社会労働委員会 第11号
- 発言数
- 229 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1977/05/24
会議録
○理事(浜本万三君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る五月二十一日、源田実君及び岡田広君が委員を辞任され、その補欠として徳永正利君及び森下泰君がそれぞれ選任されました。 また、昨二十三日、塚田大願君、内田善利君及び柄谷道一君が委員を辞任され、その補欠として沓脱タケ子君、柏原ヤス君及び中沢伊登子君がそれぞれ選任されました。 —————————————
○理事(浜本万三君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い、理事に欠員を生じておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(浜本万三君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に佐々木満君を指名いたします。 ————————————— 〔理事浜本万三君退席、理事佐々木満君着席〕
○理事(佐々木満君) 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
○浜本万三君 まず、大臣にお尋ねしたいと思いますが、今国会におきまして衆議院で野党五党が一致いたしまして原爆被爆者の国家補償による援護措置を要求する法案が提案をされまして、今日審議をされておるわけでございます。 ことしは、申すまでもなく被爆後三十二年目を迎えまして、仏法的に言えば三十三回忌ということになります。したがって、残っております遺族並びに被爆者といたしましては、一刻も早く被爆者援護法の制定を願望されておると思うんでございます。 被爆の被害というものは、今日まだいろんな形で継続をされておりまして、その中で貧困、孤独、病苦という三重苦に被爆者の方々は悩まされておりまして、一刻も早くその制定を期待しておると思うわけでございます。大臣は、そのような状況の中で野党五党が共同提案をしております援護法の制定について、どのような心境を持ってこたえられておられるでしょうか、お尋ねいたしたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 被爆者の心情や要望等の御趣旨はよくわかります。また、野党の皆さんから出されたその御心情はわかるわけでございますが、国家補償の精神によるところの被爆者援護法を制定をするということにつきましては、一方、他の一般戦災者についても援護法をつくれという動きがあり、なかなかそこまではむずかしいという現況でございまして、他の一般戦災者との均衡の問題もございまして、非常に気持ちはわかりますが、現実の問題としては大変なかなか困難な問題であると、こう考えておるわけでございます。しかしながら、援護法の提案項目の中には、原爆医療法及び原爆特別措置法を中心といたしまする現行施策の充実によりまして、その御趣旨の方向に近づき得るものと考えております。したがいまして、今後とも原爆医療法や原爆特別措置法を前進をさしてまいって、被爆者対策の一層の充実を図っていきたいと、かように考えておる次第でございます。
○浜本万三君 前々から歴代の厚生大臣は、援護法が実現、制定できない理由として、先ほど渡辺大臣もお答えになりましたように、一般戦災者との均衡論、また予算の問題、それから国家との因果関係の問題などについて、できない理由を述べられておったんですが、私はこの際、衆議院でも野党五党が共同して提案をしておる時期でもございますので、特に問題になります国家との因果関係の問題について意見を述べまして、大臣の一層の努力を要請いたしたいと思う次第でございます。 私どもがこの際、国家補償による援護法を制定してもらいたいという一つの理由は、国家との因果関係も十分あるではないかということを主張しておるわけでございます。と申しますのは、アメリカの原爆投下は人道的にも、また国際法に照らしましても許しがたい違法行為であるということでございます。したがって、被爆者は受けた損害を米国に対しまして補償しろという要求をすることは当然でありますし、損害補償の要求を請求をする権利を持っておることは申すまでもないと思います。しかし、日本政府はサンフランシスコ条約第十九条(a)項で、その一切の請求権を放棄したわけでございますから、当然国の責任で被爆者の受けた損害を国が補償するということが行われてしかるべきだと思うわけでございます。 また、あの被爆をいたしました時期というのは、日本の政府が戦争を始めまして、いよいよ本土決戦だというので、国家総動員法に基づきまして一億火の玉、一億総抵抗という形で本土決戦に備えておった時期でございますので、一般市民としてはその地域から他の地域に逃げることができない、いわゆる軍事的な統制下に置かれておった時期であろうと思うわけでございます。そういう条件下で原爆の被爆をいたしたわけでございます。しかも、その初体験がきわめて悲惨な状態であったとするならば、当然東京裁判や最近の広島における石田判決で明らかに指摘をしておりまするように、国の手厚い対策を実施することが当然であろうと思うわけでございます。そういう立場に立って考えますと、三十二年たった今日、早急に政府としてはこの問題に対する施策を行うべき時期に来ておるのではないかと思うわけでございます。大臣はことし八月六日に行われる広島の原爆慰霊祭にも出席されるのではないかといううわさを聞いておるわけでございますが、そのときには当然被爆者の強い要求が出ることは申すまでもないと思います。この際改めて、そのような国家との因果関係が十分あったんだという理解の上に立った、誠意のある施策を望みたいと思いますが、重ねてお答えをいただきたいと思うわけです。
○政府委員(佐分利輝彦君) ただいま先生から御発言のございましたお気持ちはわかるのでございますが、まず第一の、国際法違反という点につきましては、当時の国際法の文理解釈上はやはり違反にならないんじゃなかろうかという意見が強いのでございます。まあ人道的にはいろいろ問題があるけれども、実定法上はそのようには言えないのじゃないかという意見が強いようでございます。 また第二の、戦争末期の総力戦の状況下における国による——これは一般統治権の強化されたものだと思うのでございますが、国民の自由がかなり制限をされたという問題につきましては、これはあのような大戦の、あのような激しい戦争の状況におきましては、国民としては必要最小限度そのような立場に立つことが必要なのでございますし、また、それはある意味では自分たちの財産保全等のためにもなったと思うのでございます。そういう意味で、軍人、軍属、動員学徒、徴用工等とは国との関係がかなり違うわけでございます。このような前提に立ちまして、先生も強調なさいましたように、人道的な見地からどうにかならないかというような御意見も出てくるかと思うのでございますが、その点については被爆者も一般戦災者も全く同じであろうと思うのでございます。したがって、ただいま先生がおっしゃいましたような立論からは、直ちに国家補償の精神に基づく被爆者援護法を制定するという結論は出ないものと考えておりますけれども、先般、衆議院でもあのような附帯決議も行われましたし、また被爆者団体等、いろいろ強い御要望もございますので、あの附帯決議の趣旨を現行の原爆二法に生かしながら、今後も被爆者対策の充実に努めてまいりたいと考えております。
○浜本万三君 先ほど大臣も、直ちに国家補償による援護法を制定することはできないが、現行二法を充実してその趣旨にこたえたいと、こういうお話がございました。局長も同様の発言があったわけなんですが、今後二法を充実してというお話が出たとすれば、二法充実の重点はどの辺に置かれてその施策を強化されるのか、話がそこまで飛びましたので大臣にもう一回その点を伺いたいと思います。
○政府委員(佐分利輝彦君) 衆議院における附帯決議の趣旨を十分に尊重して、現在の原爆二法の大幅な改善充実を図るという場合に、まず問題になってまいりますのは、近距離被爆者の対策であろうと考えております。すでに、近距離被爆者の中で放射線障害に起因すると考えられております被爆者の方々は、認定患者になっておりますけれども、そういった認定患者の方々の待遇の改善、福祉措置の改善、さらに、現在保健手当という制度がございまして、爆心地から二キロ以内の直接被爆者に保健手当を差し上げておりますが、そういった制度の改善、さらにそれにあわせまして、法律に基づかない予算措置ではございますが、原爆病院の整備充実とか、原爆養護ホームの整備改善とか、そういった要するに近距離被爆者の対策に重点を置いて改善をすべきであろうと考えております。
○浜本万三君 そういう具体的な内容につきましては、後でさらに伺うことにいたします。 まず最初に、具体的な問題で伺いたいのは、健診制度の改善の問題でございます。私もかねてから健診制度の改善につきましては強く政府に要求をしておるところなんですが、被爆者が二法にかかわる一番最初は、申すまでもなく健診制度だろうと思います。そこで、健診のあり方としては、被爆者の身になってかゆいところに手が届くような形で健診を実施すべきであるということを前々から申し上げておったわけでございます。特にこの問題は、私がそういうふうに申し上げているばかりでなしに、広島県、市におきましても、また被爆者団体におきましても、早くからそういう要求を出されておったところでございます。特に、現行の健診制度の実態を見ますと、一般健診が約五〇%、それから精密健診はきわめて少ないという資料が出ておるわけでございまして、このことについては昨年の六月六日に開催されました第十七回原子爆弾後遺症研究会、これ長崎で開かれておりますが、そこにおきましても被爆者一人一人の充実した健康管理システムの確立が必要であるという旨の話し合いがなされたと伺っておるわけでございます。そういういろんな要求を受けた結果だろうと思うんですが、厚生省とされましてもことしの予算では、五十二年度の予算では健診制度の改善に着目をされておるようでございますが、どういう内容を改善されようとしておるのか、また、先ほどから申したような各団体の意見に対してどのようにこたえられておるのか、そういう点につきましてお尋ねをいたしたいと思います。
○政府委員(佐分利輝彦君) まず、五十二年度からの被爆者健康診断制度の改善でございますが、先生も御存じのように、従来から血液の検査とか尿の検査、あるいはふん便の検査、そういった七つの検査項目が定められておりましたが、被爆者も老齢化してまいりましたし、また、晩発性健康障害の種々の特性もございますので、本年度からは医師が必要と認めた方々に対して肝臓機能検査を新たに実施することにいたしました。この肝臓機能検査は、血液をとりまして、GOT、GPTと、四種類のかなり高度の化学分析をする検査でございます。 そこで、将来の健康診断項目、内容の改正の問題でございますが、これは公衆衛生局にとりましては、ただ被爆者対策だけでなく、国民の公衆衛生対策としてきわめて重要な問題でございまして、種々の角度から検討を続けておりますけれども、問題は、実施能力が一番の障害になっているわけでございます。たとえば、心電図の測定をやろうという場合に、一回何千人という方の集団健診をして心電図の記録が出てきましたとき、それを一体だれがどのようにして判定をするのかといった問題があるわけでございます。この点につきましても、たとえば広島市、長崎市等ではあるいはやり方によっては実施可能ということも言えるかもしれませんが、広島県の郡部、長崎県の郡部ということになりますと、すでにマンパワーの問題とか、あるいは専門医の問題で実施能力がなくなってくるわけでございます。まして、ほかの県においてはなおさらということになってくるわけでございます。したがって、私どもはそういった実施能力を考えながら、今後被爆者の健康上の実情に合わせて、できるものから逐次健診項目の拡大を図ってまいりたいと考えております。
○浜本万三君 この健診項目をふやすことと、それから、その検査体制の問題につきましては、確かにいま局長が言われましたように、その能力において問題があることは私どもわかるんでございますが、しかし、そういう能力の問題を前面に出しますと、なかなかやっぱり被爆者の方の心情から申しまして納得できないような条件がございますので、ともかくこの検査項目をふやして、現在の進んだ医療制度を十分活用をいたしまして、積極的に精密検査を、健診をやりますというような姿勢をぜひ示していただきたいということを要望しておきたいと思います。 それから、もう一つ伺うんですが、健診の結果というものと認定制度というものは結びつかないようで若干結びつくと思うんであります。したがって、認定の範囲に、たとえば肝障害などを今後入れていくというような、認定の範囲を拡大をするということは考えておられるわけでしょうか、いかがですか。
○政府委員(佐分利輝彦君) 一般的に申しますと、たとえば健康管理手当では、現在十種類の健康障害を指定いたしておりますが、これをさらに拡大するかどうかにつきましては、現場の医療を担当していらっしゃるお医者さん方の御意見、またそれを反映いたしまして原爆医療審議会の御審議によって決まっていくものと考えております。ただ、ただいま先生から具体的に御指摘のございました肝臓機能障害は、すでに健康管理手当の対象疾病になっているわけでございまして、ただ、まだ現在の十種類の疾患以外に、たとえば胃腸の障害とか皮膚の障害があるではないかというような御意見も一部にあるのでございますが、これらの疾病については日本の国民が非常にたくさんその病気にかかっている病気でございまして、現在のところ被爆者と被爆していらっしゃらない方との間に差がございません。そういう関係で健康管理手当の対象疾病に指定していないわけでございます。 また、最初に御指摘がございました、現在の健康診断の結果をできるだけ健康管理手当だとかあるいは特別手当の認定に反映させるようにという御提言でございますが、私どもといたしましては、健康診断の結果は被爆者健康手帳に記入をいたしまして、御指摘のように健康管理手当あるいは特別手当の認定にできるだけ活用するように指導奨励をいたしておりますけれども、まだ十分だとは言えないと思います。この点については今後もできるだけ改善をしてまいりたいと考えております。
○浜本万三君 この特別手当と健康管理手当の問題なんですが、前々から私は、大臣が認定されるものもそれから県知事や市長が認定される疾病も、認定された限りにおいてはもう同じことではないかというように思っておる次第でございます。そこで、私といたしましては、健康管理手当をもらっておる原爆被爆者が、病気が治った後も特別手当と同じように半額支給をすることがよろしいのではないかという考え方を持っておるわけなんでございます。これは近距離被爆者の対策ではない、遠距離も含まれておるじゃないかというような御意見があるかもわかりませんが、まあ私の考え方としては、だれが認定しようと認定された以上は原爆被爆者として同じような扱いをされるべきだと考えますと、病気が治った後も健康管理手当の半額支給をこの際やる方がよろしいのではないか。やったところで、この保健手当やいろんな併給ができないわけでございますから、そんなにたくさん予算がかさむわけではございませんので、その点御研究をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕
○政府委員(佐分利輝彦君) 先生の御提案の趣旨もわからないことはないのでございますけれども、特別手当の受給者はおおむね三キロ以内の近距離多線量被曝者でございまして、原爆放射線の影響をきわめて外く受け、しかも特殊な病気が起こってきた方々でございます。したがって、そういう方々が医療の成果が上がって病気が治ったというふうな場合も、いつ再発してくるかわからないという可能性が強いのでございます。そういう意味で、特別手当の場合は疾病とか障害の状況になくなった場合にも半額を支給しているのでございますが、健康管理手当の方は、ただいま先生もおっしゃいましたけれども、本年度の予算では対象者が約十一万人になっておりまして、非常に遠距離の方まで入っております。また、病気の種類も先ほど申し上げましたように十の種類の障害を伴う疾病ということでございまして、もういまや残っているのは胃腸の障害と皮膚の障害ぐらいしかないというように拡大されてきております。さらに、そのように疾病の範囲が拡大されますと、非常に治りやすいものも入ってくるわけでございます。しかも、最初に申し上げましたように、こういった方々の大部分は少線量の被爆者でございますから、一たん治癒したりあるいは病気や障害の状況でなくなったような場合に、もう一度それが再発してくるというようなおそれも、特別手当をもらっている認定被爆者ほどは強くないわけでございます。そういった関係から、従来から健康管理手当につきましては傷病の状況にある間だけ手当を差し上げておりますし、また非常に変動しやすい病気でございますので、一部の病気については一年ごとに認定をさしていただく、大部分のものについては三年ごとに再認定をさしていただくという措置をとっているわけでございます。
○浜本万三君 そういたしますと、結局半額支給はいま考えていないということなんですが、近距離被爆については考えるという話がございましたんで、それでは保健手当の問題についてお尋ねをするわけなんですが、保健手当の支給は、お説のように二キロの範囲で病気になっていない者も支給する、いわば年金的な制度として私どもは歓迎をしたわけなんですが、一方では被爆者の差別ではないかという議論もあることは、決して忘れてはならないと思うわけでございます。しかし、二キロから三キロにすべきだという考え方は、前々から私も申し述べておりまするように、健康手帳の交付された被爆者が、昭和三十七年だったと思いますが、特別被爆者の範囲は疾病の発生率や病状に変化はないという理由で、二キロから三キロに拡大をされたことがあると思うわけでございます。したがって、保健手当の範囲というものは当然二キロから三キロに拡大すべきだという意見を私はかねてから申し上げておったんですが、厚生省の方としては国際防護委員会の基準が変わらないからというので、私どもの要求をこれまで拒んでおられたわけです。また広島等の実態を見ましても、健康管理手当の受給者が五〇%以上、三キロより二キロ以遠の人になっておるということを考えますと、相当遠い距離で被爆した人も、今日健康状態に大きな影響が出ておるということを考えますと、いつまでも二キロの範囲に固執すべき状態ではないんじゃないかというふうに考えるわけでございます。そういう立場から、せっかく大臣も近距離被爆者に対しては手厚い対策を講じたいという意味の所信の表明がございましたんで、せめて来年の五十三年度の予算では現行二法を改善するとすれば、保健手当の支給範囲を拡大するというところに重きを置く考え方であると理解してよろしゅうございましょうか。
○政府委員(佐分利輝彦君) ただいま先生が最後におっしゃいましたような、五十三年度は保健手当の支給距離を二キロから三キロというようなことは、現在はまだ全く決まっておりません。ただ、昨年来この席で御説明してまいりましたように、国際放射線防護委員会の新しい一九七七年の勧告が近く公表されるようでございます。したがって、その内容をつぶさに検討をいたしまして、必要があればさらに若干、これも三キロということではないと思います。二千百とか二千二百ということもあり得ると思うのでございますが、そういうこともICRPの勧告いかんによっては考えざるを得ないと思うのでございます。ただ、先ほど先生は、かつて特別被爆者の制度が昭和三十五年には二キロであったものが、三十七年には三キロになったというお話がございましたが、あの当時は一九五七年の広島、長崎の放射線の推定値で制度を考えておりましたけれども、その後一九六五年に新しい推定値が公表されまして、両市とも、特に広島市におきましては線量がかなり減額修正をされたわけでございます。そういった関係から、当時はそうであったけれども、いまもそうだということは言えないと思うのでございます。また、現在の保健手当の制度も一応メルクマールとしては二十五レム以上ということにいたしましたが、行政上の都合から爆心地から二キロというように線引きをいたしました。そこで、二キロでとりますともうすでに広島は四・四レム、長崎は十八・三レムというふうにかなり甘い線量になっているわけでございます。また、たとえば三キロをとりますと広島は〇・〇二レム、長崎は〇・五レムというふうに、距離の二乗に反比例して放射線量というのは著しく減衰してまいるわけでございますから、この問題はやはり新しいICRPの勧告に基づき、また広島、長崎の実際の放射線量を参考にして、慎重にかつ厳格に考えなければならない問題であると思っております。
○浜本万三君 広島と長崎の被曝線量の問題につきましては、私も議論があるところなんでございますが、時間がございませんので、これはまたの機会に譲りたいと思います。 大臣に伺うんですが、近距離被爆者の対策を強化するということになりますと、保健手当の支給範囲を拡大する以外に、支給することが私は一番近道だと思うんですが、大臣の御見解をもう一回伺いたいと思います。
○政府委員(佐分利輝彦君) 近距離被爆者の場合にまず問題になってまいりますのは、やはり原爆症の認定患者の問題でございます。したがって、医学の進歩、さらに原爆後遺症の新しい知見にかんがみまして、認定制度そのものも逐次改善する必要があると思うのでございます。やはり、認定患者の問題が中心になりまして、先ほど来問題になっております保健手当の受給者の問題、こういったものもやはり若干の問題がございますから、距離を広げる、広げないという問題のほかにも、いろいろな角度から検討しなければならないと考えております。
○浜本万三君 だから、先ほどあなたが三つの近距離被爆者対策を言ったから、一番その中で私どもが期待をしておるのは、認定制度の改善と保健手当の支給範囲の拡大なんですよ。だから、大臣にそのことを私は聞いておるわけなんです。あなたが何もそれに答える必要はないと思うのです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) きわめて専門的な問題でございますので、いろいろ専門家の意見を聞いてやってまいりたい。特に、先ほど局長からお話があったように、国際放射線防護委員会とか、米国の放射線防護測定委員会等の勧告も近く出るというようなことでもありますので、そういうような専門家の勧告はひとつ前向きに受けとめて、それは検討してまいるつもりでございます。
○浜本万三君 せんだっても、放射線撮影の人体に及ぼす影響というのが、きのうですか、新聞に載っておりました。私どもは、放射線の影響というものは敷石がない、そういう理解に立ちまして、この問題の改善を強く要求しておるわけなんでございますので、ぜひとも早急に保健手当の支給範囲の拡大について検討を願いたいと思います。 それから次は、所得制限の問題なんですが、厚生省も、予算要求としては所得制限の撤廃ということを要求されておりまして、私どもはその姿勢を評価しておるわけでございます。しかし、なかなか思うように撤廃が実現できない。したがって、逐次緩和の方向をたどっておられるわけなんでございますが、ことしはどの程度まで枠を広げられるのか。枠を広げた結果、どの程度の人が実質的にこの手当が支給されるのかということを、特別手当と健康管理手当に限ってお尋ねをしたいと思います。
○政府委員(佐分利輝彦君) 所得制限の五十二年度の緩和でございますが、原爆対策では前年度の所得税額をメルクマールにして所得制限を行っております。五十一年度の、前年度の所得額は十八万三千八百円でございましたが、五十二年度はそれを二十三万三千六百円に緩和いたしております。これを標準四人世帯の所得額で申し上げますと、五十一年度は四百万四千円でございましたが、五十二年度は四百四十九万七千円ということにいたしております。 そこで、対象者に対する適用率で申し上げますと、前年度は約九〇%でございましたが、本年度は九三%に引き上げております。なお、認定患者の方々など、障害者特別控除の恩典を受けられる方々につきましては、適用率はおおむね九五%、また前年度の所得額でいきますと二十五万二千円程度、また、所得で申しますと約四百九十万円、そのように考えております。
○浜本万三君 五十三年度は、さらに支給の所得制限の枠を緩和するという計画でございますか。
○政府委員(佐分利輝彦君) 所得制限の緩和は、四十三年に特別措置法が制定されまして以来の長年の懸案でございまして、四十五年度を除いては毎年かなりの緩和を図ってきているところでございますが、ここ二、三年はさらに大幅な緩和を図る方針で臨んでおります。したがって、明年度におきましても、他の所得制限に係る諸制度を勘案しながら、被爆者の特別措置法におきましても、できるだけの所得制限の緩和を図ってまいりたいと考えております。
○浜本万三君 今度は、特別手当の生活保護を受けていらっしゃる方の収入認定の問題なんですが、四十九年、五十年、五十一年と三カ年を比較をしてみますと、五十一年の場合には、大体従来の二分の一を収入認定とされておったのが、六〇%というようになっておりますが、これは今後さらに支給実額を増額をしていく方向で努力をされる予定なんでしょうか。
○政府委員(曽根田郁夫君) 御指摘のように、特別手当につきましては、従来から実質的に二分の一相当が手元に残るように合算制度を設けておったところでございますが、昨年度、非常に強い要望もございまして、その取り扱いにプラスアルファの特例措置をいたしまして、結果といたしましては、六割相当額が手元に残るような取り扱いをいたしております。これはあくまで例外的な特例措置という考えでございますので、この実質六割をさらに変えるということは非常にむずかしいと思いますが、実額で五十一年度一万六千二百円でございますから、この実額でこれをふやすということにつきましては、できるだけ御期待に沿うように努力いたしたいと考えております。
○浜本万三君 五十二年度はどういう計画なんでしょうか。
○政府委員(曽根田郁夫君) 五十二年度は、これからこの取り扱いを決めることになるわけでございますが、その場合にも実質的にやはり六割相当額が手元に残るように、実額を上げてまいりたいと考えております。
○浜本万三君 これはもう前から厚生省の方も、やはり所得制限の撤廃の一環といたしまして、前進的な考え方を持っておられたわけなんですから、去年よりはことし、ことしよりは来年と支給実額をふやすように、一層ひとつ努力をしていただきたいと思います。 それから次は、五十年度に行われました実態調査なんですが、この実態調査はいま作業がどの辺まで進んでおるのでしょうか。
○政府委員(佐分利輝彦君) 結論から申し上げますと、近く公表する段階に参っております。 なぜ、まだおくれているかということでございますが、いわゆる基本調査と生活調査についてはすでにほぼまとまっておりますけれども、今回の発表におきましては、昭和四十年度実態調査のときの経験を生かして、学者グループにお願いいたしました広島、長崎における事例調査も一緒に公表いたしたいと思っておりますが、その事例調査の長崎分のまとめが若干おくれておりますので、あと一、二週間はかかるのではないかと考えております。
○浜本万三君 そういたしますと、五月中には大体まとめが終わって、六月には発表できると理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(佐分利輝彦君) 遅くとも六月の上旬までには公表いたしたいと考えております。
○浜本万三君 問題は、その調査の結果に基づく対策なんでございますが、四十年度の調査の場合には四十二年に発表いたしまして、四十三年から特別措置法というものが施行されて、被爆者の皆さんに対しましては一応画期的な制度が成り立つたわけなんでございますが、五十年度の調査がことしの六月に発表されるということになりますると、大臣も八月六日には多分広島か長崎においでになるということになりますと、これまた多くの皆さんは、調査の結果、厚生省はどんな進んだ政策を打ち出してくれるであろうかという期待を持っておると思うんであります。私は、少なくともこの調査の結果に基づきまして、非常に被爆者の方々が困っておる、何とかしてほしいという気持ちが非常によく出てくるのではないかと思いますが、先ほど御答弁をいただきましたことに加えまして、重ねてお願いをするんですが、この調査の結果に基づいて被爆者の皆さんが納得するようなりっぱな政策を打ち出していただくことをお願いをしておきたいと思うわけなんです。 それから、大臣は八月六日に広島へおいでになるんでしょうか、長崎においでになるんでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) まだ事務的に詰めておりませんが、まあ広島の方に行くようになるのでないだろうかと、いまのところそう考えております。
○浜本万三君 例年、向こうにおいでになりまして、参拝をされると同時に、原爆被爆者に対する政策を打ち出されておる例があるわけなんでございますので、今回は渡辺大臣もひとつ思い切った政策を打ち出される大臣の一人でございますので、被爆者の皆さんが喜んで迎えていただくような政策を打ち出していただきたいと思います。その点いかがでしょう。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私もできるだけのことはやりたいと思っておりますが、先ほどから言っておるように、これはきわめて科学的な事項を含んでおることでありますので、そういうようないろいろな調査の結果に基づいて、できる限りのことは努力をするつもりであります。
○浜本万三君 時間が参りましたので、積極的な施策を重ねて要求いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○片山甚市君 私は、専門的な領域でのことがありますから、質問する事項について間違いがあれば政府の方から十分にお答えをいただきたい。素人というのはわりにその実態を知らないから、言い過ぎるかもわかりませんが、その点は質疑の中で明らかにしてもらいたいということをまず申し上げておきます、 一つは、原子爆弾による被害の特徴は、その破壊力とともに放射線の影響が大きいと思うのですが、いかがでございましょうか。
○政府委員(佐分利輝彦君) 原子爆弾の影響は、大きく分けますと、爆風と熱線と放射線になるわけでございまして、そのうち放射線の影響は二五%程度に言われておりますけれども、ただ、放射線障害というのは、急性障害のほかに晩発生障害というのが起こってまいるというところに非常に大きな特徴があり、医学的にも社会的にも問題になる点でございます。
○片山甚市君 今日資源有限時代、特にエネルギーの問題が大きくクローズアップされておるときですが、その場合の原子力発電に関するプルトニウム——ウラン濃縮の終末処理もまだ解決しておりません。そういうことで、原子力の平和利用ということで言われておるんですが、新しい原子力エネルギーを使うとすれば、このような放射線における影響を明らかにしないで、エネルギーを開発することにだけ既成事実をつくることについては納得できないという立場から、原爆におけるところの被爆者の原体験のすべてを解明をしておく必要がある。いわゆる熱線の話はありますが、放射線の問題もどのような影響があるのかということについては、国民の健康を守る——エネルギーが欲しいということで、人間の命が失われていく将来展望は持つことはできませんから、その点について、いわゆる原爆被爆者の原体験をもう少し解明をしてもらえるようにしたいと思うんですが、いかがでしょう。
○政府委員(佐分利輝彦君) 全く御意見のとおりでございまして、しかもまことに残念なことでございますが、原爆放射線の人体影響が多数の被爆者について調査研究できるのは、広島と長崎しかないわけでございます。したがって、先ほども大臣からお話ございましたが、国際放射線防護委員会あるいはアメリカの放射線測定委員会、こういったところもやはり中心になりますのは原爆被爆者の調査研究の成果になっているわけでございます。 そこで、先生も御存じのように、特に広島、長崎の財団法人放射線影響研究所、こういったものを核にいたしまして、広島大学、長崎大学の原爆研究所あるいは研究施設、さらに科学技術庁の放射線医学総合研究所、文部省の遺伝研究所、農林省にもそういった部門がございますが、そういったところとのネットワークでこの放射線の被爆者に関する影響、また二世、三世に関する影響、こういったものについて力を入れて研究をしているところでございます。
○片山甚市君 いま局長の方からお答えありましたけれども、もう一点お尋ねするんですが、放射線の影響は一世代に限らず、生態系そのものを変えると言われておるんですが、そのような考え方でよろしゅうございましょうか。
○政府委員(佐分利輝彦君) まず、遺伝学の実験遺伝学とか理論遺伝学の領域におきましては、理論的に放射線の影響は二世、三世にも及ぶのじゃないかという仮説を立てているわけでございます。しかしながら、従来実験遺伝学におきましても、まあたとえば大腸菌だとかあるいは酵素だとか、またショウジョウバエだとかムラサキツユクサ、さらに少し進んだ動物ではハツカネズミだとか、そういったものについては十分な研究が行われ、また二世、三世への遺伝も証明されているわけでございますが、人類につきましては、これまで幾つかの研究がございます。代表的なものをとっても十五ぐらいの研究があるわけでございますが、それぞれの研究が、影響があると出たり、影響がないと出たりいたしておりまして、結局まだ結論を得ていないわけでございます。 そういう関係から、国際的にも広島、長崎の被爆者の方々の調査の結果というものが重視されていると思うのでございまして、財団法人放射線影響研究所、その前身のABCC、これは昭和二十一年から研究を行っておりますが、その研究によりますと、人類については、また被爆者については二世、三世への影響は認められておりません。 調査の対象になりますのは、まず流産とか早産、それから生まれた後の死亡、奇形の発生、赤ちゃんの体重の減少、まあそういったところから始まりまして、その後の赤ちゃんの白血病の発生状況、そういったものがいろいろな角度から調べられておりますが、現在までのところは全く被爆者の二世と被爆していない方々の二世との間に差はございません。
○片山甚市君 そういたしますと、人類を除く動物、植物については、放射線についての影響は一世代限りではなくて生態系を変えるという実験がある、そういう答弁をしたと理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(佐分利輝彦君) 人類以外ではかなり証明されております。
○片山甚市君 それは争いのあるところでしょうし、研究中でありますからさらにお聞きをするんですが、先ほど浜本委員からもお聞きいたしましたが、昨日になりますか、五月二十三日、毎日の朝刊の報道によりますと、科学技術庁放射線医学総合研究所において、胃の集団検診のレントゲンの使用ですが、大体これは十五ラド程度だそうですが、の使用がいわゆるがんの早期発見、病気の発見究明よりも障害が大きく、リスクが大きい、こういうようなことで発表され、三十歳代の検診は四十まではやめたらどうか、中止の警告が出されておるようであります。この得失——損をするか得をするかという計算のほかに、実はいま局長がお答えをしませんでした、わからないと言われた生まれてくる子供に対する遺伝的危険が十倍大きく加わるとも付言されているんですが、これは新聞の記事でありますから、そのことについてそれでは厚生省としてどう考えるか、政府としてどう考えるか。
○政府委員(佐分利輝彦君) あの新聞報道の放医研の橋詰部長のオリジナルリポートをまだ読んでおりません。したがって、私どもの推測になるのでございますが、三十代と四十代を比べました場合に、まず問題になりますのは、四十代の方はほとんど子供をお産みにならない、日本においては。そういう問題がございます。三十代では二十代ほどではないが、まだお産みになる方がある、そのファクターが一つでございます。それからもう一つは、放射線の影響というのは、若い新陳代謝の激しい細胞に強く影響をするわけでございますので、放射線の影響そのものが四十代よりも三十代、三十代よりも二十代というように強くあらわれるということでございますが、私といたしましては、まず第一に申し上げました四十代の方はもうほとんどお子さんをお産みになりませんから、そういう意味で遺伝的な影響は十分の一以上になるという御意見ではないかと思っております。
○片山甚市君 そうすると、レントゲンによるいわゆる放射線の障害ということで遺伝的なことも考慮されておるから、心配をされるから、そういうふうにおっしゃっていると、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(佐分利輝彦君) 先ほども申し上げましたように、理論遺伝学とか実験遺伝学ではそのような結論になっておりますので、これから将来に向かっての問題として、人類というのは放射線被曝をなるべく少なくしていかなければならないというのは大原則だと思っております。特に医療被曝の場合、健康診断、検査に使われる放射線というのは、原爆のように一生に一度ということではございませんで、毎年一回とか二回というように被曝を受けるわけでございますから、なお特別な注意をしなければならないと考えております。
○片山甚市君 やはり放射線の被曝というものは人体に有害である、こういうことでお答えがあったものと思って次の問題に移ります。 いわゆる科学者ですから、そうそこつなことを言えないで、局長は相当慎重なお答えをしていただいておる、座談と違いますから。よくわかりますけれども、私たち素人から言うと、やはりレントゲンの被曝というものは生態系を変えるほどのものがあるから、がんを制圧する、こういうように一つの放射線を当てることによってできるというのだから、われわれは何と言われても影響はあるのだと、遺伝的な問題は別としてもと、そういうように考えて、次のことに移ります。 実は遺伝的影響があるとすれば、その一般的根拠について、非常に初歩的な質問でございますがしたいのです。一つは、まず人間は生活をする集団の中におります。その集団には、今日では被爆集団とそうでない集団があります。それぞれ個体としての人間が存在し、個体はそれぞれ組織、器管によって成り立っており、それはまた細胞によって成り立っていると。細胞は一般細胞と生殖細胞に分かれておると。細胞はさらに染色体を有し、染色体には遺伝子があって、それが両親の生殖細胞を通じて適伝する形質のもととなっているというように考えるのですが、そのようなことでよろしゅうございましょうか。
○政府委員(佐分利輝彦君) 結論から申しますと、そのようにお考えいただいてよろしいと思います。問題は、体細胞と生殖細胞に分かれますが、いずれにいたしましても細胞核の中にまず染色体というのが四十六本ございます。これが放射線の量が非常に強ければこっぱみじんになるわけでございますが、放射線の弱い場合には、その染色体の上に乗っかっております遺伝子、これはDNAと申しておりますが、これが障害を受けるわけでございます。染色体の方は顕微鏡等で見ることができますが、遺伝子の損傷は顕微鏡などでは見ることはできません。この二つの場合、あるいは二つが合併したような形で遺伝に影響を起こしてくるものでございますが、特にその場合、体細胞の変化というのは余り問題ではございません。それはその人一代限りの問題でありまして、精子だとか卵子だとか、そういった生殖細胞の変化が後代に影響を及ぼすわけでございます。
○片山甚市君 詳しく言っていただいてありがとうございました。そうすると、遺伝子の特徴は一つは特別な条件を除いて比較的安定し、変化をしない。二つ目にみずから増殖し、新しい細胞、個体ができるときこれに移る。いま局長おっしゃったDNAを主体にした物質でできていると、こういうようなことでよろしゅうございますか。
○政府委員(佐分利輝彦君) 遺伝子の問題は、まあこれは現在の分子生物学のセントラルドグマと申しますか、一つの仮説になっているわけでありまして、将来どうなってくるかはまだわかりませんが、現在の学問の水準では、遺伝子の変化は自然においても突然変異をする場合があるわけでございます。これはいろいろ天然の放射線の問題あるいは発がん性化学物質の問題、そういったことで起こってくるわけでございますが、ただ、人間のような高等な生物では、ほかのものよりもわりあいに少ないわけでございまして、赤ちゃんが百万人生まれた場合に五万五千人ぐらいそういうふうな変化を持って生まれてくると考えられております。その変化でございますが、マイナスの影響を与える変化の場合が多いのでございますが、プラスの影響を与える変化もあるわけで、またその中間的な変化もあるわけでございます。そういう意味で、人間の進化というのは自然淘汰ということになっておりますが、その根っこにございますのは、やはりプラスの変化とか、中間的な変化、こういったものが人類をここまで進歩させたのじゃないかと言われております。また、いまお話しのように遺伝子だとか、また目で見える染色体だとかそういったものが変化を起こせば、これは二世、三世というように伝わっていくわけでございますけれども、その場合に優性、劣性という問題がございまして、優性の遺伝であれば片親がその遺伝子を持っていればその病気が出てまいりますが、劣性の遺伝でございますと、両方の親がそのような遺伝的変化を持っていないと出てこないという形になるわけでございます。
○片山甚市君 そうすると、遺伝子の物質は私が聞いたんですが、あれでよろしゅうございますか。
○政府委員(佐分利輝彦君) これもワトソンとクリックのノーベル賞をとった一つの仮説でございますけれども、アミノ酸——基本的になりますのは十五であったと思いますが、十五種類のアミノ酸がいろいろな配列で結合をしたポリペプチドと申しますか、そういった物質でございます。
○片山甚市君 それで、いま局長がおっしゃった突然変異ですが、一つは染色体にある遺伝子は一定の順序で線状に配列されていると言われ、これに何らかの衝撃、たとえば放射線照射などを受けることによって線状組織が断ち切られたり、配列など遺伝子自身の変化が起こること、及びDNAの分子構造が変化することによって突然変異が起こると言われておるんですが、そのように理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(佐分利輝彦君) 放射線を照射いたしました場合には、その遺伝子、これは二重らせんにこうなっておりますが、その片方あるいは両方の一部が切れるわけでございます。ただ、普通の突然変異の場合には、この遺伝子が普通は平行しておるものが、一部分交差して入れかわってしまう、そういうふうな現象で起こるものでございます。ところが、そういった天然の突然変異、あるいは放射線による突然変異が起こりました場合に、高等動物においては自己修復能力があるわけでございまして、その切れたところをつなぎ合わす、一部欠損したところを再生してつなぎ合わすというようなこともかなりやっているわけでございます。したがって、高等動物になるほど各種の物質による障害が、下等動物あるいは細菌植物ほどあらわれてこないと考えられております。
○片山甚市君 そうすると、私がお聞きした突然変異という説は、大体おおむねよろしいんでしょうか。
○政府委員(佐分利輝彦君) おおむねよろしいと考えております。
○片山甚市君 そういたしますと、染色体の数が変化すること、及び形が変化することなどによって遺伝子が増減し、形質を変える、これは特に放射線の研究の過程で明らかにされている突然変異だと言われておるんですが、それはいかがでしょう。
○政府委員(佐分利輝彦君) おおむねそのように考えられております。
○片山甚市君 これらによる遺伝は、局長がおっしゃったように優性遺伝と劣性遺伝に分かれ、そのいずれかによって異常が形質によって判然とするものと、その他の要因と関係をし合って判然としない状態が、病気で言えば、たとえば病弱と言われるような態様であらわれるものと、異常とは見えない状態であらわれるものとに分かれると存じますが、そのようなことでよろしゅうございますか。
○政府委員(佐分利輝彦君) 突然変異も著しい場合は、もうすでに受精も不可能になりますし、受精をしても流産をする、途中で受精卵が死滅してしまうというような極端な状態になるわけでございますが、軽微な突然変異でございますと最終的にお産まれになってくるわけでございます。またその場合、目に見える、あるいは精密検査をすればわかる先天奇形というようなものを、初めから持って産まれる方もございますけれども、そのほかに遺伝子というのはいまの説でも六万ぐらいはあるだろうと、こう言われておりますので、その中の一部が突然変異を起こしても表面には出てこない。それが環境の変化とか、環境の刺激に会うと初めて表に病気とか障害としてあらわれてくると、このような場合も少なくないのでございます。そこで、一般的に病弱な人と健康な人というのがございまして、それは遺伝によるのではないかというふうな意見も出てくるのでございますけれども、そういった場合にはすぐれて遺伝のほかにも後天的な影響が強く出てくると思います。やはり、受精卵が成長いたしました母親の子宮環境がどうであったかというふうな問題、あるいは産まれ落ちましてからの乳児の時代の生活環境がどうであったかというような問題、こういったことは非常に大きな影響を与えるわけでございます。したがって、動物の場合等におきましても、大体大ざっぱに申しまして、病弱だとか、いろんな病気が起こるとかいった場合の遺伝的影響というのは、せいぜい二割ぐらいではないかというのがいまの実験遺伝学の多数意見ではないかと思っております。
○片山甚市君 その場合に、全く異常とは見えないものであっても、局長がおっしゃったように、現実に遺伝子そのものに何らかの人為的影響があったものは、先ほど申しましたように生殖細胞も関係ありますが、結婚という手段によって引き継がれ、一定の条件のもとで世代を越えてこれらが発現、あらわれるというようなことはあり得ることでしょうか。
○政府委員(佐分利輝彦君) 結婚いたしまして、配偶者がまたその遺伝子を持っているという場合は、今度は三世にその影響が出てくるわけでございまして、二世御本人に対する影響といたしましては、先ほど申し上げましたように、マイナス一歳から生涯にかけての生活環境、こういったものが大きな影響を与えると思います。
○片山甚市君 そういたしますと、個別な話を聞いたんですが、こういうような話をしてきますと、単に一個体のみの場合と集団的な場合とでは、遺伝の発現をする条件は大きく変わると思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(佐分利輝彦君) 個体の場合でございますと、たとえ突然変異遺伝子を持っておりましても、その人個人が生活に気をつけるということでよろしいでございましょうし、また子孫のことを考えれば配偶者をよく選ぶということでいいと思うのでございますけれども、集団として見ました場合には、先ほど申し上げた優性遺伝というのはすぐあらわれてきますから、注目をされて優生保護法の適用になる場合もありましょうし、みずからお子さんを産まない場合もありましょうし、また御本人そのものはそういった遺伝病も医学が進歩しましたからかなり治せる、そういうことでございますが、劣性遺伝の場合には表にあらわれにくいわけでございまして、これが種族とか民族の間にだんだんと拡散をしていくわけでございます。それが非常にこわがられているのでございますけれども、ただこういった遺伝の問題というのは、そう五百年とか千年ぐらいでは強く出ないんじゃなかろうかと、やはり三千年とか五千年を単位にしてかなりの問題になってくるんじゃないかと言われていると思います。
○片山甚市君 少し気が長い、いまごろはあしたの話ばっかりしかしないところで、遺伝の話をすると、三千年ぐらい先のことを語ったようになりますが、私たちとしては現実の問題が厳しいもんですから、原則的なことを聞きました。 そこで、被爆者集団といわゆる非被爆者集団に置きかえて考えますと、少なくとも被爆者集団はこの原則に従えば二世、三世と世代を移しても、目に見えない放射線の影響を免れないわけだと考えます。そのことが、その人たちの生活上の負担になることは当然であると考えますが、いわゆる断定的にこの人たちが遺伝子を引き継いだというようなこと、これはどういうことになるんでしょうか、断定はいたしませんが、局長の方からお答えを願いたいんです。
○政府委員(佐分利輝彦君) ハッカネズミの場合ですと証明されるのでございますが、人間の場合にはこれまでの医療技術で染色体を調べたり、あるいはその他の体の臓器とか器官の状態を調べたりということでは、証明できなかったわけでございます。そこで、先生も御存じのように五十一年度から日米相談をいたしまして新しい医療技術をもって、何かこの問題に決着をつけられないかということになってきたわけでございます。その一つが、生化学的な研究でございまして、もしそのような突然変異遺伝子が二世、三世に伝わっておれば、それによって血液だとかあるいは細胞の酵素に変化が起こるであろう。その酵素の変化を調べてみようではないかということで、五カ年計画かもって毎年約一億の研究費を投じまして研究を始めたところでございます。そのほかにも、やはり二世、三世の白血球の染色体に変化が証明されるかどうか、こういった問題につきましても最近は医療検査機器も非常に大きな進歩を遂げましたので、そういった近代的な測定機器を使いまして、証明していこうという努力をしているわけでございます。ただ、白血球の染色体の異常は被爆者でない方の二世、三世にも少しは出てくるわけでございますから、それより被爆者の二世、三世が多いかどうかというような検討をするということが一つ、また従来のような顕微鏡で調べるというようなことでなく、もっと高度な機械を使って染色体の変化を調べる、そういったことを始めているところでございます。
○片山甚市君 いま局長のお答えですと、これからのことですが、被爆者集団と非被爆者集団を置きかえてみると、被爆を受けたということになれば何らかのハンディを受けておる、それについては観察をしていくという必要がある、こういうことに取りかえてよろしゅうございますか。
○政府委員(佐分利輝彦君) これは被爆者の健康と福祉の問題が第一点。第二点としては、やはり原子力の平和利用の全人類の問題がございますので、あくまで徹底的に解明をしなければならないと思っております。
○片山甚市君 そういたしますと、被爆二世と言われる人々の実態は、今日でもほとんど明らかにされておらないと思うんですが、その総数はどのぐらいで、現状はどういうことになっていますか。
○政府委員(佐分利輝彦君) 厳格な数字は、ただいま統計情報部で昭和五十年度全国実態調査の資料をもとにして計算をしております。したがって、これは厳格な数ではございませんけれども、もう私どもは大体現在被爆手帳を持っていらっしゃる約三十七万人、それと同数ぐらいの二世、三世がいらっしゃるのではないかと思っております。
○片山甚市君 そういたしますと、その被爆者団体の被爆者の子弟の健康調査を、私たちの関係をするものが調査をしたところ、年齢階層別に見た健康の自己評価では健康、比較的健康、虚弱、病弱の四つに分けてみると、二世では乳幼児、青年期に健康者が少なく、対照では年齢とともに健康者の減少が認められる。いずれの年齢階層でも二世の健康者は対照者一般の人に比較して少なく、また健康者と非健康者の比率も二世では一対五、一般の対照比では一対二で、健康内容も二世はいわゆる対照に比較して貧弱ということが出ています。 そこで、昭和五十一年版の国民衛生の動向という政府統計で見ると、有病率は二四%、被爆二世の健康調査、これは私の出身の全電通の労組で調べたのですが、それは三二%がぐあいが悪いということになっておるんです。政府はこのような状態についておおむね理解しておられるのか、そのように見られるのかどうかお伺いいたします。
○政府委員(佐分利輝彦君) ただいま先生お話しのように、電通や総評の被爆二世の調査では、そのように一般の二世の方々よりも虚弱な方、健康障害のある方が若干多く出ているように思います。しかし、これにつきましては古くは北海道とかあるいは京都府の調査が四十七年から始められておりますし、また私どもの原爆後障害の調査研究費の一部で、被爆者世帯の調査をしているのでございますけれども、そういったところでは一般の方と被爆二世と差がまだ認められないのでございます。この種の調査は非常にむずかしい面がございまして、まず聞き取り調査でございますと、その調査の方法、聞き取り方などによってかなり変わってまいりますし、また実際に精密健診をやりました場合にも、これも規格基準をはっきりしてやりませんと学者グループによってデータが食い違ってくると、こういうような経験を往々いたします。 そういった意味で、先生の御趣旨はわかるのでございますけれども、この被爆二世の問題は一般論としては、現在は普通の二世の方々と差はないのではないかというのが多数意見だと考えております。
○片山甚市君 二世の方々が一般の人と何ら変わらないというように思うということと、そうあってほしいと願うものでありますから、一般的にそうだと思うということでなくて、そうでなければならぬ、こういうように思います。それについては私たちはいわゆる被爆二世の方々は、会ってお話しをしてみると、局長がおっしゃるような形になっていない。これは実感でありますから、私たち集まってきて話を聞いておっても、職場で働いている状態を見ても非常に疲れやすいとか、いろいろな話がずいぶん出てくる、こういうことは申し上げておきます。これは御返事をいただくわけにいきませんから意見の相違であります。 そうしますと、遺伝することが社会的に差別されると心配して口をつぐむ人たちに便乗をして積極的な調査を行わず、もちろん医療保障や生活保障など具体策を持たずに、結果的に国の戦争遂行によって起こった責任をほおかぶりすることになっておるいまの状態については許すことができません。特に、五世代以上経過すれば、遺伝的影響は社会化し、その人たちのみの問題ではなくなるというのが自然科学の常識と聞いています。それを被爆集団に誤った差別的論理を押しつけているのが国の姿勢であるとすれば大変だと思う。まず大臣から私がお聞きしたいのは、何としても原爆というのは国の戦争行為から起こった問題であり、やけどをしたものと違って一番心配な放射線の影響が未解決である。それこそ将来日本の民族といいますか、それ全体に及ぼす問題であって、単に被爆を受けた者だけでない、こういう課題を抱えておるということを思うのです。日本の国は、そういうことについての責任をどうとっていくのかということについてまずお答え願って、局長の方からそれについての学者としての話を聞きたい。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 原爆の被爆者も戦災者であることは間違いございません。しかしながら、先ほどからお話のあるように、世界で初めての経験でございますし、それにはいろいろな問題を持つこの原爆の被害、放射能の被害というような未知の分野があるわけであります。政府としては、先ほど言ったように、原爆二法によって一般の社会保障とはまた趣を異にした社会保障で救済をしておるわけでございますけれども、遺伝の問題というようなことになりますと、きわめて学問的な問題でもあり、学者間にどういうような遺伝の影響があるかという定説もないというような状態でございますから、これは一概にどうという結論は出すことはできませんが、被爆者の子孫の遺伝生化学的研究というものについて、政府としても真剣に目下取り組んでおるところであります。したがって、そういうようなものの学問的な結論を待って、それに相応した対処をしていかなければならないと、かように考えております。
○政府委員(佐分利輝彦君) 先ほども申し上げましたように、この問題は被爆者だけでなく、全人類の非常に重要な問題でございますから、私どもといたしましては、従来はアメリカ当局と相談しておりましたが、そのほか世界各国の衆知も集めまして、この問題の解明に努力をしてまいりたいと考えます。 また、被爆者の方々につきましては、たとえば被爆二世の方々が年をとった親御さんを抱えておられるというような社会問題もございましょう。そういった問題は、被爆者たる親の方々の特別措置法、医療法に係る諸制度の改善、レベルアップをすればいいわけでございますし、また被爆者の二世あるいは三世の方々につきましては、これは一般社会保障制度——その中は公衆衛生の問題もございます、医療保険の問題もございます、年金保険の問題もある、社会福祉の問題もございますが、そういったものの充実で十分御期待に沿えるようにしていってはどうかと考えております。
○片山甚市君 先ほど申しましたように、原爆投下は国が戦争を遂行するところで起こったことであるから、一般の社会保障、福祉以上に責任をとるべきだという立場から、先ほど申しましたように、五世代を越えると、いわゆる遺伝というものは学問的に言えば大変大きな社会問題になる。 いまから二世、三世の方々に対する具体的な措置をとってもらいたいということを申し上げるのはなぜかというと、被爆原体験を持つ証人の今日いる現在をおいて——初めに言いましたように、原子力エネルギーを平和利用すると言っても、この恐るべき放射線公害をどうしてなくするのかということを確立するためにはチャンスではないか、いまをおいてないではないか。特にそれをしようとすれば、二世、三世の対策を国が積極的に体系的に対処しなければならぬ。こういうふうに思っておるのですが、厚生大臣、いかがでしょう。
○政府委員(佐分利輝彦君) 先ほども申し上げましたように、学問的な解明というのは全力を挙げなければならないと思います。ただ、二世、三世の方々につきましては、非常にやっかいな社会問題があるわけでございまして、やはり原爆放射線の影響が遺伝するというようなことになりますと、いろいろな差別が起こり得るわけでございます。したがって、そういう点も十分に考慮し、配慮しながら、二世、三世の方をどう処遇するかというような問題になろうかと思うのでございますが、これにつきましては、先ほども申し上げましたように、一般社会保障制度の充実で被爆の二世、三世の方々もかなり満足していただけるというような対策を講じていったらどうかと思っております。
○片山甚市君 特に遺伝学の権威であった駒井卓先生の「人類の遺伝学」という論文の百十ページを見ますと、「人為突然変異」は、広島、長崎における被爆者の、放射線による突然変異の条件から見て、「直接および遺伝的影響もはなはだしい」としております。これはどういうふうに言っているか。「日本人は三十年間に、人工放射能を平均一rほど受けるというが、これは急激に増す傾向にある。脊椎強直症など特殊の病気の治療のためには、これよりはるかに多い放射能を与えるから、からだへの影響も、また遺伝への影響も強いわけて走る。広島・長崎で原爆を被って生き残った人人には、四百rくらいも受けた人もあるから、直接および遺伝的影響も、はなはだしいものとしなければならない。」そういうことで、四百レムを受けるということになると大変だと言われておるのですが、これについて、日本では日本的な常識がありますけれども、国際的には科学的にいろいろと判断をされておるのでありますから、それを受けとめて、日本的な常識で大したことがないということがないようにしてもらいたいと思います。いかがでしょう。
○政府委員(佐分利輝彦君) ただいまお話しのございましたような多線量被曝の方々につきましては、もうすでに原爆二法で特別な社会保障措置を講じておりますし、年々改善をしているところでございます。また多線量被曝者の中には、一般説で申しますと、七百レム以上浴びるとみんな死んでしまう、四百レムぐらい浴びると半分の方が死んでしまう、こう言われておりますが、広島の被爆者の中には七百レム、八百レムを浴びても生存していらっしゃる方があるわけでございます。したがって、そういう方々については、特に旧ABCC並びに現在の放影研が全力を結集して調査研究に御協力をいただいているところでございますけれども、学問的にはまだ、先ほども申し上げましたように、はっきりいたしません。また今後の問題といたしましては、特に原爆被爆者の方はすでに三十年前にあのようにいろいろ、多い少ないはございますが、放射線被曝を受けていらっしゃいますので、その後の特に医療被曝、治療とか診断のための被曝、こういったものは、ほかの方よりもさらに少なくするように努力をしなければならないと思うのでございます。しかし、こういった放射線被曝の問題は全国民の問題でございますので、たとえば、先生も御存じのように、昭和四十九年には結核予防法を改正いたしまして、従来ゼロ歳から中学校の卒業まで毎年行っておりました結核の健康診断を大幅に削減いたしまして、就学前に一回、小学校で一回、中学校で一回というふうに制度を改正したところでございますし、また、先ほどもお話ございましたが、胃がんの検診についても、四十歳以上というような方々に限定するようにしなければならないと思います。それと同時に、やはり放射線の機械とか放射線の診断の方法とかそういうものを改良いたしまして、できるだけ被曝を少なくするように努力しなければならないと思います。と申しますのは、かつては日本の国民の医療被曝は平均にして三レムぐらいではないかと言われておりましたけれども、現在においてはもうすでに〇・五レムぐらいに下がってまいりました。しかし、これをやはり〇・一とか〇・〇五とか、そのように少なくしていく努力も、まあ民族の将来のため続けていかなければならないと考えております。
○片山甚市君 四百レム被曝をすると大変影響があると、こういうように駒井さんが言っておるんです。これは、十分にそしゃくをしていただいて、学説いろいろあるけれども、危険なものについて対処するんで、安全だという方に厚生省が力を入れることはない。危ないということについてどうするのか、こういうことが大体行政の趣旨だと思う。 それから、局長が先ほどおっしゃっておるのは、断定的に言ってないけれども、私が申し上げておるのは、遺伝ということは人類学的に、人類としてはきちんと決まってないけれども、動物や植物を利用すればあらわれてくる染色体の変更、遺伝の傾向が出てくるんでありますから、これはしっかり踏まえてもらいたい。 そこで、時間が来ましたから最後に、被爆二世の問題は、親はすでに高齢者です。しかも病気です。病気でありますと働けませんから貧しいということがやはりついて回ります。貧しいという言い方にはいろいろありましょうが、貧困ということになりますよ。そういう悪環境の中でおりますが、私たちが知っておる二世は、必ずしもすべての者が健康であると言えない。若干病弱というようなことであります。そうすると、二世は自分のていかなきゃならぬ。いや、佐分利局長の方はそうじゃなくて社会保障、社会福祉でやるから、年金でもやるから心配するな、そういうふうにするんだ、こう言っておりますが、いまの現状ではそういうことになりません。特に、昭和四十年の調査から見ますと、年齢五十歳未満の者が二〇・九ほどであります。ですから、大半の者がもう六十歳を超える。就業も、一般の人たちが八八・五%、被爆者が八二%。女の人ですと、一般の人が三四・五%、被爆者が三八・三%。女の人がたくさん働いておるということは、いわゆる働かなければ生きていけないからだと思います。 そういう意味で、私たちとしては収入を見ても、これは昭和五十年ですが、全国の勤労世帯の一世帯は一カ月三十六万四千七百七十四円に対して、平均十三万円から十四万円の間、低いところは、一世帯六万円から十万円が三一・八%、十一万円から十五万円が一八・二%、十六万円から二十万円が一九・一%ということで、私たちの関係する原水禁というところの調査です。ですから、これについては数字そのものについては、あなたの方はもっと別の意見があるかもわかりませんが、私たちとしては、生活が非常に苦しい中で被爆者の両親を抱える者たちにとって、私たちの暮らしは大変だと、これについて特に力を入れてもらわなきゃならぬ。そうして、佐分利局長が何回も言うように、断定的に言えば一般の人と変わりがない、こうおっしゃっておるんでありますが、そういうようにありたい、そういうように保障してほしい。いま言われたことが将来にわたってそうであればいいけれども、イタイイタイ病もそうですし、水俣病もそうです。皆さんが大丈夫だと言ったとき一番危ないんです。あなたたちが危ないと言ったとき危なくないんです。厚生省などが大丈夫と言ったときが一番危ない。それで、もうこれは危ない危ないと、こう言うときには、大体それを真っすぐに行った方が日本の国民が助かる、こういうふうに思いますから、そういうことのないように、これは火の玉の、福祉の厚生大臣、私が申し上げておる趣旨、日本民族の将来を大きく安定させるかどうかにかかわる行政だということでお答えを願いたい。 以上で質問を終わります。お答え願いたいと思う。あなた、まず、それで局長。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 先ほどから繰り返して申し上げておるように、一つは学問の問題でございます。一つは社会保障の問題であります。 したがいまして、原爆二世等につきましても、社会保障等の面も充実をしてそれに対処をする。それから、学問の方は学問の方で、これはいろいろな政府の研究と、あるいは世界のいろんな研究機関の意見というものを素直に率直に受け入れて対策というものを講じていきたいと、かように考えております。 ただ、学問的にはっきりしないことについて、われわれ政治家の立場から原爆二世には、まあいろんなものが遺伝をするんだというようなことを申し上げることはできません。これは非常に重大な社会問題を惹起する危険性があります。仮にそういうことを言ってみたからといって、いますぐにそいつに対する学問的の治療法というものがあるわけでもございません。実際問題として影響がないと、こう言われておることでございますから、特に原爆二世についていろんな遺伝因子が遺伝をするというようには私は思っておりません。確かに高等な動物には修復能力というものがかなりあるはずであります。それはがんの場合、その他の場合でも同じようなことが言われておるわけであります。学問の分野でございますから、私はそれ以上深入りいたしませんが、政治家といたしましては、学問的にはっきりしないものについて余り私は声を大にして心配をあおるようなことはしたくないと、こう思っております。
○政府委員(佐分利輝彦君) ただいま大臣がおっしゃいましたとおりでございまして、やはりまず第一は放射線化学、放射線生物学、放射線医学の学問的な問題があると思います。 また第二に、被爆者あるいは被爆者の二世の心情というようなものがあると思います。 第三に、やはり政治的な判断というのがあるのだと思いますが、こういった原爆放射線の障害と申しますのは、すぐれて学問的、科学的な問題でございます。したがって、被爆者の健康と福祉の措置には十分な対策を講じなければなりませんが、特に世界各国が注目しておる被爆者対策で、学問をねじ曲げるというようなことはできないわけでございます。しかしながら、被爆者の心情というのも一方においてはあるわけでございますから、その点につきましては、先ほども申し上げましたような特別な社会的な問題が裏にあるわけでございますから、そういうふうな御迷惑がかからないような十分な配慮をしながら、やはり一般社会保障制度の中でそういった方々のお世話はしていかなければならない。また二世、三世の親御さんの被爆者につきましては、現行二法の内容の充実改善ということで御期待に沿えると考えております。
○片山甚市君 いま局長の方からおっしゃっておることですが、私が申し上げたことでねじ曲げた話をしておるでしょうか。ちょっと聞いておかないと。私が先ほどから質問をしておることは、いわゆる学説をねじ曲げるような話をしておるでしょうか。特にお聞きをしておきたい。というのは、私は冒頭に言ったように、この学問については未知でありますが、しかし被爆二世、三世の方方から、政府のその人たちに対する対策、特に被爆者の扱いを受けません一般のですね、社会保障、社会福祉を受けることになりますけれども、大変いまの状態では不安である。不安が先にある、厚生大臣がおっしゃったように、私は不安をかきたてようというんじゃありません。大丈夫だと言ってほしい。そのかわり大丈夫でなくなったとき、後世にあなたたちの責任をとってもらおう、こう思っておるんですが、私はねじ曲げた話をしておらないつもりですが、局長いかがですか。
○政府委員(佐分利輝彦君) 遺伝問題につきましては、ねじ曲げたお話というわけではございません。これはやはり諸説があるわけでございますし、動植物では実験で証明されていることでございますから、可能性は残っているわけでございます。したがいまして、結局そういうふうな二世、三世対策のメリットとデメリットというものを、このような学問的に判然としないような段階では、よくよく考えなければいけないと思うのでございますが、私のこれは個人の意見でございますが、もしも遺伝的な影響があるというような結論が将来出た場合も、何か被爆者対策ということではなく、一般社会保障制度の中の運用でやるという方が、被爆者の子孫の方々のためになるのじゃないかという感じを持っております。
○片山甚市君 最後に私は、被爆者二世については被爆者援護法のいわゆる対象に入れるべきだ、いわゆる被爆者援護法を制定していただきたいという立場から言い、被爆者二法の適用の範囲にも入れるべきだという主張を申し上げて終わります。 —————————————
○委員長(上田哲君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、中沢伊登子君及び小平芳平君が委員を辞任され、その補欠として柄谷道一君及び内田善利君がそれぞれ選任されました。 —————————————
○委員長(上田哲君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時再開することとし、休憩いたします。 午前十一時五十二分休憩 —————・————— 午後一時五分開会 〔理事浜本万三君委員長席に着く〕
○理事(浜本万三君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。 公衆浴場法の一部を改正する法律案を議題とし、発議者田中寿美子君から趣旨説明を聴取いたします。田中君。
○田中寿美子君 この本法案は、参議院全野党、各党各派提案によるものでございます。 公衆浴場法の一部を改正する法律案の提案趣旨を説明申し上げます。 売春防止法制定より二十一年を経過した現在、政府公認の集娼制度は解体されましたが、売春の形態は多様化し、潜在化して、第三者による女性の搾取は後を絶ちません。中でも、個室付浴場業の業態は売春の温床と化し、特殊浴場業の距離規制の悪用によって、新たに全国各地に集娼地域を発生させており、そこで役務を提供する女性に対して浴場業者及び彼らと結託するひも、暴力団などによる売春の強制及び搾取が増大しています。 ここに、個室において疑性による役務を提供させることを禁止し、売春の温床を除くことを目的として、公衆浴場法の一部改正を提案するものであります。 あとは、要項及び法案をごらんいただきたいと思います。
○理事(浜本万三君) 以上をもって、趣旨説明の聴取は終わりました。 本案の自後の審査は後日に譲ります。 —————————————
○理事(浜本万三君) 午前に引き続き、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続けます。質疑のある方は順次御発言願います。
○内田善利君 この原爆被爆者に対する特別措置法につきまして質問をしたいと思いますが、私もこの問題についていろいろ勉強いたしまして、三十二年前を思い起こし、いまだにこういう問題で被害者の皆さんに迷惑をかけているのかということについて、日本の行政また政治のあり方ということについて強く反省もし、この問題について早く解決をしなきゃならないと、そういう思いでいっぱいでございました。きょうはこの問題について質問する機会ができまして、まあいろいろ御質問したいと思いますが、まず最初に、野党五党提案の援護法についてどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。 原爆被爆者対策について、私たちは国家補償に立脚した援護法制定を主張し、共同提案をしているわけでございますが、また、衆議院の社会労働委員会の附帯決議にも、「国家補償の精神に基づく被爆者の援護対策についてその制度の改善に対する要望は、ますます強いものがある。」という見出しで決議がなされておりますが、政府は、援護法制定について以前から一般戦災者との均衡論を盾にとって、この援護法の制定には難色を示し続けておられるわけですが、こういう態度はやはり被爆者のとうてい納得できないものであるし、また当時の状況下からアメリカの原爆投下責任、あるいは戦後における加害隠蔽責任、あるいは国が戦争を開始し、一般市民を逃れられない統制下に置いて、ついに原爆投下という未曾有のこういう悲惨な状態に遭遇をしなければならなかった責任、あるいは平和条約で賠償責任を放棄した責任、被害者の生存権を保障する国の責任、これを明らかにして、国家補償の責任を明らかにした援護策を行うべきである、こういうことで野党五党が共同提案を出しておるわけでございますが、この援護法について政府としてはどのようにお考えなのか、まずお聞きしたいと思います。
○政府委員(佐分利輝彦君) 野党五党御提案の原爆被爆者援護法案につきましては、私どももそのお気持ちはわかります。また、援護法の制定に関する国民、被爆者の要望が強くなっていることも存じております。しかし、その立論の根拠にいろいろ問題があると思うのでございます。第一は、国際法違反の問題でございますが、これは当時の国際法に照らしてみますと、文理上と申しますか、実定法上は国際法違反とは言えないのでございます。ただ、人道的に問題があるじゃないかという点については私どももわかります。次は、戦争末期のあのような状態で、国が国民に対して疎開の制限とかあるいは消火体制への協力だとか、まあいろんなことを要望いたしました。しかし、これはあのような大きな戦争の末期の状態になってまいりますと、どの国においても当然のことでございまして、たとえば軍人とか軍属、徴用工、動員学徒、そういった方々の場合の国との特別権力関係といったような立場にはない、国の一般統治権の少し強化されたようなものであると思うのでございます。また、サンフランシスコ平和条約において、国がたとえば国際法違反ということで損害賠償請求権があると仮定した場合に、あの平和条約でその権利を放棄したではないかと、こうおっしゃるわけでございますが、 〔理事浜本万三君退席、委員長着席〕 これにつきましても、先ほど申し上げましたように、国際法上の問題としては諸説紛々としておりましてまあ定説がない。また、たとえば国がそういった請求権を放棄したという場合も、個々の国民とか被爆者におきましてはそのような請求権はないわけで、国と国との間の請求権の問題でございます。そのような関係から、現在の原爆二法は、特に原爆被爆の場合には原爆の放射線を浴びたと、その放射線の障害によって長年、また一生苦しまなければならないと、まあそのような特殊事情に着目いたしまして、そういった点については従来の社会保障制度では十分に救済ができませんので、特別な社会保障制度といたしまして原爆医療法と原爆特別措置法を制定して、被爆者の健康と福祉の対策を講じているところでございます。したがって、援護法制定の御趣旨はわかるのでございますけれども、私どもとしては、一般戦災者との均衡もございますし、またもともとあのような犠牲者に対して国が国家補償の立場から責任を持たなければならないという理論的な根拠もございませんので、従来の原爆二法をさらに強化充実していけば、それで被爆者の要望にもこたえられると考えております。
○内田善利君 原爆二法をということですが、今回医療等に関する法律の方は別に提出する必要はなかったのかどうか、この点はいかがですか。
○政府委員(佐分利輝彦君) 五十二年度の予算の内容にはっきりいたしておりますけれども、原爆医療法関係におきましても、かなりの改善が図られております。たとえば、健康診断の内容の充実といった問題がございますし、また原爆医療法に基づく医療費の国庫負担につきましても、かなりの増額を行っております。しかし、そういったことは法律改正事項でございませんので、原爆医療法の改正は上程していないのでございます。
○内田善利君 保健手当について質問したいと思いますが、従来のいろんな質疑から政府の答弁を見ますと、国際放射線防護委員会の許容線量を、これは二十五レムですか、を盾に二キロメーターに固執して、科学的判断によっていると言われておるわけですが、まあこれは科学的判断であるかどうか、私も疑問に思うんですが、実際に被爆の状況などから見て、実態に即した手当てをしなければならないんじゃないかと思いますが、四十年の実態調査を見ましても、四キロメートルまでの人で約半数が二カ月以内に体の異常を訴えておるわけですね。また、広島市の場合は二キロから二・五キロの範囲で五千名近い人が亡くなっておる。この範囲で約五%が死亡あるいは重軽傷を負っているわけでございますが、もう一度この支給範囲を検討するお考えはないかどうか。
○政府委員(佐分利輝彦君) 現在の保健手当の支給基準は、ただいま先生からお話がございましたように、一九五八年のICRP、国際放射線防護委員会の勧告、これは一九六五年に一部改正いたしておりますがその勧告と、一九七一年のアメリカ放射線防護測定委員会の基準、この二つに基づいて、ただ一回の放射線被曝の場合に、一体どの程度以上放射線を浴びると人間の身体に障害が出てくるか。逆に申しますと、ただ一回の放射線被曝の場合には放射線の許容量を何レントゲン以下にすべきであるか、そういった勧告、基準の二十五レムを標準として採用したのでございます。しかしながら、行政運用面ではかつて特別被爆者の制度が爆心地から二キロということでございましたので、そういった面を考慮いたしまして二キロにしたのでございます。したがって、実際には広島の場合は四・四レム、長崎の場合には十八・三レムというふうに、二十五レムよりも甘い実態になっているのでございます。しかしながら、これはあくまでICRPとか、ACRPとか、こういったところの勧告基準をもとにしておりますので、そういったものが変わってくれば、こちらの方のメルクマールも変えていかなければならないという基本問題はございます。聞くところによりますと、一九七七年のICRPの勧告が出まして、近く各国一斉に発表されるようでございますので、その新しい勧告をつぶさに検討した上で、また先般行いました昭和五十年度全国被爆者実態調査の結果もよく活用いたしまして、基準の再検討をするという場合もあり得ると考えております。
○内田善利君 このICRPがどういう科学的な根拠で決定されるのか私はわかりませんが、いま原爆実験が行われておりますから、その結果に基づいてこういう決定がなされておるのかどうか知りませんが、実際、長崎、広島におきましては被害者が出ているわけでございます。しかも、これは広島の市役所の調査課がつくったデータなんですが、「昭和二十年八月六日原子爆弾ニヨル人的被害報告調査表」ですけれども、二キロ以内で死亡が二千六百四十六名、二・五キロ以内になりますと、やはり死亡の率が高いわけですね、千二百十六名、三キロでも四百名、三・五キロ以内でも百十四名、四キロ以内でも九十八名。このようにこれは一年後の状況かと思いますが、もう一つの調査によりますと、即日死という欄がありますが、これを見ますと、即日、その日に亡くなった方ですけれども、これでも二キロ以内が千三百五十四名に対して、二・五キロ以内で四百三十五名、三キロ以内で百十七名、三・五キロ以内でも二十一名、四キロ以内でも十五名。このように二キロ以内ということに限定した理由が私によくわからないんです。こんなにたくさんの方が即日死されているのに、どうして二キロ以内にしたのだろう、ICRPから言ってきたからこのようにされたのか、もう少し実情に即した線引きができなかったものかと思うんですが、この点はどうでしょうか。
○政府委員(佐分利輝彦君) その点につきましては二つの問題がございます。 一つは、原子爆弾の傷害作用というのは爆風と熱線と放射線の三つから成るわけでございますが、大ざっぱに申しますと、爆風によるものが四割ぐらい、熱線によるものが三割ぐらい、残ったものが放射線によるものというようなことでございます。したがって、爆風によりましてはね飛ばされて即死するとか、あるいは家屋が倒壊して即死する、また熱線によってやけどをしまして、体質によってはそれで死亡するという場合があるわけでございます。 そこで、私どもはそういった爆風、熱線ということになりますと、一般戦災者と同じになってくるわけでございますから、もっぱら原子爆弾の放射線の傷害作用に着目をしているわけでございます。これが第一点でございます。 それから第二点は、あのような激しい原子爆弾の爆発でございましたから、爆心地から近距離の範囲には当日はとても近寄れなかったと思うのでございますが、翌日の朝ぐらいからいろいろと救護活動だとかあるいは家族だとか、親戚の捜索とか、そういう意味で入市をなさった方がございます。そういった方は、あの爆弾が爆発した瞬間に放射線を浴びると同時に、爆心地から近距離の地域に入りまして残留放射能をさらに浴びたという場合があるわけでございます。これもはっきり申しますと、爆発の当日から翌日ぐらいが放射線では問題になるわけでございます。時間とともにどんどん減衰してまいりますので。そのような二つの要素があるのでございますが、認定被爆者の制度というのがございまして、原爆の放射線傷害に起因しているか、また現在に要医療性があるかというような認定をいたしておりますが、そういった場合には、いま申し上げました二つの問題についても、それぞれその角度から詳細に検討をして認定を進めているというように、そういった点は十分に配慮をいたしております。
○内田善利君 爆風ということですけれども、やけどを負った方も二キロ以内だけじゃなくて、二キロ以内で千九百五十名ですけれども、二・五キロ以内で同じように千単位で千二百五十名、三キロ以内で四百四十名、三・五キロ以内で八十一名、四キロ以内二十四名というふうに、やっぱりやけどの場合でも打撲傷の場合でも、放射線の場合と同じようにやっぱり多いわけですね。そうして、こういった亡くなった方が爆風によって亡くなられたとしても、放射線の影響がなかったかどうかということは言えないんじゃないかと思うんです。原因は原子爆弾によるわけでございますから、やはり放射能も影響がなかったとは言えないんじゃないか。一般の戦災の場合と同じに、やはり全体的に全体像としてつかまえていくことが大事じゃないかと、こう思うのです。そうして二キロ以内という、これは行政面のいろいろな事情があるかと思いますけれども、公害被害者の場合も線引きをしたために、川一つ向こうでも同じような災害に遭っておる人が認定患者にならないとか、手当が受けられないとかいろいろありますけれども、やはり円を描いて二キロ以内ということじゃなくて、実情に即した救済ということが、あるいは補償ということが温かい行政ではないか。こういうことは戦争のときに一回しか起こらなかったことですから、抜本的なこういう援護法に基づいた救済が必要なんじゃないかとこう思うのですけれども、再度いかがでしょう。
○政府委員(佐分利輝彦君) 先ほど来申しておりますように、現在の原爆二法は原子爆弾の放射線の傷害作用に着目をしてつくられている特別な社会保障制度でございます。爆風とか熱線ということになりますと、あの二十年二月の中島飛行機の大爆撃あるいは三月十日の本所、深川の焼夷弾によるじゅうたん爆撃、さらに四月二十五日の浜松の大艦砲射撃、そういったものと差が出てこなくなるわけでございます。したがって、放射線の傷害作用というものに着目いたしますれば、いま原爆二法で運用しておるような基準が、世界各国共通に認められているものではないかと考えております。
○内田善利君 これは手紙を私見せてもらったんですが、これは西村春歳という方から来た手紙ですけれども、この方は——病気ずっと書いてありますが、三十の病気が書いてあります。「ぼくの病気のかづをかきます」といって、貧血、心臓病、肝臓病、胃潰瘍病、移動盲腸病、目まい、吐き気、右左目が悪いとか、右左耳鳴、首から上がうずく、右左足首しびれて痛い、指先右左痛いとか、ずっと三十の病気が書いてありますが、この方は生活保護を受けておられるようですけれども、三万円もらって一カ月に二万七、八千円は引かれておる、そういうことも書いてありますが、「国わ、どうして、福祉に、おさめるのか、ぼくの手もとにわ、はいってこない、でわないか、はたらけないのに、(シユニユウ)ありで、ひかれるのが、わからない」、そういうふうに書いてあります。「これだけの」三十の「病気も、さしひき、してほしい、病気わ、ふえても、お金ねわ、ふえないね」と、そういうふうに書いてございます。それから、「せきづいにわ、(カイロ一本)前に、カイロ二本はいっている、(あめ、ふる、たびに、からだぜんしん、うづく)(いたい)これも、みな原爆のため、みうちからも、みはなされ、父母死亡、とりのこ、された、被爆者わ、どんな生活を、あたえて、くれますか、だして、よろこばせて、ひっこめる、これでも、手当を、だした、つもりですか、三万円だして、二万七八千円ひく、だす方わ、よいが、もらう、被爆者わ、めいわくです、四、〇キロメートルまでの、方にも、手当を、あたえて、ください、あまりにも、ふこうへいです、病気わ、おなじ、いたみます、被爆で、やられたと、ゆうだけで、みなから、けぎらい、される、おそろしい、病気ですね、」と、こういうふうに締めくくってありますが、やはり二キロで線を引くということ、それ以外の方にもやはり被爆症で生活ともに苦しんでおられる方がまだまだたくさんあると思います。実態調査をやられてこういうことは出てくるとは思いますが、こういったことに対してどのように対策を講じていかれるのか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(曽根田郁夫君) 原爆特別措置法に基づいて、いろいろな手当が出されておるわけですが、生活保護の立場からこれらの手当のうちで、たとえば健康管理手当とか医療手当とか、その特別の需要に対応する手当は収入認定除外をいたしております。しかしながら特別手当、これはこの性格がいわゆる一般の生活費というたてまえでございますので、生活保護の立場からは全額収入認定をいたします。しかしながら、この手当の設けられました趣旨あるいは被爆者の生活実態等にかんがみまして、当初から収入認定はいたしますが、加算という制度によってその二分の一は実質的に手元に残るようにと、そういう取り扱いをしておったのでございますが、さらにこの点の改善をという要望も非常に強くございましたので、五十一年度からこの二分の一プラスアルファのいわゆる暫定的な特例措置を講じまして、現在のところ実質的には二分の一ではなくて六割相当が手元に残るような取り扱いをいたしております。これは暫定的な取り扱いということでございますけれども、五十二年度以降もできるだけこの水準を維持して改善を図ってまいりたいというふうに考えております。
○内田善利君 次に、広島の原爆養護ホームのことについてお聞きしたいと思いますが、被爆者の専用施設といいますか、この原爆養護ホームが入所対象者が被爆者であることを考えたときに、一般の養護老人ホームやあるいは特別養護老人ホームよりも医療施設としての性格、配慮があって当然と思うわけですが、職員の配置等を従来の福祉施設の枠の中に入れておくのはどうかと思うんですね。したがいまして、このホームに病院的な機能を備えるか、あるいはホームと病院の中間施設といったものが必要であると思いますが、この点はどのようにお考えでしょう。
○政府委員(佐分利輝彦君) 原爆被爆者の養護ホーム、特別養護ホームにつきましては、確かに先生御指摘のように、一般の方々よりも放射線を被曝しているといったような問題を考慮しなければならないかと思います。そういった関係で、地元の市や県が特別な配慮をいたしまして、事実上現在の広島の養護ホームには、一般の養護ホームよりもたくさんの職員が置かれていると思います。また、同じような理由で、病院だとかあるいは中間施設との一体的な運営とかあるいは連係の強化というような問題が出てくると思うのでございますが、幸いなことに広島の原爆養護ホームは隣に市立舟入病院という病院がございます。また、そこには最近救急医療センターも増設されております。そういう意味で、病院と養護ホームとの一体的な運営といったメリットは広島の場合にはすでにあると考えております。 問題は、後で社会復帰なさる場合の中間施設の問題があろうかと存じますが、これにつきましてはまだいろいろと福祉の学問の上でもまた医学の学問の上でも問題があるわけでございまして、一部でモデル的、実験的にハーフウエーハウス、中間施設というものを行っている段階でございます。そういったことで、その中間施設のようなものはやはり今後の問題であろうかと思うのでございますけれども、ただ、私ども公衆衛生当局のこれまでの経験で申しますと、そのような中間施設が必要な方はそれほど多くないのでございまして、病院とか養護ホームで十分な社会復帰訓練等をいたしますれば、もうどんどん真っすぐ家族のもとにお帰りになれる、またその方が、一日も早く家族のもとにお帰りになる方が、御本人のためにも医学的にも社会的にも非常によろしいというような問題もございますので、中間施設につきましては将来の問題ではないかと考えております。
○内田善利君 次に、昭和五十年度に実施された被爆者の実態調査についてお伺いしたいと思いますが、まずこの実態調査の発表はいつごろになりますか。
○政府委員(佐分利輝彦君) 遅くとも六月の上旬までには発表されると考えております。
○内田善利君 この調査に基づきまして、いろいろ対策の充実を図ることがなされると思いますけれども、やはり国会でこういうふうに審議をしている、そういう段階で、その前に発表していただけると、国会でいろいろその問題について論議がなされるわけですが、国会が終わった後出されても、われわれはそれを審議するというような機会がまた延びるわけですけれども、やはり行政としては発表する時期、そういうものも考えて、わざ、と国会の審議を外されたということならば、これは別問題ですけれども、やはり国会の審議に合わせて発表するというような配慮が必要じゃないかと思うんですね。この実態の結果、今度具体的な抽出がなされて三十年間の被爆者の生活問題、あるいは統計数字、いろんなことが生の声で調べられておると思いますが、この調査結果をどのように被爆者対策として講ぜられていくつもりか、お聞きしたいと思います。
○政府委員(佐分利輝彦君) まず、発表のおくれております点についての御批判でございますけれども、私どもは実際にはできれば連休前ぐらいには発表したいと考えておりました。ただ、先生御案内のように、この調査は三本立てになっておりまして、第一の基本調査、第二の生活調査は、これは厚生省がみずから行っております。第三の広島市、長崎市におきます事例調査は、学者のグループにお願いをいたしております。 実は四十年度の実態調査の発表のときには、この学者グループにお願いいたしました事例調査は発表しなかったわけでございまして、それに対するかなり厳しい御批判がございました。そういう関係から、今回は三本一緒にして発表、公表をしのような関係から、残念ながら五月上旬の発表が六月の上旬までずれ込んだということでございまして、決して国会の御審議を外すために発表をおくらしたものではございません。 また、その内容につきましては、近く詳細の御報告をいたしますけれども、まあ言ってみれば従来から言われていたことを証明したということでございまして、特に新しい問題というのは見つかっておりません。 そこで、この調査をどういうふうに使うかと申しますと、まずただいま御審議をいただいております原爆特別措置法の方では、所得制限を緩和するときにどういうふうにすれば、どの程度の方が対象になるか、また所得制限の関係で外れるかというようなことが最も新しい資料によって計画ができるわけでございます。従来は四十年度の実態調査でやっておりましたので、九五%にしたつもりが実際には九三%であったと、これは所得の増という要因が別にございますが、そういうことがあったわけでございますが、そういうふうな計画の誤差が少なくなってまいります。また、被爆者の老齢化の問題、そういったものが浮き彫りにされてまいりますと、先ほど御質問のございました原爆養護ホームの整備計画等もこれできちんと立てなければならないというようなことになろうかと思いますし、また被爆者の健康状態ということがわかってまいりますれば、広島、長崎の原爆病院の整備強化を初めとして、全国に約三万七千ございます原爆の指定医療機関並びに担当医療機関の整備強化あるいは数の拡大、こういったものも、そういった資料によってきちんと計画が立てられるというふうに、新しい知見はないようでございますけれども、原爆二法の諸制度の改善に大変役に立つものと考えております。
○内田善利君 新しい知見はないようだということですけれども、やはり今度の調査によって前回のような平均値的な結果じゃなくて、やはり個々に調査をされた、その個々の対策を十分講じていくべきじゃないかと、このように思いますが、この点はどうなのか。 それと、老齢化の問題で、いま広島だけしか老人ホームはないわけですが、長崎にこれを増設するというお考えはないのかどうか。この点、いかがですか。
○政府委員(佐分利輝彦君) まず、マクロの対策でなくミクロの対策という御要望でございますが、これは私どもといたしましては、従来からもたとえば原爆医療法関係では健康診断を担当しております医師、また原爆の医療費国費負担を担当しております医師、そういった現場の医師の方々の御意見をくみ上げるというような形で制度に反映してまいりました。原爆特別措置法の方では、保健所だとか社会福祉事務所におりますケースワーカー、こういった方々の第一線の御意見というようなものをよく聴取して制度の改善に努めてまいりました。まあしかし、それもまだ御指摘のように十分ではないと思います。そういった意味で、本年度は特にケースワーカーの特別研修を六月にはやることにしておりますし、また将来の問題としては、現場のお医者さん方の特別研修というようなものも考えていかなければならないと思っております。 そこで、第二の御質問の、長崎の原爆養護ホームでございますが、広島の場合には公益法人をつくりまして、二百五十床の養護ホームをそこで経営していただいているわけでございますが、長崎の場合にはカトリック系の社会福祉法人に経営を委託いたしまして、かなり長崎市から離れておりますけれども、非常に環境のよい、見晴らしのよいところに養護ホームをつくっております。これも広島と同じように二百五十床でございます。 ただ、広島も長崎も二百五十で足りるのかという問題、さらに、現在は一般養護が百五十で特別養護が百だけれども、そういった病床数あるいは割合でいいのかといった問題がございます。その点につきましては、先ほども申し上げましたように、五十年度の実態調査の結果をもとにして、地元の県や市ともよく協議をいたしまして将来の計画を立てたいと考えております。
○内田善利君 次に、健康診断の内容について少しお伺いしたいと思いますが、この被爆者の健康管理の問題ですけれども、現在行われておりますところの健康診断の内容では、戦後三十二年経過しておりまして、最近の被爆者の実態、それから老齢化、疾病状況、死亡原因の変化など、いろいろ事情にそぐわない面が出てきておるわけですが、今年度は肝機能検査が追加されたようですけれども、より以上の充実を図っていく必要があると思いますが、この点はいかがでしょう。
○政府委員(佐分利輝彦君) 一部の方々の御意見によりますと、現在の巡回診療による被爆者の第一次の健康診断を、最近はやってまいりました外来人間ドック並みにしてほしいという御要望であろうかと思うのでございます。そこで、外来人間ドックという形であるならば実施できますが、その場合には一日に三十人とか五十人しかできないというような問題が起こります。また、被爆者の方々もいろんな生活上の御都合がございますから、そんな遠くまで行くわけにはいかないという問題がございます。 〔委員長退席、理事浜本万三君着席〕 そこで、従来どおりの巡回健診車を使いまして、各町村の部落部落、巡回集団健診をやっているのでございますが、そのようなやり方でございますと、どうしても医療技術的に制約が出てまいります。また、たとえば第一次健診のときに心電図の検査も一緒にやるということになりますと、一回の健診で大体数百名から千とか千五百ぐらいまでやるところがあるわけでございますから、そういった方々の心電図を一体だれがどうやって読むのかという要員の確保、さらにその技術水準としての専門医の問題、こういった点がございます。要するに、実施能力の問題が出てくるわけでございます。したがって、私どもといたしましてはそういった実施能力をよく考えながら、今後できるものから逐次第一次の集団健診、健康診断の内容を充実するようにしてまいりたいと考えております。
○内田善利君 この健康管理手当の支給の対象となっております疾病ですね、これも現在の健診項目ですが、これではちょっと発見しにくいんじゃないかと思う面があるわけですね。被爆者にとっては疾病の予防が最善であると思いますけれども、せめて早期発見それから早期治療に結びつくような健康診断の内容にすべきじゃないか、このように思うんですが、この点はいかがでしょうか。
○政府委員(佐分利輝彦君) 本年度から肝臓機能検査を新たに採用いたしましたので、現在、健康管理手当を支給する疾患として十種類の疾患を定めておりますけれども、これも第一次健診という意味では大体カバーされると思うのでございます。もちろん、カバーしにくいものがございますけれども、大体はカバーされると思うのでございます。と申しますのは、従来七つの検査項目がございましたが、その中では血液関係の検査は特に重視しておりましたし、そのほかに尿の検査とかふん便の検査というのがございますので、そういった検査によって第一次のスクリーニングとしてはかなりのものがわかるわけでございます。そういうことで、あとは先ほどの実施能力の点から一体どこまでできるであろうか。実施能力のないものを制度化いたしますと不公平が起こるわけでありまして、できるところはできるができないところはできない。これは行政には公平の原則というのがございますから、被爆者が不公平の影響を受けるというようなことはないようにしなければならないと思うのでございますが、まあそういった意味で現在検討しておりますのは問診の方法とか、あとは視診とか触診とか聴打診だとか、そういった一般的な健康診断の出発点になる諸検査、こういったものをかなり改善する必要があるのではないか。特に問診につきましては、これを改善することによってかなり脱落が防げるのではないかと思うのでございます。この制度では、健康診断を担当する医師が疑わしいと思った場合には、すぐ第二次の精密健診に被爆者の方に行っていただくようにいたしておりますし、また第二次の精密健診ということになりますと、広島とか長崎では入院ドック方式で第二次健診をいたしたりしております。したがって、いま申し上げましたような問診のやり方というものを改善工夫することによって、かなり御期待に沿えるようになると考えております。
○内田善利君 問診のやり方を考慮してということですが、やはり最小限科学的に対応できるような、また被爆者の皆さんが問診を受け、あるいは健診を受けた場合に最小限納得できるような、そういう一次健診にしていく必要がある、このように思うわけですが、いままでのやり方ではいろいろ能力の問題、先生方の中からお願いするということは非常に大変な問題があろうかと思いますけれども、いままでのやり方ではひどいところではお医者さんに会うこともできなかった、看護婦さんが、待合室で血圧をはかって、あとは血液と尿を取られて何の説明もなく帰されたというような、そういう不信が起こらないような一次健診をしていっていただきたい。特に、いま言われたように問診をもう少しがっちりやっていただきたい、このように思うわけですね。 それと、今度は行政サービスの面についてお伺いしたいと思いますが、特別手当、それから健康管理手当、こういった各種手当を初め、被爆者対策がいろいろ行われておるわけですけれども、それを受ける場合、地域によって格差があるわけですね。まあ広島、長崎は被爆県でありますから他の県とは違うように思うわけですけれども、この格差のないような、いまも健診の面で格差のないようにしたいということでしたが、余りにも違い過ぎるということがあってはならないと思うんですね。この点について厚生省としてはどのようにお考えであり、どのように対策を講じていかれるつもりか聞きたいと思います。
○政府委員(佐分利輝彦君) 御指摘の特別手当、健康管理手当、また新しくは保健手当といったものにつきまして、私どもはこれまで各都道府県の余り大きな格差が起こらないように指導してきたつもりでございますけれども、残念ながら確かに一部に少し手当の出過ぎている県もあれば、またた逆に余り手当の出ていない県もございます。たとえば、先生のおひざ元の鹿児島県でございますと、被爆者は千十三人いらっしゃるんですが、特別手当は四人しかもらっていらっしゃらない、認定患者は四人だと。ただ健康管理手当、保健手当はこれは百四、五十人ということで標準ではないかと思います。また、私どもと大臣のおひざ元の栃木県では被爆者が二百七十三人いらっしゃいますが、特別手当をもらっていらっしゃる方はゼロというようなところもあるわけでございます。そういう意味で、先ほども申し上げましたように、原爆対策担当の各都道府県衛生当局をさらによく指導いたしますと同時に、いま衛生当局にお願いしておりますのは、指定医療機関とかあるいは担当医療機関だとか、そういうふうな各種手当の申請業務に従事してくださる医療機関の方々に対して、もう一度よく制度の趣旨だとか従来の経緯だとか現状だとか、そういうことをお知らせするようにという指示をしているわけでございます。これにつきましては、先ほどもケースワーカーのところで申し上げましたけれども、将来はりっぱなハンドブックのようなものをつくりまして、これは本年度の予算で計上しておりますが、医者向けのハンドブックをつくって、よく啓蒙普及すると同時に、やはり研修会のようなものも開いて、さらにその仕上げをしていかなければなるまいと考えております。
○内田善利君 地域によっては、こういった各種の手当があるということも知らない被爆者もいらっしゃるのではないかと、こう想像されるわけですが、水俣病の場合でも公害病認定は申請することになっておりますけれども、この申請がなかなかされなかったという状況で今日までずっとたくさんの被害者が、患者がいながら認定できなかったという実情がございますが、やはりこういった方々に対するきめ細かい配慮が必要じゃないかと、こう思うわけです。この点、ひとつよろしくお願いしたいと思います。 それと同じく、被爆者の方たちをお世話する家庭訪診制度についても、実施したいところが実施できるような、そういうふうにしていくべきではないかと思うんですが、現在は広島と長崎だけですね。そういうふうにすべきじゃないかと思いますが、この点はいかがでしょう。
○政府委員(佐分利輝彦君) 確かに現在の制度は広島と長崎だけを対象にしております。ただ、その制度も年々対象人員、つまりヘルパーの人員をふやしてまいっております。そこで、広島、長崎以外の都道府県が問題になりますが、先生よく御存じのように、広島、長崎以外で患者さんの多いというところは東京、大阪、兵庫、福岡、こういったところでございまして、大体六千人から八千人というところでございます。したがって、原爆対策オンリーのヘルパーを置くということは、いろいろな面で困難がございまして、広島、長崎以外の県については社会局、児童家庭局がやっております一般の社会福祉のホームヘルパーの方々に御協力を願うという方針で臨んでおります。
○内田善利君 それから、被爆二世についてお伺いしたいと思いますが、先日新聞にも出ておりましたけれども、被爆二世の染色体の異常が見られるといった調査結果が発表されておるようですけれども、こうした被爆二世あるいは三世の人たちの中で、健康診断の希望あるいは健康手帳の支給を希望する人には、それを実施してもよいのではないかと思いますが、この点いかがでしょうか。当時四カ月以上の胎児は被爆者として取り扱っているわけですけれども、こういった希望者に対しては健康手帳の支給、健康診断をしたその結果、治療費の支給というようなことはどのようにお考えなのか。
○政府委員(佐分利輝彦君) 確かに被爆二世の一部の方に染色体の異常がございます。しかし、これは一般の二世の方々にも染色体の異常があるわけでございまして、被爆者二世と非被爆者二世との間にまだ差が発見されないわけでございます。したがって、その点を染色体の形態学的にあるいは遺伝子などの酵素化学的に追求しようという研究を五十一年度から広島、長崎の放影研で日米が協力して進めているところでございます。したがって、原爆放射線の影響の子孫への遺伝の問題は、細菌とか動物、植物では実験的に証明されておりますけれども、人間ではまだ証明されていないわけでございます。しかも、この問題はもし遺伝するんだということになりますと、そのことによって被爆者の方々が非常に結婚とか就職とかという面で差別を受けるというおそれもございますので、この問題はきわめて慎重に取り計らっていかなければならないと思うのでございます。一部の自治体で健康診断をしましたり、あるいは東京都では医療費の公費負担をしたりいたしておりますけれども、これは地方自治の本旨という意味からやむを得ないことと存じますが、私どもといたしましては、さらにこの問題は学問的に深く究明をいたしましてはっきりした暁で、どういう対策を講ずるかという検討をいたしたいと考えております。
○内田善利君 時間が参りましたのでこれで終わりますが、最後に大臣にお伺いしたいんですけれども、戦後三十二年にして、いまだにこのような行政面の問題が国会で論議されておるということは、非常に残念に思うわけですが、ひとつ、衆議院でも附帯決議が決議されまして、援護法に基づいた附帯決議がなされておるようでございますが、この実施面について大臣の、完全実施とまではいかなくても、御努力をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 委細につきましては、局長から答弁をしたとおりでございます。 なお、原爆被爆者の今後の問題等については、原爆二法の充実等によってできるだけのことはしてまいりたいと、かように考えております。
○内藤功君 本年は被爆三十二年目に当たる年であります。被爆者の方の援護と核兵器の廃絶をめざす運動の統一も、国民の悲願によりまして実現されつつあります。また、ことしの八月には、国連の非政府機構による国際シンポジウムが開催をされる。来年には、国連の軍縮特別総会が開かれる。こういう状況の中で、被爆者の方々は、一つには、原爆投下によって起きた被害に対して国は責任をもって償いをしてほしい。補償をしてほしい。二つ目には、被爆者の体、暮し、心の苦しみに対する保障をしてほしい。そして三つ目には、将来にわたって広島、長崎を繰り返させない平和の保証をしてほしい。こういういわば三つのホショーを求めて切実ないろいろな要望を持っておられるわけであります。 私はまず総括的に、総論的に政府の姿勢を伺いたいわけであります。 まず、広島、長崎の被爆による被害の全体像というものがいまだにわかっていない。たとえば一九六七年十月の国連総会で、当時のウ・タント事務総長の報告によって数字が出されましたが、きわめて不正確な推計による数字でしかないと思うのであります。広島、長崎を訪れる外国の専門家、外国人、学者の人たちには、そういう全体像を政府自身の手でつかんでいないということについて、信じられない対応だと漏らされております。私どもは外国の被爆地、戦災地を訪れた場合に、弾痕が生々しく残り、一人一人の写真が掲げられ、正確なこの調査がなされておるのと比べると、こういうことは非常に日本の国にとって深く考えなきゃならぬことだと思うのであります。 被爆による被害の全体像を、政府としていままでどのように把握をしてこられたか、その努力をされたか。一体被爆で死亡された人数は何万人であるのか、政府としてのいままでの調査というものをどうされたか。被爆三十二年後、いまだに全体像がわからないまでいるという事態を、特に厚生大臣としてはどう考え、どのようにこれを後世に残されようとするか、大きな政治姿勢の問題であると私は思うんです。まず、この点をお伺いしたいと思います。
○政府委員(佐分利輝彦君) 広島、長崎における原爆被爆の実態でございますけれども、これはやはり当時の広島県庁とか広島市庁あるいは広島県警、長崎も同じようなことでございますが、そういった機関の発表をまず基礎にせざるを得ないと思うのでございます。こういったものも二、三の発表があるわけでございますけれども、せんじ詰めますと、広島では死亡者が約十万、長崎では死亡者が約五万というのが、いまの通説ではないかと思っております。 そこで、こういった被爆の実態もさらに正確に調査しなければならないという基本問題かございますので、まず、昭和二十五年の国勢調査のときにそういったことに関連した付帯調査をいたしております。また、その後、広島県と長崎県におきましては、国勢調査のおおむねたびごとに、いろいろと特別な付帯調査をいたしております。また特に、こういったむずかしい問題では、被爆地域の復元作業をするのが一番的確ではあるまいかということで、昭和四十五年から広島が、また四十七年から長崎が復元調査というものを開始いたしました。しかしながら、こういったいろんな方法をとりましても、当時のたとえば軍関係の要員がどれぐらい被爆したかということがまずわからないのでございます。 それからその次に、やはり広島も長崎もあのような両県の中心都市でございますから、ああいった戦争末期でもかなり毎日の人口の流入や流出があった。学生一つとっても、やはり郡部から広島市内の学校に通ってきたというような問題がございますが、そういった点が被爆の実態面ではっきりいたしません。また、復元調査をいたしました場合も、一家全滅というようなところはまずわからないわけでございます。そういう関係で、五十年の被爆者全国実態調査の際にも、団体などから御要望がございましたので、国勢調査の付帯調査としてやることも検討したのでございますが、学識経験者ほぼ全員の御反対でこれは実現できなかったのでございます。したがって、やむを得ず厚生省の全国被爆者実態調査の付属調査といたしまして、各人に当時の被爆の状況票というのをお配りいたしまして、どういう家族でどういうふうに被爆被災をされたかということを特別に調べまして、いまその資料は広島、長崎の復元調査委員会の方にお貸ししてあるわけでございます。 このように、政府としてもまた県や市としても、できる限りの努力をしてきたと思うのでございますが、こういったものは、やはり本当に正確なことがわからないということが、日本だけでなく外国でも同じだと考えております。 しかしながら、今後も一人でも二人でもはっきりしてくればいいのでございますから、そのような努力は続けてまいりたいと考えております。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 被爆者に対する政治の姿勢ということでございますが、まず実態の把握という点についてはただいま局長から答弁をしたとおりでございます。何せ壊滅的な打撃を受けて日本が敗戦のどん底で、当時としてはともかく国民を食わせるということだけで精いっぱいの状態であった。そういうような点等からも、また世界に例のないような原爆投下というような点からも、その調査の手がかり、仕方、いろいろなわからないところばかりというような面が重なって調査がおくれたということは事実だと私は思います。しかしながら、われわれはこのような悲惨な状況というものを再び起こしてはならないということのためには、どうしても国の平和というものを守って、戦争は再びやるべきでないというのが私は国民のだれしもの誓いであるし、政府の考えでもございます。また、被爆者に対しましては単なる社会保障ということでなくして、国家補償的な意味合いを持っておると言われるような原爆二法というものを制定をいたしまして、十分とはなかなか言えないのでございますけれども、でき得る限りその把握に努め、それらに対する生活の援助等については尽くしておるところでございます。
○内藤功君 全体像の把握ということに、その政治の姿勢というものが端的に私はあらわれてくると思うんですね。この問題についてはさらに、いま言葉の上ではなくて、実際の政治の姿勢として示していただくことを強く最初に要望しておきます。 次に一部、渡辺厚生大臣がいま答弁の中で漏らされましたが、もう一つの基本姿勢は被爆者の援護の問題についての基本姿勢であります。われわれ野党五党は、国家補償の精神による援護法によって援護するという立場で、法案もすでに用意し、出しております。政府はいろいろなところのお話で第三の道、特殊な社会保障の立場で被爆者対策に当たるということをよく言われております。私どもは、国家補償の精神を徹すべきだという考え方であります。その立場の違いはありますが、被爆者援護の拡充という点でその基本的方向が同じである以上、同じ日本人であり、同じである以上、被爆者援護に遺憾なきを期すべきであります。特に、被爆者の高齢化に対応して先日の当委員会でも若干の質問をいたしましたが、健診の問題、心電図、問診等の健診の充実、いわゆる十疾病の拡充及び各種手当の増額等の生活上の対策を、今後とも充実していく必要があると思います。特にこの場合には、被爆者の方々の要望を基本に十分に話し合って、今後も充実改善に努めるべきだと思うのであります。この点、大臣から明確にこの基本的な考え方をお示し願いたい。 特に、石田原爆訴訟が去年判決がありましたが、この判決の中で私は非常に胸が打たれた部分があります。これを常に忘れないでほしいと思うんです。判決の中でこう言っているんですね。「被爆者を不安な健康状態に陥れたのは、直接的にはアメリカ軍による原子爆弾の投下であるとはいえ、」その次です、「それは、しょせん、わが国がその権限と責任において開始した戦争により招来されたものであり、被爆者個々人の責任によるものではない」ということをはっきり言っておるんです。そして、その次の部分で、「被爆者を援護し、救済していくことは、日本国政府の義務であり、その責任において行うべきものと考える余地は十分にあるものというべきである」と。そして、判決の結論のところですが、「被爆者が老齢化の一途をたどり、今後の生活における不安が懸念される現在、国においても被爆者の置かれている実態を把握し、対策の改善に努めることが要請されるとともに」「被爆者の立場を十分理解し、適切な指導、措置を講ずるよう配慮することが望まれる。」 大変引用に時間をかけて恐縮ですが、私はこの石田訴訟というものは数年にわたって原、被告双方の事実上、法律上の争点に関する攻防、この攻防の上に裁判官が練り上げた私は平和の一つの労作の論文だろうという気が実はするのであります。私は、こういう国の責任ということを自覚するかどうか、厚生省の行政はすべてそうなんでありますが、被爆者に対する対策は判決が出たからというのではなくて、この判決に書いてある個々人の責任でこういう惨禍をこうむったんじゃないという、くどいようですが、ここのところが一番基本に据えられなければならぬ。私は総論的な質問ですが、この点についての大臣の御自覚、御決意というものを伺っておきたいと思うんです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) いろいろな戦争被害というものは、判決に言われるまでもなくて、戦争を開始したというところから出ておるのがそれはそのとおりだと私は思います。しかしながら、戦争によって被害を受けた者は、もちろん被爆者もその一番の顕著な例でございますが、一般戦災者においても、やはり戦争によって死亡をされた数万の方がおるわけであって、現在もまた後遺症を残しておるような方もおることも事実でございます。したがいまして、政府といたしましては先ほど申し上げましたように、援護法等被爆者関係の二法、特別措置法、医療法等によりましてそれらの充実を図り、現在までできる限り範囲の拡大やらあるいは被爆者の認定等、むずかしい仕事を行ってまいったわけであります。年々、それらは充実をさしてきておるところでございます。今後とも、やはり被爆者の問題につきましては、その特異な状況、それは一般戦災者と違って、初めて放射能を浴びた、そういうような状態等を考えまして、一般の社会保障よりもまたさらに異なったところの二法の適用によって救済策を講じておるところでございます。今後とも、できる限りのことはやってまいる決意でございます。
○内藤功君 これは局長にお伺いしたい。 被爆者の方の三つ目の要求、つまり未来の平和の保証、決して広島、長崎の惨事を繰り返させないという平和の保証に関連してであります。 少し古い資料でありますが、日本学術会議が第五十回の総会の議を経て「原爆被災資料の散逸防止と収集保存について」と題する当時の佐藤さんですね、内閣総理大臣あての申し入れがございます。この中で、「戦後の混乱の中で、それに関連する貴重な学問的資料が多数失われただけではなく、それら資料の散逸を防止し、それを収集し正しく保存するに足る十分な措置がとられていなかたために、得がたい資料が刻々に失われつつある。」といたしまして、特に散逸の危険性の大きい資料として、被爆者手帳、これは書きかえた場合の古い方の被爆者手帳、それから被爆者のカルテ、この保存を特に具体的に要望しております。この疫学的な調査のため、その系統的な把握のやめに、各都道府県にこれは要請して保存させることが私は相当であろう、妥当であろうと思うわけでありますが、厚生省としてとられたいままでの御措置、今後どのようにこの点についての努力をなされるおつもりか、この点をお伺いしたい。
○政府委員(佐分利輝彦君) 昭和四十二年の朝永先生が学術会議の会長の時代の、ただいま御説明がございましたような勧告はよく承っております。 そこで、厚生省といたしましては、まず手近かな問題といたしまして、原爆の被爆者健康手帳の保存につきましてはへ通達を出して確保をいたしております。 また、ただいまも御指摘がございましたが、被爆者の各医療機関におけるカルテでございますが、これは一つには一人一人の被爆者のプライバシーの問題がございます。また一つには、医療機関もいろんな経営主体があるわけでございますから、医療機関でそのようなカルテをちゃんと保存をしておくということもなかなか大変なことでございます。したがって、広島、長崎、またそこの原爆病院、医師会、放影研、こういったものを中心にして保存に努めておりますが、全国各都道府県でカルテを全部保存しておるという状況にはございません。なお、同時に二十九年、広島市が実施した原爆被災者調査資料、こういったものの保存を要望しておりますが、これは市の方でいたしております。 最後に残りますのが、死亡届に添付されます死亡診断書でございますけれども、これは保存期間が二十七年ということでかなり長いわけでございます。医療カルテは五年でございますが、死亡診断書は二十七年。そこで、被爆後三十年になりますと、そろそろ問題が起こってまいりますので、この点につきましては法務省ともいろいろと相談をいたしたいと考えております。法務省が各都道府県に指示をいたしまして、その方針を決めるわけでございますが、多分、マイクロフィルムにおさめて保存をするというような方向に進むのではないかと考えております。
○内藤功君 被爆者の方は全国各都道府県に現在居住しておられるわけであります。指定医療機関もあることでありますから、私はぜひこの、プライバシーの問題はそれなりの配慮をすれば片づく問題でありますから、カルテについての保存という、この学術会議の要望に対してはできるだけ沿うように、厚生省から各都道府県に改めて要請されることが必要じゃないか、かように思うのですが、いかがでしょう。重ねてお聞きします。
○政府委員(佐分利輝彦君) 先ほども申し上げましたようなプライバシーの問題とか、あるいは各種医療機関の御都合とかむずかしい問題がございます。したがって、喜んで協力してくださるようなところでは保存をしておきたい。どこに保存するかというような問題も起こってまいるかと思うのでございますが、とにかくできるだけのことはいたしたいと存じますが、全医療機関に対して義務づけるといったようなことはなかなか困難であろうと考えております。
○内藤功君 次に、文部省に対してお伺いしたいと思うのです。 きょう来ていただきましたのは、広島大学の平和科学センター、この問題についてであります。被爆地の国立大学であります広島大学では、昭和四十九年の二月以来、学長がみずから学内の十三名の教職員の方を指名をされまして、この平和科学研究所、現在では平和科学センターと言っておりますが、再び広島、長崎の惨禍を繰り返さないための総合的な研究機関の設立を、全学的な検討を経て構想を立てられて、そうして文部省に対して昭和四十九年以降その設立認可あるいは財政上の各種の補助等の熱心なまじめな要望を出してきておられると私は聞いておりますが、これに対して従来文部省として、政府としてどのように対処をしてこられたのか、また、今後の御努力の方向についてはどういうふうになさるお考えであるか、この点をお伺いしたいと思います。
○説明員(齋藤諦淳君) 広島大学からは、昭和五十年度の予算要求からいま先生御指摘の平和科学研究センターを設けたいという、こういう予算要求があったわけでございます。なお、御案内のように、大学の場合には各学部、部局がたくさんございますので、いろんな要求の中の一つとしてそれが出てきておるわけでございます。文部省の方といたしましても、大学と十分御相談をいたしまして、昭和五十一年度にはとりあえず五百七十万円の予算措置を講じました。こういう国際関係の研究と申しますのは、あるいは社会科学の研究と申しますのは、その研究の基盤をできるだけ十分はぐくんで、その上でセンターに持っていくというのが通常でございまして、そういう立場で五十一年度は研究費を計上したと、こういう趣旨でございます。 なお、やはり中心となる人物が必要であるという、こういうようなことも考えまして、昭和五十二年度に、つまり本年度でございますが、大学の中の総合科学部にこの関係の専任の教授を一名配当して、その方が中心になって今後学内でいろんな研究並びに関係者の調整を行っていただきたい、こういうように予算措置をしておるわけでございます。 普通、こういう研究所なり研究センターを設ける際には、特に学術会議からも話があるわけでございますけれども、こういう学術会議からの話がある場合には、文部省といたしましては、内部の審議会の意見を聞きまして、その上で研究センターなりあるいは研究所を設けるという、そういう手続を通常踏んでおるわけでございますが、学術会議から研究所の設置についてまだ三十一も勧告を受けてそれが宿願になって残っておるという、こういう状況になっておりますが、まあそういう状況も勘案しながら、大学と十分御相談をして、今後ともこの研究センターのあり方については検討をしていきたい、予算措置も考慮していきたいと、こういう趣旨でございます。
○内藤功君 この平和研究というのは、日本の大学やあるいは研究機関では耳新しいように思われますが、実は第二次大戦後、世界の学問研究の大勢であると私は言っても過言ではないと思うんです。世界各国で一九六〇年代に入ってこの平和研究というのは急激な発展を見せております。ユネスコの一九七一年の調査によると、世界各国で直接間接に平和問題を研究課題としている研究所及び研究施設は百三十七カ所あると、この中でももっぱら平和問題を研究している研究所は三十五カ所あると、こう言われております。たとえば、スウェーデンのストックホルム国際平和研究所というところは、スウェーデン中立政策百五十周年という記念に当たって設立された、スウェーデンの外交政策に最もふさわしい国家的行事として設立された。この研究所はスウェーデンの議会によって監督されておる、こういうふうに私は聞いておるんですね。日本は唯一の被爆国であって、憲法に世界に類例のない平和条項を持つ国である。ところが、日本ではどうかというと、上智大学の国際関係研究所というところがございますが、これを除いて平和研究に専念する研究機関は置かれていない。この広島大学の平和科学センターというのは、人文、社会、自然、教育の諸科学の総力を結集した、いわば総合科学としての平和研究を発展させようという要望のように聞いております。私はやはり本法案の審議にあえて関連をしてこれを提起をしましたのは、この広島大学の試みておるようなこういう試みをぜひ認可する方向に努力をしてもらいたい。毎年の予算上のそれなりの御努力は私は評価をしますけれども、それだけではなくて、やっぱりこれをセンターとして日本の国家に一つぐらいこういうのがあっていいわけです。しかも、広島にあるということは一番私はいいと思う。 これは大臣にお聞きしたいが、所管外だから余り真っすぐ聞くわけにいかないが、こういう方向に持っていってもらいたい。そうして、認可までの間の教授の増員とか、資料収集費の増額ということはもちろんですが、とにかくこれを認める方向に持っていってもらいたい。大学審議会のことも私はよく知っておりますが、そういう努力を願いたい。 私は、学問の中で平和学、平和研究というのは一番大事な価値のあるものの一つであって、特に再び広島、長崎を繰り返さないという決意を国家が示すには、一番ふさわしい事業ではないかと実は思うわけなんであります。まあ大臣にはこれは釈迦に説法ですが、政府の行為によって再び戦争の惨禍を起さないように決意すると憲法に書いてあります。われわれは平和を維持し、国際社会で名誉ある地位を占めたいとも言っております。これにふさわしいやっぱり大きな仕事をしていく必要があると思う。まああなたは文部大臣じゃないから、はっきり私は答えを求めるのは無理かもしれないが、再度課長の方から、文部省の方からこの点についての今後——あなたは実務担当者ですから、文部省としての代表で来られているわけですから、これに取り組むお考え方、姿勢というものを伺いたい。できればその後、大臣に国務大臣としての意見があったらお聞かせ願いたいと思う。
○説明員(齋藤諦淳君) 文部省といたしましては、たとえば学術会議から研究所あるいは研究センターの設置についての勧告等を受けました場合には、先ほども申しましたように、学術審議会というところで学術研究の振興の全般的な立場からいろいろ勧告内容を御検討をいただいて、それで、財政状況等も勘案しながらその研究所等の設置の具体化を図っていっておると、こういう次第でございます。 それで、昭和二十五年以来、先ほども申しましたが、三十件以上も研究所の設置についての勧告がありながら、ずっと私どもとしても、ほかに二十数研究所は設けたわけでございますけれども、なお宿題として残っておる。で、それぞれの学会の方でもそれぞれ必要があってこのように勧告をされるわけでございますが、先生御指摘のように、平和科学は非常に重要なものではございますけれども、学術会議の勧告自体が昭和四十九年度でございました。そういうふうな意味で文部省としても、この勧告等を十分審議会にかけて、いま御指摘ございましたような趣旨をも勘案しつつ、内部で検討をさせていただきたい、このように考えておる次第でございます。
○国務大臣(渡辺美智雄君) まあ一つの考え方だと存じますが、直接私の所管事項でもないので、積極的な意見は差し控えさせていただきたいと存じます。
○内藤功君 まあ大臣にはきょう初めてお耳に入れたことですが、よくしかし内閣の一員として後でゆっくり考えていただきたい。こういう問題を閣内でも、やっぱり原爆被爆者に関係のある所管大臣ですから、御協力を願いたいということを申し上げておきたい。 そこで、先ほどから聞いておりますと、局長にお伺いしたいんですが、私は一つだけあなたの御答弁で、これは御意見が違うんでありますが、原爆投下の違法性の問題ですね。これはきょう私はあなたにこれで論争する気持ちはないけれども、当時の国際法違反ではないと、いとも簡単に言い切られておりますけれども、確かに原爆投下そのものを違法とする明文の条約はあの当時なかったけれども、いま原爆が国際法に違反して違法だと言われておりますのは、これは明文の条約ということで議論しているんじゃなくて、いわば慣習国際法、わが憲法の言葉で言えば、確立された国際法規といいますか、慣習国際法違反で議論されているわけですね。まああなたは、それを十分御承知でお答えになっていると思う。特に、防守せざる都市、無防備の都市を攻撃することの違法性ですね。これはもとになるヘーグの陸戦法規等もありますよ。それからもう一つは、いわゆる害敵手段として、戦争に際して不要な苦痛を非戦闘員に与える、不要な苦痛を与えるもの、非人道的な手段は許されない。昔は毒ガスがいけないと言われたですね。それから、細菌学的兵器はいけないと言われた。そういうものよりもっと残虐な兵器であるから、害敵手段として不要な苦痛を相手に与えるものだからいけないと。これは条文がなくても、戦時国際法の慣習国際法と言うべきもの、相手は防備していない都市だ、無防備の都市だ。害敵手段として不要な苦痛を与えるものだ。この二点がまさに原爆投下の国際法違反性として議論されているわけですから、私はまあ見解が違うのはいいと思いますよ。あなたは人道に反するということを言っているんですから、それはいいです。しかし、違法ではないということを、日本国政府の所管省の責任ある局長として、私はそう簡単に言い切っていくのは果たしてどうだろうかなあという気がしてならぬわけです。専門的な論争をここでするつもりはありませんがね。特に、裁判所の判決ですね。裁判所の判決でもこれ違法だという判決が下っておるんですからね。ですから、私は他の同僚委員に対して違法ではないと、こういとも簡単に言われましたが、ここは非常に問題のあるところなんです。私はこれであなたを法理的に説き伏せようという気持ちはありませんよ。ありませんが、そういう点どうなんですか。いとも簡単に違法ではないとおっしゃるのは。
○政府委員(佐分利輝彦君) この問題は先生の方が御専門でございますから、医者の私がとやかく言う筋合いのものではないと思うのでございますが、私がここで御答弁しておりますのは、その問題の所管でございます外務省の意見というのがございまして、これが政府の統一見解になっていると思うのでございます。また、先生だけでなく、非常に高名な国際法学者、国際政治学者の論文等も拝読いたしております。ただ、やはりこういった問題は、いろんな角度からの議論があると思うのでございますけれども、まず原爆被爆の場合に、あの原子爆弾そのものが違法なのか、あるいはああいった広島、長崎のような大都市を一挙に壊滅するということが違法なのか、二つの面があろうかと思うのでございます。そのほかに、無防備都市というような問題もございましょうし、それから何と申しますか、これは軍事施設だとかあるいは軍需工業施設ではないというような問題もあるのでございましょうけれども、何か私、昔読みましたアメリカの東京大空襲の報告書を見ますと、あの三月十日に、本所、深川の焼夷弾による大じゅうたん爆撃をやったのは、日本というのは大工場というのは少なくて、本所、深川のような家内工場のようなものがたくさんある。そういったところで軍需兵器の部品をつくっている、だからそれをやったんだというようなことを書いておったと思うのでございます。まあそういうふうな意味で、やはりこの問題はいろいろな角度からの御意見があるのじゃないかと思います。私どもは、心情的には全くけしからぬと思うのでございますが、政府の統一見解としては実定法上は国際法違反とは言い切れないということであろうと思います。
○内藤功君 いまあなたが言った本所、深川で軍需品をつくっているというだけでは、これは無防備都市ということを否定することにならぬのですね。本来の陸海軍の建造物、陸海軍の艦船、陸海軍の施設というもの、それが軍事目標になるというのが、まあ私も断定はここでしませんが、通常の理解だろうと思うのです。この点は、ただあなたが余りいとも簡単におっしゃるものですから、私は番外ですが、ひとつこれをぴしっと申し上げておきたいと思っていま申し上げたわけです。 次の質問に入ります。先ほどから、原爆被爆者の方の問題について、同僚議員から質問で問い詰められますと、とかく一般戦災者の方を引き合いにお出しになる論法が若干私は耳につくわけなんですが、前回私は遺族援護法の問題についてお聞きしたかったのですが、機会を得なかったので、いまこの問題に関連をして二点ほど聞いておきたい。援護局長にちょっと伺いたい。 一つは、衆議院の社労でも大分問題になっておりますが、この戦傷病者戦没者遺族等援護法の二条の三項三号にある、いわゆる国民義勇隊の問題について伺いたいと思うのです。太平洋戦争末期、本土決戦を呼号して国民義勇隊の組織をつくった、このいわゆる義勇隊員に対する援護法の適用件数ですね、この数字をまず伺いたい。
○政府委員(出原孝夫君) これまでの国民義勇隊員の処遇件数は約一万五百件でございます。そのうちの約六千件が国民義勇隊、学徒隊、いわゆる学生の方々でございます。
○内藤功君 もう一つ、私はずっといままでの議事録を見てわからないのは、この義勇隊の編成組織は、全国都道府県で組織されたかどうか。この点の調査はどうですか。
○政府委員(出原孝夫君) 私どもは、個々の都道府県の中での詳細については承知をいたしておりませんけれども、昭和二十年の六月ごろには、全国的におおむね編成されていたものだというように考えております。これは当時の新聞報道等によってそうであったろうというように考えられます。
○内藤功君 私もここに当時の新聞、「読売報知」ですね、昭和二十年七月三十日付の。それから、防衛研修所戦史室のつくった当時のいろいろな資料を持っておりますが、一つ伺いたいのは、この東京都において、すでに五月以降空襲で亡くなった方、けがされた方が非常な数に上るのですが、東京都においてこの義勇隊の組織編成はどのように、いつごろから行われていたか、この経過をお調べになっていますか。
○政府委員(出原孝夫君) 私どもも正確には承知をいたしておりませんが、国民義勇隊に関します閣議決定が昭和二十年の三月の二十三日でございます。全国的に組織がおおむね行われたというのが六月ごろであろうと。したがいまして、東京都等におきましても五、六月ごろにはおおむね編成をされていたんではなかろうかというように推測いたします。
○内藤功君 防衛研修所戦史室のつくった「戦史」というのがありますが、この「本土決戦準備」の「関東の防衛」というのを見ると、昭和二十年の六月八日に東京都の義勇隊の結成式が行われているという記事があります。これは当時の陸軍省兵務局におった課員がつくった資料ですから一番正確なものだと思うんですね。そうして六月の八日に結成されている。そうすると、六月の八日以降、東京都に対するいろんな空襲、焼夷弾攻撃というものが行われた中で、義勇隊員の人がかなり亡くなっておると、けがをされておるという事実は、私は調査をしてこれは突きとめるべき問題だろうと思うんですね。この点について、東京都のこの組織の状況について、いま私がこういう具体的なデータを出しましたが、非常にむずかしい調査であることは私はわかります。しかし、原子爆弾の被害者の方、また一般戦災者の方、一人たりともあいまいなことは残さずに、次の世代にいく前に調べ上げなければならぬと思うんですね。私は非常にあなた方に無理難題吹っかけているようにお聞きになるかもしれぬが、特に東京都、原子爆弾に次いで一般戦災者として一番被害の多かった東京都について、どういうふうないままで国民義勇隊関係の調査をされてきたか。また、これはもう杏としてこれ以上行方のわからぬものなのかどうか、そこらあたりの点をきょう聞いておきたいと思うんです。
○政府委員(出原孝夫君) 現在まで私ども承知しています以上に実情を把握することは、非常に困難であろうというように考えられます。具体的に国民義勇隊の関係で援護法の適用を得たいというケースが出てまいりましたら、これはそのケースに即応した調査は十分しなければならないというように考えておりますけれども、全体的にどう動いており、しかもそれが軍関係の業務にどのように従事しておられたかということについての把握は、現段階ではもうすでに困難であろうというように考えられます。
○内藤功君 当時の新聞とか文献、これも一生懸命集めれば出てくる問題でありますし、なお私もいろいろこれは今後具体的なものを出したいと思っておりますけれども、厚生省の方でも、援護局の方でも真剣にやはり取り組んでいただくことを要求したいと思うんです。 そこで次が、こういう義勇隊に組織されていないが、この大戦中に、たとえば町内をパトロールしていた、それから空爆に対する避難を誘導したり指示しておった、それから空襲による火災の消火に従事しておった、あるいは負傷者の救護救出に従事しておったと、こういう義勇隊にも属していない純然たる民間人ですね。ある人は在郷軍人会の役員であったり、ある人は消防団の班長であったりというような人たちについて、どういうふうに措置をとるか。これは先日、同僚の片山議員がここで援護法の議員立法の提案説明をされた。私も共同提案者の一人として重大な関心を持っているわけです。 私、ここに持ってきたのは「戦争の語り部として」という戦災傷害者の方の手記であります。七十二名の方の手記が載っております。これは全国におられるいろんな空襲被害者の手記であります。たとえば、昭和二十年三年十日の空襲で、在郷軍人として町内パトロール中、避難を指示している間に焼夷弾を直撃された方、「これが自分の顔なのか」と、文章そのままで読ませていただきますが、「お化けそのままであった。」というふうに書いています。五月二十四日の東京空襲でやはり夜警の当番、十九歳の青年であった。避難を手伝って消火に当たっていた。左手首と、右手の指三本を失った。「戦争さえ、国が起こさなかったら、こんな悲しい毎日はなかったであろうに。」と思っている。「軍人、軍属の方々と同じ、またはそれ以上に傷害を受けた民間人がどれだけ数多く苦しんでいるでしょうか。」「戦地で銃をもって戦った軍人と、われわれバケツをもって敵と戦った者とが、戦後三十年たった現在まで、なお区別されているとは全く日本は情けない」という、切々たる手記であります。私はこの例を申し上げたのは、いわゆる軍の要請による戦闘参加者と解釈する、あるいはそれを拡大解釈をする余地はないかどうか。現に、先日も小笠原委員がここで質問しておりましたが、沖繩県ではごうを提供したとか、食糧を提供したということで、これは戦闘参加者という解釈をされている。あの沖繩ではまさにその解釈が妥当であります。本土ではどうか、本土ではやはり逃げ道のない東京などの大都会では、周辺を焼夷弾でもって囲まれて、そして焼き殺されておった人がたくさんおるわけなんですね。これは私はやはり援護法の解釈ですが、要請により戦闘に参加をした者という解釈を私は拡大する余地は法律的に決して無理ではないんじゃないかと思うのです。こういうような運用の面でどういうふうにお考えになるか、あるいはそれはとても解釈上は無理であるというのか、検討の余地があるというのか、この点をちょっとお聞かせ願いたいと思う。
○政府委員(出原孝夫君) すでに先生御指摘のように、援護法による援護は、国と一定の身分関係のあった者に対して使用者としての国が国家補償として行うものでございます。で、その基本にほぼ類似している者をさらに包括するということでございまして、防空活動をとってみましても国民義勇隊員のほか、防空監視隊員でございますとか、医療従事者、警防団員等、地方長官の命によって身分を拘束され、公共防空に従事した者に限られるということになるわけでございます。したがいまして、これ以外の消火活動、いわゆる民間の自衛防空等の活動に従事をされた応急の防空協力者でございますとか、隣組の活動者については、このような国との身分関係あるいは活動内容等から見て、すでに処遇されております防空従事者とは性格を異にしておりますので、援護法の対象にすることは困難でございます。
○内藤功君 私は一つ提言をしたいんです。それは戦時中の法律である防空法の一条というのを見ますと、「防空ト構スルハ」「陸海軍以外ノ者ノ行フ」「防火、」「避難、救護」「ヲ謂フ」という条文があるのですよ。これはここでいう防空というのは、軍隊の行わない、軍隊以外の者という前提があって、しかも防火、避難、救護というものがいわゆる防空の中に入れられているのですね。ですから、いまあなたはいみじくも国と使用関係またはこれに準ずる関係にあった者というゆとりのある解釈を示された。私はここが一つ、解釈の、言葉は適当でないが突破口になり得ると思う。これは戦時中の法律ですよ。こういう理解をして完全に組み込まれておる、軍ないし国の関係に組み込まれておるのですね。私はこういう解釈は決して無理だとは思わないんですがね、考え方、どうです。
○政府委員(出原孝夫君) 防空に従事をされた方におきましても、先ほど申し上げましたように、防空監視隊員でございますとか警防団員等、要するに身分的に従事令書を受ける、その他の拘束を受け、しかも許可なくそれを離れる場合にはそれに伴う罰則が伴うというような方々につきましては、当然、援護法の対象にいたすということでございまして、一般の方々につきましてはそういった拘束は加えられておりませんので、そういった意味におきまして援護法の適用は困難であるというように申し上げたわけでございます。
○内藤功君 細かい議論になりましたが、防空法の中には義務違反に対する罰則があるわけですよ。まさにあなたの言われた罰則があればいいと、これは消火の義務違反に対する罰則がちゃんと規定されています、これは御存じだと思いますが。私はそういう罰則があるから、ないからという議論は余りしたくない。物の考え方はもっと大きく、これに適用していいかどうかということで出てくるんですから。あるからどう、ないからどうという議論はこれ以上ここではしませんけれども、私はそういう要望をしておきたい。もし、どうしてもこれが現行法の解釈でできないというなら、これは無理はできない、新しい立法を御検討願うしかないと思うんです。 最後に厚生大臣、ずっと聞いておられて、原爆被爆者の問題をずっとお尋ねをしていって、そこでいろいろ一般の戦災者の方のお話をなさるものですから、私はやっぱり一般戦災者の方の問題としても大事だとこれを提起しているわけですね。今度の、先日成立した戦傷病者戦没者遺族等援護法の附帯決議でもこういうふうに書いてありますね。第五項、「一般戦災者に対し、戦時災害によって身体に障害を受けた者及び死亡した者に関する実態調査の実施につき努力すること。」、私はやっぱりこの面での実態調査は、いま言ったような観点から非常に大事だと思う。そうして、どうしてもいまの法律で拡張解釈ができないんであれば、新しい立法を検討していくしかないと思う。私ども、社会党さん、公明党さんと一緒に議員立法出していますが、これをひとつ前向きにまじめに検討してもらいたい、一致できるところから法律にしていきたいと私は思うんですよ、この点いかがでしょう。
○国務大臣(渡辺美智雄君) この一般戦災者の問題については、前に一度実態調査をしようというようなことを試みたことがあるようでございますが、なかなか一部のところからの反対等があって、特に大都市などにおいては実現をしなかったというように私は聞いております。そういうような実務上の非常にむずかしい問題が一つあるようでございます。年限も三十年からこれたってしまったわけですから、そこで法律をつくるということになれば、仮にわかった人だけというわけになかなかいかぬだろう。やっぱり国民全体の問題というようなこと等もあって非常に事務的にもむずかしいということを聞いておりますが、何か検討の余地はないかということで、検討をすることにしておるわけでございます。
○内藤功君 積極的な検討を強くお願いいたしまして、私の質問を終わります。 —————————————
○田中寿美子君 厚生大臣、先ほど公衆浴場法の一部を改正する法律案の提案をいたしました。これは参議院の野党各党、各派共同の提案のものでございまして、昨年の五月二十日、第七十七国会の終わりに提案したものでございます。それで継続審議になったものなんでございますが、衆議院の解散で廃案になりました。きょう提案いたしましたのは、きょうは厚生大臣、くしくも売春防止法というのが、御存じですか、昭和三十一年の五月の二十四日に公布されました。ちょうどきょうはそれから二十一年目に当たります。私、今回のこの会期末になってこの法案を提案しても、参議院の半数が改選になりますから、だからこれはやっぱり慣例として廃案になるのだということを知りました。私は継続にできるかと思っておりましたら、慣例として廃案になるということですので。廃案になるにもかかわらず提案をいたしましたのは、やっぱり私ども発議者、これは野党全部でございます、それから二院クラブも含めております。並びにこのトルコぶろによる売春が、売防法ができて二十一年もたっていてもまた改めて赤線地域のような状況になってきているということに対して、これを何とかして防ぐために運動を続けてきた者、婦人団体がたくさん一緒になって取り組んできておりますが、そういうものも決してあきらめないと、今後も執拗にこれをやっていこうという意思をはっきりさせるために今回また提案したわけでございます。 厚生省の環境衛生局長は、きょう厚生大臣が一日中出て大変お疲れだから、なるべく自分が答弁したいというようなことを前もっておっしゃっているので、私はそれは渡辺厚生大臣ぐらい体力のあるお方が、そしてこれはやるかやらないかの意思がはっきりすれば答えられるような問題でございますので、そんなに政府委員に頼らないでいただきたいと思います。 この前の早川厚生大臣にも一応御質問申し上げたので、そのとき相当詳しくやったんですけれども、厚生大臣はこの間参議院の予算委員会の分科会で、わが党の粕谷議員に対しても答えていらっしゃいますよね。それで、そのお答えの中で、これはよく環境衛生局長の指導が行き届いていて、衛生立法としてなじまない、なじまないという言葉をずっと使っていらっしゃいます。毎度厚生大臣はそういう言葉をお使いになりますけれども、そのときに最後に、自分は文部省、厚生省あるいは自治省その他に諮って、解決に向かって閣僚の一人として何とか社会的な弊害のないような形にもっていく工夫を研究しますとおっしゃっておりますがね、どんなことを研究し、そして実行なさってきたでしょうか、まず最初にお伺いしたいんです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 実は、粕谷さんのお話のあったときに、私はトルコぶろを禁止をすれば売春がなくなるんじゃないかと思って簡単にひとつお引き受けしようかと実は思ったんですよ。しかし、いろいろ勉強してみますと、なかなかそう簡単でないということがわかってきたわけです。したがいまして、この答弁の中では、これはかなりわかってから答弁をしていますからね、実際問題としてすぐにそこで売春が行われるという問題について、トルコぶろを廃止すると。問題は、皆さんの案も私検討してみました。個室で異性の客に接する役務を提供させないようにしたらどうだということになりますと、これはその役務の問題それ自体は厚生省の所管外だということもわかりました。それから、仮に個室で異性の役務提供をいかぬということになりますと、それじゃホテルとか旅館とかそういうようなものに出向いてマッサージをするとかあんまをするとか、そういう職業の方も厚生省のこれは所管なんです。これは医務局所管ですがね。そういうのもそれじゃいかぬのかというような問題ともこれは横並びの話になるし、したがって、厚生省としてはなかなか異性がマッサージなりあるいは背中を流すなりそういうようなものをやるものは公衆浴場法として認めないということは、どうも法律上いろいろな関連性の問題があって、そこまでは厚生省が立ち入るものではないんじゃないかという結論なんです。そして、そのときに検討しますと申し上げましたのは、これはまあ問題はそういうところに一万円か一万五千円か幾らか知りませんがね、金を出して行く人があるわけですから、行く人がなければそういうものは繁盛しないわけですからね。何でそういうところに行く人が多いのかということは、むしろ厚生省の問題というよりもこれは社会教育の問題ではないのか。したがって、そういうような行かなくても済むようなことを何か別なことで考えることの方が早道ではないだろうか、こういうように思っておるわけであります。文部大臣にも私は、予算委員会でも実はこういうような話なんだが、こいつは厚生省の所管だと言って責められてもちょっと困る、何か社会教育、性教育というか何教育か知らぬが、ともかくそういうような風潮をつくらないこと。それからもう一つは、そういう現実の問題として行き過ぎがあるんですから、それは売春防止法というものがあって、そいつの取り締まりをろくにしないで、そのしりを厚生大臣のところに持ってこられても私も困ることなんで、これは警察庁の方でそういうような管理売春なりあるいは別の売春の実態があるならば、それは警察の方で取り締まってもらいたい、こういうことを私はこれからも主張をしていくつもりであります。
○田中寿美子君 厚生大臣ね、トルコぶろを禁止したら売春が全部なくなるなんて、そんな単純なことをだれも言ってはいないわけなんです。 それでは、特にいま個室付浴場業、つまり公衆浴場法の中で許可を与えられている個室付浴場業、その中のトルコぶろですね、そしてそれが異性の役務を提供するということがあって、そこに事実上売春が行われているということ。しかも、それは単に売春が行われているというだけじゃなくて、管理売春が行われつつあると、事実上の。かつての赤線地域と同じように、業者がそこにトルコ嬢を置いて、そして部屋を貸しているような形式をとりながら、事実上そこに来る客に入浴料を払わした後、女の人から石けん代だとかそれからコーラを飲ませるコーラ代だとかジュークボックスの代だとか、全部合わせてその女の人がもらうサービス料よりはるかにたくさん渡してしまわなければならないような形にしておいて、そして事実上個室の中ですから売春が行われるような、つまりこれはよくお聞きになるとわかると思いますけれども、本番だとかフルコースだとかいって七千円だの一万円だのというのを客から取って、そしてそれを収入にしなければやっていけないような状況にしている。その中からさらにピンハネをしたり、それから休んだら罰金を五千円もかけたりする、これは事実たくさん挙がっておるわけですよね。そういう状況があるので、だから厚生省の所管で公衆浴場法で許可を与えているのをやめてくださいと言っていることなんですね。自分らとまるで関係のないことだということにはなっておらないんです。それをちょっとよくまだ御承知ないように私は思うんですけれどね。 公衆浴場法改正案の私どもの趣旨は、これは私たちもたとえば警察の取り締まりということで風俗営業法の四条の四の中に入ってきたものですから、これでは四十一年の改正でそうなったんですけれども、もっともっとこれを強化しろという意見もあった。だけれども、その風営法の四条の四というのは地域規制、一定の地域でしか個室付浴場業、トルコぶろを置いてはいけないという規制ですね、そういうふうな規制をしました結果、かえってほかのところには行かないかわりに、一定の地域に集中していく。これはかつての吉原だとか洲崎だとかという状況と同じようなことが現実に実現してきている。だから、そういうような業者を、業に対する許可権を持っているのが厚生省なんだから、その許可をしないようにしなさいという法律なんでございます。ですから、自分たちとまるで関係のないものではないということをまず認識していただきたいと思うのですけれども、いかがですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは厚生省といたしましては、ホテルとか旅館とか料理店とか、そういうようなものについてもその監督権があるわけなんですよ、厚生省は。仮に、私はまあ素人ですから法律上のことはよくわかりませんけれども、その異性が個室に入ってくることがいかぬというようなことになりますと、それじゃホテルで部屋を貸しておいて、そこに男の人がおって、それでまあうら若きマッサージの女性が来てはやっぱりいかぬということになるのか……
○田中寿美子君 いや、それはすりかえですよ。
○国務大臣(渡辺美智雄君) いやいや、それはそこまでやっぱり禁止をするということになれば、片っ方はいかぬと禁止するわけですから、だから片っ方の方はそれじゃ仮にトルコぶろにいた女性が今度はマッサージとか何かに化けて行ったというような場合には、やはりそれもどういうふうに取り締まるのかという問題につながってくる。そこで、われわれとしては現実の問題として、こういうふうな個室を設けて男女が裸でいるということになれば、そこには売春行為が行われやすいという状態にあるということは認めます、これは。認めますが、事実上そこで売春が、まああなたのおっしゃったように管理売春が行われて、ジュークボックスで金を取ったとか、やれ石けん代だとか何だとか、私よく知りませんけれどもね、そういう事実がはっきりしているということになれば当然風俗営業法なりあるいはまた売春防止法違反、はっきりした売春防止法違反なんですから、そういう事実関係がはっきりわかるんならば、まず厚生省がする前に、そういうふうな国会からの御指摘もあるんですから、警察の方がそういう事実関係が提示されていて売春防止法を適用しないでぶん投げておくんだということの方がむしろおかしいではないかと私は思うんです。
○田中寿美子君 売春防止法が実際に適用が非常にしにくいという問題、やれていないという現実があるから、だから私たちもこれだけで直るなんて全然思っていないけれども、それからさっきホテルに自分で部屋を借りてそこにだれかが来て云云、これは性質が違いますよ。業者が幾部屋も個室を置いておいて、そしてそこに女を事実上雇っている、これは労働省が雇用関係を認めておりますからね。で、業者に聞けば、いや雇用関係ありません、彼女たち勝手にやっているんですという言い逃れをするけれども、事実上雇用関係があるんですよね。そうやって女を置いて、自分たちのトルコぶろの上の方の部屋に置屋のように女を住まわせている家もたくさんありますよ。そんなにして働かして、そこからピンはねしている。さらにもっと悪いのは、それにひもがついたり暴力団がついている。大部分これは警察がよく知っていますから、もう私はそんなに時間をそのために使いたくはありませんけれども、そういうたくさんの犯罪が行われていて、そしてかつてやっていたように業者が女性の肉体を商品として売らせることでもうけるということがよくないから、だからそういうようなものを、公衆浴場という観念とは違いますでしょう。公衆浴場というのは不特定多数の人に浴場を提供することなんですね。それを売春が事実上行われていると、これはもうみんなだれでも知っておることなんですね。ですから、そういうものを許可するのをやめてはいかがですかと言っていることで、至極私はそれはそんなにむずかしい問題ではないと思うのですがね。もうそれで繰り返して同じことを言ってもしようがないんですが、厚生省の言い分は、衛生立法だからこれなじまないとおっしゃるけれども、しかし、公衆浴場法第三条の解釈、第三条でこういうふうに言っているわけですよ。これはもう私、何度も繰り返すんですけど、公衆浴場について講ずべき措置というのが第三条にあるんですね。そして、それに「浴場業を営む者は、公衆浴場について、換気、採光、照明、保温及び清潔その他入浴者の衛生及び風紀に必要な措置を講じなければならない。」、「風紀に必要な措置を講じなければならない。」とちゃんと入っているわけです。これを何回かお尋ねすると、環境衛生局長は、その風紀とは男女混浴のことであると、こうおっしゃる。昭和二十三年当時、そういう通達が出ているわけですね。ところが、もう男女混浴というものはだんだん非常に少なくなった、まあいまでも温泉場はありますけどね。そんなんじゃなくて、事実上社会の変化の中でトルコぶろが前に赤線の業者であった人たちの逃げ込む場所に事実上なっているわけです。たとえば吉原の角海老という有名な赤線のお店は、いま吉原にも持っているし、千葉県の栄町にも持っているし、あちこちにチェーンのようにトルコぶろを経営しているわけですよ。そして、そこに女を置いて、だから前のやり方を使いながら、法にひっかからないように、まるでそこにはただ部屋を貸して、勝手に女たちがやっているという形で使わしているけれども、事実上管理売春の状況にあるということはだれでも知っているわけなんですね。だから、風紀に必要な措置を講じるという、その風紀というものの考え方を昭和二十三年当時じゃなくて、トルコぶろが管理売春をどんどんやるようになってきたのがもう四十年以降ですから、その状況に合わせて風紀というものの拡大解釈をして、そして、そのような風紀上問題になるような業態は公衆浴場として許可をしないということをするべきだというのが私たちの主張でございます。それいかがですか。
○政府委員(松浦十四郎君) ただいま先生お話しのとおり、この法律ができた当時の考え方としては、確かにここの風紀というのは男女混浴を禁止することであると、それからまたこれは警察的取り締まりを意味するものではないと、こういうふうな次官の通達が出ておりました。ところが、先生おっしゃいますように、だんだん時代が変わってまいりまして、少しおかしなことになってきたということから、昭和三十九年に環境衛生局長の通達を出しまして、そして営業者が従業者に風紀を乱すおそれのある服装をしてはならないとか、あるいは風紀を乱すおそれのある行為を行わせてはならない、あるいは個室内に風紀を乱すおそれのある文書だとか絵だとかポスターなどを掲げてならぬ、さらに外から個室が見えるようにしろと、あるいはかぎがかからないようにしろということで通達を出して指導してきたわけでございます。ただ、最初に申し上げましたように、この法律は、そもそも私どもが所管しておりますというのは、あくまでも水がきれいだとか空気が汚いようにならないようにと、こういうことの衛生立法が目的でございますので、ただいま申し上げましたその風紀の範囲を広げた三十九年の通達というのは、ある意味では私どもとしては実際に行うべき分野を少し踏み出しているんじゃないかというぐらいの気持ちで出した通達でございます。現実に、先生おっしゃいますようにどこまで守られているかということでございますが、それが守られれば問題はないわけでございますが、形の上ではある程度は守られていると思いますが、しかしそれが先生おっしゃるような売春が行われているのを本当にとめておるのかということになれば、これが必ずしもとまってないということも事実かと思います。それは裏返せば、衛生立法の範疇の中でやれる範囲はここまでが限度であるということを示しておるのだと、私どもは考えております。もちろん、都道府県の吏員は一生懸命やっておりますが、これはあくまでも医師、薬剤師、獣医師といったそういった環境の衛生上の観点からの監視をいたす専門職でございますので、その職員にこれ以上のことをいうことはどうしても監視ができないということでございますので、いわば私どもの力のもう外の問題であると、こういうふうに私どもは考えております。
○田中寿美子君 それですから、その厚生省の及ぶ範囲の外の問題になるような施設をなぜ許可をするのかということを私ども言っているわけですね。その三十九年の省令のいまの必要な措置というのは、風紀上必要な措置というのの拡大解釈ですね。それ以後、さらにやっぱりそれによって各都道府県の知事が条例をつくって相当規制をしている。しかし、それは形式上の構造上の規制なんですよね、いまおっしゃった窓を大きくするとか、外から見えるようにするとか、かぎをかけられないようにするとかという。そういうようなことで、実際には全然それがあんまり役に立たない実情にあるというのは、これは警察の人に聞けばよくわかることなんですね。それで、だから自分たちの及ばないところまでのものに、厚生省のお墨つきで許していること自体が問題なんだから、そこのところを今後は許可をしないようにしたらどうですかというのが今度の私どもの改正案でございます。もちろん、それだけじゃなくて、私たちは風営法を強化することも考えてみたこともあります。しかし、これは警察の人が、例の有名な滋賀県の雄琴に社労の委員の人たちが調査に行きましたけども、そのときに滋賀県当局が、もう自分たちは条例で幾ら規制しても規制しても、たとえば一定の地域規制をしたけれども、あんまりあそこはひどくなるもので、有名になっておりますからね、もうあそこは赤線地域と同じだと。そこでさらに地域を狭めたと。狭めたらなおもう今度はそこのところに集中してかえって数がふえているでしょう、業者が。だから、それを許可するということをしなければ、あなた方は自分らの手に及ばないことまで監督する必要がなくなるんじゃありませんか。これは渡辺厚生大臣も、この前の粕谷さんへのお答えに、厚生省の役人というのは皆やさ男で気が弱いから、(笑声)とても暴力団やひものいるところになんかよう行きませんというふうにおっしゃて、だから暴力団やひもがおって、女たちを強制的にあるいは強迫して、あるいは困惑させてそういうことをさせることによってしぼり取っているようなことを、業態をやらせないためにまず許可をやめてくださいと。それからもう一方、私は売春防止法による警察のもっとちゃんとした取り締まりが必要だと。その両方がなければならないと思うんです。ただ風営法を強化するということですと、滋賀県での話でも、ひどくなっていくと、警察がはっきりと売春の状態をつかんで立証するためには担保が必要だと、それを担保するものというのは臨検だと。ところが臨検なんということは、これは本当に人権じゅうりんで、戦前のようなやり方ですから、そういうふうな方向に行っては困るわけですから、いろいろなやり方でやらなけりゃいけないという点は私も認めます、さっき大臣がおっしゃったように。しかし、まず一番ひどい管理売春がはっきりと行われているということがわかるトルコぶろに関して厚生省が許可することをやめよということなんです。それは法律として非常に簡単なことで、やる意思があるかないかの問題なんですね。なぜ、そんなに自分たちが衛生立法だからなじみませんというふうにおっしゃって、そうしておいて、それじゃ売防法を強化する気だというふうなことをおっしゃるなら、売防法を強化する手段はどうなのかということになってくると、どこの省もみんなどこもちゃんと責任をとるところがないという状況なんですよね。だから、一つ一つやっていかなきゃいけないんであって、さっきおっしゃったホテル云々のことはこれはちょっともう次元が違います。ですから、それはそれでまた別の問題ですから。いま言っているのはだれでも知っているところのトルコにおける売春の、しかも実は本人の自由意思でそこのところへ行って経営しているんじゃないですよ。渡辺厚生大臣が粕谷さんの質問への答弁のときに、統計によると経済的理由じゃなくて、自分の自由意思で四十何%がやっているんで、経済的理由じゃないというようなことをおっしゃっておりますが、あれは一体何の統計ですか。
○政府委員(曽根田郁夫君) これは毎年五月一日現在で、各都道府県から婦人相談所における取り扱い事例、これの報告を受けておりまして、それの資料に基づく数字でございます。
○田中寿美子君 私の方が手に入れている資料では、やっぱり婦人相談員が取り扱ったケースあるいは日弁連からの調査の結果によりますと、七一%が経済的理由、もちろん自分の意思もありますよ。自分の意思というのと経済的理由というのは相矛盾するものじゃありません。いまは三十万円も四十万円もの収入になる、あるいは多い人は五十万円もの収入になるというなら、これは女性にとっては自分から選ぶ、そういう場所があるんだから選びやすいということがありますからね。だけれども、それはやっぱり経済的な理由と重なっているわけで、だから経済的な理由が七一%で、興味のためになんというのはほんの九%しかない。これは日弁連の調査です。大抵自分の生活費並びに家計への補助のためというのが大部分で、そしてあとは六一%もひもがついてるんですよね。ひもって、まるで夫婦のようにして一緒に住んでいながら、その女性のかせぐもので暮らしているという実態があるわけですよ。ですから、喜んで女の人があそこに行くから悪いんだという考え方は、これはもうやめていただかなければいけない。ああいう場所があるから、そこで女はかせげるので行く。ただし、六カ月から二年の間にみんなやめてしまいますよ。それはとてもやり切れないから。長続きしていないということは、そこの仕事がどんなにむちゃなことであるかということを、もう私は大抵男の方は知っていらっしゃるから説明しませんけれども、テレビなんかでもときどき放映しておりますので、皆さんこっそり見ていらっしゃるんじゃないかと思うから言う必要もないけれども、トルコぶろというのはああいうところだというのはみんな知っているわけですね。ですから、そういうものを許可しないようにと言っているんであって、これはもう環境衛生局長がぴしっとあれは衛生法だからなじみませんというふうに答えることに決めていらっしゃるので、私は同じことの繰り返しでお聞きはいたしません。それで、私たちがこういうことを最初は風営法の方をやってみたり、案をつくってみたり、それから単独でトルコぶろの禁止法案をつくってみたりしました。だけれども、最終的にまず公衆浴場法の一部改正で、許可のところでとめてもらうということが、実際に警察の方でやっているときにどんどん許可されていったんじゃ、これはふえているわけですよ。警察の人に数を聞きたいと思いますけれども、最近やっぱりトルコぶろはふえているか、それと売春事犯ですね、どういうことになっておりますか。
○説明員(長岡茂君) トルコぶろの営業の数でございますが、私どもが調査をしたところによりますと、昨年十二月末現在で全国に千三百十六軒ございます。これを一年前と比べますと七十七営業所の増加というふうになっております。ですから、まあふえておるということでございます。 それから、売春の状況でございますが、昨年、昭和五十一年中の検挙状況でございますが、営業所の数で九十五営業所を検挙をしております。これは全国のトルコぶろ千三百十六営業所のうちの七・二%に当たるということでございます。ちなみに、前年、昭和五十年と比べますと、五十年が七十八営業所でございましたので、十七営業所ほど増加いたしておるという状況でございます。
○田中寿美子君 警察の方ね、その検挙されたときのその理由といいますか、根拠は。
○説明員(長岡茂君) これは売春防止法違反でございます。
○田中寿美子君 もう少し説明して、その実態を、どういうふうに把握なさっているか。 〔理事浜本万三君退席、理事佐々木満君着席〕
○説明員(長岡茂君) 営業所の数では、昨年一年間に九十五営業所を検挙したということでございますが、検挙の件数から申しますと千二百五十九件、人員で二百七十九名ということでございます。これは売春防止法関係の違反でございますが、違反の形態といたしましては、一番多いのが場所提供ということでございます。それ以外に管理売春等がございますけれども、その詳細はちょっといま手元に持っておりませんので、ちょっとお答えしかねる状態でございます。
○田中寿美子君 大事なことをお答えにならないので困るんですがね。どういう状況だったからその売春防止法違反でつかまったか。つまり、警察の人からすればなかなか売防法でつかまえにくいということをいつもおっしゃるから、だから私どもは何とかこれはいろいろな方法をとらなければいけないと考えているわけなんで、だから厚生大臣ね、その許可するという入口のところでとめていただきたいと、警察はそれを望んでいるということを、しばしばこれまで私ども何回も何回も法案の試案をつくったときに言っていられるわけなんです。そして、警察は警察でやるべきことをやらなければいけないと思うし、まあ法務省だとかさっきおっしゃった文部省だって必要なことをやっておりませんです。労働省もするべきことをやっておらないという問題があると思うんですけれどもね。それで、私たちが特に公衆浴場法の方でやろうというふうに考えましたのは、国際婦人年のメキシコ会議のときに決議、宣言が行われた。それは人権の立場から肉体の不可侵ということを宣言しているわけですよね。そして、肉体を商品化するようなことは一切やめなければいけないということを婦人たちが申し合わせをし、そしてそれは福祉の問題として取り上げているわけですね。だから、女性の人権を守るということを、女性の福祉を守っていくという立場から、私たちはやっぱり厚生省の法律でまずやりましょうということを考えているわけなんです。そして、参議院の法制局が十分これ協力して、法律として成り立つということでちゃんと法案をつくってくれたんですからね。ですから、厚生省ががんこに自分たちの衛生立法になじまないと言っていること自体、私は考え直してもらわなければならない。衛生立法でなじまない業態を許可することがおかしいというその矛盾にぜひ気がついていただかなければならないと思いますが、これはどこまでも水かけ論になっていきますからきょうはその論議はやめて、そこで、トルコぶろ業者がいるわけなんですね。その業者の組織について厚生省はどのように把握をしていらっしゃいますか。
○政府委員(松浦十四郎君) トルコぶろ営業の業界の団体としまして、任意団体として全日本特殊浴場協会連合会というのがございまして、これがかなりの都道府県に支部を設けているということは聞いておりますが、その会員数あるいは組織等については私ども存じておりません。
○田中寿美子君 厚生省にその業界の、業者の団体が陳情に行っていると思いますけれども、どういうことを陳情に行きましたですか。 〔理事佐々木満君退席、理事浜本万三君着席〕
○政府委員(松浦十四郎君) 厚生省にそういう業界の方が来たということは存じておりますが、そのときに陳情といったようなことは聞いておりません。
○田中寿美子君 去年、ちょうど私どもが公衆浴場法の一部改正法案を提出した後、これは継続審議になったというので、——自民党の方は反対でしたけれども継続審議になった。そしたら、その後業界が非常に動いておりました。私ども婦人議員のところには全部回ってきて、ものすごい分厚いアルバムを持ってきましたが、厚生省にも持ってきたんじゃないですか。
○政府委員(松浦十四郎君) その分厚いアルバムというのは確かに私どもの方へ届けられておりますが、それに伴いまして先ほど先生おっしゃいましたような、こうしてくれああしてくれといったような陳情は全然受けておりません。
○田中寿美子君 それはおかしいですね。黙って持っていくという手はないんで、私はちょうどおらなかったけれども、これは共産党の小笠原議員なんていうのは執拗に説明されてもう弱ったとおっしゃっておりましたがね。分厚いあんなのは大変なお金かかっているが、みんなの議員のところに持っていき、婦人団体にも持っていっているわけです。それは性病のものすごい汚い写真がいっぱいあって、自分のところはこういうものを娘たち、トルコ嬢に見せて教育しているから大丈夫だと。一体何でそんな性病教育をしなきゃならないんですか。それは売春をやらしている証拠だと思いますね。ですから、そういうものを持って厚生省に行って黙って置いてくる手はないはずだと思いますし、入っておる情報によりますと、何回か緊急集会を開いたりしている。そして、衆議院選挙の前には資金集めをしているんですね。そういうことをやっている。厚生大臣、かつて売春防止法が三十一年に制定されます前の数年間、私は労働省におってその売春防止法制定の下作業をいたしました。その当時の業者の動きというのはものすごいものだったんですよ。大きな業者組織がありました。全国に何万という業者がおったわけですから。その業者の人たちに私は各地回って説得して歩いたわけです。もういまや赤線を国家が認めるような業態というものはやめなきゃならないんだと、だから転業しなけりゃいけない時期に来ているということでずうっと回ったことがありますけど、あの当時の業者の巻き返しというのはすごかったんです。それで例の売春汚職というのがあったんですがね、御存じでしょうか。——御存じですか。あのときはついに国会議員三人が起訴されましたよ。つまり、売春防止法が通らないために努力をして業界から献金を受け取ったわけなんです。そのとき起訴された国会議員というのは、眞鍋儀十、推名隆、首藤新八という、こういう人たちだったわけですね。だけど、調べられた人は三十人もいたし、もっともっとたくさんの人が関係していたわけです。私はこの業界が資金集めをして、そしてトルコ嬢が、これは市川議員のところなんかにやってきて話をしておりますところによりますと、業界が資金集めをするときにはトルコ嬢からも集めるんだそうです。ですから、そのようなものを受け取ったことがないかどうかということを、売春問題と取り組む会がアンケートを出したわけなんです。自民党の議員さんにはみんな出したから大臣もお受け取りになったと思うんですけどね。なぜかというと、公衆浴場法の一部改正案に反対していらっしゃったから、自民党の人たちは。ほかの党はみんな賛成してたものですから、自民党の議員にだけアンケートを出したわけです。そうしましたら、答えを出してきた人は十六人しか回答がなかった。みんなそれではその回答は、大体趣旨には賛成だと、それから業界からの資金なんて受け取っていませんという答弁だったわけです、十六人の方はですね。で、選挙が終わってしまった後、匿名の、だからそのアンケートを受け取ったのはみんな議員と議員の候補者だったのですけれども、匿名の人から、当選した人か落選した人かわかりませんが、特定の議員の名前を書いて、この人は業界から資金を受け取っているということをよこしたわけですよ。だから、私こういうふうな問題が起こると、すぐに業界がそういう反応をするということをぜひ用心をしていただきたいと思うのですね。そういうことがありますと、これは何もトルコぶろだけじゃないと大臣おっしゃった。確かにいまは売春の形態というのは非常に多様化し、潜在化しております。だから、業態だっていろいろになっている。だから、ここのところだけで終わるなんというような問題ではありませんし、これは社会全体がよくならなければならないということも事実でございますけれども、しかし、現にもう管理売春を大抵のトルコぶろ業者がやっているような状況の中で、業界の組織が動くというようなことについては厳に戒めていただきたいと思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 先ほどからも申し上げましたように、事実関係私よく知りませんけれども、現実にそういう指摘されるような管理売春があるとすれば、これは警察庁が黙って見ているはずがないと思うんですよね。ですから、私はもっと取り締まりを強化をしてもらいたいんですよ。半分以上のトルコぶろが管理売春でつかまるというようなことになれば、当然われわれとしては、そういうようなトルコぶろを置くべきかどうかということは、それは検討しなければならない。私はかなり無理なことがあっても、それはそのときはやめるんならやめさせるということも必要だけれども、ただ私どもの方だけで、売春があるからその責任は厚生省の方だと言われましても、それには下地がみんなあるわけですから、なかなかこの売春問題というのは非常にむずかしい。まして私はこの間言ったのは、転落女性の統計というのが厚生省の中に出ておるので、それを見たところが、経済的理由によるというのと本人自身のなにでやっているのだというのを合わせると七六%もあるわけですよ。そのうち経済的な理由といっても、本当に食うに困った、病気のために家族に仕送りしなければならぬというのが何%あるか知らないけれども、先生がおっしゃるように、普通まじめに勤めたら十万か十五万しかならぬと、それが本当に三十万五十万になるとすれば、そういう誘惑があれば、そこにいくやつもそれはあるのかもわからない。ですから、その経営という問題については、これは厳重に各都道府県の防犯等で徹底した取り締まりをやってもらわなきゃならぬと私思いますし、私がここで責められるということよりも、私はそんなら閣議ででも警察庁長官——でなかった、何ですか、警察庁担当の大臣にもっとやってもらうように私は申し上げたいと、そう思っております。 それから、やはり厚生省は、先ほど言ったように、衛生上の見地だけしか責任を持ってない官庁でございますから、売春そのものを厚生省の責任だと、こう言われましても、なかなか大変なんですよ。 もう一つは、先ほど言ったように、異性のお客に接するような場所を提供させるなということになると、それじゃトルコぶろは異性が接するから、それは売春があってもなくても全部だめなんだと、売春が行われる可能性があるのだということになって仮に禁止をしたと。ところが、そういうような女性が仮におって、取り締まりがルーズだということになれば、それはともかく世に言うパンマとか何とかというようなことも言われておるわけですから、そういうようなものも、それじゃともかくホテルや旅館に、男一人のところへ女性が布団も敷いてあるところへ行って、背中さすったりなでたりしちゃいかぬと、こういう話にも発展をしてくるわけです。私どもの方は公衆衛生局は別にトルコ嬢を管理しているわけじゃないが、医務局の方はあんま、マッサージ師というようなものは、それは職業、業として認めてやらしておるわけですから、そういうようなところにも変なものがまじり込んできちゃっても非常に困ることは困る、実際は。ですから、やはりそういうような利用者があるということにその店が繁盛するということなので、これは社会的な大問題なので、これはみんなの国民運動としてそういうものを利用しないような運動をしていくということが一番効果的ではないんだろうかと、こういうように思っております。
○田中寿美子君 その精神的な運動だけじゃだめなんですよね、これ。もう業態があるんですよ、日本にはそういうサービスの業態がね。非常に広範にある。ですから、トルコぶろだけじゃないことも私たち十分承知はしております。ですけれども、トルコぶろは、これは警察の人に聞けば、もういまさら聞かなくてもわかりますけれども、もう大部分が売春をやっている。ところが、それが売防法で取り締まれないのはね、売春のその立証というのは大変むずかしいですよ。相手方になった男性が協力してくれなきゃわかんないでしょう。絶対に協力しませんからね。ですから、そうすると非常に汚い方法を使うか、アメリカなんかおとり捜査というのをやりますよ。私アメリカでそれを見て来ましたけれどもね、そういう裁判をやっているところ。警官がおとりになって入っていって、そして売春の寸前につかまえると。こんなことをしなければつかまえられないようなそういう問題なんで、警察の方もなかなかやりにくい。だから、そんな業態をなくしてくださいというのは私は大変道理にかなっていると思っているわけなんです。だから、一番ひどい、売春が多いと思われているものから許可をやらないようにするということにすべきだというのが私たちの考えです。きょうはその私たちの考えの方を述べておきます。 それから、さっき言いましたようにトルコ嬢が二十万、三十万あるいは四十万、五十万という収入があると。この収入に対して、これは税務関係の方に、国税庁の方に伺いたいんですけれども、一体その税金はどういうふうにして課せられているかということなんです。トルコぶろの業者に対する課税がちゃんと厳正に行われているかどうか、非常に疑わしいんですね。私どもが千葉県の栄町のトルコぶろのところへ行ったときに、業者が言いますのに、トルコ嬢たちは自分たちで勝手に営業しているんだけれども、彼女らの収入に関しては自分らがまとめて税金は払ってやっておりますという話なんですね。その辺が非常にあいまいで、女性たちにはどういう税金が課せられるべきものか。それから、業者にはどのようにして課せられるべきかということなんですがね。把握しておいでになりますでしょうか。
○説明員(北村恭二君) 税務の面で申し上げますと、まずいわゆるトルコ業者につきましては、これは法人の場合が多いのですが、法人税の課税があるわけでございます。それから、いわゆるトルコぶろで働いておりますトルコ嬢につきましては、これは個人の所得税の問題でございまして、トルコ嬢につきましては一般の収入から必要経費を差し引いたものが課税所得ということになるわけでございます。何分にも、いろいろ現金取引で表にあらわれにくいものでございますから、なかなか把握がむずかしいといったような実情もあろうかと思います。 それから、トルコ業者につきましては、先ほど申し上げましたように、法人税の課税の問題でございますが、申すまでもなく適正な課税を確保するということが国税当局の責務でございます。多額の脱漏があると見込まれるものの調査を重点的に行ってきておりまして、トルコ業者につきましても申告内容等検討いたしまして、必要に応じた重点的な調査を行ってきているわけでございます。いろいろ御指摘の点も踏まえまして、今後とも適正な課税に努めたい、努力したいというふうに考えているわけでございます。
○田中寿美子君 たとえば、雄琴なんというのは大変豪華なものですね。それで入浴料も一万円から取ると。そういうところの業者の収入についてきちんと果たして課税していらっしゃるかどうか、大変その辺が問題だと思うんです。税務署というのはもっときちんと疑わしいと思うところについて調べているはずのところでございますよね。先日も私は大阪の方を旅行しておりましたら、大阪で弁護士がほとんど脱税しているというので追跡調査をして、そして追加課税をしているということが新聞に報道されているのを見たんですけれども、脱税の対策のそういう指導をいろんな業態に関してやっていらっしゃると思うんですがね。それで、たとえばトルコで警察から売春その他のことで、あるいは暴力団のこともあるかもしれませんが、そういうことで摘発されたトルコ業者ですね、それに対しては特別に追跡調査をしてですね、果たして課税がちゃんとされているかどうか、これを調べるべきではないかと思いますがね。そういう指導してくださいますか。
○説明員(北村恭二君) 税務執行の面で法人の申告内容等検討いたします場合に、やはり基本になりますのは種々の情報とか資料の収集ということかと思います。いま先生御指摘のありましたような他の法律違反で摘発されたといったような事案がありました場合に、課税につながるような資料が得られますれば、当然それを活用いたしまして税務調査を行い、課税の充実に努めるということは、これまでやってきておるわけでございます。なお、今後ともその点努力してまいりたいというふうに考えております。
○田中寿美子君 トルコ嬢の数も一万八千、あるいはもっとあるのかもしれませんけれども、この人たちは労働省は雇用関係があるというふうに見ているわけです。だから、労働条件に関して監督する義務があるということは認めているわけなんですけれども、そうしますと、本来ならばこれは源泉徴収の課税になるはずだけれども、しかし出来高払いみたいなところがあるから、本人の申告によるということになるわけでございますかね。そうしますとですね、本人の申告が、さっき言いましたように、業者がまとめて、やってやってるというところあたりに、非常にあいまいなところがありますのでね、ごまかしもあると思うので、私はこの辺は業界に対してもっと厳しく、多分税務署というのは特定の業種を指定して重点的な調査をなさると思うんですがね、そういう指導をするべきだと思いますが、してくださいますでしょうか。
○説明員(北村恭二君) 先生いまおっしゃいましたように、局なり署なりにおきまして特に調査の重点を置くといったような業種を内部的に考えます。調査の充実を図っているということをこれまでやってきておりますが、いわゆるトルコぶろを営む法人につきましても、やはり適正な課税を行う上で所得の把握、いまいろいろ困難な場合が多い業種と考えられますので、署によりましてこれを重点的に調査する対象というふうに考えて、調査をしているというところがございます。そういった調査なりあるいは業種別の指導といったことを通じまして、課税の適正化に努めているところでございます。
○田中寿美子君 業者は警察につかまるよりは税務署の方がこわいと言っているんです。そのくらい私はやっぱり収入を隠していると思いますから、これは重点的にやってみていただきたいと思うんですね。 それから最後に、厚生省、トルコ嬢たち、本当に喜んで自分でやっている人というのは少ないんですよね、実際。さっき申しましたように、日弁連の調べでもひもが六〇%以上もついている。暴力団の資金源にもなっているというような状況なんです。それで相談するのにもできないということで、困っている女性もいるわけなんですが、そういう人たちに対する指導体制といいますか、更生指導の体制、どういうふうに実際やっていらっしゃるか。大変このごろはもう手が抜かれている感じがするんですが、いかがですか。
○政府委員(曽根田郁夫君) トルコ嬢に限らず、売春を行うおそれのある女子に対しましては、御案内のように婦人相談所あるいは婦人相談員によって保護更生についての相談を行っておるところでありますけれども、大体、確かにこの十年ほど見ますと取り扱い件数等横ばいないし漸減の傾向がございますし、また保護施設等におきましても実際に収容されておるのが定員の約半分である、そういうような事情がございますけれども、これは社会経済情勢等の変化も一つの影響をなしておると思いますが、今後ともトルコ嬢も含めて、真に必要な対象には十分な保護更生の機会を与えるための体制を整備していきたいというふうに考えております。
○田中寿美子君 トルコ嬢が自分たちでも相談に乗ってもらえるかというようなことを、トルコぶろの町に行くと私どもに言うわけですよね。ですから、つまりかつての赤線の時代には本当に身動きもならないほど監視されていたわけです。だけど、いまはそんなことがあってはならないわけですからね。ですから、ひもやなんかがおるかもしれないけれども、あるいは暴力団が見張っているかもしれないけれども、もっとトルコ街にも手を差し伸べていただくようにしていただきたいということを最後に申し上げて、きょうはまだ議論が十分じゃありませんけれども、終わります。 —————————————
○柄谷道一君 原爆被爆者に対する特別措置法について御質問をいたします。「原爆被爆が人道的にも、国際法的にも、医学的にもきわめて特異なものである」、「被爆者の療養と生活の保障を更に一段と充実」すべきである、このことにつきましては昨年の本委員会の附帯決議でも全会一致で確認されたところであり、また引き続いて本委員会で行われようとしております附帯決議にも、同様の趣旨が盛り込まれるものと思います。この附帯決議の精神を受けて、野党五党は国家補償の精神に基づく援護法制定を要求いたしております。その考え方は、本日も依然として不変でございます。しかし、その問題につきましてはかつて当委員会で私自身も再度質問として取り上げたところであり、かつ、さきの質問者も触れられたところでありますので、本日はあえて重複することを避けたいと思います。ただ、原爆二法の改善の積み上げで対応しようとしている政府の姿勢とは、その根本において大きな差があることを冒頭指摘いたしておきたい、こう思います。 本日は、きわめて実務的な質問に集中したいと思いますが、原爆被爆者に対する昭和五十年度実施の実態調査につきましては、さきの質問者に対し遅くとも六月上旬にはその結果の発表が行われるであろう、こう局長は述べられました。また、一九五八年のICRPの許容線量についても、行く国際的な勧告が行われるであろうとも述べられました。といたしますならば、この新しい国際的勧告と実態調査によって明らかになったそれとを相照合しつつ、本委員会でたびたび問題になっております二キロメーターの線引き、黒い雨の問題、原爆病院及び指定医療機関、原爆養護ホームの拡充の問題、家庭奉仕員相談体制の強化の問題及び各種手当の適用範囲などの問題につきましては、当然それらに基づく洗い面しが今後されるもの、こう理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(佐分利輝彦君) 結論から申しますとそのとおりでございまして、各種の最新の資料を集めまして、明年度以降の原爆対策の再検討をいたしたいと考えております。
○柄谷道一君 ただいま私が指摘いたしました問題は、当委員会で毎年指摘される問題でございます。新しいせっかくの実態調査の結果がわかる、新しい勧告も出されるということでございますので、明年度の原爆二法の改善に当たっては、それらのものが十分織り込まれた新しい方針というものが提案されることを期待いたしておきたいと思います。 また、広島、長崎、両市の復元調査につきましては、両市に対して一定の補助が継続して行われております。五十二年度予算におきましても二百四十三万円が計上されておりますけれども、その調査の進捗状況及び調査完了の見通しはどうか、お伺いします。
○政府委員(佐分利輝彦君) 復元調査につきましては、広島市は昭和四十五年度から、長崎市は昭和四十七年度から始めておりまして、一応の目標は昭和五十三年度に終了することになっております。また、そのために、昨年度実施いたしました全国実態調査においても、その付帯調査といたしまして、当時の家族の死没状況、被災状況の調査をいたしました。現在その資料は広島、長崎の復元調査委員会にお貸ししてございます。 問題は、もうすでに先生よく御存じのように、一家全滅というような方々については、復元調査でもなかなか把握しがたいところがございます。また、当時二キロ以内の広島市内あるいは長崎市内に御在住あるいは御在籍の方につきましてはかなりはっきりいたしますが、軍関係あるいはその他の関係でたまたま広島にいらっしゃったという方については、なかなか調査が困難でございます。そのような関係で、広島市と長崎市で若干調査の進捗状況が異っておりますが、広島市の方は近く一応調査が終了する。長崎市の方は五十三年度いっぱいまでかかるというようなことになろうかと思います。 〔理事浜本万三君退席、委員長着席〕 そこで、その後のさらに補足調査、フォローアップはどうするかというふうな問題が残るのでございますが、これにつきましては現在広島市、長崎市、また広島県、長崎県と、関係各機関一緒に協議をしているところでございます。
○柄谷道一君 ぜひ関係両市と緊密な連係をとられまして、この復元調査の促進について御努力を願いたい。 そこで、次に原爆病院の整備の問題でございますが、昨年、五十一年度、広島原爆病院に対して三億二千万円の施設整備費が計上され、本年の四月にはその竣工式も行われたと聞いております。当委員会の委員派遣とその委員会報告がそんたくされて、広島原爆病院が整備されたことにつきましては評価をいたします。しかし、長崎原爆病院も同様相当老朽の度がひどいのではないかということも聞くわけでございます。場所の関係等もあって、なかなか広島原爆病院と同様の建てかえなどがむずかしいという事情も聞いておりますけれども、長崎原爆病院に対してどのようなお考えをお持ちでございますか。
○政府委員(佐分利輝彦君) 長崎の原爆病院は、広島の原爆病院に二年おくれて昭和三十三年にオープンいたしました。したがって、建物、設備の老朽状況は広島原爆病院とほぼ同じであると考えております。したがって、長崎原爆病院についてもすでに地元では改築の問題が出ております。その際、現在の場所で改築するのか、あるいは場所を変えて改築するのかという問題がございます。また、現在の長崎原爆病院にはがんセンターがついておりまして、これは比較的最近、ここ五年から六年の間に整備された、かなりの投資をした施設でございます。そういったいろんな問題がございますので、一体どこでどのように改築するかということが現在地元で話し合われているのでございますが、まず土地の問題といたしましては、十分な土地を獲得しようと思うと非常に不便な場所になって被爆者が利用しにくい。また、特定の場所でございますと、付近の一般開業医とか民間病院、それに公立病院も関係いたしますがいろいろと問題が起こる、そういったことがございますし、また、先ほども申し上げましたように、ここ五年から六年で整備したがんセンターを捨ててほかの場所に移るというのも、まことに先見の明のないことだというような問題もあるわけでございます。したがって、現在鋭意改築の方法について検討を進めているところでございます。
○柄谷道一君 広島原爆病院、建物は新しくなりましたけれども、設備がこれに伴わなければならぬと、こう思うわけです。本年度予算を見ますと、広島、長崎の両病院に対する設備整備費補助はわずか千二百万円でございます。また運営費補助も両病院合わして二千六百万円、これが予算計上の額でございます。設備の近代化、そして病院財政の健全化、この視点に立ちまして考えますときに、この補助では不足ではないか、率直にそう思うのでございますが、いかがでしょうか。
○政府委員(佐分利輝彦君) まず、設備の整備費でございますが、広島の原爆病院の場合には、建物が新しくなりましたので、いわゆる初度設備的なものがまず問題になろうかと思います。しかし、従来の百四十床の旧原爆病院と申しますか原爆病棟も、中の設備についてはわりあいに新しかったわけでございますので、初度設備につきましては従来のものをできるだけ活用させていただきたいと考えております。 そこで、国が特に補助金を交付して整備いたしますものは医療機械でございまして、千二百万円の医療機械を広島と長崎の原爆病院で大体六分、四分と申しますか、そのような割合で配分をいたしたいと考えております。 なお、この機械整備補助金は三分の一の補助率でございますので、実際に病院に参ります金は三倍のものがいくわけでございます。 次に、運営費の補助の問題でございますが、先生方の御提案もございまして、五十一年度から定額で二千六百万円の運営費補助金を計上いたしました。これは補助率は国が二分の一、県と市が四分の一ずつということで、原爆病院に参れば五千二百万円となるわけでございます。この配分につきましては、広島と長崎の原爆病床のウエートがございますので、それに従って六分を長崎、四分を広島というように考えております。またこのほか、医務局の公的医療機関に対する補助金が参るのでございまして、これは国が二百八十万円、県が二百八十万円、合わせて五百六十万円がそれぞれの病院に参ります。そのほか、日赤本社におきましても、原爆病院の特例といたしまして本社から若干の運営費の補助金をすると同時に、機械の整備等について特別の融資をいたしております。 そういったことのほか、かつての原爆病院の赤字といったものを分析いたしてみますと、原爆の被爆者は高齢者が多くて、しかも長期、慢性の病気が多い。したがって、介護等の人手はかかるけれども医療費は余り高くない。そういったところのほかに、原爆後遺症の調査研究を研究施設を設けて行っているという問題がございました。そこで、これについては五十二年度もそれぞれ国が三千二百八十万円を差し上げているわけでございます。そのように、国の助成策がここ二、三年強化されてまいりましたし、また、先般の医療費改定の影響によりまして、たとえば五十一年度の赤字見込みは両病院とも大変少なくなってまいりました。数百万円のオーダーになってまいりました。しかも、この単年度の赤字、またいわゆる過去の累積赤字と申しております広島の一億六千万とか、長崎の二億一千万といった赤字は、すべて減価償却費を含めた赤字でございますので、あのような特殊な病院でございますから、一応そういった減価償却費を外して検討いたしますと、収支は大体とんとんになっているのではないかと思うのでございます。したがって、先ほど申し上げました運営費の赤字補助二千六百万円も、これは原爆被爆者の入院医療サービスの改善向上のための補助金ということになってくるわけでございまして、単なる赤字補助という性格は薄らいでまいっております。
○柄谷道一君 私に与えられております質問時間は他党の半分でございますから、答弁の方も簡潔にお願いをいたします。 大臣、いま局長からの答弁があったんですけれども、設備整備のために多くのボランタリーに頼っている面があることも現実でございます。広島、長崎の原爆病院に行きましたらボランタリーの氏名が明記されたものがずいぶんあります。また、この原爆被爆者という実態を考えますと、果たして設備整備のために三分の一の補助率でいいのかどうか、これも問題があるところであろうと思います。いま直ちにの回答は困難だと思いますけれども、こういった面も、従来こうであるから今後もこうだ、こういう観念ではなくて、ひとつ洗い直して検討を前向きにお願いをいたしておきたい、こう思うわけです。 そこで、養護ホーム、特別養護ホームにつきましては、さきに質問があったところでありますし、十分の八の補助によって運営されていることを承知しておりますが、病院及び養護ホームとあわせて考えなければならない家庭奉仕員制度についてでございますが、五十二年度予算を見ますと、定員六十二名からわずか一名ふやしているだけでございます。そのほか、派遣費手当月額七万九千円を八万四千五百円にしたこと、小頭症患者生活指導員として二百六十四万円が新規計上されていること、これが予算のすべてではないかと思います。もちろん、努力は評価はいたしますけれども、われわれが昨年行いました附帯決議、それによって期待したものと、この家庭奉仕員制度の五十二年度における拡充は距離がある、率直にそう思わざるを得ません。今後の方針を簡潔にお答えを願います。
○委員長(上田哲君) 速記とめて。 〔速記中止〕
○委員長(上田哲君) 速記起こして。
○政府委員(佐分利輝彦君) 原爆の家庭奉仕員につきましては、御指摘のように本年度一名増の六十三名にしかなっておりません。しかし、これは七十歳以上、寝たきり等であれば六十五歳以上の老人につきましては、老人対策のヘルパーの御協力を得ておりますし、六十三名そのものは厳密に積み上げて計算した結果のものでございます。なお、その単価についてはまだ問題はあると存じます。また、広島、長崎だけでございますが、ほかの県については被爆者の数も少のうございますので、社会局、児童家庭局関係のヘルパーの御協力を得ております。
○柄谷道一君 各種手当の所得制限でございますが、現行九〇%を九三%に実質的になるように引き上げておりますけれども、しかし、「所得制限の撤廃、適用範囲の拡大」という附帯決議からすれば、その線にまだ到達しておりません。なぜこれが附帯決議が出されたにかかわらず実現できないのか、また特別手当を生活保護の収入認定から附帯決議にかかわらず外し得ない理由が一体どこにあるのか、お答え願います。
○政府委員(佐分利輝彦君) この所得制限の緩和につきましては、一つは従来その緩和につきまして四十年度実態調査の修正値をもとにして計算をいたしたりしておりましたので、まあたとえば本年度も九五%にしたいと思ったのが、実測になりますと九三%になるというような問題がございまました。したがって、これは先ほどのように五十年度の実態調査を使うというようなことになれば、そういうふうなことは起こらなくなってくると思うのでございます。また、この所得制限の緩和につきましては、できるだけ大幅に緩和をしたいと思うのでございますけれども、やはり他の各種制度の所得制限との関連もございまして、その辺の均衡をとりながら所得制限の緩和を図っているところでございます。
○政府委員(曽根田郁夫君) 特別手当は、他の健康管理手当あるいは医療手当等と違いまして、一般生活費に充てるという性格のものでございますので、生活保護のたてまえからは収入認定せざるを得ないということになっております。ただし、この手当の性格あるいは原爆被爆者の生活実態にかんがみまして、できるだけ手元に残るようにということで加算制度を設けておりまして、この加算制度の拡充については今後も努力してまいりたいと思います。
○柄谷道一君 大臣、附帯決議は「所得制限の撤廃」と、こう書いてあるんですね。それからこの特別手当につきましては、「収入認定からはずすよう努めること。」、この昨年附帯決議を全会一致で決めまして、当時の厚生大臣はその趣旨に沿い努力しますと、こう答えているわけでございますから、正確に過去数回にわたって連続して行われております附帯決議の精神を十分くみ取っていただきまして、他のにらみ、まあこれも当然しなければならぬでしょうけれども、事、原爆という冒頭申し上げましたような特殊な事情のもとにいま置かれている被爆者でございますから、特段の配慮がなされてしかるべきだと、こう私は思うのであります。 次に、二世、三世に対する放射能の影響につきましては、五十年度以降新たな手法での研究が放影研で着手されていると聞いておりますけれども、その実態はどうなっているのか。また、原爆医療調査機関の一元一体化につきましては、昨年も委員会で意見が強く述べられたところでございますが、その実態はどうかお伺いします。
○政府委員(佐分利輝彦君) 放影研が五十一年度から開始いたしました被爆二世、三世に関する調査研究は、まず第一に、遺伝生化学的な研究といった化学的な方法を採用して二世、三世の遺伝の状況を調べようという研究と、もう一つは、白血球の染色体の異常を従来よりさらに高度な方法を使って精密に調べようという研究と二種類でございまして、本年が第二年度でございます。まだ二年度でございますので本当に軌道には乗っておりません。また例の戸籍の問題等もございました。しかしながら、被爆者の方々の御協力によりまして、近く計画どおり軌道に乗りまして当初の五カ年計画が完全に遂行できる予定でございます。 また、昨年の附帯決議にございました研究機関の一元化の問題でございますが、これはすでに放影研、また原爆病院の研究施設、両大学の原医研、そのほか放医研だとか遺伝研、そういったところとネットワークを組んでおりまして、それぞれ専門を分担いたしております。今後、そのネットワークのさらに充実強化を図っていけば御期待に沿えるものと考えております。
○柄谷道一君 大臣、私質問の中で指摘しましたように、ことしはこの原爆対策というものを見直す絶好の機会だと思うのであります。何とならば、実態調査の結果が明らかになる。また新しい国際的な勧告も出される。私は、毎年この委員会で同じような議論が蒸し返される、果たしていかがなものかと思うのであります。国家補償の精神に基づく援護法の制定か否かにつきましては、これは与党、野党間で見解の相違もございましょう。しかし、原爆被爆者の対策を拡充しなければならぬという一点につきましては与党も野党もないわけでございます。同じ議論が毎年同じ委員会で議論される、この悪循環だけは断ち切らなければならない。実態調査を契機として原爆被爆者対策について発想新たなひとつ心の通った対策というものが打ち立てられることを、私は強く希望いたしたいと思うのであります。大臣のひとつ決意をお伺いいたします。
○国務大臣(渡辺美智雄君) お話のような調査や勧告等もございますし、そういうような科学的な論拠を踏まえ、一方においては、原爆被爆者の置かれておる立場等にも私は強く同情をいたしております。したがって、財源の許す限りできるだけ充実をさしてまいりたいと思います。
○柄谷道一君 私はきょうの質問通告の中で、きょうが厚生日の最後でございましたので、難病対策の問題にも触れたいと考えておりましたが、許された時間がございません。せっかく答弁のために来られました関係者には、まことに申しわけないと存じますが、その件に関しましては、また機会を改めて御質問することといたしたい。 ただ、一問だけ、改めての質問をいたしますが、難病対策に対する厚生大臣としての基本的今後の考え方というものだけを御質問しておきたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は難病問題、一口に難病と言いますが、どこまでを難病とするか大きな議論のあるところであります。いま四十三ですか、指定をされておりますが、これらにつきましてはなかなか原因もわからない、したがって治療法もわからない、したがって難病だということであります。まあ難病というよりも奇病と言った方がいいのか、こういうようなことについては、やはり医学の進歩というものも一番大事なことでございますが、私はやっぱり国の機関が中心になって、こういうところについては特に重点的にやっていくことが一番いいんじゃないか。したがって、国立研究所やあるいは国立の病院、こういうものが積極的に難病に取り組んでいくような姿勢と方法を講じてまいりたいと、かように考えております。
○柄谷道一君 次の機会に質問をまた留保しておきます。 —————————————
○委員長(上田哲君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、今泉正二君が委員を辞任され、その補欠として最上進君が選任されました。 —————————————
○委員長(上田哲君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(上田哲君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(上田哲君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
○浜本万三君 私はただいま可決されました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、日本共産党及び民社党共同提案の附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 国家補償の精神に基づく被爆者の援護対策について、その制度の改善に対する要望は、ますます強いものがある。 よつて政府は、このような事情を配慮して、今後慎重に検討するとともに、本法の施行に当たり、次の事項について実現に努めるべきである。 一、原爆被爆が人道的にも、国際法的にも、医学的にもきわめて特異なものである点にかんがみ、被爆者からの援護対策充実強化の強い要望を配慮して、被爆者の療養と生活の保障をさらに一段と充実するための援護体制を検討すること。 二、原爆病院の整備及び運営体制について検討を加えるとともに、病院財政の助成に十分配慮すること。 三、原爆養護ホームの内容の充実を図るとともに、被爆者に対する家庭奉仕員制度の充実、相談業務の強化等在宅被爆者に対する福祉対策を強化すること。 四、各種手当の額を更に引き上げるとともに、所得制限の撤廃、適用範囲の拡大を図り、もって被爆者に必要な施策の整備充実に努めること。 五、特別手当について生活保護の収入認定からはずすよう努めること。 六、原爆症の認定については、被爆者の実情に即応するよう改善すること。 七、被爆者の医療費については、全額公費負担とするよう検討することとし、さしあたり国民健康保険の特別調整交付金の増額について十分配慮すること。 八、被爆者の実態調査を、今後の被爆者援護施策に十分活用するよう努めるとともに、復元調査を更に整備充実し、被爆による被害の実態を明らかにするよう努めること。 九、被爆者とその子や孫の放射能の影響についての調査研究の十全を期すため現存する原爆医療調査機関の一元一体化等について検討し、その促進をはかること。 十、沖繩在住の原子爆弾被爆者が本土並みに治療が受けられるよう専門病院等の整備に努めるとともに、沖繩の地理的、歴史的条件を考慮すること。 十一、葬祭料を大幅に増額するとともに、過去の死亡者にも遡及して支給することを検討すること。 右決議する。
○委員長(上田哲君) ただいま浜本君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(上田哲君) 全会一致と認めます。よって、浜本君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、渡辺厚生大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。渡辺厚生大臣。
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力をいたす所存でございます。
○委員長(上田哲君) 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(上田哲君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(上田哲君) 水道法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、衆議院社会労働委員長代理戸井田三郎君から趣旨説明を聴取いたします。戸井田三郎君。
○衆議院議員(戸井田三郎君) ただいま議題となりました水道法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。 本案は、水道用の水の需給見通し、水道の布設状況、水源等の清潔保持の状況にかんがみ、水道に関する国及び地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、新たに、水道の整備を計画的に推進し、簡易専用水道の管理を規制する等の措置を講じようとするもので、その主な内容は、次のとおりであります。 第一に、水源等の清潔保持及び水の適正かつ合理的な使用に関する国及び地方公共団体並びに国民の責務を明らかにするものとすること 第二に、地方公共団体は、地域の自然的社会的諸条件に応じて、水道の計画的整備に関する施策を策定し、これを実施するものとすること。 第三に、国は、水源の開発その他の水道の整備に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、これを推進するとともに、地方公共団体等に対し、必要な技術的及び財政的援助を行うよう努めなければならないものとすること。 第四に、地方公共団体は、水道の広域的な整備を図る必要があると認め、関係地方公共団体と共同して、広域的水道整備計画を定めるべきことを都道府県知事に要請することができることとし、この場合において、都道府県知事は、必要があると認めるときは、当該関係地方公共団体と協議し、かつ、当該都道府県の議会の同意を得て、広域的水道整備計画を定めるものとすること。 第五に、水道事業は、原則として市町村が経営するものとし、市町村以外の者は、給水しようとする区域をその区域に含む市町村の同意を得た場合に限り、水道事業を経営することができるものとすること。 第六に、水道事業者は、原則として水質検査を行うため、必要な検査施設を設けなければならないものとすること。 第七に、新たに簡易専用水道の制度を設け、その設置者は、厚生省令で定める基準に従い、その水道を管理しなければならないものとするとともに、定期に地方公共団体の機関または厚生大臣の指定する者の検査を受けなければならないものとすること。 第八に、水道事業者または水道用水供給事業者は、水源の水質を保全するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長または関係地方公共団体の長に対し、水源の水質の汚濁の防止に関し、意見を述べ、または適当な措置を講ずべきことを要請することができるものとすること。 第九に、国は、水道事業または水道用水供給事業を経営する地方公共団体に対し、その事業に要する費用のうち、政令で定めるものについて、予算の範囲内において、政令の定めるところにより、その一部を補助することができるものとすること等であります。 以上がこの法律案を提出いたしました理由でありますが、何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(上田哲君) 以上をもって趣旨説明の聴取は終わりました。 これより質疑に入ります。質疑のある方は御発言願います。——別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 水道法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(上田哲君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(上田哲君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時四十三分散会