文教委員会 第8号
- 発言数
- 234 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1977/04/07
会議録
○委員長(宮崎正雄君) ただいまから文教委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨六日、山本茂一郎君及び久保亘君が委員を辞任され、その補欠として高橋誉冨君及び小野明君が選任されました。 また、本日、小野明君が委員を辞任され、その補欠として大塚喬君が選任されました。 —————————————
○委員長(宮崎正雄君) 教育、文化及び学術に関する調査中、文教行政の基本施策に関する件及び昭和五十二年度文部省関係予算に関する件を議題といたします。 本件について質疑のある方は順次御発言を願います。
○大塚喬君 文教一般に関して文部大臣、それから御出席を願っております関係機関の皆さん方に若干の質問をいたしたいと存じます。 初めに統一協会の問題で質問をいたします。統一協会、この正式の名称は世界キリスト教統一神霊協会、一九五四年に韓国で文鮮明を教祖として設立をされ、キリスト教を名のり、反共活動を行う宗教団体、一九六一年の朴政権発足とともに、その庇護のもとに急速に勢力を伸ばしてまいりました。現在韓国のほか日本、アメリカ、フランス等にも本部を設けておるようであります。日本では宗教法人として一九六四年に設立をされ、代表役員は久保木修巳、信者はこれは実際のところははっきりいたしかねますが、世界百二十カ国で二百万人と、こう言われておるようであります。で、文鮮明は一九六八年に政治団体として国際勝共連合を結成し、名誉会長に笹川良一氏が就任をされました。後、現在ではこの笹川氏は辞任をされておるようであります。で、この日本の国際勝共連合の会長、これは先ほどの統一協会の久保木氏が兼ねております。この勝共連合と統一協会は事実上一心同体と、こう私ども、あるいは世間一般でも受けとめておるようであります。この勝共連合は機関紙、思想新聞を発行し、友好新聞に世界日報等が出されております。 本件につきましては去る二月七日の衆議院予算委員会で、わが党の石橋書記長が、原理運動被害者父母の会の国会に対する統一協会の日本における不法活動を調査し、摘発し、処分し、禁止を求める請願書、この趣旨にのっとって質問をし、福田総理からも、実態調査をした上どうするかを判断する、こういう答弁をいただいておるわけであります。当日は海部文部大臣もその予算委員会に出席をされて答弁に立っておる議事録を拝見いたしました。事、宗教団体の問題でございますので、主として文部大臣に質問をいたし、その他の関連の事項につきましては、外務省、あるいは警察庁、法務省、その他の関係の機関に逐次質問を申し上げたいと存じます。 できるだけ具体的な例を一つ一つ取り上げて質問をいたしたいと思いますが、一つの問題としてこういう事件がございました。これは、あるいは郵政省関係の所管の問題でもあろうと思いますが、宗教団体がとった行為でございますので、文部大臣がこの事実をお知りになっておるのかどうか。そしてその宗教団体が、こういう事実行為があったものが果たして宗教団体としてふさわしいものかどうか、そういう点について文部大臣の見解を求めたいと存じます。 ここに朝日新聞の山形版の記事がございます、朝日新聞の山形版。これは日にちは一九七六年、昭和五十一年七月三日の朝日新聞の山形版であります。この新聞によりますと、そのテレビのプログラム、このプログラムの中に零時から一時までの「ワイド山形 わが子を返して〃原理運動被害者父母の会〃の怒り」、こういうテレビの番組が出ております。ところが突如その日になってこの放送が中止になりました。宗教団体がやったこの行為でありますが、文部大臣はこの事実をお知りでございますか。
○国務大臣(海部俊樹君) 私は、いま御指摘されて初めてそういうお話を承ったわけでありまして、率直に、何も存じておりません。
○大塚喬君 新聞で各紙ともテレビ番組の中にこの放送の記事が報道されておって、しかもその父母の会では、その前日に市内各戸にチラシをまいて、こういう報道があるからぜひ見てくださいと、こういうことでやったわけであります。ところが、後ほどまた話を聞いていただきたいと思いますが、ある理由でこれが突然中止になったのであります。一体その理由は何なのか、こういう率直な、私疑問、それからだれが圧力をかけてこの放映を中止したか、こういう問題を疑問に思うわけであります。当然山形放送の編成局や、あるいは報道部から事情を聞き、調査すべきだと考えますが、文部大臣、この点についてはいかがでございましょう。
○国務大臣(海部俊樹君) 五十一年の七月三日に山形放送でどういうことが行われたのか、全く知りませんでしたし、それから、それは放送局自体の編成権の問題に属することだと考えますので、これは文部省としてするのが妥当なのか、あるいは郵政省に聞くのが妥当なのか、あるいはそういうことに立ち入るのがどうかも、ちょっと専門家じゃないのでよくわかりませんが、もし何らかの方法があるなれば、一度担当者とよく相談してみたいと思います。
○大塚喬君 文部省に何らかの関係があればというようなことでお逃げになられたのでは、大変私どもも困るわけです。どういう理由でだれがやったのか、それは明らかに宗教団体がここに関与をしておって、その背後にこういう事実が行われた。こういう問題でありますから、文部大臣がさりげない調子で、そういうことでここでお逃げになられては、私どもはこの質問あるいは今後の問題の処理に大変当惑をいたします。で、テレビ放送ですから、当然放送の自由、公平、中立、こういうことが放送の基本的な原則でなければならない、こう考えるわけでありますが、この問題は、きわめて一部、特にそれが宗教団体の圧力にかかわって放映が中止をされたということになれば、私どもは見逃すことはできませんし、文部大臣として、所管の宗教団体がもしもこういう事実をとったと、こういうことになれば、文部大臣としてのこの問題に対する御見解はいかがでございましょう。
○国務大臣(海部俊樹君) 先ほどから申し上げておりますように、これは私、ただいま初めて御指摘を受ける問題でありますし、具体的事実をつまびらかにいたしておりませんし、また七月三日の放送を、おっしゃるように山形放送が新聞に発表しながらやめたということは、番組編成権の問題にもなりましょうし、ですから、これはよく担当官庁と相談をして、できるだけのことは聞いてみたいと思いますけれども、それ以上のことはちょっといまここでどうしたらいいか、具体的な処置等については、しばらく考える時間をお与えいただきたいと思います。
○大塚喬君 そういう今後の処置について、何をして、その結果どういうことだと、こういうことは後ほど報告をいただけますでしょうか。いかがですか。
○政府委員(柳川覺治君) 御案内のとおり、宗教団体の活動そのものに対しましての所轄庁の介入につきましては、その権限が付与されておらないという問題でございますが、御指摘のいまの問題は、信教の自由の保障の問題、また言論、出版その他一切の表現の自由の問題とかかわる大変大事な問題でございますので、これにつきましては、いま大臣の御答弁のとおり、関係省庁と連絡をとりまして考えてまいりたいと考えております。
○松永忠二君 関連。いま大塚委員が言われているのは、そういう事実を調査してくれと、調査ですね。調査して報告してくれと言っているんです。調査する必要もないと感じているわけじゃないでしょう。また、文部省の宗教法人の関係も——行為自身は、しかし、この訴えようとした内容はわれわれのところへもそういうものがたくさん来ている。そういう宗教法人の行為の問題についてのことだから、文部省が調査をしたからといって別に悪いことでも何でもない。ただ、変更になった事情は放送局が言えないということであれば、言えないという事実を報告すればいいわけです。事実を調査してもらいたいから、それははっきり調査した結果を報告してもらいたい。 それから同時に、もう一つ文部大臣に大塚委員が聞いていることは、仮にもしそういう変更することが一つの宗教団体としての行為であったとすれば、そういうものについて、一体その管理する、あるいは認める責任者である文部大臣はどういう見解をお持ちでしょうかと聞いている。そのことについては言える範囲のことをお言いになったらいい。この二つを言っている。明確にして次の質問に入ってもらいたい。
○国務大臣(海部俊樹君) このことはいろいろな問題がございますので、関係省庁とよく相談をして、しばらく時間をお貸しいただき、どういうことであったかということの御報告をさしていただきたいと思います。 それから、具体的にそういうことがあったかどうかまだ事実がわかりませんので——想像に基づいて物を言うことは差し控えたいと思いますが、こういったようなことがどんなふうにして行われたかということは、十分事実を調査しました上で、また、それに対する考え方等が私の方で決まりましたら御報告をさしていただきます。
○大塚喬君 重要に私どもこの問題を受けとめておるものですから、できるだけ速やかにひとつその事実関係、どの関係機関とどういう協議をして、どういう調査をしたと、どういう理由だったと、こういうことについてひとつ明らかにしていただきたいと思います。 次に、勝共連合への政治献金。これは宗教団体である統一協会から政治団体である勝共連合への政治献金、この問題についてお尋ねをいたします。 統一協会は明らかに宗教法人であります。それから勝共連合は届け出によっても明らかなとおり政治団体であります。この宗教法人の統一協会が政治団体の勝共連合に政治献金をしておる事実があります。これは自治省に届け出をされた官報、これを見れば一応その内容が出ておるわけでございますが、一応、自治省の関係者からこの問題について後ほど資料の提出も求めたいと思いますが、昭和五十年上期、昭和五十年下期、この統一協会から勝共連合への政治献金の状況をひとつ報告をいただきたいと思います。
○説明員(前田正恒君) お答えいたします。 世界基督教統一神霊協会から国際勝共連合への寄付金でございますが、ただいまお話ございました官報によりますと、その代表者が梶栗玄太郎という方の名前になっております国際勝共連合に対しまして、統一協会から五十年の上期におきましては千三百七万円、下期におきましては三千二百十二万円、合計四千五百十九万円が寄付されております。なお、国際勝共連合はそれぞれ府県に本部といたしまして十四団体ばかり届け出をしておりますが、その府県の本部に対しまして約合計四団体に対しまして合計の金額といたしまして約百万円がただいま申し上げました金額のほか寄付されております。
○大塚喬君 ただいまのあれは、上期、下期それぞれの件数、これはいかがですか。どのくらいになっております。
○説明員(前田正恒君) 梶栗玄太郎という方の代表者になっております国際勝共連合に対しましては、上期の件数は十七件でございまして、金額は先ほど申し上げましたとおり千三百七万円、それから下期の件数は四十二件でございまして、金額は三千二百十二万円、合計いたしまして五十九件、四千五百十九万円でございます。
○大塚喬君 文部大臣にお尋ねをいたします。 このことは、宗教法人法第六条第二項、この規定に違反をしておりませんか、この事実は。
○政府委員(柳川覺治君) 宗教法人は、宗教法人法によりまして、宗教の教義を広め、儀式行事を行い、信者を教化育成することを主たる目的とする団体ということでございます。また、この宗教法人は公益事業を行うことができますし、また公益事業以外の事業についても目的に逸脱しない範囲において認められておるわけでございます。宗教法人と政治活動ないしは政治献金の問題につきましては、宗教団体といえども一般の個人ないし団体と同様の政治的自由を持つものというように解しておりますし、また特段の法令上の政治的活動ないしは献金についての規制規定はないわけでございまして、一個の社会的存在として社会に対する有用な行為をすることは認められておるということでございまして、相当の政治献金をすること、これも宗教法人の、ただいまも申しました目的の範囲内の行為として是認されるものであるというように解しておる次第でございます。
○大塚喬君 いま答弁いただいたのは初中局長ですか、どなたがいま……。
○政府委員(柳川覺治君) 文化庁次長でございます。
○大塚喬君 文化庁次長、柳川次長ですね。
○政府委員(柳川覺治君) はい。
○大塚喬君 宗教法人法第六条第二項、私がお尋ねしているのはここです。その第六条第二項をひとつもう一度読んでみてください。それはどういう事項になっておるのか。私の質問の趣旨と答弁が違う。
○政府委員(柳川覺治君) 「宗教法人は、その目的に反しない限り、公益事業以外の事業を行うことができる。この場合において、収益を生じたときは、これを当該宗教法人、当該宗教法人を包括する宗教団体又は当該宗教法人が援助する宗教法人若しくは公益事業のために使用しなければならない。」という規定でございます。およそ、政治活動というものは公益を目的として行われるものでございますので、ここに言う「公益事業のために使用しなければならない。」、この辺のことに触れるものではないという解釈をとっておる次第でございます。
○大塚喬君 重ねて念を押したいと思います。「宗教法人を包括する宗教団体又は当該宗教法人が援助する宗教法人若しくは公益事業のために使用しなければならない。」と、はっきり定められております。あなたは文化庁次長として、この勝共連合に統一協会が政治献金をすることは公益事業だとこうはっきりここでお認め——お認めというか、断定をされるわけですか。はっきりしてください、そこを。
○政府委員(柳川覺治君) ここで言う一般に公益または公益事業という用語につきましては、いずれもその概念を必ずしも明らかにした規定はございませんが、一般に公益とは、特定少数者の利益ではなく、不特定多数人の利益、一般公衆の利益または社会一般の利益を意味しておる。したがいまして公益事業と申しますのは、かかる公益を主たる目的とする、またはその目的のために営まれる事業を言うものと理解されております。したがいまして、たとえば、教育、文化、学術、社会福祉等に関する事業とは、本条に規定する事業に該当するものと考えられますが、政治活動の関係につきましては、政治行為それ自体が公益、公共の福祉にかかる問題でございますので、必ずしもこの条文の趣旨からもとるものではないというように解しておる次第でございます。
○大塚喬君 次長、あなたもう勝共連合の活動やなんか現実に御存じでしょう、見たり聞いたりなさっておるでしょう。それらの問題が公共あるいは不特定多数一般の人の利益につながるとはっきり、あなたは文化庁次長として責任持ってこれらの事業、これは公共の、公益の事業のために使用するものだと、こう断定をされるのですかと私は聞いておるんですから、そこのところをもっとはっきりお答えになってください。
○政府委員(柳川覺治君) 一般に……
○大塚喬君 一般にじゃなくて、現実にこの勝共連合の問題で。
○政府委員(柳川覺治君) 勝共連合の活動それ自体につきましては、政治団体としての活動でございますので、文部省として、あるいは文化庁としてこの内容に言及することはできないと考えております。一般に宗教法人の政治的活動あるいは政治献金につきましては、ただいま申しましたとおり、宗教法人といえども一個の社会的存在として社会に対する有用な行為をすることは宗教法人の目的に照らしての範囲であるというように解されております。そのことを申し上げておる次第でございます。
○大塚喬君 答弁をいただいた趣旨が、こちらにどうも素直に納得ができない答弁を繰り返されるものですから重ねてお尋ねをいたしますが、統一教会、この会員はニンジン茶を売り歩いたり、それから花売りなどをして、その上げた利益をいわゆる統一協会という当該宗教団体——あるいはあなたがおっしゃる抽象的なお答えがあったわけでありますが、公益事業というものはあなたがおっしゃるようなものでなくて、だれもが明らかにこれは公益事業だと、こういうものが社会一般の通念として、常識としてあるだろうと思うんです。私は、現実に公益事業というものはそういうものだと理解をいたしておるわけでありますが、そうやって会員が集めた金を勝共連合という政治団体に使用さしている。少なくとも、宗教法人法第七十九条、この条文により私はこういう性格の金は停止をさせるべきである、こう考えますが、この問題について柳川文化庁次長のひとつ御見解、答弁を承りたい。
○政府委員(柳川覺治君) 宗教法人統一協会の活動内容につきましては、文化庁といたしまして本年の二月十二日あるいは三月二十三日東京都を通じましてその実情把握に努めたわけでございますが、その結果、東京都より報告を受けておりますところによりますと、ニンジン茶等の販売につきましては、協会が組織としてこれを販売した事実はないということの報告を受けております。 なお、協会の方で本年の二月十四日の記者会見でこの問題につきましての説明では、株式会社幸世商事が販売しておるということで、これらの問題は宗教法人それ自体の行為ではなく、別個の団体、組織の行為であるというように報告を受けておる次第でございます。したがいまして、直接協会の活動資金は信者の献金を収入源としておる、また、出版業の経営を収益事業といたしておるということで、その面によりまして事業収入を得ておるという報告を受けておる次第でございます。したがいまして、これは直接その販売による因果関係と申しますか、その辺の問題は宗教法人それ自体の活動とのかかわりからは切れておるというように聞いておる次第でございますので、公益事業以外の事業の停止命令につきまして御指摘がございましたが、直ちにこれをもってこの条文の適用についてお答えすることは大変困難であるというように考える次第でございます。
○大塚喬君 私の質問は最初に、宗教団体が政治団体に政治献金する問題について明らかにし、それから質問に入ったわけでありますが、文部大臣はこの宗教団体が政治団体にこのような件数の多い、多額な件数で、たくさんの件数で献金を続けておるこういう問題について、宗教法人を管理、指導されるそういう立場にあります文部大臣としては御見解いかがでございましょう。
○国務大臣(海部俊樹君) いろいろ憲法その他法律の規定がございまして、先生御指摘のように一定の、たとえば主たる目的の中には、こういうものとか、公益事業で上げた収益はこうだとか、いろいろな規定はございますが、また逆に申し上げますと、宗教法人なるがゆえに政治活動をしてはならないとか、宗教法人なるがゆえにいろいろ憲法に定められておる思想、言論の自由等が制限されるという規定も全くないわけでありますから、宗教法人そのものも一般法人と同様に行動ができる、こう解釈すべきだと私は考えます。したがいまして、政党その他の政治団体というのは公共の福祉というものに資するために行動をする公的なものである。こういう判断でありますから、許される限度内で自分の能力に応じてそういう活動資金を出すことについては、私も、いま文化庁次長が答えておりますように、それは法に照らして違反ではない、許されるべきことだと、このように判断しております。
○大塚喬君 論議はまた具体的な例を後ほどお尋ねをした上でもう一度ひとつ重ねたいと思いますが、統一協会、正式の名称は世界基督教統一神霊協会。これは宗教法人でありますので、宗教法人法第二十五条によって毎年財務諸表の提出が文部省になされておるはずでございますが、これはいかがでございましょう。
○政府委員(柳川覺治君) 宗教法人法第二十五条は、宗教法人は財産目録を作成しなければならない。また宗教法人の事務所には、規則や認証書、役員名簿、財産目録、貸借対照表または収支計算書あるいは責任役員その他規則で定める機関の議事に関する書類及び帳簿を備えなければならぬという規定でございまして、宗教法人につきましては、国家権力の介入ということを排除するという基本原則に立っております。信教の自由の保障、政教分離という観点から、国家権力の介入、これを一切排除するという基本理念に立っておるわけでございまして、したがいまして、他の財団法人等の法人に課されております報告の義務ということがございませんし、また強制を伴うような調査権も付与されておりません。したがいまして、この財産事情、収支関係等につきまして、所轄庁に報告はなされておりません。ただ、文化庁といたしましては、宗教法人の事務所の所在あるいは宗教法人の方から、信者の数その他のことを自主的に協力的に報告を毎年受けておりまして、その上で所要の宗教年鑑というものを発行さしていただいておるという経緯でございます。
○委員長(宮崎正雄君) 速記をやめて。 〔速記中止〕
○委員長(宮崎正雄君) 速記を起こして。
○大塚喬君 柳川次長、この統一協会の財務諸表の提出は、されておるのですか、おらないのですか。
○政府委員(柳川覺治君) されておりません。
○大塚喬君 提出をされておらない。これは強制的に憲法の保障ということでできないということですが、関係者は一度もこれをごらんになったり、あるいは一九六四年に設立をされた宗教法人でありますが、その間一度もこの財務諸表の提出はなかったわけですか。 さらにあと、今後の質問の中に触れてまいりますが、財産目録、毎会計年度これをつくり備えなければならないと、こういう規則がありますね、それらについても、そういう規則があっても、一度もそれをごらんになったり、あるいはその提出をされたりした、こういう事実はないんですか、いかがですか。
○政府委員(柳川覺治君) 御案内のとおり宗教法人の統一協会の所轄庁は東京都知事でございますので、所轄庁であります東京都の方の担当が、その辺のことを見たことがあるかどうか、その辺は現在のところつまびらかではございませんが、文化庁としては財産目録、貸借対照表、収支計算書等の財務諸表を見たことは、文化庁としてはございません。
○大塚喬君 財務諸表も一九六四年以来一度もないんですか。
○政府委員(柳川覺治君) はい。大変この辺が宗教行政の本質につながる問題でございまして、宗教に対する国の中立性の保持、また一派一宗に偏らない公平な対応ということが基本でございますので、この事務所に書類及び帳簿を備えなければならぬという規定の趣旨も、むしろ宗教法人の内部の信者等の人がこれをいつでも見ることができる、そのことによって宗教法人の適正な運営に期待していくという趣旨のものと思う次第でございまして、所轄庁として強制的な調査権もございませんし、また報告を求める権利もないわけでございます。これは逆に申しますと、宗教法人が所轄庁に対して決算書等の提出をする義務が課されておらないわけでございます。したがいまして各種の事情調査等につきましては、もっぱら宗教法人の協力のもとに、その自主的な意思を得て、情報を、実情をお聞きしてまいっておるということが所轄庁における宗教法人に対する行政の対応でございます。したがいまして通常の場合、そういう決算書類等を見るということはないというのが一般であろうというように思います。
○大塚喬君 まあ、宗教の自由、信仰の自由ということから言えば、そういう御趣旨も私も理解をいたします。問題はずいぶん残るところでありますが、次に質問を進めます。 統一協会とKCIAとの関係、特に海外渡航の問題がありますので、外務省関係の方どなたか御出席ですか。——これは一九七六年八月一日号の朝日ジャーナルから引用した文言でございます。一九七六年六月二十二日の米下院のフレーザー委員会(国際関係委員会国際機関小委員会)での証言でありますが、アラン・テート・ウッド氏、元自由指導財団会長の職責にあった方でありますが、この人の証言によると、「韓国滞在中には、KCIA本部を見学することができました。」「統一教会がKCIAの手先あるいは一組織であるのかどうかは、私にはよくわかりません。しかしその関係がどんなものであるにせよ、統一教会とKCIAのアメリカでの政治的目標はぴったりと一致していて、まったく見分けがつかないほどなのです。」続けて、「文鮮明」、先ほど申し上げましたように統一協会の教祖でありますが、「文鮮明氏はなぜ、五〇〇人から千人もの外国人を観光ビザだけでアメリカに入国させることができるのでしょうか?」——これはアメリカの国内の問題であります。「これらの外国人がアメリカでしているのは、彼の宗教的、政治的、財政的な事業を支えるための募金活動だけなのです。この募金活動はアメリカの法律に違反しています。しかもたいていの場合は、偽りの名目で行われているのです。」「文鮮明氏が信者たちに対して時折、彼に対する責任を果たすのに失敗するよりは自殺するほうが身のためだ、と告げていることをご存じでしょうか?」と、こういう委員会での証言がございます。 で、外務省にお尋ねをしたいわけでありますが、昨年一月から四月にかけて統一協会は、アメリカを初めこのような違法な渡航——多くは青年たちであります。これを渡航させておるわけであります。そのとき原理運動被害者父母の会が外務省に対してこの渡航をやめさせるように求めた、そういう事実がございますね。しかし、依然として外務省はこれらの渡航を継続して認めておるようでありますが、これらの事実関係について明らかにしていただきたいと思います。
○説明員(伊藤忠一君) お答え申し上げます。 当該教会関係者に対するまず旅券の発給状況に関してでございますが、これらの方々は、普通旅券の申請に際しましては、観光であるとかあるいはその他の個人的な目的ということで旅券の申請をやっておる実情でございますので、近親者その他関係のところから通報のあったケース以外は、旅券の申請面からこの実数を把握するということはきわめて困難な状況でございます。したがいまして、現在旅券が出ておるかっこうになっておりますが、では、その旅券の発給拒否、規制の問題についてでございますけれども、御承知のとおり、現行旅券法におきましては、旅券の発給を拒否し得る範囲というのは、原則として犯罪関係者であるということになっておりまして、ただ、唯一例外的な規定といたしまして、わが国の利益または公安を著しく害するおそれがあるという者に対しまして旅券の発給を禁止し得るという規定がございます。しかしながら、現段階におきまして、この協会の関係の方に対しまして、この規定を適用して旅券の発給を拒否するということは、非常に困難であるというふうに考えております。 また、先ほどちょっと御指摘になりました陳情の件につきましては、個々にそういう陳情があったということはございます。以上でございます。
○大塚喬君 その陳情が私の手元にもあるわけですが、その中で——外務省はこの陳情書は受け取っておるということをお認めになっておるわけですね。
○説明員(伊藤忠一君) そうです。
○大塚喬君 そこで、特にその中の四項、海外派遣者の中に大分犠牲者が出ておるようです。後ほど具体的に申し上げますが、四項、五項、六項、七項、それからさかのぼって三項の問題でありますが、これらの問題について、関係在外機関から具体的な事例の報告等はございませんか。
○説明員(遠藤哲也君) いま大塚委員の御質問でございますけれども、いま手元に資料をちょっと持ち合わせておりませんので、後ほど調査の上、追って御回答申し上げたいと存じます。
○大塚喬君 これらの関係者の海外派遣者の名簿、人数、こういうものは現在把握をされておりませんか、いかがですか。
○説明員(伊藤忠一君) 先ほど申し上げましたように、旅券の申請面からまあ、実態が把握いたしがたい状況でございますので、全体につきまして実数を把握するということは現在のところはいたしておりませんけれども、実際に不可能でございます。ですから、個々に近親者の方から御照会のあったケースにつきましては一応承知しております。
○大塚喬君 照会のあった件数は何件、その具体的な内容を幾つかここで具体的に明らかにしていただきたいと思います。
○説明員(伊藤忠一君) われわれの方で一応照会を受けておりますのは、つまり旅券の発給段階での話でございまして、現在海外でという実情につきましては、遠藤課長からお話しがありましたように、私いまお答え申し上げるわけにいきませんが、少なくとも旅券の発給をとめてくれという意味で大体陳情がございましたのは概数三十件内外でございます。
○大塚喬君 幾つですか。
○説明員(伊藤忠一君) 三十件内外でございます。 要するに、その中身は、言うなれば自分たちの子息をこの協会に取られるので、そのことを親としてはそのまま見過ごすのを許すことは心情的に忍びない、したがって何らかの処置を願いたいと、こういう趣旨がほとんどでございます。以上でございます。
○大塚喬君 その海外のいろいろの事件の問題について、現在まで在外機関を通じて外務省に報告を受けておるそれらの問題は、できるだけ具体的な事例を添えてひとつ後ほど報告をいただきたいと思います。
○説明員(遠藤哲也君) そのようにいたします。
○大塚喬君 次に、この統一協会の教祖文鮮明の資産、武器生産、輸入、原理会員の武器の所持の問題について関係機関にお尋ねをいたします。 法務省あるいは警察庁関係になるかと思いますが、統一協会の教祖、文鮮明は、ニューズ・ウィーク紙のインタビューに応じて次のような応答をされています。問い、「あなたは……62万5000ドル(約1億9千万円)の家に住み、自由気ままにできるヨット」、これは一隻ではなくて複数のヨット。「などを持っていますが、このような経済力をどこから得ているのですか。」、こういう質問に対して文鮮明の答弁、「神は私を恵まれています。……私が触れるものは、すべて黄金に変るといいます。たしかに、ある程度そうかもしれません。……」問い、「韓国にあるあなたの工場が武器を作っているというのは事実ですか。」、こういう質問に対して、「我々の機械工場は、防衛契約をしております。これは韓国において国民の義務であり、防衛に関係しない大企業はありません。契約として生産の5%−10%が防衛目的のためのものです。」、こういうニューズ・ウィークの、一九七六年六月十四日付の報道がなされておるわけであります。日本の統一協会は、この韓国のいわゆる統一産業——統一協会の営む事業、ここで製造した武器を輸入し、販売をいたしております。 初めに警察庁にお尋ねをいたしますが、こういう事実は法務省あるいは警察庁ではすでに調査をなさり、内容を承知されておりますかどうかお尋ねをいたします。
○説明員(柳館栄君) ただいま御質問のございました武器の製造あるいは輸入につきましては、さらにまた販売もそうでございますけれども、これは通産省の所管になっておるわけでございます。したがいまして、詳細について私ども承知いたしておりません。
○大塚喬君 承知をしている……
○説明員(柳館栄君) しておりません。
○大塚喬君 続けて質問いたしますが、この輸入されて販売をされておる武器は鋭和3B、こういうエアライフル、これが輸入をされ販売をされておる武器であります。輸入業者は渋谷にある統一産業の関係の会社でありますが、統一協会の事業会社、これでありますが、一九六八年十月五日、このエアライフル二千五百丁が輸入をされております。この二千五百丁のエアライフルを統一教会員がセールスに歩いて売った。通産省だということで直接の所管ではないというお話がございましたが、武器が統一教会員によってセールスをされておる、販売をされておる、こういう事実については、警察も法務省もそういうことに関しては何ら御関係がございませんか。
○説明員(柳館栄君) 先ほど製造、輸入については通産省の所管でございますということをお答え申し上げたわけでございますけれども、所持につきましては警察が所管いたしておるわけでございます。 ただいま御質問の、鋭和3Bとおっしゃいましたけれども、鋭和3Bといいますのはエアライフルでございます。そのほかに鋭和のB3というのがございまして、これは空気散弾銃でございます。恐らく空気散弾銃のお話ではないかと思ったのでございますけれども、これはその当時トラブルがあったということも私どもも承知いたしておりまして、空気散弾銃につきましては現在全面所持禁止になっておるわけでございます。しかしながら、エアライフル、これは散弾銃ではございませんので、これにつきましては普通の空気銃と同じように所持許可をいたしておるわけでございます。
○大塚喬君 続いて質問をいたしますが、この原理研の会員が集団的に一九六八年にこの銃の許可申請を行った、このことについては警察庁、公安委員会、そういう事実があったものかどうか、事実関係を承りたいと思います。
○説明員(柳館栄君) いまの空気散弾銃の件でございますけれども、これはいつごろ輸入されたのかわかりませんけれども、昭和四十四年に問題になったことがございまして、その際に空気散弾銃の数を調べております。そのときは四百四十六丁ということになっております。これがいろいろ弊害があるということで、その後規則の改正等が行われまして、現在はこれは所持できない、こういうことになっておるわけでございます。
○大塚喬君 弊害があるとは具体的にはどういう内容でございますか。
○説明員(柳館栄君) 一つは、狩猟法の施行規則の改正を行ったわけでございますけれども、それは猟具として適当ではないというのが一点でございます。それからもう一つは、標的射撃をするのに日本にはそれに適した標的射撃場がないということでございます。この二つの理由で、つまり用途目的がないということで所持が禁止されておる、こういうことでございます。
○大塚喬君 この銃が警視庁から所持が許可されない、こういう事実。現実に原理研の会員がこの二千五百丁のエアライフルを所持していると、こう言われておりますが、この事実関係はいかがですか。所持の許可がない場合にこのような銃を持っておるということは、きわめて重大な社会問題であろうと思うわけですが、この点についてお尋ねをいたしたいと思います。
○説明員(柳館栄君) 私がいま申し上げましたのは空気散弾銃についてでございます。それでもう一つのいわゆるエアライフルでございますけれども、これについては現在も合法的に所持できるということになっておるわけでございます。ただ、全体の空気銃の数は私ども統計等、数字上把握いたしておるわけでございますけれども、この空気銃の中に先ほど申し上げた鋭和3B、エアライフルでございますね、韓国製の。これがどの程度入っておるのかということにつきましては個別的に全部当たらないとわからないということになっております。つまりメーカー別には私ども統計上把握しておりませんので、現在どのくらいあるかということはわからないわけでございます。
○大塚喬君 重ねてお尋ねします。このエアライフルを許可証なしに原理研の会員が持っているという事実は全くないと、こうお答えになるわけですか。
○説明員(柳館栄君) 空気銃につきましては許可が要りますので、不法所持でない限り持っておらないはずでございます。許可なしで持っておることはできないわけでございます。ただ、それを販売の許可を受けておる場合には所持ができるということになるわけでございます。
○大塚喬君 許可証なしに持っているという、こういう話がもっぱらですが、その点についてはお調べになる、そういうお考えはございませんか。
○説明員(柳館栄君) もし許可証なしに、しかも違法に所持しているということであれば、これは当然違法な行為でございますので調査をしなければならないし、また捜査を進めないといかぬと、こう思います。
○大塚喬君 文部大臣にお尋ねをいたします。 このように武器を輸入し所持をする行為、活動、これは宗教の自由の範囲の中に含まれる問題でございますか。
○政府委員(柳川覺治君) 私どもが、先ほど申しましたとおり、東京都を通しまして協会の方から事情聴取した結果によりますと、先ほどもお答え申しましたニンジン茶と同様空気銃の問題等につきましての販売は協会が組織として販売した事実はない。これは協会の関連の団体といたしまして、関連事業団体で世界日報社あるいは統一産業株式会社あるいは幸世商事株式会社などがございますが、これはいずれも統一協会とは別個の別会社としての組織であり、その会社の機能として行っておるというように報告を受けておりまして、協会それ自体が会員に販売のことを指示したというような、組織としての活動はこれに関与していないということの報告を受けておる次第でございます。
○大塚喬君 いまの答弁で統一産業、これは統一協会と全く別な何らの関係もない団体だと、こうあなたははっきり断言をされるんですか。
○政府委員(柳川覺治君) 組織上別の株式会社ということでございまして、この会社の社員の中に信者がいるということは聞いておりますが、組織としての限りにおきましてこれは別の組織体でございます。
○大塚喬君 至極簡単におっしゃるけれども、役員の構成、資本の出資等お調べになってそういうことをおっしゃるんですか。これはどうなっていますか。
○政府委員(柳川覺治君) どういう組織で具体的なこの株式会社の活動がなされておるかということは、私どもその衝でもございませんのでつまびらかにもいたしておりません。ただ、いま申しましたとおり、組織上別の会社の行為ということでございますので、一般に宗教団体または宗教団体の事実上支配に属すると見られる団体等の行動につきましては、やはりそれなりの個人あるいは一般の団体と同様の活動の自由はあるわけでございまして、ただ、宗教法人の本来の目的の範囲を著しく逸脱しているかどうかというところの面は問題のところでございまして、逸脱しない限りにおいていろんな一般の社会人としての立場からの行動ということは許容される範囲だというのが一般論でございます。が、この統一産業等の活動はまさに宗教団体そのものとは別個な団体としての活動であるという限りにおいては、その活動自体が別の違法あるいは公共の福祉に反するというような問題があるかどうかというのは別個の問題でございまして、宗教法人の活動それ自体とは別個の活動であるというようにとらえざるを得ないというように考えておる次第でございます。
○大塚喬君 次に申し上げますのは、七六年十二月の朝日ジャーナルからの引用であります。 この統一産業は「昨年七月、銃砲販売専門の子会社「アングス」を設立した。三五の直販店はすべて統一教会の会員が経営にあたり、年間約一万丁を一丁二万円で輸入、主に信者向けに販売している」。こういう記事がございますが、この件に関して警察庁あるいは法務省関係でこれらの事実関係について調査をされたかどうか。この問題についてお尋ねをいたします。
○説明員(柳館栄君) 先ほども申し上げましたように、輸入販売等につきましては通産省の許認可事務になっておりますので、私どもその点についての調査をいままでいたしておりません。
○大塚喬君 一応こういう報道が公にされておる。その三十五の直販売というか、その会社は、お店は全部会員の経営するお店である。主としてその銃が会員のところに年間一万丁毎年輸入をされて売られておる。こういう事実は大変ショッキングな問題だろうと思うわけですが、こういう問題について警察として一体放置して、国民が知らぬという問題で、納得できる問題でしょうか。今後の取り扱いについてどういうお考えをされておるのかひとつ承りたいと思います。
○説明員(柳館栄君) 銃につきましては、一定の欠格条件がない限りどなたでも許可を受けて所持することができると、こういうことになっておるわけでございます。したがいまして、本件につきましても、それぞれの都道府県の公安委員会がその適否を見分けて所持許可をいたしておるわけでございます。
○大塚喬君 ちょっといま答弁が私、よく聞き取れなかったんですが、全部の、三十五の販売店が会員の店であり、主として一万丁という年間ライフル銃が会員に売られておる。こういう一応公の報道があったと、こういう場合には、警察庁としては、今後何らかやっぱりこれらに対応する、国民が納得できるそういう措置のために行動があってしかるべきだと私は考えるんですが、そこのところをあるいは聞き漏らしたかもしれませんが、どういうお考えかお聞かせをいただきたいと思います。
○説明員(柳館栄君) ライフル銃の所持につきましては非常に厳格な要件を課して、その上で所持いたす許可をいたしておるわけでございます。これの年間の所持の件数を申し上げますと、ライフル銃は二万ちょっとでございます、私ども許可いたしておりますのは。ですから、果たして年間一万丁ずつふえていっているのかどうか。もしそういうことであればそれは不法所持になっている可能性があるとしか考えられないわけでございます。したがいましてその点に対しては重大な関心を持ちたいと、こう思っております。
○大塚喬君 次に、原理運動の人権擁護の問題について質問をいたします。主として法務省関係になろうかと思いますが、文部省、文化庁関係にもお尋ねしたいことがあるものですから、ひとつお聞きを願います。 日本弁護士連合会人権擁護委員会も原理運動被害者父母の会申立事件委員会、委員長は有賀正明弁護士、これを設けてこの問題について人権問題として究明することを決めております。で、以下申し上げますことは、日弁連同問題委員会が昨年の十月十三日、全国原理運動被害者父母の会会長代理本間てる子氏にあてた通知書の写しがございます。その通知書は次のようなものであります。昭和五十一年十月十三日、日本弁護士連合会人権擁護委員会原理運動被害者父母の会申立事件委員会、全国原理運動被害者父母の会会長代理本間でる子殿。通知、「当会人権擁護委員会では、昭和五〇年六月に貴被害者父母の会よりの人権侵害救済申立につき検討した結果、採用を決定、現在原理運動被害者父母の会申立事件委員会を設置し、真相を究明すべく調査を行っています。」、こういう法曹関係のまあ、日本では最も権威あると申しますか、最高と申しますか、こういう団体がこういうことに取り組んでおられるわけですが、これらの事件について法務省としてはいままでどのようにこれらの事実問題を理解をされておりますか、法務省として、やはり人権擁護関係の当然の国家機関であります法務省としてどういう扱いをなさっておりましたか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○政府委員(村岡二郎君) 宗教団体の宗教活動につきましては、これは広範な自由が認められているということは改めて申すまでもないところでございます。しかしながら、宗教活動の自由を有する宗教団体といたしましても、これが個人の自由、その他基本的人権を侵害するようなことがあってはならないことはもとよりでございます。たとえばその宗教団体への加入を強制するとか、あるいは脱退の自由を認めない、強制的にその信者として引きとめるというようなことであるとか、あるいは宗教的な行事への参加、あるいは宗教活動に伴う諸事業について強制にわたるようなことをすることは許されないことも、これもまた当然のことでございます。したがって人権擁護を職責といたします法務省人権擁護局といたしましては、いやしくも人権侵害の疑いのあるような事実がありますれば、これについては人権侵犯事件として調査の上所要の措置をとることとしておる次第でございます。で、この原理運動に関する人権侵犯の疑いありとして投書があり、あるいは申告があった事件がございまして、このような立場から調査を行ったのでございますが、肝心の点は、その被害者とされる本人がどのような強制を受けたか。つまり自己の自由意思に基づいてしたのであるか、ある種の違法な圧力を受けたかどうかというこの点がポイントになるわけでございますが、被害者本人から具体的な事情を聴取するということが実はこの事案についてはできませんで調査を打ち切った経緯がございます。 その一つの事件は、先ほどもちょっと名前が出ましたが、父母の会の会長代理である本間てる子という方から東京法務局に投書があった事件でございまして、その方の長女がこの統一教会に入会し家出してしまったということ等々を挙げまして善処方を要請するという投書があったわけでございます。で、この事件は、本間てる子氏の居住地を管轄する秋田地方法務局に回付いたしましてその秋田地方法務局で調査を行ったわけでございます。ただ、その事情聴取した結果は、本間てる子氏自身の供述ということからはなかなかその事案の実態関係が把握できませんで、たまたまそのころ家出したとされておりましたその長女が一たん帰宅しておることが判明いたしましたので、その本人から具体的な事実を聴取しようとしたわけでありますが、その両親がせっかく帰宅したのに教会のことを聞かれるとまた戻ってしまうおそれがある、とにかくもうこの問題には触れてもらいたくないというような申し出もございまして、結局その本人からの事情聴取は拒否されたわけでございます。その結果、具体的な人権侵犯の事実を認定するには至らなかったということでございます。 もう一件申告のあった事件がございますが、この事件は、本人が入会いたしましてその布教活動に従事したいと、それに対して親が反対して、結局家出したということでございますが、この布教活動に従事するか否かについて親子の間に非常に話し合いがありまして、結局親の説得も聞かずにそちらに入ってしまったという事例でございまして、この事案の事実関係からしますと、どうも本人の自由意思に基づいて入会したと、この間に人権侵犯と認められるような強制にわたるような事実はないということでございましたので、人権侵犯事件としての処理はできなかったということでございます。 そのほかにも人権相談というのを法務局、地方法務局でやっておりまして、相談に見える事案が何件かございますが、事案を明らかにするためには、先ほども申しましたように、そういう被害者本人から事情を聴取するということは非常に重要なことでございまして、実は、昭和五十年でございましたか、被害者父母の会から陳情を受けたのでございますが、その際にもそのことをお願いいたしまして、本人からの事情聴取ができるように協力していただきたい、法務省としてはできるだけの努力をするつもりであるということはお伝えしたのでございます。 なお、そのようなことも含めまして、今後法務省の人権擁護局としての職責の許す範囲内においてでありますけれども、被害の実態を解明するために努力してまいりたいと考えているところでございます。
○大塚喬君 人権擁護局長の答弁をお聞きして、大変慎重な取り扱いをされておるということに敬意を表します。と同時に、余りにも悠長であり、率直に私の本心を言わせていただけば、人権擁護局としては怠慢ではないかという、そういう驚きも隠すことができません。この事件は一件や二件、そういう限られた事件ではなくて、ずいぶんたくさんのそういう事例が出ておるはずであります。全国都道府県に法務局のそれぞれの下部機関があるはずでありますので、当然そういう問題については人権擁護局としても何らかの活動を積極的になさるべきではないかと、こういう私は考えを強くして、以下質問を申し上げるわけでありますが、信者が死亡した例、信者が心身障害を起こした例、行方不明になっておる事例、重病者になっておる例、家族との断絶状態になっておる事例、それから現在帰宅しておる——これは病気なり精神異常なり、そういう関係の方で帰宅されておる方たち、親や兄弟にも何ら連絡なしで海外渡航をされておる、そういう事例、あるいは後ほど時間があれば申し上げたいと思いますが、集団結婚、こういう集団結婚と言えば名前はそれなりに皆さんからそんなことがどうかという御質疑もあろうかと思いますが、そういう事例、それはもうたくさんあるはずでございます。私はそのうちの幾つかの実例について申し上げ、人権擁護局並びに警察、そういう関係の機関からこれらの事実関係について報告をいただきたいと思うわけであります。 秋田県能代市桧山字新田家の前七十七番の長岡金吾さんの長男悟君、当時二十三歳、この方は昭和五十年二月に死亡されました。前年統一協会の誘致で群馬県前橋市の統一教会修練会に入会、四日目で精神異常を来し、教会は悟君を放出し、新宿警察署に保護され、親に通知をされました。その後、帰宅、加養中に突然家出をし、投身自殺をした。この悟君というのは当時上智大学三年の在学生の方でございます。 二番目の例として、秋田県能代市昭南町五の三十七大高幹さんの長女恵子さんです。当時二十三歳、この方が昭和五十年十一月に死亡されております。この恵子さんは当時駒沢大学二年生のときにこの統一教会に入会をし、統一教会の学生寮に入ったが、一日二十人で六百円の食事と協会命令でインチキ募金——こういう言葉でございます。それの担当者に押しつけられて、勉学ができずに、友人の忠告もあって脱会しようとしたが、断食を強要され、それらが原因で病気になり、その後に内密で脱会、帰郷したが、療養及ばず死亡した。病名は白血病、こういう病名でございます。 いま二つの——あと幾つもの例もございますが、この二つの例の問題について、警察では何らか事実関係についてお調べいただいたことがございますか。
○説明員(佐々淳行君) ただいま御質問のまず第一の長岡悟さんの件でございますが、この長岡悟さんの自殺事件については警察が取り扱っております。 事実関係は、昭和五十年三月二十二日の午前八時十五分ごろ、秋田県山本郡八森町茂浦海岸で水死体となって発見をされたのでありまして、状況は、生前、家出をいたしまして、家族から昭和五十年二月一日家出人捜索願が出されております。その家出の原因といたしましては、家族の家出人捜索願の届け出によりますとノイローゼということでございまして、詳細は承知しておりませんけれども、それ以前に、昭和四十九年十二月にも横浜市内で警察官に職務質問され、保護されて、家族に引き渡されたということがございます。また、この自殺死体となって発見される前に能代市畠町の塚本薬局へ睡眠薬を買いに行きまして、どれくらい飲めば死ねるかということを聞きただしたので薬局では薬を売らなかった、こういう事実がございました。検視の結果では、これは警察医の正式の検視でございますが、外傷のないことあるいは腹部を押さえると口から水泡が出ること等から判断をいたしまして、溺死による窒息死という診断が出ております。こういうことで、家出並びに自殺事件としてこの長岡悟さんの事件は取り扱っております。 二番目の大高恵子さんの事件でございますが、この件につきましては自殺、事故死あるいは他殺、傷害、こういうような事件としての記録がございませんで、私ども仄聞しておりますところでは、昭和五十年十二月四日、ただいま先生御指摘のように、能代市の組合病院で死亡したということのみ承知しておりまして、詳細、あるいは死因、病名等、現時点でちょっと詳細に承知しておりません。
○大塚喬君 人権擁護局長、いま二つの死亡の例を申し上げましたが、人権擁護局としては人権擁護の立場からこれらの問題について何らかその調査をされ、処置をされておる、こういう事実はございませんか。そのほかにもたくさん、この関係者が自殺された、そういう例が国内にも国外にもたくさん出ております。そういう問題にからんで、人権擁護の立場から御見解、答弁を承りたいと思います。
○政府委員(村岡二郎君) 私の方で調査と言いますか、その件に多少タッチいたしましたのは大高恵子の事件でございますが……
○大塚喬君 どなたですか。
○政府委員(村岡二郎君) 大高恵子。
○大塚喬君 はい、はい。
○政府委員(村岡二郎君) このとき、これは先ほど申し上げました本間てる子氏の申し出がございましたときに、あわせて問題として取り上げられておったのでございますが、その事実関係について調査をすることにつきましても、先ほど申し上げました本間てる子氏自身の事件と同様に、この問題についてはあんまり調査して触れてもらいたくないということでございましたので、それ以上の調査はいたしておりません。したがって事実関係は把握しておりません。
○大塚喬君 家族からそういう申し出があって、そういうことで大変さぐく引っ込めたと、調査を取りやめたと、こういうことですが、人権擁局として、そういうことが、あなた方の職分としてそれが本分ですか。そういうことでいいのでしょうか。
○政府委員(村岡二郎君) 決してそれでいいとは思っておりませんが、何分にも人権擁護機関の行います調査につきましては、特に法令上認められた権限、強制力というものはないわけでございまして、あくまでも関係者の任意の協力を得て行うということでございます。その調査の結果、人権侵犯の事実が認められました場合にも、関係者に自由人権思想を啓発いたしまして事態の是正を図るというのがわれわれの職分でございます。先ほど申し上げましたような事情で任意の協力は得られません場合には、実際問題としてはそれ以上の調査をいたしかねるというのが実情でございます。
○大塚喬君 私が申し上げたいのは、この統一教会の会員の方が、私が持っておる資料だけでも九人の方が自殺をされた、亡くなったと、こういう報告を受けておるわけです。全国的にこういう問題が起きておるときに、人権擁護局として、そういうような消極的な事なかれ主義の、そういう態度でよろしいのかどうか、私は大変疑問に思っておるわけです。今後の人権擁護局としての使命をひとつ私としては強く御期待を申し上げ、要望を申し上げて、次に時間がもう余りございませんので、精神異常の問題、それから行方不明の問題等を取り上げたいと思ったわけですが——行方不明の問題について初めに警察関係にお尋ねをいたします。 三件の例がございますが、その一つは福島県双葉郡富岡町、これは夜の森と申しますか、昼夜の。夜の森南一の五十六、穴田和子さん、この方の長男の勝則君、これが昭和四十八年に入信して統一原理教会の十字軍に入り、地方巡回をして歩いて、五十一年渡米団の班長となっていたということを親が知って取り戻しを図ったわけでありますが、顔色悪く目が焔々として狂気の状態になっておった。そして、その後家出をされて、現在行方不明と、こういう件がございます。 次に、福島県福島市飯坂町の平野、篠木徳太郎氏、この三女のサヨさんという方が、先ほどの穴田勝則君と同じ班で渡米するところであったのを、穴田さんの一家と協力をして一時帰宅をさせたが、間もなく家出をして現在行方不明。 それから、岩手県盛岡市境田町二の六、国鉄官舎十六の十二、久保正勝さんの長女正子さん、二十二歳、短大卒後、東京でこの統一教会に入信をし、その後父母との間で取り戻し、家出を四回繰り返し、現在行方不明。こういう事実がございますが、これらの行方不明者の一体生死の状態はどうなっておるのか。何らか警察庁で、警察関係でお調べなさっておったことがありましたら、この際、答弁、報告をいただきたいと思います。
○説明員(長岡茂君) ただいま御指摘ありました三件についてでございますが、最初の福島県関係の二件につきましては、ただいま現在把握してございませんので、調査中でございます。 それから、三番目の岩手県の久保正子さんの件につきましては、次のように把握していますので御報告いたしたいと思います。 私どもの方で一応把握しております状態でございますが、この方は五十年の十一月一日、家族が外出中家出した。そこで、家族が連れ帰るように新宿まで出かけた。ところが、本人と会えなかったということだったんでございますが、十一月の十九日に発見されまして連れ戻したというふうに聞いてございます。したがいまして、現在行方不明だということにつきましては、私どもそういうふうに聞いておりません。そういうことがございますれば、さらに重ねて調査いたしてみたい、こういうふうに考えております。
○松永忠二君 関連。いま大塚委員が質問されたことに対する答弁は、いずれも法律的なたてまえからいえば、私はおっしゃることはごもっともの点があろうと思うのであります。しかし、逆さから言うと、現実的な問題から考えれば、この処理についてもう少し前進した姿勢や方法というのはないのかということを、もっとやはり考えてもらわなければいけないじゃないか。で、これはいずれも大学あたりへ行っている生徒なんでありまして、相当な年齢の者がやっている行為であるので、これをなかなか簡単に外部から言えないというような問題もあるし、宗教法人であるという、一つの法人の活動であるという点からいっても、なかなかむずかしい問題であると思われる。ただしかし、現実的には非常にたくさんないわゆる大学へ通っている生徒の親たちが、このことについて非常な悩みを、というか被害を受けている。個々の被害者がついにたまりかねて、いわゆる原理運動被害者の会というものをつくったわけです。それでもなおかつ、問題が進まないでいたときに、ちょうどまた予算委員会等で石橋氏が質問をされ、そして総理自身が調査をするというようなことも言われていた。それで、いままたこの委員会で宗教法人の関係まで大塚委員が質問をされたわけです。私たちは、いまのような答弁では、この問題を解決するに当たって前進の機運が見られないというような感じをすることを非常に残念に思うし、これでは困ると思うのであります。現実にこういう問題がある事実から考えてみれば、法務省の人権擁護局長を中心にして警察庁にしても——死んだ者が溺死であることは明らかであります。原因は溺死であるからといって、それで結果的にそれで済む問題では私はないと思う。だからノイローゼになった原因はどこから発生しているかというような問題も、なおかつ、そこに問題が出てくるわけであります。こういう問題について法務省なりあるいは警察庁なり、文部省としては、先ほどから話を聞いていれば これ確かに東京都が認めた宗教法人である。しかし、これだけに問題がなっていれば、その宗教法人としての認可が正しいのか、その行動が正しいかというものについて積極的な調査をしたって、これは何も当然のことだと思うのです。しかし、こうした問題について各省がもう少しこれを機会に協議をして、どういう方法をもってこれが何らか前進した解決ができるか、というようなことをひとつ検討してもらいたい。一体予算委員会の石橋氏の質問以来、どれだけ一体政府の調査が進んでいるのか、私はここで聞きたいところでありますけれども、時間もないし関連のことでもあるので、このことはそれにとどめておきますけれども、きょうのような答弁の仕方、きょうのような一般的な原則の答弁をするのじゃなくて、現実のその被害者のいわゆる人たちの上に立って、もう少し各省が、特にこの法務省の人権擁護局長などは当然の責任者であることも事実であるので、これらを中心として各省が協議をして、もう少し前進した形でこの問題が解決の方向に向かうように……。われわれ自身もこういう訴えを聞き、親の切実な手紙を寄せられても、どういう方法でこれが解決したらいいのかということを自分自身も実は悩んでもいるし、方法がなかなか見つかりかねていることは事実です。われわれでさえそうなのに、もっと何らの機関もない一人一人の親たちが方法がなしに困惑していることはもう明らかだと私は思うのです。こうしてこういう委員会でこういう問題を取り上げても、いまのような答弁の状況では寄りつく島はないのじゃないかという感じすらするわけであります。だから、こうした機会に、大塚委員も前進のために質問をされ、努力をされているわけでありますので、どうぞひとつ各省がやはり協議をされて、どういうやり方をすれば実態を把握できるのか、どこに一体人権侵害なりあるいはほかの法規に触れる問題があるのかということをしっかり尋ねていただいて、せっかく本通常国会でこの問題を取り上げたということを機会に、ひとつ前進ができるように特に私からもお願いをして、この点を私は要望したいと思うのであります。何か大臣から御答弁があれば聞かせていただきたい。
○国務大臣(海部俊樹君) 信教の自由と申しましても、やはり宗教活動を行うに当たつての人権の擁護の問題、あるいは公共の福祉などの点においていやしくも誤解を受けたり、不信を招いたりするようなことがあってはならないと私も考えますので、具体的事実に関しましては、調査権限を持っておるそれぞれの官庁の調査の結果を待つべきでありますが、その間の連絡協議等については今後とも取り組んでまいらなければならない、こう考えております。
○大塚喬君 最後にそれじゃ、一応まとめの言葉がわが党の松永理事から出されたものですので、これだけの重大な社会的な問題に関係当局の反応が、私は、率直に衣を着せずに述べさせていただくならば、鈍感という一言に尽きると思います。ひとつ真剣にこの問題の解決、処理のために力を尽くしていただきますよう強く要請を申し上げ、文部大臣にはどうも質問が中途半端で、幾つか質問が残りましたが、機会を改めてまた質問をさせていただくことにして、以上で私の質問を終了させていただきます。
○委員長(宮崎正雄君) 本件に対する質疑は、午前中はこの程度にとどめます。 午後一時再開することとし、休憩いたします。 午後零時四分休憩 —————・————— 午後一時五分開会
○委員長(宮崎正雄君) ただいまから文教委員会を再開いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、内田善利君が委員を辞任され、その補欠として中尾辰義君が選任されました。 —————————————
○委員長(宮崎正雄君) 休憩前に引き続き、教育、文化及び学術に関する調査中、文教行政の基本施策に関する件及び昭和五十二年度文部省関係予算に関する件を議題といたします。本件について質疑のある方は順次御発言を願います。
○中沢伊登子君 それでは、初めに先生の問題について御質問を申し上げたいと思います。 教育は人なりと言われるように、学校教育において最も重要な役割りを果たすのは教育に直接携わる教師であると思います。教師の人格がその後の生徒の人格形成に深く影響を与えるとともに、教師の教え方が生徒にその教科に興味を与えるか否かに決定的な影響を与えるなど、教師の果たす役割りはきわめて重要だと思います。したがって、教師に人を得るか得ないかということについて、学校の場合は施設や設備が幾らよくてもそのことにおいて左右されるのではなかろうかと私は思うわけでございます。私は、このような観点から学校教育において教育に情熱と誇りを持ったすぐれた教師を確保することを主眼としておりますので、以下それらについて質問をしたいと思います。 まず、大臣は、教師は身分上の取り扱いとしての単なる教員であるか、それとも生徒の師たるべく教師であるか、どちらだとお考えになりますか。
○国務大臣(海部俊樹君) 学校の教師は、教育基本法にも規定されておりますように、教育を通じて国民全体に奉仕をしていただく立場にあり、おっしゃるように先生の人格の触れ合いというものを通じてその子供の将来に大変大きな重要な影響が行き渡るものであり、師たる立場の方である、こういうふうに私は理解をしております。
○中沢伊登子君 そういたしますと、そのような教師は職務上どのような性格を持っているとお考えでございますか。
○国務大臣(海部俊樹君) 申し上げましたように、次代の国民を育成するという重要な職務を行うものであり、一人一人がやはり自己の使命を十分に自覚して職務の遂行に当たっていただくとともに、絶えず研究、研修に努めることが要求されると思いますが、職務上どのようなといいますと、私はやっぱり高度の専門的な、専門職的なものである、こう理解をいたしております。
○中沢伊登子君 大変結構なお答えだとは思いますが、そのような大臣のお考え方からなさいますと、現在の学校教育における教師の実態は満足すべきものでしょうか、いかがでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 大多数の先生方は教育に情熱を持ち使命感を持って教師としての職務に取り組んでいただいておると私は信じておりますが、一部にはいろいろなことなども報道されておりますように、必ずしもこれですべて満足すべき状態だと残念ながら言い切れないような面もあろうかと思いますが、それはやはり現場の先生方の間にも反省といいますか、自粛自戒の声が最近上がってきておるわけでありまして、私はお互いにそういった努力をしながらすべてが満足すべき状況にいくべきだと、こう考えております。
○中沢伊登子君 そうすると具体的に、その満足すべきでないような点があるとおっしゃるその点ですね、具体的にどのようなことがございましょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 具体的にと申しますと、まあ、ときどき新聞に報道されるような極端な行為をされる先生のあり方というものも例外的でしょうけれども満足すべきでありませんし、またこの間も教員組合の委員長と対談いたしましたときに、槇枝委員長の方も、教師自身としても三ト追放と申しますか、アルバイト、リベート、プレゼントの三ト追放ということをきちんと決めてそれを守るようにしておると、こうおっしゃっております。まあ、欲を言わしていただければ、私の方はその三ト追放とともにもう一つストの方もあわせて追放していただいて四トを追放していただいたら非常に理想的であると、こう考えております。
○中沢伊登子君 後ほどそのストの問題についても触れたいと思いますが、教師の職務に関する大臣のいまのお考えからすれば、教師の団体であるべき教員組合は職能団体としての性格を持つべきではないのでしょうか、いかがでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 地方公務員法の上からまいりますと、先生御承知のように、教職員は職員団体を結成してその勤務条件の維持改善を図ることを主たる目的とした活動を行うことができると、こうなっておりますが、職能団体としての性格を持って、そういったことに対していろいろ努力していただくことも私としては望ましいことだと考えております。
○中沢伊登子君 教師は教育労働者である、こういうようなたてまえから労働組合としての闘争を前面に押し出している日教組の姿勢は好ましいとお思いになるでしょうか、いかがでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 率直に申し上げまして、法律に違反をするような争議行為とか、あるいは主たる目的を逸脱するような政治的な闘争行為というものは私は望ましいものだとは考えません。
○中沢伊登子君 日教組はこの二月の臨時大会で、賃金闘争の具体的戦術として春闘の山場と見られる四月中旬に第一波の早期二時間スト、第二波に午前半日ストを行うことを決定しておったようです。公務員である教師がストを行うのは法律で禁じられておりますので、日教組のストは違法行違ですが、大臣はこれについてどのようにお考えになられますか。特に、スト権ストで大活躍をされました大臣でございますから特にお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 先ほど関連して申し上げましたが、私はストは絶対にやめてもらいたいと、こういう姿勢でございますし、また全体に奉仕する公務員たる教職員がその目的のいかんを問わず争議行為を行うことは法律で厳に禁止されておるところでございますので、法律はきちんと守ってもらいたいと心から願っております。
○中沢伊登子君 そうすると、そのストをやめさせるためにはどのように対処されるのでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) もうこのことは従来から繰り返してストを行ってもらいたくないということは発言をいたしておりますが、具体的に服務規律の保持を徹底されるよう各都道府県の教育委員会を指導しておりまして、この旨をまた今回は三月三十日に教育委員会に通知をしたところでございます。
○中沢伊登子君 実は私どももそのストについてはいろいろ批判を持っているわけです。民主主義の存立の基本として法律の遵守を教えるべき立場にある教師がみずからの要求のためにストという違法行為を行うことは、私どもも断じてやめてほしいものだ。むしろこれは生徒が先生に対しての尊敬の念を相当失っていることは事実だと思います。そういうような話をしばしば私どもは見たり聞いたりするわけでして、ぜひともこのストはやめていただきたいものだと、こう思いますが、もしもストに参加をした者に対してどのような態度でお臨みになられるでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のように、やっぱり法律というものは国家、社会の秩序を維持し形成していくためにすべての人が守ってもらわなければならない強制規範でございますので、こういった法律を守らなければならぬというのはやっぱり国民として非常に大事な資質の一つでございますから、特に先生方にはそういったことを犯してほしくないと願っておりますが、不幸にして起こった場合どうするかというお尋ねでございますので、不幸にして起こった場合には、その責任の所在をやはり父母の前に明らかにしなければなりません。厳正なる処置をもって臨むように各都道府県の教育委員会を指導してまいりたいと思っております。
○中沢伊登子君 また、五月中旬にスト権等を決定した主任制粉砕ストについてどのように対処されますか。
○国務大臣(海部俊樹君) 主任の制度そのものにつきましてはいろいろと御議論もあるところであり、国会の論議を通じて私たちの考えておりますことを十分に御理解願いたいと、そういう姿勢で臨んでおりますが、やっぱりそのことと、それからやっぱりそれを国会外のストという問題と同じレベル、同じ土俵で結びつけていただくことははなはだ残念なことでありますし、遺憾なことでございますので、その目的のいかんにかかわらず、やはりストということはやめてもらいたい。内容についてはいろいろ御意見も承り御議論もさせていただきたいと考えております。
○中沢伊登子君 それでは次に、小中学校、高校、ここにおける生徒の落ちこぼれの原因はどこにあるとお考えになられますか。
○国務大臣(海部俊樹君) このことにつきましては、各方面からの御意見で、むずかし過ぎるのではないか、あるいは分量が多過ぎるのではないかというような御指摘もあり、また教育課程審議会の答申にもそのことが触れられておりまして、これがすべての原因ではないかもしれませんけれども、永井文部大臣から私が受け継ぎましたときも、学習指導要領の改定に当たっては教育課程審議会の答申を十分に配慮してやりなさい、それは基礎的、基本的なことに精選をいたしまして、そしてゆとりのある、しかも充実した学校生活の中でこれだけはと思うことは確実にやっぱり身につけてもらうように学習指導要領、教科書などの見直しに当たってはその趣旨を生かせと、こう言われております。 そこで、私どもは、いま落ちこぼれの原因はどこにあるかという御質問でありますが、一つはその学習指導要領の見直し、もう一つは現場の創意工夫にもお願いをして、両々相まって何とかこういった状況が起こらないようにいたしたい、こう考えております。
○中沢伊登子君 この間あるお母さんが私のところに来て、その落ちこぼれの子供を持っている方ですけれども、このごろは落ちこぼれるんではなくて落ちこぼしだと、こう言って激しく怒られたお母さんも実はあるわけですね。そのことについても後でだんだん触れていきますけれども……。 そうすると、そういうお母さんもいらっしゃるという中で、私は落ちこぼれなのか落ちこぼしなのかと、こういうと、それは先生にも相当やっぱり指導要領が厚かったり教える分量が多過ぎたり、先生は先生として、現場の先生としての相当な御苦労もあろうかと思いますが、その点でやっぱりある程度教師の責任もあろうかと思いますが、それはいかがにお考えでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) これは責任という言葉がぴったりするかどうかちょっと私はその判断に迷うんですが、たとえばこの間あるベストセラーと言われておる本を読んでみますと、現場の教師の人が書いていらっしゃる本で、自分がやる気をなくしておるときは子供は全然ついてこない、これじゃいかぬと思って本当にやる気を起こしていろいろ考えてやってみたら、子供の目が生き生きしてきた、ということが書かれて、現に売られておる本がございます。また、この間、槇枝委員長の本を読んで、槇枝委員長にも、この点は非常に感銘しますと申し上げたのは、国語ができても数学ができない子供が現にいたときは、どうしてわからないんだろうかということを、その子供の家庭の環境から自分の教え方まで振り返ってみていろいろ心を砕いてやることが教師としては大事だと、こう書かれてございましたが、私は、まさにそういう現場の先生の御努力というものも大変大きく影響するものじゃなかろうか。そういった御努力を心からお願いをしたいと、こういう気持ちでございます。
○中沢伊登子君 教師は子供の教育に責任を持つものとすれば、落ちこぼれができるだけ出ないように、学校の授業時間の枠にこだわらずに、理解の遅い生徒については補習授業を行うとか、個人指導を行うとか、理解が得られるように全精力を傾注すべきではないか、このように思うわけです。私どもの学生時代を考えますと、先生というのは、理解ができない子供には相当遅くまで残って指導をしておったように思います。時には、算数の早い子は遅い子のために生徒自身がまた教えてやったりするようなことを私も経験をしたことがございますけれどもね。そういう中で、先ほどちょっと申し上げましたように、いや落ちこぼれではなくて落ちこぼしだと。そうして、できない子は塾においでと、こういうふうに先生が誘う先生さえあるんですよと、こんなような話を、私のところに来て相当立腹をして訴えられたお母さんも実はあるわけですね。このごろの先生は鐘とともに去りぬなんです。鐘が鳴ると帰っちゃうんですと、こういうふうなことまで言われたことがございますけれども。まあ私は、相当分量が多過ぎることも事実だと思います。現場の先生もずいぶん努力はしておられると思います。いまそのベストセラーを私も実は読んだわけですけれども、先生の教え方あるいは先生がやる気を持たなければならない、そういうことも事実であろうかと思います。とにかく落ちこぼれができないようにしていかなければならないのではないか、こう思っております。 さきに発表された文部省の児童生徒の学校外学習活動に関する実態調査速報、これによりますと、現職の先生の一七%が学習塾で教えているという結果が出ておりますね。これは神戸の方の新聞でございますけれども、兵庫県の県教委も盛んにこういう先生にやめるようにという勧告をされましても、なかなか先生がやめられない、こういう記事が再三新聞に出るわけです。きのうの新聞でも、学習塾の先生は一割以上が現職の教員であると。これは尼崎市の教育研究所が調査をした結果でございますが、「是正へ厳しい再通達」と、こう書いてありますから、これも二遍か三遍かの通達であろうかと思います。こういったような塾がいま花盛りだと。こういうことを、あるいはいままでどなたか御質問になられたかもしれませんけれども、改めて私この問題について御答弁をちょうだいしたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘の学習塾の問題は、最近特にこれが大変過熱状態になったということで、社会的ないろいろな批判を呼んでおりました。学習塾そのものにも、進学の塾とか、あるいはただ単なるおけいこごとの塾とか、いろいろ千差万別でございましたので、文部省はこのほど全国の実態調査をいたしたわけでございます。そこで、いろいろアンケート調査を細かく分析してみますと、結局、一つは、ついていけない人が塾へ行くとか、あるいは親の立場でちょっとむずかしくて教えてやれないから塾へ行くとか、しかし、一番多かったのは、子供が行きたいと言うから塾へ行かせるんだということがたしか五一%だったと思いますけれども、これはちょっと驚く数字でございました。いずれにしましても、現在の公教育がきちんと果たすべき責任の分野で何か反省しなければならない問題点があるのではなかろうかと、こういう立場からこの塾調査を謙虚に調べてみますと、先ほど申し上げましたように、基礎的基本的なことに限って身につけてもらう必要にして十分な最小限度はどこなんだろうかという、そういうことを文部省のサイドとしてはしなければならぬでしょうし、また、学校の現場の先生が塾の先生を兼ねていらっしゃるということになってまいりますと、これはやはりその使命を自覚していただいて国民の信頼を公教育が取り戻すためには、教員としての自分の本来の職務に全力を尽くしていただきたい、こういう願いを持つのも当然でございまして、この両面の方から解決をしていきたい、こう考えておるわけでございます。
○中沢伊登子君 塾に通って、いまおけいこごとの塾は別としましてね、一生懸命で勉強をさせるために塾へやらせる。これは、親がめんどうを見てやれないから塾でやらせるんだということはまあ、私はそれはそれでいいと思うんですけれども、大学入試が過熱のためにどうしてももう小学校の四、五年から塾にやらなくちゃいけないというような問題になりますと、これは大変また弊害も多い、こういうふうに考えますね。これは隣近所がみんなやっているからうちでもやらないとおかしいというようなこともありまして、ずいぶん無理をして塾へ通わしている家庭もあるわけです。お父さんの給料が手取りが二十二、三万しかないのに三人の子供を塾にやっているためにその塾の費用が毎月十万円かかると、私の近くのあるお嬢さんを三人持っている御家庭でそういうことを訴えておられる。そこで、うちの子供を外で、学校から帰ってきて遊ばしておりますと、何か四、五年以上のような子供はほとんどいないもんですから、まあこれは母親も虚栄心を持っちゃいけないんですけれどもね、こんな、うちの子供のような大きい子がこの近所で遊んでいないから、もうみっともなくてしようがないし、近所のお母さん方も、もういまから塾へやらなきゃだめよ、というふうなことを言われるもんですから、つい塾へやっている。子供の塾のためにお父さんが肉体をすり減らしているような感じさえ受けると。こんなような訴えもあるわけでして、私この塾の問題はもっともっと追及していかなければならない問題だと思いますが、ちょっとの時間ではこれ追及できませんけれども。しかし、この問題も大変大きな問題だと思います中で、また、そういう話をされますと、一方では、うちの子供はどうしても勉強したいから塾にやっているんですから塾をなくさないでくださいと言う御父兄もあるわけですね。 そこで、この間あるお母さんから、こういう手紙をちょうだいしました。それは、「塾に通って必死で勉強した子供連は、幼少の頃からつめ込み教育一辺倒な為、創造性、協調性、社会性、開拓者精神に大変欠けた大人に成長するように見受けられ、何か背筋の寒くなる気持です。今までなかったような奇妙なタイプの人間が量産されつつあるようで心配です。これは学校教育の責任のみならず、母親自身の思想による所が大きいと思えて仕方がありません。母親の正しい判断と自覚が本当に大切と思いますが、その為には、新しいタイプのPTAの誕生が必要ではないかと思われます。」と、こういうふうなことを書いてきたお母さんもあるわけです。この塾の問題、あんまり詰め込み教育をやっていると、いま言ったような創造性とか協調性とか社会性とかこういうようなものがなくなっては大変だと、こういうふうなところまで心配しているお母さんもあるわけでして大変、塾の問題は私どもにも警鐘を乱打されている問題だと思います。これは大学入試の過熱、これから解決を図っていかなければならないのではないか、このように思いますが、また一方では、学歴偏重社会、こういった社会を打破しなければ、大学入試だけを直していっても、世間が大学を出た人を重要な地位に登用するような風潮があっては、やっぱりみんな大学へいかなくちゃいけない、こういうような感じになろうかと思います。 その辺に対して、いろいろなことを申し上げましたが、大臣のお考えをひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) ただいま先生御指摘のことは私も全くそういうことだと思いますし、また私のところへもこのごろ塾に関する御意見の手紙がずいぶん参るんでありますが、特にその中で、うちの子供は学校に本当に全幅の信頼をおいて通っておるんですから、もし塾に通わせて、幼い子供のころから、学校と塾と両方あって、物事を両方分けて考えたり、使い分けをしたり、生活に裏と表があることを変に覚えてもらっちゃ困ると思って自分は塾に出さないでおるけれども、お友だちがみんな行っておるので、塾に行かないことによって仲間外れの時間ができるのは考えものだとか、いろんな角度からの御心配が来ております。結論は、公教育というものが責任をきちんと果たして塾に頼らぬ公教育を打ち立てていかなければならぬというのが私の基本的な考えでございますけれども、それには、いま申しましたように、当面は落ちこぼれか落ちこぼしか、その対策のために文部省としては学習指導要領の見直しというところでやっておりますし、現場の先生にもひとつ創意工夫をお願いしておりますが、それだけで片づくかとおっしゃれば、いま御指摘のように上の入学試験がございます。入学試験のやはり出題の範囲というものが高等学校なり、あるいは高等学校の入学試験になれば中学校なりの学校教育の教育課程の範囲と合致しておるのかどうかというところにまた別の塾で学ぶ技術というような問題も出てまいります。入学試験の制度を改めなきゃならぬこともこれは御指摘のとおりで、いまそれぞれの方法で努力をしておるところでありますが、さらにその先の社会の受け入れる風潮につきましても御指摘のとおりでありまして、学歴というものが必要以上に幅をきかし過ぎる社会の姿は間違いであると考えますので、これに対しては直接たとえば指定校制度なんかの廃止を訴えたり、大学間の格差是正に努めたり、社会全体がこれを支持してもらうように世論に訴えたり、できるだけの努力を重ねてまいりたいと、こう考えて現に努力もいたしておりますので御理解をいただきたいと思います。
○中沢伊登子君 私の理想とする私の考え方ですよ。これはいま子供が塾に行って次々小学校から今度いい中学校に入ろうと思って受験勉強しますね。今度中学校からまたいい、大学入試の効率のいい高等学校に行こうということで、また高等学校へ入るために受験勉強する。それからまた今度大学ですね。こうなりますので、ゆとりのある勉強をさせるためにも、頭を伸ばしていくときには私は休も伸びていくときだし、同時に、そのときには精神的な教育もどうしても施さなくちゃいけない。私はこういうことを自分で理想としているわけですが、その精神的な教育をどこでどうするかということはまたそれぞれに違った考え方があろうかと思いますね。 私はたまたまクリスチャンなものですから、そういう立場でキリスト教の学校に入れたわけでございますけれども。ひとつやっぱり奉仕の精神といいますか、神様を恐れるといいますか、そういうような教育を子供に授けておきたいと、こういうことで私三人の子供を全部キリスト教の学校にお願いをしたわけです。それは親がだらしがなくてそういう精神教育をようしないものですから、そういうところに入れたわけですけれども、その三つがそろわないと本当の教育はできないと私は思っているわけですね。そういう中で、特に具体的には私は、中学校と高等学校、それやっぱり昔のように五年か六年かを一つにしてしまって、中学校へ入った途端に今度高等学校へ入るための受験勉強をしなければならないというのではなくて、中学校から一貫して高等学校まで行けると、こういう五年なり六年なりの、何といいますか、教育は考えられないものだろうかということを私何遍も申し上げているんですけれども、やっぱりいまは六・三・三制で三と三に分けられますね。そうすると、中学に行くとすぐに高等学校の試験ということでまた試験勉強ばっかりやらないといけない、こういうことになるんではないか。それで、中学校へ入った初めのころは私はやっぱりよく学べ、よく遊べ、ということで体をつくるべきではないか、こう思っているんですが、その暇がないわけですね、六・三・三制というのは。だから私は六・六でいいか、五・六でいいか、あるいはいまの小学校の学齢を一年下げて、幼稚園もみんな二年か三年行くわけですね、大体二年平均ぐらい行くわけですから。もうそれを一年下げたらどうかというのが私の考え方なんです。そうすると、その六年というのはいまの六年より一つ下がるわけですね。それで今度三・三をひとつ六にしてしまう。こういうような考え方は大臣は考えてみたことはおありにならないでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 六・三・三・四の区切り方につきましては先生御指摘のような御意見をずいぶんいろんな書物で読みましたり、あるいは中教審の答申等を読んでみましたり、また三年の中学校と三年の高校学校を一貫したものにしたらどうかというような御意見、御議論もございまして、現在文部省といたしましてもいろいろそういった問題点についてやや長い目盛りで研究調査を始めておるわけでございますが、ただ、当面きょうは現在の立場で物を言わしていただきますと、三年の中学、三年の高等学校、その途中にやっぱり義務教育の終わる段階という切れ目が一つでございますし、それから高等学校進学率は確かに九二・三%ということで大体能力のある希望する人がみんな入れるような体制にもなってきておる。こう判断もいたしますし、また今後五年間の文部省の最大の一つの政策のねらいはこの進学率を落とさないようにするにはどうしたらいいだろうか。五年間に高等学校を終え進学する適齢児とでも申しますか、四十万人からふえるということがわかっておれば、それにふさわしい高等学校の器等も用意していかなきゃならない。何とか一貫性を持たせて、できるだけ進学したい、学びたいという人に不自由をかけないような整備をしようというのでいろんな施策を講じておるわけでございます。が、いま直ちにこれが六年間の学校になることがいいか悪いかといいますと、それぞれ両論がございまして、先生おっしゃるようにゆとりを持つ教育になる、六年間続くと非常に教育課程も一貫してきてよろしいという御意見も十分ございます。私もそうかなあと、こう思います。しかし現に中学校卒業の段階でまだ高等学校へ進学するという進路の選択をしない人も現にあるわけでありますし、それから高等学校の姿の中で工業高等専門学校というものができたり、あるいは専修学校の制度等が発足してまいりますと、多様な進路というものがあって、どれを選択するかという選択の時期が、中学終了時がいいのかあるいは高校終了時がいいのかというようなこと等もまたいろんな角度から議論してまいりますと、今日直ちにこの三・三は合わせて六にしてしまった方がいいんでございますというところまでまだちょっとまいっておりませんので、いろいろ御意見等を承りながら慎重に問題点を検討しておるところでございます。当面は六・三・三と区切っておりますがために起こる可能性のある問題、それについては全力を挙げて解消していくように施設の整備なりあるいは教育課程の内容の改善なり入学試験の改定なり努力を払っていきたい、こう考えておるところでございます。
○中沢伊登子君 よくわかりました。 そこでまた塾の問題に返りますけれども、学習塾での先生の平均月収はどれくらいでございますか調査したことがあおりになるでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) この間の文部省の調査ではその点につきましては調査いたしてございませんので、先生方が平均幾ら塾で収入を得ておられるかということはわかっておりません。
○中沢伊登子君 これも一遍調査をしていただけるとありがたいと思いますが、それじゃ、学習塾に行っていらっしゃる先生ですね、この学習塾における教育指導と学校における教育指導とどちらに力を入れていると大臣はお考えになりますか。
○国務大臣(海部俊樹君) これは人個人によって大変むずかしい問題だと思いますが、私はやっぱり学校において教える方に全力を挙げていただいておると、こう理解をしたいのであります。
○中沢伊登子君 当然そうだろうと思います。またそうでなくてはならないと思いますけれどもね。 で、学習塾における教育指導と学校における教育指導のどちらに力を入れるかということは考慮の外に置くとしても、学習塾で教えるということは教師に二重の負担を課すものではないかと思います。それだけに学校における教育がおろそかにされるということは考えられませんでしょうかどうでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 学校の授業がよくわからない、おもしろくないという答えを出す子供が、塾の教育はよくわかるとか、おもしろいとかいう答えを出す。それは全部が学校の先生じゃないわけでありますから単純に比較はできませんけれども、やっぱり塾へ行っていろいろおもしろおかしくしようと思えば大変それは負担になると思います。本来の職務にやっぱり全力を挙げてもらわなければならぬわけでありますし、塾に行くということはやっぱり本来の職務がおろそかにされると、私はこう考えます。
○中沢伊登子君 まさか収入だけで学習塾に走るということはないと思いますけれども、もしそういうことであれば教師としての本格にもとるものですね。このような教師の姿勢がやっぱり一般国民に学校不信を招いている最大の原因ではないか、このように考えられるわけですが、今後この問題にどのように対処していかれるおつもりでございますか。
○国務大臣(海部俊樹君) 塾の過熱状態をなくしなければならぬというのはまさに御指摘のとおりでありますし、また、学習外活動の適正化について関係機関に文部省としても通達を出しまして、教員の自覚と、厳正な服務をしてほしいということも、十分指導の徹底を期してまいりたい、こう考えております。
○中沢伊登子君 大変口幅ったい言い方をするかもしれませんけれども、いままで質疑を重ねてまいりました中である程度、学校教育に携わる先生の中に平均的に見て教育に情熱と誇りを持つことに欠けた先生も中にはいらっしゃる、こういうふうに私どもも思われるわけですね。大臣のお答えの中にも多少そういうニュアンスがあったように思うわけですけれども、こういう教師の資質向上策について、今後どのような対策を講じていかれますか、その点についてひとつお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 学校教員の皆さん方には国民も大変な大きな期待をするわけでありますし、また、果たしていただかなきゃならぬ役割りも高いわけでありますから、人材確保法を通じて処遇の改善にできるだけ努めておりますとともに、また、指導力の向上を図るためには各種の研修会を充実させましたり、あるいは現在行っております教員の海外派遣等を通じまして一層資質の向上に努めてまいりたい、このように考えております。
○中沢伊登子君 そこで少し質問の道がほかにそれますけれども、実は、私の住んでおります宝塚市でいま学校給食の民営化に反対して、相当大きな抗議行動が起こっているわけです。これはもう昨年からこういう問題が再三新聞をにぎわせておるわけでございますけれども、地方自治体が相当ないま赤字を抱えているもんですから、何とかその赤字を解消したい、こういうことで学校給食を民営化をしたい——いま何か、呼びに行ったようですね、それじゃ、これ後にしましょうか。——早速で済みません。いま給食の問題に触れようとしているところでございますが、よろしいですか。——私の住んでおります宝塚市ですね、ここで、学校給食の民営化に反対して相当、再三にわたる抗議行動が行われていることは私は新聞紙上でよく拝見をしているわけでございますが、この間、実はこのことについて宝塚市議の方にもちょっと伺ってみたんですけれども、地方自治体が相当な赤字を抱えているもんですから、何とかその赤字解消策としていろんなところから予算が少なくても済む方法を考えていると、相当大きな財政建て直しの資料を実はいただいて参りました。そういう中で、この学校給食に対しても民営化をしたいと、こういうような話がその中であったわけですけれども、これがいろんな反対運動に遭っているわけですが、このことについてお調べになっていたらお答えをいただきたいと思います。
○説明員(松浦泰次郎君) 宝塚市におきまして学校給食を業者に委託いたしましたのが、五十一年度、中学校三校あったのでございます。それから、市の計画としまして五十二年度からさらに中学校三校を委託したいということで予算化をしたということを聞いておりますが、それに対しまして、いま先生からお話ございましたように、市の教員組合、職員組合等が反対の運動をいたしております。私どもの調査では、二月二十一日ごろから三月の学期末にかけまして、学校給食の学校における指導を怠業をしておる。それから、さらに市当局に対しまして交渉を重ね、議会に対してもそれを停止するよう請願を行っておるというように聞いております。ただし、その請願に対しましては三月三十日付で市議会としてはその請願を採択をしない決定をいたしておるというように聞いております。それから、さらに昨日も市当局と教職員組合等の反対の立場の方が交渉をしたようでございますが、物別れに終わりまして座り込みが続いておるというように伺っております。
○中沢伊登子君 いま大臣お聞きのとおりですけれども、学校給食というのもこれ教育の一環として給食法にうたっておりますね。この中で、大臣は、こういう問題、どうお考えになられますか。
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のように、学校給食も教育の一環として取り扱っているわけでありますから、やっぱり地域住民の皆さんや関係者の円満なお話し合いによってきちんとやっぱり続けられていくべきだ、またいってほしいと私は考えます。
○中沢伊登子君 給食をどうしても続けていくのが本筋だと思いますね。本筋だと思いますけれども、地方自治体が赤字でこういうことをやろうという、西宮市も実はちょっとそういうことをのろしを上げたのですけれども、非常な反対に遭ってすぐにこれはおりちゃったわけですね。そのままいま学校給食が正規の形で続いているわけですけれども、きのう私がこちらに来るときに、私の方の地元の神戸新聞にまたこれが出ていましたのでそれをちょっと読んでみますと、いまお話を承ったように、今度は、五日からですか、おとついから掃除などを勤務時間内にする、それから定時退庁を初めとして、その中で掃除をしたり、お茶を出したお茶わんを洗ったりというふうなことで、そういうことが勤務時間内に入り込んでくるわけですね。そうすると、いろいろまた仕事の密度にいろいろ関係が出てくるわけです。そういう中で抗議行動はさらにエスカレートをしている、団交とか、ストとか、給食再開時の民営業者の立入阻止、こういうこともやろうと、こういうふうにだんだんエスカレートをしてきているようですが、私がいまこれを取り上げた問題は、先ほどから先生のお話や塾の話をいろいろ申し上げましたけれども、先生が給食指導ということも放棄してしまっているわけです。それで、いまはまだ学校が始まったところでございますけれども、きょうぐらいから始まると思いますが、十二日からまた学校給食が始まるわけですね。すると、もう去年からいざこざをやって、先生が給食指導をやらないものですから、母親までが大分気分的におもしろくなくて、先生が給食指導をやらないと、おつゆならおつゆを子供が勝手に運んだりするとやけどをしたら困るとか、いろいろなことがあって、お母さん方が相当神経を病んでいるわけです。そこに今度は教職員が給食を食べない闘争をやる。給食指導ボイコットだけではなくて、給食を食べない闘争もやる。 それから、この間に出ておりましたのには、業者がやりますと、その中に何か虫が入っていた、食事の中に。そうすると、これから民間の人が給食をやるといつもいつもこういうふうなことが起こるんですよ、ということを先生が生徒に言う。こういうことを言われますと——恐らく業者は、給食を委託を受けてやりまして、余り変なものが入っていたりおかしなことになりますとそれは営業停止になりますね、ですから、恐らくわざとそんな虫を入れたりなんかすることはないと思うんですけれども、それを先生が生徒にそういうことを言われると言いますと、また親の方もいやな感じがするし、生徒の方もいやらしいなという感じで、先生と生徒の間にすき間ができてくる。それは先生はどういうつもりで言われるか知りませんけれども、このごろは生徒の先生に対する批判というのは相当なものですから、先生がうかつに言われても、生徒の方がむしろ先生を信頼しなくなってしまう……。こういうようなこともありまして、何とか学校給食の問題を早く解決すべきではないか。そうでないと、私はどうしても、学校教育の一環として給食をやっているとすれば、給食を通してかえっておかしなことが出てくるのではないかということを非常に心配しているわけです。だから、早くこの問題を解決しなければならないわけですけれども、市の方に聞けば、予算が足りないから何とかこれを民間に移して、少しでも予算を浮かしたい。そうでなかったら文部省の方からもっと給食のお金を補助してくれるべきだというような話が市の方からは出てくるわけですね。ここら辺に私もいろいろ問題があろうかと思いますけれども、その辺はどうなんでしょう、私もよくわからないんですけれども。市の職員が座り込んでいるんです。先生が座り込むんでなくて、市の職員が座り込んでいるわけですね。この辺がどういうことなのか、お調べになった中で、おわかりでしたら教えていただきたい。
○説明員(松浦泰次郎君) いま先生のお話ございましたように、宝塚市としましては、経費を節減するためというようなことでこれが始まったようでございますが、学校現場におきましてそのような怠業とかあるいはそれ以上の問題が起こりますということは大変遺憾なことでございます。現在兵庫県の方で市の方に連絡をとりまして指導をいたしております。私ども、さらに県を通じまして指導に努めてまいりたいと考えております。 それから、いま御指摘の予算の問題でございますが、施設設備費等に対します文部省の補助はございますが、それ以外の一般の学校給食の運営費は、地方交付税によりまして措置がされております。それにつきましても、自治省等と折衝いたしましてその増額に努めておるところでございます。たとえば、小学校の経費につきまして、五十一年度七百五十二万円の一校当たりの財源措置がございましたのを、五十二年度は八百二十万円にするというようなことで増額に努力いたしておるところでございます。ただ、そういう現場におきます実は調理員の勤務でございますが、給食のない日がございますし、夏休み、冬休み等の休暇があるものでございますから、実際の実働が百八十日とか二百日というようなことがございまして、人件費としてその辺がなかなか負担が困難だというようなことがあるようでございます。しかし、これにつきましてはなお自治省と折衝しまして、できるだけの普通の形の給食が行われるために必要な経費につきましては、今後とも努力してまいりたいというふうに考えております。
○中沢伊登子君 私の調べましたところは、春休みがあり、夏休みがあり、土曜、日曜給食ありませんから、実働の日数は百七十五日だ、それで大体一人が、相当古くなったおばさんもいるのでしょうけれども、年間の給与が三百万円ぐらいかかる。こういう話をしておられましたので、これは雇いかあるいは正規の職員かということでも給料はまた違うと思いますけれども、こういうことで相当な負担のようでございますね。そこへ宝塚市というのは人口急増地なんです。尼崎だの大阪からみんな宝塚市の住宅を求めて非常な人口急増都市でございますから、毎年二校ぐらい学校を建てなくちゃいけない。こういう学校建設でも相当の地元負担がございますね。そういうことで、人口急増地というのは、もう教育費の予算というものは膨大なものなんです。その辺で、自治省ともいま相談をすると審議官おっしゃってくだすったわけですけれども、どうかそういう中で、ぜひとも人口急増都市には文教予算、これを相当にとっていただきたい、このように思うわけです。給食というような——給食法を読んでみますと、礼儀作法からいろんなことからみんな教えなくちゃいけない。こういうことでございますので、私は給食はぜひとも学校できちんと続けていかなくてはならないと思いますが、そういう予算やなんかのために、こんな争いが起こるようなことであってはならないと思いますので、その辺を今後も十分県の方とも相談をしながら、ひとつ早く解決ができるように、こういう問題に子供が巻き込まれないように、子供を巻き込んでしまった形になってしまいますと、これはまた父兄と先生との間もおもしろくなくなってきます。その辺を十分考慮をしていただきたい、このように思うわけでございます。 それでは給食の問題はまたあとにもっともっと詳しくまた私調べてまいります、これはまた市の方に行って調べるなどして。父兄の話を二、三聞きはしましたけれども、一体これがどういうところから市職が座り出しているのか、先生はどうしているのか、この辺のことをもっともっと調べてこないといけませんけれども、たまたまゆうべ汽車に乗ってこれだけの記事がまた出ていたものですから、急にこれを取り上げましたけれども、教育問題、こういう点についても相当気を使っていただかなければならない問題だと思いますので、今後の御指導といいますか、文部省の方で手を下して指導するべき問題かどうか、その辺、私もわかりませんけれども、よろしくお願いを申し上げたいと思います。 そこで先ほどお尋ねをいたしました教員の資質向上策の問題について御質問を申し上げようと思いましたけれども、ちょうど一時間ぐらいになりましたので、それをやっておりますとまた相当十五、六御質問申し上げなくちゃいけませんので、これはまた後ほどに譲らしていただきます。 私の質問、きょう、これで終わらしておいていただきます。
○有田一寿君 最初に著作権の問題について文化庁の方にお尋ねをいたしたいと存じます。 四十六年の一月に施行されました現行著作権法、特にその第三十条についてお尋ねをしたいと思いますが、御承知のように、ここに書いてあります「三十条著作権の目的となっている著作物は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用することを目的とする場合には、その使用する者が複製することができる」という、いわば、著作権者に対する制限規定でありますとともに、利用者に対してはその範囲において複製権が認められておるということでございますが、この「限られた範囲」ということをどういうふうにお考えでしょうか。
○政府委員(柳川覺治君) 御指摘の三十条の規定はいわゆる私的使用のための複製ができることを示したものでございますので、あくまでもいわゆる私的使用の範囲にとどまるという解釈をとっておるわけでございまして、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる」というのは、数人の友人の間での利用というような場合はあるいはこれに準ずると思いますが、そういうようなきわめて私的使用としての常識的に限定された範囲にとどまるというような解釈をとっておる次第でございます。
○有田一寿君 この法律が衆参両院を通過いたしましたときそれぞれ附帯決議がついておるわけです。これはおいおい申し上げますが、私がお尋ねしたいと思いますのは、いま柳川次長が御答弁になられました、ごく限られた範囲内において利用することができるということについて——現在、テープレコーダーの大変な発達によりまして、当時予想もしなかったような、言いかえれば、五年前には夢想もできなかったような事態が発生しているということは御承知のとおりでございます。したがって私は、このことを大変重要に考えますのは、著作者のたとえば音であれば作詞、作曲、編曲、演奏者等の権利が大変侵されているということ、これを何らかの方法によって救済措置を講ずるということが大変必要だと。もしそうでないならば、もうわかりやすく言えば海賊版が横行し始めていろということも言えると思うんです。現在、台湾、香港等では音楽は大変普及しています。大変普及していますが、この功績は海賊版の功績だということも言われております。ところが日本でも同じくこれが大変普及してきた。この普及した功績の一翼を担うものはテープレコーダー、言いかえればハードですね。機器メーカーがいい器械を多く出したことによって、それに伴ってソフトであるこのテープを——白テープですね、これをたくさん出した。しかもいいものを出した。これが音楽の普及に功績があったとは私は思うわけです。ただし、ルールを守って、その範囲内において音楽等が普及していくことは大変望ましいけれども、その法律を踏み越えて、違法な行為によって音楽が普及するというのは、私は決して好ましい現象ではないと思うわけであります。 で、附帯決議でもこう書いてありますね。 一 著作権法は、著作者等の権利の保護を第一義的な目的とすることにかんがみ、今後の法の運用に十分配慮するとともに、その趣旨において著作物利用の公正な慣行が育成されるよう、著作権思想の普及等についてなお一層努力すべきである。 続いて、 今日の著作物利用手段の開発は、いよいよ急速なものがあり、すでに早急に検討すべきいくつかの新たな課.題が予想されるところである。よって、今回改正される著作権制度についても、時宜を失することなく、著作権審議会における検討を経て、このような課題に対処しうる措置をさらに講ずるよう配慮すべきである。 ということが附帯決議としてその法案が通過したという経緯がございます。 現在の状況はどうなんだということでありますが、現在はテープレコーダーによって音が中に吹き込まれたこのテープを白テープに移しとることができる。ところが、こちらの方のミュージックテープ——ミュージックに限りません、落語もあれば何でもありますけれども、著作権で保護された、言いかえれば著作者にちゃんと著作権料を支払われたこの市販のものは、これが三千五百円。そうすると、こちらの方は六十分もの、百二十分ものいろいろありますが、これは往復百二十分ですけれども、大体六百円程度。それで、こちらは定価がある、再販価格がある。こちらはない。したがって、こちらが高いわけですね。で、これにどんどんとっていって、これを貸し借りしたり、譲ったり、やったり、または売ったりすれば、これはもういわゆる白テープだけの値段ですから、もう大変安いものであります。ところが、たとえば東京等で帝国劇場でオーケストラの演奏会があった。それにテープレコーダーを持っていってこれにとる。そうして田舎の方にこれを送ってやる、頼まれるから。ということになれば、そのミュージックテープもしくはレコードを買わなくても、これによって幾らでも活用することができるし、聞くことができる。そうすれば、著作権者の方はこれによっては一切保障されていない。もっと言えば、著作権が侵害されているということが言えると思うんです。で、日本の場合は、著作権思想というものに対してはきわめて私はまだ関心が薄いと思います。それは絵においてもそうですし、学術用図書においてもそうですし、音楽等は特にそうです。その場合にミュージックテープだとかレコードだけでなく、特にラジオですね。このごろの普及の状態は大変すごいわけですが、FM音楽放送が、各聴取者がこの白テープにとりやすいように番組表というものを、「FMfan」だとかいろいろな雑誌がありますが、これによって番組表を載せる。何時何分から三分何十何秒はこれをするということで、コマーシャルはその前と後に集約して中に入れない。入れないようにすることによって各人がこれがとれるわけです。それで、このたとえばFM放送を解説したりしている雑誌は二十数万部いま売れている。急速にこれが伸びてきている。これは番組表のおかげです、ということはアンケート調査をした結果はっきり出ております。したがって、これをどういうふうにして著作権を保障していくかということ、これを考えたいというのが御質問の私のねらいであります。この方法としてはいろいろあるだろうと思いますが、他国の例をちょっと御説明願いたいんですが。
○政府委員(柳川覺治君) 録音、録画行為の普及に伴います著作権者の利益を保護するというような観点からの具体の措置につきましては、その具体措置を講じました国は現在西ドイツ一国でございます。西ドイツにおきましては、著作権者に支払うべき報酬に相当する額をテープレコーダー等の機器の価格に上乗せいたしまして、その分を機器のメーカーから著作権者の団体に支払うという方法を採用いたしまして、権利者側の経済的喪失を補う方法がとられております。また、最近フランスでは、これはテープ関係ではございませんが、複写機の関係につきましては、複写機に物品税を課しまして、その物品税を国が徴収し、その徴収したものに見合う財源をもちまして音楽等の芸術文化の普及に対する基金への助成を行っておるというような例が最近フランスに出ておりますが、それ以外の国におきましては、この問題はそれぞれ御指摘のとおり検討するべき課題とされておりますが、なお具体の措置をとっている国はいまのところないという状態でございます。
○有田一寿君 このテープレコーダー等の普及、FM放送もちろんそうですけれども、これは大変な量で、昨年の十月に詳しい調査がなされておりますけれども、その結果を見ましても、いわゆるブランクテープ——白テープに皆若い人たちが音楽を収録してそれを利用しているという数が、大変これはものすごいわけでございまして、これは東京都だけの調査でも二百九十万人、一年間に。これが個人録音経験者。全国推定では二千三百万人という数になっております。で、このFM放送等から収録するやつ、これエアチェックと言っておりますけれども、この数字も大体ここに挙がっておりますけれど、これは大変な数字でありまして、たとえば、FM雑誌の投書欄などに「LPの収集はむだである。友人のLPやFM放送からテープに録音すれば経済的である。」と、これはもうまことに経済的であるわけですけれども、著作権者の方は完全に権利が侵害される、その犠牲の上において音楽が普及されている。この年代は大体十三歳から十九歳までが一番多いわけです。これはここに小さな字で、「このテープよりの複製は法律で禁じられています。」ということが、これは虫めがねで見なきゃわからぬぐらいで書いてはありますけれども、やはり良心の痛みとしては、アンケート調査してみると、いやお金もらっては売っていませんという返事が返ってきて、しかし、貸したりなんかはしている。ところが、お礼というのがちゃんともう雑誌に何カ所となく——それをとってくれ、お礼をするということが出ておりますから、ちゃんと換金されているんだと私は思うわけです。したがって、くどくは申しませんけれども、どういう方法でかこれを日本においても解決しなければならないだろう。解決する方法は、どういう方法が可能だろうか。で、この著作権法三十条によって家庭内で自分の個人用にただ録音するという複製権は認められておりますから、それはもう結構なんですが、それを励行させる方法があるかどうかがまず第一。これは私は実効がないのではないか。家庭まで行って見るわけにまいりませんし、またそれぐらいの楽しみはあっていいと思う。しかしながら、それ以外にパチンコ屋で流す、どうする、こうする、あるいは友だちに、とっておいてそれを貸す、売る、そういうことが頻繁に行われるようになれば、高い金を出して著作権料の分担金を払ってまでミュージックテープを買ったりレコードを買ったりということはだんだんだんだんしなくなる。そのうちに法律無視の考えがそれぞれ子供の中に定着していく。言いかえれば、安い物を勝手にやった方が勝ちなんだよというこの風潮は、私は将来法律を無視する心境につながっていくんじゃないかという大変なおそれもあります。 それから著作権者というものの無形の著作権ですね。音ですから形がない、それを一枚の板にプリントするのがレコードで、磁気テープにこれを録音するのがこれがいわゆるテープなんですけれども、そういう無形のものをFM放送等からこの白テープに有形のものにしたときにはそこに経済価値が発生している。経済価値が発生したものに対しては、その源泉である、言いかえれば著作権者もしくは隣接権者に対して当然ペイされなければならない。その上で楽しむことができるのに、それを安いからということでいまのように猛烈にこれが行われていくということを放置するということはできない。そしたら——西ドイツは、いま御説明になりましたように卸売価格の五%を機器メーカーに課しているわけですね。卸売価格というのは非常に変動しやすいからこれはドイツでも批判されている。しかしながら一応実行はされている。それから幾らかテープにかける、そしてそれを著作権団体の方と話し合ってそちらに支払っていくという方法、あるいはそれの手前で著作権の侵害にならないように、言いかえりゃ白テープに勝手にとることをとめる方法があればそれを行う。あるいはこういう表示の、小さな表示を大きくPRしてきちっと表示するとか、何らかの方法を考えないと、これを放置するということは私は大変な問題に移行していく。特にビデオテープレコーダーができてまいりまして、やがて百万台を超すと思われますが、百万台を超しますと、ああいう種類の製品はぐうっとウナギ登りに普及度が高まっていくわけでございます。そういうことを考えて、このいまの段階で処置しなきゃならない。しかも、著作権法には附帯決議を含めまして、こういうさま変わりの発展が行われるだろうから、そのときは機を失せず積極的にこれに対処していくべきものであるという、先ほど読みましたような趣旨の附帯決議がついている。したがって、いまの時点で何らかの方法をとらなきゃなるまい。これは文化庁あるいは通産省等関係するところがほかにもあると思います。思いますけれども、機器メーカーサイドから出る、先ほど申し上げました音楽の普及にはこのテープも役に立ったんだからいいじゃないかというこの反論は、これは、外国にいろいろなものを輸出してきらわれる日本人の考え方と相通ずるもので、ルールを守った上でなければ私はだめだと思うんです。二塁に行かずに一塁から三塁に走っていったら、大体そのチームはどんなチームでも優勝すると思いますが、やっぱり踏むべきベースは全部踏んでホームに来なきゃならない。特に著作権の場合はそのルールが無視されやすいと思いますので、前向きに対処してもらわなきゃならないと思いますが、それについてどういうふうの方法が考えられましょうか、それをお尋ねいたします。
○政府委員(柳川覺治君) 国会での、御指摘の附帯決議もございました。その関係からも、文化庁といたしましては、その辺の著作権者や隣接権者の権利の侵害に対してこれをいかに保護していくかということにつきまして著作権審議会にそれぞれ小委員会を設けまして審議を進めてまいりましたが、テープレコーダーそのものについての審議は行いませんでしたが、ビデオの問題を取り上げまして、第三小委員会の報告書が昭和四十八年三月に出されております。この報告書によりますと、当面の措置としては、私的使用のための複製に関する法の趣旨を徹底していく、そのための著作権思想の高揚の講習会等の開催、こういうものをさらに進めていくことの御指摘がございましたし、また現行法の運用上の問題として解決するためにも、ビデオ機器の販売担当者に対しまして宣伝カタログ等に注意事項を十分記載させるなどの方法が提案されております。これにつきましては、すでに関係の権利者団体と機器の製作者側との話し合いがついて、この面の実効がいま上がっておるというように感じておるわけでございますが、さらにこの小委員会でも御指摘がございましたのは、将来の問題としてメーカーに著作権使用料の支払い義務を課する、先ほど申しました西ドイツの方式等の導入についてわが国でも検討を試みる必要があろうという御指摘を受けておるわけでございます。なお、これにつきましては、いま御指摘のとおり、芸団協、レコード協会、あるいは音楽著作権協会の方から最近具体の改正案につきましての御要望が出されたわけでございます。私どもも、この問題につきましては、大変むずかしい課題が幾つかあろうと思っております。たとえば、私的使用のための複製を結果において有料とするということにもなりかねないのではないかというような問題もございますし、またいま御指摘の点でございますが、機器の普及と、それに伴うレコードの売り上げの減少等の相関関係ですね、この面の立証がなかなかむずかしいという面もございます。まあ、レコードの売り上げ等が必ずしも下がっていないというような実態もあるわけでございまして、そのテープレコーダー等による権利者側の経済的利益の喪失というものがどういう形で立証されるのかというような問題もございますし、またこの問題はビデオテープあるいはテープレコーダーのみでなく、複写機——リコピー等のの複写機器による複製の問題等とも関連する問題でございますので、文化庁といたしましては、西ドイツの実情等をさらに調査してまいりたいということで、現在その辺の調査要綱をつくりつつありまして、また西ドイツ以外の各国においてどういう対処をしようとしておるかということの問い合わせを早急に行ってまいりたいということをいま準備しておる次第でございます。その結果、できれば実情調査に人も派遣いたしまして、十分その辺の各国の事情も調べてまいりたい。また、それと並行いたしまして、さらに国内の関係者との話し合いを続けてまいりたいというように考えておる次第でございます。 —————————————
○委員長(宮崎正雄君) 委員の異動について御報告いたします。 本日、志村愛子君が委員を辞任され、その補欠として佐々木満君が選任されました。 —————————————
○有田一寿君 レコードの売り上げが上がったか下がったかということですけれども、それは御答弁にありましたように、なかなか実態調査はむずかしい。しかしながら、シングル盤については下がっているという数字は私どもは持っています。しかしながら、その白テープが普及したことによる録音によってのみこれが下がったかどうかは、それはそうだと言い切ることはできないかもわかりません、他の要素もないとは限りません。また、普及させるのに力があった面もあるかもわかりません、白テープが。だから、それは申しませんけれども、著作権者に対しては、これはもう侵害行為になっているということは争われざる事実であります。 それから、西ドイツのように、たとえば日本の場合に小売価格の四%ないし五%をこれにかけて、メーカーが消費者にかわって払う。言いかえれば、消費者が払うことですけれども、代行をするということにした場合に、反対があるかどうか、国民のサイド。これは昨年十月の調査では七五%までは賛成、払ってもよいという調査がここに出ています。では、幾らぐらいであるかということですけれども、大体五%程度までという数字が出ている。したがって、こういう問題は審議会でいろいろ御審議いただくのも結構ですけれども、どうかこれが半年、一年、二年となっていかないように、早目にこれはやっぱりしかるべき結論を出していただきたい。そうしなければ、限りなくこれ侵害されていくわけでございますし、それだけを強く私は希望しておきまして、またいずれの機会かにどういう審議会の経過でありましたかということをお尋ねしますが、私は、率直に言えば、まず機器メーカーに対して五%程度あるいは場合によってはテープメーカーに対しても若干のものを払わせる。少なくともこれが普及した大きな理由はやはり、これにどんどん録音できる、そしてそれを友達とも交換できるといところにメリットがあるわけですから、これは何ほどが適当かということは、これはまた十分研究しなければいけませんけれども、早い機会にひとつ、一つの結論的なものをお出しいただきたいということをお願いして、この著作権に関する質疑は終わります。 それから、続いて教育問題についてお尋ねいたしますが、別にもうこれは私の方から高校のこと以外については予告申し上げておりませんので、そんなに資料に基づいた御返事をいただくこともございませんし、私の方も気のついたことを簡単に御質疑いたしますから、それに対しての考え方を簡潔に、簡単にいただけば結構でございます。 まず第一に、文部省にあらゆる問題が殺到している、たとえば偏差値の問題、これは文部省の責任ではない。学習塾、これ文部省はどうするんだといいますけれども、私はいまの教育基本法から見ましてもそこまで何もかにも全部一手に引き受けをすることはないと思うのです。また、することは中央集権的なことであって、いまの考え方から言うと、私はどうかなと思うのです。たとえば教育基本法の十条二項に「(教育行政)」のことをこれ書いてございます。これが、家永裁判のときはこれが狭く解釈されますね。ところがその他の場合は広く解釈される。まあここに念のため、御承知のことをあえて読んでみますれば、「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。2教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。」これを広く解釈すれば、あらゆる文教問題はすべて教育行政で片づけるということになりますけれども、これ狭く解釈すればその諸条件を整えてやる。もっと言えば、設備、施設等を整えてやればいいんだ、それ以上余りに指導とかなんか言うことは、言いかえれば国家権力の教育への介入になるという考え方がございますね。これは最近特に、文部省はどうするんだ、文部省の責任ではないか、ということで、これは大臣もテレビに呼ばれれば、そこでそういう言葉を受けておるでしょう。私どもも出れば、私は文部省の弁解をしているような立場でございますが、これはね、今後大きな問題になっていくという気がこれもいたしますが、まあいま、じゃあ、どうですかと言っても御返事に困るかもわかりませんが、まあもっと言えば、塾の問題あるいは偏差値等の問題、これをどの程度まで文部省で指導すべきものとお考えでしょうか。まず最初にそれをお尋ねいたしたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 私の考えを率直に申し上げますけれども、たとえば塾の問題なんかは大変過熱状態になっていろいろと弊害が指摘され、問題点が指摘されます。それはおっしゃるように塾は、文部省のただいま、何といいますか、責任範囲ではございませんというようなとらえ方で見るんじゃなくて、やっぱりそういったことが起こって過熱状態になってきた原因はどこにあるんだろうか。その原因を除去するために文部省としてやるべき問題はないだろうかという角度から問題に取り組みまして、そして塾の問題についてはさしあたり文部省としてできることは学習指導要領の改定に取り組んでおる最中でございますけれども、これで一面の成果を上げることができるのではないかと、こう考えて取り組んでおるわけでございます。
○有田一寿君 塾の問題からいきますが、教育の原型は塾教育であったと思います、世界各国もギリシャ時代から今日に至るまで。これが大量生産教育になってまいりました。それで、本来、教育のあるべき姿が大量生産教育になったことによって失われてきた、それがいまの学校教育だろうと思います。これを塾教育に近づけることはクラス定員を二十五人だとか、三十人だとかいう程度まで抑えれば塾教育に近づく。そして、教員定数をふやす。そうでない限り四十五人、五十人、まして私学等に見られるように一クラスに六十人も入れて教育するということになれば、なかなか手が届かない。その補完作用を塾で行おう——これを塾といっても進学塾もあれば、補習塾、その他いろいろございますが、行おうということ、これは自然の私は動きであって、塾もいいんじゃありませんか。どういうふうにお考えでしょうか、文部大臣。
○国務大臣(海部俊樹君) 塾が過熱状態になってきていろいろ指摘されるような問題が起こったところに——私は、これはこの過熱状態は是正しなければならない。初めからこう思っておるわけでございますけれども、おっしゃるように教育の出発は塾であった。日本でも江戸期を探ってみれば、それは寺子屋とか藩校とか呼ばれるようなものから始まったんでありますが、やっぱりきょう現在は多くの国民の皆さんの税金を使わしていただき、しかも九年間の義務教育ということで、国民の皆さんに将来健全な国民として基礎的基本的なことを身につけてもらいたいというところから義務教育という制度が始まっており、教育を受ける権利を国民の皆さんが持っていらっしゃるわけでありますから、やっぱりそれは公教育においてその権利の裏になる義務と申しますか、責務と申しますか、そういったものをきちんと果たしていかなきゃならぬ。それをきちんと果たすために、やっぱり反省すべきは反省し、改めるべきは改めて、そういった過熱状態をなくしていくようにしなければならぬと、こういう考えでございます。
○有田一寿君 その過熱状態がなければいいということだと思いますが、過熱状態は先ほど中沢委員が質問されましたように、いろいろ入試問題から、取り巻く問題はたくさんある。私もいろいろ塾、塾と新聞にも毎日のように出ますし、考えてみました。これは恐らく大臣も同じだと思いますが、塾がだんだん過熱状態になってきた原因、これは教師の問題が一つある。言いかえれば、昔のように補習教育はありませんし、言う意味の残業というものも以前ほどない。それから、教育に対する情熱は私は、不足してきている面が多いと思います。それから、制度的にいえば入試の問題、これは入試は今度いろいろ大学入試等が多少改善されることになりましょうけれども、大きく変わることはないと思いますね。どうせ十人受けて三人落ちるということになっておれば、いかなる方法をとってみても、くじ引きする以外は、三人落ちるわけですから、問題をむずかしくすればむずかしいなりに、やさしければやさしいなりに反論が当然起こってまいりましょう。 それから社会、これは先ほどから大臣もおっしゃいましたように、学歴尊重というよりも偏重社会になっている。父兄はみんな安全圏の中に、安全地帯に自分の子供をまず送り込みたいということでいい大学を目指す、子供の方は塾に行く。親が思うほどいやがってない。それは友達がたくさんおりますし、案外苦しんでないかもわかりません。それから、手が届いて満足感を味わっているということもあります。また、父兄の方から言えば所得が大分ふえてきました。何とか塾にやれるという状態にもなってきた。ほかに残すものもないから、財産も残せないから、せめてやっぱりまあ、教育というよりも、学歴を残してやりたいということですわね。これもしかし自由社会における国民の父兄の希望であれば、これも一概に何とも言えませんし、そういうようなことを考える。ただ、悪い面は、これはもうだれでもが指摘しますように、運動場がない、伸び伸びできない。それから、塾の教師が免許制ということでない。だから、ばらつきがありすぎる。悪い人に当たったら処置なしと。ただしそのとき、ほかにかわることができますけれどもね、義務教育じゃありませんから。それから、平均主義に傾いているから、よくできる子供は足踏みさせられている。——これに対する不満が塾に走らせている。それから、落ちこぼれのものは補習教育というものを塾に期待する。ただし、そこに無理がいく。けさの新聞にも書いてありましたように目に見えない病気がいろいろ進行しているということもありましょう、これは悪い面だと思いますが。それから、義務教育は本来無償であるべきなのに、小中学校の生徒はあれだけの負担をするということ。実質上無償の原則が破られている。行かないものは仲間外れになり、さびしい思いをする。まあ、いろいろありますが、こういうことはどうなりますか。 塾を各種学校あるいは専修学校として認めるべきだという議論も起こってきていることは、御承知のとおりだと思います。これを認めれば学校教育の否定になります。だから、恐らく認めないだろうと思うんです。しかしながら、現実はそうなっている。そうすると、そのうちに道徳教育を行う、運動場がある、塾の中に多少のゆとりをつくる、これはおかしいことですけれども、あると思うんですよ。そして、免許を持った教員をそこに、学校に就職しないで初めから塾に就職する教員を採用していくということになった場合は、実質上学校になりますね。それでもなおかつ、いや、塾は学校ではないんだと、認めないんだと、それとも各種学校かなんかに認めるというのか。そこら辺まで突っ込むおそれがある。私は心配しているわけですけれども、そういうことになったときに、ここでどういう考え方をお互いにとるべきだろうか。ただ、余りに大きくなり過ぎた塾は私はつぶれると思います。これは塾のよさがなくなるわけですから、いわば平均的量産教育に近づくわけですから、そうなれば塾のよさがありません。あるとすれば学区制がないということだけがそこに残るわけですね、選択の余地が父兄に残るというだけ。だから、余り大きく私はならないだろうと思いますけれども、数は相当ふえるだろうと思いますね。そういう各種学校、専修学校にというようなことになりそうで、現にそういうところもあるんですが、これはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
○国務大臣(海部俊樹君) 私はやっぱりそういうようなことになってはいけないと思っておりますし、またそういうことにならないように改善していくには、すぐに手の平を返したように直ちにこうなるとか、あるいはここだけこうすればこうなります、という即効薬は正直率直に申し上げてございませんけれども、いろいろな角度から、たとえば先ほど学習指導要領の改定の問題を申し上げましたが、それとともにやっぱり学校における現場で教えていただく先生の創意工夫という問題も加わってまいりましょうし、また、その上の入学試験の制度という問題も変わってまいりましょうし、学習塾というものが存在した理由の一つに、やっぱり大きく大学の入学試験に難問、奇問というのがあって、学校の教育課程だけをきちんと努力しておったんでは解決できないような範囲から問題が出る、だから、受験術を教えるような目的でできておる塾もございましょうし、いろいろあるわけでありますから、そういう当面、公教育が責任を果たすために改善できる問題に根気よくひとつ取り組んでいって、何とか少しでも弊害がなくなるように努力をしていくというのが基本的な姿勢でありまして、塾が公認されるという言葉は変ですが、いまおっしゃるようなものとして認めていくような方向じゃなくて、むしろそうじゃない方向で努力を続けていきたいと、こう基本的には考えております。
○有田一寿君 ところで、一昨日ですか、ここに参考人の方に来ていただいて、学歴社会、指定校制度の問題の論議があったわけでありますが、そのとき私も一言申し上げましたけれども、ジャーナリズムあるいはマスコミが、学歴主義、東大あるいは国立中心主義を非常にあふる。これはまあ、一流紙はどうか知りませんが、週刊誌は一流週刊誌からすべてが、三月になったら、東大合格者一覧表、そこに通る高等学校、どっちがよけい通ったという順位比べ、あるいはそれに行くために東京と大阪にはどういう大きな塾が、というようなことをもう競って出しますね。それからテレビが、大臣もお出になりましたように、本日、東大合格者発表があって、ここにお呼びした五十人の生徒が合格いたしました。それにお母さんも皆ついてきて、そしてどういうことをして合格をなさいましたか。塾には行かれましたか。そうしたら、九四%は塾に行きました、と言うと、九四カチャカチャカチャで大きく出る。これは受験期の子供は、もうやっぱり塾に行かなきゃだめなんだな、というようなこと。まあ、これは私は、大変あらゆる場面でそういう学歴主義というものをみんな心の中に考えていると思うんです。大学に行きたい、同じ大学に行くならば、まあ安くていい国立の方に行きたい。能力は足らないけれども、塾に行ってでも補えば、無限に才能が花開いて、東大にも通るであろうという夢をやっぱり父兄は持って塾に通わせる。それを産業界に対して、大臣あるいは労働大臣等で、指定校制度はなくしてもらいたい、それから学歴主義にならないようにやってくれと言う。まあ、指定校制度等は私も反対ですから、それはそれでいいと思いますが、生きるか死ぬかの戦いをしている企業の中に、学歴はこういうのをよけい採るなよとか、そういうのは要らぬおせっかいで、それはとてもそういうことは実行できない。それで、やってもいいんですけれども、雰囲気をつくるために。そうして言っていらっしゃれば、三年、五年、十年たつ間には、何ほどか効果が出ないとは限りません。しかしながら、反面、そういう免許事業であるテレビですね、テレビに対しても、学歴主義を無理にあふり、結果的には塾教育をあふるような、言いかえれば番組——これは視聴率が上がります。上がるから、スポンサーもつきやすいけれども、そういう民放の態度に対しても、郵政大臣に対して、一緒に努力するということをやっぱり私はお申し出いただきたい。効果があるかないかわかりません、向こうがうんと言わないかもわかりませんけれども、マスコミの力の方がはるかに大きいと思いますので、まあどうお考えか知りませんけれども、私はぜひともそちらの方も自粛するようにしないと、心ある人はマスコミ不信にだんだん陥ってくる。もういまでも陥っておりますけれどもね。そういうことになるのではないかということ。 もう一つ。それから青少年のことですけれども、総理府が、いつでしたか、ここにございますが、調査したのがあって、大臣はよく御承知と思いますが、これは一九七三年の世界的な調査なんですが、これを見てみると、私も驚いたんですが、青少年の不満度は世界最高、日本の青少年は。ここに、数字はいつ申し上げてもいいんですが、インドよりもはるかに不満ですね、日本の青少年は。国に対しても不満。国家意識、これは最低。一、二、三、四、五……十一カ国中最低。それから他人への関心。誠実だとか愛情だとかいう問題なんですけれども、これも世界最低。この世界青年意識調査の結果を見ますとね、私はぞっとするわけですよ。戦争中は国家あって個人なし、戦後は個人あって国家なし、それの方が進歩的なんだというような考えが非常に強い。だから、あれやこれや考えますと、みんないい意見は述べるけれども、現実には、自分の子供だけはこうやりたいという考えが大変強いわけで、したがってみんな平均主義というか、平等主義を望んでいるがようで、実際は望んでいない平均——平等まで近づくことにはギャアギャア言うけれども、それを越したらもう平等でない方を望む。これは人間の本性かもわからない。これを政治的に行政的にどういうふうにして自由社会の中でコントロールしていくか。その文教に関係した面を文部省でやっているが、ところが、コントロールということはできないので、それを制度的に、あるいは指導面で少しでもよい方に近づけるという努力なんですけれども、これは抽象論ばっかりやっておってもなかなか前進しない。だから先ほどのマスコミの問題について、率直にひとつ大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) マスコミが非常に影響力を持っておりますことは御指摘のとおりでありまして、実は指定校制度の廃止の問題につきましては、石田労働大臣といろいろ懇談をし、お願いしました問題について、ひとつ根気よくいつまでも続けていけという激励がいただけますのも、これはマスコミが大いにこれは取り上げてくれたからだと思うのでありますが、反面、おっしゃるように、東大偏重の姿というようなものが何か大々的に言われますと、またあるいは悪い影響がそれだけ強い力で伝播するのではなかろうかということも御指摘のように心配になる点でございまして、やっぱり大学、しかも東大のみが何か選ばれた人の行くべき道じゃなくて、世の中には多様なコースがあるのだということや、あるいは東大必ずしも大学でなくて、いろいろ地方に特色ある大学を育てるような努力を一生懸命にしておるわけでありますから、そういうこと等も広く国民の皆さんに知らせるようにしていただいたならば、これはまことにいいことだと、こう思いますので、ぜひマスコミの皆様にも御協力をいただきたいというのが私の本心でございます。
○有田一寿君 次に前国会で永井文相にも一つの提案を申し上げたわけですが、文部大臣がかわられましたので、一言ここで申し上げて、でき得ることなら実施してもらいたいということがございます。それは、国公立学校の建築を新たにやった場合に、ちょうどフランスで、アンドレ・マルローが文部大臣のときに実行いたしまして、法制化され、現在実行されているわけですが、日本も、それと同じ形式ではないまでも、公共建築物、特に学校建築物を新たにつくった場合、その建築費の一%、五億であれば五百万円程度を必ず義務的に芸術的装飾を施す、言いかえれば彫刻、絵画等、これはいろいろございます。ちょうど文化庁に行ったら、上に三重の塔か五重の塔かがミニチュアがぴしゃっと置いてありますが、あれは私どもも行って見て、いろいろやっぱり行くたびに勉強になります。まあ、そういうようなことで、そのねらいは、私が申し上げるのは、一つにはもちろん子供が常に雰囲気の中にあることによって受ける芸術的感化、それからそこに出入りする父兄あるいは一般の人が常にそれに接する、そういう場面に触れることによって受ける感化等、伝統工芸等の後継者が、いまなかなかできないので、それをやれば、やはり後継者が育ちやすいということ。で、これは建設省も、この前ちょっと私聞いてみたんですが、建設省は反対ではないんですね。だから、問題は大蔵省だと思いますが、一%ですよ、五十億のときに五十億五千万としさえすればいいんで、一%義務づけることによってこれを二十年、三十年続けていけば大変効果があるのではなかろうか。まあ、フランスのようなところはそこまでいかなくてもいいのにやっている。このごろは学校以外の公共建築物にも逐次及び始めたということを聞いておりますが、どうでしょうか、日本でも何とかその方向というものは私は望ましいと思うんですが、大臣どういうふうにお考えですか。
○国務大臣(海部俊樹君) 結論を先に申し上げますと、これは望ましいことだと私も思いますし、現におっしゃるように、フランスの国際会議場なんかへ行きますと、必ずいろいろそういったものが置いてあるのが目につきます。あるいは学校などにもそういったことができたら芸術的雰囲気に浸るといいますか、美しい物を美しいと見る心、そういったものを養うことにもなりますので方向としては望ましいことでございますが、現実のいろいろな財政上の問題その他から考えまして、どうしたらそういうことになっていくかというのも、今後これは研究をさしていただかなければならぬ問題だと、こう受け取っております。
○有田一寿君 どうぞ、それは結構ですが、ぜひ研究をしていただいてそちらの方に近づくように、ひとつこういう理由で絶対できないんだと言えばもうそれで結構ですから、そこまではひとつこの場限りのことでなく御検討をお願いを申し上げたいと思うわけであります。 それから次に、大学紛争がありましたときに大学改革案というものがたくさん出ました。まあ、百数十あったかと思いますけれども、講座制を廃止するとか、単位の互換制だとか、教官ですか、教授のいわゆる交流だとか、五年ごとに資格審査をするとかいろいろな案を含めてずいぶんこれは自主的に大学内部からも出ましたし、評論家の方からも出ましたし、政治家からも出ましたが、何か実行されたことがありますでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) ずいぶんたくさんの指摘がなされまして、私の現在記憶に誤りなければ、たとえば単位の互換制というのは、制度として昭和四十七年度からそれができるようにして、まだ互換制が現実に行われている数は少ないと記憶しておりますが、互換制がとにかくできるようにした。それから四十八年度には授業科目の区分の弾力化を行った。それから学部以外の組織編成、そういったものができるようにした。それから大講座制の導入が四十九年度から行えるようになった。こういうふうに私は記憶しておりますが、なお詳しいことは政府委員からお答えをいたさせます。
○政府委員(佐野文一郎君) いま大臣からお答え申し上げましたほかに、学校教育法の改正あるいは大学院設置基準の制定によりまして、大学院制度については非常な弾力化が図られているところでございます。また、各大学における自主的な改革の努力の状況につきましては、御案内のような筑波大学というような新しい構想の大学が生まれておりますし、また技術科学大学というようなこれまでにない構想の大学も誕生しているわけでございます。さらに、広島大学に総合科学部が設置されたこと、あるいは北海道大学において法学部のところで教育研究領域につきまして機能的な分離が図られていること、あるいは大阪大学、名古屋大学等におきまして一般教育の改革のために言語文化部あるいは語学センターが設置をされているとか、あるいは東京工業大学におきまして長津田に総合理工学研究科がつくられているとか、そうした幾つかの動きが現にあるわけでございます。
○有田一寿君 筑波大学ができたりいろいろ新構想大学ができていくということは結構ですが、これはやはりいままでの大学の改革というものが、言うはやすく、行うことは実際、教育界が権限を持っておる関係でむずかしいということだろうと思うんです。ドイツもそうでしたし、イギリスもそうで、ああいうボッフム大学だとかいろんなイギリスでも新大学と称するものができていったというのは、古い大学を改革することは大変むずかしいというあきらめがそちらに向かったんだろうと思いますが、日本の場合もただあきらめずに、改革すべき点はこれも執拗に改革するように努力していく必要があろうかと思うわけでございます。 それから高等学校ですが、これは落第というのは、留年ですか、留年というのはどの程度あっているものでしょうか。——いや、はっきりわからなければいいんです、私も知らないんです。何%ぐらいあるのか。
○説明員(奥田真丈君) 詳しい統計資料は得ておりませんですが、やっているところもあるということは聞いております。
○有田一寿君 けさの新聞かきのうの新聞に出ておりましたが、東京都の都立高校で定員未満だと、しかしながら学力が足らないから足切りをしたということでえらい非難めいた見出しで出ておりましたが、私はこれも高校教育の基本的な問題だというふうに思うんです。教育福祉論的な考えに立って、義務教育ではないけれども、一応全部入れて全部卒業させるということなのか、学力不足した者をクラス、学校に吸収することによってほかの者もできなくなるということで、やはりある程度のついていける子供でなければ吸収できないということが是なのか。私は、教育福祉論的な考えはとらないんですけれどもね。そして、クラスの中でよくできる子供に対してはどういう方法が現在とられておりましょうか。できない子供とか身体薄弱な人にとっては養護高校だとかいろいろありますね。しかし、できる子供について足踏みさせるというのはやっぱり私はある意味の学習権、人権を侵している、そして行く行く弱者ばかりがふえたら、それを引き上げる強者の養成というのは悪である、差別であるということで考えないというのも自由社会の場合おかしい。これを高等学校に集約して考えてみると、いまのような問題の中にいろんな問題が伏在しているので、これをどう考えるかということは明確にしなければならないと思うんですけれども、これはどうでしょうか。
○説明員(奥田真丈君) 高等学校教育のあり方でございますが、原則的、基本的には生徒の能力、適性に応じて教育を実施する、こういう考え方を従来からとっておりますし、また教育課程の仕組みの上でもそういうことを考えております。したがいまして各学校においては完全な画一という形で臨むよりも原則的な考え方の能力、適性に応じた指導をするということについてはそれぞれ各学校でいろいろな配慮の仕方があろうかと思っております。なお、学級の編制の仕方等におきましても、特に学力差と申しますか、学習到達状況に英語とか数学におきましては差が大きく出ますので、そういう場合の学級編制あるいは授業の進め方にいろいろと各学校として工夫を進めておるのが実情であろうと思います。 それからもう一つ、教育課程を編成する際の原則といたしまして、能力、適性に応ずる教科、課目を選択するという仕組みをとっております。すなわち、選択制を採用しておりますので、それぞれの学校でどのような教科課目を選択して教育課程を編成するかということも各高等学校で決めておることであると、こういうふうに考えております。
○有田一寿君 最後に、先ほど民社党の中沢委員から質問していらっしゃったのでちょっと重複ですが、日教組のストライキですけれども、特に私の選挙区であります福岡県が極端であるからそういう考えを持つのかもわかりませんけれども、何回繰り返しても処分反対闘争だとかいうことでまた重ねられますし、たしか福岡県の場合は、四十数万人あるいろいろ処分を受けて回復すべきだと言われている教職員の中の約三分の一は福岡県が占めていると私は思うんですけれども、処罰はもっと厳しくていいんじゃないかという気がするんです。決して何も処罰万能という考えではないんですけれども、何回でもあれを繰り返していくということは、子供の学習権を阻害することでもあり、地方公務員法違反でもあり、槇枝さんは二言目には、いまの実態がこうだ、あるいはいまの法律の方がこうだ、あるいは法律はいま争っているからこうだということを言われますけれども、法改正がなされるまでの間は法に従うというのが当然のことだろうと思うんです。しかし、それを何回言っても同じことの繰り返しなんですが、処分が軽微過ぎるということも私は感ずるんですが、どうお考えでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) これはもう何回も繰り返して申し上げておりますように、ストはやってほしくない、やめてもらいたいという通達等も出しておるんですから、ストが行われないことを願っておりますけれども、不幸にして行われたときには、やはり教育委員会を通じて厳正に処分してもらうようにこれは指導してまいりたいと思います。
○有田一寿君 終わります。ありがとうございました。
○委員長(宮崎正雄君) 以上で本件に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(宮崎正雄君) この際御報告いたします。 義務教育諸学校等の女子教育職員及び医療施設、社会福祉施設等の看護婦、保母等の育児休業に関する法律等の一部を改正する法律案、女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の確保に関する法律の一部を改正する法律案。両案につきましては、これまでの国会審議の経過等にかんがみ、今後理事会で真剣に検討を続けていくことになりました。 —————————————
○委員長(宮崎正雄君) それでは、これより国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案及び公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。海部文部大臣。
○国務大臣(海部俊樹君) このたび政府から提出いたしました国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 この法律案は、昭和五十二年度における国立大学の学部及び大学院の設置、短期大学部の併設、生物科学総合研究機構及び大学入試センターの新設、昭和四十八年度以後に設置された国立医科大学等の職員の定員に関する特例措置並びに国立養護教諭養成所の廃止等について規定しているものであります。 まず第一は、学部の設置についてであります。 これは、岩手大学に人文社会科学部を、富山大学及び高知大学に両大学の各文理学部を改組して人文学部及び理学部を、広島大学に同大学の政経学部を改組して法学部及び経済学部をそれぞれ設置し、これら地方における国立大学の教育研究体制の整備を図るとともに、鹿児島大学に歯学部を設置し、歯科医療需要の増大と歯科医師及び歯学部の地域的偏在に対処しようとするものであります。なお、鹿児島大学歯学部は、昭和五十二年十月に設置し、昭和五十三年度から学生を入学させることといたしております。 このほか、新潟大学の人文学部については、これまでの整備状況を勘案し、実態に即して、その名称を法文学部に変更することといたしております。 第二は、大学院の設置についてであります。 これまで大学院を置いていなかった九州芸術工科大学、大分大学及び琉球大学に、それぞれ、芸術工学、経済学及び農学の修士課程の大学院を新たに設置し、もって、これらの大学における教育研究の水準を高めるとともに、研究能力のある人材の養成に資しようとするものであります。 第三は、短期大学部の併設についてであります。 これは、群馬大学及び名古屋大学にそれぞれ医療技術短期大学部を新たに併設し、近年における医学の進歩と医療技術の高度化、専門化に伴い、看護婦等の養成及び資質の向上に資しようとするものであります。 なお、二短期大学部とも、昭和五十二年十月に設置し、昭和五十三年四月から学生を入学させることとしております。 第四は、生物科学総合研究機構の新設についてであります。 これは、基礎生物学及び生理学に関する総合研究を行う国立大学共同利用機関として、基礎生物学研究所及び生理学研究所をもって構成する生物科学総合研究機構を愛知県に設置し、生命科学の研究の推進に寄与しようとするものであります。 第五は、大学入試センターの新設についてであります。 大学における入試の現状を改善することは、今日の大きな課題であり、このため諸般の方策を講ずる必要がありますが、その一環として国立大学関係者が多年にわたり調査研究を進めてきた国立大学共通第一次学力試験の制度を、昭和五十四年度の入学者選抜から取り入れることとし、試験問題の作成及び採点等の業務を行うとともに、大学の入学者選抜方法の改善に関する調査研究を行う機関として、大学入試センターを東京都に設置しようとするものであります。同センターでは、国立大学以外の大学の入学者の選抜に関する業務についても、その要請を受けて協力することとしており、国公私立にわたり、大学の入学者の選抜の改善に資することを目標としているものであります。 第六は、昭和四十八年度以後に設置された国立医科大学等の職員の定員に関する特例措置についてであります。 国立大学については、昭和四十八年度以降、いわゆる無医大県解消計画等による国立の医科大学の創設や医学部及び歯学部の設置を進めており、また、大学改革の方向に即した新しい構想による大学の創設を図っております。これに伴い、職員の定員の需要が大幅に増大しつつある状況にありますが、これらの計画の進行に伴う定員需要に適切に対処していくため、その定員については行政機関の職員の定員に関する法律が定める職員の定員の総数の最高限度には含まれないものとし、当分の間、国立学校設置法において、そのための所要の定員措置を講ずることにより、これらの計画の進行に対応しようとするものであります。 第七は、国立養護教諭養成所の廃止についてであります。 国立養護教諭養成所については、養護教諭の資質の向上を図るため、逐年、これを発展的に教育学部の養護教諭養成課程に転換してきておりますが、このたび、昭和五十年度において転換を行い、以来、学生の募集を停止してきた茨城大学養護教諭養成所及び愛知教育大学養護教諭養成所について、これを廃止することとしたものであります。 以上が、この法律案を提出いたしました理由及びその内容の概要であります。何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようにお願いをいたします。 続きまして、公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 この法律案は、最近における国家公務員等の災害補償制度の改正にならって、公立学校の学校医等の公務災害補償制度に、負傷または疾病が治らない場合に存する廃疾に対する補償として新たに傷病補償を設けることとするものであります。この補償の範囲、金額等につきましては、国家公務員災害補償法の規定を参酌して政令で定めることとなっております。 以上がこの法律案を提案いたしました理由及びその内容の概要であります。 何とぞ十分御審議の上速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(宮崎正雄君) 以上で説明は終わりました。 ただいま政府から趣旨説明を聴取しました両案のうち、公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する法律の一部を改正する法律案に対する質疑は後日に譲ることとし、国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案の質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
○山東昭子君 ただいま法案の趣旨説明がございましたけれども、法律案の内容のうち、まず最初に学部の新設の件についてお伺いしたいと思います。新設する理由をおのおの聞かせていただきたい。
○国務大臣(海部俊樹君) まず最初は岩手大学の人文社会科学部の設置についてでありますが、これは東北地区、特に岩手県は全国的に見て大学、短期大学への進学率がきわめて低く、また特に人文社会科学系の入学定員の割合も低くなっております。このような事情を背景に地域社会の強い要請を受け、昭和四十四年以来岩手大学内における検討が続けられてまいりましたが、教養部を改組し、全学の一般教育とともに人文社会科学系の総合化された特色のある専門教育を行うとともに全学の一般教育を担当する新しい構想による学部を教養部を母体として設置する構想がまとめられましたため、昭和五十一年度に創設の具体的諸準備を行った上このたび設置をお願いすることにしたものでございます。 富山大学及び高知大学の人文学部及び理学部の設置につきましては、これはいずれも文理学部の改組を行おうとするものであります。文理学部は十四大学に設置されておりましたが、各大学の要望もあり、それぞれの実情を参酌して改組することにいたしまして、昭和四十年から四十三年の間に十四大学のうち十大学についてそれぞれこれを二ないし三学部に改組をし整備を行ってまいりました。その後、大学紛争等によって中断されておりましたが、このたび残った四校につきましても、この方針に即して改組を行うこととし、今回富山、高知の二大学の文理学部についてそれぞれこれを人文学部及び理学部の二学部に改組し整備充実を図ることにしたものでございます。 広島大学法学部及び経済学部の設置につきましては、広島大学政経学部は昭和二十四年に政経一学科で設置され、昭和四十年に法律政治学科と経済学科の二学科に拡充整備されて今日に至っております。広島大学では西条地区への統合移転を契機として大学の改革準備を進めておりまして、総合科学部の創設、工学部の改組に引き続き政経学部の分離改組を行い、機能的な履修コースの設定等とあわせて教育研究体制の充実整備を図ろうとするものでございます。 鹿児島大学歯学部の設置につきましては、歯学医療需要の増大を考慮し、歯科医師及び歯学部の地域的偏在の是正に資するため、特に必要な地域に限り国立大学歯学部を設置することとし、五十一年度には徳島大学歯学部を設置したところでありますが、鹿児島大学につきましては、南九州地方には歯学部がございません。鹿児島県及び沖繩県の歯科医師が著しく少ないこと等を考慮いたしまして、五十一年から歯学部の創設準備を進めてきたところでありますが、教官確保の見通しなど設置のめどが明らかになりましたので、その設置をお願いすることにしたものであります。
○山東昭子君 学部等を新設する場合の基準は何かということと、それから福田内閣は行政改革を進めようとしておられますが、それとの関連はどうなんでございましょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 大学改革の推進を図りますためには、御承知の高等教育懇談会の報告に即してやっておるわけでございますが、まあ基準は何かとおっしゃいますと、地域間の収容力格差を是正していくとか、専門分野構成の不均衡をなくしていくとか、あるいは社会的要請の強いものを計画的に養成しなければならないというようなことに重点を置きまして整備充実に努めていく、こういうことでございます。 後半の、行政改革との関連からでございますが、行政改革に御協力申し上げなければならないという一面の命題も確かにございますけれども、しかしまた教育というものは国家百年の大計と言われますように、長い目盛りでやっぱり国民の将来こういうものが必要だ、またこういったことはぜひ整備しなければならぬということになりますと、やっぱりそれは皆様方の御理解をお願いをしてお認めをいただいていかなければならない、こういうふうに考えております。
○山東昭子君 大学設置審議会などの方針として私大の設置には大変厳しい抑制方針であると聞いておりますけれども、国立大学の学部をどんどんふやしていってよいのでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) これは先ほど申し上げましたように、やはり地域間に収容能力とか専門分野の格差が非常に目立ちますと、これはやっぱり教育の機会均等というような面からも努力をしたり、あるいは学校間格差をできるだけ是正していきたいという立場からもこれをやっぱりお認めいただきたいと思いますし、また特に医師などの計画的な養成ということになってまいりますと、これはやっぱり国立大学の方で責任を負わなければならぬのではないか、こういう判断等も働きましてこういう措置をとっておるわけでございます。
○山東昭子君 田中元総理の発案で無医大県解消計画が進められておりますけれども、現在までの進捗状況と今後の計画をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) この計画が始まりまして以来、いわゆる無医大県解消計画に基づいてできました医大は現在までに十二校完成をいたしておりまして、高知、佐賀、大分の三つの医大につきましては五十三年の四月から学生を受け入れる予定に相なっております。現在は福井、山梨、香川とこの三つの医科大学につきまして今年度も創設推進を引き続き行ってまいりますし、沖繩の琉球大学医学部につきましては今年度より創設準備に入りまして、現在それにいま申し上げました四つが加わるわけでございます。
○山東昭子君 大分大学などに大学院を設置するそうですが、現在の大学院の設置状況はどのようになっておりましょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 現在大学院を置いております大学は、昭和五十一年度におきまして二百十九校であります。これは全大学四百二十八校のうち五一・二%に当たります。このうち修士課程のみを置く大学は八十校、博士課程を置く大学は百三十九校でございます。
○山東昭子君 そうした大学院生の卒業後の就職状況をお伺いしたいんですが。
○政府委員(佐野文一郎君) 五十一年三月の修士課程を卒業いたしました者は八万三千三百四十九名でございますが、そのうち五五%が就職をし、二五%が進学をいたしております。また、博士課程を卒業した者は三万八十二名でございますが、そのうち六一%が就職をいたしております。なお、修士課程の就職者のうちの八六%、博士課程の就職者のうちの九四%が技術者あるいは教員等の専門的、技術的職業に従事をいたしております。
○山東昭子君 何ですか、このところ大学院浪人が何か多くなっているというような話も聞いておりますけれども、実態はどうなんでございましょうか。
○政府委員(佐野文一郎君) いわゆるオーバードクターと言われているものが御指摘のものでございますが、この定義は必ずしも明らかではございませんけれども、五十一年十二月現在で博士課程を修了をし、博士の学位を取得した者、あるいは所定の修業年限以上在学をして必要な単位は修得をしているけれども、まだ博士の学位を取得するに至らないで退学をした者、これらの者であって、現在なお定職につかずに大学院の研究室等において研究に引き続き取り組んでいるというふうな者を普通オーバードクターと申しますが、これらの者の数は、前の方の博士の学位を取得した者については五百十六名、学位の取得に至らないで退学した者でなお研究を継続している者が七百六十二名、合計千二百七十八名ということでございます。
○山東昭子君 そうした大学院浪人の原因は何かということと、今後の対策といったものをお伺いしたいんですけれども。
○政府委員(佐野文一郎君) いわゆるオーバードクターの問題でございますが、これは基本的にはわが国における研究者に対する需要と供給のバランスの問題がございます。しかし、これとあわせて、博士課程がいわゆる狭い意味における研究者、大学の教官というふうな者の養成ということだけでなくて、もっと広く社会の各方面に博士を終えた者が進出をしていくということが望ましいことであり、そういった方向に沿って大学における進路指導も行われてほしいし、また、社会の方でもそういう形で博士を出た者の受け入れということを考えていただきたい。そういったことを基本的には考えているわけでございます。 ただ、御指摘のように、オーバードクターの実態がございますから、博士課程の設置につきましては従来からかなり抑制をするという基本的な方針できております。その方針を今後どのようにしていくかということにつきましては、先般改正されました学校教育法によって新しい大学院のつくり方が認められたこととも関連をいたしましてむずかしい問題になっているわけでございますが、現在文部省の方で学識経験者の協力を求めまして、今後の博士課程の整備の方向というふうなものについて御検討いただいているところでもございますので、そういった御検討の結果を見ながら慎重に考えてまいりたいと思っております。
○山東昭子君 次に、大学入試センターについてお伺いしたいんですが、大学入試センターを設置することになった経緯をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 御承知のように、大学入学者の選抜方法につきましていろいろ社会的な議論があり、去る昭和四十六年に大学入試改善会議から共通学力テストの実施、あるいは調査書の活用、そういったこと等を内容とした今後の改善方策についての報告書が提出されました。以来、国立大学協会を中心として調査研究を重ねていただいたわけでありますが、この共通学力の検査の実施というものは、大学の入試制度の改善に役に立つという考え方でいろいろ努力を願い、そして、昭和五十四年度の入学者選抜から実施可能という結論を国立大学協会が取りまとめられたわけでございます。したがいまして、これらを実施等をする機関として入試センターが必要になってまいりますので、五十四年度の入学者の選抜から共通一次試験は行われるものでありますが、その準備や試行等もございますので今年度設置すると、こういうことをお願いしておるわけであります。
○山東昭子君 この中身なんでございますけれども、資格試験なのか、また、その措置をどの程度採用されるのかちょっと明らかでないので、具体的に何をするのか答えていただきたいと思います。
○政府委員(佐野文一郎君) 共通入試は、これは各国立大学が行います学力試験の一部分について、それを各大学がいわば共同をして実施をする。そのためにその実施の中心となる機関として大学入試センターを設置をしようというものでございます。これはそういう意味で資格試験ということではなくて、各大学が学力試験によって判定をしようとする生徒の能力のうちの、いわば高等学校における一般的あるいは基礎的な学習の達成度というものを、高校における必修科目を中心とした五教科、六ないし七科目によって判定をしよう。そして、それと各大学が行います二次試験の内容であるとか、あるいは面接あるいは調査書そういったものとの総合判断によって、より入試の改善を図ろうというそういう趣旨のものでございます。
○山東昭子君 一次試験のみの共通入試を行うということですが、この結果の利用方法は各大学でまちまちであると聞いております。一次試験の利用方法を、たとえば二次試験と半々の利用にするとか、ある程度統一するように文部省としては通達をお出しになるおつもりはないのでございましょうか。
○政府委員(佐野文一郎君) 一次と二次との場合に、それぞれをどのように各大学がいわば評価をするかということにつきましては、国大協の考え方もそうでございますし、私どももそうでございますが、これは各大学の自主的な判断に待とうということになっております。現在各国立大学では二次試験のあり方について共通一次の構想というものを前提として鋭意検討を進めておりますが、そういった中で一次と二次との取り扱いというものがそれぞれの大学について明らかにされてくるものと思います。現在までのところでは、もちろん個々具体的に私どもは承知をしているわけではございませんけれども、共通一次についてかなり高い評価と申しますか、あるいは重視をすると申しますか、そういった方向がそれぞれの大学において検討をされていると承知をしております。
○山東昭子君 ただ、一次試験の利用方法が明らかにされなければ、受験生にとってはさらに過重が加わることになると思うのでございますけれども、この点についてはどう考えていらっしゃいましょうか。
○政府委員(佐野文一郎君) 一次試験というのは先ほど申しましたような趣旨のものでございますから、二次試験あるいはその他の調査書、面接等との総合的な判断のもとに利用されてしかるべきものであり、また、そういうものとしてこれまで研究され検討されてきたものでございます。問題は、たとえば共通一次の成績によって大学がいわゆる予備選抜——足切りを行うというふうなことがございますと、そういったいろいろな資料を総合的に判断をして、より適切な選抜をしようという趣旨にもとるではないかという御指摘がございます。国大協の方でもそういう意味でいわゆる足切りと言われるものに一次の結果を利用するということはできるだけやめよう。万やむを得ない場合、つまり、受験生が殺到をして丁寧な入試ができないというふうな場合に限って三倍程度の足切りをすることもやむを得ないであろうけれども、それも極力控えるべきであるというふうな態度で国大協はガイドラインを示し対応しているわけでございます。私どももそういったことで一次の利用については考えてほしいと思っております。
○山東昭子君 現在の受験地獄を解消するために、二次試験についても共通にする必要があると思うのですけれども、いかがでしょうか。二次試験対策というものは。
○政府委員(佐野文一郎君) 二次試験というのは、先ほど申しましたように、第一次試験が高等学校における生徒の一般的基礎的な学習の到達度というものを見ようということに対しまして、各大学あるいは各学部の特性に応じて、そこに進学してくる生徒の適性能力を二次試験では見ようということでございます。したがって、学部の性質、学科の性質によってどういう形で二次試験をやるかということは変わってまいりますし、場合によっては学科試験を行わないで実技試験だけを行うという二次試験のあり方もございましょうし、あるいは課する科目につきましても文科系の場合と理科系の場合とでは異なってくるという場合もございますので、いわゆる二次試験を共通で実施をするということは現在は考えられておりません。ただ、二次試験の科目が従来と同じような状態でござますと、これは御指摘のように受験生にとっては過重な負担と相なりますので、国大協の方がガイドラインを示してできるだけ科目数を減らし、あるいは一次との重複を避けるというような配慮をしてそれぞれの学部、学科の特性に応じた二次のあり方というものの検討を求めているわけでございます。その検討が現在各大学で鋭意進められておりまして、それが明らかになってまいりますのはことしの七月かと存じます。
○山東昭子君 新自由クラブは法律を出してでも共通一次テストに私学を加えると言っておりますけれども、これではどうも私学の独自性を損なうんではないかと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 大学入学試験制度全体を何とか改善していこうということでございまして、私どももできれば国公私立全部が参加をしてもらうのが望ましいと、こう考えましてかねてからその方向で努力もしておるわけでございますけれども、しかし大学の自主性というものをやっぱり非常に大切にしていかなきゃなりませんし、物事がうまくいくかいかないかはやっぱり特に自主的にやろうという御意思、それからやったら必ずよくなるという自信がやっぱりないといけませんわけで、国立大学協会の方はそういったものをおまとめいただいた。公立大学協会の方も参加の意思を表明されたというわけでございますので、直ちにいま法律でもって私学も全部含めてしまうということは、私学も入ってもらいたいと願いつつもそういうやり方はまだ熟しておらないと、こう判断をいたしておりますので、今後私学の方ともよく協議、相談をして、自主性を損なわないようにするためにも、法律行為じゃなくて、むしろ話し合いで御相談をまとめていただきたいと、こう思っておるわけでございます。
○山東昭子君 それでは、受験地獄の問題に関連して現在の学校群制度についてちょっとお伺いしたいと思います。 中学受験のための塾が大変盛んになっているという背景には、東京都の場合現在の公立高校の学校群制度に問題があるんではないかと考えております。東大入学者の上位ランキングに私学が並んでいるということ。私学に入るために中学受験勉強していると言っても過言ではないと思います。公立高校も自分の好きなところを受験させることにしてはどうでしょうか。神奈川県はそのようにしているというようなことも聞いておりますけれども、東京都の学校群制度を廃止する通達を出すというお考えはおありにならないでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) これはやはり各都道府県の主体性を尊重して、各都道府県が自主的な御判断において適正な措置をされることが望ましいわけでございますので、いま直ちに学校群制度をやめろというような通達を出すことは考えておりません。
○山東昭子君 受験勉強、そして塾問題の背景の一つとして、公立の小中学校の教育の仕方に問題があるんではないかという声もあるわけですが、人間として温かみのある幅広い人間をつくるということは、教育上もちろんのことですけれども、どうも勉強したい生徒には十分勉強できるような体制をとることも必要ではないかと思います。新教育課程ではゆとりある教育ということを言っているわけでございますけれども、ゆとりある時間を勉強を希望する生徒には勉強に充てるようにしてはどうか、こんな母親たちの希望もあるようですけれども、そのところの御見解を伺いたいんですが。
○国務大臣(海部俊樹君) きょうまでのいろいろな小中学校教育に対する御批判の最大のものは、知育偏重、詰め込みではないか、そして徳育とか体育という方がおろそかになっておるのではないかというような角度からの御指摘もございましたし、また教育課程審議会において、各界の方々の御意見の総まとめもそういうところに結論が出てまいりまして、ただ、「ゆとりのある、しかも充実した学校生活」と、こうなっておりますあと半分の「充実した」という方がやや声が小さくなっておるようでありますが、ゆとりのある、しかも充実した学校生活を送るために学習指導要領の改定におきましても、基礎的、基本的なものに十分精選しようとこういうことをしておるわけでありまして、学校の場においてなるべく落ちこぼれや、落ちこぼしが、人によって早い遅いの差はどうしてもございますけれども、なるべく基礎的、基本的なことは身につけてもらいたいということで、教育課程の改定に当たっては精選をしておるわけでございますから、勉強するなというのでは決してございませんが、みんなが基礎的、基本的なことはきちんと身につけてもらうことが最も望ましい、そして調和のとれた成長をしてもらうことが望ましいと、こう考えておるわけです。
○山東昭子君 母親たちの中には、昔あった飛び級と言うんでございますか、ああいうものもひとつそうした能力のある子供たちには考えたらどうかというような声もあるようですけれども、その件に関してはいかがでございましょう、全然お考えになっていらっしゃいませんか。
○国務大臣(海部俊樹君) これはただいまのところ考えておりません。
○山東昭子君 それでは次に、本法律案の問題点の一つである定員問題についてお伺いしたいと思います。国立医科大学等の職員の定員を、総定員法から外して別途措置を講ずることとした理由をお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(辻敬一君) 国家公務員の定員の管理につきましては、昭和四十四年にいわゆる総定員法、行政機関の職員の定員に関する法律を制定いたしたわけでございます。そういたしまして、定員の総数の最高限度を定めまして、その枠内におきまして行政需要の消長に応ずる定員の機動的、弾力的な再配置を図って今日に至ったわけでございます。ところが昭和四十八年度以降文教政策上の重要施策といたしまして、先ほど御質疑がございましたいわゆる無医大県解消計画、これによりまして国立の医科大学等の創設が進められてまいったわけでございます。また大学改革の方針に即しました新構想大学の創設も進められてきたわけでございます。こういうことに伴いまして、定員需要が大幅に増大してまいる。そして先ほど申し上げました総定員法との枠の関係におきまして定員管理が厳しい状況に立ち至ったわけでございます。そこでこれらの新設の国立医科大学の定員管理について考えてみますと、第一に国家的な重要施策に基づくものと申しますか、いわばナショナルプロジェクト的なものでございます。 それから第二に、昭和四十四年に総定員法をつくりました当時には予想されなかった事態でございます。 それから第三に、教官を初めといたしまして多数の職員が必要でございます。医科大学一校つくりますと九百八十五名、約千名近い増員が必要でございますので、定員管理上きわめて特殊性があるわけでございます。そこで従来のように総定員法の枠内におきまして、既定の定員の再配置によって賄うということは必ずしも適切でないと判断をいたしたわけでございます。したがいまして、このような新設国立医科大学等の定員につきまして、当分の間の暫定措置として総定員法の最高限度には含まれない、その枠外とする、ということで国立学校設置法で定めさしていただきたいと考えておるわけでございまして、ただいま御審議をお願い申し上げている次第でございます。 なお、その他の職員、新設国立医科大学以外の非現業の職員の定員につきましては、引き続きまして先ほど申し上げました総定員法の最高限度の枠内において管理する、そして今後とも全体として定員管理を厳正にやってまいる、かような考え方であるわけでございます。
○山東昭子君 それでは、総定員法を改正せずに、なぜ国立学校設置法で措置するのか、その辺のところをお伺いしたいと思います。
○政府委員(辻敬一君) 総定員法につきましては、ただいま御審議をいただいております改正法の附則の五項におきまして行政機関の職員の定員に関する法律、つまり総定員法の一部を改正さしていただいておりまして、「国立学校設置法附則第三項の職員は、当分の間、第一条第一項の職員に含まないものとする。」という規定を入れさしていただいております。ただいまの御質問は、その総定員法の最高限度の枠を改正してふやしたらどうかというお話であろうかと考えるわけでございますが、現在の定員管理の法制におきまして、全部を総定員法の枠内でやっているわけではないわけでございます。たとえば、沖繩にあります国の行政機関の職員の定員につきましては、総定員法の枠外で措置をいたしております。また、厚生省の年金保険関係の、地方におります職員は、地方事務官といたしまして、やはり別枠で措置をいたしておるわけでございます。そういう例もございます。確かに、この点につきましてはいろいろと御意見のあるところであると存じます。総定員法の枠が厳しくなってまいりました事情が各省全体にまたがる理由であるような場合、つまり、文部省もふえてまいる、何々省もふえてまいるというような場合には、確かに総定員の最高限度を引き上げるということが自然であるかと思うのでございますが、先ほど申し上げましたように、総定員法の限度がきつくなってまいりました最大の理由はこの新設国立医科大学等の整備にあるわけでございます。そういう特殊な理由でございます。そこで、全体としては総定員法の枠を守りながら、新設の国立医科大学等につきましては、特例として枠外扱いをするという方が、定員管理のあり方といたしまして適当ではないか。また、ただいまのような厳しい社会経済情勢あるいは厳しい財政需要のもとにおきます対処の仕方といたしましても適当なものではなかろうかと考えまして、ただいまのような措置をお願いすることにいたした次第でございます。
○山東昭子君 この措置は臨時的なものでしょうか、それとも恒久的なものでしょうか。また、総定員法を改正するときに、国立学校設置法で措置した分を吸収なさるんでしょうか。
○政府委員(辻敬一君) 当分の間の暫定措置としてお願いを申し上げているわけでございます。新設の国立医科大学あるいは医学部について考えてみますと、現在の整備計画によりますと、学生を受け入れまして後、およそ六年ないし七年間にまたがりまして整備、それに伴います大幅な定員需要が続いてくるわけでございます。それから、先ほど御議論が出ましたように、無医大県の解消計画に基づきまして、今後新しく国立の医科大学を設置する構想もあるように承知をいたしております。それがどのようなテンポで進められるかは必ずしも現段階では明らかでないわけでございますので、ただいま何年間というふうに申し上げるわけにはいかないわけでございますが、いずれにいたしましても、当分の間の暫定措置でございます。 次の問題は、それでは新設の国立医科大学等の整備が一段落した場合においてどういうふうに措置するかというお尋ねであろうかと思うのでございますが、この整備が完了いたしました時点におきまして検討すべき問題であるわけでございまして、もちろん総定員法の枠を改めて枠内に戻すというのも一つの考え方ではございますが、定員管理全体のあり方とも関連をいたしますので、いろいろな角度からその時点におきまして十分慎重に検討いたしまして適切な結論を出したい、かように考えております。
○山東昭子君 特別の事情により定員を緊急に増加する必要が生じた場合、政令で定めることができるということになっておりますけれども、その特別の事情とはどんな場合でございましょうか。
○政府委員(辻敬一君) 医科大学等を創設をいたします際には、当面初年度分として必要な定員だけを措置をいたすわけでございます。それ以後、いわゆる学年進行に伴いまして毎年必要な定員増を行う、かような仕組みになっております。そこで、ただいま御審議をいただいております附則三項に定める数六千四百三十三人という数につきまして、五十三年度以降、毎年所要の増員を行うために改正をさしていただく必要があるわけでございます。新しく大学を創設しない場合におきましても、学年進行だけで必要な増員を行うわけでございます。その際、私どもから申し上げるのは大変恐縮でございますけれども、たとえば国会の解散でございますとか、あるいは何らかの事情によりまして改正法案の年度内成立がむずかしくなるという事態もあり得るわけでございます。こういうような場合には、学生は学年進行によりまして上の学年に進学をいたす、しかしこういう学生を指導すべき教官の定員措置は行われないということになりまして、教育の実施上、非常な重大な事態を生ずることも考え得るわけでございます。そこでこういう特別な事態に対処いたしますための特別な措置といたしまして、附則第四項の規定によりまして必要な定員を臨時的に政令で付加さしていただくことができることとしているわけでございます。もちろんこれはあくまでも例外的な措置でございますから、政令による措置は一年を限って行うということにいたしておるわけでございます。
○山東昭子君 毎年度、そういたしますと法律を提案することになるわけですけれども、三月三十一日までに成立しないときに、政令で増員するのはどのような内容のものでございましょうか。
○政府委員(辻敬一君) ただいまお尋ねのこの規定に基づきまして政令で措置をすることとなります定員は、学年進行等に伴います学生の教育を円滑に行うための教職員に限るという考え方でございます。したがいまして、新しい大学学部の設置に伴います所要の定員は、これはその大学学部の設置とあわせまして法律で定めさしていただく、かように考えております。
○山東昭子君 本日は国立学校設置法等の改正法案の審議ということなので、まだ時間はございますけれども、この辺で質問を終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。
○委員長(宮崎正雄君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。 —————————————
○委員長(宮崎正雄君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(宮崎正雄君) 御異議ないと認めます。 なお、日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(宮崎正雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時四十九分散会