農林水産委員会 第16号
- 発言数
- 125 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1977/05/02
会議録
○委員長(橘直治君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、吉田実君及び長田裕二君が委員を辞任され、その補欠として上田稔君及び坂野重信君が選任されました。 —————————————
○委員長(橘直治君) 領海法案及び漁業水域に関する暫定措置法案、以上両案を一括して議題といたします。 前回に引き続き、両案に対する質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○鶴園哲夫君 大変な漁業交渉、鈴木農林大臣の第一次訪ソ、第二次訪ソ、さらに、お帰りになりましてから突如としてということになりますが、二百海里の漁業水域法案等を提出されまして、その成立のために一生懸命農林大臣が大変な努力をしてこられたわけでありますが、当委員会におきましても、二十七日朝から夜の八時過ぎまで農林大臣を相手にいたしまして審議をしてまいりました。また三十日の日も、朝早くから三つの委員会と連合審査を行いまして、終わりましてから、また当農林水産委員会で農林大臣を相手にいたしまして夜遅くまで審議をしました。きょういよいよ出発を前にいたしまして最後の審議をいたすわけでございますが、私は、この二日間の朝から夜遅くまでの審議に当たりまして、農林大臣が初めから終わりまで非常に穏やかに、静かに冷静に対処してこられましたことに対しまして、心から敬意を表したいと思っております。 この問題につきましては、続々、次から次に異常なような状態が発生をいたしまして、国民の中におきましても多くの人がやはりいら立った感じを持っておりますし、領土の問題も浮上いたしてまいっておりますし、また関係者等におきましてもいら立った面もあるわけでございますが、しかし、私はこの問題は、農林大臣がとってこられましたように、静かに冷静にひとつ進めていただくように、心から御期待をいたしたいと思っております。 お伺いをいたしたいのは、いままでも問題になったんでございますけれども、四月の二十九日に日ソ漁業協定の廃棄を通告をしてまいったことにつきまして、農林大臣がおっしゃるように、これはもう三月一日からソ連が二百海里というものを設定する当時から想定されておったことであるというんでありますけれども、何分、訪ソの直前に当たりましてこういう通報がありますと、やはり不安を感じてしようがないわけであります。その点について、大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、お伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいまのことにつきましても、ソ側の真意が那辺にあるか、この点につきましては、こちらであれこれ推測をするというわけにはまいらないわけでございますが、御参考までに申し上げますことは、アメリカの二百海里漁業専管水域を設定いたしまして、これを内外に宣言をいたしますと同時に、北太平洋日米加漁業条約、また北大西洋漁業条約機構、ICNAFからも脱退をいたしておるわけでございます。そのことは、アメリカが設定をいたしました漁業専管水域、今後はこれによって主権的権利をその海域に行使していくと、そのためにはそれと同じ海域にダブるような条約というものが存在をするということは、二百海里を設定をしたことといろいろの面で不都合を生ずると、こういう見解であったと思うのでございます。 ソ連も同様な考えを持っておったようでございまして、三月の三日のイシコフ大臣と私の協議の際におきましても、近くソ連としても日ソ漁業条約を破棄せざるを得ない、こういう示唆がなされておったわけでございます。したがいまして私は、いつの時点かわかりませんが、きわめて近い機会にこのことが行われるであろうということは予測をいたしておったところでございます。それがこの第三次の訪ソ、その交渉の直前にそのことがなされたということにつきましては、私も大きなこれに関心を寄せておるところでございますけれども、ここでは十分このことは予測もし、わが方としても織り込み済みのことであった。このことに対しましては私どもは冷静に受けとめて、しかしサケ・マスの漁期も切迫しておるときでございますので、協定案文第一条の問題とあわせまして早期解決を図りたい、このように考えております。
○鶴園哲夫君 私は、前回の二十七日のこの委員会におきまして鈴木農林大臣が、この海洋二法案が成立することによってソビエトと同じ土俵に上がることができる、そのことは心強いというようなお話でございまして、私はそれに対しまして大きな疑問を提示をいたしたわけでありますが、昨日の新聞の報道に、駐ソの大使であります重光さんがいま帰国しておられて、あす鈴木さんに同行されるそうでありますが、その記者会見が載っておりますけれども、その中で、この海洋二法案の成立ということは不利ではないが万能ではない、切り札ではない、こういう言い方をしたような記事が出ておるわけであります。不利ではないが万能ではない。大変幅のある話に受け取りまして、私は、有利な面もあるけれども不利な面もある、こういうふうに思えてしようがないわけであります。 その点、私は非常に気になっておるわけでありますけれども、時間の関係もありますのではしょってお尋ねをしたいわけでありますが、御承知のように、水産庁が出しました領海法の、あるいは二百海里水域法案についての参考書類によりますと、日本の二百海里の中でソビエトがとっておる漁獲量というのが四十万トンから三十万トンと、括弧書きがしてありまして、ソビエトはもっと大きなものを言っていると。日本がソビエトの二百海里の中で漁獲しているのが百四十万トンと、大変な差があるわけであります。さらにまた、ソビエトの二百海里というのはいわゆる北方領土、これを領土としてその上二百海里を考えていると。日本の場合は、この北方領土というものを現実に支配をしているわけではない。だから、それについてその基線を引くと、あるいは二百海里を引くというふうにいいましても、理論上はあり得ても現実の問題としてはこれは大変むずかしい問題だと、現実の問題としてはこれはあり得ないというような状態まで考えなきゃならない、そういうものではないかと私は思います。 そういたしますというと、同じような土俵ではないと、切り札でもないと、場合によれば、出し方によっては領土問題を浮上させることになるということによって不利な面も考えなければならぬのではないかと、こういう懸念をいたしているわけでありますけれども、国民の一般の取り方は、何か切り札になるのではないか、同じような土俵に上って四つに組めるのではないかと、こういうような期待を持っているのではないかと思います。でありますから、そこらのあたりを、衝に当たられる大臣の方から伺っておきたいと思っております。
○国務大臣(鈴木善幸君) わが方の基本的な考え方は、北方四島はわが国固有の領土ではあるが、現にソ連がこれを占有をし施政を行っておる。そこで、この問題は戦後未解決の問題、この未解決の問題を解決をして日ソの平和条約も締結交渉を行う、こういうことでございまして、私どもはこの際漁業問題と引っかけて領土問題も一挙に解決しようと、こういうことではございません。戦後未解決の問題として、この現実の上に立って漁業協定を締結をすると、これがわが方の基本的な立場であるわけでございます。 したがいまして、この戦後未解決の問題、一九七三年の田中・ブレジネフで合意をされ、共同声明を出されておりますことをよくソ側に理解を願って、冷静に、そして日ソの友好関係の維持発展を将来に向かって図っていくのだと、こういう大局に立ってこの問題は処理されなければならないし、それに向かってあらゆる努力を私してまいりたい。このわが方の領海法の成立ということを、向こうがいま私が申し上げたようなことで十分理解を願い、日ソの友好関係の発展という大局的な判断で考えますならば、決してこれは今回の交渉を妨げるものではないと、このように私は考えておるわけでございます。 その他の第二条以下の協定文の作成、あるいは今後の運用の問題ということに相なってまいりますと、やはりわが方も漁業水域法あるいは領海法というものがありまして、同じような条件が日ソの間に条件が整っておるというようなことは、すべて今後の話し合いなり実態的な運用の面でも非常にわかりやすくなると、こういうぐあいに私認識をしておるわけでございます。
○鶴園哲夫君 いま大臣のおっしゃいました第二条におきます日本の新しい領域、三海里から十二海里の間、その間におきますところのソ連側の操業についての立場は、はっきり日本側が有利に立ち得るということについてはわかります。第一条の二百海里の線引きの問題につきましては、これは世上よく、こっちが二百海里を引くと、向こうの方も二百海里を引くと、重なっちまうと、相打ちではないかと、こういうような感じがあるわけですね。 しかし、私は、それはもう言うまでもなくいま農林大臣がおっしゃいますように、現実にいわゆる北方領土を支配をしているのはソビエトであって、日本側としては固有の領土であるという主張はしておるけれども、現実問題としてはそれを支配しておるわけでは毛頭ない。そういたしますと、同じように水域を引いたと、線を引いたといたしましても、相打ちというような形には毛頭ならないという私は感じがしてしようがないわけであります。それをどのように解決をされまして、そして日本側の固有の領土であるということを残されるのか、どういう形でそれを残されるのかという点が問題ではないかと思います。ただ私は、相打ちというような感じがやはり相当国民の間にありますので、それはそうではないんじゃないかと。ですから私は、有利な面もあるけれども、今度の場合は領土問題が浮上せざるを得ないような形になるということがあって、その面についてやはり慎重な対処をしないというとマイナスの面が出てくるのではないかと、こういうことを懸念をいたしておるわけであります。農林大臣の御見解をお伺いいたします。
○国務大臣(鈴木善幸君) その点につきまして、ソ側が、わが方が二百海里漁業水域を設定したことに伴いまして具体的にどう出てくるかということは、今度の第三次の交渉の場合に当たりまして私も重大な関心を持っておるところでございます。ただ、この海域と申しますのは、北海道にきわめて近接をした海域でございまして、一千隻を超える十トン、十五トン、二十トンという小型の中小漁船が操業しておると、この実態はイシコフ漁業大臣もよく承知をいたしておるわけでございます。したがいまして、クォータの設定の際におきましても、一隻一隻にクォータを決めるとか、そういうようなことは実際問題としてむずかしい問題である、また、わが方の船が出たり入ったりあの水域にしておるわけでございますので、そういう実態に即したところの取り締まりその他の運用、こういう面につきましても、私は日ソ双方で実態に即した話し合いができるものと、このように考えておるところでございます。 確かに、ソ側が北方四島に対して施政を行っておるという現実は私は認めるものであり、そういう点がわが方としては苦しい立場にございますけれども、実際海の漁場の操業の実態、漁業の実態等に合うようなやはり運用をしませんと、これは実際問題としてうまくいかないわけでございます。イシコフ大臣もそれで事情は十分承知をいたしておるようでございますので、この点は私は実態問題としてもそういう特殊な海域であるという事情に即するような措置をとってまいりたい、このように考えております。
○鶴園哲夫君 私は、四月の二十九日にソビエトの方から、二十一年続きました言うなら日本の漁業の上におきまして歴史的な日ソ漁業条約、また日本が持っております漁業条約の中では最も大きな比重を持っております日ソ漁業条約が廃棄されたという通告を受けたということは、あるいは廃棄することになるということについて、大変私は感慨深いものがあるわけであります。昭和三十一年に御承知のようにこの日ソ漁業条約が締結をされまして、それがてこになって日ソの国交回復の調印が行われるという事態になったことも、御承知のとおりであります。自来二十一年の間、毎年東京とモスクワの間をたくさんの人たちが漁獲高を決めるために交渉をし続けてまいっている。そして、言うならばこの日ソ漁業条約というのが日本とソビエトの漁業条約であると同時に、日ソ友好の窓口であり、日ソ友好のこれが基礎になっておったと、象徴であったというふうに私どもは見てまいっておりますが、それが今度廃棄されなければならなくなったということは、これは世界の大きな流れである新しい海の秩序の時代、その時代に当たりまして、言うならば世界の中の最も大きな漁業国である日本とソビエトが、新しい状態の中でどのように漁業条約を結ぶかということで非常な苦難をしておるという状態に受け取っております。 ただ、二十一年にわたりまして、毎回のごとくと言ってもいいほど大変な難航をした交渉がありまして、もう決裂寸前といったこともたびたびあったり、百日交渉と言われた非常に長期の交渉もありました。しかし、一回も決裂をしていない、そういう歴史を持っております。したがいまして、私は今度の場合におきましても、そういうものを背景にいたしましてぜひとも粘り強く、そして冷静に、この問題の解決に当たって成功していただきたいということを一この歴史的な条約が廃棄されるに当たりまして痛感をいたしておりますが、農林大臣の所感を伺いたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 鶴園先生の御意見のように、まさに二十一年間続いた日ソ漁業条約は日ソ友好の私は基礎であったと、またこれが友好親善関係のかけ橋の役割りをしてきた、こういう条約が今回ソ側によって破棄の通告がなされたということにつきましては、その条約の功績が大きかっただけに私は非常に残念に思っておるところでございます。しかし、この新しい海洋時代に当面いたしまして、ソ連としてはこの北西太平洋の海域でソ連の漁獲能力をもってすれば全部余剰が出ないほどとれる能力を持っておる、しかし日本の伝統的な実績というものを認めて日本に一定の条件、クォータのもとに入漁を認めようと、こう言っておるわけでございます。わが方も今回漁業水域法を設定をいたしましたが、これもソ連の伝統的実績を認めてソ側を一定の条件、クォータのもとに操業を認めると、その協定も国会の御承認を得て結ぼうと、こういうことでございます。 日ソ漁業条約こそ一年後には失効するということではございますが、新しい海洋秩序の時代に、隣接する二大遠洋国がこのように相互に協定を結んで漁業の継続、将来に向かって安定的な漁業の操業に向かって進んでいく、こういうことでございますから、私はこのためにいままで日ソ漁業条約で両方が話し合いによって、とにかく困難な問題を円満にすべてを解決してきた、そういう先輩方の努力と気持ちを私も体しまして、今回新しい日ソ漁業の街構築に向かって最善の努力をいたしたい、こう考えております。
○鶴園哲夫君 今度の大変困難な漁業交渉を見ておりまして、国際間にわたりますところの経済権益というものは、ますます一層政治的な色合いを濃くしているというふうに思います。今度の領土と魚の問題の交渉にしてもそうだと思いますし、アメリカと日本との原子力の問題につきましても、あるいは赤字の問題にいたしましてもそうだと思いますが、いずれにいたしましても、日本とソビエトとアメリカ、日本とソビエトと中国、その間の三者の間、政治的な色合いが大変に濃い、こういう状況になっておると私は思っております。その中にあって、日本がソビエトとどういう関係を結ぶのかという基本的な方針がはっきりしないと、この問題は私は非常に困難な問題ではないかというふうに思っております。 後ほど私、総理に対しましてこの問題について伺いたいと思いますけれども、しかし日本が領土とそしてこの魚、漁業を分けて考えるという、そういう立場で臨んでいかれる、その象徴が私は一貫して農林大臣だけが訪ソをして、そしてその交渉の衝に当たられるというのがその象徴になっておるように思うんです。しかし、これは私はなかなか容易ではない大変むずかしい問題だというふうに思えてしようがないわけであります。やはり日本とソビエトとの外交を、友好関係をどうするかということを基本に据えないというと、この問題は大変だという気がしてしようがないわけですけれども、しかしまあいまのところ象徴的に農林大臣だけ一人が一回、二回、三回と行って長期の交渉をやられるということについては、私は御同情を申し上げるというのか、何かこう残念だというのか、大変遺憾だというふうに言わざるを得ないし、これは非常にやりがいがあると同時に、大変むずかしい問題ではないかというふうに思えてしようがないわけでありますけれども、大臣のひとつ所感を伺って、関連が一つございますので終わりたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 御所見のとおりに、やはり基本は日ソの関係、この友好親善関係を将来に向かって安定的なものにしていく、このことが非常に大事だと、このことについて日ソ両国の最高指導者も思いをそこにいたして、そのことがアジアの平和であり、また両国の繁栄にもつながる、世界の平和にもつながる、そういう大局的な立場に立って今後の日ソ関係の維持発展を私はこいねがっておるものでございまして、そういう観点から漁業問題につきましても私は取り組んでまいる所存でございます。
○対馬孝且君 関連。一つだけ、緊急な北海道の課題でございますので、大臣の対策を、処置を講じていただきたい、こういうことで質問をするんです。 実は、この間の二十六日のこの委員会におきまして、参考人の代表が来られまして実情を訴えられました。中でも釧路沿岸の船頭代表がここで訴えましたのは、日ソ交渉の行き詰まりによって沖合い底びき船などが釧路沿岸にUターンをしてくる。そのためのトラブルは絶対ひとつ避けてもらいたい、ささやかなこの沿岸漁民のそれが糧だと、生命だと、こう言って訴えられました。ところが、現実に二十八日、二十九日にこの問題が釧路沿岸の、すでにおわかりだと思うんでありますが、前浜というところがございまして、前浜というところは釧路の沿岸漁業の最大の漁場でございます。魚は、とれるものはタラ、カレイ、メヌケ、シシャモ、毛ガニと、こういうことなんですが、二十八日から二十九日にかけまして、沖合い底びき船団が十数隻実は前浜に舞い戻って出漁に乗り出すということで、実力行使寸前まで、沖合い激突まで、きわめて重大な段階に来たわけであります。幸い北海道漁連、漁業指導連などが出まして一応の事態は回避はしましたけれども、かねて私も心配して予算委員会でもこの間申し上げておきましたが、現実にいま沿岸漁民の代表が訴えられるような事態がすでに釧路沿岸の前浜で起きているわけです。 これについて、やっぱり農林大臣ひとつ緊急に——これからもこういう問題が起きてくると思うんですよ。われわれ心配したとおり、いま大変な問題になっているわけですよ、これはもう。沖合いで激突したら大変ですからね、これは命を失うことになるんですから。したがって私は、水産庁、農林大臣として現地にこれは当然行政指導として、むしろこの態勢は一定の期間片づけたらどうかと、そして漁連あるいは道水産部あるいは漁業指導連——これは私もきのう北海道へ帰りまして漁業指導連からも要請を受けました。それから釧路からも受けました。何とか対処措置を早急にひとつ行政指導、何らかの措置を講じていただきたい、これが私の緊急の質問であります。ぜひ対処してもらいたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 四月の一日からソ連の二百海里海域に操業しておりましたものを全部域外に退去をさせ、これらの船が、いま御指摘の北転船にしても、あるいは沖底びき網漁船にいたしましても係船をいたしておるわけでございます。その沖底の漁船の中には、日本近海における一定海域の中での操業の許可を持っておる漁船もあるわけでございます。それらの諸君が、こうやって船をつないでおってもやっていけないのだから、そこで沿岸の許可も持っていると、日本近海の許可も持っているということで操業しよう、こういう事態になりますと、いま御指摘になりましたように、沿岸漁業者との紛争というものが起こるわけでございます。私はそのことを心配をいたしまして、あの当時すぐ係官を北海道に派遣をして、さようなことがないようにという強い行政指導もし、また底びき組合、団体等に対しましても、幹部を呼んで政府の方針を伝えて協力を願って今日に至っておるということでございます。 しかし、いまお話ありましたように、釧路沖でそういう問題が現実に起こりかかっておるというこの事態を私も聞いております。心配をいたしておりまして、北海道庁に中へ入っていただきまして、その調停にいま努力をいたしておるところでございますが、水産庁からも係官等派遣いたしましてこれに対処してまいりたい。いずれにしても、この調整がつかざる限りは操業は絶対にさせないと、こういう方針で対処したいと思っております。
○委員長(橘直治君) 時間が参りましたから、あと一問。
○対馬孝且君 いま大臣から、係官を派遣していただくということと、後者の方が大事でありまして、決着がつくまではひとつ実力行使に出るようなことだけは政府の方針において対処してもらいたいことを特に要望しておきます。早急にひとつ係官を派遣してもらいたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 早急にいたしたいと思います。
○相沢武彦君 最初に外務省にちょっと伺っておきたいんですが、日本は言うまでもなく世界の中でも漁業国として位置づけられております。したがって、ふだんから諸外国に対する漁業外交というものについてこれを重要視しておらねばならないと思うんですね。問題が起きたときだけ大騒ぎするというんじゃ対応にならないわけでして、そういう漁業問題も重要な外交問題であるというポイントを今日まで外務省としては外していたんではないか。その点に対する見解。 それからもう一つは、今回の対ソ交渉に見られるように、二百海里時代で世界の漁業外交というのは新しい対応をいやおうなしに迫られている。今後アメリカそれからEC、カナダ、中南米、アフリカ、これに対してどう対応するのか。また、特に韓国についてはどういうようにされるのか、お伺いしたいと思います。
○説明員(溝口道郎君) これまでも外務省といたしまして、漁業問題につきましていろんな各国との交渉、あるいは協定締結、協定もアメリカとかソ連とか韓国とか、二国間協定もございますし、ICNAFとかそういう多数国間協定も幾多ございまして、主なものはすべて国会の御審議をいただいておりますけれども、それからいろんな事件がありましたときの処理、それからまた、たとえば特に発展途上国との間におきましては、漁業関係のいろんな技術者を派遣いたしましたり、漁船を経済援助として合意をいたしましたり、そのような漁業面における協力、これは農林省の方でもやっていらしゃいますけれども、外務省の方でもこれに協力して予算をとってやっております。 このような漁業面に関する外交活動を行ってまいりましたが、特に今後国際環境が非常に急速に変化しておりますこと、まあソ連関係、あるいは今後韓国とか中国の関係も変化する可能性があるかと思いますけれども、そういう変化に敏速に対応して外交活動を強化していく必要があるということは、外務省としても十分認識しております。現に、先般のこの二百海里法案が閣議で決定されました際にも、外務大臣は特に発言されまして、今後この法案の成立した暁には、外務省としてもさらにこの実施、運用についての各国との話し合いなどを積極的にやっていきたいと、そういうふうに発言しておられます。
○相沢武彦君 農林大臣、サケ・マス交渉についてお伺いしますけれども、調印寸前で御破算になっちゃって大変な問題になっておりますが、訪ソをされましてとにかく一刻も早い妥結を図って出漁をできるようにしないと、もう特に四月三十日の出漁時期を外しちゃいまして、後は五月十五日ですね。これが外れると取り返しのつかない状態になるんですが、大臣行かれてサケ・マス交渉の妥結についてはこの五月十五日の出漁期に必ず間に合わせるという見通しがおありになるかどうか、その見通しについて。
○国務大臣(鈴木善幸君) この問題は、九九%まで話し合いがまとまりまして、荒勝首席代表とソ側のニコノロフ首席代表との間で署名をする、二十八日には東京で正式な調印がなされると、こういう段階まで来て、内容的には詰まっておるわけでございます。しかるところ、協定文第一条の適用海域の問題をこの議事録にも明記すべきだということを突如ソ側が提起してきたということが、このような事態に相なっておるわけでございます。私は、そういう意味合いで一条問題にこれは絡んでおる、一条の問題と一緒に解決をしなければこの問題は処理できない問題であるという厳しい認識を持っておりますが、御指摘のように漁期も迫っておりますので、全力を挙げまして十五日を待たないで何とかこれが打開を図りたい、このような強い決意で今度の交渉に臨んでおる次第でございます。
○相沢武彦君 日ソ漁業条約が突然破棄通告されたんですけれども、一年間有効という原則から、ことしの漁獲期についてはソ連も交渉に応じなければならないという責任があります。そこで、六万二千トンの上積みについてどういう交渉をされるおつもりなのか。 それから、来年以降のサケ・マス漁業について、新しい日ソ漁業協定が締結されなければ、来年以降の公海におけるサケ・マス漁業というものはできなくなりますけれども、来年度以降の日ソ間のサケ・マス漁獲量、これについてはどういう調整をされるおつもりですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) ソ連の二百海里域内におけるところのサケ・マスの漁獲量、これは実績といたしましては約二万トンの実績をわが方は持っておるわけでございますが、その中からソ側が域外の六万二千トンに上積みをしてクォータを与えるかどうかという問題は、これは今後の交渉にかかっておるわけでございますが、私は、サケ・マスだけを切り離してくるのでなしに、全体の主要魚種と一緒に域内のクォータを示します場合にこの問題も出てくる問題である、切り離しては出てこないであろう、このように厳しく受けとめておるところでございます。わが方としては、域内において二万トンの実績もあるわけでございますから、ぜひともこの実績について両国が何らかの妥結点を見出して上積みをするようにいたしたい、それに向かって努力をしたいと考えております。 なお、ソ連の日ソ漁業条約破棄に伴いまして、来年以降の公海上におけるところのサケ・マスの取り扱いの問題、この問題が早速現実の問題として出てきたわけでございます。ソ連もカナダもアメリカも、またわが国も、それぞれ自国起源のサケ・マス、これは母川国主義という立場に立ちまして、二百海里域外の公海上の漁獲につきましては、アメリカとの間におきましては、別途日米の間で協議をするということに相なっております。私は、ソ連との間におきましても、条約がなくなりましても、サケ・マスの問題につきましては、公海上の問題につきましては別途この協定とは別に協議をして、そして資源の保存、有効利用という観点でぜひともこの問題を処理してまいりたい、こう思っております。それぞれの国の川でふ化放流をされましたものが公海上においてはしばしば混獲をされておるという事実、こういうことでございますので、それに即したところのサケ・マスの新しい公海上の漁業秩序、操業というものを取り決めていきたいというふうに考えております。
○相沢武彦君 時間がなくなりましたのであと三点だけお尋ねしておきたいんですが、新しい日ソ長期協定の締結はいつごろという見通しを持っておられるのか。これが一つ。 それからもう一つは、サケ・マス漁船の減船問題なんです。業界で内部調整を実施していますけれども、なかなか困難なようでございます。その中で一番心配されるのが、減船補償がまだ明確になっていない。たとえば水産庁のプール配分による共同経営方式というのは現場ではむずかしいと難色を示しているんですけれども、この減船補償についてはどのように具体化をされるのか、現在の検討の中身を示していただきたい。 それから最後に、魚の買いあさりの商社の問題です。先日参考人の意見聴取の際根室の市長が触れておりましたけれども、大手の水産業者、商社が四、五十社ぐらいソ連に魚の買い付けに行っていると、この事実は北海道の堂垣内知事が訪ソをした際にも目撃をしたと、こういう証言をしておりました。こういった目先の利益にとらわれた、日本の国益というものを忘れた業界のやり方というのは非常に指摘をされているわけですが、いま三たび交渉に行かれる農林大臣として、この国内における思惑買いに対する対策をしっかりやられてから出発をされようとしているのかどうか。ソ連に対する業界の魚の買い付けに対して、何らか手をもうすでに打たれて出発をされようとしているのかどうか、それとも何ら対策を立てずにいま出発されるのか、その辺はっきりしてください。
○国務大臣(鈴木善幸君) 第一点の日ソの長期協定の問題でございますが、これは三月十五日にそのスタートを切っておるわけでございます。しかし、当面暫定協定の方を早く片づけなければならないということで、長期協定はく後暫定協定が済みました後で両国で政府代表間で協議を続ける、こういうことにいたしております。その時期は、暫定協定の適用期間が御承知のように一九七七年の十二月三十一日まででございますから、その後に長期協定にすぐつながっていくように、時間的な問題を十分考慮に入れながら長期協定を取り結ぶということにいたしたい、こう考えております。 それから、減船等に伴うところの救済措置の問題でございますが、これはしばしば申し上げておりますように、当面四月中の操業ができなくなった、またそれに関連するところの加工業者その他の業界においても、工場を休んでおる、こういう深刻な事態に相なっておるわけでございますので、当面緊急のつなぎ融資を、漁業者につきましては百五十億、金利三%、それから加工業者に対しましては三十億というぐあいにいたしておりますし、また、その従業員等に対する保険制度等の適用、こういう問題につきましても、労働省その他の御協力を得ましてそのような手当てをいたしておるところでございます。暫定協定ができ上がりまして、その際にはもとよりクォータも決まるわけでございます。そのクォータの決まり方いかんによりましては、今度は休漁ではなしに一部の漁船は減船のやむなきに至る場合も想定をされるわけでございます。そういう時点におきまして総合的な、根本的な救済対策を講じてまいる、このようにやりたいと思っておるわけであります。この四月中の緊急つなぎ融資は、したがいましてその際におきましては根本的な救済措置の中に吸収をされて処理される、このように御理解をいただいておきたいと思います。 なお、私は、警備体制の問題あるいは新漁場の調査の問題、いろいろ仕事もあるわけでございます。そういうようなことで、できるだけそういう減船等の余儀なき事態に相なりました漁船等につきましても、その漁船の性能、適格性というものをよく判断をいたしまして、できるだけ乗組員等がそういう面でも仕事を見出せるように配慮してまいりたいと、こう考えております。 なお、商社あるいは大手漁業会社の買い占めといいますか、買いあさりといいますか、あるいは買いあさり売り惜しみと申しますか、そういうようなことをしばしば耳にいたしております。こういう日ソ交渉が非常に厳しい状況下にあります際に、モスクワに行ってソ連の漁獲物を買いあさるというような、こういう行為は断じてこれは認められないことであります。まさに反国民的な行為だとさえ私は言って差し支えないと、こう思うわけでございまして、これにはスケトウタラ等は御承知のようにIQ品になっておりますから、そういうものは絶対に輸入を認めるわけにはいかない、こういう厳しい態度で臨んでおりますし、警告もいたしておるところでございます。国内におけるところの買いあさり売り惜しみと申しますか、そういうようなことも耳にいたしておりまして、こういう点につきましては、水産庁長官の方からその疑いのあるものに対しましては強く警告もいたしておりますし、また値上がり等が、練り製品等の原料として値上がりをしないように、在庫品の放出その他につきましても行政指導を現在いまやっておるところでございます。
○塚田大願君 大臣、明日三たび訪ソの途につかれるわけで、大変御苦労さまでございます。政府としても昨日いろいろ交渉に臨む方針については協議をなすったようでございますが、この点につきましていろいろ報道機関なんかが報道しておりますけれども、今度の交渉の焦点というのは、やはり何といっても北方四島周辺の水域問題ということだと思います。 そこで、農林大臣は今度の交渉に当たっては、いわゆる領土と魚は切り離すというふうな従来の逃げの姿勢といいますか、そういうものを改めて、北方四島の領有権というのは未解決であるというようなことを、両論併記でありますか、そんなふうな形で暫定協定の第一条の適用水域には決着をつけたいというふうに言っておる。まあ、ほかの言葉で言うと農林大臣は要するに逃げて通るのではなくて、通って避けるんだというふうにも言っていらっしゃる。こういうふうに言っておるのであります。これはちょっとうがち過ぎた見方ではないかと思うんですけれども、しかし一方、きのう福田総理が岡山で記者会見をなさったときには、いや、われわれは領土は領土、魚は魚なんだ、これはやはりはっきり区別していくという従来の交渉の態度を確認されたようでありますけれども、この点非常に一番むずかしい問題でありますが、この際、大臣の考え方をはっきり、考え方であります、方法ではなくて考え方についてひとつ明らかに聞かしていただきたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) この問題につきましては、先般開かれました各党の党首の懇談会におきましても、戦後三十年未解決の問題としてきた領土問題、これに決着をつけて、しかる後に漁業協定を取り結ぶというようなことはこれは時間的に困難である、であるからこの問題は、ひとつ戦後未解決の問題、平和条約の締結交渉、このことを毎年定期外相会議でやっておるわけでございますから、そういう場によってこの問題は交渉を続ける、そういう前提の上に立って漁業問題として解決をすることがこの際必要ではないかということではおおむね御意見が一致しておるように、私もそれに陪席をいたしましてそのように受けとめておるわけでございます。 しかし、さはさりながら、この第一条の適用海域の問題につきましては、言葉に表面的に出す出さぬにかかわらずこの問題は絡んでおるわけでございますから、そういうことを十分私も腹に据えて、今後の日ソ平和条約交渉にいささかの支障もないように、また、わが方の立場も損ねないようにということを基本的に踏まえまして、漁業問題としての交渉を早急にひとつ打開をしたいものだと、そのような心組みで取り組んでまいる所存でございます。
○塚田大願君 大体大臣のお考えがほぼわかりました。 ただ、もう一つここでお尋ねしておきたいと思うのでありますけれども、福田さんもおっしゃっておりますが、この北方四島における二百海里の線引きが観念的にダブる、観念的に重なるこの問題がやっぱり最大の焦点だと、問題だと、こういうふうに言っていらっしゃるんですが、私どもはこれはこの領土問題には悪影響を与えないという、そういう立場でソ連側の線引きを保留させるということがやはり一番賢明なやり方ではないかと。で、共同水域とか、方法についてはいろいろ政府もお考えのようでありますけれども、やはりそういう保留するということが一番いいし、また、総理のおっしゃっているのもそういう意味なのかなあという感じがするわけでございますけれども、この辺はいかがでございますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) ソ連側に保留をさせる、この問題をどういう形、どういう意味合いでやったらいいかということが一つございますが、しかし、すでにソ側は閣僚会議でそういうことを決定をいたしておるわけでございます。これに対しましては日本国民が強く反発をしておる。つまりこの考え方は、領土問題は解決済みである、こういう前提の上に立ってのことであろうと思うわけでございますが、わが方はそうでなしに、これは戦後未解決の問題であると、こういう立場をとっておるわけでございますから、私はあくまで戦後未解決の問題という前提の上に立って双方の立場を損ねないようにということでこの問題は打開していきたい、こう考えております。
○塚田大願君 大臣のきわめて慎重な、また配慮された発言は一応わかるのでありますけれども、大臣があしたいらっしゃって早速イシコフさんとの交渉が始まるわけでありますから、やはり政府としてもその辺の臨む態度あるいは方法、これについては相当やはり確固たる自信を持ってお臨みにならなければいけないんではないかと、まあ大体ソ連の出方はもうはっきりしているわけでありますから、日本が魚と領土は切り離したいと言うたってはもうはっきり絡めてきているわけです。今度のサケ・マス交渉だってそのために決裂をしたと、こういう事態でありますから、私はここでいま大臣にどうしてもはっきり方法まで言えと、線引きをどうするんだというところまで私、大田に答弁は求めませんけれども、やはりその辺の腹構えと申しますか、それはやっぱりはっきり持っていかなきゃいけないんじゃないかというふうに考えるわけで、恐縮ですが、再度もう一度御説明願いたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) その腹構えは、いま申し上げましたように、今後の日ソ平和条約の交渉にいささかも悪影響も与えてはいけない、わが方の立場を損ねてはいけない、これがもう私としては一番譲ってはいけない一線でございますので、そういう立場に立って対処していきたい。ソ側の出方を見ながらこれに対する対処をしていきたい、こう考えております。
○塚田大願君 では、この問題は一応もう大体いろいろ政府としても最後の決意を固めて出発されなければならないことでありますから、その辺はぜひ私どもが考えておりますような線で、ひとつ毅然たる態度で交渉に臨んでいただきたい。右顧左べんでは、やはり問題は解決しないのではないかと私どもは考えているわけでございます。そういう点で、ぜひひとつ大臣の奮闘をお願いしたいと思います。 で、あと時間もございませんから、この間質問いたしましたこの法案に即して二、三質問したいと思うわけでございます。この間第四条について質問いたしましたが、きょうは第五条についてひとつ具体的にお伺いしたいと思うのであります。漁業の禁止条項でございますが、実はこの間私ども委員会で大隅海峡を視察してまいりました。その際に、現地の漁業団体から切実な陳情を受けました。それは、この陳情書にはそれが明記されてないのでありますが、陳情書には領海三海里にとどめる場合は外国船による漁業被害があった場合には国が責任を持てと、補償しろと、こういうことが書いてございますが、実はその前にその前提として強く主張されたのは、やはりこの大隅海峡の場合も十二海里にしてほしいということでございました。まことにその大事なことが陳情書に書いてない。どういうわけだというわけでいろいろ聞いてみますと、この漁連の会長が山中貞則さん、まあこういうこともあるようであります。肝心なことがこの文書には出ておりませんが、やはり腹の中を聞いてみたら十二海里にしてほしいということでございます。 そこでこの大隅海峡についてお伺いするんですが、特定海域でありながら漁業水域に含まれない場合には、この肝心の五条が働かないわけであり、十二海里までの外国人漁業禁止規定が適用されないわけであります。ところが、そこでお尋ねするんですが、この漁業水域の範囲に大隅海峡は含まれるのか含まれないのかということであります。あんまりはっきりしないんですね。というのは、先般農林省が発表されました「政令規定見込事項」を見ましても「日本海西部、東海、黄海及び東海に隣接する太平洋南西部の一部の海域とする」と、果たしてこの大隅海峡にそれが適用するのかどうかというのがわからないのであります。これではやはり非常に問題だと思うわけでございますので、この点についてどういうふうになさるつもりか、お聞きしたいと思います。
○政府委員(岡安誠君) まあ、御質問ごもっともでございまして、先般お手元に配付いたしましたこの法律の「政令規定見込事項」におきましては、三条の3項によりまして漁業水域から除外される海域の例示といたしまして「日本海西部、東海、黄海及び東海に隣接する太平洋南西部の一部」とだけ書いてございまして、大隅海峡のところが細かく記載してないわけでございます。私どもの考えといたしましては、大隅海峡について申し上げれば、やはり東海または東海に接続する太平洋南西部の一部かもしれませんが、それらのうちから大隅海峡部分は適用除外にはしない、逆にその部分を除いて適用除外にするということにいたしたい、そこで大隅海峡絡みの特定海域は漁業水域にいたしまして五条の規定を働かせていきたいと、かように考えているわけでございます。
○塚田大願君 では、この第五条の今度第二号の問題であります。この二号では「水産資源の保護又は漁業調整のため必要な海域として農林大臣の定める海域」、こういうふうになっておりますが、ところで具体的にこの問題もお聞きしますが、北海道の留萌沖の近いところで、約五十海里か百海里という程度のところで武蔵堆というところがございます。これは農林省よく御存じだろうと思うんですが、ここは三十二メートルから二百メートルという浅海でございまして、大変魚種の豊富なところであります。ところが、ここに最近、オッタートロールの禁止区域でもあるわけでありますが、ここに韓国漁船が、大型で二千トンクラス、小型でも五百トン前後、これが操業しておる。大変資源の保護上大きな問題になっているわけであります、周辺の漁民の中では。私もいろいろ調べまして、ここに地図がございますが、毎日、四月七日から十四日までの韓国船の操業状態がこれではっきり図面に出ているわけでありますが、大変あれですね、連日四、五隻の船が、あるいは五、六隻、もっと多いときは十隻ぐらいの韓国船がこの辺で操業して荒らしておると、まあ漁民の漁具なんかもずいぶん被害が起きた。こういう状態を農林省はつかんでいらっしゃるのかどうかということが一つと、それからこういう武蔵堆のような場合ですね、当然この第五条の二号が適用されなきゃいかぬと思うんですが、これは農林大臣の指定事項ということになっております。これをぜひひとつはっきりさしてもらいたいと思うんですが、その点水産庁長官の御答弁と、あわせて大臣の御答弁もお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
○政府委員(岡安誠君) この五条の二号におきまして、農林大臣の指定する海域でございますけれども、これは私どもやはり沿岸の小型漁船が多数操業をいたしているような地域に対しまして、外国の大型船が操業をあわせてするということになりますと、資源の保護上からも、また操業の秩序維持のためからも非常に問題があるというような海域、これはある程度限られた海域になると思いますけれども、そういう海域につきましては、第五条によりまして一律に外国人の操業を禁止するという趣旨でございますので、そういうことは、現在どこを指定するかということは目下検討中でございます。 御質問の留萌沖の武蔵堆の問題でございますが、もちろんこの五条の二号によって指定することも可能ではございますけれども、一方私どもは、たとえばオッタートロール等の禁止ラインとか、その他漁具、漁法、漁期の制限をいろいろわが国の漁船に課しておりますけれども、そういうようなわが国の漁船に対する制限との兼ね合いにおきまして、外国漁船の操業に制限を加えるという場合には、許可の条件といたしましてそういうことを規制し得ることにもなっているわけでございます。先生御指摘の、この近辺におきましていろいろトラブルがあることは承知いたしておりますけれども、規制の仕方につきましては五条の二号でいくか、それとも別途他の条件でいくかは、しばらく検討さしていただきたい。むしろ、やはり漁具、漁法とか漁期の制限につきましては、許可の条件にした方が適当ではあるまいかというふうに現在では考えているわけでございます。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、日韓の間の漁業関係、これは現在民間の協定で、民間の交渉でやってきたわけでございますが、今度の漁業水域法、領海法が国会の御承認を得て成立をいたしますわけでございますから、日韓の政府間の交渉、協定によって漁業秩序を確保するようにいたしたいと、このように考えております。
○和田春生君 まず、漁業水域法に関してでございますけれども、私ども修正すべきだということを主張しておりました。しかし、一昨日鈴木大臣の御答弁で、政令の機動的な改正によって法を修正をしなくともその穴を埋めていって万遺漏なきを期すという趣旨の説明がございましたので、緊急の場合でございますし、私どもとしては大臣の御答弁並びに言明というものを率直に受け取りまして、本件につきましては原案どおり賛成をすることにいたしたいと考えているわけでございますが、向こうに行かれまして大変御苦労でございますが、大いにがんばっていただきたいと思います。 同時に、その際にもあわせて質問したわけでございますが、二百海里の漁業水域を設ければ、外国船を規制するというだけではなく積極的なわが方の開発が必要でございますが、同時に外国から追い出されてまいりまして、いま沿岸あるいは地先沖合い、それに遠洋から戻ってくるというものの間にすでにトラブルが若干発生いたしておりますけれども、今後ますます多くなる可能性があると思うわけです。そういたしますと、たとえば許可漁業にいたしましても、大臣許可、都道府県知事の許可、いろいろそこに扱いの違いがあるわけでございますが、その間に問題が出てくる。したがって、いま直ちに間に合わないにいたしましても、そういう状態を予想すると、漁業法関係をひとつ全面的に見直しまして、新たな二百海里時代に対処するわが国の法体系並びに制度的な整備をする必要があると考えているわけでございます。この点について、農林省御当局としてそういう考え方を持っておられるかどらか、まずお伺いしたい、こう思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 当面は、現行の漁業法並びに水産資源保護法等で対処してまいる方針でございますが、しかし、新しい海洋時代に突入いたしておりますから、また外国のこれに対する対応、こういうものも非常に流動的でございます。そういう点を十分私どもも総合勘案をいたしまして、必要な際にはいま御提案のような点につきましても十分今後の検討課題として取り組んでまいりたいと、こう思っております。
○和田春生君 なお、外国との関係を思いますと、たとえばニュージーランドが二百海里を実施した場合、日本の漁船の操業を認めるかわりに、ニュージーランドの畜産品その他をもっと買えというような要求も現実に出されておるような状況もございますが、国内におきましても、漁業は単なる水産物ということだけではなくて、日本の国民生活、食糧の上で非常に重要な意味を持っていると思います。農業関係はかなりそういう点整備をされてきておりますけれども、農産品、それから水産品並びに畜産品と含めまして、今後の資源有限時代における日本人の食糧という面から、食糧基本法というようなものを制定いたしまして、水産並びに加工物につきましても価格並びに流通過程を含めましてきちんとしていく必要があるんではないか、こういう私どもは主張を持っているわけでございますが、その点についてお考えを承りたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 食糧問題、これは世界的にも重要な問題に相なっておりますし、またわが国としても国民の安全保障の見地からも最も重要な問題でございます。そういうような観点に立ちまして、内閣に国民食糧会議というものも設置をし、各方面の御意見等も伺っておりますし、政府におきましても「農産物の需要と生産の長期見通し」というものを閣議決定をいたしまして、それに対応する総合的な食糧政策というものを進めておりますことは御承知のところでございます。特に今回のような厳しい二百海里時代に当面をいたしまして、たん白食料の問題が大きくクローズアップしてきておるわけでございます。私は、今後漁業の面におきましても、各国の、沿岸国の二百海里の外における未開発の漁場の開発の問題、未利用資源の有効利用の問題、そういう方面に力を入れてまいる考えでございますし、先日も和田さんにお答えしたように、日本列島周辺の沿岸、沖合いの漁業の振興、資源の増強、こういうことには全力を挙げなければいけない。と同時に、たん白食料の一環としての畜産の問題、これもいま着実にこの畜産の方も伸びつつございます。私は、これを今後とも将来に向かって安定的に発展するようにしてまいりたい、こう考えております。 ニュージーランドの例を御指摘になりましたが、今後豪州においてもその他の国においても同様、魚をとらせるかわりに畜産物あるいはその加工品等を日本で入れてくれ、こういう要求が出てくるだろうと思います。しかし、この問題につきましては、御承知のように各国別に輸入割り当てをしておるわけではございません。グローバルでわが国の畜産の生産の状況、消費の状況、そういうことを勘案をいたしまして、外国からの輸入というものはグローバルで考えております。そういうことで、それぞれの国々が、日本の操業を認めるかわりにその国の畜産物をこれだけ買えというようなことは、現在の国別割り当てをしてないわが国としてはそういう要請にはこたえるわけにはいかない。この問題はあくまで畜産物の需給の関係を総合的に判断をして、わが国の畜産の振興にも支障を来さないような限度におきまして対処していきたい、こう考えております。
○和田春生君 いまの場合でございますから、これ以上お尋ねは遠慮いたしたいと思いますけれども、やはり何といっても国内の体制が必要でございまして、絡んでくるわけでございますから、漁業によって得られた水産物あるいは水産加工品等、国民食糧として位置づけていく、そういう立場が従来に増して非常に重要になってきたんではないかと思います。そうした観点から、食糧基本法を制定をして総合的にまず国内体制を整備していく、非常に必要だと思いますので、その点については特に御検討をお願いをしたいということを主張いたしたいと思います。大臣うなずいておられますので、この問題は了解を願ったものといたしたいと思います。 次いで、今度は領海法についてお伺いしたいと思うんですが、きょうはもう最終の審議で時間が限られております。弁明は要りませんから、端的にお答えを願いたいと思うんです。実は、国際海峡に相当すると考えられる特定海域の問題がございましたけれども、宗谷海峡に特定海域を設けました。その結果、ソ連との中間線から向こうは、ソ連が領海十二海里でございますからソ連の領海に入る。特定海域を設けた結果、宗谷海峡の中間線から日本側に寄ったところに公海部分を残すということになったわけでございますが、なぜそういう形にしたのか。対ソ交渉という形になれば、当然ソ連との関係においては、特定海域は宗谷海峡に設定をするということについていかなるメリットがあるのか、わが方が割りを食うばかりではないか、こういうことに対する質問が一つ。 もう一点は、宗谷海峡に特定海域を設けながら、現実に日本の現在国家主権のもとに支配下にはありませんけれども、日本の本来的領土であると主張している北方四島につきまして、択捉、国後、根室、色丹、この四つの海峡については特定海域の線引きは全然してない。全部領海十二海里にしてあるということは、仮にこの四島が返ってくればこれらの国際海峡に該当するベーリング海と太平洋との水路になっているところにわが方は特定海域、つまり国際海峡に相当するものを設けないという意思表示をしているのと同じことになっているわけでございますが、なぜ、宗谷あるいは津軽と、国後、択捉、根室、色丹の海峡との間に扱い方を別にしたのか、端的にその理由をお聞きしたいと思うんです。
○説明員(井口武夫君) お答え申し上げます。 そもそも五海峡を特定いたした経緯は、先生御存じのとおり、わが国の総合的な国益の観点から五つの海峡ということを選んだわけでございますが、宗谷海峡の場合に、やはりこれは国際航行というものがありまして、地理的にも国際交通上の重要な航路であるというふうに判断したわけでございますが、そもそもソ連の領海は十二海里と言いましても、やはり相対している国との間では中間線までしか拡張できないという国際法がございまして、五八年の領海条約にはソ連も入っておりますから、やはり宗谷海峡の場合にもともと向こうは中間線というふうに考えておりますから、これは別に仕返しとか、そういう問題ではないのじゃないかというふうに考えますが……。
○和田春生君 違うんだよ、それはわかっているんだ。中間線からこちらになぜ公海部を残したかということを聞いているんです。
○説明員(井口武夫君) これは、やはり国際航行に使用される水路は三海里の領海幅員で現状凍結ということの結果でございまして、これはこの五つの国際海峡すべてにそういう形でやることがこの際必要であるということでございまして、特に遠慮したとか、そういうわけではないわけでございます。 それから、この北方四島の方の航路につきましては、これは、たとえば根室海峡の場合には、非常にこれは浅瀬があるとかそういうこともございますし、国際航行に使用されている、あるいは外国船が多く通るというような判断を下すだけの材料がなかったわけでございますし、さらに、それ以外の海峡で先生が指摘されたところにつきましては、現実に施政が及んでいないということで、必ずしも十分に関係省庁においても通航の実情が把握できないというようなことがあったわけでございます。それで、やはり国際海峡は、これは現時点において領海幅員を現状凍結したということでございまして、海洋法会議の結果でき上がる国際海峡の定義、そのときの通過通航制度というものをにらみ合わせて、その段階でさらに判断する問題であるというふうに考えておるわけでございます。
○和田春生君 いまの私の質問に対するお答えに実はなっていないんですね。現実に支配下にないから特定海峡は設けないというなら、線引きをすることもおかしい。十二海軍で線引きをするんなら、特に択捉、国後等については、ベーリング海と太平洋を抜ける重要な航路に当たっているわけですから、特定海域を設けておくのが当然だ。宗谷海峡についても、ソ連の領海は宗谷海峡の中間線まで来ているわけです。わが方がなぜ遠慮して、中間線からわが方に公海部分を残さなくてはならないかという問題が残るわけです。したがって、いまのは答弁になっておりませんし、そういう点においては領海法を制定するについて立法の面において重大な混乱があるということを指摘をしておきます。私どもとしては、それは了解はできません。 次に、時間の関係もございますから、これは防衛庁にお伺いをしたいと思うんです。一昨日の連合審査で防衛庁の御答弁を聞いておりますと、領海が三海里であっても十二海里であっても一向変わらぬと言っている。全く私は情けない考え方だと思う。つまり、領海を広げるということは領土を広げるということなんですから、それだけ日本の領土が広がるわけです。七万五千平方キロメートルが、海洋部分でいっても約三十一万平方キロメートルにふえるわけです。それがその国の領土になるからこそ、国連の海洋法会議でも群島国家の問題を含めて領海の無害通航とか、あるいは妨げざる通過通航ということが大変な議論になっているわけなんですね。だから、変わらないなんというのは、魚の問題だけだと考えているのではないかと思うんです。魚の問題は領海を広げた結果生ずることであって、日本の領土を広げる、したがって日本の領土防衛ということに対して一向変わらないなんということは、私は情けなくて仕方がない。同時にまた、二百海里についてもどうもその点あいまいなんですが、すでに一昨日の連合審査で議論をされておりますので、私は端的に具体的な例を挙げて一つお伺いをしたい。 たとえば、二百海里水域内で外国の漁船が違反操業をしている。そばに海上自衛隊の自衛艦がおった。そうすると、この前の答弁では、保安庁に通報するだけだと言うんですが、保安庁の体制ははなはだ現在手薄でございまして、現場に急行するのに往復時間がかかる。そうすると、そこで現に違反操業しているにかかわらず、日本の自衛艦は黙って見ておるということなんですか。海上保安庁は早く来い早く来い、五時間たっても六時間来なくてもじっと見ておるだけで何もしないんですか。一回そのことを私は聞いておきたいと思う。
○政府委員(伊藤圭一君) まず、第一の点についてお答え申し上げますが、私どもは領海が広くなるということが全く同じだとは考えておりません。しかし、私どもが御説明申し上げておりますのは、平時と有事との違いという観点に立って御説明しているわけでございます。したがいまして、領海が広くなった、この間におきます平時の取り締まりの任務というのは、海上保安庁がその責任を負っているわけでございます。したがいまして、十二海里になったために、自衛隊が海上保安庁と同じ権限を持って同じ取り締まりをやるのかということになりますと、これは現在の法のたてまえ、政府の方針としてはそういう考え方をとっていないということでございます。また、防衛計画の大綱におきまして、防衛力を整備し、これを運用するに当たっては三海里の領海に基づいてこの運用を考えているわけではございません。したがって、運用の面におきましては、これは三海里と十二海里というものは本質的な違いはないということを申し上げているわけでございまして、日本の守るべき領海が広がっているという事実につきましては、私どもはこれを否定しているわけではないわけでございます。 それからもう一点、二百海里の問題でございますが、これもいま御説明いたしましたように、私どもはこの二百海里のもっと外におきましても、訓練、演習をいたしております。それからさらに海上自衛隊の航空機、艦船は調査活動の一環として監視業務を行っております。そういうものを発見しましたときには、権限をもってこれを取り締まるということはできません。しかし、その実情を海上保安庁に通報すると同時に、不審な漁船等の動きについては監視をする必要があると考えておりますし、また事実行為としてこれはその違反をしているものに注意を与える、そういったことは当然可能であろうというふうに考えております。したがいまして、海上自衛隊の船が訓練の途中にそういうものを見つけたときには、それを見失わないように周りを監視するということも可能でございましょうし、近くに寄ってあなたは違反していると思われるからその違反をやめて二百海里の外に出なさいという注意、これは通常におきます私どもが交通違反をしている人に対して、警官でなくても大人であれば注意をしてやるというようなことで、事実行為として私どもは可能だというふうに考えておるわけでございます。しかしこれは、海上保安庁が持っているような法律の権限に基づくものではないということを御説明している次第でございます。
○和田春生君 大変不十分な答弁でございますが、質問時間が来ましたのでこれでやめますけれども、当然それは法律的、制度的な面についても私は改定を必要とする事態であるというふうに考えているわけです。その点は、改めて総理への質問の際に総括的にお伺いいたします。これで質問を終わります。
○委員長(橘直治君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時三分休憩 —————・————— 午後一時開会
○委員長(橘直治君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。 この際、委員の異動について御報告いたします。 ただいま川村清一君、前川旦君、工藤良平君、原田立君及び山本茂一郎君が委員を辞任され、その補欠として瀬谷英行君、青木薪次君、森下昭司君、藤原房雄君及び福井勇君がそれぞれ選任されました。 —————————————
○委員長(橘直治君) 領海法案及び漁業水域に関する暫定措置法案、以上両案を一括して議題といたします。 休憩前に引き続き、両案に対する質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○初村滝一郎君 総理には御苦労さんでございます。 今日ほど、この日ソ漁業交渉に当たっての国民の世論が高まったことはないと思います。国会もまた、党首会談等を開いてこれに協力するという態勢ができたわけでございますが、この新しい日ソ間の情勢を踏まえて三たび農林大臣が訪ソするわけでありますが、これに対する総理の訓示というか、話し合いというか、そういう点の考え方をまずもってお聞きしたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、日ソ関係というものは、とにかく隣の国である。その上、人の往来を見ましても、あるいは文化の交流ということを考えましても、あるいは漁業国としてとにかく日本とソビエト、これは大変利害の共通点を持つわけであります。さらに経済関係を展望してみましても、シベリアの開発というような問題もある。これは、日ソ関係の将来というものは私は非常に明るいと思うのです。それが漁業交渉、今回のこの事態のゆえにこの種日ソ関係の将来が損なわれるということは、これはもう非常に残念なことだと、こういうふうに思いますが、そういうことにならないようにするには一体どうするかと、こういうことになりますと、私はこれは日ソの間には多年の懸案がある。二十二年来非常に争われてきた領土問題、これはまあ三十二年来の問題でもありますが、特に二十二年来日ソ間の関係を、非常にむずかしい関係にしておるのはこの領土問題だと。この領土問題の話し合いをこの際つけようといったって、それはなかなかこれはつくはずがない。そこで、領土は領土問題として別途またひとついたしましょう、漁業は漁業の問題といたしましてひとつ円満にこれを妥結いたしましょう、こういうことを基本にいたしてまいりたいと思うのであります。 つまり、そういう考え方のもとに、二つの大きく基本方針があるんです。わが国はもう明治以来、あそこに培いました漁業権益とも言うべき実績を持っておる。この実績をなるべく損なわないようにいたしたい、これが一つ。それからもう一つは、別途これから日ソの間で大きく進めていかなきゃならぬところの領土の問題、この領土の問題についてのわが国の主張がこの漁業の交渉において損なわれることのないように、この二つの点を主眼として鈴木農林大臣に健闘をしてもらいたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
○初村滝一郎君 私は、きのうの新聞で、韓国の朴大統領が三十日の閣議で、日韓大陸だな協定の批准かもし実現しない場合、——実現したときは別だけれども、もし実現しない場合には対抗処置を考えるという指示をしておるんですね。そういう記事を見た場合に、私はこれは大きな日韓関係にみぞができると思うんです。ところが、西山駐韓大使が、恐らく対抗策はすぐとるまいであろうということを総理に報告したという話を聞くが、そうあってもらいたいわけでありますが、竹島の問題一つ考えても、私は必ず韓国は二百海里を宣布するであろう。こうした場合に、恐らく日ソ漁業問題以上に国民というものは不安を免れない。これに対する考え方はどうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 竹島は、かねて皆さんに申し上げておりますとおり、わが国の固有の領土である。固有の領土に対しまして、わが国が三海里にせい十二海里にせい領海としての権利を主張する、これはもう当然のことでありますが、今回皆さんの御協力のもとに二百海里水域ということに相なりますれば、これもまたわが国は二百海里水域をあの周辺にしくと、こういうことになるのですが、これは理論上そうなるわけです。ところが、韓国の方ではソビエトと違いまして非常に穏やかな態度でありまして、話し合いで従来のような形で当分いきましょうと、こういうような経過になっておるわけであります。 そこへ、大陸だな協定問題が出てきておる。これについて韓国側でいろいろなことを言っておりますが、韓国の基本的な立場、それは日韓の漁業問題につきましては、日韓漁業の取り決めがあるわけでありますから、その線で当面推移すると、こういう考え方であります。大陸だな協定の問題につきましては、私はぜひ皆さんの御理解を得まして、この国会で批准ができるような状態にさしていただきたい、こういうふうに考えておりますが、それはそれといたしまして、なるべく日韓間におきましては、漁業問題については順調に話し合いで万事解決をいたしたい、さように考えております。
○初村滝一郎君 そうあってしかるべきであると思うけれども、なかなか韓国という国はあらゆる面において、私どもも従来韓国の人を使ったこともあるし、よく知っておりますけれども、一層親善を深めて、そういうことのないように配慮してもらいたいと思います。 次に、新しい海洋時代に対処するために、漁業水域の管理体制を強化する私は必要がある。三海里から十二海里にやっただけでも四倍の領域に広がるのですから、さらにこれが二百海里になりますというと、五十数倍の領域になるのですよ。たまたま連合審査等において終始海上保安庁あるいは防衛庁長官の話を聞いてみますると、国民は納得しない、その答弁では。したがって、この管理体制を閣僚会議を早く開いて私は対処すべきであると、かように考えますが、この点について総理の御答弁をいただきたい。
○国務大臣(福田赳夫君) いよいよわが国も二百海里、こういう広範な水域におきまして管理体制を持たなきゃならぬ、こういうことになりました。いままでと事情が一変してきておるわけであります。そこで、今回のこの御審議願っておる二百海里水域の問題、これを閣議において論議し決定をするという段階におきましても、私から管理体制の強化ということを強調いたしておる次第であります。この管理体制、これはそう急速に体制を整備すると、こういうわけにもまいりかねるところがありまするけれども、これは政府の全能力を挙げましてそれを遺憾なきを期するようにぜひ早急にいたしたいと、かように考えております。
○初村滝一郎君 私は、最後に水産予算の大幅増額を要求したいと思います。 総理の手元に私が調べた資料を出しておるわけですが、総額、水産日本の予算が一千七百六十九億ですよね。国民年金の中の老齢福祉年金の千円で六百億なんですよ。その三千円相当の金額しか水産日本の予算がない。しかも、その中の五三%は漁港なんです。そこで鈴木農林大臣は非常に情熱を燃やしておる。二百海里時代に備えて構造改善事業とかあるいは内水面その他について非常な情熱を燃やしておる、その情熱を満たせる意味においても、私は少なくとも五倍ないし六倍の五十三年度からの予算を要求をいたしたい。これに対する総理のお考えを聞いて、割り当てられた時間が参りましたので、私の質問を終わります。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ漁業問題、広くは海洋の問題、これは新時代に入ったわけであります。わが国といたしましては、その新しい時代に対する体制を整えなきゃならぬ、それには金が要る、そういうことは当然であります。ことに、他の国の二百海里水域内で漁獲をしておりましたその漁獲というものが制限を受けると、こういうことになるわけでありますから、やっぱり漁業外交という問題が非常に重要になります。同時にまた、わが国の周辺における魚族の培養でありますとか、あるいは港湾の整備でありますとか、そういう漁業対策、この面が非常に重要になってくると思います。新時代という認識を持ちまして予算の問題についても対処してまいりたいと、かように考えております。
○鶴園哲夫君 法律につきまして二点ほどまずお尋ねをしたいわけですが、いま初村委員の方からも出ましたように、二百海里の漁業水域で国土の十一倍の広さを持つ漁業水域ができ上がったわけですけれども、それの管理体制、これにつきまして三十日の日にわが委員会と外務、内閣、運輸、それぞれ連合審査をいたしました。その中で運輸大臣は、三年計画でその管理体制の強化を図りたいというお話がありまして、防衛庁長官は、従来行っている海上保安庁との連絡、協力、それを強めていきたい、自衛隊法を改正をする考え方は持っていないという慎重な発言をなさった。私は、海上自衛隊がこの二百海里の管理に当たるということは、仕事そのものは海上保安庁並みであったといたしましても、これは軍事力が正面に出るわけになります。そのことは、北洋の問題なり、あるいは日韓の問題なり、さらに日中あるいは台湾との関係等におきまして海上自衛隊が出るということは、これは国際紛争のやはり刺激をするという心配をいたしております。その点について、総理のお考え方を伺いたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、この間の閣議でも、海上保安庁を中心としてやってまいりたいということを申しておるのです。それで、法律上から言いますと、これはわが国の国民の生命、財産などに危険があるという際におきまして自衛隊は出動し得るわけなんです。わけでありまするけれども、これは私は自衛隊が海上の管理に当たる、こういう体制でなくて、海上保安庁がこれが中心になってこれに当たると、この方が好ましいと、こういうふうに考えておりますので、先ほども申し上げましたが、管理体制の強化、これは海上保安庁を中心としてこれを行うと、こういう考え方でございます。
○鶴園哲夫君 現行法の中におきまして、海上自衛隊そして海上保安庁が従来のとおり連絡等を緊密にして体制をとる、中心はあくまでも海上保安庁を速やかにひとつ強化してもらって、そしてこの二百海里の取り締まりをやっていただきたいということを重ねて要望いたしておきたいと思います。 合同審査の際に、これは民社党の柄谷委員から出たんですけれども、捕鯨船のキャッチャーボートが大変いま係留中になっている、その中には直ちに使えるようなものが十数隻ある、これは速力もあるし、さらに波に対しても、また遠く行くことについても可能性を持っている、だからこれをひとつ海上保安庁で使うということはどうだという意見が出されまして、運輸大臣は大変結構な意見だという趣旨の話がありまして、検討したいという話がありました。私も、これはやはり速やかに海上保安庁の警備体制というものを強化していくにはこのキャッチャーボートを使う、大変いいことではないか。さらにまた、今後恐らく優秀な漁船が、北転船のごときもそうですけれども、これは減船をせざるを得ないだろうというふうに思います。これもまたいま申し上げましたキャッチャーボートと同じような能力を持っておるわけでありますから、そういうものを使っていくということもいい考え方ではないか、こう思っておりますけれども、総理のお考えを聞きたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 今度のこの日ソ漁業交渉の事態だけから見ましても、たとえば北洋漁業、あの船団なんかもかなりの削減をしなきゃならぬ、そういう問題もありまするし、いまお話の捕鯨のキャッチャーボートというような問題もありまするし、いろいろもう稼動しない漁船の問題が出てくると思うのです。それが海上保安庁で使えるかどうか、これはすぐそういう考え方が出るわけなのでございますが、よくこれは検討いたしまして、使えるものはそういうふうに転用をした方が、これはまあ国家的利益でございますからそのように考えたいと、かように考えます。
○鶴園哲夫君 次は領海の十二海里の問題ですけれども、この設定は領土の確定と同じように国家の主権にかかわる重大な問題だと思うんです。しかし、今回のようにいわゆる国際海峡という五つの海峡について現状どおり三海里だということで、私の立場から言いますと、安易に領海の主権というものを放棄するということは妥当でないというふうに考えます。けさほどもこの委員会で和田委員から出たんでありますけれども、宗谷海峡をとってみますというとソビエトの側は十二海里で来ている、こちらの側は三海里だと。この領海についての主権というものをこういうふうに安易に放棄するということは、これはソビエトに対する領土の返還について、本当にそういう考えを持っているのかという疑いすら私は与えるのではないかというふうに思うんです。これはマラッカ海峡のどうだこうだというお話でありますけれども、私はこれは海洋法会議で結論が出るまでは十二海里を全部に適用すべきだと、こういうふうに考えておりますけれども、総理のお考えを聞きたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) この問題は、本会議でもあるいは予算委員会でもしばしば申し上げているのですが、わが国は海洋国家である、海洋の自由をあくまでも主張して貫かなければならないという立場にある、その国が国際海峡につきまして、みずから他国の船の通航に制限を加えるというような考え方を出すのはどうであろうかというふうな考え方になるわけであります。そういうことでありますので、十二海里体制をとりまするけれども、国際海峡については、これはいま国際海洋法会議の方で何らか国際海峡通航の便利な方法はないかといって模索しておる。まあしかし、大体の方向とすると、何か考え方が出そうな形勢である。そういうやさきでありますので、海洋通航の自由を最も強く主張しなけりゃならぬわが国が、この国際海峡について何ら顧慮するところがないのだというような態度を示すのはこれはいかがであろうか。海洋法会議が新しい秩序を決める、これは海洋国家としてのわが国とすると非常に重大関心事でございまするけれども、その会議が最終段階に来つつあるそういうやさきに、わが日本がそういう主張と相反するような行動をとるのはいかがであろうかという配慮から、海洋法会議の結論が出るまで特定の国際海峡につきましてただいままでの三海里体制を継続すると、こういうことにいたしましたので、海洋法会議の結論が出ますればまたその際皆さんにお諮りをいたしたい、こういうふうに考えております。
○鶴園哲夫君 いま、御承知のように、二百海里の問題につきましてもこれは海洋法会議において結論が出ているわけではない。出てないけれども、わが国は必要に迫られてということになりますが、二百海里の漁業専管水域を決めたわけであります。経済水域と決めておるところもあります。決まっていない。しかし、わが国はやるという立場から言いますれば、これは海洋法会議の結論が出てなくても、出ていないなら、十二海里をこれを設定をしておく。ソビエトに対して、向こうは十二海里、そこまで来ているのにこっちは三海里でございますと遠慮するというのは、初めからそういう態度をとっては、これは当を得ないというふうに私は思っております。重ねて総理のひとつ見解をお聞きします。
○国務大臣(福田赳夫君) 海洋法会議の方でいま鋭意検討中でありまして、いずれはこの問題は世界の交通に関する重大問題でありますので結論が出る。出る方向といたしましても、国際海峡に何らかの特別措置を講ずるという方向でありますので、それまで海洋日本といたしましては態度を留保しておくという方が、私どもの考え方とするといいように思うのであります。おっしゃることはわからないわけじゃございませんけれども、海洋国家日本という立場とすると、これはこの十二海里、これを国際海峡にも適用しちゃって諸外国の通航が窮屈になるという状態を醸し出すという行き方はどうだろうかと、こういうふうに考えております。御趣旨はよくわかりますよ。わかりますが、しばらく形勢の推移を待った方がいいのじゃないかというのが、私どもの見解でございます。
○鶴園哲夫君 この問題につきましては、非核三原則との関係もありまして政府の統一見解が出ておりますので、この程度にいたします。 次は、新しい海洋時代ということになったわけでありますが、新しい海洋秩序の時代になりまして、そこで二百海里の漁業水域を決める、国土の十一倍という、この漁場については専管水域を持つというふうに日本はなったわけであります。そして、二百海里であちこちから締め出しを食う、世界各国から締め出しを食うというような状態になりまして、ここで漁業政策というものを、水産政策というものを根本的に転換をいましなけりゃならないという状況に来ていると思います。その場合に最も大きな問題は、いままで谷間にありましたこの日本列島の二百海里周辺の沿岸、沖合い漁業、これを速やかに緊急に根本的に振興するということだと私は思います。 いま水産庁は、五十一年から七年計画でこの沿岸漁場の整備開発に当たっております。十二万ヘクタールであります。鈴木農林大臣は、この委員会におきまして一千万ヘクタール開発をしたい、こういうお話もなさっております。そうすれば、一千万トンぐらいの漁獲高は可能なんだというような意味の話をなさっていらっしゃる。国土庁がこれは昨年出したんでありますけれども、国土庁が、現在から五年の間に経済的に技術的に開発可能な沿岸漁場というものは千二百万ヘクタールある、現在使っているのは百万ヘクタールにすぎないと、こういうことを言っております。いま水産庁がやろうといたしておりますのは、七年計画で十二万ヘクタール。五年間で可能だという千二百万ヘクタールのわずかに一%。これでは、この大変な水産政策を根本的に再建し直さなきゃならない、日本列島周辺の二百海里、これを緊急に開発をしなけりゃならぬというときに当たって、まことにお粗末だというふうに私は思います。でありますから、大臣に速やかにこの一千万ヘクタールぐらいの開発をやられる努力をしてもらいたい。それには私は特別立法が必要だと思っております。特別立法をつくってそういう緊急な対策をとっていただきたいということを要望いたしたいと思いますが、御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 漁業新時代といいますか、そういう時代になりましてわが国の漁業政策を根本的に洗い直しをしなけりゃならぬ、こういうふうに思います。そればいろいろな角度からそれをしなけりゃなりませんけれども、いま鶴園さんがおっしゃるように、近海漁業、これを本当に見直す必要が中心にならなけりゃならぬ、こういうふうに考えております。いままで農林省でも計画的にこの近海漁業の開発計画を進めておりまするけれども、これは再検討いたしましてそして新時代に遺憾なく対処すると、こういうふうにぜひしたいと、かような考えでおります。
○鶴園哲夫君 次は、日ソのこの漁業交渉が、鈴木農林大臣が二回行かれまして、あすいよいよ三回目の訪ソになるわけでありますけれども、この日ソ交渉を見ておりまして最も痛切に感じますことは、これは単なる漁業経済権益というだけのものになっていないと、非常に政治的色彩を強く帯びているというふうに感ぜざるを得ないわけであります。御承知のように、四月の二十九日にソビエトの方から、二十一年続きました日ソ漁業条約の破棄の通告がありました。これは、三月一日からソ連が二百海里をとったわけでありますから当然想定されておったところであります。しかし、この漁業条約というものが三十一年にできたわけでありますが、そして、それをてこにして御承知のとおりに日ソの国交回復が行われたわけであります。自来、二十一年にわたりましてソビエトと日本との間の非常に重要な、これは漁業だけの問題ではなくて、日ソの友好あるいは日ソの外交の窓口となった大きな役割りを果たしてきたわけですね。 私は、この漁業条約の、今度の日ソの漁業交渉の問題について、非常に政治的な問題が絡まっておるというふうに思えるわけです。まあ総理も異例な党首会談をされまして、自来、私どもも異例なまた審議を行ってまいっております。さらにまた、両院とも決議をいたしました。超党派の議員団も派遣をいたしまして、努力をしてまいったところです。しかし、私は政府のソビエトに対する外交というもの、対策というものは、どうも私どものいまやっておることとはちぐはぐなことをやっていらっしゃるのではないかというふうに思えてしようがないわけであります。総理が特使を派遣すべく躍起になっていらっしゃるときに、日本の財界の代表が、大型の使節団がにぎやかに北京に乗り込んでいる。そして中国は、御承知のとおりに石油と石炭の長期契約の話を持ち出してきている。さらに、いよいよ明日鈴木農林大臣が訪ソされるというそういう直前に、この四月二十八日に経団連の会長は演説をしまして、中ソに対する等距離外交は反対である、中国の石油に注目をしなければならないということを強調されるわけです。一方においては、新聞の報道によりますというと、外務大臣の鳩山さんが五月の末には経済通の外務大臣として中国を訪問される、こういうような話が報道されている。 一体、こういうことは、鈴木さんが行かれる、その第三回目に必死になって行かれるものに対して援助することになるのか、水をかけることになるのかという点を、私は非常に心配するわけであります。それはそれぞれの国に対しまして使節団も必要であります。否定するものではありません。しかし、この段階でこういうようなことが行われたり新聞に報道されるということは、これは私は福田政権のソビエトに対する考え方を疑わしめるものがあるのじゃないかというふうに思えてしようがないわけでありますけれども、総理のお考えを聞きたいと思っております。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は先ほど申し上げましたが、日ソ関係というものは、地理的に見ましてもこれは隣組でございますし、それからその他経済や文化、そういうもの、非常に緊密な関係がつくり得る素地を持っておる。しかも、漁業大国というようなことで、他の国々に対しましては日ソは共同の利害関係を持つ、こういう国でありますので、これは私は日ソ関係というものを大事に育て上げていきたいと、こういうふうに考えておるわけであります。今回の海洋新秩序というそういう漁業問題の移り変わりのこの機会に、日ソ関係の将来が損なわれるというようなことがあるということは、もしそういうことがありますればまことに遺憾なことだと、こういうふうに考えるのであります。そこで、この漁業交渉はそういうことにならないように、領土問題というような政治問題とは切り離して解決するようにということを念願をいたしておるわけなんです。 そういう時期でありまするので、その私の考え方を阻害するような動き、これはできる限りそうあってはならないというふうな考え方を持っておるわけでございますが、いま鶴園さんは鳩山訪中ですか、そういうようなことは全然考えておりませんよ。それから私の知る限りで、経団連会長が等距離外交否認だというような話をしたということも聞いておりませんが、ただ大型の経済使節団が北京に参ったということはこれは事実で、あれはもう前々からの予定でよんどころなくああいうことになったわけでありますが、まあ御注意のほどは本当にありがたく拝聴したわけであります。今後ともそういうことにならないように、最善の努力をしてまいりたいと思っております。
○鶴園哲夫君 最後になりますけれども、私は昨年から、ミグ25の問題がありまして、福田政権ができまして、経緯を見ておりまして、やはり日本のソビエトに対する友好関係というものはどうも着実に手が打たれていないという気がしてしようがないわけであります。で、カーター政権ができまして、人権外交という形でソビエトの問題があります。そういうアメリカと日本との関係という点も新しく生まれてきているんだろうと思いますけれども、どうも日ソ友好というものを着実に進めたいという手はどうも打たれていない。むしろそうではない、総理はかつて水かきとおっしゃったですが、アヒルの水かきみたいなことにもなっていないような気がしてしようがない。それで、この日ソ漁業交渉についてもよく言われるのですけれども、あるいは日ソの友好の関係について切り札はこれはシベリアの開発だと、その長期契約というものが日本はできるかできないのか、それはかかってアメリカとの関係だというふうにも言われている。どうも中国とソビエトに対して等距離外交反対だという、中国の油に注目をしなければならぬという強調を行われている。どうも私は、日ソの関係については着実に進んでいないというような考え方を持っておるわけです。総理の考え方をもう一遍お伺いをいたしまして、終わりたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) シベリアの開発問題ですね、これは私は、日ソ間で相共通する利害関係があると思うのです。しかし、これが進まないその原因がアメリカ側にあるのだという御理解でございますが、それは全然ありませんから。これはもう日米は日米、日ソは日ソ。シベリア問題につきましては、アメリカがこれを妨害しておるのであれは進まないのだというようなことでなくて、とにかくああいう極寒の地帯でございまするから、いろいろ計画をいたしましても、その計画の実現性というか、そういうものについてよほど慎重に調べて取りかからぬと後で大変なことになるというようなことで、なかなか話には出るけれども現実化しない、そういうのが実情であります。くれぐれもお願いしますが、アメリカがそれを妨害しているというようなことはないのであります。日ソ関係につきまして、善隣友好の関係をさらに進める、こういう御勧告につきましては、十分にそのとおりにいたしたい、かように考えております。
○相沢武彦君 日ソ漁業交渉は、間もなく成立する海洋二法案を携えてあす鈴木農林大臣が三たび臨まれるわけですが、予測は相変わらず厳しいものがあると思います。日本政府は、北方四島の領有権は未解決であることを両論併記といった形で確認して、それを前提に暫定協定第一条の適用水域に決着をつける。そうして、こうした基本姿勢をはっきりさした上で、わが国の二百海里の漁業水域に北方四島を含めることにすれば、領土で譲るなと、こういうわが国論の立場を損なわないで済む、こういう政治判断をされておると思うのですが、しかしソ連が相変わらず従来のように、四島を自国領土扱いとして閣僚会議決定をのむよう迫ってきた場合には、打開の余地は全くなくなるんではないかと思いますが、たとえ最悪の事態を迎えたとしても、将来にわたる日本の真の国益を考えた上で決断をすべきであると思いますが、これに対する総理のお考えを承っておきたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) この領土問題、この問題は、ソビエトはあの北方四島はソビエトの領有であると、こう主張をしております。わが国は、あれはわが国の固有の領土である、こういう主張をしておるわけであります。全く相対立しておるわけです。ですから、この問題に話がいきますれば百日交渉になりますよなどと言う人がありますが、とても私は百日どころでは話のつく問題じゃないと思います。これはもう非常にロングランといいますか、長期交渉になってしまう。そこで私は、領土問題は領土問題として別の場で話し合いましょう。魚の問題は、この領土にかかわりなく魚の問題として決着をつけましょう。漁民は一日千秋、もうあしたかあさってかと言って出漁を待ちあぐねているわけです。その待ちあぐねておるところの漁民の要請にこたえる道は、私はそれ以外にないと思うのであります。しかし、不幸にしてソビエトが、漁業問題をいささかでも領土問題に絡めるという気配があるということになりますれば、私どもは遺憾ながら漁業問題の交渉、これを承諾するわけにはまいりません。これはもうこの漁業問題の交渉が、今後粘り強くソビエトと交渉していかなきゃならぬわが国の領土主張、これにいささかとも傷つくというような解決は断じていたしませんから、その辺は、そういうことになったらひとつ御協力、御理解を願いたいと、かように思います。
○相沢武彦君 今回の交渉を通してプラスの面があったとすれば、領土返還を望む幅広い国民の強い意思が確認されたことだと私は思うんです。ソ連側は、領土問題をとやかく言うのは一部の反ソ的な人たちの言動であるとか、あるいは選挙目当ての政党の動きだというようなことを言っておりますが、これはとんでもないことであります。領土返還の要求というものは全国民の願望でして、私も北海道のいろんな階層の人たちにもお尋ねしましたけれども、絶対領土で魚を譲るな、取引するな、また主婦の皆さん方も、たとえ食卓の魚が三分の一に減ったとしても、領土でソ連に譲ってはならないということを言ってくれました。非常に感激しました。また、北洋の漁業関係者も、領土問題の手がかりを失うことは自分たちの操業要求の手がかりをなくしてしまうことだということで、出漁できない現状をじっと耐えながらがんばっていらっしゃるし、またこうした漁業関係者救済のための財源措置について、国民の皆さん方は温かい理解を示してくださっております。 そこで、特に北方四島の引き揚げ者の多い、在住していらっしゃる根室の住民、また北方水域でこれまで拿捕等を繰り返されながら、かつての自分たちの海だということで操業してきた零細な漁民、この人たちは特に総理大臣の現地の視察、そしてそこで総理みずからの手で北方領土に対する、また北方水域に対する日本の国益を損なわない、確保するという決意を聞きたい。また、現地住民の生の声を聞いてほしい、こういう要望を強く持っております。総理は選挙資金目当ての政経文化パーティーで大分あちらこちら飛び回られておりますけれども、それだけの無理な日程を組んでも飛び回れる余裕があるのですから、ぜひこの機会に根室にいらっしゃって、日本の現職総理大臣としては初めての根室現地視察ということをおやりになる意思があるかないか、承りたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、この根室、釧路、その住民から直接話も十分聞いておりまして、現地の人の気持ちもつぶさに承知しておるつもりでございます。ございますが、これはまあとにかく現地視察をいたすというようなことをいたすにいたしましても、鈴木農林大臣があした出発して五日からの漁業交渉に臨むと、こういう段取りになっておるわけでありまするから、その推移を見ないとこれはいかぬだろうと、こういうふうに思うのです。まあ適当な時期にはひとつ皆さんのお話もよくお聞きしたいと、こういうふうに思います。現地でお聞きしたいと、こういうふうに思いまするけれども、まだいまこの段階で私が直ちにあそこへ飛んでいく、こういうようなそういう時期ではないのじゃないか、そのように考えております。
○相沢武彦君 在任中は参りますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 在任中といったって、これはずいぶん続く福田内閣かもしれませんからそれはもうちょっと……、そういうことがあり得ることだろうと思います。
○相沢武彦君 北方領土問題は、時間が経過すればするほど諸条件が日本にとっては不利になり、解決が困難になると思います。総理は、この問題はとても歯か立たない難問題、時間がかかるんだとして、総理在任中事なかれ主義だ、何らの努力もせずに終わらせる気なのか、それとも一歩でも解決のための努力を惜しまないお考えなのか、どうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 領土問題は、国民のかねてからのこれはもう悲願でございまするから、これはもうできたら福田内閣のときにこの問題はわが国の主張を踏まえて解決をしたい、こういうふうに思いまするが、とにかくそういう気持ちで最善を尽くすという決意でございます。
○相沢武彦君 ヤルタ会談それからカイロ宣言等の当事国であるアメリカ、イギリスに協力を求めてはいかがかと思うのですが、アメリカ、イギリスのわが国に対するこれまでの回答を見ても、北方四島は日本に帰属することを明言しているわけですから、しかしそれに対しては余り積極的な働きかけはしていない。そこで、当事国ですから、もっと積極的に動いても当然だと思うのですが、七日、八日ロンドンで行われる第三回目の先進国首脳会議に福田総理は初めて総理として御出席になるわけですが、そのときに北方四島帰属の問題で、アメリカ、イギリスに対して新たな協力を求められるお考えはございませんか。
○国務大臣(福田赳夫君) ちょうどそのころ、鈴木農林大臣・イシコフ漁業大臣の話がどういうふうな展開を示しますかね、まあちょうど山に来ておると、こういう段階かと、こういうふうに思うのです。モスクワの鈴木大臣ともよく連絡をしながら、できる限りの私も現地のロンドンにおきまして努力をしてみたい、こういうふうに考えております。 この日ソ間の問題で、ほかの国の協力を求めるかどうかですね。この点につきましては、これはいまここでお答えすることを差し控えさしていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、モスクワにおける鈴木農林大臣とも緊密な連絡をとりながら最善を尽くしてみたいと、かように思います。
○相沢武彦君 今回の日ソ漁業交渉、領土と魚を切り離して交渉をというわけですが、本来ソ連との間の問題として、漁業だけではなくて、今後の日ソ間の大局的な立場から長期的な展望に立った、本当に腹のすわった日本民族とソ連民族の交流という高い次元での話し合い、これがなければ本当の友好を求めることはできないし、それができれば漁業交渉ということにもまた大きなプラスになってはね返ってくるんじゃないかと思うのですが、これに対する総理大臣の御見解と、それから戦後歴代首相で訪ソしたのは一人なわけでして、今回福田総理は、自分が行けば領土問題が絡むので、漁業問題だけに限って農林大臣に折衝してもらうんだと、こうおっしゃっているわけですが、将来日ソ友好をさらにきずなを深める、また将来にわたる日ソ漁業交渉、これはいずれやることですから、それをお互いの立場を理解し合いながら両国のためのいい方向へと持っていくためにも、今回のこの問題が片づいた後、日ソ経済協力の問題や、あるいは懸案の領土交渉などで訪ソをするというお気持ちはございますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、当面の問題といたしましては世界の経済の問題がある。そういうようなことからロンドンにおける首脳会談に臨みますが、わが国の置かれておる立場として、やはり東南アジアの国々との接触ですね、これはよほど前進させる必要があろう、こういうふうに考えておるわけでございますが、そういうようなことで、いまひとつこの時点でソビエトを訪問するという予定は持っておりません。しかし、ソビエトという国は、わが国の隣国として重要な国でありまするから、中国はもとよりでありますが、環境が熟すというか、私が行くということになると、どうしたってこれは領土問題になりますよ。この問題、これはかなりの前進をするとか、あるいは決着がつくとか、そういう環境整備ができませんと、なかなか私は訪問をするという意義が薄れてくるわけでありますから、これからの国際情勢の推移、ことに日ソをめぐる環境、そういうものを考えながら訪ソ問題はひとつ考え検討していきたい、かように考えております。
○相沢武彦君 そろそろ時間ですので、最後にお尋ねしたいんですが、二百海里時代、また今後の日ソ漁業交渉の現状から見まして、わが国の漁業というのはやむなく縮小の方向というか、また今度は二百海里内のわが国の漁業の振興を図って何とか吸収したい、こういう二つのことを抱えてこれから努力するわけでありますが、どうしても漁業者、船員あるいは漁業関係者の中に相当数の失業者、これが出た場合、この失業救済の方法について政府としては相当な力を入れて対処しなければならないと思うんですが、これに対する総理の腹構えをお伺いして、質問を終わります。
○国務大臣(福田赳夫君) 今回の海洋事情の変化に伴いまして、企業が種々大中小含めまして損害を受けますとか、あるいは失業者が出ますとか、いろいろの事態が起こってくる。私は、金で解決をできると思う面は金で解決をするという考えですよ。しかし、金で解決できないものがある。それが一番むずかしい問題です。つまり、ただ単に生活するだけだ、あすへの希望が持てないというような状態に職を失った漁民が置かれるというようなことがあったら、これは非常に不幸な事態ですから、企業で言えば転業、個人で言えば転職、そういうような問題ですね、これは一番頭が痛くて困難で、そしてまた、したがって重点を置いて考えなきゃならぬ問題だ、こういうふうに考えておるわけであります。そういう認識で、当面雇用調整法、なんかの発動、これをいたしますが、そんなことで解決される問題じゃありません。やっぱり新しい職場を得て、将来に望みを託しながら働けるような状態をつくるということが、これは企業にとりましても、あるいは個人にとりましても大事な問題でありますから、その点につきましても十分な配慮をいたしたい、かように考えております。
○相沢武彦君 終わります。
○塚田大願君 きょうはこの委員会で、午前中鈴木農林大臣に対する最後の質問をいたしました。鈴木さんもあす三たび訪ソされるに当たりまして、大変な決意を披瀝されました。悲壮とも言うべき決意でございまして、私どももぜひこの決意が報われるようにと思っておりますが、総理大臣も明治三十八歳でございますし私も明治でありますから、一言よけいなことを言いますけれども、鈴木さんの決意を聞いておりまして私感じましたのは、あの易水の詩です。「風蕭蕭として易水寒し。壯士一たび去って復た還らず」。しかし、鈴木さんは帰ってもらわなければ困る。ぜひ成功して帰ってもらいたいと思いますが、そういった一つの雰囲気がございます。それほど私は事態は重大だと思うわけです。 そこでお聞きするのですが、今日の日ソ交渉の中断という事態は、確かにソ連の側のかたくなな姿勢、これが一つあると思います。しかし同時に、率直に申し上げまして、政府の外交見通しの甘さ、あるいは後手後手の対策、やはりこういう点でも日本政府は責任を負わなければならないことだと思うわけであります。たとえば、先般予算委員会におきましてわが党の上田議員の質問に対して総理は、領土はそっとしておくのだというふうなことを言われました。またその後も、領土は領土、漁業は漁業、きょうも盛んに言われましたが、そういう姿勢ですね。私は、それが今日のこういう事態を生んだ一つの主要な原因ではないか。結局、暫定協定あるいはサケ・マス交渉、みんなデッドロックに乗り上げてしまった。この点で私は、やはり政府の領土逃げ腰外交と言ってもいいと思うんですが、そういうものに対する明確な反省が必要ではないか。 きょうの総理のお話を聞いておりますと、領土は領土、漁業は漁業だが、しかし領土は絶対に損なわせない覚悟である、こうおっしゃっておる。私はこれは一歩前進だと思うけれども、そういうふうに政府の考え方に進歩はあったのか、あるいは昨日政府はいろいろ協議をなすったようでありますし、新聞報道なんか見ますと、従来のそういう逃げの外交を変えて積極的な姿勢に転換する、北方四島の領有権は未解決であるという立場から協定第一条の適用水域に決着をつけるのだ、こういうふうに報道している新聞もございますが、そういう点で政府の考え方が前よりも一歩前進したということなのか、それともやっぱり領土は領土でそっとしておくという考え方に立っておるのか、そこをもう少し明確にしていただきたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 領土は領土、魚は魚というのはこの際の話なんであります。魚の交渉と絡めて領土交渉するということになれば、もう本当に長期、長年月を要する交渉になっちゃう。そこで漁民のこと、そういうことを考えますと、どうしたってこの二つの問題は切り離して論ずるほかはないのじゃないか。できることなら魚の交渉もうまくいく、同時に領土の問題も、ここでわが党、わが国の主張を踏まえてうまくいく、こんなにうまくいけば万々歳ですけれども、現実の問題とするというと、そんな見通しじゃございませんです、これは。 ですから、領土の問題は魚の問題の片づくまでそっとしておく、こういうことで、この際そっとしておくということは、領土に関する問題の交渉はこの魚の問題が終わったらまた積極的にやらなければならない。もういま政府におきましては、下半年のいつの時点になりますか、鳩山外務大臣の訪ソということを考えておるわけでございます。そのときに両国間で何が話し合われるか、まあいろいろありまするけれども、これはやっぱり主たる問題は領土の問題こういうことになってくる。領土問題というのはそういうその方向でだんだんと処理していくと、こういう考え方であります。一歩も私どもは前からの姿勢を後退さしているわけじゃございません。領土問題につきましては、漁業問題が片づきました後、粘り強くわが国の国益を踏まえまして前進さしていくという決意です。 —————————————
○委員長(橘直治君) この際、委員の異動について御報告いたします。 ただいま佐多宗二君が委員を辞任され、その補欠として佐藤信二君が選任されました。 —————————————
○塚田大願君 そうしますと、この点はどういうことになりますか。この閣僚会議の決定による線引きでは領土問題の解決にとって悪影響があるという点で前にお話だったと思うんですが、今度の交渉も大体こういう線で貫こうということでございますか。
○国務大臣(福田赳夫君) その辺はどういうふうになりますか、とにかく領土問題は、向こうの主張とこちらの主張が全く正反対に食い違うわけなんです。ですから、向こうが領土、第一条といいますか、ああいう文句を入れるというなら、こっちも同じ文句を入れなきゃならぬ。また、ソビエト連邦の方で違った文言を入れるというなら、こっちも同じように文言を入れなきゃならぬ。とにかくあの四島に関する限りは、これは向こうで言うこととこちらの言うことと食い違うのだけれども、食い違うままに相打ちというか、そういうような形になるケース、これも考えられますが、いずれにしてもはっきり申し上げたいことは、この漁業の交渉のゆえにわが国の年来の主張であるところの領土交渉、その基盤をいささかなりとも傷つけるということはいたさない、こういうことであります。
○塚田大願君 そうしますと、今度の交渉ではわが国も二百海里を成立させていわば共通の土俵で臨むことができる、こういうことだと思うんですが、福田総理も昨日の記者会見で、日本とソ連の二百海里線引きの観念的にダブる水域の処置が最も大きな問題であると、こうおっしゃっている。観念的にダブる、重なる地域、この問題だ、こう言っておられるんですが、そうするとこのことは、領土問題には悪影響を与えないという立場でソ連側の線引きを保留するように日本が主張すると、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(福田赳夫君) とにかく領土問題につきましては、向こうの主張とこっちの主張がまるっきり正反対なんですから、向こうがこの線引きをするというなら、こっちも線引きしますよ、それは。向こうが線引きはしないと、こういうならばこっちもしませんよ。そういうようなことになりましょう。とにかくわが国が、四島につきましては固有の領土であるという主張をしておるわけなんです。この主張についていささかでも傷がつくような処置はいたしません、こういうことを申し上げているわけです。
○塚田大願君 そこで一つ問題がはっきりしたんですが、政府が四島だけの返還という立場から線引きは保留となればよろしいというような立場からするならば、なるほど日本政府の言う北方四島ということでは何らかの妥協がつくかもしれない。しかしながら、これだったら、やっぱり事実上サンフランシスコ条約での千島列島の放棄の再確認になるのではないかということを私どもは心配するんです。この点はどうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) その辺は、塚田さんの方とちょっと見解が違うのですがね。わが国は、サンフランシスコ条約におきまして千島列島はこれを放棄した。これはもう条約にそう書いてあるのです。放棄したというが、その千島列島にはこれはいわゆる固有の領土である北海道の属島四島は入らない、これも国際的に認められている解釈でございます。ですから、この際また北千島の方までもよこせと、こういうような主張は私どもとしてはしないのです。その辺は塚田さんの方とちょっと考え方が違うのですが、そうなればいいことなのでありますが、これは条約ではっきりと放棄しているのですから、そういうわけにはまいりません。
○塚田大願君 そこで、さらに問題が出てくるんですけれども、私どもは総理も御承知のとおり、千島の全面的返還という立場をとっております。これはやっぱり一つは千島列島は日本の固有の領土であったということが一つ、それから次には、サンフランシスコ条約の千島放棄条項というものは間違っているということ、それから三番目には、南千島が千島列島に含まれないというふうな解釈を政府はなすっていらっしゃるけれども、この政府の解釈というものは成り立たないというようなことから、私どもは千島列島の全面的返還という国民的な要求ですね、これはやはり明らかに国際正義である、決してソ連に遠慮するようなものではないというふうに考えております。 したがって、そのためにはサンフランシスコ条約の千島列島の放棄条項を廃棄すべきであるというのが、私どもの主張であります。これは国際法上も正当な根拠のあるものでございます。ウィーン条約、これには、不当な間違った基礎に立った条約は廃棄できるということがちゃんと書いてあるんですからね。こういう国際正義の上に立った条約、条項の破棄ならば私どもは十分できると、こういう根拠で私どもは主張しているわけであります。したがってまた、ソ連に対しましても、社会主義という立場をとっておるのであります。それが千島列島をあの戦争で領有する、他国の領土をとるというようなことは間違っているということも、これは私どもはソ連にはっきり言っておりますが、そういう意味では、まさにこの千島問題のかぎというのは、この不正義な条項の破棄、サンフランシスコ条約のこの条項の破棄というところに一切のかぎがある。したがって、私は政府の考え方は何回も聞いておりますけれども、やはりもう少しここで検討してみる必要があるんじゃないかと、そう思います。 同時に、時間がなくなりましたからついでに意見を述べておきますが、私どもがそう申し上げたからといって、何が何でも領土の解決が先決であるというふうな立場をとっておりません。やっぱりしかるべき国と国との外交でありますからいろんな折衝があってもいいと思うんで、この交渉がそのために決裂するというようなことがあってはならない、やっぱり成功してもらわなきゃいかぬと思いますが、しかしせっかく農林大臣もいらっしゃるんですから、主張すべきものは主張すると、はっきり物を言うと、歯に衣を着せない、何だか言いたいけれどもまあ遠慮しておきましょうということではなくて、やっぱり主張すべきははっきり言い、その主張は議事録でも何でも明記させるというふうにして、とにかくいまのあの不正常な不正義の状態を追認するようなことがないようにひとつがんばってもらいたい、こういうのが私どもの真意でございます。その点について、最後に総理の御見解をお聞きします。
○国務大臣(福田赳夫君) 基本的な領土問題についての認識につきましては、これは塚田さんと私どもは考え方が違うのですよ。違うのでありまするけれども、わが国の従来の公式な領土についての主張、これを曲げるというようなことはこれはもう断じていたしませんから、その辺は御安心願いたい、こう思います。
○和田春生君 きょうは大変時間が限られておりますので、あらかじめ質問要旨をお伝えしておりますから、最初に総括的にお伺いをいたしたいと思います。 質問に入ります前に、領海法についてこれは私の意見を申し上げておきたいと思います。いままでこの問題については、技術的な面も含めまして、国連海洋法会議の経緯を含め、あらゆる角度からお伺いをしてきたわけでございますけれども、一言で言って、政府の答弁は肝心の点をはぐらかして逃げの答弁である。むしろ、私どもが疑問として提出していることを裏づけるような答弁しかない、まことに残念であります。ところが、一向に改めようとしない。政府提出の原案というものにあくまで固執をして、素直にわれわれの意見に耳をかそうとしない、こういう態度はまことに残念であります。いずれ、これは必ずほころびが出てくると思います。何もしないよりもましかもわかりませんけれども、全く今度の領海法につきましては、そういう点で矛盾をはらんでいるわけでございますから、この点は総理の答弁を求めるというより後ほど修正案を出しますけれども、今後のためにその一点を指摘しておきたい、こういうふうに思います。 質問に入りますが、第一点は漁業補償に関する問題でありますが、今回の日ソ交渉は大変困難でございました。鈴木大臣、まことに御苦労さまであると思いますけれども、思うようにいかない、長期化をする可能性もあります。さらにまた、これがいろんな問題と絡んでまいりまして、日韓、日中その他もろもろの関係各国との問題を引き起こしてくる可能性もはらんでいるわけです。そうした場合に、まず国内体制を徹底的に固めておくということが必要でございまして、これはいわば大砲を撃ち合わないけれども、一種の海洋経済戦争でありますから、国内の体制が崩れてはいけない。そこで、関係漁業者や労働者に対する万全の補償というのは、単なる経済的な問題を越えた国家安全補償の一環であると考えるわけです。そういたしますと、財政的な面におきましても、いまある予算とか従来の枠にこだわらずに、必要であれば補正もする、そういうことをどんどん積極的に進めて、いささかでも乱れが生じないようにするということが必要であると思うんですが、どうも現在までの質疑を通じてみますと、全力を尽くす、努力をすると言いますが、その点もう一つ決意がはっきりしていないように思います。この際、総理にその決意と方策をお伺いしたい、こう思います。 第二番目は、領海十二海里、漁業水域二百海里の実施ということは、わが主権の及ぶ範囲が非常に大きくなるということであります。ところが、これをやったけれども、その防衛ないしは監視、違反に対する外国に対しての日本政府の毅然たる態度、そういうものがきちんとしてなければなめられるだけであり、アメリカでさえも大変だと言っているが、いままでの審議を通じてみますと、防衛庁、保安庁ともに、従来の体制の延長線上で何とかやりたい、何とかできる、こう言うだけでございますが、それではいけないと思うんです。そこで従来のいきさつや現行体制にこだわらずに、海上保安庁の組織や機能あるいは海上自衛隊、航空自衛隊の防衛任務などにつきまして、直ちに抜本的な再検討を行って、迅速に対応できる手段というものをとらなければならないのではないか、その辺に対する総理としてのお考え方をただしたいと思います。 第三の質問点は、新しい海洋時代に対する日本政府の基本的認識というものが大変欠如しておったんではないか。古いことは言いません。しかし、たとえば昨年の臨時国会におきまして、前内閣時代、領海法十二海里を速やかに実施する必要があるのではないかということを私は本院において質問をいたしました。ところが政府の答弁は、まだその時期にあらずと言うだけで何ら具体的なものを示さなかった、こういう状況もあるわけであります。さらに昨年の三月、民社党は臨時大会で、海洋問題に対する緊急アピールを採択をいたしました。まさにアメリカ、ソ連による今日の事態が来ることを的確に指摘をいたしまして、すでに早くから政府はそれに対応する準備をしなくちゃいかぬ、国民に対して積極的なキャンペーンをやれということをわれわれは主張した。官房長官を通じて、総理の耳にも当時入っておったはずであると思います。当時と内閣はかわっておりますが、こういうことに対して全くナシのつぶて、何もしようとしなかったわけであります。ここに来って非常にあわてているわけです。私どもはまことに遺憾であると思う。そういう点で、前内閣においても重要な地位におられたわけでございますし、政府は重大な責任があると思うのですが、今後のために、なぜそういう声に耳をかさずにじんぜん日を過ごしてきたかということについての御見解を聞いておきたいと思います。 それから第四点、最後のこれは質問事項でございますが、ことしの夏には国連海洋法会議がまた行われるわけでございます。ところで、従来日本は海洋自由の原則に立って対処をしてまいりました。しかし、アメリカやソ連の措置に追い込まれたとはいえ、十二海里、さらに漁業水域二百海里に踏み切ったわけでございます。このことは、従来の立場から百八十度転換をいたしまして、日本もまた海洋分割戦争の中に足を突っ込むということを意味していると思うわけであります。そういう点で、今後の海洋法会議に臨む政府の基本的方針、そして、もし海洋法会議がまとまらなかった場合、今後日本の国としてどういう方向に進もうという方策を考えておられるのか、その点についてお伺いをしたい。 以上につきまして、総理の総括的な御答弁がいただければ幸いであります。
○国務大臣(福田赳夫君) まず第一点の国論の統一です。これは私も非常に心配した点でございますが、結局、領土はどうでもいいや、魚がとれた方がいいやというような声が起こってくる、これになったら対ソ交渉というものはこれは非常に支障を生ずる、このことを心配いたしました。私はいち早く、この問題を討議するに当たりまして、これは漁業家並びに関連業界、そういうものに対する万全の対策をとらなければならぬということを関係閣僚諸公に指示し、その対策をとっておるわけです。いま緊急融資していますが、あれはまあどこまでもつなぎ的な意味のものでありまして、これから日ソ交渉がどういうふうな形で具体的に決まっていくか、その決まり方等を踏まえましてこれらの財政上の措置もまたとらなければならない、こういうふうに考えております。融資というのは融資だ融資だと、こう言う人がありますが、あれはつなぎなんですから、これは後で総合いたしまして国の対策は万全を期す、こういうふうに御了承いただきたい。 それから管理体制の問題でありますが、これは私一これも関係閣僚に対して管理体制は万全を期してもらいたいというふうに申し上げ、特に海上保安庁、これを、思いを新たにいたしまして体制の強化を図ってまいりたい、こういうことを要請しております。これもやがてこの体制ができ上がる、多少時間はかかりまするけれども、この体制はなるべく早く整備いたしたい、かように考えております。 それから、第三の民社党のいろいろな御提言でありますね。これは非常に先見性のある御提言でございまして敬意を表するわけでございますが、政府といたしましては、とにかくわが国は海洋国家である。なるべく自由な世界情勢でありたい、海上におきまして自由な航行、自由な漁労、これが完全である状態を確保したいということから、いろいろな御提言を承り、心配をしながらも、そのわが国の置かれておる基本的立場を損なうというようなことがないようにという配慮から、今日になってみると多少手おくれになった、こういうような面もこれはなしといたしません。いたしませんが、この会議における通航の自由とそれから漁労の自由、こういうこの二つの考え方は、今後の対外接触におきましても、これはわが国の基本的な構えとして堅持していかなければならないだろうと、こういうふうに考えております。そういう考え方、これはイバラの道ではあります。しかし、海洋法会議におきましてもその二つの構え、これはできる限りこれが実現されるという方向の努力はしてみなければならぬだろう、こういうふうに考えております。 それじゃ海洋法会議が成立しなかったら一体どういう対策をとるのか、こういうようなお尋ねでございますが、何とかして私は秩序ある新体制というものができ上がることを期待し、そのために、特にこの問題に関心を持っておる国々とも連携いたしましてその方向を強く堅持してまいりたい、こういうふうに考えております。万一それじゃできなかったらという場合、そのできないようになったという対応もまた問題だろうと思うのです。ただ単にこれがほうって野放しになるというようなことになる場合、こういうことは私は少なかろう、こういうふうに思います。何がしかの方向というものが、全体としてこの海洋法会議が成功しないまでも出てくるのじゃないか。そういう不成功の場合ということを想定いたしましても対応にいろんなバラエティーがある、こういうふうに見ておるのです。そういうことは期待は、希望はいたしませんが、何とか成功さしたいと思いますが、成功しないと、そういう場合におきましては、先ほど申し上げましたような二つの考え方、これを踏まえましてひとつ最善を尽くしてまいりたい、かように考えております。
○喜屋武眞榮君 私は、最後の最後でございます。 そこで、三たびあした訪ソされる鈴木大臣の粘り強い御奮闘、そしてぜひ成功さしてくださるよう願いを込めて、総理と農林大臣に時間の範囲内でお尋ねしたいと思います。 まず最初に、日ソ漁業交渉に対する総理大臣の腹構えと申しますか、についてお尋ねしたいと思います。三つの点です。 第一点は、この日ソ交渉が進むにつれてわれわれ国民の側、あるいは議員として受けとめる率直な感想、非常に厳しいものがあります。むしろ、危機感をさえ感じております。ところが、最悪の備えは勝利の哲理であるとも言われておりますが、この厳しさに対する構えが甘過ぎたのではないか、楽観的じゃないかというような評も国民の中からもあるわけなんですけれども、それにはいろんな裏づけがあるわけですが、この一例、たとえば昨年九月の例のミグ25機の亡命事件で、ソ連側は日本のとった措置を、非常に非友好的だという認識をしておることもちらほらうかがえるわけであります。こういった点からも、決してこれは一筋なわではいかぬなということを感ずるわけでございます。こういった点から政府の態度が厳しさを欠いておる、最悪の備えは勝利の哲理であるという、そういう観点に立った姿勢が欠けておるのではないか、甘いのではないか、こういう点からの総理に一点。 第二点は、総理は近く先進国首脳会議へ出席なさる、ところがこの日ソ交渉が難航した場合に、すいすい行けば結構ですけれども、これはむしろすいすい行くというよりも、今度まとまるかどうかという不安さえもあるわけですが、そういう大事な時期に留守をされる、もしこの問題が順調にいかぬで難航した場合に、総理はその留守中にこの問題解決のためにどういう態度をおとりになるつもりであるのか、その心構えをお聞きしたい。 第三点は、この領土問題に関して、北方領土それから竹島の問題も先ほども出ましたが、南に下って例の尖閣列島がまた新しい国際紛争の火種になりかねない、そういう不安を持つわけなんです。尖閣列島に対する総理のきちっとした御見解をお聞かせ願いたい。 この三点。
○国務大臣(福田赳夫君) 今回の漁業交渉に当たって、どうも政府の方ではこの交渉の成り行きについて甘い見方をしておったのではないか、こういうふうなお話でございますが、これはまあソビエトとの漁業交渉というのはいつでもこれはなかなか手間取るのです。私も農林大臣をしておったとき、これは事公海におけるサケ・マス漁業だけの問題ですが、これは一週間か十日ぐらいで片づくだろう、こういうふうに思ってモスコーに乗り込んだわけです。延々とこれが三十三日に及ぶと、こういうことになってきておるわけであります。いろいろ毎年毎年そういう事態を繰り返しておりますので、決して甘い観測はいたしておらないのです。しかし今回は、これは魚の問題として解決されるだろうと、こういうふうに思っておったところ、領土問題がひっ絡まってきたというところに、この交渉が長期化した根本原因があるわけでありますが、領土問題がそのようなことになるだろうと、こういうこと、これにつきましては、海洋新秩序時代というようなものも絡まってきておりまして、私どもも大変言われてみればその点について甘く見たと、こういうようなそしりを免れないかもしれませんけれども、しかし結論がよければいいのじゃないでしょうか。私どもは、事領土問題をこの漁業交渉において損なうというようなことは断じてしませんから、その辺だけはひとつ御理解願いたいと、かように思います。 それから、私が四日に出発をいたしましていわゆる首脳会談に臨むわけです。鈴木農林大臣は明日出発いたしましてモスコーに向かう、そういう状態になりますが、ロンドン−モスコー−東京、この間の緊密な連絡体制はとってあります。一丸となってこの問題の解決に当たる、これは万遺漏なきを期しております。 それから、尖閣列島が一体どうなるのだろう、こういうお話でございます。この問題は、しばしばこれも申し上げておるところでございますが、これこそわが国の固有の領土であり、わが国が初めてあそこへ旗を立てた、そういう島でございます。この問題につきましても、固有の領土であるというたてまえはこれは断じて譲ることはございませんから、最後いかなる事態がありましても固有の領土であるという主張を貫き通す、このように御理解願います。
○喜屋武眞榮君 農林大臣に一つお尋ねします。 この日ソ交渉がずいぶん長引いたために、国民の中で生活不安を中心として連鎖反応的にいろいろな形でソ連に対する反ソ感情とか、あるいは国民の中での生活不安とか、いろいろあらわれてきつつあるわけですが、どちらかというと、国民は非常に興奮ぎみである。そういう中で、生活の不安に対する面から、魚が出回らぬためにだんだんエスカレートして高まり広がって魚が高くなる、こういう不安が、いまのところ北海道を中心としての危機が述べられるわけですが、国民全体にこれは遠からず広がるのではないか。そうしますと、いままでのそういった経済混乱、食糧混乱の立場からあり得たことは、悪徳業者が買い占めてそうして国民大衆を困らせる。だから、国民が困れば困るほど笑いがとまらないといったのが、いままでの悪徳業者の行動であった。これに対する、すでにそれを予定されて対策を持っておられるかどうか、対策を講じていかれるところのその具体的な対策をすでに用意しておられるかどうか。これが第一点。 次に、それにかこつけて今度は企業者が、輸入がずいぶん問題になりつつあるわけですが、いわゆる畜産問題をめぐって問題になった場合にも、それを結局調節する弁は畜産公社であった。この機会に、ひとつ水産公社をつくる意思があるかどうか、もしないとするならば、前向きでそれをこの機会に検討してもらいたい。 以上お尋ねしまして、終わります。
○国務大臣(鈴木善幸君) 最近の北洋の漁業が四月から出漁ができない、こういう不正常な状況につけ入って、商社あるいは大手漁業会社が魚の買い占めをやる、売り惜しみをやる。それで消費者価格が高騰し、消費者の皆さんが大変お困りになっておる、こういう御指摘で、その対策はどうかと、こういうことでございますが、私は大手水産会社等に対しまして、スケトウダラの買いあさり、売り惜しみというようなことがあってはいけないということで、水産庁を通じ、また北海道庁を通じまして、厳重に警告をいたしておるところでございます。また、在庫しております物を、これを放出をするように行政指導をいまいたしておる段階でございます。その他の西の方のアジ等が、これは漁況の関係でことしは不漁でございます。そのために、七〇%程度の値上がりを見ていることも事実でございます。これは不漁に原因をするところでございまして、基本的には水産物は中央卸売市場等を通じまして公正な入札、競り売り等によって行われておるわけでございますから、一般の石油ショック当時の事情のようなことではない。しかし、現実に魚価が値上がりをするということにつきましては、私も十分大きな関心を寄せまして、冷蔵庫等で保管しておりますものを適宜放出をしてそして魚価の安定を図ってまいる、そういうような措置を講じておるところでございます。 それから、畜産の場合のように畜産振興事業団のようなものをつくって、今後二百海里時代の魚の不足等に対処する考えはないか、こういうお尋ねでございますが、実際にはこれは非常にむずかしい問題でございます。魚種ももう何百種類というぐあいにございますし、またわが国の漁村は津々浦々に水揚げをされておるという状況下にございます。ただ、私が今後十分検討したいと思っておりますのは、開発途上国等で漁業の開発振興を図っておる、それに対してわが国が技術援助あるいは経済援助等をやりまして、漁業の振興に協力をしていくわけでありますが、その際に、地元の途上国の国民の食糧を賄ってなお余剰がある、またわが国としても関心のある物、そういう物はこれは輸入をしていかなければならぬと考えておりますが、沿岸漁業が中心になると思いますから、どうしてもわが国の沿岸漁業の漁獲物と競合する心配がございます。そういう点はわが国の沿岸漁業者を圧迫するようなことがあってはいけない、そういう点につきましては、今後何らかの一元的な輸入の対策等を講ずる必要があるということで、事務当局に命じて研究をさしておる段階でございます。
○委員長(橘直治君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(橘直治君) 御異議ないと認めます。 領海法案について、鶴園君及び和田君から委員長の手元に修正案が提出されております。修正案の内容はお手元に配付のとおりでございます。 この際、修正案を議題といたします。修正案の趣旨説明を順次お願いいたします。鶴園君。
○鶴園哲夫君 私は、日本社会党、公明党、日本共産党及び第二院クラブの四会派共同提出に係る領海法案に対する修正案の提案の趣旨を申し上げます。案文はお手元にお配りしておりますので、朗読を省略いたします。 修正内容は二点でございまして、その第一は、いわゆる国際海峡と言われる五海峡について、領海幅を当分の間、三海里に凍結しようとする附則第2項及び第3項を削除して、これら五海峡についても領海幅を十二海里に拡張することであります。政府は、わが国の国際海峡に関する一般的な方針並びに国連海洋法会議の動向等から、五海峡については領海幅を現状に凍結することとしたと説明しております。しかし、このような措置は、わが国の重要な国是である非核三原則に抵触することを回避しようとするこそくで便宜主義的な措置でありまして、国民感情に沿わないものでありますから、この際、このような特則は削除しようとするものであります。 第二は、施行の日をさらに一カ月間短縮して、公布の日から一カ月以内で政令で定める日とすることであります。これは、領海法の一日も早い施行を図るための修正であります。 以上が本修正案の提案の趣旨であります。委員各位の御賛同をお願いいたしまして、説明を終わります。
○委員長(橘直治君) 和田君。
○和田春生君 私は、民社党を代表して、領海法案に対し修正案を提出をいたします。案文はお手元に配付されておりますので、朗読を省略し、提案の趣旨を申し上げたいと思います。 政府原案によれば、いわゆる国際海峡に該当するもののうち、津軽など五海峡についてこれを特定海域と定め、領海三海里のままで凍結し、きわめて不自然な線引きで公海部分を残しておりますが、このような領海法の制定は、領海の性格にかんがみまして、また、国際関係の点から考えてみましても、他に例を見ない変則立法であります。無用のトラブルを発生する可能性もあって、決して好ましいものではありません。したがって、この際、領海は一律十二海里と定めることが修正の第一点であります。 次いで、国際航行の用に供されるべき特定海峡については、国連海洋法会議の結論を見るまで、または別の国際的合意があるまでの間、当分の間、従来同様に外国艦船、航空機の通過通航を認めることとし、その通航方法は政令で定めることとするのが、立法LL適当であると思います。また、このような方法によることの方が、海洋法会議などにおけるわが国の立場と主張についても、より好ましい影響を与えるものと信じます。 以上が、本修正案を提出する理由であります。
○委員長(橘直治君) これより原案並びに両修正案について討論を行います。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 領海法案について採決を行います。 まず、鶴園君提出の修正案を問題に供します。 鶴園君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(橘直治君) 少数と認めます。よって、鶴園君提出の修正案は否決されました。 次に、和田君提出の修正案を問題に供します。 和田君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(橘直治君) 少数と認めます。よって、和田君提出の修正案は否決されました。 それでは次に、原案全部を問題に供します。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(橘直治君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 —————————————
○委員長(橘直治君) 漁業水域に関する暫定措置法案について、小笠原君から委員長の手元に修正案が提出されております。修正案の内容はお手元に配付のとおりでございます。 この際、修正案を議題といたします。修正案の趣旨説明を願います。小笠原君。
○小笠原貞子君 私は、日本共産党を代表して、漁業水域に関する暫定措置法案に対する修正案の提案理由を説明いたします。 修正案の朗読は省略させていただきます。 日ソ漁業交渉が中断し、北洋漁場で一千隻に上る日本漁船が操業できないという異常な状態が続いており、漁業者を初め水産加工業者など関連業者の経営は重大な困難に立ち至っており、また、乗組員や加工場で働く労働者は、失業など深刻な生活不安にあります。 したがって、日ソ漁業交渉の一日も早い妥結と漁獲量の確保の要求は、きわめて切実なものとなっています。 そこで、本法案を再開される漁業交渉の進展に役立たせるために、その早期成立は当然必要なことでありますが、同時に、政府案には改善の余地がなお少なからず残されています。それは、特に韓国漁船などについては、わが国の漁業水域全域にわたり外国人漁業に対する規制条項が適用除外となるという点であります。これでは、北海道周辺水域などで現に乱暴な操業を行っている韓国船の操業が野放しとなり、漁具被害の続出、資源枯渇という事態が解決されず、関係漁業者から強い危惧が表明されているのは当然であります。 わが党は、二百海里水域の設定が西日本水域で操業する漁業者に支障とならないようにすることと、このような韓国船の乱暴な操業を規制することは十分両立できるものと考えます。政府は日韓政府間協定で規制すると言っていますが、その協定を確実に実現させるためにも本法案の修正が必要であります。わが党の修正案は、このような点を考慮し、漁業水域の設定が全国の漁業関係者の支持のもとに、わが国の沿岸・沖合い漁業の振興と遠洋漁業の正しい推進に役立つものとなるよう当面必要な最小限のものにしぼっております。 その主な内容は次のとおりであります。 第一に、外国人漁業に対する規制条項の適用除外を無制限なものとせずに、わが国漁船に対する規制を考慮した制限を付することができるものとしております。また、適用を除外する海域には外国人漁業の禁止海域を含まないこととしております。 第二に、適用を除外する外国人や水域等を定めるに当たっては、関係漁業者等の意見を聞かなければならないこととしております。 第三に、入漁料は水産資源の適切な保存及び管理を図るために使用することを明記することとしております。 以上が修正案の概要でありますが、委員各位の御賛同を心からお願いして、提案理由の説明を終わります。
○委員長(橘直治君) これより原案並びに修正案について討論を行います。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 漁業水域に関する暫定措置法案について採決を行います。 まず、小笠原君提出の修正案を問題に供します。 小笠原君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(橘直治君) 少数と認めます。よって、小笠原君提出の修正案は否決されました。 それでは次に、原案全部を問題に供します。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(橘直治君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(橘直治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(橘直治君) 農林水産政策に関する調査のうち、水産業の振興に関する件を議題といたします。 粕谷君から発言を求められておりますので、これを許します。粕谷君。
○粕谷照美君 私は、各党の共同提案に係る水産業の振興に関する決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 水産業の振興に関する決議(案) 二百海里時代を迎え、我が国の水産業を取り巻く情勢には、極めて厳しいものがある。 よって政府は、食糧産業としての水産業の位置付けを明確にして、抜本的かつ総合的な水産振興策の確立を急ぐとともに、当面、左記事項の実現に遺憾なきを期すべきである。 記 一、強力な漁業外交及び海外漁業協力事業を推進するとともに、秩序ある遠洋漁業を進めることによって、我が国の漁業実績をできる限り確保するよう努めること。 二、日ソ漁業交渉の再開に当たつては、我が国の権益確保と友好維持を旨として進めるとともに、減船あるいは休漁の影響を受ける船主、乗組員、関連産業の経営者並びに従事者に対して、万全の救済措置を講ずること。 三、外国の漁業水域の設定等に伴つて余儀なくされる減船、入漁料の支払等に対しては、補助、長期低利融資を含む救済制度を確立するとともに、離職漁船員について、職業転換給付金の対象範囲の拡大、船員保険の失業部門の拡充を含め、その生活及び雇用の安定のため万全の措置を講ずること。 四、減船の対象となつた業種については、中小漁業の自主的な協業化を援助するとともに、省力化、低コスト、適正規模、資源保護等の観点から、漁法等を再検討すること。 五、我が国の二百海里漁業水域内における外国人の漁獲量の限度を決定するに当たつては、詳細な資源調査を実施して、国内の漁業者の漁獲に悪影響を及ぼすことがないよう配慮するとともに、許可に際して付する制限又は条件の運用に当たつては、国内の漁業調整措置との関係に十分留意すること。 六、外国漁船に対する海上保安庁の取締り体制の整備拡充を急ぎ、秩序ある操業を確保するとともに、漁業紛争の発生防止及び被害漁業者に対する救済策を確立すること。 七、外国の漁業水域の設定等によつて撤退を余儀なくされる漁業者の転換漁場確保等に資するため、新漁場の開発を積極的に進めること。 八、我が国の二百海里水域内の水産資源の維持培養を図るとともに、沿岸・沖合漁業の振興のため、抜本的対策の確立を期すること。 九、漁業資源調査、多獲性魚の加工技術開発、養殖魚用人工餌料の研究開発、ふ化放流技術開発等二百海里時代に対処するため必要な調査研究を強力に推進すること。 十、水産物価格安定制度の確立と水産物流通機構の改善を図るとともに、水産物の輸入については、生産者等の立場に十分配慮しつつ、新しい輸入体制の整備の検討を含め、輸入秩序の確立に努めること。 十一、漁場及び水産資源を確保するため、水質保全対策、海洋汚染防止対策、漁場復旧対策等を強力に推進すること。 十二、二百海里時代に対応して、漁業調整、金融、保険、共済その他漁業に関する制度全般にわたつて見直しを行い、制度の整備拡充を図ること。 右決議する。 以上であります。 何とぞ御賛同をお願いいたします。
○委員長(橘直治君) ただいまの粕谷君提出の決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(橘直治君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、鈴木農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。鈴木農林大臣。
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいまの決議につきましては、その御趣旨を尊重し、最善を尽くしてまいる所存でございます。
○委員長(橘直治君) 本日はこれにて散会いたします。 午後二時五十二分散会 —————・—————