物価等対策特別委員会 第4号
- 発言数
- 98 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1977/03/23
会議録
○委員長(世耕政隆君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。 当面の物価等対策樹立に関する調査を議題といたします。 前回の委員会において聴取いたしました物価対策の基本方針及び公正取引委員会の物価対策関係業務等に対し、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○福間知之君 私は、本日主として国際的、国内的な経済問題を中心に倉成大臣初め関係当局にお聞きをしたいと思うんですが、その前に、ちょうどいま御承知のとおり、日米間における貿易問題、具体的には対米テレビ輸出をめぐる問題がかなり深刻な様相を呈しつつございまするので、まず通産当局にお聞きをしたいと思うんですが、申すまでもなくテレビを初めラジオ、テープレコーダー、トランシーバーなどいわゆる家電機器につきましては、かねがね日米間におけるあつれきが見られたわけであります。で、今回は特にアメリカのITC、いわゆる国際貿易委員会が七四年の通商法六百三条に基づいて市場調査を行った結果として大幅な関税率の引き上げを大統領に勧告をするというに至ったと承知をしておるわけでありますが、まず正確なITC、アメリカ側の動きについてお聞きをしたいと思います。
○説明員(鈴木健君) お答え申し上げます。 米国国際貿易委員会——ITCと略称いたしておりますが、ITCはこのたび日本のカラーテレビにつきまして、日本及び各国からの輸入でございますが、輸入が米国の産業に被害を与えているという認定を行いました。また、カラーテレビにつきましてどのような対策をとるかということを委員会で協議をいたしまして、カラーテレビにつきましては六対ゼロの多数決をもちまして関税の引き上げを勧告いたしております。また、白黒テレビにつきましては三対三の同数で同じく関税の引き上げを勧告したわけでございまして、カラーテレビにつきます関税の引き上げ幅といたしましては、初年度及び第二年度につきまして、これまでの五%の関税を二〇%引き上げまして二五%にするということを勧告いたしております。また第三年度、四年度につきましては一五%の引き上げ、第五年度につきましては一〇%の引き上げを勧告いたしております。
○福間知之君 ただいまのようなきわめてドラスチックな関税率の引き上げということが仮に実現をされたとすると、これはわが国業界に与える影響はまことに甚大なものが予想されるわけでございますが、まあ、私は今回福田総理訪米に伴って、すでに昨日報道されましたように、カーター大統領の側からむしろ率直にこの問題についての日本側の善処方が要請されたと聞いているわけですけれども、唐突にいまITC、あるいはまた前段ではCOMPACTあたりがこの問題を出したのではないというふうに思いますし、いままで国内における関係業界はどのように対応策を講じてきたのか。また、通産当局としては、もちろん関係企業が自主的に対処することが第一義ではあるけれども、もう数年前からこれは問題視されてきたわけでありますので、しかるべき国としての、政府としてのやはり対応策が、あるいはまた誘導的な施策というものが業界に対してなされてきたと思うんですけれども、いかがですか。
○説明員(鈴木健君) ITCに対しまして米国の業界、これは米国の一部メーカーと労働組合、電子部品メーカー等で構成されております米国カラーテレビ産業保護委員会——COMPACTというものが結成されておりまして、これがITCに輸入救済を提訴をしたわけでございます。これは昨年の九月に行われたわけでございますが、そのころから米国内におきましてカラーテレビの輸入を問題視する動きが高まっていたことは、私どもといたしましても承知しておったところでございまして、重大な関心を持ちまして皆見守ってきたところでございます。わが国の業界としましても、そのような動きにかなり関心は持っておったわけでございまして、私どもといたしましては、特定の市場に特定の商品が集中して輸出されることがないように注意を喚起しておったわけでございます。 業界がこれまでどのような対応策をとってきたかということでございますが、これまで業界といたしましては技術開発に積極的に取り組みまして、この結果、わが国の電子産品は世界各国の中でもきわめて高い評価を受けるという状態にございまして、輸出も相当の規模に上っておる状況でございます。で、他方まあ日本の電子企業が、電子産品が高い競争力を持つというようなことになりましたので、日本の電子産品に対しまして警戒心を持つというものがあらわれてまいりまして、今回のアメリカにおける動きもその一環であるというふうに考えております。電子業界といたしましては、このような情勢を十分認識いたしておりまして、秩序ある輸出に心がけているというふうに私どもも考えておるわけでございます。今回のITCの勧告は、わが国からの輸出によってアメリカの業界に被害があったと、あるいは被害がなかったかということが争点になっておるわけでございまして、わが国の業界といたしましては、昨年の対米輸出の急増は一時的な要因もかなりあったということで、輸出は増加したわけでございますが、米国の産業界の生産、利益等も上昇しておるということを主張いたしまして、米国の産業には被害を与えていないというようなことを公聴会等で主張しておるわけでございます。 で、ここに至りまして日本側の主張にもかかわりませず、ITCは輸入によって被害があるという認定をいたしたわけでございまして、今後この勧告が行政府に上がりまして、大統領が勧告がありましてから二カ月以内に何らかの決定を下すということになるわけでございます。 で、今回のITC勧告は先生御指摘のとおり、非常に厳しいものでございまして、私どもといたしましても非常に残念に思っておるわけでございます。わが国といたしましては、勧告の詳細なレポートの到着を待ちまして対応策を検討することになるわけでございます炉、大統領が勧告を受けて六十日以内に決定するというわけでございますが、その六十日以内、大統領の決定以前におきましても米国側と接触を行うことによりまして事態の打開を図ってまいりたいと、このように考えておる次第でございます。
○福間知之君 いまの御説明で通産当局としての認識はわかりました。時間がございませんので、余り具体的に触れるわけにまいりませんが、私はこのエスケープクローズ——免責条項なるもの、まあ通商法の二百一条に基づくと言われるわけですけれども、いわゆるCOMPACTがそれに踏み切った。今回の関税率引き上げは必ずしもイコールそうではありませんけれども、エスケープクローズなどはまさに相互の通商上でのこれは宣戦布告に等しいと、こういうふうに思うわけですから、当然かなりの、言うならば覚悟をしなければいずこの国たりとも関係相手国に対してそのような強硬手段に出ることは、これは考えがたい問題なんです炉、しかし、今回はそれほどまでの決意でアメリカが日本からのテレビ輸出に対抗措置を講じようということなんです。したがって、その背景にひそんでいるアメリカ国内のテレビ産業、企業が受けている影響、さらにまた、このことはひいては関係企業における雇用労働者の問題にも発展をするわけでありまして、そういう面での何か具体的な被害といいますか、損害というものがあるのかどうか、私はこれが一番大きな問題だろうと思うんです。私が調べましたところによると具体的な名前を出して申し上げてもいいんですけれども、必ずしもそうじゃない。まず大ざっぱに言ってもこの台数が確かに昨年は一昨年あるいは一昨々年に比べまして急増をしていることは事実であります。しかし、問題はその台数だけではなくて、市場のニーズに見合ってその中身といいますか、機種ですね、そういうものの変化等もきわめて重要ではないかと思うんです。たとえば自動車におきましても同様な傾向がありまして、日本あるいは欧米の小型車がいわば省エネルギーという時代的な要請に見合ってアメリカにかなり輸出されているということともあわせて考えますと、テレビの場合も似たような事情がそこにある。加えて昨年は要するに建国二百年あるいはまた大統領選挙というふうな、言うならば一つのエポックメーキングな年でもあったというふうにも考えられますし、一概に台数だけで問題にされることはないはずであると、こういうふうに思います。したがって、その態様——中身というものの変化、もともとアメリカは大型が得意な国でございまして、日本の場合はむしろ中型から小型というのが得意な分野でありました。そういう点もあわせて考えてみなきゃならぬのじゃないかと思うんですけれども。
○説明員(鈴木健君) 先生御指摘のとおりでございまして、昨年日本のカラーテレビの対米輸出が大幅に伸びた裏には幾つかの原因があると考えております。 一つの基本的な問題といたしまして、先ほど申し上げましたように、日本のカラーテレビの技術力が向上いたしまして非常に品質のいいものができるようになりました。しかも、それが総体的に低廉な価格で供給できるようになったということがございますが、一時的な要因といたしまして、昨年米国におきまして景気の回復がかなり早く、他の国よりも急速な景気上昇があったということが大きく影響しておると思います。米国の景気が昨年そのように他の国よりも早く上昇したという裏には米国の二百年祭あるいは大統領選挙、またモントリオールのオリンピック等の要因があるわけでございまして、これら二百年祭、大統領選挙、オリンピックというようないろいろの行事はカラーテレビの需要を促進する、買いかえ需要を促進するというようなことにもなりますので、そういう一時的な要因のためにカラーテレビの需要がふえたということがかなり効いておるんじゃないかと思います。また、前年におきまして在庫が少なかったものが、需要の急増を見込みまして在庫投資が行われたというようなことも昨年の輸出増を促進したというようなこともあるわけでございます。そのほか先生の御指摘になりましたようなテレビの機種の変化というようなこともございます。これは従来コンソール型の大型テレビというのが米国におきましては主流であったわけでございますが、自動車と同じように小型化指向というのが進んできておりまして、十九インチ以下の小型分野の需要がコンソール型、大型のものに比べて相対的に大きくなってきたというのがございますが、日本はこういう小型の分野において競争力を持っておるわけでございまして、日本の得意とする分野の需要がふえたというのも昨年の需要増大にかなり貢献したのではないかというふうに考えるわけでございます。 したがいまして、そういったもろもろの要因を考えますと、一時的な原因というのはことし以下はなくなるわけでございますので、必ずしも昨年と同じように急増するということはなく、むしろ今年度以降は昨年以下になるのではないか、昨年と横ばい以下になるというふうに私どもは見ておるわけでございます。
○福間知之君 去年わが国からの輸出の台数が二・四、五倍になったということのようなんですけれども、それまでのたとえば一九七一年から七五年の五年間というものをとりまして、大体アメリカのテレビの輸入額というものは、アメリカ国内におけるシェア——占有率の中においては一五%からほぼ二〇%程度で安定をしておるように考えるわけであります。金額におきましても大体国内需要における八%から一〇%程度の金額だと、こういうふうに承知をしているんですけれども、しかも、先ほども少し触れておられたかと思うんですけれども、このITCに対して大変強い姿勢で日本からのテレビ輸入について規制措置を要求してきた当該アメリカテレビメーカーも実は具体的な被害らしいものは受けていないと。たとえばアメリカにおけるシェアの過半数を占めているところのRCAとかGEなどの企業は今回の提訴に参加していない、こういうふうに聞いておるわけですが、その点どうなのか。あるいはまたこれもまた有力メーカーなんですが、ゼニスなどは昨年日本からの輸入量がふえたと言われている時期においても、企業としての純利益は一月から九月までとってみると前年同期に比べて五〇%もふえているという事実、あるいはRCAにおける生産、販売利益等を見ましても、特にカラーテレビの業績に貢献している度合いというものは記録的に高い、こういうふうな事実があるわけでございます。したがってさらに、先ほど私が触れました雇用の問題にしましても、昨年のアメリカにおけるカラーテレビ産業の雇用は、おおむね二万七千七百人だと推定されているんですが、これは一九七一年より六%ふえている。あるいは六六年から七〇年の平均——これは二万七千三百人ですが、よりも少し多いぐらいである。したがって、昨年の雇用のネット減はないということであります。逆に前年比一〇%近くふえている、こういうふうな実情があるわけでございます。このことに間違いがないかどうか。また、そういう事情であるとするならば、なぜこれだけ強硬な関税率引き上げ等で対抗しようとしているのか、お伺いしたいと思います。
○説明員(鈴木健君) 先ほど申し上げましたように、米国業界が輸入テレビにつきましてITCに何らかの措置をとるように救済措置を求めたわけでございますが、この提訴者は、アメリカの一部メーカーと部品業界及び労働組合より構成されております。一方、RCA、GEのような大手メーカーはこのCOMPACTに入っておりませんで、ITCの今回の決定に対しても批判的であるということを聞いておるわけです。また先生御指摘のように、米国の主要企業であるゼニス社が昨年におきまして増収、増益になっておるということも報告を受けております。また、雇用につきましては、過去の傾向といたしましてテレビ業界における雇用が減少してきておるというのはございます。しかし、これにつきましては、米国のテレビ業界の雇用だけが減っておるということではなくて、日本におきましても同様にテレビ工場の従業員数というのは減少してきております。これは先生も御承知のように、技術革新が非常に進んでおりまして、部品の自動挿入機のようないろいろの自動機械が採用されることによりまして従業員が減るというような傾向がございますわけで、これは輸入が原因でそういうことになっておるんではないということが言えるんではないかと思います。また昨年におきましては、そのような傾向も生産の増加のために一時ストップしておるというような状況にございます。そのようなことで、COMPACTに加盟しております一部の中小テレビメーカーが主張しておることと米国のテレビ業界全体の姿というのは食い違っておるわけでございます。それで、COMPACTに加盟しておりますテレビメーカー、中小テレビメーカー等につきましては経営が苦しいというところがあるのは事実でございますが、これにつきましては日本からの輸入が急増した年以前におきましても経営が苦しい状態になっております。で、このような中小テレビメーカーが経営が苦しいという理由につきましては、米国内におけるRCA、ゼニス等の大手企業との競争の激化あるいは技術革新、その他石油ショック後の不況の影響等、いろいろの原因が考えられるわけでございますが、そのいずれにしましても日本からのテレビの輸入のためにそれら企業が経営が苦しくなったということは立証がむずかしいんではないかということで、日本側の代表は公聴会におきまして輸入のために米国のメーカーが被害を受けたというのはおかしいというような主張をいたしておるわけでございます。それにもかかわりませず、米国側といたしましては日本からのテレビの急増によって非常に被害を受けておるという主張をいたしておりまして、その辺の両方の主張は食い違っておるという状況でございます。ITCはそのような状況のもとに被害ありという認定を下し、被害の救済のために関税の引き上げを大統領に勧告したというのが現在までの実情でございます。
○福間知之君 具体的なことを長時間やっていることも、この場はないと思いますので、私はかつてヨーロッパにおけるベアリングの問題、これまだ続いてますけれども、さらに造船の問題、さらには欧米を通じて鉄鋼輸出をめぐる問題等、わが国の主要産業にかかわる重要商品、製品についてかなり厳しい輸出環境というものが現出をしてきているというふうに考えるわけであります。これはいまからお尋ねをしたい経済問題と絡んでまいるわけですけれども、今回のテレビ問題に関しましては私はぜひひとつ国内業界においても、単にアメリカ側の措置を非難するわが国側におけるそれなりの正当性というものをあげつらって言い合いをするだけではなくて、もはや問題は両国の国益にかかわるというふうな事態に発展をしていると思うんです。当然のこととして政治的な解決ということが、したがって考慮されなきゃならぬ、こういう事態かと思うわけであります。願わくはカーター大統領はこのITCの勧告をそのまま受け入れる、そして厳しい規制措置を実施するということのないように期待をしてますんですが、まあカーター大統領もいわばアメリカの労働組合の応分の支持を得て当選をかち取られたという経過もこれあり、楽観を許せないと思うわけであります。 先日、私は訪米間もない福田総理一行の中で園田官房長官に少しく時間を割いていただいてこの問題についての要請をしておいたわけであります。新聞報道以外に詳しい内容を帰国後お聞きをする約束を取りつけてますけれども、かねて私は議員になる前に実はこの種の問題に何回かタッチをした経験があるんです。で、アメリカ労働組合の全国大会にも乗り込みまして私は日本側を代表して見解を表明し、協力を要請するということなどもやった経験上、やはりこれは官民挙げてこの種問題については相互の真の利益は何なのかということを虚心坦懐に話し合いをしていくという姿勢がなければ問題はいつまでたっても解決しないだろうと思う。特にわが国のように貿易というものにかなり比重をかけなきゃ経済が成り立たないというお国柄からするならば当然のことでございまして、今後通産当局としても国内メーカーともどもオープンでこの問題は解決へ取り組んでいく。もはや一部経営者とか一部通産当局とかいうんじゃなくて、国民的なひとつ理解と認識を前提にしてオープンでこの問題に対処していく、こういうことにひとつ考え方を発展させていただかなきゃならない、こういうふうに思いますので、要請をしておきたいと思います。 引き続いて当面の経済関係の諸問題について御質問をいたしたいと思います。 まず倉成経企庁長官にお伺いをいたしたいと思います。先日承りました当委員会における経済問題を中心にした所信の御表明に対してでありますが、確かに昭和四十へ年のオイルショック以降三年余が経過するわけでありますが、その間経済のいわば調整の期間ともいうような時期を経過をしてきたわけであります。そして経済成長マイナスという事態から立ち直って、一方物価の狂乱的な上昇もいえましたし、国際収支の大幅な赤字というものも一応は解消する事態にこぎつけたと言われるわけであります。しかし長官がこの間述べられたように、しからば現状日本の経済は順調な推移をたどっておると、こういう判断が正しいのかどうか。特に昨年来景気の中だるみとか、あるいは本だるみなどの表現が使われるごとく、依然として回復への基調は弱々しいものでしかない。しかも、その回復というものが従来のような高度成長期における景気循環期の景気回復の様相とは違って、質的にかなり変貌を伴っていると、こういうふうに思うのですけれども、果たして今後まさに順調な回復への軌道に乗っているという見方でいいのかどうか、御所見を承ります。
○国務大臣(倉成正君) ただいま委員の仰せのとおり、国際的に見れば石油ショックが非常に大きかったにかかわらず、日本の経済は順調に来ておると思っております。それはただいまお申しのとおり、物価が二けたから一けたにとにかくなってきた。それからマイナス成長から六・七%成長を目指すまでになったということ。それから第三点は、国際収支の四十八年のマイナス百三十億ドルという大変な赤字から黒字均衡に入ってきたということが言えると思うわけでございます。しかしながら、やはり狂乱物価時、またオイルショック前後の事情から後遺症がまだ残っておるということは、やっぱり率直に申さなきゃならないと思います。その一つは、公共料金でございます。公共料金は、やはり狂乱物価時に非常に低く抑えました。これは国鉄あるいは電電あるいは電気料金その他かなり低く抑えたわけでございます。この公共料金を抑えたものの後始末がやはり五十一年度、さらに五十二年度にわたってしなければならないという問題があろうかと思います。 それからもう一つは、やはり四十七年ないし四十八年のころ、かなり将来の景気と申しますか、成長率がかなり高い水準で推移すると。具体的に申しますと、一〇%以上の実質成長するというような考えのもとに設備投資をしたり、人を雇ったりしている向きがある。したがって、減速経済下に入ってまいりますと、これは過剰設備あるいは過剰雇用という形で企業の重荷になっている。そういう問題があろうかと思うのでございます。したがって、その点は一方においては物価にあらわれ、一方においてはやはり企業の不況感になってあらわれる。したがって、マクロとして見ると、確かに少しずつ緩やかな景気の回復過程をたどっているけれども、業種別、企業別に見ますと、また地域別に見ますと、非常に不況感の強い業種がある。また不況感の強い地域があるというのが、今日の状況ではなかろうかと。したがいまして、景気循環的なものと構造的なものとが重なり合っているというのが今日の姿ではないか、そういうふうに思っております。
○福間知之君 その循環的なものと構造的なものが重なっているということでございます。特に私は、まず構造的なものについて吟味をする必要があるのではないか、こういうふうに思うわけであります。何と言いましてもその典型は、いわゆる石油価格の大幅な上昇ということによって構造的不況というものがあるいはその要因が顕現化された、そういうふうに思うわけであります。たとえばその結果として、これはきわめて卑近な話でございますが、このオイルショック以降のほぼ三年間の間に、わが国における企業の倒産件数は四万三千八百九十件という数字が出ております。月間倒産件数にしますと千社以上が十六カ月続いて倒産をしているということであります。その負債総額は六兆三千億円を上回っております。これは今日の株式の一部上場会社の利益総額のほぼ二・二倍に匹敵する額だと言われているわけですが、こういう事態を一つ見ましても、これはいままでの景気循環の過程では見られなかった現象だと思うんであります。また今後の経済のいわば展望の中におきましても、先ほど申した石油価格の暴騰、あの当時四倍、今日では四・八倍もの価格に上昇しているわけですけれども、これを国民経済の中で負担していくとするならば、毎年五兆五千億からの膨大な石油費用というものを国民が結局負担をしなきゃならない、こういうことにもなろうかと思うわけであります。 さらにまた、これまた先進国なべていま共通課題になっていますけれども、いわゆる公害を防止するために必要な技術的な、設備的な必要経費というもの、これも大体年間において一兆三千億円ぐらい負担をしていかなきゃならぬ、こういうふうに言われているわけでありますが、まさしくこれは過去における経済が抱えておった諸費用、諸負担にプラスしてかなり膨大な経費が必要である。しかも、経済成長は大きくダウンをして、かつての半分以下という成長水準にしか展望できないということになりますから、これ私は政府が福田総理初め、五十一年度五・七%の成長、来年度は六・七%ですかの成長ということをもくろんでおると言われても、果たしていま申したようなことを考えた場合にどうなのか。それに対応する国内的な施策があらゆる面で並行してとられなきゃならないと思うわけですけれども、全体としてのそういうこれからの展望というものについて、いま申し上げたような点ではいかがにお考えですか。
○国務大臣(倉成正君) ただいまのお話は、一つは物価の問題、一つは経済成長の問題ということではなかろうかと思うわけでありますが、物価に関しましては、いまお話しのように、これから先の物価を展望してまいりますと、海外要因、石油の値上げがすでにOPECが昨年の十二月にあるところは一〇%、あるところは五%、平均しても七、八%の値上げを実施いたしまして、これがそろそろ最近その影響が出つつあるわけでございます。これから先もまた石油の値上げあるいはその他の資源の値上げということを覚悟しておかなければならないと思います。こういう海外的な要因というのがこれから大きく響いてくると思います。同時に、ただいまも仰せになりましたような公害あるいは安全のコスト、この面からのコストアップ、それから低成長時代に入ってまいりまして、生産性の向上と見合った労働賃金ということであれば結構ですけれども、生産性を上回る賃金ということになりますと、これが賃金コストとして価格にはね返ってくる。こういうことから、やはり依然として物価上昇の要因がこれからも相当続いていくということが考えられるわけでございまして、需要面からの要因というのは、比較的現在の段階では稼働率が低い状況ですから低いわけでありますけれども、しかし、また一面稼働率の低いために企業としては固定費の費用が高くなるために価格で勝負をしようと、そういう企業行動というのが考えられてくるわけでありまして、そういう面からの価格上昇ということが一応予想されるわけでございます。これらのことを勘案しながら、物価の安定ということをこれから図っていかなければならないと考えておる次第でございますが、同時に経済成長の面から考えますと、五十一年度の経済成長は、当初五十一年の暦年の一−三月期というのがかなり高い成長を示してまいりましたけれども、これは一つは輸出が契機になりまして、個人消費その他の需要項目も伸びてまいったわけでありますが、夏ごろから御案内のとおり、中だるみ状況になってまいりまして、これは一つは世界景気の中だるみから輸出が鈍化してきたということもありますし、賃金、夏のボーナス等が低かった、あるいは夏が寒かったとか、冷害であるとかいうような面から、消費の面も非常に伸びが緩やかになってきた。また、政府支出が国鉄、電電の審議のおくれやあるいは地方財政の支出の停滞ということから政府支出が思うように出なかった、こういう要因から昨年の夏以降年末までの経済成長というのは非常に速度が緩やかなものでございまして、ことしに入りましてからは若干政府支出——住宅投資等が出てまいっておりますので、昨年の十−十二月よりは速度が速まっておると私ども認識しておりますけれども、しかし、それにしてもかつての高度成長の時代と比べますと非常に緩やかな速度に推移しているというのが現況ではなかろうか。しかし、五十一年度の政府の見通しであります五・七%の実質成長というのは達成できると私ども考えておるわけでございます。 したがって、五十二年度はどうかということになってまいりますと、五十二年度につきましては、五十一年度の非常に推進力になりました輸出、これは世界の貿易の環境から考えましても、OECDが輸入について推定をいたしておりますのが、世界の貿易が暦年で一九七六年、一三・五%伸びておりますけれども、七七年の暦年で六・二五%の伸び、約半分に減るということを推定いたしておりますので、したがって、わが国の輸出も当然五十一年度の見通しでは一九%台、約二〇%弱の伸びということで政府見通しはいたしておりますが、実際はこれよりも伸びるであろうということが予想されておるわけでありますが、五十二年度につきましては一二・一%程度の伸びということで、輸出の伸びもかなり減ってくる。その半面景気が若干出てまいりますと輸入はふえてくるであろう、こういう前提のもとで各需要項目を考えておるわけでございますけれども、設備投資、個人消費あるいは在庫投資、民間の住宅投資あるいは政府の財政支出等、それぞれの需要項目について検討いたした結果、六・七%程度の実質成長は可能である、そういう判断をいたしておるところでございます。
○福間知之君 私はもともと低成長論者では必ずしもないのですけれどもね。低成長がいいということを主張する意味でいろいろお聞きしているわけじゃないのですがね。さりとて高度成長論者、それに賛成かと言われると、それはいただけないと思っています。適度な、もちろん常識的な中ぐらいの成長ということなんですけれども、いま政府が示されている中期経済展望はそれに近いのですけれども、問題は私、いまもおっしゃいましたけれども、景気を刺激すれば、どうしてもわが国の物価構造から物価の高騰を招来するということが非常に難問なんでございまして、いま長官もおっしゃられたところですが、さりとて輸出の見通しだって、来年度は今年度の約半分強ぐらいの伸びしかない。先ほどのテレビ規制問題じゃありませんけれども、かなりこれは厳しくなってくる。一方、国内の需要を高めると言いましても、民間の設備投資等もまだまだ先行き見通しが不安定なために笛吹けど踊らないというのが現状でございますし、個人消費の水準にいたしましても、多少減税がふえたとは言っても、それは何がしかの需要の拡大につながるにしても、はかばかしい景気の上昇ということには結びつくものではない。そうしますと、一体ここで望ましい六、七%の成長というものを確実にするために一体どのような手だてがあるのか。一方において物価を抑制し、さらにまた一方において景気を拡大する、その過程で輸入を増大し、国際収支のいわば適切な水準の確保、非常にこれは私はむつかしい仕事だと思うのであります。 ちなみに、これはお聞きをしたいのですけれども、いままでの不況の過程、不況そのものが言うならば物価の騰貴、インフレーションによって加重されてきたということがありますが、と同時に、その不況の過程でそれを調整する手だてとしていろいろなことが行われてきたと思うわけであります。言うならば総需要の抑制という政策を柱にいたしまして、需要と供給のバランスをとってきたわけであります。一方、また各企業レベルでいうと価格とコストの調整といいますか、均衡化といいますか、そして企業収益の改善のための条件を整備してきたといいますか、さらに国際収支の均衡ということを一応は果たしてきたと思うのですけれどもね。それはそれとして、しかし、これからはいままでの調整過程における手段だけではやっていけないのじゃないか。すでに公定歩合の引き下げ、財政投融資、特に公共事業投資の拡大、また一方において幾ばくかの減税等々がなされていきましたけれども、来年度以降の国際的な一つの主要諸国の動向と絡んで、果たして政府の見通しというものは円滑に具体化できるものであろうかどうかということであります。
○国務大臣(倉成正君) 十年ほど前の日本の経済を振り返ってみますと、日本の経済政策というのはやはり国際収支という面で非常に大きな制約を受けておりました。それから十年たちました今日におきまして、まあ幸い、遠き将来のことは別といたしまして、ここしばらくの間、国際収支の面での経済政策の制約というのは、非常に現在のところ荷が軽くなっているというのが事実じゃなかろうかと思うわけでございます。したがいまして、これからの政策の重点として考えていく問題の一つは、やはり物価を安定させるということと、もう一つはやはり雇用という問題ではなかろうかと思っております。物価を安定しながら雇用を確保していく、失業者の出ないような社会をつくっていくということがこれから大事なことではなかろうかというふうに考えておるわけでありますが、当面の景気を回復さしていく手だてとして、私どもは六・七%の成長の際にわれわれが心がけることは、ただいま申しましたような物価の安定、雇用の確保という問題を念頭に置きながら、各需要項目がそれぞれバランスがとれるということが非常に大事なことであると考えております。そして、その政策手段としていま当面、われわれが考えておりますのは、やはり財政に期待をしているということでございます。この財政はもちろん総需要項目から見ますとそれほど大きなものではございませんけれども、私どもが今回の景気回復策の手段として五十二年度予算を編成いたしまして、経済見通しをつくります過程において考えていましたのは、国民経済計算の中の、政府支出の中の、いわゆる資本支出、国の一般会計の中の公共事業関係の費用、あるいは特別会計、公社公団等の部分、それから地方財政、また地方の公営企業、こういうものの中の公共事業に類するもの、それは重複している部分が補助金等でございますから、これを差し引いて、土地代を差し引くというのが、数字が資本支出として出てきておるわけでございます。もちろん在庫部分が若干入っておりますが、おおむね政府の固定資本の部分でございます。この資本支出が十八兆二千五百億という数字でございまして、五十一年度に比較しますと一五・九%の増加ということになっておるわけでございまして、これがかなり需要創出効果が大きいと、ここをてこにして、ひとつ他の需要項目か自律的な回復をしていくと、財政で、まあ野球でたとえますと、一塁打ぐらい打って一塁のベースに進んでおけば、後の打者が、民間の設備投資や個人消費が後の点数をかせいでもらうと、そして総体として六・七%を獲得していくと、こういう考え方に立っておるわけでございます。 もちろん財政だけがすべてではございません。金融政策もあるし、あるいは為替政策等も政策手段としてあるということは十分心得ておるつもりでございます。
○福間知之君 いま申されたように、財政支出による景気刺激ということを第一ラウンドとしてどうしても必要だとおっしゃるわけですが、私も、それは否定いたしません。 ところで、先ほど来もお話がありましたけれども、景気が回復すれば物価がどうしても刺激されてくるという問題と、それから国際収支なんです。確かに、いまはむしろ国際収支を赤字ぎみにしなきゃならぬという国際的な要請もこれあり、そういう方向をとるべきだと思うんですが、かつて十年あるいはそれ以上前まで常にそれが天井となって、日本の景気というものはうまくいかなかったという時代がありました。今日あるいは今後、先ほど来申し述べた国際的な経済環境からして、果たしてわが国の国際収支というものは、もちろんその年その年のGNP総体との関係がありますけれども、どの程度を維持することが望ましいと考えておるのか。 三つ目は、いまのお話で、財政の問題なんですが、いま御承知のとおり、中期経済計画からいっても、またそれに基づく大蔵省の税収入の中期見通しなどからいっても、膨大な一般会計における赤字国債の発行を余儀なくされるという、こういう試算が出されているのですが、そういう状況でもって財政投資をあがなっていかなきゃならぬというわが国の財政需要からするならば、いま長官がおっしゃられたように、果たしてそのことで物価への刺激影響もなく、また仕事量というものが予定どおりに確保され、雇用がふえ、民間支出、個人消費が拡大していくというふうに言えるのかどうか。 四つ目は、国際関係で特にいまの問題と関連して、西ドイツあたりはかなりわが国とは違うのではないのか。福田総理も先般来しばしば口にしている、アメリカでも発言されているようですけれども、カーター大統領が言うところの世界景気の三台の牽引車、機関車、その一台は日本なんだと、こういうことをおっしゃるんですが、私の知るところでは西ドイツの政府はこれにかなりの反発をいましておるということのようであります。財政面におきましても、実は先年度に対して今年度はその幅を圧縮するというような姿勢が打ち出されているやに聞くわけであります。その考え方の根底にあるのはインフレーションへの強い警戒であります。そういうことと比較考えますと、わが国の場合に景気と物価、さらには国際収支という問題はそういまおっしゃられたように、一直線でうまく一定のレールに乗るというふうには考えられないのですけれども、かなりそこに大きな摩擦というものを予想せずにはおれないわけです。
○国務大臣(倉成正君) わが国の国際収支を考えてまいりますと、貿易収支の面で考えますと、原材料をどうしても輸入しなきゃならない。特に、オイルショックの後におきまして、中東の諸国に対しては大幅な輸入超過、赤字になっていると、貿易の赤字が出てきているわけです。また、オーストラリア等の原料国に対しても大幅な赤字であると。したがって、その赤字をどこかでかせがなきゃいけないと、これがアメリカとECという形で出てきておるわけでございます。ところで、わが国のその貿易外収支を考えてまいりますと、構造的にこれは赤字になっておるわけでございまして、これはまあ船賃であるとか、保険料であるとか、ロイアルティーであるとか、そういうものでありますけれども、構造的に赤字であり、しかも、これはだんだん拡大の傾向にあるという状況でございます。 なお、今後のわが国の立場を考えてまいりますと、長期の資本収支の面については対外援助等で赤字に推移するということを考えていかなきゃならない。そういうことを勘案してまいりますと、われわれはやはりどうしても貿易外収支の構造的な赤字というのを何とか少しでも減らすことができないだろうかと、これはまあ非常にむずかしい問題が中に含まれておりますけれども、その努力をこれからしていくことも必要でございますし、また同時に、われわれはその資本収支の赤字ということを考えてまいりますと、貿易収支、貿易外収支合わせました、いわゆるまあそれに移転収支を合わせました経常収支で若干の黒字を出しまして、その黒字分で資本収支の赤字を補うという形が昭和五十五年の国際収支のバランス表ということになっておるわけでございます。昭和五十五年の貿易収支で百三十億ドルの黒字でございまして、それから貿易外及び移転収支で九十億ドルの赤字、経常収支で四十億ドルの黒字、そして長期資本収支が四十億ドルの赤字ということで、まあ基礎収支で大体均衡をとると、こういう形に昭和五十五年の国際収支で考えていると、こういう次第でございます。 それから、財政面から物価の問題が出てきやしないかというお話でございますけれども、御案内のとおり、現在は民間の設備投資が増えておりますので、民間の資金需要というのが必ずしも強くない状況であります。したがいまして、公債を発行しましても何とか貯蓄率が高い現況のもとではこの民間資金と政府の資金とが競合するということでございませんで、国債の消化あるいは地方債の消化というのが順調に行われているという状況でございます。しかし、将来国債がさらに累増していくと、また民間の資金需要が出てくるということになりますと、やはり政府資金と民間資金との競合、いわゆるクラウディングアウトというような問題も出てくる可能性がありますし、またそのことが通貨の増発という形でインフレーションを起こしてくる可能性があるということは十分われわれは考えておかなきゃならないことではなかろうかと思うわけでございます。しかし、御案内のとおり、いま社会資本を充実したり、福祉を充実するために欧米先進国と違ってわが国はどうしても財政に期待されている役割りが大きいものですから、だんだん財政支出はふえていく傾向にあるわけでございまして、行政改革その他いろいろやりましても、なおかつ財政支出は、これはこれからふえていく傾向にある。まあいわば折り返し点にいま進んでおるところでございます。欧米の方はまあ折り返し点から公的部門に余り資源を移し過ぎたので、民間部門に少し資源を移したらどうかという段階でございますけれども、日本の場合にはやはり公的な方にまだ資源を移していくとと。したがって、財政というのがだんだんふくれていく可能性があると。そのときに減速経済に入ったと、いわば財政支出は増大するにかかわらず、自然増収が望めない減速経済下に入ってきたと。したがって、財政に対する負担が非常に重くなってこれが赤字公債の増発という形、あるいは建設公債を大幅に出さなければいけないと、こういうことになっているというのが今日の姿でございます。したがって、財政の負担がどこまでたえ得るかという問題がこれからの経済運営にとって非常に大事なことの一つになるし、また、この節度を保ってまいらなければ、これはやはり物価騰貴につながるというふうに考えておるわけでございまして、先生の御指摘どおりの感じを私も持っておる次第でございます。 なお、西ドイツのお話がございましたけれども、西ドイツにおきましては、やはりインフレを抑えると、物価安定ということがちょうどアメリカにおける独禁法と同じような位置にあるわけでありまして、国民のコンセンサスが物価安定という点で労働組合を含めて全国民の一つの大きな国是になっておると。あらゆる政策に優先して物価を安定させる、インフレを抑えること。これは第一次大戦等におけるまあ非常に大きなインフレーションの教訓に学んだドイツの国民性と申さなければならないわけでございまして、これが一つ大きく響いている。それからもう一つ、産業政策から見ましても、ドイツはかなり工業製品を輸入しておるわけでございまして、かなり自信を持っているわけです、産業に。したがって、多少自国の産業が衰退することがあってもやむを得ないというくらいの意気込みで産業政策を進めておるという点があろうかと思いますし、また、為替政策を非常にうまく使っていると、そういうことで、わが国とは若干いろんな事情が異なっておるわけでございまして、まあカーター大統領の提案に対しましてやはりインフレという面で多少違った行き方をしたいということをドイツ政府が申しておるということを聞いておるような次第でございます。したがいまして、これから先、われわれはやはり景気がだんだん回復している過程において、国際収支の問題、先ほどは非常に問題を鋭角的に申し上げましたけれども、決して心配していないというわけではございませんし、やはり十分注意していかなければならない。まあかつてのような時代とは大分異なってきているということを申しておるわけでございますし、国際収支も注意していかなければならないし、また物価につきましても、今日の段階ではまあ稼動率が低い状況でありますから、物価がすぐ上昇するということは考えられませんけれども、しかし、どうしても景気が急激に上昇するということになりますと、需要の方が供給をオーバーしまして、やはりその部分から物価が上昇するということも考えられるのじゃなかろうかと思うわけでございます。この点は十分注意をしていかなければならないと思っております。
○福間知之君 少しまあ観点を変えまして、いまお話に出ていました、わが国の場合にはまだ財政による景気刺激というものにかなりの必要性、あるいはまた比重もかけなければならぬ、西ドイツ、アメリカとは少し違うんだ、こういうことでございますが、まあそのことは、これはまた多少議論のあるところでございますので、短時間では少し不十分ですからあれしまして、まあいま財政一つとりましても、経企庁が出された中期計画で、五十五年度には対国民所得比三%の税収増をもくろんでおられます。それは間違いないですね。——実はそれの中身をめぐって、これはまた大蔵委員会でこれからの大きな議論になるわけですけれども、結局、その公共的な投資というものを当分は続けていかなきゃならないわが国の社会状況からして、財政が一定水準にふくらんでいかなきゃならぬ、こういうことだと思うんですね、わかりやすく言うと。そうしますと、これは簡単に結論は出ないかもしれませんけれども、わが国のこれからの、たとえば五十五年度までの中期経済計画でGNPがこれこれになる、国民所得はこうこうだと一応試算されていますが、その中に占める財政の規模、ウェートというものはその望ましい姿としては大体どれくらいなのか。換言すれば、いまの財政というものは、いまの政府というものは財政の面で非常にこれは大きな政府なのか、小さい政府なのか、西ドイツのそれ、アメリカのそれ、イギリスのそれと比べてみて、わが国も経済大国の一つだと言われているんですが、じゃ、政府は国の経済の中でそのより大きな財政的なウエート、経済的な影響力というものを持っているかどうか。どの程度持っているのかどうか。私は、この財政をふくらましていく上で、この景気が回復して個人、法人の税収その他間接税が自然にどんどんふえていく時代なら別ですけれども、そうじゃなくって、かなり大幅な税制改革をも前提としなきゃならぬという時代ですから、特にこの点が国民的なコンセンサスを醸成していく上で非常に重要である。特に、昨年来政治に対する国民的な不信感を拡大してしまってきていますから、やはりこれからはそういう点で国民的なコンセンサスというものを常に図っていくという政策を併用しないといけない。国会はその意味で非常に重要な私は責任があると思っています。政府またしかりでありまして、この三%増税するという、実はその中身が問題なんですが、それはきょうの場合はさておくとして、果たしてその安い政府をわれわれ日本の国民は持っているのか、安過ぎる政府なのか、もう少し高くすることは不当ではないのか、そこからの判断が非常に大事だと思うんですが、お伺いしたい。
○国務大臣(倉成正君) 総体として申せば、非常に国民総支出の中における日本の財政支出というのは欧米の先進国に比べて小さいということは言えると思います。昭和五十五年で大体政府は財貨サービスの経常購入というのは、実質で、構成比で八%、固定資本が実質で十カ四分の一ということになっておるわけでございます。このほか移転支出がございまして、全部で三割ぐらいですね、大体。全体で三割程度になろうかと思うわけでございます。西ドイツやアメリカの点、細かい数字いま持ってきておりませんので、もし計画局長、わかればお答えしたいと思います。
○政府委員(喜多村治雄君) 一般政府の総支出でございますけれども、国民総生産比を申し上げます。西ドイツにつきましては四一・七%でございますが、国防費を除きまして三八・六%、イギリスは全部で四四・二%でありますが、国防費を除きますれば三九・一、アメリカが同じく三〇・八に対しまして国防費を除きますと二四・九、こういうことでございます。
○福間知之君 時間が参りましたので、とどめたいと思いますが、私の認識は、最近一部の厳しい見方をする専門家が言っているように、かなりわが国の経済の前途というものについてはいままでとは違った背景変化と条件変化というものを前提にして考えなければいけないんじゃないか、こういうふうな感じがするわけです。たとえば、先ほどの貿易問題一つとりましても、長官がいま触れられましたけれども、資本収支、経常収支両面にわたって考えなきゃならぬわけですね。テレビの輸出じゃ、鉄鋼の輸出じゃ、造船の輸出じゃという物の輸出だけではいかぬということですね。さらに技術の輸出というようなこと、頭脳の輸出というようなこと、まあ広い意味でそういうことも考えていかなければ国際収支の長期な展望としてはこれは問題が絶えないと、こういう気がするわけです。しからば、そういう物以外の輸出でかせぐということの力量がそう急にわが国でつくかというと、これまた問題が山ほどあるわけでありまして、総じて、外貨をどうしても一定水準必要とするわが国は、また、それなくしては資源、エネルギー、原材料買えないと。したがって、そうなれば産業は成り立たないわけですから、これをどうやって円滑に持続的にやっていくかということについて、ひとり経企庁のみならず、通商産業あるいはまた外交、国を挙げた言わば経済、防衛、安定、発展という目標に向かった三位一体の努力がなされなきゃならない、こういうふうな気がするわけでありまして、今後国会におきましても折に触れてこの種の議論をやっぱりお互いが日に日に取り交わしていって認識を深めなきゃならぬのじゃないか。特に私ども野党の立場では、いままでこういう点について率直な政府なり関係当局と意見を交換し合うという場面が比較的に少なかったと思うんであります。したがって、そういう点を打ち破っていくためにも、私は当委員会を通じて、一つの希望を持っておりますので、今後ともひとつ真剣にこの話し合いをしていきたい。 ちょっと、きょう私所用がございまして中途退座いたしますけれども、これで私の質問を終えたいと思います。
○塩出啓典君 それでは、まず最初に石油ショック後の三年間の調整過程についての政府の評価についてお尋ねをしたいと思います。 福田総理が経企庁長官であった昨年十月の衆議院物特委員会における所信表明で、政府は三年前の石油危機発生に伴う異常な物価上昇と厳しい不況からの脱出という二つの課題を達成し、わが国経済を新しい成長路線に乗せるために、おおむね三カ年という調整期間を念頭に置いて経済の運営に当たってきたと、このように述べておけるわけでありますが、この三月でこの三年間が終わるわけであります。先ほどからお話がありましたように、狂乱物価、そういうものは安定、一けた台にきたと、あるいはまたゼロ成長からは脱出できた、国際収支は何とか改善できたと、まあそういうようなお話でありましたけれども、しかし、その内容を見れば、実際は国民の可処分所得というものはマイナスであると、あるいはまた国の財政は二年続きで三割の借金。その借金は結局は国民が負担をしていかなければならないわけでありますが、まあそういう点を考えるときに、長官は先日の所信表明においても比較的先進諸国の中では順調な推移をたどっておると、このように自画自賛と申しますか、そのように述べておるわけであります。われわれはそういう点、まだまだこれからじゃないか。本当の調整期間というものは問題は解決してないんじゃないか、このような感じを持つわけでありますが、それについての経済企画庁長官としての評価、それを最初にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(倉成正君) 三カ年の調整期間が終わってもまだ問題が残っているじゃないかという端的なお尋ねのようでございますけれども、先ほども福間委員にお答え申し上げましたとおり、まだいろいろな問題があることは事実でございます。ただ、私どもが国際的に見ると、石油ショックからの日本の立ち直りはきわめて順調であった、巧みであったということを申しましたのは、日本が申しているだけではなくして、やはり世界的に認められていることでございます。これはもうすでにOECDその他の会議においてもそうでございますし、今回の福田総理とカーター大統領との会談もそうでございますし、これから行われますヨーロッパにおける先進首脳国の会議もまたそういう認識のもとで行われるわけでございまして、決して私どもだけが自画自賛しているのじゃなくて、国際的に見てそういう評価であるということを御理解いただきたいと思います。しかし、企業倒産の水準が高い、あるいは雇用情勢が必ずしもはかばかしくない、企業間、業種間、企業別の格差が非常に激しいと、地域別の格差がいろいろあるという点については率直に今日の段階、まだ多くの問題があるということは認めたいと思います。
○塩出啓典君 まあ私は国際的にそのように評価はされたにしても、それは表面的にどんどん日本の製品が外国へ輸出をしておると、そういう姿を見れば、あるいはそういう評価も出てくるかもしれませんけれども、しかし実際に日本のいまの経済の実態というものを見るときに、われわれも非常に心配をするわけですね。たとえばよく西ドイツ、アメリカ、日本と、こういうものは優等生のように言われていますが、しかし、物価の上昇を見ても、日本は西ドイツやアメリカよりは非常に高い、倍ぐらい高い。また国内の経済成長というものも、先ほども話がありましたように、公共投資に依存をしてきた。これは言うなれば財政によってきたわけですね。結局それは国にそういう財政力があって経済成長を保ってきたんではなしに、借金をして経済成長を何とか高めてきておるわけですから、そういうしかも、借金というものは、いわゆる赤字国債も出さなければならない。そうしてその国債の負担は後世の国民が徐々に負担をしていかなくちゃならない。そういう点を考えるときに、経済成長も今年度五・六%ですか、達成できたにしても、言うなれば国民の犠牲のもとにそういう表面だけはつくろわれておるだけであって、もっと本質的な構造改革というものは今後に残されておるわけでありまして、それは非常に大変な問題である、私はそのように考えるわけでありますが、その点についての御意見を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(倉成正君) 世界の先進国の中で比較的優等生と言われておる国、ただいまお挙げになりましたようにアメリカと西ドイツと日本でございます。この三カ国をとりましても、それぞれの項目で若干の相違があるわけでございます。たとえば成長率をとりますと、日本が最高の成長率でございます。六・七%の成長をわれわれは達成できると思っておりますが、六・七%というのは、アメリカはカーターさんが五・四と言っておりますが、なかなかこれも簡単ではない。西ドイツでは五%前後ということで、これらの世界の優等生と比べても成長率は非常に高い。それから失業率、日本は二%前後の失業率。非常に雇用情勢芳しくないと言いながらも失業——これはまあ終身雇用という制度がありますけれども、しかし、少なくとも失業者がちまたに出てない。アメリカは御承知のとおり、失業者につきましては七六年で七・七%、七百数十万の失業者がある。西ドイツはやはり七六年にとりましても四・六%ということで、人口が日本の半分以下でございますから、大体日本の二倍以上の失業者がある。物価の点についても、卸売物価はそれほど大きな相違はございません。アメリカが四・六、西ドイツが三・九、日本がその時点の七六年で五・五ということですから、卸売物価はそう大きな相違はない。消費者物価については、先ほど申しましたように、西ドイツは特に消費者物価の安定について国民的なコンセンサスができておる。この点については日本は一歩譲るということはもう率直に認めなければならないと思うわけでありますから、全体として判断する必要があるんじゃなかろうかと思うので、私は日本の経済運営、決して自画自賛するつもりはございませんけれども、かなり国民の御協力を得てうまくいっていると思うんです。ただ、御指摘の財政の面で、こういう借金財政というのは一日も早く脱却しなきゃならないという御指摘であれば、これはまあ率直に私もそうなければならないと思っておるわけでございます。しかし、御案内のとおり、非常に景気が落ち込んできておる際にかつてのような不況を避けようとすれば、財政の与えられた役割り、フィスカルポリシーとして財政を活用していくというのは近代国家として私は当然やるべき手段ではなかろうかと思っておるわけでございます。決してこれが国民の犠牲において行われているという評価は当たらないと思うのでございます。
○塩出啓典君 先ほど福間委員の質問に対する御答弁の中で、後遺症としていわゆる公共料金の問題、これが公共料金をずっと抑えてきたために、まだいわゆる新価格体系への移行が進んでいない。それともう一つは、過剰設備、過剰雇用の問題、こういう二つが後遺症としてあると、こういうお話でござがましたが、こういう問題は今後どういう形で解決をされていくのか。大体公共料金のいわゆる新価格体系への移行というものはまだ大分残っているのか。詳しい問題は後で聞きますけれども、一般的な話として。
○国務大臣(倉成正君) 物価局長から、それじゃ新価格体系というお話が出ましたので、お答えいたしたいと思います。
○政府委員(藤井直樹君) 石油危機以後の物価の上昇に際しまして、民間部門の原材料、製品等についての価格につきましては、私どもといたしましては五十一年の初めのころに新価格体系に、いわゆるその新価格体系と申しますのが、石油危機以後の物価上昇を反映したそれぞれの価格ということでありますれば、そういう形で進んだものと思っております。ただ、公共料金につきましては、御承知のように狂乱物価の際に、全体の物価を抑制するということで、公共料金を抑えるということを大きな課題として進めたものでございますから、非常にコストの上昇に見合った形での価格体系というものがおくれているということでございます。それにつきましては、昨年来価格の改定を行っているわけでございますが、まだその各公共企業体の事業につきまして、事業の運営が十分に行えるような形での価格というものが実現されていないものがございますので、まだ私どもとしては、公共料金に関しましては先ほど申し上げましたような意味での新価格体系への移行というのはまだ済んでないと思っております。
○塩出啓典君 長官は先般のいわゆる所信表明、これは本会議の所信表明の中で、一つには省エネルギー、省資源の時代を迎えている、こういう話をされたと思います。これは福田総理大臣もたびたびそういうことを言っておるわけですね。しかし、一方においては景気のより着実な持続的発展もしていかなくちゃいけない。まあしかし、その省資源、省エネルギーということは、これは言うなれば資源をできるだけ節約をしていくということですから、そこにはこれは問題は相反する問題なんですね。そういう中で、省資源、省エネルギーも成し、やはり景気の着実な前進もしていかなくてはならない。これは非常に私はむずかしい問題じゃないかと思うんでありますが、これは長官が演説の中で述べておる言葉でございますので、その内容というのは一体どういうことを考えておるのか。それらのお話を伺いたいと思います。
○国務大臣(倉成正君) 日本の一九六〇年代のエネルギーの消費率というのは、年間に一三・二%でございます。GNPがその当時年率一一・五%でございますから、エネルギーの弾性値が一・一五だというふうにわれわれ見ておるわけでございます。したがって、現在のままの産業構造でGNPを伸ばしていけば、当然エネルギーというのはかなり経済成長以上に伸びていくという感じが出てくるわけでございます。しかし、だんだん産業構造もこれから省エネルギーということで多消費の産業のウエートをだんだん落としていくと。そして、まあエネルギー消費量が少ない産業構造にだんだん移していくということが長期的に見て非常に必要なことの一つでございますし、また同じ産業構造でありましても、エネルギーの消費を減らすような工夫をしていく、こういうことが産業部門では必要なことになろうかと思います。そのほか民生部門のエネルギーの節約あるいは輸送部門の節約というのがあろうかと思うわけでありまして、昭和六十年のエネルギーをとりましても、エネルギー消費節約率の九・四%のエネルギーの節約率を考えておりまして、これは大体まあ八千万キロリッターに当たるわけでございまして、そういう形で産業構造の転換あるいは省エネルギーという努力ということでエネルギーの節約がかなりできるんじゃなかろうかというふうに考えておるわけであります。これは現に石油ショック後日本の経済成長——一時期は経済成長落ちましたけれども、その後順調に経済成長が伸びてきておる、非常に緩やかでありますが、伸びておる。にもかかわらず、エネルギーの輸入量というものはふえていないわけです、それほど。ということを考えただけでもかなり産業においてエネルギーの節約が行われたと、かなりいろいろ工夫して行われたということは言えると思うわけでございます。各企業の細かいデータは通産省でも御説明していただいた方がいいんじゃなかろうかと思いますが、かなり各企業間で努力をされたと、その成果が出ておるというふうにわれわれは思っております。したがって、これをもう少し組織的に行っていくことがこれから必要ではなかろうかと思う次第でございます。
○塩出啓典君 いまいわゆるエネルギーの国民総生産に対するいわゆる弾性値をもっと下げるように、そういうことが経済演説の中で倉成長官が述べているいわゆる産業構造の転換と、そういうものを指しておるんだと、このように理解をしていいわけですか。
○国務大臣(倉成正君) さようでございます。
○塩出啓典君 まあ確かにそういうことは私必要であると思います。で、二月も経済企画庁が音頭を取って省エネルギー月間というものが行われたようでありますが、また先ほど今日までかなりのエネルギーが節約が行われてきておる。また昭和六十年までに九・四%の節約をするという政府のエネルギーの計画もあるわけでありますが、まあしかし、現実にそういういまのような状態で果たしていいのかどうか。言うなれば省エネルギーというものは、実際やっていくのは各省がやっていくわけでありますが、経済企画庁長官としていまのような体制では非常に不十分であると思っていないのかどうか。たとえばいま輸送におけるエネルギーの節約というお話がありましたね。それは確かに一つのものを運搬していくのに、飛行機で運搬する場合、車で運搬する場合、船で運搬する場合、あるいは汽車で運搬する場合、あるいは人間を運搬するのもマイカーで運搬する場合とバスで運搬する場合、どうしても大量輸送機関というものがエネルギーを節約するわけでありまして、しかし、実際はいま日本の国で一番景気がいいのは自動車産業でありましてね。これは自動車というのは本当はエネルギー一番食うわけですね。将来はやっぱりむしろ大量輸送機関の方を整備をして、そうして国鉄とか、そういうものを整備して、そうしてその自動車の伸びというものを非常に抑えていかなければいけないのではないか、こういうようなことも当然考えなければならないのではないかと思うのでありますが、現実は反対の方向に、国鉄の方はどんどんお客が減ってきて、実際はそのエネルギー節約とは反対の方向に行っている面もあるわけでありましてね。そういう点についてはどう考えるのか。いまの非常ないわゆるエネルギー弾性値を下げるための政府の施策として、もうちょっと強力な組織的なものが必要であるということを認めるのかどうか。これは本題でありませんので。
○国務大臣(倉成正君) 産業構造の転換ということは口では言うのはやさしいけれども、現実にこれを行っていくということはなかなかむずかしいことであるということは私も十分承知をいたしております。したがいまして、産業構造については通産省の方におきましてもいろいろ検討していただいております。また、民間においてもいろいろ産業構造の問題についての検討が行われているところでございます。したがいまして、こういうものを踏まえまして、やはり産業構造が省エネルギー、省資源という形に転換していくような、やはり誘導的な政策を政府としてもこれから積極的にさらに取り組んでいかなきゃならないという点は、先生の御指摘のとおりでございます。 それから輸送の面の省エネルギーの問題、これは総合交通体系の問題にも絡んでくるわけであろうかと思いますが、率直に申しまして、総合交通体系を省エネルギーという見地からいかにあるべきかという青写真は抽象的なものはございますけれども、少し掘り下げたものはまだ十分でき上がっていないというのが現況でございます。したがって、これはやはり当然これから取り組むべき課題と心得ておりますので、積極的にこの問題も取り組んでまいりたいと思います。 なお、国民生活における省エネルギーという問題で、やはりどうしても国民の理解と協力を得る必要があるということで、先般全国の集会を開いたわけでございまして、ちょうど私は国会の都合で出席できませんでしたけれども、国民生活局長がその席に臨んでおりますので、そのときの出ました意見なり、模様なりを御報告いたしたいと思います。
○政府委員(井川博君) 去る二月二十一日に中央、地方を含めましての省エネルギー、省資源の全国大会が開かれたわけでございますが、そこでは特に民間のそれぞれの中央、地方の代表者の方々の意見が出てまいったわけでございます。各種の意見が出たわけでございますが、基本的に問題になりましたのは、やはり省資源、省エネルギーという問題はきわめて長期の問題である。もちろん毎日毎日の実践が必要ではございますけれども、大きい立場からきわめて長期に努力をしていかないとだめだ、こういう議論が出たわけでございます。と申しますのは、現在、先生も御承知のように、オイルショック以後国民の中に節約意識というものが非常に芽生えてきた。しかし、生活パターンとしてまだ定着するところまではいっていない。そのためには政府もあるいは民間団体も協力してこれを大いに定着さしていかなければならない、こういう議論が大いに出たわけであります。と同時に、産業等に対しましては先生もおっしゃいましたような産業構造を省資源化すると同時に、製品自体が長持ちのする省資源時代にふさわしいような製品をつくっていってもらおう、こういう要望が出ました。 それからもう一つ、行政と産業と消費者を結ぶ問題として廃棄物問題があるわけでございますれども、この廃棄物の再資源化というのは、その一つの協力が抜けてもできない。したがいまして、再資源化のためのメーカーあるいは回収業者、それからまた行政関係、そうして家庭関係、協力をしてやっていかなくちゃならないけれども、これもきわめて大きい問題なので、逐次検討を進めていこうということでございまして、きわめて熱心な態度でございますが、やり方といたしましては、きわめて長期の問題、じっくりと腰を構えてやろうというのが結論でございます。
○塩出啓典君 ひとつこの問題は経済企画庁のみならず、政府全体として取り組んでいく問題でございまして、また先ほど国民生活局長からお話がありましたように、非常に長期にわたる問題で、それだけに一つの方向というものは早く立てなければいけない問題じゃないかと思います。昔はわれわれの食べて出した屎尿が肥料に使われてそれが循環しておったわけでありますが、それはいま海に流されて石油から出た化学肥料をどんどん使っておる。そうような点、あるいは昔は石けん、粉石けんであったのがだんだんいわゆる洗剤を使うようになってきた。こういうような点も今後長い将来にたったらどうするか、そういうようないろいろな問題があるんじゃないかと思います。したがって、この問題はまた別な機会にいろいろわれわれも主張もしていきたいと思いますので、経済企画庁としてもそういう点にもひとつ配慮をして各省のリーダー的役割りをして、そういう方向への転換——転換はすぐにはできませんけれども、この方向で行けば五十年後、百年後転換できるのだという、そういう一つの方向性を見出さなければ私は本当の調整期間が終わったのだとは言えないんじゃないだろうか。そういう意味でひとつ今後の御努力を心からお願いするわけであります。 それともう一つ、どうしても不況対策のためには公共投資、それには財源が要るわけでありまして、大蔵省としても昭和六十年、五十五年までには赤字国債をなくする、そうなってくると、かなり税の負担がふえてくるわけですね。昔は少々値段を上げても消費は追いついてきておったわけでありますが、最近はもう国鉄のグリーン列車にしても値段を上げると途端に需要が減ってくる。高くなると国民が買わない、買わなければ結局景気は回復しない、こういうふうな問題も非常に一つの矛盾点、こっちを立てればこっちが立たず、こういう問題があるわけでありまして、それについてはどのように考えておられますか。それも概論的なお話で。
○国務大臣(倉成正君) 非常に抽象的なお答えになろうかと思いますけれども、現在の個人消費が若干停滞している原因はいろいろ耐久消費財が一巡したというようなこともあろうかと思いますけれども、やはり一つは物価がもう少し落ちついてくれば消費がふえてくるんじゃなかろうか、そういう面があろうかと思うわけでありまして、やはり個人消費の一つの刺激というか、物価を安定させることが非常に大事であるということを私どもとしては考えておる次第でございます。
○塩出啓典君 それでは五十一年度のGNPの見通しにつきましては大体五・七%というものはほぼ達成はできる。このようにわれわれも聞いておるわけでありますが、しかし、その内容においては数字はあっても実際は経済の見通しとしては非常に誤っておったんではないか。というのは、いわゆる一−三月の実質GNPで三・二%という著しい伸び、これは輸出に先導されたわけでありますが、本来ならば年度後半以降の経済の自律的な回復、加速というものが前提となって最初は五・六%という目標が達成できる、このように私は政府は考えておったんではないかと思うわけであります。そういう点から考えますと、結果的には年度間の実質経済成長率は目標を達成したけれども、その内容においては必ずしも政府の思惑どおりにはいってなかったんではないか。この点についてはどうでしょうか。
○国務大臣(倉成正君) 御指摘のとおり、五十一年度の経済成長実質五・七%は私ども達成できると思いますけれども、中の需要項目、個人消費支出であるとか、民間設備投資、あるいは住宅投資、あるいは輸出等この需要項目の変動は確かに御指摘のとおりあったと思います。その内で輸出が思ったより好調であったということも率直に認めたいと思います。しかし、経済は生き物でございますから、やはりある程度出入りがこう出てくるのはやむを得ないんじゃなかろうかと思っておる次第でございます。 それからもう一つ、前半が非常に昨年成長が高かったと、後半の伸びが非常に緩やかであったという点も御指摘の点はそのとおりでございますけれども、しかし、後半緩やかであっても高い水準でずっと推移をしているということを御認識いただきたいと思うわけでありまして、やっぱり経済の成長というのは前の年の水準と、それからその次の年の水準、水準と水準を比較するわけでございますから、高い水準でこうなだらかな成長をしているわけでございますから、実質五・七%の成長を文字どおり達成できるというふうに御理解をいただきたいわけでございます。
○塩出啓典君 五十二年度の経済の目標につきましては、政府は十分可能であると、こういう見方をずっと衆議院の予算委員会あるいは衆参の本会議等においてもとってきておるわけでありますが、しかし、最近のいろんな経済調査あるいはいろいろ新聞等で報道される情勢から見まして、われわれとしても五十二年度のいわゆる六・七%という経済成長というものは非常にむずかしいんではないか。財界の人たちの言っていることは、われわれも直接聞いたわけではありませんが、政府の認識は非常に甘いと、こういうようなことを率直に言っておる記事を見るわけでありますが、あの人たちはあの人なりの言い方があるわけで、必ずしもそれが真実であるとは思いませんけれども、そのあたりの感触と申しますか、衆議院で本会議の代表質問があったときからもうかなり期間がたっているわけでありますが、ちょっとやはりむずかしい方向に情勢はなってきておるんではないか。大変だなという、そういう感じをわれわれは持っておるんですが、その点長官としてはどういう認識をされておられますか。
○国務大臣(倉成正君) 確かに民間のいろいろな設備投資の見通しについて、若干政府よりも低目の見通しをしている調査があることもよく承知をいたしております。ただ、御理解いただきたいのは、この調査というのは全産業を網羅しているわけではございません。全産業と申しますか、全企業を網羅しているわけではございません。大体全体の三分の一強、三割から四割弱というのが大体のカバー率でございます。したがいまして、いま製造業で見ますと、一番その横綱であります鉄鋼がある程度設備投資が完成しまして、ちょっと一服をしている。また、稼働率が低いということもございまして、鉄鋼は五十二年度かなり減るだろうと、横綱が非常に落ち込むということもございまして、やはり製造業に関する限りは全体として非常に弱気の見通しが強い。非製造業の方、これは一番中心にありますのは電力でありますけれども、電力はやはりかなり来年度も伸びていくであろうと。また、流通関係、卸、小売、そういうもの、あるいは中小企業というものがかなり、一つとしてとりますとそれほど大きなものではございませんけれども、全体寄せ集めますとかなりの量になるというふうにわれわれ考えておるわけでございまして、企業家の心理というのも非常に揺れ動いておりまして、ある場合には非常に高く見、ある場合には低く見るということがあるものですから、やはりいま企業家は非常に景気の先行きについて心理的な影響が非常に大きく出ておるのが現状じゃなかろうかと思います。したがって、先ほど三月の十一日に政府が四項目の景気対策を発表いたしたわけでありますが、五十二年度の予算が成立したら前倒しでとにかく予算を執行する、七〇%の契約を上期に集中する、また住宅についても個人住宅について九万戸を四月中に行う、あるいは民間の設備投資についても電力を中心として推進する、公定歩合も〇・五%下げたというようなことと相まちまして、私は予算が成立いたしますれば直ちに四項目で挙げました方針に従って政府の施策を推進していくつもりでございまして、これによって私はまた企業家の心理というのも落ちついてくるのではなかろうかと思いますので、まあ決して楽観はいたしておりませんけれども、政策のよろしきを得れば六・七%の成長は十分達成できると、そう思っておる次第でございます。
○塩出啓典君 いま公共事業の契約率を上期に七割にすると、こういうお話でありますが、私たちがいままで聞いてきたのは、さきの補正予算ですね、これが年明けて成立したわけですから、その補正予算の公共事業等も新年度に工事がずれ込むわけだから、そういうようなことも言われておったわけであります。そうしますと、私は例年よりも上半期に公共事業をより集中するということは、上半期としてはいいわけですけれども、下半期はどうなっていくのかですね。どうも政府の参議院選挙対策ではないかと、こういう気がするわけであります。やはり経済というものは、われわれ素人から考えても、昨年の一−三月の輸出による瞬間風速十数%のような経済成長が続いたかと思うと、後下がってしまうと。こういうことではなしに、年度間を通じてある一定のコンスタントなやはり経済成長をしていかなくちゃいけない。そういう点から考えると、七割を上期に契約を集中するということはいかがなものかなと。一部にはじゃあ下半期には政府として新たなる対策を考えるべきだけれども、じゃあまた公共事業をやるとしたらもう一つ借金をしなきゃならないし、そういう財源はないわけであります。そういう点を私たちは非常に心配をするわけでありますが、その点はどう考えておられますか。
○国務大臣(倉成正君) われわれは参議院対策とか、そういうものを意識は全然いたしておりません。これは現在の景気の現況を考えますと、何とかもう少しはずみをつけてほしいというのがやはり国民の願いであり、各企業にとってもやはり切実な声ではなかろうかと思うわけであります。この声にこたえるということでありまして、いま野球でたとえますと、バッターボックスに立てて、少しヒットを飛ばし得る項目は何かということになると、やはり財政だろうと思うんであります。したがって、財政を一番打者に立てまして、そして一塁のベースまでとにかく進ませると。そういたしますと、やはり後の方がどんどんついてきてもらえると。個人消費も、設備投資も、あるいはその他の住宅投資も、それぞれついてくるということになろうかと思うわけであります。昨年の場合は、御承知のように、暫定予算というのが四十日ございました。またロッキード事件というのがございました。いろいろな意味において不幸な事件が重なった上に輸出の停滞、それから世界の景気が停滞したということもございますし、また個人消費も落ち込んだと、いろいろな要素がああいう夏以降の景気の停滞をもたらしたものでございますので、ことしの場合はやっぱり現在の景気の現況を考えると、やはり財政でこの景気をつないでいくというのが一番妥当な方法ではなかろうか。後の需要項目がこれに続いていくことを期待いたしているわけでございます。
○塩出啓典君 先ほど長官はやはり景気回復が一番国民の願望であると、不況克服こそ福田内閣の主眼である、こういうようにいままでずっと言ってきたわけでありますが、しかし最近、これは三月二十一日のある新聞に載った日本世論調査会のアンケート調査によりますと、景気回復を優先すべきだというのは一九%なんですね。やはり物価安定への願望というものが非常に強い。これが実に七割が物価安定ということを考えておるわけであります。しかし、私はやはり景気回復も必要であるし、景気回復がおくれて失業しちゃえば、これはもう物価よりもっとピンチですから。もちろん景気回復も大事ですけれども、さらに物価安定というものはそれ以上に大事である。まあお話がありました政府の景気対策四項目というものは景気対策ばかりで物価安定のそういうものがないわけでありますが、企画庁長官として物価安定のためにこれとこれはぜひ今後やっていかなくちゃいけない。そういうものは何でしょうか。余り細かいことじゃなしに、一口に言って一番かなめとは何を考えていらっしゃるのか。
○国務大臣(倉成正君) 四項目の内に物価の項目がないではないかというお話でございますが、これはもう当然のこととして、やはりこれは景気か物価かという二者択一の考え方は私は必ずしも適当でないと思うわけでありまして、やはり物価を安定させながら、景気を回復さしていくというのが政府の基本的な姿勢でございます。 それで五十二年度の物価につきましては、全体として申しますと、やはり総需要管理政策を十分やっていくと、需給のアンバランスが物の面においても、お金の面においても出てこないようにやっていくということが何よりも基本でございますが、同時に消費者物価等につきましては、やっぱり生鮮食料品の対策であるとか、あるいは競争政策、流通対策、それぞれのことをやはり総合的にやっていかなければならないんじゃなかろうかと思うわけでありまして、一つだけで物価を安定させるという決め手はなかなかございません。やはり長期的に見ますと、中小企業や農業の生産性の向上ということも非常に大事なことであるわけでありますが、これは一挙にできることではございません。しかし、やはりそういうことも踏まえながらやっていくということが物価政策ではなかろうかと思う次第でございます。
○塩出啓典君 先日の新聞には産業界は値上げラッシュであると、こういう記事が載っておりました。それで結局、いまある学者によりますと、不況が値上げをしているんだ、不況のために稼働率が低い、そのために固定費が高くなっておる、そのために物価が上がっていく。しかし、業界によってはもう赤字でも値上げできない、こういう業界もあるわけですね。けれども、鉄鋼のように寡占体制のところはどんなに生産がダウンしても協調体制で値段が上がっていく。こういうようなことで、私はどうしてもそういう点においてはいわゆる独占禁止法というものの運用をもっと強化をして、そのあたりに寡占の企業は悠々としているけれども、過当競争のところはもうさっぱり赤字で重労働でがまんしなきゃならない、こういうものをやはり是正をしていかなければならない。このように思うわけでありますが、現在独禁法の改正がいろいろどういう内容になるのか、自民党中でも検討されているようでありますが、物価を担当する経済企画庁長官としてどういう意見を持っていらっしゃるのか。これをひとつ簡単に経済企画庁長官のお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(倉成正君) 確かに不況で稼動率が低いもんですから、固定費の費用がかさむ。したがって、コストを価格に転嫁したい、こういう企業としての行動に出がちである、そういうことは率直に私も認めたいと思います。そういうことを踏まえまして、いま独禁法をどう考えるかということでありますが、独禁法はいま政府で総理府総務長官が窓口で政府部内の意見をまとめ、そしてなお党との意見をまとめ、各党との折衝に入っている段階でございますから、個々の問題について私が意見を申し上げるのは適切でないと思いますが、基本的に申しますと、独禁法というのはやはり競争政策のために必要な法律であるというふうに思うわけでございます。ただ、私は独禁法の法律そのものも非常に大事ですけれども、いわゆる独禁法マインドというか、そういうものがやはり非常に大切なことではなかろうかというふうに思っておるわけでありまして、アメリカの独禁法等の勉強をいたしてみたときに感じたのは、やっぱりそういうことであるというふうに思っておる次第でございます。
○塩出啓典君 じゃ最後に、公正取引委員会委員長にお尋ねいたしますが、まとめてお尋ねしたいと思います。 一つは、いま言われましたように、非常に一方では寡占で値段を上げていくことができる業界、また一方では赤字であっても過当競争であるために、結局共食いになっておる、それは業界自体がまとまりがないからそうなんだと言えばそれまでかもしれませんけれども、そういうような実態について公取委員長として今後こうあった方がいいという、こういう個人的な見解でもいいと思うんですが、それをお伺いしたい。——ちょっとすみません。全部まとめて、時間があと三分しかありませんので……。 もう一つは、昨年の独禁法違反被疑事件は、昭和五十一年における公正取引委員会の物価対策関係業務についての内でも述べられますように、審査件数は百六十七件、処理件数は九十件、このうちいわゆる法に基づいて排除措置を勧告したものは二十七件、これは一昨年と比べますと、審査件数百七十二件、処理件数百六件、排除勧告したもの三十五件、こういうように昨年は一昨年より減ってきておるわけですね。ところが、公正取引委員会が昨年十月に発表いたしました主要産業における生産集中度調査によれば、四十六年不況に比べて五十年不況ではいわゆる物価が下がりにくい寡占品目、まあさっき言ったような状況で、実際には生産と供給の関係において、供給があるにもかかわらずなかなか下がらない、こういう品目がふえて、企業間の格差の拡大など各業界の寡占化が進んでいると指摘をしておるわけであります。そういう点から考えますと、だんだんそういう件数がふえなくちゃならないのに逆に減っておるということは、どういうことでございましょうか。公正取引委員会の体制が非常にもっと強化しなければならないのか、手が回らなくてそうなっておるのか、それが第二点。 それから第三点、これは最後でありますが、独禁法の適用除外法でありますが、現在独禁法の適用除外とされているいわゆる適用除外カルテル法は五十一年十一月末日現在で四十の法律にも上りますが、中には昭和二十八年ごろに指摘し、すでにその役目を終えているものや、経済の実態とは全くかけ離れているものがあるように思うわけであります。公正取引委員会の調査でも指摘されていますように、今後減速経済に向かい、寡占化が進むと予想される中でできるだけ競争条件を確保しようとするならば、こうした適用除外カルテル法を整理すべきであると思いますが、この点検討する用意があるかどうか。また公正取引委員長のこれに対する見解を伺っておきます。 以上。
○政府委員(澤田悌君) お答え申し上げます。 最初の御質問。独占禁止法のあり方、独禁行政のあり方と最近のような不況が長続きいたします情勢との関連においてきわめて重要な御質問でございますが、倉成長官からもお話がございましたように、こういう時代においてこそ公正にして自由な経済秩序、基本的なルール、そういうものの浸透を図らなければならないと私ども強く意識しておるところでございまして、その精神によって運用してまいりたいと考えております。 それから、勧告件数につきましての御指摘でございます。確かに昭和五十一年度におきまする独禁法違反事件で勧告にまでまいりました案件は、現在までのところ二十四件でありまして、昭和四十八、四十九年度に比べますと少ないのであります。ただ、四十八年度というのは、御承知のように非常な高物価、問題の多い狂乱物価と言われた時代でございます。それに比べて事件が少ないというのは自然でもあろうかと思いますが、昭和五十年度に比べますと、五十年度は年度末までで三十件でございます。それほど急減したというふうにも考えていないのでありますが、しかし、御指摘もございましたように、今後とも違反事件の摘発につきましては、積極的に取り組んでまいる所存でございます。なお、年度中、現在勧告を検討している案件も若干ございます。 それから、もう一つのお尋ね、適用除外法の問題でございますが、これもなかなかむずかしい問題ではございますが、趣旨としては御指摘のとおりだと私も考えます。現在、公正取引委員会といたしましては、具体的な適用除外カルテルの減少に努めておりますと同時に、そのもとになりまする適用除外法についても関心を持っておるのでございまして、制定以降かなりの時間が経過して独禁法適用除外の必要性が減少しておるもの、あるいは競争制限的な弊害がむしろ起こっておるようなもの、こういうものについては整理すべきであると考えておる次第でありまして、随時見直しを行いまして、関係各省庁とも御指摘のような趣旨での整理について話し合いをしていく所存でございます。 以上でございます。
○渡辺武君 企画庁長官に伺いますが、先日、本院の本会議でわが党の加藤議員の質問に答えられた中で、福田総理大臣が本年度八%の消費者物価の見通しというのは、これはもう達成困難になったという趣旨のことを答弁されておられます。長官はその点どう思っていらっしゃるか。もし、達成困難だというふうにお考えであれば、まあ消費者物価、卸売物価、これは一体五十一年度はどの程度になる見込みなのか、これをまず伺いたいと思います。
○国務大臣(倉成正君) まず卸売物価から申し上げたいと思いますけれども、卸売物価につきましては、一昨年末から昨年の夏にかけてはやや高い上昇でございましたけれども、それから少し落ちついてまいりまして、また昨年の年末から景気の回復テンポが緩んでまいりまして、海外商品の上昇が軟化してきたわけでございます。しかし、ことしに入りますと、海外市況が反騰したために、原油の値上げの影響も最近出てきたということでございますけれども、為替の円高によりましてこれが相殺されまして、落ちついた動きを示しております。したがって、三月初旬の年度初めの上昇率というのは大体年度初めから、昨年の四月から四・三%ということでございますので、最近の動向から見ますと、政府見通しの五・一%という卸売物価指数の目標は、政府の見通しの範囲内に入るというふうに考えておるわけでございます。 それから消費者物価でございます。消費者物価につきましては、昨年の四月からことしの一月まで、これは実績が出ているわけでございますが、これにつきましては、われわれ五十一年度の経済見通しの内で四十五年の基準の指数をとりましたので、この指数で申しますと、昨年の四月からことしの一月までが七・八%上昇いたしております。そこで、いま統計の数字として出ておりますのは東京都区部の二月の数字が出ております。これが一月から二月にかけて〇・六%上昇しております。したがいまして、大体東京都区部の数字から大体類推いたしまして消費者物価を考えてまいりますと、四月からことしの二月まで八・五%程度の上昇があるということになろうかと思います。政府見通しは八%程度ということでございますので、八・二%前後ということでございましょうか、そういうことでありますので、その目標を達成するためには若干二月から三月にかけて下がってこなければならぬということになるわけでありますが、それはなかなかむつかしい状況であるということを率直に総理からお話があったものだと考えておる次第でございます。いまそういう状況でございます。
○渡辺武君 消費者物価指数の方は一体どのくらいの伸び率になる見込みですか。もう三月も末になってきていますから、もうぼちぼち見通しを立てていると思いますが。
○国務大臣(倉成正君) まだ数字のことでございますので、やはり正確な数字を——これは統計局でやっている作業でございますので、われわれが予断をすることは適当でないと思っておりますが、大体御案内のとおり、一月ないし二月に消費者物価が大きく上昇します。一月に上昇したのは、また二月に東京都区部が上昇いたしましたのは、やっぱり生鮮食料品、特に野菜が異常寒波のために上昇したというのが響いておるわけでございます。したがいまして、三月の時点の東京都区部の数字——三月の中旬におきましてはまだ野菜の価格がそれほど安定しておりませんでしたので、かなり高い数字が出てくるかもしれません。しかし、全国の数字は最近の数字を反映するわけでございます。最近はお天気もよくなってまいりまして、野菜の値段その他が少し落ちついてきておりますので、やや東京都区部の数字よりも全国の数字の方が低い数字が出るんじゃなかろうか、そういう感じは持っておりますけれども、何分小数点以下の数字をいろいろ検討している段階でございますから、予断を持って申し上げるわけにはちょっとまいらないという次第でございます。
○渡辺武君 いま野菜の話がありましたけれども、私ども生鮮食料品の価格の急落、急騰ですね。これが消費者物価指数に与える影響というのを別に否定するわけじゃないんですけれども、しかし、先ほども他の委員からも指摘されましたように、いまは不況下の物価高ですね、異常な事態だと思うんですよ。それで、従来政府は、物価というものは需給関係で上がり下がりするんだという立場を固執してきたと言っても差し支えないことだと思うんですね。ですから、物価の安定のためには供給をふやさなけりゃならぬ、供給をふやすには高度成長政策を続けなけりゃならぬということだったと思うんです。しかし、いま物価というものは需給関係で動くんだ。これは一概に全面的に否定するというわけにはいきませんけれども、しかしその論議は本質的なものじゃないという点が非常にはっきりしてきている。つまり不況で在庫はうんとふえていっているというような事態を一方に見ながら物価が上がっている、こういう状態なんですね。それで、いろんなことを伺いたいんですが、少なくとも昨年一年間、これは年間で私ども計算してみますと、消費者物価指数は九・三%、それから卸売物価は五・五%前年よりも上がっているという状況なんですね。一体こうした不況下の物価高の原因をどう思っていらっしゃるか。それからまた、それに対する総合的な対策、これをどう考えていらっしゃるか。フードウイークなんかを設けて、そして消費者物価指数の算定期は生鮮食料品等々を安定させるということよりも、やっぱり政府として基本的な物価対策、長期を見通しての総合的な対策ということがいま求められているんじゃないかと思いますが、その点どういうふうに考えていらっしゃいますか。
○国務大臣(倉成正君) ただいまの御設問に対しては、卸売物価と消費者物価と分けて考える必要があるんじゃなかろうかと思いますが、卸売物価について申しますと、一つは、海外要因というのは、やはりこれからも不況のいかんにかかわらず、やはり原材料を海外に求めておるわが国としてはこの影響は避けることができないだろうと思うわけでありまして、これは現にOPECの値上げ等であらわれてきておるところでございます。それから、やはりコストプッシュの問題、すなわち生産性の向上がそれほど期待されないというような減速経済下の中におきましては、どうしても生産性を上回る賃金コストというのが出てまいりますれば、これはコスト上昇の要因にもなってまいります。また公害その他の安全コストというのもやはり物価を押し上げる要因になろうかと思うわけでございます。そのほか金融的なものももちろんございますけれども、主なものを申せば以上のとおりであろうかと思います。 消費者物価の方は、やはりこれらの卸売物価からの影響ということもございますが、同時に、消費者物価を構成する要素としてはやっぱりサービス部門があるわけでございますから、どうしても生産性上昇がそれほど大きく期待されないということになれば、やはりサービス部門を相当抱えている部門においては上昇はある程度避けられないのではなかろうか、そういうふうに一般的に考えておる次第でございます。そのほか、恐らく渡辺委員のお話は寡占価格等の問題にお触れになろうかと思いますが、また御設問に応じてお答えをいたしたいと思います。
○渡辺武君 いま、長官、一番肝心なものを落としていらっしゃるんですね。ここに特殊分類の消費者物価指数の統計がありますけれども、昨年一年間、先ほど申しましたように九・三%上がったのに公共料金については一四・六%上がっているんですね。それから、まあいろいろありますが、工業製品の中で大企業性製品と中小企業性製品を比べてみますと、中小企業性製品は六・八%の値上がりなのに大企業性製品は七・五%の値上がり、こういうことになっているんですね。やはりこの辺が非常に重要だと思うんですね。昨年国鉄運賃その他公共料金の一斉大幅な引き上げがあって、これがこの不況下の物価高の一つの重大な原因になっているという点はこの統計でもはっきりあらわれているわけですね。同時に、いまおっしゃったいわゆる寡占価格、私どもの言葉で言えば独占価格、大企業の製品の値上がりというものも大きなやっぱり要因になっていると思うんですね。 そこで、長官にこの点で一言だけ伺いたいんですが、昨年もそうだったと思うんですけれどね、公共事業費を大幅にふやして景気を刺激するんだという方針で昨年の公共事業費を大幅にふやしたた。ところが、その前後あたりに鋼材その他建設関係の資材が次から次に引き上げられた。ことしもそうですね。二一・四%ですか、公共事業費がふやされた。ところが、すでに——これは後から問題にしたいと思っているんですが、新日本製鐵の社長その他が鋼材価格の引き上げということを盛んに言っているというようなことなんです。特に、いわゆる寡占価格ですね。この問題についてどう対策を立てられるのか。これを伺いたいと思う。
○国務大臣(倉成正君) ただいま御指摘のように、公共料金が、先ほどの福間委員その他の御質問にお答えしたときにお答えしましたように、狂乱物価時にかなり抑えてきた、この後始末が五十一年度に出てきた、これはサービスの料金ということでくくったわけでございますけれども、やはり人件費のアップ等がございますし、国鉄等についても人件費、物件費の値上がりがある、これが非常に経営を圧迫する、しかし運賃を非常に低く抑えるということになると、どこかでしわが寄ってくるということでございまして、やはりこれが五十一年度にかなり出てきたということは御指摘のとおりでございます。 それから、公共事業とその他の建設資材との関係の問題でございますけれども、全般的に申しますと、稼働率が低い状況でございますから、公共事業をこの程度起こしたからといって、この需要によって価格が上がってくるということは考えられないわけでございますけれども、そのほかの要因によって資材等が値上がりをするということを御指摘であろうかと思いますが、これはやはり各企業間においていろいろ値上げの動きがあるということを伺っておりますけれども、それぞれの需要者とそれから供給者側との間でかなり激しい攻防戦が行われるのではなかろうかと思うわけでありまして、その中でおのずから決まっていくということでございまして、企業家が仮に大幅の値上げを考えましても、それがそのまま需要家側から簡単に受け入れられるという情勢ではないというふうに私ども考えておる次第でございます。
○渡辺武君 なお、いろいろ伺いたい点はありますが、私、きょうは別の質問を持っておりますので、そちらに移りたいと思います。一言だけ長官に申し上げたいんですが、長官、事態はそんな甘いものじゃないと思うんですね。特に大企業の製品価格の引き上げですね。いまの御答弁ですと、いわば実勢に任せるというようなふうに私、受け取れたんですけれども、そんなものじゃないと思うんですね。その点をこれからいろいろ質問の内で明らかにしていきたいというふうに考えております。 まず、通産省からお見えになっていると思いますので、伺いたいと思いますが、二月一日付の若干の新聞に、一月三十一日、月曜日、この日に鉄鋼業界大手の販売担当の重役が月曜会という会を開いて集まって、そして一−三月期、つまり五十一年度第四・四半期の鉄鋼生産について減産を強化するということを決めたという趣旨の内容が書かれているわけです。その後、私ども調査してみますと、この月曜会には通産省から担当官が出席しておって、そして減産の強化というのは通産省の要請によって行われたものだという趣旨のことが明らかになりました。その当時の事情、これを御説明いただきたいと思います。
○説明員(石井賢吾君) お答えいたします。 私自身一月三十一日の月曜会に出席いたしました。経緯を申し上げますと、通産省は四半期ごとに普通鋼鋼材の短期需給見通しを発表しております。この短期需給見通しによりまして、鉄鋼の需給の安定、いわゆるいやしくも供給の不足ということが生じないように、私どもとしましては十一部門以上多岐にわたる産業部門の活動水準のヒヤリングをいたしまして、それぞれの産業部門ごとに必要とされる鋼材量というものを想定いたしまして、これに対応する供給を要請しておるわけでございます。これに関連いたしまして、十二月末に第四・四半期、一−三月期の需要想定を発表いたしたわけでございますが、この段階におきまして普通鋼鋼材の在庫が実績として確認されておりましたものはいまだ十月までしかございませんでした。十月段階におきます普通鋼鋼材の在庫は七百八十九万五千トンという実績でございましたので、私どもとしましては、高炉メーカーは余分なものはつくらぬ、要するに需要にミートした供給を行うという原則に立った生産を期待いたしまして、十二月末にこの在庫数量はほぼ七百九十万トン台にとどまるであろうということを前提にいたしまして、一−三月期の需給見通しを発表いたしたわけでございます。 ところが、一月末に確認されました十二月末普通鋼鋼材在庫は想定いたしました七百九十万トンと大きくかけ違いまして、実際は八百四十七万トンという約五十万トン近い在庫の超過になったわけでございますが、これは十一月、十二月の内需の極度の不振に基づきまして、他方、流通業界の信用不安という面が強く出てまいりましたものですから、この二カ月で大幅な在庫積み増しになったわけでございます。一方、十二月末に発表いたしました一−三月期の需給見通しにおきましては、三月末に在庫は約七百五十七万トンになるであろうという想定をいたしたわけでございますが、これと十二月末の実績乖離が非常に大幅になりましたものですから、三月末に望ましい在庫水準へ到達するという方針であれば、期中において生産計画を再検討することが必要なんではないか。その再検討の結果を私どもは報告を受ける用意があるということで、一−三月期における、期中ではございましたが、普通鋼鋼材生産計画の見直しを要請したわけでございます。その結果に基づきまして、これは高炉メーカー八社に要請をしたわけでございますが、うち二社は期中減産をする体力がないということで現計画のまま一−三月期の生産を実行する。一社につきましては特に決算対策の面から大幅な減産はできないというような修正計画の報告がございまして、私どもはそういう計画を受理したままでおるわけでございます。したがいまして、現段階におきましては、その各社ごとの修正計画に基づいて現在生産が行われておるわけでございます。
○渡辺武君 鉄鋼と言えば大体大企業がくつわを並べている業界だというふうに言われているんですね。ところが、通産省がまあ生産計画の再検討という言葉を使われましたが、事実上減産強化の勧告をその月曜会の席上でやったわけですね。なぜ業者の自主性に任せないで、通産省がわざわざ乗り出していってそういう行政指導をしなきゃならないのか。これをまず伺いたい。
○説明員(石井賢吾君) お答えをいたします。 実は一昨年、第三・四半期、十、十一月、十二月の期でございますが、この際には、需給見通しを期中に修正いたしまして各メーカーに減産を呼びかけたわけでございますが、この際、通産省として明確にその目的を明らかにしてございます。これは特約店等の流通加工業者の大幅な倒産が頻発いたしまして、期中の逆ざや現象の結果、信用不安が発生したという状況にあったわけでございますが、五十一年におきましても、鉄鋼特約店四十三件の倒産。ところが、この一−二月で約十件の倒産がすでに発生いたしておるわけでございまして、市況の不安定が中小流通加工業者の倒産を招くというような事態もございまして、鉄鋼の市況の安定という見地から需給関係の改善ということがまずひとつ必要であるというふうに考えておるわけでございます。 もう一点は、鉄鋼といいますのは基礎資材中の基礎資材でございますので、十分各需要部門ごとの消費量を確認の上でそれにミートした生産、あるいは仮に減産を行うのであれば、各社が恣意的に行うのではなしに、十分そういう各部門ごとの需要にミートしているかどうかという面をスクリーンしてみる必要があるわけでございますが、私どもはそういう各部門ごとの諸情報を持っておるわけでございますので、そういう面からの必要性、要するに、需給調整の必要性というのは一番よくわかるわけでございます。そういう意味から、私どもとしましては需給の改善という見地から生産調整の再検討を要請した次第でございます。
○渡辺武君 そういうことは通産省も考えるでしょうけれども、しかし一番切実にそういう点を日常キャッチしているのは、これはそれぞれの企業だと思うのですね。まあ中小企業で市場状況も何もわからぬというようなところはまたわからぬ場合もあるでしょうけれども、鉄鋼メーカーと言ったら大企業がそろっているわけですよ。いまおっしゃった程度のことは、これは各事業主それぞれがわかっているはずですね。ですから、何で鉄鋼業界の自主性に任せないで、通産省がわざわざ乗り出していって減産の勧告をやるのか、その点がわからない。それぞれの会社が減産をするに当たっていろいろと利害関係が複雑に絡み合っている。その利害関係の調整ということもやはり通産省の行政指導の一つの内容になっているんじゃないですか。その点どうですか。
○説明員(石井賢吾君) お答えいたします。 鉄鋼価格は大きく分けまして二つに分かれます——高炉メーカーの出荷価格でございますが。一つは、自動車、造船等に対するひもつき価格という形態でございます。もう一点は、商社、特約店を通じた店売り価格というものでございますが、いずれも鉄鋼メーカーからの出荷価格は同一でございます。この価格が不変である限り、鉄鋼メーカーとしては、——市況というのはあくまでも特約店の市中相互間の仲間相場でございまして、特約店双方においてその特約店がそれぞれ資金調達の必要性、あるいは資金の回転率を高めることの必要性から換金に出す場合が非常に多いわけでございますが、そういう仲間取引相場が極度に下がったことにつきましては、いわば鉄鋼高炉メーカーというのは鈍感でございます。そういう意味におきまして、私どもとしましては常に市況を十分にらみながら、いわば流通加工業者が逆ざやに悩み、信用不安に陥るというものを避けるために、私どもとして発言する必要があるというふうに判断いたしておるわけでございます。
○渡辺武君 端的にお答えいただきたいんですがね。つまり、鉄鋼業界だって一つ一つの企業だけが孤立分散してあるわけじゃなくて、日本鉄鋼連盟という大きな業界組織もあるわけでしょう。いまおっしゃった程度のことは皆わかる。何で通産省が乗り出していって、そして減産勧告をしなきゃならなかったのか、そのことを伺っている。それで、その点について、減産するに当たってそれぞれ会社に利害関係がいろいろ複雑にあって、その利害関係の調整をするということが、これは一般的に言って行政指導の一つの任務でもあるし、まさにそういうことでおやりになったということじゃないのかということを伺っている。時間がないんで、端的にお答えいただきたいんです。 それからもう一点、ついでに伺いますが、それで、その減産勧告の結果あなた方の予期したとおりの生産計画が出てきたのかどうか、この点も伺いたい。
○説明員(石井賢吾君) 私どもは、鉄鋼メーカー相互間の利害関係ということについては全く関知するところではないと思っております。あくまでも個々の鋼材の需給バランスの改善及びその市況の安定ということが基本でございます。その意味におきまして、各社に各様のそれぞれ先物の申し込み状況等、あるいはそれぞれの鋼材ごとの在庫状況等の違いがございます。そういう違いに照らしまして、各社はそれぞれの生産計画の修正を検討するわけでございまして、私どもは各社相互間の利害関係に何らタッチいたしておらないところでございます。
○渡辺武君 結果はどうですか。
○説明員(石井賢吾君) 結果につきましては、先ほど申し上げましたように、八社中二社は減産できないと、これは条鋼主体の、店売り主体のメーカーでございまして、決算対策上減産する余地がもうほとんどないという意見でございます。もう一社はやはり三月が決算対策の面から、減産をいたしますと、一%減産でコスト二百数十円変わっている状況でございますので、そういう決算対策の面から大幅なカットはできないという意見でございました。したがいまして、結果として私ども先ほど申し上げました見通しと実績との乖離約五十万トンには十分致達できない減産計画になっておるわけでございます。
○渡辺武君 事実を確かめる上でもう一つ伺いたいんですけれども、通産省が先ほどおっしゃった十二月末に第四・四半期の需給見通しを発表したと。その後で日本鋼材倶楽部が倶楽部としての見通しを発表しておりませんか。
○説明員(石井賢吾君) 私ども正確に承知しておりませんが、鋼材倶楽部の中に商社を主体にした需給調査委員会というものがございまして、それが四半期ごとに商社の視点からする需給見通しというものをつくっておるというふうに聞いております。
○渡辺武君 担当官庁が、知りませんけれども聞いておりますというような答弁はちょっといただけませんね。事実経過から言いますと、十二月二十日にあなた方が第一次案を発表しておる。そうして一月の二十六日に倶楽部が見通しを発表しておる。 〔委員長退席、理事斎藤栄三郎君着席〕 そうして、その見通しをあなた方はおそらく検討した上で、これはもっと減産を強化しなきゃならぬということで、一月の三十一日の月曜会でそのことを要請した。しかも八社の販売担当の重役を集めて、そうして要請している。そういう経過でしょう。どうですか。
○説明員(石井賢吾君) 先ほど御説明申し上げましたように、私どもは十二月想定の在庫数量を約七百九十二万八千トンというふうに推定しておったわけでございますが、一月の二十七、八日ごろに十二月末の在庫実績が判明いたしたわけでございます。この在庫実績が約八百四十七万トンという先ほど申し上げた数字でございます。したがって大幅な、五十万トン程度の乖離が出たということから、期中減産を要請したわけでございまして、鋼材倶楽部の需給見通しに準拠したものではございません。
○渡辺武君 通産省のそういう行政指導ですね。これは何に、どういう法律に基づいてやっているんですか。
○説明員(石井賢吾君) 通産省設置法第三条によります、工業品の生産、流通、消費の増進、あるいは調整、こういった業務を第三条におきまして一体的に遂行する責任を持つという観点から、これに準拠して行政指導を行っておるというふうに理解しております。
○渡辺武君 実態としてはね、まあ通産省設置に基づくそういう行政指導ですね。その結果として鉄鋼の、まあ先ほどおっしゃった八社の中で、三社は減産しないと、残りの五社ですね、これはまあ減産に応じたわけですわな。そういうことになってきますと、通産省の行政指導ということが介入はしているけれども、実態としてはこの業界が共同行動として減産をする、特に大手が減産をしていくという実情になるわけで、しかもその直後に新日本製鐵の社長が鋼材値上げやるんだということを記者会見で発表する等々、先行きその鋼材価格の引き上げということを予定しての減産と、減産強化ということは事態の筋からしても私は明らかだと思う。そういうことは独占禁止法違反になると思いませんか。もしならないとすれば、どういう点で独占禁止法違反にならないと考えていらっしゃるか、これを伺いたい。
○説明員(石井賢吾君) 通産省の行政指導は各社に対しそれぞれ個々に行うわけでございます。生産計画のヒヤリングを、あるいは減産修正計画のヒヤリングを個々にいたしておりまして、相互は一切関係ございません。私どもはその結果を個々に発表するのではなくて、合計量のみを発表するにすぎません。そういう意味におきまして、各社相互間の話し合いが先生念頭に置かれた御質問にあるように伺うんでございますが、私どもはそういった横の各企業相互間の話し合いというものは全く不要に、通産省と各社の対応において処理をいたしておる関係からいきまして、独禁法の違反はないというふうに私どもは確信いたしておるわけでございます。
○渡辺武君 公正取引委員長に伺う前に、ちょっと一、二点法制局に伺いたいんですが、いま通産省の方は通産省設置法第三条に基づく行政指導だというふうにまあ答えているわけですが、行政指導ということはどういうことなのか、これ、ちょっとお答えいただきたい。
○政府委員(角田礼次郎君) 御承知のように、行政指導というのは別に実定法上明確な定義があるわけではございません。ただ、私どもとしましては次のように定義をいたしております。 行政指導とは、国民の権利を制限したり国民に対し業務を課したりするような法律上の強制力を有するものではなく、行政機関が、それぞれの設置の根拠である法律により与えられた任務または所掌事務を遂行するために、かつ、その任務または所掌事務の範囲内において、行政の相手方の協力を得て一国の行政目的を実現されるように一定の作為または不作為を求めて慫慂し、誘導することをいうと、このように定義しております。 〔理事斎藤栄三郎君退席、委員長着席〕
○渡辺武君 この設置法の第四条ですね、「通商産業省は、この法律に規定する所掌事務を遂行するため、左に掲げる権限を有する。但し、その権限の行使は、法律(これに基づく命令を含む。)に従ってなされなければならない。」という条項がありますけれども、この条項からも明らかだと思いますけれども、通産省の行政指導、これは当然独占禁止法を犯しちゃならぬというふうに私ども考えますけれども、その点どうでしょう。
○政府委員(角田礼次郎君) 行政指導につきましては、独占禁止法に限らず、一般に憲法や法律に違反するような事柄といいますか、内容を持った指導をしてはならないというのは当然のことであると思います。
○渡辺武君 それでは公正取引委員長に伺いますけれど、二月の二十一日の参議院の予算委員会で対馬委員の質問に対して、公取委員長が次のように答えていらっしゃるわけですね。途中から読みますが、「企業がそういう生産方式、これを自主的に個別に行いますならば、これは独禁法のたてまえから格別問題にする点ではございませんけれども、それを話し合いによって共同して生産制限をすると、こういうことに相なりまするというと、これは不当な取引制限でございます。つまり違法なやみカルテル」でございますというふうに御答弁されておる。いまは通産省の方はいろいろ言っておられますけれども、私ども経過を見て考えてみますと、通産省の行政指導ということが介在はしておりますけれども、しかし、その行政指導というものを一つの契機として、少なくとも八社の中の五社、これは後から明らかにしたいと思いますが、ほとんど大手ですね、大手鉄鋼メーカー、これが減産を強化したという事態が生まれてきているわけです。そうなりますと、これは事実上やはり違法なカルテル行為を意味するんじゃないかというふうに思いますけれども、その点どうお考えでしょう。
○政府委員(澤田悌君) 御指摘のような問題につきまして、その会合において減産につきまして共通の意思決定をしたということが事実でありますれば、それは違法なカルテル——三条に該当するんじゃないかと思います。
○渡辺武君 それは通産省の行政指導があってもそうだということでございますか。
○政府委員(澤田悌君) 行政指導があるなしにかかわらず、不当な取引制限は独禁法上禁じられております。
○渡辺武君 先ほど通産省の方は、業者同士の利害関係の調整というのは考えていないんだというふうに答弁されましたけれど、しかし、実態上から言いますと、大体行政指導が行われるというのは、これは業者がいろいろ自主的にやるのに任しておいては利害関係上なかなか所期の目的が達成できないということがあるからこそ通産省が乗り出していって行政指導をするということだと思うんですね。そんなふうにお考えになりませんか。もし、こうして通産省が行政指導によって各業者の利害関係を調整して、そうして一定の所期の目的を達成するというようなことになれば、これは明らかに私は独禁法に触れてくるんじゃないかというふうに思いますが、その点いかがですか。
○政府委員(澤田悌君) 一般論としましては、価格や生産数量に関しまする競争制限的な行政指導、これはとかくカルテルを醸成しやすいので、独禁法の精神から申しますと好ましくないと申さざるを得ないのでありまして、その結果もしそういうカルテルが醸成されますれば取り締まりの対象になると考えております。
○渡辺武君 特に私は委員長に指摘したいんですけれども、従来月曜会というのに、ここには販売担当重役がずっと出席していてそこに通産省が行政指導で出かけていっておる。毎週これが開かれておる。しかも、通産省が需給の見通しというのをそこで発表する、そして大体業界はそれに応じて生産制限なりその他をやってきている。そして先ほども指摘しましたけれども、通産省が十二月の二十日に通産省の需給見通しを発表した後で鋼材倶楽部がみずからの見通しを発表した。通産省は恐らくそれは見ただろうと思うんですね。同時にまた実際の在庫の状況なども勘案したらしい。そういうことでさらに減産を強化してほしいということをここで要請する。そうしますと、これは大体業界が減産を強化しなきゃならぬと、その必要性があるんだということを、これを鋼材倶楽部の見通しという形で発表していて、そうして事実上通産省がそれを受けて通産省の要請という形で出して、そして業者がこれに応じてきているという形になっておるわけですね。これは形の変わった、つまり通産省というものを使いながらのカルテル行為だというふうに見ざるを得ないと思いますが、その点どうでしょう。
○政府委員(澤田悌君) その実態を明らかにしておりませんので、この間の新聞記事につきましても当日すぐ通産省の課長から釈明の電話があったそうでありますが、現在の月曜会なるものにおける実態というものは私どもの方は明らかにいたしておりません。それだけのことでは推測することはなかなかむずかしいと考えております。
○渡辺武君 しかも、私どもの調査によりますと、その通産省の減産強化の勧告に基づいて各社がそれぞれ自主的に減産計画は出してきたと、先ほど言っておられますけれども、その各社の減産計画の内容そのものが非常に近い、みんな同じようなもんですよ。新日本製鐵は八百四十三万トンの計画を八百二十三万トンに落としたと、九七・六三%に落とした。日本鋼管は、これは数字は申しませんが、九七・六四%に落とした。それから川崎製鐵は九七・六四%——全く同じ数字ですよ——に落とす。それから住友金属、これまた九七・六四%。神戸製鋼は九七・六六%。それから日新製鋼は九七・九三%、こういうことで九七・六四あたりをほぼ基準にして、若干の違いはありますけれども、ほとんど同じような減産計画を出してきている。これが実態なんです。先ほど通産省は各メーカーがそれぞれ出してきたと、それを受け取っただけだと、こう言っている。しかし、こうして減産の率がほぼ同じだという点、特に私は申し上げたいんですが、川崎製鐵と住友金属、当初の生産の案は三百二十六万トンであった。それが通産省の要請を受けて川崎製鐵は三百十八万三千トンに生産を落とす。住友金属も当初は三百二十六万トンのところを三百十八万三千トン、これに落とす。全く同じなんです。当初の生産計画も、それから減産指導を受けた後の生産計画も全く同じ。これは業者の間に何らかの話し合いがあったということを暗黙に語っているんじゃないでしょうか。その点どう思われますか。
○政府委員(澤田悌君) こういう事例はいわば同調的減産と申しましょうか、公正取引委員会は、従来鉄鋼業界におきます鋼材の同調的値上げが行われますたびに調査をいたしまして、問題点を指摘いたしてまいったのでありますが、同調的減産ということについても事情を聴取する必要があるというような考え方から、現在調査中でございます。
○渡辺武君 先ほど、法制局の方からの御答弁の中にもありましたように、行政指導というのは、これは慫慂心もしくは誘導ということであって、法律的な強制力はないんだと。したがって、行政指導が実を結んでいくためには、やっぱり業界の協力が必要だと思うんですね。その業界の協力そのものがいま申しましたように私は問題だと思うんです。大体鉄鋼業界というのはカルテル的体質が非常に強いということは、もう公正取引委員会が昨年の鋼材の値上げをお調べになって、たしかあの報告の中にも書かれていたことだと思うんですね。で、そういう業界が、これが通産省の減産指導があるなしにかかわらず、いまの鉄鋼の需給関係を見て、減産を強化しなきゃならないんだという気持ちを持っていることは、これは当然のことだと思うんですね。現に先ほど申しましたように、通産省が十二月の二十日に第一次の減産計画を——需給見通しの実質上減産計画ですよ、これを発表している。そうしたら鋼材倶楽部がもっと、つまり在庫がふえて、そして需給関係が悪化するんだということを内容とする見通しを発表した。つまりこれは事実上さらに減産を強化したいということを表明していると同じことだ。しかし、これを業者がお互いに談合してやったら公正取引委員会から「こら」と言ってやられるから、そこで通産省の行政指導という形をとって、事実上それを達成している。業界の意図、しかも通産省の行政指導にいわば積極的、全面的に協力している。先ほどはまあ二、三の会社が減産計画は出さなかったということを言っておられますけれども、少なくとも私いま読み上げた新日本製鐵にしろ、日本鋼管にしろ、川崎製鐵にしろ、住友金属にしろ、上からずうっとでしょう。もう鋼材の生産高の中で半分以上はここに挙げられたところでもって占められている。そういう大手が事実上同調的な動きをしたんじゃないかと思われる節が十分にある。先ほど通産省の行政指導があろうとなかろうと、業界がそういう共同行動をとるならば、これは独禁法に抵触するんだという趣旨のことをおっしゃいましたけれども、私はその疑いが十分にあるんじゃないかというふうに思われます。公正取引委員会として通産省から何か説明があったと言いますけれども、やはりいままでも何回も鉄鋼業界についてお調べになったその経験からお考えになっても、証拠の能力の十分あるものが挙がるかどうか、これはまあこれからのことでしょうけれども、私はお調べになる方が適切じゃないかと思いますが、その点いかがですか。
○政府委員(澤田悌君) 共同行為あるいは共通の意思決定というような問題は、先ほど申しましたように、なかなか現段階では推測がむずかしい。ただ形から申しまして、御指摘のように同調的な減産の動きであると見られますので、同調的な価格の値上げの場合、経験にかんがみまして実情調査を、先ほど申しましたように、現在いたしておる次第でございます。
○説明員(石井賢吾君) 委員長、一つ釈明さしていただきたいと思います。
○委員長(世耕政隆君) 時間が来ていますので、簡潔にお願いします。
○説明員(石井賢吾君) 渡辺委員の先ほど御指摘になりました鋼材倶楽部の需給見通しというのは、私ども全く無視しております。私どもは一カ月余にわたりまして、各部門ごとの、部門別の積み上げに基、ついた私どもとしては明確な根拠のある合理的な計算方式におきまして需給見通しを持っておりますので、あくまでもそれを基準としまして、一月二十八日に出ました十二月在庫実績と見通しとの乖離に基、ついてその減産を要請したということでございまして、あくまでも鋼材倶楽部の需給見通し等は一切勘案いたしておりません。 第二に、減産率が同じになったというふうにおっしゃいましたが、私はこの中で一社はっきり違っておるのがあると思います。特定の会社でございますから数字を挙げませんが、これは各社が全体の粗鋼生産の中に占める各社の初期の計画数量というのがあるわけでございますから、各自が全体として五十万ないし六十万圧縮をしなくちゃいかぬとなれば、各自としてどうしたらいいかという、いわばゾルレン的なものが出てくるわけです。そういう判断が各社の鋼材種別の受付状況及びその在庫状況に照らして積み上げてきた数字に近い線を各社が減産計画として立ててきたというような実情だろうと思います。これは各社の利害調整以上に、現在は公称能力に対しまして六九%の稼働率で、いわば会社内部における生産部門、営業部門の相克というのは非常にシビアでございまして、なかなか減産が思うようにいかないのが実態でございます。そういう実態を十分われわれは承知の上で減産要請をした次第でございます。
○渡辺武君 最後に、いろいろ通産省の方から釈明がありましたけれども、しかし、そもそも月曜会なるものに通産省が出かけて行って何をやっているのか、その内容がさっぱりわからぬ。公開しているというけれども、その月曜会が済んでから業界紙の記者にあなたが内容を発表するという話だそうでありますけれども、これは完全公開じゃないですよ。やはり、もしあなた方が独禁法に違反しないのだというふうに強調するなら、その月曜会、これにだれでも行ってと言うと語弊がありますが、少なくとも新聞記者が入って自由に取材ができるというような態勢ぐらいはとるべきではないか、これを一点伺いたい。 それから、最後に長官に伺いたいんですけれども、あなたと同じ政府の通産省がまさに値上げの条件である減産を指導している。そうして、その減産を条件として鉄鋼業界は値上げをするぞと言って旗を振っているんですよ。不況下の物価高の主要な原因の一つがここにあるんですよ。そういう点について物価担当官庁の長として、一体こうした通産省の行政指導、あるいは鉄鋼業界のこういう動き、これに対してはどういうふうなお考えをお持ちか、これを伺いたい。
○国務大臣(倉成正君) 事実関係について私もよく承知しておりませんけれども、いやしくも独禁法の違反になるようなことは、これは厳に慎まなきゃいけないと思っております。
○説明員(石井賢吾君) 月曜会は業界の組織ではございません。通産省が省議決定に基づきまして公開販売制度を形成して以来、通産省のいわば外枠の組織として私どもが主催しておる会議でございます。むしろ業界の会に出て行きまして私どもが相談しておるわけではございません。この会合につきましてはあくまでも価格問題には一切触れず、需給及び輸出問題についての相互の忌憚ない意見交換ということでやっておりますので、関係者以外の参加は必ずしも活発な意見の交換に寄与するかどうかという問題もあろうかと思いますので、私どもは直後の記者会見ですべてを公開いたしております。この会見が、実は各社から取材する雑誌・新聞記者の取材網というのは非常に強うございまして、私どもは記者会見の席で違ったことを言えば、直ちに次回に指摘されるというようなこともございまして、私どもは公開は十分に行われているというふうに判断いたしております。
○委員長(世耕政隆君) 本日の調査はこの程度にとどめます。 本日は、これにて散会いたします。 午後三時二十分散会 —————・—————