外務委員会 第17号
- 発言数
- 323 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1977/06/04
会議録
○委員長(寺本広作君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 この際、委員の異動について御報告いたします。 昨四月三日、上田稔君、大島友治君及び矢野登君が委員を辞任され、その補欠として青井政美君、斎藤栄三郎君及び矢野登君がそれぞれ選任されました。 また、本日、矢野登君及び望月邦夫君が委員を辞任され、その補欠として源田実君及び中山太郎君がそれぞれ選任されました。 —————————————
○委員長(寺本広作君) 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(衆議院送付)を議題といたします。 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
○大塚喬君 初めに、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、この法案について若干の質問をいたしたいと存じます。 初めに、特に関心を寄せております日本人学校、在外公務員の子女の教育の問題について質問をいたしたいと存じます。 この法案の改正の中に、三項の中に、「外務省設置法第二十条五第四項に規定する指定を解除された場合において、外務省令で定めるところによりやむを得ない事情があると認めるときは、外務省令で定める期間に限り、当該指定を解除された在外職員に対し、前項第二号の額を限度として住居手当を支給することができる。」と。その次のところで「第十五条の二中「一万二千円」を「一万八千円」に改める。」と、こうなっておりますが、この一万八千円の内容と申しますか、具体的にどういうところに使われるお金でございましょうか。ここのところをひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○政府委員(松永信雄君) 現在の教育手当は、御承知のごとく月額一万二千円が支給されております。これは昭和四十八年に子女教育手当が設定されましてから支給されている額でございますけれども、その後教育関係の諸経費が軒並みに高騰しているという実情にかんがみまして、昨年予算を編成するに当たりまして種々所要経費の実態の調査をいたし、その結果を踏まえまして、現行の月額一万二千円を一万八千円に引き上げることといたしたいと考えまして、今回の改正法案をお願いいたしたわけでございます。 教育関係経費につきましては、任地により、また、個々の事態によりまして非常に大きな格差がございます。理想的に申しますならば、教育に必要とする経費の実態に即した教育手当を支給するというのが最も理想的であろうかと思いますが、それには非常に多くの問題がございますので、今回は緊急性を要します増額、すなわち、経費の引き上げをお願いするということにいたしたものでございます。教育手当全般の問題につきましては、今後もなお常時検討をしてまいりたいと考えているところでございます。
○大塚喬君 質問の意味が御了解いただけなかったと思うんですが、教育費ということになれば、日本の学校教育法で日本の小学校、中学校教育の実態を考えてみますと、設置者である市町村、これはその校舎を建築し、その中の施設設備を市町村の負担で整備をする。それからその中に教員あるいは司書教諭、養護教諭、こういう関係の教育職員がおります。そういう方には県と国が義務教育半額国庫負担ということで、人件費の負担を都道府県が受け持つ、それから今度は、たとえば給食費なり通学の費用なり子供の衣服費なりということは父兄が負担をしておる、こういうことで、学校教育法で定められた教育費の負担というのは、日本の義務教育においては制度がはっきりいたしておるわけであります。 私がお尋ねしたのは、一万二千円を一万八千円に引き上げる、物価上昇の折でもあり、海外という特殊条件の中での子女の教育ですから、当然それらの費用がかかるものと私も十分理解をすることができるわけでありますが、この一万八千円に引き上げたということの教育費の中身は具体的にどういうところの使途に供されるものか、その内容を明らかにしてほしいと、こういう質問の趣旨であります。
○政府委員(松永信雄君) 先ほど、教育に要します経費の実態調査を行いまして、その結果を反映して一万八千円に引き上げをお願いしたいという結論に達しましたことを申し上げたわけでございますけれども、具体的に申し上げますならば、在外職員で同伴しております子女のうち、小学校、中学校及び高等学校に通学しております者につきまして、教育費のうち最も基本的な要素であると考えられております授業料、教材費及び補習費、これを一人当たり月額どのぐらいになるかということを算定いたしまして、この金額から本邦で教育を受けておりまする場合に要する経費を除外したものを算出いたしまして一万八千円という数字を算出いたしたわけでございます。
○大塚喬君 そうしますと、この一万八千円の使途というのは、授業料というのが一番、二番が教材費、主としてこの費用に充てられる、そういう目的のために増額をされると、こういうことになるわけですか。—— 御承知のように、日本の学校教育法ということに基づいて、国内の小学校、中学校、義務教育については授業料というものが日本全国探しても公立の小学校、中学校では一校も取っておるところがないわけですので、この問題について、外国だからということの説明はあるにしても、そこが疑問があるものですから、授業料負担のために一万八千円に増額するということについて釈然としないわけです。ですから、この一万八千円というものの使途を、現在調査をされております具体的な中身で、一体授業料は平均日本人学校では幾ら取っておるのか、それから教材費——教材費という言葉の中に、ただいまの答弁の中では、国内では教科書が無償に配付をされておりますのですが、そういうものも父兄の負担、こういうことで支出をされておるのかどうか、そこらのところをひとつ明らかにしてほしいと思います。
○政府委員(松永信雄君) 先ほど実態調査を行いました結果に基づいてと申し上げたわけでございますが、現在、在外職員で同伴しておりまする子女が日本人学校に通学している数字は全体の中で約三割でございます。残りの七割は現地のいわゆる外国の学校に入学、通学しております。それで、そういう実態によりまして、親が負担しております教育関係経費のうちで授業料、教材費、補習費といったものを調査いたしまして先ほど申し上げた数字が出てまいったわけでございますが、これをさらに若干具体的に申し上げますと、昨年実施いたしました調査によりますと、授業料につきましては一万四千二百円、教材費は二千円、補習費については八千四百円、合わせまして合計二万四千六百円という数字が出てきております。これから先ほど申し上げましたように本邦において親が負担しております教育経費というものを除きました額を一万八千円というふうに算出をいたしたわけでございます。
○大塚喬君 その授業料ということを、義務教育ですから私はそこのところを問題にしておるわけですが、その授業料というのが一体幾ら取られて、そしてその授業料の使途というのが、一体教員の人件費に出されておるのか、それから校舎の建築費に使用されておるのか、あるいはピアノを買ったり放送の設備をしたりするそういう設備費に使われておるのか、それから、さっき質問した教科書代は一体どうなっておるかということについてのお答えがなかったわけでありますが、そういう費用もこの中に含まれておるのかおらないのか、そういうところを、その授業料の内容ですね、これをひとつ明らかにしてほしいんです。 私が問題にするのは、日本人、そして日本人の子女、それが国内にあるから国外にあるからということで、学校教育法なりあるいは教育基本法なり、そういうものの差別を受けておるのじゃないかという疑問が大きいものですから、その点を明らかにしてほしいと、こういうことで質問をいたしておるわけです。
○政府委員(松永信雄君) 先ほど申し上げましたように、在外職員で同伴しております子女が学校に通っておりますのが、約七割は外国の学校に通っているということを申し上げたわけでございます。外国の学校の場合には、国立、公立あるいは私立といういろいろな種類がございますので、そこで必要とします教育経費というのは非常にまちまちでございます。授業料を無料にしているところもあるかわりに、非常に高額の授業料を取っているところもあるわけでございます。その授業料の内容につきましては必ずしもつまびらかにいたしませんけれども、その学校なりその土地の事情によりまして、恐らく授業料の構成要素というものは皆違っているだろうというふうに想定いたしているわけでございますが、御質問がありました在外の日本人学校の問題につきましては、担当の領事部長の方からお答え申し上げたいと思います。
○説明員(橋本恕君) 現在お子さんをお持ちで在外に勤務しておられる邦人の長期滞在者の子弟、在外公館職員以外の長期滞在の邦人の子弟ということで数字を申し上げますと、日本人学校に在籍しておりまする人が約四〇%、それから現地の学校に行っておりますのが三五%、その他が二四%と、こういう数字になっておりますが、外国の日本人学校五十校について申し上げますと、現在五十校ございます全世界に散在しております日本人学校の授業料は、平均いたしまして月額一万円と二万円の間でございます。その授業料が何に費消されておるかと申し上げますと、かなり大きな部分が現地採用の教員それから事務職員、その人件費ということになっております。その他少額の部分が施設費でありますとかあるいは教材費、こういうことになっております。 念のために補足いたしますと、学校をつくりかつ運営していく場合の一番大きな施設費と申しますか、校舎の借料というものは、これはその開設の当初にかなり大きな部分を政府で見ておりまして、それに一般の募金、寄付金、それから教科書につきましては、これは日本人学校につきましては、内地の学校と同じく全児童生徒に対して無償配付を行っております。そういうことでございます。
○大塚喬君 いまの答弁でまた疑問がふえたわけでありますが、授業料というのが一万円ないし二万円という額の間で徴収をされておる、こういうことでありますが、もともと義務教育では授業料というのは取ってはならないはずだと、こういう考え方が基本にあります。それから現地採用の教員、これは教員の人件費であります。それから事務職員の給与、こういうものも、少なくとも日本人学校ということで海外にある日本人の子女の教育、こういうものが学校教育法の基本にのっとって実施されなければならないという立場から、授業料を取ってその人件費を払う、こういうことについては早急にひとつ改善の要があるのではないか。それから、その他の施設設備費も授業料をもってこれに充てるというのも、これも少し適当ではないのではないか。 個々の問題について、いままでのそういう在外の日本人の子女に対する教育費の負担、これは父兄の負担する分と、それから先ほどちょっとお話が出ました、学校の施設を開校するときに国の負担ですると、こういうことですが、これは現在、文部省の方にもちょっときょう御出席願っておるわけですが、海外の子女の場合には、小学校一人当たり平均、国の予算、県の予算、市町村の予算、これが幾らになっておるか。そして海外の日本人の子女の場合には、国の補助、それらは一括して国の方で負担するということの考え方になっておるようでありますので、この比較をひとつ小学校、中学校別に明らかにしてほしいと思います。 一体、在外の日本人の子女に対しては日本では国家的な公共的な負担がどれだけ出ておって、日本の国内にある日本人の子女の教育については公的な教育費の負担が幾らになっておるのか、小学校、中学校別にひとつその内容を明らかにしてほしいと思います。
○説明員(橋本恕君) ただいまの御指摘の点につきましては、文部省と外務省と両方の予算にわたっておりますので、できるだけ早く文部省と数字を突き合わせまして、正確な資料を作成いたします。
○大塚喬君 私は、この一万八千円に引き上げるということ、これは子供の教育ということを考えてみますというと、いろいろ悪条件の中での海外の子女の教育というのは、授業料ということを抜きにしてもこの程度の費用はかかるものと実は内心そういう認識をいたしております。授業料を取るなどということは、ともかく国が費用の負担をして、海外の子女の教育であってもすべきではない。そして人件費、これは日本の国内の教育の場合で言うと、校長があり教頭があり教諭があり、そして司書教諭、養護教諭、それから学校事務職員、用務員、こういうふうなものはすべて公的な負担でなされておるわけでありまして、これにいわゆる市町村で負担をする学校の施設設備費、こういうものは、少なくとも海外における日本人学校の学校教育費の負担、こういうことについては、当然国が出して、そしてその上にこの一万二千円を一万八千円にと、こういうことならば一応私も話がわかるのですが、そういうことを一切抜きにしておいて、授業料を納めて、そしてその費用の大部分で賄ってそして子女の教育を行うと、こういうことについては、単純な私の考え方でありますが、ともかく納得できません。これらの問題の今後教育費の負担について、外務大臣、どういうふうにひとつ改善の計画をお持ちなのか。私は、義務教育は、海外の子女であっても、これは当然日本の学校教育法に基づいて義務教育は無償だと、こういう精神のもとに実施をされるのが至当であり、それに伴って授業料などということは当然廃止されるべきであると、こう考えるわけでありますが、この問題について外務大臣として今後どういう改善の基本方針をお持ちなのか、基本的な計画をお持ちなのか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 海外に長期に勤務をいたしております職員の一番心配なのは子女の教育でございます。外務省といたしましても、文部省と密接な連絡をとりながら、特に日本人学校の整備につきましては毎年鋭意努力をいたしております。 で、ただいま御指摘のありました、国内の学校で義務教育は無償であるから海外においても無償にすべきであると、こういう御意見でありますけれども、現状におきまして、世界のあらゆるところで日本人学校を、日本人の子弟のいるところは全部日本人学校をつくって、そしてそこで無償の教育をやるほどまだ整備はいたしておらない段階でございます。また、この教育の程度も国によって非常に違うわけでございまして、なかなかこの子女教育につきましては大変むずかしい問題が多うございます。 ただ、たてまえ論からいたしまして、海外に長期滞在している方々、この方々に日本国内におきますと全く同様な待遇ができるということはこれはなかなか現実問題としてむずかしいことであります。まあ、義務教育は無償とするということでありますけれども、それは国内におきましてそういう制度をつくっておるわけでありまして、外国に長期に滞在される方々に皆義務教育を無償にしなければならぬという、そういうたてまえではないわけでありますし、その点は、現在の段階で私どもが努力をいたすべきことは、現地の方々の要望にこたえてなるべく日本人学校をふやしていく。ことしも予算に要求いたしました五校はまるまる財政当局も認めてくれまして、削減を受けずに現地の日本人学校の増設は見てもらったわけであります。 そういう趣旨で、今後とも日本人学校の整備には鋭意努力をいたしますけれども、性格としては、やはり現地の日本人社会の方々が集まってそこに学校をつくる。それは性格としてはやはり私立学校のような形であります。地域団体というものがございませんから、どうしても私立学校を現地につくるという形になるわけでありまして、したがいまして、国内の義務教育と同じたてまえで臨むということは、現状ではなかなか困難であるというふうに考えておりますので、今後とも従来の方式によりまして努力をいたしたい。その場合に、先ほども申し上げましたけれども、開設につきまして相当多額の経費がかかりますが、この開設につきまして、国の援助によりまして開設をするという考え方で国としては相当な負担をいたしておりますが、何分にも地方団体というのが、地域団体が、日本ではありませんので、どうしてもこのような形にならざるを得ないということで御了承を賜りたいのでございます。
○大塚喬君 大変外務大臣の答弁が及び腰で遺憾にたえません。 海外子女の教育、日本人学校、こういうものは一応形の上では学校教育法、教育基本法にのっとってやっておるようですが、中身はやっぱりはっきり違うと思います。日本人の権利義務というようなことから考えて、義務教育というものは無償で九年間の現在の制度の中で完全に実施をされるというのが、私ども日本国民の当然の義務であり悲願であります。 その場合に、私が具体的にお尋ねしているのは、まず一番お金のかかる人件費、現地採用の教員にしても、あるいは学校事務職員にしても、先ほど申し上げたような養護教諭や司書教諭、こういうふうなものも完全に補充をして、そういうものの人件費の負担は全額国の負担でなせないかと、外務大臣としてそういうことを計画を立ててやるお考えはないかと、こういうことをひとつお尋ねをしておるわけです。 それから第二番目は、校舎の敷地を買収し、購入をし、こういう費用、これは莫大な費用がかかる。それからそこに校舎を建てる、ピアノや放送設備をつくる、体育館をつくる、こういうふうな基本的な施設設備費、こういうものは父兄の負担や現地の商社の寄付を仰ぐようなことなくて、それらは全額国庫で負担をすべきじゃないか、そういうことに外務大臣として本腰を入れて取り組んでくれと、こういう要望を含めて私は質問申し上げておるわけですが、そういう問題について具体的に、外務大臣からは何だかこう及び腰のお答えしかいただけないので、その問題についてひとつ重ねて外務大臣が今後海外の子女の教育の振興のためにどうするかということを、もう一度お答えをいただきたいと思います。
○説明員(橋本恕君) 私の先ほどの御説明で舌足らずのところがございまして、あるいは正確に御理解いただけなかったかと存じますが、授業料月額平均一万円ないし二万円のかなり大きな部分が人件費というふうに申し上げましたが、実際にもう少し正確に申し上げますと、日本人学校の教員定数の八割までが本邦から、内地から派遣されました全額国庫負担の、政府によって往復の渡航費あるいは給与その他全額政府から支給される派遣教員が教員定数の八割を占めております。残り二割の、主として現地採用の教員でございますが、この中には、大体どこの日本人学校でも内地の学校と違いまして、それぞれその在留している国の言葉を、そこの土地の言葉を正課に取り入れるところが大部分でございます。たとえばドイツの学校ですとドイツ語でありますとか、そういった意味におきましてそこの現地の人を採用する費用、これらが授業料で賄われておる、こういうことでございます。 それから、施設ということも少しそのとき申し上げましたが、たとえばスクールバスでありますとか、そういった直接かかってくる、生徒の直接受益者負担とも申すべきそういう性質の経費の一部に充てておる、こういうことでございます。
○大塚喬君 現地教育、現地採用の教員がその国の国語、そういうものの教育を担当すると、これは当然の話で結構ですが、私が言う趣旨は、そういう人を含めて義務教育なんですから、教職員の人件費の負担は全額国庫で負担すべきじゃないか、これが一点。 それから、施設設備費、これも国で負担をして、そういうものの負担だけはともかくみんな公平に国が義務教育という趣旨を生かすためにすべきじゃないか、こういうことを言っておるのです。 だから、私が言っていることについて、二割の現地採用の教員、その教員の任務内容とかそういうことをお尋ねしているのじゃなくて、そういうことについて外務大臣、ひとつ私が主張したことについてどういうお考えをお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。人件費は国の負担でやるべきだ。それから、校舎の施設設備、これは国の負担でやるべきだ。こういうことについて外務大臣の見解をひとつ聞かしてください。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 学校の教員の経費、人件費を全額国で見たらどうかという話であります。現実には相当多額の負担をしているわけでございますが、あるいは本来から言えば、その教育を受けた方々は、またそれぞれ日本に帰ってこられたら、あるいは東京に戻るか、大阪へ戻るか知りませんが、その地域団体にまた戻られるということを考えれば、やはり国は半額ずつで、その所属の都道府県あるいは市町村の方から残りの半額、大体いま県が負担でありますが。そういった考え方もあり得るかと思います。いまはもっぱら国だけで負担をして、ただ教員がそれぞれ各地方地方、県の地元の方で教員の一応籍を持った形で海外に出ておられる場合が多いようでありまして、地元で何らかの給与の負担をしておられるかもしれません。しかし現実には、ただいま申し上げましたのは、趣旨は、仮に東京にいる私が外国へ行って子供を教育してもらうと、その外国で。その場合は東京にいれば東京都が負担をするんだから、その分は東京都がその半分は出してもいいじゃないかと、こういうことを仮の考えとして申し上げたのでございますが、現実には、いま派遣費に非常に多額の経費がかかりますが、その相当部分は国が負担をしておりますから、国の側から言えば、国内の義務教育の場合より国はよけい負担をしているということは言えると思います。残りのあとの半額の負担をしてくれるところがございませんから、現実には若干の授業料にもかぶっている面があるかもしれません。しかし、相当多い部分の負担は国がしておるというのが実情ではないかと思います。これらにつきまして、なお今後日本人学校が世界じゅうに逐次整備をしてきた暁におきまして、ただいま仰せになりました、なるべくこのことでは教材費等、教科書等につきましては全部支給をするというようなこともやっておるわけでありますが、現地の父兄の負担が少ない方が結構なことでございますので、その方向で努力はいたしますけれども、当面といたしまして現行の制度を続けていく。そして、日本人学校を整備していくという方向でまいりたいと思っております。
○大塚喬君 さっぱりどうも前進しないで……地方自治団体があってそこでも負担する、それがないからということなんですが、全部で五十校でしょう。せいぜい人口二十万か二十五万の中規模程度の都市の教育費、それは国の負担があり、市町村の負担があり、そういうことですから、そんなに多額の金ではありません。私は義務教育ということの、この海外の日本人学校の教育というのは文部省としても方針をきちんと、ともかく一切の教職員の人件費は国が負担する。それは市町村がないんですから、都道府県がないんですから、その分だけは五十校ですから国が負担して、人件費はひとつ全部国庫負担にしますと、こういう基本線を早急に打ち立ててほしい。 それからもう一つは、施設設備費については父兄の負担、授業料などということでなくて、これはやっぱり市町村の負担分、都道府県の負担分、これが全額、五十校について国が負担をして義務教育制度というものの趣旨を海外の日本人学校の教育についてもそれが該当できるように、そういうことにひとつ改善をしてもらいたいということで、一生懸命こちらで気合いをかけているんですがさっぱり外務大臣がそれに乗ってこないものだから、まことに遺憾であります。こういうことについてはひとつ早急に改善をして、人件費と教育の施設設備費、少なくともこれは国で負担をすべきだと、こういう主張を明らかにしてこの問題の質問を一応打ち切って、次に進みたいと思います。 在外の国家公務員、外務公務員、こういう人の場合には当然子供を赴任地に同伴をして向こうのそういう教育を受けられる方もいらっしゃると思います。それと一緒に、家庭の事情等によって、あるいは現地赴任の事情によって子女を残留させておる、そういう方もいらっしゃると思うわけであります。この残留子女の実態、これは現状どんなふうになっておりますか。これらに対する手当というようなものは何らか考慮されておるのですか、どうですか。お聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(松永信雄君) 外務職員について申し上げますと、教育年齢を未就学児、小学生、中学生、高校生、その他というふうに分けて考えますと、それぞれの年齢によって非常に違いが出てまいります。しかし、全体で申し上げますと、現在在外に同伴していっております子女は、総数でございますけれども千三百六十七名、本邦に在留させております子女が四百六十七名、合計千八百三十四名ということになっておりまして、海外に同伴していっている子女の率は全体の中では四七・五%、すなわち約七割五分、十人のうち七・五人が同伴している、三人半が本邦に残っていると、こういう実勢でございます。
○大塚喬君 生活が二つになるわけでありますが、こういう子女に対しては何らかの手当の支給はないのですか、そういう制度は。
○政府委員(松永信雄君) 御質問の点、その点に触れませんで大変恐縮でございました。 その点につきましては、特別の教育手当といったような形での経費の支出は行っておりません。ただ私ども、当然のことでございますけれども、在外職員が本邦に子女を教育の目的のために残留している場合に、その学校への入学でありますとか、生活のためのいろんな便宜供与でございますとか、そういった種類のあっせんは本省でいろいろやっているわけでございます。また、特に教育のために残留する必要がある、しかも家がない、親戚等にも預けるようなあれもないという者のためには子弟寮を設置いたしておりまして、そこに収容して学校に通学させるというようなことをいたしているわけでございます。
○大塚喬君 高校生の子供たち、これは聞くところによると海外赴任に同伴しないでこちらに残して日本の高校教育を受けさせておる、こういう例が多いということを聞いておりますが、この実情はどんな状況でありますか。
○政府委員(松永信雄君) 高校生の場合について申し上げますと、同伴している数字は五十四名、本邦に在留しているのは六十七名、したがいまして、本邦に在留している者の数の方が多いという数字になっております。
○大塚喬君 それから、さっきちょっと七割の子供たちが外国人学校に通っておるというんですが、これらの父兄の教育費の負担は実情どのくらいになっておりますか。一万八千円という額で十分……父兄の負担が過重になっておるというような、そういうことはございませんか。
○政府委員(松永信雄君) これ一番最初にお答え申し上げましたけれども、任地によりまして非常に教育経費については格差がはなはだしく大きいわけでございます。極端な一例を申し上げますと、湾岸諸国の中で学校に入れるために一名当たり入学金で二千ドル、アメリカ・ドルでございますけれども、入学金を取られているというような例もあるわけでございまして、非常に極端に格差が大きいものですから一律に申し上げることは非常にむずかしいと思います。しかし、先ほど御説明いたしましたように、授業料、教材費、補習費というような要素によって調査をいたしました実態調査の結果といたしましては、これも先ほど申し上げましたように、平均いたしまして一名当たり二万四千余りという数字が出ているわけでございます。今回のこの法律改正によりまして、五割増の一万八千円というものへの引き上げによりまして教育経費のための負担というものはもちろん軽減されるわけでございますけれども、それによって軽減される度合いというのは非常に地域地域によって違うわけでございます。 全体として見ますと、これできわめて満足であるということは実は申しかねる状態でございますが、この点につきましては今後ともなるべく私どもといたしましては教育経費による負担を軽減するための努力を継続してまいりたいと考えているわけであります。
○大塚喬君 時間が経過しましたものですから、最後に外国におる子女の教育についてもひとつ学校教育法、教育基本法、特に義務教育は無償である、こういう趣旨を生すために、今後ひとついままでのしきたりを、ただそれを踏襲するのだということでなくて、少しぐらいの手当を増額するということでなくて、ただいま申し上げたような趣旨で、外務省としても本気になって海外子女の教育については取り組んでほしい、そういう要望を申し上げて、次に質問を進めたいと思います。 外務大臣にお尋ねをいたしますが、八月上旬にマレーシアのクアラルンプールで第二回東南アジア諸国連合、ASEANの首脳会議が開かれる予定であります。ここには、新聞の報道によれば福田総理も出席をされる、従来からの慣習で、当然外務大臣も同行されると思うわけでありますが、この会談の中で、わが国のASEAN諸国に対する経済協力問題が主要なテーマとして論議をされるものと私ども推察をいたしておるところであります。政府は本年の三月以来、ASEAN地域に対する経済協力問題を検討していると、こういう新聞の報道が再三にわたってなされておるわけですが、このASEAN諸国に対する経済協力の具体的な内容、どういう現在お考えをまとめておられますか、外務大臣から答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 八月上旬にクアラルンプールでASEANの首脳会議が開かれまして、これに福田総理恐らく御出席になろうと思います。まだ正式の招待があったわけでございませんのでございますが、ほぼこれは確実視されているところでございます。 この際に、やはり日本として期待をされておりますのは経済協力の部面であることは当然予想されておるところでございます。したがいまして、わが方といたしましても、ASEANに対する経済協力のあり方につきまして検討をいたしておるわけでございます。 現在いろいろ言われておりますことに、一つはいわゆるASEANプロジェクトと称されておるものがございます。この考え方は、ASEAN各国がそれぞれ一国内だけじゃなくて、地域としての生産ないし流通、消費に至るそういった地域全体として大型のプロジェクトをつくろう。そしてそこの製品につきましては、お互いの中では特恵関税をつくってやろうと、こういう構想であります。これは、一つはASEAN各国が団結を強めて自力で立ち上がろうと、こういう考えに基づくものでございまして、わが国といたしましてもこの構想自体につきましては協力をしてまいりたいと、こう考えておりますけれども、その具体的な計画につきまして、何といいますか、実施の計画がまだ煮詰まっておらないものが多いのでございます。これらにつきましては、その実現の可能性、経済性等につきましても検討をいたしたいと、こう思っておる段階でございまして、これらにつきましてどのような具体的な対策を講ずるかということはまだ決まっておりません。これから検討を続けていく、またこれに対する考え方をまとめていくという段階でございます。 なお各国、それぞれの構成国に対する経済協力体制は従来から取り組んでおるところでございまして、これにつきましても、これは国別の問題になろうかと思います。これらにつきましても、従来からの考え方を続けてまいろうと、こういうことになろうと考えておるわけであります。したがいまして、このASEANプロジェクトが実現の運びになりますと、わが国のASEAN地域に対します援助というものは相当ふやさざるを得ない、こういう傾向になってまいる、このように考えております。
○大塚喬君 いまの外務大臣の答弁ですが、ASEANプロジェクトということで、その中身は分業計画、こういうことが昨今では少し情勢が変わってきておるように感ずるわけです。と申しますことは、つい先ごろ来日をされたシンガポールのリー首相の発言、要請と申しますが、石油化学等に対する、あるいは鉄鋼、造船、こういうものに対する強い熱意が示されておるように聞いておりますし、石油化学のコンビナート建設を強く要請をして、日本の海外経済協力基金より三十億円の資金援助を行うと、こういうことを明らかにされたわけでありますが、こうなりますと、前の昨年の二月のバリ島のASEANの会議、こういうものと日本の経済援助の中身というものも変わってきておるのじゃないか、変わらざるを得ないのじゃないか、こういう感じがするわけでありますが、この辺について外務大臣はどうお考えになっておるか、こういうことをお尋ねしたいわけであります。
○国務大臣(鳩山威一郎君) シンガポールで計画されておりますペトロケミカルの工場、石油化学工場であります。これはASEANプロジェクトとは別に話が進んでおりまして、これは民間ベース主体の話が進んでおるわけでございます。ところが民間ベースだけではなかなかむずかしいといいますか、どうしても基金の出資が必要である、こういうことがありまして、これにつきましては日本の業界全体が一つになって、一つのナショナルプロジェクトとして進めようと、こういうことになりまして、基金もこれに出資をすると、こういうことになりまして、しかしこれはASEANプロジェクトとは別の何といいますか、経済協力案件というよりは、むしろ商業ベースの検討が続けられていたわけでありますが、これがやはり大きなプロジェクトでありますし、国家的な計画だということで、ナショナルプロジェクトとして取り上げることになったと、こういう経過でございます。
○大塚喬君 日本はこのASEAN諸国に対する経済協力、これを前のバリ島の会議の決定のように、ASEAN域内の分業計画、こういう一つの方法と、それからいまお話がありました域内各国のナショナルプロジェクト、こういうところに重点を置いた経済協力、そういうことが二つ考えられるわけでありますが、日本としてはどっちに重点を置いてこれから経済協力ということを進めようとされるのか、ここのところをひとつもう一度お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(鳩山威一郎君) ASEAN諸国といいますか、団体としてのASEANといいますか、そういう一つの国の何といいますか団体としてのASEANに対しましてどの程度の協力をしていくべきか、それぞれの構成国に対してどういう協力をしていくかということは、別にこうなければならないということを決めてあるわけではございません。いわゆるASEANプロジェクトというのは全く新しく出てきた問題でございまして、考え方は、ASEAN各国間におきまして、それぞれ自分の国だけじゃなくて、広い範囲で企業というものを考えていこうという、そういう考え方につきましては、それなりの合理的な理由があるという意味で、そのASEANプロジェクトという考え方につきまして協力体制をとろう、こういうことでございますので、どちらを重視していくかという、そのような選択ということではないだろうというふうに思うのでございます。
○大塚喬君 民間ベースの方は、そういう各国ごとのナショナルプロジェクトに手を伸べるのか。政府としては、このASEAN会議で、バリ島の会議で決まった区域内のそういう分業計画に従ってやるのか。そこらのところをひとつはっきりしてほしいと、こう思ってお尋ねをいたしたわけです。 それともう一つは、このASEAN諸国に対する経済協力の問題と一緒に、インドシナ三国の問題も忘れてはならないと思います。特にベトナム社会主義共和国に対する援助、これは私どもとしては道義的な問題もきわめてやっぱり強く心に迫るものがあります。前回の名称、位置法の審議の際に、政府の答弁は、政府借款を検討する場合に旧南ベトナムの債務約百六十二億円、これの債務継承の問題について答弁があったわけでありますが、これが現在どのような状況になっておりますのか。この問題の解決がない限りインドシナ三国、特にベトナム共和国に対してはこういう問題について外務省としては経済協力の考えは一切起こさないのか。そういうことをやらないのか。その辺のところをひとつお聞きかせいただきたいと思います。
○説明員(大鷹正君) いま先生がおっしゃいましたように、ベトナムに対する有償資金協力につきましては、前にお答え申し上げましたように、南ベトナムに対する日本の債権は当然ベトナムによって承継されなければならないというわが方の立場がございますので、この問題が円満に解決することがまず前提でございます。 この債権債務の問題につきましては、昨年の末ごろから現地の長谷川大使を通じて交渉を行っておりまして、わが方といたしましては、なるべく早い機会に双方の満足するような形でこの問題を解決いたしたいというふうに思っております。
○大塚喬君 現実的にはそういうことではやっぱり済まされない問題があろうと思います。 経済協力ということで実はお尋ねしたわけですが、それらとまた、この本日審議をいたしておりますアフリカ関係の大使館の新設の問題、このアフリカ関係の日本の経済協力の現状、実態、特に私としては技術協力、研修員の受け入れとか技術員の派遣、こういうふうな問題について日本政府の誠意ある経済協力を促進してほしい、こういう要望が強いものですから、これらの実態をひとつお聞かせいただきたいと思います。
○説明員(大鷹正君) アフリカ地域に対する技術協力につきまして統計の数を申し上げます。 研修員の受け入れにつきましては、一九六五年から七六年までの間に二千五百二十三人受け入れております。一九七六年には四百六名受け入れております。この二千五百二十三名は全世界の研修員受け入れの数との比較においては六・六%、七六年の四百六名は全世界の比率においては七・四%になっております。 それから専門家の派遣につきましては、一九六五年から七六年の間に総計三千七百七十八名、これは全体の一四・五%、一九七六年には五百九十六名の専門家を派遣しておりまして、これは全体の一四%になっております。 それから青年協力隊は六五年から七六年の間に二千四百十五名で、これは約三八%、七六年には協力隊は三百三十一名、これは全体の四五%ということになっております。
○大塚喬君 時間がなくなりましたものですから、あと二つ質問をいたします。 一つは、これは新聞の報道によるわけでありますが、二百海里時代を迎えて日ソ漁業協定の交渉経過に見られますように、わが国の漁獲高の減少ということは避けられない、大変困難な状態に来ておると思います。世界でまだ未開発と申しますか、相当魚の豊庫だといわれております南米、アルゼンチン沖でのいわゆる漁業の問題、これはアルゼンチンのパタゴニア沖での一年間の試験操業について漁業権の国際入札にわが国の大手五社——これは大洋漁業、日本水産、日魯漁業、極洋、宝幸水産、これらが応札をして、去る、五月の十六日事実上の落札内定の内示があった、こういう報道が、これは朝日新聞の五月十八日になされておるわけであります。この問題について、これの交渉経過、それから同地域の将来性の問題、それから前に小坂外務大臣がアルゼンチン訪問の際に同国の大統領に漁業権、漁業移住構想の問題を打診した、こういう報道もなされておるわけでございますが、今後これらの具体化する見通し、こういうことについてひとつお聞かせいただきたいと思います。
○説明員(近藤豊君) お答え申し上げます。 アルゼンチンと日本との漁業に関する交渉は、昨年の三月にアルゼンチンに新政権が発足いたしまして以来、去年の半ばごろから接触が始まりまして、最近に至りまして先生ただいま御指摘のとおり一年間の試験操業に関する国際入札が行われました。そして先月アルゼンチン政府より、ドイツ政府、韓国政府及び日本政府に対してそれぞれのグループを最後の最終審査に残すという内示の通告がございました。ただし、これはこの三カ国がすべて試験操業を認められるということではございませんで、このうちの二カ国が選ばれるということでございます。この日独韓の三カ国のうちのどの二カ国が最終的に選定されるかは、今月の半ばごろアルゼンチン政府が最終決定をいたす予定というふうに聞いております。 これまでの間にアルゼンチンの海洋庁の次官が日本にやってまいりました。これは昨年の十月でございます。それ以後、日本からも三度にわたってミッションを出しております。また、近々アルゼンチンの海洋庁から主管の局長レベルが二名、今月末来日することになっております。この来日する場合には、私どもといたしましては、三カ国のうちの二カ国に日本が選ばれた後にこの人たちが来日するということを期待しておるわけでありますが、まだその点ははっきりいたしておりません。 アルゼンチン漁場の将来性につきましては、現在試験をいろいろ続けておる段階でして、最終的に資源の量は確認されておりませんけれども、ほぼ一千万トンの資源のある漁場であるというふうにされております。その場合、可能な漁獲量は年間三百万トンというふうに推定されております。 漁業移住の件につきましては、先般、前小坂外務大臣がアルゼンチンに訪問なさいましたときに、たまたまそういう話題が先方の閣僚と談笑のうちに出たと、そして、そうした希望者が日本にいる場合にはアルゼンチン側は受け入れてくれるであろうかというようなことに話が及びまして、その際、先方としては、もちろん自分たちは大歓迎する。これはアルゼンチン側の方でどういうような可能性があるかについて具体的なアイデアをひとつ検討してみようというふうに先方が述べたわけでございます。私どもとしては、まだそれがどういうような内容の提案になってくるか、あるいはどの程度魅力のある条件であるかということについてはまだ承知しておりませんので、そうしたことがはっきりいたしましてからさらに交渉を詰めてまいりたい、こう思っております。
○大塚喬君 最後に、それじゃひとつ国際学友会の問題で、この問題は率直に言って外務省の失点だと、最近一連の報道がなされておるわけでありますが、まことに腹立たしいという気持ちでこの報道を受けとめておるわけでございます。 一つは、国際学友会の日本語学校の開設がおくれておる問題、これの責任とそしてその現状、どういうふうに現在推移をいたしておりますのか。それから質問の二点は、いわゆる留学生寮の問題。それから第三番目は、留学生のための基金を退職慰労金として充ててしまったと、こういうような問題、大変残念に思うわけであります。 これらのことを率直に私の考えを述べさせていただけば、多年外務省がこの留学生問題、それから国際学友会、日本の国際親善というものに対する、東南アジアあるいはアフリカとかいうものに対するべつ視、軽視政策の積弊が、積もり積もってこういうことにあらわれてきたんだと、これらのすべての問題というのは、もういままでずっと前から外務省が本腰を入れて取り組んで、親身になって、国の予算等も十分に手当てをしてくればこういう問題は起きないで済んだはずだと考えるわけでありますが、これらの質問の三点、ひとつ現状どうなって、今後どうこれらの問題を解決をされる方針か、お聞かせをいただきたいと思います。
○説明員(田中常雄君) お答えいたします。 国際学友会は老朽化した建物を改築し、それから累積赤字を解消するため、本年三月学友会の再建計画というものを施行する予定でございましたが、諸般の事情によりその施行がおくれております。このような事情を踏まえまして、外務省は学識経験者を集めまして学友会の当面の処置というものを決定いたしました。 この当面の処置の主要点は、日本語学校を学友会以外の土地において速やかに開設する、それが第一点でございます。 第二点は、留学生の寮をできる限り早く建築するよう、しかるべき検討を開始するということでございます。 それから経営管理体制の確立を図るということも、この一点となっております。 それで、このような案を執行するために、現在学友会にあります土地のうちの千坪を売りまして、銀行借入金を返済するとともに、新たに財務当局からもらいました補助金と、それからこの土地の売却代金の一部を合わせまして、新たな日本語学校及び寮、学生ホール、そういうものを建設しようと、そういう計画でございます。そのためには、六月三十日までに留学生に納得ずくで退寮してもらって、学友会の現在の建物を全部壊しまして、平地にいたしまして、新しい日本語学校及びホール及び寮を建築しようと、そういう計画でございます。 それで、このラインに従いまして、現在学友会当局は、また学友会当局と外務省は一緒になりまして学生の説得に当たっております。三月三十一日現在をもちまして学友会の寮におります寮生の数は百四十九名でございましたが、その後徐々に退寮を始めまして、現在のところ百九名まで減っている勘定でございます。この数は日々じりじりと減っておりまして、学友会当局及び外務省は一緒になりまして、日夜学生の説得に当たって大車輪で再建計画の執行のために努力をしているのが現状でございます。 それで、先生の御指摘の寮の件でございますけれども、この問題は学生の非常な関心事でもございますし、それから当面の処置においてもこの問題を積極的に考えるということになっておりまして、現存百名の寮を建設するためのデザインを設計コンサルタントと一緒になって検討中でございます。ところが現会計年度におきましては、財政的にいろいろ余裕がございませんもので、大体百名のうち六十名ぐらいの寮が建設される予定でございます。それで具体的なデザインにつきましては来週中に決まりまして、それに基づいてしかるべき金額も査定し、それから残りの四十名の寮につきましては来会計年度以降の予算折衝の問題として慎重に検討いたしたいと考えております。 それから先生の御指摘の共済会の問題でございますけれども、これも非常に古い歴史を持っておりまして、昭和十八年でございますか、これはアメリカンスクール・イン・ジャパンというものを学友会は寄付金をもって買ったわけでございます。そしてそれが、その後戦争が終わりまして占領軍によってこれは再び接収されたわけでございますけれども、その接収に当たりまして、いわゆる返還前後処理金というものが学友会に支払われました。それで、このお金を利用しまして学友会は共済会というものを設置したわけでございます。そして、この共済会のお金を使いまして、主なる目的は退職慰労金及び慶弔金、それからグループ保険等々の費用に充てたわけでございますが、その資金も次第に枯渇してまいりまして、そして昭和五十年をもちまして共済会の運営は停止され、五十一年になって正式に解散した次第でございます。 この留学生に対して十分なサービスを与えるというためには、ソフトな面とハードな面のケアが必要だと考えております。ハードな面はもとより申すまでもなく新たな建物をつくり、留学生がコンファタブルな状況において生活がし得るような施設をつくるということでございます。それからソフトな面というのは、学友会に働く職員の福利厚生のためにしかるべき処置をするということでございまして、この学友会の共済会の問題は、そのソフトな面の手当ての一環とわれわれは了解している次第でございます。 先生御指摘のとおり、学友会いろいろ遺憾な点がございまして、われわれとしましても非常にこれは反省している次第でございますけれども、これは先訓といたしまして、きょうの学友会の再建のため、それからあしたよりよき学友会をつくるために、外務省は学友会当局とともになりまして、大車輪でこの再建計画の執行のため、また成功のために現在努力している次第でございまして、今月末までに何とかしてこれをまとめ上げようとわれわれは必死になって働いているのが現状でございます。
○大塚喬君 答弁不十分ですが、時間で、これで質問打ち切ります。
○塩出啓典君 それでは最初に、この在外公館に勤務する外務公務員の待遇の問題でありますが、よくアメリカのような非常に先進国へ参りますと、そこへ行ったときに家具を買ったり車を買ったり、そのようなことで借金ができる、それを任期中にだんだん返して、そして帰るときには借金はなくなるんだけれども、滞在期間が一年とか二年とか短いと非常に困ると、こういうような話を何年か前に聞いたような気がするわけでありますが、そういうような現状はどうなのか。油ショック以後非常に、賃金の上昇も平均的には物価の上昇になかなか追いついていけない、国内はそうでありますが、恐らく各国もそういうところがあるんじゃないかと思うんでありますが、そういう点、外務公務員の生活状態は一般的においてどういう状況なのか、これをお伺いしておきます。
○政府委員(松永信雄君) 一般的に申し上げまして、在外勤務をいたします場合には、御承知のように二重生活と申しますか、本邦における生活から生活の本拠を外国に移すわけでございますので、それに伴いまして非常に経費の負担がかかるという面がございます。これは物価の変動でありますとか、家賃の高騰あるいは住宅事情というものの問題とは関係なく、どこの地域についても起こる問題でございまして、御指摘がございましたように、ことに赴任当初におきましては自動車を購入したり、あるいは家を探すためによけいな経費がかかったり、家具什器等につきましても初度設備費的な経費がかかるわけでございます。在外で支給されます月額の諸手当でもっては当然にこれはカバーすることができませんので、銀行等からの借り入れによって賄う、それを漸次償還することによって在任中に借金を返して転勤なり帰国なりするというのが実情でございます。それに加えまして、近年御指摘がありましたように物価の著しい騰勢によりまして、諸物価なかんずく家賃等が著しく上がっている、地域によって差がいろいろございますけれども、ことに住宅経費は著しい高騰を見せているというのが現状でございます。 私どもといたしましては、不断に在外勤務地におきます物価の変動、為替の変動等を調査いたしておりまして、それによりまして在外勤務の諸手当の実態に対応した改正を毎年検討してまいっているわけでございますが、全般的に申し上げますと、物価の騰勢でありますとか、あるいは為替の変動による影響というのが出てきましてから制度の改正、手当の改正が行われるために、どうしてもその負担に見合う改正というものがおくれるという傾向はあるわけでございます。私ども、在外勤務いたしております者が十分な体面を整えて外交活動ができるために手当が支給されるべきものであるという基本理念から、なるべく実態に対応して適時適切な手当の改正が行われるよう不断に努力いたしておりますし、今後も努力してまいりたいと考えております。
○塩出啓典君 今回、子女教育手当が四十八年以来初めて五〇%上がったわけですね。いま官房長は物価の上昇に見合ってその都度やっておると言うけれども、四十八年からもう四年もたてばかなりその都度上がっているわけで、どういうわけで四年ぶりにぱっと五〇%とか、こういうのはちょっと怠慢じゃないか、一万二千円から一万八千円で六千円ですから、金額はあまり多くないかもしれませんが、その点はどうなんですか。
○政府委員(松永信雄君) 御指摘の点は全くもっともしごくと存じます。私ども怠けて教育手当につきまして改正を怠っていたわけではございませんけれども、諸般の情勢、事情から数年ぶりの改定ということになったわけでございます。先ほども申し上げましたけれども、海外に同伴いたしております教育年齢の子女に対する教育手当につきましては、実情は非常に親の、すなわち同伴します職員の大きな経済的負担になっているというのが実情でございまして、何とかこの負担を軽減してやりますことが安心して在外勤務に従事することができるゆえんでございますので、できるだけ実情に適応した教育手当を支給してまいりたいというのは常々考えているところでございます。当然のことですけれども、予算の範囲内で最大の努力をしなければならないということで従来から検討しておりましたところ、本年になりまして五割増の手当の引き上げということを実現をお願いするということになったわけでございますけれども、今後とも実情に適応した教育手当の支給ということを念頭に置きまして努力してまいりたいと考えております。
○塩出啓典君 答弁はひとつ簡潔に、要点だけで結構ですから。 それでどうですか、赴任する場合は前の人がこっちへ帰ってくると、大体定員は決まっておるわけですから、家具とかそういうものは買うときは高いし売るときは安いわけですね。そういうのをちゃんと前のところへ入るようにするとか、言うなればそういう宿舎等はもう外務省でちゃんと借りてそこへ入ればいいと、こういうようにするとか、やはり収入、賃金というのは一つの法則があるわけですから、そう上げるというわけにはいかない点もあるんじゃないかと思うんですが、そういうような点をもう少し積極的に考えたらどうか。やっぱり借金があるということは余りうれしいことではないし、何となく人間というのはふところがさびしいと心までさびしくなる場合があるんじゃないかと思うんですが、そういう点は配慮をしてやっているわけなんですか。
○政府委員(松永信雄君) いま御質問がありました点も私ども十分承知いたしております。ただ、住宅でありますとか家具という問題になりますと非常に個人的な趣味と申しますか嗜好と申しますか、という問題もありますので、必ずしも非常に画一的に制度化するというわけにはまいらないと思います。しかしながら住宅事情が非常に困難なところ、あるいは家財、家具にいたしましても調達が非常にむずかしいようなところでは、政府の責任において手当をしてまいるということが理想的だと思いますので、現に住宅につきましては在外におきます公務員宿舎の建設を、ことに住宅事情のむずかしいところでは極力整備拡充してまいっておりますし、家具につきましても、開発途上国でございますけれども、家具貸与制度というものを設けて、館員が必要なら最小限度の家具は貸与をしていくという方向で今後できるだけ事態を改善してまいりたいと思っているわけなんでございます。
○塩出啓典君 それで海外の公務員住宅というのは、大体何割ぐらいが公務員住宅になっているんですか。大体の数でいいですよ。
○政府委員(松永信雄君) 最近、年々非常に増加いたしてきておりますけれども、五十二年度予算が実行されますと、在外におきます館員宿舎、公務員宿舎でございますが、その数は百六十二戸ということになります。全体の中におきます国有化率というものから見ますと一一・二%、一割強ということでございます。
○塩出啓典君 今回、住宅手当の額を調整するようでありますが、住居手当ですか、住居費は国によって高低があると思うんですが、国から出している住居費で大体実際の家賃は賄えているのか、あるいは賄えていないとすれば平均して大体何割ぐらい賄っておるわけなんですか。
○政府委員(松永信雄君) 先ほど申し上げましたように、実は制度の改正というのは実際に家賃なり物価が上がってから行われるものですから、若干実施はおくれるという傾向があるわけでございます。しかしながら、制度改正が行われました時点においては大体においては住宅のための負担に見合う制度改正が行われている。ただ、それが非常に高騰が激しいところでございますと、もう二、三カ月でウナギ登りに家賃が上がるために、たちどころに負担増という状態が出てくるというところが間々あるわけでございますけれども、改正いたします時点においては、ほぼその負担に見合った住居手当の支給というのが行われているというのが現状でございます。
○塩出啓典君 今回、日ソ漁業交渉を通して国民全体が感じていることは、外交というものが非常に大事じゃないか、こういうことを身をもって感じたんじゃないかと思うんです。そういうことから今後の日本外交のあり方、そういうものをいろいろ強化もし、また反省もしていかなければならない面もあるんじゃないか、このように思うわけでありますが、外務省としては今後、具体的には来年度予算等において特にどのような点を強化すると考えているのか、これをお伺いいたします。
○政府委員(松永信雄君) 明年度予算の基本方針につきましては、具体的には今後部内において検討作業を進めてまいるわけでございますけれども、一般的に申し上げますと、外交実施体制の確立強化ということはぜひとも非常に重要な柱として予算の整備を図ってまいりたいと思っているわけでございます。その外交実施体制の確立というものの中には、当然のことながら定員の増強、諸経費の十分な手当てというものが入ってまいりますけれども、なかんずくいわゆる瘴癘地、不健康地におきます勤務条件あるいは生活環境の改善のための経費の増ということをぜひとも考えてまいりたいと思っております。
○塩出啓典君 やはり外交官もふやすとか、そういうようなことももちろん必要だと思いますが、しかし、予算も恐らく限られてくるわけですから、そういう中でもっと民間の、やはり外交というのは、一つはいろいろな相手国の動きをより早く掌握をしていく、こういうような点で、場合によってはその国に長く滞在をして、むしろ外務省の方々よりももっともっとその国に深い理解を持っている人、あるいはこの政治家に対しては非常につながりがある人とか、そういうような人も私は各国にやっぱりいると思うのですね。そういうような人をもっともっと外務省のもとに統括をして、そしてあらゆる情報を集めてその中からやはり日本外交の作戦を考えていく、こういうようなことが私は当然必要じゃないかと思うのでありますが、現在そういうような点は、これは大ざっぱに言って顧問制度になりますかね、そういうのはいま何人ぐらいいるのか、そういうのはもっとふやす方向にあるのかどうか、その点はどうなんですか。
○政府委員(松永信雄君) 私どもは基本的には外交は国民全般の理解と協力の上に立って展開されなければならないと思っております。在外におきましても、そこに長く在留しておられる日本人、国の事情に精通しておられる方の知識あるいは経験というようなものもできる限り御協力をいただいて外交に寄与していただきたいという考えを私ども持っているわけでございまして、在外におきまして、したがってそこにおられる在留邦人の方々と始終懇談をいたしたりあるいは話を伺ったり知恵も伺うといった機会も設けるようにできるだけ努力をしているわけでございます。 御質問がありました顧問制度というのは、公館についてはたとえば法律顧問、現地の弁護士の人を法律顧問として委嘱をするというような制度はございますけれども、一般的な御質問がありましたような趣旨での顧問という制度はないわけでございます。たださっき申し上げましたように、事実上民間の方とも随時連絡をし、情報の交換を行うということが民間の方のためにも利益になる場合が多いわけでございまするし、そういう意見交換あるいは情報の交換は今後ともできるだけ密接にしてまいりたいというふうに考えております。
○塩出啓典君 そういうのはどうなんですか、顧問というのはいないのですか。いないことはない、何人かいるわけでしょう。まあ顧問という言葉はちょっとよくないかもしれませんが、そういうニュアンスの人はいるんじゃないですか。
○政府委員(松永信雄君) 具体的に申し上げますと、たとえば在留邦人がかなり数が多いようなところですと日本人会というものが形成されておりますから、その日本人会の会長であるとか役員の方、あるいは商社の代表するいろんな機関もございますから、そういう機関の代表の方たち上定期的あるいは不定期に会合を開いて意見交換を行うあるいは助言をしていただくというような場というのはいろいろあるわけでございます。ただ、制度的に顧問という制度を設けて特定の事項について何かお願いするというような、委嘱をしているというそういう制度はないわけでございます。
○塩出啓典君 非常にいろいろな人からよく聞くことですけれども、外務省というものが余り出先が現地の本当の事情を知らない、こういう声をいろいろ現地から帰ってきた人等から聞くわけですね。これはすべでがそうではないと思うのでありますが、とかく現地の外交官の人もある特定の人に会う、日本から行った人に会うとか、もちろん現地の人に実際に会う機会がないと、そういう点から、仕事も忙しいのでしょうけれども、なかなか相手国の本当の姿、国民感情をつかめない、つかんでいない、こういうような意見があるわけでありますが、こういう点については十分ひとつ配慮をして、そういう判断の間違いが日本の判断を誤らしていくわけですから、そういう点を強く要望しておきます。 それでは最後に、子女教育手当が今回、いまさっきもお話ありましたように上がるわけでありますが、海外の子女教育については教員不足の問題とかあるいは教員の派遣制度の問題ですね、あるいは日本人学校をもっと設置、増設をしてもらいたい、こういうような問題等、私もこの委員会でたびたび取り上げてきたわけでありますが、この詳細についてはきょうはやりませんが、やはり中期計画と申しますか、ある程度の何年計画なりを持って進めていかなければいけないと思うのでありますが、こういう中期計画はちゃんとあるのかどうか、ことしだけじゃなしに五年なら五年とか、こういう計画があるのかどうか、それを官房長から承って、それから外務大臣からは、先ほど日本外交の今後の方針というものについてお話がありましたけれども、非常に事務的な話で、特に外務大臣として日本外交の外交陣の強化にこういうことをやっていきたいと、こういう点を承って質問を終わります。簡単で結構です。
○説明員(橋本恕君) 御質問の前段の部分の中期計画の問題でございますが、私ども外務省の部内におきましてこの問題についていろいろプロジェクトチームをつくりまして検討しております。それから、これはもちろん文部省その他関係官庁とも関係がございますので、文部省その他とも常に意見を交換し、また民間の有識者の方々の御意見も拝聴して、具体的に数字その他で明確なる紙としてはいまございませんが、私ども部内では検討しております。
○塩出啓典君 検討中ですね。
○説明員(橋本恕君) そのとおりでございます。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 今後の外交能力を飛躍的に増加、強力な外交能力を整備をすべきだと、こう考えておるところでございますが、毎年この日本の外交陣営というものが特にヨーロッパの先進国と比べてはなはだ定員、機構等の面におきましても劣っておるわけでございまして、これについては毎年定員の増加というものが非常にむずかしい状況であるのでございますけれども、特に外務省は戦後占領期間中にほとんど能力が減退してしまったわけで、その後毎年行政整理等の考え方が強く出てまいっておりまして、陣容の強化は大変むずかしかったわけでありますけれども、それでも毎年増員は逐次やってまいったわけでありますが、本当のところを言えば、少なくともドイツ並みくらいの外交陣営は欲しいのだというふうに考えております。しかし、これには相当飛躍的な増強を行わなければならないわけでございます。特に最近非常に問題になっております中近東方面に対する外交、情報がとれないではないかという批判がずいぶんあるわけでございまして、中近東あるいはアフリカ等の外交陣営ははなはだ弱いわけであります。一館大使のほかに四、五名というような陣容で大使館があるという実情でございまして、こういった点はやはり情報等の面でも現実にあらわれてきておると思います。こういうようなことを考えまして、やはり今後大変むずかしいのでありますけれども、機構、定員等につきましても大事な問題として取り上げたい。ことしは中南米局を設置してもらいたいということをずいぶんお願いをしたのでありますけれども、最終でこれは行政改革の際にもう一度見直すと、こういうことでまだ認められておらないというような状態でございますから、これらにつきまして鋭意努力をいたしたい。 まあ予算上の問題はいろいろございますが、日本がそのほかにやはり国際的に負担すべきものは負担をしていくということ、特に経済協力予算につきましては、これも飛躍的にふやさなければ諸外国に対する日本の立場というものは大変ぐあいが悪いわけで、これらの点につきましても来年の課題として努力をいたしたいと思っております。
○立木洋君 いま問題になっております在外公館の法律に関連しまして、在外公館に勤務する大使の任務と役割りという問題についてお尋ねしたいと思います。 一九六八年に韓国に勤務された金山大使、それから一九七二年以降勤務された後宮大使が、日韓の共同開発に関連してこれが決められる過程の中でどういう役割りを果たされたのか、これが大使として適正であったかどうかという問題に幾つかの問題点を感じるわけであります。この点についてお尋ねしたいわけです。 最初に、田中通産大臣お忙しいところ来ていただいたので、早速大臣にお尋ねしたいと思いますが、この問題に関して五月の十日の衆議院の本会議で、「あなたは当時日韓協力委員会の事務総長でありましたが、なぜ日韓共同開発を促進をしなければならなかったのか、しかと説明を願いたいのであります。」という質問がありました。それに対して大臣がお答えになったのは、その後半の部分では「その間に日韓協力委員会等々の民間の親睦団体が介在して云々というようなことは、断じてかようなことはございません。」という答弁をなさっておられますが、これは間違いございませんか。
○国務大臣(田中龍夫君) そのとおりでございます。
○立木洋君 大臣が事務総長として参加されておられました日韓協力委員会、この第四回合同常任委員会が開かれたわけです。これは一九七〇年八月の四日と五日に開かれた。その参加者、出席者の名前の中には大臣の名前も入ってございます。ここで取り上げられた議題、三つの議題の一番最後の部分に「日韓両国間の海洋を共同して開発を行なう問題」ということが議題に上がっております。そして、ここで討議された内容がこの「新国策」で発表された点によりますと、「第三項議題に関しても」——ただいまの議題です——共同開発に関しても「また有意義であり、これが実現を見た場合は現代の国際関係史上画期的なものであるとの見地に立って、さらに両国委員会が継続的に必要なる研究を行ない、両国政府当局とも協議をした上で、これを第五回常任委員会に具体的に提出することとした。」、こういうふうになっております。つまり両国政府当局とも協議をした上で、次の委員会でこれを決める。 一九七〇年の十一月十一日と十二日、日韓協力委員会第五回常任委員会が開かれましたが、「新国策」によるこの記録の内容を見てみますと、これにも田中大臣は出席されております。この問題が議論されておりました。そしてここでは、日韓華連絡委員会設立会議は十一月十二日、日本側より田中龍夫日韓協事務総長、矢次一夫日華協力委員会事務総長、韓国側より金周仁という方と、ここでいう中華民国より辜振甫、黄雪邨というふうな方が出席して二時間にわたって開かれた。「同会議はまず「日韓華連絡委員会規約」を正式採択、ついで実質討議に入り、日本側提案の海洋共同開発問題で完全な合意に達し、「日韓華三国海洋共同開発に関する申し合わせ」を採択するとともに、同申し合わせにしたがって、きたる一二月二一〜二二の両日、東京において海洋共同開発に関する第一回特別委員会を開催することに決定した。」というふうになっておりますが、これは間違いございませんでしょうか。
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまの常任委員会でございますが、実際は何といいますか、幹事役のところで修文したり取りまとめの文章をつくったりいたしたのでありますが、実際問題として、いまの日韓華と申しましても、主たるところはエカフェの尖閣列島を中心とした海洋であろうと思いますが、そのような実は具体的な話は、まあ四つに組むというようなことで論議されてはおらないのであります。そういうふうな原則的なことについて、結構なことだというようなことでありましょうし、また、実際問題としてはなかなかむずかしい問題であることはみんなも知っておりますわけで、まあ韓国との間の共同開発ということができたことは非常に結構なことであったが、さて、三国の間に共同開発ができるというようなことは、私の知る限りでは、そこにあるような詳細な論議はされておりません。それだけは申し上げておきます。
○立木洋君 私が読み上げましたのは、いま「新国策」によるものをそのまま読み上げたんですが、これは事実相違ないとおっしゃるのか、そのとおりであると言われるのか、端的にお答えいただきたい。
○国務大臣(田中龍夫君) そういうふうな具体的な論議は、私はそうでないように思います。ただ、いまの三者が会いましたときにそういうふうな原則といいますか、希望といいますか、そういうことができればよいがなという程度でございましょう。
○立木洋君 それは大臣おかしいんではないでしょうか。大臣が、これは昭和五十二年一月二十八日、参議院の決算委員会でこの問題についても関連して問題が出ましたけれども、その席で大臣が言われているのは、この事務総長会議等々の問題についてお尋ねしたわが党の小笠原議員の質問に対して、「それは全部「新国策」に載っております。」と、こういうふうにお答えになった。小笠原議員が、「それじゃ「新国策」に全部載っておるから、「新国策」は非常に議事録みたいな間違いのないあれだと、こういうふうに読ませていただいていいわけでございますね。」と言ったのに対して、大臣が「事務局には大体資料は毎回整理してございます。まあ「新国策」に載っておらないこともあるかもしれませんが、ほとんどございませんでしょう。」、こういうふうに述べられている。いま私が読み上げたのは、「新国策」に載っているのをそのまま私は読み上げたわけです。これはそうではないと言われるのはどういう意味ですか。
○国務大臣(田中龍夫君) あなたと私とこういうふうにお話をいたしておりますが、これを最終的に取りまとめの議事録なり文章に書きますと、そこには非常にはっきりとしたいろんな、文章のあやや修飾や、また文章をしめるいろんな修文上の問題がございます。御案内のとおりに常任委員会といいましても、たまたま辜振甫さんと三人が鼎座していろいろ話したまあ雑談的な話、それを今度は三者協議という姿に文章としてまとめますと、いまお読みになったようなものになりますかもしれません。しかしそれは、つまり言えば三者鼎座で、そうして会議でもって具体的なこういう問題や、地図を広げてここのところはこうだとか、あるいはいついつこれをこうするんだとかいうふうなことではない、軽い話し合いのものを、それを常任委員会としての取りまとめのベースにいたしております。ということは、規定上総会を年一回開く、常任委員会を開くということに規定上なっておりますから、客観情勢といいますか、最初は日韓協力委員会は非常に活発でございました。 その後、日韓議員連盟ができましたり何やかやいたしまして、日韓協力委員会そのものもそれほど、意義の大きさが変化しておりますので、やはり常任委員会は開かなきゃならぬから開くけれども、まあ東京へ来てもらって三人鼎座して話をする、それを常任委員会の報告としてまとめるというようなことでございますので、その報告は間違ってはおらないと申し上げたいのでありますが、同時に、それはそう会議としてお互いが議論をし、論じ合ったというふうな姿ではないことだけは申し上げておきます。
○立木洋君 それは大臣の御答弁ですけれども、私は大変な問題があると思うんですよ。これ、日韓共同開発という問題ですね、第四次常任委員会で取り上げられておる。これはたまたま雑談の中で話が出たという、そういう簡単なものではないんです。これはいま御承知のように大変な問題になるんです。このきっかけがどこから始まったかということから考えれば、これ重大な問題なんです。一九七〇年に韓国において御承知のように海底開発のあの法案がつくられた。そして鉱区を設定開始をし始めた。その後なんですよ。エカフェの調査もその前には行われている。そういう問題を受けて、きちっと日韓両国間の海洋を共同して開発を行う問題ということを第三の議題に明記されて、そしてこれが話し合われているわけですか、ですから大臣はいま大体間違っていないというふうに最後に言われましたので、もう一度確認しておきますが、これはこの共同開発が「国際関係史上画期的なものであるとの見地に立って、」ということが一つの確認されておることと、もう一つは、「両国政府当局とも協議をした上で、」というふうになっている点は、これは何も日本人だけがお茶飲み話で話したんではなくて、ちゃんと外国の人と一緒に話した。しかもそれは一会員としてあなたが御出席されたんではなくて、事務総長としてこの会議を責任持つ主宰者として行われた会議の内容としてこの二点、それには間違いないというふうに御確認されますか。
○国務大臣(田中龍夫君) 私がいま申し上げたいと思いましたことは、そのいまの日韓華という三つの問題の共同水域のお話について、ちっともその席では別に政府間の取り決めがあったということではございません。その点は御了承いただきます。 それから、最初に共同開発の話が出ました国策研究会に載っております点でございますが、いまの両国の間に非常に激しい問題になりつつあるときに首脳部のところでお話し合いができたことは、これは会議の席上の総会の論議にはまだ出ておらないのであります。その後、今度は両国の間の事務当局同士で調印がまとまったということを聞いたので、これは大変な成功だったなということを存じたのであります。その後の、いまの常任委員会等におきまする場合は、これは大変結構な話がまとまったと、それで調印ができた後のことについては、今後さらにこれを円滑に進めていかなきゃならないということはお話が出ましたが、しかし、そういう問題は主に政府間当局の話でありまして、日韓協力委員会のような民間の団体の介在し、介入する問題ではない、これだけははっきりしておきたいと思います。
○立木洋君 大筋においてお認めになったということですから、質問進めさしていただきますけれども、当時この問題に関して日韓間で紛争があったということは、大臣、御承知だろうと思うんですが、その紛争があった当時、つまり第四回、第五回日韓協力委員会の常任委員会が開かれた一九七〇年当時、日本政府がこの韓国間との紛争の問題についてどういう態度をとっておったかということは、当時御承知しておられましたか。
○国務大臣(田中龍夫君) 韓国側は韓国側でそのいまの海上におきまする鉱区の主張をし、日本側は日本側で強く主張をいたしておったということは存じており、同時にそれが、両方がラップして係争といいますか、紛争をどうしたらいいかということについてはみんなが心配しておりましたところであります。当初はこれを国際司法裁判所に提訴してどうこうというようなお話も聞き及んでおります。しかし、いまの日韓協力委員会という民間団体がその問題に首を突っ込んで、そうしてその問題の政府間の交渉とも緊密に連絡をとってどうのこうのというようなことは全くございません。
○立木洋君 そういう紛争があったということは当時御理解されておったと、これが日本の政府の方針とも異なっておる、つまり日韓共同開発を行うということは、当時の日本政府の方針とも異なっていたということも理解されておられましたか。
○国務大臣(田中龍夫君) これは円満に解決をした方がいいという気持ちは十分に持っておりました。
○立木洋君 いや、当時の方針、日本政府のとっておった方針と、共同開発を進めようという協力委員会の考え方とは異なっておったということも理解されておられましたかという質問なんです。
○国務大臣(田中龍夫君) 委員会がそういうふうな独自の意識を持って行動したということは私は考えられません。ただ、委員会の会長なり何なりがその間に両国の間の紛争というものは、日韓協力委員会というものはあくまでも両国の本当の親睦といいますか、提携ということに目的があるのでありますから、心配をいたすと同時に、それは何らかよかれと思う気持ちは共通に持っておりました。
○立木洋君 大胆のお答えが非常にあいまいなんですけれども、先ほどは大体において間違いないというふうにお認めになった。ですから、結局ここで言われているのは、いわゆるどういう行為をしたかというふうなことをまだお尋ねしてないんです、私は。ただ、協力委員会としてそれは共同開発した方がいいだろう、それはもう御議論は自由ですし、どの団体がそれは共同開発しない方がいいだろうということを決めるのも、それは私はそのこと自身が悪いと言っているんじゃない。そういうことをこの会議で、大体、国際的にきわめて有意義であるということをお認めになっておる。それが当時の政府の考え方と違うのかということを私は聞いたわけであって、その点についてはどうもはっきりされていないようですが……。 それでは少し進めますが、当時から大臣は、やはり日韓は共同開発であの地域は行った方がいいというふうなお考えを当時から持っておいでになりましたか。
○国務大臣(田中龍夫君) まことに申しわけない次第でありますが、共同で開発できるなんとは思ってもいなかったわけであります。で、それが共同で開発するように話ができたということを聞いて、まあ驚くと同時に、それはよかったなという気持ちでございます。それで共同開発ということは、あの当時の状況をお考えいただきましても、韓国側は韓国側の方で突っ張っておりますし、日本側の方も日本側で主張しておりまして、それが手が打てるとは実は思っても考えてもみませんでした。
○立木洋君 また逆戻りされるわけですが、これは大臣が事務総長として出席されたこの第四回日韓協力委員会常任委員会で、「日韓両国間の海洋を共同して開発を行なう問題」というのが第三議題にきちっと上げられているわけです。事務総長が賛成しないで挙げられるはずがない。あなたは一会員としてこの会議に出席されたのではなく、日本側の事務総長として出ているわけですから、そしてそこではこれは大変結構なことだという見地に立って両国政府当局とも協議した上でこれをさらに具体化しようということまで決まったというふうにこの「新国策」で書いている。「新国策」というのはほとんどすべて網羅してあり、間違いのないものだということもあなたは国会の中できちっと答弁されている。であるとするならば、この当時、事務総長として出席されていたあなた御自身が、いわゆる日韓共同開発ということが非常にいいことだというふうにお考えになっておったのか、それとも会議ではそういうふうになったけれども、日韓共同開発なんというのはだめだというふうにお考えになっておったのか、当時の大臣の御自身のお考えを私はお尋ねしているわけです。
○国務大臣(田中龍夫君) 私がお答え申し上げようと思ったのは、われわれは、われわれ凡俗からするならば、とても両方が相対立するところで、国際司法裁判所にも訴えようかというようなときに、まさか共同で開発ができようとは思ってもおらなかったのでありまするが、その間に最高首脳部のところで政治的に、共同開発ができるという、非常にまあ高度な政治的な解決がなされたということについては、非常に私は結構なことだと、こう思う次第でございます。 もちろん、あの当時の姿というものは、なかなか両方が突っ張り合っておる国際環境でありまして、共同で開発ができるような雰囲気ではなかったことだけはお認めになると思うのでありまして、それがそういうふうなことができたということはまことに結構なことだと、かように喜ぶ次第でございます。
○立木洋君 私は在外公館の大使の任務をお聞きするためにその前段で聞いておるわけですから、余り大臣にばかりお尋ねしておるわけにはいきませんけれども、あと二、三点ちょっと、短くて結構ですから、イエスかノーかで結構ですからお答えいただきたいと思うんです。 大体この「新国策」の内容、それは表現上はいろいろ問題があるにしても、基本的には間違いないだろうということについては先ほどお認めになった。ここでは、いわゆるこれについて両国政府とも協議をした上で具体的にさらにしようということで、今後この日韓協力委員会としては行動を起こすということの内容がこの議事録からくみ取られるわけですけれども、一つは、大臣御自身がこの日韓協力委員会で話し合った内容に基づいて何かなさったことがおありになるかどうか、これが一つですね。それから大臣が、大臣御自身は全然したかしないかは別として、あるいは日韓協力委員会に加わっているメンバーが何かをなさったということを知っておいでになるかどうか。あるいは知らないけれども、そういうことがあったかもしれないというふうにお考えになるか、その三点。
○国務大臣(田中龍夫君) まず、首脳部のところでそういう行動政策といいますか、話し合いがされておるということも実は知らなかったのであります。その後になってそのことが聞かされまして、非常に驚きかつ喜んだ次第であります。それからまた、日韓協力委員会といたしまして、しからば両国が国の意思として共同開発をするということを決定いたした、また調印いたしたという間にあって、日韓協力委員会が何らかの一体アクションを、行動をとったかという御質問でありますが、とれるような団体ではありませんし、またとってもおりません。なぜかなれば、純粋の親睦団体でありまして、それで両国の政府間のあっせんを日韓協力委員会がそこでやれるというような団体とは団体の性格が違います。
○立木洋君 じゃ協力委員会としては何にもしていない、また協力委員会に参加したメンバーも何にもしなかったということですか、個人としては。
○国務大臣(田中龍夫君) メンバーが何もしなかったということは私申しません。それはそのいまのメンバーの中には、個人としてその間に介在された方があるかもしれません。しかし、団体としての行動ではありません。それからまた、事務総長として、そういうふうな両国の調印以前に最高機密にタッチするような姿では全くございませんでした。
○立木洋君 まあ大臣は協力委員会としてはしなかった、しかしその中の個人がやったかもしれない、その点についてはそれは協力委員会としてではないという回りくどいお話ですけれども、この日韓協力委員会の中に参加されておるいわゆる韓国の代表として、金成坤、あの民主共和党の財務委員長です、御存じですか。
○国務大臣(田中龍夫君) それは存じております。
○立木洋君 これは、一九七五年に米上院外交委員会多国籍企業小委員会と米証券取引委員会が、ガルフの政治献金の問題を追及した中での報告書が出されているわけですが、その報告書によりますと、一九七〇年民主共和党は、これは韓国のですね、「さらに激しい政治的挑戦に直面して、新に政治献金を要請した。」、これはガルフに対してです。そのときのことが議事録にありますが、当時ガルフの社長をしておったドーセイという人が委員会に述べておりますが、金成坤氏のことですが、この金成坤氏は「単刀直入に問題に入り、わが社の繁栄は一千万ドルの政治献金にかかっていると語った。私はできるだけ口を濁し、それは非常識だと示唆した。金氏は激怒して「私は議論するためにここにいるのではない。カネを出すか、それとも手痛い目にあうか、あなたがたにはどちらかの方法しかない」といった。実際はもっと荒っぽい言葉で……」。続いて、「要するに私たちは話し合いで決着をつけた。金氏は私に献金の必要は無限に大きいとの印象を与えた。今度は重大な選挙戦で、本格的な反対党があり、大衆的な宣伝の必要があるということだった。そこで三〇〇万ドルの献金額が示され、私はそれをのんだ」という報告がありますが、これについてはお読みになったことがあるか、あるいはこのことについては、どなたからかお話を聞いたことがおありになるか。
○国務大臣(田中龍夫君) さようなことは全く存じません。金成坤さんという人が韓国側の方の、あれは通信会社の社長であったと思いますが、いまのような対米関係あるいはまたガルフとの云々というようなことは、本当にだれも知らなかったと思います。
○立木洋君 この点については、まだ大臣にお尋ねしたい点がございますけれども、大臣もまだ何か御用がおありだとかいうことなので、あとの時間は外務省にいたします。 外務省にお尋ねしますけれども、当時日韓協力委員会がこの日韓共同開発の問題についてこういうふうな態度をとっていたということを理解しておいでになったのかどうなのか、その点についてお尋ねしたい。
○政府委員(中江要介君) 外務省としては承知しておりませんでした。
○立木洋君 この問題に関して、つまり当時から一九七二年に至るまでの経過の中で、この問題で日韓協力委員会のメンバーあるいはその個人かどうかは別としまして、この問題について話し合いを外務省として受けた経過があるかどうか、その点についてお伺いします。
○政府委員(中江要介君) 御承知のように、日韓協力委員会というのは政府と独立に別個に設けられた機関ではございますけれども、日韓協力のために勉強しておられると、そういう機関でありますので、ときどき日韓の政府間でどういう問題がどういうふうになっているかということについての説明を要求されたことはございます。そういうときは私どもは現状を率直に御説明してきたと、こういうことでございます。
○立木洋君 そういう経緯の中で、当然それはどういう形の話し合いになったかは別として、この日韓共同開発の問題も当然両国間の重大な紛争問題になっていたわけですから、そういうことも当然そういう中では話し合いとしては出されていたということも間違いないですね。
○政府委員(中江要介君) そこで私、先ほどの御説明で申し上げましたように、私どもがたとえば具体的にこの大陸だなの紛争について御説明に参りましたときに、日韓協力委員会の方から共同開発というようなアイデアが示唆されたことは一度もなくて、むしろ私どもの方から、いまこういう法律紛争になっている、その争点はこういうところだと、見通しとしてはこういうことではないだろうかというお話をしたと、こういうのが事実でございます。
○立木洋君 この日韓協力委員会の重要な責任者、責任メンバーの一人である矢次一夫氏が東洋経済で述べておられるのはごらんになっておられますか。
○政府委員(中江要介君) 読んでおります。
○立木洋君 読んでおられるなら、私があえて読み上げるまでもないかもしれませんけれども、ここで書いているのはこういうふうに書いてあるわけです。これは矢次氏の発言ですが、「領土問題は一応タナ上げしたうえで、日韓共同開発という方式で解決の途を探ろう、という考えで韓国側の有力者とひそかに懇談したり、外務省や通産省の担当官とも話しあうとか、大いに根回しをやったんです。そのうえで、これはやれると見当がついたから、アメリカ大使館の知人にも相談をもちかけ、陰ながらの協力を取りつけたりしたんです。」というふうに述べてありますが、これについてはどのようにお考えですか。
○政府委員(中江要介君) 私は、この部分については全く理解のできない御発言だと受けとめておるわけですが、もしこれが、その前段にございます日本と韓国と台湾との間の協力ということが話題になったときの話だといたしますと、これはもう日本政府としては、そういう考え方が現実的であると思うような時代でなかった。と申しますのは、御承知のようにエカフェがあの地域の大陸だなに石油・天然ガス資源が有望ではあるまいかという報告を出しましたその後で、尖閣諸島に対する領有権の主張がまず台湾からなされた。そういうことを日本政府が前提として考えるはずがないわけでございまして、この尖閣諸島の問題に関連してこういうことをおっしゃっているということがもし当時ありましても、そんなものは、いまでも同じでございますけれども、日本の固有の領土の問題でありますのでそういうことを考える余地がなかった、こういうふうに私は思っております。
○立木洋君 これは尖閣諸島の問題じゃないんです。尖閣諸島の問題はいま中江さんの言われたとおりですけれども、これは日韓と限って述べてあるんですよ。これはいわゆる当時の政府の方針がそういう方針ではなかった。なかったのにこういう問題が出て、そうしてこれに在韓大使をなさっておった方々が協力したんではないかという疑念があるので私はお尋ねしているわけです。 それは政府、外務省としては、ここで述べられているような、外務省と、担当官とも話し合うとか、大いに根回しをやったんだ、その上でやれるというふうに見当がついたからやったんだと、こういう明快な述べ方をしているわけです。これが間違っておる。そうして中江さんもお読みになっているんだということであるならば、これについては何らかの措置をとられましたか。矢次さんに、それは間違いであるということを申し入れられたのか、あるいはそういうふうなことを言われたら外務省としては困るというふうな釈明を何かしたのか、あるいは何らかの意味でこの問題に関する外務省としては措置をとったのか、とらなかったら事実上外務省もこれを認めておる。これはちょっとした、ささいな事柄でないわけですから、重大な、いわゆる政府の外交方針をどう貫くかという問題で、それを正しく貫く上での問題ですから、それだけの重要な問題であるからこそ、私はいまそういう指摘をしているわけです。その点については外務省は何も措置をされなかったのかどうなのか。
○政府委員(中江要介君) これは、この記事についてどうこうと言うまでもなく、この協定が締結されましてから、締結された経緯について再三再四国会その他で御説明を求められたときに私どもが説明したところを御理解いただきますと、これが事実でないということはおわかりいただけるかと、こう思っておるわけでございます。
○立木洋君 どうもそこがあいまいなんですよ。さらに、次の段階で言えば、これはつまり一九七二年のことですが、矢次氏の同じ、引き続いた発言の中で、一九七二年にこの日韓協力常任委員会がソウルで開かれた、その際、「うまいチャンスがあったので、私が政府首脳者に話を持ち込み、これがトントン拍子でまとまったわけですよ。そこでこれを駐韓・後宮日本大使の手に渡して外交ルートに乗せ、帰国後通産省にも話の内容を伝えた。」、こういうふうにここではなっております。 さらに、もう御承知の、これは毎日新聞で行われた矢次民の発言、これはかつての金山大使も一緒に参加された座談会での中ですが、矢次氏が「金総理の歓迎の会があった。大使は金山君から後宮君に代わっていたが、そこでたまたま金山、後宮新旧大使がいてね、いいチャンスだと思ったんだろうが、金山君に「ここでひとつ言ってみてくれないか」とそそのかされた。そこで、「総理、共同開発でやりましょうや」と切り出した。そうしたら金総理は「ええ、やりましょう」と簡単に受けたんだ。「お聞きのとおりだ。あとはひとつ外交ルートに乗せてください。ボクの用事はこれですみました」というのがウソも隠しもない、ありのままの経過なんだ。」というふうに毎日新聞でも述べられています。 さらに、この間の資料について言いますと、日韓協力委員会が先ほど言われたソウルで開かれた際、金山前大使、後宮大使とともに金鍾泌首相と別室で会い、大陸だなの共同開発を持ち出した。金首相は予想外に大変いいことだと賛意を表明、後宮大使が外務省に報告した上で正式の外交ルートに乗せられたというふうに、あらゆる記事、発言がこういうふうにすでに公表されているわけです。これについては、それならもう一度、どういうふうにお考えになっているか。
○政府委員(中江要介君) 私どもはそういう経緯は一切知らないわけでございまして、こういうことになっていたのであれば、私どもが九月に開かれました定期閣僚会議に臨むときには、すでに腹案があるという前提で臨み得たと思うんですが、私どもはこの九月の日韓定期閣僚会議の席で、一体韓国は国際司法裁判所に提訴するということを受けてくるのであろうか、それとも実際的解決を考えるという現実路線を踏むのであろうか、それともまた、法律的にはいつまでも解決がつかないから、韓国は原案に戻って単独開発に踏み切るのであろうかということについて、不安を持ちながらこの九月の日韓定期閣僚会議に臨んだということは、これは私がはっきり記憶しておるわけでございますので、それ以前にここにあるようなことがあったとは、想像しがたいわけでございます。
○立木洋君 そこで大臣にひとつお尋ねしておきたいわけですが、外国に駐在して勤務しておるこの大使の任務というのは、これは非常に重要だと思うんです。やはり日本政府を代表して、いわゆる外務大臣の命を受けて仕事をしなければならない。それが、だれかわからないいろいろな人から命令を受けて仕事をやるというようなことになると、これはもう日本政府の代表ではなくなるわけですね。ですから、この外国に駐在しておる大使というのは、まさに大臣の命令によって日本の政府を代表して外交を行わなければならない、これは当然のことだと思いますが、だれからでもいろいろ言われて、外務大臣以外に、まさに外務省の幹部以外の人から言われてそういうふうなことをやるというふうなことがあった場合には、それはどういうことになりますか。日本の外交をそういう形で行うということになれば。
○国務大臣(鳩山威一郎君) わが国の大使がわが国の方針と反するような行動をとるはずがないと思います。
○立木洋君 私は、はずがないと聞いているんじゃないんですよ。そういう場合が起こったらこれはどういうことになりますかと聞いている。これは、私はいま一般的なことを聞いているんです。まだ何も金山さんや後宮さんのことを言っているんじゃないんですから、そのことを気がねすることなしにお答えいただいたらいいと思うんですよ。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 政府の方針と反したような行動を、ほかの政府以外の方の指図によって動くというようなことはあり得ないと思いますし、そのようなことがあれば、それは大変な問題であろうと思います。
○立木洋君 ですから、私はここでいわゆる政府のまだ方針が共同開発というふうに固まる以前ですよ、これはそういう経緯の中で、すでに行った。金山さんといわれるのは昭和四十三年から在韓大使を長い間やっておられた。この共同開発に踏み切るというふうに決まった時点ではもう大使ではありませんでした。もう後宮さんにかわっておりました。しかし、その間にいわゆる共同開発の問題に関して、昭和四十三年から四十四年、四十五年にわたって、いろいろと韓国側に日本側の政府の態度はこうだということを明確に申し述べ、あるいはそれに対する韓国側の反論も聞き、それを政府に伝え、そういう日本の政府を代表して、いわゆるこの外交問題の懸案の一つであったこの共同開発の問題にも対処してきただろうと私は思うんです。 ところが、まさに大使が終わった途端にこの共同開発をやった方がいいと言う人々と一緒になって、こういう相手の外国政府の首脳に話し合うと、それまでの考え方、考え方がどうかこうかというのはこれは問わないとしても、それまでの行動にいろいろなやっぱり疑念が持たれるということは当然あるべきことだろうと思うんです。ですからこの問題に関しては、先ほど私が読み上げました矢次氏御本人がいろいろな新聞、雑誌等でも述べているわけですから、この問題に関してはもう共同開発になってしまったんだから、結果的にはもう政府と一緒になったんだから構わないというふうな形で闇に葬るんではなくて、きちっとこの問題はけじめをつけて、こうならなかったら一体どうなるかという問題もあり得るわけですから、これはきちっとやはりもう一遍調査をすべきだというふうに思いますけれども、どうでしょうか。
○政府委員(中江要介君) 先生の御質問の趣旨は、金山大使が大使をやめてからなさったことと大使御在任中になさったかもしれないこととの間に一貫性がないということになると、大使をやめてからなさったことについて調べる必要があるんじゃないかと、こういう御質問でございますれば一そうでないんでございますれば、ちょっと私その御質問のポイントのところがよく理解できなかったので恐縮でございますけれども……
○立木洋君 一つはいま言った金山大使の件ですね。ですから、その前にいろいろと交渉を行ってきた経緯の中で日本の主張がきちっと貫かれていたのかどうか。つまり、一方では日韓協力委員会という存在があり、日韓協力委員会といろいろ金山大使は話し合っておった経緯があるわけです、毎日新聞で御本人が認められているんですから。そういう経緯がありながら、一方では日本の大使として韓国側と交渉して日本の方針を正しく貫かなければならない、こういう問題があっただろうと思うんです。だから、その間の問題についてはきちっとけじめがつけられていたのかどうかということは明確にさしておく必要があるだろうということが第一点。 もう一つは、後の後宮大使の件ですね。ここで言われているように、一民間の方が話し合われた内容を外交ルートに乗せていく、そういうふうな役割りを果たされたことが適切だったのかどうだったのかという問題で、そういう点については疑惑が持たれている関係上明らかにしておく必要があるのではないかということ。
○政府委員(中江要介君) まず第一点の金山大使の方でございますけれども、この毎日新聞の記事にもございますように、金山大使は「四十八年ですよ。」と言っておられるんですね。
○立木洋君 それは間違いですよ。
○政府委員(中江要介君) それほどうろ覚えの話を金山大使はしておられるので、これ自身全体につきまして、私どもとしては非常に正確に事実に立脚した座談をなさったというふうには受けとめておらないんです。したがって、その後で金総理の歓迎の会のときに云々ということも私どもは全く聞いておらないことでございますので、そういうことがどうであったかということはわからないんですけれども、少なくとも金山大使が在任中にはこの日韓の大陸だなにつきましては法律専門家会議の第一回、第二回が開かれておったわけでございますので、金山大使がその日本政府の立場というものは十分御承知でありましたでしょうし、また日韓協力委員会の方では、まだ大陸だなの政府間で法律論争をやっておりますときに共同開発がどうだこうだという話は、これは全く私ども協力委員会の先生方に現状報告を求められましたときも、先ほど申し上げましたように全然話題になってない、そういう状況であったわけでございまして、その点については在任中に政府の立場は立場としながら、他方協力委員会の民間の人との間で別な動きをしていたということは、これは絶対なかったと私どもは確信しております。 それから、後宮大使がそういうことを報告したというふうにどこかに出ておるようでございますけれども、そういう報告を受けておりましたならば、私が先ほど申し上げましたように、定期閣僚会議が始まるまで私どもがそういう背景の動きというものを知っておりましたならば、別の考え、対処の仕方、対処方針というものもあったかもしれませんけれども、そのことにつきましては後宮大使は着任されて数カ月後でございますから、余りまだ深く入っておられなかったこともありましょうけれども、何らかの手がかりになるような情報はいただいておらなかったというのが実情でございます。
○立木洋君 じゃ最後に。 今後日本がやはり国際的に平和外交に徹して日本の外交方針を貫いていくという上において、在外公館の大使の果たす役割りというのはきわめて大きいと思うんですね。そうした場合に、やはり大使自身が政府の方針をきちっと貫いていくということを貫徹することはきわめて重要なことだと思う。その内容がいいか悪いかはそれぞれ批判の立場の方もいるでしょうし、また私たち自身もいろいろな見解を持ちますけれども、しかし、途中でいろいろとねじ曲げられる、あるいは先ほど来問題になりました外国の情勢が正しく日本政府に伝えられない、あるいは日本政府の方針がきちっと貫徹しない。それはいま日韓協力委員会といろいろ話をしたでしょうと、しかしそれとはちゃんと大使としての立場はけじめをつけておられるだろうと言いますけれども、これは人間というのは、いわゆる一人の人間ですから、きょうは大使、きょうは協力委員会、こんなふうになかなか分けられないんですよ、考え方というのはその中に一つになっているわけですから。そういう場合きちっと貫くかどうかということは、これは重要な問題だと思うんです。私はこの点で、質問時間がもうありませんのでこれ以上質問して明らかにすることはできませんけれども、今後の在外公館で勤務する大使並びに在外公館の職員の方々がそういう点を貫徹されるように強く求めておきたいと思いますが、この点については大臣、最後に御所見を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 金山大使のこの座談会の記事を離れまして一般的に申し上げれば、それは各国に駐在しておりますわが国の大使、これは大変重大な任務を帯びておるわけでございますし、これから外交がますます大変大事になってまいります時期でありますので、大使の任務というのはますます責任重大になってまいります。そういったことで、これはわが国の大使がわが政府と反するような行動をとるわけはないと私はもう固く信じておりますが、今後とも国益を守る上から規律も正してまいりたいと思います。
○委員長(寺本広作君) 以上をもちまして本案に対する質疑は終了いたしました。 午後一時四十分まで休憩いたします。 午後一時七分休憩 —————・————— 午後一時四十二分開会
○委員長(寺本広作君) ただいまから外務委員会を再開いたします。 経済協力に関する日本国とモンゴル人民共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
○久保亘君 最初に外務大臣の御見解をお聞きしたいと思うんですが、この経済協力に関する日本国とモンゴル人民共和国との間の協定の調印に先立って、国交樹立の段階で、戦争による損害賠償請求をめぐる両国間の協議が行われたと聞くのでありますが、モンゴル人民共和国は国際的に見て、国際法上というか、国際的な慣行といってもいいのかもしれませんが、一般的には戦争による損害に対する賠償請求権というのは日本に対して持ち得たという解釈に立っておられるのか、それとも損害賠償請求権は日本に対してモンゴルが請求する権限はないという立場を日本政府はお持ちになったのか、その辺はどういう御認識でありますか。
○政府委員(村田良平君) モンゴルは一九二一年に独立宣言をしたわけでございますけれども、その後、ソ連のみがモンゴルを承認したという状況が続いておったわけでございます。 一九四五年の八月十日、ソ連の対日宣戦に続きましてモンゴルは対日宣戦布告ということをいたしたわけでございますが、しかしながら、わが国はモンゴルを国家としては承認しておらなかったわけでございます。したがいまして、この一九四五年八月のモンゴルによる宣戦布告というものは国際法的には効果がないというふうに考えたわけでございます。すなわち、わが国とモンゴルとの間には国際法上の戦争状態というものはなかったということでございますので、そういった戦争状態というものを根拠とした賠償請求という根拠もないという、法律的にはそういう考え方をとっておる次第でございます。
○久保亘君 法律的にいまのような解釈に立ちます場合には、日本が賠償請求に応じていろいろ協議を行った相手国について日本が国家として承認をしておらなかったという例は、いまのような事例と同じようなものはほかには一切ありませんか。
○政府委員(村田良平君) かつてのわが国——第二次大戦の例で申し上げますと、交戦国から引き継ぎ独立した国というのは東南アジアその他にもあるわけでございます。しかしながら、そういった国に関しましては、いわばその宗主国と申しますか、もとの母体であった国とわが国との間には明らかに戦争状態があったわけでございまして、そういった意味でわが国としては、もちろん国によりますけれども、賠償の請求権というのが、つまり基本の当時の本国から新しく独立した国に引き継がれたと、こういう考え方をとっておるわけでございます。
○久保亘君 そうすれば、モンゴル人民共和国の場合にも、本来的には日本が国家として認めていないということであっても、モンゴル自身は国をつくっているわけでありますから、そしてそこに日本の軍隊が入って人的物的損害を与えたという現実は存在するわけですから、その場合には損害賠償請求権が存在すると見るのが国際的には常識なのではないでしょうか。それはもう東南アジアの諸国の場合と比べた場合、ここには別に宗主国家があったと、こういう御説明でありますが、そうするとモンゴルには国家としても認めていなければ、宗主権を持った国家も存在しなかったという解釈に外務省はお立ちになりますか。
○政府委員(村田良平君) モンゴルは、確かに非常にいわば特殊のケースというふうに考えられるわけでございます。先ほど申し上げましたように、モンゴルが独立宣言をいたしましてもわが国はモンゴルを国家としては承認しておらなかったわけでございますが、しかしながら、他方、モンゴルは一九三〇年代に立ち至りまして、実質的には中国、まあ当時の中華民国でございますが、これとは別の主体となっておったというふうに考えられるわけでございます。したがいまして、たとえば一九四一年の中国の対日宣戦布告というものの効果はモンゴルには及ばないというふうに解されるわけでございます。 モンゴルのような形の国と申しますか、そういう英語で言えばエンティティーとでも申しますか、そういった領域とわが国との関係というものは非常に特殊なものでございまして、その前のノモンハン事件の際にも、停戦協定には実はモンゴルは当時のソ連、それから満州国と一緒に参加しておるというふうなことで、中華民国とは実質的には別の主体になっておった。しかしながらわが国としては国と国との関係はなかった。そういうことでございますから、国際法上の戦争状態というものは存在しておらなかったということでございます。 実質的に与えた損害というものをどう考えるかというのは別の次元の問題としてあろうと思いますけれども、国際法の次元によります戦争状態、あるいはそれに基づく賠償請求という問題はないということでございます。 —————————————
○委員長(寺本広作君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、青木薪次及び矢田部理君が委員を辞任され、その補欠として吉田忠三郎君及び安永英雄君がそれぞれ選任されました。 —————————————
○久保亘君 それでは、いまのような御見解でありますと、この経済協力に関する日本とモンゴルとの間の協定というのは損害賠償請求とは全く無関係なものだという解釈に立たれるのか、あるいは、あのノモンハン事件から第二次大戦を通じて日本が今日のモンゴル人民共和国に対して与えた損害に対して、日本としてもやはり何らかの形でその損害に対する償いをあらわすべきであるという考え方がこの協定の底には流れておるのか、それとも単なる、開発途上国というのか後進国というのか、こういう国家に対して日本が先進国として経済援助をやってやろうという立場での協定なのか、それは外務省はどちらの考えにお立ちになっておるんですか。
○政府委員(大森誠一君) 先ほど条約局参事官の方から説明申し上げましたように、わが国としては法的にはモンゴルの方には対日賠償請求を提起する立場にないと、わが方としてそれを認める立場にないということでございましたが、両国間の外交関係開設の交渉で先方と種々話し合いました際に、モンゴル側から賠償請求は提起しないという旨の言明がございまして、その結果、一九七二年の二月に外交関係開設のための共同声明というものが結ばれたわけでございます。この共同声明の中におきまして、両国間における「経済的及び文化的協力の発展」ということがうたわれたわけでございます。 この外交関係設定後に、モンゴル政府の方からわが国政府に対しまして無償経済協力の要請を行ってまいったわけでございますが、その背景には、両国関係の過去の歴史的経緯に由来する特殊な対日国民感情が残っているということが認められますので、わが方といたしましても、このような事態を放置したままにしておくと両国関係の安定的発展は期待しがたいという認識に立ちまして、過去の経緯に由来するモンゴル側に残っている特殊な国民感情と申しますか、わだかまりの感情をこの際払拭するという目的で、モンゴル政府の無償経済協力の要請にこたえて交渉を行って今次の取り決めとして成立したわけでございます。 したがいまして、過去の経緯と全く無関係とは申せないわけでございますけれども、先ほど来説明申し上げましたように、法的には先ほど申し上げましたように、日本側としてはモンゴル側には賠償請求を提起する権限はないということではございましたものの、過去の経緯に由来する特殊な事情というものに配慮したと、かような事情はあるわけでございます。
○久保亘君 そこのところが非常に今後の日本外交のあり方といいますか、また日本とモンゴルとの間の友好関係を樹立していく上でも非常に重要な問題だと思うんでありますが、賠償請求権は国際法上ないのだということでこれを日本側が退けて、そして国交が樹立したのではなくて、いまあなたの説明聞いているとそういう順序で来たようですが、そうじゃなくて、賠償請求権という形での話はむつかしいけれども、賠償請求にかわるべき経済援助などについて日本側が十分な考慮を払うということでもって暗黙のうちに両国の了解が成り立って、モンゴル側は賠償請求権を取り下げ国交が樹立したと、こういう経過があるんじゃありませんか。そうじゃなくて、賠償請求権を国際法上認められないんだということでモンゴル側が一方的にこれを放棄して取り下げて、そして国交が樹立した後その経済援助について日本側に申し出てきたと、こういう順序になっておりますか。そうではないんじゃありませんか。
○政府委員(大森誠一君) わが国とモンゴルとの間の外交関係開設に当たりましての話し合いにおきまして、双方でそれぞれの立場に基づく議論は行われたわけでございます。その過程におきまして、モンゴル側もわが方の立場というものに理解をいたしまして、この際は日本とモンゴルとの間の過去のことはさておいて、将来に向かっての新しい両国関係というものをつくり出していこうということで、賠償については請求しないということを言明したわけでございます。そして、この外交関係開設に当たりましての共同コミュニケにおきまして、先ほど申し上げましたように両国の経済的文化的協力の発展ということをうたったわけでございますが、これは両国が新たな友好関係に入ると、この友好関係に入った後に経済協力を含むいろいろな分野での協力関係を発展させていこうということを、そういう意図を双方で認め合ったのがこの共同コミュニケでございます。 この共同コミュニケに基づきましてモンゴル側から無償の経済協力ということについての要請が参ったわけでございますが、この点につきましては、モンゴル側としては確かに賠償の請求というものは放棄したと、しかしやはり過去の経緯に照らせば、モンゴル側には戦時中に日本側から受けた被害というものについてのわだかまりの感情があるということでありまして、この共同コミュニケにうたわれているような経済協力の分野における友好関係というものも行われていけば、それはそういう特殊な感情も払拭され、これがさらに日本とモンゴルの友好関係の発展に大いに資するであろうということであったわけでございます。 したがいまして、わが方といたしましては、今回行うことといたしたいと考えているモンゴルに対する経済協力につきましては、いわゆる法的請求という権利に基づいた賠償というものにかわるものというものとは考えていないわけでございます。あくまでも新しい日本・モンゴル関係の発展という中でこの経済協力を行っていくということでございまして、外交関係開設の際にも、特に賠償にかわるものを日本側がいずれ供与するというような暗黙の了解といったようなものがあったわけでもございません。
○久保亘君 そうでしょうか。いろいろな文献を調べてみますと、損害賠償請求にかわる相当額の経済援助を行うという暗黙の了解のもとに国交が樹立したと、こういう解釈が一般的であります。また、私どもに配られました、これはあなた方の資料じゃありません、いろいろ調査をしていただいた方の資料によっても、「一九七二年初頭、わが方は、賠償に代るものとしてではないが、外交関係樹立後において、双方の合意に基づき経済的技術的協力を与える用意がある旨を表明したところ、モンゴル側はこれを了とし、遂に賠償請求を取り下げるに至った。」と、こういうことになっているわけであります。だから、その辺のところは、いまあなたが言われるように日本の立場を強弁すべきものじゃないんじゃありませんか。現実にモンゴル側の請求によれば三百億円の物的損害と千八百名余りの人的損害をノモンハン事件と第二次大戦によって日本から受けたという、これは厳然たる事実として存在をしておるわけですね。その損害賠償というものがモンゴル人民共和国にすればあるという立場をとっている。しかし、国交を樹立していくためにそれにこだわっておってはうまくいかぬという。日本側はそれじゃかわるべき経済援助については考慮しましょうということで、その辺で暗黙のうちに両方合意し合った、こういうことで国交樹立が成ったというのが実態ではないのですか。その辺の認識をきちんとしてもらわないと私はあとの質問ができぬのですがね。あくまでもモンゴル側が一方的に国際法上請求権はないものであるという日本側の主張をのんで取り下げた、そしてその上で国交樹立後改めてモンゴル側から経済援助の申し出があって日本がそれに応じたのであるという立場なんですか。そうじゃないんじゃありませんか。
○政府委員(大森誠一君) 外交関係開設に際しての種々の話し合いの結果、モンゴル側はそれまで賠償請求を提起する、請求するという立場でございましたのを、新たな両国関係に入るというためにこの賠償請求についてはこれは取り下げる、今後請求は行わないということを言明したわけでございます。ただその際に、しかし新たな関係というものが樹立されれば両国の友好関係を発展させるものの一環として経済協力という問題もひとつ促進していくということにしたいという双方の希望がありまして、その点が外交関係設立の際の共同声明にもうたわれたわけでございます。 その後のモンゴル側からの無償協力の要請に関連しましては、なるほどモンゴル側は外交関係開設に当たっては賠償請求はしないということは申し上げたけれども、しかし、過去において日本側から受けた被害というものについて日本側と話し合ってきたということは事実としてあったし、また、その被害を受けたということに根差すモンゴル側の国民の間にある日本に対する特殊なわだかまりの問題もある、したがって、これは日本側においても単に法的な立場からの検討ではなくて、いわば日本とモンゴルとの間の特別の問題であるという認識でもってひとつこの経済協力の要請にこたえてもらいたい、かような話が先方からあったわけでございます。 これに応じましてわが方といたしましても、モンゴル側との間の過去の経緯もあり、現にまだ残っておりますモンゴル側の国民感情というものも配慮いたしまして、今後の友好関係の発展に寄与さしたいという意味でこの取り決めを結ぶこととしたわけでございます。したがいまして、今回の経済協力は法的な意味における賠償にかわるものとして行うものではございませんけれども、事実上の問題としてはいわゆる戦後処理の一環である、かような性格を有するものと認識いたしております。
○久保亘君 そういうことでありますと、この協定に基づく贈与はどうして賠償等特殊債務処理特別会計法に基づいて取り扱われなかったのか、これが一般会計の特殊対外債務処理予算として組まれる理由というのはどういうわけだろうかと思うわけです。この賠償等特殊債務処理特別会計法では、ラオス、カンボジアについては賠償請求権の放棄が行われたことを考慮して経済協力を行うそのものを特別にこの法律の中に加えて援助を行っているわけです。モンゴルの場合にも同じような性格のものとなるのではないか、賠償請求権を放棄をしたことを考慮をして日本がモンゴルとの間に締結する経済協力協定ということになれば、この法律に基づく援助が行われるのがラオスやカンボジアの場合を見ても妥当なのではないかと考えられるんですが、この点はいかがですか。
○政府委員(大森誠一君) 先ほど申し上げましたように、このモンゴルとの間の取り決めにつきましては種々の経緯を経まして、わが方としてはモンゴル側が賠償を請求しないという態度をとったその見返りとして賠償にかわるものとしてこの取り決めを結ぶ、こういう立場ではございませんで、一つの過去における経緯としてそういうような問題があったことは事実であり、その点を念頭に置きながら新たな日本・モンゴルということの将来の関係を考えましてこの経済協力を行うということとしたわけでございます。したがいまして、賠償にかわるものではないけれども、戦後処理の一環の問題というふうに考えているわけでございます。そういうことでございます。
○久保亘君 いや、私は具体的に聞いているんですよ。ラオス、カンボジアの場合には賠償請求権を放棄したことを考慮して、別にそれにかわるとはなってないんです、考慮して日本がこれらの国との間に締結する協定に基づいて供与する無償の経済及び技術援助のための債務をこの賠償等特殊債務処理特別会計法に基づく処理の仕方をしているわけです。ところが、モンゴルの場合には同じく賠償請求権を放棄したことを考慮して無償の経済協力が行われるのにもかかわらず、この法律の適用を受けられないというか、この法律に基づかず、大蔵省の特殊対外債務処理の予算で、特別会計によらず一般会計予算によって四年間にわたって支出していくという方法がとられているわけです。扱いが違うわけです。これはどういうわけですかということをお聞きしているんです。
○政府委員(大森誠一君) 賠償等の特別会計の経理対象となりますものは、次に掲げるような債務であると理解しているわけでございます。 すなわち、わが国が連合国との間に締結する条約に基づいて行う賠償、わが国が連合国との間に締結する条約に基づいて行う財産の補償、わが国が連合国その他の国及びこれらの国民に対し戦争の遂行の結果負担する債務等で平和の回復に伴い支払いを要するもの、さらにラオス及びカンボジアが本邦に対して有する賠償請求権を放棄したことを考慮して、わが国がこれらの国との間に結ぶ協定に基づいて供与する無償の経済及び技術援助のための債務、これらを対象とするのが賠償特別会計であると理解いたしておるわけでございます。この点に関連しまして、モンゴルに対します無償資金協力の支払いにつきましては、いわゆる賠償の支払いもしくは戦争の遂行の結果負担する債務等の債務の支払いとして行われるものではございませんので、賠償等の特別会計の経理対象とはならない、かように理解しているわけでございます。
○久保亘君 いや、ラオス、カンボジアの場合にもこれは賠償とはなっていないんです。これは無償経済協力なんです、技術協力なんです。その前提としてこれらの国は賠償請求権を放棄しているんですから、だからもう賠償じゃないんです、それは。賠償じゃない。しかし、そのことについてはラオス、カンボジアの場合にはこの法律の中にこれは加えて、特別会計による処理を行ってきているわけです。モンゴルの場合には、やっぱり同じように賠償請求権を相手国が放棄したことを考慮してそういう無償経済協力が行われるにもかかわらず同じような方法がとられないのはどういうわけだろうか、こういうことなんです。
○政府委員(大森誠一君) 先ほど申し上げましたように、このモンゴルに対します経済協力の取り決めにつきましては、ラオス、カンボジアの場合とは性格を異にしているということでございます。すなわち、ラオス及びカンボジアにつきましては、わが国に対してラオス、カンボジアの両国が有している賠償請求権というものがあったということを前提といたしまして、その賠償請求権をこれら両国が放棄したと、このことを考慮しての経済協力であったわけでございます。 他方、モンゴルにつきましては、これは賠償請求をする権利がないという立場でございまして、その点については国交開設の際にモンゴル側がそれまで行っておりました請求を提起しないということを明言いたしましたわけでございます。したがいまして、賠償問題についてはすでに両国の間で外交関係が設立されました時点で解決をしていたわけでございます。そして、両国間で外交関係が設立されました後に、新たにモンゴル側から経済協力の要請ということがございまして、それに応じて今回の取り決めとなったわけで、この点でラオス、カンボジアの場合と事情が異なるということでございます。
○久保亘君 時間がないから、それはまあそれであなたの説明を一応聞いたことにしておきましょう。 それならば、普通外国に対する経済協力というのは、特に無償経済協力、贈与の場合には援助対象に一定の方針がありますね、——全然ありませんか。その贈与する経済協力の贈与金の使途について、全然無償供与の場合に、もうそれはそれぞれの国との交渉次第であって、何ら日本側は贈与に当たっての原則は持っておりませんね。もしその原則があるなら教えてください。
○説明員(瀬崎克己君) ただいま先生の御質問の中でございますが、無償経済協力、これは相手国からの要請があるわけでございますけれども、その際に民生の安定、福祉の向上と、こういうことを一つの基準として要請にこたえて供与しているわけでございます。 たとえば、モンゴルの件でございますけれども、すでに日本政府といたしまして、モンゴルに対しまして無償の協力をしているわけでございまして、実例を申し上げますと、四十六年度予算で五百八十万円で緊急自動車を供与してございます。その後、引き続きましてモンゴル政府からの緊急自動車を贈与してほしいという要請にこたえまして、四十七年度七百九万円、四十八年度一千四百三十万円、四十九年度二千六百三十七万円、五十年度二千六百九万円、合計いたしまして約八千万円でございますが、七台の自動車を供与しているわけでございまして、そういう角度からいろいろ要請にこたえているわけでございます。
○久保亘君 いまあなたが言われるように、原則的には有償でない贈与に係る経済援助というのは、相手国の民生、福祉の安定ということを一般的原則としていると私は承知しております。その場合の事業内容としては、いま言われたような医療に関する問題とか、教育施設とか、あるいは防災の施設であるとか、水道施設をやるとか、そういうものについて贈与による経済協力を行うのが通常であります。 しかし、今回、この協定におきますモンゴルに対する経済援助は、そういう贈与の一般的な原則に照らすならばちょっと特例的な援助になっていると私は思います。それがいい悪いと言っているんじゃありませんよ。それは必要なことだと私は思います。しかし、少なくともいままでの経済協力のやり方からするならば、これは少し特殊な経済協力のやり方だということはいまの答弁を聞いてもわかると思うんですが、それはそのようにお認めになりますか。
○説明員(瀬崎克己君) ただいまの御質問でございますが、原則的には民生の安定、福祉の向上という一つの基準で相手国からの要請の案件を採択するわけでございますが、やはり相手国が何を一番欲しているかということを踏まえましてわれわれといたしましては個々の案件を採択する際に判断するわけでございます。 そこで、たとえば五十一年度予算でベトナムに対しまして五十億円の贈与をやったわけでございますが、この際には、先方政府が一番国家の建設のためにセメントの生産を必要としているということを踏まえまして、この五十億円は全額セメントプラント工場のために供与しているわけでございます。
○久保亘君 ベトナムの場合にしましても、これは特殊な事情があるからそうなっておるんですね。これは日本だけの立場じゃなくて、特殊な背景を持ちながらやられていっているわけです。モンゴルの場合にも、さっき言われたように、戦後処理の一環という、私をして言わしめれば、損害賠償にかわるべきものという暗黙の意思が働いて行われる贈与による経済協力だと思うんです。だからこそ相手国、モンゴル政府の要請を非常に尊重をした形でこういう援助が取り決められるものと、私はこう思うんです。だから、さっき外務省が非常に強弁をされるように、損害賠償請求権はもともと向こうにないんだと、そういう一方的に退けられるものじゃないんです。損害を相手国に戦争によって与えていること、——モンゴルが仕掛けたんじゃないんです。モンゴルは日本と戦争する必要は全くない国なんですよ。これは日本が自分の国の都合上相手の国の中に入っていって損害を与えてきたんだという、そういう歴史的な事実をきちっと私どもが認識をすれば、戦後処理の一環とかそういうあいまいな言葉じゃなくて、これは国際法上の問題は別としても、実質的にはモンゴルに対して大変迷惑をかけた、そのことに対して、今日、戦後経済力がかなり強くなってきた日本が何らかそのモンゴルに対して償うことができるとするならばという気持ちが底を流れてこういう協定が結ばれたんだと私は思うんですよ。単なる通常の経済協力ならばこういう異例の経済協力の形をとられる必要はない。私はそういう理解をしているからいままでお尋ねをしてきたわけなんです。 で、モンゴル側がそれで主導権を持つといいますか、日本に対して、まあ戦後処理でもいいですよ、あなた方がそう言われるなら。戦後処理の一環としてモンゴル側が経済協力を要請して、モンゴル側が一番欲することはいま主要な産業であるカシミヤ、ラクダの原毛の加工工場である、こういうことになってこの協定が結ばれるに至ったんだと思うんでありますが、このカシミヤ、ラクダの原毛の加工工場は、モンゴルのこの協定の中では政府という言葉が変わってまいりまして、「モンゴル人民共和国政府が指定するモンゴルの当局」、こうなっておるわけです。この「モンゴルの当局」というのは具体的には何を指すのでしょうか。
○説明員(瀬崎克己君) 政府の指定いたします当局というのは、私たちのいままでのモンゴル側からの説明では、一応軽工業省というふうに聞いております。
○久保亘君 軽工業省というと政府の機関ですか。それならば別に、人民共和国政府が指定する当局ということを書かなくてもいいんじゃないですか。政府じゃありませんか。軽工業省ならば政府そのものじゃありませんか。別に政府が指定するということにならぬじゃないですか。
○説明員(瀬崎克己君) ただいままでのところは、モンゴル政府といたしまして何を調達するかということについて内々の調査をしているようでございますが、現在の当事者はモンゴル軽工業省でございます。ただ、最終的な契約の当事者になるのは、恐らくモンゴルのコンプレックス輸入公団、機械輸入公団みたいなものに当たると思うんでございますが、そういうところがなると思われますので、一応当局というのは最終的契約の当事者という意味では輸入公団というふうに理解しております。
○久保亘君 そうすると、コンプレックス輸入公団が日本の企業と契約するわけですね。協定文を読みますとそうなっております。日本の企業と契約することになるわけですが、その日本の企業というのは、すでに政府がこの経済協力について話を進めておられる段階でこれらの企業はモンゴルに対して相当激しい運動を展開してきたんじゃありませんか。そして、大体この輸入公団が相手とする日本側の企業は、政府もおおむね見当をつけて進めてこられたんじゃありませんか。その契約は政府の認証事項になっておりますから。この文章だけを読みますと、モンゴルの政府またはその輸入公団が全く一方的に日本の業者を指名でやってもいいし、随意契約でやってもいいし、入札をしてもいいし、何でもいいことになるようでありますけれども、しかし実際には、日本政府がモンゴルに五十億の供与だけを決めたら後はどうぞおやりください、日本のどの企業とでも御自由にと、そうはいかないのじゃありませんか。このプラントの輸出をやる、その取り扱いをする企業というのについては、政府は一定の見当をお持ちになっていたんじゃありませんか。これはいかがでしょう。
○政府委員(大森誠一君) わが方といたしましては、この取り決めに従ってモンゴル側が選ぶ企業との間の契約によってモンゴル側が所要のものを発注していく、こういう立場でございます。ただ、従来私が承知しておりますところでは、モンゴル側は、モンゴルの資源として最も豊富でかつ有効と考えておりますカシミヤ、ラクダ毛というものの加工について非常な強い関心を持っておりまして、この関連でモンゴルは一九七四年十一月に国連工業開発機関、UNIDOと言われておりますが、この機関の援助資金をもととしてカシミヤ、ラクダ毛工場のパイロットプラントの建設契約というものを結んでいるわけでございます。 このようにモンゴルとしてはカシミヤ、ラクダ毛の工場、たとえパイロットプラントという小規模のものではございましても、われわれの側と話をします前から一応のかがるプラントについての資料といいますか、情報というものも持っていたと考えられるわけでございます。そしてその過程でいろいろと関係の企業などに、どういうプラントの規模とか設計とかそれに伴う資金量とか、そのようなものが考えられるかどうかということを照会していたということがあるということは承知しているところでございます。ただ、日本側が今度は逆にそういうモンゴル政府に対してどのような競争をしていたかというようなことは私どもはつまびらかに承知していないわけでございます。
○久保亘君 五十億円も贈与をする、そのことに関して契約の認証権まで協定の中で決めている日本政府が、そういう状況を全然知らぬというのはおかしい。いま言われた国連工業開発機構によるカシミヤ原毛加工の、これはパイロットプラントというんですかテストプラントというんですか、それについては日本の企業が落札したんじゃありませんか。そのテストプラントを日本の企業が落札してそしてこれ正式契約を結んだのかどうか、その辺もお答えをいただきたいと思うんですが、正式契約を結んだとすれば、今度はそれの発展として、日本の贈与を受けて本格的なプラントを建設するということになる場合に、その企業とはすでにいろいろの接触が行われていたということは当然予想されることじゃありませんか。それは全然御存じありませんでしたか。
○政府委員(大森誠一君) UNIDOの援助に基づくパイロットプラントの建設につきましては、モンゴル政府とわが国の安宅産業との間で建設契約が結ばれ、それに基づいてこのプラント建設というものが進んで、すでに一部操業も始めているというふうに承知いたしております。その間、モンゴル側は、このテストプラントの運営等につきまして技術者に習得の機会を与えるためということで、数人の研修生も日本に派遣してきているというように聞いております。また、この種のプラントを建設していくについて、日本側のコンサルタントと申しますか、専門家の意見も参考にしている、かように聞いているわけでございます。したがいまして、この協定が発効いたしました暁には、モンゴル側としては、適当な日本側のコンサルタントともよく相談して、このプラント契約をどのような企業と結ぶのが最も適切であるかというようなことについてモンゴル政府は真剣な検討を行うことになる、かように考えているわけでございます。
○久保亘君 テストプラントについては安宅産業と契約が成立して、これは四十九年ですね、その後操業も始めているということだといたしますと、それは今日はどういう状況で引き継がれていっているのか。それから、四十九年には安宅産業はすでに、日本の経済協力を見越して本格プラントの見積もりをモンゴル政府に提出をして、そしてその本格プラントの建設についてもぜひ安宅産業がやりたいということで接触を始めておりますね。しかし、今日安宅産業は御承知のような状況なんですが、その辺の関連というのは全然心配はありませんか。そして今後、この協定に基づく新たな見地に立ってカシミヤ、ラクダの原毛加工工場というののプラント建設というのは心配なく進められるものなのかどうか、その辺はあなた方外務省では余りわかりませんかな。
○政府委員(大森誠一君) 外務省といたして承知しているところを御説明申し上げますと、初めに御質問のありましたUNIDOに基づくパイロットプラントにつきましては、昨年の三月に機械据えつけの工事を完了いたしまして、四月から八月末まで日本人技術者によるテスト運転を行いまして、昨年の八月から四カ月間はモンゴル人の技術習得ということも行われまして、その結果、本年一月にこのパイロットプラントはモンゴル側に引き渡されたというふうに承知いたしております。 第二の御質問の点でございますが、実はこのモンゴル側からの経済協力要請に応じまして、日本側でも種々検討をしたわけでございますが、その過程で、一昨年モンゴル側の経済協力に伴う事情等を調査するという目的で政府の方から調査団を派遣いたしました。一昨年の六月から七月にかけてでございますが、その際、この調査団の団長という格で私も当時モンゴルに赴いたわけでございます。その際、今回わが方の柘植大使とこの協定に署名いたしました先方のサルダン対外経済協力委員会議長兼国務大臣とも何回か意見交換を行ったわけでございますけれども、その際に先方が漏らしているところによれば、モンゴルとしてはカシミヤ、ラクダ毛工場というものに最重点の優先度を置いて考えている。それについては、モンゴル側としても腹案として持っているような基模の工場にするにはどれぐらいの協力を日本側から得られれば適当であろうかというようなことについて、モンゴル側自身としては経験も知識も十分持っていないので、各種の会社に対して照会を行っている。先方の話によれば、数社からそういうカシミヤ、ラクダ毛工場プラントの仕様図といいますか、仕様書といいますか、そのようなことを含めた資料も得ていると、かようなことを非公式の席でございましたけれども話していたという経緯がございます。 したがいまして、このUNIDOのプラントにつきましては安宅産業が落札して契約を結んだわけでございますけれども、わが国にはこのほかにもこのカシミヤ、ラクダ毛工場のブラントを輸出し得る会社というのは数社あると聞いているところでございまして、モンゴル側はそれらの幾つかの会社と接触をしていると、かように承知しているわけでございます。
○久保亘君 その辺はこれからこの協定が発効して、そして契約が結ばれる段階でも日本政府としてもかなり責任を持たなければならぬ問題だと思いますし、また、契約そのものは日本政府の認証を得て初めて発効するということにこの協定でなりますから、それでこの経済協力が名実ともにその効力を発揮するように、十分そういう点では留意をしてやってもらいたいと思うんです。 ところで、このモンゴル側が希望している加工工場というのに対して日本側が五十億贈与する。モンゴル政府はこれに自分の国としてどれぐらいの資金を投ずる計画があるんでしょうか。そして、全体としてこの工場はどの程度の規模のものがいま考えられているのか。それがわかりましたら簡単に御説明いただきたい。
○政府委員(大森誠一君) まず第一点の御質問でございますが、このモンゴルに対します経済協力につきましては、わが方の一般的な経済協力の方針でもございますけれども、あくまでもモンゴル側における自助努力というものに日本側が協力していくという基本的立場に立っているわけでございます。モンゴル側において負担可能な部分、すなわちわが国からモンゴルに供応することとなります資機材のうちで、ナホトカとウランバートルとの間の陸上輸送費、工場建て屋の建設資材、労働力及び電気、水道等諸設備の工事費というものは、わが国からモンゴルに供与する経済協力の対象からは除外されているわけでございます。このようなモンゴル側の負担部分の経費総額につきましては、先方との交渉を通じましてモンゴル側からは特に具体的な数字を得ているわけではございませんし、また、わが国とモンゴルとでは社会体制、経済事情も異なりますので、具体的項目につきましてわが方がそれぞれ細かく算定を行うということはきわめて困難なわけでございますけれども、一応の目安といたしまして、同様の資材及び労働力についてわが国におきます平均的数値を基礎にして試算いたしましたところ、モンゴル側の負担分については、先ほど申し上げましたような項目について全部合わせますと約二十億円という試算の結果を得ております。 第二の御質問でございますが、わが国の経済協力によりつくられることとなりますカシミヤ、ラクダ毛工場の規模でございますが、その規模につきましては、最終的にはモンゴル当局と日本の民間業者との間の契約に基づいて決まることになっているわけでございまして、政府側といたしまして、その工場の規模について具体的に先方に約束しているわけではございませんけれども、これも試算でございますが、一応年間の原毛処理量は千二百トン、この年間整毛量としては五百二十トン程度を生産する工場を想定いたしているわけでございます。
○久保亘君 そうすると、現在のモンゴルの原毛の生産量からいたしますとかなり大きな工場になってくると思うのでありますが、時間がありませんので、最後に一つだけお聞きしておきたいと思いますが、五十億円の贈与がいろいろな経過から今日こうして協定を結んでモンゴルに供与される。それが相互の経済協力に役立って、今後両国間の友好あるいは経済の発展に寄与するということになればこれは望ましいことだと思うのでありますが、いま日本とモンゴルとの貿易額というのは、輸出入合わせてせいぜい数億円のものだと思うのです。少し違いましょうか、その程度じゃなかろうかと思いますが、数億の輸出入ではなかろうかと思いますが、日本が五十億の贈与を行って、そして今後日本とモンゴルとの間の経済関係の促進に役立っていくということもこの協定の目的にうたわれているのでありますが、この経済援助を通じて日本とモンゴルとの間で今後の経済協力促進についていろいろ協議がなされておるとすれば、どういう点にこれからの経済協力促進のための目標があるのか、何を考えながらやっていくのか、これモンゴル側からもいろいろ話があるだろうと思います。日本側の希望もあるだろうと思います。一体その辺のところは、贈与をやりますということだけで終わりでは目的に沿わない。今後これをまた足がかりにしながら日本とモンゴルとの両国の発展のために、友好的な経済関係を促進をしていくために何か今後のことで話し合われている問題等があればひとつ御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(大森誠一君) 初めに、先生がお述べになりました日本とモンゴルとの間の貿易量でございますが、御指摘のように、昨年の両国間の輸出入の総額は、わが方の大蔵省通関統計によりますと八十九万四千米ドルでございまして、円貨で申し上げれば一三億円を欠けるという規模でございます。 日本とモンゴルとの間の今後の経済、貿易関係あるいは経済協力関係の展望でございますが、先生御指摘のように、私どもも今回結びました経済協力協定というものが日本・モンゴル間の将来のあらゆる分野における関係、なかんずく経済協力の分野における関係の発展に寄与することを切に願っておりますし、またそう期待しているわけでございます。 ただ、一言申し上げますと、この日本・モンゴル間の経済協力協定につきましては、話し合いが始まりましてから相当の年月を要したわけでございます。これにはいろいろの事情があるわけでございますが、一つには、やはりモンゴルにとって従来経済協力を受けてきました相手国はすべて例外なくソ連を中心とするコメコン、社会主義諸国でございます。わが国のような西欧先進国との間の経済協力関係を結びますのはモンゴル社会主義国にとっては初めての経験でございました。また、私どもにとりましてもモンゴルとの間は長く正式の関係が閉ざされていたということもございまして、モンゴル側の国内事情、経済事情、どういう経済協力の仕組みになっているかというようなことについて十分な知識も持ち合わせてなかったわけでございます。このようなわけで、時間がかかりました大きな要素の一つは、日本とモンゴルの相互がお互いの国情あるいは経済の仕組みといったものについての理解を深めるということにかなりの時間をとったということが事実でございます。 したがいまして、この協定が国会の御承認を得まして正式に実施に移されます場合には、この協定というものを通じまして相互に技術者その他の往来も考えられますし、この協定の実施というものを通じまして、また相互にお互いの経済事情等の国情についての理解も深まると考えているわけでございます。 将来の展望といたしましては、やはり日本・モンゴル間の経済協力が初めて緒につく、協定が円滑に実施されるということがまず一番大事なことであろうと考えております。この協定が円滑に実施されるということが実現されました場合には、日本もモンゴルも、またさらに次の段階でどのような部面での経済協力が可能であるか、またそれが必要であるかということについてさらに話し合いを行うと、かような機運になってくると考えているわけでございます。
○久保亘君 外務大臣に御発言をいただきませんでしたから、最後に一つ。 この経済協力協定が発効をします場合に、日本として特にモンゴルが、いま御説明がありましたように、西側と結びます経済協力の初めてのものである、こういうようなことを考えました場合に、いろいろと今後の問題に留意をしながらやらなきゃならぬ問題がたくさんあると思います。それで、この協定の締結に当たって外務大臣がどういう所感を持っておられるのか、それひとつお聞かせいただきたいと思うんです。金額としては五十億円という贈与は、いまのわれわれの予算の規模からいたしますとそんなにこれは大変だというようなものではないと思うんでありますけれども、しかし、かなりな贈与による経済協力であります。まあ、大臣の協定締結に当たってのひとつ所感をお聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(鳩山威一郎君) モンゴルとの関係でございますけれども、先般モンゴルからも国会議員の方々も来日されましてお目にかかったわけでございます。いままでモンゴルとの交流というのはまだまだ非常に希薄な——希薄と言ってはあれですが、まあ交流が非常にわずかであるという感じを深めたのでございますが、これからこの協定の実施を通じまして交流が深まることを期待をいたしておるわけでございます。 コメコン諸国との間の経済協力関係も逐次増加の傾向にございまして、日本の技術を特に高く評価をされるようになったわけでございまして、これらの面につきましても、それはそれぞれの国との国交をよくするということもさることながら、また世界の平和のためにも大変大事なことであるというふうに考えて、これからも力を入れていくべきであると考えております。
○久保亘君 外務省からいただきました「わが外交の近況」の中では、モンゴルに関するくだりは三行と二字であります。それで、ひとつこの経済協力協定の締結を機に、経済関係についても文化交流についても、この報告の中にもっと濃いものが書かれるように努力していただきますようにお願いをして質問を終わります。
○塩出啓典君 お尋ねいたします。 モンゴル人民共和国政府に対し五十億ドルの額の贈与を内容とする本協定が国会承認となった理由は何か。私たちは、いままで対韓援助を初めとする援助に非常にいろいろな疑惑があったわけであります。したがって、そのような援助の内容というものを国会の承認事項にするべきである、こういうことを主張してきたわけでありますが、政府はそれを拒んできておるわけでありますが、今回、どういうものが国会で承認し、どういうものが国会を経ないで行われておるのか、その判断はどうなっているのか、お伺いします。
○政府委員(村田良平君) いかなる条約に関しまして国会に御提出して御承認をいただくかということに関しましては、去る昭和四十九年に当時の大平外務大臣から政府の統一的な考え方というものが述べられておるわけでございます。この大平大臣の述べられたところの骨子は次のようなことでございます。 国会の承認を経るべき条約というものは、憲法第七十三条三号に言う条約というものが、単に何々条約という名称を有するものに限られず、あらゆるそれ以外の名称の国際約束も含まれるけれども、他方、政府が締結するすべての国際約束がこの憲法七十三条三号に言う条約ではないということでございまして、国会承認条約の第一のカテゴリーとしてはいわゆる法律事項を含む国際約束というものが挙げられております。それからその次に、いわゆる財政事項を含む国際約束というものも憲法第八十五条との関連におきまして当然国会承認条約ということでございます。それから第三番目のカテゴリーといたしまして、法律事項あるいは財政事項等を含まなくても、わが国と相手国との間あるいは国家間一般の基本的な関係を法的に規定するという意味合いにおきまして、政治的に重要な国際約束で、そのために、発効のために批准が要件とされているというような条約に関しても、これに関しては国会の御承認をいただくべき条約であるという取り扱いをしている。この三つのカテゴリーが当時大平大臣から述べられたところでございまして、現在においてもそのような考え方をとっておるわけでございます。 それで、ただいまのこの御審議をお願いしておりますモンゴルとの経済協力協定は、四年間にわたりましてわが国の財政支出を伴うというそういう内容の経済協力でございますから、先ほどの分類によりますと第二のカテゴリー、財政事項を含む国際約束という範疇に属するものというふうに考えられますので、あらかじめ国会の御承認を求めるわけでございます。 なお、一般にその他の無償経済協力をいろいろ行っておるわけでございますが、これに関しましては、国会の御承認を得ました各単年度の予算の範囲内におきまして個別に行っておるものでございまして、このような意味でいわば予算の枠内ということで行政取り決めとして処理しておるということでございます。
○塩出啓典君 了解いたしました。 外務大臣、こういう単年度のものもこれは予算書の中に含まれておるわけで、そういう意味では予算が通ったときに国会の承認を得ておるわけですけれども、まあしかし、これから非常に経済援助というものは大事になってくると思うんですね。しかも日本の国としてそういう金額も限られてくるわけですから、できるだけ効果的にやっていかなくちゃいけない。そういう意味で、本協定のみならず今後は単年度のものもこういうように協定にして、その目的、どういうように使われるかということを明らかにする、それが非常に好ましいんではないか。われわれはそういう協定は喜んで審議をさしていただきたい、日曜でも審議をさしてもらいたい、こういう気持ちを持っておるわけですが、そういう気持ちがあるかどうか。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 国会の御審議をいただくことを私どもいとうわけではございません。ただ、日本のいま経済協力で一つの問題になっておりますのは、非常に時間がかかるということでございます。毎年この経済協力の暦年の実績をいうもUNCTADに報告をいたすんでございますけれども、この比率が非常に上がらないのでございます。これは事前の交渉からただいまは閣議にかけておるわけでありますが、閣議にかけます手続だけで相当な準備を要しまして、そのために日本の経済協力が大変はかどらない一つの大きな要因になっておることも事実でございます。何とか手続を簡素化いたしたいと思っておるんでございますけれども、国際間の外交に関する案件だというのでただいまのところ閣議の決定を要するということで処理をいたしております。何とかこの経済協力、日本が実績的にも比重を高めたい、比率を高めたいと思ってその促進方法につきましてただいま研究をさしておるところでございます。そういった意味で国会におかけいたしますことをいといませんが、国会におかけいたしますにはやはりあらゆる点から相当な資料の整備等もして、あらゆる点から御質問に応じなきゃならないという点もございまして、私どもといたしまして一定の期間を区切りまして過去に行いましたいろいろな協定につきましての御報告をいたすとか、そういうようなことで処理していただければ大変ありがたいと思うわけでございます。
○塩出啓典君 この点は今後の問題として、そういう方向にやってもらいたいということを要求するにとどめておきたいと思います。 そこで、もう時間もございませんので、本協定に至るその出発には一九三九年でございますか、いわゆるノモンハン事件、そのときにわが国がモンゴルに対しいろいろな損害を与えたということが一つの出発になっておるようでありますが、実はノモンハン事件ではかなりの人が亡くなり、そして千名を超す人がソ連側に捕虜になっておる。そうしてその捕虜の中にはもう向こうへソ連人となって住みついている人もいるやに聞いているわけでありますが、このあたりの点については外務省は掌握をしたことがあるのかどうか。
○政府委員(大森誠一君) わが国政府がノモンハン関係者で未帰還者として把握している者は一人もございません。しかしながら、旧日本軍がノモンハン事件の際の生死不明者を死亡者として処理した関係もございまして、一部のノモンハン関係者がソ連において生存しているとの説があることは聞いているところでございますが、いずれも未確認でございます。 ノモンハン事件関係者としてではなく、現在なお存在する在ソ連の未帰還邦人につきましては、ソ連国籍の取得のいかんを問わず、日本への帰国を希望する者に対しては厚生省とも連絡いたしまして在ソ連大使館を通じまして帰国手続についての指導を行いますとともに、機会あるごとにソ連側に対しましてこれらの者の出国の許可方を要請してまいっております。特に昭和四十八年十月、田中元総理が訪ソされました際に、ソ連当局に対しまして未帰還邦人の帰国促進方を申し入れて以来、今日までに八名、家族を含めますと二十八名の者が帰国し、六名の者、家族を含めますと十三名の者が一時帰国しております。現在なお帰国が実現していない者につきましては、先ほどの田中元総理のソ連訪問以後に新たに帰国希望を表明した者を含めまして九十三名、家族を含めますと三百六十三名でございますが、今後とも引き続きソ連側に対しまして人道的な見地から速やかな出国を許可するように強く要請して帰還の実現を促進する方針でございます。
○塩出啓典君 いままで、まあ実はこういう「ノモンハン」という雑誌がありますが、これは当時ノモンハン事件に参加した人たちがもうすでに三十数年を経過して今日までこういう雑誌をつくっております。先般も広島におきましてノモンハンで亡くなった人たちの慰霊碑もつくって、私は三十数年、四十年になんなんとする歳月を過ぎてもこのような集いを持っておるということからノモンハン事件のすさまじさを推しはかるわけでありますが、こういう人たちの間では、そのノモンハン事件のときの捕虜が、結局あの当時は生きて帰れない、そういうようなことから向こうへ住みついてソ連人になっておる。しかしソ連当局は、ソ連人になった者は捕虜ではない、そういう考えで捕虜はいないと、こういう答弁をしてきておるんじゃないかと思うわけでありますが、そこで、こういう人たちを捜してくれというようないろいろな陳情なりがいままでに外務省にあったのかどうか、この点をまず伺っておきたいと思うんですが。
○政府委員(大森誠一君) 関係者の方からの陳情を受けたことはございます。
○塩出啓典君 その都度に、外務省としてはソ連大使館を通じていろいろ調査をしていただいたと思うんですが、その結果はどうだったんでしょうか。やはり捕虜はいないという答弁だったんですか。
○政府委員(大森誠一君) ソ連側に照会した結果でございますけれども、いずれにしてもノモンハン事件関係者あるいはそれ以外の方も含めまして、ソ連国籍をとったかとらないかを問わず、従来とも機会あるごとに帰国の促進ということを要請してきているわけでございますけれども、はっきりとノモンハン関係者で未帰還者であるという者の数は把握し得ないでいるのが実情でございます。
○塩出啓典君 いまさっきのお話では、田中総理が訪ソされまして以後、在ソ日本人の、あるいはまた元日本人と申しますか、現在はソ連人になっている方の一時帰国なり、また日本へ帰ってくると、こういうのが非常にふえておるようでありますが、そういうようなお話でございましたが、これは大体ソ連全体にわたっておるのか、あるいはモスクワを中心とする一部であるのか、あるいはその中にはノモンハンの関係者のような人はいなかったのか、そのあたりはどうなんですか。
○政府委員(大森誠一君) 先ほど申し上げた帰還された方々、あるいは一時帰国された方々が、ソ連邦内においてどの辺に住んでいた方々であるかという点については、私はただいま資料を持ち合わせていないところでございますが、ただ、これらの方々は、いずれもノモンハン事件の関係者ではないというふうに承知いたしております。
○塩出啓典君 もう三十数年もたった昔のことで、果たして生きているか生きてないか、そういう場合もあると思うんですが、しかし、先般岡田嘉子さんも帰国をしたわけでありますし、恐らく日本人である人は、三十数年後の日本へも帰りたい。またその人たちが一時帰国すれば、それがまた日ソ友好にも役立っていくんじゃないかと、このように思うわけであります。しかし、ノモンハン事件でソ連の方へ入った人たちは、ソ連は非常に広い国土ですから、なかなかモスクワからそういう情報も流れていかないんじゃないか、こういう点を心配するわけであります。そういうわけで、私は、さらにソ連政府にも、そういう人たちを含めて、それはノモンハン事件のみならず、どういう人でも日本へ来たい人にはどんどん帰れるように、こういう点をさらに促進をしてもらいたい、このように強く要望するわけでありますが、そういう点で何かいい考えがあるのかどうか、これを承っておきます。
○政府委員(大森誠一君) 特にいい知恵というものも持ち合わせているわけではございませんけれども、いずれにいたしましても、ただいま先生御提起になりました趣旨も体しまして、今後とも未帰還邦人の早期帰国実現ということで外務省として努力を続けてまいりたいと存じます。
○塩出啓典君 最後に外務大臣にお伺いいたしますが、やはりそのような点が、もっともっと自由に、またソ連の国内のいろんな情報がわが国でもわかるようになることが、これが一つには日本人のソ連に対する感情をよくしていくことにもつながっていくんではないか。こういう点で、私はこれはソ連におられる元日本人のみならず、ソ連のためにも非常にいいことではないか、このように思うわけであります。 そこで、本協定によりまして三十数年前のノモンハン事件の、直接は関係ないにしても、その問題が一つの解決を見たわけでありますから、したがってもう一つの、先ほど申し上げた解決のためにも、外務大臣としても格別の努力をしていただきたい。外務大臣の決意を承って、時間がまいりましたので、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(鳩山威一郎君) ただいまの帰国を希望しておる者が、先ほども政府委員から申し上げましたように、九十三名、家族を含めて三百六十三名あるというのでございます。これらの帰国を希望する方々につきましては、これはもう即刻ソ連側に対しまして、人道的見地からすみやかにこれは実現できるように、早速努力をいたしたいと思います。なお、今後とも一層努力をいたします。
○委員長(寺本広作君) 以上をもちまして本件に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(寺本広作君) 次に、アメリカ合衆国の地先沖合における漁業に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
○小柳勇君 まず第一に、日本の漁業外交の姿勢について、質問をいたします。 日ソ漁業交渉も大変難航いたしまして、ただいま衆議院で審議中であります。いまここにかかっております日米漁業協定につきましても、アメリカが昨年の四月の十三日に漁業保存管理法を成立させて本年三月一日から実施いたしました。この米国がとりました措置、これがカナダやEC、ソ連などに波及して、ついにわが国もソ連との交渉のためもあって実施することに踏み切り、海洋法会議の決定を待たず、事実上世界は二百海里時代に突入することになった。 今日まで、日本は遠洋漁業を中心に考えてきて、そして魚をとってまいりました。ところが、その間に米国もソ連もEC諸国も二百海里経済水域、特に漁業専管水域を腹の中に入れながら今日の時代に突入してまいったのであります。もちろん海洋法会議の動向など勘案してのことでありますが、わが国は余りにも遠洋漁業中心にあったために、後手後手の外交になってしまったと。 先般二百海里経済水域を日本も宣言をいたしましたが、日ソ漁業交渉がうまくいったならばあの二百海里経済水域も宣言しなかったのではないかと思う。その立場で、もしもいま開催されておる海洋法会議に出席したとするならば、出ている日本の代表は相変わらず遠洋漁業中心に日本の領海三海里を中心に話を進めていったのではないかと、そういうふうな気がしてなりません。したがって、この日本の漁業外交が後手後手に回って、日ソ漁業協定もいまやっとまとまり、日米漁業協定は暫定協定と本協定の二つに分けて協定しなければならなかった、このような外交の今日までのいきさつについて大臣から見解をお聞きいたします。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 二百海里漁業水域が急速に広まってきたと、それに対しまして日本は後手後手に回っておるではないか、こういう御指摘でございます。その御指摘自体につきましてここで反論をいたすつもりは毛頭ございません。しかし、この二百海里の漁業水域というような問題は、これは国際的に大変な大きな問題でありますし、個々の沿岸国がそれぞれ独自に実施をするというべき性質のものではないという考え方をとっていたわけでございます。日本も二百海里漁業水域問題につきましては、海洋法会議の結論を待ってという態度を持っていたわけでありまして、その態度自体につきまして私はやはり一つの態度であったと思います。 しかし、現実におきましてアメリカという大国が二百海里漁業資源の保存法を国内法として実施をしたということが急速に世界に広まった大きな原動力になったわけでありまして、その限りにおきましては、私はアメリカの行動につきまして、やはりこれは相当批判すべきものを持っていると思います。 それに対しまして、日本といたしましては、ことしになりまして日ソ漁業交渉の過程を通じまして、急遽国会の全党一致の御支援によりまして漁業水域法並びに領海法を通していただいたわけでありまして、その御協力には心から感謝を申し上げる次第でございます。しかし、ただいまの御指摘の大変後手後手ではなかったかという点につきまして、これは私どもといたしまして、やはり国際的な取り決めというものが先行すべきものであったということは、心の中ではさように思っております。
○小柳勇君 先年私はアフリカに参りましたときに、南ア連邦の一番南の島に日本の大手水産業者の船が、二万トン級の母船ですけれども、停泊をいたしておりました。その船長を訪問いたしまして、遠洋漁業の苦労話を一晩聞いて帰りました。船員は二年交替で飛行機で交替する、母船はそのままここに、南ア連邦に係留されています。そのような日本の大手水産業者というのは世界の海を征服しております。したがって、今日まで外務省なりあるいは農林省がこの大手水産会社をちゃんと守りながら、しかも漁業の許可権を持ちながら、これを守って日本の魚をちゃんと国民に供してきたという功績は大きいのでありますが、そのために大手の水産業者などの圧力で日本の経済水域二百海里などの外交方針が曲げられておるのではないか、そういう気がいたします。 私は、先般の日ソ漁業交渉の経緯から今日までの経緯を見てまいりました。これは北方領土の問題が中心でありますが、これは別途の機会に質問いたしますけれども、きょう私は、この日米漁業協定を、にわかづくりでありますけれども方々から資料を取り寄せて勉強し、かつ、いろいろ意見を聞いて、大手水産会社の意見というものが日本の水産庁なり日本の外務省の方針を曲げておったのではないか、そういう気がするのでありますが、その点についての外務大臣と水産庁の見解を伺いたい。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 日本が二百海里の漁業専管水域を設けるということにつきまして、これがおくれたことは大手水産会社の遠洋漁業のためではなかったかと、こういう仰せでありますが、現実に私ども、これはむしろ水産庁の方からお答えいただいた方がいいと思いますけれども、現在二百海里法を施行いたしましても、対中国、対韓国、西の方の水域につきまして一番現状を希望するということで、今回も政令でその地域を外すということにしてあるわけでございまして、その韓国寄りの水域、中国寄りの水域というところは大手の水産会社ということよりも、やはり中小漁船の非常に多くの方々が韓国あるいは中国の水域で漁獲をしている、こういう事実があるからだというふうに私は理解をしております。もしこれが違いますれば水産庁の方からまたお答えをさしていただきたいと思います。必ずしもいまおっしゃったようなことばかりではないというふうに考えるのでございます。
○説明員(米沢邦男君) 昭和五十年の日本の海面の漁獲量は九百五十七万トンということでございますが、そのうちアメリカ、ソ連沿岸では約三百十万トン、それから日本の周辺ではおよそ五百数十万トンとっておりまして、本当にいわゆる外国、遠洋漁業と申しまして、本当の遠洋でやっております漁業というものは日本の漁業の中ではウエートはそんなに高くございませんです。つまり豪州、ニュージーランド、あるいは先生の御指摘になりました南アというようなところでの漁獲量というのは五十万トン足らずでございまして、ウエートとしては必ずしも高くないわけでございます。 それから、日ソ漁業の問題が出たわけでございますけれども、ソ連沿岸の漁業というのは日本の漁業が約百七十万トンくらい昭和五十年でとっておるわけでございますけれども、大資本による漁業、漁獲量というものは比較的少のうございまして、日本がそういうようなことでございまして、海洋法における日本の立場を決めましたときにも、大資本とか日本の本当のウエートの少ない遠洋漁業、ことに南半球における遠洋漁業というようなものについてウエートを置いて施策を立てたというようなことではございません。あくまでも日本の漁業は日本の沿岸漁業が大部分を、海面漁業の九百五十万トンのうち五百万トンを超える六百万トンに近い量は日本の周辺で生産されておりますし、それからまた韓国、中国の沿岸というところも、これまた大資本による漁業もございますけれども、その沿岸から出かける中小の漁業者の操業であるわけでございます。いろいろ御批判あるかと思いますが、決して大資本のために日本の海洋法における立場が不当に影響されたということはないんではないかというぐあいに考えている次第でございます。
○小柳勇君 その前に日ソ漁業協定、明日衆議院は日曜まで審議するといっています。それに比べてこの日米漁業協定というのは歯牙にもかけないような小さい協定とは私は思っていないわけです。したがって、きょう日ソ漁業協定よりも一日でも早く協定を成立せしめることが今後アメリカとの漁業交渉の上ではプラスであろうと思ってわれわれやっています。どうして長官はきょうこれだけの大事な協定の審議にお出にならなかったか、その理由を言ってください。
○説明員(米沢邦男君) 私で不足であるという御指摘でございますが、何か長官どこにおられるか、ちょっといま確かめてみますけれども、ほかの所用で出られておるというぐあいに理解いたしております。
○小柳勇君 私言っているのは、あなたが担当官であるから決して答弁に不足だという気持ちはありません。ただ協定を論議して、外務省としては責任省でありましょうけれども、この漁業協定というのは水産庁が大きな中心な官庁でしょう。私は本半は農林大臣でも呼びたかったけれども、日ソ漁業交渉その他でいろいろ明日からの質問もあろうと思って言わなかったけれども、それはこの委員軽視じゃないか。それで、いま長官の所在を確かめました上で、官房長も呼びましょう。それは私は問題にしますからね。
○委員長(寺本広作君) 小柳君に申し上げます。いま事務局を通して水産庁長官の出席を改めて要求いたします。
○小柳勇君 外務大臣、いま海洋法会議に行っておられますが、どういう布陣になっておるんですか。会議のメンバーなり構成なりですね。
○説明員(井口武夫君) お答え申し上げます。 ただいま海洋法会議第二週目に入っておりますが、首席代表は小木曽大使、軍縮大使をされておりますが、おととしまで首席代表を努められまして、藤崎前百席代表は最高裁に入られたために、再び小木曽大使が首席代表として、それに近く横田大使、これは中南米二カ国大使をなさいましたが、来週さらに首席代表を補佐すべく参る予定でございまして、ほかに運輸省、通産省等九省庁一公団、総計三十八人の代表団でございます。
○小柳勇君 いまの第六会期の展望について二、三質問します。 第一は二百海里経済水域、これはもう何回も日韓大陸だなのときに説明されましたけれども、参考人などの意見と外務省が考えておられる意見が相当違うので、もう一回確かめておきたいと思います。 二百海里経済水域の問題については、いわゆる漁業専管水域でなくて経済水域としての方向にあるというように理解しているがそれでいいか。それから、漁業資源と沿岸国の主権についてもいろいろ問題があるようでありますが、外務省はどう考えておられるのか。それから経済水域内の鉱物資源については一体どう考えておるか。 そういうことで、多数国の会議でありますから、日本の思うようにはいかぬと思いますけれども、大体の世界の趨勢というものは二百海里経済水域の方向にあるというようなことで参考人の意見も拝聴してまいりました。したがって、くどくなりますけれども、現在展開されております海洋法会議の展望について外務省の見解を聞いておきたいと思います。
○説明員(井口武夫君) 先生の言われますように、海洋法会議の趨勢といたしましては二百海里の経済水域というのが大勢を制しておるわけでございまして、二百海里は漁業専管水域だけではございません。これは現在の単一草案の四十四条にございますように、この二百海里の中において資源に関する主権的権利というものを有するほか、この経済活動、これは発電とか、潮流の発電所とかそういうような経済的な二百海里水域の利用というものに関する排他的な管轄権、それから海洋汚染防止に関する管轄権、科学調査に関する排他的管轄権ということで、資源以外のものについても沿岸国が相当大幅な管轄権を行使する形になっておりまして、このような二百海里の経済水域というものが大勢となっておりますが、ただ、まだ漁業専管水域二百海里に比べますと、経済水域二百海里という概念が海洋法会議で二、三年来急速に固まってきたわけでございますが、内容についてはなお沿岸国と第三国との権利義務の調整等について意見が固まっていないという分があるわけでございます。 漁業専管水域に関しましては、すでに十二海里の漁業専管水域は国際法として以前から確立しておりましたし、御存じのとおり、五八年の公海資源の保存に関する条約では、さらに十二海里以遠の公海に関しても沿岸国にある種の優先的な権利を付与するということで、漁業に関する国際法というのは、この二百海里の漁業専管水域という場合に沿岸国と第三国との権利義務の調整というのは慣習的に相当積み重ねられてきているわけでございます。それに比べてこの二百海里の経済水域は、たとえば汚染防止に関しましては、やはり公海であるという性格が残るとすれば、これは船舶の取り締まりは旗国主義というのが残りますから、沿岸国との競合的な管轄権がございまして、この旗国と沿岸国との権利義務の調整というものは実はまだ交渉中で固まっておらない面がございます。 それから科学調査につきましても、資源に関する科学調査は事前許可ということで大勢が収斂しつつありますけれども、まだ資源以外の科学調査に関しては事前通報というような主張もあるわけでございまして、この点もまだ固まっておらない。したがって、二百海里の経済水域については内容的にまだはっきりしていない面があるわけでございます。現に二百海里経済水域を一方的にやっている国においても、実は漁業に関する詳細な規定はありますけれども、その他の、漁業以外の資源に関しては必ずしも二百海里の経済水域の法律でも具体的に書いていないという国が相当あるわけでございます。 それから、この経済水城の法的な性格というのが、漁業専管水域の場合には、これはこの水域の性格は公海であるということが確定しておりますけれども、経済水域については公海でも領海でもない、第三の水域であるという主張が現在強く、それに対して海運国は、やはり原則は公海であるということで言っておりますけれども、この点については意見の対立があって、この夏会期にさらに調整される予定でございます。 それから鉱物資源に関しましては、これは御存じのとおり大陸だなのもともと五八年条約がございますし、六九年には国際司法裁判所で大陸だなに関しては自然延長というのが国際法として確立しているというような判決があったわけでございまして、それに対して二百海里の経済水域という場合に、確かに海底資源も二百海里までという主張が海洋法会議の中においてはございましたが、現在の方向といたしましては、やはり大陸だなは二百海里以遠の自然延長まで、コンチネンタルマージンまでという主張が有力でございまして、これはやはり二百海里以遠の自然延長についてむしろ認める場合に、沿岸国が後進国に石油・天然ガスの収益を分与すべきであるという主張になっておりまして、現在、実はこの夏会期でもむしろ自然延長二百海里以遠の収益を後進国にどのような方法で分与するかということが相当議論の中心になっておるわけでございます。 それで、実は経済水域二百海里の概念というのは、確かに漁業水域からさらに経済水域になってまいりまして、大陸だなの方は五八年条約からさらに発展したわけでございまして、海洋法会議でも別々に議論され別々に実は規定されているわけでございます。ただ、経済水域二百海里の海底というのは、大陸だなの条項に従って権利義務が行使されるということが御存じのとおり単一草案にございまして、したがって、やはり大陸だなの権利義務というものが経済水域の海底というものに行使されるということから、やはり従来確立している大陸だなのレジームがそういう場合経済水域においても引き続き認められるのではないかというふうに見通しがあるわけでございます。
○小柳勇君 いまお話聞いてみると、少し先般から私が感じておるよりも前向きのような答弁でございますけれども、学者や評論家の見解と外務省の見解とがそう大きく離れるはずはないと、私はそういうふうに考えるわけです。学者や評論家というものはいろいろデータを集めまして分析しておる。外務省としては、各情報機関を通じて情報をとっておられる。したがって、天と地ほどその見解が違うはずはない。にもかかわらず、私直接質問していませんから、いろいろつながりの中で答弁されておりますからはっきりわかりませんけれども、少し外務省としては海洋法会議の成り行きというものをわが国に有利な方向に楽観的に見ておられるような気がしてならぬのです。そういう見解というのが今日まで漁業外交の後手後手に回った一つの大きな原因ではないか、こういうことまで考えるわけです。したがって、たとえばこういう面もあります、しかしこういう面もありますと、こう上限下限を話されまして、そして大体こういうところではないかというような見解であるなら、まだわれわれがそこの中で判断の余地がありますけれども、外務省の見解は、たとえば下限なら下限、評論家や学者の意見は上限、その間でわれわれが判断に迷うわけです。たとえばここでいろいろ論議しながら、与党の議員の皆さんと話しながらでも、どうも外務省の海洋法会議の見解はちょっと違うよと、学者や評論家よりも少し違うぞ、こういうふうなことを聞くと、それじゃ一体この法律どうしようかというその最後の決断がなかなかつかないわけです。 だから先般もちょっと言いましたように、正確な資料がもしできなければ、情報の上限はこうです、下限はこうです、したがって外務省の見解としてはいまこのように考えていますと、それなら、われわれはその間に学者や評論家の意見を入れながら、一つのある地点を判断して、そしてじゃこの協定はどうしたらいいかと国益を考えながら言うわけですね。われわれは何もこの協定が頭からしりまでだめだ、初めから論議もしないままこれを廃案にしよう、だめにしょうなんてそんなことではございません。やっぱり超党派的に日本の将来をどうするか、そういうものを考えながら日韓大陸だなもこの協定も論議していくわけですから、そういう意味で質問するし、また御答弁を願いたいと思います。国会の中でだまし合いなら論議はむだです。全部出し合いながらいい活路、いい結論を見出す、このことこそが論議する原因でありますから、私はそう思いますから、これからの質問についてはそういう面で御発言を願いたいと思います。 そこで第二の問題は、米国で漁業保存管理法が成立して、いま二百海里の宣言がされた。この背景に、たとえばECの問題なりカナダなりソ連の動きがありましょう。そういう背景、それから今日まで日本がそれを予測はしておられたろうけれども、これに対応できなかった。そして急遽暫定協定と本協定を結ばなければならぬ、そのアメリカが、いま漁業問題を扱っていますが、二百海里を宣言した、そしていまこの協定を結んでいます。そのアメリカの国内なり政治情勢、その背景をお話し願いたいと思います。
○政府委員(山崎敏夫君) アメリカにおきまして二百海里水域を設定しようとする動きはかなり前からあったわけでございますが、具体的にはアメリカの第九十三議会、これは一九七三年から七四年にかけて開かれたわけでございますが、その第九十三議会におきまして、マグナソン上院議員が中心となってこの種の法案が提出されたわけでございます。しかしながら、その議会においてはまだ時期尚早であるという意見もありまして審議未了になりました。その後、海洋法会議の動きが遅々としておるということもございまして、第九十四議会、一九七五年から七六年にかけての議会におきまして二百海里漁業水域法を制定すべきであるという動きが非常に活発となりまして、結局御案内のとおり、一九七六年の三月末に二百海里法案が議会を通過いたしまして、この法案が同年の四月十三日に大統領の署名を得て、一九七六年漁業保存管理法という名のもとに成立した次第でございます。 なぜこういう動きが出てそしてこの法律が制定されるに至ったかという理由につきましては、この二百海里法の中でも若干触れられておるわけでございますが、それによりますと、第一に挙げておりますのは、アメリカの沖合いにおきます漁業活動が近年非常に増大している。そして漁業資源の保存管理が不十分であったということであります。さらに一部の魚種が乱獲されて枯渇の危機に瀕しておるということを述べております。 そういう状況でございますので、漁業資源の保存のための水域を設定して、アメリカがこの関係資源に対して漁業管理権を行使することによって資源の適切な保存管理を行うために即刻措置をとることが必要になったということを述べておるわけでございます。 ちなみに、米国の沖合いで漁業を行っております外国は二十数カ国に上っておりまして、主な国としては、わが国、ソ連、韓国、ポーランド、スペイン等でございます。 以上の次第でございまして、確かに米国の沖合いにおいて一部漁業資源のとり過ぎがあったということは事実でございます。しかしながら、アメリカは何と言っても世界の大国でございまして、このアメリカが率先してこういう二百海里漁業水域を設定するということは、われわれとしても非常に反対の意見を有しておったわけでございまして、先ほど大臣からお話もございましたように、海洋法会議の結論を待たずして一万的にこういう漁業水域を設定することにはわれわれとして遺憾の意を表し、これをやらないように訴えてまいったわけでございます。しかしながら、アメリカの議会を中心として、やはりこのままでは待てない、海洋法の会議の結論がいつ出るかわからないということで、このままで放っておけば資源が枯渇してしまうという一つの危機感から、アメリカがこういう法案を成立せしめるに至ったものと考えておる次第でございます。
○委員長(寺本広作君) 小柳君に申し上げます。 水産庁長官は目下休業を余議なくされる漁民に対する補償問題について大臣と協議中だそうです。かわりに水産庁次長が衆議院からいまこちらに向かっておりますので、それで御了承をお願いいたします。
○小柳勇君 その漁船に対する補償とか、漁民に対する補償とか、今後の日本の漁業政策に対する転換方策など聞くので、長官と言ったわけです。いま大臣と話しておられたら本当は大臣と長官と飛んで来て答弁すべきですよ。 外務大臣に質問しますが、いまアメリカの協定の背景についてはお話がありました。本年の漁獲割り当ては、アメリカの方はマイナス一一%、百十九万九百トン、ソ連の場合はマイナス三六%、言うならアメリカの方は非常に日本の立場を考えながら漁獲割り当てについても余り削減してないと思うわけです。日米漁業協定の方は皆さんの御努力によって、暫定協定と本協定に分かればいたしましたけれども、日ソ漁業協定に比べたらスムーズにいってますね。余りうまくいっているものだから国民的な世論もないし、政府もこれを軽んじておるのではないか、国会も甘く見ておるのではないか、そういうふうな気はいたします。私は、きょうも通告しておるのですよ、質問通告は、水産庁にも。本当なら農林大臣も水産庁長官も来ていただきたかったけれども、農林大臣忙しかろうと思って水産庁長官でいいと思ってたのです。次長がおいでるそうですからこれ以上言いませんけれども、この日米漁業協定というものは、日ソ漁業協定に比べて日本の国民にとってそんなに軽く扱っていいものであるかと、外務大臣の見解を聞いておきたいと思います。
○国務大臣(鳩山威一郎君) この日米漁業協、定は、これは二百海里制度ができまして最初の協定でございます。ソ連政府といたしましては、アメリカが実施したからソ連も実施をするに至った、こういうふうに申しているわけで、この協定は最初の、日本が入漁料を払って、しかも先方の裁判権に服して入漁するという制度が初めてこの協定となるわけでございますので、大変これは画期的な協定であろうと思います。また、漁獲量につきましては日本の伝統的な漁獲量を尊重してくれたわけでございますけれども、これはまた毎年毎年漁獲量を決めなければならないわけでありますし、将来におきましては、ことしはアメリカの連邦政府の方で漁獲量を決めてくれたわけでありますけれども、今後は地域の委員会が割り当てをするという法制になっておりますので、そのようになった場合には、また日本としてはいろいろな、将来漁獲量の割り当てにつきましても、いつまでもこの日本の伝統的な漁獲量というものを認めてくれるかという点につきましても、将来のことはわからないわけでございます、そういう意味で、この協定は大変重要な協定であると考えております。
○小柳勇君 外務省も少しやっぱりそんなことをはっきり示せば、水産庁だってもっとしゃんとするだろう思う。 それで、来年以降の漁獲割り当てはまた厳しくなるだろうと、いま大臣もおっしゃったけれども、たとえばアラスカなどにおける地元の感情などを勘案しながら配慮して、一体来年もことしのように、ことしもマイナス一一%ですから、これはわれわれとしてはけしからぬと思いますね。しかし、まあソ連に比べたら非常に配慮してくれています。来年の漁獲の見通しについては一体どうかと、まずそのことを審議官に聞きましょう。
○説明員(米沢邦男君) アメリカは、アメリカの管理法の手続に従いますと、まずリージョナルカウンシルという地域漁業理事会が連邦政府に対しまして許容漁獲量、つまり当該資源を傷めることなくどれぐらいの生産をなし得るであろうかということを勧告をいたしまして、それに基づいて連邦政府が全体の漁獲量を決定する、続いて各国に対する割り当てを決定するという、いわば三段構えをとっているわけであります。一番その中で根幹になりますのは資源の状態がどれぐらいであるかということでございまして、これは米国政府は米国政府の試験研究機関、それからわが方はまたわが方の試験研究機関が担当いたしておりますので、まずその点で米側と現在すでに折衝を始めておりまして、これは明年度漁獲量でありますけれども、わが方の一番最大の関心でありますスケソウダラというような資源につきましては、今月の末に東京で研究者レベルの会議を開くことにいたしましておりますが、そういう措置によって、まず研究者レベルでそういう漁業の資源状態について日米間でできるだけの相互理解を樹立をする。続きまして、さらに連邦政府あるいは地域理事会でもわが方の意見を適宜述べるように配慮をいたしておりますが、連邦政府とさらに交渉を行って漁獲量の確保に努めたいと。 それはどれくらいになるかということでございますけれども、また六月の少なくとも末の会議あるいは七月、ことにことしの漁業の結果を見なければわかりませんので、確たることはなかなか申し上げがたいわけでございますけれども、そういうことで、わが方の主張をできるだけ米側に説得をしていきたいというぐあいに考えております。
○小柳勇君 次長もおいでましたから、忙しいのに何で呼び出したかと思われるかもわかりませんが、いきさつを言っておきますと、きょうは日米漁業協定をいま論議しているわけです。私どもは日ソ漁業協定はうんと騒がれて国民的な世論が厳しいので衆議院も参議院も、衆議院はあしたも、日曜も返上してやっている。日米漁業協定は案外すんなりいっているものですから、委員会も国民世論も余り、忘れたぐらいにしか感じていないのではないかと、考えていないのではないかと……。私はきのう質問通告しましたから、当然水産庁長官が見えると思っていました。本当は農林大臣来ていただきたかったのです、将来の補償措置がありますし、根本的な漁業政策の転換を質問しますから。ただ、農林大臣は日ソ漁業問題の方でいろいろあろうと思った。そこで長官のかわりにおいでになりました。 そこで質問をいたしますが、この日米の協定で漁獲量がマイナス一一%になりましたが、このことによって減船しなきゃなりませんね、大手水産会社その他。減船が一体どのくらいになりますか、それを聞きたいと思います。
○政府委員(佐々木輝夫君) おくれまして大変申しわけございません。 日米の水域におきまして、日本の漁業のやはり重要な北洋漁業での一つの場として私ども大変これを重視しているわけでございますけれども、当面のいろいろな対策という観点で、ややちょっと日ソ対策の方へ手をよけいとられているということになっております。 それは別にいたしまして、ただいまお尋ねの減船問題でございますけれども、やや長期的な観点、来年以降のことも若干想定をいたしまして、やはり五十二年度の状況からできるだけ将来を見通した減船をすべきであるという一応方針を立てまして、現在北方トロールが大体あの海域で十七隻操業いたしておりますけれども、そのうち四隻を大体間引くという方針を固めました。そのうち二隻につきましては、海洋水産資源開発センターという機関が海外のいろいろな新漁場の開発調査を組織的にやっておりますけれども、そこの機関で二隻をチャーターしてチリ沖の一応トロール調査、それからインド洋の南西部の方の調査を行って、将来またもしその漁場が有望であればそちらの方にいろいろトロール漁船の方の勢力も分散をさせたいということを考えております。 それから残りの二隻につきましては、一応関係会社の話し合いの中で自主減船という方式で一応減船を、それぞれ二隻、船を大体固めまして間引くことにいたしました。これにつきましては直接国として救済対策をとるわけではございませんけれども、融資その他の面で必要な間接的な援助をいたしますとともにやや細かい話になりますけれども、そこから間引かれました船をダイレクトに廃船するということではなくて、南方のトロールの海域で操業しておりますいろいろなトロール漁船のうち、かなり船齢も高齢でそろそろ廃船間近になっているという船と入れかえてこれを活用しようということで、現在大体の方針を決めていま手当てをしておる段階でございます。
○小柳勇君 今回の場合はまだ相互補償でやっていくようでありますが、後の本協定になりまして、来年からの見通しその他考えまして、相互補償だけではやっていけないのではないか。私どもの党では、共同化推進本部などをつくらないかとか、あるいは共同化の安定資金融資制度などをつくらないかとか提言いたしておりますけれども、政府として、ことしがそうであるからというなまぬるいことでは大変ではないかと思うんですけれども、たとえば水産会社の共同化などについてはどういう具体策を持っていますか。あるいはその融資制度について、ただ今度の場合は農林金融公庫から、金利負担でしょ、融資というんですけれども、金利だけ見てやろうということだと思うんですけれども、このくらいでは将来やっていけぬのではないかと思うんだが、この点具体策どうですか。
○政府委員(佐々木輝夫君) 当面、五十二年度の様子といたしましては、さっき申し上げました程度の漁獲量減でございましたので、いま申し上げた自主減船を含めまして二隻は、一応国の責任といいますか、予算上の裏づけも講じまして、別途他の開発センターの用船で処理をするということで一応対応できるということでございますけれども、おっしゃるとおり、五十三年度以降の様子を考えますと、必ずしも五十二年度の漁獲量が安易に維持できるという客観情勢でもございません。できるだけ私どもといたしましては向こうの地域漁業委員会等に漁業者のベースでも、それから政府ベースでも、いろいろこちらの実情も話をし、また資源状態その他についても客観的な資料も用意して現在の実績を少なくとも確保したい、そういう気持ちではおりますが、地域漁業委員会の中での漁業者の発言の強まりというふうなことを考えますと、いろいろな事態をやはり想定しなければいけないと思っております。 その時点、いまの段階ではっきりどの程度を見込んだらいいかということは申し上げかねるわけでございますけれども、そういった情勢の厳しさも考えまして、五十二年度だけの様子でいきますと必ずしも四隻を減らさなくても何とか若干の経営の合理化なりそういったことでしのげないわけでもなかったわけでございますけれども、やや思い切りて四隻の減船に踏み切ったというようなことでございますけれども、明年度以降の交渉の結果いかんでさらに一層の整理が必要になります段階では、単なる金融措置だけで対応できないという事態も当然予想されますけれども、日ソ関係でのいろいろな減船対策等とのバランスも考えながら、そういった点について適切な対策を今後も検討を続けてまいりたいというふうに考えております。
○小柳勇君 外務省として明年度以降の漁獲割り当ての交渉などの見通しですけれども、ことしよりもうまくいくだろうという見通しですか、あるいはもう少し厳しくなるだろうという見通しですか。これによって減船の問題なりあるいは労働者の救済対策なども質問いたしますけれども、外務省としては、この日米漁業協定本協定の交渉段階でどういうふうに見込んでおられますか、これから五年間の見通しについてどういうふうな見解ですか。
○政府委員(山崎敏夫君) 来年度以降の漁獲割り当て量がどうなるかという問題でございますが、まずこの協定の仕組みからいたしまして、アメリカは総漁獲可能量というものを決定するわけでございますが、それをそう恣意的に一方的に向こうの考えだけで決めるというわけではないわけでございます。アメリカはその際に入手し得る限りの最良の科学的なデータを基礎にするということを言っております。また資源の最適な生産を継続的に達成するために多くの魚同士の相互の依存関係とか、国際的に受け入れられている基準等の関連の要素を考慮に入れるということを約束しておるわけでございます。 さらに、日本への割り当てというものを決定するに当たりましては、わが国の伝統的な実績とか、あるいはわが国の経済的混乱を最小限度にする必要性というものを考慮するということを言っておるわけでございます。したがいまして、この協定の実施に当たっては日米間で随時協議することになっておりますので、そういうふうな原則を踏まえてアメリカ側と協議を重ねて、わが国の実績ができるだけ確保できるようにしてまいりたいと思います。 ただ、何と申しましても資源の保存管理ということがこの協定の最大の眼目でございまして、われわれはそれに対してはできるだけの協力をしなければならない。したがって、日本側の都合だけを言うわけにはまいりません。何といってもこのデータの収集については日米ともに最大限の協力をして、米国沖合いにおきます漁業資源が長く相互の利益のために利用できるようにわれわれとしても協力してまいりたい。またそういうラインに立って協力してまいれば、アメリカ側としても、今回の決定にも見られますように、そうむちゃなことは言わないであろうというふうにわれわれは考えておる次第でございます。
○小柳勇君 外務省の方は実績実績とおっしゃいますけれども、今度の漁獲量は日本の実績を踏まえて、これでマイナス一一にやったんですか、あるいはアメリカの余剰分配法則——自分たちの方の魚はこれだけ要る、あとはこれだけ日本でとってよろしいと、日ソの場合は根本的に変わっていますね、実績主義じゃございません、余剰分配です。いま外務省の見解お二人とも、局長も部長もそういうふうな実績のような話だったけれども、その点はどう局長は……水産庁でもいい。
○説明員(米沢邦男君) 法律のたてまえは非常にはっきりいたしておりまして、余剰原則というものが適用されることになっております。ただ、幸いにして日米間の漁業では、日本の利用しておりますものは、スケソウダラであるとか主要な魚種につきましてはアメリカの漁民がほとんど利用いたしておりませんので、比較的わが国の漁業の受けた損害が軽微で済んだということになると思います。 そこで、問題になりますのは他国との関係というような意味で、わが国の実績ができるだけ尊重されるようにと、それから二番目に、まあ日米の科学者の間で意見が相違することもございまして、資源保存の立場から漁獲量を縮小させなければならないというような、余剰とは関係なく縮小されなければならないという場合にも、経済的な混乱を最小限にとどめるとか、あるいは伝統的な漁業実績を考慮してもらうというようなことで、まあ伝統的な実績の考慮ということを要求してまいったわけでございます。
○小柳勇君 要求してまいっておりますけれども、これからどうなりますかという話。
○説明員(米沢邦男君) したがいまして、日本のまあいままでの漁獲量が確保できるかできないかという点について二つの要因があると思います。一つは余剰原則でございますので、アメリカ漁民が日本のやっている漁業の中に進出をしてくると、あるいはいままで持っておったシェアを急速に拡大をするということでわが国の漁獲量が減るということが一つあるかと思います。それから二番目は、もちろん資源の状態が非常によくないというようなことで全体の漁獲量が減らなければいけないということと二つあるかと思います。 後者の部分につきましては、これから、今月の末からもすでに日米の科学者の間でこの問題の審議をするということになります。前者につきましては、若干の種類について米国との漁業の間にすでに競合がございます。マーケットで競合するという意味も含めまして競合がございまして、これについては、アメリカ側がことしの交渉よりは強い態度で出てくるということを十分覚悟しなければならないんではないかというぐあいに考えております。
○小柳勇君 まだはっきりしないけれども、ソ連は四十五万五千トンに削りましたね、四割削減です。アメリカの方は一一%削減ですけれども、これから五カ年間、本協定にこれから入りますが、この間に、いまの現状程度はいけると見ておられるのか、あるいはもうちょっと年々下がりますぞと見ておられるのか。それによって労働省の対策なども変わりましょう。あるいは減船に対して、さっき私まだ詰めておりませんが、水産業界の共同化なども具体的にお話しを願いたいわけです。 抽象論はもうわかっています、全部もう本読んでいますから。具体的に、あなた方はいまこの難局に立って、二百海里経済水域宣言という難局に立ってどういうふうに対策を持っているだろうかと。それはがちっとしてないかもしれん、急ですから。しかし、全然羅針盤がなくて運航できませんから、いまこういうことですと、しかしファクターが変わったらこうなるかもわかりませんと、そのくらいのこと言えなきゃならぬでしょう。そのためにいま協定を審議しているんだから。全然もう何にもわかりませんならいま協定は論議できません、先譲りだ、それこそ採決しないで先へ譲らなきゃならぬけれども、大体まあこの協定を批准したらこういう方向には行く、またそうしなきゃならぬと、そのことぐらいは言っておきませんと、私どももこれから五年間対応していかなきゃならぬでしょう。そこで、どういうふうな見通しであるかを聞いておきます。その後、労働省から労働者に対する見解を聞きます。
○政府委員(佐々木輝夫君) さっき審議官の方から説明しましたように、毎年毎年資源状態を判断しながらアメリカ側の方で総許容漁獲量なり外国への割り当て量を決めますので、まあ余り長期の見通しを立てることは実態問題としてできないわけでございますが、いま来年の問題として私ども大体考えておりますのは、資源状態その他から見た場合にはそう大きな変化はないと、大体現在の漁獲実績あるいは漁獲勢力というのをほぼ維持できるだろうというふうに考えております。 ただ、一点気がかりなのは、さっき申し上げましたアメリカの方の地域漁業委員会の中での向こうの漁業代表の意見というのが五十二年のときよりはもっと強く反映してくるんじゃないか、そのことがどういうふうに外国への漁獲割り当ての方に影響してくるか、その点が若干未知数でございます。しかし、基本的にはそう大きな変化は来年はないだろうというふうに一応判断しております。
○小柳勇君 そうすると、来年はまあ百二十万トンぐらいのところは確保できるであろうという見解ですね。 それでは、労働省、お忙しいのに来てもらったが、日ソの問題はまた別の機会に聞きますけれども、日米漁業協定に関する減船に伴う労働者の救済措置、特に、いま少し楽観的ですけれども、この際に、大手水産会社その他漁業の減船による漁業労働者の救済措置と、海運労働者、漁船労働者の雇用安定のための雇用保障特別措置法の制定など、いまからやっておかないと、後日お出しになりましてももう来年しか適用できなくなりますね。したがって、労働省としてはいまの事態、日米、日ソ、この事態をとらえてどういうふうな見解を持っておられるのか、お聞きいたします。
○政府委員(北川俊夫君) 初めにやや役人臭いことを申し上げて恐縮なんですが、船員の労働行政というのは、主務的に所管しておりますのは運輸省でございまして、船員の雇用安定そのものにつきましては運輸省の御見解に従いたいと思いますが、われわれとしましては、船員が海から海への転職でなくて、海ではこれから見通しがない、したがって、漁民の方が陸の工場その他の事業場でという場合には就職対策については万全を期したいと思っております。 そういう前提で、労働省の所管ということでこれからの漁民ないしは船員の雇用安定対策についてでございますが、私たちはやはり国際的な漁業規制の強化によりまして離職をされます漁民の方々につきましては、一般の離職者に対する就職対策よりも手厚い措置を講ずべきだ、こういう考え方でいま対処をしております。現在は、具体的に申し上げますと、船員で言いますと船員保険による失業給付が切れた後も雇用対策法に基づきまして雇用促進手当を支給する、あるいは訓練手当を支給して一定期間、まあ大体三年近く一定年齢以上の方、これは中高年の方が就職がむずかしゅうございますから、そういう方には特別の措置をしていったわけでございます。従来、漁業関係で言いますと、捕鯨関係あるいは遠洋のカツオ・マグロ漁業、こういうものについて業種指定をいたしまして雇用対策転換給付の適用をしておるわけでございますが、日米漁業協定につきましても予算的にはこの措置を講じておるところでございます。 なお、ソ連等に基づきます今後の事態につきましては、いま先生御指摘のように、これからどのぐらいの離職者が出てくるものか、そのうちで海から陸へどの程度就職を希望されるか、その辺の実態をまずつかむ必要があろうかと思います。それと、これはもう小柳先生大変お詳しいように、炭鉱の場合と同じように、離職者対策というのは産業政策とのうらはらでございますので、そういう産業政策、漁業についての今後の再建合理化というものがどういうふうに行われるかというような政策とのすり合わせも必要かと存じます。 したがいまして、先生の御指摘の漁業労働者に対する特別の立法の有無につきましては、今後関係省庁、運輸省とも農林省とも十分協議をいたして検討いたしてまいりたいと考えております。
○小柳勇君 この間も、私の方でもいろいろ検討しましたけれども、現在ある法律を適用するといろいろほかとの関連もあるので、いまおっしゃったように、炭鉱離職者並みぐらいのことを考えておきませんと当面救済できないだろうということです。したがって、十分わかっておられますから、いまの御発言のような方向で援助対策を早期にお立て願いたいと思います。 御苦労でした。どうぞ退席してください。 あと、入漁料の問題です。入漁料の問題で、きのう私テレビ見ませんでしたけれども、ソ連は入漁料取らないと言っているようだけれども、アメリカの方は、この日米漁業協定は入漁料が少し高いのではないか。これで来年以降の入漁料はどう考えているかと、これに対して政府が補助する意思はございませんかと、以上お伺いします。
○説明員(米沢邦男君) 米国は入漁料を二本立てにいたしておりまして、一つは、漁船につきましてそのトン数に応じて若干の入漁料を課する、それからもう一つ、水揚げ価額の三・五%ということで入漁料を課するということになっておるわけであります。漁船当たりの方は、一総トン当たり一ドルということですから、実質的には、漁船はそう大きいわけでもありませんので大した負担にはならないんでありまして、一番やはり問題なのは漁獲割り当て、水揚げ総額の三・五%というものでございます。高いか安いかということは非常にむずかしいいろいろな問題あるかと思いますけれども、昨年の秋以来この三・五%は日本の漁業の経営にとって非常に高くなるということで、いろいろ努力をしてまいったわけでありますけれども、まあ三・五というラインでまとまってしまったわけであります。ただし、単価につきましては米側はわが方の考え方をいろいろ入れまして、全体としてはかなり、当初案に比べますと約半分ぐらいのところに下がったと、日本側の漁船が払わなければならないものが当初の提案に比べると約半分ぐらいに下がったということになっておるわけでございます。 それから、高いか安いかということで、それではほかの国は一体入漁料としてどういうものを課しておるかということが一番目の問題になるかと思いますけれども、実はソ連邦も非公式ではございます、正式ではございませんが、入漁料を課さないという方針のようで、少なくともことしに関する限りは。それからEC諸国も課さないということでございまして、現在カナダも今年度については課さないと、研究をしてから適正な水準を決めるというのがこれらの国のたてまえでございます。したがいまして、いま外国で課しておるのはインドネシア、エクアドル、ペルーであるとかモーリタニアとか比較的南の国が多いわけであります。これは大体いまいろいろなシステムがございまして、水揚げに対して幾らになるかというのは直接なかなか比較はできないんでありますけれども、大体水揚げに換算いたしますと四%ないし五%あるいは六%というような入漁料を徴収いたしておるわけであります。なおアメリカも、入漁料を発表いたしました官報に大体世界的な入漁料の平均価額、平均の水準を適用したということを述べております。
○小柳勇君 あと五分しかないから三問問題を言いますから、答弁をしてください。 第一の問題は、現在の漁業の見直し。この高度経済成長政策に入りまして漁業の方も大手水産などを中心に大資本化した、そして遠洋漁業が発展してまいりました。ところが、昭和二十八年ぐらいから今日まで統計見てみますと、昭和二十八年ごろの漁獲量に比べて現在は約十倍ぐらいになっているでしょうか。にもかかわりませず、われわれ一人当たり魚からとるたん白質の量というのは余り変わってない。それは、ハマチなどの養殖のえさにイワシなどをやっちゃって、魚はうんととれるけれども人間の口に入ってないという現象。それから沿岸漁業をいま大手水産などは——まだ私は共同化などをもう少し詰めたかったんでありますが、時間がないが、この沿岸漁業あるいは沖合い漁業に転換しなきゃならぬ、そのためには一体どういうふうな具体的に施策があるかと。 私はこの間諫早湾の埋め立ての問題で話しましたが、諫早湾などは魚の本当の発生地ですけれども、それを淡水湖をつくるために長崎県知事がこれを埋め立てるというやつ。淡水湖も必要ですから無理に言えないけども、もう有明海の魚はなくなっちゃうわけです。ノリ漁も大変ですね。私どももこれ大反対なんだけども、そういうこともある。したがって、この漁業の転換についてはどういう政策を持っていますか。第二の問題、養殖漁業もありましょうが、その養殖漁業ということでイワシなどをえさにやっちゃった。またたとえば畜産業のえさにも魚をやった。そういうもので、漁獲量はふえたけれども実際人間がとっているたん白質というのは若干減ってまいりました。だから、この使い方は、ハマチだけをそう考えないでイワシもうまく食べたら、漁獲量は、たとえば二百海里経済水域を宣言されてもそうばたばたせぬでよいのではないかと。いわゆるさっきの資源研究ないし資源調査も含めましてこの漁業転換をどうするかという問題。 それから第二の問題は魚価対策です。 けさの新聞でも、どうもやっぱり魚転がし、すし屋さんが抗議しているようですけれども、魚価対策は一体どうおやりになるのか。 第三の問題は、海の生産物、魚の輸入窓口を一本化、一元化しないか。でないと、日本の漁獲、あるいは出すやつ、輸入はばらばらということでは、全体的にこれから二百海里経済水域の中の日本の漁業というものはもう生きていけぬのではないかと思いますから……。 この三点について御答弁を願います。
○政府委員(佐々木輝夫君) 第一点の水産物の利用のあり方を含めた日本の漁業の長期的な見直しの問題でございますが、その必要性は私どもも痛感をしておるところでございます。さっき御指摘のとおり、日本でいま消費しています一千万トンの水産物のうち、直接食用にしていますのは原魚ベースで七百五十万トンぐらいで、残り二百五十万トンぐらいは養魚用のえさとか稚仔魚に回っております。しかし、これも畜産物あるいは高級魚介類に対します国民の嗜好というようなことを考えるとあながち否定はできないというふうに考えておりますけれども、まだ技術的にもここら辺の関係を十分見直す余地もたくさんあるんではないかというふうに考えております。 将来、いずれにいたしましても、日本の周辺の二百海里の水域の中を高度に利用するということが最大の課題になるわけでございますけれども、この中で沿岸漁場の整備を一方で進めながら、そこで適地に応じまして、いまの高級魚介類を中心にした養殖業といった行き方だけでなくて、要するに耕されました漁場にクルマエビとかマダイ等の魚介類の資源を、稚魚を大量に培養をして自然の漁場の中で特定の資源を選択的に造成をする、こういった方向を、まあ栽培漁業と言っておりますけれども、今後大いに進めたいということで、すでに五十一年度から漁場整備に計画的に着手しますとともに、県の段階での種苗生産施設等にも、現有稼働中のものを含めまして約二十カ所ぐらいを建設終わりあるいは建設途中でございますが、今後技術開発も含めまして大いに推進をしたいと考えております。 そういった中で、日本の沿岸漁業につきましても、従来からの自然の資源をとるということを中心にした漁業のあり方からやはり人工的に特定の資源を管理し培養しながらとると、いわゆるつくる漁業への転換ということを一層進めたいと思っております。その段階の中で、さっき御指摘のありました一方で水産物の高度利用ということも織り込んで進めたい。具体的にはイワシとかサバのようないわゆる多獲魚を直接人間の食用に消費することにつきましても、五十二年度から計画的に消費宣伝をやりたいと思っておりますし、また料理方法その他の普及もやりたいと思っていますが、それだけでなくて、これをすり身とかあるいはそのほかのいわゆる加工食品の素材として利用して、いまの消費者、特に若い人にも好んで食べてもらえるような食品としてこれを提供したいということを考えておりますし、それに伴って今度生じます沿岸での養殖業の直接的なえさの不足等につきましては、水産物の廃棄物の利用とか、あるいは現在人間が利用していない未利用資源をこういったえさ資源として利用していくというような方向を総合的に見直しをしたいというふうに考えております。 それから二番目の魚価対策でございますが、まあことしの三月以降ぐらい、特に日ソ交渉が相当行き詰まっておりましたこの影響を受けまして、それに加えまして昨年まあアジとかサバなんかについて大変漁獲量が、その前の年の三〇%ないし四〇%減という非常な不漁がございまして、たまたま四月、五月ごろがその端境期に当たっていたといういろんな事情が重なりまして、急激な魚価の上昇が起きたというのは御指摘のとおりでございます。私どもといたしましては、従来からこういった季節変化の非常に大きい、いわゆるアジ、サバのような多獲魚につきましては、調整保管事業をそれぞれの業種を通じて実施をすることについて国が助成をいたしまして、それの円滑な運営を期すために五十一年の暮れには魚価安定基金を一応設定して、そういった仕事がやりやすいように助成措置を講じているわけでございますが、季節的に大量にとれて産地で非常に魚価安で漁業者が困るというようなときに、これを一定の基準で保管をいたしまして、端境期なりあるいはいまのような消費地での供給不足といったような事態のときにそれを緊急放出をさせるといったことで、今後も魚価対策の推進を図っていきたいというふうに考えております。 ただ、若干過渡的に、どうしても国際関係等から供給量が減少いたします魚種も当然予想されますので、こういったものにつきましては直接日本の国内の生産だけで供給量を一応ふやすということが、たとえばタラコであるとか、あるいはサケ・マスのようなものになりますと、あるいはニシンにつきましても見込みが非常に薄いわけでございますので、これにつきましては第三番目に御指摘がございました水産物の輸入の、特に秩序ある輸入ということを念頭に置きながら、現在これらIQ品目になっていますものにつきましても消費の実態に応じて輸入枠を緊急拡大する。その中で日本の国内の漁業生産者との間でいろんな混乱が起きないように、必ずしも窓口を一本化することが唯一の方策かどうか、あるいはそれに伴う弊害がないかということについて現在検討中でございますけれども、いずれにいたしましても加工業者等を含め漁業生産者、消費者、こういった角度から混乱を生じないように、秩序のある輸入体制を整備したいというふうに考えておる段階でございます。
○小柳勇君 外務大臣、もう時間がありませんから質問いたしませんが、少なくとも日ソ漁業協定よりも先に日米漁業協定が批准されるんですから、それで近くこれからのアメリカの本協定も有利に、水産業者が心配がないように、りっぱな協定なりあるいは年々の交渉がうまくいきますように祈念をいたしまして質問を終わります。
○塩出啓典君 それでは質問をいたしますが、時間もございませんので、できるだけ重複を避けてお尋ねしたいと思います。 私は主として海洋法会議の問題を中心にお尋ねしたいと思うわけでありますが、今回アメリカ、ソ連が二百海里時代に突入し、日本もイクセプトワンと言ってがんばっておったわけでありますが、そういう方向に従わざるを得ない、こういう現状を迎えたわけであります。 それで、一九五八年の第一次海洋法会議で、御存じのように国際慣習法を明文化した四つの国際条約があったわけでありますが、そのうちの特に漁業及び公海の生物資源の保存条約、これにはわが国は今日に至るまで入っていないわけであります。やはり資源有限時代を考えるときに、わが国だけが魚をとるわけにはいかない。そういう意味で、私はやはり漁業及び公海の生物資源の保存の条約、こういうものにはわが国は当然加盟すべきではなかったか、そのように私は思うわけでありますが、そういう点の外務省の見解を、簡単で結構ですから承っておきます。
○政府委員(村田良平君) 御指摘のとおり、一九五八年に四つの条約が成立したわけでございますが、その中の領海条約とそれから公海条約は、それまでに国際慣習法として成立しておりましたルールを成文化するという内容のものでございました。したがいまして、わが国としては特に問題なくこういった条約に加入したわけでございます。しかしながら、大階だな条約とそれからいま先生御指摘の漁業及び公海の生物資源の保存に関する条約という条約は、どちらかといいますと、その中に国際慣習法の部分がないとは申しませんけれども、いわば立法的な性格が強い条約であったわけでございます。したがいまして、その当時のわが国の判断といたしまして、両条約の内容を検討しました結果、御指摘のこの漁業の方の条約に関しましては、沿岸国に対してその公海部分に関しても特別の利害関係を認めるという考え方が出ておりましたので、当時のわが国の基本的な考え方としまして、公海における漁業の自由というものをできる限り維持したいという立場から、この条約に加入しなかったということでございます。
○塩出啓典君 そこで、海洋法会議の結論がどういう方向にいくかということはわが国にとっても重大な関心と利害のある問題ではないかと思います。 そこで、いわゆる大陸だなの権利と経済水域二百海里の権利がどちらが優先するのかと、こういう点には当委員会においてもいままで論議してきた中では、外務省の見解はどうも大陸だなが権利は優先をすると、全然反対の学者もおるわけでありますが。わが国の国益を考えた場合は、大陸だなよりもむしろ経済水域二百海里の概念の方がより権利が優先した方がわが国にとってはプラスである、こういうことは言えますか。それはプラスかマイナスかという、イエスかノーかで答えていただいて結構です。
○政府委員(村田良平君) 恐らく経済水域の方がプラスであるということは言えるかと思います。
○塩出啓典君 それで、先ほどから言いましたように、大陸だなの概念というものは非常に定着してきている概念である、権利ですね。ところが経済水域二百海里という概念はまだ生成過程にある。これは十年前にはそういうのはなかったわけで、いまだんだん生成してきているわけでありまして、これが生成して、さらに大陸だなの概念と対等になってくればわが国にとっては有利ではないかと。そういうことで国連海洋法会議の方向がだんだん二百海里排他的経済水域の概念が生成をしているわけですから、そうするとそういう方向は時期とともにわが国にとっては有利になるんではないか、少なくとも不利になることはないんではないかと、こう思うんです。その点はどうですか。
○政府委員(村田良平君) 御指摘のとおり、確かに経済水域という概念が新しく出てまいりまして、それが生成しておることは事実でございますけれども、他方大陸だなという制度は単に過去三十年間そういう制度が定着しておることにとどまらず、大陸だな制度自体もいわば生成しておるわけでございまして、これが今回の第三回海洋法会議におきまして、やはり五八年条約あるいはその前のトルーマン宣言以後の数年間の各国の慣行というものに比べますと、相当変容されたものになっておるわけでございます。 この委員会でも何度か御説明いたしましたように、たとえば自然の延長という考え方は、一九六九年の国際司法裁判所の判決というものが一つの契機となりまして、非常に強く国際社会で考え方として定着したわけでございまして、この考え方が第三回の海洋法会議においても非常に強く出ておるわけでございます。そのために二百海里以遠というふうな分野に関しましても大陸だなを認めるということがあるわけでございまして、経済水域、大陸だな双方ともかなり当初の、まあ経済水域の場合には漁業水域の考え方、それから大陸だなの場合にはトルーマン宣言以来の慣行というものがやはり変わりつつある。これをなるべく国際的な海洋秩序を混乱に陥れないように、この辺で諸国のコンセンサンスをまとめようじゃないかというのが、いまの海洋法で行われておる努力というふうに考えるわけでございます。
○塩出啓典君 ひとつ説明は簡潔にお願いしたいと思うんですがね。こちらがお聞きしてないことまで言う必要はないと思います。 大陸だなの概念も確かに変わってきているわけですね。けれども、このことはきょう論議しませんけれども、海洋法会議における大陸だなの概念の変化は、これはわが国にとってはプラスの方向に変わってきているわけですね、これはそのことを断言しておきますが。したがってだんだん不利になる、海洋法会議の、時がたてばたつほどわが方が不利になるというのはどういうことなんですか、それはやっぱり間違いじゃないでしょうか、不利にはならないんじゃないでしょうか。
○政府委員(村田良平君) 特に大陸だなに関して申し上げますと、先般来当委員会において御審議いただいておりました問題に関しては、不利になる一つの要因ではなかろうかということで申し上げたわけでございまして、海洋法会議全体でいま行われておりますいろんな議論が、必ずしもわが国にとって全部不利になるというふうには決して考えておりません。
○塩出啓典君 このパンフレットには、「海洋法会議の結果を待ってみても、我が国にとってこの協定の内容以上に有利な結果を獲得できるとは考えられません。むしろ、待てば待つほど、我が国にとって不利な情勢が固まりつつあるといえましょう。」と。それは部分的にはそういうのはあるかもしれませんけれども、全体的には不利であるということは、これはちょっと間違いじゃないでしょうか。この点どうですか、外務大臣は有利にはならないかもしれぬということを言ったわけで、その点ははっきりしておいていただきたいと思うんですけれども、われわれはやっぱりこういう、待てば待つほど不利になるということを信じていろいろ審議をしたというようになるとまずいわけですからね。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 海洋法会議の結果がどうなるかということにつきまして、私どもは経済水域というものはでき上がる方向にあるのではないかというふうにいま考えております。ただ、大陸だなという制度との調整が何ら橋渡しがないのでございまして、大陸だな制度自体はやはり形成が早い。また、経済水域という観念が出てきたのも、大陸だなをわずかしか持たない国が二百海里の経済水域というものを主張し出したという経過から言いまして、大陸だなという観念はなかなかなくならない、また変わらないというふうに考えておるところでございます。したがいまして、いずれにしても開発を考える場合にはどうしても関係国との間に話し合いをつけなければならない。こういう事態はどういう制度ができましても変わらないのではないか、こういうことで、おくれればおくれるほどやはり開発がおくれるという意味で、私どもとして決して有利にはならない。また、開発がおくれるという事態から見てむしろ不利になると、こういうふうに私は考えておるところでございます。
○塩出啓典君 これには、「海洋法会議の結果を待ってみても、我が国にとってこの協定の内容以上に有利な結果を獲得できるとは考えられません。」と、だから、待てば待つほど、「不利な情勢が固まりつつある」ということは、海洋法会議の結論が不利になるということではない。外務省の見解は、わからないわけですけれども、そのように判断をしていいわけですね。
○政府委員(村田良平君) 日本の周辺の大陸だなの境界画定等の交渉を行うという見地から見て、有利にならないであろうということでございます。
○塩出啓典君 まあひとつ、これはやはり願わくは海洋法会議の結論もわが国に有利なようにやっぱり努力してもらいたいと思うのです。当委員会において有利にならないと言っておいたから、海洋法会議で有利になるとこの委員会の発言うそになるからというわけで、どうも私はいろいろ外務省の答弁聞いておりますと、どこの外務省の答弁かなという気がするわけですよ。やっぱり日本の外務省というのは日本の国益を守るためにがんばってもらわなくちゃいかぬわけで、そういう点で私は外務大臣に、当委員会は立場上、皆さんの苦しい立場よくわかります、鳩山外務大臣がこれ結んだわけじゃないわけでからね。それはわかりますけれども、やはり国益を守るために有利な方向にがんばってもらいたいと思うのですね。その点をひとつ要望しておきます。これは答弁は要りません、それは異存はないはずですから。 それからもう一つ、大陸だなの権利と、二百海里経済水域の権利とどちらが優先していくか、こういう点でいろいろ理由を言われました。その一つに、古い概念だからそれが優先していくんだという、こういう答弁があったと思うんですが、私はそういうのはちょっと説明にならないんではないか。 やはり海洋法会議のずっといままでのいきさつを見てまいりますと、古い概念というものはだんだん新しい概念に取ってかわられておるわけですから、だから古いからこれはだんだん有利になっていくんだというのはちょっと理由にはならないんではないか。この点は訂正されますか。
○政府委員(村田良平君) それは単に古いからしたがって大陸だなの方が優先するというふうな御説明をしたとすれば、それは必ずしも正しい説明ではなかったと思います。
○塩出啓典君 そこまででいいよ。 そこで、私はまあだんだんこの二百海里という時代に来ているわけですね。日本の国も二百海里時代を迎えたわけでありますが、まあ今度北方四島においての線引きはどうなるか、これも非常にわれわれも関心を持っておるところでありますが、さらにまあ韓国とのいわゆる共同開発区域、ここはいま線が引かれてないわけですね。将来私は日本も、あるいはまた韓国も二百海里宣言をするようになってくる。そうすると、当然わが国も二百海里を中国、韓国が宣言すればそういう線を引かざるを得ないわけでありますが、そういう方向であるのか。あるいは五十年間はもうあそこは線は引かないのか、この点はどうなんですか。これは外務大臣に。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 協定自体にもその点は書いてございますように、二十八条に書いてあるとおりでございまして、漁業専管水域が引かれるようになれば当然引かれることになるだろう、そういったことにつきまして、二十八条によりまして権利は明らかに留保してあるところでございます。
○塩出啓典君 そうしますと、先ほどからのお話では、二百海里には経済水域の概念あり、領海の概念あり、また漁業に限る概念があるわけでありますが、方向としては経済水域の方向ですね。大体国連海洋法会議、新しい海洋法ができた場合に、やっぱりわが国も韓国も当然二百海里経済水域のラインを引かなければならないと思うのでありますが、そのときにはいわゆる中間線、それは中間線とは多少ずれる場合もあるかもしれませんけれども、衡平の原則に基づいてほぼ中間線の理論で引かれるようになるんではないか、こういうことについては、線を引くことについてはやはり引けるのかどうか、この点はどうでしょうか、見通しとしては。
○政府委員(村田良平君) 海洋法会議が成立いたしまして、経済水域というものが国際法上の新しい制度として内容的にも確定いたしました際に、わが国及び韓国がともにそういう制度を実施するということになりますと、境界画定の問題がもちろん起こってくるわけでございまして、その際に経済水域をわが国と韓国はどういうふうに話し合いで決めるかということは、他の大陸だなに関して日韓が別途いかなる取り決めをいたしましょうとも、それは経済水域の境界画定の問題として新たに日韓閥で話し合われるべき問題であると思います。
○塩出啓典君 外務省の資料によりますと、日本が二百海里設定をしても韓国は大陸だなの権利を主張するであろう、だから交渉に応じる可能性はないとはっきり断言をしているわけですね。だからどちらが優先するか別として、地下の資源は別としても、そういうものを除いた二百海里経済水域の線を中間線で引くということについては大体いけそうなんですか、その点はどうなんですか。私たちは当然この程度はいけるんじゃないか、こう思うわけですがね。
○政府委員(村田良平君) その場合の原則は、今後海洋法会議で決まるであろうと思われます経済水域の境界面定のルールがどうなるかということに主としてよるんだろうと思います。わが国も韓国もそれに基づいて交渉を行うということになると思いますが、現在の単一草案の書きぶりでは、衡平の原則による合意というものを基準に立てまして、適当な場合には中間線あるいは等距離線ということで、大陸だなの境界画定と同じ規定ぶりになっておるということでございます。しかしながら、もちろん経済水域と大陸だなというものは、一方は海底だけの制度でございますし、内容的にも違うわけでございますから、おのずから衡平の原則というものを当てはめる考え方というものも異なると思います。 いずれにいたしましても、先ほどの先生の御質問とも関係あることでございますが、大陸だなあるいは経済水域等の境界画定に関しまして、衡平の原則ということを非常に強く主張する国々がおりまして、中間線的な考え方を後退させようという実は動きがあるわけでございます。わが国としましては、やはり中間線という考え方が最も妥当であるということを今後の海洋法会議において強く主張するという方針でございます。
○塩出啓典君 私は、衡平の原則というのは決して中間線を否定したものではなしに、たとえば北海の大陸だなで問題になりましたように、ドイツが非常にへこんでおる、これを単に中間線でいっちゃうと非常に、ドイツでございますか、狭いから、そういう点で必ずしも中間線が衡平と言えないから、そういう意味でただ数字的な中間線というんじゃなしに衡平の原則というものが適用されたわけで、しかし普通の場合は中間線に近いんじゃないかと、私はそのように思うわけです。だから私は当然、大陸だなというものを別にして、二百海里経済水域ということだけを考えるならば、日本と韓国あるいは中国の場合は大体中間線に近い線が境界としては国際的な概念に合致する、またそういう方向には、国連海洋法会議における韓国政府の演説あるいは中国政府の演説等から見てそういう点はほぼ間違いない、こう判断しているんですが、それは間違いないでしょうか。
○説明員(井口武夫君) ただいまの塩出先生の実はお言葉ですが、カラカスで確かに韓国の代表が演説をしておりまして、そのときにも中間線の問題に触れたわけでございますが、そのときもやはり、むしろその他の事情があれば中間線ではないということで、中間線は確かに一つの原則としては引用しておりますが、それ以外の特別な事情が優先する場合にはそちらでいくという考え方でございまして、日韓大陸だなの方でも北部の協定などは中間線の例だと思いますけれども、やはり韓国の基本的なカラカスにおける立場も決して中間線が原則だというわけではございません。それ以後、実は非公式協議がずっとございますが、韓国、中国は向かい合っている国の場合に中間線ではなくて、その他の特別の事情というものを優先させるという考え方で、むしろわが国はあくまでも中間線という立場をとっておりますけれども、その点見解が実は食い違っておるわけでございます。 それから、現在のニューヨークの会期で、今後向かい合っている国に関する中間線、境界線の画定の問題がいろいろ議論される過程にございますけれども、現在の改訂単一草案の衡平の原則によって合意によって解決するというのを、自動的に中間線という形に直すことがなかなかむずかしい事情にある。しかしながら、いま村田参事官が答えましたように、わが国としては中間線が一番妥当であるという立場を強く主張しております。
○塩出啓典君 私は、東シナ海の場合日本の国でどうするのかということを聞いておるわけで、いろいろ海洋法会議の話はもう大分この委員会で何回も聞きましたから結構でございます。私は、外務大臣に要望しておきますが、もちろん中間等距離線ではなしに衡平の原則ということが決まると思いますけれども、少なくともやはり大陸だなを除いて漁業、そういう面においては二百海里のいわゆる経済水域というものが設定されるときには中間線に近い線を確保しなければならない、その決意があるかどうか、これを伺っておきます。
○国務大臣(鳩山威一郎君) わが国といたしましては、大陸だな問題におきましても中間線を強く主張しておったわけでございます。経済水域制度ができます場合におきましても、中間線を確保することが国益に沿うゆえんである、その方向で努力をいたします。
○塩出啓典君 私は、いわゆる漁業は日本、海底は韓国という、先ほどのように、もし大陸だなの理論の方が優先するようになりますと、外務省の予想のように日本にとって不利な方向に行った場合には、漁業は日本、けれども海底は他の国という、こういうような場合を考えておりますか。そういう場合もあり得るんですか。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 大陸だなの共同開発の場合におきましても、そういう管轄権的な意味におきましては決して日本は中間線理論を放棄はいたしていないわけでございます。いかなる場合におきましても中間線を主張することがわが国の国益に沿うゆえんであると思って、その線に沿って努力をすると申し上げたい。
○塩出啓典君 先ほど申しましたように、経済水域二百海里設定をしても韓国は大陸だなの権利を主張する交渉に応じる可能性はないということを断言しているわけでありますが、新しい海洋法条約ができても応ずる可能性はないと外務省が断言している根拠はなんですか。そういう可能性は全くないですか。
○政府委員(村田良平君) 今度の大陸だなの境界画定に関する交渉におきまして韓国側がとった態度、それから現在の海洋法会議で行われております議論というものから考えますと、経済水域の境界画定をした場合に、その境界が自動的に大陸だなの境界でもあるべきであるという主張には応じないであろうという意味におきまして応じないということでございます。
○塩出啓典君 わかりました。 私は、今回ずっと海洋の分割をめぐる、あるいは海底資源の分割をめぐる問題、これは日本と韓国のみならず世界各地で行われておるわけでありますが、特に韓国とは日韓基本条約もありまして、私もちょっと読みましたらば、国連憲章の精神にのっとっていくとあるわけですね。当然そういう紛争の解決は平和的なルールで解決されていかなくちゃならない。海洋法会議でいま検討されております新しい海洋法においては、そういう国と国との意見の対立を調整する機関というものは新しく考えられておるように聞いておるわけでありますが、そういうものがあるのかどうか。私はやはりそういうものによって将来は日本と韓国の問題あるいは日本と中国の問題、それが話し合いで解決しないときにはそういうところで解決していくのが一番望ましいんではないかと思うわけです。その点はどうですか。
○説明員(井口武夫君) ただいま言われましたとおり、新しい海洋法条約でいろいろ国家間の紛争というものを強制的に解決するという手続を整備しておりまして、やはりこの包括的な条約のパッケージディールの一環として紛争の強制的な解決ということで、これは従来の国際司法裁判所や仲裁裁判に加えて新しい海洋法裁判所をつくるという方向がいま議論されております。そうして、その場合にこの大陸だな、経済水域の境界線の画定の紛争もやはり強制的な解決手続に乗せて司法的な解決をしたいという立場が出ておりますが、他方において、この境界線の画定というものについて第三者の法的な機関で決定するということに異議を唱えている国もいろいろございまして、現在の改訂草案でも、海域の境界線の画定についてはこの紛争解決の強制的解決手続から除外するというような留保条項も若干出ておりまして、これが現在一つの審議の対象となっております。しかし、方向といたしましては、塩出先生の言われるとおり、そのような強制的な手続を整備されることが望ましいということで対処しております。
○塩出啓典君 私も、願わくはそういう方向で解決できるように海洋法会議でも努力をしてもらいたい。韓国との間の竹島の問題にしても、また今回のこの共同開発区域に至る問題にしても、国際司法裁判所にこちらが提訴しても向こうは応訴しない。そういうようなことでは非常に困ると思うんですね。そういうことのないように、ひとつ今後ともやはり韓国との外交においてもそういう姿勢で臨んでもらいたいと思いますね。このことを要望しておきます。 それから、ちょっとお尋ねしますが、このいわゆる日韓大陸だなの共同開発区域のラインというもの、特に日本側の線というものは、これは私の理解している範囲では韓国側がずっと鉱区を設定をしておる。日本側も鉱区を設定している。そういうわけで、韓国側の鉱区設定したラインが大体日本側の境界線になっておると、こう理解をしていいわけですか。もし変わったところがあれば教えていただきたい。
○政府委員(村田良平君) 協定に付表の地図がございまして、座標等が記載されてございますけれども、その地図で言いますと東側と言いますか、それから南側、このラインは韓国側が一方的に設定した鉱区の限界でございます。それから、北西の方のラインと申しますのは日韓の中間線あるいは日中の中間線、そして南西の部分は、これは中国と合意したものではございませんけれども、精密に中国の権利を侵害しないというふうに考えて引かれた韓中中間線ということでございます。
○塩出啓典君 それで、いわゆるちょっとへこんでおるところというのは、いわゆる十五、十六、十七、十八、十九ですね、これはこの地図で言えばこういう部分ですね。ここはやはり韓国側が第七鉱区として設定した部分になるわけですか。それがそのままこれには用いられているわけですね、協定には。
○政府委員(村田良平君) 御指摘のとおりでございます。
○塩出啓典君 それで、いわゆる十五−十六、あるいは十六−十七が、わが国が三海里から十二海里になったときに、それが共同開発区域の中に入っちゃったわけですね。それで、これは国際概念から言って共同開発区域から除外するという両国の合意ができたわけでありますが、したがって、鮫瀬の十二海里の領海は共同開発区域から除外をされておる、このように理解していいわけですね。
○政府委員(村田良平君) 除外されることは御指摘のとおりでございますが、これは新たに日韓が合意して除外したということではございませんで、国際法の一般原則によって当然除外されることになったというふうに考えております。
○塩出啓典君 そうするとわれわれとして、除外されておるのに実際には協定にはちゃんと入っておる。あるいは特別措置法にもこういう線があるわけですけれども、これはやはり実際に共同開発区域に入ってないんであれば、当然そこは変更した方がよりいいんじゃないでしょうか。
○政府委員(村田良平君) 先ほど申し上げましたように、当該区域が自動的に共同開発区域から外れてしまうということは国際法の原則によるわけでございまして、この協定が一般国際法で申します大陸だなというもののみを対象として交渉し、かつ署名されたということから、わが国の領海の幅員拡張が国際法上許される限りにおきましてそのような効果が生ずるわけでございます。ただ、その点を念のために文書によって確認しておくということはいたしたわけでございます。ただ、御指摘のとおり、この協定上はそういった部分がこの共同開発区域から外れておるということは必ずしも明らかでない、全然あらわれておらないということはそのとおりでございます。したがいまして、将来この条約が正式に発効いたしました際には当然公布の手続もとるわけでございますから、その際に告示等の方法によりまして、この共同開発区域でなくなる部分というものは国民に周知するというふうなことは当然政府としていたすべきことであろうというふうに思っております。
○塩出啓典君 だから、これはやはり変更すべきだと思いますね。これはいまさら、そういうことはいますぐにはできないでしょうけれども、やはり当然これはある時期にきちんとしておかないと、将来に憂いを残すんではないか。これはただわが国だけの考えではなしに、両国との協定の中においてきちっと、やはり現在の協定と同じ効力のある手続によって、将来は一歩譲ってちゃんとすべきである、こういう考えはありますか。
○政府委員(村田良平君) 先ほどの説明のあるいは繰り返しになるかと思いますが、これは一般国際法上のルールをあてはめましてそのようなことになるということでございますので、わが国と韓国が創設的な合意を行うということになりますと、わが国が主権的な権利の行使として当然国際法上許されます領海幅員の拡張ということに関しまして、外国の同意を得るということにもつながりかねないと思うわけでございます。しかしながら、やはり文書をもってそういうふうな効果が生ずるということは確認しておくことが必要であるということで、四月でございましたか、口上書の往復によりましてこの点を確認したということでございます。
○塩出啓典君 はなはだいまの答弁は不満足であります。私は、やはりこういう問題は国際的な一般概念だから共同開発区域から除外はすると、これはわかります。除外するといいながらこの協定には入っておるわけですから、したがって、その除外するという概念をちゃんと協定の上に残しておかないと大きな禍根を残すと、これはやはり外務大臣、ちゃんとする考えはありませんか。いま以上のことをやる考えは、国内法だけで処理するだけで、韓国との間に協定に準ずる効力のあるものをやる考えはないのかどうか、あるかないかだけ伺っておきます。
○国務大臣(鳩山威一郎君) たびたび御説明申し上げているのでございますけれども、これを直すということはいま考えておりません。
○塩出啓典君 それでは時間がまいりましたので、最後にもう一回繰り返しになりますが、私は今日までの海洋法をめぐるいろいろな質疑において、はなはだ外務省の答弁、海洋法会議の行方に対する見通しというものは非常にわが国に不利なように、そういう見通しばかり立っておるわけで、私は本当に日本の外務省としてまことに残念に思います。これは日韓大陸だな協定というものを合法化するためにどうしてもそういう方向に行かざるを得ない、こういう苦しさがあるであろうとわれわれ推察しておるわけですけれども、それはそれとして、それと関係なしに、今後のやはり海洋法会議においてはぜひともわが国の国益を守るために、わが国にひとつ有利なような結論になるようにさらに努力をしてもらいたい、これを外務大臣にお伺いをし、決意を聞いて、ちょうど時間になりましたので質問を終わります。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 今後の海洋法会議、海洋の新しい秩序をつくる上におきまして日本の国益を守ると、こういう観点から努力いたします。
○立木洋君 日米漁業協定について幾つかの点お尋ねしたいと思いますが、先ほどお話が出ておりました新しい二百海里の時代になるということで、アメリカがまだ海洋法会議で決まってないのに率先して二百海里を決めた、この点について先ほど大臣もこれは批判すべき点があるということで、会談の中でもそういう趣旨の発言をしたというふうにお話があったんですが、日本側としては、このアメリカが二百海里を制定したことについてどういう点をどういうふうに批判をなさったのか、その要旨で結構だと思います。あるいはそれに対してアメリカ側はどういう対応をされたのか、何らかの釈明をしたのか、釈明をしたとしたらその内容はどういう釈明をされたのか、あるいは反論したとしたらどういう反論をしたのか、あるいはノーコメントなのか、そういう点について、ちょっと最初にお伺いをしたいと思います。
○政府委員(山崎敏夫君) 先ほども他の委員から御質問がございまして御説明申し上げましたが、アメリカにおきます二百海里漁業水域の制定の動きというものは、主として米国の議会の中から起こってまいったわけでございます。そういう動きに対しましては、日本側は一貫して国連海洋法会議の結論を待たずに米国のごとき大国がそういう一方的な立法の動きをすることは認められないということで、しばしば申し入れをしてまいったわけでございます。われわれはそういう点においてアメリカのこのような動きについては遺憾に存じておったわけでございます。 しかしながら、アメリカのそういう議会の中の有力議員たちは、アメリカの言っておりますことは、アメリカの沖合いにおける漁獲活動、これはアメリカのみならず、外国の漁獲活動が非常に増大しておる。それからそこで漁業資源の保存管理が十分に行われていないために資源がいまや枯渇しつつあるということを言っておったわけであります。つまり乱獲の危険があって、貴重な漁業資源が失われておる。日本の言い分はわからないではないけれども、国連海洋法会議の結論は一体いつになったら出るのかわからない。したがって、それがいつかできたときにはもう資源がなくなってしまっているかもしれない、そういうことでは困るのだということで、自分たちとしてはこの二百海里漁業水域法を早急に制定する必要があるというふうに申しておったわけであります。 われわれとしてはそれに対して、お互いにもっと協力して、早く海洋法における審議を促進して結論を出したいということも申し入れていたわけでございますが、海洋法の問題は御承知のとおり非常に多岐にわたっておりまして、またそれが全体のパッケージとして議論されておりますために結論がなかなか出ないということが現状でございまして、そういうわけで、われわれのたび重なる申し入れにもかかわらず、アメリカが去年ついにこの二百海里漁業水域法を制定したわけでございます。それにならってカナダ、ソ連等の有力国も二百海里漁業水域というものを制定するに至ったという次第でございます。
○立木洋君 結局まだ二百海里が決まっていない、そういう状況でアメリカが設定した。その点からこの日米漁業協定の内容を見てみますと、前回出されております単一交渉草案ですか、つまり海洋法会議の中でいろいろ国際的に議論されておる、そういう大体の合意に煮詰まりつつある草案の内容から見ると、この日米漁業協定の内容では、それに反するといいますか、そういう方向でないような表現も感じられるので、その点についてお尋ねしておきたいと思うのです。 この漁業協定の前文のところに、「溯河性魚類に対してその全回遊域を通じて漁業管理権を行使していることを認め、」、つまりアメリカの溯河性魚種に関しては全回遊域についての管理権、これをまあ前文で認めているわけですが、単一交渉草案の内容からいいますと、溯河性魚類の第五十五条ですか、もちろんこれは決まったということではありませんけれども、溯河性魚種に関する排他的経済水域を越える規制の実施は、産卵河川国とその他の関係国との協定によって行われる、つまり経済水域からの外に出た分ですね、ここまで全部漁業管理権が、同国の管理権が及ぶのだということが単一交渉草案では規定されていないにもかかわらず、ここではこういう漁業管理権の行使を認めるという表明になっているわけですが、これはどういうふうな交渉の経過でこういうふうになったのでしょう。
○政府委員(山崎敏夫君) 仰せのとおり、国連海洋法会議の改訂単一草案の五十五条を見ますと、溯河性魚種については母川国が第一義的な利益及び責任を有して適当な規制措置をとるという原則に立ちながらも、その母川国はその遠洋漁業国と協議した後に総許容漁獲量を設定するということとか、あるいは伝統的な漁業国の経済的混乱を最小限度にするために協力するというふうなことが規定されておるわけでございます。 この点に関しましては、われわれとしてもこの協定の交渉の過程におきまして、できるだけこの単一改訂草案の趣旨に沿った規定にしたいということで種々交渉を重ねたわけでございます。しかしながら、この日米漁業協定はその前文にも書いてございますように、わが国としましては「合衆国が、その距岸二百海里の内側に、同国がすべての魚類に対して漁業管理権を行使する漁業保存水域を設定したこと」を認めて締結したわけでございます。簡単に申しまして、アメリカの二百海里漁業水域法というものを前提としてこの協定を結んだ次第でございます。これは必ずしもというか、日本だけではございませんで、ソ連もほかの国もすべてそういう立場で長期的な漁業協定をアメリカとの間で締結しておる次第でございます。したがいまして、アメリカは国内法において溯河性魚種についてその全回遊域を通じてその管轄権を行使するのだというたてまえといいますか、原則を崩すということはできなかった次第でございます。 ただ、その中におきましても、この協定の第四条、第五条あるいは合意議事録の第二項等におきまして、先ほど申し上げました改訂単一草案第五十五条の趣旨をできるだけ織り込むように努力をいたしました次第でございます。この点必ずしも十分でなかったということは率直に認める次第でございます。したがいまして、今後もし海洋法の会議の結果として多数国間の条約ができまして、その場合にはこの協定の第十六条にございます再検討条項に基づいてこの日米協定の関連条項についても見直しをする機会があるものと考えておる次第でございます。
○立木洋君 必ずしも十分ではなかったというふうにお認めになったわけですけれども、やはり国際的な海洋法会議でいろいろ協議されている内容等々、そういう全体的な動きを踏まえてもっと強く主張すべきではなかったのか。この日米漁業協定でこういうふうな、その全回遊域を通じての漁業管理権を認めてしまったということが、やはり日ソとの交渉の場合にもある意味では影響したのではないだろうかというふうなことまで考えると、物事は最初が大切ですから、やはりきちっとそういう点は主張してやるというふうなことが大切ではなかっただろうかということを指摘しておきたいと思うんです。 次に、合意議事録の中で、高度回遊性魚種の問題が書かれてあるわけですが、ここでは「まぐろ類及び相互に関心を有するその他の高度回遊性魚種」という、この「その他の」というのはどういう魚があるのか、ちょっと説明してください。
○説明員(米沢邦男君) 明示的にここに書いてはないわけでございますけれども、カジキ類のようなものを念頭に置いて議論したことは事実でございます。
○立木洋君 カジキ、あるいはここでは「まぐろ」と書いていますが、カツオなんかも入るわけですね。
○説明員(米沢邦男君) カツオは「まぐろ類」としてマグロ類の中に入っております。
○立木洋君 この第二条の三項の「魚類」という点で述べられているその中に、「まぐろ類を除く。」というふうに表現されてありますね、除いてくれているのは結構なわけですけれども、いま言ったようないわゆるカジキ類、それから海洋二法の場合にはこれはカツオ類、マグロ数及びカジキ類というふうに、カツオもマグロもやはり区分して書いてあるわけですね。だからこれは、そういうことはやっぱり区分しておくべきではないだろうかというふうに、これは政府の文書にそういうふうに書いてあるからそう思うんですけれども、いや、マグロ数の中にカツオ数は入っていますなんというようなことでは、実際に後で文章に響いてないじゃないかとなるといろいろまた問題になるでしょうから、きちっとしておいた方がいいだろうと思うんですけれども、アメリカの「その他の高度回遊性魚種」のうち、どうしてマグロ類だけを除いたのか、ほかの高度回遊性魚種についてどうして外さなかったのかという点についてはどうなんでしょうか。
○説明員(米沢邦男君) アメリカの法律が高度回遊性魚種としてマグロ類だけを指定しておるということで、高度回遊性魚種が何であるかについては、日米必ずしも、在来海洋法の会議の場でも意見を異にしているわけでございますけれども、先ほどの米国の管理法のたてまえということで、高度回遊性魚種は一応マグロ類であるということになっておるわけでございます。 それから先ほどの先生の御指摘でございますが、国内では普通日本語の場合にはカツオ・マグロ類と、カツオをマグロと違うように言っておりますけれども、国際的には英語では全部ツナということで、原文がツナズということでマグロ類ということになっておりますので、国際的な慣習に条約の方では従ったということでございます。
○立木洋君 次に、この海洋法会議の単一草案の五十三条、高度回遊性魚種についての部分ですが、ここでは沿岸国及び国民が排他的経済水域において附属規定に設けられた高度回遊性魚種を漁獲する他の諸国は排他的経済水域内及び同水域を越えて隣接する水域の双方について、これら水域におけるこれらの魚種の保存と最適利用の目標を促進するために直接にまたは適切な国際機関を通じて協力すると、適切な国際機関が存在しない地域においては沿岸国及びその国民が同地域でこれら魚種を漁獲する他の諸国はそのような機関を設立するため協力し、それに参加する。もちろんこれも決まったわけではありませんけれども、こういうふうな方向で海洋法会議では議論が進められておる。だとするならば、やはりこの日米漁業協定の場合でも、いわゆる海洋法会議の方向に沿ってすべての高度回遊性魚種をアメリカの漁業管理権の行使から外して、そういう国際機関による共同管理の方向というふうなことでもっと議論を詰めるべきではなかっただろうかというふうに思いますが、この点についてはどうなんでしょうか
○政府委員(山崎敏夫君) この海洋法単一草案の規定に関しましては、先生からも御指摘がございますように、高度回遊性魚種の生態的な特性にかんがみまして国際的な管理のもとに置くということ、それからその保存に関連して沿岸国と漁業国とは協力することが適当であるという考え方に立っておるわけでございます。したがいまして、日米漁業協定でマダロ類を外したということは、そのマグロ類についてはひとつこの単一草案の精神に沿って国際的な管理のもとにその保存管理をやっていこうという考えに立っておるわけでございまして、考え方としては、日米漁業協定も改訂単一草案も変わっていないと思う次第でございます。
○立木洋君 結局ここで述べられておるのは、やはり漁業管理権というのが、アメリカの漁業管理権が認められておって、そしていわゆるマグロ類だけという特例の規定の仕方になっていると思うんですね。ですから共同の管理の方向で交渉してさらに詰めていくという必要がその点でもあったんではないかということを重ねて申しておきたいと思うんです。 次に十二条で、「合衆国は、この協定又はこれに基づいてとられる行政上の措置に従わない日本国の漁船又はその所有者若しくは運航者に対し、合衆国の法律に従い、妥当な刑を科する。」というふうになっております。まあこれも、海洋法会議の単一草案の内容によりますと、この六十一条で、排他的経済水域における漁業規定の違反に対する沿岸国の罰則は、関係国による別段の合意がない限り拘禁またはその他のいかなる体罰も含めてはならない、こういうふうに単一草案の方向ではなっているわけですけれども、これは「妥当な刑を科する。」というふうに十二条ではどうも決めてしまってある。これもどうも海洋法会議での合意の方向に反した決め方ではないだろうか。もちろん合意議事録の3の中で、「協定第十二条にに関し、合衆国政府の適当な代表者は、協定に基づく漁獲活動から生ずるいかなる訴訟についても、裁判所に対して、漁業規則の違反に対する刑に禁錮その他いかなる形の体刑も含まれないよう勧告するものと了解される。」、これは十二条の内容を若干弱めているかのように感じられますけれども、しかし「勧告するものと了解される。」ということであって、十二条の「妥当な刑を科する。」ということを排除しているものではないわけですから、この点にもやはり海洋法会議の方向に沿ってもっと詰めるべきではなかったかというふうに感じるわけですが、この点については一体どういう経過になっていたのか、その点について述べていただきたいと思います。
○政府委員(山崎敏夫君) 仰せのとおり、十二条では合衆国の法律に従って妥当な刑を科するということが書かれてあるわけでございます。これは米国の二百海里漁業水域法の中にそういう規定があるためでございます。われわれといたしましては、この改訂単一草案にもありますように、そういうような体罰は科さないという考えでアメリカ側との交渉に当たったわけでございます。そしてアメリカの行政府としても、自分たちとしてもできればそういうふうにしたいという気持ちは持っておったわけでございますが、遺憾ながらこの合衆国の法律の中で妥当な刑を科するということが定まっておりますために、行政府としてもそれと全く反する規定を置くことはできないということを申しまして、その結果、いろいろ交渉を重ねました結果、この合意議事録の第三項にもございますように、合衆国の政府の適当な代表者、具体的に言えば合衆国政府の検察官となると思いますが、それが裁判所に対してそういう禁錮その他のいかなる形の体刑も含まれないように裁判所に対して申し立てて努力はしますということにとどまった次第でございます。したがいまして、最終的には体刑が科される可能性は排除されない点はわれわれとしても遺憾に存じておる次第でございます。 この点は、そういう具体的な問題が起こりましたときには政府としても行政府に強く働きかけ、その合衆国の政府の代表者を通じて一切の刑を科されないように、外交的な努力は重ねるつもりでございますが、協定のたてまえとしてはこういうこととならざるを得なかったわけでございます。この点につきましても、将来海洋法会議で採択されます条約がまさに体刑を科さないというラインでまとまりました場合には、われわれとしてはアメリカ側と交渉を重ねて、その多数国間条約の関係規定に従ったような規定に改める交渉をいたしたいと考えておる次第でございます。
○立木洋君 局長の言われた点、わかりましたけれども、やはりアメリカの態度というのはそういう真っ先に二百海里の経済水域、便乗的な形でこれを先に決める、しかもこの交渉の内容では海洋法会議でいま討議され、それが煮詰められつつあるそういう内容について、事実上そういう方向とそぐわないような方向でやはり協定が結ばれるという幾つかの点を指摘したわけですが、こういう点というのはきわめて重要な問題でありますから、やはり国の主権を尊重する、完全に守ると同時に、国際的なそういう煮詰まりつつある議論の方向に反する点についてはもっと厳しい指摘をして努力をする必要があったんではないだろうかということを重ねて指摘しておきたいと思います。 それから水産庁の方にお尋ねしたいんですけれども、やはりアメリカとの関係にしてもそうですし、ソ連との関係にしてもそうですが、さらに漁獲量の割り当てをふやしていくという交渉が一つの問題になってくるだろうと思うんですけれども、特に北転船の問題が大きな問題にいまなってきているわけです。これをさらに今後、アメリカについてもそうですけれども、漁獲量の割り当てを拡大していく対策をとるという方向で努力すべきではないかというふうに考えるわけですが、この点についてはどのようなお考えを持っておられますか。
○政府委員(佐々木輝夫君) スケソウダラの資源状態等から考えまして、私どもとしては来年のいろんな漁獲量の交渉につきましても、日本側の科学的なデータを十分向こうへ理解をさして、できるだけ実績の維持に努めることはもちろんのこと、特にいまお話がございました北転船の主な操業区域に当たっておりますアリューシャン海域等につきましては、ぜひ漁獲量の増大ということに積極的に努力をしていきたいというふうに考えております。
○立木洋君 それからもう一点、新しい二百海里の時代になって、いろいろこれから大変になるだろうと思うのですけれども、いま検討されていると思いますが、特に沿岸、沖合いの漁業を重視していくということが緊急の問題になっているだろうと思うのです。もちろん遠洋漁業というのもこれは適正に進めるということにも反対ではなくて、それも努力をすべきですけれども、いままでやはり工場の用地のための埋め立てだとか、あるいは公害のたれ流しだとか等々、いろいろと沿岸、沖合い漁業についての問題もあったわけですから、こういう点については水産庁としても積極的に対応して、これらの漁業を発展さしていくという努力をされて検討されておるかと思いますが、その点についてはどのように今後努力されていかれるのか、お伺いいたします。
○政府委員(佐々木輝夫君) 当面の対策として、日本の遠洋漁業の実績といいますか、海外での実績確保にももちろんできるだけの努力をいたしていくつもりでございますけれども、長期的に見ますと、やはりわが国の周辺の二百海里の海域を高度に利用するということが今後最大の過大になるというふうに考えております。これの生産の効果が上がってまいりますのはやはり時間がかかるわけではございますけれども、そういった長期的な視点に立ちまして、特に今後日本の周辺の沿岸漁場の開発整備ということには特段の力を入れたいということで、これはすでに昭和五十一年度から七カ年計画で総事業費二千億円ということで沿岸漁場整備事業に着手をいたしておりますけれども、当初想定されました以上に二百海里時代への突入というのが早くまいっております関係もございまして五十二年度でも当初予想しましたテンポ以上に事業の実施面でスピードを上げております。今後も一層そういう点には努力をしたいと考えております。 それから同時に、これは農業で言えば畑づくりに当たるわけですが、そこへまきますいろんな高級魚介類の種苗の確保、その人工的な生産につきましても、従来瀬戸内海を中心に技術開発を進めてまいりまして、その成果を踏まえてすでに四十八年ごろから県の段階に種苗センターを建設を始めまして、現在稼働中のものを含めまして大体二十カ所ぐらいをいま建設を終わり、あるいは建設中でございます。これをさらに企画的に進めますとともに、今後北方の寒冷海域の方につきましても、そういうヒラメであるとかあるいはマダイあるいはエビ類等について適当な魚種を選びましてそういったものの種苗の大量生産、放流というような技術を開発したいということで、五十二年度から北方海域に新たに国の施設として栽培漁業の技術開発センターを建設着手することにいたしております。これは二年計画でできる予定でございますが、こういったものを組み合わせまして、日本の沿岸での増養殖漁業の振興には特段の力を入れたいというふうに考えております。
○立木洋君 まあ新しい二百海里の時代になって水産庁の仕事というのはこれから大変になりますし、私たち日本の国民の食べているカルシウムをどう本当に十分に確保していくかという点でも大変な仕事になるだろうと思うんです。もちろん私たちの党としては、水産庁を格上げして水産省にせよというふうな提案までしているわけですけれども、きょうおいでになっておられる方が、それならしましょうというふうに御答弁いただけるというふうには思いませんが、しかし、水産庁としての機構をいまのままで新しい二百海里の時代に対応していけるかどうか、やはりもっと機構を整備し拡充しなければならないというふうに直接仕事をなさっておる次長としてはお考えになっておられるのかどうなのか、その点についてはどのようにお考えになっておるのかをお尋ねしておきたいと思います。
○政府委員(佐々木輝夫君) 御指摘のとおり、内外で大変行政課題も山積をいたしておるわけでございまして、特に当面緊急に対応しなければいけない国際関係でのいろいろな交渉の体制の強化、この点につきましてはすでに五十二年度で農林省に水産担当の国際顧問を置くということで、これはすでに発令を見ておりますが、同時に、あわせて海外へのいろいろな技術協力等も充実し、強力に進める必要があるということで、海外協力室を水産庁の中に設置するというようなことをすでに始めております。これらを軸にしまして、そういった国際的な場でのわが国の漁業実績の確保に一段と力を入れますとともに、さっき申し上げました国内対策の方の充実につきましても、これは国だけの力でございませんので、都道府県のやはり行政体制の強化ということも含めまして、水産庁には現在、これは五十一年度から担当の参事官を置いて沿岸漁場整備関係の仕事を一元的に、各課に分散しておりましたのをまとめてやるという体制をとっておりますけれども、こういったものを核にいたしまして、特段人の問題あるいは県との連携の問題、団体とのいろんな連携ないし指導の問題、こういった面に力を入れていきたいというふうに考えております。
○立木洋君 最後に大臣にお尋ねしておきたいんですが、連日お疲れで大変だろうと思いますけれども、ことしに入って新しい海洋時代、つまり二百海里の時代で日米漁業協定の問題、また日ソ漁業協定の問題等々あって、そういう外交交渉を積極的に進められてこられた中で、努力をされた面もあるけれども、まだ幾つかのやはり重大な問題も残されておるというふうなこともいろいろ議論の中で明らかにされてきたと思うんですが、こういう新しい海洋法時代に対しての今後の外交交渉のあり方、つまりいままでのそういう点からどういう教訓をお引き出しになっておられるのか、今後どういう点を注意していかなければならないというふうにお感じになっておられるのか、そこらあたりを最後に承って、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 新しい海洋秩序を迎えまして、特に昨年からことしにかけまして漁業外交が大変な新しい経験をしたわけでございます。いままでになかったことが急に行われたわけで、その点では当方といたしましても全く新しい事態に取り組んだがためにいろいろ時間がかかった面があったと思います。また、関係されました方々は大変な苦労をされたわけでございますが、これも大変いい勉強をしたようなものでございますが、ますます重要になってまいります漁業外交につきまして、これから本当に腰を据えて取り組まなければならないというふうに思います。特に外務省といたしましては、水産当局と密接な連絡をとって、遺憾のないような体制をつくりたいと、このように考えておるところでございます。
○田渕哲也君 日米漁業協定につきまして若干質問をしたいと思います。 先ほど、アメリカが国連の海洋法会議の決定を待たずに二百海里法を率先して踏み切ったその理由、背景について説明があったわけですけれども、アメリカの沿岸二百海里の水域において本当に漁業資源が枯渇するような状態にあったのかどうか、これは客観的にそういう事情があったのかどうか、この点についてまずお伺いをしたいと思います。
○説明員(米沢邦男君) アメリカの太平洋岸及び大西洋岸は世界で有数の漁場でございまして、戦争前にはほとんど外国は操業いたしておりませんでしたが、戦後、急速に漁業が発展をしてまいりました。特に大西洋岸では、ソ連圏の諸国あるいは西ドイツであるとかスペインであるとかというような諸国が、アメリカあるいはカナダの沖で非常に大規模な操業をいたしまして、そのために、資源によりましてはかなり乱獲をされたということになりまして、資源が乱獲をされて一番最初に困るのは、沿岸のわりあい力の弱い——米国の漁業は比較的おくれておるというようなことで、米国の沿岸の漁業者が非常に困窮をしたということがあったかと思います。それからまた、沿岸に外国船が来るということは余りどの国にとっても必ずしも気持ちのいい光景ではございませんので、マサチューセッツ州とか、ニューイングランド地方なんかに非常に外国漁業に対する反発が高まったということがあったかと思います。 それから太平洋岸でございますけれども、アラスカと日本の漁業との関係というのは、サケ・マスなどもございまして、アラスカの漁民あるいはアラスカの一般の市民は日本漁業の進出というものに対してかなり敏感になっておったということが言えると思います。ここでも戦後になりましてソ連が急激に非常に漁業を発展をいたしまして、しかも、ソ連がとりましたものはアメリカの漁民と競合しているような魚種をかなりとったということで、アメリカの西海岸でも外国漁業に対する非常に反感が高まったと、そういうことが二百海里法の契機、大きなその背景になったのではないかというぐあいに考えております。
○田渕哲也君 そうしますと、ある程度そういう客観的な事情があったというふうに理解していいと思うんです。 それで、政府はアメリカの二百海里法の実施を予測されておったかどうか。
○政府委員(山崎敏夫君) この点につきましては、ただいま水産庁の方から御説明がありましたように、アメリカの議会の中で二百海里漁業水域法を早急に制定すべきだという動きはあったわけでございます。ことに、大西洋岸の北の方を選挙区とする議員の中、あるいは西の方でも西海岸の北の方の州、あるいはアラスカを選挙区とする議員の間で、このままではアメリカの沖合いにおきます漁業資源が枯渇していくということで法律制定の動きがあったわけでございまして、外務省も水産庁もその動きについては従来からフォローしてまいったわけでございます。そして機会あるごとに、アメリカのような大国が海洋法の結論を待たずにそういう動きをすることについては困るということを申し入れておったわけでございます。正直に申しまして、アメリカの行政府の関係者は、日本側の言い分についてはかなり耳を傾けておったわけでございます。しかしながら、まあ海洋法の条約制定の動きが遅々としておりますために、アメリカの議会の方でもいつまでも待ち切れないということで、二百海里漁業水域法の制定の動きが非常に急速に出てまいりまして、それがまあ一九七三年から七四年にかけてマグナソン法案という形で出てきたわけでございます。幸いこれは審議未了になったわけでございますが、その翌年、改めて一九七五年から七六年にかけてのアメリカの議会においてその法律制定の動きが進みまして、われわれのたび重なる申し入れにもかかわらず、結局七六年の三月にこの二百海里法案が議会を通過したという次第でございます。 〔委員長退席、理事秦野章君着席〕 したがいまして、われわれといたしましては、こういう動きについては予測しておったかと言われれば、まあある程度は予測して、それに対して対応策をとったわけでございます。 ただ、われわれとしては、原則的な反対の立場をとっておりましたので、この法案の中身についていわば条件闘争をするというふうな立場ではなかったわけでございまして、原則的な反対を訴え続けたわけでございますが、また、行政府はある程度それに耳を傾けたわけでございますが、まあ立法府の動きが急速に進んだというのが実情でございます。
○田渕哲也君 私が申し上げたいのは、このアメリカの二百海里法の設定が引き金となって、カナダ、ヨーロッパがそれぞれ設定し、さらにそれがソ連にはね返って今回の日ソ漁業協定の交渉になったわけですね。日ソ漁業協定で日本は本当にあわてふためいて非常に困った立場に追い込まれたわけですけれども、アメリカでは実に四年前にこれが議会に提出されておるわけです。 私は、それならそういう事態を予想できなかったのだろうか。アメリカの問題だけだといってたかをくくるわけにはいかなかったと思うんですね。だから、日ソ漁業協定、いま一番大きな打撃を受けるのはこの日ソの問題であります。それに対する対応策を見てみても、今回の日ソの交渉の経過を見ましても、私は日本は後手後手に回ったというふうな印象をぬぐえないわけです。四年も前にこのアメリカの動きというものが出ておるのに一体政府は何をしておったのだと。二百海里時代に対応する総合的な姿勢というものが果たしてあったのかどうか、この点お伺いしたいと思います。
○説明員(米沢邦男君) 御指摘のように、法律は四年前に提出をされておったわけでありますし、それからそれ以前にも、二百海里法という形ではなかったんでありますけれども、外国漁業を規制しなければならないという動きが、米国の国会の中には非常に強かった。しかもそれが米国の有力議員によって、選挙区の関係がございまして、有力議員によって唱えられておったということで、われわれはいろいろ憂慮をしておったわけであります。 それからもう一つ、一九七四年の国連のカラカスの海洋法会議で、参加国は百四十五、六だったと思うんでありますけれども、そのうちの、条件つきではありますけれども九十カ国近い国が二百海里経済水域を支持するという態度を打ち出しておりました。われわれとしても、そういう段階で二百海里時代が早急にくるということは予測をしておったというぐあいに考えているわけであります。それで十分な対策ができたのかというおしかりを受けるかと思うんでありますけれども、その段階で二百海里時代が避けられないということではあったと思います。 ただ、わが方といたしましては、海洋法会議の対策であるとか、あるいは対米、対ソ、あるいはその他近隣国との関係におきましても、それを直ちに認めたというような態度を打ち出すことにつきましてはいろいろなステップを踏まなければいけないということで、まあ見ようによっては、外側から見れば硬直的な、反対的な態度をとっておったと批判されるような面もあったかと思います。
○田渕哲也君 私は、日本の立場として二百海里に反対することは一向差し支えないと思うんです。それから、アメリカがこういうことをやるのは望ましくない、それも日本としては当然のことです。これしかし、われわれの考え方であり、われわれの希望なんで、国際情勢はわれわれの意図している方向と逆の方向にどんどん進んでおる、この事実に対してやはり対応策を立てるというのはこれは当然だと思うんです。 われわれがそう考えておるからこんなことやらないだろうという前提に立つのはおかしいんであって、その点で私は二百海里に対する国際情勢の見きわめと対応策がおくれた。これは言えるんじゃないですか。閣僚であります外務大臣にお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 二百海里時代が急に到来したということは確かでございますが、わが国自身が二百海里体制をなぜ早くとらなかったんだというような御意見が多いわけでございます。これにつきましては、わが国といたしましては、このようなことはやはり海洋法会議の結論を待ってということを、これは昨年の三月ころの閣議でもそのような対策、考え方であったわけでありますが、次第にこれは現実の、国内法で実施をするということが急に進んだわけでございます。 わが国といたしましては、アメリカとの間、またソビエトとの間におきましても漁業協定を、漁業取り決めをお互いに取り結んで、そして漁業資源の保存というようなことも両国の間でやはり考えながら漁業を実施してまいったわけでございます。したがいまして、二百海里時代に急激に入りまして、これが管轄権というようなはっきりした形になってきたわけでありますけれども、わが国自身といたしまして、両国との間には漁業関係の取り決めを結んでやってきたというそういう関係にあるわけでございまして、この三百海里時代になりましたからといってそう急激な変化ということは、お互いの考え方が早急な変化ということではないと思います。 しかし、これが実際問題としてソビエトとの間で大変問題になってまいりましたのは、やはり北方四島周辺の問題があるから非常にこれ大変な問題になったわけでございまして、アメリカとの間はそういう問題がない、したがいまして比較的スムーズにアメリカとの間は処理ができたということであると、このように考えております。
○田渕哲也君 そうすると、わが国の二百海里の漁業水域もしくは経済水域に対する態度は、先ほどから質疑されておりますけれども、もう一度確認をしておきたいと思うんです。 わが国とするならば、できるだけこんなものはない方がいいという基本態度はよく理解できるわけです。ところがアメリカがやり、カナダがやり、ソ連がやり、ヨーロッパやってきたと、それに対する対抗策上一応二百海里法というものを制定した。しかしそれはソ連向けだけであって、その他に対しては適用しない。だから相手に対して対抗する措置だけはとるけれども、みずから率先してはやらない。これはあくまでも国際会議の結果を待ってからやるんだと、そういう態度でいると理解していいわけですか。
○政府委員(佐々木輝夫君) いまお話がございましたように、従来日本の漁業が公海自由というのを前提にして発展してきて、世界じゅうで一応関係国間とは資源保存に十分協定等で意を用いながらやってきたという実態を踏まえまして、いまのような一方的な何か二百海里というものには現在でも積極的には賛成しかねるわけでございますけれども、現実問題としてこれを受けとめざるを得ないという立場で考えております。したがいまして、いま御指摘のとおり相互主義で、やはりソ連が日本に対して二百海里内でのいろんな規制を日本の方でのまない限りは操業の継続ができないという事態になった場合には、対抗上やはり日本側もそういう措置をとらざるを得ない。しかし、たとえば韓国、中国等との関係では、それぞれ漁業条約に基づきまして、いま安定した秩序ができ上がっているわけでございますし、それらの国々が一方的にこの二百海里の設定をやるという以前に日本側の方から二百海里を設定して新たな土俵でそういう漁業の秩序を変えようという、実益もございませんし、そういうことはまた両国相互にとって決してプラスにはならないという判断を現在も持っておるわけでございます。しかし必要に応じ、情勢が変わりまして、そういう相手国側の方の体制が変わればそれに対応できるだけの措置はとっておかなきゃいけないというのが、前回の漁業水域暫定措置法の趣旨でございます。
○田渕哲也君 そうすると、国連の海洋法会議にわが国が出た場合に、いまとなっては二百海里の経済水域は設定すべきである、そういう方針ですね。
○国務大臣(鳩山威一郎君) このような事態になりまして、二百海里経済水域を含め新しい海洋秩序がはっきり国際的な規則として決められる方が好ましいと、もうそういう時期になったという認識でございます。
○田渕哲也君 海洋法会議の単一草案によりますと、経済水域の条項と大陸だなの条項とは若干相矛盾するといいますか、お互いに競合している部分があるわけです。これは矛盾しておる、競合しておると解釈すべきなのか、あるいはどちらかが優先しているから競合していないと解釈すべきなのか、この点はいかがですか。
○説明員(井口武夫君) 確かに海洋法条約では経済水域と大陸だな別々に規定されておりまして、もともとカラカスにおいては経済水域二百海里という主張が御存じのとおり海底まで及ぶという考え方がございましたが、やはり広い大陸だなを持っている国は自然の延長が二百海里以遠ということで主張いたしまして、実は昨年の夏会期の第二委員長の報告でも、もはや広い大陸だなを有する国は三百海里以遠の自然の延長というのを認めるのがパッケージディールとしての根幹であるということで、委員長があくまでも二百海里以遠の自然延長を認めるという立場をとっておりますから、そういう場合には経済水域の海底というものがやはり大陸だなであるというような考え方がございまして、現に大陸だなの条項に従って経済水域の海底の権利義務が行使されるという規定があるわけでございます。したがって、考え方といたしましては、やはり経済水域の海底が大陸だなの規定に従って行使されるということで優先するという考え方が現在の審議の過程においてはやはり強いということは申し上げられます。
○田渕哲也君 いまの御答弁は、大陸だな条項の方が優先しておるという解釈ですか。
○説明員(井口武夫君) 原則としてそういう方向でございます。
○田渕哲也君 そうすると、別に単一草案の中にあの二つの条項があっても、これはお互いに競合しておるものではないということになるわけですか。 〔理事秦野章君退席、委員長着席〕
○説明員(井口武夫君) これは確かに調整というか、そういうようなことが今後さらに明確になるかということについては、いろんな議論がございますが、原則はやはり大陸だなの方がむしろ経済水域の海底を包摂するということで、その逆ではないんじゃないかというふうに思われます。
○田渕哲也君 日米漁業協定の中にも、アメリカは二百海里内のあらゆる魚類、それから同時に回遊魚、これは二百海里外においても管理権を持つ、同時に「大陸棚の生物資源」ということも書いてあります。これは二百海里外ということですね。その二百海里外のアメリカのこの漁業協定に言う生物資源というものは、日本の漁業との関連するものは大体どういうものがありますか。
○説明員(米沢邦男君) 地形的な特徴ということが原因でございまして、二百海里の外側には大陸だなの資源というものはございませんで、日米関係の日本の大陸だな資源と申しますとカニあるいはツブというような貝類になりますけれども、これはすべて二百海里の内側ということになります。
○田渕哲也君 そうすると、この協定の最初にこれは分けて書いてありますけれども、これはまあ実際にはないということですね。
○説明員(米沢邦男君) そのとおりでございます。
○田渕哲也君 それから、この三百海里の水域、二百海里というものの意味ですね、合理性といいますか、それはどういう点ですか。
○政府委員(村田良平君) なぜ二百海里というのが採用されたかという御質問だと思いますが、これはどちらかといいますと歴史的な理由だと思います。 一九四.七年ごろにチリとかペルーとかがたまたまそういった国々の沖合いに幅約二百海里のフンボルト海流というものがございまして、そこに非常に豊かな漁業資源があるということで、こういった国々が二百海里の領海という制度を一方的にやったわけでございますが、それがまた後ほどになりましてアフリカの諸国、あるいは他の中南米諸国等にもそういった考えが一部伝わったわけでございます。 そこで、七二年の国連拡大海底委員会の際にケニアから正式に二百海里という提案があったわけですが、その二百海里という幅は、そういった過去のいわば一部の国のとった措置というものを頭に置いたものだと思います。
○田渕哲也君 それから漁業保存水域外における、つまり二百海里外における溯河性の魚種についての取り締まり行為は、これは協定ではアメリカがその管理権を持つことになっておりますが、合意議事録では日本との協議ということがうたわれております。この日本との協議というものはすでに行われたのか、あるいはこれからやるのか、その点はいかがですか。
○説明員(米沢邦男君) いま日本のサケ・マス漁船は出漁をいたしておるわけでございますけれども、二百海里の外側で米側が取り締まりを行うということを具体的な方針として決定されたときにわが方と相談があるのだろうというぐあいに考えております。
○田渕哲也君 そうすると、いまのところはまだ具体的な取り締まりの方針が出ていないから日本の漁船はそれの取り締まりを受けることはない、そういう理解でいいわけですね。
○説明員(米沢邦男君) そのとおりに理解いたしております。
○田渕哲也君 それから、入漁料が取られるわけですけれども、アメリカの場合は一総トン一ドルの許可料、それから水揚げの三・五%の漁獲料ということになっているわけです。この入漁料の根拠ですね、ただ単に当てずっぽうにいいかげんな額で決めるべきものなのか、何か根拠があるのかどうか、この点はいかがですか。
○説明員(米沢邦男君) 入漁料の根拠というのはいろいろ先例があるわけでございませんですが、米国の官報、入漁料について定めました官報によりますと、外国人を入漁させることによって米国にいろいろな特別な費用がかかる、一つは資源を管理をしていくということの費用であるとか、それからもちろん取り締まりをやっていかなければならない、そういうような費用である。つまり、取り締まりと資源管理のための費用を特別に要すると。もちろん外国漁業が全然なかった場合でも外国漁船が入らないように取り締まりをしなければなりませんし、また、資源の管理もやらなければならないでありましょうから、どのぐらいが実際に外国漁業があることによってよけいにかかった費用であるかなかなかむずかしいわけでありますけれども、アメリカはそれを一応計算をいたしまして、たしか私の記憶によりますと二千二百万ドルぐらいはよけいにかかるんであろう、大体これの全部あるいはこれをできるだけ外国からの入漁料によってカバーをするということが一つの考え方であったと思います。 それから、二番目の入漁料の根拠として官報の中に書いてございますのは、いわゆる外国漁業がどれぐらいの利益を上げているかということをアメリカが試算をいたしまして、平均として水揚げ価格の五%ぐらいであろうというぐあいに書いてございます。 それから第三番目は、外国の事例ということが書いてございます。その三つの物差しを使いまして、水揚げ価格の三・五%及び船に対する漁船当たりの入漁料というものを決定したというぐあいに理解いたしております。
○田渕哲也君 ただいまの計算の根拠ですけれども、いずれ日ソの間でも問題になると思います。ことしは取らないと言われていますけれども、来年からは問題になる。それからほかの国とも問題になる。その場合も大体いまのような基準で考えていくと想定していいわけですか。
○政府委員(佐々木輝夫君) ただいまの点は、今後検討しなきゃいけない課題だというふうに考えているわけでございますが、当面日ソの関係につきましては、やはりソ連側の方で必ずしも入漁料を取らないということをまだ確定したわけでもございませんで、向こうも一応検討中である。今度のソ日協定の際にでもあるいはその話が出るかもしれないというような予測もございます。向こう側の考え方も一応十分検討した上で、日本側としてはさっき申し上げましたようにこういった問題についてはやはり相互主義で対応していきたい。必ずしも、向こうが取らないのであれば日本側の方も徴収する必要はないんじゃないか。また、一定の考え方で取るんであれば、日本側もそれに対応して妥当な見合いの額をやはり徴収する必要があるというような考え方で、いろいろ原則的な問題についてはいま検討を進めておる段階でございます。
○田渕哲也君 それから、漁獲量のことで一点だけお伺いしますけれども、漁獲量の決定は余剰原則によるという御説明があったわけです。それで問題は、総可能漁獲量ですか、そこからアメリカ側がとれるものを引いて、あとの残りを各国に配分する。問題は、その各国に配分する関係は、大体日本がいままでとってきた伝統的実績を尊重するということですと、いままでのシェアぐらいは大体とれるということでいいわけですか。
○説明員(米沢邦男君) そういうぐあいに期待をいたしております。
○田渕哲也君 そうすると、総可能漁獲量が減らないとすると、アメリカの漁業が急速に魚をとり出さない限りはいままでの実績は大体確保できると見ていいわけですね。
○説明員(米沢邦男君) そういうぐあいに期待をいたしております。
○田渕哲也君 最後に、アメリカで現在この協定の承認についての国会の動きはどうなっておりますか。
○政府委員(山崎敏夫君) この協定は、その第十六条の規定に従いまして、それぞれの国によって国内手続によって承認されなければならないということになっているわけでございますが、アメリカにおきましては、この二百海里漁業水域法の二百三条の規定に従いまして議会の六十日間のオーバーサイトに付されることになっております。オーバーサイトに付されるというのは、議会に提示して六十日間それを議会の関係者が閲覧できるようにするということでございます。その間において議会が何らの措置もとらない場合には、六十日間を経過すれば協定は発効すると、こういう仕組みになっております。実際問題としまして、実はこの六月二日に協定を米国政府は議会に提出いたしましたわけでございます。その内容は二百海里法に従った規定になっておりますので、アメリカがほかの国と結んでおる協定とその内容において特に異なるものでもございませんので、アメリカの議会において問題となることはないとわれわれは考えております。したがいまして、おそくとも八月上旬にはアメリカにおいて議会において承認されまして、米国の国内手続は完了するものと考えております。
○田渕哲也君 終わります。
○委員長(寺本広作君) 以上をもちまして本件に対する質疑は終了いたしました。 暫時休憩いたします。 午後六時六分休憩 —————・————— 午後六時三十七分開会
○委員長(寺本広作君) 委員会を再開いたします。 休憩中に理事会を開きましたところ、いま質疑の終わりました三件をきょう採決することには反対の会派がございます。衆議院から全会一致で上がってきた条約案並びに法律案でありますし、委員長としては全会一致の案件をきょう採決することに反対の会派があるのに、押し切って採決することはいたしかねると判断いたしますので、きょうのところ採決は見合わせたいと存じます。 したがって、きょうの委員会はこれで散会にいたします。 午後六時三十八分散会