を学ぶかという問題なんですけれども、これは当然災害の問題、保安の問題というものが出てきますが、自治省の震災対策等の予算ですね、今度計上されていますが、その内容とその項目をちょっと説明してください。
○政府委員(林忠雄君) お答えいたします。 消防庁としては、地震のときには火災が何よりも恐ろしいという認識でございますので、主として、火災対策として次のような施策をやっております。 防災知識の普及、啓発でございますが、これはテレビの電波料その他でございます。それから百トンの貯水槽、これは耐震型の貯水槽で、地震が揺すっても壊れないというものでございますが、この耐震型貯水槽の補助をしております。それから、あと飛行艇による空中消火の実用化の試験あるいは避難誘導システム、こういった大震火災対策のための基礎的な調査研究を現在やっております。 本年度の予算の数字は、ちょっと細かいのは、またよく調べてお答えいたしますが、この大震火災対策として、耐震性貯水槽については現在まで京浜地区ですでに五百二十九カ所やっておりまして、本年は首都圏で百カ所程度を予定しております。
○秦野章君 公園をつくろうと、過密化になっているからということで、公園の予算は三大都市圏あたりでどういう予算になっていますか。
○政府委員(山岡一男君) 手元に資料がございませんので至急取り寄せて御報告いたします。
○秦野章君 総理ね、一方で井戸を掘ったり公園つくったりする予算を取っているんですよ。一方で過密化がどんどん進んでいるんですよ。このアンバランスといいますか、この過密化もまたやがては都市再開発かなんか必ず巨額投資をやらなきやならぬようにいってしまうんです。こっちで井戸掘ったりなんかして公園つくったりしてこれも大したものじゃないんですけれども、予算の中身を見ると。井戸だって一つ百トン貯水槽だというけれども、消防ポンプでびゅっとやったら十分間ももたないでなくなってしまうんですよ。それでもないよりもいい。しかし、そういうことにお金をかけてやっていながら、こっちで過密化が進んでいるというこの現状を、総理は記者会長でも住宅問題が一番大事だと、こうおっしゃった。まさにそうなんです。しかし、住宅問題というものはまさに鋭く都市対策であり、災害対策であり、家族制度の問題であり、教育の問題であり、あらゆる内政の集約に住宅対策があるということで総理もおっしゃったんだろうと思うんですが、このアンバランスに対してどうでしょう。
○国務大臣(福田赳夫君) なかなかむずかしい問題でございますが、やっぱり私は基本的には都市に人口が集中する、これを何とか是正する方法がないと都市問題というのは解決しないんじゃないか。時間はかかりまするけれども、やはり地方基幹都市、こういう構想、これを進める。そしてなるべく都市集中の勢い、最近幾らかとまってきたような傾向ありますが、これをとめると同時に、さらにいろんな工夫をこらして、都市人口をもう少し分散させるというようなこととうらはらをなしませんと、秦野さんおっしゃるようなりっぱな住宅政策というものはできないんじゃないかなと、こういうふうに考えておりますが、まだ固まった考え方を持っておりません。
○秦野章君 総理のようなお話がずっと、住宅難、慢性的住宅難時代といいますかね、そのうらはらの慢性的交通難時代、戦後の。これは高度成長、人口集中、そういう背景があったろうけれども、総理のような御答弁はずっときているわけですけれども、ここで一つ根本的な問題として、総理は非常に経済の大家ですから、物価の上昇ですね、物価の上昇というものを非常に長期に見た場合には、やっぱりクリーピング・インプレーションなんだと。これでなければ生産拡大も完全雇用もできないというあのケインズの発想、若干の修正はあったとしても、インフレはいけないけれども、忍び足のインフレということで物価がだんだん徐々に上がるというのは、これでなければ先進国、自由諸国の経済運営というものはやっていけないじゃないかとこう思うんですが、この原理はそれでよろしゅうございますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 原理的という立場から離れて、実際の展望から見ますると、どうしても物価は上がると思うんです。上がり続ける。これは時に波がありますよ。ありまするけれども、大きな傾向線としては上がり続ける。しかし、その上がり続ける速度はまだなるべく低い速度であることが好ましいわけで、また、それが安定した姿であると、こういうふうに考えております。
○秦野章君 土地というものが、これが国有になれば別ですけれども、やはり限られた商品、言うならば所有権の対象になっておりますから、地価というものもそういう趨勢の中にあると思うんですよ、やっぱり長い目で見て。それで投機的なことをやったり何かしたときに急激に上がるから行政的にばんと抑えるという、これはきわめて短期の問題としてはあり得るんだけれども、趨勢としては土地の値上がりとそれ以外の物価の値上がりとの乖離、格差というか、そういう点について企画庁長官にひとつお尋ねしたいと思います。非常に長期の問題で。
○国務大臣(倉成正君) 大変基本的な問題でありますが、土地の価格の形成は、人口、所得が増加してまいりますと住宅の需要もふえてくる。それからまた経済活動が盛んになってまいりますと商工業の需要が増大してくる。用地の需要が増大してくる。要するに、土地の持つ利用価値が高まってくるということから地価が上昇してくると思っております。したがって長期的に見ますと、いまお話しのように、昭和四十五年からとってまいりますと、名目のGNPの伸びと大体並行的に地価というのは上がってきております。
○秦野章君 長期に見ればやっぱりこのカーブはずっと忍び足のインフレ的な傾向を持つということは、土地について私は一般物価よりもちょっと上がっているデータなんですけれどもね、それはいいです。 住宅公団の総裁にお聞きしますが、地価が上がらないんです、ほとんど上がらない。いま地価はやや安定ということですね、安定価格で、ほとんど上がっていない。地価が上がらなくて住宅の再生産ができるか。住宅公団が家を管理するだけでなく家をつくっていく場合借金でつくる。利子が何ぼで、工事をやっているうちに工事費が上がる、物価が上がる。更地に建てるなら別よ。宅地開発をやっていく場合に、地価が上がらなくて住宅が建てられるかということ、ぴしゃっと答えてください。
○参考人(南部哲也君) 新たに土地を取得して宅地開発をするという場合に、これを借金でやるとすれば、全然土地が上がらなければこれはなかなかむずかしい問題だと思います。したがって、その場合の対策としては時価よりも二割か三割安く土地を買うというような手を考える。開発した後に大体その当時の、その開発時点の時価と見合うような原価をどうやって設定するかということになろうと思います。
○秦野章君 住宅局長、住宅五カ年計画の達成の条件というものは、いままでの第一次、二次にずうっと比べてむずかしくなったですか、やさしくなったですか。
○政府委員(山岡一男君) 住宅建設五カ年計画の今後の問題といたしまして、資金面の問題、それから資材面の問題、実施面の問題、三点が問題であろうかと思います。そのうちの資金面の問題につきましては、国の経済計画にすべて整合させております。それから資材面の方におきましても十分検討いたしております。過去の生産量とか見ましてできると思っております。ただ、実施面の問題といたしましてはいろいろなつらい問題がございます。特に大きい問題といたしまして、関連公共公益施設整備に関する問題、民間住宅金融の安定的拡大の問題、計画的な宅地開発の推進と地価対策の充実の問題、既存住宅の有効活用の問題、住宅生産の工業化の推進の問題等を重要な問題と考えております。
○秦野章君 一番低所得者のための公営住宅、これは東京とか横浜とか大阪とか、ああいう大都市の公営住宅の達成率と、それからそういうところへ入りたいという希望者、何倍ぐらいあるか、それを答えてください。
○政府委員(山岡一男君) 五十年度で第二期の五カ年計画が終わっておりますが、そのときに、ちょうど先生おっしゃいましたように、大都市中心におくれております。東京都の達成率が三四%、神奈川県が四四・九%、埼玉県が五一%、大阪府五九%等が低いものでございます。しかし、全体といたしましては、二十五道県におきまして一〇〇%以上、九〇ないし一〇〇%が七県、八〇%以上九〇%未満が七府県、八〇%未満が八都府県ということでございます。
○秦野章君 いま大都市のこと聞いたんだ。田舎の方はまあやるだろう、それは。 それから、ミニ開発も住宅建設五カ年計画の数の中に入るんだね。
○政府委員(山岡一男君) 戸数として入っております。
○秦野章君 住宅五カ年計画ではもう量は足りたと、これからは質だと、こうなっているわけですね。ところが公営住宅は十倍申し込みがあって入れないんですよ、達成率は三十何%だ。だからこれは量が足らぬのじゃないんですか、公営住宅は。量から質だと言うけれども、量が足らないんじゃないですか。それからミニ開発にどんどんいってしまっているということは、量から質に転換していると言えますか。
○政府委員(山岡一男君) 公営住宅の実際の建設量はまだ不足でございます。それから、ミニ開発の方へいっておる点につきましては、われわれとしてはきわめてまずい問題だと思っておりまして、そういう点についての是正は今後講じていくつもりでございます。
○秦野章君 すりかえ答弁うまいものだな。 次に、持ち家政策か賃貸かということで政府の答弁がぐらぐらしているんですよね。住宅五カ年計画では六対四と、こうなっている。持ち家が六と賃貸が四と、こうなっているんだけれども、そもそも持ち家政策がいいのか賃貸が重点かという基本の姿勢にがたがたしちゃだめだと思うんだよ。 そこで、参考にまず賃貸というものは大体社会主義政党というか、社会主義的発想になると賃貸でなくちゃいけないんです。その古典はマルクス、エンゲルスの住宅論なんだ。だからエンゲルスの住宅論、見ておいてくれたかい、どう書いてあるかね。
○政府委員(山岡一男君) ここで申し上げますほど熟知いたしておりませんけれども、持ち家を主として発想するのはブルジョア的思想であると、労働者階級の住宅政策としては賃貸を主にすべきであると、簡単に申せばそういう趣旨でございます。
○秦野章君 先進工業国と言われるような、こういう日本のような国になると、持ち家政策というものをやっぱり重点にせにゃいかぬことは、私はいろんなアンケートの上からも出てくるし、総評のアンケートで見ると五二%、NHKで八六%。総評の持ち家志向では、これは石田労働大臣のところの例の財形貯蓄ですね、あれが実は住宅政策が余りうまいこといってないんですよ。だから、あきらめているから五二%なんだ。もっと家は欲しいんですよ。なぜ欲しいかというと、日本は農耕民族で、やっぱり自分の家というもの、土地というもの、そして土地を持たせるということは、実は不労所得の私は均分化だと思うんです。土地を所有権の対象にしていくことは、これは何としても——土地は不労所得ですよ、土地の値上がり分というものは。だけどこれはしようがないんだ、これ国有にしない限り。そんならみんなが分けてやるという政策が一番いいと思うんだ。そういう意味において、持ち家政策というものは一種の財形政策として考えるべきだと思うんですが、そういう点について、建設省の住宅政策では、やはり持ち家政策というものを重点にして、そして家の持てない低所得者、あるいは社会的交流、あるいは単身者、あるいは夫婦だけというような、そういう者は賃貸にする。できるだけ持ち家にするということが財形の上からもいいでしょう。とにかく自分の家だったら知らぬ間に値段が上がっていって何だか財産持ったような気になるのは、これは庶民の感覚なんですよ。だからミニ開発はやっぱりはやっちまうんですよ、無理でも。だから持ち家政策というものは、どうしてもやっぱり住宅政策の、賃貸か持ち家かというたら、持ち家政策の方がやっぱり勤労者、国民の中堅層にとっては当然のことだと思うんですが、建設大臣いかがですか。
○国務大臣(長谷川四郎君) 人間、生を受けて一番希望するものは自分の家、自分の屋敷の中に住みたいということが人間の本能であります。したがってもちろんいいことには決まっているだろうと思う。
○秦野章君 家とは一体何だろうと、家とは何かと、住宅五カ年計画なんかをつくった住宅審議会のメンバーを見ると、経済、まあ銀行の人とか建築とか、そういう人はいっぱい入っているんだけども、住宅審議会のメンバーの専門別をちょっと言ってください。
○政府委員(山岡一男君) 内訳を申し上げますと、学識経験者、学会から六名でございます。それから政府関係機関から二名、産業界から六名、消費者代表ということで主婦連から一名、それから労働三団体から一名ずつ三名、マスコミが三名、その他四名という内訳でございます。
○秦野章君 そういう角度の分類というのは余り意味ないんだよ。やっぱり私が見たら法律の専門家、経済の専門家、そういうのばっかり入れているんだよ、デベロッパー、銀行。そうじゃなくて、家とは何かというやっぱり哲学が必要なんだ、住宅建てるときは。人間の死に場所ですから、死に場所で、死ぬることを子供が覚えるのも家なんだ。死ぬることを覚えりゃ生きることを覚える。家というものはもう抜群に哲学が要るんですよ。だからこれは思想家、教育家、あるいは文化人類学もいいでしょう。そういう方向の人を入れて、広く意見を聞いて、家とは何かということを外側から聞くと、建築家はもう建設省に何ぼでもおるでしょう。私はそういう意味において、宅審の構成メンバーはちょっといいかげんにやっていると思うんだ。だからこの住宅建設計画が、やっぱり家とは何かという哲学がないから、非常にそこにネックがある。住宅公団でも、たとえば仏壇とか神だなとか、飾らぬ人もあってもいいけども、飾れれば飾れるだけの余地ぐらいは配慮した方がいい。家とは家族制度、日本の歴史の伝承の場でしょう。そういう意味において、ちょっと私は反省を要すると思うんだ。
○委員長(小川半次君) だれに答弁させるんですか。
○秦野章君 建設省。
○政府委員(山岡一男君) 御答弁になるかどうかわかりませんけれども、いまの住宅審議会で第三期五カ年計画をつくります際に、そういうふうな、まあ哲学とまではまいりませんが、いろいろと議論いたしました。「高度福祉社会を実現するための施策の一貫として確立すべき新たな住宅政策は、住宅が衣食とともに国民の基本的な生活要素を形成しているばかりでなく、人間性の形成、回復の場であるという基本的認識に基づき一定の理念のもとに体系的に確立されなければならない。住宅政策の理念は、すべての国民がその家族構成、居住地域等に応じて良好な環境のもとに一定水準以上の住宅を確保することができるようにすることにある。」と、これが第三期の五カ年計画の基礎となりました答申の冒頭の文句でございます。
○秦野章君 総理、最後に、さっきのアンバランスの問題なんですけれども、私はいろいろ研究してみた。ひとつ打開案というものを考えていただきたい。これは国土庁も建設省もそうなんですけれども、結局、宅地供給がいつ始まるかという問題なんですよね。それで、買い占めその他があるからそう簡単にいかぬということではあるんだけれども、供給が少なくなれば、非常に無理があって、やみも出るし、そういうことになる。そこで、いま各府県の指導要綱、これは衆議院から参議院いろいろ問題になっていますけれども、指導要綱で開発をするときに、学校とか、学校の先生の住宅までつくれというわけだ。まあこれは行政指導の限界を私は越えていると思うんですよね。きょうは時間がありませんからあれですけれども。そこで、そうかといって公共投資をデベロッパーにもうけさしちゃいけないわけですよ。もうけさせないシステムは役所でできるから、そこで住宅関連の宅地造成をやるというのならば、そこは一種の指定制にしてよく検討して、そしてそこにやっぱり公共投資というものを優先的にしてやる。いまの公共投資というものは、結局、総理御存じのように、これはもう大蔵大臣も御存じのように、下から個所づけで積み上げていくわけです。河川だ、道路だといって、まあ国会議員も頼みにいくし、積み上げていく。だから、それを住宅関連で一生懸命やれと言っても、できないんですよ。個所づけで積み上げてある。だから、初めから住宅関連の調整費というようなものをがぼっと建設省の中か国土庁かに取って、そして、いいプロジェクトならばそこには相応の公共投資というものをくっつけてやる。根幹公共投資というものはある程度国とか自治体が見ていかなきゃなりませんから、そういうシステムしか私はないと思うんですよ。だから、いま国土庁に調整費百億のアイデアが実現しておりますけれども、あれはちょっと住宅とそんなに関連なさそうだけれども、住宅は内政の課題として抜群に総合的な集約的な問題なんですよね。人間の入れ物つくるというだけじゃないわけですよ。だから、公共投資が下からの積み上げで個所づけで上がってきたものの上で、公共投資をそっちでやれと言っても、絶対行かないようにできているんですよ、縦社会で。これは大蔵省の主計官まで縦社会になっている。だから、これはぜひひとつ調整費ということで厳密に指定をして、大丈夫だというところは——まあ学校を建てろ、消防を建てろ、先生の家まで建てろというようなそういうことじゃ、結局、やるなということと同じなんだ。行政指導の限界をはるかに越えていますから、やっぱり調整費という発想で、建設省の中でできればなおいいし、建設省が何とかセクト主義があればこれは国土庁でもいいんだし、それは政治の次元で決断をすれば必ずできるんですよ、これは。建設大臣というのはそこで抜群の私は政治力が要ると思うんだ。個所づけというものはある程度若干犠牲にしても住宅政策のための関連の公共投資に回さにゃいけないから、まごまごするとそっちの分を予算は減らしても住宅重点にすることによって住宅政策が実ると、こういう問題でございますから、ひとつその点をぜひ考えていただきたい。私は主計局から各省ぐるぐる回ってみんなの意見を聞いた、学者の意見も。聞いたけれども、それしかないように思うんですよ。とてもいまの縦社会のまんまで総理がおっしゃるようなことをやれと言うても、できないんですよ、仕組み上。この点ひとつ最後に答弁をいただいて、時間がなくなりましからやめます。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま秦野さんのおっしゃることはまことにごもっともでありまして、まああなたがそういう運動をされたかどうかは私は承知しませんけれども、大体そういう傾向になってきておるわけであります。先般できた宅地公団なんかは鉄道まで経営できるというところまでしてあるんです。大きな団地ができる、その付帯施設というか、これにつきましては同時に公共事業としてこれをやって援護しようと、こういうような傾向になっておりますが、なお大事な問題でありますので……
○秦野章君 調整費。
○国務大臣(福田赳夫君) 調整費という仕組みがいいかどうかは別といたしまして、その趣旨が実現されるようにいたします。
○委員長(小川半次君) 以上をもちまして秦野章君の質疑は終了いたしました。(拍手) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(小川半次君) 速記を起こして。 —————————————
○委員長(小川半次君) 速記を起こして。に入ります。竹田四郎君。
○竹田四郎君 最初に農林大臣にお伺いしたいと思いますけれども、けさほど日ソの漁業交渉の中断の報告を聞いたわけでありますけれども、小柳委員の方から漁民対策等々についてはお話があったわけでありますけれども、これに基づいて魚、あるいは魚の製品関係、こういうものが最近も非常に上がっておりますけれども、便乗値上げをしていくおそれというものが大変あろうと思いますけれども、これに対して農林省は具体的に何らかの対策を打たれたのですか。早急に何か打ってもらわなくちゃ困ると思うのですが、どうですか。
○国務大臣(長谷川四郎君) その対策につきましては、いろいろ末端の業界にまで届くように、物の生産というものは、中間の業界が利益を得るために生産をされるものではなくて、最末端の消費ということが目的で物の生産というものが行われていくのでありますから、したがって、こういうような、つまり国難というような現実の上にとらえて、もう少し価格というものについてはできるだけ皆さん方が利益を少なくしてそして目的の消費者の方へ分配ができるような方途を開いてもらうように協力を願いたい、こういうことは私の方からも各市場にあてていろいろ申し上げておるところでございます。したがって、これに対する価格の安定のために、この対策としてまず生鮮食料品を安定した価格で消費者に供給できるようにと申し上げてあるのがその実態であります。産地における出荷体制の整備とか、あるいは卸売市場の整備、流通機構の整備、さらに小売業の近代化、流通情報の整備、流通及び消費の各般にわたる対策というものをつくりまして、そのような意思表示をしてこれを厳重に守ってもらいたい、御協力願いたい、要するに国民のために協力を願いたいというような意思を通達をしておるところでございます。
○竹田四郎君 大変抽象的な方針でありまして、一般の人が聞いてもわからないと思うのですけれども、具体的に上げさせないように、すでにカマボコ、チクワ等については、片一方では材料はあるというのに大変上がっているわけでありますから、これを具体的に御指導願いたいと思うのですが。
○国務大臣(長谷川四郎君) 練り製品等にいたしましても特に意を用いまして、なるべくその価格を上げないようにということで、けさほど申し上げたようなああいうような考え方で、ああいうようなと言ってもなんでございますけれども、まず生産者というか、それが物が上がるだろうといって買いだめをしておくと、こういうようなことはなるべく避けてもらいたいというような点もあります。それから魚全体におきましても、御承知のように生産がいま伴っておりませんけれども、これをどうやって分かち合っていくかということにつきましては、先ほども申し上げたように、流通機構の中に立って、まず小売業界の方へどうやって行き渡らしていくかという点、こういうような点等に対してもやっておりますし、特に、卸値段と小売値段というものが少し違いやしませんかという意見がたくさん出てきております。こういう値段、要するに、生産値段と小売値段が余り差があり過ぎやしないかという御意見等がたくさん出てきております。こういう面につきまして、先ほども申し上げたように、あなた方のために流通機構というものがあり、あなた方のために魚というものを漁獲しているのじゃない。最末端のつまり消費者というものが目的で魚というものをあの大ごとの思いしてとってくるんだから、なるべくその目的が達せられるようにという細かい点について通知を申し上げてあると、こういうことを私どもしているところでございます。
○竹田四郎君 これに入っておりませんけれども、先ほどの漁民対策等々とあわせてこの問題も忘れないでひとつやっていただきたいと思います。 労働大臣にお伺いしますけれども、今年度から労働保険雇用勘定に雇用安定資金というものが創設されたわけでありますが、この資金の目的は一体何ですか。
○国務大臣(石田博英君) 経済の基調がこれから大きく変化していくことが見込まれます。その場合に、その変化に基づいて事業活動を縮小したり、あるいは事業の転換を図ったり、そういうことが余儀なくされた場合でも、失業の予防やあるいは円滑な職業転換を図っていきたい、こう考えているわけであります。そこで、この変動による波動性が非常に強いわけでありますので、平常時に資金を計画的に積み立てまして、そして不況期にこれを集中的に支出したい、そういう仕組みとして雇用勘定に雇用安定資金というものを設けたわけでございます。
○竹田四郎君 今度の歳出予算に百億の安定資金への歳出予算が組まれているわけですが、これはどこから出しているわけですか。
○国務大臣(石田博英君) これはいままでの雇用安定のための従来やっておりました福祉とか訓練とかそういうようなもののいわゆる節約分であります。それで百億円。
○竹田四郎君 そういたしますと、これからはこの百億円が計上されて安定資金の帳面ができます。そうしますと、これからは歳出予算に安定資金の項目がのるというようなことは、積立金がありさえすれば歳出予算にのるということはないわけですね。
○政府委員(吉瀬維哉君) 竹田委員御承知のとおり、千分の三・五ということで事業主から毎年金が入ってくるわけでございます。それで、労働保険特会の中のほかの事業を賄ってなおゆとりのあるものは、歳出予算をもって毎年安定資金に繰り入れていくと。そのほかに千分の三・五の収入が決算上少し余分を生じて、剰余が生じてくるというような場合には、決算上の剰余金の処理として毎年労働保険特会の雇用安定資金に組み入れられていくと、こういうような二つの構成になっております。毎年百億に類似するような歳出予算を通ずる繰り入れと、それからことしは経過的に五十一年度までに発生する見込みの三百十四億円の決算上の剰余金を組み入れるという決算上の組み入れ操作と、二つあるわけでございますから、明年度以降も百億に相当する予算繰り入れと、それから決算上の剰余金が積み立てられて決算上組み入れられていく、こういう二つのことが発動することになるわけでございます。
○竹田四郎君 よくわかりませんけれども、この八条の二の「繰入金」と「組入金」という言葉に二つ分けているわけですけれども、「繰入金」と「組入金」というのは法律的にどうなるわけですか。
○政府委員(北川俊夫君) 安定資金に「組入金」と「繰入金」とがございますけれども、予算に計上いたしまして資金に入れるものを繰り入れと言っております。それからいままでの三事業、これから四事業になりますが、それの剰余が出ましてそれを資金に入れますのを組み入れと、こう申します。これはいままでの財政法の慣用例に従ったものでございます。
○竹田四郎君 そうしますと、大体こういう考え方でよろしゅうございますか。ことしの百億円は頭金だと、あとは剰余金を組み入れていくと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(北川俊夫君) ことしは百億円の予算の繰り入れと、それから三事業の剰余三百億程度の組み入れ、これで資金が約四百億ぐらいの枠で本年度はできると思いますが、その後も毎年安定事業の見通しを立てまして、予算上の繰り入れと、それから四事業の剰余が残りました組み入れと、毎年その両方で資金を形成していくわけでございます。
○竹田四郎君 いままでの三事業費の毎年の剰余金というのは、四十五年ですか、雇用制度ができてから後でありますけれども、大体毎年の積立金への繰り入れというのはどのくらいになっていますか、年度ごとに。
○政府委員(北川俊夫君) 三事業が発足しましたのが五十年度からでございますので、五十年度の剰余がいま積立金の中に積み立てられておりますが、それが三十九億七千万円でございます。
○竹田四郎君 五十一年度の見込みはどのくらいですか。
○政府委員(北川俊夫君) 五十一年は二百七十四億程度を見込んでおります。
○竹田四郎君 そして、雇用安定資金というのは大体目標としてはどのくらいな金額まで積み上げていくというっもりですか。
○政府委員(北川俊夫君) 私たちは五十年のときに雇用調整給付金制度を始めましたけれども、五十年の不況時に約五百五十億の支出をいたしました。今回は、賃金ベースそのものが上がること、それから今回の安定事業そのものの内容が訓練の助成等を含んでおりますので、そういうものを勘案いたしますと、約二千億程度の積み立てをいたしたい、そういうことを考えております。
○竹田四郎君 そうすると、いままでの雇用勘定に、積立金という——まあ帳面と言いますか、勘定と言いますと誤解がありますが、一つの小さな勘定があるわけでありますが、今度は安定資金の勘定ができると、こういうふうに二つの資金というものが雇用勘定の中につくられるということですか。
○政府委員(北川俊夫君) そのとおりでございまして、失業給付に関するものを、従来どおりの積立金制度、それから今回の四事業に関するものは資金制度、こういうことになります。
○竹田四郎君 そうしますと、安定資金の問題というのは、雇用勘定の積立金とは別個の目的の支出に充てられると、このように理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(北川俊夫君) 雇用勘定の目的というのはちょっと私趣旨がわかりませんが、恐らく雇用保険法の目的ということかと思いますが、雇用保険法の目的は今回の改正で失業の予防ということも加えておりますので、資金の支出目的も雇用保険法に基づいて行うと、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
○竹田四郎君 そういたしますと、積立金の目的、これは失業給付に充てられる、それから安定資金の積立金は四事業費に充てられると、明らかにこれは支出の目標が違っていると、こういうふうに私は思いますけれども、これは財政法第十四条の関連で、こうした形での会計処理というのは私は不適当だと思いますが、どうですか。
○政府委員(北川俊夫君) この資金制度の設置そのものは、今回御審議を現在いただいております法律に基づいて行うものでございますし、資金の繰り入れあるいは組み入れ等も国会で御審議をいただくことになっておりますので、財政法上の問題はないと私たちは考えております。
○竹田四郎君 そうしますと、この組み入れの場合は、これは議会の議決を要する予算として提出されるのですか、どうなんですか、それは。
○政府委員(北川俊夫君) 剰余を資金へ組み入れます場合には、いまの御審議を願っております法律のたしか十八条の三項かと思いますが、それに基づいて組み入れるわけでございますので、その点財政法上の問題がないと、こういう考えでございます。
○竹田四郎君 私は法律を言っているわけじゃありませんでして、実際毎年の組入額というのが予算議決の対象になるかどうかということを聞いているんです。
○政府委員(北川俊夫君) 改正法に基づきまして計画表を出すことにいたしておりますから、その計画表の中に組入額の額を表示いたしております。
○竹田四郎君 そうすると、議会で、組入額に対して、これは多過ぎる、減らせという修正案を出すことはできますか。
○政府委員(北川俊夫君) 法律に基づきまして、本年度からは四事業の剰余金はすべて資金に組み入れることになっておりますので、その点については当然自動的に資金に入ると、こう考えております。
○竹田四郎君 予算の議決の対象になるかならないかと私は聞いているのですよ。組み入れるとか組み入れないとか、組み入れるのはおたくの方で勝手に組み入れるわけですよ。それが議決の対象になるかならなかということを聞いているんです。
○政府委員(吉瀬維哉君) ほかの保険会計とか、たとえば農業共済とか、こういう種類のものはいつも剰余金が発生する、その剰余金が発生するものは決算の結果組み入れるということになりまして、もしこれを歳入に受け入れましてそれからその用途に充てようとすることになりますと、一年度また後に延びてしまうというようなことで、保険会計、農業共済資金だとかいろんな種類のもので積立金の処理は歳入歳出外として処理されるということが認められています。これは竹田委員御承知の財政法四十四条の「国は」「資金を保有することができる。」——特別の目的のために、あるいは年度を越えてもある特別な目的などに使用される資金を設けることができる。これに基づいて資金及び積立金が認められているわけでございまして、やはり雇用安定資金は経済の下降期に備えて平常期に積み立てていく、そして下降期にはそれをやるというようなことになっておりますので、剰余金の組み入れも機を失せず当年度に決算上の処理ができるということになっておりますので、財政法十四条の一つの例外の規定でございます。
○竹田四郎君 私は安定資金に剰余金を入れてはいけないということを言っているわけじゃないのです。なぜそれを議会の議決を得ないのか、こういうことを私は申し上げているわけですよ。したがいまして、私は組入金が多いとか少ないかということに対して議決の対象にならないじゃないかということを言っているのです。その点をはっきり答えていただきたい。
○政府委員(吉瀬維哉君) 一つは技術的な問題でございまして、剰余金でございますので非常に変動が多い。したがいまして、それを歳出で金額を決めますと、それ以上多かった場合とか、そういうときは歳出権の行使ができない。そういうようなこともございますので、決算上の結果で出る形でございますので、それは特に議決の対象から——まあ自動的にあるいは出てくるというような形でございますので、議決の対象としていないわけでございますが、先ほど安定局長からお答え申し上げましたとおり、その額をお示しするために資金増減計画表の中で金額を明示している。もちろんその金額は変動いたしますが、決算上の結果出てくる金額でございますので、これはお認め願いたいというのが趣旨でございます。
○竹田四郎君 私は、そういう自動的にそこへ組み入れるということは将来に大きな禍根を生むと思うんですよ。 率直に言って、これは労働大臣に伺いますけれども、金ができますと、そこに一つの何とか基金というので一つの会計をつくりまして、そこに一つの部局をつくる、そうしてその金を勝手にあっちこっちへ使う、こういう可能性がまず一つ似る。もう一つは、このお金も、これはなるほど労働者が負担するわけじゃありませんけれども、属用主が負担するわけでありますけれども、しかし、それが本当に適切かどうなのか、こういう−とに対して、それは私ども言いっ放しで、これは多過ぎる、減らせ、こういうことは本法に返らないとそれはできないわけですよ。そういう意味で、どうもこれを国会の予算の議決から外すということは、財政法やあるいは憲法の財政の明瞭性といいますか、そういうものからわれわれ隠さわてしまう。だから、新しくこういうものをいまつくろうとしているわけでありますから、これは事業主が払い、また雇用安定のために労働者が受什取るものはやっぱりはっきり幾ら幾らこっちにいったのだということがわかるようにしていただかないと、私は将来これは大きな禍根を残す、こういうふうに思うのですが、これは労働大臣にお答え願いたい。
○国務大臣(石田博英君) 先ほどお答えを事務当局からいたしましたことのほかに、いまの竹田委員の御指摘、あるいは御心配将来にわたっての運営上の問題、これは確かに非常に注意をして、そういうことが起こらないような対処の方法をとっていかにゃならぬと思います。しかし、計画表々お出しし、その計画に基づいて組み入れの金額々お示しするわけですから、計画表をお示ししてやるわけなんですから、勝手なことはできないような仕組みになっていると思います。この運営はできるだけ労使双方の御意見を聞く機会をこさえまして、公正に行いたいと思っております。
○竹田四郎君 いま、労働大臣、労使が、まあこれは官も入るでしょうけれども、これについての監視をしていくというのですが、何か一つのまた審議会とか何とかというようなものをつくって監視していこうというつもりがあるのかどうなのか。 それからもう一つ、あなたは資金計画表というのをつくると言うのですが、これは参考資料で出されるだけですよ。議決の対象にはなっていないんですよ。ただそういうものを出されて、そのときにはなるほど注意して検討しますと、こうおっしゃるんだけれども、いま労働省が一番求めているのは何かというと、天下り場所を探しているんですよ、私どもこういろいろ見てみますと。どこかに天下り場所がないかということで、労働省のところが幸い一番少ないようでありますけれども、そういうものに使われていく可能性が非常に多い、私はこういうふうに思うんですよ。そういう意味で、私は、やっぱりこの予算を議決の対象にすべきだ、こう思うのですが、これは総理大臣、ひとつその辺を兼ねてお答えいただきたいと思うのです。
○国務大臣(石田博英君) いや、天下り場所を探しているというのはちょっとひどい御表現だと思います。 それからこれがお金がたまりましても、そのたまっていくということと、その運営を別の機関でやるかどうかということとは、これは別の話でありまして、別の機関でやるということになると、いま行政管理庁の承認を得なきゃなりませんし、そのほか全体として行政改革をいまやろうとしている段階なんでありますから、たとえば私がそれを天下り先にこさえようと思っても、それはもう行管庁長官のお許しはとっても出っこありませんから、そういう点は御心配のないようにお願いをします。そういうような方法はとりません。 それからこの運営について労使双方の意見を十分聞く場所をどういう形でこさえるか、これについていろいろな意見がございます。その意見を調整をしていく。いろいろな意見というのは、中央職業安定審議会の中で運営をしていくという意見と、それから別の機関を設けてそこでやっていこうとする意見と、そのほかにもいろいろな意見がございます。その意見を調整している段階ですが、いま御承知のように、お忙しい最中でございますので、このお忙しいことが終わりましたら調整を行いたいと、こう考えておる次第であります。
○竹田四郎君 労働大臣からそういうお答えがあったのですが、私はそれにはあくまでも承認、納得することはできません。そういうものをつくるより、まず国会で国民の前に明らかにしていく、そのことの方がよっぽどそんなものをつくるよりいいわけでありますし、先ほどの天下り場所の問題もこれによってりっぱに防げると思うのです。これは検討し直してもらいたい、こういうように思います。労働大臣、もうよろしゅうございます。 次は、文部省関係を文部大臣に質問したいと思いますが、大学の特に理学系、工学系、農学系、この大学院の博士課程を終わって就職していない者は一体どのくらいの数ございますか。
○国務大臣(海部俊樹君) 博士課程に限っての御質問でございますが、昭和五十一年三月の博士課程卒業者は三千八十二名おりまして、そのうち六十一名が就職をいたしております。なお、いま、理学系、農学系、工学系という細かく分けての御質問でございますが、私の手元にあります資料で、たとえば東京大学における昭和五十一年三月の理学系研究科博士課程卒業者は百二十九名で、そのうち三四%が就職をいたしております。
○竹田四郎君 これは国立大学で博士課程の終了者をつくるためには一人当たりどのくらいの金がかかりますか。
○国務大臣(海部俊樹君) 算出の方法がいろいろございますし、学部と大学院との計算が一緒になっておりませんので正確を欠くかもしれませんが、昭和五十年度の東京大学における学生一人当たりの国費額は百五十三万一千円となりますので、学部、修士課程の大学院、博士課程の大学院は九年かかりますので、これを単純掛け算いたしましても千三百七十七万九千円となります。なお、昭和四十九年の全国の学校経理調査という数字をもとに計算しますと、国立大学学生一人当たりの経費は、四十九年は百十九万三千円となっております。これを九倍いたしますと、千七十三万七千円ということに相なります。
○竹田四郎君 就職者は一体どういう仕事をやっておりますか。それからまた未就職者、就職していない者はどんなふうに暮らしておりますか。
○国務大臣(海部俊樹君) 就職者の詳しい事情につきましては、ちょっと私は熟知しておりませんが、後ほど政府委員からお答えさせますが、大学に残っておる者はどんな暮らしをしておるかとおっしゃいますと、博士課程を終了して博士の肩書きを持った人は、なお大学に残っておるときは、新しい研究の場を得るまでのつなぎと申しますか、より研究する。それから年限は終わってもまだ何らかの都合で博士の肩書きを取っていらっしゃらぬ人は、博士の肩書きを取るための勉強、研究を続けていらっしゃる。この二種類ぐらいが残っておるのですが、総計一千名を超える者がおり、いわゆるオーバードクターの問題となっておるのがこの姿だと思います。
○竹田四郎君 そのオーバードクターの状態、しかも国費を大分使いまして、東大の場合には一千四百万円近く、国立大学の場合でも一千万円以上、私立の大学でも私はそのぐらいかかっているだろうと思いますが、そうした人たちがそういう形でいるということは私は余り納得できないのですけれども、これは、文部大臣、どういうようにしようとしているんですか。
○国務大臣(海部俊樹君) これはそれぞれの就職の場を開拓すると申しますか、あるいは学校に残ってさらに調査、研究を続けられる方々にとっては、その経済的な裏づけがあれば、自分は就職しないで調査、研究を続けたいという希望の方もあるだろうと思います。だから、そういったようなことをいろいろな面から検討をして、せっかく身につけていらっしゃる学術研究の成果というものが有効に役立つような方法を考えていかなければいけないと、こう考えます。
○竹田四郎君 科学技術庁の長官にお伺いいたしますけれども、現在の日本の技術の水準といいますか、特に基礎技術といいますか、基礎理論といいますか、そういう水準は世界的に見てどんな地位にあるというふうに評価されていらっしゃいますか。
○国務大臣(宇野宗佑君) わが国における技術水準の意識という調査をいたしました結果、わが国の技術水準ば国際的に先行、並行していると考えている企業数が大体八三・四%ございます。非常に良心的にがんばっているんだと、技術面におきましても研究開発の力というものは国際水準よりはるかに上だと答えておるのが五九%ございます。
○竹田四郎君 その理論とか基礎的なものはどうなんですか。もっと少ないのじゃないですか、評価が。
○国務大臣(宇野宗佑君) それは、研究開発費というものでとらまえました場合には、わが国は民間、政府合わせますと、ソ連、米国には及びませんが、西独と肩を並べておるという水準であると考えます。
○竹田四郎君 これは総理に伺いたいと思うのですけれども一、私もいまの日本の技術というのは高いと思っております。しかし、日本のいままでの技術というのは、明治以来考えますと、導入技術を日本でこう先の方を少し直して、そして産業に適応して技術革新ということになりまして、高度成長も私はイノベーションといいますか、技術革新が果たした役割りは大変大きいと、こういうふうに思うのですけれども、いままでのような技術革新というのは果たして今後十年、十五年一体できるだろうか。これについては私は日本の自主技術の開発というものがなければ、知識集約産業を志向している日本として大変それは憂うべき状態にある。いまはいい。十年、十五年先になりますと、今度は中進国といいますか、そういう方面からの一方ではキャッチアップを受けるということになりますと、日本の技術そのものをいまのままで置いてはいかぬし、これをもっと発展させなくちゃいかぬ。それでなければ日本の国民が食っていくことにも事欠くようになりかねないというふうに思うのですけれども、総理としては、そういう点で自主技術の開発というものをいまも続けにゃいかぬ、こういうふうに思われるのかどうなのか。しばらくは金がかかるから、国民の負担になるから、そんなものはほっておけ、景気でも直ったらひとつそういうふうにしようじゃないかというふうにお考えなのかどうなのか。
○国務大臣(福田赳夫君) 歴史の流れを見ておりますと、やっぱりわが国は先進工業国になって、中進工業国から追い上げられる、こういう立場に私はなってきていると思うのです。ですから、やっぱり技術の革新というか、わが国自体が他国のものを模倣するとかそれに若干の修正を加えるとか、そういうようなことでなくて、わが国自体が新しい技術を開発して、そして先進工業国としての地位を保つということを考えないと、わが国の行き先というものはだんだんだんだん行き詰まりになってくるというようなことになるのじゃないかと思います。民間におきましても、相当そういう意識になってきまして、最近は日本独自の技術開発商品というようなものもかなりあるようでございまするが、政府におきましてもそのようなことを十分心がけていかなきゃならぬ立場にある、そういう認識でございます。
○竹田四郎君 そういう点に総理が認識されているといたしますと、特に私は、人文系統はこれは別だろうと思いますが、理学、これは一番基礎的なものだと思います。それに続いて工学だと思いますし、一方、食糧あるいは資源という点では農学等々であろうと思いますが、一千万も金かけたのを決まった仕事を与えないで遊ばせておくというとちょっと語弊があるかもしれませんけれども、そういう状態にして、そういう、いま総理の言ったような要請にこたえられるような状態なのかどうなのか。私は、民間でやれといってもすぐ金になる問題じゃありませんから、なかなか無理だと思いますけれども、その辺は文部省なりこれは科学技術庁なり、そういうところで私は何らか考えて、そういう課程を終わった連中にもっと研究させる、こういう体制をつくっていかなければ、私はなかなか日本の技術をさらに高度に発展させるということはできないんじゃないか、こう思うんですが、これはどうでしょうか、文部大臣、技術庁の長官。
○国務大臣(海部俊樹君) 先ほどの答弁のときに資料がございませんで答えませんでしたことをちょっと御報告いたします。 就職状況の職業先はどうなっておるかということでございましたが、就職者の中で高等教育機関の教員として就職をしていった方が五六・五%、それから専門的技術的な職業についたという人が九三%ということに相なっております。これは就職した人の中の区分でございます。 なお、ただいま御質問の問題につきましては、これは私も先ほど申し上げましたように、せっかく身につけてもらった高度の学術研究の成果がその本人にあるわけでありますから、有効に活用されるなりあるいは研究が安心して継続できるような措置等がこれは望ましいわけでございますので、関係省庁と十分御相談をして考えてまいりたい、こう思います。
○竹田四郎君 技術庁の長官はどんなふうにお考えですか。
○国務大臣(宇野宗佑君) 先ほどお答えいたしましたが、民間、政府合わせまして二兆六千億という莫大な研究開発費を使用いたしておりますが、内訳を申しますと、やはり政府の方が七、三の三分にしか当たらないというところが、ややわれわれといたしましても今後大いに考えていかなければならない点ではないかと存じます。したがいまして、科学技術振興は非常にわが国にとりまして大切なことでございますから、十二分に御趣旨を踏まえまして、予算の面におきましても、さらにいまそれだけの技術を身につけました人たちの門戸に関しましても、大いに今後開放すべく研究いたしたいと存じます。
○竹田四郎君 政府の中にも各省にいろんな技術的な研究所がおありだと思いますし、 〔委員長退席、理事吉田実君着席〕 国立大学の中にもあろうかと思いますけれども、そういうものの予算というのは、どうも余り伸びていないように思うんですけれども。環境庁の公害研究所だけは大変すばらしい伸び方をしておりますけれども、そのほか余り伸びていないのですけれども、この研究費の割り出しというのはどういうふうになっているのか。また、同時にこうした研究費を大蔵省がつかんでいないというのは一体どういうわけなのか。この前も資料を要求いたしましたら、大蔵省ではまとめ切れないということで、各省ごとに提出をいただいたわけでありますけれども、大変そういう意味ではこうした技術研究、理論研究というものが十分に把握されていないような感を私は受けたわけでありますが、この辺はどうでしょうか。
○政府委員(吉瀬維哉君) 研究費につきましては各省庁と御相談の上、特に個別の大型なプロジェクトにつきましては個別に私ども内容を検討いたします。ただ全体の一般的な研究費は、むしろ枠取りで、一般の通常の物価水準の上昇とかあるいは伸び率とかいうようなことでやりまして、中の配分はむしろ各省の自主性にお任せした方がいいというようなことでやっているものもございまして、先生御指摘の研究費の一々の中身の実行ということにつきましては、そういう枠取りでやっている一般研究費につきまして、私ども一々チェックしないということでやっておるわけでございます。
○竹田四郎君 文部省はどうですか。
○国務大臣(海部俊樹君) 五十二年度の学術研究振興関係の文部省の予算の主なものは、国立大学における研究に要する経費、これが四千四百八十五億円で、対前年十三%増になっております。
○竹田四郎君 いや研究所。
○国務大臣(海部俊樹君) 研究所ごとでございますか。
○竹田四郎君 研究所の平均でいいですよ。
○国務大臣(海部俊樹君) それは政府委員から答えさしていただきます。
○竹田四郎君 これは私、資料をいただいた点では、ほとんど政府の各省庁の研究所の研究費は七%、多くても一一%ぐらいしか伸びていないのが現状ですよ。大きく伸びているのはさっき言ったとおり。国立大学にもいろいろな研究所があると思うのですよ。そういうものの伸び比というのは一体どのくらいになっているのか。私の感じでは大変研究機関に対する政府の金というのは節約されている。こういう感じを非常に深くするわけですが、こういうところにあんまり経費を節約しても私はプラスにはならないじゃないか。
○政府委員(吉瀬維哉君) 確かに七ないし十一という数字はほかのたとえば二割を超えるような経費に比べますと伸び率は低いようでございますが、一般行政経費について例を申し上げますと、一般行政経費は、本年度、前年度が一四%を七・七%にするとかそういうような形になっているわけでございます。なお御参考までに申し上げますが、公共事業費とか社会保障費、それから地方交付税交付金、国債費、この四つを除きました一般会計の伸びは前年が一四、五%であったものが本年度は八%台ということで、一般的な経費節約の折でございまして、そういう点でほかの水準から比べますと七ないし一一というものは私どもとしては統一査定としてある程度のものは見たという感じでおるわけでございます。なおしかし個別に見ればいろいろな問題が出てくると思いますが。
○竹田四郎君 ほかの方は何かないですか。——これ、私ほかのもずっと比べてみたのですがね。たとえば四十九年、五十年、物価が大変上がったときですよ。そういうときでも伸び率は七%、六%、こんなものなんですね。果たしてこんな予算で、一般の伸びと比べて低いのは当然であります。ずうっとそうなんですよ。ことしは困難だから節約したということじゃないのですよ。ずうっとその線なんです。こんなばかなことは私はないと思う。
○政府委員(佐野文一郎君) 御指摘のとおり教官当たり積算校費、いわゆる教官研究費と言われているものは対前年度七%の単価改定を行ったにとどまっておりますが、そのほかに特別教育研究経費というふうなものを計上いたしましたり、あるいは設備充実の経費を対前年度二〇%増で計上いたしましたり、あるいは光熱水料その他補完的な教育研究経費を一八%増で計上をいたしましたり、そういう形によりまして大学における研究が実質的に十分充実をして行えるような配慮は極力いたしたところでございます。
○竹田四郎君 恐らくこういうふうに経費を節約をすると、こういうところからよく産学共同といわれるようなものがここから出てくる。そしてつまらぬ研究を——つまらぬというと大変語弊がありますけれども、つまらぬ研究をやらざるを得ない、こういう状態に私はなっていると思うのですよ。本当にこれからの日本の技術を発展させるということであるならば、私はまず国立大学や、あるいは国の各省の研究所の研究費をもっとふやして、やはりここで十分研究をさすべきである。それでなければ、結局は企業から来た金で教授の小遣い程度のものに大学院を終わった連中が下っ走りをさせられている、本来の研究には入れない、こういうことに私はなっていると思うのですが、これは文部大臣どうですか。実態は私はそうだと思うのですけれども。
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘の点については、先ほど来申し上げておりますように、問題があることも私も承知をいたしておりますので、努力をして解消するように努めたいと思います。
○竹田四郎君 総理大臣、あなたの方針というのが実はこういう形で、国立大学においても、それから国のいろいろな研究所においても、必ずしも十分な研究はされてないわけですよ。この辺は総理大臣、来年度から、あるいはことしの補正から私は考えていただいて、日本人の頭脳というのは私は非常に高いと思うのです。その高い頭脳をさらに高めていただいて、外国へ行かなければ研究ができないというような方向ではなしに、国内で、やっぱり国内の基礎的な理論なり基礎的な技術なりをやっぱり高めていくように、総理、これは御努力願えないでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) いわゆる頭脳流出ですね。これはよしあしがあると思いますが、最近頭脳が還流してくるような傾向も私どもは感ずる面もあるわけでありますが、国の独自の技術開発、これも非常に大事でありますから、そういう面から考えまして、それに支障のあるような頭脳流出、これにつきましてはまた注意を払いながらやっていきたいと思います。
○竹田四郎君 この際ですから文部大臣にひとつお願いをしておきたいと思うのですけれども、大学の研究室というのを見ますと、私の地元の国立大学でもそうでありますけれども、なかなか人事交流ができない。古い人ががんばっていて、若い研究欲に燃えた人たちが正当に扱われていない。いつまでも、四十になっても講師をさせられて、実際の研究にはタッチさせてくれない、こういうような例が私のところにありましたけれども、ほかにも私はこういう例があると思うのです。もう少しその辺は、研究者には研究をさせる体制、こういうものをおつくり願えることはできないでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 御承知のように、国立大学の教員の昇任とか採用とかいうことは、教育公務員特例法によってそれぞれの学部の教授会の議に基づくという特別の手続がございますし、大学の自治の問題等もございますので、一定の限度はわきまえて、きわめて慎重であらねばならぬと思いますが、私はやはり当事者同士のお話し合いによって、そういったいい風習ができるようになることが望ましいと、こう考えます。
○竹田四郎君 ひとつその点は、なかなか手続的にも、あるいは仕組みの上でもむずかしい問題があろうかと思いますけれども、これを努力していただかないと、大体新しい理論とかいうようなものは若い頭から大体出てくるものです。そんな古い頭からは出てこないのが普通でありますから、ひとつこれは文部大臣にその点の改善方をひとつお願いをしておきたいと思います。 次に、国際経済の問題に入りたいと思いますが、ワシントンにおける日米首脳会談において、最近問題になっております貿易の不均衡あるいは途上国の累積赤字の解消、こういう問題は話し合われたんですか。どうなんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) そういう問題は話には出ていないんです。恐らく五月のいわゆる首脳会談ですね、そのときはそういうような種類の問題が主軸になると思います。
○竹田四郎君 これは外務当局の間でもそういう話は出なかったんですか。
○国務大臣(鳩山威一郎君) ただいま御指摘の累積債務の問題は、これはアメリカの対案が目下検討中の段階でございまして、今後の検討課題にしようということにしたわけでございます。この問題は、御承知のように私とバンス長官との間にもこの問題については特に話し合いをいたしませんでした。これはまだ先方の案ができていないからでございます。御承知のように、途上国側からは膨大な要求が出ておるものでございますから、これに対して何らかの発言をいたしますと、これにつきましていろいろな期待感のようなものができてしまうということも困りますので、これにつきまして公の場では相談はいたしておらないところでございます。
○竹田四郎君 総理にお伺いしますけれども、最近はそうした累積債務の問題あるいは黒字国が国際収支を赤字化しろと、こういうような話が出ているわけでありますが、総理としては、現在の状況をそのままにしておくと、私は保護主義とか、あるいは貿易の縮小とか、そういうことが起きてくる可能性は大いにある、こういうふうに私は思っているんですけれども、総理はそういう心配はないと思いますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私がいま国際経済の問題で一番心配しているのはそこなんです。この保護貿易主義というものが一般的な傾向として出てきますと、これは世界経済の総沈みとなってくるわけであります。つまり貿易の量が縮小する、それに伴いましてGNPが縮小すると、そういう現象を起こしてくる。歴史は雄弁にそれを物語っているわけですから、そういう歴史を繰り返しちゃいかぬ。これがいま国際経済が当面している最大の問題であると、こういうふうに思います。 現実の問題としては石油ショックですね、あれでドルが産油国に集中する、その還流が、ある程度は行われましたけれどもうまくいっておらぬ。そういうことで、この石油を産出しない発展途上国、これが非常に困っているわけです。この困っている状態が続くと、これがまた先進工業国にもまた響いてくる、そういうようなことにもなってくるわけであります。そういう面も、また非常に国際経済が沈んでいくもとになる。そういうことで、私は国際経済の前途、これにつきましては何か手を打たなければならぬ、そういうふうに思っております。
○竹田四郎君 先ほどの小柳委員の質問に対しては、こういう説もある、こういう説もある、こういう説もあるということで、評論家的におっしゃられて、総理として日本はこうしていきたいんだという御発言が実はなかったのが、私ば非常に残念です。恐らく、いまの貿易収支やあるいは外貨準備高あるいは経済力、こういう点から考えましても、日本はやはり、たとえそれが米国の民間銀行の勝手な貸し出しということであっても、今度の累積債務の中にはそれは大変たくさんあるとううことを新聞は伝えておりますけれど、そういうことがあっても、私は、これは米国の銀行が勝手にやったんだからそのしりは米国の銀行がぬぐえ——第一次的な責任は確かに米国の銀行に私はあると思いますし、あるいは米国政府にあると思いますけれども、日本のように資源のない国ということになりますと、貿易が縮小していくということになりますと、これは大変な問題だと考えますわけですが、そういう点では、私はもう少し、経済の問題については目をさらのようにして見ていらっしゃるという総理ですから、この問題についてはもう少し日本の態度というものを明らかにしていかないと、いつまでもこういう状態が続くということは、悪い傾向が私は生まれてくるんじゃないかと思うわけでありますから、その辺はひとつ総理が、もう少しこういうものに対して、エンジン・カントリーの一つでありますから、そこの国の総理大臣でありますから、何らかの方針というものを明示していただきたい、こういうように思うわけであります。すでにカーター大統領もこのことについてはいろいろ発言しております。けさほども申し上げましたアメリカのバーンズ議長もこれについて、まあ抽象的ではありますけれども方向は出しているわけでありますから、あの説があるこの説がある、なかなかむずかしいということを言っているだけでは済まされないような事態に私は来ていると思うんですけれども、総理どうですか。 〔理事者田実君退席、委員長着席〕
○国務大臣(福田赳夫君) これは竹田さんが累積債務の問題の処理、これにつきまして——累積債務の中でアメリカの市中銀行が貸している額が相当多いんですよ。多数の国があり、しかも統計なんかも余り整備しない、そういう国もありますから、はっきりした統計というものがまだ出ておりませんけれども、まあ累積債務二千億ドル近くはあるんじゃないかと思います。それを一体どういうふうに処理するかというむずかしい問題なんです。その際に、その中でかなり多くの部分がアメリカの市中銀行の融資である。何かそれを、累積債務に対する処置を考えると、これはアメリカの市中銀行の肩がわり機関じゃないかと、そういうような受け取り方をする人もあるわけであります。竹田さんが、そんな批判があってもそれを乗り越えてやれと、きわめて勇気ある発言と、こういうふうに私はいま感銘を受けながらお聞きしておったわけでありますが、やっぱりそういう批判もあるわけでありますから、そういう批判のない形のものである方が私は望ましいと、こういうふうに思います。思いますが、いま一つ提案されておるのは、IMFに一つのファンドを設けたらどうだろうと、こういうような考え方です。 しかし同時に、IMFには第六次増資というのがありまして、これに対してまだアメリカあたりは、わが日本は国会の御了承も得ておるわけでありますが、アメリカあたりはまだ国会の御了承を得ておらぬ。そういう手続なんかを踏んでからIMFの新しいファンドの設定なんか考えてもいいじゃないかというような感じもしますが、しかし、IMFの事務当局がいま提唱しておる新しいそういうためのファンド、これを設定すべしという考え方、これは先ほど申し上げましたような配慮も加えながら、日本としてもこれは前向きの姿勢で協力すべき筋合いであると、こういうふうに考えておるのです。しかし、いろいろ細かい、その前に措置しなけりゃならぬというようないろいろな問題もありまするから、いま日本がそれに全面的に協力だというふうな姿勢は私は出しませんけれども、姿勢としては、基本的な考え方としては、まあとにかく累積債務処理問題に対する一つの有力なる手がかりを示しておる問題であると、そういう認識は持っております。
○竹田四郎君 その問題は、先日IMFの専務理事のウィッチフェーンさんですか、この方が来られて政府首脳とも会談されたと思うんですが、その内容の一部をいま総理はおっしゃったんではないだろうか、こういうふうに思いますけれども、専務理事さんの提案というのは、やっぱり新しいファンドをひとつつくろうじゃないかと、こういうことなんですか。
○政府委員(北田栄作君) お答え申し上げます。 ただいま総理から御答弁ございましたように、IMFのウィッチフェーン専務理事からお話がございましたのは、国際収支で大きな赤字の累積に悩んでいる国に対して融資をいたしますために、たとえば産油国、一部先進国等から資金を調達して、何らかの形でIMFからの融資を拡大しようというようなお考えのようでございますが、具体的な形につきましては、必ずしもまだ詰まった形にはなっていないというのが現状でございます。
○国務大臣(福田赳夫君) IMF第六次増資をアメリカが批准しないといま私申し上げましたが、アメリカは批准しておるそうです。その他多くの国で批准をまだしてないと、こういうことでありますので訂正いたします。
○竹田四郎君 今月の月末にIMFの暫定委員会がございますね、これに対して日本も恐らく代表を出すと思うんですが、この会議では何が決まるんですか。
○政府委員(北田栄作君) 今月の下旬にIMFの暫定委員会がございますが、ここでは全般的に世界経済の状況等のいろいろな検討、それからIMFの全体の流動性、世界の流動性の問題、それから為替相場政策におきます、新しいIMFの協定改正後の為替政策につきましてのサーべーランスの制度等につきまして、いろいろ議論が行われるというふうに聞いておるところでございますが、その一環といたしまして、ただいまお話しございましたような世界赤字国等に対する融資とか、IMFのあるいは活動の拡大というような点についても議論が行われるのではないか、このように考えておる次第でございます。
○竹田四郎君 具体的にこの暫定委員会で決まる結論というのはないのですか。ただ討議をするだけでございますか。
○政府委員(北田栄作君) 討議はされますが、具体的に結論が出て決まるというような性格のものではないと存じます。
○竹田四郎君 IMFは、途上国によるところの資本市場における起債をしてやれと、こういうことも言っているようでありますが、これに対しては日本は一体どういう態度をとるわけでありますか。
○政府委員(北田栄作君) 資本市場のアクセスの問題につきましては、恐らくIMFと世銀との合同開発委員会というのがございまして、そこで議論がなされるのではないかと思います。最近、開発途上国の赤字の問題、赤字累積の問題がいろいろ問題になっておりますが、こういった処理につきまして、まずそういった国々の節度ある経済の運営によりまして国際収支の均衡への努力が行われることが必要でございますが、それとあわせまして、やはり資金面でのファイナンスということが必要かと思います。そういった意味で、開発途上国が資本市場で資金調達をいたします場合に、国際機関等が保証等をすることによってその調達を容易にする、円滑にするということは意味があることであろうと、こういうふうに考えておりまして、私どももそういったことにつきましては前向きに考えていいのではないかと、このように考えておる次第でございます。
○竹田四郎君 なになに、最後がちょっとわからなかった、前もって……。
○政府委員(北田栄作君) そういった方向で検討することは望ましいことではないかと、このように考えております。
○竹田四郎君 そうすると大蔵大臣、その提案については日本は賛成していきたいと、こういう考え方ですか。——いや、大蔵大臣に聞かなきゃ、いまの話は前向きで何とかということなんですが、これは政治的判断でしょう。
○政府委員(北田栄作君) そういった開発途上国が資本市場で資金を調達いたします場合に、国際機関等が保証をいたしまして、それによって資金の還流を円滑にするというような方向は望ましいことであろうと、このように考えております。
○竹田四郎君 望ましいということはわかったんですよ。大蔵大臣、その方向に日本はそれを進めていこうとしているのか、どうなんですか。その辺をはっきりしていただきたいと思います。事務的な立場じゃ、確かに、ないよりは望ましいということになると思いますが、具体的に日本はそれに対してどういう行動をとっておるのですか。
○国務大臣(坊秀男君) 赤字累積で困っておる国がたくさんあるということは、世界経済にとりましてこれはできるだけ速やかに解決せにゃならぬという立場におきましては、日本といたしましてもそういったような方向でこの問題を解決していくということには賛成でございます。
○竹田四郎君 いま藤岡国金局長がきっと出席しているだろうと思うのですけれども、イタリア向けの緊急融資、これについてアメリカから四億五千万SDR、約五億二千万ドルでありますが、その原資を集めると、日本にも一億SDR——一億一千五百万円ぐらいになるそうでありますが、これの拠出を求めてきているということでありますが、これはどうなんですか。
○政府委員(北田栄作君) 御指摘のように、イタリアの国際収支困難を救済いたしますために、昨年末以来、IMFが中心になりましてイタリアと交渉を進めてきたところでございますが、このほど合意案がまとまりつつある状況でございまして、御指摘のように、この十六日、十七日に開催予定の十カ国蔵相代理会議及びこれに続きますIMFの理事会におきまして検討をされることになっておるところでございます。ただ、その具体的な金額等の内容につきましては、まだこの会議でいろいろ検討されるところでございまして、いまお答えを申し上げるわけにはまいらないのをお許しいただきたいと思います。わが国といたしましては、現在のような国際金融情勢下におきましてイタリアがそういったIMFの援助を得まして自由貿易の原則を遵守しながら国際収支の改善のための厳しい努力を行うことによりまして経済の再建に成功いたしますことは世界経済にとっても必要なことであると考えておる次第でございまして、そういった意味におきましてIMFの対伊借款につきましては日本といたしましても前向きに対処すべきものというふうに考えております。
○竹田四郎君 もう一つ。アメリカのカーター大統領からポルトガルの金融援助協定、これに十五億ドル援助をすると、これには日本もひとつ協力をしてくれと、こういうふうに福田首相あてに親書が来ているという報道もありますけれども、このポルトガルヘの支援のお金は出すつもりですか、どうなんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) そういう手紙が来たことは事実でありますが、その後、アメリカの方でこの話はちょっと留保しておきたいというような話がありまして、そのままになっております。
○竹田四郎君 昨年ナイロビでUNCTADの会議がございまして、緩衝在庫基金を南の国々は要求してまいったわけですね。これに対してキッシンジャーは資源銀行案というのを対抗的に出しまして、最終的にはアメリカ案が否決をされたわけでありますが、そのときも日本はたしかキッシンジャー案に賛成をしたと思うのですけれども、その後、大分情勢というものは変わってきたわけでありますが、このUNCTADを中心とする共通基金、これはカーター大統領も国連で演説をした点でございますけれども、この点は南北問題としてワシントンでは話が出たわけですか。これも出なかったわけですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私との間では話は出ません。
○竹田四郎君 最近これは情勢が大分変わってきたように私は思うわけです。カーター大統領が国連でこの共通基金に対する態度は前のフォード政権当時より変更が見られて共同基金構想を具体的には出しておりませんけれども協力をしていこうと、こういうことであります。また、先月末に開かれましたECのローマにおける首脳会議の決定でも、決議文の中にやはり共同資金構想を出しているわけです。いままで日本はこうした共同基金関係の問題についてはずっと反対してこられたわけでありますけれども、まあいよいよロンドンの五月の初旬の首脳会談では恐らくこの共通基金の問題が出ることばもうはっきりしていると、こういうふうに言っても私はよかろうと思うのですけれども、総理は、この共通基金、まあ内容はまだ余り固まっていないようでありますけれども、しかし、大まかな意味での共通基金問題、この問題についてやはりはっきりした態度を持っていかざるを得ないと思うのですけれども、どういうふうにお考えですか。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 先般のUNCTADの交渉の会議におきましても、開発途上国の主張する共通基金の設立決定までには至らなかったのでございますけれども、会議は冷静な雰囲気のもとに本年の十一月までにこの交渉会議を再開するということが決着したわけでございます。したがいまして、わが国といたしまして、開発途上国の一次産品問題というのは、これは総理も施政方針でも述べられましたし、わが国としては途上国の一次産品問題には協力をしようという姿勢は持っているわけでございますけれども、いかにしてこの緩衝在庫というような制度に取り組むかというような問題は大変むずかしい問題を含んでおりますので、この問題もあわせて今後の解決課題ということになったわけでございます。
○竹田四郎君 今後の解決課題とはこれは確かにそのとおりで、いまの先進国の間でもこの共通基金の内容というのは具体化されていないことは事実ですよ。しかし、これだけこの舞台がそろってまいりますと、福田総理が行って、いや、そのことはまだ決めておりませんというようなことにはならぬと思うのですね。だから、共通基金の大きな意味での構想、こういうものについての態度というものは、ここでやっぱり明らかにして首脳会談に臨むべきだ、私はこういうふうに思いますが、どうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 開発途上国の第一次産品ですね、これを何とか流通過程に乗っけるようにこれは何か工夫をしなければならないと、こういうふうに思いますが、さあ、その共通基金構想という形がいいのかどうか、これは日本ばかりの問題じゃありませんから、よその国の意見等もよく聞きましてわが国の態度も決めなけりゃならぬ問題である。要は、要するに第一次産品のさばき、これがうまくいけばそれでいいんですから、そのためにどうするかと、こういう方法をみんなして話し合ってみて、他に方法がいいのがあればそれもよかろうと、そういうふうな考え方で、いま具体的にまだ構想も固まっていないそのものに対して日本がどうするということを固めておらぬと、こういう状況でございます。
○竹田四郎君 総理は、一つ一つ聞いていきますと、適当に逃げてしまっているというふうに私はとれるわけです。いまの世界の経済的な危機というものを私はいつまでも放置しておくわけにはいかぬと思うのです。なるべく早く解決しなくちゃいかぬ。そのためには、これから国際的なそういう会議というのは、もう次から次へと開かれていくわけですね。そうなってまいりますと、いや、私はそれは決めておりません、まだこれからですと言うことが果たして許されるかどうか。そんなに世界の情勢というのは甘くない。もっと厳しい。そういうことを言っていればいるほど、黒字国の責任を問われる、あるいは輸出の問題で問われる、日本の貿易のやり方を問われる、こういうことになると私は思うのです。だから、共同基金構想についても、IMFの融資拡大の問題についても、この二つの問題については私は少なくとも早く総理が態度を明確に出して、日本も協力しているんだと、世界の経済もやっぱりエンジンカントリーなんだと、こういう態勢を早く示す必要があると思うのですけれども、どうもその辺の細かいところへいきますと踏み切れないと思うのですが、やはり世界的にも福田総理のこうした国際経済に対する対応というものは迫られているし、望まれていると思うのですよ。そういう点でもう少しはっきりしていただかないといけないのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 世界がわが国に期待しておる最大の点は、わが国の目標としておる六・七%成長ですね、これが実現をすると、これは世界じゅうが期待しているんです。つまり、そうなれば、発展途上国を含めましてわが国への輸出がふえてくる。これは一番的確な方法ですから、そうすれば、したがって、輸入はふえ、輸出はいまの為替の状態等から見ましても頭打ちにだんだんなっていくと、そういうことで、赤字というか、黒字基調が解消される、これが世界じゅうがわが国に求めておる問題である。その他いろいろ問題はありまするけれども、これはもう相談づくの問題なんで、わが国が進んでこうしようじゃないか、 こう引っ張ろうじゃないかということが期待されておるとは私は思わないんです。わが国が求められているのは何だというと、まあエンジンカントリーと言いましたが、そのエンジンとは何だといえば、日本が経済を安定させ発展さして、そして世界に活力を与える、影響を与えようというそう いう期待だと、これには私は完全にこたえていきたいと、かように考えております。
○竹田四郎君 まあ国内の景気の問題が早く回復していくということについては、これはわれわれも同感でありますけれども、しかし、これはまた認識問題になると思いますけれども、そんなに輸入をふやすほど日本の景気が回復するとは私は思わない。恐らく政府の見通しで七億ドルの経常収支の赤字というのも黒字に転化する可能性の方が多いというのが一般に多いわけですね。そういう意味で、私は、そういう日本の国の景気回復を努力していくことはもちろんでありますけれども、同時にこうしたものをやっていかなければいけないのではないか、こういうふうに思いますけれども、総理がよその方には目を向けないで国内にのみ目を向けてやっていくということでありますから、ひとつ拝見さしていただきたいと、こういうふうに思っております。 それから総理が日米会談の後にASEANの諸国には特使を送りまして日米会談の内容を報告させたことは新聞で拝見しているのですけれども、大分ASEANで顔がよくなってきたようでございますけれども、ASEANの総会もまたことしじゅうには開かれるだろうと思うのですけれども、総理は招かれたら御出席をなさいますか。
○国務大臣(福田赳夫君) ASEANの首脳会議が八月に予定されておるようです。その会議に、私どもは構成メンバーじゃありませんから、出席するというわけじゃないんです。ただ、その機会に、ASEANの首脳が集まるから、まあ福田さんひとついい機会だからお話ししたいなあというような空気があるんです。でありまするから、ASEANの諸国の首脳が一致して、福田さんいい機会だからひとつおいでくださいませんかと言えば、国内の政治情勢が許す限りこれに行ってまいりたいと、かように考えております。
○竹田四郎君 そこへ出席される場合には、当然何らかのおみやげということを当てにして向こうの方では招請を恐らくするだろうと思うのです。そこで、日本の対外政府援助、こういうものは国際的に大変評判が悪いわけですね。国際的水準よりはるかに低い。この前はGNP比で〇・二四%くらいですか、その前はもう少し悪かったかもしれません。なぜ日本のODAは消化できないのか。ほかのフランスあたりの経済危機の国、イタリアあたりの危機の国ですら日本よりも多いわけですよね。何で日本の場合にはそれが消化できないのですか。
○国務大臣(福田赳夫君) いわゆるODAがわが日本が非常に貧弱だと、これは事実なんです。というのは、わが国は今日は世界じゅうでいろいろ活動しておりますが、その歴史が非常に浅いわけです。しかし、アジア諸国になるとこの関係が昔から深いわけでありまするから、アジア諸国に対するわが国の経済協力、これはもうわが国が圧倒的に多いわけであります。ODAの中の四五%はASEAN諸国に向かっておると、こういうような状態ですが、ほかのフランスだとか、イギリスだとか、そういう国は、アフリカにいたしましても、あるいはその他の諸国にいたしましても、昔から歴史があるんですよ。あるいは植民地として、あるいは保護領といたしましてというような関係があった。そういうようなことで、自然政府間の接触、政府間の経済援助というものが他の先進国では多かったのだろうと、こういうふうに思いますが、私は、これは今日になると日本の国もアフリカの国々にまでいろいろ経済活動を行うような国になってきておりまするから、これからだんだんODAの比重というものが高まっていくんだろうと、こういうふうに思いまするし、また高めなきゃならぬ、こういうふうに考えておるんです。現に、ことしの予算におきましては〇・二八——まだ国際水準までいかないわけですが、国際水準の方は〇・三六ですが、そこまでいきませんけれども、〇・二ぐらいのところからそこまで今度はふやそうと、こういうことにしたのですが、まあそういう意欲をこれからも持ちまして、世界各国に対しましての政府間接触を深めていきたいと、こういうふうに考えています。
○竹田四郎君 そこで、ODAが世界的に日本を非難する一つの材料になっているようでありまして、ただ単に旧宗主国、植民地という関係だけでは私はないと思うのです。やはり日本の援助の姿勢に私は問題があると思うのですけれども、こういう非難を免れるために日本はわりあいその点ではおくれた開発途上国、こういうところを中心に援助をやっていったわけでありますが、その非難を逃れるために、今後のODAの資金を中進国に向けていこうという考え方がかなり強くなっているようです。そうすれば高くなりますから、そういうようなことをこれからやっていく、変更する方針なのか、いままでどおり続けていくのか、この辺をはっきりと承っておきたい。
○国務大臣(福田赳夫君) いわゆるODAは、ODAをわが国から受ける相手国、これのやっぱり自主努力ですね、これが私は大事だと思うのです。ただ単に喜捨すると、こういうことではいけないと思います。やっぱりわが国が協力をして、それによってその相手国の社会が全体として立ち直るという、そのことにならなきゃ意味ないんですから、自主努力をし自主的な計画を持っておる、その国に対してわが国ができるだけの協力をするという方針をとっておるのでありまして、それが中進国であるか、あるいは後進国であるか、まあ後進国と言うと語弊がありますから取り消して、発展途上国ですね、あるいは中進工業国であるかによって区別をするというわけではないと思います。
○竹田四郎君 総理に最後にお願いをしておきたいと思うのですけれども、いままで論議をいたしましたように、私はただ日本の景気だけで世界経済の混乱が解決されるとは思いません。やはりエンジンカントリーであるべきだし、世界の経済の中で主導的な役割りを果たしていかなくちゃならぬ。そのためには、最近の非常な危機を早期に解決する勇気と確信を総理に要求して、私の質問を終わります。(拍手)
○委員長(小川半次君) 以上をもちまして竹田四郎君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(小川半次君) 次に、桑名義治君の質疑に入ります。桑名義治君。
○桑名義治君 日ソ漁業協定はいよいよ破局の段階に入ってしまったわけでございますが、この問題と日中国交回復の平和条約の問題とはどうしても切って切れないものがあるのではないか、まあこういうふうに思うわけでございます。そうやった意味から、日中問題を少し二、三点聞いてみたいと思いますが、先ほどの関連質問で御質問申し上げたときには、総理は、この日ソの問題と日中問題はたて分けて考える、こういうふうなお話でございました。そこで、外務委員会等で外務大臣がいわゆる中国と日本との平和条約締結については時期が徐々に近づきつつある、土壌ができつつあるというような発言があるわけでございますが、この点についてどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 機運的には日中平和方好条約も、あるいは日ソ平和条約も、これも両方目標にすべきなんです。しかし、その成熟度ですね、そういうものはおのずからこれはまあ違うことはもうもちろんであります。日ソの方は領土問題という非常にむずかしい問題を抱えておる。ですから、この領土問題はそう簡単な問題じゃない、漁業問題までがこれにひっ絡まるというような状態ですから、これはまたなかなか容易なことじゃないと思いまするけれども、日中の方は、いま桑名さんからお話しのように、機は熟しつつあると、こういうふうに見ております。
○桑名義治君 ただいま総理から機は熟しつつあるというお話がございましたが、それには何らかの具体的ないわゆる事実があるのではないかというふうにわれわれは考えたいわけでございます。そこで、現在の駐日大使とそれから中国のどなたかとの間に何らかの煮詰めがすでに行われているのかどうか、その点についてちょっと伺っておきたいと思います。
○国務大臣(鳩山威一郎君) いま駐日大使とおっしゃいましたですか。中国の駐日大使はまだ赴任されておらないものですから、駐日大使との間の話というのは別にないわけでございます。
○桑名義治君 では、どなたかとの間に何らかの詰めが行われておりますか。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 最近におきまして、特に重要なそういう詰めを行ったということはないのでございます。
○桑名義治君 重要な詰めというよりも、徐々に土壌ができつつあるというお話でございますので、ただ観念的に日中の間にそういう友好関係が醸し出されつつあるということではなくて、具体的に何らかの進展があればこそそういうお言葉を使われたのではないか、こういうふうにわれわれは考えるわけですが。
○国務大臣(鳩山威一郎君) そのような意味ではございませんで、環境が熟しつつあるというふうに考えておるわけでございます。
○桑名義治君 環境が熟しつつあるということは、どういうことですか、具体的には。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 最近の日中間のいろいろ往復される方々等のことからさようなことを感じておるわけでございます。
○桑名義治君 政府間の交渉は全然ないということですか。
○国務大臣(鳩山威一郎君) わが方の駐北京の大使と中国の外務部との間には、この条約の特に交渉ということではありませんが、いろいろな交際は行われているところでございます。
○桑名義治君 交際はこれは大使であれば当然行うことですよ。もう少しその観点をしぼってお話し願いたいと思うのですが。
○政府委員(中江要介君) 大臣が御答弁になりましたのは、現地大使の交際の中で、日中関係につきましては、当面の課題である日中平和友好条約についての考え方というのは折に触れて述べられているし、また、向こうの見解も聞くような機会があると、こういうことを言われたものと、こういうふうに了解していただければ結構だと思います。
○桑名義治君 そこで、日ソ漁業問題について直接質疑を行いたいと思います。 補償の問題についてはもう先ほどからるる御答弁がございましたので避けまして、再開の見通しについて日ソ間で話し合いはなかったのか、あるいは早急に再開できるのか、それとも、今回のこのような中止という姿というものが当分の間冷却期間をお互いに置こうということでこの冷却期間が設けられたのか、あるいは政府の交渉再開の前提条件は何か、この点について伺っておきたいと思います。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 今回は、時間的な関係もありまして、イシコフ大臣が不在になるというようなこともありまして、その機会もありまして中断をしようと、こういうことでございますので、当然のことながら再開されるものと私どもは強く期待をしているところでございます。
○桑名義治君 再開の条件については何もお話はなかったのですか。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 再開の条件につきましては、特にお話し合いはありません。これから外交チャンネルを通じまして相談をするものと、こう考えておるところでございます。
○桑名義治君 ただ単にソ連が応ずるまで待とうということですか。
○国務大臣(鳩山威一郎君) お互いにこの漁業問題は早期に片づけたいという気持ちには変わりないと思いますので、再開は当然五月のしかるべき時期には行われるだろうと、こう考えております。
○桑名義治君 日ソ交渉の経過から見まして、十二海里内の操業要求、北方領土周辺水域の一方的線引きなど、ソ連側は好意的な態度であるとはどうしても言えないわけですが、この点についてはどのように総理はお考えですか。
○国務大臣(福田赳夫君) まあソ連もソ連でECあたりから相当の締め出し、またアメリカからもそういうような状態なんです。非常に苦しい立場であるということはわかる。わかりますが、わが国の領土に対する関心ですね、これに対する理解ですね、これがどうもまだ私どもの期待するような状態じゃない。そこに難点があるんです。ほかに私はこの問題でつかえている点はないと、こういうふうにさえ思うのですが、この点に対する理解さえ取りつけますれば、この問題はわりあいにスムーズに解決するのじゃないか、そんなような感じがするんです。
○桑名義治君 十二海里内の操業は一応たな上げにしたわけですよ、もうよろしいと。ところが、もう一遍蒸し返してきた。こういう態度を見れば、われわれは、ソ連は日本に対して友好的ではないのではないかと、こう思わざるを得ないのですが、この点についてどうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私はこの前も申し上げたのですが、日ソというのは隣組ですわね。そういう中で、人事の交流、文化の交流、また経済の問題につきましても、いろいろの協力関係が成り立ち得る立場にあるわけなんです。ですから、そういう基本的な関係をぶち壊そうというような考え方は持っておらぬと、こういうふうに思いますが、どうも事領土という問題になるとこだわりを持つ。これは前からそういう主張をしておるわけですからまあそういうことになるんだろうと、こういうふうに思いまするけれども、しかし、わが方にもわが方の立場があり、現に田中首相が訪ソいたしました際に、とにかくこの戦後の懸案事項を片づけて平和条約を結ぼうという共同声明まで出しておるわけですから、その点は私はこれは国際信義として守ってもらいたいと、こういうふうに思います。
○桑名義治君 北方領土周辺の線引きについて、政府は具体的な提案をなされましたか、今回。
○政府委員(宮澤泰君) 北方領土は、元来日本の固有の領土でございますが、それにつきまして特に日本側から線引きをするというようなことはただいままでしておりません。
○桑名義治君 ソ連側はイシコフ私案で日本の十二海里内での操業を再び要求してきていると伝えられておるわけでございますが、これは事実かどうか。すでに撤回し、解決した問題ではなかったのかと私たちは思うわけですが、この要求をソ沖側が再び持ち出した理由を政府はどのようにお考えになっているのか、このことについてまずお聞きしておきたいと思います。
○政府委員(佐々木輝夫君) ソ連側の方が、現在日本の領海三海里以外でやっていますマイワシを中心にしました漁業について非常に強い関心を持っているのは事実でございます。向こうでは将来日本が領海を十二海里に拡大した場合でもその中の操業の継続を認めろということを最後まで強く言ったのは事実でございますけれども、日本側の漁業事情を鈴木大臣がるる説明をされて、そういったことが沿岸漁業との調整上もあるいは領海内の外国漁船の操業という観点からもどうしても認められないと、そういう点で基本的にソ連側の方もある程度そういうことに理解を示して、将来領海が拡大された場合に、領海内の操業についてソ連側の方も全体の暫定取り決めが一括してまとまる場合にはそれを最後まで固執はしないということで基本的に合意に達したというふうに承知をしております。 ただ、それを取り決めの案文に作成いたします場合に、ソ連側の日本近海での将来の領海外の操業の継続も含めまして、それをどういうふうに表現するかということで、専門家レベルの間でいろいろ表現技術上問題が残って今日に至っておるというふうに理解しております。
○桑名義治君 先ほどの御答弁から、今回の日ソ漁業協定の中で、特にソ連が領土についての執着が非常に大きいという意味の御答弁があったわけですが、政府は七三年の田中・ブレジネフ会談の際の日ソ共同声明で、戦後の未解決の諸問題に北方領土が含まれておるということを言っております。これが日ソ両首脳の間で明確に確認されているのならば、二月の二十四日の大臣会議決定はきわめて不当なものであると、こういうふうに考えるわけです。ソ連側の態度は日ソ共同声明に反するものではないかと、こういうふうに私は考えるわけでございますが、その点はどうですか。
○政府委員(宮澤泰君) 日本政府はただいまおっしゃいましたような考え方を持っておりますので、ソ連政府が二月二十四日に大臣会議決定をもちましてただいまおっしゃいましたことを決定しまして発表いたしましたときに、直ちに官房長官談話をもちましてソ連側のかかる措置は認められないという見解を表明いたしました。
○委員長(小川半次君) この際、関連質問を許します。相沢武彦君。
○相沢武彦君 いまの政府答弁をもうちょっと詰めたいのですが、一九七三年の田中・ブレジネフ会談の日ソ共同声明後も、ソ連側のグロムイコ外相が「コミュニスト」で、またブレジネフ書記長は党大会で、北方領土問題は解決済みであると、こう言っていますし、さらに、ポリアンスキー駐日大使は、日ソ間で未解決の問題はないと、こう言い切っていますね。日本政府の方は、北方領土問題が未解決の問題だと、こう言っているわけなんですけれども、ソ連の最高首脳の一連の発言から見ますと、日本政府だけの一人よがりの認識であるとソ連側が考えているとしか思わざるを得ないのですが、ソ連側がもし北方領土問題が未解決の問題であると明確にこれを認識していると、こう政府は判断されるのでしたら、日本政府としてはその確証を示すべきじゃないですか。外務大臣、いかがですか。
○政府委員(宮澤泰君) 一九七三年の十月に田中総理が訪ソされました節にできました日ソ共同声明、日本側はこの共同声明を根拠といたしましてその後とも折あるごとに日本側の主張をソ連側に向かって表明し続けております。
○相沢武彦君 外務大臣、いいんですか。それだけですか、確証は。しぶとい冷徹なソ連外交を相手にしてやるんですから、はっきりした確証を示してやらなければだめですよ。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 田中・ブレジネフ会談が行われたわけでございまして、その際に、領土問題が未解決の問題である、平和条約を締結する際に未解決の問題を解決してと、こういう表現があるわけでありまして、その根拠としてもこの会談等につきまして私どもは知っておるわけで、その点はよく伺っておるわけでございますけれども、この両首脳の会談がこうであったということを証拠というような形で申すわけにもいかないとは思っております。しかし、私どもははっきりと田中・ブレジネフ会談というものを確信をしておりますし、その事実をあくまでも信じておるわけであります。それに対しまして、いろんな機会にソ連の首脳がもう解決済みであるというようなことを言われているということは承知をいたしておりますけれども、これは私どもは絶対に承服をし得ないところでございます。
○桑名義治君 いまの御答弁で、いわゆる七三年の田中・ブレジネフ会談のときには、戦後の「未解決の諸問題」の中に含まれていると、領土問題はですね、そういうふうにたびたび御答弁願っているわけですが、反対に、いまの関連にもありましたように、あらゆる機会を通してソ連はそう言っていないわけですよね。国民としては、今回の日ソ漁業協定のこの交渉の段階で、どうしてもこの領土問題というものは、何か隠されたものがあるのじゃないか、こういう疑いを持っているわけですよ、もうすでに。そこで、私は、日ソ首脳会談の際の会談録が外務省にあり、その中でブレジネフ書記長も未解決問題に北方領土問題が含まれていることに対してしかりと、こう答えていると、このように言われておるわけでございますが、その会談録を本委員会に資料として提出を願いたいと思います。
○政府委員(宮澤泰君) ただいまおっしゃいました会談の結果双方で発表することに合意いたしましたものがそのときにサインされました日ソ共同声明でございまして、その他の首脳会談の会談録等は発表することに合意しておりませんので、公表を差し控えさしていただきたいと思います。
○桑名義治君 この会談録というのは、双方で合意されている、承認されている事項ではないわけでしょう。外務省独自で筆記をしたものがそういう会談録がある。その中に、しかりと領土問題について向こうが言っていると、こういうことですから、だからその問題は関係ないんじゃないですか。向こうの合意は要りませんよ、こっちのメモなんですから。
○政府委員(宮澤泰君) 外国の政府首脳とわが国の政府首脳との会談でございますので、このようなものは通常公表をしないことになっておりますので、公表を差し控えさしていただきたいと思います。
○桑名義治君 要するに、「未解決の諸問題」に北方領土が入るということを政府は説明しているわけです、いままでたびたび。これは日本側がそう主張しているということ、いいですか、日本側がそういうふうに主張をしているということを、ブレジネフ書記長は、しかりと、こう述べたのではないかという疑惑さえあるわけですが、この点どうですか。
○政府委員(宮澤泰君) ただいま申し上げました日ソ共同声明の文言をソ連側と作成しておりますときに、その文言につきまして、未解決の諸懸案の中には領土問題が含まれるという日本政府側の主張、言及に対しまして、ブレジネフ書記長は、しかりと答えております。以上は、日本側の会談録の記録によるところでございます。
○桑名義治君 いずれにしましても、それはお互いに協定上の問題で、承認事項じゃないんですから、外務省のメモなんですから、要するに、これは出してもいいのじゃないですか。そうして国民の疑惑を晴らすということがもちろんいまの段階ではもう非常に大事なことだろうと、こういうふうに私は思うわけですが、総理、どうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) これは、外交上の儀礼というか、約束事というか、そういうことでありますので、その会談録を出すということは私はむずかしいと思うんですよ。しかし、いま宮澤局長が申し上げたとおり、この未解決の事項とは何ぞやというと、領土が含まれておると、こう言っておるというんですから、これでもうきわめて明瞭じゃございませんでしょうか。
○桑名義治君 何度要求しても出ないようでございますが、この疑問はどこまでも払拭できないわけです。 そこで、北方領土が、ソ連側が仮に未解決問題に含まれていると認めても、どことどこが北方領土であると、こういうふうに認識しているのか、いわゆる歯舞、色丹だけではないのかと、こういうふうに私たちは思うわけですが、わが国政府は、北方領土の範囲はどういう立場をとっていらっしゃるのか。
○政府委員(宮澤泰君) 日本政府がいわゆる北方領土としてその領土権を主張しておりますものは、島の名前で申しますと、歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島でございます。
○桑名義治君 その点についてのわが党の見解はまた外務委員会等で述べさせていただきますが、会談録ではこの点はどうなっているのか。また、日本側はどこを指して北方領土と言い、ソ連側はどこを指しているかを、明快に御説明願いたいと思います。さらに、その双方の合意あるいは確証というものは何かあるか、この点についてお答え願いたいと思います。
○政府委員(宮澤泰君) 日本政府は、サンフランシスコの平和条約におきまして、いわゆるクリル諸島、これを連合国に対して放棄いたしましたが、日本政府の見解では、先ほど私が申し上げました四つの名前、この名前を持っている島はクリル諸島には属していないと、こういう見解を一致して維持しております。他方、ソ連側は、日本側が放棄したクリル諸島には国後、択捉島は含まれていると、こういうことで、したがって、解決済みということになっております。歯舞群島及び色丹島につきましては、日ソ平和条約の締結後に日本に引き渡されると、こういうことに日ソ共同宣言で定めております。
○桑名義治君 そこで、まとめに入りたいと思うのですが、日ソ漁業交渉はまあいまや領土問題が焦点に集中しているわけでございます。そこで、領土問題について日ソ両国間の見解が一致しない限り、恐らく漁業交渉の進展は図られないのではなかろうかと、こういうふうに危惧するわけでございます。そうやった立場から、総理は早急に訪ソして田中・ブレジネフ共同声明の未解決問題に領土問題が含まれていることを確認する必要があるのではないかと、こういうふうに私は思うわけでございますが、その点についての総理の見解を伺いたい。
○国務大臣(福田赳夫君) わが国の日ソ漁業交渉に臨む態度は、一つは歴史ある漁獲量の確保、それからもう一つはこの領土権についてのわが国の主張を損なわないと、こういうことで、結論的に言いますと、今回の日ソ漁業交渉には領土は絡ませない、領土は領土、漁業は漁業、こういう解決をしたいと、こういうことですが、どこまでもそれでいきたいと思うのです。そこへ私が出ていって領土問題だと、こういうようなことになれば、これはもういつまでたって解決するのでありましょうか。やっぱり、領土は領土、これはいまこの一時点ではたな上げにしておいて、そうして漁業問題だけを早く解決すると、これが私は国益であると、こういうふうに考えております。
○桑名義治君 そこの認識が日本とソ連と違うのではないか。そういった立場から日ソ漁業問題というものがこういったいわゆる中断しなければならないような立場に追い込まれてしまったのではなかろうか、こういうふうに思うわけですが、その点どうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 仮にどなたが参るにしても、領土問題論争になったら、話はもうなかなか片づかないと思うのです。その間一体漁業はどうするんですかと、こういう問題になってきますね。やっぱり、私は、わが国がここでとるべき道は、領土は領土、漁業は漁業、この一筋を押し通すほかはないと、こういう見解でございます。
○桑名義治君 案件がたくさんありますので次に進みたいと思いますが、独禁法の問題についてお聞きをしておきたいと思います。 政府は、独禁法改正案を今週月曜日に国会へ提出をされたわけでございますが、七十五通常国会において衆議院で全会一致によって修正可決を見た五党案の修正案から大きく後退をしている。たとえばカルテルの排除措置、独占的状態の排除措置等多くの点で五党修正案を踏みにじってしまった、こういう表現をしても言い過ぎではないと、こういうふうに思うわけでございますが、なぜこのようになったか、この理由を明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(藤田正明君) 桑名先生は五党合意案から大きく後退していると言われますけれども、われわれは決して大きく後退しているとはゆめ思っておりません。若干の相違はございます。もちろん、分割規定も入っておりますし、一部譲渡規定も入っておりますし、この前は主務大臣に対して審判手続の前に一度協議するというところがございましたが、これがその審判手続より以前に通知するというふうな条項は入っております。しかし、これは当然なことでございまして、私たちは、それをもって大きく後退しているとか、あるいは同調値上げに対する項目が新しくまた入っておりますけれども、これも当然なことであるというふうに考えております。 なぜ大きく変わったかということを言われますが、しばしば総理が各種の委員会で申されておりましたように、与党も含めて各野党も賛成し得る案をつくりたい、皆さんの賛成をもってこの法案を成立さしたい、このようにしばしばおっしゃっておりますが、そういう意味合いで与党内部でもいろいろな議論がございました。この議論も十分に尽くした上でああいう案をつくったわけでございますから、与野党の御賛成を得るものだと信じてこの法案は提出しておる次第でございます。
○桑名義治君 中身に入るのはまた商工委員会でいろいろと論議をしたいと思うのですが、衆議院だけとは言いながら、一応議会制民主主義政治におきましては国会での合意は最大限尊重されるべきだと私は思う。そういった立場から考えますと、七十五国会で五党でこれは全会一致になったわけですから、これをのけて新しいものが出てくると、個々の問題についてはまた議論は細かく後で商工委員会でやりますけれども、先ほどちょっと項目的に申し上げましたような事柄が後退をしているわけです。そういった立場から、先ほど申し上げましたように、議会制民主主義のそういったたてまえの上から、最大限前回の七十五国会のいわゆる案を提出するのがこれがもうベターではなかろうか、こういうふうに私は思うのですが、その点はどうですか。
○国務大臣(藤田正明君) これは、それぞれの考え方のいろいろあるところだと思います。私たちは、この前の衆議院の五党合意案というものも十分に尊重いたしておりますし、しかし、党というものはこれは衆参含めての党でございますから、あの際に、衆議院では通ったけれども参議院ではついに廃案になってしまった、こういうことがございます。そういうことですから、自由民主党の方も衆参一体の党を含めてあの案を出された、その上で政府案としてこれを今回出してきたと、こういうことでございますから、五党合意案のときに衆議院で通ったから、それで参議院の方は廃案になったわけですが、通ったからどうしてもそれを出せと言われるのは、時日も二年も経過をいたしておりますし、若干その点についてはわれわれとしてはうなずけないと、かように思っております。
○桑名義治君 十二日には、独禁法の研究者有志二十五人が、政府に対して四項目の削除や修正を求める意見書を発表したわけでございます。これを手に持っておりますが、これについて総理はどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私、その意見書をまだ見ておりませんので、何とも申し上げかねます。
○桑名義治君 じゃ、総務長官、どうですか。
○国務大臣(藤田正明君) 意見書とおっしゃるのは、趣意書でございますね。
○桑名義治君 そうです。
○国務大臣(藤田正明君) これは五党合意案と今回の政府案との相違が書いてあるわけでございまして、これについてはいずれ商工委員会において具体的に項目別にいろいろな論戦があろう、政府対与党、政府対野党、こういうようにいろいろ論戦をしなきゃならぬと思うのですが、私は、要するに、五党合意案との相違がその趣旨には書いてあったと、このように解釈しております。
○桑名義治君 公取委員長にお聞きしたいわけですが、学者の意見書をどのように受けとめていらっしゃるのか。また、公取委員長は、再三再四、五党修正案の国会での成立が望ましいとの態度を表明してきたが、政府案を今回は評価している現在の立場との関連はどういうふうにおとりになっていらっしゃるのか、お聞きしておきたいと思います。
○政府委員(澤田悌君) 私、かねがね独占禁止法の改正案が出ます場合には、大筋として第七十五回国会の衆議院におきまして全会一致で修正可決されたものが基本となるのが望ましいということを申してきておりましたので、今回野党四党から共同提案になりましたその案はそのものでございますから、これにつきまして評価しておることは申すまでもないのでございます。と同時に、今回の政府提案の改正案は、いま申しましたいわゆる共同修正案と同一ではございませんけれども、大筋におきましてその考え方が取り入れられておるということでございまして、これについても私は十分評価してしかるべきものと考えておるのでございます。いずれにいたしましても、若干の相違点はございますので、国会におきまして御審議の上、一致した案が成立いたしますことを、担当の部門の私といたしましては切にこいねがっておる次第でございます。
○桑名義治君 さらに公取委員長にお聞きをしたいわけですが、公取委員長は、四月の十三日の記者会見におきまして、改正案の解釈、運用についてはかなりないわゆる柔軟姿勢を示しておられるわけですが、こういった姿勢は、五党修正案を支持していた公取委員長の立場と矛盾をすることはもちろん、高橋前委員長当時から見ると、公取の姿勢が非常に後退をしているように見受けられるわけでございますが、態度の変更はどういう理由でございますか。
○政府委員(澤田悌君) 法の運用につきまして、まだ御審議もない段階でいろいろ申すことは実は私は遠慮したいと思っておるのでありますけれども、国会でも御質問がございましたし、新聞記者会見でもそれの御指摘の点についての質問がありましたので、いろいろとお答えをして、それが新聞でございますからいろいろな重点の置きどころによって大きい見出しで報道されるというようなことで、必ずしも私の真意を全部よく伝えているというわけではございませんので、この際ちょっと申し上げておきますけれども、特に営業の一部譲渡というような新しい構想が盛り込まれておる点につきまして、硬軟両面からと申しますか、非常に行き過ぎた恐怖感というようなものを持っている企業も少なくない。と同時に、反対に、あれは抜かない宝刀であるといったようなそういう感じの受け取り方もある。私は両方行き過ぎてはいけないと思うのでありまして、そういう観点からの私の説明を申した次第でありまして、決して従来の姿勢から後退しているとか、そういうものではございませんので、その点御理解を願いたいと存ずる次第でございます。
○桑名義治君 通産大臣は政府案の閣議決定前に難色を示したと、こういう報道がたびたびされたわけでございますが、現在は了解をなさっているんですか。さらに、了解ができなかった点はどこだったのですか。
○国務大臣(田中龍夫君) 御案内のとおりに、山中試案が党に出されまして、それがさらに総理府の方から関係各省庁に意見を求められました段階におきまして、私ども産業を担当いたしまする担当省といたしまして、十分に申すだけの意見は述べたわけでございます。しかしながら、政府といたしまして、これらの慎重な審議を経まして最終的に決定をいたしましたのが、今日御提案申し上げておりまする政府案でございます。もちろん、その間におきましては、これを了承いたしまして政府案を決定いたし、同時に、本案の成立に対しまして積極的に推進をいたす次第でございます。
○桑名義治君 わが党は、今国会におきまして、でき得るならば政府案を修正をした上でぜひ成立をさせたいと、こう願っておるわけですが、総理は、この政府案に対して修正をするという柔軟姿勢をお持ちなのかどうか。 それからもう一つ、自民党の中にまたこの案に対して廃案に追い込もうという動きがあるやにも聞き及んでいるわけでございますが、総理は、衆議院をいつごろ通過して参議院まで送り込んでくればこれが成立するというふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、この政府案につきましては、これはもう政府案でぜひひとつおまとめ願いたいとかねがね言っておるんですが、今国会で決着を得たいと、こういうふうに考えておるわけなんです。ずいぶん自由民主党の中でも議論をいたしまして、最大公約数というか、そういう形の案でありますので、これでひとつお進め願いたいと、こういうふうに思うわけでありますが、いつごろまでに衆議院を通過すればということにつきましては、これは各党間のお話し合いでお決め願いたいと思うのです。ぜひともこの問題につきましてはこの国会で決着をするということで各党間で話し合って、そしていつの段階で衆議院、いつの段階で参議院、こういうふうにお願いをしたい、かように存じます。
○桑名義治君 次の問題に移りますが、予算書の仕組みについて多少質問していきたいと思いますが、その一つは、繰越明許費についてであります。 この予算書で丙号繰越明許費は項目別に挙げられているわけでございますが、大蔵大臣、その総額は幾らですか、事務当局でも結構です。
○政府委員(吉瀬維哉君) 五十二年度の一般会計の例でいきますと、桑名委員も御承知のことと思いますが、繰越明許費は額で載っておりませんで、経費の名称で載っております。その名称の全額を足してみますと、一般会計で六兆八千百九十四億、特別会計で三兆九千七百六十五億、これを一般会計の総予算に対する繰越明許の予算全体の額であれしますと、二三・九%でございます。それから特別会計では七%と、こうなっております。
○桑名義治君 繰越明許費は、いま御答弁になりましたように、五十二年度は一般会計の場合は総、額の二三・九%がことし計上されているわけでございますが、こういった膨大な、総予算の約四分の一が来年度に繰り越してもよろしいという、そういうでたらめなむちゃな予算というものが許されていいんでしょうか。よその組織の中ではこういうことは許されないはずだと思うのですが、その点どうですか。
○政府委員(吉瀬維哉君) もちろん繰越明許費は財政法の年度独立に対する例外規定でございまして、もうすでに桑名委員御承知のとおり、たとえば公共事業等諸費とか、あるいは艦艇の製造費とか、あるいは恩給、年金のたぐいのごとく請求に来ない人がいる場合とか、それから経済協力費の一部で相手方の事情によって実行が繰り越される場合があるとか、そういうぐあいに、天候とか設計の技術上、相手方の条件、その他諸般の経費の性質を勘案いたしまして、経費の名称で事項で国会の御承認を得ているわけでございます。もちろん金額は総体を足しますと二三・九になりますが、私ども実行上はでき得る限りこういう種類のものは真にやむを得ない場合以外避けておりまして、実行上には平年の場合には五%くらいが繰り越しになる、総予算に対する比率でいきますと一、二%ということで、実行上は大いにいま抑制に努めておりますので、御了承いただきたいと思います。
○桑名義治君 私は、実行上そういうふうに四%ぐらいに抑えているからといって許される問題ではないと言っているんです。大まかに総予算の一三・九%を、もう最初からこれこれこれだけのお金は繰り越す、その裁量は私たちに任してくださいと。そうしたらば、国会議員はみんなばかみたいなものですよ、ピエロですよ、これは。そうじゃないですか。しかも、繰越明許費がついているのは、公共事業関係費、建設予算がほとんどでしょう。そうなりますと、五十二年度に景気対策のために上期に集中方式をとって七〇%の公共事業費を十月までに使うと、そうして景気対策をわれわれはとるんだと、こう総理もたびたびおっしゃっているわけです。そうしますと、政策運営の姿勢とこの繰越明許費との方向の間に矛盾はありませんか。
○政府委員(吉瀬維哉君) 実は、公共事業費におきましても、治水事業費だとかあるいはその他の事業に分かれておるわけでございまして、そのいかなる事業がどの程度繰り越されるかということは、繰越明許の経費の性質上あらかじめ算定することは非常に困難でございまして、であるからこそ繰越明許の方式をとりまして、経費の性質によりまして御承認を得ているわけでございます。確かに、桑名委員の御指摘のとおり、これが一〇〇%全部繰り越せるというような権限を私ども与えられているとは理解しておりません。もちろん、財政法の規定に従いまして、経費の性格上、あるいは設計上の困難とか、用地の補償の困難とか、そういう具体的な事由によりまして繰り越しておりますので、金額ももちろん総則にうたっておるわけでもございませんし、桑名委員御指摘のとおり、経費の名称が載っておりましたらその全額と いうぐあいに御理解になられるかもしれませんが、実行上厳に抑制しているところでございますので、御理解いただきたいと思います。
○桑名義治君 私たちがそういった立場から考えると、国会議員がまじめに審議し、景気浮揚に財政の力を活用しようというのであれば、ここで予算を修正して繰越明許費の丙号を削るということになるべきだと私は思うのです。そして、五十二年度予算は政府修正をしたのだから、その際に繰越明許費も修正すべきではなかったんだろうかと、こういうふうに私は思うわけですが、どうでしょうか。
○政府委員(吉瀬維哉君) 繰越明許費の規定は、二十三年の七月の財政法の改正で十四条の三として入れられたわけでございまして、この規定はもうすでに御承知のことで恐縮でございますが、やはり一会計年度上に経費の性格上契約の完了に至らない場合がある、しかし、工事の実施は必要であると、こういう場合には、大体そういうような事情というのは年度途中、年度末近く起こってまいりますので、そのときにそのすべてを不用に立てますとかえって予算の効率な執行を妨げると、こういう理由でやっているわけでございます。御指摘もございますけれども、私ども、この名称が載っておるからといいましてその全額をもちろん繰り越せるというふうに理解しておりませんので、何とぞ御了承いただきたいと思います。
○桑名義治君 そこで問題にしているわけですよ、何度も申し上げますけれども。そこで、私は、いままでのこうした惰性に流れた予算編成と国会の予算審議を実質的に空洞化してしまうようなやり方に問題があると、こういうふうに思ってておるわけですが、これを改めるかどうかは別としましても、少なくとも実績数字は五%程度とあなたおっしゃっているんだから、例年の平均の数値というものは高くて十二、三%程度でしょう。低いところで四%程度ですよ。そうなれば、そういう実績程度の限度を設けた予算書をつくるべきじゃないかと、こういうふうに私は思うのですが。
○政府委員(吉瀬維哉君) 実は、あらかじめある蓋然率をもちまして一々判定するということができれば、それは一つの方法かと思いますが、事項ごとに御承認を得ておりまして、場合によっては、調査開発費のたぐいのごとく、その事項そのものが全額繰り越されるという場合もございますし、かえっていろいろな意味で技術的な困難もございますので、経費の性質をもって御承認を得ているところでございます。もちろん、御指摘に沿いまして、私ども、繰越明許がついたからといいまして実行上乱に流れるということは避けたいと思っていますので、その点よろしくお願いします。
○桑名義治君 いろいろとこの問題は非常にむずかしい問題ではございますけれども、しかし、形の上から見た場合には非常に不自然な形で予算が組まれているということなんです。 そこで、最大限に譲歩したとしても、五十三年度予算では繰越明許費に関し予算総則で一定の限度額を設けることを明確にすべきじゃなかろうか、こういうように思う。限度を超えて繰り越す必要が出てきたら補正を出すべきで、それが財政民主化の国会と行政府のあり方ではなかろうか、こういうふうに思うわけですが、先ほどから局長ばかりの答弁でございますので、ここらで大蔵大臣と総理大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(坊秀男君) 専門家の主計局長が御説明申し上げたのですが、私は素人でございます。素人が申し上げる方がひょっとしたらわかりやすいかもしれません。繰越明許費と申すものは、この費目については一年度間に全部使い切ってしまうことができないかもしれないと。それは大部分は使うんですよ。ほとんど全部使うのですけれども、そういったような費目というものをずっと繰越明許費として挙げておるわけなんです。そうすると、その繰越明許費のそれぞれの金額をプラスいたしますと、それは二三%幾らの数字になるわけでございますけれども、これは実際は初めからそんなことは予定しておりませんで、この費目のうちの一部は繰り越すことがあるかもしれないと、こういう意味でございますので、そこで、実際に繰り越す額は、先ほどの説明にもありました二%か三%、予算全額の中におけるシェアはですね、そういうことになるのでございますが、繰越明許というのはわれわれは全部を繰り越しすることができるんだと、そういうふうには理解をしていないのでございますから……
○桑名義治君 もちろん、全部実行したらゼロになって何にもできないじゃないですか。
○国務大臣(坊秀男君) だから、そのうちの一部ということでございまして……。
○国務大臣(福田赳夫君) 大蔵大臣と同じ所見でございます。
○桑名義治君 ことし三月九日、米国及びカナダで七月をめどにサッカリンの使用禁止を決めました。カナダからその資料が届いていると思いますが、それについての最終的な詰めの報告をお願いしたいと思います。
○政府委員(松浦十四郎君) 先生御指摘のサッカリンの問題でございますが、これはカナダにおきましてサッカリンの動物実験を行ったところ、悪性腫瘍が出たと、こういう実験があったということで、それに伴いまして、アメリカにおきましてサッカリンの使用禁止ということを提案するということがございました。そういうことがございまして、私どもの方は直ちにアメリカ及びカナダに対しまして、もともとこの実験はカナダの実験でございますので、カナダ政府にその内容について送ってほしいと、こういうことを依頼いたしました。現在私どもの手元にございますのはいわゆる最終報告ではございませんで、その実験のやり方について詳しく記述したものと、それからその途中の経過、それから最終的には非常に単純な形でまとめられまして、その一世代、二世代目の雄、雌のそれぞれのネズミにつきまして、コントロール群とそれから投与群との間にこれこれの数字が出たと、こういうのが手元に来ております。
○桑名義治君 その中身を言ってくれと言っているんですよ、私は。
○政府委員(松浦十四郎君) 数字でございますか。
○桑名義治君 はい。
○政府委員(松浦十四郎君) 膀胱とそれから尿管、両方合わせました数字で申し上げますが……
○桑名義治君 別々に言ってください。
○政府委員(松浦十四郎君) 膀胱の数字とそれから尿管の数字が出ておるのでございますが、どうも注から考えますと、これを両方足したものが尿管というふうに私ども解しますので、そのような理解のもとに申し上げることをお許しいただきたいと思います。ただ、これはここの英語から読みましてそういうふうに私どもは読んだというわけで、正確にそう読むのが本当かどうかというのはよくわかりませんので、そこはそういう理解で申し上げさしていただきます。 まず第一に、第一世代につきましては、サッカリン二千五百ミリグラム体重一キログラム当たり一日投与したものにつきましては、悪性のものが三例膀胱で出ております。ただいまのは雄でございますが、それから第二世代におきまして八例出ております。それから雌につきましては、第一世代は出ておりませんが、第二世代において二例出ております。これに対しましてコントロール群はゼロでございます。 なお、ただいま申し上げました数字に尿管の部分を加わったものと、こう考えますと、第二世代の悪性のものに尿管が一例あったと、こういうふうに考えられます。
○桑名義治君 こうやった実験の結果によりましてアメリカ、カナダでは使用禁止をするということになっておるわけでございますが、昨日入ってきた外電の中身を見ても、これは食品、飲料水、化粧品などに使用することが禁止されると、こういう報告が入っておるわけでございますが、日本はこの報告に対してどのように対応されようと考えておられますか。
○政府委員(松浦十四郎君) ただいま申し上げました資料につきまして、これは中間的な報告ということでカナダから聞いておるわけでございますが、さらにしばらく二、三カ月したら最終報告が出る、こういうことでございます。現段階におきまして、この資料についてわが国のがんの学者に検討していただいたわけでございますが、この資料は膀胱にがんがあった、あるいは尿管にがんがあったということは書いてあるけれども、本来、いわゆるがん病学的に見ますと、それぞれの顕微鏡的な組織検査というものに基づいて判断するのが普通であるのでそれを見て判断したいと、こういうふうなのが学者の意見でございます。 なお、アメリカ、カナダにつきましても、これはこういうふうな禁止をこれから提案すると。それからいまわれわれが聞いておりますのは、二カ月間いろいろな方の意見を聞くと、そしてその意見に基づいて最終的に禁止するとかという決定をすると、こういう段階であるというふうに聞いておりますので、私ども、それらを見ながら検討していきたい、こういうふうに考えております。
○桑名義治君 今回のこの資料によりましては、先ほどから御報告がありましたように、すでに良質の腫瘍あるいは悪性の腫瘍、それからそうやったがんに近いものと見られるもの、そうやったものがこうやってたくさん第一世代は四、三、それから第二世代は四、八と雄の場合は出ているわけです。こうやったデータを踏まえて、日本はやはりこの問題についてはたくさんの疑問があるわけですから、したがって、積極的な態度で対応していかなければいけないのではないか、こういうふうに思うわけです。 そこで、四十八年の四月に一般食品のサッカリン使用全面禁止となったいきさつと理由を説明してもらいたいと思います。
○政府委員(松浦十四郎君) 昭和四十七年の一月に、FDAは、アメリカでサッカリンの実験をいたしましたところ発がん性を認めた、こういうことを発表いたしまして、それに基づきまして近くアメリカではサッカリンの使用を禁止するということがわが国に電話で入りました。そこで、わが国でも四十八年の四月に使用基準の改正をいたしまして、サッカリンというのは特殊栄養食品に限る、こういうような使用基準を決めたわけでございます。
○桑名義治君 また、同じ年の十二月十八日に全面禁止を解除して一日一ミリグラム・パー・キログラム使用を認めましたが、その緩和となった理由はどういう理由ですか。
○政府委員(松浦十四郎君) 四十八年の十二月に食品衛生の毒性添加物部会を開きまして、そこでいろいろ御審議をいただいたわけでございますが、一つは、アメリカの発がん性があるという結果の実験につきまして、アメリカのFDAは、これはサッカリンそのものではなくて、サッカリンに含まれている不純物が影響しているのではないか、あるいは膀胱結石ができるということによって発がんが促進されておるのではないか、こういうふうな疑点があったわけでございます。それからなおWHO、FAOもこの点につきまして検討いたしまして、さしあたり特にWHO、FAOの定めた許容量を変える必要はない、こういうふうな判断もございまして、それらをあわせて、当時、実験がまだ継続中のものがあったわけでございますが、そういうものの結果が出るまで、さしあたり一ミリグラムにすると、こういうことで決めたわけでございます。
○桑名義治君 そこで、今回のこの資料によりますと、OTS、いわゆる不純物についてはがんの発生なりあるいは腫瘍の発生というものはほとんど見られていない。ところが、純粋なるサッカリンの投与によっては大変な数が挙がってきているわけです。これはもう非常に注目をしておかなければならない点だろうと思います。 それでは、食品衛生調査会では具体的にどのような答申をしましたか。
○政府委員(松浦十四郎君) お尋ね申し上げますが、ただいまおっしゃられたのは四十八年のことでございますか。食品衛生調査会の答申とおっしゃいましたが、それは四十八年……
○桑名義治君 四十八年の十二月十八日の。
○政府委員(松浦十四郎君) これは添加物毒性合同部会の見解でございまして、 サッカリンについての内外の毒性試験を検討したところ次のとおりの結論を得た。 一 一代の投与実験では発ガン性は認められない。 二 アメリカにおける二代にわたる二つの実験で、高濃度投与群において二代目にぼうこう癌の発生を認めているが、これについては試験に用いたサッカリンの不純物が原因ではないかとの疑問も持たれている。 三 以上の各種の知見から現在決定的な結論を出すことは困難であり、さらに各種の実験を追加して行ない、その結果をまって再検討を行なう必要がある。 四 しかしながら、人工甘味料の必要性という観点もあり、上記の各種実験結果に基づき、無作用量に十分な安全率を見込んで暫定的に一日許容摂取量を定めることとした。 五 暫定許容摂取量は、FDAにおいて二世代について行なった慢性毒性試験の無作用量に安全率五百倍を見込んで一日一ミリグラム・パー・キログラムとする。 六 サッカリンの品質規格を改正し、不純物の含量を極力制限すること。 以上でございます。
○桑名義治君 この時点でもすでに、まあサッカリンそのものではないけれども、一応不純物が原因でがんになるのではなかろうかという疑問はそのまま提起されていることには間違いはないわけです。 そこで、この調査会では、どのような資料を審議の対象としたのですか。
○政府委員(松浦十四郎君) 九つの論文で審議をいたしました。
○桑名義治君 その九つの論文を、表題だけ、だれとだれとだれの分だけという説明をしてください。
○政府委員(松浦十四郎君) カーターほか、マンローほか、ムーアーほか、シュメールほか、クレースほか、FDAの実験、それから国立癌研究所の実験報告、デルスらの実験、ロルケらの実験、以上でございます。
○桑名義治君 そうすると、国立衛生試験所の池田良雄毒性部長の実験データは審議をしたのですか。
○政府委員(松浦十四郎君) 審議をいたしておりません。
○桑名義治君 どうして審議しなかったのですか。
○政府委員(松浦十四郎君) そもそも、発がん性の実験のデータを正確に読むという場合には、必ず病理組織を取りまして、これについて顕微鏡的検査をするわけでございますが、その当時、池田先生の実験はまだそこまで至っておりませんで、単に目で見ているだけでございました。それで、その中間的なものがございまして、これがどういうわけか資料として出たわけでございますが、池田博士がこんな中間的なものではこれはとても審議にならないからこれは資料とならないと、こういうふうなことがございまして、そこで委員長の取り計らいでこの資料はないものとすると、こういうふうないきさつがございました。
○桑名義治君 この「食品衛生研究」四十九年三月号、ここに厚生省環境衛生局食品化学課が「食品・添加物の告示の解説」ということでサッカリンについて記述をしているわけです。その中に池田氏の実験データが審議されたことが明記されていますが、これはどういうことですか。
○政府委員(松浦十四郎君) 審議会はただいま申し上げたようなことでございまして、これは事務的にこの「食品衛生研究」に書いた者のミスでございます。
○桑名義治君 こんな公的な雑誌がどうしてミスということで簡単に片づけられるのですか。そういう姿勢が問題ですよ。どうですか。
○政府委員(松浦十四郎君) ミスでございますので、まことに申しわけないことだと思っております。
○桑名義治君 間違いなら、どこが間違いなんですか。
○政府委員(松浦十四郎君) どこがというと、内容でございますか。
○桑名義治君 はい。
○政府委員(松浦十四郎君) ここの中には十一の論文が出たことになっております。十一の論文のうち、一つの論文につきましては、これは全く現物が存在いたしておりませんでした。なぜこれが入っちゃったかといいますと、よその方から持ってきてこのリストをつくったときにこういうものがあると考えてやったと、こういうふうに聞いております。 それから池田論文は、先ほど申しましたように、一応その会に出されたわけですが、なきものにするというようなことであったために、それが出ていたというふうな錯覚でこれを書いた者がこの中に入れてしまったと、こういうことであろうかと思います。
○桑名義治君 それならば、次の「食品衛生研究」でなぜ訂正をなさらなかったのですか。また、小島元課長は調査会に責任を持って提出したと、こういうふうに新聞等では報道されていたわけですが、どうですか、この点は。
○政府委員(松浦十四郎君) 大分前のことでございますのでよく存じませんが、その訂正を出さなかったというのは、やはりこれは手落ちであろうかと思います。 それから第二に、小島氏がどのようなことを言ったか、私はいまのところ存じません。
○桑名義治君 そういう姿勢が一番問題なんですよ。私は、ただ単に訂正すれば済むということを言っているわけではないんです。こういう重大な、行政も大きく変えていかなければならない、あるいはこれはがんの毒性があるのではないかという重大な問題なんですよ。それに対して、あなたの方は、まとまっていない云々、途中の経過だから云々ということで入れなかったと、調査対象にしなかったと、こういうふうに言っているわけです。 じゃ、その次に、四十八年の十二月十八日の添加物・毒性合同部会の見解では「サッカリンについての内外の毒性試験を検討したところ次のとおりの結論を得た。」とありますが、この「内外」というのはどういう意味ですか。
○政府委員(松浦十四郎君) この表現におきましては、これはここで用いました論文以外に、当然この食品衛生調査会の委員の先生方はいろいろな論文を読んでおるわけでございますので、そういうふうな論文のことをすべて頭に置いてこの論文を見た上での最終結論ということで、こういうふうに書かれたものではないかと思います。
○桑名義治君 私はそれは全くの詭弁だと思います。少なくとも審議会に出されたそのいろいろなデータ、実験データを提示しているんですから、これで調べてくださいと言っているんですから、「内外」だったら「内」があるはずじゃないですか。それをなぜないと言うんですか。じゃ、「内外」じゃないじゃないですか、「外」じゃないですか。その点どうですか。
○政府委員(松浦十四郎君) これは調査会の毒性添加物部会の方でお書きになったものでございまして、ただいま申し上げましたように、池田論文につきましては、委員長から、これは参考にならないからないものとすると、こういうことであるということが決められたということと、それからここに書かれた「内外」というのは私どもが書いたものじゃございませんので、そういうことで書かれたものと私は推察いたしておるわけでございます。
○桑名義治君 それも詭弁ですよね。そういうものの言い方はないですよ、そういう説明の仕方は。話題になったけれども問題にならなかっと、こう言っている。出されているじゃないですか。
○政府委員(松浦十四郎君) 出したけれども、これは中間的なもので——出したといいますか、その書いた御本人が、こんなものは役に立たないものだと、こういうことになりまして、それじゃこれはないものにしようと、こういうことで決めたわけですから、結果的にはなきものになっております。
○桑名義治君 まあ百二十歩ぐらい譲りまして次に移りたいと思います。百歩じゃないです、百二十歩ですよ。 科学的要素を持った学者が審議をし、見解をまとめた。それがない。日本の実験データを審議しないのに「内外」と書くわけは私ばないと思います。調査会のときには池田氏の論文なりデータが話題にもならなかったですか。話題にはなったわけですね、いまの答弁で。
○政府委員(松浦十四郎君) 前にこの国会の席で私は話題になったと申し上げましたが、その話題になったというのは、いま申し上げたような意味合いで話題になったわけでございます。
○桑名義治君 そうすると、話題になったということは審議の対象となったということではないんですね。
○政府委員(松浦十四郎君) それは言葉の問題で、何とお答え申し上げていいかわからないわけですが、要するに、そこでの実験データでは審議に値しないから、それで実験をされた本人も、こんなところにこれを出す気じゃなかったと、こういうことでございまして、ないものにすると、こう決めたわけでございますから、それを審議したということになるのか、あるいは審議しないということになるのかわかりませんが、要するに内衣はそういうことでございます。
○桑名義治君 この問題についてはいろいろと水かけ論になりそうですから、話題を次に進めたいと思います。 国立衛生試験所ではサッカリンの毒性について研究をしていましたか。
○政府委員(松浦十四郎君) しておりました。
○桑名義治君 だれが中心で、どのような実験をしましたか。
○政府委員(松浦十四郎君) 毒性部長の池田氏が中心になりまして、発がん性の動物実験をやっておったと思います。
○桑名義治君 何年から始まって、何年で終わりましたか。
○政府委員(松浦十四郎君) 始めた年はちょっとはっきり覚えておりませんが、四十七年ごろでなかろうかと思いますが、結果的には五十年の四月の学会でこれが公表されております。
○桑名義治君 そんなでたらめなことを言わないでくださいよ。専門家でしょう。私が調べたら、昭和四十五年に始まって、四十八年に第一次が終わっているじゃないですか。年次報告書を見ているんですよ。何ででたらめを言っているんですか。全くのでたらめじゃないですか。
○政府委員(松浦十四郎君) 四十六年から始めて、そして一次報告が四十八年で、それからさらにずっと続けておりまして、学会報告という形では五十年に出されたと、こういうことになっております。
○桑名義治君 違います。業務報告を見てごらんなさい、これは焼いてきたんだから。書いてあるじゃないですか、四十五年からやったと。——じゃ、訂正してください。
○政府委員(松浦十四郎君) 四十五年からだと思います。
○桑名義治君 何年まで。
○政府委員(松浦十四郎君) 四十九年まででございます。
○桑名義治君 業務報告の中には、四十九年度は何にも載っかっておりません。業務報告はなされておらない。四十八年で切れています。
○政府委員(松浦十四郎君) 四十九年に最終的にまとめて、五十年に発表したと私どもは……
○桑名義治君 違いますよ。あなたの方は何しているのよ。こういうのは業務報告書には全部載っている。四十九年はゼロなんです。四十八年にこの成果を発表している。そして五十年で学会発表しているんです。
○委員長(小川半次君) 環境衛生局の職員の方、もっと調査して勉強してなかったんですか。局長が困るじゃないか、そんなことでは。
○政府委員(松浦十四郎君) 私、いま、四十九年で五十年に発表と、こういうふうに思っておったわけでございますが、先生の資料によりますれば四十八年に終わって五十年発表と、こういうことだというふうに拝見させていただきました。
○桑名義治君 全くこういう重大な問題に対していかに関心がないかということを如実に物語っている、これが姿勢だろうと思います。 では、ラット以外の実験はなかったですか。
○政府委員(松浦十四郎君) マウスも同時に実験したというふうに聞いております。
○桑名義治君 「衛生試験所報告」というのは、これはどこから出ているんですか。
○政府委員(松浦十四郎君) 国立衛生試験所からでございます。
○桑名義治君 厚生省所管ですか。
○政府委員(松浦十四郎君) 厚生省薬務局の所管でございます。
○桑名義治君 四十八年の報告の中に特別研究報告がありますが、御存じと思いますが、その内容を述べてください。——お持ちじゃありませんか。
○政府委員(松浦十四郎君) 持っておりませんのでわかりません。
○桑名義治君 じゃ、どうぞお使いください。このぐらいのものは持っていらっしゃると思ったんですが、持っていらしゃらないということでございますので、委員長、渡しますので……。
○委員長(小川半次君) はい。
○政府委員(松浦十四郎君) ただいまお借りした資料を読みます。 a) マウスにおけるサッカリンの発がん性 一群雄雌それぞれ五十匹を一群とするdde系マウスにサッカリンナトリウムの〇、〇・二、一および五%飼料を二十一月投与したところ、成長および死亡率については検体投与による影響はみられなかった。対照を含め、各種の腫瘍を認めたが、検体投与による腫瘍発生の増加がなく、問題とされている膀胱については肉眼的ならびに組織学的に膀胱腫瘍はどの群においても一例もみられなかった。肉眼的に雌の五%群の三例に膀胱内に結石を認めたのが比較的特異な所見であった。 b) ラットにおけるサッカリン、サイクラミン酸ナトリウムの発がん性 一群五十四〜五十六匹のWistar糸雄性ラットにサッカリンナトリウム(S)、サイクラミン酸ナトリウム(C)、サイクラミン酸ナトリウムとサッカリンナトリウムの十対一混合物(C+S).の三検体を飼料に混じて二・五グラム・パー・キログラム・パー・デイを二十八月投与したところ、二十八月までの経過では実験群において死亡率の有意の増加はなかったが、成長は対照群に比べて抑制され、S群では中等度であったが、CおよびC+S群では強度の成長抑制がみられた。十二、二十四および二十八月で解剖した動物の肉眼的所見では、CおよびC+S両群の睾丸萎縮が目立った所見であった。腫瘍については肉眼的にみられた腫瘤の組織学的検討はまだ完了していないが、少なくとも問題視されている膀胱については肉眼的にも組織学的にも腫瘍発生はいずれの群においても認められなかった。
○桑名義治君 はい、ありがとうございました。 先ほどから年次をいろいろお聞きしましたけども、それはこのためにお聞きしたわけです。実際に昭和四十八年には「衛生試験所報告」の中にはラットとマウスの二つの試験の実験の最終結果がまとめられてこうやって報告されているわけだ。これをあなたは否定しますか、この中身を。
○政府委員(松浦十四郎君) ただいまお読みいたした分につきましては、サッカリンについての後段の部分でございますが、そこでは明らかに肉眼的所見で云々と、こういうことでございまして、まだ組織学的な検査は行っておらないということがそこに書いてございます。
○桑名義治君 マウスの問題については、「各種の腫瘍を認めた」という言葉があります。それからラットの場合には「腫瘍については肉眼的にみられた腫瘤の組織学的検討はまだ完了していないが、」と、一応こう書いてありますが、腫瘤というのは大体学理的に言うとどういうふうな——いわゆるおできですか。
○政府委員(松浦十四郎君) 腫瘤といいますのは、いわゆるふくらんでいるこぶみたいなものと、こういう意味合いでございまして、それがいわゆる良性のものであるか悪性のものであるか、あるいはどういう性格の腫瘤であるかということにつきましては、組織学的な検査を待たなければわからない。ただふくらんでいるものと、こういうことであろうかと思います。
○桑名義治君 いずれにしましても、各種の腫瘍あるいは腫瘤というものが発表されているわけです。腫瘍というものはこれは普通のできものにちょっと毛の生えたくらいのものでございますけれども、腫瘤というものはこれは非常に悪性ですよ。悪性を腫瘤と言うんでしょう、医学的には。
○政府委員(松浦十四郎君) 腫瘤というのはいわゆるこぶみたいなものでございまして、腫瘍は組織学的に一つの条件の整ったある病変でございます。腫瘤というのは形態学的にこぶみたいなものと、こういう意味合いでございます。 なお、腫瘤は、そういう意味ではいろいろな性格のものがその中に入っております。なお、腫瘍になりますと、これは良性の腫瘍と悪性の腫瘍に分かれると、こういう分類であろうかと思います。
○桑名義治君 四十八年にはアメリカから共同研究を申し込まれておりますし、五十年のいわる緩和決定は発がん性についてFDAの実験データなどをもとに下されたものだが、その直後の六月にはFDAからわが国の国立遺伝研究所に共同実験の呼びかけがなされたのではないかと思うのですが、この時点で共同実験をわが国に提案してきたのは、FDA内部でまだ確定していなかったことを裏書きしていたのではないかと思うのですが、どうですか。
○政府委員(松浦十四郎君) 私ども、FDAが、日本の遺伝研究団ですか、そちらの方へ共同研究申し込みをしたということは存じませんが、その時点におきましてもFDAは前に膀胱がんが出たという実験があるわけでございますから、サッカリンがその膀胱がんと何らかの関係があるのではないか、そしてそれが先ほど話に出ました不純物の関係であるのか、あるいは膀胱結石をつくりやすくなるというようなこととの関連があるのかということについてはFDAはまだ疑念が晴れておりませんので、それで先ほど一番最初問題になりましたカナダの実験というのは、やはりアメリカがその点について注目しておった実験だと思います。
○桑名義治君 まあいろいろ申し上げましたが、そうやったいろいろな意味で厚生省はサッカリンの毒性について二重三重の安全確認を果たしていたかどうかということは私は問題だと思います。今日アメリカ、カナダの情報で周章ろうばいするのは、全く見通しの悪さと実験データなどの科学的根拠に謙虚でなかったことを示しているのではないかと、こういうふうに思うのですが、どうですか。
○政府委員(松浦十四郎君) これは厚生大臣の諮問機関でありますところの食品衛生調査会にその道の専門の方にお集まりいただきまして、そちらの御検討の結果に従って行っておるわけでございますので、そういう意味ではこの専門家の委員会の御結論を尊重していると、こういう考え方でございます。
○桑名義治君 まあいずれにしても大変な問題があるわけですね。先ほどから、この池田論文については全然検討の材料にしなかった、提出をしなかったという。ところが、衛生研究所のこの報告では第一次報告がこういうふうになされているわけですよ。そのときになぜ検討の材料にしなかったかというこの問題が残るわけですよ、やっぱり依然として。それと同時に、国立衛生研究所等の研究結果、学会発表でも、サッカリンが遺伝子を傷つけ突然変異を起こすという結果が出ておりますが、確認されておりますか。
○政府委員(松浦十四郎君) ただいま先生御指摘いただきましたのは、昭和五十年度におきます厚生省のがん研究助成金による研究ということでよろしゅうございましょうか。
○桑名義治君 その結果を報告してください。
○政府委員(松浦十四郎君) この標題は、「遺伝変異原性物質を主とする発癌物質スクリーニングの技術開発」という研究でございます。 これはいろいろな物質がございまして、それらの物質につきまして発がん性があるかないかということをチェックするためには動物実験を行うというのが現在のやり方でございますが、動物実験を行いますと二年以上かかる、莫大な動物を飼わなきゃならぬ、こういうことでございまして、それではどうやったらもっと簡便な開発法がないかと、こういうことで簡便な方法を発見するための研究グループの研究でございます。 そこで、この研究のやり方といたしましては……
○桑名義治君 結果だけでいいです、長くなりますから。
○政府委員(松浦十四郎君) いろいろな物質につきまして試験管内の実験を行っております。その実験はミューテーションとリペアーと、それからクロモソームのアベレーションというのを行っておりますが、一年に三十種類の薬について行うわけでございますが、この三十種類の中にサッカリンがございまして、このサッカリンにつきましてはミューテーションとリペアーというのがマイナスでございまして、クロモソームのアベレーションにつきまして三人の実験者のうち二人の方がプラスという結論になっておるわけでございます。 なお、参考までに申し上げさしていただきたいのですが、これはあくまでも動物実験を行うのと、それからこういった試験管内の実験というものの相関から求めて発がんの方法を見つける実験でございますので、これは直ちにこれが遺伝を生むか生まないかというようなこととはかかわり合いのないことであるということをつけ加えさしていただきます。
○桑名義治君 いずれにしましても、この実験の報告では、いわゆる突然変異が起こるというふうな結果が出ているわけでございまして、このがんの発生というものと遺伝子のいわゆる損傷というものは、これはもう医学界の中では九〇%重なると、こういうふうに言われているわけです。そうしますと、このがんの問題と遺伝の突然変異の問題が、これはクロというデータがたくさんそろっているわけでございますが、そういった立場から考えますと、このサッカリンについては、もうすでにアメリカがいま方針を決定をしておりますように、一定の方向を決めるべきではないかと、こういうふうに考えるわけですが、どうですか。
○政府委員(松浦十四郎君) ただいま申し上げました遺伝の突然変異性の実験というのは、ただいま申しましたように、いわば裸の細胞に対する作用を見ておるわけでございまして、ものすごい鋭敏な実験でございます。これでやりますれば、たとえば私どもが飲んでおりますお茶、コーヒーは全部プラスに出てまいります。そういうようにいろいろなものがプラスに出ている中から、どうやってその本当のがん原性のものを探すかという実験でございますので、これはストレートにはつながらないものではないかと思います。 なお、現在どのような対処をするかということにつきましては、先ほどから申し上げておりますように、カナダの実験のフルリポートを手に入れて検討したいと、こういうふうに考えております。
○桑名義治君 そこで、食品衛生法第六条の精神について法制局長官に伺いたいと思います。
○政府委員(真田秀夫君) 食品衛生法第六条は化学的合成品たる食品添加物の取り締まりを書いている規定でございまして、その中身は、「人の健康を害う虞のない場合として厚生大臣が食品衛生調査会の意見をきいて定める場合を除いては、食品の添加物として用いることを目的とする化学的合成品並びにこれを含む製剤及び食品は、これを販売し、又は販売の用に供するために、製造し、輸入し、加工し、使用し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない。」と書いてあるわけでございまして、化学的合成品たる食品添加物は原則として禁止と。厚生大臣が特に人の健康を害するおそれがないと認めて例外をつくった場合以外は、いま申しましたような輸入、製造、販売等をやってはいけないと、こういう規定でございまして、その目的とするところは、食品衛生法第一条にございますように、食品に起因する衛生上の危害の発生を防止するというのがその立法の目的、趣旨でございます。
○桑名義治君 そうしますと、昭和四十八年の十二月十八日の合同部会の見解では、これの3に、「各種の知見から現在決定的な結論を出すことは困難であり、さらに各種の実験を追加して行ない、その結果をまって再検討を行なう必要がある。」と、こういうふうにあるわけですが、サッカリンが安全であるという確認は全然なされていないわけですが、この点はどうですか。
○政府委員(松浦十四郎君) その点につきましては、先ほどの池田先生の実験が続けられまして、その結果に基づいてその後処置したわけでございます。
○桑名義治君 そういうことであるならば、この第六条の精神から言って、これは当然緩和をするのはおかしかったのじゃないか、間違っていたのじゃないか、こういうふうに私は結論づけたいわけです。どうですか。
○政府委員(松浦十四郎君) これも四十八年の緩和のことでございますか、五十年の件でございますか。
○桑名義治君 四十八年。
○政府委員(松浦十四郎君) 四十八年の緩和といいますのは、使用基準の変更でございまして、この部会の御意見を伺って行ったことでございます。
○桑名義治君 まあこの結果から言えることは、結局四十八年の十二月十八日、サッカリンの規制緩和の際、厚生省はこの池田実験の結果をつかんでいたことになるわけですよ。つかんでいたんでしょう、実際に。これでは、先ほどあなたに読み上げてもらいましたように、腫瘍もあるし、腫瘤もあるし、そういう知見を認められていたにもかかわらず、サッカリンの使用許可をしたのかということになるのですが、どうですか。
○政府委員(松浦十四郎君) 先ほど申し上げましたように、腫瘤、腫瘍というものは顕微鏡でこれをのぞいてその組織を見なければ良性か悪性かわからないわけでございまして、がんというのは悪性でございますから、悪性であるということは顕微鏡的検査でなければわからない。そういう意味で、その中間的なものは資料としては成り立たない、こういうことでそれは取り上げられなかったわけでございます。
○桑名義治君 あなたが審議会に調査をお願いしたときの資料、それはほぼシロに近い資料ばかりです。ところが、この「朝日ジャーナル」に載っかっている一覧表を見ると、これはクロばっかりのデータが上がっているわけですよ。そうすると、この実験結果は相半ばしているということです。相半ばしているということは、これは非常に重大な疑惑が残っているということになる。しかも、今回は、このアメリカのデータ、カナダのデータ、これはクロですよ、完全に。そうやった立場から考えると、私は、安全性から使用禁止の措置をとるべきだと、こういうふうに考えるわけでございますが、この点について、厚生大臣、どうですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 学問的なことは私はよくわかりませんから、それはいま局長が言ったように、食品衛生調査会等の学者の検討の結果に従う。たとえば、この前、四十七年にアメリカがサッカリンを禁止だと言って日本であわてて禁止したわけですよ。ところが、自分の方は全然禁止しないできょうも使っているわけですね。しかも、日本の三倍、一キログラム当たり十五ミリグラム、日本は五ミリグラムです、使っていても。今回も、先ほど局長が言ったように、これは完全にこうするという結論がまだ出ていない。したがって、ドイツとかイギリスとかスイスなんかはサッカリンは続けて使うという声明をすぐ出しておる。アメリカが、だからといって、やたらにゼロにしてみたり、一ミリグラムにしてみたり、五ミリグラムにしてみたり、どうも不見識な話である。したがって、私としては、謙虚にこれはやらなきゃならぬけれども、アメリカがそういうことを言ったからといって、あしたからすぐ禁止というふうにはなかなか踏み切れない。したがって、ともかくデータをとって、日本にもりっぱな学者がたくさんいるんですから、そういう人によく検討をしてもらって、それでもいいじゃないか。御承知のとおり、サッカリンの歴史は百年ですよ。日本で八十四年か何年かになっておる。そういうような一般大衆に非常に用いられているものでもあるだけに、すぐにあしたから禁止だということにはなかなかできないので、大至急いろいろ取り寄せて検討してくれと、こういうことを言っておるわけです。
○桑名義治君 私は、いますぐここでもう禁止せいということは言いません。だけれども、禁止の方向で検討を進めるべきだということを私は言っているわけです。なぜかというと、シロのデータばっかりじゃないわけですよ。グロのデータもこんなに挙がっているわけです。そして国立衛生試験所のこの報告も資料に現実に出ているんです。だから、これは禁止をするという方向で、こうやった主要な食品については、これは添加物ですけれども、私は検討をすべきだと、このことを申し上げているわけです。どうでしょうか、総理、いままでのいろいろな議論を聞かれてどういうようにお考えになられますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは謙虚に学問的に検討してもらいます。
○国務大臣(福田赳夫君) 大変技術的なことで、私も確信のあるお答えができないのですが、厚生大臣が謙虚に研究してみると、こう申しておりますので、それに期待をしたいと、かように考えます。
○桑名義治君 これは重大な問題ですので、ただ謙虚にと右に行くか左に行くかわからぬような御答弁じゃなくて、いろいろずっといままで詰めてきたわけですから、その中で各種の疑問がたくさんあるわけですね。今度来たカナダからのこの報告書も、これもクロが多いわけですよ。がんが出ているわけですよ、実験結果は。衛生研究所のこれも、一応この中ではもう一遍細部にわたって科学的所見を調べなければならぬということは言っておりますけれども、現実にこぶができているわけです。そういうデータがここに出ているわけですから、だから、私は、でき得るならば前向きに、前向きにというのはむしろ疑いの眼をもって研究を今後進めていかなければいけない事柄ではなかろうか、これは国民の生命に関することですから。したがって私はこう申し上げているわけです。どうでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 十分に検討させるようにいたします。
○桑名義治君 さらに疑問視していかなければならないのは、サッカリンが解除された裏には、その時と時を同じくしているわけですが、政治団体に、全国漬物振興会からある政治家に政治献金が行われているわけですね。いままで新聞にも報道されているわけです。このように行政が金で左右されるということは、これはもう政治悪の根源であると思いますが、命にかかわるようなこういう問題にまでもこういうような忌まわしい事柄がうわさをされるようでは、これは大変なことだと思います。そうやった立場で行政の筋を一本ぴちっと通して、そして今後こうやった問題には対処していただきたい。これを付言しておきたいと思います。総理、どうぞ……。
○国務大臣(福田赳夫君) いやしくも行政と金がつきまとうなんということは、これは断じて許されざることでありますから、今後ともそんなことのないように十分気をつけます。
○桑名義治君 次に、苛性ソーダの問題に移りたいと思います。 四十八年当時、ソーダ業界の水銀たれ流しによって水俣病の原因を来したということはまだ記憶に新しいことでございますが、この際、三木元総理が環境庁長官でありましたが、四十八年十一月十日の水銀等汚染対策推進会議で、水銀法から隔膜法への転換について、五十年九月までに三分の二を転換を終わり、五十三年三月末までに原則として全面転換を決定をしておりましたが、それが現在どのようになっておるか、お聞きをしたいと思います。
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。 現在の設備能力の約六〇%が隔膜法の設備に転換しておりまして、残余が約四割の設備が残っております。今後、転換の問題につきまして、現在苛性ソーダ需要の約三割を占めております化学繊維でありますとかセロハン、無機薬品等の分野につきましては、従前の転換の主体技術でございますアスベスト隔膜法によります場合におきましては、比較的に低品位の苛性ソーダでございますので……
○桑名義治君 ぼくはそこまで聞いていないんですよ。どこまで転換したのですかということを聞いている。
○国務大臣(田中龍夫君) 現在のところではまだ六〇%というところでございます。
○桑名義治君 要するに、三分の二の転換というのは非常にむずかしいということが一応ここでわかったわけですが、残りの転換については五十三年の三月までに一〇〇%の転換ができますか、どうですか。
○政府委員(天谷直弘君) 四十八年十一月の決定におきましては、五十三年三月末までに原則として全面転換する方針で行政指導するということになっておりましたのでございますが、その後、イオン交換膜法の開発が予想外におくれておりますので、現段階におきましては五十三年三月末までに全面転換をすることはきわめて困難であるという状況に立ち至っております。
○桑名義治君 その主なる理由は何だったのですか。
○政府委員(天谷直弘君) イオン交換膜法の技術はまだ開発途上にある技術でございまして、日本におきましては旭化成、旭硝子等がデュポン社の開発いたしましたイオン交換膜をさらに改良いたしまして、その改良膜を現在デモンストレーションプラントを使って実験中でございますけれども、何分諸外国にもまだ開発の進んでいない新しい技術でございますので、技術の開発が予定どおり進んでいないということでございます。
○桑名義治君 いまイオンというふうにおっしゃったけれども、政府が最初指導したのは、隔膜法へということで指導なさったのじゃないですか。
○政府委員(天谷直弘君) 四十八年十一月当時におきましては、実存しておる非水銀法の苛性ソーダ電解法は隔膜法でございましたので、当時は隔膜法に転換することを行政指導するということになっておった次第でございます。
○桑名義治君 ところが、隔膜法を使用すれば、苛性ソーダの品質がどんなものであるかは業界も通産省もわかっていたはずじゃなかったのですか。
○政府委員(天谷直弘君) わかっておりました。
○桑名義治君 わかっていた上で、水銀法から隔膜法へ全面転換を決定したということは、これはちょっとおかしいと思うのですがね。
○政府委員(天谷直弘君) 先ほど先生御指摘になりましたように、四十八年当時におきまして、第三水俣病事件という事件、後にこれは幻の病気であるということが判明いたしましたけれども、当時はこの第三水俣病という大事件があり、その原因が水銀法の苛性ソーダ工場であるというふうにみなされておりますので、何分国民の健康が最も大切である、経済的な問題は二の次であるということでございまして、当時心配はあったのでございますけれども、何が何でも全面転換をするというふうな空気が支配的でございまして、十二省庁の会議におきましては、通産省としては若干品質等の問題があるという危惧の念は表明いたしましたけれども、十二省庁の多数の意見は、問題があっても三分の二は五十年九月末までに隔膜法に転換し、残りは五十三年三月末でに全面転換すべきである、こういう決定になったので、そういう決定がなされました以上、通産省としてもそれに従った次第でございます。
○桑名義治君 それでは、いつの時点からイオン交換膜法が問題になったのですか。
○政府委員(天谷直弘君) イオン交換膜法は、昭和四十五、六年くらいから研究が始まりまして、以後ずっと研究を続けておる。ただ、四十八年十一月当時におきましては、まだとうていイオン交換膜法なるものは実験室の中の段階にございまして、実用に供されるようなものではなかった次第でございます。
○桑名義治君 現在ではもう交換膜法を論議の中心に置いているわけですか。
○政府委員(天谷直弘君) 化繊業界等、ソーダの一ユーザーの業界にテストをしていただいたわけでございますが、このテストによりますと、隔膜法から出てくるソーダはとても使えないけれども、イオン交換膜法につきましては大体使用可能であるというような、そういう報告を受けておるわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、生産技術として十分に確立されているとは、まだデータが不足でございますので、なおその辺をよく専門の学者等に研究していただきましてイオン交換膜技術の評価を確立したいというふうに考えておる次第でございます。
○桑名義治君 そうなりますと、五十三年までに残された三分の一の転換の計画というものは非常に困難になるわけですが、それと同時に、先ほどからの御答弁にも、五十三年の転換完了ということはこれはむずかしいというお話があったわけでございます。そこで、そうなると、この後どのくらいの年数が必要だというふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○政府委員(天谷直弘君) 先ほども申し上げましたように、イオン交換膜法技術がどの程度実用可能な技術であるかということにつきましては、行政官であるわれわれには非常に判断がむずかしいことでございますので、専門の学者、技術者等を集めた委員会をつくりまして、その委員会で客観的に判定をしていただきたいと、こういうふうに思っておるわけでございます。その技術の判定の結果を待ちまして、その判定によって一体どの程度実用可能であるかということがわかるわけでございますから、そういう報告を受けた上で、どれくらいいつの時期にこの転換が可能であるかということをその報告に立脚して考えたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
○桑名義治君 そうしますと、完全転換はめどがつかないということですね、現在の段階では。そして、五十三年度までの完全転換というのは完全に不可能になったと、延期をするんだと、こういうふうに政府が意思決定したと、こういうふうにわれわれとっていいですか。
○政府委員(天谷直弘君) 先ほども申し上げましたように、まず第一番目に、行政指導による転換というのは強制できない、したがって困難であると、こういうふうに考えておる次第でございます。それから第二番目に、いつになるかわからないというのは、現段階ではいつになるかはわかりません。しかし、学者、専門家の報告を受けた上で、何と申しますか、延ばしっ放し、無期延期というようなことは、とうていこういう水銀問題についてそういうことは許されないと思いますので、報告を受けた上で、いつまでに転換するかということの計画を立てて行政指導をしていきたいと、こういうふうに考えております。
○桑名義治君 そこで、三木さんが環境庁長官のとき、また総理のときにも、五十三年三月末には一〇〇%達成すると、こう言っておったわけですが、その間環境庁としてはどのような手を具体的に打ちましたか。
○国務大臣(石原慎太郎君) いろいろ情報は仄聞しておりましたけれども、三月二十二日の時点で初めて通産省の方からどうも延期をせざるを得ないという正式の通知をいただいた次第でございます。事は水銀の問題でございますので、そういう事態になったことは非常に遺憾でございますが、衆議院の公環特でも、通産省側の政府委員が、このまま隔膜法による生産に切りかえていくことはいわば産業廃棄物をつくることにしかならぬということを言われましたので、これはゆゆしき問題でもありますし、いずれにしましても、延期をするしないにしましても、ともかく国民が納得し理解をするという形で決定が行われるべきだと思っております。
○桑名義治君 要するに、お話を聞くと、環境庁は具体的には何もしていなかったということでございますな。 そこで、福田総理にお聞きしますが、前三木総理、前河本通産大臣及び環境庁長官が、五十三年三月までに一〇〇%達成すると、こう言明しておきながら、実態は業者任せの場当たり的な行政であったとしか言いようがないわけでございますが、このような事態を総理はどのように思われますか。
○国務大臣(田中龍夫君) ただいま担当官の方からるるお話を申し上げましたのでございますが、現在のところまだ四割ほどのものが残っております。一方におきましては、現在の需要のユーザーの方から申しますと、高度の化繊でありますとかその他いろいろな需要家の方では、塩分が少しでもございますと使用不能になるというようなことなので、どうしてもやっぱりやるとすればイオン交換膜法までいかなきゃいかぬと。そうじゃなかったらば、現存の電解法でしかも水銀が流出しないようなクローズド何とかという方法をさらに一層推進することによって被害をなくし、外部に水銀が漏洩しないような設備を一方におきましてはする。そして、他方におきましてはイオン交換膜法を推進すると、こういうような関係においてこの問題を処理しよう、かように存じておりまして、先ほど申しましたように、先般も環境庁の方にその由を連絡いたしたような次第でございます。
○桑名義治君 いずれにしましても、この苛性ソーダの製造方法の転換は、隔膜法に転換をした業界は非常に困っているんですね、悪質な製品ができるために。繊維業界は、これが絶対使えないと、こう言っているんです。そして、ずるく、いわゆる行政指導をぽんとけ飛ばしていった業界は非常にもうかっている。現在は、日本の業界では足りなくて、韓国や台湾から入ってくるというような実情まで追い込まれている。しかも、政府の方針というものは、五十三年の三月末までに全面転換をするという方針はまだ残っている。なぜかというと、先ほど局長から物理的にも無理だというお話でございました。各種の委員会でその無理だというお話も局長の口からはされています。しかし、大臣の口からはまだ一回も聞いていないわけです。どうなんですか、はっきりおっしゃってください。
○国務大臣(田中龍夫君) 正直者がばかを見たようなことは結果としていたしたくないわけであります。同時にまた、本件につきましては今後これを鋭意最終的なピリオドを打って、そうして業界の明確な指導をしなければならぬ、かように考えております。
○桑名義治君 そんなことを聞いているのじゃないですよ。延期をするかしないかということをはっきり言ってくださいというんですよ。先ほど言ったように、局長のお話があったように、できないと、こういうんでしょう。局長任せではなくて……。
○国務大臣(田中龍夫君) 工業化技術として実用可能との判断が得られ次第、速やかに具体的な転換計画を策定してこの転換を推進することといたしたい、こういうことです。
○桑名義治君 それは中身でしょう。そうじゃなくて……
○委員長(小川半次君) 起立して。
○桑名義治君 五十三年までには全面転換ができないという、技術的にも、物理的にも。それは局長の口からは委員会等で発言があっているわけです。こうやった重大問題を局長任せにするのは局長がかわいそうじゃないですか。だから、大臣としてこれをどういうふうにお考えになっていますかということなんですよ。延期をしなければならないというのなら、延期をするということを明言してくださいと、こう言っているわけですよ。
○国務大臣(田中龍夫君) この点を考慮いたしますれば、今後の全面転換を五十三年三月までに完了させることは不可能な情勢と判断いたします。
○国務大臣(石原慎太郎君) 水銀対策の推進会議の議長は環境庁長官でございますので、正式に通産省からそういう申し入れがございましたので、できるだけ早期に対策推進会議を開こうということで政府委員に申しまして、いま事務方の打ち合わせをし、局長レベルの話し合いを主に通産省といたしておりますが、通産大臣の口からもいまのような申し入れがございましたので、正式に会議としての延期なら延期の決定をできるだけ早期に会議を開いて次の指針を打ち出すつもりでございます。
○桑名義治君 両大臣から、とにかく物理的にもあるいは日数的にも技術的にも五十三年三月末の転換は延期をせざるを得ないという明言があったわけでございますが、これは具体的には何年ぐらいを見通せばいいのか、そこら辺までの一応の政府の指針を明快にしておかなければならないと思いますし、隔膜製法によって非常に業績が落ち込んだ業界等もあるわけでして、いまからイオン膜交換法の方へ転換をしていかなければならぬ。技術がなかなかついていかない。これはただ単に業界任せということではなくて、これは政府が主導権を握りながらこの研究開発に努力を続けていかなければならない重大な問題ではなかろうかと思うのですが、その点について御報告を願いたいと思います。
○政府委員(天谷直弘君) イオン交換膜技術の開発につきましては、通産省で補助金等を出して従来も推進してきておるわけでございますし、また、これを実用化する場合には、開銀融資等をつけまして今後とも積極的にその開発推進を図っていきたいというふうに考えております。
○桑名義治君 最後に総理の御所見を伺って、終わりたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま両閣僚並びに政府委員からお答えいたしたとおり実施いたしたいと、かように考えます。
○委員長(小川半次君) 以上をもちまして桑名義治君の質疑は終了いたしました。(拍手) 明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後七時十三分散会