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80回国会参議院1977/04/07

外務委員会 第3号

発言数
136
登壇者
14
会派数
4
開催日
1977/04/07

会議録

寺本廣作自由民主党

○委員長(寺本広作君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  議事に先立ち一言申し上げます。  本委員会委員亘四郎君は、去る四月四日、心筋梗塞のため急逝されました。まことに痛恨哀惜にたえません。  同君は、本委員会の委員として一緒に国政に尽くしてまいりましたが、ここに皆様とともに謹んで黙祷を捧げ、心からの哀悼の意を表し、御冥福をお祈りしたいと存じます。  それでは、出席者全員の皆様の御起立をお願いいたします。黙祷。   〔総員起立、黙祷〕

寺本廣作自由民主党

○委員長(寺本広作君) 黙祷終わり。御着席をお願いいたします。どうもありがとうございました。     —————————————

寺本廣作自由民主党

○委員長(寺本広作君) まず、委員の異動について御報告いたします。  去る三月二十二日、栗林卓司君が委員を辞任され、その補欠として田渕哲也君が、また三月三十一日、上田哲也君が委員を辞任され、その補欠として目黒今朝次郎君がそれぞれ選任されました。     —————————————

寺本廣作自由民主党

○委員長(寺本広作君) 次に、国際情勢等に関する調査を議題といたします。  この際、鳩山外務大臣から発言を求められております。これを許します。鳩山外務大臣。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 最近のわが国をめぐる国際情勢について概略御説明いたします。  まず日米首脳会談についてでありますが、このたびの会談は、日米両国政府の新しい首脳の間で、世界の中の日米協力との見地から一層平和で繁栄した国際社会の実現のため、両国の協力関係について意見交換を行うとともに、両首脳の間に自由かつ率直な対話と相互信頼の関係を築くことを最大の目的としたものであり、この目的は十二分に達成されたものと考えております。  今回の会談の主要な内容は次の各点であります。  両首脳の間で、日米両国を含む先進民主主義工業諸国が世界経済の景気浮揚に努力する必要があるとの共通の認識が確認され、自由貿易体制の維持、南北問題、エネルギー問題等の国際経済上の課題については、五月のロンドンにおける主要国首脳会議の意義を重視し、その成功のためともに努力することが合意されました。  アジアの問題については、カーター大統領より、米国が今後ともアジア・太平洋地域において積極的役割りを果たすことを再確認し、両首脳間で日米両国ともに東南アジア諸国連合による地域的結束と発展のため、協力と援助を続ける用意があることが改めて確認されました。  政府としては、これら諸国との友好関係にかんがみ、今次会談の概要について説明するため、現在ASEAN五カ国及びビルマに有田外務審議官を派遣しております。  また、今回の日米首脳会談において朝鮮半島の問題については、カーター大統領より、在韓米地上軍の撤退を行うに当たっては、朝鮮半島の平和を損なわないよう十分配慮する旨の説明がありました。  次に、原子力の平和利用の問題、なかんずく、使用済み燃料の再処理の問題については、カーター大統領より、その核拡散につながる危険性を強調したのに対し、総理より、わが国にとり原子力開発利用計画の実現に向かって進むことは緊要であると強く主張されました。その結果、日米両国政府間で早急に協議を行うことになったことは御高承のとおりであります。  また今回の首脳会談において、両首脳により、核軍縮の第一歩として、あらゆる環境における核実験の早急な禁止が強調されました。  さらにカーター大統領より、わが国が国際連合安全保障理事会常任理事国となる資格を十分有しているとの考えが述べられ、その実現に対する米国の支持が表明されました。  以上のような今回の会談の成果を踏まえ、政府としては、今後とも世界の中の日米協力を推進してまいる所存であります。  次に、漁業問題を中心に日ソ関係について御説明いたします。  昨年十二月十日、ソ連が最高会議幹部会令により二百海里漁業水域を設定し、さらに本年二月二十四日、ソ連邦大臣会議決定により実施規則を公布したことから、日ソ漁業関係は重大な転機を迎えました。  かかる事態に対処するため、鈴木農林大臣は本年二月二十八日より四日間訪ソし、イシコフ大臣と今後の日ソ漁業の枠組みにつき協議し、今後の交渉の筋道について合意が達成されました。これに基づき日ソ両国は、長期的漁業協定の締結のため早急に交渉を開始することとなったほか、一九七七年度についての暫定取り決め締結交渉を三月十五日から三十一日までにモスクワにおいて行うとともに、同日より東京において、日ソ漁業条約に基づく日ソ漁業委員会を開催し、サケ・マス及びニシンについて審議することとなりました。  モスクワにおける交渉は、連日双方代表団の間で行われましたが、遺憾ながら四月一日までに妥結に至らず、交渉は中断することとなりました。  交渉における主要問題は、(イ)適用水域の問題、(ロ)わが国の領海幅員が拡大された場合にソ連側の漁業の権利を認めよとの先方の主張、(ハ)ソ連側二百海里内におけるソ連の主権的権利、許可証、取り締まり、なかんずく裁判管轄権を明記する問題であり、さらに漁業の実態について、わが再三の主張にかかわらず、ソ連側は話し合いに入ろうとせず今日に至ったものであります。  東京における交渉はモスクワ交渉と並行して行われましたが、ソ連側が二百海里内の操業について話し合う権限は有していないと主張したのに対し、わが方は、日ソ漁業条約は有効であり、二百海里内外を含む条約水域でのサケ・マス及びニシンの規制措置について審議すべきである旨主張して対立したほか、サケ・マスの漁獲割り当て量及びニシンの漁獲についても日ソ双方の立場は対立したまま、三月三十一日、日ソ漁業委員会は休会となり、ソ連代表団は同日帰国いたしました。  このような事態にかんがみ、政府は四月五日園田官房長官を特使としてモスクワへ派遣し、本七日のソ連側首脳との会談において福田総理親書を手交するとともに、膠着した局面の打開と日ソ友好関係の増進を図ることとしており、また、鈴木農林大臣も本七日訪ソし、イシコフ漁業大臣との間に漁業交渉の詰めを行う予定であります。  次に日中関係でありますが、日中関係は一九七二年の国交正常化以来、貿易、航空、海運、漁業の四協定がすでに締結される等、全体的に着実に進展しております。  政府としては、今後とも日中共同声明を基礎に、一衣帯水の間柄にある中国との善隣友好関係をより一層安定的なものとしていくため努力していく所存であります。  日中平和友好条約交渉については、日中両国とも早期妥結の熱意において一致しており、政府としても日中双方にとって満足のいくような形で、できるだけ速やかに締結いたしたいと考えております。  次に国際経済問題についてでありますが、来る五月七、八日の両日、ロンドンにおいて日、米、英、仏、西独、伊、加の首脳及びEC委員長が参集し、三回目の主要国首脳会議が開催されることとなりました。  今次会議の議題の詳細は未定でありますが、経済政策、貿易等の国際経済の諸問題を中心に、参加首脳間で忌憚のない意見交換が行われることが予想されます。  現在の国際社会においては、景気の停滞、失業問題などの難問が山積しておりますが、かかる時期に首脳会議が開催されることは、まことに時宜を得たものであると考えております。  首脳会議の有するこのような重要な意義にかんがみ、わが国としては、今次会議に積極的に取り組み、諸問題の解決のために国際的責任を果たしてまいりたいと考えております。  以上現下のわが国をめぐる国際情勢につき概略御説明いたしました。  かかる重大なる局面にあたり、私といたしましては、全力を尽くして責務の遂行に当たる所存でありますが、委員各位の御理解と御支援をお願いする次第でございます。  以上でございます。     —————————————

寺本廣作自由民主党

○委員長(寺本広作君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、木内四郎君が委員を辞任され、その補欠として山本茂一郎君が選任されました。     —————————————

寺本廣作自由民主党

○委員長(寺本広作君) これより質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。

秦野章自由民主党

○秦野章君 新しい外務大臣になって初めてですけれども、われわれの外務委員会はわりあい余り肩に力を入れないで、対話的な気分でやってきましたから、ひとつざっくばらんに私どもも言いますし、やってもらいたいと思うのです。  最初に、いま非常に政府も苦労しておられる対ソ漁業交渉の問題で、これ国際秩序という立場から見ると、二百海里宣言というものが大国が先陣争いでやってきた。何と言っても海底資源、魚、これ人類共通の資源なんですよね。そういう人類共通の資源の問題だから、本当は海洋法の秩序なんかがちゃんとして、そういう国際秩序の中でそれぞれの国々の利益が、言うならば相談ずくで決まっていくということが好ましい状態であることはこれはもう当然なんだけれども、何かこう大国、日本が大国といえるかどうか多少疑問なところあるけれども、少なくとも米ソは大国、大国の先陣争いで二百海里、それから日本は仲間入りして、そして魚の問題はこれは一つの大きな国益だからがんばらにやならぬ。これはわかるんだけれども、何か私は静かなる動きではあるけれども、こういう状態というものは、新しいまたこれナショナリズムの芽が出てきたような懸念がちょっとするんですよ。これは非常に警戒すべき問題ではないのか。南北問題なんかが非常に国際的には世界的には重大な懸案に各国、大国は特に理解をしているはずですよね。そういうようなことで、私はちょっとそんな感じがするんですが、どうでしょうね、そういう感想は。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) ただいまのお話は、私といたしましても率直に申しまして大変残念なことだというふうに思います。特に二百海里問題というものが相当前から論ぜられたということはございますし、また、カラカス会議以後に二百海里問題が急速に力を得てきたという経過もありますし、また海洋法会議がなかなか結論が出ないと、こういうことでしびれを切らしてという面もあろうかと思いますが、海洋国家といいますか、沿岸を広く持ち、そしてこの二百海里によりまして非常に何といいますか、これ利益ばかり言ったんじゃいけないだろうと思います。海洋資源の保存とかいうことも考えての措置でありますから、その利益の面ばかり言うことはどうかと思いますけれども、現実的な話といたしましては、やはり漁獲量というものに非常に影響してくる話でありますから、したがいまして、特定の国が二百海里という、特に漁業につきましては大変な管轄権を行使する。また、世界には海を持たない国が確か二十七カ国だったか八カ国だったかあるわけでありますし、また海は若干は持っておりましても、たとえばシンガポールみたいな国というのは、周りで二百海里で囲まれちゃって自分の二百海里というものは持たないと、そういう国も非常に多いわけで、そういう意味からいわゆる大国というものが二百海里をどんどん、しかも自国の国内法で実施をしてしまうということは、私はいままで国連の海洋法会議で努力をしてきた方向とは矛盾するのではないか、そのような考え方を日本としてもとっておったわけであります。今日この事態になりますと、日本だけがこの二百海里を実施しないということは、かえって非常な問題を起こすに立ち至ったのであります。今日までわが国の対処の仕方がおくれたではないかという御批判もあるわけでありますけれども、国際社会の一員といたしまして、わが国としては今日まで率先をして、まず最初にわが国自身が二百海里をすべきであったではないかということにつきましては、私どもとしては釈然としない気分を持っておるところでございます。

秦野章自由民主党

○秦野章君 確かに、率先しなかったことを非難する方が私は間違っていると思うんだけれども、やっぱり分捕り合戦ということには非常にエネルギーを集中するが、分け合うということにはほとんど力を入れないというところに現代の一つの問題があると思うんですよ。だから海洋法会議というものは一つの理想を持っているんだけれども、どうもしかし海洋法会議の成功率というものが、なかなかこれ海洋法会議はむずかしい、成功しないんだろう。成功しない原因もいろいろあるようだけれども、これをちょっと、局長で結構だけれども、非常に悲観説もあるわけですよ。しかし、これは何とか成功させるという方向に努力することが、各国あるいは人類の大きな理想だと思うんですけれども、その経過と展望はどうでしょうね。これはことし片づくかどうか疑問でしょうけれどもね。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) おっしゃるとおり、海洋法会議が結論を早く出すことが本当に望まれる次第でありますけれども、現状におきまして、深海資源の開発問題が、途上国と先進国との間に意見の食い違いがあるということが一つの問題であろうと思います。その詳細につきましては政府委員から申し上げたいと思います。

中島敏次郎外務省条約局長

○政府委員(中島敏次郎君) ただいま外務大臣からお話がございましたように、昨年の、二回にわたりまして、春と夏と会期をやりまして、その会期での進展ぶり、ことに夏の会期での進展ぶりが大変期待に反したということで、前途に対して悲観的な見方をする向きもないわけではございませんで、その点先生の御指摘の面もあり得るかと思います。いま大臣からお話がありましたように、夏の会期で所期の目的を達しなかった最大の理由は、これは何回もこの委員会でも御討議がありましたけれども、深海海底の開発の問題でございまして、これはいわば基本的には南北問題でございます。深海の資源を開発するに当たって、先進国としては、できる限り私企業の開発のアクセスが認められているべきであるという立場でありまして、後進国の方は、この海洋法会議で設立されるところの国際機関がすべて開発をやるべきであるというのが基本的な考え方で、それに多少の譲歩をしてもよろしいというようなことであったわけでございますが、いずれにせよ、その深海海底の開発の問題をめぐりまして先進国と後進国の間の立場に非常に開きがあって、何ら譲歩の気配が見えなかった。  その間、キッシンジャー長官もみずからニューヨークに乗り込んで打開に努めたりしたこともありましたけれども、いずれにせよそこで打開が図られなかったということから、多少の悲観的な考え方が出てきたわけでございますけれども、この前の夏の会期におきましては、その経験にかんがみて、今年五月の二十三日でしたか、から行いますところの会期におきましては、いまの深海海底の開発の問題を最初に取り上げて、最初の二、三週間は全部ほかの委員会の審議をストップして、首席代表レベルでこの問題に取り組んでこの問題の決着をつける、それができましたところでほかの問題を取り上げるというような、異常な決意をもって今度の会期に臨もうということでございまして、昨年の夏会期が終わりましてからも関係各国の間でいろいろ陰で非公式な話し合いが進められております。まだ、それらの状況に徴して今度の会期で実質的な合意をあらゆる問題について得られるかという点になりますれば、これはいま大丈夫ですと申し上げるのは楽観的に過ぎるであろうという感じを持ってはおりますが、何分にも広範な複雑な海洋秩序に関するいろいろな問題を一遍にやろうということでございますので、事業そのものはなかなか容易ではなかろう。しかし各国の態度は、非常に、今度の会期でともあれ実質的な決着にまで何とか持っていきたいという非常な熱意を持っているというふうに私どもは考えております。

秦野章自由民主党

○秦野章君 一般的にはそういうことだろうと思うんだけれども、こういう会合をまとめる場合における日本の態度といいますか、つまり、大国の側でもなければ必ずしも後進国の態度でもない。言うならば中へ割って入ってこういう会合を成功させるという心意気をこの海洋法会議の舞台で演ずるといったような、そういう姿勢が必要じゃないのか。そのためには役者も選ばにゃならぬだろう。私は、何かこの海洋法会議というものはやっぱりどうしても成功させなければ分捕り合戦が拡大するだけだ、そう思うんだけれども、これは外務大臣、この海洋法会議の会議のやり方とかいろいろ国際の舞台で旧来のやり方があるでしょうけれども、やはりこれは重大な問題だから、そこにひとつ関心を持って、中へ割ってってこれを何とかまとめるという、そういう役割りを、これは理想に過ぎるかもしらぬが、やっぱり理想を追わなきゃおもしろくないですから、何かそういう発想をひとつ検討してみてくれませんかね。このことをひとつ。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 御趣旨は全くわかるわけでございますが、海洋法で問題になっております深海海底資源の開発の問題についてでありますけれども、この問題につきまして日本国内におきます何といいますか議論が、わりかた日本で関心が持たれていないような感じがあるわけでございます。そういうようなことでなかなか日本として態度が決まらないということがあったわけでございますが、特にこれは財政問題にも絡む問題が出てまいりますので、関係当局とも至急連絡をとって、何らかのはっきりした日本としての態度を決めなければならないだろう。日本としての態度が決まらないでおりますと、国際会議の場に行きましてなかなか主張することができなくなるわけでありますので、日本としてのこの問題に対する態度を早急に固めるように努力をいたしたいと思います。

秦野章自由民主党

○秦野章君 それは日本としての態度を決めることは当然なんだけれども、これを何とかしてまとめるという、そういう立場を前進させるというのかな、そういう役割りを何か持つような方向にいまちょっといけないものだろうかという発想なんですよ、これは。それはいろいろ会議に臨んで準備が要って、予算その他いろいろ要るんだけれども、海洋法秩序というものを、海洋法がねらったあの理想というものはいいんだから、いろいろ利害がふくそうするけれども、利害のふくそうというのは、さっきの説明があったように、金持ちと貧乏のけんかなんですから、中へ入ってまとめるというような、そういう方向というものを何か具体的に前進することはできないであろうかという気持ちなんですけれどもね。もう答弁はいいですけれども、ひとつ検討してもらいたいと思う。  それから、この間の日米首脳会談の唯一の継続協議になった例の原子力発電の使用済み核燃料の処理問題につきましては、非常に日本も大きな打撃を受けるわけでございますけれども、一部の議論の中には、アメリカも戦争用の核——核兵器も独占するが、平和利用の核の方も独占するのだといったようなことになるのではないかという世論もあるですよね。まさかそこまでじゃないと思うんだけれども、そういう点についてはどういうふうに見ておられますか。  いかにもカーターは道義外交を言ってるんだけれども、この間核拡散防止条約をわれわれは一生懸命やってこれを締結した。そのときには平和利用も結構でございますと、保障措置はいろいろ講じなければなりませんよと、それは保障措置結構ですよと言って核防条約をついこの間通した。アメリカは確かに政権が移って、共和党から民主党になったんだけれども、しかし、アメリカの外交には外交として国際的にかなり一貫したものもなくちゃならぬだろうと。どうやらカーター大統領は選挙戦の言うならばスローガンのような形にして登場したような感じがするんだけれども、核拡散防止条約の問題については、われわれの党でも実は非常に議論があったけれども、あの理想はあれでいいんだと、やっぱり日本はやった方がいいということでやったんです。平和利用はひとつそのかわり保障しようと。日本も結構昔から人がいいから、核燃料もそっちから回しますと言ったら、そうだといって、おんぶにだっこのようなかっこうで通したことは通した。ところが、いまになって再処理の工場が七月開くか開かないかなんというときに、オープンできるかできないかというときにストップをかけられたというような状態なんですよね。これは確かに核拡散というもののぼくは延長線上にこのカーター大統領の理念というものがあることはあるんだが、そういうものを一気にやっていくということについて、われわれとしてはこの間条約批准したばかりなもんだから、安全保障措置が十分でないというならそれは十分やるという努力をせにゃいかぬのは当然のことだけれども、いかにも唐突の政策路線の変更みたいな感じがするんですが、まあヨーロッパではドイツとかフランスはすでに再処理をやって、いろいろ日本よりも進んだことをやっている。もう運転をしているわけですね。日本はまだそこまでいってない。七百億か何ぼか金使っちゃって、あれがまあパアになるという金の問題もさることながら、しかし、ヨーロッパではもうやっているのに日本ではやらせなかったという。この規定を見てみると、これはちょっと説明してもらいたいのだが、ヨーロッパと、ユーラトムとアメリカが契約したときには、再処理の問題について相談しろなんという規定がないのに、日本とアメリカが原子力協定やったときには再処理の問題はアメリカと合意をせなくちゃならぬという区別があるんですけれども、これは締結するときにどういうような意味でヨーロッパと日本を差別したのか、その経過をちょっと事務当局でいいから説明してくれませんか。八条C項のやつだ。

大川美雄外務省国際連合局長

○政府委員(大川美雄君) ヨーロッパと申しますか、アメリカとユーラトムの協定では、おっしゃいますとおり、アメリカから購入した核物質の使用済み燃料を再処理するのに、アメリカからは同意を取りつける必要はございません。それは米・ユーラトム協定上の規定になっております。それは私も、実はいまから二十五年前後前にさかのぼるわけでございまして、実は余り深くは勉強いたしておりませんけれども、米・ユーラトム協定ができましたのが一九五八年と了解しております。そのときからそういう規定になっておりまして、日米協定の第八条C項のように、アメリカから入れてきた核燃料の使用済み分を再処理するその国で再処理するのに、両国の共同決定を必要とする形式がアメリカ側が結んだ原子力協定で初め出てきますのは千九百六十何年に入ってからなんでございますね。日本の場合にも六八年の改定のときにそれが入ってきているように思います。  ですから、これは私のまあ若干想像も加わりますけれども、たとえば六〇年の中ほど以降にもし米・ユーラトム協定が交渉締結された場合には、いまの米・ユーラトム協定とは若干変わった書き方になっていたかもしれないということが言えるんではないかと思います。これは正式にアメリカの考え方を聞いたわけではございませんけれども、締結された時期によってアメリカの考え方が若干変わってきたと、こういうふうな御説明を申し上げるのが一番よろしいかと思っております。

秦野章自由民主党

○秦野章君 確かにユーラトムとの協定は五八年、それからこっちは六八年だね。八条C項は六八年。

大川美雄外務省国際連合局長

○政府委員(大川美雄君) 日米間で最初に原子力協力協定ができましたのは、五五年で、それから五八年にまた改定になって、そして六八年改定、七三年改定、そして今日に及んでおるわけでございます。

秦野章自由民主党

○秦野章君 それで、確かにあなたの言うように時間の差というものは、いろんな条約なりにしても法律にしても、変わってくるということはあり得るけれども、核兵器——廃棄物の処理についてヨーロッパは何のチェックもなくて日本だけはチェックするという規定は、それは私はちょっと、少なくとも日本側としては——私ども実は不勉強でこれわからなかったんだけれども、核防条約とストレートな関係でもないもんだからね。しかし、それは外務省にしてもあるいは科学技術庁にしても、それだけの差がついているということについてたださないというのは私はおかしいと思うのだよ。何だか想像で、時間がたっていたから様子が変わったんだみたいな話は、そもそもやっぱりヨーロッパとアジアなんというものはしばしば差別を受けるという歴史があるわけですよ、正直言って。そのことを念頭においてやっぱりこれは外交交渉なんかのときは、差があるのは何だと——理屈かあればいいんですよ。だけどただ、時間が変わっているから変わったんだろうぐらいのことでは、これはあなたが当時の人じゃなかったと思うけれども、私は外交折衝の段階においてやっぱり言うべきことはきちっと言って、納得がいかなければ納得がいくまでやるというのが腹を割った外交だと思うんですよ。この差が私は非常に気になるのだ。これは差別だということだというふう思うんですよ。どうかね、これ。

大川美雄外務省国際連合局長

○政府委員(大川美雄君) 秦野先生のおっしゃるとおりだと思います。ただ、米・ユーラトム協定などは実はアメリカがつくっています幾つかの原子力協定の中で例外的な規定でございまして、全部で十八、九ぐらい私どもの調べたところで二国間の原子力協定がありますけれども、アメリカとカナダの場合、それからアメリカとユーラトムの場合、アメリカと国際原子力機関との場合の協定以外は、十七、八ございますけれども、全部日本の場合と同じように共同決定を必要とすると、例の八条C項的な規定が入っているようでございます。ですから、日本だけが特に差別されたような形になっているわけではございません。ただし、ユーラトムとの関係では確かに日本にとっては不利な形になっていることはおっしゃるとおりでございます。

秦野章自由民主党

○秦野章君 ユーラトム並み、ユーラトム並みといってまるで子守歌みたいにわれわれは外務委員会で聞かされて、核防条約やろうといってやったんだよ、実はね。だから核防条約とは直接の関係はないけれども、やっぱりこれなかなか吟味せにゃならぬものだという反省は、何もあなた方だけじゃなく、われわれもあるんだけれども、こういう問題について、ヨーロッパではすでにフランスにしてもドイツにしても、再処理の問題については運転しているわけだね。日本はまだ始まってない、用意だけはしている。まあ用意ドンのちょっと前で準備運動やっているようなところなんだけれども、しかしこの日米首脳会談等で、これはカーターさんそうおっしゃるけれども、ヨーロッパ始まってますよと、ドイツもフランスもこれはもう大変でしょうと、こんなことあなたおっしゃったら、ということはあるわけですよね。そして、日本はヨーロッパと差をつけて、同意がなきゃできないなんと言っているのは、ちょっと考えてみたらあなたの方は差をつけているじゃないかというぐらいの、うっぷんを晴らすような場面が日米首脳会談ではありませんでしたかね。ちょっとうっぷん晴らすぐらいやると腹割った外交がだんだんできるようになると。体裁のいいことばかりやっていると、幾らでもこれ、こういうものが積み重なるという私は危険を感ずるんだよ。どうですか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) カーター大統領と福田総理との間の再処理問題につきましてのやりとりを聞いておったわけでございます。福田総理は、何より日本が不平等な扱いを受けるということは認められないということを非常にきつくおっしゃったわけであります。一体ヨーロッパはどうなるんだ、フランスはどうなるんだ、ドイツ、イギリスはどうなるんだ、それをみんなあなたはとめられますかと、また一体じゃソ連はどうなんですか、あなたはソ連のその再処理をとめられますかということを言われたわけで、そのときのカーター大統領の表情を私は見ておりましたけれども、大変渋い顔をして聞いておられたのが印象的であります。その点は、日本として言うべきことは十分おっしゃったというふうに私はこの目で確かめておるわけでございます。

秦野章自由民主党

○秦野章君 最後に一言だけ。やっぱりヨーロッパと日本に差があるという、差があるということは日本自身がつくったんだということを外務省としては頭に置いておいた方がいいと思います。向こうが差をつけたということよりも、こっちがこう差をつけた、こっちみずからが。そういうふうに考えるべきだと思うんですよね。そのことは私は理由があればいいよ。ただ時間がかかったからそうなったんだという、そういう考えじゃちょっとまずいんだよ。われわれ自身がやっぱり差をつけちゃいけないんだと、こういう考え方が必要ではないかと、このことを最後に申し上げて…。  次は航空協定がいま始まっているんですけれども、これもちょっと差別されているんだよ。それで不平等是正とかいろいろ言われているんだけれども、何が不平等かね。

山田隆英運輸省航空局国際課長

○説明員(山田隆英君) 私どもといたしましては、今回の交渉におきましていわゆる不平等な点というのを三つ掲げております。  第一の問題といたしましては、日米間の路線でございまして、現在アメリカ側の企業といいますのは、アメリカ内の十二地点から日本へ運航を行っております。これに対しまして日本側の航空企業はアメリカ内の地点として六地点に運航しているわけでございます。航空協定自体におきましては、それぞれ自分の国の国内地点は自由に選択できる、こういうふうになっております。簡単に申し上げますと、アメリカの国内地点に差があるということ、これが第一点。それから第二点は、それぞれの以遠権に差がある。いわばアメリカ側は無制限に日本の以遠権を持っているのに対しまして、日本側の以遠権はきわめて制限されておる。それから第三点は輸送力の差でございまして、実質的にアメリカは日本の二倍の輸送力を日米間に提供しておる。この三点でございます。

秦野章自由民主党

○秦野章君 それで、わかりいいように言うと、以遠権と路線の問題ではいかにもこれ不平等だということを例で言ったらどういうことですか。

山田隆英運輸省航空局国際課長

○説明員(山田隆英君) 具体的に申し上げますと、アメリカ側の企業は現在シカゴ−東京という路線を運航できます。これは非常に日米間にとって重要な路線でございますが、これについて日本側は運航ができない。それから以遠権の点につきましては、アメリカ側は東京以遠韓国、台湾、香港等の諸地点に運航しておりますが、日本側は現在全然運航しておりません。ただ、権利としては大西洋越えでヨーロッパヘの権利を持っておりますが、実際問題として採算が合わないということで運航してないと、こういうことでございます。それで、実際に飛びたいたとえば中南米線等は飛べない。これが以遠権と路線の不均衡でございます。

秦野章自由民主党

○秦野章君 この協定はいつできたんですか。

山田隆英運輸省航空局国際課長

○説明員(山田隆英君) 一九五二年の八月に締結しております。

秦野章自由民主党

○秦野章君 そうすると、五二年締結した当時というのは、日本の民間航空力というのはほとんどないわけだろう。

山田隆英運輸省航空局国際課長

○説明員(山田隆英君) まだ日本の航空企業は実際に飛んでおりませんで、日本航空が初めて国際線を始めたのは一九五四年にサンフランシスコ線を開始したのが初めてでございます。

秦野章自由民主党

○秦野章君 そうすると、ほとんど赤ん坊のような日本とすでに相当の大人のアメリカと協定を結んだ。その協定がずうっと今日まであって、その協定の背景に航空の力量というものが大方日米間に反映されてきたと、こう見ていいんですか。

山田隆英運輸省航空局国際課長

○説明員(山田隆英君) ただいま先生がおっしゃいましたように、協定締結当時というのは、いわば日本が独立まだ間もないときでございまして、日本の航空企業というものは実質的にまだ飛んでなかった。一方、アメリカはすでに日本に飛んでおったわけでございます。それから、平和条約の中で日本は航空協定を結ばなければならない、それから当時のアメリカ等の実績は認めなければならないと、そういうような条件を負わされて協定を結びまして、当初からハンディキャップを負っておったわけでございます。  その後、何回かの改定を行いまして幾つかの新しい権利を獲得いたしましたが、同時にまた、アメリカ側はあくまでも協定はギブ・アンド・テークだという考えに立っておりまして、そのつど日本側としては何らかの代償を支払わされた。その結果、私どもとしてはその後必要なある程度の権利は獲得してきたわけでございますけれども、基本的な不均衡というものはなかなか縮まらないと、こういうことでございます。

秦野章自由民主党

○秦野章君 にもかかわらず、日米航空交渉というものは非常にむつかしいというふうに言われているんだけれども、これは日米首脳会談でも交渉の中に一つあったわけですね。そこらの空気はどうでしょう。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 福田総理からカーター大統領に対しまして、近く日米航空交渉が行われる、日本側の立場について御理解を賜りたいと、こういう発言を福田総理からなされました。それに対しましてカーター大統領から、アメリカ側の立場につきましても御理解を同様に賜りたいという経緯があったわけでございます。実際首脳間のやりとりはそのようにあった次第であります。

秦野章自由民主党

○秦野章君 乗ってるお客は一九五二年から今日まで、日本とアメリカの乗るお客の数は逆転しているでしょう。

山田隆英運輸省航空局国際課長

○説明員(山田隆英君) ただいま先生のおっしゃいました逆転しているという点でございますが、日米間のお客を国籍別に見てまいりますと、協定締結当時はアメリカ人で日本へ来る人の数の方が日本人でアメリカへ行く人の数に比べると約三倍ぐらい多かったわけでございます。それが近年におきましてはまさに逆転しておりまして、逆に日本人でアメリカを訪れる人の数の方がアメリカ人で日本に来る人の数の約三倍ぐらいになっております。

秦野章自由民主党

○秦野章君 五二年から今日までの情勢の変化というものは非常に大きいし、日本の航空の力量も上がっているんだから、これはアメリカの事情を考えてくれとカーターおっしゃるのは、そのとおり受け取ればやっぱり強者の論理がまかり通るという感じがせんでもない。そこで難航するんだろうということだろうと思うんだけれども、米国とイギリスとのバーミューダ航空協定は、イギリスが怒って破棄したという話ですな。破棄しても一年間は有効だから、その間に次の協定をつくろうということでいま英米間の交渉が行われている。これが若干先行しているから、その様子を日本が見ているということはわかりますよ。わかりますがね、ひとつこれはぜひ、まあ米英だから日本よりは向こうの方が親戚が濃いからかなりアメリカも考えるかもしらぬが、しかしそのことは非常に注目して、日本というものは日米航空協定というものの成功には相当腹を決めてかからなきゃならぬ。ところが一部の世論では、日米関係いろんな貿易問題その他があるから、余り航空でがんばっちまうとうまくないじゃないかといって、外務省の方が幾らかへっぴり腰だという新聞記事があるんだけれども、これはどうですか。外務省の方は、いろいろなことを考えると、航空協定で余りがんばられちゃ、ちょっと困っちまうんだみたいな記事が、解説があるんですが、それはどうですか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) ただいまのお話ですが、イギリスのように破棄ということを行ってから強く交渉せよ、こういうやり方もあろうと思います。わが方といたしましては、そのような強い決意でひとつ交渉に臨むということで、現実に破棄を早くした方がいいんじゃないかという点につきましては、先般両首脳の間でお話し合いもあったことでありますので、いま直ちに破棄ということは余り適当ではないのではないかという程度の気持ちでおるわけで、強い姿勢で交渉するということにつきましては、わが方といたしましても異存ないところでございます。

秦野章自由民主党

○秦野章君 どうぞひとつ現地交渉団の方にその意思が伝わるようにお願いをしたいと思いますが、ただ、不平等不平等と言われる中で私が多少気になるのは、アメリカの会社が百億ドルもうけているからこっちの会社も百億ドルもうけろというような不平等観を持っちゃいけない、そういう意味じゃなくて、機会均等といいますかね、そういう角度が大事だと思うんですよね。だから、たとえば路線権とか以遠権とか大いに主張なさったらいいですよ。第三番目の輸送力を談判する場合に、余り輸送力でカルテルみたいなことになっちゃうと、乗るお客さんが不利益になるという問題があるわけですよ。ただしかし、三割か四割のお客しか乗らないのに走っていて、両方で過当競争しているというようなそういう輸送力の問題については、ある程度協定をして、これは資源有限時代に油ももったいないんだから、むだ遣いだから、ある程度の正常な自由競争といいますかね、過当競争はいけないんだと、まるっきりカルテル的に協定しちゃって、お客さんが年がら年じゅうすし詰めで往生するようなことになっちゃっては困る。そこらが一つのポイントだろうと思いますが、輸送力の問題というのは非常に路線や以遠権よりも難航する問題とは思うけれども、しかし難航する問題でも、その辺のところを心得ながら、しっかりした、いまのような言うならば機会不均等はいけないと、それは強者の論理だというふうに思いますので、運輸省もひとつ外務省もしっかりお願いをしたいと思います。  あと、それではさっき言い忘れたことを二、三つけて、私は与党の方だから少し遠慮して先にやめましょう。  核再処理の問題につきまして、核拡散防止条約の延長線上にさらに核の不拡散をやろうじゃないかというカーターさんのアイデアはわかることはわかるんですよ。ところが、それなら核軍縮の方はどうなんだろうという問題があるんですね。だから、スウェーデン軍縮委員会の代表が言っていることが大変よろしいと思うんだけれども、核不拡散レジームの強化は国際社会の当面している最も差し迫った問題だ、これに関連してわれわれは水平拡散と垂直拡散の間の緊密な関係を無視することはできないと、こう言っているんですよ。強力な保障措置のごとき技術的な手段では、大国間の核軍備競争がコントロールされない限り水平拡散に対処するには十分じゃないと、こう言っているので、やっぱり水平拡散じゃなく垂直拡散。やっぱりこれからの日本の国連活動その他軍縮活動について、この前いつだったか、宮澤さんのときだったか私も言ったんだけれども、外務省も軍縮についてはいろいろ活躍しておられるけれども、まあ正直言って軍縮はまだ軍縮室かな、課にもなってないんだ。要するにこの核拡散ということの本当の意味は、核軍縮という問題がちっとでも前進すればカーターさんも偉そうに言えるんだ。それもソ連の問題、米ソの問題。このことを最後に私は要望をして終わります。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 鳩山外務大臣が負わされている任務というのは、非常に危機に直面して重い任務が課せられておると思うのであります。そこで私は、当面している現象面の問題と同時に、この危機に直面して日本人はその打開策をどういうふうに考えていくか、そのことを外務大臣からお尋ねしたいのであります。  日本の直面している最大の政治課題はエネルギー資源の確保と食糧自給体制の確立であります。福田総理は、ことしは経済の年である、経済のことは私に任せてくれというような形でまかり出てまいりましたが、経済大国であっても資源小国である日本の国策というものは、グローバルな時代にはそれに対応する政治姿勢が必要だと思います。したがって、国策には恒久的な対策と緊急対策というものがいつも明確に樹立されていなければならないと思います。ところが政府の政策というものは、石油ショック以来右往左往して当面の緊急対策のみに狂奔するだけであって、長期的な展望の上に立った基本対策の樹立ということを忘れているのではないかと思うんです。福田さんも鳩山さんも非常にお忙しいが、お忙しく世界じゅうを駆けずり回っていながら、日本の将来のために日本の外交はどうあるべきかということを考えるお暇が余りないのじゃないかと思うのであります。これは反面においてお気の毒ですけれども、この辺でしっかりとしたみずからの主体性を確立しなけりゃ、日本は一体何を考え、いずこに行かんとしているかということが、日本国民もわからなければ外国にもわからない。福田総理大臣と鳩山さんだけはわかったようなわからないような形で走り回っている。こうなると私は、本当に政府首脳の人が一生懸命やっているというのはわかるけれども、その行動そのものがナンセンスと言わざるを得なくなる場合もあると思うのであります。  そこで、ただいまあなたのアメリカにおける第二回日米首脳会談の内容をお聞きしまして、非常に心配したのは、鳩山さんは善意の人であるからやむを得ないけれども、すべてよくいきましたという御結構な一つの報告であります。やはり一国の外交は、光明に背面なしで、権謀術策に陥ることは慎むべきでありますけれども、表に出た表現と腹の中で何を考えているかぐらいを読み取るだけのものを持たないと、この波乱万丈の国際関係の中にあって、福田さんはよく日本丸と言うが、右に左に激浪にぶつかって揺れるのは構いませんが、かじを取る者が波をかぶって沈没することのないように、やはりその揺れ方にも心した揺れ方が必要だと私は思うのであります。  ホワイトハウスで開かれた三月二十二日の第二回日米首脳会談で、核燃料再処理をめぐって激しい論議がカーター米大統領と福田首相との間に交わされたということでありますが、カーターさんは御承知のように大統領選挙においてこの拡散防止条約の批准について触れたのでありますが、核戦争を再びさせないためには、やはり核兵器の制限と真っ向から取っ組んでやらなければならないという信念に燃えているようであります。また、カーター米大統領のブレーンとしては、前のカリフォルニア工大の学長のブラウン国防長官ら二十一名の専門家が原子力問題と選択という勧告書を出しておりまして、拡散防止に対して一つの見識と主張を行っております。  この考え方は私たちは間違いはないと思いますけれども、アメリカのこの数年来におけるエネルギー戦略と食糧政策にしぼった戦略というものを、私たちは外務省においても政府においても十分検討し続けてきていると思いますが、前の秦野さんからすでに具体的な質問があった点は私は省略しますけれども、われわれが、日本外交の進路はやはり核拡散防止条約に調印して、核の被害国である日本が率先して再びあのような残酷な戦争を起こさしちゃいけないという悲願を込めて日本外交の基本方針を方向づけたのであります。その際にはアメリカは非常に喜んだ、今度行ってもその点だけのお礼は忘れなかった。しかしやっていることは、核拡散防止条約前後においてアメリカの政府が出してきた考え方といまの考え方では、フォードとカーターと大統領がかわったからというけれども、国の政策の中に一貫性がない。これを武器として日本の手足をしぼって、そうして不均衡な日米貿易のアンバランスを是正する牽制策として打ち放ったのかどうかわからないが、多分にその色合いが濃く出ているのは事実だと思います。  アメリカにおいて大統領選挙によって、人民の選択によって大統領がかわるのはよいが、拡散防止条約批准に際してとったアメリカ政府の態度と、大統領がかわればがらっとカーター氏によってこれが選挙公約だといって変えられていくのでは、四年ごとにアメリカの政策は変わっていくから危ないぞという印象を持って、今後大統領選挙の前におけるアメリカとのおつき合いは十分注意しなければならなくなると思うんです。私は、大統領がかわったことによって政策が変わるのはよろしいんです。拡散防止条約でわれわれが手足をしぼられたというのでなくて、われわれが平和の悲願を持って核による被害を世界から食いとめようというこの悲願に対して、それを達成する目的でアメリカはやっているという御意見ならばそのまま素直に受けとめられるが、ヨーロッパと日本では差別を行っているという点を福田さんが激しく抗議したのを目の当たり鳩山さんも見ていたというから、これを相当頼もしい総理大臣だと思ったんでしょうが、やはりその見解を貫かないと、日本みずからの姿勢がしっかりしないと、いつもアメリカべったりに言うなりになっていくと、日本はアメリカペースで地獄にまで持っていかれてしまう危険性がある。あしたはお釈迦さんの生まれ日ですが、やはりお釈迦さんでもわかりますめえという言葉もあるけれども、この日本が政策の間違いで眠るがごとく大往生してしまったのではかなわないのであります。  そういう点でわれわれがいつでも外交防衛の問題は政府ともできるだけ協力しようというのは、政府の間違った点に、外務省のサッカリン的な甘い外交に同調するのでなくて、やはり甘さはどのかげん、いいかげんにしろという厳しさも加えてわれわれはこの自主外交というものを求めてきた。これはいい手本で、今度のこの核燃料の問題をめぐってのアメリカとの折衝及び漁業問題をめぐってのソ連との折衝、これはアメリカ並びにソ連という両大国を覇権主義に走らせるか、その反省がいつまでたっても出ないか出るか、その反省をどうやって日本が促していくか。日本はアメリカからパートナーといわれるけれども、盲が手を引いてもらって歩いていくようなパートナーでなくて、もっと目を、活眼を開いてアメリカに対してもソ連に対しても何が正しいかという形で堂々の外交をやるだけのことが、日本だけではない、世界の各国がそれを望んでいるんだから、アメリカ及びソ連に対するこの一つの試練に直面して私はしっかりやってもらいたいと思うんですが、さっきの報告だけじゃどうも鳩山さん、育ちもいいが気持ちもやさしくて、よ過ぎるから、これでは困ったなという私は心配が出たんですが、鳩山さん、さっきの報告に少し塩を、ぴりっとしたところがなかったので、あとだんだん秦野さんとの問答聞いていて心配でならなかったので、あえて私は鳩山さんにその点をもう少しアメリカとの関係——あなたの目の前でカーターとやり合ったという福田さん、やり合ったのはいいがその見通しはどうか、あなたの目でやり合ったところだけ見たのじゃ安心できない。それがどういうふうにアメリカに反応を起こしていくであろうかということの推定をひとつ承りたいんです。見ていたという見物人では外務大臣は勤まりません。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 御質問の主点は、日米間の原子力、核燃料の再処理の問題にあったように思いますが、あるいは外交というものがいかにあるべきかというもっと哲学的な問題にあるのか、その辺はどうもはっきりしない点もあったんですが、私は日本の外交というものは、やはり先ほどおっしゃいましたように日本の将来の本当に先の先を考えたものでなければならない、これはもうおっしゃるとおりであります。そして、何よりも日本の外交が基礎としなければならないことは、どうしてもこれは平和外交に徹するということであろうと思うのです。先ほどエネルギーと食糧の問題にお触れになりましたけれども、もし日本が、これだけの資源を外国から輸入しておる、これだけの経済を効率的に回しておるという日本におきまして、もし平和が害されるというようなことになった場合には大変な事態になるということは、これはもう明らかであります。そういう意味から、日本の外交の基本姿勢といたしましては、平和外交に徹していかなければならないということが私は太い心棒であろうと、こう思っております。  原子力の問題につきまして、特に核拡散防止条約との関係につきまして、大変な問題が出てきたことは御説のとおりであって、しかも核の平和利用が核拡散につながるんだと、こういう認識が新たに出てきたということ、拡防条約の考え方は核兵器の拡散を防ぐ、そして、片方におきまして国際的な枠組みの中で核の平和利用を推進していくと、こういう考え方であったわけでありますけれども、今日起こってきた問題は、その核の平和利用自体が核の拡散につながっていくんだという強い認識が出てきたことであります。これはもう御承知のとおり、インドの核実験という問題から急速にそのような思想が強まってきておる。で、アメリカの政府がかわるごとに態度が変わるというのはおかしいということはまことにそのとおりでありますが、フォード大統領自体も、まだ政権をとっているときにそのような問題にもカーター大統領と同じように、核燃料の再処理問題についてやはり凍結すべきであるというような主張をされたわけであります。したがいまして、この問題は平和利用と核拡散の関係という問題、新たな問題の提起であるということであって、この問題につきましては、やはりわが国といたしましても、しっかりした態度で受けとめなければならない問題で、これを避けるわけにはいかないのであろうというふうに思う次第であります。  そこで、ヨーロッパ、アメリカ並びにイギリス、フランス、ドイツ、こういった国につきましては、すでに核燃料の再処理が行われておる、日本とドイツが比較的似た状態にある、こういう事態にありまして、日本といたしまして、将来のエネルギー問題、特に一九九〇年以降のエネルギー対策として核燃料の効率的な利用を図らなければならないと、こういうわが国としての立場でありますので、わが国の必要性を強調いたした次第であります。したがいましてこれからの問題日米間の交渉は何かということは、端的に申し上げますと、このような平和利用が核拡散につながるというその問題とともに、その間におきまして日本が将来のエネルギー事情を考えた場合に、核拡散につながらないいかなる方途を見出して、日本のエネルギー開発を支障なく続けることができるか、そういう問題に帰着をいたすわけで、この点の方策を探るということが、私はただいま行われております日米間の原子力の再処理問題の交渉の中心議題であるというふうに理解しておるところでありまして、そこに建設的な方途が見出されることをわが国といたしましては念願をいたしておるところで、その方向に向かいまして最善の努力をしておるところでございます。  なお、御趣旨に合わないかもしれませんが、一応御答弁申し上げます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 カーター大統領は、再処理問題で世界の核軍縮を進める立場を前面に押し出していまこの問題と取っ組んでおるようでありますが、外務大臣はインドで核実験があったと言うが、それは一昨年ですか、その前でしたか。この核拡散防止条約に対する批准は私たちは去年やったんですが、そのときにアメリカの考え方がヨーロッパと取り決めしたときより急に変わったというような外務省なり外務大臣の考え方、しかもそれは善意の解釈で終始しておりますが、米国の原子力平和利用を徹底するためのウラン濃縮施設、核燃料処理施設の拡散を防止する新しいエネルギー政策というものは、四月二十日ごろにその概要が決定されるということでありますが、その内容はほぼ推定できておりますか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 新しいエネルギー政策を四月の二十日に発表をしたいということを伺っておるわけでございます。それが予定どおり発表になるかということ、これは果たしてアメリカ以外の国の意見がどのようにアメリカ政府に反映をするであろうか、こういったことと関連をしてくるだろうと思います。その点に関しまして、実はこれは昨日だったと思いますが、宇野科学技術庁長官が科学技術特別委員会でしたかで答弁をされたそうでありますけれども、実のところ、アメリカ側からアメリカの政策、対外関係を考慮しないでアメリカとしてはこのようなことを考えて政策を決めたいと、それについて何か意見があるかという問い合わせがございました。それに対しまして関係各省で協議をして、当面の日本政府の考え方は申し述べてあります。  その内容は、宇野長官も先方の意思に従いまして発表できないとおっしゃっておりますが、アメリカにおきますいろんな雑誌に出ておるそうでありますので、そういった経緯があったということだけを報告をされたようでありますので、この席で私からも委員の皆様方に御報告をさせていただきたいと思います。  アメリカ側がどのようなエネルギー政策を出すであろうかということは、これはいまここで申し上げる自信は毛頭ないわけでございますけれども、従来からカーター大統領がおっしゃっていたことは、プルトニウムというものに頼るということは不経済であるということを日米会談の際に主張をされておりましたので、特にアメリカには石炭が大変膨大な埋蔵量があるわけでありますので、アメリカ自身のエネルギー政策として極力他のエネルギーに依存をしようというような趣旨のエネルギー政策が打ち出されるのではあるまいかという気がいたしておるところでございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 米国のエネルギー政策の考え方はいま外務大臣が言われたような考え方で、これはアメリカの立場からノーススロープ油田からのパイプラインの開通も真近に迫っているし、アメリカに内在している未開発の石炭の利用ということも考えてのアメリカのエネルギー政策というものは立っているんですが、日本は西ドイツで行っているようなウラン濃縮施設、核燃料処理の問題に関しても、西ドイツはソ連からもたしか二〇%程度のものを入れているのではないかと思いますが、いずれにしても、独自な一つの日本の自主性というのがないと、アメリカの今度はエネルギー政策に、俗な言葉で言えば翻弄されて、アメリカでくしゃみをしたら日本がかぜを引くというような状態になる危険性が多分にあると思うんです。どうも鳩山さんもこのことに余り自信がないようですけれども、今度は日本自体の問題として東海村の問題はどういうふうに、あれは七月ごろから試運転を茨城県東海村の処理工場で運転開始することになっているんだと思いますが、そのアメリカの新エネルギー政策の打ち出しいかんによっちゃ、これがパアとなる危険性がありますが、パアとなりますか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) その点がいま当面の日本として、特に科学技術庁といたされては最大の関心事でございまして、東海村のこのホットランを実現をしたいということのために最善の努力を払っておられるところでございまして、可能になることを期待をいたしておるところでございます。その点につきまして、特に商業的な再処理という問題と、商業的でない開発の試験的なものというものにつきまして、何らか取り扱いが違うようにできないかという点がわが方としては一つの大きな問題点であろうというふうに理解をいたしているところであります。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 アメリカのことはそのくらいにして、今度はソ連の方の食糧問題、漁業問題も食糧問題の一つでありますが、日本は御承知のように海洋国家で、食糧問題として魚の問題というものは長年の民族の習慣からしてこれは重要な問題でございます。日本の総漁獲量は年間一千万トンで、これ昭和五十年の統計ですが、そのうち三百七十万トンは外国の二百海里内で獲得しておるものです。ソ連も年間一千万トン程度だと思いますが、その六〇%程度は日本と同様に遠洋漁業で、特にEC諸国の沿岸から魚をとってきたのであります。EC諸国の方で二百海里問題で締め出しをくらうという打撃から太平洋の方へ出てきたとも見られるんですが、日本と同様、食糧問題ではソ連も相当な苦悩を続けているのは事実です。  しかし、アメリカにしてもソ連にしても、自分の主張だけは勝手に主張してあたりの迷惑は考えないというような考え方にさせたのは、この米ソ両大国、要するに核兵器を膨大に持っているから、それで世界を威嚇してコントロールできるんだという考え方が根底に、この米ソ両国にこういう覇権主義の考え方を生んでしまったんだと思います。米ソも悪いが、パートナーシップなんと言いながら、内容のない空疎な形で不均衡を押しつけられてきた米ソ両国の近隣諸国も意気地がなさ過ぎたと思うんです。ことしはもうヤルタ協定がつくられてから三十二年、あのような戦時中の軍事謀略協定によって、それが条件になって次の平和条約なんて結ばれっこはないんで、平和条約というものは、次の平和を保障すべき条件を具備して前向きにつくられるのが平和条約であって、大国が戦争に勝ったから他国の固有の領土を侵してもいいとか、あるいは自分たちの力で押しまくるというような力の政治も限界点に来ているんで、これはこの際における日本さえしっかりしていれば、世界はよく見ているんです。やはりアメリカでもソ連でも、この辺で変わらなけりゃ世界じゅうの人たちの心が離反してくる、そういう危機感を思い切って知らせるだけのやっぱり正直な発言が私は必要だと思うんです。  私は岸さんが総理大臣になったとき、ちょうどアメリカから招かれておりまして、亡くなったワイフと一緒に国会の中で岸さんのあいさつも、あるいはニューヨークにおける日米協会、あるいはロサンゼルスにおける日本人の歓迎会等における意見も聞きましたが、あのときはいまのアメリカ以上に日米貿易はアンバランスで、日本という国は赤字続きであった。けれども、その不均衡の問題を是正してくれというのを三つの問題に具体的に分けて岸さんが言っても、アメリカの議会では拍手一つ起きない。プレスクラブにおいての十からの質問を新聞記者とやりとりして、まあ岸さんにはいろんな面があるけれども、なかなか頭はさえた人で明快な回答をしたが、アメリカ側で拍手したのは最後の二点。岸さんもこれじゃまずいと思って、ダレスさんのごきげんに沿わなけりゃいかぬと思ってでしょう、日本は共産圏と対立するんだ、対抗するんだ、それがためにアメリカと協力するんだと言ったところだけ拍手なんで、アメリカペースで物を言わなけりゃ、とにかくアメリカの関心は日本に寄せられていない。  このことを見たときに、これはだれであろうとこういう雰囲気——ダレスなんという男は封じ込め政策のかたくなな外交の持ち主で、体も、ダッチ系統ですか、あれは、大きな男だから、岸さんみたいなしなびたのだと一飲みにのまれるような威圧感を与えられてしまうんだが、ああいうところで全く日本の外交というものは惨めなものだなあということを感じましたが、今度は貿易の関係でアンバランスになったらほかの方でもって、燃料の方で今度はアメリカがコントロールするエネルギー政策に即応してこっちへ行け、向こうへ行けというふうに、飼い犬のようにむちで方向づけられている。こんなばかげた一つの従属外交をやっていたらアメリカのためにもならぬし、日本のためにもならぬ。  それからソ連だって、やはり私は言うべきことをもっと言わないから、ソ連なり中国なりに行っておべんちゃら言ってくる者があるから第五列外交の勢力が日本の中にあると思って、アメリカも錯覚しソ連も錯覚し中国もあるいは過たせるようなことがあるんだと思うんです。もっと私は、自分の国に責任を持てないようなやつがどうして世界に責任を持つことができるでしょうか。やはり自分の国を愛し、自分の国の主張すべきものは主張し、排他的な感情を捨ててソ連とでも立ち向かわなけりゃ、このごろ何か参勤交代じゃないが飛脚がモスクワあたりに昼夜よいしょよいしょという、まるで東海道の飛脚みたいに飛行機に乗って日本の大臣が参上する姿を見ていると全く涙がこぼれてくる。一生懸命やっているんだろうが、この一生懸命にしてもどうかと思うんですが、鳩山さんもあの方へ行くつもりですか。行くのにはどういう覚悟でまかり出るのか、その点をひとつお聞きしたい。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 日ソの漁業交渉につきまして触れられたわけでございます。この漁業交渉におきましてソ連側が大変厳しい態度を打ち出しておることは御承知のとおりでございますが、この漁業交渉が三月いっぱいで妥結に至らないで四月になってしまって、しかも日本の漁業者は一応ソ連の沿岸二百海里内から帰港をいたしておるという状況でございます。  そのようなことになりましたのは、いろんな経過があってのことでありますけれども、現在の段階に至りましたので、園田官房長官が福田総理大臣の特使として行かれたわけでございます。日ソの関係がこのまま対立状態になりますと、日ソ間の友好というものが損なわれるおそれが出てきたということを憂慮されてのことでございます。本日、日本時間にして四時半から園田特使がコスイギン首相と会談をされるということでありますので、ただいま会談に入られたところではなかろうか、こう思っております。いよいよ最終段階でありますので、私どもといたしましてはこの日ソ漁業交渉が漁業面で円満なる解決が図られることを心から願っておる次第でございます。  私自身の訪ソにつきまして、昨年中に定期協議、日ソ間の外相間で定期協議が行われるべきところであったわけでありますが、これが年を越しておるわけでありまして、なるべく早い機会に、国会が終わりました段階以後におきましてなるべく早い機会に訪ソいたしまして、特に二百海里時代になりましてから未解決の問題であります北方領土問題というものが非常に大きな、さらにクローズアップされてきたわけでありますので、日ソ間の末長い友好関係を築くためにはどうしてもこの平和条約問題に取り組まなきゃならないという覚悟を持ってるところでございます。  以上であります。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 時間が来ましたからこれでやめますが、文明史観と哲学を持たない民族は滅びるという言葉がありますが、具体的な現実問題と取っ組みながらも民族悠久の流れというものを忘れないで、それから外交の中にあっても総合的な施策等を配慮してやっぱり善処されんことを祈り期待して私の質問は結びます。

久保亘日本社会党

○久保亘君 私は領海十二海里、漁業専管水域二百海里の実施について、今日の国際情勢及びわが国の漁業保護という立場から急がなければならない問題だということは理解ができるのでありますが、特定海域について三海里凍結を行うということは主権の放棄につながる問題でありますから、これは大変重大な問題だと考えております。この問題については、法案の審議の際にいろいろとまた私どもの意見を申し上げなければならぬと考えておりますけれども、きょうお聞きしたいのは、いまも質問がありました漁業に関連をして、もし大隅海峡などについていわゆる国際海峡として現状三海里にとどめる場合、本来十二海里の領海に含まれるべき当該海域、ここは十二海里であれば外国漁船の操業を許さない海域であります、この当該海域における漁場の保護についてはどのような措置が考えられているのか、特に領海法案の決定に当たってすでに検討されていることなどがあれば御説明をいただきたいと思います。

佐々木輝夫水産庁次長

○政府委員(佐々木輝夫君) 大隅海峡では現在のところは外国漁船の操業はございませんけれども、この海域はアジ、サバあるいはイワシ等の好漁場でございまして、これらを対象にして巻き網漁業であるとかいろいろな漁業が行われている海域でございます。当面のところですぐ現在は問題はないわけでございますが、まあ考え方といいますか、将来の可能性の問題として、いま先生の方から御指摘のようなことが皆無であるというふうに言い切るわけにもまいりませんので、私どもといたしましては先日閣議で方針を御決定いただきました二百海里の漁業水域法を制定いたします際に、そういった国際海峡で他の海域であれば領海に含まれる部分につきまして、他の沿岸漁民と同じような要するに保護が受けられる措置をこの中で検討してまいりたい、領海法のほかにいま申し上げました漁業水域法につきましてもできるだけ早急に検討をいたしまして国会に御提案をする、こういう方針のもとにいま検討しておる段階でございます。

久保亘日本社会党

○久保亘君 結局、二百海里法の中でいわゆる三海里に凍結した特定海域の十二海里までは、通常の二百海里の取り扱いとは違って、領海における十二海里までの取り扱いと同じような漁場の保護措置がとれるようなことを二百海里法の中で考えようと、こういうことですか。

佐々木輝夫水産庁次長

○政府委員(佐々木輝夫君) いま先生の方からお話があったとおりの考え方でございます。ただ、具体的にどういうふうに技術的にそれを実施するかという点につきまして、その海域についてある外国漁業の操業を一切禁止するという方法、あるいは現実に考えられる外国で操業する可能性のある漁業を、これはまあ日本も実施してないケースも多いわけでございますから、こういった漁業を特定して禁止するというような考え方、いろいろなテクニックがあり得ると思いますので、そういう点を実態に即して検討いたしますが、趣旨はいま申し上げましたように、他の国際海峡以外の海域で沿岸漁民が領海十二海里ということで受けます利益と同じようなものを自主的にそこで漁業水域法の中で確保したいという考え方でございます。

久保亘日本社会党

○久保亘君 その場合に、この二百海里法というのは適用の対象とならない国が出てくる場合がありますね、相互主義をとります場合には二百海里法の適用を受けない相手国があるとすれば、その相手国に対して二百海里法の中に十二海里までの特別保護の立法措置をとっておったとした場合に、その二百海里法の相手国とならない国に対しても、そこは主権的に効力を持ち得る法律となり得るのかどうか、それはそのように考えてもよろしゅうございますか。

佐々木輝夫水産庁次長

○政府委員(佐々木輝夫君) 結論から言いますと、先生がいまおっしゃったような方向で検討をいまやっておる段階でございます。二百海里の漁業水域法につきましては、各国との、特に近隣諸国との調整というような観点から、ある程度相互主義ということを、海域の設定あるいはその設定された海域の中でのいろんな規制措置の適用をどういう面で相互主義を実現するかは現在鋭意検討中でございますけれども、一応そういう相互主義といった考え方を基調にして検討いたしておりますが、いまお話のございました、国際海峡で暫定的に凍結をされている特殊な海域につきましては、相手国の国籍のいかんを問わず、こういった外国人漁業の規制ができるようにしたいと、こういう方向でいま検討中でございます。

久保亘日本社会党

○久保亘君 外務大臣にお尋ねいたしますが、いま漁業の立場から領海法、二百海里法の制定に当たっての考え方を農林省から述べられておりますが、外務大臣は、いまのような漁場保護に対する考え方が、領海法、二百海里法のいわゆる国内法の制定によって、外交上の立場からもそういう考え方は十分に支持できる考え方であるとお考えになられますか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 国際的な趨勢といたしまして、十二海里の漁業専管水域というようなものにつきまして、沿岸国としてそのような主張をすることは、国際的な問題といたされましてはもう広く認識をされてきたと思っております。したがいまして、沿岸国が、十二海里の範囲内におきまして漁業の面で自国の専管的な権限を行使することにつきましては、国際的に非難をもう受ける時代ではなくなったというふうに理解をいたしております。

久保亘日本社会党

○久保亘君 そうすれば、領海法で三海里の凍結を行った特定海域についても、漁業に関する限りは十二海里領海を実施したのと同じ状態となると、こういう国内法の整備が行われるという政府の見解と理解してよろしゅうございますね。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 現在政府が提案しておりますこの領海法には、そのようには直ちになっておらないと思っております。しかし、国際的にはそのようなことをすることは許されるというふうに考えておるところでございます。

久保亘日本社会党

○久保亘君 いや、それで、いま領海法にはそういうのはまだ決められておりませんが、いま農林省のお考えをお聞きしましたら、二百海里法の中でそういう漁場の保護ができるような制限水域の設定を検討したい、そういうことで漁場の保護を図りたいというお考えでしたから私お尋ねしたわけで、そういうような理解に立ってよいわけですね。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 国際的にそのようなことは許されると思っております。

久保亘日本社会党

○久保亘君 わかりました。  海上保安庁は見えておりますか——。今度もし法が実施されるということになりますと、領海が三海里から十二海里になることによって領海の面積は、まだ正確なものを私は聞いていないんですが、大体四倍前後になろうと、こういうことが言われておりますし、さらに、二百海里の漁業専管水域が実施されるということになりますと、海上保安庁の守備範囲は、現在と比べますともう非常に広大な海域に及ぶようになると思うわけでありますが、そうなれば、海上保安庁の警備救難体制を初めとして、海上保安庁の本来の任務を遂行していくためには、この二つの法の制定に対応する準備というのがかなり急がれなければならぬのじゃないかと思うんですが、海上保安庁はこれに対してどのような対応を準備されつつありますか。

間孝海上保安庁次長

○政府委員(間孝君) おっしゃられるとおり、この新しい領海の拡大、二百海里の専管水域の設定等が行われますと、海上保安庁といたしましては、非常な業務の増ということになることは当然予想されるところでございます。  現在私どもは三百十隻の巡視船艇と三十四機の航空機を持っておりまして、これによりまして沿岸海域におきますところの海難の救助あるいは監視、取り締まりに当たっておるわけでございますが、今日海岸をめぐる世界の趨勢が大きく変わってきております。それに対応いたしまして、私どももかねてから体制の強化を検討してまいったところでございます。その体制の強化の一部といたしまして、昭和五十二年度の予算案におきましても、新しくヘリコプターを搭載する大型の巡視船あるいは大型の飛行機を初めといたします船艇、航空機の増強計画を盛り込んでただいま御審議をいただいておるわけでございますが、しかし、最近の動きは、私どもが予想しておりましたより以上の速いテンポで進んでおるように考えられるわけでございます。そうなりますと、私どものこの体制の整備強化というものもそれに合わせて急がなければならないというふうに考えます。  具体的にどれだけの船をあるいは飛行機をどういうところに配備増強をする必要があるかという点につきましては、まだ、これからたとえば漁業の専管水域二百海里の設定をいたしました場合に、わが国のこの専管水域内で、どういう海域でどういう外国船の操業が行われていくかというそういう事態の変化をもよく見きわめて、それに即応した計画にしなければならないわけでございますので、この点は現在鋭意検討をいたしておる段階でございますので、具体的な点についてはまだ申し上げる段階でございませんが、いずれにいたしましても、私どもは、そういう新しい情勢の変化におくれることがないように最大の努力をいたしてまいりたいと、こういうふうに考えております。

久保亘日本社会党

○久保亘君 たとえば、南の方では、タンカーによる海岸汚染の問題が最近非常に顕著になっております。また、漁業問題では、これから十二海里、二百海里の問題でかなり大きな変化も起こってくるでしょうし、そして、カバーすべき領海や専管水域が非常に広大な海域にわたるということになれば、海上保安庁としては、従来保安庁の装備を整備をされてきた、拡充をされてきたそういうぺースで進んでも、とてもじゃないが海上保安庁は任務を果たせないというような状態が出てくることが予想されますね。特に五十一年度は、海上保安庁は、ヘリコプター搭載巡視船について、私が聞いておりますところでは、二隻を要求されたけれども、これが最終的に政府が認めて予算の中に入れましたのは、宗谷、現にヘリコプター搭載巡視船であります宗谷の代船、すでに三十年たっている宗谷の代船一隻だけて、結局プラスする分は認められなかった。これがことしの実態であろうと思いますし、なお、宗谷の代船が就航いたしますのは約二年後。仮にまたヘリコプター搭載の巡視船等が必要であるということで、これを計画にのせてまいりましても、いまのような状況でいきますと四年後、五年後ということにしかならない。しかし、二百海里、十二海里の実施は法が決まると三カ月以内に施行されていくと、こういうことで海上保安庁としては大変問題が残ってくるだろうと思いますが、これらのヘリコプター搭載巡視船などの整備については、これはこういう法律を政府の責任で実施していくわけでありますから、それに対応する海上保安庁の整備、海域が広くなりますと、これは空からの警備、救難、監視というようなことがもうどうしても必要になってきますから、そういうものについては、海上保安庁としては従来考えてきたよりももっと具体的に、積極的に速度を速めてやらなければならぬなということはお考えになっておりますか。

間孝海上保安庁次長

○政府委員(間孝君) 先ほど申し上げましたように、最近の事態の動きが私どもの当初考えておりましたよりも非常に早くなってきておりますので、当然そういった事態の変化というものは私どもの体制の整備をこれから進める上についても考えなきゃならぬ点であるというふうに思っております。

久保亘日本社会党

○久保亘君 時間が来ましたので最後に一つお尋ねしたい。  これは外務大臣にお尋ねしたいんですが、あす私、また別の委員会で防衛庁に対してお尋ねをしなければならぬと考えておるんですが、政府で領海の十二海里への変更や二百海里の漁業専管水域など、特に領海の方を検討された場合に領空がついてくるわけですね。領空の問題は、これ海上保安庁の権限の問題ではなくて、領空の問題になりますと自衛隊の問題になってくるものがあると思うんです。それで、私どもはそういう点について防衛庁の出方を非常に警戒をして見ておるんでありますが、自衛隊の防衛の範囲とか従来の自衛隊のいろいろな出動の計画とか、スクランブルの問題とか、こういうものについて、領海の拡張に伴って政府部内で何らかの検討が行われていることがありますか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) ただいまの問題につきまして、私自身は伺っておらないところでございますが、防衛庁内部におきましてあるいは御検討があったかもしれないと思っております。

久保亘日本社会党

○久保亘君 内閣として検討されたことはありませんね。そうすると、検討されているとすれば防衛庁の内部の問題だと理解してよろしゅうございますね。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 内閣の会議におきまして私は伺ったことありませんし、担当の局長もそのようなことは伺っておらないそうでありますので、防衛庁内部ではどのようなことが検討されたか知らないところでございます。

久保亘日本社会党

○久保亘君 わかりました。  時間が来ましたから終わります。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 それでは、まず最初に、ソ連との漁業交渉に関連をいたしまして二、三お尋ねをしたいと思いますが、外務省にはこの日ソ漁業交渉の問題についていろいろな投書や電報とか、こういうものがかなり来ておると、こういうように聞いておるわけでありますが、大体どういう内容のものがどの程度来ておるのか、大体のところはどうなんでしょうか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 官房長から御答弁さしていただきます。

松永信雄外務大臣官房長

○政府委員(松永信雄君) 御質問の趣旨、私必ずしもはっきりいたしませんけれども、漁業交渉に関連しましてしっかり交渡をやれという趣旨のまあ激励と申しますか、そういう趣旨の申し入れを寄せられる向きはいろいろございます。  そのほか電信とおっしゃいましたのは、どういうことかちょっとわかりかねますので、もしお差し支えなければもう一度お尋ねいただきたいと思います。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 いま言ったのは、手紙とか電話とか電報とか、そういう国民の声がいろいろ外務省へ来ておると、それはどういう内容のものでどの程度来ているのかということをお聞きしたかったわけなんです。

松永信雄外務大臣官房長

○政府委員(松永信雄君) かなりたくさんの電信、電話あるいは封書、手紙、書信による要望ないしは激励——内容は、一般的に申しますれば日本の漁業利益をしっかり確保するように交渉してもらいたいという趣旨のものが多いわけでございますが、数にいたしますと非常に多いときは一日に二百通以上のものが参っております。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 私は、今回のソ連との漁業問題を契機といたしまして、まあ外交というものの重要性というものを国民が一段と認識をしてきたんではないかと、私は、ある意味においてはそういうように外交の重要性というものを国民全体が認識してきたことは非常にいい方向であると、やはり外交というものも国民のコンセンサスなくしては強力な外交はできないんではないか、このように思うわけでありますが、外務大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 外交問題が大変国民生活に直接結びついておると、特にこの漁業問題は日本の有力なるたん白資源の問題でございますし、また、従事する漁業者の生活までかかっておる問題でありますので、この問題が国民の大変な関心事でありますし、また、その国民的な広いバックがありましてこそ外交交渉も力強い基盤ができるものというふうに考えております。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 そこで、今後対ソ外交を進める上において外務大臣としての所信というか信念というか、どういう気持ちでぶつかっていくつもりであるか、これをお伺いしたいと思うわけであります。  私たちも、なかなか今日までの推移を見ておりますと、ソ連という国は非常にむずかしい国というか、われわれ日本人の感覚とは必ずしも、大分違うようなところもあるし、よっぽど日本はがんばっていかないとまた大変なことになるんじゃないかと、まあこういうような気がするわけでありますが、そういう点で外務大臣の信念、所信と申しますか、これを伺っておきたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) ただいま御指摘のありましたソ連側の態度が大変かたいということが言われておりまして、この点につきまして日本側といたしまして強い決意を持って臨まなければならない、こう考えておるところでございます。  しかし、一般に新聞でいろいろ報道をされておりますが、ソ連自体とされましても、私は漁業は漁業問題として何とか解決をすべきだと考えておるものと思いますし、わが国といたしましても漁業は漁業問題として解決をいたしたい、このように考えております。大変大事な外交問題でありながら、私自身が訪ソしないで園田官房長官が特使として行かれ、また鈴木大臣もきょう立たれたわけでございます。東京に残っておる私といたしましては、大変気をもんでおるところでございますけれども、外務省全体といたしましてその交渉につきまして最大限の努力をいたしているところでございます。  なお、ただいまお触れになりませんでしたが、特に国民的なバックという点におきまして、衆参両院におきまして御決議をいただいたということも大変心強い限りでありますし、また、超党派の議員団が訪ソをして問題の解決に努力してくださるということも大変ありがたいことと存じておりますが、先方の都合によりましてなかなかこれが実現できないこと、大変残念に思っているところでございます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 ちょっと確認をしておきたいと思うんでございますが、日本が領海を十二海里とした場合、いわゆる十二海里内でのソ連の操業を認めよという、こういう提案はソ連はあきらめたようなことも聞いておるわけでありますが、これははっきりしているんでございますか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 私の得ております情報といたしまして、三月三十一日の段階におきまして、その点につきましてはある程度弾力的な態度を示した事実がございます。しかし、明確にこの十二海里以内には入らないということまではっきりと申したということではないと伺っております。わが国といたしまして領海を十二海里に広げるということは、沿岸の漁民、特にソ連船、最近は韓国船も入ってきておりますが、沿岸漁民の受ける被害を何とか防ぎたいという趣旨から十二海里の領海法案を出しておりますので、当方としてはその点は受け入れることができない。  また、ソ連といたしまして、前例といたしましてノルウェーとの間にお互いに十二海里の中でとるということを認め合っている例があるようであります。これは相互主義というものがあればそのようなことが場合によっては起こり得るかと思いますが、ソ連はわが方の漁船が十二海里以内に入ることを認めておりませんので、そのようなことはわが国としては認めることができないという態度でございます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 今回の漁業交渉は、国会の答弁におきましても北方領土問題とは切り離す方針と聞いております。これは北方領土問題は非常に、そう簡単には解決しない問題でありますので、どうしてもそれを除いて漁業問題を先に解決をしていきたいと、こういう理由ではないかと思うわけであります。  私たちも、漁業交渉を急ぐために北方領土問題を分離するというこういう方向は、これはやむを得ないとは思うんでありますが、しかし、ただ領土問題というものが戦後すでに三十余年を経過をして、あの国後、択捉にもソ連人ももうすでに住んで長きになるわけで、だんだんだんだん時がたてばたつほど、幾ら北方領土返還を叫んでも困難な方向に行ってしまうんじゃないか。だから、私たちはいつもこういうむずかしい問題をそばに差しおいていくという行き方が果たしていいのかどうか、こういう点矛盾を感ずるわけですけれども、率直に言って外務大臣としてはどう考えているのか、お伺いしたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 領土問題が、二百海里の漁業水域が世界の大勢になってきたということからよけい大きな問題となってまいったのはこれは当然の、当然と申しますか、現実の問題であると。したがいまして、二百海里水域というような問題は世界におきますいわゆる領土紛争に拍車をかけるという傾向が出てくるのではないかということが前から指摘をされておるところでありまして、わが国といたしましても、この二百海里時代を迎えるということから、領土問題の解決が緊急に必要であるという事態に直面してまいったというふうに認識をしておるところでございまして、わが国といたしまして北方四島の問題は、これはもう戦後長きにわたりますけれども、わが国民全体の悲願でありますので、この点につきまして何らかの解決の糸口でもつくり出したいということを切に祈る気持ちでおるわけでございます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 そこで、私はやはり北方領土に対する日本政府の取り組みあるいは対ソ外交の姿勢というものが、過去を振り返って篤と反省すべき点がいろいろあるのではないか。これは竹島の問題にしてもそうでありますけれども、こういう事態になればなるほど、実はまた時がたてばたつほど困難になる問題であって、やはりもうちょっとこの問題については早くから強力に取り組んでいくべきではなかったんではないか、私はそういうように思うわけでありますが、外務大臣は過去の日本政府の外交についてどう考えているのか、対ソ外交についてですね。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 歴代の外務大臣が、この北方四島の問題につきまして努力をされてまいったということは、私どもとしてもそのように考えておるところでございますけれども、時間がたつだけで何ら解決を見ていないという点につきましては、大変遺憾に思っているところでございます。田中・ブレジネフ会談におきまして、あのような、とにかく未解決の問題とすると、その中に領土問題を含むという点につきまして大変な努力が必要であったということも伺っておりますので、ソ連政府がまた、ソ連としての国益を守るという点から大変かたい態度をとっておるということが、今日まだ未解決のままになっておるという最大の理由であろうと、こう思っておりますが、今後あらゆる努力をいたさなければならないと、こう考えておるところでございます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 私たちは、実際外交というものは全然自分でもやったこともないし、よくわかりませんけれども、ただもうちょっと日本政府として筋を通すと申しますか、たとえ相手が軍事的に大国であろうとも、言うべきことは言わなくちゃいかぬ。またやはり、激論も交わし、場合によってはある程度の緊迫した空気もやむを得ないんじゃないか、ある段階においては。そういうことが国民の協力も得られていくし、また国民の理解も求めていくんではないか。そういう意味で私は筋を通し、やはり正しい論議というものは堂々とやっていかなくちゃならぬと、こういうことが必要なんじゃないかということを考えるわけですけれども、そういう点はどうなんですか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 御趣旨は全くそのとおりだと思います。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 今回の漁業の問題にいたしましても、余り無定見な譲歩はすべきではないと思いますし、また往々にして今日まで玉虫色の協定を結んで、どっちの国も国内に都合のいいように、こういうような玉虫色のものになっちゃうと、結局は後から見れば力のあるやつが、力のある方が結局そっちの主張を通してしまうと、こういうことになりますので、私は無定見な譲歩はすべきではない。また、玉虫色の了解も避けるべきだと思いますが、そういう点はどう思いますか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) おっしゃるとおりだと思うわけでございます。今回の北方領土にかかわる問題というものが、御承知のとおり二月二十四日のソ連邦閣僚会議決定によるいわゆる線引きがあるということ、この線引き自体を認めるということは、わが国といたしまして北方四島と大変かかわり合いが出てまいります。その点につきましては、二月二十五日に官房長官の談話をもってソ連政府に対して抗議を申し入れたところでございます。したがいまして、これからの最終的な交渉におきまして、この適用水域の問題がやはり最も大事な問題になろうと思いますので、この点につきましては、鈴木農林大臣とイシコフ漁業大臣の間に円満な両者の満足し得る結論が出ますことを期待をいたしておるところでございます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 ソ連との交渉を進めていく場合に、やはり日本の場合はいわゆる漁民の皆さんの問題があるわけですね。だから早く解決しなければ実際は漁業に従事している人の生活も成り立っていかない。そういうわけで、言うならば日本政府としては非常に前と後ろに一つの難関があるわけでございまして、しかし、やはりソ連との漁業交渉をより強力に進めていくためには当然漁民の皆さんの協力も必要じゃないかと思うわけであります。そういう意味で、もう漁期が来ておりながら出漁できない、そういう人たちに対する対策というものは十分立てて、そして納得のいくようにしておかないと外交も進まないんではないかと思うわけでありますが、こういう点については、特に外務大臣としても閣僚の一人として十分対策を立てる考えがあるかどうか、その点を伺っておきます。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) この点につきましては農林大臣の御所管でございます。しかし日ソ交渉と関係のある問題でございますので、国務大臣の一人として努力をいたしたいと思います。  日本側が、この暫定協定ができる期間出漁を認められておった、それが期限が三月三十一日でございました。しかし、そのことのために譲歩をする、妥協をするということは、やはり先々のことを考えますと得策でないというので、三月三十一日の期限は切れましても粘り強く交渉しようと、こういう態度をとって今日に及んでいることをもっていたしましても御了承をいただきたいと思うところでございます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 それで、いずれにしてもこの北方四島の領土問題については、やはり戦後三十年を経過して、いままでのようなことが結局続いていくようであっては困るわけでありまして、もっともっとわが国政府としても国際世論に訴えるなり、そういうような発想の転換というか、意気込みを示していかなければいけないんじゃないか。そういう意味から国際司法裁判所へ提訴するとか、これはソ連が応訴しなければ成り立たないというような話ではございますが、やはり国際世論に訴えていく、あるいはまた、ヤルタ協定の当事国である国と日本との会議を提案するとか、私はそういうようなことを積極的にやっていくべきじゃないかと、これについての外務省の考えを承っておきます。

中島敏次郎外務省条約局長

○政府委員(中島敏次郎君) まず、国際世論に訴える必要があるではないかという観点から先生が御提起になりました国際司法裁判所への提起の問題でございますが、この点は先生も御指摘しておられるとおり、ソ連側が応訴をしなければ提起ができないわけでございまして、従来の経緯から見まして、ソ連は領土問題は解決済みという立場をとっておりますので、この問題について国際司法裁判所への提起を応訴をしてくるというふうにはとうてい考えられないというふうに考えております。  それから、ヤルタ協定の当事国云々というお話がございましたが、これは先生もよく御承知のとおり、ヤルタ協定は戦争中わが国と敵対関係にありました主要連合国の間の戦争遂行に関する取り決めでございます。わが国といたしましては、主要連合国の間にそのような戦争目的遂行のための政策的な取り決めがあろうとも、それがわが国の領土問題に対する法律的な解決をなしたものではないというたてまえをとっておりまして、その意味でヤルタ協定の当事国であるからわが国がこの領土問題に対して何らかのアプローチをするということはいかがかというふうに考えております。ただ、ヤルタ協定の当事国はまさにアメリカとかイギリスとか、その当のソ連というような主要連合国でございまして、サンフランシスコの平和条約によりまして行われました領土問題の解決に直接関与した国、または直接にわが国と領土問題について係争関係にある国でございますので、これらの国国に対する関係でわが方の立場を十分に理解しておいてもらうということは、それなりの意義があることでありますし、従来も、かつてアメリカや英国に対してわが国の領土問題に関する主張について協議をしたことはあるわけでございます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 時間もございませんので、特に外務大臣に要望したいことは、非常にむずかしい問題ではありますが、やっぱりそこに何らかの道を見出していくと、これは具体的に、われわれとしてこうした方がいいというようないい提案がいまあるわけではございませんけれども、日本人の中にはやっぱりソ連のことに詳しい人もいるし、外交というのはソ連の国民性も考えてやっていかにゃいけませんし、そういう意味でひとつこの北方領土の問題についても、ただ何となく時期が過ぎていくというのではいけないと思います。やはり明確なる一つの具体的な方針というものを立てて、それは何も対外的に発表する必要はないと思うのですけれども、強力にひとつ進めてもらいたい、このことを要望しておきます。  それからこれは、最近ガラス張りの外交ということでオーストラリアの元外交官が本を出版をすると、その本の中に日本外交の機密は筒抜けであると、やはり日本の、いわゆる外務省から各大使館への訓令電報というものは全部読まれちゃって、こんなことでは日本の外交官に本当のことをしゃべれないと、そういうようなことを書いておるわけでありますが、これは彼らが勝手に言っておることでありますが、やはり手の内を見せたんではいかぬわけで、もしそういうような心配があるならば、万全の体制を立てていかにゃいけないんじゃないかと、こう思うのですが、その点はどうでしょうか。

松永信雄外務大臣官房長

○政府委員(松永信雄君) 御指摘ありましたあの新聞報道は私どもも承知いたしております。問題になっております著作につきましては、これは私人の著作にかかるものでございますから、政府としての正式の見解を述べるというのはいかがかと思いますが、記事は私どもも読みましたわけで、読みましたその印象を申し上げますと、憶測ないしは想像によって書かれたものではないかという印象でございます。他方、仮に外務省が使用しております暗号電信が解読されていると、あるいは読まれているという事態があるとすれば、これは非常にゆゆしい問題でございますけれども、現在外務省が使用しております暗号電信は、いわゆる無限乱数を使用した暗号システムでございまして、他によって解読されるということは絶対あり得ないというふうに考えております。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 ひとつそういう点はよくさらに慎重に検討して、いまのような、何となく外交というのが力のあるところばっかりが、軍事力のあるところが結局勝つような外交では困るわけで、そういうものに対抗していくためには、やっぱりそれ以外の点において、連携とかそういう点でほかの国に負けないようにやっていかにゃいかぬと思います。そういう意味で、ひとつこの問題についても十分検討をして、手落ちのないようにやってもらいたいと思います。  最後に二つだけお尋ねしたいんでありますが、この領海の問題で、いわゆる竹島の問題を、きのう福田総理大臣は島根県の漁業代表者の人の陳情に対して、今度の日韓閣僚会議の議題にしていくと、こういうようなことを言われたようでありますが、外務大臣のいままでの私たちの印象では、余りこの問題は日韓閣僚会議の議題にはしたくないというようなお話で、そこに食い違いがあるわけでありますが、私たちは、当然これは避けて通るべきものではなしに、そういう問題こそ話すべきものがこれは閣僚会議であって、当然申し入れるべきであるし、向こうがそれをどうしても拒絶する場合はどうするのか、こういう点を承っておきたい。  それともう一つは、大陸だな協定の問題で、いわゆる共同開発エリアが十二海里の中に入るという、これはきのうからずっと問題になっている問題でありますが、これを両国の間で確認書、文書を交わすと、こういうようなお話に聞いておりますが、これは協定の内容の変更になりますので、当然私は最終的には両国の国会の議決が必要なんではないか。韓国はすでに批准をしておるわけでありますが、それを単なる確認書だけでやるということはどうなのか。この二点についてお尋ねしておきます。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 竹島の問題につきまして、参議院の予算委員会におきましてもお尋ねがございました。従来いろんな問題があるごとに抗議をしてまいったところでございます。先般予算委員会におきまして、韓国の国会におきましてもこの竹島問題が非常に取り上げられておるのでございまして、その際に、農務部長官が、竹島に新しい施設をすることにつきまして質疑応答があったわけでありまして、また、韓国側が竹島にいろんな現に施設を行っておるということにつきまして御指摘があったわけで、この問題につきましては、やはりこの領海問題あるいはさらに二百海里の専管水域と申しますか、両水域の問題が将来出てまいりましたときに、さらに問題が重要性を帯びることは必定でございます。そういう意味で、いままでは抗議をしたり、先方が抗議をしたりということを繰り返しておるわけでありますけれども、一度やはり外交問題として取り上げるべきではなかろうかという判断をしているところでございまして、今後検討さしていただきたいと思っております。  それから二番目の、韓国政府との共同開発区域にわたります大陸だなの協定につきましてのお話でございますが、いわゆる男女群島の西の先にあります鮫瀬という、これは島というか瀬というか、岩礁があるわけでございまして、この岩礁からはかりますと十・九キロのところに最も近い共同開発区域があるというので、この点につきましては、先方に、領海が十二海里になりましたときには、この鮫瀬からはかりますと当然領海が共同開発区域の中に及ぶことになる。その部分につきましては、大陸だなというのは領海から先の話でありますから、当然大陸だなの対象から外れると、そのことについて確認を求めておるところでございます。わが方といたしましては、現在の協定といたしまして、領海が十二海里に拡大されたときにおきまして当然にわが方の領海内に入る、共同開発区域から自然に外れるという点につきまして了解があればそれで足りるのではなかろうか、このように考えておるところでございます。どうかその点は御理解を賜りたいと思うのでございます。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 だから、国会の批准は必要ないという見解ですね。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) そのとおりです。

塩出啓典公明党

○塩出啓典君 それと、最初の問題は、これは議題にするかどうかということは、これから検討するということなんですね。総理は議題にしたいと言っているわけだけれども、外務大臣としてはすぐ議題にするというんではなしに、もう一回検討したいと。ちょっと食い違いがあっていいわけですか、これ。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 議題にいたしたいと思います。思いますが、現実に議題にいたしますのには、やはり両国間のある程度の意思の疎通といいますか、合意がある程度必要でありますので、その辺の表現といたしましてそう申し上げたのでありまして、主観的には議題といたしたいのでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 まず最初に、来年の国連軍縮特別総会に関連してちょっと一言お尋ねしたいんですが、四月十五日に国連加盟国政府が国連事務総長に政府の見解並びに議題に関する伝達を行うということになっておると思うんですが、もうあと八日後に迫っているので、大体検討されて一応の考えはまとまっておるんじゃないかと思うんですけれども、それについての考え方と、その大体の内容を説明していただければ。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 日にちが迫っておりますが、最終的にまだ決めておりませんが、現状につきまして国連局長の方から御説明させていただきます。

大川美雄外務省国際連合局長

○政府委員(大川美雄君) おっしゃるとおり、四月十五日までに出すことになっておりますけれども、いまのところ、実はほかの国連加盟国でも一カ国も出してないんです。みんなそれぞれほかの国がどういうような構想を持っているのか、どういうコメントを出すのかということを実はにらみながら様子を見ているというのが現状でございます。わが国も、東京でありますとか、ジュネーブでありますとか、あるいはニューヨークでいろいろ各国の考え方を打診して一生懸命情報を集めている段階でございます。ですから、日本だけが特におくれているということではございませんが、いずれにいたしましても四月の十五日に間に合うように出すつもりでございます。  そこで、わが国の考え方をごく大ざっぱに申し上げますと、軍縮関係のいろいろの措置がとられてまいりましたけれども、過去三十年、国際連合が生まれましてからでもいろいろの措置がとられましたけれども、とかく予防的な措置と申しますか、あるいは本当のその核心の措置ではなくて、周辺的な措置がややもすると多くとられていると。人間の悲願でありますところの全面完全軍縮というのにまだほど遠いと。そこで、今度の特別総会は何とか全面完全軍縮を達成するための一里塚にしたいということでございますので、単なる政治的なスローガンと申しますか、をやりとりするだけではなくて、本当に具体的な措置につながるような決定に持っていきたいと、これが一つ基本的な考え方でございます。  それから、こういったことをやりますのに核兵器国が全部参加いたしませんと意味がございませんので、何とか核兵器国がすべて参加するような形の決定を達成したい。そして、まあ特別総会はせいぜい一カ月ぐらいの期間でございますので、なかなか特定の条約の交渉には時間が足りないかと思いますけれども、せめてこれからの軍縮の日程と申しますか、どういった問題をどういう優先順位で取り上げていくべきかといったような、何かそういった優先順位をつけるような方向に国際的に議論が向かうとよろしいのではないかと思っています。  なお、ジュネーブに軍縮委員会がございまして、そこでいろいろ討議されておりますが、その軍縮委員会の今後の仕事を阻害するような形で特別総会が取り運ばれるのではなくて、どこまでも軍縮委員会の今後の仕事を促進するというような形の討議が望ましいのではないかと考えております。  なお、具体的にそれでは日本として今度の特別総会でどういう問題を特に取り上げてもらったらいいかということになりますと、私どもまだ最終的には固めておりませんけれども、たとえば——まあこれはたとえばでなくて、間違いございませんけれども、核軍縮というのは最優先的に考えています。その核軍縮でも最も緊急な問題は、やはり核実験の全面禁止に関する協定の達成ではないか、全面核実験禁止ということから発足して一歩一歩核軍縮、核兵器の廃絶というところに向かっていくべきではないかと、これが一つの重点事項かと思います。  そのほかに、数年前からジュネーブの軍縮委員会で討議されております化学兵器の禁止条約というのがございますけれども、これがもう一歩というところでございますので、何とかこれを促進させたいというのが第二点でございましょうか。  それから、核軍縮だけではなくて、やはり通常兵器の面でもいろいろのことをまだやるべきではないかということで、昨年の国連総会でも、御承知のとおり、通常兵器の国際移転についての実態調査ということを提案したのですが、これを今後もう少し推進していけないかどうかということも考えております。  なお最後に、各国の軍事予算と申しますか、軍事費についての専門家の討議が、これが数年前から進んでおりますけれども、各国の軍事費の削減について何らか具体的な成果が期待できないか、これなども私どもの考えている一つの例でございます。  最終的なことはまだ決まっておりませんけれども、大体の私どもの考え方を御披露すればそういったことでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 大臣、ほかの国がどういうふうな内容を提起するかというふうなのをいろいろこう状況を見るということは、これは必ずしも悪いとは言いませんけれども、少なくとも日本は唯一の被爆国ですし、この問題については積極的に国際世論をリードするぐらいなつもりでやっぱり問題を提起していくということも一方では必要じゃないかと思うのですね。  それで、前回大臣に共産党として申し入れて、核兵器を全面的に禁止すると、こういう方向でひとつ努力していただきたい、それでまあ大臣は、これは私たちも見解は一致しておりますというふうに言われたわけです。ですから、少なくともこの協定の中身にしては、もうカーター大統領自身も核兵器の廃絶を目指す第一歩としてということまで言われているんですから、日本としては、少なくとも核兵器の廃絶という問題提起を明確な考え方としてやっぱり出していくことが必要じゃないかと思うんですが、その点大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思うのです。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 先般共産党の御意見を承りまして、核問題につきましては日本が唯一の被爆国であるということから、究極的には核の廃絶まで提起をすべきである。核の廃絶と申しましても、米ソ間のSALT交渉があのようになかなか進まないという現実でありますので、現実的な手段としては包括的な核実験の禁止ということ、そういったことが当面のことであろうと思いますが、究極の理想といたしまして核の廃絶ということをぜひとも日本としては考えるべきであろうと考えております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 この問題、また次の機会にいろいろお尋ねしたいと思いますけれども、核の廃絶じゃなくて核兵器の廃絶でございますね。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) はい、さようでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 それから次に、いま塩出委員が質問されました日韓大陸だな条約の問題に関連して新聞報道を見ておりますと、政府がどういうふうに対処していくかというふうなことがいろいろ報道されているわけですね。この問題については、もう領海十二海里に拡大するということに伴って一部が入り込んでおると、共同開発区域に。これについては当然何らかの形で処理しなければならないという点について、新聞報道などによりますと、これは当然大陸だなではなくなると、領海が設定されると。あるいは念のために了解事項を韓国との間で文書にまとめる。あるいは協定の手直しは必要ではないというふうな考え方が外務省の見解として出されて新聞で報道されておりますけれども、そういうことで間違いないのかどうか、政府の処理の対応について総合的にちょっとお聞きをしておきたいのですが。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 先ほどもお答え申し上げましたとおり、このごく一部につきまして、全体としては〇・〇四%の面積でございますけれども、この領海の範囲内に入る部分がある。その点につきまして、先ほど申し上げましたように、当然これは領海となるので、いわゆる大陸だなの範囲から外れるものである。その点につきましては、何分三年前に調印した協定でありますので、この調印したということを尊重していただいて、その解釈でそれを明確にするということで目的は達せられるというふうに考えておるところでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 了解事項を文書にまとめるというようなことはしないと。するわけですか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) これからいかなる文書とするかという点につきまして、韓国側と折衝いたす段階でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 日本の政府としてはどういう性格の文書にしたいというふうに考えておられるのか、あるいはそれをどういう形で行われようと考えておられるのか、時期的にはいつごろを想定されておるか、そこらあたりについてちょっとお尋ねしておきたいのですが。

中島敏次郎外務省条約局長

○政府委員(中島敏次郎君) どういう性格及びどういう内容のという点につきましては、外務大臣からもお話がございますように、韓国側と話し合ってしかるべき文書によって的確な処理をしようということで、まだその点の明確に話し合いがついたということではございませんので、いましばらく時間をおかしいただきたいと。  時期につきましては、きょうの本会議でも外務大臣からお答えがありましたように、できるだけ速やかにということで対処をいたしたいと。  ただ、その内容そのものは、基本的な性格は先ほどから外務大臣からも御説明がありますように、当該区域が大陸だなではなくなって、協定によるところの共同開発区域の対象区域からは自動的に外れるということでございますから、協定自体の手直しということを考えているわけではなくて、その自動的に外れるという点については日韓間の意見が一致しておりますので、その点を確認をしておくということで考えておる次第でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 きょうはお尋ねするだけにとどめておいて、いずれまた議論といいますか、私たちの見解を述べる場合もあるかと思います。  次に、日米首脳会談についてですが、先ほど大臣の御報告をお聞きしたわけですが、もちろんいろいろな面で、多くの点で一致する点もあったと思いますが、それからまた不一致点と言えばこれは大きくなるわけですが、まあ見解の相違する点等もあったと思うのですね。これについてはそれは外務省としてしかるべき、それに対してどういう点が一致し、どういう点で見解が十分に一致していないかということについて、それぞれ検討され、それに必要な対応をされていくということになると思うのですが、特に大臣が今回の日米首脳会談の中で不一致点といいますか、あるいは見解が十分に一致しなかったというふうにお考えになられる問題はどういう問題ですか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) それは何よりも一番大きな問題は核燃料の再処理の問題でございます。これにつきましては、とにかく両国政府で引き続いて何らかの解決策を見出そうという方向につきましては一致をしたということでございます。しかし、これからの両国間の交渉に待つということでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 ほかはもうすべて一致したわけですか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 大きな問題としてはそのようなことだと思いますが、まあ航空交渉でありますとか、そのような問題は首脳会談におきまして交渉するという性格のものではないものでございますから、今後の交渉につきまして、相互の立場を理解をお願いをしたわけでございます。  恐らく御指摘は朝鮮半島におきます問題につきましてであろうと思うのでございますが、これにつきまして、韓国からの米地上軍の撤退につきましては、これからその対応なり、どのような形で撤退が行われるかということにつきましては、これから韓国と協議して、また日本とも協議をして実施をすると、こういうことを先方が申しておるところでございまして、これは必ずしも意見が一致したということは言えないかと思いますが、これからの問題ということになったわけでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 この取り交した文書の中に、「西太平洋において、均衡がとれ、かつ、柔軟な軍事的存在を維持する意向である旨付言した。」という文章がありますが、この「西太平洋において、均衡がとれ、かつ、柔軟な軍事的存在を維持する」というのはどういう意味でしょうか。

山崎敏夫外務省アメリカ局長

○政府委員(山崎敏夫君) この表現はアメリカ側が、カーター大統領が述べた表現でございますが、われわれの理解しておりますところでは、このまず「西太平洋」というのは、ハワイより西の太平洋で米軍の存在する地域を主に指しているものと考えております。それから、「均衡がとれ、かつ、柔軟な軍事的存在」という点でございますが、これは従来ときどきアメリカ側の軍事的な用語として出てまいりますけれども、いろんな情勢に対応して、迅速かつ効果的に対応し得る能力を意味するものと考えております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 そういうカーター大統領の発言に対してですが、これは第一回会談の内容として報道されている点を見ますと、アメリカのアジアにおけるプレゼンスを維持してほしいということを日本側から要望したという報道になっているんですが、それは正確ですか。

山崎敏夫外務省アメリカ局長

○政府委員(山崎敏夫君) 私も総理と大統領との会談に列席いたしておりましたので、その点を御説明させていただきますと、総理の方から、ベトナム以後アメリカがアジアに対して関心を失いつつあるんではないかというふうな意見がアジアのあちこちで見られる。そこで、アメリカは今後ともアジアにおける平和を維持するためにアジア・太平洋地域に関心を持ってもらいたいということは、いわばアジアの代表のような考えから、立場からおっしゃったわけでございます。そしてさらに、アジアにおいて積極的かつ建設的な役割りを果たしてもらいたいということを特に総理としては強調されたわけでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 それで大臣、この共同コミュニケの中では「米国のかかる確認を歓迎し、」ということになっているわけですね。それで前に宮澤さんが大臣のときに、コミュニケというのは大体何が書かれてあって何が書かれていないかということをよく考えることが大切だというふうな趣旨の発言をされたことを私記憶しているんですが、ここで言われている「歓迎し、」という意味は、いわゆるアメリカの軍事的存在を日本は歓迎するとするならば、日本は米軍が存在することに対して協力をするということになるわけでしょうね、当然。大臣いかがでしょうか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) この共同声明のこのところの文章でございますけれども、これは予算委員会でも申し上げたんですけれども、第五の第三項でございますけれども、「大統領は、米国が、太平洋国家として、今後ともアジア・太平洋地域に強い関心をもち、同地域において積極的かつ建設的役割を引続き果すことを再確認した。」と、再び確認したということでありまして、その確認という言葉を、「総理大臣は、米国のかかる確認を歓迎し、」と、こういうふうに文意的につながっておりまして、その下に軍事的な問題が大統領として付言をされたということが、実態の話としてもこのような経過でございまして、「米国のかかる確認を歓迎し、」というのは、特に軍事的な面につきまして日本は関心を持ってないということではありませんけれども、特に歓迎するという意味は、大統領が米国はアジア・太平洋地域におきまして積極的、建設的な役割りを引き続き果たしますとおっしゃった、その再確認を引き継いで総理大臣のかかる確認を歓迎すと、こういうふうに読んでいただきたい。その間に付言が入っておる、こういうふうに私どもはそれが実態的な話であるというふうに考えております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 それは日本の文章の読み方から言えばそうならないんですよ。付言したのが、歓迎したのが前文に当たる部分であればそれは歓迎したと、そしてその後に大統領はかく付言したということになれば、それは日本文としてはそういう文章になりますけれども、大臣は大体軍事的な意味合いということを極力お避けになるようでありますけれども、大体御承知のように日米安保条約があって、第六条では日本とアジアの、極東の安全のために日本の基地を使用できることになっているわけですから、これは日本政府としてはそれを歓迎して日米安保条約を結んでいるわけですし、そういうことを全く無視されるとなると安保条約そのものの存在が否定されるということにもなるので、その点については大臣余りお避けにならなくても、政府の立場としては私は明確じゃないかと思うんですよ。余り避けると安保条約否定になってくると、今度鳩山さんの立場がおかしくなってくるから。  次に、余り時間がないので余談ばっかりやっておるとあれですが、問題となるのは私は沖繩にいる米空軍ですね。これは西太平洋全域に対する防衛の任務を持っているわけです。これは大臣御承知だろうと思いますけれども、ここでは第一八戦術戦闘航空団、これは西太平洋全域についての防衛の任務を持つものであり、それに関して上級司令部の指示に従って行動をとるということになっているわけですから、これはもう明確だと思うんです。今回の場合に特に会談の中でも、あるいはその後の福田総理がカーター大統領の発言として引用した部分でも、朝鮮半島のバランスを崩さないよう慎重に地上軍のみの撤退をさせる、むしろ空軍力による対韓支援は強化するというふうに語っているわけです。そういうことになってきますと、日本におけるアメリカの空軍というのは、韓国を含む西太平洋全域に対する防衛の任務を持っておるということになれば、そうして、韓国に対する防空の任務、この支援の態勢を強化するということになれば、事実上日本における米空軍の強化が図られるということに論理としてはなり得ると思うのですが、その点についてはいかがお考えでしょうか。

山崎敏夫外務省アメリカ局長

○政府委員(山崎敏夫君) 先ほども申し上げましたように、西太平洋という表現はアメリカの軍事的な用語でございまして、ハワイより西側で米軍が存在する太平洋の地域を主として言うものと解しております。他方、在日米軍は安保条約に基づいて日本に駐留しておるわけでございまして、その任務は、日本の安全と極東における平和の維持というもの、平和と安全の維持というものを目的としておるわけでございます。したがいまして、今回こういう表現が用いられたからといって、在日米軍のそういう役割りが変わったとか変わるというようなことはないと考えております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 ブラウン米国防長官が、軍事力で韓国は北朝鮮に見劣りしている。引き続き米空軍による支援の重要性を強調して、北側に韓国の防衛力が弱まるという誤解を与えないように日韓両国との協議が必要だというふうに証言しているわけですが、これは韓国の防衛にとって在日米軍やいわゆる航空自衛隊の協力が不可欠であるということを意味するものではないですか。

山崎敏夫外務省アメリカ局長

○政府委員(山崎敏夫君) ブラウン国防長官の証言については私はつまびらかにいたしておりませんけれども、両国首脳の会談におきまして、カーター大統領が在韓米地上軍を撤退するに当たっても韓国に対して十分なエアカバーといいますか、空軍力は維持するということを言ったのは事実でございます。もちろん、一義的には在韓米空軍の維持ないし強化を意味するものと考えます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 そういうふうにならないで、もう少しまともに答えていただきたいんですが、今回の会談の場合でも、大臣は予算委員会の答弁で、軍事的意味は一切含まれていない、経済開発を含む諸分野という問題に関してそういうふうに答弁されておりますけれども、しかし、事実上防衛力の基盤強化を述べたのかどうかという点については、事前折衝の段階でそれらが出た経緯があるというふうに大臣答弁されておりますし、またカーター自身についても、福田総理はカーター大統領が日本は対韓勢力、防衛能力が弱いとの話は出たというふうに言っているわけですね。  それで、事実上最近の状態を見てみますと、一つはことしの二月二十四日、南西航空混成団の司令である吉崎巌空将から直接聞いた話によりますと、コープダイヤモンドという作戦の名前で在韓米空軍、それから日本本土の米空軍、それから在沖繩米空軍による合同演習が定期的に実施されていると、この合同演習には南西航空団の自衛隊機が昨年十月以来三回も加わったということを明確に述べているわけですね。また、ことしの二月二十四日、同じ発表によっても、嘉手納基地からの報道によれば、いままでは偵察機が韓国にかなり頻繁に出かけておったけれども、今回初めてF4ファントム、これは攻撃用の飛行機ですけれども、これが事実上韓国に乗り出しておるというふうな報道もなされているわけですね。ですから、事実上アメリカ側は日本側に対してのこういう昨年の七月以来、日米防衛協力小委員会での共同作戦計画に関する検討がなされておると、また、アメリカ側からは日本のそういう体制を強化してほしいという要望、そういう問題についての考え方というのは今度の会談の中で肯定的に評価されたというふうに、日本側としては肯定的に対応したというふうに判断することが私は妥当な判断の仕方だと思いますけれども、この点については、大臣は会談に参加された当事者としてそういう問題についてのお考えはどうでしょうか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) ただいまおっしゃいました、御指摘のありましたような空軍同士のいかに強化するかとか、そのような問題は一切両首脳の会談において私の知る限りにおきましては出ておらないのでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 最後に、結局この問題は、もう時間がないからこれ以上余り述べてあれするわけにはいかないわけですけれども、在韓地上米軍が撤退をすると、しかしそれについてはバランスを崩さないようにする、また、体制を弱めないようにしたいということになってきますと、日本におけるいわゆる在日米軍、米空軍というのが、これは一定の補完的な役割りをますます強化しなければならない。自動的にそうなってくる。それに対して事実上やはり安定した基地の自由使用の問題だとか、あるいはいま協議が進められておる日米防衛協力小委員会の内容等々における関連事項が私は起こってくるだろうと思うんですが、この点については私はまた時期を改めてお尋ねしますけれども、新聞で報道されておった、これらの在韓米地上軍の撤退に関してアメリカとの具体的な協議のために防衛庁長官が訪米するという問題について、防衛庁と外務省との間で具体的に検討を進めているという報道があったわけですが、三原防衛庁長官が訪米するというふうなことがいま具体的に防衛庁と外務省との間で検討が進んでおるのかどうなのか、その点についてお尋ねをしておきたいと思います。

山崎敏夫外務省アメリカ局長

○政府委員(山崎敏夫君) 便宜上私からお答えさしていただきますが、具体的な問題として三原防衛庁長官が訪米されるという話は外務省としては承知しておりません。  ただ、一昨年でございましたか、当時のシュレジンジャー国防長官が日本に参りましたときに、当時の坂田防衛庁長官と話し合われまして、今後両国の防衛の責任者同士が一年に一回ぐらいは会うようにしようという話をされたということはございます。しかしその後、去年はそれが実現されておりません。ことしも具体的な計画としては、われわれとしては承知しておらないわけでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 この問題についてはもっとお尋ねしたい事項がたくさんありますけれども、きょうは時間がありませんので、次回の質問のときに譲りたいと思います。

寺本廣作自由民主党

○委員長(寺本広作君) 本件に関する本日の調査はこの程度といたします。     —————————————

寺本廣作自由民主党

○委員長(寺本広作君) 次に、千九百七十一年七月二十四日にパリで改正された万国著作権条約及び関係諸議定書の締結について承認を求めるの件  子に対する扶養義務の準拠法に関する条約の締結について承認を求めるの件  税関における物品の評価に関する条約の改正の受諾について承認を求めるの件  及び、がん原性物質及びがん原性因子による職業性障害の防止及び管理に関する条約(第百三十九号)の締結について承認を求めるの件(以上四件本院先議)  並びに、国際農業開発基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件  及び、国際農業開発基金への加盟に伴う措置に関する法律案(以上二件衆議院送付)  以上六件を便宜一括して議題といたします。  政府から逐次趣旨説明を聴取いたします。鳩山外務大臣。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) ただいま議題となりました千九百七十一年七月二十四日にパリで改正された万国著作権条約及び関係諸議定書の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  万国著作権条約は、米州諸国のように著作権を保護する条件として納入、登録等の方式に従うことを要求する国とわが国や欧州諸国等のように著作権を無方式で保護する国との間の橋渡しを行うものとして一九五二年に作成されたものでありますが、このパリ改正条約は、開発途上国の文化的、社会的及び経済的発展の必要性を考慮して、翻訳権及び複製権に関して開発途上国のために特別の便宜を図る措置を講じたものであります。なお、現行条約に附属している無国籍者等の著作物に対する条約の適用に関する第一附属議定書及び国際連合等の国際機関に対する条約の適用に関する第二附属議定書は、そのままの形でこのパリ改正条約に引き継がれています。  わが国は、一九五六年に万国著作権条約及び関係諸議定書を締結しており、わが国がこのパリ改正条約及び関係諸議定書を締結することは、開発途上国との友好関係を促進する見地から、また、著作物の保護のための国際協力を推進する見地から有益であると考えられます。  よって、ここに、この条約及び関係諸議定書の締結について御承認を求める次第であります。  次に、子に対する扶養義務の準拠法に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  渉外的な私法上の法律関係につきどの国の法律を適用すべきかを指定する国際私法が国によって異なっておりますため、同種の私法関係に係る紛争が国によって異なって処理される等の不合理が生じております。この不合理を除くため、ヘーグ国際私法会議は、一八九三年以来各種の法律関係について条約を採択し、国際私法の漸進的統一作業を続けております。同会議は、一九五六年十月に開催された第八回会期において、子に対する扶養義務の準拠法に関する条約を作成しました。この条約は、一九六二年一月一日に発効しており、その締約国は、一九七七年二月現在、西ドイツ、フランス、イタリア等十二カ国であります。  この条約は、子に対する私法上の扶養義務に関し、原則として、子の常居所地の法律を適用することとして、各国に共通の国際私法の規則を定めるものであります。子の扶養の問題は、子の常居所地すなわち子が実際に居住する国の生活水準等に密接に関連しておりますことより、この条約の定める共通の規則は、子の保護の見地から妥当と認められます。  近時、わが国と諸外国との間の人的交流が盛んになり、これに伴い、わが国国民の関係する渉外的な親子間の扶養の問題が法律上の紛争となる事例が漸増する傾向にあることにかんがみまして、わが国がこの条約の締約国となりますことは、子の扶養に関し国際的に共通な規則を採用するとの見地から適切であるのみならず、国際私法の漸進的統一のための国際協力を進める上からも、きわめて望ましいことであると考えられます。  よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。  次に、税関における物品の評価に関する条約の改正の受諾について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  税関における物品の評価に関する条約は、価額を課税標準として関税を課する場合の価額の定義を定めることによって税関における物品の評価方式の統一を図り、もって国際貿易を容易にし、関税交渉及び外国貿易統計の比較を簡易化することを目的として一九五〇年に作成されたものであり、わが国は、一九七二年にこれに加入いたしました。  現行条約は、CIF(運賃・保険料込み価格)評価方式を採用しているため、これと異なる評価方式をとっている豪州、カナダ、米国等は、条約に加入することができません。すなわち現行条約第二条によれば、締約政府は、条約の附属書Iの価額の定義を国内法令に組み入れる義務を負っており、同定義の第一条(2)(b)に従い、輸入物品の販売及び引き渡しに伴うすべての費用を価額に含めて評価を行うこととなっております。しかしながら、この改正により、条約に新規に加入する国に限り、輸出港から輸入港までの運賃及び保険料を価額から除くとすることが認められることとなります。  わが国がこの改正を受諾することは、豪州等の条約への加入を促進することにより、税関における物品の評価方式の国際的な統一へ寄与するとともに、国際貿易の円滑化にも資するものであり、世界貿易に大きな比重を占めるわが国にとってきわめて望ましいものであると考えられます。  よって、ここに、この改正の受諾について御承認を求める次第であります。  次に、がん原性物質及びがん原性因子による職業性障害の防止及び管理に関する条約(第百三十九号)の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  この条約は、一九七四年に国際労働機関の第五十九回総会で採択されたもので、その内容は、職業上労働者がさらされることが禁止され、または許可もしくは管理の対象となるがん原性物質及びがん原性因子の決定、がん原性物質及びがん原性因子の有害性の一層低いものへの代替、労働者に対する保護措置及び適当な記録制度の確立、労働者に対する情報の提供、健康診断の実施等について規定したものであります。  この条約の規定は、わが国においては、労働安全衛生法及びこれに基づく政省令並びに法令により充足されているところであります。この条約を締結することは、わが国における労働者の健康を促進する上からも、また労働分野における国際協調を推進する上からも有意義であると考えられます。  よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。  次に、国際農業開発基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  一九七四年十一月にローマで開催されました世界食糧会議は、開発途上国における食糧事情がきわめて深刻な状況にあること、及びこれらの国の食糧問題を解決するために緊急かつ共同の措置が必要であるとの認識に基づきまして、これに対処するための各種構想について討議を行いましたが、その一つとして国際農業開発基金を設立することを決議いたしました。本協定は、この決議に基づき、三回にわたる関心国会合での起草作業を経て、一九七六年六月、国際農業開発基金を設立するための国際連合会議において採択されたものであります。  本基金は、開発途上国の農業開発、特に食糧増産のために開発途上国に対し、緩和された条件による貸し付けまたは贈与の形式で資金供与を行うことを業務内容としておりますが、本基金の設立によって開発途上国の基本的課題である農業分野の開発が促進され、さらには、これらの国の経済的及び社会的発展にもつながることが期待されるものとしてきわめて重要な意義を有するものと考えられます。  本基金は、その資金として、当初、約十億ドルを予定しており、先進国及び産油国がおのおの応分の拠出をすることとなっておりますが、わが国は、国会の承認を条件に五千五百万ドルを拠出する旨を誓約しております。わが国は、従来より開発途上国における農業開発の重要性を認識し、この分野におけるわが国の経験を活用して二国間あるいは多数国間協力を通じて積極的に貢献してまいりました。したがいまして、わが国といたしましても、本基金の趣旨に照らし、また、本基金が国連の専門機関の一つとなることが予定されていることもあり、開発途上国に対する農業開発協力の中心となる本基金に資金的な協力を行うことは、開発途上国に対する経済協力を積極的に推進しようとするわが国の基本政策に合致するものであり、きわめて有意義なことであると考えられます。  よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。  最後に、国際農業開発基金への加盟に伴う措置に関する法律案について提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、ただいま、その締結につき御承認をお願いいたしました国際農業開発基金を設立する協定に基づきまして、わが国が国際農業開発基金に加盟することに伴い必要となる各般の措置を規定することを目的とするものであります。国際農業開発基金は、開発途上国における農業開発、なかんずく食糧増産のために、従来の開発援助資金に加え、新たな資金を利用することができるようにすることを目的とするものであります。具体的には、国際農業開発基金の加盟国である開発途上国またはそのような加盟国が参加している政府間機関に対し、緩和された条件による貸し付けまたは贈与の形式で資金供与を行うことになっております。  御承知のとおり、開発途上国における農業開発の促進は、これら諸国における経済社会分野における大きな課題となっているばかりでなく、世界の食糧事情改善のかぎとなっているものであります。わが国といたしましても、先進国の一員として、これら諸国に対し援助を行い、その農業開発に積極的な協力を行っていくことが要請されております。政府といたしましては、わが国が国際農業開発基金へ加盟することは、このような開発途上国からの要請にこたえるものであるとともに、世界の食糧農業事情の改善に貢献するものであると考えこれに加盟することを決意した次第であります。  以下この法律案の概要について申し上げます。  まず、政府は、同基金に対し、予算で定める金額の範囲内において本邦通貨により拠出することができることといたしております。  次に、同基金への拠出については、国債の交付によって行う方法が認められておりますので、この国債の発行権限を政府に付与するとともに、その発行条件、償還等に関して必要な事項を定めております。  さらに、同基金が保有する本邦通貨その他の資産の寄託所として、日本銀行を指定できることといたしております。  以上、国際農業開発基金への加盟に伴う措置に関する法律案の提案の理由及びその概要を御説明いたしました。  以上六件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認、御賛同あらんことを希望いたします。  以上でございます。

寺本廣作自由民主党

○委員長(寺本広作君) 以上をもって説明は終わりました。  六件に対する自後の審査は後日に譲ります。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十一分散会      —————・—————

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