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80回国会参議院1977/02/22

予算委員会 第3号

発言数
388
登壇者
37
会派数
6
開催日
1977/02/22

会議録

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  まず、参考人の出席要求についてお諮りいたします。  補正予算三業審査のため、本日、交通遺児母の会会員中山富美子君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) 次に、昭和五十一年度一般会計補正予算(第1号)  昭和五十一年度特別会計補正予算(特第1号)  昭和五十一年度政府関係機関補正予算(機第1号)  以上三案を一括して議題といたします。  それでは、これより質疑に入ります。塩出啓典君。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 それでは、きょうは公明党を代表いたしまして、補正予算案、またそれをめぐる内外の諸問題について質問をいたしたいと思います。  私は、きょうは最初に経済、財政の問題、それから次に外交問題、それからエネルギー問題、さらに時間があれば政治姿勢の問題、こういう順序で質問したいと思います。  まず最初に総理にお伺いいたしますが、日本経済はいま大きな危機を迎えている乙とは御承知のとおりであります。福田さんは三年前に、経済総理と言われ、全治三年論を唱えて三年を経過したわけでありますが、御存じのように、中小企業の倒産は年々記録を更新をしてきておる。昨年は一万五千件以上、一千万以上の負債の企業が。さらに有効求人倍率も下がったまま失業者は一向に減らない。物価も下がらない。その上国家財政も二年続きで三割を借金に依存しなければならない。こういう現状を迎えておるわけであります。これにはもちろん油ショック等の海外の要因があることも十分われわれは認めるわけでありますが、さらにこの危機を深刻にしたのは、一つには昨年一年間における政府・自民党の国民不在の派閥争い、そのために政策不在になったのではないか。さらに遠く遠因を求むるならば、かつての高度成長政策、そういうものの反動として今日の危機をより深刻にしておる。こういうように私は思うわけでありますが、それについての総理の所信を承っておきたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私は、石油ショックというものは、いま世界じゅうを混乱さしておるわけでありますが、あの石油ショック後の日本経済はまあまあ悪くない状態で推移しておると、こういうふうに見ております。国際収支はすでに均衡状態に達した。物価も数字としては高いが安定基調にある。経済活動はとにかく五十二年度六・七%を展望できる、こういうような状態になってきておるわけであります。まあしかし、いまこの時点とすると景気がどうも停滞している。これを放置することはできない。てこ入れを必要とする事態である、こういうふうに見ておるわけであります。その間、政局、そういうような問題で不手際もあったことは私どもも責任を痛感しております。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 私は、いま日本経済の再建を困難にしている一つの要因は、高度経済成長時代の体質が残っておる。すなわち過大な設備投資というものがかなり稼働率の低下を招き、それが製品のコストアップにつながっておる。そういうことは認めますか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) それはそのとおりに私も考えております。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 福田さんは佐藤内閣の蔵相もずっと、長く務められて、あの当時から安定成長ということを唱えておったわけでありますが、しかし、確かに昭和四十年一月の佐藤内閣における中期経済計画、それにおいては八・一%という目標を定めたけれども、実際は一〇%以上。さらには四十二年の経済社会発展計画も、八・二%を目標にしたけれども十数%以上と。やはりその当時からもうちょっと安定成長というものの方向に行っておれば、油ショックからの回復というものがより容易ではなかったんではないか。日本経済は結局、油ショックからの立ち直りと、それから高度成長から低成長への転換という二つのやはり困難を背負わなければならない。そういう点で私は、やはり福田さんの安定成長というものが予想どおりいかなかった、口先だけだったから今日の不況をより深刻にしたと、こういう結論に対してはどうなんですか。これは私の結論です。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私もそのとおりに考えております。私はずいぶん前から、これは経済の姿勢を転換しなければならぬというふうに考えておって、そのことを安定成長というような言葉で力説しておったのですが、やっぱり成長の速度を落とすということになりますから、これはどうも財界初め国民がこれを喜ばない。私はいっときは不景気の神様みたいな評価を受けるような状態だったのですから。しかし私は、石油ショック、あれで国民がこれはいかぬぞということを認識し始めた、私はこういうふうに思っておりまして、この認識は徹底させなければならぬ、大事な問題である、そういうふうに考えております。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 あなたは率直に認めましたけれども、なかなかできなかった。私は、政治家はやはり結果に責任を持たなくちゃいけないと思うのです。  それからもう一つは、現在かなり法人がたくさんの不用土地を抱えて、それを銀行から借り入れて、その金利の支払いにかなり苦労しておる、こういうものがいろいろな倒産の大きな因と言われておるわけでありますが、こういう事実が現在の日本経済を不況にしているということを率直に認めるかどうか、またどの程度これが企業の足どめになっておるか、そのあたり、総理はどのように認識を持っておりますか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私は基面にそのことを認めます。まあどの程度というか、これは数字ということはなかなかむずかしいことでございますが、これはいまの不況の重要な一因であると、こういうふうに考えております。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 したがって、私はやはり、いわゆる昭和四十九年までの急激な地価の上昇。これは土地が投機の対象になったと。そうして過剰流動性と相まって、金融機関がやはりどんどんそれを後押しをしたと。その結果、持てる者と持たない人の不公平を拡大をした。いろいろな不公平があるけれども、私はこの問題にかかわる不公平ぐらい大きなものはないと思うわけであります。そして、一方では庶民からマイホームの夢を奪ったと。そして、現在においてはそれが逆に、これは自業自得といえばそうかもしれませんけれども、やはり国を預かる政治としては、やはりあのときにもう少し地価対策あるいは土地対策、そういうものをもっとやっておけば、今日の不況は、油ショックによる不況はもう少し軽く受けることができたんじゃないかと。そういう点でこれはやはり私は自民党政治の欠陥である、失敗であったと、このことは認めますか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 地価問題は、四十七年、八年、これの時期に非常に深刻でありましてね、私は当時、行管長官をいっときいたしましたが、そのとき、この地価問題、これは国の最大の問題だと、こういうふうに考えたんです。そして、監理委員会の皆さんとも相談して、これは土地利用計画法をつくる必要があると、こういうふうに考えておったんですが、その答申ができるという、そのちょうどそのころになって石油ショックという事態が起きてきたわけなんです。ちょっと、どろぼうを見てなわをなう感じがなかったとはいたしませんが、どうもちょっとあのショック、オイルショックというか、この七、八年の地価暴騰、これの後追いをするような形になりました。しかし、それにいたしましても、あの法制ができて、そして地価が暴騰するというような地域は指定地域といたしまして地価統制をするという立法ができたわけでありまして、地価は四十九年に至りますと、これはもう下落――全般的には下落の傾向を示す。自来、下落したままで横ばいである、大体横ばいであると、こういうことになってきておるわけであります。まあ、いろいろとこの政策のタイミングが立ちおくれたという点はありまするが、今日は、地価についてはさほど心配はしておらぬと、こういう状態でございます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 総理も率直にある程度その非を認められましたので、次に進みたいと思いますが、まず、五十二年度の経済の見通し、実質国民総生産六・七%と、このように政府は予想しておるわけでありますが、私も私なりにその達成はきわめて困難ではないかと、このように考えております。  そこで、企画庁、長官にお尋ねをいたしますが、五十一年度の経済は、四-六が一・三%、七-九が〇・三%と聞いておるわけでありますが、大体十-十二月、さらには今年一-三月の伸びはどの程度になると予想しておりますか。

倉成正自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(倉成正君) お答えいたしたいと思います。  いまのはQEについてのお尋ねだと思いますけれども、十-十二、一-三の見通しはまだいたしておりません。しかし、非常に緩やかなものであろうという感じがするわけでございまして、五・七%程度に線を、引いてまいりますと、大変緩やかな線になるんじゃないかと、そう心得ております。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 大体十-十二月は〇・六から〇・七%ぐらいの伸びではないかと。これはどうなんですか。

倉成正自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(倉成正君) まだ正確にそういう数字については承知いたしておりません。近くQEが出ることでございますから、それで御判断いただきたいと思います。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 大体長官ははっきり仰せられませんでしたが、これは数字で出ることでございますが、大体この四月からずっと四-六、七-九、十――十二、これを合計をいたしまして大体二%台。さらにことしの一-三月が昨年の十-十二月と同程度の伸びといたしますと、今年度の実質の伸びは二%台、三%前後と申しますか、こういう計算になるわけであります。この経済の実態が現在の企業倒産の増加とか、あるいは稼働率の水準の低下、あるいは失業者の為水準の持続と、こういうやはり国内的問題を生じさしていると判断していいのかどうか。これは総理、どうですか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりでいいと思うのです。つまり、ことしの実質、ことしの年度間をとってみますと、その間の伸びは非常に低いのですが、しかし、去年と比べますと高原状態になっているわけですね。その高原の中で伸びが低くなっていると、こういう状態でありまして、日本経済全体といたしますと、一年前に比べますと大変改善されておると。しかし、去年の一-三月に急成長で十三%、その後伸びが鈍化したものですから、そこで非常な不況感を感ずるような状態になってまいって設備投資意欲等が起こってこないと、こういうような状態になってきておる。ですから、水準全体としてはよくなっておるのですけれども、この五十一年度という年をとってみると非常に緩やかな坂になっておると、こういうようなことで、今日の経済に対する不況感というものがみなぎってきておるという状態と、そういうふうに判断しております。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 これは経企庁長官にお尋ねいたしますが、ことしの実質の一年の経済成長というのは三%前後、こういう低成長でありますが、ただ先ほど総理もお話がありましたように、一-三月の急成長、それがげたとして三・三%ことしにずれ込んでおると。そういう点を考えると五十二年度の場合はそういうげたのずれ込みは余りない竹あろう、マイナスになるかもしれない。それで去りながら六・七%の成長達成を非常にあなたは自信を持って答弁をされているようですが、これ肝五十一年と今年とはどういうやはり要因の違いがあって可能と考えておるんですか。

倉成正自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(倉成正君) お答えいたしたいと思います。  五十一年の一月から三月までの急成長の原因は輸出であったことは御承知のとおりでございます。これが一番大きな原因であったと思います。したがいまして、五十一年度のげた、ただいまお話しの三%強のげたというのはこの一-三月の五十年の暮れから五十一年にかけての輸出の急成長というのが一つの大きな要因になっておるわけでございます。したがいまして、高水準ではありましたけれども、年度中の上昇というのが非常にただらかなものであったということは御指摘のと泊りでございます。したがいまして、五十二年度においてげたがゼロということはあり得ないわけです。これはその水準より上になることは間違いかいわけですが、五十一年度よりも少ないであろうということは予想されるわけでございます。  したがいまして、各需要項目で考えてまいりますと、輸出については五十一年度のような一九%というような伸びは期待できない。大体経済見通しでは十二%程度の伸びに鈍化してくると、これは世界の景気を見ながら日本の輸出弾性値を考えまして、そういうふうな推測をいたしておるわけでございます。  したがいまして、そのほかの需要項目別に見てまいりますと、個人消費、これはまあ物価の安定と所得の伸びということで、なだらかではあるけれども、ある程度の経済見通しで考えている程度の伸びは見ることができるのではないかということで、経済見通しでは御承知のとおり十三・七%、五十一年度の十三・六に対して十三・七を見ておるわけでございます。  それから民間の設備投資でございますが、非常にいま設備投資が冷え切っているという現況から考え、また各不況業種等の実態を見ますと、どうもこれから設備投資をやるんじゃない、とてもやれないと、そういう業種があることは事実でございます。したがって、その見地から見ると、とても設備投資は伸びないのではないかという見方が出てくるのは当然のことだと思うのでありますけれども、設備投資を考えますと、製造業――鉄鋼を初め、そういう製造業の方は少し低いと思いますけれども、非製造業の方はかなり伸びてくるのではなかろうか。電力を初め、流通関係が伸びてくると思うわけでございます。  それから在庫投資は、一-三月に若干在庫調整が行われるということになりますと、これとの比較でありますから、昭和五十二年度は三兆六千億ぐらいの伸びも、在庫の積み増しということも考えられてくるということを考えられますと、しかしこれではまだ足らない、もう一息アクセルを踏む必要があるということで、昭和五十二年度予算において公共事業を中心として予算を編成していただいた。政府支出の中で、資本支出が御案内のとおり八兆二千五百億、昨年に比べますと一五・九上昇、五十一年度は、ちなみに九・六でございますから、かなり財政に大きな負担をかけて、赤字公債であるけれども、とにかく財政で若干のアクセルを踏んでこの景気に加速をつけていこうと、そういうことでやっておるわけでございまして、われわれとしては、何とかこの財政のアクセルで一日も早く安定成長の軌道に乗ることを期待をいたしておるわけでございまして、財政に非常に大きな期待をかけておるということを申し上げたいわけでございまして、これが円滑にまいりますれば六・七%の成長は可能であると、そういう判断をいたしておるのでございます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 総理、まあ今のお話では非常に悲観的な、その中でただ政府の予算支出に期待をすると、こういう答弁でございますが、まあ、たとえば政府の公共投資にいたしましても、五十一年度の二一・二%の伸びに対して今年度の予算は二一・四と、〇・二増加でございます。昨年四月以降の景気の上昇を見ても、公共投資が果たしてどれだけ効果があったのか。効果はあったのでしょうけれども、不況感をなくするにどれほど効果があったかということは非常に疑問であります。そういう点を考えて、まあ将来のことを幾ら論議をしても始まりませんけれども、国民にやはり余り過度の期待を与えることもよくないし、また余り悲観的な材料を与えるのもよくないかもしれませんが、率直に総理として六・七%の達成については確信があるのかどうか、そのあたりの感触を承りたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 昨年も実は財政に非常に期待をしたのです。ところが財政特例法の成立がおくれる、それから物材を非常に需要する電電公社、国鉄、この料金改定がおくれて相当の歳入に欠陥を生ずると、こういうようなことになりまして、そこでこの結果におきましては財政に期待するというわけにはいかなかったんです。財政はマイナスにはなりませんけれども、プラスにもならぬという程度で推移したわけです。ことしはまた再び財政にこれを期待する、こういうことですが、ことしのこの財政に対する期待の仕方、これは大きいんです。これは実質六・七%成長だという、その中で政府の資本投資には九・九%の期待をしておるわけなんです。これは私は、かなりの力を持っておる、こういうふうに思いますし、それから、多少経済ですから変動要因がありましても、輸出を今度はうんと低く見ておるわけです。実質について大体五%ぐらいしか伸びないだろうと、こういうふうな見方が基礎になっておるわけでありまして、総合いたしまして、六・七というのはこれはまず達成できる目標じゃないか。しかも国際社会では、わが国が六・七%成長、これを達成できるかできないか、非常に期待を持っておるわけです。これは経済のことですからいろいろ変化もありましょうが、変化に応じまして、また六・七%成長を目指して機動的な財政金融運営をしていかなければならぬだろうと、こういうふうに考えております。これは国の問題としてもそうでありますが、国際社会におけるわが国の立場といたしましてもぜひ達成しなければならぬし、また達成できる見通しであると、そういうふうに考えております。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 総理は、昨年五十一年度予算で、公共投資を初めとする政府支出が余り効果を出さなかったと、この原因は、国鉄、電電、財特法のおくれであると、こういう説には非常に異論のあるところでありますが、この論議はまた別の機会に譲りたいと思います。  それでは、大体いま企業倒産はどんどんふえている、失業者も減らない、稼働率もはかばかしくない。五十二年度においては、これは総理、あるいは経済企画庁長官でもいいと思うのですが、どの程度まで改善すると考えているのか、どうなんですか。

倉成正自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(倉成正君) お答えをしたいと思います。  景気の一つの指標として、稼働率というのが一つの指標になるんではなかろうかと思いますが、現在のところ稼働率は、十一月で八七・一%でございます。これが大体五十二年の三月には九四程度になるであろうと予想しておるわけでございまして、その間設備投資も伸びていくわけでございますけれども、九四程度の稼働率ということになれば、まあまあある程度工場等も動いていくということで、感じが出てくるのではなかろうかと思うわけでございます。もちろん業種によって非常に格差があるわけでございまして、構造的にいろいろ減速経済下に入り、また世界の産業の中で日本の産業を位置づけてまいりましたときに、的な変化を要請される産業もあるわけでございまして、そういうものにどう対応していくかという問題が残されておると思うのでございます。  それからもう一つ、これから先の景気の回復のパターンというのは、非常にやはり何と申しますか、従来のように急成長というか、そういうものは望めない、非常になだらかなものになっていく性格のものではないかと。したがって、企業収益等についても、夢よもう一度というような企業家の考え方というのは改めていただかなければならないし、また雇用の面でも、なかなかいま過剰雇用を抱えておるし、いろんな点で急速な改善というのがなかなか望めない。したがって、中高年齢層の問題であるとかあるいはその他の問題について、きめ細かい対策をやっていかなければならないと、そういうふうに考えておる次第でございます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 長官、いま五十二年三月、九四ですか。

倉成正自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(倉成正君) 失礼しました。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 五十三年ですね。

倉成正自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(倉成正君) 大変恐縮しました。五十二年度の末、五十三年の三月でございますので、訂正いたしたいと思います。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 昨日の予算委員会の答弁で、いわゆる減税か公共投資かと、こういう論議があったわけでありますが、そのときに経済企画庁長官は、この波及効果ですね、それには減税と公共投資では、大体一方は一・八、一方は〇・八と、一ぐらいの差があると、これは一体どういう根拠に基づいて言っているのですか。

倉成正自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(倉成正君) モデルの種類によっていろいろ違うわけでございますけれども、私どもが持っておりますSP一七、短期パイロットモデルによりますと、用地費を除いた公共投資につきまして一・八程度の乗数効果が出てくる、そういうことを根拠にいたしております。しかし、いろいろ他の方面の持っておりますモデル等ではもう少し低く出るものもある、まちまちであると、しかし、全体として考えてまいりますと一・五から一・九の間に入るので、さようにお答えした次第でございます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 通産省発表の産業連関表によりますと、家計消費の場合は大体一・八、それから政府関係の設備投資の場合は大体二前後であると、こういう資料があります、これはもう通産省が発表しているんですから。減税はもちろん貯金に回る可能性はございますが、一方公共事業も、事業によっては五割も土地代に食われる、こういう事業もあるわけであります。そうすると、そういう土地代はかなり貯金に回る。それはむしろ減税よりも大口の土地代金が貯金に回る率は多いと思うんですね。しかも、公共事業というものは地域的、業種的に偏る欠陥がある。そういう点から考えて、この両者についての比較というものは一概に言えないのがこれが定説であると、このように私は判断をしておるわけでありますが、どうも昨日の答弁は、減税をこれ以上やらないという政府の主張にしては根拠が非常に弱いと思うんですが、その点どうですか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 公共事業は、大体これは二割ぐらい土地買収です。ですから、土地買収賢につきましてはこれは景気刺激効果として考えない方がいいと思うんです。一兆円と言えば八千億円か、需要喚起効果を発揮すると、こういうふうに見るべきだろうと思うんですが、大体定説はその倍ぐらいです。倍の波及効果を持つと。それから、一方一兆円の減税をする。そうすると二五%ぐらいはこれは貯蓄に回る、あるいはそれ以上回る。限界貯蓄ですから、所得の上積みになりますから平均よりは高いんじゃないかと思いますが、それにしても、とにかく少な目に見ましても二五%は貯蓄に回る。七千五百億円、大体その程度の購買力になるであろうと、こういうことで、大体私は公共投資にした方が倍の需要喚起作用を持つ、これは大体その方が定説であると、こういうふうに見ています。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 これは同じ政府の通産省の発表のデータ、これはもう年々発表しているわけですからね。それから見て、それは多少の数字的な差はあるかもしれませんが、しかし減税のあり方も、これは貯金に二五%ぐらい回るというのは一般的な話であって、いま問題になっておる、たとえば税額控除方式であれば、いわゆる収入の低い方によりウエートが置かれるわけですから、そういう点を考えれば、もちろん減税の目的は不況対策だけではないわけでありますが、不況対策から見てもそれほどの差はないと。むしろ心理的な問題を考えれば一兆円減税の方が効果のある場合もあると、こういうことを私は主張しておきたいと思います。  それから総理は、減税をやらない理由で、財源の問題ですね、財源があればやったにこしたことはないと。確かにいま財源がないことは事実でありますが、ここでちょっとお尋ねたいんですが、たとえば、いわゆる会社臨時特別税ですね、これはかつてやったわけで、いまは中止になりましたが、こういう糖類のものをなぜやらないのか。これはどうなんですか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 会社臨時特別税は、あの地価の暴騰、それから、それに引きずられての商品の暴騰等に基づきまして、一方においては非常な困窮な立場に立つ産業が出る反面におきまして非常に高額な収益を見るような産業がある、そういうようなことで、あの石油ショックの事態を収拾するための緊急臨時の措置としてとったわけなんです。いま私どもはあの当時のような緊急事態だというふうには考えない。しかも、世の中は一般的に不況感満ち満ちておる、こういうような状態である。そういう際に法人税を増徴するということは、どうも現在置かれておる日本経済の立場からいかがなものであろうかと、こういうふうに考えております。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 私は、もちろんあの臨時特別税ができたときはそれなりの社会背景があったわけで、そういう状態とは変わっていると思うんですけれどもね。しかし、やはり国家財政が二年も続けて三割も借金をしなければならない、そして国民には減税もしないで、勤労者はもう実質賃金の低下を強いられておる、こういう緊急な事態、この事態に即した新しいそういうものを臨時的に考える必要があるんじゃないかと。  これは大蔵大臣にお尋ねしますが、いま企業間のばらつきがあるわけでしょう、かなり。業種間のばらつきがあって、いい業種はいい、けれども造船とか繊維とか、きのうもお話がありました、そのように非常に悪いところがあるわけなんですから、こういう緊急事態なんですから、そういういいところにやはり税金を負担をさして、これは私は福田さんの言う連帯と協調じゃないかと思うんですがね。そういう点でこれは大蔵大臣はどうなんですか。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(坊秀男君) お答えいたします。  いま非常にばらつきがあるから、それでそういったいいところから特別の税を取ったらどうかと、こういうお話でございますけれども、なるほどばらつきはございますけれどもね。いまのこの事態において、特別の税を課するということでございますが、これは前の特別税をつくったときとはいまは全くがらっと変わっております。そういったようなときに特別の税をつくるということは、一般の心理の状態にもそういい影響も生まれませんし、こういったできるだけ私どもは景気を上げていこうと言っておるときに、特別に会社に対して税をかけていくというようなことは、これは必ずしも私は策の得たるものではないと、かように考えまして、臨時特別税というものは、これはいまはそういった性質のものはかけるべきものではないと、かように考えております。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 それは税金は安いにこしたことないわけですけれども、そういう事態では私はないと思うんですよ。で、大蔵大臣は、いま企業の心理によくないということは、これからどんどん企業が設備投資していくのに税金をかけるとその意欲が冷えると、こういう意味ですか。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(坊秀男君) 一般に、企業に対してそれはもうこういうときでなければ大いに税をかけていいんですよ。かけていいんですけれども、こういう事態を是正していこう、こういう事態を回復していこうという折に、わざわざ臨時特別税をもう一遍かけるというのは、あれはもう総理が御答弁申し上げましたとおり、狂乱物価の後、非常にいろんなものが高騰をいたしまして、そうしてだれが見ましてもあの会社の利得というものは異常な事態になったというようなものに対処するために税をかけたということを考えてみますと、今日のこの事態にこれは必ずしも適当ではないと、かように考えます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 総理、これはすべての不況で苦しんでいる企業にまでかけるというんではなしに、この法律の内容を見ても、資本金の二割または五億円以上の高い利益のあった企業にだけかけるわけですから、こういうときこそ――いまは異常事態でないと言うけれども、私はしかし異常事態であるという認識を持っているのですけれどもね、大変だと、日本の財政は。そして、税金の公平という点からやっぱりよりもうけたところから取ってもらうと。大体われわれの所得税は全部累進になっておりますが、法人税は累進でないわけですから、この期間だけそういう構想を入れるということは私は妥当じゃないかと思うんですがね。まう一回検討の余地はないですか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私は、経済の状態は曲がりなりにもまあまあいいところを歩んでおると、大局的に見まして。しかし、そのしわ寄せが財政にいっちゃったのです。これから先の日本の財政というものを一体どうするかということになりますと、これはもう本当に頭が痛いの程度じゃ済まない大問題になってきておるわけです。さあ公債の発行額を減らす、そういうようなことを考えなけりゃなりませんけれども、さあこの公債が社会不安につながっていかないような額まで誠心す、そういうことは並々ならざる状態だと考えるんです。赤字公債をなくするといっても、よほどの努力をして、よほどの国民への負担、こういうことを考えても、これは五十五年度までぐらいはどうしてもこれをなくするというようなわけにはいかぬような状態にあるんです。いずれ私は二、三年の間におきましては、法人、個人、これはやっぱり何らかの形における負担という問題が起こってくると思うんです。そういう際の検討対象として、法人につきましても私はいろいろ問題があると思います。でありますが、この時点、いまとにかく不況、不況と、不況にてこ入れをしなけりゃならぬと、こういう際に、何がしか利益が他の産業に比べるとよけいにあるというところをつかまえてそれに重課するという、これはいまのこの経済情勢から見ていかがであろうかと、こういうふうに思うんです。これは私は、だからこれから財政を再建しなきゃならぬと。その際には負担増加問題が起こってきます。その際には、とにかく法人問題につきましてもこれはもう本当に真剣に検討しなけりゃならぬと思いますけれども、今日この時点とするとなかなかむずかしい問題だという見解でございます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 いまの答弁には納得はいたしませんが、私はやはり、景気を回復せにゃいかぬときにこういう特別な税はない方がいいと、これも一理はあるんですけれども、いまのやっぱり不況というのは、つくっても物が売れないからやはり経営者も設備投資の意欲がないわけですから、そういう点からはむしろ購買力をふやすとか、その方が景気対策としては先ではないかと、このことを申し上げておきます。  それで、この問題は後日に譲って次に進みますが、政府は、財政再建問題で中期財政計画を昨年発表いたしまして、これをもうことしはつくりかえなくちゃならない。昭和五十五年までに赤字国債をなくするという計画のようでありますが、どういう根拠でこれは五年間としたのか、これをちょっと伺っておきたいと思うんです。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これは御承知のように、経済につきまして前期五カ年計画が策定されておるわけですが、これが国政運用の奉納になるわけでありますから、それに対応いたしまして財政の方も五カ年の展望をつくると、こういうことになっておるわけであります。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 政府はこの五カ年計画でかなりの増税を考えておるようでありますが、ところがどういう増税を考えているのか全く明らかでありません。やはり税の改正というものはかなり国民的なコンセンサスを得なければならない、そのためには長い時間の論議が必要だと思うんであります。そういうことで、政府がいまだにこの中期財政計画を出してもその増税の中身を明らかにしないことはよくないと思うんですが、この点に対して政府の見解を伺います。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(坊秀男君) 財政収支試算は、これは五十五年における日本の財政の姿というものを一応試算してみたものでございまして、これは中期財政計画とおっしゃいますけれども、これは計画ではございません。その五十五年の姿をながめてみまして、これからどういうふうにこれがなっていくかと。五十五年の財政の姿におきましては健全財政を、だから特例公債などというものはゼロにしていく、こういうことは御案内のとおりでございますが、そこへ行くのに、単純に計算をしてみまして、そうして各年度にどういうことになっていくかということでございまして、決して予算の計画だとか、あるいは財政の、税制の計画といったようなものをつくったものではございません。そういうようなわけで、もちろんこの五十五年に健全財政を完成するということになりますれば、それは相当の歳入面において強化をしていかなければならぬということでございますから、何年度にはどういう税をつくらなければならぬとか、何年度にはどうだとかということが必要でございますが、それとは全く別でございまして、どうしても税の収入を強化するということについては、これは税制調査会等でも研究をしてもらって、今日から一体どういう税をどれだけ何年に引き上げるというようなことについては、今日、財政収支試算の中では考えておりません。別個のものを、これは慎重に検討しておる段階でございます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 確かに中期財政試算になっておりますが、私は計画と思っておったわけであります。これは単なる試算であって、計画はこれからつくるということになると、なおよくないわけでありますが、もう油ショック以来三年以上も経過をして、国家財政も先ほど申しましたように続けて三割も赤字を抱えておる。これはもう、先ほど総理はアメリカとか西ドイツ、日本、この三つを言われましたけれども、アメリカにしても西ドイツにしても、もう国債の発行高はだんだん減ってきておる。今年度予算ではたしか一〇%台である。そういうことでありながら、日本の中期財政計画がないということはどういうことなんですか。いまからつくるなんてちょっとのんびりし過ぎてやしませんか。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(坊秀男君) これからどういう税を何年につくっていくということにつきましては、そうなかなか簡単に私は計画はできない。そこで、税制調査会などの真剣なる、慎重なる調査研究にまちまして、そしてつくっていくと、こういうことでございまして、いまから五十五年度までの間に町税を何年度にどうするということは、ちょっと計画を立てておりません。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 総理、やっぱりこういう計画はかなり長期的な計画でないと、ことし税金を決めてすぐ来年からというわけにはいかぬ面もあると思うんですよ。そういう点で、そういう税制の改正も含む中期財政計画というものをつくるべきであると思うんですが、大体いつごろまでにつくりますか、これは。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) いま政府は計画というようなものをつくる考えはありません。財政はそのときどきの社会的、国家的要請に応じまして、これは非常に弾力的な対応をしなけりゃならぬ、こういうことでありますので、計画というものはできない。しかし大体展望というものは持ってなけりゃならぬと、こういうふうに思うわけでありまして、昨年のいまごろ展望をつくったわけです。ところが、初年度において相当大きな狂いが出ちゃった。そしていま見直し作業をしておるわけでありますが、この見直し作業が終わり次第、今日この時点に立っての展望、これは国会において明らかにしたい、こういうふうに考えております。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 しかし、いま言われた展望は、昨年と同じように単なる試算であって、やはり税金の制度をどう改革していくかと、そういうようなものではないわけですか。私はそれを含めるべきじゃないかと思うんですがね、方向だけでも。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これは、税金をどうするかですね。これはなかなか、こういう構想だというのを御披露申し上げたらこれは大変な御論議になっちゃって、それだけでももう大変な時間を要するというようなことにもなる問題だろうと思います。また、政府自体においてもそういう論議には相当時間がかかりまして、なかなか先々の税制のあり方、そういうものを確定するということは、これはもうとてもとてもできかねるようなととかと思うんです。  ただ、展望から申し上げますと、この五カ年計画ぐらいの間に国民負担、これはもう三%ぐらいどうしてもふえなきゃならぬ。塩出さんの方でも、もっとふえなきゃならぬというようなことをトータルプランでお書きになっておられるわけですが、どうしても社会資本の充実、それから社会保障の充実、そういうことを考えますと国民負担がふえるんですよ。ふえまするけれども、そのふえる国民負担というのは自然増収でふえる部分もあるわけなんですから、その自然増収分を差し引いた税制改正による増収、これはどのくらいの期待をしなきゃならぬかというようなことすら、いまこういうようなむずかしい経済情勢の中でこれを読み取ることはなかなか困難でございます。したがって、さらにそれを砕いて何税をどうすると、こういうようなことになりますと、これはなかなか至難のことでありまして、そこまで私どもはただいま考えておりません。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 あなたは、わが党の福祉トータルプランの数字のところだけを見て、内容については何も見ていないようでありますが、ある程度のそういう負担の増加は必要である、その負担の増加を通して税金の不公平を是正していくということが、これがわが党の主張なんですから、そのために現在の不公平な税制をどう改革していくかということがより大事な問題でございますので、それについて、やはりそれはむずかしい問題だけれども、一国を預かる総理やあるいは大蔵大臣がその問題を真剣に考えてもらわなかったならば日本はどうなるか、非常に心配でございます。  そこで具体的にお尋ねしますが、いわゆる利子・配当所得の源泉分離課税の問題ですね、ことしは三〇から三五%になったわけでありますが、これはどうでございますか、たとえば昭和五十五年を一つのめどにしておるわけですけれども、それまでにこれは全廃していくと。この改正のときにちびりちびりやってきておるわけですね。もう三五%ということになりますと、このために恩恵を受ける人は、本当にごく、ものすごいレベルの高い人になってくるのじゃないかと思うんですけれども、そういう点どうですか。五十五年度までにこれを全廃していく、そういうスケジュールを持ってやる考えはないか。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(坊秀男君) 利子・配当に対する課税をどうするかということは、大変日本の税制に課せられた非常に大きな問題だと思います。もちろんこれは検討をしてまいらなきゃならぬと思いまするが、早急にこれをやりますと、利子所得者、配当所得者というものが、はっきり把握されていないというようなときにこれをやりますと、非常にまた公平にしようと思って不公平になってくるというようなこともありますし、それからまたこれを早急に全廃いたしますと、その所得者というものは、自分の所得なり、金銭的財産というものを、一体自分はどういうふうにこれを保存しこれを利殖していくかということについてもちっと戸惑うというようなこともありますので、この問題は私は慎重に考えまして、いつまでもほったらかしておくというようなことではございません、何らかの措置をしなければならぬと思いますけれども、そう急にこれをやるということについては相当考えなければならない。無論五十五年までには何とか考えて、そうしていい姿のものにしていかなければならない。全廃をするかしないかということにつきましては、これはやっぱりいま申し上げましたような点もこれあり、慎重な態度をとっていかなければならない、かように考えております。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 だから大蔵大臣、私はすぐやめろと言うのじゃないのですよ。いつもそういうことを論議のたびに言うから、だからある程度、三年なら三年の期間を置いて、いまからその方向にスタートをしなさいと。だからそれは準備のために、五十五年がもっと先になるかもしれませんけれども、そういう方向で進むかどうかということを聞いているわけです。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(坊秀男君) もちろんこの問題を、これを何とかして片づけていこうというふうには考えております。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 それから、不公平税制の第一に、いわゆる社会保険診療報酬課税の問題があるわけでありますが、総理もたしか衆議院の予算委員会で、最も不公平なものはたしかこの税制であると、こういうように挙げられておったように思うわけでありますが、これは減収額がどの程度であるのか、また毎年の税制調査会もこれを答申をしておるわけでありますが、その不当性を改善していくように言っているわけですが、全くこれは進まない。これは国民の大きな批判の的になっているわけでありますが、それについての考えはどうなのか。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(坊秀男君) 診療報酬課税の問題も、不公平税制の常に問題としてこれはいろいろ批判を受けておる税であることはよく承知いたしております。私もこれは不公正なものだと思っております。これを公正化していくというためには、診療報酬というものは医療全般の問題に非常に関連の多い問題でございまして、私どもできるだけ早くと、こういうふうに考えておりましたけれども、抜本的にひとつ考えようじゃないかというようなことになりまして、去年の九月ですか、去年の九月、たしか厚生大臣のところに、医療専門家会議と申しますか、これは仮称かどうだかはっきりと私は記憶いたしておりませんが、そういったような懇談会というものをつくりまして、その懇談会におきまして、医療全般についての真相と申しますか、真実と申しますか、詳しく吟味をしていって、そうして正しい姿を見出そうとして努力が行われておるということでございますが、財政当局といたしましては、現在のところその進捗をにらみながらどう持っていこうかと、こういうふうに考えておるのでございますが、できるだけ速やかにその専門家会議の審議を進捗さしてもらいたいということは厚生省にもお願いを申しておも、たしか武見さんが座長をして、この減税の問題と医療問題がもう絡み合って、ますますいつできることかと予想も立たないわけですけれどもね。しかし、やはり国家財政がこういう危機に瀕して、私はそういう既得権というものはもう認められないのじゃないかと。やはりきのうもここで質問がありました医学部の寄付金ですね、こういうのはべらぼうな金額になっている。こういうことから医者に対する国民の批判も強いわけで、むしろまじめな人は私は迷惑をしているのじゃないかと思うのですね。そういう点で、福田総理としてはこの問題を、少なくともやはり五十五年の赤字国債をなくするということを一つのめどに何らかの処置をして、やっぱりその診療報酬の問題があればそれも解決をして、まあ一概にはいかないでしょう。そういう点も含めて、国民が納得のできる制度に改革する決意はないか、その点どうですか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 御指摘の問題は、診療の報酬の単価と深いかかわりを持っているわけなんです。あの特例措置の発足するいきさつ、これは昭和二十九年ごろでしたか、そのころの問題ですが、医療報酬単価がどうも適正にいってないしいうようなことで、税の方で特例措置というようなことから発足いたしまして今日に至っておるんです。ですから、これを最終的に処理するという形は、特例措置はやめます、そのかわり財政支出において医療単価の引き上げだと、こういう両立ての形、これがイコールになるかどうか、これは別といたしまして、そのような形になるほかはない、こういうふうに思いますが、その辺をどういうふうにしますか、これ非常に機微な問題になってきておるんです。いま大蔵大臣から申し上げましたように、懇談会を厚生省内に設けまして、耳の辺をどういうふうに処置するかも含めまして検討しよう、こういうふうに思っておりますが、私どももこの医療の問題、これは税と絡めまして大変重大な問題であるというふうに考えておりますので、この懇談会の検討を急ぎまして、そしてまあ何とかこの問題の解決を早くしたいと、こういうふうに考えます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 それではあとは省略しまして、次は外交問題について二、三お尋ねしたいと思います。  その前に、小川駐中国大使が帰国されまして、一昨日、首相に報告をされたそうでありますが、その報告はどういう内容であったのか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 報告の内容は、これはまあ中国の政治、経済等についての大使としての見方、それが中心であります。かたがた、日中平和友好条約について、先方においてはどういう考え方をしておるか、そういうようなことについて報告が行われたわけであります。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 きのう記者会見をされて、その発表によりますと、中国も華国峰体制で固まりつつあり、もう日中平和友好条約を締結する上において阻害要因は何もない、あとは政府の決断だけであると、こういうように総理に話をしたと聞いておるわけです。そのことは事実でございますか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) まあ、大体そのとおりでございます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 もちろん、そこまで条件が熟しておると、それであれば、もう日中国交復交して以来ことしの九月でちょうど五年になるわけですから、やっぱりこれは五年以上もたつようでは非常に国際的な信義の上からもよくないと思うんでありますが、少なくとも五年までぐらいをめどに私は平和友好条約を締結すべきである。その気持ちはあるかどうか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 小川大使の話を聞きましても、中国側はこの条約の締結に熱意を持っておる、当方においても熱意を持っておるわけでありますから、まあ熱意と熱意で気分的には一致をしておるわけですから、これをどういうふうに具体化するかと、こういう問題であります。まあ両方とも満足し得るような形を早く実現さして、そして締結へ持っていきたい、こういうふうに考えております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 関連。  いま総理が言われたことに関連してですけれども、これからの具体的な中国との平和友好条約締結のためのプログラムといいますか、日程といいますか、そういったものをお示しいただきたいのですが、要するに、いま小川大使が帰ってこられた、これから大使を通じていろいろやられていくのか、これは外務大臣があるいは訪中されるのか、総理が訪中されるのか、そういうふうなことも含めまして、これからどういうふうな折衝を具体的な形でやっていって、大体どれぐらいの目標で締結までいくのか、その点を構想といいますか、それをお示しいただければと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これからの日中平和友好条約交渉は、これはまだどういう段取りにするかまで決めておりません。これは小川大使の報告をおとといの晩聞いたというだけでありまして、その報告を基礎にこれから段取りを考えると、こういうことでありますが、いずれにいたしましても、最終的には外交チャンネルを通じて話を進める。その後どういうふうな締めくくりにしますか、これはその推移によって考えたい、こういう見解でございます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 ここで私は総理に、いま外交チャンネルとおっしゃいましたが、もちろん外交チャンネルでしょうけれども、やはりこれからの外交というものはかなり幅広い外交でなくちゃいかぬ。外交を何か外交官だけでやるというような、そういう時代じゃないと思うのですね。そういうことで、先般わが委員長が訪中したときもいろいろトラブルがあったわけですけれども、私はそういうようなのは、外交は外務省がやるのだという古い考え方に基づいているんじゃないか。今後は、もちろん外務省が中心になるけれども、野党の人が各国へ行くときにはそういう人にも通してわが国の気持ちを伝えていくと、幅広い国民外交を推進をしていくべきである、この点はどうですか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私はそのとおりに心得ており、この問題をめぐりまして皆さん方が大変御協力をくださったということにつきましては、高くこれを評価し敬意を表しております。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 それともう一つ、どうしても一つのことをやればこっちが反対をすると、この条約の問題にいたしましても、ソ連としてはいろいろな見方もあるでしょう。しかし、すべてに満足のいくようなものはないわけですから、その中にやはり勇気を持って、筋の通った道を私は歩むべきじゃないかと思う。必ずそれはソ連にもその真意は理解してもらえるんじゃないかと思うのですね。そういう点で、ソ連への説得も十分しながら、わが国の立場を理解しながら、ひとつ速やかにこれを進めてもらいたい。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりに心得ております。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 それでは次に、領海十二海里と非核三原則の問題についてお尋ねをいたしたいと思いますが、国連海洋法会議において、現在、国際海峡の自由航行の問題が論議され、まだ結論は出ていないわけでありますが、大体どういう方向に進もうとしておるのか、これを外務省に伺いたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) お答え申し上げます。  海洋法会議の大勢といたしましては、一般の領海通航よりもより自由な通過通航制度というものをつくってはどうかと、こういうように大勢が収斂しつつあるというふうに聞いているわけでございますけれども、もし必要があれば詳細は条約届長から答弁をいたさせます。

中島敏次郎外務省条約局長

○政府委員(中島敏次郎君) お答え申し上げます。  先生よく御存じのとおり、国連海洋法会議におきまして論議せられております国際海峡における通航制度は、いま外務大臣から御答弁がありましたように、いわゆる妨げられざる通過通航制度をつくるべきだという考え方で審議の大勢が動いております。これは一般的に公海と公海とを結ぶ海峡であって国際航行に使用せらられておるような海峡につきましては、一般の領海よりももっと自由に船舶が通航できるようにする。具体的には、継続してかつ迅速に海峡を通過するという目的で通、航する船舶は自由に通航し得ると、また、その上空については航空機が自由に通過し得ると、こういう制度でございます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 それで、いま政府は、問題の海峡については現状凍結ということを考えておるようでありますが、ここをもし十二海里とし、しかも、現在の国連海洋法会議の決められている一つの方向にいった場合にはどういう問題点ができるのか、これをちょっとお伺いしておきたいと思うのです。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 御承知のように、近年わが国の沿岸で外国漁船による無秩序な操業等がございまして、沿岸漁民の操業に制約を受け、また、漁具等に被害も出ております。そういう観点から、沿岸漁業者の利益を保護するという観点で、この際早急に領海の幅員を十二海里にしたい、こういうことが一つの大きな理由になっておるわけでございます。その際に、たとえば津軽海峡等におきまして、外国漁船がその間で操業しないかどうか、他の沿岸漁民と不平等が起こらないかどうかという問題が一つの問題点になるわけでございますが、いままでのところ、津軽海峡におきましても、あるいは対馬海峡等におきましても、外国漁船による被害等は出ておりません。私どもは、大多数の沿岸漁民はこれによってその利益を保護されるものである、確保できるものであると、このように考えています。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 ちょっと私の質問の趣旨とは違った御答弁であったわけでありますが、その趣旨はよくわかりました。  そこで、私は一番問題になるのは、やはりソ連やアメリカの核搭載の船が通るか通らないかと、こういう問題になってくると思うのですが、これはわが国が全部十二海里を宣言しますとそれが通れなくなるわけでありますが、この問題について、米国やソ連に、わが国は十二海里に広げたならば核積載の船や潜水艦は通れませんよと、こうなってもいいかどうかという、そういうような接触はしたのかどうか。それに対する米ソの反応はどうなんですか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 御承知のように、海洋法会議で国際海峡の問題が、特に領海が十三海里に広がった場合に国際海峡の通航をどうするかということが、これが大変な問題になっておるわけでございまして、その際に日本としてはどういう立場をとるかということであろうかと思うのでございます。日本は、沿岸国――あるいは自分の国の持っている海峡の通過の問題とともに、日本が世界じゅうの海峡を通らなければならない、こういう二つの立場を持っているわけでありまして、そして日本といたしましては海洋国家である、大変な資源を海外から運ばなければならない。こういう立場から、国際海峡の通過につきましては一般の領海よりもより自由な通航制度を希望すると、こういう立場をとって今日まで海洋法会議に臨んでおるわけでございます。そういう次第でありますので、特定の艦種に限りまして通航できないような制度の議論をいたしますと、たとえば日本の場合には、非常な巨大なタンカーの通航という問題がすぐ出てまいりますので、そういうことから、日本として、国策といたしまして、より自由なる通航の方を支持するという立場をとることが日本としては必要なことである、そういう立場で臨んでおりまして、領海十二海里になった場合に核積載艦は一切通航させないという立場をとることは得策でないというふうに考えておる次第であります。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 そうしますと、国連海洋法会議における審議の過程においても、わが国としては特に核積載の潜水艦あるいは船というものを特別に、それは通らないようにすべきだとか、そういうようなことについては何ら発言はしていないと、そう考えていいわけですね。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 海洋法会議の席上におきまして、特定の艦種について制限をするというような発言はいたしていないと存じております。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 総理にお伺いいたしますが、カーター大統領がこのたび大統領になって、核兵器を地球上から絶滅していこう、こういう提案をしております。これは各国からも提案されておるわけでありますが、世界で初めて被爆を受けたわが国としては、こういう提案にはやはり真っ先にわれわれは力を入れていかなければならないのじゃないか。この点はどうですか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 御説のとおりでありまして、カーター政権が、まあ前の政権でもそうでしたが、核が拡散されてこれが兵器化する、こういうことについて非常に警戒的な体制をとっておる。その奥意はよく私どもも理解できまするし、あるいはより以上に私どもは理解をしているんじゃないかと、こういうふうにさえ思うわけでありますが、この考え方はわが国としては全面的に支持していきたいと、かように考えます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 しかし、そういうことはすぐにはできるわけではないわけですね。その第一歩として、少なくともわが国の領海内への立ち入りの禁止、それぐらいにやっぱり努力をするために、そういう非核三原則を持つという、平和憲法を持つというわが国の立場を私は全世界の人に理解を求めていくのがわが国の外交じゃないかと思うんですね。そういう点で、米国やソ連に対しても、少なくとも、なくしろというのじゃないんですから、何もこのソ連の潜水艦が日本海から太平洋まで来なくてもいいわけですからね、本当は。総理は資源有限時代と申しましたけれども、私は最も浪費しているのはやはり本当は軍備じゃないかと思うんですね。そういう点から、少なくとも日本は、十二海里になれば潜水艦は――ほかのは通ってもいい、国連海洋法会議の結論に従って通ってもらってもいい、しかし、少なくとも核を持った船や潜水艦は通ってもらっては困ると。そういうことを米国やソ連にやっぱり努力をすべきじゃないでしょうか。それが私は外交じゃないかと思うんですけれども、そういう努力もしないで、ただわが国の方から遠慮して三海里という、これはまさにわが国の立場を放棄するものであり、私はこういうような外交姿勢では全く困ると思うんです。その点は総理どうなんですか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 核積載潜水艦のことを主として考えて、わが国がこの領海問題についてああいう態度をとっているというわけじゃないんです。これはわが国は海洋国家である、わが国の船がどこでも自由に通航できるような状態にあることが必要である。特にマラッカ海峡ですね、これなんか非常にわが国とすると大事な海峡であって、この自由なる航行ということはもう絶対にわが国としては必要とする海域でございます。そういうようなことを考えますとき、わが国の海峡は領海延長してふさぎましたと、よその国はわが国のためにこれを公開してくださいと、こういうわけにはこれはいかないんじゃないでしょうか。  そういうようなことを考えて、わが国としてはとにかく国際海峡、これにつきましては従来のように自由なる航行ということを必要とすると、こういう態度をとっておるわけです。  しかし、そういう方向にはこの会議は動いておるというふうに承知しておりまするけれども、まだ結論が出ない、出ないその間におきましては、これはまあしばらくその結論の出るまでは現状の体制でいきましょうと、こういう方針にいたしておるわけで、常識的な裁きというか、判断じゃないか、そんなような感じがいたしておるわけであります。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 恐らく、領海十二海里に関して、国連海洋法会議の結論も私の判断するところではかなり自由航行、私は当然日本の海峡にも各国の船を通さなきゃならぬと思います。けれども、非核三原則という立場があるんですから、だから核兵器搭載の船や潜水艦だけは日本の領海には入れないという、これは国連海洋法会議の結論がどうあろうとも、それに努力をするのが私は日本政府の務めじゃないかと思うんです。総理は外務省を指揮をして、そういう国際世論をつくるために努力をする決意があるのかどうか。もうすでにスリランカ等においては、そういう核兵器を搭載した船は領海に入れないという宣言をスリランカという国でもやっておるんですから、ましてや、日本として当然そういう方向にいくべきだと思うんです。そういう気持ちはありますか。いますぐというんじゃない、相手のあることだからね。そこが外交なんですよ。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 核兵器を地球上から絶滅をするということにつきましては、私は世界じゅうのどこの国の人にも劣らない熱意を持っております。しかし、これはそう簡単にはいかない。SALTの交渉だって、あれだけの年月がかかってなお今日のような状態である。しかし核兵器を地球上から絶滅をする、こういう目標に向かっては、わが国といたしましてはどこの国にも負けない努力をしたいと、こういうふうに思いますが、世界の現実とも歩調を合わしていく必要もあるわけでありまして、その現実を無視して一挙にわが国がひとり踊ってみても、それは私は効果はないと、やっぱり逐次この体制を推し進めるということこそが現実的ないき方であると、そういうふうに考えます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 現実はわかります。けれどやっぱり一つの方向がなくちゃいけないと思うんですよ。やっぱり日本は平和憲法を持ち、核被爆国という特殊な立場があるんですから、それを世界にPRする。全く国連にしても、広島の惨事を伝言ていくのは国は何もやっていない。広島県や広島市が予算でやっておると、こういう状態なんですよ。だから私は、それを一遍にやれというんじゃないですよ。けれども、わが国の領海に核兵器絶滅の第一歩として、少なくとも領海が広がればその範囲内にはもう核兵器を持った船が入らないように、そのように努力をするということぐらいは約束できるでしょう。やれというんじゃないんですよ。努力をしてもらいたいということを言っておる、いままでは努力をしていないからいけないということを言っておる。その点どうなんですか、外務大臣どうなんですか、努力ぐらいすると約束できませんか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 核兵器の全廃、あるいは核軍縮という観点から政府としては努力を続けておるわけでございます。そして今日の、いま特に海峡通過の問題が提起されておりますので、海峡問題といたしましては、これはわが国としては海洋法会議がなるべく早く結論を出すことを期待をいたしておるわけでございます。そして十二海里というものが海洋法会議の結論が出る前にわが国としては漁民の保護のために踏み切るべきだと、こういう結論になったのでございまして、今回といたしましては海洋法会議の結論を待つということが私は一番現実的な方法であろう。なお、非核三原則というものは日本の権限の及ぶ限りにおきましてこれは厳守してまいるというのが、どれはもう大きな政策でございます。そういう意味で、その政策はいつも多くの国々に理解を求める、こういう方針でいきたいと、こう考えておろ次第でございます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 総理、結局国連海洋法会議の結論を待つとおっしゃってますけれども、結論は結局あれですよ、核搭載の軍艦等については恐らく特別なものはありません、そういう方向に日本は主張していないんですから。そうするとそれは通航になりますよ。だから国連海洋法会議の結論とは別個に、日本独自の新しい問題なんですから、その主張はいまからやっていかなければ、やっぱり現実を踏まえて、ソ連やアメリカや、そういう考え方を変えるには時間がかかるんですから、いまの答弁のように、わが国の領海十二海里になった場合に、そこから核兵器を搭載のものが通らないように国際世論に訴えていくという姿勢が全く外務省にはないわけなんですよ。海洋法会議でも全くそれを発言していないんですから、それでは困るというんです。そのことをひとつ総理としてもやってもらいたい。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私はそこを言ってるんです。つまりマラッカ海峡、これも核積載の潜水艦が通ることだってずいぶんあるだろうと思うんですよ。それを今度は領海問題のゆえに阻止するというようなことが、一体いまの国際情勢の中でこれが現実的かどうかと、こういうことになるわけじゃないか、そのことをさきから申し上げておるわけでありまするが、私はまた、わが国は核兵器を絶滅するということについては最も熱意を持っておりまするけれども、このキャンペーンというか、運動、戦いを進める、そういうことは一挙にはいかない。現実的な状態を踏まえながら逐次やっていかなきゃならぬと、こういうふうに考えておるということを申し上げておるわけです。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 一挙にいかないから、だから十二海里という目前の問題に取り組めということを言っておるわけですけど、これはもう論議しておると時間かかりますから、まことに福田総理、外務大臣の答弁は全く不満である、このことを申し述べて後日に譲りたいと思います。  次に、先般日韓議員連盟がございまして、細かいことは省略いたしますが、共同声明が発表されております。総理はこれを読まれましたですか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 詳しく読んでおりませんです。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 じゃ、外務大臣どうですか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 私は、よく読ましていただきました。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 共同声明を読んで、あなたは一国の外務大臣として、所感をお聞きしたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 両国の議員の集まりにおきます共同声明でございますので、私の立場からこれをとやかくコメントをするのは適当でないと思いますので、控えさしていただきたいと思います。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 総理、私は日本と韓国の議員がお互いに友好を求む、これは非常にいいことだと思います。それはどの国ともやっていかにゃいかぬと思うんでありますが、この共同声明の中に「在日韓国人の母国訪問妨害等、日本国内における朝鮮総連の不法な対韓活動規制に関する韓国側の要請を了とし、最大限の協力」をすると、こういう内容なんですね。私は、これはもちろん人間ですから、いろいろ、どこの国の人であろうとも、わが国内においてわが国の法律に反したことをやった場合には、当然これは取り締まることはあたりまえなんですから、それをこのような、いかにも朝鮮総連の方ばかりが不法なことをやっておるような、それにわが国が協力するというのは、こういうような内容は、私は連帯と協調の精神からいっても不穏当ではないか、もうちょっとやはり配慮すべきじゃないかと思うのです。その点どうですか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これは日韓両国の議員がいろいろ話をして、その話の結果を文章にまとめたもの、これがその声明だろうと思うのですが、会談の雰囲気だとかなんとかは私もよく承知しておりませんけれども、両国の議員がその時点における認識を述べた、こういうことで、それがどうのこうのということを私から申し上げることはどうも妥当じゃないんじゃないか、遠慮さしていただきます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 やはり私は、南北の朝鮮の自主的、平和的統一を望む、これはわが国の歴代のやはり方針なんですから、そういう点から言うならば、南北の人たちがお互いに同じ同胞が話し合うような、そういう環境をつくっていかなくちゃならぬ。それを一方を刺激するような、こういう配慮はいけないと思うのです。私も日朝友好促進議員連盟で北朝鮮へ参りましたけれども、その共同声明のときにおいては特にそういうような点も配慮をして、やはり南北の対立が感情的対立にならないように配慮していくのは当然じゃないかと思うのですよ。そのことは一般論として認めますか。特に自民党の先生方が非常に多いわけですから、だから、自民党の総裁としてそういう点もやはり配慮してもらいたいということなんです。その点どうですか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 事朝鮮半島に関しましては、終局的には南北が平和的な形で統一をされるということがわが国として最も望ましい、こういうふうに考えておるんで、自由民主党の諸公におきましても、その私の考え方に反対する人は一人も私はおらぬと思うのです。ですから、そういうことは声明に書いてないけれども、それは当然のことだと、こういう認識ではなかろうかと、かように考えます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 私は、やはり日本の立場として速やかに北朝鮮とも国交を正常化さしていくべきではないか、政府はいままで非常に韓国の立場を遠慮をして、それを進めようとしないわけでありますが、日本が本当に朝鮮の自主的、平和的な統一に協力するならば、やっぱり両方とつながりを持っていかなくちゃいけない、そういう北朝鮮との問題について推進する気持ちがあるのかどうか、その点どうですか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 北朝鮮と申しますか、人民共和国ですね、これはわが国とまだ国交ができておりませんものですから、今日の問題とすると、韓国との関係と比べて希薄な関係にあるということ、これはやむを得ないと思うのです。しかし、最近人の往来もどんどんあるようになりまするし、また日朝議連というようなものもできておりまするし、だんだんそういう積み上げ的な方式で関係は進んでおると、こういう理解、認識を持っておるわけであります。北朝鮮、韓国があるからこれと事を構えるというような認識は全然持っておりませんです。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 それから、私は先ほどちょっと申しおくれたのですが、やはり金大中事件のようにわが国の法律に触れる事件をそのままにしておいて、しかも、いまのような声明は全く理解しがたいと、そのことをここで申しておきます。これは総理としては発言をしませんでしたので、これ以上は追及いたしませんが。  それと、最後にもう時間がありませんが、竹島の問題でございますが、先般の衆議院の委員会等においても、わが国としては静観をするということであります。しかし、報道によりますと、先般竹島上空を読売新聞社でございますか、写真撮影をした。そのことに対して韓国から厳重な抗議があって、今後これを続けるならばまあ攻撃で落としてもやむを得ない、それは日本が悪いというような意味の抗議があったようにけさの新聞で拝見をしておるわけでありますが、そのあたりの状況を、もしわかりましたら、担当の局長さんで結構ですから。

中江要介外務省アジア局長

○政府委員(中江要介君) ただいま御質問の読売新聞社の航空機が取材のために竹島上空を飛行したと、これは二月八日のことでございますが、これに対しましては、いま御質問でお触れになりましたように、二月十五日に韓国外務部から在韓国の日本大使館に対して抗議がございまして、これに対しましてわが方からは直ちにその場で、竹島は御承知のように日本の固有の領土であるのであって、日本の航空機が日本の領土の上空を飛行することは何ら問題がないということを先方に申してございます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 これはどうでございますか、私は、こういうような問題は時間がたてばたつほど一つの既成事実となっていくのではないか。そういうことで、やはり先般も静かに待つという、静観するということで、全然日韓閣僚会議にも話題にはならなかったようでありますが、これは速やかにやはりわが国の主張も、言うべきことは言わなくちゃいかぬし、どんどん議題にして解決していかなければならないのではないかと思うのですが、その点はどうなんですか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) ただいまのわが政府としての考え方でございますけれども、何か事があった場合にはそれに対して当方の出張を事あるごとに言う、こういう態度をとっております。今般も、先方の朴外務部長官が見えましたけれども、先方からお話があれば当方としても言うべきことは言う所存であったのでございますけれども、このお話の提案がなかったというわけでございまして、ただいまのところ、当方から積極的にこれを主張いたします場合に、これが解決するというムードが全くないわけでございまして、何か当方が監視をした際に先方の状況はどうであったと、これは当方としては認めがたい、こういう主張を繰り返して年に数回にわたって抗議をしておるというのが現状でございまして、現在としてはこのような方法でいくしか道はないものというふうに考えておる次第であります。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 総理、いろいろ外交というのは、われわれ野党として勝手なことを言っているように見えるかもしれませんけれども、われわれも相手のあることは当然認めます。それは努力をしてどうしてもうまくいかない場合もあるでしょう。けれども、どうもわが国の姿勢というのは何となく言うべきことを言わないで、目前のトラブルを回避することが有効である、こういう姿勢は私はよくないんじゃないかと思うんですよ。われわれやっぱり人間の仲間でも、けんかしたやつとは後仲よくなるというように言われているわけですからね、決してけんかをせいというんじゃありませんけれども、わが国の言うべき主張はやはりどんどんやっていく。ソ連に対しても北方領土の問題、あるいはまた竹島の問題、また米ソに対する十二海里内に核兵器を持ち込ませない、こういうふうな問題、そういう点でやはりわが国の立場というものをもっともっと積極的に理解をさせていくことが、これが私は世界においてわが国というものが正しい認識を持たれていくゆえんじゃないかと思うわけであります。そういう方向で、この竹島の問題も、まあそっとしておけば結局だんだんだんだん向こうにいっちゃうんですから、やはりもっと積極的に解決に努力をしてもらいたい、このことを要望いたしまして、きょうの質問は終わりたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 塩出さんの御提言、まことにごもっともでございます。そのとおりの方向で対処したいと思います。

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) 以上をもちまして、塩出啓典君の質疑は終了いたしました。(拍手)  午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十三分休憩      ―――――・―――――    午後一時十九分開会

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昨日の坂野重信君の質疑に対して、環境庁長官石原慎太郎君の答弁は、環境庁と建設省との間に不統一があるやの誤解を与え、かつ、質疑者に対して穏当を欠く発言が見られたことは遺憾であります。ただいま理事会におきまして、再びこのようなことのなきよう、内閣総理大臣福田赳夫君が内閣を代表して発言するようとの決定がいたされましたので、この際、総理大臣から発言を求めます。総理大臣福田赳夫君。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 閣僚は閣議においてその意思を決定し、統一をされておるわけでありますが、閣僚個々の発言が内閣の不統一というような印象を与えることになることはまことに遺憾であります。今後そのことがないように、閣僚の言動につきましては慎重の上にも慎重を期したいと、かように存じます。     ―――――――――――――

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) それでは、午前に引き続き補正予算三案の質疑を行います。沓脱タケ子君。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 五十一年度補正予算案に関連をいたしまして質問をいたします。  まず最初に、婦人の地位向上、国内行動計画に関連をいたしましてお尋ねをしたいと思っております。  国内行動計画の策定に当たりましては、わが党を含め諸団体、六十団体にわたる諸団体から要望が寄せられておるのであります。二月一日に発表されました国内行動計画に対する評価でございますが、これは総理は自賛をしておられますけれども、多くの婦人団体、これは非常に厳しい批判が出ております。また同時に、各紙からも主張等におきましてきわめて厳しい批判が出ております。総花的な婦人問題の施策だとか、あるいは方向づけを欠く婦人の行動計画、あるいは熱意に欠けた政府の婦人行動計画等々であります。こういった批判に対しまして――こういった厳しい批判が出てきているというのは、これはもう明らかに婦人の置かれている厳しい現状から見まして当然のことだと思うわけでございます。  総理に端的にお伺いをしたいと思います。今後、これらの批判や要望というのを真剣に受け入れるべきだと思うのですけれども、この点について基本的な立場としてはどういうふうにこれをお取り扱いになるのか、この点についてまず最初にお伺いをしたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 婦人行動計画は、世界婦人行動計画に準拠いたしまして策定したものでありまして、この時点におきますと、これは若干抽象的であるというそしりを受ける、そういうことになっておりますが、まああの程度がとにかくベストを尽くしたと、こういうことという認識なんです。しかし、いろいろ御批判があることはよく承知しておりますので、その御批判等を踏まえまして、この実行計画は実施に当たりましては具体的にいろいろ工夫をしてみたい。なお、五年たちますとあれは見なおしますから、その見なおしの際におきましても御批判のあるところはこれを踏んまえましてやっていきたいと、かように考えております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 総理がそういった努力をなさるということでございますが、その点につきまして特にお伺いをしておきたいのは、行動計画についてはある点では非常に具体的な提案がなされ、ある点では――ある点ではというか、おおむねは抽象的だという点が批判の一つの論点でもあります。その点で、いまおっしゃったように、十年後の到達点がどこで、そうしてその年次計画についてはどのようにいつの時点で明確に施策として発表されるのか、その点についてあわせてお伺いしたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 総務長官から。

藤田正明自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(藤田正明君) ただいま沓脱先生がおっしゃいましたことで、ある点においては明確になり、ある点においては非常に抽象的で不明確であるという御批判がございましたが、若干私の方によくわかりませんけれども、ただ到達する目的は、男女平等の原則という、憲法にも書いてありますように、十年後にはそこに持っていこうと。それには、先ほど総理がおっしゃいましたように、まず最初の五カ年でやるべきことはやる。それも発表はことしの九月末、十月の初めにはいたしたいと思うんです。これは年次計画もあわせて発表いたしますから、それで五カ年間の計画、その五カ年の年次、この発表をいたしまして、五十年間で見直して、それで最後の五カ年で総仕上げをしていく。それで男女平等の原則に全きを期すと、こういう考え方でございますから、いまから――抽象的なところとおっしゃいましたけれども、そういう御批判も率直に聞きまして、年次計画の中に組み入れていきたい。実は、御承知と思いますが、去年の四月に中間報告で概要を発表いたしました。それで種々御批判をいただいたわけです。それから昨年の十一月には婦人問題推進会議を開きまして、これは藤田たきさんを会長にいたしまして、約三十名の委員の方にまた御批判もいただき、いろいろ御指導をいただいた上でこの国内行動計画はつくったわけでございますので、まあそれだけの手順を踏んでつくっておりますから、御批判もいただきながらまた別の面では御激励もいただいておると、よくやっておると、しかしなおがんばりなさいと、こういう御激励もいただいておるわけでございますので、以上でございます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 それは、たとえばこういうことを申し上げたいんですよ。大部分の婦人団体が一致して要求している点というのは、幾つかあるわけですが、たとえばILO条約の八十九号、百三号、百十一号条約の批准、あるいは百二号条約の未批准部分の批准ですね、いまだ批准していない部分の批准です。そういった点と、産前産後休暇各八週間への延長要求ですね。こういった点については早急に実施しなきゃならぬというように思うんですけれども、スケジュールが明確にないわけですから、少なくともこういった点についてはできるだけ早くやるということが必要だと思いますが、それについてはどうなんですか。

藤田正明自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(藤田正明君) 御質問の内容わかりましたので、それにつきましては早急に実施するように検討いたしまして、年次計画の中に組み込みます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 それでは次に、婦人の地位向上の中心的な課題であります男女賃金格差、差別貸金の是正についてお聞きをしたいと思います。  最初に労働省にお伺いをしたいんですが、男女賃金格差の国際比較はどうなっておるか、ちょっと御報告をいただきたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 政府委員がお答えをいたします。

森山真弓労働省婦人少年局長

○政府委員(森山真弓君) 男女の賃金格差につきまして国際的なデータを御説明申し上げます。  アメリカ、フランス、西ドイツ、イギリス、オーストラリア、デンマーク、スイスなどにつきまして、ILOの国際労働経済統計年鑑などによりますと、調べられました年次は多少違いますが、アメリカにおきましては一九七〇年、男性を一〇〇にいたしまして六〇・五、フランスが七二年八七・八、西ドイツが七二年七〇・〇、イギリスが同じく七二年六〇・七、オーストラリアが七八・四、デンマーク七五・七、スイス六三・三、こういう数字がわかっております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 総理、お聞きのとおりです。わが国では男女の賃金格差というのは特にひどいと思います。賃金格差と言われているものの内容をよく見ますと、事態は非常に深刻です。政府に課せられている任務は、そういった点ではきわめて重いと思うわけです。  たとえば、生命保険業や銀行業の例をとりますと、まず生命保険業ですが、実態がどうなっておるかということをごく簡単に言いますと、たとえば日本生命で、高卒の男子、高卒の女子、これを比較しますと、男子が三十歳の標準賃金一カ月二十一万五千百三十円、女子が十三万二千七百五十円で男子一〇〇に対して六一・七%、第一生命では六一・九%、住友生命では五五・二%、安田生命では五六・〇%といったような状況になっております。  さらに銀行の場合というのは、新潟に本店のある第四銀行で見ますと、三十歳の標準賃金で男子が年収三百十万円に対して女子は二百三十万。それから山陰合同銀行を例にとりますと、たとえばこういう状況になっています。二十五歳から画然と格差がつく。(資料を示す)下が女子です。ここまでは一緒なんです。こっからざっとこう開くんですね。こういう実態をごらんになって、総理御感想はいかがですか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) まあ同じような仕事をしておる場合に、同じ能力で同じ効率を上げるということになると同じ賃金でよさそうなものだと、こういうふうに思いますが、いま保険の外務員の話がありましたが、これなんかは男女によってそう差別はなくてよさそうなものだなあという感じがしますが、また仕事によりましては差別が出てくるのもやむを得ない、そういう面もあるかと思います。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 こういうふうに出てまいりますと、もうこれは個人の問題でははないと思う。まさに制度的、政策的な男女差別だと思うわけです。なぜこんなことが起こるのか、どういうふうにこれを是正していくのかということを労働大臣にお伺いをしたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 基本的には、雇用における男女の平等というのは同一基礎の上に立って就労するということであると思います。それから、科学的理由もなくして特別の措置を講ずる、講ぜられているというような状態はできるだけ早く解消していくべきだと思います。それからまた、出産とか妊娠とかということを理由に婦人の労働者諸君に差別待遇を加えることは不当だと思います。そういう基本的な考え方の上に立ちまして、具体的事例の処理に当たり基準法の第四条の精神を生かしながら基準監督署の活動を促しているところでございます。  なお、債金原資の配分その他においては、労使の協議制あるいは団体交渉、そういうようなものを生かしていかなければならぬと、こういうふうに考えております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 銀行業で見ますと実はもっとひどい。女子行員の賃金の頭打ち制というのができているんですね。ある程度の資格までいったら全然上がらない。先ほど山陰合同の三十歳の頭打ち、あるいは第四銀行もそうなんですが、これ銀行をちょっと調べてみたんですが、これだけ賃金表があって真ん中までしか大体女子の行員が分布をされていない。第四銀行はどないなっているかといいますと、書記補から参事までという十の資格賃金体系がある。ところが十の中の第五群、主事補二級どまり、これは第七十七銀行もそうなっています。東京信用金庫の場合はもっとひどい。十八の資格別賃金体系になっているのに、一番下が書記補二級なんですが、実例ではこんなのがあるんです。  永久さんという四十一歳の女性ですが、勤続二十四年で、この十八ランクのうちの一番下の書記補二級、月給は十一万三千百円。東京信用金庫はこういった人がほかにも女性で八人おる。こういうことがまかり通っているわけです。しかも、これは一人一人については考課だとか査定の結果だといってまかり通っているわけです。しかし、一人一人については考課だとか査定だとか言えますけれども、女性群として見たらもう明らかに男女差別の制度としか見られない。こういうふうになっているわけです。こういった点については放置できないと思うんですが、労働大臣、早急にこれは調査をして是正の指導をするべきだと思うんですが、なさいますか。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) いま御指摘の問題は二つあると思うんです。社会的通念上の男女平等を速成するための処置と、それから基準法の規定に反する法違反に対する処置。第一の問題については、やはりその趣旨の徹底、基準法四条の趣旨の徹底を図ります。第二段の問題については、これは法律違反の問題ですから監督署の監督強化を図って対処をいたしたい。それから実情につきまして、具体的な実情及び実例に基づいて、社内のいろいろな規程等――服務規程その他、そういうもの等の改正を促しているところでありまして、具体的実例については御必要ならば基準局長をして説明いたさせます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 いまおっしゃったように、私は戦後三十年、憲法のもとでこういった事態が依然として続いているというのは、政府の責任はきわめて大きいと思うんです。  そこで、いま言われたように、私はこれは労働基準法に性による差別の禁止、この明記がないということが一つ。もう一つは、国内行動計画にも指摘されておりますように、労基法四条の同一労働同一賃金の原則の不徹底、こういうことがこういう事態を助けてきていると思うんです。そこで、労基法の改正によって性による差別の禁止というのを挿入する意思があるかどうか。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 御承知であろうと思いますが、基準法制定以来三十年、それを見直すために労働基準法研究会がいま全体にわたって検討を続けているところでありますので、その検討の成果を待ちたい。しかし、文章に書かれようと書かれまいと、性による、先ほど申しましたような原則に違反するような行為というものは是正さるべきであると、そういう方向に向かって努力をいたしたいと思います。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 それで、政府がやる気になればいまだってすぐやれると思うんですね。国内行動計画でも言われておりますように、同一労働同一賃金の原則の徹底ということを言っていますが、これをやるのにどうして進めるんですか。徹底をどういうふうに推進するんですか。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) いま申しましたように……それから、行動計画の中に婦人の雇用問題その他について欠けているというような御指摘でありましたが、雇用問題という項目のイというところをお読みいただければ、実態的にはそういう方向に対する努力を約束しているわけであります。  具体的に申しますならば、やはりこれは監督行政というものの徹底、そしてそういう事案に対して当該企業内における諸規則、諸運営の内容にわたって改正を求めていくと、こういう努力であると思っております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 それならね、昭和二十二年の九月十三日に出されておる労基発一七号の通達の強化ですね、通達――これはまあ二十二年に出されて、今日まで三十年。これを現在に適応できるように改正をして、行政指導を推進するための通達をお出しになる意思はありませんか。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) これは四条に対する行政解釈の通達であります。この行政解釈自身は私は現在も生きていると思うんですがね。ちょっと読み上げてみますと、御指摘の九月十三日のものは、「能率技能による差別」「職務の能率技能等によって、賃金に個人的差異のあることは、本条に規定する差別待遇ではない」と。それから第二、「女子であることのみを理由とする差別」「労働者が女子であることのみを理由として、或は社会的通念として、若しくは当該事業場において女子労働者が一般的、又は平均的に能率が悪いこと、知能が低いこと、勤続年数が短いこと、扶養家族が少いこと等の理由によって、女子労働者に対し賃金に差別をつけることは違法である」。この解釈は、私は三十年たっても四十年たってもこの解釈は間違っていないと思うんです。ただ、四条の運営が実際上いまだに不十分であるということは私も認めます。したがって、その改善には努力しますが、この法律解釈は、私は間違いでないと、こう思っております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 いや解釈が間違っていると言ってないんです。これを、まあ言うたら二十年、三十年死文化されているような事態になっているから、もう一遍新たに通達を出して行政指導を強めませんかと、こう申し上げているんです。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 死文化されているとは思いません。やはり皆さんの御奮闘と相まちまして、その速度は御不満かもしれませんし、私どもも十分とは思っておりませんけれども、やはり改善をされていると思います。この法解釈を繰り返して注意を促すということは、これは検討いたしたいと思います。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 なお、私きょう取り上げましたのは銀行とか生保関係を取り上げましたが、労働省としてはこういった点の実態調査をおやりになる御意思はありますか。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 全部の企業に対して、まあどの範囲にするかは別問題といたしまして、実態調査を全部やるということはなかなかむずかしいことでございますが、銀行とかあるいは保険会社という言及をされた点について、またそういう種類のところで問題が若干起こっていることも知っております。そういうものについては調査をいたしましたし、そして規則の改正等を促したこともございます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 こともございますでなしに、調査をなさいますかと言って聞いている。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) その調査はいたしたいと思います、御指摘です。ですけれども、何しろ膨大な企業の範囲でございますので、どうしても実態的にそういう苦情が出た場合あるいはそういう事実を察知した場合、そういうものから手がけるということになるわけです。そういうものに対して実態調査の結果に基づいた処置はすぐ講ずるようにいたしております。そういうことです。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 次に、母子家庭の母等、寡婦の問題についてお聞きをしたいと思います。  これは国内行動計画にもお取り上げになっておられるんですが、母子家庭の実情については、交通遺児育英会の調査された交通遺児の母親の職業調査というのがございます。昨年の五月の調査では、一日八時間以上働いている方々というのが相当数ありますが、半数以上の方々が月収七万円に満たないということが報告されております。きょうは、交通遺児家庭の運動をされていらっしゃる中山さんに参考人としておいでを願っておりますので、まず、その実態についてお伺いをいたしたいと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) 参考人中山富美子君。

中山富美子交通遺児母の会会員

○参考人(中山富美子君) 何しろ初めてなもんで、足ががたがたしてまして思うようにお話しできないかと思いますけども、母の会の運動しているというんじゃなくて、私自身が夫を交通事故で失った母子家庭でございます。  あとどういうことを話せばよろしいんでしょうか。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 中山さんにお聞かせをいただきたいのは、非常に収入が少なくて、生活がこの大変な時期に、母子家庭の皆さん方の生活実態が大変だと思いますが、そういった実態をひとつつまびらかにお聞かせをいただきたいと思います。

中山富美子交通遺児母の会会員

○参考人(中山富美子君) はい。いまお話しなさいましたように、七万以下のお仕事をしていまして、それも中年層になって突然に夫を失われましたもんですから、特技とて別にありませんし、資格も別にありませんで、ただぼんやりいままで子供を育てていた状態から、すぐ仕事をというふうなことになりますので、どうしてもパートの仕事とか、アルバイトというふうな仕事になるわけでして、それで五三%ぐらいの方が七万以下の方で、それも労働時間が八時間以上で七万以下というふうなことは、二つも三つも仕事をかけ持ちしてやっていての収入だということなんです。  それで、一昨年間はすごく不景気になりましたもんですから、一番先に首切りの対象になるのはパートで働いている私たちでして、それでやはり一生懸命親子でもって、人から、何というんですか、援助を得ないで自分たちの力でやっていこうという気持ちはすごく持っていうもんですから、そんなことで借金したり、親戚なんかにお願いして援助をしてもらったり、それからおりたわずかな保険、それも初めは百五十万ぐらいのお金がだんだん五百万ぐらいとか、一千万とかいうふうになりましたですけども、何かそんなふうなものを引き出して、そして生活していろというふうな状態です。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 お聞きのとおりであります。  で、突然家の柱を亡くされるということになりますと、特別の技能も何も持っていない方が多いから、当然そういうことになるんだと思うわけでございますが、特に参考人にお伺いをいたしたいのは、母子家庭の皆さん方がいま一番強く政治に何を求めていらっしゃるか、そのことをお聞かせをいただきたいと思います。

中山富美子交通遺児母の会会員

○参考人(中山富美子君) 政治に要望というふうなことをおっしゃいますと、もうそれはすごくたくさん、数え切れないほどあるんですけれども、まず、少し書いてきましたんですけども、第一番に仕事ですね、雇用促進法を制定していただきたいということなんです。先ほども言いましたように、自分の力でもってなるべく子供を育てたいと思っておりますから、仕事が一番欲しいわけなんです。それも官公署に身分保障を持った仕事が欲しいわけなんです。  何かいろんな例を持ち出した方が実際にわかっていただけると思うんですけども、どうしても生活に困ったり病気になったりした方が、生活保護を民生委員の方にお願いしに行ったりしますと、それこそ、いい方もたくさんいらっしゃるんですけれども、うちの中を見に来られまして、仏様にお花を上げるなんてぜいたくだって、手持ち金が五百円になったら相談に来なさい、そんなふうなことまで言われて帰られたそうで、そのときはもうくやしくてくやしくて、そんなことを言われてまで生活保護を受けたくないって、また子供にいろんな意味で生活保護を受けますと、学校でも学用品なんかの免除がありますが、それはそれでありがたいんですけれども、子供にとっては肩身の狭い悲しい思いをさせますので、できたら親が一生懸命がんばって働いてそういうふうな制度を受けないで、それで自分の働いたお金でもって生活していきたいという気持ちがありますから、ですから国からおりる厚生年金とかいろんな年金と合わせても七万とちょっとぐらいでは、大抵子供が二人、親子三人ぐらいの生活はとてもじゃないですけれどもできていませんので、ただいろんな年金やなんかをくださいというのでなくて、一生懸命働きますから、その仕事を官公署関係なんかの身分を保障された仕事をぜひ与えてほしいということが一つです。  それからやっぱり無理して、もう二カ所も三カ所も働いて体を無理していますから、どうしても医療費がかかりますし、差額ベッドということで、ぎりぎりの生活から差額ベッドを払わなきゃいけないということは、もう本当に入院できないからまた無理して働くというふうなことになりますから、病気をするということはイコール死につながるというふうなことなんです。ですからもう何もかも、子供が、お母さんが仕事を探しているのを見て、ぼくがいなければお母さんいい仕事ができるのにねと言ったたそうですけれども、これはそんなふうな話もありまして……。何かそういう医療費の免除といいますか、そういうのもただ免除してほしい免除してほしいというんでなくて、とにかくいい仕事を、健康を害さないような仕事があれば私たちは一生懸命自分の置かれた環境といいますか立場といいますか、そういうものを越えて子供と一緒にがんばっていきたいと思っております。  それから都営住宅というとちょっとあれなんですけれども、母子世帯向きの住宅ですけれども、やはりおうちの家賃を払うというのがすごく生活――七万ぐらい、いろんな年金がおりても十万ぐらいの中で二万から三万もする、六畳一間でももうそんなにする民間のアパートに住んでいて家賃を払うということはとってもつらいことなんです。ですから、母子世帯の住宅をたくさんつくって入れてほしいと思います。  池袋に住んでいる方なんですけど、六畳と三畳の二間はあるんだそうですけれども、三畳がもう傾いちゃって使えなくて、畳はぼろぼろで、本当に笑い事でなく油虫が耳の中に入ってきたり顔の上をはったりって、そういうふうなところに住んでいても二万近く家賃を取られるそうですし、それでポイント式という方法で見に来てくださったそうですけれども、順番が来ないということで、そのうちに住んで七年になるそうですけれども、いまだに入れないでおります。それで、そこのうちのすぐ近くにまで何かこの前は火事が来て、ない世帯道具だそうですけれども運んで避難したりしたこともあったそうですけれども、とにかく私たちにとってはおうち、それも安い家賃で入れるおうちを、それと仕事というふうに思っております。  それから政府の方で何か寡婦雇用促進制度を進めようとしていてくださっていますけれども、その制度を適用するのが、求職者に対する訓練手当というんですか、そういうのを支給しようとして、それで仕事を訓練させてくださるような制度を何かつくられようとしていらっしゃるというふうに伺いましたですけれども、それも全国で百五住人という数だそうで、何万人、何十万人という母子家庭の中でたったの百五万人を対象にそういうことをされては、もうスズメの涙以下のアリんこの涙ぐらい、もっと小さいようなものでしかありませんし、そういうことにもう少したくさん予算をつけてほしいと思います。  それで、せかくそこで何かしらの技術を身につけても、区によって違うそうですけれども、三十九歳とか四十歳になったら公務員になれないという労働省の方の規則があるんです。そういうところに当てはまっちゃって就職できないという方もたくさんいらっしゃいますし、若いときに、結婚する前に保母さんの資格を取ったり栄養士の資格を取ったりって、そういう方もたくさんいらっしゃるのに、こうやって中年属の四十代になればその資格が全然生かされないで、結局はパートとか臨時とかというふうなことで仕事をしなければいけませんので、そんなふうな年齢制限を一日も早く取りはずしていただきたいと思います。  それから……

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) 中山さん、簡単にお願いいたします。

中山富美子交通遺児母の会会員

○参考人(中山富美子君) はい、わかりました。  それから、労働省が母子家庭の実態を調べてくださるというお話ですけれども、一日も早く調べていただいて、本当の実際の実態を調べて把握していただいて、それでよりよい政策を私たち母子家庭のためにやっていただきたいと思います。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 総理、お聞きのとおりであります。雇用促進のため、特に母子世帯の母等の雇用促進のために寡婦の雇用促進法の制定、そういった点は差し迫った課題だと思うんですけれども、こういう母子家庭に対しておこたえになるのにはどういうふうに考えておられるのか、ご見解を伺いたい。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) ただいまお話を承っておりますと、まあいろいろ要望もありますが仕事が大事だと、こういうお話です。恐らくそういう声が多いんじゃないかと、こういうふうに思いますが、労働省等におきましてその辺特に何か工夫をすべきだなと、かような感じでございます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 労働省にちょっとお聞きしたいんですけれども、母子家庭の皆さんのこの切実な願いにこたえるために具体案をどのように進めるか、これをひとつお聞かせいただきたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 母子家庭の問題について、せんじ詰めていくと二つになると思いす。一つはお子さんがいらっしゃるとか、そういうようないわゆる家庭の条件が普通の就業を困難にする。それからもう一つは、職業経験とか技能とがそういうようなものに乏しい。  そこで、事業所において保育施設とかあるいはそういうものをつくる、あるいは各地にございます働く婦人の象にそういう施設をつくる、こういうことに対する補助措置を講じております。それから職業訓練の問題は、いま参考人のお話しのとおり本年度の予算から計上してございます。それからそういう家庭の婦人を雇用した場合においては毎月一万一千円の手当を支給するという制度も講じております。  ただ、その訓練手当の人数と、それから採用の年齢的制限というのは私も初めていま聞きましたので、ちょっと婦人少年局長から……。

森山真弓労働省婦人少年局長

○政府委員(森山真弓君) 職業訓練手当の支納対象者の人数でございますが、それは予算要求上百五十人という一応の目安をつけてございますけれども、もし非常に要望が多くてぜひということでありますれば、実際の運用上には十分考えたいというふうに思っております。  それから地方公共団体におきまして中高年の年齢制限があるというお話は、労働省といたしましては直接の所管ではございませんので、ほかの責任官庁からお答えになった方がよろしいんじゃないかと思います。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 多面的な御要望が出ているんですが、私はやはり仕事が一番大事だと思うので、その点についてきょうはしぼってお聞きをしたいと思うんですが、いろいろと労働省ではやろうとはしておられるんですが、雇い主の方に積極的に雇えるように歯どめをかけていくためには、やはりどうしても雇用促進法等の検討が必要ではないかというふうに思いますが、その点についてはどうですか。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) これは、身体障害者については法規定がございますが、寡婦の問題と同様に、中高年、特に高年齢層の雇用という問題も同様であります。したがって、中高年齢層については一定のめどを設けましてやっておるわけでありますが、ただ、この寡婦ということになりますと、再婚をなさって条件が変わるというようなことも考えなきゃなりませんし、それから、そのほかいろいろ実際法制定をします場合の限界点その他についても問題がございます。それから法制定以前に、まあそういう同じような、世間全体にボランティア精神とでも申しましょうか、なるべくそういう人たちを雇用しようという空気が出てくることが大切でありますが、同時に、先ほども申しましたように、そういう方々を雇用された場合は特別の給付金を支給するということで、そういう環境づくりにいま努力をしておる。それから、先ほども申しましたように、やっぱり家庭環境に影響されるということはお気の毒でありまするので、また事業所の負担が、事業場の負担が多くなるというような障害を取り除きますための補助制度等もすでに講じてございます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 それじゃ、中山参考人ありがとうございました。

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) 委員長から中山参考人に申し上げます。  本日はお忙しい中を本委員会に御出席をいただきありがとうございました。退席していただいて結構でございます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 次に、自営業者の業者婦人について若干お聞きをしたいと思います。  業者の婦人というのは、インフレと非常に深刻な不況の中で長時間働いて、その上に家事、育児あるいは社交、近所のつき合い等が加わって大変な状況です。まさに自分の身を犠牲にして働いている。食料品店等では朝七時から晩の十時まで毎日毎日店で働かざるを得ないというふうな状況。これは国内行動計画にも触れられておるんですが、特に私はお聞きをしたいのは、業者婦人の保健対策ですね、これが非常に重要だと思うのですが、これについてはどういうふうにお考えになっているでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 御承知のとおり、自営業者の保険は国民健康保険に入っておるわけでございます。国民健康保険でございます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 いや、国民健康保険に入っておるのはわかっておるんですわ。業者婦人が大変無理な仕事と生活の中で健康破壊に陥っていると、これに対して、保健対策等を進めるというふうに国内行動計画でも触れられておる。それについてどういうふうに御推進になるのですかと、対策を伺いたい、こういうことです。

渡辺美智雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 政府委員から説明させます。

八木哲夫厚生省保険局長

○政府委員(八木哲夫君) お答え申し上げます。  国民の健康を図るということは最も基本になるわけでございますので、そういう面で現在の各種保険制度があるわけでございますが、ただいま大臣からお答え申し上げましたように、自営業者につきましては国民健康保険制度ということでございまして、国民健康保険制度によります医療の充実、内容の改善につきまして今後とも努力してまいりたいというふうに考えている次第でございます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 そこで自営業者の人たちの要望というのは、大変な健康破壊に陥ってきているので、何とかして健康と母性保護の制度の実現化というのを求めておられる。特に何を求めているかというと、分娩給付あるいは出産手当、傷病手当等の法定化を何とかしてほしいと、これが強く求められているわけです。国民健康保険は御承知のように法定給付になっておりません。その点で国民健康保険、特にわが国では国民皆保険という状況になっておりますから、健康保険等との給付の格差が余りにも大き過ぎるというのは事実だと思うのです。  そこで、簡単に言いますが、五十三年度、国民健康保険を見直しをするというふうな動きもあるやに聞いておりますから、そういう点で、見直しに際して法定給付の方針を検討する用意があるかどうか、この御見解を伺いたい。

渡辺美智雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 御指摘のように、保険にはいろいろ格差がございます。制度発足の歴史も違いますし、いろいろなまた問題点もございます。したがいまして、われわれとしてはそういうものも含めて全般的な検討を一遍してみたいと、かように考えておるわけであります。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 それでは次に、商工中金の拘束預金についてお伺いをしたいと思います。  現在、中小企業は三年続きの戦後最高の倒産などで大変深刻な状態になっております。この中で、銀行の拘束預金、いわゆる歩積み両建て、この、預金が世論の厳しい批判を受けております。  ところで、私の調査によりますと、民間の金融機関だけではなくて、政府系金融機関であります商工中金が、業者に融資をするに当たって融資額の一〇%から二〇%に当たるという金額を、普通定期、積立定期などの形で預金をさせておるという事実があります。大蔵大臣、通産大臣、こういう事実を御存じですか。

田中龍夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。  お話しの件は聞いておりますが、しかしながら、政府の特に中小企業対策の金融機関といたしまして、いまの拘束預金の問題につきましては、厳重に、そういうことができるだけないように指導いたしております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 事実は御存じなんですね。  ここに商工中金が使っております「貸付・預金連絡票」というのがあります。これは知っておられますか。

岸田文武中小企業庁長官

○政府委員(岸田文武君) いまお話しの連絡票というもの、私まだ承知をいたしておりません。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 で、これ委員長、理事長を参考人にお願いしたんですけれども、御賛同が得られなかったからこれは大変残念なんですが、中小企業庁長官は知らぬというので、これは商工中金の事務部管理課が作成をしました帳票記号目録に決められた文書で、商工中金の全国の支店で使われている。すぐ調べてもらってください。「営為セ一四四二一〇」。記号番号に収録されている。  もう一遍言いましょうか、「営為セ一四四二一〇」。

岸田文武中小企業庁長官

○政府委員(岸田文武君) 早速内容を取り寄せまして検討いたします。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 すぐ確認してくださいよ。

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) 確認している間、沓脱君、質問を続行してください。他の質問があるでしょう、まだ。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 しかし……

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) あなた、それ以外の質問あるでしょう。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 ありますよ。

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) だから、それをちょっと中断して続行して質問してください。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 ちょん切れます、すぐ電話でもして調べたらよろしい。時間があればほかのやりますが。

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) 沓脱君、この問題はいま確認されてから続行してください。あなた、まだ別の質問の項目があるようですから、それを先にやってください。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 それは時間の都合がありますからすぐ確認してほしいと思うんですが、いま私がこれを申し上げたのは、商工中金が融資に当たって、それの条件として定期預金などをさせるための貸付預金の連絡票だということになっているわけです。私が手に入れた連絡票ではその証拠が非常にはっきりしているんです。だから現物を見せてあげていいんですよ。たとえばこういうふうになっている。一千万円の貸付金領を決定して、定期預金を十万円を十回、積立短期を確約というふうに書かれているんです。で、このケースは、七千万の貸し付けで定期が三十万円の二十四回、七百二十万円、それぞれ約一割程度ですね。それから、このCのケースは、七千万円の貸付金額で定期預金二〇%程度と書いてある。それからもう一件のケースは、三千万円の貸し付けで普通定期、それから積立定期は五十万円の二十回実施中、それから三百万の二本確約というふうに書かれておる。これも約二割ですね。そのほかの条件もあるんです。たとえば財形は今後の課題としたいというケース、小規模事業主退職金共済制度に加入をさせるということ、あるいはこれを十件依頼中、見込みあり、というふうに、まさに連絡票に取引の貸す分と預金とをちゃんと軒いてあるわけですね。この連絡票は商工中金では貸し出しの稟議書につけて、貸付係から支店長などを回して初めて貸し付けが実行されるということになっているというんですね。ちゃんと判押していますわ。これは窓口、貸付係、次長あるいは支店長というところに全部判を押しているんですからね。こういうことになっている。しかも、これはなかなか手が込んでいるのは、預金の実際預け入れは貸し付けの日から十日以上たって他の銀行を経由して行われると、直接行われるという事態を隠すというやり方をやっている。この連絡票は、貸し付け後に預金が行われるかどうかを管理するために使われる。預金が実行された後にこの連絡票というのは廃棄されることになっている。政府系の金融機関が先頭に立ってこういう巧妙なやり方で拘束預金をやらせるというのはきわめて重要だと思う。関係大臣、こういう実情を御存じですか。

後藤達太大蔵省銀行局長

○政府委員(後藤達太君) 大臣御答弁の前にちょっと御説明さしていただきます。  ただいま先生御指摘の資料につきまして、いま中小企業庁と御一緒に至急調査をさせていただきます。  ただいま先生が御指摘の内容につきまして御説明さしていただきますと、もし先生の御指摘のように、定期預金を即座に取る、あるいはそれを即座に取ってはすぐ目立ってしまうものですから他の銀行を回して取る、こういうことは、特に、普通の銀行でもそうでございますけれども、政府系金融機関の場合に厳に慎むべきことでございまして、具体的にそういうことがございますれば即座に是正するように指導させたいと思います。  ただその中で、定期積み金のお話がもう一つございまして、これは実情をよく聞いてみないとはっきりいたしませんけれども、何か借り入れをいたしましたときに、分割返済をするかわりに定期積み金を積みまして、定期積み金が満期になったときに貸出金の返済期限が来る、こういう取引は間々現実問題としてあることでございます。そこまでは、これは借入金の返済方法としてやることがございますので、そこに無理がない場合には私ども特に全面的にいかぬとは申しておりません。そこら辺も具体的な実情について調べさしていただきたいと存じております。

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) 沓脱君、申し合わせの時間が過ぎましたから。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 はい。時間がありませんので、私が申し上げたような実情を至急に調査をして御報告をいただきたいと思います。  これで終わります。

後藤達太大蔵省銀行局長

○政府委員(後藤達太君) 中小企業庁と御一緒に早速調査をいたしまして御報告申し上げます。

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) 以上をもちまして沓脱タケ子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) 向井長年君。

向井長年民社党

○向井長年君 私は、まず総理に、総理の施政方針についてお伺いいたします。  総理は、先般の施政方針演説の中で、変化の時代だ、あるいは資源有限時代だ、経済の年だ、まあ言うならば、ことさらのごとく強調されております。総理は、歴代自民党内閣の重要な地位におられた方であります。しかも、三木内閣の時代においては、副総理の立場で経済を主に担当されておった。こういうことであって、今日の不況、財源難、その他内政面、もちろんこれは国際的な要因のあることはわれわれ存じておりますが、こういう中で反省と責任をどう痛感されておるか、この点についてまずお伺いいたします。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私も、お話しのように歴代内閣で重要な立場をとってきた、そういうことで、今日の事態につきまして責任は感じております。ただ、いま国際的に非常に困難な時期でありまして、そういう中において、わが国はアメリカ、ドイツと並んで世界の三つの機関車だと言われるような立場にあるということもまた御理解願いたいのであります。

向井長年民社党

○向井長年君 責任を痛感されておる、反省もしておるということでございますから、私はそれで当然だと思います。  あわせて、今日保革伯仲の中で総理は連帯と協調ということを強調されております。非常に結構なことです。いま衆議院におきましては減税問題が与野党で話されておりますから、私はこれには触れません。この連帯と協調を口にするならば、直ちにやらなけりゃならぬ問題があるはずであります。それはもう昨年からことしにかけて、また衆議院の先般の予算委員会でも各党が述べておるように、言うならば、野党が強くこぞって要求いたしております参議院の定数是正をいかに取り組むか、この問題についてお伺いいたします。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 日本の政界は、特に政権政党であるわが自由民主党は、あのロッキード事件というものについて本当にこれを深く反省し、そして再びああいう事態が起こらないようにこれを心がけなけりゃならぬと、こういうふうに思うんです。それはまあいろんな場所で申し上げておりますが、いろんな方法がある。その中で非常に重要な問題は、政治に金がかかるということなんです。その金のかかる政治体制を改める。その道は、一つは私は選挙制度の改正であると、また選挙制度の改正に関連いたしまして選挙資金の問題、また、まあ政党法という論議をする方もあるわけですが、それらをひっくるめまして金のかからないきれいな選挙制度ということを目指さなきゃならぬ。連帯と協調と私が言っております、そういう中で、私はまあ共通の土俵とも言うべきこの制度改正、これは私は各党各派、立場を超えてその目的に向かって率直に話を開始すべきだと言って、私ども与党の方にも呼びかけをいたし、ぼつぼつ話が始まっておるんじゃないかと、こういうふうに思いますが、そういう与党と野党との共通の土俵づくりの問題につきましては、これはもうみんなして話し合って、そして至急に検討すると。この検討の過程で全部が全部決まらなければ待っていなけりゃならぬと、こういうようなものじゃないと思うんです。話がつきますればそのついたものから実施すると、そういう中において向井さんがいま御指摘の定数問題もこなしていくべきだと、こういうふうに考えます。

向井長年民社党

○向井長年君 選挙制度の問題については、これは当然今後検討を要する問題であろうと思います。したがって、この問題を私たちは、否定するものじゃありません。しかし、いま衆議院におきましても、あなたたちいわゆる自民党は小選挙区制というような問題を党内ではいろいろ言っておる。あるいは参議院においては比例代表、全国区の問題を言っておるんでしょう。これは制度改制の問題ですね。非常に時間をかけて与野党のコンセンサスもあるいは国民の理解も得なけりゃならぬと、これはわかりますよ。しかし、衆議院で過去において分割定数是正が二十名行われたでしょう。しかも、それから御承知のようにいわゆる裁判によって違憲判決が出ておる。こういう中で参議院の場合においては、少なくとも著しい増のところについては定数是正をすべきである。いま総理知っておりますか、御存じだと思いますが、全国を見たときに、十七、八万から二十万で参議院に当選してくる、こういう地点があるんですよ。そうかと思えば東京、神奈川、大阪、どうなんですか。ことしは九十万から百万票を確保しなければ当選できないというんですよ。こういう不合理をそのまま認めていくかということですよ。したがって、昨年の公選法改正の中で、しかもこれが与野党の中で問題になって、最終的には河野議長のあっせんの中で、来るべきこの七月の改選期には増の問題は実施しようではないかという確認をしておるんですよ。いまお渡ししましたね。これは公明党、共産党がいま署名いたしておりませんが、しかし、それぞれ野党は全部賛成なんです、地方区は。そういう問題、いま自民党さんだけですよ、この問題をいままだまだ評価されないのは。こういう不合理をまず是正しなければならぬ。あなたの率いる自民党の安井会長が捺印をしておるんですよ。こういう問題を、金のかからぬ選挙だ、あるいは全国区なりその他の制度問題と一緒にやることは私は間違いだと思う。この際総理の決意のほどを聞きたい。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これは、要するに共通の土俵づくりの問題でありまするから、各党各派がみんな一致しなけりゃやるべきものじゃないと思うんです。まあ全部の一致でなくても、とにかく多数の人が一致しなけりゃこれはなかなか実現できない問題だと、こういうふうに思うんで、各党各派で速やかに相談をしてもらいたいと、こういうふうに考えております。

向井長年民社党

○向井長年君 相談をしてもらいたいって、相談は野党間はしておりますよ、現在。ほぼ意見一致しておりますよ、野党間は。自民党さんだけですよ、いままだ決められぬのは。あなたが総裁でしょう。やりなさいと、連帯と協調を言うならばこれをこの際やりなさいと。二十万で当選する、百万で当選する、こんな不合理ありますか。判決で明確に出ておる。少しでも前進する形をとらなきゃならぬというのが政府の考え方でなければならぬし、あるいはまたそれぞれの党であるわけです。こういう問題を各党間で相談してくださいって、そんな無責任なことは――総理、あなた総裁じゃないの。自民党が、こぞってやろうではないか、どの地点を求めようではないかという相談がなぜできない。明確に言ってください。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 与党に対しても相談をするように要請をしておるんです。しかし、これはとにかく国会で議決を要する問題ですから、これは与党も大事なんで、与党の意見統一ができなけりゃなかなかこれは国会だってスムーズに通過というわけにいかぬでしょう。そこで私は、与党に対しましてこれを各党と相談をしてくださいと、こう申し上げているんですよ。

向井長年民社党

○向井長年君 衆議院では相談されて定数是正やられたんでしょう。腰上げたんですよ、自民党は。なぜ参議院の場合、腰上げないんですか、こんな不合理がありながら。あなた腰上げたらいいではないですか。やってくださいじゃない、やろうではないかと、なぜやらないんです。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 重ねて協議を求めるように要請します。

向井長年民社党

○向井長年君 私は時間がございませんから多くは述べませんが、いまお渡ししました河野議長のあっせんが、次期七月の参議院選挙に間に合うようにやろうということですよ、いいですか。したがって、総理は間に合うように自民党を督励して野党と話し合う、こういう決意のほどをここで明確にしてください。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) とにかくこれは共通の土俵の問題でありまするから、これはもう与野党含めて各党各派の了承を得ると、こういうことが望ましいんだろうと思います。与党に対しましては、党の総裁といたしましてその相談を速やかに開始するように要請します。

向井長年民社党

○向井長年君 いま総理がそう言われましたので、総裁としてもやはり早急にやらなきゃならぬという立場に立って相談しようというように私は受け取りますが、よろしいですか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 先ほどお答えしたとおりでございます。

向井長年民社党

○向井長年君 次に、私はエネルギー問題について質問をいたしたいと思います。  福田総理もエネルギー問題は重大だと、しかも八四年ごろには大変な時期に来るかもしれぬと、こういうことを答弁たびたびされております。当然だと思います。そこで私はエネルギーの中期、長期の見通しについて通産大臣にお伺いいたしたい。

田中龍夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 中長期の件でございまするが、昭和五十年の十二月、総合エネルギー対策閣僚会議におきまして、今後所要の施策を決定いたしておりますが、輸入石油の依存度の低減、また非石油エネルギーの多様化を図りまする方向で積極的な施策を講ずる決意でございます。  具体的な施策の方向といたしましては、まず国産エネルギーの有効利用を図りまするとともに、準国産エネルギーと言えます原子力の開発を推進する。また、海外エネルギーにつきましては、その多角化によりましてリスクの分散を図りまするとともに、今後ともに当分の間エネルギーの大宗を占めます石油の安定的な確保に努めます。また、省エネルギーの推進によりまして、需要面からのエネルギーの供給に対しまする負担の軽減と、さらにまた、サンシャイン計画等新エネルギーの技術開発を促進いたします。  以上でございます。

向井長年民社党

○向井長年君 いま通産大臣から一応の見通しのお話がございましたが、これはそういう机上のプランであって、そう簡単にいかないと私は思う。計画はいいと思いますけれども、私はここで原子力問題中心に質問いたしたいと思います。  昨年の十月、アメリカの前国務長官のキッシンジャー書簡があったはずであります。各国の外務大臣に対するなにがあったと思います。これに対して一部新聞報道でもこれが連載されまして、非常に国民は誤解を持っている。これに対するわが国の取り組みはどうであったか、一応説明いただきたい。これは外務大臣から。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) お答え申し上げます。  昨年十月四日の日に、キッシンジャー長官から小坂外務大臣あてに通報が参ったのでございます。これは原子力政策に関しますフォード大統領の声明の発表に先立ちまして、その内容につきまして通報があったわけでございます。当時、小坂大臣は国連に御出張中でございました。政府は小坂大臣がお帰りになりまして、十月の十四日の日に、日米両国間の立場を調整するために速やかに協議を行いたい旨書面をもって申し入れた次第でございます。さらに政府は、同書簡の受領後に、直ちにフォード政権の原子力政策の立案に直接携わっていた米国政府関係者に対しまして、米国の政策の真意を問いただすとともに、米国の政策がわが国の原子力平和利用に著しい障害をもたらすことのないよう強く要請をしておりまして、外交上正規の手続を種々講じてきたところでございます。一部新聞等で報ぜられました事実につきましていろいろ調査もいたしましたけれども、そのような事実は全くないと、また先方にも確かめまして、そのようなことは全くないということを申しておりますので、これは何らかの誤解に基づくものではなかろうかと、こう考えておる次第でございます。

向井長年民社党

○向井長年君 外務大臣ね、これはやっぱり誤解を受けるような措置をとったと思うんですよ。ということは、これはERDAを通じて、先に十月六日ですか、やったと。外交チャンネルをもって外務大臣の書簡としては出していないんですよね。そこに私は一つの誤解があると思う。で、外務大臣が十四日にキッシンジャーに対してそれを出したんでしょう。したがって、これに対してどういう回答が来ているのか、これをお伺いいたしたい。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 当時の事情につきまして国連局長から御説明申し上げます。

大川美雄外務省国際連合局長

○政府委員(大川美雄君) ただいま外務大臣から申し上げましたとおり、外務大臣からは十月の十四日に、書面でキッシンジャー長官あてに、キッシンジャー長官の書簡をいただいた、そのフォード大統領の政策について事前に御通報いただいたことを感謝する、できるだけ早く日米で協議に入りたいという趣旨の返事をいたしております。その前に、ただいまおっしゃいました十月六日の接触は、東京におきまして科学技術庁と東京のアメリカ大使館の間での接触と承知いたしておりますし、そのほかにも、たとえば十月にも十一月にも、ロンドンにおきまして原子力平和利用関係の先進国の協議がずっと前から続いておりますけれども、そういった機会を利用いたしまして、外務省から出張いたしました参事官でありますとか課長が、アメリカ側の局一長あるいはその関係者に日本側の立場を十分説明いたしておりますし、さらにその後も、十二月に入りましてから、ワシントンにおきましてもアメリカ側に日本の立場を説明しております。  なお、さらに補足させていただきますと、十二月の暮れに、十二月の二十八日になりますけれども、東京におきまして、私から在京のアメリカ大使館の公使にも、いままでの日本の考え方を書き物に整理したものを手渡して、アメリカ側に理解を求めた経緯がございます。その後一月に入りまして、さらに幾つかの機会にアメリカ側に日本の希望を、あるいは日本の立場を十分伝達しているつもりでございます。

向井長年民社党

○向井長年君 外務大臣の書簡の内容は。

大川美雄外務省国際連合局長

○政府委員(大川美雄君) 十月の十四日の外務大臣の書簡の内容は、アメリカからそのフォード大統領の原子力政策を事前に通報してもらったことに対して謝意を表して、それから、速やかに日米両国間でこの問題について協議を行いたいと、こういった趣旨でございます。

向井長年民社党

○向井長年君 その後、カーター新政権が生まれて、カーター大統領から特に拡散防止に伴う原子力政策について発表されておりますね。これについてわが国の取り組みの姿勢はどうなんですか。

宇野宗佑自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(宇野宗佑君) わが国の核燃料サイクル確立、なかんずく再処理問題に関しまして、これは非常に大きな影響があろうかと存ぜられますので、去る十八日、原子力委員長代理井上五郎さんを団長といたしまして、アメリカにその全貌の説明を受けるとともにわが国の立場を説明するという使節を派遣いたしました。

向井長年民社党

○向井長年君 説明に、いま井上原子力委員長代理が行っておるわけですね。それに対する話は、いまから進めておるんでしょう。そうすると、このキッシンジャー書簡からくる核燃料の確保は今後どうなるんですか。

宇野宗佑自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(宇野宗佑君) 核燃料の確保は、カナダから現在天然ウランを輸入いたしております。これはアメリカで濃縮をしてもらっております。したがいまして、カナダからの分は昭和六十二、三年度までの分を確保いたしております。なおかつ、アメリカにおきましては六千万キロワット分に相当する濃縮役務の契約を完了いたしております。六千万キロワットと申し上げますると、先生御承知のとおり、先ほど通産大唐から御説明がありましたとおり、昭和六十年度の一応現在の長期計画が原子力におきましては四千九百万キロワットでございますから、それを上回る分の濃縮役務はすでに契約済みであるという現状でございます。

向井長年民社党

○向井長年君 カーター大統領の原子力政策に伴って何ら支障ございませんか。カナダは一月でこれは停止するというようなことを言っておりますが、支障ございませんか。

宇野宗佑自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(宇野宗佑君) カナダとの交渉は二点ばかり残っております。その一点は技術の輸出、もう一つは濃縮の問題でございます。で、極力妥結するようにただいま折衝が続けられておりまして、私も先般カナダの大使が当庁に参りましたときに、十二分にその点をお話し申し上げております。したがいまして、ことし入る天然ウラン、これがERDAに渡されるわけでありますが、この分は昭和五十五年ごろの取りかえ燃料の分でございますから、十二分に先ほど申し上げましたとおり余裕を持っておりまするから、現在のところまあ支障はないのではないかと思いますが、しかし、それでは甘うございまするから、極力カナダとの間におきまして協定改定ができるというふうな態勢をいま外務省を通じてやっておるわでけございます。  なおかつ、アメリカとの間におきましては、これは最終的に日米原子力協定がございます。この日米原子力協定によりまして、アメリカから受領した核燃料の再処理については、日米同時にその保障措置を決定せよと、こういうことがございますから、そういうふうな決定ができる段階を迎えるようにただいま鋭意折衝中でございます。

向井長年民社党

○向井長年君 科学技術庁長官、非常にその考え方甘いのじゃないですか。私はそううまく進まぬと思いますよ。したがって、アメリカ政策から考えて、これは拡散防止に伴う問題からくるわけでありますが、これに対して分散さすこと――いずれ再処理問題は、プルトニウムが出てくるのですから、そういう問題は停止すると、あるいは規制をしようというなにが強いでしょう。だから六十二年度ですか、そこまでは確保できるのだというような考え方で鋭意折衝はいいけれども、そういう甘さは、私はもっと深刻に考えなきゃだめじゃないかと思うのですが、この点どうです。外務大臣も含めて。

宇野宗佑自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(宇野宗佑君) ただいまといたしましては、決して悲観もいたしておりませんが、先生御指摘のとおり、絶対楽観できない問題であると、非常に事態をシビアに受けとめまして、わが国といたしましてはすでに平和に徹しておる国家でございまするから、したがいまして、原子力の問題は平和利用のみに限られて、わが国は研究開発、そして利用が図られておる旨をアメリカにも十分伝えたいと存じますし、またわが国がウランそのものもない国でありまするから、したがいまして、今後世界の景気、経済に寄与せんとするからには、やはりエネルギー問題は自主的な開発をしていかなくちゃならぬ。そのためには、わが国独自の核燃料サイクルをひとつ確立しなければ、日本はとうてい生きていけないし、また世界の経済にも寄与することができない、この点をやはり盟友アメリカに強く要請をしていきたいと、かように存じておる次第であります。

向井長年民社党

○向井長年君 強く要請されることは非常にいいと思いますが、これいまも大臣言われましたように、これからの開発まず六千万キロ、これが一応決定したら修正されましたね、四千九百万キロワットに修正されました。エネルギー閣僚会議で云これを確認しておりますね、四千九百万キロワット。これ事実上やれますか。

宇野宗佑自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(宇野宗佑君) 原子力委員会が昭和四十七年に決めました長期計面が六千万キロワットでございまして、一昨年ーー昭和五十年十二月にエネルギー需給計画として閣僚会議で決められましたのが四千九百万キロワットでございます。私も過般の閣僚協議会におきまして率直に申し上げまして、現状から原子力による四千九百万キロワットは非常にむずかしいのではないかと。だから、原子力委員会また閣僚会議ともどもに政府一本となって新しい需給計画を立てる必要があるであろうとかように申しておりまして、そのような方向で今後この問題を煮詰めていきたいと存じておる次第であります。

向井長年民社党

○向井長年君 これ、閣僚会議のメンバー、総理ね、一番責任者と思いますが、こういう計画は立てておるが、これは非常にむずかしいと。しかも、これ経済研究所ですか、エネルギー、この研究所では、とても四千九百万キロは無理だと、せいぜい二千七百万キロぐらいだろう、こういうことを言っておるのですよ。提言されておるかどうか知りませんが、この点どうなのですか、もう少し明確にやはりしないと誤謬を起こしますよ。

宇野宗佑自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(宇野宗佑君) これはわが国の国民生活並びに経済生活に関しましても重大な問題であることは、もう先生御承知のとおりだろうと思います。すなわち、昭和六十年度の経済成長率を六・六と見ての想定でございます。なおかつ、エネルギーの弾性値は一・一であります。それを一・〇と見ておりまするから、一割節約するというふうなたてまえでこのことが考えられております。そのときの石油の輸入量が四億八千五百万キロリットルでございますが、率直に申し上げまして、その当時果たしてそれだけのものがわれわれ確保できるであろうかということも考えなくてはなりません。この二年の間に大きく事情は変わりまして、産油国では、天与の石油を燃料として売るのじゃなくして、自国でむしろ原料として用いたい、そういうふうな意向も非常に大きく動き出したということを考えますと、今後石油の問題も、先ほど通産大臣がおっしゃいましたとおりに、確保を図っていかなくちゃなりませんが、では代替エネルギーはどうかということになりますと、いま私が率直に申し上げましたとおり、四千九百万キロワットは非常にむずかしい状態でございます。したがいまして、現在建設中のもの、また運転中のもの、電調審のもの、全部合わせまして二十八基ございますが、これでおおむね推定されるところの発電量は二千七十九万キロワットでございます。それをもう少しく上回らしたいということで努力いたしておりまするが、その点に関しましてはやはりパブリックアクセプタンスが必要である。つまり住民の方々の需要ということが必要である。そのためには、相当われわれも安全性ということを先頭に立てまして、同時にその解決をも図っていかなくちゃならぬ、こういうふうな決意でございますので、やがて閣僚会議におきましても新しい数字を出しまして、実現性のある数字でなくちゃいけない、また整合性のある数字でなくちゃいけない、かように存じております。

向井長年民社党

○向井長年君 いま長官も、大体四千九百万キロワットは非常に困難かもしれぬということを言われておりますが、その主なる理由は何ですか。困難な主なる理由は何ですか。

宇野宗佑自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(宇野宗佑君) 率直に申しますと、幾つかあろうかと存じまするが、やはり原爆唯一の被爆国であるという日本には核アレルギーがございます。そうしたことでなかなか住民の方々の不安を解消することができないと、こういうことがあるのではないかと存ぜられます。したがいまして、まず原子力に対する安全性を確保して、そして国民の不安感を払拭する、これをわれわれの政策の第一義と心得なければならないと存じておる次第であります。

向井長年民社党

○向井長年君 科学技術庁長官はそういうことを言っておられますが、政府はその姿勢になっておりますか。たとえば、総理、電調審ってありますな。この電調審――電源開発調整審議会、これは、通産大臣、法律根拠はどこにある。

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) 通産大臣田中龍夫君。

向井長年民社党

○向井長年君 これは企画庁長官だ、担当は。

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) 通産大臣は取り消します。

倉成正自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(倉成正君) お答えいたします。電源開発促進法でございます。

向井長年民社党

○向井長年君 電源開発促進法ということになりますと、開発を促進しなければならぬという立場に立った審議会です、調整審議会。この長は総理大臣、そして関係大臣が全部入っている。この皆さんが本当にいま重大なエネルギー問題であるという形で取り組んでおられますか。総理、どうですか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私も企画庁長官をしておったんですが、これは関係各省庁熱心に取り組んでおると、こういうふうに私は考えております。

向井長年民社党

○向井長年君 それは、そういうことを言わざるを得ないでしょうが、事実は各省のそれぞれの縦の線の、言うならば、悪く言うならなわ張り根性、けさからもあったでしょう、閣内不統一という問題、それと同じような問題で、科学技術庁はその問題で一生懸命になっている、通産省は通産省で別にやっている、建設省は別だ、農林省は別だ、そういう関係でこれが調整が十分じゃないということ、まず閣内において。それだから立ち上がらないんですよ。そこに一つの大きな理由があるんじゃないですか、企画庁長官、それから通産大臣。

田中龍夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中龍夫君) ただいま御指摘のごとく、そういうふうな不合理があっては相なりませんので、先般総理大臣を、長といたします関係の閣僚集まりまして、そして推進閣僚会議を決定いたしました。なおまた、その実務機構といたしまして、通産省が事務を担当いたしまして関係各省を集めました推進対策本部を設置いたすことに相なっております。政府を挙げてこのエネルギーの問題に取り組むという強い姿勢で、不日発足いたす予定でございます。

倉成正自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(倉成正君) お答えいたします。  恐らく向井先生のお話は、当初の計画に比して実際の実施が非常におくれているじゃないか、その点について各省の連絡が不十分ではないかという御指摘じゃないかと思います。この問題につきましては、御承知のように、電源開発というのが、最近環境問題が非常にやかましくなってきたことと、また住民の御理解がなければこの電源開発が進まないということで、古くからたなざらしになっている多くの個所があることが事実でございます。したがいまして、これらの問題について、これからは電調審等にかけます際には、事前に十分各省間の連絡をとった上でこの電調審にかけていき、ここでかかったものは必ず早急に実施ができるように取り計らっていきたいと思っておる次第でございます。  また、特に原子力の問題は、安全性の問題が非常に重要でございますから、科学技術庁長官を長とする原子力委員会の方でさらに御検討をいただくということにいたしておる次第でございます。今後とも、各省庁の連絡を密にして、そういうことのないようにいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。

向井長年民社党

○向井長年君 ここでは総理、こういうように長官はそれぞれ責任あるからと言っておられますが、たとえば新潟の柏崎の東電のあれが十九年かかっているんですよ、電調審を通ってから。これはどういうことなんですか。それだけじゃありません。九州、鹿児島においても、各所においてそういう問題が起きておるわけだ。あなたたちが本気に取り組んでないということですよ。事業者任せであるということですよ。国家的事業でしょう。一事業者の問題じゃないはずなんだ。この問題、あなたたち、口でここで取り組んでおると言うけれども、事実上そういう状態が福島でも起きておれば、新潟でも島根県でも、各所で起きておるんですよ、実態は。政府はどうされるんですか。

宇野宗佑自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(宇野宗佑君) 電調審の決定が終わりますと、続きまして設置者は、御承知のとおり、原子力委員会並びに――原子力委員会はそれを出金専門審査会にかけるわけでございます。そこで、非常にいま時間がかかっておりますのは、いま御指摘の柏崎は地盤が悪い、だから問題があるんじゃないかというふうな猛烈な反対もございます。そうしたものに対しまして、やはり安全の寺場上は十二分にそのことに対して説明し得る立場を得なくちゃならぬ。この間も陳情団が参られました。私もだからそれをせきました。このような調子ではだめだからもう少しく早くできぬかと言いましたが、やはり安全ということから考えますと、非常に慎重にこの問題は対処しなければならないというふうな安全専門審査会からの答えでございましたので、そういうふうないろんな事情もあるということを特に御説明いたしておきたい、思います。

向井長年民社党

○向井長年君 安全性はあくまでも確保しなければならぬと思いますよ。それはわかるが、電調審で通して、そして十九年もかかる、三年も五年も十年もかかる、こんなことで努力しておることにならぬですよ。政府が取り組んでおることじゃないですよ。事業者任せでしょう。総理、そうじやありませんか。その点どう考えられます。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 御指摘のように、電調審を通りましても、なかなかこれが実現できないという個所が幾つかあるわけであります。資源エネルギー、このことを考えますと、これはもう容易ならざることなんです。今度エネルギー対策のための内閣の機構、これを整備いたしましたので、この際一つ一つチェックいたしまして、隘路はどこにあるのか、その隘路につきまして手当てをするとか、最善の努力をいたします。

倉成正自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(倉成正君) 向井先生にお答えいたしたいと思いますが、実は、先ほど柏崎刈羽一号のお話じゃないかと思いますが、これはもちろん話がいろいろ出てからはかなりの年月がたっているわけでございますが、電調審にかかって、電調審で決定しましたのは四十九年七月でございますので、この点は御理解を賜りたいと思います。

向井長年民社党

○向井長年君 それがおくれておるんですよ。電調審決定がなぜそこまでおくれるかということですよ、そうでしょう。調整しなけりゃならぬ役目にあるでしょう。促進法に基づいてやっているんでしょう。そういうことを明々と当然のごとく言うのがおかしいというのです、私は。そうでしょう。そういう立場と、もちろん地元のコンセンサス、安全性、必要です。これは当然やらなきゃならぬ。しかし、総理ね、私は、地元で反対が三つの種類があると思うんですよ。一つは、これはやはり放射能の、言うならば危険性があるのじゃないかという素朴な不安、国民のね。この不安に対しては、政府が十分安全性を確保すると同時に、国民に理解を得る努力が一つ必要、事業者が言っても信用しないかもしれない。これはやはり政府がやらなければならない問題。もう一つは、やはり補償問題で、言うならば条件闘争ですよ。反対理由ね。補償を上げてもらうならばおれは了解しようという条件闘争、これは事業者とまた政府もタッチして調整をしなければならぬ問題である。もう一つはイデオロギー反対ですよ。イデオロギー反対というのはほっておいたらいいですよ、これはもう。外人部隊がどんどん来てやっておるでしょう。ああいう部隊は別として、他の二つについては、十分政府が責任を持って努力しなければならぬ問題じゃありませんか、どうですかこの点。

宇野宗佑自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(宇野宗佑君) 御指摘のとおりでございます。したがいまして、本年は、特に原子力発電に関する安全を確保するために、またこの国会で御審議賜ると思いますが、原子力基本法の改正等をも出したのでございます。なおかつ、住民の方々の御意見を行政に反映するということも必要でございますから、本年度はモニター制度を敷いたということも、先生御承知のところだろうと存じます。もう一つ大切なことは、やはりその地域に対しましてそれだけいろいろ問題があったわけでございますから、政府といたしましても温かい思いやりで臨まなくちゃならぬ。今日ただいまは、電源三法がございまして、これによって地域に対しまして諌言を申し上げておるわけでありますが、やはりこの三つを総合いたしましても、一番大切なのは安全性を住民の方々に確認していただくということでございますから、この点は今後も鋭意努力をいたしたいと存じます。

向井長年民社党

○向井長年君 思いやりというのか、そんなの当然でしてね、やらなきゃならぬ問題ですから、地域住民に理解を伴うような努力は政府自身がやるということ、そのためには大臣も、それぞれの担当大臣は現地に赴いて、それに対する国民とコンセンサスを伴うような状態をつくり上げるということですよ。こういうことやらなければだめですよ、これは。できませんよこれは。これは総理、そういうことをひとつ確認いただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 一々ごもっともと思いますので、そのようにいたします。

向井長年民社党

○向井長年君 時間がございませんので続けますが、続いて、先ほどもお話に出ておりますウラン濃縮技術開発と、それから再処理問題、これはアメリカとの関係もありますが、これは少なくともやはり国内でやらなけりゃならぬでしょう。その方針でしょう。方針であるとするならば、これに対する対処の仕方がある。いま現在、この使用済み燃料の、核の言うならば再処理問題は、一部は諸外国に依頼する、各事業者がね。あるいは動燃がいま試運転をやろうとしている、これは規模が小さい、十分じゃないですよ。今後これにどう対対されますか。

宇野宗佑自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(宇野宗佑君) 先ほど申し上げましたとおり、再処理は、これはもう核燃料サイクルの目玉でございます。もう生命線と申し上げても過言でございません。で、現在、先生御指摘の動燃の再処理工場がございまして、この夏には使用済み燃料を使いましてホット試験に入る。明年度からはいよいよ本格操作に入りますが、一年間の処理量が何と申し上げましても二百十トンでございます。昭和六十年度を一つ考えました場合に四千百トンぐらいの累積で需要がございますから、このためにはどういたしましてもやはり第二再処理工場を建設する必要に迫られております。もちろんその間は、現在英国並びにフランスに対しましておおむね千八百トンの処理は、これはお願いできとるわけでございまするが、これでは足りませんから、さらに追加をお願いする所存であります。

向井長年民社党

○向井長年君 この再処理問題については、二つ私はあると思うのですよ。  一つは、いま動燃が手がけておりますから、政府資金を投入してここで再処理をするか、あるいはそうでなければ、法律を改正をして、そうして民間の出資を伴ってやるか、この二つですよ。どちらをやろうとしているのか。

宇野宗佑自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(宇野宗佑君) 現在の再処理工場も当然フルに動かしていきます。同時に民間による第二再処理工場の建設を速やかにしなければならない、かように心得ております。

向井長年民社党

○向井長年君 法律改正するんですか。

宇野宗佑自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(宇野宗佑君) これには規制法の改正が伴いますから、本国会にその問題も提案をいたしたいと考えております。

向井長年民社党

○向井長年君 出しますか。

宇野宗佑自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(宇野宗佑君) 出します。

向井長年民社党

○向井長年君 この再処理問題、濃縮ウラン技術問題、開発問題、これアメリカとの関係はどうですか。

宇野宗佑自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(宇野宗佑君) 濃縮に関しましては、現在アメリカでやってもらっておりまして、それは先ほどお答えいたしましたとおりに、六千万キロワット分の濃縮役務の契約は終了であると、こう申し上げました。なおかつ、再処理に関しましては、先ほど来申し上げましたとおり、非常にむずかしい問題ではございまするが、最終的には日米原子力協定で決定して、初の決定でございますけれども、その中においてひとつお互いに今後協定し合いたいとこう思いますので、速やかにこの再処理に関する決定を急ぎたいと、かように存じております。

向井長年民社党

○向井長年君 当然、原子力の平和利用でございますから、国民は理解すると思いますが、これに対してやはり各国とも拡散防止という問題がありますから、したがって国際管理下の中に響こうという感じが私は出てくるんじゃないかと思います。これに対して日本政府はどうですか。

宇野宗佑自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(宇野宗佑君) 一時、IAEAで再処理工場、これをセンターとして設けてはどうかというような話もございました。しかし、現在われわれといたしましては、やはり第二再処理工場は日本独自のものとして持っていきたいという感触でございます。しかしながら、世界の流れというものは、核拡散、これを防止しようと、これにはもうわれわれ双手を挙げて賛成でございまするが、しかしまだ核保有国とそして未保有国との間におきましては大きなギャップがあることは、先生も御承知のとおりだろうと思います。したがいまして、NPTを批准いたしまする際にも、国会決議でそうしたことが大きくうたわれておりますから、われわれといたしましても、国際的に本当に平等的な立場において平和利用ができるや否やと、こうしたことをやはり再度にわたって確認はしていかなければならない、かように存じております。

向井長年民社党

○向井長年君 続いて、これは自治大臣にも関係ありますが、先ほども少し出ておりましたように、地域振興――電源地帯に対する地域振興のために、これは原子力だけじゃありませんが、旧源三法が田中内閣時代に生まれました。これは私は当然地域振興のためにいいと思いますが、その後核燃料消費税というものを取っておるんですね。これは自治大臣の認可のもとに生まれている。福田法務大臣おられますが、福井県でこれが生まれた。こういうことはどんどんやっていくのですか。

小川平二自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(小川平二君) お答えいたします。  核燃料税は御承知のとおり法定外普通税でございまするから、税収を確保する財源がある、またそういう税収を必要とする特別の財政需要がある、この二つの要件を備えておりまする場合に自治大臣はこれを許可しなければならない、こういう法律の規定がございます。福井県の場合は、原子力発電所の立地県でございまするし、同町にまたこれに伴って安全対策あるいは環境保全のために相当の財政需要が出てきておるわけでございます。したがいまして、これを許可したわけでございます。御質問は、今後あちらでもこちらでもこういう問題が出てくるのではないかという御趣旨であったかと思うんでございますが、ほかの場所から申請がございました場合は、要件を具備しているかどうかということを慎重に検討いたします。

向井長年民社党

○向井長年君 、電源三法によってのいわゆるその地域振興のためのやつはどう使われておりますか、通産大臣から。

田中龍夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 電源三法の問題につきましてエネルギー庁長官からお答えいたします。

橋本利一資源エネルギー庁長官

○政府委員(橋本利一君) 電源三法によります収入は、かれこれ年間三百億程度あろうかと思います。そのうち、ごく概算でございますが、二百億を地元市町村に交付し、あと百億を原子力の安全関係の実証データを得る等の研究費として使っておるわけでございます。われわれといたしましては、電源三法で立地促進をいたしたいということでございますが、ただいま御指摘の核燃料税につきましては、実は電源三法では、その電源が存在する周辺市町村ということになっておりまして、府県にまでその収入が及ばないといったような点もございます。かたがた、先ほど自治大臣からお話がございましたように、府県当局としても電源が来ることによっての諸般の経費支出も必要かと思いますので、そういった意味合いにおいて、好ましいものでございませんが、やむを得なかったものというのが私たちの理解でございます。

向井長年民社党

○向井長年君 総理から答弁いただきたいのですがね、屋上屋なぜ重ねられるんですか。これすべて国民負担ですよ。いいですか、コストにはね返るんですよ。少なくとも地点においてやはり振興のためにやろうということでこれは決定されたと思います。ところで、地点じゃない、これは県へ入るんですよ。そんなのは政府の交付税なりその他でやるものであって、こういうことをやればコストにすべてはね返ってくると、こういう二重、三重のことをなぜやらなければならないか。しかも、この振興に取った電源三法の費用が研究費に使われているというんですよ。こんなもの研究費に使う性格のものじゃないでしょう、通産大臣。地域振興のためにやるんでしょう。それをそういうところで取っておるんじゃなくて、そういうものまでこれからまだまだ入ってきますよ、これ一千億になりますよ。そんな二重、三重の税金を取るということは、私はおかしいと思う。屋上尾を重ねるんじゃなくて、もし原子力が必要であるならば、その水力、火力、原子力の中で原子力の分野を多くしてもいいではないですか、改正して、交付する額を。にもかかわらず、こういう形でどんどんどんどんふやしていくと。しかもこれは、その地域じゃなくて、県全般に入る一般の会計ですよ、一般の財政ですよ。どうですか、この点、総理。

田中龍夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中龍夫君) ただいまの御意見はまことにごもっともと存じますが、われわれ今後なお検討してまいりたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) あの制度はまだ発足してわずかの期間でありまするが、概評としてはなかなかいい効果を上げておるというふうに聞いておるんですがね。向井さんの御指摘でありますので、十分私どもも検討してみたいと思います。

向井長年民社党

○向井長年君 これは時間ないからこのくらいにして他の機会に譲りますが、最後に、時間ございませんから行政管理庁長官、行政改革について、これは自民党の行政改革特別委員会とかあるいは臨時行政調査会等でたびたび答申されておりますが、全然それがはかどっていない。しかも、総理は八月ごろには具体的に出すと言っている。どういうスケジュールで出されるのですか。いままでのやつを見ますと、これは特殊法人、特に事業団、あるいは公団、これに対する統廃合の問題も出されているが、全然やられていない。あるいは定員制の問題見ても、これが五%、五%あるいは三・何%で減らすということが確認され決定されているのですよ。これが七百人ふえておるという現状。こういう問題について総理はどういう形で八月までにやるという、そういう趣旨であるのか、やるとするならばどうしてやるか、ちょっとお聞きしたいと思う。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私ですか、そっちですか。

向井長年民社党

○向井長年君 総理、総理が八月までにやると……。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私は、世の中が変わってきた、そこで国、地方公共団体、企業、国民、全部が姿勢の転換を行わなきゃならぬということを強調しているわけですが、それにはまず政府がやらなきゃいかぬ。私は五十二年度の予算におきましてもそれを実現したいと思ったんですが、とにかくまだ内閣も発足して余日もない。そういう状態で、制度改正までは行けなかったのです。そこで、まず金の方はひとつ詰めようというので、これは思い切って今度の予算案では詰めてあります。制度につきましては、これはこれから検討いたしまして、そうして八月ごろまでに大方の結論を出して、そして五十三年度予算においてこれを実現をする。それから予算措置、あるいは法的措置、そういう関係のないものにつきましては、これは結論が出次第実行しよう、こういうふうに考えておるのですが、さしあたり、まあ私はいままで、いろいろ、調査会とか、行政監理委員会とか、そういうところで結論が出て、そして政府に建言、意見答申等があるのです。そういうものをさしあたり全部チェックしてみたいと思うのです。一体これがどういうふうになっておるのか。それからさらに、それと並行いたしまして、まだそれに上乗せをいたしまして、機構をどうするかという問題も検討してみたい。その機構と申しますのは政府――狭い意味の政府じゃありません、これは特殊法人等も含めまして検討したいと、かように考えております。

向井長年民社党

○向井長年君 西村行管長官ね、これ今日までたびたび勧告したやつもあるのですね。これが実行されていない。いま総理がそういう決意を表明されましたが、あなた担当大臣だが、今後どうされますか。

西村英一自由民主党行政管理庁長官

○国務大臣(西村英一君) 少しもやっていないじゃないかというお話でございますが、そうではないのです。私は臨調の問題につきましても、臨調の問題は五十項の要求があったのです。そのうち約四十項は、全部やはり片づけたものもありますし、一部片づけたものもあります。まあ積み残しておるものもありますけれども、政府も、定員の問題につきましても、昭和四十三年からずっと今日までやっておるのです。いま第四次の定員削減をやっておるのでございまして、機構につきましてもやはりやっておるのですが、なかなか進まないことも事実でございます。しかし、いま総理が申しましたように、財政硬直化の折ですし、また大分世の中も変わりましたので、今度は取り組みたいということで、総理の指示を受けておる次第でございます。しかし、機構の改正と言いましても、やはり役所の組織を変えるということは非常に慎重にやらなければならぬと思うのです。一つの大きい組織をつくれば、やはり朝令暮改ではいけないので、慎重に取り組まなきゃいかぬということで、ただいませっかく検討しておる最中でございまして、やはり皆様方の御要望、われわれの決心も十分定めてやるつもりでございますから、どうかひとつ御協力のほどをお願い申し上げたいのでございます。

向井長年民社党

○向井長年君 総理ね、いま長官そういうこと言われておりますが、一つ例をとってみますと、特殊法人の整理の問題も、一昨年、これはあなたの自民党で、三分の一の統廃合をやるということを、統廃合をやって二割の削減をやるということを決定しておるのですよ。一つもできてない。これはなぜかというと、やっぱり各省のなわ張り根性ですよ、言えば、外郭団体ですから。こういう中で、やはりこれは困るということで反対できないんですよ。思い切ってこれを断行しなきゃできないということなんです。だから幾ら勧告とか言われているけれども、事実上これはほとんどできていない。定員制問題しかり。民間がこの不況の時代にどうしていますか、各民間の企業が。それぞれ合理化なり、あるいはまたあらゆる経費節減のために努力されている。政府がやはり親方日の丸精神があってはいけないということですよ、これは。その点、いま八月までと言われたやつは、慎重であってもいいが、勇敢に、私は早急にこれはやらなきゃならぬ問題。そのためには、できるならば与野党のコンセンサスも必要でしょう、国民のためにも。そういう中で、国会に特別委員会でも設けて具体的な問題を検討されたらどうですか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 行政改革に取り組む姿勢につきましては、向井さんが御指摘のような考え方で取り組んでいきたいと思うのです。これはなかなか言うべくして困難の非常に多い問題です。これはしかし、時勢が時勢です、政府が率先して姿勢転換をするということでなけりゃ、何をもって国民を説得することができましょうかと、こういうふうに思いますので、決意を新たにしてやってみたいと、こういうふうに考えます。  それから、この問題は、やっぱり国会で御協力を得るということになりますれば、大変私はいいと思うんです。私どもの党の力にも申しておきますが、ぜひその御相談がありましたら御協力のほどをお願い申し上げます。

向井長年民社党

○向井長年君 最後に要望。  そういうことで、私これで質問終わりますが、時間が参りましたので終わりますが、この問題は、やはり大きな一つの効率化、能率化、そして財源確保、こういう三つの大きな意味を持っておりますから、総理は、ひとつ勇敢に、これこそ連帯と協調、そして国会の中に特別委員会を設けてやるという決意を私はしていただきたいということを要望いたしまして、終わります。(拍手)

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) 以上をもちまして向井長年君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) 橋本敦君。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 私が昨年の暮れアメリカに参りまして、一月ごろまで調査をいたしましたが、その間、レイナード氏に会うなど、多くの関係者に会いまして、いろいろ重要な問題を提起をいたしました。それ以後、各新聞社もこれをフォローアップするなど、いまロッキード問題に続きまして、いわゆる金大中事件を含む日韓のいろいろな問題が、これの真相究明という問題で重大な政治課題になりつつあります。  そこで、まず話の道行きとして、私は総理にお伺いをしたいのですが、総理、あなたはロッキード事件について、余すところなく解明をすると、こうおっしゃっておられる。そこで聞くのですが、この金大中事件、これについても余すところなく徹底的に捜査を遂げる、こういう御決意がおありかどうか、まず所信を伺いたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 金大中問題につきましては、捜査当局においてただいま捜査を継続中でありまして、この捜査はさらに継続してまいると、こういう考えでございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 ロッキード事件も継続中です。ロッキード事件について、あなたは余すところなく解明するという決意を述べられた。金大中事件についてもそういう決意があるかどうかを聞いているのです。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) ロッキード事件につきましても同断でございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 同じように余すところなく解明する決意があるというように私は御答弁を受け取ってよろしゅうございますね。――うなずいていらっしゃる。  そういたしますと、総理、私は疑問がある。このレイナード発言が私の記者会見その他新聞記事で報道されたときにあなたがおとりになった態度は、一私人の言うことである、一々これに関与することはないという態度をおとりになったと新聞は報じている。これは私は、いまあなたが徹底的に解明をする決意だとおっしゃったこととは矛盾をするのではないか。いやしくも二年前までわが国外務省を通じても親しい関係にあり、またいろいろとアメリカ国務省とも関係があった、その中で朝鮮部長という要職にあったレイナード氏、言ってみれば公人中の公人の一人の方ですが、この方がおっしゃったことについてそのように軽々な御発言をなさることは、いまあなたがおっしゃった決意があるということとも矛盾するのではないか、あるいはレイナード氏に対して失礼ではないか、あるいは総理に本当にこの問題を解明する決意がおありでないのではないかと、こういう疑問を私ども国民は抱かざるを得なかった、こういったこれまでの態度について御反省がおありでしょうか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) まあ、一私人と申しましたが、とにかくわが国の政治に関する問題であると、そういうことで、いま外務省をしてせっかく発言の実否、その内容等につきましてこれを調査しております。これが手がかりになってロッキード問題の解明が一歩でも前進ということになれば、やっぱりそれなりの手続はとらなきゃならぬと、こういうふうに考えております。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 いまの答弁は納得できません。すでにレイナード氏から、橋本議員も含めて、報道関係者に伝えたことは大筋において正しく報道されているという回答が外務省に届いていますよ。そうでしょう。御存じでしょう。そういう事態の中で、なおかつこのレイナード氏の証言についてこれを軽々に見るという御姿勢ですか、重視をするという御姿勢にお立ちになりますか、はっきり御答弁いただきたい。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) この話は、これは軽々には見ません。日本の政治の信用に関することですから、重大な問題であると、こういうふうな理解でございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 折からきょうは田中角榮第二回公判が開かれております。これに関連して、安原刑事局長に投資上いろいろ御苦労願いまして、一言お伺いしておきたいんですが、それは、――いらっしゃっておりますか。――昨年の二月五日、例のコーチャンが、米上院チャーチ委員会におきまして、公開のヒヤリングで、日本の政府高官に多額の賄賂を贈ったという証言をいたしまして、ロッキード事件が大きく発展をいたしました。このコーチャンの宣誓の上でのこのチャーチ委員会の証言というのは、いままでの捜査の経過に照らして、捜査当局としては十分信用し得るものであったと、こうお考えになっていらっしゃると私は思いますが、刑事局長、いかがでしょう。

安原美穂法務省刑事局長

○政府委員(安原美穂君) いま御指摘のように、コーチャン氏の証言の内容が公訴事実としての贈収賄罪として公判請求をしたということでございますので、コーチャン氏の証言は結果的にはわが国の検察の判断と一致しておったという意味において信頼すべきものであったということに相なるわけであります。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 コーチャンの場合は犯罪共犯者の一人です、言ってみれば――イミュニティーは出されましたが。しかし、レイナード氏はもちろんそんな関係はありません。特に日本との関係、それについてとやかく関係があるわけじゃない。しかも朝鮮部長という公職にあり、言ってみれば、こういう国会ならば、政府側――政府委員として答弁なさる地位にある方。こういう方が公開の法廷で宣誓の上証言をされた。この証言は私は十分に信用し得るものだというように理解をしていくのが当然の筋道であるし、政府としてもそう考えるべきだと思います。現に、このフレーザー委員会の議事録を見ましても、長時間にわたるレイナード氏の証言が終わった最後に、フレーザー委員長は、この証言を多とした上で、こういうように言っておられました。レイナード氏の証言は当小委員会が韓国KCIA問題についてより多く学び知るということのためにイノーマスリー・ヘルプフルである。つまり、イノーマスリーというのは、字引を引きますと、巨大な、とてつもなく大きいという意味ですね。本当に大変な役に立った、こういうことで異例の感謝の辞を述べておられる。こう考えますと、このレイナード氏の宣誓証言というものは十分に信用し得るものであるという立場において金大中事件の解明に進まねばならぬ、私はこう思います。このレイナード氏の公開のヒヤリングにおける証書が十分信用し得るものであるという私の意見、外務大臣はどうお思いでしょう。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 先ほどレイナード氏が一私人という表現を使われたというお話がありましたけれども、これは先方の国務省の人がそういう表現を使っておるものですから、それを述べたのでございます。私ども、いわゆるフレーザー委員会の証言もいただいておりますし、その証言内容につきましてはいろいろ研究をしているところでございます。しかし私ども、いま問題となっておりますのは、その事実をつかむということであります。この全般的に信用できるかどうかということを私は判断できる立場にございませんけれども、そこで申し述べられていることは、問題点につきましては、やはり推測だということをはっきり述べられております。そういう点、いま事実を検察当局が一生懸命捜査をしておりますので、その事実の点につきましては、私どもはここでコメントをすることはできない立場にあります。ただ推測、KCIAが実行したんだという――どうもその証言から見ますと、初めからそういう頭で考えておられるという節がありまして、その点がわが国の捜査上のこれが参考になるかどうか、広い意味にはなると思いますけれども、それが確実な証拠になるかどうかという点につきましては、私どもは疑問に思っておる次第でございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 外務大臣は疑問を呈せられておるわけですが、私は、これはあなたの疑問は正しくない。レイナード氏の証言は相当大部にわたり、そして秘密公聴会の部分もある。公にされている部分でも、大事な部分は安全のために削除というところが幾つもあります。こういう全体を読み取らなければ、あなたが言うように、これをにわかに信用できないというような判断をすること自体が問題ですよ。現に、私はレイナード氏に会い、あの犯行がKCIAによってやられたものであることは間違いないということを聞いた上でフレーザー委員会に行きましたよ。フレーザー委員会に行って主任調査官のベイチャー氏あるいは調査スタッフの一人であるモージー氏に会いました。私は確認したんです。そのときに、フレーザー委員会としては、あの金大中事件の犯行がKCIAによってやられたものであるということは議論の余地がないとまで私にはっきり言いましたよ。フレーザー委員会はそう断定しているのです。あなたがお持ちより以上の秘密公聴会削除部分も含め、証言全体を考えてそこまで断定しておられるのです。そういう断定があるときに、外務大臣がこの証言に対してにわかに信用できないというようなことで、これで福田総理が言われた真相解明が本当にできますか。私はそういう点については外務大臣の答弁はきわめて遺憾だと思います。  そこで自治大臣に伺いますが、いま外務大臣は捜査上の問題としては関心を持っておると思うがと言われた。自治大臣、いかがですか。

小川平二自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(小川平二君) お答えいたします。  この問題は、ただいま外交ルートを通じて調査、照会中でございまするから、それが完了いたしました上で、捜査に役立つ何らかの適当な方法をとり得るか、警察の当局が検討を開始すると存じます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 具体的にいまどこを通じてどういう調査ルートをやっているのですか。

三井脩警察庁警備局長

○政府委員(三井脩君) 捜査の方法というお尋ねでございますので、国家公安委員長にかわりまして申し上げます。  ただいま外務大臣並びに国家公安委員長からお答えがありましたように、警察といたしましては、このレィナード証言というものに関心を持っております。ところが、われわれが外務省を通じて入手しておりますその議事録は、中にいまお話しのようにデリーテッドというところがありまして、全文ではないと思います。しかし、秘密公聴会における証言でありますので、現在明らかにされたものについてのみ判断をするということにならざるを得ないわけでありますが、これについて見ますと、すでに御存じのように、外務大臣が申し述べられたように、推測に基づく判断を述べておるというように思われるわけでありまして、その推測の根拠になる事実、事実関係があるいは削除という部分にあるのかどうか、それは私たちは知る方法がございません。したがって、出たところで判断を、知り得るところで判断いたしますと、推測に基づく判断と、つまり事件の性格についての結論を申し述べておるという意味において、それなりにわれわれの参考になりますけれども、いま私たちがほしいのは、捜査を展開していく、さらに進めていくために必要な具体的な事実関係の片りんといいますか――完全なものであればなおいいわけですけれども、その種のものがほしいと、こういう立場でございまして、そういう点から申しますと、ただいまのところではそういう意味で役には立たないと、こういうものでございます。したがいまして、ただまあ現在の段階は、そういうものを手がかりといたしまして外務省において調査をいただいておりますので、さらにその結果が参りましたら、それに基づいていままでよりはもっといい材料が入ってくるものかしいう期待を持っておりますけれども、それに基づいた上で次にどういう手を打つかということを考えたいと、こういうことでございますので、どういう結果が調査の結果出てくるかということを待っておると、こういうところでございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 外務大臣、どこに対してどういう照会をしてるんですか。もう全部終わったでしょう。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) アメリカ大使館に対しましては、私どもは、金大中事件に関します問題といたしましては、レイナード氏、また文明子女史、それから李在鉉氏、これらの人物につきまして発言の真意を照会をしておるわけであります。で、私どもの立場からいたしますと、やはり外国におきますことでございますから、調査というのは穏当ではございません。そういう意味で、いろんな照会をするということしか外交ルートとしてはできないのでございますが、そのような照会をいたしております。そして、レイナード氏につきましては、先般来まだ面会はできておりません。面会は拒絶を受けておりますが、なお今後面会ができればしいたと思いますが、先方がなかなかこれは承知してくれないわけでございます。で、文明子氏並びに李在鉉氏につきましては、昨日までの情報では一応電話で連絡がついたようでございます。何分離れたところにおられますので、これからなお出張をして本人に面を求め、そして先方からの発言を伺ってくるということをやろうと、こういう段階でございます。したがいまして、それらの照会に返答が参りました段階で次にとるべき措置を検討すべきであると、こう考えておるわけでございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 この議事録を私も全部読みましかよ。しかし、七十八ページのところでレイナード氏は明らかに、金大中氏は日本へ行ったときにKCIAによって日本で略取誘拐されたとはっきり言明していますよ。そして、これがこの言明の問題として、KCIAの犯行であるということをレイナード氏が言うについて、アメリカにおけるKCIAのこのときまでの何年かにわたるいろんな策動、工作、これを考えれば当然KCIAだという推定もこれまた十分つくんだというように述べているのです。その部分をあなた方は推定だとかなんとかおっしゃっている。全く問題の取り違えですよ。  そこで私は、鳩山外務大臣並びに自治大臣に聞きたいのですが、この金大中事件がKCIAの犯行であるということについては、いまあなたがおっしゃった李在鉉氏、あるいは私に会った李龍雲氏その他関係者は一様に全部言っていますよ。で、私はこの議事録、これを中心にして聞いているのですが、この金大中事件がKCIAによってやられたいうその可能性と容疑どれは少なくとも十分あるという観点に立って調査をしている、またすべきだと、こう思います。外務大臣の答弁求めます。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 具体的な刑事事件につきましては、私どもは警察当局の判断に仰ぐべきものであると、こういうふうに考えておるわけでございます。金大中事件は、外交的には一応の決着をつけたということになっておりまして、刑事事件としていま捜査継続中という段階でございますので、警察当局の判断にまたなければならないというふうに考えるわけであります。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 総理、あなたにもお伺いしたいのですが、あなたはにおいがあるとかないとかおっしゃったことがありますね。まああなたのお鼻の程度の感覚なんて私はわからないわけですけれどね。岸元総理が重大なことをおっしゃっているのです。四十八年十二月八日号のこれは週刊読売です。雑誌ではありますけれども、読売新聞の政治部長である渡辺氏と対談をされ、こうおっしゃっているのです。渡辺氏がこの金大中事件というのは「どう考えてもKCIAか何か、政府機関が関係したと思うのですがね。岸さんもそうお考えでしょう。」、津元総理が私も「そう思う。」と、そうしてそのことを朴大統領に伝えたというような話が続いていくのです。どうです、いま私が提起したレィナード証書の信用性、そしてアメリカでKCIAの犯行だと、これはレイナード氏に言わせれば、もう常識ですよと私に言ったわけです。総理、あなたの鋭敏な感覚でもってして、KCIAがやったにおい十分でしょう。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) KCIAが金大中事件を指揮した、やったと、こういうことであるかどうかが問題で今日まで捜査が続いているのです。その決着がまだついていないと、そういう際に、これはどうであろうというような予断を私は持つことはできないと、こう申し上げます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 捜査当局に伺いますが、私は本当にこの金大中事件をきわめていくためには二つの観点が大事だと思う。  つまり一つは、言われているように、アメリカ側ではもうKCIAの犯行だということが疑いもないことになっている。KCIAによってやられたのではないかという観点で捜査を進めていくことです。  もう一つは、レイナード氏がこの証言でもはっきり言っておりますが、もしあのときにアメリカ国務省の対応、そしてまた日本や、また韓国の民主回復を願う人たちの世論がなかったならば恐らく金大中正で亡き者にされていたであろう、殺害されていたであろう、彼がいま今日生きているのはまさにこういう世論があったからだと証言をしています。そういう意味で、単なる略取誘拐事件ではなくて、重要な野党政治家に対する暗殺、殺害未遂事件だ、こういう観点でどんどん捜査を進めなければならない。こういう点について、捜査の観点ということで当局のお答えを伺います。

三井脩警察庁警備局長

○政府委員(三井脩君) 御存じのように、捜査につきましては証拠ということによって事実を認定していくと、こういうことでございますので、現に捜査をやっておる事件について、捜査に基づかない推測ということについては問題があるというように考えるわけでございます。いままでいろいろ報道されたり、また御指摘のあったような点は、捜査遂行上の参考として十分やってまいりますけれども、証拠に基づかない判断を軽々に申し述べるというわけにはまいらないという立場でございます。  それからもう一つは何でしたか。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 そういう証拠じゃない、そういう観点で捜査をすることが大事ではないか。捜査の方針ですよ。

三井脩警察庁警備局長

○政府委員(三井脩君) ただいま申し上げましたように、捜査の遂行の観点はあくまで証拠に基づいて事実を積み上げていくということでございますので、そういう観点で今後とも進めてまいりたいと考える次第でございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 いろんな情報、指摘、証拠がありますよ。金大中自身が、ヘリコプターが飛んで来て何かの指示があった、それから態度が変わって私が殺されずに済んだであろう、こういうような金大中自身の供述もありますよ。レイナード氏の公開の審理廷における証言を私はいま指摘しましたよ。それからさらに、当時駐日公使であった金在権氏、彼がこの金大中事件の日本における実行責任者の一人であるという報道も、アメリカから元KCIA部長の金炯旭氏に金在権自身が語ったこととして伝えられておりますね。私はいま、金大中事件の真相解明には、あらゆるこのような重要な情報について、これを真剣に考慮をして、こういう情報から、これを軽視しないで捜査を進めていくという観点に立つことが大事だという質問をしているんですよ。  警察局長に伺いますが、金在権氏がこれが当時犯行の一グループの責任者であったという、このアメリカ側からなされている報道、私はアメリカで、金在権氏が、これがいまもKCIAの重要ブラック・チーム・メンバーだということを多くの関係者から聞きましたよ。この金在権氏について金大中事件とのかかわりで当局の方としては捜査上重大な関心を持って見ておられるかどうか、お答えいただきたい。

三井脩警察庁警備局長

○政府委員(三井脩君) 先ほど申し上げましたように、判断は事実関係に基づいてやっていきますけれども、事実関係を有する場合にいろいろの情報、資料というものを参考にいたしますし、また今日、大きく伝えられておるような内容につきましても、十分関心を持って捜査の参考としていきたいという態度でございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 重要な捜査の参考にしていきたい、いうことはわかりました。私は、アメリカでこの金在権氏がロサンゼルスのビバリー・ヒルズという高級豪邸が並んでいるその奥の山の上のわかりにくいところに隠れ家を持っているという情報を得て、私はそのところまで行って写真にまで撮ってきていますよ。やろうと思えば幾らでも捜査はやれるんです。私は、このような問題について、いままで政府側の答弁は、福田総理は口では到底捜査をやるという決意があると言われたけれども、本当にこれをやるということについて十分な姿勢ではないというように感ぜざるを得ない。  福田総理もう一遍尋ねます。この金在権グループ、韓国の駐日大使館グループ、いろいろ言われているこの問題について、鳩山外務大臣はすでに政治的、外交的決着がついたということをおっしゃったが、それがゆえに捜査はいいかげんにしてよろしいわけじゃありませんね。徹底的に捜査をやる、こういう観点にもう一度立って、いまアメリカではKCIAの国内の不法工作が大問題にかって捜査をやっているんですよ。これを捜査するという、こういう観点に立って、日本におけるKCIA問題、これについて徹底的な調査をやる、そのことを総理は決意を持って調査を命じられませんか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) しばしば申し上げておりますが、金大中事件の政治的決着と刑事事件としての追及、これはもう全く別個の問題であります。金大中事件の真相解明、これにつきましては今後とも鋭意これを続行する、そういう方針でございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 委員長、関連。

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) 関連質問を認めます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 関連で二問だけ質問したいと思います。  まず三井警備局長にお伺いします。二月十六日の各紙報道によりますと、金炯旭というKCIAの部長が自分で書いた金大中事件の犯行図が載っております。これによりますと、トップはクェスチョンでだれだかわからぬ。しかし、これはだれだかわかるだろうと文明子女史に語ったそうですけれども、実行した責任者は、いま橋本委員が言った金在権で、工作者がここに五名書かれております。このうち金東雲駐日一等書記官については日本側の捜査で指紋がはっきり出てきたということはもうすでに公表されているところです。  そこでお伺いしますが、この五名の中に劉永福という当時横浜の副領事があります。これは当時、末尾番号「二〇七七」、つまり金大中をグランド・パレス・ホテルから連れ出した車の番号ですね。これは末尾「二〇七七」で、これがこの横浜の副領事の劉永福氏の車であったのではないかという大きな疑惑が出ました。国会でも取り上げられました。あの末尾番号「二〇七七」の車と韓国の大使館関係あるいは劉永幅との関係について、その後の捜査はどこまで進んでいるか、はっきり御答弁いただきたいと思います。

三井脩警察庁警備局長

○政府委員(三井脩君) いま御質問のように、末尾番号「二〇七七」は全国で大変たくさんありました。それぞれ捜査をいたしました結果、結論において一台だけ残りました。つまり、それ以外のはだれであるかということが全部判明いたしましたが、一台だけ残って、その一台が劉永福元副領事の車のナンバーと一致すると、こういうことでありますが、劉永福副領事はその後帰国、離日をいたしておりますが、彼の所有しておりましたこのナンバーの車は同僚館員に譲渡をいたしました。同僚館員はこれを自分のものとして使用しておるということでございます。  したがいまして、事件の関係で申しますと、犯人六人のうち金東雲は一人割りつけられたと。あとの五人は不明でありますが、ただいま申しました車の関係で、劉永福の車がこの犯行に使われた疑いが大変濃いと、こういうことは言えるわけでありますが、それが劉永福自身が使ったのかということになると、この辺がわからないということでございまして、ただいまのところ、金東雲書記官と劉永福副領事の持っておった車、この一人と一つの車両、これは事件にきわめて密接な関係があるというところが判明しておる段階でございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 福田首相にお伺いしたいと思います。  もうすでに事態はきわめて明白だと思うんです。六人の犯行のうちの一人、金東雲については指紋も出ている、車は横浜副領事の劉永福の率だということまではっきり出ている。そして全体を実行した金在権が金炯旭KCIA部長に語ったところによると全体像まで明らかになっている。当時のアメリカの韓国部長のレイナード氏が宣誓までして証言をしている。レイナード氏の橋本議員に対する証言によれば、日本政府は当時全部知っていたと。そして高島アジア局長とレイナード氏が会談をした、この問題で。対策を協議したんですよ。金大中が殺されそうだと、何とかしなきゃならぬというので会談したことは明らかなんです。  外相の先日の答弁によりますと、高島アジア局長はノートに会ったメモがあるということまで明らかになっているわけですから。こうしますと、もう世界じゅうに、あらゆる事実を見ても金大中事件はKCIAの犯行だというのはきわめて明白です。これがわからぬわからぬと言っているのは、被害者であるはずの日本政府だけであります。福田首相の先ほどの答弁、私は非常に問題だと思うんですけれども、政治的決着と刑事的決着は全く別だと言われた。とんでもない話であります。この刑事事件の内容が日本の主権に対する侵害であり、日本における金大中氏の人権に対する侵害であるからこそこれだけ大問題になっている。それがどうあろうと政治的に決着してしまって、これは全くもう無関係だと、このような首相答弁、われわれは絶対やっぱり許すことはできない。このような主権侵害を受けた上で、当時日本政府がKCIAの犯行であるということをレイナード氏の証言のように事実知っていた上で、あのような、だれの犯行だかわからぬ、KCIAの犯行だかわからぬと言い続けてきた。国会答弁全部調べてごらんなさい。もしそうだとすると、国会を、ひいては主権者たる国民を全く欺いて、うそをつき通してきた。そしてこのうその上に乗っかってあいまいな政治決着をつけてしまった。そして刑事捜査は続けます、刑事捜査はどういう結果が出ようが政治的決着とは全く別でありますということを公然とこの国会で述べているわけであります。この問題について一番責任があるのは、当時の田中内閣、その後の政治的決着をつけた三木内閣であります。なぜ福田首相は当時の内閣がやったこういう責任あることを弁護しなければならないのですか。当時の田中角榮氏はロッキード事件ではクロだ。恐らくこの金大中事件でも、これまで明らかになった証拠を見れば私はクロであろうと思います。一番の被実者が、主権を侵害された被害者が、どうもにおいもしない、まだわからないということを言って、一体どうなりますか。見ざる聞かざる言わざるという三猿主義は、絶対私はこの問題で許されないと思います。このように疑惑が出ている以上、しかも福田さん先ほど申されたように、日本丸の、日本国の名誉にかかわる、主権にかかわる大問題です。それについてこれほど疑惑が出ている以上、徹底的に捜査するということを、この国会の委員会の席上、国民の前に明言していただきたい。それから、外務大臣は、高島アジア局長その他について、当時どういう話し合いをレイナード氏としたか、こういう問題についても責任を持った調査をしていただきたいと思います。福田首相と鳩山外相に対し答弁を求めます。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私は、刑事事件としての金大中事件、それから日韓両国の国交の上から見ての政治決着は別だと申し上げましたが、これは刑事事件としてはあくまで追及するのです。追及した結果、新しい問題が提起されるということになりますれば、その時点におきましてその事態をよく判断いたしまして適正な処置をすると、そういう考えであります。もういま両建てで進行しておりまするから、政治的決着というか、これはずっと先々までがもう決着になったという性格じゃないんです。刑事事件の成り行きによりましては、政治的問題としての決着もまたつけなければならぬと、こういうふうに考えます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 つけ直すということもあり得るということですね。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) そうです。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 高鳥当時の局長とレイナード氏の会見でございますが、高島局長のメモによれば、レイナード氏の来訪を受けたというメモがございます。そして高島局長に問い合わせたところが、これは韓国から帰られる途中に立ち寄られたものであって、これは儀礼的な訪問であったという記憶でありまして、それが真実のところと、こう信じておる次第でございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 いま総理が言われましたように、まさにこれがKCIAの犯行であるということになれば、政治的決着なんというのはこれは大変な問題になるわけです。やり直さなきゃならぬとあなたがおっしゃったとおりです。まさに真相究明はそこなんですよ。こういうアメリカ側の情報について捜査上重大な関心を持つと捜査当局が言っておりますが、政治的に見ても、こういったいまの状況の中で、もうアメリカではKCIAの犯行だったというのはだれも疑う者がいないぐらいですよ。総理、今度アメリカにお行きになる――行ってらっしゃい、わかりますよ。いままでの政府答弁ではそれをできるだけにおいもないかのようにしようとする姿勢がうかがわれることを、私はきわめて遺憾だと思うのです。  時間がありませんから次に問題を移しますが、田中通産大臣にお伺いしたい。この金大中事件の政治的決着、四十八年十一月二日、その以前に、九月二十七日から二十九日まで第十回日韓協力委員会常任委員会がソウルで開かれております。あなたは通産大臣に就任されるまで岸会長のもとで事務局長として終始この委員会に携わってお越しになって、十分御存じのとおりです。この第十回常任委員会が当時開かれた結論として特に重要な役割りを果たしたのはどの点ですか、際立って特徴があったのはどういうことですか。

田中龍夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。  四十八年の日韓協力委員会が九月の二十七日に韓国の方で行われました。岸先生、石井先生のお供をいたして参りました。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 いや、果たした役割りと特徴は何だったかと言っている。

田中龍夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中龍夫君) これは年一回、定期にいたします総会でございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 ちょっとこれを見てください――いまお手元の雑誌は日韓協力委員会の機関誌「新国策」、その「新国策」に書いてあることはほとんど間違いがないことだと決算委員会であなたも述べられたとおりです。そこにその会議の特徴がりっぱに書かれていますから、私が赤で記したところ、恐縮ですが、具体的にお読みいただきたい。

田中龍夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中龍夫君) それでは、橋本さんの資料を読みますと、「なお、今常任委員会は、会議もさることながら、会議以外の表敬訪問、レセプションあるいは総理主催親善ゴルフ会などを通じ、朴大統領、金国務総理をはじめ各界の有力者とじっくり話合いを行ない、行き詰まっている日韓関係打開への大きな布石となったのが、きわだった特徴といえよう。」、こう言っております。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 そのとおり間違いございませんね。

田中龍夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中龍夫君) まあ特徴といえばさようでございまするが、この日韓協力委員会は御案内のとおりの会の本質でございます。両国の親善を行うのが目的でございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 金大中事件で緊張している日韓関係打開、そして延期された定期日韓閣僚会議の早期再開、これに向けて日韓協力委員会が、際立った特徴として、会議以外に朴大統領と会い、重要人物と会ってその打開への大きな布石を開いたのがこの特徴だと、みずからの機関誌ではっきり言っているんですよ。田中通産大臣、あなたは朴大統領と会見した後、わざわざソウルから長距離電話をかけて、当時二階堂官房長官に朴大統領との会見内容を報告されたことは間違いありませんね。

田中龍夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。  そのようなことはございません。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 新聞にちゃんと報道されているんですよ。思い起こしてください。新聞はうそ書くんですか。

田中龍夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 私が二階堂官房長官に電話したことはございません。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 ない。

田中龍夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中龍夫君) ありません。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 新聞に書いてあっても、ないですか。それは私は信用できませんね。  問題は、この日韓協力委員会の第十回常任委員会会議が予定の十月より早められて九月に行われている。これは間違いありませんか。

田中龍夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中龍夫君) ただいまお話し申し上げたように、九月二十七日から二十九日まで行われております。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 早められたことは間違いないかと質問している。日にちはわかった。

田中龍夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。  十二月に定期に開くという規約はございません。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 さっぱり要領を得ない答弁なのでいらいらするんですがね。早く開かれたという事実があるのは間違いないかと言うんですよ。――よろしいです。  そこで、岸元総理が行き、あなたが行き、朴大統領と会見されて金大中事件問題の決着、これをどうするかについて意見交換されたことは間違いありませんね。

田中龍夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。  それは確かに九月二十九日でございますから、十月前でございますが、いま申し上げたように、十月に開くという定期と相なってはおりません。  それから、その到着いたしました翌朝に表敬を青瓦台にいたしました。それで、その表敬の際は、まだ会議の始まる前でもございまするが、いまの朴大統領と非常に――特に特徴をもって申し上げるまでもございませんが、日韓両国の関係を正常化して一日も早く善隣友邦との間の正常な姿に戻したい、これはわれわれの念願でございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 金大中事件、話が出たかと聞いているんですよ。答弁、答えてください、素直に。委員長、答えさせてください。

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) 通産大臣、質問者は、あなたがその際に大統領と会見されたときに、金大中事件の話があったかどうかということを質問しておられるんです。

田中龍夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。  日韓協力委員会は、金大中事件のような政治的な重大案件は、これは政府間で行っておりますることでありまして、われわれ民間団体でありまする日韓協力委員会は、金大中問題ではなく、一日も早く国交を正常化し、経済、文化関係の交流をいたしたいと、かような話をいたしました。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 委員長、わかりませんね。出なかったと言うんですかね、その話は。金大中事件の話は全然しなかったという答弁なのか、したという答弁なのか、もう一遍答弁を求めてください。わからないです。

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) 委員長は公平ですから、わかったともわからぬとも申し上げられません。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 はい、そうですね。

田中龍夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中龍夫君) われわれは金大中問題は話をいたしません。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 うそですよ。田中通産大臣、もう一遍来てください。この「新国策」という機関誌に書いていますよ。これ見てください。通産大臣、見てください。日本人記者団との会見で、岸氏は、金大中事件についてもいろいろ話し合ったが、事の性質上、何をどう言ったかは言えないがと、話し合ったと言っています。政府、大臣がうそを言ってていいんですか。うそを言っていいんですか。

田中龍夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中龍夫君) うそではございません。それは岸先生の記者会見でございました。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 話し合ったと言っている。

田中龍夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 同時に、その話し合う話題には、それはちょうど金大中事件の間でございますから出まするけれども……

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 出た……

田中龍夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 出ましたけれども、しかし、その話し合いの要点は、われわれは日韓協力委員会といたしまして民間の団体でございまして、特に経済協力なり、あるいはまた文化提携の問題をいたしたのでございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 さっきのは答弁の食い違いですから、明確に取り消して、話が出たと答えてください、通産大大臣。正直に答えてください。

田中龍夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中龍夫君) 私どもは金大中問題を話しに行ったわけではございません。経済協力なり文化協力を話しに参りました。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 きわめて不誠実な答弁ですよ。  私がなぜこの協力委員会問題を言うかというと、この協力委員会で、日韓定期閣僚会議は金大中事件の捜査とは別に早く開くべきだと決議をしている。これは間違いありませんね。

田中龍夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。  金大中問題の早期解決とかなんとかというような決議はいたしません。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 日韓定期閣僚会議を早くやれという決議をしたかと聞いているんですよ。  この日韓協力委員会、これが日本人記者団との会見で岸元総理が代表して述べられたところは、この金大中事件は捜査中であり、これは定期閣僚会議と別に捜査は進める。そしてこの問題について、このような事件のため日本国民に迷惑をかけたというのは韓国側としては遺憾であるという意見はこれを出す。そして、こういう路線で、捜査は捜査、そして遺憾だという釈明をし、それで定期閣僚会議の早期開催という方向に向けて進んでいくと、こういう話し合いがなされたと「新国策」ではっきり出ているんです。このとおり十一月三日に決着されたじゃないですか。だからこそあなたの機関誌で、この第十回常任委員会は、会議の内容もさることながら、それ以外に朴大統領との会見やレセプション、要人と会って、こういう日韓関係打開に重要な布石を与えた、これがこの会議の最大の特徴だと、みずから言っているじゃありませんか。  私はなぜこれを言うかといいますと、まさにこの会議から帰って、岸元総理が田中角榮に会う。そうすると、いままで筋を通して決着すると言っていた田中角榮の姿勢が、捜査は別として定期閣僚会議を早く開くという方向へいく、こういくんですよ。まさにあなた方が道を開いたんですよ。金大中事件のあいまい化、その上に立って道を開いたんです。しかも、それだけではありません。そのあなた方がソウルへ出発をする二十七日の前日、田中角榮は西欧の歴訪に出かけます。そうしてこの岸元総理が田中会談を行ったのが十月の十二日です。そして十一月の一日には後宮・金溶植会談が行われて外交交渉の詰めがあり、十一月二一日にこの政治的決着がつくんです。  最後に私は伺います。私はアメリカで重要な情報証言を得てきました。この十一月二日の決着のほぼ一週間前に例の趙重勲が日本に来ている。調べました。入国記録を見れば、彼は日本に来ているんです、十月二十一日から二十六日まで。そうしてこの趙重勲を通じて表向きの政治決着の裏に汚い資金工作がなされたのではないかという疑いがあるのです。そうして、彼が来た後一週間で決着をして、十一月二日のその同じ日に、小佐野氏は田中事務所に田中氏を訪問していますよ。角番日記で出てきますよ。こういう一連の動きについて、時間がありませんが、レイナード氏あるいは李在鉉氏が言ったように、まさに金大中事件以後汚い工作資金が日本に急速にふえて流れたというこのこととの関係において、この日韓協力委員会の動きについて徹底的に調査をしなきゃならない。私はあなたの答弁不満です。したがって、委員長、質問を終わりますが、岸元総理、そうして田中通産大臣、私は証人としてこの事態を明らかにするために要求して質問を終わります。(拍手)

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) ただいまの橋本敦君の証人喚問要求の件につきましては、委員長は後刻改めて理事会で協議したいと思っております。  以上をもちまして橋本敦君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) 青島幸男君。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 私に与えられました時間はごくわずかでございますので、主に総理に御質問に及ぶことになると思いますけれども、単刀直入にまずお伺いをしたいと思います。

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) 委員会の場内ざわめいておりまするが、政府委員の諸君、また傍聴席、お静かに願います。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 私に許されております時間はごくわずかでございますので、単刀直人にお尋ねいたします。  佐藤総理、それから三木さん、田中さんと、それぞれの御意見なども承ってまいりましたが、多少のニュアンスがありますが、政治資金については似通った考え方を持っていらっしゃったように私は拝見するんですけれども、政治資金というものについてどういうお考えを福田総理はお持ちか、まずこの辺の見解から明らかにしていただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 政治資金とは政治活動に必要な資金である、こう申し上げます。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 ところが、政治資金というものが政治を行うための自分の政策を宣伝するための手だてとして使用するのか、あるいは重なってもまいりましょうが、選挙のために直接かかる費用なのか、その辺が大変明確ではございませんし、どこからどこまでが政治資金なのかというような考え方もきわめてあいまいになっておりますので、国民の間にもその辺の疑点がだんだん大きくなってまいりまして、国会議員の政治活動というのはどういうことなんだろうかというふうなことに発展してきているのではないかと私考えるんですけれども、政治資金税正法という法律がこの間改められましたけれども、あれではまだまだ不満だという声が国民の間にあることを総理は御存じでございましょうか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 国民の一部の間にそういう声があることは承知しております。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 政治献金を企業がするというようなことになりますと、企業が政治献金をすることによって何らか恩典を得るようなことがあるんではなかろうかという疑問が国民の間にあることは御存じですね、御不満のようですけれども。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 国民の一部にそういうような感情を持っている人があると思います。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 多くの個人の方々の少額の拠出によって支えられる政治益金の方がより望ましいというふうに一般世論では言われておりますけれども、これは総理お認めになりますか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 多数の人がそう言っているということは承知しております。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 なかなかお話がかみ合わないんですけれども、大体、近来の近代的な政党のあり方というのは、選挙を通じましても、あるいは政策宣伝の形におきましても、金品をばらまいたり接待したりすることで理解を深めようというようなことは近来外国にも行われておりませんし、それよりむしろ、党営選挙といいますか、政策宣伝というようなものは党が、あるいはそれの支援団体が行う。個人は実際には接待したり金一品をまいたりするようなことはなくて、実際には個人が政治献金を受けて、その政治献金によって政治活動をするというようなことは近代的な政党は行っていないように私見受けております。ですから、個人が政治献金を受けることがきわめて政治をあいまいにしていることの根源だと私思いますので、政治資金規正法を個人の献金に限る、献金する側も個人ですね、多数の個人の少額の献金によって行われる。しかも、受け取る側は、議員個人が政治献金を受け取るということはなくて、議員の所属する政治団体あるいは政党、そういうものにお金が入る、個人が直接それに携わることはないというようなかっこうになっていた方が疑念が少ないと思いますけれども、その辺はどうお考えになりますか。   〔委員長退席、理事園田清充君着席〕

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 青島さんは、個人と法人を区別いたしまして、そして企業献金は絶対悪だと、こういうような御感触でお話をしたように私は受けとめたわけですが、しかし、個人献金についてはこれは大体よかろうじゃないかということを、裏返しするとそういうことになる。しかし企業献金について疑いを持たれる、こういう同じことが個人献金についてもまた持たれるということでありまして、これは程度の問題じゃないか、そういうふうに思うんです。本質的な議論として見るときに、個人でも法人でもそう大きな違いはないのじゃあるまいか、そんな感じがいたしてたりません。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 腐敗防止のために、刑法を強化してそういうことのないようにしたらどうだろうかというようなお考えを総理お持ちのようですけれども、どんなに罰則を強化いたしましても、その罪状が立証できないというようなことになりますと、事実上何の意味も持たなくなります。ですから、きわめてあいまいな政治資金規正法のもとで、その使途あるいは行われている事態の明確なる追及ができないというような状態の中では、どんなに罰則を強化してもその効は上がらないというふうにお考えになりませんか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私は政治家のモラルの問題だと思うんですよ。つまり、法を幾らいじってみましても、これは法網を何とかくぐるというような、そういう声もありましょう。あるいは法を無視してそうしてやっていこうという人も出るでしょう。要するに、私は、政治家一人一人のモラル、そこに問題の一番大事なところがある、こういうふうな理解でございます。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 それは政治家としてのモラルは要求される乙とは確かでございます。総理、毎回繰り返しておっしゃっていられますけれども、この前の選挙の結果を踏まえて、自民党が言っていることには間違いはないのだろう、それは国民から批判されたとは思っていない。つまり、自由世界を守るのだという見解については国民から批判を食ったのではない。つまり、あのていたらくが手ひどい批判を受けたのだろうというふうにおっしゃっていられましたけれども、そのていたらくということの基本はモラルの問題ですよ。ですから、総理が幾らモラルを確立することが正しい道なんだとおっしゃっても、率先垂範といいますか、みずからモラルを崩すような方々が政府をこしらえておいでになるのでは、幾ら協調と連帯の手を差し伸べられても、国民はそうかと言ってついてこないんではないか。ですから、モラルはモラルで当然のこととして要求されますが、そのモラルがしっかりと守られるような法規制がきちっと行われていった方がより妥当であろうというふうに私は考えます。  翻りまして、間もなく確定申告の時期でございまして、大変税金の申告については国民一般も関心がある時期でございますけれども、この問題につきまして、私再三予算委員会を通じましても、あるいは決算委員会を通じても、常に疑念に思っていることをただしてまいりましていまだに納得がいかないのですけれども、前回予算委員会で大平大蔵大臣にお尋ねしたときに、   〔理事園田清充君退席、委員長着席〕 たしか福田総理は副総理の資格で御臨席いただいていたと思いますけれども、あの際に、政治家の政治資金というものは雑所得に属する、その雑所得と言われるものは、政治資金として使われたものと思って収支ゼロになれば申告の必要がないのだという議論になったのです。そのことを覚えておいでだと思います。そのことを再三当時の大平大蔵大臣にお尋ね申し上げましたところ、本当にそれでよろしゅうございますねと言ったところ、確信がおありにならなかったのか、担当官を――十五分ほど私待たされた覚えがございます。あのときにも、法律的な裏づけが何もないということを私は申し上げたのです。というのは、つまり必要経費というもの、税法上言います必要経費というのは、その年度で所得を得るために直接費やした費用を必要経費と言うのですね。国税庁からですか、参りました所得税の確定申告についての手引きがございますけれども、これにも政治家の収入というところがありまして、収入と支出のところがございます。政治活動のために使用した費用というのが出ておりまして、その次の項になりますと、政治資金収入からの必要経費を控除と、いきなり飛躍的に必要経費になっちゃっているわけです。  ですから、法制上言いますところの必要経費というのは、その収入を得るために直接費やした経費であると。しかし、確かに政治家の必要経費というものは、ふだんから自分の政策あるいは政治的な信条を一般の方々に理解していただくために活動いたしますね。その活動のための費用は、政治家として業務を行うため――利得、利潤を生むための業務を行うための必要経費ではないわけですよ。ですから、それを全く混同して、ツーペイで入った分と出た分が赤字もしくはゼロなら申告しなくていいんだという指導をしているわけですよ。この辺が国民の一番疑念に思うところではないかと思います。このままにしておきますと、幾ら入っても、政治資金として使っちまったよと言いさえすれば、何の追及も受けないというのが実情なんです。医者の七〇%の税金の控除も不公平だと言われておる折から、政治家の場合一〇〇%控除なんですね。ですから、政治資金として使ったんだと言えば、賄賂であろうと何であろうと立証する余地がないんです。その点、国民が一番疑点に感じている部分です。このままこういうあいまいなことをお続けになるおつもりですか。再三国税庁にも質問いたしておりますが、おっしゃることはよくわかると、この必要経費の問題とここにうたわれております政策宣伝のための必要な費用の問題とは別個のものであることは私どもよく承知しております、多少の無理があることはわかっておりますということを繰り返し答弁しておるんですよ。このままあいまいに残しておいて国民が納得するとお思いですか、明確にお答えいただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これは私も、法律の非常にデリケートなもの、運用の部面に関しますので、国税庁長官からまずお聞き取りを願います。

山橋敬一郎国税庁次長

○政府委員(山橋敬一郎君) お答えいたします。  雑所得に係る必要経費という問題でございますが、雑所得の必要経費は所得税法の三十七条に規定がございます。この三十七条の規定では、「総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用」、こういうふうに規定されております。簡単に言いますと、政治活動に要した費用は雑所得の必要経費となるわけでございますが、政治活動費を所得税法上の必要経費概念に当てはめるというのはちょっと無理ではないかというふうな先生の御指摘でございますけれども、政治活動も所得税法に言うところのいわゆる業務としてとらえておりまして、いま申し上げましたように、政治活動費を所得税法の第三十七条の「その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用」と、こういうふうな考え方で取り扱っているところでございます。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 それじゃ、政治家の政治活動というのは、政治資金を受けたり、あるいは歳費をもらったりするという営利目的のために日常政治活動を行っているということになるわけですよ、あなたのおっしゃることは。

山橋敬一郎国税庁次長

○政府委員(山橋敬一郎君) お答えいたします。  その収入を得るために必要な経費のほかに、この所得税法におきましては、これらの雑所得を生ずべき業務について生じた費用と、こういうふうに書いてございます。したがいまして、この政治活動というものを業務というふうに当てはめて考えますれば、この業務について生じた費用というものを必要経費として控除をするということは、税法の考え方からそのように出てくるというふうに私たちは考えているわけでございます。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 全く私は納得いたしませんけれども、一般の納税者に対しては雑所得についてもそれなりの必要経費なり何なりを証拠件数を添付して立証するように求めているわけですよ。それを政治家には、ただ政治活動に使ったんだという一片の通達だけで、一切追及しようとなさらないというかっこうですね。これがやっぱり国民に大きな疑点を生んでいるところなんですけどね、その点はどういうふうに御反論になりますか。

山橋敬一郎国税庁次長

○政府委員(山橋敬一郎君) お答えいたします。  政治家のいわゆる雑所得については、一般の納税者と比べて扱い方が違うではないかというふうなお話でございますが、いわゆる政治献金に係る所得につきましては、いま申し上げましたように所得税法上の雑所得として扱うわけでございますが、雑所得につきましては、その収入から必要経費を引きまして残額がなければ、そもそも政治家に限らず、雑所得一般について申告する義務はございませんし、したがいまして税法上申告書にその収支を明らかにする必要はないわけでございます。この点につきましては、一般のいわゆる納税者の雑所得の場合も同様でございまして、政治家についてのみ特別に収支を明細にするということは、いわば一般の納税者と比べて差別的に扱うということになろうかというふうに考えております。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 毎回同じような御答弁をいただくのですけどね、総理、こういう運用面において誤りがあると思います。それから、実態がそうなっているからそれに合わせてやってるんだと。それから、どう追及しても、政治資金として使っちまったんだよと言われれば、国税庁の方で追及のしょうがないと。だからもう仕方がない、お手上げだと、政治家の収入に関してはもういいじゃないかというあきらめの態度になっちゃっているというのが実情かと思うんですよ。それでは、幾ら国民と協調と連帯をしたいんだと総理がおっしゃっても、なかなか国民の方からそうですかと言って手を差し伸べてはこないだろう。みずから率先垂範、少なくともおおむね一般の納税者というのは、大体総収入どのくらいあった、経費がどのくらいかかった、それで控除がどのくらいだと、よって納税額はこのくらいと、きちんとこう組み立ててきているわけですよ。それを政治家にのみ、もう政治資金として使ったんだ、一切不問に付せと、こういうことでは、だれも納得しないと思いますけれども、今後こういうかっこうをそのままお続けになって一顧だにしないお考えなのか、あるいは何らかの形で納得のいくようにしていかなきゃならないとお考えなのか、最後にその姿勢だけお伺いして質問を終わりたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 政治資金規正法によるところの個人への献金というものは、これは多年議論があるんです、どういうふうにしたらよかろうかというので。法律的解釈はいま国税庁の方から申し上げたようなとおりでございますが、さあその運用になりますと、政治資金として受けたものを全部これを申告をする、それから同時にそのうちあるいは全部、政治活動として使ったもの、それも申告をする、ちゃらちゃらの場合が多いわけでございますが、そういう仕方をしておる人もこれは相当あるんですよ。それから、どうせ結論は同じだというので申告をしないでおるという人もある。区々なんです、これは。確かに私は、個人への政治資金の献金問題、これは何か統制というか、一つの線引きをする必要があるというふうな感じがいたしますがね、これは各党各派、皆さんみんな関係している問題でありますので、そういういろんな共通の諸問題につきまして、私はしばしば申し上げておりますように、各党各派の間でひとつ相談をする、そういう場を持ったらどうだろうと、こういうふうに思っておりますが、それも一つのそういう際の課題にしたらどうだろうかと、かように考えます。

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) 以上をもちまして質疑通告者の発言は全部終了いたしました。これにて補正予算三案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) それでは、これより補正予算三案の討論に入ります。  討論の通告がございますので、順次これを許します。なお、発言者は賛否を明らかにしてお述べ願います。竹田四郎君。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 私は、日本社会党を代表して、議題となっております昭和五十一年度補正予算三案について、反対の討論を行います。  反対理由を述べる前に、政府の行政執行についての怠慢に言及せざるを得ません。当初予算の審議に当たり、日本経済の景気を回復し国民生活の安定を確保するには、自主的な国内的な政策努力、特に国内の消費支出の増大によって、また地方財政を強化し、生活関連公共事業を強化せよと主張しました。しかし、政府は外的要因に期待し、集中豪雨的輸出増強を指向しました。その結果、警告いたしましたとおり、昨年一-三月期の好況を後半へと漸進的上昇につなげることができませんでした。また、自民党内の抗争に終始し、適切な対策をサボり、後半以降全く中だるみに陥り、経済運営に対する国民の信頼を失いました。勤労諸階層は、生活の切り詰めと雇用不安におののき、中小零細企業はまれに見る企業倒産に追い込められました。反対に、大企業は生産制限による価格のつり上げなどによる収益の増加を享受し、各階層間の格差を拡大しました。また、諸外国からは、国際経済における日本の責任追及を受けました。  こうした結果、五十二年度予算についても、経済運営についても、選択の範囲を狭められる結果を招いたのであります。五十二年度における日本の政治経済により多くの重荷を課したと言わざるを得ないのでありまして、その政治的責任はきわめて重大であります。厳しい反省を求めたいと思います。  以下、予算案についての反対理由を申し上げます。  まず第一に、年度内減税が行われていないということであります。  私ども日本社会党は、昨年十二月、個人消費拡大と名目所得上昇に伴う税負担の軽減とを図るため、財源措置を明らかにしつつ、年度内三千億円の減税を要求しました。しかし、政府は何ら措置していないのであります。まことに不満にたえません。この見送り措置が一層景気の停帯と国民生活を不安に陥れたのであります。  第二は、予備費と剰余金が恣意的に使用されていることであります。  近年、補正予算に関連し、予備費の取り崩しが恒常化しております。今回は、公共事業予備費を合わせて一千六百億円が補正財源に使用されており、本来の予備費の性格規定から逸脱していると言わなければなりません。また、国債依存率三〇%以下に抑えるために、通常翌々年度に計上すべき五十年度の決算剰余金を計上し、数字上のつじつまを合わせているのであります。  第三に、惰性による予算編成を行っているということであります。  補正財源の捻出に当たって九百六十九億円の既定経費の節約をやっていますが、各費目とも一律削減という機械的なやり方を踏襲して、十分に精査していない節減を行っているのであります。必要な経費と不用経費を峻別し、不用経費をこの際削減し、財源に充てるべきであります。  以上の理由により本補正予算三案に反対するものであります。(拍手)

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) 吉田実君。

吉田実自由民主党

○吉田実君 私は、自由民主党を代表して、議題となりました昭和五十一年度一般会計補正予算三案に対し、賛成の討論を行うものであります。  申すまでもなく、わが国経済が当面する最優先課題は、景気の速やかな回復と雇用不安の解消を図ることであります。石油ショック以降三カ年間にわたるいわゆる調整過程の中で、五十年の春を底に、戦後最大の不況から緩やかながら回復過程に入ったわが国経済は、特に昨年の年初、海外景気の予想外の回復から輸出が好調な伸びに支えられ、かつまた第四次景気対策の効果もあって、同気は着実に回復軌道に乗るものと思われたのでありますが、回復のテンポは夏以降停滞し、今日に至ったのであります。その大きな要因としては、その後の輸出増勢の鈍化や、個人消費の伸び悩み、企業経営者の設備投資意欲の減退などであります。すなわち、業種別、地域別にはなお景気の状況に格差が見られ、企業倒産は引き続き高水準であり、また失業者も百万人の高水準を示しております。  政府は、このような事態を憂慮し、昨年十一月、一部に見られる気迷い感を払拭し、回復過程における摩擦現象を緩和するため、七項目の応急景気対策を推進するとともに、景気の中だるみから一日も早く脱出を図るため、公共事業の拡充を中心とする五十一年度補正予算を編成されたのであります。  以下、その主なる内容について申し述べたいと存じます。  第一は、公共事業関係費についてであります。  景気の着実な回復を図るため、財政の面から景気てこ入れを行うとともに、昨年全国各地に甚大な被害をもたらした台風十七号等の災害の早期復旧を図るため、公共事業関係費二千六百三十八億円を追加計上しております。公共事業費等の投資的経費は、需要創出効果が大きく、当面している景気の中だるみ状態を打開し、雇用の安定確保を図る上から、適切な措置であると考えるのであります。  第二に、農業保険費についてであります。  昨年の北日本を中心とする異常低温による冷害、西日本各地における暴風雨等により農作物に深刻な被害を与えたのであります。これら被害の異常発生に伴い、農業共済再保険特別会計の再保険金支払いが著しく増加するため、支払い財源不足見込み額を一般会計から繰り入れる等のため五百三十一億円を追加計上しております。冷害及び災害対策の早期実施を配慮したもので、妥当な措置であります。  第三は、公務員給与の改定についてであります。  昨年八月、人事院は国家公務員の給与を六・九四%引き上げる旨の勧告を行いました。この勧告に基づいて、四月にさかのぼってすでに昨年十一月実施されたのでありますが、本年度予算計上分を上回る部分について四百二十七億円を追加計上しております。公務員諸君におかれては、行政サービスの改善に一層の努力を傾けることを望むものであります。その他義務教育費国庫負担金の義務的経費の追加、国債整理基金特別会計への繰り入れ等の歳出追加を行うこととしております。  終わりに、政府に対し要望いたします。  景気の中だるみにより雇用情勢が深刻化している現在、景気対策に一刻の猶予も許されない段階にあります。目下の急務は、いかに中だるみを克服してわが国経済を持続的な安定成長軌道に乗せるかであります。その第一歩は、本補正予算を景気の着実な回復に主眼を置いた新年度予算へスムーズに接続させることであります。両者相まって効果的に作用すれば、実効は上がり、活力ある経済を取り戻し、安定経済成長軌道に乗ることでありましょう。しかしながら、景気の回復を急ぐの余り、物価の急騰、インフレの再燃を引き起こすことがないような慎重な配慮が望まれるとともに、景気回復を財政政策のみに頼ることなく、金融政策においても金利について機動的、弾力的に運営することが大切であり、また貿易政策において、プラント輸出や海外における公共事業への進出を図るべきであると考えます。  以上申し述べて、補正予算三業に対する私の賛成討論を終わります。(拍手)

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) 桑名義治君。

桑名義治公明党

○桑名義治君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十一年度補正予算三案に対しまして反対の討論を行います。  まず最初に指摘したいことは、景気回復が著しくおくれ、経済情勢は厳しい様相を呈していることであります。このような深刻な経済的、社会的現象は、すでに本年度当初から懸念されていたところであり、われわれも早くから所得税減税を中心とした生活防衛を通じ、生活優先の景気対策の実施を要求してきたのであります。  ところが、政府・自民党は、ロッキード事件の真相隠しと、ロッキード事件を契機として起こった政権抗争に明け暮れ、昨年十一月十二日に景気てこ入れ策を決定するまで、景気回復に有効な対策を全く講じなかったのであります。私は、今日の景気回復のおくれは、ひとえに政府・自民党がもたらした政策不況、政治不在であると断ぜざるを得ないのであります。しかも、今回国会へ提出された補正予算案も、とうてい景気の着実な回復を実現するにはほど遠い内容であります。  以下、補正予算案に反対する主な理由を申し上げます。  反対の第一は、追加補正とはいえ、ほとんど中身のない予算となっていることであります。  すなわち、歳出では、補正追加として緊急な公共事業関係費二千六百三十八億円、冷災害対策に伴う農業保険費五百三十一億円などの追加は、限定されている上に義務的な経費である国債整理基金特別会計への繰り入れが計上され、これが補正予算の三分の一を占めていることであります。また、歳入においては、その財源が建設国債一千億円の追加発行と、前年度剰余金受け入れのみとなっており、本来の歳入財源となるべき税収入が全くない、やりくり予算の姿となっている点であります。  第二には、五十一年度当初から国民が一致して要求している所得税減税に対し、政府は何らの誠意ある態度を示さないことであります。  五十一年度の税負担について見ますと、前年度の年収二百万円の標準世帯では、本年度一〇%年収がふえ二百二十万円になったとしても、所得税、住民税、厚生年金、健康保険の負担増が四万円近くにもなり、物価上昇分を加えると、二十万円の年収アップを上回る負担増を強いられているのが実情であります。これでは個人消費が伸びるはずはなく、景気を上向きに乗せることができないのは言うまでもありません。そこでわれわれは、苦境に追いこまれている国民生活を守り、景気を着実に回復させ、さらに安定成長時代への移行を可能にするために、五十一年度についても年度内減税を実施することを主張し、その財源をも明示してきたところであります。  第三には、地方財政対策が不十分きわまりないことであります。  不況の影響により地方税収が伸び悩み、また地方交付税が減少しているにもかかわらず、地方自治体に対する行政需要は年々高まり、さらに国の公共事業の裏負担の増大によって地方財政はますます窮迫の度を加えております。このような状況は、赤字団体が続出していることや、一昨年来の地方団体の借入金の激増が如実に示しているところであります。こうした状況にあるにもかかわらず、今回の補正予算案による公共事業の拡大も、地方団体の裏負担を地方債という借金によって全額措置させようとしているのであります。これでは借金押しつけ政策と言わなければなりません。  第四には、政府は、今回の補正予算は、特に緊急やむを得ないものに限ることにしたとしておりますが、景気対策や冷災害対策にかかる経費については、もっと早急に実行すべきものであり、遅きに失すると言わざるを得ないのであります。他方、国債整理基金特別会計への繰り入れの経費は、通常であれば五十二年度予算に計上されるべきものであり、しかも国債償還財源の性質から、特に今回の補正に計上する緊急性は全くなく、理解に苦しむものであります。  なお、冷災害対策も十分とは言えず、政府・自民党の農業切り捨ての経済政策が農業の構造と片質をゆがめ、被害を一層深刻にしていると言わざるを得ません。  以上をもって昭和五十一年度補正予算三案に応対する討論を終わります。(拍手)

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) 内藤功君。

内藤功日本共産党

○内藤功君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました政府提出の昭和五十一年度補正予算三案に対して反対の討論を行うものであります。  不況の長期化とインフレ、物価高によって、勤労者、中小業者など国民大衆の生活と営業は極度の苦しみを味わっています。中小企業を中心とする企業倒産、完全失業者数も約百万台を続けています。二けたに近い激しい物価上昇により、勤務者世帯の実質収入は長期にわたって前年を下回り、老人の世帯、生活保護世帯、さらにきょう参考人がお話しになった母子家庭などの生活は、さらに困難を加えております。  わが党は、昨年の十一月、日本経済再建五カ年計画を発表して、大資本優先の従来型景気政策から脱出して、国民の購買力の向上によって国内市場の拡大することを初めとした国民本位の不況克服、経済の民主的再建の道筋を明らかにしました。また、昨年十二月十六日には、国会議員団が政府に対し、最小限の七項目の緊急課題にしぼって補正予算に関する申し入れを行ったのであります。しかるに、今回の補正予算案は、国民の生活と営業の実情と要求を無視し、依然として大資本優先の従来の路線を踏襲するものであると言わざるを得ません。  以下、簡潔に三点にわたり反対理由を申し述べます。  第一に、緊急減税など生活防衛の内容が盛り込まれていないことであります。  わが党は、五十一年度内に、勤労者、自営業者に三千億円の所得税緊急減税を行う、減税は一律払い戻し方式をとり、その額は一万円とする。所得税減税の措置に浴さない低所得の人に対しても越冬資金を支給することを主張してまいりました。これは国民が広く希望しているところであります。しかるに、本補正予算案は、この要求を全く踏みにじり、異常な減税見送りで実質増税を国民に押しつけてきたのであります。  また、中小企業に対する特別な融資枠の設定や、中小企業信用保険公庫の信用保証枠の拡大も主張しました。さらに、失業者のための緊急就労事業や高齢者のための就労事業の拡大、さらに季節労働者の失業に対する九十日分の特例一時金の支給などの雇用対策に対しても、何らの具体策が立てられておりません。これではとうてい、国民の生活を守り、景気回復をすることなどおぼつかないと言わざるを得ません。  第二は、公共事業の問題です。  政府は、減税は財源がないからできない、してみれば公共事業しか景気回復の方法はないと言っております。わが党は、後に述べるように減税は財源を十分に探してやることができる、公共事業は災害復旧と生活基盤整備を中心にやるべきだ、こういう考え方であります。  昨年全国を襲った冷害や本年の雪害に対し、緊急にさらに大幅の予算を振り向けて、復旧と援助を急ぐべきであります。また、低家賃公共住宅、地方道路、下水道、保育所、学校など生活基盤整備の公共事業をもっと積極的に進めるべきであります。しかるに、政府の公共事業対策は、従来どおり、高速道路など産業基盤整備中心の公共事業政策を踏襲しています。高速道路などの事業費が地方道路のそれの四倍近くに及んでいる点からも、この点は明らかであります。  第三点は、財源対策の問題であります。  当初予算の大資本本位の内容には手を触れないまま、二千億の国債増発をさらに行う財源対策は、国の財政危機とインフレの進行を一層激しくするものであります。  わが党は具体的に、たとえば関係政令を改正して、大銀行の貸し倒れ引当金の繰り入れ限度額を現行の二分の一に引き下げるなど、大企業、大資産家への特権的減免税を可能な限り是正すべきであること、また、既定経費の中でも、たとえば防衛関係費のうち新規の装備購入費あるいはYX開発費、石油備蓄会社出資金など、こういう補助金など、国民生活防衛の観点から緊急性の必ずしも認められない経費を削減すべきであると主張しました。しかるに、これらの措置をとることなく、歳入の補正額の相当部分を国債増発に求めたのであります。かくて、国債の累積発行残高は二十三兆円を超え、その元利の返済は将来の長きにわたりわが国民の肩に重くのしかかっていくでありましょう。これは国の財政の破綻の道に向かい、突き進むおそれがあるものと憂えざるを得ないのであります。  以上の理由により、この補正予算三案に強く反対することをここに表明し、反対討論を終わります。(拍手)

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) 三治重信君。

三治重信民社党

○三治重信君 私は、民社党を代表して、ただいま議題となっております昭和五十一年度補正予算三業に対し、次の理由により反対の討論をいたします。  第一の反対理由は、きわめて事務的に処理された補正予算案であることであります。財源の確保がきわめて安易で、一時しのぎに終わっている点であります。  すなわち、本案による歳入増は、前年度剰余金二千五百四十二億、特例公債一千億円であり、経費削減では、一般予備費と公共事業予備費の減額で千六百億円、そうして既定経費の節減では九百六十億円だけでありまして、いずれも事務的な財源の捻出によっております。これでは、減税を含む景気回復のための緊急対策はとうてい不可能であります。  私どもは、すでに早くから高額所得者に対する付加税千三百億円や、貸し倒れ引当金、減価償却費等の改正による五百億円、あるいは五十年度地方交付税の精算分五百九十億円などにも財源を求め、補正の幅を持たせることを提唱してまいりました。  第二の反対理由は、景気回復の有効手段として年度内所得税減税が見送られたことであります。  この予算が真に景気回復を図ろうとするものならば、五十二年度の本予算の先取りとして、年度内減税を断行することが、より政策効果を高めるゆえんではなかったでしょうか。  国民生活は、いまが一番苦しいときになってまいりました。すなわち、インフレや物価高により名目所得の上昇は実質所得の増加とならないのに、所得税負担の増加がかかってきているのです。この負担の増加を、何とか軽減すべきであります。また、個人消費の拡大を図るためにも、ぜひ年度内三千億円の所得税減税を行い、速やかに増気回復を図るべきでありました。  つまり、低所得者層を中心に、税額控除により、標準世帯には二万五千円の減税を行う、なお、減税対象は年収八百五十万円未満とし、また、年所得一千万円以上の所得者には一〇%の付加税をかけ、税負担の不公正を是正する、これは国民大多数の切望するところであると思います。わが党がこの予算案を問題にする最大の理由は、ここにあるのであります。  第三の反対理由は、公共事業費の計上に見合う一般会計での地方財源対策が欠落しているところであります。  御承知のように、公共事業の多くは地方自治体が実施主体であり、国の公共事業がふえれば、それに伴って地方の裏負担もふえるのであります。ところが、今回政府は、全額を地方債の増発で切り抜けようとしておるのであります。  わが党は、今回の公共事業に係る自己負担分のせめて半額ぐらいは、臨時地方特例交付金によって地方の負担を軽減すべきであったと思います。もし今後このような形で推移するならば、公共事業の未消化部分が増大するおそれすらあるかと思われます。この点、厳しく指摘をしておきます。  最後に反対する理由は、社会保障関係並びに雇用対策について配慮が欠けていることであります。  老人、身体障害者、生活保護世帯等弱い立場の人々の生活を守るため、当面福祉年金受給者及び生活保護世帯等に行う何らかの処置を考えてほしかったと思います。この点、残念でなりません。また、厳しい雇用情勢を踏まえ、失業給付受給期間、雇用調整給付金の支給要件の改善も図られるべきでありました。  以上が、われわれの景気回復に対処する緊急対策を求めた党の立場が少しも今回の補正予算案にあらわれていないことであります。これが主たる反対理由であります。(拍手)

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) 以上をもちまして討論通告者の発言は全部終了いたしました。よって、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  昭和五十一年度一般会計補正予算(第1号)、昭和五十一年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和五十一年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を問題に供します。三案に賛成の方の起立を願います。   〔賛成者起立〕

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) 可否同数と認めます。よって、国会法第五十条後段の規定により、委員長は原案どおり可決すべきものと決定いたします。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小川半次自由民主党

○委員長(小川半次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時散会

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