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80回国会参議院1977/04/21

運輸委員会 第5号

発言数
224
登壇者
14
会派数
5
開催日
1977/04/21

会議録

上林繁次郎公明党

○委員長(上林繁次郎君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  十三日、宮田輝君が委員を辞任され、その補欠として黒住忠行君が委員に選任され、十九日、小柳勇君が委員を辞任され、その補欠として戸田菊雄君が委員に選任され、昨二十日、藤田進君及び和田春生君が委員を辞任され、その補欠として秦豊君及び向井長年君が委員に選任されました。     —————————————

上林繁次郎公明党

○委員長(上林繁次郎君) 外国等による本邦外航船舶運航事業者に対する不利益な取扱いに対する特別措置に関する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。田村運輸大臣。

田村元自由民主党運輸大臣

○国務大臣(田村元君) ただいま議題となりました外国等による本邦外航船舶運航事業者に対する不利益な取扱いに対する特別措置に関する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  国際海運の分野におきましては、伝統的に海運活動を事業者の自主性にゆだね、国家の干渉はできるだけ少なくすることが海運、ひいては貿易の発展に寄与するとの考えから、いわゆる海運自由の原則がとられてまいりました。  しかしながら、近時、発展途上国の中には、自国商船隊の拡充等を目指して、法律等により自国関係貨物を自国船に留保する等の国旗差別政策を実施し、またはそれを強化するものが増加してきており、わが国海運は、このような国旗差別政策により大きな影響を受けております。  これらの一方的な国旗差別政策については、海運自由の原則を守る立場から、直接影響を受けている民間海運事業者が、個々に交渉し、あるいは海運同盟の場においてその実施を控えさせるための交渉をするなどの措置をとってまいりましたが、政府といたしましても、他の先進海運諸国とも協調して、外交交渉によりこれらの国旗差別政策を改めさせるよう努力してまいりました。しかしながら、このような措置だけでは十分な効果が期待できないのがその実情であります。  このため、日本・欧州政府間の団体である先進海運国閣僚会議におきましては、外交交渉によって問題が解決しない場合の究極的な手段として、国旗差別国の船舶の入港制限等を含む対抗措置を整備することが必要であるとの合意に至っており、欧州の先進海運諸国は、これらの国旗差別政策に対抗するため、すでに法律によってそれらの国の船舶に対する入港規制等の措置をとることができる制度を確立しております。  わが国といたしましても、他の先進海運諸国と同じく、このような国旗差別政策を是正させるための外交交渉を推進する場合における究極的な法的対抗手段を整備する必要があり、そのため、外国等による本邦外航船舶運航事業者に対する不利益な取扱いに対する特別措置に関する法律を制定しようとするものであります。  次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。  本法律案は、第一に、本邦の外航船舶運航事業者が、外国等の国旗差別政策により不利益な取り扱いをされ、その利益が著しく害されている場合において、その事態に対処するため必要があると認めるときは、運輸大臣は、当該外国の外航船舶運航事業者に対し、一定期間内にその事態が消滅しないときは対抗措置を命ずることがある旨を通告することができることとしております。  第二に、右の一定期間内に、本邦の外航船舶運航事業者の利益が著しく害されている事態がなお消滅していないと認める場合には、運輸大臣は、当該外国の外航船舶運航事業者に対し、その船舶について本邦の港への入港または本邦における貨物の積みおろしの制限または禁止を命ずることができることとしております。  第三に、当該外国の外航船舶運航事業者が運輸大臣の命令に違反した場合には罰則を適用することとしております。  これらのほか、運輸大臣が対抗措置の通告及び命令をする場合には、関係行政機関の長と協議して行うこととする等所要の規定を整備することとしております。  以上がこの法律案を提出する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。

上林繁次郎公明党

○委員長(上林繁次郎君) 本案に対する質疑は後刻行います。     —————————————

上林繁次郎公明党

○委員長(上林繁次郎君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  運輸事情等に関する調査のため、本日の委員会に、新東京国際空港公団総裁大塚茂君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上林繁次郎公明党

○委員長(上林繁次郎君) 御異議ないと認めます。  なお、出席時刻等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上林繁次郎公明党

○委員長(上林繁次郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

上林繁次郎公明党

○委員長(上林繁次郎君) これより運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  御質疑のある方は御発言願います。

秦豊日本社会党

○秦豊君 私は、成田の空港問題に絡んでかなり基本的な問題を幾つかただしておきたいと思います。  現在のA滑走路ですね、あれが完成したのは何年何月ですか。

大塚茂新東京国際空港公団総裁

○参考人(大塚茂君) 四十七年の春ごろだったというふうに記憶いたしております。

秦豊日本社会党

○秦豊君 数年前ですね、少なくとも。そうすると、いままでA滑走路が完成してから数年という、それほど遅延に遅延を重ねた最も基本的な理由をどう把握していらっしゃいますか。鉄塔がじゃまだったんですか。

大塚茂新東京国際空港公団総裁

○参考人(大塚茂君) 最初は、土地取得につきまして地元に猛烈な反対がございまして、主としてその関係で大幅におくれました。その後は、鉄塔あるいは燃料輸送等のおくれということからおくれてきておる、まあ大ざっぱに言いましてそういうこと。そのほかいろいろ細かいことはございます。かようなことでございます。

秦豊日本社会党

○秦豊君 結局、大きなファクターとしては、阻害要因としては燃料輸送系統でしょう。その比率は非常に高いと思うんです。この燃料輸送の開設に手間取った一番大きな原因、責任、これはどこにあるとお考えですか。まさか、現地で反対をしている農民の皆さんとか、千葉のパイプラインに反対している反対派の市民グループとか、そういう人々に責任があるというふうな認識をお持ちですか。

大塚茂新東京国際空港公団総裁

○参考人(大塚茂君) 最初、本格パイプラインを計画いたしておりましたが、その計画が主として千葉市の地元の反対でうまくいかなくなったというのが一つの大きなファクターでございます。その後、したがいまして、暫定輸送ということで鉄道による輸送の計画に切りかえたわけでございますが、これに必要な鹿島に基地をつくるため、必要な消防許可を得るのに非常に時間がかかったということが最も大きなおくれた原因でございます。そのほか、沿線市町村等の要望に対しまして、いろいろ話し合いにこれまた時間がかかった、こういうふうな点が燃料輸送のおくれてきた大きな理由でございます。

秦豊日本社会党

○秦豊君 私は、原因とあわせて責任を問うているんです。あなたの責任の感じ方というのは、やや失礼だが視野狭窄的で、非常に限定的にとらえようとしている、意識的に。そういう点が大変に不満です。責任に限定してもう一度答弁を願いたい。

大塚茂新東京国際空港公団総裁

○参考人(大塚茂君) これは相手があることでございますので、相手の責任かこちらの責任かというようなことはなかなか微妙でございまして、私が割り切って申し上げるというのはどうかと思いますが、公団側のやり方が私は万全であったというふうなことは申し上げるつもりはございません。

秦豊日本社会党

○秦豊君 同じポイントで、田村運輸大臣はどのように感じていらっしゃいますか。特に責任に局限して。

田村元自由民主党運輸大臣

○国務大臣(田村元君) もちろん現地の反対闘争について政府にも、公団にも、とりわけ公団には言い分があろうかと思います。しかし政治、行政というのは、究極的には政府の責任になるわけであります。でありますから、その意味において公団総裁の責任は免れない、国民に対する責任は免れない、直接的には公団総裁の責任でございましょう。同時に、ひいては担当大臣である私どもの責任、これは国民の前でやはりはっきりと認めなければならないと思います。

秦豊日本社会党

○秦豊君 非常に率直な御答弁だと思います。  佐藤文生自民党成田空港建設特別委員長、この佐藤氏がかつて七五年七月十八日号の「朝日ジャーナル」で同じ問題に触れまして、「これは明らかに政府の責任です。地域住民に責任はない。政治家が負わねばならない非常に尊い、貴重な責任です。」と、こういうふうに断言していらっしゃる。いまの田村運輸大臣の御答弁も、そういう意味で非常に率直であったと思います。何も、こういうことを限定して質問に入ろうというわけじゃなくて、一言確かめたかったんです。  私は、本論としては、成田空港のこの騒音の問題にしぼりたいと思います。  これは大塚さんの方からいただいた資料なんですけれども、「新空港だより」というんですね。これに五十一年一月八日に運輸省から告示されました先ほどのA滑走路の騒音コンターが記載されています。これによりますと、皆さんの分類による第一種区域においては、「民家防音工事」というふうに書いてありますけれども、その実態は——民家と言えば独立家屋一戸全部なんですか、それとも民家の中の特定の部屋一室または二室、こういうふうになっているんじゃありませんか。実態はどうなんですか。

大塚茂新東京国際空港公団総裁

○参考人(大塚茂君) 民家と申しましても、一世帯について一室というのが基準でございます。ただ、家族が五人以上の場合は二室まで防音工事をすることに助成をいたします。

秦豊日本社会党

○秦豊君 民家の防音工事についての大阪空港に関する高等裁判所判決——これはすでにお聞き取りだろうと思いますが、あの高裁判決の趣旨からいたしますと、いまのあなたの答弁は大変不足していますよ。正しくありませんよ、その答弁では。どうお考えになりますか。

大塚茂新東京国際空港公団総裁

○参考人(大塚茂君) 高裁判決の詳細を全部記憶いたしておりませんが、まあ十分とは私どもも考えておりませんけれども、現状においてはやむを得ない基準であるというふうに考えております。

秦豊日本社会党

○秦豊君 公団の総裁というのはもっとシビアな認識をお持ちになったらいかがですか。いま空港問題は騒音問題だとさえ言われていて、大変これ貴重な時間で残念なんですけれども、あなたがその程度のあいまいな記憶ではとても次に進めないから、あなたにお読みしますから、今度はしっかりと覚えていただきたいと思う、これは大事なポイントなんだから。  これは大阪国際空港の公害訴訟控訴審の判決です。大阪高裁昭和五十年十一月二十七日判決。これを見ますと、木造家屋の一部のみに防音工事をした場合は明らかに不十分である。数名の家族がいつも一室ないし二室に起居することは不可能であるためである。したがってこの程度——ということはあなたの言われるような一部屋ぐらいに限定をしたものですね。この程度の防音工事は、家庭における生活全般の被害を緩和するには十分ではない、こう言っているんです。したがって、さしあたり応急的措置の域を出ないものというほかはないと。だから改善せよ、これはいやしくも大阪高裁の判決の趣旨なんですよ。だから、その趣旨がすでに五十年に出ているのです。あなたの認識は五十年以前にとどまって、しかも恬としてそのことについて厳しい認識をお持ちになろうとしない。それは明らかに公団の総裁としては誤りではありませんかということを重ねてあなたに申し上げたい。どうなんですか。

大塚茂新東京国際空港公団総裁

○参考人(大塚茂君) 確かに大阪高裁の判決は一つの見識であるというふうに私どもは思います。したがって、先ほど私が申し上げましたように、現状で私も必ずしも十分というふうには考えておりませんで、あくまでこれは応急的なものだというふうに考えておりますから、なおひとつ、われわれとしても改善の努力は前向きにしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。

秦豊日本社会党

○秦豊君 だんだんそのことについては今後の質問の展開であなたに詰めたいと思いますけれども、あなた方の発表されたこの国際基準、八五以内あるいは八〇、七五コンターのこのエリア、この地域で土地規制法のことがいろいろと取りざたされているわけなんですが、その後の動きはどうなっているのですか。

高橋寿夫運輸省航空局長

○政府委員(高橋寿夫君) 空港周辺の土地の利用規制、特に空港ができてからそこに入居してこられる方々をできるだけ少なくしたい、制限したいというところから、かねて空港周辺の土地の利用規制について立法措置を講ずべきだということが言われておりまして、私どもも実は先国会からこれをお出しすべく準備をいたしておりましたけれども、なかなか日本の立法論としてむずかしい点がございまして先国会上程に至りませんでした。今国会につきましても、建設省といま協力しながら何とか法案を上程すべく努力をしておるところでございます。なかなか立法論としてむずかしいという点がございますので、かなり難航しておりますけれども、何とかして上程したいと努力をいたしております。

秦豊日本社会党

○秦豊君 そのような動きであると私も承知しておりますが、それではこれに関連しまして、成田空港については航空機騒音に係る環境基準というものはどうあるべきだというふうに政府側はいままで取り決めてきたのか。これはすでに基準があるはずですから、明確にお答えを願いたいのですが。

高橋寿夫運輸省航空局長

○政府委員(高橋寿夫君) これは環境庁告示で出されておりまして、昭和五十三年に中間目標を達成せよ、五十八年には最終目標を達成せよということで一律に全国の空港につきまして適用されている基準を成田空港につきましても適用されるものと考えまして、それをクリアすべき準備をしておるところでございます。

秦豊日本社会党

○秦豊君 あの基準というのは何項目かありますね。そして、たとえば国際基準の住居専用地域では十年以内に国際基準であるうるささの度合い、つまり七〇WECPNL、それから住居専用地域以外の地域であって普通の生活を保つ必要がある地域については七五以下とするとか、いろいろ細々と比較的厳密に規定されていて、そうしてなお「達成期間等」の3のところには、達成期間内で、そのいま言った環境基準を達成することがむずかしいと考えられる地域においては、家屋の防音工事等を行うことによって環境基準が達成された場合と同じような条件を与えなければならない、たしかこうなっていますね。私の読み違いではないでしょうね、局長、これ。

高橋寿夫運輸省航空局長

○政府委員(高橋寿夫君) 先生のおっしゃるとおりでございます。

秦豊日本社会党

○秦豊君 そうしますと、いまから六年後にはどうしても達成しなければならない、まさに田村運輸大臣が明言されましたように、究極的にはこれは行政の責任だと佐藤文生さんも言っている、それが常識だと思う。行政の衝に立つ人の、私は誠実に行おうとすればするほど厳密にみずからを拘束する基準だと思うのですよ。そうなりますと、いまから六年後に達成されるべき環境基準としてのいま申し上げた七〇とか七五とかいうこのコンター、これは防音工事というのは財政の裏づけ必要ですから、いまみたいに不十分なものであっても。そうするとどうなるかというと、防音工事等に必要ないわば騒音対策費、これを見積もって積算しなければいけませんね。そういう上でいま最も必要なのは、つまり、ずばり言えばA滑走路についてのそのコンターなんですよ。  環境庁が取り決め、それが運輸省に通達され、行政の原則になっているA滑走路についての七〇、七五のこのコンター。これがどうしても行政措置を考え、財源措置を裏づける上には目の子じゃいけませんからね、大福帳は許されませんからね、行政の場合に。厳密に執行するとなれば、どうしてもA滑走路についてのコンターが基準になるんです、これこそ。環境基準、それから防音工事の財源措置、その大前提のような基準がA滑走路についての七〇と七五のWECPNLのコンターだと。私の認識ではそうなんですが、当局側はどういうふうに受けとめていらっしゃいますか。

高橋寿夫運輸省航空局長

○政府委員(高橋寿夫君) 私どもは行政を進めていく場合の段取りといたしましては、さしあたり五十三年の中間目標をクリアすべきであるというところを当面の目標に掲げまして、これに必要なコンターを描き、そして、それに即しまして第一種地域等の地域割りをいたしまして、それをめどにいたしまして現在行政をしておりますが、それが五十三年で達成されましたらその次の段階、これは五十八年が当然想定されますので、五十三年前提のコンターを描きまして、そしてそれに必要な対策を講ずる、二段構えで進めているところでございます。

秦豊日本社会党

○秦豊君 二段構えでも三段構えでもいいんですけれども、私があなた方に聞いているのは、一番大事な基準を算定するそのまた基準だから、環境基準のための基準だから、あらゆるものに優先してこれが行政機関を通じ、国会を通じて国民の皆さんに明らかにされなければならない。そのことがやはり、成田空港というものについてつきまとっているいわば国民的な疑惑というものは少しでも払拭するというか、ぬぐい去るというか、軽減するというか、そういうものの私は保証になると思うんです。  だから、あなたの答弁では何かぼわっとしているから重ねて聞くんだけれども、要するに二段構えはあなた方の心組みですよね、私の申し上げたコンターをお出しになる用意があるのかないのかをはっきり答えていただきたい。

松本操運輸省航空局次長

○政府委員(松本操君) まず先生御指摘のように、五十八年に成田空港は最終目標に持っていかなければなりません。その前段といたしまして、これは先ほど先生引用されました告示にも出てまいりますが、五十三年の目標というのがございまして、これは屋外で八五、これが達し得ない場合には屋内で六五、この屋内でという点の解釈について、冒頭、先生から御指摘があったとおり、私ども現在手がついておりますのは一室ないし二室でございますが、屋内でというのを完全に理解しようとすれば決して十分であるとは言えないと思います。しかし、それは限られた期間内に少しも落ちこぼれがないように最低限のところまでは持っていきたい。これはただいま局長お答え申し上げましたような第一段階のところは最低限のところまでは持っていきたい。こういうことで五十三年度の目標値というものを念頭に置きまして、八五のWECPNLを一番外側に置きましたコンターをベースに現在地区割りが告示してあるわけでございます。  次に、五十八年ということになりますと、この時点においてまさに先生おっしゃいますように、今後の過程でどれだけ金が要ってどういうふうに具体的にやっていくのかということを詰めていかなければならないのはおっしゃるとおりでございますけれども、私どもの方が成田空港のみならず、そのほかの国内空港についても同様の立場にいま立たされておるわけでございますが、今後の交通量の変化あるいは機材の変更、路線構成の変更、こういうことを克明に盛り込んでまいりませんと、七〇ないし七五と、こういう形で余り誤差のないものを出していこうという場合に非常に難しい問題が現在ございます。  したがいまして、現在のところは成田のみならず、ほかの空港もそうでございますけれども、一応五十三年目標の八五を念頭に置いてつくってございます。現在、だから、七〇と七五を出すのか出せないのか、こういう御質問に端的にお答えいたしますと、遺憾ながら現在私どもが持っておりますデータでは七〇ないし七五という数字をある程度の信頼性を持って皆さんにごらんに供するというのは非常に困難である、むしろかえって後で違ってましたということになるとえらいことになりますので、さしあたりは八五を念頭に五十三年目標の達成に努力すると、こういうことでいきたいというような考え方でございます。

秦豊日本社会党

○秦豊君 まあそう答弁されるだろうと思いましたね。いや、そういう答弁しかないと思いますね、率直に言えば。つまり出す出さない、一たん出す。そうすると、非常に中間的なもんで、峻烈な専門家の批判に耐え得ない。ならば、運輸当局は何をしておるかというふうになってまた負い目をつくる、それはいやだと。少なくとも御自分が局次長であり、局長である間はどうもやりたくないと。そういう気持ちは通有性だと思うんだけれども、それじゃ伺いますが、一応何かいまは出すとかえって誤解を招くというふうにアバウトなものをつくっていらっしゃると思うんだが、一応つくっていらっしゃるんですか、一応。どうなんですか。いまの口ぶりからすると、何かあるみたいですね。あるんですか。

松本操運輸省航空局次長

○政府委員(松本操君) 私のお答えについての先生の御理解が大変私の意図と違ってきましたので——つくってあるのに、これを出しますといろいろ問題があるからいまは出せないと、こういう趣旨ではございませんのでございまして、現在私どもが持っております予測コンターの作製技術という、その点から判断いたしまして、八五まででしたらまず大体間違いのないところが出せる。それでも、先生御承知かと思いますが、大阪あたりでは予測コンターと実測値が違うじゃないかというふうなことで二年ばかり議論がございました。したがいまして、七〇とか七五とかというあたりになりますと非常にむずかしいので、実はそこまでのデータをそろえてつくるというだけの自信が私どもはない。  したがって今年度、五十二年度には、環境庁にお約束した中にもございますけれども、予測コンター作製の精度向上の技術開発をしたい。それをやりませんと、五十三年の終わり、つまり来暦年の終わりにはもう目標が来てしまいます。そうしますと、どうしても五十八年目標を次に出さなければならない。それは一種、一類または二類の住専であるかないかによって七〇または七五というのを、今度はまず誤りのないところで皆様にごらんに供しなければなりませんので、目下私どもはそれに精を出しておる。あるけれども自信がないので、あるいは後でとやかく言われるといやだから出さないという趣旨ではございませんで、純粋に申し上げて、技術的にごらんに供するほどの技術をいま持っていないというのが実情でございます。

秦豊日本社会党

○秦豊君 それじゃ、ちょっと角度を変えましょう。  ここの書類は、建設大臣を被告とした空港のための土地収用に関する裁判のこれ準備書面なんですけれども、そこでは、「WECPNL七〇以上の騒音ゾーンは原告らが主張する程広大ではない」という表現が準備書面の百三十三ページに記載されているんです。これは大塚さんの所管でもあり、松本さんの方にもかぶさっていくことだと思うんだが、そうすると、いやしくもこれ厳正な法廷に出す書面、準備書面の中に、原告らが主張するほど七〇のゾーンは広大ではないと言い切れるならば、これは行政府から出たんですからね、そうすると、あなた方は何らかの基準をお持ちになっているという証左、裏づけになりませんか。その点、双方の方々からお答えを願いたいんだが。

大塚茂新東京国際空港公団総裁

○参考人(大塚茂君) 私の方から実は建設省の方に意見を申し上げましたので、それが裁判所の方へ提出をされたといういきさつになっておるようでございます。七〇WECPNLの騒音コンターというのは、先ほど航空局の次長から申し上げましたように、五十八年の最終目標でございますので、まあいまのところはわれわれとしてはつくってはおりません。ただ裁判で、大体滑走路の末端から約五十キロ、北の方は霞ケ浦の北の方から九十九里浜付近まで七〇の範囲に入るというようなことが裁判で主張されたようでございますので、現在の八五をつくるときの状況から簡単に、これはもう本当に簡単に目の子でやってみても、大体三十キロ前後までではなかろうかというような大体の見当だったもんですから、建設省の方へ、われわれの方としてはそんなに大きくはないはずですということを申し上げたというふうに聞いております。

松本操運輸省航空局次長

○政府委員(松本操君) いま先生お読みになりましたように、非常に漠然とした答えしか実は書いてないはずでございまして、原告の主張するようにそんなに広くはならないと思いますと、なるはずがない、こういうふうな言い方をしておると思います。これは私、それ自身を詰めていまお答えしているわけではございませんが、私の先ほど申し上げましたお答えとの関連性において申し上げますならば、現在の八五云々のベースを出しますときに一つの前提がございます。  つまり輸送需要なり、機材なり、あるいは路線別の距離なり、こういうものを前提にしてつくっておりますが、それが実はかなりシビアな状況で押さえている。そういうふうなことから、ただ計算機に入れましてタカタカタカタカ計算をいたしますと、それはこうずっと出てまいりますが、しかし、恐らくそんなにはなるはずがないということを申しておる趣旨でございまして、私どもはこういうものを持っておって、それとの比較考量において何十キロだが何十キロだと、こういうふうなくっきりした議論ではないわけです。したがってその表現も、まさにいまお読みいただきましたように、やや漠然とした、そんなに広大になるというふうには考えられないと、こういうふうな主張をしておるものと私は理解をしております。

秦豊日本社会党

○秦豊君 それはお二人とも間違った、正確な日本語を使っていらっしゃらない。「七〇以上の騒音ゾーンは原告らが主張する程広大ではない」と。広大ではないと推測されるとか、広大ではないものと思考されるとかという言葉を使っていますか。「広大ではない」ということは、きっぱり断言しているんです。あなた方お二人の答弁を聞いていると、ほとんど基準もないけど、原告はこれほど大きいのを言っていると、そんなはずはないと思いたいという願望であって、こんなに傲慢に「広大ではない」と、きっぱり司法当局に出す書面に、これはあなた一般の私人同士のレターではありませんよ。こういうものに「広大ではない」なんて断言的に書いておいて、答弁のときには、いや、かなりアバウトですと言わんばかりの答弁で、しかも確たる技術的な進歩も、裏づけがないからコンターはどうもいまのところは二段階でやりますとか、そういう答弁。  つまり、あなた方の対応自体が、全般的に成田については、もう後手、後手、後手もいいところなんだ。その一つがここにあらわれている。ところが行政がときどき高姿勢になって、ある局面を乗り切りたくなると、こういうふうに何の基準もない、何の裏づけもないくせに、傲慢にも原告の主張を退けるために、それほど広大ではないと、珍しく断言をしたりする。こういうチェンジ・オブ・ペースというか、使い分けを運輸当局はさんざんやるんですよ。これは間違った姿勢ですよ。こういう傲慢なことを言ってはいけません。もしこれを断言できるほどの裏づけがあるならば、それを出すのが誠実な対応です。この個所についての答弁ははなはだしくいままでの答弁で一番不満だから、その点を重ねて大塚さん、あなた答えていただきたい。間違っているとお考えになりませんか。

大塚茂新東京国際空港公団総裁

○参考人(大塚茂君) われわれは、先ほど私からも、また松本次長からも申し上げましたように、現在のデータだけで簡単に見当をつけても五十キロの距離までは及ばないと、これだけは私は断言して差し支えないというふうに考えております。

松本操運輸省航空局次長

○政府委員(松本操君) 私、先ほどお答えをいたしましたのは、いま急におっしゃるようにチェンジ・オブ・ペースをしてごまかしているということではございませんので、先ほど具体的に申し上げませんでしたが、たとえて申し上げますならば、現在の八五のコンターを出しますときに、たとえばジャンボ化率が三五%であるというふうな前提を置いて計算をしてございます。恐らくそれの前提をずっと先へ伸ばしてまいりますと、われわれ計算したわけでございませんからわかりませんが、非常に広い範囲が出てくるというふうな可能性はあると思います。  ところが、現実論といたしまして、羽田の国際線は、ちょっと私、数字を明確に記憶しておりませんが、昨年の時点で五八、九%になっておったかと思います。したがってジャンボ化が進みますと、いま大阪でもいろんな議論がございますように、当然音が音源で下がってまいりますので、同じ機数を飛んでおりましてもその分だけ小さくなってしまう。そういうふうなことをあわせ考えますと、原告側の方も、どういう基準で計算したかということを明らかにしていたのではなかったのではないかと思いますが、私どもが持ち得る手持ちの常識的な判断においてなした限りにおいて、こんなに広くなるはずはない。こういうふうなことから、いま再々お読み上げいただいているような答えを書く、こういう経緯があったのではないかと、こういうふうに考えております。

秦豊日本社会党

○秦豊君 決してお二人の答弁をよしとはしません。しませんが、一応時間の制約もありますから次に進めたいと思います。  それじゃ、空港の第二期工事ですね、これはいつから始まって、いつ終わる御予定ですか。

大塚茂新東京国際空港公団総裁

○参考人(大塚茂君) いまのところ、もう始まっておると言えば始まっておるわけでございます、工事用の道路等の建設に着手をいたしておりますから。しかし、滑走路そのものの工事自体ということは、第一期の開港した後、財政当局その他と相談をして本格的な工事の着工を決めたいというふうに思っておりますが、第三次空港整備五カ年計画では、その期間内にB滑走路の本体だけは完成をするという計画になっております。

秦豊日本社会党

○秦豊君 つまり、第二期工事は五十五年度には終わりたいわけですよね。そうですね。そうしますと、第二期工事の場合はB滑走路が問題になります。B滑走路の騒音予測コンターというのは、これはいつお出しになるのですか。

大塚茂新東京国際空港公団総裁

○参考人(大塚茂君) 正式な地域指定をします告示は、これは政府の方でおやりになるのでございますが、Aランにつきましてもその前に、空港公団で予想コンターというのを住民の方々の今後の生活設計の参考という意味で発表いたしておりますので、その予想コンターを現在作業中でございまして、これはそう遠くないうちに発表できると思っております。

秦豊日本社会党

○秦豊君 そういうように漠然と何でもソフトフォーカスにするから誤解を生ずるのです。同じ問題について衆議院の予算委員会でうちの同僚議員が聞いているじゃありませんか。そうしたらあなた方は、一、二カ月以内に出すと明言していますね、予算委員会で。いまの答弁は、やってみた、手をつけてみたらどうも危なっかしいというので、参議院の私に対する答弁ではやややわらかくトーンダウンするということなんではありませんか。一、二カ月以内に出すと明言された答弁はやっぱり修正されるのですか、どうなんですか。

大塚茂新東京国際空港公団総裁

○参考人(大塚茂君) 別に修正はいたしません。まあ多少のずれはあるかもしれませんが、大体一カ月以内ぐらいに発表するつもりであります。

秦豊日本社会党

○秦豊君 結構です。じゃ、その一月ぐらいを待ってみたいと思います。  じゃ、その今度一月以内ぐらいに出すデータですね、これは一体いつの時点を織り込んだものですか。言い方をかえれば、いつの時点を想定したものですか。

大塚茂新東京国際空港公団総裁

○参考人(大塚茂君) これは環境基準の最終目標達成年次でございます五十八年の航空需要を予想しまして作成をいたしております。

秦豊日本社会党

○秦豊君 言いかえれば、第二期工事完成後、つまり昭和五十五年以降と、こうなるわけですね。そうしますと、大塚さん、こうなりはしませんか、論理的に。先ほどからずっと松本さんにも聞いているのだけれども、そうなりますと、八五以上のコンターではなくて、七〇及び七五以上のコンターに当然論理的になるわけですね。そうじやないでしょうか。

大塚茂新東京国際空港公団総裁

○参考人(大塚茂君) 論理的には先生のおっしゃるとおりだと思います。ただ、七〇とか七五ということになりますと、まだ現段階において、五十八年のそう狂いのないコンターをここで作成をして発表するというだけの自信がございません。したがって、生活設計の大体参考にしていただくという意味にしていただくという意味でございますので、われわれが比較的自信を持つといいますか、現実に正式のコンターを決めた場合にも、そう大きな違いはないだろうというふうに考えられる八五WECPNL以上のコンターを現在作成中でございます。

秦豊日本社会党

○秦豊君 これは念を入れておきたいのです。やっぱりこれも将来大事なポイントになりますからね。つまり、総裁、これ理解していらっしゃるのでしょうね。八五以上のコンターに意味があるというのは、このことは、とりもなおさず環境基準に基づいて五十三年末までですよね。それはそうですね。そうすると、それ以降というのは、ちらっとおっしゃったけれども、五十八年末の七〇、それから七五のみが問題になるのですよね。この理解は正確でしょうね。

大塚茂新東京国際空港公団総裁

○参考人(大塚茂君) はい。八五以上ももちろん問題になりますが、七〇ないし七五というのも当然問題になるわけでございます。

秦豊日本社会党

○秦豊君 大分話が筋道が立ってきまして、あなたがそこまで認められたとしますと、A滑走路について五十八年末目標である七〇及び七五WECPNLというのは、予測値として出せることになりゃしませんか。そこまで二人の認識が共通したのだから、基準があるのだから。そうじゃありませんか。それが当然じゃありませんか。

大塚茂新東京国際空港公団総裁

○参考人(大塚茂君) 五十八年以降七〇ないし七五が問題になることは、これはもう先生と一致した意見でございますけれども、現在の段階でそのコンターを自信のあるやつがつくれるかどうかということになりますと、先ほど申し上げましたように、また松本次長からも申し上げましたような事情で、現在の段階ではわれわれとしては自信がない、こういうことでございます。

秦豊日本社会党

○秦豊君 大塚総裁も、婦長も、局次長も、どうももどもどする、出しにくいというのは、対象エリアが余りにもワイドなんですよ。それがわかっているのです。わかり始めているのです。そこで、余りにも広大な地域になっているからなんです。  これは予算委員会で時間がなかったからやめたのですけれども、これは(地図を示す)私たちが民間の航空機騒音の第一人者に委嘱をしましてつくったコンターなんですが、あなた方はできない、できないとおっしゃるのだが、専門家はつくっているのですよ。しかもあなた方の出したデータを踏まえているのですよ。それはあなた方が——あなた方という意味は、この場合は空港公団、大塚さんのところですよ。五十一年新空港運航予測シミュレーションというのがありますね。その予測シミュレーションに基づいて航空機騒音の研究家、つまり専門家が作成したコンターがこれなんです。専門家はつくっているわけですね。あなた方も専門家だからつくれるわけなんですよ。問題は、やろうとしたけれども、余りにも課題が大きい、厳しい。一体もう予算の裏づけを考えただけでも気が遠くなる。大蔵省の厳しい顔が目に浮かぶ。とてもこれは自信がないというわけで、だんだんだんだんおっくうになっているのです。  これは専門家がつくった場合に直線進入、直線発進の地域で七〇WECPNL以上のものは——この地図を、もし御不審ならば、あなた方専門家だから見ればいいんだが、一番外側のやや長楕円のところ、これを当てはめてみると、北は土浦市、それから南は九十九里の方まで、九十九里の沖合いまで出るのです。陸地を越えているのですよ。そうしますと、これ国勢調査の、国調の五十年調査のデータを当てはめてみましても、南北百キロメートル、東西十キロメートルという、とてつもない広大な地域のものになるということを専門家はすでにはじいているのです。あなた方の出したデータによってですよ。われわれが恣意的につくったラフなものじゃありません。あなた方のシミュレーションを拝借しただけなんです。ニュースソースはおたくなんです。そこで、これに含まれますと、千葉県では十三の市町村、茨城県では八つの市町村でありまして、五十年の国調を当てはめると六万世帯を下らないという数値が当然これ出てくるんですよ。恐ろしいような数値だと私自身は思い直しているんです。思っているんです。  だから、あなた方はできないとおっしゃったが、専門家はできるとおっしゃったし、しかもこのことは航空機騒音問題研究会、これは芝浦工大の小坂さんが代表なんですけれども、実は皆さんもこれ御存じじゃないでしょうか、五十嵐さん、東大教授で、政府機関の審議機関の一つである中央公害対策審議会の騒音震動の部会長をなさっているから、これは皆さんも御存じだと思いますが、その教授がこれをずっと、何というか検証されて、非常に正確だと、だれがつくってもこれ以外のものはできないだろうということを言われたらしいんですよ。だから、私もこれをレクチャーを受けて持ってきたんですけれども、だから、これは航空機騒音対策の第一人者が、まあこのデータは正確だと言い、しかもその基準になったシミュレーションはあなた方の出したシミュレーションであることを思えば、きょう延々として答弁されたあなた方の答弁ぶりは、いかにも不誠実であり、粗漏であると言わざるを得ないと思いますが、いかがお考えですか。

大塚茂新東京国際空港公団総裁

○参考人(大塚茂君) まあ、おっしゃられますコンターでございますか、これは権威ある方々がおやりになったことであって、私はそれなりに権威のあるものだというふうに思います。ただ、私どもその責任のある地位におります者は、いま先ほどから申し上げましているように、現在の状況で五十八年の自信あるものを発表するということはできないということでございます。内部的にいろいろ前提を設けまして計算をしてみる、やってみるというようなことは、これは幾らでも大胆な前提を置いてやるならばできないことではございません。しかし、その結果が現実に正式なコンターと非常なずれが起こるというようなおそれが現在の状態ではまだあるというふうに私どもは思っておりますので、そうした大胆な前提を置いてつくったコンターを、予測コンターとはいえ、公団が発表することは惑わすことが多いんじゃないかというふうに思うわけでございます。

秦豊日本社会党

○秦豊君 だから、基本的にあなたの総裁としての責任を全うしようとする大塚さんの、失礼だが基本的なありようが——それはレクチャーをどんどんお受けになっているんだろうけれども、基本的にずれがあると思います。これは、惑わすとは何たる発言ですか。あなた方が当該最高の責任者のお一人なんですよ。やがて直面しなければならない問題について、なぜ先見性を持って緻密に対応しようとしないのか。民間でもあなたのデータを引用すればこれができるんですよ。あなた方はあらゆる専門家を動員し得る立場にある。問題は、やろうとしないからなんです。やって出てくる結果がすでにそら恐ろしいからなんですよ。末恐ろしいんですよ。そのことだけはわかっている。私は、あくまでその問題だと思いますよ。間違っていらっしゃる、あなた方。そうだと、いつまでもいつまでも問題が積み残しになって、いつまでも成田は係争の中心になり続けます。しかも、その責任はみんなあなた方にある、きっぱり対応しようとしないあなた方にある、私は、必ずそうなると思います。この点についての答弁は要りません。  それじゃ、ぼくたちのこの民間のコンターというのは、一日二百十二便の発着を前提にしているんですけれども、政府の言う、たしか五十一年一月のこの八五以上のコンターですね、これは何便が前提ですか。

松本操運輸省航空局次長

○政府委員(松本操君) 年間発着回数が五十五万五千、一日の発着回数百五十二回、出発、到着をそれぞれ等分すると、こういう前提にしてございます。

秦豊日本社会党

○秦豊君 それもおかしいんですよ、松本さん。あなた専門家のはずだが。五十三年末の中間目標をとるべきじゃないんですか。百五十二便といったら、いまの羽田空港の離発着とどこが違うんですか。それとも開港をもともとわれわれに対する答弁と違って、あなた方は非常にクレバーだから、五十三年末というふうに初めからインプットしておいたんですか、そうじゃないんですか。

松本操運輸省航空局次長

○政府委員(松本操君) 五十三年末ということで百五十二とか、そういうことを出したわけではごございませんで、四十九年の状況を前提にいたしまして、それを成田空港に当てはめた場合の推定をした——さっき私数字間違えて申し上げたかと思いますが、年間五十五万じゃございません、五万五千五百回で一日百五十二回。それをまた現用の747とか、DC10とか、DC8とか、こういうふうなものに振り分けて出したと、こういうことでございますので。  それじゃ五十三年にどうなっているかということでございますが、御案内のように成田空港は国際空港になっておりますので、したがいまして、これも御案内のとおり、現在三十二カ国から東京に入りたいと、こういうことをいって要求をしてきておる。これらの交渉をこれから延々とやっていくわけでございますので、現実にどうなるかというのはよくわかりません。さらに、さっきもちょっと申し上げましたように、機材がどう変わるかというのもよくわかりません。したがって、一応これで出しまして、これはこれなりに私どもは根拠のある推測値だと、こう考えておりますが、実際にそれが変わってきた場合に当然見直しをし修正をすると、こういう手段をとるべきと思っております。

秦豊日本社会党

○秦豊君 これは百歩を譲っての質問です、この部分は。年内開港なんかできっこないと思っている。だから福田赳夫総理は正直で、年内と言ったり年度内——まあ田村運輸大臣は、この前予算委員会で私には年内、たしか度が抜けていたと思いますけれども、まあ仮に譲って年内開港と仮定して、それじゃ開港した、どんどん飛行機が離発着する、六年後の五十八年末にA滑走路だけでは何機の発着がシミュレーションとしては打ち込まれているんですか。

松本操運輸省航空局次長

○政府委員(松本操君) 滑走路一本で成田の場合には十三万三千回であったと記憶しております。

秦豊日本社会党

○秦豊君 多分そのころの予測数値が二百十二便以上となるはずです、どう計算しても。そうなりますよ。  そうしますとね、先ほどこの五十嵐教授が妥当だと言われたこれですね、この民間のコンターよりは地域がさらにこれよりまた広がるということに必ずなると思うんです。私たちはそう思うんです。専門家としてどうですか。

松本操運輸省航空局次長

○政府委員(松本操君) まあ、二百十二便になりますかどうですか私よくわかりませんが、そういたしますと、大体七万五千かそのくらいの数字であろうかと思います。で、そういうことを前提にいたしまして、そしてそのときにどういう機材が飛んでいるのか、路線構成がどうなっているのかということが実は非常に問題になってまいります。そこで、先ほど来先生お示しの予測コンターの手法といたしましてどういうふうな手法を使ったのか私よくわかりませんけれども、お話を伺っておった限りでは、公団の方で出したシミュレーションのデータをベースに機材その他を据え置いて、こう出していかれたんではないかと思います。  したがって、先ほど来しばしば申し上げておりますように、仮に747とか、DC10とか、こういうふうなものがふえてまいりますと、一機当たりの音が場合によっては六、あるいは八、十、こういうふうに下がってきてしまいますから、同じ便数でもそれだけ入ってきてしまう。非常に私どもが困っておりますのは、これは決してその七〇、七五のエリアが広過ぎて困っているのではございませんのでありまして、これも先生非常にお詳しいようでございますので御理解いただけるかと思いますが、横軸に距離をとって縦軸に音の大きさを出してまいります。これはわれわれが俗に言う片ログ目盛りというやつでございますから、ロガリズムのカーブでございますので、余りよくわからないんですが、あれは十デシベル違うということはエネルギーは十分の一、二十デシベルということは百分の一ということでございますので、ちょっと違っただけでえらく違ってしまう。  そのしかも先の方がどうなっているのかというあたりになりますと、先ほど御答弁申し上げたように現在の予測技術では非常に精度が落ちてきてしまう。そこで、それをベースにしてああだこうだという議論をしてみましても、非常に当てにならない数字、自分自身がよくわからぬ数字を皆さんにごらんに入れると、こういうことになりはしないか。それはやはり避けるべきではないかということで、五十二年度精いっぱいかかってこの研究開発をいたしまして、五十四年というのがもうちゃんと見えておりますから、五十三年じゅうにはその新しく開発した手法によって五十八年コンターを出してまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。

秦豊日本社会党

○秦豊君 まあ、あなたがもし局次長としての職責の範囲内でもしわれわれの、民間の専門家の手法について興味と関心がおありならば、いつでもお引き合わせをし、謙虚にそれを聞く耳をお持ちならば、いつでも御紹介の労をとります。恐らくその緻密さに驚嘆されると思いますよ。そんなに、出すや否や、世を惑わすとか、とんでもない。非常に失礼な発言だと思いますよ。五十嵐さんを除いて、およそ航空機騒音でその人より該博な情報と論理を持った人をほかに知りませんよ、私は。だから、何か運輸当局と大塚さん等の発言は、はなはだもって不満であるけれども、余り細々やっていると当委員会の審議になじまぬから一応先に進めますけれども、いつでも御紹介しますよ。その程度の謙虚さはお持ちになっていただきたい。  がらっと変えますけれども、成田では、大塚さん、民間の防智工事にかけた費用の細目基準は一体どんなことになっているんですか。

大塚茂新東京国際空港公団総裁

○参考人(大塚茂君) かけました細目基準と申しますと、補助率のことですか。

秦豊日本社会党

○秦豊君 金額も含めて、部屋数を含めて。

大塚茂新東京国際空港公団総裁

○参考人(大塚茂君) 一室につきましては、既存の部屋の防音工事につきましては全額補助をいたしております。それからやはり二室につきましても同様でございます。ただ成田の場合は、ほかでやっておりませんが、最初千葉県が始めました、新しく防音壁を増築するという場合にも補助を認めておりますが、その場合には一室の場合が約七〇%、それから二室の場合が五五%の補助。その上に、その防音室分につきましては千葉県の方から若干の補助金が上積みをされております。

秦豊日本社会党

○秦豊君 そういうときはお差し支えないから、もう部下の方が出してこられた精密な数字を朗読された方がいいですよ、あいまいな記憶よりは。やっぱり一室百三十万円、既存家屋の改造は。そうですね。それから二室、五人以上の家族構成、二百五十万円、これは一〇〇%助成と。あなたの言われた増築防音室、この場合は一室三百万で助成率七〇%、二室五百万ならば五五%が助成の限度と、こうですね。そういうふうに答えていただいた方が明瞭になりますから、今後そうお願いしたいんですが。  そうしますと、仮に私は専門家のお力でつくり上げたこのコンターで、国勢調査を当てはめて六万世帯、いまあなた方と確認をし合った金額の助成、これをやってみますと、必ずしも、しかも大阪高裁が言っているように満足でない防音工事を当てはめたとしても大変な、六万世帯にこれだけの財源の裏づけが果たして将来可能ですか。もうこの低成長の枠組みというのは当分、これ半恒久的な日本経済の非常にフェータルな枠組みだと思うんだけれども、にもかかわらず成田空港、国際空港、六千億円投下した、どうしてもやらにゃいかぬ、そろそろいいでしょう、じゃどうする。で、実際に問題に直面してみると、防音工事だけで恐らく数千億円の国費の負担が必要になりますよ。これはしかも二十年先の話じゃない。もうやがて、逐年訪れてくる行政上の大課題です、これは。数千億円を下りませんよ。その計算もまた非常に甘いと思うんだ、ぼくは。もっとかかると思う。要求も大きくなってくる、司法もそれを援助するとなった場合に、行政の対応はもっと厳格さを要求される。もう気の遠くなるような数字だと私は思うんです。そうはお考えになりませんか。しかも今度はA滑走路だけじゃないですよ。B滑走路、C滑走路、一斉に機能した場合のこの騒音対策費、自信を一体お持ちなんですか、あなた。

大塚茂新東京国際空港公団総裁

○参考人(大塚茂君) 六万戸という数字を私どもはまだ確認はいたしておりません。しかし、たとえ何万戸になりましても、現在やっておる程度の防音工事は、これは絶対私はやらにゃならぬと考えております。

秦豊日本社会党

○秦豊君 四十九年の八月に航空審議会が新関西空港として例の泉州沖を答申したんですが、あの答申が一番アクセントを置きましたのは、実は騒音対策じゃなかったんですか。それは御存じでしょうか。

大塚茂新東京国際空港公団総裁

○参考人(大塚茂君) よく存じております。私どもも今後空港設置について一番大きな問題は騒音問題だというふうに認識をいたしております。

秦豊日本社会党

○秦豊君 その認識だけはお持ちのようですけれども、その答申の説明書を読むと、騒音は、現在、空港が直面している最も重大な問題である。この対策いかんが今後の航空輸送の命運をまさに左右するという認識を享有すべきである。これが答申の実に私は常識的な、妥当な表現だと思うんですよ。しかもその答申では、各候補地について、成田の比じゃありません、成田のように甘くありません。甘くなくて、七〇WECPNL以上のコンターをちゃんとつくっている。下限が七〇ですよ。八五じゃありませんよ。たかだか一五じゃないかとおっしゃりたいかもしれぬがそんなものではない。厳密さが違う。手数が違う。そうして今後の環境アセスメントの重要性、それから六年後に、六年後ですよ、考えられる騒音対策及びその予算、こういうものは泉州沖のこれは一種の知恵だと思うんだ。成田でさんざん苦い体験を積み重ねた、関西では繰り返したくないという知恵の反映だと思う。  ならば、当然やはり私がいままで御質問申し上げてきたように、六年後に考えられる騒音対策、膨大な財源、あるいはその予算を策定するためにも、ぜひこのA滑走路について、せめて関西並みの七〇、七五以上のコンターを作成し、発表すべきではないだろうかと。重ねてその問題に返りますが、運輸大臣、これはやっぱり局長レベルの問題ではなくて、行政の最高責任者、大臣の決断とか裁量にかかわる問題が多分にあると思いますから、いままでの質疑をお聞きになっていて、その所感を含めてこの問題についてお答えいただきたい。

田村元自由民主党運輸大臣

○国務大臣(田村元君) 実は正直のことを申し上げて、秦さんが余り詳しいので、非常に高度なやりとりで私もいささかの戸惑いを感じておったのであります。いま私の感想を言えということでありますが、私もこれほどの専門的な問題については大胆に物を言う実は弱気がありません。でありますので、十分航空局、あるいは空港公団から説明を聞いて、その上で判断をいたしたいと、こう考えております。

秦豊日本社会党

○秦豊君 コンターのことは、ではやや技術論的になりますから繰り返しませんですけれども、運輸大臣に重ねて……。  やはり成田、これは苦い国民的な体験でした。今後もそうであり続けるでしょう。じゃ、いまこそ私は、田村運輸大臣が運輸行政を取りしきっていらっしゃるということは、お世辞でも何でもなく、あなたがいらっしゃる間にせめて道筋をつくっていただきたいことが一つありますのは、成田に対する環境アセスメントですね、これをもっと充実をしていただきたい。厳密かつ的確に行っていただきたい。せめて泉州沖、新関西空港並みに、あの関西が踏んだ手順、それから公平さ、厳密さ、あれでも足りないという専門家の声が多いけれども、それは一応さておいて、せめて成田についてのアセスメントについては、はなはだしく粗漏があるし、欠陥だらけだと私は思いますので、田村運輸大臣のもとにおいて、いま私の要望した成田についての新たな、厳密な環境アセスメントをこの際やはり積み直していただきたいという、泉州沖並みの水準にまでせめて引き上げるのが行政としての誠実な対応ではないかということを、重ねてあなたから答弁をいただいておきたいと思います。

田村元自由民主党運輸大臣

○国務大臣(田村元君) 泉州沖の場合は五十一年度から始めるということで、率直に言って成田を初めとして各空港の苦い経験というものが、いま秦さんおっしゃったとおりあすこに生かされておることは事実であります。新幹線の騒音の問題についての教訓、経験、これもあすこに生かされております。また、アクセスその他の問題も生かされておる。ですから自然条件とか、社会条件とかというものを徹底的に最初から洗っていこう、こういうことであります。ところが成田の場合におきましては、もうすでに開港を目前に控えておるわけでございます。さっき秦さんから、おまえこの間五十二年と言ったが度を落としたのでは、忘れたのではないかというお話でございますが、私は五十二年中には開港できるものと実は考えております。別に度を落としたから度外れであったというわけではないわけでありますが、だからといいまして、こういう時期でございますから、成田開港への諸準備のアクションを全部ストップして洗い直せ、これはちょっと私正直のこと無理だと思います。  しかし、航空局長に私が指示いたしておりますことは、泉州沖はあそこまで、相当りっぱなこと、これはもう画期的な私はアセスメントだと思うんです。でございますから、泉州沖はあそこまでりっぱにやられるんだから、今後も成田においても開港したからもうすべて終わったというのではなしに、これからも引き続きいろんなアセスはした方がいいんじゃないか。特にいまの大阪空港ですね、大阪空港はその都度、その都度のいろいろな問題が出て、そして事実上のアセスメントをやっておるわけですね。また対策も講じておるわけです。  でありますから、今後も成田に関しては単なるアフターケアというだけでなしに、実際にまだ飛行機は飛んでいないんでございますから、はっきり言って、いまのすべての調査、データというものは全部これは机上のものでございます。でございますから、飛行機が飛んだ時点でもう一回現在のデータ等と全部対比していく、そういうような環境アセスメントというものが行われてよい。だからこれだけは——私は先般も申し上げたんですけれども、この委員会で。私が運輸大臣をやめるのはいつのことでありますか、余りそう遠い将来ではないと思いますが、私が仮にやめても、この精神だけは生かしてもらいたい。これだけは私から強く高橋航空局長に指示してございます。むしろ指示というか、強い要請をしてございます。

秦豊日本社会党

○秦豊君 時間ですから控えますが、単に騒音だけではなくて、アクセスの問題も掘り下げてみると、たとえば道路、それから京成の輸送量の限界、それから成田新幹線の絶望的な見通し、佐藤文生氏も地上はだめ、地下、費用二倍、こういうことを率直に指摘していらっしゃる。あらゆる意味でアクセスの問題も、やはり成田空港にまつわる私は大きなデッドロックだと思うけれども、もうきょうはそういう質問を時間的に許されていませんから、別の機会にまた皆さん方の見解も伺ってみたいと思います。  終わります。     —————————————

上林繁次郎公明党

○委員長(上林繁次郎君) 次に、外国等による本邦外航船舶運航事業者に対する不利益な取扱いに対する特別措置に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  御質疑のある方は御発言願います。

杉山善太郎日本社会党

○杉山善太郎君 大臣はもちろんお見えになりますが、海運局長も船員局長もお見えになっておりますね。  配付されておるこの法律関係資料の中で、「国旗差別措置の概要」に各国の差別政策例がうたってございますが、この項目に当てはまる国々の名と、この項目に照らして、その国々のとっておる具体的な差別政策というものの概要を説明いただきたいと思います。  たとえば、本邦運航業者が現段階で不利益の取り扱いを受けて利益が著しく害されておる、そして対等の競争条件下にない措置をとっている相手国というのは具体的に言ってどの国か。もう一点は、当面通告または対抗措置をとらなければならない相手国はどのようにマークされておるか。  これは、きょうは外務省関係の方を来ていただいておるべく何も措置しておりませんが、たとえば業者間または外交上どんな交渉をこれから進めていくか。当然この法案は審議すべき過程を仮定して、一応これはひとり歩きをする法律だと、こういうふうに予測した場合に、そのことも含めてひとつ簡潔にお答えいただきたいと、こう思うんです。

後藤茂也運輸省海運局長

○政府委員(後藤茂也君) お配り申し上げました資料に関する詳細なる御説明につきましては、海運局監督課長から御説明をいたさせたいと思います。

棚橋泰運輸省海運局監督課長

○説明員(棚橋泰君) 先生ただいまの御質問でございます、国旗差別に関する具体的な手段と申しますか、そういうものについて簡単に御説明を申し上げます。  いわゆる発展途上国等が、わが国等の先進海運国に対しまして行っております国旗差別の具体的な手段はいろいろございます。  まず一つは、その国が輸出入の許可をいたします際に自国の船に積むことを強制する、いわゆる逆に申し上げますと、輸出入する際に自国の船に積まなければ許可をしない。したがって実際上の取引ができない。こういう手段を使う例が一つございます。  それからもう一つの例は、これは主として輸入に使うわけでございますが、自国に貨物を輸入いたします際に、ちょうど旅行者に対してビザを発行するのと同様に、貨物に対して査証、すなわちビザを発行いたしまして、そのビザがなければ自国に貨物を輸入できない、そういう手段をとる場合でございまして、その場合に、自国船に積まない場合にはビザを与えない、こういうやり方が一つございます。  それから、たとえば関税ないしは所得税というような税金の課税を使いまして、自国の船に貨物を積み取った場合には関税を安くする、そういうような手段ないしは自国の船に積み取った貨物による収入は所得税の課税を下げる、そういうような形もございます。  そのほか、輸出補助金等について自国船を使った場合には補助金を厚くする、ないしは自国船を使わない場合には補助金を出さないというようなもの。そのほか、荷物を積み取り、輸出入をいたします輸出入の貨物を一カ所のフレート・ブッキング・オフィスというようなものをつくりまして、そこに集中いたしまして、そこを通さないと一切輸出入をさせないということにいたしまして、その一元的な組織で、自国船に積まない場合には取り扱わないというようなことを行うというようなこと。そのほかいろいろございますが、先生御質問の具体的な手段というのは大体そういうような手を使っておることが多いようでございます。  なお、御質問の、どこの国がそのうちどういう手段を使っておるかというのは、いろいろ組み合わせがございますので、また特定の国を指摘してこの場でお答え申し上げますのはいささか問題もございますと思いますので、具体的な手段についてだけお答えを申し上げます。

杉山善太郎日本社会党

○杉山善太郎君 それはそれとして、韓国ですね。これは自国船による一〇〇%積み取りを留保しておるというふうに私どもは判断いたしております。したがって邦船との、わが国の船との積み取り比率は具体的には一体どのようになっておるか。  で、簡潔にお答えをいただきたいと思いますが、韓国に対しては対抗措置をとっておらない理由は、一体政治的に何か背景があるのかどうかといったようなことも大体一括お伺いしたい。なければない、あるならあるという形で。これは必要に応じては、大臣の政治的な判断にかかっておるかと思いまするけれども、一〇〇%確かに韓国の自国船による積み取りを留保して、邦船との比率というものは一〇〇%韓国の国旗差別によって、韓国の荷物は韓国の船でやっておるということで、この点はどういうふうにやっておられるんですか。

棚橋泰運輸省海運局監督課長

○説明員(棚橋泰君) 私から最初に数字の点だけ御説明を申し上げます。  先生おっしゃるように、韓国は国旗差別の手段をとっておりますが、必ずしも韓国船が十分ございません関係で、一〇〇%ではございませんが、数字で申し上げますと一九七五年におきまして日本からの輸出、すなわち韓国にとっての輸入は日本船の積み取りが四・六%、それから日本への輸入、すなわち韓国から日本への輸出につきましては日本船が一五・一%、平均をいたしまして、合計をいたしまして輸出入貨物の日本船は八・九%しか積み取っていないということになっております。

後藤茂也運輸省海運局長

○政府委員(後藤茂也君) ただいま御説明申し上げましたような日本と韓国との間の積み取りの関係でございますが、それらに対してただいままで私どもといたしまして韓国とどういうことをやってきたかということについて御説明を申し上げたいと思います。  ただいま御指摘になりました韓国の国旗差別政策、これは一九七一年に韓国で海運振興法という法律を成立させ、施行したところに端を発するものでございますけれども、私どもはそれ以来日本国と韓国との間で相互に海運の自主性をお互いに尊重しながら海運自由の原則というものに基づきまして、両国の海運がお互いにところを得ると、反映し合うという精神のもとに日本と韓国との間の海運関係を政府間の話し合いで整理をいたすという考え方のもとに、端的に申せば新しく日本と韓国との間で海運協定を結ぼうという線で、韓国との間にたびたび交渉を行ってきております。残念ながら、申し上げましたように七一年からの交渉は、ただいままでその実を結んでおりませんで、今日もなお韓国と私どもとの間にはそういったことについての交渉が進んでおるというのが実情でございます。

杉山善太郎日本社会党

○杉山善太郎君 衆議院の段階では、慎重審議であったかないかは別として、ともあれ附帯決議を付してこちらに回っておるわけであります。きょういわる通俗的なお経読みがあって、もちろん予備審査の段階において、われわれも資料をそれなりに目を通しておりまするけれども、あれを思い、これを思いますというと、この法案というものが本院を通過すれば、当然法のたてまえからしてやはりこの法律の対象にならなきゃならぬです。したがって、国旗差別というような問題についても、韓国といえども厳正に配慮すべきであるというようなふうに考えるわけですが、この法律がひとり歩きをして、そういう背景と、そういう必要性のためにこれはつくられておるのではないかと、マークして韓国というもの、大臣どうですか、この点については。

田村元自由民主党運輸大臣

○国務大臣(田村元君) この法律が成立いたしましたときに、どの国に対してどうというような特定の国に対する特別な配慮というものはする必要はないと存じます。すべて相手国は平等に扱わなければならないと、こう考えております。

杉山善太郎日本社会党

○杉山善太郎君 対抗措置をとる場合、紛争がエスカレートをするということは、これはその仮定すべき過程の中でやむを得ないかもしれませんけれども、だからといって、法の精神というものをひん曲げて、やはりこれを右往左往するようなことがあってはならないと、そういうふうに私はそれなりに位置づけておるわけであります。  したがって、この本法の第四条第二項に懸念している状態が生じて、ひいては国民経済や国民生活に多大な影響が出ないという保証はないんじゃないかというふうに私は受けとめておるわけなんです。究極的にはこれは外交関係とならざるを得ないが、この法案は紛争を拡大させ、解決を困難にさせることはあっても、事態を迅速、円満に解決することにならないじゃないか。たとえばいま、この問題は非常にデリケートであるから、そして対等、平等の原則の上に立って、その事実に遭遇した場合にいろいろと処理しなけりゃならぬ問題であるからという形で、現実に存在する国というものが浮き彫りでやはりマークされてないと——それはいま現実は、そういう国が具体的にあるからこういう法案をつくるというひとつの背景があるのではないかと、こう判断される。  特に発展途上国の多くは資源国でありますよ。海外に依存する日本は単に対抗するだけではなくて、海運以外の面でも援助、協力関係の確立を通して友好関係をつくり上げていくということでなければ、この法律はうまみもなければ、本当につくったその持ち味がないんだというふうに考えております。無論、日本は資源小国だ、資源小国だと言っておりまするけれども、資源を持つ国はやはり南北問題路線から言っても資源だけは持っているわけでありますから、したがって、この国旗差別だとか、この法律ができたからということだけではこれはだめだというような関係で、海運以外の面でやっぱり外交路線、その他の協力関係を通じて友好関係をいくという、そういう手だてをしなければならないんだと、そういうふうに考えるわけですが、この点について大臣の見解はどうですか。

田村元自由民主党運輸大臣

○国務大臣(田村元君) まさにおっしゃるとおりであります。この法律は紛争解決が非常に困難になった場合の究極的な対抗法でございますから、当然海運業者が被害を受けた場合には、その海運業者の段階で十分に話し合いをする、一方において外交交渉でとことんまで話し合っていくということが最も大切なことでございます。言うなれば、この法律は伝家の宝刀でございます。簡単に絶対に抜くべきではありません。ただ究極的な対抗法としてわれわれは持っておかなければならぬ、こういうことでございます。でございますから、この法律を仮に発動させなければならないというような差し迫った状態になりましても、なおかつ関係省庁とも十分相談をいたしまして、事態の円満なる解決を外交交渉で図ることになお全力を上げなければならぬと、こういうふうに考えておるわけでございます。

杉山善太郎日本社会党

○杉山善太郎君 具体的に申し上げますが、アメリカは、ずばり言って自国船優先主義ですよ。イギリスや北欧などの先進海運国の海運自由の原則と対立しておることもまたこれは既成の事実です。アメリカが国旗差別主義をとる世界最大の海運国であることは、国際海運の混乱がここに一つの原因があるんだと、その上に南北問題が加わってきておるのでありまするから、国際海運の秩序を守るには、国際的協議というものがどうしても必要であります。また先進海運国というエゴというものは今日ではもう通用さしてはならないし、また通用すべきでないというふうに考えます。  国連の場では、わが国は国際海運の秩序とその発展のためにどんな努力を行ってきておるか。国連による国際間の合意は一体どのようになっておるか。これはきょうは実は外務省のどなたかと思ったんですけれども、事海運の実態から言って、これは運輸行政の中の一つのメーンだと思いますので、この点について、海運局長どうですか。

後藤茂也運輸省海運局長

○政府委員(後藤茂也君) 国連の場で海運問題がどのように議論されて今日に至っておるかということについて御説明を申しますけれども、この海運問題が国連の場で討論をされるようになりましたのはUNCTAD——国連貿易開発会議、この中に海運委員会が設けられたころからでございまして、このUNCTADの海運委員会を中心といたしまして、いわゆる新興海運国と、それから古くからわれわれ日本国の属しておりますような先進海運国との間のそういったいわゆる南北問題、その南北問題の一つのあらわれといたしまして、世界に古くからございます運賃同盟に対する規制の問題ということが議論をされて今日に至っております。その後者につきましては、一九七四年にジュネーブで国連定期船同盟行動憲章条約というものが採択をされました。  それまでの運賃同盟をめぐる海運の南北問題というものの議論の集大成がこの同盟憲章条約でございまして、基本的には従来先進海運国の船会社が自主的に私的なカルテルを結んで、そこで定期船の運航あるいは運賃、そういったことについて自主的にそれを取り決める。新興海運国あるいは発展途上国の側から申しますと、そういった先進海運国の船会社が、運賃なり船の動かし方というものを運賃同盟という武器を通じて押しつけてくる、このように理解をされておったわけでございますけれども、そういった考え方のもとに、運賃同盟の今後やってはならないこと、やるべきことということがこの同盟憲章に盛られておるわけでございます。同時に、この同盟憲章は、すべての貿易統治国は、その国のナショナル・ショッピング・ラインをもってその貿易貨物の運送に参加させる相手国と均等な権利を有するべきであるという精神がうたわれておりました。ここで発展途上国あるいは新興海運国といえども、その国の貿易物資については自国の海運を参加させる権利があるという精神が条約の形でうたわれたわけでございます。  日本国は、この長い間の国連内部における海運の問題について積極的にその討論に参加をいたしまして、いま申し上げました七四年の同盟憲章条約の採択の場合には、実はこの条約案文をめぐりまして先進海運国の間に意見の分裂がありまして、この条約案文を賛成すべしとする日本、ドイツ、フランス、その他の国と、それからこの条約は適当でない、賛成すべきでないとする北欧、英国、その他の国と分裂をしたという事実がございますけれども、日本国はその間にあって、新興海運国といわゆる先進海運国の間の今後の妥協と、今後の世界の海運秩序を導いていくための貴重なるガイドラインとしてこの条約に賛成し、かつそれを盛り立てるという立場を表明したわけでございます。  簡単に、国連の場で海運の問題というものをどのように世界的に議論してきたか、日本はどういう立場をとってきたかということについて御説明すればそのようなことでございます。  なお、先ほど私は韓国の海運振興法を七一年と申し上げましたけれども、六七年の間違いでございます。

杉山善太郎日本社会党

○杉山善太郎君 いまの国連の場の概要というものについて、私もそれなりにこれは理解はできますが、具体的な問題として、これは新聞にも出ておる。毎日だと思いましたが、アメリカはことにタンカー、アメリカ国旗主義を極端に最近、エネルギー問題の位置づけとも関連をするかと思いますけれども、そういうぐあいに出ておるわけですが、これはやはりこの時点でいま法体系として特別措置ができるわけでありますが、もちろんそのアメリカの、いまこの新聞に出るような——写真入りで、ごらんになりませんでしたか。ああいうような問題について、いま国連の南北問題等を含めてこのデリケートな問題を交通整理をしていこうという問題について、アメリカはわれわが道を行くんだという一つの覇権に等しいような、一つの自国船主義をとっているように判断できるんですが、客観的に見てこれをどうとらえておりますか。

後藤茂也運輸省海運局長

○政府委員(後藤茂也君) ただいま御指摘の、アメリカのこういった問題に対する態度でございますけれども、御指摘のように、アメリカは一九三六年の商船法制定以来、ヨーロッパや日本と若干立場を異にいたしまして、自国の海運というものを何とかして維持、保存しようという政策をとってきております。ただ、従来までのところ、この法律なり国家権力でもってアメリカに出入する貨物の積み取りについて、実際上強力なる政府の干渉を行う、貨物留保政策を行うということにつきましては、種々例がございますけれども、実を申しますと、アメリカの側から見て実効を上げていないということも言えるのではないかと存じます。  なぜならば、アメリカの海運というものは膨大なる政府補助金によりまして建造費及び運航費を補助されておる。そこで、他の国と競争が維持できるという状態を長々続けてきておりまして、したがいまして、そのようなアメリカ政府の政策にもかかわりませず、世界海運史上においてアメリカ海運が占めておるシェアというものはそんなに大きくない。また、アメリカ国が膨大なる海上貿易貨物を出しておりますけれども、そのアメリカ自身が出しておる海上貿易貨物にアメリカ海運が参加している割合もそんなに大きくない。そういうところが現在のアメリカの海運政策なり海運事情でございます。  御指摘のように、新カーター大統領は、石油のタンカーによる海上の汚染の問題の処理につきまして、あるいはアメリカが輸入する原油の輸送につきまして、アメリカでつくり、アメリカ船員を乗せ、そして、船として汚染対策その他の点では非常に優秀なるタンカーでもってアメリカに原油を運ばせたいということで、いわゆるオイルリザーベーション法案というものを議会に提出をして議論をしておるという事実がございます。  ただ、アメリカの最近におきます動きを見ておりますと、アメリカがそのような考え方に立って、世界の関係国を自分たちと同じ座敷に呼び込んで、そういった形の国際条約をつくるという方向にその努力が注がれているようでございます。もちろんその結果われわれは、去年は予定をしていなかったIMCOの会議——政府間海事協議機関、そこでタンカーの構造であるとか、汚染防止対策であるとか、そういうことを議論する国際的な場でございますけれども、去年は予定していなかった会議を、ことしになってアメリカからの要請で急遽たびたび開くようなことをいま考えておりますけれども、そのような形でもわかりまするように、アメリカの考え方というものは、世界的な国際秩序というものを無視して、エゴを通そうという形で進めようとしているのではなく、アメリカが掲げておりますような新しい秩序というものについて、他の関係国の同調を求めようという方向でアメリカはいま努力を重ねておるようでございます。  その限りにおきましては、まあ具体的にその国際的な会議の場で日本国がどのように対処すべきかの問題は今後さらに慎重に検討を要するといたしましても、直ちにこれをもってアメリカが世界の海運に横車を押しておるというふうに即断するのは若干早いのではないかというのが私どもの考え方でございます。

杉山善太郎日本社会党

○杉山善太郎君 まあ、他を言う前に、アメリカや韓国のことばかりではなくて、顧みて日本海運の外航部門において、近年に、これは純血の日本船のほかに仕組み船、それからチャーターバック船、マルシップなどと呼ばれる用船が増大しておるということは、これは客観的にも主体的にも既成の事実なんです。このために、日本船員は海外の売船による失業とか、チャーターバック船による外国船員の低賃金との競争の中の谷間に落とし込まれておる。あるいは、生活の実態というものが同化されない外国人との混乗、混じ合って、強制的に、これが悪ければおまえは失業してもやむを得ぬじゃないかというような、そういう労働条件が結局押しつけられてきておる。  で、船員の雇用関係だとか、賃金初め労働条件の向上のために、一体具体的にはどのような対策と施策を現実に即し、たとえば海員組合にしても、通信士労働組合にしても、いろいろとこれらの問題は自衛上実際に直面をして苦悩しておるわけでありまするが、行政ルートの中でこれをどのように——現実はこうであるが、将来はかくして交通整理をしていかなければいかぬというように思うんですが、その点について、これをひとつお答えいただきたいと思うんです。

横田不二夫運輸省船員局長

○政府委員(横田不二夫君) お答えいたします。  ただいま先生御指摘のとおりに、船員の雇用需要は非常に厳しゅうございまして、外航船主の主要の団体だけで見ましても予備員率は七〇%近くになっております。また失業船員、主として近海と内航から出てくる失業船員が多いんでございますけれども、ここ一年ばかり一万人前後を低迷している。最近若干求人倍率が上がってまいりまして、ことしの一月で〇・三倍になりましたけれども、まだまだ陸に比べればひどい状況にあるわけでございます。こういう状況のもとで、これからどのようになっていくかということを展望いたしますと、ただいま御指摘のように、日本船舶が絶対数において、絶対隻数において減っており、これからふえるという見込みが必ずしもはっきりしていない。そういう意味で非常に先行きを憂慮しているわけでございまして、そのため、この際に長期的な船員雇用対策を確立すべきである、まず基本的な方向を明確に持たなければならない、かような認識のもとにこの二月十八日、船員中央労働委員会に対しまして、船員職業安定法に基づき諮問をいたしたわけでございます。すなわち今後における船員雇用の対策の基本的なあり方についてということで諮問をいたしました。  この中で、現在のこの問題に対する基本的な考え方を公労使の中で明確に踏まえていただいて、その上で現状を把握し、それから今後の動向、船員雇用需要がどのようになっていくか、この点を共通認識を持った上でこれからの対策を考えていく、こういうような方向で審議が進んでいるわけでございます。二月からすで数回——船員職業安定部会というものが船員中央労働委員会にございますが、ここで公労使委員の参加のもとにすでに数回会議が重ねられております。  で、大体どのような対策かと考えられることは、一つは現在企業内に雇用されている船員、先ほど申し上げたように、その中には予備員という形で船に乗れない人が多いということ、これをこういうような状態をできるだけ船に乗れるようにしていく方法はないものか。それから第二点は、失業している船員に対する救済、それから再就職の促進ということを考えなければいけない。それから第三点には、われわれの預かっております対象船員はわずか二十数万ではございますけれども、海上労働の特性のゆえに運輸省の船員局でやっておるわけでございまして、いままでこのような厳しい雇用需要にぶつかった経験がございませんので、またそのような行政体制も必ずしも十分には備わっていないということで、これの行政体制の整備の問題、大きく分ければこの三つの点について慎重な審議をしていただいております。  できるだけ早く御答申をいただきまして、公労使の一致した意見のもとに、少なくとも労使の一致した意見のもとに来年度早速実施すべきことを御指摘いただければそれに従ってやっていきたい、かように考えている次第でございます。

杉山善太郎日本社会党

○杉山善太郎君 手近な問題を申し上げますけれども、これは広範多様にわたって十分配慮しなければならぬ重大な問題だと思います。具体的には広島県沼隈郡常石に神原汽船という会社があるわけでありますが、この会社が発議したと思いまするけれども、日本船員失業対策協議会というものがあるわけです。これは五十一年二月から発足しておるようでありますが、外国船員の乗り組むいわゆるマルシップにですね、その外国船員にかわって日本人の失業船員を配乗させる制度がとられているようでありますが、これは船員職業安定法違反のおそれがあるというふうに、われわれはそれなりに判断をいたしております。たとえば船員職業安定法の三十三条、五十三条に基づいてもこれは問題があるんじゃないか、こう思うんでありますが、この具体的な日本船員失業対策協議会というものを認知しておられますかどうですか、この点についてひとつ。

横田不二夫運輸省船員局長

○政府委員(横田不二夫君) ただいま御指摘の日本船員失業対策協議会と称するものは、いまのところ任意団体でございまして、私どもとしては、わが運輸省の監督する公益法人等の団体とは見ておりません。しかしながら、中国海運局の船員部におきましては、いま御指摘の団体のやっておりますことについて十分監督をしているつもりでございます。船員職業安定法によれば、運輸大臣の許可を受けた公益法人、あるいは許可を受けた労働組合でなければ職業あっせん事業はできないことは確かでございます。そういう意味におきまして監督はしておりますが、ただいまのところ失業対策協議会の方は、求人側の代理者として人を求めてきており、それから全部、管轄する中国海運局所管の船員職業安定所を通してあっせんがされている、こういうことでございますので、ただいまのところ違法は認められない、かように考えている次第でございます。

杉山善太郎日本社会党

○杉山善太郎君 これは一片のしゃくし定規の法律論だけで片づかない問題で、既成の存在としてそういうものが客観的にも主体的にもあって、あの手この手でいろいろな方法が処置されておる。そのことがいま言ったように、やはりわが日本の海運業の外航、それから内航等の中でいろいろ混乗的にこれが複合しておる。  具体的な問題として、この制度は船員の間では常石方式というふうに通念化されてきていますよ。これは大型船員といい、それから仕組み船に乗り、あるいはマルシップに乗っている船員も、この常石方式ということが、定着はしていませんけれども、これはやはりいま中国海運局の管下でもよほどこの問題についてどの程度配慮し、またこれを中央の海運局なり船員局で把握しておられるかは別として、この協議会は全国の失業船員をあらかじめプールしておるわけですよ。ただあの地域社会におけるだけではなくて、船会社の求めに応じて、船長以下ワンセットを乗せてやっぱりマルシップとかというふうに実は配乗しておるわけであります。  私はここに一つの資料を持っておりまするけれども、マルシップと名のつくものが大体百八十隻ありますよ。これは船主は日本でありまするけれども、マルシップでありまするから、乗組員は通信長以外は全部外人なんです、実際問題は。そういうような関係からいきまして、形式的には中国海運局に登録されておる求職者を、船員職業安定所を通して船会社が採用していることになっていることはいまおっしゃったとおりであります。事実は、協議会が集めた求職者を、職安を通して海運局に登録し、登録即採用をしておることが明らかなんですよ。したがって、明らかに労務供給と職業紹介に協議会が介在をしておるというふうにわれわれはこれをうかがい知っておるわけであります。協議会が求職者一人に十万円の手数料を船会社から取っておるといううわさまで流れておるわけでありますよ。確証を持っておりませんからこれはうわさでありまするけれども、われわれは追及して調べる筋を持っておりまするからよく探査してみようと思います。一体これは実態をひとつ行政監督の面から十分知っていただきたい。  ただこれは、たとえば本四国架橋の問題に関連をして、あの地域社会における職場を失う船会社、それからそれの船というようなものも、混乗的に非常に混乱をする一つの渦のセンターになるんじゃないかというふうに心配をしておるわけでありますが、この点についてひとつ十分、まだ先もありまするけれども、これはポイント、これは大変なことになりますよ、実際問題は。

横田不二夫運輸省船員局長

○政府委員(横田不二夫君) ただいま先生が御指摘になりました、仮に違法行為があるようであれば、これはまことにけしからぬことでございまして、そういう違法行為があるようであれば厳重に取り締まりたいと思います。ただ、同じ神原汽船が別に持っておりますといいますか、関係がある常石海運という会社がございまして、この常石海運という会社と全日本海員組合とが労働協約を結んでおります。この労働協約は、内航三団体の労働条件をベースにいたしまして、ただし長期雇用でない、二年を限度とする期間雇用という形になっております。この労働協約の条件をなぞらえて失業対策協議会の方の求人の方は人を求めている、こういうふうに聞いておりますので、その辺についても大体失業対策協議会の動きは地元の全日海の支部等からもよく聞いておりますから、違法なことがないようにいたしたいと思います。  なお、さらにつけ加えて申し上げれば、昨年の八月二十七日に、船員中央労働委員会の方から運輸大臣あてに建議がございまして、非常に船員の労働需給状況が厳しいときでもあるので、先ほど申し上げた、まず船員雇用に関する基本対策を早くつくるということが第一点。その次に、「いわゆる丸シップ等について期間を定めた雇用契約等により失業船員の配乗を図る等、職域の拡大に努めること」、こういう建議事項がございます。非常にむずかしい事柄でございますけれども、これを適法に何とか行うということも私どもの立場なのでございます。そういうことで、われわれの立場といたしましては、日本船員は日本船舶に乗り込むことができるようにする、そのようにありたいと思いますし、そのようにできる日本船舶がふえることを望んでいる次第でございます。

杉山善太郎日本社会党

○杉山善太郎君 この問題は、ここを転機として出先の海運行政局と状況をひとつ調査をして資料を私にくださいな、それはね。これお約束いただけますか、状況調査をして。

横田不二夫運輸省船員局長

○政府委員(横田不二夫君) 承知をいたしました。

杉山善太郎日本社会党

○杉山善太郎君 それから、やはり神原汽船にまつわる問題でありますが、これは自社船の五隻のうち二隻は海外へ売船しておりますね。過剰になった自社船員を常石方式で他の船に乗船さしておるわけであります。この常石方式は、失業船員が対象であるために、神原汽船は自社船員を偽装解雇させて乗船させておる、これは悪質なやり口じゃないかと、こう思うんですよ、実際問題は。これ予備船員なんですよ。それを偽装的に他の船に乗船をさしておるわけでありますけれども、こういう点については全然関知しておられませんか、状況証拠を把握しておられませんか。

横田不二夫運輸省船員局長

○政府委員(横田不二夫君) いま先生御指摘の事柄については承知しておりませんので、早速そういう事情があるかどうか調査をいたしてみたいと思います。

杉山善太郎日本社会党

○杉山善太郎君 私もこれは大正の末期から昭和にかけての船乗りでありまするから、大体こういう会社ありませんでしたけれども、だんだんだんだんと上辺は交通整理ができておるように行政整理ができておりまするけれども、非常に最近のマルシップだとか、あるいはチャーターバックであるとか、あるいはいろいろな図式による方式が定着しようとしておるわけでありまして、これは十分いまこの法律ができるという過程の中で十分配慮しながら、人格を持ったそれなりの労働組合もあるわけだし、行政面においていろいろな機関もあるわけでありまするから、十分正すべきを正してやっていただくということが必要だと思うんです。  で、このマルシップに配船をしておる日勢海運というのがあるのでありますが、これは御存じでありますか、この会社は。

後藤茂也運輸省海運局長

○政府委員(後藤茂也君) 日勢海運という会社がございますことはよく承知しております。

杉山善太郎日本社会党

○杉山善太郎君 まあとにかくマルシップで、これはもうこういう制度は好ましからざる制度でありまするけれども、金もうけのためにはというような発想が、意識するとしないとにかかわらず日本の海運界に潜在的にあるのではないかということで私心配しておるわけでありまするけれども、とにかくこういうような類似の船が百八十隻もあるんだと、したがって、船籍もこれはこちらにないのでありますし、乗っている乗組員もそれぞれ通信局というものを持っておるわけですが、通信士だけが一人、二人しか乗っていない。あとはみんな外人でありまするけれども、そういう中で、マルシップに配船をしておる日勢海運は通信士労働組合との間で、それなりに労働協約というものが結ばれておるわけでありますが、対象船員に給料は支払っております。これは非常に良心的だと思いますけれども、しかし、これらの対象船員や未組織を含む約百八十隻のマルシップに乗り組む日本船員は、若干の例外を除いて船員手帳の交付を受けられないでおるわけでありますよ。船員保険は申請しても全員が受けられないでいるわけであります。  この具体的な例は、これは日勢海運にあらわれた事実でありますけれども、社会保険庁では、雇い主が外国であるため使用者負担分の保険料が徴収しがたいことを理由にして、国民皆保険というたてまえからいって非常な不利益を受けておるわけであります。こういう船に乗ることを意識して乗っているわけでありませんけれども、やはり船員手帳を持っておってもその手帳が具体的に功を奏しない。したがって、こういう制度の中にコンベア式に巻き込まれて、マルシップ方式の中で苦悩しておるということでありまして、船員手帳がないことと、そうしてそのために国民皆保険であるにもかかわらず、海上労働の中で特殊な苦悩をしながら、やはり船員保険の適用対象外で受けられない。これを地方自治体に上げてもこれはちょっとというかっこうでどうもいま道が開けていない。  しかし現実は、いまこれはあなたの方でも資料をお持ちになっておるでありましょうけれども、百八十隻も具体的なものがあるわけですよ。相当な乗組員でありまして、これは社会問題であり政治問題であり、道義的にもこういうマルシップ方式というものを、この運輸行政の中で−船員行政にしても、運輸行政の中にしても、一体あっていいかどうか。しかも、やはり旗国方式の中ではどういう国旗、が立っていようと、日本船員が苦悩の中でやはり忍ぶべきを忍んで働いておると、こういうことでありまするから。−もう時間ないでしょう。

横田不二夫運輸省船員局長

○政府委員(横田不二夫君) マルシップと申しますのは、御承知のように日本船舶の所有者が外国船主に裸で貸し渡した船、これをまた別の日本船主、場合によっては当該、もとの貸し渡しをした日本船主である場合もありますけれども、一般的には別の日本船主が定期用船をしている、そうして運航していると、こういう状態のものを言うと思います。その場合に、裸で日本船主から外国船主に貸されたものでございますので、船員の配乗は外国船主が行い、その配乗される船員は、先ほど御指摘の船舶通信士を除いて全部が外国人である、これが通例でございます。したがって、これは所管は厚生省ではございますけれども、船員保険につきましては船舶所有者というものが——b船舶所有者に相当する船員の雇い入れをした借入人でございますが、これが外国の船社でございまするので船員保険法は適用はないと、こういうことになろうかと思います。で、いま一人乗っております日本人の無線通信士につきましても、これも雇い主が外国船主であるということから船員保険の適用はないということになるわけでございまして、こういうふうなことが生じるもとは決して私は好ましいとは思いませんけれども、そうなっている現状はやむを得ないと、こういう感じを持つわけでございます。

杉山善太郎日本社会党

○杉山善太郎君 特に百八十隻の中から日勢海運ということをマークして言ったのは、これは通信士以外に日本船員もこの日勢海運には乗っておるという、そういう点についても十分ひとつ精査されて、今日やはり労働協約というものを、それなりにやはり人を見て法を説きながら、スタイルを整備しながら乗っておるわけでありまするけれども、しかしながら、いま言ったようなこの船員手帳の交付が受けられないと、こういう一つのシステムである限り、これは変則ですよ、実際問題は。しかも、私がこれが非常に問題だと思いますのは、これらの船はどういう貨物を積んでおるかというと、やはり日本の人と物と財政金融によってすべての生産工程が成り立っておるという背景の中で、資源国から物を持ってきたり、生産した物をまた持っていくと、そういう中で、一つの苦肉の策としてこれがいま制度化されようとしておると。裏道を歩いておるけれども、道は、だれか一人歩けば、どんどんどんどん通れば、よほどやはりこれは行政の面、政治の面でしっかりと歯どめをかけて、正常な方向へかじを取りなさらないと大変なことになるんじゃないかと、そういうふうに心配をしておるわけであります。  で、この仕組み船やチャーターバック船、マルシップ、便宜置籍船などは、国際競争力に勝つためという大義名分で、船員の賃金を初め労働条件の切り下げをねらったものだと。あるいは、雇い主と労働者の契約関係が非常にこれは複雑多様なんですよ、実際問題は。で、ある面は地上にあらわれておるがある面は伏せてあると。最終的には、この労働者の雇用や労働条件に責任を持つのは一体だれが持つかということになるわけです。それは外国の船主で、みずから好んでその船に乗って飯を食っているんだからそれはしようがないんだと、制度上やむを得ないんだと、わが国の行政の網はかぶせることはできないんだと、そういう形では、そのためにいろいろな会議が国際的にもあると思いまするけれども、最近非常に日本の海運事情の中にはこの好ましからざる制度というものが大手を振って盛んに行われておると、そういうことを私は憂うるわけでありまするが、いずれ本件はさらに究明する必要があると、こう思うのでありまするから、私もこれは勉強しながら、勘で物を言っている面もあるんですけれども、いま運輸大臣になっておられる田村さんには、これはこの海運、航空、陸運、総合的に、運輸行政というものは多様にわたっておりまするけれども、とにかくこの海洋の上に浮かんでおる日本列島のやはり海運行政に対する、港湾も含めて非常に多様であると思いますけれども、特にやっぱり物と財と人との関係について重大な配慮をして、外交路線はもちろんのこと、所管の海運、船員、港湾というものを十分配慮して、これを根回ししていただいて、正常な方向へかじを取ってもらう必要があるんだというふうに私は考えるんです。  あと一点でありまするけれども、ついでに、時間もないようでありまするからこれで終わりますが、最後に、いまのことも含めて大臣、頭の中に置いておいていただきながら、この法案提出の背景には、日本海運が国際協力を通じて海運の発展と日本船員の福祉向上を図るのではなくて、売船、仕組み船、マルシップなどの低賃金方式で世界の海運になぐり込みをかけることを正当化しようとするものであるというふうに、私どもはそういう側面を、強いて追及すればそうでないという保障はどこにもないぞというふうに心配しているわけであります。したがって、政府はそのことに手をかすのではなくて、十分歯どめをかけて交通整理をする責任があるじゃないかと。この法案の審議よりも、日本人である船員労働者を救済するための努力こそが先決であると、そういうふうに考えるわけなんです。  したがって、船員の雇用対策に関する施策と、労働条件の安定確保に関する施策についても早急に確立する必要があると思うのであります。たとえば、いま漁業の水域の問題、領海の問題であるとか、二百海里問題等々も含めて、非常に職を失う人もありまするけれども、そういうものも含めて、労働条件の安定確保という問題や雇用保障という問題についても、やはりかかって運輸行政の対象の中に位置づけられるというものが多角的に多いということを私は指摘していくわけでありまするから、これで質問を終わりますが、この点について大臣の立場でひとつお答えをいただきたいと、こう思うんです。

田村元自由民主党運輸大臣

○国務大臣(田村元君) 大先輩の杉山さんの、御経験をも踏まえた御発言でありまして、私も大変参考にさしていただきました。何と申しましても、運輸省は日本の海運業というもの、そうして雇用されております船員、こういう人々を守り抜かなければなりません。これからも思いを新たにして海運、船舶、船員、こういう行政に取り組んでいきたいといまさらながら決意を新たにいたした次第でございます。

杉山善太郎日本社会党

○杉山善太郎君 もう一点。私も実際は耳なれないマルシップであるとか、あるいはチャーターバックであるとか、あるいは仕組み船であるとか、こういう問題については、これは既成の事実としてこれが動いているわけでありますから、言うならばヘビが瀬戸物の卵を飲んじゃったようなかっこうになっちゃって、どうも、船員自身の自治的な組織である組合であって、あるいは行政ルートの立場におられる方々についても——船主の方はそろばんでやっておるんですよ。といって、やはり関所役人を弁慶の勧進帳で通るわけにはいきませんから、それなりに無理をして、表へ出てみたり裏に出てみたり、あっちこっちしているわけでありまするから、これは厳しく、十分、足らざるを補うというかっこうで行政をどんどんつくっていくし、この問題についても非常にこれは、私は衆議院の方の審議過程というものを聞きまして、附帯決議を見まして、これは実は非常に重要であるし、これをしたって、こういう実際というものの既成事実を見逃しておいては何にもならないじゃないかという評価もあるわけであります。いずれにいたしましても、時間もありませんので、私はこれは答弁をいただかなくてもいいのでありまするけれども、十分大所高所からお互いに勉強し合う必要があると、こういうふうに思います。  以上で終わります。

上林繁次郎公明党

○委員長(上林繁次郎君) 午後二時三十分まで休憩いたします。    午後零時四十分休憩      —————・—————    午後三時二十五分開会

上林繁次郎公明党

○委員長(上林繁次郎君) 運輸委員会を再開いたします。  委員の暴動について御報告いたします。  本日、秦豊君及び向井長年君が委員を辞任され、その補欠として藤田進君及び和田春生君が委員に選任されました。     —————————————

上林繁次郎公明党

○委員長(上林繁次郎君) 外国等による本邦外航船舶運航事業者に対する不利益な取扱いに対する特別措置に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  御質疑のある方は御発言願います。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 まず、国旗差別についてお伺いいたします。  現在、日本が国旗差別を受けている国はどれぐらいあるのでしょうか。

後藤茂也運輸省海運局長

○政府委員(後藤茂也君) 国旗差別政策の態様にもいろいろございまして、それを正確に国の名前で数え上げるということは、時として多かったり、少なかったりすると思いますけれども、きわめて大ざっぱに申しまして、約十五ぐらいの国がそれぞれの形で、何がしかの形で貨物留保に関する法令をつくっておりますとか、あるいはその国に出入する船会社の運賃同盟の同盟規約に干渉をいたしますとか、そのような措置をとっておると承知しております。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 昨年——五十一年ですね、差別を受けた国々とどのような外交交渉をなさったか、お答えいただきとうございます。

棚橋泰運輸省海運局監督課長

○説明員(棚橋泰君) 昨年というふうに限定をされますとちょっとあれでございますが、従来から……

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 限定しているんです、昨年に。

棚橋泰運輸省海運局監督課長

○説明員(棚橋泰君) 従来から差別を受けております国に対しましては、当初は民間差別を受けております、被害を受けております民間事業者による交渉というものを行ってきておりますが、それでなかなか解決をいたしませんような場合には、政府間によって交渉をするというような形をとっております。  で、その国は、先ほど申し上げましたようにいろいろございますけれども、特に昨年というふうに限定をいたしますと、たとえば昨年は南米のある国に対しまして、従来より種々交渉をいたしておりましたけれども、政府間において何らかの合意があるならば民間間においても話し合いが進むという見通しがございましたので、昨年外務省を通じましていろいろ折衝いたしましたが、詳細につきまして明らかでございませんので、当運輸省からの海運局外航課長を南米へ派遣をいたしまして、その当該国との折衝を行っております。昨年はその国のほか、いろいろな国につきましてそれぞれあるいは外務省を通じていろいろ折衝を行っておる例はございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 大変あいまいな言い方をなさいますので、この対抗法案をなぜつくらなければならないのか、どういう差別をどういうふうに受けているのかというふうなことがわからなければ、こういう法案をつくる必要性だってわからないわけなんです。もう少し具体的にお答えいただけませんか。

棚橋泰運輸省海運局監督課長

○説明員(棚橋泰君) 実は、昨年というふうに限定をされますと、昨年一年間はその長い交渉の中のごく一部分でございますので、もしお許しをいただけますならば、若干前からの経過を御説明いたしまして昨年の例を御説明をさせていただきたいと思います。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 簡単にやってください。

棚橋泰運輸省海運局監督課長

○説明員(棚橋泰君) 先ほど申し上げました南米のある国でございますが、この国におきましては……

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 国名はおっしゃってください。

棚橋泰運輸省海運局監督課長

○説明員(棚橋泰君) 国名は、できましたらいろいろ外交上の問題もございますのでA国ということで御説明をさせていただきます。  そのA国におきましては、一九六九年に政令が出まして、わが国のみならず、そこに乗り入れております船会社の荷物につきましてすべて許可制という形になりました。許可を受けた者でないと貨物が積み取れないということになっております。その結果、一九六六年には、わが国の海運業が七七%積み取っておりましたそのA国からの輸出物資の積み取り比率が、一九七五年には四二%に低下をいたしたわけでございます。そういうような事情を踏まえまして、そのA国との間におきましては、そこへ乗り入れております海運会社と相手国海運会社との間で長い間シェアを平等にするようにというような交渉があったわけでございますけれども、なかなかうまくまいりませんで、一九七五年に至りまして、両国間の政府間の交渉があれば、政府間の合意があれば、船社間においてもシェアを平等にするような交渉に応じる用意があるという確約を得まして、それに基づきまして昨年三月、政府間レベルでの解決を海運会社からの要請がございました。  これに基づきまして、運輸省といたしましては、そこの国との間におきます事実関係の調査というものを外務省に依頼をいたしたわけでございます。外務省においていろいろ御調査をいただきました結果、その間の事情にはなかなか微妙な問題も含んでおるので、外務省だけでなくて、運輸省からも担当官を現地に派遣して折衝すべきであるというような話がございましたので、先ほど申し上げましたように昨年の六月、海運局の外航課長をそのA国に派遣をいたしまして、そしていろいろな折衝をいたしました結果、相手国はわが方の考え方に理解をいたしまして善処をする旨の約束をいたしました。  その善処をする旨の約束を取りつけてきたわけでございますけれども、依然として船社間については必ずしも円満な解決が見られませんでしたので、実は昨年の九月にその国の大統領がわが国に訪問されましたので、その際にいろいろなさらに折衝をいたしまして、共同声明等の中において、そういう場合には互恵平等の精神で尊重するというような趣旨の声明文の中に一項目を挿入をいたしました。それを受けまして現在民間ベースで両国間の折衝が進んでおります。これが具体的な例でございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 じゃ、いまのでうまくいっているんですか。

棚橋泰運輸省海運局監督課長

○説明員(棚橋泰君) そのような経過がございましたのは昨年でございまして、それ以後は民間ベースにおいて交渉を行っておりますが、まだ具体的に解決は見ておりません。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 私の調査では、いまの国名おっしゃらないんですけれども、これは外航課長が行かれている、そのほかにもあります。ありますけれども、これは先進海運国の共同の申し入れとか、あるいは口頭申し入れ、こういうふうなことなんですね。いま挙げられた例が一番力を入れられたというふうな例じゃなかろうかと思いますけれども、これだって政府間レベルの交渉だと言いながら、おやりになったことはせいぜい外航課長さんが行かれただけ、私は外交交渉というのならもっと本腰を入れてなさるべきだ、これじゃ外交交渉したというふうにはならないと思うんです。本当にやろうとお思いになれば、私はこういう外交前置主義だというふうなことも政府はおっしゃっているんですから、こういう法案をつくる前にもっと本腰を入れて外交交渉をなさるべきだ、こう思いますけれども、大臣いかがでしょうか。

田村元自由民主党運輸大臣

○国務大臣(田村元君) 本省の課長が行った程度でいいのか悪いのかというのは、それで足りないのかというのは判断の問題でございましょうけれども、少なくともこれだけの法律をつくろうというわけでありますから、それまでにやはり十分の交渉をしたという実績が示されてしかるべきものと私もそのように思います。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 第五条の関係機関の長との協議、これは具体的にはどのような形の協議になるんでしょうか。

後藤茂也運輸省海運局長

○政府委員(後藤茂也君) この法律に基づきます措置をとりますに先立ちまして、御指摘のように第五条で考えております協議と申しますのは、まず第一は外務大臣と、外務省との協議であります。その協議におきましては、仮にある国との外交交渉の結果十分な成果が上がらず、したがいまして、日本船舶に対する不利益なる取り扱いというものが改まらなかった場合、この国に対して、この法律で定めておりますような措置をとろうというふうに運輸省として考えました場合に、その国との全般的な外交関係というものに照らして、そのような措置をとるについてどのような配慮が必要であるか、あるいはとるかとらないかということも含めまして協議をいたすものでございます。  第二に考えられます協議の相手方は通商産業省、長でございますから通商産業大臣との協議ということになります。で、このようなこの法律に定められておりますような措置を仮にとるといたしますれば、元来その国とわが国との貿易貨物の輸送については、まず原因となっておる相手国の措置によりまして、荷主さんはその船舶の選択についてすでに制約を受けているわけです。その上にさらに加えて日本国がその措置をとるとすれば、少なくとも一時的にもせよ、貿易はそのことによって迷惑を受けるということが考えられます。したがいまして、その国に対して運輸大臣が措置をとるにつきましては、その当該国と日本国との間の貿易全般というものに対して配慮して、結果的にいかなる措置をとるのが適当であるか、あるいはとるかとらないか、そういったようなことについて協議をするものでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 この対抗立法については専門家の間でも危惧の声が上がっているんです。ここにこういう文章がありますけれども、「この対抗立法は、そもそも自由貿易政策の精神に反するものである。例えば、わが国が対抗立法を制定し、伝家の宝刀である対抗立法を発動すれば、発動の対象となった船舶の所属する国は、わが国からの輸入を停止する措置を講じるなどの報復措置をさらに強め、わが国以外からの輸入に切り替えることを行なうであろう。したがって、この二国間の円滑な貿易は阻害される結果を招くこととなり、わが国海運も、これに伴って打撃を受けることとなるのはいうまでもない」、こういう危惧もあるわけなんです。  それから、私はさらにお伺いしたいんですけれども、韓国が最も国旗差別、これをやっている国だと思うんです。午前中に、これについては外交交渉をしている。こういう御答弁をなさっていらっしゃいましたけれども、この外交交渉も事務レベルの交渉でしかないわけです。私は、これは政府が安い運賃の韓国船、それから安い賃金の韓国船員、これを容認しているからこそこういうあいまいな態度をとり続けていらっしゃるというふうに思うわけです。経済性のみを追求しまして、荷主の利益を何よりも優先する。そういう私は政府の姿勢のあらわれではないかと思うわけです。日本船員はこれによって大変な打撃を受けておりまして、失業状態に追い込まれておりますし、また日本の船主の方も倒産、売船、こういう不況に見舞われているわけなんです。私は特に問題にしたいわけですけれども、現在船員の方の雇用問題、これが大変深刻になっております。ここ二、三年の求人倍率でこの趨勢をお伺いしたいわけですけれども、ここ二、三年の求人倍率の推移をお伺いいたします。数字を挙げてください。

横田不二夫運輸省船員局長

○政府委員(横田不二夫君) お答えをいたします。  月間有効求人倍率でお答えをいたします。御承知のようにこれは新規求人求職、それから月末未済求人求職を含む月間の有効求人倍率でありますが、四十七年の月平均で一・四七倍、四十八年月平均が一・五一倍、四十九年月平均が一・六一倍、五十年月平均が〇・四四倍、五十年の一月に一を割ったわけでございます。五十一年が月平均〇・二三倍、五十二年の、ことしの一月が〇・三倍と、こういう状況でございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 近海分野の求人倍率ですけれども、これは五十一年は月平均で〇・一三、こういうことになっていると思うんです。ほかと比較しても最も深刻な数字があらわれておりますけれども、この数字、間違いございませんですね。

横田不二夫運輸省船員局長

○政府委員(横田不二夫君) 間違いございません。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 近海部門のこの不況ですね、これは不況業種指定も受けておりますし、失業船員に対する失業保険の給付、これが五十二年の三月十四日まで二カ月間の個別延長、これがされているわけなんです。こういうことをしなければならないほどいまの雇用状態は深刻なわけなんですね。この中で私は指摘したいわけですけれども、日本船であるにもかかわらず韓国や東南アジアの外国船員、これが乗船しているマルシップ、この船が日本の船員の職域を侵している。このことは大変重大なんですけれども、海運白書の中でもここ一、二年の間に急速にこのマルシップが増大していると指摘されているわけです。経済性の側面からだけこのようなマルシップが放置されて増大していくというふうなことで、日本の船員の雇用が狭められているというふうな重大な問題が、いま私たちの目の前にあるわけなんですけれども、このマルシップの増大傾向、その実態、どういうふうに把握されておられましょうか。

後藤茂也運輸省海運局長

○政府委員(後藤茂也君) 御指摘のように、最近、近海部門におきます不況というのはきわめて深刻でございます。このようになりました背景、原因というものについて若干の御説明を申し上げますならば、近海部門の大宗貨物は御承知のとおり南洋材でございます。二、三年来の日本経済の急激なる不況、投資の激減、家を建てる数の減少ということから、材木の輸入量というものが激減をいたしました。この南洋材を大宗貨物といたします近海船マーケットというものについては著しい需給のアンバランスが生じました。もちろんその結果といたしまして運賃が暴落したわけでございます。他方この日本の、よく言われておりますけれども、日本の海運の他の国との比較における国際競争力というものが、船員費の高騰によりまして日本が非常にコストが高く、それと競争する外国の船がコストが安く、日本の国の船がそれと太刀打ちができないような状態になりつつあるという事態が他方ございます。  そのようになりますについては、もちろん日本国の一般的な賃金水準が上がってきたということとともに、円の外貨に対する換算率が三百六十円から三百八円へ、あるいは最近のごとくさらに二百七十円へと、そのように変わってきたこともあるいは影響があるかと思います。そのような結果、運賃が暴落をいたしました場合に、そのような運賃を収受して用船者はそれを用船料として船主に支払った場合に、それは日本の船員のコストというものが賄えるような用船料が払えないほどに運賃が暴落したわけでございまして、そういったような背景のもとで、日本の船を近海船として新しくつくるという人はほとんどいなくなった。  それから、先ほど来お話が出ておりますが、チャーターバック船、現に日本の船を持っておる船主がそれを外国に売却をする。しかし、荷物はある程度あるものですから、用船者はその外国に売られたる船をさらにチャーターバックしてそれを使う。その間に、いままで日本の人が乗っておった船というものが、国籍が変わると同時に乗っておる人も変わるというような現象があらわれました。  また同時に、新たに船舶をつくるという計画を立てる人が初めから、つくる船ができ上がった暁に日本の人を乗せないで外国の船員を乗せるということを念頭に置いた、そういう船のつくり方というものを考え出す人がありました。先生が御指摘のようなマルシップというようなものが大量にあらわれるようになりました。これらはすべてはいろいろと考え方があると思いますけれども、日本の海運というものが日本でつくられ、日本人が持ち、日本人がそれを運航するという形の日本の海運というものがわれわれとしては最も望ましい姿だというふうに思っておりますけれども、そういう形で熾烈なる国際競争をやるについては非常にやりにくくなっておると、こういう背景があって、いま私が申し上げましたようなマルシップ、あるいはチャーターバック船、かつてそのようなものがなかったものが日本の海運市場にあらわれ始めてきた。このように私どもは理解をしております。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 私の質問にまともにお答えいただいておりません。私はマルシップの増大傾向、これはどういうふうになっているのかということでお伺いしておりますし、その実態をお伺いしているんです。ですから、一体いまマルシップと言われる船が何そうくらいあるのか、そういうこともお答えいただかなければなりませんし、私はマルシップというこういう形態が日本船員の雇用を狭めているんじゃないかと、こういうことも御質問しております。それにお答えがございません。   〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕

棚橋泰運輸省海運局監督課長

○説明員(棚橋泰君) 数字でございますが、先ほど局長が申し上げましたように、マルシップは日本船を外国に貸し渡しますので、私どもが把握できます数字は、日本船を外国に貸し渡しますときに、届け出ないしは許可がございますので、その件数だけは把握をできます。その件数で申し上げますと、昭和四十六年の年央におきまして五十三隻、百三十七万総トンでございましたが、一番最近、昭和五十一年央では百二十六隻の二百五万トンに増加をいたしております。さらにもう少し最近、五十一年の十二月末という数字をとりますと百六十九隻、二百十九万総トンでございます。  ただし、これは統計の都合上二千トン以上の船をとってございますので、二千トン未満の船も加えますと、もう少し数字が多いんではないかと思いますが、わかりますのは一番最近の、五十一年の十二月末については、二千トン以下も拾ってございますが、それによりますと貸し渡しの船は——失礼ました、百六十九隻のうち実はこのマルシップに相当しますのはいわゆる裸で貸し渡す、船員なしで貸し渡す、そうして船員を配乗して日本へチャーターするわけでございますから、そのうちの裸用船だけをとらないと数字がわからないわけでございますが、その数字は二千トン以上で先ほどの百六十九隻のうち百四十四隻でございます。それを二千トン以下も細かいものも全部拾いますと百九十二隻、百十六万九千トンという数字が出ております。ただし、これはあくまでも裸貸し渡しをした船の数字全部でございまして、その中でどの程度が船員を配乗してまた日本に用船されて返ってきたかということは、ちょっと統計的には把握ができないということでございますが、この相当部分が先生おっしゃるところのマルシップというものになってチャーターバックされてきているんではないかというふうに考えております。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 マルシップに配乗されている外国船員に対する船員手帳の発給状態、これはどうなっておりますか。

横田不二夫運輸省船員局長

○政府委員(横田不二夫君) 五十二年二月二十二日の調べでございますけれども、全体で千四百六十六名でございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 千四百六十六名ということになりますと、単純計算をしますと、いま二千トン以上のマルシップ船は百四十四そうと、こうおっしゃいました。それに定数二十三、こういうふうに掛けていきますと三千三百十二と、こういう数字が出ると思うんです。そこから、大体いまおっしゃった千四百何がしを引きますと千九百、これぐらいが手帳を発行されていないというふうになると思うんです。私どもが資料を入れましたのは、このマルシップ船というのは大体百八十そうぐらいじゃなかろうかと、こういうふうになっておりますが、これは単純計算いたしますと四千百四十と、こういう数字が出ます。ですから、手帳を発給されている千四百何がしを引きますと、二千七百ぐらいが手帳を発給されていない、発行していない方がはるかに多いということは、これはどういうことなんでしょうか。

横田不二夫運輸省船員局長

○政府委員(横田不二夫君) 先生の御指摘の趣旨は、日本船舶でありながら、日本の船員法が適用されていないといいますか、その執行が確保されていない、その結果船員手帳がその程度しか発行されていない、こういう御趣旨での御質問だと思います。それで、そういうことでございますので、その基本についてお話し申し上げますと、日本船舶には日本の船員法が適用される、これは間違いございません。しかしながら、このマルシップの場合と申しますか、外国に裸貸し渡しをされた場合には、その船に配乗をする船主は外国船主でございます。したがいまして、配乗をするための雇い入れ契約、雇用契約をやる場所は、法律的には外国であるという場合が普通であります。ただ、それを日本の港でやる場合も例外的にあろうかと思います。  したがって、日本の港でやります場合には、雇い入れの公認とあわせて船員手帳の交付も申請する、それで持っていくという部分があるわけでございますが、外国でもって雇い入れ契約が行われることになりますと、船員法は——船員法でなくてもすべての法律がそうであろうと思いますが、旗国主義をとるといたしましても、日本の法令は日本の領土に相当する船舶の中でだけしか適用がないわけです。執行ができないわけです。しかも執行となりますと、外国の港にある、あるいは外国の外の水域にある日本船舶の船舶内における法令の励行ということは非常に困難でございます。したがって、結局は完全に励行できるのは、日本の領水内に当該船舶があるときに、日本の、私どもの方で言えば船員労務官、あるいは海上保安官等の当該官吏が乗り込んで法令の執行に当たり、あるいは指導を行うと、こういうことになろうかと思います。  したがって、非常にくどくなりましたけれども、最初の雇い入れ契約をやるのが外国船主であり、したがって、外国でそういう船外から船に配乗させる、そういう法律行為が外で行われるということになりますと、それを完全に追及ができない。それを仮に日本の港へ来たということで、船員あるいは船長を船員労務官がただ法律違反だということで責める一方ではまいらない。これはやはり一応適法に外国に対して、外国の船主に対して貸し渡されている。といたしますと、当該外国との関係を損うようなやり方ではまいりませんので、したがって、われわれの船員労務官といたしましては、一応乗船監査をして、そういう船員手帳を持ってない外国人船員を発見しました場合には、船員手帳の交付を受けるように指導をいたしているところでございます。そういう関係がございますので、おっしゃるとおり計算は合わないと、こういうことになるわけでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 計算が合わないでいいとお思いなんでしょうか。大体船員法第五十条にどう書いてございますか。この五十条には、「船員は、船員手帳を受有しなければならない。」と、こういうふうになっておりますし、「船長は、海員の乗船中その船員手帳を保管しなければならない。」と、こうなっているのは御存じだと思いますけれども、この法律がなおざりにされてもいいと政府はお考えなんですか。

横田不二夫運輸省船員局長

○政府委員(横田不二夫君) 日本の船舶内に日本の法令が施行され、適用され、その執行が確保されることは望ましいわけでございますけれども、しかしながら、いま申し上げたように、雇用契約をして配乗をする船主は外国船主であるというところが問題でございまして、当該外国は外国で日本の船員法に相当する制度も持っておりましょうし、向こうの、当該外国の船主として、当該または外国としては適法に行われている、こういうことになるわけでございます。で、日本へ来た場合に、その日本の港の中でそういう違法事実を発見した場合に、先ほど申し上げたように、直ちに違法ということで取り締まりにすぐ入るんではなくて、行政指導から始めておると、こういうことでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 望ましいと考えておられる日本の法が適法に適用できないような、そういうあり方自体がおかしいんじゃないんですか。

横田不二夫運輸省船員局長

○政府委員(横田不二夫君) もとがマルシップが存在するということ、で、マルシップというものが、先ほど海運局長から答弁がありましたように、国際的なやむを得ない事由によってそういう形態が生まれているわけでございますけれども、われわれとしては非常に好ましくないと思いますけれども、好ましくないにいたしましても、その結果に対しては、日本の法令を日本船舶に適用するにいたしましても慎重にいたさざるを得ないと、かように考えているわけでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 何もそんなのは慎重じゃないと思います。私はやはり手抜かりだと思います。ですから、こういう問題については、日本の法を適用するというふうに法律でなっているんですから、私はこういう実態を直ちに把握をして、全員に船員手帳を発給するという態勢をとられるべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

田村元自由民主党運輸大臣

○国務大臣(田村元君) 確かに私も聞き及んでおってそういう感じがいたすのでありますけれども、ただ問題は、外国船主であるということで、やはり法律上なかなかむずかしいと、これだけは法律上どうもいたし方がないというような感じでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 だから、マルシップそのものが私はおかしいということを言っているわけなんです。  確認いたしますけれども、マルシップは日本船籍の船ですね。ですから船員法が当然適用されますね。もう一度念のために聞きますが。

横田不二夫運輸省船員局長

○政府委員(横田不二夫君) 日本船舶でございますから、船員法の規定によって船員法は適用はされます。ただし、執行ができるかどうかは別の問題でございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 法律が適用されるのに執行されるかどうかは別だと、法律解釈でそんなものがあるんですか。

横田不二夫運輸省船員局長

○政府委員(横田不二夫君) 外国において船員を乗り組ませる、雇い入れをするということになりますと、そのもとの場所を押さえるわけにいきませんので、また、日本の港に仮に来港いたしましても、平穏に貸し渡しをされた日本船舶、それに適法に外国は外国で乗り組ました船員でございます。したがって、直ちに違法という態度で臨むわけにいかないと、こういうことを申し上げているわけでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 違法ではないとおっしゃいますけれども、その時点でやはりこの法律どおりになっていないわけです。ですから、法律どおりにされようと努力されるのは当然じゃないんですか。そういうふうになさいますか。

横田不二夫運輸省船員局長

○政府委員(横田不二夫君) 私どもは、先ほどから法律論を申し上げて大変恐縮でございましたけれども、日本の船舶に対する日本の船員法の適用を放棄するつもりはございませんので、われわれとしてはできる限り最大の努力をいたすと、こういうことで現地もそのような気持ちで当たっておるわけでございます。われわれもそのように今後も続けたいと思います。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 じゃあ雇用条件ですね、これはどういうふうにチェックをなさっていらっしゃいますか。

横田不二夫運輸省船員局長

○政府委員(横田不二夫君) 先ほど来申し上げていますように、マルシップと言われるものが、外国船主に貸し渡されてしまっておりますので、外国船主と当該外国の船員との間の雇用条件にまでは関与するのは法律的にできようがございません。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 船員手帳をおたくの方でちゃんと出されて、その船員手帳を見られると、こういうふうになっていると思うんです。その船員手帳に労働条件の項ございませんですか。

横田不二夫運輸省船員局長

○政府委員(横田不二夫君) 記載されている場合もあると思いますし、具体的に、外国人に交付された船員手帳にどのような労働条件が書いてあるのか私自身確認したことございませんので承知しておりません。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 日本船籍の船に外国人が乗っていると、この人たちの労働条件については全く知らないと、チェックもしないと、こうおっしゃるんですか。

横田不二夫運輸省船員局長

○政府委員(横田不二夫君) いまの点につきましては、五十年に、これは局長ではございませんが、船員局といたしまして、所管の労働基準課長から通達を出しております。これは先生も御承知だと思うんでございますけれども。それによりまして海運局の方で船員労務官が立入監査などをした場合に、船員手帳を受有するということについて指導をいたしております。そういうときに、あわせて労働条件についても指導はいたしておりますが、たとえば雇い入れ契約の公認を受けに来るような場合、その場合には当該雇い入れ契約について当該の外国政府ですでに公認されているような労働条件であればそれでよろしいというふうにいたしておるわけでございまして、労使の関係の労働条件につきまして、日本の、たとえば大きな組合である全日本海員組合が志向しているような労働協約を直ちに推奨する、こういうわけにもまいらないと考えております。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 雇い入れの公認手続はどのように行うわけですか。

横田不二夫運輸省船員局長

○政府委員(横田不二夫君) 所管の海運局の窓口におきまして、通常の手続で行っているところでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 通常の手続って、そこで労働条件チェックしないんですか。

横田不二夫運輸省船員局長

○政府委員(横田不二夫君) 手続といたしましては、船員法に従ってチェックをいたします。いたしますが、いま申し上げたようなことで、労働条件については雇用契約の面で行われております。その雇用契約が外国船主と当該外国人との間で外国で行われているという点、その国の慣習もあるという点等を考慮して、直ちに日本の労働条件というものを推奨するというわけにはまいらないんじゃないかと、かように思うわけでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 じゃね、チェックをなさった雇用条件と実際の労働条件が違うと、こういう実例がある場合にはどう措置をなさいますか。

横田不二夫運輸省船員局長

○政府委員(横田不二夫君) なかなか外国に貸し渡してしまった船でございますので、したがいまして、実際の労働条件と雇用契約面で確認されておる労働条件が違うということを船員の申し立てでもあればともかく、なかなかむずかしいことだと思います。しかしながら、船員の申し立てによって雇い入れの際の労働条件と、契約による労働条件と実際が違うということであれば、当該船長を通じて当該労働条件、雇い入れの際の労働条件を守るように指導をいたしたいと思います。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 別に船員の申し立てだけでなくて、船員労務官というのがおたくの方でおありのはずです。これでチェックをできるはずです。それから、マルシップについては海員組合も調査をしておりますし、また船舶通信士労働組合、ここも実情を調査されております。私の手元にいま「〃マルシップ〃外国人乗務員の実情」と、こういう船舶通信士労働組合のまとめられた一冊が届いておりますけれども、私はこの中を読んでみまして、いかにこの労働条件というものが劣悪であるのかというふうなことを感じるわけなんです。マルシップといえども、先ほどから大変逃げ腰でございますけれども、日本の船員法の適用を受けている船なんです。こういう実態を見ますと、私は運輸省の行政指導というのが全然なされていないというふうな疑問を抱かざるを得ないわけなんです。それどころか、むしろ低コストの船員増大のためにこれを見逃しているというふうにしか思えないわけです。私、こういう実態を見逃してきた政府に大変責任があると思うので、この実態というのを少し挙げてみたいと思います。  ここでは、まず「船員保険に加入している者は皆無に等しい」、「有給休暇制度はない」、あるいは「韓国での標準的な家族の生活費は百六十ドル位。未経験船員の賃金は百二十ドル、エーブルシーマン百六十ドル」、これは日本の賃金労働者の三分の一ぐらいの賃金ですね、こういう低賃金を押しつけられている。それから、「レーダー、VHF電話の免状を持った者はひとりもいない」、これは船舶安全法の第四条、ここには「電波法ニ依ル無線電信ヲ施設スルコト」というふうになっておりますが、こういう人が一人もいないということは、これがないとすれば、マルシップについてもこういうものは施設を要しない船舶にはなっていないわけですから施設をしなければならない。これで船舶安全法の違反。もしこれがあるのに、免許のない者がこれを操作していたというふうになれば、これは電波法通反ではなかろうかというふうに思うわけです。  それから、「外航航路の経験者は船長と甲板長のみ、はじめて商船に乗った者が三分の一もいた」、これは韓国ですけれども、私はそのほかの調査も持っておりますけれども、韓国ではほとんど船員と言えないというふうな、技術レベルの低い人たちが急遽船員にされて乗っている。これは安全面からも非常に問題があろうかというふうに思うわけです。それから、「機関長と操機長が下船させられたが交代者なく欠員。マンニング会社は一船毎の請負いであるから、欠員者の支払わないですむ給料は会社の収入となる」、こういうふうなことがあるわけです。これはこういう状態では海難事故につながるんじゃないか。  それから、船員法の施行規則の五十条です。これは「食料を支給しなければならない」というふうになっておりますけれども、満足に食料も支給されておりません。「食料金一日六百円。満足な量が積込めないから、アメリカに限って三ドル分積めるよう交渉した」、これは韓国です。それから、「米とキムチの食事、とにかく量がすくない、腹が空って働けないとセーラーはコボしている」とか、「食料問題で船内大会をやった」とか。  これはまずごくごく一部を挙げただけなんです。こういうふうな状態を一体御存じなのかどうか。私はこういう状態を放置してきた   〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕 政府の責任、実に重大だというふうに思うわけですけれども、いま述べたのはごく一部ですけれども、私の述べたような実態についてはどう措置をなさいますでしょうか。

横田不二夫運輸省船員局長

○政府委員(横田不二夫君) 私の考えでは、率直に申し上げまして、外国に貸し渡されたということによってこういう法の適用が困難になっておる。これが本当の率直なところであろうかと思います。したがって、現状においてはこのマルシップがそういう形で、あるいはその他の形で外国用船が行われる。これは海運を維持していくためにやむを得ないところであろうかと思いますけれども、基本的なそのやむを得ない事情から、こういう結果的には好ましくないと思われる事態がある。したがって、率直に申せば日本船舶がこのような形で貸し渡しされることが少ない方が望ましい、こういうふうに考えるわけでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 貸し渡しをしない方が望ましいと、それはそのとおりなんです。しかし、私がいま申し上げたのは、こういう実態について即刻手を打たなければならない。そのことについてはどうなさいますかという質問にはお答えになっていらっしゃらない。私は申し上げますが、これは定期用船をしている会社、日本籍であるわけなんです。ここには入れるわけです。私はまず何よりも立入検査をしていただきたい、こう思います。  それから、船についても、内地の各港湾に入港したとき、このときに厳重に点検をすればいいわけです。ですから、臨時検査を行っていただきたい。そのときに労働条件ですね、いま申し上げた賃金とか、労働時間とか、休日とか、あるいは有給休暇の問題、定員の問題、こういう労働条件を押さえていただく。さらには、食料の問題も押さえていただく。就業規則も備えつけなければならない、こういうふうになっております。だから、就業規則もどうなっているか調査していただきたい。で、私はその調査結果をぜひ報告をしていただきたい。こうお願いいたしますが、いかがでございますか。

横田不二夫運輸省船員局長

○政府委員(横田不二夫君) 日本の港にマルシップが入ったときに、それを、そうしたときにできるだけ船員労務官の立入検査によって法を厳重に指導するということを、先生のおっしゃるとおり努力さしていただきたいと思います。現在も努力しているつもりでございますが、これからもさらに努力を続けたい、こう考えます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 定期用船をしている会社の立入検査、これはすぐやれるはずです。やっていただけますでしょうか。

横田不二夫運輸省船員局長

○政府委員(横田不二夫君) 船内の船員の労働条件は雇用契約によって決まっておるものですから、したがって、配乗をして、仮にそういう悪い労働条件であるとしても、そのもとは雇い主、すなわち配乗をした外国船主になるわけでございます。したがって、それを船員が配乗された船として定期用船している会社に対しては立入検査等のことはできないと、こう思います。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 定期用船をしている会社については何の責任もない、これは私はやはりおかしいと思うんです、こういう雇用形態というのは。マルシップそのものがもともとおかしいわけですけれども、こういう定期用船をしている会社がやはりこういうマルシップに乗船している人たちの、そういう人たちの責任も持たなければならないとか、この人たちの災害補償を一体だれがするのかと、労働条件の保障をだれがするのかと、こういうことになると、一体これはだれが責任を持つんですか。

横田不二夫運輸省船員局長

○政府委員(横田不二夫君) 国際的にはやはり乗組員を配乗をいたしました当該外国の船主がまず責任を持つべきであろうと、かように考えます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 外国船主が持つといいましても、ほとんどがペーパーカンパニー、そういう状態でもあるし、実際に外国だからいろんなことが及ばないということで、先ほどからずいぶん逃げ腰なんです。それでは完全に責任がこの人たちに対して持ち切れないじゃないですか。その点はどうお考えなんですか。

横田不二夫運輸省船員局長

○政府委員(横田不二夫君) 先生の御意見もごもっともとは思いますけれども、現実の問題として外国の船主である、外国に貸してしまった船であるという基本においては、法律関係変えるわけにいきませんので、そういう点からいたしまして、われわれとしてはやることにおのずから限度ができてしまう、こういうことでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 では、船の貸し渡し期間の問題についてお伺いいたしますけれども、五十年の八月の通達で二年以上、これを六カ月の許可、こういうふうに変えられましたけれども、なぜですか。

後藤茂也運輸省海運局長

○政府委員(後藤茂也君) お答えいたします。  日本の船舶の外国に対する貸し渡しというものの規制をさらに厳にするという趣旨で二年を六カ月に変更したものでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 なぜ貸し渡しを厳重になさるんですか。その目的は何なんですか。

後藤茂也運輸省海運局長

○政府委員(後藤茂也君) 先ほども申し上げましたように、基本的には日本の海運というものは日本でつくられ、日本人が持ち、そして日本の人がそれを動かしている。そのような日本海運というものが最も望ましい形の日本海運であるというのがわれわれの基本的な考え方でございます。したがいまして、船が外国に譲り渡される、あるいは貸し渡されるということで、いま私が申し上げました日本的な、日本国との紐帯というものが一つ二つ切れていくということは一般的に言って望ましくない、そういうことで、こういう現象に対して私どもが基本的な監視の目をより厳格にするということでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 望ましくないから監視の目を厳格になさると言っておられますけれども、実態というのは六カ月以上にはなっていないわけなんです。五カ月二十九日で更新、更新と、こういう手続がなされて、半永久的に継続されております。こういう点をどうチェックなさいますか。

後藤茂也運輸省海運局長

○政府委員(後藤茂也君) お答えいたします。  許可なり、報告なりの実績を調べてみますと、六カ月以上の期間で許可を受けたケース、それから六カ月未満の形で報告をしてきておるケースとがございます。あるいは、ただいま御指摘のような六カ月未満の用船というものをさらに延長する場合が私はあり得るんではないかと思います。事実上、それがたとえば許可を受けるべき行為を、それを免れる趣旨によって初めから六カ月以上の期間の貸し渡しをするつもりであるけれども、六カ月未満の形にするということがわかれば、それは違法なる行為として取り締まるべきものでございますし、そのようにいたします。ただ、貸し渡しということは、先ほど来申し上げておりますように、これは商取引でございまして、その個々の商取引について、全般的にあるいは禁止したり制限したりというようなことを、いまここでやろうということは考えてはおりません。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 海上運送法第四十四条の二です。ここに、運輸大臣は、許可によって船腹の供給が需要に対し著しく不足にならず、かつ海運の振興に著しく支障を及ぼすことのない限り、これを許可しなければならない。言葉を変えて言えば、海運の振興に著しく支障を来す場合は許可をしてはならないというふうなことなんです。これを七十五国会で、日本船員の職場が狭まらないように裸用船の規制を期間を短縮して実効を上げたい、当時の海運局長さんはこう御答弁なさっていらっしゃいます。裸貸しですね、これは外国船員を乗せる、これが目的なんですね。これは安い船員を乗せて、非常に日本の船員さんの職場を狭めているわけです。これが増大してくるというふうなことは、非常に深刻に日本船員の職域に影響を与え、船員の失業を増大させるというふうなことで、決して海運の振興にはならない、つながらない、逆であると、こういうものは私は絶対に許可すべきでない、こう思いますけれども、いかがお考えでございますか。

後藤茂也運輸省海運局長

○政府委員(後藤茂也君) ただいま先生がお読み上げになりましたその条文に基づきまして許可をしなければならないと思っております。大体このマルシップをめぐる問題、非常に背景が私は複雑であり、むずかしい問題だと思っております。で、やはり先ほど申し上げましたように、これは日本の海運の国際競争力というものをいかに維持していくかという問題に突き当たるのでありまして、その点につきましては今後とも、海運造船合理化審議会にいま諮問しておりますけれども、基本的な今後の対策というものを検討させていただきたいと思っておりますけれども、少なくとも現状におきまして、ここで日本の人が乗った日本の船というものが商売上立ち行かなくなりつつあるというのは、これは現実でございます。そこで、いまのお話が出てきておりますマルシップというのは、そういった背景のもとに出てきているものでございます。われわれはそのように理解しております。それを規制したら、それなら日本の船員の雇用の機会がふえるかということにつきましては、私はそういうふうな議論は当たらないのじゃないかというふうに思っております。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 貸し渡しをした船に、日本の船主が定期用船している場合にですね、外国の用船主というのは単に乗組員を配乗するだけというふうなことなんです。で、これは外国人労働者の受け入れ規制ということを閣議了解なさっておりますが、これに違反をすると思いますけれども、大臣いかがですか。

横田不二夫運輸省船員局長

○政府委員(横田不二夫君) 御指摘のように四十二年以降、最近では五十一年の六月十八日でございますが、雇用対策法に基づきます雇用対策基本計画、これを労働省の御提案で、閣議決定の際に労働大臣から、外国人労働者の受け入れ問題につきまして発言がございまして、現在外国人労働者を特に受け入れる必要はない、こういう趣旨の御発言がありました。これに基づきまして、現在までのところ外国人労働者はなるべく使わない、こういうたてまえになっております。船員につきましても、日本の船主が配乗する船舶については、たとえ外国船舶を裸用船したものでありましても、日本人以外の者は雇い入れてはおりません。ただ、先ほどから申し上げているとおり、船員の配乗が日本船主が行うものでなくて外国船主が行う形になっている、日本のいわゆる外国へ貸し渡しをした、裸貸し渡しをした船舶についてはこれまでは配乗を規制することはできない、日本人でなければならないと、こういう規制はできないと、こういうことでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 好ましくない、好ましくないとマルシップについてはおっしゃりながら、現在の日本所有の外航運航船、これは千二百十五隻と思います。そのうちのマルシップ、そちらの方でお答えになったのが百四十四そう、私どもの調査では百八十そうですが、百八十そうにしますと一五%、そして百四十四そうでも一二%を占めているんです。これが近年、海運白書でも書かれているように、一、二年で非常に増大をしている、歯どめをしなければならない、こういうふうにお考えにならないんですか。海運白書はどういう意図でお書きになったんですか。

後藤茂也運輸省海運局長

○政府委員(後藤茂也君) 先生がいまお述べになりました数字は、大体そのとおりであろうと思いますけれども、そこでお触れにならなかった問題があると思います。すでにこの二、三年の間に二百隻から三百隻の船が海外に売却されておるんであります。つまり売却をする、あるいはマルシップが生まれる、これは先ほどから私が申し上げておりますように日本の海運、日本人を乗せて、そしていまの船員制度のもとで運航されているということを前提にして考えますならば、現実にそれと競争して走っておる外国の海運との間にコスト競争で立ちおくれておるんであります。したがいまして、その点についてわれわれが対策を立て得るにあらずんば、いまここでマルシップそのものをただとらえてどうこうしようとしても、結果的には先ほどから申し上げておりますように、船員の雇用の問題にプラスにはすぐにつながらないと、そのように私どもは考えております。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 政府に、大臣にお伺いいたします。  私は、日本船員の労働市場を確保するというのは、政府にとっては重大責任ではなかろうかと、こう思うわけです。先ほどからのお答えというのは経済性のみ優先して、私はやはり荷主の利益を優先している政府の態度にすぎないと、こう思いますが、日本船員の労働市場が狭められている、この問題を再三申し上げております。日本船員の労働市場確保、そのことは政府にとっては一体どういう位置づけなんでしょうか、大臣、どうお考えですか、お答えいただきます。

田村元自由民主党運輸大臣

○国務大臣(田村元君) もちろん、申すまでもなく、日本の雇用政策を最大中心にすべきものと、このように考えております。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 この人たちには船員保険法が適用されるのが私は当然だと思いますけれども、これは法第十七条です。いかがでしょうか、適用されておりますか。

川崎幸雄社会保険庁医療保険部船員保険課長

○説明員(川崎幸雄君) 船員保険は、船員保険法でいいますところの、船員として船舶所有者に使用される場合に船員保険が適用されることとなっておりますが、ただ、先ほど船員法にもございましたように、外国船主に雇用されております場合には、実際にわが国の保険制度を適用することを強制するすべがございませんので、適用いたしておりません。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 船員法の第十七条にはこういう規定がございます。「船員トシテ船舶所有者ニ使用セラルル者ハ船員保険ノ被保険者トス」、こういう法的矛盾はいかがお考えでしょうか。

川崎幸雄社会保険庁医療保険部船員保険課長

○説明員(川崎幸雄君) 現実にわが国の保険制度の適用を行います場合には、船舶所有者に対しまして、たとえばもろもろの届け出の提出とか、あるいは保険料の納付、場合によりますと国税滞納処分の例によりまして差し押さえをやる、こういったような措置が必要でございまして、外国に住所がございます外国の雇用主に対しまして、こういった義務を履行させるというすべがございませんので、事実上これを適用することはできないわけでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 法律の適用もできない、こういうふうな状態に置かれているわけです。ここでは法律の適合性のないようなマルシップというものが私は検討さるべきだと思います。  大臣にお伺いいたしますけれども、この船員保険法では、船員として船舶所有者に使用された者はこれは船員保険の被保険者とすると言っている。だけれども、厚生省の方ではその適用は事実上不可能ですと、こういうふうにおっしゃる。こんな矛盾に満ちたマルシップ、このあり方ですね。法も適用できないような。こういう事実をやはり私はいまこそ検討さるべきだ、こういうふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

田村元自由民主党運輸大臣

○国務大臣(田村元君) 大変これはむずかしい問題だと思うんです。たとえば、日本の船主が外国から裸で船を借りてきて、そうして日本の船員を雇用した、その場合に恐らく日本政府は、日本の法律の適用を求めるだろうと思うんです。裏返せばそういうことになりますし、大変むずかしい問題ではありますが、私個人は——個人と言ったって運輸大臣という立場でありますが、私はマルシップというものに対しては批判を持っておりますから、マルシップそのものに対して運輸省は今後十分の検討をすべきものというふうに私自身は考えております。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 いまの大臣の御答弁を受けまして、昨年の十月に私どもの共産党の沓脱議員が質問をしました。そのときに、当時の浦野労働大臣のお答えは、日本の船をどんどん外国に貸して安い賃金でやられては日本の労働者はまいってしまう、国内の労働者を守っていくためには運輸省と相談して検討をしたい、こう答えられているわけです。私は大臣にお願いしたいんですけれども、労働省ともう相談をされていると思います。どう考え、どう対処されていくのか、今後のマルシップ全体に対してどう措置をされていくのか、決意を込めてもう一度大臣にお伺いをして私の質問を終わりたいと思います。

田村元自由民主党運輸大臣

○国務大臣(田村元君) マルシップについて法律上のいろいろな問題点ございます。でありますから、私どもが単にこれはおかしいという程度ですべてを割り切れるものではございません。先ほど来局長から苦しい御答弁を申し上げておるということだけでもおわかりいただけると思うのであります。しかし、いまの御提言に対しては、幸い私は労働大臣経験者でもございますので、労働省とこういう問題について一度洗い直していろいろと相談をしてみたい、このように考えます。このようにいま御答弁申し上げておきたいと思います。

和田春生民社党

○和田春生君 まず最初に、主題であります海運の対抗立法についてお伺いをしたいと思うんですが、海運局長、あなたに質問ですから、ひとつ。  諸外国の立法例を見ても、対抗立法として、表現はいろいろありますが、大体七つぐらいのカテゴリーに分けられるんじゃないかと思うんですが、一つは、輸送または運賃の規制、二番目には、用船契約の禁止あるいは制限、三番目は、輸送契約の締結に関する制限あるいは禁止、四番目に、料金または課徴金等を付加するという点、五番目には、船舶入出港の制限または禁止、六番目には、貨物の、日本の場合では日本の港における積みおろしの制限や禁止、七番目は、関税その他いろいろな措置というようなことが考えられるわけですが、また実際、実例でもそういう制限例があるわけですけれども、提案をされた今度の法案の中では、このいま私が申し上げたうちの五番目と六番目の船舶入出港の制限禁止と、貨物積みおろしの制限禁止と二つに限定をしておりますね。この二つに限定して十分であるとお考えなのか、ほかの方法を採用しなかった理由はどういうことなのか、その辺をお伺いしたいと思います。

後藤茂也運輸省海運局長

○政府委員(後藤茂也君) お答えいたします。  御指摘のように、外国の立法例を検討いたしますと、いろんな対抗措置が具体的に決められておりますこと、御指摘のとおりでございます。私どもといたしましても、そのような立法例を参考にいたしまして、日本国で最も実効の上がりそうな、期待できるような措置というものをいろいろ検討いたしまして、そして御指摘のように、第四条に具体的に列挙した二つの措置というものを選んだわけでございますが、私どもの考え方では、このような措置がきわめて簡単明快であり、そして、これでもって今後考えられます事態に対処するのには十分であるというふうに判断いたしたわけでございます。なお御承知のように、関税定率法の第七条に、すでに日本の似たような事態に対して対処する、もう一つ産品に対する課税という方法がすでにあることは御承知のとおりでございます。

和田春生民社党

○和田春生君 そうしますと、現在日本が受けている国旗差別、あるいはこれから受けるであろう差別というものに対しては、今回の提案をされた内容において十分対抗し得ると、こういう考えのもとにこの二つに限ったというふうに確認してよろしゅうございますね。

後藤茂也運輸省海運局長

○政府委員(後藤茂也君) そのとおりでございます。

和田春生民社党

○和田春生君 それから、この種の法律というのは、これは適用しないのが本来望ましいわけですが、しかしわれわれの考えでは、そう言っても最近における日ソの漁業問題なんかにも見ますように、相当いろいろなことをやってくるやつもおるわけでありますから、やはり対抗する場合にはきちんとやれると、また断固としてやると、こういうことが必要だと思うんです。それは何も積極的にこちらがけんかを売れということではないんですね。しかし、こちらに、本院に回ってきた資料によりますと、衆議院の運輸委員会における附帯決議というようなものがついておりまして、「国際協調を重視して最善の努力を払い、本法の発動について慎重を期すべきである。」というようなものもあるわけですね。  どうもわれわれ海運の実情を見ておる者だと、できるだけやらぬ方がいい、やるときにはいつでもやれるふうにしておけということは、これはいわばおどかしでございまして、対抗措置ですから。したがって、運用ということに当たっては余り憶病ではなくて、やっぱりぐあいの悪いときには断固としてやるぞという姿勢があるが、だからやらなくて済むようなことになるわけでありまして、法律はつくったけれども、おっかなびっくりでへっぴり腰だということになれば、そこのところをつけ込まれて、結局日本の方が差別を受けて追い込まれるということにもなるわけでございますから、こういう点につきましては、ひとつこれは質問というよりも、運用上における運輸省の、質問としては私の方から注文をつけておきたい。私の感覚からいけば、むしろこの種の立法は遅きに失したと、こう思っておるわけでありますから、これはひとつ要望しておきたいと思う。  それはその点として、次の質問に移りたいと思いますが、これは相手側が明白に日本船に対しての差別をやってきたときに、こういう対抗措置があるわけです。ところが、最近、国際海運の中で大きな問題になっているのは、これもありますけれども、それよりもソ連、あるいは東欧圏諸国が積極的に国際海運に乗り出してきた、それぞれの国と外国との間ではなくて、それらの国以外の第三国輸送に割り込んできている。しかもこれらの国は、経済体制からいって一般のわれわれの国のような自由な企業の体制ではございませんから、採算を無視して既存の運賃、あるいはその航路における秩序を破壊するがごときダンピングをやるとか、相当国際海運市場を荒らすような結果を招くそういう行為をやってくる。これは採算をもとにする企業の場合には、めちゃなことをやると自分の企業がつぶれますからおのずから制限がありますけれども、国家がバックアップをして採算を度外視してやってくるという形になると、これはなかなか大変な問題になる。これがやはり非常に大きな問題になってきていると思うんですね。そういう問題に対してやはり対抗するといいますか、防戦もしなくてはならぬと思うんですけれども、その点はどういうふうにお考えになっていますか。

後藤茂也運輸省海運局長

○政府委員(後藤茂也君) お答えいたします。  ただいま御指摘のように、今回御審議をお願い申し上げております法案は、現在世界海運で大きく話題、問題になっておる二つのうちの一つである南北問題に対処する具体的な方策が述べられておりまして、他のもう一つの問題である東西問題に対するいわば回答というものをこの法案の中には入れていない、そのとおりでございます。私どもといたしましては、今回この法案を検討するに当たりまして、南北問題のみならず東西問題についても、ただいま御指摘のようなソ連のごとき、国家と一体になった特殊な社会体制のもとにおける海運企業が、これがその航路における既成の運賃秩序を乱して非常な安値で荷物をかっさらっていくような行為というものに対する対抗措置を入れることについて検討いたしたのもまた事実でございます。  私どもといたしましては、いま申し上げましたように、結果としてはその部分を入れない法案を御提案申し上げたわけでございますが、なぜそうなったかということにつきましては、御説明申し上げれば次の二つの点に理由があるわけでございますが、一つはやはり立法技術上の問題といたしまして、ただいまの日本の独禁法の考え方、そのもとにおける運賃同盟に対する考え方という考え方に照らしまして、運賃同盟の外で、運賃同盟が決めておる運賃よりも安い運賃を用いる商売のやり方というものを法律的に規制するということの理屈の上での整理というものに相当にまだ問題が残ったということと、さらにそのような形の立法というものにつきましては、貿易界を含めた国内全般の同意、了解を得るのになかなか困難な問題があったということで、残念ながらその問題をいわば後に積み残したということで、今回はソ連海運が現在世界でいろいろと問題を起こしておるような問題についての対処、方策というものをここに入れられなかったわけでございます。

和田春生民社党

○和田春生君 この法律にそういう措置を入れるのが適当かどうか、これはほかの関連もあると思いますし、国内だけでは処理できない諸外国との関係もあると思います。しかし、いろいろな問題が国際海運に最近起きてきておりまして、必ずしも伝統的な海運自由の原則のもとにやり得なくなってきているということも事実であります。それから、経済的な問題を無視してやるという形になりますと、公正な経済関係の上に問題を処理しようとする方はとても太刀打ちできません。たとえば最近日本の沿岸におけるソ連船の操業について問題になっているように、何千トンという母船を持ってきて日本の沿岸で底びきをやるなんということは、普通の漁業の採算からいけば成り立たないけれども、ただ魚をどれだけとってこいというノルマをかけるという形になれば、銭勘定を無視してやりまくりますから、それは日本の定置網をひっかけてばりばりやったってとにかく根こそぎやれと、こういうような形で沿岸漁民に被害が出てくる、そうするとこれはやっぱりたまらぬことになるから、十二海里法でこれはひとつ外へ出て行ってもらわぬと困るというような形になってくるわけですね。  海運の関係でも、やはりそういう採算を度外視していろんなことをやられるという形になると、これはなかなかわが国の海運にとっても大変むずかしい問題が出てくるんじゃないか。やたらにカルテルを結んで運賃をつり上げるということは、これはまた別の問題がありますけれども、そうではなくて、そういう不公正な競争というものを排除するという面において手おくれにならないように私は積極的な取り組みをしていく必要がある、そういうことを考えて、さらに伝統的な、公正な海運を望む各国とも協力をして、国際的ないい海運秩序をつくるという面について日本も努力をする必要があるんじゃないか。  とかく海洋法の問題を見てもあるいはいろいろな問題についても、伝統的な海運の自由あるいは海洋自由、そういう原則にばかりぶら下がっておって、日本側がへっぴり腰であり、非常に何といいますか、後向きの考えというよりも、前向きの考えをせずにちゅうちょしているうちに事態がどんどん進んでいって、取り残されて気がついたときには追い詰められてばたばた騒ぐと、こういうことが多いように思います。したがって、この点については運輸省としても積極的にやっぱり取り組んでいっていただきたい、いますぐこれ法律に入れろとか、あるいはこの法律はそれが入ってないから欠陥であるというような意味ではなしに、そのことを要望したいと思うんですが、運輸大臣、これいかがですか。

田村元自由民主党運輸大臣

○国務大臣(田村元君) 実は一月でございましたか、二月でございましたか、フランスの運輸大臣のカブァイエという人と、オーストラリアの運輸大臣のニクソンと相次いでやってまいりました。そのときの私との会談の議題で、最も大きな問題の一つは東欧圏海運に関する問題でありました。先進海運国の非常な悩みでありますので、この東欧圏海運という問題につきましては、日本だけでなく先進海運国との間で十分な話し合いも進んでおるわけでありますけれども、一国だけがとかくということより、やはり国際会議のまないたの上に乗っけて皆で共同防衛をしなければならぬ、これは当然のことだと思います。でありますので、海運局もこの問題については非常に神経質になっておりますので、早急にわが国としての対応、それから国際会議という場における対応、この両方に対して最善の努力をいたしたいと考えております。

和田春生民社党

○和田春生君 これはぜひそういうふうに強く要望しておきたいと思います。なおそういういい海運秩序をつくっていくという立場から見て問題になるのは、先ほど来もう幾つか質疑が重ねられております例のマルシップの問題であります。これは日本人の船員が乗って、日本の船主が運航する日本の商船隊を確保しなければならぬ。そういう考え方については恐らく七百数十人おる国会議員の中で私が一番強く念願していると思うんです、これは私の立場からいって当然であります。しかし、先ほど来の質疑をちょっと伺っておって私疑問に思いましたのは、きちんとしようと思えば、具体的にやれることを考えてやらなくてはいけないわけですね。やれないことを追い求めておって、そしてやれないからだめだだめだで責任逃れをしておったんでは、事態はいつまでたっても解決をしないんじゃないか、そういう感じが強くするわけです。  そこで、やはりこれも対抗立法ではありませんが、日本の海運の健全な発展を図るという面から非常に重要な問題ですから二、三お伺いをしたいんですけれども、一つは、先ほどの質疑でちょっと私疑問に思ったんですが、運輸省当局はマルシップというものをどういうふうに理解をしているのか、どういうものをマルシップと呼んでいるのかということをまず伺っておきたいと思います。

後藤茂也運輸省海運局長

○政府委員(後藤茂也君) マルシップという、よその人がつくった言葉でございまして、私どもがそれをどう理解しているかということになりますと、多少正確なる運輸省の統一見解というものでもございませんけれども、大体私どもの理解では、マルシップというのは日本籍である、日本に登録された船である。しかし、その船を動かしておる人たちはそれは日本人ではない。したがって、その場合には先ほどから問題になっておりますように、配乗をしている会社は日本の会社ではない。第三の要件といたしまして、その船の活動は、やはり日本中心の貿易に従事しておる。そういったような要件を備えたような船というふうにマルシップという言葉を理解しております。

和田春生民社党

○和田春生君 よろしいですか。そうしますと船籍は日本だと、その場合、それを動かしている船員は日本人船員じゃないとおっしゃいましたね。しかし活動は日本を中心にやっていると、この三つの要件だとおっしゃったわけですが、その用船主ですね、それからオペレーター、そういうものはマルシップというものを考えていく場合の概念の中に入ってこないのですか。

後藤茂也運輸省海運局長

○政府委員(後藤茂也君) いま第三の要件に日本関係のトレードに従事しておるということを申し上げましたけれども、その場合には、実際上の問題といたしまして、それは日本の荷物を持っておる会社がそれを定期用船して、オペレートしているということにつながるというふうに私は理解しております。

和田春生民社党

○和田春生君 そうしますと、たとえば日本籍の船であっても、外国の船主に裸で貸したと、その外国船主がそれを自由に動かしているという場合には、これはマルシップの対象からはずれるでしょうし、海運取引からいって、そういうことはしょっちゅう各国間にあることですから、これは規制するとか、どうとかといってみてもしようがない。やっぱり一番問題になるのは、日本籍の船を裸で外国船主に貸して、そのチャーター主がしばしばダミーであったり、ペーパーカンパニーである場合もある。そうして、それに外国船船員が乗って、それを日本の船主がチャーターバックをするなり、そういう形で日本に関係のある荷物を運ばしている、大体こういう考え方が、このものがマルシップだというふうになってくると思うのですが、そうすると、そういう形の船の実態が、どうも先ほど来の運輸省側の答弁を聞いてみますと、はっきりしないというのですがね。はっきりしないというのはおかしいので、はっきりしていなくちゃいけないのじゃないか。  調べようは幾らでもあると思うのですね。日本籍だけれども、外国船主に全部チャーターされ、裸チャーターをしている船は何隻おると、それがどういうふうになっているかということを全部はつまびらかにできない、それは外国船主が裸用船した船をどういうふうに使っているか日本政府の及ぶところじゃないが、私がいま質問で確認した形になってくると、その全貌はつかまれておって当然だと思いますし、あれほどマルシップ、マルシップと言われてきてるんですから、一体それは各社別にどういうのがあると、どういう形になって、どういう船が出ている、それ一体どういう各国の船員が乗り組んでいるというのが、何百何十何人まで一人も違わぬくらいぴたりというわけにいかないかもしらぬけれども、ぼくはわかっておって当然だと思うのですが、その辺がわからないというのはなぜですか。

棚橋泰運輸省海運局監督課長

○説明員(棚橋泰君) 先生御指摘のとおりだと思うのでございますけれども、わからなくなる要素が二、三ございまして、一つは、裸貸し渡しの許可ないしは届け出というものが非常に細かく波動をいたします。そういう関係で、ある時点をつかまえて、その時点で船が何隻あるというような静止した時点はとらえられますけれども、非常に変動が激しいということが一つだと思います。それから裸の貸し渡しはそういうことでございますけれども、今度は貸し渡しまして、外国人を主として配乗をしました船を、わが国の海運会社が定期用船でチャーターバックする、この行為を把握するということが非常にむずかしいということでございます。  これは大きな船会社等でございましたら、ある時点を定めて調査をいたしますと把握ができるわけでございますけれども、御承知のように海運のいわゆるオペレートしておりますオペレーターというのは非常に数がございまして、しかも、許可免許事業でございませんという関係から、非常に数が多く変動も激しいというようなことで、なかなか把握しにくい。特にこういうマルシップというような行為をおやりになる会社の中には、いわば極端に申し上げますと、テーブル一つに電話一本というような形の非常に小さい会社も含まれておるというような形で、実は正確な把握が非常にむずかしい、こういうことだと思います。

和田春生民社党

○和田春生君 表面的にはそういうことでしょうけれども、海運業に対しましては、いろいろな許認可や、あるいは船の建造、その他の問題を通じて、運輸省の監督権というのは大変強いわけです。われわれが接触しておりましても、そういうおっしゃるような電話一本、机一本ぐらいな船主でも、こんなことで困っているんだがというような話があると、よく聞いてみると困ることはないんで、なぜそんなことを困っているんだと言うと、いや、やっぱし運輸省ににらまれるとこわいですからね、私たちは言いたくても言えませんということを言っているぐらいですからね、これ相当なもんだと思うんですね。  ですから、ある一定の期間なら期間を限って、そういう報告を出しなさい、実態を把握するために。そういう措置をとれば、それは完全に一〇〇%ということは無理にしても、もぐりだっておるわけですから。ずっと全貌について、どういう船が、どういう形態で、いわゆるマルシップとして運用されている、その場合のマルシップに該当するのはこういう、こういう、こういう条件に該当するものをマルシップというとか、マルシップと言わなくてもいいですよ。それについての実態調査をするから報告書を全部出しなさいと、そして乗組員等全部調べていけば、大体どういう形になっているかという全貌がわかると思うのですね。  そういうものもつかんだ上で、それはその全部排除できるものか、あるいはそれは全部排除することは無理だけれども、ある程度それは日本人船員の手で運航した方が長い目で見れば望ましいので、そういう方向に持っていこうではないかとか、こういう措置が私はとれるんじゃないかと思う。そういう点についてどうも運輸省の方ですね、もう一つ積極性が足りないという気がして仕方がないんですね。  マルシップはけしからぬ、けしからぬと言っているばかりじゃなくて、生まれてきたには生まれてきた必然性があるわけですから、その中で実態を正確に把握をして、できることとできぬことというものをまずつかんで、できることは積極的にやっていくと、できない点についてはこれは非常に無理なんだから、それならばこういう対応策を構ずるとか、これはやむを得ないというふうに仕切っていきますと、いろいろな疑心暗鬼もなくなってくると思いますし、労使関係における対応というものも大変そういう面では対応しやすくなっていく、あるいは雇用対策で検討する場合にも、基礎的ないろいろな材料が整うんじゃないか。そういうことをぜひやってもらいたいと思うんですが、これ海運局長ですか、船員局長ですか、どっちでもいいですが、ひとつ。

後藤茂也運輸省海運局長

○政府委員(後藤茂也君) マルシップについてのぴしっとした実態の把握というものができておらぬではないかというおしかりの点は、私は全くその御指摘のとおりだと思いますし、私どもといたしましては、先ほど監督課長御説明申し上げましたように、むずかしい問題があることはありますけれども、さらに努力をいたしまして、マルシップの実態というものについて、より正確なるものを役所として把握するように努力をいたしたいと思っております。  また、先ほど来御説明申し上げております私どものマルシップについての考え方も、そこいらの実態の把握に十分でない点があるがゆえに、多少いまのところはまだ上澄みであるという点があることをみずからもそのように感じます。その点につきましては私どもといたしましては、実際のマルシップというものがどういうふうなかっこうになっておるということについて、より詳しく実態の把握に努めまして、そして全体として合理的な対策というものを打ち出すように努めてまいりたいと思っております。

和田春生民社党

○和田春生君 これは運輸大臣にも最後にぜひ御見解を承りたいと思うんですが、そういう実態をまず正確に把握をするということが大前提ですけれども、それを把握した上で、これに対してどういうふうに対処するかという問題が出てくるわけです。この点、対抗立法は私は必要だということを認めましたけれども、ざっくばらんに、心情的に言うと、開発途上国が自国船主義を打ち出して、われわれもだんだん海運を強めていって、やはり自国の海運を育てたいと、こういう気持ちを持つことは南北問題からいっても、先進国として頭ごなしに否定するわけにいきませんよね。日本だって、かつては英国なんかは大先進海運国だったんですけれども、追いつき追い越せと言ってやってきたわけですから、それは開発途上国がそういう気持ちを持つということをわれわれは否定するわけにいかない。  そうすると、たとえば近海航路などというものについては先ほどお話がありましたけれども、これはどう考えてきてもその国とわれわれの国との経済レベルが違うし、賃金水準も違うというふうな面から考えていけば、人件費コストだって大きく違うわけですから、どうしても非常に高度なコンテナーとか、あるいはLNGその他の先端的な技術的にも高い船は別にして、そういう近海のような、だれでもとっつきやすいところからだんだん追い上げられてくるというのは世界の必然性だと思って、開発途上国は、おまえの国は全部締め出して海運なんかに出させないんだ、先進海運国だけで世界の海運は自由にするんだって、そんなものはとても通用しないと思いますから、こういう不当な差別に対する対抗措置は必要ですけれども、実態的に見ると、やはり開発途上国海運というものはだんだん追い上げてくると思う。  そういう中で、やはり日本海運というものを守っていこうとするという場合に、たとえばいま言ったようなマルシップの実態というものがわかって、これが何百隻おって乗組員が何千人だ、ところが一方は、先ほど話があったように海外に売船をやって船員が残ってくるという形で、七〇%、八〇%、大きくは一〇〇%の予備員を抱えているわけ。この諸君は船に乗りたくて仕方がないけれどもなかなか乗れないという状況になってくる。  それならば、そういう予備員を抱えて、日本人船員というものを日本の船主は雇用しておって、そのほかにマルシップというものに対しての費用を投下しているわけですから、逆にそのマルシップに乗っている外国人船員にかえて、現在の過剰な日本船員がそれを全部動かすという形になれば、その人件費は要らなくなるわけ。全体として非常にコストの面でも逓減をされるし、しかもいいわけですね。船員にだって悪くないわけです、職場が広がるわけですから。待遇が落ちるわけじゃないわけですね。ごろごろうちでやっとって、奥さんからも余り長くごろごろしとって、早く船に乗らんかいなって疎んぜられて、肩身の狭い思いをしとらんでいいわけですからね、これは。船に乗れるわけですから。そういう政策というものを全般として考えるというような道も開けてくるんではないか。  それがないもんですから、いま船員労働委員会でやっとるように、ばかげた話ですよ、マルシップに日本人の船員を乗せるというんですからね。日本の国籍に、外国船員が乗っている中に、混乗で日本人船員をちょぼちょぼ乗せて雇用を少しでも広げようかと、それはなるほど五十人でも百人でも乗れば多少は広がるかわからぬけれども、まことに因循こそくなやり方で、何とか雇用対策の穴をあけようとしているようなけちなことをやっているわけでしょう。もっとグローバルに考える、私はそういうことが必要なんじゃないか。  そのためにはやっぱりマルシップなるものの放置できない実態というものを把握する。頭ごなしに全部が悪いというのじゃなくて、その中で何ができるかということを考えていく。そして雇用対策——でもそれはコストの負担を伴わない、しかも船員の労働条件の切り下げにも結びつかないような形の雇用対策、こういうものを考えていく道もあるように思う。それがすべての解決の方法じゃないが、そういう点に大きく踏み出していくということも必要じゃないか。困るから対抗立法だけじゃなしに、積極的に日本海運がやっぱり生きていくという道を発見するということが必要だと思っているわけです。  この点について海運局長、船員局長、いろいろお考えがありましたら承り、最後に運輸大臣の所見を伺いたいと、こういうふうに思います。

後藤茂也運輸省海運局長

○政府委員(後藤茂也君) 御質問の前半において御指摘になりましたこの対抗立法というものと、新興海運国に対する海運国たる日本の立場というものについてまず御説明申し上げたいと思いますけれども、私どもといたしましても、ことに東南アジア諸国の自国海運を育成し、自国の貿易にそういう海運を参加させたいとするまじめな意欲、それからまた、そういうものの実現のためにやっております各国の努力というものに対して、できるだけそういうものに対して理解をし、同情をし、また、なることならば日本国として、海運の部面においても経済的、技術的な協力を惜しまないというのが私どものこういった問題に対する考え方でございまして、したがいまして、私どもがかつてのように、あるトレードの一〇〇%を日本船で独占しているというような時代が今後ともどの分野についても続くものとは考えてはおりません。むしろ、これから先の日本海運の活動分野というものは、シェアにおきましても、そういった新興海運国がだんだん発達をしてくるというものに応じまして、いわば穏当なるところに落ちつくんではないか、とめどもなく広がっていくというような、そういうかつて描いておったような、そういう夢を見るという態度はとるべきではないんだろうというふうに考えております。  現在のマルシップを取り巻く全体の対策につきまして、先生御指摘のようなお考えというものは、非常に私は痛いところをつかれた、ポイントをおつきになった問題だというふうに承りました。私どもは、先ほども申し上げましたように、このような事態になった日本海運というものを今後どのようなところにアクセントを置いて、重点を置いて伸ばしていかなければならないか、また、どういう対策が必要であるか、そのために、現在あたりまえのこととされておる日本のいろんな制度というものを、どこをどう見直さなければならないかというようなことに重点を置きまして、海運造船合理化審議会で御審議をいただいておりますけれども、ただいまいろいろと御指摘になりましたようなことも含めまして、全体としての、いわばあしたの日本海運の姿というものをさらに的確につかまえまして、今後の対策というものを遺漏なきを期したいと思っております。

横田不二夫運輸省船員局長

○政府委員(横田不二夫君) 船員雇用を預かる立場の船員局といたしましては、ただいま海運局長から答弁がありましたように、さらにまた、海運企業に対する海運局の側の御指導を期待し、またそれと相まって、協力いたしまして、船員の雇用がいま申されたような形で改善されることに努力をしてまいりたいと思います。

田村元自由民主党運輸大臣

○国務大臣(田村元君) いま御指摘の二点でありますが、まず第一点の方は、こういう対抗立法をつくる。しかし、だからといって時代の趨勢というものを見誤ってはいけない。かつてのわが国の姿そのものを時に東南アジア等に見出すことができるのではないかというお話でした。私は、実はAA研——自分の所属する政党のことを言って恐縮ですが、AA研という場で東南アジアを担当してまいりました。日本人は、意外に東南アジアを知らない面があります。非常によく知っておりながら知らない面がある。それは、彼らがいま燃えるように抱いておる素朴なナショナリズムというものであります。  でありますから、そういう点について深い理解を示しながら、しかもわが国が迷惑をかけられちゃ困るんでありますから、そういう、理解を示しながらも、時に厳しい態度をとっていかなきゃならぬ、そういう感覚の上に立ってこの法律を持っていくということは確かに意義のあることだと思っております。でありますから、この法律はあくまでも伝家の宝刀ではある。しかし、その切れ味はすばらしいものだ。しかし、簡単には抜かないというようなことが、いまおっしゃったようなそういうことであろうかと思います。  それからマルシップの問題につきましては、これはもうまさに和田さんおっしゃるとおりだと思うんです。とにかく、一遍洗いざらいマルシップの問題点をまず把握することだと。そしてその上で、もう頭から概念的に、マルシップ、マルシップと言うけれども、これを仮にやめさしてみたところで、果たして日本の船員の雇用にどれだけのプラスかというそういう概念的なものでなしに、一つ一つやはり洗い出して、そして可能なことは全部それを詰めていく、これはもうおっしゃるとおりだと思います。業界との話し合いも深刻にやっていかなけりゃならぬでしょうし、そういう意味において、さっきから実は有能な海運局長、船員局長でありますが、私の非常に信頼しておる局長たちでありますけれども、答弁を聞いておりまして、やはり御指摘のように、いささか概念的な面があったように思いますし、これはもう本人が認めたんでありますからはっきりしておりますが、これから一層この問題で真剣に、いまのような考え方の上に立って対処するように指導、監督をしていきたいと考えております。

和田春生民社党

○和田春生君 終わります。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 附帯決議の相談は早いんですけれども、若干これらの問題と関連しますので……。  マルシップの問題については十分調査をするというお答えがありましたので、できれば本委員会に、このマルシップの実態についての資料を各委員に配付をしていただいた方がいいんではないかと思われますので、期日その他、まあどのぐらいのものにするかということによっていろいろあると思いますが、できるならばそれをひとつ資料として提出方をお願いしたいと思います。

田村元自由民主党運輸大臣

○国務大臣(田村元君) それは結構でございますけれども、現時点までに調査ができておる程度のものしかお出しできないと思うんです。いま、これから具体的に十分調査をいたしますということをお約束したわけですが、これは相当やっぱり時間かかると思いますから、そこいらをちょっとお含みおき願いたいと思いますけれども。

上林繁次郎公明党

○委員長(上林繁次郎君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時六分散会      —————・—————

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