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80回国会参議院1977/04/01

農林水産委員会 第8号

発言数
63
登壇者
11
会派数
5
開催日
1977/04/01

会議録

橘直治自由民主党

○委員長(橘直治君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨三十一日、工藤良平君が委員を辞任され、その補欠として加瀬完君が選任されました。  また本日、鶴園哲夫君及び川村清一君が委員を辞任され、その補欠として寺田熊雄君及び久保亘君が選任されました。     —————————————

橘直治自由民主党

○委員長(橘直治君) 松くい虫防除特別措置法案を議題といたします。  本日は参考人の方々の御出席を願っておりますので、御意見を承ることといたします。  まず、参考人の方々を御紹介申し上げます。  虹の松原保護対策協議会副会長 瀬戸尚君、鹿児島県林務部次長 地頭睦夫君、全国自然保護連合理事長 中村芳男君及び龍谷大学教授 吉岡金市君でございます。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は御多忙中のところ、当委員会に御出席を賜りましてまことにありがとうございました。本日は、松くい虫防除特別措置法案に対する諸問題につきまして、それぞれ御専門の立場からの忌憚のない御意見をお伺いいたしまして、今後の当委員会の審査の参考にさせていただきたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。  それでは、これより御意見をお述べいただきますが、あらかじめ議事の進め方について申し上げます。御意見をお述べ願う時間は、議事の都合上お一人十五分程度とし、その順序は、瀬戸参考人、中村参考人、地頭参考人、最後に吉岡参考人といたします。参考人の方々の御意見の開陳が一応済みました後で、委員から質問がありましたらお答えを願いたいと存じます。  まず、それでは瀬戸参考人からお願いをいたします。

瀬戸尚虹の松原保護対策協議会副会長

○参考人(瀬戸尚君) 私は、虹の松原保護対策協議会副会長、唐津市長の瀬戸尚でございます。  マツクイムシの航空防除について、四十八年度より唐津市虹の松原及び周辺地区において実施してまいりました経過と現況について説明し、御参考に供すると同時に、松くい虫防除特別措置法を早急に成立さしていただくよう、お願いをいたしたいと存じます。  私どもの唐津市は、御承知のように、玄海国定公園の中心的存在でございますが、その中でも昭和三十年三月に国から指定を受けました特別名勝の虹の松原を有しております。白砂青松、日本一の虹の松原は、幅四百メートルから六百メートル、延々約五キロにわたって続き、樹齢三百七、八十年よりの大小のクロマツ約百万本が生い茂っております。  この由緒ある虹の松原が、終戦後昭和二十三、四年ごろより西日本一帯を襲いましたマツクイムシの被害により枯死するものが相次ぎ、祖先からいつくしみ育てられました松の巨木が次々と切り倒されていくのを目の当たりにして、関係者はもとより、地域住民一同は、わが身を削らるる思いで大変心配をいたしておりました。もちろん、直接の管理者であります営林署におかれましては、全力を挙げてその防除対策に当たられたのでございますが、その被害の蔓延は続き、昭和四十四年ごろよりまた被害増加の傾向となりまして、昭和四十六年よりは年々三倍以上に激増する傾向があらわれ、四十四年、四十五年は被害本数二百四、五十本であったものが、四十六年には八百三十四本、四十七年には千九百十七本と、年々約三倍の被害増加の様相を呈しました。このような傾向で被害本数が増大していったら、百万本の松も六、七年の間に全滅するのではないかと心配されたのであります。  また一方、玄海国定公園地区内の沿岸に浮かぶ島々にも、樹齢百年以上、三百年もたった松の巨木や松林が生い茂り、すばらしい景観を呈しておりましたが、公害も大気汚染も全くない無人島を初め、馬渡島、松島、加唐島、小川島、加部島、神集島、高島と次々にマツクイムシが猛威をふるい、各島々は枯れ松で真っ赤な光景を呈し、昭和四十七年ごろにはほとんど全滅状態に立ち至ったのでございます。  そこで、私は、隣の浜玉町長とともに、四十八年度の国の予算編成中、予算案の決定前に、この虹の松原のマツクイムシの被害の状況を農林省、大蔵省初め環境庁、文化庁等各関係機関、関係の国会議員の先生方に対して強く訴え、マツクイムシ防除について陳情を申し上げたところでございました。これが、その当事、四十八年一月初めに、四十八年度の予算運動の際にお願いをいたしました陳情書でございます。  その要旨は、効果のある薬剤を使い航空機散布方式を取り入れた防除処置の実施をやっていただきたい、公共事業として防除を実施してほしい、特別立法によって防除の徹底を図ってくださいと、以上のような陳情を申し上げましたところ、国におかれましては、その趣旨についてお聞き取りくださいまして、虹の松原とその周辺については、昭和四十八年度より航空機による薬剤散布の予算をつけていただきましたので、営林署、県、地元市町が一体となり、四十八年五月より航空散布を実施していただき、大変な効果があらわれ地域住民も大変喜び、安心し、感謝を申し上げておる次第でございます。  すなわち、四十七年に千九百十七本の松が枯れた虹の松原は、ほうっておいたら翌年は恐らく五千本以上の被害を出したでありましょう。ところが、四十八年の五月と六月に薬剤の空中散布をしていただいた結果、その年、四十八年の松枯れは六百七十九本と前年の三分の一に減ったのでございます。翌四十九年も散布実施の結果は、被害木の数はさらに減って百九十七本となりました。もし、二年間薬剤散布をせず従来の防除を行っていたならば、恐らく一万五、六千本がむざむざとザイセンチュウの犠牲になったことでございましょう。薬剤散布が五十年、五十一年と続けられましたおかげで、五十年は百七本、五十一年は百八本となり、全くすばらしい効果があらわれてきたのでございます。  航空防除を実施いたしました虹の松原地区内並びに周辺には、約八百戸の住家がございます。また、この虹の松原地区にホテル、旅館、国民宿舎、ユースホステルを含めまして大小六軒ございまして、宿泊定員は約九百五十三人でございます。また病院、医院は大小五軒ありまして、病床は約四百三十床、従業員は二百人おります。また、虹の松原の中央を国道二百二号線が東西に縦断しておりまして、一日自動車の交通量は約一万五千台であります。また、虹の松原に沿って鉄道が走っておりまして、松原地区内に駅が二つございます。このようなところに空散を実施したのでございます。空散実施に当たって、準備と実施経過の諸対策について順を追って申し上げます。  事前準備といたしまして、まず第一に、唐津市においてマツクイムシ防除対策協議会を開催すること数回、各階層から成る代表者を選定するとともに、養蜂業者、養蚕業者、農業生産組合代表者、学校長、病院長、各町駐在員、区長、地域消防団、青年団、婦人会、水産漁業、商工業の各代表者、警察署、交通運輸業者等各界あらゆる方々との協議を重ね、特に、当初異論がございました野鳥の会の方々とは徹底的に対話と生息調査を実施するなどいたしまして、あらゆる協力体制を整え、広報活動を繰り返し、住民各位の絶大なる協力のもとに実行してまいりました。野鳥については、四十八年より五十一年まで四カ年間生息状態の調査を続けました結果、薬剤散布の前後も変わりなく三千から五千羽の生息が確認されており、野鳥の薬死など一羽も確認されておりません。また、野鳥そのものが、航空機の飛来を待って事前に遠くへ待避しているなどの状況が判明しておるのも事実でございます。野鳥は散布終了後逐次松原内に帰ってきて、生き生きとしてさえずり続けておるのが現状でございます。また、養蜂業者には事前に移動していただくか、あるいはそのままの状態で覆いをかぶせ活動をやめさせ、箱の中で待機するような対策をしていただいております。養蚕業者には、別に桑の対策をしてやるとか、池のコイには覆いをかぶさせていただくとか、関係者にいろいろと協力をしてもらい、地区の消防団は全員出動していただき、それぞれ配置についてもらっております。また、地区内の住民各位には、大変協力をいただいております。  先ほども申しましたように、地区内には人家も多く、ホテル、旅館、病院等も多く、国道の交通量も多いのでございますが、各方面の協力でスムーズにいっております。交通につきましては、散布中は警察の協力で規制をしてもらっております。また、ホテル、旅館、病院、各住家とも、散布中は一切窓を閉めてその間外へは出ず、洗たく物等一切外には干さないように協力を願い、今日まで被害はありません。なお、早朝、午前五時ごろでございますが、無風状態の中で低空散布で行いますので、海や川に薬剤が飛散することはなく、漁業の被害も出ておりません。  以上のような対策を講じながら細心の注意を払って実施いたしましたために、過去四年間にわたって何の問題もなく、むしろ航空防除の必要性についてかえって地域住民より、継続実施をしていただくよう強く要望されておる現状から見ましても、私といたしましても、この航空防除をしていただいたことに大変感謝をいたしておるところでございます。  虹の松原のマツクイムシの被害は減少し安定したとは言え、虹の松原より福岡市の生きの松原に至る間の海岸線や無人島には、百年、二百年、三百年と玄海の荒波、風雪に耐え、すばらしい枝ぶりの松の巨木が数多く茂り、その風景は玄海国定公園の誇りでございましたが、薬剤散布がおくれたためこの数年のうちにマツノザイセンチュウの犠牲になり、いまは見る影もございません。虹の松原にも、回りからいつ飛んでくるかわからないマツノマダラカミキリの予防は計画的かつ徹底的に実施しないと、再び取り返しのつかない大変なことになると存じます。  国におかれましては、森林資源の確保と松の持つ自然景観の保全のため、航空機薬剤散布による徹底した防除対策ができるよう、松くい虫防除特別措置法案が一日も早く成立いたしますよう先生方の格段の御配慮をお願いをいたす次第でございます。  終わります。

橘直治自由民主党

○委員長(橘直治君) どうもありがとうございました。  次に、中村参考人にお願いをいたします。

中村芳男全国自然保護連合理事長

○参考人(中村芳男君) 中村でございます。  私は、科学者でも、それから法律を特に勉強しているという人間でもございません。私は、過去昭和二十年十二月以来、戦災孤児のめんどうを文字どおり自発的に見てまいりました。二十二年に神奈川県の丹沢の山奥へ入りまして、ここで炭焼きやきこりをしながら、同じ仕事を続けてまいったのであります。私はこういうような仕事をしながら、自然の世界でいろいろのものを見たり、また私ども自身で味わったり、あるときには災害に遭遇したり、いろんな経験をしてまいりました。そういう経験の中で、子供を育てるために何とか収入の起こる道を考えたらどうかと、県当局に御親切に言っていただきまして、魚を飼い始めました。私は水産学校を卒業しておりますので、魚を飼う常識はある程度持っておりました。このごろになって思うんですが、私はニジマス、イワナ、ヤマメ、そんなものを、飼っておりましたし、私のまねをして私の近所の人がコイなどをたくさん飼っておりました。どうも、雨が降った直後に魚がたくさん死ぬんです。その死ぬ原因がわからなかった。水産関係の役人方に来ていただいたり、林務課の役人に来ていただいたりして、いろいろ考えていただくんですが、お互いに何もわかりませんでした。最近になって、私はモミの原生林に住んでおりますんで、モミにつく虫を防除するというんでたくさん薬剤をまいたことがあります。何度もあります。また、その薬剤の名前も私はいま、知っておりません。いまになって、そういうことが影響したんでないかなと思っております。そんなことに私は常識を置きまして、そうしてこのマツクイムシ防除対策というものに深い関心を持ちました。  私は、松が枯れていくということは本当に大変なことだと思いますし、これの防除をしなければならないということも、私なりの考え方で、はっきりしたいわゆる防除をしなければならぬという姿勢を持たんならぬということは確信しております。  先日、ある役所へ参りました。いわゆるこの空散の問題で伺いましたときに、白砂青松は日本の象徴なんだからこれは大事にしなきゃならぬ、だから空散をするんだというようなことをお伺いしました。私は自分で自然保護運動をやっておりますので、白砂青松がいかに大事であるか、そしてどうでも守らなければならないものであるということ自体は、だれに言われなくても、私の方がむしろ一生懸命に守っておるつもりです。そのために、あるときには東北地方で数十万本の松原を切り払ってそうして新しい港をつくるんだと言われたときは、わざわざそこまで行ってその地元の人々と反対しました。またある場合には、山奥で観光道路をつくる、そこで松の木をたくさん切ると、保安林を解除する、こういうようなときにも、それはぜひやめてほしいと言って交渉に行ったというような経験を幾つも重ねてきております。で、そのときも私は口には出しませんでしたが、もっと保安林にしたら、そこに植わっておる松の木だちが、終生、ああ安堵したと思うような保安林の制度というものであってほしいということをしみじみと思ったものであります。  私はこういうことを考えておりまして、常にそれこそ報われぬ国民の自然保護運動というものをやっております。私どもはあるところへ行って自然保護の話をしましたら、自然保護とアカは大きらいだと言われたことがあります。非常に私は憤慨したんですが、われわれの動きというものがその程度にしか知られていないんだと思って、もっともっと住民の中に自然保護という感覚を植えつけるような努力をしなければならぬとしみじみ思ったことです。  農薬の空中散布ですが、私はその農薬の空中散布のために提出された法案のあり方についてどうしても反対せざるを得ないのです。私ども民間人は、この法案が何か突如として出たというような感じがいたします。何かこうあるときには、あらかじめ新聞やなんかでいろんなことが発表されるものなんですが、こういうようなことを全然聞きませんでした。私がこういう法案が出るぞということを聞いたのは、ことしの二月九日です。  先日NHKのテレビを見ておりましたら、午後九時のニュースキャスターと言うんですか、あの方が、昨日放送の中でスミチオンのことを毒薬と申しましたところ、毒物にも劇物にも入っていないのに毒薬とは何事かといっておしかりを受けましたので、確かにいろいろあちらこちら調べてみましたら間違っていたということがわかりまして、謹んでおわびを申し上げ訂正させていただきますという放送がありました。私は、こういうようなことにも一々、申しわけありませんが反発を感じるんです。なるほど、法律にはこれは毒薬だ、劇薬だということは言われていないでしょうけれども、それでもこれは虫を殺すんです。虫を殺すものが毒でないということは、私どもは納得できません。鳥も死ぬという話を聞いております。魚も死んだということを聞いております。ミツバチも、蚕も死んだということを聞いております。それからもっとひどいのは、目が悪くなるという話も聞いております。私ども市民はこういう薬物を全部毒と、こう言っております。法律では毒と指定されておらぬかもしれませんが、私どもはこういうものは毒だと思っております。そして、毒なものは赤ん坊の手の届かないところに置くようにということを家でもみんなに言いますし、それから駆け歩く子供たちには、いたずらをしないようにと十分言い聞かせます。  こういう点で、役人の方々と私どもとは見方が違うように思われます。法律上の用語で指定されておらなくても、私ども市民にとっては毒は毒なんです。たとえばキノホルムですか、それからもっと卑近なものでは最近ではサッカリンとか、いろんな薬や薬物投与の中で、薬だ薬だと言われて用いられてきていたんです。また、患者もありがたがってそういうものを使っていたんですが、それが原因で重い病気になって、そしてある者はかたわになったり、ある者は死んだりします。そして十年、十数年後になってから、あれが原因だった、あれが毒薬だったというような声を聞きます。死んでから、かたわになってからその原因がわかったって一体市民に何の慰めになるでしょう。そういうような意味で、私どもはこの低毒性の毒薬を空中で散布するということにはすぐ賛成するわけにはいきません。本当に心配をしております。  先日、このことについて担当の役所の方々と話ししましたときに、量はたった一・八リットルですよ——これはヘクタール当たりのことだったかと、私鉛筆で書かなかったもんですからよく覚えておりませんでしたが、たった一・八リットルですよとおっしゃいました。一・八リットルというのは一升びん一本なんですよということを重ねて申されたんですが、一升びんにたとえられるとはなはだわずかに感じますけれども、この法案がもし可決されると、日本の上空で、ことしの五月ごろですか、三十四億円というものがまかれるということなんです。この薬代だけで二十八億円、あるいは数字が少し違っているかもしれませんが、五年間に三百億円というものが、薬代だけでも二百五十億くらいになるんでしょうか、そういうようなものが日本の全被害地域の空中にまかれるということ、低毒性ですぐ溶けるから大丈夫だというようなお話ですが、私どもが二月九日にそういうことを知りましてこれに反対だと言いましたら、わずか四日の間に四十団体くらいの団体が、たとえて申し上げるなら全国自然保護連合傘下の団体ではございません、それぞれみんな大きな全国的な団体なんですが、こういう団体が直ちに参加しております。ぜひ反対してくれということです。もし低毒性なら、魚やミツバチが死ぬということ、低毒性であってもそういう毒があるならば、害にならないということは私どもには信じられないんです。もし、たとえば水俣病とかイタイイタイ病とかそれから四日市ぜんそく、川崎の公害病、いろんなものを私どもは教えられてまいりました。工場ができるとき、薬をまくとき、廃棄物が出るとき、だれも毒だと言って教えてくれませんでした。けれども、今日になって、それがみんなあれが原因だ、これが原因だということになって、公害病だとか複合汚染だとか生物濃縮だとかいうような言葉が出てきております。そういったようなことを、法案出される前に一々チェックなさったんだろうか。そして、そういうようなことをチェックして発表してそしてわれわれのところへ——われわれというのはわれわれの事務所ではありません。たとえば新聞とか雑誌とか、そういうようなものに発表されたのなら、恐らくみんなで論じ合っていただろうと思います。そういうようなことは何もされておらないということが、そしてもう松の木が枯れ過ぎるんだからまくんだというようなことは、私どもには納得できないのであります。  このスミチオンの散布はこれまでもやっておられるし、その駆除方法もいままでやってこられておりますので、とりあえずそうしたやり方の、何といいますか、何か隠しておられるんじゃないかと思うんです。たとえばこれでよかったというような案は、当局へ行きますとよかったという報告だけをお聞きしております。ところが私どものところへは、失敗だったという話もずいぶんたくさん来ておるんです。そういうような学識者、経験者というようなものでこれをとことんまで詰められたかどうかということを心配しております。こういうようなことを詰められて後にこういう法案が出てくれば、もっと公正な、国民に対して安心のいく法律案として迎えられるんじゃないかと思います。それがされておらなかったんでないかということを疑問に感じます。  もし、これが失敗だったら、このスミチオンの農薬散布の結果はわれわれ国民が受けるんです。白砂青松も確かに国民のものですが、また失礼なことを言うと、農薬散布の費用も国民のものです。そしてその被害が起こった場合に、被害を受けるのも国民だということを私どもは常に強く感じておるんであります。  で、もう時間がないようですからはしょりますが、先日ある林野関係の団体の長が私のところへ来ました。われわれの県からおまえのような強い反対をやる者が出てくるのは困るのだ、これに賛成しておくと、何といいますか、補助金もわりあいによく取れるしというようなことをくどくどと言っておりました。確かに今度の法律案によると、補助金はいままでになくたくさん出るそうであります。それで、たとえば空散に踏み切れない人たちも、それに参加するんでないかという心配もあります。これはむしろ空散の被害というよりは、そういうようなことに重きを置いているんじゃないかと思います。また、この間はある国会議員の方が持っていらっしゃるリンゴ園の話を聞きましたが、ここではもう人工授紛でなければリンゴの実を結ばないという話をしました。これはスミチオンでの消毒をしておるということであります。  こういうふうにいろんな弊害が多発しているときに強行されるということは、私どもとしては納得できません。何とかして、現在の法律でこの防除がある程度やれるんですから、これをやりながら、もう一度国民大多数の参加による研究討論の結果、穏やかな方法で法案を出されるというふうにされた方がよろしいかと私は強く望んでおります。

橘直治自由民主党

○委員長(橘直治君) どうもありがとうございました。  次に、地頭参考人にお願いいたします。

地頭睦夫鹿児島県林務部次長

○参考人(地頭睦夫君) 私は、従来全国でも一番のマツクイムシ被害県と言われております鹿児島県におきまして、マツクイムシ防除に関する仕事の直接の責任者といたしまして、ほぼ十年間程度この仕事に携わってまいった者でございます。したがいまして、私はその体験を通じまして得ましたものを開陳申し上げまして、この特別措置法案を早期制定の必要性を実証的に申し上げてみたいと思います。  鹿児島県におきますマツクイムシの被害は、昭和二十一年に七千立方の発生を見ております。当時の食糧事情やあるいは戦災復興というようなことに追われまして山林は放置されまして、昭和二十四年には二十八万六千立方にも達するようになりました。その後、占領軍のファーニス勧告とかあるいは森林病害虫等防除法の制定などによりまして、被害の早期発見と被害木の伐倒、剥皮、焼却によるところの駆除制度が確立されまして、当時の豊富な農山村の労働力をもとに、人海戦術的な防除や燃料材への活用などもありまして駆除の徹底が図られたために被害は小康状態となりまして、昭和三十七年度には三万一千立方まで減少するに至っております。  しかし、その後経済の高度成長に伴いまして山村の過疎化が進み、マツクイムシ駆除作業の労務が極端に不足し、加えて婦女子化、高齢化というような問題、あるいは焼却によりますところの山火事の頻発というようなこと等もございまして、それまでの剥皮焼却法によります駆除作業が著しく困難になってまいりました。そこで、昭和四十二年には、労力不足に対応しまして省力をするために、伐倒、剥皮、焼却という方法にかえまして、伐倒、それに薬剤による駆除に切りかえたわけでございます。しかしながら薬剤による駆除の場合は、特にマツクイムシの習性から見まして適期の駆除が必要であるにかかわりませず、農繁期とたまたま駆除期が重なるということもございまして、労働力不足でこれがむずかしくなったということ、また労働力の老齢化、婦女子化というようなことで山に上がるのが精いっぱいで、山に上がりまして切り倒しまして、さらに枝を払い、ひっくり返しまして裏表まんべんなく薬をかけるという能力がなくなってしまいました。そのために駆除が不十分になりまして、山岳部におきましては適期防除を行おうということにすれば薬剤散布の内容が不十分になり、逆に薬剤散布を完全に行おうとすれば適期を失ってしまうというようなことで、防除技術上非常にゆゆしい問題を生じ、やっとマツクイムシの暴発を抑えているにすぎないという状態にとどまって、このために住民の防除意欲も極端に減少したわけでございます。ときには人命にかかわるような危険な場所の仕事も、この老・婦人によって行われたのが実情でございます。しかも、パルプ材の価格の低迷とあるいは燃料革命によりまして、被害木を林外へ持ち出して利用することがなくなった等の悪条件も重なりまして、被害は再び激化の方向に走り出したわけでございます。  そこで、本県では四十三年度からさらに一斉防除による防除効果を上げるために、一億円近い金を県と市町村で法定経費以上に積み上げまして、所有者にかわりまして市町村を中核とするところの公営防除体制をとり、県下のマツクイムシの被害地域全域にわたって徹底した駆除を行ってきたわけでございます。しかし、幾ら金をかけて県と市町村の全力を挙げてやってみましても、労働力の逼迫等の情勢はますます悪化いたしまして、被害木の適確な駆除は困難となったほか、市町村側からもこのような成果の上がらない駆除方式ではとても負担はできないというような申し出等もございまして、昭和四十六年度にはそれまでの県下の画一的な一斉防除を改めまして、公益性が高いと、しかも松しか育たないとか、あるいは森林の中で松の占めるウェートが非常に高いというような地帯を中心として、そういう地域を徹底的に駆除を行うという地域に指定いたしまして、すでに被害が激化しまして、松林としての成林が期待できない地域などにつきましては、他の樹種へ転換する考え方の地域に指定し、いわゆる重点防除方式に切りかえて効率的な防除に努めてきましたが、その間にありましても、そういうふうに区域を限定してみましても、マツクイムシの猛威は一向に衰えを見せませんでした。そのため、誘引方法とか、あるいはえさ木誘殺というようなこれにかわるような駆除法もいろいろ試してみましたけれども、決め手となるようなものは全然なかったわけであります。  ところが、昭和四十三年から四十六年にわたりまして国の林業試験場の特別研究によりましてマツクイムシ被害発生のメカニズムが解明されたことに伴いまして、防除の方法といたしまして、マツノマダラカミキリの羽化発生の時期をとらえまして薬剤を散布することが最も効果的であることがはっきりし、それまで防除方法としましては後手の対策でございましたところの被害木の伐倒駆除が主体であったものから一歩進んで、松の枯損を予防する方式が具体的に出てきたわけでございます。ただいまここにマツノマダラカミキリとマツノザイセンチュウの品物を持っておりますので、後ほどごらんいただきたいと思います。  そこで、本県ではこれを実証するため、全国に先駆けまして昭和四十七年度に四カ市町村におきまして、防風、防潮の保安林などを対象に五百ヘクタールの空中防除を実施いたしましたわけでございます。  実施に当たりましては、初めてのことでもございまして、特に被害の予防には細心の注意を傾注し、地元関係者と協議を重ね、さらには薬剤の性質についてもできる限りの調査を行いまして、十分検討を尽くして実施いたしましたところ、散布地ではマツクイムシの被害が前年の三分の一に減少し、その効果が歴然とあらわれ、また被害についても桑園などに対する予測を立てて、その予防対策、すなわち桑園からの距離を幾らにするとか、あるいは池にはビニールをかぶせるというようなこと等の措置を行った結果、それぞれ相応の処置をいたしますならばきわめて安全性が高いということが確認されました。  これらのことから、地元住民の長い間の苦しみでございましたマツクイムシ防除の最終的な決め手として空中散布に対する期待が高まりまして、関係地域の市町村あるいは農業関係団体等の要望によりまして、四十八年度は一千八百五十七ヘクタールを実施することにいたしました。なお、この年も被害対策の一層の充実を図りますために、事業とあわせ昆虫、野鳥、下層植生に与える影響並びに薬剤の飛散による桑園などの被害調査とか、あるいは蚕の飼育調査を行いましたわけでございますが、いよいよ細心の注意さえあれば被害を生じない事業実行ができるということを確認いたしました。もちろん、マツクイムシの被害も三年実施したところでは、ほとんどすべての林分が一%以下のマツクイムシの被害におさまったわけでございます。そのため被害に対する安全性を確保するための対策を行いながら、四十九年度は四千四十五ヘクタール、五十年度は五千八百九ヘクタール、五十一年度は六千九百五十九ヘクタールと事業の拡大を図ってまいっております。  しかしながら、本県の民有林の所有規模は一戸当たり〇・九ヘクタールという全国平均規模の三分の一にすぎない零細型でございまして、また、松林への経済的な依存度が松材価の低迷などから極度に減少し、マツクイムシ防除のメリットが享受できないと、まあ自分の持ち山が枯れても仕方がないというような感覚が所有者にあることなどから、森林所有者によるところの現行法下での計画的な防除を期待することはきわめて困難なことでございまして、一方では松林の分布する地帯は特に御承知のとおり保安林とかあるいは自然公園等が多く、公益性が大きいところが多いなどのことから、受益者は単に森林所有者だけでなく、不特定多数と言えるので、防除費用の負担についても公益的な見地から考慮されなければならないと考えております。  こうしたことから、本県では、従来から零細所有者にかわりまして県と市町村で経費を負担し、公営による計画防除を進めてまいりましたが、これ以上の要望にこたえるためには地方公共団体の財政上からも限界がございますし、森林所有者だけでなく、地域住民の、特に農家でございますが、要望を満たすまでには至っていない状況でございます。このように財政負担の関係で防除を実施できないところ、または所有者の防除意欲の低下等の事情もからみまして放置されている地帯が非常に多うございまして、全山枯れ松となったところがあちらこちらに残されており、その区域の被害木から散布地区への飛び込みによる被害蔓延がいつまでも続く可能性があり、大きな問題を投げかけております。  こう見てまいりますと、松林所有者の意思よりも地域住民の希望を優先させ得るような、また実施における公的機関の責任を明確にすることができるような法的措置がぜひ必要でございます。特に、すでに終息型になっております地域も過去の空散の結果たくさん出てきておりますが、空散を行っていない被害林がからんでおりまして、空散をやめようにもやめられない状況にあるところもあり、本県ではそのような林分の伐倒除去促進を県の単独事業として一方では行っているところでありますが、空散を重点とする防除が計画的に行えるような措置が絶対必要でございまして、この法の早期制定を強くお願い申し上げたいわけでございます。特に空中防除の実施に当たっては、それぞれの市町村が自主的な意思に基づき地元住民とのコンセンサスを得るため、集落ごとの説明会、座談会あるいは町村広報の活用あるいはチラシの配布などを再三開催するほか、利害関係団体との協議会を実施しておりまして、これらのことから年ごとに空散に対する理解が深まり、地元住民の協力によって事業の推進はきわめて円滑に行われております。  次に、実施に当たっての被害防止対策でございますが、本県では当初からそれぞれの部内ごとに各種の調査結果をもとに予測を立てて対策を講じながら実施をしておりますが、同時にその被害防止対策が間違いはないのかどうかというようなことを確認いたしますために、県内の各専門試験研究機関に委託いたしまして試験を行ったところ、被害を生ずる態様とその防止対策が明らかになっております。その結果はおおむね予期したとおりでございましたが、なお今後ともこのやり方を継続して一歩でも二歩でも対策の前進を図り、間違いのない事業実施ができるように持っていきたいと考えております。  その内容および対策の主なものを例示いたしますと、まず一般の農作物でございますが、これは通常の事業散布では大部分の農作物につきましては被害のおそれはございません。したがって、一部のエダマメ等の被害の生じやすい作物だけについて関係者の立ち会いを求めて、ドリフトに留意して実施すれば問題はないと言えます。また、青果物についても残留調査をした結果全然問題はありませんでした。  次に、蚕につきましては、当然直接被薬すれば被害が生じます。そのため特に注意して実施しておりますが、散布当日の百五十メーター以内の桑園の桑葉は危険がございますので、当日は使用を避けております。しかしながらスミチオン剤は分解速度が速うございますので、無風条件下の散布で一日経過いたしますと、百メーターよりも遠いところ、二日経過いたしますと、五十メーター以上離れた場所の桑は使用できる結果が出ておりまして、この結果から空中散布に当たっては原則として桑園から百五十メーター以上離して実施し、被害発生のおそれのある桑園はビニール等で覆うとか、あるいは洗浄するというようなこと等を行い、また別に代桑措置等も講じております。特に関係地域の蚕業指導員との連携を密接にいたしまして、散布直前三日分の刈り込みをやるとか、散布と蚕の掃き立て時期の調整などいろいろのケースで対策を講じてやっておりますので、被害は十分に回避できております。  次に、養殖魚場につきましては、薬剤の飛散や流入がないよう十分配慮して実施しておりますので、コイ、ハマチ、ウナギ等問題になったこともなく、全然影響は出ておりません。特にコイ、ウナギ等については実験的に直接散布してみましたが、水が流れている状態でありさえすれば何の問題もありません。しかしながら、クルマエビ等の甲殻類につきましては、使用薬剤に対する感受性が異常に高いとされていることもございまして、今後はクルマエビ養殖場付近の空散につきましては、農林水各関係試験研究機関の結論が出るまで一応中止いたしまして、他の防除方法で対処するよう検討を進めております。ただこの点につきましては、松林が農業経営の防風、防潮、防霜等の役割りを果たしていることから、町村住民サイドからの空散の要請が強うございますので、農業サイドと養殖サイドの調整を図る必要がございますので、その協議を十分に指導してまいりたいと考えております。  次に野鳥についてでありますが、いままでの実施現場におきましては、いかなる種類の鳥類の斃死体もなく、生息数も変化を来していないことは、本県等の各種の調査例が示すとおりでございます。  昆虫につきましても、一時的に数は減りますが、時を経過すれば回復するという調査結果のとおり、私自身試験研究者ではありませんが、客観的に見まして、四年間継続した林地の昆虫相に大きな変化はないと見受けておりますし、地域の方々も同様なことを申しております。それよりむしろ、いまお回しいたしましたけれども、空散を行わずマツクイムシによってはげ山となって生物の生息環境が破壊される場合の方が私は問題であろうと考えられます。(写真を示す)これでございます。  以上のほか、水源地等につきましては、水質に与える影響を十分考慮しまして、散布区域に含めないことといたしております。  以上述べましたようなことを踏まえまして実施してまいりましたので、本県ではこれまでに大きな問題は生じておりません。今後においてもより安全に、しかも散布が徹底できるようにするため、試験調査の結果を謙虚に受けとめ、十分に被害対策を実施しながら、もし被害対策に伴って散布不可能な松林については、立木駆除を含めその林の伐採を促進し、または松林の公益性を勘案して市町村、地元関係者と十分話し合いの上、松の公益性が高いものにつきましては、むしろ被害を受けるおそれのある作物の作付の変更などの対策も同時にあわせ講じ、マツクイムシの早期終息を図ってまいりたいと思っております。このためには、防除を要する地域を計画的に定め、それに伴う対策を樹立するとともに、地方公共団体の財政状況によって穴があき、無計画な防除にならないような実施を図らなければ、マツクイムシ防除は効果は上がらないと思われます。  本県におきましては、この法律の制定に伴いまして一万一千ヘクタールを実施したいと考えておりますが、これは本県の森林面積約四十三万ヘクタールのわずか三・七%にしか当たりませんので、空散によりまして生態系が大きく混乱し、県土が薬まみれになるというような事態はとうてい考えられません。その辺については今後も適正な農薬使用を心がけ、さらに国や大学、県などの試験研究によって、よりよい防除方法が開発されるまでのただ一つの確実な防除方法として万全を期してまいるつもりでございます。これによって本県の代表的な郷土樹種でございます松が長く子孫に残せることを祈念しておりますが、何とぞ本措置法案が一日も早く制定されますよう心からお願い申し上げて、終わりといたします。

橘直治自由民主党

○委員長(橘直治君) どうもありがとうございました。  最後に、吉岡参考人にお願いいたします。

吉岡金市龍谷大学教授

○参考人(吉岡金市君) 私に与えられました時間は十五分ないし二十分ということでございましたが、いま皆さんの時間が大体その間十五分を超えたのが多うございますが、この短い時間に複雑な学術的な、あるいは実際的な問題を、政治の専門家ではいらっしゃるけれどもマツクイムシの専門家ではない方が多い中で、理解のいくように話をするということは大変むずかしゅうございます。それで私はいろいろ考えました結果、スライドが使えませず図表が使えませんので、ここへ十枚だけ関係のデータをコピーして渡してございます。  それで、これから本論に入ります前に、実はこの松枯れを防ごうとすれば、原因を取り除かなきゃならぬわけですね。松枯れの原因は何か、ここに重大な理論的なかつ実際的な問題があるわけです。それで、プロジェクトチームをつくって総合的な研究をおやりになったんですが、ここで断っておきますが、議会で皆さんがおやりになりますように、人の名前なんか出る場合は君で統一いたしたいと思います。冗長にならないからです。たくさんのことをお話ししたいからです。  伊藤一雄君がリーダーになってプロジェクトチームを組んで、最近三年でこういう報告書が出ましたね。これを細かく目を通している人が非常に少ないことを私は驚いているんですが、というのは御本人自身が、主な幹部諸君が、ここへこれの完成した記念の解説のようなものが書いてございます。データと大変違ったことが書いてございます。これがそもそも問題でございまして、そこでいろんな厄介な問題がここで出てまいります。伊藤君という人は植物病理学会の会長でございます。三十五年も林業試験場で仕事をやられた方ですが、大変特徴ある、自分自身で書かれた解説に特徴があることが書いてある。それは、マツクイムシの防除をしようとしてスミチオンを空散したら、ヒノキが枯れたという事件がいっぱいあるんです。ここには地名が書いてございませんが、私は全国大分知っております。それでその後に伊藤君こう書いています。スミチオンの散布によるヒノキの枯死が、原因はようわからぬが、最後のところにこう書いてある、ヒノキという樹種は何と変わった、そしてこの種の薬剤にだらしのない木であろうかと。皆さん、もしお医者さんが薬を間違って人を殺した場合に、おまえはこの薬に対してだらしないやつだったと言われたら、遺族はどう考えるでしょうか。殺されたヒノキは言葉を申しません。だから黙っておりますが、これが伊藤病理学の基本的な考え方だということを、皆さんまずよく念頭に置いてください。これから伊藤君の批判を至るところでしなきゃならなくなるんです。というのは、うそがいっぱい書いてあるんです。これがこのテキストですが、私がうそというのは事実と違うことという意味ですよ。事実と違うことがいっぱい書いてある。しかも、国際的規模で書いてあります。そこで私は、準備資料としてここに十枚のこの図表を用意したわけです。  まず、松が枯れた歴史が記録に残っておるのはは、明治三十八年までさかのぼらなければなりませんが、そこまでいかないで、今度の法律の資料として収録してあります図表を使ってお話しした方がいいかと思うんですが、十一ページのところに、そこへ戦後の「松くい虫が運ぶ線虫類による松林の被害の推移」というのが示してございます。この数字がいかに大ざっぱで不正確なものであるかということを、まず申し上げなければなりません。と言うのは、私は地方の松枯れ地帯へ出まして府県の農林部長やあるいは市町村の村長にも会いますし、あるいは実務をやっている方にも会いますが、大阪というところはずいぶん松林の多いところなんですが、非常に数字が小さいから、これが不思議でたまりませんでしたから、昭和四十九年の十一月に一斉に松枯れして困ったところがあります。そこは太子町、聖徳太子を葬った太子町、奈良県の二上山の西側です。そこへ行って、なぜこれほどたくさん枯れているのにここの役場に数字がないかと言ったら、そして公文書見せてもらったんです。府の農林部が、こういう方法でこういう調べをしてこういう届けをすればこれだけ助成をやるから出せと言われて、その文書がずっと全部書いて出ている。回答を見ますと、該当事項なしです。なぜ該当事項なしと書くんだと言うたら、あんなものを相手にしておったら、人夫賃高い大阪じゃどうにもなりませんから、該当事項なしが一番あしらうに都合いいんですよ、これが町長の説明です。これはずいぶん大ざっぱなものですが、しかし大ざっぱなものではあっても、ある程度の傾向はわかります。それで推計もしてございますが、農林省には統計情報事務所という統計だけをとる機関がございますが、そこで得たものでないので学問的の資料には残念ながら役立たないものです。  それで、結論を先へ簡単に言って、それからデータをもとにして説明していった方がよろしいと思いますから、結論を先に申しますが、マツクイムシと言われているものが松へたかる前に必ず松の衰弱ということがございます。松が弱るということ。その原因にはいろいろあります。これは年輪調べればすぐにわかるんですが、マツクイムシがついて一年、半年の間にさっと枯れたなら、年輪にその影響は出るわけがございません。ところが、ここに年輪の写真たくさん持っておりますが、年輪解析を日本の林学はいままで組織的な解析をした人がないんです。私と一緒に仕事をしている新潟大学の工学部の環境工学の助教授の鈴木哲君が、初めて年輪学で学位を取りました。日本の第一号です。林野庁にもこの資料はございませんね。林業試験場で興味本位に、たとえば屋久島の縄文杉の年輪測定をした人はございます。ところが、われわれは科学分析までちゃんとやった。この木がなぜ枯れたかということを有毒物質の検出までやっておるわけでございまして、そういう資料を林野庁は全然持っていられません。  そこで一口に申しますと、マツクイムシがつく前に松の衰弱という事実がある。そしてその原因にはいろいろありますが、昭和二十三年から五年の間にずいぶん枯れましたね。あのときには、松へのこ入れて、やにを軍命令で採取してやにを取りました。これはもう松にとっては大変なことです。人間の血を取ると同じようなことですから。それから松根油を掘り起こして山を荒らしましたね。人間が直接林地を荒らした。そして、その結果木が弱った。年輪にちゃんとあらわれています。虹の松原へ行きましても、仙台の松島へ行きましても、そういう木が残っております。また回復して、きずが一部いえて残っております。その木がまた枯れ始めているわけです。年輪にそういうものがありました。それでこの弱る原因が昭和二十三−五年の間、つまり戦争中から敗戦直後の状態はいわば物理的、人間が直接のこ入れて、あるいは松根油を掘って物理的な原因で生育が衰えた。それから最近のものは、前者が物理的に対して後者は化学的です。この化学的という説明は抽象的になりますが、たとえばきょう先ほど報告ありました鹿児島について見ますと、鹿児島には化学工場がありません。製錬所がありません。近代的な重化学工業というのはほとんどございません。それなのになぜ枯れるか。岡山と鹿児島が一番松枯れがひどいんです。これは統計にちゃんと出ているところです。ところが、鹿児島には桜島という火山がございます。標高の一番低い活火山、しかもその噴煙はちゃんと記録に、理科年表へずっと——私は子供のとき大正十三年の大噴火の経験をしておりますが、ずっとその噴火の回数が記録してございます。その資料を第一ページへ挙げてあります。これはいま地頭参考人がいろんな説明をなさいましたが、地頭参考人からいただいた資料です。それへ地方気象台の噴煙回数を合わせてみますと、完全に動向が一致しているわけですね。しかも火山の爆発というのは、硫黄酸化のみならず塩素ガスを出しますし、鹿児島湾においては水銀さえ出すということが、鹿児島の高級魚の水銀汚染の追及でわかったわけです。それで水銀は重金属ですから簡単に量的できますので、きょうも控え室で地頭参考人に円盤をひとついただいきたいということを申し上げたわけです。  私は、公害学者としてはカドミウム公害、イタイイタイ病の解明をした最初の人間でございますから、カドミウムについては特別重大な関心を持っておりますので、実はつい数日前に最終的なデータが出たんですが、山口県の秋吉台にはセメント工場がたくさんございます。あそこの粉じんの中にカドミウムがたくさんあって、米の汚染でいま大騒ぎになってるんですが、私ここ数年あそこへ行っておりますが、どんどん松が枯れていく。その枯れ方が非常に違う。あの瀬戸内海の海岸で枯れているのと違う。それで、それを伐倒した後の年輪測定をして、年輪を一枚ずつはがしてそれを分析してみますと、カドミウムがきちんと年輪と対応して出てくるわけです。これは世界で初めてのデータでございます。虫がおらないで、線虫がおらないのに木が枯れている。カドミウム中毒です。人間のイタイイタイ病で死んだと同じことです。  これはなぜこれをやったかといいますと、製鉄所とか化学工場とか製錬所の周辺には、秋吉台の石灰が日本国じゅう住友工業を通じて配られているんです。あの水俣病の水俣市にも、あそこにもマグネシウムクリンカーをつくる工場がございますが、莫大な石灰岩があそこで焼かれているんです。その周辺に松枯れがいっぱいあるわけですね。こういうことがまず申し上げておきたいことなんです。  その次に、地図がございます。これは熊本県です。熊本県の八代を中心に線引いて、幾らか塗ってあるところが松の激害地です。八代というところは、熊本県下で最も汚染のひどいところでございまして、その少し西、十キロ足らず西に大矢野町がありますが、その大矢野町で実は線虫の接種試験というのが初めて成功したと報告されているところなんです。大矢野町の状態は、その次の三ページを見てください。そこに松枯れの動向と、それから天草五橋がかかって自動車が急にふえた状態がそこに載せてございます。自動車排気ガス公害で大矢野町の松は大部分がやられたときに、線虫接種試験してあるわけです。それで九〇%以上接種したら枯れたから再現できたと報告されてあるんですが、ここに問題がある。これは林野庁や林業試験場の日本のやり方の特徴ですが、都合の悪いことは皆隠してあるんです。本土の方の芦北郡では五〇%しか枯れてないです。病理学の原則によれば、九〇%以上枯れたら再現できたということになっているんですが、五〇%しか枯れていない。さらに、阿蘇山の上の大分県との境の波野村で接種試験をしたら、一本も枯れていない、そういうデータは皆隠してあって、その説明をどうしてあるかというと、これは温度のせいだ、阿蘇山の山の上は温度が低いからそれで接種しても枯れぬのだ、ところが今度、最後に言いますが、松島で線虫が見つかりました。あそこは十一度の線ですよ。そしたら温度説、温度が条件だというのは全部ひっくり返ってしまったんです。林野庁のいままでのデータは自分自身で全部ひっくり返していらっしゃる。しかもそれを自覚されていない、ここが重大な問題です。  そこで、空中散布をしたら効果がある例として、よく虹の松原と宮島が挙げられます。虹の松原はいま市長さんが報告なさいましたが、全然触れられなかった問題をここで触れておかなきゃなりません。営林署の数字ですから、松枯れの本数の動向は私の持っているのと同じです。私は、広く公害地をいろんな角度から調べてきておりますが、唐津の発電所の大気汚染規制ぐらい厳しくきちんとやられたところはございません。これは碇という所長さんが、若い方ですが大変熱心で、学術的な水準の非常に高い方で、いい学術報告をたくさんしていらっしゃる。  その一つをここで具体的に申しますと、唐津の公害白書が去年の六月に初めて出ていますが、そのミカンの大気汚染公害をきちんと碇所長が赴任されてからとめてあります。それをどういう方法でとめたかというと、水酸化マグネシウムをボイラーへ亜硫酸ガス濃度が高くなったときにはぶち込むんです。そうすると中和されますし、それから硫黄の毒性が植物に及ばぬ。この実験はすばらしい実験でございます。そして、数千万円ずつ毎年払っていた補償金が四十八年から一つも払わなくてよくなった。たまたま空散がそれと重なってやられましたから、空散の効果だと思っていらっしゃるのです。ところがそうではないんです。私は去年の五月に行って、木を取ってきました。そして虫を調べましたが線虫おりません。おらなかった。年輪は、ちゃんと年輪が狭うなりまして、生育がとまっていることがはっきり出ています。これは近く学術報告を書きますから、それで詳しくはごらんいただいて、次の重要な宮島に移りましょう。  宮島は、実は国際的な観光地としても有名で、一九七四年に国際植生学会の現地研究会が宮島でやられました。で、生態学者が大ぜい来たんですが、みんなほかのことをほうっておいて松枯れに興味が集中して、そこで議論やった。それがこの報告ですが、伊藤君はずいぶんうそを書いていますよ。宮島の松を調べたら、全部から線虫が検出されたと書いてある。されちゃおりませんよ。四十七年に県がやった数字がちゃんとある。それを全部伏せてあります、県も伏せていますしね。私はその資料を持っております。もし虫が松を枯らすなら、枯れ松から全部線虫が検出されなきゃならないはずです。検出されておりません。それは県の林業試験場の検出の仕方が悪いと言われるなら、今度は林業試験場の伊藤君の直接の指導下にある林業試験場の関西支場、あそこで調べたデータ、四十八年ですよ、空散した年、その年に十本だけ調べていますが、二本には線虫は見つかっていません。線虫の見つからない木がいっぱいあるのですよ。われわれが瀬戸内海の沿岸で調べたのは、福山市では三分の一しか線虫は見つからぬ。兵庫県の高砂では大体半分しか線虫見つからぬ。それなのに真宮君は、いまの試験場の病理の責任者のようですが、われわれが調べた数字にけちをつけるのか、古いやつ調べたら出ぬのあたりまえだなんて言う。古いか新しいか、われわれのやった仕事の立ち会いも何もしておらぬのになぜそんなこと言えるのか、勝手な想像をして相手を誹謗して自分たちを守ろうとする。国家公務員がこういうことをしても犯罪にならぬのかどうかを、法律専門家に聞かなきゃなりません。  そういうことでごまかしてあるのですが、宮島のサルを見てください。宮島の効果が上がっておらぬということは、このデータにちゃんと出ているのですよ。散布しない方がずっと減っているのですよ、最近。散布した方が罹病率が減っていない。なぜ散布しない方が減ったかというと、不況でです。不況で生産がダウンしていることと、公害規制が厳しくなったから。それはちゃんと大竹市役所に数字があるのです。大気汚染公害を見ようともせぬ、考えようともせぬというのが、今日の林野庁の特徴です。しかも、東京の目黒というところに本場があるのですよ。あそこが大気汚染のひどいところであるということは、東京都の公害研究所へ行ってデータをもらってお読みになったらすぐわかる、そこで実験してあるんだから。または関西支場の、京都の伏見にある私の大学のすぐ近くですが、京都府で一番大気汚染のひどいところで、そこで実験している。それを大気の汚染の条件を考えないで実験してデータを出しては、虫だ、虫だとやっているわけですね。これ中学校のクラブ活動ならそれでもよろしいでしょうが、もう少し学問的に細かく考えてもらいたいものですね。  それで、宮島では実は枯れた木を伐倒して、それへカミキリの幼虫が入り込んで繁殖することを防ぐために、薬を噴霧器でかけましたね。これは四十五年ですが、四十八年から空散始めた、そしたら効果が出たからやめたということになっているんですが、皆さん宮島へ行って見てください、どんな効果が出ているか。サルの奇形というのがどんなに悲惨なものか、人間に近い動物ですから。なぜそういうことになったかと言いますと、サルはカミキリのあの幼虫が一番好きなんです。あいつをほじくって食べるんです。それへ薬をかけてるんですから、毒を盛られたわけですね。それから、空散をしますと虫が落ちます。この調べもまたずさんでございますが、この参考資料に出ているのは科学的な批判にたえるものは一つもありません、残念ながら。この空散して落ちた虫をサルがみんな拾って食べるわけです。それで、スミチオンのついたものを食うから催奇性が出るというこは、国際的にすでにわかっているのです。現に宮島ではそれが出てきているのです。これは木がどれほど傷んでいるかということもあわせて考慮して、木には害がないということになっておりますが、木に害がありますね。郵便貯金の関係のあの保養所のパンフレットが、この間三月付で出たのがありますが、この表紙にちゃんと出ていますがね、大きい木はみんな枯れてしまった。宮島には大きな木があったのですが、あのロープウエーの中間のところに大きな木が置いてありますよ。その年輪をいま調べているところです。  そこで、その次に岡山県の線虫の検出の図がそこの六ページにございます。線虫は調べりゃどこにでもおりますよ。どこにでも自然枯れの松におるです。これはこの試験場の伊藤君が中心になってやった報告にちゃんと出ています。自然枯れの松にみんな線虫おるのです。箱根の峠のところにもおるのです。ところが、そこには激害地はないです。岡山県の全体を見ましても、激害地があるのは山陽在来線の沿線だけです。北の方には激害地はありません。ありませんけれども線虫はおります。線虫がおるということと激害地があるということは、別のことです。激害地を引き起こす条件は何か、これが問題です。虫がおった、おったと皆さん言われるが、虫がいつからどういうおり方で、どういう広がりをしたかという、その動態を調べていない。おった、おったと言って、最近は深刻になりましたから検出値が高いので、初期の段階では線虫のいない枯れ松がいっぱいあるのです。  そのデータを私は全国的規模で集めておりますが、そこで、スミチオンが低毒性だというのは住友が言っておるのであって、それをそのままお役所の文書へ載せたりしてございますが、実は急性中毒症が去年の十月の農村医学会で報告されています。これはダニを殺すために散布に使ったのですが、ところが、これはスミチオンがダニを殺すんだからこれが問題なわけで、実はこの参考資料には天敵は今日までのところ見つからぬとありますが、見つかっております。林野序の報告の中に見つかったことが書いてありますよ。線虫にたかって線虫を殺してしまう菌が見つかっております。それからもう一つはいまのダニです。ダニがカミキリの腹の側面にいるわけですが、そいつは大気汚染に一番弱い、スミチオンには弱いんだから、そいつが死んでしまうから、一方的に線虫だけが広がる条件を人間がこしらえているわけです。こういう生態学的に矛盾きわまることが組織的にやられているということに重大な問題があるんです。  で、最後に仙台の話をいたします。時間が過ぎて恐縮ですが、大事なことですからお許しをいただきたいと思います。  そこに千葉県の地図が一枚書いてございますが、これは林業試験場の皆さんがどんなにでたらめをされるかということの具体的な例です。あえて私はでたらめと申します。というのは、房総半島の一番狭いところへ四キロの幅で一千ヘクタールの防虫帯をつくって、そこへ薬をどんどん空散して、南から北へ上がってくるのをそこで食いとめると言ってやったんです。続けてやっている。ところが、その北に線虫のおらない松枯れがいっぱいあるわけです。房総、あれは北房と千葉県では申しますがね、北に。それをどう説明するか、できません。目下調査中だとおっしゃるから、それは議会の先生方の質問をかわすために目下調査中はよく言われる言葉ですけれども、科学者の前ではそういうことは通用いたしません。これは国立林業試験場が指導して千葉県が一生懸命やっているはずです。  こういう実はひどいことがあるんですが、そこで最後に重要なことは、松島の松が枯れ出した。ところが、松島の松からは、宮城県も林業試験場の東北支場も一生懸命調べられたけれども、線虫は一匹も見つかっておりません。枯れた松の木は、七ケ浜なんていうのは二千本も枯れておりますが、枯れるはずですよ、松島湾の入口へ東北電力が火力発電所をおっ建てているんです。大きな煙突が三本立っています。あの瑞巖寺から南を見れば真南に見えますがね、線虫のいない松枯れがある。それで石巻で見つかったから、あたかもそれを鬼の首でも取ったように奉って、予算化して人を要請してなんてことを書いてありますが、線虫の見つからない木がたくさんあるということについては一言も触れてない。ここにも問題があります。われわれは事実の上に立って、事実の中から法則を見つけ出して、そして原因が何かということを突き詰めて方法を講じなきゃならぬわけです。こういう科学的でないデータを前提として、それでそれに基づいた法案は絶対に通してはならぬ。実害がますます大きくなるだけで効果はない。効果があったというのは、下級官庁のお追従の数字です。いまは鹿児島では三分の一になったとおっしゃいましたが、岡山では三十分の一になったというんですよ。それを私は克明に調べております、私の家の裏山が三年連続散布したんだから。そうすると、調べ方自身が実に粗漏で、はっきり言いますといいかげんな数字だと。つまり、上へ上手にこびて予算よけいもらう作戦と解する以外に解しようのない調べがやられているわけです。私は山に住まっておりますから毎日松を見て暮らしておりますが、空散のときだって、空散というのはヘリコプターで散布するというのがどれくらい大ざっぱなものかということがよく体験的に確かめてあります。  時間が超過して恐縮でございましたが、これで要点だけは述べましたつもりでございますから、あと質問応答の時間があるそうですが、ここに年輪解析の実物も持ってきておりますから、年輪解析が日本の林学にゼロだったということをどうぞよくお考えいただきたいと思います。  それでは、以上で要点だけを終わることにいたします。

橘直治自由民主党

○委員長(橘直治君) どうもありがとうございました。  それでは参考人の方々に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

鈴木省吾自由民主党

○鈴木省吾君 まず、中村参考人にお伺いしたいと思います。  中村参考人のお話を伺いますと、松林、松の木を保存するということ、これは自然環境の保存、そういう皆さんのお考えからしてもこれは重要なことだという御意見、ただ、空中散布する問題、これに問題があると。特に、突き詰めて言うならば、散布する薬剤の毒性あるいは影響ということだろうというふうに伺ったわけでございますけれども、スミチオンというのはわれわれ——私は農業も営んでおるんですが、米もリンゴなどもつくっておるのですけれども、いま使っておるんです、現実に。それで、中村参考人は、この松林に散布したどっかへ行ってそういう影響なり何なりを御調査になられましたでしょうか。なられましたらその影響をどういうふうにお考えになられましたか、それをちょっとお伺いしたい。

中村芳男全国自然保護連合理事長

○参考人(中村芳男君) お答えします。  直接調査したわけではございません。けれども、学者方のいろんな話を聞いております。また、有名なカーソン女史の「沈黙の春」というのを読ませていただいております。お米をつくっていらっしゃるというお話でございますが、先日ある書物を読んでおりましたら、ウンカを退治するため薬剤を散布したらクモも全部死んでしまったということを読みました。今度クモに弱くてウンカに強い薬を考えたら、今度はウンカがいなくなった世界にはクモが住めないというのでというようなことを読みまして、なるほど人間の住んでいる環境というのはこういうものだという勉強を新たにさせていただいたわけでございます。  空中散布しますと、それが松の木だけでなく地上へも落ちてきます。それで、さっき時間がなくて申し上げられなかったんですが、天敵も何もかも全部一緒くたに消滅させてしまう、いわゆるサイレント・スプリングというようなことになっていくからいけない、そういうことを究明してからでなければ散布をしてはいけないと、こう確信していると申し上げたわけであります。

鈴木省吾自由民主党

○鈴木省吾君 いまのお話、時間がありませんから余り突き詰めてお尋ねもできないのですけれども、自然保護なり人類の保全と申しますか、こういうものは、自然に何でもかんでもほうっておけば自然保護だというふうな考えは私どもどうも考えられない。やっぱり自然保護にだって、いろいろそういった害虫等も出てくれば、それをいまお話しのように被害のない方法で駆除をして自然を保護しなければならない。あるいは人類の繁栄だって、いろいろ技術進歩しますけれども公害等が出てまいる、そういう公害等は除去しながらやはり技術進歩に対応した生産性の向上、そういうものをやっていかなければならない、こういうバランスだと私は思うのですね。ですから、そういったいまお話しのように、徹底したといいますか、あれまででなくとも、どの程度にひとつバランスを考えていくかということではないかと思うのですけれども、いかがでございましょうか。

中村芳男全国自然保護連合理事長

○参考人(中村芳男君) そのことを申し上げているんでございます。同じことでございます。なぜ、もう少し突き詰めてお互いに研究者同士で話し合わなかったか。要するに、私どもが申し上げたのは、二月九日にわれわれが知りました。そうして、もう五月には大量の散布をするというのは——五月かどうか知りませんが、今年ですね、というのが恐ろしいと申し上げたのでございます。

鈴木省吾自由民主党

○鈴木省吾君 そういう点から言うと、私ども学者でないから、細かなことなんですけれども、何といいますか常識的に考えますと、もう米なり果物なりに何年も使っているんだから、この毒性は一週間とか二週間でなくなるんだと、こういうことを言われているもんですからね。私は、まして松林程度にはそんなに被害、人蓄に被害があるものだとは考えないのですけれども、具体的にはお調べにはなっておられないのですね。

中村芳男全国自然保護連合理事長

○参考人(中村芳男君) 先日、この向こう側にあります議員会館というのですか、そこへ行きましていろんな人たちに会いまして、いろんなお話を聞きました。その中である方が、私はリンゴの林を持っておる、リンゴの畑というのですか林というのですか、それを持っているのだが、追跡調査も何もしないで県庁でまけと言うからまいていたんだが、確かに最近は人工授粉をしなければ実を結ばなくなったということをおっしゃっておられました。これなんかは、だんだんとこう恐ろしい方へ傾斜していく一つの例じゃないかと思います。

鈴木省吾自由民主党

○鈴木省吾君 いや、りんごのお話出ましたからなんですけれども、確かに人工授粉をやるんですが、これはやっぱり薬害というだけでないというふうに理解をしておるんですけれどもね。最近、品種というものはどんどん改良している。で、一方に、改良するとそういう弱い面は確かに出てくるんですよ。ですからこれはもう果物をやる場合に、その品種によって人工授粉するのは当然のことなんです。必ずしも薬害ではないんじゃないかというふうに私どもは考え、そういうふうに考えてみんなやっておるようなわけです。  まあ時間がありませんから次に吉岡参考人にお尋ねをしたいと思いますけれども、学者のお話ですから、私どもこう反論といいますか、それをする能力は持っておりませんけれども、林野庁やあれらのデータはみんなでたらめなんだと、こういうことに対しては私どもは必ずしもそうは思いません。あらゆる方面のデータをいただいて、そちらの方はこういう意見、吉岡先生の御意見はこういう御意見、公平に判断するつもりでございますけれども、突き詰めて言うと、吉岡先生の御結論は、公害が松の枯れる原因なんだというふうに結論づけておられるように伺ったわけでございますけれども、そういうことになりますと、先ほど最初の参考人の瀬戸さんからのお話、全然公害などのないところの玄界灘の孤島のようなところ、こういうところもどんどん枯れているというのはどういうふうに御説明いただけるのでしょうか。

吉岡金市龍谷大学教授

○参考人(吉岡金市君) 実は、九州の孤島の松原については大分厄介な問題がございますが、私はそれを確かめるためにずいぶん苦労をしたんです。きょうは時間がないから詳しい裏話はしませんでしたが、まず鹿児島の南に開聞岳という高い山がありますね。あれを目標に国際線のジェット機がみんな来て、あそこでこう回るわけです。それで航空機による大気汚染というものはひどいものですからね。それから離島に九州電力の発電所が皆ございます。これをこの間、林野庁長官は御存じないと見えて、きれいなところだとおっしゃいましたが、離島に皆火力発電所がある。いまの企画庁長官になった倉成君が長崎県の農林部長だった時代に、私は離島を全部回ったことがございます。皆発電所があるんです。それから船が皆石油燃料にかわりましたね。これも見逃すことのできないことですね。それから屋久島には発電所がございませんけれども、飛行場がございます。あそこは観光地ですから、自動車の数は屋久島というところは島にしちゃ非常にたくさんあるところです。そういうことを抜きにして、まあ二キロしかあのカミキリは飛べぬと、それなのにどうして離島で虫がはびこったかといったようなことは、いろいろ検討すべき問題たくさんあるんです。あるんですが、私がはっきり言わなきゃならぬのは、私は公害学者でございますから、大気汚染源になるものがたくさんあるのを、それを全然無視した議論がされている。これは違いはしませんかと、こういうことです。  長崎については、きょうはこのデータに載せておりませんが、どの島へいつ、どういう順序で松枯れが広がっていったかということは詳しく記録があるんですよ。それはきょうのコピーへ入れようかと思いながら入れませんでしたが、時間のことがあったからです。そういうわけで、離島にあるのにもちゃんとある理由があるわけですね、松の弱る条件が。大気汚染というのは一番生物にとってはこわいですから、呼吸を一瞬も休んでおれないんですからね、葉から盛んに汚染物質が入ることは。たとえば先ほど言いました岡山の水島の製鉄所の周辺では、松の葉にカドミウムがたくさんあるんですよ。新潟では五分の一ぐらい低いんですよ。それで年輪を解析してみると、やっぱり年輪の狭いところはみんなカドミウムがたくさん出るわけですね。そういうことがありますので、まだまだ松を弱らす物質というのはたくさんあるんでございますが、水銀もそれに違いないと思うんですが、まだ私ども分析しておりませんから、そのことについてはいま断定的なことは言えません。カドミウムについてははっきり言えます。それで化学工業やそれから製錬、製鉄所があるところは全部カドミウム汚染しておるわけですね。そういう激害地の基本的なことをおいておいて、島の端っこの方にこれはどうだというのは、これは主客転倒、主たるものと副たるものとをごちゃまぜにしちゃいけないという問題があるわけです。  そこで、虹の松原でやっていらっしゃるように、唐津の公害センターのように規制を厳しく、しかも植物被害をなくすための新しい試みをどんどんやっていらっしゃるところでは松枯れがさあっと減っているわけです。一番大事な大気汚染をほっぽらかしておいて、薬を幾ら増してもその効果はありません。そのことが大事な点。これは環境庁の領域だというんで、恐らく行政、立法や予算化のときに厄介な問題があるんだと思います。それでこういう形に問題が出てきたんだろうと思いますけれども、原因が何かということをやっぱり突き詰めなきゃいけませんね。この点について私は日本林学会へ出てしゃべったこともございますし、それから関係の林野庁の責任の地位にある人といろいろ話したことがたくさんございます。いかに林野庁の皆さんが大気汚染というものを御存じないかということは、昭和五十年の九月に「林野時報」へ、林野庁の啓蒙宣伝の雑誌ですよ、それにY氏という——Y氏というのは吉岡がYですが、山下という人と、Y氏が岡山には二人おるわけですよ、この問題について調査研究をやっているのが。それをつまらぬ当てこすりを書いてあるのですが、いかに大気汚染公害を知らないかということを告白したもので、われわれ相手にする値打ちがないです。これは無理がないんですよ。大学に公害講座がないですから、それでそういうことになっている。だから勉強しなければいけないのに、吉岡のやつは反対ばかりやるというんで、ひどく顔色を変えていろんな議論をなさる。その議論が学問上は全然問題にならぬ。きのうもやったですよ、環境庁で。これを少しでも啓蒙することが大事だと私は思うからなんです。何も私の学識をてらっているんじゃないですよ。そういう甘っちょろいことで学問できぬですよ。  そこで、この問題を時限立法にしたということも、やっぱりやましいところが相当あるから、まあやってという——時限立法せぬでも、三年でも成果出ていますよ。サルが奇形出した、人間にも被害が及びかけておる。しかも、仮に散布を全部したにしても、今日の松枯れは里山の松枯れですよ。家の周囲、山の一番すそ野、そこが枯れているんですよ。ここへ岡山の航空写真がありますがね、効果があったというデータとして。これ林野庁で去年見つけて、岡山に早速帰って復習したんですがね。三角山の上のところだけがないんで、下は全部真っ赤なんです。五十メーター離れなきゃいけないとなっているから、かけようたってかからぬでしょう、ヘリコプターで。人間を直撃するからです。そういう矛盾があるんで、これは立法をやって幾らかけても、肝心なところは皆外れるんです。それが問題ですよ。カナダやアメリカの山と違いますからね。鹿児島だって小さい山があって、集落がいっぱいあって、家と入り組んでいますから、これは大変。人間に被害がないようにする方法ございませんよ。私は、においに非常に敏感な男ですが、あの空散をやられたときにすぐ飛び起きて、私は初めから終わりまで見ているんですがね。ずいぶんいいかげんな散布ですよ。ある年には同じ面積をやるのが一時間で済む、ある年は二時間かかる、ある年は三十分で済んでいるんです。それで起伏のあるところをヘリが行くんですから、ところどころで申しわけのように白い旗立ててありますけれども、行くところいっぱいあるんで、それがヒノキを枯らしたりしておるわけですよ。ヒノキが枯れるということは、ほかの木も傷むということですよ。

橘直治自由民主党

○委員長(橘直治君) 吉岡参考人、時間の関係がありますから簡単に御答弁を願います。

吉岡金市龍谷大学教授

○参考人(吉岡金市君) 終わりました。

鈴木省吾自由民主党

○鈴木省吾君 済みません、それじゃもう一問。私の時間もうなくなったものですから、一問だけ同じく吉岡参考人にお願いします。  参考人は全部公害のようなことをおっしゃいますけれども、火力発電所の近くの松の枯れているのは私も見て知っています。しかし、日本国じゅう二百万ヘクタールですか、それが全部公害地ではないんです。ですからこれはそれだけではない、それも一部あるでしょう。しかし、やっぱりいろいろ研究した結果、マツノザイセンチュウの害だということはお認めになりませんか。

橘直治自由民主党

○委員長(橘直治君) 御答弁は簡単にお願いいたします。

吉岡金市龍谷大学教授

○参考人(吉岡金市君) 実は、自然現象も社会現象も、単純なすぐ短絡をして結論を出せるような簡単なものじゃございません。複雑なものがゆえにその関連性を追求しなければいけないんですよ。それを松を枯らしたのは線虫だ、薬をかければ減る、それで片づくと、こういう子供の考えるようなことをしてはいけないということを私は言っているんです。  それで中心は、今度の被害が起こったのは、主としてアラブの石油によっていわゆる燃料革命をやって、日本列島全体と言っていいほど大気汚染がひどうなって、人間の公害病患者さえ出るようになった条件というのは、歴史始まってないのです。そのことは、宇治の鳳凰堂の鳳凰の腐食で一番よくわかる。千年以来何にもなかったことが、あの鳳凰が腐食したから収蔵庫におさめてあってイミテーションを飾ってあるんですよ。あそこは、大阪の大気汚染がみんな淀川をさかのぼってくるんですよ。そこのど真ん中に関西支場があるわけですよ。そこで実験していらっしゃるわけです。だから、大気汚染の条件のもとではこうなったというだけの話なんです。だから、解決は大気汚染問題をチェックする以外にない。それをやったらぐっと減ってくることは、もう虹の松原で実証されているわけですよ。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 吉岡参考人にお尋ねをいたします。  先生のきょうの御所論は、これに賛成なさる方と反対なさる方とを問わず大変貴重な参考になる御意見であったと思います。  そこでお尋ねをするわけですが、結局先生の御意見は、大気汚染だけが原因だというわけではないんでしょう。やはり松枯れの前提に大気汚染があって松が衰弱しておる、そこに虫がたかる、虫害が加わる、いわば複合的な原因だとおっしゃるんでしょうか。それとも、両者は別々に存在して別々に被害を発生させるという、御意見なんでしょうか。  その辺のところと、この松枯れを、そういう現象を全くなくしてしまうことが可能なのか、やはりそれがどうしても防ぎ得ないものだという御意見なんでしょうか。その辺のところを、私の持ち時間が十二分三十秒ですから、ですから十二分ぐらいの間でお答え願いたいと思います。

吉岡金市龍谷大学教授

○参考人(吉岡金市君) 最初に断りましたように、大変複雑な問題があって、私もまだ印刷にしてないデータがたくさんあるわけです。目下、印刷屋に回っているものもあるわけですし、数日中にできるものもあるんです。それでこういう問題が表面化してきましたから、学者の仕事というのはいつも縁の下の力持ちでございまして、問題が起こったときにこれはこうですよということが言える用意をするのが学者の仕事でございます。  そこで、林野庁林業試験場、府県の人も一生懸命やっていらっしゃるんですよ。それにもかかわらず、なぜ松枯れがとまらないのかということは根本の問題が外れている。一番大事な、最近の松枯れの原因になる松を弱らす条件が大気汚染で、それで弱るからカミキリが集まってくる、このことは先例からわかっておることです。それで、カミキリが大気汚染のために、ここに持っていったダニを、ダニの写真がここにありますが、そのダニを払ってくるわけですよ。ダニを連れてこぬから、線虫ばっかりはびこるわけですよね。それから今度見つかっている、最近見つかった線虫へ寄生して線虫を殺す菌があるのですが、その菌がどういう条件ではびこるか、滅びるのかという問題も大事な問題でございますが、これらについてはまだ手がついておりませんです。  そこで複雑な因果関係、因果関係というのは、因になり果になり糾う縄のごとくに一つの生態系の中でずうっとつながりを持っているわけです。その全生態系をにらんだ上で判断をせねばならぬ。それができておらぬわけですよ、いまの法案では。  いまの法案でその具体的な例を一つ言いましょう。健全な松について枯らすとありますが、健全な松とは何かということが問題なんです。東京都には健全な松はもうありませんよ。それなのに、ど真ん中の目黒で実験していらっしゃるんでしょう。そこにすでに問題がございますよ。それで、松の皮へ穴をあけてやにの出方で判断する小田方式というのが、大分前に昆虫の関係の人が開発された方法があるのですが、それは全然的が外れています。松のやにというのは、枯れて倒した松でさえやにが出ますからね。出る出方や速度は違いますが、やにの出方で健全度を判定するなんということは、およそ松を知らない人のやることです。私があえてこれを言いますのは、私は松山を子供のときからおやじの手伝いをして守ってきて、松を切って家を建てかえたこともありますから、やにのことはずいぶん厄介な問題で、体験しているんです。これは学校教育が浮いているということと、それから現実からかけ離れた実験がやられているということ、それで形式的なことしかやられておらぬということのそういうことから来ることで、個人の責任というよりも、むしろ大きな歴史的性格といったようなものと関連のある重大な問題だと思うんです。  それで、時間さえいただければ幾らでも説明いたしますけれども、データいっぱいあるんですから。ところが十五分なんという、十五分で説明ができると思っていらっしゃることは、本委員会がこの問題を重視されているのか、もう結論が出ているから必要ないので形式だけやればいいとおっしゃるのか、そこら辺のところが私はわからぬのですよ、きょう私は出席して質問ぶりやいろいろなことを判断して。これは賢明なる委員長が適当に処理されることだと思いますが、私は求められることに答えればいいので、それで資料はいっぱいあって、まだカバンにもあるのです。外国のこともたくさんございますしね、幾らでも問題があるのです。  ただ一つここで皆さんに申し上げたいことは、大気汚染だけかという、あるいは虫だけかという、あれかこれかという考え方がそもそも間違いだと思うんです。新聞記者諸君は記事書くにはおもしろく書かにゃいかぬから、皆おもしろく読まにゃならぬから、だから虫害説、大気汚染説と、こうやるわけです。そういうことでは本当はないので、われわれは虫が広がった理由は何かということを検討している。それが全然林野庁で説明できておらぬ。とにかくおる、だから枯れておるのだから薬かけにゃいかぬ、こういうことなんです。ところが、そうすると今度は大きなマイナス面が出てくるんですがね。私は、これは私の個人の弁解のために言うんじゃないんですけれども、伊藤君が全部の松から線虫が検出されたなんて言うから、それは違う。それで私が調べますと、あれは反対派だからああいうデータを出した、こう言うわけです。何と勘ぐったことをよくも言うものだと、何という役所というところはいじけたところかと思うのですがね。われわれは素直に、皆さんのやっていることを理解しようと思って一生懸命努力しているんですよ。それで、私は最近一策を案じまして、県の林業試験場へ農林部長を通じて、これ虫がおるかおらぬか調べてくれと渡すんですよ。そうすると、丁寧なる証明書をくれますよ。ここにもそれございますが、お目にかけてもいいですが、線虫は検出されませんでしたというのが何ぼでも出てくるんです。私は切り口を見れば大体八、九割まではわかりますよ。それは口り切の水の含み方や、それからしばらくするとカビがつきますが、そういうことが虫のおった松とおらぬ松とまるで違うんですよ。大気汚染公害がこれほど深刻にならなかったら、日本の松は枯れておりませんよ。ですから、グローバルな、大局から見たら大気汚染が前提になっているんだと、そいつをチェックすれば、おのずから減るんだと。現に減っているんですよ。虹の松原で減っております。あれは空散の効果だというのは、因果関係を十分追求されないで、現象形態としてそこへ出たことはそうだったというんで、これが事実がないと私申しません、それぐらいのことは私は事実を確かめて知っておりますから。あそこで水酸化マグネシウムをボイラーへほうり込んで中和したということは、すばらしいことですよ。それから酸性雨の問題は、アメリカでいま問題になっているんですが、アメリカの東北海岸とそれからカナダへかけて、それからスカンジナビア半島全体に酸性の雨が降って、木の成長がとまって弱っているんですよ。それは、大気汚染物質が霧雨が降るときに水滴に溶けて落ちてくる。去年の九月の二十日に岡山県で、瀬戸内海全体と言った方がいいんですが、酸性の雨が降って稲が大変なことになったんです。それで、そのとき松がやっぱりやられている。松の葉っぱが、緑の葉っぱへ黄なかすりができますよ、その後に。そういうことを一つも調べてないです。調べずに虫だ虫だと言って、それなら虫で解決できているかというと、私の裏山へ来てください、御案内しますから。ちゃんと枯れていますよ。しかも、線虫のおらない木があると、それは冬枯れですよ。夏枯れ、冬枯れれ、松は年じゅう枯れています。冬枯れには線虫がおらぬということは、林業試験場でわかっているんですよ。千葉の国有林で調べたんです。そういうことを全部伏せてますよ。これ一つも触れてない。そういうことがこの法案の説明や参考書類にいっぱいあるわけですが、これをどうして早くみんなで検討して過ちなき悔いを残さない立法をし、あるいは行政をするかということが大事だと思いますから、私にわかっていることは率直に申し上げたと、こういうことです。  それで、虫か、大気汚染かというのは、あれかこれかという考え方は間違いで、虫は生物ですから、虫それ自身の法則でまた広がりますからね。ふえて広がることもあり得ることですよ。それは天敵がおらぬようになっているから、だんだんだんだん広がりますわね。これが重要なことです。天敵がいま見つからぬというのは、これは林野庁の皆さんが見つけていらっしゃらぬだけで、いっぱいおりますよ。どこにどれだけおるということも私の方にわかっております。だから、これを守らなければならぬ。スミチオンはそいつを最もひどく殺す薬ですよ。それが人間の中毒症にまで及んでいるわけですね。それで……。

橘直治自由民主党

○委員長(橘直治君) 吉岡参考人に申し上げます。  本委員会は十三時までに終了いたしたいのであります。あとまだ質問者が大ぜいおります。簡単に御答弁を願います。

吉岡金市龍谷大学教授

○参考人(吉岡金市君) 終わりました。

久保亘日本社会党

○久保亘君 先ほど公述されました瀬戸参考人、地頭参考人のこれまでの空散の実施に当たってのお話がありましたが、私お聞きしておりまして、薬品の空中散布を実施するに当たって大変慎重に事前の準備をなされたということはわかりました。しかし、それは危険や被害を防止をするため、十分にこの空中散布の実施を地元の住民に周知させるためにやられたということが主のようでありまして、この空中散布のもたらす影響について十分な事前の準備が行われたと、必ずしもそういうふうにはお話を聞いて受け取れないのであります。  私はそれでお聞きしたいのは、空中散布を行われた後、その事後の調査が、ここに私は防除緊急対策推進協議会の本年二月十八日にお出しになりました資料も持っておりますが、これを見ましても、空中散布を行った後の調査については、大体目で見て回って被害があった、なかった、野鳥が落ちてなかったとか、それから野菜の中では幾らか葉に斑点が見られたとか、クルマエビにはどうだったとか、そういう程度の報告でありますが、むしろ大切なのは、空中散布を行われた後、目で認識することのできない部門についても慎重な専門家による調査ということが非常に重要なのではないかと考えております。そういう点については、これまで実施された後どのようにおやりになってきたのかですね、それをひとつ御説明をいただきたい。  それから、地元との協議というのが行われているようでありますが、この地元との協議の中で、これを見ますと、先ほど虹の松原について瀬戸参考人は、皆さんも非常に御賛成でやった後もみんな喜んでいるというお話がありましたが、全く違った意見やあるいはその実施について事前事後を通じてトラブルなどは全くなかったものかどうか、そういう点も参考のためにお聞かせをいただきたいと考えております。  それから吉岡参考人に一つお聞きしたいと思いますことは、先生のお話を聞いておりますと、大気汚染こそが松枯れの真犯人である、薬品の空中散布を行えば天敵を殺すことになって松の枯死を逆に早めることになる、こういうことなんで、もうきょうの参考人の間で原因に対する見解が全く違っているというだけではなくて、その方法論においても、その被害の問題じゃなくて、松の枯死を防ぐそのこと自体において、方法論で全く違った見解だと私は考えております。それで、その空中散布というのは、いわゆる私ども俗な言葉で言いますと、公害をもたらすということだけではなくて、空中散布を行うことは松枯れを促進するという立場にお立ちになるのかどうか、その辺をひとつ簡単にお答えいただければ大変幸いだと思います。

瀬戸尚虹の松原保護対策協議会副会長

○参考人(瀬戸尚君) ただいまの久保先生のお尋ねでございますが、先ほど申しましたように、事前に地元の方々と大変よく協議をいたしまして実行いたしてきておりまして、また実行をいたしました後もそういうふうな代表者の方々と反省会等をいたしております。そういうふうにやっておりますけれども、その間トラブルはございません。  ただ問題は、先ほど申しましたように、やります前に野鳥の会から非常な反対がございました。それで、野鳥の会とはたびたび会合いたしまして、そしていろいろと話し合い、それからやる前から一緒になって調査を始め、やった後も始め、そういうことをやってきておるわけでございまして、先ほど申しましたように、そういう調査をやりましたところ、先ほど申しましたような結果を生じておりまして、野鳥に対する薬害というものをいまのところ発見をいたしておりません。そういうことでございます。

地頭睦夫鹿児島県林務部次長

○参考人(地頭睦夫君) お答えいたします。  事業が終わりました後の事後の調査でございますけれども、野鳥の問題並びに昆虫の問題等につきまして、それぞれ試験所を使いまして調査をいたしております。なおまた、専門家による調査と申しましても、特に水質の問題を重要視いたしまして、当初の年に公害衛生研究所等を使いまして水質の汚濁の調査等も実施いたしております。その際、痕跡なしというような結果が出ておりますので、最近はその問題については特に立ち入って調査をいたしておりません。  なお、地域ごとの協議で、済んだ後の違った意見あるいはトラブル等はなかったかという御意見でございますけれども、これにつきましては、事前に協議いたしました段階で、地元市町村の意見のまとまらない地域につきましては空散を実施いたしておりませんので、やりました町村等におきましては全然トラブルは起こっておりません。ただ、ちょっとした気象の変化等で事故らしきものがあった場合については、十分市町村を中心にいたしまして話し合いをいたしておりますので、トラブルまでには発展いたしておりません。

吉岡金市龍谷大学教授

○参考人(吉岡金市君) 大気汚染がなかったならばいま起こっているような松枯れは起こらないだろう、それは単なる推測ではなくて、地域の松枯れの動態を追うてみますとそれがよくわかるんです。最初の段階では、たとえば組織的な調査が始まりましたのは大体どこでも昭和四十七年が多うございますが、四十七年の段階では、宮島でも岡山でも線虫のおらない松枯れがたくさんあるんです。そのデータがみんな伏せてあるわけです。私はそれをみな持っております。私の裏山の松の枯れ方だってそうなんです。切った断面を見れば、大体これは虫がおったかおらぬかわかるわけで、ここに写真が幾らもございますが、それでその動態をずうっと追うていくと、四十九年ごろからはもう非常に線虫の検出されるパーセントが高うなるわけです。  それから有名な松が、方々に天然記念物になったような松がございますが、それらの弱っていて枯れる経過を私ども確かめておりますが、虫がおらないのに木が枯れまして、たとえば水島では有名な生姫島の松という天然記念物がございますが、県がやっぱりこれは調べているんですが、それには線虫おりません。そういうデータがいっぱいあるんで、私はそれをみな持っていますが、それをあたかも全部線虫で枯らしたかのごとくに伊藤一雄君が書いているから、お役所はみんなそれに追従せぬと予算がもらえぬですよ。伊藤一雄君というのは皆さん御承知のように予算をとるのが名人でして、それで予算を上手に取る人が勢力を拡大していく、あるいは学会の会長になるから、学会の会長というのはどこでもそういう人がなるんで、学者ですぐれているからなる人はむしろ少のうございます。

橘直治自由民主党

○委員長(橘直治君) 吉岡参考人、ちょっと質問の要旨と違っておるようですから、改めて……。

吉岡金市龍谷大学教授

○参考人(吉岡金市君) 動向調査が一つもしてないんです。それで、さっき言いましたお役所の数字というのは非常に大ざっぱなもので正確さに欠けていると、こういうわけです。

久保亘日本社会党

○久保亘君 吉岡参考人、私がお尋ねしておりますのは、たとえ薬品空中散布によって派生的な被害を生じないとしても、薬品空中散布をやることは松の枯れていくそのこと自体をかえって促進するものであってやらない方がいい、こういうお考えなのかどうかということなんです。それはなぜかと言いますと、新聞等で吉岡参考人の御意見等を拝見いたしますと、原因が全然違うんだから空中散布なんかやればかえって松の枯死を早める結果になる、こう書いてありますので、もしそれが正しいとするならば、これは単に被害を及ぼすということだけではなくて、国費を使って松を枯らすことをやっていると、こういうことになりますから、大変重大な見解だと思ってお聞きしているわけであります。

吉岡金市龍谷大学教授

○参考人(吉岡金市君) 実は、松が枯れる最後は一体何が枯らしているか、それは人間が死んだ場合の死亡診断書というのに複雑なことが書いてございますね。松が枯れる場合でも同じです。生、病、死という段階があって、そして松を枯らす条件が重なりますわね、複合しておるわけですよ。それを非常に単純に虫だと考えることが、すでに学問の方法論の上に問題があると言ったのはそれなんです。それで、大気汚染でもう気息えんえんとしている松へ植えてみたら一〇〇%枯れた、こういうことなんです、マツクイムシ説の基礎となっているのは。それで最後のとどめを虫が刺したと、弱って死にかかっておるやつだから虫が集まってきたと、それであの虫自身が弱った木へ好んで集まってくる虫なんです。だから、半死状態になっているやつへ虫が集まってくる、それへ線虫を連れてきて、天敵をなくしたやつが来るからさあっとやられると、こういうことです。  そこで、空散をしたらどうなるかというと、スミチオンの害の問題はしばらく別にしても、これは大した効果はないと、むしろ伐倒すれば一番いいんですけれども、人夫賃が高いからそれは事実上経済的にできぬと、だからやむを得ずまくのだと、こういう説明の仕方が多うございますね。それが実害が後へ伴わないものならそういうことをしてもよろいけれども、実害が伴いますよ。虫の調べだって、実は正しくしてあるのは倉敷の昆虫同好会のデータだけですよ。あとは調べ方自身が大ざっぱだ。あれは私どもの仲間ですが、林道をつけた、林道の道の上に落ちたのを全部拾い上げて調べた。その種類を分けるのだって、大変な作業なんですよ。二年かかりましたがね。そういうことを一つもしてございませんよ、この資料には。形式的にはやってありますが、たとえば鳥を調べるのに朝六時に行って調べてある。朝六時に鳥を調べたってわかりゃせんですよ、山へ泊まらなくちゃ。夜明けのおなかがすいているときに盛んに活動するのですから、六月でありますともう少なくとも四時半には山に行っておらにゃならぬです。ほかのデータには午前九時に出勤して調べたのありますが、そんなのおよそ意味ない。正確さに欠けております。だから、これは、自分のところだけでやろうとしないで、自然保護団体や、昆虫の好きな人は全国にいっぱいおるわけですから、そういう人たちの協力を得て正確にやって、そうしてその上でさらに考え直して過ちなきを期するということが大事だと思うのです。  私が一人だとおっしゃいましたが、一人じゃないのですよ。きょう来ているのは一人です。私の仲間は日本国じゅうにおりますよ。そうしてわれわれは発表機関がないのです。林野庁にはたくさんありますよ。われわれのは雑誌社がまず受け付けてくれぬ。本屋も受け付けてくれぬ。なぜかというと、通説に反するから売れる見込みが立たぬと、こういうのですね。それは出版は商売でするのですから、そうなりますわね。発表機関がないということが非常に重大なことになっているわけです。それで今度はこういう法案が提案されて、社会問題になっただけに原稿が載り始めましたね。本もできます。どうぞよく読んで、その上で欠点があったら大いに、学問というのは切磋琢磨、互いに批判し合って初めて進歩するのですから、われわれはそれを恐れません。それこそ一番大事なんです。それを裏の方から回って、あいつのやり方は悪いとか、一年以上たったやつを見たとか、そんなことは一つもしておらぬですよ。何を言うかと言いたくなるのですね。

久保亘日本社会党

○久保亘君 結構です、時間がありませんから。

吉岡金市龍谷大学教授

○参考人(吉岡金市君) 散布によって弱わった松が、かえって枯れることを促進されるということはあり得ますね。これは私は、今度宮島の一番上に上がってそれを痛感してきたんです。松じゃない木みたいになっております、全体の松が。あれ数年の間にほとんど枯れてしまうであろうことを、私は憂えている一人でございます。

原田立公明党

○原田立君 一番最初に瀬戸参考人にお伺いしたいのですが、四十九年に百九十七本、五十年に百七本、五十一年に百八本の枯死であった、空中散布して効果があったと、こういうことなんですが、そのときにはどのような薬剤をまかれたのか、空中散布ですね。それが一つ、それをお伺いしたい。  それから地頭参考人にお伺いしたいのは、先ほどのお話の一部の中に、空中散布して一部の枝枯れはあったと、野菜等においては残存性はないというような一連のお話があったのですけれども、一部の枝枯れがあったというのはどういうふうな事実がおありだったのかどうか、その点をお伺いしたい。  それから吉岡先生、大分お答えがありますけれども、またごく簡単にお願いしたいと思うのですが、スミチオンの安全性についてはどうお考えになっておられるのか、これが一つ。  それから、スミチオンの空中散布の効果については、現在法案で空中散布云々と言っておりますけれども、いまの久保委員の答弁に対しては余り大した効果はないという、伐採しかないというふうなそういうお話ですけれども、伐採だけでは松が全然なくなってしまいますから、そうじゃなくて、そのほかに松を生き残しておくための方法はないか、学者の御意見としてお持ちなのかどうか、この二点をお伺いしたい。

瀬戸尚虹の松原保護対策協議会副会長

○参考人(瀬戸尚君) スミチオンでございます。

原田立公明党

○原田立君 濃度は。

瀬戸尚虹の松原保護対策協議会副会長

○参考人(瀬戸尚君) 濃度その他につきましては、営林署の専門の方、県の専門の方からやっていただいておりまして、市はそういうふうなやることに協力をさしていただいておりますので、私が責任を持って濃度はどうだということはここで答弁し得ません。

地頭睦夫鹿児島県林務部次長

○参考人(地頭睦夫君) お答え申し上げます。  非常に発音が不明瞭でございまして、私が申し上げましたのはエダマメと、これにつけ加えますとサトイモ、キャベツというようなものにつきましては、薬がつきますと薬斑が生じます。点々が。そういうものが一部危険性があるのでそこを十分注意してやっておりますと、こういうふうに申し上げましたので、改めて御説明申し上げます。

原田立公明党

○原田立君 そうじゃなくて、先ほどのお話の中に、枝が枯れると、一部のところでは枝が枯れましたと、そういう意味のお話があったんです。それで、野菜等においては余り被害はございませんでしたというお話だったもので、ああ、何か枝に被害があるのかなというふうに心配したから聞いているんです。

地頭睦夫鹿児島県林務部次長

○参考人(地頭睦夫君) 私の発音が悪かったかと思いますが、枝枯れのことについては発言申し上げておりませんので、もう一回お調べいただきたいと思います。

原田立公明党

○原田立君 じゃ、結構です。

吉岡金市龍谷大学教授

○参考人(吉岡金市君) いまスミチオンの安全性いかんということが問題提起されましたが、WHOの資料を最近手に入れまして検討してみました。スミチオンというのは、日本の住友化学が開発したごく新しいものでございますから、実験が余りできておりませんね。できておりませんが、もう日本の宮島のサルで動物実験ができたんだから、これ以上やる必要はないと思うんです。  それから人間への急性中毒症も、すでに、この茨城県の土浦だけじゃございませんよ。ずいぶん資料があるんですよ。私はただ一例としてそれをデータとして入れておきました。大変危険な薬です。もとの毒ガスやパラチオンといってズイムシを殺すのに使ったあれに比べれば低毒だというんであって、毒性のないものだったら虫は死にませんよ。虫を殺せば片づくというものじゃないでしょう。邪魔者は殺せというのは暴力団の発想法でして、自然界というのはそういう単純なものじゃございません。そこで、後へ大変なことを残すということが実は憂えられるわけです。  それから、ほかに弱った松を救う方法はないかと、これは一つあります。実はマツノザイセンチュウが何を食って生きておるかということがはっきりわかってない。伊藤君もこの辺ははっきりわかっておらぬがと書いていますが、糸状菌、俗な言葉で言うとカビですよ。カビ食って生きているんだ、木を食って生きているんじゃないんですよ。だからマツクイムシなんて名前がすでにおかしいんで、法案の名前にこういうおかしいものをつけることはずいぶん私はおかしいと思うんです。しかし、これも伝統があるから簡単に変えられぬのだろうと思いますが、糸状菌を食って生きているんです。カビです。カビ食って生きている。だから、虫が枯らした松の木というのは切り口を見ればわかるんですよ。後すぐカビがぐっとはびこりますからね。虫のないやつはきれいですよ。私は、その区別はきちんとやる訓練を自分自身でしてきましたから、多くの例にぶつかるとわかるんです。そういうことを林野庁の方じゃ知っている人が、私の会った限りじゃおりませんものね。これは問題ですよ。何のために、国費を使ってこういうことをしていらっしゃるかと言いたくなるんですよ。それで薬は、これは私の教え子が兵庫県でやっているんですが、実は若芽枯れした大事な公園の木だとか記念の木だとかいうのに、薬液を注入して生き返らす方法があるんです。しかしそれは、いまの激害地の集団松枯れには応用できません、注射をせなければならぬわけですから。これは貴重な木についてはそれができます。現にそのデータを私はたくさん持っております。ただ薬に反対というんじゃないんですよ、私が言ってることは。有毒な薬に反対せなければならぬというのであって、その軽い一種の殺菌剤ですがね、メーカーが特許の関係がありますから余りはっきりしておりませんが、名前やいろいろな表から、あるいは効果から推測してみますと軽い殺菌剤ですね、それは糸状菌を殺す。そうすると、食べ物のないところじゃ線虫ははびこれませんね。そういう形で線虫を防ぐという手があるんですよ。そのほかにいろいろな試みはやられておりますが、私が直接体験していることは、一種の注射薬として糸状菌をはびこらすことをチェックするという手はあると思うんです。しかし、それは森林の激害をぴしゃりととめることは技術的に不可能だ、一本一本の木に皆注射していかなければならぬわけですから。注射の針でさっと刺すようなものじゃなくて、人間のカンフルみたいに、高いところにぶら下げてその圧力で下にしみ込ますんですから、厄介な手間がかかるわけです。救う方法はありますが、それは大気汚染を規制を厳しくすれば救えるんですよ。現にそういうデータがあるんだから、事実が。その一番大事なことをほおっておいて、何かないか、何かないかという考え方が、これが実は問題ですが、もうこうなったんだからどうしようもないんだ、それで何とか危機を突破しようじゃないかという心境はわかりますけれども、人間がつくった公害なんだから、やっぱりその問題を解く以外に解決できませんね。そこに深刻な問題があるわけです。だから事前評価をきちんとして、こういうことが起こらぬようにせにゃならぬという問題がそこからも出てくるわけですね。アセスメントというのはそういう問題でございます。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 まず最初に、瀬戸参考人にお伺いいたします。  虹の松原のお話がございましたが、四十八年、四十九年、五十年、五十一年と空散をおやりになったということでございますが、これは五十二年度もおやりになるおつもりなのかどうかという点が第一点。  それから第二点としましては、この特別防除では、一カ所三年やりますと大体終わるのだということになっておるようでありますが、すでに四年間おやりになったというお話でございますが、やはり三年ではつまり余り効果がなかったということなんですか。なぜ四年おやりになったのか、そしてまた五十二年度もおやりになるということになると、五年続けるということになるわけでありますが、やはりそういうふうにずっとやらなければ効果が出ないということなんでしょうか。その点を含めて、いまのことをお答え願いたいと思う。  それから次は、そのように四年もやり五年もやるということになりますと、やはりいろいろ自然の生態系などに影響が出てくる可能性が大いにあるんではないかと。これなどについてはどういうふうにお考えなのか、その辺についてお伺いしたいと思うんです。

瀬戸尚虹の松原保護対策協議会副会長

○参考人(瀬戸尚君) 先ほども申しましたように、私は五十二年もやっていただきたいと思います。と申しますのは、虹の松原はそのようにとまりました。先ほども申しましたように、唐津から博多の方に参ります沿線に非常にりっぱな松がたくさんございましたが、その辺は空中散布をやらないものですから、きのうも参りますときにずっと途中を見てきたんですけれども、松が全部やられてしまっております。そういうふうで、一カ所だけやりましてもほかから飛んできますから、先ほど申しましたように虹の松原も非常に心配なわけでございます。それで、法律をおつくりになって、計画的に徹底して一遍やってもらわなければ終息しないと思いますし、虹の松原自身が非常に危ないと思います。そういうことで私は四十八年ごろから、国の方で立法措置をしてそして計画的に徹底した防除対策をやるべきだということを主張してきたわけでございます。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 第二番の、そういうふうにずっと毎年続けていたら、いろいろなそういう自然の生態系などに影響が出るんじゃないかという心配があるんですが……。

瀬戸尚虹の松原保護対策協議会副会長

○参考人(瀬戸尚君) 先ほどから吉岡先生からもいろいろございますように、私たちもそういう点の専門家でございませんから、だんだんそういうことをやっていきますことでそういう影響があることを大変心配するわけでございます。それだから、一カ所だけではなくて、国が取り上げて一遍に計画的にやってくれということを言いよるわけでございます。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 じゃ、時間がありませんから地頭参考人にお伺いいたしますけれども、先ほどのお話でございますと、余り地元ではそれほど大きな反対はなかったと、まあ一部にはあったけれども大体おさまっておると、こういうふうなお話のようでございましたけれども、私どもの常識から言いますと、今日公害問題というのが大変大きな問題になりまして、全国的にもずいぶんいろいろございました。それだけに、余りなかったというのは、鹿児島だから何か特別なことがあるのかなあという感じなんですけれども、どうもその辺がすっきりしない面がありますが、その辺もうちょっと、そういう声があったらそれに対してどういうふうな話し合いをしてどういうふうに納得してもらったのか、その辺のことを少し参考に聞かしていただきたいと思うんですが。

地頭睦夫鹿児島県林務部次長

○参考人(地頭睦夫君) お答えいたします。  鹿児島県で最初に始めました段階で、県の野鳥を守る会だけだったと思いますけれども、やはり空から薬をまくことには反対であるという一部の意見が出まして、われわれも初めてのことでございましたので、このスミチオンの毒性について調べられる限りの情報を調べまして、話し合いを持ったわけでございます。新聞等にも一部反対意見も出ましたけれども、直接話し合いをいたしまして、それでは一回やってみるということでやったわけでございますが、鹿児島県は先ほど申し上げましたように、非常に松の激害地でございます。したがいまして、松が枯れてしまえば野鳥の生息環境も破壊されるというような認識がございまして、それでは一回やってみましょうということでやったところが、先ほど申し上げましたように非常に効果が高うございましたので、その結果、それでは短い期間であれば松を守るためにはやむを得ないではないかというようなことで、鹿児島県内ではトラブル等が現在出てきていないということで推移いたしております。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 いまお話ございましたが、鹿児島県は非常にシラス地帯で松しか生えないと言ってもいいような地域だと思うのですが、そういう場合に、被害の跡地ですね、被害があった跡地というのは、その処理というのはどんなふうにおやりになっていらっしゃるんですか。

地頭睦夫鹿児島県林務部次長

○参考人(地頭睦夫君) お答えいたします。  マツクイムシで枯れました山を全部伐採いたしました跡は、できる限り改植を推めております。主として使っております樹種はヒノキ、それからシイタケの原木になりますクヌギでございます。ただ、おっしゃいましたように、非常に地味の悪い地帯もございますし、海岸風衝地帯もございます。こういうところは、自然に生えてくる竹とか雑木等に任しておるというようなところもございまして、竹等が出てまいりますと非常に自然の状態が荒れてくる、こういう状態を招来いたしております。

塚田大願日本共産党

○塚田大願君 それじゃ吉岡先生、大変熱心にお話なんで、一言だけでいいんですが、さっきおっしゃいましたが、大気汚染の問題、これはよくわかりました。よくわかったんですが、ただちょっと疑問がありますのは、たとえば瀬戸内海などで、さっき宮島のお話がございましたが、被害のある島とない島というのは同じ瀬戸内海にあるものと聞いているんですが、大気汚染だとすると、その辺をどういうふうに解釈していいのか、ちょっと簡単でよろしゅうございます。

吉岡金市龍谷大学教授

○参考人(吉岡金市君) その点はよく問題になるんですよ。

橘直治自由民主党

○委員長(橘直治君) 吉岡参考人、簡単にお願いします。

吉岡金市龍谷大学教授

○参考人(吉岡金市君) 宮島の山口県側に小さい島で可部島というのがあるんですよ。あれがあんまり枯れておらぬで宮島が枯れるのはどういうわけかと。地質は同じ花崗岩です。低いところが枯れないのは、汚染大気の移動する法則というのがあるわけですよ。それがこうかぶって、着地濃度と申しますがね、おりていって一番濃いところが。それが煙突の高さと風の方向と速度と関係するわけですよ。ですから、枯れる場所というのはみんなその法則に従って枯れよるんです。その一番いい例は豊橋です。豊橋の渥美半島の突先に渥美火力発電所ができました。それは豊橋の町の裏の方まで、さっきのヒノキが枯れたというところまで来るわけです。そこが着地濃度が一番高い。町の上を越えて向こうがむしろ高いんです。それをみんな近いところが汚染がひどいはずだと思われるんですよ。高煙突方式というのはそれをねらって、地元に騒がせぬように、向こうの方は知らん顔でいこうというのが高煙突方式なんです。これは岡山方式と称してずいぶん自慢しながら、いま収拾つかぬことになって手を挙げているんですがね。これは通産省の指導が根本的に間違っとったということなんです。そういう法則に合わしてみると、きちんとわかるですよ、ここがなぜ枯れてあそこがなぜ枯れぬかということが。これは豊橋で実は議論になりまして、私は地元の人と大分ディスカッションやった上で、最近得心がいったという答えを得ております。そういう問題があるんで、そばの方がかえって汚染が少のうて、向こうの方がかえってひどいということが重要な点なんで、そういうことを一つも林野庁の諸君は知らぬわけで、それで可部島を出すわけですよ。枯れとらぬじゃないか。枯れぬのはあたりまえですよ、上を越えているんですから。そばの方の木が……。これは製鉄所の周辺、発電所の周辺へ行ってみなさい。皆そうなっています。虹の松原だってそうです。向こうが越えてそこがひどう枯れる、そういう法則に従っておるわけです。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 時間もございませんので、簡単にお答え願いたいと思います。  瀬戸参考人に一つお伺いします。お話の中で、非常に細心の注意を払っておやりになったということで内容をいろいろ話されましたが、その一つに、無風状態のときに散布したというお話がありましたですね。その無風状態というのは日を選ぶのであるか、あるいは一日の中で時刻を選ぶのであるか、それをひとつお聞きしたい。  次に中村参考人に、お話の中で雨の後に養魚が死んだというお話がございましたね。それをお聞きしましてすぐ感じますことは、その散布薬の薬の効果の期限といいますか、散布してから一体何日間、何時間効果があるかということを思うわけですが、その点。  それから一応散布して、そしてその後に雨が降ってそれを流して、流れた水がその池の魚につながったんじゃないかと、こう思うわけでございますが、その薬の効果の時間ですね、どんなものかお聞きしたい。  それから吉岡さんに、これは沖繩にはリュウキュウマツがたくさん、戦前特にございました。それで、松は鉄分との何か関係がございますか。鉄分との関係は、いわゆる松の生死に鉄分がどういう影響を持っておるかということ。まあ詳しい理論は要りませんから、鉄分と関係があるかないか。と言いますのは、沖繩のリュウキュウマツは特に戦争中は砲弾、爆弾でやられました。そして戦争が済んで、大分リュウキュウマツが枯れたんですよ。その枯れた原因が、科学的にきわめておるわけじゃありませんので、一種の俗説と言いますか、松は砲弾の破片、鉄分が食い込んだらみんな枯れるんだ、こういうことがいっぱい言われたんですが、それをひとつ確かめたいと思います。以上です。

瀬戸尚虹の松原保護対策協議会副会長

○参考人(瀬戸尚君) 前もって散布に天候が適するかどうかということは、皆さんで最初から日を選定してもらうわけでございますが、私の方の松原があります地点は、大体に朝の早い時間が風が非常に少のうございます。そういうことでございますので、午前五時ごろからやっていただきまして、大体毎年でございますが、九時ごろには終わるようにされております。そして、途中で風が出てきたときはその間中止をするとか、そういうふうにしてやっていただいております。

中村芳男全国自然保護連合理事長

○参考人(中村芳男君) お答え申し上げます。  最初に申し上げましたように、当時はなぜ死ぬのかわからなかったんですが、ですから薬も何であったか私は知りません。ただ、死んだのは、一番早いのは雨の降っている最中。それから遅いので翌朝あたりばたばた死んでいく。一番ひどかったのは、三百匹ばかりあった家庭のコイが全部死んでしまいました。それから、私のニジマスの池というのは、そのときによって数が違いますが、その死んだときは六万匹ばかりいたのが大体五〇%死んでおります。以上です。

吉岡金市龍谷大学教授

○参考人(吉岡金市君) いま提起されました問題は、現地へ行って見てでないと決定的なことは言えませんが、鉱物というものは、銅だとか鉄だとか金とか銀とかいろいろありますが、皆複雑なものなんで、単純な鉄鉱とか銅鉱というのはないわけです。ですから、たとえばカドミウムという有毒金属にしましても、亜鉛や鉛の中に、特に亜鉛の結晶の中にあるわけですからね。だから、精錬の過程でそいつが表面化してくることがあるわけです。鉄の場合もいろいろなものを含んでおりますから、それを分析してみて、あるいは精錬する場合の条件を検討してその上でなければ言えませんが、すべての有用金属の精錬過程には複雑な有毒金属が必ず昇華して、蒸気になりまして、そいつが大気を汚染するとか、水質を汚濁するとかいうことが必ず伴います。それで、現地にも行っておりませず、一般的なその程度のことしか答えられません。お許しをいただきます。

橘直治自由民主党

○委員長(橘直治君) 以上をもちまして、参考人の方々に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々に一言御礼を申し上げます。本日は皆様御多忙中のところ、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。当委員会といたしましては、今後の松くい虫防除特別措置法案の審査に多大の参考になることと存じます。委員会を代表いたしまして重ねて厚く御礼を申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時六分散会

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