法務委員会 第6号
- 発言数
- 190 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1977/04/12
会議録
○委員長(田代富士男君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 昨十一日、石本茂君、岩本政一君、塩見俊二君、高橋雄之助君、町村金五君、安井謙君及び斎藤十朗君が委員を辞任され、その補欠として山本茂一郎君、石破二朗君、佐藤信二君、遠藤要君、藤川一秋君、望月邦夫君及び斎藤栄三郎君が選任されました。 —————————————
○委員長(田代富士男君) 社債発行限度暫定措置法案を議題といたします。 質疑のある方は順次御発言願います。
○寺田熊雄君 まあ、国債の場合には個人消化の問題が非常に重要な問題になっているようですが、この社債の場合の個人消化の度合いについて御説明いただきたいと思います。
○説明員(小粥正巳君) お答え申し上げます。 社債の個人消化割合は、昭和四十年度以降徐々に上昇してきておりまして、たとえば昭和五十年度、最近の年度の数字で見ますと、四五・四%が個人消化となっております。これをさらに社債の内容に即して申し上げますと、電力債につきましては個人消化の割合が大変高うございまして、ただいま申し上げました五十年度では六五・一%、三分の二近くが個人消化でございます。電力を除きました一般事業債につきましてはこの割合がやや低くなりますが、五十年度の数字で三二・四%でございます。そのような状況でございますが、今後やはり個人金融資産が増加をしてまいりますと有価証券に対する選好も強まるということも考えられますので、従来の趨勢からいたしましても、今後とも着実な個人消化の伸びが期待されるように考えております。
○寺田熊雄君 社債の発行は証券会社が引き受けているようですね。これは何かそれを発行するについて自主的な規制を定めておるということを聞いていますが、その自主的な規制について御説明いただきたい。
○説明員(小粥正巳君) お答え申し上げます。 ただいまお尋ねの公募の社債につきましては、先生御指摘のように、証券会社が引受者といたしまして公募社債引き受けに当たっております。 なお、起債の関係者といたしましては、引受証券会社のほかに、商法上の募集の受託を行います受託会社、それから担保附社債信託法による担保の受託会社といたしまして、これは通常銀行でございますが、受託銀行、この引受証券会社と受託銀行の両者がいわば起債関係者といたしまして、社債発行を希望する発行企業との間で相談をしながら起債を行っていくという状況でございますが、ただいま御指摘の自主的なまあルールと申しますか、公募社債につきましての起債ルールのようなものがこの引き受け及び受託の関係者間で自主的な申し合わせルールができておりまして、これはたとえば企業の財務内容につきまして一定の基準を申し合わせておりまして、公募でございますから、やはり社会的な信用度のある、そして万一にも社債に債務不履行が起こって、社債権者保護に欠けるような結果とならないよう、企業の財務内容につきましてかなりレベルの高い基準を置きまして、そこに適合した企業についての発行を市場で受けていこうと、そういう形で自主ルールが設けられ、それに従って公募債の発行が行われているわけでございます。
○寺田熊雄君 何か金額的な規制があるということを聞いておりますが、これはいかがですか。
○説明員(小粥正巳君) ただいまお尋ねの金額的な規制でございますが、これは現在行われております基準で私どもが聞いたところでは、新たに社債を出す企業の純資産につきまして現在純資産六十億円以上の企業を起債のできる企業としてただいまの自主ルールでは取り扱っていると聞いております。この純資産でかなり高い基準を設けましたゆえんは、社債が、先ほど申しましたように公募でございますから、あくまで信用度の高いものであること、それから投資家にとりましても社債券が転々流通をするということが公募社債のいわば核心でございますので、転々流通に値するような起債規模と申しますと、どうしてもある程度社債発行の単位と申しますか、ロットが大きいものでないと市場でなかなか受け入れにくいという事情もございます。そのようなことから、先ほど申しました、諸財務比率によります質的な基準とあわせまして、ただいま申し上げました純資産額が現在では六十億円以上の企業について市場で公募起債を受け入れていこうと、そのようなルールになっていると承知しております。
○寺田熊雄君 発行される社債の額については別段規制はありませんか。
○説明員(小粥正巳君) 発行される社債の額の限度というようなものは、これはこの商法上の総枠の限度以外には特にございませんが、一つはいま申しました転々流通に適するだけの一回の起債額のまとまりと申しますか、ロットの大きさにつきましては一応現在一回の発行額二十億円というのが一つのめどでございます。 それからもう一つは、上限で具体的な制約はございませんが、発行企業の内容、それから市場の、何と申しますか、市場での受け取り方で、おのずからその社債の一回の発行額がどの程度であれば円滑に消化できるか。もっぱら市場の消化能力により、それから発行企業の内容によりまして規模は違ってまいります。したがいまして、いま申しました二十億円は一応の最低発行額と聞いておりますけれども、非常に多いものでは一回の発行額が、たとえば東京電力では三百億円程度、そのような大きな発行単位で起債される例もございます。
○寺田熊雄君 現実に社債の引き受けをする証券会社というのは同社ぐらいありますか。
○説明員(小粥正巳君) 証券取引法に基づきまして引受業務ができます証券会社の資格が限られておりますが、現在引受免許を受けております証券会社は六十二社でございますが、実際に引受業務を行っておりますのは、このうち五十八社と聞いております。
○寺田熊雄君 通常の貸付金とこの社債とのいわば法律的な差異と言いますかね、それから経済的作用の面から見た差異というか、それを一応あなた方の認識を承りたいと思います。
○政府委員(香川保一君) 一般の借入金と社債の法律的な差異、これはいろいろございましょうが、最も基本的な点は、借入金は御承知のとおり銀行なら銀行を債権者とするいわば指名債権でございます。社債の場合には有価証券として転々流通することを、つまり社債権者が有価証券の移転に伴って移転するという、さような関係がございますので、有価証券制と申しますか、簡単に言えば、債務者から見て債権者が何人であるかということが指名債権の場合のように定かでないといいますか、さような点が最も法律的な相違点だろうと思うのであります。 経済的な差異、これは貸付金によってやはり相当違ってくると思いますけれども、一般の市中銀行が貸し付けておる場合には、御承知のとおり、本来は短期の運転資金というふうなものが本筋であるべきでございます。それが実際は長期のものになっておるというのは、切りかえ切りかえで、結果的に長期の貸付金というようなかっこうをとるわけでございますから、したがって、どうしても経済的に見ますればコストがアップするというふうな関係はあろうかと思うのであります。社債の場合には、発行条件から償還が相当長期の、先のものでございますし、さような意味においては一般の短期の転がしによる貸付金に比べればコストは低うございますし、長期のいわば安定しておる資金、かようなふうに一般的には見られるかと思うのであります。
○寺田熊雄君 通常の借入金でもあれですね、そういうまあ運転資金のような一時の融通的なものでなくして、長期の貸付金というのもやっぱりありますね。それは銀行の貸し付けの中でどのくらいを占めているんだろうか、わかりますか。
○説明員(小粥正巳君) ただいまの寺田先生のお尋ねでございますが、ただいま手元に直ちに、いまお尋ねの長期ローンと申しますか、長期の貸付金と短期の貸付金の比率を用意しておりますので、すぐ調べればわかることでございますので、ちょっと先生のお時間の最後の方で御報告をさしていただきますが、あわせて申し上げますと、確かに長期の貸付金につきましては、場合によりますと社債、通常十年でございますが、十年に及ぶような長期の貸付金もこれはございます。ただ、企業の借入金の内容は、先生御指摘のように、短期の運転資金をつないでいく形と長期の借入金との混合で行われておりますので、平均的に申しますと借入金の平均借入期間と申しますか、これは社債よりはずっと低くなるのが通常でございます。そのような意味で、ただいま民事局長からもお答えがありましたように、社債の方が長期であり安定資金であると、こういうことが申せるかと思います。 それからもう一つ、経済的な側面ということでつけ加えさしていただきますと、コストの問題でございますが、社債のコスト、これは十年物といたしまして諸手数料を加えました発行者コストでは、現在、たとえば企業担保つきの最もグレードの高い社債で九・八〇八%というのが一応の発行者コストのめどでございます。あるいは電力債のように、一般担保でございますと若干低くなりまして、九・五六九%、このくらいのコストと計算されております。一方、ただいまお尋ねのような銀行の長期の金利を申しますと、これは最も優遇された金利で現在九・二%でございます。ただ、銀行からの借り入れの場合には、先生よく御存じのように、通常債務者預金がある程度歩どまっているのが通常でございます。したがいまして、債務者預金の歩どまり率をどのくらいと仮定いたしますか、これによって違いますが、たとえば歩どまり率を一〇%ないし二〇%と腰だめ的に見当をつけますと、ただいまの社債のコストより銀行からの長期借入金コストの方が現実にはややこれを上回る、やや高いことになるのではないかと推計されます。そんなこともございまして、社債が長期安定的であり、かつコスト面でも実質的には有利な資金と考えられるゆえんはそのようなところかと考えております。
○寺田熊雄君 これは増資による資金の取得ですね、株式の募集によって資金を取得していくのと、社債によって資金を取得するのと大体でよろしいから、どっちがいいのか。いいといってもいろいろ観点があるでしょう、その利害得失、もしおわかりだったら大体でいいから説明していただきたい。
○説明員(小粥正巳君) ただいま増資と社債とそれぞれの調達方法の比較というお尋ねがございましたが、ただいまはコストの面で申し上げましたので、この点につきましてまずお答えいたしますと、社債の場合にはただいま一般担保つきの場合でございますと九・五九九%というような、その程度のコストであると申し上げました。増資の場合には、これはなかなかコストという観念ではつかみにくいわけでございますけれども、現在の市場あるいは投資家の間での一応の安定配当率と目されておりますのは、額面に対して一〇%、一割配当かと思います。この場合に、もし額面割当増資で配当率一割を維持する、こういう前提で考えますと、申し上げるまでもなく、増資により配当負担がふえた場合には、この配当分について税の負担がございます。社債の場合には、借入金と同じく支払い利子は損金でございますから、課税の関係はございません。したがいまして、配当及び課税負担を合わせてコストと考えますと、一応の仮定を置いて計算をいたしましたところ、一割配当を前提にいたしますと、税込みで一八・六%のコストという計算でございます。したがいまして、社債の最もグレードの高いAA格債の発行者コスト、先ほど申し上げました約九・六形程度でございますが、これとの比較では増資の場合がかなり高いということが出てまいります。これはもちろん税制の問題でございますし、一割配当というものをコストと考えるべきかどうかという議論はございますでしょうけれども、企業の経営者から見ますと、やはり増資の場合に負担が大きい、実質的なコスト高感はあるようでございます。 それからもう一つは、市場が増資を受け入れるか、社債を受け入れるかという、この問題はございます。社債の場合には、公募につきましては先ほどお答え申し上げましたように、一応純資産の基準でありますとか、財務比率によります質的な基準に適合したものという自主的なルールがございます。増資の場合にも同じような市場でのルールがございますが、これは何といいましても株式市場における市況いかん、その企業の業績を反映いたしまして、経営者の意図にかかわらず、増資がきわめてできにくい場合と、市場が積極的に受け入れる場合とございますので、市況いかんによるところ、これもきわめて大きいと思います。主としてコスト面につきましては以上のようでございます。
○寺田熊雄君 いま御説明のように、社債の発行の方がはるかにコストが安いということになると、なかなか、ことに市場が非常に増資に向いていないということになりますと、社債の発行を容易にするような立法というものは、そういう現実の経済情勢に追随したことになる。したがって、一層株式の募集による、増資による資本の獲得というものを困難にするというような非難もないではないようですが、これに対してはどういうふうに弁明なさいますか。これは民事局長と課長と両方にお伺いしたい。
○政府委員(香川保一君) 商法の立場から申し上げますと、やはり自己資本の充実ということが何よりも留意しなきゃならぬことでございまして、さような意味で、資金調達も社債よりはむしろ新株発行増資によって調達される比重の方がはるかに多いということが望ましいと思うのでありますけれども、やはりそのときどきの経済事情によりまして、法律の所期しておると申しますか、さような自己資本の充実という意味で一〇〇%増資が経済的に十分円滑にいくというわけにはなかなかまいらないわけであります。しかし、自己資本の充実という意味は、逆に申しますれば、先ほど申しましたような極端に言えば短期の転がしの借入金で資金を調達するというふうな、いわば財務内容自身が不安定である、そういうことを避けようという趣旨が根底にあるわけでございまして、さような意味から申しますれば、次善の策ではあるかもしれませんけれども、自己資本に準ずると申しますか、長期安定の社債によって資金の調達がなされるということがより好ましいわけでございまして、この辺のところは、やはりそれぞれの比較考量の問題かと思うのであります。ただ、やはり商法の面におきましてできるだけ自己資本の充実を法制面から容易にする、さようなことも心がけなけりゃならぬというふうに考えておるわけでございまして、現在、法制審議会において株式会社法の再検討がされておるその過程におきまして、自己資本の充実をどのように法律面から円滑に支えていくかということをいろいろ検討していただいておるところでございます。
○説明員(小粥正巳君) ただいまの先生のお尋ねでございますが、私ども自己資本の充実ということが企業の財務内容改善という意味できわめて重要なことともちろん考えておりますが、ただ、今回の社債発行限度の関連で申しますと、先ほど申し上げましたように、増資が自己資本充実の重要な手段であることは当然でございますが、先ほど市場いかんによると申し上げました、それはまた企業の業績、企業の収益力があるレベル以上である場合に初めて市場が増資を受ける、企業といたしましても増資後の配当負担にたえると、基本的には企業の収益力の向上、あるいは自己蓄積力の強化、こういうものが増資を円滑にできる基本であろうかと思います。しかし、現在のような経済情勢におきますと、なかなか一般的に申しまして、企業の収益力が低い状況でございますので、増資が容易に行われる状況ではございません。そのような場合に、もし増資ができない、そしてまた社債についてもたとえば商法の限度に抵触するということで社債の増発もできないということになりますと、企業は資金調達を借入金に頼ると、こういうことになりがちでございます。しかし、申し上げるまでもなく、わが国の企業の資金調達の中で銀行を中心とする金融機関借入金の比率が余りにも多うございます。先ほどからるる申し上げておりますように、社債は同じく負債ではございましても、金融機関からの借入金に比べますと、やはり長期安定的であり、企業の財務内容にとりましては、あえて申せば自己資本に準ずるものという言い方もできようかと思いますが、借入金に偏り過ぎる現在の企業の財務内容を考えますと、社債のウエートがこれからもっと増加をしてよろしいのではないか、それが企業の財務内容の改善につながるのではないかと、こんなふうに考えておりますので、自己資本の充実はある意味で企業の収益力、自己蓄積力の向上にまつという、そういう面でこれは非常に長期的な課題でございますが、制度的な問題といたしますと、むしろ合理的な範囲で社債がもう少し発行しやすくなることが、現在の企業の状況から申しまして、私は必要であろうかと考えております。
○寺田熊雄君 ちょっと言葉じりをとらえるようで恐縮だけど、民事局長は社債を何か自己資本のごとく言われたのじゃないですか。これは経済的な作用ではそういうふうに考えられる余地があるが、法律的に言ったらこれはもう自己資本なんということはとうてい言い得ないと思うのだけども、これはいかがですか。
○政府委員(香川保一君) 自己資本と申し上げたつもりではないのでございますけれども、自己資本に準ずると申しますか、借入金と比較すれば、いわば自己資本の充実が必要だという観点から見て、借入金よりも社債によって資金が調達される方が自己資本充実の観点から考えても好しいのではないかと、かような趣旨で申し上げたわけでございます。
○寺田熊雄君 何かこだわるようだけども、結局あなたは、そうすると、社債を自己資本の範疇に入れられるわけですか。それともやっぱり他人資本だと言われるわけですか。何かあなたの説明を聞くと、結局自己資本充実の理想にかなうというふうに言われるから……。
○政府委員(香川保一君) さような趣旨ではないわけでありまして、増資によって資金が調達されることが株式会社としては最も好ましいと、さようなことはもちろんなのでありますけれども、その増資が容易でない経済基盤のもとにおきまして、一般の借入金によって資金を調達するのと社債によってそれを行うのとどちらがよりベターか、自己資本充実が言われるその趣旨から申しまして、どちらがよりベターかという点から申しますと、社債の方がはるかにベターだと、かような趣旨で申し上げたわけでございます。
○寺田熊雄君 まあこの程度にしておきましょう、何かちょっとまだひっかかる点があるんだが。 それから、中小企業で社債を発行しているもの、これは大体、ちょっとわかっている程度で結構でありますが、後でできたらこれは表にして提出していただきたいと思います。
○説明員(小粥正巳君) ただいま中小企業で社債を発行している企業がどのくらいであるかというお尋ねでございました。先ほど申し上げました公募債につきましては資料がございますけれども、公募以外の私募債につきましては、実は特にはっきりした統計がございませんので、把握には私ども苦心をいたしましたが、必ずしもはっきりしたものはございません。ただ、一つの手がかりといたしまして、法人企業統計によりまして、資本金一億円未満の会社につきまして社債を発行しているという記載があるもの、これをずっと集計をしてまいりますと、ただいま申しました資本金一億円未満の会社、社債の残高が、これは昭和五十年度の末の数字でございますけれども、二百二億七千四百万円という数字がございます。これが、お尋ねに正確にお答えできないのでございますが、統計上の制約から一つの手がかりといたしますと、一億円未満の企業のうち社債を発行し残高があるもの、これを合計いたしますと、五十年度末約二百三億円と、このような数字がございます。これは資本金規模から申しまして恐らくすべて私募の社債であろうかと思います。
○寺田熊雄君 いまあなたがおっしゃった私募債と公募債の割合、これも何か統計がないようだけれども、あなたが把握していらっしゃる、大蔵省で把握しておられる大体のものがおわかりだったら御説明いただきたい。
○説明員(小粥正巳君) ただいま申し上げましたように、これは一つの手がかりということで、直接公募債と私募債を比較することは、なかなか統計の制約がございましてむずかしいわけでございますけれども、現在私どもが公募債につきましてはほぼ完全な資料を用意してございます。ただいま資本金一億円未満の企業で五十年度末の数字が約二百億円と申し上げましたが、一方、公募債の発行ベースで申しますと、たとえば最近終了いたしました五十一年度では、電力債、一般事業債合計いたしまして一兆一千六百六十四億円、このような規模で発行されております。その前の年度が約一兆五千億円、四十九年度九千八百億円、そのような規模でございますので、最近大ざっばに通観いたしまして一兆円前後の公募債が市場で発行されております。したがいまして、確かに公募債の発行規模に比較いたしますと、まあ統計の漏ればもちろんございましょうけれども、先ほど申し上げました規模の小さな会社の発行しております私募債は、総計いたしましても、規模から申しますとかなり小さいものであろうかと思います。
○寺田熊雄君 これは経済界の実務を担当している友人に聞きますと、五十二年度に入ってからの社債の発行量がきわめて少ないということなんだけれども、最近五カ年間の社債発行量、これは後で統計を出していただきたい、きょうは説明はよろしいから。 それから、ことしに入ってからの社債の発行量をちょっと説明していただきたい。
○説明員(小粥正巳君) 本年に入りましてから、まだ四月の半ばでございますので、これはことしの一月からでよろしいですか。
○寺田熊雄君 はい、一月から。
○説明員(小粥正巳君) 一月から各月の数字を申し上げますと、事業債につきまして一月八百八十億円、二月五百二十億円、三月一千九十一億円、年度が変わりまして四月月中でございますが、一応六百億円の起債が予定されております。以上のような状況でございますが、なお起債関係者の間では五十二年度年間を通じましての企業の起債希望の取りまとめは、これは別途行っております。これによりますと、ついでに申し上げますれば、五十二年度の希望額をそのまま集計いたしますと一兆八千四百億円でございまして、前年度の実績に図べまして約五八%の伸びを示しておりますが、これは当然のことながら金融情勢、市場の状況によりまして希望がどの程度の実績達成率になりますか、今後の環境の推移によることかと思います。
○寺田熊雄君 それから最近為替の問題、ことに円が非常に強くなったということが言われておりますけれども、この外債と為替相場の変動の問題、どういうふうに動いていくか、どちらが有利であるとか、そういう点をちょっとざっと説明いただきたいと思うのです。
○説明員(小粥正巳君) わが国の企業が外債を発行いたします場合に、ただいまお尋ねの為替変動の関係がどのように関連するかというお尋ねでございますが、これは大きく分けて二つの面があろうかと思います。ただいまわが国の企業の外債発行は米国市場のドル建てのもの、ヨーロッパ市場でのマルク建て、スイスフラン建て、あるいはいわゆるユーロドル建て等々の形で各地で異なった通貨によって発行が行われておりますが、この場合ただいまお尋ねの通貨によりまして、いわゆるその為替が強いと申しますか、強い通貨、弱い通貨の別がございます。一般的な傾向といたしますと、西独マルクあるいはスイスフランのようないわゆる強いと目されております通貨建ての場合には強い通貨に対する需要が多いこともございまして、発行条件を考えますと金利がある程度他のマーケットより低いのが現状でございます。したがいまして、できるだけ有利な発行条件、すなわち低い金利で発行をしようという企業側の選考から申しますと、むしろ強い通貨建ての市場で発行いたします場合に比較的低い有利な金利で発行ができているという現状がございます。 それからもう一つの面でございますが、これは社債を償還いたします場合に、償還時までの為替の変動がございますから、わが国の企業が起債による手取り金を円で運用をいたしておりまして、償還期にたとえば西独マルクなりあるいはスイスフランなり、当初の通貨で再び支払いを行うわけでございますが、その間の為替変動によります損益が当然考えられます。この場合発行企業にとりましては、もし円に対してマルクなりスイスフランなりが発行時に比べまして償還時により高くなっておりますと為替損がございます。そのようなリスクはございますが、もちろん逆の場合、為替益が出る場合もございます。そのような意味で長期にわたる為替変動を見通すことはもちろん困難な話でございますけれども、ただいま御指摘のように円が比較的強い通貨のグループに入っておりますので、現在のところもし円と他の通貨との関係が円が相対的に強い関係、これをこのまま維持することが期待できるといたしますと、償還時における為替差損のリスクは小さく、かえって為替差益のメリットの方が大きく考えられるのではないか、そのような関係であろうかと思いますけれども、この辺はいずれにいたしましても長期にわたる為替変動の見通しということで、かなりむずかしい問題ははらんでいるように思います。
○寺田熊雄君 大企業は非常に外国にいわゆる現地法人を設立してそれぞれの資金の獲得をしておるようですけれども、この現地法人が社債を現地の認められる方法で募集している場合には、これは日本の法制では全く規制の対象にはならぬわけでしょう。その場合、その資金を親会社に持ち込むことが商法二百九十七条や本法の脱法行為になるのではなかろうか、そういう現実の事例があるのかどうか、それが脱法行為だとすると、それを何らかの意味で規制することができるのかどうか、そういうことを承りたいと思います。
○政府委員(香川保一君) まあ実質子会社的なものを外国法人として設立いたしまして、その外国法人、子会社が社債を発行する場合にはもちろん日本の法律にはよらないわけでありましてその国の法律によるわけでございますから、多くの国におきましては社債発行限度枠というふうなものを規制いたしておりませんので発行ができることが多いわけだと思います。その発行によって調達した資金を日本の会社である親会社に持ってくるというのは、これは法律的には外国法人たる子会社から親会社に対する貸付金ということになるだろうと思いますが、これはいけないというわけにはまいらぬわけでございまして、しかしそのことが商法二百九十七条の脱法行為ではないかと言われますと、同じようなことは国内におきまして子会社をつくって、そして日本法人たる子会社をつくりまして、それが日本の場合には二百九十七条の限度内でございますけれども、社債を発行して調達した資金を親会社に貸し付けるということもこれはあり得るわけでございまして、特にそのことが脱法行為ということで現在規制することにはなっていないと思うのであります。 しかし実際問題として、これはまあ子会社、親会社の関係というものをどういうふうに商法上規制していくかという問題とも関連すると思いますけれども、現在までさような二百九十七条それ自体を脱法するという意味においてお説のようなことをやった例というのは、脱法的な意味では、ないように承知いたしておりますが、過去に実質子会社と目される外国法人によって調達した社債資金を親会社が借り入れたという例は一件たしかにあるように聞いておりますけれども、特に脱法というふうに見なくてもいいような事案だったというふうに考えております。
○寺田熊雄君 市場課長、ちょっとその点……。
○説明員(小粥正巳君) ただいまのお尋ねでございますが、民事局長から御説明があったとおりでございますけれども、まあ大蔵省の方の関係で申しますと、いまお尋ねの現地法人が現地で起債をいたしまして調達した資金を親会社に供給する場合、通常貸付の形式をとりますが、たとえばインパクトローンの導入というような形で貸付形式をとることがございまして、これにつきましては外資法の貸付金債権取得の認可、こういうことでチェックをしているわけでございます。ただいまお尋ねの件につきましても、民事局長からもお答えがございましたように、私どもも特にこれが脱法行為というようなものではないと考えておりまして、この外資法によります認可も内外の金融情勢あるいは企業の資金需要の内容等によりまして個別に認可を行っているわけでございまして、まあ特別問題はないと考えておりますが、ただ先生御指摘のような批判も当時一部にあったようには聞いております。ただ、この問題はやはり、このケースで申しますと、本邦における親会社が国内でもし社債を円滑に発行できるといたしますと、あるいはこういう資金需要は生じなかったのかもしれません。その辺を考えますと、先ほど来るる申し上げておりますような企業の資金調達の多様化あるいはより好ましい資金調達の方法ということで、合理的な範囲で社債の調達限度が拡大されることがやはりこのような関係からも望ましいというふうに考えております。
○寺田熊雄君 終わりましたけれども、ちょっと何か先ほどのあれがわかりましたか。
○説明員(小粥正巳君) 先ほど先生からお尋ねがございまして、ちょっと資料が間に合いませんでした点を補足してお答え申し上げますと、先ほど資金のコストの関係で、銀行借入金の内容で長期のものがどれくらいあるか、こういうお尋ねでございますが、五十一年九月末の調べでございますが、市中銀行中、都市銀行の範疇で申し上げますと、全体を一〇〇といたしまして、長期、これは一年長でございますが、長期借入金の、これは銀行から申しますと長期貸付金の比率が三一・一%でございます。それから地方銀行につきましては、同じく長期貸付金の比率が三三・八%でございますから、ごらんのように残りは一年未満の短期資金ということになりまして、やはり銀行借入金の平均で申しますと、かなり短期の割合が高いということではなかろうかと思います。
○寺田熊雄君 最後に一つ。長期というのは経験的にどのぐらい、一番長いのはどのぐらいの長いのがありますか。
○説明員(小粥正巳君) 長期の資金は、ただいま申し上げましたように一年を超えるものというのが定義でございますが、経験的に申しますと一番長いものは十年、ちょうど社債の償還年限と同じものが最長期と、一応考えておるわけでございます。
○橋本敦君 前回に続いてお尋ねをさしていただきたいと思いますが、前回も話に出ておりましたが、公募社債の発行について大蔵省の指導で起債会の方では純資本額六十億円以上の会社にこれを認めるというようにことしからなっている、こういう話ですが、その趣旨はどういうところにあるわけですか。
○説明員(小粥正巳君) ただいまお尋ねの公募債の起債市場におきまして、たとえば最近の申し合わせ基準は純資産額六十億円以上というふうに私ども聞いております。これは先生のお言葉でございますが、一応先ほど申し上げましたように起債関係者であります引き受け証券会社、受託銀行間の自主的な申し合わせでございますけれども、そのゆえんはやはり公募でございますから、社債が不特定多数の公衆、投資家から資金を調達するわけでございますし、また投資家は取得いたしました社債券を有価証券として随時転々流通させる、そこに社債の特色があろうかと思います。したがいまして市場での転々流通性を確保いたしますためにはやはり一回の社債の発行金額がある程度まとまって大きいものであること、これがどうしても必要になります。たとえば先ほど申し上げましたように、現在一回の起債単位は一応二十億円が最低と取り扱われております。それから不特定多数の投資家に対して募集をするわけでございますから、やはり発行企業の信用度が高い、万一にも社債権者に迷惑の及ぶことのないような信用度の高い、それからまた、広く募集をいたしますので、やはり知名度も相当に高いもの、そしてもちろん財務内容のよろしいものでないといわば市場が受け入れられない、そういうことでございます。したがいまして、現在、純資産額六十億円以上という一つの基準がございますけれども、これはやはり公募の社債であり、不特定多数から広く資金を集め、転々流通性を何よりもその要素とする、このような公募社債の内容から申しましてある程度このような形に自主的な基準がつくられてくるという状況であろうかと思います。
○橋本敦君 現在、公募社債を発行しているわが国企業の二百六十五社の中で純資本金が六十億円以下の会社は何社ぐらいありますか。
○説明員(小粥正巳君) ただいまのお尋ねでございますが、現在、私どもの手元で調べましたところ、純資産額六十億円未満の会社で公募債を発行しているものが十二社ございます。
○橋本敦君 だから、したがって現在、四十億の基準でやってきた段階でもわずか十二社で、二百六十五社から見れば一割にもはるかに満たない少数しか純資本額四十億以下では発行していませんから、これを六十億に引き上げたところで、現在二百六十五社の大部分は、これはいま御答弁でも明らかなように、引き上げたところで現状とそう変わりがないという実際上の結果になっているわけですね。 で、もう一つ私がお聞きしたいのは、先ほど寺田委員の御質問にもありましたが、私募社債を発行している資本金一億円以下の企業、これらの企業でこの発行限度枠を二倍にしてほしいという要請があるかどうか、大蔵省並びに法務省はつかんでおられますか。
○政府委員(香川保一君) 一億未満の会社から個別あるいはその団体からさような起債発行枠の拡大についての要望はございません。
○橋本敦君 そういうことなんですね。まあ、現在中小企業は大変な不況ですし、そしてまた私募社債ということになりますと、それほどたくさん発行できる、そういう市場ペースもありませんから、まさに中小企業からはこういう商法改正の要望というのは、これは実際ない。で、大企業の中でも六十億円以上というふうに、起債会の申し合わせでそうなっていきますと、ますます純資本額の高度な大企業の要求ということに集中されていくということが結果的には実態として明白なんですね。それで大蔵省にお伺いしますが、現在、公募社債の発行残高並びに現在の枠内での発行余力はどのぐらいあると見ておられますか。
○説明員(小粥正巳君) ただいまのお尋ねでございますが、私どもの手元で一応五十一年九月末直近決算時で調査をいたしました。これは調査の段階で一応電力、ガスを除きまして、今回の社債発行限度暫定措置法の一応対象になります二百三十四社について見たわけでございますが、総社債残高が三兆四千六百億、百億円単位で申しますと三兆四千六百億円、それから現行法によります発行限度の総枠が五兆六千九百億円、したがいまして単純に差し引きをいたしますと発行余力がトータルでは二兆二千三百億円、枠の使用割合が約六一%、平均ではこのような数字でございます。
○橋本敦君 つまり、現在の枠内でも発行余力が二兆二千億円という巨額のものがあるのですが、仮にこれを改正案どおりに枠を広げますと、限度いっぱいに仮に出されるといたしますと、現在の二百六十五社ということで見て大体見通しとしてどれくらいの発行が可能になりますか。
○説明員(小粥正巳君) ただいまのお尋ぬでございますが、これは平均的には先ほどのような数字でございますけれども、業種別あるいは企業別に限度にきわめて近くなっており、社債を発行したいがこの限度のために発行できないと、こういう企業、あるいはそういう企業が多い業種というものがございます。それと一方では今後の市場の状況によりまして、一体どの程度の発行を市場が受け入れるか、そういうことでございますので、ただいまのお尋ねに直截にお答えはしにくいわけでございますけれども、たとえば先ほど来の仮に二百三十四社ベース、電力、ガスを除いたベースで申し上げますと、すでに昨年九月調査時点で発行枠を七割以上使用しております会社数は、全体の三五%に及ぶ八十二社でございます。そして社債を発行いたします場合には、先ほど来申し上げておりますように、起債の一応最低のまとまった単位というものがございますし、各企業によりまして一回の発行ロットはかなり高いものもございます。したがいまして、個々によることではございますけれども、申し上げましたかなりの数の企業があるいは業種によりまして、相当の部分がもしこの御審議いただいております法案が成立し、限度が広がることになりますと、その点は起債上限度があるために起債し得る企業ができなくなる、そういう資金調達の道がそのためにふさがれるという問題はかなり解消するであろう、一般的にはそんなふうに申し上げられます。
○橋本敦君 端的に言いますと、まあたとえば今後五年間この改正がなされてからとってみますと、大体発行残高はどれぐらいになるだろうという推定的な調査なり推計というものは出しておられませんか。
○説明員(小粥正巳君) ただいまのお尋ねでございますが、今後やや中期的、たとえば五年後を見通しての社債の残高予想というものは実は残念ながら私どもではやっておりませんし、あるいは私どもの知る限りではどうもそのような調査を行っているところは直ちに見当たらないわけでございますが、ただ先ほど来申し上げておりますように、従来借入金に余りにもわが国の企業の資金調達が偏っておりましたので、今後の方向といたしますと、やはり借入金よりも少しでもこの社債による資金調達をふやしていくことが必要ではないか、あるいは政策的に考えましても、企業の財務内容改善に貢献するという意味で社債による資金調達のチャンネルを太くしていくということを考えるべきかと思っておりますので、それぞれの各年次の経済情勢によりまして変動はございましょうけれども、趨勢といたしましては社債の発行規模は次第に増加をしていく、あるいは資金調達内に占める社債の割合が少しでも着実に増加していく、こういう方向を私ども期待もし、考えているわけでございます。
○橋本敦君 その点の調査なり推計的な検討をやっているところはないということですが、これは経企庁なり通産省なり大蔵なりいろいろ関係があるところです。私がなぜこれを問題にするかといいますと、いわゆる過剰流動資本の問題で大蔵省が大口金融規制を打ち出された。現在でも銀行借り入れが非常に多いということで、結局こういう公募社債の枠を広げても借入金的性質というものは、これは変更が本質的にはないということになる。そういうことで現在でもかなりの公募社債が発行されているし、余力が二兆円を超すという状況でさらにこの枠を広げまして、いま答弁があったように、これが公募社債発行の誘因になって一層の増強、増幅されていくということになりますと、多額の赤字国債の発行ということとも関連をして、わが国の経済全体についてインフレ懸念なり、あるいは信用膨張なり、そういった問題が出てくる危険性がないと言えるだろうか。そういうところまで通産なり大蔵なりあるいは法務省は検討してこの法案出しているのだろうか、そういうことを私は質問したいから聞きたかったわけですね。 しかし、そういう点について研究も推計も統計もとっていないということになりますと、私はこの法案を出すということでの政府の準備が十分だとは言えないのじゃないかと思いますよ。それはそれとして、わからないのですから仕方ありませんが、次に伺いますが、現在この発行余力がなくなって、この商法改正を最も強く要求している業種というのはどういう業種なんですか。
○政府委員(香川保一君) 鉄鋼関係それから化学工業関係それから私鉄、さようなところが一番強いかと思いますが、さらに造船関係もそのうちに入るかと思います。
○橋本敦君 造船を例にとりましょう。現在世界でタンカー余力が一体何万トンぐらいあるか、これは香川民事局長お聞きになっていらっしゃいますか。大変だぶついている。
○政府委員(香川保一君) よく存じません。
○橋本敦君 私も知らなかったのですが、四日前にニュースセンター九時を見て私驚いたのです。長崎で百万トンの造船ドックが全く空になっている。そのときのニュース解説によりますと、世界で約一億トンに近いタンカー余剰ができて困っておる。そういうことで百万トンの余力のあるそういうドックで五万トン、六万トンの船をつくらなくちゃならない。こういう状況で造船業界は設備投資なんてもうとんでもない状況にいま追い込まれている。こういうのがニュースセンター九時で流れておりましたね。だから、いま造船が社債枠限度に近づいて非常に要求が強いということは、これは発行限度枠が少なくなっているということを示すだけで、提案理由趣旨説明にあったような設備投資資金の長期安定取得ということでやるという状況になっていない、私はこう言っていいと思うのですね。さらに鉄鋼についても同じようなことだと思うのです。鉄鋼関係についても輸出という問題が非常に頭打ちになる。ECとの関係でも問題が出てくる。また業績のよい家電についてもアメリカとの間でカラーテレビその他の問題が出ている。こう考えますと、いま高度成長経済政策からの大きな転換の中で、わが国の大企業も含めて当面している経済体制を考えますと、まさに設備投資の長期安定資金の必要性ということで、いまおっしゃった鉄鋼にしろ造船にしろ最も要求が強いということをまるのみにしてこの法案を出して通していいだろうか。こういう問題の調査が私はこれは法案を提出する上で非常に十分ではないという気がいたします。これは経済論争になって私の専門外でもありますが、そういう意味で今度のこの提案について、本当に実質的な裏づけがある提案というふうに私は思われないわけですね。たとえば私の手元にあります去年の五月二十三日の日本経済新聞、これを見ますと、「社債ワク拡大へ緊急行動」ということで、「特例法で対応急ぐ」ということで財界の要求が一応出ておりますね。ところが一方同じ日経新聞では、設備投資の頭打ちということで非常に多くの問題を提起している、こういう関係がある。こういう関係で私は法務省に伺いたいのですが、本当にこの枠を拡大するということが実際の限度額に形式的にきているということではなくて、設備投資拡大、長期安定資金の導入ということで本当に必要だということで要求している業種、産業というのはどこなのでしょう。造船は私はそうじゃないと思いますよ。鉄鋼も非常にしんどいと思います。どこだと思いますか。
○説明員(植田守昭君) 業種の問題になりますから私からちょっと補足させていただきますが、業種からの要望といたしましては、先ほど民事局長も申されました業種、そのほかに私ども聞いておりますのは、機械関係でございますとか自動車関係それから電気、電子というふうなところからも要請を聞いております。 それで設備投資との関係でございますが、御指摘のように現在全体といたしましては設備投資が必ずしも盛り上がっていないという状況でございます。こういう状況にありまして、私どもといたしましては、今後景気浮揚策、たとえば先般御審議いただきました補正予算でございますとか、あるいはただいま御審議いただいております五十二年度予算でございますとか、こういったものが実施に移されるに従いまして、いまよりは情勢は好転するのではないかというふうに見ております。それから、そういう状況下にございまして設備投資がいわゆる景気浮揚のための需要要因といたしましてこれがもっと出てくることが期待されているということは各業種につきまして一般的にいま要望されている、期待されている点でございまして、それが今後の景気対策の効果との関係で夏あるいは後半にかけましては様相がかなり変わってくるのではないかというふうにまず全般的には考えております。 それから、もう一つの業種の観点から見ますと、本法案には直接関係ございませんが、電力、ガスというふうな点は、御承知のようにかなり設備投資意欲が強いという状況でございます。そのほかにつきましては、たとえば自動車関係でございますとか、あるいは先ほどちょっと御指摘がございましたが、電子、電気関係、これもまだかなり強くはございます。そのほか小売関係とか、あるいは石油精製などは、これは一部五十四年度以降をにらみまして設備投資が若干これから始まるという面のほかに、公害関係、保安関係からの設備投資がかなり望まれている、あるいは備蓄ということでタンクの設置が非常に要求されている、そういった面からの設備投資要請がございます。さらにまた、セメント等につきましては、需給関係とはこれは別にまた公害の観点からいわゆるNSPという新しい方策がございまして、そういった面での設備投資が望まれているというような点はあるわけでございます。 さらに観点をちょっと変えまして、投資目的という観点から見ますと、公害の防止のための投資でございますとか、あるいは今後非常に進めなければならない問題といたしまして省資源、省エネルギーのための投資活動、あるいはまた、技術研究、開発研究というふうな点の設備投資というふうなことはますますこれから要請が強くなってくるだろうというふうに私ども考えているわけでございまして、そういった点を踏まえますと、先ほどからいろいろお話がございましたが、今回の提案理由説明にもございますように、企業の財務構成の強化という、いわゆる安定成長経済下におきまして非常に要請されております間接金融から直接金融への移行、それに伴いましていわゆる低成長下における企業の体質の強化というふうな点からとあわせまして本法案が非常に待たれている状況にあるというふうに私どもは考えているわけでございます。
○橋本敦君 一般的な抽象的な予測的な見通しをおっしゃっているわけで、いまおっしゃったことだけならば、発行余力が二兆円もあるわけですから、私はそれですぐに枠を二倍にしなきゃならないということと直接具体的な結びつきがあるとは理解できないのですよ。しぼりますけれども、たとえば私が調べましたことしの三月八日の日経及び毎日新聞によりますと、いま最も枠の拡大が急がれているとおっしゃった鉄鋼ですが、この鉄鋼については五十二年度新規計画で前年度比で三四・六%設備投資関係の削減ということが打ち出されている。これは通産省御存じですか、鉄鋼関係。
○説明員(植田守昭君) 鉄鋼につきましては、五十一年度に非常に投資が盛り上がりまして、五十二年度はそのいわば反動もございましてかなり減少することになろうと思います。
○橋本敦君 その中の大手の新日鉄をとってみましても、新日鉄はことしは予定されていた社債発行はもうやらないという方針を打ち出しているように私は聞いておりますが、これは間違いありませんか。
○説明員(植田守昭君) 私ども具体的なそういった情報にはいまのところ接しておりません。
○橋本敦君 これはことしの一月二十五日、日経新聞に出ている報道ですね。だから、まあこの点は御存じないとしても、一般的に一番急がされているとおっしゃる鉄鋼についても造船についても、現行枠の拡大というのはそのような切実性を持って出てきているわけじゃないという実態があるのですよ。これはほぼお認めにならざるを得ない経済実情なんですね。だから、こういう問題で私はいまあなたが答弁なさったような一般的な期待予測のようなことでこの法案をすぐにいまやらなくちゃならぬという緊急性は私は感じないわけですね。 それから、もう一つ質問をしておきたいのですが、一昨年興人の倒産が問題になりましたが、あの場合、興人は起債界で格づけはどのランクにされておりましたか。これは大蔵省からお伺いしましょう。
○説明員(小粥正巳君) ただいまお尋ねの興人のいわゆる格づけランクにつきましては、すぐ調べさせますので、暫時お待ちをいただきたいのでございますが……。
○橋本敦君 すぐわかるでしょう、表がありますから。
○説明員(小粥正巳君) ただいま資料によりますと、興人は従来の格、AA格から四格ございますが、その四格の一番下にランクづけられているようでございます。
○橋本敦君 この格づけ問題について、一般債権者保護という観点からこの格づけをもっと明確にかつ安定性のあるものにしていくということがいまの非常に変動の大きい経済界の状況から見て私は非常にむずかしい問題だと思う。これについて、一般債権者保護の観点からこの格づけ問題について、今度枠を二倍にするわけですが、これに対応して債権者保護の観点からどういう対応策を検討されておられますか。
○説明員(小粥正巳君) ただいまのお尋ねでございますが、先ほど来申し上げておりますように、公募債の起債市場におきましては、引受証券会社と受託銀行間で、まあ格づけ基準と言っておりますけれども、起債の基準につきまして特にその質的基準に重点を置いた申し合わせルールがございます。そこで、このたびの御審議をいただいております法案が成立いたしました場合に、この格づけ基準がどのように運用されるかということになりますが、ちょうどこの自主ルールによります格づけ基準が今年度、五十二年四月から従来のものに比べましてより質的基準を重視をすると、まあ、そういう見地から若干の改定がなされたように聞いております。そのゆえんは、これはもちろん法案と直接関係があるわけではございませんけれども、従来の格づけ基準に比べまして、これはむしろ先生御指摘のように、一層、社債権者保護に資するように、すなわち公募債起債市場に登場してまいります企業の財務内容をより強くチェックをいたしまして、社債権者が仮に後で迷惑を受けることの万々ないように、企業の財務内容、質的基準をより厳しくチェックする、これが基本的な方向でございます。したがいまして、もしこの法案が成立いたしました暁には、確かに従来より起債市場が少なくとも枠において広がるわけでございますけれども、まあちょうど軌を一にいたしまして、この起債関係者によります、いわば公募債についての適格性を判断いたします、信用度判定の基準になります自主ルールは、質的な基準をより強化した形にこれを迎えようとしている、そういう意味ではちょうどタイミングも合っているように思います。 なお、ただいま興人についてのお尋ねがございました。これは戦後のわが国の社債市場におきまして、元利金支払いが不能に陥った例が私どもの知る限りではたしか八件ばかりございますが、そのうちの最も新しい例がこの興人でございます。こういう不幸な例は、これは起債関係者もそのためにも自主ルールの運営を厳しくいたしまして、万一にも結果的に債務不履行の生ずることのないようにあらかじめ質的なチェックをしているわけでございますけれども、やはり長い年月、数ある中には間々こういう例も出てまいります。ただこれは戦後の起債会のこれもルールでございますけれども、公募債につきましてはすべて担保附社債信託法による担保が付されてございます。したがいまして、たまたま興人のような不幸な例につきましても、実際は社債権者は担保が付されていること、そしてまた関係者である受託銀行が中心になりまして、事実上、社債権者から社債を買い取るという形で社債権者の結果的に保護となるような手当てを講じております。そのような意味で厳し過ぎるという批判も一方にはございますけれども、現在の起債関係者による自主ルールは、社債権者保護につきましては今後従来以上に厳しい選定基準をもって臨み、社債権者保護に万全を期するという態勢がとられておりますので、私どもはその点につきましては十分手当てが行き届いているように思います。この自主ルールはたびたび申しますように、直接大蔵省が関与しているというものではございませんけれども、全体の方向といたしましては、ちょうどこの法案が御審議されているときでもあり、新しい年度からより質的な意味で厳しい選定を行われようとしていることは、私ども社債権者保護の見地からは好ましい方向であろう、こんなふうに考えております。
○橋本敦君 大変抽象的な答弁で、一体どこにどういうように質的評価基準の変更が前向きに出てくるのか御答弁がないのですが、これはディスクロージャーということで一定の有価証券報告書等ということを通じての規制の問題というのはありますけれども、一般債権者から見ればやっぱり社会的信用度が、格づけの問題が一番わかりやすいし、一番目につくわけです。こういう格づけ問題については、大蔵省もつとに御存じのように、アメリカあたりでは長い歴史と伝統があり、信用された機関があって信頼性は非常に高いですよ。わが国の起債会では大蔵省は関与しないで自主的ルールでやっているといいますけれども、いままでの範囲内では社会的に信用度があの格づけにそれだけ高いかといいますと、それほどまでにはなってないのが率直な理由です。興人の場合は銀行が処理をしたからということですが、これからこれだけ枠が拡大して大きくなって、万一倒産の場合に担保つきだといっても担保権実行までは大変な手間と時間がかかりますよ。そういう場合に銀行が全部引き受けるかというと、大蔵省はそういう指導をなさいますか。そう簡単にいかないでしょう。そうなりますと、この枠を拡大するということに見合って自主的ルールで任している格づけ、これの質的評価なり社会的信用力の保全なり増進ということについて、大蔵省はもっと積極的な方策なりあるいは指導なり、見解を持たなければこれは不安ですよ。積極的にそういう面についてどのようにやっていくかという検討は大蔵省でないのですか。自主的にたまたま任していたと、それが質的に評価基準を改善をするようになってきた、ああこれは結構だ、ちょうどこの法案に見合っているわと、それで終わりですか。もっと積極的にこの格づけ基準についての改善なり、信用度、担保の方策なりというものは政策的に持っていないのですか。そういうものがなしにこんな法案をお出しになるというのは私はおかしいと思います。
○政府委員(香川保一君) 商法の二百九十七条の枠の規制は、先般来申し上げていますますとおり、外国の立法令もきわめて少ないイタリアのみというふうなことでございまして、わが国の商法のあり方といたしましても、二百九十七条の制限枠自身が余り合理的な理由も見出せませんので、むしろ、私ども事務当局としては法制審議会の検討待ちでございますけれども、これをやめてしまうというふうな方向に持っていきたいわけでございます。ただ、いまお説のとおりディスクロージャーの制度と合わせまして社債市場における格づけと申しますか、諸外国の運用にも見られるような、そういった格づけの制度がやはり確立して、それによって社債権者の保護が図られるというふうな基盤ができませんと、なかなか一挙にこれを廃止するというのはいささかちゅうちょするわけでございます。大蔵省におきましても、この問題を議論いたしますときに、できるだけ早急にさような方向での枠を撤廃しても社債権者の保護に欠けることのないような措置をいろいろの角度から早急に検討してとっていきたい、かようなことでございまして、しかし、問題はなかなかそうきょう言ってあしたできるような性質のものじゃございませんので、相当の日時がかかろうかと思うのであります。しかし、一方社債枠の制限というのが経済事情から見ましてそれまで待っておられないというふうなことがございますので、さしあたり今回お願いいたしておりますように、二倍の枠まで広げておいて、そうしてその間に大蔵当局を中心にしていま御指摘のような格づけ等も含めての社債権者保護に万全の措置を講じていくということにいたしまして、そこで商法の改正をいたしたい、かようなことで大蔵当局とも話はついておると申しますか、さような姿勢で大蔵省も臨んでいただいておるわけでございます。
○橋本敦君 私が指摘した問題について現在具体的な回答はないということで私も賛成はしんたいのですが、時間が参りましたので、質問をこれで終わります。
○委員長(田代富士男君) 他に御発言もなければ質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田代富士男君) 御異議ないと認めます。 それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述へ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採択に入ります。 社債発行限度暫定措置法案を問題に供します。 本案に賛成の方の挙手を願います。 (賛成者挙手)
○委員長(田代富士男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田代富士男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
○委員長(田代富士男君) 証人等の被害についての給付に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑のある方は順次御発言願います。
○寺田熊雄君 この法律は証人等が他人から身体または生命に害を加えられた場合に療養等の給付を行うことといたしております。しかしながら、考えられる問題としては、いろいろ障害に至らない、たとえば暴行であるとかあるいは脅迫であるとか、場合によっては監禁はやはり身体に害を加えられたということに入るのかどうか、これは拘束は加えられるけれども、害は加えられないという解釈も可能だけれども、こういうような暴行、脅迫、監禁等を加えなかったのはどういうわけでしょうか。
○政府委員(伊藤榮樹君) 御指摘のようにこの法律におきましては、証人等が身体あるいは、証人等が身体あるいは生命に害を加えられた場合だけに給付を行うことにしておるわけでございます。したがいまして、ただいま御指摘のように、あるいは精神的な損害を受けたとか、あるいは財産的な損害を受けた場合が除かれておるわけでございます。これを除くこととしております理由は、まずもって精神的苦痛というようなものにつきましては、はなはだその態様等が多岐にわたりますので、技術的にも損害額の算定が非常に困難であるというようなことがございますし、また財産的損害の点につきましても、非常にその態様が多岐にわたるものと思われまして、類型化が必ずしも容易でないと、こういうような技術的な問題があるわけでございますが、何よりもとにかく、身体、生命に害を受けるということは、最も悲惨な場合でございますので、さしあたり、そういった身体、生命に害をこうむった方に対して国として給付をして差し上げようということで、一応この法律のような形になっておる次第でございます。 ただ、ただいま御指摘のような損害に至らないようなものについて何か考えるべきではないかという御意見は、確かに一つの御意見だと思っております。立法技術的に非常に困難があるのではないかと思いますけれども、将来の課題として検討に値するものであろうというふうに考えておる次第でございます。
○寺田熊雄君 刑事局長、こちらがまたいろいろお尋ねしようと思ったことを先回りして答えられちゃったのだけど、確かに、たとえば物的な損害、飲食店の主人がもう飲食店のものを全部壊されちゃったとか、そういう物的な損害もあるでしょうし、これは損害を受けた場合の慰謝料、これもどうも療養その他の給付といって非常に給付の範囲を限定しておりますから、ですから局長が言われるように慰謝料的なもの、これは入ってないと見るべきなのでしょうが、これは損害額の算定がきわめて困難であるという技術的な理由からとおっしゃったけれども、やっぱりこれは真剣に検討してもらいたいですね。つまり、障害に至らざる方法で、いわゆる俗に言ういやがらせというやつでしょうね、これは鬼頭と裁判のきにでも、新聞社のような有力な人々、これがなぜ証人にならないかと、一つの理由として報道の自由ということも言われたのだけれども、もう一つの理由は、右翼、目に見えない右翼などから新聞記者の家族に対していろいろいやがらせがあると、これは非常に立証がむずかしいかもしれないけど、しかし、これは現実にあることなんで、そういう暴行、脅迫、いやがらせ、監禁というような態様の害悪ですか、それともう一つは障害等の被害にあらざる物的、精神的な被害、こういうものに対する検討を真剣にしていただきたいと思うのですが、どうです、刑事局長。
○政府委員(伊藤榮樹君) まあ本来この種の事案は、冷たく突き放してしまえば、当事者同士の不法行為の問題として解決されるという性格のものであろうと思いますが、そういうことでは刑事司法の適正円滑が期せられないということで、国が何らかの給付を差し上げるということで立法されておるわけでございますが、ただいま御指摘のように、監禁されました場合とかあるいは財産をめちゃめちゃにされたというような場合等については、確かにそこまで手を広げて給付をして差し上げる必要性というものも理解できますので、仰せのとおり真剣に検討していきたいと思っております。
○寺田熊雄君 なお、現実にどの程度この規定の適用を受けた者があったか等についてお尋ねしようと思ったところ、この配付された参考資料の末尾にこれがあるようですね。「証人等の被害についての給付状況」というのがあって、二として「証人等の被害事例調」というのが、これが約四例ほどあるようですが、この四例を読んでみますと、いろいろ疑問がわくわけです。 それで、ちょっと局長にこの「被害事例調」を見ていただきたいのですが、この1というのは休業補償が全くないのですが、これは全然収入はない人だったのでしょうかね。かつまた収入があったとしても休業してなかったのだろうか、どうもそういう疑問がわきます。 それから2の場合も、休業給付というのがきわめて低廉で、まあ昭和三十六年の物価事情を考慮しても、全治二週間の障害に対して休業給付がわずかに六千五百円ほどだという、これはちょっとどういうわけか御説明いただきたいと思う。 それから3の遺族給付、これも証人が現実に殺害された事例ですね。それがわずかに百万円ほどの遺族給付である。これはまあ当時の自賠法の最高額は大体どの程度の損害賠償の額を決めておったのか。自賠法によることですね、これとも対比して御説明をいただきたい。 それから4の事例、これは昭和四十三年の事例で、右目を突き刺されて目を三カ月も患ったという事例のようですが、これも何か療養給付が三万五千円で、休業給付が一万九千円だと、三カ月の治療を要して、目にボールペンを突き刺されたというような事例にしては、著しく給付が少額なように思いますが、大変細かいことで恐縮だけれども、これを御説明いただきたい。
○政府委員(伊藤榮樹君) 順次御説明申し上げます。 まず1の事例、昭和三十四年に京都地裁舞鶴支部の法廷の廊下で軽便かみそりで切りつけられたという事例、これは療養給付だけを行っておりますが、この被害者は女性でございまして、無職でございましたので、休業給付を行っておらないわけでございます。 それから2の事例でございますが、2の事例は療養給付が当時としても安うございますが、これは国民健康保険から半額出ておりますので、その余を給付いたしております。それから休業給付につきましては、当時の最高額であります六百円という給付基礎額に基づきまして計算をいたしまして、当時許された最高限度の給付をいたしておるのでございます。 それから3の事例は、遺族給付を特にお取り上げになりましたが、当時いわゆる自賠責の方の金額が百万円でございまして、そういう時代の給付であるわけでございますが、これは当時の給付基礎額一千円という最高額に、扶養者がおりましたので、扶養加算をいたしまして、最高額で百二万円という遺族給付をいたしたわけでございます。 それから4の事例でございますが、これは療養給付三万五千二百円余り、休業給付一万九千八百十三円でございますが、この被害者の方は、工員さんでありまして、時間給で働いておられた方で、当時の御本人の収入日額が七百十九円でございました。その七百十九円に実際に休業されました二十七日プラス四時間三十分を計算いたしますと、一万九千八百十三円と、御本人の収入をそのまま計算をした次第でございます。
○寺田熊雄君 物価事情もあったかもしれないけれども、結局これを御説明承りますと、結局慰謝料がないというところに原因がありますね。だから、さっきのように慰謝料を考慮していただかなきゃいけないということになるでしょう。 まあ、この法律でなぜ慰謝料等を加えなかったかという点を考えてみますと、結局第一条のこの法律の目的ですね、この法律の目的が結局証人等が他人から身体または生命に害を加えられた場合において、国が療養その他の給付を行うこととすることによりという、これがまあ手段になっておる。そして、その目的は、やはり「証人又は参考人の供述及び出頭を確保し、もつて刑罰法令の適正かつ迅速な適用実現に寄与する」と、国家目的が主になっていますね。ここから出るのでしょうけれども、これはやはり先ほども言ったように、給付をふやすためには、少なくも国家目的に協力した人間、その協力のゆえに被害を受けたという人間に対するその損害の補てんということと、それから国家目的とを少なくも同じ程度に引き上げていただきたい。片方を非常に落として手段化して、目的を高く掲げて、そうすると、こっちの方が、前者が非常に冷遇されておるのですから、この国家目的に協力した人間の被害を補償するというのを高めていただく、そうして国家目的と同じ水準に置いていただくということを、ひとつ考慮していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○政府委員(伊藤榮樹君) 十分研究さしていただきたいと思います。 なお、この法律は警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律と常に何といいますかパラレルに規定をいたしまして運用しておりますので、そちらの方の法律の関係もございますので、よく検討してみたいと思います。
○寺田熊雄君 次に、この法律の第四条ですね、これは一号から三号までの事例を規定いたしまして、この場合には給付の全部または一部を裁量によってしないことができるという規定になっております。三号は、私ども、多少この道に飯を食った者として、ある程度合理性があるように思うのですが、一、二は、余りにも法律に偏り過ぎて現実に合わないような印象を受けるわけですね。たとえば証人等と加害者との間に親族関係がある場合にはこれを給付しないことができると。しかし、法律的に親族関係がありましても、生活実態、実際上の生活ですね、これは何らのよしみがない、親しみもないという親族がありますね。また、ことに利害関係が対立して仲が悪いという場合もあるわけでしょう。そういう場合に、親族であるからといって被害者に給付しないというのは、これは裁量事項だからいいじゃないかということがあっても、ちょっとこれは現実に合わない場合が考えられる。 それから二号の場合ですね、「加害行為を誘発した」と、誘発しなくても、ある程度証人等に悪い点があったと、そのためにこの傷害行為等がなされたという場合、これを余り厳格に解釈されますと立法の趣旨が現実に合わない場合が出てまいるおそれがあると思うのですが、これは法務大臣が施行令で認定なさることになっておられるのですけれども、現実の事例は、なるべくこの第一号、第二号の場合はこの適用をなさらぬ方がいいと思うのですが、これはいかがでしょう。
○政府委員(伊藤榮樹君) ただいま御指摘のとおりであろうと思います。第一号は、たとえば夫が被告人となっている被告事件で妻が証人に出たということのゆえに夫からけがをさせられたというような場合を仮に考えてみますと、あるいは具体的な事情によりますが、これに給付をいたしますことが社会通念にそぐわない場合もあるかもしれないと。いままで例がなかなかありませんから仮定の議論でありますが、そういう場合もあり得るかもしれないということを考慮して「全部又は一部をしないことができる。」という、まあ裁量的にしておるわけでございます。 それから、二号の方は、証人等に誘発行為があった場合、これはまあいわば民事的に言いますと過失相殺のような考え方をとってこの号が置かれておるわけでございますが、いずれにいたしましても、これまで事例はございませんが、将来こういう事例が出ました場合には、仰せのような態度で大臣も裁定していただくことになろうと思っております。
○寺田熊雄君 いまのような御答弁で対処していただくと余り現実には問題は起きないかもしれませんが、問題が起きた場合に、それに対する被害者の不服申し立ての方法ですね、これはどういうものがありますか。
○政府委員(伊藤榮樹君) 法務大臣の裁定に対しましては、行政不服審査法に基づく異議の申し立てができるわけでございますが、そのほかに行政事件訴訟法に基づきまして裁判所に出訴するという方法と、この二つがあろうかと思います。
○寺田熊雄君 いまの局長の御答弁によりますと、第四条の第一号、二号等については、できるだけ現実を見て被害の救済の方向で処置するとおっしゃるから、それはそれで結構なんですがね、ただ、この法律の第五条の第三号、四号、これを見てみますと、遺族給付というのは、証人等の遺族と「加害者との間に親族関係がないものに対して行う給付」である。葬祭給付もまた同様である。これは「被害者が死亡した場合において、証人等の範囲に属し、かつ、加害者との間に親族関係がない者で、その葬祭を行うものに対して行う給付」と、結局、遺族あるいは遺族でなくても葬祭を行う者と加害者とが親族関係がないという趣旨だろうか、どうもちょっとこれは多少文章が難解だけれども、考えてみますと、先ほども質問いたしましたように、たとえ戸籍上の親族関係がありましても現実に憎しみ合っている、あるいは何らの親近感もない、生活実態においては他人と全く同様である、ただ戸籍上親族関係があるという場合には遺族給付をなさないという結果になりはしませんかな、どうでしょうか。
○政府委員(伊藤榮樹君) ただいま御指摘の五条の三号あるいは四号の遺族給付、葬祭給付で親族関係者を除いております趣旨は、結局、詰まるところ社会通念上相当かどうかという判断でございまして、たとえば夫の弟が被告人である事件で妻が証人に出たゆえをもってその夫の弟から殺された場合に、その夫に遺族給付を差し上げることが社会通念上相当かどうかというようなことから、ごらんのような規定になっておるわけでございますが、この件につきましては確かに本法制定後の家族関係の変遷、たとえば核家族化の問題等いろいろございますので、私どもといたしましても今後確かに検討を要する問題であろうと考えておるわけでございます。
○寺田熊雄君 いま局長がおっしゃった実例を見ましても、その加害者である夫の弟と夫とが兄弟でありながら憎しみ合っている例がありますよ、実例には。その憎しみ合っている弟が愛する妻を殺したから夫には一切給付しないというのは現実に合わないですね。これはまあ局長がおっしゃった例をそのまま引いたわけですが、兄弟でなくても十分考えられるわけでしょう、おじ、おいとか。だから、これは明らかに不合理な規定ですね。これはひとつ早急に、これいまどうしろと言っても無理でしょうけれども、早急に検討してみてくれませんか。
○政府委員(伊藤榮樹君) 一生懸命検討させていただきます。
○寺田熊雄君 まあ、一生懸命検討してなるべく早く処置していただきたい。ことに、これは第四条が裁量で証人等と加害者との間に親族関係がある場合には裁量をしているのと、第五条が裁量じゃなくて、もうそれ自体を除外していることとは、これはやっぱり現実には矛盾すると考えられますね、合わない場合がありますからね。 それから、この法律は刑事裁判の適正化を図るために手段として最小限度の被害補償をしようということで、まあ私どもが先ほど申し上げたように、非常に不十分だということなのだけれども、それでも起きた場合に被害を補償しようというものですね。それによって証人の出頭を確保して刑事裁判の適正化を図ろうと、ところが、もっと大切なことが実は一つ残されている。それは何かと言いますと、現実にそういう加害行為がなされないように証人を守るということだろうと思うのですね。 そこで、先ほど私どもが配付を受けた証人等の被害事例を見てみますと、第一の事例ですね、これは法廷の廊下に証人を待たしておった、そこにたまたま、これは通りがかったのか、それともそこにやはり看守が加害者である被告人を連れて来てそばに座らせておったのか、その辺の細かい事情はわからないけれども、その廊下で加害者からかみそりで顔を傷つけられたという事案でしょう。これはもう私ども司法の事務に携わる者としては常々考えるのですけれども、証人はやはり証人控え室というものに置いていただいて、そしてそこに証人のおる限りは守衛を置いて、そして守衛が法廷に案内するというようなことができればこれは被害を防ぎ得たと思うんですが、ところが、裁判所予算が少なくて、もう物的な施設もないというところがありますね。まして守衛もなかなかおらぬというようなことがあるので、これは最高裁判所の方が予算の倹約主義をとられないで、国民のやはり生命を守る、司法の適正化を図るために元気を出していただいて必要な予算を獲得して証人の控え室を確保する、守衛もつけるという程度のことを期待したいのですが、これいかがですか。
○最高裁判所長官代理者(岡垣勲君) ただいま御指摘のように事が起こってからは、それはそれとといたしまして、事前にできるだけ十分な防止の措置を講ずべきであるということは、これは御説のとおりだろうと存じます。それでそのために、いまも御指摘のように、証人控え室をちゃんとそろえるとか、それに守衛を設けるとかいうふうなこと、これももちろん御説のとおりにそうできれば結構なことでありますが、この中で、まず控え室の点でございますが、これは大体戦後新築するに当たりましては証人控え室そのものは各裁判所に小さなところでも置くということになっておりますので、現在では控え室のない裁判所というものはほとんどないのではないかというふうに承知しております。 で、守衛をつけるという問題でございますが、これは結局、問題はそういうことが起こるか起こらないかということに対する情報のキャッチが第一であろうというふうに私どもは考えておるわけでありまして、いままで、昭和二十六年以来私たちが知っております、現在までに発生した証人に対して暴行もしくは傷害を加えもしくは加えようとしたような事例は二十五例ございます。そのうちで証言をする前に事故が起こったというのは、ただいま御指摘の舞鶴支部の一件でございます。それから、証言中の態度がけしからぬとか、あるいは証言が終わった後でどうもけしからぬということでその中あるいはその直後に起こったというものが、これは大体裁判長の認識し得る範囲内で起こっておるもの、これが二十件。それから法廷から出た直後、もう裁判長の目には見えませんが、出た直後廊下でやられたというのが四件というふうな大体数になっております。したがいまして、私どもとしましては、検察官あるいは弁護人という訴訟関係人、あるいは拘置所の職員、裏の場合は、そういうのがこうこれは危なそうだと、この証人については注意しなきゃならぬということが一番よくわかるわけでありまして、それの情報を提供していただく。これは従来私個人の経験としましても非常によく行われていると考えております。そういう情報がございますと、そうするとまず証人が来てくださる時間の打ち合わせ、それから来られた場合にはどこから入ってもらうか、そうしましてそれをこちらで迎えましてそれで書記官室に入れる。私、東京地方裁判所におりました大体そのときの状況を申しましても、控え室に置くよりはむしろ書記官室に来てもらいます。書記官室に置いておいて、そして時間が来ましたらどうぞということで書記官が案内する。それから帰られる場合も、その前後の事情によりますけれども、書記官室へ一たん引き上げてもらってそこで待機しておってもらうとか、あるいは傍聴している状況あるいは被告人の状況等に応じてわからないように帰すというふうなことをしておるわけでございますけれども、それから法廷の中の証人が不意に襲われることがないように証人席の場所を考えるとか、それから必要があれば、書記官席とそれから証人席との間にバーが普通ございますが、それもずっと下げてしまってそのバーの中に証人を入れてしまうとか、そういう配慮をいろいろとしておるわけでございまして、これはまあ何といいますか、私どもとしましては通達を出したこともございますし、それから会同などの場合にその問題を取り上げまして、注意を払ってもらうように言うというふうなことをいたしておりますが、現実に裁判官としてはその証人に危害を加えられるというようなおそれがいささかでもありますれば、それはもう一生懸命になって対策を考えている実情だというふうに考えております。したがいまして、普通の場合に証人控え室に全部守衛を置くというようなところまでは現在考えておらないわけでございます。
○寺田熊雄君 いまの局長の御答弁だと、すべて完全にやっているというようなふうにとれますね。ところがそれは大裁判所だけなんじゃないだろうか.私ども現実に地方で関与しておりますと、証人控え室に案内される証人なんというのは余り見たことないですよ。皆廊下で待っていますよ。だから、そういう大裁判所の行き届いたことを頭に入れて司法行政を扱われますと、それは大変な誤算なんですね。仮に証人控え室なんというものがあるのかもしれないけれども、出頭する証人なんというのはわかりませんからね。そうでしょう。だから大体皆廊下におります。だから、もしそれ局長の言われるように、どこの裁判所にも証人控え室があるのだというならば、それが各証人に少なくとも行き渡らなきゃいかぬでしょう。そこに案内する者があれば一番万全だが、そんな実例は田舎ではないですよ、地方都市では。それから書記官室に置いてくれるなんということを言われる、それは非常にいいことだけれども、証人を書記官室に待たせておくなんということを私ども見聞したことはないですね。だから、その理想や大いにいいけれども現実には合わない、あなたのおっしゃるのは、だから、それは実際を各裁判所に照会してやってごらんなさい。そんな証人を書記官室に置いておくとか、それから証人控え室に皆入れているとかいうような事例は恐らくないのじゃないでしょうかね、中小都市では。どうでしょうね。
○最高裁判所長官代理者(岡垣勲君) 普通、証人が出頭いたしますと、事件で呼ばれておりますから、それで法廷に参りまして、それで廷吏のところに、来ましたということを申告といいますか、呼び出し状を持って参るわけでございます。それで、その廷吏さんが、じゃどうぞということで必要な旅費日当の請求のあれだとか何とかやりますが、それで証人控え室に案内するということになるわけでありまして、大体そうやっておると思いますけれども、あるいはそのいま寺田委員御指摘のとおりに場所によっては来たまま廊下で待っているというふうなこと、これはあるいはあるかもしれません。それで、とにかく事前にこういうことが起こらないように十分注意すべきであるという御趣旨は非常によくわかりますし、そのとおりだと思います。それで、私どもの注意の至らぬところもあると思いますので、その点については十分今後も考えていきたいと思っております。
○寺田熊雄君 よく調べてください。廷吏が一人ですしね。それから法廷に、まず現実を考えてごらんなさい、傍聴人の方から証人が入っていくと、廷吏の方はずっと向こうの方に座っておって、普通の女子なんかがそこまで行って廷吏にそれを言うだけの勇気なんていうのは現実にないですよ。それからまた行ったにしたって廷吏が一人しかおらないのに、その法廷を外してわざわざ言われるところの証人控え室まで案内していってあげるなんていうことは現実の法廷ではないですよ、それは。だから、あなた方のはすべてその頭の中に描いた理想的なタイプというものを考えていらっしゃるけれども、それじゃやっぱり困るので、現実に実際どうしているかということで立論していただかないと。だから、もう少し人をふやすとか守衛をふやすとかということをやっぱりやっていただかないとね。私自身なんかでもそうですよ。これは民事裁判だったけれども、相手の被告から脅迫を受けたようなことがあるんでね。これはまあ男だから大したことないんで、何とかこれはしのぐけれども、裁判所には守衛なんていうのは実際いないでしょう。東京地裁なんかにはおるかもしれぬけれども、地方の場合には受付に一人座っている場合があるかないかという程度のことです。だから、やはりそういう点考慮していただかないといけないと思うのですよ。まあ、もう少し実例をよく調べて必要な人員の確保とかという点を真剣に考えてください。いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(岡垣勲君) ただいま御注意のありました点をよく考えまして検討してみたいと存じます。
○寺田熊雄君 それからこれは刑事局長にお尋ねをしたいのだけれども、いま最高裁判所の刑事局長にお尋ねをしたように証人を守るという点ではどうなんでしょうね。たとえば警察官に保護させるとか付き添いさせるとか、よく外国の事例にあるように、証人を守るという点に直接あなた方の実力を活用するというような必要はないんでしょうかね。いかがですか。
○政府委員(伊藤榮樹君) 確かにおっしゃいますように、場合によっては警察官の保護を求めるというようなことも必要でありましょうし、また検察官が連れ立って法廷へ入るというようなことも必要だろうと思います。いずれにしましても裁判所は裁判所として、検察あるいは警察は検察、警察として証人の保護には何としても万全を期さなきゃならぬというふうに考えておる次第でございます。
○寺田熊雄君 よく現実の第一線の検察官にそういう点を真剣に考えてくださるようによく徹底さしてくださいね。 なおこの法律に関連する問題ですが、被疑者の補償規定ですか、それから刑事被害者補償法、この問題について非常にやかましくなってきておりますが、これは法務省の刑事局長にいまの二つの問題について御抱負なり御計画があれば伺いたいと思います。
○政府委員(伊藤榮樹君) まず被疑者補償の関係でございますが、法務大臣訓令によりまして、拘禁されました後に犯罪の容疑が認められなかった被疑者に対しては、その拘束に対して補償をいたすことにしております。この点につきましては、従来からもその運用の実態がやや控え目ではないかというような御指摘もございまして、一昨年改めて通達を発しまして、全国の検察官に、いやしくも身柄の拘束を受けて犯罪の嫌疑がなくなった人に対しては、とにかく被疑者補償をするかどうかという立件をしなさい、その上で前向きになるべく検討し、補償を行うようにという通達を発しまして、その結果五十年、五十一年それから本年と、補償の件数もふえておりますし、おおむね運用はおくればせながら軌道に乗ったように思っております。 それから、もう一つの刑事被害者の補償法と言われておりますもの、これにつきましては、御指摘のように最近非常に動機なき殺人でございますとか、あるいは自分の主義主張のために人の命を何とも思わないというような犯罪もいろいろ出ております。そういった犯罪の陰には非常にお気の毒な被害者というものが必ずあるわけでございます。したがいまして、それらの人たちに対して国として何らかの手を差し上げるべきではないかという声が内外を問わず高くなっておりますし、私どももその必要性を十分認めております。したがいまして、私ども事務といたしましては、諸外国の立法例でございますとか、あるいは被害者の実態調査などを鋭意やっておりまして、現在の段階ではおおむね一応のそれらの取りまとめができた段階でございます。したがいまして、これらの研究の基盤の上に立って速やかに法案を作成しまして、関係機関、これは何分財政支出を伴うものでございまするので、関係機関と速やかに折衝いたしまして調整をいたしました上、なるべく早く国会へ提案する運びにこぎつけたいと思ってせっかく努力しておるところでございます。
○寺田熊雄君 いま大変前向きの御答弁を伺いましたけれども、これは次期の国会に提出することは可能ですか。
○政府委員(伊藤榮樹君) 大車輪でやれば可能でないとは思っておりません。しかしながら一番の問題点は政府部内におきます調整でございまして、どの程度の補償をするか、あるいは被害者に補償をするとした場合に、国が行っておりますいろんな補償給付とのバランスがどうなるか、さらには国の財政事情とどういう関係になるかというようないろいろな要素がございますので、大車輪で政府部内の調整をいま図っておりますけれども、何とか早い機会に国会へ提出の運びにこぎつけたいと思っております。 なお御承知と存じますけれども、この種立法をいたします場合には、法務省といたしましては法制審議会に諮問をする慣例がございますので、法制審議会の諮問を経て、なるべく早い機会に実現させたいと思っておる次第でございます。
○寺田熊雄君 終わります。
○委員長(田代富士男君) 午前の質疑はこの程度といたします。 午後一時三十分まで休憩いたします。 午後零時十五分休憩 —————・————— 午後一時四十一分開会
○委員長(田代富士男君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 証人等の被害についての給付に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○宮崎正義君 証人等の被害についての給付に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由の説明の中に、私はどうもこの法案に対する法務省の取り組み方といいますか、非常に一歩下がったような消極的な取り組み方であるんだということを全体を通して感ずるのです。と申しますのは、この提案理由の中にもありますが、「警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律の一部を改正する法律案において、傷病給付の新設により協力援助者に対する給付の充実が図られること等にかんがみ、証人等の被害についての給付制度においても、被害者に対する給付の充実を図ろうとするものであります。」ということになっていますが、この警察官の職員の災害の問題、これを基準にして今回の給付の内容も変えていったと、こういったところに問題があるので、法務省自力のこの法律に対する改正はこうあるべきだということをやらなきゃならなかったのだと思うのですが、こういう問題についても私は不満なんですよ。しかもこの法律を何年ぐらいほうり出しておいたかということ、どうでしょうか。
○政府委員(伊藤榮樹君) 確かに御指摘のような点があろうかと思いますが、このただいま御審議いただいております法律は、要するに広義の刑事政策的な見地から設けられた制度でございまして、そういう点を勘案いたしますと、確かに御指摘のように警察官の協力援助法と、それから証人被害給付法とはそれぞれ異なったといいますか、独立した歩みで検討され、改正されてもしかるべきであるということにもなろうかと思いますが、この法律ができました当初からこの法律の立て方といたしまして、給付の目的は警察官援助法と異なりますものの、給付の内容につきましては事柄の性質が似かよっておりますので、警察官援助法と横並びでいこうというような考え方で立法がなされておりまして、たとえば第六条にございますように、諸般の給付等に関しては、「警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律による災害給付に関するこれらの事項を参酌して政令で定める。」ということになっておるわけでございまして、従来の経緯からいたしまして警察官援助法に歩調を合わせながら改正が行われてきたと、こういう経緯になっておるわけでございます。もっとも具体的な御指摘はございませんでしたけれども、今度の改正におきましてとろうとしております二つの柱の一つであります打ち切り給付の廃止というのは、実は警察官協力援助法の方では三十六年に廃止になっておりましたのでそのことをただいま御指摘かと思いますが、その経緯につきましては、また御質問がございますればお答えを申し上げたいと思います。
○宮崎正義君 いま第六条を基準にしてのそれが中心だから当然それに基づいての参酌してというそういう言葉でこの法律の考え方を持ってきているのだという、そういう私は考え自身が非常にいけないと思う。いまこの法律案の二つの問題点のどういう理由でお立てになってこの案をつくられたか、施行しようとするのか、その点についても伺っておきたいと思います。
○政府委員(伊藤榮樹君) まず最大の柱でございます傷病給付を新しく採用することにつきましては、警察官協力援助法におきましても今国会で御審議をいただきまして、去る三月三十一日付で公布され、四月一日から施行されることになりました警察官協力援助法の改正案におきましても取り入れられたわけでございまして、これと軌を一にして証人被害給付法においても同じ傷病給付を採用しまして給付を厚からしめようということを考えておるわけでございます。 一方、打ち切り給付の方でございますが、先ほど申し上げましたように、警察官協力援助法の方では三十六年に打ち切り給付が廃止されておるわけでございますが、この証人被害給付法におきます打ち切り給付につきましては、まず実質的な理由といたしましては、打ち切り給付を行うかどうかということは、法務大臣のいわばいわゆる裁量行為になっておりまして、現実の問題としては打ち切り給付を行うことなく、療養給付及び休業給付を継続することによりまして賄えるということ。それからもう一つ形式的な理由になるかと思いますが、これまでこの証人被害給付法に基づきまして、長期にわたって療養給付、休業給付を行うというような事態がなかったというようなことから、若干妙な言い方でございますが、打ち切り給付の規定が存在すること自体で決定的な邪魔になるという状態はなかったということで今日まで来たわけでございます。 今回、傷病給付を採用しますのに関連いたしまして、打ち切り給付を明文からも落としてきちんと整理をいたしたい。こういうことで二つの内容を中心として改正案をお出ししておるわけでございます。
○宮崎正義君 給付の基準額等におきましてもそれぞれ問題があると思うのですが、国家公務員の災害補償法、これを基準にして、またそれをさらに今度は親元になるのは労働災害補償の保険法が根本的な基準の法になって補償関係のものがまとめられているわけですね。そういうふうに私は理解するのですが、それを追い詰めていきますと労災法に持っていくことになってくるわけですが、この労災法の基準から今度はこれが類似している警察の関係の職務に関係するところの法律に近いからそれを立ててやっているというお話でありますけれども、その給付の基礎額の問題を考えていきましても、これがいつの時点でどういうふうな上限、下限を決められたのか、その意義についてひとつ御説明を願いたいと思います。
○政府委員(伊藤榮樹君) ただいま御指摘のように、国家公務員災害補償法を横目でにらみながら警察官協力援助法の給付内容が決められており、それをまた横目でにらんで証人被害給付の給付内容が決められておるわけでございますが、公務員等の場合には、たとえば災害に遭う過去三カ月の平均給与というようなものが一つの基準になっておるようでございますが、警察官の協力援助者あるいは証人等におきましては、そういうような画一的な、何といいますか、基準が得にくうございますので、一応の計算の基礎としては基準額の下の下限でございます標準額、これは公務員であります巡査の平均給与、こういうものの日額をもって算出しております。それから上限の方は警察官の階級で申しますと警視の平均給与の日額で抑えておりまして、したがいまして、いまのお尋ねに即して申しますと、下限は巡査の一日分の給料、上限は警視である警察官の一日分の給与、こういう考え方をとっておりますので、最初本法制定当時は基準額が三百七十円と六百円でございましたのが、警察官等の給与の改定等をにらみながら改定をしてまいりまして、現在では四千二百円と七千二百円、こういう基礎額になっておる次第でございます。
○宮崎正義君 いつの時点でこのようにしたのか、そのもとですね。たしかもとは巡査の面、警視の面、これはわかりましたけれども、じゃそれが妥当であるかどうかということですね、その金額は妥当であるかどうか。
○政府委員(伊藤榮樹君) 一体幾らを基礎額とするのが一般的に妥当であるかということはいろんなむずかしい点があると思いますけれども、とりあえず一般の国民の、何といいますか、平均的なところをつかまえるという意味におきまして、下を巡査の給与で抑え、上の方は一応警視の給与で抑えると、こういうことでやってきておるわけでございまして、他にもっと適切妥当な基準というものがあるのかどうか、考えてみればいろんなことがあり得ると思いますが、まあ一番わかりいいのではないかというふうに一応考えております。
○宮崎正義君 この施行細則に出ておりますね、給付基礎額、第四条「法第五条に規定する給付は、給付基礎額を基準として行う」、こういういま御説明がありましたけれども、これの先ほど申し上げましたもと、根拠といいますか、どこからこれを持ってきたのですか。やはり警察の災害の方の問題でそのままこっちを取り上げられてつくったものかどうかですね。
○政府委員(伊藤榮樹君) あるいは御質問を正しく理解してないのかもしれませんが、いろんな給付を行います場合に、たとえば障害給付でございますとか、あるいは今度の傷病給付、あるいは遺族給付、いろんな給付がございますが、これらについて一番わかりやすい計算方法を示すために一応給付基礎額というものをつくりまして、この給付基礎額というのが一般の方の一日に得られる収入というようなものでございまして、それを想定いたしまして、これに一定の倍率をかけることによって各種給付の額をはじいていく。こういうふうな仕掛けにしておるわけでございますが、こういうようなやり方というのは多くの災害補償関係の法令の立て方にならってやっておるわけでございます。
○宮崎正義君 この施行細則の改正ですね。改正が一条から四条、四条までが五十一年の政令九九で一部改正がされているということ、これによっていまの四千二百円と七千二百円ができているわけですね。そう解釈してよろしいですか。
○政府委員(伊藤榮樹君) そのとうりでございます。
○宮崎正義君 そうしますと、この施行細則ずっと見てみますと、三条、四条、五条、これらは五十一年ですね。五十一年の改正になっていますが、六条になって遣族給付のところが四十二年、これは改正になっていません。七条は四十六年、八条は四十九年、十一条は四十二年、十七条は五十年ですか、このようにこの施行細則が改正されておりますね。どうして同じ歩調にこれよういかないのですか。
○政府委員(伊藤榮樹君) 先ほど来施行細則という御指摘でございますが、恐らく政令であります法律施行令の関係だと思いますので、そのつもりでお答えさしていただきますが、この四条のところはしばしば改正になっております。それは要するに給付基礎額が現在四千二百円から七千二百円となっておりますこの部分を公務員の給与改定等があります都度改定をしておるためにきわめて頻々と改正をしておるわけでございます。これに対しまして、たとえば御指摘の遺族給付を定めました第六条、これはそういう給付基礎額と関係がない部分でございますので余り改正をしておりません。ただ四十二年にそれまで遺族給付は一時金だけで賄っておりましたのを年金を取り入れましたので、そういう関係で改正が行われておるということでございまして、これを要するにこの施行令は給付基礎額の改定のために四条関係だけが何回も改正を見ておるというのが実情でございます。
○宮崎正義君 そこで、いろいろ問題があるのですが、じゃ遺族の問題だとか、あるいは何といいますか、葬祭給付の問題だとか、そういうお金が今日のわれわれの生活の中の実態に沿ったような妥当な計算がなされているかどうかということはこれは一つの問題が残るわけです。こういう点から考えていきまして、わかりやすく四千二百円というお金はどのぐらいの値打ちがあるかというふうなことを考えてみますと、たとえば刑事局長、パックの中に入っているトマト、これくらいのトマト二つで七百五十円するのですよ。千円というもののお金というものはどれだけのものになるかといったら、本当にイチゴなんて御存じのように五百円ぐらいするんです。二つで千円なんですよ。警察官の給料を基準にしたとおっしゃるのですけれども、いまの物価上昇の中からいきますと、これはいろんな問題があるわけですよ。その額でいいのかどうか。局長が妥当な線で計算されているというふうなお話だと思ったのですけれども、実際は東京都の五十一年度の試算でいきますと生計支出算定額は月額二十一万六千円なんですね。しかも前年に比べて一万七千円というものは、八・八%というものは上昇している問題になっているわけですね。ですから昨年のベアにいたしましても一万二千円の問題ですから、これはとうてい物価が上がったものだけには追っつかないという経済状態ですね。またその日本の御存じのように経済指数、物価指数を計算されるのでも昭和四十五年で計算されて五十一年は進まれたけれども、昨年の暮れでしたか、物価指数を昭和五十年に直して、そして八%というのを八・六%に直すと言ったけれども、三月三十一日には九・二%の物価上昇をした。こういうふうなことから考え合わせてみましても、私は決してこれは妥当な数字じゃない、線じゃないというふうに思うわけです。これは警察官のことを主体にしての先ほどの御答弁ですと、その基準がここに当てはめてあるのだということですから、そうなりますと、警察官も非常に薄給で私たちの治安を守るために命がけの御苦労をなさっているわけですけれども、そういう面を基準にしての考え方といのを、もう少し給与の問題になりますと関係が違ってまいりますけれども、少なくともこの法律の給付の基礎額というものを決められる場合には、そういうふうな見通しを立てられた一つのものをそのまま考え方をこっちへ持ってきて、それで決めていくのだという考え方じゃなくて、もう少し実感指数といいますか、そういうものに合わせた考え方というものを当然持っていかなきゃいけないのじゃないかと私は思うのですが、これは大臣の私はお考えも聞いておきたいと思いますがね。
○政府委員(伊藤榮樹君) 確かにただいま仰せになりました御意見は、一つの大変私ども心に刻んでおかなければならない御意見だと思うのでございます。ただ確かに警察官の給与というのが一般の公務員に比較するといいはずでございますが、なお巡査の給与の月額が十二万五千七百円ということでございますと、これを三十で割りますと、四千百九十円ということになるわけでございますし、警視にしても月額二十一万六千百円、これを三十で割りますと、七千二百円というようなことで、いわゆる実感と隔たっておるかもしれませんが、これで警察官の方も暮らしておられるというようなことを考えますと、将来の問題として何かもうほかにいい基準がないかということは考えてみたいと思いますが、差しあたりはこれでやっていかざるを得ないというような状況でございます。
○宮崎正義君 それはわかるのです。わかった上で私は聞いているわけですがね。先ほど申し上げましたように、参考に申し上げたわけですよ、生計指数算定額の月額が二十一万六千円なんですよね。そういう面から考えていってみて、災難に遭う証人の人たちが一つの枠の中にはめられた考え方だけで、今日の実感指数というものに離れたものじゃこれは納得できないのじゃないかと、こう私は言っているわけなんですがね。ですから、その点も大臣はどんなふうにお考えになっているのかということなんです。
○国務大臣(福田一君) ごもっともな御指摘だと私思っておるのでありますが、何と言っても農家収入というものが非常にいままで抑えられておった関係上、果物その他野菜類、そういうものについて相当なやはり収入があるように価額を決めてきておるというのも、これ事実でございまして、と同時に、これはおしかり受けるかどうか知りませんが、季節的に物を食べるという習慣から、もう常時物を食べていくというやり方で、そのためにやはり非常に生産費がかかるというようなことも含めて、だんだんとこの果物類とかあるいはトマトとか、そういうもの、それだけを御指摘ではないのでありますけれども、そういうものが値上がりしておる事情もあるかと私は思っておるのでございます。しかし、警察官その他の俸給あるいは一般官吏の俸給が食事との関係においてなお安いではないかということでございますれば、これはわれわれとしても当然人事院を中心にして考えてみなければならない問題ではなかろうかと思っております。
○宮崎正義君 これは閣議なんかでやはり話し合いを私はすべきだと思うのですね。こういう問題全体が各省に通ずることでありますし、いま大臣のお話ありましたように人事院という話も出ましたけれども、この災害補償の問題につきましても相当まちまちなんです。自衛隊は自衛隊の中の災害補償法というのがありますし、この災害補償につきましても全部まちまちなんです。たとえば公務員が公務で亡くなった場合、その自衛隊の士長さんなんというのは七十八万ですか、八十万足らずで、人間一人の生命が八十万足らずだということを私は内閣委員会で取り上げたことがありますけれども、そういう公務員の災害補償の方の問題につきましても相当問題点があるのです。しかも交通事故を自衛隊あたりで起こしても、これはもう運輸省の自賠法にも適用されていないのです。こんなような問題がいっぱいあるわけです。ですから、こういった少なくとも給付基準というものをお決めになる場合は、閣議でいろんな角度で各省間の問題を煮詰められていくのがいいのじゃないかと思うのです。私はよく給与の問題ではこういうことをよく内閣委員会で取り上げたのですけれども、いずれにしましても、そういうふうな方向でひとつお考えを願いたい。 それからもう一つは、わが党の衆議院の飯田委員がこの件について質問をいたしております。これは会議録を私はここに持っておりますけれども、この会議録の中に飯田委員の言っている証人の問題について終始大臣にもこれをお伺いをしてずっとおりました。この証人の問題だけでも関係の法をとり上げてみても、刑事訴訟法に基づくもの、議院証言法に基づくもの、裁判官弾劾法、人事院の規則の一三−二とか一三−一とか勤務条件に関する行政措置の要求八条だとかこの不利益処分の不服申立て三十八条、四十一条、四十四条、以下四十八条までとかいう憲法の第十四条の面に触れて、同じ証人であるならば証人の考え方というものをやはりどう決めていくか、どういうふうな形にしていくのが正しいのか、憲法十四条を踏まえてのあり方というものを考え直していかなきゃいけないのじゃないかという質問をしております。私はそのとおりだと思うのです。そういう面から考えていきまして、いま災害補償の方の問題につきますと、この警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律、国家公務員の災害補償法、それからもとになるものは労働者災害補償保険法、こういうような労災法が基準になってこうきているのと、片方は証人の方の問題になってきますと、一体化してないということ、所管別々な考え方をしているというような面から見ていきましても、この証人に対する一つの定義といいますか、考え方というものをこの辺ではっきりお考えをしていただく方が私はいいのじゃないかと思うのです。大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(福田一君) 実は衆議院でもただいま御指摘がありましたように飯田委員からるるその問題について御質問がございまして、私はごもっとな御意見だと思うのでございますが、これは行政のセクショナリズムといいますか、法律の立て方といいますか、いろいろな方面において証人という言葉が使われておるわけでありますが、それをこの際一括して処理をいたそうといたしますというと、さしあたりわれわれが考えております問題についてなかなか取りまとめをするのに非常に困難な面がございますので、飯田委員にも後で申し上げたのでありますが、とにかく一つ一つ片づけるという気持ちで、この際はこれをお認め願いたいというのが私の気持ちなんです、ということを申し上げたわけでございます。憲法の理論あるいは法律理論からいえばおっしゃるとおりであると私は考えておるわけでありますが、というて、各省にまたがっておるのを一緒に全部やってしまおうとしますと、なかなか時間がかかったり、いろいろの障害が起きますので、さしあたりひとつこの面から取り上げて御承認を願いたいと、かように申し上げておるわけでございますので、いま先生のおっしゃることを私は頭からそうではございませんと申し上げておるのじゃなくて、ごもっともではありますが、ひとつこういうふうに’歩一歩やらしていただくという意味でお許しを願いたい、こう申し上げたいと思っておるわけでございます。
○宮崎正義君 しつっこいようですけれども、これは閣議でいろいろなお話があるときに、一番これはいいチャンスだと思うのです。全体の国家公務員給与法の問題にしましても、災害法の問題にしましても、いまの法律の一元化の問題というのは随所にいろいろな面であるわけです。これはこの面だけじゃないわけです。証人の面だけじゃなくて、もう法律を一元化しなきゃならない、保険法の問題でも一元化しなきゃならない問題がいっぱいあるわけですから、ですから改めてこの証人に関する問題なんかは特に閣議で御相談していただいた方がいいのじゃないか。そしてまた同時に、各省の局長会議等で、御出席なさる刑事局長も、こういうふうな問題をひとつ御討議をしていただくようなお考えありますか。どうでしょうか。
○国務大臣(福田一君) 先ほども申し上げたところでございますが、今後の問題といたしましては、十分御趣旨を体して処置をいたしてまいりたいと考えております。
○宮崎正義君 それを私は大きく期待をいたしておきます。これは、いろいろな法律の一元化ということが考えられるわけですから、これからますます私はこういう問題がいろいろな法律の、新しい法律が出てくるたびに討議されてくるのじゃなかろうかと思います。それで、いま大臣の御答弁に期待をいたしておきたいと思います。 時間等が余りありませんので、まことに残念なのでございますが、今日まで暴力団による証人に対する威圧事件といいますかね、この事件の傷害を伴った実情といいますか、今日まで行われてきたものについてのひとつ件数を発表していただけないでしょうか。
○政府委員(伊藤榮樹君) 昭和二十年代から三十年代の初めにかけまして、いわゆる暴力団のばっこが非常に目に余るものがございまして、そのころは特に暴力団関係の事件において証人がおどされたりけがをさせられたりする事例が相当多うございました。そういうことにかんがみまして、昭和三十三年にこの法律というものが制定されました。これと同時に刑法に証人威迫罪というのが設けられまして、また刑事訴訟法には御礼参り防止の保釈の制限規定、こういうものがいわばセットで取り入れられまして、その後はこの種の事件、すなわち、証人に出たことによって危害を受けるというケースは大変少なくなっているのが実例でございます。たまたま、ちょうどこの法律ができましてから昭和四十年代にかけての資料が現在廃棄されてしまいまして、大変申しわけないことで、ございませんが、試みに本法制定前の昭和三十二年の数字を見ますと、証人に、あるいは証人等になったこと、あるいはなろうとしたことについて危害を加えられて傷害を受けたというケースが二十三件ございました。これに対しまして最近を見てみますと、昭和五十年度が一件、昭和五十一年度が四件という程度に減ってまいっております。これらは、先ほど申し上げました昭和三十三年に行われた暴力団対策がある程度効き目を生じておるほかに、警察等においても証人の保護に力を尽くしておられる、その効果が徐々に出てきておるのではないかと思っておる次第でございます。
○宮崎正義君 犯罪白書なんかに集計されておりますね、証人の威圧罪の暴力団の関係検挙人数といいますか、検挙者といいますか、そういうふうなあれはどうなっているのでしょうか、御説明願いたいと思います。
○政府委員(伊藤榮樹君) 先ほど申し上げました三十三年の改正で刑法に加えられました証人威迫罪、これで検察庁が受理をしました数字をみてみますと、昭和三十三年は年度途中の成立でございましたのに、年間七十四人という証人威迫罪の被疑者を検察庁で受理をしまして、そのうち三十五人を起訴いたしております。これが昭和四十九年までの統計しかございませんが、昭和四十九年におきましては起訴が十七名、受理が五十一名というふうに相当程度のこれも減少を示してきております。なお、一般論といたしまして、暴力団関係者による犯罪は年によりまして上がったり下がったりしておりますけれども、一般的に言うと横ばい状態ということが言えようかと思っております。
○宮崎正義君 暴力団同士でやりまして俗にいうお礼参りのような形でピストルの乱射事件等がずいぶん毎年かなりの件数あるようですが、その回りにいた人たちが相当の被害を受けているわけです。これは私はわからないのですけれども、どんなふうな救助策なり、また補償関係なんかはどんなふうにお考えになっておりますか。
○政府委員(伊藤榮樹君) ただいまおっしゃいました暴力団同士の対立抗争の過程において、たとえば拳銃の流れ弾に当たってけがをされる、亡くなられるという方も時として見受けられるわけでございますが、こういう方に対する措置というのは、現在のところ刑事関係の法律では救う道がございません。したがいまして、そういう方々を何とかしてあげなければならないというので、私どもでもいま鋭意検討いたしておりますのが被害者補償の制度でございます。そういう制度をとりますれば、そういったいわれのない犯罪の巻き添えになって亡くなられたりけがをされた方が救済できるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○宮崎正義君 よく腹いせで放火なんかするのもおりますね。これなんかどうでしょうか、された方の人、回りの人。
○政府委員(伊藤榮樹君) やはり同様のことになろうかと思います。
○宮崎正義君 大臣ね、大変なんですよね、こういうごたごたありますと。本当に何も関係ない善良な民がそういうものに巻き込まれたりなんかする場合に非常に泣いている方があるわけです。そういう面はいま刑事局長から法律を考えてつくり出してやると言われてはおりますけれども、これに対する考え方というのをもう少し明確にして、こういうふうにやるよと、何年何月ごろにはこの法律をこういうふうにやってこしらえていくからということをはっきりさせなければならないのじゃないかと思うのですがね。そういう点は大臣、お考えどんなふうに思っておられますか。
○国務大臣(福田一君) ごもっともな御指摘でございまして、これはまあひとつ何らかの措置をせねばいかぬと、法律を作成せねばいかぬというので、いま関係方面といろいろ打ち合わせをしておるところでございますが、いまあなたの御指摘があったような、たとえば放火をされたと、その損害全部どういうふうにするかとか、具体的な問題についてやはりいろいろ細かくしておきませんと法律の形態をなさないわけでありますので、いろいろの意味においていま勉強をさせていただいておるということでございます。したがって、できるだけ速やかに法案の制定をいたさなければなりませんが、ここでいつ幾日までにというお約束をすることだけはお許しを願いたいと思うのであります。
○宮崎正義君 当初、大臣がおいでにならないときに刑事局長に申し上げておいたのですが、法務省が法律案を提出なさるのに、これまでにこれ取り組んできた姿勢というものが非常に消極的だったというふうに私は全体を見て言えるわけです。そういうふうな面から、今後における証人等の被害についての給付に関する法律というものの取り組み方の姿勢といいますか、もう一歩——ほかのところがやったからこうするのだ、ほかのところが大体こういうふうにやっているからそれを横目で見ながらやっていくのだというような形じゃなくて、法務省自体の仕事であるならば、法務省自体が法律を明確にして改正するものは改正していく。先ほど刑事局長が施行細則の六条だとか、私いろいろ条文を挙げて申しましたけれども、じゃ、その補償額というものが今日の、現在の物価指数の上からいって、経済上からいって、人間の尊重という、生命の尊重という面からいってみても、取り組み方が弱かったのじゃないか、こういうふうに思うのだということを最初に私は申し上げてこの質問に入ったわけですが、大臣がおいでにならなかったわけですから、大臣のお考えを伺って質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(福田一君) すべて法律というものはそのときそのときの事情、情勢がどう動いていくかということによってまた改正その他をしていかなければならない、社会の環境あるいは情勢を見ながら処置をしていかなければならないものと思うのでございまして、御指摘の点はごもっともであると私は考えております。今後そういう趣旨に基づいてひとつ諸般の施策を進めてまいりたいと思っております。
○橋本敦君 それでは私もこの法案には賛成という立場でございますが、若干二、三の点についてお伺いさしていただきたいと思います。 まず第一に教えていただきたいのは、証人等を暴力団系統その他が威迫をし暴行を加えるという、これはゆゆしい問題ですが、こういった事件が検挙件数として数年の間にどのような推移になっておりますでしょうか、その点をまずお教えいただきたいと思います。
○政府委員(伊藤榮樹君) ただいまの御質問の点は、要するに証人威迫罪がどの程度検挙され検察庁へ送られておるか、こういうことに帰するのではないかと思いますが、証人威迫罪ができましたのが昭和三十三年の六月であったと記憶いたしますが、その昭和三十三年の証人威迫罪の検察庁における受理人員が七十四、三十四年が七十六、三十五年が八十、三十六年が六十九と、こうまいりまして、三十七年に百十八、それから一年飛びまして三十九年に百二十一と、ここでピークを迎えまして、以後なだらかな下降線を描いておりまして、昭和四十五年が七十二、四十六年七十一と、以下四十七年七十四、四十八年六十二、四十九年五十一と、こういうような状況で検察庁に受理されております。
○橋本敦君 検察庁が把握され、検挙された件数で漸次減っているとは言いましても、やっぱり最近でも年間五十件ぐらいある、こういうことになりますね。そのうちで起訴率といいますか、平均で結構ですが、大体どの程度が起訴されておりますでしょうか。
○政府委員(伊藤榮樹君) 一般刑法犯の起訴率に比較して高うございまして、大体大ざっぱに言いまして、五〇%から六〇%が起訴になっておるようでございます。
○橋本敦君 まあ起訴便宜主義ということがありますけれども、いやしくも証人に対して威迫を加えるというようなことはこれは断固として許してはならぬという立場が検察庁もおありでしょうから、起訴率が高いというのは私は当然のこととしてうなづけるわけですね。 そういたしますと、いままでの数字で大体六〇%ぐらい起訴率があるといたしますと、三十三年以来かなりの件数が起訴されて、恐らくまあこういうようなものは無罪が少ないと思うのですね。その場合にこの威迫ですが、この証人威迫で起訴された場合は暴行、傷害というようなこととは違って、単なる威迫ということがほとんどでしょうか。
○政府委員(伊藤榮樹君) 傷害等を伴います場合には、法定刑の関係等がございまして、傷害等で処理される場合が多うございますので、ただいま申し上げた数字はほとんどが証人威迫で処理されたものだと思います。
○橋本敦君 そこで、具体的な生命、身体傷害ということになりますと、いま御指摘のように、傷害罪あるいは暴行罪ということになっていくわけですが、あるいは証人威迫との併合罪、包括一罪になるかもしれません。そういう身体、生命に危険を及ぼすようなことで起訴された件数は、これはどのぐらいになりますでしょうか。
○政府委員(伊藤榮樹君) 大変申しわけございませんが、そういうことで統計をとっておりませんので、正面からはお答えできないのでございますが、たとえば昭和五十一年中において証人等がそのことのゆえに被害を受けたというようなものといたしましては、傷害を受けたのが四人、暴行を受けたのが五人、脅迫を受けたのが三人、恐喝に遭ったのが一人と、こういうような数字は出ております。
○橋本敦君 これは五十一年度だけの数字を教えていただいたわけですが、私がこれを伺います理由は二つの問題点を指摘さしていただきたいということです。 その一つは、いままでの被害の給付状況は三十六年、三十九年、四十四年にわたって四件ということでございますね。ところが実際は五十一年だけでもいま言ったように傷害、暴行四件、五件ということで、合わせて九件あるわけですね。だから、いままでの統計はおとりになっていらっしゃらないのでわかりませんが、この四件というのが証人に対する実際の不法侵害、実害を及ぼした件数のうち何件だろうかという、こういう疑問がございまして、これでひとつは数字を伺いたかった。この点がもし大体推定でもおわかりでしたらお教えいただきたい。 それからもう一つは、この法律によってカバーされないいわゆる威迫ですね。精神的には大変な打撃を受け、わざわざ証人の呼び出しに応じて証言した結果、威迫を受けるというような人が年間平均して五十ないし六十ある。三十三年以来のかなりの数ですが、これが全部被害の対象からは除外されているという結果になっている、これが第二の問題なんですね、こういう点について法務当局はどのように把握されておられるか、お教えいただきたいと思います。
○政府委員(伊藤榮樹君) およそ証人等がそのことのゆえに傷害を受けたとかあるいは極端な場合殺害されたというような場合には必ず刑事事件となってまいりますので、ほとんど把握ができておると思います。したがいまして、五十一年を例にとりますと、傷害を受けた四人というのは全国でもこれしかないというふうに思います。先ほど申し上げました五十一年の数字に即して申し上げますと、遺憾ながらただいまの証人被害給付法による給付を受け得ないのがこの暴行にとどまる方、それから脅迫、恐喝と、こういう方がただいま御審議いただいておる法律の範囲外にあるわけでございます。それらの方々に対する給付というものをどう考えるべきかということにつきましては、けさほども他の委員の御質問に一応お答えしたわけでございますが、いろんな技術的な問題はさておきましても、さしあたりとにかく国が給付をして差し上げるのに、少なくとも生命身体を害されたような方、こういう悲惨な状況に遭われた方にはともあれ給付を差し上げようという姿勢がこの法律にあらわれておるわけでございますが、御指摘のような、それじゃ暴行にとどまる場合、脅迫にとどまる場合、こういう場合に何もして差し上げなくてもいいかどうかということは確かに一つの問題点でございますので、私どもも将来の問題としてよく研究してみたいと思っておるわけでございます。
○橋本敦君 もう一点、私が指摘をしました傷害等で起訴された件数は三十三年以降はかなりのものだろうと思うのですよ、いまの統計のお話を伺いましてね。ところが、三十六年から四十四年で給付された件数はたった四件ですね。これは一体どのくらいのバランスになっているのだろうか。この推定はわかりませんか。
○政府委員(伊藤榮樹君) ちょっと資料がございませんが、こういうようなお答えでお許し願えないかと思いますが、昭和五十一年の証人等になったために傷害を受けた四名、これについては給付をいたしておりません。いたしておりませんその理由でございますが、第一の例は、暴力団の組員が兄貴分の拳銃所持を捜査官憲に供述したということに絡んで指を詰めさせられたと、こういう情報があったのでございます。これに基づきまして、警察と協力して調べてみましたが、この被害者自身がどうしても指を詰めた理由について述べないと。また、公判で証人として出廷しまして従来の供述を覆したような証言をしたと、こういうような事情がありまして給付をいたしておらないのでございます。それから、第二のケースは療養給付を差し上げるべきケースでございましたが、御本人の健康保険で全部賄われましたので、給付をしていないと。それから、第三のケースは、被害者になった証人は被告人の妻でございまして、被告人が、妻が自分に不利な証言をしたといって右手をねじ上げるというようなことをやったわけでございますが、加害者と被害者が夫婦の関係にあるということで、この法律の規定に基づいて給付をいたしておりません。それから、第四のケースは、証人になって傷害を受けた人が公判廷で虚偽の証言をしたという関係で給付をしておらないと、こういう状況でございます。したがいまして、こういうようなただいま御紹介申し上げたような事由のないケースについては当然給付をすべきでありますけれども、意外にこういうケースが、ただいま申し上げたようなケースが多いというのが実情ではないかと思っております。
○橋本敦君 個別に検討すればいろいろな理由があるということになりますが、いかようにも、いままで四件だというのは、私はせっかく法律がありながら、その適用が少ないというところをもう少し検討する必要があるだろう。そういう意味で言いますと、一つの原因として考えられるのが、証人等で出廷をして被害を受けた場合に給付請求ができるということを十分に知らない、あるいは告知をもっと完全にしてやれば請求したであろうと思われる件数がきっとあるだろう、これを一つ私は感じるのですね。それからもう一つは除斥期間の問題ですが、この請求し得る期間が短いということも一つあるのではないだろうか。ここらは局長はどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(伊藤榮樹君) 私どもといたしましては、事柄の性質上、証人等になられたために傷害を受けられたというような方は必ず刑事事件として把握できるので、検察官からそのつど給付の請求ができることをお話をしてやっていただくというようなやり方を励行いたしたいと思っておるわけでございますが、そういうふうに努力はしておるつもりでございますけれども、あるいは御承知がないために御請求がないという場合もあるのではないかという懸念もされますので、私どもでは、もし今回のこの法案が御可決いただきました暁には、新たに運用通達を発しまして特に周知徹底方を末端まで徹底させたいと、こういうふうに思っております。 それから、除斥期間の点でございますが、一応の二年間という除斥期間を設けておるわけでございますが、これは先ほども申し上げましたように、ほとんどの場合刑事事件になってくるのですぐわかると、またなるべく事柄の新しいうちに給付の内容を決めてしまって遺漏なきを期したいということで除斥期間ということにしておるわけでございますが、これが何と言いますか短いために、短いというゆえに請求が少ないということは万々ないのじゃないかと考えております。
○橋本敦君 除斥期間ということになりますと、これは法律上非常に厳格で、請求権それ自体が消滅するわけですから、これの長短は法の趣旨から言って問題がいろいろあるということであっても、一番肝心なのはやっぱり請求権を告知するということを、いま局長がおっしゃったように、運用通達できちっとやっぱり証人にするということですね。しかし、この刑事事件の証人ということになりますと、検察官請求の証人に限らず、弁護側請求の証人という問題もありますね。したがって、私は検察官が運用通達で権利保全の処置を厳格にとっていただくということももちろん賛成でお願いしたいのですが、弁護側証人ということもありますので、これは弁護側が告知するとすれば日弁連の方から自主的に通達をしなきゃならぬ、こうなりますね。しかし、いずれにしても証人というのはいずれの申請であっても裁判所が採用する証人で、結局裁判所の証人ですから、私は裁判所が発する証人召喚状の末尾にでも、請求ができるということ、除斥期間がわずか二年しかないということ、こういうことを召喚状の末尾にでも書き加える。あるいは、末尾に書き加えるのがおかしければ別添刷りで入れてあげる、そういう処置を裁判所自体がおとりいただくことが双方にとって一番いいのではないかという気もいたしております。この辺は裁判所の方の刑事局長のお考えはいかがですか。
○最高裁判所長官代理者(岡垣勲君) その点につきましてはもう少し検討さしていただきたいと思います。というのは、証人に初めから来られると危ないことがあるかもしれないよというふうなことを告知することのよしあしということが一つあると存じます。もちろん委員の御指摘の点はあると思います。こういう威迫を受けるような証人の数というものは全体の数から見ますと非常に少のうございますので、それらとの絡み合いの上で十分検討さしていただきたいと思います。
○橋本敦君 ですから、別添刷りで呼び出し状に同封すればそういうことで心理的圧迫を受けることがあってもいけないということはわかります。それならば証人尋問が終わった後で万が一の場合はこうだということを親切に口頭で書記官通じて言ってあげるという処置もとれるし、これは工夫ですよ。いずれにしても、知らないために自分の権利が喪失するというようなことは、一人でも起こしちゃならない。そのことはやっぱり、検察官と裁判所双方で御工夫をお願いしておきたいと思います。 それから補償した場合に、たとえばいまの場合、自分の健康保険を使った場合は、そこでカバーされるので、補償しないということになるわけですが、これはそれぞれ保険があれば保険を使ってもらいたいというような、そういうような考え方が法務省なんかにありますか。
○政府委員(伊藤榮樹君) そういう気持ちは全くございません。御本人が実際にどうされたかと、それを拝見してやっているだけでございます。
○橋本敦君 実際に国が補償した場合、わずかな金額で、件数いままでわずかですが、国の加害者に対する求償という点ではどうお考えですか。
○政府委員(伊藤榮樹君) 一応、加害者に対する求償権の行使ということを考えております。おりますが、なかなか取れませんのが実情でございます。
○橋本敦君 現在の状況では、考えていらっしゃることを実行するとすれば、手続的にはどういうようにやって求償が可能になりますか。
○政府委員(伊藤榮樹君) 多くの場合、刑事事件になりまして服役する例が多いと思います。そういう場合に作業賞与金の中から、本人と話し合って幾らかずつでも払ってもらうというようなことが、現実の問題としてはなし得る限度だと思います。
○橋本敦君 その場合でも、現在の報償費は大体一カ月で千円とか千二百円ということですから、そこから取るのも酷に失するということもありますわね。 それからもう一つは、加害者ががえんじなければ、つまり、報償費等から支払うことをがえんじなければ、これはどうなさいますか。
○政府委員(伊藤榮樹君) 理論的には訟務局に依頼をいたしまして、強制執行なり何なりの方法をとるわけでございますが多くの場合、経費倒れともいいますか、になることも考えられますので、ケース・バイ・ケースで検討せざるを得ないと思っております。
○橋本敦君 そういう求償が、事実上なかなか刑事被告になった人たちの場合はむずかしいということから、これの補償をもっと手厚くするというような予算処置等について、なかなか求償できないのだから、給付内容をもっとよくするということが大蔵省との関係でむずかしい、そんな問題は起こったことありませんか。
○政府委員(伊藤榮樹君) ただいま御指摘の問題は、いま初めてそういう感触があるかと思ったぐらいでして、全くそういった点が給付の内容の改善に影響しておるということはないと思います。
○橋本敦君 私は、この給付改善ということを特にお願いしたいのは、検察庁が求償しようと思っても、相手から、労役場に入っていれば報償費は少ないし財産もないという人が多いということから取れないという、検察庁自体が取れないのでしょう。だから、実際に証人で出た人が精神的慰謝料を請求したいとか、それからまた、この基準では不足ですから、普通の損害賠償基準に基づいて不法行為を理由に損害賠償請求裁判を起こしてもっと取りたいとかいう考えがあっても、法務省と同じように、相手がこういう状態だから取れないということで、法務省があきらめると同じように、あきらめているケースは多いのですよ。ということは、つまり、まさに国の司法行政の根幹にかかわる証人ということで協力してそうなって、法務省でも取れないぐらいですから、まして損害賠償裁判を起こして取るなんということは想像もつかないことですね。ですから、どうしてもやっぱり国の責任で給付内容を思い切ってよくするという処置が、まあこの法案ではこの程度にしても、今後とも要るということを私は申し上げたいので、いま言ったような回りくどい議論したわけですね。こういう点について、法務大臣、私の質問の趣旨はおわかりいただけたと思いますが、不法行為を受け、脅迫を受け、精神的損害を受け、この給付が唯一の頼りなんです。取ろうと思ったって、法務省でも取れないぐらいの相手方なんです。だとすれば、日本の裁判という制度を完備するために、給付内容を思い切ってよくしていくという方向は、今後の方針として御検討いただきたい。これが私は国民を守り裁判を守る道だとこう思いますので、大臣の御意見を承って質問を終わります。
○国務大臣(福田一君) 私は、ごもっともな御意見だと思います。実を言うと、この給付、本当を言えばですね、給付をよくするということも大事でありますが、やはり悪を憎むという感じを国民皆が持つと、そして、その悪を抑えるためには、人にいささか憎まれるような場合があってもやるのだという勇気ですね、これがいまの社会に一番欠けていることじゃないかと思うのです。電車の中で暴行するやつがいてもそれを抑えようとしない、こういうようなことが一番いけないので、もっと正義感に徹するということが大事じゃないかと思います。私はそれが根本だと思いますけれども、しかし、実際に被害を受けたというような場合には、もっと本当はよくしてあげてもいいのじゃないかと、そんな俸給の分だけであるとかなんとかいうよりはですね。まことにお気の毒であると、よくそれまでがんばってくれましたと、こういう報償的な意味が加わっても少しも差し支えないのじゃないかというのが私のいまの気持ちでありますけれども、これはまあ法律出しておいてそういうこと言ったのじゃあ申しわけないが、私はそういう感じを持っております。
○橋本敦君 それじゃあ将来の御検討をお願いして、質問を終わります。
○下村泰君 午前からのいろいろお話を伺っておりますと、ほとんどもう御意見が出尽くしまして、聞こうかなと思っているのは全部聞かれました。(笑声)一応まあお時間もあることでございますので、時間をうんと短くしまして、ここのところが聞きたいなということだけかいつまんでひとつお尋ねさせていただきます。 ここにもございますとおり、前文を排しますけれども、この趣旨説明の中に、法律案の理由説明書の第一のおしまいの方の項ですけれども、「このうち廃疾の状態が重い者に対して療養給付と併せ、現行制度による休業給付に代え傷病給付を支給することとするもので」ある、こういうことがありますけれども、これはどのくらいどういうふうになるのでしょう。具体的にちょっと額か何か言ってみてください。
○政府委員(伊藤榮樹君) この給付の内容の詳細につきましては、証人等の被害についての給付に関する法律施行令というのがございまして、その別表に、この傷害の程度を一級から一四級までに分けて規定しておるわけでございます。具体的には、今度傷病給付を支給しようとしますのは、一級から三級までを考えております。 一級というのは、たとえば両目が失明された方、半身不随となった方などがそうでございまして、三級と申しますのは、一眼が失明し、かつ他眼の視力が非常に落ちた方、あるいは両上肢、腕のすべての指を失った方と、こういうようなものが三級でございます。 この一級から三級だけに傷病給付を支給しようと考えております理由は、こういうことでございます。現在ございます給付の中に休業給付というのがございます。たとえばけがをさせられて病院へ入院しておられる。そういたしますと、病院でかかります費用を療養給付で差し上げますほかに、働けなくて収入がないということに対して休業給付を差し上げるわけでございます。ところが、休業給付の割合は給付基礎額の百分の六十ということに定められております。一方、今度実現しようと思っております傷病給付の場合は、この政令の別表に書いてあるような倍数を基礎額にかけてまいります。そういたしますと、一級から三級まではこの倍数を掛けますと百分の六十を超えることになります。四級から十四級までの人が傷病給付の倍率を掛けていきますと、百分の六十より金額が低くなってしまいます。したがって、四級以下の方には従来どおり休業給付を差し上げて、一級から三級のたくさんの金額をもらえることとなる方に傷病給付を差し上げようと、こういう考えで用意をいたしております。
○下村泰君 私はどうも頭が悪うございますので、いろんな計算でわからないのですが、たとえばここにいま、先ほどから大変問題になっておりました昭和三十四年の事例ですね、三十六年、三十八年、四十三年、この四件ですね。この四件の「給付の種類及び金額」と下に書いてございますけれども、これが現在でしたらどのくらいになるのですか。これ現時点で換算したらどのくらいになりますか。
○政府委員(伊藤榮樹君) 正確には詳細計算してみないとわかりませんが、一番から三番までの昭和三十年代のもの、これは大体現在では十倍以上になろうかと思います。
○下村泰君 それにしてもその割りじゃないですね。顔を刺されても二万幾らということになりますからね。先ほどからそういう額に関しましてはいろいろと諸先生方もおっしゃっておりますので、これ以上は承る必要ないと思いますが、先ほど橋本先生もおっしゃっていました威迫罪のことですけれども、この大体検挙件数が減ってきたというのはどういうふうにお考えになっていましょう。どうしたから減ってきたのだとお考えになりますか。
○政府委員(伊藤榮樹君) やはりまず証人威迫罪が制定されたことによる一般予防的な効果があらわれてきておると思います。 それから、刑事訴訟法の改正によりまして、お礼参りの危険のある者は保釈をしないことができるようになりましたので、昔なら保釈されてお礼参りをしたであろう人が保釈されないまま拘置所の中にいるというようなこともあって減ってきておると、さらには、警察が昭和三十年代以来、暴力団対策としまして大変検挙に力を入れておりますので、それらの効果がそれぞれ相まってだんだん減ってきておるのじゃないかと思っております。
○下村泰君 そこが私と大変意見の食い違うところなんです。刑事局長は法的にいろいろ集まってくる資料をごらんになってそういうふうにおっしゃっているのでしょうけれども、私らにしてみると、そんななまやさしいものじゃございませんで、かつて広域暴力団と称される団体が逐次解散という形をとりました。一つにはカモフラージュの組もあったようですけれども、その折りに関西の大阪にある暴力団の組長が、これからおれのところでも弁護士を養成して、アメリカのマフィアと同じようにシンジケートで養成して、法の網をくぐってやるんだということを大言壮語した組長がおったのですがね。そういうような感覚の持ち主がおりますると、逆にいま刑事局長がおっしゃったようないろいろな事例を挙げておりますけれども、その裏、裏、裏をくぐってこういうものに触れないように上手にやる方法を幾らも考えついておるわけですね。ですから、先ほど橋本委員も指摘なさいましたけれども、事実、完璧に検挙されるような事態にならないような巧みなやり方というのが幾らもあるということなんです、今。現に私もずいぶんやられておりますね、そういう方法で。 それから、たとえば脅迫をする場合にも、脅迫と形にならないようなやり方というのが幾らもある。それが結局表面に出てこないわけなんですね。ですから、この犯罪白書によっていろいろと出てます、数字が。こんなものじゃないですよ、実際は。で、実際に本席に出ていらっしゃる委員の方の中にも御経験者があるかもわかりませんけれども、たとえば何か電話で最初に一書これこれこういうことをするぞとぱっと振るわけですね。で、その後、一分置きに電話がかかってくる。そしてこちらが出て名前を言うとかちゃん、名前を言うとかちゃん、これ一日に四、五十回やられてごらんなさい。この精神的苦痛というのは大変なものですよ。で、そういうことの方法とか、一例を挙げたらこういう方法なんですけれども、あるいは人の家の前をうろうろうろうろして、うろうろしているから警察に頼めば、これは道路交通取締法でやろうと思っても、これ動けばもう取っつかまんないわけですよ。そして人の回りをうろうろしてみたり、いろんな方法があるわけです。で、こういうものに対する御当局の見解といいましょうか、こういうものを今後どういうふうな取り締まり方をするか、あるいはこういうふうにして圧迫された人たちをどういうふうに助けるか、ちょっとひとつお聞かせください。
○政府委員(伊藤榮樹君) 確かに御指摘のように暴力団というものの性格がだんだん変わってまいりまして、非常にやり方が巧妙になってきておるということは間違いないところであろうと思います。そういう巧妙な形の活動を行う暴力団の取り締まりということになりますと、取り締まる側も非常に多角的な作戦を立てなければならぬのではないかと、たとえば以前やったことがございますが、税法の面から取り締まって暴力団の根っこから何とか縛っていく方法はないかとか、あるいはたまたま関係者がつかまったときに背後関係を徹底的に調べるとか、そういうことで何とか暴力団の一番の根っこの方からこそぎ取りたいという姿勢でやっておるわけでございますが、御承知のように、なかなか力の及ばない点がありまして、必ずしも十分な成果が上がっているとは言えない面もございまして、私ども反省しながら、なお将来に向かって取り締まりの徹底を期してまいりたいと思っておる次第でございます。
○下村泰君 そういうひとつお気持ちでお願いしたいと思います。そうしませんと、こういう法案がたとえばこれ可決されて通ったにしても、実際に傷つけられたもの以外はどうにもならないというような救助方法では、私は本当の救助方法じゃないと思います。具体的にいえば、ロッククライミングをやっておりまして、いまザイルが切れそうになった。消れて下まで落っこちなきゃ救助しない。いま下に網もっていけばその落っこちるやつが助かるというのがわかっていても、どすんと下まで落としてしまわなければこういうものが出ないというような、これは当てはまるかどうかわかりませんけど、ややそれに近いのじゃないかというような気がしますので、どうぞそういうところでも細かくこれからの御配慮を大臣ひとつお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。
○国務大臣(福田一君) 承知しました。
○委員長(田代富士男君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田代富士男君) 御異議ないと認めます。 平井君から、委員長の手元に修正案が提出されております。 修正案の内容は、お手元に配付のとおりでございます。 この際、本修正案を議題といたします。 平井君から修正案の趣旨説明を願います。
○平井卓志君 原案によると、施行日が本年四月一日となっておりますが、同日はすでに経過しておりますので、これを公布の日に改めるとともに、改正後の法律の規定は四月一日にさかのぼって適用しようとするものであります。 これが修正案を提出する理由であります。
○委員長(田代富士男君) それではただいまの修正案に対し質疑のある方は順次御発言を願います。——別に御発言もなければ質疑はないものと認め、これより原案並びに修正案について討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようですから、これより証人等の被害についての給付に関する法律の一部を改正する法律案について採決に入ります。 まず、平井君提出の修正案を問題に供します。平井君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(田代富士男君) 全会一致と認めます。よって、平井君提出の修正案は可決されました。 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(田代富士男君) 全会一致と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。 以上の結果、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田代富士男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時一分散会 —————・—————