決算委員会 第7号
- 発言数
- 244 件
- 登壇者
- 28 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1977/05/18
会議録
○委員長(鈴木力君) ただいまから決算委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る十二日、市川房枝君が委員を辞任され、その補欠として下村泰君が、また、十七日、小笠原貞子君が委員を辞任され、その補欠として加藤進君がそれぞれ委員に選任されました。 また、本日、黒柳明君が委員を辞任され、その補欠として塩出啓典君が委員に選任されました。 —————————————
○委員長(鈴木力君) 次に、昭和五十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)外二件、昭和五十一年度一般会計公共事業等予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その一)外三件、昭和五十年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その2)及び昭和五十一年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その一)、以上九件を一括して議題といたします。 まず、これらの説明を聴取いたします。坊大蔵大臣。
○国務大臣(坊秀男君) ただいま議題となりました昭和五十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)外二件の事後承諾を求める件につきまして、その概要を御説明申し上げます。 まず、昭和五十年度一般会計予備費につきましては、その予算額は二千億円であり、このうち、財政法第三十五条「(予備費の管理及び使用)」の規定により、昭和五十年四月十八日から同年十二月二十六日までの間において使用を決定いたしました金額は二百三億八千三十五万円余であり、すでに第七十八回国会において御承諾を得たところでありますが、その後、昭和五十一年一月二十日から同年三月三十日までの間において使用を決定いたしました金額は一千五百七十九億七千八百十万円余であります。 その内訳は、災害対策費として、河川等災害復旧事業等に必要な経費等の十五件、その他の経費として、国民年金国庫負担金の不足を補うために必要な経費等の十九件であります。 次に、昭和五十年度各特別会計予備費につきましては、その予算総額は二兆六百八十二億百十四万円余であり、このうち、昭和五十年五月二十三日から同年十二月二十六日までの間において使用を決定いたしました金額は二千八百七十億六千八百七十一万円であり、すでに第七十八回国会において御承諾を得たところでありますが、その後、昭和五十一年一月二十三日から同年三月三十日までの間において使用を決定いたしました金額は一千五百七十四億二千四百八十三万円であります。 その内訳は、労働保険特別会計雇用勘定における失業給付金の不足を補うために必要な経費、国民年金特別会計国民年金勘定における国民年金給付費の不足を補うために必要な経費等十一特別会計の十四件であります。 次に、昭和五十年度特別会計予算総則第十一条「(歳入歳出予算の弾力条項)」の規定により、昭和五十年八月八日から同年十二月十二日までの間において経費の増額を決定いたしました金額は四十三億六千二百二十六万円余であり、すでに第七十八回国会において御承諾を得たところでありますが、その後、昭和五十一年一月二十三日から同年三月三十日までの間において経費の増額を決定いたしました金額は一千九百十九億四千九百六十八万円余であります。 その内訳は、労働保険特別会計徴収勘定における労働保険料の他勘定への繰り入れに必要な経費の増額、郵便貯金特別会計における支払い利子に必要な経費の増額等七特別会計の八件であります。 次に、昭和五十一年度一般会計公共事業等予備費につきましては、その当初予算額は一千五百億円でありましたが、補正予算(第一号)により百五十億円を修正減少いたしましたので、改予算額一千三百五十億円となっております。 このうち、財政法第三十五条「(予備費の管理及び使用)」の規定により、昭和五十一年十月八日から同年十二月十七日までの間において使用を決定いたしました金額は一千二百四十二億九千六十九万円余であります。 その内訳は、災害対策費として、河川等災害復旧事業等に必要な経費等の十九件、救農土木事業費として、冷害等に伴う土地改良事業等に必要な経費等の十三件であります。 次に、昭和五十一年度一般会計予備費につきましては、その当初予算額は三千億円でありましたが、補正予算(第一号)により一千四百五十億円を修正減少いたしましたので、改予算額は一千五百五十億円となっております。 このうち、財政法第三十五条「(予備費の管理及び使用」の規定により、昭和五十一年五月十四日から同年十二月十七日までの間において使用を決定いたしました金額は百八十五億四千三百七十七万円余であります。 その内訳は、災害対策費として、災害援護貸付金等に必要な経費等の十六件、その他の経費として、国内産糖製造事業等特別対策に必要な経費等の十二件であります。 次に、昭和五十一年度各特別会計予備費につきましては、その当初予算総額は二兆三千五百十九億四千百二万円余でありましたが、補正予算(特第一号)により二百七十三億九千九百六十二万円余を修正減少いたしましたので、改予算総額は二兆三千二百四十五億四千百三十九万円余となっております。 このうち、昭和五十一年十一月十九日から同年十二月十七日までの間において使用を決定いたしました金額は一千七百四十五億九千四百二十一万円余であります。 その内訳は、食糧管理特別会計国内米管理勘定における国内米の買い入れに必要な経費等三特別会計の八件であります。 次に、昭和五十一年度特別会計予算総則第十一条「(歳入歳出予算の弾力条項)」の規定により、昭和五十一年五月二十八日から同年十二月十四日までの間において経費の増額を決定いたしました金額は六百九十五億九千六十三万円余であります。 その内訳は、国債整理基金特別会計における短期証券償還に必要な経費の増額等七特別会計の十七件であります。 以上が、昭和五十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)外六件の事後承諾を求める件の概要であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御承諾くださいますようお願い申し上げます。 次に、昭和五十年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その2)外一件の報告に関する件につきまして、その概要を御説明申し上げます。 昭和五十年度一般会計におきまして、財政法第十五条第二項の規定により、災害復旧その他緊急の必要がある場合に国が債務を負担する行為をすることができる限度額は八百億円であり、このうち、昭和五十年九月十九日の閣議の決定を経て、総額一億七千二百五十九万円余の範囲内で債務を負担する行為をすることとしたものについては、すでに第七十七回国会に御報告したところでありますが、その後昭和五十一年二月二十七日の閣議の決定を経て、総額二百七十九億二千五百八十一万円余の範囲内で債務を負担する行為をすることといたしました。 その内訳は、昭和五十年発生河川等災害復旧事業費補助等の五件であります。 次に、昭和五十一年度一般会計におきまして、財政法第十五条第二項の規定により、災害復旧その他緊急の必要がある場合に国が債務を負担する行為をすることができる限度額は八百億円であり、このうち、昭和五十一年発生直轄道路災害復旧費につきまして、昭和五十一年十一月十九日の閣議の決定を経て、総額五億四千三百万円の範囲内で債務を負担する行為をすることといたしました。 以上が、昭和五十年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その2)外一件の報告に関する件の概要であります。 —————————————
○委員長(鈴木力君) 次に、昭和四十八年度決算外二件について、本日は締めくくり総括質疑第一回及びただいま説明を聴取いたしました予備費関係等九件を便宜一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○大塚喬君 ただいま大蔵大臣から提案の趣旨説明がありました予備費関係の九件の案件について、質問をいたしたいと思います。 第一に、予備費のあり方、予備費の基本的な考え方について大蔵大臣の所見をただしたいと思います。 例年、補正予算の財源として、いつでも予備費を減額してこれに充てております。特に、昭和五十一年度は千六百億円も減額をしているのは、予備費本来の予見しがたい予算に充てる、こういうのではなくて、当初から、予備費のうちの三分の一は補正予算のための財源として確保しておく、留保しておく、隠しておく、こういうように思われてなりません。この点について大蔵大臣はどうお考えになっておりますか。予備費というのは、もう初めから財源を隠しておく、そういう予算の項目なんだ、こうお考えになっておりますかどうか、ひとつ事実に即してお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(坊秀男君) 予備費は、そういうふうに財源を袋に入れて隠しておくというような考えは毛頭持っておりません。予備費は、御承知のとおり、財政法第二十四条に基づきまして、予備費として相当と認める金額を歳入歳出予算に計上しておるものでございまして、内閣が相当と認める金額がどの程度の額であるかにつきましては、予備費が予見しがたい予算の不足に充てるという性格上、その計上額について特別の基準があるというわけではありませんが、一般会計の規模だとか、従来の実績等を考慮して当初予算に計上いたすのでございます。 補正予算において予備費を減額しておりますが、これは補正予算をいつの時点で編成するかにもよりますが、補正予算を編成する場合に、その時点以後、年度末までにどの程度の予備費を要するかということを再検討することが、むしろ財政当局として必要なことではないかと考えております。その意味で、所要見込み額を超える部分については、これを他の追加財政需要の財源として修正減額しているものであります。また、追加財政需要のうち、災害復旧事業等の経費は、予備費としてそのまま支出することも可能でございますが、国会の予算審議権を尊重いたします立場からしても、補正予算において予備費を減額し、これらの追加財政需要の財源に充当しておるものであります。補正予算において予備費を減額しているからといって、当初から予備費の名のもとに、補正予算の財源を用意をしておくというような考えは毛頭ございません。
○大塚喬君 ただいまの大臣の答弁を発展をさせて、重ねてまたお尋ねをいたします。 次に、公共事業の予備費について伺いますが、一般予備費のほかに別個に特定された公共事業等予備費、これは昭和五十一年度に初めて設けられたわけであります。一体その本当の理由は何か。この五十一年度は例年に比べて予備費全体の額が多過ぎる、急激に増加をしたということを感じておるわけです。それをカムフラージュするために、この公共事業等予備費というものを一つ別につくって二つに分けた、こういう感じすらいたすわけであります。事実、昭和四十八年度予備費の総額が二千三百億円、四十九年度が二千六百億円、五十年度三千億円と、いずれも前年対比を伸び率で調べてみますと一〇%、こういうことで推移をいたしております。 ところが、五十一年度になると五〇%増という、いままでに例のない予備費の増額が行われておるわけであります。結果的には五十一年度は災害が多く発生しております。その対策のために多額の経費を要したわけでありますが、いままで大きな災害のあった年は、毎年十月か十一月に臨時国会を召集して補正予算を提出し、国会の審議を受けているのに、五十一年度補正予算は例年に比べてずいぶん遅い、ことしの二月になって初めて国会に提出されました。これは、予備費をもともとふんだんに取っていたために補正予算を国会に提出するのがおくれた、おくれても何ら支障がなかった、こういうことになるのではないですか。こういうことは、憲法が規定しております、国の財政を処理する権限は国会の議決に基づいて行う財政民主主義に反する政府の行動ではないか、私はそう思えてなりません。大蔵大臣は、この点についてどのようにお考えをいただき、どのように反省をされておるか、重ねて答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(坊秀男君) 五十一年度の予備費及び公共事業等予備費の合計額四千五百億円は、五十一年度予算額のちょうど一・八五%に当たりますが、従来のおおむね一・五%内外の水準に比べまして特に高過ぎるとは考えておりません。一般会計の規模、従来の実績のほか、五十一年度において、予見しがたい経済情勢等の推移に機動的に対応すべき要請が強いこと等を考慮をいたしまして、財政法第二十四条に基づきまして、予備費として相当と認める金額を歳入歳出予算に計上をいたしまして、国会の議決を得たものと考えております。したがいまして、五十一年度の予備費及び公共事業等予備費が多過ぎるとは考えていないのでございますが、前年度に比して増加計上したことは事実であるので、このことも考慮いたしまして、予備費の一部について使途を制約して、そして国会の議決を求めたのでございます。 さらに、昨年秋の災害に対して、予備費ではなく、補正予算をもって対処すべきではなかったかという趣旨でございますが、予算作成時に予見し得なかった事由に対処する場合に、予備費使用または補正予算のいずれによるべきかについては、法は何らの規定も設けておらず、財政法二十九条が、補正予算を国会に提出することができる、そういうような任意的なものにとどめていることから見ますと、法は、いずれかの選択を政府の裁量にゆだねているものと理解されるわけでございます。 また、五十一年度一般会計予算の予算総則に決められておりますとおり、公共事業等予備費は災害復旧に充てることも予定していたものであります。これらの日常並びに昨年秋の災害が異例に大きな規模のものであり、その復旧に緊急に対処する必要があったことを考えますと、昨年秋の災害復旧に公共事業等予備費を使用したことは、適当な措置であったと考えております。
○大塚喬君 五十一年度が災害が例年になく多く発生したという事実は、そのとおりであろうと思います。この公共事業等予備費の使用実績をしさいに見てみますと、使用総額の九一%が災害復旧関係費、そして残りの九%が冷害対策関係費、こういう実績になっております。ところが、このような災害やあるいは冷害、そのための公共事業等予備費の設置、これが新たに設けられた。こういうことの理由は、従来一般の予備費で——冷害や災害というのは何も五十一年度に限って起きたものではなくて、こういうものは、例年の一般予備費の中から支出をされてきて何ら支障がなかったわけであります。五十一年度に限って何も二本立ての予備費制度を設ける、こういう必要はなかった、こう思うわけでありますが、この点について大蔵大臣の所見を重ねてお尋ねをいたします。
○政府委員(高橋元君) ただいまの御指摘ございましたことでございますが、公共事業等予備費千五百億円を五十一年度当初予算に計上いたしましたその趣旨につきましては、大蔵大臣からお答えがありましたとおりでございます。 重ねて少し敷衍して申し上げますと、四十九年にたしか実質の国民経済の成長率ゼロ、マイナスであった。四十九年の深い不況から回復してまいります過程で五十年、五十一年と、五十一年が本格的な経済の立ち直りの年であるというふうに考えられる。そのときに、財政上どういう措置をとりましたかと申しますと、これは公共事業費をやはり増額をいたすという措置をとったわけでございまして、五十一年度当初予算では、五十年度に比し二一・二%の公共事業費の増額を計上したわけでございます。 しかしながら、先ほども申し上げましたとおり、五十一年度の経済の推移によりましては、なお財政の機動的な運営ということの必要があろう、あるかもしれないということを考えまして、当時六・何%でございましたか、実質の成長率五・七%というものを五十一年について想定したわけでございますが、その実質成長に達するために、たとえば他の地方財政面で後退が起こるとか、それから民間の経済で後退が起こるという場合に、必要があれば公共事業等予備費を使用してまいる、それによって財政の機動的運営を図る、そういう必要から予備費を増額いたしまして、増額した中で千五百億円を公共事業費に限って使用することができる、予見しがたい予算の不足に充てることができるということを、予算総則上お決めを願ったわけでございます。 これは、大塚先生よく御存じのことだと思いますが、五十一年度の予算総則では、十五条の規定という規定を置きまして、「公共事業等予備費は、第七条に掲げる経費」、すなわち公共事業費以外には使ってはいけないということに限定をいたしたわけでございます。その公共事業費の範囲は、やはり予算の総則の第七条に詳細に書いてございまして、総体といたしまして百五十六の項が各所管によって指定されておりまして、これは各公共事業それから施設費、そのほかに災害復旧費というものもその中に列記されておるわけでございます。 当初予算で、総体三兆八千億にわたるこれらの項に予見しがたい予算の不足のある場合には、公共事業等予備費を使用できるというのが五十一年度の予算でありました。そこで、年度の経過の途中に、いまもお話がございました十七号台風その他八千五百五億円という被害報告があって、これは恐らく空前の規模であろうと思いますが、それだけの被害が起こりましたので、それに緊急に対処いたしますために、公共事業等予備費は先ほども申し上げました災害復旧費に使用できる、その規定によりまして、公共事業等予備費をもって対処をいたしてまいったということでございます。 したがいまして、一般予備費の中で賄われてもよかったではないかという御指摘は、確かにあり得ると思いますけれども、五十一年度の当初予算を作成いたしました際の経済についての財政当局の考え方、内閣全体の考え方、それはやはり二本立てに予備費をいたしまして、二本立てにいたしましたという趣旨は、予備費を増額いたしましたこと等もございますので、その使途をみずから限定をいたしまして、国会の御議決に従って進めてまいるということであったわけでございます。そこで、公共事業等予備費が景気対策的に使用されなかったではないかという御指摘は確かにあり得ると思いますけれども、当初予定いたしました災害復旧費における予見しがたい予算の不足に充てるという趣旨に従って、公共事業等予備費が使われたという経緯でございます。
○大塚喬君 この公共事業等予備費については、五十一年度予算審議の際にもずいぶん論議をされたところであります。そのときに、別個にこのような特定した予備費を設ける、その理由として大蔵当局の説明は、経済情勢の推移等で機動的に対処し得るためのものである、いま次長に答弁をいただいた、そういう趣旨の答弁があったことを承知いたしております。ここにいま説明をいただきました公共事業等の予備費その一の使用承諾案件が出されておるわけでありますが、それを見ますと、全体の予算額千三百五十億円、そのうち使用総額は九二%に当たる千二百四十億円となっております。これによって経済情勢の推移に機動的に対処をしてきたのか、それに対処できたのか、その効果は一体どうなのか、この制度を設けた趣旨に沿うような成果が一体上がったのかどうか、この点について大蔵大臣の答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(坊秀男君) 数字にわたりますから、政府委員からお答えいたします。
○政府委員(高橋元君) 公共事業等予備費を設置いたしました趣旨は、先ほど来御答弁申し上げておりますように、経済の推移に機動的に対処するということが一つの有力な理由になっておったと思います。五十一年度における経済の回復過程で諸般の摩擦を緩和して、着実な景気回復を図ってまいるということに政府は全力を傾注しておったわけでございますが、昨年の十一月十二日に、いわゆる七項目の補正的措置というものをとりました。その延長線上で補正予算も十二月二十一日には編成するという方針を決めて、その中身といたしまして、災害対策及び公共事業費の追加を含む補正予算の大綱というものの閣議決定をいたしたわけでございます。総額六千百十一億円の補正予算というものを五十一年度において決めて、国会の御承認を得たわけでございます。したがいまして、全体としての財政の機動的な対処というものは、十一月十二日のいわゆる七項目、それからその中に含まれております公共事業の施行促進、それから補正予算に基づきますところの公共事業費の投資規模の拡充というようなもの、それからこの公共事業等予備費を使用いたしまして行いました災害復旧事業の円滑な進捗、全体を総合してお考えをいただくということであろうかと思います。 公共事業等予備費千五百億を計上して、これが景気対策的に使用されなかったのはなぜかという御質問でございますれば、それは九月以降非常に大きな災害、それから非常に広範な冷害というものが起こりまして、それに早急に対処するということが、国民経済上また国民生活上何よりも緊要であったから、そのために公共事業等予備費をその設置の趣旨に従いまして、災害対策費の予見しがたい予算の不足に充てたということでございます。したがいまして、景気対策全体といたしましては、十二月二十一日に閣議決定をいたしました補正予算を含む、及び公共事業の施行促進を含む、また住宅金融等々の対策の追加を含みますところの全体の景気対策というもので、政府の姿勢というものは御判断をいただければ幸甚であると思います。
○大塚喬君 ただいまの次長の答弁で、経済情勢の推移に機動的に対処して景気の調整を図る、こういう目的で公共事業等予備費が設けられたわけでありますが、予測しがたい大きな災害があったためにその方に使用することができなかった、こういう結果、景気を調整する、景気をよくする、こういうことは失敗であった、予測しがたいそういう大きな災害のためにそういう制度を設けたこと、その目的を達成することは不可能だった、こういうお答えですね。
○政府委員(高橋元君) 公共事業等予備費をどのような局面で使用いたしますかということにつきましては、当初予算で公共事業等予備費を設けまして、国会の御審議を仰ぎました際にも、機動的運営の必要があるからということは申し上げておりましたけれども、それではどういう局面で、経済の指標がどういう数値をとったときにこれを使うかということについては、まだ何も決めておらなかったわけでございます。 予算をもって国会でお決めいただきました公共事業等予備費の使用の目的と申しますのは、先ほど来申し上げておりますように、公共事業に関する各種の事業費、各省各庁の施設費、それから災害復旧事業費、そういうものについて予見しがたい予算の不足が起こった場合にこれを使用する、そこを総則の七条と十五条で繰り返しておるようでございますがお決めをいただいた、その趣旨で公共事業等予備費の運用をしてまいった、その結果災害対策及び冷害対策、それから豪雪対策というようなものに公共事業等予備費は結果として使用されたわけでございます。 それが、景気回復を図るための措置としては失敗だったかという御指摘でございますけれども、私どもは失敗であったとは思っておりませんで、大臣から先ほど御発言がありましたように、公共事業等予備費をもって災害等に早急に対処することができたということは、非常によかったと思っておるという趣旨の御答弁でございましたが、私どもはさように考えておる次第でございます。
○大塚喬君 私は、あなたの答弁を不法であるとか不当であるとか、そういうとがめる気持ちはみじんもありません。ただ、お尋ねをしておるのは、臨機応変に対処できる、そして景気調整を行う、そういう必要があるからこの公共事業等予備費、こういう設定をしたんだ、こういう予算審議の際に論議が重ねられてきたわけであります。そうだとすると、いまあなたが答弁をされておる背景、景気は一体よくなっておるんですか。そういう立場で、そういうとらえ方であなたの答弁をされておるんですか。 と申しますことは、本年度、これを一年ぽっきりでやめてしまって、設けておらないわけであります。このことは公共事業等予備費、そのことを改めて五十一年度に設定をしたけれども、その必要がない、それが失敗だった、こういうことに通ずるものではありませんか。冷害というのは、予見しがたいものであるけれども、何も五十一年度に限って起きた問題ではなくて、例年冷害や災害というのは引き続いて起こってきた問題であります。それはそして一般予備費の中から支出が可能であり、現実に昭和五十年度までそういう支出が続けられてきたわけであります。五十一年度に限って、あなたは天文学の方は御専門かどうか、造詣が深いかどうかわかりませんが、ともかく五〇%、一千五百億円を増額して、公共事業等予備費というのを設定して、それで対処ができたんだ、こう大分胸を張ってお答えをいただいておるようであります。そして、その予算審議の際には、景気浮揚を目的としてこの項目をつくるんだ、こういうことを繰り返し大蔵当局が答弁をされてきた。 にもかかわらず、景気はよくならなかった。しかも、それらの支出の項目というのは一般予備費でも支出が可能であった、こういう例年の経過から申しまして、あなたの御答弁を素直にまじめにお聞きすれば、当然五十年度も五十二年度も公共事業等予備費の設置、こういうことが行われるはずだ。それが、現実に一年ぽっきりでやめたということ自体、この制度を設けたということが何ら意味がなかった、失敗であった、こういうことに通ずる話ではありませんか。
○政府委員(高橋元君) 公共事業等予備費は、財政法の二十四条の規定によりまして、「予見し難い予算の不足に充てるため、」に歳入歳出予算の中に計上させていただいたわけであります。したがいまして、公共事業等予備費はその設置と申しますか、四千五百億円の予備費を分かって、そのうちの千五百億円を公共事業等に限り使用することができるということに限定をいたしましたのは、それが景気対策というか、考慮に基づくものであるといたしましても、必ずその金が年度内に支出できる、されるということではなかったわけでございます。必ず年度内に使用できる、また、使用するものであるというならば、それは公共事業費そのものでございますから、公共事業費の方に計上いたしたはずでございます。したがって、公共事業等予備費をどのような「予見し難い予算の不足に充てる」のかということは、それは年度の経過中における経済の推移なり、その他の財政需要の発生というものを見て判断をしてまいるということが、五十一年当初からの方針であったわけでございます。 そこで、総体八千五百五億という被害報告がございました。それに対応して当初予算に計上いたしました二百億なり、予備費で措置をいたしました千百十三億なり、それを差し引いてなお補正予算で九百二億という金を災害対策事業費として使用いたしました。全体で二千二百四十九億というものを災害に使ったわけであります。一般の予備費として全体四千五百億をそのままにしておいてもよかったではないかという御趣旨であれば、さようなことかと思いますけれども、しかしながら、五十一年度において公共事業等予備費を設けました趣旨は、先ほど来るる説明いたしておりますようなことで、公共事業等予備費をもって災害対策費を賄ったということは、公共事業等予備費を設けた本来の趣旨の中で行われたことであるというふうに考えます。 それならば、五十二年になぜ公共事業等予備費を再度置かなかったのか、現在も不況からの立ち直りのために財政の機動的運営は必要でないのではないかという御指摘でございますが、五十二年度予算では、やはり景気の回復と財政の体質の改善とその他の大きな目標を掲げまして、その中で特に経済の立ち直りに寄与するために、経済の順調な回復に寄与するために、需要創出効果の大きい公共事業費というものを昨年に引き続いて二一・四%、大幅に伸ばしたわけでございます。前年度が二一・二%の伸びでございますから、五十二年度予算では二一・四%の伸びでございます。それで、そのほかに五十一年度補正予算でも、先ほど申し上げましたように、全体として千七百三十六億でありますか、公共事業関係費の追加を行いました。そのほかに災害も計上したわけでございます。 五十一年の十二月には、いわゆる七項目の閣議決定をやりまして、それに基づいて全体として公共事業の施行促進なり、各種の財投措置に基づく需要の喚起措置というものもとったわけであります。そういうものが着実に執行されていくことによりまして、五十二年の経済運営については、特段五十一年度におけるように、たとえばその年度の経過中における何と申しますか、息切れというものが起こるというふうに想定しなかったわけでございます。そこで、公共事業費の増額を主とした景気対策を本予算において講じました。予備費については三千五百億円、これは国会の御修正によって二千八百億円余に減少いたしました。約三千億円の予備費をもって対処してまいるという措置をとりました。
○大塚喬君 答弁は、論旨は通ってそのとおりだと思います。しかし、朝令暮改、この最も適例ということになるものではありませんか。現に、この公共事業等予備費の九二%を使用してそうして景気はよくなったか、こういうことを私も考えるわけですが、景気はよくなった様子は少しもない。そして五十一年度にこの新しい制度を設けたけれども、これは五十二年度はおしまい。こういうことを現実に五十一年度から五十二年度の予算審議をして、政府自体がそういうふうな態度を変更されたわけです。結果として、実績の上でも、それからこれらの制度の上でも、この公共事業等予備費を設けた、こういう政府の趣旨は何ら目的を達成することなくて一年で立ち消え、こういうことになれば、これは失敗であったと言うこと以外の何物でもないじゃないですか。いかがですか。
○政府委員(高橋元君) 少し予算の数字を離れまして、お許しをいただいて、国民経済全体の中で政府−中央政府及び地方政府でございますか、一国、地方を通ずる政府の投資がどうであったかということを申し上げて、御質問に対する御理解を得ることといたしたいと思いますが、五十一年度におきましては、政府投資と申しますか、これは国と地方における投資的支出でございます。国と地方における投資的支出、これの伸びは、いろいろの措置をとりまして、先ほど申し上げましたような千五百億円の公共事業等予備費の計上、それから二一・二%に上る公共事業費の増額等々をやりましたけれども、これは全体として実質で四.九%の伸びにとどまったわけであります。経済全体の伸びが五・七でございますから、その中で四・九というのはむしろ経済成長に追いつかない公共事業費の伸びであった。政府関係の投資的経費の伸びであった。 五十二年度の場合には、その四・九に当たります数字は九・九%でございまして、ことしの経済見通しにおける全体の経済成長率六・七に対してかなり上回っておる。つまり財政が景気を引っぱってまいるという姿勢は、明らかにことしの予算、それから予算に関連してつくられた地方財政計画、それから財政投融資計画等々によりまして表現されておるわけであります。したがいまして、二一・四%の当初予算における公共事業費の計上、それから、その他財政投融資計画の充実というものによって十分経済に対する財政の姿勢、スタンスというものは表現されておるというふうに思いますし、そこで機動的運営というものも、公共事業費の年度内の施行の促進という形で現実に進められておるわけであります。公共事業等予備費によって予見しがたい公共事業費の不足を賄うという必要性は、必ずしも五十二年度についてはないのではないか、そういうようなことで五十二年度は計上いたさなかったわけでございまして、全体として五十一年度の公共事業等予備費が災害に使われたから失敗であったというふうには、私どもは判断しておらない次第でございます。御了解をいただきたいと思います。
○大塚喬君 繰り返し答弁をいただいて恐縮ですが、やはり強弁というそういう私は受け取り方以外に何物もありません。目的は達成できなかった。五十一年度一回新しい制度を設けてこれでおしまい、こういうことになればそう受けとめざるを得ません。 この問題にかかずり合っていることだけでは済みませんので、次に金融、財政問題について大蔵大臣それから公正取引委員会に質問をいたしたいと思います。 初めに、銀行の預金獲得運動、これは従来もしばしば世論の非難を受けてきた問題、そして銀行の行き過ぎ、こういうことが私どもの耳にもしばしば入ってまいります。大蔵省もこれを漫然と放置をしてきたということでなくて、指導をされてきた、こういうことも承知をいたしております。銀行側でも、昭和四十四年、昭和四十五年、さらに昭和五十一年八月に、全国銀行協会連合会に加盟しておる八十六の銀行が、行き過ぎた預金獲得運動を自粛することを申し合わせた、こういうことも承知をいたしております。この預金集めということが銀行にとっても最も大事なことであることはわかりますが、これが余りにも露骨な行き過ぎが行われる、こういう点に問題があるわけであります。 いままでは、たとえばその銀行の創業記念、こういう名に便乗して企業に預金を半ば強制的に無理強いにしておる、こういう事例は私も二つ三つ耳にいたしております。金を借りる弱い立場にある、そういう者が銀行への義理立てのために、これは特に中小零細企業、こういう関係でもう泣き抜いておるということも耳にしておるわけですが、この種の預金獲得運動を今後大蔵省は、いままでもやってきたと思うんですが、現実にその成果は十二分に発揮をされておらない。こういう現状の中でどう指導を、どう監督を進められるお考えか、初めに大蔵省からひとつ答弁をいただきたいと思います。
○政府委員(後藤達太君) 銀行がその業務の性格上預金の増強に努力することは、私どももこれは当然の努力であろうと思っておりますが、問題は、先生の御指摘のようにそのやり方の問題であろうかと存じます。従来、ともすれば創立何周年記念預金獲得運動、あるいは支店の開店記念でございますとか、中には、ひどいことになりますと、だれだれがかわったからとか、いろいろな機会をとらえましていろいろな預金の集め方をしておるということがある一方、逆に取引先に対していろいろ迷惑をかける、また、個人の預金者に対しましてもいろいろ繁雑な迷惑をかけているという批判があることは承知をいたしております。これはいまも先生御指摘のように、何回かにわたりましていろいろ注意を喚起をいたしまして、その自粛を求めてきたところでございます。 ただ、こういうことは一回注意をしておれば、それからだんだんよくなるということではございませんで、やっぱり時がたちますとまた同じようなことが起こりがちなことでございますので、最近では、昨年の八月に非常に具体的な自粛の指導を当局から行いまして、協会におきましても自粛の申し合わせをいたしまして、実行をすることに相なっておる次第でございます。 今後につきましてどういう点に注意していくかということでございますが、第一点は、やはり随時時々に応じまして一般的な預金獲得のやり方につきましての自粛の指導をしてまいる、こういう一般的な点が一つございます。それからもう一つは、問題は、そのやり方を具体的にどういうふうにやるかというととろにあろうかと思いますので、私ども昨年からは検査の際等を通じまして、その当該銀行がどういうふうな預金の獲得の活動をしておるかということを具体的に調査をいたしました。そうしてその調査の結果に基づきまして、行き過ぎに対しては是正を指示をする、こういうやり方を考えております。そういう具体的な指導と一般的な指導と相まちまして行き過ぎが今後起こらないように、こういう配慮をしてまいりたいと考えております。
○大塚喬君 昨年の八月以降、銀行側の自粛申し合わせということの成果は私は、ほとんど変化がないという、そういう一般の声を受けております。この預金獲得運動について一番問題な点は、特に中小零細企業を泣かしておる問題は歩積み両建ての問題であります。いわゆる拘束預金、このことは前の大蔵委員会当時も、私の質問に対して、そういうことはもう厳重に監督をし、これを自粛させる、こういう答弁をいただいたところでありますが、一向に減少しておらないんじゃないか。表にはともかく、この歩積み両建てという問題は依然としてどの銀行も例外なしに、そういうことが半ば強制的に銀行取引の際に付随して行われておる。こういうことはまことに残念であります。 公正取引委員会にお尋ねをいたしますが、去る二月の二十六日、公正取引委員会が発表した「拘束預金実態調査」、これによると、拘束預金の比率は二四・二%、こういう事実が明らかに公表されたわけであります。この調査は、従来の企業借入金総額に占める拘束預金の割合、そこからだけ算出していたこれまでの方法と内容が少し変わって、企業が複数の金融機関から個別に借り入れた借り入れについて拘束預金比率をはじき、単純平均する方法がとられたため、従来のように経理内容のよい企業が拘束預金を余り取られないで多額の借金をしておると、これらを全体ならしますと、拘束預金比率が低められる傾向にあることはだれでもわかることであります。これに対して信用力の小さい零細企業、中小企業、これが幾つもの金融機関から小口の借金をするケースもとらえられていることから、零細企業の拘束預金の実態が、いままでよりはより正確にとらえられたものとして私どもも敬意を表するところであります。 公取委がこのような調査をしておるのは、独禁法第十九条「(不公正な取引方法の禁止)」に該当する取引上優越した地位の乱用行為に当たるおそれがある、こういうことから調べておると思うのであります。このような疑いのある行動は、金融の公共的役割りから言っても大きな問題であります。公取の調べたその実態調査、現に二四・二%という高率の拘束預金が現存する、こういうことがはっきりしたわけでありますが、これは独禁法上も当然問題だと思うわけであります。これらの点について初めに大蔵大臣、特に中小零細企業に二四・二%という拘束預金がある、こういうことについてどうお考えになっておりますか。率直にひとつ所見をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(坊秀男君) 事実についてちょっと銀行局長からお答えさせます。
○政府委員(後藤達太君) ただいま先生御指摘の公正取引委員会の調査結果の分析等につきましては、私どもも承っておりまして、今後私どもが歩積み両建て預金を解消してまいる措置をとります場合の、貴重なる参考にさせていただいておるところでございます。 今回の公正取引委員会の先生いま御指摘の数字につきましては、私ども承っておりますのでは、従来やられなかった分析を調査結果に基づいてされたものと承知をいたしておりまして、個々の取引につきまして拘束率を出して算術平均をされる、これも一つの方法であろうと思います。また、従来のような拘束比率一八、七%であったかと思いますが、それも同時に公表されております。これも一つのやはり参考になるデータだろうと思います。大勢的に申し上げますれば、全体の大勢の方は、拘束預金問題につきまして措置をとりましてからほぼ十年以上に相なってきておりますが、全体としては、その比率は低下をいたしてきておるように存じます。 ただ、問題は、いま先生の御指摘のような業態別の比率の高低がある点、あるいはまた、その態様といたしましてはっきりした拘束という姿ではなくて、にらみ預金というようなかっこうで現実の広義の拘束が行われておる、こういう点であろうかと思います。公正取引委員会の二四・何%あるいは十何%という拘束比率で表現されますのは、そのにらみ預金等が入っているものでございます。こういうものにつきましては、やはり一番はっきりしない、一番苦情の起こりがちな問題になりがちな点でございます。むしろ、今後はそういう点についての是正を求めるのが最も重要なところではなかろうか、こう存じまして、昨年六月に一般的な指示を出し、昨年十一月に非常に具体的な検討を金融機関に命じまして、この四月からにらみ預金を解消するための具体的な措置をとっておるところでございます。したがいまして、私どもとしては、今回の措置でこれはかなりの成果が上がってくるものと期待をいたしておりますが、なお実施後日が余りございませんので、今後しかるべきタイミングを置いてさらに私どもも実態を調査をいたしまして、一層この問題解消の成果が上がるように努力をしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
○大塚喬君 公取。
○政府委員(吉野秀雄君) ただいま先生の御質問の歩積み両建ての問題につきましては、実は取引部が担当いたしておりますので、至急担当部長をいま呼んでおりますので、参り次第御答弁させていただきたいと思います。
○大塚喬君 後藤銀行局長の答弁で、先ほど預金獲得運動の行き過ぎ、こういうことについて大蔵省が一生懸命やってきたということですが、現実に公取のこのような調査結果が明らかになった、こういうことだとすれば、従来の大蔵省銀行局の指導監督ということは成果がなかった。特にその被害者が、泣かせられておるものが中小零細企業だ、こういうところに問題があるわけであります。 たとえば、一千万円銀行に頼み込んで融資を受けた、しかし、その裏側で拘束預金ということで二四・二%、二百四十二万円、この実態調査の結果によれば銀行側に拘束預金として積ませられておる、こういうことになれば、実際に七百五十八万円きりしか、高い金利を払って、中小零細企業が積み込んで、拝み倒して融資を受けたそういう金が使用できないのと同じわけであります。こういうことで、昨年の十一月にそういうことの改善の措置を銀行局としてとった、こういうことです。 いま現在、もう五月の中旬であります。ですから、約六カ月程度の期間が推移をしておるわけですが、その間に通知なり一片の紙切れを出しただけで、私としてはただいまの答弁ではこう、何というか、わが責任はもう済んだ、こういうことになるのではないか。もっと本気になって敏速な取り組みということを、こういう数字が明らかになった以上すべきだと思うわけですが、この点について重ねてひとつ決意のほどを承りたいと思います。
○政府委員(後藤達太君) 最初に、私どもがやりました措置の方から御報告をさしていただきたいと存じますが、公正取引委員会の御調査は、従来からこういう銀行の取引先に対する、いわば企業に対する直接のアンケート調査をしておられます。私どもとしては、銀行に対する調査をしてまいりましたのが昨年まででございます。したがいまして、いろいろ公正取引委員会の御調査の結果等も拝見をいたしまして、私どもとしても直接企業に対して調査をいたそうということで、昨年、直接取引先企業に対しますアンケート調査を実施いたしました。その結果は、公正取引委員会の最近の御調査とほぼ軌を一にしたものでございます。ただ、若干細かいことで恐縮でございますが、いま二四・何%という今回の公正取引委員会で初めての分析結果を出しておられます。また同時に、従来と同じような一六、七%の拘束比率という調査結果も出しておられます。その従来から続いております拘束比率の結果の方は、大勢としましては大体こう低下をしてきておるということでございます。 ただ、その内容の方が、先ほど申し上げましたように、私どものアンケート調査等から見ましても、はっきりした担保措置等の拘束措置をとらないで、実は銀行がにらんでおって、そして拘束していないような顔をしながら実際に引き出させない、こういうことがかなり多くなっているんではないか、こういう感じが大変いたしたわけでございます。したがいまして、こういうところを具体的に解消してまいるにはどうしたらいいかということを、昨年来いろいろと検討してまいりました。大変技術的な点もございますので、実効を上げる方法を検討してまいりました。 昨年の十一月になりまして、ほぼこういうやり方をやれば実効が上がってくるんではないかという具体的な考え方がまとまってまいりましたので、そういう考え方によって、銀行の事務手続その他をはっきりさせるという非常に細目的な事務的な検討をすべしと、こういう指示を出しましたのが十一月でございます。その検討は三月中には終了してもらいたい、その内容は、にらみ預金解消に関する預金通帳等に対する表示の仕方、債務者に対する通知、PR等の措置、それから債務者側からの逆相殺権の発動の仕方等々具体的なことでございますが、そういうことにつきましての検討が三月一ぱい、やや四月にずれましたけれども、四月の中ごろには終了いたしました。したがって、その間現実にいままで残っておったようなこの拘束預金については、相殺するなりあるいは解消してしまう、こういうことをやりながらいまのような今後の措置も検討させまして、それを四月から完全に実施をさせる、こういう措置をとってまいったわけでございます。 したがいまして、今後はこの実施状況等につきまして常時、債務者側からのいろいろな声も私どもの耳に入ってまいりますので、そういう点にも耳を傾けますと同時に、これは従来からやっておりますが、金融機関の検査の際に、両建て歩積み問題というのは一つの重点的な検査事項にいたしております。また、この歩積み両建て問題だけの検査ということも開始をいたしております。そういういわば大変個別問題になることが多うございますので、そういう個別のことをじみちに、しかし、粘り強く問題を解消していくことが大事なんではないかと思っております。そういう点につきまして、行政検査の全体を挙げて実質的な問題の解消の方に取り組んでまいりたい、こうただいま考えておるところでございます。
○大塚喬君 この預金獲得運動の行き過ぎを是正する、自粛をする、こういうことは、いままでも二度、そしていまの答弁によって三度目。この三度目の正直で、いま私から要望いたしましたこういう事項については十分の成果が上げられる、こういう御認識でございますか。
○政府委員(後藤達太君) 先生の御指摘は二点あるかと存じます。一つは、さきに御指摘をいただきました預金獲得のやり方の行き過ぎ、それからいまの歩積み両建て問題、この両方であると思います。両者が、ある場合には非常に密接なつながりがある、こういうことだと思います。したがいまして、いずれにしましても、いずれの方も行政、検査の両方を通じましてその是正の方法をさらに粘り強くやってまいるというつもりでございまして、最近の金融情勢とも相まちまして、私どもはかなりの成果を上げ得るもの、また上げなければならないもの、こう考えて取り組んでまいる考えでございます。
○大塚喬君 その成果を期待をし、それらの調査結果については、また改めてその実績を伺いたいと思います。 次に、前々回のこの決算委員会で郵便貯金の金利の問題で質問をいたしました。 大蔵大臣にお尋ねをいたしますが、金利決定一元化、こういうことが最近の報道に何度かなされておるところであります。最近、引き続いて公定歩合の引き下げが行われましたが、金融機関の利引き下げに関し、わが国の金利決定機構の問題が公定歩合の引き下げに関連をして当然考えさせられるところになってまいりました。わが国における金融機関の金利決定機構は、大蔵大臣が決定権を握っております銀行等の預金、郵政大臣が決定する郵便貯金との二つに分かれておりますが、このような金利決定の二元性が金融政策の機動性を阻害しておるその最大原因だ、こういうことで、主として金融機関筋から、金利の決定は一元化すべきであろう、すべきである、こういう意見が出されておるわけであります。 銀行側には、郵便貯金は金利、税金面等で優遇され過ぎておる、このことが郵便貯金が大きく伸び、銀行のシェアの低下につながっておる根本原因だ、こういう主張が繰り返されておるわけであります。また、銀行が預金金利の引き下げをしようとしても、郵政省が郵便貯金の金利引き下げになかなか応じようとしない。そのためにどうしても預金金利が高目に固定化される傾向がある、これが銀行の収益を圧迫しておる最大の原因だ、こういうことを金融機関側では主張をしておるわけであります。 ここで、前々回にも私は、繰り返して申し上げたところでございますが、郵便貯金と銀行預金、これは本質的に違うものである。この認識を誤ると、これは私は、一般国民の、庶民の権利を、生活を脅かすきわめて重大な問題である、こういうことを心配するわけでありますが、こうした金利決定一元化論、銀行側の独善的なこういう考え方としか私は受け取れないわけでありますが、大蔵大臣はこの問題についてどうお考えになっておりますか、大蔵大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(坊秀男君) 御意見によりますれば、郵便貯金と普通の銀行等の預金とは本質的にこれは違うものであるというところ、もちろん違う点は私は認めます。しかし、本質的にこれは違うものである、だから、別個な扱いをするということにつきましては、これはちょっとどうも相当検討を要することだと考えます。 確かに、郵便貯金の九九%までが個人預金であるが、民間の預金も、全国銀行の四〇%、相互銀行の五七%、信用金庫の七一%、信用組合の七四%は、これは個人預金でございますね。かつ全国世帯の約七割が銀行預金を利用しておるということでございまして、預金者から見ましても、本質的にこれは別個のものであるということは、ちょっとこれは考え過ぎではなかろうか、かように考えます。したがって、これらの点から、郵便貯金と民間の預金とが本質的には違うとは私は考えないのでございます。現実にも、郵便局は二万を超える窓口を持っておりまして、民間金融機関と競争関係において預金を取り扱っておる。そして、その残高は御案内のとおり、すでに三十兆円という巨額に達しております。特に、最近における郵便貯金の伸び率は、民間金融機関を大きく上回ってきておるということでございますが、一方、民間金融機関は、中小企業金融とか住宅金融、あるいは消費者金融等国民に直結した融資面において重要な役割りを果たしておる。 特に最近は、公共部門ですね、地方団体だとかなんだとかという、そういったようなものへの資金供給も銀行としては大きなウエートを占めておる、こういうようなことでございますが、こうした実態から言いまして、郵便貯金も市中金利の一環として整合性のあるものでなければ、資金の急激な移動を招いて金融に混乱を引き起こすというようなおそれがありますので、郵便貯金と民間預金金利とが相当ある程度の適当なるバランスをとっておるということ。バランスをとって、そして金利の変更をしていくというようなことでないと、やっぱり国内における金融というもののこれが二元化されますと、大変な混乱を来す、金融がうまくいけないというふうに考えております。さような意味において、本質的にこれは違うものだというような理解でもって扱ってまいるわけにはまいるまい、かように考えます。
○大塚喬君 大蔵大臣ですから、金融機関——銀行側の利益を代表する、そういう立場もあるいは私も否定するばかりではありません。ただ、銀行というのが現実にどのような収益を上げておるか、この問題はやっぱり国民にとっては厳然たる事実ですから、それを否定する何ものもないだろうと思います。それから、金融機関というのはもともと預金を集めて、そして貸し出し、融資をして利益を上げるために存置をされておる機関だと思うわけです。郵便貯金というのはそういう営利事業目的ではなくて、公共的な資金に大蔵省資金運用部で運用されておりますように、個人の利益のために運用されておる。そういうあれは少しもないわけであります。最高限度額もごく微細なところで抑えられておりますし、郵便貯金を貸して利ざやをかせぐなんという、そういうところは全くないと言ってもいいほどだろうと思うわけです。そういうことで、いまのインフレ、物価高、こういう現状の中で、その物価の上昇率にも追いつかないような郵便貯金に、単に金融機関の側に立って大蔵大臣が、一元化というようなことにもしも、適当な言葉かどうかわかりませんが、狂奔されるというようなことは、国民の利益を守る、こういう立場から絶対に許されない問題である。この問題については一応私の意見を述べ、大蔵大臣に、しかとひとつ胸にたたき込んでおいていただいてこの問題に対処をいただきますよう要請を申し上げて、先ほど質問が残っておりました公取委の関係部長が出席をいただいたということですから、前のいわゆる拘束預金の調査結果、そしてその対策、こういうことについて独禁法の問題に関連をしてお尋ねしたことがございますので、答弁をいただきたいと思います。
○政府委員(長谷川古君) お答えいたします。 現在発表しておりますのは、今年二月に発表したものでございますが、この調査時点は昨年の五月末現在の数字でございます。それによりますと、狭義の——狭義のと申しますのは、これははっきりとした拘束預金でございますが、これは今回二十五回の調査では二・七%となっております。それからなお広義、これはいわゆるにらみ預金と申しますか、はっきりしない拘束でございますけれども、債務者側は拘束されているというふうに感じておるものでございます。これが狭義を含めまして広い意味の拘束預金としましては一六・八ということになっております。なお、この数字は狭義について見ますと、たとえば四十一年当時は一四・五、四十三年は九・八というふうに非常に高かったものでございますが、年々減りまして、昨年では二・七というふうに、狭義につきましてはかなり改善されております。 ただ問題は、広義の拘束預金、特にその中に入っております事実上の拘束預金と申しますか、いわゆるにらみ預金というやつでございますが、これは広義の数字で申し上げますと、いま申しました四十一年が二五・一、それが現在一六・八、狭義の拘束預金に比べますとそれほど減ってない。
○大塚喬君 悪質化してきたんじゃないか。
○政府委員(長谷川古君) 問題は、広義の拘束預金、その中に含まれておりますにらみ預金をどうするかということでございます。この点につきまして、御案内のように、昨年大蔵省から通達を出しまして、本年四月一日から新しい広義のにらみ預金につきましての規制を強化するということになっております。私どもとしましては、この五月末現在で二十七回目の調査表を発送する予定でございますが、その結果がどうなるかということに非常に関心を持っておるわけでございます。
○大塚喬君 後でまた関連してお尋ねをいたしたいと思いますが、その間に一つ、銀行がともかく国の権力機関から過保護というほど、そういう保護を受けておるということは一般国民がよく指摘をするところであります。そのことが世の批判を受けておる大きな一つでございますが、この銀行の公共性という問題、当然、上の制約を設けられることはあってしかるべきだと思うわけでありますが、銀行もやっぱり公共的な性格を有するものであっても、私企業であることには間違いがないわけであります。でき得る限りやっぱり自由競争という面、これは現に、現在、臨時金利調整法、この最高限度が決められておるわけでありますが、その範囲内においてアメリカでもとられておるように、すべての銀行がもうガイドラインというものを設けて、そして、まさに独禁法の問題にも関連するような感じを持つものであります。たとえ制限的なものであっても、アメリカと同じようにこの金利を自由化すべきではないか、こういうことを一つ考えるわけであります。ただ、相互銀行以下のいわゆる中小金融機関、ここについてはこれを例外として扱わなければならないし、その場合には大手銀行は中小金融機関の貸出分野にまで進出しないように措置すべき、そういう配慮が当然なさるべきだと思うわけであります。 私が特に、ここで問題にして大蔵大臣の所見を承りたいことは、今回の一連の公定歩合引き下げ、これに伴う預金、いわゆる貸出金利、これらが一体どういうふうに推移をして、この景気浮揚という政府の目的に金融機関が対処をしておるのか、その点について一点ひとつお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(後藤達太君) 今回二度の公定歩合引き下げあるいは要求払い定期性預金の引き下げに伴いまして、貸出金利がどうなるかということでございますが、もちろん今回の金利引き下げの趣旨は、貸出金利の水準が下がることによって景気の浮揚を期待をいたしたい、こういう趣旨でございますから、貸出金利がどういうふうに引き下がっていくかということに、大変私どもは強い関心を持っております。公定歩合引き下げの日に、各金融機関はそれぞれのプライムレート及び並み手と申しておりますが、一般手形の最高限度、これをそれぞれ各銀行とも公定歩合と同幅の引き下げをすることを決定をいたしております。 したがいまして、それが具体的な貸し出し、個個の貸し出しについてどういうふうに適用をされてまいるかということでございますが、これはその他の資金需要の実勢等によりまして、ときどきによりましていろいろ変動はあるかと思います。しかしながら、最近では金融が御案内のように量的に大変緩和をしてまいっておりまして、また、政策的にも緩和する方向の誘導が行われておりますので、定期預金等の預金金利の引き下げによるコストの軽減ということも、現実に起こってまいるわけでございますから、むしろ金融緩和の情勢のもとでは、コストの低下に先立って貸出金利は下がっていくものと、こう存じます。 従来の例でございますと、大体公定歩合が引き下がりましてから、ときによって長短がございますけれども、大体半年とか一年とかたちまして、公定歩合引き下げ幅の五、六割ぐらいの追随をいたしてまいっておりますが、今回は諸般の情勢から、それよりも従来以上に追随度は高まってまいるものと期待をし、また、そういう要請を金融機関にいたしております。ただ、公定歩合引き下げが四月でございます。実際の新規の金利の適用は、手形の書きかえ時に行われるのが一般の商慣習でございますから、手形が大体三カ月とか、こういう期間で切られておりますから、逐次その成果は出てまいる、こういうふうに考えております。
○大塚喬君 そうすると、貸出金利も大蔵省としては、引き下げのために積極的に金融機関を指導し、その実施を図る、こういうことに受けとめてよろしゅうございますか。
○政府委員(後藤達太君) 具体的に個別的に指導するということでなくて、一般的に銀行が個々の適用金利を下げてまいるように、これは日本銀行と大蔵省とで公定歩合の引き下げの際に、強く金融機関に要請をいたしております。おっしゃるように、そういう方向で指導してまいる考えでございます。
○大塚喬君 いまの質問に関して、先ほどの自由競争ということをもっとその原理を取り入れれば、預金金利を銀行の、何というのですか、そんなに騒がなくても済むんじゃないか、金利の幅を小幅にして済むんじゃないか、私はこういう考えを持っておるんですが、先ほどの質問に関連をして、後であわせてひとつ答弁をいただきたいと思います。 次に、大蔵大臣と公取に臨時金利調整法、いわゆる金融機関の金利面の競争を制限しておる臨時金利調整法、これは昭和二十二年十二月法律第百八十一号をもって公布され、その後九回の改正を経て現在に至っておるわけであります。その推移をずっと見てみますと、この法が制定をされた当時、物価安定その他に悪影響を与える、こういうために本法の制定がなされたわけでありますが、この法律自体、法律名が臨時と名づけられておるわけであります。戦後のあの混乱期に、やむを得ない臨時的な措置として決められたわけでありますが、いま現在、相変わらずこの金利制限が行われておる。こういうこと自体に、先ほどのいわゆる競争原理を取り入れよ、こういう考え方に立ちますと、どういう理由でこの金利制限が行われておるか、その理由を私は把握することにちょっと戸惑いというか、苦しむわけであります。この点についてどうお考えになっておるのか、初めに大蔵大臣からひとつ。
○国務大臣(坊秀男君) 臨時金利調整法制定の当時から、戦後復興期を経ていわゆる高度成長の時期に至るまで、金融機関に対する企業の資金需要はきわめて旺盛でありまして、金利について何らの規制も行わなかったとすれば、貸出金利等、金利全般が相当高くならざるを得ないというような状態であったことは御案内のとおりでございますが、現在では、そうした情勢は確かに変化しつつあるとは思いますが、ここで金利制限を一挙に取り払いますと、たとえば住宅ローンだとか、中小企業向けの貸出金利の上昇や、あるいは金利についての競争が激化によりまして、中小金融機関の経営が困難に立ち至るというような問題が憂慮されます。したがって、当面はこの法律の枠内で金利政策を弾力的に運営していくということによりまして、国民のニーズにこたえていくことが適当であろう、かように考えます。
○大塚喬君 最後の質問になろうかと思いますが、この臨時金利調整法、この成立過程を見てわかることは、この法律が独禁法の抜け穴になっておる、こういうことははっきりしておる、こういう理解であります。公正取引委員会は、この法律一が独禁法との関連において問題がある、そういうふうにお考えになりませんか。それから大蔵大臣、この問題について、あわせてひとつ御両者から答弁をいただきたいと思います。
○政府委員(吉野秀雄君) お答えいたします。 臨金法につきましては、その制度当時に、金融業界におきまして金利の協定が行われておりました。これが独禁法上問題があるということで、摘発して排除措置をとらせたわけでございますが、しかし、金利の問題はなかなかむずかしい問題でございまして、金利政策、預金者保護等の関連からも、一概に競争原理を適用していくということは非常に問題があるというところから、特別な政策目的を持ってつくられた法律でございます。したがいまして、直ちにこの臨金法が独禁法上問題があるというふうに言い切ることは非常に問題であろうかと思いますが、ただ、現在、金利自由化につきまして大蔵御当局で御検討中と聞いておりますので、その辺を十分見守って、公取としてはやはり独禁政策上この問題をどう扱うか、慎重に検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
○政府委員(後藤達太君) 臨時金利調整法が制定されました経緯につきましては、公正取引委員会からお話のあったとおりに承知をいたしております。むしろ、やはりそういう性質の問題であるだけに、特別な立法措置として設けられた、こういうふうに理解をいたしております。 ただ、この臨時という名前がついた法律が三十年間、臨時と言って続いているのは少し問題ではないかという御指摘であったかと存じますが、内容的には先ほど大臣がお話しされましたように、資金の需給の情勢というのはいろいろ様変わりないたしてまいっておりまして、私どもはそれに応じまして、その金利調整法に基づく規制の中でも緩和できるもの、あるいは規制を取ってまいれるものというのは徐々には進めてまいってきております。しかしながら、当面これをやめるかどうかという問題は、実質的には預金金利の問題に帰着をいたすと存じます。 預金金利の問題につきましては、先ほどもお話が出ましたような、なかなか金融界の中で、日本のような外国とやや違った、かなりやはり活力のある経済行動をするところにおきましては、金融的に非常な大きな問題を起こしかねないということがございますので、なお、その点につきましては、今後かなりこれは慎重に考えていかざるを得ない問題ではないか、こういうふうに考えております。
○大塚喬君 終わります。
○永野嚴雄君 農林省関係の全般の問題について補充質問をしたかったのでございますけれども、農林大臣以下きょうはとてもそれどころじゃない。本日は、問題をしぼりまして、食管会計の運営につきまして技術的な点にしぼってお尋ねしたい。所管大臣おられませんし、たまたま大蔵大臣おられますが、答弁は要求いたしませんけれども、ひとつ参考のために聞いておいていただきたいと思います。時間がありませんから、質問はきわめて簡略にいたします。私の意見を含めて、一切合財含めて、最初に項目別に御質問いたしますから、まとめて御答弁いただきたいと思います。 第一点は、いわゆる食管物資、主としていまは米、麦しかありませんが、これの表示単位の問題。以前は食管物資の量も非常に多かったし、種類も多かったのですが、いまは米と麦にしぼられましたから以前とは違いますが、それでも米は、御承知のとおり政府の買い入れ価格、売り渡し価格、これは六十キロ単位になっております。それから標準米の指導価格の売り渡し価格ですが、これは消費者の場合は十キロ単位。麦が、小麦と裸麦については六十キロ、大麦が五十二・五キロということになっております。実は私、米審の委員を数カ年やっておりますときに、統計を見るときに非常に見にくい、基礎の単位が違うものですから。ことに消費者米価と生産者米価なんかの問題を考える場合、単位が、基準が一本になっておれば、搗精歩どまりを一定に掛ければすぐ頭へぴんとくる。私、五、六年米審の委員をやっている間に、絶えず答申の後に、ともかく一、十、百という十進法に一切変えられたらどうだろうかということを何遍も意見を言ったことがあるのですが、ごもっともですと言って、また来年同じことを言うと、またごもっともですと、らちが明かなかった。 たしか昭和三十五年にメートル法が施行になりました際に、ほかの物資、たとえば繊維であるとか木材であるとか——繊維関係は忘れましたが、綿花、綿糸それぞれ五百ポンドないし四百ポンド、木材は石でやっておたのをメートル法に切りかえたときには、確かにこれに似たような、そのときの流通単位である五百ポンドのものをキロに直したら幾らになるであろうかと換算いたしまして、ないしは木材の場合、石の場合、キロに直したら幾らであるだろうかと換算して、その一石ないしは五百ポンド、四百ポンドをキロに直して、それを単位にしておったことは事実でございます。これは二、三年でもうすっかり吸収されてしまいました。いま木材の取引、若い人に石で言ったのじゃかえってぴんとこない。綿糸、綿花を扱っておる繊維の商社にポンドで言っても、内地の商いをしておる連中は逆にわからなくなる。だから、そういった過渡的な単位はもう一切なくなりまして、大きなマーケットは全部一、十、百、千という十進法によるキロ単位になっております。ひとり食糧庁におかれては伝統を墨守しておられる。 それで、なぜそういうことをやられるのかと言うと、関係者の利便である、物流形態に即しておるのだ、こういう答弁になると思うのですが、これが二つおかしいのでございまして、基礎物資の単位を物流の個々の単位に合わせるということ自身が、こういう物資の場合は理屈にならないと思うのです。一、十、百の方がわかりやすい。非常に極端な表現を使わしていただきますと、物流の単位と価格の単位を合わせる必要があるのは、駄菓子屋さんのおばあさんが小学生に売るときの話であって、こういう物資の場合、そんな関係者の利便という問題で云々されるのと性格が全然違うと思う。現に、このごろスーパーマーケットあたりで包装で売っておるものですら、中身キロ当たりが幾らかという表示を行政的に進めておる時代。この問題は全然性格が違いまして、国全体の食管制度の数字を見ていくときに単位がばらばらである。しかも、それが物流だとか関係者の利便だということがどうしてもわからない。 しかも、さらにおかしいのは、物流の形態自身がどんどん変わっていっているわけです。御承知のように昔は俵で、その以前は石であった、石でやっておった。それを百五十キロにし、六十キロにしたのはいいんですが、私の承知している限りでは、米の場合、消費者に渡す単位はもちろん細かくなっておりますが、生産者の場合でも、三十キロの紙袋の方があるいは多くなっておるのじゃなかろうか。将来は当然バラ輸送の分野がうんとふえてこなければいけない。 この議論はまた後で、将来したいと思っていますが、本日はいたしませんが、ともかく関係者の利便から言ってもおかしいし、ぜひこれは一、十、百というわかりやすい表示に直されたらいかがであるかということが質問の第一点です。その点については、ひとつけりをつけさせていただきます。
○説明員(小野重和君) 御指摘のように、現在国内産の米麦につきましては、米と小麦、裸麦、これは六十キロ単位で価格を決めておる。それから大麦は、五十二・五キロと半端な数になっております。 これはただいま先生からも御指摘があったわけでございますが、やはり流通の形態というものが、これは恐らく徳川時代からだと思いますが、一俵単位で取引される、こういうことになっております。一俵は昔は四斗ということでございました。量ではかったわけでございますが、現在では重量ではかる、示す、こういうことになっているわけでございます。 そこで、御指摘の点は、そういう取引単位はそうかもしれないけれども、価格の表示単位としては、十進法に基づく十キロとかあるいは百キロにしたらどうか、こういう御意見だと思いますが、確かに統計上の問題としてはその方があるいは便利かと思います。 さらには、消費者米価、これは標準価格米等につきまして十キロ幾ら、こういう指導価格を設定しておりますし、流通単位もこれは十キロが原則でございます。そういう点から、玄米と精米との関係という点から言いましても、まあ十進法の方がいいんじゃないか、こういうお話かと思いますが、私どもとしましては、やはり実際に流通取引している玄米の場合には、実際の流通は俵単位ということで取引しているわけでございます。
○永野嚴雄君 いまちょっと聞いたんだけれども、紙袋の方が多くなっているのじゃないの。
○説明員(小野重和君) その点申し上げますと、いま六十キロの入れ物とそれから三十キロ、二種類ございますが、三十キロというのは紙の場合でございます。紙袋と言っておりますが、紙袋は三十キロでございます。ほかの麻袋とか、かます、その他は六十キロでございますが、数量的に申しますと、紙袋が四四%、それ以外のものが五六%、こういうことになっておりまして、六十キロ単位の流通量の方が多いということでございます。 いずれにしても、三十キロと言いましても、やっぱり六十キロの半分でございますから、そういう意味で昔からの六十キロ単位の流通形態というのがいまでも基本になっておるわけでございますが、そういうものに合わせる方がむしろいいのではないかというのが私どもの考えでございます。 いろいろ御意見があろうかと思いますが、たとえば十キロ単位で、あるいは百キロ単位で価格を表示するということになりますと、実際の取引は六十キロでございますから、それに六倍したり、〇・六掛けたりというような、また換算しなきゃならぬということもございますので、いまのような形の方がいいのではないか、私どもはそう考えているわけでございます。物流形態が将来たとえばバラに変わるということになりますと、これはまたあるいは考えなければいけないかと思います。現に外麦につきましてはバラで入っておりますから、これは百キロ単位ということで私ども価格の表示をしている、そういうようなことだろうと私ども考えております。
○永野嚴雄君 いまの問題は恐らくそういう答弁があると、また、そういう答弁の背景の思想が、私は一遍これは、ほかの問題を含めましてゆっくり食管会計の運営のあり方について議論したい点があるんですが、きょう農林大臣もおられませんので、別の機会に譲りたいと思います。大蔵大臣、答弁を求めませんが、どちらが正しいか、ひとつお考えいただきたいと思います。 それから、問題次に移りますが、これもごく技術的な問題ではありますが、ある程度食管会計、食管制度の根幹ということになっておる分野でございます。ちょっと念のために先に伺っておきたいんですが、現在、米の小売販売業者の数と受給世帯の数、おわかりでしたらお教えいただきたい、ラウンドナンバーでいいですから。
○説明員(小野重和君) 小売販売業者の数は、大体六万軒でございます。それから消費者世帯、これは三千万世帯でございます。
○永野嚴雄君 そういった前提に立ちまして、われわれの日常生活にかつて組み込まれておった米の配給通帳の問題を議論したいわけなんです。これはいま御承知のとおり、六万軒の小売店と三千万配給世帯の間に、配給通帳によらなければ米は買えないという原則が食管法で規定されており、当時の法律がその点に関してはほとんど変わっていない。しかも、物価統制令の方は業務上の犯罪しか立件しない、構成要件に入っていなかったと思うんです。これちょっと読みにくいんですが、現行法では、配給通帳に記載をされずに、ない状況のもとでそれを使わなかった、ないしは配給通帳によらずして米の売買をするということは、災害等の特別の場合を除いては、懲役三年、十万円以下、たとえばこれ、四百倍なら四千万以下の罰金という法律が現存しておる。これはちょっと私もはっきりしないんですが、食管の場合は物統令の場合と違って、業務上でなくても消費者も罰則が適用になると思うんですが、物統は業としなきゃいかぬ、その点だけちょっと。
○説明員(小野重和君) 食管法上は、購入通帳によらずして米を買うという場合におきましても、罰則がかかるということになっております。
○永野嚴雄君 私、その点を実は問題にしたい。御承知のとおり、もう過去何年ぐらいでございましょうか、十数年になる。少なくとも十年にはなっていると思うんです。お互い米の配給通帳を持って米を買いに行かない習慣ができている。これは非常に意地悪い質問をいたしますと、食管、この制度の主管官庁である食糧庁の職員の中で、配給通帳を持って米をお買いに行っておられる方が何人かあられるでしょうか、恐らくないと思う。 それでこの点は、これは食管法をどう見ていくかという基礎問題を議論するときの例に使いたかったわけですが、単独で考えまして、食管制度というのは、根幹は堅持するというのが与野党を通じての現在におけるコンセンサスである、そのコンセンサスが得られない限り根幹をいじるべきでないというのが、これは私も当然だと思う。逆に、食管はいじらないというたてまえを貫く余り、現在動いていない制度まで動いておるという仮定のもとで予算がつけられ、しかもまずいことは、罰則までこれを非常に厳格にやれば、いま言った約三千万人が皆留置場に入ったり、罰金を取られたりしなければならないというのがこれは現行法ですね。 なぜこれをこのまま置いておかれるのか。一たん緩急ある場合は議論になるという以外ほかに講論のしょうがないと思うのですが、私は、一たん緩急という議論はこういった個々のレベルで議論すべきでなくて、内閣全般で議論される問題だとは思います。しかし、それも一つの考え方であり得るから、私はこれを廃止してしまえとは言わないのです、この条文を。少なくとも休止されたらどうだろうか。ともかく予算をつけて何万枚かしりませんが用意しておくと。 それはまだしも、私は昔、司法官をやっておった経験があるのですが、一番困るのは、行政官庁としてできるだけ幅広い網を打っておく、それも罰則をつけておく。使う使わぬはおれの勝手だ、ある程度までお目こぼしもしてやろう。これは実は法秩序を尊重して守っていく意味で、こういう行政官庁の姿勢というものは非常に困る姿勢だと思うのです。この場合はもう個々のお目こぼしじゃなくて、国民全般が懲役三年以下の構成要件に触れる生活をしながら生活をしておる。しかもそれが一年や二年じゃない、過去相当長い間、しかも、将来もいまも生産制限をやろうかと言っておる時期です。これは残念ながら当分続くかもわからない。なぜこれを残しておかれるか。 いま言った一たん緩急論もあり得るから、制度としては残しておかれることに決して反対しない。なぜ動いておるという前提で予算をつけられ、罰則を残しておられるのか。これは食糧庁の根本姿勢、戦時中の物動時代のしっぽが、いわゆるこの民主主義体制に変わったという時代においても残っておる最大のあらわれだと思います。消費者の三千万、六万人の小売商にしましても、これは十年以下の懲役、消費者の方は罰金にしましても、これは刑務所に入れたら、これだけで刑務所の定員を超してしまいますから。そんなようなものを、しかも行政官とすれば、自分の所管事項に関して違法というか違反があった場合は、刑事訴訟法に基づく告発義務までしょっておられるわけです。いかにも扱いが便宜的過ぎるというのか、旧慣に固執し過ぎるというのか、片や国家財政、恐らく数百万単位で大した金じゃないと思いますが、現に動いていないわけですから、形式的だけで相当なある程度の予算をつけて、何に使われるかしらぬけれども、毎年毎年倉庫に積んであるのだろうと思うのです。これは大蔵大臣におか れましても、いま極端な言葉で言えば、一万円の 金でも要らない金を押えなければならない。そういう意味から申しましても困る。 私は、基礎的にいやなのは、いま言ったお目こぼし方式の行政が行なわれることは非常に困る。いやしくも法律をつくって罰則をつけた以上は、その違反があれば徹底的に追及し直さす、逆に縛るつもりのない、また寝ておる法律は、撤廃するか、撤廃が将来ぐあい悪ければ、正式に中止させるということがぜひ望ましいと思うわけでございます。これも恐らく食糧庁の答弁は、そういう考えはないと言われると思います。これは、少なくともきょうはそういうことは全然考えないとおっしゃると思いますけれども、まじめに、もう一遍基礎的に考え直していただきたい。これは私も食糧庁の立場はわかっておるつもりですし、あれなんですけれども、ともかくかつて、現在も法律家の片割れになっておるわけです。国民を絶えず十年以下の懲役に、つかまえようと思ったらつかまえられるわけです。そういう状況になぜしておかれるのか、その点だけひとつお答え願いたい。
○説明員(小野重和君) 先生御案内のことと存じますが、実態を若干申し上げますと、購入通帳にはいろんな種類がございますが、一般消費者用のもの、それから販売業者、卸、小売両方ございますが……
○永野嚴雄君 そちらの方はいい、私の聞いておることだけ答えてください。
○説明員(小野重和君) わかりました。これは二つございますが、一つは制度的な問題、一つは先生おっしゃいました一たん緩急論、これがございます。一たん緩急論と申しますのは、たとえばかつての狂乱物価のときに、国民の主食である米については、供給なり価格に全く不安がないということであったわけでございますが、これもいまの食管制度といいますか、それがあったからではないかというふうに考えられるのではないかと思います。ただ、もとよりそのときも、消費者段階の購入通帳を実際に使うというところまではいかなかったわけでございますけれども、将来考えた場合に、穀物情勢、特に国際穀物情勢がいかがになるか、非常に厳しい情勢になることも全くないとは言えないというようなことも考えられますので、そういう際にやはり、この購入通帳というものを発動できるような形にしておくことが必要ではなかろうかというふうに考えるわけでございます。 ただ、それに対しましては、いや、それならばそういう事態に至ったときに発動できるようにしておく、ふだんは眠らしておく、こういうお話、御意見と存じますけれども、ここに一つ制度的な問題が実はあるわけでございます。これは、いまの食管法とは一体いかがなものであるか、こういうことになるわけでございますが、御案内のように、食管法は昭和十七年、戦争中の食糧難に対処するためにそもそもできたものでございますが、そのために生産者段階では生産者に売り渡し義務を課する、それからそれに基づいて政府が買い入れる、買い入れたものは配給計画に基づいて配給する、それからそのルートにつきましては、卸売業者、小売業者がいるわけでございますが、これについては登録制をしく、それからまた、それぞれの流通段階で購入通帳を使わなければいけない、こういうような全体の仕組みになっておるわけでございまして、要は、流通については全面的に政府が規則する、そういうようなのが食管法の姿ではないか、こう思います。 そこで、その中で一番末端の小売対消費者との関係におきます購入通帳、これが実際に使われてないということも事実でございますけれども、仮に、制度的にこれを休止させるということになりましても、これは食管法改正をしなければならないわけでございます。その場合に、果たして、その全体のいまの食管制度の基本的な考え方のそこだけをはずせるものであるか、そうなれば、全体の体系として考え直さなければいけないという問題にも発展するんじゃないかというようなことがございまして、実態としては、確かに先生おっしゃるようなことでございますけれども、食管法改正ということになりますと、これはなかなか慎重な検討を要するんじゃないか、慎重に対処しなければいけないんじゃないか、かように考えるわけでございます。
○永野嚴雄君 その考え方が私は根本的におかしいと思っているんです。食管法の根幹を維持するということは、一番最初に、そういう答弁が出ると困ると思って私も同意見だと申し上げておるし、国民的なコンセンサスがなければ動かしちゃいかぬと思っておるんです。だけれども、それは明らかに無用の恐怖を国民に与える。恐怖にもう感じなくなっておるとすれば、法治国家としてなおいけない。法律を残しておくことには結びつかない。食管法は動かさないんだ、聖域だということで、明らかに現実の実態と、多年にわたり、瞬間的じゃなくて、矛盾しておることもさわらないということになると、むしろ逆に、国民意思と食管法との間の乖離ができてしまって、食管法の根幹に対する信頼感すら失うおそれがあると思います。その点は特に強くそれには反論しておきたい。しかも私も、将来行政官庁の罰則の問題につきましても、全般的に見直す必要があるんじゃなかろうかと思うんですが、明らかに現在はもう全然使ってない、国民全般が違反しておる、しかも交通違反の場合とは違うわけで、懲役、これはもうみんなそうでございますよ、全国民が。なぜ残しておくのか。それすらいじらないというような議論をされると、さっき私が申しましたとおり、食管制度の根幹に対する信頼感すら薄らぐんじゃなかろうかということがあるのであえて申し上げておる。 それから、いまの万一の場合云々ということのために、現行法を動かしてはいかぬ、これはまた逆だと思うんです。いまは観念的には、各家庭に配給通帳があるという前提の場合、万一の場合そいつを使えとおっしゃるんだろうと思うんです。これは逆で、万一突発事態が起きたときは、これほど転勤が多く、米屋がどこにあるか、恐らく米の通帳をなくしちゃっている家庭もかなりあると思う。米屋に預けっ放しでどこの米屋か忘れちゃったという方もあらわれると思う、ずっと一家に定着しておられる方は別としまして。率直に言って、私なんかのうちはもう米の通帳はどっかへ行っちゃっていると思うんです。そういう前提で、米の通帳をすぐ持ってこい、そうすれば米を何キロ売ってやるということをされることが、かえって混乱を招くと思うんです。むしろ一応寝せてしまって、ただし準備はしておく、いつでも発給できるように。そして、一遍そういう事態がもし不幸にして起これば、さっと新しいものを出してやらなければ、これは混乱は加重されると私は思います。その点も御検討願いたいと思うんですす。 食糧庁の事務当局とされては、そういう御答弁しかいただけないと思っておったんですが、あえて申し上げたのは、いよいよ米の時期にもなってくるときに、やっぱり実態に即する運営をやらなければいかぬのと、それから、万一論はきょうするつもりじゃなかったんですが、万一論だとすれば、食管制度の通帳があるからなんというのは、これは私は国民を本当にばかにした話だと思うんです。そんなことは当然やらなければいけないんで、むしろこれはまた別の機会に論じたいんですが、ある程度やっぱり備蓄を持った方がいい、はるかに国民は安心すると思います。通帳制度があるから安心せよというよりか、三百万トンなら三百万トンの常時のランニングストックを持っておるんだと、万一論の場合ならばですよ、それはその方がはるかに安心する。 そうすると、その議論を持ってきますと貯蔵の問題が出てまいります。いまの流通、いまのバラ輸送の問題、あるいはバラ積みの問題、バラ積みの問題を出すとすぐ倉庫容積を言いますけれども、麻袋や紙袋の通路をとったり、それからデッドスペースを考えますと、私はバラ積みとこういった包装輸送の倉庫スペースというのは、どちらがどっちとも言えないぐらいだと思います。これは玄米の場合は全然スペースが少なくなる、むしろそちらの方へ議論が発展していくべきであって、万一論のときに、石油のストックじゃありませんが、ストックの方は考えずにおいて、通帳制度でこれに対処する一助にしようと、これもぜひお考え願いたい。 いずれ、この議論を発展していきますと食管全般の問題になりますものですから、日を改めてお伺いしますが、本日、幸いにして大蔵大臣御臨席でございますから、答弁はお願いいたしませんけれども、御批判を賜りたいと思っております。 終わります。
○委員長(鈴木力君) 午後一時から再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時十一分休憩 —————・————— 午後一時四分開会
○委員長(鈴木力君) ただいまから決算委員会を再会いたします。 休憩前に引き続き質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○塩出啓典君 きょうは。パンフランSという、これは富山化学という会社が製造した薬でございますが、これは富山化学の主力製品と言われ、年間三十億とも言われておりますが、こういう売り上げを十数年間続けてきた薬であります。ほとんどすべての病院、あるいは開業医の三分の一がこれを使っておると言われておるわけでありますが、最近一部の新聞報道等によりますと、その薬が近く中央薬事審議会の薬効再評価、薬の効能の再評価をいまずっとやっているようでありますが、その再評価の結果、有用性なしという結論が公表をされる予定になっておる、そのために、そのことをメーカーが事前に知って、この薬の回収をしておる、こういうことが報道されておるわけであります。しかし、ただメーカーが回収をしておるだけで、どういう理由で回収をしなければならないか、そういう点が全くメーカーとしても明らかにしていないし、また、厚生省も何ら明らかにしていない。そういうことで非常に医師会の間においても、各地において大きな問題になろうとしております。こういう問題についてきょうは二、三お尋ねをしたいと思うのであります。 そこで、中央薬事審議会の医薬品再評価の結果、近く有用性なしという結論が出る予定と言われておりますが、このことは事実であるのかどうか、この点をお尋ねをいたします。
○政府委員(上村一君) いま御指摘になりましたパンフランSにつきましては、私ども四十六年からやっております医薬品の再評価、これは、昭和四十二年十月以前に承認した薬について、効能なりあるいはその安全性の洗い直しをしておるわけでございますが、その一つの過程といたしまして、四十八年の四月に再評価の成分と指定いたしまして、昨年の一月から調査審議を開始したわけでございます。現在、そのパンフランSの効能効果あるいはその安全性、したがいまして再評価での判断でございます有用性について最終的な詰めに入っておるわけでございまして、近くその薬事審議会で結論が出る見込みでございます。
○塩出啓典君 それで、有用性なしという、こういう結論が出る予定のようでありますが、この理由は何であるのか、これは簡単に言えばどうなりますか。
○政府委員(上村一君) このパンフランSにつきましては、再評価調査会、これは薬事審議会の中の下部機構でございますが、この再評価調査会の中で有効性は認められた。有効性は認められたのでございますけれども、その発がん性に対する安全性のデータが十分ではございませんということと、それから、その後の新しい薬品の開発によりまして、ほかにも安全性の高い有用な薬、たとえば合成ペニシリンといった抗生物質が開発されておりますので、医療上の必要性は少ないんじゃないか、そういうふうに判断される方向で検討されておる、審議会の結論が最終的に決まったわけじゃございませんので、そういう方向で検討されておるという程度の表現にとどめさせていただきたいと思います。
○塩出啓典君 そうしますと、ただいまのお話では、薬の有効性はある、しかし、いわゆる発がん性の問題とかその他安全性を考慮して、もっとほかに安全な薬があるからこれは有用性は認められない、こういう方向のようでありますが、それではこの有効性というものは、この薬は非常に範囲の広い適応症を持つ薬でありますが、これはすべての適応症について有効性はある、こういう判断でございますか。
○政府委員(上村一君) このパンフランSは、御案内のようにもう十数年前、昭和三十八年に承認をした薬でございまして、現在その効能範囲といたしましては、黄色ブドウ球菌とか、あるいは溶血連鎖球菌とか、あるいは肺炎球菌等々による幾つかの疾病、典型的な例が細菌性赤痢、あるいは慢性あるいは急性の膀胱炎、そういったものがあるわけでございます。それで、効能範囲は相当広うございますが、現在審議されております過程では、昭和三十八年からその後若干の追加効能がございますけれども、そういったもののすべてについては必ずしも認められるものではない、相当範囲がしぼられることになるというふうに承知しておるわけでございます。
○塩出啓典君 じゃ、これはこの会社のパンフレットでありますが、かなり領域としては、内科、小児科、泌尿器科、産婦人科、外科、整形外科、耳鼻咽喉科ですね。この薬は一番最初はいわゆる細菌性赤痢の薬として、腸内感染症でございますか、これの薬であったわけでありますが、それがだんだん拡大をしていま全身感染症に効くようになって、もう十数年久しいわけです。いろいろお医者さんの話を聞いてみますと、どうもこのパンフランSというのは腸内感染症、せいぜい尿道感染症ぐらいまでしか効かないんではないか、それ以外は非常に効かない、こういうような話があるわけなんでありますが、そういう点はいわゆる薬事審議会において問題になったのかどうか、その点はどうなんですか。
○政府委員(上村一君) さっきお話しになりましたように、三十八年の三月に承認しましたときには細菌性赤痢をうたいました。それが三十九年とそれから四十年に申請がございまして効能の追加をした、これは先ほどお答え申し上げたとおりでございます。そして三十九年なりあるいは四十年に追加効能を承認いたしましたときのデータでは、基礎実験資料もそろっておりましたし、それから、そういった効能範囲を拡大するのについて必要な臨床試験例というのも、各大学から相当数の臨床試験例を集めてこられまして、しかも、その有効率も相当高いということで承認があったわけでございますが、昭和四十二年から医薬品の製造承認に関しまして新しい基準をつくりまして、再評価というのはそういう基準に照らして洗い直しをしておるわけでございますが、そういった新しい基準に照らしますと、さっきも申し上げましたように、当初承認した効能効果の範囲というものは、相当しぼられるようになってくるというふうに目下のところ進んでおるわけでございます。
○塩出啓典君 どうもこの薬は、先ほどの最初のお話では有効性はある、効くことは効くんだ、しかし、ほかにもっと発がん性の心配のない薬があるから有用性なしの結論を出したという。けど、いまのお話ではどうも有効性は、ある病名については有効だけれども、その他のものについては有効ではないようなあるような、その点非常にはっきりしないわけですが、これはこれから明らかに私の意見を述べたいと思うんでございます。 「大阪府保険医会誌」という雑誌がございます。これは五十一年十二月十五日、記念講演を載せた号でありますが、その中にお医者さんのいろいろ質疑応答、お医者さんの集まりですから、そこで担当の大阪市大第一内科助教授の三木先生というのが立って、それでみんなお医者さんが質問しているわけです。それを読んでみますとこう書いてるんです。 その質問するあるお医者さんが言うのには、「パンフランSは、ほとんどの耐性検査でスリープラスと出ておりますけれども、現実に飲ませると効くようには思いません。これは吸収のかげんかなにか別の原因があるのでしょうか。」こういう質問に対しましてその答弁は、「パンフランSはすべての菌に感受性があり、耐性が非常に少ないということで、パンフレットを見てもそのことばかり書いてあって、吸収がどうのこうのということは書いてないと思います。」これはこの先生が言っているのですよ。「といいますのは、腸管からほとんど吸収いたしません。腸内の殺菌効果はありますから、腸管感染症に効く可能性は十分考えられますけれども、それ以外の全身感染症に効くというデータは非常に怪しげなものだと思います。」、こういうことを言っておるわけです。 したがって、やはり腸が吸収をするような薬であれば、これは血液の中に吸収され、これが全身に回って体全体のいろいろな病気に効くかもしれない、あるいはそれは尿に排せつされて尿道感染に効くかもしれない。しかし、このパンフランSというものが非常に腸から吸収の悪い薬であれば、これはもう全身感染症には効かない、こういうことじゃないかと思うのです。私たちは素人ですけれども、確かに腸が吸収しなければ便に出ちゃうわけですからね。そういう点でこういう薬というのは一体どういうわけで全身感染症に拡大されたかなという疑問を持つわけです。こういう点この吸収性の問題についてはどのように考えておりますか。
○政府委員(上村一君) パンフランSを承認いたしますときに出されました、吸収排せつの試験成績があるわけでございますが、それではウサギなりマウスに経口投与——飲ませました後の血清なり尿なり胆汁の中にそのパンフランSの濃度とい与しました後も、血清なりその尿の中の濃度があるということから見まして、この薬というのは人に吸収されるのであろうというふうに考えたわけでございます。同時に、先ほども申し上げましたように、効能範囲を拡大するに当たりまして出されましたその当時の臨床試験の成績から見ましても、申請されました効能について、承認しても差し支えないというふうに判断されたものであるというふうに考えるわけでございます。したがいまして、吸収されないというんじゃなくて、やはり吸収されるというふうに私ども考えておるわけでございます。
○塩出啓典君 そうしますと、吸収されるというそういうデータが昭和四十年か四十一年ごろに効果を拡大するときに出されておるわけですね。それはどういう資料でございますか。それは資料として提出していただけますか。
○政府委員(上村一君) このパンフランS、御質問がございましたのでいろいろ当時の資料に当たってみたわけでございます。相当詳しいデータが申請に当たってつけられておるわけでございますが、個々の会社が医薬品の製造承認を取るために出されましたデータにつきましては、私ども、その扱いに慎重を期さなくちゃならないというふうに考えておりますので、その点は御容赦いただきたいと思うのでございます。先ほど来申し上げておりますように、再評価の結果が最終的に確定しておりませんので、どうも奥歯に物のはさまったような物の言い方をしてはなはだ恐縮なんでございますけれども、いまもうこの再評価が大詰めに参っておりますので、そのときに、そういったものについて申し上げる機会があるんじゃないかというふうに思うわけでございます。
○塩出啓典君 これは厚生大臣にお尋ねしますが、そういう薬が効くか効かないか、あるいはどういう試験をしてこれは有用性であるかということは、非常にわれわれ国民は関心を持たざるを得ない。そういう研究にもしいいかげんなものがあれば、薬が逆に毒になるわけですから、そういう点で私たちは、もちろん会社の企業秘密というものは認めますけれども、いやしくも臨床実験のデータとか、こういう患者の人にどういう医者が責任を持って投与して、そういう結果こうだと、一人一人の名前はいいにしても、あるいはこの薬の効果を拡大する場合にどういう実験データが出たか。 私、聞いているんでは、そういうデータというものは、やっぱり一般の雑誌に出るとか公表されたものでなければ、ただその会社が極秘にやったものとか、そういうものは私は信用できないんじゃないかと思うんです。そういうことで、いま私が要求しております——いわゆるこのパンフランSの効果が非常に拡大をされたんですね。というのは、赤痢だけじゃなしにほかの全身感染症に効くという、そういうデータを提出をしてもらいたい。これはもう十数年前の資料ですから、会社としては別に企業秘密でも何でもないと思うんです。それぐらいちゃんとやってもらいたいと思うんですが、厚生大臣どうですか、そういう点は。
○政府委員(上村一君) さっきもお答え申し上げましたように、昭和四十二年から医薬品の製造承認について基本方針を改めまして、それに従いまして……
○塩出啓典君 そんなことを聞いているんじゃないよ。要は資料を出せるか出せないかということを聞いているんだから。
○政府委員(上村一君) それで、それを申し上げているわけでありますが……
○塩出啓典君 あなたに聞いているんじゃない。大臣に聞いているんだよ。
○政府委員(上村一君) そのときから、つけられました資料について、ことにその臨床試験というのは専門の学会誌なりあるいは権威のある学会で公表されたものでなければならないという扱いをいたしておりますので、いま御指摘になりましたような問題というのは、いまやっております方針には反映さしておる、こういうふうにお答え申し上げたいと思ったんでございます。
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま薬務局長の答弁したとおりであります。
○塩出啓典君 全く話になりませんね。私は、この薬はいろいろな研究データをもとにこれを認可しているわけです。それがやはり非常に疑問を持つ人が多いわけですから、それを明らかにしてもらいたいと、それは大臣に聞いているんで、いま局長が答弁したことは全然すれ違いだよ。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は同じように理解をしておるんですがね。御承知のとおり、この薬の問題については、それぞれ会社でいろんな検査をしてデータをつくって厚生省に出してくるわけです。それは何らかの機会にそのデータや何かは専門雑誌に載せたもの、そういうようなものを採用しておるということでございますから、特別に秘密なことは何もないんじゃないか、さように考える次第であります。
○塩出啓典君 じゃ結局、この薬は御存じのように、一番最初パンフランSカプセルというのが昭和三十八年三月二十九日に許可になり、それから三十九年の一月二十五日あるいは二月二十二日にパンフランS錠剤あるいは顆粒が認可になり、さらに四十一年九月二日にパンフランS腸溶錠という薬が、およそ三段階に認可をされておるわけであります。しかし、この薬は内容は全部同じ内容なんでありますが、これは一番最初は細菌性赤痢とかそういうものだけだったわけであるが、だんだん効果が拡大をされて、そして最後にはいわゆる全身感染症、それに拡大をされているわけなんです。その拡大をされたときの臨床データ、あるいはまた、会社が調査していろいろ実験をした吸収性——いわゆる腸内に吸収されるというそういうデータというものは、要は出せないということなんですね、薬務局長の言っていることは。そうでしょう。出せるか出せないかということを私は聞いているんだから、出せないなら出せないとはっきり言ってくださいよ。
○政府委員(上村一君) そのとき申請に添付されましたデータが専門雑誌等に掲載されたものでございますから、これはお出しするのにやぶさかじゃないわけでございます。
○塩出啓典君 だから出せないと言うんでしょう、要は。これは厚生大臣、もちろん法律的には四十二年以前ですから、そういうことは必要ないかもしれません。しかし、こういうものは単なる法律ではなしに、やっぱり人間の生命に関する問題ですから、私は明らかにすべきではないかと思うんでありますが、厚生大臣もやはり局長と同じように、私が資料要求しても出せないというお答えでございますか、それだけ伺っておきます。
○国務大臣(渡辺美智雄君) きわめて専門的なお話でございまして、いろいろなデータで、中には産業機密のようなものもあるでしょうしいろいろあると思います。しかし、薬事審議会は御承知のとおり、日本でも有数なその方の学者を集めた政府の機関でございますから、その中でオープンにされるわけなので、私は、やはりその人たちは職務上知り得た秘密ですから、それはやたらに口外しないというのが原則だと思います。しかしながら、それらの人が公正に、そのデータをかなりの数の学者が見るわけですから、改めてそのデータを審議会に出すと同時に、世間にしなくてもいいんじゃないだろうか、学者を信頼してやってもいいんじゃないかという気がするんです。やはり、その表に出すことについての産業上のいろいろな機密事項とか何かそういうことも関係があるんではないだろうか。非常に詳しいこと、専門的なことは私よくわかりません。わかりませんが、そのような気がいたしますので、いま直ちにそれを公開しますというところまでは、少し調べてみないと、残念ながらお答えできないということであります。
○塩出啓典君 わかりました。ひとつその点はよく御検討いただきたい。やはり私は公表すべきである。それが天下の批判を受けるわけでありまして、そしていろいろな意見が出て、そこに正しいものがオープンになっていくわけですから。いままでの厚生省は全部そういうものは秘密にする。そこに、ある面から言えば疑惑を生むわけですから、厚生大臣としては、いまここで公表するということは言えないでしょうけれども、じゃ、たとえばこの場合はどういうデータがあるのか、これをよくひとつ厚生大臣見ていただいて、本当にこれがこういう理由で公表できないというのであれば、これは私は納得します。 そこで、この薬の会社のこれを見ますと、ほとんどこの薬というのは水に溶けないと書いているんです。ところが、この「ケモスラピー」という、会社側が金沢大学の先生と共同研究をして載せた論文がありますが、これによると、パンフランSというものは四〇%から五〇%が腸内で吸収されるという、こういうデータが挙がっているんですね。私は、水に溶けないものが腸から吸収されて血管に行くというようなことがあるのかどうか、どうもおかしい。その点はどう考えますか、皆さんは。
○政府委員(上村一君) 水に溶けない場合でございましても、あるいは油に溶けやすいとか、あるいは胆汁によって水に溶けやすくなるとかというふうなことがあるわけでございます。それで、私どもいまお話しになりました「ケモスラピー」に載りましたような論文、これでもパンフランSが吸収されるかどうかについての話が書いてあるわけでございますが、それによりますと、血中、尿中濃度を測定しました場合に、血中濃度は低いけれども、尿中の濃度というのはかなり高いんじゃないかというふうに指摘されているわけでございますので、やはり吸収されておるんじゃないか。吸収されなければ、さっきお話しになりましたように大便の中に入るわけでございますが、吸収されておるので小便の中に入ってくるというように考えるんじゃないかと思うわけでございます。
○塩出啓典君 だから、もちろん吸収されるわけですけれども、全然吸収されないわけじゃないわけですよ。けれども、普通、吸収性がある程度よくなければ全身感染症には効かないわけですから、ちょっとあっただけじゃいかぬ。やっぱりある一定時間その濃度が保たれないと薬というのは効果がないわけでしょう。そういう点で、当然吸収率が何%か、それが持続していくか、こういうことが問題になるわけです。したがって、それはあなたが吸収性が悪くても効く場合があるんだ、それはそういう意見は会社側はそう言うでしょう。しかし、会社側は「ケモスラピー」という雑誌に、いわゆる非常に吸収性がいい、パンフランは実際はラット三匹で検査した結果、四、五〇%が腸管に吸収される、こういう論文を発表しておるわけです。 ところが、この同じ雑誌に十数年前に、東京大学の医学部の人たちが研究した結果では、大体、この吸収性よりも三十分の一ぐらいしか吸収が非常に悪い、こういうデータも出ているわけです。それで、そのデータを引用して、余り専門的な話をやっておりますと、私の方が負けになりますからもうこのぐらいにしますけれども、やはりいろいろな医者が、吸収性の悪い薬はいわゆる腸管感染症にしか効かない、せいぜい尿道感染症、いわゆる尿にはまとまっているわけですから、血液から最後は。当然、血液の中よりは尿の方が多少は高いわけですけれども、そういう疑問を投げかけておるわけなんです。こういう点について、厚生省あるいはいま薬事審議会等においては問題になっているのかどうか、その点をお伺いします。
○政府委員(上村一君) 御指摘になりましたのは、東大の先生方の論文を言っておるわけでございますが、さっき申し上げましたように、尿中の濃度というのはかなり高いデータだ。したがって、尿中濃度が高いことは尿道感染症なんかの治療にも非常に好都合だということで、尿道感染症に効くということは、口で経口投与しました場合にも吸収されることを示しておるわけでございますが、いま御指摘のように、そういった点が全身感染症に効くか効かないかということを判断する場合に、一つの問題になるんではないかという御指摘も、いま薬事審議会で議論する当然の一つの課題になっておるわけでございます。つまり、再評価というものは、昔承認した薬をいまの時点で、いまの効能なり安全性を判断する治験をもとにして洗い直すというものでございますから、当然そういったことについても効能の中に入っておるということになるわけでございます。
○塩出啓典君 したがって、そういう全身感染症にこの薬が効くか効かないかということは、いまいわゆる薬事審議会で議題にはなっておる、そういうことなんですか。まだ結論は出ていないということでございますか。
○政府委員(上村一君) 現在、審議会の下部機構でございます調査会で議論が大体煮え詰まっておりまして、今月の下旬に再評価のための特別部会というのを招集する予定でございまして、そこで審議をした後、総括的に中央薬事審議会の意見をまとめて厚生大臣に答申されますその常任部会、その審議を得る予定になっておるわけでございます。したがいまして、審議会が最終的に結論を出した段階ではございませんので、先ほどから申し上げているような、少々奥歯に物がはさまったような答えをしているわけでございますけれども、そういった方向でいま審議会が検討しておるということだけ御承知いただきたいと思うわけでございます。
○塩出啓典君 それでは、この問題はちょっとこれまでにしておきます。 もう一つ、いわゆる発がん性の問題です。これは5ニトロフラン誘導体、もちろん、このパンフランも5ニトロフラン誘導体になるそうでありますが、いわゆる上野製薬のAF2、これもニトロフラン誘導体の一種でございまして、この誘導体は発がん性があるということが学会の通説になっておる、このように私たちも聞いておるわけでございます。AF2が禁止になったわけでありますが、また、日本癌学会総会等におけるいわゆる研究発表を見ますと、昭和四十八年、昭和四十九年、昭和五十年、昭和五十一年と、毎年5ニトロフランの誘導体、これはナフチリジン誘導体でありますが、その発がん性についていろいろ報告がされております。これは経口的に与えた場合には八〇%に肺がんができる、五〇%に胃がんができる、あるいは皮下注射の場合は全例に皮膚がんができる、こういうような非常に発がん性についてのデータが出ておるわけでありますが、こういう問題について厚生省としてはどのような見解を持っているのか、これをお伺いをしておきます。
○政府委員(上村一君) これまでもニトロフラン系の化合物の中では、化学構造式が違いますと、動物実験で発がん性を示すものと示さないものがあるというふうに報告をされてきたわけでございます。それで四十九年の八月でございましたか、食品添加物のAF2で発がん性が認められたということがございました。そこで、パンフランSにつきまして検討したことがあったわけでございますが、その当時、四十九年九月に研究発表がされたものでございますが、それでは、同じニトロフラン系の化合物でございますけれども、パンフランSにつきましては発がん性を否定するデータがございましたので、そのときには差し支えないんじゃないかというふうに判断をしたわけでございます。 ちなみに、諸外国でもニトロフラン系の化合物すべてに発がん性があるというふうな見解はとられておりませんで、ニトロフラン系化合物の一つでございますニトロフラントインというのがございますが、これは現在でも世界じゅうで医薬品として使われておる。いま医薬品の再評価をやっております国は日本とアメリカでございますが、アメリカではこのニトロフラントインの再評価が済んでおりまして、すでに有用性が認められておる。したがいまして、AF2が発がん性があるから、直ちにニトロフラン系の医薬品全部が発がん性があるとまでは決めつけられない。あるものもあるし、ないものもあるというふうに判断をしてまいったわけでございます。
○塩出啓典君 もちろん、AF2とパンフランとは5ニトロフラン系であるということは一致しておりますが、その他は違っておるわけでございます。すべて一致とは言えないと思うんです。しかし、やはり5ニトロフランの誘導体というものは発がん性がある危険がある。そういう点で慎重にこれは対処をしていかなければならない問題じゃないかと思うんでありますが、この点はどうですか。
○政府委員(上村一君) したがいまして、いろんな臨床であるとか、動物実験なんかのデータも集めてみたのでございます。さっき申し上げました四十九年の九月に集めました研究発表では、パンフランSにつきまして一〇〇〇PPmをえさの中にまぜた、そしてそれをラットに食べさせまして、八十週間そういった実験では発がん性がないというふうな答えが出ておるわけでございます。ただ、いろいろその後につきましてもこの系統の化合物につきましては、発がん性について検討しなければならないという問題意識を持っておったわけでございますので、その再評価の過程でも、それがないというデータをさらにそろえるようにという話をしたということもあるわけでございます。
○塩出啓典君 わかりました。そうすると、この薬が発がん性がないという研究発表はあるということですけれども、それはいままでどういうのが出されておりますか、何種類ぐらいだれがやって。
○政府委員(上村一君) 公開されましたデータでは、金沢大学の太田さんらが集められましたデータでございます。これは端的に申し上げますと、金沢大学医学部と富山化学との共同研究でございますが、それにはさっき申し上げました一〇〇〇PPm八十週間経口投与で発がん性がない。
○塩出啓典君 だから、われわれが知り得るデータといえばこれしかないわけですね。しかもこれは金沢大学とさっき言われましたけれども、この論文では、富山化学工業株式会社総合研究所が最初に書いているんです、そこが先に。そして金沢大学が一緒になってやっておるわけです。だから、それ以外にも非公開のものがある、それは発表しない、そういうところに私たちは非常に国民の疑惑を生む一つの大きな原因があるんではないか、このように考えるわけであります。じゃ結局、この研究では発がん性がないということの結論でありながら、しかし、心配だから有用性なしにしていく、この薬の再評価については、そういう結論に至ったということなんですね、これは先ほどのお話。
○政府委員(上村一君) こう申しちゃなんなんでございますが、その後公表されておらないデータが手に入ったりするわけでございます。それで御案内のように、学者の方々が研究の過程でなされました研究というのを、学会で発表されるなりあるいは専門誌に発表される以前に、私ども副作用情報を集めるのに精いっぱいの努力をしているわけでございますから、入る機会があるわけでございます。そういうものをもとにして問題意識を持ったということでございます。したがいまして、こういったものにつきまして、研究者が公表される前に外に出してしまうというのは、どうも必ずしも妥当な措置ではないんじゃないかというふうに私ども思ったわけでございますが、何といいますか、そういった非公開のデータも私ども見て、その後、問題意識をさらに深めてまいったというふうに御理解いただきたいわけでございます。
○塩出啓典君 そこで、発がん性の問題については、これは奈良医大の小西先生という方がパンフランSについて発がん性の研究をして、発がん性のあるということを日本癌学会の機関誌「GANN」という英文の雑誌の六月号に発表予定である、このように聞いております。これはまだ発表になっておりませんので何とも言えないわけでありますが、いずれにしてもこの薬のそういう発がん性については、今後とも十分慎重にやはり対処していただきたい、このことを要望しておきます。 そこで、この薬が中央薬事審議会の再評価の結果、有用性なしという結論が出るということを、会社に内示をしたのはいつでございますか。
○政府委員(上村一君) これは三月でございます。三月の末ごろ。 それで、ちょっといま奈良医大の先生の未公表のデータに触れられましたが、それをさっき私申し上げたわけでございまして、これの投与量を見ますと、実際に臨床で使います量の百倍以上の量で発がんがあるというふうに言っているわけでございます。しかし、臨床で使う量の百倍以上の量であっても、再評価というのは、これからさらに十年も二十年も使っていく薬でございますので、それに対する反駁するデータが必要だと考えたというふうにご理解いただきたいのでございます。
○塩出啓典君 あなたは、そういう研究論文が公表される前には発表しないと言いながら、いまは奈良医大の先生の分は、あなたはその論文は読んだわけですか、厚生省に提出されておるわけですね、資料として。その内容をここで発表するのはどういうわけなんですか。
○政府委員(上村一君) 本来発表すべきものでないのでございますけれども、いま御質問の中に引用されましたので、それでお答え申し上げたわけでございます。
○塩出啓典君 だから、私の質問だと、パンフランSが発がん性があるのじゃないかという質問だから、それを否定するためには、厚生省の慣行を破って未発表の論文の内容まで局長が言う、そういうところに国民から見て、厚生省は一体どっちに寄っているのだとこういうことを持たれるわけです。そのことを指摘しておきます。 それで、三月の末に内示をしたというのは、これはどういう内容の内示をしたのですか。こういうのはいつも文書で内示をするのですか、口頭でやるのですか、また、何を根拠に内示するのですか。内示なんていうのは、薬事審議会の審査の結果をわれわれには知らせないで、薬会社にだけ知らせるということは許されるのですか。
○政府委員(上村一君) ことしの三月二十九日に、いま申し上げましたように再評価調査会の審議の結果を内示したのでございます。内示いたしますのは、文書を差し上げると同時に口頭で説明をする。内示の目的と申しますのは、再評価調査会で審議されている結果というものをメーカーに示しまして、メーカーに反論する機会を与える、そうして反論するデータが出れば、それをもとにしてさらに審議を行うというのが目的でございます。これは再評価作業の通常のルール、つまり、何年も使われてまいりました薬というものを洗い直しをして、有用性ありとか、あるいは一部有用性ありとか、あるいは有用性なしという判断について切り捨て御免ではなしに、その薬をつくって売っておりますメーカーに反論の機会を与えるというのは、一つのルールとしてやっておるわけでございます。 先ほど申し上げましたように、世界中で再評価をやっております国は日本とアメリカの二つでございますけれども、アメリカの場合も再評価の検討結果を内示して、そのメーカーからヒヤリングを行うシステムをとっておる。どうも民主的な行政というものは切り捨て御免じゃなくて、反論の機会を与えるというのは通常考えられる行政措置であるというふうに思うわけでございます。
○塩出啓典君 それでは、私はそういう内示をするのは結構ですよ。それなら薬会社だけひそかに内示するのじゃなしに、もっとオープンにしたらどうなんですか。それを薬会社にだけ内示をすると言う。じゃ国民に反論の機会を与える機会はないんですか、薬会社だけに反論の機会を与えて。それはどうなんですか。また、そういう内示をするというのは、ちゃんと厚生省は何か手続に明示されていますか。明示されておればそれを資料として出してもらいたい。それと、三月二十九日の内示の内容はどういう内容なのか。文書で出したと言うのですから、ひとつそれをください。
○政府委員(上村一君) まず、さっき申し上げましたように、この内示とはルール化された制度でございまして、その根拠でございますが、医薬品の再評価を実施するということを決めました四十六年の十月に開きました最初の医薬品再評価特別部会、これは中央薬事審議会の部会でございますが、そこで基本的な運用方針を検討した際に取り決められたものであるわけでございます。 それで再評価と申しますのは、御案内のように、四十二年十月以前に承認されました薬について再評価するぞということを公示しまして、それから再評価してもらいたいということはメーカーから申し出させるわけでございます。申し出しないものはもうペケにしてしまうということでございますので、申し出たものについて結果を内示して反論させる。つまり申し出た者のものをばっさり切る可能性のある問題でございますから、切られる者に反論の機会を与えるということでございまして、公表しますのはそういった検討を経た上で、先般も第十一次の医薬品の再評価の結果を公表いたしましたけれども、公表して世に問うということをしておるわけでございます。この内示しました内容というものは、再評価調査会のこれまでの結論では、有用性なしという答えになるぞという内容でございます。
○塩出啓典君 三月二十九日に内示されたというお話でございますが、富山化学はすでにずっと前から薬の回収をしておるわけですね。三月一日に「ニトロフラン製剤の販売中止についてのお願い」という文書を各取引先に出しております。三月二十九日に内示をするのに、富山化学はその前の三月一日から、あるいは二月末から回収をやっておる。こういうことはどうなんですか、内示の内示があるんですか。
○政府委員(上村一君) 再評価の審議の過程で、去年の十二月でございますが、さっきから話題になっております発がん性に関して安全性を立証する明確なデータを出せという資料要求をしたわけでございます。内示というのは、有用性があるかないかというようなことについて判断はこうだという内示をするわけでございますが、資料要求をいたしましたところ、これからは推測になるわけでございますけれども、会社の方では要求データを出すことができないんじゃないかというふうに判断をして、そういうデータを出さなければ、再評価では有用性がないというふうに判断されると予想をいたしまして、それでことしの二月ごろから回収の措置を講じたんじゃないかというふうに推測するわけでございます。
○塩出啓典君 そうしますと、会社が薬を回収をしておるということは、厚生省が勧告をしたわけでも何でもないのに、薬会社が独自で回収をしておる、こういうことなんですね。
○政府委員(上村一君) 自主的に回収の措置を講じておるというふうに考えるわけでございます。私どもの方で回収をしなさいとかというふうなことを言ったわけではございません。
○塩出啓典君 これは最後に厚生大臣にお尋ねしますけれども、結局、薬というものは再評価されて、この薬はもう有用性がない、その中には効かないという薬もいろいろあるわけですね。そういう結論が出る前に内示をする、そして薬会社は以心伝心でさっと薬を回収する。そうすると、お医者さんとしては、いままで一生懸命使っていた薬をある日突然メーカーが回収に来るわけですね。じゃ一体、なぜいままで一生懸命使っていた薬を回収に来るんだ、その理由は何だと言っても、それははっきりわからないわけですね。 いろいろ新聞紙上で見ると、この薬はどうも有用性がないということで近く審議会で使用禁止になる、そういうことが伝えられておる。しかし、メーカーは回収しておりますけれども、実際には保険にはたんと使いますし、使うことは別に違法ではないわけなんですね。本当に悪い薬であるならばはっきり公表すべきじゃないかとか、また、回収するのであれば、どういう理由で回収するかということを、国民が疑惑を持たないように、はっきり医師会なりあるいはまた国民の皆さんなりに、この薬は飲んでもいいんですよ、あるいは飲んじゃいけないんですよ、だから回収するんだ、そういうことをやっぱり私はやるべきじゃないかと思うんですが、そういう点どうですか。もうちょっとガラス張りにしてもらいたいんですよ、いろんな行政というものを。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 一つのごもっともな御意見だと思います。今回の例示的に言われる件については、恐らく調査会の内部等で異論のある人がおって、そういう者からの風聞か何かを聞いて、会社がともかく先手を打って、自分から、厚生省が内示をしたわけじゃないが、その前に形勢不利と見て回収作戦をやったんじゃないか、そういうふうに思われます。 厚生省としては、やはり専門家の意見を聞いて、ともかく多くの学者の意見を聞いた上で、はっきりこの薬には効能がないとか、あるいは副作用があるとかいうことを確認した上でそれを正式に発表をするわけです。手続をとらないうちに、大きな問題の副作用でも起きておるという場合には、一方的にそれを回収さしたり販売中止をかけたりすることはやっておりますが、非常に薬というのはどんな薬でも多少の副作用はみんな持っておるわけです。したがって、許容限度がどの程度にあるかというような紙一重のような問題については、やはり原因その他がはっきりしなければ、厚生省としても即座にどうこうということはなかなか言えないんじゃないだろうか、かように思います。しかし、決まった以上は、それは理由を明らかにして回収をさしておるというのがいままでの通例でございます。もし疑われるような点があれば、今後ともそういうような誤解を与えないように一層工夫をしていく必要があるだろう、さように考えます。
○塩出啓典君 だから、現在はそういう回収する場合でも、はっきりした結論が出る前に全部回収し終わっておるわけですね。それは、国民から見れば薬はだめだという前にもう生産もストップして、それで売られているのを回収していこうということなんでしょうけれども、やはり医師会も知らされない、患者も知らされない、ただひそかに回収されている、こういうことでは非常に国民が疑惑を持つと思うんです。だから、そういう点、私は回収するんなら回収するで結構ですから、ちゃんとみんなに説明をして、やっぱりそういう薬を使うのはお医者さんなんですから、医師会にも、こういう理由で発がん性の心配があるから回収するんなら回収するでいいじゃないですか。そういうことをはっきり明示をして回収をするように指導してもらいたい。この点はどうなんですか。
○政府委員(上村一君) 厚生省としましては、再評価の結論がまだ得られておらない段階で、そのメーカーの自主的な措置の内容というのを、厚生省の方から医療関係者に伝達するということは立場上むずかしゅうございますけれども、そのメーカーが自主的な回収をする場合に情報を正確に伝達するようには、これからは業界を指導してまいるように努力をしたいというふうに思うわけでございます。
○塩出啓典君 それから、いま中央薬事審議会のもとにいろいろな特別部会を設けて薬の再評価をやっておるわけでありますが、これに二十の調査会があるわけでありますが、これはどういう人がこういう審査に当たっておるのか、こういう点を私は公表すべきである。厚生省の見解は、そういうものを公表すると、その薬を審査しておる学者のところへ薬会社からいろいろな圧力がかかるから公表しない、こういうことを言っておるわけでありますが、しかし、いろいろ業界の話を聞いてみますと、大体どの薬をどの先生が審査しているなんということは、もう薬会社は全部知っておるんだと、そういうことを言う人が多いわけであります。だから私は、中央薬事審議会の委員も全部発表になっているんですから、そういうものはやはりちゃんと公表すべきである、ガラス張りにすべきであると、このことはどうですか。
○政府委員(上村一君) この再評価をやりますために、中央薬事審議会の中に医薬品再評価特別部会というのを設け、さらにその各医薬品の効能ごとに、さっきお話しになりましたような二十の調査会を設けまして、臨床の専門家、それから薬理の、薬のことについて詳しい専門家を集めておるわけでございますが、いま御質問の中にもございましたように、具体的な実務に当たります調査会のメンバーというものを公表することにつきましては、ちょっとちゅうちょせざるを得ない。ちゅうちょせざるを得ないと申しますのは、御質問の中にもございましたように、調査会のメンバーになって審査に当たられる人にいろんな、何といいますか、雑音が入ると申しますか、本来のお仕事の邪魔が入ると申しますか、そういうことがあり得るわけでございますので、こういったことは、ガラス張りもそれはもちろん大切なことでございますけれども、そういった雑音に煩わせないで専門的な観点から調査審議していただくことの方がより大事ではないかというふうに考えておるわけでございます。
○塩出啓典君 じゃ、時間も参りましたので、これで質問を終わりたいと思いますが、ひとつ厚生大臣にお願いしたいことは、非常に厚生行政というもの、特に薬務行政については、いわゆる厚生省と薬会社の癒着ということが言われておるわけであります。やはり厚生省の高級官僚が薬会社へ天下りをするとか、医薬品の認可の行政が余り明朗ではないんじゃないか。そして資料を要求すると、この資料は公表できない、こういうことで、私たちも非常にその疑惑を晴らすことはできないわけです。この問題にしても、パンフランSというものが同じ薬でありながら、最初はカプセルだったのが、これが錠剤になって使用を拡大し、それがさらに腸溶錠になって、さらに全身感染症に拡大されていく。内容は同じものである。だからどういうわけで回収されていくか、その資料は公表できないと。しかもその薬は水に溶けないと書いている。水に溶けない薬が胃の中から吸収されるわけはないわけですから、全身に効くわけはないわけでありましてね、そういう論文がたくさん出ている。ただ、会社の研究の論文だけは、吸収性がもう四、五〇%吸収すると、こういうことになって、そして現実にお医者さんの中でも、パンフランSはなかなかいわゆる腸管感染症以外には効かないという、こういう声も出ておる。こういう疑惑は一向に晴らされないわけですね。したがって私は、非常に若く勇気のある渡辺厚生大臣が生まれたわけですから、まあこの間中曽根さんは、大物大臣は盲判を押すのが大臣だ、もう官僚の皆さんの言うなりになるのが大物大臣だというお話がありましたけれども、そういうのを改めて、もっと国民の前に明らかにして、ガラス張りのやはり薬務行政ができるように、薬というのは国民の健康に一番大事な問題ですから、そういう方向にひとつ努力をしていただきたい。そうして、先ほど私が要求いたしました資料にいたしましても、もう一回よく調査をしていただいて、大臣が見てこれは本当に公表できないデータなのか、あるいは国民の健康を守るために国政調査権に応ずるべきか、守秘義務があるべきか、そこのところはやはり次の機会にまた大臣ともいろいろ論争もしていきたいと思いますので、そういうガラス張りの薬行政、こういうものをひとつ目指して努力をしていただきたい、このことを要望して、最後に厚生大臣の御決意をお聞きして質問を終わります。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 厚生省において新しく薬の再評価、世界で余りやってない、アメリカと日本だけしかやってないということなども始まったということは、言うならば、過去において薬の効能書きという言葉が俗にございますが、効能書きほど効かないようなものも書いてあるものも私はあったと思うんですよ。それからすでにもう効果を失った、新しい菌ができたりなんかして。そういうようなものの再評価をやらせるというようなことなどは、やはり厚生省は薬については層一層厳格に規制をしていこう、そういう態度のあらわれであるということを御了承いただきたいと存じます。先生からいろいろ御示唆に富んだ御意見もございましたので、できるものについては極力趣旨が生かされるように今後も努めてまいりたい、かように考えております。
○加藤進君 私は、ソウル地下鉄問題について質問いたします。 この問題は、御承知のように、わが党の正森議員が衆議院予算委員会において再三追及した問題でございます。韓国への車両輸出価格に総額二十五億円に近いと言われる不正な水増しが行われていたという驚くべき事実を明らかにした問題でもあります。正森議員らが指摘し、衆議院予算委員会に出席した日本車輛の天野社長らも事実上これを認めて、今日ではほぼ確定した事実になっているというのは、車両一台について約千三百万円の不明金がある、こういうことでございます。私は、この一台当たり千三百万、総額にして二十五億円にのぼる莫大な灰色の金の行方を全面的に解明することなしにはソウル地下鉄問題の真相解明はあり得ない、こう考えるものでございます。そこで、当委員会におきましても引き続いてこの問題について質問したいと思います。 まず、海外経済協力基金、いらっしゃいますね。——お尋ねいたします。入札及び落札の時期、さらに金額についてもお答えをいただきたいと思います。
○参考人(石原周夫君) 入札の時期につきましては、七三年の一月に入札書類を受理いたしまして、契約が完了いたしましたのは五月であります。それに基づきまして、同じ七三年でありますが、七月に契約の承認申請がございまして、契約の承認をいたしましたのが七三年の八月。第一回の貸し付けを実行いたしましたのが十月というような時期でございます。 ソウルの全体の金額につきましては、地下鉄の車両とそれから国鉄の車両と合わせまして、二百七十二億円という数字に相なっておるわけでありますが、そのうち電車、機材費、用役費、ローカルコスト、予備費を合わせまして百十八億。そのうち電車だけについて申しますと、三十八億三千八百万という数字に相なっております。
○加藤進君 入札の時期、それから購買契約の時期。私の方には大体入札が四十八年三月十四日に行われて、その日に三菱商事に落札されている。購買契約は、四十八年五月十三日に三菱商事と調達庁の間で結ばれている、こういうふうに私たちは見ておりますけれども、恐らく特別の間違いはないと思っています。そうしますと、入札から購買契約までちょうど二カ月間かかったということになりますが、その点は御確認いただけますか。
○参考人(石原周夫君) 入札をいたしましたのが三月、購買契約が行われましたのが五月であります。
○加藤進君 そのとおりでございますね。 そこでお聞きしますが、入札価格と購買契約価格、特に車両一台当たりについてはどうなっているのか、お答え願いたいと思います。
○参考人(石原周夫君) 入札をいたしました後に、ただいまお尋ねになりましたように、通常の場合は最低入札者と購入をいたします者との間におきまして、いわゆるネゴシエーションというものが行われるのが普通であります。したがいまして、入札価格と現実の購買契約との間には差があります場合があるわけであります。それにつきましての書面による報告は受けていないんでありますが、関係者から聞き取りましたところでは、入札価格に対しまして、現実の購買契約は値引きが行われているように承知をいたしております。
○加藤進君 入札の価格が決められて、そうして購買契約に至る場合に、その価格について値引きが行われた、こういうことでございますね。そうしますと入札価格の方が高かった、こういうふうにお答えいただいておるわけですね、そのとおりでございますか。
○参考人(石原周夫君) さようであります。
○加藤進君 もし入札価格の方が高いということになりますと、二カ月間に価格交渉があったことになるわけでございますから、入札後、韓国調達庁と三菱商事との間で価格交渉があったというふうに考えていいと思いますけれども、そのとおりでございましょうか。
○参考人(石原周夫君) そのとおりでございます。
○加藤進君 外務省とまた基金にお尋ねします。 ソウル地下鉄問題が韓国の国会で取り上げられている、こういう事実は御承知だと思いますが、どうでしょうか。
○参考人(石原周夫君) 承知をいたしておりません。
○加藤進君 外務省はどうですか。
○政府委員(菊地清明君) 承知いたしております。
○加藤進君 外務省は承知しておられて、基金の方は承知していない。これはどういうことなんでしょうか。
○政府委員(菊地清明君) 私が承知しておりますと申しましたのは、これはことしになってから、在韓のわが方の大使館からしょっちゅうこの問題に関しては情報入手に努めておりまして、実は照会したのはことしの二月でございますけれども、問題になったのは、七三年十月の韓国国会の中の内務委員会というところにおける質疑の状況でございます。
○加藤進君 基金の方はいかがでございましょうか、存じないと言われますけれども、その点についての調査なりあるいは何らかの意味での情報収集はなされなかったのですか。
○参考人(石原周夫君) 私は、そういう報告を受けておりませんので、そのままに申し上げたわけであります。
○加藤進君 これはきわめて怠慢だと言わなくちゃなりませんね。もうすでに二月からこの問題が国会においても何度も論議されている。今日に至ってもなおかつ、韓国で国会がこれを取り上げたなどということについて御存じないなどというような怠慢な態度では困りますよ。 そこで、会計検査院はいらっしゃいますか。
○説明員(東島駿治君) はい。
○加藤進君 念のためにお尋ねしますけれども、会計検査院はいままでの監査に当たって、その中で韓国国会の議事録は国会図書館等にもあるわけでございますから、当然調査の対象になったと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
○説明員(東島駿治君) 議事録につきましては、私自身まだ見ておりませんし、ほかからもそういう調べたという報告を受けていない実情でございます。
○加藤進君 先ほど外務省は、韓国の国会の内務委員会の議事録を見たとおっしゃいましたね、そうですね。
○政府委員(菊地清明君) 議事録ということではございませんで、その実際の議事のやりとりに関してわが方の大使館員が調査した、こういうようなことでございます。
○加藤進君 なぜこのことを聞くかというと、私は独自に韓国国会における議事録を入手いたしました。お見せします。 結論から申しますと、この問題に最も精通して、当事者である洪鉄道庁次長が、本当は車両一両の落札価格は八千十一万円であったと答弁しておるわけであります。私はその部分を読みます。これは決して訳文だけではございません。韓国語の正文がここにも一品ございます。訳文を読みます。鉄道庁次長の洪厚氏の答弁でございます。 次に日本、朝日新聞の掲載内容中に電車を三 千五百九十万円ならば買うことのできるのを六 千八百三十万円で購入したというお言葉につい て報告いたします。この電車は首都圏電鉄に必 要な電車を購入したもので、予定価格が三千五 百九十万円ではなく、六千二百万円である。こ の六千二百万円に対して落札されたものは八千 十一万円です。約三〇%が騰貴した状態になっ ています。これは、よくご承知のように国際通 賃波動によるいろんな換率上の差異、「ニクソ ン・ショック」、このような影響を受けて、最 小限の価格だと私どもは判断しました。 これを調達庁で購入されましたが、当初はこ の八千十一万円よりももっと多い金額で入札さ れました。約二ケ月余にわたる努力の末、最低 価格たる八千十一万円で落札させたのです。これが韓国国会における当事者鉄道庁次長の答弁です。 そこで、基金にお尋ねいたしますが、基金は、こういう事実について全く何も聞いていなかったと、こうおっしゃるんでございましょうか。
○参考人(石原周夫君) 私の承知しておりまする限り、そういう報告を受けておりません。
○加藤進君 洪次長が明らかにしたことをもう一度まとめてみます。予定価格というのは、三千五百九十万円ではなく、六千二百万円であるということ。落札価格は、六千二百万円ではなく、三〇%値上げした八千十一万円であるということ。したがって、購入価格も、六千三百九十万円ではなく、八千十一万円であるということ。最後に、当初入札価格は八千十一万円より高く、二カ月の交渉の結果八千十一万円になったということ。こういうことでございますね。このことが韓国政府側の実務者の答弁として明確になっておるわけであります。 そこで、企画庁長官、外務大臣、これは大問題だと思いますけれども、これをどうお考えになりますか。直ちに、御存じなければすぐ調査をする、当然のことじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(菊地清明君) お示しいただきました資料、数字でございますけれども、この点に関するやりとりに関しましては、私の方では報告を受けておりませんし、それから、この点に関しては承知いたしておりません。先ほど申し上げましたように、私の申し上げたのは内務委員会におけるソウル市——この地下鉄はソウル市がやっておるものですから、ソウル市長とのやりとりについては調べておりますけれども、このお示しの交通逓信委員会の議事録については承知しておりません。まあ強いて申し上げますと、いろんな数字が出されておるわけでございますけれども、この入札価格といい落札価格といい、それからそのほかにもちろん現実の契約価格があるわけでございますので、この点ちょっとつまびらかにいたしません。
○加藤進君 これはもう大変外務省としても失態の一つに属すると思うんですよ。これは内務委員会の報告だけは聞いておると言いますけれども、事柄は鉄道車両の問題、したがって、これに関係する委員会の議事録を調べるなどということについては、当然のことじゃないでしょうか。そのことだけはまず指摘しておきます。 この八千十一万円という数字でございますけれども、これは実務者である鉄道庁次長に対して、鉄道庁長官が実務者を指名して実務者に答弁さした数字でございますから、しかもこれを三回も答弁の中で明確に繰り返しています。また、前後の文脈からいってもその信憑性は疑いないと私たちは判断できると思っていますが、基金にお願いしますが、これがどういうことかという点について御説明をいただくことができますか。
○参考人(石原周夫君) 私どもの承知をいたしております数字は、衆議院、参議院の何度かの機会にお答えを申し上げておりまするが、C&Fで六千三百九十万円という価格を承知いたしております。ただいま御指摘になりました数字につきましてはどういう関係になりまするか、ちょっとお答えをいたしかねるのでございます。
○加藤進君 すぐ調査をする、やられますか。
○参考人(石原周夫君) 調査をいたしてみたいと思います。
○加藤進君 問題はこうですよ。日本では、車両の輸出価格はいま言われたように六千三百九十万円になっている、契約書もあります。ところが、韓国側では八千十一万円になっている、こういう契約なんですね。すると、第一に、一方では六千三百九十万円で落札されて契約書もある。ところが、もう一方では八千十一万円で落札をされた。すると、明らかに二つの落札価格があり、二つの契約書が存在した、こういう事実じゃないでしょうか。二つの契約書と二つの落札価格があった。 第二に、日本の企業には六千三百九十万円しか支払われていないことになると、六千三百九十万円のうち千三百万円は日本でのリベートに使われたという疑惑は依然として存在しておりますが、同時に、ここに六千三百九十万円と八千十一万円との差額千六百二十一万円、総額にして約三十億円という莫大な金額が韓国でのリベートに使われたのではないかという重大なギャップが生ずることになるわけでございます。基金及び経企庁長官、どうお考えになりますか。
○参考人(石原周夫君) 先ほど申し上げておりまするように、私どもの方は韓国政府からの輸出入契約の承認をいたしております。その金額は六千三百九十万円、したがいまして、その数字に基づきまして処置をせられたというふうに承知をいたしておるわけでありますので、ただいまお示しの数字ということにつきましては、見当がつきかねるものでありまするから、私どもとしては、六千三百九十万円をもって契約の実施が行われたというふうに承知をいたしておるわけでございます。
○国務大臣(倉成正君) ただいま基金の総裁から申しましたとおりに、われわれが承知している価格は六千三百九十万円、ただいまお示しになりました資料というのは、私も初めて拝見しましたけれども、これがどういう意味を持つかということは、いまのところ理解に苦しんでおるところでございます。
○加藤進君 いかに長官がこれについて悩まれても、事実は韓国国会における政府の正規の答弁であるということ、その中に八千十一万円という厳たる数字が存在するということ、これは否定できません。これについて経企庁長官、これはほうっておくわけにいきませんね。理解に苦しむという程度でほうっておきますか、進んでこの問題について積極的な調査をしていただくという必要があると思いますけれども、その点いかがですか。
○国務大臣(倉成正君) これがどういう意味を持つのか、ただいま承りましたので、われわれとしても勉強してみたいと思います。
○加藤進君 ぜひひとつ研究され調査されて、それを当委員会に御報告いただきたい、お願いしておきます。 外務省にお願いします。これも外務省として直ちに韓国に対して事実関係の照会をしていただく必要があると思いますけれども、そのようにぜひ取り扱って処理していただきたいと思いますが、いかがですか。
○政府委員(菊地清明君) お示しの資料の第八十八回国会交通逓信委員会の会議録、これにつきましては私の方でも当たってみたいと思います。
○加藤進君 これは日にちもちゃんとついておるわけでございますから、もうすぐにでもわかるわけでございますし、また、国会図書館でもこれはもう調べ得る内容でございますから、その点についてはひとつ外務省、相手の韓国に対しても責任ある照会をしていただきまして、その結果についてもぜひ委員会に御報告を賜りたい、このことをお願いしておきます。 なお、経企庁長官及び基金にお願いいたしますが、入落札の事実関係はまだ国会に正規に出されておりません。契約書についてもまだ出されておりません。ぜひこの際国会に提出していただきたい、このことを強くお願いいたします。よろしく御答弁を願いたいと思います。
○参考人(石原周夫君) 入落札の日時につきましては先ほど申し上げました。それから、調達の実際の額が入札価格より低いであろうということも申し上げました。それから、いままでに調達をいたしました要領につきましては、さきに国会に御配付を申し上げておりますので、それでごらんをいただいているかと思うわけでありますが、いまお話しになりました輸出入の契約書というようなものになりますると、これは一つは相手国政府の関係もございます。もう一つは国内におきまする企業の関係もございます。従来も御提出を差し控えさしていただいております関係にございますので、その点はさように御了承いただきたいと思います。
○加藤進君 契約書についても発表できない、国会に提出をできないということでございますけれども、本来、その契約書の内容について果たして基金側が全貌を存知しておられるかどうかについても、私は非常に疑惑を持つわけでございまして、韓国における契約関係、こういう問題についてきょう新たに私は問題を提起したわけでございます。調査の結果、少なくともその内容について、われわれにわかり得る範囲においても報告していただきたいと思いますが、その点はどうでございますか。
○参考人(石原周夫君) 輸出入契約は基金の承認事項になっておりまするので、輸出入契約につきましては私どもそれを見まして、審査をいたしまして承認をいたしているわけでございます。したがいまして、これはございまするが、相手国政府の関係もあり、また、企業の関係もありますので、従来提出を差し控えさしていただいているということを申し上げたわけであります。
○加藤進君 重ねて一つだけ確認しておきますけれども、ここに新たに出てまいりました韓国での国会議事録から八千十一万円という数字、この問題についてはいま初めて聞かれたことであって、いままでかつてそのような数字については存知しなかった、こういうことはおっしゃってもいいでございましょうか。
○参考人(石原周夫君) ただいま御指摘がございました数字につきましては、おっしゃいますとおり私、この席で初めて伺ったわけでありまするから、それがどういうような関係の数字になるかどうかは、先ほど申し上げましたように調査をいたしてみたいと思います。
○加藤進君 私は、外務省及び経済企画庁、さらに基金の側からの調査あるいはその結果に基づく報告によりまして、改めてこの問題についてもさらに追及をしてまいりたいと考えております。 会計検査院の方いらっしゃいますか。——会計検査院にお聞きしますけれども、これまで本問題について監査をしておられたと思いますけれども、その監査の中心的な内容についてお話をいただきたいと思います。
○説明員(東島駿治君) 私どもは、経済協力基金が検査の対象でございますので、経済協力基金の検査の際に十分関心を持って検査しておりまして、その中心というのは、主として融資関係の検査でございましたが、その後、国会でもいろいろ問題になりましたし、車両価格ということにつきましても私どもさらに突っ込んで研究したわけでございます。それで私どもとしましては、輸出業者あるいは製造業者に対してはなかなか権限が及びませんので、数字の把握については非常に苦労いたしましたが、これまでの国会における諸先生方の御指摘とか、あるいは衆議院の予算委員会における参考人の喚問によりまして新たな事実が解明されまして、私どもとしても、それを踏まえて次の段階に進もうとしたわけでございます。 ここで残りましたものが、日立製作所で扱われました交付材料の価格と、それから車両の取りまとめとか設計とか、そういうことに関するデータがなかなか手に入らなかったわけでございます。これにつきまして基金の方にもいろいろ調査をしてもらいまして、その結果を私ども調べたわけでございますが、先ほど申し上げました車両全体の取りまとめとか、それから設計とか仕様の相違によります追加材料とか、そういうものが約七百万円あるということをお聞きしまして、あと残りました二千四百万円から七百万円を控除いたしますと、約千七百万円というのが交付材料になるということをわれわれつかんだわけでございます。 この千七百万円の交付材料の価格というものは、先般来正森先生ほかの諸先生が指摘されました金額にほぼ近い数字になったわけでございます。私どもとしましては、その他の七百万円というものがどういうものであるか、その内訳その他について実は知りたいわけでございますが、基金にお願いしてもなかなか明確な資料がないために、われわれとしても、それが果たして適当であるかどうかということを判定しかねるというようなのが現状でございます。
○加藤進君 私は、ここに新たに大きな重大な疑惑を提起いたしました。これは単なる疑惑というよりも、すでに明確に韓国国会において政府の責任者が明らかにした数字でございまして、こういう新しい段階において、会計検査院もさらに新たなる監査をしていただいて疑惑を解明していただきたいと思いますけれども、改めて監査をやり直すと申しますか、一歩進めるという点についての御決意はいかがでございましょうか。
○説明員(東島駿治君) ただいまの先生の新しい問題の提起もございますし、今後とも重大な関心を持って調査を進めて、また、先ほど私が申し上げました解明できない部分についても基金側によく調査をお願いしたい、このように思っております。
○加藤進君 ところで、元駐韓大使の金山政英氏が去る五月二日、毎日新聞の紙上で次のように申しておられます。「あれはむこうが値切りに値切っているんですよ。私は当時の大使として功労章をもらったけどね。ちょうど大統領夫人の殺された日が受章なんですよ。」こういうことを新聞に公然と言っておられます。これはその日がやはりソウル地下鉄にも関係する日でございまして、地下鉄の開通した日にも当たったわけでございますが、この日に韓国政府から功労章を受章されたわけでございます。この文面によりまして感ずることは、金山大使は、韓国政府とあるいは日本側との間でのソウル地下鉄問題についての交渉経過を熟知しておられる方だと見ていいと思っています。この金山大使からは何ら正規な報告がなかったのかどうか、この点につきまして関係する政府の方たちの御答弁をいただきたいと思います。
○政府委員(菊地清明君) 出先の金山大使、それから外務本省でこのソウルの地下鉄建設のプロジェクトに対する円借款の交渉に関連しましたのは、そもそも一九七〇年に第四回の日韓定期閣僚会議の当時、韓国側から要請がありまして、いろいろ調査団その他を出した結果、これに対して円借款を出すということになり、それでいわゆる私たちの言葉で申します交換公文、円借款のための交換公文の締結というものが一九七一年の十二月に行われたわけであります。その交換公文を締結した後、基金と相手国政府との間で例の借款契約その他が結ばれるわけでございますけれども、現実の借款契約、実際の契約の承認、それからましてやテンダー、応礼、それから実際の値決め等、その部分に関しましては出先の大使も、それから外務省本省も正式にタッチする立場にはないということでございます。恐らくただいまの金山大使のお話は、そういった交渉に当たっている方から間接に聞かれた話をあるいは言われたのかと思いますけれども、 いわゆるオフィシャルにはそういった面に対しては、出先の大使は交渉するという立場にはございません。
○加藤進君 そうおっしゃるにもかかわらず、新聞紙上でこの問題の疑惑についてこれほどはっきりとお話をしておられるわけでございまして、関係外務省としても、この金山氏について聴取してこの問題の解明に当たられる、これは当然政府として責任のある仕事ではないかと思いますが、重ねてその点について御決意を承りたいと思います。
○政府委員(菊地清明君) せっかくのお申し出でございますので、金山元大使がそういった発言をなされたバックグラウンドその他につきまして、私の方で直接伺ってみたいと思っております。
○加藤進君 最後になりますが、この金山氏が値切りに値切ったといって若干得意なげに言っておられるこの言葉については、私は五千八百七十九万円について語っておられるのであろうと考えます。すると、八千十一万円から韓国側のリベートをいかに多く引き出すかということのためにその値切り交渉が行われたのではないか。その交渉の中で、金山氏が大いに韓国に貢献したという以外に理解のしようはないと私は考えます。そのためにこそ功労章が贈られたということも可能性は非常に濃いと考えます。 そこで私は、委員長にお願いいたします。金山氏の証言は、ソウル地下鉄問題の真相を追求し、究明するために非常に重要な内容を持っておると思いますので、同氏の証人喚問をここで要求いたしますので、しかるべくお取り計らいをお願いしたい。このことを申し上げまして私の質問を終わります。よろしくお願いいたします。
○委員長(鈴木力君) ただいまの御要望につきましては、後で理事会でまた相談いたします。
○田渕哲也君 私は、福田内閣の行政改革に取り組む方針、それからいままで自民党内閣が行革にどのように取り組んできたか、こういう点について若干の質問をしたいと思います。 まず、福田総理は、八月までに行政改革のプランを出すという約束をされております。その準備を現在進めておられると思いますけれども、どの程度進んでおるのか、この点についてまず、行政管理庁長官にお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(西村英一君) 今回の行政改革の構想を、この八月までにひとつまとめてもらいたいという総理の指示を受けて、行政管理庁としては準備を進めておるところでございますが、この四月の二十五日に、まず総理、官房長官、大蔵大臣と私と会合いたしまして、おおむね大綱につきまして話をいたしました。しかし、それだけではいかないので、そのことを受けまして、五月の三日でしたか、閣議におきまして、総理からも、また官房長官からも、私からも発言をして、今度の行政改革にひとつ取り組んでいきたいということを申したわけでございます。 したがいまして、それを受けまして、私といたしましては、どうしても閣議の決定を求めなければならぬと思いましたのでそうしたのですが、行政改革本部というのが常置されておりまして、行管庁長官が本部長でございます。本日この本部の会合を開きまして、いままでの経過を申しまして、今後これを強力に進めたいから、ひとつ七月ぐらいまでには大方のことを決めておいて、八月には締めくくりをやりたいということを、本部の会合を開きまして皆様に伝えたわけでございます。以後、これはどうしても各省と交渉しなければならぬ問題でございますから、ただいまのところはそこまで公式に進めまして、今後は各省とそれぞれのことについて交渉を進めてまいるつもりをいたしておる次第でございます。
○田渕哲也君 これはたしかことしの国会、この通常国会が始まったときの代表質問の中で、民社党の佐々木副委員長が行政改革について質問をして、そこでも総理は、八月に方針を出すというような答弁をされたと思います。ところが、それからもう三カ月以上もたっておるわけですけれども、具体的にどのように進展したのか。いまの大臣のお話を聞くと、まだ具体的には何にもやっていないというような受け取り方がされるわけですけれども、この点はいかがですか。
○国務大臣(西村英一君) これは行政改革といいましても、たくさん項目はあるのでございまして、まず行政の機構の問題があります。定員の問題があります。特殊法人の問題があります。それから審議会の問題があります。補助金の問題があります。行政事務の問題があります。したがいまして、それらのことについてやはり積み上げつつ、いま実際の事務をやっておるのでございます。 ただ、やっていないのは各省との——私のところの素案はできましても、各省とのやはり交渉によらなければならぬのでございまして、一々これは法律でもって対処しなければならぬ。私どもの素案は、できていないものもありますけれども、できておるものもあるわけであります。これから各省との交渉を始めて、合意に達しなければできませんので、そういうことで、全然やっていないわけではございません。私は大変進んでおると思っておる次第でございますから、何とか所期の期日までにはまとめたい、こう思っておるような次第でございます。
○田渕哲也君 現在進めておられるこの作業が進みまして一つのプランができたら、これはどういうかっこうで発表されるわけですか。閣議決定というかっこうになるわけですか、この点はいかがですか。
○国務大臣(西村英一君) まあ一遍にどっと発表するわけにはいかぬと思います。合意ができましたものからやっぱり閣議決定をしていきたい.こういうように考えております。
○田渕哲也君 特に行政管理庁長官として、目玉商品といいますか、こういう点に重点を置きたいとか、そういう構想というようなものはございますか。
○国務大臣(西村英一君) いまのところ目玉というものを特に考えておりませんが、いままでも部分的にはいろいろ行政改革本部がありまして、私どもの通常の業務としてやってきたところでございますが、今回は全般について見直しをしよう。ことにやはり行政は硬直化しておる。また、財政事情もございますので、その辺をにらみつつ全般的にひとつ進めていきたい、しかし、やっていくうちに、やはりこれを重点に置かなければならぬというようなものも出てくるかもしれないと思っておるような次第でございます。
○田渕哲也君 行政改革を進めるに当たって、長官は財界との懇談を過日行われました。これも非常に有効なことだと思いますけれども、引き続いて労働界、学者グループとの意見交換を予定されておるというのを新聞記事で見ました。私は、特に労働界といいますか、労働組合との話し合いがきわめて重要だと思うのです。これはやはり配置転換とか、雇用の問題とか、労働条件とか、そういうものに影響が必ず及んでくる問題である。したがって、労働組合の協力が得られなくして、私は行政改革が本当に進むとは思わないわけです。したがって、労働組合との話し合いについての具体的な方針とかスケジュール、こういうものはお持ちですかどうですか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(西村英一君) 各界の意見を聞いて進めたいと思いますが、なかんずくこの国会では特に皆さん方から行政改革についてもろもろの質問を受けましたが、第一番に議員の方々のやはり真剣な御要望でございますから、それは第一に受けとめなきゃならぬと思っております。 それから、実は経済界との話は、向こうからどういうことになっておるのかということでございましたので、私はおおむね行きまして説明したわけでございます。あと言論界その他につきましては、私はタッチはしておりませんけれども、各マスコミの方々とかその他には、行管庁事務次管等がそれぞれタッチをいたしておるようでございます。また、政党それ自身につきましても、私の方がやはり各政党の方々から呼ばれたときは、あるいは呼ばれなくとも、進んで局長から大略のことのスケジュールは申しておるつもりでございます。私としても、それらの方々にあるいは御相談をする機会もつくりたいと思っております。労働界に重大だということを私も認識いたしておりますが、いまどういう姿で、どういう形で労働界の方々とやるかということはまだ考えておりませんが、いずれ考えなければならない時期が来るんじゃないか、かように思っておるような次第でございます。
○田渕哲也君 マスコミ関係の方とか、あるいは学者グループその他の意見を聞くという面と、労働組合というのは当事者になりますね。たとえば一つの省庁をなくすとか削減するとか、あるいは公団を整理するということになれば、直接その雇用の問題とか生活の問題に響いてくる当事者になるわけです。だから、ほかの学者とか文化人との意見交換とは全く違った性格のものだと思うんです。そして、お互いに意見交換をして意思統一をやってやらないと、プランだけつくっても実際、労働組合が反対してつぶれるということも考えられるわけです。そういう意味で、これは私は単に意見を聞くということは、やればベターだということではなくて、必要不可欠なことだと思うんです。この点はいかがですか。
○国務大臣(西村英一君) 私もそういうふうに思っておりますが、実際にいまの御質問の、どういうふうなスケジュールで考えておるかというところまでは実はまだ考えておらないんでございまして、必ずそういう時期が来なければならぬと、それは固くそう感じておるような次第でございます。
○田渕哲也君 それから、もう一つ私は提案としてお願いをしたいんですけれども、やはり各政党との、単に政党の非公式のルートで意見を聞くというのではなくて、できれば党首会談ぐらいやって超党派的に取り組む体制をとらないと、なかなかこの行政改革というものは実行できにくいものだと思うんです。やり出せばいろんなところから抵抗が起こってくる。だから、かなり強力な政治力が必要である。そうすると、やはり超党派的にこれに取り組む姿勢を示すべきである。極端に言うならば、各党に行政改革のプランというものをやっぱり提示を求めて、それについていかに取り入れるかというようなことも政府は検討されるべきではないか、このように思います。これはもちろん総理が判断されることかもわかりませんけれども、担当大臣である行官庁の長官のこれに関する御意見も伺っておきたいと思います。
○国務大臣(西村英一君) 私もそう思います。やはりこれは時期が来ましたら、わが党の総裁と野党の党首の方々ともやはりこれは話し合わなければいかぬと思います。あるいは意見の不一致があっても、話し合って進めなければならぬとこれは思う次第でございまして、まだその時期ではないと思いますが、ある時期には私も総理に進言をするつもりをいたしておるのでございます。
○田渕哲也君 次に、いままで行政改革あるいは地方と国との事務配分合理化、こういうものに関する答申というものはいっぱい出ておるわけですが、答申ばかり出ておって、実際には余り何も行われていないというのが実態だと思います。 特に、国と地方の事務再配分の問題について調べてみますと、私が知る範囲でも過去六回、戦後六回出ております。昭和二十五年の地方行政調査委員会議、それから昭和三十八年の第九次の地方制度調査会、三十九年の臨時行政調査会、四十年の第十次地方制度調査会、四十三年の第十二次地方制度調査会、五十年の第十六次地方制度調査会、こういう答申がいっぱい出ておりますけれども、いずれもほとんど実行されておりません。その原因は一体どこにあるのか。これは自治大臣にお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(小川平二君) お答えいたします。 自治省といたしましては、地域住民の生活に密着した行政はあとう限り地域住民の身近なところで、かつ住民監視のもとに、もろもろの他の施策と関連させて、総合的な観点から執行されることが望ましいと考えておりまするので、このような観点から、地方公共団体にゆだねるべきものは地方団体に移譲して、同時に、とれに伴う財源措置をとっていきたい、かように考えて努力をしてきておるわけでございまするが、その内容が法令で定められておりまするし、それぞれの所管の官庁がございまするので、なかなか事が容易に運ばないというのが偽らざる現状でございます。今後も鋭意、ただいま申し上げましたような方向で努力を続けたいと考えてるわけでございます。
○田渕哲也君 私がいま申し上げました六つの答申の中で、特に一つの例を取り上げてみますと、昭和四十年の九月十日に第十次の地方制度調査会の答申が出ております。この中で措置すべき件数として百七十六件、具体的な項目が挙げられておるわけです。そのうち措置が必要でない、不要となったものの四件を除いて、あとの件数についてどれだけ実行されたか、措置されたかということを調べてみますと、実に百四十二件が未措置のまま残っております。答申の中で八割以上が全く未措置で残されておる。これでは答申なんというもの全く無意味ではないかと思うんです。この点についてはどうお考えですか。
○国務大臣(小川平二君) 申すまでもなく、答申の趣旨は十分尊重いたしまして、その実現を図らなければならない、そういう気持ちで努力を続けておるわけでございまするが、先ほど来申し上げましたような実際的な困難がございまするので、なかなか意のごとくならないというふうな次第でございます。
○田渕哲也君 困難なということはわかるんですけれども、それなら答申ばかり求めても仕方がないと思うんです。十年以上前の答申について八〇%が未措置である、こういうことは全くやる気がないとしか思われないわけです。 それから、行政管理庁についでにお伺いをしたいわけですけれども、昭和三十九年の臨時行政調査会では十八公団、公社、こういうものの改組あるいは整理というものが答申でやはり出されておるわけです。この内容は御承知だと思いますけれども、この中でどのようにこれが措置をされたか、この現状はわかりますか。
○政府委員(辻敬一君) 臨時行政調査会の答申では、十八法人の整理合理化につきまして答申があったわけでございますが、ただいままで措置済みのものはそのうち十一でございまして、残っているものが七ということになっております。
○田渕哲也君 内訳がわかりましたら言ってください。
○政府委員(辻敬一君) 措置をいたしましたものは魚価安定基金、日本蚕繭事業団、愛知用水公団、北海道地下資源開発株式会社、郵便募金管理会、日本てん菜振興会、原子燃料公社、農地開発機械公団、これにつきましては廃止ないし統合いたしたわけでございます。 それから、合理化をいたして措置済みのものは、東北開発株式会社、日本鉄道建設公団、それから水資源開発公団、以上三でございまして、合わせまして十一でございます。残っておりますものが森林開発公団、医療金融公庫、日本自転車振興会、日本小型自動車振興会、地方競馬全国協会、日本船舶振興会、畜産振興事業団、以上七でございます。
○田渕哲也君 それから、引き続いて五十年の十二月三十一日の閣議了解の特殊法人の整理合理化ということが出されておるわけです。これにつきましても、大体十八団体の整理合理化が決められておるわけです。このうちその措置が行われたものはどれどれで、何件ありますか。
○政府委員(辻敬一君) 五十年の十二月三十一日に、ただいま御指摘ありましたように閣議了解をいたしまして、十八法人を対象とする整理合理化方針を定めたわけでございますが、その中で実施をいたしたものは、電力用炭販売株式会社、それから八郎潟新農村建設事業団、これは廃止のための関係法律案を御審議願ったわけでございます。今国会でございますが、電力用炭販売株式会社につきましては、関係法律案が成立をいたしましたので、目下廃止のための所要の手続を講じている最中でございます。 そのほか、石炭鉱業合理化事業団につきましては、閣議了解のとおり、五十一年度中にその閉山関係組織を縮少いたして措置済みでございます。なお、日本航空機製造株式会社につきましても、人員及び組織を極力縮減するとともに、引き続き民間移行の可否について検討するということに相なっておりますが、人員及び組織の縮減については実施済みでございます。 さらに、日本鉄道建設公団につきまして、同公団と日本国有鉄道との新幹線鉄道建設事業に関する分担について明確化するという閣議了解でございますが、この分担の明確化につきましては、すでに運輸省において基準を定めたところでございます。 残りの特殊法人につきまして、目下整理合理化の推進を図っておる最中でございます。
○田渕哲也君 いままでの、いまの御報告のように三十九年に行われた答弁についても、まだかなりのものが未措置で残っておる。十年以上経過している。何ら措置をされていないものがかなり残っておる。しかも、五十年は閣議了解までしたものが手をつけられたのがほとんどわずかである。こういう点から言いましても、私はもっとやる気になってやってもらわぬといかぬと思うんです。 それから、公団、公社等でむずかしい問題は、実質的に天下りが非常に多いと言われております。言うならば官僚、公務員の方の退職後の行き先として必要悪といいますか、そういう存在、そういう役割りを公団、公社が果たしておる面もあるわけです。私は、これはやはり公務員の定年制の問題と関連があると思うんです。いまはたとえば事務次官になれば、同期の者は全部勇退ということでやめていく。肩たたきであるいはやめざるを得ない。もちろんこれは法で決まっているわけじゃないから、がんばろうと思えばがんばれるけれども、がんばっておればどうも居心地が悪くなってどうしようもない。そうすると、どっかやっぱり行き先というものを、受けざらをつくっておかないとどうにもならない。こういうやり方をやはり改めるべきときではないか。 したがって、その前提としてやはり公務員の定年制というものをきっちりと明確にして、ある年限までは公務員として仕事をしようと思えばそれは身分が保障されるし、仕事もできる。そのかわりに、ある年齢が来れば退職してもらう、こういう定年制を確立すべきではないか。これは財界との懇談会、土光さんとの懇談会の中でも、土光さんからもそういう意見が出されたということが報道されておりますけれども、この公務員の定年制の確立についてどういうお考えを持っておられるか、これは総務長官並びに人事院にお伺いをしたいと思います。
○政府委員(今村久明君) お答えいたします。 ただいま国家公務員につきまして、定年制の導入を図るべきではないかというお話でございましたが、これは先生に私からこういうことを申し上げるのは、釈迦に説法で大変恐縮でございますけれども、元来定年制と申しますのは、組織の活力の維持あるいは新陳代謝の促進ということで、適度の昇進を図りまして、職員の士気を維持するというようなことから発足したものでございます。本来、定年制の意図するところはそういうところに目的があったわけでございますが、御承知のように、近年非常にさま変わりといいますか、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、ちょっと変わった状況が出てまいりまして、先ほども御指摘がございましたように、最近の高齢化社会を迎えまして、高齢者の雇用安定といいますか、あるいは雇用の継続というような観点からの問題の取り上げ方というものが出されているわけでございます。したがいまして、退職の促進という観点と、それから雇用の安定という観点と、いわば相矛盾するような観点からの問題が指摘されておりまして、この間の調整の問題、これが今後の、これはもう単に公務員だけじゃないと思います、民間も含めまして、高齢化社会あるいは経済の低成長時代を迎えまして日本の大きな問題になろうということでございますので、私どもといたしましては、この問題がこれからの私どもの施策の最も重要な問題ということで、かなり手広く研究を進めておるわけでございます。 ちょっと余談になりまして恐縮でございますが、先ほど先生から事務次官の退職の話がございましたので、ちょっと一言申し上げますと、事務次官の退職の年齢等、けさほど急ぎ調べたものですから完全な資料じゃございませんが、本省の事務次官だけに限って申し上げますと、現在平均の年齢は五十六歳ぐらいになっております。これが十年前には五十二歳七カ月というようなことで、それから十年前には、三十二年でございますが平均五十歳代。実はその当時は四十歳代でやめている方が過半数ぐらいいた。現在ではもう平均年齢五十六歳ですから、四十歳代で退職されるというような方はございませんで、かなり高齢化しておるという現象がございます。そういう意味では、若年退職の弊害というものもいまの状況の中ではかなり修正されつつあるのじゃなかろうか、私どもかように考えております。
○国務大臣(藤田正明君) 公務員の定年退職ということについては、ある種の意義を十分に認めるものでございますけれども、そのためには条件整備と申しますか、そういうものを十分にいたしておきませんと、先ほど申されましたように、天下りは国家公務員法の百三条でしたかで、一定年限の禁止をされておりますし、民間会社の場合であれば、一応相談役とかあるいは嘱託とか、そういういわば緩衝地帯と申しますか、そういうことで激変が避けられるわけでございますけれども、公務員の場合にはそういう天下り禁止のような規定もございますし、その後の生活の保障という問題がやはり大きな問題になってくると思います。そういう一定の条件整備をなされた後に定年制も考えるべきであろう、かように思いますし、やはり影響を及ぼすところが大きいと思いますので、十分に慎重に検討すべき問題であろう、かように考えております。
○田渕哲也君 次に、大蔵省にお伺いをします。 これは補助金行政の改革についてでありますが、先日、大蔵省が行政改革の一環として補助金の見直しを考えておるという記事が出ておりました。この方針の基本的な考え方についてお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(坊秀男君) 補助金の制度ということは、非常にこれは大事なことでございまして、補助金というのがまた存続するということも大事なことでありますし、補助金の中にはやはり、国家の施策を実施する上におきましてその手段として非常に有効であり、かつ意義のあるというものもたくさんございます。ところが、それらの中でもうすでに目的を達成したとか、あるいはいまの社会経済事情から申しましてだんだん意義が希薄になってきておるというようなものもございますし、そういったようなものにつきましては、近年非常に力を入れまして、五十一年、五十二年にこれを整理をしてまいってきたことは予算の上において明らかでございますが、しかし、これからはさらにひとつ力を入れなければならない。 先般の財政収支試算におきましても、旧来の伝統だとかあるいは慣習だとかというものは見直して、そうして歳出の面において相当なやっぱり確保をしていかなければならないということは、しばしばお約束を申し上げておるようなことでございまするから、そこで、福田内閣の方針といたしましても、行政整理の、行政改革の大きな主眼ですか、一環といたしまして補助金の見直しということを言っておりますので、私どもといたしまては、あらゆる観点からいたしまして補助金についての見直しをやろうと思っております。 ところで、最近私どもは、これはぜひやらにゃならぬというような観点から、補助金について少し内容を調べてみました。そうすると、やはり大変なことでございまして、二十八兆五千億の予算の中で補助金が九兆五千億を超えるというような、まさにその三分の一が補助金である。その補助金もさらにこれを調べてみますと、その補助金の中で社会保障、文教、公共事業等の本当に日本の国民生活にとりましては重要なる費目、そういったようなものの補助金が、いま申し上げました九兆五千億の中の八四%を占めておるというようなことであり、かつまた、それらの補助金の中の八五%が法令による補助金でございまして、そういうことを考えてみますと、今日まで補助金が累積して予算額の三分の一にもなってきておりますけれども、この補助金はただ安易にできたものではないということだけは、これはわかるわけでございます。 しかし、このままにしておいてはいけないということで、何といたしましてもこれの縮小、削減を図っていかなければならない、こういうことに相なりますと、これは私どもも全力を挙げてそういう方向に持っていきたいと思っておりますが、これはやはり各党の御同意、御賛成を得なければ、いまの政府・与党だけでこれはなかなか目的を達成することができないものだと思っております。うっかりいたしますと、この補助金は、もう社会保障上絶対に大事なものであるとか、あるいは国民教育の上では欠くべからざるものであるとか、公共事業遂行のためにはこのような補助金は尊重すべきであると、見方によればそういったようなものが非常に多い。もしこれを断行するということになれば、よほどの決意と、そうして国会における議員諸先生の御理解と御賛同を得なければやれることではない。 いずれ、これは、予算の上にあらわれてくることでございまするから、そういったようなことがございますので、私どももぜひともこれを実行したい、かように考えておりますが、どうぞひとつ、総論はいいけれども、各論に至ってはなかなかこれはやりにくいというようなことにならないように、何とか皆さん方の御協力を得まして、そうしてやってまいりたい、かように考えております。目下鋭意そういうようなことを勉強いたしておりますけれども、いずれ、できるだけ速やかにその内容につきましては何らかの形におきまして、これは西村長官のところへ戻ってまいりまして、長官からひとつ総合的に見ていただいて、それをこれは国会の各党に御協力をお願い申し上げたい、こういうことでございますので、何分ひとつよろしくお願い申し上げます。
○田渕哲也君 大蔵大臣の答弁でもう時間がなくなってしまいましたけれども、最後に一言質問したいと思います。 大蔵大臣が言われたように、補助金の見直しというのは必要ですけれども、私が言っているのは、一つ一つ見直して、そのうち不要なものを切る、この作業も必要だと思います。しかし、私が指摘したいのは、現在の補助金行政のあり方を抜本的に検討すべきではないかということなんです。現在は国の予算の三分の一が補助金である、そしてそれはどういう欠陥を持っておるかというと、その補助金をもらうために今度は陳情ということが行われる、あるいは地方公共団体のその補助金をもらうための工数というのは、これ非常に大変なものなんです。 全国知事会の資料にも出ておりますけれども、ある一つの具体的な例を、全国知事会の「地方行財政に関する当面の措置についての報告」というものが出ておりますが、その中に具体例が書いてあります。国道改良事業、これは一例にすぎません。一つの国道改良事業について補助金をもらう手続をするのに、どれくらい工数がかかるかという一例が挙げてあるわけですけれども、資料の作成とかあるいは東京に来たりなんかすると、上京する工数だけでも県庁の職員が六十四人、延べ百十八日にわたって上京しておる。これは一つの国道改良事業に対する補助金をもらうためにですよ。それからそれに要する資料の作成とかいろいろ入れますと、実に従事延べ人員が二千九百四十人、こんな工数をかけなければ国土改良事業一つの補助金ももらえないわけです。 それと、もう一つのこの補助金の問題点は、やっぱり超過負担の問題です。国が決めた補助金の基準だけではとうてい足りない、その分は地方自治体の負担になるわけですね。この超過負担が昭和四十九年度だけで、実に六千三百六十億円に上っておるという報告もあるわけです。だから私が言っておるのは、この補助金行政の全般のあり方を抜本的に変えて、やはり地方に任せるべきものは思い切ってもう地方に任した方がいいんではないか、そうすると超過負担の問題もなくなれば、この陳情に要る工数の問題もなくなってくる、そういった意味での私は、この補助金というものを抜本的に見直してみるべきではないか、こういう意見なんですけれども、これについての行政管理庁長官、自治大臣、大蔵大臣のそれぞれの御意見をお伺いしたいと思います。 〔委員長退席、理事大塚喬君着席〕
○国務大臣(西村英一君) この補助金は、いま大蔵大臣が申し述べたとおりでございますが、私のところも、補助金に参与することとしては行政監察をやっております、補助金を、ある部分について。そこで非常に、もっと節約ができるじゃないかとか、廃止したらいいじゃないかとかいうものを予算の編成時期にいろいろ大蔵省と打ち合わせて、なるべくそういうものを廃止すべきようなものは廃止するようにやっておる次第でございまして、一部しか補助金にはタッチしておらないのですが、田渕先生のおっしゃるのはそうではなしに、補助金制度そのものを考え直したらいいじゃないか、こういう御質問であろうと思っております。もっともでございますが、なかなかやはりこれも大変なことだと思っております。つまり、予算の国家、地方の配分の問題になりますから、重要なことではございますが、なかなかこれはやはり大変なことだろうと思っておりまして、私もあんまりいい知恵は持っておりませんが、質問の要点はそういうことでございますから、政府といたしましてもやはり検討はいたしたい、私自身としてはそう思っておるような次第でございます。 〔理事大塚喬君退席、委員長着席〕
○国務大臣(小川平二君) 補助金を全廃せよという議論があり、そういう構想があることは承知いたしておりますが、やはり事柄によりましては国として関心を持ち、責任を持たざるを得ない事柄があります。全国的に行政水準を同一に保たなければならない種類の事柄もあると存じます。なかなかこれを一挙に全廃するというわけにはまいりかねると思いまするけれども、今日までにおきましても、きわめて零細な補助金はこれを廃止する、あるいは目的が同一あるいは類似の補助金につきましてはこれを統合する、あるいはいわゆるメニュー化するという努力を続けておるわけでございます。これからもそういう方向でやってまいりたいと思います。
○国務大臣(坊秀男君) 御趣旨まことにごもっともだと思います。ただ問題は、補助金が豊かであれば、補助金とか、補助金の形式をとろうが、ほかの実質的補助金の意味でございますが、それが豊かであればそれほどきつい陳情競争というものがなくなってくると思います。それからまた、超過負担というものもなくなってくると思います。少なくなってくると思いますけれども、何にいたしましても、この補助金をできるだけしぼっていこうということに相なりますと、非常にそういったような一方においてこれは副作用と申しますか、そういうことが起こってくるということでございますけれども、しかしこれは、それだからといってそういう事象が起こってきていいことではございません。私は、補助金はできるだけしぼるということとともに、いまおっしゃられました御趣旨というものは非常に重大なことでございまするから、さようなことのないように何としてでも努力を続けてしていかなければならない、かように考えます。
○下村泰君 先般の予算委員会でも質問させていただいたのですが、途中になりまして全部お尋ねできなかったので、また改めて自治大臣にお伺いさせていただきたいと思います。 参議院選挙あるいは都議選も目の前に控えておりまして、いわゆるお体の不自由な方々が投票所に行けない、したがいまして、郵便による不在者投票制度というのが二年前、五十年四月十三日の統一地方選から実施されたと承っておりますけれども、昨年暮れの衆院選の利用状況などから見ますと、大変利用者数が少ないようなんでありますが、これはどういうところに原因があるのか、あるいは、この前の衆院選のときの利用者の割合とかその他をひとつお知らせを願いたいと思います。
○政府委員(佐藤順一君) お答え申し上げます。 前回、予算委員会の席上におきまして、私は下村委員からのお尋ねに対しまして、この制度を一昨年制定いたしました当初におきましては、大体該当者の方が十万人くらいあると考えておりました。ところが、この間の総選挙につきまして実例を見ますと、郵便投票をいたしますための前提といたしまして、郵便投票証明書の交付を受けておられる方々がおおむね二万五千人程度、そして、実際にこの郵便投票の方法により投票された方が、おおむね一万三千人程度であったと承知しておりますということをお答え申し上げたわけでございます。 しかし、そのときに申し落としたわけでございますが、この郵便投票を行うことができる方々、つまり重度の身体障害者の方々につきましても、実はいままでもそうであったようでございますが、親戚や友人の方々等の介添えなどで投票当日投票所に行かれる方、つまり、郵便投票ができるにもかかわらず実は投票所にいらっしゃるという方、あるいは、郵便投票という方法によらないで他の不在者投票の方法、たとえば、指定病院に入院中の方が、指定病院の病院長さんを不在者投票管理者とする不在者投票という手続によって投票を行う方などがございまして、これを全体を総合いたしますと、実はかなりの投票率に相なっておるわけでございます。 実は、詳細なまだ調査というものは行っておりませんけれども、関西の方のある市の調査の結果を見てみますと、その市におきましてこの制度が制定されました当初、昭和五十年の統一地方選挙の際に、郵便投票ができる方に該当すると考えられる方が百三十四人あった、そして、それらの方の中で証明書の交付を受けられた方が四十二人であった、そのうち実際に郵便投票という手続をとられた方が十八人であった、ところが、先ほど申し上げました郵便投票以外の一般の不在者投票の手続をとられた方が十七人あった、それから、家族やあるいは知人の方々と一緒に投票所に行って投票されたという方が実に六十三人おありになった、そしてその結果、これを合わせますと九十八人の方が投票されております。百三十四人中九十八人の方が投票されまして、結果七三・一%という、大体においてその市におきます他の一般の方方の投票率に近いくらいの投票率をおさめている、こういう実例も聞いているわけでございます。これは要するに、郵便投票の方法生まれましたけれども、他の方法によって投票される方々も相当おありになる、こういう事実もあることを御報告申し上げておきます。
○下村泰君 いかにお体の不自由な方々でも、投票意欲といいましょうか、選挙に対する、いわゆる政治に対する感覚は大変濃厚な意識をお持ちであるということは、あなたのいまのお話でもよくわかるんです。実は統一選の都選管の方の調査は、郵便投票の対象者が九千五百人で利用者が二千三百九人であった。いまのお話から想像しますと、この九千五百人のうち二千三百九人しかいなかったけれども、あるいはこの何倍かの人がそういう状態で投票したのではないか、こういうふうに善意に解釈すればそうなると思います。 それで、こういう方々の不在投票までの手続ですね、これをちょっと説明してください。
○政府委員(佐藤順一君) お答え申し上げます。 この手続といたしましては、まず第一に、郵便投票をこれからずっと行いたいんだということを選挙管理委員会に証明してもらいますために、郵便投票証明書の交付申請をまずしていただきます。そうしますと、選挙管理委員会の方では証明書を郵送してまいります。これは一たん交付を受けますと向こう四年間有効でございます。したがいまして、選挙のおよそあるなしにかかわらず、いつにおきましてもこれは請求できまして、いつにおきましても交付されるわけでございます。一たん交付されますと、向こう四年間いつ選挙があろうと有効である、こういうことになるわけでございます。 そこで次に、実際の選挙ということになりますと二回手続が必要でございまして、一度は、選挙管理委員会に対しまして投票用紙を送ってください、こういう請求をいたします。そういたしますと選挙管理委員会から送ってまいります。これは投票日前四日までにするように、こういうことに相なっております。次いで、この投票用紙が送られてまいりましたら、今度は在宅のまま自宅でその投票用紙に候補者の名前を記載して、そしてこれを郵送する。これは必ず郵便でやらなければならない。これを称して郵便投票と言うわけでありますが、そういう郵便で送る、こういう手続に相なっております。したがいまして、選挙のあるなしにかかわらず、平素におきまして一回証明書の交付を受けておく。具体的な選挙になりました場合には、投票用紙の請求という行為と、それから送られてきた投票用紙に候補者の氏名を書いて投票するという行為、二回手続が必要である、こういうことでございます。
○下村泰君 四年間有効ですね。その四年間という期限を切ったのはどういうわけですか。
○政府委員(佐藤順一君) これは、郵便投票のできる先々につきましては、その資格を、身体障害者手帳が交付されている方で、しかも、その身体障害者手帳の中に身体障害の程度につきまして、たとえば両下肢でございますとこれは一、二級の方々、それから心臓、腎臓、呼吸器の障害につきましては一級ないし三級であると記載されている方ということに相なっておるわけでございます。この事由に該当するということの証明を、あらかじめ選挙管理委員会によってしてもらうわけでありますけれども、これを毎度やるということは大変でありますので、向こう四年間は有効と、こういうふうに考えたということでございます。
○下村泰君 そうしますと、いわゆるその方たちの病状の進展があるかもしれない、そうすると、二級があるいは上へ上がるかもわからないというようなことで、その方のお体にまあ信用性がないというんでしょうか、もしそれ以上に進んだ場合には、また改めて査定をするとかあるいは鑑定をしなきゃならないということから、四年間というふうになっているんですかね。
○政府委員(佐藤順一君) 実は病状の認定につきましては、これは知事の権限になっておりまして、知事の手元に身体障害者の手帳の交付台帳があるわけでございます。それに対しまして、四年に一度証明するのは、これは選挙管理委員会が一応知事の方に確かめまして、そしてこれを証明しているわけでございますが、いまおっしゃいましたように、病状が進むと申しますよりは、軽くなると申しますか、そういったようなことがあります場合に、あるいはそういった事態が起こるかもしれないということで、四年に一度証明ということにいたしておるわけでございます。
○下村泰君 何ですかね、聞いておりますと、たとえば両下肢のない方、いらっしゃいますわね、たとえばその両下肢がなくて、それでもう病状がとまっているような人でも四年間となると、何かまるで人間的な扱いが根本的にされてないような感覚がするんですね。もうそれだけのものに決まっている患者であるならば、あるいは身体障害者であるならば、それはもうそれとして、四年間と区切られると、何かその間に日本人でなくなるような変な錯覚に陥りはせぬかということになる。本人にとっては非常に私は不愉快な気持ちになるんじゃないかと思うんです。これはそういうふうなあれがあるならば、これはまたやむを得ないことだとは思いますけれどもね。 先ほどあなたのおっしゃったように、証明書をもらえば、後は二回の手続で済むとおっしゃるんですが、この間もこれは表にしてたしかお見せしたはずなんですが、一つだけ抜けているのは、一番最初にまず本人が電話で申し込まにゃいかぬですよね、初めてやるときは、電話でまず申し込むんです。申し込むと、初めて選挙管理委員会の方から郵便投票証明書交付申請書というのが来るんです。それからあなたのおっしゃったことの手続きになるわけです。しかもこれは全部自分で払うんですね、料金は。何でこんなややこしい制にしたのか、まずそのややこしくした理由をちょっと伺いたいんですがね。
○政府委員(佐藤順一君) 郵便投票のできる方々を、身体障害者手帳ないしは戦傷病者手帳が交付されている方々、しかもその手帳に一定の症状として記載されている方々、そういうふうに規定をいたしましたのは、実はその症状が客観的に証明されている方々に限定する、こういう趣旨に出たものでございます。そのことを本来制度的に証しておりますのは、先ほど申し上げましたようにこれは都道府県知事の段階でございますけれども、それを選挙の手続におきまして、毎度担当いたします選挙管理委員会が、このことを選挙の都度証明をしてもらったり、あるいはそれを認定したりということではいけませんので、あらかじめ選挙のむしろないようなときに、身体障害者手帳を添えて送ってもらいまして、それをもって認定をする、こういう手続をとるということにいたしたわけでございます。 それから、先ほど、まず電話をかけて申し込むということがございましたが、電話をおかけになる方もあるかと思いますけれども、この辺のところの手続は代理の方でもいいわけでございまして、どなたかがその市町村の選挙管理委員会へ行かれまして、この事情を話をされて、そして所要の申請書の用紙をもらってこられるとか、あるいは証明書の交付申請を出されるのも、これもどなたかが郵便でなくて市役所などへいらっしゃるおついでに持っていかれるということでも結構でございます。一番最後の候補者の氏名を書いた投票用紙を送るときだけ、これは郵便でなくてはならないということになっているのが郵便投票でございまして、他の手続は他の方による代理でもできることになっております。
○下村泰君 とにかくあなたの御説明を聞いていると、時間ばかりたちますのであれなんですけれども、少なくともこの身障者手帳というものを交付する以上は、役所の方でもそれはわかっているはずなんですからね。何回も同じことを、おまえは身障者だ、おまえは身障者だと何回もこんな手続をとらせる必要ないと思うんですね。その台帳は全部あるんでしょうし、書類は全部そろっているんでしょうし、こんなややこしくしなくても、身障者手帳を出すことによって直ちに本人と確認できれば、投票用紙をやるぐらいの簡素化をした方が、もう少し成果が上がるんじゃないかというふうに考えるんですけれども、自治大臣、どうでしょうか。
○国務大臣(小川平二君) これはごもっともの仰せでございますが、この中には病状が軽快なさるという方もございましょうし、逆に重くなるという方もおありでございましょうから、やはり一定の期限を限るということが必要になってきておる、このように理解をいたしております。
○下村泰君 いまの手続の簡素化ですね、これを御検討願えますか願えませんか。
○国務大臣(小川平二君) 確かにこれは煩わしいことで、お気の毒に存じますが、やはり選挙の公正を保つという上から、証明書を身体障害者手帳を添えて請求していただくということは必要でございましょうし、後はやはりはがきを二度書いていただけばよろしいことですから、こういう方々に対して政府といたしまして、あとう限りの配慮をするのは当然のことだと存じまするけれども、現実に体の丈夫な方が投票所まで歩いておいでになって投票してお帰りになる、それに要する時間に比べますると、一枚はがきを書いていただけばよろしいことですから、ひとつがまんをしていただきたい。なかなかこれ以上簡略にすると申しましても、どうも研究の余地がないのじゃなかろうかと考えているわけでございます。
○下村泰君 大変何か自治大臣のお答えははっきりしないようですけれども、こういうふうに余りややこしい手続の内容を見ていると、むしろ棄権をさせるみたいなふうに受けとれます。おまえら来なくてもいいんだ、足の丈夫なやつだけ来て投票すりゃいいんだというような感じを私ら受けるんです。だから恐らくこれ、一般め方々にこういうお話をしたら、やはり私と同じような感情をお持ちになるのではないかというふうに考えますと、言葉の先の福祉であってはならないと思うんです。血の通った福祉でなければ本来の福祉ではないような気がするんです。どうぞひとつ自治大臣、もうちょっとよろしくお願いをいたします。お答えは結構ですが、よろしくお願いをします。 次に、福祉電話についてお尋ねをいたしますけれども、現在の福祉電話というのは、利用台数がどのぐらいで、あとどれぐらいなければ全面的にこれが利用することができないのか、そういったところをちょっとお伺いさしていただきます。
○政府委員(曽根田郁夫君) 福祉電話でございますが、現在これは五十一年度末でございますが、老人、身体障害者全部含めまして二万三千四百台でございます。五十二年度は、予算におきまして八千五百台さらに設置することにいたしております。 今後の要設置台数でございますが、これは御案内のように、一人暮らし老人あるいは身体障害者を対象にしているわけでございますが、これはすべての方ではなくて、一定の所得以下の人に限って国が助成するということになっておりますので、今後の一応要設置台数といたしましては、五十二年度の八千五百台を含めまして約三万六千台を予定しております。
○下村泰君 それで、それらがいわゆる寝たきり老人、それから身体障害者の方たちの大変これは社会的交流をする情報手段の一つとして欠くべからざるものだと私も思いますけれども、この架設基本料、それから度数料、こういうのはどういうふうになっていましょう。
○説明員(西井昭君) 福祉電話の架設費に関しましては、現在のところ国、都道府県、市町村、大体それぞれ三分の一ずつ負担をしていただいておるところでございます。それから毎月の使用料につきましては、これは各市町村によってかなりまちまちでございますが、大体全体の九一%の方につきましては、毎月の基本料につきまして各市町村等で負担をしていただいております。それから毎月そういう方がお使いになります度数料でございますが、これは一部の市町村では全額度数料を負担していただいておるところもございますが、大部分の市町村で——市町村によって違っておりますが、六十度ないし百度程度の最低度数に見合うものを市町村で負担していただいておるのが実情でございます。したがいまして、基本料では九〇%余り、度数料では約七〇%の、福祉電話につきまして何らかの形で各市町村等で負担をしていただいておる、こういう実情でございます。
○下村泰君 すると、残るパーセンテージの方々は御本人がお払いになっているんですか。
○説明員(西井昭君) そのとおりでございます。
○下村泰君 そうすると、また福祉の意味がなくなってくるような気もするんですけれどもね。ところで、昨年の十一月の料金改定の際に、改定の影響を緩和するための措置として、一カ月の利用度数が六十度以下のものについて度数料を据え置きました。これは福祉電話には適用されておりますでしょうか。
○説明員(西井昭君) 料金改正の影響を緩和するためということで、昨年の第七十八臨時国会におきます附帯決議に基づいて、これは公社限りの暫定措置といたしまして、一カ月の利用度数が六十度以下の住宅用の加入者の方に限りまして、度数料を七円に据え置いておるところでございます。また、一人暮らし老人の方とか身体障害者等の方でありまして経済的に困窮しておられる方も、これもやはりこの附帯決議に基づきまして、昨年の十一月から設備料の分割払い、それから債券の引き受け免除の措置を行っておるところでございます。 先生のおっしゃいました福祉用電話についての度数料の減免措置でございますが、現在この福祉用電話につきましては、ほとんどの電話が市町村名義になっておりまして、現行の法制上では、市町村名義のものは事務用に扱わざるを得ないという法律になっております関係で、この臨時減免の対象から外れておるというのが実態でございます。
○下村泰君 そうしますと、それを事務用で扱っているとなりますると、もちろん料金も高くなりますが、それは結局は地方自治体が負担する、こういうことになりますか。
○説明員(西井昭君) おっしゃるとおりでございます。
○下村泰君 そこでこれはお願いなんですけれども、電電公社の方にも伺ったんですが、これを邪魔している法がございましたな、公衆電気通信法の二十八条の2というところが大変、せっかくの福祉電話でありながら邪魔をしている。その項のところに一つだけ福祉電話も含めて除くの項の中に入れていただければ、これは住宅用の料金として済むはずですね。法的にはどうでしょうか。
○説明員(西井昭君) おっしゃるとおり、法律改正をすれば可能なことだと思いますが、公社といたしましては、法律改正をする以前の問題といたしまして、そういう方々の名義を個人名に変えていただきますれば、いま言った問題はすべて解消するわけでございます。したがいまして、現在福祉電話としてついております電話の、先ほど申しましたようにほとんどが市町村名義、法人名義になっておりますのを個人名に変えていただくように、現在厚生省とお話を進めておりますところでございます。
○下村泰君 厚生大臣に伺いますが、いまお答えいただいたようなことがこれから先可能であるかどうか、可能ならしめていただきたいのは私らの要望なんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 先般の予算委員会においても同じような御質問がありまして、これは事務当局同士で少し詰めてみましょう、そういうお約束をいたしました。その後、厚生省とあちらの事務当局同士でいま住宅用の取り扱いについてやっておるところでございますから、その趣旨に沿うようにさらに努力を続けてまいりたいと思います。
○下村泰君 大変ありがたいお返事でございます。同じ福祉電話として、いわゆる与えられた側の人間の感情として、事務用として扱われるのでは、いわゆる昔のあれじゃありませんけれども、お仕着せを着せられているような感じでひとつも何かありがたくないという感じがします。しかし、自分の家の中に備えつけられた電話が自分の名前で使われるのだという感情と、押しつけられたものとではえらい受ける方の側の感情の違いがあると思います。少しでも早く個人の名前で、いわゆる住宅用の個人の名前でその電話が使えるような状態にしていただくことを切にお願い申し上げておきます。 労働大臣に、もうお時間がございませんから端的に伺いますけれども、労働大臣は何回も労働大臣を御経験になって、私がまだこういうところに入ってこないときに、たしかいまのあいりん地区、当時釜ケ崎、一カ月でしたか、おくれて東京の山谷、ちょうどあのころに労働大臣をなさっていらっしゃって、あの地区のお子さん方を全部連れて、たしか箱根の方へお出かけになったりして、大変あのときの状況を静めたとき、大臣にインタビューをしたのを覚えております。それだけの業績をたくさん数上げていらっしゃる大臣のことですから、端的にお願いを申し上げておきますけれども、身体障害者の雇用率が笛吹けど兵は踊らずで、諸官庁は一応その約定に近い定数を雇用なさっていらっしゃるようですけれども、民間の方としては、雇わなければ一人について幾ら幾ら払えという、言うならば罰金制度みたいなもので、それを払った方が気が楽だというようなぐあいの状態だというふうに聞いておるんですが、大臣はどういうふうに現状を把握していらっしゃいますか。
○国務大臣(石田博英君) 身体障害者の雇用率は、法律改正になりまして一・三%から一・五%に上がりました。それで一・三%の時代の調査はできておるわけですが、現在企業別、事業所別にして六・三、四%に上っていると思います。一・五%に十月から実施するわけですから、そして課徴金、納付金をちょうだいをするわけなんですが、そういう状態のもとの調査はまだこれから行うので、一・五%ということになりますと、もうちょっと低くなるかと思います。 それから、身体障害者の雇用率の未達成の事業所から一人について三万円ずつちょうだいすることになっているわけなんですが。これは一種の雇用税みたいなもので、罰金のような性質のものとは違いまして、納めたからといってその事案についての責任が免れるものではこれはないわけであります。 そこで、一方、そういうものの財源を使いながら、雇用率を法定よりもたくさん雇っているところに対して奨励的な措置をとりますと同時に、それの未達成なものに対しましては、身体障害者の人たちの雇用計画を立てさせる、あるいはまた、どことどこは雇用率を達成しておりませんよという公表制度を使うというようなことで、雇用率を高めるようにさらに努力をしていくつもりでございます。 それから、身体障害者雇用促進協会というものも誕生いたしまして、そういう実際的な仕事、それから使用者の社会的責任も自覚してもらうような宣伝活動というようなことも積極的に展開しつつあるところでございます。
○下村泰君 もう時間でございますか。
○委員長(鈴木力君) もう一問くらいで。
○下村泰君 委員長の特別のお計らいで。 実は、ある新聞の切り抜きを拝見したんですけれども、障害に応じて新職種開発をという表題で、養護学校の実際に教鞭をとっておられる方の記事が出ておるんです。労働省にしても厚生省にしても、いわゆる身体障害者に対する職種というものをのっけから病状に合わせて考えているのではなくて、諸外国と照らし合わせてこの程度はこんなだ、この程度はこんなだというような考え方をしておる。したがって、まるでいまの時点に合ないわ。 たとえば、ラジオ組み立て、輪転印刷工、時計修理工、和文植字工と、余りにもすばらし過ぎると言うんです。こんなものに合うくらいならば別に心配はない。これ以上のいろいろ重複した身体障害者の方々がいる。そういう方に対する新職種というものの開発あるいは研究、あるいはこれに対する即応といいましょうか、そういう体制を整えつつあるのかどうか、厚生省並びに労働大臣のお話を聞いて、終わりにしたいと思います。
○国務大臣(石田博英君) 職業の訓練でございますから、私の所管でごいざます。 それで、いま御指構のように、身体障害の障害の程度によるわけですけれども、これは身体障害者の職業訓練だけでなく、産業構造やなんかが大きく変化しておりますので、そういうことに応ぜられるような職業訓練科目の見直しというものをいまやっておる最中でございます。その中で身体障害者の人の場合、外国になくたって日本にあるもの、たとえば聾唖の人たちですね、聾唖の人たちなんというのは、たとえばコックとか、そういう手先の仕事は十分できるわけですから、そういうようなものを覚えに行こうと思っても、材料費が高いとかなんとかいろいろなことがあるものですから、そういうことも含めまして、身体障害の程度、それから新しい社会的な要求、そういうようなものを両方見ながら、訓練科目の全面的見直しをいまやらせておるところであります。
○下村泰君 どうもありがとうございました。
○委員長(鈴木力君) それでは、本日の質疑はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時四分散会