逓信委員会 第11号
- 発言数
- 194 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1977/05/24
会議録
○委員長(神沢浄君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。 郵便貯金法の一部を改正する法律案及び簡易生命保険法の一部を改正する法律案の両案を一括議題といたします。 質疑のある方は順次御発言願います。
○藤原房雄君 過日の質疑に続きまして、郵便貯金法と簡易生命保険法の一部改正について質問を続けさしていただきます。 変な形で委員会が中断してしまったんであれでありますが、限られた時間でございますから、一々また繰り返して申し上げるのも何かと思います。 前回の委員会でいろいろ御指摘申し上げた点は、要約いたしますと、郵便貯金と一般金融機関との相違ということや、それに伴います預金者の保護という立場から、公定歩合の引き下げに連動して郵便貯金の利子が下がるということでありますと、これは郵便貯金法の精神からいきましてもいささか疑義があるのではないか。審議会における審議というものも十分な審議を、時間の長短は別といたしましても、十分に預金者の保護という立場を貫いた審議であったのかどうか。そしてまた、現在、預金残高が三十兆という大きな金額になって、国家財政の中で財政金融面でこの郵便貯金の存在というものを度外視して金融、財政というものは論じられなくなったという、こういう大きな状況の中でいままでの郵便貯金というものの考え方とは異質といいますか、大きな変化を遂げつつあるのではないか。そういうことでやはりこれから郵便貯金というものは、どういう位置づけといいますか、あくまでも簡易で健全な貯蓄手段として一条の精神、法律の目的が明記されておるわけでありますが、これを貫くためには、今後、やはり抜本的な考え方というものを確立しなければならぬ。現在の大きな社会の変動の中で小手先だけの修正といいますか、そのときそのときの場当たり的な考え方ですと、本来の趣旨というものがだんだんゆがめられてしまうじゃないかという、こういうことになろうかと思います。 これらの前の委員会で申し上げたことを総括いたしまして、大臣に、これからこの郵便貯金のあり方等についてどのようにお考えになっていらっしゃるのかということをお尋ねをいたしまして、一応、郵便貯金の方については終わりたいと思うのですが、どうでしょう。
○政府委員(神山文男君) 郵便貯金の使命でございますが、これは郵便貯金法の第一条にありますように、「郵便貯金を簡易で確実な貯蓄の手段としてあまねく公平に利用」していただく、こういう手段の提供によって、その結果として「国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進する」ということが目的であり、使命であるわけであります。 そこで、私どもとして、国民のための国営貯金として将来どうあらねばならないのかということでございますが、この貯金法一条の目的をあくまで堅持しつつ、一方においては、国民の生活態度あるいは生活意識の個性化、多様化の進展に伴いまして、金融サービスに対する国民のニーズも非常に高度化し、あるいは多様化してまいっております。郵便貯金としましては、そういう国民の高度化、多様化したいろいろの御要請に応じたサービスを今後とも真剣に考えて提供していくようにしなければいけないというふうに考えているわけであります。 国営企業でありますが、ただいま先生の御指摘のように三十兆円、もう三十一兆円を超しましたが、そういう非常に残高もふえてまいっておりますし、そういうことで民間金融機関と相補いつつ、金融サービスが国民に対してどうあるべきかということを絶えず検討していきたいと考えております。ただいま「郵便貯金に関する調査研究会」というものを設置いたしまして、郵便貯金の社会的機能のあり方について客観的専門的立場から理論的な検討をしていただいているという最中であります。今後におきましても、この調査研究会の結論等を中心としながら将来の郵便貯金のあり方とわが国の金融の中での位置づけをいろいろ考察しまして、国民の経済生活の安定と福祉の増進に努めてまいりたいと、こういうふうに考えております。
○藤原房雄君 確かにこれだけ大きくなってまいりますと、いままでのような考え方ではいかぬという、こういうことから、当然、いままでの考え方を根本的に洗い直して検討する必要があろうか、そういうことでいろいろ調査研究会等で検討するようでございますが、ぜひひとつ、大臣の御答弁はございませんでしたけれども、預金者保護という立場をどこまでも貫くということがやはりこの法の立場からいきましても当然のことであって、特に経済変動の激しい中にありまして、利率の変動を伴うわけでありますが、いろんな、大臣もがんばっていらっしゃるみたいですけれども、自主的に預金者保護という立場で精神を貫き通して筋の通った姿にひとつしていただきたいものだと思うんです。 時間もありませんから、次に保険の方に入りますが、今度の簡易生命保険法の改正点につきましても、私ども何もこれに反対するものじゃ決してございませんが、保険そのものの問題点について二、三お伺いしたいと思うんであります。 今度、この最高制限額を一千万にするということですが、これはやっぱり経済の大きな変動の中で国民のニーズにこたえるものとしてこのたびこういう形にしたんだろうと思うんでありますが、これは一千万円にしたという理由といいますか、いろんな調査をして、その必要性がありとして今回の改正になったんだろうと思うんですけれども、いままでどういう調査をして一千万円にする必要がありとお定めになられたのか、この間のことについてちょっとお伺いしたいと思うんです。
○政府委員(永末浩君) 保険の最高制限額でございますが、現在、被保険者一人につき八百万円、保険種類で申しますと、特別養老保険、定期保険が八百万円、その他の保険が五百万円ということになっているわけでございまして、この保障額では余りにも保障として少ないんじゃないかというようなことでございます。また、加入者の皆さん方からも、もっともっと保険金額を引き上げてほしいというような強い要望がございます。また、そのほか保険の増強によって貯蓄にも資することができるというような観点から、保険金の一千万円引き上げというのをお願いしているわけでございます。 具体的にそれなら一千万円の調査の根拠はどうなっているかというお尋ねであろうかと思いますが、一応、私たち試算してみました。申し上げますと、被保険者が死亡した場合の医療費であるとか、あるいは葬際費であるとか、あるいはまた遺族の当分の生活費、こういったものをば考えまして一千万円としたわけでございます。具体的に申しますと、医療費がいまの社会情勢では大体六十七万九千円ぐらい要るんじゃないだろうか、また葬祭費が七十万三千円程度のものか要るんではないだろうか、また遺族が三人といたしまして、遺族の当面の生活費といたしまして九百五十三万六千円程度のものが要るんじゃないかというふうなことをば資料によって試算したわけでございますが、この数字というものは、大体、いまの世の中の水準から見ますると必要な額ではないだろうかというふうに思うわけでございます。先ほど申しましたところの数字を合わせますと一千九十一万八千円というような数字が出るわけでございまして、一千万円というのはぜひ保障額としては必要ではないだろうかというふうに考えた次第でございます。
○藤原房雄君 民保の場合は、それ相応の社会への対応ということでそれなりの意味はわかるわけですが、簡易生命保険の場合は、「国民に、簡易に利用できる生命保険を、確実な経営により、なるべく安い保険料で提供し、」云々と、この目的にあるわけですけれども、こういうことから言いまして、確かに医療費、葬祭費、遺族に対する保障、こういうものも高額でなければ十分にその使命が果たし得ないという、こういうことは私どもも十分わかるわけですが、しかし、法律の趣旨から言いまして、やはりそこにはある程度の限界があろうかと思います。一千万が妥当であるか妥当でないかという議論をしようとは私思いませんけれども、それで国民のニーズだということで、どんどんどんどん保険金額が上がる、それが本当に国民の望むものであるかどうかということについては十分な配慮がなければならないと思うんです。 それでちょっとお伺いするわけですが、特別養老及び定期保険の最高制限額は八百万、その他については五百万ということになっているわけですけれども、最高制限額の加入者というのは、全体でどのぐらいになっておるのかということと、また、最近の加入者の平均保険料と保険金、これが大体どのぐらいになっておるのか、現在御加入なさっていらっしゃる方の実態をちょっとお知らせいただきたいと思いますが。
○政府委員(永末浩君) 最近の状況について申しますと、五十一年度で大体平均して百四十万円でございます。一件当たりの平均が百四十万円でございますが、これは単純に保険金から件数を割った数字でございまして、したがいまして被保険者一人についてどうなっているかという数字はいま出せませんけれども、やはりこの百四十万円より被保険者一人については相当の高額のものになっているのではないかと思うわけでございます。 それから最高制限額にどのくらいの人が入っているのかというお尋ねでございますけれども、たとえば定期保険について見ますると、定期保険八百万円でございますが、五百万円以上が大体二二%程度を占めております。それから八百万円目いっぱい入っておられる方が〇・七%というような数字でございます。それから特別養老について申しますと、八百万円いっぱいに入っておられる方が七・六%でございます。そういったような状況でかなりの方々、かなりの方々と申しますか、最高制限いっぱいに入っておられる方々もおられるわけでございまして、その人たちの要望にもこたえる必要があるのではないかというふうに思うわけでございます。
○藤原房雄君 これは昔から簡保に親しんでいらっしゃる方、それは地域とかいろいろなことがあるだろうと思いますけれども、確かにそういう利用者もあることも事実ですが、平均いたしますと、いまお話しのように、やはり最高限度額いっぱいという方はそう多い数じゃないだろうと思うんです。 それで、今度、疾病傷害特約つきの学資保険、これが仮に最高限度額の一千万に入るということになりますと、これは一番高いところで見ますと、契約者の加入年齢が四十六歳から五十歳、被保険者の加入年齢が十歳という、こういうことになりますと、満期学資保険の月額保険料というのは大体どのぐらいになるか。私どもちょっとこれで見たところ、月額十七万八千五百円というふうにちょっとこれ見たんですけれども、どうでしょうか。
○政府委員(永末浩君) ただいま先生がおっしゃいましたように、一番保険料として最高になりますのは、一千万円に引き上げました場合に、学資保険でございますが、十七万八千円、大体そのくらいの額になるわけでございます。
○藤原房雄君 総理府統計局の家計調査年報、こういうものを見ますと、これは統計ですから平均的なものしか出てないわけですが、勤労世帯の平均支出の中で保険の掛金というのは、大体、勤労世帯の平均では八千五百四十七円という、こういう数字が出ておりますね。大体このくらいの掛金が限度であって、これ以上ということになると、家計に大きなひびが入る、こういうこと。これは平均値ですから、上下どのぐらいに見るかということもあるかもしれませんけれども、この簡易生命保険の目的や趣旨からいたしまして、社会が大きく変化し、その中でいろんな商品の開発を考えなきゃならぬということでありますが、こういう月額十七万というような大きな掛金のこういうものが、実際、そういう利用者がこれからどれだけあるのかということや、こういう高額なものについてはちょっとこの趣旨から離れるんではないかという、こんな感じもするわけですけれどもね。 それはいろんな方々の立場に立って考えなきゃならぬ、また商品の開発というものも考えなきゃならぬということかもしれませんけれども、これは民保とは違って、簡易保険につきましては一つの法のもとにあるわけですから、余り逸脱するようなことでは簡易にして云々というこの目的から、どうしてもこれに沿わなくなってしまうんではないか、私はこういうふうに危惧するわけですけれども、この辺どういうふうにお考えですか。
○政府委員(永末浩君) 簡易保険は大正五年の創業でございますが、それ以来、小口、無診査、それから月掛け、集金、こういったことをばモットーにしてきたわけでございます。二十一年にそういった独占ということはなくなったわけでございますけれども、やはり小口であり無診査であり、月掛け、集金というようなものは、先生先ほどおっしゃいましたように、保険法第一条の趣旨から考えましても、今後、われわれとして守っていかねばならないモットーではないかというふうに思うわけでございます。 小口という問題でございますが、まあ何が小口かというのはいろいろと相対的な問題で御議論もあろうかと思いますけれども、私は、一千万円の引き上げというものは決して小口の範疇を逸脱するものではないというふうに考えるわけでございます。先生先ほどおっしゃいました学資保険の最高額十七万でございますか、そういう数字をお挙げになったわけでございますが、また片や考えてみますると、たとえば集団定期保険は一千万円の保険金に入っても大体五、六千円の保険料で済むわけでございます。そういった点でやはり私は小口ということの範疇を逸脱するものではないというふうに思っているわけでございます。 それから、先ほど総理府の資料をお示しになったわけでございますが、簡易保険といたしましても、やはり市場調査というのを私たちのところでやりました。そのときに無作為抽出でやったわけでございますが、いざという場合にどのくらいの保険金を必要とするかということをば聞いたわけでございますが、大体、二千万円程度は欲しいというようなことであったわけでございます。 それから掛金の問題でございますけれども、一体、簡易保険の保険料として負担し得るところの限度額というのはどのくらいのものだろうかということも私たち調査したわけでございます。いろいろの回答がございました。これはその家計の状況もさることながら、やはり保険思想というのをどういうふうに持っておられるかということにも大きく左右されようかと思うわけでございますが、その平均の数字を申しますと、大体、一万六千円ぐらいが負担し得る限度額であるというふうな資料も私たち持ち合わせているわけでございます。そのようなことでございまして、学資保険十七万という数字が出たわけでございますけれども、また片や五、六千円の掛金でも一千万円の保険にも入れるというようなことでございまして、決して保険法一条、あるいは先ほど申しました小口であるというようなことの範疇を逸脱するものではないというふうに私考えている次第でございます。
○藤原房雄君 これは統計はいろいろあるわけですけれども、一応、総理府の勤労者世帯というものを対象としたやつを私は申し上げたんですから、局長のお調べになったのは一般的なやつだろうと思うんですけれども、その中で勤労者世帯ということになると少しは金額的には少ないかもしれませんが、いろんな学者の説によりましても、やはり保険の掛金の限度というのは、家計収入の大体六%から一〇%までが保険負担の可能限度といいますか、そんなふうにも言われているようであります。 そういうことから簡易生命保険の無診査ということ等も考え合わせますと、民保並みの金額を、相当加入なさっている方々の強い要望があって、また経済動向等を絡み合わせてお考えいただくということは、これは当然のことだと思うんですけれども、民保の方がどんどん高額のものができてくる。それに相呼応してということで、簡易生命保険の特質というのは民保とは違う根本的なものがあるわけですから、そういうものにいたしませんと、後からちょっと申し上げたいと思うんですけれども、いろいろ事故を起こすもとになるのではないか、こういうことを私は心配する余り申し上げているわけでありますけれども、そういう点で、私ども、なるべく加入者がいざというときに十分な保障のできるようなことを願うのは当然でありますけれども、それを本旨から逸脱することのないようにということを老婆心ながら申し上げているわけです。 五十年の六月に保険審議会の答申が出まして、クーリングオフの制度についてあったわけですけれども、これは今度取り入れられたということで、私ども、それはそれなりに評価いたしておるわけでありますが、それに伴って物価指数保険それから中途増額制度とか転換制度、こういうこと等についても民保ではなさっておって、当然、簡保でもいろいろ御検討なさってるんだろうと思いますけれども、こういう具体化ということについてはどうでしょうか、この審議の状況。
○政府委員(永末浩君) 物価指数保険のお話があったわけでございますが、これは民間保険では何社でございますか、実施しているところがあるわけでございますが、私たち、その動向を見てみますると、実は、余り売れ行きは芳しくないわけでございます。 これは私たちも検討はしているわけでございますけれども、たとえば毎年毎年の物価指数に応じて保険金を引き上げていくというようなことでございます。したがいまして、また加入者が負担するところの保険料というのも引き上がるというようなことなんでございます。簡易保険は五千万件ほどの契約があるわけでございますが、大体、月掛けというものをモットーにしているわけでございまして、物価指数の上昇に応じて保険金あるいは保険料を引き上げていくということは事務的にも非常に煩瑣であるというようなこともございますし、また保険料の負担というものも自動的に上がっていくわけでございまして、加入者の方々からも余り喜ばれていないというのが現状ではないかと思うわけでございます。私たちも、この物価指数保険が民間でできまして、いろいろと検討はしたわけでございますが、それならば新しく保険の契約に入ってもらうのと同じような結果になるんじゃないかというようなことで、検討はいたしましたけれども、なかなかむずかしいというような結論を得ているところでございます。 民間で実施しておりますところの転換制度でございますけれども、これは既契約を、解約のデメリットを与えないで、そのまま新契約に転換させるというようなことでございます。で、これは具体的な数字を持ち合わせませんけれども、民間保険で実施しているその占率、一五%ぐらいあるんじゃなかったかと思うわけでございます。いわゆる物価対策の保険としてはかなりの売れ行きを示しているというようなふうにも感じるわけでございまして、この点については、何とか実施したいというような方向で検討しているわけでございます。ただ、問題は、既契約に解約のデメリットを与えないで新契約に乗りかえさせていくということでございますので、こういったメリットをどれだけ付加するかというような点が簡易保険としていま問題点として残っているんじゃないかというふうに思うわけでございます。
○藤原房雄君 それから、貯金にはこれは福祉預金という取り扱いがあるわけですけれども、やはりこの福祉的なものを加味した商品というのは考えられないのかどうか。 いま一番、どんな調査をいたしましても、九%台を超える物価上昇が続く中で目減りということに対しては非常に国民のだれもが心を痛めているわけでありますけれども、貯金と保険というものをタイアップした商品、こういうもの等についても御検討いただいた経過があるのかどうか、この点はどうでしょう。
○政府委員(永末浩君) 新種保険でございますが、私たちも国民のニードに合うような新種保険の開発をやらなくちゃならないというようなことで十分に検討しているところでございます。 で、ただ新種保険と申しましても、そう飛びつくような保険というのはなかなかできないわけでございます。御承知と思いますけれども、保険というのは数字でがっちりと固められているわけでございまして、何か飛びつくような商品でないと、ほかの方の商品にも影響するというような関係がございます。したがいましてやはり典型的なものとして定期保険であるとかあるいは養老保険であるとか、こういったものでなくちゃならないというふうに考えるわけでございます。民間ではいろいろの新種商品が出ております。ただ、私その新種商品の検討にやぶさかではございませんけれども、果たしてこれが国営の保険事業として将来にわたって売れていくような商品であるだろうかどうかということにつきましては、いささか疑問を持っているわけでございます。したがいまして新種商品、先ほど申しましたような転換制度というものも一つの新種商品かと思われるわけでございますが、十分に検討はしているわけでございますけれども、なかなかそういった点で一つの問題点が残っているというような気がするわけでございます。 また、ただいま定期保険に疾病傷害特約を付加するということを法律案としてお願いしているわけでございますが、いわばこれも一つの新種商品ということになるんじゃないだろうかと思います。民間保険では、御承知かと思いますが、アメリカン・ファミリーというようながん保険というものが日本に上陸してまいりました。で、これを契機として民間保険では非常に新しい商品というものが売り出されております。がん保険に限らず、たとえば青春の保険であるとか、あるいは成人病の保険であるとか、こういったものが最近売り出される傾向にあるわけでございますが、私たち、この動向というのも十分に見ております。ただ、考えられますことは、一体、そういった特定疾病に保険が傾斜することが国営保険としていいことかどうかということには私まだいささか疑問があるわけでございます。したがいまして特定疾病を保障するということではなくして、やはり定期保険に疾病傷害全体を、病気全体を付加するというような形でお願いしているところであるわけでございます。
○藤原房雄君 新しい時代に即応した国民のニーズにこたえるというのは、何も最高限度額を上げるということだけでは決してないわけでありますから、ひとつ誠心誠意いろいろな商品については御検討いただきたいと思うわけです。 次に、話は移りますが、最近の簡易保険に対する苦情申告ですね、これは非常にふえているように聞いておるわけですけれども、ちょっとその状況を御説明いただきたいと思うのですが。
○政府委員(永末浩君) ちょっと数字を持ち合わしていないわけでございますが、確かに苦情申告がある程度ふえているわけでございます。ただ、この苦情申告というのも、私たち、その内容が大きな問題とは考えていないわけでございます。 これはやはり郵便局の局員の窓口での心構えであるとか、そういったものがしっかりしていなかったためにいろいろとトラブルが起こるというようなケースが多いわけでございまして、こういった点につきましては、従来からも十分にお客さんの身になって物事を処理し、言葉遣いをするようにと指導してきたところでございますが、こういった点につきましては今後とも十分に指導していきたいというふうに考えている次第でございます。
○藤原房雄君 おたくからもらった資料を見ましても、件数もふえております。苦情申告の内容等についてもそう変わっているわけじゃ決してありませんが、いつも言っていることは、この大きい数字を占める苦情申告の内容というものはそう変わらないのかもしれません、項目は。しかし、非常に重要なことだと、その件数がふえるということはやっぱり問題が解決していないということではないでしょうか。 五十年度で見ますと解約・失効還付金の支払いが遅いということが二千五百七十八件。保険金、倍額保険金または特約保険金の支払いが遅い、二千五百二十二件。告知義務違反により解除したことについての苦情というのが七百十件という、こういうふうになって、その他が三千三百九件になっていますけれども、言葉遣い云々だけではなくて、一千万の限度額という、こういうだんだん金額が大きくなってまいります。それで無診査で簡易に利用できるということからほかの民保とは違う面があるわけなんですね。そしてだんだん最高限度額が引き上がるということになりますと、私ども心配するようないろんな問題が出てくる。 お入りいただくときに十分にお話をしなければならないことや、注意しなければならないことや、そういうこと等がどうしてもなおざりになる、と言うと語弊があるかもしれませんけれども、そのときにきちっとしていれば問題が起きないものが、金額はどんどん高くなる、一方では、いままでと同じような話だけでは、そしてまたいろんな条件等についても十分に理解をいただくということでないと、後になって解約・失効還付金、こういう問題についての問題が起きたり、そのほかのことについてもいろいろな諸問題が出てくる。最近見ましても、やはり外務員の方々はどうしても金額の張るものに心が動くのは、これは当然ではないでしょうか。 私、最近のパンフレット等を見ましても、終身保険、こういう保険料の安いものについては余り何かPRが少ないみたいに私どもは思うんですけれどもね。これ(資料を示す)見ましても、普通養老保険とか学資保険とか、これに長生き保険と括弧して小さく特別終身保険なんてものもありますけれども、やはり金額の少ないものや保険料の安いもの等については——外務員の方は一人一人そういういろいろな性格がありますから、おしなべては言えないかもしれませんけれども、当然、こういう最高限度額のものや、金額の張るものからお話が始まるんじゃないかという感じがするんですけれどもね。そのときに十分にお話をしなかったことが後になって問題を起こす、こういうことも当然考えられるわけですね。ですから、最高限度額が引き上がるということとともに、こういう苦情申告の問題に対して十分ひとつ御検討いただいて、やっぱり件数かだんだん減るような、こういう問題が起きないような施策も同時に考えていただきませんと、どうしても後を絶たないということになるのではないでしょうか。 それから、口頭で申し上げるということもさることながら、やはりきちっとした文書等で取り変わすことも、これは大事なことだろうと思うんです。トラブルの原因というのはいろいろあるわけですけれども、国に契約者が告知しなければならない、そういうことについてきちっと当初に契約を取り変わすみたいに、いまのところはいろいろお聞きしてお書きになってそれを局に持っていくということであって、相手の方にはそのときの契約内容というものは渡されていないのではないか、ですから後になってからそんなこと言わなかったとかどうとかといういろんな問題が起きるということで、こういう事務的なこと等についても十分に御検討いただきませんと、だんだん金額が張ってくると、当初の話し合いのときに簡単に、簡易にそれこそ受け付けていただいた、これが後になって行き違いが起きた、こういうことになりますと、せっかくこのトラブルの保障ということ、この趣旨がゆがめられてしまうということを私非常に心配するわけです。 不還付の内容のことについてとか、解約還付の説明とか、こういうことについても十分に理解という、話だけではなくて、やっぱりきちっとした印刷物の中で御説明をするという、後にトラブルの起きないような事務的な処置というものが必要でないか、そうでないと、どうしてもこれは減らないんじゃないか、こう思うんですけれども、どうでしょうか。
○政府委員(永末浩君) 私、先ほど職員の一つの心構えというのが問題だろうということを申し上げたわけでございますが、そのほかに、お客さんの苦情とか、そういったものをば十分に吸収するようなわが方でシステムをつくっておくこと、このことも非常に必要なことではないだろうかというふうに思うわけでございます。 先生、苦情の内容につきましていろいろおっしゃったわけでございますが、たとえば保険金であるとか、あるいは還付金であるとか、あるいは失効・解約の還付金が非常に遅延するというふうな苦情をおっしゃったわけでございます。この点につきましては十分に早くするようにということを私たち指導しているわけでございますが、また私たちのシステムといたしましても、簡易保険の業務のオンライン化というものはやっております。二月の十四日にオンラインの稼働を始めたわけでございますが、この計画は五十五年度末ぐらいに全国の普通郵便局一千局を結ぶところのオンラインというものが完成するような予定になっております。このことが実現いたしますと、保険金であるとか、還付金であるとか、あるいは失効・解約の還付金、こういったものは急速に速められるというふうに思うわけでございます。 それから告知義務違反のトラブルでございます。この点につきましては、このただいまお願いいたしておりますところのクーリングオフの制度、これをめぐりまして、十分にそういったことが発生しないような措置を講じたいと思っております。 たとえば具体的に申し上げますと、保険の申し込みがあったときに、ただいまは契約が成立したときに「ご契約のしおり」という保険の約款をわかりやすく書いたものをば加入者の方にお配りしているわけでございますが、これを今度クーリングオフが実現になりますと、それを契機に、申し込みの際にこの「ご契約のしおり」というものをば差し上げたい、そして申し込み者の方々に検討する機会を持ってもらうというようなことも一つのトラブル発生を防ぐゆえんではないだろうかと思います。 また、ただいま、なるほど申し込みのときに相手方には保険料の領収証だけしかやらないわけでございますけれども、この撤回制度の実施と同時に、申し込みの受理の際に、質問表の質問事項について答えていただいた告知の写しというものをば申し込み者に交付するということをば検討しているわけでございます。これがまた申し込みの撤回の際の検討資料となるものと考えるわけでございます。 また、このほか、契約の勧奨に当たりまして筆記式の説明用紙を用いております。これに加入された契約の保障内容であるとか、保険料額等を記載して加入者に交付する方法の普及を図っているところでございます。 先ほどおっしゃいましたように、告知義務をめぐりまして、言った、言わないというような争いが従来あったわけでございまして、今度のクーリングオフの実現を契機にいたしまして、こういった施策も考えているわけでございます。これによって告知義務のトラブルというものは非常に少なくなるのじゃないかというふうに私たち考えている次第でございます。 それから、勢い金額の高いものに傾斜するんじゃないか、募集のあり方というものが、というお話でございます。この点につきましては、なるほど保険の経営といたしてましては保険料が高い、保険金が高い、これがいいに決まっているわけでございますが、ただ、私たちとしましては、一千万円に引き上げてもらった、それなら何が何でも一千万円に入ってもらわなくちゃならないというようなことは毛頭考えていないわけでございます。やはり加入者の方々のニーズに合ったところの保険を提供し得るというようなふうに考えているわけでございまして、その点は、十分に、大型の商品ばかりを取らなくちゃならないというようなことに傾斜することのないように指導をいたしたいというふうに思っております。
○藤原房雄君 時間来ましたので最後にお尋ねしますが、この最高制限額が一千万になるということになりますと、現行の不還付制度では、いろんなケースを考えますと百万を超すような保険料の不還付も出てくるのじゃないかという、こんなふうに私どもはいろいろ試算して考えておるわけですけれども、ですから現行の不還付制度は、これはやっぱり御検討いただかなきゃならないんじゃないかということをひとつ思うんですけれども、これについてはどうかということ。 もう一つは、生命保険と税金ということ——時間もありませんから長いお話できませんけれども、受取人の名義の一時所得というのとまた贈与のときと違うわけですけれども、ここも非常に税金のことについていざというときになってトラブルといいますか、十分な説明がないためにいろいろ問題になる。契約者に有利な扱いになるように、やっぱりいろいろ考えてあげなきゃならぬだろうと思うんです。 それともう一つは、これからこういう金額がだんだん大きくなってトラブルが起きる、そういうときに、いろいろ御検討いただかなきゃならぬわけですけれども、そのときにそれを解決する審査会、この審査会については相当専門的な知識の人が必要になってくるということで、やっぱり学識経験者とともに、こういう司法的な専門知識の人に入っていただいて問題処理に当たらなきゃならぬのじゃないか、こんなことも私どもは今後の問題として御検討いただかないと、これからの問題処理についていろいろ利用者の中にトラブルが絶えないんじゃないかというふうに思うわけですけれども、いま申し上げた諸点についてどのようにお考えになっていらっしゃるかということ。 そして最後に、今後のこの保険のあり方等について、大臣、ひとつ所見をちょっとお伺いして終わりたいと思います。
○政府委員(永末浩君) お尋ねの不還付期間の問題でございますが、現在、保険契約の効力発生後六カ月を経過する前の契約につきましては、その解除であるとか失効等の場合には還付金は支払わないことにしておりますが、最近におきますところの事業経営の状況、あるいはまた民間生命保険においては不還付期間を設けていないこと、また先生先ほどおっしゃいましたように、新契約の一件平均保険料が今後高額化するというようなことに伴いまして積立金も高額化してくると思われます。そういった点を勘案いたしまして、加入者サービスの向上を図るために、本年度内において不還付期間の廃止というような方向で検討しているところでございます。 それから課税の問題でございますが、これはおっしゃいますように、契約のあり方、契約者あるいは被保険者、保険金受取人がどうあるかによって税金の面が違うことは事実でございます。所得税がかかるのか、あるいは相続税がかかるのか、あるいは贈与税がかかるのかというような大きな問題があるわけでございますが、この点につきましては、私たち、局員に対しまして、保険税務に関する知識をば修得させて、保険契約を受理するに当たりましてはそういった面での加入者の相談相手となるように指導しているところでございます。なお、この点につきましては、十分に今後とも指導をやっていきたいというふうに考えております。 それから簡易生命保険の審査会でございますが、これは簡易生命保険の契約上の権利義務に関するところの事項について、加入者と国との間の争いの解決を図るための準司法的な機関でございます。いまのたてまえといたしまして、問題が発生いたしまして加入者の方々が国を被告として民事訴訟を提起するわけでございますけれども、民事訴訟を提起するためには、この保険年金審査会の採決を経なければならないというふうに法律で決めているわけでございます。これはむしろ加入者の方々の保護のための規定ではないかというふうに思うわけでございます。したがいまして申し立て事件の審査に当たりましては、法律上の一般的な知識はもちろんのこと、保険制度に関する高度な専門的知識を必要といたしますので、現在のような法制にしているわけでございますが、加入者の代表とかそういった者をば委員に加えるというようなことはいかがなものであろうかというふうに考えている次第でございます。
○国務大臣(小宮山重四郎君) 簡保の今後のあり方という問題も、いま先生がいろいろな細かいこと、また大所高所からの御発言がございました。簡保そのものは契約者にある意味でも利益を還元する、また民保と違った特殊性、スペシャリティーというか、そういうものも出していかなければいけません。今後とも、そういう意味でも鋭意研究し、また、先生方の御指導を得て、りっぱな簡保事業をやっていきたいと考えております。
○山中郁子君 郵貯と簡保の二法の審議に当たりまして、私は、初めにまず郵便貯金の金利の引き下げ問題について若干触れたいと思います。 これはもうすでに多くの委員の方たちが触れられまして、政府の答弁も承知しております。その上で確認をしたいんですけれども、大臣初め政府は口を開けば郵便貯金は庶民の零細な貯蓄であるから、その預金者の利益を守るということを第一にすると、こう言われているわけですけれども、結果的には、常に財界の要請に基づく日銀の公定歩合の引き下げに連動して、そして財投の貸出金利また預託率の引き下げ、こうしたものから郵便貯金の利子の引き下げが行われるという経過をたどっているわけですけれども、私は、それでしたら、郵便貯金というものは本当に庶民の貯蓄手段として生活を守っていくというそれが第一義的な目的であるということがはっきりしている以上、財界の要請に基づくこうした景気対策、その他に常に連動して庶民の利益が損なわれるという事態があってはならないはずだと思うんです。これは理論的にもそうですし、実際にもそうだと思うんですけれども、いままでの御答弁によりますと、結局のところは、庶民の零細な貯蓄の利益を守るというよりは景気対策に連動して利率を引き下げていく、こういうこと以外にはあり得ないという結果になりますが、その点についてはどのように考えられていますか。
○政府委員(神山文男君) 郵便貯金の利率のあり方でございますが、これは貯金法十二条の第二項で規定されていますとおりでございますが、その中に預金者の利益の増進を図ることと同時に、一般金融機関の利率についても配慮するという二つの規定がございます。これどちらも実は私ども郵便貯金金利の決定原則として守っていかなければいけないわけでございますが、先生おっしゃるように、貯金は零細な国民の個人性の高い預金であるということから、できるだけ利益を守っていかなければいけないということはおっしゃるとおりであります。ただ、一方、この金利というものは金融秩序全体から決められるというような事情もございまして、そういう条件のもとでどう決めるかということを総合的に考えていかなければいけないということで、非常にわれわれとしてもその間にあってしばしばむずかしい場面に立つわけであります。 今回は、景気対策ということから、一般の金融機関の貸出金利も下げる、したがって預金金利も下げなければいけない。そういうことから郵便貯金の金利引き下げも要請されると同時に、また、郵便貯金の原資をもととして融資をしております財政投融資の方の貸出金利、これも下げなければいけないというような要請から、郵便貯金の金利引き下げということをやらざるを得ないということになったわけであります。
○山中郁子君 簡単でいいですよ。
○政府委員(神山文男君) はい。以前は、郵便貯金の利率も法律で決められていたわけでありますけれども、政令におろしていただいたということも、金利の弾力化の要請ということからそういう措置をとっていただいたわけでありますけれども、それにしても十二条の規定というものは守っていかなければいけないということで規定されたわけでありますが、そういったやはり金利全般の動きということから郵便貯金の利率も離れることができないということでございまして、今回、そういうことで郵政審議会でもいろいろ御意見がありましたが、最終的にはやむを得ないという御判断をいただいて実施いたしたいわけでございまして、そういった郵便貯金も一方では全般の金利水準からの影響を受けざるを得ない立場にあるということをひとつ御了承願いたいと思うわけでございます。
○山中郁子君 要は、結局、個人の貯蓄を守るというよりは、全般の金融の状態の要請にこたえて下げるんだと、こういう御答弁以外の何物でもないと私は思います。 それで、ちょっとこの点は大臣に一言お伺いしたいんですけれども、私は、いろいろむずかしい言い方なさるけれども、結局は、公定歩合が引き下げられると、そして郵便貯金の利子がそのままであると、そうするとお金が郵便局の方へ流れるということだからこっちも下げなきゃならぬと、一つは、簡単に言えばこういうことになるわけです。私は流れたっていいじゃないかと思うんですよ、何も全部が入るわけじゃありませんからね。そうしたお金が財投でもって国民本位の事業のために使われる、その方がよっぽど国が行う金融事業としての性格にもマッチするし、また国民の要求にもこたえられるということだと思いますが、その点いかがお考えですか。
○国務大臣(小宮山重四郎君) 金利というのは固定して考えるものではないので、私自身、前から答弁申し上げておりますのは、公社債市場というものが本当言うと確立しなければいけないという考え方です。公社債市場というのはやはり長期金利でございまして、国債あるいは社債等々の問題が金利体系の基本になる。郵貯などの利率もそういうことで影響を受けるのは私は当然であろうと思っております。 ただ、先生の理論の中で、預託利率のようなものを無視してどんどんどんどん——高いほどいいんですよ、はっきり言って、私も、郵貯は。しかし、規定の問題もあれでございますし、実は、私、今度の利下げの問題もいろんな国債等住宅ローンなどの利下げを見まして考えておりまして、そういうようなことで連動したやに御質問ございましたけれども、ある意味では非常に悩んで苦しんで決定してきたことで、連動とは違いまして、その辺の経済情勢を判断し、かつ十二条の国民の利益も増進し、かつ後段の市中一般金融機関の利率も配意するということで、郵政審議会に御諮問申し上げたわけでございます。
○山中郁子君 大蔵省に伺いますけれども、三月十二日、四月十九日と連続して公定歩合の引き下げが行われた。それに連動しないと言われるけど、実際、連動していることは事実です。現実に、その経過の中での財投の貸出金利ないしは預託利率ですね、これはいまどういうふうになっていますか。 〔委員長退席、理事案納勝君着席〕
○説明員(宍倉宗夫君) 財投の貸出利率につきましては……。
○山中郁子君 いつ下げるのか、そういうことを教えでくれればいいです。
○政府委員(神山文男君) 郵貯資金の財投の資金運用部への預託利率でございますが、七・五%でございましたが、六月一日に今度新しく改定になるということでございまして、〇・七五%引き下げるということに決定いたしております。
○山中郁子君 貸出利率は。
○説明員(宍倉宗夫君) ちょっと担当が違いますので申しわけございませんでしたが、貸出金利も六・七五になるやに聞いております。
○山中郁子君 先ほど局長の御答弁にもありましたように、いわゆる預託利率の引き下げもあるのでというふうなお話がありましたけれども、結局、預託利率はまだ引き下げられていないわけですよね、六月一日からでしょう、この公定歩合の引き下げに関しては。 私は、そういう状況のもとで、何も郵政省がさっさと国民の利益を損なう貯金の金利の引き下げだけを先行してやることはないじゃないかと、ごく単純なことですけれども思いますけれども、どうしてですか、どうしてさっさとそれをなさるのですか。
○政府委員(神山文男君) 先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、貯金の利率の引き下げ、実は相当話が出てから長かったわけですが、大臣も非常にそれに反対されまして、今回の引き下げということになったわけでありますが、郵便貯金の利率でございますが、これは十二条でありますように、一般金融機関の利率についても配慮をするということでございまして、一般の金融機関の利率というのは、御承知のように、四月の四日に要求払い預金が〇・五%引き下げられ、それから五月の六日に定期性預金がすでに引き下げられて実施されております。そういう実情を配慮して今回の引き下げを行ったということで、預託利率は、その結果、引き下げられるということになったわけでございます。
○山中郁子君 結局、財界の要求に基づく金融政策、経済政策のあおりで景気刺激と言うけれども、その景気刺激は庶民のところには及んでこない。企業で言えば、中小企業のようなところには及んでこないということは、いま私が申し上げるまでもない事実です。私は、この点について、大臣が本当に国民の生活上の必要な貯蓄手段だということを心からそのように認識をして、それを守るために全力を挙げますと、いうふうにおっしゃるならば、いま申し上げましたようなことを繰り返しませんけれども、本当にそういう立場に立って、こうした財界本位の景気対策にいち早く連動するような、そういう郵政省のあり方は、当然、根本のところから直していただきたいと思います。 実際問題として、これは日銀の経済統計月報の資料によりましても、いま現在、そういうふうにして、それでは大企業などがどういう状態にあるかといいますと、手元流動性の数字を見ましても、四十八年、四十九年当時の、思い出していただければわかりますが、例の過剰流動性が問題になりまして、それで買い占め、売り惜しみが横行した、それで国民が大きな被害を受けた。その時期の数字は四十八年上期で一・一〇、つまり一カ月の売り上げ高との比ですから、一カ月以上の手元流動性があったわけですけれども、それかいま現在どうかっていいますと、五十一年をずっと見てみますと、四半期ごとに見て一・二七、一・二七、一・二五、一・二四という、こういう数字です。それから五十二年の予測は、一月から三月までが一・一六、四月から六月までの予測が一・一四です。これを四十八年の上期、下期、一・一〇、〇・九二、四十九年の上期、下期、〇・八二、〇・八五、これと比較していただければもう明らかでしょう。この当時よりも、つまり過剰流動性が問題になって、買い占め、売り惜しみが横行して、ああいう事態が起こった、そのときよりもまだ高い手元流動性の数字がいま出ているんですよ。 こういうところで金利を引き下げて、公定歩合を引き下げて、そして大企業、財界の要請にこたえる、そういう金融経済政策をしていけば、当然、買い占め、売り惜しみ、そしてインフレの促進ということになるのは明らかです。そういうことではなくて、いまこそだから郵政省が、国民の貯蓄を守るという観点から、毅然として金利の引き下げというそうした圧力に屈しないで、そして郵政行政を進める、郵便貯金行政を進める、これが私は一番大事なことだというふうに思っております。この点についての指摘をいたしまして、次の問題に移ります。 郵便貯金の貸付額の問題について、実は、これは覚えておいていただいていると思いますが、五十年の十二月二十三日に、二十万から三十万に貸付金額がふえたときの法案審議に当たりまして、私は、三十万にふやすことはそれはもちろん反対はしないけれども、いま三十万ぐらいで、たとえば学校の入学金なんかだって足りないじゃないかということを申し上げまして、そのとき神山さんが答弁をされまして、「いろいろ物価も上がってまいっておりますし、そういう点からいま大蔵省の方へ予算要求として要求しているのは五十万でございます」と。今後そういう方向でもって折衝もしていきたいと、こういうふうに御答弁もされ、お約束もいただいているわけです。だけど、やっぱり五十万にはならなかったということで、どういう経過であったのかということを、まず郵政省と、それから大蔵省からそれぞれお伺いします。 それで神山さんにお願いしたいんですが、簡単でいいです、わかりさえすればいいですから。
○政府委員(神山文男君) 確かに五十万の要求をいたしまして努力もいたしました。ただ、そのほかに最高限度額の引き上げ、これを三百万を五百万にいたしたいということと、財形貯蓄の別枠、これを二百万を五百万にいたしたいということで要求を出したわけであります。 これは予算要求として出したということでございまして、その後、いろいろ折衝の過程におきまして、三百万を五百万にするということは、民間金融機関との関係もありますし、税制等の関係もあるということで非常に困難であるということになりまして、そこでこの五十万に貸付金を引き上げるということと財形の五百万にすることの二つを、予算折衝の最後の段階、大臣折衝にまでこれは持っていっていただきまして、大臣にも非常に御努力を願ったわけでありますが、最後の段階で、両方ともというのはなかなかむずかしいということになりまして、どちらをとるかという判断を迫られたわけでありますが、そのとき、私どもとしては、やはり財形の別枠が民間の金融機関と大きく違っているということは私ども郵便貯金としても非常にお客様に説明も申し上げにくいし、それから昨年の一月スタートした財形貯蓄も一年たちましてそろそろ限度額を超えるものも出てくるという情勢で、どうしてもこれを急がなければいけないということで、財形だけでもという最後のそういう判断をいたして、今回、こういうことになったわけであります。
○説明員(宍倉宗夫君) 「ゆうゆうローン」の制限額の三十万でございますが、先生おっしゃいましたように、二十万が三十万に上がりましたのが五十年の十二月でございまして、まだそれから余り日がたっていないことが一点でございます。 それから、一体、平均どのくらい借りているんだろうかということを調べてもらいますと、大体、七万数千円程度であるということで、三十万の制限額と考えてみましても七万数千円でございますからして大分差があるということで、五十二年度の場合には、三十万据え置きでもいいんではないんだろうかと、こういうことになったわけであります。この後、実際に借りております額がもっとふえてくるというようなことで、いまの三十万の限度額ではちょっと支障が出てくるんではないかといったようなことが現実に起こりました場合におきましては、また、郵政省と御相談して決めていこうと、こういうことになっております。
○山中郁子君 平均額でそうしたラインを引くというのは、これは理論的にも矛盾しているんですね。全部が全部お金を借りなければ、その貸し出しの金額をふやさないということは全く根拠のないところです。実際には五万円借りるという人もいるし、あるいは五十万どうしても借りたいという人もいるし、たとえば入学の問題だけとってみても、すべての預金者が全部入学時の子供を持っているということじゃありませんでしょう。そういうこと一つ考えてみたって、平均金額だからということでもって三十万でいいと、この理屈は成り立たないと私は思いますけれども、この議論はいま深入りはいたしません。 そこで、郵政大臣はいろいろと教育ローンでもって打ち上げられていらっしゃいますよね、次は五十万の教育ローンということで、五十万の資金のあれをしたいと。これは私がこの前の委員会で、教育、入学金一つとってみたって五十万から要るじゃないかと、そういう引き上げを要求いたしましたから、こうしたものについて異をはさむつもりは毛頭ありません。成算があるんですかということをまず伺っておきたいと思います。 この前のときだって、三十万から五十万にすると。そのときは小宮山さんじゃなくて、大臣は違ってましたけれども、でも郵政省はぜひそうしたいと、こういうふうに御答弁になったんです。それはだれだって三十万から五十万にするぐらいできると思いますよ。それがやっぱりいまみたいなお話でもってできない。そしてここへきていろいろと教育融資をするということで打ち上げていらっしゃる。これはぜひ実現もしていただかなきゃならないと思いますけれども、大蔵省も一緒にいらっしゃいますから、あわせてその成算のほどを大臣から伺っておきたいと思います。
○国務大臣(小宮山重四郎君) 山中委員、よろしくどうぞお願いいたします。
○山中郁子君 いいえ、そうじゃないんです。 それはちゃんとした責任を持った見通しを持って言っていますと、任せておいてくださいと、やりますと、こうおっしゃらなければ、これは参議院選挙目当てのアドバルーンだと言われたってしょうがない。私はそういうことを申し上げているんです。お約束いただきたいと思います。
○国務大臣(小宮山重四郎君) 私、教育を参議院選挙にひっかけるようなげすな考え方を持っておりませんので、実際言ってこれはずいぶん長いこと考えておったんです。考えておって、実を言うと、一番三十代のお母さん方が苦しんでいる教育、入学金等々の問題、これはいろいろな金利その他融資の方法論も相当ありますけれども、中学と高校と大学というものをどういうふうに区別し、また、どのぐらいの期間でどういうふうな形でやるかというような問題などもございます。 そういうことをいま事務当局に命じているのでございまして、できれば三十兆ございます郵貯の金のうち、たとえば五十二年度の目標額が六兆二千億であれば、その二%ぐらいを使わしていただけると、医学、私学の設備に投資している金融機関から借りている長期と短期の金が約千八百億から二千億近いものだと思いますけれども、そういうものに回せれば相当裏口入学などを排除できるのじゃないか。私、規制力も相当できるという意味でも考えておることであって、非力ではございますけれども、ぜひ実現したいと、そう思います。しかし、本委員会でもぜひ御声援をお願いしたいということで、有力な議員である山中さんにもお願いしたいということを申し上げたのでございます。
○説明員(宍倉宗夫君) この問題につきましては、ただいま郵政省で具体案をいろいろ御検討中と承っておりますので、その具体案を拝見いたしませんと、私の方としても意見を述べることができませんので、この場におきましては、意見を申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
○山中郁子君 参議院選挙目当てのアドバルーンではなかったということが実証されることを期待いたします。 次に、郵便貯金業務のオンライン化の問題について伺いたいと思います。 オンライン化の計画の展望と、それからいままでのそのためにつぎ込んだ資金、それからオンライン化完成に至るまでの大体の資金の概要、必要資金の概要ですね、大まかでいいですよ、お知らせください。
○政府委員(神山文男君) オンライン化の計画でございますが、ただいまの計画の概要を申し上げますが、東京、大阪、名古屋その他全国九カ所に計算センターというものを置きまして、そこに大型電子計算機を設置しまして、郵便局には端末機を置きまして、その計算センターと郵便局との間をデータ通信回線で接続し、そして為替貯金業務をオンラインによって処理をしよう、こういうことで、手始めに五十三年度神奈川県の一部からサービスを開始いたして、おおむね七カ年で全国網を完成いたしたい、こういう予定にいたしております。 それから予算でございますが、五十二年度の関係予算としては、プログラムの作成、総合テストの委託等の経費として二十五億四百万円、そのほかに建設勘定で計算センターの機器購入等の経費六十二億五千八百万円を計上しております。それから五十一年度でございますが、オンライン関係予算としては、システムの詳細設計の委託とかプログラム作成等の委託等の経費として二十二億三千二百万円成立いたしております。
○山中郁子君 今後の見込み、完成までの。
○政府委員(神山文男君) これは今後の詳細な
○山中郁子君 詳細でなくていいです。
○政府委員(神山文男君) 未定の部分も相当ありまして正確な数字を申し上げるわけにはいきませんが、大ざっぱに言って千数百億になるんではないだろうかと、こういう推定はいたしております。
○山中郁子君 かなり莫大な資金を投じてオンライン化を図るわけですけれども、郵貯がオンライン化されると預金者にとってどういうメリットがあるのかということ、それを具体的に。
○政府委員(神山文男君) オンライン化が実施されますと、現行サービスの内容を非常に改善できると考えております。そのほか現行サービス以外に新たなサービス、国民の皆様の要求に即応したようなサービスが提供できるのではないかということ、そのほかにもちろん経営管理の近代化とか事務処理の迅速、正確、簡易化ということを図ることができる、これが一口に言ってメリットと言えるものではないかと思います。 もう少し具体的に申し上げますと、オンライン化によって通常貯金の利子記入が即時的にできる。現在、郵便局にお客様がいらっしゃって利子を計算してくれと申し出られても郵便局では計算できず、原簿所管庁へ照会して、そこからお知らせするということですが、今後は、通常貯金の利子記入はもう郵便局の窓口でわかる。それから通帳未記入の元加利子の即時払い、為替等送金決済業務の迅速化、それから各種通帳、証書の改ざん、盗難等による詐取防止等、現行サービスの向上が図られるということのほか、新たなサービスとしては自動振替の導入とか給与振り込みの実施とか、オンライン・キャッシュディスペンサーによる払い戻し等、そういうことも考えられますが、これは今後検討して制度としてそれ相応の手続が必要であります。それから民間金融機関等で提供している総合口座に相当するサービス、こういうこともオンライン化になれば可能になっていく、こういうことでございます。
○山中郁子君 そうしますと、先ほど御説明がありました一部先行して神奈川県の一部でもってそれが始められるということですけれども、そこでは総合口座と同じようなサービス、自動振替、給与振り込み、いまおっしゃったようなそういうことがすぐ行われるようになるということですか。
○政府委員(神山文男君) そういうサービスが可能になるということで、具体的にそういう新たなサービスをするかどうかということについては、ただいま鋭意検討中でございまして、オンライン化実施地域と未実施地域との取り扱いの違いをどうするか、そういういろいろの事務上検討すべき事柄が相当ありますので、いま鋭意検討いたしております。 それから送金決済業務のように、東京と大阪で送金をするというようなときは、相手の地域もオンライン化してないと実現できないということでございまして、そういうのはある程度大都市のオンライン化が進んだ段階で考えた方がお客様の便利になるんじゃないかというような考えを持っております。具体的には早急に詰めたいと、こういうふうに考えております。
○山中郁子君 実際に始められるというところでの計画を早急に詰めるというお話ですが、どっちにしても預金者の利益のために図る問題でありますから、そこのところはかなりはっきりした、しっかりした計画ですね、プログラムをお持ちでなければおかしいのではないかということを指摘しておきます。 この問題に関しまして、郵政省が、これは五十年十二月二十六日に労働組合に説明をしていて、そしてその中で五千名減員という内容を説明しているという労働組合の受けとめ方があります。その点はどうなのか。 それからもう一つは、いまお話がありましたように、センター九局に統合するとすれば、現在二十八局ある地方貯金局を九局のセンターでもって仕事が済むということになると、残りの十九局というのは結局どうなるのかと、その五千名減員という話と結びつくと思うんですけれども、これが労働不安を起こすということは一般的な合理化問題の中で常にあるわけですけれども、この点は明らかにしておかなければならない問題ですので、あえてお伺いをいたします。
○政府委員(神山文男君) このオンライン化計画は、目下、具体的ないろいろの取り扱い手続、改正すべき手続等も検討中でございますし、それから地方貯金局の統廃合も含めた大きな組織のあり方、この検討も必要でありまして、そういうものについて鋭意検討はいたしております。それで現在時点におきましては、まだ下部の組織の詳細な点をどうするか、どうした方がいいのかといういろいろ利害得失もありまして、そういうものを煮詰めている段階であります。 五十三年度は、とりあえず神奈川の一部でございますから、その部分的な問題については詰めますけれども、まだ全国的なそういったところまで具体的な詰め方というのは現在の段階ではできないということでございまして、したがって減員数の全体についてもまだ具体的な数字というものは固まっておりませんし、申し上げる段階にはなっていないわけであります。 ただ、先生五千人という数字を申されましたが、これは五十年の八月ごろでございましたが、仮に直ちに全国全部オンライン化したときどの程度の節減ができるかということを、細かい詰めを抜きにしてどうなるのかという話が出たとき、これは非公式であるということで、一応、五千名程度ではないだろうということをお話ししたいのがそれではないかと思いますが、正式にはまだこの数字は固まっておりませんし、先ほど言ったように申し上げる段階ではありません。 それから地方貯金局をどうするのかということですが、先ほど計算センターを全国に九カ所ほど設けたいということだけを申し上げましたが、そのほかに原簿事務がどの程度必要なのか、オンライン化されても原簿に関する手作業というか、簡単なコンピューターは使いますけれども、そういう部門というのはやはりある程度は必要であるということでございますが、これをどの程度にするのか、また現在の地方貯金局をどの程度利用できるのか、そういう点も鋭意早急に詰めていきたい、こういうことで、まだ結論は出ておりませんので、御了承願います。
○山中郁子君 私は、これは労働組合と郵政省との交渉の問題ですから、それはそれで別にその点について関連して申し上げるつもりはありません。 ただ、いま神山さんが言われたように、非公式に仮定してというふうにおっしゃっても、五千名という数字が出るということは、これは大問題ですよね。私は、この点で、幾ら郵政省がオンラインがいろいろなあれを並べ立てて新しいサービスとか、預金者の利益をもたらすとか、そういうことで計画をなすっても、肝心なそこで働いている人たちに不利益が起こり、労働不安が起こるというふうな状況は、基本的な原則的な問題としてまずそういうことがないと、そういうことはしないということをはっきりさせていただかなければならないと思っておりますので、この点について、いまの問題で最後に郵政大臣の見解なり決意というんでしょうかね、お考えを伺っておきたいと思います。
○国務大臣(小宮山重四郎君) 郵政省の事業というのは、まず第一に国民大衆であり、それに奉仕する郵政職員のあり方という問題だろうと思います。先生の意向を十分踏まえて、今後とも検討していきたいと思います。
○山中郁子君 御承知のように、郵便貯金にしても保険にしても、実際にこの業務を扱うのは圧倒的多数を占める特定郵便局です。いまこの特定郵便局問題というのは当委員会においてもいろいろ問題になってきていますし、いろいろな角度から問題になっています。で、私は、この特定郵便局制度が端的に言って自民党を支持する温床になって、そして前近代的な非民主的な管理に依存して、そうした存続を続けているということの指摘がずっとありますけれども、そのうちの政治にかかわる問題として選挙との関係についてただしたいと思います。 御承知のように、全国特定郵便局長会が特定政党の特定の候補者を支持して、そしてこれは金とか組織とかあらゆる面から考えて、特定郵便局長会というのはベストファイブに入るというようなことさえ新聞で報道されています。御承知だと思いますが、五月十四日これは読売新聞ですけれども、かなり相当はっきりとそうした特定郵便局長会の政治的な選挙に果たす役割りについて報道されていますけれども、まず、この点について郵政大臣はどのように認識されていらっしゃるか。
○国務大臣(小宮山重四郎君) 私、特定郵便局長というより自民党云々という話がありましたけれども、大変すばらしい組織だと思っておるんで、前島……
○山中郁子君 自民党にとってはね。
○国務大臣(小宮山重四郎君) いや、違うんですよ。歴史的伝統というものから見ましても、今日の郵政省というものがあることから考えますと、この特定郵便局の力があったればこそこれだけの近代的な郵便行政ができるということだろうと思うんです。そういう意味でも特定郵便局長の方々の御努力に対して敬意を表しているものであります。
○政府委員(浅尾宏君) いま先生御指摘のございました特定郵便局長会と申しますのは、特定郵便局長の勤務条件だとか、あるいは社会的経済的な地位の向上を図るというようなことを目的としておる団体でございますが、その構成員でございます特定郵便局長と申しますのは、これは先生御承知の一般職の国家公務員であるわけでございます。したがいまして国家公務員につきましては国家公務員法によりまして政治的行為を行うことにつきましては、その法律で一定の制限が付加されております。また、公職選挙法におきましても、その地位を利用して選挙運動あるいは選挙準備運動を行うということにつきましては、これも禁止されております。かように考えております。
○山中郁子君 それでは、新聞に金も組織もあらゆる面から言ってベストファイブに入ると言って報道されている特定郵便局長会というものは、一切、選挙運動、特定政党の特定候補者の選挙運動にかかわりないというふうに認識している、こういうお答えでしょうか。
○政府委員(浅尾宏君) 先ほど先生お触れになりました読売新聞の記事等には、いま先生御指摘のように読み取れるやに思われる点もございますが、私は、どういう事実に基づきましてそういうものが書かれておるか、つまびらかにいたしていないわけでございます。したがいましてやはり特定郵便局長会と申しましても、これを構成しておりますのは一般職の国家公務員でございます局長でございますから、いま先生御指摘のようなことはやっていないのではなかろうかと、かように考えておる次第でございます。
○山中郁子君 じゃ、やっていたとしたら、それは明らかに公職選挙法違反であると、こういう御見解ですね、自治省にはまた後でお伺いしますけれども。
○政府委員(浅尾宏君) いま御指摘のように、個々それぞれの行為がございます。その行為に従いまして具体的に判定をしていく、判断をしていく、かように相なろうかと考えておる次第でございます。
○山中郁子君 特定郵便局長会という会の事務所がどこにあるか御存じですか、全国的な。
○政府委員(佐藤昭一君) 特定郵便局長会という団体の事務所は郵政省の中にございます。
○山中郁子君 郵政省の十階にありますね、かなり一定のスペースをとったところです。——違うんですか。
○政府委員(佐藤昭一君) 失礼しました。ただいま私御答弁申し上げましたが、郵政省の中にも一部ございますが、特定郵便局長会の事務所というものは、事務所としては本拠地は全特会館の中にございます。全特会館と申しますのは港区麻布の方にございます。
○山中郁子君 本省にも一部あるわけでしょう。そこの事務所に私の秘書が行きました。そしてそこの事務局の方に伺いました。そうしましたら特定政党の特定候補者の支持は当然やっておりますと、こういうお答えでした。当然のことですと、こういうお話で、票の取りまとめやそうした事務もそこの場所でやっていると、こういう御返事でした。 私は、ここで郵政省がいろいろいろいろ言辞を弄して余りにも明らかな実態の言い逃れをなさるということを聞くというつもりはないんです。問題は、だれしも認めているそういうことを本当にこの際はっきりしたいと、でそれが間違っているということで郵政省がちゃんとした姿勢でもってそういう立場で臨んでほしいということを私は誠心誠意申し上げたいと思うんです。ですから、口先だけの言い逃れや、そういうことは言っていただかなくて結構です。問題は、実際にそういうことはやっていますということでした。やっているとすれば、明らかに公選法の地位利用の禁止、ここの項目に違反するということだと思いますけれども、自治省の御見解をお伺いしたいと思います。
○説明員(大林勝臣君) 公職選挙法の上では、公務員の地位利用に関する規制は百三十六条の二という条文にございます、御承知のことと存じますが。この場合「その地位を利用して選挙運動をすることができない。」となっております。 この「地位を利用して」と申しますのは、その公務員としての地位にあるがために特に選挙運動を効果的に行うことができるような影響力あるいは便益を利用するという意味に解釈されておりまして、典型的な場合は、補助金の交付であるとか、あるいは融資であるとか契約であるとか、そういった権限に基づく影響力を利用することが典型的な事例として掲げられておるわけでございますが、まあ個々の具体の選挙運動がどのような方法で行われるかによって、これに該当する場合もあり、該当しない場合もあるということであろうかと存じます。
○山中郁子君 じゃ、次のところに入る前に、先ほど引用しました読売新聞の記事のところからもう一度だけ引用いたします。 特定郵便局長会で並木さんという事務局長がこう言っているんですね、「郵便法の改正案を通すにしても、郵政省だけじゃ何もできない。われわれが地元で自民党の代議士に働きかけてようやくまとまるというのが実情。そう簡単に郵政省も無視できない」と豪語しているわけですよ。いずれにしましても私が直接特定郵便局長さんに話を聞きました。いま申し上げます。ですから、それをぜひとも郵政省も自治省もそれについてお聞きになった上で判断をいただきたいと思うんです。 たとえば具体的な選挙活動として——その前に申し上げておきます、特定郵便局長会というのは全部の局長が入っています、そういう団体です。それで任意団体です、これはね。決して認可法人とかそういうものではありません。選挙活動としては、局長一人当たり六十票のノルマです。それから後援会員百二十名のノルマ、カンパは一人五千円、これは昨年の年末手当からもうすでに徴収をされている。一人当たり百票というふうなノルマの地域もあります、地域によっていろいろです。いままではいわゆる票読みカードですね、票読みカード、これは実際には二十名連記でお得意様名簿と、こういう名前になっております。そういう名前でこれを提出するだけでよかったけれども、いろいろな何回かの選挙の中で当然そのノルマから言えばもっと出なきゃいけないのに、その候補者の票が出なかったというような事態があって、いろいろ議論があったそうです。そしてその結果、今度は電話番号も書かせると、そして別なルートでこれは確認をするからいいかげんな名簿を出すんじゃいかぬと、こういう圧力もかかっている。今回からは電話番号も記入するようにこのお得意名簿ができている、こういう体制になっています。 こうした活動は、昨年八月からすでに行われている。局長さんたちはもうこぼしています、それで。実際にたくさんの特定局があって、そして選挙区でもって明らかにならないところはいいです。だけれども、一行政区に一特定局しかない場合には、結局、開票の結果わかるわけですわ。そこの特定局長さんがノルマを果たしたか、果たさないかということが開票の結果わかってしまう。地方へ行けばそういうところがあります。そういう事態のもとで本当に局長さんたちが困っている。そういう声は、私は直接特定局長さんからも聞きましたし、間接にもたくさんの話を聞いています。この新聞や何かに報道されているとおりです。そういう事実については、どのようにお考えになりますか、郵政省とそれから自治省の御答弁を伺います。
○政府委員(浅尾宏君) いまいろいろ御指摘いただきました事実、これも、私、承知はいたしておりません。 ただ、先ほども申しましたように、特定郵便局長は国家公務員でございます。そういう意味から国家公務員法の政治的行為の制限に当然服さなければなりませんし、また、公職選挙法におきましては「その地位を利用して選挙運動をする」ということも規制をされておることでございますので、それに郵便局長も拘束をされるということに相なろうかと思う次第でございます。 そこで、いまいろいろ御指摘をいただきました行為でございますが、これらにつきましては私は承知をいたしておりませんが、個々具体的な行為につきまして調査なり、あるいは公選法等につきましてはそれぞれの担当のところによりまして調査がなされ、その結果判断されるべきものであろうかと、かように考えておる次第でございます。
○説明員(大林勝臣君) 要は、選挙運動のやり方が地位を利用してやったかどうかということになるわけでございますが、地位利用につきましては、先ほど申し上げましたように、この百三十六条の二という条文は、公務員がその公務員としての社会的な信頼、こういったもの自体を利用することを規制するということではなくて、およそ選挙運動の対象者である有権者、有権者に対する職務上の密接な関係がある、その職務の行使を通じまして何らかの利益あるいは不利益な影響力を及ぼし得る立場にある者がその立場を利用してやるというのが地位利用だというふうに従来から解釈されておりますので、そういった権限あるいは選挙運動のやり方によって判断すべきものだと思います。
○山中郁子君 じゃ、自治省に重ねて伺いますけれども、お得意様名簿というものをつくる、それは特定郵便局長としての立場で自分たちの知っているお得意さんです。それから、そのほかにもたくさんあります。切手売りさばき人の組合にも票を持ち込むとか、あるいはこの前はあなたは得票が多かったからということで昇進を図るとか、そういうようなことが現実にさまざまな形で行われている。そういう点についていま私が一連の具体的なものを申し上げました。そういうことは明らかに地位利用でしょう。 特定局長というのは国家公務員であって、管理職ですよね。その人たちがその特定局長という地位を利用してそうした選挙活動、特定政党の持定候補者の選挙活動をしている、しかも郵政省の上の方からそういうものが押しつけられてくるということになってくれば、それは明らかな国家公務員の地位利用になるんじゃないですか、公務員の。どうですか。
○説明員(大林勝臣君) その地位を利用した、つまり自分の持っておる権限あるいは立場に基づきます具体的な利益あるいは不利益、こういったものを利用して選挙運動をすることが地位利用の選挙運動ということになるわけでありまして、特定郵便局長がいかなる地位にあり、いかなる権限を持っておるか私どもつまびらかでございませんので、その点についてのお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○山中郁子君 じゃ自治省として検討してお答えをいただきたいと思いますが、よろしいですか。
○説明員(大林勝臣君) 私ども、一般的な条文解釈についてはこれを職務としておりますが、個々具体的に起きた事例につきましての判断は、従来から、取り締まり当局の方の判断にお願いをしておるところでございます。
○山中郁子君 いま申し上げました特定郵便局長として局長会が全部ノルマを与えて、そして一人何票、後援会員何人、カンパ何千円、みんなそれ徴収される。そういうことが地位利用にならないとお考えですか、ならないというふうになるんですか。すべての問題は全部具体的なケースで出てくるでしょう、だから、いま私はたとえばの話で申し上げました。特定郵便局長会、こういうものがそういう作業をしているとすれば、それは明らかに疑問の出てくる問題ではないかと思いますけれども、自治省がそのことをどのように判断されるのか、重ねてお伺いします。
○説明員(大林勝臣君) ですから、要は、再々申し上げますが、特定郵便局長が有権者に対して持っておる地位なり権限、あるいはその地位なり権限がどういうものであるかということが明らかな上で、その地位なり権限を使ってどういうふうな選挙運動をやったかということになるわけでございまして、すべて具体的な事例に即して判断すべき問題だと思います。
○山中郁子君 最近、防犯会議という名前で会議が特定郵便局長を集めて郵政局で開かれたと思いますけれども、どのような会議だったかをお知らせいただきたいと思います。
○政府委員(佐藤昭一君) 防犯会議と申しますのは、毎年、特定郵便局長を集めまして、それぞれ郵政局の管内で、態様はいろいろございますが、県単位とか、あるいはもっと小さなブロック単位とか、あるいはさらにその細分化されました特推連の組織であります下部組織の部会と申しますか、こういったいろいろな態様の中でいわゆる郵政事業の防犯という問題につきまして、毎年、その防犯意識の徹底あるいはそれに対する施策というようなものについて講習と申しますか、打ち合わせと申しますか、そういったものを内容といたしまして防犯講習会あるいは防犯打ち合わせ会ということでやっております。
○山中郁子君 その防犯会議ですね、これが行われた後、局長会の代表者と文書課長や何かが集まって、そして局長さんの話で、選挙活動に関していろいろな指揮監督とか票の取りまとめだとか、それを郵政局の文書課長や秘書課長がやっているということも私は聞いております。そういう事実は御存じですか。
○政府委員(佐藤昭一君) 承知しておりません。
○山中郁子君 大臣にお伺いしたいんですけれども、私は何にもないところにこういうものをでっち上げて、話をつくり上げてお話ししているんじゃないんです、それはおわかりいただけると思います、これは新聞その他の報道もあるので。ですから、私がいま大臣にお伺いをしたいのは、こういう事実が実際に全国的に行われているということは大きな問題だし、直ちにこれはなくさなければならない、やめさせなければならない問題だと私は思っておりますけれども、大臣はいかがお考えでしょうか。
○国務大臣(小宮山重四郎君) 特定郵便局長というのは、やはり国家公務員でございますから、そういうことはやめるべきで、特定郵便局長は職務に精励すべきであろうと私は考えております。
○山中郁子君 そうしたら、郵政省としては承知していないとか、知らないとかという御答弁が繰り返されたんですけれども、そうした私がいま申し上げました点に沿って、もう一度明確に厳正に郵政省として特定郵便局長会に対する指導を強化していただく。で、こうした事態は、あるとすれば、なくすという観点での姿勢をお伺いしておきたいと思いますけど、いかがでしょうか。
○国務大臣(小宮山重四郎君) 今後、私自身が各地方へ行って、その督励、監督をいたしたいと思っております。
○山中郁子君 特定郵便局自体の果たしてきている役割りとか、その業務の中身について、一番最初、郵政大臣は特定郵便局は大変貴重な役割りを果たしてきていると、こういうお話でした。そのことを私は否定するものではありません。それは誤解のないように申し上げておきます。 いま問題になっているのは、そういうことを一つの大きな基盤として、自民党の基盤となって、そしてまさに先ほどから自治省の方が言われているように、地位を利用した選挙運動をしていると、こんなにも公然と世間に明らかになっている問題だと、そこで大きな役割りを一面で特定郵便局長会が果たしている。必ずしもそれはすべての特定郵便局長さんたちが喜び勇んでそれに参加しているわけじゃないわけですよ。郵政省の中に、結局、特定郵便局長になれば、その特定候補者の支持について何も文句が言えない、言われれば票も集めてこなければならないし金も出さなきゃならないと、こういう状態があるというところがその大きな前提になっています。郵政省の中に、政治信条の自由、政党支持の自由というものは、私はその特定郵便局長会というものだけをとってみても、確立をされていない。これに対して刃向かったら、結局、すぐ自分の身分が危なくなるという、こういう状態になっているということをよく知っていただいて、郵政省として、当然のことなんですけれども、政治信条の自由、政党支持の自由、こうしたものの確立のために努力をさらにされるということのお約束をいただきたいと思います。
○国務大臣(小宮山重四郎君) これは当然のことです。
○山中郁子君 当然なことが行われていないのだから。
○国務大臣(小宮山重四郎君) 郵便局長であろうと職員であろうと労組であろうと、政治信条の自由というものは堅持しなけりゃいけないし、また自分がどうあるべきかという、いわんや自分が選挙運動をそういう職場でやるべきではないと私は思います。今後とも、先生の御趣旨もよくわかっておりますし、私の趣旨も十分それと同じような趣旨でございますので、督励いたしたいと思います。
○山中郁子君 最後に、私は具体的な郵便局の設置の問題で一つお約束をいただきたいと思います。 これは都下の町田市の成瀬台団地なんですけれども、区画分譲地で現在八百戸以上あります。そして間もなくこれは一千戸になって、最終的には一万戸になるというふうな計画だと聞いておりますけれども、最寄りの局からこれが六キロも離れているんですよね。郵便局設置基準から言いましても、当然、すぐにもつけなきゃいけないところだというふうに思いますけれども、住民の方の陳情も私のところに来ておりますが、郵政省に計画がおありかどうか、おありでなかったら早急に設置方を取り計らっていただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
○政府委員(廣瀬弘君) 町田市の成瀬台団地の郵便局設置の点でございますけれども、これはただいま計画を立てておりまして、その計画に沿って実現いたしたいと、こういうふうに考えております。
○山中郁子君 そうしますと、大体、窓口開設はどのくらいになりますか、いつごろになりますか。
○政府委員(廣瀬弘君) これは非常にケース・バイ・ケースでございまして、その地域の最もいい場所を選定するということがございますので、場合によっては早くできる場合もございますし、相当その選定に時間がかかる場合もございます。しかしながら、一般的に大体計画を決定いたしますと、一年ぐらいの期間は必要かと考えます。
○山中郁子君 じゃちょっと具体的に、別に私はいま正確に何月何日というふうなことを言ってほしいというのじゃないのですけれども、住民の方々の要求は大変切実ですので、いまから一年以内に大体設置できるだろう、最も遅くても、そういうふうに理解してよろしいですか。
○政府委員(廣瀬弘君) これはなかなか具体的にただいま一年以内というふうに確定的には申し上げられません。しかし、できるだけ早い機会にそういった手続を終えて設置いたしたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
○山中郁子君 二キロ、六百戸というのがたしか基準でしたよね、郵便局の設置基準は。いずれにしましても、その基準に照らしても早急に設置をすべきケースでもありますし、住民の要求も大変強いことになっていますので、いまお話がございました線で、なるべく早期に開設が実現できるように強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
○理事(案納勝君) 午前の審査は、この程度にとどめます。 午後は一時十五分から再開することといたしまして、休憩いたします。 午後零時十一分休憩 —————・————— 午後一時二十三分開会
○委員長(神沢浄君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、郵便貯金法の一部を改正する法律案及び簡易生命保険法の一部を改正する法律案の両案を一括議題といたします。 質疑のある方は順次御発言願います。
○案納勝君 私は貯金法、保険法両案について質疑をいたしますが、最後の締めくくりですから、余り時間もありませんので、同僚議員がいままで各方面にわたって質疑をなされておりますから重複しないようにしますが、その前に、貯金、保険、郵便事業全般にかかわる問題として、監察の問題について、少しく問題の諸点について看過できない問題がありますので、明らかにしていただきたいと思います。 まず最初に、四月二十七日の東京新聞の朝刊に「関東郵政監察局が〃おとり捜査〃」と、いわゆるおとり捜査が報道されております。郵便法で禁止されている、郵便法十九条に違反して現金を封書に封入をして、これをもって会社員を逮捕した、某会社の。まさに言われるおとり捜査、これらについて、まず事実関係について郵政監察から明らかにしていただきたい。
○説明員(江上貞利君) 御指摘の点でございますが、神田郵便局区内において発生をいたしました事件でございます。この区内におきましてかねてから若干の不着事故か発生をしておりまして、そのうちある会社あての郵便物の不着申告が含まれております。種類は通常、速達郵便物でございます。 そこで担当の中央支局でございますが、いろいろと不着原因の調査をいたしました。なかなかその原因を突きとめるに至りませんでしたので、不着原因を明らかにするために、その会社の御協力を得まして郵便物の試験通信を実施いたしました。その郵便物のすべてではございませんけれども、中に現金を封入したものがございます。と申しますのは、同社あての郵便物の不着申告が特に多かったわけではございませんけれども、中に現金封入のものがあったからでございます。その結果、本年三月の初めでございますが、試験通信二通を、中に封入されております現金は合計六千円に相なりますが、同社の職員が窃取したことが明らかになりました。配達後に発生した事件でもございますので、万世橋署の協力をお願いをいたしまして、三月四日に同署に引き継ぎをいたしまして、なお同署では八日に容疑者を逮捕し、十日に東京区検に送致したというふうに聞いております。
○案納勝君 江上首席監察官は、衆議院のこの問題についての逓信委員会の質疑の中で、関東監察局東京中央支局あてに再三にわたり郵便物の不着についてある会社から申告がなされた。そこで当該の会社と打ち合わせをして、そこでこの試験通信をすることになったと、十分な打ち合わせをした上でそういう試験通信をした、こういうふうに答弁をされております。これについてはそのとおりですか。
○説明員(江上貞利君) 再三にというお尋ねか一点と、十分に打ち合わせをしたかというお尋ねかと存じますが、実は、衆議院でお尋ねをいただきましたときは報告を受けたその直後でございまして、私ども詳細に事実を把握いたしかねていた点がございます。 端的に事実を申し上げますと、その会社あての郵便物の不着事故は二件でございます。お願いに上がりました場合には、神田郵便局の郵便の配達の実情を調べたい、なお、この会社あてにも不着がございますというようなことで御協力をお願いいたしまして、御承諾を得ております。
○案納勝君 郵便物の不着事故は二件だというのは、それはどういうことで二件だと判断されたんですか。
○説明員(江上貞利君) その会社あてに出した郵便物が不着であるという差出人からの申告かあったわけでございます。
○案納勝君 そうすると、あなたの言われたように、その会社からは申告はなかったわけですね。要するに差出人二人というか、から不着の申告、郵便局へ一一〇番ですか、その一一〇番を通じて申告をされている。そこで会社へ乗り込んでいって、あなたのところの会社については郵便物が二通不着だから試験通信さしてくれと、こう話をした、これが最初ですか、そういうふうに理解していいですか。
○説明員(江上貞利君) その会社からの申告ではございませんで、差出人からの申告でございます。その点は、その後事実を明らかにいたしましたところ、そのようなことが明瞭になりました。 なお、一一〇番というお尋ねでございますが、私の方で郵便物の事故申告を一〇一というふうに呼んでおりますので……
○案納勝君 失礼、一〇一ですね。
○説明員(江上貞利君) はい。そのような申告でございます。
○案納勝君 そうすると、再三、当該の会社から申告があったということは間違いですね。 そこで、もう一点。それでは二通、通常の郵便物が紛失をした、こういう申告があった。これに伴って、後ほど試験通信の問題言いますが、こういうおとり捜査に準ずるような捜査を仕掛けなければならないという、そういう理由は果たしてそういうことが成り立つのかどうか、どういうふうにお考えになっているのか。
○説明員(江上貞利君) 二通の申告、二件の申告で捜査をすることが成り立つかどうかということでございますが、事故の内容にもよるかと存じますが、事故の態様、あるいは調査の結果出ておりますところのいろいろな判断、あるいは郵便物の内容あるいは受取人の業務等から、比較的郵便物の窃取が行われやすいような業種というのもあるかと存じます。そのような判断に基づいて、同支局では捜査を実施したものというふうに聞いております。
○案納勝君 こういう捜査をする場合に、あなたは衆議院のやっぱり委員会の中でも、きわめて当該の会社から再三の申告があり、それに基づいてしめし合わせてこういう捜査をしたということを繰り返し答弁をされているんです。 郵便物が二通不着だという申告がなされた。そうすると、監察は、全国すべてそういう状態の場合に、当該の会社へ行って、おとり捜査とも言われるような捜査が常態として行われているのですか、その辺はどうなんですか。
○説明員(江上貞利君) ただいま申し上げましたように、事故には各種の態様もございますし、あるいは調査の結果が出てくる判断もございますし、あるいはその郵便物の内容等にもよるかとも存じますし、あるいは原因が早期に判明する場合もございます。したがいまして、すべての場合に、ただいま中央支局が実施いたしましたような捜査を実施するとは限らないというふうに思います。
○案納勝君 今回の場合、どうなんです。内容等にって、二通の不着申告だけだという。当該の会社からは何ら申告はない。二通の差出人からの申告によって行ったということなんですが、そうすると、その中身や内容から言って、一体、こういうことをやるそれだけの理由が成り立つのか、他に理由があるのかどうか。
○説明員(江上貞利君) 多少、通信物の内容にも触れることになりますので申し上げにくい点もございますけれども、不着の申告がございました中に、かなり重要なものが含まれておりましたので、その点を当該支局は重視をいたしまして捜査をいたしました。
○案納勝君 重要なものとは何ですか。
○説明員(江上貞利君) 現金もございますし、切手もございます。
○案納勝君 現金が送ったけれども着かないという申告なんですね。その場合に、監察としては、現金封入の郵便物が十九条違反であることについて、これは十分御存じだと思いますが、これはもちろん刑事罰やその他のことはありません。しかし、そういうことについて差出人に対し、監察として郵便法十九条に違反をしていることについて何らかの注意や勧告をされたんですか。
○説明員(江上貞利君) 差出人が十九条に違反をしておる郵便物を差し出したということでございますが、この点、監察といたしまして直接に差し出された方に御注意を申し上げるということは、大変にいろいろめんどうな問題も含んでおります。と申しますのは、司法警察職員という身分を持っております者が郵便法違反であるというきめつけ方をいたしますと、なかなか申告をちょうだいできない、あるいはなくなった際の本当のことを話していただけないというふうなこともございますので、監察といたしましては、余り強い形でお差し出しになった方に郵便法違反であるというようなことを申し上げることは、できるだけ差し控えるようにいたしております。ただ、担当の監察官がいろいろとお話を申し上げる中で、あるいは郵便局の窓口においでになった際に、実は十九条はこうなっておるというようなことを申し上げることはあろうかと思います。
○案納勝君 この当該の販売会社だけにこういう試験通信、おとり捜査が行われたのか。試験通信という名をかりて神田一帯無差別にやられたのではないですか、この辺はどうですか。
○説明員(江上貞利君) 郵政監察が試験通信を行います場合には、無差別にいたしておるケースは全くございません。現に不着の事故が発生をしているという際だけに限定をいたしまして、その不着になりました郵便物と同じような態様のものに限定をいたしまして、試験通信をいたしております。
○案納勝君 そうすると、私はよくわからないんですが、郵政監察のやり方として、二通不着の申告があった、会社からはもちろんない。そういう中で、それだけ抜き出して、おとり捜査をそこの会社に集中的にねらい撃ちをするだけの理由というのは、私は、どうしてもわからない。 そこで、このA社——A社とします——A社に来た最初の監察官は、この付近一帯に郵便の不着があるので郵便の流れを調べたい、そこで管理課長の名前を貸してくれ、まあこう言っておる。ここで管理課長としては、それならば郵便局に協力をしましょうと、その程度、しかし、どういうやり方でやるのかというのは何ら説明ないまま実は帰られた。そこで、どういうことでやるのかと再三監察に問い合わせたところナシのつぶてだった。それで名前を貸した管理課長は、すでに二月の初めからこの試験通信が始まっている、その試験通信の流れ、郵便の流れが二月末にはもうはっきり判明をしておる、そこで監察にもうこういうことはやめてもらいたい、流れがはっきりしたんだから、こういうことで監察に対してお断りの旨を申し出ています。 ところが、監察は、これらに対して返事もしないままに、二月の末に、試験通信を続けたい、こういうことで手みやげを持ってあいさつに来たというんですね。そういう手みやげを持ってあいさつに来て、しかも三月の一日にこの事件について問題の発覚を行い、三月四日、そして三月八日ですか、逮捕、強制捜査、こういう形にこの事件というのは推移をしているわけです。大変当該の会社として迷惑を感じているわけであります。 しかも、私がいろいろ皆さんの声を聞きますと、首席監察官の話も大分、正直に言って、衆議院逓信委員会から今日まで話が変わってきている。しかも、中には始末書を監察官が当該の会社に出している。監察官が乗り込んでいって、郵便が来ているはずだと、で来ていないと言ったら、それを捜せと、表に出してあるポリバケツまで持ち込んできて捜したところが、郵便局の手違いで一日おくれて遅着をした。そのことが判明して、これ一連の問題に対して会社側がきわめて大きな憤りを持って始末書の提示を求めているわけです。 こういう監察のやり方、しかも、先ほど言いましたように、問題になった方はこの問題で強制捜査を行われ、逮捕をされて、そしてその後送検をされて、送検後九日後に不起訴処分となって釈放されている。平穏に生活をしてきた人が、全く二通と言われる郵便物の中で、監察の出されたのは、私の方から言うと——間違いないかどうか後から返事——約三十七通、その中の二通か現金が封入、ほかにも封入されていたんでしょうが、なくなったと言い、金額にして新聞で見ると六千円。ところが、この不起訴になって以来というのは、もはやこの事件の問題について、本人は全くこの世の中自体についての信頼感というものも喪失をし、人生全体についてのきわめて希望自体についても大きな動揺を来している。生活が乱されただけでなくして、精神的に大きなショックを受けている。 で、私がここで聞きたいのは、まず第一に、どうしても理解できないのは、たった——たったと言っては語弊がありますが、二通の不着申告に基づいて、その会社に対してこのような捜査をしなくちゃならないという、そういう判断をつけた理由がどうしてもわからぬ。 もう一つは、試験通信の名をかりて行うにしても、当該の会社とそういう十分な打ち合わせもなく、ある意味では権力、司法警察の権威をかさに着て、今日とられたようなやり方、大きな批判を受けるようなやられたやり方について、監察の姿勢を疑わざるを得ないのであります。 もう一つは、後ほど聞きますが、このおとり捜査——言い方か悪ければ、おとり捜査に準ずる捜査は、今日の人道上の面から見て、人権上の面から見て、果たして郵政監察として許されるのかどうか、この点について私はきわめて疑義を持たざるを得ません。 そこでお尋ねをいたしますが、これは警察庁にお尋ねをいたした方がいいのかもしれませんが、あるいは法務省になるかもしれません、どちらになるかわかりませんが、まず第一点は、試験通信の二通及び金額で六千円の犯罪事実で逮捕された。で三月八日に逮捕され、三月十日に送検されて、九日後に不起訴処分になったようでありますが、警察として、このおとり捜査の事実を知りながら強制捜査に踏み切った、そして送検と、こうなったわけでありますが、私は、これは郵政監察と警察の関係はどのようになっているのか。強制捜査に踏み切った警察が、万世橋署が独自の捜査を行って踏み切ったのか。 私は、このおとり捜査の問題について、確かに最高裁の二十八年のきわめて昔の判例がありますが、あるいは麻薬取締法五十八条等によって、おとり捜査というのは一定のものが出ております。しかしながら、捜査は何でもやってもいい、こういうものではないと思いますが、警察自体のこの姿勢に誤りはないのか、大変疑問を抱かざるを得ません。そこで、それらについてどのような郵政監察との連絡が行われ、そして警察はどういう判断をして、こういう手続をとったのか、強制捜査に踏み切ったのか、この辺が一つ。 もう一つは、不起訴処分となった理由は何か。試験通信の二通の犯罪事実だけで、他に余罪はない、こういうふうに判断をされて不起訴処分になったのか、この辺について関係の警察庁及び法務省わかれば答弁をしてもらいたい。
○説明員(平井寿一君) 最初に、私の方から警察と郵政監察官との間の問題について申し上げます。 まず、事実関係を申し上げますと、これは先ほど郵政監察の方から御説明ありましたように、三月四日の日に万世橋署に関東郵政監察局東京中央支局の監察官が来られまして、ただいまお話のおりましたような最近神田局内の不着事故が何回かあると、でそれについて郵政監察当局の方で試験通信郵便物を発送して、その経路の追求調査をやられたと、その結果、三月一日になりまして先ほどお話の会社に配達された試験通信物二通がそこの社員に窃取されたという事実を把握し、その後のさらに追跡調査によりまして被疑者が確定できたということで、以後の捜査を警察でやってほしいと、こういう依頼があったわけでございます。 それを受けまして、万世橋署の方におきましては、東京簡易裁判所の裁判官に対して、この被疑者に対する逮捕状と捜索差し押さえ許可状の発付を請求し、これを得まして、三月八日に逮捕して、三月十日、この事件を東京区検察庁に送致した、こういう事実関係でございます。 で、警察と郵政省との間の捜査の協力関係でございますけれども、これは昭和二十九年に警察と郵政省との間の郵政業務関係の犯罪捜査についての協定が結ばれておりまして、以後、それに基づいて密接な捜査の協力関係を行う、こういうたてまえでやってまいってきております。本件の場合、郵政監察官側から、そういう協力関係に立って警察の捜査でこの事件を処理してほしいと、こういう依頼がございましたので、それを引き継いで行った、こういう事実関係でございます。
○説明員(土肥孝治君) 不起訴の理由の関係について私の方からお答えいたします。 先生御指摘のように、三月十八日東京区検察庁は本人を不起訴にしております。これは一応犯罪事実については認められますが、本人の情状及び犯罪後の状況等を総合いたしまして、訴追の必要がないと判断したことによるものでございます。
○案納勝君 これは本人の人権上の問題がありますので、私も実は深く立ち入ってという気持ちはないんですが、私、もう一回聞きますが、犯罪後の情状等についてはわかりますが、この二通の事実については、これもまあ事実でしょう。そのほかに余罪というものが認められた上で情状が酌量されたのか、この辺はいかがですか。
○説明員(土肥孝治君) 一応、不起訴に当たり、本人の犯罪事実として認めましたのは、三月一日の郵便物二通の窃取という事実でございます。
○案納勝君 そうすると、ますます問題になってくるわけであります。私は、警察庁にお尋ねします。 同じような類似事件で福岡地裁小倉支部ですね、四十六年に「いわゆるおとり捜査に準ずるものとして、捜索差押許可請求が却下された事例」これは全く同じような事犯です。その内容は、「刑事訴訟法第一条は同法の目的の一つを公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とに置き、これを受けて同規則第一条は訴訟上の権利は誠実にこれを行使し濫用してはならないと規定しているが、本件のような捜査方法は公共の福祉の名のもとに個人の基本的人権を侵害する虞れが多いと考えられるし、訴訟上の権利の誠実な行使の理念にももとり、国家とこれを構成する個人との間の信義則を破るもといにもなりかねない不適法な捜査と解するのが相当である。本件は既に行なわれた犯罪を犯人自ら暴露させるような方法で用いられる形式の捜査とは本質的に異るものがあり、これがいわゆるおとり捜査になるか」云々と、こういうふうに書かれています。そして、いわゆるおとり捜査に準ずるものとして捜索差押許可請求が却下された、こういう事実。 このおとり捜査、いま私は法務省の方からお聞きしたのは、犯罪事実は二件しかなかった。この二件というのは、郵政監察が三十七通送ったやつで、そのうちの二件であります。ほかには余罪もない、全く平穏に暮らす市民であります。ところが、郵政監察が試験通信の名をかりて法律十九条に違反をする、郵政事業に勤めている人間がこの十九条に違反する行為をもって、そして行った行為についてその中から二通——人間の最も弱みにつけ込んで誘発をし、そしてこれらについての犯罪を、人間の弱みにつけ込んで、言いかえるならつくらす、こういうやり方を行った、あるいは行わさせる、そういうものを意図した今回の捜査について、私は、監察との協定があるから、約束があるからということで、万世橋の警察署であるいは警察庁で直ちに強制捜査に踏み切るということについては、その姿勢自体に問題があるような気がしますが、もっと慎重でなくちゃならぬと思いますが、警察庁はどういうふうにお考えになっていますか。
○説明員(平井寿一君) ただいま先生御指摘のその福岡の裁判所の決定につきまして、私はよく内容を承知しておりませんけれども、この試験通信制度という捜査手法をとりまして捜査を行った犯罪につきましては、過去、幾つかの判例もございまして、大体におきまして窃盗罪の成立を認めているわけでございます。今回も、そういう試験通信制度によって被疑者が確定したと、こういう内容で裁判所に令状を請求いたしまして、その令状を発付して捜査を行っておる次第でございまして、捜査手続的にその点につきましては私は問題はないんじゃないかというふうに考えるわけでございます。 で、いま先生おっしゃったように、そうした問題が人権上、あるいは被疑者の扱い方として強制捜査ということはどうかという問題でございますけれども、御承知のように、明白な今回のような犯罪事実につきまして捜査目的を遂げます場合、捜査は原則的には任意捜査によるというふうになっておりますけれども捜査の目的を遂げる必要上、諸般の事情から強制捜査によらなきゃならない場合には、裁判所の発する令状を得まして強制捜査によって処理する、こういうふうになっておるわけでございます。 で本件につきましては、警視庁から報告を受けたところによりますと、被疑者の検挙を行う際に、当時、証拠物件についての確保の必要性その他証拠隠滅のおそれがあったということから、強制捜査によってやらざるを得なかった、こういう判断でございまして、これは捜査の手続的にはやむを得ない処置であったと、かように考えるところでございます。
○案納勝君 私は警察庁の方に再質問をする、何といいますか、これ以上突っ込んで申し上げるわけじゃありませんが、先ほど申し上げました四十六年の福岡地裁の小倉支部の事件について、当時の四十六年十一月の「警察時報」の中で、警察庁刑事局の野村さんが見解を書いておられます。 前段は省略しますが、本件について「全然罪を犯す意思もなく、また、かつて同種の犯行を犯したこともないものに対して、これを陥し入れるため、しつように詐術を用いて罪を犯させ、犯罪人を仕立てあげてこれを検挙することは、犯意を誘発せしめるばかりでなく、その手段において妥当性を欠くにとどまらず、違法性を帯びるものといってよかろう。」こういうふうに言っております。 私は、今回の事件というのは人権無視、無差別に犯罪者をつくり上げる——ここは言い過ぎかもしれません。しかし、あえて言わしてもらう。全く国の権力、司法、警察権力による無法な卑劣な行為と言わざるを得ないのじゃないかと。なかんずく、それは確かに私の方も検討してみました。おとり捜査というものが、捜査機関が犯罪を教唆、誘発されて、その実行を待って検挙する方法、この違法性については大きな問題が多く論じられています。このこともよく私も理解した上で実は質問をしているんです。アメリカの判例上では、わなの論理が認められていないということも。で、そういう問題も私ども踏まえた上で、日本では最高裁が二十八年麻薬の問題でこれは一つの判例が出されていますが、私は、国民の人権あるいは人道というものを守っていくということが今日強く叫ばれている。二十八年といえば相当もう昔の話だ。このままこれが適用されるとはいま思いません。 それはさておきましても、今日の社会情勢の変化というものの中でも、このおとり捜査、あるいはこれに準ずる捜査というのは多くの議論を呼び起こしているところであります。麻薬には確かに麻薬取締法五十八条がある。しかし、郵政監察のような、郵政事業に伴う司法警察権力を持っておる郵政監察に、果たして、これに準ずる捜査を行い得るという権限があるのかどうか、私は法務省の御見解もお聞きしたいのでありますが、この辺を法務省はどういうふうにお考えになっておるのかお伺いをいたしたいと思うんです。 さらに、郵便法十九条は、現金を普通扱いにして差し出すことについて禁止しています。禁止された主たる理由というのは、事故が発生した場合に、事故の調査を進めるのにきわめて困難であるというようなこと、また損害賠償の制度がないというようなこと、差出人に不便をかけるとともに、事故によって郵政事業にとっても職場内での疑心暗鬼やあるいは不安というのを誘発する原因になる。こういう面から支障が少なくないということから、現金などは書留としなくてはならない、こういうことで、郵便事業の何といいますか、信用を確保するという趣旨で十九条というのは出されている内容だと、大臣、思うんであります。確かに十九条の違反については刑事罰を科すことにはなっていません。しかし、最低書留にして郵便規則を守る手段、あるいは手数料を加えてその額を還付する、こういうふうになる。 私は、ここでも郵政当局にお尋ねをしたいんですが、郵便法十九条の義務はいま申し上げたようなことになっていますが、国民の郵政事業に対する信用を失うという端緒になりかねないような、いやしくも郵政職員によってこの義務が履行されないという、仮に捜査上の理由があっても、今日このようなおとり捜査、しかも、おとり捜査にたまたまかかった人が人間の弱みを誘発されて、おとり捜査の郵便物二通だけをもって犯罪者として烙印を押され、社会の中で脱落者としてきわめて厳しい社会的制裁を受けざるを得ないような、そういう生活に追い込むということについて、私は許すことはできないと思います。大臣、それはどういうふうにお考えになっておるのか。あるいは法務省は、これらについて、郵政監察というその業務から言ってもこういうことが許されていいのかどうか、私はその辺の見解をあわせてお聞かせいただきたいと思います。
○説明員(土肥孝治君) まず、おとり捜査という点でございますが、おとり捜査という概念は必ずしも定まっておらない面がございまして、とりようによっては広いもの狭いものいろいろあるやに思われるわけでございます。しかし、最も問題となりますいわゆるおとり捜査と言われるものは、捜査機関がみずからまたはその協力者を用いておとりとなって犯罪を勧めて、それによって犯意の生じた者が犯罪を実行するのを待って検挙するという方法であろうと思われるのでありますが、そもそもこの試験通信の本件の問題というものは、そういうものには当てはまらないのではなかろうかと思われるわけであります。特に、本件の郵便物が通常の郵便物と同じ形状のものであったということであれば、特に犯罪を誘発したものとは言いがたいのではなかろうかと思われます。 ただ、普通郵便物に現金を封入するということが郵便法十九条に形式的に違反する点はあるのでありますが、先生御指摘のような同条の法意を考えまして、さらに郵便業務の信用を著しく害する郵便物窃盗の犯人検挙というより大きな法益を保護するために、他に適当な方法がなく、やむを得ずにとられたものであるというならば、適法な捜査方法であろうと考える次第でございます。しかし、言うまでもなく、刑事訴訟法は人権の保障を全うして行われるということを大目的に掲げておりますので、その実施についてはきわめて慎重であるべきであろうということは、御意見どおりだろうと思います。
○案納勝君 大臣、どうですか。
○国務大臣(小宮山重四郎君) いまの法務省の答弁が私の意を伝えているところで十分だと思っております。
○案納勝君 私は、他に方法はなかったのかという問題もあります。しかし、言うところの、いまも法務省から指摘をされたように、捜査はどのような手段でも許されていいのかどうかということについては、これは刑事訴訟法の段階でも捜査のやり方については何ら書いてありませんが、いま言われるように、人権、人道上、あるいは憲法上保障された基本的な権利をまず第一義に置くべきだと思う。 そこで私はもう一回お尋ねしますが、今回の問題について言うならば、平穏な生活を送っている市民の人が、その当該者がわなにかけられたと言っても言い過ぎじゃないんじゃないでしょうか。二通しか現実に犯罪事実はない。それも三月一日から第二回と言って、手みやげを持ってきた。そういう中で、もういいじゃないか、試験通信の用はなしたと、お断りをされた。当該の会社にとっても大変迷惑をしている。そういう中であえて郵便法十九条の現金を封入して、しかも確かに言われるように郵便がなくなっているという事実については、二通の郵便物の紛失について申告があったからだと。私は、まずそこに、郵便物の二通の紛失ということについて、仮に現金封入があったとしても、果たしてそういう今回のような捜査を行わなくちゃならないような理由があったのか、ここらあたりに先ほど申し上げたように大きな疑問があると同時に、今日のような結果によって人生を破滅さしてしまうような犠牲者を一般の市民の中に出してしまう、こういうことが他に方法手段がないからといって野放しに行われるということについては、私は、郵政監察のその警察権力要するに司法権力の行使は行き過ぎだというふうに言わざるを得ないと思う。 人権擁護局お見えになっていますかな。——人権擁護局は当該の会社からこの辺についての調査について事情をお聞きになっていると思いますが、この辺について。それであわせて人権擁護局はこの一連の問題についてどのように人権擁護という立場からお考えになっているか。
○説明員(宮本喜光君) この事件につきましては、東京法務局の担当官が会社の社長及び管理課長から事情を聴取しております。その結果をまとめて申し上げますと、大体、次のような事項になります。 この会社は、書籍、レコード等の割賦販売業を営んでいて、代金の回収はほとんど郵便振り込みで連日のように多数の振替通知書が送られてくるというのがノーマルな業態。それから昭和五十年十一月ごろ横浜市の客から一万円入りの封書が会社に到達していないという申し出があったという事実、それから昭和五十一年の十一月ごろには振替通知書の到着が乱れて、間違いや未送付が非常に多くなったというようなことがあったようであります。この振替通知書の到着の変調ということについては、当時、東京貯金局に問い合わせたところ、機械のエラーによるものだということで、これは多少是正されたようでございます。こういう二つの事故があったということ。 そこで試験通信ですが、昭和五十二年二月ごろ、これは担当者の名前がちょっと会社側ではわからなかったわけですが、郵政の職員の方が会社に見えて、試験通信をするので協力をしてもらいたいという依頼をした。そしてそれを受けた。調査の目的は、到着日数等の確認であるというような説明を受けたということでございます。それから二月から三月九日までの間に、約二十通の白封筒の速達便が到着して、その翌日、郵政の担当の方が来て回収していったということ。その当時、会社の方でも封筒の中身に何か入っているようだけれども、中を確認せずに、何か紙でも入っているのだろうということでそのまま渡していた。三月二日に、この社員の一人が自分が尾行されているというような話を会社の幹部にして、それから翌三日には、尾行していた者を万世橋警察署に突き出したというような説明をしていたというような話。それから三月八日には、私服の刑事が六人ぐらい会社に来て社長室で応対をした、その席にその問題の社員が呼ばれて、間もなく二人の刑事に両腕を抱えられて連れていかれたという事情。 それから、この問題になった社員のことでございますけれども、この人は、昭和四十二年に入社してから五十年に管理課に勤務変えになったということで、いままで問題を起こしたことはない社員だったということ。それから三月十一日に釈放されたわけでございますけれども、その際、社長が身柄引受人となって会社に引き続いて働くということにしたわけでございますけれども、本人は申しわけない、恥ずべきことをした、退職したいということで申し出があったので、ついにやめることを認めたということです。本人はもうすでにほかの会社に勤めていて、この事件には触れたくないということでございますので、本人の住所、氏名を聞くことはできませんでした。 以上のような事実関係になるわけでございます。 そこで、このような試験通信の方法が人権擁護の観点から相当なのかどうかという御質問でございますけれども、私どもといたしましては、実は詳細の事実関係が把握できておりません。したがいまして細かな事実関係を前提としたお尋ねですとちょっと困るわけでございますけれども、一般的に、いま申し上げたような会社の方の説明やあるいは郵政当局の説明などを総合いたしますと、まず、不着事故が発生した受取人に限定して試験通信がなされているというふうに範囲が非常に狭いということ。それから現金入り封筒が不着だったので、それと同じような方法でやられているということ。しかも通常の郵便ルートに乗せて行われているということ。それから特に私どもが一番の問題にしているのは、封書の形態の問題でございますけれども、説明によりますと、中身が外からは全然わからないようになっているということでございます。 こういうような条件がつけられているということでございますけれども、これを前提とした上で、必要最小限度の範囲内であって、しかも、ほかに全く方法がないというような場合には、やはりそれの合法性は認めるべきではなかろうか。あながち全部が全部人権擁護の観点から不適当だというふうには言い切れないものがあるというふうに考えております。
○案納勝君 しかし、これは単に私はこの今回の問題だけでなくて、監察にお尋ねしますが、試験通信の中でボールペンやその他のものを入れて試験通信をやっていることが今日までもありますね。また、今後も、そういうことを考えられていますね。
○説明員(江上貞利君) 試験通信を行います際には、不着の申告をちょうだいいたしましたその郵便物と同じ形態のものをつくりまして送るということを原則にいたしております。もちろん中に透かして現金が見えるようなものは、そのような郵便をお出しになる方はないと思いますが、仮にありましても、そのようなものをつくっておりませんけれども、したがいましてただいま先生のボールペンという御指摘がございましたが、ボールペンが非常に紛失するというような場合には、それと同じようなものを同じ経路に流して、どこに不着の原因があるかということを確認するようなことはいたしております。
○案納勝君 そうすると、現金の封入の問題についても、たとえば入れ方によっては現金の封入というのがはっきりわかる、まあ専門家に言わせるとさわっただけでもわかると、こう言われているわけです。もう一つは、ボールペンなど固物のものを入れるということになれば、これは明らかにボールペンが入っているというのがわかるわけだ。そういうものを混入して、そしてしかも郵便法十九条を守らなくちゃならない郵政職員が捜査の手段としてでもやるということは、これは先ほど言われているように明らかに、仮に一歩譲って現金の場合については論議はおくとしても、はっきりわかるものを捜査の手段としてこの試験通信の名前によるおとり捜査について使用するということは、私はこれは正当な行為だと思いませんが、あくまでやっぱり犯罪を誘発させる行為に通ずると思いますが、いかがですか。
○説明員(江上貞利君) 御指摘のように、故意に犯人を製造するためであるとか、あるいは犯罪に積極的に誘惑する、あるいはまた直接的に犯罪を誘発するというようなことでございますと、大変に問題があろうかと思いますが、ある場所に限りまして、たとえばただいま御指摘のボールペンというものが非常に紛失をする、なくなる、いろいろ手段を尽くしまして探してみましても原因がつかめないという場合に、同じような形態のものを入れて送る、ほかのところではなくならないというような際に、ある経路だけが紛失するという場合に、私どもとしては故意に犯罪を誘発するというふうには考えておりません。
○案納勝君 時間もありませんから大臣にお聞きをいたしますが、捜査司法警察として先ほどから幾つかのやりとりがありましたように、その目的を達するため必要な取り調べを行う、こういうことについて刑事訴訟法その他についても特段にやってならないとか一定の基準はありません。しかしながら、どのような手段でも許されていいということにはならないわけで、捜査の違法な限界というものがみずから考えられなくてはならないことだと思います。 先ほど私がちょっと申し上げましたが、これは小倉の地裁支部の判決の中で、これと同じ試験通信に基づく捜査について一定の判決が出されております。あわせてこれを受けた警察庁の刑事局として野村さんの見解としても、このことについては慎重でなくてはならぬということが明らかにされている。その基準というのは、健全な社会の通念ないしは公の秩序、善良な風俗、個人の基本的人権を守るというその立場での基準というのが私は捜査上の基準だろうと思うんです。これに照らして判定をしなくちゃならぬと思うんです。 今回のような問題が、しかも善良な平穏な生活を送っている市民が、いまも法務省の方が報告されたように、この方はやがては第二の新しい就職口を求めて、近いうち管理職になろうとしている。いままで何らそういうことについて事故もない、事件もない。そういう方がこの試験通信の中で三十七通中の二通、まあこれを詐取したというんですが、そういうことを通じて勾留、送検され、不起訴になったといいながらも社会的には大きな打撃を、人生を破滅させるような結果を招いた。これは捜査上のやり方として一定の許されていると表向き言えるとしても、人道上、人権上、私は捜査のあり方として認めることはできないと思うんです。いや、もっとこれこそ慎重にしなくてはならないことだと思うんです。 今回の捜査について他に方法はなかったのか、この事案の中身から言っても、私はこれ以外に他の方法はなかったとは言い切れないと思う。また、郵政監察全体の問題についても、もっと郵政事業全体の信頼を失墜するような事件がたくさんあるじゃないですか、そういう面について十分な配慮を行うべきである。例をこの問題について言うならば、こういう措置をとるというそういう要件、事由というのは私は成り立たぬと思います。それだけにいままでの郵政監察の姿勢自体が私は問われている事件じゃないか。この際、私は、こういうやり方についてはやめるべきだと思いますが、大臣はどうお考えなのか、また、これこそ司法警察は慎重に取り扱うべきだと思いますが、大臣の御見解を。
○国務大臣(小宮山重四郎君) 先生おっしゃること私もよく理解いたすんです。しかし、この事件が比較の中で出るのは私適当ではないと思っております。 と申しますのは、やはり三十何通のうち二通というような事件、大変残念なことだと思います。私は、郵便法第十九条の問題というのは、やはり大ぜいの方々が出している中で、これも衆議院で申し上げたんですけれども、大ぜいの方がやはり手紙の中にお金を入れることがなされてなければこんな事件は起きないのであろうし、実際、そういう郵便法第十九条というのは大衆を守るという意味での十九条であり、かつ、そういうことで試験通信などやられましたのですけれども、もちろん、私、先生のおっしゃる基本的人権、かつまた慎重に慎重を期してやるべきだということは事実だと思います。そうでなければならないと思いますし、今後、やはりこの試験的な通信をやる場合には、基本的人権を考え、慎重に慎重を期して捜査をすべきだという考え方でございます。
○案納勝君 大臣の御見解承っておきたいと思いますが、最後に、郵政監察の責任者の意見を聞きたいと思う。 もう一回、私は繰り返します。郵便法十九条というのは、この義務違反について犯罪を構成はしません。しかし、国民による義務の積極的履行を私たちは期待をしているわけです、十九条で。こういう義務について、義務は国民から積極的に守られてこそこのことが成り立ってくるわけで、国民が積極的に守ることによってその履行を担保しようとしているわけであります。いやしくも郵政職員によって、監察といえども、その義務が履行されないということになっては私はならないことだと思います。 このような義務違反行為は、先ほども言ったように、国民の郵政事業に対する信用——当該の会社に対しても現金が入ってくるなんて一言も話をされていない。再三来た人に対してどのようにされるのですかと言ってもナシのつぶて、二月いっぱいかかって試験通信が終わって、もう郵便物の流れはわかったではないか、したがってもうお断りする、繁雑なんでお断りする、こう言う。ところが、たばこ一箱持ってきて、十個ですか、手みやげに持ってきて、それで試験通信を続ける。中には、監察官が来て、郵便が着いているはずだといってポリバケツをひっくり返して捜し回る。あげくの果ては、これらのやり方等について多くの不満を持たれて始末書を書かざるを得ないというようなこと一つ今回とらえても、試験通信によって郵便の信用を回復するというんじゃなくて、逆に国民の監察のやり方についての批判がかえって郵政事業への信用を失墜するような、そういうことに結びついているんではないでしょうか。 いま大臣が言われたように、この種の問題については、本件については基本的な人権——平和に生活をしている人たちがみすみすこういうわなにはまって、その一生を破壊されてしまうようなこういう行為——私はおとり通信とは言いません、おとり捜査と言います、おとり捜査に準ずるようなこういうやり方については、私は、先ほど申し上げましたが、やめてもらいたい。さらに、これらについて慎重な配慮を要請したいと思いますが、いかがですか、首席監察官の見解を求めたいと思います。
○説明員(江上貞利君) 一点は、慎重にという御指摘でございますが、確かにこのような捜査だけでなくて、すべての捜査につきまして慎重に行わなければならないということは重々よく承知をいたしておるつもりでございます。 なお、若干、会社との間のトラブルについての御指摘がございましたが、ただいま御指摘のように、いやしくも司法警察職員が郵便が着いているはずだから捜してくれというような申し入れをいたしました場合に、状況と受け取り方によりましては、かなりに相手に負担をかけるというような事実もあるかと思います。したがいまして、御指摘のように、慎重にということについては、今後、私ども重々注意をいたしていきたいというふうに存じます。 それから、さらに国自体が第十九条、比較的に軽い禁止規定、国民に現金を入れないことを期待している規定かもしれないが、そのようなことを犯すことはいかがかという御指摘でございますけれども、第十九条が昭和三十六年に設けられた趣旨は、先ほど先生御指摘のとおりでございますので、私から申し上げることは御遠慮させていただきたいと思いますが、現在におきましても、現金等を封入される方がございます。一面で言えば郵政事業への御信頼かとも存じますが、また、反面、第十九条を御存じないということで送られる方の場合もあろうかと思います。中には田舎のおばあさまが都会の孫にお小遣いを送ってあげるというようなのもございますし、あるいは逆なケースもございます。そのようなものを各種の手段で、先生ただいま御指摘いただきましたように、そのような手段を使わずに、いろいろな手段を使って捜査をいたします、あるいは調査をいたします。それでも見つからないという場合に、私どもといたしましては、第十九条違反の郵便物でございますので、捜査、調査をいたしかねますともなかなか申し上げかねるわけでございます。各種の手段を尽くしましてなかなか原因がわからなかった場合に、その不着の原因を究明する端緒に限りまして、このような試験通信というものを使わしていただくということは、第十九条自体が設けられました趣旨から考えまして、許されるというふうに考えております。なお、運用は、御指摘のとおり、十分慎重にいたしてまいるつもりでおります。
○案納勝君 時間もありませんから次に移りますが、私は、いま江上さんが答弁をされたことについて、十九条の解釈等については大変違います。それならば、十九条というのは何のためにつくったものなのか。 私は、今回のこの事件にあるように、先ほど大臣が答弁をされましたから繰り返しませんが、今回のおとり捜査——試験通信そのものを私は言ってるんじゃない。それは郵便の流れ等、一般の物数調査やその他の中で物の流れ等を調べる際に試験通信を行うことはあるでしょう、一般の業務上。しかし、その試験通信の制度を利用して、先ほど言うおとり捜査に準ずるような今回のような捜査は、これは人権上、人道上、あるいは基本的人権を守るという国の責任からもあるべきではない。私はこれについてはその面から慎重な配慮を特段に要望しておきたいと思います。 そこで、時間がありませんから貯金法について質疑に入ります。 まず最初に、金利の引き下げ問題等、あるいは郵政審議会の答申、さらには大臣が出されております新しい学資融資制度といいますか、等については多くの同僚議員が質問をされましたので、私は重複する点はできるだけ避けるつもりでおりますので、端的にお答えをいただきたいのであります。 できるだけ内容は省略をしていきますが、きょうは斎藤さんがお見えになっていますから、斎藤政務次官に、大蔵省として、郵便貯金の存在理由はどこにあるというふうにお考えになっているのか、目的は何なのか、民間の金融機関との違いはどこにあるのか、この点が第一点であります。 第二点は、国全体の金融事情の中で、個人貯蓄の占める割合はどのようになっているのか、郵便貯金と民間各機関別にどういうふうになっているか、これは簡潔で結構だと思います。 三番目は、同じくその中で個人に貸し出されている融資、貸付額の割合は、各機関別にどの程度の割合になっているのか、この点について、大変失礼ですが、大蔵政務次官の方から御答弁をいただきたいと思います。
○政府委員(斎藤十朗君) 先生の御質問のまず第一の、郵便貯金の目的、その存在はいかん、という御質問でございますが、郵便貯金につきましては「簡易で確実な貯蓄の手段としてあまねく公平に利用させることによって、国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的とする」という郵便貯金法の第一条があるわけでございますが、まさにそのとおりと理解をいたしております。言うならば、広く国民大衆の貯蓄を国が責任を持って確実にお預かりをする、そういう機関である。同時に、でありますから、国の金融制度なり金融の仕組みの中の一つの動きの中にこういったものも存する、そういったことも勘案しつつ、こういった郵便貯金という制度が存在をするというふうに認識をいたしておるものでございます。 第二番目の、国全体の金融情勢の中で、個人貯蓄の占める割合、また、三番目の、個人に対する融資枠等につきましては、事務当局から答弁させます。
○案納勝君 斎藤さん、民間金融機関との違いというのは、同じ金融機関と言われながら、どう違いますか、一点目の質問。
○政府委員(斎藤十朗君) 先ほど申し上げましたように、まず第一には、国が責任を持って、国の信用の上に立ってお預かりをするという点が一番大きな違いであろうというふうに考えます。強いて言いますと、与信業務が課せられてないということもその一つだと考えております。
○説明員(宮本保孝君) お尋ねの第二点、私から数字でございますので答えさせていただきます。 機関別に分けまして申し上げますと、去年、五十一年九月末現在でございますが、全国銀行の場合には四〇%が個人貯蓄でございます。相互銀行の場合には五六・八%でございます。信用金庫の場合には七〇・六%でございます。 それに対応いたしまして、第三番目のお尋ねでございますが、融資の場合を見てみますと、全国銀行の場合で八・七%でございます。相互銀行の場合で一四・五%、信用金庫の場合で一七・九%と、こういう数字に相なっております。
○案納勝君 それでさらに質問しますが、日本の貯蓄率は欧米各国に比べて非常に高いということは周知の事実であります。個人の可処分所得のうち何%がいま貯蓄に回っているというふうに見られていますか。それであわせて、このように異常に預金率が高いわけでありますが、その理由はどこにあるというふうに考えていられるのか、一緒に答弁してください。
○説明員(宮本保孝君) 現在、約二四%ぐらいに相なっております。確かに御指摘のとおり、西欧諸国でございますと、大体一五%前後、アメリカの場合には一けたというふうに低いわけでございますが、日本の場合に、個人貯蓄率が高い理由、これはいろいろと言われておりますが、私どもも、大体、一般に言われておりますようなことでよいのではないかというふうに思っております。 まず第一点は、わりと日本の場合にはボーナスが収入に占める比率が高いものでございまして、この臨時的な収入によりまして貯蓄が非常に高くなるというふうなことが一般に言われております。それから年功給与制が一般的でございますので、消費の必要性の少ない長年の勤続者、この方たちの貯蓄率が高いというふうなことが一般に言われております。それから、わが国の場合には、個人の中に多数の個人企業が含まれておりまして、この個人企業の貯蓄率がかなり高いのではないかというふうなことが言われております。また、第四番目には、住宅その他の実物資産の蓄積が不十分でございまして、そのために貯蓄意欲が強いのではないか。第五番目には、やはり社会保障制度が近年急速に拡充してまいっておりますけれども、まだやはり先進欧米諸国に比べますと、若干、立ちおくれているというふうなことから、老後とかあるいは不測の事態に備えて、貯蓄意欲が強いのではないかというふうなことが言われておるようでございます。
○案納勝君 斎藤さんね、私は、郵便貯金の存在理由、これは確かに郵便貯金法に書かれておるとおりだと思いますね。これは全国あまねくどんな市町村においても、国民の生活の安定のために、貯金というのを国が郵便局の窓口を通じて行うことによって寄与しよう、そうしてそれによって集められた資金がさらに国のいまや第二の予算と言われる財投の中で重要な役割りを果たしているわけですね。国の産業政策の中の大きな力になっておるわけです。そういう国全体の政策に大きなかかわりを持って国民の生活向上と福祉の向上のために役立てようという、これが郵便貯金の私は性格だと思う。 民間の企業は、確かによく郵便貯金が三十兆にもなってといろいろ論議をされていますが、この事業の成り立ちというのはあくまでも民間でございますから、預金をかき集めて資金を貸し出して、その運用によって事業が成り立つ。それには政府直接のというよりも、民間企業として、だから大きな大変な運用については、決められている利子のぎりぎりまで法定利率、御案内のように、住宅ローン借りれば一割以上の利子をいま取られることになるわけであります。それはそれぞれ金融機関によって違いますがね。なかなか庶民が借りると、いまも報告されたように、一般の個人が銀行から借りている比率というのは全国銀行で八・七%という全く微々たるものなんです。銀行は高利で回せられる運用で大企業へ資金の集中その他を図りながら、なかなか個人は借りにくいというのが一般の民間企業なんです。 そういう中で、国の金融政策として、郵便貯金の場合も、民間企業の銀行の金利も一緒になって実は国の金融政策として実施されてきている。で郵貯の場合は、そういうきわめて国の経済政策に貢献をしながらも、しかも、あわせて末端の貯金を通じて生活の安定を図ろうという、そういう仕組みの中で貯金だけはせっせとするが、何ら自分のところに見返り、要するに国民の福祉増進をするという窓口を通じての還元というのがない。あるとするなら、大きい意味での政府の政策を通じての還元しかない。民間と郵便貯金の場合には、こういうきわめて重要な部分に私は違いがあると思います。この認識をまず私はぜひしてもらいたいのです。そしてこの郵便貯金の大きな国に貢献をしておる役割りというのを、ある意味では大蔵省自身もしっかり踏まえて私は対処してもらいたいのです。 そこで、いまも説明をされましたが、貯金については、同僚委員から言いましたけれども、いま確かに日本の国民の貯金率が高い、社会保障制度が拡充しないために貯金をして、いざというときに、不安に備えようという、これが一番高い率。だからこそ物価が上昇してインフレが続いても引き続いて貯金をしていくという意欲はきわめて高いんですね。これは私の資料の中でもきわめて高い比率を示している。 こういう中で、日本の場合に、個人の金融資産を見ました場合に、貯蓄性預金が全体の五五%、半分以上を占めているわけなんです。アメリカの場合は三二%程度。しかも、そういう状態の中で逆にインフレに強いと言われる株式保有は、米国は個人の場合は二四%に対して、日本の場合は三・四%しかない。全くこういう面については大変個人の場合低くなっています。で私はいま大蔵省の方から説明いただきましたデータによって見ますと、わが国の金融事情は全く個人の貯蓄によって支えられているわけだ、こう言っても言い過ぎじゃないでしょう。先ほど言われましたように、全国銀行で個人貯蓄が四〇%、相互銀行で五六%、信用金庫で七〇%、郵便貯金で九九・二%、これが個人貯蓄によって占められている。この貯金による還元というのを見ますと、個人貸し付けは全くわずかしかない。銀行の窓口を通じて行うやつも全体の比率からわずかしかない。したがって個人というのは利子以外に何もメリットがないというのが現在の日本の貯蓄のあり方ではないでしょうか。ところが物価はどんどん上がっていく、利子は切り下げられていくということになったら、個人の生活、個人の貯蓄といいますか、これは全くまさに大企業本位の経済政策の中で庶民の犠牲の上に成り立っている今日の金融政策だと、こう言われても私は抗弁できないんじゃないでしょうか。 私は、これまあここに斎藤さん来られているからあえて言うんですが、仮にことしの貯金の増加推定見込み額は六兆二千億と言われますが、これは計算上七兆円に仮にして計算してみる。そうしますと国民一人当たり七万円、夫婦子供二人の標準世帯で大体およそ二十八万円ぐらい。そうすると、一%の利息の切り下げで国民、庶民は大体年間二千八百円の損なんです。今回、退職しますと——相当高齢退職者がおりました、郵政省で。この退職した人が三百万円預けると利息は御案内のように三万円年間少なくなるんです。私はこれは今回の金利引き下げの問題で郵便貯金というものについて、いや日本の金融事情の中で個人の金融というのが主力をなしている。その個人の人たちは利子しかメリットがない。その利子しかメリットがない個人のこの金利を引き下げる、物価は上昇する、こういう中で一番犠牲になっている庶民の生活というのをどうして守っていくのかというのが私は政治のあり方でなくちゃならぬのじゃないだろうか。 言われるとおり、金利を引き下げして企業の金利負担というのを軽くして、これによって経済活動を強めよう、不況を克服しようという一つの方法かもしれません。しかし、これは庶民の肩がわりによって行われるということをはっきり指しているのじゃないでしょうか。これについてまず私は金利引き下げの問題についてそういうふうに感じます。この辺について郵政省、郵政大臣は郵便貯金事業を通じて三十兆を預かっている、大蔵政務次官は金融政策の中心におる、この辺についてどういうふうにお考えになっておるのか、まず、この御見解をひとつ承りたい。
○政府委員(斎藤十朗君) 案納先生がただいまおっしゃられたこと非常にごもっともなような気がいたすわけでございます。で同時にまた、金融全般を見てみますとき、私が申し上げるまでもなく、お預かりしたものを運用をして一般金融機関というのは成り立っておるわけでございますので、そのときどきの経済情勢に合わせた金利の高低というものにつれて預金金利というものもある程度リンクせざるを得ないということも、これも御理解をいただけることだろうと思うわけでございます。 また、金利を下げて景気を回復させる、そのためにいわゆる庶民の犠牲の上にという御見解でございますが、そういった面も確かにあろうかと思いますが、しかしながら、景気が浮揚をしてくるということによっていわゆる個人生活が潤ってくるというようなことを考えまするときに、私は一概にそうも考えられないんではないかというふうに思うわけでございます。しかしながら、そういった面を十分考慮をいたしまして、たとえば今回の場合にも行いましたが、いわゆる福祉預金というような形で本当に恵まれない方々に対する手を差し伸べる、そういうようなことも十分考えて、この金利問題に対処しておるというふうに御理解をいただきたいと思います。
○政府委員(神山文男君) 郵政省の方はどう考えるかというお話もございましたので、私からお答えいたします。 郵便貯金の金利の決定でございますが、先生御承知のように、郵便貯金法第十二条でその原則と言われるような規定が決められているわけであります。「郵便貯金が簡易で確実な少額貯蓄の手段としてその経済生活の安定と福祉の増進のためにあまねく国民大衆の利用に供される制度であることに留意し、その利益を増進し、貯蓄の増強に資するよう十分な考慮を払う」ということが一つでございます。もう一つは「あわせて一般の金融機関の預金の利率についても配慮しなければならない。」こういう二つの決定原則が掲げられておるわけであります。 私どもとしては、郵便貯金の利率を決定するに当たっては、この決定原則の精神にのっとってやらなければならないわけでありますが、この預金者の利益増進に十分な考慮を払うという前段の決めでございますが、これは貯金の利率は高ければ高いほど望ましいということは言うまでもありませんが、そのときどきの経済情勢あるいは金利水準あるいは貯金の利率と預託金利との関係、そういったいろいろの問題がありまして、そういった条件を総合的に判断してその条件のもとにあって許す限りのできるだけ有利な利率をつけるということがこの前段の精神であろうと考えておりますが、また、後段の、一般の金融機関の利率についても配意しなければいけないということになっておりまして、御承知のように公定歩合も二回にわたって一・五%という大幅な引き下げが行われ、また市中の金利水準も低下を促進されているところであります。民間の金融機関の金利も郵貯に先駆けて引き下げられておるというような情勢を勘案しまして、慎重に検討した結果、利率を引き下げるということにいたしたわけでございます。
○案納勝君 神山さんね、それはもうこの間から何回と同じことを聞いているわけです。そんなことを私は答弁受けようと思っていない、時間もありませんから。 そこでね、斎藤さん、小宮山さん、多くを申し上げませんがね、四月の二十二日の日経の記事でね、今日のいま申し上げたように個人預金あるいは企業預金、こういう問題について、この利下げの問題と絡んで、財界の一部の意見として個人預金と企業預金を分離する、そしてその上に投資の拡大を図る、こういうことが載せられています。これは財界が今日までとってきた金利政策というのが、庶民を犠牲にした、ある意味では独占大企業本位であったということをみずから認めた内容だと思うんです。そして、この内容は、ある意味では、欧米諸国のとっている政策を導入して、国民の不安をある程度抑えようというアドバルーンを上げた内容だと私は理解をします。しかし、この中で、今日の日本の金融事情の中からこれを見た場合でもすぐ当てはまるというわけにはいかないと思う。いま、じゃ日本のわが国の場合に個人投資の増大をやりなさい、こういうことになっても個人が、庶民が投機的なそういう投資をする情勢にはありませんし、選択しても果たしてその利益を守られるかどうかということについても保証がない。 そこで、問題は、個人預金と企業預金の分離というこの提案については、私は、ある程度評価ができる。この上に立って今後の金利政策というものを組み立ててみるということが金利政策上わが国の場合必要ではないか、こういうふうに私は考えるんです。 これには幾つかの問題があります。しかし、私は、四月二十二日の日経の記事については、きのう係の方がお見えになったときに、読んでもらうようにお話をしておきましたが、いま申し上げましたように、今後の金利政策、あるいはその中で個人預金と企業預金の分離や、あるいは個人の投資の拡大という、そういう方向で金利政策を進めていく、再検討するという、こういう提起について、斎藤さん、あるいは小宮山さん、どういうふうにそれぞれ考えられるか、問題の提起としてひとつお答えをいただきたい。
○国務大臣(小宮山重四郎君) 住銀の西村さんという方が、個人と企業預金を分離しろ、欧米でやっていると。実際、余り欧米では即効は上がっておりません。できれば、やれば本当に言って背番号かなんかつけちゃいまして、がっちりやるのが本当なんですよ、私はそう思っております。しかし、そうはいかない。個人預金全部をそういうことで、ですから、この住銀の西村さんのビジョンというのは非常に非現実的だと私は思っております。 もっと実際的な物の考え方をしなければならないのであって、個人預金と企業預金を、先ほど先生がおっしゃっておりましたように、預金の中でも中小企業の預金が個人預金として出ているというふうなことになると、それをどういうように分離をするかというような問題が大変問題点であろうと思いますし、そういうようなことから考えましても、私は、金融機関等すべてを含めてのマル優からの脱税を防止するためには、やはり背番号方式なんというのが非常に効果的なことであろうと思いますけれども、それができるかどうかという問題もひとつ絡みますけれども、個人預金と企業預金を本当に分けるのはむずかしいことだと思います。その辺のところは、私この論文をちょっと見ましたけれども、大変むずかしいテーマではないかと思っています。
○案納勝君 斎藤さんね、私は、いま郵政大臣からはむずかしいテーマだとありましたが、いまの金利政策そのものは、もう繰り返しませんが、やっぱり何といっても結果的に庶民の零細な貯金を預かっている郵便貯金としては、法十二条による国民経済の安定、福祉の増進という目的とは逆行した措置だと思う。あるいは金融政策全体から見ても、銀行の個人預金、郵便局の九九%あるこの零細預金に対する今日の金利政策の取り扱いというのは、国民の、庶民の生活を犠牲にした私は金利政策だと、大企業中心の金利政策だ、庶民の犠牲の上に立って行われているにすぎない、こういう指摘が私は成り立つ。 その上で、私がいま提起をしたのは、郵便貯金事業というものが庶民の生活というものの福利を、あるいは生活の安定というものをもっと重点に考えていくとするなら、またいかなくちゃならないし、その意味では、この個人預金と企業預金の分離等を通じて、金利政策を抜本的に考えてその措置を考えるべきではないのか、検討すべきではないか、こういう考えをいま大臣に申し上げて答弁いただいたんですが、余りしっかりした答弁ではないんです。 私は、そこで、もっと突っ込んでぜひ検討をしていかなくちゃならない問題として、郵便貯金を民間の機関との相関関係でどういう位置づけをしていくのかということが私は今日の段階ではきわめて重大なことではないかと思う。そして銀行の個人預金も連動させなくちゃなりませんが、個人預金については、物価スライドを最低保障として運用利益を還元するという、もっとその面に力を入れた政策というものを今後の金利政策の中で打ち出すべきではないか。 その上で、郵便貯金、銀行預金の個人の保護策というものを民間・郵貯あわせて個人貯金には連動させていく。もっと郵便貯金事業の中で庶民の預金というのが庶民に還元される方策、マル優の制度に連動させる意味で現在の総額制限を引き上げる、あるいは郵貯の貸付制度をもっと個人の福祉サイドから拡充させる、郵便貯金の自主運営というものをもっと図っていくということを、私は、今後の郵便貯金事業を進めるに当たって、国の政策に貢献をしている庶民の金融として、郵便局の窓口等を通じて、いま言った郵便貯金事業というものについてもっと抜本的に取り入れていくということが金利政策全体とあわせて考慮されるべきではないかと思いますが、斎藤さん、これらについては大蔵省はどのように考えられておりますか。後ほどちょっと触れます今回の郵政審議会の四つの要望というものと相関連をさして、大蔵省としてはこれらについてどのようにお考えになるか、御意見があればお聞かせをいただきたいと思います。
○政府委員(斎藤十朗君) 先生の御議論の中で、その根底になります個人預金と企業預金の分離という問題でございますが、いま郵政大臣からもお話がございましたように、私どもも現実問題としては非常にむずかしい問題であるというふうに考えております。そしていろいろ分析をいたしてみますと、かえって先生がおっしゃるような所期の目的を達せないような逆転現象が起きてしまうような現状ではないかというふうにも考えるわけでございまして、非常にむずかしいものであるというふうに考えております。 また、いまおっしゃられました預金金利の物価スライド制ということにつきましても、お考えはわかるわけでございますが、物価上昇それ自体を抑制するというものにはならないわけでございまして、かえってそういったことをするということは物価上昇を認める、追認するということに、制度的に認めることになろうと思いますし、また、それによってなおインフレを加速化するというような問題点も出てこようかと思うのでございます。われわれといたしましては、それよりも何よりも、まず物価の上昇を抑制をするということを最大の眼目にいたしまして全力を挙げて努力をいたしておるわけでございますが、そういった方向から取り組んでまいるのが妥当ではないかというふうに考えております。 また、御議論の根底にございます、庶民の零細な預金であるので、それを還元をするべきであるというお話、基本的なお考えの底流にあることでありますが、この点につきましては、御承知のように、いわゆる国民全体の福祉ということをとらえて政府の運用部資金の中において財政投融資という形で運用をいたしております。特にそういった中で、いわゆる生活関連、福祉政策に関係の深い問題、よく一−六分類と言われておりますが、そういった項目に重点的に資金を配分をするということにおいて、この郵便貯金の資金の運用がもって国民の福祉に寄与するというところに帰着するように、いままでも努力いたしてまいっておりますし、今後とも努力をいたしてまいる所存でございます。 —————————————
○委員長(神沢浄君) 質疑の途中でございますが、委員の異動について御報告いたします。 森勝治君及び森中守義君が委員を辞任され、その補欠として寺田熊雄君及び安永英雄君が選任されました。 —————————————
○案納勝君 どうも時間がないので、途中割愛しながら言っているので、十分な論議ができないようであります。これらについては、後日、改めて逓信委員会といわずに、他の場を通じてひとつ十分に御意見をお聞かせをいただきたいと思います。 そこで、急ぎますから次に入ります、端的にお聞きしていきます。 まず、郵政大臣にお聞きしますが、金利引き下げについて郵政審議会に諮問をされた。金利引き下げは郵政審議会の諮問を経て行うということに法律的になっております。ところが、郵政審議会で、これは同僚議員からも質問されたんですが、もう神山さんは繰り返し答弁しなくてもいいですが、四つの要望が出された。その中に大変重大な内容があるわけであります。それは大臣がさきに学資ローンの構想を発表されました、これともつながっているわけです。そこで私は郵政審議会の要望というのは単に要望ではない、金利引き下げの問題と相関連した一対のものだと思う。だとすると、片方だけ先食いして片方はそのままでございます、こういうことにはならない、私はこれは条件だと思う。 しかも、大蔵の事務次官が郵政審議会には入ってきています。各関係の方々が郵政審議会の構成メンバーです。この構成については大変意見のあるところですが、きょうはそんなこと言ったらまた時間がかかりますから言いませんが、そうだとすると、あの四つの要望というのはどのようにして完全に実施をしていく考えなのか、この点を明らかにしていただきたい。 時間がありませんから、かいつまんでいきます。関連をして、大臣が学資融資の学資ローンを提案をされました。私は大変実は評価をしているんです。先ほどの山中さんじゃありませんが、こういう姿勢について大変私は評価をしています。郵便局で零細な貯金を窓口を通じて集めて、郵便貯金を通じて国民生活を維持し、福祉を向上させるという意味での郵便貯金事業としては、私、一歩前進の問題だと思います。 しかし、この場合に、たとえば資金運用部資金法第一条、第二条、その他の法改正が当然必要になってきます。この法的手段をどういうふうに講ずるお考えなのか。さらには、郵政省が二%の自主運用というふうにいま言われていますが、これは郵便貯金金融公庫なんていうやつでもつくってでも自主運用せざるを得ないと思うんです。これは現在現存する公庫や特殊法人としては、これは政府機関でありますが、これらがやはり法的措置が伴ってきます。だから、そういうことをどういうふうにお考えになっているのか、ひとつ明らかにしていただきたい。それから、貯金の増加額の二%程度、先ほども言われましたが、この根拠はどこにあるのか。 それから三点目は、これは一遍で言いますから、時間の関係で、一遍に答弁をひとつしていただきたいです。入学金の貸し付け及び歯科大学や幼稚園を対象にした私学の助成、このための融資というのは、ある意味では、先ほどちょっと雑談をしていたのですが、必然的に長期低利とならざるを得ないと思うんです。そうなると、その場合に、貸し付け及び融資利子が現行の預託利子と比較してどうなるのか。もし低利の場合に、いまの郵便貯金会計の赤字を生ずるようなことにならないのか、この辺の心配もあります。それから入学金の長期低利貸し付けが郵貯預金者の子弟を対象にするという構想を持っておられるようですが、この場合、定額などを担保にとるのか。とるとすれば、現行の「ゆうゆうローン」との関係はどういうことになるのか、こういった問題が実は重要な問題としてこの中にあります。 さらには、五十三年度郵政予算に反映させる構想というふうに聞いていますが、郵政省の概計要求は例年八月のはずであります。大臣及び郵政当局は本年八月までにこの構想を固め切るという腹なのかどうか。この辺について郵政大臣の御答弁をお聞かせいただくと同時に、大蔵省として、いま一連の私が申し上げました郵政審議会の答申、さらには学資ローンについてどのように考えておられるのか、この辺もあわせて御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(小宮山重四郎君) 四つの要望というのは、御承知のとおり、物価対策に全力を挙げろという、これはもうもちろんであります。 それから二番目の、直接的融資方式を検討せよ、非常にきつい言葉であります。いまだかつてない附帯決議だと思いますし、私自身もそれは郵政審議会の命令だと思っておりますので、今後とも、いろいろな意味でも実行に全力を挙げていく。なお、当委員会にもいろいろ御相談、御支援のほどをこの機会をかりましてお願い申し上げておきます。 その中での問題が学資ローンのような問題であります。成長期の子を持っているお母さん方が一番困っているのはやはり入学金の問題である。中学校、高等学校、大学等の問題がございます。これはいま郵政省内部で、どのような形がいいかということで大変詰めておりますので、これは担保をとるのかとらないのか、金利はどのぐらいにするのかというようなことで、目標の予算額というものはどのぐらい必要なのであろうかということを検討いたしております。で、この二番目の問題はそういうことで検討をいたしておりますので、八月の予算時期に間に合うかということになりますと、これは七月の下旬にやりますので、大体、八月いっぱいまでには何とか形をつけたいと思っております。 で、三番目には、これは資金運用部資金の直接的なやはり問題で、これは大蔵だけではなくて、やはり郵政でも考えなさいということの意味が含まれているような問題です。で、その二%論が出てくるわけなんです。 二%というのはどういうことなのかといいますと、実を言いますと、私の一番最初のアイデアというのは、私学、医学の問題を見ておりますと、やはり裏口入学が非常に多い。で、どのぐらい長期で借りているだろうかということを計算しますと約二千億ぐらいだろうということであります。長期だけで千六百か七百だと思いました、借りております。そのうち財投資金を使えば——昨年か五兆一千億目標額でございます、五十一年は。五兆八千億いっておるんでございます、実を言いますと、実数は。すると、その二%相当量は一千億近い金が出てくる。 そういう形で、財投の金が資金運用部資金を通して——資金運用部資金法なんぞは、先生御承知のように、ある意味では郵貯のためにあるような法律のような気がいたします。で、そういうようなことでぜひ緊急避難的な、たとえば、一つは、静岡県など地震対策に資金運用部資金を本当に貸してもらえないだろうか、安い金利で借りられないだろうかというような話がございます。それから、これは参議院の予算委員会の中でも玉置和郎先生あたりから幼稚園というような話が出てますし、あるいは信用金庫に、これはちょっと大変コスト高になるから大変ですよという話でお断り申し上げていますけれども、計算上そうなるわけでございますが、そういうようなことで、二%の根拠というのは、そういう五十一年度の計算からいうと一千億以上のものが出てくるという計算が根拠でございます。そういうようなことで、ぜひわれわれとしても資金運用部資金のやはり緊急避難的な、あるいは社会に大変影響力のあるものを積極的にやる意味でも、資金運用部資金の使用を認めてもらいたいということであります。 第四番目の問題は、これはパーソナル・ファイナンスのようなものについて調査研究会をやっていることを評価するが、今後とも鋭意検討せよという、これも新しい郵政業務の中の郵貯のあり方というものを積極的に求めよという意味だろうと思っております。 で、私自身、今回の郵政審議会の問題については、積極的に今後とも実現をしていきたいと考えておるわけであります。
○政府委員(斎藤十朗君) 郵政審議会の答申の中にございます四つの要望事項につきましては、この四点について今後検討をするべきであるということでありましょうから、その検討を待ちまして私どもも検討さしていただきたいというふうに思いますので、現状のところ、何とも申し上げにくいことではなかろうかと思いますが、しかしながら、非常に根本的な基本的な問題点を含んでおりますので、慎重に検討いたしてまいりたいというふうに思います。 また、学資ローンにつきましても、学資ローンの御構想が具体的にどういうようなローンになるのか、いろんなやり方があると思うんでございます。そういうことにおいてまたこれ検討の仕方がかなり変わってまいりますでしょうから、いま直ちにはっきりした意見を述べさしていただくという段階ではないと思うわけでございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、郵便貯金は国民一般の貯蓄の手段として利用される目的を持っておるわけでございまして、学資ローンを始めるということになりますと、この基本的な郵便貯金の性格を大きく変更をする、そしていわゆる本格的な与信業務を取り込んでいくということに変更してまいるわけでございますので、現在の金融制度から考えまして非常に大きな問題であるというふうに考えております。 同時に、こういった個々の政策目的を持った学資ローンというものを考えまするときに、先ほども申し上げましたが、全体の福祉の中で郵便貯金の資金を運用していくということを考えますときに、これだけに限ってやることがいいのかどうかということも十分考えなければならないことだろうと思います。郵便貯金の資金を政府全体として運用する中で、文教政策に対しても、その政策目的に照らして妥当な配分をしながら行っていくということでいまやっておるわけでございますので、そういった中でこの問題を考えていかなければならぬのじゃないか、こんなふうに考えております。
○案納勝君 大変重要な実は問題を含んでいますが、これやりますと時間もとります、お約束をしている時間もありますから。 ただ、斎藤さん、郵政省というのは、また郵便貯金事業に働いている人もそうなんですが、国民の立場もそうなんだ、金を集めるだけの機関なのか。銀行へ行ってもなかなか個人は借りられない。そういう借りにくいという現状、そういう中で各地方、全国くまなくある郵便局の窓口を通じての還元というものをもっとやはり考えて、国民の生活の安定を図るべきではないのか。金さえ集めればそれで郵貯事業の郵政の仕事は終わりだ、金の運用は大蔵省が勝手にやります、うまみだけは私どもいただきまして、働きバチで働きなさいと言っても、職員はそう簡単に働くわけにはいきません。いまのシステムというのは、このままだんだん推移をしますと、国民の中からも、あるいは働いている職員の側からも、郵便貯金事業のあり方というものはもっといま大蔵省が考えているような甘いものではない状態が私は出てくると思います。この辺は十分にひとつ検討をしてもらいたいと思います。 そこで、要点だけ。いま郵便貯金会計というのは実は赤字になっています。いま私は本来ならば赤字になった原因を大蔵省からお聞きしようと思うんですが、大体わかっておりますから私の方から申し上げますが、郵便貯金会計は三十五年までの赤字財政が続いたことに対して三十六年会計制度の改正によって改善策がとられました。それは特利制度の適切な運用によって赤字を克服をする、こういうことで再建策がとられた。ところが、四十八年以降今日まで、郵貯会計については、御案内のように、この特利制度の適切な運営が行われないままにきたわけであります。そこで、今日、郵便貯金事業というのは大変な赤字を抱えて不健全化を招くことになっています。 そういう中で、大蔵省に私はお聞きをしたいのですが、これらの郵便貯金会計の赤字について大蔵省はどのように理解をされているのか。今回の貯金利子改定に伴って資金運用部預託利率も六月一日から、先ほどの山中さんの質問に対する答弁じゃありませんけれども、改定されるようになりましたが、それに基づいて、郵便貯金財政の現状から、大蔵省の責任としてこの赤字について特利制度の運用を行って、その上で速やかに赤字を解消をするという措置をとるべきだと思いますが、大蔵省の御見解と郵政省の御見解をお聞きをしたいと思います。その点についての明確な御答弁をお願いいたします。
○政府委員(斎藤十朗君) ただいま先生御指摘のように、昭和四十八年、定額貯金の最高利率が六%でございましたものを六・五%に引き上げた時点がございます。そのときに、いわゆる預託利率についても同率の六・五%ということにいたしたわけでございますが、そのときに余剰金が累積千七百億ぐらい昭和四十八年度で見込まれたわけでございまして、そういったようなことから定額貯金の最高利率と預託利率の利差というものがなしできたということであったと思います。その後、何回かの改定が行われましたが、利差がなくきてまいりました。そうこうするうちに、今度は、赤字が昭和五十一年度で二千二百億円に累積をしてきたわけでございますが、そういう間に、昭和五十年の定額貯金の最高利率の引き下げ、八%から七%に引き下げた時点がございますが、この時点のときに預託利率を〇・五%引き下げることにいたして、いわゆるここで利差を〇・五%設けたわけでございます。そして、先ほどからお話のございますように、今般の引き下げによりまして、定額貯金の方は一%、預託利率の方は〇・七五%ということで、なお〇・二五%の利差を上積みをしているという現状でございます。 こういったことをいたしております現状でございますので、先ほど申し上げました五十一年の二千二百億に上る赤字というものも逐次改善をされ、近い将来にこれも解消をされていくものと私どもは考えております。
○政府委員(神山文男君) ただいま大蔵政務次官からお答えしたとおりでございます。
○案納勝君 政務次官ね、逐次改善をされていくということを言われておりますけれども、この赤字の原因は、預託利率、特利制度の適切な運営が行われなかったことによって赤字になったわけですね。言いかえるならば大蔵省の責任じゃないのですか。その責任を現場の実際にやっている事業の立場に立って見れば、今後、先行きについて逐次赤字が解消していくそういう見通しだとしても、四十八年から今日に至って赤字が依然として続いているという、現状赤字なんですね。今年度の予算の中でも赤字なんです、来年の八月の段階でも赤字なんです。赤字の状態のまま放置をして、それで貯金の会計を運営をしなさい、独立採算制でございますよと、こういう押しつけをしていって果たして健全な事業の運営というものができるというふうにお考えになっているわけですか。 預金と運用によって、それによって事業というのは収支のバランスをとって成り立つんじゃないでしょうか。働いている側から見ますと、これだけ奨励をやれば、これだけのあるいはサービスの面について必要な分野があったにしても、貯金会計が赤字の場合には、その赤字のことによって実際にそういう施策もあるいは運営もできかねるという、そういうシステムに会計というのは独立採算制になっているんじゃないですか。だとするならば、郵政省は金を集めるだけ集めなさい、運用は、うまいところは大蔵省が全部吸いますよ。赤字になりました、大蔵省の責任。それをやっと今度利率の問題で〇・五%ぐらいまたもとに返して、ある程度の事業費をその中で見ていくから、その〇・五%程度の事業費の中で何とか長い間かかって赤字を消しなさい、こういうやり方はないでしょうと私は思うのです。 私は、今回の新しい年度の際に、大蔵省の責任でこの特利制度の適切な運営がなされなかったというのが原因であるならば、その解消の措置をとるべきだ。その点について、もう一回お尋ねしますが、斎藤さん、その措置とっていただけますか、いかがですか。
○説明員(宍倉宗夫君) 四十八年当時に、先ほど申し上げましたように、預託利率とそれから定額貯金の最高のものの利率との間の差がなかったということに大きな原因があるわけでありますが、これは先ほど申し上げましたように、当時、千七百億を超える大きな黒字があったということでございます。で、その黒字は何でできたんだということを申し上げますならば、三十六年以降、ずっとたまってきたものであります。 先生おっしゃるように、毎年毎年の収支が単年度ずつ大体均衡しておりまして、いけるようなちょうどぐあいになればいいわけでござざいますが、なかなか現実の問題としてそうはまいらないということでございますと、もちろんこの会計は独立採算でいくわけでございますが、ある程度長期的に物を考えていかざるを得ないというのが現実ではなかろうかと思います。で、そういうことで今日いま赤字でございますけれども、先ほど政務次官からお答え申し上げましたように、利差が今度〇・七五ついたということでございまして、これが近い将来、収支均衡し、また収支均衡した暁におきまして今度は黒字がうんと逆にたまっていくんではないかというようなこともあるかもしれませんが、それはその辺の時点で一体どういうふうになるのか、もう一遍よく考えてみなくてはいけない問題かと思います。 なお、先生後段おっしゃっておりましたように、赤字であるならば、郵便貯金特別会計の経費かうんと圧縮されてしまうではないか、やりたいこともできないのではなかろうかという御心配がございましたが、この点につきましては、通常の一般的な行政機関といたしまして経費を節約し、なるべく最小のお金でやっていくということは当然でございますが、それ以上に郵便貯金の特別会計につきまして赤字であるがゆえに経費を節減しろということは、これはまあ私どもも言うつもりはないし、また郵政省の方でもそういうことを言ってもらっては困る、これは当然のことでございますが、そういう約束になっているわけでございます。
○案納勝君 もう時間ですが、これ、私、大変不満なんです。主計局と郵政省とそういう約束になっているというのは、それはその約束事だけにしかすぎないのであります。現実には特別会計自体が赤字になって、そういう財政状態というのは、国としては、国鉄の赤字じゃありませんが、各事業についてもそうです、そういう財政の赤字状態というのについて、これは後赤字になったってめんどう見ます、これは形式的な赤字でございますなんと言ったって通用しないんじゃないでしょうか。大蔵省は都合のいいときはそういうことを言うけれども、今度は予算の概算要求をするときにはやんさやんさ言って削って、あるいは定員増についても削りまくって、各種目についてはきわめて厳しい姿勢をとっているのが主計局じゃないですか。 また、現実に、郵便貯金事業の問題その他にとっても、三十六年から四十五年までは約一%の利差がありましたね。それから四十五年−四十六年は〇・七五、それから四十六年−四十七年は〇・五、それぞれの時期に応じて、言われるところの調整がされていっているわけです。四十八年、これは政府の責任で利率がインフレ対策として引き上がっていったんじゃないですか、そういう中で預託利子の問題についても、この辺、従来の経過を踏まえて今日までの施策の一環として特利制度の適切な運営がなぜとられてないで、それで赤字になったら〇・七五見たんだから、先もう少し様子を見てから再度調整をすればいいんじゃないかという、そういう言葉につながってくることについて、私は大蔵省の財政運営自体について大変疑義を持たざるを得ません。私はこのことについてはきわめて不満である。速やかに法で決められているような運営の措置をとってもらいたい、とるべきだ、こういうふうに主張をいたしておきたいと思います。 最後に、一点だけ聞いておきます。保険の関係であります。これも大蔵省にお尋ねをいたします。 大蔵省は、今日、簡易保険の財政の中にある余裕金、積立金というのは、これはどういう性格のものだと御理解されておりますか。また、郵政省は、同じように、どのような性格のものだと理解をされているのか、これらについてひとつ大蔵省、郵政省の御見解をお聞きをいたします。
○説明員(石川周君) 簡保特別会計の積立金、余裕金につきましては、その資金の性格は通常の特別会計の区分、経理の原則に従っているのが基本だと思いますが、積立金は決算によりまして長期的に運用されるもの、余裕金はその当該年度の運営の中に生じてくる一時的な資金、このように理解しております。
○政府委員(永末浩君) 簡易保険の収入でございますが、収入は保険料とそれから運用の収入、これがその大部分をなしているわけでございます。それから支出でございますが、支出は、そのときそのときに起こりましたところの満期であるとか死亡であるとか、こういった保険金、還付金の支払い、それから事業費、こういったものが支出の大宗をなしているわけでございます。簡易保険は長期の契約でございますので、事業が健全に発展していく限りは、必ずその年度内の収入と支出との差額が生じるわけでございますが、まあ過剰が生じるわけでございますが、この過剰額を余裕金と称しているわけでございます。 その余裕金は、形式的に申しますと、資金運用部資金法によりまして資金運用部に預託するということになっているわけでございます。ただ、これが年度決算を終えますと、積立金というような形で郵政大臣が運用することになっているわけでございます。法形式的にはそういったようなことでございますが、私が考えますのは、やはりこの過剰額というのは、一般の特別会計のお金とは違いまして、将来の保険金の支払いあるいは還付金の支払い、こういったものに備えておかなくちゃならないところの加入者の共同準備財産と申しますか、信託財産ではなかろうかというふうに思うわけでございます。
○案納勝君 そうすると、いま郵政省の保険局長の発言は、信託財産として余裕金は積立金と同様な性格を持っている、こういうふうに答弁をされたわけですか。
○政府委員(永末浩君) 実質的な問題といたしましては、当然、その過剰額というのは、将来の保険金に支払われなけりゃならないところの加入者の信託財産でございますので、積立金と何も区別する必要はないというふうに考えております。ただ、先ほども申しましたように、形式的には資金運用部資金法というのがあるわけでございまして、そのあたりの違いがあろうかと思うわけでございます。
○案納勝君 そこで、今日、簡保の募集成績というのは最近余りふるわない。全体の占有率も低下をしています。私は、これは民間保険などとの競合関係で、民間保険に劣らない商品をつくり出していく、あるいは国民のニーズにこたえるという新商品の開発や制度の改善を推進するということでおくれをとっている、そういう点が私は否定できないんじゃないか。これは多くの同僚委員が申し上げたところであります。 そういう中で、もっと積極的にそういうものを開発をしていくと同時に、保険会計というのも、運用と、これと簡保の奨励を通じて預金をする、あるいは資金を確立をする、この資金によっての運用を通じて事業というものが収支のバランスをとって成り立っていくというのが貯金と同じようなシステムだ。 そこで、余裕金と積立金については、四十一年の九月の行政管理庁の勧告でも、余裕金を自主運営せよという勧告が、斎藤さん、出されているのですよ。さらに、郵政審議会でも二回にわたって答申が出されている。本委員会においても四十九年五月、五十年十二月と簡保会計の問題、簡保法改正の附帯決議として出されている。 いま、この余裕金の問題の取り扱いについては、戦後の取り扱いになっています。要するに、戦後新しい、こういう途中では積立金の運用等についての法改正がなされましたが、自主運用が行われず、資金運用部資金の中に操り入れられていく、余裕金が。こういうのが戦後ずっと引き続いて残されてきている。私は、簡保の事業自体はまだ戦後が終ってないという現状じゃないでしょうか。そういう面からも、この余裕金はいま言う実体的には信託財産として積立金と同様の性格を持つ、こういうものだけに行管からの勧告もなされ、郵政審議会から二回にわたって答申もなされている、そういう性格のものである。 したがって、私は、この際、国民のニーズにこたえ、簡易保険という事業が、その意味で戦前は独占企業でしたけれども、今後、民間企業やあるいは外国の保険会社との競合、こういう中で保険の持つ国民の福祉を増進をするという国の簡易保険事業として成り立っていくためにも、どうしても、この際、余裕金の自主運用という問題について大蔵省も踏み切ってもらいたいと思いますが、この辺について、大蔵政務次官、どのようにお考えになっていますか。賛成だと一言言ってもらえば、後は手続上の問題が残りますので、郵政省の方の見解もあわせてお聞きをいたしたいと思います。
○政府委員(永末浩君) ただいま先生から簡易保険の伸びが鈍化しているんじゃないかというお話があったわけでございます。確かに十何%の対前比伸び率を示していたわけでございますが、五十一年度の結果を見ますると二・何%という対前年度の伸び率であったわけでございます。 その原因としまして、私たちが考えておりますことは、非常に景気が停滞しているというようなこと。あるいはまた募集の適正化というのをここ数年来非常にやかましく言ってまいりました、そういったこと。それからまた集中満期というものが五十一年度底をついていたわけでございます。五十二年度からはかなり満期の数が多くなるというようなことでございます。 それはどういうことかと申しますと、簡易保険というのは、やはり外務員が加入されようとしておられるところの家に行きまして、潜在需要を顕在化するというような非常にむずかしい仕事であろうかと思うわけでございますが、満期になりました際には、外務員がおたくの保険は満期になりました、保障期間も終わりましたというような形で、新しくまた入ってくださいというような形で行われているわけでございまして、こういったことも考えますと、五十二奨励年度からは次第に上向いていくんじゃないだろうかというふうに私たち期待しているところでございます。 先生が原因として取り上げられましたのは二点あろうかと思うわけでございます。 まず、簡易保険が新商品の開発がおくれているということが取り上げられたわけでございますが、私たちは決してそういうふうには思っていないわけでございます。民間保険の動向を見ますると、四十九年ぐらいから超大型の商品というものがたくさん出てまいりました。たとえば社によっては不慮の事故などの場合に五十倍保障するというような超大型の商品が出てきたわけでございますが、こういったことはやはり簡易保険は無診査保険でございますので、いかがかと思われるわけでございます。それから新種保険としまして外国から、四十九年でございましたか、がん保険というのが登場してまいりました。これに刺激されまして民間保険では疾病のみを保障するような保険というのが続々と出てきたわけでございます。たとえば成人病のみを保障するところの保険とかいうようなのが出てきております。 で、私たち、民間保険の動向というものを十分に考え、また検討してはいるわけでございますけれども、一体、こういった特定の疾病に保険というものが傾斜するということはいいことかどうかというのが私まだ疑問を持っているわけでございます。決して民間保険を批判したり悪口を言ったりするわけではございません。民間保険は民間保険なりに新種保険を開発する、その必要性はあろうかと思うわけでございますが、簡易保険としましては、国営保険として、まあ四、五年売れればそれでいいというような保険の商品であってはならないと思うわけでございます。新しい商品をつくるからには、やはり長期にわたって国民から親しまれるところの保険でなければならないというふうに思っているわけでございまして、そういった意味におきまして、今度お願いいたしておりますところの定期保険に疾病傷害特約をつけるというような、これもある意味では新商品ではないだろうかと思うわけでございます。そういったことで新商品の開発につきまして私たち民間におくれているというふうには考えてはいないわけでございます。 それから、既存商品でございますが……
○案納勝君 わかっているんだよ、それはわかっている。わかっているからいいよ。
○政府委員(永末浩君) 既存商品につきましては、簡易保険と民間保険、一長一短あろうかと思いますが、一番気になるのは民間保険との運用利回りの格差があるというようなことでございます。この点につきましては、運用利回りの向上に努めるようにいままで努力してきたところでございます。で、その原因といたしましては……。
○案納勝君 わかっている。あなたの方より向こうに聞いているんだから。斎藤さんの方に聞いている。
○説明員(石川周君) 先生御質問の余裕金の問題につきましては、長い間、郵政省と私どもといろいろ議論を尽くしているところでございまして、なかなか簡単に結論が出しにくい大きな問題であることは御承知のとおりかと存じますが、大蔵省の立場を申し上げますと、特別会計の余裕金、積立金といったものは、やはり一元的に集めまして統合管理をいたしまして、国民の全体のために効率的に運用していくということが非常に大事であると、その基本原則がございまして、私どもはその基本原則からはできるだけ外れたくないと、そこで簡保の積立金だけは、大正の創立以来、例外中の例外としてこれだけは分離運用しているというのが現実でございまして、戦時中統合運用になりましたけれども、戦後、先生の御指摘のように分離運用に復したわけでございますが、その例外中の例外をさらにふやせということにつきましては、大蔵省としては非常な抵抗感を感ずるわけでございます。 この簡保のいろいろな御要望なり問題点なり、私ども承っております。議論さしていただいておりますし、特に簡保の利回り向上につきましては、ずいぶんと毎年度いろいろ御相談しながら私どもなりに努力させていただいているつもりでございまして、かつて民保との利回り格差が三%以上四%近くもあった時代があったんでございます、戦後。まあ四%近くと言うと大げさでございますが、三・五、六、七%ぐらいの利差があった時代があったんでございますが、五十年度決算では、それが一ポイントちょっとの利差まで下がってきております。これはやはりいろんな議論を踏まえながらも郵政省と私どもと相談をしながら、そういうふうに改善をしてきた結果、私どもと言うと大変失礼でございますけれども、そこはおくみ取りをいただきたいと考えております。
○案納勝君 終わりますが、大蔵省は大蔵省の論理でしょうが、大変納得できないところであります。これは強く要望をして、いずれ他の場でも論議をしなきゃいかぬと思います。 それから最後に、保険局長言われましたが、私はそういう答弁をお聞きしているんじゃない。よくわかっているのですが、今日きわめて適切な保険審議会の答申が出されているのですね。この答申を見ても、簡易保険においてやっとクーリングオフ制度の創設を提案をされている。私は募集の姿勢の問題だってまだ本当に品位のある姿勢を確立したとは言い切れない。本当ならそのことについて、私、ここに資料あるんですが、きょうは時間の関係で省略をします。 いま保険事業で一番大事なのは、確かに今回目標額も一五%ですか、しかし、現実にこの二、三年というのは一二%台にとどまっている、伸び率が。なかなかむずかしい、一五%に伸ばすのは。それはみんな職員も努力もするでしょうが、私はもっとやはり時代の感覚を先取りしていく、国民のニーズにこたえるという姿勢が一つはもっと必要じゃないのか。もう一つは、募集の品位ある姿勢という外野活動、これはもっと定着させなければいけない、いま一番定着させなければならぬことじゃないか、こういうふうに考えているわけです。 私は、きょうは、もうこれは触れませんが、ひとつ今後、保険事業は今回の法案を通じてその辺についても十分御検討をいただきまして、大蔵省との関係もありましょうが、さらに、郵政大臣も、積極的に余裕金の自主運用という問題はきわめて重大な問題だけに一段の御努力をお願いをしまして、大変長くなって申しわけありませんが、きょうの質問を終わります。
○委員長(神沢浄君) それではちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(神沢浄君) 速記を起こしてください。 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(神沢浄君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。両案について御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(神沢浄君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 まず。郵便貯金法の一部を改正する法律案を問題に供します。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(神沢浄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 次に、簡易生命保険法の一部を改正する法律案を問題に供します。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(神沢浄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 案納君から発言を求められておりますので、これを許します。案納君。
○案納勝君 私は、ただいま可決されました郵便貯金法の一部を改正する法律案及び簡易生命保険法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、日本共産党、民社党及び第二院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 まず、郵便貯金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案文を朗読いたします。 郵便貯金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、経済情勢の推移にかんがみ、国民大衆の零細貯蓄の手段である郵便貯金の預金者の利益保護に特段の考慮を払うとともに、次の各項の実施に努めるべきである。 一、郵便資金の運用については、国民の福祉の増進にいっそう寄与するよう、特に配慮すること。 一、現行貸付制度の拡充をはかるほか、いっそう国民の経済生活の充実・安定に資するため、郵便貯金による新たな融資制度についても検討すること。 一、国民の堅実な貯蓄性向にかんがみ、郵便貯金の預入制限額の引き上げをはかること。 一、郵貯会計の累積赤字を早期に解消し、郵貯財政の健全化をはかるため、預託金に対する特別利子付加制度を適切に運用すること。 右決議する。 次に、簡易生命保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案文を朗読いたします。 簡易生命保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本法の施行にあたり、次の各項の実施に努めるべきである。 一、簡易保険の募集については、国営事業にふさわしい節度ある適正な募集活動が行われるよう不断に厳正な指導を行い、加入者利益の擁護に万全を期すること。 一、簡保会計の余裕金は、加入者の信託財産として、積立金と同一の性格を有するものであることにかんがみ、積立金と同様直接運用する制度の早期実現について積極的に検討すること。 一、国民の保険需要の多様化および消費者意識の高まりに対応し、新種保険の開発、保険制度の改善についていっそう努力すること。 右決議する。 以上であります。
○委員長(神沢浄君) ただいま案納君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 まず、郵便貯金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(神沢浄君) 全会一致と認めます。 次に、簡易生命保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(神沢浄君) 全会一致と認めます。 よって、案納君提出の両附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、小宮山郵政大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。小宮山郵政大臣。
○国務大臣(小宮山重四郎君) このたびは、慎重な御審議をいただきまして、ただいま郵便貯金法の一部を改正する法律案及び簡易生命保険法の一部を改正する法律案の御可決をいただきましたことを厚く御礼申し上げます。 この委員会の審議を通じまして承りました御意見につきましては、今後、為替貯金事業及び簡易生命保険事業を運営していく上で、十分生かしてまいりたいと存じます心 さらに、ただいまの附帯決議につきましては、今後、その趣旨を尊重してまいりたいと存じます。まことにありがとうございました。
○委員長(神沢浄君) なお、両案についての審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(神沢浄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時五十九分散会