外務委員会 第14号
- 発言数
- 84 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1977/05/27
会議録
○委員長(寺本広作君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、高田浩運君、木内四郎君、佐藤信二君及び伊藤五郎君が委員を辞任され、その補欠として坂野重信君、福井勇君、上條勝久君及び戸塚進也君がそれぞれ選任されました。 —————————————
○委員長(寺本広作君) 日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の北部の境界画定に関する協定及び日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。 本日、午前中は参考人として生田豊朗君、波多野里望君、以上二名の方の御出席をいただいております。 この際、参考人の皆様に一言ごあいさつを申し上げます。 参考人の各位には御多用中のところを御出席いただき、まことにありがとうございました。 本日は、ただいま議題となっております案件について御意見をお述べいただき、本委員会の審査の参考にいたしたいと存じますので、なにとぞ忌憚のない御意見をお述べくださるようお願いを申し上げます。 議事の都合上、まず、参考人の皆様からそれぞれ二十分程度御意見をお述べいただき、その後で委員の質疑にお答えをお願いいたしたいと存じますので、よろしくお願いします。 それでは、まず生田参考人にお願いいたします。
○参考人(生田豊朗君) 私は、エネルギー問題の専門家でございますので、わが国が当面しておりますエネルギー問題の重要性あるいは困難性ということから考えまして、御審議をしていらっしゃいますわが国と韓国との間の大陸だなの石油開発の意味につきまして、私が考えておりますことを申し述べたいと思います。 まず、わが国のエネルギー問題でございますけれども、私は非常に重大であり、かっ深刻な状態にあると考えております。先般、御承知のようにアメリカのカーター大統領がエネルギー教書を発表いたしまして、新しいエネルギー政策を国民と議会に訴えたわけでございますけれども、その内容はもうすでに御承知と思いますけれども、従来のエネルギ政策と比べまして格段に強力な政策の必要性を訴えたものでございますし、エネルギー問題の重要性について従来にないかなり深刻な語調でエネルギー問題を訴えているわけでございます。 しかし、アメリカの場合はわが国とは全く違いまして、国内にエネルギー資源が十分にございます。現在でもアメリカのエネルギーの自給率は八〇%以上でございます。つまり、二〇%以下のエネルギーを輸入に依存しているだけでございます。それに対しましてわが国は全く逆でございまして、エネルギーの自給率は一五%程度しかございません。八五%のエネルギーは海外に依存しているわけでございますし、石油につきましては特に九九・七%、ほとんど一〇〇%を海外に依存しているわけでございます。しかも国内のエネルギー資源は、資源の量から考えましても、それから今後の開発の弾力性から考えましても、きわめて生産の拡大の可能性が小さいわけでありまして、これは実績で申し上げますと、昭和四十八年の石油ショックに至ります過去の十年間におきましてわが国のエネルギー消費は二倍に増加したわけでございますけれども、エネルギー消費量が二倍にふえました半面、わが国のエネルギーの自給率は三〇%から一五%に、半分に減ったわけでございます。したがいまして、今後ともわが国が経済成長を続け、エネルギーの消費量がふえていくのと反比例いたしまして、自給度はますます小さくなってくることはまず避けられないわけでございます。そういう意味におきまして、国内あるいはそれに準じますエネルギー資源の開発を急ぐということは、日本経済の安全保障という観点から考えまして不可欠のものであると考えております。 それで、わが国のエネルギー問題を考えますときに、いろいろの議論があるわけでありますけれども、その中で特に私はこの際非常に間違っている点を二、三指摘いたしまして、御参考に供したいと思います。 一つは、いわゆる新エネルギーの開発の問題でございます。たとえば、地熱でありますとか、あるいは太陽熱でありますとか、あるいは水素の利用、あるいは石炭の液化ガス化といいますようないわゆる新エネルギーと総称されるものでございます。これはわが国におきましてもサンシャイン計画によりまして相当の財政資金を投入いたしまして研究開発が進められておりますし、各国におきましてもそれぞれ新エネルギーの開発は進められております。特にわが国のような、先ほど申しましたような国内のエネルギー資源の乏しい国におきましては、新エネルギーの開発はぜひとも必要なものでありますし、特に核融合が実用化されますと、わが国のように海に囲まれております海洋国家にとりましては、ほとんど無限のエネルギー資源が入手できるということでございますので、非常に重要なことでありますから、私は新エネルギーの開発は強力に進める必要があると思います。 ただ、ここで申し上げたいのは、現在のエネルギー問題を論じます場合に、新エネルギーが実用化できるからエネルギー問題は比較的容易に解決できるのではないか、たとえば石油の開発であるとか、あるいは原子力の開発であるとか、あるいは石炭の再利用であるとか、そういう困難な問題を行わなくても、太陽熱を利用すればいいではないか、あるいは地熱を利用すればいいではないかという御議論があるわけでございます。これは私は時間という要素を全く無視した議論で、完全に間違っていると思います。これはわが国だけではございませんで、アメリカにおきましても、今度のカーターのエネルギー教書でも明確に指摘している点でございますけれども、そういう新エネルギーは来世紀のものでございます。二十一世紀以降のものでございまして、二十一世紀以降のエネルギーとしていまから開発を進めないと間に合わないということでございますので、それを逆に申しますと、いまから開発を強力に進めましても、間に合うのは二十一世紀以降ということになるのでありますから、今世紀中のエネルギーをどうするかというのが当面の問題でありますときに、来世紀でなければ間に合わないものがあるからどうにかなるのではないかというのは非常に間違った議論でありますし、問題の正確な把握をかえって誤らせるような恨みがあると思います。以上が第一点でございます。 それから第二点は、省エネルギー、エネルギーの節約でございます。これもわが国のようなエネルギー資源に乏しい国では、諸外国に比べましてより強力な省エネルギー政策が進められなければならないのは当然でございますけれども、それでは現実にどのくらいの省エネルギーが可能かということになりますと、これはきわめて期待薄でございます。今度のカーターの新政策にいたしましても、省エネルギーの推進を全体の柱にしておりますけれども、それではどういう政策手段でそれをやるかと申しますと、いたしますのは税制上の優遇措置と、それからもう一つは価格面、価格政策での操作によりまして全体として省エネルギーの方向に誘導するというだけでございます。これはアメリカだけではありませんで、世界各国とも同様でありまして、極端な統制経済のような機構を導入いたします場合を除きますと、省エネルギーはやはり全体としてゆるやかな誘導政策で進めるという以外には方法がないわけであります。ということは、エネルギーの消費量を一挙に半分に減らすとかあるいは三割減らすとかいうような、そういうドラスチックな省エネルギーはなかなか実現しがたいわけでございます。そのためには、もちろん国民の全般的な協力も必要でありますけれども、やはり時間をかけて少しずつやっていくということしか期待できないのでありまして、これも新エネルギーと同様に、省エネルギーを進めてエネルギーの消費を大幅に減らせば、石油の開発あるいは原子力の開発あるいは新エネルギーの開発等、そういうむずかしいエネルギーの供給力の増大を考えなくてもいいのではないかという御議論がありますけれども、これも明らかに誤りであります。 したがいまして、私は以上の二点を御指摘申し上げたわけでございますけれども、そういう点を正確に判断してまいりますと、わが国のこれからのエネルギーの需給を考えます場合に、そういう新エネルギーがすぐ間に合うとか、あるいは大幅な省エネルギーができるかというような、一種のこれは幻想のようなものでありますけれども、そういうものに頼っていて問題の正確な把握を怠り、さらに解決をおくらせてしまうということは非常に問題であろうかと思います。 そこで、そういうことを前提にいたしまして、これからのわが国のエネルギーの展望を簡単に御説明申し上げたいと思いますけれども、まず一つは、これからの日本の経済成長をどの程度に考えるかというのが基本的な前提でございます。これは、たとえば今後十年間あるいは二十年間、つまり今世紀に至るまでゼロ成長でいいということの判断をいたします場合には、エネルギー問題の所在はかなり変わってまいります。つまり問題点はかなり小さくなってまいると思います。しかしゼロ成長でいいということは、人口が一%以上ふえていきます以上一人当たりの国民所得、つまり生活水準というものはだんだん下がっていくということでございますから、これは私はそういうことは考えるべきではないと思いますし、実際問題といたしまして、日本経済の構造から考えましてゼロ成長が長期間続けられるというふうには考えられません。そういうゼロ成長が続けられるということよりも日本経済が崩壊するということの方が先に来るわけであります。 で、今後の日本経済の成長率を考えます場合にいろいろ考え方があるわけでございますけれども、日本経済の構造、それからGNPの流れの面におきましては経済大国ではございますけれども、先進工業諸国に比べまして国民生活面におきましても公共部門におきましても蓄積がかなり不足しているということを考えますと、まだ日本経済はかなり高い成長率を続けていく必要があると考えております。高い成長率を続けるにいたしましても、これはかつての高度成長時代のような二けたの経済成長率はもう無理だろうと思いますので、でき得れば年率七、八%程度の経済成長率を維持することが私は必要だろうと思いますけれども、その場合はやはりエネルギーの供給面で大きなボトルネックが出てくることが予想されるわけであります。 したがいまして、政府が安定経済成長の路線として長期経済計画等において考えております約六%という比較的控え目な経済成長率を前提にいたしまして、これから十年後あるいは十五年後のエネルギー消費を予測してみるわけでございますけれども、そういたしますと、先ほどむずかしいと御説明申し上げました省エネルギーを相当大幅にできるというような前提、たとえば私どもが予測いたしました場合には一五%程度のエネルギーの節約が実現するということを前提にして計算したわけでございますが、そういうふうに計算いたしましても昭和六十年度におきますわが国の一次エネルギーの需要量は現在の八〇%ないし八五%増ぐらいにはどうしてもなってしまうわけでございます。これは、ただいま申しましたように控え目の見通しでございまして、省エネルギーは、政府の計画では九%の省エネルギーを目標とするということになっているわけでございますが、最近の情勢ではこのまま推移いたしますと五%ぐらいの省エネルギーに到達するのが限界であろうと思います。それを一五%という非常に大きな、実現が非常に困難な数字を前提にいたしましてもそのくらいの一次エネルギーの消費の増加になるわけであります。 そうなってまいりますと、それだけの需要に対してどういうものでエネルギーの供給を確保していかなければいけないかということになりますが、国内のエネルギー資源につきましては、たとえば水力につきましてもかつての大規模水力の開発はもう限界にまで達しておりまして、今後は小規模水力を拾い上げて積み重ねていくということがせいぜいでございますので、余り多くは期待できません。 石炭につきましては、もうすでに生産の限界に到達しております上に、最近の事故の発生等によりましてさらに生産水準が落ち込むおそれがあるわけでありまして、増産はきわめて困難であります。 それから地熱でございますが、これは現実に幾つかの地熱発電所はございますけれども、まだ技術的にきわめてむずかしい点が残っておりまして、これがたとえば原子力発電と同じような規模で実用化されるのにはまだ相当長い期間、恐らく十五年あるいは二十年というような時間が必要かと思われます。 あと国内資源といたしましては天然ガスと石油でございまして、これは大陸だなを中心にして開発が進められておりまして、これは資源的にもたとえば中東の油田に匹敵するようなものを探すのはきわめてむずかしいわけでございますけれども、これを開発いたしませんと、石油の依存度はほとんど一〇〇%になってしまう。いまでもほとんど一〇〇%でございますが、もっと一〇〇%に接近してしまうということになるわけでございます。 それで、国内のエネルギー資源は全体の一〇%ぐらいをカバーできるだけでございますので、残りの九〇%は輸入石油、それから輸入石災、輸入天然ガス、それから原子力といういわゆる輸入エネルギーでカバーせざるを得ないわけでございますけれども、時間がございませんので、一つ一つの御説明は省略いたしますが、それぞれにつきましていろいろ困難な問題がございまして、開発計画は予定よりもおくれぎみでございます。 したがいまして、そのしわが全部輸入石油によるということでございまして、現在のような状態で推移いたしますと、昭和六十年におきましてもわが国のエネルギーの中での輸入石油への依存度は七〇%ぐらいになるということになってしまうわけでございます。これは世界の先進工業国の中で飛び抜けて高い輸入石油依存度でございまして、昨年の秋にエネルギー関係の専門家の国際会議がございまして、各国の専門家といろいろ今後の供給見通しについて議論したわけでございますけれども、そのとき日本のポジションとして私からただいま御説明しましたような予測で計算いたしますと、昭和六十年度、一九八五年の日本の輸入石油依存度は七〇%ぐらいになるということを説明しましたところ、アメリカ、ヨーロッパの専門家たちは、そういうことになるということを知っていて日本人が安心していられるということは、われわれアメリカ人、ヨーロッパ人では考えられないことである、もしも一九八五年になっても依然として輸入石油依存度が七〇%であるということは、もう国民経済の安定化にとって非常に大問題であって、極端に言うと夜も寝られないくらい心配すべきものであると思うのに、それで平気だというのは理解できないというような非難をずいぶん受けたわけであります。私も専門家といたしましてはそういう感じがいたしますけれども、このまま推移いたしますとそういうことになるのは必至でございます。 ということは、これから先ごく長期の見通しとしましては世界の石油資源が徐々に枯渇に向かうということ、さらに、OPECの産油国が石油供給の主導権を握っておりまして、それに対して石油消費国としては直接的にそれを抑える手段がもうすでになくなっているということ、このままいきますと、世界の石油の需給はだんだん売り手市場の形に転化していきまして、OPECの石油戦略によって消費国が振り回されるような危険が多分にあること、さらに価格も上昇を続けるであろうこと、そういうことを考えますと、日本がそれだけの高い石油依存度を続けていくということは非常に不安定で、日本経済にとっての一番大きな制約要因になるのではないか。もしもそれだけ石油に依存していながらその石油の輸入が全く途絶するということは、戦争を前提にする以外はないわけでありますので、一応考えないことにいたしましても、供給量が大幅に削減されるとか、あるいは円滑に入らなくなってくるとかいうことになっただけで経済全体ががたがたになるわけでございますので、この点をもっと認識を深くする必要があると感じております。 そういうことでございまして、日本のようなエネルギー資源小国にとりましては、アメリカのようなぜいたくなことは言っていられないわけでございます。とにかく使えるものは片っ端から使う、開発できるものは片っ端から開発をするということで、もうたとえ一%でもいいから自給度を上げ、それから何%でもいいから供給力をふやすということであらゆるものをやっていきませんと、どれか一つをやればそれで全部解決するというようなことが言えるほどなまやさしい情勢ではないわけであります。特に石油につきましては、いま申しましたように一次エネルギーの七〇%ぐらいの依存度からなかなか下がらない、しかも石油自身の輸入依存度がほとんど一〇〇%に近いということでございますので、これをたとえばアメリカのように自給自足の方向に持っていくということはほとんど不可能であろうかと思いますけれども、不可能であるからといってその目標を放置いたしますと日本のエネルギー政策全体は収拾がつかない状態になるわけでございますので、先ほど申しましたように、一%でもいいから自給度を上げていく、自給度を上げられるための石油の開発はもう可能性のあるものは何でもやっていくということにいたしませんとどうにもならないわけでございます。 このエネルギーの自給バランスの議論をいたしますと、とかく五〇%ふえる、三〇%ふえるというものならやってもいいけれども、一%、二%あるいは五%というような小さなものはやってもしようがないじゃないか、そのぐらいのものはほかでどうにでもなるじゃないかという御議論があるわけでありますけれども、そういうことを言っていますと日本経済の場合はどうにもならないわけで、そういうことが言えるのは日本とは違う資源エネルギー大国の場合であると私は思います。 カーター大統領の核政策が現在非常に問題になっております。これはプルトニウムを核燃料として使えるかどうかということがわが国にとっての必要の最大の問題点でございますが、これにいたしましても、一次エネルギーの中のわずか数%のものでございます。しかし、その数%のものでもこれが使えるか使えないかということについては、アメリカは大したことはなくても日本にとっては大きな問題であるということでありますので、わが国としてはそのプルトニウムのエネルギーとしての使用を主張しているわけでございまして、それが全くほかのものについても同様でございます。石油資源の開発につきましても、もうあらゆる可能性をなるべく早くやりませんと間に合わないわけでございますので、とにかくエネルギーというものは現実に不足になりましてから開発を始めたのでは間に合わない、それから開発を始めまして少なくとも五年あるいは十年以上というようなリードタイムの間に、その間の経済の混乱をどうするかということを考えておきませんと、余り悠長なことは言っていられないと思います。 以上のようなことでございまして、私は大陸だなの石油開発というのはそういう意味におきましてなるべく早く進める必要があると考えております。 以上でございます。
○委員長(寺本広作君) どうもありがとうございました。 次に波多野参考人にお願いいたします。
○参考人(波多野里望君) 時間が限られておりますので、本日は南部の共同開発に関する協定の方についてだけ、それも比較的論議の多いと言われております十のポイントだけに絞って意見を述べてみたいと存じます。 第一は、大陸だなに及ぶ権利というものが主権的な権利であって主権そのものではないということであります。 御承知のとおり、今日の大陸だな問題と申しますのは、一九四五年のいわゆるトルーマン宣言に端を発したわけでございますが、そのトルーマン宣言においては、大陸だなに及ぶ権利が主権そのものではないことを明確にするために、注意深く管轄権という言葉が用いられていました。ところが、その後相次いで大陸だな宣言を発した国々が、こぞってより強い権利を主張したために、一九五八年に採択された大陸だな条約では主権的権利という言葉が用いられ、それが現在ニューヨークで開かれております第三回海洋法会議のいわゆる改訂単一草案にまでずっと尾を引いているという形になっております。 管轄権と主権的権利とでは確かにニュアンスが違います。管轄権という言葉には、領海外にまでそれを及ぼすためには宣言のような何らかの特別な行為を必要とするとか、あるいは他国の既得権とぶつかる場合、衝突する場合には、何らかの形での妥協を必要とするといったような意味合いが言外に込められております。 それに反して主権的権利という言葉は、わざわざ宣言を発しなくても沿岸国の権利が当然に及ぶのであり、しかも、それは他国の既得権に優越するのだといった響きを持っております。 しかし、主権そのものと同一ではないという点では、管轄権も主権的権利も何ら異なるところはありません。言いかえれば、現行国際法のもとでは沿岸国は大陸だなに対して主権そのものを及ぼすこと自体がそもそも許されていないのですから、仮に大陸だなの境界の線引きにおいて関係当事国のいずれかが何らかの譲歩をしたとしても、それは決して主権の放棄には当たらないということになります。 第二点は、大陸だなは国家領域ではないから、したがって安保条約等の適用がないということであります。国家領域といいますのは主権の及ぶ空間、すなわち領土、領海及び領空のことというふうに理解してよかろうかと思います。したがって、すでに見たように主権の及び得ないことが明らかな大陸だなに対して、これは国家領域には入りません。したがって、国家領域に対する攻撃というものを前提とする安保条約も大陸だなには適用されないことになります。言いかえれば、大陸だなにある施設が仮に攻撃を受けた場合は、公海にある船舶が攻撃を受けた場合と同列に考えればよいということになろうかと思います。 第三に、署名後の事態の推移というものをすべて考慮に入れるとしますと、条約というのはなかなか締結できないことになるのではないかということであります。 条約の署名と申しますのは、ある特定の時点におきまして当事国の利害が一致したことのあらわれでありますから、国際情勢というものはそれにかかわらず常に流動的でございます。署名後の情勢はほとんど必ずといってよいぐらい当事国のいずれか一方にとっては有利に、したがって他方にとっては不利に展開すると考えられます。そこで、もし署名後の情勢の展開が自国に不利だと考える当事国が常に批准を拒否するか、少なくとも延期するとすれば、条約が発効するという可能性はきわめて小さなものにならざるを得ない。 海洋法会議において二百海里経済水域が確立する公算が大きいことを理由に、日本の国会がこの協定の承認を見合わせるといたしますと、——私は国会にそうする権限がないとか、あるいは見合わせるのがいけないと言っているわけではございませんが、仮にそういたしますと、逆に大陸だなの自然延長論が採択される公算が大きい場合には、今度は韓国の方が批准を見合わせるというようなことになるわけであります。したがって、大陸だな協定が両国の批准を得て首尾よく発効し得るというのは、日韓両国がともに海洋法会議の将来の進展が自国に不利であろうと考えた場合に限られるということになります。しかも、客観的に見ますと会議の進展が両国にとって同じ程度に不利であるということは考えられませんから、したがって、結局条約というものは当事国のどちらかが将来の見通しを誤った場合にだけ意見の一致を見て発効し得るという妙な結論にならざるを得ません。したがって、将来の見通しというものは署名の前に十分につけておくべきでありまして、一たん署名した以上は、署名のときに考えられなかったようなよほど大きな事情の変更がない限りは速やかに批准をするか、あるいは批准ができない場合にはその旨を相手国になるべく早く通知するというのが国家間の摩擦を避け、ひいては国際の平和に寄与するゆえんであろうかと考えます。 なお、国会の条約審議権を無視ないし軽視するのではないかというおしかりをこうむるといけませんから、あらかじめ一言つけ加えておきますが、私がいま申し上げたのは国際法上の一般原則でありまして、日本国憲法とは直接関係ございません。国際法から見ますれば、条約の締結に国会の承認が必要かどうかということはもちろん、国会というものの存在が必要であるかどうかさえそもそも問題にならないわけでございます。言いかえれば、批准がおくれたという事実だけが問題であって、政府が条約案を国会に提出をしないのか、あるいは国会がなかなか承認をしないのか、あるいは国会は承認したのに政府が批准をためらっているのか、そういったいわば家庭の事情は国際法の目から見た場合には一切不問に付されるわけでございます。 第四点は、妥協点というものが両当事者の最初の主張の内側において、しかも両者の力関係によって決定されるということでございます。これはわれわれの日常生活においてもしばしば体験するところでございますし、ことに妥協点というのが力関係によって大きく左右されるということは、保革伯仲と言われる最近の政治において先生方がよく御存じのことだろうと思います。 そこで、日韓の間に力関係の差があるかどうかということをまず考えてみます。力というときにいろいろな指標をとれますが、すべてについてお話しするわけにはまいりません。たとえば経済力というものをとってみますれば、もちろん日本の方が大きく水をあけておりますが、もし兵隊の数、まあ兵隊というか兵力といいますか、軍事力ということになりますと、あるいは韓国の方が上回るという評価も出てくるかもしれません。ただし、大陸だなの問題に直接関係があるのは、そういった経済力や軍事力ではなく、むしろ両国の主張の合法性とか、あるいは妥当性の強弱、強い弱いであろうかと考えます。 ところで、日本にとってきわめて不幸なことは、深い海溝が日本寄りにあるというこれ事実がございます。そうであります以上は、日本が中間線、韓国との大陸だなの真ん中の線、中間線よりも韓国寄りに近い水域に対してまでわが国の主権的権利を及ぼし得るという国際法上の根拠は現在のところちょっと見当たりません。その意味では、日本としましては中間線を主張するのが精いっぱいでありまして、したがって、最初の主張がまず中間線であるということになります。そうだとすれば、その後の妥協というものがその中間線よりさらに外に向けて押し出せるということはあり得ない。いずれかといえば、多かれ少なかれその中間線より内側、つまり日本国寄りに落ちつかざるを得ないということになろうかと思います。したがって、中間線より日本国寄りに共同開発区域を認めるならば、同様に中間線より韓国寄りにも同様な区域を設けるべきであるという主張もときどき耳にいたしますが、それはどうもそもそも初めから無理な注文と言わざるを得ないと考えます。 第五の点は、しからばその中間線論と自然延長論とではどちらが有力かという点であります。日本が主張しております中間線論、あるいは韓国が主張しております自然延長論でありますが、現在の時点におきましてはほぼ互角ではなかろうかと思います。 第一に、向かい合う二つの国の間で大陸だなをどう分けるかという一般論としてとらえれば、中間線によった例が圧倒的に多いことは明らかでございます。ただ、それらの例をつぶさに検討いたしますと、その大部分が海底の地形に余り問題のない場合であることがわかります。つまり、ペルシャ湾のように湾全体の水深が非常に浅いとか、あるいは向かい合う両国の大陸だなの傾斜がほぼ等しい場合でありまして、日本寄りに深い海溝のある日韓大陸だなにそのまま当てはめるわけにはいかないようであります。日韓の場合に似たケースはいままでに四つあるようでありまして、そのうちの三つにおいては、海溝の存在を無視して中間線をとっております。残りの一つにおいては、自然延長に近い線で境界が画定をされております。したがって、単純に数の上だけから言いますと、中間線論の方がやや優勢、つまり日本の立場の方がやや有利であると言えますが、ただ、それら三つのケースがいずれも一九六〇年代の協定であるのに反しまして、自然延長論に基づく協定が結ばれたのが七〇年代であるという点に若干問題がありそうであります。なぜなら、それは六〇年末までは中間線論が優勢であったとしても、七〇年に入ってからは自然延長論が次第に有力になりつつあることのあらわれとも考えられるからであります。 第六点は、大陸だなと経済水域とではどちらが優越するかという問題であります。日本が依拠しております中間線論というものが将来頼りないとすれば、今度はいわゆる二百海里の経済水域論によって、現在共同開発区域に予定されている部分を日本の排他的管轄のもとに置くことができるのではないかといった主張もよく耳にいたします。これは現在進行中の海洋法会議において経済水域論が確立され、しかも自然延長論より優越的な地位を与えられるであろうといった予測を前提とした主張だと言ってよいでありましょう。 ところで、この点について外務省は次の二つの理由から、その予想とは全く逆の見通しをお持ちのようであります。外務省がそう信ぜられる第一の理由は、アメリカ、中国、インドといったような大国がいずれも自然延長論を強く主張しているという点であります。確かにそれは事実でありますし、大陸だなが距岸二百海里を超えて大洋に延びている場合には、その主張が恐らく多数意見となるであろうという可能性が十分ございます。けれども、大陸だなをはさんで二つの国が向かい合っている場合には、自然延長論を唱える国の反対側、対岸には必ずそれに反対する国があるはずでございます。——必ずとは言いません、恐らくそういう国があるというのが普通であろうと思います。そうしますと、つまり賛否が常に同数であるという形になりますので、果たしてそれが問題解決の決め手になり得るかどうか、私はいささか疑問に思っております。 それから外務省が主張される第二の根拠は、経済水域は数年前から台頭をしてきたいわば新しい概念にすぎない。したがって、トルーマン宣言以来三十年の伝統と実績とを備えた大陸だな理論より優位に立つことは恐らくあり得まいという点にあるようでございます。しかし、この点もああそうですかと素直には受け取りにくいところが多少ございます。なぜなら、もしこの論理でまいりますと、グロチウス以来三百年以上の伝統と実績とを備えておりました公海自由の原則が、戦後の新参者とも言うべき大陸だな理論に敗れるはずはないということになりますが、実際には大陸だな理論の方がわずか十年たつかたたないうちにりっぱに確立してしまったという過去の事実があるからでございます。 もちろん、外務省の場合には各国代表と直接に接触され、われわれが持っているのとは比較にならないぐらい大量の情報、資料に基づいて判断をしておられるわけですから、確率から言えば外務省の言われるとおりになる確率の方が大きいということは十分に考えられます。しかし、いずれにしてもこれは予測の問題でございますから、ひっきょう水掛け論に終わらざるを得ません。 そこで次には、経済水域論と大陸だな理論とが抵触する場合、衝突する場合、前者を、つまり経済水域論を優先させるという原則が海洋法の会議で確立したという仮定、一つの仮説、仮定の上に立って、さらに問題のありかを探ってみたいと、かように考えます。 第七点は、経済水域論が確立すれば、すべてめでたしめでたしとなり得るかということであります。自然延長論の優越性が海洋法会議で認められた場合に比べまして、二百海里経済水域の優越性が認められた場合の方が、日韓の関係に関する限り、日本にとってはるかに有利であるということはもちろんであります。しかしその場合でも、恐らく日本としては手放しで喜ぶわけにはいきそうもありません。 第一に、白紙の状態から新たに交渉を始めるのであれば問題はございませんが、日韓大陸だな協定というものをすでに署名してしまっている以上、いわゆる白紙還元ということはとうてい望むべくもないからであります。その点について政府が少し早まったというもし批判が出るかもしれませんが、それはあそこでホームランが出るとわかっていれば無理してランナーを盗塁させるんじゃなかったと、それでアウトになるんじゃなかったというのと同じでありまして、いわば結果論にすぎないと思います。言いかえますと、三年前あるいは五年前の時点において海洋法の結論を予見するということは何人もできない、できなかったのではないかというふうに考えます。 第二に、日韓双方のこの二百海里経済水域はほぼ完全に重なり合います。ここに地図がございますから、もし関心のおありの方は後でごらんいただければいいかと思いますが、日本の排他的管轄権のもとに入るのは共同開発区域の南の方のほんの一部にすぎません。韓国の二百海里経済水域をとりますと、日本の中国地方、それから四国、九州まで全部かぶりますし、あるいは日本のは朝鮮半島のかなり深いところまで及びます。この中間線は大体大陸だなの中間線と一致するわけで、わずかに赤の斜線を引いた部分、これだけがまあ共同開発区域の中で日本だけの専管、排他的な管轄権のもとに入り得る可能性のある区域ということになります。したがって、その他の部分についてはいままでと同じ問題が依然として残るであろうということになります。 それから第三には、過去において李承晩ラインとかというもので公海の自由を侵害したり、あるいは現在なお竹島を私に言わせれば不法占拠している韓国のことであります。したがって、仮に経済水域という法律的なにしきの御旗が日本に与えられたとしましても、それでは中間線より日本寄りの水域において韓国が単独開発をしないという保証は実はどこにもないのではないかと思います。 第九の点は、批准を先に延ばせばしからばどうなるかという点であります。 海洋法会議で日本に最も有利な結論が出たと仮定した場合でさえ、いま申し上げたように多くの問題が残るわけでありますが、実際に海洋法会議の最終的結論が出るのは何年先になるか、なかなか予見しにくい事態でございます。にもかかわらず、一縷の望みをかけてその日までこの協定の批准を延ばした場合には果たしていかなる事態が起こるであろうかということを簡単に考えてみたいと思います。 もとより、署名した条約はすべて批准しなければならないというわけではありませんし、まして、署名後どれだけの期間内に批准すべしということを定めた国際法というものもございません。しかし、当事国の一方がしかるべき期間内に批准をしなければ、他方の当事国が少なくとも署名した条約の内容を尊重する義務から解放されるということは十分に考えられます。木協定の場合にも、署名からすでに二年以上もたっておりますので、もし日本がこれ以上批准をおくらせれば、韓国はある意味でフリーハンドを得ることになります。経済水域論が海洋法で確立したと仮定した場合と異なりまして、中間線論と自然延長論とが優劣つけがたい現在では、韓国は自然延長論に基づき、この中間線より日本寄りの水域において、いわば大いばりで単独開発を始めることが法的には可能なわけでございます。 そうなれば、せっかく本協定に詳細に定められた汚染防止措置とかその他もろもろの規定がすべて御破算になり、したがって、たとえば石油の漏出等によってわが国の漁民が大きな損害を受けるという危険も格段に大きくなることが予想されます。 次に、しからば韓国による単独開発を阻止する手段というものがあり得るだろうかということを考えてみます。わが国としては、結論から先に申しますと、どうもそれを阻止し得るだけの有効な手段はないのではないかというのが私の印象でございます。 第一に、日本が仮に韓国の方には一銭も融資しないといたしましても、韓国から採掘権を得ておりますのはシェルとかガルフとかあるいはテキサコといったいわゆるメジャーがほとんどでございますから、必要な資金には恐らく事欠かないであろうと思います。 第二に、韓国のそういう単独開発、しかも日本寄りの水域における単独開発につきましてこれを裁判にかけようと思いましても、国際社会にはすべての国に対して強制管轄権を持った裁判所というものが存在しておりませんから、したがって、韓国がうんと言わない限りは裁判で決着をつけるということもできない相談であります。 第三に、そうかといって、れっきとした日本の領土である竹島を不法に占拠されてさえ、遠くから様子をうかがうだけのわが国でありますから、中間線より日本寄りの水域に韓国の油井が一本や二本立ったからといって、直ちに実力でこれを排除しにかかる——もちろん排除するだけの実力があるという仮定の上に立っての話でありますが、仮にあるとしても、実力でこれを排除しにかかるとはとうてい考えられません。 以上の考察からも明らかなように、実際にわれわれに許されておりますのは、実は本協定をいま批准するか、それとも日本に有利な結論が海洋法会議で出ることを期待して批准を先に延ばすか、そういう選択ではない。われわれに許されておりますのは、日本にとって必ずしも一〇〇%満足とは言えないとしても、この協定を批准するか、あるいは韓国による単独開発に目をつぶるかという選択でしかないわけであります。こうした不毛の選択を迫られるというのは決して愉快なことではありませんが、もしどうしてもと言われれば、私は韓国による単独開発よりも、一応秩序ある開発とか、あるいは高い保安基準とか、紛争解決のための手続等を詳細に明文化してある本協定の批准の方を選択したいと思います。 まだ述べたいことはたくさんございますが、時間でございますので、あと御質問があれば答えさしていただくことにいたします。 以上で私の意見の開陳を終わります。
○委員長(寺本広作君) ありがとうございました。 ただいまの参考人の御意見に対し、質疑のある方は順次御発言を願います。
○亀井久興君 生田参考人に若干御質問をいたします。 まず第一に、先ほどの先生のお話で、長期的な日本のエネルギーの需給見通しのお話がございましたが、昭和六十年目標は大体現在の八〇%増くらいになるだろうといういまのお話でございますが、その中で水力、石炭、こうしたことにこれ以上余り依存できない、原子力開発もなかなか思うように進まない。それから代替エネルギー、未来エネルギーとしての核融合、サンシャインとか、こういうものについては二十一世紀に入ってからでないとなかなかむずかしいだろう。 そうなってまいりますと、現在ではどうしても石油に依存せざるを得ないし、石油の依存度というのはなかなか低くなっていかないんだというようなお話でございますが、この大陸だなの共同開発との関連でございますが、大体今後六%くらいの経済成長でいったとしても、年間の石油消費量というのは恐らく昭和六十年で五億キロリッター超えるであろうというようなことになるわけですが、そういたしますと今度の共同開発区域で大体どのくらいの埋蔵量があるかという、この辺の数字がこの委員会でも大変問題になりまして、賦存量推定で七億キロリッターを超えるという数字もあるんだというようなことでございましたが、この程度の推定賦存量ということであると、日本の長期的な石油の消費量ということから考えても余りにも微々たるものではないか、そのために多額の金をつぎ込むということはいささかリスクが多過ぎるではないかという議論が一部に非常に強くあるわけでございます。 先ほどのお話では、少しでも、石油の海外に対する依存度というものを一%でも二%でも低めていくべきだというお話でございましたが、私どもとして大陸だなのこの推定賦存量七億キロリッターというものを、これを将来のエネルギーの需給関係の中でどのようなところに位置づけていったらいいのかという点をまずお伺いしたいと思います。
○参考人(生田豊朗君) ただいまの御質問でございますけれども、この日韓の大陸だなの石油の埋蔵量でございますけども、これも恐らくこれから現実に開発に着手いたしませんと正確な量がわからないんだろうと思います。私が承知しています限りでは、国連のエカフェの調査でも、世界的に見てもかなり有望な石油の埋蔵量のある地帯であるという報告が行われているようでございますし、今度の開発対象区域の全部ではないと思いますが、その一部で七億キロリットルぐらいの埋蔵量があるということが推定されているというように承知しております。 そこで、ただいま先生の御質問の昭和六十年で六%くらいの成長を続けていきますと石油の消費量が五億キロリットルぐらいになるというのは、私どもも大体そのくらいに考えているわけでございますが、そうなった場合に、七億キロリットルぐらいの埋蔵量があるところを開発してももう意味がないじゃないかという御議論は、これは私は誤っていると思います。なぜ誤っているかと申しますと、先ほどもいろいろ例を挙げて申しましたように、そういうようなパーセンテージが少ないから意味がないということを言いますと、これはもう水力の開発にしましても地熱の開発にしましても、それから石炭火力にしましてもやらない方がいいということになってしまうんで、それじゃ、これをやれば一挙に石油の依存度を半分に減らせるものがあるか、それからエネルギーの供給量の何十%を置きかえるものがあるかというと、そういうものはないわけでございます。ですから日本の場合は細かいものを積み上げていかなければいけないので、この七億キロリッリルの埋蔵量で、仮に三十年間で掘るといたしますと二千万キロリットルぐらいになると思いますが、私は、仮に二千万キロリットルの年間の生産量がある油田が開発されるということは日本にとって大変なことだろうと思います。なぜかと申しますと、この五億キロリットルの石油が、これは計算上五億キロリットル石油がないと困るということを言っているだけでありまして、五億キロリットルの石油が手に入る保証というのはどこにもないわけでございます。 私どもは、私どもだけではありませんで、たとえばOECDの国際エネルギー機関、IEAでありますが、IEAがことしの初めに発表しましたワールド・エナージ・アウトルックという、世界エネルギー展望という調査報告によりましても全く同じようなことを言っておりまして、これは私個人が申し上げるのではなくて、もう国際的にほぼコンセンサスのできた考え方だと申し上げてよろしいかと思いますが、一つは、このままで行くと世界の石油市場というのは売り手市場になってくる。つまり、供給能力に対して需要がかなり多くなってくる。ということは石油消費国、つまり石油の輸入国にとって石油の輸入が必ずしも円滑でなくなってくるおそれがあるんで、IEAの目標と申しますのは、ですから一九八五年に向かって世界の石油需給を売り手市場の形から買い手市場の形に変えていかないと供給の確保がなかなかむずかしい。ということはどういうことかというと、一つは供給力をふやすということと、もう一つは消費を減らすということと両方でございます。それで一〇%ぐらいの何と申しますか需要の削減ができれば、そこで売り手市場の形から買い手市場の形に転換できるのではないかということで、それを各国に要請しているわけでございますので、この五億キロリットルの輸入があるから、たとえば年間三億キロリットルぐらいの生産がなきゃ意味がないというのは、それは全く間違いでありまして、私は、一千万キロリットルでもあるいは五百万キロリットルでも、それが開発できてわが国の石油の生産がふえるものであれば、これは絶対にやるべきだろうと思います。それをやらないでいいということになりますと、ほかのものもみんなやらないでもいいということになりまして、全部足してみますとエネルギーが足りないということになると思います。
○亀井久興君 それから、現在中東諸国に七〇%ぐらいの依存度があるわけですが、中東諸国のOPECの戦略として、値上げと生産調整と両面作戦で現在やっていると思うんですが、そうなりますと、日本の中東に対する依存度というものをどうしても下げていかなくてはならない。ですから、できるだけ多角的な供給先をつくっていくということが必要になろうかと思いますし、それからまた、自主開発というものが、こうした形にしても可能な限り進めていかなきゃならないということが考えられると思うんですが、その際に、もう一つ日本の国際収支との関連で、現在すでに二百億ドルを超える外貨を石油の輸入のために必要としているわけですが、これが、OPECの戦略がどんどんそうした形での値上げ攻勢が続いてくると、将来一千億ドルぐらいの外貨が必要になるようなときも考えられないことではない。そういうことになってきたときの日本の経済に与える、国際収支面での影響と申しますか、そういうことについて先生のお考えを若干伺いたいと思います。
○参考人(生田豊朗君) いまおっしゃったとおりでありまして、いま二点御質問になったと思いますけれども、まず第一点の方でございますが、私は先ほどエネルギー全般につきましてその供給を多角化、多様化していかないといけないということを申し上げたわけでありますが、石油についてもいま御指摘のとおりでございます。なるべく多角化、多様化していかないとその供給の安定確保というのは非常に不安定になってしまうわけでありますので、多角化しなければいけないと思います。ところが、石油につきましては多角化しようと思ってもなかなか多角化できないわけでございます。と申しますのは、OPECの諸国の中でもこれから先大幅な増産ができる国はどこかというともうほとんどない。サウジアラビア一国が大幅な増産の可能性があるわけでありまして、ほかの、たとえばイランあたりはもう数年後にはだんだん減産になる可能性がある。ほかの国も余り増産ができないので、今後のOPEC諸国の石油の増産といいましても、サウジアラビアが増産するかどうかというのが実は問題でございまして、増産しないとできなくなってくるわけであります。 ですから、先般カーターのエネルギー政策とほとんど同じころに、アメリカの中央情報局——CIAが世界のエネルギーの需給の見通しを発表したわけでございますけれども、これは非常に悲観的な見通しでございまして、サウジアラビアも、国内の開発計画あるいは過剰外貨との関係からいって余り増産をしないであろう、ほかの国は増産ができない。それから共産圏におきましても、ソ連圏が現在では大体石油の需給はバランスしておりますし、私どもは将来少し域外への輸出余力があるのじゃないかという感じを持っておりましたけれども、CIAの報告では、逆に供給力が不足で輸入しなければならない、これが中東にやはり買いに行く。それから中国も石油の輸出余力がほとんどなくなるという、非常に悲観的な見通しをしております。私はちょっと悲観的に過ぎる見通しだとは思いますけれども、悲観的な要素をとっていきますとそういうことになりますので、需要があれば幾らでも増産してくれるということは考えられないと思います。したがいまして、供給面の多角化の一環として、自力で開発できるものは片っ端からやっていくということをしないといけないと考えております。 それからもう一つの外貨の面は、実は先ほど申し上げようと思ったんですが、時間がありませんので省略いたしましたけれども、これは実は石油の輸入についての非常に大きな問題でございまして、大体四億五千万キロリットルから五億キロリットルの石油を輸入するように、ほっておくとなってしまうだろうということを前提にしまして、それから今後OPECが毎年五%程度の値上げをしていくということを前提にいたしますと、現在約十三ドルの標準原油の価格が、昭和六十年には大体二十ドルに上がってまいります。それで四億五千万キロリットルから五億キロリットルの石油を輸入いたしますと、輸入外貨支払いが五百億ドルから六百億ドルになってまいります。ですから、これ実は日本の貿易収支の面からいって、それだけの輸入力があるかどうかという問題が一つ問題でありますのと、それからさらに、総合貿易収支の面だけではありませんで、この五、六百億ドルの輸入というのがほとんど全部OPEC諸国に対する輸入支払いになるわけでございまして、OPEC諸国に対する輸出は余り大きく期待できませんから、相当大幅な入超がそこでこげつくということになります。これをカバーするためには、ほかの国、恐らく先進工業国のマーケットになると思いますが、そこへの輸出を相当ふやしまして総合収支としてバランスをとるということにならなければいけないんで、それはどういうことを意味するかと言いますと、最近ECあるいはアメリカのマーケットで起こっておりますような日本の輸出の問題ですね、ああいう問題がかなりこれからも多発してくるということを覚悟しなければいけない。これをどうにか解決しながら輸出をふやしていくということは簡単なことではないと思いますから、外貨面での石油の輸入の制約というのは非常に私は大きいと思います。 ということになりますので、ただ資源的な、一種の物動計画のような量の問題だけではありませんので、そういう貿易面での影響も考えますと、これは自給度は先ほど申しましたように一%でもふやしておくということは、そういう面でもそれだけの効果があるというように考えます。
○福井勇君 生田先生にも非常に貴重なお話をいただいて、私自身としても参考になっております。 日本エネルギー経済研究所さんというのは、私不勉強だったんですが、一分間でお話し願うとすれば、どういうことをやっていらっしゃるんですか。
○参考人(生田豊朗君) 十年前に設立されまして、これは純民間の財団法人でございます。それで、エネルギー問題につきましての情報の収集、資料の整理、それからエネルギー問題、これは技術の問題ではございませんで経済問題にしぼりまして、それの分析研究をいたしまして資料を作成して発表いたしております。
○福井勇君 技術の問題はないという、私はそれを聞こうと思ったんですが、技術の問題はないんですな。技術のことを扱ってはいらっしゃらないんですな。
○参考人(生田豊朗君) 関連する程度ではやっておりますけれども、自分で技術の開発をするとかいうことはやっておりません。
○福井勇君 私は実は技術屋でございますのでそれに偏りやすい傾向がございますけれども、いま一般に、お並べになったエネルギーの基礎、原子力にしたって、あるいは水力発電にしたって、もう石油にしたって、いま言われている——たまには活字にあらわれていますが、風力についての資料をお集めになったことがありましょうか。
○参考人(生田豊朗君) 風力につきまして私どもの研究所で特に取り上げてはおりませんけれども、御参考までに申し上げますと、最近アメリカのエネルギー技術開発庁、ERDAと言っておりますけれども、ERDAから出されました資料を入手いたしまして持っておりますが、これは風力発電につきましてわりあいまとまった物だろうと思います。非常におもしろいのは、世界の風力資源——風力発電をやるということになりますと風も一つのエネルギー資源でございますので、その風力資源の世界的な分布図をかいておりますけれども、そういたしますと、日本は風力資源につきましてはわりあい資源大国だそうでございまして、日本のエネルギー資源の中で大国に値するのは風だけではなかろうかと思いますが、したがいまして、わが国でもその風力大国といたしまして風力資源の開発に関心を持っている方がおられますが、現在のそのアメリカのERDAの技術開発、相当の予算を投入してやっておりますが、それでも、いま資料を持ち合わせんのでうろ覚えでございますけれども、千キロワットの風力発電機でございますが、それに使いますプロペラ、羽の全長が大体ジャンボジェット機の羽の長さに相当するということで、これは飛行機との比較を図解しました表が一緒についていますのを覚えておりますが、現在の技術では千キロワットに大体ジャンボジェット機の羽ぐらいのあれが必要だということになってまいりますので、そうしますと、たとえば百万キロワットの風力発電をやろうと思いますとジャンボジェット機千機分の羽が回るだけのスペースを用意しなければいけないということでございまして、そういうことが、先ほど申しました、そういう新エネルギーの開発はこれから可能性はあるけれども、いますぐ在来のエネルギーに代替し得ないということの一つの何といいますか証明になると考えております。
○福井勇君 皆さんが貴重なお時間でございまするので、私がインターフェアすることをなるべくしないように心がけて、お答えも簡単にしていただきたいし、私も簡単に申し上げます。 いまの風力の、アメリカのERDAですか、それの資料などがいただけたら一度伺いたいと思いますが、その節は、可能であったらよろしくお願いいたします。 エネルギーの現在の核融合というような云々のことが出ました。私は、当面ウランという物が原子力開発の基礎になっておりますることから、昭和二十七、八年ごろから——日本の原子力開発というのは昭和二十九年からですが、台湾にも、朝鮮にも、日本全土でも、どこかにオーストラリアのように、アメリカの、あるいは南アの方面のように、何かウランが出るところはなかろうかというので、科学技術庁を督励してあらゆる調査をしましたが、現在のところは石油と同じようにだめです。人形峠も何十億も使いましたけれどもだめです。岐阜県の山奥に非常に有望だと思われたのもだめです。それは大体ラジウムの温泉の出るところにプロットを当ててみたんですが、出るには出るけれども、ごらんのとおり有望ではないということでございました。しかし、その間世界の原子力発電は、アメリカとイギリスが先鞭をつけて、ウランを基礎としてのプレッシャライズドウォーター——PWRとBWRを基礎としての原子力発電が開発されてきて二十年、ほぼ二十三年ぐらいになるんです、実用化してから。 私が言おうとするのは、そのアメリカで一番先実用化したのはヤンキー発電所、インディアンポイントの発電所、英国ではコールダーホール、これは全部使い物にならぬようになっています、現在。それはもうあたりまえです。二十三年たっているからそれぐらいの進歩があってあたりまえ。 そこで、私が何を言いたいかと言いますと、核融合等が非常に飛躍的な研究成果が得られて、これが本当に、日本でも諸外国でも石油エネルギーに依存しておったところの物が転換するようになれば、私はいまの科学技術の飛躍の程度と比較しまして、十年か二十年でぱあっと変わってしまうと思うんです。私たち技術者の世界では、海水からウランを取るということについてもう真剣に考えています。海水から取る。もちろん含んでいますから、これが取れるとなったらよそに御依頼申し上げなくても何でもないんです。私が昭和二十九年、この参議院で、吉田内閣、小笠原大蔵大臣、森永日銀総裁が主計局長のときに、原子力の予算を一億五千万円ばかり私が取ったんです。みんな笑っておった。衆議院の方も通ったけれども、参議院の方もなかなか質問が多くて、それからすでに二十三年たっておるわけですが、こんなに変わってきたんです。 そこで、最後に御意見を承りたいのは、いま日本の原子力開発を現在の状況でどんどん進めておりますけれども、世界のいずれのところにも、いずれの国にもないような土地問題で難関に逢着しております。経済研究所の権威のある生田先生のところなどは、専門ではございませんでしょうけれども、こういう解決をしなかったら日本の、何億キロワットというような計算をどんどんしておりますけれども、とうてい原子力船一つだってもう頭をついてしまってどうにもならぬようになってしまっております。なってしまっておるんじゃない、道をあけてくるかもしれませんが、まあ土地問題です。空港と同じです。そういうことについて御高見を拝聴して、私の質問を終わります。
○参考人(生田豊朗君) 余り大陸だなと関係がないようでございますので、一言だけ御答弁さしていただきますけれども、私は、ただいまの先生の御質問の原子力の開発の行き悩みにつきましても、ほかの問題につきましても、たとえば石油の備蓄基地をつくるのにしましても、あるいは石炭火力発電所を建設するにしましても、それが当面しているむずかしさというのは皆共通の点があると思います。たとえば原子力発電所は、ただいまおっしゃいましたように、建設が非常に難航しているわけでございますけれども、それではその原子力発電所の建設のサイドでそれはやめてしまって石炭火力にかえるといったらもろ手を挙げて賛成が得られるかというと、そういう情勢ではないわけでございまして、先ほど飛行場の問題も引用されましたけれども、私はそういう基本的なところに問題があると思いますので、特にエネルギー問題につきましては、むしろ私からお願いしたいと思いますけれども、国会におかれまして、私が先ほど御説明しましたような数字と事実とタイミングとを十分考えました具体的な御討議をぜひお願いしたいというように思っております。 と申しますのは、エネルギー問題というのは、政策の選択の幅の非常に小さい政策であると私は考えております。つまり、だれがやりましてもやり得ることというのは非常に限られているものでございますので、なぜ限られているかと申しますと、それが限られていないように見えますのは、先ほど申しましたように、原子力のかわりに太陽熱をやればいいじゃないかとか、石油の開発をやらなくても、地熱をいまの百倍にふやせばいいじゃないかとかいう、たとえばタイミング、時間の要素を無視した議論、あるいは現実を離れた議論、あるいは数字、その石油の何%を置きかえるのにはどのくらいのなにが必要かというような議論、そういうものが欠けているためにその対応策が抽象的になっていると思いますから、私は、お答えになるかどうかわかりませんけれども、国会におかれまして、そういう具体的な、しかもその量と時間との入った議論を十分やっていただきますと、そういう問題についての困難性というのはかなり解消するのではなかろうかというように考えております。
○矢原秀男君 波多野先生にちょっと二、三質問したいと思います。 一つは、こういう国際情勢ですけれども、韓国政府と五十年に及ぶ協定が時宜に適しているのかどうかという問題があるのですけれども、そういう点については、先生いかがでございましょうか。
○参考人(波多野里望君) ただいまの御質問にお答えいたします。 五十年というその長さの問題と、それから現時点で結ぶことがいいか悪いかという二つの面があろうかと存じます。現時点で妥当かどうかというのは、これは実は私の判断を越えるかもしれません、どの面に重点を置くかによって異なってくると思います。たとえば安全保障とか米軍の撤退とか、あるいは日韓癒着の何か黒いうわさであるとか、そういうもろもろの要素を考えました場合には、私、ショートレンジで見た場合には、多少ずらしてもいいだろうということはあるというふうに思います。ただ、いま生田参考人からもお話がありましたように、やはりこのエネルギーという面から見ますと、どうしても確保する必要があるし、それもむしろ陸地でやるよりは少し離れたところでやっている方がいろいろな意味で抵抗が少ない。そういう意味では、技術的に可能な限り早く進めた方がいいのではないかというふうに私は思っております。 それから第二の五十年というそのタイムスパンといいますか、それが少し長過ぎるのではないかという御議論もあろうかと思います。ことに、孫子の代まで主権放棄をするに等しいというような議論もときどきあるわけでありますが、私は、これも五十年を長いと見るか短いと見るかは多分に主観に左右されると思いますが、生田参考人に伺いたいぐらいでありますけれども、普通アラムコなどがやっておりましたコンセッション契約などでは大体六十年ぐらいというのがたくさん例があるように聞いております。したがって、石油の開発というような非常に莫大な資本を必要とする事業の場合には、六十年というのが相場であったということを考えますと、まあ五十年というのはそう長くはないだろうという気がいたします。 ただ、私はこの条約の規定の仕方には多少疑問を持っておりまして、たとえば初めの試掘が八年、それから三十年、後五年、五年でトータル目十八年、それを切り上げて五十年という形になっておりますけれども、その三十年まではいい、八年と三十年まではわかるが、後の五年、五年というのは、これは五年ごとに改めてその更改ができる形でありまして、そのうちのなぜ二回のところまで初めに見込んで、足し算の中に加えて五十にしたのかという点は、私はちょっと疑問を持っております。もし本当に必要なら、八年と四十年というふうにするならそれで筋が通っていたのじゃないか。ですから、そういう形式的には多少疑問を持ちますけれども、実質的には五十年というのが、石油の開発ということから言えば、そう不当に長いものではないと思います。 それからもう一つは、条約というのは生き物みたいなところがございます。その有効期限の長さによって非常に硬直化して困るという場合もあるいはあるかもしれませんけれども、たとえば中ソ同盟条約一つをとりましても、御承知のように五〇年に結ばれて三十年間有効ということになっております。形式的には現在も有効でありますけれども、五七、八年から中ソの関係が少し一枚岩でなくなりまして、現在では中ソ同盟条約としての機能は恐らく果たしていないと思います。しかし、そういう必要がなくなり、両国の関係が条約を締結したときとは違ったことになれば、それはそれなりにたな上げして、別に両国は両国で別途上手につき合っていくということがあります。 それから二国間条約だけでなくて、たとえば現在の国際社会においては憲法的な存在といいますか、国連憲章のような多数国間条約についても多多そういう例がございます。たとえば国連憲章では、安全保障理事会の非常任理事国の任期は二年とはっきり書いてあります。日本も何度かそれで当選してきたわけであります。しかし他方で、その非常任理事国に選ばれるためには総会の三分の二の多数を必要とする。その三分の二がとれないということがございます。その場合にどうしたかと言いますと、最初に起こったのは五六、七年でありますが、ユーゴスラビアとフィリピンがどうしても決着がつかないので、結局二年の任期を一年ずつ折半した。これも厳密に言えば国連憲章違反でございます。しかしそういう形で、それも五回ぐらいそういう例がございます。ですから、有効期限の長さだけを抽象的に取り上げて長い短いという必要は、私は余り心配しなくていいんじゃないか。必要がなくなればたな上げされるだろうし、また必要に応じては、いまの国連憲章のように、その必要に応じた解決というものがその中で行われていくというふうに考えております。
○矢原秀男君 そこで私の一面心配しておりますのは、いま地図でも明示されていらっしゃいますように、やはり外交には常に隣国というのか、たとえばこの問題でも中国の問題であるとか北朝鮮の問題であるとか、非常に絡みの、もう少し明確化の、地質の問題もございますけれども、そういう関係で、私も少しこれ隣国に対して、関係国間のこういう外交交渉というものが韓国オンリーでいいのかなという懸念さえも少しあるのですけれども、その点どうでしょうかね。
○参考人(波多野里望君) 私の意見を申し上げます。 先ほどの地図をもう一度広げさしていただきますが、これ御参考までに、中国からの二百海里の線もここに引いてございます。この紫のがそれでございます。そうすると、この部分で日本との二百海里の線がちょっとダブります。この真ん中が中間線になりますので、いまの共同開発のはこの中間線よりやや日本側に入っていると、そういう意味ですから、中間線より中国寄りになってないということは恐らく認めていいだろうと思うんです。ただ問題は、中国も御承知のように自然延長論で来ておりますので、韓国と同じような一戦交えなければ決着がつかない面があろうかと思います。 ただ私は、これはもう推測の域を出ませんけれども、中国といいましてもその自然延長論がそのまま一〇〇%通るし、いわゆるコンチネンタルマージンと申しますか、大陸だなの外縁まで全部そっくり自分が排他的にその管轄権を及ぼし得るとは恐らく考えてないんじゃないかと、一応主張はしてましても。したがって、その場合にはこういう共同開発といったような形が、一つのお手本といいますか、見本になるのではなかろうかというふうに考えております。ただ、この経済レベルの問題でいけば、足して二で割るような、あるいは多少こちらが譲ればそれで向こうが満足をしてくれるような解決方法というものが可能であろうかと思いますけれども、いま御指摘いただきましたように政治が絡みまして、たとえば北朝鮮をどうするのだという話になりますと、これは足して二で割ることができません。韓国と北朝鮮をそれぞれ別個の国として承認をするという前提にまでもし譲れば、あとは韓国と中国とか日本と北朝鮮の間の国交が開かれれば、四つの国が集まって討議するということは、これは可能かもしれません。これは日中の間でも一昔前はとても考えられなかったことができているわけですから、決して不可能だと思いません。ただ、もし中国が朝鮮半島を支配するのはあくまで一つの政府であると、そしてこちらの南の方まで北朝鮮の政府の同意でもって大陸だなの境界画定をしなければならぬと、そういう立場をとられますと、これはちょっと日本としてはついていかれないだろうと思うんです。 ですから、いまおっしゃったような政治的なインプリケーションにしましても、中国の側がどういう形で朝鮮の代表権と申しますか、韓国も認めるという前提で話に乗ってくれば、これは日本としてもかなり考え得る余地があり、さもなければちょっと無理だと。そうすると、これはもう妥協の余地がございませんから、私としてはやはり人様のテリトリーに入らない範囲内では、こっちが手を打てるところは先に打っていかなきゃならぬ。後で問題になればやはりしかるべき条件で共同開発といったような形をとらざるを得ないんではないかと、かように考えております。
○矢原秀男君 では生田先生、一つは商業ベースに乗せるまでの投下資本というのですか、それは大体何百億がこの共同開発区域では限度であるかという問題と、もう一つは、いま海洋法会議で問題になっておりますけれども、これは理念的な問題ですけれども、深海の海底及びその資源が人間共同の財産であるという国連総会の宣言ですね。こういうものがいつ爼上にぴしっと具体的に、各国の代表によって個々の国々のそういう利益というふうなことではなしに、本当に地球上の国々のものが相互的に人類共同の財産であるという大きな立場に立ったそういう時点が実際に来るのかどうか、そういう点どうなんでしょう。
○参考人(生田豊朗君) 第一の点の投下資本でございますけれども、私は石油開発事業につきましては余り専門的な知識を持っておりませんので具体的にお答えいたしかねますので、この点は午後に石油開発公団の鯨岡理事が参考人に出るようでございますので、そちらに御質問をしていただきたいと思います。 第二の点でございますけれども、ただいま先生の御指摘になりました点は理念としては私も同感でございますけれども、現実問題としては非常にむずかしいものだろうと思いますし、現に石油にいたしましても産油国の権利の主張が非常に強くなってまいりまして、昨今のような事情になっております。さらに非常に危険なことは、第四次中東戦争を契機にいたしまして石油を一種の武器として使う、第四次中東戦争では事実そういうふうに使われたわけでございますし、最近数日間の新聞を見ましても、やはり中東の政治、軍事情勢と関連しまして石油を武器として使うということを言う有力者があらわれたり、あるいは使わないと言う人があらわれたり、非常に不安定な状態でございますので、先生のおっしゃったことは理念としては正しいと思いますけれども、現実の世界情勢に照らしますと急速にはなかなか実現し得ないのではなかろうかというふうに考えます。
○田渕哲也君 まず生田先生にお伺いしますが、一九八〇年代にエネルギー危機が来るということはCIAの報告とか、あるいはWAESの報告とかいろいろあるわけです。ところが、反面それに反対するような楽観的な意見もあるわけですけれども、日本エネルギー経済研究所ではこれについてどう見ておられますか。 そして、CIAにしてもWAESにしても、これは石油の需給ということに焦点を当てておるようですけれども、石油の需給関係が逼迫すれば当然エネルギーコストが上がってくる。そうすると石油の代替品——かつてオイルシェールとかタールサンドとか言われましたけれども、そういうものの代替物の開発状況はどうなるか。 それから、核を初めとする新エネルギー開発のタイミング的な問題はどうなるか。 そういうものを総合的に判断して、うわさをされておる一九八〇年代のエネルギー危機というものについてどういう把握をしておられますか、お伺いをしたいと思います。
○参考人(生田豊朗君) お答えをいたします。 ただいまの御質問の点が非常に重要な点であろうと私考えるのですけれども、エネルギー危機というのは一体何であるかという問題になると思うのです。これが、実はわが国の中でこのエネルギー危機問題が論じられますと、どうしても物動計画のようなものになってしまう。ところが、一般的に国際的にこのエネルギー危機の問題が論じられますときは必ずしも物動計画ではない。そこに実は私は日本の国内におきましてエネルギー危機問題というのがなかなか理解されにくい一つの理由があるのではないかと思うのです。 つまり、先ほど私もやや物動計画的な御説明をしたわけでございますけれども、こういう前提でエネルギーの需要を計算すると幾らになって、それの供給がこうなってきてどのくらい足りないということは、一つの政策判断の前提としてはそういうことをいろいろやる必要がございます。しかし、世界の何といいますか、先進工業国と申しますか、エネルギーの大消費国がエネギー危機ととられておりますのは、何年に何キロリットルの石油が足りなくなるかということではなくて、一般的にエネルギーの供給が石油の供給を中心としてきわめて不安定になるということでございます。これは適当な日本語の翻訳がございませんけれども、英語では御承知のバルネラビリティーという言葉を使っておりまして、そのバルネラビリティーという強いて日本語に訳しますと不安定性とか、私は薄氷を踏む思いというのがバルネラビリティーだということをいつも言っておるわけでございますが、そういうことで、つまり予測というのはあくまで予測でございますから、いろいろな前提条件がすべて有利な方に設定される、あるいは有利なように展開するということになりますと、あるいはそのエネルギーの不足というのは起こらないかもしれません。しかし、それは起こるか起こらないかということを議論するよりも、まず蓋然性の高い条件を並べて、それで予測する限りはエネルギーの供給が不足してくるということは相当の確率で予測される。しかも、そのエネルギーというのが国民経済にとって非常に基本的なものである以上は、もしもその甘い方の予測をとって対策を怠って、それで現実にエネルギーの不足が起きたときは、それを回復する手段というのはないわけで、きわめて困難でございますので、国民経済なり国民全体に対して非常に大きな打撃を受ける。したがって、どうやってその予測される不安定性を解決するかということになってくると思います。したがって、そういう不安定性を解決するために蓋然性の高い方向に向かって政策を展開するということが基本でございまして、わが国でも同じような考え方をすべきだろうと思いますが、とかく、ただいまおっしゃいましたように、数量的にどうこうということになってしまうので、問題点がややぼけてくると思います。 それから第二に、エネルギーの高価格と代替エネルギー開発の関係、いわゆる価格効果でございますが、これは実は昭和四十八年の石油ショックの直後には各国とも、特にアメリカの国において傾向が強かったわけですけれども、エネルギー局価格時代を迎えると、その価格効果によって代替エネルギーの開発が相当進むであろうという予測が強かったわけでして、たとえばアメリカのプロジェクト・インデペンデンスにおきましてもそういうファクターがかなり織り込まれておりますし、ヨーロッパ諸国でもそう考えていたわけですが、実際には原油の価格が四倍に上がってエネルギー高価格時代を迎えたにもかかわらず、代替エネルギー開発における何格効果というのは思うほど効かないということが現実でございます。詳細は省略いたしますが、たとえば石油に直接かわるようなオイルシェールとかオイルサンドにいたしましても、当時は原油の価格が十ドルになれば十分コンペティティブになるということで開発が進むという予測がされましたけれども、始めてみるといろいろ経済的あるいは経済外的な困難性がふえてきまして、いまだに実用化にはほど遠いということがいろいろの点にございまして、思うほど価格効果が効かない。長期的なトレンドとしては効いてまいりますけれども、いまわれわれが問題にしております短期なり中期のエネルギーの供給増大の手段としては余り価格効果は効いていないというふうに考えております。
○田渕哲也君 波多野先生にお伺いしますが、先ほど大陸だな条約の批准の問題は、共同開発かあるいは韓国の単独開発を許すかの選択だと言われましたけれども、もしこれが批准されなければ韓国は単独開発をするとお考えですか。私は、いろいろ情勢考えてみますと必ずしもそうではないと思うんです。一種のおどし的な意味があって、単独開発をするにしても韓国自体にはそれだけの力がないわけですから、これはメジャーの力をかりてやる。それから、メジャーそのものがやはり日韓関係あるいは日米関係、そういうことを考慮すれば、そう簡単には単独開発には乗り出せないのではないか。これが第一点です。 それから第二点は、石油開発をやっておる位置、これは領域外だから日米安保条約の適用を受けない。そうすると防衛は自主防衛でやらざるを得ないということになりますね。その場合は自衛権の発動ということになるのかどうか。 この二点についてお伺いをしたいと思います。
○参考人(波多野里望君) お答えいたします。 もしこの協定を批准しなかった場合、あるいは批准が非常におくれた場合に韓国が単独開発に入るかどうか、これ事実の問題としては私も正確な予測はもちろんできません。ただ、私は二つの面から考えてその蓋然性はかなり高いんじゃないかというふうに思っております。 一つは、御承知のように、韓国が共同水域より韓国よりのところに幾つかの鉱区を設けて、それぞれガルフとかシェルとかに試掘をさせております。その結果、余りはかばかしい結果が出ていない。そうなりますとどうしても南の方に進出せざるを得ないだろう。単に名目的に鉱区を設定しているというだけじゃなくて、それだけの試掘を重ねてきたということは、やはり韓国にもエネルギーの需要もあるでしょうし、それから、一つには日本がどんどん一方的につくっていっちゃうということに対して、シンボリックにそこにやはりつばをつけておくという二つの意味がありまして、私はかなりその蓋然性は高いのじゃないかと思います。 それからいま御指摘ありましたように、メジャーというのはそれはアメリカ——一つオランダもありますけれども——ともちろん深い関係にある会社でありますから、それが日米関係その他を考慮してということは御指摘のとおりだろうと思います。ただ、それもさっきの御質問に対するお答えが午後に保留されたものですから、幾らかかるかというコストの計算はできませんけれども、しかし私は本格的な商業ベースに乗るような開発ということになればこれは大変な資金を要しますけれども、試掘程度の、さっき申し上げたシンボリックにここにあるのだぞという程度の油井を立てること、これは私は決して不可能ではない。あるいは韓国独自の資金をもっても可能ではなかろうか。そういうことで、平たくいえばいやがらせといいますかね、あるいは将来に対する少し先取り的な意味を含めてそういう挙に出ることはあり得るのではないかというふうに思います。 それから第二の自衛権の点でありますけれども、これは先ほど申し上げましたように、一般の公海その他のところにおきます船舶とか航空機が攻撃されたと同じようなふうに考えますので、自衛権という場合に、国際法のレベルで自衛権を考えるときと、それから日本の憲法あるいは自衛隊法のサイドから考えますときに大分ずれがございますので、私は国際法の専門ということになっておりますので、国際法的に考えますれば、これは武力攻撃を受ければ一応自衛権というふうに考えてしかるべき手段をとれるというふうに思います。ただどういう手段が許されるかは、いま申し上げたように今度は国内法の問題でありまして、ただいまの自衛隊法ですと臨検捜索もなかなかできないしということになりますから、そういう制約は別の方から加わると思います。国際法的には自衛権の発動し得る条件だというふうに考えております。
○大鷹淑子君 生田先生に伺いますが、南部共同開発の区域とは第七鉱区でございますけれども、北海油田に比べていろいろな悪条件の面があると聞いております。水深の面とか黒潮の分岐点であるとか、そういう悪条件を押しての採掘になるわけですけれども、第十条によりますと、八年間採掘すると、費用の面、投資の面も大変なことになるのであろうと思いますし、どれほどそれだけの投資をして何本実際に油が噴き出すのかそれはわかりませんけれども、もし出た場合にその石油の値段というものが大変高いものにつくのじゃないか。中東から輸入する石油、また中国から輸入する石油に比べての値段の面でちょっとお伺いをしたいのですけれども。
○参考人(生田豊朗君) 私は、この日韓大陸だなの具体的な地形とか開発コストについて余り詳細に存じておりませんので、やや間接的な御説明、お答えになるかと思いますけれども、英国とノルウェーでやっております北海の油田開発でございますが、あれも比較的掘りやすいところからだんだんむずかしいところに移っているわけでございます。最初のころ、比較的開発がやさしいところの生産コストがたしかバレル当たり二、三ドルという比較的安いところのものから始まったと思います。それで一番むずかしいところですとたしか十ドルぐらいになると記憶しております。ちょっと手元に資料がございませんので正確ではございませんが、大体間違いないと思います。 この日韓大陸だなが北海と比較いたしまして生産コストの面でどうなるかということは私は詳細は存じませんけれども、北海油田の一番むずかしいところよりもさらに少しむずかしいといたしましても、たとえば十五ドルぐらい、これは現在の世界の石油の生産コストとしては法外に高い生産コストでございます。御承知のように、中東では一ドル以下何十セントという生産コストでございますから。そうなりましても、現在の標準原油の価格がバレル当たり約十三ドル、これから恐らく最低五%ずつぐらいは上がっていくと思いますので、それを考えますと輸入価格に比べて非常に割り高だということにはならないのじゃないかと私は思いますけれども、この辺、採掘の専門家の御意見をもう少し詳しくお聞きをいただいた方がいいと思います。
○大鷹淑子君 波多野先生にお伺いしたいのですけれども、海洋法会議で討議されております経済水域二百海里、いま詳しくお話を伺ったのですけれども、その南部開発区域は日本の経済水域になるわけですね。そうしますと大変有利な面もあるということなんですが、これが大変近い将来に海洋法会議で認められるのではないか。この夏ごろではないかということを聞いておりますけれども、そういたしますと、これは余り急いでいま批准しないで待っていてもいいんじゃないかというふうな考え方が出てくるんですけれども、いかがでしょうか。
○参考人(波多野里望君) お答えいたします。 一つはその見通しの問題でありまして、これは実は私は資料を持ち合わせません。アップ・ツー・デートな資料はむしろ外務省等の方がお持ちだと思いますので、意見は差し控えたいと思います。したがって、もし仮にこの夏といい秋といいそういうものが通ったと、成立したというふうに仮定の問題として考えてみます。いま大鷹委員は日本のものになるんじゃないかとおっしゃいましたけれども、必ずしもそうでございません。先ほどの私の説明が不十分だったかもしれませんが、日本の方からばかりますとこの赤い線、ごらんになりにくいかもしれませんが、ここまで、つまり朝鮮半島の南半分を含むぐらいまでが二百海里という、これは水域ではございません、もちろん陸がございますから。ただ二百海里というものを単純に引きますとここまで日本の管轄が及ぼし得ると、もしこっちが海であればですね。それから、同様に韓国のはこの広島あたりまでみんな入ってしまうと、九州は大部分が韓国の二百海里の中に入るということになります。したがって、この共同開発区域に予定されておりますところは両方の管轄権が完全にダブると。この赤で斜線を引いた部分だけが韓国の二百海里の外であって日本の二百海里の中にある。この部分だけは韓国の二百海里の線の外にあります。したがって韓国の管轄権は及ばない、しかし日本の二百海里の中に、ふところにありますから、ここだけは、いまは共同開発に予定されておりますけれども、もし二百海里の論でいくと、しかもそれ以上には出ないということになりますとここだけは黙っていて日本のものに——ものと言うのは語弊があります、日本がもっぱら開発できるタイトルを得るだろうと、かように考えます。したがって、これだけダブりますと、結局それをまたどう分けるかということになりますから、この中間線の問題がもう一遍出てこざるを得ません。そういう意味では、この真ん中で線を引くという意味ではいまとあんまり違わないように見えます。 ただ大きな違いは、さっき申し上げましたように、大陸だなというのはどうしても海底の地形が主たる問題となりまして、韓国の方からは非常になだらかであって、日本に近いところに深い海があるというのがつまり日本にとっては一つは頭痛の種なんで、そこに弱みがあるわけです。ところが、経済水域ということでいけばこれはもう沿岸からの距離が優先します。下のでこぼこは関係ない、とにかく距離でいっちゃう。そうなりますと、同じようにもし主張が重なり合いましても経済水域同士でぶつかったときには日本も韓国と少なくとも対等の立場に立てる、したがって大陸だなの場合のときよりは中間線をより強く主張できるのではないか、そういう意味で有利だろうと思います。ただ、それはさっき申し上げたように、すでに協定を署名しているという事実がない白紙の場合でありまして、これがあるとなりますとちょっと話は変わってくるかと思います。
○大鷹淑子君 最後なんですけれども、その赤い線というのが私には見えないんですけれども、こちらの主権の圏内に入ってくるというのはいまの第七鉱区のどのくらいの部分。
○参考人(波多野里望君) これは委員長のお許しをいただいてお回しいただいてよろしゅうございますか。——そうですね。約五分の一か六分の一ぐらいになりますでしょうか。ただし、これは主権のもとに入るのではございません。初めに申し上げたように主権は及びません。主権的権利という名前の管轄権が及ぶだけでございまして、日本の主権は及びません。
○大鷹淑子君 わかりました。ありがとうございました。
○委員長(寺本広作君) 本件についての参考人の意見の聴取は午前はこの程度といたします。 参考人には、御多忙中にもかかわらず、長時間にわたり御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。 お述べになりました御意見は、今後の委員会の審議にきわめてよい参考になると存じます。ここに厚くお礼を申し上げます。 午前はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。 午後零時二十四分休憩 —————・————— 午後一時八分開会
○委員長(寺本広作君) ただいまから外務委員会を再開いたします。 午前に引き続き、日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の北部の境界画定に関する協定及び日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。 本日、午後には参考人として鯨岡明君の御出席をいただいております。ほかにもお願いしておった参考人がございますが、まだ御出席がございませんので、とりあえず鯨岡参考人の御意見を承る とにいたします。 この際、参考人に一言ごあいさつを申し上げます。 参考人には御多用中のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございました。 本日は、ただいま議題となっております案件について御意見をお述べいただき、本委員会の審査の参考にいたしたいと存じますので、何とぞ忌憚のない御意見をお述べくださるようお願いいたします。 議事の都合上、まず、参考人から二十分程度御意見をお述べいただいた後、委員の質疑にお答えくださるようお願いいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。 それでは、まず鯨岡参考人にお願いいたします。(「その前に委員長……」と呼ぶ者あり) ちょっとそれじゃ鯨岡参考人お待ちくださいませ。塩出君。
○塩出啓典君 参考人の鯨岡さん、本当に御苦労さんでございます。 参考人のお話を承る前に、一言委員長に抗議をしたいことがございます。私たちもこの大陸だな関係の二協定には反対の立場でありますけれども、あくまでも慎重に十分審議をしていろいろな問題点を明らかにしていく、こういう立場で今日まできたわけであります。本日の参考人に出席していただいての委員会も、あくまでも正常な状態であることを条件に私たちも賛成をしたわけでありますが、きょうはごらんのように非常な不正常な状態で、これでは参考人の方にも失礼になるし、委員会の本来の目的も達成できないんではないか。今日まで常に国益の立場で党派を超えて広い論議をしてきた委員会としてはまことに残念に思うわけであります。その点委員長に強く申し上げるとともに、今後こういうことのないように努力をしていただきたい。その点についての委員長の見解を承りたいと思いますのでどうぞよろしくお願いします。
○委員長(寺本広作君) 委員長からお答えをいたします。 かねがね二十七日には六名の参考人にお願いして御意見を承るということを全会派一致の意見として理事会で決定しております。たまたま昨日、会期延長の申し出が自民党幹事長から参議院議長に提出されたことを契機として、本日の参考人の意見聴取は取りやめるべきであると申し入れられた会派がございましたので、昨夜理事会を開いて御相談をいたしました。会派によって、国会内の会期延長に絡まる紛糾は国会内部のことである、参考人の皆様にお願い状を出して、お忙しい方にきょうの準備をしていただいておるという対外関係をそれによって影響させるべきではない、御意見を承るのは国会がもめておるときでもやはり予定のとおりやるべきであるという意見を述べられた会派もあり、先ほど申し上げますように、この大陸だな問題が会期延長の原因になっておる、したがって、この原因になっている大陸だな協定の審議は休むべきであると主張された会派がございました。 そこで委員長としては、全会一致で決めたきょうの日程でございますので、全会一致でこれを取り消される、ないし変更されるということであればその決定に従いますが、取り消しないし変更は全会一致でないから、一たん決めたもとの案どおり参考人の意見聴取を二十七日にやらざるを得ないということで、きょうのこの委員会を持つことに至ったわけでございます。 なお、このきょうの委員会は、したがって職権でやったものかという意見がございましたが、そうではない、これは委員会決定に基づいてやっておる会合である、委員会である。理事会決定に基づいてやっている委員会であるというふうに御説明はいたしておきました。 しかし、きょう委員会を開いてみますと、ごらんのとおり御出席のない会派もございますし、また、その会派から御推薦の参考人で御出席いただけない事態にもなっております。ただいま塩出委員御指摘のとおり、変則的な姿になっておりますことは委員長としてまことに残念であります。いまの昼休みの時間にも、ぜひとも欠席しておられる会派には御出席いただけるようにということでお願いに参りましたけれども、今日まだ御了解をいただいておりません。塩出委員から御注意のありましたとおり、このような変則的な委員会というようなものは決していい形ではないということは重々委員長も自覚をいたしておりますので、このような事態を避けるために今後努力をいたしたいと思いますので、御了承を賜わりたいと存じます。 それでは鯨岡参考人に御意見の発表をお願い申し上げます。
○参考人(鯨岡明君) 私がただいま御紹介にあずかりました鯨岡でございます。私は、石油開発公団におきまして技術を担当いたしております。 それで、まず日韓大陸だな共同開発に対します私の所見というものを述べよということでありますので、ただいまから私の意見を述べさせていただきたく存じます。 日韓大陸だな共同開発地区を含みます東シナ海・沖繩海域は、わが国におきましても炭化水素資源のポテンシャルの最も高い地域でありますので、早急に本協定を成立の上、探鉱開発に取り組む必要があるかと存じます。もとより、大陸だなの主権にかかわります問題は外交、政治の問題でありましょう。本問題は別にいたしまして、私は主に私が石油開発公団におきまして担当いたしております技術上の観点から、当該日韓大陸だな共同開発地域の有望性について意見を述べてみたいと存じます。 その前に、全世界のエネルギー事情について若干触れさせていただきたく存じます。 御高承のように、OECDとか他の多くのエネルギー研究機関の長期見通しによりますと、昭和六十年、一九八五年におきましては、代替エネルギーの開発が計画どおりに進展いたしました場合でも、総エネルギー需要は、石油換算五十一億トンのうち約二十五億トンが石油であり、昭和六十五年、一九九〇年になりましても石油の総エネルギーに占めます割合は依然として四九%を占める年間四十億トン内外が必要であると言われております。 さらに、一九七五年末の世界の確認埋蔵量は約九百五十億トンでありますが、一九七五年の世界の年間消費量は約二十七億トンでありまして、したがいまして、いわゆるRPなる埋蔵量を消費量で除しました比率は三十五年となります。すなわち、新規に発見がなく、消費量も変化なければ、あと三十五年で世界の石油は枯渇するということになるわけでございます。 一九九〇年代にこの計算を推し進めてみるといたしましよう。それまでに人類は約六百億トンの石油を消費するとも言われております。したがいまして、仮に今後新規発見が全くないものとすれば、一九九〇年には今日九百五十億トンございました石油は約三百五十億トンしか残らないことになるのです。一九九〇年末の消費量は約四十億ないし五十億トンと推定されておりますので、今世紀末までに石油は全く枯渇するというかなり厳しい状態が予想されます。 他方、一九五〇年代より一九六〇年代にかけましては、年間二十数億トンの新規埋蔵量の追加がありましたため、今日まで急激にRPが減少することにはなりませんでした。今後もある程度の新発見がないとは申せませんが、一九七〇年代になりましたら年平均二十億トン程度と新規埋蔵量発見が落ち込んでまいりました。悪いことに、一九六九年には石油の探鉱開発費は世界中で約二・五兆円にとどまっておりましたが、七二年には三・三兆円、七三年には四・三兆円、七四年には実に六・三兆円の資金が投入されながら、逆に新規埋蔵量が増加しないところに問題がある点でございます。技術は日ごとに進歩しておりますにもかかわらず、効率が悪くなりつつある実態がおわかりいただけるかと存じます。 次に、本題であります共同開発地域の有望性というものについて少しく述べてみたいと思います。 最近の新聞紙上にしばしば載っております一九六八年のエカフェの調査が当該地域を調査いたしました最初の調査でございます。本調査は出力の余り大きくないスパーカー調査というもでございまして、堆積層の厚さもせいぜい三千メートルぐらいしか把握できません。この結果、台湾より日本に及びます面積二十万平方キロメートルの東シナ海の大陸だなは、石油賦存の可能性の高い第三紀層が十分発達し、有望な含油地帯になるであろうと報告されました。その一部の結果をこの最初の図面に示してございますが、後ほどまた詳しく御説明する機会もあろうかと存じます。 その後、昭和四十五年度より開始されました第四次石油及び可燃性天然ガス開発総合計画の一環といたしまして国によります大陸だな基礎物理探鉱及び昭和四十九年以降の同修正延長計画におきまして大陸だな斜面の基礎物理探鉱が実施され、共同開発地域付近はもちろんのこと、日本列島周辺の地質概要が明確になってきた次第であります。 この図面に、色の薄い黒あるいは若干着色した実線で日本列島周辺に示してございますが、これが地震探鉱を実施いたしました、私どもは測線と申しておりますけれども、測定をいたしました線でございます。それが示してございます。赤い方は昭和五十年度よりさらに継続していく測線を示してございます。このように日本の周辺にかなり確度の高い調査が、実施されてまいったわけであります。 それから、先ほどのエカフェの調査の測線をここに示してございますが、ごらんのようにエカフェの調査は約一万二千五百キロメートルにわたって調査をいたしましたけれども、きわめて粗い測線で実施いたしましたことがおわかりいただけるかと存じます。 さらに、共同開発地域内におきましても民間企業の手によりまして昭和四十六年約三千キロメートルの音波探査が実施されました。最近のこれらの調査は出力も十分であり、地下地質の実態を明確に把握することが可能であります。 以上の調査を総合いたしますと、この共同開発地域のほぼ中央東寄り、水色で示してございますが、北北東−南南西の方向に走ります五島−台湾隆起帯と呼ばれます火成岩あるいは変成岩を主体といたします基盤岩が浅くなっている地帯がございます。これでございます。この東西両側にそれぞれ長さが三百キロ、幅が約百キロメートル以上の堆積盆地が発達し、盆地内の一部には六千メートル以上に達します第三紀層及び第四紀層が発達していることが明らかになりました。 参考までに、内地におきまして油・ガス田が多く発見されております新潟堆積盆地の陸上部の大きさは長さが約百五十キロメートル、幅が五十キロメートルにしかすぎません。第三紀及び第四紀の堆積層も、新潟地域におきましては六千メートルを超える地点は数少ないのが実態でございます。 石油開発公団は、昭和五十一年通産省の依頼によりまして、さきの基礎物理探鉱調査結果をもとに、明確になりました日本周辺の水深五百メートルまでの海域における炭化水素資源の究極可採資源量について計算をいたしました。このように試掘を、余り掘削いたしません新しい場所の埋蔵量あるいは資源量を計算いたしますことは、後ほどいろいろなケースがありまして、かなり乱暴な予測であるというふうにお考えいただければよろしいのでございますけれども、大抵はこの新しい地域を論じます場合には埋蔵量は幾らあるんだろうかということが絶えず質問されますので、一応念のために私どもでこれを計算いたしました。 その結果、日本全体の海域におきまして探鉱対象となります堆積層——これは主として新第三紀層でございますが、一部古第三紀層——北海道の北部地域とか常磐地域——あるいは白亜紀層も含まれておりますけれども、この探鉱対象となります地層から原油換算約十三億キロリッターの炭化水素の産出が期待できるといたしました。他方、共同開発地域を含みます沖繩・東シナ海地域の究極可採資源量は七億キロリッターとの値を得た次第であります。 炭化水素資源の埋蔵量の算定方法は、炭化水素が一般に流体でありますために、金属とか石炭とかとは若干異なって特殊でありますが、一応発見されました場合、試掘が成功いたしました場合には、内外においてその手法は確立されております。わが国におきましても日本工業規格、いわゆるJIS規格によりまして埋蔵量の算出方法が規定されております。地下地質構造が明確であり、かつ、少なくとも一坑以上の試掘井が成功しない限りこの方法によって埋蔵量を計算いたしましてもきわめて不正確なため意味がないとしております。 これとは対照的なのが未発見資源量の予測の方法でありまして、一九七三年の石油ショック以来全世界の究極可採資源量はどのぐらいあるだろうかとか、アメリカにおきましても今後幾らぐらいの炭化水素が発見されるだろうかなどの論議が活発になりましたが、今日でもこれらの資源量を予測する方法は確立しておりません。アメリカの最も権威のあります学会でありますアメリカ石油地質者協会というものがございますけれども、今日現在その手法について多くの専門家の意見を聞き、検討中でございます。 今日一般に多くの専門家が使用しております未発見資源の究極可採資源量の求め方を申しますと、大きく分けて次の五通りになるかと思います。 ここに第一から面積法、堆積物容積法、容積・起源法、バレル・エーカー・フート法、統計的手法と五つ挙げてございますが、この面積法といいますのは、世界で最も著名な地質学者であり、かつオーストラリアの大陸だなにギプスランド油田というものを発見いたしました有名なL・G・ウイークスという先生が多く用いた手法であります。彼は、国連にもしばしば全世界の大陸だなの埋蔵量、究極資源量につきまして報告いたしております。彼の用いた手法は、等級別に単位面積当たりの究極資源量を経験的に算出しておきまして、それに堆積盆地の面積を掛けて出す方法であり、きわめてですから簡単ではございますけれども、彼の経験でこの地域にはこのぐらいの単位面積当たりの埋蔵量があるというところがみそでございます。 二番目の堆積物容積法、これも主としてアメリカの発見油田の多い堆積盆地の確認埋蔵量の集計と堆積量の比を求めまして、地質条件の類似の堆積盆地に応用していく方法でございます。これにはレボーセンという、これも著名な地質学者であり、最も世界で有名な石油地質の本を書いた著者でありますが、彼はアメリカの堆積物一立方マイル当たりの究極可採資源量は六千から二十万バレルであると、平均は五万バレルであるというふうに述べて、それを多くの堆積盆地に広めていって計算しております。そのほか、このクレンメというのは現在もある石油会社に勤務しておりますけれども、長いことエッソで働いていた著名な地質学者であり、似たように、堆積盆地の形態別単位面積当たりの資源量を算出しましてそれを未探鉱の地域に広めていく手法をとりました。 そのほか、この三番目に容積・起源法、これはアメリカのテネコという会社に勤めておる地質学者でありますが、彼が案出しました方法で、世界で最近ではこれに準拠する方法が非常に多うございます。石油開発公団におきまして、先ほど計算しました日本周辺は十三億キロリッター、それから東シナ海・沖繩海域は七億キロリッターというのもこの手法でやってございます。これは、堆積盆地に賦存します石油生成にあずかります根源岩の量からその中に含まれます炭化水素の量を分析、出してまいります。それから、石油は一般に摂氏七十五度から百五十度の間で熟成をするという説が最近では強いものでございますから、そういう温度勾配の枠内にありますものだけをピックアップして算出する方法でございます。 それから、この四番目のバレル・エーカー・フート、これは比較的地質構造が明確になり、先ほどの地質調査とか、あるいは地震探鉱とか、あるいは試掘によりまして地下構造が明確になって油層もよくわかるケースには、この堆積単位エーカー・フート当たりの資源量を計算しておきまして、それをその構造に敷衍していくと、一般にアメリカの民間企業がこの方法で埋蔵量は算出しておりますけれども、これは先ほども申しましたように、きわめて地下構造が明確のときに使用する方法でございます。 最後に、統計的手法でございますが、これはアメリカ側の地質調査所に現在も勤務しております地球物理学者でございますが、M・K・ヒューバートという先生は、アメリカの発見量と生産量の推移のカーブがきわめて類似した曲線を描く、その交錯するポイントから生産量の推移曲線が描かれますので、それを発見量の方に逆に利用しまして究極資源量を算出する方法であります。これはアメリカのようにきわめて探鉱が進みませんと計算できない方法でございます。 以上、五通りの方法について述べましたけれども、アメリカの地質調査所は、一九七三年に世界じゅうの陸地並びに海域におきます炭化水素、他のミネラルもやってございますが、すべての資源の究極可採資源量等につきまして計算いたしております。日本の大陸だなにつきましても計算いたして発表してございます。その発表によりますと、わが国の海域におきます未発見究極可採資源量は石油採算で十億ないし百億バレル、したがいまして、約一・五億キロリッターないし十五億キロリッターの範囲にあるというふうに発表してございます。したがいまして、これも私どもがいたしました予測値とそう大きく食い違ってないのではないかと一応考えられます。 しかしながら、先ほども申しましたように、この未発見資源量の推測といいますのは、きわめて中に入れます要素によりまして大きく変動いたします。石油ショック後、アメリカ国内でも自分の国内の資源の見直しがありまして、内務省所属によります地質調査所、それから同じくそれの諮問機関であります国家石油委員会等におきまして算出いたしました今後アメリカの四十八州で発見されます量は、調査所の発表では千百億から二千億バレル、国家石油委員会では七百億バレルあるというような数字を出しておりますが、一般石油会社、メジャー等が出します数値は百億バレル、このヒューバート氏の計算によりますと九十億バレルにしかすぎない。きわめて変化が多く、上院の内務委員会におきましても大きな問題になりまして、七三年から七四年の初頭にかなり論議がされましたことを記憶しております。 そのように変化が多いということを御判断いただきまして、わが国の資源量あるいは日韓大陸だなを御判断いただければよろしいかと思いますけれども、先ほども申しましたように、堆積盆地の大きさから言いますと、現存しております裏日本の堆積盆地の四、五倍もある。それがしかも二カ所にわたっているという点、そういう点からかなりわが国でも最も有望な地域の一つであると言っても過言ではないかと存じます。 以上、簡単でございますが、私の所見を述べさせていただきました。
○委員長(寺本広作君) どうもありがとうございました。 ただいまの参考人の御意見に対し質疑のある方は順次御発言を願います。
○矢原秀男君 どうも御苦労さまでございます。 背斜構造ですね、いまの先生の最初の図面から見ますとどういうふうに、ちょっと御説明いただきたいと思います。
○参考人(鯨岡明君) いま先生御指摘の背斜構造という名前が出てまいりましたが、背斜構造とは、地下におきまして地表の方に向かい上部にたわんでいる構造、簡単に申しますとこういう地下の構造を申しますんですが、そういう構造に石油が、世界の石油の八〇%以上がそういう構造に賦存しております。したがいまして、現在その石油を地表から残念ながら直接発見する方法はございません。すべて地下の背斜構造とか、あるいはほかの石油がたまるであろうという地下構造をいろんな方法で探していくというのが一般的にとられている手段でありまして、この背斜構造の分布はどうなっているであろうかというのが即石油の探鉱そのものなんでございますが、その背斜構造がこの堆積盆地の中に何条あるであろうかという点になりますと、もっともっと細かな調査をやりませんと実態はわかりません。しかし、この堆積盆地の中に少なくとも数条、二、三条以上の背斜の構造の系列が発達しておることは明確でございます。これはこの地区だけに限って申しておるわけでございますけれども、この日本大陸だな周辺すべて同じでございます。大きな、たとえば常磐沖でも背斜は二条ございまして、比較的日本の場合には日本列島の傾向に合わせまして南北に長い背斜構造が一般的でございます。
○矢原秀男君 共同開発区域だけのところを考えましたときに、背斜構造の深さは大体何千メートルまで把握をされていらっしゃるのでしょうか。
○参考人(鯨岡明君) エカフェの調査によりましては、先ほども申しましたように出力がきわめて足りませんために基盤のところまで反射が出ておりません。したがいまして何メートルあるかということは明確でないんでございますが、その後、四十六年以降実施しました企業の調査によりますと、この共同開発地域の中央部を通ります基盤の高まりの両側とも、ここに書いてありますように五千メーター以上の堆積層がありますし、ところによっては六千メーターにも及ぶことが確認されております。したがいまして、十分、六千メーターの地層がそういう背斜構造をつくっていることは多くの地点で確認されております。
○矢原秀男君 別な話になりますが、開発区域の中で、午前中ちょっと質問したんですけれども、先生の御専門だから伺いたいんですが、大体商業ベースに乗せるまでのいわゆる開発資金というんですか、投下資本ですね、どの程度の金額が相場なんですか。
○参考人(鯨岡明君) 先生御案内のように、もうこの地域は約八万平方キロございます。それで、日本でもこの中に三つの大きな会社がこの鉱区を出願しております。したがいまして、その八万平方キロといいますのは、中東の利権とかあるいは東南アジアの利権等に比較しまして、一般的には中東では五千平方キロ、大きくて一万平方キロぐらいしかございません。したがいまして、この中には八つ以上のプロジェクトあるいはその倍ぐらいのプロジェクトが可能ということになります。それで、その一つの区域内に仮に一千万キロリッター——新潟で昨年から産出しております阿賀沖油ガス田というのが新潟沖にございますが、その埋蔵量は一千万キロリッターと言われております、ガスに換算いたしまして。新潟沖の場合は三百億円その探鉱から開発までかかりました。しかし、それは石油ショック以前のことでありますので、現在では一千万キロ単位でありますと一千億円ぐらいの探鉱開発費がかかろうかと思います。しかし、恐らくこの地域は一千万キロリッター以上のものあるいは二千万キロ程度のものは優に発見されるであろう可能性を秘めておりますので、したがいまして、経費の方もそれなりに高いということは十分予想されます。しかも、水深は新潟沖の場合は八十メートルぐらいでございますが、ここは五二%以上が百メートル以内でございますけれども、一部には五百メートルぐらい、深いところで五百メートルから最深千メートルぐらい深いところもございますので、若干コスト高になろうかと思います。
○亀井久興君 まず第一点は、エカフェの調査が出発点になっているというお話でございまして、われわれも承知しておりますけれども、そもそもエカフェの調査というものが、国際的に見て、また技術的に見てどのような権威づけがなされているのかという、そのことをまずお聞きしたいと思います。 それから第二点、いまも開発費の質問がありましたけれども、採算ベースに乗るいわゆる生産コストということの御質問でございますが、北海油田あたりがバレル十四ドルぐらいかかっているんだという話も私聞いておりますけれども、中東は一ドル以下ですから相当な開きがある。この共同開発区域の場合にどの程度の原価になってくると予想されるのかというその点。 それからもう一点は、油の質が低硫黄の原油であるということが、いま日本周辺で出る場合には大体低硫黄だということが言われておりますけれども、どういう技術的といいますか、地質学的な根拠でそういうことが言われているのかという、その点の御説明をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(鯨岡明君) まず第一にエカフェの調査の概要、実態という——エカフェは必ずしも石油資源、炭化水素資源を目的といたしました調査ばかりではございませんで、海洋底の生物だとか、それから海洋底の有機物だとか、そのほか温度だとかいろんな調査を、まあ総合調査をいたしましたわけでございます。それで実施しました船はウッズホールというアメリカの海洋研究所に所属いたしますハント号というものでございますが、昭和四十三年のことでございますので、当時の海洋調査船というのはきわめてまだ初歩的なものでございますし、先ほども申しましたように三万ジュールと申しまして、仕事量といいますか、出力がきわめて小さくて、正直申しまして、私もこの記録何度か見ましたけれども、堆積層の厚さはせいぜい三千メートルまで把握できればいいと言わざるを得ないわけでございます。ここにその一部書いてございますが、しばしば論議の対象になりますのはこの地層の厚さの問題でありまするけれども、この調査によりましては、台湾の北部からちょうど日中の中間ぐらいのところまでが、これは二千メートルの線が一番内側に入ってございます。二千メートルの堆積層があるというふうに示してございますが、ここに書いてありますように、これは正確にはポスト・ディフォメーションと書いてございまして、地層が変動を受ける上の地層にきわめて平坦な地層になっています。逆に申しますと、そういう平坦は、先ほど先生御指摘の背斜構造というものをなしていないわけであります。全然平坦でありまして、これはもうここの東シナ海全域に対してフラットと申し上げた方がよろしいかと思います。その地層がこの南の方に厚いということは、逆にそういう平らな地層が三千メートルも上に重なっていますために、実はこの変動を受ける地層が石油探鉱の対象になるわけです。したがいまして、ここでは二千メートル以下にそういう地層が発達しているということになりまして、逆に深い方は探鉱に不便であるということで、この六八年のエカフェの調査では、これからここに至ります二十万平方キロのこの東シナ海大陸だなが、石油の、炭化水素の可能性、賦存度が高いということを申しておりまして、この南がいいとか北がいいということは一つも申しておりません。 それからこの変動を受けない地層といいますのは、恐らく、地質の方で申しますと第四紀ということになりまして、たかだか三万年以内の範囲かと思われます。そういうことで、そういう若い地層には一般に石油は賦存しておりません。少なくとも世界の石油が、現在鉱床をつくっているという石油は恐らく一千万年以上たっているものでないと鉱床をつくるようには至らないかと思います。こういう若い地層は余り対象にならないというふうにお考えいただければよろしいんじゃないかと思います。 ですから、エカフェの調査の評価といたしましては、趨勢はわかりまして、企業が後からやりました調査で共同開発地域の中央部に高まりがあるというようなことはエカフェの調査でも高まりになってございます。そういうことで、事実に反しているというわけではございませんけれども、精度はかなり落ちているというふうに言わざるを得ないかと思います。 それから先生御指摘の二番のコストでございますが、北海は開発、試掘が始まりましてから約十年の間でございます。それで英国沖だけで約三百八十本ぐらいの試掘がされておりますし、全体でも約二十年近く昔から、探鉱を入れますと二十年近く北海全体で約七百本ぐらいの試掘が実施されているかと思います。それで投下されました資金といたしましては、探鉱に約三十億ドル、それから開発の方に百五十億ドルといわれております。今後——まあ実際北海にはまだ開発されて生産に至らない油田が幾つかありますので、それ等を生産に至らしめるには、かつ二百四十億ドル以上のものがかかろうかといわれております。そういうもので発見されました埋蔵量が約二百億バレルということになりますので、その初期の探鉱費をその埋蔵量で割りますれば一バレル当たりのコストが出てまいりますんですが、先生御指摘のように、北海でもその段階では安いわけでございます。ただ最近では、個々の油田等を見ますと、最近ではかなりやはり開発コストが上がりまして、恐らく十ドルを超しているものもあるんではなかろうかと思います。 今度は日本の場合でございますけれども、阿賀沖は一千万キロリットルですから、これをバレルに直しますと七千万ということ。それで約三百億円ですから一億ドルということになろうかと思いますが、一億ドルを割りますと一ドルちょっとぐらいにおさまろうかと思います。しかし、それはあくまでも石油ショック前でございまするので、今後はやはりかなり高いものになろうかというふうに考えられますけれども、北海の気象条件と申しましょうか、海象条件に比べまして、この共同開発地域が気象条件はどうであろうかというのはそれなりの報告書が出てございます。それによりますと、北海ほどは厳しい条件ではないといわれておりますので、恐らく今後のインフレのコストアップだけでおさまるんではなかろうかと思いますので、バレル当たり十五ドル程度の探鉱開発費を見込めば十分ではなかろうかと思います。 それから三番目の御指摘の油質の問題でございますが、日本の場合はきわめてまれでございまして、先ほどの新潟・秋田地域は全部低硫黄でございます。したがいまして、恐らくこの地域も低硫黄であろうというふうに私どもは想像いたしておりますけれども、根拠と言われますとこのぐらいしか申せないんじゃなかろうかと思います。中東の油とかは一般に地質学的には第三紀ではございませんで、中生代といわれております。中生代で、しかも出ておりますのが石灰岩の多い地域から出ている。石灰岩の多い地域から出ます油は一般に硫黄が多うございます。ただ世界的にも、その中にも差があるわけでございますけれども、なんでその差が生じるかということについては多くの説がありまして、必ずしも明確ではございません。日本は幸いなことに低硫黄なんですが、これは第一は第三紀層から産出しております石油は一般に低硫黄でございます。ただし逆に申しますと、大慶とかあるいはインドネシアのミナス原油のようにワックスの多い、ろう分の多いのは硫黄が少ない。一般には少ないんですけれども、多分生成の条件といたしまして、陸上の生物起源が多いのではなかろうかと。一般には世界の油というのは、海生の、海にすんでおります生物起源のものが多いということになっておりますけれども、そのろう分の多いのは、陸上の生物が多く起因しているんではなかろうかと言われております。
○秦野章君 石油の開発技術のすぐれた国というか、国別にすぐれた技術を持っておる国は、トップはどこですか、アメリカですか。
○参考人(鯨岡明君) アメリカでございます。
○秦野章君 その次はどこですか。
○参考人(鯨岡明君) その次は多分ヨーロッパ。やはりメジャーと言われておる会社がありますところは大体その順位で、ですからイギリス、フランス等はその次かと思います。
○秦野章君 日本は何番目ぐらいですか。
○参考人(鯨岡明君) 日本はその次ぐらいではなかろうかと思います。
○秦野章君 大陸だなの理屈で、東シナ海というのは揚子江とか黄河とか、ああいうところから出てきた堆積物ででき上がっておる。揚子江もやっぱり一緒になって出てきて堆積物になっていくんですか。それとも黄河とか揚子江の方だけですか。その点はどうなんですか。
○参考人(鯨岡明君) 大陸だなの定義上、大陸だなを形成しております堆積物の起源といいますか、ふるさとはどこであろうかというのは、実は大陸だなの定義にはなかなか入ってまいらないのが現状でございまして、実は海洋法ではそういうことが一度論議されたことがございますけれども、現在はふるさと論はとらないということになっております。まずその点を御認識いただきまして、ここの大陸だなに発達する堆積層の根源はどこであろうかというのを、一般に堆積盆地は北北東から南南西にかけて発達しておりますので、ひょろ長いかっこうになっておるわけですね。それで模式的に書きました堆積盆地というのを横に切ってみますと、変動が起きない場合にはこんなかっこうしておりまして、深いところはやはり厚くなっているわけでございます。これが多少後で地殻変動が起きますので、いろいろしわが寄ったりしますけれども、やはり厚いところは深く落ち込んでいると。 それで、こういうものがじゃどこから運ばれてまいりますかというと、たなの方向からくるというのが一般的にはとられる方向でありますけれども、仮にこちらの方に高いところがあったらやはりこちらからも落ち込んでくるのは理屈でございます。先ほども申しましたように、ここの盆地はこういうふうに二つの大きな盆地に分かれまして、しかも北の方にだんだん浅くなってまいります。受け皿としますれば、こういう細長い船のようなかっこうをしておりますので、すべて回りからこう入ってくることになる。ここの高まり、ちょうど男女、五島列島の方から台湾に伸びます系列は高いものですから、これがある年代におきましては陸地に近いかっこうをしておったわけでありますので、こちらからも当然落ち込んでいく、河川さえございますれば。この中に河川が皆無であるという証拠もございませんし、現在揚子江と黄河が大きく見えるだけでございますので、エカフェの調査も、一つは山東半島の沖合いに古い時代に一つの堰堤があったであろう。それからもう一つは、嶺南から福建にかけますところのやはり堰堤があったでしょう。それからもう一つは、男女列島の堰堤と、最終的には沖繩の堰堤がある。その古い堆積物は、しかも有機物に富んだ堆積物はこういうものでせきとめられるということが書いてございまして、ですから、一部そういう堆積層の下にはこちら側の主として古い——いまの揚子江ではございません、古い時代の揚子江の先祖のような大河から供給されたであろうということは想像できますけれども、必ずしもどこからというのはなかなか指摘することができないわけであります。仮にこの沖繩、それから八重山諸島等におきまする古い第三紀層を見ますと、この台湾におきます第三紀層あるいは九州の北の方の第三紀層、それからこの朝鮮の半島の南の方の第三紀層、いずれも類似点がございます。これがどこの地層であるというふうにはなかなか指摘できないのが現実でございます。
○秦野章君 そうすると、その大陸だなのふるさとは必ずしも明確にはわからないと、われわれも、人間はまあふるさとを訪ねてわからなくなってしまうことが多いものですから、本当のふるさとはわれわれも中国か朝鮮かわからない。わからないようなところがあるんだけれども、それにもかかわらず、たとえばトルーマン大統領は宣言をして大陸だなと、こうやったでしょう。ああいう物理的なふるさと的根拠なくして、やっぱり大陸だなは自分の国のものだと言える根拠は何ですか。ふるさとがわからないのに言える根拠は。
○参考人(鯨岡明君) したがいまして、その大陸だなを形成しておりますいろいろな地層の祖先がわからないにもかかわらず領有を主張しますのは、今度は地形でやり始めたわけです。物理的な地形だけでやっていったわけでございますね。 それで、先生御案内のように、大陸だなとはどうしてできたんであろうかという、一般にこの大陸の回りに平坦な比較的単調な広い範囲のものが発達するというのはどうしてなんでしょうかということがまず第一にあるわけでありますが、それは、氷河時代に氷結いたしましたために海水面が下がったわけでございますね。逆にいまは暖かくなりまして、氷が溶けましたために海水面が上がってまいります。したがいまして、第四紀の末期の氷河時代に陸地であったわけであります。それらが雨水といいますか、雨とか水の作用によって削剥といいますか、削られまして平坦にされて、それでそれが海中に沈んだというのがいまの説でございます。一般にとられておる説であります。 そういうことで、大陸だなの定義は今度地形でまいりましょうということになりまして、その平らなところはおれのところでございますと、こう言い出したのではなかろうかというふうに思います。
○秦野章君 いま地形説というようなものは定説になっていますか。
○参考人(鯨岡明君) 海洋法会議に、いまもニューヨークで行われております海洋法会議では、今度は大陸だなを越えまして開発できるところまではおれのものだと、こう言っているわけでございますね。そういう技術を持っている国は自分で開発することができるということになっていますけれども、今度は平らなところも一様に二百メートルとか、水深二百メートルというところであればよろしいんですけれども、それがまちまちでございまして、あるところでは百六十だとか、あるところでは二百二、三十だとかということになりまして、なかなかそれもむずかしい定義になりまして、ノルウェーのごときはもっともっと複雑な大陸だなの定義をしようとしているわけでございます。しかも、ノルウェーから選出されました代表が海洋法会議では委員長になっておりますものですから、事はそう容易ではないのでございます。
○秦野章君 エカフェの調査の実績、国際的な実績、エカフェが調査してやっぱり石油が出た、そういう実績はずいぶんあるわけでしょう。
○参考人(鯨岡明君) 実績と申しては何ですけれども、直接エカフェの調査によりましてすぐここを掘ったという例はないわけじゃございませんけれども、スリランカがそうです。スリランカのちょうどインドとの海峡はエカフェが調査しまして、有望であるから掘りなさいということで、ソ連の手で掘りましたけれども、これは不成功に終わりました。 そのほかは、私も年度は覚えてないんですけれども、シャム湾の中をある程度調査をいたしまして有望であるということをエカフェの調査は指摘しまして、その後企業が、多くの企業といいますか、主としてアメリカ系の会社に鉱区を公開いたしまして、アメリカの会社がいまも探鉱を継続しているわけでございますけれども、その中に幾つかの油田、ガス田を発見いたしました。エカフェはわりかた広く調査をいたしまして、直接ここを掘りなさいというようなきめの細かい調査はいたしておりませんので、先ほど申しましたようにきわめて粗い調査で、有望地域をただ指摘するにとどまっているというふうに申し上げた方がよろしいかと思います。
○秦野章君 どうもありがとうございました。
○上條勝久君 先ほどのお話でありますが、いまの開発予定地域、これから日韓共同開発をやろうかという予定地域について、先ほどお話のあった五つの埋蔵量の予測法の中でどの予測法によることが、それは重なるかもしれませんが、適当であるとお考えになっているかどうか、それをちょっと伺いたいと思います。
○参考人(鯨岡明君) 先生御指摘のように、五とおりありますけれどもこれはいろんなケース、探鉱の進みます段階といいますか、全然地震探鉱も何もただいま現在やりませんで予測する方法とか、あるいはもっと地震探鉱等の調査をやってから予測する方法とか、段階ごとによってやり方があろうかと思いますけれども、少なくとも、現段階のように余り探鉱が進んでない段階ですと五番と四番はとり得ない方法かと思います。非常に想定が多過ぎまして余り実際的ではなかろう。したがいまして、あとは一、二、三と三つともやれば一番よろしいんじゃないかと思うんですけれども、それぞれに、たとえばクレンメとか、ウイークスはいま故人になりましたけれども、彼の跡を継ぎますような人に予測をさせてみましたらば、恐らくそういう自分が本来やっておったような予測でやるのだろう、私どもはそういう経験値が余りございませんので、ありましても新潟とか秋田とかの経験値をはめるだけでありまして、それが即共同開発地域に応用できるかという点ではもっと疑問があろうかと思います。したがいまして、第三の方法をとったわけでありますけれども、これでもこの共同開発地域を取り巻きます九州とか沖繩とか、かなり離れたところのデータを使いますために、非常に不明なところが多過ぎます。非常に先ほどの数値も精度はきわめて悪いと申し上げざるを得ないわけであります。
○田渕哲也君 先ほど南部の大陸だなの埋蔵量七億キロリットルを超えるとも推定されると言われましたけれども、それの対象区域はどうなっておりますか。
○参考人(鯨岡明君) 厳密に申しますならば、日本と中国の恐らく中間であろうという線を予測しました。それから範囲としましては水深五百メートルまでをとりました。したがいまして共同開発地域以外のところ、いまの範囲のまますべて含んでおるわけであります。沖繩・東シナ海全域というふうに申し上げることができると思います。対象といたしました範囲はこの範囲全域でございます。こちら側は日中との中間まで一応含めました。
○田渕哲也君 尖閣列島はどの辺ですか。
○参考人(鯨岡明君) これでございます。ですからこちらの方はあいまいな点がありますので、ある程度わかっておる範囲ということになります。
○田渕哲也君 そうしますと七億キロリットルだと、大体そこにある色のついているところの推定量ですね。そうしますと、今度の大陸だな協定の開発区域はそのうちのどれくらいを占めるのか。七億キロリットルのうちのどれくらいを占めるのか。
○参考人(鯨岡明君) 多分数値がちょっといま私は記憶がないのですけれども、五割から六割ぐらいを占めるかと思います。
○塩出啓典君 ちょっといまのに関連して。 究極可採埋蔵量とおっしゃいましたけれども、それといわゆる賦存量との違いというのはどういうふうになりますか。
○参考人(鯨岡明君) 埋蔵量とか賦存量とか資源量とか、きわめてあいまいな言葉がいろいろな人によって使われておりますので、いま一般に手前どもで整理し、かつ最も妥当であるという分類はこれがいいんじゃなかろうかと言って示しましたのが、ここに書いてある究極可採資源量というのが一番——究極という言葉を使いますと埋蔵量と言うことは余り適当でないのかもしれません。埋蔵量というのは発見してかなり確度の高いものに応用した方がよろしいんじゃないか。それで、実際に井戸を掘って生産をしましたような場合には生産量の実態が出てまいるわけでございます。それは累計生産量。それから、発見されましたけれどもまだ生産しないものが下に残っているというのが埋蔵量という定義がいいんじゃなかろうか。それらはすでに発見されておるんですから既発見。ところが、発見されない方は余り埋蔵量と言わないで、これは未発見資源量と言った方がいいんではなかろうか。この両方をあわしたものが究極可採資源、発見されない、あるいは取り残される量もあるわけですので、これを非可採と私どもは言っておりますが、この両方あわしたものが原始資源量という定義が一番よろしいんじゃないか、私どもはこういうふうに定義をいたしております。
○塩出啓典君 それで、いわゆる技術の進歩によって当然究極資源量というのはだんだんふえていくということ、あるいは将来の技術の進歩を見込んでもこれが究極だろうという意味なんですか、究極というのは。
○参考人(鯨岡明君) 究極可採、これはしばしば可採という、とり得べき量というものがございますが、究極可採資源量といいますのは、しばしば世界の埋蔵量は幾らであろうかとか、そういう表現で使われておりますものでございますけれども、それはあくまでも現在の技術、現在の経済条件で採取し得る資源量というふうに定義されておりまして、これが技術が進歩し、経済条件がよくなってまいりますればもっととり得るというふうになろうかと思いますので、この量は、したがいまして非可採量とは相殺するものであろうかと思います。
○塩出啓典君 わかりました。あと二つだけ。 深さとコストの関係ですね。先般の委員会では、世界ではもう二千メートルの深いところを掘っているとかいうようなお話だったわけですが、しかし、大体経済的にコストが合うのは現在では何メートルぐらいか。水深が深くなるとかなりコストは、それに比例よりももっと激しい点でコストがふえてくるんじゃないかと、こういう点をちょっとお聞かせいただきたいことと、もう一つは、いまの共同開発区域は大体石油があることはほぼ間違いないのかどうか。掘ってみて予想より少なかったとか、採算が合わないという程度なのか。掘ってみたけれどもさっぱり出なかったというような可能性があるのかどうか、そのあたり直感と申しますか、その点どうですかね。
○参考人(鯨岡明君) きわめてむずかしい御質問ですが、これは石油といいますのは、なかなか最終的に、先ほど申しましたように直接探鉱法というのがございませんので、地表からはいかようにしてもいまのところ残念ながらわからない。ただ私といたしまして、この堆積盆地の大きさ等実際に比較してまいりますと、ひょっとしたらかなり大型のものが入っているんではなかろうかというふうに感じられます。 それからコストの点でございますが、確かに先生御指摘のように、深くなればなりますほど一般的にはコスト高になっておりますが、正確に申しますと、ただいま世界で一番深いところに掘った井戸と言いますのはマレー半島の沖、マレーシア領でエッソが掘ったんでございますが、千五十メーターの水深のところに掘ってございます。それから、実際に開発に入りましたところは例の暴噴事故のありましたサンタバーバラでありますが、水深が三百——フィートで言いますと八百九十フィートでございますけれども、そういうところにはもうすでに構築物をつくって生産を続けております。ただ、これもエッソでございますが、エッソはこのサンタバーバラの一部でも、装置を全部海底に入れるというような装置をやりますことによってもっと深いところの開発が可能だと言っております。 それから、現実にいま建造中のものはメキシコ湾でございますけれども、これはシェルがやっておりますが、これは九百五十フィートぐらいになっております。現実はやはり生産の方は、探鉱の方はかなり深いところまで掘りますけれども、採算も考えましてやってるのは、いまのような水深が現在では一つのめどになるかと思います。ただ、いろんなコンサルタント会社がやっております計算によりますと、水深が百メートルのものから五百メートルのものに至りますと、気象条件のよろしいところでございましても、四倍から五倍のコストアップになるだろうというふうに指摘されております。千メートルになりますと六倍から八倍ぐらいのコストアップ、これまた気象条件が厳しいところではもっともっと大きくなるわけでありますが、一応先ほど申しましたように、日本海の標準のところではどのぐらいかと申しますと、やはり気象条件とすれば世界的に見て中位に当たることになっておりますので、恐らく一九八〇年ごろには深いところも開発可能であろうという報告が出ております。これはあくまでも五百メートルというものを考えての上でございます。
○矢原秀男君 ちょっと関連しますけれども、海洋汚染の方はどの程度に考えていらっしゃるわけですか。
○参考人(鯨岡明君) これは重要な問題でございまして、実際に石油を探鉱開発いたします場合の最大の問題だと思いますが、先般も北海におきまして、北海最大の油田の一つでありますエコフィスク油田が暴噴いたしましたけれども、これは原因調査中でございますけれども、現在当公団が調査いたしました範囲ですと、完全な人災であります。どういう人災かと言いますと、当然安全に装置さるべき装置が不注意に取り扱われていたんじゃなかろうか。あるいは、安全弁を取り付けることになっておりますのが、一説は不完全だったという説と、あるいは取りつけなかったんじゃなかろうかというようなことが言われておりますので、こういうものを防げばある程度の、九九%あの事故は防げたはずだ。 それで、ここ石油鉱業が盛んになりましてから大きな事故と言いますのが、北海のエコフィスクの例、あるいはカリフォルニア沖のサンタバーバラ、それからメキシコ湾の二件等かと思いますが、これらのどうしてもやむを得ず発生したというのはメキシコ湾の二件かと思います。これは、あそこを襲います台風で構築物が破壊されたということになるわけでありますが、現在では強度を強くすることによりまして北海等は防いでおるわけでございますので、かなり進歩しているのではなかろうかと思います。しかし、暴噴とかあるいは暴風雨に対します構築物の強度を増すというようなことは十分対策を講じられておりますし、それから海底を掘ります場合にいろいろ排せつ物が出ます。これにつきましては、日本は世界一厳しく取り扱っておりまして、すべてこれは陸上に運んでまいりまして、陸上にしかも穴を掘りましてその中に埋めるようにして廃棄しておりますので、この点については汚染は全然ございません。このように注意深くやっているという点におきましては、日本は世界に冠たるものではなかろうかというふうに考えられます。 それで、先ほどの暴噴事故でございますが、これはボストンのマサチューセッツ・インスティチュート・オブ・テクノロジーというところの調査でありますけれども、汚染の最も多いのがタンカーによる汚染、これが世界の汚染の半分近いものでございます。現在、あちこちで石油を運んでおりますタンカーによる汚染、あとは工場廃棄によります汚染。こういう探鉱事故による汚染というのは世界で二%にすぎないというふうに報告されております。 それで、サンタバーバラ、エコフィスクもいま環境方面の調査がアメリカと一緒になって行われておりますけれども、現在の報告では油は蒸発し、かつ一部破壊して残渣だけが沈でんしている。それで一番心配されます漁業の、特に卵に対する影響を一応心配されまして現在調査中でございます。そのうち結果が出るかと思いますけれども、監視体制は一応解かれましたし、自然の浄化作用である程度のことはおさまっているかに聞いております。サンタバーバラの方も瞬間的には、一時的にはある災害がありましたけれども、その後の調査では大きく、たとえば魚とかあるいは鳥類に対して影響があったというふうには聞いておりません。比較的短い影響で終わったというふうに報告が出されております。
○亀井久興君 先ほどの秦野委員の御質問にちょっと関連するんですが、日本の開発技術のレベルが、先ほどのお話では世界で三番目ぐらいだというようなことでございましたが、この共同開発区域ということで限ってみた場合に、その水深とか地形とか地質とか、そういうことから考えまして日本の、いわゆる独自の日本だけの力での技術というもので十分にやれるのかどうか、その点伺いたいと思います。
○参考人(鯨岡明君) 石油鉱業におきまして一般に探鉱いたします場合に、もち屋もち屋の力を十分使うというのが一般的になってございます。たとえば地震探鉱を実施いたします場合に、世界に何十社とない石油の地震探鉱の請負業者があり、その辺の有数なところとは常に技術交換をしておりますわけでございますけれども、しかも一般的には公開入札をしまして、技術がすぐれ、かつ経済的に実施できるようなところを選びましてそれに作業させるわけでございますので、必ずしも日本の純粋技術でやるという必要はないんではなかろうかと思います。それから掘削いたします場合も、これまた世界に請負業者が相当おります。日本にもございます。そういうところで公開をいたしまして掘削を担当させるわけでございますので、要はそういう技術を、請負業者を駆使いたしましていかに油を見つけるかという点が一番最大の技術かと思います。その点において劣るものではございませんということを申し上げたわけでございまして、すべての技術においてというわけではございません。 —————————————
○委員長(寺本広作君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、野坂参三君が委員を辞任され、その補欠として渡辺武君が選任されました。 —————————————
○委員長(寺本広作君) それでは、本件についての参考人からの意見の聴取はこの程度といたします。 参考人には、御多忙中にもかかわらず、長時間にわたり御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。 お述べになりました御意見は、今後の委員会の審議にきわめてよい参考になると存じます。ここに厚くお礼を申し上げます。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時三十六分散会 —————・—————