運輸委員会 第7号
- 発言数
- 149 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1977/05/12
会議録
○委員長(上林繁次郎君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 先般、向井長年君が委員を辞任され、その補欠として和田春生君が委員に選任されました。 —————————————
○委員長(上林繁次郎君) 委員の異動に伴い、理事二名が欠員となっておりますので、その補欠選任を行います。 理事の補欠選任につきましては、先例により、これを委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(上林繁次郎君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に中村太郎君及び瀬谷英行君を指名いたします。 —————————————
○委員長(上林繁次郎君) 海上衝突予防法案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。田村運輸大臣。
○国務大臣(田村元君) ただいま議題となりました海上衝突予防法案の提案理由につきまして御説明申し上げます。 海上における船舶の衝突の予防のための制度につきましては、海上交通の国際性にかんがみ、一八八九年ワシントンで開催された国際海事会議において国際規則が作成されて以来、主要海運国は、いずれも国際会議において作成された海上衝突の予防のための国際規則をそれぞれ国内法化してきております。 わが国におきましても、明治二十五年に海上衝突予防法を制定して以来、国際規則に準拠して国内法を制定してきており、現行海上衝突予防法は、一九六〇年の国際海上衝突予防規則を国内法化したものであります。 しかるに近年においては、海上交通はますますふくそうするに至っており、また、巨大タンカー、コンテナ船等の出現に見られるように、船舶の大型化及び高速化の傾向は著しいものがあります。 さらに、エアクッション船、プッシャーバージ等の特殊船舶も増加し、レーダー等の航海計器の発達にも目覚ましいものがあります。 このような海上交通の実態の変化に対応した航法規定等を盛り込んだ海上における船舶の衝突を予防するための新しい国際的なルールとして、一九七二年、ロンドンにおける国際会議において、千九百七十二年の海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約が採択されたのでありますが、同条約は、すでに主要海運国の加入を見ており、本年七月十五日に発効することとなっております。 わが国といたしましても、このような状況にかんがみ、海上交通規則の統一性を確保するため、一刻も早く、海上交通に関する基本ルールを定めた同条約に加入する必要がありますので、同条約の内容に準拠して国内法を整備するため、従来の法律の全部を改正した海上衝突予防法を制定しようとするものであります。 次にこの法律案の概要につきまして御説明申し上げます。 この法律案は、海洋及びこれに接続する航洋船が航行することができる水域の水上にある船舶が遵守すべき航法、表示すべき燈火及び形象物並びに行うべき信号について定めております。 そのうち、航法につきましては、第一に、船舶は、すべての手段により常時適切な見張りをしなければならないこととしております。 第二に、他の船舶との衝突を避けるための適切かつ有効な動作をとり、あるいはそのときの状況に適した距離で停止することができるよう、視界の状態等を考慮して、常時安全な速力で航行しなければならないこととしております。 第三に、レーダーを使用している船舶は、長距離レーダーレンジによる走査、レーダープロッティング等の方法によりレーダーを適切に用いなければならないこととしております。 第四に、狭い水道、政府間海事協議機関が採択した分離通航方式の設けられている水域等特定の水域について特別の航法を定めることとしております。 次に、燈火及び形象物につきましては、燈火の種類として引き船燈火及び閃光燈を追加するほか、新たにエアクッション船、曳航されている物件等が表示すべき燈火及び形象物についての規定を設ける等規定の整備を行うとともに、信号につきましても、新たに狭い水道における追い越し信号を定めるほか、所要の規定を整備することとしております。 以上がこの法律案を提出する理由であります。 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
○委員長(上林繁次郎君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。 —————————————
○委員長(上林繁次郎君) 次に、外国等による本邦外航船舶運航事業者に対する不利益な取扱いに対する特別措置に関する法律案を議題とし、質疑を行います。 御質疑のある方は御発言願います。
○三木忠雄君 それでは、まず最初に海運政策について一、二伺っておきたいと思うんですが、この低成長経済下になって特に外航海運をめぐる環境、あるいは構造的変化に対応して、これからのわが国の外航海運対策はどうあるべきか、これは非常に重大な私は問題ではなかろうかと考えるわけです。こういう点について、まず運輸大臣の基本方針を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(田村元君) 御承知のように、昭和四十九年の十二月に海運造船合理化審議会の答申を受けまして、五十年度以降の外航海運政策を実施してまいりました。しかしながら、その後のわが国の外航海運をめぐるいろいろな状況が大きく激変をしてまいりました。船員費を中心としたいろいろな問題とか、あるいは開発途上国における自国船主義の強化とか、東欧圏諸国海運の進出とか、いろいろな点で相当事情が変わってまいりました。さような次第でございますので、抜本的な対策をもう一回再検討しなきゃならぬ、こういうことで昨年、五十一年の十一月に海運造船合理化審議会に対しまして、「今後長期にわたるわが国外航海運政策はいかにあるべきか」ということについて諮問を行って、現在審議が進められておるところでございます。でありますので、運輸省としましても、この審議会の結論を受けまして今後の長期的な外航海運政策の充実を図りたいと、こういうことでございます。
○三木忠雄君 そうしますと、四十九年十二月九日のこの外航海運政策、これはもう破棄する、あるいは変更するという、こういう考え方に立っているわけですか。
○政府委員(後藤茂也君) 御指摘の、その四十九年の十二月に海運造船合理化審議会から答申をされました外航海運政策のあり方というものに述べられております考え方自体は、私どもといたしまして、いま大臣御説明申し上げましたような新しい事態に即応して、基本的な考え方を変えるか変えないかということについて、変えるべきであるというふうにはっきり考えているわけではございませんし、答申をよく読んでみましても、その答申に述べられているいろいろな事項というものは、ただいま大臣が御説明申し上げましたように、その後表面化いたしました世界海運の事情、あるいは日本海運を取り巻くいろんな環境の変化というものについてもすでに触れられております。ただ、その四十九年の答申をいただきました後に、非常にはっきりと日本海運の上に目に見えて変化をもたらしてきましたいろんな事情というものを考えますと、この基本的な四十九年答申というものの考え方はそれといたしまして、それだけでは済まないという問題が多々あるというふうに私どもは考えております。 で、ただいま御説明申し上げましたように、海造審は昨年の十二月以降すでに八回の回を重ねてこの将来の対策というもののあり方についての御審議を進めておいでになりますので、その結果どのような結論が出るかについては、ただいまの時点で直ちにどうこう申し上げる段階ではございませんけれども、恐らくはこの新しい御議論の結論といたしましては、四十九年の答申の考え方というものを否定するのではなく、その上にどのようなものをいわばつけ加えるべきかといったようなことについての一つの線が打ち出されるのではないかと、私どもはそのように考えております。
○三木忠雄君 そうしますと、四十九年のこの答申は——大ざっぱに言っていままでの答申というのは建造計画が主力の海運政策になっているわけですね。これから環境変化がずいぶん変わってきているわけですね。構造的ないろんな変化があるわけです。その点を今回いろいろ検討される段階になっているわけでありますけれども、四十八年以降のあの石油ショック以来、あるいはこの低成長下に立って海造審のこの答申がいつ出るかということになると、恐らく二年、三年先になるんじゃないか。この間、日本海運にとって私は空白時代ができるんではないかという一つの心配があるわけですね。こういう問題に対して運輸省は、まあ海造審の答申がいつ出るかというような問題については、運輸大臣どのぐらいの腹でいるのか私にはわかりませんけれども、その点についてもう一点伺っておきたいのと、それから海造審が長期にわたる場合には、やはりいま当面している問題を何点か取り上げて、そして順次回答していくという形をとるべきではないかと、こういうふうな考え方にもなるわけですけれども、その点についてはいかがですか。
○政府委員(後藤茂也君) 昨年の十一月付で新たなる諮問を海運造船合理化審議会にいたしました際に、運輸省といたしましては審議会に対しまして、この諮問に対する御審議のいわば時間的なめどといたしまして大体二年間をめどにというような御説明を申し上げております。ただそのことは、二年の間ずっと御審議をいただいて、その後にぽっと御答申をいただいて、それまでいわば白紙で進んでおって、その御答申を二年後に実施に移すというふうな考え方ではございませんで、やはり現在も進行中の御審議の模様というものをいろいろとわれわれは伺い、また、できればこの二年とは言いながらも、その審議の途中で中間的な結論といったようなものがあれば、それを中間的な報告なり何なりという形で私どもにいただきまして、逐次できることから私どもはその御審議の成果をくみ上げて実際の施策に移したいというようなことを希望して、またそのようなことを審議会の委員に私どもの希望を申し述べております。 実際の見通しといたしましては、私どもが運輸省として御諮問申し上げました新しい事態に対応するいわば新しい基本的な追加すべき政策というものにつきましては、船員の問題が絡みますし、労使の間の話し合いというものがそういった審議と並行して進むことをひそかに期待しているわけでございまして、あわててがたがたやっても決して実のある結論というものを早く物にするということはむずかしいであろうということから、一方では二年ということを申し上げながら、他方ではそういったことはそういったこととして、できることはできることとして少しずつ実現を図っていきたい、こういうふうな考え方で審議会に御説明をし、また審議会もそのようなことを御理解の上で御審議を進めておいでになる、このように私どもは考えております。
○三木忠雄君 海造審が二年間にいろいろ審議した結果、一括でいろいろ答申すると、これは私は大事なことだと思います。しかし、いまの日本の海運の実態を見ておりますと船員問題、あるいは外国船用船の問題、いろいろな問題点があるわけですね。特に今回の大臣の諮問理由の中にも、やはり開発途上国による自国船主義の強化、こういういろんな環境の厳しい問題等についても、これは今回審議をする対抗立法の起点にもなっているわけですね。こういう点を考えますと、海造審が二年間私は慎重な審議をされることは非常に結構だと思うんですよ。しかし、もうあらかじめ早く解決をしなきゃならない項目は何点かあるわけですね。 したがって、そういう問題から順次答申をし、そこから解決をしていく、確かに、労使協調など時間のかかる問題もあるかもしれないけれども、いまとかく私たちの心配しているのは海運政策がないんじゃないかと、こういうふうないろんな考え方があるわけですね。そういう点を心配をするわけでございますので、海造審のこの答申を——中間答申なりどういう形にされるか、これからの答申を待たなきゃなりませんけれども、その間に運輸省として、たとえば日本の商船が大体どの程度が適正規模であるかとか、そういう点についても運輸省の基本的な考え方はあるんではなかろうかと思うのですね。こういう点については運輸省、特に海運局としてどう考えているのか、こういう点についてはいかがですか。
○政府委員(後藤茂也君) これから日本の経済の低成長下におきます成長の規模というものを考えまして、それとの見合いにおきまして、日本の商船隊というものの必要な規模というものはいかがであるかというようなことをはっきり決めるべきであるという御議論は、いま御説明いたしました海運造船合理化審議会の中でも出ておりますし、またもちろん外部からもそういうふうな御意見はいろいろと承っております。 この四十九年答申について先ほどお触れになりましたように、従来の海運造船合理化審議会の御審議の中身というものは、これはその時期はむしろ経済成長期ではございましたけれども、今後の日本経済の発展というものに見合った日本海運の規模というものを、それを予想あるいは望ましい規模というものを論じて、そうしてたとえば計画造船の量といったようなものについての一つのめどを出すというふうなところに主眼が置かれてきたものでございますけれども、ただいま、今後の日本海運のナショナルミニマムを決めろという御議論には若干その背景が違ったところがある。それはやはり、とめどもなく競争力のなくなった日本海運というものが減っていくのではないかという心配から、それでは一体日本の雇用の問題はどうなるんだ。そこで、減っていくかもしれない日本海運のそういった状態に歯どめをかける歯どめの規模というか、めどというものはどこなんだというものをはっきり出せと、こういうような背景での御議論でございます。 それはそれで私は一つの意味のあることだと思いますけれども、歯どめのかけ方については、これは歯どめをかけることによる国家的なコストの問題がそれに絡む。そのコストというものを全く無視して、幾ら金がかかってもいいから日本国の商船隊は三千万トン必要なんだというふうなことを言っても、それは絵にかいたもちになるんでございましょうし、またその前提となっております日本海運というものは競争力が少し減って、ほっておけば少しずつ弱くなっていくという物の考え方にも、一体日本海運の国際競争力というものは、そのほかの方法でさらに強化する方法はないかということの検討も必要かと思います。 したがいまして、御議論はいろいろございますけれども、ただいま直ちに日本の海運は将来の貿易というものを考えに入れて、現在四千百万トンあるけれども、これは何千万トンがミニマムであるというふうな数字を簡単に出すわけには私はいかぬというふうに考えておりますし、それは現在の運輸省の考え方でもございます。ただこの点につきましては、まだまだいま申し上げました審議会の御議論というものが続いておりますし、外部のいろいろな御意見というものを今後ともよく承って、そして合理的な結論を出すべき性格の問題であるというふうに考えております。
○三木忠雄君 まあきょうは船員局長も来ていませんから、私はここで深く立ち入る予定はしておりませんけれども、いわゆる船員の問題にしましても、文部省が関連するいろんな学校、教育の問題から、あらゆる問題がこの外航海運政策の一つの問題に端を発して波及的な効果を及ぼすわけですね。こういう問題が手おくれになっていっては日本のあるべき姿というもの、特に海運政策というものが相当おくれをとっちゃうんじゃないか、こういう点を私たちは非常に心配をするわけですね。 そういう点で、今後の海造審の答申等も私たちはにらみながら海運政策をいろいろ研究し、またいろんな問題点を取り上げながら今後の論議に進めたいと思いますけれども、私たちもいろんな意見を耳にする中に、この運輸省の海運政策はちょっと弱いんじゃないだろうかと、いままではどうも船造計画一本の海造審の答申できた。確かに構造的変化がある、環境変化があるということでいろいろ考えられないことはないわけでありますけれども、やはり早急に手を打たなきゃならない問題点が数多くあると、こういう点を私はつけ加えておきたいと思うんです。 それで、本法律案の一、二の問題について伺っておきたいと思うんですけれども、この国旗差別政策に対抗するためにこの法律案を制定したわけでありますけれども、具体的にどのぐらいの影響を受け、金額で想定することはできないでしょうけれども、大体どの程度の被害を日本の国が受けたのか、この点についての実態を明らかにしてもらいたいと思います。
○説明員(棚橋泰君) 先生御指摘のとおり、金額にして計算することは非常にむずかしいわけでございます。実態で御説明を申し上げますと、各国が行っております国旗差別のやり方はいろいろございますが、一番主たるものは自国の貨物を法律によって自国船に積み取ることを義務づける、ないしはそれに関連する定期船の運賃のプール協定を認可にかかわらしめまして、それが自国の積み取りに有利なプール協定でないと認可をしない、したがって、事実上そういう協定を結ばざるを得ない。そういう形で貨物留保というものを強制してくるという例が多いわけでございます。 そういう例をとりまして、二、三の国について見ますと、たとえば南米のある国につきましては、いま申し上げましたように、自国船貨物の積み取りの義務づけを法令で明らかにするとともに、運賃のプール協定をやはり認可にかかわらしめました結果、その法令が制定されます前、日本からその国への輸出が日本船が六七%積み取っておりましたものが、その協定後の現在におきましてはわずか二六%に落ちておるというような例もございます。同様に、同じような別の国をとってみますと、法令の制定前は九七%日本船が積み取っておりましたものが現在では一三%程度に低下しておると、こういうような実例が数々あるわけでございます。 これを金額に直しますことは非常にむずかしゅうございますし、各国との貿易量というようなものの差もございますし、その後の経済の伸び等による貿易量の増大もございますので、金額的には先ほど申し上げましたようにお示しすることは非常にむずかしいわけでございますが、実態的には相当な被害をこうむっておるという例が多いということだと思います。
○三木忠雄君 この問題に対して、わが国の海運会社が具体的な対抗措置をとってきているわけですね。この問題については運輸省としてはどう考えておりますか。
○政府委員(後藤茂也君) 御質問の趣旨をあるいは取り違えているかもしれませんけれども、そういったことにつきましてわが国の海運会社のとっておる措置ということは、まず同業者であるその国の船会社の人との商売上の交渉、あるいは日本の船会社としてそういった措置をとっている外国の政府に対する、民間から外国の役所に対するいわば陳情、そういった方向でいろいろと事態の改善を求めるという手段がとられているわけでございます。これはどの国でも、あるいは先進海運国のいずれもがそういうことをやっているわけでございまして、ただいまの段階で——このほかにもちろん、現在御審議いただいている法案の成立以前の状態における政府間の交渉というものがございますけれども、そういう状態における日本の船会社がいまとっております措置というものは、それぞれの場合にいわば適切また活発に行われておるというふうに私どもは理解をしております。
○三木忠雄君 まあ適切、活発に行っているけれども現にはうまくいってないわけでしょう。そのためにこの対抗立法をつくらなきゃならない理由になってきているわけでしょう。
○政府委員(後藤茂也君) そのとおりでございます。
○三木忠雄君 それで、海運会社のいろいろな自衛的な措置は別にしまして、わが国の対抗措置としていままで——この法律案ができる前ですね、現時点においてどのような外交交渉を行ってそういう国旗差別国に対して手を打ってきたのか。この点について。
○説明員(棚橋泰君) 先生御指摘のように、まず最初は民間の海運会社によりましてそのような措置をとられないような陳情、ないしは同業者間の交渉というのが行われるわけでございますが、それで事態が改善いたしませんときには、海運会社等から日本の政府、すなわち運輸省に対しまして何らかの外交上の措置をとってくれるようにという要請がございます。それに応じまして事態を検討いたしました結果、政府間において交渉する必要があるというふうに判断いたしました場合には、政府間において外交的な面での交渉をいたすわけでございます。 交渉の方法といたしましては、まず現地の大使館を通じまして口頭による異議の申し立て、申し入れ、それからさらに、それで十分でございませんときには口上書というようなものを相手国政府に渡すことによりまして申し入れをすると、そういう点でまず行うわけでございますが、それでなお十分な解決が見られません場合には、必要に応じまして日本本国から運輸省の、たとえば海運局長ないしは担当外航課長というものが現地政府に参りまして、平等な輸送というものの申し入れを行って折衝を行うわけでございます。なおそのほかに政府間のその他の外交交渉、たとえば相手国の元首がこちらにお見えになった際の共同声明というようなものの中にそういう点の解決を盛り込むというような形での交渉というようなものも行われております。
○三木忠雄君 具体的にそういう外交交渉を通してやった事例は何件かあるんですか。 それから、とかく外交交渉という美名のもとに、どうも航空交渉にしたって、あるいは海運交渉にしても運輸省側は弱い。いずれにしても外交交渉という、うまくやらなければいけないという外務省側のサイドが非常に働いて、船会社にしてみれば非常に怒り心頭に発しているというか、そういう問題があるわけですね。したがって、ここ四、五年来この法律案がおくれているという船主側の意見等も私はよく耳にしました。実際にそういう外交交渉がうまくいかないためにこういう対抗立法でもつくっておくかという、こういう形になったのではないかと思うのですけれども、やはりそういう点が、どうも運輸省の外交交渉の姿勢が、外務省を通ずるといういろいろな理由はあるかもしれないけれども、ちょっと弱いのじゃないか。それに対する見解と、この二点を伺っておきたいと思います。
○説明員(棚橋泰君) こういうことは相手国がある関係でございまして、なかなかわが国の主張が簡単に通るということはむずかしいわけでございますけれども、先ほど御説明いたしましたような口上書ないしは口頭の申し入れというのは単に一回で終わっておるわけではございませんで、何回も申し入れを行っておりますし、相手国との交渉というのもかなり粘り強くやっておるつもりでございますが、そういうことで、中にはそれによりまして解決をしたという例もございますし、また現在解決に向かいつつあるという例もあるわけでございます。 ただ先生御指摘のように、相手はとにかく法令というような自国の手段をもってこれを行ってきておるわけでございまして、それを撤回させるという交渉でございますので、わが国としてもそれに、先生御指摘のような強い姿勢で臨むというためには、やはりバランスの問題で、わが国としてもそれに対する、もし聞き入れられない場合には対抗措置を講ずるぞという強い姿勢がございませんと、おっしゃるように、なかなか強硬な外交交渉ができないわけでございまして、そういう意味で今回の法案を御審議をお願いをしておるという状態でございます。
○三木忠雄君 それで、いままでの諸外国の法律と、この法律案との大きな違い点は何ですか。日本の方がやはりこの法律の規制でも緩いのじゃないか、条項の中もですね。たとえば港への入港、あるいは貨物の積みおろしの制限、禁止等の問題でこの法律案になっているわけですね。しかし、諸外国の法律では輸送とか、関税とか、その他のいろいろな面での措置も講ぜられるような形になっている。こういう点を考えても、日本のこの法律案は、諸外国の法律と大分違いがあるのじゃないか、こう考えるわけでありますけれどもどうですか。
○説明員(棚橋泰君) 御承知のように、ヨーロッパ各国では、ベルギー等を除きましてほとんどの各国がわが国の対抗立法に類似の法律を持っておるわけでございますが、中身といたしましては大体同じような体系ではないかと思います。ただ御指摘のように、関税とか、そういうような手段をも含めた法律をとっておる国もあるようでございます。ただ、これはわが国と諸外国との法体系の違いもございまして、私どもの方の今回の法律は日本の法体系上とり得る措置としてはここまでではないかということで法案を用意したわけでございます。そういう点で若干相違はあろうかと思いますけれども、先生御指摘のように、関税等含めた観点については相違のある点も若干ございますが、基本的には大体同じような方向ではないかというふうに思っております。
○三木忠雄君 外交交渉上、たとえばこの対抗措置の発動の基準という問題を考えたときには、非常に運輸省はやりたいと思ってもなかなか制限が加えられるような法体系になっているわけですね。実際上はこれは抜かないような法律案になっているわけですよ。抜けてないような歯どめが何重にも重なっているという、こういうふうな結果になっているわけでありますけれども、実際この法律を発動するという基準は何になりますか。
○政府委員(後藤茂也君) この法文の上にあらわれているものでまず御説明申し上げますと、この対抗措置を発動するためには三つの要件が必要かと思います。一つは、外国の政府などがその権力でもって日本の船舶運航事業者に対しての差別的な取り扱いを受けているという事実があること。第二に、そのような事実によって日本の船会社が被害を受けておるという事実がある。第三に、こういうことを発動することによって、そういった望ましからざる事態というものに対応する対策として具体的に発動することがいいと判断されるとき。これは法律の条文に述べられております要件でございます。 具体的にそれ以上にどうかということになりますと、たびたびこのことに関連してこの委員会の御審議でも御説明申し上げておりますとおり、これはいわばこちら側のいま持っていないカードを今度はポケットに入れて向こうと交渉するということでありますから、いっその切り札を出すかということについて、あらかじめ大声を出してワアワア言うことではおかしいんでありましょうし、やっぱり具体的には相手方に対して、これから先の日本の政府でやってくるあのお役人はポケットにあいくちを入れて来ているぞということを彼らに知らしめるというところから事は始まるのでありまして、いつそれを抜くかということは、いつか抜くかもしれぬということを相手が知っておるということで、それで、それ以上のことを私どもかあらかじめどうこうということは言えないのではないか。 もちろん先ほど御指摘になりましたように、これを抜くにつきましては、これは、そのことによるいわば貿易——その船その船によって積まれるその荷物の動き、貿易に対する関係だとか、あるいはその国と日本国との間の、いわゆる外務省がよく心配いたしますその国と国との全般的な外交の関係とかというようなことについて配意をするのは当然でございます。しかし、それ以上にただいまの段階で具体的にこういう基準でやります、こういうときは抜きませんというふうなことをあらかじめ御説明するもっともその用意もございませんし、またそう言うべき性格のものではないというふうに考えております。
○三木忠雄君 そうしますと、現在の時点ではこういう具体的な発動をしなきゃならないような程度の被害はないと、こういうふうに認めているわけですか。
○政府委員(後藤茂也君) 被害はいろいろといまも御説明申し上げましたようにございます。それからこの法律が施行されました暁には、いまも御説明申し上げましたように、いまでも諸外国との間にはいろんな形で、いわば政府と政府との間の交渉が続いておりますけれども、その交渉を新たなる事態——日本国にそういう対抗立法が成立し施行されたという事態を背中にしょって、そしてその交渉を続けます。したがいまして、その交渉はこれまでやっておりますいわば陳情外交のような、本当にやっている担当者は歯ぎしりをする、見ている人は本当にむかむかする、そういうふうな状態から、それは多少とも日本側の代表団のポケットの中にあいくちがあるということを相手が知るということによって、それで相当にいままでとは違ったものになるというふうに私どもは期待をしております。 したがって、また同じことになりますけれども、そうやっておって、どの国に向かって、どの部分についていつ抜くということについて、いま直ちにはっきりと申し上げるという事柄ではないというふうにも思います。はっきりいまの段階で申し上げられますことは、やはりこの法律ができたということでもって恐らく——事実いまだって、きょう本日ここで委員会の審議が行われているということについて、その自分たちの日本船に対してやっていることについて多少後ろめたい立場にある国の人たちというものはきょうの、本日の審議でも非常に気にしながらこの推移を見ているわけでございましょうし、それですでにそういった効果というものはいろんな形であらわれているというふうに私どもは理解しております。もちろん法律が成立した後には、そういった形でできるだけ強力にこの御審議、成立さしていただきました法律というものの成果を上げたいというふうに思っております。したがって、いつ、どのように実際に発動するかということにつきましては、いまはっきりとお答えする、御説明するということはいたしかねるということでございます。
○三木忠雄君 私も具体的にこの実例を持っているわけですけれどね。この法律を公布しますね。持っているよというだけで当分過ごすわけですな、極端に言えば、端的な例が。具体的にこの一、二の国と、こういう法律ができましたと、余りにも差別が激し過ぎますよということでさらに交渉を強める意図は運輸省としてはあるのかどうかということを言ってるんです。
○政府委員(後藤茂也君) その強めるか強めないかと、その強めるというのは一体何かということでございますけれども、それは当然に強くなります、われわれはそう理解、承知しております。それはいままでみたいに丸腰で行って陳情しているのと、これから行くのとでは、わが方の立場というものが違いますので、たとえて申しますならば、航空協定のない、しかし日本に航空法のある、そういった立場で日本の航空局なりが外国の航空当局と交渉するのとちょっと似たような状態になるわけでございます。それはまさかの場合にすぱっととめられると、現在日本の航空法はそうなっておりますし、そういう状態であるということを相手は知った上でその交渉をするわけでありますから、それはいままでとは、とにかく大声を出そうが、きつい言葉を使おうが使うまいが、それはいまこの法律があるとないとでは非常に違ってくる。 また事実、こういう法律をつくりましたヨーロッパ諸国と外国との間の関係を見てみましても、それはいま私が御説明申し上げたと大体似たような事情というものが現にあるというふうに見ております。したがいまして、どういうふうに強めるかということについて具体的にこうしますというふうな御説明はちょっとなかなかうまくできませんけれども、それは当然にわが方の立場はいままでよりは強くなりますというふうなことは御説明できると思います。
○三木忠雄君 事実、諸外国がこの法律が通ってから——日本の例はこれから出てくるわけでありますけれども、諸外国の例としてそういう対抗立法ができてから具体的にどういうふうな解決策を見出されてきたのか、何点か実例があったらちょっと説明してください。
○説明員(棚橋泰君) 御承知のように、各国の対抗立法もわが国と同様にやはりいわゆる伝家の宝刀でございまして、これを手に外交的に交渉するという手段でございますので、発動している例はわりに少ないようでございます。また、その交渉の経緯等につきましては、これは外交上の問題でございますので、各国ともなかなか相手国の問題がございますので、正確な内容についての情報というものを提供をしてくれるケースは少ないわけでございますけれども、私どもが知っております例といたしましては、西ドイツとそれからイタリアがこの法律を、対抗立法を発動したというケースがあるようでございます。 で、西ドイツは当初南米のある国との間で非常に、ちょうどわが国が現在受けておりますような貨物留保を受けておったわけでございますけれども、そのためにこのドイツの法律を発動いたしまして、ドイツの政府関係物資にかかわるその国への、その国の船の積み取りを許可を得ない限りはやらせないという発動をいたしまして、その結果、それを背にいたしまして、両国政府間及び両国の運輸会社同士の交渉が行われた結果、ほぼ妥当な線で事態が解決した、こういう例があるというふうに聞いております。また、イタリアにおきましても同様にこの対抗立法を発動したというケースがあったというふうに聞いております。
○三木忠雄君 最後に、このソ連を初めとする東欧諸国ですね、この地域、いろいろ体制は違うでしょうけれども、低運賃による輸送問題が非常にクローズアップされてきているわけですね。これに対する問題は運輸省はどう考えているのかですね。
○政府委員(後藤茂也君) このいわゆる東西問題でございまして、ソ連海運のいわば世界先進海運国に対する排戦というのは、いろいろと言われておりますようにソ連とは無関係のトレード、つまり日本で申せば日本とアメリカ、日本とオーストラリアといったような航路の貿易についてソ連の船がその航路に定期航路を配船をいたしまして、そこで当然にその航路には日本やアメリカ、オーストラリア、その他の船会社が運賃同盟を結成しているわけでございますけれども、その運賃同盟が決めておる運賃よりも安い運賃で荷物をかっさらっていく、こういうふうな形で世界の各地でそういういわば海運秩序の混乱、そしてなわ張りをどんどんふやすという形でいま起こっているわけでございます。 これに対する私どもの考え方、対策いかんということでございますけれども、この点につきましてはまず第一に、いま御審議いただいておりますこの対抗立法法案では、そういう事態に対処するような条文は実はございません。実際にこういったソ連の傾向に対処するにつきましては、私どもとしては二つの方法というものを考えておりますが、その一つは、似たような事情にある他の国と共同いたしまして、そしてソ連と話し合いを進めるということでございます。これは主にヨーロッパの海運国と日本との間のそういう関係でございますけれども、ヨーロッパの海運国政府と日本の政府とはこの問題についてたびたび相談をしております。いま申し上げましたような日本の考え方というものは、英国なりドイツなりその他の国でも大体似たような考え方をとっております。で、その間断なき対話と間断なき抗議といったようなやり方というものがソ連の国のそういうふうなやり方には効果があるんだというのが私どもの一つの考え方でございます。また、事実昨年来、日本のこれは船会社の例でございますけれども、ヨーロッパ、日本の船会社の代表者がソ連の国営海運の代表者とソビエトでこのことについて話し合いをしております。 もう一つの方法は、これは実は、これもまた日本単独ではございませんで、いわば外国と共同みたいな関係でございますけれども、このソ連の海運を既成の運賃同盟の中に包み込もうという努力でございます。これにつきましては、これはむしろ単独で猛烈にやっている国がございまして、アメリカのFMCのバッキー長官、これが昨年レニングラードに参りまして、ソ連の政府といろいろといわば約束事をしてまいりましたけれども、それは表に出ておる約束事では必ずしもそうはっきりは出ておりませんけれども、大体アメリカ着発の航路については、その運賃同盟にソ連の船会社を入れさせると、また入ろるというふうな基本的な精神で米ソの間の話し合いは進んでおったようでございます。また事実、大西洋あるいは日本とアメリカの間の太平洋という点の運賃同盟については、現在どういう条件でこの運賃同盟にソ連船が入るかということについて、運賃同盟の代表者とソ連船との間の話し合いが進んでおります。そういうようなことがあるいは二つ目の方策であるかと思います。 御指摘の、日本国のいわば法律なり国権でもってこの問題を強制するということにつきましては、なおいましばらく私どもといたしましては、いわば法律技術的な問題も含めましてさらに検討さしていただきたいと思っております。
○瀬谷英行君 マルシップの問題についてちょっと質問したいと思うんでありますけれども、このマルシップという形態ですね、これはまことに不自然だと思うんでありますけれども、結局どこにねらいがあるかというと、賃金の安い外国人船員を乗り組ませるということで、利益をなるべく余分に上げようというところにねらいがあるのではないかという気がいたします。そこで、こういう余り自然でない形態というものをこのまま黙認をしておくということは、海運政策上果たして当を得たことなのかどうか。やむを得ないとすればその理由はどういう点にあるのか。その点をお伺いしたいと思います。
○政府委員(後藤茂也君) マルシップにつきましては、従来からいろいろな論議が行われてきております。また、そのマルシップとは何であるか、その目的は何であるかということにつきましては、ただいまも御指摘になりましたようなそういったこともまた言われておりますし、また、いま御指摘にございませんでした点でも、マルシップという形で、船を日本の会社の所有という形にしておくことによりまして、その建造資金の調達につきまして、日本のいろんな商社なり金融機関というものとたやすく連絡ができる、あるいは日本の税法上のいろんな特典というものがそれに当然に適用されるというふうなことも、あるいはほかの方向での外国人排除の形式をとることに比べますと、そういったような点についても差異がございます。それを利点と言うかどうかについてはいろいろと問題があるかもしれませんけれども差異がございます。 ところで、それについて役所がどう考えてるんだという御質問でございますけれども、私どもといたしましては、日本の海運というものの中核というものは日本でつくられ、そして日本の人がそれを動かしておる、そういった日本船、純粋な日本船舶というものを中核として日本海運というものは育成さるべきであり、存在さるべきであると、そういう基本的な考え方というものを従来からずっと堅持してきております。昔は堅持するもしないもない、大体日本船というものはそうであったということでございますけれども、今後ともそういうものが日本海運の中核であるべきであるというふうに考えております。 ただ、実際にいまお話がございましたようなマルシップのような形態が出てまいります。あるいはマルシップはいま先生の御指摘にございましたけれども、そのほかに船を一度外国に売却をいたしまして、そして外国籍になった船をまた日本にチャーターバックして、従来と同じような荷物を従来と同じような航路で、そして従来と同じ船会社のいわば管理のもとに使うといういわゆるチャーターバック船というものもございます。それから、日本の資本が事実上支配しておるけれども、建造するときから外国船として建造されておる、そういう外国用船の形はとっておるけれども日本の資本が支配しておる船というものも出てきております。また、これら全体を通じてそういうものが、先ほど私が中核と申しましたけれども、中核でない部分の船というものが日本の船会社によって使われる比率が非常に高くなってきているというのが現状でございます。 したがいまして、先ほど本日の委員会の冒頭で大臣からも御説明申し上げましたように、そういった新しい事態に対応しての今後の日本の海運政策というものをいかにあるべきかということについては、海運造船合理化審議会でいろいろと御検討いただいているわけでございまして、いま御指摘のマルシップというのは、もちろんそのマルシップという一つの形態でございますけれども、そういうものが最近非常に目立ってきた背景には、やはりチャーターバック船がふえておる、あるいは仕組み船がふえておる、それら全体を通じて、日本の事実上運航している海運の半分近くがそういった船になっておって、残りの半分が、私の申し上げる中核が半分ぐらいになっておるというふうなことをいわば発生させた原因というものが、一つはマルシップという存在を発生させた原因でもある。 それはやはり船主のそれぞれのいわば打算、計算というものの結果でもございましょうけれども、その大きな原因というものが今後ともよく私どもは検討しなければなりませんけれども、やはり日本の船員を乗せて、日本の現在の船員制度のもとで運用しておる船の場合に、それが船型によっていろいろ差がございますけれども、他国の船員を乗せ、他国の船員制度でそういう人たちが働いておる場合に比べまして、コストが日本の方が非常に高くなっておる。したがって、船の運航費全体が高くなって国際競争についていけなくなっておるという事情が背景にあると私どもは考えております。したがいまして、そういったことについてどう考えるかということが基本的な問題でございまして、その対策というものがなされる前に、マルシップだけを取り上げてこの際具体的にどうこうするということについては、私どもはいまはそういう考え方は持っておりません。
○瀬谷英行君 マルシップの中でいろいろ指摘されたことは、たとえば日本人の船員でない船員が乗っておる、低賃金の外国人船員が乗っておる、あるいはそういう外国人の船員と日本の船員が相乗りをしておる。ところが、相乗りをするということになると、言葉が違うし、食い物の好みが違うしということでいろいろトラブルが生ずる。これは当然想像されることですよ。それから仕組み船だとか、チャーターバック船だとか、こういう形態はどう考えてみても不自然だと思う。私も最初、リベリアなんという国が何でそんなに船をいっぱい持っているのかわかんなかったわけですな。リベリアとかパナマとかいうような国は、そんなに海運国として世界の海に闊歩するほどの力を持っているんだろうか、わからなかったわけですが、いろいろと状況を聞いてみるとペーパーカンパニーであると、こんなような話なんでありまして、どうも実態は、やはりちょっと不自然なような気がいたします。 で、こういう不自然な形態というものは黙認をしておいてやむを得ないということなのか、日本の海運競争上、果たして整理をしなくてもいいものかどうか、その点をまず大臣の方からお伺いをしたいと思うんですが。
○国務大臣(田村元君) 海運という非常に国際的で複雑な業界ということを考えますと、果たしてこういう形態が狭義の意味における不自然ということが言えるかどうか、これは諸外国の姿等とも比較検討してみなければならないと思います。でございますので、日本の国だけが不自然というとらまえ方をしてどうこうということより、やはり国際的な場において検討し、合意を求め合うということになるのではないかというような気持ちがいたします。
○瀬谷英行君 賃金が安い、技術が未熟である、したがって、事故を起こす場合にはそれらの乗組員が乗っている船が事故を起こすパーセンテージが高い、こういうような事実は数字的に否定できないんじゃないかと思うんですが、その点はどうですか。
○政府委員(後藤茂也君) そのいまお話に出ましたように、いわゆるこれはむしろお話は便宜置籍船とみんながいろいろと言っているその船についての論議であると思いますけれども、その乗っておる船員さんの資格要件が、先進海運国の船員さんの場合に比べてさほど厳格でないのではないか、あるいはその船の構造、安全基準というものが、先進海運国に登録されて、その国の直接の規制を受けている場合に比べて若干おかしい点があるのではないかという点につきましてはいろいろな議論がございます。その点は、これはいわゆる便宜置籍船論議というものの一つの大きな柱であると思いますけれども、そういうことにつきましては、先生もよく御承知のように、ILOですでに長い間議論を進めてきておりますし、あるいは今後ともそのことにつきましては論議はいろいろと進むものだというふうに理解をしております。
○瀬谷英行君 結論を急ぎたいと思うのでありますが、まあいろいろと問題多々ありますが、本法に賛成する立場で私がこの附帯決議を考えてみました場合に、衆議院の附帯決議には、「本法の発動については慎重を期すべきである」と、こういうのが第一項目にあるんですよ。言ってみれば、賛成をしておきながら、「本法の発動については慎重を期すべきである」、こういう言い方をすることは、刀を与えておくけれども抜いちゃいけないぞというようにとれるわけですね。その「慎重を期すべきである」ということは、国際的な配慮ということが多分にあるだろうと思うのでありますけれども、その国際的な配慮をしなければならない背景というものが具体的にどんな点にあるのか、その点をちょっとお伺いしたいと思います。
○政府委員(後藤茂也君) 「慎重を期すべきである」云々ということにつきましては、これは衆議院の運輸委員会で御決議になりましたものでございまして、私どもはそれを尊重しまして、この法律の施行後の運用に遺憾なきを期したいと思っておりますけれども、それと、ただいま御質問のございました点と、私が御質問をあるいは取り違えているかもしれませんけれども、こういった外国との間の海運の競争につきまして、まあ相手がそういった方策をとっているからとはいえ、日本国が国権をもって他国の船の日本の港への入港を禁止、制限するとか、貨物の積みおろしを禁止、制限するとかいうことでありまして、これはいわば手段としては相当な劇薬でございます。 その劇薬を使うにつきましては、やはり当然のことながら、こういった相手国の、その自国の海運というものを育成しなければならない事情と、その背景になっておるいわゆる開発途上国の経済的な、あるいは社会的な事情、あるいは海運というのは、いろいろな国ではいわば自分の国の国威発揚の一つのシンボルみたいに考えている場合もございますし、そういう自国の海運に対する感情というようなものについては、それは当然やはりいま申し上げたような劇薬を使うのでございますから、そのことがどうしてもこういうことをしなければならぬかどうかということについては当然の配慮をするべきものであろうかと思います。ただ、いろいろと考えて何もしなくなった、何もしないことにしたということでは、この法律をわざわざ御審議いただいて成立させていただく趣旨には沿いませんので、やはりあいくちはポケットに入れて応待する、いろいろと考えると、本当に必要になったらやっぱり抜くということではないかと私どもは考えております。
○瀬谷英行君 結局こういう法律を必要とするに至ったのは、外国でもって海運エゴイズムといいますか、あるいは海運ナショナリズムといいますか、きわめて排他的な政策が今日横行しておるので、それに対抗するために必要な措置をとると、こういうことになると思うんですよ。そういうことになるならば、せっかく法律をつくっても、これはやたらと抜いちゃいけないぞと、こういう制約を強くしておくことは余り当を得たことではないような気がするんです。だから、余りぎりぎりと縛らないように、衆議院ではちょっと縛り過ぎたような気がするんで、参議院では少しそこのところをほどいておくと、こういう配慮が附帯決議等で考えた方がいいんじゃないかというふうに思いましたので、理事会等でも参議院は参議院の附帯決議というものを先ほど相談をしたところなんです。 どっちがいいかって言われると大臣も困るかもしれませんけれども、大臣としては、やはり衆議院の審議が終わった後で参議院に来たと、したがって、参議院の附帯決議というものの意のあるところをくんで考えてもらう必要があるんじゃないかと思うんでありますので、何か賛成討論みたいになっちゃったけれども大臣の、この附帯決議ごらんになったかと思いますが、見解もお伺いしたいと思うんですが。
○国務大臣(田村元君) 私が附帯決議に対して批判をする立場にはありません。しかしながら、この法律に基づいて行動を起こすということは、これはやはり慎重であるにこしたことはないわけでございますから、私も常々答弁で、これはあくまでも伝家の宝刀でございますということを言ってまいったのでありますが、いま御趣旨のほどもよくわかりますし、ただ衆議院の場合も、絶対に伝家の宝刀を抜くなとは言っていないのでございます。なるべく慎重にやれよということでございますので、特に衆議院と参議院が、「慎重」という言葉が入っておる、入っていないということで、運輸省が非常に立場が困るという問題ではないのではないか。 よく私どもも、お約束するのに慎重に検討すると言いましたり、あるいはうっかり検討すると言いましたりすることがございますので、まあそこいらのことかということでございますが、いま瀬谷さんの御発言の御趣旨は、率直に言って非常に私にとってよくわかる気がいたします。ただ、具体的なコメントということになりますと、それこそ慎重にならざるを得ませんけれども、どうぞ意のあるところをおくみ取りいただきたいと思います。
○岡本悟君 私に与えられました時間というのは数分でございますのでまとめて御質問します。したがって、答弁もごく簡単に、要領よくやってください。 第一問は、いまのお話にも出ておりました本法の効き目といいますか、効力といいますか、そのことなんですが、ある人に言わせると——これは大臣は伝家の宝刀と言われておる。それから海運局長は先ほど、交渉に当たって、ふところ深く忍び込ませたあいくちだとおっしゃった。ところが、ある人に言わせると、これは伝家の宝刀じゃなくて竹光じゃないか、抜いてみたところ、竹光じゃない、なかったぞと、何も。こういうことになるんじゃないかということを言っている人もいるんですね。 その根拠は、やはり法文にも出ておりますけれども、たとえば入港の制限、禁止だとか、あるいは積みおろしの制限、禁止ということになりますと、貿易立国を国是としておりますわが国が一番これは打撃を受けるんですね。必要な物は入ってこない、それをストップさせるんですからね。それから売りたい物は出ていかないと、こういうことなんですから、これは国民経済に与える打撃というものは相当なものなんですね。だから実際問題として、いろいろ先ほど三木先生、瀬谷先生から、制約があるんじゃないかという御心配をされたんでありますが、私は、その面からの制約が一番大きいんじゃないかと思う、外交的な配慮はもちろんですけれどもね。そうしますと、この説もあながちこれは無視できない。 そこで、私はもう一つこれに関連して聞きたいのは——私はそうは思っておりませんよ、非常に有効な手段だとは思ってますよ。そこで、国旗差別主義による自国商船隊の拡充というのは、やはり発展途上国の悲願だと思うんですね。かつてわが国がそうであった、これは。先進海運諸国に何とかして追いつこうというので、ようやく国際的にも一級の商船隊を持ち得たんですが、自国産業の保護とか、あるいは国際収支の改善ということで当然だと思うんですよ、これは狂奔するのは。だから、それが行き着くところはどこまで行くかということになるんですが、考えてみますと、仲よくやろうということになりますと、半分半分でいこうじゃないかといういわゆる大野伴睦方式ということになるんじゃないかと思う。 そこで、一九七四年に採択になりました定期船同盟行動憲章条約、これをひとつ活用する方がむしろ、しばらく時間的な余裕はあるにしても賢明ではないかというふうに私は考えるんですけれども。もちろん現在十七カ国が批准しておりまして、この中には先進海運国は一国もないということで、主として発展途上国の要望であるということはわかります。二十四カ国以上が入らぬとこれは発効しないことになっているんですが、むしろ今後のナショナリズムに対抗するためには、そういう国際海運の平和的な発展を願う立場から言うと、思い切ってそこへいった方がいいようにも思うんです。ただ、私はこの憲章を十分研究しておりませんので、海運局長はどういうふうに考えておられるか、これが第一点。 それから第二点は、東西関係について質問しようと思いましたが、先ほど三木先生がお尋ねになりましたのでやめておきますが、要望がございます。というのは、特にソ連ですね、これが商船隊を積極的に、精力的に拡充しておるということは、恐らくは政治的、軍事的な要素が非常に多いと思います。さればといって、外貨に非常に困っておるソ連のことでありますから、あるいは東欧圏のことでありますから、外貨を何とかして獲得しようというねらいも非常に大きなものではないかと思うんです。とすれば、いたずらにダンピングするよりか、既存の同盟の中に入って、あるいは相場も変動はありますけれども、おおむねコストに見合った運賃の収受ということがむしろ賢明な方策とも考えられるわけでありますから、ひとつ積極的にソ連、その他東欧圏諸国を同盟に引っ張り込むと、先ほどおっしゃった行き方を推し進めてもらいたい、これが要望であります。 それから第三点は、先般の委員会で杉山委員、それからきょう瀬谷委員からお尋ねになりましたマルシップ等の問題でありますけれども、このマルシップであるとか、あるいはチャーターバックであるとか、あるいは仕組み船等々、これはやはり船員費を中心とするコストアップに船主が非常に悩んで国際競争力がどんどん低下していく。やむを得ざる緊急避難だと思っているんです、私は。したがって、この情勢下において雇用の安定を図るということになりますと、やはり常石方式といいますか、そのやり方を全日海もオーソライズしてくれておるんでありますから、私はこれをむしろ、雇用の安定の見地から言いますと、瀬谷先生、杉山先生と違いまして積極的に評価をしておるんです。まあこの点、つまり質問者の立場によって、たとえば先般は船員局長は、いや違法ではございませんと、もっぱら消極的に答弁しておったけれども、海運局長は、先ほどもちょっと触れられましたけれども、質問者の質問の仕方によっては答弁が違ってくるんじゃないかと思うから私はあえてこれを聞くわけです。これが二つですね。東西関係はいいです。 それから最後に、これは関係ありませんけれども、石油備蓄政策の実施に当たって、例の遊休タンカーの活用がどうなっているか、ごく簡単でいいんですから、これだけひとつお答え願いたいと思います。
○政府委員(後藤茂也君) 簡単にお答え申し上げます。 第一点、竹光ではないかというような意見、この点につきましては、法案について御説明申し上げておりますとおり、他国の類似の立法と日本国の立法と非常に違っております点は、いわば予告制度を一つ設けているということでございます。第二に、この条文にもございますけれども、やるについて貿易業者その他の人からよく事情を聞いてそしてやるんだという、事情を聞く云々の条項がございます。したがいまして、貿易に非常に被害を与えて、その結果発動できないようなやり方になるということを避けた方法が得られると、私はそういうふうにすでにこの法案が配慮しているわけでございまして、実際の問題これはやってみなきゃわかりませんけれども、その竹光論者が御心配になっているようなことは、もちろん船をとめるんでございますから貿易にいろんな影響があることは事実でございますけれども、それから困って、それが反対をしてそれで抜けなくなるというふうな事態は、あらかじめそういうことを配慮した上で、それで抜けるような配慮を加えた法案であるということが竹光論者に対するお答えでございます。 第二に、同盟行動条約の批准が先ではないかと、そういう趣旨の御質問かと思いますが、このいま御審議をお願いしております法案は、たとえて言えば、十年前にヨーロッパがやったことを十年後日本がいま追いかけているということでございます。それに対しまして、またたとえて申せば、同盟行動憲章の批准ということは、いまもお話にございましたように、現在のところは非常に少ない、わずかの船しか持っていない国が批准をしたにすぎないので、まだ実質的にはだれもこの条約をまじめになって批准するというふうな動きになっていない。つまりこれは数年後の話でございます。したがって私どもは、その同盟憲章条約については先進海運国の中では恐らく一番積極的にこれに日本国が加盟することをまじめに検討しているという立場に立っておりますが、しかし、いま直ちにこれに加盟することによってこの対抗立法法案の問題を後回しにするというのは、事柄の性質からいってやっぱり順序はこのいま私どもがお願いしているようなことではないかというふうに承知しております。 常石方式につきましてお話ございましたが、これは先ほども申しましたように、現在の失業しておる船員に職場をどういうふうにして与えるかということについていわば一つ編み出されたものの考え方でございまして、先ほど来いろいろと申し上げました、いま日本海運が当面している問題の解決の方法、方策としては一つの非常に意味のある方式であろうと、私どもはそのように考えております。 最後に、タンカー不況対策との関連におきまして、石油備蓄をタンカーを使ってやることの可否ということにつきましては、ただいま通産省と運輸省の間でそのことの技術的な調査というものを、これを実現する方向で鋭意進めておるというのが現状でございます。
○委員長(上林繁次郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(上林繁次郎君) 御異議ないと認めます。 これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(上林繁次郎君) 御異議ないと認め、これより採決に入ります。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(上林繁次郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
○瀬谷英行君 私は、ただいま可決されました外国等による本邦外航船舶運航事業者に対する不利益な取扱いに対する特別措置に関する法律案に対し、各派共同提案に係る附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 外国等による本邦外航船舶運航事業者に対する不利益な取扱いに対する特別措置に関する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本法の施行に当たり次の事項につき遺憾なきを期すべきである。 一 本法による対抗措置の発動については、国際協調の精神を基本とし、国旗差別の実態に応じ適切に行うこと。 二 外国用船並びに外国人船員が乗り組む日本籍船の増大等外航海運の構造的変化に対処し、日本船員の雇用の安定に配意しつつ、速やかに適切な外航海運政策を樹立すること。 右決議する。
○委員長(上林繁次郎君) ただいま瀬谷君から提出されました各派共同提案に係る附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(上林繁次郎君) 全会一致と認めます。よって、各派共同提案に係る附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、田村運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田村運輸大臣。
○国務大臣(田村元君) ただいまは、外国等による本邦外航船舶運航事業者に対する不利益な取扱いに対する特別措置に関する法律案について、慎重御審議の結果御可決をいただきまして、まことにありがとうございました。 私といたしましても、本委員会における審議及び附帯決議の内容を十分尊重いたしまして、わが国の外航船舶運航事業の健全な発展に全力を尽くす所存でございます。 どうもありがとうございました。(拍手)
○委員長(上林繁次郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(上林繁次郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 午後一時三十分まで休憩いたします。 午後零時二十八分休憩 —————・————— 午後一時四十一分開会
○委員長(上林繁次郎君) 運輸委員会を再開いたします。 運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行います。 御質疑のある方は御発言願います。
○瀬谷英行君 成田空港の問題で非常にトラブルが生じているわけでありますが、いささか異常な印象を受けるわけであります。で、今日までの死傷者の数、それからその状態、たとえば重体の人が何名ぐらい、どういう症状で何名ぐらいの人がいるのかといったようなことですね、それらの点について御報告をいただきたいと思います。
○説明員(若田末人君) 最初にお尋ねを申し上げたいと思いますが、事案の概要についてはよろしゅうございますでしょうか。
○瀬谷英行君 概要についてはきのうの交通安全委員会を私聞きましたのでそれは結構です。
○説明員(若田末人君) それではお尋ねの、けが人の状況等について最初に申し上げたいと思います。 警察官の方は今日まで、今回の事件につきまして百四十四名が負傷を負いまして、うち十一名入院いたしております。そのうち二名が現在警察病院で、やけどをいたしまして危篤状態をまだ脱しておりません。それから相手方につきましては、東山と言われる方が亡くなっておりますが、それ以外警察で把握をいたしております分は、九名の方が日赤成田病院で治療を受けられたということを聞いております。
○瀬谷英行君 まあ警備が過剰警備ではないかというふうないろいろな批判があるようでありますが、問題はガス銃を水平で撃ったということなんですが、ガス銃というのはガスをばらまくわけですから、たとえばこれ四十五度の角度で撃って落っことすのが本当のやり方じゃないのかと思うのでありますが、これは戦車を撃つわけじゃないんで、水平に撃つということはかなり危険を伴うということは素人が考えてもわかることなんですが、ふだんガス銃を使う場合の使い方ですが、これは水平に撃っても構わないということになっているのか、上から弧を描いて落ちるようにして撃つようにしているのか、その訓練といいますか、使用法についてはどうなっているのか、お伺いしたいと思います。
○説明員(若田末人君) お尋ねのことについてでございますが、確かにガス銃につきましては、これは東大事件の裁判におきましても、いわゆる拳銃等と違いまして武器ではないということでございまして、本来、警察官職務執行法五条によりましてわりと自由に使えることになっております。そういうことでございますが、しかし、与える影響が非常に大きゅうございますので、警察内部におきましてはその取り扱いについては、本来でございますと警棒と同じような形で使えるわけでございますけれども、大変影響が大きいということで、拳銃のような武器と似た形で警職法七条、これは非常に使用条件が厳しゅうございますけれども、これに準じて使うように指導をいたしております。 したがいまして、ただいまお話しのとおりに、四十五度ではございませんが、三十度で一応撃ちまして、性能といたしまして約百メートル飛ぶようでございますが、それが最も有効的な使い方であるというようなことでございますので、そういう形で使用するように指導いたしております。
○瀬谷英行君 このガス銃を使うということについては、これはやめた方がいいんじゃないかという気がするんですよ。というのは、あのガス弾というのは相手構わずにこう広がるわけですよ、そのガスが。そうすると、周辺の人たちは大変迷惑すると思うんですね。私もいつだったか、弁慶橋で機動隊と何か学生と対峙してあの辺でガス弾を使われたことがある。そうすると、議員宿舎のあたりまでガスが立ち込めるわけです。これはガスの方は遠慮しませんからね。そうすると、議員宿舎であろうと、ホテルオータニであろうと、あの辺にこうよどんでしまうわけですよ。学生の方は逃げてしまえば、それはガスの区域から離れられるけれども、あの辺に住んでいる人はだまったもんじゃないですね。 だから、ああいうものを使うということは、これは富士のすそ野みたいな広っばかなんかで演習でやるんならいいかもしれませんがね、人家の、住んでいるところでみだりに使うということは近所迷惑もはなはだしいし、それから、それが水平撃ちというようなことになると、人命にかかわり合いが出てくるということになるわけですからね、こういうものはできれば使わない方がいいんじゃないか、こう思うんですよ。 それで、ガス弾を使わなきゃならないという判断はどういうところからされたのか、その点もお伺いしたいと思うのです。
○説明員(若田末人君) ただいま御質問のとおりに、ガスにつきましてはそういう後のいろいろな影響も大きゅうございますので、私どもも民家の密集しておるような地点につきましては、できるだけ使わないように指導をいたしておるところでございます。しかし、きのうの委員会でも御報告、御説明申し上げましたように、当日は一時から集会のところ——大体極左暴力集団だけ集まった集会でございますが、そのうち千人ぐらいはすでに——この事件が起きましたのが十一時八分ぐらいからでございますけれども、一時から集会のところ、十一時にすでに百人が集会場の中に平穏に集まっておりました。 そして別の、第四インター系のグループ五百五十人が三台の車、すなわち二台の乗用車と一台のトラックに、そのトラックには百本の鉄パイプ、それから後で警察で拾いましただけで二トンの石、それから火炎びん五百本、そういうものを積んで最初から——お話にもきのうも出たわけでございますが、そこら辺でやるんだろうと思われますが、野戦病院まであえて用意をいたしまして、その付近で警察部隊が配置についているのを承知いたしまして、そこら辺で警察部隊にぶつかってくるんだろうと推測されるわけでございますが、そういう状態で、ほかの極左暴力集団は平穏に集会場に集まっておるのにかかわらず、第四インター系の五百五十人がそういう武装をしながら会場に向かってくるという情報をキャッチしたわけでございまして、そして、その付近で配備についておりました二百名の千葉県機動隊に対して、五百五十名がトラックからいきなり鉄パイプ、火炎びん、それから石、加えて劇薬、しかもこれを吸い込みますと何人かの者が、機動隊の副隊長以下の何人かが呼吸困難に一時陥ったわけでございますが、そういう劇薬も投げるというような状態でございました。 それに押されて、一時規制をいたしました機動隊は下がったわけでございますが、さらにそれの応援もとって、そしてガス銃あるいは放水車、そういうものを使用しながら徐々に民家のない方向へ規制をしていった、そういう状況でございますので、先生御質問のことでございますが、私どももできることなら民家の周辺では撃ちたくない、使用したくないということでございますが、当時の機動隊長、幹部等の報告によりますと、最初に攻撃を受けました千葉県機動隊員ほとんどの者がまさに殺されんばかりの思いであったということで、大変興奮をその後もしておってなかなかおさまらないというぐらいの状況でございましたので、やむを得ずガスを使用したという状況でございます。
○瀬谷英行君 極左暴力集団というふうに一言で片づけてしまうのは余り適切な表現じゃないと思うんですよ。ただ、テレビ等でわれわれ見たのは、本当にヘルメットかぶって、鉄パイプを構えて、あれでは内乱のような状態なんですけれども、ただ、主体になっているのは農民なのか、学生なのか。それから、学生もしくは学生のような集団があったとすれば、それはどういうグループなのか。これはこういうテロ行為をあえてしょうというグループもあったかもしれないけれども、そうでないグループもあったのではないかという気がするわけなんですが、その辺はもう一切合財ごっちゃにして、集まった人間を全部極左暴力集団というふうに片づけてしまうのはどうかと思うんですよ。だから、どういうグループが何名ぐらい、どういうグループがどのくらい、どういうグループはこうしたといったようなことは、ちゃんと内訳がはっきりしていないとまずいと思うんですがね。その点ははっきりできないんですか、できるんですか。
○説明員(若田末人君) 私どもも大変こういう混乱した場所でございますので、客観的に全く真相を詳細把握をしてない面もあろうかと思いますが、私どもで把握をいたしておりますのは、現地で集会を行いましたのはほとんどが極左暴力集団でございまして、名前を挙げますと中核派六百人、第四インター九百人、革労協三百人、共産同系三百四十人、その他七百九十四人でございますか、というようなことが入っておりまして、反対同盟の方はわずか十名であったと。そして、そのほかにまだ成田入りした全体の数は三千七百と言われておりますが、いわゆる市民団体のような方々、その他の方々もおられたようでございますが、集会が始まる前からこういう大変な状態になりましたので、いままでは大変平穏な集会で終わっておったわけでございますが、来てみたところ大変なことだということで、この集会には参加されずにその周辺の方におられたというふうに聞いております。
○瀬谷英行君 大臣にお伺いしたいと思うんですけれどもね、こういう異常な紛争ですな、これはやはり空港をこれから開港しようというのに先立って好ましいことでないと思うんです。これがエスカレートすると、これからどんな犠牲者が出るかわからない。警察官であろうと一般民衆であろうとですよ、このエスカレートした紛争のためにけがしたり、命を失ったりするということは、これは避けなきゃならぬだろうと思うんですよ。だから、やはり多少は冷却期間を置くといったようなことも行政指導上考えなければならぬことじゃないかという気がいたしますし、それからガス弾などを使うということは、これは先ほど私も申し上げたとおり、被害が第三者に及ぶわけです。 関係のない者がえらい飛ばっちりを食う、こういうことだし、ガス弾を使うことによってテロ行為を防止することができるかどうか、これまた疑問のような気がするんですね。テロ行為を防止するにはテロ行為を防止するように別途の方法を考えなければならぬのじゃないかという気がするんでありますけれども、今後の成田空港の問題について、責任者としての大臣はどのような措置を妥当というふうに考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(田村元君) 昨日も交特で申しましたように、その事情がいかようであれ、多くの負傷者を出した、とりわけとうとい人命を失うに至ったということは、まことにもってきわめて遺憾至極のことであります。慎んで亡くなられた方の御冥福を祈りたいと思います。 いま御質問のありました問題でございますが、端的に言いまして、地元の住民の方々との問題でありますと、これはいろいろと話し合う余地もございます。その方々が仮に徹底して反対だとおっしゃっても、平穏裏に話し合うということもできようかと思います。ただ飛行場は、国際空港はいかに建設さるべきやということについての話し合いができない、とにかくいかなる場所であってもこういうものは絶対に開港させないというような考え方の人々との間には、これは話し合いを求めても全然受け対けるものではないと思いますし、また幾らかの冷却期間をよしんば置いても、それは新たなる闘争への準備期間を置くということに究極的にはなってしまうということで、大変頭の痛いことでございます。 ああいう混乱が起こったことは残念でございますが、私ども平素からとにかく混乱が起こらないようにということのみを念じておりました。でありますから、警備の方、治安問題の方につきましては、これはもう警察の方で十分対策を講じられることと思います。ガス銃が是か否かという問題につきましても、運輸大臣である私がとかく論評することは避けなければなりませんが、この進め方としては、運輸省といたしましては無理のない範囲内で従来どおりの方針を堅持するということに、そのように今後も進みたいと、このように考えておる次第であります。
○瀬谷英行君 私、最近千葉へ行ってびっくりしたことはですね、昔は潮干狩りをやるような浜だったところが全然埋め立てられてしまったわけです。それで、昔潮干狩りをやったあたりからはるか沖合いまですっかり埋め立てられて、沖合いの方を道路が走っておる、こういう状態になっているんですね。だから、あの埋め立ての面積というものは、これはまあいまここで質問してもお答えできるかどうかわかりませんが、かなりの面積になっていると思いますね。だから、あれだけの面積の埋め立てができるにもかかわらず、この空港を海岸線の埋め立て、東京湾の埋め立て、あるいは九十九里浜の埋め立てといったような海の埋め立てによって国際空港を建設をしようという考えを持たずに、成田あたりに割り込んでいったというところにそもそも無理があったんじゃないかと思うんです。 だから、むしろ私は国際空港を、これから大阪にもある問題なんでありますけれども、つくろうとする場合には、公害問題その他を考えたならば、できれば海の方から入ってきて海の上へ出ていかれるといったようなスタイルをとることが一番理想的じゃないかと思うんです。ただ、当面成田の問題は、ここまできていまさら場所をかえてほかに建設をするというわけにいかないのかもしれませんけれども、成田空港仮に開港にこぎつけても、この成田空港が十分に間に合う空港になるかどうか、いろいろ問題がありそうな気がするんです。したがって、国際空港をさらにいままでと違った観点でもって建設をするという考えは持たなくていいのかどうか、その点をお伺いしたいと思うんです。
○国務大臣(田村元君) 当初どういうわけで成田へ決めたのか、率直なことを言って私も余り事情はしっかりわかりませんが、確かに海を埋め立てて飛行場をつくるということは、一つの時宜に適した見識であろうと存じます。今度つくることを一応予定いたしております関西新空港も、その意味で埋め立てをするということを前提にいたしております。そして、徹底した環境影響評価をやって、もう最初から地元の方々の合意を得ると、理解を深めるということを前提といたしておることは事実でございます。 成田問題につきましては、せっかくあそこまででき上がったものでございますから、いまこれを取りやめて新たに海の方へ持っていくということは、瀬谷さんいまおっしゃったとおりなかなかむずかしい問題でございます。でありますから、もう事実上は開港することが可能な状態にございますから、既定の方針を貫く以外にございませんけれども、この空港をつくることによって、一つには派生的な問題として、成田の周辺をすばらしい地域に建設していくという政府の責任は私は当然あると思っております。 今後海を埋め立てて新しい空港をつくる必要があるのではないかというお尋ねでありますが、いまのところ新たなる国際空港をいま一つ東京周辺につくるという予定は持っておりません。ただ、先般美濃部知事が私のところに来られまして、いろいろと話し合いをいたしました。そのときに美濃部さんから、どうですかと、羽田の飛行場をあなたの方、沖合いへ持っていく意思はありませんかと、こういうことでございましたから、羽田は将来ドメスティックな飛行場になるわけでございますが、私はこのことに関して美濃部さんに対して、結構でございましょうということを申し上げました。基本的には、沖合い展開ということについては、私と美濃部さんとの間に合意を得たわけであります。 しかし、これとて非常に大規模なものは不可能でございます。いまのところ、特に大田区あたりが有効適切にお使いになる、非常に格調高い使い道を考えておられるようでありますが、そうして、その沖へまた持っていくということになりますと、航路との問題がございます。それから第一、地域住民の御批判も当然起こります。でありますから、大規模なものをつくるということもなかなかむずかしいような現状下にございます。 さような次第でありまして、目下のところ東京周辺に国際空港をいま一つつくるという予定はいたしておりませんし、また現実に予定いたしがたいというような、計画いたしがたいというような状況というものも御理解をいただきたいと、このように思います。
○瀬谷英行君 私は、成田が仮に開港に至ったとしても、ずいぶん不便な空港になると思うんですよ。都心まで六十何キロあるわけですよ。そこへもってきて、きのうもいろいろお話がありましたけれども、成田新幹線かあるいは新線かという話ですね。どっちにしたって、特に新幹線なんていいますと、いつのことやらわからぬ話ですよ。そうすると、空港は仮に年内に開港に至ったとしても、空港から都心まで来る交通手段というものはもう全く限られているわけですね。そうすると、時間的には自動車で来ると渋滞する、電車で来ると国鉄を使うか京成電車を使う以外に方法はない。そうすると、その間の所要時間というものは相当なものだと思う。世界一不便な空港ということになっちまうと思うんだ。そうすると、何かこの成田空港の将来というものを考えてみると、将来もてあますんじゃないかという気もするわけですね。 そのくらいならば、米軍の基地に使っているところを返してもらって、そこに手入れをして国際空港につくるといったようなことを考えた方が気がきいているんじゃないか。たとえば厚木であるとか、横田であるとか、こういったような米軍基地のどこかを返してもらうといったようなことの方が国益にもかなうような気がするんです。それと、もし空港を新たにスペースを拡張するとすれば、やはり海上の埋め立てをするということを私は考慮すべきだろうというふうに思います。それらの構想は、仮に成田ができた場合でも考えておいていいのではないかという気がいたしますが、これはたとえば東海道新幹線ができたけれども、もうあれじゃ間に合わなくなってきたので第二新幹線をつくらなければいけないと、こういう話があるくらいですから、これだけ率直に言ってけちのついた成田空港なんですから、これは適当なところで見切りをつけて、新たな空港構想を持つということも、長い目で見た場合には必要ではないかと思いますので、その点、大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(田村元君) せっかくここまででき上がったものでございますから、いま私に与えられた仕事としては、この空港をいかにして開港し、いかにしてりっぱに運用するかということだけしかございません。と同時に、成田周辺、あるいは東京との間の交通その他において皆さんに、特に地元住民に御不便をかけないような意味でりっぱに建設をしていくということであろうかと思います。 この時点で将来のことを考えておいた方がよいのではないかということでございますが、まだ開港もしていない現時点でございますから、私から特にそういう将来の予測ということについては、言及することは避けたいと思います。それは開港した暁において、また、そのときどきの担当者、あるいは政治家等が判断をすべきもの、とにかく現時点において、端的に言いまして私もえらいことを仰せつかったわけでありますが、その意味ではいささか私も苦労を感じないわけでもありませんけれども、いま言ったように、私に与えられた仕事はそういうことだと、開港した後、そのときの指導者たちがまた判断をしてくれるであろう、このように考えております。
○委員長(上林繁次郎君) 次に、気象通報所に関する件について運輸大臣から説明を聴取いたします。田村運輸大臣。
○国務大臣(田村元君) 気象通報所の無人化の実施につきましては、去る四月七日の本委員会において、当初に予定していた四月一日実施の方針を再検討した結果、これを一カ月延伸し、改めて五月一日から実施する旨御報告いたしました。 この間、地元関係機関の御理解を一層深めるため最善の努力を重ねるよう気象庁に命じた次第でありますが、その後、気象庁における措置について御報告申し上げます。 気象庁からの報告によりますれば、管区気象台長、地方気象台長、担当部課長のほか、本庁からも課長を派遣いたしまして、延べ六十回以上にわたり地元関係機関を訪問して、予報が作成、伝達されるまでの仕組み、府県予報を担当する地方気象台が入手している気象資料、テレビ、ラジオ及び一七七による予警報の伝達状況、気象通報所の業務等につき、わかりやすい資料をもって鋭意説明を重ね、地元関係機関の御理解は著しく深まったと信じております。 〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕 私といたしましては、改めてもう一度、気象庁から今後の気象業務のあり方等につき説明を受け、これまでの方針のとおり本件を処理することを了承いたしましたが、気象庁に対しましては、今後とも引き続き気象に関する国民の皆様の御要望にできる限りこたえるべく努力し、特に気象サービスの根幹は適確な予報、警報等を出すことにありますので、予報精度の向上に最善の努力を払うよう命じております。 以上御報告申し上げます。
○理事(瀬谷英行君) ただいまより質疑を行います。 速記をとめて。 〔速記中止〕
○理事(瀬谷英行君) 速記をつけて。
○安武洋子君 いま大臣から御説明を受けたわけですけれども、この問題につきまして私少し整理をしてみたいと思うんです。 三月の二十四日の内閣委員会の中で大臣は、「四月一日を予定しておったわけでありますけれども、地元の声もあり、委員各位の御心配もございまするので、四月一日の予定を変更いたしまして慎重に検討いたしたい」、このようにおっしゃいましたし、また当日のその委員会では、「コミュニケーションというものはしっかりと確立していかなければならない」と、こういうごりっぱな御答弁もなさっていらっしゃいます。それから四月七日の当委員会で、ここでは大臣は「地元の方々の不安を解消させるとともに、地元の気象に関する具体的な要望をお伺いし、その実現にできる限りの努力をするよう命じておるところでございます」と、こういうふうにも御答弁をなさっていらっしゃるわけです。 要するにこの問題を整理してみますと、こういう経過の上に立って考えるなら、通報所を無人化にするかどうかということは、地元の了解が得られたかどうかということが基準でなければいけないと私は思うわけです。四月の二十八日に、わが党の岩間議員と小林議員とそして私が、大臣のところに申し入れをさせていただきました。このときには気象庁の長官も次長も御同席でございました。で、私どもが申し入れました趣旨を大きく申し上げますと、その時点で、四月二十八日です。地元で廃止に同意しているところはないということと、一体地元の要求をどういうふうにおつかみでしょうかと、こういうふうにお伺いしたところ、地元の要求すらこの時点で、四月二十八日です、御存じなかったというふうな状態なんです。こういうふうな状態の中で、なぜ地元の理解が深まったと、著しく深まったというふうに大臣は御答弁なさるのでしょうか、お伺いいたします。
○国務大臣(田村元君) 私は、三月の二十四日でございましたか、参議院内閣委員会におきまして御質問があった、そのときに——実はそのときまでは三月いっぱいでこれを廃止するということは運輸省の既定方針でございました。そこで、こちらへ参りまして、皆さん御心配をなすっておられるお姿を私もながめて、これは少し延期をして、その間にいろいろと現地に説明をする、理解を深めていただくということの方がより正しい手順であろう、このように考えましたから、実はこの場でそれを考えたものでありますから、気象庁長官等に対して私がそういう気持ちを言ったわけであります。ところが、気象庁としてはもうすでに既定方針であるから、いまごろ大臣そんなに言われても困ります、もうそのような手順がほとんど詰まっております、こういうことでございました。 私は、だめだ、私の言うことを聞きなさい、こう言いまして、官房長を呼んで、官房長にも気象庁を説得するようにということを申し渡したわけであります。それはこの部屋だったかどうかは別として、委員会室のこの私の腰かけておる大臣の席に座ったままで私は官房長にそれを指示いたしました。で、この問題についていろいろと御質問がありました。私は、とっさの決断でありましたから、今後どういうふうにするかということのスケジュールまで考えておるいとまはなかったけれども、とにかく三月末日という日にちを変更してでも、この問題は地元の理解を得るための努力をいたさせます、こういうことを申したわけであります。 それから四月の七日に私は、こういうことで検討しましたが、四月いっぱいで廃止する方針に大体詰まりましたという意味のことを御報告をいたしました。その後ずっと事態を私も見守っておりましたが、特に大きな混乱もございませんでしたから、まあやれやれと思いまして、それではその方針どおりこれを決定しようということで進めておりました。四月の末になって、確かに岩間先生や安武さん、小林政子さんも御一緒でございましたが、皆さんお越しになり、いろいろとおしかりも受けましたが、まあ私どもの気持ちを吐露いたしまして、なおお三方の前で、私は気象庁長官と次長に対して、まあ一遍頭を冷やして十分もう一回考えてみろよということを申しました。 それから一両日ぐらいでございましたか、正確には覚えておりませんが私のところへ二人がそろって参りまして、こういうことでございますと、なおも念のために私からいろいろともう一回御説明申し上げるから大臣聞いてくださいということでありまして、気象の予警報、あるいは観測ということについていろいろと説明を聞きました。最終的に私は長官や次長の誠意とか、あるいは国民大衆に対する使命感とか、あるいは気象に関する学問とかいう問題について、私なりにまずこれで間違いなかろうと判断をいたしましたので、私から両名に対して、じゃそのようにやんなさいということを申しました。 なお、念のためにつけ加えて申しますならば、この問題は大臣決裁ではないのでございます。本来ならば大臣まで全然上がってこない問題なんでございます。これは気象庁長官までの決裁で自由にできることでございます。それを今日まで——今日までといいますか四月の末まで、大臣権限でないものについても私から政治的配慮で気象庁に厳しく物を申し、変更すべきは変更したということでございますので、どうぞその点、意のあるところを御理解賜りたいと思います。
○安武洋子君 七日のこの委員会で私は、地元の方が納得しない、反対だというところがある場合は強行すべきでない、このように大臣に御要望いたしました。大臣はこれに対しまして、大方の御理解は得られると信じている、これからの経緯を見た上で判断すべきもの、このように思うというふうなことを御答弁なさっていらっしゃいます。 私どもは、大臣に申し入れに参りました四月二十八日現在なんですが、各地方自治体に直接問い合わせをいたしました。 主なところを申し上げますと、北見市の場合ですけれども、「廃止どころか、ぜひ測候所に格上げしてほしい。廃止についての気象庁から台長さんが来て説明がありましたが、私どもの要望についての具体的なお話はありません。北海道では、気象通報所のある滝川市、夕張市、北見市、名寄市、富良野市の五市で北海道気象官署整備連絡協議会をつくり相談して運動を進めている。二十八日には夕張市の助役さんが代表して上京し陳情する予定です。私どももきのう、再度関係者のところへ要請電報を打ちました。ぜひ残してください」。助役さんがおっしゃってます。 それから横手市の場合、企画室長さんが「二十六日に台長さんが市長と会った。ここでは、先日市長が上京した際に、気象庁長官と話し合った経過が全く無視され、五月一日に廃止したいというだけでした。ぜひ存続してほしいということで、四月二十二日、市長名で各議員の方や関係者に電報で要請しています」とおっしゃっています。 それから長岡です。助役さんです。「存続を希望している。また、ぜひ測候所へ格上げしてほしい。先日、東京管区台長さんが見えたときに、市長からぎりぎりの要望を伝えたが、いまだに具体的な返事はない」。 それから、鹿児島県高山町の助役さんです。これは肝属川の通報所について。「おととい福岡管区台長、鹿児島台長さんが見えた。町の議員の全員協議会の場で、存続と測候所への格上げを決議した。住民の存続の要望の意思は強い」。 それから徳島県日和佐町です。これは総務課です。「漁連、議会、町長が一体となって反対している。最近の気象の変化が激しい。ぜひ残してほしい」。 で、私の方にも日和佐町から手紙が参っております。ここでは「雨量も風も徳島市、山一つで北・南とでは全然違います。日和佐町民は気象通報もテレビと同じように聞けるので感謝しています」。これ少し飛ばしますが、「日和佐へも大阪管区気象台、徳島気象台長と続けて日和佐へ連絡もなしに穏密で来て、町長、組合長に廃止に協力して下さい」こう言われたけど、「町長は反対に、以前に公約したように、測候所格上げに…、組合員は台長の気持はとせめよると、頭を下げ、上司の命令でと、あなた方の気持はよくわかりますと答弁、反対に町民の声を運輸省に伝えてくれと…物わかれになりました」、こういう手紙も来ております。 私どもは、大臣にお申し入れに行ったのは四月の二十八日なんですね。で、私はこういうふうな地元の方が納得しないのに廃止を強行すべきでないというふうなことで申し入れているにもかかわらず、これは四月の二十八日。二十九日は祭日です。三十日、もう聞かれてすでに廃止という結論をお出しなんですけれども、これじゃ大臣の最初の御趣旨は全然生きないんではないですか、大臣、いかがお思いでしょう。
○国務大臣(田村元君) 私が三十日にああいう決断をしたということはけしからぬということでございますが、実は七日の日の私の報告では、四月いっぱいということなんでございます。でありますから、四月は三十日までしかございませんから、その三十日にぎりぎりの決断を私は求められたということになったわけであります。でありますから、あのような結論を出したというわけでございます。 なお、いまいろいろと各地のお話を承りました。あらかじめ申し上げますならば、だれがどう言ったということについて私は口が裂けても申すわけにまいりません。先方に大変な御迷惑をおかけしますから、信義上それは言えませんが、しかし、ある程度の地域の方々は——ある程度ということはある程度の個所数でございますが、いま少しく御理解深き御回答もあったということも私は報告を受けております。じゃ、しからば、だれがどう言ったと問い詰められれば、それは、私としては口が裂けても申すわけにはいかないけれども、そういう判断も一つにはいたしたということでございますから、その点はどうぞ誤解のないように願いたいと思います。
○安武洋子君 地元の理解が深まったとおっしゃりながら、二十八日現在には地元の要求もつかんでいらっしゃらなかったわけです。これは事実なんですね。 それから、私はまださらに申し上げますけれども、ここに新潟日報、これを持ってきております。「どうなるミニ気象台」「カンカンの地元」と、こういう見出しです。この中で、少し省略して読みますけれども、ここの「冬季の除雪対策を練るときなどは通報所に頼り切っていた長岡市では「豪雪地の雪の苦しみは気象台が一番わかるはずだ。全く地元無視もひどすぎる」とカンカン」。で、ここの助役さんは、「気象庁から申し入れのあったとき、行政サービスを低下させない。魚沼も含めて豪雪に対する独自の予報体制を作る——という条件が満たされなければ納得できない、と返事しておいた。それなのに一方的に廃止するとは…。驚きよりもむしろ怒りを覚える」と語気を強める。特に気象通報所開設以来、敷地と建物、それに所長官舎(これは市営住宅)を無償で貸与してきたこと。さらに昨年三月までは通報所に「お天気相談所」を併設して、市の職員二人を出してまで、その運営に協力をし、すっかり市民には定着していただけに反発は感情的にさえなっている。これは農民も抗議の声を挙げているし、長岡商工会議所でも抗議の声を挙げているという、こういうふうな記事があるわけなんです。 この長岡市ではどうしても廃止するならという前提で市から提案している条項があるわけですけれども、これはまず最初に、気象台に相談・サービスの専用電話を設けてほしい。二番目に、新潟県では現在三つのブロックで予報を出しているけれども、さらに細分化してきめ細かく予報してほしい。三番目は、集中豪雨や豪雪の際すぐ対応できるように何らかの連絡体制を設けてほしい。それから、雪についての観測についてさらに精度を高めてほしい。こういうことについては、二十七日現在、具体的な返事を何一つなさっていらっしゃらないわけです。 そして、さらに今月の九日に私は資料要求をいたしました。廃止した後でどういうふうに対処されたかということなんです。こういう紙切れがただ一枚だけ来ました。そして、これは各気象庁からそれぞれの地方公共団体に説明に伺った際に、地方公共団体から口頭で要望された事項は次のとおりで、共通した要望だと三つ挙げていらっしゃるんです。「地方公共団体と地方気象台が、緊密な連絡がとれるようにすること」、第一点です。第二点は「天気予報を地域細分して出してもらいたい」、これが第二点です。それから第三点、「市または町の防災会議には、地方気象台から出席すること」、こうなっているんですね。 そして、私がいま読み上げました長岡については、「地域による要望」ということで、長岡市と高山町しか出ておりませんけれども、長岡市では「現在の通報所の施設を早急に撤去すること」、こういうことだけ出ているんです。こういういま挙げた長岡の要求にはこたえていないわけですね。そして、これは長岡の地域別による要望で、いまの通報所の施設を早急に撤去せよということは、もう廃止したらさっさと出ていきなさいと言われていることとこれは一緒のはずなんです。そして、こういう長岡の具体的な要望についても何もこたえていないけれども、これでこたえているというふうに私のところにも持ってこられますし、また横手なんです。 横手市は、四月二十八日に私が大臣にお申し入れしたときには、これもまた要求を全然おつかみじゃなかったわけです。九日に、四月二十七日か四月二十八日に横手市と話し合ったというふうなことで私のところへお見えでしたけれども、四月四日から地域細分の予報は出しましたと、こうおっしゃるんです。でも、これは四月四日時点の話で、これでも不足だから廃止をするなと地元では言っているわけなんです。で、緊急な窓口ということで、秋田気象台に窓口を設けたと、こう言っておられますけれども、これはいままでの担当窓口、これがあったのをただ置いているというふうなことだけなんですね。 しかもここの、横手市からは四月二十九日市長さんが投書をなさっていらっしゃるわけです。私はこの通報所の問題でぜひ参考人を呼んでいただきたいということで、この横手の市長さんに参考人をお願いしておりましたところ快い内諾をいただいていたんです。しかし、委員会で拒否をされて、市長さんには大変申しわけないと思っておりますけれども、四月の二十九日に朝日新聞にちゃんと投書をなさっていらっしゃいます。これでいろいろ書いていらっしゃいますけれども、第一に問題点として挙げていらっしゃるのは、 雪には、果たしてアメダスで十分対応できるか。 雪ぐにの私たちの生活実感からいっても、雪ほど地域的特殊性の強いものはない。秋田県で積雪いくらといっても、秋田市と内陸では雲泥の相違である。その内陸でも、わが市と、二十キロ離れた大曲市とでは二割も三割も降雪量に差がある。雪に関しては、もっとキメ細かい、そして機械でない、生きた人間の判断が必要ではないか。第一点です。それから第二点は、雨に対しては完全だといわれているが、これとても心配がないわけではない。なるほど平常時における観測体制は現在よりよいかも知れないが、集中豪雨などの非常事態のときは、それらの回線は果たして大丈夫なのか。私たちがミニ気象台に最も期待するのは、こんな非常事態のときである。 酒田の大火や小豆島の豪雨その他の実例が、私たちの不安を裏付けているのではないか。第三点は、初めに書いた冷害である。底冷えの春先におののいている農民にとって、通報所廃止は理屈をこえた冷たい仕打ちと受けとめられている。 現在、地元の通報所の利用状態は、たとえば電話気象照会でも、平時月に百−百五十回、豪雪・豪雨時には四百−四百五十回の多きに達しており、その他、地方自治体や農業団体との定期報告や懇談会を通じての利用を考えると「ミニ気象台」の役割は決して低くない。 今回の廃止に関し、私は気象庁の考え方に「地方軽視」があるのではないかと疑う。ということで、秋田には測候所が一つもない。これでも気象庁は大丈夫だというけれども、それならなぜ全国百カ所の測候所に手をつけないのか。この秋田だけがなくても済むというのは納得できない、ということを次に挙げられて、そして、 さらに指摘したいのは気象庁のやり方についてである。 私とても科学技術の進歩の時代に、いつまでも従前の体制にこだわるものではない。しかし住民感情を考慮するなら、慎重かつ柔軟な対処がぜひ必要であると求めつづけたのである。 しかるに、国会議員のお働きにより三月二十四日、運輸大臣が「四月一日の廃止予定を変更して慎重に検討する」と答えたのにもかかわらず、それから二週間後には、五月一日からの廃止を通告してきたのである。この間、少なくとも私のところにも一度として納得を求める動きはなかった。こう言ってます。それから、 私は通報所の従業員は当分嘱託制でもいい、足りないところは市で補いましょう、とさえいって交渉したのに、気象庁は一切話にのってくれない。私も自治体の責任者として多くの官庁とつきあってきたが、こんなに「一方的で不誠意な役所」はみたことがない。強く反省と慎重な対処を求めてやまない。これが秋田の横手市長さんの朝日新聞への御投書です。この横手市の市長さんが上京して長官と会われたときに、定員一名を残して、市からも一名手当てをして観測体制を維持するとか、あるいは冬期間は出張して観測体制を維持する、こういう点を仙台管区と話し合うということになっていた。しかるに当局は、これをないしょ話にしてくれと市長に伝えた、こういういきさつもあるということを聞きました。 それから、ここに私は地方新聞を持ってきております。廃止された後の各地方の反響がどうかということです。大野気象通報所については「ついに無人化」と、こういう見出しで「地元の反対押し切らる」、こう書いてあります。それからこれは「〃ミニ二気象台〃きょう廃止 営農、手痛い打撃北見など衰えぬ反対運動」、これは北海道新聞五月一日号です。さらにこれには長岡が出ております。二日から廃止」ということで「地元の声天にとどかず ぬぐえきれぬ不満 冬場の情報が気がかり」、こういうふうなことが書いてありますし、それから、小さな報道ですけれどもこの中にも「市民サービスの低下は必至と見られる」、こういうふうにも書かれているわけです。 で、私は大臣に聞きたいわけです。いま私がるるいろいろなことを申し上げたのは、大臣は地元との話し合いを大切にしたい、地元の了解を得るのだ、そのために最善の努力を尽くすんだと、そういうことを言われた。長官が懸命に使命感に燃えて、そうして誠意を尽くされたと言われるけれども、地元ではこのような受け取り方。そうして二十八日現在何も、たった一つの要望も地元の要望をつかんでいらっしゃらなかった。これでもなお地元の意思を尊重していると、こうお言いなのでしょうか、お伺いいたします。
○国務大臣(田村元君) 私は、現在でもなお地元の大方の御理解を深めることができたというふうに考えております。横手につきましては、その御要望について気象庁からお答えをしたようでありますが、いま安武さんおっしゃった長岡は若干事情を異にしております。安武さんらが私のところへお見えになったときに、長岡市からの要望ということを確かに承りました。で、長官、次長にそういう事実があったのかと聞きましたところ、二人は困り果てておりました。で、私はその後、この問題が事実であるとするならば、これはよろしくないことでありますから徹底的に調べなさいという命令をしておきました。 ところが、これは安武さんに対して長岡市がどういう答えをしておるか知りませんが、現実に気象庁、地方気象台長のところにその要望を持ってきたのは五月二日、すでに通報所がなくなった後二日に、助役が口頭で申し込みに来たというのが真相でございます。もし安武さんの方に、前々から運輸省に対してこういう要求をしておったということを説明したとするならば、これは大変けしからぬ話で間違いでございます。これはどうぞ共産党の方でも徹底的にお調べをいただきたい。もう一回申しますと、五月二日、地方気象台長のところに助役が口頭で申し入れてきたと、こういうことでございます。——失礼しました。地方気象台長が長岡市に出向いたときに長岡の助役がそういう要望をしたと、これが五月二日でございます。これはどうぞ徹底的にお調べをいただいて誤解を解いていただきたいと思います。
○安武洋子君 私は、この問題の経過についてさらに整理をして論議をしたいわけです。私どもことしに入ってから、廃止反対のたくさんの要望を受け取ったわけです。一月二十四日には全気象労組から要望書が寄せられているわけです。この中には「気象庁当局は、第一次、第二次、第三次定員削減において業務の縮小、通報所の廃止などで、この八年間に六百三十名余の人員を削減してきました。加えて気象庁当局は本年、第四次定員削減第一年度において、昭和二十九年から全国で八十二カ所展開されてきた通報所を本年三月一杯をもって全廃しようとしています」と、こう書かれているわけです。私どもも調べましたけれども、つまり今回の通報所の廃止問題という発端は、これは総定員法に基づく定員削減計画、これの遂行の一端なんです。 それから第二点としましては、この要望書を出された前後に、各地から通報所を存続してほしいと、測候所に格上げをしてほしい、こういう請願署名や要請電報が集中してきたわけです。この請願の扱いについても、これは衆参関係委員会で大きな論議を呼んだところですけれども、残念ながら、会期途中であっても必要に応じてこういう請願は審査してほしいというわが党の要望、これは取り上げられなかったわけです。 第三点で、私、国会でもこの問題について何回も論議をされているということを整理してみたいわけです。一つは、三月の二日に、参議院の災害特別委員会で三人の議員がこの問題を取り上げております。それから三月の三日には、衆議院の災害特別委員会でわが党の山原議員が取り上げております。それから三月の十五日、衆議院の予算委員会の分科会で、これは横手市や、それから鷹巣など秋田の例が取り上げられております。 それから第四点としては、三月の二十四日に、参議院の内閣委員会で大臣は、「地元サービスの低下を来さない」、「地元関係者に対する説明等を十分に行いたい」、「この問題については、気象庁と地元とのコミュニケーションの欠如というものがあった」。それから、廃止の「説明は地元に十分なされなければならない」、「言うなれば、コミュニケーションというものはしっかりと確立していかなければならない」、まことにごりっぱな御答弁なんですけれども、その二週間後にこの委員会で五月一日廃止、無人化に当たっては「地方の方々の不安を解消させる」、また「地元の気象に関する具体的な要望をお伺いし、その実現にできる限りの努力をする」と、こういうふうに答弁をされてこられたわけです。 こういう推移があったけれども、事の発端というのは定員削減なんです。そのために、国民が従来どおりのサービスが受けられなくなるという、こういう問題なんです。それを気象庁の方では科学的だ、技術的だと、こういうことで説明をして、納得をさせようとなさっていらっしゃる。で私は、国民が冷害とか豪雪で苦しんでいる、災害発生の不安を抱いている、そういう問題を真正面から受けとめて、国民の要望している行政機構の充実、改善、これをしようという姿勢であるならば、今回のような混乱は起こらなかった。国民の立場に立って問題の処理をなさらないから、国民の願いに、乱暴にこういう通報所を打ち切ってしまうという行政姿勢をとられだからこそ、地元からたくさんの不満の声が上がっているわけです。私は運輸大臣の率直な御反省を求めたいですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(田村元君) 定員削減をしなければならないからこれを廃止したというものではございません。過去において五十九カ所の無人化を図りました。その実績を踏まえてみても、合理化をした方がよいだろうということでございます。でありますから、定員削減という発想の起源であったというわけでは絶対にございません。これだけは誤解のないように願いたいと思います。 それから地元とのコミュニケーション、これはもう絶対必要でございます。でありますから、私は気象庁長官のみならず、運輸省の各局長連中にも地元とのコミュニケーションを絶対に疎んじてはならぬということは常に申しております。問題は、判断の問題であろうと思うのであります。どのような声が、どのような規模で、どのように価値判断をしていいのかという問題でございます。で、大方の御理解を深めることができたということでございましたから、私は最終的な判断をいたしたわけでございまして、その意味において私がとった態度は間違っておったとは思っておりません。もちろん地元の方々、反対の方々にとってこれを廃止するよりはしないにこしたことはなかったかと思います。なかったかと思いますけれども、しかし、気象庁の考え方、それからこういうものに対処する、言うなれば自信と申しますか、確信と申しますか、そういうものも考えたときに、私としてはそれに同意を与える以外になかったと、こういうことでございます。
○安武洋子君 気象通報所の設置目的をお尋ねしたいと思います。 昭和二十八年の梅雨前線の豪雨、台風災害、これを契機にして、水害のための雨量観測を主な目的にして、昭和二十九年から私は気象通報所は各地につくられたと思いますけれども、これはいかがでしょうか。 〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕
○政府委員(有住直介君) この大雨があったときに、やはり雨の状態をいち早く知りたいという、あるいは降り始め状態でも早く知りたい。それには当時の、昭和二十八年当時におきましては最新の技術でございましたけれども、無線雨量ロボット計というものを山間部等に設けまして、そこから自動的に観測したものを無線で通報所に……
○安武洋子君 設置目的をお尋ねしています。
○政府委員(有住直介君) はい。設置目的はそういうことでございます。その雨の状態を早く知るためにロボット計を山間に置いてそれを通報所にいる——当時の技術としては全部を自動的にできないものですから、通報所に人がいまして、データをキャッチしたらそれを親官署に知らせるということであったわけでございます。そういうことが主な目的だったわけです。それが今回無人化するようになりましたのは、そういうことがもう自動的に、たとえば電話交換手で言えば、途中で交換手がいないと電話がつながらなかったのが、そういう人がいなくても、もう自動的に雨が降りましたら全部つながるというようなシステムになりました。それからその数にしましても、十七キロごとに自動の観測所を置けるというようなことになりましたので、無人化してもいいというふうになったわけでございます。
○安武洋子君 私は四月二十五日に、先ほど申し上げました秋田県の横手の市長さんに会って実情、御要望を直接聞いております。この横手の通報所といいますのは、昭和三十二年に水害対策、こういうことで設置をされたと聞いております。周辺の三カ所の山に雨量観測のロボットが置かれて冬は雪の観測もする。また四十九年の冬には、豪雪による災害を受けたが、このときは通報所の方に本当にいろいろお世話になった。いまでも大雨のときなどはすぐに状況を聞けるので大変心強い、このように述べていらっしゃいます。また長岡では、一月の電話照会件数七百五十一回、この半分が予報についての問い合わせだ。大野でも一月だけで九百七十回、これも雪を中心にした予報の問い合わせだというようなことです。 こういうふうにして、利用する側に立って考えるなら、通報所の存在というのは非常に心強く便利だということが言えるわけなんです。さらに、通報所はそれだけではなくて、災害防止を主目的で設置をされているから、地域では予報の解説など、気象台的こういう役割りも強めているわけです。そうして、またそういう役割りも果たしてこられたと思うんです。だから、地方自治体などでも通報所の在続を望む、こういう声はありますけれども、廃止をしてほしいという声は一つも出なかったのはあたりまえなんです。この地方自治体に対して迷惑は一切かけないんだと、いまでもかけていないんだと、こうおっしゃいますけれども、長野県の上田市などでは、廃止された後で市の財政で存続をしている、こういうところもあるわけなんです。これでも地元に迷惑はかけてこなかったと、今後もかけないと、こうおっしゃるのですか。
○政府委員(有住直介君) やはり設置当時というのは、技術がまだ発達しておりませんでしたから、それなりにいろいろお役に立っていたわけですけれども、現在は先ほどもちょっと触れましたように、その雨量の観測網を細かく把握するために、たとえば雨につきましては十七キロ——平均いたしますと十七キロごとに全国で千三百ぐらいに達するような観測網を張って、そうしてそこからもう自動的にデータをとるわけでございます。ですから、たとえばある通報所が一つあって、そこのデータが入ったからどうということじゃなくて、十七キロごとというふうな観測の網を張って、適確に自動的にデータを集め、それを予報官の手元に渡すという、そういうことをやっているわけでございます。そのために非常に技術的には進歩してまいったわけでございます。 で、一般の周知にいたしましても、私どもといたしましては、周知をやはりしなければいけない、気象庁といたしましては、特定の人というよりも全国民に対して——雨の脅威とか、災害に対する問題というのは、通報所があるところだけということでございませんで、もう全国民にそういういいデータが入ったらお知らせするということがわれわれの大切な仕事でございますので、NHKなんかにもお願いいたしまして、NHKでも、皆様御承知のようにアメダスでデータが入って、大雨が降るというようなときには、NHKの人も私どもの官署の方に来てデータやなんかを入手いたしまして、テレビでも、雨がこういうふうに降ってきますよというのを、気象庁によると、どこそこは何ミリ、どこそこは何ミリと、お話をしたり図を出したりということをやっておりますけれども、あれは私どものアメダスのデータをNHKさんなんかにも利用していただいてやっておるわけで、そういうふうにしまして、一般の方々にNHKとか、あるいは電話の一七七回線を使っていち早く知っていただく。これは通報所の創設当時から見ますというと、皆様がテレビやなんかで受ける情報というものはもう画期的によくなっていると私ども思うわけでございます。 で、この……
○安武洋子君 聞いたこと以外はいいです。私の質問に御答弁になっていらっしゃいません。問題をすりかえていらっしゃる。私は、廃止をした後で市の財政で存続をしているところがありますよと、これは長野県の上田市などですよと、これでも地元に迷惑をかけたことにならないんですかということに対して、いまのような御説明をなさる。そういう感覚だから、地元に迷惑をかけていても、迷惑をかけたということがおわかりにならないんです。 そして私は、いまの技術の問題について、じゃお伺いいたしますけれども、三月の十七日付朝日新聞の投書欄ですけれども、ここに岩手県の木村耕三さんという方の投書が出ております。この方は昭和四十九年四月一日付で気象庁の観測部長を退職された方だと思いますけれども、間違いございませんか。
○政府委員(有住直介君) 間違いないと思います。
○安武洋子君 じゃ、この投書で、自分はアメダスの企画時の責任者だったが、このシステムでは異常気象発生時については多くの弱点を持ち、技術的にも未解決な問題が残されていると、こう言われております。私どもはこの木村氏と直接連絡をとりました。で、投書の中身を詳しくお尋ねしました。そのときのメモが私の手元にありますので、問答式で読み上げてみたいと思います。 問 自動気象観測システム(アメダス)にはど ういう問題があるか。 答 全国的または局地的にでも異常気象発生や 天変地異があった場合には、観測機器の破損、 故障の他に、電源の途絶や電話回線の切断等 が考えられる。したがって、無人化されて、 電力や電話回線に頼るアメダスは全く機能を 果たさなくなるという問題がある。しかし、 通報所があれば、全体がだめになっても、そ の地域の様子がわかり、通報所員からの無線 による情報の送信も可能である。 問 住民に対してはどのような結果をもたらす か。 答 気象観測は何かあったときに問題があるの で、気象庁には注意報さえ出せば任務は終わ りというような考えもあるが、このような際 に情報提供がなされなければデマが飛び交 い、住民はパニック状態になってしまうだろ う。 間 では、本来ならどうあるべきなのか。 答 機器は本来なら一つが故障しても困らない ように正、副二台置く必要がある。または、 たくさんの個所に置いて一カ所ぐらい故障し ても困らないようにすべきであるのに、気象 庁は必要最小限にしてしまった。 天変地異の際は電源がだめになる。気象庁 は蓄電池があると言ってるようだが、それで は半日ももたないだろう。この点でも通報所 があれば自家発電装置があるので心配はな い。 また、台風などで電話線が切れてしまうお それがあるので、電波で飛ばして受信できる ようにする必要がある。しかし、一つの波長 の中にたくさんの気象データを入れるのは (限られており)現状では技術的に困難であ る。しかし、この点でも通報所があれば、通 報所の無線(VHF)で所員が送ることが可 能であり心配はない。 したがって、このような際に備えるために は、いま述べたようなことから、最低一人の 人間が必要である。 問 企画時からそのような問題点は気象庁内で も指摘されていたのか。 答 企画時にもそのような問題が出されていた が、機器の次の更新時期(十年後)までに開 発しようということになっていた。 それまで検討を続けるので、通報所の廃止 はそれまで待とうということになっていた。 問 雪の観測について問題になっているが、技 術的には不可能か。 答 雪の観測をやれば、いま行っている四要素 (雨、気温、風向風速、日照)すべての観測 にかかる経費に匹敵するくらいのお金がかか るのだ。 場所によって積雪の状態も違うので、人間 の観測の方がよほど実用価値がある。現在、 雪を解かして雨量に換算したデータは地方気 象台に送られてくるので、そのデータでおか しいと思ったときに、雪の観測を委託した人 に問い合わせるようになっている。委託者は 安い謝金でやっているので余り熱心でない。 高く払ってもよいから、もっと情報提供をや ってもらう必要がある。 問 気象庁の職員の年齢構成からして将来のこ とを心配しておられるが……。 答 気象庁の職員の年齢構成のピークはちょう ど昭和の年号と同じになっている。五十一、 二歳の人が最も多い。この人たちは四、五年 もするとやめていく。 定年がないが、仮に五十五歳まで勤めると しても、そのような高齢者では夜勤などは向 かないであろう。したがって二、三百人も一 度に欠員が生ずる状態が予想されるが、いま の定員管理方式からして気象庁だけに二、三 百人も増員されることはあり得ない。 したがって、いまからそのような事態に備 え増員をしておくべきなのに気象庁はそれを やっていない。 これが先ほど私がお尋ねした木村さんとの一問一答なんです。当時の企画責任者がこういう指摘をされておられる。一方気象庁はアメダス万能論、こういうふうな言い方をされるわけです。私は技術的な問題ではどちらが正しいか、これは論議のあるところだと思います。しかし、行政の立場に立って考えるなら、答えは明確だと思います。 ここでお伺いいたしますけれども、気象業務法の目的は何なんでしょうか。お尋ねしたことにだけお答えください。第一条、何と言っているでしょうか。
○政府委員(有住直介君) 大きく申しますと、自然災害の防止、軽減、それから産業の興隆、交通の安全、そういうものを進めていきまして一般公益、福祉の増進に努めるとともに、国際協力をするんだということが気象庁の仕事と思っております。
○安武洋子君 では、気象庁長官の任務にはどのようなものがあるんでしょうか。第三条とか、それから第一条の目的達成のためにこの任務が規定されておりますけれども、それをお答えいただけますか。
○政府委員(有住直介君) 結局、そういう気象業務を行うために、気象の観測網を整備したり、それから通信網を整備したり、で予報を精度よくやっていくんだということが気象庁長官の任務であるというふうに承知しております。
○安武洋子君 いま気象庁長官の任務の中で「気象及び地震に関する観測網を確立し、及び維持すること」ということをお答えになったわけです。アメダスでは地震の震度、これは観測できない。そのほかにも目視による雲の量、天気、それから雷、ひょう、霧、霜、こういうものが通報所としての業務としてあったはずなんです。それからさらに、前観測部長のとの木村さんですね、「気象官署の最大の存在理由である異常気象発生時の情報提供」、これを強調されているわけなんです。アメダスを導入したからと乱暴に、この本来の気象業務がこうでなければいけないのに、それを打ち切ってしまわれる。こういうことは、私はこのいま気象庁の長官が言われた御自身の任務にも反することじゃなかろうか、私は通報所の存在というものは貴重なものではなかろうかというふうに思うわけです。 で、地域住民から存続を熱望されているにもかかわらず、この人たちの信頼にこたえない。いままでは二名の職員の方は、朝三時から臨時観測することだってあったわけです。それから朝の六時ごろから雪に関する問い合わせなどが殺到すると、こういうことにもこたえて公休もとれないということで、二名できりきり舞いの過酷な労働条件に耐えてきた。あなたたちは、三名だったのを、定員削減でないとはおっしゃいましたけれども、定員削減を過去にしてこられたわけです。そして、こういう通報所にしわ寄せをされる。いままで受けていたサービスが地元住民が受けられなくなる、こういうことをやられたわけ。私は、地元住民の方を向いて考えられるなら測候所に格上げする、こういうふうに持っていくのが当然ではなかろうか。 いろいろおっしゃいました、判断間違ってないとおっしゃいますけれども、いま私の論議を通じてもおわかりのように、地域は納得していないということもありますし、当時のこのアメダスをつくられた責任者の方が、アメダス万能論ではだめだということをはっきり指摘もされている。そのときに、定員削減をするのを技術的な問題にすりかえて納得させようとなさっていらっしゃる、ここに無理があるわけなんです。やはり地元の人の方を向いて測候所に格上げをしてほしい、測候所に格上げをして私はこたえるべきだったと思います。気象業務のこの目的に照らしてこんなことでよいと大臣まだお考えでございましょうか、お伺いいたします。
○国務大臣(田村元君) 先ほど来、しばしば申し上げておりますように、私は気象庁長官並びに次長等、専門家から詳しく聞きました。アメダスがどういうふうにいいのか悪いのか、端的に言いまして私は専門家じゃありませんからそれについての議論はできません。しかし、いろいろと説明を聞いてまいりまして、これは安武さんもおられる前で私は申したのでありますが、私は自分の部下を信じておるということを申しました、あのときに。私はそういう意味で、長官等の意見というものに納得ができましたから、ああいう決定をいたしたわけであります。 しかし、ひとつ十分御理解いただきたいことは、本来、先ほど申し上げたように、気象通報所をどのようにするかということは、長官の権限であって大臣決裁事項ではないのであります。大臣決裁事項でない、本来ならば長官が勝手にこれを処理して、私に報告もしなくっても済む問題なんです。それをあそこまで私自身が、皆さんの声を声として、心を心として私はあのように考える時間を持ったわけでありまして、その点はどうか御理解をいただきたいと思うのであります。
○安武洋子君 雪、霧、雲の量、これは目視でなければできないはずなんです。いま伺いますと、国鉄の保線区とか、学校とか、電力会社とか、ダムの管理所とか、農事試験場とか、こういうところに盛んに問い合わせをなさっていらっしゃる。私はあべこべじゃなかろうかと思います。こういうところが自主的に観測をなさるということは、これはいいことですけれども、そこに適確な予測、情報を提供するのが私は気象庁の仕事ではなかろうか。こういうところに問い合わせをしなければならないということは、もっと体制を強化しなければならないという一つのあらわれではないかと思うわけです。私は拡充こそすれ、こういう廃止をすべきではなかったということを重ねて言うわけです。 そして私は、大臣がいまおっしゃいました、これは気象庁の長官が判断することだ、間違っておれば当然大臣として改められるのは私はあたりまえのことだと思います。そして、いままでのこの経過を見て、最初大臣は大変いい御答弁をなさいました。しかし、いまこういう決定をおやりになった。しかも、私は地元民が納得していないということをくどくなるほどいろいろな例を挙げて申し上げたんです。私はやはりこれでもなお御反省がないということは、大臣はおっしゃることとなさることは全く正反対だと、こう言わざるを得ないと思うんです。地元の要求を踏みにじって、コミュニケーション、これを大切にしたいと言われながら、やはり壊していかれる。一片のこういうもので住民の要求をすりかえてしまわれるということは、私は国民不在の政治のあらわれだと、そういう姿勢のあらわれだということで強く抗議をして、この質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(田村元君) 私が、言うこととすることが違うかどうか、これは私にはわかりません。私は誠心誠意やっておるつもりであります。でありますから、本来三月の末で打ち切るところを、たとえ一カ月でも私は延ばしたのであります。しかし、それはもう見る人が見るだけのことでございますから、私が巧言令色鮮し仁を地でいくような男であるかどうか、これは皆様方の御判断にまつ以外にございません。
○和田春生君 きょうは、時間の関係もございますから、二つの問題でお伺いをしたいと思うんですが、一つは、いま深刻な不況にさらされている造船関係の対策、とりわけ雇用対策についてであります。 最初に行管庁の方にお伺いしたいんですけれども、行管庁が所管をしている日本標準産業分類というのがございますけれども、この目的は、われわれの承知するところ統計調査、そういうことに資するためにこれをつくっているというふうに理解をしているわけですが、それでよろしゅうございますか。
○説明員(山田隆夫君) さようでございます。統計を利用するサイドから産業の分類の基準を定めるということをやっております。
○和田春生君 なお、最近では非常に各産業界の状況というものも複雑多岐にわたっておりますし、いろんな施策について行政がタッチすることがふえているわけです。その場合に、おおむねそういう施策について産業別、業種別にやるという場合に、これは法律で強制されているわけではありませんが、日本標準産業分類によると、これが一般的にいままでのやり方になっているというふうにわれわれ聞いているんですが、そうですか。
○説明員(山田隆夫君) この日本標準産業分類というのは、統計を作成するときのその産業分類のための基準のものでございまして、行政の指導上において産業分類を使うというようなことにつきましては、私どもの方では何も申し上げておりませんし、具体的にどのようになっているかも存じておりません。
○和田春生君 じゃ、労働省——いないのか、あらかじめ言ってあったんだけれど、ちゃんと。 それでは時間の関係がありますから、じゃ、後であれしますけれども、いま行管庁によると、それは統計調査に利用されるために決めたんで、そういうような諸種の行政施策については関知するところじゃないと、こう言うのですけれども、実際にこれは運輸省もここにおられるわけですが、おおむね今日までこれに従ってきておりますし、たとえば雇用対策の関係で、雇用保険の雇用調整給付金を支給するという指定業種の場合なんかもこれによっているというのが実例じゃないんですか。それは行政管理庁あずかり知らぬことですか。
○説明員(山田隆夫君) 私ども本当に統計の基準の設定という仕事に当たっておりまして、行政上この産業分類をどのように用いるかというようなことについて、一々その報告も受けておらないわけでございますので、具体的にやはり存じ上げませんです。
○和田春生君 それじゃ、この問題はそうだということにしておいて、当然これが統計調査に利用されているわけですから、これは運輸省、あるいは労働省、あるいは行管、どちらにお伺いすることになるか、政府の責任で答弁していただきたいと思うんですが、いま、先ほど申し上げましたように、造船関係は大変深刻な状況に置かれております。ただ、漁業関係等は、出漁ができなくなると途端にそこに問題が起こりますから非常に目につくわけですけれども一造船関係はいわば肺結核のようなもので、じわじわじわじわ浸透してきている。現在のところはまだ手持ち工事量がありますから仕事をやっているようですが、これも年とともだんだんひどくなっていくことは御承知のとおりだと思うんです。 しかも、造船産業の構造からどうしてもまずそういうふうに不況になってくる、仕事量が減ってくるという形になると、下請関連から整理、悪い言葉で言えば切られていくという形になっているわけですが、昨年の一年間にそれではそういうふうに整理され、あるいは離職をした、造船元請ではなくて下請関連労働者は一体何人ぐらいあるか。また、全国というのは無理ですけれども、主たる造船業の存在をしている地域においてどういう状況になっているか、その数字を伺いたいと思います。
○政府委員(謝敷宗登君) 私の方の、運輸省の方の造船法によります統計で、造船業に従事しております従業員の推移の統計がございます。これには造船業と、それから関連の機械工業と、造船の下請業と三つございまして、昨年の六月までの数字をいま手持ちで持っておりまして、半年で恐縮でございますが、五十年の十二月末と五十一年の六月末と比較いたしますと、総計で三十四万人が三十三万二千人に落ちております。したがいまして約八千人でございます。その内訳は、先生御指摘のように下請業が一番大きゅうございまして約七千人、それから関連業が約一千人ということでございます。造船業につきましては、これは統計の関係上、各造船会社を含みます重工業部門の中で、〇〇造船工場というふうに称されておるところの人数でございまして、この中で、造船工場の中で陸上機械その他のものに従事している者はこれに含まれておりませんが、したがいまして、見かけ上減っておりませんが、実際には配置転換等で陸上機械の部門についている者があろうかと思います。
○和田春生君 私どもが承知している状況から見ると大分数字が少ないように思うんですけれども、間違いありませんか。
○政府委員(謝敷宗登君) これは五十年の十二月末と五十一年の六月末ということで、六カ月の数字ということでございます。
○和田春生君 私が伺ったのは昨年一年間で、すでに五十一年の六月にはかなり深刻な状況に進んでいる部面もあったわけですね。ですから、半年間ではそれだけであると。去年一年間で大体どれぐらいになると思いますか。
○政府委員(謝敷宗登君) ちょっと手元に五十一年の十二月末の数字を持ってきておりませんので直ちにお答えはできませんが、たとえば別の資料で、これは大手の二十社だけを仮にとってみますと、その中で見ますと、五十一年三月から五十二年三月、一年間では全体で約五千人ほど減っております。
○和田春生君 まあ余りはっきりしない答弁なんですが、いまここのところで数字がいいとか悪いとか追及しても仕方ないんですけれども、現に、ある地域ですと、下請関連含めますと、一つの地域で二千人ないし三千人に推定する者が職を失なっている。それらの諸君が通勤をしないために、これも同じく運輸省の所管ですけれども、バス会社が収入が激減をしてあっぷあっぷ言っているというような実情さえ出ているところがありますし、あるいは商店街とか、妙な話ですけれども、飲み屋街にまで影響が及んでいるというところも実際あるわけで、かなり深刻であります。同時に、いまの数字は大分少ないように思うんですけれども、そういうふうにして離職した者のその後の再就職状況というものは労働省つかんでおりますか。
○説明員(小粥義朗君) 造船関係離職者の全体の数字ではございませんが、特に集中的に出ております長崎県の状況については、状況をできるだけ頻繁に報告ももらうようにいたしております。その数字で申し上げますと、五十年から五十一年にかけてほぼ五千人ぐらいの造船関係からの離職者の求職者が安定所に参っております。
○和田春生君 長崎だけでそういうことなんですね。あれは長崎市に、まあ佐世保もあるわけですから、五千人が造船関係の離職者で、求職で職業安定所に押しかけていると。その再就職状況はどういう状況ですか。
○説明員(小粥義朗君) 安定所紹介による就職、それから縁故、あるいは自己開拓という形の就職を入れまして、現在未就職でなお引き続き求職している人の数が約三割ぐらいというふうに報告を受けております。
○和田春生君 実態はそういうなまやさしいことではなくて、就職したといっても今日一般の不況ですから、仕事は統計上得た形になっているかもわからぬけれども、実際は非常に収入も少ない、あるいは仕事も少ない、不安定な状況で働いているという者もおるわけです。 私、この問題特に取り上げているのは、いまは造船界が非常に不況でありますけれども、やはりこの構造的な転換というものが過ぎていきますと、船はどうしたって新陳代謝、代船建造が必要であります。造船業というものはなくてはならぬわけであります。さらに日本の産業構造からいって、これからはいままでのようにでっかい箱をつくってエンジンをつけるというような、タンカーをじゃんじゃんつくるという形ではなくて、工数の多い、やはり高性能の船舶をつくっていかなくちゃいかぬ。そうなってきますと、造船産業というのは非常に御承知のとおりすそ野の広いアセンブリー産業ですから、一たん散らしてしまいますとなかなかうまくいかないんではないか。 そういう点で、いまのところはやりくりをしておりますし、特に元請業の大手で重工業の場合には関連陸上部門もおりますから、ある程度やりくりをしていくわけです。しかし、中手以下の造船専業になりますと非常に苦しい。下請関連、特にもうそういうところからどんどん切られていってこれが散っているという状況になっているわけで、ただそれが今度の北洋の漁船のようにショックがショッキングな場面としてあらわれていないものですから、わりあいに見逃している面があると思うんですが、非常にやっぱり苦しんでいる。これは労働者だけではなくて、業界そのものが零細なんですから、まあ労働者へちょっと毛が生えたと言ってもいいようなものがあるわけですから非常に困っているわけですね。 そういう点で考えていきますと、当然これ雇用対策法があるわけですけれども、たとえば雇用対策法の第四条第四項によれば、「国は、必要がある場合には、雇用対策基本計画において、特定の職種、中小規模の事業等に関して特別の配慮を加え、その労働者の職業の安定と経済的社会的地位の向上とを図るために必要な総合的な施策を定めることができる」と、こういうふうになっているわけですが、造船産業の立地条件と実態から見ますると、この事態は、ことしから来年にかけるともっと深刻になっていくと思う。この雇用対策法の第四条の第四項、これによる措置というようなものについて検討されているかどうか伺いたいと思います。
○説明員(小粥義朗君) 雇用対策法四条でうたっております御指摘の点は、労働行政と申しますか、雇用対策プロパーだけでなかなか雇用問題解決のつかない面もございます。したがって、関連施策を含めまして、たとえば産業政策あるいは経済政策、そうした面も織り込みまして、必要なものを雇用対策基本計画の中にうたい込んでいくと、こういう形で従来三次にわたる基本計画が決められているわけでございます。 具体的に特定の産業、あるいは特定のグループの企業に対する対策をという点につきましては、そうした産業政策面への要請等は、従来個々の問題について要請しました点ございますけれども、今回造船の問題については特に雇用対策の面で、たとえば雇用保険法に基づく各種給付金の問題であるとか、特に地域雇用促進給付金といったような問題もございますので、そうしたものでもってできるだけ地元の雇用の機会が得られるような刺激なりインセンティブを与えていくというようなことも考えておりますので、造船業についての産業政策面での要請という点では具体的な行動ということになっておりませんが、雇用対策の面ではそうした点をいろいろ考えて進めてきているところでございます。
○和田春生君 質問が前から続いているんで省略したんですけどね、造船業と言っても御承知のように元請もある、下請、協力がたくさんあるわけですよ。特に大手の方の造船元請は重工業で、陸上機械部門もある、航空部門もある。あるいは傍系会社で自動車を持っているところもある。苦しいにしても総合的になっているわけです。ところが、造船協力業とか下請関連と言われるのは造船の下請をやっているわけで、そこにいま集中豪雨的に雇用問題が発生をしているわけでしょう。 大きいところでは労働者を他の部門に配置転換をするとか、出向させるとかいう形で切り抜けているけれども、下請関連は仕事がなくなっちまって、船台から船がなくなるという形になれば、全部仕事がパアになっちゃうわけです。そこで、いまあなたが言ったように、長崎県一つをとってみても、数千人の人間が仕事から離れているわけです。雇用対策法ではちゃんと書いてある。特定の職種とか中小規模の事業等に関して特別の必要がある場合はと。それを考えているかと聞いておるんです。
○説明員(小粥義朗君) この造船業の不況につきましては、いま先生御指摘のように、特に長崎県あたりでは地域問題として非常に大きな問題として取り上げられておりまして……
○和田春生君 長崎だけじゃない、それは例で、ほかにもあるんです。
○説明員(小粥義朗君) はい。関係の地方自治体からも、単に雇用対策だけじゃない、幅広い地域振興対策を含めた要請もいただいているところでございます。したがって、特に下請にしわ寄せがされているということも私ども承知をいたしておりますので、その下請が、言うなら多角経営に生きる道を見出すとか、あるいはそこで出てきた離職者の再就職先をどう開拓していったらいいかとかいう面で、地域の他の産業への再雇用の場を開拓するといった面で、実は長崎関係の地方自治体その他を通じて話も承知し、またそちらに向けての要請もいたしております。その際にただ、雇用対策面での裏づけもなければならないということから、先ほどお答えした地域雇用促進給付金であるとか、あるいは雇用調整給付金といったものをあわせ実施するようにしていく、こういうことでお答えしたわけです。
○和田春生君 雇用保険法の問題、いま出てまいりましたから、じゃお伺いしたいと思うんですが、雇用保険法によるいまの調整給付金その他、いまどれぐらいの件数、何人ぐらい措置されましたか。
○説明員(小粥義朗君) 実際の支給件数までいまちょっと手元に持っておらないので大変恐縮でございますが、五十年の七月から造船関係の特に船体ブロック製造業を初めとする下請関係の業種についての指定を行いました。以来、期限が切れる際には延長、再延長、さらには再指定という形でやってまいりましたが、つい最近、五月一日からは特に鋼船製造修理業について、全体として業種指定をするということで適用いたしております。
○和田春生君 鋼船製造修理業全体に対して適用しているという話ですけれども、特に造船の下請関連は非常に範囲が広いわけですが、仕事の性質上構内下請という、大きな工場のドックヤードの中にずっと構内で下請がいっぱいおりますね。これは御承知のとおりたくさんの業種があるんですが、それ全部ひっくるめて適用しましたか、どうしましたか。
○説明員(小粥義朗君) 五十年七月、最初に指定をした時点から昨年の四月までは、実は標準産業分類にのっとって指定をするということで、下請についても個々にいろいろやりくりをしながら細かく業種指定をしたわけでございまして、全部の下請企業が拾えなかったわけでございます。昨年の四月から雇用調整給付金の適用基準の変更を行いまして、親会社が業種指定に属する事業を営んでいる場合には、その五〇%以上を依存している下請企業については、たとえ異なる事業を営んでいる場合であっても適用をするということにいたしましたので、したがって、鋼船製造修理業が指定になりますと、いわゆる造船所は大体その業種指定の対象になるわけでございます。その下請企業は、たとえば足場の組み立てであるとか、塗装であるとか、設計であるとかいったような多種多様にわたる業種であっても、五〇%以上の依存度を持っている場合には適用になるようになったということです。
○和田春生君 そういう点で、実際問題として少しずれがありますし、非常に不安を与えた。あるいは、手を打つのが遅いために、もう少し早くやっておれば効果的であったが、おくれたためにかえって苦しい状況に追い込まれたことがあるわけですね。そういう点で、たとえば指定業種にするという場合についても、はからずもあなたはいま、標準産業分類によったと言ったわけでしょう。行政管理庁に言わしたら、そんなことはおれは知らないんだ、統計に使っているだけで、そんなことはあずかり知らぬところだと言ったけれども、そうじゃないんです。事実これ使われているわけなんだ、ね。 だから、行管庁もけしからぬと思うんだよね。しらっぱくれて、統計に使っているだけだ、おれはそんなものは知っちゃいねえと言うけれども、事実上労働対策、雇用対策で業種を指定したりなんかする場合にも、まずよりどころになるのはこの標準産業分類である。ただ、それによって包み切れないとか、分類をうまくできないためにこぼれたところがあるというときに、いまそれをあなたが、労働省が言ったように、その造船の下請になっているという場合には、その元請会社が指定になった場合にはそれでカバーできる分には適用するようにするという形で、後で追っかけていくという形になっているんじゃないかと思うんですね。 そこで、時間も節約するためにお伺いしたいのは、大体われわれの拾ったところによりますと、構内だけに限って言っても、造船下請に関する業種分類はこの標準産業分類によって五十九ありますね。非常にたくさんある。御承知のように、船の場合には艤装をやりますから、先ほど足場ということが出てきましたけれども、タイルもあれば左官もあるし、塗装もあるし、建具もあるし、床もあるし、防水もあるし、あるいは配管、配線、給配水、あるいは絶縁とか、もうずうっと、一般的に言うと建築関係に分類されているような業種というのが非常に多いわけです。 しかもこれが、本来の建築をやりながらその片手間で造船のお手伝いをするというんじゃなくて、構内下請なんかの場合には造船の仕事オンリーでやっているんで、仕事の性質からいけば建築業になるようだけれども、実際にやっていることと言えば造船関連の一体的なものと見なくちゃいかぬわけですから、これはぐあい悪くなってくるとむしろ、鋼船製造業と指摘される元請の方もつらいかもわからぬが、資本力もあるし、規模も大きいし、関連業種を持っているからこの方はまだまだ何とかやっていけるけれども、一番先にどんどんどんどん切られてくるというのは、そういう造船に関してつながっている下請関連協力業だと、こういうふうに考えるわけですね。 これからますますこれ深刻になっていく可能性が十分にあるわけですから、この機会にこれは標準産業分類、こういうもの、何かと言えばやはり役所で決めたもので物を言うわけですけれども、これも全部きれいに整理されているわけではなくていろいろダブっているところもあるんですが、たとえばこの分類表の三百六十四、船舶製造修理業、船舶機関製造業というところに造船下請協力業、あるいは造船協力業でもいいんですが、そういう分類項目を挙げて、これに関連する、私が拾ったところによると構内下請だけでも五十九、千六百二十一番からこうずっと、番号は省略いたしますが六千二百四十一番に至って飛び飛びにずっとあるんですが、こういうものを包括をしておいて、まず雇用調整給付金にしろ雇用対策にしろ、元請の方は自力でがんばってもらうが、一番しわ寄せのくるところの協力業に対してまず適用する、そういうことを機動的に考えていく必要があると思う。 この点については、大臣おいでですから、ぜひ労働省、行管とも話をされまして、私はそういう措置をとっていただきたい。いま直ちにこの表の修正にいくかどうかということは別にして、そういうきちんとした方向性を出しておいていただく必要があるんじゃないかと、こういうふうに思いますが、いかがですか。
○国務大臣(田村元君) 早速担当者に一遍検討させます。
○和田春生君 それひとつ労働省の方も、そういう点で雇用対策、あるいは雇用保険の適用にいたしましても、労働省は雇用対策が中心ですけれども、産業省庁としては運輸省が所管をしているわけですから、ひとつそういう点について十分密接に連絡をしていただいてここに落ちこぼれができないように、トータルの数でいくと大したことないようですけれども、造船中心のところでは実に深刻な問題になるわけで、一種の集中豪雨的な事情が発生をするわけですからよろしくお願いをしたいと、こういうふうに思います。
○政府委員(謝敷宗登君) ただいま大臣からお話がございまして、私どもも造船業がこれから不況に入っていき、これに耐えるために雇用問題というのは一番重要な柱だと考えております。したがいまして、これまでは先ほど先生御指摘の産業分類によりまして、特に問題のあった五業種から始めたわけでございますが、ことしに入りまして造船業そのものを指定することによりまして全部入るということに相なったわけでございます。ただ、ほかの点等で産業分類を使う機会が多うございますので、その意味でこれからの政策の対象として、でき得べくんば全部入るような形で検討してまいりたいと、こう考えております。
○和田春生君 そういうふうにぜひ船舶局の方でも推進をしていただきたいと、こういうふうに思います。 それでは、次に海上保安庁の関係に移りたいと思うんですが、これは国会は審議の都合上領海法、二百海里水域法が農林水産委員会にかかったわけでございまして、日ソ漁業交渉を控えて非常に審議を急ぎまして異例の形で上げたものですから、十分それに伴う関連事項というのは取り上げられておりませんでした。私も聞きたいことがあったんですけれども、農水では遠慮しておったわけです。ところが、いまの状況を見ると、担当している役所の方としてはそうではなく大変だと思うんですが、一般的にはあの法律ができちまったらもう終わった、あとは漁業交渉だというふうにもう焦点が向いちまっている面が非常に強いわけですね。しかし、この七月からは領海十二海里法、二百海里漁業水域法ともに施行されることになるわけです、遅くても。何といっても、そうなってくるとこれ運輸省が矢面に立つことになるし、第一義的に海上保安庁がこの任務につかなくてはならぬわけです。 で、農水の審議における私どもの質問に対して、あるいは予算委員会でも大臣にもお伺いしたんですが、何とかやります、やりくりしてやっていきたいと思います、それから今後急速に保安庁の整備を進めたいと思いますと、こういう御答弁だったんです。それはそれでいいと思うんですが、もう二カ月じゃないですね、一カ月半前に来ているわけです。やはりそれから実際に動き出すわけですから、非常にそういう点で急を要するんですが、新聞記事等を読んでおると大変気になるのは、保安庁ではとても間尺に合わないから、たとえば汚染防止の対策であるとか、新島の発見であるとか、あるいはその他のところでかなり手抜きをしないと新しい体制に取り組むことができない、こう言っているというような報道がちらちら見えるわけです。一体そういう点について、現実に施行を目の前に控えて基本的にどういう姿勢で、新しく必要とするものをどこから抜いてきてどういうような配置でやろうとしているかということをまずお伺いしたいと思います。
○政府委員(薗村泰彦君) 先生御指摘のとおりでございます。予想以上に二百海里時代の到来が早かったわけです。しかも、施行期日が三カ月から二男月に短縮されたということで、私どももいまの情勢ですと七月早々にその初動の態勢に入らなきゃいかぬということでございますんで、いま、まず七月早々からどうするかということを真剣に考えております。ただ相手があることでございますんで、果たして特に二百海里の中の外国漁業がどういうかっこうで入れられてくるのかということが現在の交渉事ともなっておりますし、しかし、私どもも、現在の本日の状況でいたしますと、大体率直に申し上げましてソ連船は五十隻ぐらい三陸沖に来ております。北海道はほとんど減っております。韓国が多少北海道にございますということですから、それが七月早々にどうなるだろうか、それに対してどう対処すべきかということを計画を立てておるところでございます。 したがって、大体いまから現実の問題としてどこに何隻ということを詳しくは申し上げられませんのですが、大体私どもは二百海里の漁業水域についてどうするかということを海域別に考えますと北方海域、それから南方海域というのは小笠原列島から南方の方にかけて、それから沖繩の方の南西海域にかけて、それから日本海海域にかけてと、これ四つぐらいに区分して、どういう事態が来るだろうかということを想定しながら考える。それから特定海域の方は宗谷海峡、津軽海峡、対島周辺海域——これは韓国の漁業との関連がございますが、単なる海峡問題ではございませんけれども、それを含めて対島周辺の海域、それから大隅海峡、これ四つに分けて考えたい。それから領海問題については根室海峡の付近、それからいま五十隻ぐらい現存しておると私申し上げました北海道南岸から三陸から銚子沖にかけてのソ連船の問題それから尖閣列島周辺の問題、こういう領海問題三つに分けて考えていくということで、私どもで言っておりますPL、あるいはPM、それから航空機をそれぞれ配備して、できるだけ当初のときには特に厳戒態勢で遺漏のないようにしたいということで逐次計画を立てているというつもりでございます。 なお新聞でもいろいろ出まして、よく私どもに聞きに来られます。まあ余り詳しくも実は率直に申し上げまして言えない、またわからない点もございますんで、ついそういうことになると海上交通安全の問題から手抜きができるとか、それから公害問題で手抜きができるとか、もっと端的に申しますと人命に関係のある海難救助に手薄になるんじゃないかというような点がよく御指摘されるんですが、その辺もあわせて私どもは、たとえば人命救助で言いますと従来の北方海域、東方海域、それから南方海域でやっておりますような前進哨戒というようなものは手抜きをせずに当然そのままやるというようなつもりで新しい事態に備えるような計画を立てつつあるという段階でございます。
○和田春生君 確かに海上保安庁の業務というのは非常に多岐にわたっているわけですが、海上交通安全法の施行に伴う業務であるとか、あるいは水路の関係とかいうものは一応のけておきまして、今度の新しい十二海里と二百海里に直接かかわってくる仕事としては、いま長官も言われたように海難救助、特に前進哨戒はいままでは海難救助が主たる目的でやっておったと思うんですが、今度はそれは監視の方に転換していくと思うんですけれども、それから領水内の海上警備、緊急入域船とか領水内の不法行為の取り締まりとかいう問題、それから海洋汚染防止、これも領海の幅が広がりますと、まあ船は大体通航する通航帯は決まっているといいますが、当然その領水内という形において監視の密度を高めなくてはいかぬ。こういうようないろいろなものがあります。とりわけ外国船の汚染の問題があるわけです。それから二百海里時代になると一つの島がこちらに来るか来ないかというのは大問題ですから、新しい島ができそうだという形になれば、海上保安庁は航空機飛ばして盛んに監視をしているわけです。 そういうような業務が関連すると思うんですけれども、これ全部いまのままで新しい体制には私は適用できないと思うんですよ、はっきり言って。できるというなら別に整備する必要ないんですから。たとえば航空機の機数は限られてますから、これをどんどん飛ばそうといえば乗員というものも要るわけですから人間の労働力の問題もある。あるいは燃料の問題も出てくるわけですし、また飛行機の性能から言っても休みなしに飛ばすというわけにいかないわけですね。ですから、これを新しく配置していこうとすると、ざっくばらんに言って優先順位をつけてやっていかにゃいかぬということになる。必ずそのためには、優先順位の後になったところは、私はいままでの体制に比べて手抜きができるというのがあたりまえだと思うんですよ。できないということはあり得ないと思うんですね。 そういう点でいつも誠意を持ってやります、誠意を持ってやりますということは気持ちはわかるんですけれども、これは後から大臣にお聞きしますけれども、むしろ海上保安庁は、できることとできないことをはっきり言ったらいいじゃないですか。これまではできますと、この点は落ち込みになるんですと、大変ですと。それは落ち込んだらけしからぬと言われりゃ新しい仕事できないんですから、というようなことを私は具体的に言ってはっきりさしていくということが本当に正しい取り組みじゃないかという気がするんですね。 国会の中におるわけですけれども、われわれが言っておるのに、ただ非常に抽象的に言っているというのでは、私は、さて施行してみたが間に合わないし、非常に忙殺をされる。保安庁きりきり舞いしても大変だという形になるんじゃないか。やっぱり国が法律を決めたわけです。政府が提案をしてしかもつくったわけです。そういう点について、もうちょっと私がいま挙げたような、たとえば各部門においてどこからどこに重点を置いてやっていこうとしていくかということをお聞きしたいと思うんですがね。
○政府委員(薗村泰彦君) たとえば私、先ほど担当海域でそれぞれ二百海里の問題特定海域の問題、領海の問題ということ申し上げたんですが、二百海里の問題につきましては、北方海域が一番問題であろうと思われますので、従来の「宗谷」、それから二千トン型のPL、それからYSを投入してこの海域には常時PLを二隻、それから航空機は一日に一回というような監視体制でやりたいと思っております。それから南方海域は、これは余りいまのところさしあたってその伊豆からという方面では漁業の問題としては起こらないんじゃないかと、それから南西海域もそういう感じがいたします。それから日本海の海域は、これはちょっとこれもいまのところ韓国と中国の問題が起こらなければわりあいに問題は少ないんではないかということでございます。 それから特定海域につきましては宗谷、津軽、大隅についてはPM型を一隻ずつ常時配備をしてやりたいと思っておりますし、それから対馬海峡はもう従来も実は日韓間の漁業の秩序がいまのままと変わりがありませんとすれば、もうこれ当然、私ども年間を通じて四百件ぐらいのいまの漁業協定違反の事件を処理しておりますが、これは現在の体制とほぼ同じで常時PM型を一隻とPC二、三隻ということでやっていけると思います。 それから一番問題は、領海の北海道南岸から三陸、銚子沖にかけては、これはいま五十隻と申し上げましたけれども、最盛期にはもっとふえるという状態もございます。七月一日現在では何隻ぐらいになるか、ちょっとまだ予測がつきませんけれども、それぞれ二管の担当海域が一番多いんですが、それぞれ保安部、保安署の担当によって各ブロックごとにPM、PSを投入してやっていきたいということを考えております。
○和田春生君 この二百海里問題の施行に伴って、私は広がるというだけじゃなくて別の面も出てくるんではないかと。たとえばこの保安庁の「海上保安の現況」というので見ましても、「要救助船舶の距岸別発生隻数の推移」というような点見ましても、五百海里、あるいは以上とか、遠距離の方がどちらかというと漸増傾向にある、傾向としては。三海里未満とか、あるいは領海内近いところはむしろ保安庁の努力もあるんでしょうけれども、漸減をしているという形が出ているわけですね。そのために、そういうところに対して、重要地域に先ほど長官もいろいろ挙げられましたけれども前進哨戒に巡視船を派遣をするとか、航空機を重点的に配置をすると。 ところが、二百海里問題が出てきますと、これを実施した以上そこで違反操業を、たとえその隻数が二隻、三隻、五隻であろうとも、ほっといたんではこれは意味がなさぬわけですから、主権の発動として、そういうものはきちんと取り締まらにゃいかぬ。そういうところに密度を濃くしてくると、逆にそういう前進哨戒をやっているところからある程度引き上げてこなくてはならぬという問題が出てくるんじゃないか。それもせずに、従来どおりの前進哨戒もやっておりながら、新しくふえた十二海里、二百海里に対して同じようにやっていきますなんということは、私はちょっとできないんじゃないかという感じがするんですよ、ね。そういう点大丈夫なんですか。
○政府委員(薗村泰彦君) 私どもいま考えております点は、たとえば「いず」、「みうら」を前進哨戒に使いながら、やはり期間的な点もございますので、一隻は南方の海域に使えるし、一隻は北方の海域に使えるというようなことを考えております。それからYSはやっぱり二百海里に広がりますと、相手の漁業の形態というもの、漁期というようなものをいろいろ考えていきながら、集団的なところも多いと思いますが、やっぱり遠距離のところはどうしても足の長いYS、ビーチという飛行機での監視をやっていかなきゃいかぬということで重点的にやっていこうと思います。 ただ非常にむずかしいんですけれども、まるで現在のままでやりますということになりますと、そんなにたくさんあるのかという、ざっくばらんに申し上げましてお話も出ます。あるいはしかし、いろいろ私どもは先般からもお話し申し上げておりますとおり、整備計画はことしの五十二年度の予算でかなりその緒についたと思うんですが、何分二百海里時代の到来が早かったものですから、その整備計画をできるだけ促進していくということで、私ども関係の省庁とのお話も今後していきたいと思いますので、その辺の実はちょっと御説明の仕方が非常に問題がございます。
○和田春生君 いやね、そのYS11と言うけれども、一体海上保安庁にいまYS11が何機あるのかと、これはもうここでやりとりしなくてもこちらも表を持っているから聞きませんが、まことに心細い限りでありますし、ビーチクラフトやそういうものを使うといっても、海上保安庁の現有航空機勢力というのはまことにお粗末きわまるものなんですから、これはどこかに回せば片方で穴があくことは間違いがない。さらにPL、PM、PS型の巡視船といいましても、先ほど「宗谷」というお話が出ましたけれども、これはまあずうたいは大きいけれども、人間で言えばそろそろ米寿を迎えるおばあさんぐらいのもんでございまして、さあ出たといって行けと言っても、よたよた走っておって時間かかるわけですから、これはどうにもならぬわけですよ。 そうすると、たとえば空から見て違反船ないしはそういう侵犯事件を見つけたと、それ行けと言ったけれども現場に行くのが間に合わないと、あるいは海上自衛隊が訓練しているときにたまたま見つけて保安庁に知らしてきたと、行けと言ったけれども間に合わなくて、着いたころには悠々とやるだけやって、網をちゃんと上げて、現場に到着いたしたころにはさようならといってしまっていなくなると、ああ日本の警備体制は甘いものだというようなことになりますと、これは何が起こるかわからない、相当やっぱりしたたかですから。 先般も私は、北海道南岸の外国船による違反操業の問題を取り上げまして、非常に保安庁も努力をされて一応押し出したという話だった。現地に行っていろいろ聞いてきました。確かに保安庁が努力をした面もある。否定しているわけじゃないんですよ。裏の声として、そうじゃなくて、大体魚がとれなくなって北の方がとれるようになったから動いていったやつが大方なんで、またぞろうかつにやると、その漁期によってこっちへやってくるわけで、それはもう保安庁の努力ももちろんあるが、必ずしもそれだけによって日本の沖合いにおいて外国船が操業するということを行ったという形ではなくて、ただ魚群を追って漁期との関係で移動しているという面もあるんだと。なるほどいろいろしさいに調べているとそういう面があるわけですから、あなた方の御努力を否定しているわけじゃないんですね。そういう面できちんとやらないことには結局なめられてしまう。 二百海里宣言をやった、十二海里領海を広げた。しかし、領水内における違反行為があった、あるいは二百海里の漁業水域に対して侵犯をするという事件が起きる、許可を受けずに操業しているというような事件が起きた。ところが、さっぱり取り締まりの点はマンマンデであるという形になったんでは、これは日本国の主権の威信にもかかわると思うんですね。 長官としてはなかなかこれは言いにくいと思うんですがですね、なお五十二年度、予算で前進したというお話ですけれど、ぼくはそれはだめだと言っているんですよ。五十二年の予算でやるやつは五十三年、五十四年以降に間に合うということでしょう。これはことしの七月になったら遅くても実施されるんですよ、線引きしちゃっているわけですから。だから、そういう急場に間に合わせるのに現有体制ではなかなか間に合わぬじゃないか。こういうことを私は心配をしているわけだ。ちょうど予算委員会で大臣に私が御質問申し上げたのは、これは四月の九日でございます。一カ月以上たったわけです。思い切って吹っかけろと、やるというお話でしたですが、どの辺まで吹っかけられたのか、おやりになっているのか、お伺いしたいと思うんです。
○国務大臣(田村元君) 具体的なことを申し上げることはちょっとはばかりたいと思います。 先ほど来、薗村君が非常に答えにくいような風情でお答えをいたしております。なかなかむずかしい問題でございまして、いま和田さんから、相手はしたたかだという表現がありましたが、相当警備体制大丈夫ですと言えば、まあ大蔵省も相当したたかですから、また予算折衝でやっかいな問題が起こるし、さりとて、今度は逆に非常に不安でございますと言えば国会で問題になるし、そこいらが非常に答えにくいところでございますので、言葉にちゅうちょの風情が出たのかもしれませんけれども、しかし、確かにいまおっしゃったことは身にこたえておるわけでありまして、対大蔵の折衝も厳しい態度で臨むことにいたしております。なお、保安庁長官に私が申しておりますのは、もし君たちの手に負えないようだったらあえて私が大蔵省へ乗り込もうと、そこまで申しておりますので、そういう現状であるということでながめていただきたい、このように思います。
○和田春生君 特に二百海里の問題はまだ初めての経験ですから、線引きによってどういう影響が出るかということで不確定要素があるということもある程度わかるわけですが、領海についてはこれはもうはっきりしているわけです。これは保安庁のレポートの五十年度に関する統計によりましても、従来の三海里領海というときにでも、わが国の領水内に緊急入域した外国船が五百三十三隻で、これは百六十六隻四十九年に比べてふえている。ただし、領水内において不法、不審行動をとった船舶は八十五隻、この点は若干減少しているということが出ているわけですけれども、明らかに三倍以上に領海の範囲が広がるわけですから、緊急入域の問題だって従来よりもうんと仕事量が大きくなることは当然です。いままでは三海里までしかなかったわけですね。そういう点についても、特に領海というのはわが国の領土と同じことでありますから、よほどきちっとやってもらわなくちゃいかぬ。答えにくいということはわかるわけですけれどね、言いにくいことを言えといって強制する気はありませんけれども、何となくやれるようなやれぬようなことでは困るんで、むしろやれることとやれぬことを、さっきも言ったけれども、はっきりさして、これだけ広がったんだからできないんだけれども、もう国会も政府も一緒になって法律をつくったんじゃないか、これだけのことはすぐやれと、私はそういう点でやってもらわぬことには、ほかのものとはこれは違うと思うんです。そろそろというわけにいかない問題がある。事は主権にかかわっていると思う。そういう点で大臣、長官にも特に努力を希望いたしたいと思います。 それと関連して、実はこの前連合審査でわが党の柄谷議員が取り上げておりまして、大臣は一つのアイデアであるということを言われたわけです。確かにきちんと予算をとって、初めから巡視船向きに設計したものを整備をしていく、基本的には非常に必要だと思いますけれども時間がかかる。それはやはり国家財政との関連でそうそうふやすというわけにいかないと思いますね。で、こういうもう予想しない状況できたと。ある意味でいくと、これは大砲は撃ち合わないけれども海洋戦争みたいなものですから、緊急事態として動員できるものは動員していくという考えがあっていいと思いますね。 いま日本は戦争しないという国ですけれども、戦争状態になれば、それはもうありとあらゆるものは動員して総力戦をやるということが、いい悪いは別にして普通の状況である。明らかにこれは一種の海洋戦争に突入しているわけなんですから、向こうが広げるんならこちらも広げる。韓国が二百海里やれば必ず二百海里やらなくちゃいかぬ、北朝鮮にも対抗しなくちゃいかぬ、あるいは中国との関係も出てくると。やがて日本全体に二百海里の水域を実施するということがそう遠からずやってくるという可能性さえある。その場合に、私は従来の発想を転換する必要があるのじゃないか。 確かに専門的に見れば、キャッチャーボートは性能的には非常にすぐれているわけです。しかし、乗組員はあれは十八人ですね。そこで、保安官を規定の数だけ乗せるという形になると、それは船室の改造をやろうといってもスペースもないし大変なことなんだと、こういう立場はわかる、それは従来の考え方だと思うんですね。しかし極端に言えば、三十数人保安官が乗り組んだきちっとした巡視船が一隻よりも、十八人乗り組んでいる二隻の方が、広い範囲と点は監視できるということがある。それは、ちゃんとした警察署が一カ所にあるよりも、二人ずつの立ち番しているお巡りさんの派出所が幾つもあった方が治安の面にもプラスになる場合もあるわけですから向き向きがある。 これだけ広がったという場合には、そういう場合に活用するのに、現に遊んでいる船があるわけです。これは南氷洋まで行って長期間航海をして、しかも鯨を見張って、鯨を撃ってとってくるというキャッチャーボートなんですから、そういう船の活用を、この際発想を転換をして私は考えていいんじゃないか。いままでどおりの考え方でいけば、船室がどうのこうのと言うけれども、十八人の乗り組みで南氷洋まで行ってるんですから、そうしてあの広いところで鯨を追いながら鯨をとってきて、世界一の実績を上げてきているというだけの性能を持っている船なんですから、これ使わない手はないじゃないかと。そういう点も、いまここでやりますということを答えてくれとは言わないけれども、考え方を転換したらいい。北転船の方もどうせはみ出してきますよ。これも非常に馬力が強くて、あの北海の荒海をぐんぐんぐんぐん行くだけの性能を持っているわけです。しかも魚をとるわけですから。 こういう点についてもいろんな意味で私は新しい発想で、海上保安庁としての警備、監視の体制というものを補強するということに考える。できるだけ出費を少なく効果的にやると。そういう点では点をできるだけ多くしていって、カバーする面積を広げるということも必要じゃないか。これが国費の節約にもつながるというふうに私は考えているわけです。そういう意味で、ひとつ従来の発想をこの際思い切って変えて、総力戦で、利用できるものは極力利用していくという考え方に立てないものかどうか。そして、そういう予算を補正なり何なりで組んでやっていくと。一方においては本来的な、本格的巡視船艇の整備というものは、これは年次計画なり何なりで続けていくのだと、そういうことに立ったらいいと思うんですけれども、これはいかがですか。
○政府委員(薗村泰彦君) 私どもも実は先般からそういうお話をちょっと承りまして、いろいろ実は内部的に検討をしておるのでございますが、率直に申し上げましてかなり問題が大きいという点で非常に悩んでおるのでございます。改造の点は、もう先生いまお話がございましたのであえて繰り返さないところでございますが、私ども大体PMと申します三百五十トン型、これは現在もう六、七百トンございます。これに三十三人人間を乗せてやっておりますが、これもアメリカのコーストガードだとか、まして自衛隊などに比べますと非常に乗組員は少ないということですが、実は私どもの仕事というのは、先生御承知の運航方面の船務と業務というものが重なって三十三人というグループになってございます。 その三十三人を半分ずつに分けて、半分は船務だと、これは船を動かせ、半分は業務だと、これは海難救助だとか、警備だとか、捜索に当たれと、監視に当たれというような体制に実はなっていないんで、どうしてもこの一グループ三十三人というようなことで仕事をしているという点が一つございます。それからやはり身分、資格という点では、司法警察職員として一人一人にそういう仕事を持たせてございますんで、そういった面で民間の方との関係というのはちょっとむずかしい点があろうと思います。 まあいろいろキャッチャーボートのことも私どもも検討はさせていただいておりますが、私どもも実はPM型の船も持っておる、四百五十トン型というようなのがまた十九隻ほど、これはまた来年の予算からつくりかえていかなきゃいかぬ。三百五十トン型が新しくやっとことしの五隻で終わりました。そういうときにかかっておるわけでございますが、キャッチャーボートの中でもちょっと船齢が古いんじゃないかというものもかなりあるようでございます。そんな点、私どももいろいろ検討させていただいておりますけれども、いま即戦力として私どもで利用させていただくということの結論はちょっと出にくいという点でございます。 それからもう一つ、実は私ども広い海域になりまして、監視という問題がまず第一に必要だということを考えておりますが、私どもの仕事は実は監視だけで終わらない。で、これは自衛隊との協力の点でもこういう点がございます。ちょっとむずかしい点が出てきている点がございますが、まず私どもの方は、監視をやったらもう当然、違反事実が出てきたら警察権の発動として相手の船をとめると、それからそれに移乗していくと、それから臨検をする。それから立入検査で初動、初期の捜査に入ると、それからその船舶をどこへ連れて行くかということを考えます。それから取り調べをして、当然現行犯逮捕をやるというようなことを一連の仕事として考えていってその三十三人のグループになってやっているというのが先ほどの話のようでございますので、どうも監視だけで切り離すという点ができないという悩みがございます。 それから情報の点については、私はもう先生おっしゃられるとおりで、この際、一部の漁船にだけ頼るという特定のことよりも、私は日本じゅうの船舶、全船舶を挙げてひとつ情報をもらうということにしたい。したがって全漁船、全商船、それから自衛隊も、法律で許されておる百一条の密接な連絡ということに基づいて私どもに情報をくれるときに、たとえばもう短波の通信が漁業無線に入って私どもにくるというような現体制はちょっとおかしい。どうしてもそいつを直接もらうというようなことで、SOSの救難波聴守と同じような体制で全船舶からもらうようにしていきたいと、それが新島発見——あの南の方の新島のときに日本航空からもいただいておるし、方々からくれておるということと同じようなことで全船舶からの通信連絡をいただきたい、情報収集体制をやりたいと、これも予算の中に考えていま話しするという中身でございます。
○和田春生君 そういう点で努力をしていることは私も了といたしたいと思います。ただ、私はまだちょっと保安庁長官の見解に納得できないのは、正常じゃないんですから、いわば異常状態が発生したわけです。大変なこれ対応しなくちゃならぬことになるというときに、やっぱり当面間尺に合うような方法を考えた方がいいと思うんですね。たとえば警備とか、単に監視だけではないと、当然取り締まりをやらにゃいかぬ、捜査をしなくちゃいかぬ。それを考えて三十三人なら三十三人乗り込ましているんだと、おっしゃるとおりでしょう。 しかし、陸上だってそうじゃないですか。たとえば白バイで犯罪を見つけたと、一人のお巡りではどうにもならぬけれども、連絡をして、ともかくパトカーが来るまで、機動隊が駆けつけてくるまで、それをつけているなり監視をしていくということだってあり得るわけですから、それは多勢に無勢なり、あるいは及ばぬときに警察権を持っているからといって、しゃにむにむしゃぶりついていって犠牲を出すというわけじゃないんですから、海上保安庁だってこれだけ広がってくれば、全部一つの巡視船に対して整備されたものがきちんとそろっていると考えなくても、やはり人数が航海と当直と監視というものに必要な人間がそれぞれの権限は持っているけれども、一隻でだめな場合には一隻が駆けつけて二隻で協力してやるということもできると、そういう面で定員とか何とかということにつきましてもいろいろ考えた方がいいんじゃないか。 それから、新たにこういうような漁業水域ということになりますと、私は民間のそういう新しい血を保安庁に導入するということも必要ではないかと思う。漁船の乗組員が全部が全部適格者であるとは思いません。しかし、やっぱり適格者もおるわけです。漁業にも非常に詳しいわけです。そういう海上にずっとなれてますから、一目見ればあれは何しているということがわかるという、そういうベテランもおるわけですね。減船等になってくれば当然はみ出してくるベテランの船員もおる。海技免許も持っている、あるいは持ってなくても適格性があると、それを訓練をすることによって保安庁の職員として十分役立てるということも可能でございまして、最近では保安庁自体で養成をした職員ということが中心になってきてますけれども、御承知のとおり保安庁ができたころには、われわれの仲間の船乗りがずうっと全部海上保安庁に入っていって商船学校、船乗り出身の保安庁の職員という者がたくさんおって、その中から現在ずっともう上のトップクラスになっている人もおるわけでしょう。だから、そういう点で業務量が非常に広くなるというときに、民間から、そういう血の導入をするということも適当な規模において私は考えてしかるべきではないか。そしてきちんと体制をとる必要があると、こういうふうに思うわけです。 これは政策的な要素もありますので、ひとつ大臣にその点は、いまここでやりますということは別にして、これは手伝おうと思って言っているわけですから、逃げるだけじゃなしに、前向きに取り組んでもらいたいと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(田村元君) この前、和田さんにちょっと廊下で申し上げたように、私、非常にユニークな発想だと思うんですよ。で、長官に対して、とにかくこれまあ検討しろということを申しておったのですが、長官がいま答弁しましたように、なかなかむずかしいことを言う。私は船乗りのことしっかりわかりませんから、それに対して反論の余地もないんですけれども、しかし、今日確かに緊急の事態ですから、にべもなくだめだというんでなしに、とにかく検討しろと、こういうことを申しておるわけであります。 私の記憶が間違っていなければ、終戦のあの前後に陸軍なんかの憲兵まで補助憲兵なんという、もうその辺からかに集めてきてやっておったこともありますね。ああいう非常に重要な任務や資格を持った者でもそういうこともあったし、一種の緊急避難的なといいますか、緊急対策的な問題でもありますので、私は保安庁長官になおも検討してもらいたいと思うんです。まあ三十何名がワンセットといいますが、それはちょっと私にはわかりませんから何とも言いようがありませんが、きょうの御質問と、また長官の答弁を踏まえまして、今後も急いで、それこそ急いで真剣に再検討に再検討を重ねるということを長官に指示いたしておきます。
○和田春生君 先ほど通信のことにちょっと触れられました。実はこれ少し詳しくお伺いしようとも思っていたんですが、時間もございませんから端的にお伺いしますけれども、保安庁だけではなくて、やっぱり自衛隊との間にも、また民間との協力体制というようなものも必要だと思いますね。その場合何といっても通信体制、そういうような連絡等に対しまして私は一元的に方式を決めて、十分間に合うような適確な通信が行えるようにする必要があると思います。そういう点についてどういう準備をし、どういうふうにお考えになっておるか、その点を伺いたいと思います。
○政府委員(薗村泰彦君) 端的に申し上げまして、短波の聴守体制をつくりたいと思っております。で、全国で幾つ局をつくったら完全に聴守できますかどうか検討したいということでございます。それから協力をしてくれる他の機関との連絡については、これは当該のところと、もうまさに目前の事態に備えて、許される範囲において相談したいということでございます。
○委員長(上林繁次郎君) 本日はこれにて散会いたします。 午後四時十分散会 —————・—————