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80回国会参議院1977/04/14

大蔵委員会 第8号

発言数
274
登壇者
13
会派数
4
開催日
1977/04/14

会議録

安田隆明自由民主党

○委員長(安田隆明君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  委員の異動について報告いたします。  去る一日、小笠原貞子君、中村登美君が委員を辞任され、その補欠として近藤忠孝君、中西一郎君が選任されました。     —————————————

安田隆明自由民主党

○委員長(安田隆明君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  貴金属特別会計法を廃止する法律案及びアジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日、参考人として日本銀行理事中川幸次君の出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安田隆明自由民主党

○委員長(安田隆明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

安田隆明自由民主党

○委員長(安田隆明君) 貴金属特別会計法を廃止する法律案及びアジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。  まず政府から順次趣旨説明を聴取いたします。坊大蔵大臣。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(坊秀男君) ただいま議題となりました貴金属特別会計法を廃止する法律案及びアジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  初めに、貴金属特別会計法を廃止する法律案につきまして申し上げます。  貴金属特別会計は、政府の行う貴金属の買い入れ、売り払いまたは管理に関する経理を明確にするため、昭和二十四年に設立されたものであります。  貴金属特別会計におきましては、従来、海外からの金の一元的輸入及びその民間への売り払い等を行っていたところでありますが、昭和四十八年四月の金の輸入自由化以降、民間による金の輸入が順調に行われてきている状況等にかんがみ、同会計をこのまま存続させておく必要はないと判断されますので、昭和五十二年度末までに同会計を廃止しようとするものであります。  貴金属特別会計の廃止に伴いまして、その保有する金地金の処分を予定いたしておりますが、そのうち大蔵大臣の指定するものにつきましては、政令で定めるところにより算出した価格で日本銀行に売り払うことができることとするとともに、その廃止の際、同会計に属する権利義務は、一般会計に帰属させる等の措置を講じようとするものであります。  以上がこの法律案の提案の理由及びその内容であります。  次に、アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。  アジア開発銀行は、アジア・太平洋地域の開発の促進を目的とする地域開発金融機関として、昭和四十一年に設立されましたが、その後十年の間に、加盟国は当初の三十カ国から四十二カ国へと増加し、融資承認累計額も約三十四億ドルに達しております。また、小開発途上国を含め広く域内各国にわたって融資を行うとともに、技術援助についても積極的な活動を行うなど、域内開発途上国の経済的・社会的発展に大きく寄与してまいりました。  アジア開発銀行は、域内開発途上国の旺盛な開発資金需要にこたえ、昭和四十七年には第一次の一般増資を行うなど業務規模の拡大を図ってまいりましたが、その融資財源は、本年後半には枯渇することが見込まれております。このような事態に対処して今後とも同銀行が円滑な事業活動を継続し得るよう、昨年十月、総務会において総額四十一億四千八百万協定ドルの第二次一般増資を行うことを内容とする決議が、採択されました。  我が国といたしましては、決議の定めるところに従い、同銀行に対し、六億七千五百万協定ドル、現在の合衆国ドルで約八億一千四百万ドルの追加出資に応ずるため、所要の国内措置を講ずる必要が生じたものであります。  我が国は、域内における最大の先進国として、また、同銀行の最大出資国として、その円滑な事業活動の継続を確保するため、率先これを支援していくことが強く要請されております。このため、政府といたしましては、本法律案により新たな出資についての規定を設けることとし、この法律の成立後、速やかに増資に応募する旨の通告を行いたいと考えております。  以上、貴金属特別会計法を廃止する法律案及びアジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由と内容の大要を申し上げました。  何とぞ御審議の上、速やかに御賛同下さいますようお願い申し上げます。

安田隆明自由民主党

○委員長(安田隆明君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 何か日銀だけ先に済ませろということでありますので、まず日銀関係の質問をいたしますが、その前に大蔵に、福田総理が昨日公定歩合、長短期金利の全面引き下げについて大蔵省に指示されたようにけさ各紙が報道いたしています。大蔵省はこの指示を受けて金利体系全体を変える、そういうような検討をされるのですか。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(坊秀男君) 公定歩合の問題は日銀の決定事項でありまするので、大蔵省の見解を述べることは差し控えさしていただきます。いずれにいたしましても、日銀の問題でございまするので、報じられるように、総理が引き下げを指示されたというようなことはないと思っております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 自民党の中では、何か景気対策の一項目として、この十三日の日に、公定歩合の引き下げ、市中貸出金利引き下げということを掲げられましたが、大蔵大臣はこれについてはどうお考えになるわけですか。

後藤達太大蔵省銀行局長

○政府委員(後藤達太君) 党から正式に御指示その他のことはございません。ただ、そういうことが報ぜられておりまするが、私どもとしては、先般三月に公定歩合の引き下げ、あるいは要求払いの引き下げということがございまして、その成果を他の施策の浸透と相待ちまして、どういう成果が出てくるかということを見守っておる段階でございまして、具体的にいま検討するということはいたしておりません。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 郵政省は、貯金金利の引き下げは検討されるのですか。また、大蔵か、あるいは日銀から相談が今日の段階でありましたか。

森本哲夫郵政省貯金局第一業務課長

○説明員(森本哲夫君) 先生御案内のとおり、郵便貯金の金利につきましては、預金者の利益の増進に対する配慮と同時に、市中金融機関の金利の動向をあわせ配慮して決定するという仕組みになっておるわけでございますので、私どもといたしましてはその定めに従って慎重に対処していくものと考えておる次第でございます。なお、ただいまの後段のお話については、現在具体的に何らのお話はございません。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 森永日銀総裁が十三日の日に、土光経団連会長と会談をされました。公定歩合の再引き下げの話も出た模様でありますが、報道によりますと、公定歩合の再引き下げについては、日銀総裁は当面様子を見るというふうに言われたということでありますが、そのとおりですか。

中川幸次日本銀行理事

○参考人(中川幸次君) 日本銀行の中川でございます。きょうは総裁が出席してお答え申し上げるべきところでございますが、よんどころない事情がございまして、私がかわって答弁さしていただきます。御容赦をお願いいたします。  ただいまのお尋ねでございますが、私ども、今週の初めから支店長会議がございまして、その支店長会議が終わりますと、大体その終わったところで経団連でパーティを開きまして、財界の人たちと懇談するというのが通例でございますが、そのとき土光会長があいさつの中で、そういうふうな要望されたことは事実でございます。しかしながら、いまお尋ねのとおり、総裁はやはりそのあいさつの中で、いま三月に公定歩合を下げた約一カ月たった段階で、その引き下げの効果を見守っておる段階であるというふうなことで、いまのところは何にも考えていないというふうなあいさつをしたわけでございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 前回の三月十二日の公定歩合の引き下げのいま言われた効果ですね、この効果についてはどういう実情ですか。私の質問に対して、シグナル効果はあるだろうという答弁を総裁はされたわけですが、この前。どうですか。

中川幸次日本銀行理事

○参考人(中川幸次君) 公定歩合を変更する場合に、私どもいつも考えておりますのは、その効果がどういうことかということでございますが、いま御指摘のとおり、あるいは総裁が前にお答え申し上げましたとおり、シグナル効果と申しますか公示効果というのは非常に重要視いたしております。その効果も確かにあったと思いますが、なお実質的には、やはり市中貸出金利が公定歩合に追随してどういうふうに下がっていくかというのも、もう一つ大きな効果が期待されるわけでございますが、その点につきましては、まだ一カ月たったばかりでございますし、数字的に結果は出ておりません。しかし、支店長会議での検討それからけさほどから地方銀行頭取との懇談をやっておりますが、その席上、各地方銀行の頭取からの話によりましても、やはり企業からの引き下げ要望は強いし、銀行としても精いっぱい応じている、案外公定歩合に対する追随は早いのではなかろうかというふうな話でございました。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 私は、日銀総裁が当面様子を見ると言われるからには、前回の効果がどうあらわれたかということを見きわめられる、そういうことが当面という意味だと考えますが、それはそう考えておいてよろしいですか。

中川幸次日本銀行理事

○参考人(中川幸次君) 御指摘のとおりだと思います。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 私は、公定歩合の引き下げは、現状では短期のプライムレートに効果を及ぼす程度だと考えるんですが、それは結局、鉄綱会社にメリットを与えるだけだ、端的にそう言って私は誤りじゃないと思っているほどです。前に当委員会で質問したときも、公定歩合の引き下げに大義名分はないんだということを私は主張をいたしましたが、再引き下げについても同様に考えます。で、預貯金金利と関係させると言われている以上、公定歩合の引き下げが具体的にどういう効果があるのか、これは明確にしてもらわなきゃならぬと思うんです。それはいかがですか。

中川幸次日本銀行理事

○参考人(中川幸次君) ただいま鉄にだけしか及ばないという御指摘もございましたが、前回三月十二日から公定歩合を下げました後の反響を見ますと、都市銀行におきましては即日プライムレートと並み手の最高限度も同率〇・五%引き下げることを決定いたしましたし、地方銀行も、若干おくれましたけれども、プライムレート及び並み手の最高限度を〇・五%下げることを全部が決めました。もう実施いたしております。したがいまして、特定の企業、大企業だけにそういう引き下げの効果が及ぶということはないと確信いたしております。いままでの事例を見ましても、たとえばこの前、五十年の秋に下げましたその後の追随を見ましても、銀行の短期の貸し出し金利に対します、短期の貸し出しに対します追随率は高いところでは約九割に及んでおります。したがいまして、やはり大部分の企業においてそういう金利引き下げのメリットを受けているというふうに私ども判断いたしております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 ところで、円高の相場が続いて一ドル二百七十円に迫る勢いでありますが、この相場を一体どう見たらいいのでしょうか。総裁は、市場介入を強めるとかつて発言をされておられますが、一ドル何円の線までいったら介入されるつもりなんですか、あるいはすでに買いに入っているわけですか。

中川幸次日本銀行理事

○参考人(中川幸次君) 御指摘のように、最近はかなり円高になってきておるわけでございますが、私どもといたしましては、基本的には、こういうふうな円高になりましたのは、国際収支がこのところ特に黒字が大きいと。輸出はかなり好調でございますし、半面輸入の方は、どちらかと申しますと、生産の停滞ぎみなことを反映いたしまして落ちつきぎみであるということから、黒字幅が拡大いたしております。そういうふうなことに対する市場関係者の先高、円の先行きについての円高感といったものが反映しておるというふうなことだろうと思います。御承知のように、現在はフロートのもとでございますから、相場は、私どもがある特定の水準において、こういう水準になったらどうするということではございませんで、そのときどきの実勢に応じまして相場が変動するというのが自然な姿であろうと思います。したがいまして、そういう実勢に見合った相場ができるということが望ましいわけでございまして、私どもとしては円高も円安も特にどちらも歓迎しない。あくまでも実勢に見合った相場水準であってほしい。そういうふうになりますと、そういう相場を通じまして国際収支にもある程度調整の効果が出てくるだろう、そういう筋合いにあるというふうに考えております。もっとも、その相場はときによって乱高下することがございます。そういうふうな乱高下する場合には、従来も介入をしてまいりました。今後も介入すると、そういう方針には、これまでもそうでございますし、今後もそのつもりでおります。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 ちょっと話題変えますが、日銀で、物価急騰の要因になるいわゆる過剰流動性の発生を防止するためにいろいろな策がとられているわけでありますが、このことに関連して私は以下二つの点を指摘をいたします。  一つは、金融機関以外の金融活動の増大が放置されている点、まあ、俗にトヨタ銀行と言われてみたり、何々バンクと言われてみたり、そういう言われ方がなされているんですが、そうした大企業の債券の売買や現金の取り引きや、あるいは下請への融資などによる、まあ金融、融資ですね、これが都銀を上回るという状態、現象が出ています。そうすると、過剰流動性の発生防止という観点から考えますと、この現象をこのまま放置してよいという問題ではないように思うんですが、日銀はどうお考えですか。

中川幸次日本銀行理事

○参考人(中川幸次君) 金融機関以外のところで金融活動が行われる、それはある程度、これまでもございましたし、まあ、それは……。と申しますのは、企業間で売ったり買ったりいたしますときに、その売り掛け、あるいは買い掛けということが起こるわけでございますが、それも一種の金融活動でございます。そういうふうなことでの金融活動というのは当然ありますし、余裕の金、準備を持っている企業におきましては、不足している企業に対するある程度の貸し出しという、貸し出しと申しますか融資と申しますか、そういう与信活動が起こるというのはこれはそうおかしなことではないと私は思います。ただ、いま御指摘のように、たとえばそういうのが非常に大きくなりまして都市銀行を上回る規模でそういうことが行われるかどうかというふうなことでございますが、そういう事実は私どもが持っております資料で見ます限りないんではないかというふうに判断いたします。  と申しますのは、私どもが企業に対しまして調査いたしております、三カ月ごとに主要企業約五百社それから全国的に約三千社につきましてアンケートで調査いたしておりますが、そのアンケート調査の一つの項目に、現預金の動きと、それから保有有価証券の動き、こういうものをとっております。その動きを見ておりますと、五十年の初めごろから金融が緩和いたしまして、それからだんだんふえてまいりましたものの、最近は、どちらかと申しますと、企業が体質改善をして、できるだけ遊んだ金を持つのを少なくしようと、そういう動きがかなり出てまいっておりますので、そういういわば流動性はややふえ方が鈍りぎみでございます。もう一つの角度から申しますとマネーサプライでございますが、この私どもがマネーサプライといって、流動性の預金の場合だけと、それから定期性を含めた広い意味の預金の場合、いろいろなマネーサプライの指標がございますが、そのマネーサプライの動きを見ておりましても、最近は、どちらかと申しますと伸び率がやや低くなっておりまして、たとえば、やや広い意味でのマネーサプライの平均残高をとってみますと、大体この三、四カ月は年率にいたしまして一〇%程度の残高でございます。これは以前に比べてきわめて落ちついた数字でございまして、そういう点から見ても、いまのところ過剰流動性を心配する必要はないというふうに判断いたしております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 もう一つの点は、この金融機関の国債引き受け資金不足をカバーするための日銀の買いオペあるいは融資の増大という問題があります。  発行後一年以上を経過した国債を、日銀は昨年末七千億円、ことしに入ってすでに二千億円の買い上げをやっている。そうしますと、もう金融機関には発行後一年以上を経過した国債の手持ちがないのではないか。そう考えますと、国債引き受けのための資金を日銀が融資するということになる。過剰流動性の問題が発生しないでしょうか、これ。

中川幸次日本銀行理事

○参考人(中川幸次君) 国債の買いオペにつきましては、私どもはただいま御指摘のような観点から、国債を買っていることは全然ございません。私どもがなぜどういう観点から買っているかと申しますと、金融市場の調節のために資金の不足が出る場合に、そのある程度金融市場に金を出す必要がある場合に買うわけでございます。国債は何と申しましても、国の債務でございますし、信用力も非常に大きいという点から、長期の国債を買い入れる買いオペというのも私どもとしてはもう十数年来やっておるわけでございますが、御指摘のように一年以上経過したものを全部買っているという事実はございません。たとえて申しますと、昨年五十一暦年でございますが、御指摘のように五十一年度、会計年度で申しますと、額面にいたしまして約九千億円の国債を買い入れたわけでありますが、それは何のために買い入れたかと申しますと、この間金融市場におきましてほぼ同額の資金不足が起こったわけであります。同額の資金不足がなぜ起こったかと申しますと、銀行券がこの間約一兆、一兆円強増発になりました。銀行券がそれだけ増発になりますと、金融市場としては、民間としてはそれだけ金が足りなくなります。そういうある程度適正なと申しますか、ノーマルな通貨の増発高に見合って日本銀行が返済プレッシャーのかからないもので資金を供給するということは必要だと考えておりまして、昭和三十八年以来そういうふうな方針で、ほぼ適正な通貨発行額に見合う資金の供給を買いオペ、主として国債でございますが、そういうふうに供給してきたわけであります。  金融市場におきます資金の過不足の原因といたしましては、そのほかに財政が非常に揚げ超になったり、払い超になったりということで大きく動く場合がございます。しかし、これはかなりの期間をならしてみますと、大体大きな払い超でも揚げ超にもなりません。したがいまして、長い目で見れば大体銀行券の発行高に見合う程度のものを供給してくれば、市場にそれほど資金の不足は起こらないということでございます。そういうことで、昨年、大体資金不足に見合う額の買いオペをしたわけでありますが、それで金融機関が持っております国債が一年以上経過した分がほとんどなくなるかと申しますと、決してそうではございませんで、最近の国債発行額の数字から考えましても、最近は金融機関の手持ちがだんだんふえてきている実情にございます。したがいまして、日本銀行が全部買っているじゃないかという御指摘は当たらないかというふうに考えております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 日銀の最後ですが、公定歩合の引き下げによって恩恵をこうむるのは、日銀のこの貸し出しを取り扱える一部金融機関だけで、信用金庫など中小金融機関というのは、市中金利の低下圧力からくる貸出金利の引き下げによって、非常に苦しい立場に追い込まれていることになります。また、このことが預金金利の引き下げにつながるとすれば、犠牲を大衆預金者に転嫁することにもなりかねないわけですね。私は、もし大口債務者の買い取りが必要あるとするならば、公定歩合の引き下げといったような一般的金融政策で行うべきではないのであって、別個の政策が打ち立てられるべきだと常日ごろ考えておりますが、日銀は、公定歩合の引き下げに伴う中小金融機関への影響をどのように考えて、どのような配慮を加えていらっしゃるのかお聞かせをいただきたいと思います。

中川幸次日本銀行理事

○参考人(中川幸次君) 公定歩合が下がりましたときに、都市銀行は、日本銀行から相当多額の借り入れをしているからいいけれども、中小金融機関はそういうことがないので苦しいじゃないかという御指摘かと思います。確かに日本銀行の貸し出しを受けているところと、そうでないところと、公定歩合影響は差が出てくるかと思います。しかしながら、仮に公定歩合が下がりました場合に、たとえば前回の例をとってもいいかと思いますが、公定歩合が前回下がりました場合に、やはり金融機関、中小の金融機関もやはり預金コストでございます預金金利が下がりませんと、確かに御指摘のように、なかなか貸出金利を下げにくい状況にあるかと思います。したがいまして、私どもはやはり金利政策全体として動く場合には、預金金利といえども、その金利体系の一貫として弾力的に動くということが必要であるかと考えております。前回の場合には要求払い預金が同率追随になりました。そういうことで、金融機関としては、中小金融機関としても貸出金利を下げ得る余地はあるというふうに考えております。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 先ほどの御答弁の中で、円高の理由として国際収支の黒字幅の拡大ということが言われていたんですけれども、それだけじゃなくて、私はちょっと考え方異にしているんですけれども、金利差が内外、外国との金利差がある、そういうものの影響もかなりあるんじゃないか。その点は公定歩合に対する取り組み等が悪いということにもなってくるわけでございますけれども、その点はどうお考えになっているか。

中川幸次日本銀行理事

○参考人(中川幸次君) いま御指摘の金利差でございますが、短期の金利につきましては、直物と先物と仮に裸で比較しますほかに、先物と直物との値開きがございまして、金利差というのはある程度調整されるわけですが、そういう点からいまの日本の状況から見て、それほど私どもとしては金利差があるというふうに考えておりません。現にそういう金利差を求めて為替資本が海外から入ってきているという事実はないかと思います。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 新聞によるんですけれども、四月十二日に一ドル二百七十円台になった。そのときの新聞等を見ますというと、二百七十円が輸出産業の危機ラインであるとか、あるいは介入、円高を無理に抑えるようなことはしないという日銀総裁のお話もありますけれども、あるいは極端な乱高下の場合には入ると、こういうことがありますが、そう言いながら一方では、二百七十円が、各産業なんかの声を聞いても、これを割ったら大変だというのがずいぶん出てきてます。そういうラインというようなものを見て介入というようなことを考えられるのか、あるいはそんな判断はないのかどうか、そこのところを伺いたいと思います。

中川幸次日本銀行理事

○参考人(中川幸次君) 四月十二日に二百七十円台の相場が出たことは事実でございますが、私どもはそれが輸出産業の、輸出の危機ラインとか、そういう判断は持っておりません。先ほども申し上げましたように、私どもといたしましては、あくまで市場の実勢を尊重するというたてまえでございまして、円高も円安もともに人為的にはやっていくつもりは全くございません。特定の相場が高いからといって円安に誘導するということはこれまでもしておりませんし、今後もしないつもりでございまして、あくまでも市場の実勢に任せるつもりでございます。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 市場の実勢に任せると言いながら、ここのところで大分介入をなさったようでありますけれども、どの程度を乱高下というふうに見るわけですか。

中川幸次日本銀行理事

○参考人(中川幸次君) 乱高下、具体的に何円というのはなかなか言いにくい問題かと思います。やはりそのときの市場の雰囲気その他を見まして、市場関係の担当者が決める、判断する問題であるというふうに考えております。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 同じく報道されたことなんですけれども、外国の金融機関、外銀を中心とした利ざやかせぎの激しい売り買いが目立ったということがあります。そういう点考えますと、この点はどういうふうな御掌握をしているのか、差しさわりない程度で御答弁いただきたいと思います。

中川幸次日本銀行理事

○参考人(中川幸次君) 外銀が利ざやかせぎのために激しい売買をしているんではないかというふうな御質問でございますが、私どもとしては、そういう事実があるというふうには見ておりません。つかんでおりません。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 先ほどは、一つには国際収支の問題、それだけの黒字の問題だけが大きく取り上げられて円高の理由になっていました。しかし、外国の世論、EC等の声、こういったものをずっと見ていくというと、イギリスの現在ポンドあるいはイタリアの通貨、フランスの通貨にしても大きな変動がない、うちの日本の国の円だけが大きく動いているということでございますね。これは何かそういうことを考えますと、アメリカも大統領がかわってから大分強い、ECからも強いと、理由が、国際収支の黒字ということだけじゃなくて、黒字というのは一つのきっかけであって、二つの、米国、ECというか、日本を取り巻いているヨーロッパだとかアメリカとかという主要の貿易の相手国、こういった国々が何か意思統一してやっているような感じがしてならないわけですね、こういう言い方はいいか悪いかわかりませんけれども。その点はどう考えておられますか。

中川幸次日本銀行理事

○参考人(中川幸次君) 確かに御指摘のように、最近英ポンド、リラは比較的安定しておりまして、ほかの通貨、弱いと言われておりました通貨も比較的安定して円がかなりの早いテンポで強く高くなってきているのが最近の傾向でございますが、私どもその背景には、先ほど申し上げましたように、やはりここへ来て輸出が非常に伸びておって黒字が大きいということが基本的な原因であると、こう考えております。御指摘のように相手国がそういうふうなことを何かして相場を変動さしているというふうな事実はないというふうに思っております。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 企業やあるいは貿易をやっている方とすれば、輸出関係はもうこうなるとドル建てだとか何かほかのものでやるより、円建てということに強くならざるを得なくなると思うんですがね、これは。そういう円建ての輸出がふえるに従って、日本銀行の中における各国の中央銀行の円の口座というものもふえてくるだろうと思うわけですけれども、そういうことについてふえてきているという話も聞いているんですけれども、その理由は何でしょう。

中川幸次日本銀行理事

○参考人(中川幸次君) 確かに円建ての輸出は少しふえてきておりますようで、最近は、大体輸出の三割近いものが円建てで取引されているようでございます。それと各国中央銀行からの口座を開くという要求も確かにございます。恐らくそれとの関連ももちろんあるかと思いますが、やはりいろんな国で外貨準備を多様化したいというふうな希望も強いかと思います。そういうふうないろんな希望が重なって各国中央銀行の要望となって出てきているのではないかというふうに推測いたします。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 それだけ円が国際化してきたということですけれども、円の国際化、これは当然日本の経済力が増大してくれば強く国際化が進まなければいけないと思いますし、またそれだけ世界の経済に対する日本の責任という点からも国際化はぼくは必要だろうというふうに思いますけれども、この国際化についてのどういうような基本的な考え方を日銀当局としては持っているか承りたいと思います。

中川幸次日本銀行理事

○参考人(中川幸次君) なかなかむずかしい御質問かと思いますが、日銀当局としてどういうふうなと申しますよりも、私個人の考え方といたしましては、やはりこういう国際化が進むというのは、ある程度たとえば日本の貿易がだんだん円建てになっていくというふうな傾向を受けて自然に出てくるものが非常に多いように思います。したがいまして、日銀当局として何とかするよりもその自然の勢いの結果を尊重するということではないかと思います。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 つまり成り行き任せと、そういう感覚ということですか。

中川幸次日本銀行理事

○参考人(中川幸次君) 成り行きといいますとやや言葉は適当かどうか。意図的に非常に特に引っ張っていく、無理をしてもなかなかその成果は上がりにくいのではないかというのが私の感じでございます。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 結構です。

安田隆明自由民主党

○委員長(安田隆明君) 中川参考人には、お忙しいところありがとうございました。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 中小企業の問題に入りましたから若干続けさしていただきますが、大蔵省、わが国の中小企業の専門金融機関というのがあるわけでありますが、大蔵省は遠からず金融再編成が必至という情勢の中で、この専門性というものについてどういうように評価をして、これを守ろうとしているのか、それともこれを壊そうと考えているのか。守ろうというのであれば、どういうような保護政策によって守ろうとしているのか、ちょっと聞かしてください。

後藤達太大蔵省銀行局長

○政府委員(後藤達太君) 大変金融制度の基本にかかわる大きな問題であると存じます。それで、わが国の現在の金融制度がほぼいまの形になりましたのが昭和二十年代のほぼ末ごろでございまして、御案内のような長期信用銀行あるいは中小金融専門機関の相互銀行、信用金庫等々のいまの組織になっておるわけでございます。実は数年前にも大分制度ができてから時間がたっておるので、そこのいまの制度をどう考えるかということを金融制度調査会で御議論をいただきました。そのときには、やはり効率化のための競争原理の導入を一方では進めるべきであるが、他方各専門金融機関の専門性の発揮ということは非常に大事なことであるから、専門性を発揮するような方向で物事を考えていくべきである、いろいろなことがございましたが、基本的にそういう考え方でございまして、私どもはいまの制度に立脚をいたしまして、専門性を発揮をしていく方向で考えておる次第でございます。ただ、昨年——一昨年になりますか、一昨年から現在の銀行法を中心といたしまして、金融制度全体につきまして、再び見直しを行うという考え方に立ちまして、金融制度調査会に、御諮問を申し上げまして、議論をしていただいておるところでございます。現在銀行法が中心の議論でございますので、まだ専門金融機関という分野の御議論はいただいておりませんけれども、引き続きまして、そういうことの御議論もいただくことに相なろうかと思っております。  そこで、そういう専門機関に対してどういうふうに考えていくかという御指摘でございますが、現在これは制度的には大分授信面でほぼ同質化するような方向に現実の動きがなってまいっております。したがいまして、なおそこで、いろいろな付随業務その他の関係では、相互銀行、信用金庫等、現実問題として、いろいろ普通銀行には及ばないところがある。しかし、制度的にはほぼ同じような機能を果たすように相なってきておりますので、現実的にそういうところをどう補完し、考えていくかというところが一つの課題であろうかと思っております。  私どもは、いまの相互銀行、信用金庫というものが、すでにかなりもう成長いたしておりますので、極力そういうサービス機能をできるものから充実していくようにというふうな方向で考えておる次第でございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 ともあれ信用金庫については会員組織という組織上の特性を生かして、地域の中小企業や住民に密着をして、その密着性を通じて小口で長期の比較的リスクの多い資金を、そういう制度、武器を持たない金融機関に比べればはるかに有効に供給していくことができる。そういう体制を現行法上想定しているわけですが、いろいろ改善する余地はあるにしても、この点というのは基本線としては守っていくということになりますね。

後藤達太大蔵省銀行局長

○政府委員(後藤達太君) 将来調査会の御議論として、その時点でいろいろな御議論はあり得るかと思います。思いますが、現時点におきましては、いまの制度の特色を生かしていきたいと、こういうふうに考えております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 そこで、信用金庫のこの会員組織という組織上の特性を生かして、地域への密着性を発揮する、そのための必要条件として、対象と地域の制限を通じて、規模の制約が課されているわけですね。少なくとも事務の合理化、コンピューター利用などのためには、一定程度の規模利益の追求というものが必要になると思うんですよ。この規模利益の追求、確保という観点から、コンピューターの共同利用といったことが行われている。これは信用金庫の規模は制約を、業界の総合力を通じて克服をしていくというものでありますから、高く評価していいと思うんです。ところが、残念なことに、このコンピューターの共同利用に業界の最も指導的立場にあるはずの信用金庫が協力をしない、現在していない。この点などは大蔵省はもっと強力に行政指導をしてもいいのじゃないかと思うんですがね、これはいかがですか。

後藤達太大蔵省銀行局長

○政府委員(後藤達太君) ちょっと私、先生の御指摘を取り違えておるかもしれませんけれども、コンピューターの共同利用というようなことについて、熱心ではないんではないかという御指摘のように伺いましたが、これはコンピューターの方は、申し上げるまでもなく、かなり大きな投資が要ります。信用金庫の場合、いろいろ御指摘のような規模あるいは地域的な制約がございますので、やはり共同利用ということは、一つの非常に大事なことだと存じます。したがいまして、最近地域的にそれぞれ共同利用をしようという機運は出てまいっておりまして、私どもはそれは大変結構なことであると、そういう方向で考えていくべきではないかというふうに考えております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 いや、私が指摘したのは、最も指導的立場にある、大信用金庫がこれに非協力的である、こういう事態というのは、行政指導の中では、直さしていくことがいいだろうということを指摘をしたわけです。共同利用そのものについては、私も大変結構なことだと思っているんですがね。

後藤達太大蔵省銀行局長

○政府委員(後藤達太君) ちょっと取り違えまして、あれでございますが、信用金庫も大分成長して大きくなってきておりますので、あるいは経営者の方針として、大きなところではやはり自力でやりたいと、こういうお考えのところもあり得るかと存じます。それはやはりその一つの経営者の経営方針ではなかろうかと思っていますが、しかし、まあそういう規模にまで至らないようなところは、なるべくは一緒になさった方が全体として効率的ではないかと、そういうふうに私どもは考えております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 共同利用全体がやっぱり効率を上げるような形での相互関係というものが生まれる、そういうことのための指導というものは強化をしていいんだろうと、そういうふうに私は思います。  昨年の全国信用金庫協会の大会で、要望として、銀行みなし規定の改定、あるいは外為取り扱いの実現といったことが出された。われわれのところにも陳情がありましたが、これはいろいろ調べてみると、上位二十金庫ぐらいの要望にすぎなくて、実際問題として中小の金庫からは怨嗟の声が上がっているんですね。大蔵省はこのことを御存じですか。

後藤達太大蔵省銀行局長

○政府委員(後藤達太君) 信用金庫、全国で五百近くございまして、その規模もかなりの開きがございまして、内部でいろいろな御意見があることは承知をいたしております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 信用金庫のいたずらな銀行化とでも言いますかね、そういうようなことについて大蔵省はどういう見解を持っておりますか。

後藤達太大蔵省銀行局長

○政府委員(後藤達太君) いたずらなと、こうおっしゃられますとあれでございますが、やはり信用金庫がだんだん経済とともに成長をしてまいりますと、その機能面で銀行と同じような機能を備えたいということは、やはり取引先、つまり会員に対するサービスという意味でやはりこれは有意義なことではなかろうかと思っておりますが、他方、そういう、何と申しますか形式的な面にこだわる余り共同組織のいいとことか、あるいはその取引先に密着をして非常によくめんどうが見れるというような、こういう特色を忘れてはいけないことだと思います。ですから、そこの兼ね合いが現実の経営としてはなかなかむずかしいところであろうと思いますが、私どもは基本的にやはり共同組織のいいところというのを生かす、これは信用金庫としては忘れてはならないところで、その上で機能の充実と申しますか、銀行と同じようなことをやっていくという方向は考えていいんではないかというふうに思っております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 私はここに、ある大きな信用金庫の昭和五十年度の決算速報と事業報告を持っていますがね、いまここで固有名詞は挙げませんが、私は、素人目ですが、非常にこれ見て驚いた。五千万円以上の貸し出しが総貸し出しの中に占める割合が非常に高い。それから余裕金の大企業への運用がものすごく目立っている。たとえば有価証券の当期末残高細目という欄を見ますと、日本有数の大企業がずらりと並んでいるわけですね。この大金庫、東京ガスや日本鋼管の大株主ですらある。素人目でこれが中小企業専門金融機関かと疑わざるを得ないんですね。どこの金庫も多かれ少なかれこんな状態にあるんですかね。

後藤達太大蔵省銀行局長

○政府委員(後藤達太君) ちょっといま御指摘のところですが、頭に思い浮かびませんですけれども、信用金庫のいまの資産運用の仕方としましては、一つの点は、従来会員に限定をした取引をしておりましたのが、やはり会員からだんだん大きくなっていく取引先の卒業生に対しまして金融をする道を開いてまいっております。また、一貸出先当たりの融資金額も、これもやはり経済の成長と合わせて拡大をしつつございますので、若干、たしか数字的には二割程度というめどを置いておりますけれども、そういう卒業生金融というようなことはふえてまいっていると存じます。  それからもう一点は、信用金融は法的に支払い準備を備えておかなければいけないことに相なっておりますので、そういう何と申しますか、余裕金の運用的なものが、有価証券等の形を通じましてあることは、これは事実でございます。  問題は、その程度問題の方ではなかろうかと存じます。やはり支払い準備的なこの法的な必要限度はこれを保持する、と同時に、資金の運用の姿勢として、やはり会員の利便を最も優先的に考えると、こういう姿勢が当然金庫としてはあるべき姿だと存じます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 言われるまでもなく、この信用金庫と信用組合の大きな違いというのは、信用金庫は初めから無制限に員外預金を受けることができるという点である。なぜそういうことが認められたのかといえば、中小企業がある程度発展をしていく。そうすると中小企業内部の余裕資金を相互に融通するだけでは必要な資金が円滑に動かない、潤沢ではない、そのためにこの員外預金の導入が認められた、つまり員外預金の導入は、その預金を会員のために使用する、会員のために融資するという意味で私は認められたと考えるべきじゃないのかと思っているんですがね。その信用金庫が、員外預金を集めながら受け入れた資金の大きな割合をまた外に出してしまう、そういう運用の仕方というのはやはり問題だと思うんですよ。で、信用金庫という制度のレーゾンデートルとでもいいますか、それを認めている、そうなると、これを育成していこうというのであったならば、やはりこの融資運用を一定の限度内に抑えていくという努力があくまでも必要だろうと思うんです。これはそういうことでしょう。

後藤達太大蔵省銀行局長

○政府委員(後藤達太君) 先ほど申し上げましたように、会員以外の融資の方は、これは卒業生なども含めまして二割程度というような限度内でやると、こういうことにいたしております。他方やはりその企業が大きくなってまいりますと卒業生、従来の取引先が大きくなったためにまた取引銀行がかわってしまうと、これもいかがかということでそういう道も開いたわけでございます。要は、そういう趣旨に沿った資金配分を金庫自身が考えてまいることが大事なことだと思います。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 先般バルブ界のトップであった一部上場の東洋バルヴが倒産しましたね。この倒産の結果いろいろなことが報道されましたが、その中で主要な信用金庫から多額のものが出ていますね。これはどういう状態であるか、いま答えられますか。

後藤達太大蔵省銀行局長

○政府委員(後藤達太君) 恐縮でございますが、ただいまちょっと資料を持っておりませんので……。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 城南信用金庫が東洋バルヴに五億七千九百万円融資している、それから同栄信用金庫も大きな融資をしている。これは常時使用する従業員の数が三百人以下であるか、資本金二億円以下の企業しか会員とすることができないというこの信用金庫法十条との関係ではこれはどうなるんですか。

後藤達太大蔵省銀行局長

○政府委員(後藤達太君) これは預金担保で貸し出す場合は、たしかそれから外れておったと思いますが、どういう融資の仕方であるかちょっと私ただいま持っておりませんので、これが適切でなかったのかどうかまた調べまして御説明させていただきます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 私は、まあ報道を見ましてひょっと考えついたことでありますが、まあ日常的な運用の面からいって、少し信用金庫に対して注意を喚起しなきゃならぬ問題だろうというふうに感じました。  サンパルコという資本金二億二千五百万円、従業員五百五十人の会社が倒産いたしましたね。ここにも同栄信用金庫が一億円ずつ融資している、その他が。こういうように報道されております。これはどういうふうに考えたらいいんですか。これも調査結果ですか。

後藤達太大蔵省銀行局長

○政府委員(後藤達太君) これも恐縮でございますが、ただいま実態を承知いたしておりませんので、調べました上でお答えをさしていただきたいと思います。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 ともあれこういう状態というのは、倒産で明らかになっているんですが、御存じでしょう。

後藤達太大蔵省銀行局長

○政府委員(後藤達太君) そういう倒産等の事実が報道されていることは承知をいたしております。なお、そういうところへの融資につきまして、先ほど申し上げましたように、たとえば預担が必要なことが起こり得るわけでございますが、ただ一概に私この場でよく存じませんものですから是非を申し上げられないと、恐縮でございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 後ほど調査結果承ってから私ども考えていきたいと思います。  で、もう時間を、さっき委員長余分なことを言われたから、私は小心なものだから、それが頭にあって時間を一生懸命守ろうと思ってあれしますが、国債の買い入れを信用金庫は全信連に一括委託している、すなわち個々の信用金庫は国債の引き受け資金として全信連に預金をして、それで買い入れた国債は全信連が所有するという形になっているようなんですね。これはそうでしょう。

後藤達太大蔵省銀行局長

○政府委員(後藤達太君) 国債の引き受けをしますシ団の中でメンバーになっておりますのはもう御承知のように全信連でございます。で、全信連が引き受けましたものを、それぞれこれは内部でどういうふうにしておりますか正確には私存じませんけれども、また各金庫が全信連から引き受けているという形になっております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 その結果どういうことが生じているかといいますと、各信用金庫は、価格変動準備金を積めないことによって、税金の損失をこうむるわけでしょう。しかもその上オペの場合の買い入れ価格よりも安く買い上げられるということになる。そういう損失も全信連は各金庫に分担させているということになるわけです。そうすると、金庫によってはこれをきらって分割して買い入れる向きもある。で、今後さらに国債引受額が増大しようとしているときに、全金庫とも分割引き受けにした方がいいんじゃないですか、そういうふうにちょっと考えられますがね。われわれはもっと中小の信用金庫というものを身近に感じながら生活をしているからそういうことかもしれませんが、どうなんですか。

後藤達太大蔵省銀行局長

○政府委員(後藤達太君) そこは御承知のように全信連というのが、四百七十の信用金庫の中央にありまして、その資金の調節なども行うという機能を果たしているわけでございますが、そういう機能の面から見てどちらがいいかということは、これは全信連とその各会員金庫とで話をされるのが基本となる性質のものだろうと思います。私どもはその引き受けの形その他につきましては、特別とやこう注文をつけてはおらないのが現状でございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 この問題最後にしますがね、全信連に積まれている預金支払い準備金、これは五百億円、この運用益が全信連の一般利益に計上されているんですね。これはちょっと私素人ですが、こう見てみるとおかしいんじゃないかと思うんです。当然それは預金支払い準備金として上積みをされていくべきか、あるいは金を積んだ個々の金庫に還元されるべき性質のものと思うんですが、そういう考え方は誤りですか。

後藤達太大蔵省銀行局長

○政府委員(後藤達太君) 大変恐縮でございますが、実際の経理をどうやっているか詳細私存じませんけれども、しかしそういう運用益を全信連の中で留保をいたしまして、そうしてまたまとめて使用するという考え方もあり得ると思います。また御指摘のように、そういう収益の上がる都度、これを出資者に配分するという考え方もあろうかと思います。両方の私は考え方があろうかと思いますが、そのあたりもこれはやはり会員の総意によって全信連が決められることではなかろうかというふうに考えております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 論議は少し後へ残します。本題に入らなければいかぬでしょうから、官房長お待ちかねですからね。  大蔵省関東財務局の理財部長というのは現在何という方ですか。

長岡實大蔵大臣官房長

○政府委員(長岡實君) 武末祐吉でございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 大蔵省で以前主計官をされていた方で、今度参議院選挙の全国区に出馬を予定されている方のお名前は何といわれますか。

長岡實大蔵大臣官房長

○政府委員(長岡實君) 藤井裕久でございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 大蔵大臣ね、この関東財務局の武末理財部長が、都内の幾つかの信用金庫に電話をされまして、大蔵省のいま言われた藤井裕久さんの、参議院予定候補者であるそうでありますが、この選挙資金の拠出を依頼していらっしゃるんですが、こういう事実を御存じですか。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(坊秀男君) 私、不敏にして、いま初めてお聞きいたします。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 武末理財部長は、直接信用金庫の理事長に電話をされまして、五十万円とか三十万円とかといった形で資金の拠出を依頼をされています。私はここにその固有名詞を挙げることができます、受けた側の。しかしいまそのことは述べません。で、大蔵省はこのOBの方の選挙を省としての選挙としてとらえて、全国的にこういうことをそれぞれの財務局を通じてやらされているわけですか。

長岡實大蔵大臣官房長

○政府委員(長岡實君) 私ども国家公務員としての立場を十分存じておりますので、ただいまおっしゃいましたような行動を省を挙げてとるというようなことはいたしておりませんし、またそういう誤解を招くような言動がないようにということは常日ごろ注意をいたしておるつもりでございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 私は、武末さんが今度やられた行為というのは、それじゃ上の指示にはよらない、いまの御答弁では。そうすると彼の独断である、そうするならばこれは非常に悪質な国家公務員法違反である、厳しく処断をされるべきである。で、そのように大蔵大臣対処されますか。

長岡實大蔵大臣官房長

○政府委員(長岡實君) 実は私もけさの新聞で初めて知ったような次第でございまして、ただいま調査を開始いたしております。ただ、現時点において事実関係をつまびらかにお答え申し上げる段階に至っておりませんのはまことに申しわけなく存じております。今後調査いたしました結果、ただいま和田委員の御指摘のような事実があれば、当然国家公務員法にも抵触するわけでございますから、その際には適切な処置をとらなければならないと、かように考えております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 当委員会で問題にしたことでありますから、理事会にその対処の仕方は後ほどの調査結果に預けます。委員長、よろしいですか。

安田隆明自由民主党

○委員長(安田隆明君) 理事会で御相談をいたすことにいたします。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 金の売却は全部で百・五トンでありますが、このうち五十五・八トンは予算では一グラム当たり千二百二十五円で売却する、こういうふうに計算しているわけですが、IMF協定第四条第二項には加盟国は平価に所定のマージンを加えた額を超える金価格で金を買い入れてはならないとされています。現状では、日銀はこれに拘束されるわけでありますが、この規定の改正はいつごろ発効するとお考えでありますか。また、仮に改正規定が発効しない場合はどうされますか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 毎年度協定が改正されますると、いま御指摘になりました条項が削除されるわけでございますが、この協定改正の手続につきましては、現在までのところ二十一国で総投票権数の約三〇%ぐらいの加盟国が賛成をして承認手続を済ませておるわけでございます。各国の国内上の手続がございますので、必ずしもいつということを申し上げることはできませんが、私ども常日ごろIMFに行っております日本代表の理事あるいはIMF事務当局から情報をとっておりますが、それによりますと、年内ぐらいに改正案が発効するのではなかろうかというふうに聞いておるわけでございます。したがいまして、金を売却するのはその後というのが適当でないかと存じます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 そう言われますが、秋ごろを見越して千二百二十五円で、これは投票国八〇%投票して、そのうち六〇%ですか、という批准が必要ですね。その見通しがあるということですか。いまの御答弁。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 加盟国の国数で六〇%、投票権で八〇%以上の賛成がございますと発効するわけでございまして、私どもの聞いたところでは年内ぐらいにその見通しがたつということでございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 四十四・二トンについては戦後処理でありますが、この戦後処理はずさんじゃないですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 戦後処理と言われますのは戦前——終戦前に日本銀行から売り戻し約定つきで政府が金を入手したものを返すということでございまして、それは前々から国会にも申し上げておったところでございますけれども、政府の方でそれだけの金の余裕ができたときに返すということで、今般その時期がまいったということでございますので返すということでございます。その値段につきましても、そういういきさつがございますので、時価ではない、しかも当初の五円五十五銭とか四円八十銭という値段でもない。政府の特別会計が損をしない取得価格を賄うという値段で日銀に売るということにしておるわけでございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 開発援助ですが、この開発援助にはこの貿易問題と関係をしまして、わが国は消極的であると非難されることがしばしばあるわけですが、端的に言って、こうした非難に対して反論し得る具体的根拠は何なのですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 開発援助につきまして日本は決して冷淡ではなくて、やはり私どもなりの十分な努力はしてまいったつもりでございます。よくGNPとの対比で比率が低いのではないかという御指摘がございまして、確かにそれはそのとおりでございます。しかし、日本は開発援助の歴史も非常に浅うございまして、たとえば一九六〇年ごろから援助が始まっておりますが、当時政府の開発援助が一億ドルでございましたのが、一九七〇年には四億六千万ドル、そして一九七五年には十一億四千八百万ドルということになっておりまして、非常にその間の伸び率は急速であろうと思います。現に実額では米国、フランス、西ドイツに次ぎまして第四位となっております。私ども今後ともこの比率が少ないので引き上げるべく努力をすべきかというように思っておりまして、決して言いわけを申し上げるわけではございませんけれども、GNPと比較いたしますと、どうも日本のGNPがほかの国よりも早くふえてまいりますので、なかなかこのGNPの比率でほかの国に追いつくというのはむずかしいというような感じがあるわけでございます。  それからもう一つ、これは決して言いわけを申し上げるわけではございませんが、政府資金を使いますときに、いわゆるODA——政府開発援助の比較がよく行われておりますが、そのほかに政府資金といたしまして、日本の場合には一九七五年におきまして約十四億ドルぐらい出ておるわけでございます。これもDACの統計上その他政府資金と言われておりますが、両方合わせますと、政府資金といたしましては一九七五年でも二十五億ドルに達しまして、これは米国に次いで二位となります。仮にGNP対比でいたしましても、〇・五二%ということで、かなり高い比率になるという事情があるわけでございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 五十一年の政府の開発援助の対GNP比はこれは何%ですか。また、五十二年度は何%と見込まれますか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) これはちょっと暦年で統計が出ておりますが、一番新しい統計もございますが、一九七五年でございましてGNP比率で日本は〇・二四%でございます。昨年七六年の数字はまだ出ておりませんが、私どものいまの感じでは〇・二%ぐらいになるんじゃなかろうかと思っております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 五十二年は。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 五十二年度につきましては、正確にはまだ見込みは立たないんでございますが、予算のベースで、暦年ではなく年度べースで申し上げますと、予算で組んでおりますのはGNPに対して〇・八%になっております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 そこで、いま言われたように五十一年度は前年よりも対GNP比が下がったわけですが、〇・二四から〇・二〇と。そこでこれはどういう点に理由、原因があるんですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) この援助をつけますときにいつも障害といいますか問題になりますのは、受け入れ国側の態勢があるわけでございます。受け入れ国の方の手続のおくれから非常におくれるというのが一つございます。  それからもう一つは、日本側の方の手続の問題もございます。この日本側の手続につきましては関係各省、これは私どもも反省しておるわけでございますが、関係各省の手続にもうちょっと改善の余地があるんじゃないかという感じがいたしておりますし、それからもう一つは、実施機関におきまして、予算はついておるけれども全部消化し切れないというような事情もございますので、その辺のところは私どもの努力である程度は改善し得るのではないかというように思いまして、昨年末から関係省と御相談をしておるところでございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 わが国の政府開発援助は、開発援助委員会加望国中これは何位ぐらいですか。その順位ぐらいで妥当であるとお考えですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) いわゆるODAをGNPと対比いたしますと、DACの加盟国中、加盟国十七カ国ございますが、一九七五年で十三位となっております。私はこれで満足だというふうには思っておりません。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 援助の計画化についてどういうふうにお考えですか。この単年度予算との関係で問題はあるものの、国際金融局などではこの計画化について真剣に検討されているというふうに仄聞をいたしますが、率直なところを聞かしてください。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 私どもも国際社会に対する貢献という点から考えますと、この援助の予算がふえまして、そして順調に実施されていくということが望ましいと思っておるわけでございます。しかし予算といいましても、援助だけではございませんで、国内に各般の需要、福祉その他いろいろあるわけでございまして、援助関係だけ計画目標をつくりまして先取りすることが実際問題としてできるかどうかという懸念はあるわけでございます。そう言いましても、やはりこのGNPに対比いたしまして比率も上げる必要もございますんで、さしあたりの目標といたしましてはDACの平均並みのところへ日本の援助を持っていこうということで考えておるわけでございます。先ほど申し上げました五十二年度予算で、予算べースで〇・二八%と申し上げましたのも、実は前年度若干ではございますが上回っているということでございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 現在この援助に当たって一件ごとに各省の協議が行われていますね。協議が整わないこともかなりあると聞かされているんですが、実情はどうなんですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 各省が協議をいたしまして、それに時間が余りかからない場合と、かなりかかる場合といろいろあろうかと思います。しかし、その援助の実施状況全般から見ますと、各省の協議が整って交換公文ができまして、いわゆるそのプレッジが済んでその後の実施がおくれているというのが通常的に非常に大きいわけでございます。もちろんその新しいプロジェクトにつきまして各省はどんどんと協議を整えている。全体としてのいわゆるパイプラインをふやすということは好ましいと思いますけれども、それはそれなりにやる必要がございますけれども、実情を申し上げますと、プレッジの決まったものの実施状況がおくれているという方に大きな問題はあろうかと思っております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 援助体制の整備については何かお考えになっておられますか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) この援助につきましては、私ども大蔵省といたしましては財政当局の面から見る必要もあるし、それから私どもの狭い国際金融局という点から見ますと、国際金融的な観点もございますし、それから通商等に関係いたしますので通産省に関連いたします。それから何より外交問題でございますので外務省、そういうふうに各省いろいろ関係がございますんで、何かそういうものを一つにまとめてはどうかという御意見もときどき伺うんではございますけれども、なかなかそれはむずかしいと思います。結局は、こういった関係の各省が迅速に協議体制を整えて速やかにまとめていくということが肝心ではなかろうかと思っております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 去る三日にIMFのウィッテフェーン専務理事が来日された。坊大蔵大臣も会談をされたのですが、どういう話が、大蔵大臣、交わされたんですか。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(坊秀男君) ウィッテフェーン専務理事と経済について一般的な話をいたしました。特に石油ショック後三年有余を経まして、世界全体としては非産油国の国際収支も徐々に改善しつつありますが、幾つかの国においては依然として調整がおくれておりまして、大幅な赤字が累積しておるという状況について説明を受けました。専務理事はこのためIMFの融資活動を拡大する必要がある旨を強調されました。それで今回の会見では、わが方といたしましては、ウィッテフェーン専務理事の考えを主として聞くにとどまりまして、具体的な話には入らなかったのでございますが、この問題はよく検討させますと、こういうお答えをしたような次第でございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 大蔵大臣としてはいま言われた非産油開発途上国の対外債務が急増している、これについてはその実態をどういうふうに認識されているわけですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 非産油開発途上国の債務が非常にふえておりますが、その一つの原因は、先般の石油危機でございます。石油危機によりまして初年度六百億ドル、次年度以降毎年四百億ドル程度の経常収支の黒字が産油国にたまっておりますので、三年間を通じましても千四百億ドルぐらいになっておりますが、それに見合う分だけは産油国以外に赤字として累積するということになるわけでございます。その際に、非産油開発途上国だけではなくて、先進国の内部におきましても大きな赤字国が出ておるわけでございますし、またいわゆる中進国というのも大きな赤字を負担をしているということでございます。  この開発途上国について申し上げますと、そのほかに石油危機の前からやはり大きな赤字があって、債務はだんだんとふえてきたわけでございますが、これらは基本的には開発途上国の置かれております経済発展の段階に即して構造的に赤字が発生するということでございますんで、これはその国の経済政策の健全化、それに加えて各国の協力ということで解決せざるを得ないという問題ではなかろうかというふうに思っております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 ウィッテフェーン専務理事はいわゆる新融資制度によって、非産油開発途上国における債務こげつきによる信用不安を未然に防ぐという構想を打診してきたというふうに報道されていますが、事実はこういうことでしょうか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) ウィッテフェーン氏に会いまして、その考え方の概略は伺ったわけでございますが、まだ具体的にはっきりした細目は詰まっていないようでございます。考え方は、御案内のようにIMFは各国のクオータを基準といたしまして、その何%ということで融資をしておるわけでございますが、最近幾つかの国にとりましてそのクオータにして非常に大きな赤字が発生している国が出てきておるわけでございます。それに対しましてIMFとしてもうちょっと協力の手を差し伸べたいという考え方があるわけでございます。それに対する財源としては、いま直ちにIMF資金が不足しているというわけではございませんが、産油国あるいは対外ポジションの強い幾つかの先進国から資金を借り受ける約束をいまのうちにとっておけぼ、これからもし不足する場合に資金手当ての万全を期せるということで、最近の大口赤字融資国に対する救済並びにそういった資金手当てを頭に置いているように受けとめたわけでございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 そうすると、その構想というのはどれくらいの規模のものだというのはまだはっきりしないんですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) この構想はやはり世界経済に対しまして安心感を与えるという意味から、なるべく大きい方がいいというふうには承っておりますが、何分産油国あるいは先進国が幾ら出すかということによって全体の規模が決まるわけでございまして、いまだにどの国も正確に金額をコメントした国はないわけでございまして、まだはっきりとは申し上げられない段階でございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 国際金融局の中では、アメリカの多国籍銀行に援助するようなものだと、反対する意見が非常に強いというふうにこれは仄聞いたしますけれども、日本として何か対案をお持ちになっているんですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) ウィッテフェーン氏がその考え方を固める過程におきまして、私どもほかのソースからいろいろ新聞情報等でアメリカの商業銀行がこれ以上中進国等へ融資を続けるのは大変むずかしいというふうな情報を伺ったことがございます。しかしウィッテフェーン氏に会ってよく話したところでは、別に特定の国のあるいは商業銀行の貸し付けを肩がわりをするというふうなことではなくて、さっき申し上げましたような趣旨で、IMFの活動を強化したいということでございました。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 そうすると、今月の二十八、九日に開かれる予定のIMF暫定委員会では、この新融資制度なるものが合意を得られる可能性がある、そういうことですか、見通しをちょっと聞かしてください。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 実は、いま現在お金を幾ら出すというようにコミットした国はございませんので、今月末のIMF暫定委員会でどの程度具体的な案が出るかどうか、ちょっと見当はつきがたいのでございますが、月末に行われます暫定委員会の議題としては、一つにはIMFの流動性、いま申し上げました案を含めまして、そういうことが議題としてのっておりますので、できれば大筋の合意でも取りつけたいというのが、IMF当局の考え方のようでございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 IMF暫定委員会の前日の今月二十七日には、IMFと世界銀行との合同開発委員会が開かれる。そこで開発途上国に対する先進国での起債問題、それを促進するため、国際機関が債務保証をする方式を設ける。そういうことで合意が得られる見通しだと言われているんですが、日本ではこれに対してどういう態度をおとりになるんですか。ことしで言えば、非産油開発途上国の外貨需要は四百五十億ドルと言われておりますが、新方式の起債はその需要のどれぐらいを満たすのか。また、東京で起債には大蔵省は積極的にこれを認めて促進するお考えなのか、どうですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 四月二十七日、ワシントンで開かれますIMF・世銀の合同の開発委員会におきましては、いま御指摘の議題が取り上げられると思います。で、これにつきまして、私どもはかねてから資金を開発途上国に回す一つの方法といたしまして、もちろん世界銀行、あるいはIMFといったような国際機関も大事でございますが、民間市場を通ずることもきわめて大事ではなかろうかと、その際に、開発途上国の中には、その信用度等の点から、先進国の資本市場で十分な資金調達ができない国もあるわけでございまして、それに対して国際機関等が保証するということをいたすれば、起債も容易になるだろうという考え方で、かねてから日本としてこの案を推進してまいったわけでございます。今度の開発委員会でどの程度これがまとまるかどうかまだよく見当はつきませんが、もしそれができますれば、私どもとして東京市場でそういう起債を歓迎したいと思っておるわけでございます。ただし、保証する場合に、世銀とかアジア開銀等その資本金の枠を食うことになりますので、そう思い切って大きなものはすぐにできるとは思いません。もしやる場合にも小さな金額からスタートするんではないかと考えております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 アジア開銀の融資先を国別に見ますと、通常貸し付けというのは、韓国、フィリピンが高いウエートを示しておりますね。しかし、韓国などは世界最高の高度成長を続けておって、後進国と言うよりも中進国に入っているのではないかと思うのです。一方、戦争で疲弊し切ったベトナムに対しては、政治的配慮から融資再開が非常におくれている。大蔵省出身の吉田アジア開銀総裁は、ベトナムだからといって特別扱いしないと述べられていますが、大変大まかな印象でありますが、アジア開銀の融資状況には疑問を抱かざるを得ません。日本は第一位の大口の融資国でありますが、アジア開銀の行き方としては、政治的圧力を排して、より弱小の開発途上国融資に力を注ぐようにしていくべきだ、そういう要望をすべきだと思いますが、これは大蔵大臣どうですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 実は、私は、アジア開銀の初期にアジア開銀におりましたので、便宜その経験を踏まえてお答えさしていただきたいと思いますが、韓国に対する貸し出し残高が確かにいま高いわけでございますが、これは、アジア開銀が十年前初めてマニラに開店いたしまして、金を貸したいと言い出しましても、どこからもなかなか申請が来なかったわけでございます。と言いますのは、結局、アジア開銀の融資はプロジェクトに対して融資するわけでございまして、そのプロジェクトが、借り入れ国におきまして、その経済政策の一環としてりっぱなものであり、かつ、その案件としてもフィージビリティーが十分あるということがわかった上で、貸し出しするのが金融機関としてのアジア開銀の融資方針であったわけでございますので、なかなか呼びかけても融資の申請が出てこない。そのときに、韓国と一、二の国がわりあいにプロジェクトの方が進んでおりまして、申請が出てきた。そういう事情がございまして、アジア開銀十年の歴史の初めのうちは韓国等に多くの融資が集中したというきらいは確かにございます。しかし、数字をごらんいただきますと、その後は韓国等の比率は下がってまいりまして、最近では、非常に小さな西サモアとか、そういった国まで数多く融資を受けるということになっております。  それから、ベトナムにつきましては、恐らく、吉田総裁は特別扱いをしないと言われましたのは、加盟国は一律に見るということで、えこひいきをしないという趣旨ではなかろうかと思いますが、アジア開銀としては平等でベトナムを見る、それに加えまして私の気持ちといたしましては、戦災でずいぶん苦しんだわけでございますので、その復興の資金需要もずいぶんあろうかと思いますので、そういう点を考慮して、経済的見地から十分なる融資をすべきではなかろうかと思っているわけでございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 局長の答弁がありましたが、大臣、これ、最後に、やっぱりベトナムの戦後復興にアジア開銀が積極的に支援をすべきであろうと思うんです。これは御異存ありませんでしょう。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(坊秀男君) そのとおりでございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 第一勧業銀行西銀座支店の貸付副長が最近免職になっておりますが、どういう事情によるのか、大蔵省、まず報告してください。

後藤達太大蔵省銀行局長

○政府委員(後藤達太君) 第一勧業銀行の西銀座支店におきまして不正融資等の事故があったという報告を銀行から受けております。ただ、本件につきましては、目下本人につきまして捜査当局が捜査中というふうに伺っておりますので、詳しい真相はまだ私どもの手元には入手いたしておりません。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 警察、ちょっと詳細にこれ報告してください。

加藤晶警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(加藤晶君) 御指摘の第一勧銀の西銀座支店に係る問題でございますけれども、新聞報道では、この元支店長がゴルフ場に二億円ほど不正融資をしたかのように報道されておるわけでございますけれども、現地の警察といたしましては、現段階におきましては新聞報道のような事実、つまり、元支店長がそのような不正融資をしたという事実は把握しておらないということでございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 貸付副長が最近免職になっておりますね。以下、私が所有する資料に基づいて幾つかの質問をいたします。  第一点は、斉藤富雄さんという人と勝大産業の菊池正敏さんとの土地売買と、菊池さんへの第一勧銀の一億五千万円に上る貸し出しの関係です。  第二点は、五十一年十一月八日付で斉藤富雄さんが大下和男さんという人を立会人として、第一勧銀西銀座支店に提出している念書の意味するものは何かという点であります。  第三点は、第一勧銀西銀座支店が五十一年十二月七日付で斉藤富雄さんに出した念書の意味するものは何かという点であります。これ、全部持っておりますが、これは、警察、御報告いただけますか。

加藤晶警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(加藤晶君) ただいまのような事実につきましては、私ども報告を受けておりません。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 大蔵省……。

後藤達太大蔵省銀行局長

○政府委員(後藤達太君) 私どもの方も、まだ、目下のところ詳細な内容について承知しておりません。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 この最後の、第一勧銀西銀座支店が斉藤さんに対して出した念書でありますが、三千万円返したら、一億五千万円の根抵当権を外してやるという内容なんです。これはきわめて奇妙なものでありますが、普通銀行がこういう念書を書くものですか。見てください。(資料を示す)

後藤達太大蔵省銀行局長

○政府委員(後藤達太君) 現実の個々の取引の場合に、念書等はいろいろあり得るかとは存じますけれども、ただいま和田先生からお示しをいただきましたような、そういう形のものは、私はまだ寡聞にして見たことはございません。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 警察庁は、いま私が申しました念書に書かれたいきさつについては、まだ報告を受けていませんから御存じないということになりますか。

加藤晶警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(加藤晶君) 先ほど申しましたように、全くそのようなことにつきまして報告に接しておりませんので、いまここで何ともお答えできないわけでございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 警察庁、第一勧銀西銀座支店がいまのところ一億五千万を融資したと言われています勝大産業あるいは丸勝産業、この菊池正敏さんという人は住吉連合会の人ですね。会と言ったら語弊があれば、会系の人ですね。

加藤晶警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(加藤晶君) この件につきましても、いま初めてお伺いいたしましたので、ちょっとお答えいたしかねます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 これは通告してあるんですがね。それでは警察庁、調査になりますか。

加藤晶警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(加藤晶君) 後ほど調査をいたしたいと思います。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 調査して報告をされますか。

加藤晶警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(加藤晶君) 具体的な犯罪に関連いたしましてということでございますれば、いずれそういうようなことになるかと思いますけれども、捜査をやるかどうかというのは、この段階で、いまここで……

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 いえ、調査をされて報告をされますかと言ったんです。

加藤晶警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(加藤晶君) この人物についてでございますか。調査をいたしましてお答えいたしたいと思います。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 この住吉連合会関係者に、第一勧銀が一億五千万円もの金を融資している。こういうことはちょっと考えられないんですね。このいきさつは一体何か。同時に調査を求めます。

加藤晶警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(加藤晶君) 現地を管轄しております警視庁におきまして、あわせましてこういうふうな犯罪に関連しておるということでありますれば、それは調査をいたします。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 私は、第一勧銀の記事がすでに報道されましたが、いまの部分は報道されていませんが、まだ。第一勧銀側に何か一億五千万円を融資しなければならなくなるような弱点があったのではなかろうか、そういう口実を設けられなければならないような弱点があったのではなかろうか。これは銀行局長、私もいま調査を進めていますが、八億円余に上る他の、この関連ではありませんが、口実を与えるような不正融資がどうもあるように思われるのでありますが、いま大蔵と警察からの返答をもらってから、ここの部分についてはなお私の方でも調査を進めますから、以上申し上げたものの調査結果について報告を求めておきます。これは両者ともよろしいですね。

後藤達太大蔵省銀行局長

○政府委員(後藤達太君) 私どもとしてのできる範囲での調査はしてみたいと存じます。存じますが、その上でどこまでわかりますかでございまするが、バックグラウンドというようなことになりますと、果たしてどこまでわかるかということでございますが、所要の、できる御報告はいたしたいと思います。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 大体、委員長から求められた時間が来つつありますから最後にいたしますが。  先々週、三月末ですか、千葉興銀の頭取以下全重役が大蔵省の関東財務局に呼ばれているんですね。そこでどのような話がなされたのか、差し支えなければ局長、聞かしてください。

後藤達太大蔵省銀行局長

○政府委員(後藤達太君) 関東財務局に千葉興業銀行が呼ばれた事実を私存じません。したがいまして、その内容等、存じておりません。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 これも調査を求めます。  私の調査によりますと、千葉興銀の全貸出額の二%が不良貸し出しであります。大蔵省が今度重役連を呼んだのも、このことに関連があるのではないかと実は私は推測をいたしていますが、以前粉飾決算で問題になったユアサフナショクという会社ですね。それに千葉興銀の現会長の手による情実融資が三十億円もごげついている件がありますね。あるいは私も決算委員会で問題にしました問題の佐藤造機への融資の件、それからみずからの手で決算を粉飾してやってまで内野工務店に融資を十二億円こげつかした問題、大変問題がここあるのですね。大蔵省としてもこの問題をつまびらかに一遍する必要があると思うのです。早急に厳正な措置を私はとらるべきだと思いますが、いま御存じないということの答弁でありますから、ともあれ調査結果を挙げてください。よろしいでしょうか。

後藤達太大蔵省銀行局長

○政府委員(後藤達太君) 私、いま先生御指摘のような事実を全然承知をただいましておりません。しかしもしそういうようなことが、これはいずれの金融機関に限らずありましたら、私ども監督者として適切なる措置をとる必要があると思います。したがいまして、その事実かどうかというような点、その他必要のある調査はいたしたいと思います。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 円の問題でもうちょっと、先ほど日銀理事にも伺ったわけでありますけれども、大蔵省の考え方は伺っておりませんので、それについて伺いたいと思います。  円の高騰についての理由、これらの点については日銀と変わりがないだろうと思いますが、先ほどの外国金融機関の動き、こういったことはどういうふうに掌握をされていますか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 為替市場におきましてドルの売買が行われますときに、それはその顧客の動きを反映したものであるのか、あるいはその銀行の金融取引であるのか、その場合も、外銀円買いに来たのか、あるいは海外からそういう円買いがあったのか、その辺はなかなか、一緒くたになっておりましてすっきりと数字的に取り出すことはむずかしいわけでございますが、円が高くなるという見通しが強くなりますと、海外からも円を買う、あるいは外銀も円を買うというふうな動きがあることは容易に推察されるわけでございます。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 新聞報道等を読んでみるというと、商社のいわゆる決済そのほかの問題じゃなくて動いているということから、どうしても一種の投機ではないかということを考えざるを得ないということが書かれてあるわけですけれども、そういった気配はどうでしょうか。おつかみのようですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 為替銀行は、日本の銀行、外銀を通じまして、その銀行の為替業務を遂行するために一定の持ち高の保有が認められておるわけでございますから、その範囲内におきましてドルを売ったり買ったりするということはできるわけでございます。したがいまして、顧客の動きを反映するほかに、そういった銀行のポジション調査というふうな要素があることは事実でございます。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 ポジションの調査ですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) ポジションの調整でございます。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 その次に伺いたいのは、ちょうどいまから六年前に、いわゆるニクソンのドルショックがあったわけですね。そのドルショックが日本経済に与えた影響は非常に大きかったわけですけれども、今度の円のこの急激な上がり方、円高相場、こういうのも何かそのときのドルショックのケースに似てきているんじゃないかということをちょっと思わざるを得ないわけですけれども、何か強引にやられている感じがある。一方的にドルの切り下げをやったと同じようなふうになるわけでございますが、今後アメリカがドルのいわゆる切り下げといいますか、そういうものをする心配はないか。これがあれば実質的にさらに円が切り上がるということになってくるわけですけれども、その点はいかがでしょう。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 最近の情勢と、四十六年のころとの違いの一つは、当時は固定相場制度で運営されておりまして、四十六年の八月に、確かにアメリカがああいうふうな経済政策を発表したわけでございますが、その後スミソニアンで通貨の再調整が行われたというふうなこともございまして、当時は、固定相場的な考え方が強かったわけでございます。したがいまして、外国の方からも円に対して切り上げをしてくれというふうな要望がございました。それからまた当方といたしましても、買い介入を相当多額にやったというふうな事実がございます。最近は、フロート下で各通貨とも実勢に応じて相場を運営するということにしておりますんで、アメリカの通貨当局として日本に対して特に円を切り上げろというふうな話はないわけでございます。もちろん通貨当局の外におきましては、円がもっと切り上がってもいいんじゃないかというふうな話は時折出ておるわけでございますが、通貨当局間ではそういうふうな切り上げ動きはないわけでございます。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 問題は、私は、あの後が、いわゆる過剰流動性を引き起こしてくるというときが来るわけですね。そういうことで、ドルショックを契機に過剰流動性というものの発生、円高による輸出の価格の上昇、それが卸売物価を上げる、いろいろなことがあってインフレということが出てきております。そういう点といまとが似ているといえば似ているという点がかなりあります。ただ違っているのは、アメリカはベトナム戦争をやっていた。いまはしかし、先ほどの質問にありましたように、非産油低開発国が巨額な累積債務を抱えている。似たような、そういう言い方では、全般を通ずれば同じようなものがあるような感じがするんですけれども、インフレの危険性、そういう点で、私どもはかように心配するわけですけれども、その点はどういうふうな掌握といいますか、見方をしていますか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) ドルの先行きについてのお尋ねかと思いますが、確かに一方におきましては、最近、金価格が上がっているということから見られますように、ドルの先行きに対する若干の懸念がないわけではないのでございますが、しかし、現在アメリカの政府のとっております政策といたしましては、インフレの抑制にも非常に気を使っておるわけでございまして、これから目先、ドルが非常に弱って、かつて四十六年のときのような通貨の混乱を惹起するというふうなことはないと思っております。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 しかしまあ今回は日本だけが、先ほども日銀理事も認めておられましたけれども、日本の円だけが一つ続騰を続けていると、そういう点ではしわ寄せが一方的に来て、すべての世界じゅうの経済の中の悪人が、日本みたいなふうな感じにしむけられている。これはアメリカとECの共謀じゃないということは、先ほどの答弁にありましたけれども、そういう点から見ると、今度は日本だけがかぶってきて、あのときと同じような経済の混乱というか、そういうものも受けるんじゃないかという心配をするんですけれども、どうですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 確かに御指摘のように、最近は主要国通貨の中で円だけがどんどん上がっていくというふうな傾向を示しておるような感じがいたします。年初来とってみましても、円が七%くらい上がっておりますのに、円とともに強い通貨と言われましたドイツマルクは一%くらい下がっておるわけでございます。しかし、基本的には日本の国際収支が輸出が好調である、輸入がなかなかふえないということで、黒字基調を続けておりますので、円が強くなるというのは、そこに主な背景があろうかと思います。もちろんその過程におきまして、たとえば先般四月に入りましてから円相場がだいぶ荒れたわけでございますが、一つのきっかけとしては、四月の初めにECのスネークの中の通貨調整があって、そこで再び強い通貨が見直されるというふうな心理的な影響もあったように感じます。それからまた円の基調的な強さに加えまして、もっと上がるんじゃなかろうかというふうな思惑的な動きもここ一、二週間あったのじゃないかというふうな感じがいたします。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 それから、円の国際化の問題で、先ほど日銀理事は、自然に任せるべきであると、それは意図的に引っ張っての国際化を図るというのじゃなくて、自然と円決済がふえてくると、そういうようなことからだんだんやるべきだというような意向のようでしたけれども、これはわが国の経済の発展という点から見れば、確かに私も、必要だし、円の国際化ということは日本の責任でも必要なことになってきたと思いますけれども、しかし、まだまだアメリカの経済やなんかに比べれば底が浅いということが言えます。そういう点で、何か一方では不安の念が隠せないわけですけれども、ですから、この点大蔵省はどういうふうに円の国際化については考えているのか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 円の国際化が何を意味するかということは必ずしもはっきりいたしておりませんが、よく言われておりますのは、たとえば東京市場におきまして国際機関や外国政府等が円で起債をして資金を調達するというふうな動き、あるいは外人が通貨当局を含めまして円資産を持ちたいというふうな動き、そういったものであろうかと思います。私どもは、先生御指摘のように、日本経済が大きくなるに従いまして海外からも日本経済に対する期待は高まる、その結果、円を使いたい、あるいは持ちたいというふうな要望が高まってくるわけでございまして、やはり国際経済における日本の役割りというものを考えますと、全部それはいけない、というわけにはまいらないのでございまして、節度を持ちながらそういう海外の要望にこたえていくということが大事じゃなかろうかと思います。ただほうっとけばそうなるのかということにつきましては、人為的に円を国際化しようというのは、これは私は行き過ぎだと思いますが、円の順調なる国際化に支障のあることがございますれば、それは排除するというふうなことは心がけるべきではなかろうかと思っております。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 これは大臣ですね、ただ、円が国際通貨としてだんだんいまのような国際化ということがこれから起きてきますというと、ほかの国の経済の波動をものすごく受けるようになるわけですけれども、そういう点も多少よかれあしかれ受けなければならない。しかし、一方また政治的、軍事的というような責任も出てくる、こういう点が考えられるようです。ですから、経済だけが先行しているようないまの感じなんですけれども、そういうことで経済面以外のものもあります。またそういうものの影響がこの経済面にも出てくるということが考えられるわけですけれども、そういう点についてのお考えはどうでしょうか。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(坊秀男君) 円の国際化といいますか、円が世界通貨として役割りがだんだん重くなってくるということにつきましては、これは御指摘のとおり、各般の角度からこれを考えてまいらなければならない、それが非常に大事なことであろうと考えます。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 これでこの円の問題では最後なんですけれども、いまの外為法、その部分的な改正をしておくべきじゃないか。たとえば外為法二十七条の中に「何人も、本邦において左に掲げる行為をしてはならない。」ということで、「外国へ向けた支払」「非居住所に対する支払又は非居住者からの支払の受領」なんというような項がございます。こういうような、いわゆる閉ざされている部分といいますか、そういう閉鎖しているような部分といいますか、そういうようなところについては、これは円の国際化ということに伴って改めるべきではないかということが言われているんですけれども、その点いかがですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 現在の外為法は、御指摘のように法律で海外取引を全面的にまず禁止しておいて、政省令の段階でその禁止を解除するというふうな仕組みになっておるわけでございます。現にこの法律の第二条に言っておりますように、日本経済の発展につれて自由化を進めるべきだというふうに書かれておるわけでございますが、私どもも今日の事態におきましては、この為替管理法の手続はもっと簡素化さるべきであると思っておるわけでございます。最近自由化を進めてまいりました結果、経常取引におきましても、資本取引におきましてもほぼ全面的に自由になっておるわけでございますが、何せこの法律で禁止して、政省令で解除するという仕組みをとっておるために、非常に手続が煩瑣にかつ多峡にわたっておりまして、海外取引をされる方々に余分な負担をかけるとともに、内外から日本の為替管理法は厳し過ぎるというふうな誤解あるいは批判もあるわけでございますので、今後とも手続の簡素化については思い切った努力をしてみたいと思っております。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 思い切った努力ということは、法改正の意思があるというふうにとっていいですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 現状では手続面が、非常にまだたくさん手続きが残っておるわけでございまして、この段階で法律改正いたしましても、法律で全面自由、例外禁止というふうにいたしましても、例外のところに非常にたくさん規定を設けなくちゃいけないということになりまして、私はそれはちょっと実際的でなかろうかと思っておりますので、まずはいま残っております手続をどんどん簡素化していくということが先決問題ではなかろうかと思っております。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 次は、貴金属特別会計の方ですが、この廃止を今度されるわけですけれども、これは金のいわゆる、何といいますか、位置づけといいますか、それについて通貨としての意味、そういう点では、これがなくなったからということなのかどうか。たとえば、米国がドルと金との交換制を廃止した、また、IMFでも金を通貨としては考えないという国際通貨の動き、こういうものもございます。そういう中で、金と通貨の関係が、金の市場価格であるというようなそういう時代ではなく、今後金への復帰はあり得ないという、こういうことになってくるわけですけれども、その点そういうふうに考えているのかどうか、その点を一つまず伺いたいと思います。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) このたびのIMFの協定改正におきましては、金というものを通貨制度から排除するということでやっておるわけでございます。しかしながら、現在時点におきましては、世界の流動性が約二千二百億ドルございまして、このうち公定価格で計算して金が三百五十億ドル、これを時価に直しますと千何百億ドルというふうな大きな金額になろうかと思います。そして主要国を初め多くの国におきまして金を通貨当局のあるいはその中央銀行の重要な資産として依然として考えておるという現実があるわけでございます。したがいまして、私どもとしては、国際通貨制度を考えます場合に、金が中心的な準備資産であるということはやめると、その意味でその金の役割りをだんだんと減らしていくということには各国と同様賛成しておるわけでございますが、他面におきまして、現実問題として金が依然として主要国によって保持され、かつそれなりの値打ちを持っておるという事実には目をつぶるわけにはいかないというふうに考えておるわけでございます。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 金が中心という位置づけではないけれども、確かに、ヨーロッパとか何か見ると、アメリカだってまだ六一%は外貨準備高の中にはございますし、そういう点からいけば、金の通貨準備としての性格は依然としてあるということになるだろうと思いますね、中心のものではないけれども考えなきゃならないということで。そうすると、わが国の外貨準備での金は、保有そのほかを考えるとどういうふうに考えるんですか。何%ぐらいあればいいとか、あるいは先ほどのように中心のものでないということでもうどんどんこれからはふやすことも考えないというふうな考え方でいくのか、そういう点、どうでしょう。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) わが国の外貨準備中の金の保有額は、公定価格で計算いたしまして五%ぐらいで、他の主要先進国に比べて著しく低いと思います。で、これ、戦後の日本の国際収支のつらいときに実は金を買い増しすることはできなかったというふうないろいろな事情があって、今日のような状況になったわけでございますが、そうかといいまして、それではこの金をさらにふやすかということになりますと、やはり日本が金を買うというだけで金価格は恐らく相当上がるんじゃないかと思います。で、買ってその後でまた値下がりするということも適当でないと思います。しかし、折りがあれば少しずつふやしていくということは、どの程度までというめどがないにしても、一つの考えるべき道ではないかと思います。現にいままでも、たとえば、IMFの取り引きにおきまして金を手数料で払うとか、あるいはその円を、IMFから、購入するときに金で支払うのを日本が受け取るというふうな方法によってふやしてまいったわけでございます。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 この特別会計からの保有金の日銀への売却は、それによってわが国の外貨準備高の中に占める金の保有高は幾らほどになりますか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 貴金属特別会計が日本銀行に八十トン売るという計算をいたします場合に、そのうちの約三十五トンはすでに外貨準備に計上されておりますので、その差額は日本としての外貨準備の増加になるわけでございますが、現在の公定価格で計算いたしまして五千八百万ドルふえるということになると思います。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 今度のこの売却価格一グラム千二百二十五円、これはIMFの保有する金、それを昨年の春からいままで売った、その価格を参考にして決められたと言われていますけれども、そうすると、一グラム千二百二十五円と、こうなると、これは一オンスで百三十何ドルということになるんだろうと思いますが、IMFでの売却の価格の最高の値段はいままで幾らでございますか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) IMFの今回の、四月六日の競売の価格が一オンス百五十一ドルということになっております。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 今回の一グラム千二百二十五円はどの辺を参考にしたんでしょうか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) ちょうどこの法案、あるいはいろいろ予算の見積もりを立てますときまでに、IMFは五回ほど金を売却したわけでございまして、その五回のうちやり方が二通りありまして、一つは、共通価格方式、すなわち入札した最低価格で決めると、そろえるというやり方でございまして、もう一つは、応札価格方式というやり方でございまして、これは各人が応札した価格で買い取るという仕組みでございますが、私どもはやはりこう共通価格方式の方が今回のような場合には例として適当ではなかろうかと思いまして、IMFの一回目、二回目、五回目が共通価格方式になっておりましたので、それの売却価格の平均をとった次第でございます。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 一九七五年にIMFの先進十カ国会議での申し合わせの中に、向こう二年間、つまりことしの八月までですね、IMFと先進十カ国は保有する金を増加させないという項目があります。その後、フランスなどはIMFの金を相当買い入れておるというような話でございますが、わが国を初めとして金保有が当然増加していると思いますけど、この申し合わせは一体、そうなるとどういうことになっちゃうんですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) この十カ国の申し合わせは、いまおっしゃいましたように、十カ国及びIMFが現に保有している、七五年八月三十一日に保有している金の総量を増加させないということ。そのほか金価格を特定の水準に支えないということなどが入っておるわけでございますが、IMFの第一回の入札に際しまして、フランスがBISを通じて入札に参加したいという情報を得ておるわけでございますが、それにつきましては、いま改正される予定になっておりますが、現行協定では違反であるという通知をフランスは受諾したわけでございます。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 アジア開発銀行について伺いたいと思います。  まあ、これはわが国が慫慂してつくったという経緯がありますから、非常に私たちとしても責任を持たなきゃならぬというものだと思いますが、この資金協力という点についてアメリカの態度はいかがでございますか。まあ余り応募がおくれているようなふうに伝えられているんですけれども、その点はどうなのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) アジア開銀ができましたときには、日本と同額で順調に出資の払い込みをしたわけでございますが、第一次一般増資のときに、アメリカの議会の手続がおくれまして、現実の払い込みが日本に比べますと二年ぐらいずつずれてまいったという経緯がございます。しかし、最近はそのずれが大分取り戻されてきているように思われます。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 まあそういう点では、このアジア開銀に対しての資金協力では、域内国では日本、それから域外ではアメリカ、これがトップでありますから、それだけに資金集めということが非常に大事ですし、アメリカの協力を得るということが一番大事な仕事であるということになると思いますけれども、今回の増資に対するアメリカの対応はどうですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) まあアメリカ当局からの連絡によりますと、ことしじゅうに、一九七八年、七八財政年度予算案において増資予定額全額の応募権限を得たい。それから、その増資が三年分割になりますが、それの分の払い込みに要する予算をやはり今年じゅうに議会から得たいというふうに聞いておるわけでございます。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 時間がないようですから、まとめて聞きます。  一つは、資金協力について中東の産油国からの協力はどうなっているか。それから今後はそういった産油国の資金協力、まあこれはどういうふうに考えていこうとしているかということ。  それから、貸出金利の問題とか、そういったようなことが大分ほかの国から言われてきている、要求が出ている。理事の数をふやさないとか、あるいは金利を上げろとか、そういった点はどうなっているのか。  三番目は、いわゆる共産諸国への対応、この点をどういうふうに考えていくのかを伺いたいと思います。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) まず、アジア開銀の産油国からの資金調達でございますが、すでにサウジアラビア、クウェート、アラブ首長国連邦から、アジア開銀は借り入れを行ってきております。今後につきましても、必要に応じ、有利な条件が整えばアジア開銀としては中東諸国からの借り入れを考えるのではなかろうかと思います。  それから二番目に、金利あるいは理事の数につきまして、一つには、アジア開銀の金融機関としての健全性を確保したいという見地から、貸出金利は十分調達金利を賄うようにしたいという意味で金利を上げる、あるいは余り下げない方がいいという意見がございますし、それからまた理事の数につきましても、余りに理事がたくさんふえますと出費がかさむということで、余りふやしたくないという意見も内部にはあるわけでございますが、しかし同時に、アジア開発銀行は援助機関としての性格をも持っておるわけでございますので、借入国の立場を考えれば、できるだけ金利は低い方がいいと。理事につきましても、加盟国の意見を十分に銀行の意思決定に反映させたいというふうな一部の国の意見も理解できるわけでございますが、まあそういったいろいろな要素をかみ合わせて、バランスのとれた経営を考えていくべきではないかと思っておるところでございます。  三番目に、共産圏でございますが、たとえばソ連はこの協定をつくるときに少し関心を示したといういきさつはありますが、その後全然参加の意思表示をしておりません。中国につきましては、最初からまだそういうふうな意思表示をしておりません。ベトナム等につきましては、これは問題なくいま加盟国になっておるわけでございます。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 この法案で、アジア開銀に対するわが国の出資も大幅にふえるわけでありますけれども、まず最初に伺いたいのは、アジア開発銀行の融資ですね、どういうたてまえで行われるのか。特にこの加盟国であれば、社会体制のいかんを問わずに融資できるようになっているのかどうか、この辺をまず伺いたい。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) まあアジア開銀の融資につきましては、協定自身に書いてございますように、域内の経済の開発を図るというふうな見地から融資を行うわけでございまして、いま御指摘になりましたように、政治体制にかかわるまたそれに影響をされずに経済的な基準から融資を決めていくということにしておるわけでございまして、私ども見ておりまして、十年間の実績はこの協定の趣旨に沿って生み出されたものと考えております。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 もう一つ関連して伺いたいのですが、域内の経済開発に役立つ融資ということになりますと、当然まあ常識ではこれは平和的なプロジェクトに融資するというふうに考えられるわけですが、このなんですね、軍需産業ですね、こういうものについては融資はやらないたてまえになっておりますか、どうですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) まあ御指摘のとおり軍需産業とか、あるいは軍事力増強のための融資はやらないというふうに私は理解しております。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 それでは、次の国について通常貸し付け、それから特別基金貸し付けですね、これを含めた数字でいいんですけれども、融資の額と、それから全体に占めるパーセンテージ、これをおっしゃっていただきたいと思います。国は、若干質問の通告のときとちょっと変わりますので申しわけないんですが、韓国、台湾、それからインドネシア、フィリピン、タイ、この五カ国についておっしゃっていただきたいと思います。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 韓国につきましては承認ベースで通常貸し付け、特別基金合わせまして昨年十二月末現在五億五千百万ドル、台湾は、同様の計算でまいりますと、九千九百万ドル、インドネシアは三億七千六百万ドル、フィリピンは四億六千四百万ドル、タイは三億一千三百万ドルでございます。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 パーセンテージはどうですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 韓国が一六・四%、台湾三%、インドネシア一一・二%、フィリピン一三・八%、タイが九・三%でございます。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 この五カ国のいま御報告いただいた融資額ですね、それからパーセンテージ、これを合計するとどのくらいになりますか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 五三・八%になります。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 そうしますと、アジア開銀が経済開発ということを重点にして融資している。社会体制も問わないということで融資をしているのにもかかわらず、いま名前の挙がった国々、韓国、台湾、インドネシア、フィリピン、タイと、これらの国はいずれも軍事独裁政権が支配、現在もしているし、かつてしていたという国でもあるし、アメリカとの関係も特別に深い国々で、しかも反共諸国という特徴を持っていると思うんですね、共通の。その五カ国に五三・八%もの融資がいっているということになりますと、アジア開銀の融資そのものの性格がここにはっきり出ているんじゃないかという感じがしますけれども、これふさわしいものでしょうか、アジア開銀の設立の趣旨あるいは融資のたてまえ、こういうものに照らしてどうですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 確かに韓国等に対します融資の比率は高いわけでございますが、これは先ほども御説明申し上げたように、初期の段階におきまして、アジア開銀はプロジェクト融資を中心としておりますので、受け入れ国におきましてプロジェクトが十分熟成しているということがございませんと、なかなか融資は進まないわけでございまして、確かに韓国、台湾等が初期におきまして大きなウエートを占めたのでございますが、その後はだんだんとウエートも下がってきておるわけでございまして、小さな西サモアとか、そういうような国に幅広く融資がいま行われつつあるわけでございまして、決してアジア開銀が、何か特定の政治的イデオロギーを持ってやっているということではないと思います。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 これらの国々が、いま言ったような性格を持っておりますので、軍需産業の育成にアジア開銀融資が直接にか間接にか役立てられているという可能性があるんじゃないかと思われますが、その点どうですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 軍需産業がどの範囲のものを含むのかなかなかむずかしいと思います。たとえば、製鉄所に対する融資が行われますと、その鉄からいろいろ軍需関係のものができるということはあり得ると思いますが、アジア開発銀行が融資をいたしますときに、当然そのプロジェクトにつきまして審査をするわけでございまして、軍事力を増強するためにやるというふうな場合には、アジア開銀の理事会でそういう融資は通らないんじゃないかというふうに私は思うわけでございまして、結果的にどうなのか、そこまではっきり明言することはできませんが、アジア開発の銀行融資方針としては、軍需産業に対して融資するということではなかろうと思っています。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 私も、まさにそうでなければならぬと思うんです。ならぬと思うんですけれども、いま言ったように、かなり軍事独裁政権の国、反共政権の国に集中しているということになりますと、そうした疑いを強く持たざるを得ない。今後の融資についても、そういう点は特別にやっぱり入念に注意するという用意がありますか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 日本自身につきましては、渡辺先生よく御存じのように、武器輸出三原則あるいはそれに準じて投資を制限するということでやっておるわけでございますが、アジア開発銀行は日本の銀行ではございませんので、日本の考えるとおりに全くいくかどうかわかりませんが、私どもといたしましては、日本を代表する理事が理事会に出ておりますので、それを通じてできるだけの努力をしてみたいと思います。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 それでは具体的に、先ほど御答弁いただいた中で、最大の比率を占めている一六・四%、五億六千万ドルですか、という融資を受けている韓国、これについて伺いたいと思うんです。  韓国政府が、現在第四次五カ年計画というのを発表して、その遂行を進めようとしているということは御存じのとおりだと思うんですが、私、外務省からいただいた「韓国の第四次経済開発五カ年計画説明資料」というのを見てみますと、この中に、この計画を遂行するための資金計画が書いてあるわけですが、その中に「外資導入」という項目があって、一九七七年から八一年までの計画期間について九十五億ドルの借款をする。それから五億ドルの投資を予想している、こういうことになっている。合計百億ドル、こういうことですね。非常に莫大な額の外資の導入を予定しているわけです。この外資の導入の中には、恐らくアジア開発銀行からの融資というのも期待されているんじゃないか、あるいは世界銀行からの融資というのも期待されているんじゃないかと思いますけれども、その辺はどうなっておりますか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 私どもは、いま御指摘の韓国の新しい五ヵ年計画の内容について詳細は承知しておりませんが、最近二、三年とってみますと、韓国に対してアジア開銀の融資が一億ドル前後ずついっていたように記憶しております。恐らくはそういうことが、これから五ヵ年計画を立てる際にも、資金計画、資金手当ての一つの項目として、アジア開銀あるいは世界銀行からの融資を当て込んでいるのかもしれませんが詳細な資料は持ち合わせておりませんので、それ以上のことはちょっと申し上げかねます。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 まだ韓国からは、アジア開銀に融資の申し入れはないのですか、この五ヵ年計画についての。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 私どもが承知しております範囲では、新しい五ヵ年計画に関連しての融資の申請はございませんが、毎年いままでのところ一億ドル、将来どうなるかわかりませんが、融資がございましたので、あるいはルーチンの融資ということで、幾つかの案件が申請されるかも存じません。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 そうするとあれですか、いま申し入れてきている融資、これはどんなような内容のものになっているんですか。これが発表されたのは去年です。ですから、それ以降ですね、どういう申し入れがあるのか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) いまここに手元に資料ございませんが、借入国がアジア開銀に融資を申請いたす場合に、借入国の方から発表する場合には、私ども知り得るわけでございますが、通常は所定の手続を経るまでは、これは一般には公表されないということでございますので、あるいはまだ公表されていないのかもしれませんし、あるいはそういうものはないのかもしれませんが、私どもはいまのところそういう情報は得ておりません。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 いままで韓国から申し入れがあった場合、大概これはオーケーになっているんですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) これは韓国だけではざいませんで、どこのいずれの借入国も同様でございますが、融資案件というものは徐々に固まってまいるわけでございまして、最初の段階ではまずプロジェクトファインディングということで、アジア開銀のスタッフが参りまして先方の当局と話し合いをすると。そのうちに、これならばいけそうだという場合に、コンサルタントあるいは専門家を派遣いたしまして、案件のフィージビリティーとか審査するというふうな段階を経まして、融資申請になるわけでございますので、初めから見込みのないものはその段階で落ちていくと。理事会にかかりますときにはおおむね、韓国に限らず、どこの国におきましても融資申請は承認されるというふうな実情にあるかと考えます。

安田隆明自由民主党

○委員長(安田隆明君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

安田隆明自由民主党

○委員長(安田隆明君) 速記を起こして。  暫時休憩いたします。    午後五時二分休憩      —————・—————    午後六時三分開会

安田隆明自由民主党

○委員長(安田隆明君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、貴金属特別会計法を廃止する法律案及びアジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 先ほども申しましたように、韓国の第四次五ヵ年計画の資金計画として、九十五億ドルにも及ぶ対外借款を予定しているという状態で、いずれアジア開発銀行にも融資の申し入れがあると思うんです。その際、軍需産業育成に関係するプロジェクトには、アジア開銀の融資はあり得ないというふうに理解していいですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 先ほど申し上げましたように、軍需産業というものの範囲が必ずしも明確ではないと存じますが、アジア開銀の性格上、また、その協定に規定されておりますところに従ってアジア開銀は融資をするわけでございますので、私は、アジア開銀が特定国の軍事力の増強に資するために融資をすることはあってはならないと思いますし、日本代表の理事がおりますので、理事を通じまして理事会においても十分日本の意見を反映さしたいと思っております。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 それでは次に伺いますが、この第四次五ヵ年計画の重要な柱と見られている韓国の投資開発会社、コーリア・インダストリアル・デベロップメント・コーポレーション、略称、韓国重工業、KIDCというのがあります。これを発案した韓国の国会議員金尚榮という人を、昨年の七月の二十一日、植村日韓経済協力会会長が招いて、そうしてそのプランの詳しい説明を聞いたそうです。その際、この席に経団連、それからアジア開発銀行、それから野村総合研究所、日本輸出入銀行などの首脳が参加したと言われておりますけれども、アジア開発銀行の首脳もこれに参加をしたかどうか。もし参加したならば、そのプランの内容はどういう内容であったのか、伺いたいと思います。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) まことに恐縮でございますが、KIDCについても私どもよく伺っておりませんし、そういう会合があったこと、またそれにアジア開銀の者が出たということも何ら聞いておりませんので、まことに申しわけございませんけれども、事実かどうかということはお答えできかねるわけでございます。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 つまり、否定ではなくて、わからないということですね。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 私どもは全くそういうことは聞いておりません。知らないわけでございます。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 それじゃ、調査していずれ報告していただきたいと思います。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 私どものルートといたしましては、アジア開銀に日本代表の理事が行っておりますので、とりあえず理事に照会をしてみたいと思います。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 次に、この第四次五ヵ年計画の重要な柱、いま申しましたKIDCのこのプランの中にも入っているわけですけれども、韓国の慶尚南通の馬山の北方に昌原機械工業団地というのが急速にいまつくられていると言われます。朝鮮読みにしますとチョン・ウォンと言うのだそうですね、この昌原というのは。この機械工業団地にアジア開銀としては融資する可能性があるのかどうか、これはどうでしょう。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 昌原工業団地に関連いたしましてアジア開銀が融資をするかどうか。まず、韓国から申請が出ているのかどうか存じませんし、昌原工業団地がどういうものかというものをよく存じないので、まことに申しわけございませんが、さっき申し上げましたように、軍事力増強ということでございますと、これはアジア開銀としても融資を認めることは不適当だと思いますが、何せまだ実態について何ら聞いてもおりませんので、アジア開銀融資についてはお答えしかねる次第でございます。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 従来アジア開銀の融資が、この工業団地の造成のために使われたという事実はないですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 特には聞いておりません。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 この韓国の第四次五ヵ年計画と申しますのは、おととしですね、だから、一九七五年の九月二日に咸駐米韓国大使が、戦力増強五ヵ年計画というのを発言いたしましたけれども、これと結合したものだということは久しく言われてきておることであります。特に、ことしに入って一月の二十八日に韓国の朴大統領が、一九八〇年末までに核と戦闘機の開発を除くあらゆる兵器生産を国産化する能力を持つとの展望を明らかにしたという報道があります。で、これは、この第四次五カ年計画と結びつけての発言であろうということは、大方の見るところなんですね。で、特に、先ほど申しましたKIDC、これはかつて日本が中国の東北——当時、満洲と言っておりましたけれども、この侵略をするに当たって、いわゆる日満合弁の満洲重工業機械株式会社というのをつくりまして、そして、あそこに機械工業の育成と、同時にまたそれを基礎としての兵器産業の育成というのをやったわけですけれども、恐らく、その構想と非常によく似ているもので、日本、韓国の間で——これは財界同士のことですけれども、合弁の大きなそういう会社をつくっていくものだというふうに見られているわけです。そうして、このKIDCが関係しているプロジェクトというのは、浦項の総合製鉄所の拡張と、それからいま申しました昌原工作機械工場の建設、それから麗水の第二石油化学コンビナート、これらの建設のための融資を中心として考えているというふうに言われているわけです。  で、こういうようなもので、しかも軍事的性格が非常に強いということは、これはもういまの朴大統領の発言などからしても、非常にこれはもう明確になりつつあるというものですけれども、こういうものに関係したプロジェクトにアジア開銀が融資をするということになりますと、先ほど申しました融資のたてまえからしても、非常に問題だというふうに思います。慎重にこれは検討する余地があるかどうか、これをお伺いいたします。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) いまお話のございました中で、浦項の製鉄所とか、麗水のコンビナート、これらにつきましては、日本からも輸銀を通じてなりの資金援助はしていると了解しておるわけでございまして、私どもはこういうものが、御指摘のような軍需産業だと思っていないわけでございます。したがいまして、このどういう範囲でそれを軍需産業だって、したがって、そのアジア開銀の融資に不適当であるかどうかということにつきましては、国際機関としてのアジア開銀も慎重な判断はするだろうと思います。  先ほど来申し上げておりますように、私どもとしては、アジア開銀は、域内諸国の経済開発のために、政治的な制約なしに、経済的な基準によって融資をするつもりであるという立場をとっておりますので、そういう観点から日本代表の理事を通じまして、アジア開銀の融資に誤りなきよう影響力を及ぼしていきたいと思っております。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 特に、昌原の機械工業団地ですね、これにつきましては、これは一九七五年の七月三十一日付の韓国の内外経済新聞というところに報道されている記事ですけれども、韓国の商工部が、機械工業育成総合支援対策をととのえた。という記事の中で、この対策によれば、育成の基本方向として1国内二千四百余の機械類生産工場中育成価値がある二百から三百の工場をその専門化企業として、指定、集中育成し2昌原基地の早期建設で機械工業の構造革新と早期の土着化を期しながら3すべての機械工業を防衛産業に活用するように、指導・育成することにした。という報道があります、これはおととしの報道ですけれども。  これは日韓経済情報という日本で出されているものなんですが、出版物ですが、これに、昭和五十年だから同じ一九七五年ですね、の八月十三日付のものですけれども、「韓国の朴大統領は去る七月二十八日、商工部に指示覚書きを送り「機械類の国産化五ヵ年計画」を樹立し、七七年までに五〇%、七九年までには七〇%の国産化を図るよう強力に指示した」と、で、この指示によってまとめられた機械工業育成総合対策によりますと、「育成基本方向としては、韓国の二四〇〇余の機械類生産工場のうち、二〇〇から三〇〇の工場を選定し、専門化工場にこれを育成して、昌原機械工業団地を早期完工し、すべての機械工業を防衛産業に利用することができるよう指導育成することにしている。」という報道があるんです。  これらのことを考えてみますと、特に、昌原機械工業団地というのが、韓国の兵器国産化というこの目的に沿っての中心的なプロジェクトの一つだというふうに考えざるを得ないわけですね。これが第四次五ヵ年計画の中心的プロジェクトとして、これはもう織り込まれている、こういうものについての融資要請があったとき、これはアジア開銀としては当然それについての融資は断わるだろうというふうに思いますけれども、その点どうですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 一般的に申し上げまして、製鉄所の建設とか機械工業の育成ということは、広い意味でその国の経済の開発、ひいては民生の安定にも役に立つわけでございますので、それがあるいは間接的にどう利用されるか、その辺問題はあろうかと思いますけれども、一般論として機械工業の育成だからいけないということは、私はちょっと国際間の立場からは言いにくいんじゃないかという感じがするわけでございます。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 いや、一般的に機械工業の育成というプロジェクトに融資するなと言っているわけじゃないんです。こうして韓国政府がはっきりとこの防衛産業の育成のためにやるんだと言っているプロジェクトですね、形は機械工業団地です。そういうものを承知の上で、そういうものに融資できないでしょう。どうですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) アジア開銀が融資をいたします場合には、先ほども申し上げましたように、その国の経済の開発、民生の安定を念頭に置きまして、政治的な影響を受けずに融資をするということでございますので、明らかにこれは軍事力増強のために融資をしてもらいたいんだということになれば、それはアジア開銀としては当然そういうものは受け付けないと思いますが、機械工業を育成いたしまして、それが結果的にどうのということは、その辺はもうちょっと、アジア開銀といたしまして専門家もおりますし、中立的な立場をとっておるわけでございますから、よく検討いたしませんと、私がここで、そういう申請があった場合、アジア開銀が融資をするだろうか、あるいは拒否をするだろうかということをはっきり申し上げるのはちょっとむずかしいんじゃないかと思います。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 日本政府の方は、どういう態度をとるのか、伺いたいんです。これは、ことしの一月二十一日付の朝日新聞の記事ですけれども、昨年暮れ、政府派遣の韓国経済調査団の団長として訪韓した中安宇部興産社長ですね、これが記者との一問一答をやっておって、その中で中安氏は、「在韓米軍撤退問題もあって韓国側が兵器産業の育成、武器国産化に熱心なのは十分承知している。」という旨を答えておりますね。で、この第四次五ヵ年計画というものが、そういう性格を持ったものだというのは、私、時間が余りないので以上述べた程度で指摘せざるを得ないわけですけれども、韓国の五ヵ年計画がこういう兵器産業育成という目的をもって行われているというような場合、私は、武器輸出三原則の趣旨からしても、政府融資、民間融資ともに、あるいは投資ですね、ともにこれは十分慎重に行い、少なくとも防衛産業育成に役立つようなものについては投資、融資やるべきでないと思いますけれども、その点どうでしょう。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 日本につきましては、前から武器輸出三原則とというのがございまして、昨年さらにそれに追加いたしまして、三原則以外の地域についても、外為法あるいは憲法の精神にのっとって武器の輸出を慎むし、またその武器製造関連設備の輸出については、武器に準じて取り扱うというふうな日本の方針、政府の方針があるわけでございます。私どもはその方針でやっているわけでございます。ただ、アジア開銀は日本の銀行ではございませんので、日本としては、日本に関する限りいま申し上げましたような原則でまいるわけでございますけれども、アジア開銀の場合には、国際機関として自主的な、中立的な立場からその判断をするということになりますので、私どもの気持ちを理事を通じて反映させることはできますが、それを越えまして、日本の方針でアジア開銀の融資自身を左右することはむずかしいんじゃないかと思います。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 いや、私は日本政府の融資、あるいは民間の融資や投資ですね、これについて伺っているんです。その点はどうですか。大臣、いかがですか。重要問題だ。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(坊秀男君) アジア開銀が、諸国の……

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 いや、日本政府及び日本の民間投融資です。これについて伺いたい。方針。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 日本自身につきましては、昨年の二月に決めました政府方針がございまして、武器製造関連設備の輸出については武器に準じて取り扱うということで、これはまあ非常に抑制的にやるわけでございますが、投資をいたしまして、そういうものをつくるということにつきましても、その精神に沿って、明らかにこれは武器製造のための投資であるという場合には、これを認めることはないと思っております。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 融資はどうですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 融資も同様でございます。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 それでは次に移りますが、いまアジア開銀に台湾が加盟国として入っておるわけですね。ところがその台湾は、一九七一年十月の第二十六回国連総会で、中華人民共和国が代表権を取得して以来、自動的に国連からはね出されたという状態になっているんですけれども、その台湾が、国連加盟国、特にエカフェ加盟国ですね、これを構成要素としているはずのアジア開銀に依然として籍を持っているというのはおかしいんじゃないかと思いますが、その点どうですか。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○説明員(大鷹正君) 台湾は、アジア開銀設立協定上、アジア開銀の原加盟国でございます。設立当時台湾は、中国を代表するとの形で加盟しておりまして、その状況は、アジア開銀においては現在も変わっていないということでございます。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 そうしますと、アジア開銀は、いわば二つの中国の立場に事実上立っているというふうに考えざるを得ないわけですね。ところが、日本政府はどうかといいますと、一九七二年秋に、中華人民共和国と国交を回復した、そのときは中華人民共和国政府を正当なオーソリティーと認めて、いわゆる一つの中国の立場で国交回復したと思うのです。したがって台湾は、中華人民共和国の一つの地域にすぎないというのが日本政府の立場だと思うのですよ。その日本が、アメリカと並んで最大の出資国であり、最大の表決権を持っているアジア開銀で、依然として台湾の籍を許しているというのは、これはまことにおかしいと思うのですけれども、その点どう思われますか、どう処置なさいますか。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○説明員(大鷹正君) いま先生おっしゃいましたように、わが国は一九七二年の九月に中華人民共和国との国交正常化を実現いたしております。中華人民共和国は、現在までのところ直接アジア開銀に対しまして、台湾追放の要求を行っておりませんし、またみずから加盟意図を表明してもおりません。わが国としましては、本問題につきましては、地域開発金融機関としてのアジア開銀の特殊性及び他の加盟国の意向をも勘案しつつ、基本的には一九七二年の日中国交正常化の事実を踏まえ、かつ日中両国間の友好関係を損なうことのないよう慎重に対処してまいりたいというふうに考えております。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 何か禅問答みたいな答弁ですね。どうするつもりですか。たとえばアジア開銀の第九回総会では、何カ国かの加盟国から、この中華人民共和国をメンバーにすべきで、台湾がいるのはおかしいという趣旨の発言があったというふうに私聞いています。やはり日本政府としても、そういう立場に立って、台湾問題を処理するべきだと思いますが、どうですか。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○説明員(大鷹正君) いま先生おっしゃいましたように、従来アジア開銀の総会におきまして、一部の代表が中薬人民共和国のアジア開銀加盟が重要であるという趣旨の演説を行ったことはありましたけれども、それ以後本件については何ら進展が見られておりません。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 日本政府は、どういう態度をとるのか。

大鷹正外務省経済協力局外務参事官

○説明員(大鷹正君) それは先ほど申し上げましたとおり、わが国としましては、地域開発金融機関としてのアジア開銀の特殊性と、それから他の加盟国の意向をも勘案して、基本的には一九七二年の日中国交正常化の事実を踏まえて、かつ日中両国間の友好関係を損なうことのないよう慎重に対処いたしたいというところでございます。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 何ともよくわからない答弁ですね。そういうのを官僚答弁と言うんですよ、率直に言いますと。もっと歯切れのいい、どうするかということは、ちゃんとした答弁もらいたいと思いますね、時間ないから次に移りますけれども。  それで、いまベトナムは、あの戦争の結果人民戦争勝利しまして、統一ベトナム政府ができているわけですけれども、そのアジア開銀が、従来旧ベトナム政府と結んだ債権債務、これを引き継ぐという立場を表明して、アジア開銀に加盟したと思うんですね。ところで、旧南ベトナム政府に対して、アジア開銀が融資を承諾してまだ未執行分があると思うのですね。それはどういう内容のものか、そしてその融資を約束どおりやる意図があるのかどうか、これを伺いたい。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) アジア開銀が旧ベトナムに融資を承認したのは、漁業開発その他全部で九件、金額で三百九十三万でございます。いまのは通常貸し付けでございまして、特別貸し付けは四千十万ドル、合わせまして四千四百万ドルぐらいでございます。これを今後どうするかということにつきましては、去る一月にアジア開銀から調査団がベトナムに参りまして、ベトナムの当局と相談をしてきたわけでございまして、正式な報告は出ていないのでございますが、口頭報告を私どもが聞くところによりますと、ベトナム側におきましては、既融資プロジェクトの一部の計画に手直しが必要である、それを除きまして、九プロジェクトにつきましては早期に実施をしてくれというふうな要望が出たということを聞いております。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 いや、だから、要望は出たけれども、アジア開銀としてはどうするかと……。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) アジア開銀といたしましてはこの要望を受けまして、できるだけ速やかに処理できるものは処理する。すなわちすでに決まって実行可能なものは融資をする。さらに新しい希望があればそれに沿うというふうな体制にあると聞いております。

渡辺武日本共産党

○渡辺武君 統一ベトナム政府から新しい融資の要請がもうすでに出ていると思うのですね。その内容はどういう内容なのか。それについては融資に応じる意思があるかどうか、この辺を伺いたい。特に私言いたいのは、台湾が国連からもはね出されたあとでも、新融資については承諾はなかったらしいのですけれども、未執行分についてはその後も融資しているわけでしょう。ところがベトナム民主共和国について、ちゃんとして加盟して、旧政府の債権債務を全部引き継ぐ、こういう立場をはっきりしているわけですから、新しい融資要請についてアジア開銀としては、これは社会体制のいかんにかかわらず、これは積極的に応ずべきだと思いますが、その点いかがですか。

藤岡眞佐夫大蔵省国際金融局長

○政府委員(藤岡眞佐夫君) 新規の融資につきましては、ベトナム当局の方から、農業、水力発電、輸送及び鉄道、肥料生産等につき、アジア開銀の融資につき関心があるというふうな表明があったわけでございまして、アジア開銀といたしましては、こういう要請を受けて通常の手続、すなわちプロジェクトのフィージビリティーを検討した後融資をするということになろうかと思います。

安田隆明自由民主党

○委員長(安田隆明君) 暫時休憩いたします。    午後六時三十分休憩      —————・—————    午後七時一分開会

安田隆明自由民主党

○委員長(安田隆明君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、二法案を一括議題といたします。  休憩前の委員会における和田君の質疑に関し、坊大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。坊大蔵大臣。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(坊秀男君) 先刻当委員会において、和田静夫委員から御指摘のあった関東財務局理財部長の件につきましては、公務員の政治活動と疑われるような不適切な行為があったことについてまことに遺憾に存じております。この点については十分調査を行い、事実に照らして適切な措置を講ずるとともに、大蔵省としても、今後このようなことがないよう、通達等の手段をもって十分その趣旨の徹底を図る所存であります。

安田隆明自由民主党

○委員長(安田隆明君) 他に御発言もなければ、二法案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安田隆明自由民主党

○委員長(安田隆明君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより二法案に対する討論に入ります。御意見のある方は順次御発言を願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、貴金属特別会計法を廃止する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

安田隆明自由民主党

○委員長(安田隆明君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

安田隆明自由民主党

○委員長(安田隆明君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  野々山君から発言を求められておりますので、これを許します。野々山君。

野々山一三日本社会党

○野々山一三君 私は、ただいま可決されましたアジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。     アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、アジア開発銀行設立の趣旨にかんがみ、加盟開発途上国の負担の軽減を図るため、アジア開発基金の一層の拡充に努める等、所要の措置を積極的に講ずべきである。   右決議する。 以上。

安田隆明自由民主党

○委員長(安田隆明君) ただいま野々山君から提出されました附帯決議案を議題として採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

安田隆明自由民主党

○委員長(安田隆明君) 全会一致と認めます。よって、野々山君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、坊大蔵大臣から発言を求められておりますので、これを許します。坊大蔵大臣。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(坊秀男君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましては、御趣旨に沿って努力いたしたいと存じます。

安田隆明自由民主党

○委員長(安田隆明君) なお、ただいま可決されました二法案についての審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼び者あり〕

安田隆明自由民主党

○委員長(安田隆明君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。午後七時六分散会      —————・—————

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