外務委員会 第10号
- 発言数
- 106 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1977/05/17
会議録
○委員長(寺本広作君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る五月十二日、寺田熊雄君が委員を辞任され、その補欠として田中寿美子君が選任されました。 また、去る五月十三日、田中寿美子君が委員を辞任され、その補欠として田英夫君が選任されました。 また、本日、中沢伊登子君及び羽生三七君が委員を辞任され、その補欠として田渕哲也君及び青木薪次君がそれぞれ選任されました。 —————————————
○委員長(寺本広作君) 日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の北部の境界画定に関する協定及び日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。鳩山外務大臣。
○国務大臣(鳩山威一郎君) ただいま議題となりました日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の北部の境界画定に関する協定及び日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 わが国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸だなの北部の境界の画定及びこの大陸棚の南部における石油資源の開発に関する交渉の結果、昭和四十九年一月三十日にソウルにおいて、わが方後宮駐韓国大使と韓国側金外務部長官との間で両国に隣接する大陸棚の北部の境界画定に関する協定及び両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定の署名が行われました。 これらの協定は、第七十二回国会及び第七十五回国会に提出され、その後第七十六、七十七、七十八回国会において審議されましたが、審議未了となって今日に至っている次第であります。 両国に隣接する大陸棚の北部の境界画定に関する協定は、本文四ヵ条から成っており、両国に隣接する大陸だなの北部における日本国に属する大陸だなと大韓民国に属する大陸だなとの境界線を定めております。 両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定は、本文三十一ヵ条及び付表から成っており、両国に隣接する大陸だなの南部の一定区域を両国の共同開発区域とすること及び両国の開発権者が共同開発区域におきまして石油資源を共同して探査し及び採掘することに関する事項について定めております。なお、本協定に基づく日韓両国の共同開発区域は、わが国と中国との間の等距離中間線のわが国側に限定して設置したものであり、中国の大陸だなに対する国際法上の権利を損なうことのないよう慎重な配慮が加えられております。 これら両協定の締結によりまして、日韓両国に隣接する大陸だなの北部につきましては、両国のそれぞれに属する大陸だなの境界が画定されることとなり、その結果、同区域における鉱物資源の開発の環境が整備されることが期待され、また、両国に隣接する大陸だなの南部につきましては、同区域をめぐる両国間の紛争が回避され、共同開発区域として同区域の石油資源の開発が可能となる結果、エネルギー資源事情の改善に資することが期待されます。 よって、ここに、これら両協定の締結について御承認を求める次第でございます。何とぞ御審議の上、本件につき速やかに御承認あらんことを希望いたします。 以上でございます。
○委員長(寺本広作君) 以上をもって説明は終わりました。 本件の自後の審査は後日に譲ります。 —————————————
○委員長(寺本広作君) 次に、日本国とオーストラリアとの間の友好協力基本条約の締結について承認を求めるの件 及び、日本国とカナダとの間の文化協定の締結について承認を求めるの件(いずれも衆議院送付) 右両件を便宜一括して議題といたします。 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
○小柳勇君 まず、日豪友好協力基本条約について質問いたします。 〔委員長退席、理事秦野章君着席〕 条約の質問に入ります前に、豪州の政治情勢について外務大臣から見解を聞いておきたいと思います。 私、豪州を訪問いたしましたのは数年前でありますが、最近の政治情勢なり国内情勢については、インフレあるいは失業者の増大など、国内経済的にもあるいは政治的にも十分に安定とは言えないのではないかという心配があるわけです。外務省としては、いまの豪州の政治情勢なり国内経済情勢に対してどのように把握をしておられるか、大臣の見解をお聞きいたします。
○説明員(山下新太郎君) 豪州の政治情勢でございますが、一昨年、一九七五年の十二月に選挙が行われまして、御高承のとおり、それまで野党でございました自由党及び国民地方党の両党が選挙に勝ちました結果、下院における議席は、百二十七のうち九十一という圧倒的多数を占める形で現政権が成立したわけでございます。それ以降、政治的には、たとえば昨年の初めでございますが、日本との関係につきまして、前の労働党政権と同様、自由党・国民党連合政権はこれを非常に重視いたしておりまして、直ちにフレーザー首相あるいはアンソニー副首相等が訪日する等、非常に重視してやっているわけでございます。 現在の国内の政治情勢は、私どもの承知しておる限りでは、安定しているということが言えるのではないかと思います。ただ、経済情勢でございますが、御指摘のとおり労働党政権時代より、たとえばインフレの問題あるいは失業の問題、それが基礎になりまして、さらには労使関係の問題、州政府との関係といったようなことで、いろいろの困難を抱えているということは言えるかと思います。それらを解決いたしますために、現在のフレーザー首相以下、自由党・地方党連合政権がいろいろと努力をやっておられると、こういうふうに理解いたしております。
○小柳勇君 国際的に経済情勢は不安定でありますから、豪州だけの国内情勢を論議しても十分な結論を得ないと思います。したがって、経済情勢については後で部分的に日本との貿易関係でいま少し具体的に話を聞きますが、今回ここに提案されております日豪友好協力基本条約、この条約を締結しなければならない理由というのがはっきり理解できない。 〔理事秦野章君退席、委員長着席〕 まあ、もちろんベターだと思います。と思いますけれども、今日まですでに航空協定や通商協定、漁業協定、租税協定、原子力協定、文化協定など、各種の実務協定があります。各種の実務協定があるにかかわらず、今回この基本条約を締結するに至った——この基本条約を締結する以上は、実務協定があったより以上に、政治的にも経済的にも日本と豪州とが密接でなければならぬ。いままでの実務協定があるにかかわらず、その上にこの基本条約を結ぶんでありますから、いままでより以上に実務協定の面でもその他の面でも、日豪関係はより友好的でより密接でなければならぬと思うんです。今回この基本条約を締結するに至りました大きな理由は一体何であるか、大臣の見解を聞きます。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 日本と豪州との関係は、これは近年急速に緊密の度を加えてきたわけでございます。その経済的な背景といたしましては、やはり日本は資源小国でありますし豪州は大変な資源国である、こういったことから、日本の急速な経済発展のその原動力として豪州の資源に依存をしておると、このような関係にあると思います。しかし、この資源の供給を受ける関係というものは、これは大変大事な関係でありますけれども、日本の国内の経済事情の変動によりまして、いろいろまた問題も起こしやすい面があるわけでございまして、そういうような背景としてフレーザー首相の来日ということが行われたわけで、その機会に両国の関係を一層緊密ならしめよう、こういう趣旨からこの基本条約が締結をされる運びになったというふうに考える次第でございまして、今後、この両国の経済関係が非常に密接でありますだけに、この両者の関係の友好的な発展を期待をすると、こういうふうに考えておるところでございます。
○小柳勇君 わが国としては、当初は通商航海条約の締結を希望しておった、ところが、豪州の方で日本のこの通商航海条約に対してはオーケーできなかった。わが国としては、いまの日本の国内経済あるいは国際経済を考えまして、豪州ともっと通商航海上の緊密さが欲しいのではないか、それは豪州に入れられなかった。そういうことを聞いておるのであるが、通商航海条約は向こうがけって友好基本条約はオーケーした、それが今回のこの条約の基本だと承知しておるのであるが、なぜそういうことになったのか。通商航海条約ではだめですよと、友好基本条約はやりましょうと、なぜそういうことになったのか。向こうの豪州の政権、政府のお考えなのか、あるいは豪州の国民一般世論に支配されたのか、あるいは国際経済上、豪州がいま日本と通商航海条約を結んでは損をするから、通商航海条約をけったのか、その点はいかがですか。
○説明員(山下新太郎君) ただいま先生御指摘のとおりに、日本側といたしましては、最初通商航海条約の締結を希望したわけでございます。それで、何回も実はそういう希望を豪州側に申し入れた経緯がございます。しかしながら豪州側は、実はイギリスから自治領として独立した際に引き継いだもの以外には、どの国とも通商航海条約を締結していないということが一つ、さらにまた、日本との間で通商航海条約を締結した場合には、日本、豪州それぞれが対外的な経済活動をやっているわけでございますけれども、その活動の間に格差があるといったようなことから、もし締結いたしますと、条約による受益者は日本側だけになってしまうというようなことを考えまして、非常に消極的な態度を初めからとっていたわけでございます。それでそれにかわりまして、むしろ広範な範囲にわたる友好協力の促進、そういうものに重点を置いた条約を結びたいと、こういう主張をした経緯がございます。 これを受けましてわが方といたしましては、豪州側がそれでは最大限どのくらいまで歩み寄れるのかということをいろいろ話し合いまして、日本側の欲する事項を含みましたものをつくります、そういう形で解決をしようということで、豪側の主張しております友好協力条約に、出入国あるいは滞在、事業活動といったようなものに関する条項を加えまして、このような形の条約をつくったわけでございます。したがって、私どもといたしましては、この基本条約によりましても、日本側が考えておりました、要望しておりました事項は実質的には満たされていると、このように考えている次第でございます。
○小柳勇君 この条約を締結することによって、日本の通商航海条約を結ぶと変わらないような両国間の関係が緊密になるし、両方ともプラスになる。同じだとするなら、日本が希望した通商航海条約をなぜ豪州が拒否したかという議論になるわけです。どういうところに違いがありますか。通商航海条約を結ぶのと、この友好基本条約を結ぶのと、どういうところに違いがありますか。
○説明員(山下新太郎君) 通商航海条約に決まりきった一定のひな形みたいなものがあるというわけではないと存じますが、大体、通常言われております通商航海条約に共通する規定みたいなものかあるわけでございます。そういうものといたしましては、たとえば締約国の国民、会社が、相手の国に行って行います経済活動、そういったようなもの全般につきましていろいろ規定をする、それが普通であるわけでございます。したがいまして、言うならば、通商航海条約は一種の実務協定といったような性格が非常に強いと思うんでございますが、この基本条約におきましては、こういった経済あるいは貿易といったような分野に限ることなく、より広い範囲にわたりまして日豪間の友好協力の促進を規定する、そういう性格がまずあるわけでございます。 それに加えまして、先ほど申し上げましたような、居住なりあるいは通商航海に触れた条項も存在いたしますけれども、主として基本的ないし一般的な規定という形でそういうものも書かれておりまして、通商航海条約のような、言うならば、詳しい形で居住、通商航海等について規定しているものではないと、こういうふうに言えるかと思います。
○小柳勇君 いまの大洋州課長の話を聞いておりますと、通商航海条約を結ぶよりもこの友好基本条約を結んだ方が、もっと幅広く両国間の利益は高まるんだというように聞こえるんですが、私どもが考えるところでは、通商航海条約は向こうは拒否したんだと、具体的に通商航海上の問題を条約化することについては反対をして、それで漠然としたというのか、その漠然とした友好基本条約なら結びましょうということになったのではないかと思うものですから、いま課長が言われるのと逆なことを考えるから心配して聞いているわけです。課長が言われるようなことならば、航海条約を結ぶよりもこの友好基本条約を結んだ方がもっと両国間にはプラスですよと、両国間の関係はもっと親密、質的に深いですよということにとれるんですけれども、どちらですか。
○説明員(山下新太郎君) この基本条約におきまして基本的な目的としておりますのは、条約の名前に書かれておりますように、友好協力のための条約と、こういうことだと思うんでございます。先ほど大臣から御答弁がございましたように、要するに、この条約におきましては、日豪関係が近年著しく発展してきている。たとえば、一九五七年通商協定というものが締結されておりますですが、そのときの日豪間の貿易関係を見てみますと、往復で四億ドルにとどまっていたわけでございます。それが昨年、一九七六年におきましては七十七億ドル近くにまで達する規模に拡大してきている。 このような経済、貿易の分野における関係、これを踏まえまして、さらに広く政治あるいは文化さらに社会、そのような広範な分野において両国の関係を拡大強化していくんだと、そのための言うなれば基礎づくりと申しますか、かさと申しますか、そういう関係を条約の形で取りまとめたいということでつくられたのがこの条約でございまして、したがいまして、通商航海条約一般の持っております実務的な性格は比較的この基本条約では薄められている。ただ、それが全くないかというと、そういうことはございませんで、先ほど申し上げましたような出入国なり滞在なり事業、職業活動、そういうものにつきましては通商航海条約類似の規定が入れられている、そういう性格のものである、こう考えております。
○小柳勇君 まあ具体的にいろいろ問題があるのでしょうけれども、課長の説明ではよくわからぬのですけれども通商航海条約はいやだと言って、じゃ基本条約ならよろしいと言われたと。通商航海条約の方よりももっとこの方が、今度の条約の方が幅広くいろんな面で密接に関係が結ばれるということですけれども、それじゃ次に、この条約では出入国、滞在、事業活動などについて相互に「公正かつ衡平な待遇」であって、第三国の国民との間で無差別なものを供与することになっておるが、この待遇は、普通、通商航海条約に見られる最恵国待遇とどのように違うのか、御説明を願います。
○政府委員(村田良平君) 先生御指摘のとおり、この条約では特に第八条及び九条におきまして、通商航海条約でも規定されておるような事項を対象にした条項が入っておるわけでございます。出入国、滞在あるいは事業活動等でございますが、この条約の交渉を行います際に、当初はいわゆる最恵国待遇、通常通商航海条約で盛られておりますような待遇を規定するということを方針といたしましていろいろ話し合ったわけでございますが、その交渉の過程におきまして豪州側の資源、外資政策というものの説明を聞きましたところ、必ずしも伝統的な最恵国待遇規定を用いることは適当でないということが明らかになったわけでございます。 実は、この点は若干豪州のいわば特殊事情とも言えると思いますが、豪州はかつては外資の流入を非常に自由な、完全にあけっ広げの政策をとってきておったわけでございまして、その結果、イギリスあるいはアメリカの資本によって豪州の工業あるいは製造業の相当部分が支配されるということになったわけでございます。 ところが、一九六〇年代になりまして、豪州の中にもいわば豪州のナショナリズムと申しますか、過去のこのようなイギリスあるいはアメリカ等の資本による豪州産業あるいは豪州資源の支配に対する反発というものが起こってまいりまして、特に一九七〇年に入りまして労働党政権もできまして、資源あるいは産業は豪州がみずから持つべきであるという考え方が強くなったわけでございます。その結果として、従来の外資政策に対してもこれを修正するというふうな政策がとられたわけでございます。 そこで、この日本との条約交渉におきまして、豪州側は、以上のような外資、資源に対する新しい豪州の政策というものにかんがみて、過去におきましてイギリスあるいはアメリカ等に与えた待遇というものを今後日本その他の諸国に与えるということは適当でないと思うという立場をとったわけでございます。 そこで、実際に豪州がわが国に与えてくれて、かつ、それが今後諸外国と比べて差別のない妥当な待遇を与えられればそれでいいというふうに判断をいたしまして、この八条あるいは九条に用いられておりますような文言、すなわち「公正かつ衡平な待遇」という絶対待遇に加えまして、いかなる場合においても、第三国の国民との間で差別的でないという規定にしたわけでございます。これを非常に平たく申し上げますと、お手元に参考資料として差し上げてございます合意議事録の第一項にございますが、この待遇は「いずれの一方の国に対しても、その時点においてもはや実施されていない政策の下で第三国の国民に与えられた待遇を他方の国の国民に与えることを何ら要求するものではない」、すなわち、過去の豪州の外資政策に基づいて米国、英国等に与えた待遇は与えないけれども、それ以外は従来の古典的な最恵国待遇と同じ待遇を与えるんだ、こういうことが実質的に了解されておりますので、その点を合意議事録でさらに記録にとどめたということでございます。
○小柳勇君 そうしますと、かつての英国、米国に与えた待遇以外のことでは最恵国待遇と変わりませんと、簡単にはそう理解していいんですか。
○政府委員(村田良平君) そのとおりでございます。
○小柳勇君 じゃ、参事官にもう一つさっきの問題を質問いたしますが、この基本条約を結ぶことによって、航空協定、通商協定、漁業協定、租税協定、原子力協定、文化協定など、いままで結んでいました実務協定は、なお一層補完されるのであるか、あるいはスポイルされるのであるか、どちらですか。
○政府委員(村田良平君) その点に関しましては、この条約第一条の第三項にも規定がございますが、この友好基本条約と申しますのは、すでに存在しております幾つかの実務協定のいわばかさに当たる条約でございまして、政治的意義におきましては最も重要な条約と思いますけれども、既存の日豪間の条約あるいは協定よりも法律的に地位が上であってそれを修正するとか抑えるということではないわけでございます。したがいまして、従来の協定はそのままにもちろん有効でございますし、また、この第三条の規定はまさにそのことを明らかにしておるわけでございまして、従来の諸協定が第一条の第二項に述べられております目的に合致するということに留意しつつ、さらにこの条約が今回締結に至ることが期待されるわけでございますけれども、将来さらに必要な場合には新たな協定を他の分野で結ぶということによって日豪間をより密接にしていこう、こういう考え方でございます。
○小柳勇君 いま、新たに将来想定されるような協定というのはどんなものを考えておられますか。
○説明員(山下新太郎君) ただいまのところ、豪州との間で具体的なある問題につきまして条約あるいは協定をつくるということは考えられておりません。
○小柳勇君 先にまたいきましょう、先にまた問題が出てくるでしょう。 近年貿易関係で緊密さを増しております。その反映として、この条約で、相互に「安定的なかつ信頼し得る供給者及び市場である」旨の認識が述べられておる。また、「エネルギー資源を含む鉱物資源」の「貿易及び開発」、「資本及び技術の交流について協力する。」ことになっておるが、他方「討議の記録」では、オーストラリアの資源と産業に対するいわゆる豪州による所有と支配が述べられ、このオーストラリア側の「願望」をわが国が「留意する」旨述べられておる。このことによってわが国企業のオーストラリアにおける事業活動あるいはオーストラリアからの資源輸入などが阻害されるおそれはないか、お伺いをいたします。
○説明員(山下新太郎君) 先生御指摘のとおり、五条の二項でございますが、日豪双方がそれぞれ「安定的なかつ信頼し得る供給者及び市場であることが相互の利益である」、こういう認識がまず述べられ、かつまた六条におきまして、「エネルギー資源を含む鉱物資源」の重要性、そのための「貿易及び開発」に関する協力、こういうことがうたわれているわけでございます。それで、さらにまた、御指摘のとおり、「討議の記録」におきまして「自国の資源及び産業に対する所有及び支配」の「願望」が豪州側から述べられております。これに対しましてわが方は、これを「留意する」と申しますか、そういう形の記録がつくられているわけでございます。 豪州側が「討議の記録」という形でその願望を述べましたのは、先ほど村田参事官からもお話ございましたように、一九六〇年代の末ぐらいから豪州国民の間で、自分の国の資源、産業に対して所有と支配ということを希望し出してきた。要するに一つのナショナリズム的な考え方が出てきました。これが豪州の資源政策という形でたとえば一九七三年に労働党から政策が打ち出され、また現在の自由党・国民地方党連立政権におきましても、去年の四月でございますが、同じ考え方を基礎にする政策がやはり打ち出されている。こういうまず背景があるわけでございます。 それで、実は豪州側におきましては、そのような考え方を条約本文の中に書き込みたいという主張があったわけでございますが、そういう政策事項を両国間の合意、法律的な拘束力を持つ条約の中に合意として取りまとめるというのはきわめて疑問であるということでございますので、私どもの方からその旨を主張いたしまして、これを「討議の記録」という形で豪州側はその意向を表明する、これに対して日本側といたしましてそれに「留意する」と申しますか、テークノートする、そういう形でまとめられた経緯があるわけでございます。 そこで、他方それでは、「討議の記録」がそういう形で記録がつくられた結果、何らかの形で日本側の企業なりあるいは日本側に対しまして法律的な拘束力があるかという問題があるわけでございますが、通常、豪州におきましては、条約の締結に際しまして、州の権限なりあるいは国民の権利義務なりそういうものを規制するあるいは制限する、そういう場合におきましては、国内法の改定処置をとっているわけでございます。ところが、この基本条約の締結に際しまして、すでに豪州側は議会の自主的な意味での承認行為も済んでおりますけれどもそのような国内法改定等の措置はとっていない、言い直せば、この基本条約が締結されることによってそのような意味での国内法の改定が必要ない、こういうことがあるわけでございます。 私どもといたしましては、先ほど御質問のございました点ですが、この基本条約ができたことから、直接何と申しますか、日本企業の投資活動なりあるいは経済活動なりが制限されるあるいは規制されるということはむしろないというふうに考えているわけでございます。
○小柳勇君 エネルギー庁の審議官が見えているようでありますが、今日まで、この条約が結ばれるまで、日豪間の資源エネルギーに対する貿易関係なりあるいは将来に対する話し合いなり、その現状についてお話しを願います。
○政府委員(武田康君) お答えいたします。 オーストラリアは世界有数の資源国でございますけれども、私どもとしてもオーストラリアに対して将来に対する期待が非常に大きいわけでございます。それでエネルギーの点について申し上げますと、オーストラリアとの間で、いままで世界全体と契約しておりますウラン鉱石輸入量の約五から六%でございますが、その程度のものを従来各電気事業者がオーストラリアとの間で契約をいたしております。それで、ただこれは長期契約でございますので輸入の実績がいま申し上げたようにあるということではございませんで、これからそれが逐次物として輸入の形で実現していくというかっこうになるわけでございます。それから、石炭につきましても同様な意味でオーストラリアに期待しているところが大きゅうございまして、これにつきましては従来から実績を持っている次第でございます。 それが現状でございまして、今後に向かいましては、相手国のオーストラリアの資源並びにその政策にもよることでございますけれども、やはり今後の日本の資源エネルギーの事情を考えますと、これからも大いに期待していかなければいけないというのが現状でございます。
○小柳勇君 通産省からも見えておりますから、貿易関係について若干質問いたします。 いままでこのような条約がなくとも相当の取引をやっておったわけです。この条約が締結された後、日豪貿易関係というのはどういうように変わっていくか、たとえば鉄鉱石、石炭などはほとんど民間の貿易です。民間の会社が向こうの民間と取引しております。それで結構今日までやってきたわけですが、この条約が結ばれることによって今後の日豪貿易というのがどういうように変わるか、あるいは全然変わらないか、この点いかがですか。
○説明員(川崎弘君) お答え申します。 先ほど外務大臣が御発言なさいましたように、豪州というのは世界的に見まして大変な鉱物面におきましての資源国でございます。特に日本との関係におきましては、非常に地理的な近接性が深いということがございまして、最近、豪州と日本との間の資源貿易というのは非常な拡大をしております。七六年で数字を申し上げますと、鉄鉱石に関しますと六千三百万トン、これは大体日本が買っております鉱石の五割弱でございます。それから、原料炭で申しますと、七六年で約二千五百万トン、これはやはり日本が買っております原料炭の四三%ぐらいを占めております。 こういうふうに、一国に非常に資源供給を偏らしめるという点につきましては別の面で問題もあろうかと思いますけれども、今後豪州が持っております資源のポテンシャリティー、それから日豪の地理的な関係なり経済的な関係、この辺を考慮いたしますと、いまここに申し上げましたような程度のパーセンテージにおきまして日本が鉄鉱石なり、あるいは原料炭等の面におきまして、今後とも豪州に安定した供給を求めていくということは間違いないんじゃなかろうかというふうな気でございます。 これ以外におきましても、豪州はエネルギー源といたしましても、一般炭でございますとか、先ほどのウランの問題でございますとか、あるいは天然ガスでございますとか、そういった面におきまして供給の可能性を秘めております。そういう面から考えましても、今回の条約締結を契機にいたしまして、日豪間の資源エネルギー面での取引の拡大というのは大いに期待できるんじゃなかろうか、かように考えております。
○小柳勇君 抽象論でなくて、大臣との論争なら抽象論で済みますけれども、専門屋が来ておるんですから。 それでは、けさの新聞で、石炭はアメリカ炭も加えなきゃならぬというようなことを通産省でお決めになったようだけれども、私ども豪州炭をずっと見てきました。日本に対する輸出に相当力を入れておるわけです。その石炭は高いです、最近値が上がりました。いま日本で原料炭を使っている商社も、あるいは企業家も困っておるわけですが、この豪州炭に対して、いま条約結ぼうという、けさですね、けさの新聞で石炭の輸入をまた他の方向にも求めるというようなことが書いてありましたが、これはどういうことですか。
○説明員(川崎弘君) 確かに、先生御指摘のように、石炭の価格は上昇してございます。原料炭価格で見ますと、四十七年以降、原料炭の価格というのは約三倍になっております。しかしながら、五十年から五十一年にかけまして、日本の国内の鉄鋼業というのが不況の影響もございまして低迷を続けておると、そういうこともございまして、原料炭の需給は緩和の方向に向かっております。確かに、そうは申しましても、エネルギー価格は一般に上がっているということで、原料炭につきましてもそういう値上がり傾向がございますが、これにつきましては、鉄鋼業を中心といたしまして極力その価格の上昇を抑えるという方向で努力をしているというのが現状でございます。
○小柳勇君 石炭だけの問題でございません。石炭は向こうから日本が買うという方ですが、日本から向こうに出すたとえば繊維あるいは鉄鋼など、この条約をいま結ぼうとするにかかわりませず、豪州としては国内経済情勢なり失業の問題その他考えながら輸入制限という、表面では輸入制限と大きく書きませんけれども、この条約の言葉の中にある所有、支配など、オーストラリアに日本から行く品物については輸入制限の方向にあるのではございませんか。
○説明員(川崎弘君) いま先生御指摘のとおり、オーストラリアの第二次産業、特に製造工業と申しますのは非常に国際競争力が弱うございます。これの最大の原因は、あの大きな土地に千三百万という小さな人口しかない、しかも市場が町で非常に分散しておる、いろんな事情もあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、そういうことで規模の単位も得られないということで、豪州の製造業は国際競争力が弱い。それで、繊維産業を筆頭にいたしまして、いろんな分野で輸入制限の動きが次々と起こってくるというのは事実でございます。 われわれは、こういった豪州側の動きに対しましては、たとえば日豪閣僚会議の場であるとか、あるいは日豪のいろんな形の事務レベルの協議の場であるとか、そういったものをとらえまして、豪州側に対しそういった輸入制限措置の撤廃を粘り強く要求しておりますし、今後ともそういった努力は続けてまいりたい、そういうふうに考えております。
○小柳勇君 じゃ、こういうふうに理解していいですか。いままでは民間中心でやっておりましたけれども、条約も今度締結されることでありますから、政府もこのような輸入制限の問題、あるいは値段の問題などにも、十分業者と連絡をとりながら指導していく、いままでよりもベターになりますと、よくなりますと、日豪貿易関係は。ただ、ここで答弁されるだけでなくて、政府が腹を決めて条約をちゃんとこれ批准いたしましたと、したがって、政府として責任があるからということで豪州の政府に話かけてもらいたいと思うが、そのように理解していいですか。
○説明員(川崎弘君) いま先生おっしゃいましたように、特に輸入制限の問題に関しましては今後ともそういった努力を重ねてまいりたいと考えております。 価格の問題、先ほど先生御指摘になられまして、私回答をしておりませんですけれども、この価格の問題につきましては、特にオーストラリア側から日本に輸出いたします鉄鉱石とか原料炭といったものの価格にオースートラリア政府が介入するという動きが最近ございます。そういった点につきましては、現在までのところ、わが方としてはこういった取引というのは民間ベースの取引である、オーストラリア政府がそういった意味でこういった民間ベースの取引に介入して価格をつり上げるようなことのないようにしろということを、いろいろな機会を通じてオーストラリア政府に強く申し入れているというのが現状でございます。
○小柳勇君 次に、エネルギーの問題でもう一問質問いたしておきます。 七五年六月二十九日から七月二日まで、鉱物エネルギー大臣が来られまして、日豪間のウラン濃縮共同研究について、及びウランの供給契約、石炭液化研究などについて話し合いがなされておるようでありまするが、その後この問題はどのように進展をしておるか、お聞きをいたします。
○説明員(太田博君) お答え申し上げます。 私の担当しておりますウランの濃縮共同研究の件についてまずお答え申し上げます。 ただいま先生の御指摘の会議の後、本件の共同研究を具体的にどういうふうに進めたらいいかということにつきまして、オーストラリアと日本の事務当局で連絡をいたしました後、第一回目の共同研究の会合を昨年の十一月末に東京で開催いたしまして、また、それに引き続きまして第二回目の会合を本年の四月、今度はオーストラリアのシドニーで開催いたしました。そういうぐあいに、このウランの濃縮の共同研究というのはいま専門家の間で進められておりまして、今後、いまのところの様子では一、二度さらに会合を続けまして専門家の間の結論を出すと、そういう予定になっております。
○小柳勇君 ウランだけじゃなくて、鉱物資源の開発とか投資して開発すると、日本の会社が豪州の鉱物資源の開発のために投資するとか、そのような投資活動なり開発活動はどのようになっておりますか。
○説明員(川崎弘君) これまで行われておりますオーストラリアに対します資源開発投資、これにつきましては鉄鉱石、原料炭、これが非常に大きなウエートを占めているものでございますが、これらにつきましては、全体としてみまして非常にうまくいっているんじゃないかと、そういうふうに考えております。 ただ、先般の労働党内閣の際に、先ほど種々政府側から御説明申しましたオーストラリア人による所有と支配というふうな基本原則が資源についてとられました結果、たとえば合弁企業をつくります場合の資本比率の問題であるとか、そういった点に非常に政府の介入がふえてきたということがございました。この政策は、その後労働党の後期の段階並びに新しい自由党の内閣になりまして相当な政策の変更と申しますか、運用の柔軟化が行われまして、その結果、最近ではそういった面で政府の介入によって資源開発輸入が非常に遅延しているというのは少なくなったんではなかろうかと、そういうふうに考えております。 ただ、まあこの点につきましては、常にわれわれとしてはオーストラリア政府に対し、こういった日本企業が参加する資源開発協力につきましてこれが円滑に進むように、外資法規制なりそういった面において弾力的な運用をとってくれるようにということを常々要請いたしております。
○小柳勇君 最後に、通産省のやつはもうこれで終わっておきますが、自動車の輸入制限の問題については七六年末で廃止するということになっておりましたが、廃止されて、今日ではどのような情勢であるか、それから将来どのような情勢になる見通しであるか、これは予算委員会でも質問いたしましたが、いま日本の特にトラックを中心にする自動車の製造が需要を少しオーバーしておるわけです。したがって、発展途上国あるいは社会主義圏などに少し輸出をしなければ消化できないような情勢にもあるようでありますが、豪州の場合にはどのような傾向であるか、お聞きしておきたいと思います。
○説明員(川崎弘君) 先生御指摘のとおり、オーストラリアの自動車につきましては、昨年十二月八日付をもちまして輸入制限を撤廃いたしました。その後の状況でございますけれども、一時日本からの輸出台数というのは減っておりますが、最近またオーストラリア向けの輸出がふえているという状況でございます。 それから、オーストラリアに対しましては、日産とトヨタが現地に進出いたしまして、オーストラリアの自動車会社として現地で組み立てからさらに進みまして国産化比率を七割とか八割まで持ち上げるべく現在努力いたしております。こういう形というのは、今後こういった工業化のテンポが中進的な段階にある国とかあるいは発展途上国におきましては、こういうふうに現地への進出という問題が出てこようかと思いますが、そういう意味におきまして、このオーストラリアの自動車への進出というのは非常にいい例になっているんじゃなかろうか、そういうふうに考えております。
○小柳勇君 日本の自動車産業はもちろん栄えなければなりませんけれども、省資源、省エネルギーの問題と絡み合わせまして、少し国内でも多過ぎるわけですね、いまどちらかというと、少し規制しなければなりません。したがって外務省も通産省も、自動車産業の将来の方向についてうんと考えませんと、もうこのままいったら日本でエネルギーと道路の面でパンクでしょう。いろんな問題あるごとに私は方々で言っているわけでありまして、特に発展途上国なり豪州なりあるいは社会主義圏の方に日本の自動車が販路を開いていきますように、そして、ECその他いわゆる先進諸国の方の非難を受けないようにしていただかなければなりませんので、ついでにお話を聞いたわけです。 次は農林省ですが、七六年の二月四日から二月十四日まで日豪政府間の協議がありまして、日本の農産物の輸入制限ということが話題になったようであります。いま解消されたと思いますけれども、日豪間の農産物の行き来について概略御説明を願います。
○説明員(山下新太郎君) 農林省の担当の方が、細かい担当の方がお見えになっておられまして、全般的なことを御説明できる方がおられないようなので、かわって御説明申し上げます。 日豪間の農産物資に関する貿易関係でございますが、たとえば豪州から日本は牛肉、砂糖、小麦、羊毛、チーズ、バター、そういったたぐいのもの、あるいはまた羊の肉でございますが、そういうものを多量に入れているということが言えるかと思います。たとえば、牛肉につきましてはわが国の対豪輸入依存度がほぼ八割でございます。それから砂糖につきましてこれがほぼ三分の一に及んでいるわけでございます。品目的に一番大きいのは言うまでもなく羊毛でございまして、これは八割以上を豪州に依存している、そういった状況かと思います。今後ともこの関係はわが方の事情あるいは先方の事情を踏まえながら長期的に続いていくのではないかと考えております。
○小柳勇君 農林省の方の全般的な貿易の問題に答弁がないのはまことに不満でありますが、砂糖の問題について質問をいたします。 砂糖が一九七五年から五カ年間の原糖協定がなされて、当時の値段としてはもうかったのでありますが、最近砂糖は原糖が暴落いたしまして、現在、高い砂糖を輸入しておる。精糖会社も大変いま問題で、三十三社で約一千億ぐらいの赤字になっておる、近く倒産も予定されているような会社もあるようですが、このいきさつについてまず御説明をいただいて、この条約が批准される、こういう機会をとらえて——もちろんこれは民間の責任です、精糖会社の代表が向こうの州の代表と相談をして決めたんでありますから、みずからの責任ではありましょうけれども、交渉もなかなか行き詰まっておるようであります。したがって、このいきさつと現状と、政府が将来どう指導されるか、お聞きをいたします。
○説明員(牛尾藤治君) 先生御指摘の日豪の砂糖長期協定の件でございます。 この協定が締結されましたのが昭和四十九年の十二月でございます。当時の砂糖の事情は、先生よく御記憶と存じますが、国際糖価がきわめて高騰しておりました。また、国際的にも砂糖の需給がかなり逼迫しておりまして、わが国内におきましても砂糖の価格が上がってまいるとともに、国内でもっと砂糖を供給すべきじゃないかという議論がかなりあったわけでございます。また、こういう事情は砂糖だけではございませんで、ほかの小麦とか大豆、いろんな農産物についても同様の事情がございましたので、農林省といたしましても重要な農産物の輸入の長期安定化というのをいろいろ指導しておったわけでございます。 先生ただいまおっしゃいましたように、この協定が結ばれました当時は、国際糖価と協定によります固定された価格とが逆に国際糖価の半分ぐらいの値段ということであったわけでございますが、その後、約二年強の間に国際糖価が約六分の一に暴落いたしまして、現在では国際糖価に比べ、豪州糖の長契固定価格が約倍近い割り高の価格となっております。一方、国内の砂糖の需要もやや減退しております関係上、先生お話しのように、精糖業界、非常な苦境に立っておるわけでございます。 そこで、精糖業界といたしましては、豪州側に対しまして長契価格の改定を要請いたしまして、本年の二月初めから民間ベースで交渉が開始されておるところでございます。現在のところは、四月の二十七日でございましたか、豪州側から価格引き下げの一つの案が提示されておりますが、その内容は価格、契約期間の延長その他のいろんな条件、きわめて厳しいものがございまして、業界は五月の六日でございましたか、この提案は受け入れられないという回答をいたしましたところでございます。農林省といたしましても、契約改定交渉が始まりましてからかなりの時日がかかっておりますし、また、その間豪州側がかなり日本の実情を調査したにもかかわらず、かなり厳しい案が出たことにつきましてはやや納得しがたいという意向もございますけれども、本件はやはり民間のコマーシャルな問題でもございます。ただいま業界におきましては、よりリーズナブルな対案を豪州側に提示すべく検討中でございます。 農林省の立場といたしまして、これは民間の問題ではございますけれども、精糖業界のきわめて急迫した事情、それから日本と豪州の長い目で見た砂糖の安定的な取引、さらには砂糖以外を含みます日豪農産物全体の友好的な安定的な取引、こういう見地から豪州側に対する民間交渉を、立場上側面から支援をいたしております。 なお、現在の窮迫しました精糖業界に対する役所側の指導でございますが、ただいま申し上げました民間交渉の側面支援の点が一つ。 それから第二点としましては、現在、糖価安定法で国内産糖と輸入糖の価格をプールする意味で価格調整を行っておりますが、その価格調整金につきまして豪州糖から一部を免除いたしておるという援助がございます。 さらに、やはり精糖業界の安定のためには国内砂糖の価格安定が何よりも大事でございますので、糖価安定法に基づきます農林大臣の指示カルテルを発動して価格の安定に努めておるところでございますが、やはりその指示カルテルというやや短期的な対策のほかに、長期の問題といたしまして精糖業界のやや過当競争的な体質を改善する必要があると考えております。現在、業界でも体質改善策につきまして真剣な検討が行われておりますが、この検討がまとまりました上で、政府としても業界の体質改善、構造改善にできる限りの支援をしていく、こういうことで臨んでまいりたいと考えておるところでございます。
○小柳勇君 これは大臣も聞いておってもらいたいんですけれども、きのう、大日本製糖の社長の、藤山さんの息子さん、来てもらいました、私の部屋に。それでこれは私、二年ぐらい前に予算委員会で砂糖問題を取り上げたことがあります。その場合はまだ景気のいいときでして、商社が余りにも暴利をむさぼるという点で追及した点がありましたが、その後情勢が全然変わってしまった。 それで業界としての言い分も、これ民間協定でございますから、いまさらだれも恨みはございませんと、ただし、向こうの方は州政府がかんでおりますから、向こうの豪州の政府は、これは州政府がやっているので自分たちの責任言われてもどうしようもないと、こう言われるそうです、豪州の政府は。しかし、州政府——地方政府ですから、こちらの方は三十三社の代表が調印しているわけです。四月二十七日に提案されて、これは向こうの方も最終案ではないと言っておるようです。だから、この際でありますから、こういう基本条約を批准するような時期でありますから、この際民間に任せないで、どうせ後、たとえば砂糖業界の方で倒産が出れば失業者が出ます。労働者は首切りですね。また、整理合理化いたしますについても職場を追われる労働者がたくさん出るわけです。その後に、今度は労働省の方から基金に回さなきゃなりません、失業対策基金に回さなきゃなりませんから、結局は日本国内の不況対策、失業対策になります。でありますから、この際こういう条約を結ぶときに通産省、外務省一体となりまして、いま外務省の大洋州課長の話を聞きますと、一番問題は砂糖のようです。ほかに一、二まだありますけれども、砂糖のようです。だから、この砂糖の問題の業者間協定に対して、あと三年ありますから、大変な問題でありますから、この際ひとつ協定の改定なり、あるいは値引きなり、政府も十分ひとつ援助してもらって、同時に、農林省は労働省にも働きかけて倒産が出た会社の後始末もちゃんと指導してもらう、援助していただくと、こういう対策が必要ではないかと思うんです。これは一般論ですから、大臣から見解を聞いておきたいんですがね。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 砂糖の長期契約の問題につきましては、これは大変な大きな問題でございまして、ことしの一月に開かれました閣僚会議のときもこれを大きな問題といたしておったわけでございます。そして、民間協定ではございますけれども、これは若干の政府の行政指導的なこともあったようでございますから、政府といたしましても、政府として何とかこの問題、値引きの交渉に応じてもらいたいということを会議でも議題として申し上げたことでございますし、その後も外務省といたしましても重大な関心を持っております。 いま小柳先生おっしゃいましたとおり、この問題につきまして、一月の段階では先方から専門家を派遣して話をさせると、こういうことであったわけでございますが、その話がなかなか難航しておるわけでございますので、この点につきましては、私どもも豪州政府に対しまして協力方をお願いをいたしたいと、このように思って最善の努力をいたしたいと思っております。
○小柳勇君 それから大臣、さっき鉄鉱石、石炭の話をいたしましたけれども、鉄鉱石及び石炭の輸入をする新日鉄の代表者もきのう見えました。で、豪州の政府が価格介入するようですよ。民間契約ではないかといいながら、豪州の政府はちゃんと価格介入しておる。鉄鉱石、石炭の面では価格介入をしてくれるなと、自由に貿易したいと、こういう言い分、少しこれは逆な言い分ですけれども、そういうこともございました。もう外務省もあるいは通産省などにも十分話は入っていると思いますけれども、この際でありますから、ひとつちゃんと腹に入れておいていただきたいと思います。 そして、石炭がいま原料炭だけでなくて、一般炭も買ってくれよという話もあるようです。ただし通産省としては、豪州炭もだけれども、中国あるいはアメリカその他にもこの際輸入先を広げようという考えもあるようであります。いずれにいたしましても、日本のいまの産業の鉄鉱石輸入、あるいは石炭価格などということは、基幹産業でありますから、この問題についてもちゃんと腹に入れておいていただきたいと思います。外務省全体の問題として腹に入れておいてもらいたいと思います。 それから、運輸省の問題で航空協定の問題があります。東京−シドニー間の開通のときに私もシドニーまで参りまして、いろいろ情勢を見てきたのでありますが、その後航空便を、日航の便をふやしてくれという話及びニュージーランドからフィジー島、あるいはタヒチ島を通って東京へ来るコース、いまは香港の方を通っておりますが、そういうコースの新設の要求などもありました。豪州、ニュージーランドなど、あの辺大変いま観光としてりっぱなところでありますから、いままで欧州に行っている日本の旅行、観光というものを、南の方にまだうんと余地はあるように思いますが、航空局の見解なり、いまの情勢についてのお話を願いたいと思います。
○説明員(山地進君) 昭和四十七年の日豪の定期閣僚会議の議事録によりますと、時の運輸大臣は、豪州、ニュージーランドを中心といたします環太平洋の航空サービスというものに日本政府は関心があるということを述べ、豪州からニュージーランドヘの以遠、さらに、いま先生のおっしゃいましたフィジーとかタヒチとか、そういうような地帯を結ぶサービスということを考えてたようでございます。 ただ、その後の情勢を申し上げますと、オーストラリアといたしましては、日本にオーストラリアを越えてニュージーランドに行くという権益を付与することについて非常に消極的でございます。その理由といたしましては、豪州の飛行機が日本を越えてその他の地域に行くということについて関心がないということが一つあるようでございます。 それから、さらにフィジーとかタヒチとかというような地点に、いわゆる地上の楽園というような地点でございますが、そういう点につきましての日本からのサービスというのは、フランスのエール・フランスというのとUTAというのが二つ、エール・フランスがタヒチ、それからUTAがニューカレドニアに周二回サービスをやったんでございますけれども、やはり日本人の観光が伸びなかったということで、最近その二つとも一月から休止しております。 それから、日本と豪州との一般的な旅行者の数でございますけれども、七二年のころトータルで二万人おりましたものが、現在約五万人ぐらいが日豪間にJALとカンタスを利用して行き来しておりまして、七六年現在でございますけれども、その五万人のうち約三万人が日本人、それからあと二万人というものが外国人、主として豪州の方だと思います。これはJALとカンタスのサービスでございますけれども、現在、周三便ずつ両航空企業がやっておりまして、JALはDC8、それからカンタスの方は707、同じような形の飛行機で三便ずつやっておるわけでございます。
○小柳勇君 航空の方も外務省と一緒になって、もう少しこの便がふえますように希望いたします。 あとは漁業の問題ですが、わが国はオーストラリアの二百海里内で約一万二千トン、ニュージランドの二百海里内で約八万トンの漁獲を上げておりますが、最近伝えられるところによりますと、両国は近々二百海里漁業水域を設定する方針のように承ります。そうなると、わが国の漁船が二百海里内から締め出される可能性もありますが、わが国はどう対処していくつもりか、お答えを願います。
○説明員(山内静夫君) オーストラリアの二百海里内の操業につきましては、主としてわが国の漁業の態様といたしましてカツオ・マグロが中心でございます。現在約三百隻の船が年間二百海里内におきまして二万トンの水揚げをしております。二百海里を豪州政府が設定した場合におきまして、カツオ・マグロ類につきまして豪州政府がどういう態度をとるか、こういうことが非常にわれわれの関心のあるところでございます。 第三次国連海洋法会議の改定単一草案におきまして、カツオ・マグロ類は高度回遊魚として位置づけられておりまして、資源管理は国際機関が行うと、こういうように示唆されているわけでございます。こういう方向で豪州政府がカツオ・マグロに対する考え方を決めた場合におきましては影響が比較的少ないんではないかと考えておりますが、豪州政府がどういう対応の仕方をとるか、現在わかっておりません。したがいまして、どんな影響があるかということにつきましては、ちょっと現在のところ詳しくはわかっておりません。 わが国といたしましては、現在、日豪協定の漁業関係におきまして、漁船の豪州四港寄港に当たりまして、豪州のマグロ産業であるとかあるいは沿岸漁業、養殖業の振興、あるいは漁業の技術指導等、漁業分野における協力を行ってきまして四港の入港をかち得ているわけでございます。こういう方向を通しまして、今後二百海里問題が起きた場合におきましても、漁業関係の協力を密にしながら、わが国の漁船が従来どおりの実績を確保できるような方向で対応してまいりたいと、こう考えております。
○小柳勇君 日豪関係の最後の要望になりますけれども、大臣、この条約の中に、さっきも言いましたように「安定的なかつ信頼し得る供給者及び市場である」と、これが前提だけれども、後には、豪州はちゃんと豪州による所有と支配と、こういうことを討議でうたっているわけですね。で、条約の中にもまあ矛盾は若干感じますし、最近の日豪間の経済状態を見ますと、必ずしもあけっ広げの、条約を結んだからいまの日豪関係よりももっと緊密になりますということをそのままそっくり受け入れられないような面もあります。だから、これはお互いの国の事情もありますから大変であろうと思いますけれども、いいチャンスでありますから、わが国もそのかわり譲るものは譲って、また今日の統計を見ましても日本の輸出がふえまして輸入が減っておるわけです。輸入はなかなかふえない、輸出はどんどんふえている。こういうものがやっぱり豪州などはイギリスと密接な関係ありますから、先進諸国からの話もどんどん来るでしょう。したがって、わが国の行き方も改めながら、改めるといいましょうか、十分検討しながらこの条約の精神を生かしていかなきゃならぬと思うわけであります。その点についての大臣の見解をお聞きして、この豪州関係については私の質問を終わりたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 日本と豪州の関係は、先ほども申し上げましたが、大変貿易量も飛躍的に拡大をいたしております。大きくなればなるほどまた問題もたくさん出てまいるわけでございまして、個別問題としては大変むずかしい問題が出てまいっておることは御指摘のとおりでございます。これらの問題もありますが、これらは両国間がやはりお互いに両国の立場を理解し合った中で発展できるものと、こういうふうに考えております。今後ますます両国間の関係を密接にいたしたいと思います。 特に豪州からの輸入品の中で農産物がございますが、この農産物につきましてはわが国の食糧関係の自給率を拡大したいという要望がまた国内問題としてあるわけでございまして、これらとの調節が豪州、ニュージーランドとの関係におきましてこれまた非常にむずかしい問題を含んでおるわけでございます。そういう次第でありますので、外務省といたしましても今後両国間の本当の相互理解を深める方向で、ますます友好関係を増進する中で問題の解決に当たりたい、このように考えております。
○小柳勇君 次は日加条約について質問をいたします。 まずカナダの、文化協定でありますからちょっと問題わき道かもしれませんけれども、前提になりますから、いまカナダの政治情勢なり労働者の生活など大変苦しいというように情報では受けておりますが、外務省としてはどのように受け取っておられるのか、お聞きいたします。
○説明員(福田博君) カナダの国内経済の動向につきましては、先生御承知のとおり七五年の十月からいわゆるインフレ対策法というものが導入されまして、価格及び所得に対する直接の規則というものが来年十二月いっぱいの予定で行われております。これに関しましては、法律自身は手続法でございまして、中身が政府がそのときどき決めますガイドラインに基づきまして規制が行われるわけですが、何分ふなれなこともあって種々批判があり各種の修正が行われつつあるということでございますが、昨年の秋あたりになりまして第二年度の目標でございますいわゆるインフレ率六%以内という目標が五・八%ということで達成されましたので、こういう法律は期限前にやめるべきではないかという声も強まったわけでございますが、本年一月以降主として異常寒波等の影響によりまして再び消費者物価が月々一%程度上がるというようなことから、カナダの政府は現在のところ少なくともことしの秋まではこの法律を存続させるということを主張しておるようでございます。 他方、失業率がことしに入ってじりじりと上がっておりまして、この点確かにカナダの労働者に対する影響というもの、八%を超えましたので大分問題があるかと思いますが、インフレ懸念もあって有効な景気対策が十分にとれないという悩みもあって、今後どういうふうに発展するか、少なくともゆるやかな景気回復過程にあるとはいえ、しばらくその推移が注目されるところでございます。
○小柳勇君 日本との経済交流あるいは通商貿易状態など、カナダと日本との外回りの関係ですね、経済関係なりあるいは通商関係なり政治的な関係なり、そういうものについてはどのような認識でございますか。
○説明員(福田博君) 日本とカナダとの間の貿易につきましては、昨年は前年比で輸出が三四・九%アップの十五・五億ドル、それから輸入が前年比八・六%の二十七・二億ドルとなりまして、貿易収支は全体で十一・七億ドル日本側の赤字となっております。この結果、カナダにとりましてはわが国はアメリカに次いで第二のお得意様というか貿易相手国となりまして、またわが国にとりましてもカナダは第七番目の貿易相手国となっております。 まあカナダと日本との間の貿易関係を見ますと、わが国の輸入はいわゆる原材料ないし食料品が非常に多く、他方わが国のカナダヘの輸出はいわゆる耐久消費財、鉄鋼品その他の完成品を輸出しておって、典型的な補完関係にあるわけでございますが、カナダとしては今後の問題としていわゆる加工度を高めたり、あるいは経済構造を高めたような製品ないしそういう産品を輸出したいというようなことを常に要望しておりまして、それをどういうふうに具体化していくかということは、常時両政府あるいは民間の関係者が工夫をしてやっていくべき問題だと考えております。
○小柳勇君 いま一つは、最近特に私ども関心があるこの原子力を含んだエネルギーの問題ですけれども、新エネルギー政策を導入してエネルギー自立対策をとっておるようであります。先般も日本の業界の代表が原子力発電に関連をして興味ある発言などしておられますが、この原子力など日本との関連、関係についてお話しを願います。
○政府委員(武田康君) カナダもやはり世界有数の資源国でございまして、いま先生御指摘の原子力関係ではウラン資源が豊富に存在するというふうに言われておりまして、現実にウランをたくさん産しておるわけでございます。それで日本との関係で申しますと、日本の電気事業者がこれから十年、十五年にわたりまして長期契約で鉱石の確保をいたしておりますが、その約四割近くがカナダとの間の約束でございます。一方、現在までもやっておりますけれども、これから将来に向かいましても、たとえばウランの探鉱活動とかそういったものにつきましては日本サイドでも関心がございますし、カナダの方も日本も含む世界の先進国との間での共同、共同の形態はいろいろございますが、そういうようなものに関心を持っておる次第でございます。 もう一点、やや物の方でございますけれども、カナダはアメリカ、イギリスと違うタイプの原子炉を開発いたしておりまして、これは重水を使うので重水炉というような言い方をいたしておりますが、それが現在カナダ国内、輸出品も含めまして七、八基世界じゅうで稼働しているわけでございます。軽水炉と違う特徴を持っておりまして、カナダとしてはそういうものが世界の、カナダ以外の国にも広がっていくことを期待しておりますし、日本サイドでもこれは勉強の種といたしましていろいろ勉強をしているというのが現状でございます。 それから、なお原子力の関係では、先ほどのウラン鉱石の取得等にも関係いたしましてカナダとの間で協定がございますけれども、これにつきましても昨年、一昨年来いろいろ話題になっておりまして、ことしに入りましてからいろいろ詰めの交渉等いたしておりますが、その点につきましては、これは外務省の方からお話がある方が適切かと思いますので、外務省の方からお願いしたいと思います。
○説明員(太田博君) お答え申し上げます。 補足説明をさせていただきます。 日加間の原子力関係の交流の基礎となっておりますのは、五九年に署名されました原子力協定でございまして、これに基づきましてただいま武田審議官から御説明申し上げましたような、日本が主としてカナダからウランを買うと、そういう形の協力関係が行われているわけでございます。 それで、この協定につきましては、カナダが一九七四年のインドの核爆発以降、保障措置につきまして、これをより強化する必要があるということをカナダの政策として決定いたしまして、原子力協力関係にあります各国に対して協定の改定というのを申し込みまして、わが国に対しても同様な申し込みがございました。それに基づきまして、現在新しい原子力協定締結のために交渉中でございます。
○小柳勇君 いま一つ、私どもの親類にも二世が向こうで住みついておりますが、日本人がカナダに参りまして、住みついて、祖国となっている。日本とカナダとの民族的といいましょうか、そういう関係について、文化以前の実態についてお話を願いたいと思います。
○説明員(田中常雄君) お答えいたします。 現在、カナダには日本の移民が約四万三千人おります。これはほとんどトロントか、またはブリティッシュコロンビア州近辺におると了承しております。そして日本人、これら日系市民を通じまして日本とカナダとの友好関係を促進するということは非常に重要なことでございまして、外務省といたしましても、たとえばことしは日系百年祭に当たりますもので、文化事業部といたしまして特に対カナダの文化広報政策というものに重点を置いてことしは展開するつもりでございます。 具体的には、民族舞踊団の派遣、セミナールの開催、それから映画祭の開催等々、場合によりましては歌舞伎を派遣することも現在検討中でございます。特にトロントには日系のための日系人文化会館というものがございまして、これらを通じて映画祭の開催等にも協力し、日系人と日本との関係及び日系人を通じてカナダとの友好、理解促進の関係を深めようということで努力しております。 特に、カナダはマルチ・カルチェラル・カントリーと呼ばれまして、これはトルドー首相が使った言葉でございますが、カナダに移民しておりますありとあらゆる国々の人々の文化をそのままの形で促進していってカナダの発展を図るという考え方を持っておりますもので、わが国としましてもその面を通じまして今後日本文化の紹介等々に努めようと考えております。
○小柳勇君 以上のように政治、経済、原子力などの各分野で次第に関係が深まりつつありまして、この際に文化協定を結ぶことは意義の深いものと思いますが、この協定を締結しようということになりましたそのいきさつについて御説明を願います。
○説明員(田中常雄君) お答えいたします。 両国は、以前より両国間の文化交流の拡大を希望していたわけでございますが、昭和四十九年の五月に日加間で事務レベルの協議が行われまして、その席上、カナダ側から具体的に文化協定の締結の希望が表明されました。わが方といたしましても、この協定が両国間の相互理解と文化交流の発展に非常に資すると判断いたしましたもので、昭和四十九年の九月、田中元総理が訪加した際に具体的に協定交渉に入るということに合意いたしました。その後、オタワにおいて協定交渉が行われたわけでございますが、昨年十月、トルドー・カナダ首相が訪日した際に、わが方外務大臣とランキン・カナダ駐日大使との間でこの協定の署名が行われました。それが経緯でございます。
○小柳勇君 第二には、協定第二条で両国間の文化、教育関係の強化に寄与するような機関、すなわち文化会館の設置を促進することがうたわれております。これは結構なことでありますが、現在、わが国が海外に設置しておる文化会館はイタリアとドイツの二カ国にすぎません。カナダにこの種のものを設置する構想はあるのかどうか、お聞きをいたします。
○説明員(田中常雄君) お答えいたします。 先生御指摘のとおり、現在、わが国が海外に有している文化会館はローマとケルンの二館でございます。それで現在、当面カナダに文化会館を建設する計画はございません。しかしながら、現在カナダにおきましては、トロント総領事館に付属しております広報文化センターがございますし、また、先ほど御説明いたしましたように、トロントには日系人の文化会館がございまして、わが方在外公館と協力していろいろ広報文化活動を行っております。しかしながら、昭和五十年三月にわが国はカナダの大学協会に三億円の基金を寄贈いたしました。それでカナダの大学協会はこの運用益、これは約三千万円強でございますけれど、その運用益を使いまして、バンクーバー、トロント、モントリオール等の各主要大学、その他の大学等にその運用益を配分いたしまして、それらの研究所または日本研究センターにおきまして、日本語教授の充実、日本研究のための奨学金の給付、日本研究関係図書の購入等、日本研究促進のために有効に使用していると承っております。これら日本研究機関は、一種のそれらの大学におきます文化センターのような役割りを果たしております。その中で、大体その大学の名前を二、三申し上げますと、ブリティッシュコロンビア大学、トロント大学、マキール大学、モントリオール大学等でございまして、この運用益の配賦額は年間約三万五千カナダ・ドルでございます。
○小柳勇君 次の問題は、協定の第五条で学位の互認についての研究について規定してあります。従来わが国とこの種の規定を有する文化協定を締結している国の中で、フランスだけが修学上の目的のために同等の価値を認めておりますが、他の国々はまだ認めるまでに至っていません。他方、わが国は学校教育法施行規則で入学資格に関し各国に対し広く同等性を認めております。学術上の国際文流が盛んに行われる時代において、右の学位の同等性を国家間で認め合うことはもっと行われてしかるべきであると思うが、フランス以外の国々が認めていない主な理由は何か、お答えを願います。
○説明員(田中常雄君) お答えいたします。 御指摘のように、フランスとの間の文化混合委員会の席上におきまして、フランス側は、フランスの法学士、文学士と日本の同学士の問題、それからバカロレアの日本の高等学校卒業証書との同等性の問題等を挙げまして、そしてフランス側は、それについてフランスの法律に基づいてしかるべき処置をとるということを申しました。わが国もこれに対応して学校教育法及び同施行規則によりまして、フランスと同じ同等性を認めております。しかしながら、これは何もフランスだけに認められているものではございませんで、他の諸外国に対しても学校教育法及び同法施行規則に基づいて認められるものと同じものをやはり認めているわけでございます。 たとえばカナダでございますけれども、カナダは学校教育が各州によって違いまして、文部省は各州にそれぞれ独自にあるというような国でございます。したがって、カナダの学校教育法は日本の六・三・三制に当たるものとしましては一応八・四制というものがあると聞いております。ただ、州によりまして八・四制の場合と八・三制の場合と八・五制の場合といろいろございますもので、これらの問題についてはその都度両国間で突き合わせて、そして学位の同等性、または資格の同等性という問題を検討しなければならないと思っております。しかしながら八・四制、要するに十二年間たった場合においては日本の高等学校卒業と同等な資格ということは認めることは容易でございまして、したがいまして、フランスだけに学位または資格の同等性を認めているわけではございませんで、その他の国に認めることもこの学校教育法に基づいて可能でございます。
○小柳勇君 最後の問題は原子力協定の問題でありますが、日加原子力協定の改正交渉をめぐり、その交渉の進展ぶりがはかばかしくなかった本年一月、カナダは対日ウランの供給を停止しましたが、その後三月中旬に至り改正交渉が大筋で合意されたにもかかわらず、いまなお供給を再開するに至っていない。この問題についてロンドンの首脳会議の際に鳩山外相とジャミソン外相との間でどのような話し合いが行われたのか、新聞記事などにいろいろ出ておりますが、大臣から見解を聞きます。
○国務大臣(鳩山威一郎君) カナダのジャミソン外務大臣とロンドンの先進国首脳会議の始まる前の日にお目にかかりまして、その際に、先方からも日加原子力協定の改定につきましてお話が出たのであります。 わが方からは、この三月の段階で、要するに今度の改定のプリンシプル、方針が決まれば輸出は解除してもらえると、このように了解をしてやってプリンシプルについて合意を見たのにもかかわらず解除してもらえないということにつきまして、当方から遺憾の意を申し述べたのでございます。それに対しまして、それについては大変申しわけなかったが、先方の国内の事情もあるということで、この改定交渉を完結するということがどうしても必要なんだ、こういうことでございました。 現在におきまして、交渉はもう条文化されておるわけで、後は文章の突き合わせと申しますか、条文の交渉ということが残っておるわけでございます。この交渉を済ませまして内容が確定をするという段階になったならば、必ず積み出しの許可はできるように努力をするということで、この交渉が今月の十九日から行われることになっておりまして、この交渉につきましては、カナダ側も大変技術的な点でございますので、この話を詰めるのには最大の努力をするという話でございまして、必ずこの交渉ではまとまるものというふうに私どもは期待をいたしておりまして、これがまとまった段階で積み出しの認可が行われると。この点につきまして、また調印とかいうようなことが必要になろうと思いますが、なるべく今度は内容の条文が決まったという段階で積み出しを認可してもらうように私の方から希望を申し述べ、そのように取り計らうというジャミソン外相の返事であったわけでございます。 以上がお話し合いの率直なところでございまして、最終の詰めを急いで行うということにかかっていると思います。
○小柳勇君 わかりました。その交渉については日本として全力を尽くしてもらいたいと思います。 もう御答弁要りません。ずっと統計見まして、カナダと日本との貿易関係が最近ずっと減少しているわけです。これはカナダの国内事情、経済事情によると思いますが、したがって、今後の経済的なものをもっと密接に検討する必要があろうと思います。きょうは文化協定でありますから、私も駆け足でカナダを回りまして、あのトロントの秋のきれいな町がいま目に浮かぶのでありますが、この文化協定が実を結びますように祈念をいたしまして、質問を終わります。
○委員長(寺本広作君) 両件に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時四十五分まで休憩いたします。 午後零時二十六分休憩 —————・————— 午後二時三分開会
○委員長(寺本広作君) ただいまから外務委員会を再開いたします。 午前に引き続き、日本国とオーストラリアとの間の友好協力基本条約の締結について承認を求めるの件 及び、日本国とカナダとの間の文化協定の締結について承認を求めるの件(いずれも衆議院送付) 右両件を議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
○青木薪次君 きょうは十七日でありまして、日本とソビエトとの関係の漁業交渉がデッドロックに乗り上げるかどうかという、きわめて重要な段階にきておるわけでありますので、御通告申し上げましたように、若干漁業交渉の関係について質問をいたしたいと思っております。 日本側の提案が複数案で、ソ連側の二百海里線引きに関連いたしましてこれを漁業だけにしぼって領土問題と全く切り離すということについては、これはもう当初からこの方針は貫いているわけでありまするけれども、去る十三日の会談におきまして、協定の一条、二条に関連いたしまして日本側が最終提案をしたわけであります。鈴木農林大臣が出した提案についてソ連側がどういうような対応を示すかということについては、これはもうきわめて重大な段階にきているわけであります。日ソ双方の立場を損わないぎりぎりの提案であって、しかもこれは最終提案であるというように言われておりますし、見方によってはこれは最後通告だということまで実は言われているわけであります。ソビエトがこの提案について会談日程を一回、二回と出張その他の理由をもって延ばしているわけでありまするけれども、大臣はこのことについてどういうように現情勢を理解いたしておられますか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(鳩山威一郎君) ただいま仰せのような、私どもといたしましてこの漁業交渉は最大の山場に差しかかったものというふうに認識をいたしておるところでございます。そのような情勢でございますので、昨日、ソ連の日本に参っております大使を招致をいたしまして、ポリャンスキー大使に来ていただいてお話を申し上げたところでございます。 情勢といたしまして、私どもといたしまして最初にこの漁業交渉がスタートいたしましたのが二月の末でございまして、それ以来大分長時間かかっておるということ。それから先般来、最後に三回目に鈴木大臣が交渉に行かれましてからすでに二週間たつと、こういう状況でございます。そういうこととともに、この協定は国会の御承認をいただかなきゃならない、その審議期間も必要であるということを考えますと、どうしてもこの協定を仕上げてもらわなければ困る。日本といたしましても、とにかく最後通牒という言葉はおかしゅうございますけれども、譲り得る限度のあらゆる努力を重ねましてぎりぎりの案をお示ししてあると、それに対する回答をお待ちしている段階であるということでありますので、駐日大使に対しまして当方の意を伝えてもらいたいということを昨日お願いをしたわけでございます。その事情につきましては大使も理解をしてくれて、その旨はモスクワの方に連絡をするということ、こういうことであったわけでございます。 したがいまして、いまおっしゃいましたとおりの大事な段階であると、私どもも身にしみて感じておるところでございます。
○青木薪次君 私は、かつての予算委員会におきまして、政府が非常に困惑をしているときに、私は昭和二十八年の奄美大島が返ってきたときに、むしろそのときは委員会審査抜きで満場一致で各党がこのことについて新しい協定を受け入れたということにちなんで、非常に北方関係の漁民の皆さんが苦労されておられるので、この際ソ連の理不尽な態度に対して、こちらは平等な立場に立たなきゃいけない。それには二百海里経済水域の問題にしても日本はこれをひとつ設定する。それから領海十二海里の問題についてもこれを設定する。以上の立法措置をひとつ全党が一致して受け入れるということが必要である。それには福田内閣総理大臣と鳩山外務大臣は、各政党に対してこのことについて真剣にひとつ訴えて、今次国会、八十国会においてこのことを早急に批准する。そして、対等な立場に立ってソ連とひとつ談判をするということを提案をしたわけであります。これは総理も素直に受けて、そしてある意味では感謝されておったわけでありますが、そのとおりになったんです。 問題は、日本側の提案というものは、魚と領土を切り離す、このことはもうだれもかれも日本国民は理解いたしているわけでありますが、問題は鈴木新提案というものであります。この鈴木新提案というものは、端的に言って大臣どういうような骨格になっておるか、ひとつ説明していただきたいと思うんです。
○国務大臣(鳩山威一郎君) ただいま青木先生がお述べになりました、この予算委員会におきまして青木先生のお話がありましてから、政府といたしまして二百海里の緊急実施ということに踏み切ったわけでございまして、領海法並びに二百海里法を短期間のうちに国会を通していただいたということに対しまして、心から感謝を申し上げているところでございます。 特に、新しい領海と二百海里の漁業水域と、この法律を上げていただいたというそのバックのもとにおきまして、鈴木農林大臣が訪ソをされまして、先方と折衝に当たっておられるところでございます。 現在、鈴木農林大臣が提示しております案につきまして、まだ発表はいたしておらないところでございますが、考え方といたしましては、やはり日本として、設定していただいた二百海里の日本の漁業水域の中に、ソ連が今度は逆の立場に立ちまして入漁をすることになると思うわけでございます。その協定を一つの協定にいたしまして、日本もソ連の二百海里の中に入っていきますが、ソ連も日本の二百海里の中に入ってこれるという、完全なる双務協定にするというのが一つの考え方でありますが、それは従来の考え方を百八十度変えるものでございます。当方から提示はいたしたのでございますけれども、考え方が急に変わるということで、その審議は大変時間がかかってしまうということで、その案は採用されなかったのでございます。それに近いような案をまたつくりまして出したのでございますが、それも採用にならなくて、ソ連提案に若干の修正を施すというふうな方向に進みつつあるということでございまして、ソ連提案に日本として最小限度これならばのめるというぎりぎりの案をつくっておるところでございまして、根本は、現在のところソ連の提案を土台といたしまして、それに当方から最小限度の修正なり付属文書なりというものによりまして解決を図ろうと、こういう考え方でございます。
○青木薪次君 非常に国民が関心を持っておりますので、あえて私は日豪、日加の前にこのことをちょっと触れておきたいと思うんでありますが、イシコフ提案の第一条、第二条という関係、このことについては、ソ連はもう基本的に二百海里の漁業水域を設定するときに領土問題は解決済みだという前提に立って日本にのみ込ませようとした、われわれはそれは違うんだという立場である。しかしこのまま、いま大臣のおっしゃったような立場で、この二百海里問題というものをイシコフ大臣の言うように認めるということになりますと、領有権もそれで終わりになってしまうということでありますから、そういうことはできない。したがって、この協定は漁業水域の規定だけに限定する、領土とは直接関係ないという留保条件をつけて、しかも、付属書やあるいはまた共同声明や交換公文の中に、いずれかにそれを入れ込むということでないと、また後で紛争を巻き起こす種になるということが第一点だろうと思うんでありまして、しかも、大臣が後半に言われましたソビエトの提案というものについては、日本の設定する二百海里の漁業水域の中の領海部分にソ連は入りたいわけですね。したがって、そういう点について日本側の立場としてはどうお考えになっておられるのか、その点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(鳩山威一郎君) ソ連側の要望といたしまして、特にイワシ、サバ類がとりたいということから、日本の近海に入りたいのだということはたびたび申しております。しかしこの点につきましては、領海法を御審議いただいた経緯からいたしまして、日本の沿岸漁民を守るということで領海法を御制定いただいたわけでございますから、日本としてはこれは絶対に承認できないということで、鈴木大臣は強硬に主張をされております。したがいまして、この点につきましては何らかの、あるいはバーターをするとかいろいろなお話が出ておりますが、何らかの方法によりまして鈴木大臣は解決を図られるのではないかというふうに考えておるところでございます。
○青木薪次君 そういたしますと十二海里には入れない、これは当然なことだと思うんです。そうなってまいりますと、ソ連は二百海里マイナス十二海里の百八十八海里という点においては、ソ連の漁法としていわゆるまき網漁法というものについては、これは技術的にもなかなか困難な点がある。しかも、採算が合わないのでこの点については魅力を持たないというように思っているのか、それともこの点については再度執着をしているのか、その点についてはいかがですか。
○国務大臣(鳩山威一郎君) その点は専門的なことでございますので、あるいは水産庁の方から御答弁いただいた方がいいかと思うのでございますが、恐らく先方ではいろいろ至急に研究をしているのではなかろうかというふうに、これは私の推測でございます。しかし、漁法以外の問題といたしまして、鈴木大臣からいろいろな提案をなさっておりますので、どのような最終的な話し合いになりますか、ちょっといま私も自信のないところでございます。
○青木薪次君 その点も、ソ連は現実的にイワシとサバをほしいという立場から言うと、やはりその点については固執しているのかいないのか。いま大臣のおっしゃったように十二海里については絶対入れないということが前提であるとするならば、百八十八海里の関係等についていまだにソ連が固執しているように私は新聞で見るわけであります。そういたしますと、この点についてはソ連だって日本を北方領土の関係等の中において、千島列島の中においてやはり領海までは踏み込ませないという立場でいるとするならば、この点については非常に問題の焦点がはっきりしていると思うのでありまするけれども、その点について、私は水産庁からちょっと聞きたいと思っていますが……。
○委員長(寺本広作君) きょうは水産庁来ておりません。要求が出ていないんです。
○青木薪次君 いなければ結構です。水産庁は呼んでおりませんから、もしいたらと思ったんですけれども、大臣ひとつその点。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 折衝中のお話でございますので、最終的にどのようなことになるかわかりませんが、漁法が変わる場合にはやはりいろんなコストも変わってくるであろうというようなことがありまして、ソ連としては非常に困っておるような感じがいたすわけでございます。それについて、なおコスト計算等を研究しているというような話は報告で承知をいたしておりますが、結果がどうなるかということはちょっといま見当がつかないところでございます。しかし、この二条の問題につきましては、相当鈴木大臣とイシコフ大臣と長時間にわたって過去に話し合いをいろいろされております。したがいまして、何か話し合いというもので解決の方法があるのではないかというふうに、私どもとしてただいまのところはそのように感じておるところでございます。
○青木薪次君 余り時間をこの問題でとるわけにいきませんけれども、北方の漁民はもう一カ月有半にわたって比較的小型、中型の漁船は釧路港にくぎづけされておる。それから母船団は、六船団が函館の港にくぎづけされておるという中で、非常にこの問題については大変な事態を起こしておりますし、また、今日イワシ、サバに至るまで、北方水域の関係には関係のない魚まで便乗値上げされているというようなことで、このことは北海道並びに東北の漁民に与える生活上の問題と、それから水産物その他に対する物価のつり上げというような異常な状態を起こしているわけでありますから、非常に国民は重大な関心を持っているわけであります。しかも対ソ連との関係は、ソ連自体でも今日、中ソの関係等もあり、いろいろとプラウダが声明文を出しましたけれども、やはりアメリカや日本や西ヨーロッパの関係を含めて、ソ連としても今日やはり国際的な友好関係からも重大な選択をとらざるを得ない事態になってきているということだと実は思うんでありまして、このことについては、一北方水域の漁業水域の入漁権の問題だけじゃないということから、もし鈴木農林大臣が中座をするか、あるいはまたいわゆる一時中止、それから決裂するか、それはわかりませんけれども、いずれにしても問題解決しなければならぬ点ははっきりしていると思うのでありますから、ひとつこの問題については、この問題の帰趨いかんによっては国会に対して細かに説明し報告をするということについて、ひとつ大臣に約束してもらいたいと思うんです。
○国務大臣(鳩山威一郎君) この問題が、今日まで日ソ間の話し合いがつかないために関係の漁民の方々に大変な御心配をおかけしておるということでございます。先ほど申し落としましたが、特にサケ・マス船団につきましては、この十五日に出漁できないかということで大変期待をしておったわけであります。また、先般もサケ・マスにつきましては現行漁業条約で実施をしておることでございますので、そしてその話し合いも東京で行われ、また最終モスクワで行われましたが、ほぼもう話し合いがついたとさえ一度報道されて、それがストップになったという経緯もありますので、このサケ・マス船団についてはとにかく早く出漁できるように、ポリャンスキー大使にもモスクワへ伝達方を特にお願いをしておいたところでございます。そしてまた、この協定は今晩の会合で何らかの方針か固まりますれば——まだ交渉が固まるまではなかなか詳細に御説明ができなくて大変申しわけないとは思っておりますけれども、この方針が固まり次第、詳細な御報告を申し上げまして御協力をお願いを申し上げたい、このように考えております。
○青木薪次君 それでは本題の日豪友好協力基本条約に移りますが、その前文におきまして、「両国間の協力は、両国の相互の利益のみならず。両国が一部を構成しているアジア・太平洋地域の諸国を含む他の国々の繁栄及び福祉に対する両国の共通の関心をも念頭に置いたものでなければならない」とうたっているわけであります。日本とオーストラリア両国だけが豊かになるのではない。アジア・太平洋地域の諸国家全体の繁栄と福祉に貢献することのできる、また協力するのだという、非常に全地球的な認識に立っていることは明らかであると思うのでありますが、そのこと自体は非常に結構な話であるのでありまするけれども、オーストラリアについて見れば、近ごろASEANに対する積極的な協力の立場が目立っておりまして、ことし一月には政府部内に対ASEAN関係の各省委員会を発足させたということがあるのでありまするけれども、このことについてはいま外務省としてはどういうように考えておりますか。
○政府委員(大森誠一君) 豪州は、数年前よりASEANとの協力ということを豪州の外交政策の重要な柱の一つとして考えてまいっておりまして、豪州とASEANとの間にいわゆる対話の場というものを設けております。この対話の場におきまして、豪州はこれまでASEAN側の希望する四つのプロジェクトのために五百万豪州ドルというものを拠出するという措置をとって、その具体的な実施ぶりについてASEAN側と話し合いを続けてまいっております。ただいま先生御指摘の豪州政府のとっている機構上の措置というものも、このような豪州のASEAN重視の政策の一端のあらわれであると理解いたしております。
○青木薪次君 アジア・太平洋地区の閣僚協議会、これはASPACと言いましたね。とのASPACはその後開店休業の状態になっておりますけれども、この関係については政府はどういう対応を示しておりますか。
○政府委員(大森誠一君) 先生御指摘のように、ASPACというものが設けられておりますが、現在のところ機構としてはまだ残ってはいるというものの、その実態的な活動、ASPACそれ自体としての実態的活動というものは、この数年来事実上停止されてきております。ただ、若干のASPACのもとで設けられた地域協力の仕組みというものが一、二残っている、この程度でございます。
○青木薪次君 私は、かつてASPACが伊東の川奈で開かれたときに、こんなものを開いてもアジアの情勢はすぐ変わるのだ、こんなことで日本が非常に東北アジアにおける反共拠点を先頭に立ってつくるようなことがあってはけしからぬということを言ったことがあるわけです。早晩私の予言どおり、もうそこで一応会合を開いただけで、後はもう全部今日ある意味では終えんを告げたといいますか、そういう状態に実はなっているわけであります。ところが今日このASEANの関係についてはオーストラリアのフレーザー首相やピーコック外相などの要人がアジアの各国を訪問いたしまして、そうして新しいASPACに変わる体制強化というものが実は見られるわけです。 このように、オーストラリアの場合には、かなり明確な形でいろんな自分たち自身がいわゆる南太平洋地域における連帯感というものを持っていまいろいろと行動が行われているわけでありまするけれども、このASEANに対して日本としては基本的にASPACのような立場で協力をするのかどうか、お伺いいたしたいと思います。
○政府委員(大森誠一君) ASEANという機構はASPACという機構とは全く別個のものとしてその成立の歴史的経緯、背景等、あるいは構成しているメンバー国というものも異なっているわけでございまして、現在ASEANを構成している五つの東南アジアの国は、それぞれの国の政治的、経済的、社会的基盤を強化したいと、それがそれぞれの国の安定につながるという認識に立ちまして、そのための域内五カ国の相互的な地域協力というものを推進していきたいと、特に自主独立の立場からこの方向を推し進めてまいりたいと、このように考えて、特に昨年二月にインドネシアのバリ島におきまして五カ国の首脳が、ASEANが成立して以来初めて首脳会議というものを開きまして、この会議を契機として一段と五カ国の域内の協力というものを各種の分野で進めていくということを着々と行ってまいっております。 わが国といたしましては、このASEANの地域というものが平和で安定して経済的にも繁栄していくということが東南アジア全体の平和と安定にとって重要な意味を持っているということ、また、わが国としてこのASEAN地域との間にはいろいろの面で相互依存の関係がございますし、そういうものを今後も強化していくということがわが国の目指しているアジアの平和と安定ということにも直接つながるものであるという認識のもとに、ASEANのこのような自主独立の動きというものを高く評価いたしている次第でございまして、今後ともわが国とASEANとの協力関係というものを強めたいと考えている次第でございます。 このような立場から、従来ASEANと日本との間の関係といたしましてはゴムの問題という限られた面での協力、対話の場があったわけでございますが、昨年暮れにわが方からASEAN側に対しまして、日本とASEANとの間にも協力の場を設けたいということを提案いたしまして、これに対してASEAN側が全面的に歓迎するということで合意が成立いたしまして、この合意に基づきまして本年三月二十三日にインドネシアのジャカルタで日本とASEANの第一回のフォーラム、対話の会議が行われた次第でございます。
○青木薪次君 ASEANに対するわが国の経済協力を主体にいたしまして、あらゆる関係でかなりの友好関係が実績として上ってきていることについては私も認めます。しかし、他方で昭和四十九年の一月に当時の田中首相がASEAN諸国をも訪問をいたしました。そればっかりじゃありませんけれども、とにかく東南アジアを含むASEANの諸国等にも訪問したわけでありますが、ASEANに加盟している国においては特に対日批判が厳しくて、デモンストレーションになり暴動にまで発展したと、そのことについて外務省はどういう理解をしておりますか。
○政府委員(大森誠一君) 田中元総理がASEAN諸国を歴訪されました時点におきましては、わが国のこれら東南アジア諸国に対します経済的なオーバープレゼンス、日本の経済的な進出が過度にわたっていたという状況がございまして、そういうことを直接の原因といたしまして、ASEAN諸国の一部におきまして日本に対する批判あるいは反感の念が存在していたということは事実でございます。このような状況のもとで田中元総理が訪問されましたときに、タイあるいはインドネシアにおいてまあ暴動に近いような動きがあったということも事実でございます。 しかし、その後東南アジアの情勢というものも大きく変わりました。一つにはインドシナの戦乱が終結を見たということ、その背景のもとにASEAN諸国としては、先ほど申し上げましたように、域内相互間の協力関係というものを深めてそれぞれの国の安定的な発展を逐げたいと、こういうことで非常に協力関係に入っているわけでございますが、そのASEANの地域的な発展を望む関連といたしまして、わが国からの協力というものに対する期待も非常に強まっている次第でございまして、今日の情勢は田中元総理訪問のころの情勢とは非常に大きく変わってきているということは申せると存じます。
○青木薪次君 私は、ある経済の交流をしている人たちにときどき聞くわけでありまするけれども、対日批判というものはそんなに払拭されたわけじゃない。いま次長のおっしゃったように、インドシナにおける戦乱が終息したということはあったにいたしましても、そのことが直接原因で、ああいう戦争状態にあったので国民が対日批判をしたというものではなくて、いまいろいろ言われました日本からの輸出過多という問題もあるでしょうし、あるいはまた、逆に資本進出の過程における日本のやり方等にもあるでしょうし、あるいはまた、対外経済協力等の関係等についてもあるでしょうし、いろんな問題がふくそういたしていると思うのでありますが、日本とオーストラリア両国の協力を通じて東南アジア諸国の繁栄と福祉に貢献するということについては、私も冒頭申し上げたように賛成でありますから、具体的にはどういうことをするのか、それをお伺いいたしたいと思います。
○説明員(山下新太郎君) 前文には、確かに先生御指摘のとおり、日豪両国間が協力いたしますと、それは日豪双方にとっての利益にとどまらず、アジア・太平洋地域の福祉、繁栄、そういうものに貢献すると、そういう認識を持ってこの条約を結んでいる、こういうことがうたわれているわけでございます。 それで、先ほどからいろいろ御議論ございましたように、ASEANの国に対しまして豪州が地理的位置からその関係を深めていこうという政策をとっていることは事実でございますが、日本側におきましても、先ほど御説明ございましたように、そのような方向でものを考え、やっているわけでございます。その際、言うまでもなくASEANはASEANとして自助努力をやっているわけですが、したがいまして、日本なり豪州なりに協力を求める際、自分たちの考え方に従っていろいろなプロジェクトをつくり、それに対する協力を求める、こういうことになるかと思うのでございます。その際、日本なり豪州なりが一方的にこちらの都合のみを考えて云々するということではなくて、同じ地域に属する先進国たる豪州及び日本が相互に意思の疎通を図りながら、先ほど申し上げましたような形での協力をするということが、要するに、アジア・太平洋地域の国の繁栄なり福祉に貢献する、こういうことになろうかと思うのでございます。そういう趣旨で書かれたものだと理解いたしております。
○青木薪次君 私は、前文を読んでまいりまして一番懸念されますのは、日本とオーストラリア間における安全保障面における協力の問題だと思うんであります。防衛庁の伊藤防衛局長にお伺いしたいと思うんでありますが、オーストラリアの現フレーザー政権は安全保障面を非常に重視いたしております。それから、ウィットラム労働政権のもとで冷却した米国との関係をいま必死になって改善しようといたしているわけであります。ANZUS条約を軸とするアメリカとオーストラリア関係の強化を図っていくという点について、いま防衛庁としてはどういうとらえ方をしておりますか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(伊藤圭一君) 私どもの防衛駐在官をオーストラリアに派遣いたしておりまして、そういうところからのいろいろな話を聞いておりますが、オーストラリアがいま一番国防上関心を持っておりますのは、やはりソ連の海軍力の増強というものに対してはかなり関心を深めているようでございます。したがいまして、私どもがいろいろ聞いておりますところでは、やはり西太平洋におきましてアメリカの第七艦隊が存在しておりまして、ソ連の増強されます海軍力に対応できて、自由圏というものを守っていくというような形、そういったものに深い関心を払っているというふうに理解いたしております。
○青木薪次君 いま言われましたように、西オーストラリア州のコックバーンサウンド海軍基地を米海軍の利用に提供する。あるいはまた、オーストラリアの港をアメリカの原子力の艦船に開放するということにしたほか、ジエゴガルシア等、インド洋上のこれらの地域における米海軍基地の強化を指示しているわけでありますが、これとは反対で、いまも表明がありましたように、ソ連との関係で、インド洋や南太平洋におけるソ連のプレゼンスに対してしばしば警戒心を表明しているというように私も聞いているわけであります。 このように、親米反ソという姿勢をかなり鮮明にいたしているわけでありますが、いまのオーストラリアの政権は、いやしくもわが国が両国間の協力の名のもとに、軍事面における協力を進めるということが私はかりそめにもあってはならないと考えております。このことについて防衛庁としてはどういうようにお考えになっておられるか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(伊藤圭一君) 御承知のように、自衛隊というのはわが国の安全と平和を守るという目的でございます。したがいまして、他国と協力してある地域の安全のために行動するということはあり得ないわけでございます。しかしながら、自衛隊が日米安全保障条約によりまして日本の安全と独立を守っているというそのこと自体、これはやはり世界の中におきます平和を維持しておる枠組というものを維持するという意味の責任を果たしているということでございますので、私どもは、日本の安全が確保されているということがやはり太平洋地域におきます安全にも間接的には寄与しているというふうに理解いたしておるわけでございます。したがいまして、オーストラリアと軍事的にいろいろな行動をともにするというようなことは全くないわけでございます。
○青木薪次君 ただ日本は、あなた方が予算委員会等におきまして主張いたしておりますように、あくまでも専守防衛であるという立場は変わらないわけでしょう。したがって、南太平洋やインド洋地域まで関心をもって、この関係で日本が日豪の軍事面に介入して、そうしてこの面で強化されたら日本を守れるんだなんという認識に私は立つことは間違いだと思うのです。その点についてはどう考えますか。
○政府委員(伊藤圭一君) いま先生がおっしゃるとおりでございます。日本が日本の独立と平和を守るために、自衛隊が日米安全保障条約に基づきまして日本の安全と独立を確保するということがやはり結果的にはまあ世界の平和というと非常に大きなことになりますけれども、やはり極東の平和の面ではそれなりの意味を持っているというふうには理解いたしておるわけでございます。
○青木薪次君 いま、内閣委員会で強行採決したようだから、これで一応私は発言を保留します。
○委員長(寺本広作君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(寺本広作君) 速記を始めて。 暫時休憩いたします。 午後二時四十六分休憩 〔休憩後開会に至らなかった〕 —————・—————