決算委員会 第2号
- 発言数
- 238 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1977/03/16
会議録
○委員長(鈴木力君) ただいまから決算委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る二月二日、園田清充君が委員を辞任され、その補欠として山内一郎君が、また、二月八日、堀内俊夫君が委員を辞任され、その補欠として藤川一秋君が、また、二月十四日、土屋義彦君が委員を辞任され、その補欠として坂元親男君が、また三月十一日、下村泰君が委員を辞任され、その補欠として市川房枝君がそれぞれ委員に選任されました。 —————————————
○委員長(鈴木力君) 次に、理事の補欠選任を行います。 委員の異動に伴い、理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木力君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に寺下岩蔵君を指名いたします。 —————————————
○委員長(鈴木力君) 次に、昭和四十八年度決算ほか二件を議題といたします。 本日は、文部省の決算について審査を行います。 この際、お諮りいたします。 議事の都合により、これらの決算の概要説明及び決算検査の概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木力君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 それでは、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○加瀬完君 教育は病んでいる、しかも回復には向かっていない、それどころか悪化の道をたどっている、こういうある新聞の指摘がございましたが、これは大臣にお答えをいただきたいわけでございますが、おりませんので、局長で結構です。これはお認めになりますか。
○政府委員(犬丸直君) 現下の教育問題、いろいろな問題を抱えておりまして、必ずしも現在のわが国の教育が全般的に理想的な状態にあるとは言えない、いわゆる病んでおると言われるような欠陥も見出されるということは、そのとおりであろうと思います。
○加瀬完君 その最たるものは受験戦争、乱立学習塾だと、こういう指摘もありますが、これもお認めになりますね。
○政府委員(犬丸直君) いま申された二点につきまして、いろいろ問題があるということは、そのとおりであろうと思います。
○加瀬完君 本日はその受験戦争についてだけ伺いますが、神戸の津田望君の遺書をどうお受け取りになりましたか。
○政府委員(犬丸直君) いま御指摘の件は、岐阜歯科大学の受験生が、入学のために必要とする寄付金の問題につきまして悩んで自殺した件であろうと思います。 その件につきましての具体的な事実関係等につきましては、いろいろあるようでございますが、問題はやはり医学、歯学関係の大学に入学する場合に、正規の募集要項に書かれた入学金等だけでなく、それに伴ってかなり多額の寄付金が募集されるということ。で、その寄付金の募集のされ方が必ずしもいわゆる任意ではないという事実がかなりあるというそのことにつきまして、そういうことが一つの原因となって、非常に有為な青年が自殺をしたということでございますれば大変痛わしいことでございますし、もしそういうことが原因であるとすれば、これは厳に戒めなければならないことであろうと思います。
○加瀬完君 御存じでございますが、「おふくろが夜遅く疲れて帰ってくる顔を見るのはつらい。明日も金策に出かけるというので、僕は今日、命を絶つことにした。日本の大学入試制度に対する挑戦です」、こう言ってガス自殺をしたわけですね。こういう事実を生んだ寄付金が通常の寄付金と見られますか。
○政府委員(犬丸直君) 医学系、歯学系大学の運営につきましては大変金がかかります。そして、なかなか正規の納付金だけではその経営が苦しいということはわかりますので、ある程度の寄付金を入学者から全く任意という前提で取ることについては、これはやむを得ないこともあろうかと思います。しかしながら、実情において必ずしも完全にそれが自発的に行われておるということでもないという状況があることは、私どもも察知いたしておりますので、その点については問題であろうかと考えております。
○加瀬完君 私の聞いているのは、受験生を自殺に追い込むような裏口入学金とも称すべきものを通常の寄付金と解釈できるか、こう伺ったわけであります。改めて伺いますが、大学または学校の正常な運営状態として、いま申し上げましたような裏口入学金制度というものを文部省は認めるんですか。
○政府委員(犬丸直君) 私どもはかねてから通達を出しておりまして、入学を条件とした強制にわたる多額の寄付は募集しないようにということを指導いたしております。それから、大学の設置認可に当たりましても、そういうものを前提に大学がつくられることのないようにということを指導いたしておりますので、先生のおっしゃる裏口入学金というものが、そういう趣旨に反する強制的な寄付であるということだといたしますれば、それにつきましては私どもは否定いたしております。
○加瀬完君 文部省は私学には補助金を出しているわけですから、これは監査をする権限というのはあるわけです。そこで、寄付金が予算上あるいは決算上どう計上されておりますか、寄付金受け入れ学校についてひとつ例示をしていただきたい。この点は厳重に監査の対象になるはずでありますので、十分監査が行き届いているものとして伺います。
○政府委員(犬丸直君) 私ども文部省からは、私立大学につきましては経常費助成というものが行われまして、私学振興助成法に基づきまして経常費助成を行います大学につきましては、その当該大学から必要な財政関係の書類を徴収することになっております。そして、その補助金の実効を有効適切にならしめるための監査はいたしております。監査と申しますか、会計の審査はいたしております。そして、そういう意味におきまして各大学の財務諸表、経営状況は一応把握いたしております。 ただ、それぞれの収入支出の関係の書類は取っているわけでございますけれども、その中でいわゆる入学時の寄付金が幾らであるかというような数字につきましては、その振興助成法関係の書類からは直接は出てまいりません。それで私ども、別途大学に依頼いたしまして、そういう入学時の寄付金がどういう状況であるかということを調査した資料は持っております。
○加瀬完君 文部省が裏口入学金について通牒を出したのは四十九年です。したがいまして、四十九年以後は、寄付金と称する裏口入学金が具体的にどうなっているかということを相当把握しておらなければならないはずです。いまのお答えでは、四十九年前も通牒を出した四十九年以後も、報告を承っておるという程度で、余り積極的に内容についての監査はしておらないというようにしか受け取れません。 そこで、一応文部省は裏口入学金というものを問題にしているわけですから、領収証はどう発行されていますか。
○政府委員(犬丸直君) 寄付金をどういう形で依頼し、どういう形で収納され、どういう形で受取等を出されておるかということにつきましては、大学によっていろいろなやり方をいたしております。それで一概に申せませんが、寄付の依頼自体を、いわゆる同窓会のようなものを通じてやっている場合、それから直接大学の理事がやっておる場合、その理事長からの受取が出る場合、あるいは銀行の口座に払い込むようにするとか、いろいろなやり方がございますので、一概には申せないわけでございます。
○加瀬完君 学校の受け入れ手続及び帳簿記載はどうなっていますか。
○政府委員(犬丸直君) 先ほど申し上げましたが、振興助成法関係のものにつきましては、財務書類を取っておるわけでございます。もちろん、その中に寄付納付金額も法人全体の収入として上がってきておると思われるわけでございますが、寄付金自体の収支の状況について、どういう帳簿でどういうふうに処理しているかというところまでの調査はいたしておりません。
○加瀬完君 あなたの方は、四十九年一月十七日付でこの問題で通牒を出しているんでしょう。通牒を出しているのに、その後内容がどうだという細かい調査もしなくては、通牒の趣旨はさっぱり徹底しないですよ。 じゃ、端的に聞きます。寄付納入者だけ入学させるということにもなっていないですか。
○政府委員(犬丸直君) 寄付というものは、あくまでも自主的な任意的な寄付であるという前提でございます。
○加瀬完君 いいかげんなことを言っちゃ困るよ。
○政府委員(犬丸直君) でございますので、私どもは寄付納入を条件としないということを指導いたしておりますので、寄付納入者だけ入学させるというようなことにはなるべきでないと考えております。
○加瀬完君 なっているか、なっていないか、帳簿上あなたの方は監査権があるんだから、監査してそういう事実がなかったということをはっきり言い得るのかどうか、こう聞いているんです。
○政府委員(犬丸直君) そういう意味の監査はいたしておりません。
○加瀬完君 あなたの方では、裏口入学金というのを行っている、これは直してくれなければ困るという通牒を出しているんでしょう。したがって、そういう事実があるかどうかというのは当然、あらゆる方法で内容調査という義務があるはずだ。これは後で触れますが。それじゃ、合格発表前に寄付の打診をして、それによって合否を決定しているという事実はありませんか。
○政府委員(犬丸直君) そういうことはあるべきでないという前提でおりますが、絶対にそうではないと言い切る自信は現在のところございません。
○加瀬完君 四十九年一月十七日の通達はどういう事実を踏まえてお出しになったんですか。いまあなたがおっしゃるようなことなら、そんな通牒を出す必要はない。具体的に裏口入学金というのが行われているから、これは学校でも反省してとめてもらわなきゃ困るという通牒じゃないんですか。そういう事実を認めたから、文部省はそういう通達を出したんでしょう。いまになって、何だかそういう事実のないみたいなお話をされては、文部省は一体このことについてどういう指導しておったのか、その誠意を疑いたくなりますよ、はっきり言ってください。
○政府委員(犬丸直君) 私どもそういう事実はないということは申すことはできません。ただ、そういうことがあるという疑惑が非常に世間的にございますので、それを払うために、決してそういうことのないようにということで再々にわたり指導いたしておるわけでございます。
○加瀬完君 裏口入学金というのは文部省認めているんでしょう。四十九年に認めたんだ、裏口入学金があるということ。裏口入学金は寄付金か。あなたは寄付金だ、寄付金だ、任意性だと言うけれども、金を納めなきゃ入学させないというのは任意性はないじゃないですか。強制的寄付金、納付金です。強制的納付金ですよ。こういう納付金を納めなきゃ入学できないという表示も、事前の相手方への通達もなくて行われているわけです。入学はさせる、金を納めろ、本入学を決定する。 大臣いらっしゃいましたので、これは通常いままで学校の経営上考えられておった良風美俗に反するとは思いませんか。金がなきゃ入れないということはいままで日本の学校にはなかった。金がなきゃ入れない、これは明らかに良風美俗の破壊です、そうはお思いになりませんか。
○国務大臣(海部俊樹君) ただいまの御議論の中で、私は、必要以上の入学金が入学の条件のような形で扱われておる面に関しては、これは教育の機会均等という面からいいましても、選抜の公正を期するという面からいいましても好ましいことではないと考えておりますので、その是正は、四十九年の通達、その後のいろいろな経過そのものがまだ完全に私立大学側で守られておらなかったという点も率直に認めなければならぬわけでありますから、現在そのことについて、特に最近起こりました例等も踏まえて、二度と再びこういうことをしないように、私立大学歯科、医科のそれぞれの協会側にも強くこちらの気持ちを伝えて、ぜひきちんと文部省の通達している線は守ってもらいたい。 それについては、大学ですから余りその経営に干渉するとか、大学の自治の問題等もございますので、でき得れば大学側が国民の皆さんが納得するような自主規制と申しますか、自立の能力できちんとしたものをつくって守るという体制を明確にしていただきたい、こういう基本的な気持ちで臨んでおるわけでございます。
○加瀬完君 では大臣は、このような行為は、学校運営のため当然の秩序維持の行動とはお認めにはなりませんね。
○国務大臣(海部俊樹君) 私立大学が経営のために非常に多額のお金が要るということは、いろいろな角度から議論されておりますけれども、それを解消するための方法というのは、学校側の努力とか、あるいは国側が皆さんにもお願いをして予算に計上させていただいておる経常費の助成とか、あるいは私学振興財団がやっております長期低利の融資とか、いろいろな政策努力でもって解決をしていかなきゃならぬ問題でありまして、こういうことを行われるのが当然だという受け取り方は私はしておりません。
○加瀬完君 局長でも結構ですけれども、民法の九十条には「公ノ秩序又ハ善良ノ風俗ニ反スル事項ヲ目的トスル法律行為ハ無効トス」と、こういう条件がありますね。この民法九十条の違反行為、こういうふうに見られませんか。
○政府委員(犬丸直君) 広い意味におきまして、大学の入学許可というものは、片っ方は私立学校でございますし、私人対私人の契約であるということで、いわゆる民法の規定が適用になるということはそうであろうと思います。ただ、この場合の寄付金の問題が、いわゆる公序良俗に反する契約であるという民法の規定に当てはまるものかどうか、これは一概には言えませんで、やはり個々のケースと、それからそれに対するそれぞれの場合における法律適用の問題について、かなり専門的な判断を必要とするのではなかろうかと考えております。
○加瀬完君 それは民事訴訟になれば専門的な知識や問題になりますけれども、そうではなくて、少なくも裏口入学が公の秩序または善良の風俗になるとはこれは認められないでしょう。だから通牒を出したでしょう。裏口入学はけしからぬ、やめなければならないというお考えには変わりがないでしょう。その検討の中で、民法九十条の問題にもあるいは触れるのではないか、こういう検討をされましたか。
○政府委員(犬丸直君) そのやり方が非常に何と申しますか、強制的にわたるようなもので、無理強いして納めさせるというようなことがあるとすれば、それはやはり民法九十条に触れる場合も起こり得るとは考えます。
○加瀬完君 こういう事実はどうござんになるんですか。客観的に新聞紙を借用いたしますと、「裏口入学金天井しらず」、総額七百億、「上は三千万円以上 平均千六百六十七万円 文部省が実態初公表」、文部省がこれをお認めになって発表されたわけですね。これ、学校のやっていることですよ。やみ屋がやっていることじゃない。これに対策がそんなあいまいなことで済まされますか。
○政府委員(犬丸直君) ただいまお示しの数字は、私どもが調査の結果を発表したものでございます。それで、この寄付金の全部がいわゆる強制にわたる裏口の強制寄付金であるかどうかということについては、問題であろうと思います。しかし、この事実の中には、いま先生の御指摘になったような強制にわたるんではなかろうかという疑惑を持たれる面もあると考えられますので、いま大臣からもお答え申し上げましたけれども、いろいろな方法でもってその是正については鋭意努力をいたしておるところでございます。
○加瀬完君 先ほども触れましたが、四十九年一月十七日、文部省管理局長並びに大学学術局長の連名で、文管振第五十一号というものを出しておりますね。この通達はどういう事情とどういう目的でお出しになったんですか。
○政府委員(犬丸直君) 入学時の寄付金が往々にして強制にわたるという世間の疑惑があります。したがいまして、そういったものを晴らすために、大学側の自粛を求めるというためにこの通達を出したわけでございます。
○加瀬完君 世間のうわさでお出しになったんですか。あなたの通牒には、「寄附金の納入を条件として入学許可を行うことのないよう」、こういうことが書いてありますね。だから、通達の内容には寄付金の納入を前提として入学が許可されているという事実があったということでしょう。うわさだけでお出しになったんですか。
○政府委員(犬丸直君) これは絶対的な意味での証拠をつかんでのことかどうかはわかりません。しかし、少なくともそういったものがあるということを疑わせるに足りる濃厚な事情かあったというふうに、そのためにこういうものが出されたのであろうと、私、当時在任しておりませんでしたけれども、そういうことであろうと推測いたしているわけでございます。
○加瀬完君 それでは、今度の文部省調査はあなたの在任中のことですね。それならば、寄付金が入学の条件であったかどうか、この有無ははっきりしていますね。これはどうですか。
○政府委員(犬丸直君) この調査も、行いましたのは私の在任前でございますけれども、そういうことは抜きにいたしまして、管理局長としてお答えいたしますれば、やはりこれはそういう状況を正確に把握するために大学側の協力を得て、もちろん私どももそういったものは強制でないということを指導しておりますし、強制でない寄付金であることを信じたい気持ちではございますけれども、とにかく事実どのくらいのものを集めておるかということを報告してもらったわけでございます。ただ、この中に強制にわたるものは一切ないかと申しますと、絶対、そういう言葉を言う自信はございません。
○加瀬完君 四十九年に通達を出して、その通達の浸透度並びに通達で指摘をした点がどうなっているかという調査が今度の調査でしょう。そして、最高は三千万円のものもあった、平均が千六百六十七万円だと言っている限りは、いわゆる裏口入学金という形で取ったものがどこの学校で何件あったかということがわかってなけりゃ調査にならないでしょう。あなたの責任を聞いているんじゃない、事実関係を聞いているんだ。調査の結果そういうことがわかったからここへ発表したんでしょう。
○政府委員(犬丸直君) これはもちろん個々の学校からの御報告をいただいたわけでございます。ただ、これは念のために申し上げますけれども、私学振興助成法に基づく資料の提出要求ではございませんので、大学側の協力を得て、個々の名前は外に出さないという前提のもとに調べましたものでございまして、しかも、その内容につきましては、金額が幾らであるかということでございまして、それをいわゆる裏口入学、強制的な寄付として取ったか取らないかという、これはもう私ども当然強制としては取ってはならないという前提でございますから、そういう意味において、このうちのどの部分が強制的な裏口入学金であるかどうかというような、そういう意味の調べはいたしておりません。
○加瀬完君 これは文部大臣、新しく御就任ですから若干説明を加えてお伺いをいたしますが、ただいま申し上げましたとおり、四十九年の一月の十七日に二人の局長の連名で通達を出しております。その中には「記」ということで、特にその3には、「寄付金の納入が入学許可の条件となるようなことはありえないことを入学志願者に明らかにすること。」、ということすらもあります。しかし、いまの局長の御答弁では、この通達「記」の効果というのはゼロ、こういうことになりませんか。通達を出しておって、二年間間があって、そして今度調査をしてますますひどくなったという実態がわかったにもかかわらず、その間の指導も不徹底であったし、今度の指導も不明瞭だという受け取り方を私どもはせざるを得ない。これをどうこれからとめてまいりますか、大臣に伺います。
○国務大臣(海部俊樹君) この問題はいろいろと複雑なやり方で潜行しておりますので、実態はつかみにくいと思うのですが、正直に申し上げて、入学の条件としておったのではなかろうかと疑われるような問題も事実あったろうと私は思っております。そういう疑いを解決するところから出発しなきゃならぬわけでありますから、通達が出てからしばらく時間がたっておるのにどういうことだという御批判は御批判として謙虚に承りますが、現在の段階に至って、やっぱりこれは改善のために一歩前進しなければならない、こう私も強く考えております。私立医科大学協会、歯科大学協会それぞれの当事者と担当局長と何回もこの問題について話をいたしますとともに、大学のことですから、権利とか義務とか、それから通達を守るとか守らぬとかいうことのもっと前に、大学が世の批判を受けたことに対してはみずから厳しい自主規制をし、自律規制をつくってもらったらどうかということで、ごく最近、これは三月の五日付でありますが、過日私がある座談会の場で直接私立大学の、私立の医科大学協会の会長、歯科大学協会の会長について、現在起こっておる、文部省の通達を守ってくれるか守ってくれないかという問題でいろいろ議論しました。 そのときに、協会側から自主的にもう一回、今度は協会の自発意思として各大学に、寄付金については入学の条件とすることのない点を明らかにすること、あるいは寄付金の取り扱いについては明瞭にし、その額についてはおのずから限度のあるべきことの節度を踏まえること、当然のことながら大学の経理の実態について疑惑を招くおそれのないよう明確にすることというのを、歯学も医学も、私立の協会が自分の傘下の学校に出して、この通達を守ろうという態度をいま示しておるわけでありますから、国民の皆さん方の税金を私学援助に多額に使われてもらっておる、そういう立場も十分踏まえて、厳しくこの線は守ってもらいたいということを私からも直接言いましたし、それから、局長との対談においてもそういったことを厳重に詰めておるわけでございまして、十分な関心を持ってこれは見守っていきたいと思っております。
○加瀬完君 私は、この問題は大学の自治に任せるという問題じゃないと思う。大学たりとも法律違反は犯せないはずです。法律に抵触するんではないかと、厳しくこの点は指導しなければならないという態度も私は文部省には不十分だというふうに考えられて仕方がありません。 そこで、担当の局長でも結構です。教育基本法の三条の一項には、社会的身分、経済的地位によって教育を受ける権利が差別されない規定がございますね。裏口入学金は明らかな経済的地位によって差別されることにはなりませんか。寄付金が出せるか出せないかで入学できるできないということは、明らかな経済的地位によって合否が決まるということでしょう。これは教育基本法の違反です。違反と言って言い過ぎなら、違反の疑いが持たれることである。これは国の法律であります教育基本法でありますから、まず文部省が、教育基本法に抵触するようなことであっては、認可、許可の問題も助成金も考慮せざるを得ないという、そういう伝家の宝力があるわけですから、あなた方の態度が教育基本法違反に抵触するおそれがあるという考え方があれば、もっと指導、助言も徹底できると思う。私のいまの指摘は間違いですか。これは明らかな経済的地位によって差別されていることになりませんか。
○国務大臣(海部俊樹君) 多額の寄付金を入学の条件としておれば、明らかに先生御指摘のとおりであります。そういったことは好ましくありませんから、それをやめてほしいというのが私の態度でございます。
○加瀬完君 大臣おっしゃったように、はっきりおっしゃっていただいてまことにありがとうございました。そのとおりであるとすれば、裏口入学金が事実行われているかどうかという調査は、もっと関係の局、課は厳重にしなきゃならないはずだ。これは犬丸さんの担当のところではないかもしれませんけれども、文部省としては、犬丸さんのお答えのように、あるかもしれないから、あったらそれはやめさせたいと、こんな悠長なことでこの問題が処理できる段階ではないでしょう、きょうは。
○政府委員(犬丸直君) 大臣からお答え申し上げましたように、多額な強制寄付金が取られているといたしますれば、明らかに教育基本法に違反するわけでございます。それで、私どもはそういうようなことのないように、一方では私立学校法であるとかいろんな法規の規定がございますから、私どもに許された行政権限の範囲内で、特に最近大きな社会的な問題になっておるわけでございますから、力を尽くしてまいりたいと考えております。
○加瀬完君 念を押しますようで恐縮ですが、裏口入学金制度というのが現存しているということであれば、それは明らかに教育基本法三条の一に抵触すると、こう解してよろしゅうございますね。
○政府委員(犬丸直君) おっしゃるとおり、強制的な多額な裏口入学金というものは教育基本法の三条に反しております。
○加瀬完君 仮定のことを言って恐縮ですが、反している事実があるかないか、これは調査をしてくださるでしょうね、今後もっと明確に。ありましたときは、どういう指導あるいはどういう措置を大臣としてはおやりになりますか。座談会でそれぞれの関係者に懇願をするというところでは、これは相済まない問題だと思う。
○国務大臣(海部俊樹君) 私は、単に当事者に懇願するのみならず、もう一歩前進しまして、これはぜひ疑いを持たれておるような、強制的に入学の条件とするような行為は断じてやめてもらわなきゃならぬ、こう思っておるわけであります。そのために教育行政の側においてもいろいろな助成措置を考えたり、あるいはその助成措置の中でも、私立の医科大学、歯科大学というものが経費がかかっておりますという実情は、これは十分認めておるわけですから、そのために一般文科系の学生には、一人当たり頭割り計算しますと大体五万六千円という年間の助成額の実績が出ておりますのに、医学には百三十万円、歯の方にはたしか五十四万円を超える分配もして、それほど配慮もしておるんですから、こういう行政側の気持ちも十分考えて、絶対に疑いを持たれるような入学の条件とする扱いはやめてもらわなきゃならぬ。事実をつかんでおるかとおっしゃると、なかなか巧妙な事実があるようでございまして、そして私どものところへいろんな話もありますけれども、どこがどういうふうになっておるかということは、実態は正直言ってまだつかんでおりません。いろんな報告は聞いておりますけれども、それも条件として字に書いてあるわけじゃなし。 ただ、私が一点言えると思うことは、学術、教育に対する寄付というものは、自主的にしていただく場合には、これは喜んでお受けすべきものだ。しかし、それが受験生と学校という立場に立って、しかもそれが強制力をつけ、入学の条件になるというときには様相が変わってくるわけでありますから、その点は懇願するんじゃなくて、こちらもできるだけのことをするから、あなた方も歩み寄って、絶対にしないというところまでやってもらいたいということで指導していきたい、基本的にこう考えております。
○加瀬完君 その将来の御指導の御腹案の中に、そういう裏口入学金は絶対にさせないと。そのかわり、私学運営の上で経費が要るということであれば、これは国家補助その他で考えてやる、こういうものも含めて、とにかく裏口入学金は全廃をさせる、こういう構想もおありと考えてよろしゅうございますか。
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のとおりの方向を私も考えておりますが、ただ単に私学振興助成法に基づく経常費の助成のみならず、たとえば、ただいま法案でお願いしておりますように、無医大県解消のために国立の医科大学をつくって、そして人口十万当たり百五十人の医師をとりあえず昭和六十年までに確保したいという目標を達成するための国側の医学養成機関というものについても、全力を挙げてやっていきますけれども、同時に、現在あります私学もやっぱり医師養成計画の中に組み込まれておるわけであります。経費がかかるということもわかっておるんでありますから、この点は国会の御審議にもお願いして、年々私学の助成という面、あるいは私学振興財団を通じての融資という面も、これはだんだん増大していくようにお願いをいたしていくつもりでございます。そういうことと並行して、大学側にも世間の納得を得るように、あるいはもっと明朗な形で寄付金の問題が認識されるように大学側にも態度を改めてもらいたい、こういう方向で指導していくつもりでございます。
○加瀬完君 それでは、第二の問題の、いわゆる乱塾時代と言われる塾の問題で若干伺います。 この間、文部省の御発表によりますと、学校で習うことがむずかしいので家庭では教えられないというのが三六・九%、学校の勉強だけでは進学に応じられないというのが二七・四%、塾では勉強に興味や関心を持たせるように教えてくれるというのが二五・四%ございました。これをある父兄は、こう判断をしたがと言って私のところに持ち込んでまいりました。学校教育には落ちこぼれがあるということをこれは言っているんじゃないか。第二には、入試制度も問題ではないか。第三には、学校ではわかるように教えてくれておらないということにならないか。こういう指摘をされて、そうではないと私も答えられませんでした。文部省は、この三六・九%、二七。四%、二五・四%ということについてどうお受け取りになりましたか。
○国務大臣(海部俊樹君) 塾の実態調査をいたしました結果については、先生御指摘のように、ただいまの公教育のあり方というものについてきょうまでいろいろなところから批判や御注意がありましたような問題点、そういったものが指摘をされておった。そして、私の受け取り方の基本から申し上げますと、第一は、いま先生おっしゃったように、落ちこぼれがあるということでございますけれども、落ちこぼれなのか落ちこぼしなのかという議論もございますが、確かに高校へ行ってまだ九々や分数のわからない人がたくさんいたという事実も報道されております。こういったことについては、知識の詰め込み教育ではないか、新幹線教育ではないかというような批判が、塾の問題と離れてまた別の角度からの御指摘もあり、昨年暮れ、教育課程審議会からの答申にもこのことが指摘されておるわけでございます。したがいまして、この問題に関してはいろいろな角度からの解決を考えなきゃならぬわけですが、文教行政が担当します問題について言えば、小中高等学校の教科内容というものを精選して、基礎的、基本的なことに限ってもう小学校で教えなきゃならぬもの、あるいは中学校へ行ってもいいもの、そういったものを精選いたしまして、教科内容というものをただ単に数を少なくするというだけじゃなくて、内容も精選する、そしてよく理解をしてもらうようにしなければならぬ、これが第一点、御指摘のとおりだと思います。 それから第二点の、入学試験との関連もまた進学塾を過熱させた一つの要素であると、私も同感でございます。それについてのいろいろな判断はあるでしょうけれども、私の率直な気持ちは、入学試験というものが、特に大学の入学試験というものが非常にむずかしくなってきている。難問、奇問というような言葉すら使われるようになってきました。とはいうものの、入学試験は入試地獄を解消して、じゃ入試極楽をつくるにはどうしたらいいかということは、これは不可能だと思うんですけれども、せめて地獄という面を取り除くためには、入学試験制度そのものの持っておる弊害をひとつ根本的に反省をしてみて、やっぱり高等学校で習いました教育課程を誠実に努力をしておれば、少なくともその範囲から問題が出るんだということをねらいとして、ただいま国立大学協会なんかが統一一次試験の問題等にも真剣に取り組んでもらっておるわけなんですけれども、そういった保証が与えられれば、進学塾で受験のための技術を身につけなければならぬという面はなくなっていくだろう。 また、わかるように教えてほしいということに関しましては、これはやっぱり教育は人なりと申しますが、現場の先生の御協力を得なければならぬ問題、むしろ教育というよりも、現場の先生そのものの創意工夫とか、熱意に期待をしなければならない点が非常に多いわけでございまして、この点に関しましても、どういうふうな教え方をしたらいいだろうか、どういうふうにしたらいいだろうかというようなことに心を砕いていただく態度がここで強く望まれるわけでありますけれども、そういった指摘された問題点、やっぱり公教育の側がきちんとそれらの問題を果たして、必要にして十分な基礎的、基本的なことを学校教育の段階で教わるようにしてもらうならば、塾のこういった社会的な批判を受けるような過熱した状態、存在というものはなくなっていくのではないか。こういう角度からこの問題は解決に取り組まなければならない、基本的にはそんなことを感じました。
○加瀬完君 こういう数字を御記憶ですか、一〇〇対ゼロ、八〇ないし九〇%。——これは国立教育研究所の学力白書、学習到達度の報告によるものです。一〇〇対ゼロというのは、高等学校は平均点百点の学校と平均点零点の学校がある、こういう学校差というのが非常に大きくなっている、こういう報告です。もう一つ、八〇ないし九〇%というのは、中学校で調査をした数学はいやという子供が八〇ないし九〇%あった。さらにつけ加えるならば、学校がおもしろいかという調査では、小学校では二三・五%が学校おもしろいと言っておったのに、中学校では八・七%しか学校おもしろいという答えが出てこなかった。そしてさらに、なぜきらいになったかというと、内容がおもしろくない、こう答えている。それはいま大臣のおっしゃるように、教育課程の問題、教科書の問題、それから先生の教え方の問題、こういうことがいろいろあろうと思うんです。 そこで私は、文部省の新大臣になってひとつ御反省をいただきたいと言おうか、新方針に改めていただきたいと思うのは、教育というのは一体何た。教育というのは、教育する者が教育される者との精神作用を媒介する活動ではないか。先生と生徒のつながりというもので初めて教育というのは、特に義務教育においては発展をすることになるんじゃないか。教師というものをもっと重視さるべきではないか。したがって、大臣の御指摘のように、わかるように教えてもらいたいということなら、わかるように教えるように教師が動いてくれなきゃどうにもならない問題だ。 ところが、いまの教育制度というものはそう教師が動こうとしても、いろいろのたくさんの他律か教師自身の行動というものを束縛しているじゃないか。教師自身をもっと——教師の良心に任せる、他律はなるべく排除する、少なくも教育行政というのはこうあるべきだと思うけれども、その逆である。ここに私は、本当に教えたくても教えられないところの問題があるということに、大臣の御指摘のように、先生が本気になって教えられる、そういう条件をつくるには文部省どうしたらいいかということに考えを改めていただきたいと思いますが、この点はいかがでしょう。
○国務大臣(海部俊樹君) 私も申し上げましたように、現場の協力を無視して教育は成り立ちませんし、教育は人なりと言われますのは、広い意味では教育関係者すべてを含むんですが、狭い意味に解釈すると、教壇に立っていただく先生の努力によって教育というものは大きく左右されてまいります。したがいまして、先生が十分能力を発揮してもらうためにどうしたらいいかという問題をいろんな角度からいろいろ考えるわけでありますけれども、結局、文部省の側においてまずできることは何であるかといえば、学校が、授業の中身がおもしろくなるかならぬかということも、これはちょっと見当違いかもしれませんが、現場の先生方の創意工夫によっておもしろくもなりおもしろくもならぬ点もありましょう。しかし、文部省が決めております基礎的、基本的な基準というものがそのおもしろさを奪っておるとするなれば、そこにやっぱり反省のメスを入れて、教科内容をきちんと精選をしていくという努力をしなきゃならぬのは当然であります。現在行っております学習指導要領の改定作業の中でも、これは現場の先生方の意見を十分に拝聴した方がいいというので、各教科ごとに十名を超える先生方の御意見等を聞きながらいまその作業を進めておりますのも、ゆとりのある、しかも充実した学校生活を築いていくためにはここからまず改める一つの問題点がある、こう認識しておるのでございますから、どうぞ御理解を賜りたいと思います。
○加瀬完君 この大学の学習というものと小学校の学習というものを比べればおのずとわかると思うんです。大学は勉強をしようと、しかもある能力の整備された者が入ってくる、しかし大学の教授は、極端に言うなら一時間講義をするために一日も二日も準備の時間というものがある。小学校は不特定多数、学校いやだという子供も集まっておる。それを教えるのに十二分な創意工夫を出さなきゃどうにもならぬのは大臣の御指摘のとおり。しかし、創意工夫を準備する時間というのがいまございますか。朝出勤して帰るまで授業の連続でしょう。その授業は十二分な準備をしての授業というものの、その準備の時間はありませんよ、こういうことが一つの問題点。 それから、人と人とのつながりですから、教師と子供が十二分に交遊をしなければならない。私も教師でありましたが、私どもは子供と遊ぶ時間というのは非常にあった。いまの教師は、教科を離れて子供と人間と人間の触れ合いをする時間というのほとんどありません。これをどう持たせるかというふうなことを教科課程とともに勤務の条件としてお考えいただかなけりゃ、塾の先生の方が学校の先生よりも親切だということは消えてこない。こういう点ひとつ御検討をいただきたいと思う。 時間がありませんから、少しはしょり過ぎますが、もう少し問題を進めさしていただきます。 いま大臣は、教育の主体は教師で、教育は人だということをお認めいただきました。ありがとうございます。ところが、いまの教育行政はそれならば教師の権威というのを認めているのか。教師というのは、教育というのは校長はできません、間接ですよ、教頭も。学科なり子供を受け持ってる義務教育においては先生が教育をするんでしょう。この先生の権威というものを認めるように教育行政はできておりますか。先生の人格的独立というのを認めなくて教師の教育の独立なんてありませんよ。しかし、いまはそういうふうになっていないでしょう。 具体的に私は申し上げたい。大学入試のことについてはいろいろと大臣御検討ですが、高等学校はどうですか。一日か二日のペーパーテストでその子供は合否が決まるわけです。三年間教えて、その子供の特質をいろいろ知っておるその中学校の先生の意見というものは、現状のペーパーテストでは何%も重視されません。これで人間の判定が正しくできるでしょうか。三年間苦労した、一番子供を知っているその先生の判定というのは、入学試験に何にも、加味されることが少ない。どうして、教師の権威というのを認めるというならば、それならばイギリスのように、中学校の校長の内申で高等学校の入試の大部分が決まるという制度を日本でとれないですか。三年間の評価が数時間のペーパーテストで覆される、こういうことであれば、ペーパーテストに向かって三年間の全部の教育が集中するということになるわけです。そして、その中学に入るために小学校六年間の教育も全部そこへいくわけです。そこでより効果的な塾なり家庭教師なりというのがはびこって、公教育の精神なり公教育の目的というのは、どこでも現状の義務教育ではそれのみをやるということを不可能にしている。文部省が教科課程決めて、教科書決めて、そういうことをやっておってはペーパーテストに間に合わないといって、全部文部省の逆を行かざるを得ないということをやってる、それが現状でしょう。これを直すには、私は、いきなり大学の入試制度というのはさっき言った大学の自治というのがありますからなかなかむずかしいけれども、助言指導で中学校の内申というものを重視するということは、高等学校の入試ですぐできることです。これを御検討をするというお考えはありませんか。
○国務大臣(海部俊樹君) 高等学校の入学試験に中学校の内申書を重視し、活用するということは、私はいまもやっておるんじゃないかと思いますが、詳しくは担当局長から御説明をいたします。
○政府委員(諸沢正道君) 高等学校の入学者の選抜に当たっては、学力テストのほかに、中学校からの内申書等の書類の内容を十分検討してこれを重視するようにということは、文部省では通知等も出しておりますし、それから、お言葉を返すようでありますが、毎年、県の高等学校の実施状況に関する調査報告を取っておりますが、五十年度の報告によりましても、この調査書の学習の記録と学力検査の成績を同等視したとする県が三十三県でございます。それから、調査書の学習の記録及びその他の記録と、学力検査の成績を同等視したという県が四県というふうになっております。さらに、学力検査の成績よりも調査書を重視したという県が八県というふうになっておるわけでございます。もちろん、その調査書の内容等についてどうあるべきかというような改善、工夫については、今後さらに研究すべき課題はあろうかと思うのでありますが、各県における選抜の基本的考え方ということにつきましては、ただいま加瀬先生御指摘のような点を念頭に置いてやっておるというふうに私どもは理解しておるわけでございます。 なお、この問題につきましては、もう少し加えさしていただきますならば、たとえば職業高校、水産とか商船とか、農業とかいう職業高校の入学については中学校の内申を主とした、いわゆる推薦入学制というようなことをやっておる県もございますし、また、その内申書のあり方について、単なる三年間の学業の記録のみならず、その他のクラブ活動等の記録についても点数化するような方向でこれをやりたいというふうに検討している県等もあるわけでありまして、いろいろの県におきましてそれぞれの県の実情等を考えながら、よりよき入試方法のあり方ということで努力はしておるというふうに考えるわけでございます。
○加瀬完君 努力は認めます。だけど、いまあなたがおっしゃっていることはあなたの願望だ、それは。事実はそうなっていない。なっているなら乱塾時代なんて称する、塾が蔓延して、学校へ行くよりも塾へ行く方が子供たちが熱心という現象は出てこないですよ。 もう一つ指摘をしたいですけれども、それならば、ペーパーテストの入学試験には無関係の教育が中学において行われるという学校が何校ありますか。いまあなたはクラブ活動と言った。クラブ活動なんていうのは、みんないなくなっちゃっていますよ、三年生ぐらいになると。それが実情でしょう。私の言うのは、ペーパーテストよりも中学校の学習の態度の方がより入学に重要であると、こういう慣行ができれば、中学の教育は皆さんのお決めになったような内容で徹底的にできる。しかしいまのように、結局ペーパーテストだということになれば、ペーパーテストをねらって乱塾時代はさらに続く、こういう形にならざるを得ない。 いま、塾ができたといっても、それは結構かもしれぬけれども、公教育が破壊されているでしょう、塾の乱立によって。そのもとはさっき申し上げましたとおりに、入試制度です。私、私立の学校へ行くなら、それは私立はそれぞれ個性があって、どんなむずかしい試験を出し、どういうふうな採用をしたってこれは構わないと思う。しかし、公立学校の入試が三年間の義務教育にかかわりなく大部分が決定されるということは許されることではないと思う。そのことが義務教育を破壊しているわけですから。これは幾らかやっているという県があるけれども、やっているというあなたのおっしゃる県のところで、塾がたくさんできているというのはどういうわけだ。 まあここで結論を出せと申しません。十分検討して、少なくともイギリスでやっていることを日本で参考にしてやれないということはないわけですから、もっと中学校の校長に中学教育というものに権威を持たして、高等学校の入試の決定権をある程度預ける、こういう線に沿って御検討をもう少しいただきたいと思う。大分よくいっていますということでなくて、さらに御検討をいただきたいと思いますが、この点はどうでしょう。
○政府委員(諸沢正道君) 御指摘のように、各県努力はしておりましても、現実に非常に入試のためのペーパーテストのための競争が激しく、また、準備をするという実態があることは否定できないわけでございまして、そういう意味で一層努力をしなきゃならないと思うわけでございます。 ただその場合、多少つけ加えさしていただきますならば、おっしゃるように内申書の重視というような意味における入試制度の改善というものもございますし、それから入学試験の問題自体の改善といいますか、現在の学校で習っておる水準内容のものをしっかり身につけておれば受かるようなペーパーテストといいますか、そういう内容の改善研究というものもございましょうし、それから先生ちょっと御指摘がございましたが、私立学校はそれぞれの校風があるのであり、どういう試験をやろうと構わぬということでございました。しかし、それは確かに学校のたてまえとしてそうでございますが、私ども今回の塾の調査などを見ますと、やはり特定の私立の中学校、そしてそれに通ずる高等学校というような存在、それがいわば上級学校の進学を主としたねらいとするような高等学校にどうしても集中しがちだというようなことから、そこへ入るためにどうも勉強をしているというような点も見受けられるんじゃなかろうかというふうにも考えられるわけであります。したがいまして、入試の問題は、先生が御指摘になりました点も含めまして、さらに私立学校等の協力も得てやらなければならない問題ではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
○加瀬完君 これで質問終わります。 先ほども最初にお伺いをいたしました裏入学金の問題は、まだ十二分な調査も届いておらないということでございましたので、いずれかの機会に十分な調査の結果を報告をいただいて、その折また質問をさしていただきたいと思います。四十九年一月十七日の通牒内容が五十一年になりましてどういう実態になっているか、裏口入学金の存在の有無ということをもう少し厳密にお調べの上報告をいただきたいと思います。 以上で終わります。ありがとうございました。
○政府委員(犬丸直君) いまの実態の究明に努めておりますが、裏口ということでございますが、裏口でやりますからなかなかつかみにくい点もございますので、できるだけのことは明らかにいたしたいと考えております。
○加瀬完君 つかみにくいというのはおかしいですよ。ある程度目星があったから通牒を出したわけだから。それで二年間たっているのだから、つかみにくいので何も出ませんでしたという答えは答えにならない。十分御調査をいただきます。
○政府委員(犬丸直君) できる限りの調査をいたしまして御報告いたします。
○加瀬完君 できる限りというのはおかしいです。私の方で通牒を出せと言っているのではない。あなたの方で、こういう事実があるからおかしいという通牒を出している。通牒の事実がどうだかという調査をして、頭は三千万だ、平均は一千六百万だということを出したわけです。そんならその中がもう少し調べれば出てくるわけだ。裏口入学金というのをどこの学校にどれだけあったと、こういうことをはっきり出していただかなければこの問題の結末はつきません。これは希望いたして、質問を終わります。
○委員長(鈴木力君) 午後零時四十分から再開することとし、暫時休憩いたします。 午前十一時四十分休憩 —————・————— 午後零時四十五分開会
○委員長(鈴木力君) ただいまから決算委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○野口忠夫君 四十八年度の文部省の決算を審議する決算委員会の質疑でありまして、各年度にわたって多額の国のお金を使って、そして教育を推進してまいったわけでございましょうが、今日の教育の現状を見ますと、多額の費用を使った教育の努力の効果が確実にあらわれているとは見ることのできないような五十二年度を迎えていると思うんであります。 ことしは教育基本法が昭和二十二年の三月三十一日公布以来三十年の年に当たっているわけであります。今日の教育の荒廃を憂え、教育の見直しを求める声は国民の世論となって高まっていると思われるのでありますが、今日のこの現状の上に立って当面処理しなくちゃならない問題は、先ほどから大臣の答弁にもあるように多々あると思いますけれども、戦後日本の民主教育の原点に立ち返って三十年間の民主教育の歩みを見直してみる。その問題を広く社会に問うこともまことに大切であろうと思うし、今日の時点ではむしろそのことが大事ではなかろうか。いろいろな問題の前に立って当面処理しようと御努力をなすっていることをわれわれも了承いたしますけれども、その御努力が果たして国民の期待するような方向で解決していけるかどうかについて、民主国家、平和国家をつくり上げるための憲法の理念の定着を求められた教育の推進ということに当たって、まことにこれはいま大事なことではないかというふうに思うわけでありますが、この際ひとつ、教育基本法制定三十年の記念というようなことで、こうした見直しをするための国民的な大きな高まりというようなものを求められるべきではなかろうかと思いますけれども、このことに関して文部省としては、何か具体的なそういう意欲を持たれた計画がおありになるかどうか、大臣にお尋ねしたいと思うわけであります。
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のように、新しい学制が始まって三十年目を迎えるわけでありまして、戦後の六・三・三・四の制度の中で九年間の義務教育が広く行き渡ってきた。高等学校も進学率が非常に高くなってきた。大学の進学も多くなってきた。私は、教育が国民の間に普及してきたその三十年の足跡は、国民の皆さんとともに評価していただけるものと考えております。 原点に立っては、量の拡大よりも質の充実ということに現時点では眼を向けまして、それぞれの段階において起こっております問題点をきちんと改善をして、教育基本法が示しておりますように、教育の目的は、人格の完成を目指して心身ともに健全な日本国民を育成するという大きな理念のもとに、過ちない施策を続けていきたい、こう考えておりますが、先生御指摘の、特に何か行事その他を考えておるかというお尋ねに対しましては、せっかくの御発言でございますけれども、ただいま具体的にこれをやろうという行事のようなものは用意いたしておりません。
○野口忠夫君 文献等によりましても、教育に関する基本法というようなものを持つ国は、諸外国では余り見られないようでありまして、独特なものであろうというふうに思うわけですが、それがないということが必ずしも、ほかの国にはないのに日本だけがあるということで自慢されるようなことでもないのではなかろうか。いわば、こういう基本法的なものを必要としなければならなかった日本人的条件、教育基本法の制定にはそういう日本的な意義が含まれていると思うわけでありますが、御承知のように、日本の教育というものは、明治憲法の中にあっては、国会というような場において審議される法律等によって教育を動かすということはなくて、すべて教育の問題は勅令というような姿で行われてきておったわけであります。そういう体制から新しい戦後の改革というのは、教育の問題を国会の場に持ち込んで、国民全体の中で教育が論議されて法律化されて、そして推進されるのだという、まさに諸外国に例を見ない体制的な変革を戦後において行った原点であるわけであります。 このことは、教育基本法というものは制定されることによって完成したものではなくて、そういう目標に向かって、教育というものは常時この目標を実現するための完成への努力をしていかなきゃならない目標である。それが日本的な意義として教育基本法が制定されたものとして持っているんではなかろうか。ですから、教育基本法というものが少なくとも日本の教育を進めるに当たっては、常に教育行政の傍らにこの基本法が存在して、その目標と今日的状態の間とを常に考えながら進められるべき一つの教育の運動的な目標としての基本法を持っている。決して完成したものではないものとして存在している。われわれがいま努力すべきことは、その完成に向かっての努力である。その動き、その力、それが今日の民主教育である。 こういう考えの中では、基本法制定三十年の意義というものは、私は心の中でわかっていますけれども、大事だと思っていますと自分がおっしゃっても、それがあの下の地域の国民の一人一人に、これが日本の教育なんだ、この教育によってわれわれはより幸せな社会に生まれていくんだという、そういう全体の国民のレベルというものがこの制定の目標によって高められていくようなものでなければならぬと、こう思うわけであります。 いわば国民全体がこの目標に向かって協力し合い、進め合っていく、そういう目標として教育基本法があると私は考えておるものですから、先ほど申し上げましたように、五十二年は教育の年だ、三十年をひとつ見直してみてこの辺でやろうじゃないかという情熱的な、文部省全体を挙げて、地方教育委員会全体を挙げて、今日の当面する問題に対しての国民的な解釈の態度をどうするかを高めていくような方向で、これは何かが欲しいというように思っていたわけですけれども、大臣はわかっておると。私は、大臣はもちろん憲法を尊重し、教育基本法を尊重する立場で現在要職にあられると思うわけですから、そういう何か国民全体としてことしはこういう年なんだという中で高めていくようなものをこれから御計画になって、ひとつことし一年それでやろうじゃないかというようなことをお考えにはなりませんか。
○国務大臣(海部俊樹君) 先生お話しのお気持ちはよくわかるのでありますし、また現在、私たちもその精神を曲げないように、それを忠実に守りながら、そして現在改善が必要だと各界から指摘をされ、また、改革の芽が出始めておるものを取り上げてやっていこうということでありますから、毎日毎日がその気持ちで前進をしておるわけであります。当面、面前に抱えております学習指導要領の改定作業にしても、大学の入学試験制度の解消の問題にしても、これらのことはやはりそういった一つの三十年目という曲がり角に立って、よりこの精神に近い教育に方向を近づけていきたいと思って、一つ一つをそういう精神で努力しておるのであります。せっかくの御提案でございますが、現在は何も行事の計画等がございませんけれども、そういう気持ちそのものはもう十分理解をして、先生のおっしゃるような方向で毎日取り組ましていただいておるところでございます。
○野口忠夫君 この問題ばかりでやるわけにはいきませんが、どうもその辺が、文部省的立場において物の判断をなさる中で一生懸命やっているのだと。 大体、今日のような教育の荒廃が叫ばれ、国民全体がこの問題に対して大きな悩みを持ち、文部省に対する解決の方途をまさぐってほしいという願いも強いと思うのですけれども、戦後における新しい分権制度としての地方教育委員会という制度の中から、何か大きな運動として盛り上がってくるような意味での文教政策というのはどうも見られないようなのです。常にすべての問題一切を文部省だけが抱えて、文部大臣一人で背負ったような姿でこの問題の解決だけを下に流していくような、上から流して下で受けとめてもらうような方向での文教政策が進んでいて、地方教育委員会の皆さんから民主的な、自主的な日本文教政策に対する発言というようなものが、私は新聞紙上等においても余り見たことがないわけであります。上から流していく流れの中にぴしっと下の方がおさまっているようなかっこうになっていて、何か五十二年度で、私が言っていることは、そういう下から沸き上ってくるようなものの支えがない教育というものは、結果的には本当の意味での教育としては成功していかないのではなかろうか。問題に当面する、それを具体的に取りこなしていく、そういう問題について、下から上に上がってくるという姿がどうも私は見られないように思うのです。 本日の新聞で、東京都の教育長から、六・三・三制の制度を改めない限りは今日の教育の荒廃は打開できないというような、文部省の意図されておる「「薄い教科書」政策に挑戦」というような見出しで、東京都がこういうことを発言しているようでありますけれども、「要職にある教育行政者が、現行の学制制度を公式に批判したのは、これが初めて、」と書いてあるわけです。地方教育委員会を担当して正規に分権的な姿において責任を持つ地方教育委員会がこうしたことにおいて発言したことは戦後において初めてだという、こういう書き方をされて新聞は報道されているわけでありますが、こういうような意味で何か文部省でのみ悩んで、それを下で受け取ってくれることだけが教育の振興になるかどうかということについて、はなはだどうも納得できないものがあるわけなんであります。私の申し上げている、五十二年度を教育基本法の年としてはどうかということを、教育基本法を推進するという立場で文部大臣がそれを一生懸命やっているということの中では、そうした面が欠けてはいないかと考えられるわけですけれども、この問題についてはどういうふうにお考えでしょうか。地方行政組織教育委員会制度に対する文部大臣の姿勢というようなものをお聞きしたいわけです。
○国務大臣(海部俊樹君) 地方の教育委員会の制度につきましては、やはり地方の教育の直接の行政面の基本を決めていただく大変重要な仕事を分担していただいており、これが当初スタートいたしまして以来、いろいろな変遷はあったことを承知しておりますが、現在においても、地方の各界の代表の方々にそれぞれ御協力をいただきながら、教育行政の基本的なことを決めておるのが地方教育委員会であると、私はこう理解をいたしております。 また、先ほど御指摘のありました東京都の教育長の六・三・三四の問題に対する発言につきましても、私どもも六・三・三・四の問題について、これはこれで全く間違いがないんだから、未来永遠にこれで行くんだというかたくなな態度をとっておるわけではないのでございまして、それに問題点があったり、あるいは改善をしなければならないようなことがあるとすれば、それはどんなところなんだろうかと、そういう絶えず調査研究をしていくという基本的な対処の姿勢は続けておりますし、そのために研究校を指定していろんな実験といいますか、実習といいますか、そういう問題点の浮き彫りになるようなことを調査をしておる。そういうことは続けておりますけれども、しかし、制度の根幹に触れる問題でございますので、それを手のひらを返したように直ちに、じゃここが悪いからこうするんだ、区切り方をこう変えたらこうよくなるんだという、そういう結論はもちろんまだ出ておらぬわけであります。それよりも、当面目の前に各界からの御批判がいろいろあって、ここはこの問題、この段階ではこれが必要だということが随時出そろってきております。 私が、昨年の暮れに前文部大臣から職務の引き継ぎを受けますときも、初等中等教育においては教育課程の改善の問題、それから大学の入学試験の制度の改善の問題、それは関連をして高校の教育内容の改善の問題にもつながってまいります。それから学校間格差の是正の問題、これは私学の問題とか地方の国立大学の整備の問題とか含んでのことでございますが、最終的にはやっぱり社会の受け入れ体制、現在の社会の仕組みというものの中で学歴が必要以上に幅をきかせ過ぎておる、これも問題点である、当面の手をつけなきゃならぬ四つの問題点の指摘等も受けておるわけでございます。 そういった面をあるべき方向に正していけば、現在六・三・三・四の中で指摘されております問題、たとえばきょうの東京都の教育長の御発言の中にも、私は新聞を読んだ程度しかまだ理解しておりませんので、これに対してコメントするのはいかがかと思うんですけれども、前期中等教育と後期中等教育の教科内容に一貫性を持たさなきゃならぬという点は、これはわれわれも率直にその必要を認めておって、今度の学習指導要領の改定の中にもその精神は生かしていこう、あるいは大学入学試験の制度がきちんとわれわれが願っておるような方向に改善されていくなれば、高校生活の三年間というものの意味もまた変わってくるだろう、こういう判断等もございますので、当面はその出かかっておる芽を大事にして、改革の方向に持っていきたいという姿勢で基本的には取り組んでおるつもりでございます。
○野口忠夫君 この問題提起に対する議論は追ってなされると思いますけれども、私は、いろいろ日本の文教政策について地方教育委員会というような制度が、分権的な立場でこうした問題を大胆率直に提示して国の文教政策に寄与をし、これを批判し、反省を求めながらそれに一生懸命になっていくという、下から上に芽生えてこようとするようなそういう体制づくり、これが一番民主教育を徹底させる根幹であろうというように思うんですけれども、従来までの文教行政というのは——現文部大臣は大変ごりっぱでいらっしゃいますけれども、従来までのやり方の中にはどうしても私は、今日の日本のこの荒廃の原因が一つは国家主義にある、もう一つは能力主義にある、もう一つは学校の管理主義にある、これが三十年の歩んできた学校の最後にいまたどり着いた今日の荒廃の原点をなしているのではなかろうか。これを改めていく力というものは、みずからが自分でやっていける力を自分で持つということ以外には真の解決の方法はないと思うんです。文部大臣が何ぼ骨折っても、早稲田大学に十五万人入学しようとしたという生徒を全部入れてやるわけにはいかないだろうと思うんです。その問題を単に入試制度をいじくってだけいたんでは、私は問題の解決にはらないというように思わざるを得ない。 教育基本法には、勤労と責任の立場が書かれてあります。何か学歴社会の中で、学校さえ出ればいいという中で、時間がないんですけれども、ある学校の校長の話を私例を引きますが、たまたまその学校の給仕さんが病気になって学校を休まれた。その休まれた後を校長が受け持ってやってみたところが、薄給な低い立場に立っている給仕のやっている仕事というものは全く驚くべき量であったと。給仕がいなくなった後自分がやってみて、一人の学校の給仕さんのやっている勤労の努力というものはその学校の教育の中で相当の部面を占めたということを感じて、以来、その給仕さんには名前を呼び捨てにすることをやめて、「さん」という言葉をつけることにしたという。この人間が生きていく中での勤労、それと責任、基本法はこれを教育の基本としてやりなさいと求めているわけです。十五万人の大学に入ろうとする生徒にいま求められるものはそうではなかろうか。 古い言葉ですけれども、「職業に貴賎の別なし」というような言葉がございます。都衛生局で一生懸命清掃に従事しているところの方々の努力、それによって東京都の環境は整備されるということになれば、本当の意味での人間教育というものがこういうものの中から生まれてこない限り、十五万人の早稲田大学の入学志望者を大臣がどんなに骨折っても、この志望者を減らすわけにはいかないだろうし、問題は、そういう点を考えますと、何かいま福田総理の所信表明の演説ではございませんけれども、人間的な一つの転換の方法を求めなければならぬという、国の施設方針の中での教育の転換というものについて大きな期待を持っている中で、今年度の教育基本法の三十年の意義がある。この意義を何らか文部省は持って、国民全体のものとして、そして日本の民主化と国家憲政のために努力するような方向にこれから逐次努力していくことをひとつお願いしたいというように思うわけでありますが、時間がありませんのでこの辺にします。 それから、塾の問題について。 これは非常に問題が出ているわけでありますが、文部省の調査によりましても、昭和四十三年ですか、教育課程が改定されてから五年間の間の伸び率は、前年の五年間と比較して約二倍の増進ぶりだというようにうたわれるほど激増をしている。大臣はこれを望ましい姿とは思わない、こういうふうにおっしゃっているわけでありますが、この塾の問題について、一々お金を取ってやっているという塾の状態があるわけであります。これは義務教育制度の中で一つのお金を取るという姿は、憲法に規定されている義務教育無償の精神とは反するように思うわけでありますが、大臣はどう思うか。 それから、前々から聞きたいと思っていたら公明党さんの方でお聞きになられて、学校の現職の教員が塾の教師を委託されてやることについては、教育委員会の許可を得ないでやった場合は地方公務員法違反だと、これは公明党さんは後から御質問があると思うんです。これに対して自治大臣の見解があったわけでございますが、私も前々からお聞きしたいと思ったものですから、文部大臣にこの際その見解をお聞きしておきたい。塾の問題についてこの二点、ひとつお教え願いたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 塾がこういうような状態で非常に過熱をして、それが社会の各界から批判を受けるようになっております現状は、これは決して好ましいものではございません。そして、塾が個々別々にお金を取っておることに関してどうかということでございますが、これはお金を取るから悪い、お金を取らなければいいというよりも、むしろ公教育の方が何か私は批判を受けておるという受け取り方をいたしておりまして、こういった塾の姿というものが、だんだん公教育が責任を果たすことによってこの状況がなくなることを願いつつ、施策を進めていきたいというのが基本的な取り組み姿勢でございますので、そのためにただいけない、いけないと言っておるだけでは手探りになりますから、全国の実情をきちんとまず把握をいたしまして、よって来る原因はどこにあったか、根本的にはどこに手を入れたらいいかということをまずきちんと打ち立てることが塾に対処する一番大事なことだと、こう考えて取り組んでまいりました。御質問の、御指摘の、お金を取ってやることはこれは義務教育の面から言ってよくないことでありますし、また、塾の過熱した状態もよくないものでありますし、これは、根本的ないろんな施策を積み重ねることによって直していきたいというのが基本の考えでございます。 二つ目の、地方公務員法違反云々の問題でありますが、これはしかつめらしく権利義務で法律的な問題をたどっていきますと、任命権者の許可を得なければならないということに法律はなっておりまして、法律的には認可を得ないでそういうことをやれば、それは法律違反になるわけですけれども、法律違反になるかならないかということよりも、むしろ先ほどのこの委員会の御質疑にもございましたように、やっぱり公教育の先生がそういうところへ時間を使っていただくということも好ましくないわけであるし、また、公教育そのものがそれの発生によって批判を受けておる問題でありますので、違反でもございますし、また、強く自粛をしていただきたい、法律違反とか何とかの問題の前に、自粛をしていただきたいというのが私の基本的な考え方でございます。
○野口忠夫君 大臣のお考えはまことにごりっぱだと思います。しかし、これ法治国家ですから、法を犯している問題を許すわけにはいかないと思うんですが、確かに公教育の面に対する批判のあらわれとして出てきたから、公教育の面でひとつその批判にこたえるような努力をして、なくなるようにしていかなきゃならぬというお気持ちはわかるんです。しかし、そういうものがあることによって、はやりみたいになって入っている部面もあるわけですね。そういう部面もあるわけでございましょう。そこで、数多い何人かの子供たちに異常な進学競争ということの条件の中で、親からお金を取ってやる塾というものが年々増加している、こういう状態は何らかのやはり規定された法的な問題の中での解釈がなされてしかるべきではなかろうか、こういうふうに——ただ、それだけで問題を解決しようとするのではないということについてはよくわかりますけれども。 それから、現職教師のこの問題などにつきましても、無償でやっているような塾教育ならまだこれは差し支えないですけれども、何らかの手当をもらっているということになりますと、これはやっぱり法のたてまえから非常な混乱がくるのじゃなかろうか。あっちでそういうことをやっているのなら何をやっていいんだから、こっちでひとつ自動車の運転手でもやって金をもうけようかなんということになっては大変でしょう。何となくその辺が割り切れないものが残るわけですから、十分御検討願わなければならぬじゃないかと思うんです。公教育の反省という問題でこれから考えていくということでございますけれども、私は、パブリックスクールと言われる公立学校というものは、法によって定められ、辞令によって動いていく教師というもののあり方の中では、どうもやっぱり官僚主義化する傾向というものは避けられないだろうと思うんです。そのためにある限界が公立学校にはくるわけですね。教育基本法は、それをそうあってはならない、公の法律によって定められた学校ではあるけれども、いまの学習塾が発生してくるような土台、この土台を公学校は受け持たなければならぬということを言っているのが教育基本法にいう目的ではないかというふうに思うわけであります。 法に定めた公学校だけで言えば、これは月給をもらって働くだけですから、それだけで過ごしてもよい一つの官僚主義的な傾向が生まれるということがあると思うんですけれども、いま塾が非常に伸びつつあるというのは、公立学校における人間的なそういうもののつながりというものが塾よりは浅いという中で、皆さん方の御調査になったなぜ塾に通わせるかというその御意見の中にも、大変丁寧に教えてくれるとか、おくれている者を救ってくれるとか言うておりますが、要は、一人の教師が数少ない生徒に体を接し、心を触れ合いながら教育をやっている学習塾、この塾の祖先は松下村塾ということになりましょう。明治維新を動かした塾になるわけでしょう。 この塾に寄ってくる精神というものは、いまある塾の中にもいろいろあるようでございますけれども、親たちがこの塾に寄ってくる基本的なものにはそういうものがある。公立の学校ではあるけれども、この学校の中に人間を人間として温かく抱えていこう、ともに悩み、ともに苦しもう、一人の人間の持っている神様と悪魔と住んでいるこの矛盾というものを、子供のそれに悩んでいるその姿に同情して、みずからもその矛盾と悩んでいることを訴えながら、子供と一緒に育っていこうとするような人間的な触れ合いの中でやはり塾というものの存在はあるわけでございましょうが、文部大臣、私は塾をこれからなくしていきたいという願いはよくわかりますが、それを公教育の立場でやるとすれば、学校というものを管理職体制の中に置くということをやめていただかなければいかぬじゃないかということを言いたいんです。 ある一定の方向の枠の中で、これからはみ出すことを許されないようなきつい枠の中にはめ込んだ下で、いま私は学校に行ってみて、やっぱり個性のある学校というものを最近本当に見ることが少なくなった。その学校には校長先生がいて、教員がいて、それぞれ特殊の事情を持った子供たちがいるにもかかわらず、その学校に何か特色のある個性というものがない。一枚の紙、テストペーパーを相手にして、ひたむきに子供たちに点数の評価に向かって邁進させているような一連の学校教育の流れがあるわけでありましょう。 学校の評価などにつきましても、高等学校でよい学校というのは、東大の入学率のよい学校がいい学校と言われております。県内であそこの学校、ここの学校という評価をする場合に、東大に何人入ったかということが評価の基準になっておる。それを有名校の材料にして子供たちを集めるような傾向がなきにしもあらず。文部省はそうした学校に対しては、非常に教育の成績が向上した学校と見るような指導があってはならないし、そういう過ちを犯してはならないと思う。何か試験の上にあぐらをがいて、その上で学校の評価などが生まれてくるような状態がある限り、入試制度を改めるなんというおこがましいことはできないのじゃなかろうか。もっと現場の教師が子供たちと密着しながら、今日生まれつつある塾の土台となっている気持ちというものを自主的な自由な中で公立学校の教師が持てるような、そういう学校の現場の指導というものを増進していくことをひとつこれはお願いしたいというように思うわけでありますが、残念ながらいままでの文教政策は、その基本は管理思想に貫かれている。これについて文部大臣はどう思うか、御返事をいただきたい。
○国務大臣(海部俊樹君) 先生の御指摘になります問題点は、私も伺っておって、やっぱり学校教育そのものの中に現場の教師の創意工夫というものが十分生かされるようにしていくことも私は一面の真理であろうと、こう判断もいたします。 それから、学校に対しては、全国たくさんある義務教育の学校、公立学校でありますから、一定の基準とか、あるいはその枠とか、あるいはそのものの管理とか、いろんな管理面もこれは確かにございますけれども、教育指導の面、特に教育は人なりといわれますのは、私なりに判断いたしますと、一番教育は人なりというときに考えますのは、教壇に立っていただく先生のことでありますから、そういたしますと、そこにおいてやっぱり教育活動というものが活発に行われていくためには、国は基準は設けるけれども、現場の教師の創意工夫というものが行われるようなそういう姿もこれは必要な面でありますし、現にただいま改定しております学習指導要領の中でも、ただ単に教科課程の精選をするというのみならず、時間数も少しゆとりを持つといいますか、すき間をあける。それは、たとえば先生と生徒との心の触れ合いが大切だとおっしゃいますが、私もそれは大切だと思いまして、そういうようなことにもまた使っていただくように、例示としては体育というようなことを書いておりますけれども、そういったような時間に使っていただいて学校教育の場が生き生きとしたものになっていくように、これは心から私どもの願っておる方向でございます。
○野口忠夫君 いまの主任制度の問題とかいろいろありますが、時間がありませんので後日に譲って……。 次に、問題は、文化功労者、文化勲章受章者選考をめぐっての問題をひとつお伺いしたいと思うわけでありますが、この問題は、問題となる人はいま司直の手にあるし、その当時選ばれました功労者の方は故人であるというような状態でまことに——四十六年、四十八年の問題でございます。 お聞きしたいことは、第一に、日本の文化功労者とか文化勲章受章者という方々は、少なくとも日本の学術界、芸術界では自他ともに許す最高峰の方々を表彰しようとなさることだと思うし、その意味から言えば日本人の誇りだと、こうすべきではなかろうかと思います。その誇りを傷つけるようなことがあってはなりませんから、その選考に当たっては厳正公平に行わなければならぬと思うんですけれども、これはひとつ大臣からお答えを願いたいと思うのです。
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のとおりだと私は思います。したがいまして、このような文化勲章受章者を決めるに当たっては、各界の御推薦をいただく選考委員会というものによって厳正に選考がなされておると私は信じております。
○野口忠夫君 大分、厳正なという立場でおやりになるということでございますから、当然だと私も思いますが、実は二月十九日付の毎日新聞のトップ一面記事に、この問題をめぐっての政治的介入の問題が報道され、三月三日発行の週刊新潮記事によりますと、同じく厳正公平に行わるべき文化功労者、文化勲章受章者の選考に当たって、前総理田中角榮氏が自己の地位を利用してその選考を有利にするための政治的介入を行ったと報道しているんでありますけれども、その報道を知っておりますか。知っているとすれば、その内容はどんなことが書いてありましたか。
○国務大臣(海部俊樹君) 報道されましたことは、私もその報道の内容は読みまして知っておりますけれども、当時の具体的な事情は、私、つまびらかにいたしておりませんので、詳細にわたっては政府委員から御説明をいたさせます。
○政府委員(今村武俊君) 二月十九日、三月三日のいま御指摘の資料によりますと、昭和四十六年と昭和四十八年の文化勲章該当者の選考に当たって、田中角榮氏が選考に圧力をかけて文部省も渋々これに従ったという趣旨の記事でございます。
○野口忠夫君 おっしゃるとおり、この記事によりますと、前総理田中角榮氏が前後二回にわたり、特に関係の深い特定の人の選考をその地位を利用して働きかけて選考せしめたことを具体的にこの報道は述べております。ところが、これに関係することを大臣は余り知らないとおっしゃるので、知らないといけないと思うんですけれども、この報道の事実は認めますか、認めませんか。
○政府委員(今村武俊君) ただいま仰せになりましたのは、毎日新聞の方の記事だけでございますか、週刊誌も含めてでございますか。
○野口忠夫君 週刊誌も含めて。
○政府委員(今村武俊君) 私ども、大変重要なことが報道されておりますので、当時の書類を探し、あるいは当時の関係者に問いただしまして事情を調べてみました。次のような分析をいたしておるわけでございます。 昭和四十六年に最終的に赤木正雄氏、砂防協会常務理事、専攻砂防工学を推薦したのは青木楠男氏、早大名誉教授、専攻土木工学であり、昭和四十八年に鹿島守之助氏、拓大名誉教授、専攻外交政策、日本外交史を最終的に推薦したのは板垣与一氏、一橋大学名誉教授、専攻経済政策となっております。したがって、毎日新聞のいうA、B、C、Dの諸氏はこれらの方々だと推測をいたしております。 次に、毎日新聞には「おのおの委員が一人ずつ功労者を推薦、ほぼその通り決まるというシステムになっており、」云々という記事がございますが、こういうシステムになっておるという見方は事実に反すると思っております。 また、四十八年には、十月に江崎玲於奈氏のノーベル物理学賞受賞が決まっており、同氏はCさんが途中で入ってきたために落ちた云々という記事も事実に反すると思っております。 その他パーティーでのあいさつ、B委員が建設省にわびに行ったという話、D委員が選考過程を明らかにしたというので怒られたといったようなことについては、事実であるか否かの確認はいたしておりません。
○野口忠夫君 事実であるかどうかについての確認をしていないということは、あるかないかわからないということですか。
○政府委員(今村武俊君) 私どもは、このB委員とかD委員とかというのが確実に氏名が新聞に書かれてあるわけでもございませんし、いま固有名詞を申し上げましたけれども、恐らくA、B、C、Dの四氏はこれこれの方であろうと推定しておる段階で、その御本人にお電話したり、面接いたしたりしまして、先生はこういうことをおっしゃいましたかと言うのも大変失礼に当たるのではないかというような感じがいたしましたので、文部省の部外の関係は調べていない。部内の関係では、いろいろ資料を調べまして、そしてきわめて公正な選考が行われておるという確信を持っておりますので、部外の人にはあえて事実を調べて確認はいたしておらない、かようなことでございます。
○野口忠夫君 いま、そのCとかDとかというようなことで、名前がわからないと言うんですけれども、週刊新潮の方は、その点については、毎日新聞の氏名を書かなかったことについて批判をしながら、名前を書いて挙げてあるわけですね。ですから、具体的に言えば、その人たちの名前は事実であったということでございましょう。それはいまお認めになられた。その内容について、いま二、三点について、少し報道が間違っていたというようなことの御指摘がありましたが、お聞きしたいことは、文化功労者年金法の定めるところによりますと、文化功労者、文化勲章受章者の選考には、文部省内に選考審査会を設けて、学術界から五名、芸術界から五名文部省が選考委員を選定し、閣議の承認を求めることになっている、こういうことになっているんですね。実に厳密な法定がなされております。 ところが、報道によりますと、いま言われました学士院会員青木楠男さん、早稲田大学名誉教授の場合は、ある建設グループから、グループの推す特定個人の推薦者として選考委員を引き受けてくれないかと。そこで、その人は大変りっぱな人だと思ったので、青木先生としては承諾を与えた。与えたところが、文部省の方から、あなたを選考委員に委嘱しますという委嘱状が私のところに届いた、こういう記事があるわけです。先ほどの法定されました選考委員の審査から言うと、建設グループからの依頼なんということは想像できないわけなんです。これは青木さんのお話だということになっているんです。私は青木さんに会ってこの点は聞いてはおりませんけれども、まあ新聞のトップに出るような記事でございます。全然これが根も葉もないことだとは思われないんですけれども、こういう選考委員を選考してきたんですか、これは。いかがですか、それは。
○政府委員(今村武俊君) 私は、現実には昭和五十一年度の文化勲章、文化功労者の選考の事務を担当さしていただいたにすぎませんので、四十六年、四十八年の事実は存じません。しかし、私の一年間の経験でいたしますと、大変名誉のある勲章、功労者の制度でございますので、この問題については自薦、他薦の方々があり、そしていろんな動きがございます。一々つまびらかにしているわけではございませんが、だれを選考委員に推したいといったような運動なども一部にはあるようでございます。したがって、確認はいたしておりませんが、ある一部の人々が、だれを選びたい、だれを選考委員にしてもらいたいといったような意見を文部省当局に向かって言われることは、ときどきあることであると思います。
○野口忠夫君 選考委員の委嘱について、建設グループから話があった、引き受けてくれと。だから、これは文部省に行って自由な立場で、あの人とあの人を推してくれないかというような意味ではないわけだ。そうではなくて、その建設グループの人が行って、あなた建設委員になってくれと。推す人は決まっていたわけです。それで、引き受けて帰ったところが、文部省から……ですね。とすると、その建設グループと文部省との間の関係の中では、ある特定の個人を土台として話し合いがなされておったということになるわけですね。まさか建設委員を推薦するときには、建設グループからの推薦だの、鉄道グループからの推薦なんかで決めるんじゃないでしょう。文部省自身が決めて、閣議の承認を求めるんだから。当時の大臣だれですか。奥野さんだね。知らないか。
○政府委員(今村武俊君) わかります。昭和四十六年が高見大臣で、昭和四十八年が奥野大臣でございます。
○野口忠夫君 まことにその点では選考に当たって不明朗なことがあったということはお認めになりますね。
○政府委員(今村武俊君) 私は、昨年の経験からいたしますと、建設グループという方の人々が、どのグループかわかりませんが、その方々が選考委員を引き受けてくれというお話をもしどなたかになさったとしたら、仕事の筋道を御存じのない大変不見識な態度だと思います。
○野口忠夫君 なかなかこれ、決算というのは昔のことをやるものですから、いまの人には関係のないようなことになってしまうわけだ。これが私はどうも国会の審議をやっていていつもおかしく思うんだが、総理大臣がやめると、もう何にも責任がないんだ。だからその辺がやっぱりこれ……。まあおっしゃることよくわかります。当時はそういうことがもしあったとすればまずい、それはいまは自分としてはわからないと、こういうお話であるわけですから。 なお、この審査会の状況なんですけれども、これもその報道の記事にあるわけですけれども、選考委員に選ばれました青木先生が、自分に頼まれた候補者について、自分も赤木さんという人は砂防学の権威で、りっぱな人だと思っておった、みずからが意欲的にお働きになられたというお話も載っておるようですけれども、御推薦申し上げたところが、そのときの審査会の委員の皆さん方のお考えは、まだこれは文化勲章には時期尚早である、文化功労者でとどめてほしいという意見が圧倒的に多くて、一生懸命努力した青木先生は、自分の思っていた方向に行かなかったものですから、依頼された建設グループに行って、まことに済まなかったとおわびを申し上げた、そして、いよいよ最終の審査会が開かれましたところが、選考委員であった青木さんは全然知らないのに、委員長の東畑会長さんがその会議に来られまして、審議願っておった最終的結論はこれになりましたと言うて、赤木さんが文化勲章受章者の一人に選考されておったと、こういうことも報道されているわけであります。これは現在の立場で、そういうことはあり得ると思いますか。
○政府委員(今村武俊君) ふだんはあり得ないことだと思いますが、私はその当時の責任者でございませんので、事情をつまびらかにいたしません。
○野口忠夫君 なお、この辺の事情について、実は田中角榮氏個人の口から明らかになっているわけでありますね。鹿島建設の社内報ですか、鹿島建設月報十二月、八月のこの月報の巻頭に、それぞれのパーティーの席上において田中さんがあいさつする中に、鹿島さんの出版記念のパーティーにお出かけになられまして、その席上、私が内閣総理大臣を受け持ってから、たった一ついいことをやりました、それは、赤木正雄先生が文化勲章を受章されたことであります、これが田中さんのたった一つのいいこと……。田中さんは選考委員ではないわけですね。一国の総理大臣が、総理大臣になると何でもかんでもできるというような、よっしゃとまたそこで引き受けたような感じがするわけであります。選考される方は、日本の学術界、芸術界の最高峰である、日本人の誇りの方々であります。 この経歴に傷がつくような発言をここでなさった後、続けていわく。今度、鹿島先生が外交史三十八巻、外交論選集十五巻を発表なさいましたけれども、これは赤木先生と勝るとも劣らないものだと私は評価いたしますと、こういうあいさつの原文がここに活字になって書かれているわけであります。評価とは何だ。私は前に赤木さんをやったが、鹿島さんは赤木さん以上の人である、だから私はと、こう評価をしたということの意味は、すでに田中さんは、赤木さんのときにやったようなことを、また今度は鹿島さんのときにやってあげますよという予約をこのパーティーの席上でやった。 そうして、記事によりますと、田中さんはその前は通産大臣時代には文部省への働きなどはなかったようですけれども、この鹿島さんに関しては、総理大臣の地位にあって、文部省に働きかけて、文部省は余り賛成ではなかったけれども、渋々これに従って、鹿島さんを推薦する最も身近な人を見つけて、先ほど言う板垣さんに選考委員を任せましたと、こういう記事があるわけです。この記事は、真偽のほどはいかがでございますか。
○政府委員(今村武俊君) 先ほど申し上げましたように、文部省の関係者につきましては、当時の事情を確かめてみましたけれども、部外のパーティーにおける発言などについては確かめておりません。 と申しますのは、私は、この問題には二つの側面があるように思います。一つは、文部省あるいは選考審査会に働きかけたあの政治家の方々あるいは他のグループの方々、他の個人の方々、いろんな働きかけがあったであろうということは、私、一年間の体験からも推測がつくところでございます。しかし、もう一つの側面がございます。もう一つの側面と申しますのは、選考委員の方々を文部大臣が閣議にかけて御決定になり、その選考委員の方々が三回ないし四回の会議を開いて、選考委員の良心と名誉にかけて文化功労者、文化勲章者を選考していかれる。これはいろんな要望を受けながらも、しかし、その要望は要望として聞きおいて、自分の良心と責任において決定をいただく。その二つの面があるように思いますが、前段の働きかけをされた方々がその結果について、わしが努力した結果であると、こういう言い方をされることは世の中に間々あることでございまして、そういう意味では、その当時の関係者に聞きましても、若干の働きかけはあったと思いますが、その働きかけいかんにかかわらず、選考審査会としては良心的なお話があったのではないかと思います。 昭和四十六年の例について言いますと、当時砂防協会の会長であった田中角榮氏——当時通産相をなさっておったわけでございます——が、赤木氏に文化勲章を授与してほしいという陣情を文書でなされたということを、当時の関係者らから聞いております。しかし、その文書はいま記録としては、陣情書でございますので、処分してございませんが、当時の関係者はそのことを記憶いたしております。そして、その文書の内容は、よろしく検討を頼むという程度のものであったということでございました。 それから、昭和四十八年の鹿島守之助氏の選考のときのことを当時の関係者に聞いてみますと、当時は神川彦松先生——外交史の先生でございますが、従来文化の面でえてして法律学を中心とした文化功労者、文化勲章該当者が選ばれていて、政治学とか外交史だとかそういう視点からの推挙が、選考が従来の歴史においてなされていないので、ことしはどうしてもこの外交史の領域から人を出してほしい、そういう意味では鹿島守之助氏の功績はきわめて顕著であるという神川彦松先生の御推薦がわりに早くからあったという事情を、当時の関係者は確認をいたしております。そして、その後選考の審査会が始まった途中で、田中角榮氏が鹿島守之助氏を推して外から運動しておるという話を聞いて、神川彦松先生が大変不快な感じを持っておられたという話まで承っておりますが、それ以上のことは私どもは明らかにいたしておりません。
○野口忠夫君 いまの御答弁によると、いろいろ働きかけはあったかもしらぬけれども、そのようなぐあいには動かなかったという関係者の答弁があった、こういうことでございますね。私は、やっぱり総理という立場で、日本文教府の文部省というものに関係する部面ですね、これは大臣にひとつ御検討を願いたいと思うんだけれども、そういうことを当時も大分問題があったらしくて、四十八年の八月かの閣議で江崎自治大臣がこのことを発言しているわけです。 新聞のコピーを持ってきておりましたが、閣議の内容がサンケイ新聞に載っておったわけだ。それを持っておりますが、その内容によりますと、やはりいろいろな政治的な動きがあるという批判を受けた、これは文部省に置くからそうなるんだみたいな発言なんです。勲章制度の中の一環として総理府にこれを持っていったらどうかという意見の開陳があって、それは賛成なく、総務長官の検討するというふうな答えでこの閣議発言は終わっているような新聞報道でございます。 何か他の省は、まあある程度まで総理大臣の関係する部面も多いだろうと思いますけれども、事教育をつかさどっている文部省というところは、こういう総理大臣の権限の中でどうにもできないような圧力があって、他の大臣からの批判もあって、その所管を移したらいいではないかというようなことを言われたとすると、何だか文部省というところはそういう力にはめっぽう弱くて、いつも何か日本の教育というのは動かされてしまうんだという印象を与えがちではなかろうかと思うんであります。この辺で新文部大臣は、もちろんそんなことはないという答弁がおありであろうと思いますけれども、文部省は非常にそういう点では動かされやすいというような印象をこの問題の中からもうかがえるわけなんであります。ひとつ文部大臣から、こうした政治的な圧力が文部省等に加わることについては極力避けていく、そして日本の教育の独立というものを、なかなか容易ではない立場だけれども、守っていくんだという決意を後から述べていただきたいと思う。 それから、先ほどから答弁をお聞きしているんですけれども、まことに要を得ない御答弁をいただいているわけであります。まさに、一人の権力者がこの大事な選考の中で大きな圧力を加えてみずからの方向に引っ張り出してきた、こういうようなことがうかがわれるわけであります。これは改めてまた、それぞれ参考人の方に来てもらって、育英事業をやっている会長さんの方は元の事務次官だそうでありますが、結果的にはそのときまたお聞きしたいと思うんですけれども、とにかく秘密ということでべールをかけてこういうことがあった、その秘密会の約束を破って青木先生は私にこれだけの発言の材料を与えてくれた。 かつて、教科書事件で裁判所から資料の提出を命じられても頑強に拒否をした文部省の秘密主義、こういうことが教育の中にあってははなはだ残念だと思うんです。教育こそガラス張りの、天下の人々に見られて恥ずかしくない明るい空の下で行われるものでなきゃならぬというふうに私は考えますが、残念ながらこれが隠れて言われない。東畑会長も、秘密会ですから言えませんと、いろいろなことがあっても言うことができない。もちろん選考というのは人事の問題ですから、その人事に関していろいろ意見を言えというのではありません。しかし悪いことがあったら、悪いことは悪いとやっぱり言えるだけのそういう民主的な権利の保障がない限り、選考委員となられた方々も大分御不満のようですけれども、はなはだどうも文部省の中の秘密主義みたいなものの中で今後の行政というものが進められては困る。これをひとつ文部大臣から二つあわせてお答えを願って、質問を終わりたいと思うんです。
○国務大臣(海部俊樹君) 当初申し上げましたように、私は新聞や週刊誌に報道されたようなことで事実がゆがめられたとは決して思っておりませんし、選考委員というものもいろいろな角度から選ばれて、閣議で了承をしてその選考審査会が始まるんでありますから、やっぱり文化勲章というものの持っておる高い権威というもの、また、よその省なら厳正にできて文部省ではできないのではないかというようなことは、これはもう文部省の名誉のためにもそんな誤解は絶対に受けちゃいかぬわけでありますから、今後は、いままでのこのことについて事実かどうか私は全く知りませんけれども、厳正に行っていかなければならぬという基本はきちんと守ってまいりますし、きょうまでもそういった自薦、他薦を選考委員へ取り次いだりするような不見識なことは文部省当局はしていなかったということを、どうぞ御理解を賜りたいと思います。
○野口忠夫君 終わります。
○峯山昭範君 私は、きょうは特に体育、スポーツ施設の実態にあわせまして、スポーツ施設のあり方、あるいは文部省のそれに対する考え方等についてお伺いしたいと思います。 本当は私はきょうは——初めにちょっと本音を言いますけれども、決算委員会のきょうの理事会でも私は言いましたけれども、質問する時間というのは非常に制限をされておるわけです。ですから、私たちがいろいろ準備をいたしましても、非常に短い時間で質問をしなければならない。これは皆さんに関係ないことです。ですけれども、これは私は決算委員会の今後のあり方として一遍申し上げておきたいんですけれども、従来決算委員会というのは、それぞれ質問する人が、時間がどのくらいかかるということで、その省の問題について問題をつくって質問をする、そういうような体制になっておったのが、いつの間にか体制が変わってきておりますので、これは委員会の運営として私は今後問題にしていきたいと考えています。 それと、さらにもう一点は、これは大臣の方に関係あるんですけれども、大臣も御存じのとおり、行政というのは、ずっと継続しているわけですかり、私は当時その場におりませんでしたからわかりませんでしたというような局長の答弁がさっきから何回もありますね、これは私はいかぬと思うんです。そういうことを言うと、わが決算委員会は当時の局長なり何なりに出席していただいて、全部一から質問やり直さないと決算は全部終わらないということになっているわけです。したがって私は、理事会でもこれは合意事項として、きょうの夕方五時までに文部省の決算を終えようと、こういう約束で進めているから、これはしようがないから妥協してみんな審議を進めるわけですけれども、そこら辺のところはやっぱりそれなりに心得て答弁をしていただかないといかぬ、私はこう思います。 それだけ前置きをして申しわけないんですけれども、こんなこと言わずもがなのことですけれども……。 そこで、初めに特にスポーツ施設の問題ですけれども、最近スポーツに関する国民の関心というのが非常に高まってきております、文部省の方もこの問題についてはあらゆる角度から積極的に取り組んでおられると私は思います。しかしながら、このスポーツの施設が一体現在どういうふうになっているのか、要するにだれもが利用できる公共施設というのがあるわけですね。それとは別に、さらに公共施設以外にも民間の施設、国の施設、地方公共団体の施設あるいは学校の施設といろんな分け方もありましょうけれども、いろんな施設があるわけです。 ところが、実際問題としてわれわれもすでに皆さんも御存じのとおり、一昨年この実態調査もずいぶんいたしましたけれども、一般的に申し上げて、たとえば地方公共団体のスポーツ施設というのはもうすでに一ヵ月も前から超満員。ところが、国や大企業の施設はがらがらというのが一般的ないまの現状なんです、実際。そういうような観点から、やっぱりこれは文部省がこの問題について何らかのかっこうで取り組んでいかなければいけない、そういうふうに私は考えているわけです。 たとえば、具体的に申し上げますと、神奈川県の川崎市が行っている市営運動場というのがあります。これは野球場、テニスコート等がいっぱいあるわけですけれども、こういうところはもう一ヵ月も前から超満員。しかも、その一ヵ月前のその前の月の五日に抽せんをするわけですけれども、抽せんというと一見公平ですけれども、実際はこれは大学の同好会とかそういうふうな学生がわっと押し寄せて抽せんをする。そうしますと、実際に民間の人たちは、一般の人たちは全く利用できない、こういうような実情にあるわけです。これは抽せんの方法にもいろいろ問題ありますけれども、こういうふうな具体的なことは別にいたしましても、スポーツ施設が狭い国で少ないわけですし、これを十分国民のために利用する、そういうような意味からも文部省としてあるいは文部大臣として、この問題に何らかの態度あるいは何らかの姿勢を示し、あるいは何らかの指導をしていかないといけないんじゃないか、こういうふうに考えるわけですけれども、初めに大臣の所信をお伺いしておきたい。
○国務大臣(海部俊樹君) 文部省が直接担当しております学校の体育施設の開放ということには、いろいろな角度からきょうまで問題提起をしたり、施策を進めてまいっておりますが、いま御指摘のようないろいろな問題につきましては、それぞれ他省庁との連絡や協議を経ながら、そういう理解と納得を得てそういった方向に進めていくのは、これはいい方向であると私も考えます。
○峯山昭範君 これは大臣、確かにこの問題は文部省だけの問題ではなくなってきている、このことはもう大臣、私もそのとおりだとは思います。しかしながら、やはりこの問題についてのリーダーシップを握っていくのは文部省になると、私はそう思います。これは要するに、国民のスポーツの向上とかそういう施設の利用とか、あるいは国民の健康とか、そういういろんな角度から考えて、これはやっぱり文部省が中心になるべきであると私は思うわけです。 そこで、現実に文部省の行った調査によりましても、学校関係の施設を除いて、やっぱり施設の一番多いのが一般の会社なんです。会社とか職場、こういうところで大体二万七千ヵ所、全体の四四%を占めているわけです。それで、こういうふうな施設があるわけですから、結局、日本の国として現在の財政状態からいきまして、いわゆる西ドイツみたいに、たとえば西ドイツのゴールデン計画とか何とかいう名前で、十五年間にわたって毎年一千億円以上の予算をつぎ込んでスポーツ施設を国がどんどんつくっていく、こういうふうなあれがあるらしいんですけれども、そういうことはとても現在の日本では無理です。せめて既存の施設を最大限に利用する、こういうふうなのが一番私は大事だというふうに思うわけです。 ところが、実際問題は、商工会議所の民間企業における体育施設の開放調査、これは五十一年の三月に行われておりますけれども、これによりましても開放率三七%、それから文部省の調査では、ちょっと違うんですけれども、五十一年三月の同じ文部省の調査では三三%、こういうふうな開放率であります。これは何とかもう少し職場従業員以外のいわゆる一般市民への開放ですね、これを何らかの角度で具体的に積極的に働きかけていただくわけにはいかないか、これがまず第一点です。これはどうでしょう。
○国務大臣(海部俊樹君) 国民の皆さんにスポーツを通じていろいろな場所を利用してもらいたい。今年度文部省がスポーツクラブの普及のための予算措置を講じておりますのもその角度でありますし、また、いま峯山先生御指摘の西ドイツのゴールデンプラン等も、私も現地に行って話を聞いたり見たりして、人口とかあるいは平野とか、そういったようなものの配置が非常にうらやましかったわけです。あそこまでいかないにしても、せめてそういったような方向で心組みしていくべきであるというので、学校教育施設の開放等に全力を挙げておることは御承知のとおりでありますが、他省庁との問題につきましては、ただいま総理府にそういう各省の関係者が集まって、体力つくり国民会議という名前だったと思いますが、そういったものとか、各省の関係の課長レベルが集まっていろいろ相談をする場がすでにあり、そういったところで文部省はそういった考え方を各省庁にも積極的に伝えて御協力を求めながら効果を上げていきたい、こういう考えでございます。
○峯山昭範君 これは実際問題、過去にもそうですけれども、こういうふうな体力つくり国民会議というようなものがありましても、だれかが言わないと動き出さないわけです。それができたときには何らかの問題があってできたんでしょうけれども、実際問題、この問題が具体的に動き出すかどうかというのは、やっぱり何らかの動きがないとこれは積極的に動きませんので、この点はぜひとも取り上げてもらいたいと私は思います。 特に、企業の中でも金融機関の持っているスポーツ施設というのは非常に多いわけです。ですから、そういうふうな意味から見てみましても、こういうところは直接文部省が指導できるのかどうか、これは私もちょっと疑問なんですが、しかし、直接できないにしても、これはいま大臣がおっしゃったそういう体力つくり国民会議というのが総理府にあるのであるならば、そこにはきっと文部省の方からも代表が出ているわけでありましょうから、そういう方に直接言っていただいて、こういうふうな具体的な開放ができるように進めていただきたいと思うんですが、この点どうでしょう。
○政府委員(安養寺重夫君) 生涯スポーツということでいろいろ関心も高まり、それに対応した行政をしなければならないという意識でわれわれも日常配意をしておるつもりでございますが、五十年度には各省庁にも協力をお願いをいたしまして、現在のわが国にございますあらゆる体育施設の悉皆調査をいたしまして、その面での現状の確認はいたしたわけでございます。そういうこともございまして、先ほど大臣から申し上げましたような体力つくりの国民会議、あるいは各省庁の連命をする場所等にもそういうお披露目をしたり、また、文部省としましては、毎年都道府県の職場のスポーツの推進をやっていただきたいということで、私どもが主催者になり、関係省庁の後援をいただいていろいろと、職場スポーツの実際をどのように進めるか、指導者の研修をどうするか、施設をどのように活用、利用するかというようなテーマを組んでやっておるわけでございます。 〔委員長退席、理事大塚喬君着席〕 また、いま一つは、最近のいろいろ世論調査その他、われわれが聞き知っておる限りにおいては、施設がないことのほかに、指導者をたくさん欲しいと、これもいろいろ体育指導員等のてこ入れをしておるわけでございますが、そのほかに仲間つくりをして仲間でみんなで計画的に組織的に継続的にやる必要がある、こういう手だてを行政が講ずる必要があるんではないかというような意見もございまして、いま大臣が申しましたような新年度の事業計画を試みたいというようにやっております。こういうのも、御指摘のように、文部省だけでできることではございませんので、機会を求め、いろいろ現地の事情に即して各政府機関あるいは各府県の知事部局、教育委員会等々についても協力をして推進をしていくというように努力をしておるわけでございまして、御指摘のように一居そういうような努力はこれは重ねて、いままでやっておりますことにもっと効率の高いスポーツ活動の展開を考えてまいるべきだろうと思います。
○峯山昭範君 局長、民間のそういうものに対する指導とかそういうふうなものは、確かに文部省だけではやりにくい点もあるかもわかりませんか、それはそれなりに政府としてやっていただくようにしまして、国の機関のがありますね。それから国の設備という、これは二つに分けて言いますが、国立競技場関係は後ほど言うとしまして、国のいわゆる付属の、国に何らかの関係のある三公社とか五現業とか、そういうようなものを含めての設備がありますね。これは私は、まずとりあえず国としてはこういうふうなものを民間にぜひとも開放してもらいたい、こう思うんです。これは私の調査によりましてもずいぶんあるんですけれども、もう本当にほとんど開放されていない。また、開放されてないものの中に非常にみんなが利用したがっているところが多い。そういうような意味では、これはどういうふうにお考えなんですか。
○政府委員(安養寺重夫君) 私どもの所管の関係から申しますと、市町村にスポーツ関係のいろいろ御指導をお願いするように委嘱している体育指導員というのがございます。現在四万三千人ほどに上るわけでございますが、そのほかに日本体育協会その他、関係の競技団体自身でそれぞれの競技の指導者の養成をされておりまして、われわれも応分の補助金を交付する、その他の便宜供与をいたしておるわけですが、企業の方にもいろいろと施設に指導者がおられます。その指導者をボランティアという形で一般的な市民スポーツ活動に出張っていただくというようなことについては、これは文部省の一般的なスポーツ活動の場所へおいでをいただくということでございますから、われわれの努力次第でいろいろと効率を高めていくということが可能なわけで、現にそれを注目してやっておるわけです。 いまお話しのそれぞれの施設そのものの開放につきましては、これは全く文部省としましては、一般的にお願いをするという立場にございまして、先ほど御披露しましたような各都道府県レベルでの職場のスポーツの指導者にお集まりいただいて、講習会をいたします。それは文部省が一応音頭をとらしていただいて、関係省庁の御協力も得てやっておるということで、気持ちのほどはいろいろ直接に訴えてはおりますけれども、国立の施設、あるいは公立学校の施設を開放してもらいたいというようなほどには、なかなか端的な結果がさっそくに出るという段階でございません。これはいろいろ工夫を今後しなければならぬことでございますし、ぜひしてみたいとは思っております。
○峯山昭範君 局長、私が言うているのはそれじゃないんです。要するに、都道府県の何のかんの言うたって、それは効果もあらわれるのは遅いですし、実際問題実効がないわけです。そうじゃなくて、もっと端的に言いますと、国鉄とか日銀、大蔵省、電電公社、これは大臣、やっぱり大臣の仕事ですよ。こういうところが一番いいグラウンドを持っておるわけです、現実に。 たとえば具体的に申し上げますと、国鉄が国分寺に五万三千平米の大きなグラウンドを持っておるわけです。地元の住民は、これを一般に開放してほしいと言ってずいぶん要望しておるわけです。ところが、全然使ってない、がらがらなのに開放しない。これはやっぱりこういうところからちゃんと開放しないと、民間に幾ら言ったって、何だ、国が全然開放してないじゃないかと。こうなればこれは実効が上がるわけが全然ないわけです。ですから、ただ単に私は大臣、何といいますか、そういう総理府の体力つくり国民会議なんというやつ、それも大事ですけれども、これはやっぱり国の施設を一般的にぱーんと先に開放して、そこから始めないといけない。 大臣に御答弁いただくために、もう少し具体的に申し上げますと、たとえば商工中金健康保険組合府中グラウンドというのがあります。これは地元からも相当要望があるわけですけれども、全く開放されてない。ここは一日平均の利用者が二十人。これは野球場、テニス、バレー場とあるわけです。それで、商工中金の本社は一般開放しない方針で、内部利用も土曜、日曜に限っている。そうしますと、土、日平均で一日二十人で、あともう全然ないわけです。 それから、そのほか総理府の——総理府だってあるんですよ。これは調布にあるんですけれども、野球場、テニス場、バレー場、バトミントン場とあるんですけれども、これはそこの近所に勤めている総理府の職員のクラブ活動のために昼休みに少し利用する程度で、ほとんど利用されていない。 それから農林中金、これは小平市にあるんですけれども、これも職員研修のために利用して、日ごろは内部もほとんど利用していない。こんなのばかりなんですよ、要するに。たとえば農林中金のこれは、一日平均六人来ているかないかという感じです。 こういうふうな、これは実態調査ですから、これは数字的に多少違っている点もあるかもわかりません。ですけれども、大綱としてはもう変わらないと私は思うんです。そういうような意味では、国が持っているこういうふうな施設は、これは何とか、全面的に開放というのは無理としても、やっぱり何らかの方向で開放する方向に持っていかないと、幾ら政府が民間の銀行さんやそのほかの人たちに開放してもらいたいと言ったって、これは聞くわけないですよ、知っているわけですから、そういう銀行さんやみんな。ですからそういう意味では、国がまずそういうふうな姿勢をきちっとしないといけないんじゃないか。そのためには、ただ単に課長だけではどうしようもない問題かもわかりません。そういうような意味では、いつもの大臣と海部さんはもうちょっと違うわけですから、それはこういうことはちょっとやっていただかないと。それはやっぱり頼みまっさ。これはどうですか。
○国務大臣(海部俊樹君) ただいま御指摘のお話を承っておりますと、いろいろなところにあるそういった施設の利用が少なくて、あいておる状況が非常にあるではなかろうか、そのあいているときに、本来の使用目的を阻害しないように、何か一定の基準か枠でもつくって開放してもらったらいいなということを率直に私も思うわけでありますけれども、これはもう私が思うだけで開放できる問題ではありませんから、それぞれの担当に何らかの方法で一回話を詰めて、何か御協力できないかというふうな方向で相談を持ちかけて効果が上がるように努力してみたい、私はこう思います。
○峯山昭範君 これはほかの大臣のそういうお言葉と違いますから、ほかの大臣のだと余り信用しませんけれども、大臣のあれですから私は信用しますから、ぜひとも取り組んでいただきたいと思います。 さらにもう一点、これは国立競技場関係ですから、これは全く文部省そのものの担当にあります。この国立競技場についても私は、平日開放してもらいたいというのがあるんです。実はこれは余りあれこれ言ってもいけませんので、具体的に申し上げますが、国立競技場の中で霞ヶ丘競技場にあるテニスコートは、一時間幾らということで会員でない人でも利用できる、こうなっているわけです。ところが、私がきょうこれから問題にしようと思っております西ヶ丘競技場、これはまだ会員制でありまして、私は、もうこの質問はきょうはやめてもいいと思っているぐらいなんですけれども、大臣、一遍やるもんですね、質問をすると、そう言いますと、地元では態度がころっと変わりまして、競技場の整備にしたって、サービスにしたってこれは効果がびたっとあらわれるわけです。これはこういうことでは本当はいかぬのでありまして、こういうことをやらなくても、かねがねからやっぱり利用者に対するサービスなり、あるいはそういうことはきちっとすべきだと私は思うんです。 ですから、そういうふうな意味では、今回この問題を取り上げるということで内容的には変わってきたかもわかりませんけれども、多少問題もありますので、ただしておきたいと私は思うんですけれども、まず第一点としましては、大臣ももうすでに御存じのとおり、テニスなんというのは、会員制ということになりますと、いつでも行けるわけですけれども、平日会員と土、日の会員ですか、それぞれあるわけですね。全日制の会員ですか、それと平日制の会員ですか、こうあるんですけれども、私は、テニスなんというのはやはり、たとえば地元の住民に対して平日ビジターを認めるとか、こういうふうなのをぜひやってもらいたい、こう思っているわけです。といいますのは、テニスを少しやってみたいといいましても、初めから会員になってなんということは非常にむずかしいわけです。現実に地元の人たちはそういうビジターを認めてほしいという要望があるわけです。ですから、そういうような面は多少私は検討してもいいんじゃないかというふうに思うんですけれども、そこら辺のところは非常に細かい問題ですから大臣でなくても結構ですが、どうお考えですか。
○政府委員(安養寺重夫君) 現在、西ヶ丘では、全日会員と平日会員と両方合わせまして八百名から九百名程度の会員を持っておるわけでございます。年間会員のみでございますが、これは施設を整備したりお貸しする方の言い分もございまして、できるだけたくさんの方々に会員として使っていただくということで、年々その込み合いを見まして数をふやしてまいってきてはおります。しかし、一般的にいつでも、どなたでもあいていれば使えるというような形になかなか経営を思い切るわけにいきませんで、いまのところは徐々に会員をふやして、広くたくさんの人に御利用いただくというようなことで実際運営しておるような現状にございます。
○峯山昭範君 ぜひともこういう問題も地元の人たちの要望を聞き入れるようにやってもらいたい、これはこういうように要望しておきます。 そこで、この西ヶ丘競技場の問題にいろんな問題点がありますので二、三お伺いしておきたい。 まず、会計検査院にお伺いしますが、国立競技場の工事の問題で、特に西ヶ丘競技場ですか、ここの問題については会計検査院は検査をやったことございますか。
○説明員(高橋保司君) お答えいたします。 昨年はやっておりませんが、おととしやっております。
○峯山昭範君 もうきょう時間がございませんから簡単に申し上げますが、実際におととし検査をやって、当委員会でも相当問題になりました。それでその結果、工事を、再発を防止するためにいろんな措置をとったと私は思うんですけれども、これは文部省としてはどういう措置をとりましたか。
○政府委員(安養寺重夫君) 競技場もあちこちに施設を持っておりまして、一部は改修の調査にも入っているところでございます。いまいろんな関係からそういう部面の自主的な体制の強化ということを図る必要があろうと思いまして、五十一年度予算では専門の技術員を一名増員をいたして、さらに、従来小規模修繕工事などの技術的助言を行うために総務部に、まあ機構の中で配置しておりましたその機構を増強するというような体制だけは組んだわけでございます。個々の仕事につきましては、それぞれの出先でいろいろ監督を厳重にしてやるようにというようなことで努力をしておるわけでございます。
○峯山昭範君 これはきょう時間が余りございませんので、大臣、もう詳しくやりませんけれども、四十九年の八月二十日の当決算委員会におきましてこの問題が取り上げられて、相当議論をいたしております。現実の問題として、会計検査院もこの問題については検査報告には付記してないんですけれども、そこら辺の問題も当委員会で問題になったはずであります。 そこで、検査院にもう一回お伺いしておきますが、こういうような問題が起きた後、やっぱり二、三年は続けて検査するという姿勢があった方がいいんじゃないですか。
○説明員(高橋保司君) 先生御指摘のとおりでございまして、改善の状態というものにつきましては、その後の検査におきましていろいろ見届けておる次第でございます。
○峯山昭範君 文部省、ちょっとお伺いしますが、全天候型の、いわゆるオール・ウエザー・テニスコートというのがありますね。これは一般的に、大体工事してから何年ぐらいもつものですか。
○政府委員(安養寺重夫君) 日本では十年ぐらいはもつということだそうです。
○峯山昭範君 検査院はこれは何年ぐらいもつと考えてますか。
○説明員(高橋保司君) 突然の御質問で、どうも恐縮でございますが……。
○峯山昭範君 これは私、何でこんなことを言うかといいますと、現実に、会計検査院が検査された後四十九年に西ヶ丘競技場にオール・ウエザーのテニスコートが、全天候型テニスコートが四面できましたですね、これは御存じのとおりです。もう私、時間がございませんので全部こっちで言ってしまいますけれども、現実にこのテニスコートを、予算も全部ここにありますが、何件か工事ありますが、その中の一つに、四十九年九月十三日から十二月十日まで四千五十万かけてテニスコートを新設いたしておりますね。これは間違いございませんか。
○政府委員(安養寺重夫君) 四十九年三月に設置して以来お話のとおりです。
○峯山昭範君 これは体育局長、私の手元には写真もありますし、私も見てきましたけれども、十年もつというテニスコートが継ぎはぎだらけになっているのは、これは一体どういうことなんですか。会計検査院、これはどう見ているんですか。前々からこういうような工事をやり、かつ、国立競技場の検査の問題について一回取り上げたことあるわけですね、現実に。こういうようなテニスコート、これだけじゃないんです、ほかにもいっぱいあるんです。私は、きょうは時間の関係で全部言っている間がございませんが、こういうふうな、写真も現実に継ぎはぎだらけのところだけ撮ってきたわけじゃないんです。いろいろあるんですけれども、十年ももつというコートがこういうような状態というのは非常におかしい、私はこう思うんですが、この点はどうなんですか。
○政府委員(安養寺重夫君) 十年というのは、私どもの専門家の意見をいま聞いて申し上げたわけですが、四十九年三月に設置しましたオール・ウエザー・コートが五十一年の夏に一部が、何といいますか、フリークと言って、こうちぐはぐというのができまして、ほんの若干のことだそうでございますが、そういうような仕儀になりましたので、本年の五月に補修工事をいたすいま予定でございます。夏にできて、ほうっておくというわけじゃございませんで、いろいろ点検したり、冬場でございますからのりつけができないというようなことで、工事は五月というように予定をしておるわけでございますが、私も余り具体的にはよく専門的なこと存じませんが、やはりこういうことはない方がいいだろうと思います。よく監督はさしていただきます。
○峯山昭範君 検査院、いまの局長みたいな答弁があるからこの間問題になったんでしょう。私は専門家じゃございませんから、結局、さんざん詰められたあげく、文部省の答弁する人が専門家じゃないからということで、結局は会計検査院の検査報告にも掲記するのをやめたわけでしょう。まあそれはそうでないかもしれぬけれども、大体そういうような、文部省の責任が技術面の職員を擁していないというような事情があったと、これはあなたの答弁でしょう、きっと。違いますか。局長の答弁ですね、会計検査院の。そういうようなところが何回も何回も言われて、結局、そういうことがあったから特殊な事情としてというふうなことで、大臣、検査報告に掲記されるのも逃れているわけです。ただ単に専門の技術者がいないからというんじゃ困るわけです、こういうふうな問題については。 ですから、少なくともただ単に、一たんつくったコートが後でぷっと盛り上がってくるというのは、私も専門家じゃないのですが、何で盛り上がってくるんですか。やっぱり盛り上がってこないように工事せにゃいかぬのだ。盛り上がってくるというのは、どっか手抜きをしているか何かやっているからそうなる。ですから、現実に後で切りはぎしてそこを埋め直せばいいというものじゃないわけです、これは。ですから、そういうようなことはきちっとやってもらいたい、こういうようなものについての指導監督はきちっとしていただきたい、こう私は思うわけです。これは私、後質問控えていますのでもうこれ以上言いませんけれども、現実にこれだけではなくて、そのほかにクラブハウスの新築工事の問題につきましても現実にいろんな問題が起きております。私はきょうは指摘はいたしませんけれども、起きています。これはもうこの点についてもやっぱりきちっとやっていただきたい。 さらにもう一点申し上げますと、これは非常に極端な言葉で言えば、文部省が利用者をだましているということになりますね。これは何かといいますと、クレーコートの問題です。これは同じところに土のコートがあるわけです。けれども、クレーコートの問題については、これは大蔵省との関係になりますね。大蔵省から、テニスコートの土地を国から借り受けて文部省がテニスコートにしているわけです。ところが、このクレーコートの契約は毎年夏に契約を切りかえることになっているわけです。それはなぜ切りかえるかといいますと——もう時間がございませんから、私は全部大蔵省に説明させようと思いましたけれども、私が説明しますと、要するに大蔵省としては、そこの土地は将来そこの端っこの方に道が走る、だから道ができてしまうとそのコートを返していただかないといけないのでという説明だったですね、私のところには。それが八月契約になっているわけです。九月一日から八月三十一日までの一年間という契約です。ところが、先ほど私たちに説明がございましたこの競技場の個人に対する、会員に対する契約は毎年四月から——五十二年四月から五十三年の三月という契約です。そうしますと、大臣、ことしの八月まで大蔵省から貸してもらって、それからいかぬということになると、途中からクレーコート全部がパアになるわけです。利用者はそんなこと全く知らないわけです。そういうこともあり得るんですよということが前もってわかっていればいいんですけれども、そうじゃないから、利用者はそういう事情にあるということは知らないで契約をしているわけです。こういうようなのは、こういう事情にあるんですということは、いわゆる文部省が出している募集要項なり何らかの中にきちっと明記しておく必要がある、逆に言えば。非常に私は細かいことを申し上げていけませんけれども、こういうことはやっぱりきちっとすべきだ、そう思います。これは、私は決してこれを厳しく言うわけじゃございませんけれども、こういう問題はきちっとしておかないといけない、そう思います。 それからさらに、全部申し上げてしまいますけれども、この問題、クレーコートのある土地の問題については、大蔵省、現在は国立競技場として使われているわけですけれども、これは私の考えとしては、当然そこの土地は、道ができる部分のところはもう大体はっきりわかっているわけです。道の広さが、前方からこう来て、途中まで来ているわけです。わかっているわけですから、その分を除いて国立競技場なりあるいは地元からは公園にしてもらいたいという要望があるらしいんですが、そのいずれにしてもそういう措置を早くした方がいいんじゃないか、そう思うんですが、大蔵省の方、どうお考えですか。
○説明員(山本昭市君) 西ヶ丘競技場のうち、運動場広場の部分及びテニスコートの一部につきまして、ただいま先生おっしゃいますように、道路の問題その他地下鉄の車庫用地というようないろいろ公的な要請がございまして、そういう最終的な処理方針を決定し得ない状況でございますので、私ども専門的な言葉で申し上げまして、管理委託というような形で暫定的にお使いをいただいたわけでございます。 そこで、今後の問題でございますが、やはりそういった国有財産の利用の公共用優先という基本理念に照らしまして、地元の方々の要望あるいは地下鉄の車庫の代替地の確保が可能かどうかといった問題、あるいはまた公園の問題等、総合的に考えまして、慎重に検討さしていただきたいと思っておりますので、よろしく御了承をお願いいたします。
○峯山昭範君 先ほどいろいろ申し上げましたので、あの問題については大臣から後ほど答弁いただきます。 それから、もう一点だけお伺いして私の質問を終わりたいと思います。 これは大臣、例の国立競技場とオリンピック記念青少年総合センターの統合の問題ですね。これは当然もう準備は進んでいらっしゃると思いますが、どういうふうになるのか、その点もお伺いしておきたいと思います。 以上。
○国務大臣(海部俊樹君) 前半の競技場の問題で、約半年ぐらいずれておることを会員募集に書いてないという点でありますが、私は本当のことをすらっと書いたらいいと思いますから、その点は必ず書かせるように指導いたします。 それから、国立競技場とオリンピック青少年センターの問題には、いろいろ経緯や考え方ございますので、詳しく担当の局長から説明をいたさせます。
○政府委員(安養寺重夫君) 五十年の十二月の末にオリンピック記念青少年総合センターのあり方につきまして、国立競技場との統合の可否等を含めて検討するというような閣議了解が決まったわけでございます。その後文部省といたしましては、いろいろ関係機関等に御説明を申し上げまして、オリンピックセンターの方は現実に青少年の社会教育の場所としていろいろ事業をやっておりまして、利用される諸団体の御意向等も、ぜひその志向に沿って将来拡充整備をしてもらいたいということでもございますし、文部省も当然そうあって努力すべきだろうというように考えたわけでございます。 他方、国立競技場は、国の内外を通じての大きな競技等に施設を提供する、あわせて体育振興の諸行事をみずからもやるというようなことでございまして、そこを利用される方々はやはりスポーツ、体育関係団体が主でございます。そのような現実的な違い、今後のあってほしい方向というようなことから、統合の可否等という、統合は少なくとも妥当でないんじゃないかというような見解をもちまして、五十二年度予算につきましても、社会教育施設としてオリンピックセンターを拡充していく、いろいろ不都合なところは抜本的に改善をしようというようなことで対応いたしまして、若干そのような方向での予算の措置も一部計上用意をされておるわけでございます。そんなことで、ぜひこれをそのような形で、今後あり方をはっきりとしたいというように考えて目下検討しておる最中でございます。 〔理事大塚喬君退席、委員長着席〕
○峯山昭範君 もう終わるつもりだったんですけれども、ああいう答弁だと一言言っておかないといけませんので、これはやっぱり統合した方がいいと私は考えているわけです。 それで、きょうは行政管理庁もお見えになっていただいているはずですから、答弁していただいてもいいんですけれども、とにかく、これは文部省のいろいろ事情はありましょうけれども、天下り機関です。こんなことを言うと大臣は、そんなことないと言うかもしれませんけれども、これは行政管理庁からも一人天下っているわけです。非常に給料や退職金等の問題がいま大きく取り上げられようとしております。そういうような観点から考えてみましても、私は経費の節減やいろんな角度から見ましても、その仕事の内容から見ても、それは局長はあんなことを言ってますけれども、実際は私は、統合した方がうんとやりやすい、こう考えています。しかし、きょうは時間ございませんので、この問題については後ほど内閣委員会やそれぞれの担当の委員会で具体的に議論はしたい、そういうふうにこの問題については留保をして私の質問は終わりたい、そう思います。
○矢原秀男君 まず第一点は、学校公害について伺いたいと思います。 一つは、全国的に実態はいかようであるか、第二には、どういう具体的な救済対策をとっているのか、第三には、最近の五ヵ年間の予算的な面においてはどういう形で推移をしているのか、当該局長で結構ですから、まず三点を伺いたいと思います。
○政府委員(安養寺重夫君) 義務教育を初めとしまして高等学校までの学校には学校医等が配置されておりますし、養護教育専門の職制も設けて実施をしておるわけでございます。いろいろ児童の健康管理というような面から、毎年健康診断というものを定期的にやっております。それも最近ここ二、三年間には、専門の方々の御意見も伺いまして内容を十分整備をいたしまして、たとえて申しますと、子供たちにもいろいろ心臓あるいは腎臓、あるいは精神的な面を含めての諸問題が起こっております。体は大きくなってまいりましてもなかなか体力がこれに伴わない、肥満児の問題はどうだとか、いろいろ新しいそういった角度に対応できるように毎年定期的にやります健康診断等についての内容を整備しております。 また、特に学校公害とおっしゃいましたですが、大気汚染地域あるいは市街化地域にある学校の児童、生徒につきましては、一般以上にいろいろ配慮すべき問題がございますので、私どもの局では、大気汚染地域における学校の児童、生徒のために幾つかの事業を補助金を出しまして、府県なり市町村の設置者に実施をしていただいております。 そのものを端的に申しますと、一つは特別健康診断、一般の診断以上の精密な健康診断を実施するというようなことをしております。それから一定期間移動教室と申しまして、その場所を離れまして、いわば自然環境に恵まれた別の土地へ学校ぐるみ移動いたしまして、そこで教育活動を継続するというようなことでございます。いま一つは、学校の環境を整備する。この問題に限って申しますと、校地に芝張りをしたり木を植えるというようなことを進めてまいろう、こういうようなことをいたしておるわけでございますが、なお、騒音、大気汚染というような原因のある地域におきましては、二重窓や空気清浄器等を整備するというような物的面の手当てもいたしておる、いそいろそういうようなことをしておるわけでございます。
○政府委員(犬丸直君) 私どもの方から学校施設における公害防止関係のことをお答え申し上げます。 騒音公害あるいは空気の問題がございまして、学校における災害対策として二重窓をつくるとか、あるいは空気清浄装置をつけるとか、あるいは場合によっては学校を移転改築するというようなことにつきましても、ある限度内において予算をもちまして措置しておるわけでございますが、特に公害の地域、公害防止策定地域におきましては状況によりまして、やはり公害の発生原因が非常にはっきりしている場合には、その発生原因者に負担させるということが原則のようでございますけれども、なかなかその発生原因がはっきりしないというような場合には国が補助するというようなことになっておりまして、場合によっては三分の二、二分の一というような補助を行っております。全体予算でございますが、補助金の額といたしまして四十七年度が七億二千三百八十八万九千円、四十八年度が十七億二千九百六万八千円、それから四十九年度が二十二億三百万円ばかりでございます。それから五十年度が三十五億二百五十五万九千円、五十一年度が三十七億八千万円、以上のような数字になっております。
○矢原秀男君 全国的な対策についてはほぼいまお伺いしたとおりでございますが、私はいまから具体的な問題を取り上げて質問をしたいと思います。 いま私が学校公害の具体的な問題と申しておりますのは、兵庫県の尼崎、西宮、芦屋に関する四十三号線付近の件についてでございますが、この近辺については騒音、振動、排気ガス、そうしてあわせて大気汚染については日本で一番であるか二番であるかというふうな、言うなれば複合的な公害によりまして国で決めた環境基準というものがすべて破られている、こういうふうなことでございまして、いま環境権をどうするのか、人格権の侵害に対してどうするのか、こういう問題が提起されているわけでございますが、いずれにいたしましてもこの国道四十三号線にかかわる公害の問題は、子供さん、そうして大人、人類だけに限って言えば、人間と言われる人々がすべて健康的にも生活的にもさまざまな悪影響を受けております。そうして今日に至っているわけでございます。こういうふうな抜本的な解決というものが一口で結論的に申し上げていけば放置されておると言われても過言ではない、こういう現況でございます。ですから私は、奥野大臣のときにも、そうして海部さんがなられる前にも各大臣にはネフローゼの問題等々、教育の中で病める人たちに対して真心込めてやっていく、こういう人間教育という大事なものを訴えてきたけれども、なかなかやはり反応を示されておらない。そういうことで、きょうは少ない時間でございますが、現地におる私は、当局の総責任者である皆さん方がいかに実態把握をされて、そうして真剣に対処されようとしていらっしゃるのか、そういう点を見つめながらやってまいりたいと思います。 いま大臣ちょっとはずされておりましたが、いま私の質問申し上げておりますのは、尼崎、西宮、芦屋を中心とする国道四十三号線に関する付近の公害の悪影響から子供さん、児童をどういうふうに守るか、こういう観点から質問を進めようとしているわけでございます。 この四十三号線に関する問題は、現在公共事業のみの景気対策とあわせて景気刺激、こういう重点的な考え方で道路建設というものが非常に急ピッチでございますが、反面、公害対策が置き去りになっている現象、こういうところから出ているわけでございます。 まず、この四十三号線沿いには多くの公共施策があるわけでございますが、特に学校、小学校が多いわけでございます。具体的に二、三取り上げますと、西小学校、城内小学校、啓明中学、こういうふうなのがございますが、まず大臣に質問を申し上げたいわけでございますが、いま西小学校には千三百二名が通っております。沿線のまた城内小学校には千三百六十九名、そうして七十メーター引っ込んだところに啓明中学がございますが、八百四十九名、この啓明中学には道路一つ隔てて公営賭博のモーターボートの競艇場があるわけでございます。そういうふうなことで交通量の推移にいたしましても、昭和三十八年のときには一日平均二万九千台のものが、四十七年には九万一千八百台になり、そうして五十年の十月二十日の兵庫県の調査によっては八万七千五百五十二台、そうしてここには阪神高速という、二階建てになるわけでございますから、もう一面では六万八千百一台、合計、上と下で十五万五千六百五十三台、こういう車が排ガスをまき散らしながら走っているわけでございます。 そこへ、先ほど申し上げましたように大気汚染で尼崎は大変でございます。そういう複合的な汚染の中にモーターボートの公営賭博のあれが道路一つ隔ててある。もう三つも四つも非常に悪影響という状態の中で、学校公害の対策が本当に真心込めて文部省から各県、市と、そういうふうに対策が行われているのだろうか。私は毎日現地に家がございますから見ておりましても、これではいかぬなと。いま御説明をいただきましたけれども、大臣おられないときに話をしたわけでございますが、奥野さんのときも永井さんのときも公害に悩む子供さんの問題を取り上げました。永井さんのときも、質問が済んで永井さんは私に、初めてこういう問題を聞かしていただいた、よくわかりましたと言われましたけれども、その後は目に見えてはやっていただかなかった。海部さんに私がいま期待をするのは、峯山さんがおっしゃっておられましたけれども、政治家の大臣として、そうして若い大臣として、人間教育という面をとらえたときにこういう問題を真っ先に取り上げていかなかったら、また永井さんや奥野さんと同じような考え方なのか、エリートの人たちもわれわれは尊敬するけれども、さあ困った問題、予算が大変だからと言ってまた手を抜いてくる、こういうふうなことではいかぬなと思うわけでございます。 そこで、いま大臣にお伺いしたいのでございますが、学校公害について対応をいかにあるべきであるか、そういう所見を大臣にまずお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 騒音とかあるいは大気汚染、そういったいろいろな公害から学校を守っていかなければならぬというのは、これはもう当然のことでございますし、設置者がいろいろとその問題に関しては意を配っていらっしゃると思いますが、国の方としてもできるだけの御協力をしながらそういう悪い環境から学校を守るように、たとえばいろいろな施設を設けるとか、そういうようなことについてはこれはできるだけの御協力をしなければならぬというのが、これが基本的な考えでございます。
○矢原秀男君 局長か課長で結構でございますけれども、具体的に質問いたしますので答弁をお願いしたいと思います。 兵庫県で調べた大気汚染によりますと、五十一年の二月の国道四十三号線の自動車公害のそういうデータによりますと、二酸化硫黄についてはまあ芦屋、尼崎、西宮ははかっておりますけれども、環境基準が一日平均〇・〇四PPm以下となっているわけでございますが、西宮では〇・〇四六で基準を上回っております。また、問題の二酸化窒素につきましても、環境基準は一日平均〇・〇二PPmでございますけれども、芦屋で〇・〇五五、尼崎で〇・〇四四、西宮で〇・〇五二で全地域で基準を上回っております。こういうところへ大気汚染で非常に汚れたものが降りかかってくるわけでございますから、もっと該当の学校があるわけでございますが、いま申し上げた生徒、そういう生徒は大人と違って非常に対応的なものが弱い。 そういうふうなことで、たとえば鼻炎、公害病から外されております鼻炎ですね、空気が汚染しておれば、当然人間は生きてる限りは口や鼻から息を吸うわけでございます。そうして、口から吸ういろんな問題については公害病という指定があるけれども、城内小学校では二〇%ぐらいの人が鼻血を出したりかぜは引きやすい、これはまあ当然でございますけれども。鼻炎の問題が出ているのになぜ公害病から外されているのか。そうしてお医者さんといろんな相談をしておりますと、公害問題で常にお抱えの学者の人たちが逃げていくように、疫学的にいろんな研究過程の中で原因結果がはっきりしてないから認定ができないんだと、カドミと同じような問題でいつまでたっても逃げている。汚れた空気を吸うのに、人間が鼻から息を吸っていく、汚れたためにそういう鼻血が出る鼻炎の状態が出てくる。それでも救済しようとしない文部省。一体どういうふうになっているのか。ですから、鼻炎の問題は公害病の指定にならないのか。指定にならなければなぜ医学者に、お抱えの医者にもっともっと真剣にやっていただいて、そうしたらこれは当然大気汚染やこういうような排ガスの問題でなっているんだと、なぜ率直にお認めにならないのか。 そういうようなことで、いま三千人以上の児童、生徒の人数を挙げておりますけれども、こういう大気汚染と排ガスの問題の中で、尼崎五十五万の市民の中で何%が、児童、生徒に被害がかかっているのか。きょうは答弁をしていただきます。
○政府委員(犬丸直君) 直接のお答えにならないかもしれませんが、実は各公害の状況、汚染の状況、あるいは公害病の問題につきましては私ども直接所管しておりませんので、あるいは環境庁にでもお伺いしないとわからないと思いますので、直接にちょっとお答えできないわけでございますが、御参考までに、私どもの方で所管しておりますいまの国道四十三号線沿いの学校の公害防除の対策についてちょっと御説明いたします。 私どもが調べましたところ、この四十三号線沿線で全体で二十九の幼稚園から高等学校までございます学校におきまして、何らかの公害対策をやっております。そして、お話しの尼崎市のいまおっしゃいました城内小学校及び西小学校におきましてはそれぞれ空気清浄器を備えつける、あるいは気密サッシを取りつける、あるいは防湿設備をするというような、いまおっしゃった公害病の防止対策をやっております。そして、西小学校の方はすでに完了をしておりますし、城内小学校はまだ一部完了でございますが、そういう状況でございます。そして、これにつきましては地元の負担と同時に、城内小学校については国費の補助が出ております。西小学校につきましては道路公団からの補助が出ております。そういう状況でございます。
○矢原秀男君 一つは、環境庁に聞かないとという問題が出ましたけれども、やはり文部省としては、皆優秀な方がいらっしゃるわけですから、生徒さんが当然いろんな地域にいらっしゃる。そういうことになれば、環境庁とかいうんではなしに、文部省自体としての責任を持った対応のためには、そういう方の確固たるものを負っていただかなくちゃいけない。把握していただかなくちゃいけない。そして、いま学校の問題を言っていただきましたが、この問題については非常に感謝をするわけでございます。 ただ、私が申し上げたいのは、子供さんが、学校だけでないんです。家庭にいらっしゃって、一日二十四時間の中で学校、家庭、そうしてまた外で遊ぶ時間もあるでしょう。そういうふうに一日二十四時間を見た場合に子供さんの健康はどうなのかというのは、学校の設備だけをすればそれで責任はいいんだということではいけない。こういう問題について、環境庁や、そうして該当の道路をつくる場合は建設省であるとか、また、公害をまき散らす運輸省であるとか、いろんなところに行っても、子供さんの健康について定義や、そうして守っていくそういう意見を強く主張して他の省庁に反映をするのは文部省でなければいかぬ、こういうふうに思うわけです。ですから、私がいまから論議を進めていくのは、学校の設備はもちろん急いでいただかなくちゃいけません。しかしそれ以上に、地域におけるこういう公害発生源の中に生活をする子供さんの健康状態について文部省としてどう責任を持っていくか、こういうところにしっかり論点をやっていきたいと思うわけでございます。 騒音調査にいたしましても、尼崎市や兵庫県がやっておりますが、それでも環境基準が六十ホン以下でございます、昼間は。もう七十四ホンになっている。全部破っているんです。朝と晩は七十二ホン、夜間が六十五ホン、これは環境基準は夜間は五十ホン以下ですが守られてないんです。じゃだれが悪いのかと言えば、これはもちろん教育が悪いために、法律がつくられたってだれも守らない。ああ、あれも守らないのかと言えばみんな守ってないわけです。こういう状態なんですね。ですから、昼間は一〇〇%守られてない。朝夕だって四二%、夜間四六%です、全部これだけ破られているわけです。 こういう中で、私はまた具体的に進めますけれども、健康上の被害について昭和四十九年、自動車排ガス等にかかる沿線住民の健康調査の報告が兵庫県の衛生部で行われました。それによりますと、芦屋、西宮、尼崎、こういうところで問診をやっておりますが、よく目がかすみますかというのに、三一・七というのがかすむと出ております。よく目が疲れるには五二・三%、よくせき払いをするが四一・三%、よくのどが詰まるような感じがするが四〇%、よくのどが痛むが三九・三%、ときどき鼻血が出るが八・七%、耳が遠くなったような気がするが二九%です。 そこでお伺いをしたいんでございますが、こういう項目について、該当の児童、文部省で教育を見ていらっしゃる児童が何%該当されるのか。もうきのうきょうのことではないんです。私も市会や県会からずっと言い続けてもう十何年になるんですから、きょうは皆さん方結論出ていると思います。児童は、大人やいろんな人たちから含んで何%がこれに該当するか答えてください。——わからなかったらわからぬでいいから言ってください、はっきり、時間がないんですから。
○政府委員(安養寺重夫君) 文部省が毎年やっております全国の児童、生徒を対象の保健調査がございます。それで出ておりますいろんな疾患のうち、これは大ざっぱにつかんでございますので個別にいまおっしゃったようなことにはお答えができかねますけれども、中耳炎以外の耳の異常、こういうのを例にとりますと、小学校で二・四六%、中学校で一・四八%、トラコーマ、結膜炎以外の目の疾患、異常で申しますと、小学校が一・二八、中学校が一・一〇、咽頭炎というんですか、これが小学校で〇・〇五%、中学校で〇・〇四%、鼻の疾患が小学校で四・六二%、中学校で二・七六%、かような数字になっております。
○矢原秀男君 これはこの該当地域では参考になりません、平均値ですからね、大臣。そうでしょう。恐らく私は日本でも一番これは大変だと思うわけです。ですから、こういう局部的な面も浮き彫りにするということが、ひいては、ここだけではなしに全国的にもまた大きな手を打てる資料にもなるわけでございます。この健康上の被害、いま申し上げましたが、そのほかにも、生活上の被害でも、近辺では騒音振動で眠れないのが三四%もあるし、テレビやラジオに雑音があるのは三九・七%、災害の不安とかいうのが、上から車が本当に落ちてくるんではないかというのは二八・三%、たばこや空きびん等が降ってくるというのが二〇%もある。話し声や電話が聞きにくい、二九・三%もある。まだそのほかに家屋の被害でも、家や窓ガラスが揺れるというのは六四%ですね。壁やブロック、タイルにひびが入っているというのは三四%あるんです。窓が閉まりにくいというのは三四・三%です。そして、家全体ががたついているというのが二九%あるんです。こういう環境の中で、いま申し上げている生徒さん方が黙って一生懸命勉強しているというわけなんです。こういうふうな問題の中で、いま御報告をいただいたような単なる全国的な平均だけで対応されていく、そういうことでは私は行政の面で大きな誤りが出てくるんではないかなと思うわけです。 そこで、時間もございませんので大臣にお伺いしたいわけでございますが、いま申し上げたように該当学校が多くあるわけでございますが、これはこの付近に対する児童を対象とした独自の健康調査というものが具体的にクローズアップされないとどうしようもないんです。その点をどうされるのかというのが第一点と、二番目には、ただいま申し上げたように、鼻血が出てくる、もうかぜで病院にどんどんかかっている、そういう鼻炎の炎症を起こされているような方々に対して、公害病の指定としてやっていく前向きの調査をされるのかどうか。この点について私がやかましく言いますのは、私が県会時代、国会議員の方と城内小学校に、父兄から、PTAの役員の会長さんやみんないろんな方から意見を聞いて伺ったら、その当時の教育長さんも、校長さんも、うちには何にもありませんと言って、何も言わなかったわけです。そうして家庭に行けば、親から、鼻血が出る、医者代が高くなる、こういうことでございますので、この二点について大臣御答弁をお願いしたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 児童、生徒の健康保持の面からいきましても、ただいま申し上げたような全国でどれだけという把握の仕方よりも、もう少し突っ込んだと申しますか、あるいは親切にと申しますか、大気汚染地域においてはどうなっておるかという個別的な、より具体的な数字を持っために努力いたします。ただ、これは口で申し上げるだけじゃなくて、今年度の予算の措置におきましても文部省といたしましては、大気汚染地域特別健康診断費の補助金額を二千万ちょっと用意しておりますので、こういったものを有効にこの調査に使いまして、現実に、全国平均じゃなくて、大気汚染地域は特にどういう差があるかということ等も実態を正確に調査をいたしまして、今後の対策に役立てていきたい、こう思います。
○矢原秀男君 鼻炎、鼻の……。
○国務大臣(海部俊樹君) どうも鼻炎のことは私も余り専門でございませんので、これは検討さしていただいて、関係省庁があるなれば、そちらの方へも文部省から意向を伝えてしていただきませんと、文部省だけで指定できるとかできないとかいうことじゃございませんので……。
○矢原秀男君 担当されているのはどなたですか、鼻炎の。
○国務大臣(海部俊樹君) 環境庁が……。
○矢原秀男君 いや、文部省では……。では、大臣のお話よくわかりました。鼻炎の方だけ担当の方に。
○政府委員(安養寺重夫君) いまお話しのように、大気汚染地域に限って多発するような病気の症状について特別の講習会その他はやっております。これは物事を勉強していただく方にかかりっ切りでございましたわけですから、いま大臣から申し上げたような予算も幸いあることでございますから、この予算がその地域地域の全部を包括するほどの量ではございませんけれども、何か工夫をしてやってまいりたいと思います。その過程におきましていま鼻炎その他御指摘の公害病の認定にならない、しかし、伺っておりますとそれに類するような障害についての今後の取り扱いの問題提起をやるようにというお話かと思いますので、そういうデータを集める意味も含めまして、先ほどのような仕事を検討していきたいと思います。
○矢原秀男君 じゃ最後に、大臣、もう一度念を押しますけれども、本当に現地は大変なんです。いまあなたが言われておりますように、努力をすると言われているんですが、いままでしばしばお偉い方々の御答弁、皆努力をするで、結論が、いろんな質問しましたが、出ておりません。重ねて、この問題について具体的な努力についての御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 私が前半で申し上げましたことを、特に大気汚染地域を中心にしてどうなっているかということをきちんと調査をしまして、全国平均のデータじゃなくて、それにふさわしい具体的なデータを必ずつくらせます。
○小笠原貞子君 高度経済のもとで都市化がどんどん進みました。交通難がひどくなりました。また、労働強化が強くなった。労働様式が変わったり、体を動かす機会が少なくなったということで、運動不足などからくる現代病というものがますますふえてきている、それも大人だけではなくて子供にもふえてきている、やはり日本の健康というのは、日本国民の健康ということを本当に考えていかなきゃならないんじゃないだろうか、私たち共産党はそういう意味で、国民のスポーツの画期的な発展のためにという政策を出しまして、日本の将来を考えてスポーツ政策を出してきたわけなんです。 その中で、きょうはひとつ具体的なお願いで質問をするわけですけれども、もう五年も前になります、一九七二年、札幌で冬季オリンピック大会がございました。私も札幌でございますので、もうあのときに笠谷を初め日の丸がずらっと立ったということで、私も大人げないなと思いながらもやっぱりうれしかったですし、また、ジャンプ陣の大活躍というのは、本当に道内を見ていまして青少年に非常に大きな夢と希望をまさに与えたわけです。そして、スキージャンプ少年団という名前で各地にそれが誕生いたしまして、その子供たちがいまもう成長いたしまして、いまや第一線級の選手というのが高校生から出ているわけです。余市高校出身の川村だとか、小樽北照の中津らというのがもういまどんどん出てきているわけなんですね。 それがいま、じゃ日本のジャンプ陣はどうだと言いますと、あのときからぐっと差が出てまいりましていつも失望をさせられる。日本のジャンプの選手が質的にも体力的にも劣っているのかということから考えると決してそうじゃなくて、やっぱりそこに具体的な練習不足、あれはもう本当にまさに練習がものを言うものでございますから、練習不足というものに大きな原因があるらしい。ちょうどそのころからヨーロッパなんかでもどんどんプラスチックジャンプ台というのが利用されまして、そして日本じゃもう雪が積まなければ練習できないというような中で、プラスチック——きょう持ってきたんですけれども、これは多田議員がオーストラリアへ行きまして、そして大使館を通じてお願いをして外務省からこの間送っていただいたんですけれども、ジャンプ台の滑るところとそれからランディングバーンと言って落ちるところと、これをずっとかわらを重ねますようにジャンプ台に組み合わせて張っていくわけなんです。それに水をかけますと、これがりっぱなジャンプ台になるということで、ヨーロッパのいま強くなっている選手団というのは、みんなもうこれを利用して夏季からジャンプの練習をやっている、こういうわけなんです。これはチェコ製のものなんですけれども、日本ではまだこれを実際に選手が使えるというようなわけにはいっていないんです。 ヨーロッパでどれくらい出ているかといいますと、昭和四十九年で一番多く使っているのが東ドイツで十八台ジャンプ台というのがございますね。それからソ連が八基ございます。それからオーストラリアが二台、西ドイツが四台、カナダ、それからチェコなんか数が数え切れないと言っておりました。フランスとかイタリア、ユーゴ、それからスイス、米国、こういうふうに各国でこれが使われているというような状態なんでございます。 それで、私たち北海道にいて、選手の実際の練習状況というのを見ますと、まず大体雪が降らなければ練習ができないというようなわけですから、雪が降りましてから、一番最初に降って使えるというのが、札幌郊外の中山峠というところに皆行くんですけれども、そこは三十メートル級のジャンプ台なんですね、そこで練習をする。それでしかも、三十メートル級で十分練習もできないままに今度ヨーロッパなんかの大会があると出かけていってやるわけですから、だから九十メートルなんて飛ばないんで、向へ行っていきなりやるんだから、これはもう太刀打ちできないのはあたりまえなんです。 私、ことしは一体どういうことになっているかなと調べてみましたら、一月の十五日、オリンピック記念国際スキージャンプ大会で一位はスイスのシュナイダーというのがやって、私も見ていたんですけれども、実に飛びまして百十三メートル飛ぶわけなんです。日本というのはやっと九十四で百を全然超せないんですね。九十四で七位だ、全部ヨーロッパ勢に取られちゃう、こういうわけなんです。今度一月十六日、次の日のSTB杯ジャンプ。これも国際ジャンプ大会なんだけれども、これも九十六メートル半しか飛べない。百メートルどうしても乗り切れないんです。ところがこの間なんです。三月六日の全日本ノルディック大会というのになります。つまり、一月の段階では百に手が全然届かないんじゃなくて足が届かないんですけれども、届かないのが、三月の六日のこの全日本ノルディック大会では相内というのが百と百十、二回飛んでます。それから、先ほど言いました高校生の川村というの、それが百八から百メートル五十というようにどんどん飛んでいくんです。つまり、シーズンオフの段階にやっと百メートル超せるというのは何だ。それはやっぱり一生懸命に練習するというこの練習がものを言っているということの結果だと、そう思うわけなんです。 こういうことから、特に小樽ではもう十人に余るオリンピック選手を出しておりますので、小樽の市長さん——志村市長さんも大変乗り気になられまして、ぜひこれをつくりたいと、そしてこの間三月十五日は堂垣知事もこれはぜひやりたい、協力したいというふうにおっしゃっていました。私もやっぱり、このジャンプで夢と希望を持って青少年団というのができて、各地で活躍してということは、単に選手だけの問題ではなくて、いまの子供たちにも大きな希望を与え、そして、冬場のスポーツとしてはもうこれはどうしても必要欠かせないという問題だと思うわけなんです。ですからぜひこれを、いきなり来年からつけろなんて、そんな無理なことは言いませんけれども、もう具体的にはヨーロッパでこれだけできているんだから、これも御調査いただいて、そして本当に早急にやっていただくような手はずをまずとっていただきたい。 そして、その前にも、もうすでに調査に行っているのが、元全日本スキー連盟のジャンプ委員長をやっていた菊池定夫さんというのが四十九年段階での調査も行っておりますし、それから小樽潮陵高校出身で、現在全日本スキー連盟理事をやっている伊黒正次さんという方、この方もこれの問題について非常にお詳しくて、体協や何かとも相談しながら、ぜひこれを現実のものにしたいというふうに努力されているわけなんです。そういう意味で小樽も市としても道としても協力体制にあるし、小樽はジャンプ台がたくさんございます。だからそのうちの潮見台ジャンプ台というのを提供してもいいし、またこっちを使ってもいいというふうに準備も進んで、みんなが非常に期待しているものですから、ぜひ文部省としてもそういう子供たちの夢と希望を現実のものにして、そしてそこで選手強化なんか、オリンピック済んでから選手強化だなんてお金つけても、これはなかなかそんなお金でできるものじゃない。やっぱり夏場からの練習ということを保証してあげなければいけないということから、ぜひこれについての大臣の御所見と、どういうふうに御協力いただけるかという点なんかについてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) いまいろいろお話を承りましたけれども、練習期間を長くしたり、練習技術のためにも、あるいは基礎体力をつくるためにも雪の降っていないときも練習できるジャンプ台が必要だという必要性については何ら異論はございません。そしてすでに御承知のように、ヨーロッパの国々でそういったものが使われておるということ、それから全日本スキー連盟の方でも、基礎体力をつけたり練習の期間を長くするためにこういったものがあったらいいという議論があること、これも承知いたしております。 現在、わが国ではどうなっておるかということをちょっといま調べてみたんですけれども、何か読売ランドに一ヵ所だけあるんだそうですが、これはもう使われていないということで、ですから結局ゼロということになる。そこでその安全性とか耐久性とか価格の面を私の方でもきちんと一遍調査をして、そして、そういう御要望があるとすればどうしたら御要望に国側として御協力できるか、よく検討をさせていただきたいと思います。
○小笠原貞子君 その調査というのは、具体的にいつの段階でというのは無理かもしれないけれども、ことしならことし方々に調査なんかにいらっしゃる方もたくさんおありでしょうし、そういう方がついでにこの問題も調査するというようなことで、調査は具体的に、現実にやっていただけるというふうに受け取ってよろしゅうございますか。
○国務大臣(海部俊樹君) ようございます。
○小笠原貞子君 はい、それじゃそういうことで受け取らせていただきます。 それから、少年ジャンプ団というのが五つの団体ができているんですけれども、そういうものを私はたくさんつくってやりたいと思うんです。そして本当に健康な子供たちをつくっていきたい、そう思うんです。そういうための指導者というのがやっぱり必要になってくるわけですけれども、体協なんかのスキー連盟主催で指導者養成講座なんというのを開いておりますけれども、そういう子供独自でというんじゃなくて、やっぱり指導者の養成ということで、そういう指導者養成に何らかの助成をするとか激励するという意味で、文部省としても考えていただくというようなことをぜひ考えていただきたいと思うんですが、いかがでございますか。
○政府委員(安養寺重夫君) スポーツ活動を盛んにし、しかもそれが安全が確保されておるというために、技術の優秀な指導者が必要なことはもうおっしゃるまでもございませんで、文部省としましても自分自身で何らかの特定の競技の指導者を養成するわけにまいりませんので、現職の方々の研修会を学校内外の人たちに呼びかけましてやっております。また、日本体育協会でも、スポーツリーダーの養成の計画を明年度以降さらに大幅にというような御要望でもございますので、補助金をそれなりに充実をしたいという用意をさしていただいておるわけでございますが、そういうような一般的な問題とあわせて、具体的な問題提起があれば民間の中でいろいろとそういう充実を図っていただきたい、かように思っております。
○小笠原貞子君 それから、このプラスチックジャンプ台もそうだけども、そもそもジャンプ台というのがもっと欲しいと言うんですね。で、さっき言いました中山峠なんかにも人が物すごく殺到するわけです、そこのところから始まるものですから、時期的に。だから、どうしても中山峠にもう一台ジャンプ台を設置する、そういうときに国からの新設として御援助いただきたいということや、それからオリンピックのときに滑ったのがあの大倉山シャンツェといって、これが非常に整備されているんです。この整備費がオリンピックのときには出してもらえたんだけれども、国が予算を計上して、オリンピックのときにいただけたように、その後もやっぱりそういう意味での振興させるための経常費というようなものも何とか考えていただけないだろうかということでみんなが非常に希望していたわけなんで、その点についてもお考えや見通しなどをお伺いしたいと思います。
○政府委員(安養寺重夫君) ジャンプ台などの新設につきまして地方公共団体の御要望があれば、個々別々に御相談をいたしまして、体育施設費の補助金というような交付の道がございます。 それから、具体的に大倉山のジャンプ場のお話がございましたが、これはオリンピックの後、所定の管理の方式を決めまして、特別の経費等につきましてはいろいろ考えさしていただくというような一般的なルールがございますので、これは個々別々の問題としてその必要があればまた検討さしていただきます。
○小笠原貞子君 それじゃぜひいまお答えいただきましたこと期待しておりますので、よろしくお願いをいたします。 さて、健康な子供にも本当にますます健康になってほしいと思って私は見ておりますけれども、その中で私、胸を痛めておりますのは自閉症児の問題でございます。大臣も二人の子供を持っているとテレビで御発言になって、ああ若いお父さんの気持ちというのがわかっていただけるんじゃないかと近所の奥さんたちも話をしておりましたね。でも、この自閉症児というものもこのごろ非常に問題になってきましたけれども、まだまだ全体のものになっておりません。昭和十八年に、アメリカのカナーという学者が自閉症児についての報告というものを出されたのが初めて、昭和十八年ですね。それから二十七年に日本で鷲見報告というのが出された。それ以来、だから時間的に言えばずいぶん前から問題になっていたんだけれども、これの対応というのがなかなかできていないわけなんです。 それで、まず私は伺いたいんだけれども、こういう問題を本当に積極的にやっていただけるというのは、やっぱり感情的にも理解していただかないとなかなかわかっていただけないと思うんです。大臣なんかお忙しくてそのお暇がなかったかもしれませんけれども、率直なところでいいんです。知らなきゃ知らないでいいんです、知らない人たくさんおりますから。自閉症児という問題について、頭じゃなくて体で接したことがあるか、施設でそういうことをお聞きになったことがあるか、お忙しいからなかったかと思いますけれども、そういう御経験おありでいらっしゃいますか。
○国務大臣(海部俊樹君) 直接はだで接した経験ございません。
○小笠原貞子君 本当にお忙しいから無理ないと思いますけれども、ぜひきょうの質問を機会に、自閉症児の問題をいつも頭の片すみに入れておいていただきたいと思うんです。 この間も、これは読売新聞で大きく取り上げられたんですけれども、自閉症の子供を持つお母さんが、この子供がいま中学に行っているわけですけれども、十六年間の生活記録、その子供の記録を出していらっしゃるんです。これを読んでも本当に胸が痛むんですけれども、三歳ころは好奇心が非常に盛んだと。だけれども、非常に言葉が失われているというんでしょうか、言葉が出なくて、三歳くらいまでもだあだあというような濁音しか出なかったと。その反面、一人でいるときにはコマーシャルをばっとしゃべったり、それから童謡を歌ったりというようなことがあるわけなんです。それからまた、好奇心というのは非常に旺盛で、もう一日中——学君という仮名にしたんですけれども、この子供は一日じゅう金魚ばちを朝から晩まで見ているんです。そうかと思うと表へ飛び出して一日じゅう線路に座ってじっと見ている。そうやって静かにじっとしているという子がいるかと思うと、今度はもういきなりばあっと飛び出しちゃって、体は不自由ないんですから、飛び出しちゃって電車に飛び乗っちゃう、親がついていくにももうあっという間の動作だと。それからまた、柱に自分で頭をぶつけまして、そうしてそういうのを絶えずやったりというような非常にいろんな症状というものを出すわけなんです。 ただ特徴としては、こういうふうに人間と接するときに、目と目を合わせるという、視線は絶対合わせないというのが特徴になるわけなんです。そういうわけですから、近所の子供とも遊ばないというようなこと、そしていきなり飛び出していったり、また近所の家に入り込んだりというようなことで、御近所からは、もうおたくは子供のしつけがなっちゃいない、奥さんしっかりしなさいというふうに苦情を言われているという、そういうことが出てくるわけなんです。 そこで、体がどうというわけでない。そして自閉症児というのはそもそも何が原因かという、これがまだ医学的にもよくわかっていないという中で大変対策として困難なんだけれども、だから結局その子供たちが学校に行くということになると、普通教室、普通学校に行くのか、知恵おくれの方の養護学級に入れてもらうか、そういうようなところに入れればいいんだけれども、なかなかそれができなくて、就学猶予や免除だというようないわゆる門前払いになってしまうということなんです。つまり、学校側としても大変だというわけでしょう。何でだと言ったら学習カリキュラムについていけない、ほかの児童が迷惑するというようなことを言われる。 このお子さんも七つになってやっと学校に入られた。学校へ入ったはいいけれども、さあちょっと目離していれば机の下にもぐり込んじゃう、教室飛び出しちゃって学校じゅう歩き回る、そういうような状態で非常に苦労していらっしゃる。しかし、これも決してだからしようがないというんじゃなくて、いまはもう模索しているわけですけれども、その中でみんなが知恵を集めながら、現実に少しずつ物もしゃべり、視線も落ちついて、話も言葉がちょっと出るというふうになってくるわけなんです。で、私はやっぱり弱い者が大事にされなきゃいけない。同時に、子供が弱いんだと言いながらも、その子供の中でこういう本当に重荷をしょった子供たちに何としてでも暖かい光を当てていただきたい。そして、その子供を持ったお母さんたちがどういうことを言っているかということなんで、私もいろいろ読ませていただいて本当にはっとしたんです。 つまり、先ほど言いましたように、子供がそんなに飛んではねる、家へ入り込んできて迷惑をかける、それはお母さんのせいだという言い方ですね。それからもうスキンシップが足りないからだというふうに、いまのところわからない、非常に誤解されているものだから、母親の責任だ、親の責任だというふうに言われる。これに関してこのお母さんこう言っていらっしゃるんで、私は本当に胸がはっとしたんですけれども、母親のせいで子供がそうなったと言うけれども、でも本当にそうならどんなにうれしいかしらとそのお母さん言っているんです。つまり、自分の責任で悪くなったと言えば自分の努力で子供を治せるという展望があるわけです。だから、母親がうまくないからと言われることがもし本当ならどんなにうれしいだろうという言葉をお書きになっていらっしゃるのを見たときに、私は、本当にこれは親子ともども十字架をしょって生きていらっしゃる、これに何としてでも考えていただけるような道をつくっていただきたい、そう思うわけです。 自閉症児の数がそれじゃどれくらいかと言えば、先ほど言いましたように、自閉症というのはそもそもどういうもんだという概念がないから数というのも非常にあいまいなんです。全国的に実態調査はまだ実施されていないし、されるとしてもなかなかむずかしいと思うんですけれども、大体四千人だろうと言うのから、今度は二万人くらいまでというような数が出ているわけですね。それがだんだんふえてきているわけです。そして今度、だんだん高年齢化してくるわけです。つまり思春期を迎える、成人期を迎えるという中で、母親の悩みはますます深刻になってきているんです。こういう状態を大臣が二人の子供さんの父親として本当にどう考えていただけるか、それについていままで文部省としての一応の方針というのはあると思うんだけれども、これを本当に力を入れてもっとしっかり充実させたいというふうにお考えになっていただけるかどうか。現状の文部省としての対策と、大臣としてこれをどうするかという御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 自閉症児の問題について、これは現状の対策とか問題点については後ほど担当局長から御説明を申し上げますが、私の基本的な考え申し上げますと、やっぱりどういう原因があるのか、そういったことをよく調べ、同時にまた、どういう教育上の配慮をしていったらよりよくなるのかということ等もいろんな角度で研究しなきゃなりませんでしょうし、また、文部省としては普通学校に行ってもらうのか、あるいは特殊学級に入ってもらうのかというところにおける配慮とか、またその区別をしましたならば、今度はその指導する教員の資質といいますか、その人の能力というような問題等において養成段階でもいろいろ気を配る必要があろう、まあできるだけの施策を積み重ねて、少しでも児童のためになるような対策を立てていかなければならぬ、私はこう思います。 詳しい現状やどうしておるかということは、担当局長からお答えを申し上げます。
○政府委員(諸沢正道君) 自閉症児に対する現状、教育対策というようなものにつきまして、自閉症というものについては私自身も非常に素人でございますが、私なりに聞きましたり研究したりしたところを総合して、現在まで文部省がやっておりますことを申し上げたいと思います。 御指摘がありましたように、そもそも自閉症というのは何だと。これは現在の医学でも果たして精神的な疾病なのか、あるいは性格の片寄りなのか、それもどうもはっきりしないというようなことでございまして、そういう子供さんが過去もおったということは事実でございますが、ただいま先生が御指摘になりました、現在少なければ四千人ぐらいだろうというような数字をお示しになりましたけれども、文部省でも昭和四十二年に全国のそういう障害児についての実態調査というのをかなり詳しくやったわけでございます。そして、一応その自閉症というものを情緒障害の一つのカテゴリーとして、学校の先生について、あなたが預かっておる情緒障害の子供さんのうち自閉症的なものはどのぐらいあるとか、あるいは緘黙と見られるようなのはどのくらいあるとか、登校拒否はどのくらいだとかいって実態調査をやったのでありますが、その調査の結果を見ましても、一つ一つ当てはまってないんだと言うているのがきわめて多いんで、その他という、要するに先生自身も判断がつかないというようなのが六〇数%あったと記憶しておるわけです。そういうような実態を踏まえながら、しかし、自閉症の問題というのはこれは大変だということで、文部省も四十三年から数は少のうございますが研究学校を委嘱して、そこで自閉症の教育というものを研究してもらっておる、そういうことでございます。 そして、それなら自閉症というのは一体どういうグループ分けをして教育すればよろしいのかということですけれども、これも一応文部省としては現在特殊学級のうちの情緒障害というところで扱っているわけですけれども、御指摘のように、症状自体を見ればあるいは精神薄弱的な様相もありましょうし、言語障害的な様相もありましょうし、実は私は一律に情緒障害という学級でいいのかどうか、あるいは特殊学級でいいのかどうかという問題もあると思いますけれども、しかし、それはいま模索時代でございますからそういうことで進めておると。 そこで、四十七年から義務制を控えて、特殊学級の整備というものも図ってきたわけでございます。そこで、計画としては実際の出現率から言って、精薄児学級というのが圧倒的に多かったわけですけれども、いまの情緒障害の中に含めて自閉症の学級というようなものも計画としては考えてきたわけです。実際それから六年になりますけれども、やってまいりましたところ、自閉症児を含む情緒障害のための特殊学級というものの数は計画より三倍ぐらい多くなっているわけです。これはやはりいま先生が御指摘のように、そういう自閉症児の実態というものに対してその対策を考えなきゃいけないということが、徐々に学校の段階でもいろいろ考えられてきて、あるものは従来いわば精神薄弱というような範疇で考えられておったものを、どうも自閉症というふうに考えて、それを一つのまた別なカテゴリーでこれは教育しようというような動きがあって、自閉症を対象とするような特殊学級というものが計画以上にふえているんじゃなかろうかというふうに私は判断しているわけです。 そこで、まあそういうこと……
○小笠原貞子君 済みません、時間がないから簡単にお願いします。
○政府委員(諸沢正道君) はい。そういうことを踏まえまして、これからどういうふうにやっていくかということでございますが、いま申しましたようにいろいろ症状が異なりますし、まだ未開拓の分野があるわけでございますけれども、私どもとしましては、これを自閉症を対象とする情緒障害学級の拡充という形でいきたい。それじゃ特殊学級のあり方はどうかといえば、これはやっぱり特殊学級として固定してしまうんではなしに、そういう子供さんについてはやはりある程度普通の子供との交流を考えながら教育をしていく、そういうような方法をさらに充実して今後やってまいりたいというのが、いまのところ考えておるわけでございます。
○小笠原貞子君 いろいろ御苦労していらっしゃると思うんですけれども、やっぱり行政の場と現場と、それから母親と一体になって、その中から一つのものをつくり上げていかなきゃならないと思うんです。まだそこのところまでに母親を励ますだけの手が差し伸べられていないというような点を私は不満に思います。特に五十四年度から養護学校の義務制ということが考えられるとすれば、やっぱり一番本当に日の当たらないここのところに何とか考えていただきたいと、もう再度お願いをするわけなんです。 それから、自閉症でみずから閉じると書くけれども、これが本当に行き場がないということで、ますます閉じられてしまうわけです。先ほど御紹介申し上げました学君というのはいま中学校三年なんですけれども、学校に入ってそして普通学級でいろんな友達やなんかとも、お母さんなんか、先生も協力してという中で、十六年目にこんにちはってあいさつをするようになった。特殊なところに閉じ込めるんじゃなくて、普通学級の中で普通の児童そのものが最大の教師だということはもう結論的には、理論はどうであろうと出てきているわけです。そうすると、やっぱりそういうふうなところに閉じ込めないで、みんなの中でどうやって交流していけるかというようなことを考えれば、医療と福祉と教育面という三つの面から十分な御配慮をいただきたいと思うわけなんです。 それで、札幌でもこの問題がお母さんたち非常に悩みの種になっておりまして、この間いろいろ調べてお話を伺ってきたんですけれども、五十一年現在で、札幌市は八校で十二学級の情緒障害学級というのがつくられているわけなんです。五十二年度には中学校に一クラス、小学校に二学級増設するという予定になっておりました。四十七年四月の大通小学校、中央小学校の各一学級からスタートして、年々拡大充実して八校、十二学級まできたということは、これなりに先生や教育委員会等の努力というのは、この困難な問題を抱えてだから大変なものだというふうに私はもう敬意を表していたんですけれども、ただ問題は、学校ができたということで非常に大きな問題があるわけなんです。 実は、学校の数はできたわけなんですけれども、場所の問題なんです。札幌は御承知のように、政令都市になりまして七区に分かれております。大体その七区に向けて、七区に一つないし二つと、これちょっと遠いからごらんになれないのでそちらに差し上げて見ていただけばいいんですけれども、この青い線が行政区に分かれているわけです。それで四角いのが養護学級を持っている学校なわけなんです。そして丸い点々が学校なんです。そうすると、各学校につくるというわけにいきませんので、各行政区に一つつくるというふうに努力はしてくだすったわけです。 ところが、札幌市の場合も人口急増都市なもので、人口がドーナッツ化現象で、中心部の学校というのは児童数が減って周辺が急増している。したがって、どこにつくるかといったら予算上も大変だというので、中心部の、ドーナッツ型で人が行っちゃって生徒数が減ったという空き教室が活用されているというような状態になっているわけなんです。できないよりできた方がいいけれども、だからそこまでの、できたということを評価しながらも、こういうふうなことでは、これは大変な問題が出てくるわけなんです。 だから、たとえばこれも北九条小学校の場合なんですけれども、四十八年四月からスタートしたんだけれども、空き教室を使って個別指導しなきゃならないから、中を仕切りをして、そして十何人一緒にというわけにいきませんから、十四人だと二人の先生が見てというふうに仕切りをします。そうすると上の方があいていたりね、音が全然突き抜けちゃうわけなんです。この子供たちは情緒が安定していなければならないのです。そうすると情緒が安定するどころか、もう音が聞こえてくるというような防音の不完全なために集中できない。だから、せっかく先生があってそういうことができても、もう一つ手をかけてくだされば、そこで成果が上がりますと、数ができたというような見方をなさるんではなくって、やっぱりその数が本当に効果ある数になっているかどうかということで、予算面でも考えていただきたいと切にそれはお願いをして、大臣の御答弁もお願いしたいと思うんです。 それから、中心部に行っていますから、これは通勤が大変な問題なんです。ただでさえもラッシュ時でございます。それに加えて、さっき言ったような衝撃的にわっと動く子供がいるわけです。だからたとえば、あるお母さんバスに乗せて連れていったら、いきなりその子供がわっとお客さんに暴力を振るったと。もう乗客の方は普通の子供だと思うから、何だおまえというようなことになってしまう。そうすると、そのときの母親の気持ちは本当につらいと言うんですね。 しかも、そこのところに行きますのに、その地図にも書き入れてありましたけれども、たとえば北九条小学校で調べたんですけれども、十五人のうち三十分以上かかる子供が十人で、その中には北区丘珠という外れから通いますが、一時間十七分かかっているんです。歩いてバスに乗って、市営バスなんです。市営バスから今度会社の中央バスというのに乗りかえて、そして行かなければならない。篠路というところからは一時間五分かかっている。だからただでさえも大変なのに、こういういつ飛び出していくかわからない、いつ何するかわからないという子供を付き添いをもうしなければいけないということになっていますから、そのお母さん大変なんですね。それでせっかく学校がつくられても、何とかもう配慮した位置に、付き添って近くで行けるようにしていただきたいということ。 それから、しかしそんなことを言っても、予算の関係ですぐには大変御無理でしょう。だから次善の策として、何としてもお願いしたいというのは、付き添っていかなければならないんです、子供一人で行ったらどこへ行っちゃうかわからない、何になるかわからない、付き添いが原則です。そんなときに、お母さんがかぜを引いたとかぐあいが悪いとか、子供がぐあいが悪いとか、急な何かのときがあったときに、せめてタクシーに乗っていったら、そのタクシーでたとえば学校まで行く、全部とまで言わないけれども、スクールバスで全部を拾っていってくれればいいんだけれども、散らばっていますから、拾っていきますと、一番初めに乗った子は二時間くらい乗ってなきゃならないんです。これは大変無理なんだと。だから、どっかにバスがあって、そこまでタクシーを使うとか、そこまで送っていくというような、そういうような配慮もしてもらいたい。まさに、自閉症の子供は動く障害児と言われているわけですから、そういうときに、その自動車を実費で、毎日毎日乗るから出せとは言いませんけれども、よんどころなく乗ったというような場合には、その自動車代の実費に経済的な援助をしてもらいたい。 これは「昭和五十一年度特殊教育就学奨励費補助金・交付金交付要綱 五十一年五月二十一日事務次官裁定」で出されている。この中に、「通学に要する交通費」、「経済的な通常の経路及び方法により通学する場合の交通費の額。」というのが出ていて、そして、これでよんどころない場合には仕方ないと、タクシー代もというようなことの道がある程度開かれているようなんです。やっぱりそういう点に具体的にいま学校を全部配置しがえてくれというのは無理だと思いますけれども、本当にお母さんたち必死になってがんばっております。そういう点で何らかのそういう手だてを考えてやろうというお気持ちはおありだろうかどうか、その辺のところを大臣からもお伺いしたいと思います。
○政府委員(諸沢正道君) 細かい話になりますので、私から一応申し上げますけれども、いま御指摘になりました点はいろいろございまして、たとえば付添人の旅費をどうするか、あるいは本人が行く場合でも、タクシーで行った場合はどうなるとか、あるいはグループでいく場合に、スクールバスの配置をどうするかというようないろいろな問題を含んでおると思うんでございますが、先生全く御承知のように、現在、特殊学校の場合は付添人の旅費等もある程度見ております。しかし、特殊学級になりますと、これは対象が非常に広がりますから予算的に簡単に踏み切れないという問題もございます。それからタクシーの問題も、御指摘のように、この補助金で見ようとするのは、通常最も経済的な方法で通学する場合のその旅費だと、こういうことになっておりますので、なお検討すべき課題があると思います。 それから、スクールバスでございますが、これも現在のところ養護学校とか、あるいは僻地の学校というようにある程度グループのまとまっているものについてはスクールバスの補助をいたしておりますが、特殊学級についてはいまやっていないわけでございます。また、そしてそういう要望も現在のところは出ていないというようなことでございますので、一つ一つの問題につきまして、私はいまの時点では非常にむずかしい問題がそれぞれございますけれども、やはり公費を使ってやることでございますから、効率的な方法というものを考えながら、どういうふうにしてあげたらもう少しよくなるかという見地から少し前向きに検討さしていただきたい、かように思うわけでございます。
○国務大臣(海部俊樹君) これはできるだけの配慮を、いろいろ知恵を出して積み重ねていくべきだと考えます。
○小笠原貞子君 あたりまえのお答えで、もうちょっとしっかりやっていただきたいと思うんですけれども、いまできないというのはわかるんです、私も調べさしていただいて。いまできないからお金ができたらといったら、もういつまでもこの子たちは置いていかれてしまいますので、本当に元気な者や私たちはがまんするとか、がまんしてでもこういうものに本当に重点的に大きな力を、ちょっとでも気をつけているんだよ、こういうふうにしたいと思うんだよということが、どれだけ、必死になって本当にあしたにでも子供と一緒に自殺したいというお母さん、毎日だそうなんです。そんなときに、いや、この次はこうするよということがどんなに生きる希望を与える光になるかということを重々御配慮の上、いま言った交通費の問題とか、それからバスの問題なども、要求をまとめて出すまでの余裕がないというのが現状ですけれども、また帰っていろいろとみんなにもお話をして、そういう要求も出していただきたいと思います。よろしくその点はお願いをいたします。 それから、もう時間が少なくなりましたんですけれども、養護学校の義務制の問題なんです。いよいよ養護学校義務制の五十四年というのが近づいてきたわけなんですね。本当に、考えてみれば、昭和二十三年に学校教育法が制定されて、そうして養護学級の義務制が規定されて三十年目になる。本当に三十年目になったわけなんです。しかし、五十四年からですね、養護学級というのは。一体何だと言ったら、本当に法文で言えば、施行期日を定める一片のあの政令で五十四年まで待たされていたわけです。 私は、この辺、本当に子供たちに対して申しわけない政治というものを考えていただきたいと思うんです。どんな障害を持った子供でも生きる権利はあるし、教育を受ける権利はあるんです。そして、子供たちが、この子が役に立つ立たないで、その生きる権利や教育を受ける権利を抑えることはできないと思うんです。そんな、役に立つから立たないからというふうな判断をされたら大変なことだと思うんです。そういう意味からも、この義務制に向かっていままで置いておかれたこの子供たち、何としてでもみんな救っていただけるようにしたい。 政府も、五十四年に向けて七ヵ年計画を立てられて、いろいろ私も拝見させていただいたんだけれども、そこで私はやっぱりまた慄然としたことは、就学猶予、免除をいまされているというのが一万五千人くらいと数字をつかんでいらっしゃいますね。そうすると、それが相変わらずその数字のまんまでの計画になっているわけですね、この七ヵ年計画。そうすると、私たちは五十四年で義務化されるということに本当に大きな期待を持ったのは、いままで学校になじまないなんて言った、これがそもそも問題ですよ。教育というのは子供が学校になじむのじゃなくて、子供になじんだ教育というものがやっていかれなければならない。主体は子供です、大臣。そうじゃないですか。それなのに、学校になじまないからと言って猶予だ、しかも免除というようなことで一万五千人ほうっておかれているわけです。それがその一万五千人そのままなんです、七ヵ年計画の数を数えてみると。私は、これは大変な考え方、ひどいじゃないかというふうに考えるわけなんです。 もう時間がないから、いろいろ聞きたいことがありますけれども、大臣、問題はそこなんです。私たちは、いままで猶予、免除されていた子供たち、五十四年の義務化でもってこの子供の学校に行く権利が、やっと教育を受ける権利が与えられるという立場に立っての義務化というものでなければ意義ないと思うんです。そうじゃないですか。そうですね。一言そうならそうとはっきりおっしゃってください。そこは大事なところですから。
○国務大臣(海部俊樹君) これは御指摘のとおりでございます。
○小笠原貞子君 そういう意味から考えますと、本当にこの七ヵ年計画というのは相変わらず一万五千人切り捨てたまんまだという計画になっているということも、再度御検討いただきたいと思うんです。全国都道府県議長会の「養護学校教育の整備状況調」などでも出ておりますのは、それはいま就学猶予、免除の子供も含めてこれだけの子供たちの義務化の必要な施設というものを考えているんですね。そこがやっぱり政府と姿勢が違うということを申し上げなければなりません。ということで、たとえば、できるかできないかという問題なんです。 これは、全国ずっと見まして進んでいるのが京都が非常に進んでいるんですけれども、五十一年五月現在で、学齢児のうち猶予は四十三人なんです。免除十四人なんです。五十一年でですよ。五十四年の義務化を前にしてここまでいっているんです。私はこれが本当の教育の姿勢だと思うんです。私たちも、就学猶予、免除をゼロにしろとは言いません。とても、そうすることが子供の健康に悪いなんて言った場合には、それは学校にやるなんという教育というようなことも、ちょっと、それは医療が中心でなければいけないということは考えられることです。しかし、少なくともゼロを目指していくというこの姿勢がない限り、一万五千人は猶予、免除しようがないという数字で七ヵ年計画できましたなんて言っても、これはまさに、きつい言葉で言えば、私はもう偽善だと思うんです。そういう考え方。京都では五十一年ですでに猶予四十三名、免除十五名、こういうことなんです。そういうことを考えますと、何としても義務化というものをゼロを目指していただきたいということを心からお願いします。 そうして、この子供たちが生きれるかどうかということを、私も四十七年の予算委員会で質問いたしました。御記憶はないかもしれませんけれども、香川県の宇川文子さん、これは教育免除で二十歳まで放置されていたんです。盲聾、IQゼロなんです。この宇川さんというのが文部省の実験教育の対象になって、そして京大の中谷助教授と文部省の調査官で教育の対象となって、四十二年から四十五年まで三年間、二十になってIQゼロ、目は見えない、聞こえないという人を、本当にこれはおたくの方で教育やられたんですね。私はやっぱりやる気になったら、文部省はすごい力を持っていると思いました。これをおやりになったら、結果はどうなったかといったら、視力が〇・〇六まででしょう、私が質問して伺ったとき。IQが一〇〇になっているんですよ。そしてりっぱな「北風」という書を私はお借りして出しましたけれども、ここまで育っていくということですね。だから、本当に私はこういう事実があるのだし、いまも幾つか実験やっていらっしゃいますね。そういうものが生かせるような、金がないからなんて実験だけの実験じゃなくて、本当に命を生かす、子供を生かすというその立場でぜひ考えていただきたいと思うのです。 時間がもうなくなってきましたので、具体的な問題としてお伺いしたいのですけれども、基本的にはそういう姿勢で子供たちを守っていただきたい。具体的には、子供が行きますのは養護学校でございますね。そうすると、この養護学校の建設なんですが、この建設の問題で、子供たちというのは普通の子供と違います。教室にいて座って勉強するという、それだけでは済まないわけなんです。 これは、北海道美唄の養護学校が新しくできまして、そしてこれをぜひ見ていただきたいと思うんです。(図を示す) これは教室の配置図なんでございますけれども、普通、文部省ではこういうモデルというのはないんです、面積だけはお出しになっていらっしゃるけれども。古いところは廊下がずっとあって、同じように教室を置いて、そしてトイレが両端にと、こうなるわけなんですね。しかし、実際に子供たちを教育していくときには、やっぱりトイレの端までいけないんです。お漏らししてしまったり、そこまで歩いていくのは大変だというような事情もあるわけなんです。この長い、先生とお母さんたちが実験して、研究者も含めてやった結果、美唄ではこれでもまだ決してぜいたくとは言えない、不十分だと言っているんです。 この「CR」というのはクラスルームですね。クラスルームのところに二つここにトイレがついております。そしてここにも二つついておりますね。それから「プレイルーム」というのがここにございますでしょう。つまり、この子供たちは教室で座っているんじゃなくて、プレイルームのこんなじゅうたんのところにごろんと寝っ転がったり、そしてまた作業をする部屋だとか、自由な姿勢で自由な行動の中から教育というのをしていかなければならないわけです。ところがプレイルームだとか、それからそういう作業場みたいなのは、文部省の基準では全然換算されていないわけですね。だからここの場合にも教室を小さく縮めて、そうしてどうしても必要だというプレイコーナーというものをつくったというのが今度新しくできた美唄なんです。道教委や校長先生、教頭先生なんかにもお話を伺わせていただいたんだけれども、これで決してぜいたくではないというわけなんです。 しかし、この道教委も先生方も、みんな一緒になってぜいたくでないと言われたこの場合でも、美唄は面積が三千五百五十四平米が必要になる。国の基準でいくと三千百九十四平米、面積差で三百六十平米が出てくるのです。それから単価差でいきますと、また差が出てまいります。だから、この学校の美唄での単価差で約一億一千六百万円、数量差で四千七百万円、合計一億六千三百万円と、これ校舎だけなんですね。これがもう大変な重荷になっているわけなんです。 時間が過ぎたのでもうやめなければなりませんけれども、本当につくるんなら、こういう子供に必要な学校としての面積というものを考えていただきたい。そして、こういう赤字で大変な中で、学校が足りないから学校になじまないのだから猶予だ、免除だというようなことは本当にしないでいただきたい。子供に教育を与えれば生きる力ができるのですよ。教育というものをはずされた子供は——大体二十歳で死んじゃうという病気でも、教育をやれば三十まで生きているのです。私は人の命というものは大事だと思う。口じゃなくて、本当にその命を好意を持って大事にしていただくという行政を、特に海部大臣の姿勢、この単価差の問題やこういうプレイコーナーというようなものの必要性を認めて、本当に今後具体的に検討するというふうにお答えいただけると思いますけれども、どうか絶えずこの子供たち、悩んでいる母親たちのことを頭に置いてお仕事をしていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○国務大臣(海部俊樹君) お話の趣旨を十分生かして、現在でも養護学校の補助基準面積のときには、普通の学校と比べますと、単価とか面積を広く取るように努力はいたしておりますけれども、なお一層これは御期待に沿うようにというよりも、むしろ、その子供さんたちのために、私どもも考えてみたい、こう思います。
○田渕哲也君 まず、教育費の減税の問題についてお伺いをしたいと思います。 教育の機会均等ということが言われておりますけれども、実際には親の負担といいますか、経済的な負担というものはばかにならないわけでありまして、特に公立に行く場合と私立に行く場合とでは、親の負担は格段の差がある。これも親が自由に選択をして、公立が好きだから公立に行く、私立が好きだから私立に行けるという状態ではありません。そういうことを考えますと、私はいろいろの方法があろうかと思いますけれども、その一つとして教育費の減税という問題を真剣に考えていただきたい。 これは先日の衆議院の予算委員会で、民社党の塚本議員が、所得税の教育費控除を設けるよう提案をしましたけれども、坊大蔵大臣は、税の公平の見地からこれは疑問だ、それよりも教育費というものの負担を軽くするように、国の補助とかそういうものを出すのが筋である、こういう趣旨の答弁をされております。私は、坊大蔵大臣の言われることがもっともだと思いますけれども、それならば私立の補助はもっと大きくして、公立並みの負担で済むようにできるのか、できないくせにこの教育費の減税の問題を、このように消極的な態度で拒否をされるというのは私は問題ではないかと思います。現に医療費の控除とか、保険料の控除とか寄付金の控除とか十四にも上る控除が設けられておるわけでありますから、教育費というものの社会的な性格を考えた場合に、当然税の面での措置というものがとられて当然と思いますけれども、まず、文部大臣はこの点についてどういうお考えか、お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 当初御指摘のように、国立と私学の間の親の教育費の負担に非常に格差ができておるということは、これは事実でございまして、また、これを何とか是正をしていきたいという考え方でいろいろな施策を進めておるわけです。 具体的に御指摘の、教育費の税制面からの配慮の問題につきましては、文部省といたしましては検討も続けてきておりますし、私自身としてもこれが本当に効果を発し、できるなれば取り上げたらどうかという判断を持っておりますけれども、今年度も予算編成前の段階におきましていろいろ検討いたしましたが、所得税を負担していらっしゃらない層の皆さんに対する配慮の問題と、それから計算方法、その他ちょっと私には詳しくわかりませんが、所得階層でだんだんこう、高額になっていくに従って、同じ控除をするときに受ける利益がよくなっていく、何か格差がまた開くのではなかろうかという面からの議論等もございまして、やっぱりこの段階ではいろいろ壁があるなれば、思い切ってひとつ現在やっております財政支出の方をできるだけふやして、それで御期待にこたえるべきではなかろうか、私も最終的にそう判断をして、財政支出の方に力を入れたわけでございます。 これは十分かどうかとおっしゃると、私も率直に言って十分だとは申し切れませんが、今日の借金財政とまで言われる中で、私立大学に対する額も千六百五億、これは公共事業の伸び率よりも伸びて確保できた。また、高校以下に対しましても三百億円、そしてこれらのことによって幾らかでも格差を是正したい。同時に、学校に対する援助だけじゃなくって、いままさに御指摘の税制控除ですべての親にいくようにという発想にやや近いものとしては、奨学金をお貸しするときに、この枠をできるだけふやして、これが国公立よりも私立に通う生徒に差をつけてたくさん貸すことができるようにすれば、それだけの分、やはり格差是正に役立つといういろいろなことを考えまして、そちらの方面に全力を注いだ次第でございます。
○田渕哲也君 税制面で考えた場合に、ただいま大臣が御指摘になったように、税を納めていない人に対する恩恵がない、これはもうおっしゃるとおりだと思うのです。だから私は本筋としては、やはり補助をもっとふやして負担を少なくするのが筋だと思いますけれども、そうは言っても公立と私立と全く同じ条件にはできない。それから所得の高い人ほど恩恵が大きくなるというのは、これは所得控除にした場合にはそうなるわけですけれども、税額控除という方法も考えられる。それから公立、私立のアンバランスで問題になるのは、税を納めて公立高校の費用の負担をしておりながら公立高校の恩恵が受けられない、そういう面ではやはり税額控除にしろ所得控除にしろ、私は理論的にそれは考える余地があるのではないか、こういう気がするわけです。 それから、所得税を納めていない人に対する場合は、私は別のかっこうで奨学金とか、何かそういうものの制度の充実によってそれはカバーする方法を考えるべきであって、税でこれを考える場合には、やはり所得税を納めておる人に対する恩典ということで割り切っていいのではないか、このように考えておるわけですが、いかがですか。
○国務大臣(海部俊樹君) いろいろな面で税の方の問題は検討だけして今年はとらなかったわけでございますので、できれば私たちは、たとえば私学振興助成法の精神に従って、なるべく早くこれが理想とする努力目標まで到達するように上げていきたいとか、奨学金の方の施策を充実したい、あるいは入学一時金の分割払いというようなことについても、学校法人がみずから制度を設ければ、それに対して長期低利の融資をして原資の補助をしたいとか、いろいろなきめの細かい政策を通じて、現実に格差是正というものが行われていくように努力をいたしてまいります。 税のことについては、また引き続いてわが方で検討をさしていただきたい、こう考えます。
○田渕哲也君 大蔵省、来ておられましたら同じ問題でお答えをいただきたいと思うのです。 私は、公立、私立の不公平というものは、やっぱりいろんな制度を設けなければ、一つの制度でこれは解決できるものではないと思うのです。補助金の増額だけで格差が埋まるものでもありませんし、それから奨学金だけでその格差が解消されるものでもないし、だからいろんなことをやっぱりやっていかなくてはならない。その一つとして税制の面で考えるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○説明員(矢澤富太郎君) お答え申し上げます。 ただいまの御質問の教育費の控除につきましては、家計への影響が大きいということで近年非常に強い要望がございまして、私どもとしても従来から税制調査会におきまして、たびたび御審議をいただいているわけでございます。その一つの難点は、ただいま文部大臣から御説明がございましたような、学校へ子供を上げている親御さんの所得によっていろいろ不公平が出てくるじゃないかというような話、さらに、そのほかの問題といたしましては、家計の中にはいろいろな支出があるわけでございます。家庭によりましては教育を一番重要視する家計もございますでしょうし、あるいは住宅問題を一番重要に考える方もございますというようなことで、こういった家計の中の一つの経費、特定のものを取り上げて経費の控除を認めますと、際限もなくそれが広がってしまうおそれがあるというような問題がございますものですから、なかなか税制というものでは個別的な事情をしんしゃくしがたいという御判断をいただいているわけでございます。 そして、四十九年の税制改正におきましては、こういった問題はむしろ扶養控除の引き上げという形で対処するのが適当であるということに相なりまして、従来扶養控除というものは、たとえば昭和四十三年度でございますと、基礎控除が十六万円、それに対して扶養控除は八万円と、基礎控除の半分であったわけでございますが、四十九年度にはそういった面も含めまして扶養控除を大幅に引き上げまして基礎控除と同額にしたというようなことで、なかなか個別的な事情には対処しがたいということから、扶養控除をもって一般的に対処しようということで臨んできた次第でございます。
○田渕哲也君 しかし、現に医療控除、保険料控除、寄付金控除、住宅貯蓄控除、こういういろんな控除があるわけですね。そういう項目に比べて私は、教育というものは税金を安くする対象とならないということにはならぬと思うんです。ほかのいろんな控除があるなら、教育費についてもそういう点を考えても何らおかしくない、こういう気がいたしますが、いかがですか。
○説明員(矢澤富太郎君) お答え申し上げます。 御指摘のとおりいろいろな控除がございますわけでございますが、その控除は幾つかのグループに分れるものでございまして、たとえば医療費控除あるいは雑損控除、こういったものはめったにない病気だとか、あるいは災害、そういったものによります担税力の減殺を緩和すると申しますか、一時的な経済的な過酷さを緩和するということでとられた措置でございまして、これは各国の税法におきましても似たような制度がございます。そのほか寄付金控除あるいは生命保険料控除、損害保険料控除等々がございますが、これらのものはおおむね特定の望ましい行為を誘引すると申しますか、誘導的なものとして設けられたものでございます。そういう意味で、教育費控除というものが果たしてどういう性格であろうかと考えますと、いまの税法で認めております誘引的な控除ではないと思うのでございます。それは異質のやはり経費の控除でございまして、ある特定の経費については負担の軽減を図るという発想になろうかと思います。たとえば、寄付金控除だとか生命保険料控除のように、ただいま所得税法で認められております誘引的な措置とは、若干性格が違うんではなかろうかと考えております。
○田渕哲也君 ちょっといまの答弁では釈然としない面もあるわけですけれども、住宅控除その他もあるわけですね。それから、やはり教育というものは、親の生活、所得のある人の生活を充実するためにあるんじゃない。むしろ、きわめて社会的な性格が強いと思うんです。だから私は、全然これはだめだということにはならないんじゃないか。やはり検討の余地はあるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○説明員(矢澤富太郎君) 御指摘のように住宅取得控除、それから住宅貯蓄控除と、これは租税特別措置として、所得税法じゃなくして租税特別措置法で認められたものでございます。したがいまして、租税特別措置の一環だということで教育費控除を認めたらどうかというのは、確かにお考えとしてはあり得る考え方であろうかと思います。この点につきましては、先ほど御指摘がございました衆議院の予算委員会で私どもの大臣からお答えしておるわけでございますけれども、教育のいろいろな性格を考えた場合に、税制で措置するか、あるいは歳出をもって措置するかと考えた場合に、歳出面で措置すべきことが適当であろうという御判断が当時出されたものと考えております。
○田渕哲也君 それなら歳出をもっと大幅にふやして、いまはやっぱり親の負担が過大だから私は問題にしておるわけで、まあ適当な負担ぐらいならそんな問題にすることはないわけです。特に入学金とか授業料、どんどん上がっているわけでしょう。そういうことから考えると、そんなことは必要ないと言われるぐらいに補助をふやして負担を軽減してもらうなら結構ですよ。片っ方の方も大したことがないのにこっちもできないというのは、私はちょっと問題だと思いますがね。 そうすると大蔵省の考え方は、これからもっと補助をふやして、私立大学の入学金とか授業料とか、そういうものを低減するように努力すると、そういうことは言えますか。
○説明員(矢澤富太郎君) 私の担当の税制を離れた問題でございますので、将来に向かってのお答えはできないと思いますが、少なくとも従来の私学助成の足取りを見る限り、そういった努力は払われておるのではないかと考えます。
○田渕哲也君 それからもう一つ、親の負担でアンバランスがあるのは、地方と都市という問題があるわけです。入学金、授業料、施設負担金というものもばかになりませんけれども、それよりもばかにならないのは子供の下宿代とか生活費です。したがって、地方に住んで都会の大学に子供をやる親の負担というのは非常に過大になっております。もちろん、これはそう簡単に解決できる問題ではないと思いますけれども、現在やはり東京に大学が集中し過ぎておる。全大学を含めて、短大まで含めますと約四〇%、三七・九%が東京——学生数においてですね。それから四年制大学では四〇・八%、それから私立大学だけとりますと実に半分、四九・二%が東京だということが言われております。これも、大学の地方分散とか、そういうことはもっと積極的に進めるべきだと思いますけれども、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 基本的には、田渕委員おっしゃるように、大学というものを地方的にもいろいろ配置しなければならない。いま私どもがたとえば大学の定員増を限られた中でやりますときも、地方を重点に配置しておるというのもその一つのあらわれでございますし、また、地方の国立大学が特色を持って充実されるように努力しておりますのもそのあらわれでありますし、また、地方の無医大の県を解消するために、国立の医科大学をつくって、どこの県にも、医大のない県はなくするという考え方で施策を進めておりますのもその考えの一つでございます。それとともに、短い目盛りで申しますと、現実に東京などに高等教育機関が集中しておることもこれは事実でございますから、その配慮としては、たとえば自宅通学の大学生に関する貸与月額、それと自宅外、要するに下宿をして通っておる学生の貸与月額というものは、現在でも自宅が一万四千円ならば自宅外は二万六千円というふうに、十分ではございませんけれども差をつけて、配慮の姿勢を示しておるつもりでございます。
○田渕哲也君 奨学資金についてお尋ねをしますけれども、前から問題になっておる問題ですが、日本育英会の奨学貸与金、これは五十二年度予算では若干の改善が提案されておりますけれども、やはり受給者の内訳を見るとかなりアンバランスがある。国立大学の場合は大学生の中の三〇・八%が受給者である。公立の場合は二二・八。それに対して私大の場合はわずか五・八%というふうになっておるわけです。これはどこに原因があるのか、この点をお伺いしたいと思います。
○政府委員(佐野文一郎君) 育英会における奨学生の採用というのは、もちろん、学業成績あるいは家計収入につきまして公平な基準を設けて行っているわけでございますけれども、四十年以降急激に高等教育の規模が膨張いたしました場合に、その膨張が大きく私立大学に依存をして行われておりますので、私立大学の学生数の急増に対してやはり奨学事業の方のアンバランスが現在御指摘のような形で出ているということでございます。
○田渕哲也君 この比率のアンバランスを改善する方法というのはあるわけですか。
○政府委員(佐野文一郎君) 私どもが現在重点的に取り進めておりますのは、奨学生の中でも特に経済的に困難な度合いが強くて、しかも学業成績が優秀な者に対する特別奨学生というものがございますけれども、その特別奨学生の採用の割合に関する限りは国公立と私立の間に差を設けないようにしようということで、逐年努力をしてきております。今年度も私大の特別奨学生の数の増加のために、千八百五十名の増を予算においてお願いをいたしておるところでございますけれども、これが実現をいたしますと、国公立の場合が五十年で六八・七%、私立大学が五二・四%の採用率であったものが、私立大学については六〇%くらいまでに上ってまいりますので、さらにそういった努力を続けまして、まず、特別奨学生について同じような採用の率というものを確保したいと考えております。
○田渕哲也君 特別奨学生以外はどうですか。
○政府委員(佐野文一郎君) 特別奨学生以外につきましても、もちろん奨学生の数をふやすということの努力はいたすべきでございますけれども、特別奨学生以外の場合には、従来は数よりもむしろ貸与月額の増の方に努力を重点的に行ってきたものでございます。
○田渕哲也君 数の問題じゃなくて、公私立のアンバランスの問題の是正についてどうするのかということをお聞きしておるわけです。
○政府委員(佐野文一郎君) 先ほど大臣からもお答えいたしましたように、大学の規模の増ということにつきましては、ここ五年間は極力これを抑えまして、むしろ質的な充実の方に力を入れていく方針をとっているわけでございますから、やはり受給率の改善ということになりますと、予算において私立大学に対する奨学生の数をふやしていくということを考えることが必要になってまいるわけでございます。もちろん、奨学生を採用する場合の採用基準の問題がもう一つあるわけでございますが、採用基準につきましては、家計の基準については従来から国立と私立の家計収入の実態を考えまして、家計収入の基準については、私立の方の基準を国立よりもはるかに緩和をしているというふうな考慮を払っておるところでございます。
○田渕哲也君 もう一つ私立大学の奨学事業援助制度というのがあるわけですけれども、これが余り利用されていないということを聞いておるわけです。五十年度でとってみますと、予算額十億円に対して使われたのは二億五千万にすぎない。しかも、四百五校の私立大学のうち利用したのはわずか二十四校というふうに報告されております。これについてどう考えられるか。
○政府委員(犬丸直君) 昭和四十九年度から、おっしゃいます私大奨学事業援助ということを育英会による奨学事業以外に私立大学自体が行う場合に、その貸付原資を振興財団から貸し付るという制度を始めまして、いま御指摘のとおり、四十九年度はその枠が二億円でございまして、それを五十年度は十億円にふくらましたのでございますが、実績として二億五千万くらいしか使われておらない、二十四法人でございます。五十一年度はややふえまして、見込みでございますが、二十六法人、二億九千万円くらいというふうなことでございますが、まだ準備したお金に対しては金額は少のうございます。 私ども考えますのに、やはりこれは一つは奨学事業と申しますので、在学中は据え置きですけれども、卒業後十年間で還付させる、払い込みさせる。そういう事務的な問題が、日本育英会のような大きな組織を持っておるわけではございませんので学校でやらなくちゃなりません。そういった問題の煩わしさと申しますか、あろうかと思います。もちろんその点につきましては、育英会事業と同時に、事務費の補助ということを一方ではやるようにいたしております。しかし、そういうこともございまして、大学の側でちょっとやっかいだというふうに感じておられることはあろうかと思います。 しかし、同時にまた、いまのような切実な情勢でございますから、大学側ももう少し関心を持ってやっていただきたいと思っております。この制度自体は余りよく御存じない大学もあろうかと思いますので、一つはPRをしていく、それから大学側にもう少し勧奨するということをやりたいと思っております。と同時に、卒業後十年間フォローアップするということがあるいは無理な場合もあるということも考えまして、五十二年度予算におきましては、十億円のうちの三億円につきましては入学一時金の分について融資ができるようにする。そうしてそれを在学中に還付、在学年数に応じて毎年払っていくというようなことをやった場合には、それに対して融資をいたします、こういうふうにいたしております。これはこれからでございますけれども、この辺についてはもう少しいままでよりも利用されるんではなかろうかというように考えております。
○田渕哲也君 この問題は、やはり返還の責任が大学に負わされておる。だから、事務的なことも大変だし、万が一取りはぐれた場合に大学が責任を負わなくてはならない。だから、大学がいやがって余りPRしないわけです。だから、学生の中で知らない人がいっぱいおるわけで、利子がつくということもありますけれども、かなり低利ですから、利子がつくからいやだということよりも、知らないから申し込まないというのが大部分です。だから、大学もこれを学生にPRすると、たくさんそういう人が出てくるとめんどうだからやらない。その点についての改善をやってもらわないとこれは普及しないと思うんです。その点について具体的にどう考えられておりますか。
○政府委員(犬丸直君) 利子につきましては、これは利子補給を一方でいたすことにいたしております。それから同時に、事務費についても経常費助成の方で見ましょうということになっております。この点あたりがまだ十分理解されてないのかもしれません。仮にそういう事務にお金がかかるとすれば、補助金の方で見ましょう、こういうことを考えておりますので、この点をもう少しPRいたしまして大学側に勧めてみたいと思っております。
○田渕哲也君 次に、入学時の納付金の前納制の改善について、これは五十年の九月一日に通知を出されまして、それによって若干改善が見られつつあるようでありますけれども、それでもまだかなり問題があるようであります。また、最近は入学時の納付金が非常に上がっておりまして、ことしは七割以上の大学で値上げが実施されておる。そして、その平均のアップ率が一八・七%と言われておるわけですけれども、しかも、この入学の場合に、たくさんの学校を滑りどめの意味も含めてかけ持ちで受験をする、その入学申し込みの期日によっては掛け捨てということもかなり出ておるわけです。 通知によりますと、入学金以外は取らないように、あるいはすぐ徴収しないで延期するように、期間を延ばすようにという趣旨の通達が行われておりますけれども、現実には、それで若干延ばしましても、やはり自分の入りたい学校の発表までに納めてしまわなくてはならないところもあるわけです。そうすると、実に三十万も四十万もという金を行かない学校に納めてしまうという例もあるわけで、この問題について私は、この通知の内容をもうちょっと徹底したものにすべきではないかという気がしますけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(犬丸直君) 入学時の納付金の取り扱いの改善につきましては、先生からお話がございましたように、通達を出しましてその後かなり改善を見てきております。ただいま最終的な五十二年度の数字がわかりましたが、三百七校大学がございます中で、二校は推薦入学だけだからそういう問題は起こらない。残りが三百五校でございますけれども、その中で九校だけが従来どおりの手続をしておるということでございます。これにつきましても、私どもの指導の結果、来年度からは改善措置をとるというふうに言っております。そして、もちろん改善措置にはいろいろあるわけでございますけれども、返還するもの、あるいは時期を延ばす、合格してすぐに取るんでなくて、間を置いてほかのところが決まってから取るというような改善等をしておるわけでございます。 それで、私どもの通達では、入学一時金の中でも最初の年の授業料、それから施設、設備費等は直ちに徴収しないように、猶予するように、あるいは返還するようにということでございます。入学金につきましては、これは入学決定の際にそれを徴収することについては特に指導いたしておりません。と申しますのは、やはりこれは大学側といたしましても、入学をしますという申し入れを受けて、そして一種の契約をするわけでございますから、そのときの手続としてその対価の一部分を申し受けるということは、必ずしもこれは不適正なことではないと考えております。ただ、授業料は、実際に授業を受けないわけでございますし、それから施設、設備も使いませんので、その点につきましてはそういうふうに取り扱いを適正にするようにという指導をいたしておるわけでございます。
○田渕哲也君 時間が来ましたので、最後に重ねてお尋ねをしたいわけですけれども、授業料、施設利用料等は返すというのがたてまえだけれども、先ほど申し上げましたように、やはりそれでもまだ十分カバーできない面が出てくるわけです。これは入学試験と発表期日の関係でそういう部分が一部出てきておる、それの改善をさらに徹底してもらいたいということが一つと、それからもう一つは、入学金は返さなくてもいいんだということになりますと、今後入学金を高くされるおそれがある。それで、ことしの値上げ率を見ましても、入学金は、値上げをした学校について平均してみますと三七・六%上がっております。授業料の伸びが二二・〇%、設備利用費が二二・九%ですから、入学金が高くなっておるわけです。学校側はこういうことでやっぱり金もうけをしようというように考えてくるわけです。だから、入学金はいいということにするなら、入学金について何らかのやっぱり指導というものが必要ではないか、こういう気がしますけれども、以上の二点についてお答えをお願いしまして、質問を終わりたいと思います。
○政府委員(犬丸直君) 入学金につきましては、私どもの数字は、先生のいまのお示しの数字は上げたところだけの平均でございますけれども、上げないところも含めての全体の平均を見ますると一二・九%アップ、授業料の平均が一二・八%ということで、それほど大きな差になっておりません。あるいは先生のおっしゃったようなことがあるのかもしれません、入学金はいいから入学金を特に高くするというようなことが。もしそういうことがございましたら、これはよくないことだと思います。それで、そういう点につきましては、もしそういう事実が顕著になりますれば、これは自粛を促したいと思っております。ただ、入学金そのものも全面的に場合によったら返せということは、ちょっと少し無理ではなかろうかと考えております。
○市川房枝君 私は、文部省が担当しておいでになる学校教育及び社会教育の中で、男女の差別がむしろ拡大していると思いますので、その現実について大臣並びに関係当局の方から簡単に伺いたいと思います。 まず、文部大臣に伺いたいのですが、教育基本法では、第三条で、男女の教育における機会均等であるべきことと、それから性別によって差別をしてはならないということがありますし、第五条では、「男女の共学は、認められなければならない。」と、こう規定しておりますが、この二つの条項は厳格に守られているといいますか、それをまず伺いたいと思っております。
○国務大臣(海部俊樹君) ただいま御指摘の点は、教育の機会均等、これは憲法上にも明記されておることでありまして、私は、教育において男女を差別をしておるなんということはあってはいけないことだ。また、男女共学のことにつきましても、現実に男女共学行われておるわけでございまして、守られておると私は思いますが。
○市川房枝君 大臣は、いま申しました二つの項目は守られていると、そうお答えいただいたのですけれども、私どもが具体的に見てみますと、むしろ差別が拡大している、いや、その趣旨が必ずしも守られていない、こう思うのです。それはいろいろありますけれども、一応きょうは三つの項目について伺いたいと思っています。 それは、共学の問題が必ずしもこの趣旨で言うほどになっていない、むしろ別学がだんだんふえてきておるというふうに思うのですが、その小中高校における現状、それを簡単に伺いたいということと、それから、教科書の中で男女に対する差別がずいぶんひどいのがたくさんあるということと、それから今度は、教科目においてやっぱり男女別になっているんだということについて簡単に伺ってみようと思いますが、第一の共学の問題、どういうふうになっておりますか、ちょっと伺いたいと思います。
○政府委員(諸沢正道君) 中学校までは義務教育でございますが、高等学校の男女共学の実態というものを申し上げますと、昭和二十五年と四十九年とを比較いたしますと、昭和二十五年度において男女共学というのが千八百三十八校で、これは全高校に対しまして六三・三%でございます。それに対しまして四十九年度は男女共学が三千三百三十六校で、全高等学校に対しまして七四・一%でございまして、約一〇%強むしろ共学の学校がふえておるわけでございます。 また、学校の種類別に見ますと、私立の高等学校、これはそれぞれの学校の建学の方針なり教育のあり方等で共学をしていないところが相当ございますけれども、いまの公立、国立につきましては、現在いずれも共学をやっておりますところが八八ないし八九%でございますから、そういう意味では、その男女共学の趣旨というものは公の学校——私立学校を除いてでございますが、十分実現されているというふうに私どもは考えておるわけでございます。
○市川房枝君 男の中に女が三人か五人いてもそれでも共学なんだ、あるいはクラスを別にしてそれでも共学だとか、本当の共学から言えばクラスを男女一緒にして、そして男女との接触といいますか、お互いに知り合う、そういうことがやっぱり必要なんで、それて、単に共学で——いまパーセントを伺いましたら相当のパーセントにはなっているんですけれども、私どもはどうもそういう傾向が多いんじゃないかと。 それから、ことにこれは地域によって大分違いますけれども、東北地方に行きますというと、公立でも初めからやっぱり男女別学のところがあるようです。だから、そういうのに対して、一応そうちゃんとできてしまうとこれはちょっとなかなかむつかしいかもしれませんけれども、しかし、文部省の指導の方針として、本当の教育基本法で言う男女共学というものをもし体しておいでになるならば、ひとつそういうふうに指導をしていただきたいと思うんです。細かい数字は、まだいろいろなそういう、何人でクラスがどうだというのもありましょうから、それもいずれまた拝見することにしまして……。 次は、教科書の内容についてですけれども、非常な差別があるようです。私どもの知り合いの婦人問題懇話会という団体がありまして、その中のマスコミ分科会といいますか、の人たちで小学校の国語の教科書あるいは社会科の教科書というものを、これはいろんな出版社がありますけれども、その何種類かをずっと調べて細かく報告をしているのを私は見ているんですが、ずいぶん、何といいますか、お母さんといえばいつでも前かけかけて台所にいるみたいな絵ばっかりで、お父さんはやっぱり外へ働きに行くといいますか、というふうな絵、そういう記述が多いといいますか、だから、女というものに対する扱いがどうも私どもから言うというと、まだ昔の考え方がそのまま映されているように思うんですが、文部省は一体それをお調べになったことありますか。
○政府委員(諸沢正道君) 私どもは、教科書の検定を行うに当たりましては、その教科書の内容がもちろん教育基本法なり学校教育法の教育の精神に合っているかどうかというのが一つの立場でございますから、そういう意味では、常にその教科書の中身をいま先生御指摘のような見地から検定をいたしておると申し上げてよろしいかと思うんでございます。 ただ、その場合に、実際の検定に当たりまして婦人というものの地位なり役割りというようなものをべっ視するというような記述につきましては、これは当然にチェックし、書きかえを要求をいたしておるわけでございますけれども、ただいま先生の御指摘にありましたように、たとえば、お母さんが家庭にあって台所仕事にいそしむとか、あるいはお父さんは会社へ行って仕事をしているというようなことが、通常の社会通念としてお父さんというものはこうだ、あるいはお母さんというものはこうだというふうに考えられておると。そういうようなことが直接女性の地位をべっ視することになるかどうかということになりますと、これは当該記述部分を全般を読んで判断しなきゃならない問題だろうと思いますけれども、一般的に申し上げますならば、検定の立場において、そういう記述がありましてもそれが社会通念上女性のべっ視にならない、こういうような判断をいたしておる場合は、それはそれとして一つの教材として認めておるというのが実情であろうと思います。
○市川房枝君 まあ、こういう中で共働きのお母さんというのがいますね。だから、お母さんは台所ばかりにいるんじゃない、やっぱり働きにも行っているんだけれど、そういう子供からは質問が出るというか疑問が出てくるといいますか、だから、社会の実情といいますか、通念とおっしゃいましたけれども、通念もあるけれども、それが私どもから見ればずいぶん古い通念であって、現在の社会の実情には適していないといいますか、それで、調べているとおっしゃいましたけれど、私どもとしての細かい、こういうのですね、これは一遍後で、これは私は借りたんだから差し上げられないんですけれども、これはごらんになっていますか。——ああそうですか。じゃ、これをひとつごらんになっていただいて、そして、具体的に文句もすっかり出ているんですよ。だから、これでも差別はないんだ、べっ視はしてないんだと一体おっしゃれるかどうか。それは後の機会にすることにいたしましょう。 そこで教科目ですね、教科目についての差別がありますね。これははっきりないとはおっしゃらないと思うんです。中学では「技術・家庭」と男女別にしているし、高等学校では「家庭一般」は女子のみ必修にしている。そして、これは最初はそうでなかったのを途中からだんだんそういうふうになってきたんですが、その変更になってきた過程といいますか、趣旨といいますか、それを簡単にひとつおっしゃってください。
○政府委員(諸沢正道君) その前に、恐縮でございますけれど、教科書の問題ですけれども、先生御指摘のような記述は後ほど拝見させていただきますが、一方また、現在の小中高等学校の教科書を見ますと、婦人の社会的な地位の向上であるとか、あるいはその仕事の拡大であるとかいうようなことで、小学校の教科書にも、反対にまた働くお母さんの姿というようなことが記述してある教科書もございますので、その点もあわせてひとつ御検討いただきたいと思うわけでございます。 それから、家庭科を必修にした経緯でございますが、昭和三十一年の教育課程の改定のときに当たりましては、家庭科四単位を履修させることが望ましいということであったわけでございますが、三十五年の改定になりまして、普通科女子に対しましては家庭科一般四単位を必修とする、ただし、特別の事情がある場合には二単位まで減ずることができる、こういうような改善になり、そして四十五年の改定におきましては、すべての女子に家庭一般四単位以上を履修させる、こういう現在のような形になったわけでございまして、それぞれの改定に当たりましては、御承知のように、文部省に教育課程審議会を設けましていろいろな方の御意見を聞き、社会一般の動き、要望というようなものを反映し取り入れながら、いま言ったような改定になってきたというふうに承知しておるわけでございます。
○市川房枝君 最初に申し上げた教育基本法の差別しないとか、あるいは憲法の男女平等のところからいうと、本当は、女子だけこういう教科目を別にするというのは憲法違反だと言ってもいいわけだと思うんですが、私は、随意科目にして、そして好きな人が取るというなら構わないけれども、女子だけ養成する、そしてその間男子は体育をやっている、そういう差別ですね、それがやっぱり子供たちに女は家庭、男は社会といいますか、そういう観念を植えつける、こういう結果にもなるということを心配してこのことを前から問題にしてきたんです。 特に、家庭科の問題が問題になってきたのは、御承知のとおりに一昨年の五十年に国際婦人年ということで、それから非常に問題がやかましくなってまいったんです。それでこれも御承知ですけれども、五十年のメキシコでの国際婦人年、それから同じ年のジュネーブで開かれたILOの働く婦人のための総会みたいなもの、その両方でいわゆる行動計画といいますか、あるいは宣言、決議というものが決定されましたが、それは日本の政府も政府代表も出して、そしてその決定には賛成しているわけですね。 そこで、その両方の会議で、珍しいといいますか、いままでと変わったことの代表的なものの一つとしては、男女の役割り意識を再検討しよう、そして男ももう少し家庭に帰れといいますか、それから女はもう少し社会に出ろ、そうしていい家庭をつくるというか、いい社会をつくる、まあそういうことが一つの大きなテーマになっているわけなんです。 そこで、日本も御承知のとおりにことしの二月一日に政府の行動計画というのを発表したんですが、その行動計画には——もちろんごらんになっていると思うのですが、政府の行動計画に私どもは本当は不満足なんです。まるで骨抜きになっちゃっているものだと思うのですが、それでもその中に、「基本的考え方」というところの2のところに、「婦人の能力、適性に対する偏見や固定的な男女の役割分担意識がまだ根強く、」残っているなどと書き、それから第二章の「施策の根本的方向とその展開」というところの(2)のところでは、「教育訓練の充実」ということが挙げてあって、そしてそこには、「従来の男女の役割分担意識にとらわれない教育、訓練を推進するとともに、婦人の生涯の展望を踏まえた教育・訓練の機会の拡充、施設の整備等の施策を推進する。」とあって、いわゆる国際婦人年の、さっき言いました役割り意識の再検討ということを日本の政府もうたってはいるんです。 だから教科書で、母親が台所するのはあたりまえだとさっきおっしゃったのだけれども、そういう固定観念、男女の役割り意識というものをもう一遍再検討しろということにあるのを——それでこの政府の国内行動計画ですね、こういうふうには掲げたのだけれども、一体これはどこがやるのか、政府のどこの省がやるかと言えば、これ、その点はっきりしていないのだけれども、私は文部省だと思うんです。文部省のこれは責任だけれども、ところが、これは何にも具体案が書いてないんです。どこが一体このために何をするかということが書いてないんです。だから私どもはそれを不満だとしているわけですけれども、文部省、これはどうお考えになっておりますか。これはちょっと大臣に本当は伺いたいんだけれども……。
○政府委員(吉里邦夫君) 私が推進本部の幹事に出ておりますので、お答えを申し上げます。 この国内行動計画に書かれております事柄、文部省だけでなくて、やはり関係各省のいろんな協力なり、それぞれのパートによっての連携が必要だと思います。また、文部省におきましても、学校教育とそれから社会教育と一緒になってこの国内行動計画の目指しますいろんな具体策につきまして、今後実行していくというつもりでおります。
○市川房枝君 いま婦人問題企画推進本部といいますか、総理を本部長とした本部からいまの行動計画を発表されたわけでして、お話のように各関係省の事務次官がその本部員として参画をしておいでになるわけですから、文部省の事務次官も当然これにお入りになり、社会教育局長が幹事とおなりになっているわけなんですけれども、それで、いまお話ありましたけれども、私どもはもう一つこれに関連して文部省に対して少し不満を言いたいのは、この行動計画が出ますその少し前、十二月十八日に文部省の教育課程審議会の答申が大臣にあったわけなんです。それには、家庭科については従前どおりということで何らの考慮が払われていない。それで、この教育課程についてこれは指導要領というものができるんですね。もうできましたか。その指導要領には、やっぱり家庭科については何も書かないでいままでどおりということになるんですか。それを一つ伺いたい。
○政府委員(諸沢正道君) 教育課程審議会の答申は、いわば学習指導要領を改定するにあたっての改定の基本的な考え方を、こういう考え方に立って改定しなさいというその考えを示されたものでございます。したがいまして、文部省はその答申を受けまして、現在、まず小中学校の学習指導要領をこの三月末か四月初めまでにつくるべくいま作業中、高等学校につきましては明年の三月を目標としておる、こういうことでございます。
○市川房枝君 実はさっき申しました行動計画は、やはり政府でつくった、民間の婦人、男子の方も入っております。その中にお花やお茶の先生も入っておいでになりますが、三十三名の委員で政府の諮問機関として婦人問題企画推進会議というものができた。そこが行動計画についての案をこしらえて、そして意見として昨年の十一月六日に出しておられる。それで、政府の方はこれを参考にして行動計画をおつくりになったわけなんですけれども、私どもが見るというと、この行動計画——この推進会議の意見はまあまあと私どもは一応は認めるんです。ところが、政府の方はこれがまるで骨抜きしちゃっているといいますか、簡単にして、具体的なことはほとんどない、こういう状態なんですが、いまの家庭科の問題について、この会議の意見としては一歩前進した意見が出ている。それは御存じですね。 大臣、私は大臣に特にこれは申し上げたいんだけれども、この中では、「家庭科教育」として、「家庭科教育については、家庭運営の責任が男女双方にあるということを基本として、次のような観点から早急に再検討されなければならない。すなわち、これからの社会では、家庭や地域の生活と福祉の増進に、男女双方が積極的に参加するための教育が必要である。現在、家庭や地域の生活と福祉に対する男性の関心、社会・経済や生産に対する女性の関心が相対的に低いことは、我が国の均衡のとれた進歩・発展と国民生活の向上にとって大きな損失である。」、こう書いて、その間ちょっと飛びますけれども、そこで、「これらのことから、男女が共に学ぶ、新しい時代に即応した家庭科を目指し、教育内容の再編成について、教育行政関係者、家庭科教員、教員養成機関関係者および家政学研究者の一層の努力が期待される。」、こういう人たちでもってひとつ案をつくれ、こういうことが出ているんですね。だから、これはどうですか、文部省はこれをお取り上げになって、そしてそういう委員会とでもいいますか、場をおつくりになってくださる意思はございませんか。大臣から伺いたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) ただいま先生御指摘のものと同じものを私も拝見いたしておりましたが、方向はまさにそういう方向だろうと思います。そうして、文部省はいま具体的に何をしておるか。学習指導要領の改定作業をしておるところでございまして、この家庭科というところをつくりますときには、家庭科の現職の先生の御意見も承って、現在それの作業中であるということでございます。
○市川房枝君 まあ指導要領かもしれませんけれども、指導要領も、多少そこでは異常なこういう家庭科教師とか……家庭というものは男だけ、女だけじゃないですね。両方がしなきゃ本当のいい家庭はできないんです。それを現在は、実際家庭というのは女に任せっきりで、それで、やれ不良少年少女ができたとかなんとか言って女に責任しょわされているんです。だから、これは別個に私は考えてほしい。ちょっと逃げられちゃったかっこうですけれども、どうなんですか、私の申し上げたそういう新しい観点でひとつ考えていただくということはできませんか。
○政府委員(諸沢正道君) 繰り返しになりますけれども、教育課程の作成に当たりましては、教育課程審議会というものがありまして、家庭科のみならず全教科、各教育活動全般にわたって基本的な考え方を審議願っておるわけでございます。そして、その審議会で二年ほど討議を重ねた結果が昨年末の討議の結論でございますので、せっかくこういう御意見もございましたけれども、それはもちろん審議の過程でいろいろの御意見も聞いた上で、教育課程審議会としては結論を出したものでございますんで、文部省といたしましては、改めてまた別個の意見を聞く会をつくるというようなことは現在のところ考えていないわけでございます。
○市川房枝君 時間がないので、その問題に対する討論といいますか、それは別な機会にまた譲ります。いまの答弁では私は満足しません。それだけ申し上げておきます。——いや、文部省か一番がんこなんです。私どもこの問題で方々みんな歩いているんですけれども、良妻賢母主義なんですよ。だから昔へ戻るんです。そういうことがいろいろなところへみんな出てきているんです。だけど、一々それを申し上げる時間がないから省きますけれども、それは大臣は、新しく若い大臣がおいでになったんだから、ひとつ別な観点から見てください。また適当な機会にお目にかかって、なおいろいろ申し上げたいと思っております。 それから、社会教育からもちょっと伺いたいと思いましたけれども、時間がないので省きます。 それで最後に、昨年の二月五日に首相官邸で開かれた事務次官会議で、「行政機関における婦人の登用等について」ということを決定されました。これは、「行政への婦人の参画を促進するため、当面下記により、行政機関における婦人の登用を図るものとする。」、そして「記」として、一は、「審議会等への婦人の登用」と、それから二として、「女子の公務員の採用、登用等」と、こうあるんです。ちょうどもう一年たちましたけれども、文部省としてはその審議会等への婦人の登用、新しくどれだけ、何人、どの委員会になさいましたのかということを伺いたい。 それから、「女子の公務員の採用、登用等」とありますが、文部省は本当はといいますか、教育は婦人に非常に関係があるし、だから婦人の管理職という人がもっと文部省のいろいろな部局に私は参加しておるべきだと思う。ところがまあ婦人教育課長——社会教育局に課長は一人しかいないのですね。だから私は、もっとそういう婦人の人を適当な場所に登用していただきたい。これは一年間に一体そういう登用があったのかどうか、全然何もなかったのかどうか、それをまず事務当局から伺って、それで後、大臣にそれをひとつ考えていただきたい。
○政府委員(井内慶次郎君) ただいまのお尋ねでございますが、まことに恐縮でございますが、現時点の数字を一応使用して御報告を申し上げたいと思います。
○市川房枝君 去年と比べて何人ふえたかということを、減ったのか、ふえたのかということを……。
○政府委員(井内慶次郎君) いまその数字をここへ持ってきておりませんので、恐縮でございますが、審議会で申しますと、現在文部省関係の審議会では、教育課程審議会等七つの審議会に二十一人の女性の委員を任命をいたしております。ただいま先生から御指摘ございました五十一年二月五日の事務次官会議申し合わせによりまして、審議会の委員の改組等に当たりましては、女性から適任者をできるだけ委員に委嘱するようにということで、改選期にいろいろと検討を今後も積極的に続けてまいりたい、かように思っております。 なお、職員の問題につきましては、いわゆる人事院の上級試験を受かって入ってくる職員につきましては、五十年に一人、五十一年に一人、この春も大体一人の予定でございます。 なお、文部省のいわゆる役付の女子の職員のことでございますが、課長はただいま先生御指摘のように一名でございますが、課長補佐、専門員、それから専門職員、係長、主任、そこまでを採り、さらに視学官、それから教科調査官、それから教科書の検定をします教科書調査官、ここまでを一応役付というふうに勘定さしていただきますと、現在女子の職員が四十六名でございます。この辺につきましても、いろいろと文部省の仕事はむしろ女子の特色を生かして大いに仕事をやっていただく場も非常に多彩でございますので、こういった点等は今後も引き続き、先ほど申しました事務次官会議等申し合わせの趣旨に基づきましてやってまいりたい、かように考えております。
○市川房枝君 私が知りたいのは、去年の二月と比べて一年間にそれがふえたかどうかということです。そのふやすということがこれひとつあれですからね。後でよろしゅうございますから、さっきおっしゃいました数字を去年と比べて下さいませんか。それをお願いします。 ありがとうございました。
○委員長(鈴木力君) 他に御発言もないようですから、文部省関係の決算についてはこの程度といたします。 —————————————
○委員長(鈴木力君) 次に、派遣委員の報告に関する件についてお諮りいたします。 昨年十二月、当委員会が行いました中部地方及び近畿地方への委員派遣につきまして、派遣委員からそれぞれ報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木力君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時八分散会 —————・—————