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80回国会参議院1977/05/19

法務委員会 第8号

発言数
239
登壇者
12
会派数
5
開催日
1977/05/19

会議録

田代富士男公明党

○委員長(田代富士男君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  理事の補欠選任についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、この際理事の補欠選任を行いたいと存じます。理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田代富士男公明党

○委員長(田代富士男君) 御異議ないと認めます。  それでは理事に寺田熊雄君及び宮崎正義君を指名いたします。     —————————————

田代富士男公明党

○委員長(田代富士男君) 民法及び戸籍法の一部を改正する法律案を議題といたします。  発議者沓脱タケ子君から趣旨説明を聴取いたします。沓脱タケ子君。

沓脱タケ子日本共産党

○委員以外の議員(沓脱タケ子君) ただいま議題となりました民法及び戸籍法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  婦人の経済的、社会的地位の向上を目指す運動が一昨年の国際婦人年を一つの契機として新たな高まりと広がりを示しています。両性の本質的平等をうたった憲法の規定が、従来の政治のもとで、現実の社会生活に生かされず、依然として法制的にも男女の同権が貫かれていない面が残されています。  この中で、いま国民の関心を呼んでいる問題の一つに妻の法的地位を向上させることがあります。  わが党の提出する今回の法律案は、民事法の分野において、妻の法的地位の向上を図るため、相続分の改正、特別寄与分について一定の改善を加え、また離縁の際の復氏についても改善を図ろうとするものであります。  この改正案の要点は次のとおりです。第一は民法の一部改正です。  その第一は、第八一六条を改正し、離縁によって養子縁組前の氏に復した養子が成年に達しているときは、その者は離縁の日から三カ月以内に戸籍法の定める届け出をすることによって離縁の際に称していた氏を称することができるものとします。  その第二は、第八八九条を改正し、第八八七条によって相続人となるべき子及び代襲者がない場合の相続人となり得る者は直系尊属にとどめ、兄弟姉妹は相続人となり得ないものとします。  その第三は、新たに第八九〇条の二の規定を設け、被相続人の兄弟姉妹は、子及びその代襲者、直系尊属、配偶者などの相続人が全くない場合には、相続人となるものとします。  その第四は、法定相続分に関する第九〇〇条の規定を改正し、  (1)子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分はおのおの二分の一  (2)配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は三分の二とし、直系尊属の相続分は三分の一  (3)嫡出でない子の相続分は嫡出である子の相続分と同じ  とそれぞれ改めます。  その第五は、第九〇六条の遺産分割の基準の規定を改正し、被相続人の財産の維持または増加に特別の寄与をした相続人に対しては寄与の方法、程度などを考慮して、一定の条件のもとに、その者の分割によって取得すべき財産を増加させることができるものとします。  第二は戸籍法の改正であります。  この改正は、さきに述べた民法の氏に関する規定の改正に伴うものであります。  以上が日本共産党の提出した民法及び戸籍法の一部を改正する法律案の要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。

田代富士男公明党

○委員長(田代富士男君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————

田代富士男公明党

○委員長(田代富士男君) 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いま話題になっております成田空港における機動隊とデモ隊との間の衝突事件ですね。その際、五月八日、東山薫さんという方が死亡された。その問題に関していままで各委員会で質問があったようですけれども、警察庁、きのうも私、地行の委員会で聞いておりますというと、とかく警察の答弁は、まだ調査ができていない、報告に接していないというような答弁が多いのですけれども、この事件が起きましてからもう十一日を過ぎているのですね。しかも何十人という警察官がその現場におったわけで、それがいまだに報告を受けていないとか事情聴取ができないとか、あり得べからざることですね。それは怠慢であるからか、それとも事実を隠しているからか、そのいずれかとしか考えられないわけです。きょうは一番事情を知っておられるという主管の課長もおられるので良心的な答弁を期待しておるのですが、この東山薫氏の死亡事故に関連していままで警察庁としてはどの程度の調査をしているのか、どういう事実を把握しているのか、それをまず概括的に承りたい。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) これは五月八日の十一時八分から十一時四十分にわたりますおよそ三十分間の出来事でございまして、各委員会でも御報告、御説明申し上げましたように、一時から付近の広場で行われます集会のところ、すでに千人ぐらいの方々が平穏に集会場に集まっている中に、二時間前になりますが、十一時過ぎごろから第四インターというグループを中心といたしました五百五十人が、三台の自動車、うち二台が火災自動車になるわけでございますが、一台のトラックに武器等を満載をいたしまして来るわけでございまして、警察といたしましては、集会が平穏に行われるために、通常、会場に入りますときに武器などを持って入らないように検問をいたすわけでございまして、これに備えて千葉県警察第二機動隊が二百二十ばかり配備についておったようでございます。で、それに対しましてこの五百五十がいきなり、武装いたしまして、鉄パイプ約百本、火炎びん五百本、それからトラックに積みました石、これは後で押収いたしますと二トン、約一万個、劇薬数十本、火炎自動車二台等で、ぶつかってきたときの状況のようでございます。それで、最初のうちは、まあ急遽、普通でございますと竹ざおあたりを持って集会に集まる、その他ちょっとした武器に類するようなものを一時預かっていただかせるというのが普通の検問でございまして、よもやこういう大変な事態になるというふうには考えて当初いなかったようでございます。そういう状況の中で警察部隊は急遽襲われまして一たん後退をするようでございますが、こういう状況でございますので、生命の危険も感じ、職責の遂行上からガス銃等を使用いたしまして規制を順次始めていくというような状況の中で、先ほど申し上げましたように、十一時八分から接触が始まりまして、向う側の発表によりますと十一時十五分ごろ東山さんが付近で負傷されたということでございます。警察も相当のことを調査はいたしておりますけれども、普通私もいろいろこの種の仕事を経験いたしておりまして、東京での四十三年から四十六年にわたります極左暴力集団のいろいろな事案のときに経験もいたしておりますが、そういう混乱の現場でけがをされた場合には、警察がずっと規制をしていきますと、負傷した方が倒れて残っておるというような状況を把握をいたしまして、すぐ救急車を呼び手当てをするというのが通例でございますけれども、この際は、さきの各種委員会でも御報告申し上げましたとおり、警察官におきましては東山薫君がどこで負傷をなさったのか、倒れた警察部隊が規制をして押していく過程で把握をいたしておりません。で、普通ですと救急車を呼ぶわけでございますけれども、救急車が呼ばれた事実もございません。それでこの衝突といいますか、こういう事案が十一時八分から十一時四十分まで大体続いたわけでございますけれども、警察が察知いたし、私どもが報告を受けましたのが三時過ぎから四時ぐらいでございます。それまでの間こういう事態がなくてよかったというような気持ちを、あれだけ激しかった現場で機動隊も危なかった、その中で殺されるような者も出なくてよかったということで私ども考えておりましたところ、三時過ぎだったと思いますけれども、一部マスコミの方から大変重態者が出たということを聞いたような状態でございます。そういうことでいろいろ調べておりますけれども、いままでのところまだ東山薫さんがどういう状態でけがをなさったかということについては判明をいたしておらないという状況でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 各新聞の報道で見ますと、警察の主張として救護所というものがその付近にあって、その救護所の何か隣接地に石とか鉄パイプとかなどをトラックでデモ隊がおろしたと、そうして東山さんはトラックで石を運んだ指揮者であったと警察が説明しているというような報道が現実にあるわけですね。そうすると、東山さんがおった位置というものぐらいは少なくも警察官はその時点で現認をしておったのじゃないかと思われるのですが、いかがです。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 御質問のとおりでございまして、私どもそれはこの接触の始まります前の時間帯でございます十時半から十一時の間というふうに聞いておりますが、私どももこういう警備をやりますときには、いわゆる私服の情報隊というのがございまして、事前にそこをまだそういう接触事案のない前に危ないものはないか、相手がどういう戦術で出てくるのかということを偵察をいたすわけでございますが、その任務を帯びました所轄の署員で、東山薫さんは四十七年ぐらいからいわゆる極左の一部の方として坂志岡の団結小屋に住居を有する方でございますので、しかもこの種反対運動の指導的立場に平素からある方でございまして、鉄塔の監視にも入れかわり立ちかわり来られたようでございますし、各種この反対同盟の集会にも出席をしておられるということで、所轄警察署の署員はよく知っておったようでございます。で、その接触の始まります前に視察に私服の情報員が現場付近に参りましたところ、その資材置き場付近にそういう石を運び込むのを発見をいたしております。その際、そういう危ないことがあるということを見に行くのがこの者の任務でございますので、そこら辺はよく見ておきたいということで行きましたところ、東山薫君が外二、三人の者を呼び集めまして、そしてその私服の情報視察員を取り囲みまして、おまえ何しに来たんだと、来るなということで追い返している状況を把握をいたしておるわけでございます。それならば、その衝突した場所でも東山君を知っておるだろうというお尋ねだろうと思いますが、そういう現実に接触が始まり、石が飛び、雨あられのように飛んだそうでございますが、火炎自動車が走って来るというような事態になりますと、情報視察員の任務というのは一応終了いたしまして後の方に後退を一応するわけで、これは私服でございまして、機動隊のように大盾を持ったり、ヘルメットをかぶったりいたしておりません。そういうことでございますので、後の機動隊等につきましては所轄署員ではございませんで、県警本部で各種警備実施に出ておる連中でございますので、どの方が東山君であるかどうかということはわからないわけでございまして、その点に私どもは矛盾はないというふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そのときの東山氏の写真などをとっておりますか。私どもの経験ではそういう場合には非常に警察官は記録写真を残しておることが常識になっていますが、とっておりますか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) お説のとおりに私服部隊につきましては、いわゆる採証検挙隊と申しまして、検挙を目的とし、証拠を残すという分野の任務を帯びた部隊と、それから私服で情報視察をして来て機動隊の配備等について資する資料を採取する任務を持っておるわけでございますが、この所轄署員は、私ははっきり聞いてておりませんが、写真はとっておりませんので、採証隊ではなくて、事前に部隊配備を偵察をする任務を持った警察官だというふうに聞いております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 その東山氏を事前に現認した警察官の報告というものはおたくの方へ来ておるのですか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 参っております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 その報告によると、当時東山氏はヘルメットをかぶっていたとありますか、かぶってなかったとありますか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) ヘルメットの点については私は詳細聞いておりませんが、かぶってなかったのではないかと思ます。その当時はまだそういう混乱の事態ではございませんので、たしか私の記憶するところでは、はっきりはいたしておりませんけれども、ヘルメットはかぶってなかったのではないかと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 あなた方は東山氏が倒れたということが大体報道機関では詳しく出ておる。最近の週刊朝日の記事によると、詳しくその現場の状況も書いてあるのですけれども、あなた方はこの救護所、何かデモ隊は野戦病院と呼んでおったようですが、それは把握していますか、その位置とか、そのほかの状況。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) それが野戦病院でありますかどうか、野戦病院と称されておる斎藤晴さん方というお宅は承知をいたしておりますが、あえて言わしていただきますならば、平穏な集会になぜあらかじめ野戦病院と称されるものをつくっておらなければならなかったかということに私どもは大変な疑問を持つわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そういう弁明はまた聞くとして、あなた方は自己弁護の主張が非常に目立つのだけれども、まず事実を的確に把握することから始めていかなければいかぬですね。この野戦病院の中に東山さんがおって、スクラムを組んでいたときにガス銃の水平射撃で後頭部を射撃されたという疑いがあるわけなんだけれども、いまのあなた方の把握している斎藤さん方ですか、野戦病院と言われるところ、そこに機動隊がどういう位置でそこに位置しておったか、それ把握していますか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 大変な混乱の中でございますので、近く千葉県の幹部に上京を求めてそういうことについて聞きたいと思っておりますが、いままでの報告のところ、混乱の状況で何時何分ぐらいから、先ほど申し上げましたように、大変な危険な状態で接触事案があったということでございまして、詳細のところについてはまだ報告を受けておりません。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それがね、驚くべきことなんだ、われわれとしては。これほどまでに新聞紙上をにぎわし、そして国会の問題になっているその事件に関して、これから報告を聞きたいと思うと言うのは常識ではとうてい考えられないですね。われわれも事実を知りたいと思うし、国民全部が一体どういうことなのか非常に知りたいわけなのだけれども、一番そのかぎを握っておられるあなた方が、私がいま質問して、これから事情を聴取したいというのは怠慢じゃないか。あなた方はどういうふうに理解していらっしゃるのか。当然いままでにその現場の機動隊をあなた方が呼んで調査をするべきだし、事情聴取すべきです。それがまた一般の事件では、あなた方はあれでしょう、非常に迅速に事情を聴取されるでしょう。どうしてこの事件だけそんな悠長なことをしておられるのか理解できない。どうです。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 千葉県警におきましては、こういう重大な問題でございますので鋭意調査をいたしておるようでございます。私どもが直接調査をする立場にはございません。それぞれの県警の調べる機能もございます。そういうところが調べておりますので、大変先生御説明いたしておりますとおりに混乱した現場でございますので、よく確実なところを調べて報告をもらうということになっておりますので、近くまあ概要だけでも、先生のお話にもありますとおりに全部が終わるということにつきましては、いろいろ警備実施の現場というのは非常に入り組んでおりますのでなかなか固めにくいと思いますが、そういう御意見もございますので、早急に中間でもよろしいということで、来て報告をするようにというふうに申しております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 課長、それでは大体あなたが鋭意中間報告を求めてわれわれに報告し得る期間というのはどのくらいかかりますか。いつまでにそれができますか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 地元の方の調べぐあいとよく打ち合わせてみないとわかりませんが、一、二週間のうちには中間的なことはわかると思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 あなた方が直接調べる立場にないとおっしゃるけれどもね、私はそうは思いませんよ。あなた方が現実に総括的な指揮をなさる立場にあるわけですね。第一私が前に警備局長をこの委員会に出頭を求めたら、現地との連絡やそれから指揮などをしなきゃいけないということが警備局長が出頭できない理由だった。そうですよ、政府委員覚えていらっしゃると思うが。だから、出頭できない理由には現地との連絡であるとか指揮があるとかいうようなことを言うて、さあいざ国会の報告を求める段階になると私ども調べる立場にありませんというような、全く矛盾しているでしょう、それじゃ。責任逃れとしか考えられない。もっと迅速に調べて報告してもらいたいが、どうです。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 決して御報告をしないと申しているわけではございませんで、警察法のたてまえ上、都道府県自治体警察でございまして、警察庁は直接都道府県警察の仕事について云々するものではございませんで、連絡調整の立場にあるわけでございます。そういう意味を、法律上の立場を申し上げたわけでございまして、向こうの幹部からもちろん指導調整等はいたしますけれども、直接私どもがその実施に当たった機動隊員を、おまえ出て来いと、どこにおったというような調査をする立場ではないと、こういうことを申し上げたわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 あなた方が個々の警察官を呼ぶということはないでしょうけれども、それぞれの指揮系統を通じて必要な報告を求め、そして国会に報告するということはあなた方の所管ですからね。もう少しちょっとその点は、事実を秘匿する意図という意識的な行為ではないと思うけれども、何かこうちょっと理解できないものがある。もう少しわれわれがなるほどという態度をとっていただきたい。  で、いま一番争われているのは、そういう周囲の全体としての警察官の行動が適当であったか不適当であったかということではないのです。それは恐らくすべての質問者がそうだと思う。ただ、ああいう混乱に際して、機動隊の中でガス銃を持っている機動隊員が、そのガス銃を水平撃ちをして東山氏などを殺傷した事実があるかどうかにしぼられている、いま調査が。あなたの方も水平撃ちをした事実があるかないかのまだ調査ができてないのでしょうか。それともそういう事実はあったのかどうか、その点いかがですか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) いままでの委員会で御報告いたしましたとおりでございまして、それぞれ銃を撃った者から、自分が水平撃ちをしたという報告は受けておりませんし、また、それではそれを水平撃ちをしたというのを見た同僚あるいは幹部なりが、彼が水平撃ちをしたという報告も受けておりませんし、そしていろいろ警備実施の現場で警備実施の状況が写っている写真も、もちろん採証隊もおるわけでございますので、おったろうと思いますので、そういう写真があって、現実にそこで水平撃ちをしておった、そういう証拠があった場合には、私どもはそれを認めるにやぶさかではないが、現在のところ、そういうだれが水平撃ちをしたという証拠が、報告があったというふうには聞いていない状況でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これはあなた方もテレビもごらんになったと思う。警察官関係者の中にも水平撃ちのテレビが出ましたねという警察官があるわけです。それから、あなた方御自身も新聞を見られたと思う。たとえばこれは五十二年の五月十一日の朝日新聞、これは朝刊、それから同じく五月九日読売新聞、これいずれも水平撃ちの写真が出ているわけですね。それから、そういう大新聞の記事の中で記者が水平撃ちが目立ったということを現認した記事が出ているわけです。それはもちろんその記者の名前は書いてないけれども、そういう大新聞の記者が現場にいて水平撃ちの事実があると言っておるのに、あなた方だけがまだ調査に接しないとか、報告に接しないとか、調査をしてないとか言う。何かあれでしょう。白々しいというか、怠慢というか、警察官だけが国民の常識からかけ離れたような印象を受けざるを得ないわけです。もちろん、個々の警察官が私がやりましたと言う道理がないでしょう。これは私もずいぶんいままでに警察官の人権じゅうりん事件を扱ってきたけれども、いままで私が扱った事件で警察が確かにありましたと言って認めたのは一件しかない。何百件ある中で一件しかない。いかに警察官というものが自分の非違行為を隠すものかということを私は体験から知っているわけですね。だから、あなた方が、私がやりましたという警察官の報告を、直接撃った人から自白をとろうとしても無理ですよ。それはやはり心を何といいますか公平に保って、事実を正確に調査して事実を確認しないと——まだ調査できないというのはどうしてもおかしいと思う。きょうのまた新聞——きのうの新聞でしたかね、これは千葉の警察本部長が千葉の県会で同じような質問を受けて、あったかもしれないというような答弁をしているようですけれども、あなた方は写真などを拡大してみて犯人を突きとめるというようなことを非常によくやっておられますね。警察は各新聞の写真であるとかなんとかいうようなことを、これを資料の提出をお願いするとか協力を求めるとかして、これを写真を拡大して水平撃ちをした警察官がだれであるかというようなことは突きとめ得るでしょう、いかがです。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) いま御質問のとおりでございますので、私ども自身もみずからの反省のために鋭意調査をいたしておるところでございます。その調査の過程で必要ならばマスコミ等のいろいろな資料も提供をお願いをいたしたいと思います。そういう謙虚さは十分に持っております。客観的に調べてまいりたいと思っておりますが、そのほかに第三者の機関、客観的な立場として、いま先生も御指摘のとおりに、部内の者を部内の者が調べるということについて御疑念もあろうかということで、公正な捜査を依頼したいということで、検察庁にお願いをいたしまして、検察庁において厳正な捜査をいまなさっておられるというふうに伺っております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いまあなたのおっしゃった斎藤さんという民家ですね、これは野戦病院であると普通反対派の人々は称しているということですが、その民家というのは、大体どのくらいの広さのものでしょうね。  それから、あなた方が隣接地にデモ隊が石などを運び込んだという隣地というのは、そのいわゆる野戦病院のどちら側であり、どのくらいの広さであるか、調査ができていますか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 私も細かい詳細なことについてはまだ報告を受けておりませんが、斎藤晴さんの家は臨時にこの日のためにか、臨時の野戦病院につくったというふうに聞いておりまして、大きさ等については知っておりません。  それから、その資材置き場で石を運んだというのは、その隣接、隣の空港寄りあるいは集会場寄りの方にあります広場だそうでございまして、これも広さについては詳細は承知をいたしておりません。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いま課長は、調査をしていまの東山薫さんの死亡事件に関する調査を報告するということでしたが、その際、当然この斎藤晴さんの所有の救護所の位置であるとかその隣接地であるとか、これはお調べになると思うけれども、その点も含めて報告してください。よろしいな。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 客観的に存在する物件でございますので、調査はできると思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 あなた方の御調査では、その斎藤晴さんのいわゆる野戦病院におった反対派の人々というのは何人ぐらいでしたか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 何人かはその混乱の現場の状況ではわかっておりません。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 結局、何にも調査をしていないということになるのだね。まあ、あなた方を余り非難しても私ども決していい気持ちではないわけですから……。ただやはり、あなた方が何にも調査をしない、報告できないという点はどうしても納得できないわけです。もうちょっと自分の職責というものを大事にして、われわれに対して、われわれがなるほどごもっともだという程度の調査を、結果をやはり報告していただきたい。何もできておりませんというのはおかしい。  それから、その日その斎藤晴さんの、いわゆる野戦病院の辺にいまあなたの御報告だと二百名以上の警察官が、機動隊がおったということだけれども、その指揮者は何という人です。どこの部隊なんですか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 千葉県警察第二機動隊でございまして、隊長は海野卓二と申します。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そこでは反対派の人々を何人ぐらい検挙したのです。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 大変な混乱の場でございまして、警察部隊は当初二百二十名、相手方が約五百五十名、しかも先ほど申しましたように、大変な凶器を使ってやってまいりまして、なかなか検挙が困難でございましたが、二十五名を逮捕いたしまして、うち十六名、証拠のはっきりいたしました者を殺人未遂罪で送検いたしております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 その混乱の現場の写真はあなた方は撮っておられませんか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 若干はあるようでございますが、私が見さしてもらったものでは、やはり機動隊員は写真を持っておりません、一般に。大盾というようなものを持ったりいたしておりますのでそういうものが持てないということで、先ほど申しましたように採証隊と申しますが、私服員が写真を持っておるわけでございますが、非常な混乱の場で、写真を見ていただきますとわかりますが、雨あられのような石、火炎びんの中でございますので非常に後方から撮っておる状態でございまして、したがいまして、私ども戦術的にはもう少し近くで撮れるいろいろな方策、これは手の内でございますので申し上げにくいのですが、再びこういうような事態に対してはそういう方法を考え、犯人を特定し、もっと多量な、もっと悪質な凶悪な犯人を多数逮捕しなければならないというふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 その写真をあなた方がすべてこういう場に提出されると事実がわかるのだけれども、ほかの場合でも、この間自衛隊の投石事件というのがありましたね、岡山県で。あのときなんかは、自衛隊に幾ら写真の提出を求めても委員会にも出さないのですね。何か都合のいいところを十枚ほど出す。私どもがまた逆に収集した写真では自衛隊に非常に不利な写真が幾らでもあるわけです。そういう写真は見せないのですね。だから、やはり客観的な事実というものを把握するためには、そういう操作をしない写真の提出が重要なんですね。まあ、そういう点よく考えていただきたい。  いまのあなたが言われる千葉県の第二機動隊ですか、海野という人が隊長をして、そのところではガス銃は何丁ぐらい持っていたのです、機動隊員は。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) この部隊自体につきましては約十丁ぐらいあったのではないかと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 きのう加瀬議員があなた方に質問しましたね。私どもそこでガス銃のガス弾の実物を見て、後で部屋にも取り寄せてみて見たのだけれども、いわゆる従来の単発式のものと連発式のものとがあるようですね。その機動隊が持っていた十丁のガス銃というのは連発式のものでしたか、単発式のものでしたか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 連発銃のものは一丁でございまして、その他はすべて旧式と申しますか、空気銃のように中から折って一発ずつ詰めて撃つものでございまして、連発銃と申しますのは、六発下から弾倉を入れまして、一つ一つ折って入れなくてもいいようになっておりますが、これは四十六年渋谷事件で、その単発銃を持っておった銃手の巡査が、暴徒が勢いよく押し寄せてきたのに、それを一々折って撃っていて間に合わずに逃げおくれて火炎びんで殺されたという事件にかんがみまして開発をいたしてまいりました分でございまして、決して機関銃のようにぽんぽん出るものではございませんが、従来の折って一発ずつ入れるものよりは、弾倉に六発入っておりまして、それが一発撃ちますと一発がまた上に上がってくるというようなことで、やや旧式よりは早目に六発が撃てるという種類のものでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 あなたの御答弁ですと、ガス銃を持っていたのが約十人ほど、十丁であると、そのうち連発銃は一丁だとおっしゃるのですね。ほかには、その二百二十人の第二機動隊以外にほかの機動隊というものはそのいまの斎藤晴さんの家の近所におらなかったでしょうか。その第二機動隊だけですか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 最初に、検問と称しまして、集会に入る人たちについて凶器を持ってないかどうか調べるための当初の任務につきましたのがこの第二機動隊でございまして、で、大変なことになったということで、付近におりましたほかの県の部隊等も応援に駆けつけております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 その応援に駆けつけたほかの機動隊というのは第何機動隊ですか。指揮者はだれですか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) ちょっと指揮者等の名前につきましてはここに手元にございませんが、他県から応援に来ております埼玉県の機動隊でありますとか、あるいは近畿管区機動隊でありますとか、まあそういう部隊が来たように聞いております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そういう応援に駆けつけた埼玉県であるとかあるいは近畿であるとかいうところの機動隊員もやはりガス銃を持っておったのでしょうか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 持っておりました。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 その持っていたガス銃もやはり連発式のものですか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 連発銃ではなくて、古い型のものというふうに聞いております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 課長の御説明だと連発式のガス銃を持っているのは一人になるじゃないですか。ちょっとおかしいのじゃないですか。たった一丁しかなかったということになるけれども、どうもおかしいように思うが、どうです。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 先ほどから御説明いたしておりますとおりに、四十六年の事案にかんがみまして開発をいたしまして、五十一年、昨年の五月から実用化するようになりまして、使いましたのが今回が初めてでございます。  で、後ほど申しますが、この事案のときには一丁でございますが、もう一丁第五ゲートのところで午後二時前後に一つ使っておる事態がございます。その他には所持をいたしておりません。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 ところが課長の御説によると、結局そのとき機動隊の持っていた連発式ガス銃というのはたった二丁になりますか。午後二時、一丁ゲートで使った。それからもう一丁は第二機動隊員が持っていた。全部、機動隊でたった二丁ですか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) そのように報告を受けております。  先ほどから説明しておりますとおりに、一応実用化はいたしておりますけれども、その後四十六年以降こんなに激しかった事案というものはいままでになかったわけでございまして、そういうものもこういう事案が予想されれば各県にもう少し配付をいたしてございますので、持ってきたかと思いますけれども、従来の成田闘争というのは、反対同盟の非常な統制のもとで平穏に推移をいたしておりまして、私ども自身もあれほど第四インター系が激しくぶつかってくるというふうには、——もちろん多少のことは鉄塔が倒れておりますから、そういう事態もあろうかとは思っておりましたけれども、ああいう事態は四十六年以降私の知る限りでは初めての、あるいは四十六年、四十三年当時の激しかった時代以上を上回る激しさであったというふうに聞いております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 あなたの御答弁を承ると、あなたのお気持ちはよくわかる。デモ隊がけしからぬのだというそのふんまんが背後にあるから。そういう感情はこの際押し殺してしまって、客観的にやっぱり事件をつかまえるという気持ちになってもらわないと、ふんまんやら何かがあったのじゃ、客観的な事実が曇ってしまうから。  結局、千葉県警に配備されたガス銃というのは何丁あったのですか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 全体の数量については、ちょっと把握をいたしておりません。現在手元にございませんので。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そういうことはどうもおかしいので、連発式のガス銃がいま問題になっているわけでしょう。それが千葉県警に何丁あるのかも、一番あなた方が全国のそういうものを連絡調整と言うのですか、指揮というか。そういうものを預かっていらっしゃるあなた方が把握していないと。しかもいま事件が問題になってきた後においても、把握してないというのはどうも納得いかないのだ。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) いまお尋ねの件は、全体の数というふうに承知しましたので、そういうふうに申し上げましたが、連発銃については三丁というふうに報告を受けております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 その三丁のいわゆる操手と言いますかね、撃つ人、これは特定しているんですか。それともやはり時々刻々かわるのですか、いかがですか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) これにつきましては、それぞれかわることがあると思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 しかし、大体あなた方が本当に事実を確かめようということで御調査になれば、たった三丁の連発銃であるというのだったら、その日だれが連発銃を持っていたかというようなことは当然特定できますね。  あなた方の捜査能力はわれわれも非常に高く評価しているのですが、いかがです。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 特定できると思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それじゃ、あなたのいわゆる特定できる連発銃の操手、それもお調べがつくと思いますから、ぜひ報告してください。その人がどこで任務についていたか、その当時ですよ。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 私どもも調査をいたしますし、検察庁におかれましてもいま捜査をいたされておりますので、検察庁ともよくお打ち合わせをいたしたいと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 なお、その連発式のガス銃というのは、その性能については十分調査ができておるのでしょうね。たとえば、いま新聞紙上でよく話題になっていますね。至近距離で直撃すれば人を殺傷するに足る能力を十分に持っているということが報道せられていますが、その事実はあなた方は把握していらっしゃるのですか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 本来、ガスというものは武器ではないということが裁判例でも何回か認められておるわけでございまして、武器はいわゆる人を殺傷するのが主な目的でございます。それに対しまして、ガス銃というのは一定の距離でガスを発射をいたしまして、そのガスによって一定の期間、非常にこれは短い期間でございますが、人に催涙作用を及ぼして効能を減殺して規制をその間に行うということで武器ではなく、単なる規制の用具でございますので、そういうことの殺傷能力があるかないかというようなことについて厳密な調査はしていないと、これは私どもではございませんで、装備課の所管でございますが、そういうふうに聞いておりますけれども、私、先生の御質問のとおりいろいろ危害を加え得るではないか。使い方によっては、それはガスは本来そういう目的ではあるけれども、使い方によって人に危害を加え得るではないかという御質問でありますれば、私ども警棒、単なる一つの棒であります警棒によりましても、頭を殴っても人を殺すこともできます。そういう意味におきまして危害を加え得る用具であるというふうには言えると思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 その連発式ガス銃というのは私もきのう加瀬議員から見せられまして、赤いこのぐらいの長さのを見たのですが、あなた方の方ではその重量であるとか長さであるとか、あるいは直径であるとかいうことは把握していらっしゃるのでしょう。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 一応把握をしております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それをおっしゃってください。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) これはいままで約十四回の各種委員会でもそういう説明をしろ、資料を提出しなさいという御要望があったわけでございますし、裁判所においても何回かそういうことがございましたが、私ども個人の警察官の身を守ったり、犯人逮捕のために必要な拳銃等はございますけれども、こういう部隊活動で、しかも大変そういう危険な大集団で殺人罪を犯すような場合に拳銃は適当ではないということで、それにかわるものとして、余りそういう死傷を及ぼさない用具として催涙ガス器具を開発をいたしたわけでございます。これが唯一の部隊活動における警察官の身を守りあるいは相手を規制する用具でございますので、その詳細等を公にいたしますと、すでにそれに対抗策を講じられて、大変苦労した事案がございます。  今回の鉄塔倒しの場合にも、鉄塔にそれに用意してだろうと思いますけれども、倒しにまいりました場合に、あれは裁判所の執行官が倒すわけでございますが、その妨害があった場合に出動要請があるわけでございますけれども、それに備えてガス弾が通らないようなベニヤ板を下の方に張るとかあるいは下に穴を掘るとかといういわゆる要塞化ということを公然と極左の連中は言って、まさにそれが完成をしようとしておったわけでございます。また、東大闘争等におきましても、そういうガス弾を防ぐバリケードをつくりあるいはガス弾が届かないと思量される安田講堂の屋上に陣取って大変な苦労をした経験があるわけでございます。そういうことでやむなく警察におきましては、ガス弾の届かないというようなことから、ヘリコプターからガスを安田講堂の屋上にまいたということもあるわけでございまして、そういう要するに部隊活動上、警察官の身を守り、相手方にも危害を及ぼさない、拳銃を使わないでいいための唯一のよりどころであるこのガス器具の詳細について、相手方にいろいろと対抗策に出られないようにというようなことで、御説明申し上げましたところ、いままで当国会におきましても十四の委員会におきまして御了承をいただいておる。裁判所においても何回かそういう御要望がございましたが、この事情を説明いたしまして、御了承をいただいておる事情でございますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 その主張は一応合理的のように思いますけれどね、あなた方はしかし東山氏を殺害したという嫌疑をいまある程度受けているわけだ。それはやはり実際のガス銃なりその実弾というものを提供しなければその疑いが晴れないでしょう。そういう検察庁であるとかあるいは裁判所から嘱託された法医学教室であるとか、そういうものには提供するのでしょうね。   〔委員長退席、理事平井卓志君着席〕

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 法医学教室かどうかは別といたしまして、捜査当局たる検察庁から要求がございました場合には提供すべきであると私は考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 私どもは現実にその弾というものを、これはまあ撃った弾かまだ撃たない弾かわからぬけれども、持っているから大きさや何かはわかる。重量も大体推定がつくので余りその点の追及はしないことにしますがね。ともかく、あなた方も御体験かもしれないけれども、私どもも機動隊とそういうデモ隊との衝突現場というのを何回か見ているわけです。あるいは報告を受けているのですね、その都度。そのときにいつも感じるのだけれども、第一線の警察官が非常にかんかんになる。興奮してしまう。私が現実に見たのは、デモ隊の足にあの重い盾をがちゃんとおろして足の骨をくじくような操作をしているのを現実に私は見たことがある。まあいろいろまだ一線の警察官が興奮したりかんかんになるということはわかるけれども、あなた方がやはり、指揮官を初めそういうデモ隊を鎮圧する警察官に、まあいかなる場合にというものは不可能かもしれないけれども、できるだけ冷静に、興奮しないようにという訓練をする必要はありますよ。それからまた越軌行動というのはやっぱりあるのです、いままでに。ガス銃の水平射撃というものもかつてあったのです。あなたがいま言われた安田講堂でもそれが話題になった。そういうときに、やはり事実を調査するのをいやがってうやむやにしてしまうと、いつまでもそれが改まらないで、改まらないから、今度はやられた方がまたエキサイトして報復手段を考える。あなた方はまたそれを非常に興奮して押えようとする。いつまでもそれが繰り返されるわけね。愚の骨頂ですよ。だから、あなた方はやはり第一線の警察官には興奮しないように訓練をしなきゃいけないと思いますよ。それから指揮官もそういう場合にかんかんになってもう自分が興奮したりあるいは制御不能の状態に陥ったりすることがないように指揮官自身も教育する必要があると思いますよ。そういう教育をあなた方はこれからせられる御計画なり決意がございますか。   〔理事平井卓志君退席、委員長着席〕

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) お説のとおりでございまして、機動隊も人間でございますので、自分が予想外のことで殺されるような事態になりました場合には中にそういうものもあろうかと思いますが、しかしあくまで警察官は法に基づいて冷静に執行すべきでございますので、機動隊員の選任につきましてもそういう興奮するような者は排除をし冷静な者を持ってくるように、あるいは訓練につきましても十分そういうことを留意いたしておりますし、成田の警備について本部長の当初の訓示に、警備方針のまず第一に彼我双方に負傷者を出さないということは毎回申しておるわけでございます。これは過去の四十六年の以前からの四十三年、四十二年ごろから始まっておりますが、それから非常に負傷者が多い警備事案が続いておりますので、そういうことを合い言葉とし、警備方針の第一に毎回毎回掲げてやったわけでございますが、今回のほかのグループはそうでもございませんでしたけれども、第四インターを中心とした八日のこのグループは特に激しかったようでございまして、しかしながらそうはいいましても、法を執行する警察官としては、お説のとおりに、今後とも冷静に行動をとるようによく指導をしてまいりたいと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 警備課長は結構ですから。なるべくいまの報告をするというのを一週間ないし二週間とおっしゃったけれども、国会が終わってしまっちゃしょうがないから、できるだけ一週間以内に報告してください。  次は法務省の刑事局長にお尋ねしますが、これは現在、いまの東山薫さんが殺された事件について千葉の地方検察庁で捜査をしておられるようですね。これは告訴事件として捜査しておられるわけですか、それとも職権で探知したということで捜査しておられますか。どちらです。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 東山さんが亡くなられたごとを知りましてすぐ検察独自の捜査として捜査を開始いたしております。その後に告訴が出ておりますから、告訴にかかる分も一緒に捜査をしております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 なかなかこれは警察官が被疑者になっておることなので捜査が非常にむずかしいとは思いますけれども、地検の捜査に当たっている検察官というのは何人ぐらいで当たっているのでしょうか、陣容は。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 現在千葉地検の検察官がほとんどかかりきっておりますほかに、千葉地検以外の検察庁から検事九名、検察事務官九名を応援いたしまして、それらの勢力で鋭意捜査をいたしております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 東山氏の遺体の解剖をしておられるようですが、これは千葉医大の何教室でやっているのでしょうかね、御存じですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 法医学教室の木村教授というふうに聞いております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 新聞紙上ではいろいろ私ども知っておるのですが、これはいつごろ鑑定書が出るのか大体おわかりですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 確たる日時は先方の鑑定の手順もございましょうし、まだ把握いたしておりませんが、事柄の状況にかんがみまして特に迅速にお出しいただくというふうにお約束をいたしておるようでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いまも警察庁の警備課長に私お尋ねしたのだけれども、これはやはりガス銃の機能というものを把握しないと結論が出ないように思いますが、検察庁としてはこのガス銃とかガス銃の実弾であるとかいうものはもうすでに押収とかあるいは領置とかしておられるのでしょうか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 個々具体的な捜査の運びについてのお尋ねになりますので、正面からなかなかお答えしにくいのでございますが、先ほど来若田警備課長とのやりとりを承っておりまして、そこでお尋ねのようなことはすべて検察庁でやっておるように思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それだけの布陣で捜査に当たっておられるということになると、もう相当数の警察官も調べたということは大体推認できるわけですが、こういう事案ではしばしばデモ隊側が参考人として事情聴取に応ずるということをいやがる傾向がいままでありました。それが事案の真相というものをまた不十分にする一つの理由にもなっておったようですが、この事件ではそういうデモ隊の方が事情聴取に応じておるでしょうか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) デモ隊の方の人は応じておる人もあり、応じていない人もあるという状況のように聞いております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 検察庁の方では、いろいろ私ども新聞紙上で承るわけだけれども、一応被疑者は不詳としておられるのですか、それとも特定しておるのでしょうか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 被疑者は不詳となっておりまして、検察庁といたしましては、東山さんの亡くなられた原因についてあらゆる可能性を想定いたしまして虚心坦懐に、かつ厳正公平に事案の真相を究明したいと思ってやっております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 検察庁としては、いまの鑑定などの処遇を裁判所に求める場合の罪名は何としておられたのでしょう。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 検察当局といたしましては、ただいま申し上げますように、なるべく虚心坦懐に捜査を開始しょうということで、当初、傷害致死という罪名で令状を請求をしようと考えておりましたが、具体的な令状発付請求ないし発付の手続の過程におきまして、本件で一番問題になるのはいわゆるガス銃の水平撃ちということがあったのかないのか、またそのことが東山さんの死と関係があるのかないのか、これが一番キーポイントでございますので、その点に焦点を合わせる意味におきまして、特別公務員暴行陵虐致死罪という罪名で令状を得て解剖いたしております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 私も前に流れたときにいまの罪名ではないかということを考えたのだけれども、もしも水平撃ちで至近距離からやれば相手が死ぬかもしれないという未必の故意があるとすると、これは殺人にも当たるのじゃないかと思いますが、その点の考慮はされたのでしょうか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) いずれにいたしましても非常な混乱だったようでございますが、そういう混乱の中におきましても日本人同士が混乱の渦中にあるわけでございますから、およそ殺意を持って何らかの攻撃を加えるということはちょっとたやすくは認定しがたいということで、一応傷害致死系統の罪名で捜査をしておるわけでございますが、ただいまお尋ねのような状況になってまいりますれば、当然、殺人罪というような場合も全く考えられないわけではないと思います。そうでないことが望ましいとは思っておりますが、客観的にそうなるかもしれません。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 私どもいま警備課長にもお話をしたのだけれども、こういう事件が後を絶たないわけですよ。もうデモ隊の方もかんかんになって、両方がますますエスカレートしていく。これをやっぱしそういうことがないようにするためには、そういう行き過ぎがあった場合には、それは行き過ぎだと、改めなきゃいけないという冷静な、いわばコントロールできる人がなきゃいけない。それは私は検察庁しかないと思う。ところが、いままではとかくその検察庁が、私どもの見方ですよ、仲間意識にとらわれて臭い物にふたをするというか、ごまかしてしまう、私どもは幾たびか遺憾な思いをしたことがあるのです。検察庁におかれては、誠心誠意おやりになったのかもしれませんけれども、私どもの印象としてはどうも仲間意識でこれは隠しているなという遺憾の気持ちを仰え切れなかったことが何回かあります。やっぱし、そうしますと、一番この種事件は後を絶たないわけですよ、それが次々と不幸を生んでいく、そういうことを考えますといま刑事局長がよくおっしゃっておられたと思いますが、冷静に厳正公平に、この種事件は二度と起こさないという気持ちで、公正な捜査に当たっていただきたいと思いますが、この点は大臣がいままで国家公安委員長を前になさっていらっしゃったわけで、警察に対する愛着というか、親近感というか、そういうものは当然おありと思いますけれども、そういうことで事件の実態の把握であるとか、厳正な捜査であるとか、そういうものをいささかも阻害をするようなことがあってはいけないと思います。その点公正な捜査をするということのお気持ちがございますか、伺いたいと思います。

福田一自由民主党法務大臣

○国務大臣(福田一君) 犯罪の捜査に当たっては感情とかあるいは事前の何らかの意図を持って捜査をするということでなくて、厳正公平な立場でやらなければならないと私は考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 どうぞ、大臣のお気持ち、それから先ほどの刑事局長の御答弁にありましたように、検察庁が刑事訴訟法上も警察官よりは一段高い立場を与えておられるわけです。それはやはり法を適正に運用していく、そういう信頼がそこにあるからでありますから、その点はくれぐれも本来の使命を果たしていただきたいと思います。  次に刑事局長にお尋ねしたいのは、全逓名古屋中郵事件の問題です。これは十一年前の東京の中央郵便局事件の判決を百八十度変えてしまった判決でありますけれども、この判決によりますと、郵政職員はストライキの場合に郵便法の七十九条一項の処罰を受けることになります。ところが、国鉄職員などはストライキをしましても、鉄道営業法その他の関係法規を見ましてもそういう罰則がございません。電電公社の場合には公衆電気通信法にやや疑わしい規定がありますが、これもいままではそういう解釈をとる者はおりませんでした。専売公社にはそういう罰条の規定は全くありません。他の四現業についてもありません。そうしますと、同じ公労法の適用を受ける三公社五現業の中でひとり郵政職員だけがストライキの場合に処罰をされるということで著しく不公平といいますか、均衡を失う結果になると思いますが、この点は刑事局長としてはどういうふうに把握しておられますか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) ただいま御指摘のありましたように、三公社五現業の中でいわゆる不取扱罪というようなものの規定がございますのは、郵政職員とそれから電電公社の職員、この二つだと思います。それ以外の者も含めたこういった公共企業体の労働者のいわゆるストの一環としての業務不取扱をそそのかしたり、あおったりする行為、こういうことをどの程度どの範囲を処罰するかということはもっぱら立法政策の問題であろうと思います。その立法政策の問題ということになりますと、ひとり法務省だけの立場で論ずることはいささか僣越かと思います。ただ、先ほど来御指摘の判決の中で下田裁判官が補足的な意見を述へておられますが、その中で言っておられる次のようなことは、私としては興味があると申しますか、一つの見解だと思っております。  すなわち、三点のことを言っておられます。  第一に郵便……

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 ちょっと、いただいた判決の何ページでありますか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 七十六ページ。  その一つは、「郵便業務は国家の完全な独占事業であるため、郵便ストの場合、国民は他に代替サービスを見出すことはできない。」という点であります。それから第二が、「郵便不取扱が国民生活に及ぼす影響は、重大、深刻であり、かつ、広範囲にわたるものである。」ということ。それから第三に、「憲法二十一条一項は、言論、出版等表現の自由を保障するが、新聞、雑誌等への寄稿者が原稿郵送の過程に郵便不取扱に遇えば、右寄稿者にとって、表現の自由は画餅に帰することとなる。」というようなこと。なお、 いまはかいつまんで申し上げたわけですが、それを敷衍していろいろおっしゃっておりますが、一つの見識かというふうに個人的には感じております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そうすると、刑事局長としては郵政職員は他の四現業やあるいは三公社の職員の業務よりも、業務自体の性格がより公益に結びついているというか、重要であるというか、そういう評価をしていると、そういうお考えですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) そういうような見方をすれば、この立法上の不合理というものはないというふうに解することができる、かように思っております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それは無理じゃないかな。これは前の全逓中郵事件のときも多数説の岩田裁判官が言っていましたように、郵政職員を処罰して国鉄の職員を処罰しないということはおかしい結果になると。したがって、やはり郵政職員はストの場合に郵便法七十九条一項の適用を受けるべきではないという結論を出すべきなので、国鉄よりも郵政の方が業務上重要な業務だということは無理じゃないですか、いかがですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) その辺はいろいろ見方のあるところだろうと思いますが、過去においては国鉄職員の業務不取り扱いというものを立法化しようという動きもあったというふうに私承知しておりますが、それは結局実現しておりません。  そこで、冒頭に申し上げましたように、郵政と電電公社だけにこういった規定があるわけでございますが、まあ私としてはやはり郵便業務の独占性、それから郵便業務が担保しております国民同士の意思の疎通、いわば表現の自由の外縁にあるものになることと思いますが、そういった点を考えると、まんざら合理性がないわけでもないというふうにやはり考えるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 ずいぶん無理な解釈だと思うけれども、そうすると、郵政職員だけを処罰して、他の四現業及び三公社の職員を処罰しないということは決して立法政策として憲法十四条の法のもとの平等の規定に反するものではないとあなたは思われるのですか、やっぱりそれは憲法十四条に抵触する疑いがあるというふうに思われるのですか、どちらです。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 憲法十四条の問題にはならないのじゃないかと思っております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そうするとあれですか、あなたとしては郵政職員だけを処罰しても不均衡ではない、他の四現業や三公社の職員と不均衡ではないというお考えですか、それともやっぱり多少おかしいと思われるのですか、どちらなんです。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 結論的には不均衡でないと思っております。もしこれが不均衡であるということであれば、立法府において均衡をとるようにされますでありましょうし、私どもは先ほど申しましたように一応合理性があるというふうに考えておりますので、これは今後とも法の明文がございますから、運用していかざるを得ないものだと思っております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これはもう、ちょっと、いつも合理的な主張をせられる刑事局長としては不合理きわまる答弁のように思うのだけれども、法務大臣はどんなふうにお考えですか。法務大臣、つまり、いま三公社五現業の職員は公労法という一つの法律の適用を受けているわけです、労働関係では。で、全くその間差違のない扱いを受けているのですよ。ところが、ストライキした場合には、郵政職員だけが処罰される、他の四現業や三公社の職員は処罰されないという結果になっていますね、この前の名古屋中郵事件の判決で。それは不均衡だと思いませんか。いかがです。

福田一自由民主党法務大臣

○国務大臣(福田一君) 先ほど刑事局長から、郵便業務というものは非常に重要なものであるというたてまえからそのような判決が行われたというふうにお答えをしておると思いますが、私も同意見でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 まあ、これは歴史が明らかにすることでありますし、どうも学問的にもそれから論理的にも——法律学的な意味でですよ、論理的にもおかしいことはもう一見明瞭だけれども、がんばられるなら押し問答になるから、これは他日に譲ることにいたしましょう。  次は、法務省の庁舎の問題でお尋ねをしたい。  最近東京駅がつぶされるということで、東京駅に愛着を持つ人々の間で保存運動が起きています。私どもは東京駅以上にいまの法務省の庁舎、これはもう実に何といいますか、建築学的にも都市美の上からも大変価値のあるものだと思っておるのです。あれがつぶされてはかなわないと思うのです。憲政の神様であられた尾崎男堂が、婦人と一緒にあのバルコニーでいつも仕事が終わってからお茶を飲んだ、紅茶を飲んでおられたというようなことも残っているわけです。いろいろな思い出もありますし、法務省の主管課長としては、あれについては改築とかなんとかという計画はないのでしょうね、どういうふうなお考えですか。

増井清彦法務大臣官房営繕課長

○説明員(増井清彦君) お話のように法務省の本庁舎につきましては文化財的な建物でありまして、その保存を要望する声も非常に強いものがございますので、現在のところ法務省といたしましては、これを解体して改築するという計画は持ち合わせておりません。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これは文化庁の担当の方にお伺いしたいのですが、あれは文化財としての指定はまだないというような報告受けておりますが、あれは実に貴重なものなんですが、文化財として御指定になるお気持ちはないのでしょうか。

角井宏文化庁文化財保護部長

○説明員(角井宏君) 御指摘のとおりあの建物は明治二十八年に竣工いたしました近代的な当時のドイツ式の明治建築として大変に由緒あるものではございます。しかしながら、現実に指定をいたしますとなりますと、これにつきましてはいろいろと検討しなければならない問題がございます。と申しますのは、具体的に指定後の保存の問題、それから修復の問題、こういった問題につきまして確たる見通しなしに指定するわけにはまいらぬわけでございます。で、この建物につきましては、御承知のようにちょうど東京駅の場合と同じでございますけれども、戦災によりまして屋根も内装も焼失をいたしておりまして、したがいまして構造上の耐用度の問題、それからその後の活用の問題とか、いろいろと検討しなければならない問題がございます。したがいまして、この指定につきましては関係御当局ともよく打ち合わせをいたし、また調査もいたしませんと結論を出すことができないと存じております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いろいろ技術的な困難はおありと思いますけれども、できるだけあれを保存するという、そういう高い見地から業務を推し進めてくださるように希望しておきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

角井宏文化庁文化財保護部長

○説明員(角井宏君) ただいま御使用になっておられますのは法務省でございますので、法務御当局ともよく御相談の上で検討さしていただきたいと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 法務大臣、最後にひとついかがです、いまの庁舎の問題。

福田一自由民主党法務大臣

○国務大臣(福田一君) 私も実は大臣室へ入ってみまして、よその大臣室も二、三カ所へ入っておりますけれども、非常に特徴のある趣のある私は建物であるということを印象を受けております。明治時代の建物としてもう少なくとも唯一のものになるのじゃないかと、そういうことであればできるだけ残したいものだなという感触を持っております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 終わります。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 それでは、私はいま国民の話題を呼んでおります再審制度の問題について若干お尋ねいたしたいと思います。  今月に入りましてから広島高裁におきまして加藤老人の再審事件の結審がなされた。また、それに引き続きまして日本弁護士連合会が再審法の改正案を具体的に打ち出して、ぜひともこれを実現したいということでこの問題に取り組んでいるわけでございます。去る五月の十四日にも日弁連におきましてこの再審法改正の実現のための大会が持たれ、ぜひともこれを実現したいということで、私もこの立法の動向について御説明にも伺ったようなわけなんですけれども、いま法務省当局においても、また幾たびか国会における御答弁その他、あるいはいま伺っているところにおいても、法務省においても再審法の改正をいま具体的に進められているということをお聞きしているのでございますが、まずそのあたりはどういうふうになっておるのか、経過をお話しいただきたいと思います。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 現在の再審の制度につきましては、ただいま御指摘のありましたように、いろんな議論がございます。そういう議論を踏まえまして、いま私どもでは再審制度の手続の関係の規定の中で改正を要するものがあるのではないか、あるいはさらに追加すべき規定があるのではないか、そういう観点からいわゆる刑法全面改正に伴う刑事訴訟法の手直しという問題と切り離して再審制度の改正の余地というものを鋭意検討しておるところでございます。その検討の過程におきましては、ただいま御指摘の日弁連の改正案というものもよく拝見をいたしておりますので、まあ根本的に私どもと考え方の違う点もございますけれども、中には将来再審制度を手直しするとすれば取り入れるべき方向で考えた方がいいというものも多々あるようでございますので、慎重に検討して手直しをさせていただきたいと思っております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 具体的にどの部分をどのようにという法務省のお考えは逐次質問をさしていただいて伺いたいと思いますが、まず、大体法務省の案をまとめられて法制審議会の方におかけになると思うのでございますけれども、大体法務省案をまとめられるめどというのはいつごろの御予定でございますか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) そういうような日時を切ったいまスケジュールをまだ立てておりませんが、手直しするとすればなるべく早い機会にやりたいと思っております。ただ問題は、日弁連の案のような考え方と私どもの考え方とでは一番恐らく出発点の大事なところで意見が違ってくるのじゃないか、そうなりますと、果たしてすんなりと法制審議会に諮問できるような状況になるかどうか、若干危惧は持っておりますが、そういった点の調整がつきますればしかるべき機会に法制審議会にかけたいと思っております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 私の伺っているところではこの秋ぐらいにでも法制審議会にかけたいと、いずれその法制審議会にかけてどうなるこうなるということは、まだちょっとどういう案をお出しになるか拝見しないとこれは見当つかないことでございますけれども、そのようにお聞きしているのですが、そうじゃないのですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 実は法律審議会のスケジュール等の関係もございますので、ことしの秋ということは無理かと思っております。たとえば法制審議会にかけたらどうかと言われておるものの中には、たとえば被害者に対する補償制度とか、そういういわゆるなお緊急を要するようなものもないわけではないと思いますので、ことしの秋はちょっと無理じゃないかと思っております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 これは大臣に伺いたいと思いますが、もうこの五月の中旬に入りましてからも、各新聞紙にも社説に再審法制の改正の実現の促進を訴えた記事がこれ各紙に載っておるわけでございますが、いま法制審議会のスケジュールの問題がございましたが、私が伺っているのは法制審議会がどうなるこうなるというのじゃなくて、法務省案がいつごろできるか、まあ具体的に申し上げると再審問題について法務省がどのような積極的な姿勢で取り組んでいらっしゃるのかどうかと、そういうことを伺いたいと思うのですが、大臣はその点についてどういうお考えをお持ちでございますか。

福田一自由民主党法務大臣

○国務大臣(福田一君) わが国における再審制度は、諸外国の再審制度と比較いたしまして再審事由が狭きに失するということもございません。またその運用も適正に行われ、真に救済すべきものは救済されていると認められます。特に、いわゆる白鳥事件に関する昭和五十年五月の最高裁決定によりまして、再審を開始するか否かの決定に当たっても疑わしきは被告人の利益にの原則が適用されるとの判断が示され、ゆるやかな解釈がとられるに至っているので、再審の要件については現行法のままで十分運用を期することができると考えております。しかし、再審請求の手続については、たとえば再審請求人に対する国選弁護人の選任、再審請求人と弁護人との秘密交通権など立法上検討すべき点もありますので、今後検討を進めてまいりたいと思っております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 いま大臣にかなり細かい御答弁をいただいたわけですけれども、この細かい条項についてはまた逐次質問を詰めさしていただきたいと思っておるわけでございますが、先日来新聞紙上でも拝見しておりますし、また法務省自身も改正法案を提出するのだということが報道されておりますから伺っているわけなんでございますが、特にこの白鳥決定などによって刑訴四百三十五条六号についての幅というものがかなり幅広く解釈された、これは法解釈の問題ばかりではなしに、これを法制化する必要があるのではないかという強い世論の背景、それといまおっしゃったようにいろいろ手続面においてもこの再審を実現するためにはいろいろ改正しなければならない手続法上の諸問題があるということは法務当局も認めていらっしゃるとおりでございますし、また法務省自身もお出しになるというお話だからいま伺っているわけなんでございますが、そうするとまだ余り手続は進んでおらぬということでございますか、刑事局長。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 率直に申し上げまして、ただいま刑事局で鋭意検討しておる段階でございまして、大変申しわけないことでございましたけれども福田法務大臣にはまだ問題点の再審制度の手直しという問題があるということは御説明申し上げておりますが、細かい技術的な点等につきましてまだ御説明の段階に至っておらないのでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 それでは刑事局長に伺いますけれども、まずいま大臣の御答弁にもありました白鳥決定で幅が持たれたというようなことでございますが、この日弁連案で出ております再審要件の緩和という点の一番代表的なところがいま申し上げた刑訴法四百三十五条六号の再審理由、すなわち「有罪の言渡を受けた者に対して無罪若しくは免訴を言い渡し、刑の言渡を受けた者に対して刑の免除を言い渡し、又は原判決において認めた罪より軽い罪を認めるべき明らかな証拠をあらたに発見したとき。」のこの規定を、この「認めるべき」の部分をもう少し緩和する。すなわち「有罪の言渡を受けた者につき免訴を言い渡し、刑の言渡を受けた者につき刑の免除を言い渡し、若しくは原判決において認めた罪より軽い罪を認め、又は原判決に影響を及ぼすべき重大な事実誤認があると疑うに足りる証拠をあらたに発見したとき。」と、これは日弁連案でございますが、御承知のとおり。これはむしろ最高裁の判決、白鳥決定あるいは財田川決定などに見られるようなふうに立法を改めろという趣旨だと思うのでございますが、その点についての法務省の御見解はいかがなんでございますか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 先ほどちょっと申し上げました日弁連案の中で私どもと基本的に見解を異にするのはまさにいまお尋ねの点でございます。で、日弁連案のように、ただいま御紹介がありましたように、「原判決に影響を及ぼすべき重大な事実誤認があると疑うに足りる証拠をあらたに発見したとき。」というのを加えてまいりますと、確定判決の効力に対する非常救済措置であります再審というものを未確定の判決に対する上訴審と同じような理由で破っていくということになると思います。したがいまして、日弁連案のような構想を取り入れますと上告審の上にもう一つ第四審が乗るというようなことになる。しかもその第四審に対する上訴、実質的上訴については上訴期間の定めもないということになるということで、確定判決の効力というものを非常に低下せしめてしまうことになるのではないかという危惧があるわけでございます。また現在上告理由におきましてもこの重大な事実誤認だけでは上告理由あるいは控訴審判決破棄理由にはなりませんで、それに原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認められるという要件がもう一つかぶさっておるわけでございます。そういう点からしますと、日弁連の御提案は現在の上告審の窓口よりもっと広い窓口を第四審として設けるような結果になる。これは申し上げるまでもなく、確定判決というものの重々しい効力、こういうものに対する相当な障害になるというふうにいま考えておるわけでございます。これに対しまして現行法は、先ほど来御指摘の大臣も申し上げましたような白鳥事件関係の裁判におきまして出ましたように、いわゆる再審事由の中の証拠の新規性それから明白性、このうちの明白性という要件を疑わしきは被告人の利益に従うという考え方を入れることによってぐんと広めております。で、その運用で現在次々に不幸な方が救済されておる、こういうことでございますので、窓口は現在の法律のとおりでいいのではないかというふうに私どもは考えております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 そうすると、四百二十七条の確定証拠にかわる証拠についての現行法の「前二条の規定に従い、確定判決により犯罪が証明されたことを再審の請求の理由とすべき場合において、その確定判決を得ることができないときは、その事実を証明して再審の請求をすることができる。」、その後ただし書きがございますが、これがまた不当に再審の門戸を狭くするおそれがあるということから、この日弁連案は「前二条の規定に従い、確定判決により犯罪が証明されたことを再審の理由とすべき場合において、その確定判決を得ることができないときは、その事実を証明すべき証拠を提出して再審の請求をすることができる。」というふうに改めるべきであるという意見が出ておるわけでございますが、そのあたりについては法務省はそれじゃどういうお考えなんですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) この点も日弁連案に賛成しかねると考えておる点の一つでございまして、再審請求の理由の方、四百三十五条の一号ないし三号あたりを見ますと、確定判決によりある種のことが「証明されたとき。」に再審請求を「することができる。」となっておるわけですが、そうしておきながら手続の方では証明しなくてもよろしい、証明できる証拠だけ出せばいいというふうに書くということは、そのこと自体前後矛盾いたしますので、これはこの点だけを改正しても余り意味がないのじゃないかというふうに考えております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 これは実際のところは再審開始決定があればもう再審になったというふうに、まあ一般的にいままでの動きがそのようである、それはいかに再審開始をかちとるということがむずかしいことであるかということで非常に門戸が狭い。いま伺っていますと、一番この再審法の改正の要点はいま申し上げた二つの点ではないかというふうに思うわけですけれども、そうだとするならば、それを両方ともいまのままでいいと言われるとすると、白鳥決定の精神とも合わなくなってくるのではないか。そのあたりはどのようにお考えなんですか。いままで私これ再審問題について法務委員会であるいは予算委員会で八回ぐらい質問しているわけですけれども、実はもう少しいままで前向きの答弁をいただいているわけです。非常に本日の答弁は後退した答弁である。むしろ伺っているところでは新聞紙上の報道あるいは法務当局から漏れ伺っているところでは、もっと前向きに取り組んでおられるというふうに伺い、かつ私自身も日弁連でも、法務省も非常に熱心に前向きに取り組んでくださっている御様子だというふうにこの五月十四日の報告集会にも日弁連に申し上げているわけでございますけれども、何だかきょうの答弁伺っていると、まるでいままで伺っていた話と全然違う。非常に私心外に思うわけですけれども、一体どういうわけでこの二、三日の間にお考えが変わったわけですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 二、三日のうちに意見が変わったということは全くございません。再審制度の手直しには前向きで取り組んでいきたいと思っておりますし、その決意も固めておるわけです。ただたまたまただいまお尋ねいただきましたのが日弁連案と私どもと意見が相違するそのわずかなものの中のまあほとんどでございまして、ほかの点をお聞きいただけば私どももいろいろ考えさせていただくところが多いと思っておりますので、そう後ろ向きではないと思っております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 そう後ろ向きじゃなくて前向きでやってらっしゃると。それじゃその前向きの点を聞かしていただきたいわけでございますが、どういう点か、まず順番に伺いますから主な条項をちょっと当局の方からお述べいただきたいと思うわけです。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) まず大ざっぱに申し上げますと、先ほど大臣も一部仰せになりましたが国選弁護人の選任の問題、それから再審請求した人、それからその弁護人の再審請求に対する決定手続における立ち会い権の問題、それから再審請求人と弁護人との交通権の問題、それから、それほど大きなと言いますか、立法上大きなことではないかもしれませんが、記録の保存の問題、こういった問題を中心に手直しをすべき点があるのじゃないかと思っております。  詳細はまたお尋ねがあれば申し上げます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 いま弁護人の話が出ましたが、まずこれはその国選弁護人の前に刑訴四百三十九条で再審請求権者の中に、これ一号から四号までございますが、弁護人は入っておらないわけでございますが、弁護人も請求人に、これは弁護人を含ますべきではないか、あるいは刑事訴訟規則二百八十三条二項により、弁護人は請求人にかわって前項の手続をすることができるというふうにでも改めた方がいいのではないか、あるいは改正案として第二項に「弁護人は請求人に代わって前項の手続をすることができる。」というふうに改正すべきではないかという考え方があるのでございますが、そのあたりについてはどのようにお考えでございますか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 現在刑訴の四百四十条にありますように「再審の請求をする場合には、弁護人を選任することができる。」となっておりますので、ただいま御指摘のように弁護人からも再審請求ができるというふうに改めることは十分検討に値することだと思います。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 そうすると、原審の弁護人が請求することができる、これは固有の権利で、その点はどのようにお考えになりますか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) それはやはり無理じゃないかと思います。原審の手続は判決が確定したことによって、一つの社会事実として固まってしまっておりますので、めんどうでももう一回弁護人選任届をお出しいただくというようなことになるのじゃないかと思います。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 いま局長からお話のあった国選弁護人のことでございますが、その制度を導入してほしいということは、かねてより強い要望でございます。特に一般の刑事事件と異なりまして、すでに確定した判決を覆そうというのでございますから、これはとうてい本人がやると言うとしても不可能な点が多々あるわけでございますので、ぜひとも弁護人がつかなければならない。そういう意味において国選弁護人制度をぜひとも再審制度に導入してほしいということで四百四十条の第二項の改正案というものを、これは考えられているわけでございますけれども、そのあたり、具体的に御説明いただきたいと思います。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) ただいまお尋ねの国選弁護人制度については前向きで検討しておるところでございます。諸外国の立法例を見ましても、西ドイツの刑事訴訟法のように再審手続においても国選弁護人制度を導入しておるところもございますし、またただいま仰せになりましたように、なかなか再審請求というものが法律知識のない一私人の手でできにくいものであることは言うまでもないことでございますので、前向きに考えてまいりたいと思っております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 これが日弁連案といたしますと、むしろいまの国選弁護人というのは公判請求があってからつくというのが手続的にここに問題があるわけでございますが、特に再審における国選弁護人の請求時期の問題でございますね。これがいま申し上げましたような四百三十七条のように再審開始決定をかち取るところまでが、これが大変なわけでございまして、むしろそうなってしまってからの方が裁判所もついており、何とかできるのじゃないか、そこまでが大変なわけでございますが、その国選弁護人が、選任することのできる時期というものについてどのようにお考えでございますか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 一応、要するに再審開始決定後でなくて再審請求の時点から考えてはどうかと思っております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 これはぜひとも再審請求のあったときに国選弁護人をつけることができるように、ひとつ御検討いただきたい。これ開始決定まで国選弁護人がないとなると、実際国選弁護人がないのと同じことになると思いますので、ぜひお願い申し上げたいと思います。  それから、先ほど来お話のありました弁護人の秘密交通権の問題でございますけれども、これはどういう時期から弁護人の秘密交通権というものを認めるようにするべきだというふうに法務省はお考えでございますか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 一応の考え方としては、もちろん再審開始決定前の手続においてそういうものを認める方向で考えたらどうかと思っております。  ただ問題は、余りそれを、何といいますか、早い時期まで、たとえば再審請求前まで広げるとかいうようなことになりますと、たとえば暴力団などの外部との交通に利用されるとか、いろんな弊害がございますので、若干の検討をすべき問題はあろうと思いますが、一応考えている方向としては、再審請求から再審開始決定までの間にも弁護人と秘密交通権を与える方向で検討してみたいと思っております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 これもいろいろ問題があろうとは思いますけれども、ぜひ実現していただきたいと思いますのが、いま再審請求のあったときから国選弁護人がつくことができるような制度に法務当局としてもお考えいただいているということ、非常にありがたいわけでございますし、また実際問題として、そうすると弁護人と打ち合わせをしないことには、これは再審開始決定に持ち込むことはできないわけでございますが、そこに、私どももそうたくさん再審事件やったわけではありませんけれども、そこに看守の人が全部筆記をされたのでは、立ち会っておったり、あるいは手紙を全部検閲されておったのでは実際上の打ち合わせが何もできないというのが現実でございます。制度の上から言うと、検察官が公の立場から再審に臨むとおっしゃっても、また事実当事者の一面があるわけでございますので、なかなかそれでは本当の意味の打ち合わせというものができない。そういうことで、ぜひともこの秘密交通権というのも再審請求のあった時期から実現していただけるように、ひとつそこら辺はぜひとも前向きでお考えいただきたいと思うわけです。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 若干、私どもがそういういろいろなことを前向きに検討する背景といいますか、考え方を概括的に一言申し上げた方がいいと思いますが、現行法のたてまえは、恐らく再審開始決定になってからいろんな証拠を調べてシロクロをつけるという本来のたてまえで書かれていると思いますが、運用の実態は、申し上げるまでもなく再審開始決定が得られるかどうかということが決め手になっている実情でございますので、その実情を踏まえますと、再審請求手続の段階から、ある程度再審請求をされる人の権利保護というものを充実していかなきゃならぬのじゃないかというふうに考えられるわけでございまして、そういう観点から、先ほど来お尋ねのような点は前向きに検討してみたいと思っているわけです。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 ぜひともそのようにお願い申し上げたいと思います。  それから、先ほどやはり刑事局長からお話がございました、記録の保存の問題でございます。これは非常に法務省も言われるとおりむずかしい問題ではないだろうか。といいますのは、再審というものが、すぐに再審請求が出るとは限らず、長い年月を経て再審請求に持ち込まれる場合も多々あるわけでございますし、大変に記録が存在していないために困難を来たすということが多いと思うのでございますが、いま現実に記録の保存というものは何年問、法的にはどこで保存しておるのか。いま一般事件についての現状をお話しいただきたいと思います。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 実は、お恥ずかしい話でございますが、刑事訴訟法の五十三条四項では、記録の保存については別に法律に定めると書いてございますが、その法律がいまだにいろんなネックがありましてできておりません。そこで、現在確定しました裁判記録は検察庁において保存しております。保存年限等につきましては、刑事局長通達というもので一応決めておりますが、その保存年限は、確定しました裁判の刑の量によって変えておりまして、たとえば死刑の事件ですと、私の記憶で申し上げて、間違っておれば後に訂正いたしますが、十五年とか、その他の事件はたとえば十年というふうに決めておるのでございます。ただ、御指摘がありましたように、再審請求というのは、長年月を経てから出る場合もございます。そういたしますと、再審開始決定があれば、もう記録がありませんから有罪の証拠は何もありません。もう当然無罪になります。反面今度は再審請求手続において記録がないために、再審開始の理由があるかどうかということがわかりかねる場合もあろうかと思います。そういう意味で、記録の保存の問題は警察庁運営上頭の痛い問題の一つでございまして、膨大な記録をいつまでとっておくかということもございまして、なお検討してまいりたいと思っております。たとえばマイクロフィルムにしてとっておくとか、そういう点も含めていろいろ検討しておるところでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 いまおっしゃるとおり、大変に御苦労が多いと思います。これは民事なんかの場合ですと、証拠保全などのような方法で記録の保存を一時保全するということは、これ当事者の申し立てで可能なわけでございますけれども、刑事の場合は、刑事再審の場合はなかなかそうもいきにくいのではないか。これは弁護士会からの案としますと、「裁判所は、再審請求権者又は弁護人から申立があったときは、期間を定めて検察官に対し訴訟記録の保存を命じなければならない。」と、こういう改正案は出ているわけでございますが、実は私はこれだけでもいまおっしゃったような理由から、もうそのときすでに記録がなくなっているというようなことも多いのじゃないか。ですから、この改正案はぜひとも前向きに取り入れていただくと同時に、何かいい方法がないものであろうか。これはどちらにとって有利、不利という問題じゃなしに、再審裁判というものの公正を期すためにも、ぜひともこの訴訟記録の保存ということについて何か立法を考えていただきたいと思うわけです。  それから、いまの弁護士会から出している改正案についても、現実の問題とすると、法的な根拠がないので、請求している者、あるいはその担当弁護人がお願いをして、現実に保存していただいているというのが実際の姿でございまして、これも非常におかしいことなのではないか。そのあたりにおいても、最低限、この日弁連の改正案の記録保存についての規定というのはぜひ実現していただきたいと思うわけです。もう一度その点についてお考えをお聞きしたいと思います。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 日弁連案のいまの記録保存の命令の関係は取り入れたらどうかと思っております。  なお、ここで訂正させていただきますが、先ほど申し上げました刑事局長通達では、死刑事件は記録は永久保存、無期の場合が二十五年と、こういうふうになっておりましたので、訂正いたします。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 これ大変口幅ったいことを申し上げますけれども、無期事件というのは、非常に争いのある事件が多いように考えるわけでございますが、これは恐らく刑事局長はいろんな御経験から非常にそういうことをよく感じていらっしゃるのじゃないか。問題の多い事件が無期懲役の判決によって処理されている場合が多いのじゃないか。そういう意味におきましても、いま幸いに二十五年というお話ございましたが、何とか無期懲役の事件も死刑事件と同様に永久保存というようなことも、ひとつそう数の多いものじゃないと思いますので、ぜひともお考えいただきたいと思うわけでございます。その点いかがでございましょうか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 実はまあそう数は多くないように見えますけれども、死刑事件の記録だけでも永久にとっておりますので、膨大なことになります。それで無期懲役まで永久保存ということになりますと、いまのようなやり方ではだめだと思います。マイクロフィルム化するとかなんとかという方法が要ると思いますが、そういたしますと、一体マイクロフィルムの証拠能力とかいうようなものも検討いたさなければなりませんので、そういった技術的な面を含めて、何とか私どもも記録が早くなくならない方がありがたいわけですから、検討させていただきたいと思います。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 あともう時間がございませんから、二点だけ伺いたいと思いますが、この日弁連の改正案について、再審の請求があった場合の「刑の執行停止」の問題が、日弁連の改正案の四百四十二条として掲げられているわけでございますが、その点についての法務省のお考えはいかがでございますか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) これは日弁連案に示されましたこの気持ちというものは非常によくわかりますが、刑の執行は現在の法体系上検察官の専権ということになっておりますので、検察官においてこの日弁連案の御趣旨に沿うような運用をするということでまあやっていかざるを得ないと思います。この点を改めるのはなかなか現在の法体系全体からして考え直さなきゃなりませんので、ややむずかしいのじゃないかと思っております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 まあ、刑の執行停止の点もいろいろ問題はあろうかと思いますが、御検討いただきたいということを重ねて申し上げますと同時に、再審請求に対する判決と同じように考えられる決定の告知、これを法律上一カ月前に予告するというふうなこともひとつぜひとも考えていただきたいと思うわけです。といいますのは、現実の問題としますと、全く抜き打ち的に決定書が送達されてきて、きょう決定書を届けるからということであり、そして御承知のとおり、即時抗告の手続三日間しかないわけでございますから、現実の問題としてそれに不服であっても三日間の間にこれに対する抗告が事実上大変にむずかしい。特別抗告御承知のとおり五日間でございますし、そのあたりについて、この抗告権の行使を、実質的に抗告権を行使することができるような、そうした点について何か立法上お考えはございませんですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 確かに仰せのような問題点があると思います。私個人的にはたとえば一カ月前に告知をするというようなことをやった方がいいのじゃないかと思いますが、何分裁判の告知の関係は裁判所規則でお決めになる事柄でございますので、私からはちょっとその点の御答弁はいたしかねる次第です。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 きょう裁判所来ていただいておりませんので、これはまた告知の点は法務省よりお伺いするのが適当でないかと思いますが、この抗告権の行使、これは刑訴法の規定から言うと、即時抗告、特別抗告、一応期限の定められたものでございますけれども、何かこの抗告権を実質的に保障するような法改正ということはお考えございませんですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) この再審開始あるいは棄却決定そのものについてだけ抗告期間を延ばすということはなかなかむずかしいと思います。そこで、先ほど御指摘のありましたように、抜き打ちにならないような決定の出し方、こういうことが一つの方法だろうと思います。その点につきましては、私どもの所管ではございませんが、日弁連からこういう提案があったことは最高裁にも連絡しておりますので、向こうでも考えておるのじゃないかと思います。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 もう時間がございませんから、最後に、これは単に法律実務家ばかりの要望ではなしに、この間の大会などで見ましても、非常に一般の民間の方々が思いのほかたくさん集まっておられて、ぜひともこの再審問題について、再審法を前向きに改正することを実現してほしいという要望がずいぶん強く叫ばれておったわけでございます。新聞論調などをごらんになっても十分にもう御承知のとおりでございますので、ぜひとも法務省におかれても、人権擁護の立場から、また裁判の信頼というものをさらに増大する立場からも、ぜひともこの再審法の改正を国民の期待に沿うように実現していただきたいと思うわけでございますので、最後に刑事局長並びに大臣からこのことにつきまして御所信を伺っておきたいと思います。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 先ほど来お答えいたしておりますような意味において、前向きで鋭意やらせていただきたいと思います。

福田一自由民主党法務大臣

○国務大臣(福田一君) この問題は、各方面においてもいろいろ論議をされておることでありますから、十分御質問の趣旨を体して前向きに研究はいたしたいと存じます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 私はきょうは鬼頭裁判の問題についてお伺いをする予定でおりますが、いま議論になっております再審の問題について御答弁を伺っておりますと、日弁連の案に対して、一定の前向きの御検討の向きの答弁もあります。再審要件そのものをどう見るかということを含めた実体的な問題については、なかなかこれは法務当局の御意見というものは前向きに進まないのではないかという心配をしながら、私はいま聞いておるわけであります。いずれ私もこの問題については改めて質問をさせていただいて、十分論議を深めさせていただきたいと思っております。ただ、法務大臣が最初にお述べになった所見の中で、私は聞いておりまして非常に気になるお言葉を耳にしております。それは、わが国の再審の要件というものは、諸外国に比べて狭いわけでもないし、白鳥決定が出て、疑わしきは罰せずというような方向へ動いているので、根本的な改善の必要はないかのごとき御答弁かと受け取れたわけです。私はまずこの点について法務大臣に一言伺っておきたいのですが、私ども戦後、刑訴法、これを見ますときに、どの六法全書を見ましても、最初の表級には、「一人の罪なき者を苦しめるよりは、むしろ十人の罪人を逃がしたほうがよい。」という理念が必ず書かれているわけですね。これは私はいたずらに書かれているのではなく、戦後の民主的憲法体系下における刑事立法のあり方の根本理念だと思うのです。そういうことで法務大臣に一言伺いたいのは、まさにこの再審という問題こそ、過去の経験事実に照らしまして、再審が開始される、そしてその結果無実になるというのに、二十年、二十五年という本当に生涯をかけた苦しみを実は無実の人が受け続けていったのではないかという問題になっていると思うのですね。私は再審という問題は、根本的にはここに視点を置きまして、人権保障というたてまえをどう再審制度に貫くかというこの理念の問題を、法務省としても根本的に深くつかんでいただくということと、それから疑わしきは罰せずという白鳥決定が出て、緩やかになったというそのことだけじゃなくて、それをどう具体的に法制度上に生かすかということについて、法曹界における論議を真剣にやっぱり日弁連の意見も検討なさって進めていただくという大臣の姿勢が私はいただきたいわけです。その点について、最初に御所見を述べられましたが、いかがなものか、大臣の御所見を伺わせていただきたいと思います。

福田一自由民主党法務大臣

○国務大臣(福田一君) 再審制度につきましては、新聞また日弁連その他において、罪なき人が罰せられるということを防ぐことは、これはもう人道上から見ても、また刑法のたてまえから見ても当然なことであるから、一層慎重を期さなければならない、法的にもそういう面を充実してみてはどうかという意見があることは、私は十分承知をいたしております。しかし、法制の面から見れば、私が申し上げたのは、それほど各国の法制と比べて日本の法制が、いわゆる無実の人を罰するようなことはしておらないつもりであるということをまず申し上げたわけでありますが、しかし、疑わしき者は罰しないというこの法のたてまえは、大審院の判決でも出ておるのであるからして、これは検察あるいは裁判においては十分注意をしなければならない問題である。で、その場合において、どういう点を特にいま考えるかということでは、先ほど申し上げたような二、三の点を指摘するというか、答弁さしていただいたわけでありますが、しかしこの問題について法務省がピリオドを打った、また先ほど申し上げたようなことだけで終わると決めたわけではございません。なお検討中でございます。したがいまして、十分ひとつ御趣旨も体しながら、今後も検討を進めさしていただきたい、かように考えておるわけであります。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 よくわかりました。そういうことで、十分の検討を深めていただくといういろんな面についての今後の議論もまた真剣にさしていただきたいと思っております。  問題の鬼頭裁判問題について、刑事局長にお伺いしたいのでありますが、鬼頭史郎氏がいま鬼頭裁判ということで世間の注目を浴びておりますが、私が心配するのは、この鬼頭事件の真相がどうであったかということを、裁判本来の使命に基づいて解明をし、検察庁もそのための立証を尽くすということで、真相が解明されるということも大事ですが、依然として国会に出てきて証言拒否ということから発したように、裁判所でも、鬼頭の独演会だとか、あるいはまたまた鬼頭の法の乱用だとかいろんな問題が出される状況が現出をしております。私はこれはある意味において鬼頭氏自身を責めなきゃならぬ問題ですが、しかしこれはやっぱり真剣に考えなきゃならない幾つかの問題があると思っております。  そこでまず第一に刑事局長にお伺いいたしますが、鬼頭氏からあすの裁判の延期申請が出されて、却下されたと新聞は報じております。どういう理由で延期申請を彼は出したのか、あしたの裁判の進行の度合いはどのような進行を検察庁は予定しておられるか、その点をまず明確にしていただきたい。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 延期申請の理由は、私つまびらかにしておりませんが、恐らく弁護人を選任する余裕もないし、準備もできないということであろうと思いますが、しかし裁判所としては、この事件は軽犯罪法違反でございまして、必要的弁護事件でもありませんし、また鬼頭自身が自分で自分を防御するだけの法律的知識も持たないというわけでもありませんので、それは却下されたのだと思います。したがいまして、次の期日には予定どおり証人調べに入ると思います。具体的には読売新聞の記者の方だと思います。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 いまの刑事局長の現在時点のお見通しでは、大体終結するのはいつごろになるというような御見当でございますか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 現在裁判所の方で、事案の内容にかんがみて、六月二十四日の第六回公判期日まで予定されておりますので、裁判所のお見通しどおり順調にいけば、この辺までで結審ができるのじゃなかろうかというふうに思います。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 そういたしますと、参議院選挙前に判決が出る可能性があるとお見込みでしょうか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 何分、鬼頭自身が、ちょっと予測できないような行動に出たりいたしますから、もちろんはっきりした予測はできませんが、ただいま御指摘のような、参議院選前に判決が出るということも、可能性はないわけではないと思います。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 しかし鬼頭はこの前の法廷で、ロッキード事件の被告の皆さんは選挙が済んでから公判が開始されたではないか、自分は選挙に出るということで、夜も昼も大変忙しく全国を飛び回っているんだというようなことを述べながら、この公判進行をおくらせようとする意図がないわけじゃないと私は見ているのです。そういう鬼頭の法廷戦術で、自分が参議選挙に出る、したがって判決は参議院選挙の後にまでどうしても引き延ばしたいという意図がありありと見受けられるように思いますが、検察庁も無関心ではないと思うんですが、いかがですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 罪名が罪名であり、裁判をいたしますのは簡易裁判所でございますから、その簡易裁判所である以上、簡易迅速に、まあ簡易では困りますが、迅速に判決をしていただかなきゃならぬわけで、その点、ただいまの担当裁判官は非常に訴訟指揮もてきぱきしておりますし、熱心に審理をしてくださいますので、検察としては全面的に裁判所に協力をして、何とか早く判決まで持っていきたい、こう思っております。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 いや、そういう鬼頭に意図があるということは検察庁もお感じになっていますか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) その意図を検察官が感じておるかどうか、ちょっと聞いておりません。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 しかし、そういうような言辞を鬼頭が法廷で述べたということは新聞もありますが、検察庁もつかんでいらっしゃいますね。その点は事実はどうですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) その事実はつかんでおるはずです。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 そうですね。  ところで、私は、これが公判が延びるということについて、法律家の立場で言いますと、鬼頭の戦術だけだと言い切れない、検察庁の公訴事実及び冒陳における立証方針そのものに鬼頭に食い下がられる口実を与えている側面がないとは言えないという面を心配するのです。たとえば冒頭陳述を拝見いたしましても、電話をかけたのが依然として八月四日ごろということであって、その日時が特定されていない。それから、かけた場所が、どこからかけたのかということが、それが検察庁の手で立証すべき事実として特定されていない、こういう問題がまずあります。この点について鬼頭は食い下がっておるわけです、求釈明その他でね。この点については特定できないのでしょうか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) ただいまお尋ねの点は、鬼頭から釈明要求がございまして、一応八月四日ころとは文字どおり四日ころであると、三日以前ではないという釈明をしておりますし、電話を鬼頭がかけた場所、電話番号等はわからないと、わからないが、訴因の特定には欠けるところがないというようなことで釈明をしておりまして、わからないものは立証のしようがありませんからやむを得ませんが、その他の点は、冒頭陳述で述べた限りは的確な立証ができるということで、十分な自信を持っております。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 三木総理自身は、この電話を受けたのが何月何日の何時ごろだということは、特定的にこれはおっしゃれるはずですが、その点については、三木総理は電話の内容も含めて重要な参考人ですから、当然参考人として来ていただいて調書もお取りになっているという、これは捜査の常道だと思いますが、その手続はもうなされているわけですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 鬼頭の公判がどういうふうに進むかわかりませんが、いまのよう血証拠に対するいわゆる同意、不同意の態度でございますと、やがて三木前総理は証人として立って当時の記憶をお述べになると思います。そういう関係の方でありますので、その方が捜査段階でどういうふうに言っておるというようなことをちょっと申し上げるのはいかがかと思いますので御了承願います。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 調書はありますかと、これだけです。  じゃあ、内容には触れませんが、三木総理を参考人として事情を聴取をなさって、その調書を証拠として用意されているということは、これは間違いないわけですね。内容ではございません。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) もちろん捜査段階で三木前総理の話を承っておるはずでありますから、何らかの手持ちのものはあるはずだと思います。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 電話をかけた場所がわからないということは、普通常識ではなかなか考えにくい問題なんです。つまり、官名詐称して電話をかけたこと自体が重要な犯罪事実そのものの具体的内容ですから、だから、したがって訴因の特定に欠けることはないとはいえ、その場所がどこであったかという問題は、真相解明の上でもさらに詳しく訴因を特定することが可能であれば、可能な限り訴因を特定するという本来の立場から言っても重要な事実であるわけですね。で、この電話をかけた場所がわからないということについて、どういう捜査をしたけれども、結局わからなかったと、こういうことになるのか、その点はいかがなんでしょう。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 捜査の内容を逐一申し上げるわけにもいきませんが、要するに本人がどこからかけたかということを言わないし、あそこにいたと思えばこちらにもいるというような人でありますから、どこからかけたかさっぱりわからないと、ただ、その電話の一方の端が例の四六三局の八〇〇〇番にかかったということは間違いないわけです。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 そういう意味では捜査上の困難もわからないわけではございません。  この事件で鬼頭氏は、捜査を受けている段階で弾劾裁判所や国会には参りませんが、検察庁の取り調べには応じてしばしば出頭しているという記事が新聞にはございます。結局、何回ぐらい呼んでお調べになりましたか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 日を異にするごとに一回というふうに数えていくと五、六回来ているのじゃないかと思います。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 その鬼頭本人から事情を聞くという以前に、京都、名古屋裁判所等、異例の捜索を行われましたね。そのときは被疑者を不明のまま特定しないで、とりあえず物件の確保に努められたというように聞いておりますが、その場合、被疑者を特定しなかったということは間違いないか。その場合、検察庁として被疑者は鬼頭を含む何人かという考え方がおありになったと私は推定しておりますが、そうではなかったのか、その点はいかがですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 被疑者氏名不詳で手続をしていると思います。その理由は、鬼頭自身が電話をしたのであるという疎明資料がなかったことによるものであると思います。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 いや、その不明は何人かという、鬼頭を含む何人かという想定がありましたのでしょうかというのです。複数の想定があったかどうか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 検察としては特に何人という想定をすることなく、要するに鬼頭自身がかけたのではないかと思いつつも、鬼頭自身がかけたという証拠がないから、そこで氏名不詳としてやったと。で、あとは鬼頭からいろいろ話を聞くことを手始めに捜査を展開していって、実行行為者を特定していくと、こういう手順で運んだものでございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 私は、その捜索の結果について一つの驚きを持っておるのですが、多数のテープその他が押収されたという新聞報道がございました。何を押収したかは捜査の秘密でしょうが、網走の刑務所へ参りまして刑務所長とのやりとりをしたテープが、その後、弾劾裁判所に鬼頭の手によって提出をされた。それはこのときの捜索押収で押収されてなかったという事実が明白なんですね。明白である。で、鬼頭の新聞その他に出ている談話によると、どこかあるところに預けておったというようなことが出ている。そういたしますと、検察庁がそういう強制捜査をなさった段階において、彼は十分にそのことを予期して、重要な証拠物件はすでに疎開、回避をしていたというということを客観的にうかがわしめられる。言ってみれば、このせっかくなさった強制捜査から犯人の特定なり、鬼頭の犯行の背景なり、真相を解明する重要な資料はもうすでに回避をされていて、何もつかめなかったという状況が実はあったのではないかと心配しておりますが、端的に言ってどうだったですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 重要な証拠がなくなっておったかどうかわかりませんが、この事柄が騒がれましてから期間を置いて捜索をしておりますので、その間にあるいは疎開されたものがあるのではないかというふうな考え方を入れる余地はおろうと思います。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 そこで、この問題が明るみに出たのはいつで、そして現実に捜索が入ったのはいつか、もう一度改めて日時をおっしゃっていただきたい。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 大変申しわけありませんが、調べればすぐわかることでありますが、ただいま手元に資料を持っておりません。間違うといけませんから……。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 私どもも司法研修所でいろいろ検察実務を勉強したのですが、犯罪は困難な犯罪であればあるほど初動捜査が大事であるということを教えられてまいりました、検察教官から。まさにこの事件もそうだと思うのです。奇々怪々な政治的謀略事件であればあるほど、まさに速やかな初動捜査で的確な資料を収集するという、そのことがなければ、これはなかなか解明ができない。その意味において、私は検察庁がせっかくなさった捜査ではあるけれども、初動捜査の機を失した、もっと速やかにやるべきであったのではないかと、こういう疑念を払い切れませんが、局長のお立場でどうお考えでしょうか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 初動捜査が重要なことは申すまでもありませんが、およそ人の居宅等を捜査するわけでありますから、それ相当の慎重を期さなければならぬこともまた事実だと思います。また、それらの点あれこれ勘案しますと、やむを得なかったのではなかろうかと思っております。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 やむを得なかったということで真相の解明ができないようなことになることを私は恐れて質問をしているわけですね。やむを得なかったというのは単にそう簡単におっしゃれることでしょうか。私は、もっと早くやれるという、その方法は氏名不詳のままでやれたのですから、氏名を特定してからでないとやれないという慎重さを期したのでということじゃなくて、氏名不詳のままでやらなければならぬと決断なさったわけですね。だから、その決断を早くなさっておればもっと早くいけたという可能性がある事件なんです。そういう意味で、初動捜査がその間おくれたのはやむを得なかったと単に言えないと思うのですが、この点はもう一度お考え直していただく必要はありませんでしょうか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 私も最初事件が発覚してから捜索までの期間どのぐらいあったかちょっといま記憶が薄れておりますので的確なお答えができませんけれども、いま御指摘のような見方も一つの見方でありましょうと思いますし、検察当局は検察当局でなかなか一生懸命やったのじゃないかという、全体の報告からしてそういう印象を受けておりますので、ただいまここで軽々に初動捜査の時期を誤ったというふうにお答えするわけにもまいらぬと思います。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 その点は見解の相違もありましょうが、さんざんロ特及び国会で論議をしていた重大問題であったことは間違いないですよね。まあ、そういう点で私は初動捜査がおくれたという批判を免れがたいと見ておりますが、まず問題のテープ、鬼頭がピックアップをつけ、そして録音をした問題のテープですね、これは鬼頭の言い方はしばしば変わっているのです。ある人から借りたと言っている。で、そのテープはある人が預かっていると言ったということもあれば、それはもう廃棄して、ないと、こういう言い方もしております。問題のこのオリジナルのテープは一体どうなっているか、検察庁はどうごらんになっていらっしゃいますか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) その辺について鬼頭がどういうふうに陳述をしておるかということをちょっとこの際申し上げるわけにいきませんが、いずれにいたしましても検察の手に入っておりませんから、検察としてはどこにあるかわからぬという状態だと思います。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 だから、検察の手にそのオリジナルの肝心のテープが入っていないという非常に大きな問題、これも私は初動捜査をもっと早くやっておればという気もしないではない。あるいは、もう彼がこの謀略電話をかけたときから、そのことを予感して、そのことについては十分の警戒をしていたから初動捜査が早くても入らなかったかもしれませんね。しかし、どっちにしても、そのオリジナルのテープが検察庁がお調べになっても、いま廃棄されたのやら、どこにあるのやらわからないという状態であるということは、これは事案の真相究明で非常に重要な問題を残すだろうと私は思う。  ところで、鬼頭本人がこの電話をかけけたというように御認定になって訴追をされたわけですが、私は依然としてこの問題が、初めからの経緯を考えまして鬼頭の単独犯なのか、それとも共犯者がいるのか、鬼頭はその共犯者とどういう関係にあるのか、この背景捜査、背景状況の真相把握というものは依然として重要な問題として残っておると私は思うわけですね。鬼頭の言葉によりますと、これは永田町かいわいから出た話だよと言ってみたり、ある尊敬するお方からテープを借りたと、こう言ってみたり、電話をかけた人とテープを貸してくれた人と別にあるような言い方をしてみたり、いろいろあるわけです。そういうわけでこの鬼頭の単独犯か、あるいは共犯もしくは共犯とならないまでも鬼頭の相談相手となり、あるいはつながりのある人物があるのではないかという疑問は国民から見て依然として消えません。こういう点について検察庁は鬼頭の単独犯だと言い切ってしまえるのか。やっぱり、これだけの政治謀略電話をかけるという、大変なことを現職裁判官がやるということについては彼なりに相談する人もあったし、そしてまた相談に乗った人もあるというような、そういう状況を検察庁としてはこれはお感じになっているのではないかと私は思うのですが、そこらあたり率直な今日までの捜査に基づいての御所見を伺いたいのです。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 刑法上の厳密な意味ではない、世間一般で俗に言われる意味の共犯というものがありはしないかというような疑念は確かに払拭できないケースだろうと思います。検察としてもそういう点を念頭に置いて鋭意捜査をしたのですが、結局共犯者のあるという証拠は得られなかったと、こういう状況でございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 いま局長がおっしゃったように、通常の社会的常識からいって疑問は払拭し切れないというのは、これは率直な御意見として国民がみんな思っていることですね。ところが、残念ながら捜査の結果それが明確につかめなかった。  そこで私は、この捜査の問題として共犯関係をどう考えていくかということになりますと、鬼頭が日常的にどういう人たちと深い交友関係があったかとか、あるいは政界としてはどういう人と彼は面識がありつながりがあったとか、多角的な検討と捜査なしには、本人が頑強に否認してあれこれ言っている人ですから、これはわからないと思うわけですね。たとえば、読売新聞に持ち込んだというこの冒頭陳述を見ましても、かねて知り合いの読売新聞の記者に持ち込んだと、こうなっておりまして、冒陳でも、「かねて知合いの読売新聞編集委員会所属記者前澤猛」、こういう名前が出てまいりますね。この「かねて知合い」というのは、いつごろからどういう動機で知り合ったかということがやっぱりこれはあるのですが、この方が背景にあるという意味じゃありませんよ。そういう関係というのは人間は持っているわけですね。  そこで、鬼頭がしばしば匿名でゼンボウという右翼雑誌に寄稿をしたとか、それから公安関係の人に知り合いがあるとか、それから政治家とも知り合いがあるとか、いろいろ言われているわけですね。そういうような状況について鋭意検討、捜査を進められたのか進められなかったのか、その点はどうなんです。人的人脈関係です、犯罪になるかならないかの結論は聞きましたから。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) およそ鬼頭と共犯関係に立つ可能性のあるような向きについては検察としても念頭に置きながら必要な捜査をしていると思いますが、そうではなくて、単なる人脈というようなものについては、当然捜査の範囲外ですから調べていないと思います。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 単なる人脈というのは調べていないということですけれども、私が言うのは、これはある意味で思想的犯罪なんです。検察庁はこの冒陳をおやりになった。その冒陳全体を通じても、この鬼頭の犯行が当時のロッキード解明さなかの政治状況、社会状況ということをとらえられて、政治的目的を有する重要な事件だという冒陳をやっていらっしゃる。私は間違いないと思う。そうなりますと、まさに鬼頭自身がなぜこういう動機でこのような恐るべき謀略電話をかけたかというのは、鬼頭の思想傾向と深く密着してくるわけです。で、彼自身は治安関係研究の専門家だというように称していたり、網走に行ったときは戦前の治安立法の研究調査ということを公然と言っております。だからしたがって、そういう鬼頭の思想傾向というものを、これを考えますと、それとの結びつきは単なる通常の友人、人的関係じゃなくて、いま私が言いましたように、右翼のゼンボウという雑誌に匿名で記事を載せたことがあるのかないのかと、それを紹介したのは一体どういう人物で、どういうことなのか。そして法務省当局が宮本委員長の身分帳事件について京都の右翼の松本明重の手元にあの身分帳の写しが流れたという疑いを払拭し切れないという、こういう公的な報告書をお出しになっておるということになれば、そういう思想傾向をたどっていくということの捜査は単なる人的人脈、友人関係というだけじゃない、それを越えた本件の背景を調べる上で大事ではないか。通常の犯罪でも情状事実立証だとか動機を立証するためにどういう友人関係を有するとか経歴とか調べますよね。調べることがありますよね。まさに本件はそれ以上にそういう点の背景捜査を検察庁がおやりになる必要がある事件ではないかと私は思うのですが、いかがお考えでしょう。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) この鬼頭の裁判で問題になってくる点の一つに動機というようなものがあると思います。したがって検察としても動機についての立証に必要な範囲で関係部分を調べておると思いますが、ただ、いまお話を伺っておりまして、私がそれを誤解しているわけじゃないのでありますけれども、裁判は事件を裁くわけでありまして、思想を裁くわけじゃありませんから、鬼頭の思想傾向とか、あるいはそれが形成される過程とかいったものは私どもとしては捜査すべき範囲外にあるということでございますのでやっておらないわけでございます。ただ、くどいようですが、動機に関する立証について必要なことはやっておると、こういうことでございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 私も決して人の思想を捜査せよと言ったつもりは局長と同じようにございませんので、そんなことやれば大変でございますから。動機——政治目的署するこの犯行の動機に関連して、それが必要な事案ではないかと、それを捜査しなければ検察庁みずからが慎重な捜査という言葉の中で背景究明を実は十分努力をしないということでかばってしまう、隠してしまうということにならないかと心配して申し上げているわけですね。  端的に伺いますが、公安調査庁あるいは公安関係のいずれかの人たちと鬼頭は親交がある、これが一つ。  二つ目には、右翼のゼンボウという雑誌に匿名で寄稿したと、私ども大体これはつかんでおるわけですが、そういう事実。  それから三つ目には、特定の政治家と、草葉さんの秘書をなさっておったという事実は冒陳に出ておりますからそれは除きますが、それ以外に特定の政治家と親しい関係があった。  四つ目には、右翼の人物と、たとえば松本明重氏を含み右翼の人物と交流関係があったと、こういう四つの、私がいま指摘した事実についてつかんでおられるかどうか、この点はいかがですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) その四点について捜査を遂げて事柄を把握しているというふうには報告を受けておりません。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 ということは、私はまさにこの重大な政治的犯罪動機についての十分な背景捜査をやるための事前調査という意味においても、その点検察庁がやっていらっしゃらないということには、本件捜査について私は重大な不満を持つし、本当にこの真相と背景を究明するという姿勢に検察庁がお立ちになっていないという批判と疑問を残します。残さざるを得ないと思います。今後、公判過程においても、果たしてこれが鬼頭の単独犯かどうかは依然として問われ続けるでありましょうけれども、その点について十分の今後の検察庁の関心を払って行われることを私は強く期待したいわけですね。  で、もう一つの問題は、大臣がどっかへ行かれたので、大臣に聞きたいことあったのだけど……、もう時間があれだから、大臣に聞いてこの問題ちょっと終わるつもりなんですがね……。  その前に局長にちょっと伺います。特別職公務員じゃなくて、一般職の国家公務員がこの種の同様の行為をした場合、私は、国家公務員法百二条、人事院規則十四−七によって禁止をされる特定の内閣を支持しない目的のために、公務員が人事院規則で禁止された行為をやったものとして三年以下の懲役に処せられるということに該当する可能性がある、私はこう見ているのですが、人事院規則十四−七を検討して。ところが裁判官の場合は特別職で国家公務員法の適用がございませんから、彼の行為について裁判所法で禁止する積極的な政治活動だということで罰則でやるわけにいかないですね。そうなりますと、官名詐称という軽犯罪法でしかない。で、もしもこれが一般職公務員が同じ行為をやったならば国家公務員法違反で三年以下の懲役に処せられるという状況になれば、これは私は裁判官の独立という名で裁判官の職務を保証するのはあたりまえですが、それと関係のない政治的行為で法のもとの平等に反するという問題も起こるのではないかという疑いを私は持っております。この点について御研究なさったことがありますか、局長の御見解はいかがですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) 事は裁判所法の中身のことに属しまして、私の所管でございませんので、私からのお答えは差し控えさしていただきます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 裁判所法の解釈を伺うのじゃなくて、国家公務員法の政治的行為制限禁止違反の罰条の適用、これは検察庁ですからね。で、裁判所法は罰則がありませんから、これはもう裁判所法の解釈じゃないのですよ。いま私が言ったようなことで、裁判官なるがゆえに裁判官の職務を離れて行ったこのような政治謀略事件について、一般職公務員なら国公法で三年以下の懲役になるが、たまたま——たまたまですよ、国家公務員法の適用がないという特別職であるがゆえに軽犯罪法でしか処断できないとなれば、法のもとの平等に反するという問題を惹起しないか、この疑いはないか、これだけで結構です。御研究なさるお考えはないですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○政府委員(伊藤榮樹君) ただいま御指摘の視点というものは私も初めて承知をいたしましたので研究してみたいと思います。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 大臣ちょっと私、最後に大臣にお伺いしたいと思っておりましたが、途中が抜けましたので、経過抜きにお伺いいたしますがね、自民党の方でロッキード事件に関連をして、再発防止という中で、贈収賄罪の刑の加重と同時に公民権停止をすべきだという議論もあったように伺っておりますね。まあ、それは成案とはなりませんでしたが、一つの確かに私、考え方だと思うのです。で、このロッキード事件のさなかに一国の総理にまで謀略電話を政治目的でかけたとして、検察庁がいま公判請求をしている鬼頭氏が、選挙に出るからというようなことで、裁判を選挙後にしてくれとかなんとかいうことで引き延ばしに出るということは、これは私は許されないと思うし、そしてまた、被選挙権がありますから、選挙に出るなとは言いませんけれども、こういう問題で私は鬼頭の裁判が選挙後に引き延ばされたり、判決が選挙後になるように彼の策動にうまく乗るようなことがあってはならぬと、まさに彼が選挙に出るならば出るだけ、なおさら参議院選挙までにこの真相究明は裁判という手続を通じてもやり切るという決意で検察庁はこの公判に臨まねばならぬ、私はそう思っております。彼が選挙に出ること自体好ましいと決して思っておりませんが、純粋に客観的に見て参議院選挙までにこの真相は裁判の判決によっても解明されるように裁判促進に、検察庁としては、しゃにむに急いではいけませんよ。急いではいけないがやるべきだ。鬼頭はそんなことを公然と法廷で言って、裁判を選挙後にやってくれと言わぬばかりのことを言っているわけですね。この事実は検察庁もつかんでおられる。これにいま私が指摘した点を踏まえて大臣はどうお考えか、これを伺いまして、時間がありませんのできょうの質問を終わります。

福田一自由民主党法務大臣

○国務大臣(福田一君) 私は、鬼頭を起訴いたしましていま裁判が行われておるということでございます。その裁判に当たっては、選挙とか、あるいはその他の事由を考慮すべきではない、厳正、公平な裁判を行うという意味において、たとえ鬼頭がそういうような意思を表明したとしても、私は、裁判官はそれに従うべきものではないと考えます。また、裁判官というものはそういうことでなくて、裁判に付した以上は、いかなる外部からの圧力にも、また、本人がいかなることを発言をしても、それにこだわることなく、厳正な立場で処断を決める、裁判をするということが私は必要だと思っておりますし、恐らく裁判所はそのように措置をしてくれるものと私は考えております。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 一言だけ、理論的にはおっしゃることはわかりますが、刑事局長はいまの公判の見通しで参議院選挙までに公判終結、判決が出る見通しも、いまの順調なやり方でいくならば出るだろうという見通しは、公判手続から客観的に見ておっしゃっているわけですね。私は、鬼頭が選挙に出るということを言い、引き延ばしを策動する状態があればあるほど、刑事局長がおっしゃったように、参議院選挙までに終結し、真相解明した判決が出るという方針で検察庁はやってもらいたいしゃるべきだと、こういうことで聞いているわけですが、この検察庁の方針は大臣も支持されるわけですね。

福田一自由民主党法務大臣

○国務大臣(福田一君) 私は先ほども申し上げましたが、いかなるほかの問題が起きておっても、そういうことは無視する。そして、裁判というものはなるべく早く、厳正、公平に行われるべきである、こう思うので、選挙ということを頭に入れない方がいいのじゃないかと私は思う。なるべく早くやるべきである、厳正、公平に取り扱っていく……。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 向こうが頭に入れているんです。

福田一自由民主党法務大臣

○国務大臣(福田一君) 頭に入れても、受ける方は、裁判官はそんなことに左右されないようにひとつやってもらいたいと、こう思います。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 じゃ端的に聞きますが、大臣、私はこの鬼頭氏が選挙に出るということは新しいファシズムなり、右翼の台頭を促進するという危険を実は私は感じている、こんな謀略電話をかける人ですから、鬼頭が参議院選挙に出ることは私は好ましくないと思いますが、大臣どう思われますか、これで終わります。

福田一自由民主党法務大臣

○国務大臣(福田一君) どうも人の心のうち、あるいは行動を私がそんたくしてお答えをするのはいかがかと思います。私ならしないということは申し上げます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 よくわかりました。終わります。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 私は実はきょうは質問するはずではございませんでしたので手短にやらせていただきます。  実は、昨日、那覇の方で暴力団同士の抗争が行われました。続いて千葉県の館山の方で行われましたが、警察庁の方、それつかんでいらっしゃいましょうか。

加藤晶警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(加藤晶君) それぞれ報告を受けております。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 それは両事件とも山口組が関係しておりますか。

加藤晶警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(加藤晶君) 那覇の事件につきましては山口組系の暴力団が関係しております。  それから、千葉県の事件は、これは必ずしもそうではない、山口組系が直接関係しているわけではございません。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 警察庁当局でも広域暴力団の一番大きな組織として山口組を見ていると思うのですが、その山口組が全国各地で最近非常に勢力拡大のために、小さいのから大きいのから、大分頻繁と暴力抗争があるように見受けるのですが、警察当局はどういうふうにつかんでおりますか。

加藤晶警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(加藤晶君) 御指摘のとおり、山口組系の暴力団が全国三十以上の都道府県にわたりまして勢力拡張を続けてまいっておるわけであります。それに伴いまして、それぞれのところで事件、特に悪質のものとして対立抗争事件を起こしているということは、これは、それぞれ、その時点その時点で把握しております。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 別に、その数とか、件数とか、その他は必要ございません。それで、現在、山口組の三代目は田岡一雄という人がなっているのですけれども四代目はだれが継ぐかというようなことは大体お調べになっていらっしゃいますか。

加藤晶警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(加藤晶君) 暴力団、これ、独自の存在でございまして、私どもの方がそこまで——ということは、これは申し上げかねるわけでございますが、情報といたしまして四代目を継ぐことにつきまして、それぞれの候補の名前が挙がっておるということは、これは承知しております。現在最も有力と見られますのは現在若頭をやっております男であろうかというふうに聞いております。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 もちろん、そのくらいのことは捜べられているはずなんです。  実は、この暴力団の抗争事件というのは、次の跡目相続の人間が自分の力を全国的に強めるとか、あるいは自分の力をいまの時点において全国的に波及させることによって跡目相続を完全に自分の方向へ持ってくるという一つのこれは運動だと私は思うのですよ。実は、これをきょう持ち出したのは、大阪に私の弟子で実はスナックを経営している者がおりまして、それの友人で大阪の南地区でクラブを経営している男がおる。この男は別にどこの組の庇護も受けていないのですが、この男のいわくは、この間、菅谷組というのが山口組から絶縁状を突きつけられましたね。やくざの一家において破門状よりも絶縁状の方が厳しいということは御存じのことと思いますけれども、それによって菅谷組の傘下とそれから山口組の傘下、両組の傘下の各組が、それぞれ対抗する武器を掌握しつつあるというような情報はおつかみですか。

加藤晶警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(加藤晶君) ただいま御指摘のありましたように、山口組内でも相当大きな勢力を擁しておりました菅谷組が、これがいろいろのことの積み上げでこのほど山口組から絶縁処分に付された、それぞれの原因、経過、これは承知いたしております。そうしてその結果、非常に大きな山口組の組織の中にいろいろな問題を提起しておる、また山口組に対抗するそれぞれの暴力団というものの中にもいろいろな動きを与える契機になっておる、こういうことで、それぞれ山口組の内紛あるいはそれに対抗する暴力団からの攻撃なりあるいは山口組からの攻撃なりということで雲行きが険悪になっておるということは、これは承知しております。  それで、そういうふうな事案を起こさせないために、これは広域にわたっておりますので各府県警でそれぞれ情報収集を強化する、そうして不穏な動きが見えた場合には直ちにもって未然にこれを防圧する、あるいは発生したら即座に検挙をするというふうな態勢で臨むようにということで万全の策を講じておるところでございます。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 これ、警察よりもむしろ一般市民の方がよほどはだで感じているのですよ。すでに、普通、俗に言いますならピストルのことをハジキといいます。ちょいと長い刃物ならヤッパというが、このヤッパとかハジキが多量に動いているというのは、大阪の南地区のそういう仕事をしている、いわゆるクラブとかあるいはスナックを経営している全然かたぎの人たち、この社会から見れば。こういう人たちの方がはだで感じているのですよ。実は、この問題を持ち出しましたのは、私の弟子とそれからその友人の言葉として、第三次暴力戦争が始まりそうだというのですよ、もう目の前に。しかもいままでは、警察の方も御存じでしょうけれども、神戸の方では白昼堂々とピストルの乱射事件があり、この間大阪の方でもありましたね。これがもし始まると、一般市民を当然巻き込んでくるのです、これは。いままでもそれで流れ弾に当たっている方もいるのですからね。一般市民の言葉として、どうにも法治国家として聞き逃せない言葉がある。本当は法務大臣にお聞かせしたがったのですがね。私、きょうは質問する予定でございませんで、にわかに昨日質問させてくださいと言ったので、法務大臣のお帰りになるのを私は見送りましたがね。  大阪府警と兵庫県警は暴力団とつながっているから頼りないと。いままで、なるほど振り返ってみれば、大阪府警もそうだし兵庫県警もそうだし、警察と警察官ですな、下手すると、出先機関の警察官。それから、かつては、橋本先生も御指摘になりましたが、兵庫の姫路署長がありましたね。そういうような暴力団との密接なもう癒着なんてそんなものじゃないのですよ。そういう関係を庶民の方が知っているのです、市民の方が。一番早い話が、京都の松原署というところがありますね。その松原署の管内の、箱番といいますね、あの中へ入っているお巡りさんを。この箱番が一年間満足に勤まったら警視総監よりか偉くなるというのですよ。いかに暴力団の勧誘が多いか、甘言を弄してこれを籠絡しているかということは、この市民の一言でもよくわかるのですよ。松原署のボックスで一年間勤まったら警視総監より偉くなるというのですよ。日本じゅうで一番かたい人物だろうと言われているのですよ。一般市民の方が、大阪府警とか兵庫県警とか京都府警とか、これ頼りないと、こんなものあてにできないと言うのですよ。いついま目の前で第三次全国的な暴力戦争が始まらないとも限らないということを私耳にしたものですから、それできょうこれ実はお聞きしようと思ったのです。本当に警察が全能力を挙げて——かつて警察庁が山口組にばかにされた、そういう事実がありましたね。山口組系のある暴力団が、警察の方がこういうことをやるならばくそ食らえと、頭のいいやつをうちの方で養育して、これを東大へ上げて法学部にやって法律家として出して、法の裏をくぐって対抗するということを言ったのですよ。そのときに警察庁の異例の訓令が出て、第二次頂上作戦か第一次頂上作戦か、そのとき打って出たはずですよ。そこまでなめられているのですよ、警察は。いま東京中心は、意外と東京の中のやっぱりこれは組組織が団結して排除しています。したがって東京近県で起きているわけですね。神奈川県だとか千葉県だとか。大阪府警だとか兵庫県警のことを頼りないから当てにならぬと言っている一般市民のその感情をぬぐい去るような警察庁、いわゆる警察当局ですね。市民擁護のたてまえからも、この暴力戦争を起こさせない、あるいは事前にキャッチしたと先ほどおっしゃいましたけれども、本当にやれるのかやれないのか。いつもしかしやるやると言っても起きているのですよ実際に。どういうふうにやるつもりか、それだけ聞かしてください。

加藤晶警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(加藤晶君) 警察はこの暴力団の取り締まりにつきましては真剣に総力を挙げて実施してきておりますし、今後とも暴力団の壊滅までそれを進める方針に変わりはないわけです。それで、ただいま先生の方から、一般市民の中で警察云々というふうな御批判が起きておるということでございますけれども、私どもはいまの取り締まり態勢、取り締まりを推進していけば、そういうことを言う人はなくなるというふうに信じております。それであらゆる手段、あらゆる方法を講じまして暴力団の壊滅に向けて総力を挙げ、そういう市民の信頼、仮にそれが千人の中に一人、百人の中に一人、そういう方がおるというのが現状だといたしますれば、そういう人も全部、なるほど警察はやる、やってくれると安心して任せられるというふうな、人にそういう感想を漏らすように総力を挙げてやっていきます。過去、いろいろな不祥事というふうな御指摘もございましたけれども、残念ながら過去、そういうふうなことがなかったわけではございません。その点につきましては私ども深く反省いたして、二度とそのようなことのないようにしながら、究極の目的である暴力団の壊滅、これにあらゆる法令を活用し、また市民と共同戦線を張って、市民のために、安全確保のために暴力団壊滅作戦を続けていくというつもりでございます。現在、大阪でそういう第三次大阪戦争といいますか、そういう暴動的な大事件が起きそうだということでございますけれども、大阪府警は、現在あの一昨年相当ないわば対立抗争が起きましたですけれども、それ以上の警察官を動員いたしまして防遏につとめておるところでございます。もちろん、これはそういうことをやってどうだと言われても、防遏したというのは、これは事柄の性質上、なかなか統計数字には出てまいりませんのですけれども、そういうことで総力を挙げてともかく市民の安全というものを暴力団の凶手から守るということを現に実施しておるわけです。兵庫県警においても同様でございます。また、そういう全国的な問題でございますので、全国に波及するおそれのある問題でございますので、警察庁といたしましても、その都度、関係都道府県警察集まりまして、それぞれ協議をし、情報を交換し連携策を強めて実施しておるというところでございます。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 大変力強い音声で力説なさいましたけれども、あなた様お一人がおやりになるわけではなくして、やはり出先の方がやるのですから、そこのところはひとつよく趣旨徹低をなさっていただきたいと思います。  終わります。

田代富士男公明党

○委員長(田代富士男君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時八分散会      —————・—————

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