予算委員会 第5号
- 発言数
- 68 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1977/03/25
会議録
○委員長(小川半次君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 昭和五十二年度一般会計予算 昭和五十二年度特別会計予算 昭和五十二年度政府関係機関予算 以上三案を一括して議題といたします。 北海道、阪神及び九州の三カ所において同時に開会いたしました地方公聴会についての派遣委員の報告を聴取いたします。 まず、第一班北海道地方公聴会につきまして、便宜委員長から報告申し上げます。 参議院予算委員会北海道地方公聴会は、小川委員長、内藤理事、安孫子委員、夏目委員、対馬委員、川村委員、太田委員の七名が出席し、三月二十三日札幌市で開催され、漁業及び出かせぎ問題についてそれぞれ二名を含む五公述の項目について七名が意見を述べられました。以下、公述順に従い、その概要を申し上げます。 最初に、漁業について、北海道水産会理事池田嘉久蔵君は遠洋漁業の観点から、北海道指導漁業協同組合連合会専務理事照井秀夫君は沿岸漁業の観点から、それぞれ公述を行いました。 まず、池田公述人の内容について申し上げます。 戦後、わが国の北洋海域での漁業は日米加漁業条約、日ソ漁業条約を初め各種の取り決めに基づき、秩序ある操業を行うとともに、資源開発の結果、漁獲高も次第に増加している。昭和五十年の北海道の漁獲高は二百五十五万トンと十年前の約二倍、金額も約二千八百億円に達している。しかし、米ソ二百海里が設定された場合、このうちの四五%に当たる百十一万トン、金額にして八百八十六億円の損失が推定される。しかも被害はそれにとどまらず、水産加工業者にも大きな影響を与えるものと考えられる。現在、生産加工百四十八万トンのうち三割強に当たる四十八万トン、金額にして千百二十億円の損失が推定される。したがって第一に、新しい海洋秩序である二百海里を認めることにはやぶさかではないが、多年にわたり築き上げた北洋におけるわが国の漁獲実績を一挙に壊滅せしめないよう、その実績確保を図ってもらいたい。第二に、政府は二百海里対策に積極的に取り組むとともに、特に以下の二点について留意していただきたい。その一は、国民の食糧を確保するため漁業の位置づけを明確にし、長期展望に立った海洋政策、食糧政策を確立すること。その二は、国際漁業を円滑に推進するため、国際漁業管理委員会の設置、通訳の乗船や警備体制の確立など国際漁業に対する政府の指導、外国地域での合弁事業の推進等の事項を盛り込んだ国際漁業に関する基本法を制定すること。第三に、新しい海洋秩序による国内漁業者、加工業者の再編成に伴う補償、救済措置を図るため、かつて行われた漁業証券による補償と同様の措置を行うこと、また、退職漁船員についても炭鉱離職者と同じ措置をとること等について述べられました。 次に、照井公述人の内容について申し上げます。従来わが国の沿岸から沖合へ、沖合から遠洋へという外延的漁業発展政策を根本から見直し、わが国二百海里水域での生産によるたん白食料を自給する方向へ政策を転換する必要がある。この認識のもとに、国は漁業基本法を制定し、国の基本姿勢を明確にしつつ、各種漁業関係制度の体系づけを行う。また、警備取り締まり体制や外国漁船入り会い対策など、二百海里早期設定のための体制づくりを急ぐとともに、沿岸漁業の生産振興を図る対策を講ずるべきである。以上の基本施策の推進と並行し、当面の緊急解決を要する三つの問題に取り組むことが望まれる。その第一は、領海十二海里の早期設定並びに外国漁船被害防止と救済措置の対策である。四十九年一月以降現在まで二千四百九十六件の外国漁船による被害が発生し、漁具被害による休漁等の損害分を加えると十数億円に達するにもかかわらず、これらの漁業被害は一件も解決されていないのが現状である。したがって、速やかに領海十二海里を設定するとともに、漁業被害についても長引きやすい国際交渉を勘案し、解決するまでの打開の一方策として国の拠出による外国漁船被害救済基金制度の確立を要望したい。その第二は、日ソ漁業交渉とそれに伴って生ずる沿岸漁業へのしわ寄せの問題である。日ソ漁業交渉でソ連は厳しい措置を打ち出しているが、この内容は漁業者の死命を制するほどのもので、今後の事態によっては農林大臣の再訪ソ、国会の代表団派遣などの強力外交の展開を要請したい。また、北洋漁場の制約による大型漁船や乗組員の沿岸漁業へのUターンを沿岸漁業ですべてを吸収することは困難であり、政府は漁業規制強化に伴う損失補償対策や転換対策等に万全の措置を講じられたい旨の意見が述べられました。この他、池田、照井両公人とも、強力な水産行政実施のための水産省の設置及び水産物の輸入について大商社の自粛を要望するとともに、生産者窓口方式による秩序ある輸入体制の確立を希望しておりました。 次に、地方財政については、北海道副知事三上顕一郎君から公述が行われました。 地方財政は経済の不況で税収等が伸び悩み、地方債への依存度が高まるなど厳しい財政環境にある。地方団体として財源の重点配分に努め、みずからなすべきことについて努力を重ねてきたが、国の抜本的地方財政対策なくして今日の状態を乗り切ることは困難である。当面する問題と今後の問題を含めて四つの事項について要請したいとして、まず第一に、一般財源の強化を図るため、すでに五十一、五十二年度の地方財政対策により、実質的交付税率がそれぞれ四七・一%、三九・三%となっている地方交付税率の引き上げを行うこと。地方税の安定的確保を図るため、法人事業税への外形課税を全国一定基準のもとに導入すること。五十一、五十二年度に措置された特例の地方債について、その償還費は全額国で財源措置を講じること。第二に、地方債の円滑な消化を図るための対策として縁故債に相当依存せざるを得ない状況にかんがみ、政府資金を増額するとともに、地方債消化のための地方団体金融公庫を創設する。第三に、超過負担の解消、直轄負担金の改廃、なかんずく維持管理費の解消を図る。第四に、多くの赤字を抱えている市町村立病院に対する国の補助制度を拡充することの要望が述べられました。 次に、農業について北海道農業協同組合中央会長早坂正吉君が公述を行いました。 北海道農業は国による確固とした農業政策の裏づけが伴えば、わが国の食糧基地として重要な役割りを果たし得ると君える。しかし、現在農家が将来に希望を抱いていない。その理由は、わが国の農政が変わりやすく、生産体系が整うと輸入や生産調整を行うからで、われわれとしても農家を指導するのは困難である。北海道の主たる作目は稲作、畑作、酪農畜産等であり、それぞれが抱えている課題を提起すると、まず第一に稲作について、五十年度の生産調整は全国平均九〇多に対して北海道は八四%に終わっている。北海道は耕作意欲が強いが、冷害により生産が抑制される結果となったと思われる。従来生産調整に協力を惜しまなかったが、しかし、北海道が転作可能適地として位置づけることには納得できない。また、多額の税金を生産調整のために使用するよりも、今後の基本的政策を提示し、その生産に対し税金を活用すべきものと考えている。第二の畑作について特に指摘したいのは、価格が長期間にわたって据え置かれてきたため、他作物との価格不均衡が発生し、畑作振興上不可決の条件である輪作体系の崩壊につながった。その結果、土壌の悪化を招き、冷害や湿害の影響を受けやすくなっている。現在農民は、畑作価格を均衡ある水準とすることと、耕土の改良を望んでいる。第三の酪農畜産問題について、基本的には乳製品の自給度を高めていく必要がある。この点で問題となるのは畑作同様価格の問題である。米と牛の生産を比較し、一時間当たり二百円も報酬が違うのは妥当ではない。再生産に見合う価格決定が望まれる旨述べられました。 次に、石炭問題について、北海道石炭対策連絡会議代表吉田久君から公述が行われました。 石炭政策は、第一次の五千五百万トンから第五次まで逐次出炭目標を減らしてきている。五十年七月の第六次石炭政策で二千万トン以上となったが、現在千八百六十万トンに低下している。鉱山の中には、四十七年に開坑したにかかわらずすでに炭量がなくなるものも出てきており、目標の二千万トンを守れるかどうか危惧している。かつて通産大臣は、日本の実収炭量を三十一億トン、トン当たり九千円で五億九千万トン採掘可能と答えている。日本のエネルギー政策は輸入に頼っており、仮に再び石油ショックでも発生すれば大変な事態になる。その意味で、国内炭の生産を当面五千五百万トンに位置づけて生産してほしい。また炭鉱の経営についても、私企業は赤字がふえ、閉山に陥っているが、食糧と並んでエネルギーは国民生活にとって重要なものであるから、石炭の経営を英、仏、独にならい、公社・公団方式に転換することが必要である。石炭政策を進めるには、人員の確保、炭坑を取り巻く生活環境、なかんずく医療施設の整備、さらに技術者の養成が必要だが、いずれも対策がおくれている。産炭地振興計画については鉱業出荷額だけにとらわれて、鉄道、厚生、福祉施設が付随しているにすぎない。また、石炭の閉山地帯の実情を調査する政府の調査団を派遣してもらいたい。石炭及び石油特別会計を今後も存続させるとともに、石炭勘定で支出されている鉱害対策費を一般会計で支出し、その浮いた部分を産炭地に回すべきである旨の公述がなされました。 最後に、出かせぎ問題について、北海道季節労働者組合協議会長越前谷忠君及び地元で働く仕事と九〇日給付継続を要求する北海道連絡会代表委員折居公憲君から公述が行われました。 まず、越前谷公述人の内容について申し上げます。 北海道の季節労働者は、本州と異なりほとんどが専業であり、その数も、失業保険給付から推定すると約二十九万人、保険の未資格者や、昨年の冷害や、漁業の不漁によるものを加えると約四十万人を超えている。北海道の冬季間は、仕事がなく、求人も求職の一割に満たない。仕事があっても、年齢制限、低賃金である。このような中で、本年度より実施された雇用保険一時金の四十日短縮による五十日支給は、季節労働者の生活を決定的にしたと考えられる。一カ月賃金約十五万円、最高に属する男子でも、冬季間の受給月額平均四万八千円と、五万円に満たない生活を送らざるを得ない状況にある。これを解決するには、第一に、雇用の安定及び促進の方針を国の責任において実施する。第二に、雇用保険法の失業給付について、五十日給付と九十日給付の選択を認めることを早急に実施すべきである旨の公述がありました。 次に、折居公述人の内容について申し上げます。 北海道内の季節労働者のほぼ七五%は建設業に従事し、残り二五%が製造業を中心として働いている。働く時期としては、夏が九七%と圧倒的に多い。これは、冬の北海道では、公共事業、民間の工事がほとんどできなくなることから失業を余儀なくされる結果である。このような人々に、一部にある惰民批判は当たらない。むしろ、熟練労働者が多く、保険よりも職を選ぶ人々である。ちなみに、生活保護、生活資金を借りる人は少ない。政府は道外流出を指導しているが、二つの問題がある。一つは、実際仕事で必要になる夏季に戻るという保証がないこと。二つ目は、出かせぎ中に一家離散等悲惨な例が発生していることである。五十一年度から実施された雇用保険一時金の四十日短縮は、単に出かせぎ労働者だけではなく、出かせぎ労働者の多い自治体財政、地域経済にも大きな影響を与えているとの公述がありました。 以上、北海道地方公聴会の報告を終わります。 次に、第二班、阪神地方公聴会の御報告を願います。中山太郎君。
○中山太郎君 阪神地方公聴会につきまして御報告を申し上げます。 阪神地方公聴会は、吉田理事、森下委員、青木委員、粕谷委員、矢原委員、小巻委員、三治委員及び私中山太郎の八名で構成され、大阪市において開催いたしました。 阪神地方公聴会の公述項目は、造船、金融、運輸交通、繊維、地方財政、教育の六項目とし、それぞれの業界代表から意見を聴取してまいりました。公述人に対し、各委員からそれぞれ熱心なる質疑がございましたが、以下、陳述の概要だけを簡単に御報告申し上げます。 まず、造船につきまして、川崎重工下請協同組合理事長尾崎公述人から、現下の造船業界の工事量は、四十九年を一〇〇とし、五十年八〇、五十一年六一と推移し、五十二年後半にはさらに二〇%程度ダウンする公算が強い。下請業界の工事量はこれよりさらに一〇ないし二〇%も低下するのが常識であり、倒産一歩手前の企業が多数である。このため二百海里問題の活発化に伴い、諸外国の巡視艇需要に照らし、あっせん受注を行うほか、二重底の建造推進など、政府による工事量の増大を図る。また、陸上の工事について職種の選定や転業業種のあっせん指導を図ってほしい。転業資金並びに不況乗り切り資金として別枠の長期低利の融資を考える。また、官公需の分離発注が実施されているが、既存業者に発注されて造船業界に工事が回ってこないため、地方公共団体への工事発注の一部を造船不況対策事業として指名発注してほしい。さらに、春闘の結果、親企業と下請との賃金格差が拡大するため、親企業の本工賃金引き上げ相当分につき、請負単価の適正化を政府から親企業に対しあっせん方願いたい等の意見陳述がありました。 金融については、大阪銀行協会会長伊部公述人から、日本経済は昨年秋以降停滞局面に入っており、今年年初より景気は悪化の傾向を示している。この間、関西経済は、主力の鉄鋼、繊維など素材関連産業及び工作機械、造船などの設備関連産業の景気が一段と深刻化し、先行きの企業経営はきわめて慎重となっている。金融情勢は、かかる景気停滞、企業の投資活動の低迷を反昨し、資金需要が鎮静化しているが、これは収益力の減退、自己資本比率の低下等、企業金融の体質が一層悪化しているあらわれである。このため、予算関連法案について、現下の景気の厳しさにかんがみ、政策発動のタイミング、心理的効果の発揚に特段の配慮を期待するほか、景気の立て直しのために極度に脆弱化した企業体質の改善が不可欠であり、その助成並びに構造不況業種対策、雇用政策の拡充、投資税額控除制度の導入等を取り上げること。また、金利運営について、あくまで貸出金利、預貯金金利、国債利子を含めた金利体系全般にわたる整合性を重視し、資金需給の実勢を反映し、弾力的に変動し得る政策運営を実行してほしい等の陳述がありました。 運輸交通について、大阪府企画部企画室長西村公述人から、経済都市大阪は交通の結節点として交通問題が最大の政策課題であり、その政策は海陸空の総合的交通体系、広域的な交通網の整備、交通空間の複合的利用と安全環境対策を基本に置いている。道路については、五十年の自動車保有台数百万台を想定して整備してきたが、すでに百八十万台と予想を大幅に上回り、交通渋滞が著しい。当面道路整備は緊要であるが、道路交通の制御も必要となっている。次に、鉄道については、私鉄への依存と昭和初年の路線体系のままであり、昼間流入人口は昭和初年の十万人が五十年には百二十万人と増加していることから、路線の新設が基本で、鋭意努力はしているが、地下鉄建設の助成制度の確立、地方負担の軽減、都市モノレール建設費についての国庫補助率の増大のほか、国鉄については投資割合が首都圏に比べ阪神圏が著しく少なく、輸送力増強等をより推進してほしい。空港については、大阪空港が公害問題によって発着能力に対して便数を抑えており、また、空港周辺整備計画も十カ年間に五千三百億円では環境基準達成に十分でない等、どうしても新空港が必要となっている。関西新空港については、効率的な調査によって、妥当な結論と判断材料を得たいと思っている。最後に、港湾については、大阪の特徴を十分に活用して整備を図っていきたい等の意見が述べられました。 繊維につきましては、日本紡績協会会長大谷公述人から、繊維産業は十五万を超える企業と、家族を含めると一千万人に及ぶ繊維関連人口がおり、総額三十兆円に上るすそ野の広い産業であるが、四十九年以降四年間厳しい不況下にあって、規模、業種のいかんを問わず、生産部門の大部分が赤字経営を余儀なくされている。このため生産流通段階では混乱の度をきわめ、このまま推移すると、倒産の続出から、繊維産業の基盤崩壊につながることを危惧している。特に九九%が中小零細企業で占められ、危機は社会的に重大な問題である。また、不況の中で繊維産業は構造的調整問題を抱えており、不況脱出に当面は全力投球するが、並行的に構造改善も推進する。このため、不況克服策として、消費需要喚起のための予算編成、中小零細企業の減産資金の緊急融資、政府系金融機関に係る既往制度融資の返済猶予と決算期限の延長、構造改善対策としては、五十四年四月までに改善が完遂するよう構造改善と転廃業、設備縮小促進のための予算等の拡充、さらにわが国繊維産業の存立維持のため、輸入対策として繊維品の輸入急増に対する抑制策及び二国間繊維協定の締結を実現する等の陳述がありました。 地方財政については、大阪府市長会会長木崎公述人から、五十年度の都市決算で赤字団体は二割に達し、財政危機は深刻である。特に人口急増都市では生活環境整備を初め行政需要は激増の一途にある。これに対応するため、合理化、能率化に努力し、広く市民にも協力を求めるが、おのずと限界がある。そこで、国においては行政事務及び財源再配分の実現に取り組むほか、財政事情から国と地方相互間の経費負担の秩序を厳守し、会計年度の改正、継続費制度の活用等単年度予算方式の改善も望まれる。具体的な財源対策としては、中期的な租税負担割合の見直しの際に地方自由財源の確立を図る。都市の行政需要の実態に即応して所得税を含めた個人住民税のあり方を再検討する。国において付加価値税を創設の場合は、その一部を都市に配分する。地方交付税について、財源不足が続くことから交付税率の引き上げ、さらに社会的要請の強い事業について大幅に補助率を高め、超過負担を是正する。源泉分離課税を選択した利子・配当所得等について、地方税として課税できるように措置する等の意見が述べられました。 最後に、教育につきまして、兵庫県西宮市中学校PTA会長岸田公述人から、西宮のPTA活動は、目下青少年の非行化防止のための愛護活動に重点を置いている。また、現在のPTA活動のネックは、PTAの本旨たる現場の教師と父兄との対話が授業時間との制約でむずかしいこと、無関心派PTA会員の啓蒙に苦慮することである。一方、高校進学問題では、西宮市の進学率は九五%を超えたが、阪神間の公立高校の開門率は六三%にすぎず、進学率との差は必然的に私学への依存に待たざるを得ない。このため、阪神間で実施している総合選抜制度も全入制に至っていない現状では疑問があるほか、私学への進学ともなると、家庭の教育費負担は公立に比べ著しい格差が生じている。私学には私学助成金が出ており、授業料の軽減に寄与すべきであるが、そうした影響は全く見られず、金額のみならず行政面での是正を図ってほしい。さらに、給食については、一部の都市で、財政事情から調理員を解雇し、民間委託が行われ、栄養面等で心配の声が出ており、教育も財政問題を避けて通れなくなっている。また、給食に使用する食器について、ポリプロピレンの食器の導入について議論が出ており、西宮市では東京都での調査結果待ちとなっているが、この問題は全国的な問題として波及しているので、適切な対応をお願いしたいなどの陳述がありました。 以上をもちまして報告を終わります。
○委員長(小川半次君) 次に、第三班九州地方公聴会の御報告を願います。園田清充君。
○園田清充君 私は、坂野理事、小柳理事、桑名理事、宮田委員、工藤委員及び星野委員とともに、目下当委員会に付託されている昭和五十二年度総予算の審査に資するため、去る三月二十三日、福岡市明治生命ビルで開催された地方公聴会に出席し、学識経験者など十名から地方財政、鉄鋼、下請企業、農業、労働、建設、以上六項目にわたり意見を聴取いたしてまいりました。これに対し各委員より熱心な質疑がありましたが、以下公述人の陳述の概要のみを御報告申し上げます。 地方財政関係では、山崎英顕福岡県副知事及び森山幸雄同県大野城市長のお二人から意見を聴取いたしました。 まず、山崎公述人は、福岡県の財政規模は昭和五十二年度一般会計当初予算で五千七億円となっており、予算規模では全国第七位にランクされているが、財政構造の面から見ると義務的経費の構成比率が他県に比べて極端に高く、このことは必然的に投資的経費にしわ寄せされ、その構成費は他県に比べて著しく低率を来していること、また、歳入面では、本県の地場産業は鉄鋼、セメントなど不況色の強い素材型産業に集中しているため、全国に比べ、企業収益の回復テンポが遅く、税収の伸び悩み傾向が目立ち、県の自主財源をして安定性の乏しいものとしていることなど県財政の特色が述べられたほか、財政健全化対策、財政収支の見通し等について述べ、地方財政危機打開のための国に対する要望として、地方交付税率の引き上げ国税三税以外の対象税目の拡大、地方債の共同発行機関の創設、超過負担の根本的解消を図るための物価スライド制あるいは翌年度精算方式の導入、国庫補助負担金の改善合理化、直轄事業負担金の廃止等について述べられました。 次いで、森山公述人は、大野城市は現在人口の都市集中のあおりを受け、十年ごとに人口が倍増することで九州で第一位、全国でも十位の急増率を示し、それに伴い義務教育施設、福祉施設、あるいは上下水道等の公共施設の整備が市政運営上最大の急務となっており、特に学校建設費の膨張が他の行政費への圧迫をもたらしていること等同市の実情を述べ、さらに、要望として、交付税率の引き上げ、地方団体金融公庫の早期創設、国庫補助金の改善合理化、及び都市施設の整備に要する都市税源の拡充強化等について述べられました。 鉄鋼関係では二本正東海工業株式会社専務取締役から意見を聴取いたしました。同公述人は、九州地方の約二千億円の赤字を抱え苦境にある平電炉業を中心に単圧メーカーと伸鉄メーカーの実情について述べられ、今後の要望として、雇用調整給付金の給付条件の緩和、公共投資の利益が基礎資材生産者にも平等に配分されるよう配意されること、各地域開発に適応するプロジェクトを考慮してほしい、九州地区は離島が多いため電気料金が日本一高価であるので全国平等の価格に是正してほしい旨の要望がございました。 下請企業関係では、天野忠雄博多井住株式会社代表取締役及び河野正行日豊産業株式会社代表取締役社長のお二人から意見を聴取いたしました。 天野公述人の経営される会社は、倉庫業の下請でありまして、親会社の入出庫並びに荷さばき業務にかかる貨物の運送を業務とされております。同公述人は、御自分の体験から、四十七年以来の従業員の削減、最盛期には五千トンないし六千トンの鋼材類の動きが現在は半減していること、仕事の内容が労働力を主体とした下請企業であるので、機械化の方向で努力しているものの、それにはおのずと限界がある等、会社の実情について述べられ、さらに、要望として、資金の貸出枠の増大と金利負担の軽減、中小零細企業に対する税負担の軽減及び中小企業の福祉厚生施設整備に対する資金的助成策等が述べられました。 次に、河野公述人は、福岡の産業界で三、四月の経営危機が唱えられているが、この危機を打開するためには五十二年度予算の年度内成立、七千億円減税の早期実現が必要と指摘され、不況下の下請企業の苦しい実情、親会社の外注管理の変遷と特色、また、行政面での下請中小企業振興法の実施効果に触れ、振興事業計画を提出している親会社は九州で一件、福岡ではゼロで、この実績から見ても効果はなかったのではないか、さらに、五十二年度の予算措置を見ると、その内容は大部分が中小企業庁の事務経費的なもので効果的な下請企業対策費とは言えないのでないか、と指摘され、結論として次のような提言をされております。すなわち知識集約化への追求、下請中小企業振興法の完全実施、減産時の雇用安定を図るため、下請企業独自の雇用保険法のごとき特別立法措置等であります。 農業関係では、中村公力熊本果実農業協同組合連合会副会長及び百武照彦鹿児島県曽於郡畜産農業協同組合連合会常務理事のお二人から意見を聴取いたしました。 まず、中村公述人は、国内の果実農業保護の立場からオレンジの輸入枠の拡大、自由化については慎重を期すべきでないか、また、防腐剤OPP使用柑橘類の輸入は安全の面からも問題が残されており禁止すべきではないか。改植等促進緊急対策事業の国の補助率を引き上げるとともに、高接も同様に補助対象として採択方法を米作転換同様の扱いができるよう配慮すべきでないか等の意見が述べられ、生果の価格安定と原料価格に関し、次の二点について早急な実施の要望が述べられました。その一つは、生果価格補償制度の創設、二つは加工原料価格補償制度の充実強化を図ることとし、直接生産費として四十円の補てん制度の改革を講ぜられたい。とのことでありました。次に、国鉄運賃の値上げは、そのまま流通経費のアップにつながり、生産者は赤字経営を強いられることとなるので、値上げしないよう要請されるとともに、包括契約による定形貨物輸送については五〇%の割引措置を実施すること、農畜産物の遠距離輸送に対し、運賃低減措置を図ること、の提言をなされております。以上のほか、昨年十二月以降の異常寒波による冷害、凍害、雪害対策に関する要望について述べられました。 次に、百武公述人は、九州は北海道とともにわが国の畜産物の供給地であり、特に鹿児島県は北海道に次ぐ畜産県となっているが、最近の不況の長期化に伴う消費の停滞、輸入畜産物の外圧、畜産物価格の変動、畜産用地の確保難など経営不安定の要素が多く、畜産農家が置かれている環境は厳しい状態にあり、畜産農家は将来への不安感が強まっており、安心して経営を続けられる価格の安定を望む声が日増しに強まっていること、畜産物価格の安定は経営のかなめになるもので、畜産農家は再生産を確保できる価格を強く望まれていることを述べられ、価格対策と関連のある畜産物輸入の問題については、ある程度の輸入は消費者対策上やむを得ないが、国内生産に打撃を与えないよう慎重な配慮を願いたいと述べられたほか、肉用牛部門、酪農部門養豚の経営の問題と対策、飼料対策、鹿児島県、大分県及び熊本県における畜産基地の建設事業の実情と同事業に対する国の助成、家畜衛生対策、畜産経営環境整備対策等についての意見が述べられました。 労働関係では、岩崎隆次郎福岡県労働組合評議会事務局長及び石川毅全日本労働総同盟福岡地方同盟副書記長のお二人から意見を聴取いたしました。 岩崎公述人は、まず、現在の不況克服のためにこそ底辺労働者の佳酒安定を目指し、全国一律最低賃金制の実施に踏み切る時期に来ているのではないかと指摘され、雇用問題では、一昨年来首切りが出ているのは主として中小企業が中心であり、このため改正された雇用保険法の恩恵に浴せない労働者があるのではないか、特に雇用保険の延長については、一定の大企業や基準工業地帯での広域延長はある程度実施されているものの、個別延長については、倒産や首切りが組合のない企業に集中していることから見てもみずからの権利を知らず、そのまま泣き寝入りの状況となっている、したがって個別延長については行政の責任において適用の枠を広げる人的、財政的措置が必要ではないか。中高年身障者の雇用保障については、大企業の達成率はきわめて不満で、雇用率未達成の大企業をすべて公表し、適切な行政指導がなさるべきでないか。以上のほか、雇用不安防止のための倒産予防措置の必要性、医療保険改正反対の理由、いわゆる中小企業分野確保法、独禁法改正の推進、地方税の軽減について述べられました。 次に、石川公述人は、初めに労働者の生活実感としての経済認識を述べ、雇用安定に対する対策として、離職者の増加と産業構造の変革に対し、雇用の確保のための雇用安定資金の設立及び運用に労働者代表の参加を求めること、職業訓練の体制の拡充、企業拠出による資金をもって雇用安定事業を興すこと、また、高年者の雇用の安定を図るために六十歳定年制の法制化の必要性、さらに、健康保険制度の抜本的改善については、社会保険、国民健康保険等の一元化を図ること。以上のほか、不公正税制の改善等について述べられました。 最後に、建設関係では、辻長英福岡県建設業協会副会長から意見を聴取いたしました。同公述人は、九州建設業の実態は、公共工事依存度の高い土木専業者、中小建設業者及び住宅専業者は、政府の景気てこ入れを受けてある程度の刺激効果を受けつつあるようであるが、これに反し、元来民間工事を多く施工してきた地場上位と県外大手の業者は、いまだ工事量不足により不況から脱出できずにおり、全体の足を引っ張っている形となっていること。五十二年度予算案中の公共事業予算関連については、早期の予算執行、すなわち、早期発症を願いたい。発注時期については一時期に集中することのないよう配慮願いたい。一時期に集中することによって、資材、労務の不足を生じ、物価上昇の再燃を招来しかねない。また、交付金、起債等、地方財源の確保に十分な配慮を願いたい。これらのほか、公共工事費積算に関し、実情に即した弾力的な積算方を考慮願いたい旨述べられました。 なお、地方公聴会は本予算委員会としては本年初めてのことでしたが、来年以降もぜひ継続してほしい旨の強い要望があったことを申し添えまして、報告を終わります。
○委員長(小川半次君) ただいまの各班の報告に対し、質疑はございませんか。——別に御発言がないようですから、派遣委員の報告はこれをもって終了いたしました。 —————————————
○委員長(小川半次君) 次に、総括質疑に対する質疑順位についてお諮りいたします。 理事会におきまして、昭和五十二年度総予算三案に対する総括質疑の期間は七日間分とし、その割り当て時間につきましては、自由民主党及び日本社会党それぞれ三百八十五分、公明党及び日本共産党それぞれ百四十分、民社党七十分、第二院クラブ三十五分とすることに協議、決定いたしました。 また、質疑順位につきましては、第二順位以下をお手元に配付いたしました質疑通告表のとおりとすることもあわせて協議、決定いたしました。 以上、そのように取り運ぶことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小川半次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(小川半次君) 次に、内閣総理大臣福田赳夫君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。総理大臣福田赳夫君。
○国務大臣(福田赳夫君) 日米会談を終わりまして先ほど帰ってまいりました。皆さんの予算の審議に大変御迷惑をおかけして申しわけないことを改めておわび申し上げます。ただ、私はカーター大統領とは一昨年お目にかかっておるんです。それからさらに自来文通を続けておる。ことしの正月には電話会談もしておる。そういう間柄でありますので、お互いに率直に会談を進めることができたわけであります。二国間の問題、これはもとよりでございます。また、世界全体にわたる問題、これも大いに論じてまいりました。 そこで、第一に世界全体に関する問題でありますが、経済の問題、これに非常に重点が置かれたわけであります。御承知のように、世界は大変いま混乱の時代であります。ことに、石油資源を持たない開発途上国、この困窮は本当に想像に絶するものがある。これに協力すべき立場にある先進諸国、これもまたしかし安定をしておらぬ。しかし、世界全体を早く安定させなきゃならぬ。そのためには、先進諸国の中で力のある国々が相協力して暑気対策——もちろん物価の安定ということを損なってはなりませんけれども、景気対策をとらなきゃならぬと、こういう問題があったわけでありまするが、この力のある国々、特にその中でも日米は、この問題の解決、打開につきまして協力をするということで意見の一致を見たわけであります。 それから、そういうためには、自由貿易体制、これを堅持しなけりゃならぬ。この点につきましてももちろんこれは意見の一致を見たわけでありまして、そのためには、いわゆるガット体制、御承知のように東京ラウンド構想というのがあるわけでありますから、この東京ラウンド、これを強力に進める。そして、早くその結実を見るという努力を双方がするということで意見の一致を見ました。 また、長い目で見ますると、資源エネルギーの問題、これが世界の大問題になる。資源エネルギー制約時代にこれから世界は入っていく。そういう中で、日米がどういうふうに協力し合うか、協力し合っていかなきゃならぬ、そういう問題について話し合ったわけであります。 それから次には、核時代における平和を一体どうするか。核が一たび使われるというようなことになれば、これは地球のおしまいです。どうしても核を廃絶しなけりゃならぬ。兵器としての核は廃絶しなけりゃならぬ。これは日米双方の強い希望でございます。そういう情勢の中で、急にそれをやってのけるわけにいきません。しかし、手始めとして核実験の全面的停止、これを日米双方が強力に進めようじゃないかということで意見の一致を見たわけであります。 それから、核じゃありませんけれども、通常兵器につきましても、その移転につきまして何とか工夫はないだろうか、これを禁止する方向で両国相協力して工夫をしてみましょうやということで意見の一致を見たわけであります。 それから次には、政治問題でありますが、アジアの安定の問題でございます。いまベトナムがああいう状態になった。米軍がベトナムから撤退をした。そこで、アジア諸国の中には、カーター新政権が果たしてどういう態度をアジアに対してとるであろうかということにつきまして重大なる関心と不安岳持っておるんです。私にアジア諸国の首脳からそのことを伝えてきておるんです。そのことを率直にカーター大統領に伝え、アメリカのアジア政策を明確にすべきであるという要請をしたわけでありますが、大統領は、アジアにおけるアメリカの勢力の存在、これにつきましては、これを堅持してまいる。それからアジア諸国と約束をしたこと、これは完全に守ってまいるということをわが国に対して約束をいたしました。 また、インドシナ半島につきましては、これはわが国はもうすでにベトナムと和平を結んでおるわけであります。アメリカも接触を始めようとしておる。しかし、そういう動きはいいことである、こういうことで意見の一致を見たわけであります。 それから朝鮮半島の問題、これは終局的には平和的統一、これが好ましいと、そういうことでございますが、その間は南北のバランス、これが大事である。しかし、そのバランスの中で南北の対話が始まるということも、これも非常に大事である。南北の対話が始められるというために両国はひとつ協力をして努力をいたしましょうと、こういうことにいたしたわけであります。 また、米地上軍の撤退の問題、これは大統領は選挙公約であるからこれをしないわけにはいかないと。しかし、その撤退も、これは朝鮮半島の平和を損なうというようなことであってはならない現実的な動きを見て現実的な処理をしたい。また、韓国とはもちろん相談してやります。また、日本ともまた相談をいたしますということでありました。 それから最後に、二国間の問題でありますが、二国間の問題としては、大統領から、テレビの日本からの急激な輸出、あれは困ったものだというような話があったんです。私は去年のテレビの輸出の状況は私も実は心配しておるんだということを申し上げた。ああいうことがあってはならぬ。そこで、集中的な輸出、集中豪雨とも称すべき輸出につきましては、私は、そういうことが再び起こらないように注意しますという話を申し上げ、この問題の具体的な処理は両国政府間で交渉をいたしましょう、きせましょうということにいたしたわけであります。 それから、非常に時間をとりましたのは核燃料の再処理の問題であります。この問題につきましては、私はわが国の立場を強力に申し入れたわけです。しかし、カーター大統領におきましても、この問題につきましては非常に強い考え方を持っておる。どうも、プルトニウムが拡散されるということは、直ちにこれが兵器化される危険がある、これを廃絶したいというのが私の考え方だ、繰り返してこういう主張が申し述べられたわけです。私は、それに対しまして、わが国はプルトニウムを持ちながら、これを兵器化しようなんということは毛頭考えておらぬ。つまり、わが国はもう世界でただ一つの被爆国である。しかも、憲法にも似た非核三原則というものを緊持しておるんだと。しかも、わが国は資源エネルギーに非常に乏しい国でありまして、いまこれを石油に依存しておる。石油が制約されようという時代になろうとしておるときに、これに代替するエネルギーは何だと言いますれば、これはもう核エネルギーに依存するほかない国なんだと。わが国のそういう立場を理解されたいし、また、私は、核不拡散条約にわが国が署名する際に、政府は国会に対しまして、この条約には署名するけれども、平和的利用については妨げられることはないということを明言しておるんだ、そういういきさつもまた考えてもらわなきゃならぬ。そういうことで、わが国といたしましては、核燃料の再処理問題についての大統領の考え方、これには一〇〇%考え方としては同調できるけれども、さあ、再処理の問題、これをわが日本において停止すべしというようなそういう要求に対しましては、断じてこれに同意するわけにはいかぬということであったわけであります。もとより、私は、この問題につきましては、この二人の会談で結論が出るというふうな展望は持っておらなかったことは、皆さんにもすでに申し上げておったとおりでございまするけれども、いずれにいたしましても、米国における責任者、それからわが国における責任者、これをおのおの決めまして、相互で早急に相談をさせることにいたしましょうと、こういうことになったわけであります。アメリカといたしましては、四月二十日までに結論を出したい、そうして、四月二十日の時点においてアメリカのこの問題に対する最終的な所見を公表したいと、こういう話であったわけであります。 二国間の問題としては、私から、近く航空交渉が日米間で始まる。いま、わが国としては、不利な立場に置かれておる今日の協定、これをこの際改定をいたしたい、こういうふうに思いますので、これはひとつ善処してもらいたいという要請をいたしておるわけであります。 さらに、最後になりましたが、実は最初にこれはカーター大統領と二人だけの会談のときに申し上げたんです。一昨年の天皇、皇后両陛下の訪米の際は、アメリカ政府並びにアメリカ国民から心温まる歓迎を受けたことに対しまして、私から、天皇、皇后両陛下のおことづけとして、謝意を表しますと、こういうことがありました。 なお、私から、カーター大統領に対しまして、なるべく速やかなる機会に訪日せられたいと、こういう要請をいたしております。それに対しまして、カーター大統領は、まあことしはなかなかむずかしそうだと、しかし、なるべく早い機会にそれを実現をしたいと、その御招待に対しまして謝意を表するというようなことでございました。 まあ大体以上の内容でございますが、私は非常によかったと思いますのは、私が冒頭申し上げたように、カーター大統領と私はいろいろいままで接触の経過がある。今回また新しい政権同士の首脳として会談をした。これによりまして、私は、日米両国の協力態勢というものがかなり強化された、進められたと、こういうふうに思うのです。同時に、私とカーター大統領との間の親密な関係、これも一層深められた、そういうふうに思います。今後、問題があった際には気軽に手紙でありますとか電話なんかで話もできるというような状態になった。私は、両国のために、また世界のために、大変有意義な会談であったということを、御報告申し上げます。(拍手) —————————————
○委員長(小川半次君) 前回に引き続き、総括質疑を行います。前川旦君。
○前川旦君 先ほど羽田へお着きになって国会に直行されまして、大変お疲れさまでございます。 お疲れのところを個人といたしましては大変お気の毒だと思いますけれども、しかし、この訪米の結果につきまして多くの人は一日も早く聞きたいわけでございますので、質問を続けさせていただきたいと存じます。 まず、総理は、出発前に、お荷物は持って帰らないと、こうおっしゃいました。そのとおりお荷物を持たずにお帰りになりましたかどうか、いかがでしょう。
○国務大臣(福田赳夫君) もう荷物は一つも持って帰りませんでした。
○前川旦君 今度の訪米、この首脳会談で、いままでと違う一番大きな番葉として、日本がアジア・太平洋地域で政治的な役割りを果たすと、こういうことがカーター大統領から要請をされたと、これを了承したと、こういう新聞の報道がございます。その米側のスポークスマンによると、そういうことが述べられたと新聞の報道がございます。この政治的役割りというのは一体どういうことなのか、その中身はどういうことなのか、その点についていかがでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、アジアに対して、カーター大統領が、日本がもっと政治的な責任を持ったらどうだというような、そういう言葉は聞きません。世界に向かって日本はもっと積極的に発言したらどうだろうと、こういうことをしばしば言っておったことが強く記憶に残っておるわけでありますが、それはどういうことかというと、これは私が接するアメリカの人々の中に、日本の国は経済的には非常に大きな国になったけれども、どうも世界の政治に対しまして遠慮しがちじゃないか、そういうことをしばしば聞くんです。私は、そのいろんな人々の覆われることを代表されるような意味合いにおきまして大統領が私に世界の問題についてもっと強い発言をされたらどうですかと、こうおっしゃったのだろうと思います。 そういうことを考えまするときに、私もそんな感じがするんですね。いま、世の中は、これはもう軍事的色彩の世の中というよりは、むしろ経済の方が非常に大きな問題化しておる情勢になってきておる。そういう中におきまして、経済的な力のある日本がもっと従来よりも発言をするという立場をとってしかるべきであると、そういうふうに思うのですが、カーター大統領が言うまでもなく私はそういうふうに思います。 経済ばかりじゃない、私は非常に重要視しておりますのは、これは平和の問題です。わが国はとにかく世界でも特殊な立場だ、持たんとすれば強大な軍備を持ち得る、そういう立場にありながらそれを持とうとしない。これは世界歴史以来本当に初めての国の行き方というようなものをわが国はいっておるのではあるまいか、そういうふうに思うのです。歴史を見れば、これはもう経済大国は必ずというくらい軍事大国になったものです。わが日本はその道を選ばない。そして、ひとつ経済の力をもちまして世界の平和、世界の安全、繁栄に協力をしようと、こういう立場をとっておる。まあそういう立場から、核の兵器化、これを廃絶するという試み、これなんかにつきましては私はもっともっと大きな立場をとっていいのだろうと、こういうふうに思うのです。 カーター大統領も、そういう意味におきまして私にそういうことを言っておるのじゃあるまいか、そういうふうに思います。さればこそ、国連という舞台で日本がもっと活躍したらいいじゃないか。その強い活躍ができるためには、日本はいまや国連の常任理事国となる資格を十分持っているんだと、アメリカとしては今後これを推進したいと、こうまで言っておるのであります。私は、経済国家、また平和国家といたしまして、わが国の世界における姿勢、これをさらにさらに推し進めてまいりたいと、こういうふうに考えております。
○前川旦君 総理は、世界的な立場で政治的な力の行使と、こう言われましたけれども、しかし、新聞で報道されておりますのは、やはりアジアに対して政治的な役割りを果たすということを要請されたと、これはもう一致した日本に対する新聞の報道です。 それから、私どもも心配しておりますのは、政治的役割り、この政治という言葉の中には軍事も常識的に入りますから、何らかアジアに対して軍事的な役割りを果たすということがこの政治的な中に入っているんじゃないだろうか。この辺が非常に心配になりますのでお伺いしたわけでございます。
○国務大臣(福田赳夫君) 世界と言えば、もちろん当然これはアジアが含まれるということになるわけであります。ことに、わが国とすれば、これはアジアの一国でありますから、アジアに関心を特に持つということは当然のことだと思います。しかし、カーター大統領が、日本はもっと世界に対して発言をすべきじゃないかというのは、軍事力を強化せいなんというようなことは毛頭考えておらぬと、こういうふうに私は確信をします。もう私との会談ではっきりしておるのですが、日本の置かれておる立場、つまり、日本は新しい憲法を持っておる、それから非核三原則というものも持っておる、持たんとすれば持ち得る軍事力というものを持たない、そういう立場で世界に貢献する立場にあるということ、これはカーター大統領も非常によく理解をされておるわけでありまして、わが国に対しまして軍事的影響力をアジア諸国に対し及ぼすべしなんというような、そういう考え方はいささかもありませんから、この点は御安心願います。
○前川旦君 それでは、軍事的な内容は含まないというお話でございました。 それから、新聞の報道では、この政治的役割りを果たすというのは、結局は対韓援助をするということであろうかという評論もございます。その点についてはいかがでしょうか。対韓援助を強めるということです。
○国務大臣(福田赳夫君) 対韓というようなそういう狭い意味で言っておるのではないと私は思います、全世界に向かって。しかし、日本の置かれておる立場とすれば、アジアはこれはとにかく近隣の国々でありまするから、アジアの問題にアメリカとしても日本が重点を置くべきであるということの認識は私はあると思いますが、韓国に限ってそういう言葉の中で日本は援助いたしなさいなんて、そんなようなニュアンスは全然私は感じ取っておりません。 私は、最初強調いたしましたのは、ASEANの国々なんですよ。ベトナムから米国が手を引くとASEANの国々が大変な心配をしておる。あれは、いっときは、将棋倒し、ドミノ現象が起こるのじゃないかというような心配さえあったのですが、幸いにしてそういうことにはならなかったんです。ならなかったけれども、しかし、新しいカーター政権がアジアに対してどういう態度をとるだろうかということにつきましては、このアジア諸国は非常に心配しておりましてね。私が日米会談をやるというと、それを聞き知りまして、アジアの首脳から、アメリカの新しい政権がアジアから手を引くというようなことがあってはならない、この点を強く要請せよと、アメリカの新政権の立場というものをよく確かめてきてくれということを言ってきておるんです。それを私はそのままカーター大統領に、こういう重大な関心を持っておりますよ、こういう不安を持っておりますよということを伝えたわけでありますが、それに対して、カーター大統領は、アメリカはアジアから手を引くということはない、また約束したことは必ず守りますということをお伝え願いたいと、こういうふうに答えておるわけであります。 同時に、わが国といたしましては、やはり貧しいアジアの国々、この国々においてみずからの努力によってみずからの国を立て直す、そういうために他からも協力が要るんだという国があれば、喜んでこれに協力する姿勢をとっていくということもカーター大統領に申し上げておきましたが、事は韓国に限ったという問題ではないということは、これははっきり申し上げます。
○前川旦君 よくわかりませんので、くどいようでございますけれども、政治的役割りを果たすということは、軍事的な役割りを増大するということでもなければ、あるいは対韓援助を強化するということでもないと、こういうふうに理解してよろしいですか。
○国務大臣(福田赳夫君) そのとおり御理解願って結構でございます。
○前川旦君 共同声明を読ましていただきましたけれども、まず初めの方に、「政治体制、経済的発展段階を異にする諸国との対話と協調を維持し、発展させることが重要であること」という文章があります。政治体制を異にする諸国との対話と協調を維持するですが、この政治体制を異にする諸国の中には朝鮮民主主義人民共和国も入ると考えてよろしゅうございますか。
○国務大臣(福田赳夫君) そのとおり御理解願ってよろしいと思います。
○前川旦君 それでは、その朝鮮民主主義人民共和国との対話と協調を維持して発展させるというのは、具体的にこれからどういうふうになさるお考えでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) それは、政治体制を異にする国というのはたくさんあるわけでありまして、それを包括的にそういう考え方で対処しましょうと、こういうことなんです。いま、アメリカといたしますと、インドシナ半島の問題なんかが大きな問題になっておると、こういうふうに思いますが、国々によりまして対話と協調と申しましてもその態様はみんな違ってくると、こういうふうに思います。そういうことで、ある一つの特定の国に対しましてそういうことを言っているのではないと、こういう御理解を願います。
○前川旦君 たとえば、中国とかベトナムとか、日本がいろいろ国交を持っている国とこういう対話と協調は、これはわかるんです。国交のない国と「対話と協調を維持し、発展させる」ということがありますから、それじゃ何か新しいことをなさらないと筋が通りませんね。その点を何を考えていらっしゃるのか、それを聞きたいわけなんです。
○国務大臣(福田赳夫君) 政治体制を異にする国につきましても、二種類あるわけなんですよ。これは一つはもう国交をすでに開いている国があります。それから国交を持たない国がある。もう国交を持っている国につきましては、大方対話と協調というか、そういう体制が両国間で進んでおるわけでございます。しかし、国交を持たない国、そういう国々に対しましては、国交を持っておる国に比べまして比較にならないくらい接触の度合いというものが薄いわけでございます。その薄い国ではありまするけれども、なるべく緊張というようなことにならないように接触を進めていくという基本的な考え方で対処していったらどうだろうという考え方を示しておると、こういう御理解を願います。
○前川旦君 いままでの日米共同声明と違う新しい項目が入っておると思うのです。それは何かというと、日米「両者は、朝鮮半島における緊張を緩和するため、引続き努力することが望ましいことにつき意見の一致をみる」と、これはいままでにないことなんです。いままでの声明では、南北朝鮮が対話が望ましいというようなことであった。今度は主体的に日米両国が積極的にこういうことをやるという、引き続きこういうことを努力するということが新しく入りましたね。いままでと違う感じがするんですよ。しかも、いま総理が言われたようなことをやるには、国家間のやはり接触が、折衝が必要ですね。国と国とがやっぱり折衝しないと、こういうこともできない。その点についてどう割り切られたのか、その点を伺いたいんです。
○国務大臣(福田赳夫君) 国交のない国につきましては、これは国交がないんですから、表面立って政府間の接触というもの、これはなかなか私はむずかしいのじゃないかと、こういうふうに思いまするけれども、気持ちといたしまして前向きの姿勢で対処しようと、そういう一般的な考え方がそこに示されておると、こういうふうに思うのです。わが日本が朝鮮半島に対する立場、これはどうかといえば、韓国との条約を結んでおる、国交が歴然として存在する国であります。北朝鮮につきましてはそれがない国である。しかし、人の交流でありますとか、あるいは経済の接触だとか、そういうことで逐次、これは急というわけにはいかぬ、逐次これは積み上げを行っているということ、そして南北に緊張があると、こういうふうに言われております。この緊張の関係が続く間、その平和を支えているところの南北の均衡を崩してはならない、こういうふうに思いますが、しかし、そういう間におきましても、南北が緊張状態にある。あるからもう本当にこれは対決姿勢で終始するんだという状態は私は好ましくないと思うのです。何か機縁をつくって南北の間に対話ができるという状態が好ましい。すでにこれが始まろうとしたいきさつは前川さんも御承知のとおりであります、そういうことがあることは。ああいうことが進められているということは私は非常にいいことだと、こういうふうに思うのです。そういう緊張が存在するその中におきましても、何かこう対話というような状態があり得るのじゃないか、それを模索すべきじゃないか、私も現にそういう努力をしたいと、こういうふうに思っておりますが、そのような気持ちを共同声明では表明しておる、こういうふうに御理解願います。
○前川旦君 総理は、アメリカでの記者会見での御発言の中で、こういう南北の対話、それを進めるという言葉は適当かどうかしらないけれども、協力して努力するのに、アメリカよりもむしろ日本の方がふさわしいのではないかと、こういうことを言っておられる。ということは、単に精神的に望ましいということではなくて、もう一つ私はこの条項から見て、率直に言いますと、総理が考えておられた朝鮮半島に対する認識とカーター大統領の考えられた認識と食い違ったのではないだろうか。総理は依然として冷戦構造の考えでいった。ところが、アメリカの方は朝鮮半島に対する認識が変わっていた。その辺がたとえば撤退あるいは削減という言葉の食い違いとか、いろんな面で出ているのではないだろうか、こう思うのですが、その点いかがでしょう。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、大統領に、あなたの国では朝鮮とは何か接触があるんですかと、いろいろ情報が、ニュースが流れてくるんですよという話をしたら、私の方は朝鮮とは何らの接触はしておりませんと、こういうことを言っておりましたが、これは私は非常に印象的に聞いたわけでありますが、ですから、前川さんのおっしゃっておることとちょっと逆なようなんですよ。アメリカは何の接触もしておりませんと、こう言う。私の方は、近い朝鮮半島のことでありまするから、南北の対話というような問題につきましては、これを進め、何というか、両方に対してそういう状態のできる環境づくりにアメリカよりは貢献し得るような立場にあるような感じがするんです。私は心からそういうふうに考えております。
○前川旦君 それでは、どういうふうに総理は現実に行動で貢献していかれようとお考えなんでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) そのことは私はここでお聞き願われない方がいいんじゃないかと思います。私には私のいろいろな考えがありまして、まだ前川さんにこの場でお答えするということが適当であるというふうに考えない段階であるというふうに御理解願います。
○前川旦君 何か考えているけれども、いまここでは言いにくいというふうに受け取りましたが、そういうことなんでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) こういう問題はなかなかデリケートですよ。国交のある国、国交のない国、この両方にかかわりのある問題でありますね。それでありますが、しかしこの二つの国の間に緊張がある。しかし、緊張の中でも対話というものがあるべきだというのが私の考え方なんですよ、その方がいいと。終局的には南北が平和的に統一されるということ、これを期すべきだと、こういうふうに考えまして、私は私なりにいろんなことも考えておると。しかし、いまここで前川さんにお答えするわけにはいかぬと、こう申し上げておるわけであります。
○前川旦君 従来の日米首脳会談の共同声明と非常に違いますのは、いわゆる韓国条項と言われているものが今度は抜けました。私はいろいろ批判があると思います。たとえば、従来と余り変わりないじゃないかという批判もあります。しかし、私自身は従来よりか変わってほしいという思いなんですよ。そういう思いで質問いたしますけれども、韓国の安全が重要云々から韓国の安全という言葉が抜けて朝鮮半島という言葉に置きかえられた。ですから、ずいぶん表現が変わったわけです。そのことを総理は記者会見で質問を受けると、従来とそう変わってないんですと、こうお答えになっている。総理は大変言葉を大切に使われる方だと私は思っているんですよ、前から。そう変わってないんですというのは、その前段に——私は言葉じりとらえるんじゃないですよ。かなり変わっているんです、しかし、そうは変わってないんですと。何か前段があるんです。でなければ変わってないんですときっぱりおっしゃるはずなんです。その辺のニュアンスはどういうことなのか、その辺はっきりお聞かせいただきたいと思うのです。
○国務大臣(福田赳夫君) 朝鮮半島に対する認識は、従来といいますか、三木・フォード会談、あの当時と変わっておりません。私は、朝鮮半島に対する認識は変わっておりませんけれども、しかし、朝鮮南北がこれが平和的に統一されることを念願をしているんです。ですから、この認識において緊張が存在しておるということにつきましてはこれは変わるところはないんですが、その続いておる緊張の中でも南北の対話、これがひとつ進めらるべきところじゃないかなと、こういうことでありまして、現状に対する朝鮮半島の認識、これは変わるところはありませんけれども、私は、朝鮮半島の平和がさらに具体化する、そういうための南北の対話、これを進めるべきではないかと、こういう考え方なんですよ。アメリカも全く同感であると、こういうことでございます。
○前川旦君 また話がもとへ戻るんです。その対話の再開のために日本とアメリカが何らかの役割りを果たすということが新しく入ったわけですね。ですから、私は、それは望ましいことだと思っているんです、はっきり言いまして。ですから、もう少し前向きの答えをしてもらいたいわけですよ、総理がそのために何をしようとしておられるのか。その点またもとへ戻りましたけれども、そこなんです。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、朝鮮半島で南北の間に緊張があると、こういう認識ですね、これは現にそういうふうに言われておるわけでありますから、この認識については変わりはないんです。しかしながら、そういう緊張がある中でも南北の間で対話というものがあってしかるべきじゃないかと、それがまた終局的な南北の統一にもつながっていくところの機縁になっていくんじゃあるまいか、そういうふうに考えておりまして、それじゃどういう対話を日米両国は勧告するんだ、そこまではまだ具体的に考えておらないんです。私は、まあいろいろ考え方がありますよ、私の頭の中には。ありまするけれども、それはまだ私は申し上げることは妥当ではないと、こういうふうに申し上げているわけであります。
○前川旦君 国民の立場としまして、日本の周辺できな臭い戦争のにおいがするということは非常に困るんです。ですから、日本の周辺でとにかく緊張緩和があってほしいと、すべて平和であってほしいと、これはもう悲願です。そのために私は日本が何らかの役割りを果たすべきだと、こう思うのです。それについてお聞きしたわけなんです。そういうことをしてもらいたいという悲願を込めてですね。しかし、お答えにきょうはなれないようですから、この問題はあしたまで保留させていただきます。 そこで、もう一点伺いますが、同じこの共同声明の中に新しい言葉がもう一つ入っている。それは、「大統領は、米国がその安全保障上の約束を遵守し、西太平洋において、均衡がとれ、かつ、柔軟な軍事的存在を維持する意向である旨付言した。」この西太平洋という西、つまり、平たく言うと、米軍は軍事力を西太平洋へ置くと、こういうことだろうと思うのですが、この西太平洋はどういう地域ですか。たとえば、朝鮮半島は入っていますか、日本は入っていますか、どういうことでしょう。
○国務大臣(鳩山威一郎君) お答え申し上げます。 共同声明の第五項でございますが、ここに「西太平洋」という表現が先方の大統領からあったわけでございますが、それは五項に言われております「アジア・太平洋地域」とわが方では言っておるのでございますが、太平洋というのは非常に広いものでございますから、先方はそれを西太平洋というふうに表現をしたというように御理解願えればよろしいと思います。われわれといたしましては、太平洋のうちのアジアの部分であるというように同義語というふうに解釈をしておる次第でございます。
○前川旦君 大事な外交文章に、外務大臣、同じ中に、その前は「アジア・太平洋地域」と書き、すぐ二行後に「西太平洋」と書き、はっきり違うわけなんですよ。同じ意味だなんて、そんなことはだめですよ。もう少しはっきり答えてください。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 太平洋地域といいますと、実のところは非常に広いわけでございます。私どもはアジア・太平洋ということで表現をしたわけでございますけれども、この用語は、これはわが方ではなくて先方がそのような表現を使われたものですから、私どもとしてそれをあえて直す申し入れをしなかったということでございまして、私どもとしては、従来から、アジア・太平洋地域、太平洋といいましてもアジアに接しておる太平洋地域ということで理解をいたしたわけでございます。これにつきまして明確な定義があるという問題はございませんで、どこの地域がこれに入るか入らないかということは、そこまで詰めたわけではございませんけれども、西の太平洋ではないというような感じで読んでおるわけでございまして、その辺はそのようなことで御理解をいただきたい。——東の太平洋、東西に分けまして東ではなく、西の部分というのはアジアに接した部分というふうに私ども読んでおるところでございます。
○前川旦君 総理、いまのお話をお聞きになったと思いますけれども、国内の問題であれば、あるいは失敗しても取り返しがつくかもしれません。しかし、外交とか軍事とか安全保障の問題は、失敗すると取り返しがつないことがあります。ですから、それだけやっぱり真剣に考えなければいけないと思いますね。非常にクールに、しかも真剣に考えなければいけないと思いますが、同じ文章で、しかも日本字に直して五行の間に「アジア・太平洋」ということと「西太平洋」と二つ地域が分かれているんですよ。特に、大統領は、西太平洋において米軍を置くということを付言した。わざわざ付言したということは、これは大分意味が違う。つまり、ここで言う西太平洋とは、果たして朝鮮半島を含むんだろうか、日本を含むんだろうか、こういうことを率直に伺っているんです。これは総理が実際お話しになったんですから、総理の御見解はいかがなんでしょう。
○政府委員(山崎敏夫君) コミュニケの用語の問題でございますので、ちょっと私から補足さしていただきたいと思います。 この文章、「大統領は、米国がその安全保障上の約束を遵守し、西太平洋において、均衡がとれ、かつ、柔軟な軍事的存在を維持する意向である旨付言した。」この部分はアメリカの発言でございまして、ことに、この言っておる主体が軍事的存在ということに重点が置かれておるわけでございます。したがいまして、米軍がこの地域において軍事的存在という観点から地域をとらえておるわけでございます。 そこで、アメリカ側が従来西太平洋という用語を使っておりますのは、もちろんはっきりした定義はございませんけれども、われわれのそういう軍事的観点からの定義といたしましては、ハワイから西側の太平洋というふうな意味においてとらえております。したがいまして、その意味におきましては、朝鮮半島とか日本も当然入ってくると解釈いたしております。 大臣が先ほど仰せられました第一の方は、アメリカのアジア・太平洋地域における強い関心という問題に重点を置いて御説明をされたわけでございますが、こちらの方はそういう軍事的な観点から言っておりますので、アメリカ側が従来自分の方で使っている用語をそのまま使ったものというふうに了解いたしております。
○前川旦君 私は、この西太平洋ということの中には朝鮮半島は入らないだろうと思うのです、常識で考えて。朝鮮半島を入れるのであれば、アジア・太平洋地域と、こうなりましょう。ですから、ことさら違う表現にしているということは、もう一遍ずばりと言うと、アメリカ側の地上軍だけではなくて、いろんなもの、軍事的なものを含めて朝鮮半島から撤兵をするということの話が出たのじゃないんでしょうか、地上軍だけじゃなくて。これを素直に読むとそう見えるんです。いかがなんでしょう。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 西太平洋という範囲がどこからどこまでを指すかというようなことは詰められておらないわけでございますけれども、私どもとしては朝鮮半島も含んで考えておる、日本側としてはそのように考えておるわけでございます。しかし、軍事的な意味でどのように使われたのかということは私どもは、正確ではありませんけれども、私どもとしてアジアにおける太平洋地域ということで朝鮮半島まで含まれる観念であろうというふうに考えております。
○前川旦君 外務大臣、それではアメリカも同じように考えていますか。アメリカはどう考えていますか。どうつかんでいらっしゃいますか。
○政府委員(山崎敏夫君) 先ほど申し上げましたように、これはアメリカの発言でございますし、いわば軍事的な観点からとらえた地域でありまして、アメリカはこの西太平洋というものに当然朝鮮半島を含めて考えておるものと考えます。
○前川旦君 共同声明ですから、両方が意見を十分交換し合って一致した声明を出しているはずなんですよ。その解釈は多分そうだと思います、考えていると思います、われわれはそう解釈しますと、大変あいまいなんですね。私はあなたを非難するつもりで言っているのじゃないですよ。総理をけしからぬと言っているのじゃないんですよ。私は、緊張緩和というそこで果たす役割りは何なのか、それこそ真剣にやっぱり与党も野党も探していかなきゃいけないと思うのです。前向きの姿勢で言っているのですから、率直にその辺を話していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(鳩山威一郎君) この共同声明の案文は事務当局で詰めた案文でございます。私もその点は確かめましたところ、これは朝鮮半島も含まれるというふうに報告を受けて、私はそういうふうに理解をしておるわけでございます。折衝をいたしましたのはアメリカ局長でございますけれども、私はそのように理解をして、含まれると、このように申し上げておるわけでございます。
○政府委員(山崎敏夫君) もう少し詳しく申し上げますと、これは先ほどから申し上げておりますように、向こうの西太平洋というものの正確な定義がどういうふうになっておるかという点でございますけれども、この点につきましては、アメリカの国防省は毎年海外駐留兵力の状況を発表いたしております。それによりますと、いわゆる西太平洋という項目を設けておりまして、その中で日本、フィリピン、韓国、台湾及び洋上——海の上でございますが、洋上に区分して、当該地域にあります駐留兵力を列記しております。これから推測いたしまして、ハワイから以西の米軍駐留地域を中心に考えておるということが言えるのではないかと申し上げておるわけでございます。
○委員長(小川半次君) 前川旦君に申し上げます。ただいまの御質疑中の問題は一時保留していただいて、次の議題に移っていただきたいと思います。どうぞ。
○前川旦君 保留して、統一見解か何かあした出すんでしょうか。
○委員長(小川半次君) いや、統一見解を政府の方でされるかどうかは政府の問題で、委員長はそういう権限はございませんから、次の問題に移ってください、どうぞ。 委員長からもう一度前川旦君に申し上げます。ただいま御質疑中の問題は、明日あなたは再度質問されまして、政府の統一見解をただしてください。そして、本日は別の議題について御質疑を続行してください。
○前川旦君 総理から、平和的統一が望ましいと。それまでは緊張があるだろう、しかし、平和的統一が望ましいと。アメリカから帰ってこられて最初に平和的統一が望ましいと、アメリカから帰ってこられてですね。私は印象深く伺いました。というのは、アメリカはずっと二つの朝鮮論じゃなかったんでしょうか。二つの朝鮮論だったと思う。それを、総理がアメリカから帰ってこられて、平和的統一というのは、一つの朝鮮論にアメリカも総理の方も考え方が変わられたんでしょうか。その辺、いかがなんでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、アメリカといえども、朝鮮半島が平和的に統一されるということについてこれは何ら異存はないと思うのです。ただ、それはなかなか現実の問題とするとそう簡単な問題じゃない。それで、いまの現状はどうかというと、南北の緊張下において均衡がとれているという形で平和が保たれておるんだと。しかし、その緊張、その中でも南北で対話があった方がいいじゃないかと、私もそう思うのです。アメリカにおいてもそう思いますと、こういうことなんで、そのことを先ほどから申し上げておる、こういうふうに御理解願います。
○前川旦君 それでは、次にまいりますが、出発前に、総理は、日本の原子力発電所の核燃料の問題、これを確保する問題、これが最大の課題だと、こう記者会見等でおっしゃっておられました。これは一体どういう結果になったんでしょうか。何かはっきりしていませんね。これはどういうふうになったんでしょう。
○国務大臣(福田赳夫君) この経緯につきましては、先ほども申し上げたのですが、この席でありますか、あるいは衆議院でありますか、この問題の決着は、日米会談ではこれは恐らく両方の主張を言い合うというところで、決着は後日に持ち越されるであろう、こういうふうにずっと申し上げてきておるわけでありまして、そういうことになったわけです。 そこで、これは大事な問題ですから重ねて申し上げますが、カーター大統領の考え方は、これはこの地球上から核が兵器として用いられるということを廃絶したいと、こういうことです。このカーター大統領の考え方につきましては、私はカーター大統領以上に熱意を持っているんです。核が使われるということになりますれば、これはもう人類のおしまいである、こういうふうな認識です。 ただ、違う点がありますのは、カーター大統領は、プルトニウムが各地で使われるようになる、このプルトニウムをこのまま放置しておきまするとこれは容易に兵器化する傾向があるんだ。そのプルトニウム、これを製造する、この有力なる手段として核燃料の再処理、これを全世界からなくしたいんだ、こういう考え方を持っているんです。ところが、わが国として見まするときには、このプルトニウムを使いましてこれをエネルギー化する、これはわが国のエネルギー政策から言いまして非常に大事な問題なんです。前から準備をいたしまして、せっかくもうこの六月か七月ぐらいには実験稼働ができると、こういうことになってきているんです。しかも、この問題につきましては、核不拡散条約、この条約の批准を求めるという際に、国会に対しまして、政府として、核の平和的利用、これを妨げることはいたしません、こういうことを申し上げてきておるわけであります。 それからもう一つは、もうわが国とすると準備がずっと進んできまして、そして、六月、七月に実験ができるんだと、そこまで来ておるわが国の立場、カーター大統領のそういう高邁な考え方、これは理解するにいたしましても、わが国の立場とするとこれは賛同できない、こういうことなんです。 そこで、これは予定のとおりでありまするけれども、アメリカが四月二十日にこの問題についての結論を公表したい、こう言っておる。それまでの間に、両国政府間において責任者を出し合って、そうしてこの問題をどういうふうに処理するかという相談をさせましょう、こういうことになったんです。それが結論でございます。しかし、この問題は、私の見るところでは、アメリカはわが日本ばかりじゃないんです。ドイツともしなけりゃならぬだろう、あるいは英国ともしなけりゃならぬだろう、フランスともしなけりゃならぬだろう、あるいはソビエトロシアともしなけりゃならぬだろう、そういうむずかしい問題であります。また、それらの国の中でもう核燃料を再処理するという施設を現に持っている国もあるんです。その持っている国をどうやって説得するかという、これは非常にむずかしい問題じゃないかと思うのですが、とにかく、アメリカはそういう多角的な交渉を始めようというのですから、日本とも始める、そして、シュレジンジャー前国防長官を交渉の責任者にするから日本の方でもだれか責任者を決めてくれと、こう言っているんです。ですから、わが国といたしましては、だれか適当な責任者を決めましてその交渉に当たらせたい、こういうふうに考えております。
○前川旦君 交渉をされるわけですけれども、四月二十日までに方針をアメリカが出すと。そうすると、その大分前に最終的な方針が決まると思うのですね。そうすると、日にちがありませんね。非常に切迫しています。ですから、果たして総理が考えられたような方向へ行くんだろうかどうか。時間切れというか、私は総理が考えられたような方向に行かないのではないだろうか。つまり、アメリカはこの再処理工場、せっかく高い金を出してつくった再処理工場を、みずからそれはもう閉鎖というか、やめようという決意までしていますね。そうしますと、日本の期待にもかかわらず、この問題は実は見通しがないのではないだろうか、こう思うのですが、その点いかがでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) アメリカは、この問題については非常な決意を持っている。いま前川さんがおっしゃられたように、みずからの施設もこれを取りやめるんだというくらいな決意なんです。しかし、この問題はひとりわが国との間だけの問題じゃないんです。西ドイツもあります。また、英国もあります、フランスもあります。特に、私は、むずかしい問題はソビエトロシアじゃないかと、こういうふうに思いますが、そういう国々との多角的な交渉でありますから、この交渉が一体どういうふうに展開していくんだろうか、こういうことにつきましては、私はそう簡単な問題じゃないと思うのです。しかし、アメリカの希望といたしましては、四月二十日、これまでに事を決めたいんだ、こういうふうに言っておるんです。それで、その責任者まで名前を指名しておるんです。わが日本の方でも責任者をひとつ決めてもらいたい、こういうわけでありますので、早急に責任者を決めまして、とにかく、できる限りの接触をしてみたいと、こういうふうに考えております。
○前川旦君 できる限りの接触をしてみたいとおっしゃいましたけれども、いまの総理の発言から受ける印象としては、これは非常に見通しは困難であるというふうに判断されているように私はお見受けしましたけれども、いかがでしょうか、その点は。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、これは今度の会談で会談が二回あったんです。その二回の会談の前に、カーター大統領と親しく二人だけで会いました。そして個別会談というのをやっておりますが、その個別会談の大部分の時間は私は実はこの問題に割いたんです。で、かなり私は大統領に日本の立場というものについては印象を与えておると、こういうふうに思います。その基盤の上に立って責任者同士の交渉だと、こういうことになるわけでありますから、これは決して簡単な問題じゃないと思います。ないと思いまするけれども、わが国としては全力を尽くす、これあるのみであると、こういうふうに考えております。
○前川旦君 総理の見通しを伺いましたら、非常に困難であるが、ただもう交渉あるのみだと。やっぱり私の受ける印象は、総理はこれはむずかしいという印象を受けて帰られたのじゃないだろうかと、こういうふうに受け取るのですけれども、そういう感じがしますけれども、どうなんでしょうか、実際問題として。
○国務大臣(福田赳夫君) この見通しはどうかと言われますと、これはただひとり日米間だけの問題じゃないんです。私は念を押しているんです、一体ソビエトロシアとどういう交渉をするんですと。ソビエトロシアとの話し合いの問題もあります、また、西ドイツとも、あるいはフランスとも、あるいは英国とも、いろいろ困難な交渉の問題があるわけですから、それらを総合してどういう結論になるかと、こういうことになりますと、私はここでどういう結論が出てくるのだろうかということについてはまだ展望を持ち得ませんけれども、わが国といたしましては、これは非常に重大な問題であるという立場においてわが国の主張を何とかして貫きたいと、こういうふうに考えている次第でございます。
○前川旦君 私は、原子力発電の問題は、まだまだ安全性に問題がありますし、国民感情にもそぐいません。ですから、そう急がなくてもいいというふうに私は思うんです。ですけれども、これはまあ次の機会に譲るとしまして、この共同声明の中には出てきませんけれども、たとえばテレビの話がいきなりしょっぱなから出たという新聞の報道がありました。日本製のカラーテレビの数量制限をするとか、あるいは私が出発前に心配してお尋ねしました農産物の輸入の問題などとか、共同声明にありませんけれども、そういうことは何かお話があったんでしょうか、どうなんでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 大統領が、日米の貿易バランス問題、これはごく軽く、大変アンバランスがありますねと、こういうふうなことを一言言いまして、非常にその中で特徴的な問題はテレビの問題なんですという話なんですよ。そこで、私は——大統領の方は日米の全体のアンバランスの問題には一言だけです、本当に。本当に一言だけなんですが、私はこれは多く触れたわけです。つまり、確かに五十一年という年、一九七六年という年は日米貿易が非常に異常というくらいな大きなアンバランスになった。しかし、一年間で事を論ずべき問題じゃありませんよ、これは二、三年前はあなたの方の黒字であったじゃありませんかと、それが特殊な事情、つまり、アメリカで、テレビだとか、自動車だとか、そういうもののストックが不足しておったんです。それがにわかに世界景気がよくなった。そこで、アメリカの景気もそれを受けてよくなる、そこでストックの補充を必要とすると、こういう状態になった。そこで、集中豪雨的なカラーテレビの輸出というような現象になったので、集中豪雨的なああいう現象になったことはこれはもう私もよくないことだと思って、わが業界に対しましても自粛をするように話しており、そういうふうにだんだんなりつつある。こういう問題であるが、とにかく、事は、これは一年、十二カ月というところだけに限って論ずべき問題ではありませんと。それから同時に、貿易収支の問題のほかに、貿易外収支という問題があるんです。貿易外収支においては、わが国はアメリカに対して二十億ドル以上の赤字になっているのです。それも総合して考えてもらいたいのだという話をしておきましたが、それに対して反論はない。ただ、テレビにつきまして、どうもわが国の経済に対しまして特に雇用問題について重要な影響を及ぼしておるので、いろいろな民間からの声があるんですと、こういう話なんです。 そこで、この問題はひとつ政府間で話し合いをさせましょうと、これは事務的、行政的性格の問題ですから、そういたしましょうと、こういうふうに申し上げたのですが、私は、この問題は、これは政府間の交渉で双方が満足し得るような形で妥結をするという心証を得てきております。
○前川旦君 総理、まだたくさん伺いたいのですけれども、大変な会談をされて、そうして十数時間飛行機に乗られてさっきお着きになったばっかり。お元気のように見えますけれども、やはりお休みになってください。そして、あしたの朝もう一遍再開をするということで、委員長よろしく。いまそういうふうに与野党の理事さんが相談をして決められましたので、そういうふうに取り計らってください。
○委員長(小川半次君) いま質疑者の前川君から御発言がありましたように、福田総理は大変疲れておりまするし、明日にひとつ譲ってください。 前川君の残余の質疑は、明日引き続き行うことといたします。 明日は午前十時に委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十六分散会