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80回国会参議院1977/05/17

地方行政委員会 第13号

発言数
224
登壇者
14
会派数
3
開催日
1977/05/17

会議録

高橋邦雄自由民主党

○委員長(高橋邦雄君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  五月十二日、和田静夫君が委員を辞任され、その補欠として加瀬完君が、五月十三日、戸塚進也君、小山一平君及び久保亘君が委員を辞任され、その補欠として金井元彦君、片岡勝治君及び山崎昇君が、五月十四日、藤原房雄君が委員を辞任され、その補欠として多田省吾君がそれぞれ選任されました。  また、五月十六日、長田裕二君、嶋崎均君、中西一郎君及び中村太郎君が委員を辞任され、その補欠として鳩山威一郎君、鍋島直紹君、後藤正夫君及び片山正英君が選任されました。     —————————————

高橋邦雄自由民主党

○委員長(高橋邦雄君) 理事の選任についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い、理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高橋邦雄自由民主党

○委員長(高橋邦雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に野口忠夫君を指名いたします。     —————————————

高橋邦雄自由民主党

○委員長(高橋邦雄君) 次に、地方行政の改革に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 私は、成田における東山薫君を死に至らしめたと言われている警察官の過剰警備の疑いについて質問をいたします。  まず最初に、御確認をいただきたいのでございますが、ここに三つの物件がございますが、これはどのように使用されておるものですか。並びにその性能について御説明をいただきます。これは何でしょう。

鎌倉節警察庁警備局参事官

○説明員(鎌倉節君) ただいま先生のお持ちになっておるのは催涙ガス弾だというふうに思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 これは二つ同じような物がありますが、これは何ですか。

鎌倉節警察庁警備局参事官

○説明員(鎌倉節君) 同じく催涙ガス弾の模擬弾だと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 これは模擬弾ですね。こっちはガス弾ですね。穴があいていますね。何なら御確認くだすって結構です。

鎌倉節警察庁警備局参事官

○説明員(鎌倉節君) 後ほどお示しになられたのは同じく催涙ガス弾でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 この模擬弾は平常どのような使用をいたしておりますか。

鎌倉節警察庁警備局参事官

○説明員(鎌倉節君) 平常は訓練等の場合に使いますし、また、実際の場合にはいわゆる制圧用具として使っております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 ガス弾使用訓令というのが当然あると思いますが、それには、いまおっしゃったような模擬弾の使用の規定があるんですか。実際の場合に使うというなら模擬弾じゃないでしょう。模擬弾もそのように使っていいということになっているんですか。

鎌倉節警察庁警備局参事官

○説明員(鎌倉節君) 使用規程の細かい点につきましては、今後の使用の実際の問題がございますので、答弁を控えさしていただきたいと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そんなばかなことはありませんよ。全部公開しろというならば全部は公開はできないということもありますけれども、私は具体的に、模擬弾はいま御説明のように、実際の警備に当たって使用するというように訓令の中に含ませているのかどうなのかと聞いているんですから、いるとかいないとか、それすら答えられないということはどういうことですか。

鎌倉節警察庁警備局参事官

○説明員(鎌倉節君) 具体的にどういう弾をどういうふうに使うということは、警備実施の実際の中身になりますので、同じく答弁を差し控えたいと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 ガス弾がありますね。ガス禅使用の演習用とか訓練用に模擬弾が使われるというのが常識でしょう。あなた方はこれを模擬禅と言っている。場合によってはガス弾も使う、こちらの方も使うということであれば、両方これは模擬弾じゃないじゃないですか。これも一つの武器じゃないですか。そう解しているんですか。

鎌倉節警察庁警備局参事官

○説明員(鎌倉節君) ただいまお示しのガス弾につきましては、私どもは武器とは思っておりません。これは制圧の用具でございまして、それぞれの事象に応じて制圧のために使う、こういう次第でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 警棒、警杖に至るまで、使用によっては武器とみなすということになっているじゃないですか。したがって、拳銃もガス禅も、場合によっては武器として使用することもあり得るということじゃないんですか。絶対に武器としては使用しないということですか、ガス弾は。

鎌倉節警察庁警備局参事官

○説明員(鎌倉節君) それぞれ用法上の武器になり得る場合もございますし、それぞれ武器的な使い方をする場合も場合によってはあるわけでございますが、ただいまお示しの催涙ガス弾につきましては、制圧の用具として私どもは使っておるわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 武器としては使っておらないということですね。それは確認していいですか。模擬弾にしても、このガス弾にしても、武器としては一切使わない、制圧用だと、こう解していいんですね。

鎌倉節警察庁警備局参事官

○説明員(鎌倉節君) 本来的に制圧の用具でございますが、それぞれ警棒にしましてもあるいはガス銃にしましても、場合によっては武器的に使うことは当然あり得るわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それを言っているんですよ。だれも警棒が初めから武器だの、これが武器だのと言っているわけじゃない。武器として使う場合もあるということであるならばこれは模擬弾とは言われないだろう。性能の違うやっぱり銃弾になるんじゃないですか。模擬弾と言うならば、ガス弾を使う訓練のために使って初めて模擬弾でしょう。警察の解釈によると、ガス弾とガスを発射しないガス弾に類似したもう一つの弾がある、これは場合によっては時として武器として使う、こう解釈できますね。それでいいですか。

鎌倉節警察庁警備局参事官

○説明員(鎌倉節君) ただいまお示しのガス弾は、その中に含まれております催涙ガスによりまして、その催涙ガスの効果によりまして鎮圧をするという用具でございますので、その催涙ガスが出ないという意味におきまして、これは模擬弾というふうに申し上げておるわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 じゃ、模擬弾はどういうことに使用するということの規定ですか。

鎌倉節警察庁警備局参事官

○説明員(鎌倉節君) 先ほどもお答え申し上げましたように、訓練の場合にも使いますし、それから制圧の場合に、いわゆる警告のような、音による警告といいますか、威圧といいますか、そういうふうな使い方をするわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そうすると、これはガス弾、こっちは音響弾、こういうことになるわけですね。ガス弾の模擬弾ということではないということになりますね、使用の状況からすれば。通常あなた方はこれを模擬弾と言っているけれども、ガス弾とあなた方の言う模擬禅とはそれぞれ使用目的が違うんだと。しかし、ガス弾の使用訓練に使うということではなくて、これも場合によっては武器として使うんだ、こういうことですね。

鎌倉節警察庁警備局参事官

○説明員(鎌倉節君) それは武器として使うということではございませんで、繰り返し申し上げておりますように、制圧の用具としまして、その具体的な使い方といたしましては、その催涙ガスを発射する場面が必ずしも適切でないというような場合に、音によりまして、まあ最小限の力で最大の効果を上げるようにいろいろ工夫をいたしておりますので、そういう場合に使うことがあるというわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 私の言い方が正確でありませんでした。時として武器として使うこともあり得る、これは認めますね。そして、ガス弾と、模擬弾ではない音響禅として使うんだ、こういうことですね。そこで、ガス弾あるいは模擬弾の性能、特に人命に与える条件などについてはどう検討されておるんですか。もう一回申し上げます。ガス弾、あなた方が模擬禅といま称しておった音響弾、この二つが場合によっては人命にどういう影響があると。その性能についてはどういう調査をし、どういう使用についての警戒をしているのですか、その点について伺います。

鎌倉節警察庁警備局参事官

○説明員(鎌倉節君) ガス弾につきましては、そのガスの効果が一過性のものであり、後に残らない、人体に後々影響がないというようないろいろな調査を行っております。ただ、おっしゃるように模擬弾そのものは、先ほども申し上げましたように、そもそもガスが中に含まれておりませんので、ガスによる効果というような点についてはもちろん問題になりませんので、そういう意味の調査はいたしておりません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そんなこと聞いていませんよ。ガス弾なりあなた方の称する模擬弾、時として武器として使うこともあるとするならば、人命に対してどういう影響があるかという、この二つの性能というものは十分調査されてあってしかるべきだ。性能はどういうものなのかと、そして人命を損傷しないような注意なり準備なりというものについてはどういう指導が行われているのかと、こう聞いているんです。

鎌倉節警察庁警備局参事官

○説明員(鎌倉節君) ガス弾につきましては、催涙ガスによりまして制圧をするということでございますので、それがどれぐらいの到達の能力があるか、あるいはどの程度の制圧の効果があるかというようなことにつきましていろいろ検討をいたしております。ただ、おっしゃいますように、その弾がどういう性能とおっしゃる意味は、恐らくそれが当たった場合にどうこうということをおっしゃっているのだろうと思いますが、それは本来のガス銃の目的でございませんので、まあ例は適切でないかもしれませんが、たとえば野球の選手が、ピッチャーがボールを投げましてそのボールに当たっても、ある場合には人命にかかわるというような場合もありますので、そういう意味でそれが当たった場合にどうかというようなことであれば、それは物一般の問題だろうと思います。私どもとしましては、催涙ガス等につきましては、催涙ガスの効果によって制圧をするという目的に応じましてあくまでも物を考えておる、こういう次第でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 だから、応じましてどういう指導をしたかと聞いているわけですよ。そうすると、使用者に対しては、警察庁としては、デッドボールを食ってけがをするような場合はあるかもしれぬけれども、さして使用上人命を損傷するというような問題が起こるはずはないというので、人命損傷にならないような注意というものはしていないと、こう解していいですね。

鎌倉節警察庁警備局参事官

○説明員(鎌倉節君) そういうことではございません。もちろん制圧の器具ではございますが、人命あるいは健康、いろいろ関係ございますので、その使用につきましては内部の細かい規程をつくりまして指導いたしております。たとえば、非常に狭いところでたくさん打ったりいたしますと濃度が非常に濃くなって大変である、それからどれぐらいの距離に到達をすると、そういうふうなことをいろいろ検討しまして内部を指導しておるところでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 二つ質問します。そういう使用についての訓令なり指導の内容なりというものを、国会でも口頭説明もできないというのは一体どういうことだ。なぜそういうことを秘密にしておく必要があるのか。人権無視もはなはだしいじゃないですか。それが第一点。  それから、具体的に成田の場合、警察官にはいまおっしゃるような十分な人命の損傷のないような指導が行われておったと解してよろしいか。

鎌倉節警察庁警備局参事官

○説明員(鎌倉節君) 使用につきましては、内部の規程をもちましていわゆる細かな規程をたくさん設けまして規定をしておりますが、その具体的な内容につきましては、今後の使用の効果というふうな点を考えまして答弁を控えさしていただいておる次第でございます。  それから、後段の成田の問題につきましては、これは日ごろから訓練一般につきましてその適正な使用ということについて常時訓練をいたしておりますし、また成田につきましても、常と変わらず適正な使用をするように十分指導をしておるところでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 適正な使用とはどういうことですか。一番注意していることはどういうことですか。

鎌倉節警察庁警備局参事官

○説明員(鎌倉節君) このガス銃につきまして、内部の使用規程にありますような使い方ということでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それは説明納得できませんから、先へ進んで後でもう一回繰り返します。  そこで、具体的な質問の第一点は、法制局に伺いますが、治安の維持の理由があれば、警察法の目的とする人命、財産の保護を放てきしても、無差別武器使用は当然という考え方が認められますか。

味村治内閣法制局第二部長

○政府委員(味村治君) 警察法の第二条にも書いてございますように、「警察の活動は、」云々云々で、「いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあってはならない。」という規定もございますとおり、人命等に無差別に加害を加えるというようなことはあってはならないことでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 これは警察庁も認めますね。いかなる警備活動、刑事活動があろうとも、それは警察法なり警職法なりの規定している精神なり内容なりを逸脱することはあり得ないことだと了解してよろしいですね。

鎌倉節警察庁警備局参事官

○説明員(鎌倉節君) 警察官の職務執行につきましては、いついかなる場合でも法に基づいて行っておるということは変わりません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 質問の第二点は、特別公務員陵虐致死罪というのはどういうことですか、法制局に伺います。そして成田における五月十日、東山薫君の死亡についてこの条項を適用した内容は何ですか。刑事局長おりますか。——法務省ですか。伺います。

石山陽法務省刑事局公安課長

○説明員(石山陽君) 御質問の前段の、刑法百九十三条の公務員職権濫用罪という規定がございますが、その公務員が職権を乱用して、その結果、「刑事被告人其他ノ者ニ対シ暴行又ハ陵虐ノ行為ヲ為シタルトキ」というものにつきましては、加重規定として、特別公務員暴行陵虐罪というのが刑法の百九十五条にございます。これによりまして、裁判、検察あるいは警察の職務を行う者がこのような行為をしたときには重く処罰されるという形に相なっておるわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 後段は。

石山陽法務省刑事局公安課長

○説明員(石山陽君) 後段の件でございますが、そのような罪名に至ったという経緯は、検察庁におきましては、当初本件の犯行が行われたということでございますが、いかなる者がこのような犯行に至ったのか、その点の解明がまだ当時判明しておりませんので、千葉地方検察庁におきまして、傷害致死事件、氏名不詳者によるものという観点から捜査を開始いたしまして、まず最初に死体の解剖をしなければ死因がはっきりしないということでございましたので、千葉地裁に令状を請求いたしました。その過程におきまして、そのような罪名で死体の鑑定許可状が出たと、こういういきさつに相なっております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 法制局に伺いますが、特別公務員陵虐致死罪が適用されたということは、少なくも五月十日、東山薫君の死亡については、この内容に該当するという疑いがあり、その被疑者は警察官という疑いだということは了解してよろしいですね。

石山陽法務省刑事局公安課長

○説明員(石山陽君) 委員の御質問、具体的に捜査の進め方についての御質問でございますから、便宜私の方がお答えするのがよろしいかと思いますが……

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 いや、ちょっと待ってください。私は概念的に聞いている。陵虐罪というのが適用されたということは、それに該当する内容があるという疑いを持たれただろう、そしてこの場合、その該当者、被疑者は警察官ということになるだろうと、こう類推してこの場合はいいでしょう、内容がどう、事実がどうということとは別で、考え方としては。

石山陽法務省刑事局公安課長

○説明員(石山陽君) そのような罪名を適用する場合も捜査としての幅広い可能性の一つに加えられるという意味でおっしゃるとおりだと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それは検察庁の考え方だ。裁判所の少なくも特別公務員陵虐致死罪というのを適用しようとしたことは、明らかに陵虐致死が行われたという前提であるし、その被疑者は警察当局だ、こういう見方で具体的な捜査が進められるということでしょう。  次に進みます。国家公安委員長がまだおりませんので、参事官が答えられる筋のものじゃないんですけれども、来ないものはどうにもしようがない。  第三点は、東山君の死因は何ですか。

石山陽法務省刑事局公安課長

○説明員(石山陽君) 東山氏が亡くなりましたので、先ほど申し上げましたような経緯によりまして、千葉地方検察庁は死体の鑑定処分許可状をとりまして、去る十二日に鑑定による死体解剖を実施いたしましたが、鑑定の結果についてのとりあえずの報告にもまだ接していないようでございますので、この段階ではちょっとまだ内容を申し上げる段階に立ち至っておりません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 警察は、死亡診断書が出ているわけですけれども、その死亡診断書は了承しているんですね。

鎌倉節警察庁警備局参事官

○説明員(鎌倉節君) 了承しております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 私は五月九日、東山君が重傷を負った翌日、入院しております成田の日赤病院の院長に会いまして説明を求めました。院長はこう言っております。傷は後頭部陥没骨折、大きさ鶏卵大にて脳床露出、耳までひびが入り、脳圧高く、挫傷高度にて手術不可能。一時呼吸とまり、人工呼吸にて復活するも血圧低し。ただし心臓強きため呼吸はやや保つ。病状はきわめて重態。原因は重い物での衝撃である。以上のように説明をしております。これは警察もお認めになりますね。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 診断書につきましては見ておりますが、病院の院長からそういうことを先生がお聞きになった内容については私ども承知はいたしておりませんが、診断書によりますと、先生いまおっしゃったような形の傷の形状だけ書いてあるように承知をいたしております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 死亡診断書はどうなっておりますか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 死亡診断書には形状等につきまして書いてございまして、その他特別なことは書いてないように承知をいたしております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 死亡診断書には、「死因」は「開放性脳損傷及び脳ざ症」、「手段及び状況」は、「入院時同行者の言によれば、」として、「機動隊員の催涙弾を後頭部頭頂部に直撃されたため」、こうなっておりませんか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) お読み上げのとおりでございます。そのように承知をいたしております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 したがって、解剖の結果明細がわかるとしても、現状においても、後頭部の外因による陥没骨折によることは疑いがありませんね。そしてその外因は重い物での衝撃である点も、これはお認めになると思いますが、どうでしょう。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 重い物によりますかどうかということは別でございますが、先ほど診断書をお読み上げのとおりでございまして、ちょっと手元にいまあれでございますが、前半のお読み上げになったとおりでございまして、重い物によるものかどうかということについては、私はそこまでは判然といたしていないと思っております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 私は一歩譲って重い物と言った。読み上げたとおりだと言うのなら、読み上げたのはこう申したんですよ。「入院時同行者の言によれば、」として、病院側は、「機動隊員の催涙弾を後頭部頭頂部に直撃されたため」と、この疑いはお認めになるのですね。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) そのことにつきまして、ある新聞等では、入院時同行いたしました、いわば東山さんの仲間の方の言によればということを除きまして、診断書にずばり警察官の催涙弾によるというふうに書いてある新聞がございましたが、私どもはそれは真実とは違うと。要するに東山さんを連れてきた人の話によるとそういうことであったということでございまして、これは診断書の本当の中身ではない。医者の本来の診断書というのは、単に医学的にどういう形状であるかということを医者が検分したことだけが本当の意味の診断書であって、狭い意味の診断書であって、そういう伝聞した言動については狭い意味の診断書ではないという旨、千葉県警本部長からその新聞社に抗議をしたということを聞いております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 私は新聞社が言っているように言っていないんですよ。だから発表されているとおり正しく、同行者の言によれば、こう言っている。そこで、とにかく死因は後頭部脳挫傷であることには間違いありませんね。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) そのように診断書に書いてあるというふうに承知をいたしております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そして医師の説明によれば、この外傷は投石等で起こり得るものではない、こう言っております。したがってこの疑いが当然特別公務員陵虐罪の適用ということになったと思われますが、これはこう考えてよろしいですね。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 私どもは冷静に、あくまでも冷静に診断書のみに、医師の検案書によるべきでありまして、医師がだれにそういうふうに、いわゆるこれは別な石塊、石によるものではないというふうに言ったのか、そういうことを予断をもって書くべきものでは、診断書というものはそういうものを書くべきものではないというふうに考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そういう物の考え方が今度のような事件を起こすんですよ。一人の人が死んでいるんだ。死んでいて、その原因が警察官によるのではないかと疑いを持たれるならば、そうであるかないかを警察側は十分調査をして、はっきりとそういう疑いがありませんというものを証拠として出すべきですよ。ただ、診断書がそう書いてないとか、同行者の言が信用することができないと言って問題を不問に付すべき内容ではないんです、これは。少なくも一つ一つの報道でも、一つ一つの言質でも、もしや警察の方に責任があったら大変だという考え方で問題を処理すべきじゃないですか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 委員お説のとおりでございまして、私どもも、みずからに責任はないかということでみずから調査をいたしておりますし、それからまた、具体的な捜査につきましては、私どもがみずからなすよりは、第三者としての検察庁にお任せして適正な捜査をやっていただくのが妥当であろうということで、検察庁に正規の捜査をお願いし、私ども自身も調査をいまやっておるところでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 了解しました。  そこで、検察庁に伺いますが、報道によるとエックス線写真の検討では、凶器の形状は前面が円形、先端は平らか、滑らかなもので、凹凸のある石などでは無理との判断に達したと、こういう報道がありますが、この間の調査はしておりますか。

石山陽法務省刑事局公安課長

○説明員(石山陽君) 先ほども申し上げましたように、死因につきましては、やはり科学的な鑑定処分許可状によります解剖の結果によりませんと客観的な事実は明らかになっておりませんが、冒頭申し上げましたように、まだ鑑定結果が来ておりません。したがいまして、いまそのような報道があることは私ども承知しておりますが、その報告も来ていない段階でございますので、詳細を申し上げかねる次第でございます。  それと、なおお断りしておかなければいけませんのは、私どもはいま警察当局からも御説明がありましたように、本件につきましては、すでに氏名不詳者の被疑事件という観点で立件しておりますので、ただいま仰せのような、死体の外傷の状況とか、その程度、いかなる原因によるかということは、まさしく今後の捜査の中身に今後ともなってまいるわけでございますので、もしただいま報告を受けておりましても、そのような具体的な内容について御報告することはまだ適当ではないというふうに考えざるを得ないということを御了承願いたいと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 これは捜査の内容として当然検討されるに値する一つの報道だとはお認めになりますね。

石山陽法務省刑事局公安課長

○説明員(石山陽君) 検察庁といたしましては、もちろん厳正公平な立場からあらゆる可能性について捜査を進めなきゃいけませんので、それに役立つような資料であれば、もちろん広範な捜査の対象にしていくということに相なるものと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 質問の第四点でありますが、東山君の死とは切り離して伺いますが、初め千葉県警本部長は、水平撃ちやむなしと発言をしております。国家公安委員長も水平撃ちやむなしと、こういう発言がありました。テレビ、新聞等の写真も水平撃ちと類推される状況が掲示をされました。水平撃ちはあったんですか、なかったんですか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 結論から申し上げまして、いまだ水平撃ちをやったという報告には接しておりません。  それから本部長の談話のいきさつについてでございますが、それも当初から首尾一貫をいたしておりまして、途中で何か変わったような新聞報着がなされておりますが、首尾一貫いたしておりまして、これは変わっておりません。と申しますのは、要するにそういうことで隊員から水平撃ちをやったと、ああいう混乱の中でありますので、水平撃ちをやったという報告は受けていない、しかし、いろいろなその後の写真とかいろいろな状況証拠がそろった場合にはそういうことがあったということを認めるにやぶさかではない、仮にあったとしても、それは、あの大変激しかった一番最初の十一時八分から始まりまして、火災自動車二台、それから鉄パイプ百本、石が二トン、一万個、それから火災びん五百本、劇薬まで使われて、わずか二百の千葉県機動隊に対しまして五百五十の極左暴力集団が突然襲いかかったと、そういう状況においてでございますので、警職法七条——危害を加えてもよろしいという条件を満たしておる状況であるので、それは仮に使ったとしても適法な職務執行であるということを首尾一貫して本部長は申しておるというふうに伺っております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 報告がないということと水平撃ちがあったということとは別ですよ。報告があろうがなかろうが、水平撃ちがあったかないかというのは、これは当然別の問題として調査検討さるべきですよ。それから暴力集団が押し寄せてきたから、それに対する対抗上武器を使うのもやむを得ないということを私は聞いているわけじゃない。東山君を死に至らしめたその催涙ガスなり模擬弾なりの使い方というものが問題があるんじゃないかと最初聞いている。  そこで具体的に次の点をお聞きします。私は、そこにおった関係者の警察に対する反対側の者の意見は一切ここでは出しません。客観的な報道として、朝日新聞が五月の九日の夕刊で、「論議呼ぶか水平撃ち」と題してこういうことを報じています。千葉県警はこの日、ガス銃を武器として頻繁に使った。ガス銃を、「老人やこどもが多くいる〃密集状態〃の会場にねらいをつけてポンポン撃ち、しかも四、五メートルの至近距離からも発射していた。その〃乱射〃ぶりはまるで集会の妨害もかねて撃ったといわれても仕方ない」、こう報道しています。警察庁はこの事実をどう調査をし、どうお認めになりますか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 一部の新聞にそのような報道がございましたので、よく調査をいたしておりますが、ただいま申されましたような、婦人、子供が大ぜいいるような場所にポンポンと撃ったような事実はございません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 じゃテレビに写っているのはうそですか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) いつのテレビでございますか、私、存じませんが、私も見ておりませんし、具体的に証拠として今後そういう場面が検察庁の捜査でも明らかになると思いますが、私はそれは見ておりませんし、むしろNHK等の当日のテレビによりますと、機動隊が至近距離で非常にやられておる状況、私どもも新聞の写真も見ておりますが、石が雨あられのように降ってきて、その石が道路上にたくさん積もっておる状態も現に持っております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そんなことを言ったって、人を殺して当然だという理由には一つもならないですよ。警察は目には目を、歯には歯をということをやってはならないということは警職法に決まっている。あなたのさっきからの答弁の底にあるものは、暴力集団だから暴には暴、当然ではないか、こういう潜在意識がある。これは最も警職法で、あるいは警察法でかたく禁じられている内容ですよ。  まだ質問がありますよ。それでは、新聞が間違いなら、この新聞に抗議をしましたね。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) その具体的に把握をいたしました分につきましては抗議をいたしております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 じゃ、朝日新聞には抗議をしましたか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) いたしております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それほどあなたはっきり言うなら、水平撃ち当然と発言し、いまは水平撃ちはいたしませんと言ったその経緯を、警察庁の手で厳密に調査をして報告があってしかるべきだ。改めて報告してください。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) ただいま申しましたように、新聞報道の一部について抗議をしたと、本部長から千葉の支局の万に抗議をしたというふうに聞いておるわけでございまして、水平撃ちについて具体的に写真があった場合には、それを私ども認めるにやぶさかではないわけでございまして、その点についてではございません。その婦人、子供でありますとか、あるいは診断書に、同行者の言によればと先生お読みのとおりになっているはずなのに、それを抜いてあたかも医師がそのように診断をしたというふうに書いてあるような事柄について抗議をいたしたわけでございまして、そういう婦人、子供のところについては撃ってはおりません。水平撃ちについては、先ほどから申しておりますとおり、現在、これは警察官の報告ですから、先生おっしゃるとおりにいろいろな考え方もあろうかと思いますが、ああいう大変な混乱の中でございますので、まあ普通は三十度で撃つことが一番よろしいというふうに言われておるわけでございますが、三十度の角度も、先生御承知のとおりにそう大きな角度ではございませんので、水平に近い状態で撃ったこともあるかもしれない。しかし、その状態について警察官あるいは幹部から、あるいは警察官が撮った写真でいまだ現認をいたしておらないという現状を申し上げておるのでございまして、万一仮に水平に撃ったといたしましても、そして先生おっしゃるように、私ども、警察法にも書いてありますとおり、警職法にも書いてありますとおり、法を逸脱しては相ならぬということでおりますが、しかしあの状態は、警察官の当初の数をはるかに超す大集団が車三台を持ってまいりまして、一台に武器を——石や火炎びんや多数積み込んで、最初からあすこで一戦交えようという気持ちだったということが想像できるわけでございますが、そういう状態のもとで一挙にかかってくるというようなことで、わずかの千葉県機動隊は、本当に私どもが報告を受けている限りでも、隊長以下全員、殺されるんではないか、そういう感じを持った。私どもが客観的なああいう写真等を見ましても、よくあの火炎自動車に機動隊員がひき殺されずによかったなというのが実感でございまして、そして東山さんが亡くなられたことにつきましては、やはり私どもといたしましても、どういう立場にあったかということも内々調査をいたしておりますが、それにいたしましても、過激な方であったとしても、一名が亡くなったということは大変遺憾だと思っておりますが、あの方がどういう状況で亡くなったかということにつきましては私ども把握をいたしておりませんので、これから調査をいたしてまいりたい、こういうことでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 私がここで問題にしているのは、最初に成田における東山薫君を死に至らしめた警察の過剰警備の疑いの持たれる件について伺いますと、こう申し上げている。警察がやったことがすべて悪いとか今後暴力集団が押し寄せて来たときガス弾を一切使っていけない、武器を使っていけないとそんなことを言っているのではない。問題をきちんと限定している。  そこで、さらに伺いますが、千葉県機動隊長は、きょうの新聞によりますと、「水平撃ち指示せず」、こう言っております。では、水平撃ちの危険については事前に十分指導されあるいは指示をしておったと解してよろしいですか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 先ほど、私どもの方の参事官からお答えしましたとおり、ガスの使用につきましては、三十度の仰角をもって撃つことが最も効果的であるというふうに指導いたしております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 模擬弾まで撃ったのも指示なしに撃ったということになりますか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 模擬弾の使用につきましては、指示したかしないか、私ちょっと報告をまだ受けておりませんが、これは全然別な場所で、いわば午後二時ごろと聞いておりますが、別な場所で中核集団、別な集団が来ましたときに威嚇的に撃ったというふうに報告を受けております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 水平撃ちは指示しないということは、イコール水平撃ちはなかったということにはなりませんね。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) お説のとおりでございまして、隊長が水平撃ちを、「水平撃ちやれ」というような号令をかけあるいは指示をしたということはないということに限られるわけでございまして、水平撃ちがあったかなかったかということは、現在の時点では、水平撃ちをやったということを隊長たる責任者とかあるいは撃った本人から報告を受けていないし、また警察官の部隊活動をやる上で写真を撮ることもありますが、その写真を見ましても、水平撃ちをやったということは確認をいたしておりません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 報告があるかないか、調査が届いているか届いていないかだけで水平撃ちがなかったということにはなりませんよ。  そこで、指示しないと指揮官が言っているのですが、指示しないでそうすると水平撃ちがあったとすれば、警察官が勝手にやったと、こう解釈されても仕方がありませんね。一体警察官の服務というのは、特にこれは団体の指揮官の指示でガス弾は使用するということになっているのでしょう。それがガス弾使用の基本である。団体の長の指揮がないのに、勝手に個々の警官がガス弾を撃つということがあり得ますか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) いまお話しのとおりでございまして、ガス弾につきましては影響が非常に大きゅうございますので、過去にもいろいろな事例もございますので、部隊活動中につきましては、特に人家等も避けて使うようにということで、その必要性がある場合に指揮官の指示によって使うというふうになっておるわけでございますが、そのときの警備会議のときも本部長から指示があったと思いますが、一般的にそういう指示をした後、ただし本人の生命身体等がやられるとか、正当防衛その他職務執行に緊急の必要性があって、指揮官の指揮を受けるいとまがない、二百人の部隊でございますので、隊員一人一人が指揮官から指揮を受けるという状態がない、そういう緊急性があった場合には、個人の判断で、適法の範囲内で撃ってよろしいと、こういうふうになっております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 東山君の場合、そういう条件があったかどうかということは後で触れます。  そこで、第五点の質問に移りますが、成田で使われたガス銃は、これは単発ですが、これではなくて連発の方ですか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) ガス銃には二種類ございまして、先生いまおっしゃるとおりでございまして、単発というのは一発ずつ、こうちょうど空気銃のように折りまして、それで込めまして打つものでございます。それから連発と申しますのは、四十六年でございますが、第二次代執行で、警察官が三人殉職し、三百人けがをいたしましたし、それから渋谷暴動というのがございまして、ちょうどその単発銃を持っておる銃手が一々折って込めておりまして、暴徒に追いつかれて殺されたという事案が、新潟の警察官が応援に来ておって、東京の渋谷の事件でございますが、そういうのがございまして、暴徒が劣勢の、弱い機動隊、わずかな機動隊に大ぜいでわっと走って突っ込んで来た場合に、一発ずつ込めておったのでは間に合わない。そういう渋谷暴動のことから反省をいたしまして、少なくとも早目に撃たなければ、警察官の、銃手のあれが危険であるというようなことで、有効に対処しますためにわざわざ開発をいたしまして、六発弾倉に入れまして、それを入れると、まあ機関銃のようになるわけじゃございませんが、一発ずつ中に折って入れるのではなくて、六発が次々に上に上がってきまして、それを、引き金を一つずつ引いて、やや前よりは早く撃てるようになったということでございまして、その新しいやつを二つと、その他のものを、ちょっと数は正確に私把握をいたしておりませんが、大部分はその古い方の型でございますが、新しいのを二つ使っておるようでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 いや、私はそういう性能がいけないとかなんとか言っておるわけじゃないですよ。警察庁はこの使用訓令を、先ほど申しました、公表いたしませんが、警職法の第五条、第七条の枠を超えて使用することを禁じられていると思いますが、いいでしょうな。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 御説のとおりでございまして、今回の場合には、先ほどから申し上げましたように、大変な状態のもとでございましたので、本当はこれは東大の列品館の裁判でもはっきり言われておりますが、ガス銃につきましては武器ではないと、そういうことで、警職法五条でやや緩やかに、武器よりも緩やかに使えるわけでございますが、影響が大きゅうございますので、武器に準じた、警職法七条に準じて使い方については指導いたしておるわけでございまして、武器というのは警察では拳銃のことを意味しておるわけでございます。で、あの場合には大変激しい状況でございましたので、警職法七条の武器を使用する条件を十分満たしておったと、なおかつただし書きの危害を加えてよろしい状況すらあった、こういうふうに承知をいたしております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そうすると、刑法三十六条一項に該当する行為をしてもよろしいという状況であったと把握しているわけですね。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 警職法七条につきましては、単に危害を加えていい場合の条件として四つ挙げてございまして、三十六条の正当防衛のみならず、緊急避難、それから一号、二号と分けてございまして、一号につきましては長期三年以上の凶悪な罪、これは火炎びんも現に投げておりますし、それに当たるわけでございますし、火炎自動車を機動隊に突っこますということは殺人罪でございますので、われわれそこで逮捕しました二十五人について十六名すでに殺人未遂罪で送っておるわけでございます。したがいまして、凶悪な罪だというふうに判断をいたしておりますので、凶悪な犯人を追跡、逮捕するについて抵抗等があった場合には積極的に使ってよろしいというのが一号でございまして、二号は令状によって逮捕する場合、同様のことが書いてございますが、この場合は二号には当たらないというふうに承知をいたしております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 朝日新聞に抗議をしたそうですが、それでは老人や子供の多くいる集会場に撃った事実はないか、ポンポンと乱射をした事実はないか、四、五メートルの至近距離から絶対に撃たなかったという確証があるか、この点どうですか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) ポンポンとということは、それは暴徒が大変厳しいといいますか、激しい殺人行為を起こしておりますから、状況によってポンポンと撃つことはあっただろうと思います。それから婦人、子供がたくさんいるところにポンポンとということはないというふうに報告を受けております。私も現場では見ておりませんので、確実なことは、みずからの目で見たわけじゃございませんので、そういうことは申し上げられませんが、そういう婦人、子供のおるところにポンポンとということはないというふうに申し上げられると思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 四、五メートルの至近距離から撃たなかったですか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 四、五メートルの至近距離につきましては私ども報告を受けておりませんし、そうしてああいう状態でございますので、よくまだ実態を把握をいたしておりません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 報告を受けていないと言うけれども、人に死または死に近いような損傷を与えた場合は直ちに報告をしなきゃならない義務があるわけですね、警職法には。だから、報告を受けていませんということはいまになって弁解にはなりませんよ。  それからポンポンと撃たなかったと、いわゆる老人や子供の多くいる集会場にポンポンとは撃たなかったということと、老人や子供がおりますからガス銃は使用しませんでしたということと違いますね。使用したことはこれはお認めになりますね。  それから四、五メートルの至近距離からの射撃というものは一番の問題だ。これは報告がなければ督促してでも、警察本部長は管区に、管区の長は警察庁の長官に報告する義務があるんだ。怠っているんだ。報告を受けておりません、調査ができませんで済む問題ではこれはないと思うが、どうです。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 老人、婦人、子供のおるところに撃ったということはないと信じております。そういう報告も受けておりません。そういう状況ではないように客観的にも聞いております。先ほどから御説明しておりますとおりに、ガス禅が大変使われましたのは、第四インターと称するグループの五百五十との接触の十一時八分から十一時四十分まで前後のことでございまして、その他にも若干ございましたけれども、老人、婦人、子供というのは、その集会自体についても、まあ周りの住家もございますので、あったかと思いますが、私どもが報告を受けておるところでは、集会は一時から始まるところ、その前に十一時ごろに、すでに中核を中心とした千人のグループは集会場に平穏におとなしく入っておったそうでございます。で、その集会場の近くで、武器を持ち込んではなりませんので、あらかじめ、集会は一時のところ二時間前でございます、その時点で、検問と称しまして、武器を持ち込んで危なくないようにということで千葉県の機動隊が二百ちょっとばかりそのためにおりましたところ、集会に参加する第四インターのグループが五百五十人、あらかじめ武器を用意して突っ込んできたというような状況でございまして、そういうことで、実際にひどく激しくいろいろな制止行為等警察とのあれがありましたのはその第四インターとの関係で、会場から二百メートル、三百メートル離れたところでございますし、またその会場には、報告によりますと、ほとんどが極左でございまして、反対同盟の方はわずか十名程度にすぎなかったということを聞いております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 質問に答えてくれればいい。第六点というのは、もっと質問を明確にします。これは法制局からもお答えをいただきます。  今度の事件の場合に、正当防衛、緊急避難の要件が成立するとお考えになっているんですね、東山君の場合。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 先ほどから申し上げておりますとおりに、東山さん自身のことは、どこでけがをされたのか目下調査中でございまして、だれも把握をいたしておりませんので、先生御質問の東山君の負傷に限ってお尋ねの場合には私どもお答えできないわけでございますが、東山さんが、少なくとも向こうの言い分では十一時十五分と申しておりますが、これは十一時八分からあの現場での事件が起こっておるわけでございます。四十分まであの場で起こっておるわけでございまして、そういう激しい場所のやや前半の方で起こっておる状態でございますので、個々具体的に見てみないとわかりませんが、それぞれ当時の報告を受けますと、正当防衛、あるいは緊急避難、あるいはその他の一号の凶悪犯罪の逮捕のため、あるいはその逃走の防止のために使った要件は十分に備えておるというふうに承知しております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 これは重大な発言ですから、私の方もひとつ十分聞きます。  東山君は負傷者の運搬や看護に当たっていたということは、たくさんの証人がありますから、これは事実であります。警察側から見て、そうすると東山君が急迫で違法な侵害行為を警察に対してやったと御認定があるんですね。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 先ほどから申し上げておりますとおりに、東山さんがどういう状態でけがをされたかということにつきましては、目下調査中でございますし、向こう側の言い分はそうでありましても、その捜査は現在客観的な立場、第三者の立場にあります検察庁が捜査をなさっておる状況でございますので、いずれわかると思いますが、先生お話しのことについて警察で把握しておる状況を申し上げますと、東山君はこの乱闘が始まります直前に情報視察員の警察官を、何人かの反対派の極左の者を指揮をいたしまして、石を運んでくるのを見られないように追い返しておるという状況がございまして、ある意味ではむしろそういうこのグループのある程度の指揮者であったというふうに警察は認定をいたしております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そうすると、指揮者である東山君というのを認識して撃ったということになりますね。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) これはこの衝突と申しますか、事件の始まります前のことでございまして、その東山さんという方は、四十七年ぐらいからあの付近に、都立大学を中退をいたしまして、いわゆる極左系の団結小屋に住居を持つ方でございまして、あの鉄塔の監視にも何回も来ておるのを現認をしておるようでございますし、またいろいろな集会にもいつも参加をしておられるということで、その所轄の署員は知っておりましたけれども、これは私服で事前に、どういう状況か、危ない状況はないかということで行った私服員が知っている状況でございまして、お尋ねの銃を使ったり規制をしたりする段階にはそういう私服の視察員というのは後に下がるわけでございまして、実際に規制に当たった機動隊員は、だれが東山氏であったかどうかということは知らなかったろうと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 どういう経歴であって、どこに住居を持ち、どこに起居をし、どういう考えを持とうが、急迫で違法な侵害行為がない限り、警察はこれを殺害していいということにはなりませんね。この点は警察官の職務執行上重大な問題でありますから、もう少し法的に……

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) ちょっとつけ加えたいと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 どうぞ。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 先生、警職法七条をお読みいただきますとわかりますが、私、お読み申し上げてもよろしゅうございますが、単に正当防衛のみならず、凶悪犯罪を行った場合にはやってよろしいということで、ちょっとお読みを……

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それはいいです。やっていけないということも書いてあるんでしょう。やっていいことばっかり出しちゃおかしいよ。全体を読んでね。警職法というのはやって悪いということがたてまえになっているんで、人を殺傷してはいけないということがたてまえになっている。やってもいいというのは特例だと……。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) それで、七条に書いてございまして、ただし、刑法第三十六条の先生おっしゃる正当防衛、「若しくは同法第三十七条(緊急避難)に該当する場合又は左の各号の一に該当する場合を除いては、人に危害を加えてはならない」。したがいまして、先生おっしゃるように、三十六条の正当防衛だけが危害を加えていい条件ではございませんで、もう二つございます。その一つは、「死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁こにあたる兇悪な罪」、これを当日、犯しておるわけでございます。「凶悪な罪を現に犯し、若しくは既に犯したと疑うに足りる充分な理由のある者がその者に対する警察官の職務の執行に対して抵抗し」、現に抵抗しておるわけでございます。「若しくは逃亡しようとするとき」、また逃亡しようとしたときもあったろうと思います。「又は第三者がその者を逃がそうとして警察官に抵抗するとき」、これは当事者だけじゃなくて、第三者も関係するわけでございます。「これを防ぎ、又は逮捕するために他に手段がないと警察官において信ずるに足りる相当な理由のある場合」は、これを使用——武器ですね、これは拳銃が主として武器なんでございますが、拳銃すらこのときは使用してよろしいということでございまして、拳銃以下の、武器でないガス銃の使用については十分充足しておると、こういうことでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 あなた、前提で大きな誤りを犯しているよ。東山君が凶悪犯罪を犯したという立証ができますか。また、凶悪犯罪を犯して逃亡しているという事実がありますか。東山君かだれかわからないと言っているでしょう、あなたは。私が言っているのは、じゃあなた、警職法をいろいろ言うけれども、刑法の三十六条の一項には、「已ムコトヲ得サルニ出テタル行為」という条項があって、一つは他に救済する手段がないこととありますね。救護をしている状態で、救護のところへ警察官が入ってくるのを防ぐというのに対して水平撃ちで死傷をさせると、それが他に手段のない方法か、そうして、人を殺しても最小必要限度ということになるのか、また、侵害によって失われようとする法益と反撃によって害しようとする法益との均衡がとれることとありましょう。これは認めますね。それなら、東山君の場合、死に至らしむるもやむことを得なかった理由がありますか。あなた、疑いを持っているだけじゃないですか。現実に東山君が武器を持って抵抗したとか、警察官と格闘したとか、あるいは警察官に何かしたとか、こういう事実があったんですか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 東山君のことにつきましては、先ほどから再々申し上げておりますとおりに、どういう状況で亡くなったかわかりませんので、ただ一般的に、あの東山さんがけがしたと称される時間帯、場所の状態を一般的に申し上げておるわけでございまして……

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そんなことを聞いてないよ。東山君のことを聞いているんだ、私は。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) それについては、お答えしておりますとおりに、わからない、現在のところわかりませんので、捜査をいたしておるということでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 わからぬじゃ済まぬですよ。死亡した者があるんですからね。死亡させたような場合は、直属上官を通じて全部警察庁まで報告しなければならないことになっている。それをまた報告も受けなければ調査もしないとは、怠慢じゃないですか。これは、あなたに言ったってしようがないわ。これは国家公安委員長の責任だ。東山君が、あなたの言うような警職法の枠を乗り越えて、緊急防衛の警察側の行為としての、死亡に至らしめてもやむを得ないという条件は何もはっきりしていないでしょう。はっきりしていないということははっきりできますね、現状では。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 先ほどから申しておりますとおりに、私どもの調査では、東山君のけがをした状況というのは把握をいたしておりませんので、私どもも調査をいたしておりますが、現場の機動隊長も東山氏がそこで倒れたというような状況を認識していないと言っております。それで、調査をいたしておりますし、その件について具体的なことでお尋ねでございましたら、検察庁も捜査をいまいたしておられるわけでございますので、ただ私が申しておりますのは、一般的に東山さんがあすこでその時間帯、その場所でああいう状態になられた、そのときの状況はそういう状況であったということを申しておりまして、具体的なことは今後の調査なり検察庁の捜査によって明らかになるのでございまして、それを私にいまどうだどうだと言われましても、私も承知をいたしていないわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 あなた、認識を誤っている。衝突して、その衝突の間において東山君の事件が起こったんじゃないですよ。衝突して警察に追い返されて、逃げてきて、逃げた者を追ってきて、東山君のおったその民家のところへ押しかけてきて、そこで事件が起こったんです。これははっきりしている。そこで、東山君はいかなる法益を侵害したことになりますか。あなた方のどういう法益を侵害したことになりますか。この立証がありますか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) 先ほどから先生に何回も繰り返し申し上げておりますとおり、東山氏が、事前の動向はキャッチしている面もございますけれども、ああいう非常に混乱した場でどういう状態かと聞かれましても、それはいま調査中でございますし、また客観的な立場で検察庁が捜査中でございますので、そのことに限ってどうだどうだと言われましても、私どもは把握をしていないのでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そのことにどうだこうだと言われると言うけれども、私は初めから、過剰防衛によって死に至らしめた事件を問題にしているわけだ。したがって、東山君が殺されても仕方がないという立証が警察側から出ない限りは、やむを得ませんとは言えませんよ。なぜならば、警職法でも警察法でも、人命の保護というのは一番の焦点でしょう。その人命が殺傷されたわけだから、どうしてそういうことになったかというのは、よほど法的な根拠がなければ、警察はやむを得ないな、仕方ないなと、こう言うわけにはいかない。それを言っているわけだ。  そこで、あなた方は先ほどから、武器というのは拳銃だけで、催涙弾は武器じゃないと、こういう説明をされておりますけれども、いままでは、拳銃発射は法益均衡がとれない場合が多いが、催涙ガス使用は侵害の程度が軽いので均衡がとれると、あなたもおっしゃるように解釈されていた。それはどういう理由ですか。これによって人命を損傷するような被害は起こらないという前提があるから、拳銃の規制は非常にむずかしいけれども、これはそれほど重く見ないでもいいであろうということになっておったんじゃないですか。これで人が死ぬという前提で、あるいは人を殺すような、殺傷をする武器として使うことはあり得ないという前提で、この取り締まりというのが緩やかであったんじゃないですか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○説明員(若田末人君) おっしゃるとおり、催涙ガスにつきましては、催涙弾等につきましては、東大の事件によりましても、裁判所から武器ではないというふうに判決を受けておりまして、その使用の根拠は警職法五条でございますが、しかし、先生おっしゃるとおりに、影響が非常に大きゅうございますので、内部的に私どもみずからを規制をいたしまして、できるだけ拳銃使用と同じような警職法七条に準じて使うように私ども指導をいたしておるわけでございます。  ただ、先生おっしゃるように、危害を加え得るではないかというようなことにつきましては、私どもあえて否定はいたしません。これは警棒、一般のお巡りさんが持っております警棒につきましても、頭を、なぐり方によっては殺すこともできるわけでございまして、そういう意味で、使い方によっては相手方に危害を加えることができる。しかし、武器というのは、本来、拳銃のように相手を殺すというのが主たる目的のものを武器と称するわけでございまして、ガスの場合には約百メートルぐらい離れて、三十度ぐらいの角度で撃って、遠く離れたところでわずか何分間か催涙を催させて、そしてひるませて抵抗を抑止するというのが本来の使い方でございますので、武器ではない、こういうふうに承知しておるわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 いままではそういう通説が通った。それは催涙ガス弾の使用というのが、今度の成田で使用されたような形では行われておらなかったから危険も少なかったんだと。今度は、明白にはなりませんけれども、十二分に陵虐罪の該当だというふうに推定をされるガス弾の使用が行われたわけなんです。そして人が一人死んでいるんじゃないかという問題が起こっている。  そうすると、これは長官に伺いますが、これは大したことありませんよと言うわけにはいかない。国民はそういうふうに簡単にそれを許すわけにいかない。もっと厳格に、内部なら内部だけでもいい、公表しなけりゃ公表しなくてもいい、しかし、国民の利益が守られるというふうに、この使用方法というのは厳格に規制さるべきものだと思いますけれども、厳格に規定していくという考え方を持ちますか。相変らず水平撃ちをやらせるということですか。

三井脩警察庁警備局長

○政府委員(三井脩君) ガスの問題でございますので、私からお答えさしていただきます。  ガスにつきましては、すでにお答えしておるとおりでございますが、警職法七条によりますと、御存じのところでございますけれども、その一項ただし書きによって、一定の場合に相手方に危害を加えるということも適法行為として認められておるということでございますので、催涙ガスに限らず、そういう場合に、警棒、警杖等もございますけれども、そういう使い方というものは状況によってはあり得るということでございますので、警察官といたしましては、あらゆる用具、そしてまた武器はもちろんでありますけれども、その使用につきまして、きわめて慎重にこれを行うということをいたしておるわけでございます。  したがいまして、ただいまのお話の前提として、今回の東山さんの死亡がこのガス銃によるものということでございますけれども、こういう点は目下捜査中ということでございますので……

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 疑いが持たれると私は言いましたよ。

三井脩警察庁警備局長

○政府委員(三井脩君) われわれといたしましては、もっぱらその状況が、端的に申しますと、危害要件に当たるような状況という場合は別でありますが、そういう場合のガス銃の使用につきましては、十分警察官を訓練をする、またそういう心構えでやっていくという、現在そういう措置でやっておりますので、それを十分守っていくことによって目的が達せられるというように考えます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 これは衆議院でも繰り返されましたけれども、ガス弾の使用についての、その使用規程なり注意事項なりというのは一切公表しないわけですよ、警察庁は。だから、どういうことに留意されてガス弾が使用されているかという、国民は何にも内容がわからない。私は、それをあえて公表しろとは言わない。しかし、注意はあってしかるべきだと、規定はあってしかるべきだと。なければおかしい。  そこで、次の点、武器使用について伺いますが、警棒、警杖とガス弾といずれが破壊力があるとお考えになりますか。成田の状況などと照らし合わせて、ああいうように使われたとするならば、これはガス弾が警棒、警杖よりも破壊力がない、武器としては効果力が低いと判定するわけにはいかないでしょう。

三井脩警察庁警備局長

○政府委員(三井脩君) 状況によると私は思いますけれども……

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 状況によっては、と直してもいいです。状況によってはガス弾は警棒、警杖よりも危険が大きいじゃないかと。

三井脩警察庁警備局長

○政府委員(三井脩君) それは、もっぱら使う人にもよりますし、状況にもよりますので、私は、一概には言いにくいのではないかというように考えます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 使う者は警察官以上だれも使っていない、ガス弾は。だから、警察官が使う場合、警棒、警杖に厳しい規定をするなら、ガス弾にだって当然厳しい規定をしなけりゃならないはずではないか。そういう必要を、成田事件を通して、無差別に使ったということが論議の的になるような使い方ということに対しては、もっときちんとした使用基準というものをつくるべきではないかとはお考えになりませんかと、こう申し上げている。

三井脩警察庁警備局長

○政府委員(三井脩君) ガス銃の使い方につきましては、現に内部の規程で使い方を規制しておりますし、またこれの訓練につきましては、平素から努めておるところでありますので、警察官だれでもがどんな機会にも持つという警棒あるいは拳銃と——まあ拳銃はまた性質が違いますけれども、単なる個人装備、個人貸与品ではない。部隊として持っておって一定の場合に持たせると、こういう性質のものでございますから、そしてまた常時持っておるというものではありませんので、ただいまやっておるところをさらに徹底して行うといいますか、その方向をさらに進めるということで足りるのではないかというように考えます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それでは、ガス弾使用についても、警棒、警杖の使用条例に準じて内部的には整理をされていると了解していいですね。

三井脩警察庁警備局長

○政府委員(三井脩君) そのとおりでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 警察官が職務執行として武器を使用した場合に、それが規定の定める事態及び要件を備えておれば当然問題がございません。この要件に合致しない状況で武器を使用して人に危害を与えた場合は、その執行については刑事上の責任が当然生まれると存じますが、そう解してよろしゅうございますね。

三井脩警察庁警備局長

○政府委員(三井脩君) 具体的事実を離れて理論の問題といたしましては、違法に使用するということになりますと、その責任は問われなけりゃならぬということになります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 警察官職務執行法によれば、催涙ガスは武器ではありませんか。

三井脩警察庁警備局長

○政府委員(三井脩君) 武器ではございません。L先ほども答弁があったかと思いますけれども、武器の定義というものは、催涙ガスに関しまして一般的な定義もありますけれども、いま御質問の具体的な催涙ガス発射器あるいはガス器具に関しまして裁判例も出ておりますけれども、催涙ガス器具というのは武器ではないと。なぜならば、武器というのは本来の製作の目的並びに使用の本来の目的といったものが人の殺傷のためのものであるというものでありますから、催涙ガスというものは、ガス器具はそういうものでないので、武器でもないということが判例上もはっきりしておるわけであります。  ただ、先ほども出たと思いますけれども、そういうものでありましても、その使い方については十分に注意をして使うという意味におきまして、内部の規程でも、警職法七条の武器使用の規定、本文が武器使用でございますが、それとほぼ同じ制約を課し、そしてまた危害を加えてもいいただし書きの条件でございますけれども、これも七条のただし書きとこれはまあほとんど全く同じ制約を課して運用しておるというものでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そうすると、第七条の、ただしその使用は該当事項以外人に危害を与えてはならないと、こういう規定はガス使用にも当然準用されると考えてよろしいですね。

三井脩警察庁警備局長

○政府委員(三井脩君) そのとおりでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そこで、これに基づいて警棒等の使用条例は、警察庁と警視庁とありますけれども、第四条に、「必要な限度をこえて使用しないこと」、「警棒又は警じょうで頭部を打つことのないよう注意すること」、「不注意な使用によっていたずらに民衆を刺戟することのないようにすること」とあります。そして、警視庁の同じ規程には、「合理的に必要とされる限度を越えないこと」、「不必要な使用によって民衆を刺戟することのないように留意すること」、そして第八条には、「頭部等を打撃することのないように心掛けなければならない」と、警棒、警杖使用条例にはありますね。そうすると、この注意事項というのは、第七条は当然ガス弾使用の警察官も守らなければならないわけですから、ガス弾使用の場合もこれらの規定は適用さるべきものだと解してよろしいですね。

三井脩警察庁警備局長

○政府委員(三井脩君) ただいまお話しの点は、警杖、警棒というのは武器ではありませんけれども、いまの武器使用の警職法七条との関連で申しますと、七条には御存じのように、また話はさかのぼっておるかもわかりませんけれども、七条の一項本文がございます。これは武器の通常の使い方、それから一項のただし書きがございまして、そのただし書きを受けて一号、二号と、ただし書きの中に正当防衛、緊急避難そのほかに一号、二号と、つまり四つの場合については危害を加えてもいいと、こういうことで危害条件と簡単に言っておるわけでありますが、ただいまお話しの点は、その七条に即して言いますと、一項本文の使い方でございます。したがいまして、ただし書き全体ですが、ただし書きの正当防衛、緊急避難そして一号、二号の場合に当たる場合には、ただいまおっしゃいました警棒、警杖等につきましても、その制約を外れた使い方、その制約を超えた使い方ということはあり得るわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そういう解釈をしておりますから過剰行為が頻繁に出るということになるんですよ。先ほどあなたが来ない前にも指摘をしましたけれども、刑法三十六条の一項にも、他に救済する手段がないこと、必要最小限度であること、侵害によって失われようとする法益と反撃によって害しようとする法益との均衡がとれること、こういう大原則がある。したがって、警察官の職務執行はただし書きの適用が先ではなくて、本文の適用が先でしょう。したがって、警杖、警棒などというものに至っても、頭を打ってはいけないとか、背後から打ってはいけないとか——この前には背後から打ってはいけないという言葉まであった。それほど人権というものや人命というものを尊重する書き方をしている。あなたもそうだけれども、さっきから課長も、場合によっては人命殺傷も許されている権利だと言わんばかりだ。  具体的に聞きますけれども、ガス弾使用の場合は警察庁や警視庁で警棒、警杖使用条例で決めているような趣旨はあくまでも尊重していくということになるのか、それとも、ガス銃の場合は人命損傷があっても自由使用やむなしという考え方か、どっちです。

三井脩警察庁警備局長

○政府委員(三井脩君) それは先ほども申し上げておるわけでございますけれども、申すまでもなく、警察官の持っておる武器を初め、武器に至らない用具その他の装備品、それの使用に当たりましては、危害を加えない最小限度の使い方をするというのが全くわれわれとしては変わらない原則でございます。ただ、御存じのように、警察比例の原則と俗に言われる言い方があるわけでございまして、相手方の出方、行動、これに対応して、警察の治安維持の任務を果たすために必要なこれに対する対応を持つというものはどうしても必要であるということもまたあるわけでございまして、そういう中で可能な限り最小限度の行使、使い方をやれというのがわれわれの精神でございます。それが具体的状況の中でどうなるかという行為は、行動といいますか、状況がございますけれども、私たちとしてはそういう考え方でこれを運用しておるということでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 法制局に伺いますが、背後からの殺傷というものが正当防衛になりますか。警察官なりあるいはまた公務員の場合、背後から打撃を与え死に至らしめる、大けがをさせると、こういう場合正当防衛になりますか。いままでの判例についてひとつ御説明をいただきたい。

味村治内閣法制局第二部長

○政府委員(味村治君) 判例はちょっと調査をいたしておりませんが、正当防衛の要件は、刑法三十六条に書いてございますように、「急迫不正ノ侵害ニ対シ自己又ハ他人ノ権利ヲ防衛スル為メ已ムコトヲ得サルニ出テタル行為」ということでございます。まあ自己の権利を防衛するためという場合には、なかなか後ろから撃つというのは考えられないことでございますけれども、他人の権利を防衛するため、他人が生命の危険に脅かされておる。たとえば暴力団員にだれかが危害を加えられそうになっておると、そのときに後ろからその暴力団の男に対して加害を加えるというようなことも正当防衛になり得ると思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 これはあくまでも想定ですけれども、抵抗をしない、後ろ向き、そういう状況の場合に水平撃ちで射殺したというようなことがあったとしても、それは正当防衛が成立しますか。

味村治内閣法制局第二部長

○政府委員(味村治君) 正当防衛が成立しますのには、ただいま申し上げました刑法三十六条の要件が備わっていることが必要でございます。したがって、その要件が備わっているかどうかということは、これは事実の問題でございますので、事実が確定いたしませんと何とも申し上げかねると思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 警察庁に重ねて伺いますが、ガス銃使用を自由使用という考え方でやったんじゃないか。そうでなければ水平撃ちやむなしというようなことが、どう後で弁解をしようが、こういう発言が出るはずがない。  そこで改めて聞きますが、ガス銃の使用規程は、口頭では国会で説明されたことがありますね。七十メートル以上離れて撃つ、三十度の角度で撃つ、こういうことが厳重に守られているならば、そういう訓練が行われているはずだ。それならば水平と思われるような形で撃つということはあり得ない。七十メートル以上離れて撃つ、三十度の角度で撃つということは、いまは空文ですか、準則にはないですか。

三井脩警察庁警備局長

○政府委員(三井脩君) 三十度の角度で撃てという定めはございます。七十メートル云々という点はちょっと私もはっきりいたしませんけれども、相手に危害を加えないように注意をして、通常は三十度以上の角度で撃てという定めでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 これは楢崎弥之助君に対して当時の警備局長が七十メートル離れてということを言ってますね。三十度の角度と言っている。いずれにしても、至近距離で撃つならば人命に影響がある、こういう前提でいろいろの注意が施されておったものと思いますが、それはそう解していいでしょうな。

三井脩警察庁警備局長

○政府委員(三井脩君) 危害を加えないような方法で使用するという趣旨の定めをしておるわけでございますが、それの具体化として一般的に言えばそういうことでございます。ただあくまでもこれは状況との兼ね合い、先ほど申しました警察比例の原則と俗称される言い方はあるわけでございますけれども、そういうもの、現場の状況との兼ね合い。もう一つ申しますと、ガス器具は武器ではありませんが、扱いを、警職法七条と同じように、つまり武器に適用される制約を課して使えと、こう言っておるわけで、その使い方の中に二通りある。二通りは、通常の使い方、これは七条一項でございます。それからもう一つの使い方というのは、危害条件ある場合の使い方、これがあるわけでございまして、ただいま言っておる場合は七条一号のことを主として言っておるわけでありまして、正当防衛、緊急避難と、こういうような特殊な場合における使い方というものは、ガスの規定ではもちろん書いてありませんし、決めておりませんし、また警棒、警杖、拳銃等も同様でありまして、正当防衛というのは通常の状態、ノーマルな状態に乗らないものということでありますから、これはあらゆるものの制約の外にあると、こういうことになろうかというふうに考えるわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 私は水かけ論を繰り返したくありませんので、先ほどから調査をしていないと言いますので、東山君の場合、合理的に必要な限度であったかどうか、この確証をはっきり出していただきたい。そしてもう一つは、無抵抗の集会に対しガス弾が発砲されたかどうか、されたとするならば、民衆を刺激することのないよう留意するということは一体守られたのか守られないのか、この事実関係をひとつ明確にしていただきます。  次に、警視庁の警棒、警杖使用規程によりますと、「人に危害を与えたときは、救護その他の措置に遺憾のないよう配意し、すみやかにその状況を監督員を通じ、所属長に報告しなければならない」、これはガス銃使用の場合も適用されると思いますが、どうですか。

三井脩警察庁警備局長

○政府委員(三井脩君) 同じような精神でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 東山君の危害に対しては報告をされ救護されたのですか。

三井脩警察庁警備局長

○政府委員(三井脩君) このときの状況は、あるいは説明があったかと思いますけれども、御本人は反対同盟の方々は午前十一時過ぎ負傷したと、こういうふうに言っておるわけでありますが、そういう事実を私たちが知りましたのは当日の夕刻でございまして、午後四時かそこらであったと思いますけれども、したがいまして、本人がどういう状態で負傷されたかということが、目下調査中であって確たることはわからないと、こういうことでございますので、もとよりガス器具で負傷されたかという点についてもわれわれとしてはまだつかんでおらない、つかむ段階でないということでございますので、そしてまた、さっき申しました、こちらが認知をいたしました時間もそういうことでございますので、救護活動を警察官において行ったということはございません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 これはまだ推定の域を出ませんけれども、少なくも調査の対象にはすべきはずだと思います。至近距離からの発砲であったとするならば、ガス銃使用者は東山君の状態というのは知っておらなきゃならないはずですよ。またガス銃使用で、混乱の中だと言っても、使用そのものが厳重な注意規程があるわけですから、使用の前後というものは相当の留意というのが施されておらなければならないはずであります。しかも、危害を与えた場合は当然上司に報告すべき義務があるわけですから、こういうことが千葉県警においては何も行われておらない。少なくも事前に、ガス銃の使用によって鎮圧しようという考え方があるならば、それによって生ずるいろいろの想定のもとに対策が立てられなきゃならないはずだ。これは立てられていたんですか。

三井脩警察庁警備局長

○政府委員(三井脩君) 東山氏の負傷の原因が何によるものかという点についてただいま調査をしておるわけでございますので、それがガス銃によるものであるということを前提としてわれわれは事を考えておらないわけでございまして、あくまでもその真相が明らかになる、そのために努力をしておると、こういうことでございます。もとよりガス銃の使用は、先ほど来申し上げておるところでございますけれども、ガス銃としての通常の使い方と、それから、ガス銃に即して言えばその通常でない使い方という二通りがあるわけでございまして、通常でない使い方の中には、ひとりガス銃に限らずその他のものについてもそういう使い方がある。本件の場合、全体の状況というのはすでに御説明申し上げたと思いますけれども、これは大変凶悪な警察官に対する集団殺人行為というような現状でありますので、それを取り締まるという警察官の任務もありますし、またこれに対しまして警察官がこの具体的の中でわが身を守るために反撃行動、防衛行動を行うということも許されるということがきわめて明瞭な事態であると私たちは考えておりますので、そういうような被害が出たという点につきましては大変残念であると、こう思いますけれども、その被害が警察官の行為によるものであるかどうかということについてはまだ確定をしておらない。同時に一方またこの事態は、警察官が法に許されたいかなる行為をしても差し支えない、こういうような事態でもあるという点につきまして御理解をいただきたいというように考えておるわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 警察法なり警察官職務執行法なりの義務というものをまず履行しようという考え方が警察庁にありませんよ。陵虐致死罪というのが適用されているんですよ。その対象があなた方ですよ。それならば、そうでないにしてもそうであったにしても、事実調査というのが十分警察庁の責任で行われなきゃならないはずですよ。あなたは概括的なことで部分的なことを包括しようとしてますが、概括的な状況で、その警察官と特殊の団体と衝突する渦中になかった者までも一律に律するわけにはまいりませんよ。律するならば、東山君がその過激派学生の先頭なら先頭に立って警察官に対していわゆるあなた方の方の警職法の適用をしてもいいような行為をしておったかどうかということもはっきりしなけりゃ、だから東山君が殺されても仕方がないという論理は成り立たない。  なお、私は非常に遺憾だと思うことは、警備の機動隊幹部は発射の状況を覚えていないと、こう発言している。これが事実とすれば、指揮官が発射の状況も覚えていないような状況で乱射をしたというなら、人命の損傷、当然でしょう、これは。こういう興奮した状況未確認のままで武器使用を警職法は認めているわけじゃないですよ。しかも、警察官が追い詰められて防衛をしたわけじゃないですね。追っかけて行って東山君の場合は追い撃ちをしているわけですね。警察官が危険にさらされて緊急避難をせねばならない状態というのは、一体東山君のあすこの位置にあったか。  それから、さっき言ったように、それがこのガス弾でないにしても、受けた傷は後頭部。しかも、現在わかっている限りは、投石とか金づちとか鉄棒とか、そういうものではないという推定は科学的に行われているわけです。いま、解剖の結果わかることは、ガス弾であったか模擬弾であったか、そういうことをわからせようとしているだけだけれども、少なくも模擬弾かガス弾による衝撃であるという疑いは十分持たれている、これははっきりしている。それならば、報告がありません、わかりませんという問題じゃないですよ、これは。徹底的にみずからも正しさを示すためには、警察庁は総力を挙げて調査をすべきですよ。また、報告の義務を怠ったり、指揮の基準に外れたりする者は直ちに処罰をすべきでしょう。こういうのを何ら処罰をしないで見過ごされるならば、警察ファッショという、警察暴力という非難をあなた方がかぶらざるを得なくなりますよ。私はあなた方の立場も了とする。しかし、だれよりも国民に愛される警察でなければならない、警職法にそう書いてある。ところがいままでの御説明を聞いていると、警職法の本分を守ろうということをさっぱり考えない。場合によってはやってもいいということばかり問題にしている。場合によってはやってもいいということは、やらないで済むならやらない方がいいというのが警職法の精神なんです。そういう点が全然ないじゃないですか。私は時間が来ましたからこれで質問はやめます。しかし、厳重に調査をして、再度この委員会で報告をしてもらいたい。これは解剖の結果がどう出ようとも、解剖の結果ではない。多くの人々が疑いを持っている。今度の警察の行為は過剰行為だという疑いを持っている。あなた方は過激派学生がひどいことをするからということがただ一つの答弁です。過激派学生がどんなひどいことをしたって、抵抗もしない何もしない者を殺していいという理由はないですよ。この点は十二分な解明を求めます。いずれかの機会にまた私は報告をいただきまして質問をしたいと思います。  質問を終わります。ありがとうございました。

高橋邦雄自由民主党

○委員長(高橋邦雄君) 午前中の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十四分休憩      —————・—————    午後一時三十八分開会

高橋邦雄自由民主党

○委員長(高橋邦雄君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  地方行政の改革に関する調査について質疑の途中ではございますが、この際、昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。小川自治大臣。

小川平二自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(小川平二君) ただいま議題となりました昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  政府は、恩給年額の増額を図るため、恩給法等の一部を改正する法律案を今国会に提出し、御審議願ったところでありますが、地方公務員共済組合の退職年金の額の改定につきまして恩給法等の改正内容に準じて所要の措置を講ずるほか、退職年金等の最低保障額の引き上げ、公共企業体職員であった組合員に係る長期給付の受給資格等についての特例等の措置を講ずるとともに、地方議会議員に係る退職年金等の増額改定措置及び地方団体関係団体の職員に係る退職年金制度について地方公務員共済組合制度の改正に準ずる措置を講ずる必要があります。  以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。  次に、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、地方公務員共済組合制度の改正に関する事項のうち恩給制度の改正に伴うものについてであります。  その一は、恩給年額の増額の措置に準じ、地方公務員共済組合が支給する退職年金等の額について増額することとしております。すなわち、その額を、昭和五十二年四月分から約六・七%ないし七%増額する措置を講ずるとともに、昭和五十年度の退職者のうち、同年度中に改正が行われた給与条例等の給料に関する規定の適用を受けずに退職したものに係る年金額の改定についての特例措置を講ずることとしております。  その二は、恩給における最低保障額の引き上げに伴い、退職年金、廃疾年金及び遺族年金の最低保障額を引き上げる措置を講ずることとしております。  その三は、恩給における増加恩給の額の増額及び公務扶助料の最低保障額の引き上げに伴い、公務による廃疾年金及び遺族年金の最低保障額を引き上げる措置を講ずることとしております。  その四は、恩給における措置に準じ、地方公務員の退職年金制度についても、日本赤十字社の救護員であった者の抑留期間を退職年金等の受給資格を生じさせる期間とする措置を講ずることとしております。  第二は、その他の地方公務員共済組合制度の改正に関する事項であります。  その一は、掛金及び給付額の算定の基礎となる給料の最高限度額を三十六万円に引き上げることとしております。  その二は、任命権者の要請により公共企業体に転出した組合員に係る長期給付の受給資格等についての特例措置を講ずることとしております。  その三は、以上の措置のほか、組合員期間の確認に関し不服がある場合の審査請求等に関し必要な改善措置等を講ずることとしております。  第三は、その他の制度の改正に関する事項であります。すなわち、地方議会議員共済会が支給する退職年金等について、年金額の改定に関し所要の措置を講ずるとともに、地方団体関係団体の職員の年金制度について、地方公務員共済組合制度における措置に準じて所要の措置を講ずることとしております。  以上が、昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。  なお、衆議院で御審議いただきました際、施行期日を「公布の日」とする等の修正が行われております。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

高橋邦雄自由民主党

○委員長(高橋邦雄君) 以上で趣旨説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲りたいと存じます。     —————————————

高橋邦雄自由民主党

○委員長(高橋邦雄君) 休憩前に引き続き、地方行政の改革に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 きょうは時間をできるだけ短縮したいと思いますから、答弁の方、ひとつ簡潔にお願いをしたいと思います。  まず、厚生省にお伺いしますが、全国のハンセン氏病患者数、それから療養施設の状況について述べていただきたいと思います。

吉崎正義厚生省医務局国立療養所課長

○説明員(吉崎正義君) 全国の患者数でございますけれども、民間の療養所と国立の療養所と両方に入っておる方々がございまして、ただいま正確なる数字を持ち合わせておりませんけれども、およそ九千人でございます。  それから建物の状況でございますけれども、建物の状況につきましては、不自由者棟、それから治療棟とに分かれておりますけれども、不自由者棟を中心に整備を進めておるところでございます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 国立療養所の数は幾らになりますか。

吉崎正義厚生省医務局国立療養所課長

○説明員(吉崎正義君) 十三ございます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 そのうち離島にあるのは何カ所ですか。

吉崎正義厚生省医務局国立療養所課長

○説明員(吉崎正義君) 五カ所でございます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 国立で五カ所ありますか、離島。そうですか。どこですかね。厚生省に聞いたところでは、大島の青松園と長島ですね。長島は二つありますから、まあ二つを一つにしても、その二つじゃないんですか。ほかにまだどこがあるんですか。

吉崎正義厚生省医務局国立療養所課長

○説明員(吉崎正義君) 離島の観念にもよりますけれども、ただいまお話のございましたように、大島青松園、長島愛生園、邑久光明園、それから奄美和光園というのがございます。それから宮古南静園というのが沖繩にございまして、以上五つと申し上げましたのでございますが、島にあると、こういう意味でございます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 それでその中で、全く一般住民と隔離といいますか、その島には一般の方は住んでいないといいますか、療養所の職員の関係の人は別ですが、そういうのは幾つになりますか。

吉崎正義厚生省医務局国立療養所課長

○説明員(吉崎正義君) 全く療養所関係の者以外の方がおられないといいますのは、長島愛生園と邑久光明園の二園であろうかと存じます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 その長島愛生園と邑久光明園ですか、この職員数と患者数、これはどのくらいですか。

吉崎正義厚生省医務局国立療養所課長

○説明員(吉崎正義君) 長島愛生園につきましては、患者数千二百四十八人、職員数、定員でございますが、三百五十六人。これは時点がちょっと占いかもしれませんですけれども、御了解を願いたいと思います。  それから邑久光明園につきましては、患者数七百七十二人、職員定員二百十六人でございます。これにつきましても、若干時点の相違はあろうかと存じますが。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 この島とそれから本州といいますか、これの交通機関というのは船だけだということだと思うんですが、そういうことですか。

吉崎正義厚生省医務局国立療養所課長

○説明員(吉崎正義君) 長島愛生園並びに邑久光明園は同じ一つの島にございまして、それぞれの園におきまして船舶を保有いたして主たる交通機関といたしております。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 この療養所がなぜそういう他の交通機関のない不便なところに設けられたのかという点について、その理由を述べてもらいたいと思います。

吉崎正義厚生省医務局国立療養所課長

○説明員(吉崎正義君) 古い園でございますので、必ずしも当時の事情に精通をいたしておりませんけれども、かつては伝染病として恐れられておりましたので、赤痢等についても同様でございますけれども、伝染病でありますために、比較的人里離れたところに設置されたのではないかと考えてます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 歴史的にいろいろ聞いてみますと、伝染病だと大事だということで恐れられて隔離をする、そして隔離をして死んでいくのを待つということで、特に交通の便の悪い人里離れたところに療養所が設置をされたというのがその経過だと思うのですが、現在そういう隔離をする必要があるのかどうか、この点はいかがですか。

吉崎正義厚生省医務局国立療養所課長

○説明員(吉崎正義君) 私どもは国立療養所を所管しておりまして、らい患者の治療に当たっておるわけでありますけれども、伝染病であることには間違いございませんが、非常に感染力の弱い伝染病でございまして、かつては治り方も悪かったのでございますが、近ごろは医薬品等が開発されましてよく治るようになっております。したがって、これは慎重に検討いたさにゃいかぬ、公衆衛生局の方で検討いたしておりますけれども、決して恐れる病気ではないと考えております。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 私もしばしばこの長島の愛生園それから邑久光明園にも行っていますが、普通に、そういうことで交流ができるといいますか、行き来ができる、そういう状況にいまなっているわけです。したがって、隔離をする必要はもう今日ないという、そういう状況だと思うのです。  その次にちょっとお伺いしますが、これは古い建物ですから非常に老朽化しておるのですが、したがって、昨年の十七号台風でも被害を受けているわけですが、そういう建物の状況についてどういうように認識をされていますか。

朝本信明厚生省医務局整備課長

○説明員(朝本信明君) 療養所の設備でございますが、主として患者を収容いたします病棟、それから不自由者棟、それから一般棟というように分かれるわけでございますが、この建物がただいま御指摘のようにかなり古いわけでございます。これらにつきましては逐年整備費を増強いたしまして整備をいたしておりますが、今日までのところ、治療棟につきましてはほとんど整備を完了いたしておりますが、不自由者棟につきましてはなお七割程度の整備状況ということになっております。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 大体建物は、木造ですか、鉄筋、どちらが多いですか。

朝本信明厚生省医務局整備課長

○説明員(朝本信明君) 木造が多うございます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 火災に対する対策といいますか、処置、これはどういうようになさっていますか。

吉崎正義厚生省医務局国立療養所課長

○説明員(吉崎正義君) 火災対策につきましては非常に注意をいたしておるところでありまして、私どもといたしましては、国立らい療養所長会議等、機会あるごとに注意を喚起しておるところであります。具体的には、たとえば長島愛生園、邑久光明園におきましては、防災管理規程、災害対策規程というものを設けまして、園長を団長とするいわゆる自衛消防団を組織いたしております。そして、消防車、消防ポンプ等を保有いたしておりますので、みずから消火訓練を行うと同時に、地元の消防署の御協力をいただきまして年数回の防火演習の実施をいたしております。それからまた、一般的な医療関係職員のほかに、常時二十五名程度の者を当直させまして万全を期しておる次第であります。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 まあ、いまそうおっしゃいますが、消防車が一台、あるいは手押し車ですか、これが四台ぐらいで、そして患者を含めて自衛消防隊がつくられるわけですね。職員だけではどうしても手が足らない、そういう状況になっています。ところが、患者の年齢は、最近は患者の発生率がずっと下がってきていますから老齢化をしてきているわけですね。そういう状態であるわけです。そこで、この二つの療養所を担当している邑久町の消防組合の責任者に聞いてみたわけですが、消防の関係者の話では、冬暖房に重油を使っている、それでまた危険物の施設もあると。ところが、現在危険物の実態の届け出すらこれを出すように申し入れているけれども、実態は消防としては把握をしていないと、こう言っているんです、現地の消防が、組合消防ですが。それから消防体制はどうなのかと言って尋ねますと、一一九番があれば消防車が出動できる体制にはなっている。しかしその場合、虫明港まで行って、これはまあ二、三分で、ないしは五分以内には着くわけです。それからフェリーを使って渡らなきゃならない。ですから、これらを含めますと最低十七分から二十分、そこから一番遠いところまでだと二十分ぐらいはかかると。いままでの訓練、いまおっしゃるように演習といいますか、訓練をやってみて大体そういう状況だと。もう一つは、消防本部で心配をしているのは、山火事の危険性ですね。万一の場合非常にこれが心配なんだという話をしている。そういう実態については厚生省の方は把握をされているわけですか。国立ですから責任を持っていただかなきゃならないと思う。

吉崎正義厚生省医務局国立療養所課長

○説明員(吉崎正義君) 先ほども申し上げましたけれども、火災が最も心配なわけであります。それで万全を期するように機会あるごとに申してあるわけでありますが、ただいま御指摘のございましたようなことにつきましてはいまのところ把握をいたしておりませんので、よく調査をいたしまして、危険物等の届け出等をちゃんとやっておらないということでありますならば、厳重に注意をいたしまして直ちに実行いたしたいと考えます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 消防庁に伺いますが、だからこの現地の組合消防の本部の方からそういう話を聞いてちょっと驚いたんですが、相手は国立の療養所ですわね、そこが危険物の実態について届けを出すように言っているのに、まだ出てなくて実態把握ができていないという状況なんですね。これは消防法ではそういう点については権限を持っているんじゃないんですか。

林忠雄消防庁長官

○政府委員(林忠雄君) 当然一定量の危険物があれば届け出義務がありますし、その届け出を怠っておればそれを督促して出させるという権限はあると存じます。ただ、現在のこの実態は、私よく存じませんけれども、恐らくいまのお話で考えれば、重油の貯蔵施設ではないかという気がいたします。重油はわりあいと引火性その他も低くて、危険物のうちではそう危険はないのですが、それにいたしましても、それが法定に定められた量以上であれば、それは直ちに届け出を出していただく必要があると思います。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 法定に定められた量以下なのかもわからぬと思うのです。まあ居住あるいは治療用に必要な暖房をとるということ、それから、ここは船を持っていますから、船に必要な重油ということだろうと思いますが、量の多少にかかわらず、私は消防の側から言うと、大体どこにどれだけの量を保有しているかというのは把握してないといざというときには困るだろう、適切な手が、措置ができないというのは当然だと思うのです。この辺を、いま言いましたが、厚生省の方も法定量以下だからそうやいやい言うなというような態度ではなしに、お互い協力をして防火対策といいますか、これがちゃんと確立をせにゃいかぬわけですから、そういう点はひとつ、先ほどお話がありましたが、調査をしてすぐ措置をしてもらいたいと思います。  ただ問題は、こういう状況ですと、もし不幸にして大きな火災が夜中にでも起こるということになりますと、二十数分かかるわけですね、二十分から二十数分。まあうまくフェリーが、船が間に合ってということになってそうなんですね。ですから、これでいきますと、下手すると、場合によったら消防自動車が着いたときには焼死体が生まれているという不幸な事態も考えられないことはないということで、あの療養所の患者の皆さんというのは、非常にこの点を心配をされているわけです。まあ昨年の台風十七号のときには、家屋の倒壊はあったけれども、あるいはがけ崩れがあったりしましたけれども、幸い事前に避難をして人命の損傷はなかったわけです。しかし、いつもそうであるとは限らない。特に火災になりますとこれはまた特別ですから、この問題を私はどうしても解決をしなきゃならぬのではないかと思うんですが、この点でこの両園及び両園に入所をされている方々だけではなしに、療養所長を含めてこの問題を解決をするために、いろいろ理由はありますが、橋をかけてもらいたいという要望が厚生省に対して強く出ておったと思うのですが、大体海面の一番接近しているところで海面で三十メートル程度と。で、橋をかけるのは少し上でかけなきゃなりませんから、私も現地へ行ってここが一番いいんだという話を聞きましたが、そこで大体約百メートル前後の橋をかければ離島ではなくなるわけですね。そういういざという場合はすっと走ってこれるわけですね。うんと時間が短縮される、こういう状況が起こるんですが、この長島に対する架橋問題について、厚生省はどういう取り組みをなさってきたのか、必要性をお認めになっているのかなっていないのか、その問題を解決するためにどういう努力をされてきたのか、こういった点について答えていただきたいと思います。

朝本信明厚生省医務局整備課長

○説明員(朝本信明君) 御指摘の長島と本土の間に橋をかける問題につきまして要請がなされており、これがかなり長い期間に及ぶ懸案となっているということは先生御指摘のとおりでございます。これにつきましては、従来いろいろと検討をいたしてきておりまして、岡山県の道路課とか、あるいは地元の邑久町というようなところと話をしているわけでございますが、ただいまお話がございましたように、狭いところへ橋をかければそれでいいという問題ではございませんで、やはり水位のかなり上のところへ橋をかけなければならない。それから、橋だけではなくて、本土側の取りつけ道路というようなもの、それから園内道路の問題、いろいろあるわけでございまして、やはり地元でよく調整をしてもらう、こういうことで今日に及んでいるわけでございます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 そうすると、架橋の必要性は厚生省は認めておられるわけですか。

朝本信明厚生省医務局整備課長

○説明員(朝本信明君) 災害のお話もございましたが、やはり患者も千数百人、職員を含めますとかなりの数になりますし、これらの方も含めて、それから当然いろいろ商業関係等もございますし、地域の交通事情からしても橋がある方が望ましいというふうに考えております。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 それで、地元の方に、橋をつける場合に取りつけ道路が必要だし、そういう点でいろいろ調整をせにゃいかぬだろう、これは私もわかります。それでその調整をするようにというのはいつごろおっしゃったわけですか、県と邑久町に対して。

朝本信明厚生省医務局整備課長

○説明員(朝本信明君) これは昨年、邑久光明園長及び長島愛生園長の方から地元に対して申し入れをしておるわけでございますが、まだ連絡協議会等が設置されておりません。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 厚生省の方もすでに御存じだと思いますが、県議会も意見書を出していますね、一厚生省に対して。厚生大臣と大蔵大臣に対して意見書を出している。それから邑久町の議会の方も、この療養所の関係者からの陳情を採択をして、そして議会の中に対策協議会をつくっていますね。ですから、そういう体制が、協力をしてやっていく体制というものができてきているわけです。それで問題は、厚生省が責任を持ってそれを進めてくれるのかどうかというところにまだ展望が持てない。地元で調整をしたら、そうしたらすぐ厚生省はそれに基づいて仕事を進めてもらえるのかどうかという展望がないために、なかなかそこから先の話が進まないという、そういう状況になっているんですがね。この点について厚生省はどうお考えですか。

朝本信明厚生省医務局整備課長

○説明員(朝本信明君) 御指摘がございましたが、地元でも昨年すでに議会の中に従来の協議会から特別委員会というようなものをつくっておりますし、厚生省の方も決して消極的一本ということではございませんで、やはり地元の側とどういう協力ができるかという話になりませんと物が進まないのではないかと、こういうことでございまして、姿勢としては橋は望ましいと、どこに問題があってどのような協力をすべきかと、こういうふうに検討をすべきではないかというふうに考えます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 そうすると、地元の方の調整ができれば厚生省の方で厚生省の事業としてその橋をつくると。まあ、あと取りつけ道路は、これはまた別になりますからね。そういう橋そのものについてはそういうお考えを持っているわけですか。

朝本信明厚生省医務局整備課長

○説明員(朝本信明君) 橋そのものを、限られたハンセン氏病の療養所の施設整備費の中で取り組めるかどうかというのはかなりむずかしい問題かと存じますけれども、といいますのは、先ほど申し上げましたように、まだ全国的に見まして木造施設が非常にたくさん残っている、あるいはその中でも整備が進んでいないものが多いと、こういうような状況でございますので、これをまあ一つの公有海面上の建築物として単独ですることが妥当なのか、それとも、取りつけ道路を含みまして市町村道路として認定してもらうことが適当なのかというような問題も含めて検討する必要があろうかと存じます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 それは、療養所はこれ一つだけじゃなしに、先ほどおっしゃったように、国立の療養所は十三カ所ありますし、それから施設が、皆どこもほとんどまだ整備をしなきゃならぬものがたくさん残っているから、橋をつくるところにどっさりとお金を使うわけにもいかぬという御主張だと思いますがね。しかし問題は、昔は非常に恐れられた伝染病、したがって接触をしないようにということで、治療の方法がないということで島に隔離をする、それが社会的通念で今日まで来ているわけですね。それで今日、先ほどおっしゃったように、そういうきわめて伝染力の弱い、危険なものではないということが医学的にも明らかになり、治療も可能になってきている、そういう状況ですね。ところが、いまだにやっぱり島で、隔離をされた状態が続いている。したがって、このために、先ほどもありましたけれども、職員の通勤の問題、したがってそのために医師や看護婦さんの確保もきわめて困難になる。それから、すべて船で運ばなけりゃなりませんから生活費もそれだけかさんでくるという問題、そうして、やっぱり何といいますか、島の人と地元の人も呼んでおられるように、やっぱり何か差別的な感情を患者の皆さんが持たざるを得ないような雰囲気というのが、島として隔離されているというところでどうしてもふっ切れないものが残っている。さらに、先ほどから申しました火災とかあるいは災害に対してもいつも心配されている。こうなりますと、私はこれは少し一般的な問題ではなしに、そういう状態をなくして、そうして患者の皆さんももっと楽に、精神的な苦痛を受けることなしに療養ができる、あるいは生活費その他の問題にも要らない負担をしなくてもいいと、さらには医師や看護婦さんの確保もどんどんできると、そこにもっと家族の人が住みたいと言えるような、そういう状態がつくれるわけですね。そうすればもっと全体が、療養施設そのものも条件というものを改善される。  そういう点を考えてみますと、あらゆる面からこの島に橋をつけるというのが、ここのところでは何をおいても最大のやっぱり要求になる。特にハンセン氏病患者の方は、がんとか、それから、老齢化していますから成人病関係の方がおられる。これが岡山医大あるいは国鉄病院の方ですか、こういうところで治療を受ける、あるいは来てもらって診てもらう。これは全部そういうことでなかなかうまくいかぬ、こういう状態が起こっているわけでしょう。だから、あらゆる面から考えましても、私はこの問題をひとつ厚生省としては考えなきゃならぬ、こう思うんですね。ただ、いまそうやって厚生省の整備費の範囲内で、枠の中でそれをやろうとするとそれは確かにしわ寄せは来ます。私は、これはひとつ一般の整備費、整備事業の枠外にして、特別の事業としてこの問題を考えるという、そういう考え方に立たなかったら、このハンセン氏病の療養所の関係の整備費の枠の中でやろうかといったって、これはもうあっちもこっちもあるんだということになっちまう、できやせぬ、こういうように思うのですが、その辺についてのお考えいかがですか。

朝本信明厚生省医務局整備課長

○説明員(朝本信明君) 厚生省といたしましては、現在確かに島に療養所が二つあるわけでございますが、船は七隻ございまして、五十一年度には五十二トン、定員百三十名という大型船を購入、配置しておりまして、隔離をしているという感覚はないわけでございます。しかし、御指摘のように、橋があった方がベターであるということは間違いないわけでございまして、問題は、これをどういう手段、予算措置によって実現をしていくかということでございますが、この点はいろいろな方法を含めて検討をしなければならない。そのためには、地元の意見も十分聞いて進めてまいりたい、こういうことで考えております。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 もう一度はっきりしておきますが、私ども厚生省に直接いろいろお話をこの問題で聞いたら、橋の方は、あの島は療養所のものだけれども、橋は厚生省は予算もないんでそれはできぬので、建設省でやってもらわなければいかぬなという話をされておったように聞いておるのですが、その辺はどうなんですか。

朝本信明厚生省医務局整備課長

○説明員(朝本信明君) これは、橋の定義と申しますか、橋梁が道路であるとすればどういう道路であるか。私どもの考えでは、同じ町内を結ぶ橋ということで市町村道となることが適当ではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、果たしてそれでいいものかどうか、なお詰めを要する問題ではないかと思っております。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 それはどうなんです、厚生省の部内でまだそれを相談している程度ですか。建設省とはまだやっていないのですか。

朝本信明厚生省医務局整備課長

○説明員(朝本信明君) 建設省とは、内々で御意向を承ったりしたこともございますけれども、計画自体がまだコンクリートに固まっておりませんので、正式な御相談はまだしていない状態でございます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 私は、そういう厚生省の態度が、いま患者の皆さんが非常に怒りを持っている点なんですよ。県議会にも運動して、そうして県議会から意見書を出してもらう、これは厚生大臣と大蔵大臣に出したんですね。それから町議会にも陳情を出して、町議会の中に対策協議会をつくってもらう。もうこの二、三年は、何遍も厚生省にこの問題で相談、陳情に来ています。みんな金を出し合って、そうして旅費をつくって来ているわけですよ。そしてこの国会には今度は請願書を提出をされています。各党の議員さんも皆紹介議員になって、すでにもう受理をされている。それだけこうみんなやっているんだけれども、なかなか厚生省がもうひとつみこしを上げてこられない。厚生省で内々で、あるいは建設省と内々で話はしているけれども、具体的にどうするかというところまでの詰めをなかなかやろうとしない。地元とおっしゃるが、地元の方で、療養所の所長を通じてでもいいですが、当該邑久町なり岡山県と詰めていかなければ、いつまでたっても計画はできない。患者の皆さんはそんなことは知りませんから、建設省でつくってもらうのか厚生省でつくってもらうのか、そんなことは知りませんわね。とにかく橋をかけてくれと、こう言っているんですよ。それを受けとめているのは厚生省。ところが、何だかんだ言ってなかなか話が進まない、そういう状況ですね。  あの島の道路は全部、何といいますか、療養所の私道ですね。これは建設省に聞きますが、だから私道路ですね、あの島は。それであっちの、本土側というのですか、本州側と橋をかける。この橋というのは、市町村道ということでやるのですか、県道あるいは国道ということでやるのですか。どういうことで、どこがつけるわけですか。

高篠香建設省道路局市町村道室長

○説明員(高篠香君) ただいまの、離島にかけるという橋梁が、どういった、県道か、市町村道かというお話でございますが、これはもっぱらかけられる、つまりそれを管理する道路管理者の意思によって決まってまいりますので、市町村がかければ市町村道でございますし、それから県がかければ県道でございますし、また、一般私人がかければ私道橋と、こういうことになろうかと思います。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 そうですね。だから厚生省、こうなるんですよ。だから、市町村の方から島に橋をかけるんじゃなしに、厚生省が管理をしている国立療養所の側から橋をかけるのがこれはあたりまえなわけですね。それが当然なわけでしょう。療養所に住んでいる、収容されている患者の皆さんあるいは職員の皆さん、それからあるいは療養所の治療を含めた運営、これらを改良していくためには橋が必要だ、橋を必要とするのは療養所の側です。だから必要とするところが橋をつくらないと。ただ邑久町なら邑久町、岡山県なら岡山県が、県民のためとか町民のために橋をつくるという必要性というのは若干あるにしても、それが主要なものではない。主要な内容というのは療養所の生活環境、あるいは治療環境、これをよくするために橋をつくらなければいかぬ。療養所の側が、橋をかけるという意思を、言うならば厚生省の側が橋をかけるんだという意思を明確にしないと、これは邑久町にしても岡山県にしても話に乗れぬわけですよ。わしらの方からやいやい言うたら、お前のところが金出せと言われるのですから、これははっきりしているのですよ。逆に言うたら、厚生省にしたら、何とか自分のところは金を出さぬで済む、少しにして町なり県から出させる、できたら建設省に持ってもらって、建設省から出せという方法はないだろうか、それは考えてもらったらいいですけれども、県や町の方から言うたら、びた一文出さぬとはおっしゃらないだろうと思いますけれども、主体は厚生省がつくるんだという態度をはっきりされないと、何ぼ地元で調整せいのどうのこうのおっしゃったって、それはできないわけでしょう。橋をかけたあと道路までの間の取りつけ道路をどうするか、これは私は両方の便益があります。その地域の人の便益もあるでしょうし、療養所側の便益もあるだろう。だから、これはどの程度負担をし合うかという話は当然です。橋そのものは厚生省がまず主体的に責任を持って負担をしてやるということにならなかったら、これはちょっとも進まぬのじゃないかと思うのですが、どうですか、その辺の見解は。

朝本信明厚生省医務局整備課長

○説明員(朝本信明君) 先生お述べになりましたような御見解も十分あり得るわけでございますが、いままでのところは船舶で交通手段は確保しておるわけでございまして、これを橋にする、しかも療養所施設の一環として整備をするということになりますと、他の整備との関係が問題になってくるというようなことになるわけでございます。いずれにいたしましても、実現性なり、計画の度合いなり、やはり地元のお考えをよく聞いた上で方針を決めていくことが妥当ではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 どうももうひとつはっきりしませんね。  政務次官、そこでお伺いしますが、直接関係がないようでありますが、しかし、事火災の問題は責任を持っていますから、ですから防火体制、あるいは防災体制、こういったものを進めていく上においても、また橋、あるいは取りつけ道路ということになってきますと、岡山県や邑久町の財政問題にかかわってきますから、そういう意味からもちょっとお伺いするのですが、私はやっぱり先ほどからも述べましたように、厚生省が主体になり、そして建設省も援助し、当該の岡山県や邑久町の方も応分の協力をしていく。しかし主体はやっぱり厚生省が立ってそしてこれを進めるという見地に立たないと、これは進まないと思うのですね。その点についての、ひとつ政務次官は政治家でもありますから、ちょっと御意見を聞かしていただきたい、こう思います。

中山利生自由民主党自治政務次官

○政府委員(中山利生君) 先ほどからのお話を承っておりまして、療養のために離島にしておく必要が、いまもうすでになくなってしまっているというようなお話も聞いておりますし、地域の方方、また療養所にお勤めの方々、また患者の皆さん、この防災、福利ということを考えますと、橋ができることが望ましいと思いますが、先ほどから厚生省の方からお話がありますように、いろいろな予算面のことやら、その他主管者がどこになるかというようなこともいろいろ込み合っているようでございますが、先生おっしゃるように場所が場所でございますから、厚生省が中心になって架橋が実現できるように努力をしていくということが一番望ましいのではないかというふうに考えております。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 患者の方からの手紙を持ってきておりますがね。この療養所ができた昭和六年ごろの国の考え方というのは隔離撲滅政策で、患者を飼い殺すことを方針として、わざわざ島を探して建てた、それが今日の長島愛生園の始まりですね。ところが今日では、したがってそういう状況の中で、職員の出退勤、職員子弟の通学、各種物資の輸送、これは陸から海へ、海から陸へと、わずかな道のりを複雑に往復をしている。それから先ほど言いました医師、看護婦の確保にも重大な支障がある。しかも、いま言いました常設消防車、邑久町の常設消防車が二十五分から三十分もかかるので、とても消火には間尺に合わない。そのうちには焼死体となる病友がたくさん出るのではないかという心配を皆さんなさっているわけです。ですから、五十二年度の、今年度の予算で、ひとつぜひとも何とか調査費ぐらいはつけてやってほしいというので去年あたりからやいやい言っているんですね。現在の状況は、いま次官お聞きのようにもうひとつすっきりしない、こういう状態なんですよね。そこで、これでは困る、もっと早くしてもらいたいということで、患者の皆さんや職員の皆さん含めまして請願を出して、各党こぞって紹介議員になってその実現を期待をしているわけですね。したがって、私はこれひとつきょうの委員会でこの問題を取り上げました。したがって、ここで大臣にも聞いてもらいたいと思っておりましたが、できれば厚生大臣にもひとつ来てもらって聞いてもらいたいと思っておったのですけれども、なかなかそうはいきませんから、政務次官に御出席をいただいて話を聞いてもらったわけです。で、いつまでもこういうのをたなざらしにして、そして引きずっていっている、それから、厚生省だ、あるいは建設省だ、あるいは地元だということで責任のなすり合いをしているということでは、これは患者の皆さんに対しても申しわけないと思うのです。ですからこれを機会に、ひとつ次官の方で、厚生省、建設省も含めまして、特に消防の見地から言ってもこれは一日もゆるがせにできない、重大問題が発生してから、それからどうのこうの言っても間に合わぬわけですから、事人命にもかかわる問題になるわけです。だからそういう点では、ひとつ厚生省を中心に連絡を密にして早く計画を立てる、そして計画ができれば、少なくとも、遅くとも来年度予算には調査費ぐらいはつけてその実現の第一歩を踏み出していくということを、ひとつ次官、責任を持って進めていただきたいと思うのですが、この点いかがでしょうか。

中山利生自由民主党自治政務次官

○政府委員(中山利生君) 私、直接の担当でございませんが、厚生省、建設省とも連絡をいたしまして、先生がおっしゃるようにこの問題を解決をする、架橋が実現できますように努力をしていきたいと思っております。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 最後ですから答弁要りません。  建設省はきょうわざわざ来てもらいましたが、建設省の方も聞いてみたら、そんな話は厚生省から聞いたことはないという話でした。しかし、きょうはそういう意味で来てもらいましたから、いずれにしても建設省は知らぬ顔はできない。実際やるとすればタッチせざるを得ないだろうと思います。きょう事情は聞いてもらったと思いますから、ひとつ建設省の方もこの問題に関心を持ってもらって、厚生省に協力をしてもらうということを要望して、私の質問はきょうは終わりたいと思います。

高橋邦雄自由民主党

○委員長(高橋邦雄君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後二時三十分散会      —————・—————

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