社会労働委員会 第13号
- 発言数
- 31 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1977/06/09
会議録
○委員長(上田哲君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る五月二十七日、橋本敦君、戸塚進也君、福井勇君、中村登美君、堀内俊夫君、及び福岡日出麿君が委員を辞任され、その補欠として沓脱タケ子君、鹿島俊雄君、今泉正二君、橋本繁蔵君、玉置和郎君及び森下泰君がそれぞれ選任されました。また、本日、森下泰君が委員を辞任され、その補欠として宮田輝君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(上田哲君) 労働安全衛生法及びじん肺法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
○浜本万三君 二つほど簡単に質問をします。この前も私の方から質問をしたんですが、その答えでなお不明確な点がありましたんで、重ねて二つだけお尋ねしたいと思います。 事業者から届け出られた有害性調査の結果などは、できる限り速やかに評価を終えて、その結果を公表し、労働者の健康障害の防止に資するべきであり、また評価が終わらないものであっても、その経過について適宜中間報告をするなど、国民の不信を招かないようにすべきであると思いますが、いかがですか。
○政府委員(桑原敬一君) 有害性調査の結果等につきましては、できる限り速やかに評価を終えまして、その結果を明らかにするとともに、評価が終わらない場合でありましても、その経過を中間報告する等の措置をとることといたしまして、次のような内容の労働省令を中央労働基準審議会の御意見をも聞いた上で定めることにいたしたいと考えております。 すなわち第一は、労働大臣は、法第五十七条の二第一項の規定により届け出られました新規化学物質の有害性の調査の結果につきまして、学識経験者の意見を聞いたときは、当該新規化学物質の名称の公表後、一年以内に当該新規化学物質の変異原性に関しまして、中央労働基準審議会に報告をするものといたします。 第二番目には、労働大臣は、法第五十七条の三第一項の規定による指示を行った有害性の調査の結果が報告されました場合には、一年以内にその結果を中央労働基準審議会に報告いたしたいと考えます。 第三番目は、労働大臣は、法第百八条の二第一項の規定により疫学的調査等を実施し、または同条第二項の規定による委託を受けた者から、当該委託に係る疫学的調査等の結果の報告がありましたときは、一年以内にその結果を中央労働基準審議会に報告をいたしたいと考えております。 第四番目に、なお第五十七条の二の第一項の規定により届け出られました新規化学物質の名称は、四半期ごとに一回官報に公表することといたしたいと考えます。それから、新規化学物質の名称の公表は、特許出願を行っている場合等を除きまして、届け出後一年以内に行うことといたしたいと考えております。
○浜本万三君 もう一つ、守秘義務規定につきましては、一部原案の修正が見られるようでありますが、なお関係学識経験者等の学問上の論議をいたずらに制限したり、ましてや職業病隠しという結果を招くこととならないよう、改正法の運用に当たっては十分配慮しなければならないと思いますが、その点について政府の見解を重ねてお尋ねしたいと思います。
○政府委員(桑原敬一君) 改正法案の守秘義務規定の「秘密」に該当するかどうかにつきましては、この守秘義務規定が有害性の調査あるいは疫学的調査等の制度の、円滑な運営を図るために必要があるかどうかという観点から判断さるべきことは当然でございます。また、一般に「秘密」につきましては、その事実を提供する者が「秘密」とする意見を有しているかどうかが一つの重要な要素であると考えております。 そして、労働大臣は、有害性の調査あるいは疫学的調査等の制度運営についての責任を負っているというべきでございますし、有害性の調査の結果等に関して必要な資料を提供して学識経験者の意見を求める立場にありまして、また、疫学的調査等の実施に関して、専門的知識を有する者に委託をする立場にあるわけでございます。したがって、改正法案の守秘義務規定に言う「秘密」については、労働大臣が「秘密」とする意思を有していたかどうかを含めて判断することになると考えます。 改正法案の守秘義務規定の「秘密」に該当する事実につきましては、有害性の調査に関して労働大臣が学識経験者に資料を提供する際に「秘密」であることを明示したり、疫学的調査等につきましても労働大臣が委託する際の契約において「秘密」の範囲を明確化することによって、労働大臣がその意思を明らかにしていくことといたしたいと考えます。このように、労働大臣が「秘密」であることを明らかにしたもの以外につきましては、原則といたしまして改正法案の「秘密」には該当しないものと考えます。 なお、改正法案の附則第一条により、有害性の調査に関する部分の施行期日は、公布から二年以内の政令で定める日とされているところでございます。施行日までに中央労働基準審議会――公・労・使の三者で構成いたしておりますが、ここでいかなる事項が「秘密」になるかを含めまして、守秘義務について十分審議を尽くして合意を得ることといたしまして、いやしくも関係学識経験者等の学問上の論議をいたずらに制限したり、職業病隠しというような結果を招くこととならないようにいたしてまいりたいと考えます。
○委員長(上田哲君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(上田哲君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。 なお、修正意見のある方は、討論中にお述べ願います。
○内藤功君 私は政府提出の法案並びに自民党より提出の修正案に反対し――まだ提出していないですか。
○委員長(上田哲君) 討論の中で提出をしていただくことになります。
○内藤功君 私は日本共産党を代表して、政府提出の法案に反対し、守秘義務条項及び罰則規定を削除する内容の修正案を提出いたします。 私は第一点として、このような守秘義務条項及び罰則規定は、医師、科学者その他の関係者が労働者の労働災害、職業病や国民の健康を守る上で、やむにやまれぬ正義感から事実を明らかにしたり、論文を書いたり、報告や講演をしたりあるいはマスコミの取材に応じたりする行為も含めて禁止、処罰の対象とするおそれがあるということを深く憂うるものであります。このようなことは、憲法に定める言論、表現の自由、学問研究の自由、さらにはマスコミの報道取材の自由を侵し、国民の知る権利を奪うおそれがあり、きわめて重大なものであると、かような観点から反対せざるを得ません。 第二点として、この法案が提出されるに至った経緯において非常に問題があります。一つは、中央労働基準審議会におきましても、百八条の二のいわゆる疫学的調査の問題を除きましては、かような守秘義務及びかような守秘義務に対する罰則の問題については何ら文書上、答申にもあらわれておりません。二つ目には、この法律が提案される前にわれわれに示された法案要綱なるものにも、この守秘義務の点は何ら書いてありません。 三点目には、じん肺法改正案という、これは一定の改善内容を含めたものを労働安全衛生法の改正案と一本の法律で出してくる。かようなことは、いわば毒とまんじゅうを一緒にして、一緒に食べろというようなものに等しいとも言えるのであって、私どもはこのような法案の出し方自体に非常に問題があるということを指摘しておきます。 最後に、この法律案は、たとえば新規化学物質の有害性調査を事業者に行わせる。その結果を労働省へ届け出または報告させることとしておりますが、事業者の調査に任せるということでは、本当に調査結果の客観性が保証されるのか。事業者を性善説の立場で見なければかような法律はできない。労働安全衛生法というのは、事業者がもしかして隠すのではないかという観点からの厳しい姿勢が必要だろうと思うのであります。さらに、公表の問題もございますけれども、届け出のあった新規化学物質の名称を公表するとありますけれども、事業者の調査結果の有害性、無害性のコメントなしで公表されるだけでは、これは十分な化学知識のある人以外には全く危険性についての判断は不明瞭であるということも、指摘をしておきたいと思うのであります。さらに「有害性の調査を行った事業者は、その結果に基づいて、当該化学物質による労働者の健康障害を防止するため必要な措置を速やかに講じなければならない。」とありますが、これを守らなかった場合の命令なり罰則の規定もございません。私どもはその他多くの問題点があります。かような法案については十分に審議を尽くしたとは言えず、私どもは労働者の健康を本当に守る法律になっていないということを指摘せざるを得ません。 私は以上のような理由から、この政府提案の法案に反対し、また自民党から提出される予定の修正案についても、いま一言申し上げておきたい。これは、いま私の言った政府案に対する危険性のおそれを何ら払拭するものではないということで、これが提案された場合には賛成しがたいということを申し上げておきたいと思うんであります。 日本共産党提出の修正案は、かような心配のあるもとである守秘義務の条項と罰則、すべての削除を求めるものであり、これ以外にこの法案に対する国民の疑義を払拭する道はないということを強調して、私の討論を終わります。
○佐々木満君 私はこの際、まず次の修正案を提出をいたします。 案文を朗読いたします。 労働安全衛生法及びじん肺法の一部を改正する法律案に対する修正案 労働安全衛生法及びじん肺法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。 第一条のうち第五十七条の次に三条を加える 改正規定中第五十七条の二第五項及び第五十七条の三第五項に次のただし書を加える。 ただし、労働者の健康障害を防止するためやむを得ないときは、この限りでない。 第一条のうち第百八条の次に一条を加える改正規定中第百八条の二第四項に次のただし書を加える。 ただし、労働者の健康障害を防止するためやむを得ないときは、この限りでない。 以上が修正の案文でございます。 この修正を踏まえて、原案に賛成をいたします。
○委員長(上田哲君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(上田哲君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより労働安全衛生法及びじん肺法の一部を改正する法律案について採決に入ります。 まず、内藤君提出の修正案を問題に供します。内藤君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(上田哲君) 少数と認めます。よって、内藤君提出の修正案は否決されました。 次に、佐々木提出の修正案を問題に供します。佐々木君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(上田哲君) 多数と認めます。よって、佐々木君提出の修正案は可決されました。 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(上田哲君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。 以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
○浜本万三君 私は、ただいま可決されました労働安全衛生法及びじん肺法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党提案の附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 労働安全衛生法及びじん肺法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、労働者の安全と健康の一層の確保を図るため、左記事項について迅速かつ適切に措置すべきである。 一、化学物質等の有害性調査のため、施設の整備に努めるとともに、既存の化学物質について、その有害性調査を国際的な連携もとりつつ計画的、積極的に推進すること。 二、労働者が産業の場で取り扱う化学物質について、労働者の健康を確保するために必要な表示の充実を図るとともに、機械等で労働者に健康障害をもたらすおそれのあるものについても構造規格を定める場合に必要な事項について表示させることとするよう配慮すること。 三、産業医確保等の実態にかんがみ、その量的確保とあわせて、その資質の向上を図るための積極的な対策を講ずるよう努力すること。 四、じん肺の合併症については、労働者保護の立場に立ち、専門家の意見を十分尊重して、その範囲及び具体的要件を定めること。 五、改正じん肺法の運用に当たつては、現行法により労働者に与えられている保護を損なうことのないよう慎重に配慮すること。 六、本改正法の円滑な施行を確保するため、労働基準監督官、安全・衛生専門官の増員と、労働安全・衛生を担当する行政・体制の整備拡充を図り、労働災害の防止に即応できる態勢を確立すること。 七、労働災害及び職業病の多発している業種について、労働基準審議会に専門の部会を設置する等、その運用の充実を図るとともに労災防止指導員の活用に努めること。 八、企業及び国が実施する有害性調査または疫学的調査の結果等については、労働大臣がそれを審査し、できる限り速やかにその結果を中央労働基準審議会に報告するよう明定すること。 右決議する。
○委員長(上田哲君) ただいま浜本君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(上田哲君) 全会一致と認めます。よって、浜本君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、田村労働大臣臨時代理から発言を求められておりますので、この際、これを許します。田村労働大臣臨時代理。
○国務大臣(田村元君) ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして善処してまいる所存でございます。
○委員長(上田哲君) 労働安全衛生法及びじん肺法の一部を改正する法律案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(上田哲君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 午後四時再開することとし、暫時休憩いたします。 午後三時四十三分休憩 ―――――・――――― 午後四時十分開会
○委員長(上田哲君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。 これより請願の審査を行います。 第一号老人医療の有料化反対に関する請願外二千八百八十一件を議題といたします。 本委員会に付託されております二千八百八十二件の請願につきましては、委員長及び理事が協議の結果、第二号 労働基準法の改悪反対、母性保護の権利拡大強化に関する請願外千九百八十九件は、議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付することを要するもの、第一号 老人医療の有料化反対に関する請願外八百九十一件は保留することに意見が一致しました。 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(上田哲君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(上田哲君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(上田哲君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。 社会保障制度等に関する調査及び労働問題に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、これら二件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(上田哲君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(上田哲君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(上田哲君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。 ただいま決定されました二件の継続調査が承認されました場合には、これら二件の実情調査のため委員派遣を行うこととし、その取り扱いにつきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(上田哲君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。本日はこれにて散会いたします。 午後四時十二分散会 ―――――・―――――