公害対策及び環境保全特別委員会 第6号
- 発言数
- 133 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1977/05/25
会議録
○委員長(片岡勝治君) ただいまから公害対策及び環境保全特別委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る四月二十八日、後藤正夫君、高橋誉冨君及び斎藤栄三郎君が委員を辞任され、その補欠として山内一郎君、上原正吉君及び金井元彦君が選任されました。 また本日、山内一郎君が委員を辞任され、その補欠として坂野重信君が選任されました。 —————————————
○委員長(片岡勝治君) 次に、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。 日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の北部の境界画定に関する協定及び日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定の締結について承認を求めるの件について、外務委員会に対し、連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(片岡勝治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、連合審査会開会の日時等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(片岡勝治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(片岡勝治君) 公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題といたします。 これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○寺田熊雄君 長官、先般水俣市を御訪問になられまして、患者の悲惨な姿を直接調査をなさり、また、この切実な意見をお聞きになりまして、どういう御所感をお持ちになったか、その総合的な御所感を伺いたいと思います。
○国務大臣(石原慎太郎君) 答弁の前にちょっとお許しいただきまして、一言発言をさしていただきたいと思います。 前回の委員会に健康上の理由で出席できませんでしたこと、大変申しわけございませんでした。お許しを願いたいと思います。 いまの御質問でございますけれども、これは私も出かけます前にいろいろの文献、あるいは患者さんの代表、あるいはこの認定、検診業務に携わられた代表的なお医者さんに、かなりの数、時間もかけてお目にかかりましたが、しかし、やはり現地に参りまして、あの景光の中で、あの広範囲にああいう水俣病の実態があるというものを自分の目で見、耳で聞き取りまして非常に強い衝撃を改めて受けました。そこで感じましたことは、患者さんとの会話の中でも申し上げましたけれども、直接検診、認定の業務は、県の福祉政策の一環として、機関委任事務ということも重ねて熊本県が行ってきたわけでございますけれども、県にもいろいろ足りないところもありましたでしょうが、やはり何と申しましょうか、国は国の、もう少し果敢に、積極的に果たすべき仕事があったのではないか。ある時点で行政というものがもう少し積極的にこの対処に乗り出しておれば、世界に類を見ないああいう惨事が、たとえば患者の数が十人単位のものが、百人でとどまったかもしれませんものが、千人になり、あるいは万の単位にですね、汚染が広がったということをやはり痛感いたして、そういう意味で、国の行政の責任者として患者の方々におわびをして帰ってきた次第でございます。
○寺田熊雄君 私もお尋ねしたかったんですが、国の行政の責任者として現実におわびをなさったというふうに新聞で拝見したのですが、これは何か長官が謝罪するというふうに正式に患者におっしゃったようですね、いかがですか。
○国務大臣(石原慎太郎君) はい。国の行政の責任者の立場で、いままで至らなかったことを認めまして、おわびをし、これからできる限りの手を積極的に打ちますと、その努力をいたしますと申しました。
○寺田熊雄君 国の行政の責任者として至らなかったことをおわびするというふうにおっしゃったということですが、また、最初、長官の御答弁でございますと、いろいろ打つべき手もあったんじゃないか、それを打っておれば患者がいまよりもっと少なかったんではないだろうかというような御所感がございましたね。その打つべき手を打っておればという、その具体的なものはどんなふうに御認識になっていらっしゃるでしょうかね。
○国務大臣(石原慎太郎君) その打つべき手の以前にでございますね、現実に起こっているその出来事の実態というものを、その時点で行政の担当者が正確に受けとめておれば、その時点で時間を遡行することになりますけれども、いろいろな方法があったと思います。 ところが、ずっと私なりに資料も洗い、担当者もずっとかわっておりますけれども、こちらにある資料でありますとか、文献の中に何月何日の時点でこういう調査が実際に行われたとか、あるいは患者の側から実はこういう資料も県側にありますとかというものを拝見してみますと、これは決して言い逃れするわけではありませんが、とにかく人間の歴史の中で未曾有の事件でございますので、その報告を技術的な、技官なら技官が行って上司に報告しましても、これは私の想像ですけれども、つまり、余りの事態のと言いますか、そこに示されている数値というものに、むしろ報告を受けた者が困惑し、どう対処していいかわからないままに、とにかくこれを考えるにも考えられないという形で、その書類が、報告書が横に置かれているうちに時間がかさみ、他の書類がかぶってそういう報告書がどっかへ行ってしまった。で、つまりその時期、時期に非常に大事な報告が行われていたにもかかわらず、つまりそれがつながっていかなかったといううらみがございます。 ですから私は、幾つかそういう、ここであれができればというそのタイミングというのはございましたけれども、そのときに何をすべきかということは、いまから遡行して私も具体的に申し上げられませんが、しかしまあそういう経過で今日に至った。でございますから、国としましても県との協力の中で、いまこの時点でとにかくできる方策を、いまできるだけ早く行う努力をしたいと思っている次第でございます。
○寺田熊雄君 普通言われておりますのは、熊本県の衛生部の方から、当時は厚生省でしたが、厚生省に食品衛生法の規定に基づいて水俣湾における漁獲ですね、これを禁止してほしいと、それから捕獲した魚を食べないように処置してほしいというような手段を求めてきたようですが、それはたしか昭和三十三、四年のころだったようですね。ところがそのときにその当時の厚生省が手を打たずに、何年か後に初めてその手を打ったようですね。そういう行政上の手段の立ちおくれ、これが患者の発生というものを非常に増加さしたということのようです。 それからもう一つは、水銀を含んだ水の、工場排水のたれ流しですね。これを適切なろ過装置というものを義務づけることをしなかった。これも三十三年ごろに、もうすでに熊本大学の医学部の方から原因の究明がある程度発表されたようですね。それにもかかわらず厚生省がその手を打たなかった。それがまた患者の発生を非常に増大さしたということがあるようです。 それから何か当時の通産省の軽工業局長は、無機水銀が有機水銀に変わるということはあり得ないというようなことを盛んに力説して、これはまた生産方法とか、あるいは生産量の調整とかについて全く手を打たなかった。 つまりそういう行政の怠慢がああいう悲惨な出来事を招来させたということのようですがね。これは長官としても、詳しいことは別として、大体は御認識になっていらっしゃるでしょうか。
○国務大臣(石原慎太郎君) すべて認識しております。
○寺田熊雄君 そういたしますと、国にもやはりそういう患者の問題について、これは道義的な問題じゃなくて、法律的な責任というものもあるんじゃないでしょうか。どういうふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(石原慎太郎君) その点は、私、法律の専門家でございません、むしろ先生の方が専門家でございますから。わかりませんが、先生がいま言われましたほかに、私自身も調べましたが、たとえば業界が、これはまあ通産省の指導があったかどうか存じませんけれども、業界として有機水銀説の根拠というものを否定する調査を学者に依頼しました。依頼しましたが、非常に正確な分析をすればするほど相関性がむしろ強くなりまして、その報告がどこかに行ってしまってございませんが、この間も私ある業界の方にお目にかかったときに、もうとにかくそれは時効にするから、後に御質問があるかもしれませんけれども、とにかく総合的な実態把握をするために、抜けている部分を補うべく隠された報告書もどうかそちらの努力で出してほしいということを申しました。 まあそういういろいろないきさつがございましたけれども、国の法律的な責任ということになりますと、私、確かにここで申し上げられませんが、いずれにしても、何と申しましょうか、非常に未曾有の事件だっただけに、前例がないということで、漁獲の禁止、それはもう補償の伴うことでしょうけれども、それなり、あるいは工場に対する排水の規制、そういった問題について、当面のつまり責任者というものは、行政の責任者は県であると思いますが、国もそのたびに何らかの相談を受けながら、どうも前例のない事件だけに、判断を下せぬままに時が経過し事態がここまで至ったということは認めざるを得ないと思います。
○寺田熊雄君 いま私が申し上げたような行政官庁の行政上の緩怠といいますか、あるいは落ち度といいますか、そういうものがあったといたしますと、長官はそれを御認識になっていらっしゃるというけれども、当然国の法律的な責任もあると思うんです。ただ、法制局長官か何かをきょうお呼びしてこの点お聞きすればよかったんですが、長官は法律家じゃないからわからぬとおっしゃるからあえて追及はいたしませんけれども、これは当然法律的な責任は明らかだと思いますね。ですから、私も判決というのは全部完全に読破したわけじゃないですが、ざっと見ただけでも、非常に浩瀚な判決ですから、あの訴訟なども当然国を被告として、国にもやっぱり法律上の国家賠償の責任を一緒に問うということをやるべきだったと私は考えているんですよ。しかし、当時はチッソだけを被告にしておったようですが、何にしてもそういう行政上の落ち度を考えますと、いま長官もおっしゃったように、県だけに責任を負わせることでなくして、国も、ああいう未曾有の悲惨な出来事というものを全体として掌握してその悲惨な結果を除去するという、そういうことに積極的な姿勢を示すべきであるということは是認なさいますか。
○国務大臣(石原慎太郎君) そう思います。でございますから、県との連携プレーにおきましてできるだけ早い対処の方策を講じまして、とにかくいまとまっておりますこの事態を、少しでも前に向かって動かす努力を県ともいま鋭意協議中で、認定の基準の問題も含めまして、とにかく五月中に一つのめどを立て、六月中に再検討をして、動くものはとにかく夏前から動かしていくという努力をしたいと思っております。
○寺田熊雄君 まあ全体としてああいう悲惨な山出来事から生じた結果を全部除去するという義務は肯定なさったわけですが、その一つはやはり患者の救済だと思います。それからもう一つは、破壊された自然をもとに戻すということで、水俣湾を浄化するという問題があると思うんですがね。 患者の救済の問題でいま差し迫っているのは、認定のおくれを何とかして取り戻して促進するということでしょう。これは何か大分長官力をお入れになったようですが、この間も事務当局の方には伺ったんですかね、いろいろ何年でできるとか、細かいことを伺ったんですが、長官としては何か長官なりの独創的な企画というか、そういうものをお持ちですか。また何か実行に移されたことがありますか。
○国務大臣(石原慎太郎君) いえ、私の一存云々でたかが知れておりまして、やはりいままで認定検診の業務をやってこられました熊本県、それに携わられましたお医者さんたち、熊本だけではなしに、すでに鹿児島、新潟で水俣病の認定検診をされました先生方と連携——県の方はもう少し国がと言われますけれども、いままでなりのベースで環境庁のエキスパートも県と接触しておりましたし、そういうスタッフと相談しまして、不作為の責任に対する判決も出ましたこの一つの時点を仕切りまして、県からの要請も含めて、そうつまり漸新な世間が瞠目するようなアイデアが出てくる余地のある問題ではございませんが、ともかくお医者さんの数もそろえる、そのそろえ方そのものにいままである積極性が足りなかったかもしれませんので、そういうことを含めまして、とにかくとまっているものを動かすつもりでございますが、幾つかいままでなかった試案のようなものも県側からも出ているようでございますし、この二十五日までに県の方から県の要求案というもの、試案というものを出してくるという 本日かそうでございますが、まだ届いておりませんけれども、それとこちら側の用意したものとをすり合わせまして、とにかく、繰り返して申しますが、とまっているものを一歩でも動かす努力をしたいと思っております。
○寺田熊雄君 水俣湾の浄化の問題も非常にあるんですがね。今度出されました公害の状況に関する年次報告、これは五十一年度の分のようですが、これを見ますと、「四十年代前半に見られた硫黄酸化物、水銀、PCB等による著しい汚染については、健康被害補償、土壌改良等の事後的措置が現在でも続いているが、これらをほぼ制御することに成功している。」と、これは七五ページにあるんですけれども、制御というのがどういう考え方で使っているのかわからぬけれども、これは水俣湾の浄化、ヘドロの除去なんというのは、長官、あれまだ全然緒についていないんじゃないですかね。あれはやっぱりやらなければ後始末——破壊された自然を元どおりにするというその義務を果たされていないように思うんですが、この点いかがですか。
○政府委員(二瓶博君) 水俣湾の浄化の点でございますが、いまの水俣湾に高濃度の水銀を含んだヘドロが堆積されておるわけでございます。これを除去をするということが必要になっておるわけでございます。そこでこの面につきましては、現在、運輸省の方に県の方から公有水面埋立法によります認可申請が上がってまいっております。 ただ、この面につきましては、現在、運輸省の方で検討中でございまして、あとは、残されておりますことは、運輸省の方から環境庁の方に意見を求めてくるという手続が一つ残っております。それからもう一つは、これは法律的な話ではございませんけれども、この除去工事をやります際には、隣県の鹿児島県の同意をとるということが両知事さんの方で前からの話し合いにもございます。したがいまして、この同意をとるというこの二つの手続がまだ残っておりますがなるべく速やかにこういう手続も済ませまして、二次汚染というような、二次公害というようなことが起きないような方法でもってこの水銀のヘドロの除去対策というものを進めていきたい、こういう段階にいまあるわけでございます。
○寺田熊雄君 そうすると、そのヘドロというのを除去する作業というのは運輸省に任したという意味ですか、あるいはあなたのところへまた戻ってくるというのか、どっちなんですか。
○政府委員(二瓶博君) これは公有水面埋立法の規定に基づいてやりますものですから、この埋立法の四十七条という規定がございまして、これをやります際には環境保全上に関します意見を環境庁長官に求めるということが、法律的に規定がございます。そういうことで、運輸省の方が認可をします際に、そういう面をこちらに意見を求めてくるという手続が法律上ございます。その手続がまだ求められておりませんので、手続が済んでおらないということを申し上げたわけでございます。 なお、このしゅんせつ事業につきましては、事業主体は、これはまあ熊本県でございますか、実際の事業は運輸省の方の第四港湾建設局、ここに委託をしてやると、こういう事業のやり方になっております。
○寺田熊雄君 それはまあ事業主体が法律的には県と言ってたね、それが何かこう国の港湾建設局に委託をして、それが事実上やると、これはやはり環境庁長官、運輸省と県のいま言ったような連携プレーになっているようですが、何か法律的には全体としてこれを所管するのはやっぱり環境庁のように思いますので、少し力を入れて工事を促進する手を打っていただきたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(石原慎太郎君) 水俣湾に堆積しております非常に汚染されたヘドロ、これは一種の火薬庫の火薬のようなものでございまして、下手にいじりますと再拡散しまして二次公害を生むおそれが十分ございます。そういう意味で、まあ御承知でしょうけれども、あの湾に網を張りまして魚が出入りしないようにしていますけれども、間口が百五十メートルほど船の出入りのためあいておりますから、魚の生態上、一体どの程度の魚が出入りし、その魚を経てどの程度の拡散がいまでも行われているか、この実態もよくわかりませんのですが、そういう意味でもらい公害の鹿児島県側の出水市なども非常にヘドロの処理の作業に注目をしております。そういう意味で、技術的にそそうがないように、急がなくてはいけないと同時に拙速に陥りますとまた恐ろしい事態を招きかねませんものですから、そこら辺の兼ね合いをいま十分検討して、大体めどもついたようでございますので、いま考えられ得る最も安全な方法で再拡散を防止しながら行うつもりでございますし、そのためにも監視委員会というものを設けまして、専門家だけではなしに、あの地域の海の生態、実態を一番よく知っております、それで最大の被害者でもあります漁業組合からも監視員を入れてくれということで、これはまだ結論が出ておりませんが、私は現地では個人的に、その方が環境庁側もありがたいし、東京から来たどこそこの偉い先生よりもむしろ現地の漁師の方が現地の海をよく知っておりますので、そういう人たちも加えまして、二次公害を絶対生まないという、そういう目安をはっきり立てた上でできるだけ早く処理をしたいと思っております。
○寺田熊雄君 次に、患者、これは認定された患者と認定を待っている患者とありますね。患者の方はそれぞれにやはりいろいろ団体をつくったりして、あるいは集会所をつくったりして自分たちの権利といいますか、これをかち取るための運動をしているようですけれども、国としてそうした患者に対して日常相談相手になってやると、そしてめんどうを見ていくというような、そういう手だてを講ずる御意図はないんでしょうかね。いかがでしょうか。
○政府委員(野津聖君) 国といたしましても、これらの患者さん方と意見の交流あるいは患者さん方の御要望などにつきましては、機会があるごとに私ども水俣にお伺いしましたりあるいは御上京されました節にいろいろ御意見を聞いたりいたしておるわけでございます。 ただ、やはりこれらのいわゆる被害者と申しますか、患者さんあるいは現在申請中の方を含めまして、これらの方々はやはり地域の申し上げますならば熊本県民でもあるわけでございまして、きめの細かい福祉の業務あるいは相談業務というものにつきましては、やはり現地におきまして対応される方がよりいいことではないかと、また施策も、それぞれ地元におきますいろんな事情を踏まえた形での福祉的な施策が行われる方がより進み、また、患者さんのために、とってもいいことではないかというふうに私ども考えておるところでございまして、本来ならば健康被害補償法におきましても、保健福祉事業といいますのはやはり地方自治体のより密着した行政の中で処すべきではないかというふうな考え方にも立っているわけでございます。 ただ、決してそういうことであるからと言いまして、私どもが患者さんと接触いたしましたり、あるいは患者さんの御意見をお伺いしたり、あるいはいろいろな意見の交換をしたりすることについて拒否するということではございませんで、従来までもやってまいりましたように続けてまいりたいというふうに考えております。
○寺田熊雄君 そうすると、国と患者とのパイプというのは、県なり市の福祉行政を通じてやるのと、それから直接にパイプをつなぐというのがありますね。だから、長官に会いに来ていろいろ陳情したいとか要求したいというのがありますね。国それ自体の直接のパイプというのはいまつながっているんでしょうかね。長官と患者との間のパイプの役になる相談所的な機関というものはもうないわけですか、県、市を経由するわけですか、どっちですか。
○政府委員(野津聖君) 一つの流れの中でのパイプと申しますか、につきましては、当然県、市を経由したものであるというふうに私ども考えておりますけれども、ただ、先ほど来申し上げておりますように、私ども水俣にお伺いしました節、あるいは熊本にお伺いしました節、あるいはこれらの方々が御上京されましたような折には、いろんな機会を設けましていろんな御意見をお伺いするということでございます。ただ、やはり地方自治という立場から、きめの細かい福祉行政というものは、当然私どもは地方自治体を通じてやるべきであろうと思っております。ただ、私どもとしましても、決してこれは県を通じたから間違った実態が来るということではございません。県を通じましてあるいは市を通じましても、当然正しい実態が私どもには到達し得るというふうに考えておるわけでございますし、そこまでやはり県、市を信用して私どもは仕事を進めておるところではございます。ただ、患者さん方のいろいろなお考えとか何かがもう少し直に話を聞いてくれというふうなこともございます。そういうふうな場合には、そういう機会をつかまえまして、私どももひとついま先生のおっしゃられましたようなパイプでございますか、パイプは通じているというふうに考えておるところでございます。
○寺田熊雄君 これは先ほど言ったように、あの出来事の発生については国にもやっぱり法律的な責任がありますからね。だから、まあ県、市が完全に措置すると。それからまた、県、市と国との間がパイプが詰まっていなければ患者の不満はないわけですよ。だけど、いろいろ不満があるもんだから長官に直訴していろいろトラブルが起きたりするんだから、何か国の法律的な責任を果たすよすがに、国が直接患者にぶつかってその実態を調査したり要望を聞いたりする、直接国の機関というか、相談所的なそういうものを設けた方がいいように思いますがね、どうでしょう。
○国務大臣(石原慎太郎君) おっしゃるとおりでございまして、そういう意味では水俣の研究センターは国立、つまり環境庁所管になるべきだと思いますし、そのようなつもりでおりますが、これができましたときには、やはり患者の治療を兼ねました、つまり水俣病の研究ということで、いろんな形でそこで患者さんの言い分なりあれを、研究を進めながらお聞きする一つの窓口になると私は思います。その間、これは五十三年ですか、完成目途でございますけれども、野津部長も県を立てながらいま言っておりましたが、野津部長自身も部長のスタッフも、年じゅう水俣に行き来しておりますし、また向こうからいらした方にもお目にかかっておりますし、やはり県、市を通じますとどうも入ってくるべき情報がもどかしいので、私も実は自分自身で出向いていくだけじゃなしに、こういう方が上京されるという機会をとらえて、いままで積極的にお目にかかってお話を聞いてまいりましたが、研究センターができましたならば、非常に科学的なその手法の開発を試みながら、患者さんたちと国との水俣市における直の窓口ができることに私はなると思います。
○寺田熊雄君 長官も部長もそういう点はひとつ十分配慮していただきたいと思いますね。 それから、残念なことですが、環境アセスメント法案の提出を今国会断念されたということですね。これは新聞の報道なんですけれども、福田さんに対して経団連会長の土光さんから、あれだけはもう絶対実現せぬようにしてほしいという要望があったというんですが、長官いかがですか、やっぱり経済界のそういうあの法案に対する反対的な空気ですね、あるいはそういう現実の意思表示があったのかもしれませんが、これはやっぱり長官御自身にあったのかどうか。また、なくてもそういう空気が内閣全体をこう動かしているんじゃないかという懸念を感じますが、その点、いかがです。
○国務大臣(石原慎太郎君) それは全くそういう実態はございません。これは思い過ごしだと思います。 実はこのアセスメント法が云々されたのはずいぶん前からでございますけれども、私も就任しまして、これは非常に大きな眼目であると思いましたが、実際にこの具体的な法律の案文をつくり出したのはことしの正月からなんです。ですから関係省庁が二十近くあるその省庁と、原案の原案の原案をかざしての話し合いというのは本当に正月から始まったわけでございまして、いままでの行政原理になかった手続法でございますので、これは多数の関係省庁と、何といいましょうか、行政理念の、基本理念のようなものから説き起こしての話し合いをしてきたわけで、そういう意味では具体的な作業は半年足らずだったわけで、それにしてはスタッフが非常によく努めまして、大方の合意を得ましたが、最後に二、三の問題が残りまして、結局、そういう問題についての事務的な話し合いが事務レベルでつく前に残念ながら時間切れが来たというわけでございます。 それから経団連の方は、土光さんがどれほどの認識を持って発言されているか存じませんが、通産省を通じてではらちが明かないんで、私は実は次官と局長と経団連の代表の方々に会ってまあ一種啓蒙の説得をいたしました。それで、その限りでは、率直に申しまして、電気事業関係者以外の人たちは、一々案文を説明されて、なんだこういうことですか、これなら私たちとしてはそれほど異論はございませんなあというところでした。ところが、電気事業だけは一種のすれ違いがございまして、これはまだ説得の余地があると思いますけれども、これ非常に強い拒否反応を業界そのものも示されましたし、それが通産省側の考えにどういうふうに反映しているのかということは これは他省のことですから私つまびらかにいたしませんが、いずれにしても、その問題が通産省側の一つの環境庁との間の未決定事項であることは否めませんけれども、経団連の横やりが内閣全体のこの法律に対する物の考え方を規制したという事実は私は全く認められません。
○寺田熊雄君 そうすると、長官の御認識では、財界というか経済界といいますか、反対の中では電気事業者だけだというわけですね。それが通産省を動かしたと思われるということで、それ以外の業界にはいまのところはようやく説得が効いて反対はなくなったと、こういうふうに承っていいわけですね。
○国務大臣(石原慎太郎君) 率直に言って、ある種の業界はまだじくじたるものがあるでしょうけれども、私たちとの間の議論に関しては、私たちが引き下がらざるを得ないような反論というものはなさいませんでしたし、初めて案文なるものを見て、とにかく率直なそのときの印象では、こういうものならどうもちょっと私たちの思惑と大分違っていたという感じでございます。それから通産省側のいろいろ反対意見と申しましょうか、つまり未調整の問題は電気事業だけではございませんで、手法の問題その他、通産省は環境庁と違った幾つかの意見を持っておられますが、電気事業もまあそのものの一つであることは確かでございます。
○寺田熊雄君 長官が会われた経済界の人の中で、いわゆる建設事業関係の方はどうでした。たとえば、いま四国と本土とを結ぶ橋の問題なんかが問題になっていますね。つまり、いろいろの大手の建設関係の事業というのがありましょう、そういう諸君、代表者の方々は別段障害はなかったんですか、あるいは説得が十分できたんですか。建設省が非常に反対のチャンピオンになっているでしょう。いま長官が言ったのは、電気事業者の利益を代弁する通産省、それから建設省があるね、これはやっぱしそういう建設業界の利害を代弁しているんじゃないでしょうか、どうです。
○政府委員(柳瀬孝吉君) 建設のいわゆる民間の業者の方々の団体等からは、このアセスメントについて、公式に何か反対の意思表示とか要望書とかいうものを受け取ったことはございません。この建設関係の道路だとか、その他、あれは公害事業が多いわけですね。で、大規模な開発事業ということになりますと、この法案が予定しておりますのは国レベルで対処しなければならない大規模な開発事業でございますから、そういうものは大体公共事業になってくるわけで、そういう意味で、建設省側は——あるいは建設に関係あるのか、まあ運輸省とか農林省とか、そういう省の側からいろいろと御意見が出てまいりまして、そういうものもいろいろと調整をいたしまして、最後に残ったのは都市計画事業の問題、それからまあ間接には関係があると思いますが、いまのいわゆるアセスメントをする場合の手法とか、そのやり方についての指針とか、そういうものをどうするかという問題について意見の違いがまだ残っておりますが、そういう意味では建設関係の問題でまだ問題は残っておるわけでございます。
○寺田熊雄君 私も自治体の仕事を扱って、都市計画法に基づく都市計画の実施などいろいろ計画ができたら、市役所に二週間計画書を掲げて縦覧させるとか、必要によっては公聴会を開くとかというような手続があることは現実に知っていますけれども、あれは余りどうも住民の参加というような大げさなものじゃなくて、ことにどういうふうになるのかという細かい計画なんというものは住民に実際知らされてないんで、まあたかだか都市計画審議会、県の、あのメンバーなり換地関係の委員会が市にありますけれども、そういう方面のボスがようやくうかがい知る程度で、一般住民なんかには全く知らされてないわけですよね。だから、あんなもので環境アセスメント法案に反対する論拠には全くなりがたいものなんだけれども、ああいうものを盾に反対しているというところを見ると、どうも何かおかしいような気がする。これは建設省を呼んでやるべきことなのかもしれぬけれども、きょうは建設省呼んでないですけれどもね。いずれにしても、長官、これはいま言ったような背後関係というものもやっぱり見る必要があると思うんですよ。まああなたは電気事業者に関しては御認識になっているようだけれども、それ以外はないとおっしゃるんだから。 しかし私は、やはり総理が環境なり自然を守るという御熱意をしっかりお持ちになるのと、それから、これは担当の大臣でいらっしゃる長官が不退転の決意をお持ちになりましておやりにならぬと、なかなかこれは今度の国会でもやっぱりむずかしいと思うんですよ。長官としてはどういう御抱負あるいは御決意を持ってこれに臨まれようとなさるのですか。たとえば、おれはもう来国会には必ずやって見せるというような御自信がありますか。あるいはまあ来国会は臨時国会になるだろうからそれはだめだとしても、次の通常国会までとか、そういう何か抱負なり決意がおありでしたらこれはお聞きしたいと思いますよ。
○国務大臣(石原慎太郎君) 先般の閣議で、今回の国会にはこれ、提出を断念したという環境庁の所信を了解していただきましたが、そのときのコメントの中にも、しかしこの時代の中で環境の破壊というものを未然に防止する、そういう大眼目を十分認識して、関係省庁がなお残された問題についてもその時点から積極的な話し合いを続行するということで全閣僚の了承をいただきました。その後の官房長官の記者会見でも、そういう認識に立って自分も、関係省庁も多いことであるので、取りまとめとして仲介の労をとり、次の国会に提出するべく自分もその手を貸す努力をすると記者会見で表明されましたし、私もその言葉を信じまして、あの閣議了解が出ましたその時点からも、事務方に残っておる問題についての積極的な話し合いを指導してまいった次第でございます。ですから、まあ何としても次の国会には提出し、すべて成案を得たいと思っております。
○寺田熊雄君 どうぞそういう熱意でがんばっていただきたいと思うんです。 それから、この五十一年度の「公害の状況に関する年次報告」ですね、これ、きょう手に入れたものですから、全部熟読したわけじゃないけれども、七十七ページを見ますと、「これまでの環境行政は、社会の時代的要請にこたえるべく公害、自然破壊の防止対策が主体とされてきたところであるが、今後の問題として、国民の精神を豊かにし、地域の文化を向上させるために、都市景観や歴史的環境が大切にされ、さらに広く、音とか色彩とかの感覚的な生活の快適さが破壊されないような社会を育てていくことが必要である。」と、こういう非常におもしろい御意見が出ております。これは私どもとしては、日常この町の中で生きてますからね、だから都市の景観なんというのは非常に大事だという感じは持ったわけですね。 たとえばパリなんかに行きますと、目抜きのところの建築物なんというのはみんな非常に高さやなんか調和がとれておりますね。非常に美しいでしょう。それからアメリカのニューオーリンズなんかへ行くと、フレンチクォーターというのがあって、古いフランスの植民地の職人が建てた建物なんかが、町のたたずまいなんというものはそのまま保存してあるわけですよ。新しく建てる建物もそれにマッチした建物でなければ建築の許可がおりない。ああいう歴史的な環境というものを保存していくわけです。 自然環境だけを守るんじゃなくて、そういう都市美であるとか、あるいは歴史的な環境を保存するという、そういうところに着眼されたというのは、これは環境庁の何局がなさったのか知らないけれども、日本の文化庁が必ずしもこういうところにいま手が伸びてないんですよね。たとえば東京駅の建物の問題なんかが非常にいま取りざたされているでしょう。ですから、これは非常に私どもとしてはわが意を得たりということなんですが、何かこれもあれですかね、具体的な動機とかあるいは問題からこういう抱負なり考え方というものを編み出されたのですかね。何かもしそういうものがあったら伺いたいんですが。
○国務大臣(石原慎太郎君) お聞き及びかもしれませんが、私、就任しましてから、生活環境の快適性に関する懇談会というものをつくりまして、主にこの種の問題についていろいろそういう権威と申しましょうか、有識者に討論をいただいているわけでございますが、この動機になりましたのも、先般のOECDの東京における会議で、やはり起こってしまった公害に対して、非常に日本の場合にはドラスチックに事件が起こり、ドラスチックに対処するけれども、自然環境の破壊の未然防止を含めて、どうも感覚的に非常にラフであるという指摘を残念ながら受けました。 また、アメニティー懇談会の中に日本に長い外国人の方もおられますけれども、日本人ほど美意識の強い国民はいないのに、特に都市の景観、それから自然の中に物を建てるときの無神経さというものは、これが同一民族かと疑われるほどのひどいという指摘も往々受けまして、こういう問題も、できればアセスメント法の中の一つの方法として取り入れたいと思っておるんですが、こういう問題についても非常に反発がありまして、その一つの計器で何PPMとか計量できないものを法律の中に組み入れることは、非常に混乱を招くし、困ると。たとえば一つの橋をかけるときに、これはたとえば赤に塗るか何に塗るかということで決める手続というものを、むしろ法律に入れるといろんな意見が出過ぎて困るというような意見がある省からもございますが、私は事業主なりそれにかかわる技術者なり、関係するお役人だけではなしに、たとえば瀬戸にかかる橋に何を塗るかということは、それこそ絵かきであるとかそういう芸術家の方々に相談すればいいことでござ・います。 先般も実は岐阜のカモシカの問題で視察に参りましたときに、富山から飛騨の高山に向かって上がりまして、また下がって愛知県の方へ出ましたが、日本海側にかかっております橋あるいはなだれよけの橋梁というのは、あの景観の中で非常に無神経に赤く塗られておりまして、逆におりる方は灰色に塗られていて非常に目立ちませんでしたが、同じ県でいながらどうしてああいう現象が起こるのか。やはりああいったものも、行政に携わる人間がちょっと配慮をすれば、外国人が見て目を背けるような、要するに視覚的な環境破壊というものもなくて済むと思います。 そういうことで、社会もある程度成熟してまいりましたから、意識変革というものの先駆を務めてまいりました環境庁の中で、こういう意見が出てきたこと、御評価いただいて大変ありがたいと思います。
○寺田熊雄君 ただ、いわゆる都市の景観というようなことになりますと、やっぱり緑を非常にふやしていかなければいけないという問題もありますね。それから建築物の高さの制限とかあるいは保存とかそういう問題、つまり他省の所管の問題が出てくるわけですね。これは文部省の文化財保護の問題や、それから建設省の建築関係の行政に触れるとか、ですからかなりこれは実現するのに他省との調整がむずかしいと思うんですが、しかし、こういう点に大いに他省に働きかけていただくということは必要だと思うんです。 実はこの間も私は法務省の庁舎があるでしょう、あれを法務委員会で取り上げたんです。あれは非常にユニークな明治時代の建物ですがね、尾崎咢堂が夫妻で——あれ、もとは法務大臣の官舎を兼ねておった。だから憲政の神様が司法大臣のときに、奥さんと二人であのバルコニーに、いつも夕方はあそこへ座って二人で紅茶を飲んだという由緒ある建物なんです。あれは都市美から言っても非常にいいでしょう。ああいうものの保存なんかについては、長官はどういうふうに考えておられますか。これは御所管ではないかもしれないけれども、これがあったから伺いたい。
○国務大臣(石原慎太郎君) 私、実は先生と同じ考えをあの建物について持っておりまして、あれは、私、詳しく存じませんけれども、一部分ですか、全体ですか、全体とすると大き過ぎますが、帝国ホテルのようなものも明治村に持っていって保存してあるわけで、最低限ああいう建物をやっぱり何かの形で保存したいと思いますが、都市における建物の機能ということを優先して、はるか非常に離れた明治村にあれが残るのも結構でしょうけれども、東京の中にああいう建物かなくなって消えていくということは非常に残念なことで、これは文部省といいましょうか、文化庁といいましょうか、そちらの所管かもしれませんが、都市全体の環境ということからいいますと、むしろ東京というものの個性を一体何が表示しているのか。私はやはり江戸から今日の東京に変わってきたその近代化の一つのプロセスを表象する建物だと思いまして、ああいうものが消えていくことは非常に残念でございます。 私の立場では、残念だと言うより以外に言いようがございませんけれども、やはりいま御指摘のように、これは環境庁だけの仕事ではございませんが、しかし、やはり政府全体がそういうことを心がけて、都市計画なり環境行政にかかわる他省庁の行政というものをしていくべきだと思います。そういう時代に来ていると、私たちやはり新しい成熟というものを、そういう行政を通じて目指すべき時代ではないかと思っております。
○寺田熊雄君 長官のその点に関する御答弁は非常に私も満足しているのですが、やはりあの建物はあそこに保存することによって光を放つので、ぜひそういう閣内にあって、いまの法務大臣もあれは保存したいと言っておられましたがね、そういう声をうんと上げていただきたいと思います。それをお願いしてきょうは終わります。
○委員長(片岡勝治君) 速記とめて。 〔速記中止〕
○委員長(片岡勝治君) 速記起こして。
○内田善利君 前回長官にお伺いしたいと思っておりましたが、御病気の由で質問できなかった分を補足質問さしていただきたいと思います。 歴代長官の中で、あのようにして水俣に行かれて、しかも精力的に水俣病の実態を見てこられた長官に敬意を表するわけでございますが、先ほども長官、とまっているものを一歩でも動かす努力をしていきたいと、こういう御答弁でございましたし、また水俣視察のときには、さびついた列車を動かすのだと、このようにおっしゃったと聞いておりますが、どういうことでとまっているのか、あるいはさびついたのか、どのようにお感じになったかお聞きしたいのであります。
○国務大臣(石原慎太郎君) 今日の水俣病の問題の停滞というものは、いろんな表現があると思いますけれども、何と申しましても例の不作為の責任の裁判判決によります検診、認定の業務が中心だと思います。しかし検診、認定の中に、たとえば棄却されたり、あるいは保留されたりする方々の御不満、いろいろなものがございますが、たとえばその中に、非常に多く聞かれます疫学を中心にしての認定、検診をしてほしいという、そのベースになるべき疫学のたとえば根拠を与えるような、これは純医学的ではございません、他の物理的な、たとえば海流、水流、潮流によって水銀がどのように拡散するのか、水銀の中にも無機水銀もございますけれども、これが海中の中で果たして有機化されていくのかどうか、そういった種類の研究が行われていたのかいないのか、いたにしてもそれが資料としてそろっておりませんので、水俣病事件そのものの総合的な実態の把掘かできておらないわけでございます。そういう意味で、お医者さんも結局マン・ツー・マンの一対一の形でしか検診、認定というものをされ得ない。疫学というものを多少考慮されるにしても、それを支える科学的な実態把握のベースがないものですから、そういうところにもその種の不安がございまして、過去の検診、認定あるいは集団検診等々、それを行いました県側に一方的な手落ちがあるわけではなしに、非常に感情的な問題もそれに絡んだ節がございますが、とにかくそういうものもすべて参考にいたしまして、何といってもこの未曾有の不安というものにあの申請者の方々おののいておられるわけでございますから、そういう立場を十分配慮して、とまっているものを動かしていきたいということを申したわけでございます。
○内田善利君 昨年、熊本地裁が水俣病に対する行政の不作為の判決を下したわけでありますけれども、これは熊本県に対する判決でございますが、これに対する国の責任はどこにあると認識されているのか、お伺いしたい。
○国務大臣(石原慎太郎君) 先ほど寺田先生の御質問にもございましたが、国の責任というものは、私いまの場合、法的にあるかないかということを考えておりません。いずれにしてもそのすべきことがあったにもかかわらずそこまで配慮が及ばなかったり、あるいは思案をしているうちに時間が過ぎたりということでの責任ということで申したわけですが、まあ不作為の責任はこれはあくまでも原告の患者さんたちが熊本県を相手取っての訴訟でございまして、熊本県が被告としてそういう判決を受けまして、しかし、また県と一種のチームプレーとしてこの問題に対処してきた国側もそういう意味では間接的に責任を感じ、この判決がおりました時期を機にしまして、もう少し積極的な姿勢で取り組みたいと、熊本県を援助して支えていきたいと思っております。
○内田善利君 私はこの水俣病が発見されて以来、熊大の医学部それから熊本県ですね、非常にこの救済対策に努力をされてきたことを認めます。その中で、先ほど長官が言われましたように、疫学面の不備なためにこのようにたくさんの方がまだ残っておられると、そう思いますが、その中で、特に熊本県がことしの二月に県議会で認定業務の返上を決議しておるわけですね。これはいままで国に対して、特にいまの沢田県知事さんは、東京によく来られて、国に対していろいろなことを陳情なさっているわけですが、これらに対する、熊本県の努力に対する環境庁なり政府自体の何といいますか、応対といいますか、対応といいますか、が、やはり少し傍観的態度に偏ったんじゃないか。そういうことで、やはり熊本県会の、熊本県自体の、環境庁あるいは政府に対する不満は非常に大きなものになっているんじゃないかと思うんですね。またこの裁判の判決は県に対する判決でございますけれども、やはり私は、いま長官がおっしゃったように、誠意のある態度で臨んでいかなければならないんじゃないかと、こう思います。 いままで一斉検診あるいは総合調査等も行われましたけれども、いろいろな面のこの患者さんの不信、あるいはお医者さんがなかなか集まらない、そういったいろんな要素が絡み合ってこのような状態になったんじゃないかと思うわけですが、やはり環境庁としては、政府としてはもっと積極的に、この未曾有といいますか、こういった広範な範囲で非常に悲惨な状態になっているということに対する国の抜本的な対策が、この際必要なんじゃないかと、長官が今回現地を訪問されたその成果を大きく期待したいと思うのですが、いかがでしょう。
○国務大臣(石原慎太郎君) 確かにおっしゃいますように、熊本県側にも国に対しての不満があると思います。いままでの段階で、国は国なりのベースを心得て熊本県ともすべき協力はしてきたわけでございますが、結局それが患者さんたちの要求する業務の遂行の能率に追いつけなかったということで、これは機関委任事務でございますけれども、やはり熊本県が最前線に立ち、国がこれをバックアップするという一種のチームプレーでございますから、その連帯というものをより強く積極的にいたしまして、患者さんたちの期待にこたえていきたいと思っております。
○内田善利君 熊本県の認定審査会で審査の結果、先ほども話がありましたが、保留になる人が非常に多いわけですね。ですから、答申保留者についての対策ということから、国レベルでの認定審査会を県から要望があったと聞いておりますけれども、これに対する考えはどうでしょう。国レベルで、新潟、鹿児島ひっくるめて認定審査を推進していくという考えはいかがでしょう。
○国務大臣(石原慎太郎君) 大まかなことは私からお答えさしていただきますが、後は野津部長から詳しい具体的なお話をさしていただきたいと思いますけれども、やっぱり、県の上に国があるということではなしに、何といいましょうか、こういうたとえは適切であるいはないかもしれませんが、やはり一つの非常にまぎらわしい病像というものの判定の仕事でございますので、裁判とは違いますけれども、一種の最終審といいましょうか、幾つか検査を重ねる、審査を重ねることで、それだけされ尽くして、そこで判定が出たものはやはり手続の中で患者さんたちに納得をしていただく、申請者に納得をしていただくと、そういう意味で地域性を越えた形で、そういう専門家の権威を集めまして、そういう最終的な審査の機会というものをつくってほしいという県の依頼でもございますが、同じようなアイデアがすでに環境庁の方にもあったようでございまして、できればそういうものをつくりたいと思っております。なお詳しくは野津部長の方からお答えをさせていただきます。
○政府委員(野津聖君) ただいま御指摘ございました問題としましては、やはり現在の水俣病という病像の状態というのは非常に判断困難になっておりまして、現在の各県の審査会、特に熊本の審査会におきましては保留のケースが多い。その保留のケースに対します処理としてという御質問というふうに理解いたしまして、私ども現在までとっております考え方あるいは方法につきまして若干述べてみたいと思うわけでございます。 御案内のとおり、現在の患者さんの認定のためには高度の学識と豊富な経験とを踏まえました形で審査いただいているわけでございます。ただ現在の状況のように、八十件の審査に対しまして約二十件しか答申できないというふうな実態につきましては、やはり現在の医学の進歩あるいは現在申請しておられます申請者の方々の病像の多彩というふうな問題があるわけでございまして、御案内のとおり、現在三県一市の審査会の先生方を中心としまして、一昨年来、相当な回数にわたりまして御議論をいただいてきているところでございますが、先般、熊本県知事あるいは熊本県の議会に対しまして、環境庁の考え方ということで申し上げた中に、水俣病の判断条件をより明確化するということを前提といたしまして、これにつきましては六月末を目途に明確化したいということで、現在作業、あるいは先生方との調整をとっているところではございます。これによりまして、熊本県の認定審査会におきます認定業務というものが、従来まで、八十件のうちの六十件までが保留というケースが、保留のケースが非常に少なくなってくるのではないかということを私どもは期待しておるところであるわけでございます。 また、そのような流れの中でも、さらにむずかしいような問題が出てくるということも、現在の申請者の方々の病像の多彩というものを前提といたしますと、非常にあるのではないかということも考えておるわけでございまして、これが先ほど申し上げたような形で判断条件が明らかになったにいたしましても、やはり県の認定審査会で判断が困難な事例が生じてくるということにつきましては、何らかの対応の方法があるんではないかというふうに検討をいたしてまいりたいと思っておるわけでございます。 また、特に、国に一つの認定審査会を設置するということにつきましてでございますけれども、現在の補償法、あるいは御案内のとおりの過去の救済法というふうなものにおきましては、国に、県の段階で認定が非常に困難な事例についての上級の審査会をつくるということにつきましては、現在の法制上では非常にむずかしい面があるわけでございます。また、たとえできたにいたしましても、国の認定、あるいは県の認定というふうな二通りの認定があること自身も若干問題があるのではないかと思っております。 それからまた、これらの専門家でございますけれども、現在、熊本、それから新潟、鹿児島の三県におきまして、検診、あるいは認定業務に当たっておられる方というのは、まさにこの三カ所にあるわけでございまして、冒頭に申し上げましたような高度の学識と豊富な経験ということを踏まえますと、やはり同じような先生方の御判断にまたざるを得ないというふうな問題も内蔵しておるわけでございます。いずれにいたしましても、私どもは、第一段階といたしましては、この六月末を目途といたしております判断条件というもののより明確化ということを第一段階として進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
○内田善利君 いま部長さんのお話聞いておりまして、遅いなあという感じがするんですよね。いままで、水俣病問題を今日までずっとこの委員会で取り上げてまいりまして、いまになって判断条件を決めたり、そういったことで推進していこうという考え方、本当に行政の、何といいますか、遅々として進まないことに憤りを感ずるわけですが、ひとつ、今度こそは六月末を期してしっかりこのおくれを取り戻していただきたい、列車を走らしていただきたい、このように要望するわけです。 長官に再びお伺いしますが、明水園を視察されたときに、胎児性の患者とお会いになって、その悲惨な姿を実感を持って受けとめられたと思いますが、そのときに長官は、歴代の環境行政の責任を反省し、園田元厚生大臣を会長に、歴代の環境庁長官を事務局長にして、胎児性患者、脳性小児麻痺患者が社会復帰できる組織をつくると、このように決意を表明されたと承っておりますが、その組織の性格はどういうものなのか。また、もうすでにこれには着手されておられるのか。私は非常にこの胎児性水俣病患者の姿を見まして、その悲惨さを痛感するわけですが、現在、水俣病の治療法が確立されていない現状ですね、現況から見て、社会復帰ということが可能であれば非常に喜ばしいことですが、こういったことが本当にできるのだろうかと、どういうふうな具体的な考えを持っておられるのかお聞きしたいと、このように思います。
○国務大臣(石原慎太郎君) 一般の脳性小児麻痺の患者、こういう患者さんたちに対する対処は厚生省の所管でございますけれども、たまたま環境庁が水俣病を所管いたしまして、その中に、脳性小児麻痺患者の中の一種であります胎性中毒によるいわゆる胎児性水俣病患者が何人かおられるわけです。こういった人たちを含めての、授産所といいましょうか、そういうものもチッソは試みたようですけれども、どうもうまくいきませんでした。 やはり一番悲惨なのは、ある程度の何といいましょうか、体の自由——障害はあっても体を動かせる、物が言える、人の言うことはちゃんと聞き取れるという人たちと話しまして、一番どうも胸が詰まるのは、働かしてほしいと、働きたいと、何でも、できる仕事をとにかく仕事としてほしいと。たとえば明水園の中でお医者さんのために何か道具を運ぶんだと、自分はそれを手伝っているんだということを非常に誇らしげに言ったり、それから、八ミリの映画で、自分の友達の実は実態を撮った子供がいます、自分で編集して。ところが、その親がそれを公開することを非常にきらいまして、残念ながらそのフィルムは結局、没収というのか、没にされてしまった。あるいは保母さんになりたいという子供がおりますし、そういった子供たちにそれなりの仕事を与えてあげる。そしてそれを、普通の成人から見れば、物足りない、能率の上がらない仕事かもしれませんが、しかし、やはりそういうハンディキャップを負った子供たちの人生の中で、それをやはり給料の面でも一人前として扱ってやってあげるようなそういう体制というのを、まあある者がある種の負担をすればできることでありまして、たとえば今度できます水俣病の研究センターなどでそういう患者さんたちに働いてもらうということも積極的に考えたいと思いますし、まあどう言うんでしょうか、それほどひどくなくても、自分が持っているハンディを隠して、水俣を出て大都市に行き、簡単にブロックを積むような作業をしていながら、やはり遅発性の病気がだんだん出てきて、そういう簡単な作業もできずに帰ってきているような、一種の胎児性の、非常に軽症ではありまするけれども、非常に常人と比べてハンディキャップのあるそういう若い人たちが、実はほかにも何人もいるわけであります。 そういう者を、ごく限られた人数ですから、やはり水俣病を公害病として認定された、かつて厚生大臣として認定された園田さんに、私も個人的に話をしまして、まあとにかく何らかの措置を講じて、胎児性の患者たちが人生に生きがいを感じることのできるような方法を講じましょうということで、いま話している最中でございます。まあ数が限られていることですから、やってできないことじゃないと思いますので、私も、そういった仕組みができるまでとにかく努力をしてみるつもりでおります。
○内田善利君 ぜひひとつ実現するように御努力をお願いしたいと思います。 それから、水銀汚染の実態をつかむために、政府レベルの推進会議のようなものをつくって総合調査を行うと、このように聞いておりますが、その実施方法、あるいはいつごろからやるのか、具体的におわかりでしたらお願いしたいと思うんです。
○国務大臣(石原慎太郎君) この間も、担当の野津部長と話をしましたんですが、いままでに、先ほども寺田先生にお答えしましたように、県なり国のレベルで幾つかの調査が、あるものに対してはあります。それがどうも有機的に組み合わされずに、ばらばらのまま眠っている節がございますので、まず、その過去のある時点で行われた調査のデータというものをもう一回全部掘り起こしまして、そろえて、そしてつなげてみて、その中で欠けているものを再調査するなり、とにかく新規に調査するという形で実態をつかみたいと思っております。行政の所管かずいぶんこの二十年間の間に変わりまして、たとえば水の問題を経済企画庁がやっていたようなときがあって、ある種のかなり綿密な調査を経企庁が水の問題として水俣で行った事実がございますが、その資料がいまどこにあるのか、これもわからない。そういうものを、まず過去に行われた調査をむだにしないように、まず資料の発掘整備をいまやっておりますが、それが一応終わったところで、足りないものをとにかく行って、総合的に実態を把握するという段取りでいきたいと思っております。
○内田善利君 この水俣病問題につきましては、いろいろいままで検討もされてきたわけですが、水俣病の問題につきましては各関係省庁——通産省、大蔵省、厚生省等多くの関係省庁が関係しているわけですが、この水俣病をこの辺で抜本的に解決促進するために、長官、関係省庁による対策会議のようなものをつくって対策を講じていくことはお考えでないか、どうでしょうか。
○国務大臣(石原慎太郎君) すでに前回熊本県が機関委任事務の返上決議をしました折に、知事も上京されまして、沢田知事を加えて——総理があれはたしかカーター大統領と会われにアメリカに行き、帰国されたその日だったと思いますが、第一回の関係閣僚会議を開きまして、その折に視察に行き、同時にそれをもとにして環境庁側の試案のようなものをつくり、同時に熊本県の方からも試案を出してもらい、それを突き合わせて、県と国との一体となった試案をまとめた段階で次の関係閣僚会議を開いていただき、個々の問題について関係省庁に積極的にお願いをするということになっておりますので、いま二十五日ということで、熊本県側の答えを待っておりますが、それが出ましたならば、今月中にも環境庁側の案と突き合わせをして、一刻も早く関係閣僚会議を開くつもりでございます。
○内田善利君 それでは次に、環境アセスメントについて、先ほども前者から質問があっておりましたが、私の方からも質問したいと思います。 この環境アセスメントの法制化については、ここ数年来歴代の環境庁長官が公約してこられたところなんですが、昨年の通常国会に引き続きまして今回もこの委員会で審議されることを期待しておりましたけれども、今回もまた、私どもも法律を提案をしておりますけれども、環境庁の方では法案提出が見送りになったわけですが、この重要な制度の実現が停とんしているということは、意欲的に環境行政を推進してきた長官にとって、あるいは事務当局にとっても大変な障害になっていると察するわけですが、これはどういう点が支障になっているのかまずお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(柳瀬孝吉君) アセスメント法案を法制化したいという問題は、これは確かに先生がおっしゃるように、昨年もそういう意思を元小沢環境庁長官も表明されておったわけですが、昨年の段階では、まず法案をつくる内容も、ある程度の、一昨年の十二月の中公審の中に置かれた環境影響評価の専門委員会の大筋の考え方というものを基礎に、各省庁とも相談を始めたわけでございますが、まず、そのもう入り口の段階で、時期尚早論とか、そういう法案をつくることが非常に混乱を招くとか、アメリカでも法律をつくったために大混乱しているとかいうようなことで、中身に入る前の段階でもう非常に議論が多くて、法制化の入り口で戸惑ったというような段階であったわけでございます。それで、その後関係各省庁と連絡会議を持ちまして、いろんな問題点の詰めをやった後、先ほど長官からも話のございましたように、具体的な法案の形で各省庁にお示しをしたのがことしの一月ごろでございまして、その後いろいろ努力をいたしまして、二十一省庁のうちの大部分の省庁から大筋の合意は得たわけでございますが、なお重要な問題で非常に調整がつかない問題が残りまして、これは具体的に申しますと、大きな問題として通産省の電気事業関係をこの法案の中に入れるか入れないかという問題、それから建設省の都市計画地域における各種の事業のアセスメントについて、この法案に入れないで都市計画法の法制の中でそれを取り込むか取り込まないかというような問題、それからアセスメントを実施いたします上に必要なアセスメント手法というものをどういうふうにこれを明確化していくかというようなことについて、調整が済まない段階で時間切れになってきたと、そういう経過でございます。
○内田善利君 環境庁としては、環境アセスメントは必要であるとお考えになっておられるのか、その必要性をどの程度に考えておられるのか、公害防止についてはいままでは発生した公害をどうするかという問題、また被害者に対する救済対策あるいは発生源に対する規制、そういうことで公害先進国として今日まで来たわけですが、この段階にまいりましたならば、どうやって公害を防止するかという立場から、環境影響を事前に評価するということはだれが考えても必要なことだと思うんです。また環境庁としても、今国会に長官も所信表明で出したいと、こう言っておられたわけですけれども、どの程度認識されているのかちょっと疑念を持つんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(石原慎太郎君) さきの閣議了解で今国会提出断念と申しましたが、しかしあのときのコメントの中にも、この時代をかんがみてこの法案というものを除いて環境問題を考えるわけにはいかないということで全閣僚の了承を得まして関係省庁——断念は今回いたしましたか、その時点から続いて積極的に残った問題について討論を、話の詰めをすると言い、また官房長官も次の国会に出すように自分も自分の立場で努力をすると言ってくださったわけでございますが、一種の文明論と申しましょうか、産業時代が終わりまして、次の文明の成熟というものを目指すために新しい価値感というものがいま模索されているわけでございますが、やはりその決定的な決め手になる私は法律だと思います。これはある意味では、環境庁がたまたま所管しておりますけれども、むしろ政府全体の次の時代に対する一つの志向というものを表示する法律案でございますので、そういう意味で環境庁の所管の法律という観点にとどまらず、政府全体の行政の姿勢というものを環境庁がこの法律で要約して代表するんだという認識で、ともかく絶対に早期に成立するようにいまの時点でも執拗に努力をしている次第でございます。
○内田善利君 先ほどの答弁の中で、通産省は電気事業関係、建設省は都市計画関係を入れるか入れないかという問題だということでしたが、住民参加の方法について調整ができない、このように私たちは住民参加の方法についても意見の相違がある、このように聞いておりますが、この点はありませんか。
○政府委員(柳瀬孝吉君) 住民参加といいますか、計画を、これを公表して縦覧をしたり、あるいは住民の方々によく周知をさせる、そのために説明会を開くとか、あるいは住民の御意見をとって、その中で有効な御意見はこれを取り入れていくというような手続について反対を表している省庁はどこもないわけでございます。ただ、そのやり方を、たとえば都市計画のあれでいきますと、知事か都市計画の決定をする、そうすると都市計画の決定の段階で、知事が決定するんですから、そのときに、いろんないままでも都市計画法制上で計画の公開、公示とか縦覧とか、いろんなそういう住民の意見の聴取とか知事がやっているので、アセスメントの手続も知事がやるように、都市計画内で一体的にやるようにした方がいいというようなことが建設省の御意見でございまして、それに対して私どもは、アセスメントというのは、そういういままでの都市計画の手続とはちょっと違った問題で、やはりこれは事業者がちゃんと、——たとえば大きい道路をつくる場合に道路公団が仕事を、道路をつくるという計画を立てる場合には道路公団、事業の実施主体あるいはそういう事業者がやらなければ無理じゃないか、知事にそういうことをやれといっても、それは現実にそぐわないというような問題で、その手続の一体実施主体をどうするかというようなところで問題が分かれている点があるわけでございます。
○内田善利君 昨年の通常国会に続いて、今国会も提出を断念されたわけですけれども、今回は昨年の場合とはちょっと違って、政府部内の折衝の経過がある程度新聞に報道されてきました。それによりますと、五十年十二月の中公審専門委員会報告からことしの環境庁一次案、二次案、三次案と次々に新聞にも報道されてその折衝の過程がはっきりしたわけですが、それを見ますと環境庁の主張が一次案から二次案、三次案というふうに後退してきているように感ずるわけです。そして、いよいよ部内が不調整に終わったということですが、今後の見通しとして次期国会にも出したいということですが、こういう一次案、二次案、三次案と後退し、しかも部内で不調整というようなことが続くならば、次期国会も法案の提出はきわめて困難じゃないかと、そのように考えるわけですが、このことについてはどのように対応していかれるおつもりですか。
○政府委員(柳瀬孝吉君) 先生おっしゃいましたような一次案、二次案、三次案で後退をしているという御意見でございますが、これは、私どもは後退をしたつもりはないんでございまして、いろいろと調整できるところは調整をしていきますけれども、大筋においてはこの中公審の専門委員会の内容をずっと維持してきておるわけでございまして、今後もやはり大筋を曲げるというようなことはするべきでないと存じますが、なお、いろいろ事務的に調整できる問題も、そういう余地があるんではないかというふうに私ども考えておりますので、引き続き努力をしていきたいというふうに考えております。
○内田善利君 後退した内容ではないということですが、柳瀬企画調整局長は、法案の内容を後退させたりすることはできない、今後努力するが調整がつくかどうかわからないと言っておるわけですね。これは次期国会へ向けてその折衝が見通しが暗いというふうに語ったと報道されておるわけですが、これは事実ですか。
○政府委員(柳瀬孝吉君) その新聞の中の見通しが暗いというのは私は言っておりませんので、それは何か新聞がそういう憶測をしている記事だと思いますが、今後とも私どももやはりなお調整の余地が残っている部分もあると思いますので、引き続き努力をしていきたい。しかし、いまの段階ですぐそれができるのかできないのかと、こう言われますと、それは努力をした結果を持って判断すべきものだというふうに考えておるわけでございます。
○内田善利君 ちょっと中公審のことについてお聞きしたいと思いますけれども、昨年の十二月、中公審の防止計画部会の中の環境影響評価制度専門委員会が環境影響評価制度のあり方についてという報告をまず出した。その後、環境庁は一次案、二次案、三次案と出してこられたわけですが、私は、中公審の出したこの報告はそれなりに評価できたと思うんですね。一次案、二次案、三次案と少しずつ私どもは後退してきたように受けとめておるわけですが、この専門委員会の報告の後、中公審なりあるいは防止計画部会はどういう対応行動をとってきたんでしょうか。事務レベルでの折衝に任せて行動はなかったのか、この点はどうなんでしょう。中公審はこの発表をされてから環境庁の一次案、二次案、三次案に対してどのような行動をとってこられたのか、おわかりでしたらお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(柳瀬孝吉君) 五十年の十二月に専門委員会が中間のまとめを発表いたしましたその時点で、引き続きまして今度新たに中公審に環境影響評価部会というものを設置いたしまして、その部会に問題の最終的な検討をゆだねたわけで、その段階で環境庁長官から諮問がされて、今後の環境影響評価の問題をどういうふうにすればいいかという諮問があったわけでございますが、そこで、その部会といたしまして内容の検討をし、また関係各省庁からも意見を聞き、あるいは都道府県あるいはいろんな各方面から意見を徴して引き続き検討を続けてまいっておるわけでございまして、その段階でやはりこれは現実的に政府部内の関係、つまり環境影響評価法案といいましても環境庁か自分で事業をやったり——影響評価をしたりあるいはそれを進めていくのじゃないわけでございまして、それぞれ公共事業については所管の省庁がありますし、また民間の事業につきましてもそれを指導監督している省庁があるわけでございまして、そういうところにいろいろやっていただかなきゃならぬ問題でございますから、そういう関係省庁とのやっぱり調整ということをまずやって、そういうものの得られた結果を土台にして、環境影響評価部会もそれについて検討をし結論を出そうと、まず政府部内のそういう調整というものを見た上でさらに検討をしようと、こういうことになっておりまして、いろいろとその内部的に部会を開いたり懇談会を開いたりはやっておりますけれども、そういうことで現在まで至っておるわけでございます。
○内田善利君 もう一つお聞きしますが、この国のアセスメント法制化が足踏みしているわけですが、この中で昨年、川崎市がアセスメント条例を制定したわけですね。これは国の規制立法を先取りした、各地の自治体の各種の公害規制条例の制定の歴史と同じような姿にありますが、私はこれを大いに評価したいと思うんです。ところが、環境庁の三次案では、自治体の条例制定の上乗せ規定、これを削除するということになっておりますが、自治体が今日まで公害立法の歴史の上から果たした役割りというのは非常に大きいわけですが、このように国でそういった条例を、上乗せ規定を削除するという真意はどこにあるんでしょうか。
○政府委員(柳瀬孝吉君) 川崎市の条例、これは大いに評価すべき問題だと思います。国が立法化しましても、これは全国のあらゆる開発事業を全部これ法律の対象にするというわけにはいかないわけでございまして、やはり相当大規模なものに限られるという制約があるわけでございまして、一方においてやっぱり都道府県なり市町村の中で、やはりそういう国のレベルで考えているものよりもより小さい規模のものとかあるいは個々の企業立地とか、そういうものにつきまして、やはりアセスメントのためのそういう条例なり、あるいは現在、条例をつくらなくても、指導要綱というようなものに基づいて、宮崎県あたりはそういう指導要綱というようなものをつくってやっておりますけれども、そういうことは必要なことだと思うんです。 で、これをはずしましたのは、実は、そういう自治体でも条例をつくることを妨げないということを入れておいたんですが、そういたしますと、一体その条例というのはどこまでできるんだと、それからどういう内容のものなんだと、こういう質疑が非常に多くなりまして、これはもう地方自治に基づく地方自治体の条例制定権の範囲でできることはすべてできるんだと、こういうことなんですけれども、それじゃ同義反復みたいなものであたりまえのことを言っているんじゃないかというので、いやそれはあたりまえのことを言っておるんで、一体国でそういう大規模ばっかりというのじゃ、それではそれ以下のものはどうするんだという場合に、それは条例でできるということをただ入れただけでありますので、それはそういう意味のないものであれば削ったらどうかというので、それでは削っても同じことであるということで、内容的には別に後退したわけでも何でもないわけでございます。
○内田善利君 環境アセスメントはこれで終わりまして、最後に、きょう苛性ソーダの製法転換についての水銀等汚染対策推進会議の発表を見たわけですが、これは第三水俣病当時、こういう懸念は本委員会でも相当懸念されて、念を押して通産省等には質問をし確認をとった問題なんですね。それが今日このようにして期限どおりにできない、こういうことなんですが、私はその当時、水銀法は品質がいいと、それにもかかわらず、こういうふうにして品質の悪い工法に転換をするということについて質問もいたしたわけですが、今日このようなことになってはなはだ残念と思うんですが、この点はどのようにお考えなのか、通産省お見えになっておりますか、お伺いしたいと思います。
○説明員(児玉幸治君) ただいま先生御指摘のように、四十八年の十一月に推進会議で全面転換の方針を決めましたときに、確かにそういうようなことについての懸念もあったわけでございます。ただ、当時の私どもの立場といたしましては、その事態に対しては、当時開発が進行しておりましたイオン交換膜法がこの全体の転換のテンポの中で開発が進んでいくだろうというふうに考えたわけでございます。また、その開発を促進するためにいろいろ手も打ったわけでございますが、大変残念なことにこのテンポにどうしても間に合わなかったということでございまして、今回の水銀等汚染対策推進会議の合意事項の中にも、こういうような事情に立ち至ったことは、事が水銀に関する問題であるだけにきわめて遺憾であるというふうに申しておりますが、私どもはそういう気持ちでおります。
○内田善利君 時間がまいりましたので、あと一問にしぼりますが、国民の前に約束をしてそれができなかったわけですね。ですから、この今度の発表も、そのできなかった理由、そしていつまでにやりますということをやはり明示するのが失敗した立場からの報告じゃないかと、こう思うんですね。あの当時、イオン交換法についても私は触れておるわけです。そして今日までその開発がおくれてきたということなんです。あのときに期限を設定されなければこういうことにはならなかったと思うんですけれども、期限を設定された、そしてできなかった理由と、今度はいつまでにしますということを、やはり国民の前に明言すべきであると思うんですが、この点いかがでしょう。
○説明員(児玉幸治君) ただいまも申し上げましたように、イオン交換膜法の技術開発につきましては、全力を挙げて急いできたわけでございますけれども、残念ながら今日の時点でこの技術を評価して見ますと、どうしても全面転換を、いまの時点でこの技術に頼ってやるにはいまひとつ十分な見通しか立たないわけでございます。したがいまして、今回環境庁の方ともいろいろ御相談しながら決めました方針につきましては、これから先の転換は考え方を改めたとか何とか、そういうことは基本的にはないのでございまして、できる限り急いでこの技術を実用化の方向に持っていきたい、そのために、ことしの十月までに現在開発の進んでおりますイオン交換膜法の技術につきまして、専門家による技術評価をいたしまして、その技術評価の成果を踏まえた上で早急に転換計画を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
○政府委員(柳瀬孝吉君) 日限をつけまして、これまでに転換を図るということを決めたのに、それが達成できなかったということは、これは本当にまことに遺憾な問題と私どもも考えておるわけでございまして、そこで、やはり業界の方の要望といいますか、三年ないし五年延ばしてもらいたいとか、そういう業界の言い分をそのまま認めるようなやり方というのは、これはとるわけにはいかないということで、これはむしろ具体的に今後の転換についての技術評価というものを、専門家の評価を早急にやってもらって、個々具体的な転換のスケジュールというものを早急に、可及的速やかにやるようにやっていくというやり方でやっていく、漫然と何年延ばすというようなことではないようにしていくというふうなやり方にしていくということと、それから、その過程におきましても国民の納得が得られるようなやり方でということで、やはりその間、水銀のクローズド化というような問題についても、常時厳密にチェックをいたしまして、これを進めていくと、あるいは廃棄物の処理についても、これを厳重に監視をしていくということを、通産省あるいは私どもや厚生省、労働省等が一緒になりまして、そういう裏づけのもとに、可及的速やかに転換を図っていくというように考えておるわけでございます。
○安武洋子君 四十八年の十一月に瀬戸内海環境保全臨時措置法、これが施行されております。第三条には、瀬戸内海が世界に比類のない美しさを持ち、漁業資源の宝庫であり、その恵沢を国民が等しく享受し、後の国民に継承すべきものである、そういう認識に立つべきだ、こういうふうになっているわけです。ところが、この瀬戸内海というのが開発に次ぐ開発で瀬死の状態になっているわけです。海がお好きだという長官にお伺いいたしますが、瀬戸内海の埋め立てについて、どういうお考えをお持ちでございましょうか。
○国務大臣(石原慎太郎君) この臨時措置法ができます前はほとんど野方図にやっていたわけでございますけれども、あの法律ができましてから、埋め立ての立地あるいはその影響、いろいろ勘案しまして、最低限の埋め立てという形で、確かに幾つかの埋め立ては行われてきました。しかし、立法以前に比べますと、はるかにその数も減りましたし、埋め立ての作業自体も乱暴なものでなくなり、一つのよき変化と申しましょうか、ある程度の前進はしたと思っております。
○安武洋子君 十三条第一項の埋め立てについての規定の運用に関する基本方針、これは埋め立ては厳に抑制すべきであるというふうになっているわけです。埋め立てについて長官のおっしゃるようにこういう規定があるにもかかわらず、埋め立ては促進をされているんです。好ましい埋め立てというものがあるのかどうか。私は瀬戸内海のことをお伺いしているわけで、一般的な海じゃないわけです。 その点についてお伺いいたしたいわけですけれども、四十六年の一月一日から四十八年の十一月一日、この三年間の埋め立てと比べてみますと、四十八年十一月から五十年の十月までの二年間の方が埋め立て面積が香川県のようにはるかに大きいところもあるわけなんです。四十八年十一月から五十年十月末までの二年間で、瀬戸内海では十一県がすべて埋め立て免許の実績があるわけです。その合計といいますのは三百九十一、件数です。それから面積では八百十ヘクタール。こんな膨大な面積に達しているわけなんです。現在の自然汀線というのは、本土側では一九%、島の方では二六%と。一体このような事態で長官はよいというふうにお思いなのでしょうか。いまの埋め立て状況、好ましい状態に変化した、こういうふうな御認識なんでしょうか。環境庁の長官としての私は石原長官にお伺いいたしております。
○政府委員(二瓶博君) 瀬戸内海の埋め立てにつきましては、ただいま先生からお話ございましたように、法律の十三条の規定によりまして埋め立て等についての特別の配慮の条項があるわけでございます。この条項の具体的な運用の問題につきましては、これは審議会の答申も得まして、この埋め立ての基本方針というものを決めておるわけでございまして、この基本方針の線に沿いまして、海域環境なりあるいは自然環境、水質資源の保全という面に十分配慮して取り進めていくと、こういうことに相なっておるわけでございます。 そこで、これを施行した後の姿はどうなっておるかということでございますが、ただいま先生が具体的に数字を挙げられましたとおりでございます。この法律が施行されました以後、四十八年十一月二日から五十年の十月三十一日まで、これは確かに先生おっしゃいましたように、面積にいたしまして八百十ヘクタールでございます。これを、この施行前の姿とどうなるかということでございますけれども、四十六年一月一日から四十八年十一月一日、これが六千二百五ヘクタールでございます。これを同じ物差しでということで期間を同じにとるということにいたしまして、年平均で出しますと、二千百九十というのが従来の姿でございます。実績でございますが、施行後は年平均で言えば四百五ということで、大体面積的には二割程度になっておると、こういう姿でございまして、この瀬戸内海の埋め立てについては抑制の方針といいますか、そういう面で臨むという、そういう考えに基づいた線は、一応こういう面から見れば、相当効果が上がっておるのではないかと、かように認識をいたしておるわけでございます。
○安武洋子君 面積は二割になったからというふうなことで、埋め立てによる環境浄化が、抑制が進んだというふうに評価なさるのかどうか。私は埋め立てによる環境影響について、過去の埋め立てですね、それの事後調査をなさったかどうかということをお伺いしたいです。
○政府委員(二瓶博君) この埋め立ての案件が
○安武洋子君 端的にお答えください。
○政府委員(二瓶博君) 具体的に運輸省の方にまず認可のあれが公有水面埋立法で上がってまいります。それが上がってまいりますというと、法律の規定によりまして、埋立法の規定によりまして、環境庁の方に長官の環境保全上の意見が求められるということがございます。そういう際にこれを審査をいたします。一般的な地域の審査、アセスでございますが、そのほかに瀬戸内海の地域につきましては、さらにこの運用の基本方針というものにのっとった角度での審査も同時に行います。そういう際に、一応その際はアセスでございますから、予測でございますが、さらにそういう予測に乗った姿に実績がいくかどうかということの事後調査、モニタリングといいますか、そういう面も、必要な案件については、条件を付してモニタリングをやるようにというようなことで進めておるということでございます。
○安武洋子君 お答えは端的にお願いいたします。 やるようにということですけれども、過去にやられたことがあるのかどうかということをお伺いいたしております。もしおやりになったのなら、その資料をお出しいただきとうございます。
○政府委員(二瓶博君) 瀬戸内海法が施行になりました後で、大きな、たとえば五十ヘクタール以上というようなものは、これは先ほど申し上げました十月三十一日までということで見ますというと、これは愛媛県の西条市の埋め立てがあるわけでございますが、これにつきましては事後調査の方は特に条件をつけておりませんので、一般的な角度での調査ということはありますが、いま私が申し上げましたような事後調査はやっておりません。
○安武洋子君 事後調査をおやりにならなくて、どうして事前調査が正しかったかどうかということがわかるんでしょう。やはり私は事後調査を行うべきだと。どういう影響が出るかということは、埋め立て中の調査も行わなければならない。そうしなければ、事前評価を正しくやったというふうにはならないではないかと思うんです。だから埋め立てについても実に簡単なお答えが先ほど出てきたわけなんです。 埋め立ての漁業、それから水産資源、これへの影響を調査したことがございますでしょうか、お伺いいたします。
○政府委員(二瓶博君) 埋め立て案件の上がりました際のアセスの審査を、企画調整局の方と一緒にやるわけでございますけれども、その際は県の方なり、そういう事業主体の方でアセスをやっておるものが上がってまいるわけでございますが、その際に、ただいま、先ほど申し上げましたような海洋環境なり自然環境なり、そういう角度での審査を、一般的なアセスのほかに、瀬戸内海の面についてはこういうものも加えて審査をしておるということでございます。
○安武洋子君 そんないいかげんなお答えいただいたら困るんです。私が申し上げているのは、いま環境庁として審査をなさると、だったらその審査の基準というのが正しいかどうかということは、事前調査と、事後調査と、それから埋め立て中の調査と、全部やってみないことにはわからないわけでしょう、次からの埋め立て申請に対しても。だから、どういうふうにして事前調査の基準を置かれるのかというのも出てこないわけなんです。 漁業についてもなさっていらっしゃらないので、私はここに一つの調査資料を持ってきたので、これを参考までにお聞かせしたいと思います。これは水産庁がやっているわけなんです。これは「埋立の漁業環境への影響に関する調査、研究」、五十年度の報告で五十一年八月に出されております。ごらんになっていないんでしょうかね。私、ここの中で二、三読ませていただきます。 埋立ては浅海や汀線の喪失を意味するが、このことはまだ浅海や汀線のもつ水域生産力や海域自浄能力に対する役割を減退させ、瀬戸内海環境の一そうの悪化に拍車をかけるものである。漁業生産が好適な海域環境に基づく水域生産力を基盤として成立している以上、埋立てによる環境破壊は漁業の衰退につながるといわざるを得ない。それからまた、 汚染の進んだ瀬戸内海にあっては同年秋に成立した瀬戸内海環境保全臨時措置法により一そう厳しく制限されることになった。この主旨を埋め立てに当たって生かすために、環境や生物に対する影響の事前評価を行うことが許可の前提とされているが、現実にはその評価の方法や基準をきめるための知見は充分とはいいがたく、影響が著しいとか、少ないとかいった定性的な表現をとらざるをえない。 こういうふうになっているんです。これにはいろいろと漁業に対し、また埋め立ての影響に対しての項目ずつの研究が出ているわけですけれども、ここの中で特に、私は時間がないので、最後に挙げたいのは、ここの中で漁業に対する影響です。これは、 漁業を生活の基盤としている漁民にとって、漁業再生産の場である浅海域が全面的に埋立られ、さらに追いうちをかけるように水質が悪化し、周辺漁場が荒廃し、稚仔・幼魚の育成の場であるはずの藻場が年々失われつつある。又、漁場が狭隘となり、漁場も遠くなり経費が不必要にかかるようになっている。最近はPCBによる魚価の低下をまねいたこと等について、漁民のきびしい指摘があった。高度経済成長による飛躍的な工業発展が、住民の基本的な必要性や価値とは無関係に、又、基本的に漁民と対立する関係にあるためであろう。 同じこれは水産庁の中の南西海区水産研究所、それから水産大学校、大分県水産試験場、ここがこういうふうな研究をしているわけなんです。 私は、このことからもわかるように、埋め立てによる漁民に対する影響というのは、決定的な打撃を与えるわけなんです。政府の研究機関でもこのような検討がされている。そのときに環境庁が、こういう事前評価をなさってもその事後調査もなさらない、こういういま言ったような研究もなさっていらっしゃらない、これでは片手落ちでなかろうかというふうに思うわけなんです。ですから、事前に、このような水産庁がやっているようなことを踏まえて、十分に、環境にどういうふうな埋め立てが影響を与えるかというふうなことをやっていただかなければならない。ただ単に、環境に与える影響が軽微であるとか、または進出企業が無公害である、そういうことだけで認可をされるとしたら、瀬戸内海はどこでも埋め立て可能だというふうになるわけなんです。だから、少し面積が少なくなった、だからいいようになったというふうなお答えまで返ってきてしまう。これでは保全立法骨抜きも同様なんです。 ですから、私は環境庁に求めたいのは、漁業の評価については、水産庁の埋め立てによるこういう調査があるわけですから、こういう調査研究を踏まえて十分に漁業への影響も私は評価なさるべきではないか、こういうふうに思いますが、長官いかがでしょうか。
○政府委員(二瓶博君) 先ほど来申し上げておりますように、埋め立ての認可に対します意見を求められます際に、漁業の方の関係、これについても審査をいたします。特に運用の埋め立ての基本方針の面では、水産資源保護法による保護水面は避けろとか、いろいろなそういう具体的な規定もございます。したがいまして、そういう海域に つきましては避けるということで、該当しないと いうことも十分確認をもちろんしてやるわけでございますし、その他の面につきましても、ノリ漁場があるとか、いろいろなそういう具体的なものにつきましてもどの程度の影響があるのか、その辺も十分審査して、軽微かどうかという点も見るわけでございます。 問題は、それに基づきますその後の事後の調査ということについて、どういうやり方をやるかと いう話でございますが、これはやはり漁業のそういう面に及ぼす影響といいますか、そういうのが非常に重要な、重大な支障あるところは極力その埋め立て計画そのものなり、あるいは埋立地の上物の面についてもいろいろな注文もするということもありましょう。したがいまして、埋め立てた後の事後調査という問題につきましては、相当それは案件にもよると思います。必要なものは、あるいは先生おっしゃいますように、それはやることは当然あるわけでございますので、条件もつけるということを申し上げたのはそういうことでございますが、非常に軽微で、そう問題がないというところは、これもおしなべてみんなやるかということは、必ずしも一律にいかないかと思います。 なお、その調査の手法その他につきましては、もちろんそういう研究所等におきましてさらに精密な新しい科学的知見等も取り入れたものが出てくるということが当然ありますので、その面については、こちらの方も前向きにそういう調査方法、手法等についても検討し、取り入れられるものは取り入れていきたい、こう思っております。
○安武洋子君 事前のお話じゃないんですよね。私は、事後調査もしないでおいて、どうして事前にその影響が軽徴なものという判断をなさるんですか。事前に軽微なものと判断をしたにしても、後で事後調査をすれば大変なことになっているという実例で、いま漁民に対する影響を一つ挙げたわけです。これは何も漁民に対する影響だけではなくて、あらゆる面に対して深刻な影響が出ているということを、同じ政府の研究機関がやっているわけなんですよね。こういう立場に立って事後調査もなさるべきだ。 で、けさいただいたところで、まだ十分には見ておりませんけれども、公害の状況に関するこの年次報告の中でも、アセスメントについては技術手法のガイドラインを作成する作業、これを進めているんだというふうにもおっしゃっていらっしゃるわけなんですよね。ですから、どうして、こういうふうな水産庁のこの研究にのっとって、漁業に対する影響一つにしても、慎重に事後調査、これを生かして事前の審査をされないのか、疑問に思うわけなんです。私は、まるで開発庁に質問しているような感じになるんですけれども、環境庁としていかがお考えなんでしょうか。もう一度長官に御答弁をいただきます。
○国務大臣(石原慎太郎君) おっしゃいますとおり、自然の環境保護ということから言えば、それは海はもう埋め立てしないに越したことはございません。しかし、埋め立てすれば同時に漁業に何らかの被害がもたらされること、これは自明のことでございます。ですから、その以前に埋め立てが決まりましたときに、漁業の補償等もあるわけでしょうけれども、しかし埋め立てが行われてみれば、その補償で追いつかない被害が出るというケースも多々あると思います。いずれにしましても、しかしその埋め立て自体は国なり地方自治体の他の面、つまり経済面にとってのメリットというものを、効用を考えて行われたことで、そこで一種のトレードオフが行われるわけでしょうけれども、しかし、おっしゃいますように環境の保全、公害問題というものが、今日のように焦点が当たってきまして、まだ知見も足りず、そういったものを未然に防止するための技術、手法というものが確立されていない。それを積極的に確立しようというのが環境庁の姿勢でございますから、確かに行うべき事後調査というものが行われていないのは、これはやはり御指摘の御不満、妥当と思いますので、今後、事前調査を行い、幾つか条件なりを指摘したものについて、とにかく事前調査を行ったものについて、行う必要があるべくして行われたわけでありますから、それが埋め立てなら埋め立ての完成後どのような結果と相なったかということは、当然やはり事後の調査として行うべきものだと思います。
○安武洋子君 お言葉の中に経済面のメリットということが出てきましたけれども、埋め立てについて経済面のメリットを優先していただいては、これは大変なことになりますので、私は、そういう点については環境保全ということを何よりも優先していくのだということでやっていただかなければならないということを強く申し添えます。 それから、姫路市のLNG基地の埋め立て問題についてお伺いいたします。これは、二月の二日、兵庫県を免許者として埋め立て申請が運輸省に提出をされているわけなんですけれども、この問題について、環境庁としては、中央港湾審議会において、大阪瓦斯の都市ガス用の問題について意見をお出しになった、こう聞いておりますけれども、どういう意見をお出しになったか、お伺いいたします。
○政府委員(柳瀬孝吉君) 姫路のLNG基地の埋め立てにつきまして、これ、先生おっしゃっているように、現在運輸省の方にその申請が出ておるわけでございますが、運輸省、運輸大臣の方から、まだ意見の照会が参っておらないので、現在の計画についてはまだ承知しておりません。 ただ、港湾計画を昨年決定した際に、私どもで検討した結果、いわゆる関西電力の関係はこれはもうはっきりしておって、油を液化ガスにかえるということで環境がよくなるということははっきりしておるのですが、大阪瓦斯の関係の部分については、それがどういうふうに環境改善効果があるかということは、それの配分がどういうふうになるか、工業用にどういうふうに使われるのか、都市用にどういうふうになるかということが具体的でないと、大気質の改善がどの程度かということが評価できない。したがって、その部分につきましては、当然埋め立て段階で公有水面埋立法による申請が出てくるわけでございますから、そのときまでにそういう点について十分検討を行うべきであるということで、昨年の七月の十六日の港湾審議会でそういう意見を申し述べまして、今後の検討を要請しておるわけでございます。
○安武洋子君 このLNGの埋め立て予定地といいますのは、留意事項に適合しない埋め立てはできるだけ避けるように配慮すると、こういうふうになっている地域なんです。この姫路の地先というのは、埋め立てに次ぐ埋め立てがやられてきたところです。しかも、まだ、LNG基地だけではなくって、化学工業用地とか、新日鐵の用地とか、工業用地、埠頭、流通センター、こういう埋め立てが予定されていると言われまして、それが総計すると二百万坪を超える膨大な埋め立てになるわけですけれども、ここの地域についての日本弁護士連合会からの一つの調査が発表されているわけです。これを私は読み上げたいわけですけれども、この海域についての一つの被害状況、特に漁業についてどういうふうに被害があるかというふうなことが、いままでの埋め立てによってもたらされた影響が出ているわけです。時間の関係上読み上げることができませんけれども、非常に深刻な影響が出ているわけです。 で、ここで私は、こういうところで埋め立てが行われるLNGの問題について、四月七日の運輸委員会で取り上げております。こういう大阪瓦斯のLNG三百七十トンですね、百万トンが都市ガス用なんです。これが、なぜ環境保全に資するものなのかということで非常に疑問を持つわけです。これは県内に住んでいる百五十万世帯のすべてに、都市ガスを使って、年間いまの二倍のガスを使ってもらう。これでもまだなお余る、こういうふうな量なんです。それは環境保全に資するものというふうには絶対にならないというふうに思うわけなんです。このために貴重な海をなぜ奪うのか、こういう疑問を持ちますけれども、環境庁としてはいかがお考えでございましょうか。
○政府委員(柳瀬孝吉君) 先ほども申しましたように、いまの工業用百万トン、それから都市ガス用百万トンというのが、どういう用途といいますか、具体的にどういう配分計画になっているのかということがはっきりしないと、おっしゃいますように大気質が本当に改善されるのか、さらに悪化するのか、つまり都市ガス用にいままで油とか火力でやっていたものが、このLNGによって置きかえられるために、それだけ大気質がよくなるのか、新たにつけ加わって、さらにいまの現状よりも悪くなるのか、それはそういう内容をよくチェックしてみないとわからない。したがって、そういう点については、私どものところへきた段階で十分慎重に審査をしたいというふうに考えております。
○安武洋子君 その審査をなさるときに——私のいまから申し上げる疑問に答えていただきたいと思いますが、この一般工業用の百万トンです、もちろん、先ほどの都市ガスの百万トンもそうですけれども、それが環境保全に資するものとならないどころか、逆ではないかということを私は問題にしたいわけです。 この百万トンといいますのは、一般工業用と言いながら供給先というのが決まっていないわけです。供給先の工場が決まらない百万トン、これは確実に石油の消費量削減につながる、こういう保障は何一つないわけです。しかも、隣接地の出光兵庫製油所、ここは、関西電力のLNG転換によって、供給していたこの石油の供給先を失うわけです。しかも、それなのに、三月二十九日には石油審議会で十一万バレル——ここはいま製油能力十一万バレルですけれども、さらに十万バレルが凍結解除されるわけです。ですから、十万バレルというのは確実に環境を汚染することだけは確かなわけです。姫路市といいますのは、窒素酸化物の汚染は四十九年、五十年には日本一なんです。で、この南部工業地帯の環境保全がうたい文句なんです、この埋め立ては。しかしこの地帯では、現在の石油消費量プラスLNGプラス石油十万バレルのうちXバレル、こういうことになりかねないわけです。 さらに、近隣には埋め立て予定地があります。空白地もあるわけです。ここに新設企業が進出してくる、こういうふうになることも考えられます。百万トンというのがLNGに切りかえられて石油消費量の削減につながる、こういうふうにはならないという可能性の方が強いわけなんです。これでは環境保全にならないと思います。しかも、この百万トンの転換の環境影響評価というのが、この兵庫県と姫路市がやったアセスメントの中には全然入っていないわけなんです。こういうアセスメントを不十分だというふうにはお思いにならないでしょうか。
○政府委員(柳瀬孝吉君) 先ほどから申しておりますように、具体的な計画というものをやっぱり見た上で、それをチェックをしていきたい。そういう意味で、先生のおっしゃいました御意見よく参考にさせていただいて、ひとつ私どものところへ参った段階で十分審査をしたいというふうに考えております。
○安武洋子君 参考にしていただくなら、関電の分については、これははっきりと環境がよくなるのだと先ほど御発言なさいましたけれども、私はそうじゃないということを申し上げたいので、これはぜひ参考にして厳重な審査を行っていただきたいと思います。 で、関電用の百七十万トン、これは本来このための埋め立てなんですけれども、その後に都市ガス用、工業ガス用、こんなものがつけ加わった。そもそもこれがおかしいわけなんですが、この百七十万トンにつきましても、影響評価が確かにされてはおります。ここに出てきております。しかし、私はこれは運輸委員会でも取り上げましたけれども、ここの煙源排出計画という数字が出ているわけです。これは四十八年の数値と五十二年度の改善計画数値、これを出しまして、LNGに転換したらNOxは七%減る、こういうふうにしているわけです。しかし、五十二年にはLNGを導入するなどということはあり得ないわけです。この数字を七%とはじき出して、六十年に転換し終わったときの数字も七%としている、こういうものなんです。姫路の第二発電所だけを見ましても、四十九年以来、ここは液体燃料を使って毎年六%NOxを削減してきているんです。六十年までかかって七%というのはまことにお話になりませんし、七%は五十二年に二百七十万トンを導入した、こういう仮定の上に成り立った削減率なんです。LNGに転換終了した六十年、これは公害規制の強化とか、それから脱硝技術の開発、こういうことでNOx対策はかなり進んでいる、こういうことが予測されるわけです。その時点での二百七十万トンということを考えると、削減率というものは当然もっと違った数値になるはずなんです。 こういう評価のやり方、こういうことで私はよいとは思いませんし、まことにでたらめだというふうに申し上げなければならない。これがただ一つの言い分の大気汚染防止、こういうふうになっていて、貴重な瀬戸内海を埋め立てようとしていることなんです。しかも、関電用の百七十万トンは五十四年ごろに切りかわる、一般工業用百万トンは六十年ごろに切りかわる。アセスとしては関電分に転換したら影響はこうなる、それから工業用の時点では、というふうに評価をすべきなんです。しかし、こういう評価のやり方をしておりませんし、環境保全についても、環境に資するもの、こういうふうになっておりますけれども、二月六日の新聞報道を見てみましても、当事者である関電姫路のLNG施設建設所の柴田光男事務課長、この方がこう言っておられます。LNGに転換してもNOxはさほど変わりませんよ、ここ数年間、ミナス原油やナフサをまぜた燃料の軽質化や二段燃焼法などの改善によって、いまでは排出濃度をぎりぎりまで削減していますからね、当事者すら、このように言っているわけです。だから、私は運輸省から協議を受けて審査をする段階で、こういうふうなアセスメント、やり直すようにということを環境庁としては言われるべきだと思います。いかがお考えでしょうか。
○政府委員(柳瀬孝吉君) 御意見につきましては十分今後の参考にさせていただきたいと思います。
○安武洋子君 さらに参考にしていただきとうございます。アセスの不備を指摘させていただきます。五月十九日の運輸委員会で私が取り上げております。これはLNG船の安全航行の問題について、避泊地の問題を取り上げております。LNG船の航行については、狭水路では一定の指導がなされておりますが、しかし、その航路にはいれないときの避泊地について全く検討されていないわけです。こういう非常な危険船の避泊地について検討されていないというふうなことが一点です。 それから、海上保安庁の指導基準というものには友ケ島などの狭水路、それから港内においては安全対策を求めまして、港内航行中、停泊中、それから狭水路航行中、こういうときにはボイル・オフ・ガスの放出を行わない、こういうふうになっているわけです。しかし、アセスメントでは港内だけしか定めていない、国の指導は基準さえ守っていない、こういうアセスが出ております。 さらに、アセスでは衝突事故の予測を全く行っていないわけです。私、四十五年の数字から見てみましたけれども、姫路港内では往復で一年間に一・一二回、片道すなわちLNGを満載して入港する。こういう状態で、二年に一回の事故発生率になるわけです。六十年にはさらに船は増加する、出光の十万バレルが追加されますから。いまでも小型タンカーが毎日三十そう前後出入りしている。六十年以降には平均五・五日に一回の割りでLNG船が入るわけですから、出光の船は身動きがとれないはずなんです。こういうこともなされていない。 さらに災害のアセスメントがされていないわけです。LNG基地タンクに送り込むときの管ですけれども、この管が切断の可能性があるというふうに言われているにもかかわらず、こういうことがアセスされておりませんし、このLNG基地の近くには日本触媒があるわけです。去年事故を起こしております、タンクの事故。ここでは固定消火装置、それから消火薬剤の理論上の計算が役に立たないということをこの事故は証明しましたし、また先日、出光のタンク事故があったわけです。これはタンクの本体については検査をやられているけれども、付属品が故障したというふうなことで、こういう災害が起こったときにどうするのだというふうなアセスが不十分で、やられていないということです。 そして、私はさらにつけ加えたいわけです。漁業に対する埋め立てのアセスが非常になおざりであるということです。いままでの埋め立てでモ場が枯れたというふうな事実を漁民が指摘しております。これは三十年から三十三年、姫路市の沿岸の埋め立て工事開始後数年間で、東播磨各地、それから家島群島の東部、室津周辺、こういうモ場が激減しておりまして、この付近で操業している漁民に大打撃を与えている。こうした過去の事実を調査して考慮すべきはずなのに、アセスでは、「この海域には底生動物の生息及び有用海そう類は少なく藻場も存在していないため、海産生物への影響は軽微である。」こういうふうな全くでたらめなアセスが出ているわけなんです。私はこの一つでもアセスをやり直すべきだ、やり直す、そういうものだというふうに思います。私は、ぜひこのアセスをやり直すというふうなことで私の意見を参考にしていただきたい。そして、私がこう申し上げたことについて、環境庁としてはどう審査をなさったかというふうな答えを出していただきたい、このように思います。 最後に、私は長官にお願いしとうございます。いま国民は、環境庁こそが最後のチェック機関だという望みをかけているわけなんです。漁業に対する決定的な打撃、これを一つ考えただけでも、瀬戸内海の汚染防止の第一歩というのは埋め立ての進行をとめることです。ですから、埋め立ての現状凍結、これが環境保護の第一課題。しかもアセスメントが全く不十分、こういうことで、環境保全に資するどころか、逆である、こういう予測も出されている段階なんです。ですから私は、運輸省からこの埋め立てについて意見を求められたとき、私は、運輸省にこのようなものは差し戻してアセスをやり直す、こういうことを求めるべきだというふうに思います。私の意見について、長官としてはどうお考えでしょうか。御意見をお伺いいたします。
○政府委員(柳瀬孝吉君) いまの御質問の第一の問題の、航行の安全について十分アセスメントがされていないじゃないかというお話でございますが、これは必要なことだとは思います。ただ、非常に専門的な事柄でございますし、それから、これはやはりそれを所管する省庁がこの航行安全問題についてはあるわけでございますので、そういうところで具体的に検討する必要があるんじゃないかと存じます。もちろん、そのアセスメントの報告書に環境問題以外のことを書いてはいけないということはないのでありますから、そういうものが記載されてもし問題があるとすれば、それは所管の省庁によく連絡をとって検討をしていただくようにしたいと思います。 それから第二番目の問題で、この漁場の破壊とか、あるいはモ場、これを破壊するというような問題これはやはり住民調査の結果に基づいて予測評価をして所要の措置を検討する必要があると思います。そういう点につきまして、やはり私どもの方でも、従来いろいろこの不十分なといいますか、不足している資料等があればそれをさらに追加して資料の提出を求めたり、あるいはさらに必要な調査を求めるということも従来しばしばあるわけでございますので、そういう点についてもよく十分留意をしてやっていきたいと思います。
○国務大臣(石原慎太郎君) 総体的に申しましてアセスメントの手法が技術的に科学的にまだまだ不備な点、多々ございますが、それでもなお現段階で、個々のケースは私つまびらかにいたしませんけれども、御指摘のような不十分と見られるような影響評価に関しては、当然差し戻しというものも考えて厳重なチェックをいたすつもりでございます。
○安武洋子君 次の問題に移らせていただきます。 公害対策基本法第九条四項で、政府は環境基準の確保のため公害防止の施策を総合的かつ有効適切に講ずることが現定されております。それにもかかわらず、兵庫県の姫路市、龍野市、太子町、ここを流れる河川というのが、汚濁状況がここ数年来大変なわけですけれども、放置をされてきているわけです。特に私はここに八家川の汚染状況について実情を把握した資料を持ってきておりますけれども、これは姫路市の五十一年の十一月の調査報告でも、八家川ではPHが見野橋で一〇・三、それから糸引橋で一〇・七、とアルカリ性で。BOD、これも見野橋で五〇〇PPm、糸引橋で二九一PPmと、御国野、四郷地区の皮革工場排水により市内で最も汚染された河川となっており、特にDOは両地点ともゼロであり、死の川の状態である。こういうふうに言われているんです。河川の汚濁がこれほどまでに悪化したまま放置をされている河川というのが、全国にほかにもあるでしょうか、お伺いいたします。
○政府委員(二瓶博君) ただいま先生から八家川の水質汚濁の現況につきまして、具体的な数値を挙げてお話があったわけでございますが、こういうような汚濁のひどいのが全国的にも相当あるかというお話でございますが、全国的につぶさに調査をいたしておりませんけれども、この八家川のBOD等眺めますと、これは全国的にも一番汚染されておる川というそのランクにむしろ入っておるものと、かように考えております。
○安武洋子君 もう時間が大変少ないので、私は被害状況を一々申し上げる時間がございません。長官、これをごらんください。これは銀行から出してきた正常貨が一番上です。これは、姫路市の八家川より三十メートル離れた民家の居間の床の間に置いてあって、約六カ月を経過しているのが一番上なんです。それから、その次が三カ月経過、十日経過、四日、半日というふうに、これだけ金属が腐蝕していきます。それで、住民被害がどういうふうになっているか。これは簡単に申し上げますけれども、テレビ、冷蔵庫、こういうようなものは買って半年ももたないわけです。それから、学校、幼稚園、移転しております。五十年度です。それから健康被害としては、ここにアンケートも持ってきておりますけれども、もうほとんどの人が吐き気を催すとか、頭が重苦しく感ずるとか、食欲が減退する。人が住める状態でない。何もかもすぐ腐蝕してしまう。こういうふうなことを述べているわけです。それから目、のどがだめになる。漁業の被害も出ております。こういうふうに金属がなるわけですから、船のスクリューとか、網のロープが半年も持たない、さびついたり腐ったりするわけです。お魚もとれない。農業被害が出るのです。窒素分が多くて稲の茎の部分が伸び過ぎて倒れてしまう、お米がとれなくなる。これは何も八家川周辺だけじゃないんです。これは太子町にもそれから龍野にも及んでいるわけです。太子町では農業被害というのが全耕地面積の二分の一に当たる七十町歩というのが汚染のはなはだしい林田川の水を使っているわけですから、ここの水稲被害が非常に多いというふうなことで、人もそれから農業も漁業も、大変な被害を受けている。放置できないような状態なんです。 しかし、対策を講ずればこれはすぐに浄化ができる。川西市がそうなっているんです。去年、猪名川が同じような状態でしたけれども、ここに、下水道にこういう皮革汚染を受け入れられるようにした。こういうことで水質の状態は著しく改善をされているのです。私はこういう被害状況を環境庁としては一日も放置できない、こういうふうに思いますけれども、環境庁としてどういう対策をお立てでございましょうか。
○政府委員(二瓶博君) ただいま先生のお話がございましたように、猪名川等におきましては、いわゆる前処理施設、これが設置され運転されております。そういうようなことから非常に改善が顕著でございます。その他、先ほども先生からお話がございましたような八家川なりあるいは林田川等々につきましては、県の方でこの前処理施設全体といたしまして九カ所ほど設置するということで、従来から関係の市町村あるいは皮革企業の方ともいろいろ話し合いをしておるわけでございます。したがいまして、この県のそういう方針というものを踏まえて、環境庁としても、その水質改善といいますかを進めていきたいと思っております。 ただ、なかなか猪名川以外のところがうまくいっていないという問題につきましては、この前処理施設をつくりました際のこれの維持管理費、これの費用負担関係、これがいろいろ話が固まっておらぬというようなことで運転ができていないというのもございます。あるいは運転の見通しがはっきりしていないというのもございます。いずれにいたしましても、県の方も、これについての対策の会議等も昨年の暮れ設置をいたして取り組んでおりますので、十分県の方とも密接な連絡をとりまして、この面が円滑にいくように解決していきたい、こう考えております。
○安武洋子君 いつ解決をなさいますか。いついまおっしゃった前処理場が動いて川が浄化され、この被害が救われるのでしょうか。
○政府委員(二瓶博君) 問題は、これは前処理施設の維持管理費の費用負担関係、これが問題点でございます。県は県といたしまして極力助成措置を講ずるということを考えておるわけですが、市等におきましては、その負担がこれがなかなか市の財政の面から考えると困難であるというようなことがございますし、あるいは企業の方の負担の方も話し合いをするということにはなっておりますが、なかなか右左にいかないということが現にあるようでございます。県の方も前向きに、その辺の点については、各企業の代表者の方なりあるいは市当局の方とも詰めていくということでございますので、その辺の状況も踏まえて、環境庁としてもできることは配慮していきたい、こう思っておりますので、いつまでにということでございますが、これはそういう状況でもございますので、いつまでということを明言するということはちょっと御容赦をいただきたい、かように思います。
○安武洋子君 県に一方的に責任だけを持たせる、市に持たせるというふうなことは、これはできがたい状態になっているということは国も御存じだろうと思うんです。 といいますのは、一つの例を挙げますと、龍野市、人口四万一千人です。市税十四億五千三百万、交付税は八億五千万ぐらい見込んでいるらしいですけれども、皮革産業は一首社、全部中小零細企業なんです。この前処理場の維持管理費といいますのは、三つあるわけですけれども、三つとも動かすということになれば八億円、そして公債で元利償還をしますと年に六億三千六百万ということで、これは市財政が破綻してしまいます。こんなことはとっても一つの市で持てることじゃない。県といいますけれども、県か——この松原の前処理場というのはもう運転できるわけなんです。で、三月の当初予算で一億円交付するというふうに言ってきたけれども、ここだけで四億要るんですね。市としては残りの三億円の組みようがないというふうなことで、現に前処理場は動かそうと思えば動かせる、環境浄化に役に立つのに動いていない、こういう状態があるわけなんですね ですから私は、国として、ここでどういう役割りを果たさなければならないか、水質汚濁防止法の第二十五条で、国は、特定事業場における汚水等の処理施設の設置、改善に必要な資金のあっせん、技術的な助言その他の援助に努めるものとするというふうなのもありますし、同条の第二項で、「中小企業者に対する特別の配慮がなされなければならない。」こういうふうな規定もあります。またこの瀬戸内法の基本的な考え方の中に、ここに国の援助措置、こういうものもうたわれているわけです。これは、国はこの計画に基づき、地方公共団体等が実施する事業について、その円滑かつ着実な遂行を確保するために必要な財政上及びその他の援助措置を講ずるものとすると、こういうふうになっているわけです。ですから、これは単に県だ、市だ、それから事業者だ——事業者だって、私は単純計算しましたけれども、龍野市の場合では一業者当たりこれは二十二万五千円も負担しなければならない、できる相談じゃないわけなんです。 ですから、私はこの問題については、環境庁はこれだけの環境汚染を放置できないと思います。ですから、国としての責任を果たされることを強く要求しているわけですが、こういう法文を生かして、関係省庁、通産もそうです、建設もそうでしょうし、自治省などともひとつ連絡をとって、一日も早くこの前処理場が動く、この前処理場がもし動かせないなら、どんな方法をとってでもこういう環境汚染に苦しんでいる住民、これを救うべきだ、こういうふうに思いますが、長官、いかがお考えでございましょう。
○政府委員(二瓶博君) ただいま先生からお話ございましたように、龍野市の方の松原、これはもうでき上がっておりますが動いてないということがございます。ただ、先ほども申し上げましたように、九カ所全体考えておりますが、姫路市、川西市、この辺ではもう動いているのがある、こういうような状況でございます。そこで、県の方もこの姫路市等に対する助成と、龍野市という場合、やはり県内の助成のあり方といいますか、その辺の考えもあるようでございます。 それから、ただいま関係の省にという話につきましては、この件につきましては前からもこういう話も聞いておりましたので、皮革産業の所管省であります通産省、それから下水道の所管をいたしております建設省、それから地方財政の方を担当しておる自治省、こういう面とも、何かいい打開策はないかというようなことは接触して相談はしているわけですけれども、なかなかこの維持管理費の助成については困難だと、こういう形になっておるということでございます。県の方が、先ほども申し上げましたように、さらに前向きに取り組んでいくということでいま考えておりますので、その辺、県の方とも具体的なやり方、実際にできていても運転できないという実態が現にあるわけでございますから、具体的なその動くような方策というものをどう考えたらいいか、県の方の考えも十分聞いて、その上で環境庁としてもできますことは考えていくと、こういうことではないかと思います。いまこの段階でこれが決め手だということはちょっとございませんけれども、県とも十分連絡をとって、その辺は、せっかくできた施設が動いていないということははなはだ残念でございますので、そういうことで取り進めたいと思っております。
○国務大臣(石原慎太郎君) 私、詳しいことは存じませんが、いま局長が答えましたように、それだけの環境汚染があり、しかもそれを防止する施設がありながら、財政的な問題で動かない、汚染がずっと続いてそれだけの被害が出ているということになりましたならば、まことにこれ、ばかばかしい話でありますから、県側とも相談いたしまして、とにかく何らかの方法で、すでにでき上がっている施設が動くように鋭意検討し、努力をするつもりでございます。
○三治重信君 まず、大気汚染の問題ですが、この報告書を見ると、いわゆる努力をされてオキシダントの、まあ気象条件もあったかもしれませんが、いわゆる光化学スモッグの被害もだんだん少なくなってきているようなんですけれども、この前から質問してよくわからぬのは、光化学スモッグが本当に出る原因というのか、何が原因で、光化学スモッグの中のオキシダントということはわかっても、そのオキシダントなりそういうものがどういう発生源、果たしてそういう自動車の排気ガスや発電所の煙突のものからできるというふうなことがしつかり解明されているのかどうか、どうもまだ見てもよくわからぬのですが。
○政府委員(橋本道夫君) いま先生の御質問がございましたが、光学スモッグがなぜ起こるかという点につきまして、キーの反応計は窒素酸化物と炭化水素と、これがキーの反応計になっていることは間違いございません。そういうことで、固定発生源と自動車と両方関係しますし、そのほかに塗料等の問題もございますし、そういうものがかんで光化学スモッグを発生させておるということは間違いございませんが、その中の非常に微細なシステムにつきましてはまだわからないところがあると。しかしながら実験をすればちゃんと起こすことができますし、スモッグチェンバー実験をやってみますと、ちゃんとその面のかなりな程度に解明がいくと。しかしながらいろんな物質ができております。これはオキシダントといいますのは総称でございますから、アルデヒドとかPANとかいろいろなものができておりますので、現在その反応の物質の、いままでの光化学スモッグに対してはオキシダントだけを焦点にした議論をしておりましたが、それではやっぱりだめだということでございまして、反応計全体を、反応量全体を減らすということで鋭意対策を進めていると。また一方、その反応計全体のさらに細かな、微細なところをきわめていくというやり方をしているというのが実情でございます。
○三治重信君 これ、やはり同じ量でもいわゆる気象条件の変化といいますか、そういう、温度だとか太陽の光とか、そういうものによっても相当影響されるのか、それがやはり一定の濃度といいますか、滞留とか、風が流れておれば相当の量があってもそういうものができにくいとか、何か気象条件が相当影響するということはないんですか。
○政府委員(橋本道夫君) いま御指摘のように気象条件が非常に影響いたします。そういうことで、どのような温度で、しかもどのような風速でどのような程度の日照のときに起こるものかという条件は一応ある程度洗い出されておりまして、そういうことで、今回の白書の中にもそのような条件にぴったり合った日にちが何日あるかと、その中で果たしてそのオキシダントのピークが〇・一五を超えた日が何日あるかということで計算をいたしました。そうして四十八年に比べれば、四十八年のときには七七%も同じ条件のときに出ておった。しかしながらこの五十一年のときにはそのうちの三〇%ちょっとしか出てない。全体の減る大きな原因は、冷害というような非常に地球全体の気象の影響があることは間違いございませんが、この白書に紹介した資料は、やはり対策そのものの正当性を裏づけるのにかなり有力なものではないか、そういうふうに思っております。
○三治重信君 それからオキシダントの被害を受けた、何ですか、被害の届け人数が出ていますわね。これの病状というのは、この前もその程度がお聞きしたときによくわからなかったと思うんですが、大体、たとえば後遺症が若干残るとか、それはそのときにちょっと、非常に軽いというのが一般ではないかと思うんですが、こういうことによっていわゆる入院を要するとか、仕事をそのために休まなくちゃいかぬとか、学校を休まなくちゃいかぬというような被害のいわゆる重症度はどうなんですか。
○政府委員(橋本道夫君) いま御質問のございました被害の重症度といいますのは、非常にこれは形が軽くなってきております。特に昨年等におきましては、病院に入った者があるかもしれませんが、非常に重症で騒ぎになっているというのはこれはございません。また重症の議論が出たときに、調べてみると、全然オキシダントの条件と合わないというようなものも中にございまして、全体の傾向としましては目が痛い、のどが痛いというような粘膜刺激症状に非常に収斂してきているという状態でございまして、被害の件数も少なくなってきておりますけれども、症状も軽くなってきておることは事実でございます。
○三治重信君 そうしますと、この夏に出るオキシダントの被害というのと、いわゆる四日市とかそれから特別の重化学工業地帯の大気汚染の、いわゆる何というのですか、気管支炎とか慢性気管支炎とか、そういうだんだん回復しない重症、慢性病になっていく、それからまた、そういうのに弱い人たちが入院をせにゃならぬというふうな、空気の汚染による公害病等にこれが進むということは、こういうようなオキシダントが出る地域で被害が出るところは非常に進むということ、それとは余り関係がないんですか。
○政府委員(橋本道夫君) いま御指摘のありました問題は、二つ別々の問題がございますわけです。 一つの問題は、先ほど来御質問のオキシダントのピークが出たときに、目やのどがちかちかする、あるいは中には神経症状があると、それはオキシダントの方でございます。ただもう一歩、後者の御質問の方は、オキシダントとかそういうものが何回も繰り返されておる、しかもほかに汚染物質として窒素酸化物等の問題もそこに存在をしておる、そういう場合に、慢性影響がどうなるか。この二つの問題があるわけでございまして、先ほど御説明いたしましたのは前段の、光化学スモッグ時の刺激症状については確かにマイルドになってきておるということは事実でございますが、後段の方の御質問の、オキシダントの線がわりあいに繰り返されてくる、そこでよく見てみると、窒素酸化物も高いというような場合に、果たして何にもないのかという御質問につきましては、それはWHOの例の昨年の秋の委員会のときに、今後の問題としてこれが非常に大事だということを指摘された問題でもございますし、動物実験の成績を見ましても、まずオゾンとオキシダントだけ比べますと、オキシダントの方がオゾンよりも三倍ぐらいぐあいが悪いというのはこういうところからも出てきております。これはいろんなものがまざっております。そのほかに硫黄酸化物とかあるいは窒素酸化物が加わっていますと、また反応が別の問題がございます。 そういうことで、この夏にという御指摘がございましたが、ことしは、いままでのところは温度が少し上がっておるというデータは、五月十三日までのデータを見ますとどうも温度が少し高い、それから日照の程度も多いということでございまして、ひょっとしたらことしはちょっと五十一年よりふえるかなという心配も持っておりますが、一方で、異常気象でどうも冷害になるということと、対策の方も進んできておりますので、その辺がどうなるかということで、私どもは非常にこの点に注目しながら調査研究を進め、対策につきましても万全を期していきたいということをしているところでございます。
○三治重信君 そうすると、大気汚染系疾病という中のいわゆる慢性気管支炎、気管支ぜんそく、ぜんそく性気管支炎、肺気腫と、こういうようなのはオキシダントの被害とは、そういう地域のこういう大気汚染の病気とは違うわけですね。
○政府委員(橋本道夫君) 刺激症状としての訴えの問題と、それから後者で御指摘になりました非特異性の慢性の呼吸器系疾患ということとは分けて考えなければならないというように思っております。 それから先ほど一言申し忘れましたが、オキシダントの移流というのは百キロから数百キロ先にいくというのが、まあ日本の中でも相当、数十キロから百キロオーダーのものはわれわれも確かにそうだと思っておりますし、アメリカのデータを見ましても、全く発生源が数百キロ範囲に何にもない平原の中で出ているというのは、よくよく気象とあわせて調べてみると、数百キロ先の工業地帯からの移流と、もう一つは成層圏からの移入と、その二つがあるというのがいま出されてきておりますので、非常に離れた遠いところでオキシダントが出るということをもって、自動車の説が誤りであるとか、いろんな、自然だけであるというような説がありますが、それは余り正しくない受けとめ方でございます。
○三治重信君 わかりました。 その問題はその程度にして、ひとつ今度は水の方なんですが、下水道部長さん来てみえますか。——新しい下水道の五カ年計画も決まって実施されるわけですが、私は愛知県の状況を見ていても、結局、下水道の仕事がうまくいくかいかぬかというのは、終末処理場を予定どおりつくれるかつくれぬかということだろうと思うんですが、どうですか。この五カ年計画、予算さえ見れば、いまの状態で予定どおりの下水道をやれると思うんですか。いままでの前の計画からいくと、なかなか、相当環境というんですか変えないと、予算をつけてもらえばできるという仕事と変わってきたというような感じを持ちませんか。
○説明員(井前勝人君) 今度の新しい五カ年では七兆五千億の投資をいたしまして、普及率現在二二・八を昭和五十五年末に四〇%に引き上げたいということで実施しておるわけでございます。その中で、いま先生御指摘の終末処理場の問題が若干行き悩んでおるのではないかというような御指摘でございます。確かに最近、終末処理場の用地の確保につきましてはいろいろ地方公共団体御苦労されておるわけでございますが、しかし下水道事業の全体から見ますると、新たに始める場合に処理場の用地の確保が問題になるわけでございまして、すでに約五百七十都市ほどが現在公共下水道、あるいはそういうものをやっておりますけれども、大部分はすでに用地を確保しておるものの、下水道事業を市街地の進展に合わせて整備していくという事業が大部分を占めておりますので、その問題だけから四次五カ年がいけないということはないのではないかというふうに考えております。しかしながら、新しくまだまだこれから下水道を始めなくてはいけない市もたくさんございますので、そういうところにつきましては、やはり処理場そのものの、基本的には周辺地域の御理解を得るに必要ないろいろの施策をあわせてとっていかなければならないというふうに考えております。何分終末処理場というものは、下水を処理するということから、やはり非常に悪臭は発生する、あるいは大気汚染のもとになる、あるいは騒音のもとになるというようなことで、喜んで引き受けるというところはどこもございませんで、そこを各公共団体はいろいろ説得を続けながら用地の確保に努力しているわけでございますので、われわれも国サイドで応援できるところは大いに応援していきたい。たとえば終末処理場という従来のイメージが非常によくない例もございまして、そのためには、やはり終末処理場そのものの環境対策を十分やっていく。そしてその地域の住民から、まあきらわれないまでもまあまあ何とかこの程度ならば受け入れられるんではないかというような処理場のイメージアップを、やはり五カ年の遂行と同時にいろいろの施策を考えていかなくてはいけないというふうに考えておるわけでございます。
○三治重信君 ぼくは愛知県の三河湾の沿岸に生まれたんですがね、本当に一時は三河湾でとれるカニなんかがほとんどとれなくなった。シャコが若干とれる程度だった。それが最近は、ここ二、三年で、いわゆる田舎の言葉でわくわくと言うんですがね、非常にうまいそういうカニがたくさんとれるようになった。こういうのを見ると、完全にぼくは一つの水質が改善されたと思っておる。その中の一番大きなのは、私は農薬じゃないかと思うんですけれどもね。しかしさらにこの東海地区は、各流域下水道というものをやって、一つの都市ごとの下水道施設じゃなくて、まあ建設省の方がよく御存じでしょうが、そうやって一つの河川や体系で、ずっと多数の市町村を一つの下水道の体系に入れて、そしてそれを引いてきて、海岸の前で終末処理場をつくっていくという新しいそういう構想なんですが、これができていくと、非常にそういう沿岸漁業というんですか、従来のいわゆる海や川でとれていた魚がずいぶんとれるようになって、沿岸漁業がよくなると思うんですけれども、したがって、こういうものをせっかくやるならば早くやってもらいたいと思うわけです。そのために、見ていると、やはり県も市も、とにかく終末処理場で手も足も出ないということに、ここ数年なっている。したがって、私は、この水質汚濁の現状と対策と書いてあって、まあきれい事が書いてあるんですけれどもね、現実にこういうものを処理して——計画はもうできているし、その末端の工事はできるようになっている。したがってこの終末処理のやつについては、環境庁として、こういうものに対して、建設省やまた現地に対して、どういう応援というんですか、協力関係をとっておられるのか。それは一応建設省から、大気汚染とかこういうような報告書を書くときには、いろいろ資料はもらって書くけれども、実際の行政上では、それは建設省に任せっきりだと、こういうふうになっているのかどうか。
○政府委員(二瓶博君) 生活系の排水、これに対します対策としては、何といいましても下水道ということになるわけでございます。そのほか浄化槽というものがございますが、大宗は下水道だと思います。そういう意味合いから、単に第四次五カ年計画とか、あるいはその線に乗ったたくさんの都市ごとの確保というような面も、もちろん環境庁としてもバックアップはやっておりますけれども、いま先生のお尋ねの具体的なこれの事業の実施、特に終末処理場の建設の関係、こういう面につきましては、これは終末処理場ができませんければ下水道ということでの機能は十分果たせないわけでございますから、これは環境庁としても非常に大きな関心を持っておるわけでございます。したがいまして、ただこの事業の実施官庁といいますか、所管官庁はこれは建設省ということでございますので、その辺の建設省の御指導なりそういうものを大いに期待はしておりますけれども、環境庁としましても、県等の環境部等もございますから、そういう面等とも十分連絡をとって、その辺が円滑にいくような指導なりあるいは協力なりというものをいたしておる、こういうことでございます。
○三治重信君 どうも余りはっきりしないと思うんですが、私はことに魚の問題で、日ソの関係の漁業関係でもこれだけこうなってくると、もっと関心が今度は沿岸漁業に行くと思うんですよね。この沿岸漁業の振興といったら、もうぼくはやはり水をきれいにすることだと思う。水をきれいにするといって、下水道をこれだけこうやろうというのは金がかかるけれども、まあちょうど公共事業を政府もうんとやろうというわけなんですが、これを実際できる態勢に環境庁も、よほどそういう住民の環境問題として理解を深めるやつを、ひとつ何か対策なり、現地に指示して、そういう地域ごとのエゴの排除といいますか、地域住民の不安といいますか、エゴも入ってくるし、そういうものに対して、理解を深める具体的な対策を建設省に積極的に押しかけ女房的にでもやってもらわぬと、やはり建設省の方は、どうして安くやるかということに主力がいってしまう、そこをどうしてももう少し環境問題を——問題は環境問題ではできないわけなんだから、ひとつがんばってもらいたいと思っておりますが、両者ともそういうことについてやはり格段の……、やり方について具体的に各個別にやる。ぼくの愛知県の方はみんなひっかかっちゃっている。刈谷のやつも木曾川のやつもみんなひっかかっちゃっている。全然まだ見通しもつかぬと思うんですが、どうですか。
○説明員(井前勝人君) 先生の御指摘の場所は、一つは愛知県の境川流域下水道、もう一つは、近いところでございますけれども岐阜県の木曾川右岸流域だと思います。御指摘のようにまだ用地の確保の段階でいろいろな問題がございまして、まだ必要な用地の十分な確保までは至っておらないわけでございます。 で、反対の理由は地域によりましていろいろございますけれども、大きく共通している問題は二つあるのではないかと思います。一つは、先ほど申しましたように終末処理場ということからして、やはりそういう汚いものが来れば、その地域の環境が悪くなる、イメージダウンするというような感情的なものもありまして、まず来てもらいたくないということが一つ。それからもう一つは、やはり下水道で終末処理いたしまして、処理して放流するわけですけれども、放流いたしますと、その放流によって水質がかえって悪くなる、たとえば工場排水等取り込むと悪くなるというような心配、大きく分けるとその二つが共通した問題だと思っているわけでございます。 で、これにつきましては、全般の処理場のそのものの環境対策につきましては、私どももそういう認識を非常に持っておりまして、五十一年度第四次五カ年のスタートの年からやはりもっと終末処理場そのものをきれいなものにしなくてはいかぬということで、環境対策事業を補助対象に取り上げるということで、国としても財政的な援助をしていこうじゃないかという対策をとっております。たとえば処理場を拡大するとか、あるいは必要な脱臭施設、あるいは騒音防止施設あるいは緑化するというようなことは、環境対策事業で十分予算的にもめんどう見ていこうというふうに五十一年度からしているわけでございます。 それから第二点の工場排水の問題でございますけれども、私どもは基本的には下水道というものは既成市街地における汚水は、家庭排水であれ工場排水であれ、原則として、やはり公共施設というたてまえからいけば、受け入れるという前提で、その前提で去る五十一年の第七十七国会で下水道法の改正をお願いいたしまして、そういう前提の中できちんとひとつ工場排水を監視していこうじゃないかというような趣旨の法改正もいたしまして、そういう皆様方の工場排水の配慮から心配だというような御懸念がないように法制的にも改善いたしまして御理解を得るように努力しておるわけでございます。そういう意味では、私ども、やはり事業主体である府県なりあるいは市町村と関係住民の方々との対話の中で、問題のある点は逐次われわれの中でできることは漸次改善していきながら、やはり基本的には事業執行者が関係住民の方々の理解を得ることにあるというふうに考えておりますので、今後ともそういう考え方で、われわれのサイドでできることは漸次改善していきながら、公共団体の指導を図ってまいりたいと考えておるわけでございます。
○委員長(片岡勝治君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後四時二十分散会 —————・—————