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80回国会衆議院1977/03/12

予算委員会第六分科会 第2号

発言数
344
登壇者
25
会派数
5
開催日
1977/03/12

会議録

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)主査代理 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。  主査所用のため、主査の指名により私が主査の職務を行います。  昭和五十二年度一般会計予算及び昭和五十二年度特別会計予算中文部省所管について審査に入ります。  この際、分科員各位に申し上げます。質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、答弁はできるだけ簡潔明瞭にお願いいたします。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。草川昭三君。

草川昭三公明党・国民会議

○草川分科員 公明党・国民会議の草川でございます。おはようございます。  質問に入ります前に、実は私、けさの新聞を拝見をいたしまして、乱塾という言葉で大きく報道がなされておるわけでございます。私どももかねがね、いまの日本の教育の実態の中から、補習教育というのですか、塾の問題が非常に大きな話題になっておるということはそれぞれ十分承知をしておるつもりでございますけれども、改めて文部省が全国調査を発表されました数字を見まして、非常に深刻な衝撃というのですか、われわれもひとつ反省を含めてあの報道を見さしていただいたわけでございます。学習塾については、御存じのとおり文部省は所管外としていままで余り触れられていなかったわけでございますけれども、この調査にあえて踏み切られましたのも、今日の現状が無視できないからだ、こう思うわけであります。  それだけにこの報道というもの、発表というものを非常に重要なものに思うわけでございまして、塾の数も約五万を超すと言われておりますし、特に大都市周辺の都市部では、四〇%から五〇%を超える中学の児童の方々が学んでみえる、こう報告をされておるわけでございまして、これでは大体三人に一人の割合になっておると思うのです。これは一つは進学競争の激化と非常に深いかかわりがあると思うのでありますけれども、学校の勉強というものが量的にも質的にもこなせないということ、同時に、これは必ずしも進学だけではなくて、学校は子供にとっては非常につまらぬという、関心を持つ教育をしていないということから、個別教育を売り物にするところの塾が非常に繁盛をしておるのではないだろうか、こう思うわけでございまして、ひとつその点についてのまず大臣の御見解を賜りたい、こういうふうに思う次第でございます。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 けさの新聞に詳しく報道がされております塾の実態、それに対する受けとめ方の方向というものは、私も草川委員がいま御発言なさったことと全く同じような方向で受けとめておりまして、文部省が全国的にこのような調査をいたしましたのも、いま、いろいろなところで塾の問題が批判を受けたり、あるいはそれはどんな原因でどこから来ておるのだろうかというようなことが、国民の皆さんの間でもいろんな角度から議論されておる。実態を正しく把握しますとともに、その過熱状態あるいは行き過ぎておるところ、よくないところがあったら、これは文教行政をあるべき姿に持っていく努力をするさなかで過熱状態がおさまっていくようにするのが、一番望ましいと私は考えております。  そういう意味で、塾の調査をし、あれを世に発表したわけでございますが、やはり基本はいろんなことがございます。たとえば、いま御指摘のあった、学校の教育課程そのものが詰め込み主義で多過ぎるのではなかろうかということも、かねがね言われておった問題でございます。これにつきましては、教育課程審議会の御答申もいただき、いま学習指導要領の改定作業を進めておりますが、基礎的、基本的なものに教科を精選していく、ゆとりのある、しかも充実した学校教育が行われるように、基本となる学習指導要領を過去の反省に立ちながら改定をしていく、こういう作業も一つはございます。あるいはまた入学試験の制度を正していかなければならぬという問題もあろうと思います。同時に公教育の現場で、特に教壇に立っていただく先生方に、厳しく一回胸に手を当てて考え直していただいて、よく言われております。落ちこぼれとか、あるいは落ちこぼしというようなものがどうして起こるのだろうか。やはり生徒との間の時間の持ち方とか教え方というもの、これでいいのだろうかという御反省も厳しく受けとめてしていただきたいと思います。  いろいろな問題が提起されておりますが、文部省といたしましては、当面は学習指導要領の改定作業等を通じて、わが方でできるだけのことはきちんとして、塾の過熱状態というものがそれによって相対的になくなっていくわけでありますから、基本を正すべく努力を積み重ねていきたい、こういう考えでございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川分科員 いまの大臣のお話のとおりだと私も思いますけれども、今度の発表の中では、学校の先生で約一七%の方が塾の何らかの運営の中に参加をしてみえるわけでございまして、これはいい悪いは別の話でございますけれども、それが本来の教育のあり方なんだろうか。実態なんでしょうけれども、どうしてそのようなことが生まれておるのかということを、深刻にさかのぼって私は当局の方もぜひ御探究願いたいとお願いをするわけでありまして、いわゆる子供の立場に立つ、本当に人間性というものを大切にする、その基盤の中から才能が花を開くような、新しい価値をつくる教育というものをぜひつくっていただきたいと思うわけでございまして、だれが言ったからいいとか、何がいいとかというよりも、何が正しいかという、その合意ある問題をぜひ探し出していただきたいと思うわけでございますが、大臣として、この調査に対する単なるコメントでなくて、これを踏まえた、非常に高邁な、次元の高い訴えというものを、日本の教育界のためにも、改めた機会でぜひこれは御発言願いたいと思うのです。これはただ単なる調査報告だけで終わるということのないようにまずしていただきたいと思うのですが、どんなお考えですか、ちょっとお伺いしたいと思います。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 この調査項目、非常に多岐にわたっておりますので、私も時間をかけてこの調査をじっくりともう一回精密に見直しますとともに、やはり公教育において反省しなければならぬこと、改めなければならぬこと、あるいはまた同時に、これはお願いをしなければならぬ面もあるわけでございますから、そういうような次元の違った角度から、もう一回これを見直してみて、私なりの判断を加えて考えをまとめてみたいと思います。

草川昭三公明党・国民会議

○草川分科員 ぜひひとつ早急に、そういうような将来方法についての展望を出していただきたい、こうお願いを申し上げます。  第二番目の問題でございますが、私は、いまのお話ではございませんけれども、やはり基礎というものが非常に大切だと思っております。そういう点では文化という問題に入っていくわけでございますけれども、実は文化行政というものが、わが国の場合には非常におくれておるという気がしてなりません。特に文化施設の面に焦点を当てましても、私どもはたまたま中部圏から選んでいただいて国政の場にも参加をさせていただいておるわけでございますが、その中部圏というのは、わが国の中枢的な拠点でございますけれども、都市施設の中で文化施設の水準というのは、首都と近畿に比べて格段の差があると思うわけでございます。とりわけ、首都とか近畿圏では数個の大都市が分担をしておりまして、文化環境というものを形成しておるわけでございますが、中京圏というのは、どうしても名古屋という一つの都会のみがカバーをするために、その落差というものははなはだ大きいものがあると思うのです。  たとえば博物館だけの数を見てまいりましても、首都圏あるいは近畿圏と中部圏では非常に差があると思うのでありますけれども、まず第一番の博物館の数でひとつ中部圏と首都圏との比較をお伺いしたいと思うのですけれども、お答えを願います。

吉里邦夫文部省社会教育局長

○吉里政府委員 お答えいたします。  首都圏につきましては、国立の科学博物館ほか国立が三つございます。また公立につきましては、三十館ということに相なっております。中部圏につきましては、国立は御案内のようにございませんで、公立が四十二館。近畿圏は京都国立博物館のほか国立が三つございます。また公立につきましては、二十六のいわゆる博物館がございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川分科員 いまお答えがございましたように、大臣も実はこの中部圏の出身でございますので、いろいろとお考えがあると思うのですけれども、中部圏というところで国立というのはないわけですね。これは私、別に数の問題ではないと思うのでございますけれども、やはり日本も高度工業国家でこれだけになった国でございますから、文化的な基本的な水準というものをぜひ高めていただきたいと思うわけでございまして、中京圏が魅力のある地域として一つ機能を果たしていくためにも、これからも自治体における文化対策もそれぞれ充実をされるわけでございますが、国の文化投資というものを中部圏に積極的に誘導をしていただきたいとお願いをするわけでございます。  そのほか、国立の文化施設で文部省、文化庁関係の設置状況は、いまのは博物館だけの数字でございましたけれども、そのほかのいろいろな研究所等を入れますと、東京が大体十八ぐらいで、中京は分子科学研究所よりない。こういう比較になるわけでございまして、愛知の場合、いまから申し上げます、今回初めてでございますけれども、愛知県が中心になって陶磁資料館というものが今度建設をされる計画になっております。これは、海部文部大臣が大臣になられましてから、非常に御努力を願いまして、今回の予算で、一回限りということで二億円という数字が出ておるというのが新聞報道でも出されておるわけでございますが、私は、この瀬戸市内に建設を予定します陶磁資料館へは、高額なもの、あるいは補助の継続助成の拡充をしていただきたいと思うわけでございますけれども、大臣の御見解を承りたいと思います。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 私も愛知県でございますから、中部圏にいろいろそういう文化的な施設がより充実されることを願うのは当然のことでございます。総論はもちろんのこと、各論でもできるだけ努力したいという気持ちを持っております。  具体的な愛知県の陶磁資料館の問題につきましては、御承知のように、県の知事さんとか愛知県の国会議員の皆さんから熱心なお話もございまして、いま文化庁の方で県当局と具体的な方法について詰めをいたさせておりますので、その辺のことは担当の文化庁長官の方からお答えを申し上げます。

安嶋彌文化庁長官

○安嶋政府委員 文化施設の整備に問題があるという点は御指摘のとおりかと思います。そういった実態にかんがみまして、文化庁では年来文化施設の整備を進めておりまして、最近は、県庁所在地はもとより、市町村の段階におきましても、かなりまとまった文化施設が整備されるようになっております。しかし、全体的に見ますといまだしというところがございますので、これは今後とも努力してまいりたいというふうに考えております。  それから国立の文化施設の問題でございますが、国立の文化施設という、そういう端的な関連ではございませんが、私ども現在、文化行政長期総合計画懇談会というものを持っておりまして、そこで将来十年ないし二十年の文化の長期計画を定めて検討いたしておるわけでございます。その中で、日常的な文化の拠点は府県ないし町村単位でということでございますが、非日常的な高度の文化の伝承、発展を目的とする大規模な高度の施設につきましては、多極集中化という原則を打ち出しておるわけでございます。御指摘のとおり、現在、文化施設は東京にかなり集中しておるという傾向がございます。全国的にさらに幾つかの拠点を定めて整備をする必要があるというふうに考えております。中京地区もその一つであろうと思いますけれども、ただいま中京地区に国立の施設をつくるというところまで踏み切っておるわけではございませんけれども、やはり中京施設に拠点的な文化施設の整備をする必要があるという点は御指摘のとおりでございます。  そういう趣旨もございまして、今年度に愛知県が御計画になっております陶磁資料館に対する補助も含めまして、約十一億八千万円の文化施設整備費の補助金を計上したわけでございます。かなり大規模な計画でもございますので、ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、どういう対応をするかということにつきましては、財政当局あるいは地元等と、今後さらに協議を続けてまいりたいというふうに考えております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川分科員 そこで、いまトータル十一億八千万というお話がございましたけれども、助成のあり方でございますが、これは一つ私の方の要望でございますし、また御見解も賜りたいとお願いをするわけです。  実は陶芸というものについては、日本というのは世界一だ、こう言われるわけです。特に地元の陶芸家の作家の方々なんかは、非常にそういう自負心を持ってみえます。ところが、国立の製陶所というものがないのは、これまた日本だけだというのですね。したがって、陶芸大学というような、単科大学というのですか、必ずしもそれが国立大学法に基づくという意味じゃないのですけれども、陶芸を専門とするところの研究所だとか大学というのも非常に少ないし、現在、試験場が各県段階ではあるわけでございますが、それは県段階での運営になっており、トータル的な取り組みというのは非常におくれておるというわけです。美術学校に陶芸科というものができたのも、歴史的には非常に遅いということを指摘されておみえになるわけでありまして、この瀬戸における陶磁資料館というものは、博物館的に本当につくるなら、ひとつぜひ世界的なものに育て上げていただきたいという要望が非常にあるわけでございます。そのためには、実はかなりの費用というものを投下しませんと、結局中途半端な資料館になってしまうということになるわけでございまして、これから特に日本の場合は、陶芸の品物は単純な量産で諸外国の方々と競い合うというのではなくて、やはり芸術品という非常に質の高いものを伝統的に広げていくことが必要だというように思うわけでございまして、そういう形の中から諸外国との協調が出てくると私は思うのです。  そういう点で、文化財の保護ということも含めまして、保護の名のもとに、荒廃をしないように、作家なんかでも本当に大胆に大幅に育てていくという、昔の言葉で言えば、お上が買い上げるという形で、そのかわり名誉だけ与えるというものではなくて、予算も十分とって、文化人だとか作家だとかいうものを保護しませんと、たとえばフランスではないのですけれども、絵には税金をかけるけれども絵かきにはかけぬじゃないかという思想、考え方ですね。こういうふうなものをぜひ芸術家にはやっていきませんと、これから芸術家にどんどん育っていただく場合にも、私は非常に限界が来るような気がしてなりません。これは要望でございますので、そういうことをぜひひとつ真剣に取り上げていただいて、育てていただきたいというようにお願いを申し上げます。  それから、これは質問になりますけれども、明治時代のものが非常に保護法の対象になりづらいということがよく言われておるわけです。愛知県の場合には、たまたま明治村というのもあるわけでございますが、これは名鉄というのがやっておられますので、明治村の評価が、凍結保存というような形になっておりますので、評価の仕方でそれぞれ問題もあると思うのでありますけれども、改めて考えてまいりますと、この明治村というようなものも、明治時代のものをこれからいろいろと対象にして運営されるわけでございますので、明治村なんかでこれからいろいろ入れるものについても保護法の対象になるように、ぜひひとつ十分な配慮をお願いをしたい、こういうように私は思うわけでございますが、明治村についてのお考えをちょっと聞かしていただきたいと思います。

安嶋彌文化庁長官

○安嶋政府委員 御承知のとおり文化財保護法は、古いもので、しかもりっぱなものの指定を行い、その保存を図るということが趣旨でございます。実際上その作業の手順、段階等からいたしまして、どうしても古いものを優先させる。これは、ほっておきますれば崩壊したり、あるいは散逸したりするものでございますから、そういうことを基本にいたしておるわけでございます。建築物について申しますと、室町以前のものを優先させるという方針をとっておるわけでございますが、近年は徐々に仕事も進捗をいたしまして、近世のものに重点を置いた指定を行っておる次第でございますが、ただしかし、ただいま御指摘のとおり、明治時代のものの指定ということもきわめて重要なことでございます。ちょっといま手元に数字を持ち合わせておりませんが、全体といたしまして、かなりな数の明治時代の建造物あるいは美術品等の指定もいたしておるわけでございます。まあケース・バイ・ケースで必要なものにつきましては積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。  それで明治村でございますが、御承知のとおり明治村には、西郷従道氏の住宅でございますとか日本聖公会京都ヨハネ教会堂でございますとか、その他指定物件が相当数ございます。したがいまして、これの保存、修理あるいは防災施設等につきましては、文化財保護法に基づく補助が現に行われているわけでございます。指定物件以外の建造物等につきましての助成ということになりますと、これはきわめて困難な問題があるわけでございますが、具体的には、帝国ホテルの旧館の保存等につきましては、指定物件ではございませんけれども、若干の補助も差し上げておるというようなことでございます。基本は、いま申し上げましたように指定物件の保存助成ということが中心でございますが、そこのところは、ある程度弾力的な対応もいたしておるということでございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川分科員 続きまして、これは私の方の地元のことではございませんけれども、国立能楽堂のことについて。これは最近非常に関心が高まってまいりまして、代々木の方に何か土地もある程度予定をされて、具体的な調査費もついて進んでおるというお話でございますが、その進行状況について、簡単で結構ですから、ちょっとお答えいただきたいと思います。

安嶋彌文化庁長官

○安嶋政府委員 能がわが国の伝統的な芸能として大変すぐれたものであるということは言うまでもないところでございますが、最近その能につきましてもいろいろ問題が起こっておりまして、第一は正規の演能の場所がない、ないしは大変不足しておるという問題、あるいははやし方等を含む三役の養成につきましてかなり問題があるというようなことがございまして、国立能楽堂の設立の要望が関係者の間に非常に強いわけでございます。  これに対しまして、文化庁は五十一年度、国立能楽堂設立準備調査会というものを設けまして、そのあり方等につきまして鋭意検討いたしておるわけでございます。これは単に建物を建てるということだけではなくて、ただいま申し上げましたように、後継者養成の問題でございますとか、あるいは資料の収集、保存の問題でございますとか、そういうものも含めまして、国立能楽堂のあり方について現在検討を進めておるということでございます。  五十二年度予算におきましては、従来の調査費に加えまして、建設用地の調査費というのがさらに認められたわけでございます。場所といたしましては、これは最終的な決定までにはいろいろな手続を経なければなりませんけれども、私どもといたしましては、千駄ケ谷にあります土地を希望いたしておるような状況でございます。そういうことも含めまして、五十一年度に引き続いて五十二年度もこのための調査研究をさらに具体的に進めたい、こういうことでございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川分科員 いまおっしゃられましたとおり、これは後世に残す最も意義のある文化遺産になるものと私どもも信じておりますので、ぜひ早急にこれを設立していただけるようお願いを申し上げます。  時間がございませんので、最後の質問になりますが、私ども、人口急増地帯の教育という問題で、大臣にぜひ要望申し上げたいわけでございます。  大都市周辺の人口というのは急増しておりまして、特に中学、高校というものが非常にピークになってまいりまして、私どもの母体も十市、十五町村あるわけでございまして、一々名前は申し上げませんけれども、高校建設の行き詰まりというもの、それからこれのために学級の定員増だとか既設校の学級増というこそくな手段で逃げざるを得ない現状というのは、もう枚挙にいとまがないわけでございまして、屋内運動場がないとか、教育施設でプールがないとか、急増地帯の自治体の悩みは本当に深刻であります。そこでぜひ人口急増地帯緊急措置法の早期制定を図っていただいて、これはまた別の機会に論議をしなければなりませんけれども、大臣に強く要望を申し上げたいと思いますし、また私学と公立との例の格差の問題等もございまして、学校に対する助成もあるわけでございますが、ひとつ個人に対する助成ということもぜひ考えていただきたい。  たまたま、これは所管が違うわけでございますが、話がずいぶん飛ぶようでございますけれども、交通遺児の母子家庭には、今度運輸省の方からそれぞれ教育の補助金が出るわけですね。そうしますと、運輸省の方から交通遺児の家庭には出るのですけれども、その他の母子家庭には出ないわけですね。あるいは労災の家庭にも出ないという、子供の立場に立ちますと大変な問題も出てまいりますので、本当に子供の立場に立った格差のない教育というものをひとつぜひ実現をしていただきたいと思います。最後に大臣からこの要望に対するお答えをお願いして、終わりたいと思います。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 第一点の人口急増地帯、私もやはり人口急増地帯を基盤に国会に出してもらっておるのですが、実情はよく承知いたしております。そこで、その人口急増地帯のためにいま文部省もずいぶんきめの細かいことを考えておりまして、たとえば人口急増地帯は建築の場合の補助率を考慮するとか、あるいは御指摘のございましたように、高等学校の数等も、この五年間に十八歳年齢がふえていくその数から計算しますと、だしか全国で四百三校ほどつくらなければならぬ。そのためには、一定の条件のもとに、いままではしておりませんでしたが、国の方で建物の補助に踏み切らなければならぬという判断で今年度から補助制度も始めておりますし、できるだけ人口急増地帯の自治体の負担を軽減するための努力はしなければならぬと思いまして、いろいろな策を講じておるところでございます。  それから、後半の御指摘の問題、私学助成のことでございます。これは、私学振興助成法をおつくり願って、国公立と私立の間の格差を是正、それは、裏を返しますと、父兄の教育費負担の格差を是正しようというねらいも実はあったわけでありまして、今年度は財政事情が非常に厳しいときでございましたが、法の精神に基づいて、私立大学に対しては千六百五億、高校以下に対しては三百億、これは伸び率からいたしますと、公共事業の伸び率よりもうんと伸びておるということでございます。これは、御承知のように、学校そのものに経常費助成として入ります。私たちが願っております一定の基準は二分の一以内という数字が出ておりますように、これが努力目標で、何とかこれに近づけたいということできょうまでやってまいりました。学生個人の方は全然ほっておいていいかと言うとそうはまいりませんので、これは、御承知の育英奨学資金制度の拡充、そしてまた私学に通っていらっしゃる生徒さんには、国公立に通っていらっしゃる人よりも多額に貸し付けるという制度を考えるとか、あるいは学校そのものが、その他の設備等で資金が必要となりますときには、私学振興財団を通じて、長期低利のものを貸し付けるとか、あるいは入学一時金も親にとっては大変な負担だろうと思いますので、学校そのものが、入学一時金の分割を制度として認めると言うなれば、その学校法人に対して、そのために必要な原資を融資できるように今年度から措置をするとか、できるだけの知恵を出して、なるべく格差是正のための方策をいま一生懸命講じておるところでありますから、せっかくの御提案でありますが、個人にということはちょっといまの段階では用意しておりませんが、できるだけの施策を講じて、方向だけは同じような方向を考えながら努力しておりますので、御理解をいただきたいと思います。

草川昭三公明党・国民会議

○草川分科員 どうもありがとうございました。以上で終わります。

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)主査代理 これにて草川昭三君の質疑は終了しました。  次に、福岡義登君。

福岡義登日本社会党

○福岡分科員 私は、いわゆる学校災害についてその対策を進めるための問題を提起したいと思うのであります。  学校災害の発生状況がどういうことになっておるかといいますと、これは日本学校安全会の給付実績から見た件数でありますが、昭和五十年において、負傷件数は八十九万四千九百三十件、廃疾者の数は五百六十八、死亡者が二百四十七名、合計いたしますと八十九万五千七百四十五件の災害が発生しておるわけであります。これは恐らくクラブ活動などの件数は入ってないと思いますから、そういうものを含めますと百万件を超すような一年間の学校災害の発生状況ではないか、こう思うのであります。これは、放置することのできない非常に重要な問題だと思うのですが、文部大臣としてはどういう見解で考えられておりますか。まずお伺いしたいと思います。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 ただいまお示しになりました数字のとおりに、昭和五十年度にそういう大変多くの事故が起こっておるということでございます。そしてこれはやはり文部省といたしましては、大前提として、こういったことがまず起こらないように、事前にできるだけの予防措置と申しますか、安全指導をすべきだ、これはもうとにかくとりもなおさず第一義でございますので、いろいろな安全指導のための手引きをつくったり通達を出したり、十分配意していかなければならぬと日ごろ考え、指導助言をしておるところでございますが、こういうたくさんの事故が起こっておるということについてはやはり心を痛めておるところでございます。

福岡義登日本社会党

○福岡分科員 安全指導は強力にやっていただきたいと思うのですが、問題は、その対策をどうするかということなんです。災害が発生した場合の対策をどうするか。  現在、法規的にありますのは、日本学校安全会法に基づく見舞い金の給付制度が一つございます。あとは国家賠償法、それに民法の七百十五条ないし七百十七条によって損害賠償を請求する方法があるわけであります。その現行制度の中身に非常に問題がある。  まず、学校安全会の見舞い給付金でございますが、制度といたしましては、学校の中で災害によって死亡した場合は二百万円、通学途上では百万円、こういう制度がある。それから廃疾の場合、校内の場合が一級は二百四十万円、校外の場合が百二十万円、以下ありまして、制度があるわけであります。実績がどうなっておるかと言いますと、やはり五十年の実績でありますが、死亡の場合、小学校で一億二千二百万円給付をしておるわけでありますが、七十八件でございますから、一件当たり百五十六万円安全会から見舞い金が給付されておるわけであります。中学校の場合は百六十四万円、全日制の高校の場合は百六十万円が支給されておる。廃疾の場合、小学校では二千四百二十一万円の給付で百六十二名分でありますから、一人当たりは十四万円見舞い金が支給されておる。中学校は十七万円、高校は、全日制でありますが二十四万円支給されておるわけです。負傷の場合はどうかということを見てみますと三十九億七千四百万円、件数が八十九万四千九百三十件ですから、一人当たり四千四百四十円の見舞い金が出ておるわけであります。  大臣も御承知のように、労災あるいは交通事故、自賠責ですね、あるいは最近できました予防接種、そういうものの補償に対して非常にこの見舞い金が少ない、不十分であると思うのでありますが、どう思われますか。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 安全会のやっておりますいろいろな見舞い金の制度等につきましては、御指摘の自賠責とか予防接種のときの金額とか、そういったものと金額面で比較いたしますと、おっしゃるように非常に少のうございます。  今年度も、私の承知いたします範囲では、この安全会の見舞い金の制度も、廃疾お見舞いの場合に、従来二百四十万円であったものを四百万円に引き上げる、死亡見舞い金は二百万円であったものを三百万円に引き上げる措置をいたすはずでございます。これは、できる限りの範囲内で何とか不幸な災害を受けた人に対してお見舞いの配慮をすべきだ、こういう努力の結果でございますが、そうなりましても、なおやはり比較いたしました場合、金額において少ないということは率直に認めなければならぬと思います。

福岡義登日本社会党

○福岡分科員 しかも問題は、この安全会の場合は、受益者負担、父兄負担になっておるわけですね。この学校災害というものを受益者負担でやっていくという制度そのものに問題があると私は思うのです。しかも今度若干の改善を考えておるとおっしゃいますけれども、反対に今度、掛け金が現行小中学校の場合は百八十円でありますが、これを六六%上げて三百円にする。国の補助その他については何ら配慮されてない。依然として受益者負担でやっていかれようとしておる。確かに事務費には約九億円の国庫補助が出されておりますけれども、災害給付そのものについては何ら国の補助がないのです。国の補助を考えるべきだと思うのですが、どうですか。

安養寺重夫文部省体育局長

○安養寺政府委員 学校の事故に対しまして、学校側が責任を持つ事故としからざる場合の事故というものに概念的には分けられるわけでございます。学校に責任がございます際には、お話しのように国家賠償法、私学の場合でございますと民法の規定が働き、学校側の責任による損害賠償ということになっておるわけでございます。実は安全会法をつくります際には、その責任の有無にかかわらず被害を救済する方途はないかということでいろいろ議論がございまして、災害に対しましては共済給付の制度でいこうではないかということになったわけでございまして、自来、その内容を改善することで現実的には対応してまいったわけでございます。義務教育の諸学校につきましては、掛け金の四割ないし六割を設置者が負担をいたします。それから家庭の貧しい要保護、準要保護の児童、生徒につきましては、保護者の負担分につきまして公の財政で負担をするということで、保護者の負担はないというように措置を講じております。そういうようなことで、現実に対応して、この制度をよくすることで、現在のこのような問題に一応の対応をしようというようにいろいろ努力しておるわけでございます。

福岡義登日本社会党

○福岡分科員 安全会の立法の趣旨その他についても異議があるのですが、話を進めて後の方でまたやりたいと思います。  いまお話がありました設置者に責任がある場合ですね。国家賠償法なり民法によって過失が認められれば、それは損害賠償に応じなければならぬ、そういうことになっておるわけですが、これが一つ問題なんですね。一つは、国賠法でも民法でもそうでありますが、過失責任主義をとっておるわけであります。ところが、この過失を具体的に立証していくということになりますと、特に父兄の管理下にない、学校の管理下にあるわけですから、父兄なり、あるいは原告といいましても子供ですから、学校の設置者の過失を立証していくということは非常にむずかしいわけであります。専門の弁護士にいろいろ意見を聞いてみましても、仮に立証でき得たとしても莫大な労力を必要とするということであります。現在どういう訴訟の状態になっておるかといいますと、これは日本弁護士連合会人権擁護委員会の学校災害補償調査研究委員会というのができまして、ことしの一月に報告書を出しております。その報告書によりますと、いわゆる学校の管理下、通学途上などを除く死亡者あるいは重傷者の件数は六百七十七件あるのですが、その中で訴訟に持ち込み得ておるのは二十一件しかない。全体の三・一%しかない。いかに過失責任を立証することがむずかしいか。訴訟を起こすにいたしましても、専門家の弁護士が考えてみても非常にむずかしい。申し上げましたように、したがって三・一%くらいしか訴訟を提起することができない。これは非常に問題があるところだと思います。あとの人は、訴訟に持ち込むことのできない不可抗力として、泣き寝入りをしておるわけであります。  いま係争中の一つの例を私はここで御披露して、御承知ならば見解を聞きたいのです。これは学校法人私立尾道学園という高等学校があるのですが、そこに小林勝君という体操の選手がいた。これは日本ジュニア体操選手権大会に出るために、四十七年八月十七日に、学校の先生の指導のもとに練習をしておって、ウルトラCの練習中に転落して、脊髄かどこかを脱臼しまして、言語、意識ははっきりしておるけれども、半身不随で動けない。現在裁判の係争中ですが、この弁護士は鶴さんという人でありますが、直接お会いいたしまして、いろいろ法廷の内容など立証の現状なりを聞いてみましたが、立証できると思うけれども非常に時間がかかるし困難である、こう言っておるのですが、いわゆる賠償請求できる場合にいたしましても、これほど問題がある。尾道学園の問題等の事例に照らして、現在の賠償制度そのものについてどういう御見解かお伺いしたいと思います。

安養寺重夫文部省体育局長

○安養寺政府委員 私立の尾道高校の小林勝君のお話は、昭和四十七年の八月に起こりました事故で、私の方も一応調査をいたしました。一緒におりました指導教官なり中京大学の学生等の意見等もあるようでございますが、現在訴訟が係属中でございますので、安全会の方といたしましても、一応医療費の方の給付はいたしまして、後は事情を見ておるというふうな状況下にございます。大変お気の毒な状況であるようでございまして、この小林君自身は、大変体操の上手な、インターハイで二位をとるというような選手だそうでございまして、どういうことか、Cという段階に属する技術を練習中に、そのような不幸な目に遭って、現在自宅で療養されておるというように聞いております。

福岡義登日本社会党

○福岡分科員 大臣いかがですか。小林君の例は例といたしまして、学校災害で損害賠償を請求する場合に、いわゆる過失責任主義、それと挙証責任は原告側にあるのです。実際それでやっていけるとお考えになるでしょうか。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 具体的な事例その他の問題につきましては、専門的にわたりますので、あるいは私の答弁の足りないところは政府委員から答えてもらいますが、一般論として私から、いま先生御指摘のことを、たとえばわが身に置きかえて考えてみますと、やはり学校の先生というものも悪意でもって指導する人はだれもないわけでありまして、そこに過失があったかどうかということを、原告の側に立ってみんな裁判で立証しろということになりますと、これは非常にむずかしい問題がございましょうし、むずかしい問題という前に、心情的にそういったことを権利義務というぎりぎりの立場で争うということは、何か非常につらい、いやな心情もあるわけでありまして、御指摘のように、裁判で争って一々その過失があるのかどうかということを立証するということは、いろいろな裁判の例からいっても困難なことではなかろうか、私は一般論としてそういうふうに感じましたので、率直に申し上げておきます。

福岡義登日本社会党

○福岡分科員 そういうお感じならば、将来の対策をそういう立場で進めていただきたい、こういうようにお願いしておきます。  ちょっと余談になりますけれども、中学校、高校、大学——小学校の場合はそうでもないと思うのでありますが、選手万能主義といいますか、非常に高度な技術を取得するための猛練習をする。それも結構だと思うのですが、しかし、教育上から考えてみますと、問題があるのじゃないか。恐らく、大学の野球の選手とか、あるいは体操の選手とかその他の競技の選手、これは普通の生徒に比べて、学力を比較すれば、ある程度下がっているのじゃないか。学校によっては、余り勉強はできなくても体操のうまい選手は優先的にとるとか、野球のできる選手は優先的にとるとか、そういうことをやるということは、やはり教育上から問題がありはしないか。この答弁はいただこうとは思いませんが、学校災害の問題に関連して、将来の教育方針について御配慮をいただきたいという要望だけをお願いしておきたいと思います。  そこで、申し上げてきましたように、学校災害については日本学校安全会の給付金と損害賠償を請求する二つの方法しかないわけであります。そこで問題が考えられますのは、いまのような制度であったのでは、憲法二十六条一項に規定をする教育を受ける権利、最終的にはこの権利の侵害になっておる、私はそう思います。それからもう一つは、同じく憲法二十六条の二項、教育基本法四条一項、あるいは学校教育法の二十二条の一項ですか、これは保護者たる国民に子女の普通教育を受けさせる義務を負わせているわけであります。一方、学校の管理下における災害が発生したときには、その父母の責任で問題を解決をするというのでは、そこに非常に矛盾があると思います。この点は根本的に考えていかなければならぬと思うわけであります。  それから、先ほど言いましたように、過失によってのみ救済されるという現在の賠償制度そのものも、再検討される必要があるのじゃないか、こう思うわけであります。  そこで私は、従来から関係者の間から強く要望されておったことでありますが、現行制度を大幅に改正をいたしまして、特別立法いたしまして、国が費用負担の中心になって、たとえば学校災害補償法というようなものを制定をしていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 先ほど来申し上げておりまするように、過失を裁判によって争って、そして法律上の権利として損害賠償を請求するということが非常に困難な問題もあり、また、心情的にもそういった方法を選択しにくいという事情等も考えまして、過失のあるなしにかかわわず、やはりみんなで責任を分担し合って配慮をしていこう、こういう精神でできております学校安全会に対して、私どもも、先ほどお答えしたように、見舞い金の額等も他のものに比較して見劣りが著しいものをできるだけ上げていこうという精いっぱいのことを今年度はしておるのであります。しかし、先生御指摘のように、これで、ほかのものとの考え方とか、あるいは最初おっしゃったように、国庫補助をもう少し考えたらどうか、あるいはいまおっしゃるように、抜本的に法律をつくり直してみたらどうかとか、いろんな角度の御意見がございます。私も、せっかくの御意見でもございますので、学校安全会法に基づいて、現在はこの制度を利用してできるだけの見舞い金の引き上げ等で対処していきたいと思っておりますが、さらに別の角度から、きょうの御意見等も踏まえていろいろ考えたり、わが方でできることは何なのだろうかということを一遍よく研究をさしていただきたい、こう思います。

福岡義登日本社会党

○福岡分科員 大体の趣旨はわかるのですけれども、私は基本的な問題がここにあると思うのですね。教育条件を整備するというのは、国の基本的責務であると私は思います。それを安全会などに学校災害を依存するというその発想なり考え方は間違いだ。当面、安全会の中身を充実してとおっしゃるのでありますが、これはきょうあしたの議論からすればそうであるかもしれぬ。しかし、近い将来に抜本的にそういうものが検討されるべきであるという点については、ぜひとも理解をいただいておきたいと思う。  それからなお、この対象が、学校安全会は大学に及んでいないわけであります。専門学校までしか及んでいないわけであります。大学も件数は相当あるわけであります。大学は、年齢的に十九歳以上だからという、あるいは二十歳を超せば成人だからということがありましょうが、しかし、学生には間違いないし、災害が起きたときの救済が必要であるということも間違いない。それから通学途上の問題も、いま安全会では見舞い金の対象になっておるようでありますが、今度通勤途上における災害も労災の適用になりましたね。だから、賠償の対象にならなければならないというようにも思いますから、対象範囲、災害が発生した地域の範囲にそういうものも含めて、特別立法を制定するように検討いただくことを強く要望して、学校災害問題については終わりたいと思います。  あと簡単な問題でありますが、大学の農学部問題について、これは基本方針だけで結構でありますから、お伺いしたいのであります。  現在、国立大学で農学部が設置されておるのが三十六校ございます。農学部ではないが、農水産学部系の学部があるのが六大学ございます。その中の一つに、広島大学があると思うのでありますが、広島大学の場合は、水畜産学部、こうなっておるわけであります。国家的な立場から言いますと、世界的に食糧が不足しておる今日、農業政策というものを充実しなければならぬ。同時に農業関係の教育も充実をしていく必要があると私は思います。そこで、関係者の間の要望がある場合は、それぞれの大学がどういう判断をされるかということもあるでしょうが、たとえば広島大学などは、水畜産学部を農学部に昇格をさせてもらいたい、そういう強い声がある。恐らく広島大学の場合も、関係者の方から意思表示が出ておるのじゃないかと思いますが、一般論として、国の農業政策との関係で農学部に昇格させる、そういう方針があると理解していいかどうか。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 広島大学の水畜産学部のお話などをまじえて、一般論としてのお話でありますが、私どもは、それぞれの大学においていろいろ御検討なさって、この方が成果も上がるし、よろしいという結論が出ますと、なるべくその大学の意向を尊重しながら検討を続けていきたいというのが基本的な姿勢でございます。  それで、広島大学の件につきましても、水畜産学部が農学部になることは昇格とおっしゃいましたが、昇格というか、改組といいますか、広島大学の内部には、ただいま、あるいは生物生産学部というものを充実したらどうだという御意見があることも承っておりますし、また、農学部への改組の問題等について検討が行われておるということも承っておりますので、さらに文部省といたしましては、学内における検討の成果もお聞きしながら、きょうまでの伝統を生かして、どうしたら成果が上がっていくかという方向でよく御相談をしてまいりたいと思っております。

福岡義登日本社会党

○福岡分科員 申し上げましたように、国際的に食糧不足を迎えつつある今日でありますから、そういう話が具体的に出たときにはぜひ善処していただくように要望いたしまして、終わりたいと思います。

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)主査代理 これにて福岡義登君の質疑は終了いたしました。  次に、川崎秀二君。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 ことしの予算は、編成のときに総選挙のあおりを受けましたので、年末遅く、また年始早々で、われわれは編成の中核には全然タッチしておらぬ。毎日予算委員会へ来て、野党の質問ばかり聞いておるわけです。そこで思い出すのは、海部文部大臣が、本年の文部省予算の重点としては、スポーツの振興ということを相当考えておる、こういうことにあったように私は思っておるのですが、スポーツの振興と今度の予算の重点は、どういう数字であらわれていますか、まず伺いたい。

安養寺重夫文部省体育局長

○安養寺政府委員 文部省の体育局の関係で、体育、スポーツ関係に限って予算の数字を申し上げますと、対前年度比二十三億五千四百万円増の百四十四億六千主百万円、この部分だけで申しますと一九・四%増というような数字になっております。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 かように、スポーツの振興ということの予算では、公共事業費の伸びと余り変わりはない。大したことはないです。  いずれこの問題は後で伺うことといたしまして、私が最近の事象で非常に遺憾に感じておりますることを、数点にわたって海部文部大臣の一般的見解をまず先に伺い、次第に入っていきたいと思っております。  早稲田大学のラグビーの部員で、しかもレギュラーメンバーで、私の見ておるところでは、早稲田大学のラグビーは十五人、フィフティーン皆一体ということで、非常に大きな味を持っているわけですが、その中でも七、八番目の選手だと思うのです。それが、ややスランプぎみであった関係もありますが、昨年末タクシーに乗っておって、先輩とともに走っているうちに、運転手が方向を間違えて、順序を間違えたということから、タクシー料金の不払い、さらには、殴った本人は辰野選手ではないけれども、一緒に同乗しておった、むしろ引っ張っておった西田某なる水泳部OBの者がタクシー運転手を殴った。こういう事件から、早稲田大学のラグビー部は一年間公式試合の出場を辞退するという、衝撃を与える事件を起こしたわけであります。  早稲田大学のラグビー部は、過去数十年の歴史を持っておる。さらに最近では、関東大学ラグビーにおいて七年連続制覇、そして日本一を決める大学ラグビーの決勝戦には十三回連続出場。昨年は明治に一籌を輸したわけですが、しかし、ことしまた取り返して、輝かしい業績と、ラグビー人気の中でも抜群のファン層を持っておる。六万数千の観衆を国立競技場に集める、その七、八割は早大ファンであるというような点から、一般社会に衝撃を与え、その波紋はいまだに消えない。こういうことに対して、監督行政の責任者として文相は、いかなる見解を持つかをまず伺いたい。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 早稲田大学の御指摘の現役の選手が不祥事件を起こしたという報道に接しましたときに、私も大変これは遺憾な出来事が起こった、率直にそう感じました。  しかし、先生御指摘のように、自主的、自発的にラグビー部が一年間出場辞退の厳しい決定をみずから行ったということ、これは、おっしゃるように、早稲田大学ラグビー部というものの実力や存在や、スポーツ愛好者に与える影響等を考えますと、みずから厳しく律したその処置は、やはり非常に粛然とした気持ちで私もその報道を受けとめました。もっとも、どう思うかとおっしゃれば、願わくは二度と再び、こういうことを繰り返さないように選手諸君が自戒していただきたいという一点でございます。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 私が質問しようとしておりまする第二問にも関係ありますが、私は現在の社会風潮あるいは無責任体制というものに関連して、海部文部大臣の政治家としての識見を伺いたいと思うのです。  早稲田ラグビー部の自主的決定は、一般には厳し過ぎる、あるいは措置が早かったという非難もありますけれども、現在のとうとうたる無責任体制というものに対して、過ちを一時でも犯して逮捕されたという不名誉に対する自浄措置として警告の意味を含んでおる。そういう意味でやったわけではないが、まず、みずから自粛をしようという考え方は、私は相当なショックであり、また思い切った措置だと思っております。特にわれわれ政治家、ことにロッキード事件が起こって以来の、これに関係する、あるいは関係ありと見られる人々の言動を見ると、政治的、道徳的に責任を負うべき者が居直っておるというような風潮のある中に、政界に対しても、これは痛烈な皮肉あるいは意思と見てよいと思うのです。  近来、各新聞社やスポーツ関係の機関では、年間業績を表彰して、スポーツ界を飾った功労者を記録本位で表彰しているのですが、私は国会のスポーツ議員連盟の会長をやっておったときにも、もっと角度の変わったいいものも表彰したらいいじゃないか。これは早稲田大学のラグビー部は記録もあるのです。ことにラグビー界一般は非常にアマチュアリズムの精神を尊重してきておる。秩父宮ラグビー場をつくりましたときにも、ラグビーの関係者は、もっこを担ぎ、シャベルを持って土を掘り、安い費用であの秩父宮ラグビー場は弧々の声を上げたのです。  近来、ラグビーの非常な勃興というものは何か打たれるものがある。ことに、無名選手を四年間鍛練して、卒業の前には外国選手に匹敵する選手をつくり上げるという意味で、王者の地位を築いた早稲田大学ラグビー部というものは、私は本事件というものがなかったら、それ以前において、アマチュア界における真摯なプレーの団体として表彰に値すると思うのです。そういうことに注目する者が少ないのは、私は非常に残念に思っておったのですが、この一般的な社会風潮と早大ラグビー部の決定、そして特に政界、財界はもとよりであるが、官界、こういう点に対する自浄、自分から清めるというような傾向が、この事件を機として起こるならば、わが国の社会風潮に対して非常にいい一つの示唆であると思います。そういう点での政治家としてのお考えをお聞きしたいと思った次第です。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 川崎先生は、最近、社会のいろいろな分野で責任を感じない人、責任をとらないグループが多過ぎるという御指摘でございますが、最近の早稲田大学ラグビー部が、みずから厳しい措置をとって、みんながそれを戒めていこうという態度に出たことが、一陣の涼風と申しますか、起こった出来事そのものは個人の不祥事件で、最初に申し上げたように遺憾なことでありますけれども、それに対して、みずからを厳しく律して責任をとろうとしたその行動が、いろいろな角度ですがすがしく受けとめられておることも、これまた事実だと思います。そういう社会全体の風潮の中で、やはりみずからを厳しく戒める。特にいろいろな分野において頭角をあらわし、また多くの人に期待をされ、多くの人に影響を持っておる立場の人々が、やはりみずからを厳しく律して行動するということは、もちろん大切なことでございまして、そういう意味で今度の早稲田大学ラグビー部のとった措置ということも、みんなから受けとめられ、受け入れられておるのではなかろうか、こう考えます。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 第三の点は、これは文部大臣の見解と申し上げますよりは、実情の調査でありますから、あるいは法務大臣に質問するのが筋ではありますが、ここはいま文部省所管の予算を審議しておる最中である。したがって、その関連において文部省がそういう調査をしておるかという点で一つ伺っておきたいのは、この事件は、去年の末に起こって本年の二月早くに発覚をしたというようなことであって、一月は年始でありますから、あるいは多少警察の仕事がおくれたかもしれません。また早稲田の関係者に聞いてみると、何にも届けがなかった。これも警察の心証を害したゆえんと思います。タクシー料金の不払い、先輩OBの運転手殴打事件、これは確かに犯罪行為に値するものである。  ところが、ずっと調べてみると、辰野選手は一緒に乗ってはいた。少々酒も飲んでおったようです。けれども、道を間違えて同行の某水泳部OBの先輩が怒り出したときには、全く傍観者であった。そして、タクシー料金を払ったのですかと聞いておるというのが、最近わかってきた。これは公表はされておりませんが、某有力新聞に報道されておる。それから運転手を殴ったときには、辰野選手は別のタクシーを呼びにいっておって、したがって共犯の疑いというものはないのじゃないか。その点については警察と検察の見解が違っておる。警察は共犯的要素があるというので逮捕したけれども、現に辰野選手はすでに不起訴になっておる。起訴猶予ではない、不起訴処分になっておるわけですから、刑事事件に全然関係なかったということが、いまごろになってわかってきたというようなことでありますが、これらの事情を文部当局が、警察当局を通じて情報を握っておるとも調査をしたとも、私は聞いたことがない。これはよく聞いて調査をして、後の第四問が私の一番重要な質問でありますが、そういうことがあったかどうか。  一番気の毒なのは、少々それに関係があったけれども、辰野選手の存在で自分の部を公式戦は一年間辞退する事態に追い込んだ。本人は非常に反省もしているどころか、自分で深くこうべをうなだれているという話である。しかも、この事件のために一生暗い影につきまとわれて、自分は早稲田のラグビーのために尽くしたはずが、逆にこんな裏目に出たということで、暗い一生を送らなければならぬ。  さらに、早稲田大学というものは、昔、学生騒動があると、あれは早大でなしに騒大だ。今度はどうも早大だから早いのは結構だけれども、早まった大学になりそうなのは、教育学部がこれを無期停学にした。無期停学というのは相当にきつい処分ですね。自主的にされるのだから仕方がないけれども、そういうようなことも出ておって、世間に非常に同情を買っている。  まず、第四問に移る前に、文部当局としては、監督官庁ですから、どうせあなたの答弁の中には、民間スポーツには不介入、学生スポーツには不介入というような言葉も出てくるかもわからぬが、そういうことでは済まされない。したがって、こういう件について、八王子区検察庁あるいは東京地検などに、いろいろと連絡してみたことがありますか。

安養寺重夫文部省体育局長

○安養寺政府委員 元来文部省としましては、この種の事件につきましては不介入であるべきというような心得でおりまして、いままでの事例で申し上げますと、学生の体育関係、部活動関係で、いわゆるしごきであるとか、そういうような教育的観点から、しかも学校の教育の問題として大変好ましくない、あってはならぬことだという事例につきまして、公式に個別の大学を御指導申し上げるというような事例はございました。しかし、今回のことにつきましては、ややそれとは趣を異にいたしますので、現在のところ、一般的な情報をわれわれとして承知しておるという程度でございまして、調査はいたしてございません。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 これはしかし、調査をいたしておらぬというのは、ちょっと驚いた。大体が海部君と私ですから、八百長質問をしようと思っていた。ところが、文部当局の態度では、なかなかそういうわけには済まされないな。  というのは、それは早稲田大学のラグビー部の自主的決定は、余り介入すべきではないけれども、その上の関東学生ラグビー協会と、その上の日本ラグビー協会というのは、国立競技場の予算から何億という金を国費で使っている。秩父宮ラグビー場は、最初はたしか自主的な彼らの奉仕によってできた。しかし、国立競技場になってからは、七億幾らかの費用というものは全額国庫負担でやっておる。それをあなたは何も関係ないなんということはないのです。関東ラグビー協会は早大ラグビー部の自主決定を受け入れておる。そのことについて文部当局というものは、やはり関心を持たなければならぬし、監督行政としての責任があると思う。日本体育協会もそうだ。日本体育協会は河野謙三参議院議長が会長です。河野参議院議長がどういう見解を持っているか。何かもう少し緩和できないかというような考え方を持つならば、私と余り変わりはないけれども、参議院議長をやっているいないにせよ、八億五千万円の国庫補助を出してやっているのだから、出してやっていると思えばいい。国民的要求だから出すのですが、そういう権威がある団体という意味で出してはいるけれども、やはり警察のやっていることに全然関心がないというのは、これは断じていただけないと私は思うのですね。  まず、それを申し上げておいて、そして建設的に今後のことについて私の考えを述べ、海部大臣の見解を聞きたいと思うのです。  この事件が起こってから、いろんな波紋と、それからファンの忠告ないし期待というものが出ている。これだけ人気が出てくると、実は早稲田の中でも、ラグビーのやつだけがうまいことをやっているというような考えの少数のものもあります。また人気がだんだんなるものだから、女の子がきゃあきゃあ騒いで、歌手と同じように選手のしりを追い回す、サインをねだる。これはとにかく相当ラグビー界も自粛をしてもらわなければならぬけれども、大方のファンあるいは一般の風潮は、これはちょっと厳し過ぎたのではないかということに集約されていると思うのです。元来、文部当局というのは、この種の事件に不介入あるいは干渉するというようなことはしないというスポーツと政治の交錯点についての考え方は、私はいいと思うのです。いいと思うけれども、社会情勢に影響を与えるということになれば、そのようなものは、最高の責任者としての文部大臣は、いろいろと忠告をしてやったり、文部当局の中に調査機関をつくって、そうして実情を調査した後に、自主的措置は結構だけれども、もう少し何とか考えなければならぬじゃないか。  これは野球のように春秋あれば、春期リーグ戦を辞退するというので、それで済むだろうということですが、一年間になると、来年の二月までプレーできない。四年生は全然公式試合に参加できないで卒業するのです。それでもいいです。いいけれども、そこには国民感情、いまや一種の国民的な感情にもなっておることを尊重してかからなければならぬ。  では、過去においては、どういうことがあったか。これは私は火つけ役でもあったし、国会を舞台にしてやったわけですから、悪い方のやつを退治したことがある。大相撲の茶屋制度、これは社会党の辻原君が言ったのだけれども、材料はいろいろとうちが提供して、超党派的にやろうじゃないか。文部省はとにかく何遍も声明を出して、大相撲の茶屋制度というものを改革をし、八百長はそのときもなかったといいますが、八百長的なものは断固として排さなければならぬという一つの改革に手をつけたのです。相撲協会は国家から補助をもらっているのです。ただ財団法人ということで、監督官庁であるということは明記されておる。  それから、先般のプロ野球の黒い霧、これは四年くらい前のことです。国会でも相当問題になった。その結果、警察が動き、あるいは関係機関が動いて、八百長試合をやった選手が犠牲になった。犠牲になったというのは当然のことですが、この二つの事件を思い起こすと、プロ野球の場合は全然何も補助していないのですから、これは元来勝手なんだ。そういうものにも、やはり文部省はあのときに助言はしたと思うのです。大相撲の場合は、委員会をつくって、そうして文部省の体育局長が私どもの書いた原案を整理をしてくれて、そうして発表をしたことがある。勧告文というものを発表した。ついに茶屋制度の改革に大相撲は手をつけたわけです。  これは悪い方のことですが、今度は違うのです。今度は明るい面をもっと強調せよ。発端はやや暗かったけれども、実際は国民の期待に沿うような措置がとり得るわけですから、その意味で私は、最後にきちっと根拠を明示して申し上げる。  日本体育協会には本年八億五千万円、秩父宮ラグビー競技場には連続三年間国庫の補助がついておる。こういう点からして、少なくとも日本体育協会、日本ラグビー協会、関東学生ラグビー協会、この三者に対しては、監督官庁としての勧告というものがなされてしかるべしだ。それは、やはりいまから言えば、出場辞退というものを自主的に決めたのはいいけれども、期間を短縮することが今日ではよいのではないかと私は思うので、それも余り早まった措置をとれとは言わない。少し調査、研究をした後において、文部大臣は、少なくとも日本体育協会、ラグビー協会に対する監督者として、国の費用を負担している意味において、監督者としての法律的根拠があるわけです。そういう意味で勧告をする方向に出ることがよいと私は思うのです。  最後に、この点をきちっと承って、早稲田大学ラグビー問題を終わります。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 川崎委員のおっしゃいますことは、私も承っておりまして、その御心情、考えていらっしゃる内容をよく理解できるわけでございます。ただ、私のまた率直な気持ちも、ぜひ先輩に御理解いただきたいと思うのですが、文部省といたしましても、全然関心を持たないわけでございません。私は個人としては心を寄せておりますし、先ほども申し上げましたように、不祥事が起こったという報道を聞いたとき、それに対して厳しい措置を早稲田のラグビー部がみずからとった、そうしてみごとな自浄能力を示したときに非常に厳粛な受けとめ方をしたわけでございます。  さりながら、関心を持つけれども、大学のスポーツにまで介入していいのだろうかということに、非常にまた一つのちゅうちょがございますし、それから予算編成のときにも、私もスポーツ振興を大きな旗印にいたしまして、全国のスポーツクラブの育成なんということも念頭に置き、同時に日本体育協会への補助の増額のことも頭の中に置き、スポーツを振興して、またオリンピックを目指してという、いろいろな夢があるわけでありますけれども、とにかくスポーツのすそ野を開くためのスポーツクラブ、体育協会への助成とか、いろいろなことに全力を挙げて措置したつもりでございます。  ただ、補助金は出すけれども、口は出さないでおいた方がいいというのが基本的な考えでございますので、補助金を出しておるから、直ちにああしろこうしろということまで、差し出がましく言うことはいかがかという気持ちがいまでも正直にいたします。  同時に、先ほど先生がおっしゃったように、責任をとらない無責任者が横行するこの時代に、大学のスポーツ関係者が自主的に、あれだけみごとな措置をされたということで、むしろ逆の意味で社会的にも大変な教育効果があったと私は受けとめたのです。  そこで、今後の問題でございますけれども、きょうまで川崎先生が、著しく社会正義に反するものがここにあるというときに、いろいろと御発言をいただき、原動力になっていただいて是正されてきました過去のできごとは、私も十分承知しておりますし、敬意を払ってながめておりましたが、今度の問題につきましても、私も先生と同じように、早稲田のラグビー部を心から支援し、試合を見にいく者の一人といたしまして、これは個人的な心情を申し上げますと、ここまで社会的にいろいろなことも伝わり、みずから厳しく律したことも皆さんお認め願っていらっしゃるだろう。だから心情としては、よし、その態度でよくわかったから、ひとつまたがんばれ、こう言いたいわけでございますが、公の立場では、もう一回大学当局の関係者が自主的に、そしてみずからの判断に基づいて、そういう国民の声がある、そういったことを希望しておる多く人々がいるのだということ等も踏まえて、自主的な判断によって善処されることが望ましいし、また善処されるべきだと私は期待をいたしております。  同時に、警察当局のやりました措置、検察庁のやりました措置、事実、実態がどうであったかということにつきましては、文部省は直接の所管ではございませんので、深く立ち入って調べておりませんが、私自身は、一回この問題についてはよく調査をしてみたい、こう考えます。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 もう質問を終わるところであったのですが、心情的にはあなたの御意見に近いものを持っておる、あるいは同じであるということの一面、大学スポーツには不介入だ。大人のやったことですから、中学生や小学生とは違うのだから、そういう意味での御発言でもあったと思うわけですけれども、ここに私は、早稲田大学がとった措置と、スポーツ界あるいは一般社会とはまた別だと思うのですね。そういう意味で、日本体育協会は大体ぼんやりしているのですよ。自分の傘下の事件、そして日本体育協会は理事以上はほとんど社会人ということであれば、スポーツ並びに一般社会に与えた影響に無関心であってはならぬ、ラグビー協会はその傘下団体であるから。  ラグビーは、昔、全く民間スポーツで、体育協会にも関係なかったことがあるのです。アマチュアリズムをやるためには競輪の金をもらってはいかぬ。香山蕃君というのがいて、彼はアマチュア精神の権化であったわけですね。それで、競輪の金をもらうような体育協会には加盟しないといって三年間がんばったのだけれども、競輪が出す金も、まあ今日の社会情勢からすれば、いいものを出そうというならいいじゃないかということになって、また再加盟をした。よろしゅうございますか。いまはちゃんと補助金も出ているわけです。補助金を出しても介入するな、その精神はまことにいいと思うのですけれども、社会事情というものをよく勘案して、やはり国民の中の日本体育協会であり、国民の中のラグビー協会だ。そういう意味で、この二者に対しては、文部省の見解を伝えるような時期を選ぶ必要があるのではないか。それには調査しろ、こういうことでございます。  改めてもう一問だけ。社会情勢、社会的関心ということについての接触点について文部大臣はどう思うか、こういうことです。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 これは社会情勢とか、そういった社会に与えた影響等をやはり当事者が自主的に判断されて、そしてそれを勘案しながら善処されることが最も望ましい姿だと私は考えます。  そして、あれほどみごとに自浄能力を示すことができたスポーツ関係者でございますから、そういう社会的なみずからの立場とか、それからその処置に対する社会的ないろいろの情勢を総合的に判断していただいて、やはり自主的な決断において善処されるように私は心から願っております。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 それでは、もう一つの面のスポーツ振興という大きなスケールの問題でお話を承りたい。一番最後には、細かに予算の数字なども申し上げます。  わが国の教育は、最近、特にここ十年ほどは、大学入学希望者が非常に激増しておる。いわゆる入試地獄が反映をして、知育偏重に陥っていることは明らかです。文部省がいま一番苦労しているのはこの点であり、新自由クラブなどは、しきりとこの問題について西岡君以下苦心しておられる。あなたの昔の仲間です。教育の基本は知育、体育、徳育、まあ徳育という問題になると、すぐ道徳、あるいは戦前のならわしのようなものがイメージとして映るので、左翼陣営からは非常に反対がある。そこらにいろいろ問題もあるわけですが、体育を広めるということでは、今日は国民の合意が得られると思うのです。  そういう意味で、知育、体育という並立の関係をもっと強く推し進める行政をやっていただきたい。世界的にも今日、そういう体育行政あるいは体育というものに力を入れておる国は、かなりいろいろな面で国民に活力があると思う。そういうことに対して、まず一般的、基本的なあなたのお考えを承っておきたい。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 御指摘のように、やはり体育というものに力を入れなければいけない、ややもすると知育偏重ではないか、あるいは詰め込みに過ぎるのではないかという批判が、いろいろなところから出ておりまして、また、各界の御反省等もあり、教育課程審議会の答申におきましても、伸び伸びとした人間性豊かな子供を育成するようにしなければならないとあり、先生御承知のように、わが国の教育の基本を示す教育基本法にも、心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならぬと明示されておるわけでありますから、私どもはそういう御指摘や、あるいは審議会の答申等も踏まえて、特に義務教育段階における学校のあり方の中で、教科科目を精選しますとともに、時間数等もゆとりがあるものにして、ゆとりのできた時間を何に使うかというごとの例示として、学校の創意工夫でいろいろ時間を利用するときには体育等にも使ってもらいたいというように指導をいたしておるところでございますが、やはり、もう少しよく学びよく遊べという言葉——遊ぶということと体育ということは、必ずしも一致しないかもしれないけれども、要するに、知育偏重、詰め込み偏重にならないような学校教育、バランスのとれた、知育、徳育、体育が調和のとれたかっこうで指導できるような、そういったものを理想の姿として描いて、そちらの方向に進めていきたいと考えております。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 ここでは少々私の所見を申し述べて、そして文部省にぜひ前向きの姿勢で取り組んでもらいたいことを個条書き的に申し上げる。  私は、体育の振興に力を入れるというのは、いま一番最適ではないか、一番いい時期ではないか。というのは高度成長というものが石油ショック以来ストップしている。そうして低成長の時代に入った。こういうような時代に、やはり国民に気力を振起する、ふるい起こさせるというのは、やはりスポーツの振興、体育行政の振興だと私は思うのですね。  現に自主的にも起こってきた。私は非常にうれしいと思っているのは、毎日皇居の周りを朝から夕方まで走っているやつがおるんですな。ああいうのはなかったですから。昭和二十三年ごろに、スポーツ議員連盟というものを起こして、それで国会の周り少し早足で歩こうじゃないか。それをずっと続けておる。そのころにトレーニングシャツで走っておったのは、川崎秀二だけじゃないか、あれは少し奇人じゃないか、厚生大臣までしたのに、後少し奇人になったんじゃないかなというようなばかばかしい話。  どうです、いま。この間、青梅のマラソンは一万七百人も集まった。そういう雰囲気もできておるわけですから、とにかくそういう意味でガソリンタンクは充満しておるわけです。マッチをすればドーンと上がる。この意味で私は、体育振興に転換というか、大飛躍するチャンスはこの二、三年だと思うのです。そういう意味で、こうずっと健康国家育成、ヘルシトステートとでも言いますかな、そういう考え方で、ひとつ局長さんなども努力をしてもらいたいと思うのです。  いま、来年あるいは再来年になると厚生省が一番喜ぶことになる。世界一の長寿国になる可能性がある。スウェーデンを抜けるか抜けないかということは、相当なものでしょうけれども、相当困難だろう。二番目になることは間違いない。世界で長寿国、これは最高の長寿国となりつつあるのは、人命の尊重というものが非常に言われた。これはマスコミなどの非常な発達による、人間の命というものは何でも一番大切なんだということが浸透してきたことが一つ。栄養の発達、福祉重点、充実ということによる結果ですが、この点では喜び誇るべきものだが、その反面において青少年が惰弱に流れてきた。基礎体力というものがない。中年は、いわゆるあなたが言った健全な遊びでない、不健全な遊びに流れている者がかなり多くて、そうしてそういう点では、非健康が中壮年にびまんしてきたと言われておる。病院はこのごろは全部老人病だ。だから福祉国家の目標は次第次第に達成されつつあるが、健康国家としての青写真というものがない。  この点については、文部省がやはりスポーツ、体育振興の本山ですから、何とか体育振興についての長期計画、五年ないし七年計画というものをつくってみる気はありませんか。これ、ひとつ局長でもよろしゅうございます。そういう考え方がないかどうか。  それから、一遍にお話をした方がいいでしょう。従来の体育というのは、余りに学校体育に堕した。その学校が——河野一郎氏は、これはやはり河野謙三先生よりも政治家である。着眼点が違う。学校の体育施設を一般に開放せよ、夜は夜で開放し、早朝は早朝で開放せよということを言われたが、これはなかなか実施に至らない。そういうことや、また私どもが見ておりまして、社会体育というものは文部省が非常に力を入れているにかかわらず、まだまだ充実してない。一部の大企業だけは、金力に頼って施設を広げ、これは本当に言っていい努力もしております。しかし、利用者は一握りの有名選手、会社のための宣伝用具にすぎないのだな。サッカーなども盛んになったのは結構ですけれども、ヤンマーディーゼル、永大産業なんというような名前がしょっちゅう出るのは、あれはスポーツを奨励している広告料です。莫大な広告料。  私は、もっとまじめな意味で中小企業、農村の青壮年、それから一般自由社会人に対する社会体育の施設をもっと拡充して、しかし、これは施設ばかり拡充しても、ぺんぺん草が競技場に生えておるというのではいけませんから、やはり西ドイツの黄金プランのように、着々として施設もやるけれども、トレーナーもつける。トレーナーの費用は大分ふえましたな。七億一千九百万円かな。これはもっとうんと要求して、そうして社会体育というものの充実を予算面からも図る。こういうようなことについての考え方、大臣とともに担当局長の考え方も、この際聞いておきたいと思います。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 体育振興は、御指摘のように学校だけで効果が上がるものでございませんから、今年度予算のときも、スポーツクラブの育成という新規の要求をしましたのも、いま全国で点在しております早朝野球とか、ママさんバレーとか、あるいは地域マラソンとか、そういったような住民参加のスポーツというものがもっと手広くできるように、そういった願いを込めてやっておることでございますし、また学校施設の開放、そこへ指導員を派遣して、それが一体となって社会体育というものがますます充実していくように願いつつ、不自由であるかもしれませんが、芽を出して、それを育てておるところでございます。  長期計画とか詳しい内容につきまして、体育局長の方から御説明をいたします。

安養寺重夫文部省体育局長

○安養寺政府委員 最初にスポーツ振興の年次計画のことでございますが、昭和四十七年の十二月に、文部大臣の諮問機関でございます保健体育審議会が、大変広範な、学校内外、社会、体育、スポーツを含める答申を出されたわけでございます。自来、それに基づきまして、社会体育施設の整備充実あるいは指導者養成、特に市町村に体育指導員という制度がございますが、このような方々の協力を得る。あるいは日本体育協会が体育指導者の養成計画を事業として取り上げたいというなことについての補助を申し上げるとか、いろいろそんなことをしてまいったわけでありますが、五十年の五月には、ちょうど全国の学校、社会体育施設の悉皆調査をいたしまして、その結果が出たわけでございます。  だんだん世の中も変わってまいっておりまして、特に最近は一般の人たちのスポーツ熱というものも大変盛んになっていますので、いろいろ施設の提供、あるいは指導者の提供、さらには自分たちで仲間をつくって継続的にスポーツに親しんでいくというようなことの刺激をどのように与えるか、いろいろ重要な要素が考えられるわけでございますが、実態調査の結果ともにらみ合わせまして、今後そのような観点から年次的なまとまった計画を進めてまいりたいと、鋭意いま検討中でございます。  二番目は、学校開放の御指摘でございますが、これも在来、学校体育のために学校の必要な施設を充実していく。体育館、プール、その他いろいろございますが、そのようなことをやってまいっておりましたが、加えて学校施設というものは、大変たくさんあるわけでございまして、われわれの日常で最も親しみやすい場所にもあるわけでございますので、一般社会に開放するということを、いま少し積極的に進めたいというようなことを念願いたしまして、昨年の六月の文部事務次官の通達によって文部省の考え方をまとめまして、関係国公私立学校責任者の方へ、学校開放の事業を大いに進めてもらいたい。そのためには、文部省といたしましても必要な施設の整備補助金を出す、管理指導員の配置も進めるわけでございますから、その謝金等々の補助もいたしましょうというようなことで、おかげさまでこの点は関係者一同の大変な御賛同を得まして、急速に伸びておりまして、明年度でも、この学校開放のことにつきましては、施設あるいは人的面の手当ても大幅にさせていただいておるというようなことになっているわけであります。  大臣から申し上げましたように、学校教育自体のあり方を展望いたしますと同時に、成人の社会体育、スポーツにつきましても、全世界的な風潮でもございますので、日本がこれに伍して遜色のないようなあり方を検討し、実行に移していきたい、かように考えておる次第でございます。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 きちっと一時間で切りますから、最後に私の意見を主に申し上げておきたいと思うのです。  オリンピックというものは、国力の象徴とも一般から言われておるわけです。私は、そういう点では、オリンピックがやや国家権力主義的であって、こういう見方は好むところではありません。しかし、モントリオールのオリンピックの上位国のソ連、アメリカ、東西ドイツというものの成績を見ると、確かに国民の気力充実というものが感ぜられますね。その成績が国民の気風に投げる影響も無視できないと思うのです。東ドイツの驚異的な進出は実際行ってみないとわからない。  私はおととし東ドイツへ入って、ライプチヒあるいはドレスデン、イエナというようなところを六日間ほど回りました。生活水準は低いし、西独と比べれば問題にならぬけれども、それをスポーツでひとつ隠そうという権力者の意図があって、余り感心はしません。でも、日本のことで言えば、モスクワ・オリンピックの日本代表団の成績は、いまから予測すると、このままでいくと体操の代表選手が老齢化する、一般の種目は横ばいであるというふうなことになると、惨敗は免れない。選手強化対策費を大幅にふやしてもらいたい、体協を激励してもらいたいと思うのですが、それが一つの問題である。  しかし、私がきょう提起したいという問題は、まだ行政機構の改革その他に応じて非常に困難な面があるかもしれぬけれども、申し上げておきたいのは、本年のスポーツ関係の予算は、文部省体育関係予算が前年度比二十三億五千万円の増で百四十四億が計上されておる。体育協会の補助費はわずかに八億五千万円である。体育協会では体育省設置の運動などをやったことがありますが、私がずっと調べてみると、各省の体育にかけている費用は相当のものですな。ことに勤労者青少年体育というものにまたがっておる厚生、農林、それから労働各省は、相当な金をこれに投じておる。それから、青少年対策の関係予算というものを去年の十二月の末から調べてみると、一兆八千七百二十三億三千三百三十二万、恐ろしい数字です。もっともこれは精査してみると、義務教育の学校教育に関する施策というのが一兆八千三百九十四億もあるのですから、ほとんどがそれであるという意味で、これは青年対策というよりは幼年、児童義務教育対策費ですから、これには入らぬと思うのですが、国会図書館を通じて調べ上げたのでは、そういうことでございます。  そうして純粋の体育費というものの中にも、労働省関係で二十四億三千万円。勤労青少年ホーム、勤労青少年フレンドシップセンター、こういうように予算の取り方が文部省よりも労働省の方がうまいな。ユースホステル、これは運輸省なんだ。それから観光レクリエーション地区。それから文部省のやっておることでは青年の海外派遣等のこと。これは、私が会長をしておる世界青少年交流協会なども、非常に御協力いただいているわけだけれども、そういう青少年の対策費というものは、総理府なんかの費用も入れてみると、相当なものです。そういう意味でのスポーツ青年省的なものは予算的にはできるんじゃないか、施策的にもやってはどうか、私はそういうふうに考えておるのです。  もう時間がなくなりましたから、一つぼいんと申し上げますが、日本の内政のこれからの明るい面と言えば、やはり厚生省ですね。これが福祉国家の波に乗って、とにかく今日ではその体内に社会保険庁というのができた。外郭には環境庁というものができて、石原君が大臣になっておられる。文部省も少し野心を出して、国のためだから、いわゆる健康国家建設という意味で文部省、それから福祉国家建設という意味で厚生省、それは外郭に二つの省くらいできるような大きなスケールの構想を打ち立てるべきではないかと思うのです。少なくともスポーツ青年庁ができますよ。きのう聞いたら、文化庁の予算が二百八十三億。これを入れると、予算的にも施策的にも将来その方向に行くことが理想だと思うのです。いま直ちに実施せよということは言わない。しかし、そういう方向に行政を導くことを希望しまして、これに対する海部文部大臣のお答えを聞いて私の質問を終わる次第であります。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 いろいろな項目についての御意見を交えての先生のお話、私も拝聴いたしました。  最初のオリンピックに関する問題にいたしましても、たてまえを言えば、参加することに意義があると言うんですが、われわれやはり、どうしても本音からいくと、参加する以上はメダルもとってほしいという気持ちが率直にあるわけでありまして、どうかそういう意味で、体育協会が一生懸命がんばっていらっしゃる。それを先ほど申し上げましたように、願いは持っておっても口は出さぬのでありますが、しかし、お金はできるだけ出さなければならぬということで、今年度の予算案を編成しますときも、体育関係には非常に力を入れてやってまいったつもりでございます。  それから、最後のお話にありますスポーツ・青年省の問題でありますが、これは西ドイツの黄金計画を立案しました家庭・青少年問題省というものが、恐らく川崎先生の頭の中にもあるのではなかろうか。私もお供をして見せていただいたこともございますが、将来の方向としてそういったことを考えたらどうだという先生の御意見でございます。承りまして、やっぱり将来このままの行政機構で日本はいつまでも行ってもいいというものではございませんから、将来の方向としての御示唆としては、確かに一つの方向であろうと私も理解をいたします。

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)主査代理 これにて川崎秀二君の質疑は終了しました。  この際、午後一時まで休憩いたします。     午後零時二分休憩      ————◇—————     午後一時二分開議

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。土井たか子君。

土井たか子日本社会党

○土井分科員 このたび、昭和五十一年度の児童生徒の学校外学習活動に関する実態調査の結果が文部省から発表されたわけでありますが、報道でもこれが非常に大きく取り上げられておりますとおり、学習塾というものの激増が最近大変に論議を呼んでおります。文部大臣は、この学習塾というものが年々ふえていく傾向にある、決して減りはしない、こういう現象に対して、その原因はどの辺にあるというふうにお考えになっていらっしゃいますか。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 原因はいろいろ多岐にわたっておると思いますが、私なりの考えを申し上げますと、一つは、入学試験のあり方、あるいは試験の内容というものが非常にむずかしくなってきた、それによって、何とかこれを突破するために勉強したいという一面の理由もありましょう。それからよく言われますように、落ちこぼしとか、落ちこぼれとか言われる言葉がありますように、学校教育が完全にすべての子供に必要にして十分な基礎的、基本的なことを教え切っていない、したがって補習的に行くんだ、こういう面の理由もございましょう。また今回の調査でも明らかになっておりますように、そういう純粋な学習あるいは受験指導以外の面の、おけいごとのような塾も広い意味で学習塾という範疇になっておるように思いますが、それらの理由がいろいろな面からあろうと思うのです。

土井たか子日本社会党

○土井分科員 いまおっしゃったおけいこごとの塾、それから先ほどおっしゃいました進学のための塾、それからいろいろ組まれている教科課程の内容が理解しにくいために、理解を促進させるための塾、これは大きく言うと、二つに類型を分けて考えていかないといけないと思うのです。いまここで取り上げて、これに対してどのようにこれから文部行政は対処されるかということをお尋ねしたいのは、おけいこごとの塾ではございませんで、進学を念頭に置いて考えられた学習塾でございます。  この原因は、いまも大臣がお認めになっておりますとおりで、大学進学ということを念頭に置いて、そのために大変な弱肉強食の受験勉強が小学校の段階から始まっているわけです。これは大変深刻な問題だと私は思うわけでありますが、特にこういうことに対して、学習指導要領並びに教科課程を組む際に、児童生徒の生活意識であるとか、体位であるとか、生活状況というものを教育の立場から考えて組まれているという気配が、年々だんだん少なくなっているような傾向を私たちは考えざるを得ないのです。過密ダイヤが教科の中には組まれておりまして、一名新幹線教育というその名がふさわしいくらいに、走れ走れの一点張りであります。したがって、生徒が理解するか理解しないか、そういうことにかかわらず教科は先に進まなければならない、この問題が一つは大きな問題となってきているのではないかと思います。  今回の調査内容を見ましても、学校の授業をより一層確実に理解できるために学習塾において授業を行うという学習塾の指導目標が、何と七〇%から八〇%になっているわけです。また一方親の立場からいたしましても、学校で習うことが大変にむずかしいので、家庭では教えられないから塾に通わせるというふうな側面が三六%にもなってきている。また、塾では、この節学校では求められない、学習に対して興味や関心を持たせて教えてくれるからという期待をかけて塾に通わせているという側面が二五・四%もあるわけであります。一年生の教科課程で当然履修しなければならない内容になっている教科の中身が理解されないままで二年に進級したといたしましょう。しかし二年生でその点を補習してくれるということはどこにもございません。もう一度一年生のおさらいをしたり、さらにその点で再履修をしていくというふうなことは、いま保証されていないわけであります。したがって、落ちこぼれと大臣もおっしゃいましたけれども、拾われないままに、その中身を理解しないままに、次々二年、三年、四年、五年と学年は進級していく、そして学習の中身が全然おもしろくない、さらに理解するという態度を持ち得ない、こういう子供たちが一方でふえていっているという現実は、教育の立場からするとまことに深刻な問題だろうと私は思うわけであります。この点は、今回の学習塾が激増していっているという問題で、どうしても文部行政の上で考えてもらわなければならない側面だと思います。大臣はこれにどのように対処するお気持ちをお持ちでいらっしゃいますか。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 いま御指摘のありました面の問題、学校における教科内容が非常に多過ぎるのではないか、むずかし過ぎるのではないか。そこで、基礎的、基本的なことを身につけるためには学校の教科をもっと精選して、そしてゆとりのある、しかも充実した学校生活が送られるようにしなければならぬという角度の御指摘が各界の代表の方からの意見のまとまりとして教育課程審議会の答申の中にも出ておるわけであります。  私が前文部大臣から昨年の暮れに職務を引き継ぎますときも、前大臣が特に最初にこの問題を指摘されまして、ややもすれば詰め込み主義ではないか。知育偏重といいますか、いろいろな角度からの御批判があるが、教育課程審議会の答申の精神をきちんと守って、学習指導要領の改定に当たっては、教科の精選、これにひとつ力を入れてほしい、このことは十分に理解をせよと言い置いていかれたのでございます。  文部省の立場といたしますと、まず、そういう教科内容というものが、もしむずかし過ぎたり、量が多過ぎたりして、十分身につけ理解することができない面があるとすれば、これはやはり当然是正していかなければならぬ問題ですから、現在進行しております学習指導要領の改定の作業の中においては、この線、この考えはきちんと生かしてやっていくべきだ、こう考えて取り組んでおります。  それからもう一つは、現場の先生方が、学校の教育の場において——この間も私は愼枝委員長とあるところでお話をする機会がございまして、愼枝委員長の書かれた本の中で、一つ私も非常に心に残ったことがありますから率直に申し上げたのですけれども、要するに、自分の教え子の中で、国語はよく理解してくれるが数学を理解できない子供がいる、それはその子供の家庭の環境がいけないんだろうか、あるいは自分の教え方が悪いんだろうか、どういう角度からいったらよく理解してくれるだろうかということを本当にあらゆる角度から考えて、授業が終わったら残ってその子に補習で教えてやろう、そうしてみんなに理解を深めさせていこう、それがあるべき教師の姿だということが書いてありまして、私もその点は非常に感銘を受けましたから、そういうふうにみんなが力を合わせて、前進し合うものは皆前進し合って、学校教育、公教育が本来のきちんとした責任を果たしていく、そのためにはどうしたらいいかということを真剣に考えて、できる分野でみんなが努力しよう、こういうことを私はいま心から考え、そして皆さんにもお願いをしておるところでございます。

土井たか子日本社会党

○土井分科員 みんなが考え合わせるというのは大事な一つの姿勢ではありましょうけれども、やはり文部行政の最高責任者として、どの点に、今回のこういう問題に対して、本当に教育のあるべき姿というものを義務教育諸学校並びに高等学校において実施していくかということは、一つはポイント、焦点を浮き彫りにして、それに対しての大臣は大臣なりの対処の仕方ということをはっきりさせていただく必要がどうにもあるように私は思います。  先ほど来、教育課程審議会の方の答申を得て、それを教科課程の中でも生かしたいというようなお話でありました。なるほど、今回教育課程審議会の方から教科内容に対しての簡素化ということが問題として出されて、そしていまの過密教育というものをいかにして是正していくかということに対して、それなりの答申の中身は出ております。しかし、これを拝見した限りでは、この授業数が、小中学校においては週に一時間か二時間削減されるというふうな中身にしかなり得ない。いわば新幹線教育にしてみると、一本か二本新幹線の本数を減らすという程度の中身でありまして、実は問題は、そういう授業数であるとか、あるいは教科内容を簡素化していくという以前のことがあるように私は思うわけであります。小学校や中学校の教科課程の内容は、小学校の教科として、果たしていまの組み方は、一年生は一年生、二年生は二年生というふうに、その課程はそれぞれの年度別に応じてこの考え方が十分に練られた上で組まれているかどうか。大学へ進学するということが大前提になって小学校、中学校、高等学校の教科は動いていっているといったきらいがありはしないか。教科課程の内容は決してそうじゃないとおっしゃるかもしれませんけれども、根底にあるのは、やはり大きく申し上げて大学問題だろうと思うわけであります。大学進学ということが念頭にあり、そうして大学ということがなぜ念頭から離れないか。これは学歴、学閥の社会が物を言っている限りはどうしてもなくならない。特に大学の間で格差がある。大学の格差に従って高等学校に格差がある、さらに中学校に格差がある、小学校に格差がある、こういう状況が全国的に展開されてきているところが非常に問題じゃないかと思うわけであります。こういうことに対して、この大学のあり方、学歴、学閥主義というものを社会からなくしていかなければどうにもならないということであるかもしれませんけれども、この大学の格差是正という方向で文部大臣がお取り組みになるということは、今回の問題を考えた場合にも、一つは是正をしていくあり方として考えなければならない非常に重大なポイントだと思うわけでありますが、いかがでありますか。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 塾の問題の御質問だったものですから、私もつい義務教育段階のことに限って御返事をいたしておりましたけれども、いま土井委員御指摘のように、いまの学校教育の問題は、小中校、高等学校、大学と全部つながっていって、大学入学試験に一つの非常に問題がある。したがいまして、この入学試験の問題にも改善に着手をいたしておりますが 大学を卒業した後の社会の受け入れの仕組みといいますか、また必要以上に学歴が幅をきかせておるという点にもさかのぼっていくと問題が行き着くわけでありまして、おっしゃるように、いま当面大学間格差を是正せよという御指摘は、まさにこれは正しい御指摘でありまして、私どもも、先ほどは永井文部大臣からの受け継ぎの教育課程のこと一つを最初に申し上げましたが、あのときやはり大学間格差の是正ということを前大臣からも引き継ぎを受けておるわけでありますし、また私自身もそれは大事なことだと思いまして、今後文教行政の取り組んでいきます問題の中の最も大事なことの一つとして、御指摘の大学間の格差の是正ということには真剣に取り組んでいきたいと思っております。

土井たか子日本社会党

○土井分科員 そこで、いまの問題というのは、実は今回の調査の内容にも出ております。学校の勉強だけでは将来進ませたい学校に入学できないということで学習塾に通わせている数というのが二七・四%と、これはかなり高い数字だということを言わなきゃなりません。  本来、学校が、進学のための教育、受験のための教育という場所であってはならないという趣旨から、御存じのとおりに、昭和三十七年から三十八年ごろにかけまして、いわゆる補習教育を学校ではやめたわけであります。この補習教育を学校でやめたあの時期と同時に、反比例をして塾が激増していったというふうな現象が実はあるわけであります。したがいまして、いまの問題が解消されない限りは、塾の存在というものはなくならないとも言えるようではありますけれども、いまある塾の姿に対して、文部大臣は、好ましいとお考えですか、好ましくないとお考えですか。そうして、塾のあり方ということに対して、どういうふうな御見解をお持ちでいらっしゃるか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 結論を先に申し上げますと、私は好ましいと思っておりません。同時に、その過熱状態といいますか、好ましくない状況がいろいろあるわけでございますので、それはやはりみずからの方に問題点を移して考えてみて、文教行政の取り組むべき問題の中できちんと改善をしたならば、この好ましくない過熱の状態が少なくなっていくわけでありますから、その一つとして、おっしゃるように、入学試験の問題等も重要な関係がある、こう判断をいたしまして、そうすると、大学の入学試験の問題の中で、難問、奇問というものから解放されるようになれば、高等学校の教科内容を誠実に勉強しておれば、大学入学試験の問題はその範囲から出るのだということの保証があれば、学校生活というものは、ただ単に受験目的のためのみにあるのではないというような、そういう面からの御批判はなくなっていくと思うし、そうすれば今度は、難問、奇問を突破するために、受験術といったようなものがあるかどうか知りませんけれども、とにかくその術を身につけよう、そして何が何でも大学に受からなければならぬというので進学塾へ走り込む姿というものも、そういう面からまた是正されていくのではないかという感じがいたします。

土井たか子日本社会党

○土井分科員 いろいろな問題点があるのでとおっしゃいましたけれども、きょうここでそのいろいろな問題点について、それではどのような問題点を文部大臣は認識なすっていらっしゃるかということをさらにお尋ねしても、そうそうこの時間の方が許さないだろうと思います。ただしかし、こういう問題をそれじゃ具体的に生かそうとするのに、いま、文部省のいままでのあり方を据え置きにしたままで、こういう問題に対する対処を具体的に文部行政の中で生かし続けようというふうにお考えになっていらっしゃるかどうかは、非常に気にかかるところであります。  たとえば、先ほど述べました教育課程審議会というこの場所が、先ほど授業についての簡素化や教科課程の内容に対して簡素化ということを答申された場所でありますが、この教育課程審議会のメンバーをずっと見てまいりますと、大学の先生が非常に多いのですね。それから会社の社長なんかも入っていらっしゃいます。大学の先生や会社の社長が別に悪いとは私は申し上げませんけれども、こういう問題は、現にこういうふうな塾に通わなければどうにもならないという悩みを自分のこととして持っている人たちが、本当のところどうあってほしいかというふうな気持ちを強く持っていらっしゃる、教育の中にそれをぜひ生かしてもらいたいという要望を切実な要望として持っていらっしゃると思うわけであります。こういうことに対しての吸い上げというのが、いまの体制のままでは十分にでき得ないのではないか。審議会の答申も結構ですよ。でもやはりそういうことに対して文部省が組み入れていく。それを十分に組み入れた上でこれに対しての改善策なり是正策なりを講じていくという努力が果たされなければならないだろうと私は思うのです。審議会のあり方なり、それから大衆討議という言葉がよくございますけれども、一般に現場でこういう問題を抱えながら、現に教育のあり方に対してこうあってほしいという意見をもっと幅広く吸い上げたいということからいたしますと、やはりいままでどおりであってはどうも不十分だと私は思うわけでありますが、この節こういう調査の報告が出てまいった、これを機会に何とかいまの好ましくない塾のあり方に対して取り組んでいただく思い切った文部行政というものを進めなければうそだと思うわけであります。文部大臣としては、幅広くこういう意見を吸い上げるということに対して何らかの方策をお持ちであるかどうか、ひとつお伺いいたします。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 教育課程審議会の委員を決めたり、その審議の過程の内容のことは、私は就任以来文書を通じたり報告を聞いて理解しておるのでありますが、大学の先生や会社の社長さんばかりじゃなくて、親の代表といいますか、御意見も聞くべく委員になっていただいた。あるいは教育課程審議会の途中で、たしか二度であったと思いますが、中間経過報告みたいなことをして、そのときにいろいろな各界の方々の御意見も十分聞いて、そして最終答申をまとめるに至ったのだ、こういうことも聞いておりますし、また、その答申を受けて現在作業をしております学習指導要領の改定の問題につきましても、それぞれ現場で教科ごとに教壇に立って現に教えていらっしゃる先生の中から何人かお集まり願って、御意見等も承って、そういった声も反映されるように、現在も努力をしておるというふうに報告を聞いておりますので、そういう態度をこれからもできるだけ広げていくように私は指導してまいりたいと思います。

土井たか子日本社会党

○土井分科員 大臣、現実の問題を見ますと、これは報告を聞いておりますのでという段階ではないと思います。特にこれは高校も含めてということになれば一層好ましいですけれども、義務教育諸学校の現場の先生方、それからお父さんやお母さん、それから自治体、そういう声を直接大臣が文部行政に生かすための努力というものを大臣自身がおとりになるということ、これがいままで薄かったと私は思うのです。審議会の答申を受けているからとおっしゃるかもしれませんが、報告を聞きとか慎重に検討させとか、そういうふうな答弁がいつも返ってくるわけでありまして、文部大臣自身がこういうことに対して直接乗り込んで、そして文部行政の中にそれを生かしていく、適正なこれに対しての措置を講じていくというふうな施策というものが何らか出てこないか。御承知のとおりに、塾に通いますと、小学校においては低学年でも三千六百円、高学年においては六千円、中学校に至っては五千二百円という月額出費がお父さんやお母さんの中から出るわけであります。本来、日本国憲法からいたしましても、その第二十六条で、義務教育は無償とする、こう書いてある。憲法や教育基本法の趣旨からいたしましても、どうもいまの教育の内容というものはだんだん外れていっているということが、この点からいっても言えると思うのです。  ひとつ文部大臣、この点に対して、いままでどおり審議会の答申を得てとか報告を聞いてでなしに、じかに大臣自身が何らかこれに対して対応するというふうなお気持ちはありませんか。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 言葉足らずで誤解を与えたようでありますから、言い直させていただきますが、教育課程審議会のことにつきましては、私が就任する以前のことでございましたので、文書を通じて読んだり直接報告を聞いたり、こう申し上げたのでありますが、私は大臣就任後、時間の許します限り各界の代表の方々に直接お目にかかって、現場の先生の御意見もいろいろな角度の御意見も直接承っております。私自身の気持ちの中で判断し整理して、考えて物を言わなければならぬこともございますので、そういう決断のときの資料としていろいろお話を承ってまいりましたし、今後も時間の許します限りお話を直接承ってやっていきたい、こう思うのです。

土井たか子日本社会党

○土井分科員 そういう意見をいろいろお聞きになるということは非常に大事な問題だと思いますが、それでは、今回の調査結果、児童生徒の学校外学習活動に関する実態というのをごらんになって、具体的にこれから施策の上でどういうふうに生かそうとなすっているか。いま何か具体策を考えられつつあるならそれをお伺いしたいし、またそれを生かす方策としては、こういう方向に持っていきたいという基本姿勢のようなものがあれば、それをお伺いしたいと思います。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 これは基本的には、公教育というものが責任を果たして、こういった塾の批判を受けるような過熱状態がなくなるようにしていかなければならぬ。これは基本でありますし、そのためにどうするかということは、現在まず取り組んでおります学習指導要領の中で、きょうまでそういう塾の発生した原因の一つとしていろいろ指摘をされた現在の教科内容、教科課程、そういったようなものについて精選をし、ゆとりを持たせ、改めることができるなれば、その点はまずきちんと改めなければならない。  それから土井委員の、この問題の一番基本は大学間の格差是正だ、こういう御指摘でございますけれども、それはそれで現在取り組んでおります問題でもあり、また大学の入学試験の問題とも絡んでまいりますので、それらのこともやはり総合的に、いろいろな関係が出てくると思いますから、全部現在芽が出て進行しておる問題でありますから、こういった塾の異常な状態を鎮静化していくためには、すべてが大事なことだと思いますので、従来同様にこれらのことには取り組んでいきたい、こう考えております。

土井たか子日本社会党

○土井分科員 これは抽象的な一般論として大臣の施政方針みたいなものをいまお述べになった御答弁だというふうに承っておきたいと思うのですが、それならば、きょうは時間があればお尋ねをしたいと思っておりましたが、高等学校なんかについて新増設をめぐる問題を一つ取り上げてみても、国庫で助成をしていくということがやっと昨年来発足をいたしまして、しかもその内容は微々たるものであります。全国で高校の新増設というのが、特に人口急増地帯ではもはや後に引けない切実な問題になってきている。しかも現在は、各都道府県それぞれが地方財政の危機の状況に見舞われまして、新増設も思うようにはかどらない。しかし高校進学率というものは御承知のように九七%を大きく突破いたしております。したがいまして、これは義務教育ではありませんけれども、もはや準義務化されている状況になっていることに対して、高校の建物一つ取り上げても十分にこたえ得る状況にはまだまだなっていくようなめどが立っていない、こういうことが一つは言えると思うのです。  こういうふうな問題については、端的に申し上げますと、その場当たりではなくて、三年計画とか五年計画というものを将来に対して組んで、その目標に向かって、この予算の折衝に当たっても大蔵省に一歩も引かぬという態度で折衝を続ける、大蔵省に対して文部行政の立場から教育の重要性というものを徹底的に説得していく。また中学校や小学校のあり方についても、その場当たりではなくて、やはり三年計画、五年計画というものをしっかり組んだ上で、それに対して到達をさせていくということに努力を払うべきだと思うわけでありますが、現に高校についてはそれがないわけであります。私はやはり昨年文教委員会において質問させていただいたときにも、五カ年計画、三カ年計画ということに対して、これは切実な問題として取り組むという姿勢がまだまだ文部行政の中にないなということを、私自身はいたく痛感をいたしました。こういうことからいたしますと、大学の問題についても、入試のあり方を吟味するとか、できたら私は大学の入試というものは全廃して、大学の卒業資格というものを非常に厳しくするということが大学本来のあるべき姿ではないかと考えておる一人であります。そういうふうないろいろな意見も踏まえながら、大学のあり方についても、三カ年計画とか五カ年計画とか、そういうふうな目標をきちっと踏まえた上で、この教育行政というものをいま出発させるんだというふうなことは非常に大事だと思うわけでありますが、いろいろな計画についてその場当たりということが非常に目立ってならないように私自身は思います。  小中学校を含め、高等学校を含め、三カ年、五カ年という、こういう計画というものを、文部行政の上できちんとしたものを据えていくというふうなお考えは大臣としてはお持ちでいらっしゃらないかどうか。いかがですか。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 その場限りのことではよくないというのは、御指摘のとおりでございますので、三カ年計画なり五カ年計画なりできちんとやっていけとおっしゃる御質問の趣旨は、私もよくわかります。ただ現在、文部省といたしましても、できるだけの努力を払って取り組んでおります。たとえば高校の問題一つとらえましても、先生御指摘のように、進学率は九二・六%、合格率は九八・四%と大変高いところに進んでまいっております。これを五カ年計画できちっと見ますと、今年度から五カ年の間に十八歳年齢というものは、人口構造の変化によって百五十万人ふえるということもわかっております。したがいまして、五カ年間に現在到達しております九二・六%の進学率、九八・四%の合格率、要するに、能力のある、希望するすべての人が高校に学べるようにしていくためには、五カ年間に高校をどれだけ整備したらいいかということも、文部省なりにきちんと計算をいたしまして、それには四百三校必要であるという計画も立てまして、それを五カ年に割って毎年きちんと器の方の整備はして、義務教育ではございませんけれども心構えとしてはそういうつもりでこの進学率、合格率を維持していきたい、こういう五カ年計画を立てて、この計画どおりに、しかも五年間は特に建物の補助にまで制度として踏み出すということで処理をいたしておりますし、ほかに養護学校の義務化を決めましたときにも、五カ年計画できちんと整備をしてまいりました。これは五十四年から出発するわけでありますが、それに間に合うようにいろいろなことをやっております。また、人口急増地域の問題とか大学の問題とかいろいろありますが、私どもはそれぞれの計画を立てて、その計画目標に到達するように毎年毎年の予算折衝でも努力を積み重ねてまいりますので、どうぞその辺のところも御理解の上よろしくお力添えをいただきたい、こう思います。

土井たか子日本社会党

○土井分科員 最後の一問にします。  いま、五カ年計画をきちんと計画して、そして進めつつあるとおっしゃいますが、私は、これについては、それならばということでいろいろ質問したい問題が山積しております。たとえば、地方債の枠を広げていかなければ、校地の取得に対しても先行取得ができないという問題だとか、それからやはり以前自治省が行っておられました、義務教育に対して利子補給を起債に対してなしていたあの方式を、高等学校に対しても適用していってはどうかとか、いろいろな種々な問題がありますけれども、たった一点、高校においていろいろな格差があるのです。公立高校と私立の間での格差があるのです。それからさらに急増地域においては、公立高校に比べて私立高校というのは、高い進学率の中から、むしろ端的に申し上げますと、公立高校に行けない人が私立高校に行くというふうな現象を実は持っているわけですね。そうしてまた用地取得というものが非常にむずかしいために、私立高校のつい目と鼻の先に、公立高校というものをもう一校増設すればよいというふうなことではないはずでございますけれども、つくっていかざるを得ないというようなことが、人口急増地域、特に地価が非常に高いような場所ではあるわけでございます。いろいろこういう高校の中における格差、高校の中における偏差というふうな問題を打開していくために、私立高校と公立高校の間での協議機関というものがずいぶん大きな役割りを果たすのじゃないかと私は思いますが、この協議機関が置かれている都道府県は非常に少ないということを私は聞いております。  この高等学校における私立高校と公立高校の協議機関というものを置いていくということに対して、文部行政はやはりもう一つ積極的に取っ組まれる必要があるのじゃないか、こういうふうに私は考えておりますけれども、この点はいかがでありますか。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 高等学校の公私立間のいろいろな格差是正について、主として私学側の教育費負担、親の立場に立って格差是正のために努力をしなければならぬ、これは当然なことでありまして、できるだけの努力をいまいたしております。  それから、将来の私立高等学校、特に過疎地域の方に問題がたくさんあるようでございますけれども、そういったことについては、公私立間でいろいろと協議機関を置いて協議してほしいという指導をかねてから文部省はいたしておりますし、また、御指摘のように、設置するときには、いろいろ事情はあろうがい目と鼻の先に二つ並べてというようなことにならないように、適正配置というのですか、そういったこと等についても、公私立問協議会をつくって、そこで十分検討をし協議してほしいという指示通達をいたしておりまして、大部分の都道府県でできておるのではないかと考えます。

土井たか子日本社会党

○土井分科員 少ないのですよ、大臣、どうなんですか。

犬丸直文部省管理局長

○犬丸(直)政府委員 いま資料を持ち合わせておりませんけれども、かなりのところでつくっておる、大部分のところでできておるというふうに聞いております。なお詳細に調べまして、御報告いたします。

土井たか子日本社会党

○土井分科員 時間が参りましたので終えたいと思いますが、今回のこの資料というものは、非常に深刻な教育の現状を浮き彫りにした調査結果だと言わざるを得ません。かねてより、この学習塾のあり方については、年々論議が強くなる一方の問題であった。これはいわばいまの文部行政に対して、いまのままではだめですよということを言っている調査資料だと思います。ひとつ文部省とされてはそれを銘記されて、文部行政において、憲法二十六条、さらには教育基本法の中身を遵守するという立場で、子供に対しての教育のあり方をしっかりとお考えいただきますように申し上げて、終わりにしたいと思います。

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)主査代理 これにて土井たか子君の質疑は終了しました。  次に、小林政子君。

小林政子日本共産党・革新共同

○小林(政)分科員 私は、ただいまも問題になっておりました高校新増設の補助制度の拡充と改善の問題につきまして、お伺いをいたしたいというふうに思います。  全国知事会議でも、御承知のとおり、今回の高校新増設の補助制度について、この高校生の受験地獄を解消していくためには、五十五年度までに公立高校の新設四百十六校、既存の二百七十一校に千三十五学級の増設が必要であるということで、総額一兆一千億円の経費がそれには必要だということを、調査した結果を発表いたしました。そして国の補助制度の拡充ということを大変強く要求をされていることは、文部大臣もよく御承知のところであると思います。希望するすべての子供たちに行き届いた高校教育を保障するということは、多くの子供を持つ父母と同時に、また関係者の強い願いでもございます。私は、特にその中でも大都市が、地価の高騰の中で、そして公立中学の卒業生が急増している状況のもとで、高校の進学対策に追われております東京の例などを引きながら、大臣に対して具体的な問題で質問をいたしたい、このように考えております。  政府は、五十一年度から建設費補助ということで、公立分三十九億八千四百万円の補助金を予算化いたしましたけれども、これの配分については、現在、各都道府県についてどのように配分をされ、そしてまたいつそれが終わったのか。もしそうでなければ、いつごろがこれが決定するのかという点を、まず最初にお伺いをいたしたいと思います。

犬丸直文部省管理局長

○犬丸(直)政府委員 急増地域の高等学校の建設費の補助金につきましては、従来、高等学校の建物につきましては、交付税、起債等で措置するのが前提でございまして、非常に思い切った措置として五十一年度から始まりました新しい措置でございますので、その執行につきましてはいろいろの問題点がございまして、金額も限られておりますので、条件をつけました。特に緊急度の高いところという意味におきまして、進学率の点につきまして、当該年度の前年度進学率を維持するために必要な限度において、あるいは平均進学率よりも低い府県におきましては平均まで高めるために、それより高いところにすでに来ております府県につきましてはその進学率を維持するためという条件が一つと、それから当該府県の学校におきます空き定員を十分に活用するということ、あるいはそこの当該府県における財政努力を十分にしておるかどうか、そういう条件のもとに、非常に緊急度の高いところを選びまして補助をするということで、手続を進めてまいりました。間もなく最終的な決定がなされまして、各県に補助金が交付される段階に来ております。

小林政子日本共産党・革新共同

○小林(政)分科員 いま三条件ということで、進学率の問題だとか空き定員の問題だとかいろいろ述べられましたけれども、私の調査によりますと、すでに大体の作業が完了して、それぞれ都道府県に一応の内定などもされているようでございますけれども、具体的に東京都の場合には五十一年度七校分の新増設でございます。その場合に、結局初年度でもってかかった経費が七十四億四千九百万円、もしそのような具体的な条件というものを加味しなければ、相当の額が交付されるであろう。ところが内定数字は、一億をはるかに割るような八千万弱じゃありませんか。もらわないよりは幾らかでも交付されるということは結構だと言えばそうでしょうけれども、しかし、これでは余りにも低過ぎるのではないか。これで本当に高校の建設費に対する補助をやっているんだというようなことが実際言えるのかどうか。国はいろいろと一人当たりの面積なども交付税で決定しております。この規定に基づいて東京都がつくった資料を見てみましても、これではもう本当に国の補助対象事業——その面積から見ても四十七億七千六百万円、これに対して普通だったら十五億近くの、三分の一と言えば補助がつくのですけれども、これが結局八千万足らず。私は、余りにも低過ぎるのではないか、このように考えますけれども、大臣、この点について具体的な見解をお伺いいたしたいと思います。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 大体御指摘のような見当でありますが、まだ数字の詰めは終わっていないと申しますけれども、大体御指摘のようなことであるということでございます。  そうしますと、いま先生のおっしゃられることは、せっかく建物補助に踏み切ったならば、それをもっとたくさんということではなかろうかと思うのですが、これは、従来やっておりました地方交付税、地方財源措置の方へお任せしておったのを、それだけにほっておかないで、それに対してできるだけ緊急五カ年の間は補助をしようと踏み切ったわけでございますので、金額の点はこれで十分だとは決して思っておりませんけれども、そういう制度、考え方を一歩踏み出してやっておる、こういう努力だけはどうぞ御理解をいただきたい、こう思うわけであります。

小林政子日本共産党・革新共同

○小林(政)分科員 大臣、東京都でいま高校をつくるのに、建物だけで一校どのくらいかかるというふうにお考えになっていらっしゃいますか。あるいは都の場合でなくても、特に大都市の場合……。

犬丸直文部省管理局長

○犬丸(直)政府委員 これは大きさ、規模その他によって違うわけでございますが、大体二十四学級の平均規模を考えまして、五十二年度の予算単価等で計算いたしますと、建物が約八億、それから土地の問題、これは場所によりまして非常に違いますけれども、大体標準的な二十四クラスの場合の土地を標準的な単価で計算いたしますと約十二億、合わせて二十億というのが平均的なところ、東京都の場合はあるいは土地代が高くて、もっと高いというようなこともあろうかと思いますけれども、そのような見当であろうかと思います。

小林政子日本共産党・革新共同

○小林(政)分科員 地方によってはそういうところがあるのかもしれませんけれども、大都市の場合は大体その倍以上かかっております。少なくとも、二十四学級の校舎だけで大体十五億というのが標準ですよ。事実土地の方が二十二億とかあるいは二十六億とか相当高い状況ですけれども、普通平均して都市の場合には一校四十億というふうに言われておるわけです。こういう実情から言いますと、一校で四十億近くかかるのに、ことしの補助が八千万円弱などということでは、七校から八校つくらなければならないという中で、どういう積算の基礎でこういった問題が出てくるのであろうか。私自身実に心外でございます。こういった問題について積極的な姿勢をもって今後どのように対処されていくのか、大臣の御決意を私はお伺いしたいと思います。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 これは、せっかく緊急対策として歩み出したことでございますから、五十二年度の予算のことは、国会にも提案をし済んでおりますけれども、今後の方向としては、この問題については事情の許す限りできるだけ増額していくように努力を続けてまいります。

小林政子日本共産党・革新共同

○小林(政)分科員 では、私、事務的な問題も少し詰めまして、大臣に答弁を最後に一つ一つもらいたいというふうに思いますけれども、具体的に今度の補助の配分等についての三条件というものが昨年の十二月に決まったのですね。そしてそれに基づいて、高校生の実数が生徒定員に満たないという場合には、いわゆる空き教室と申しますか、それは埋めてもらうということで、公立の場合には約八割、私立の場合には約五割というような、こういう基準を設けてやっているわけです。東京の場合、この基準で空き教室でもってどのくらい実際金額が差し引かれているのか、この点についてまず事務的にお答え願いたいと思います。それをどの程度算定しておるのか。

犬丸直文部省管理局長

○犬丸(直)政府委員 いま具体的な東京都の場合の資料を持っておりませんので、ちょっとお答えしかねますが……。     〔佐野(憲)主査代理退席、主査着席〕

小林政子日本共産党・革新共同

○小林(政)分科員 後ほど私の要求した資料を提出していただきたいと思います。  それで大臣、考え方についてお伺いをいたしたいと思いますけれども、たとえば東京都の場合、五月一日現在でどのくらい空き教室があるかと申しますと、公立高校五十校の中で、公立の場合は、三百六十五人、これが定数に満たない、いわゆるあいている教室というふうに言われています。私立高校の場合は、七千八百八十八人が定数に満たないで空き教室だと、私ども伺っておるわけでございます。しかもこれを全部埋めなければいけない、これを全部埋めるようにしてほしい、この条件の中で指導としてそういうふうにやられているわけですけれども、この中には島の分も入っているのでしょう。実際に東京都の場合について——あなたは資料を持っていないと言うのですけれども、私は東京都の問題についてきょうお伺いするということを通告してあるのですよ。そういう数字が出ないと具体的に質問が詰まっていかないと思うのですけれども、どうしても資料を持っていないということであれば、大臣、公立高校三百六十五人の空き教室の中には、島嶼の分の空き定数が百三十七人入っているのです。百三十七人の場合には、第一次募集もやりましたし、第二次募集もやった。しかし実際に島に子供が数がおりませんで、事実もう何回募集しても応募数ゼロ、こういう状況なんです。あるいは東京に出てきてしまっているということも考えられますけれども。こういう問題も、空き教室を埋めていくんだという考え方のもとで、空き教室分の中に組み込んでいるのですね。東京から、伊豆の大島やあるいはまた八丈島などのあいている学校に、子供たちを通わせろということなんですか。本土から船に乗って、あるいは飛行機であいている教室に子供たちを通わせろということにも等しいような行政指導というのは、私は問題だと思うのですけれども、大臣、いかがでしょうか。

犬丸直文部省管理局長

○犬丸(直)政府委員 空き定員の利用と申しますのは、入学定員いっぱいに学生が募集されていなくて、あいている定員でございます。したがいまして、増加する生徒数の計算の場合に、計算に入ってまいりますけれども、実際上は、土地、建物はある、そういう部分を活用していただく。これは予算が限られておりますから、できるだけ有効に使うという意味でそういうことを言っております。しかもその空き定員も、全部をフルに活用せいという条件ではなくて、普通高校の場合だけ、職業高校の場合は除外する。しかも先ほどおっしゃいましたように、公立高校の場合には八〇%、私学の場合には五〇%だけをカウントする。計算上の問題でございます。計算上の問題で、その部分は入学調整をうまくやれば活用できるのではないか、そういう計算でございますので、現実にこちらの子供を向こうへやれ、そういう意味のことではないのでございます。

小林政子日本共産党・革新共同

○小林(政)分科員 私はやはり、考え方の上では、そういう問題がその中に出ているのだと思うのです。東京の子供を島の学校に通わせるということは、やろうとしたってできるものでもありませんし、またおかしい問題ですけれども、考え方の上で、空き定数の中に、島の何回募集をしても応募者がいない、ゼロだ、こういうものまで含めるということは、東京の子供をあいているところに連れていきなさいということを指導していることと同じではないでしょうかということを伺っているわけです。  それからまた、大臣にお答え願いたいと思いますけれども、実際に私立の学校で七千八百八十八人空き教室があるというのです。しかし、実際にその五割といいますと、これは半分に割りますと三千九百四十四名になります。東京都で一年間に大体中学の卒業生がどの程度の水準でふえているかというのを調べてみますと、五十一年と五十二年を比較してみますと、三千六百三十八人卒業生の数はふえているわけです。また、計画によって五十二年、五十三年を比較しますと三千二百六十人、五十三年から五十四年を比較しますと三千四百三十四人というふうに、大体三千人ないし三千五百人の規模で子供たちの数がふえていくわけです。高校新入生がふえるわけです。ところが、私学の空き定数七千八百八十八人、その半分と言いますと四千人ですよ。これだけの定数が進学する子供たちの数よりも多いというんですね。私は、こういう行政の中身というのは問題だと思うのです。三千人の子供がふえれば、その子供たちを本当に受け入れていく高校をつくるには、一年生だけで約七、八校の高校が必要でしょう。それを皆さんの方のこの試算では、私学の場合には五割だという。こういうことで、定数に満たない子供を五割と見て、実際には四千名からの子供たちを空き定数の中に振り割ってということで見ているわけでしょう。私は、こういうやり方というのは、本当に大きな問題だと思います。どうなんでしょうか。

犬丸直文部省管理局長

○犬丸(直)政府委員 高校の整備のための補助金の趣旨そのものが、急増のために緊急やむを得ない場合を援助するんだ、こういう趣旨でございまして、空き定員と申しますものは、明らかに実際上定員があって建物があって、しかも学生が入っておらないという状況でございますから、そういう分については、入学調整をよろしくやれば当然カバーできる面でございますから、やはりそれを活用してほしいということでこういう趣旨ができているわけでございまして、本年度にいたしますれば、これだけの三十九億という四十億足らずのお金を全国的に一番有効に使うためにどうしたらいいかということで考えられた措置でございまして、なお、先ほども申しましたけれども、それを全部やれというのではなくて、いろいろな事情がございましょう、それで普通高校だけをとる、それから私学の場合は半分でよろしい、公立の場合には八〇%でよろしい、こういうことでございますので、そういう趣旨におきまして、決して無理なことではないというふうに私ども考えております。

小林政子日本共産党・革新共同

○小林(政)分科員 いま私立の学校の教室が大分あいている。そこへ生徒に入っていただきなさいということですけれども、公立と私立の授業料の差というのはあなた御存じですか。この問題について一体あなたはどのように考えているのでしょうか。私立の場合ですと、一カ月授業料だけで一万七千二百四十七円ですよ。まして入学金は最近非常に上がっておりまして、十五万から四十万、施設費など七万八千円と、大体、一人の子供を私立学校にやる場合には、四十万から四十六万のお金が必要なんです。教室がまだ相当数ゆとりがあるからといって、あなたの方の行政の算定の中に、こういうところに全部埋めればいいではないですかということが入っているので、私はお伺いしているのです。これは経済的な面からいっても、また、どの学校を選ぶかというのは、何も文部省が選ぶのじゃないと思うのです。その子供が、あるいはまた父兄が、その実情に応じて学校の選択権というものは持っているんだと思うのです。それを無理やりに、私立の方へいらっしゃいということを実際には指導するような内容を盛り込んだ今回の措置というものは、妥当性がないと私は思いますけれども、いかがですか。

犬丸直文部省管理局長

○犬丸(直)政府委員 おっしゃるとおり、公立の高等学校と私立の高等学校とでは授業料の格差がございます。私も私学の方も所管しておりますので、その格差是正には大いに努めておるわけでございます。ただ、ここで私学の分のあき定員も半分計算したということは、何も、いままで公立へ行った者を、それは私学に行きなさいということを申しておるわけではないわけでございます。(小林(政)分科員「補助額をそれだけ減らすじゃない」と呼ぶ)全体としての計算の上でございますから、私立の方へ行く子供の比率と公立学校へ行く子供の比率、東京都の場合には私学の方が多いわけでございますけれども、その比率を一挙にこれによって変えようということではないわけでございます。したがいまして、私学の方でもさらに努力をするなり、あるいは公私協議会等で調整をしていけば、何も強制という意味じゃなくて、私学へ行く、私学の収容定員を実際の募集を多くして半分ぐらいはカバーしていくということは可能である、そういう前提のもとに立っておるわけでございます。

小林政子日本共産党・革新共同

○小林(政)分科員 私は、先ほど来から問題になっておりますように、ほとんど準義務化しております高校の公私の格差を縮めるということは、非常に重大な問題だというふうに思っているのです。したがって、授業料の面についても、あるいはまた施設の面についても、教育内容が結局もっと公平に行われるように、この格差の是正ということは、これは私は当然やっていかなければならないし、一層努力をして格差是正という点については取り組んでもらいたいというふうに思いますけれども、少なくとも公立の高校をふやしていくための建設補助費の中に、このような不合理な内容を盛り込んだ基準といいますか、私はこういうものが設けられているということは納得がいかないわけですし、この点については、後ほど最後に大臣にももっと詰めて、時間がないので、私、一応みんな言うだけ言って大臣の答弁を聞きたいと思っておりますけれども。  さらに、大臣、この中に、財政努力ということをする必要があるのだということで、授業料が三千二百円に達していないという場合には、その差額を結局生徒数に乗じて、補助金の額から、この努力をする必要があるということで差し引くということになっているわけですね。私はこれも大きな問題だと思うのです。一体、授業料三千二百円といままで決めていた学校は、五十年度までに全国の高校の中でどのくらいありましたか、お答えをいただきたいと思います。

犬丸直文部省管理局長

○犬丸(直)政府委員 ただいまの授業料の標準額でございますが、これは交付税措置されておる標準額を中心といたしまして、その標準以上の授業料を取っておるところが全国で十四県、それから、一年生はそうではなくて、二、三年のみが標準以上が二十七県、全学年標準以下というのが六県、以上でございます。

小林政子日本共産党・革新共同

○小林(政)分科員 私の手元で見ております資料ですと、少なくとも五十年代は三校しかなかったのです。三校といいますか、三県。それは岡山と広島と山口です。現在は約十四県。これは、今回の補助をするについて、授業料三千二百円以下のところはその差額を補助額から差し引きますよという、こういう指導の中で、一年間の間に十何県かが一挙に三千五百円に授業料を引き上げてきたわけです。私は、文部省がこのような基準をこしらえて、各県が自主的に決めて行っている高校の授業料にまで引き上げの誘導措置をとるようなことはいかがなものかというふうに考えますけれども、大臣いかがですか。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 授業料引き上げを誘導したり行政指導したりということではなくて、せっかく始めました建物補助ということで、そのもとが少ないものですから、それを少ないながらにも全国に分配するときの基準づくりにいろいろ努力したと思うのでありまして、結局最小限これくらいのことは何とかならぬかなという考えで事務当局がいろいろと苦労をしてつくった基準でございますが、自主的な県の授業料まで誘導しようというねらいではないということでございます。

小林政子日本共産党・革新共同

○小林(政)分科員 私は、自主的に決めている授業料について、行政が今度建物について補助金を出すということと、とり方によっては引きかえにこのような値上げを誘導を図っていくというようなことは、決して好ましいことではないというふうに考えています。  東京都の場合でまいりますと、授業料は千八百円です。したがって、三千二百円との差は、大臣、これは御承知のとおり千四百円の差があります。この千四百円を、一年間、十二カ月を掛けますと一万六千八百円の差になるわけです。この一万六千八百円を一年生の五月一日現在の生徒数で掛けますと、九億六千八百六十八万円になるのですよ。九億円。これは一年生だけですよ。三年生まで含めますと二十七億円になります。膨大な額です。九億六千八百万からの授業料の差だということで、今回の東京都に交付する補助金の中からこのようなものが差し引かれる。だからこそ八千万などというような全く問題にならない額が出てくるのではないか。私は、本来この補助制度が設けられた趣旨から申しますと、もっとこの問題については、せっかくのこういう補助制度ということでもございますので、十分その実情に見合って、しかも自治体も喜んで協力をし、一緒に受験地獄をなくしていくための高校対策がとれるような、こういう措置をとるべきが当然ではないか、このように思いますけれども、最後に大臣の基本的なお考えをお伺いいたしたいと思います。

犬丸直文部省管理局長

○犬丸(直)政府委員 ちょっと説明さしてください。  私どもも、各県において公立高等学校の授業料を下げるように努力されることは賛成でございますが、われわれ、こういう基準を設けることによって授業料を上げるという指導をしているわけではございませんので、下げることは結構でございますが、この補助金が結果的に授業料を下げる分に使われるのでは、この補助金は非常に大事な緊急の対策の金でございますから、この補助金をてこにして授業料の平均より低い部分がカバーされることはやめていただきたい、こういう趣旨でございますので、補足いたします。

小林政子日本共産党・革新共同

○小林(政)分科員 時間が参りましたので、私は最後に大臣に、いま都道府県の状態が、この校舎の建設、国の補助をめぐってどのような実態に置かれているか。そしてこの問題について、本当に実情に合うような状態に拡充と改善を一層図っていくということが、私はこの問題を調べまして、しみじみ重要だと思いました。  そして特に問題なのは、東京周辺の土地の高騰です。私の近くにあります耕地も先日高校用地として買収ということになりましたけれども、これは足立区の新田というところですけれども、総額で二十七億円です。一平米当たり九万九千五百円です。私は、立川などの方を見ますともう少し安いところもございますけれども、はるかに二十七億、こういう額になっているということは、用地の問題についても何らかの措置をとられなければならないのではないか。一年に七校から八校も高校をつくらなければ浪人が出てしまうというような深刻な受験地獄を迎えております東京の実態について、大臣とくとひとつ御調査を約束していただいて、そしてその上で対処していただくように御答弁をお願いいたしたいと思います。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 高校の建設全体に対して緊急に必要だという立場からこの制度が始まり、そして建物でございましたが、五十一年度約四十億に対して、五十二年度は予算案で百八億計上する、少しずつでもこれを増額して努力をしていきたいと思っておりますが、これは文部省のみならず、自治省の方でも高校建設整備の特別の枠をきちんと用意して努力をされておるわけでありますが、今後とも私は、そういう実情を私なりにもう一回よく調査をいたしまして、さらに、今後の高校建設のときにいろいろな面でまた地方自治体の負担が軽くなっていくように、私としてはできるだけの努力をいたしたい、こう考えております。

小林政子日本共産党・革新共同

○小林(政)分科員 終わります。

始関伊平自由民主党

○始関主査 これにて小林政子君の質疑は終了しました。  次に、春田重昭君。

春田重昭公明党・国民会議

○春田分科員 私は最初に、きょう新聞でもにぎわしております学習塾の問題につきまして、若干私なりに質問をしてみたいと思いますが、この問題は当分科会でも何人かの委員からすでに質問があり、論議されたことだと思いますが、私なりに一、二点だけ御質問申し上げてみたいと思うのです。  私は、きょうの新聞を見まして本当に驚いた項目が一つございます。その項目というのは、子供が塾へ通うその理由といたしまして、いまの学校教育は非常におもしろくない、また、その授業内容が非常にむずかしい。そういう点からして塾の方は非常にわかりやすいし、また教える先生も興味ある話をしてくれる、こういう回答をした児童が約二五%、四人に一人ある、こういうアンケート上の実態が出ているわけでございます。私は、この問題は教育問題の根本として非常に重要な問題ではなかろうか、このように思うわけでございますけれども、一部新聞を見ますれば、文部省としては今回のアンケートはある程度予想しておった、こういうことが書かれておりますけれども、この実態を今日までどのように文部省としてはとらえていたのか、また把握していたのか、まず御説明願いたいと思うのです。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 塾に対するいろいろな角度からの御批判があり、また私どもとしても、これは過熱しておる、よくない面があるのではないかという反省に立って、そのためには実態を一度きちんと把握すべきであるということで、文部省は初めて全国的に調査をしたわけでございます。その受け取り方には、問題がいろいろな角度から指摘されておりますので、もう少し時間をかけて詳細を見てみたいと私は思うのでありますが、いまの率直な感じ方を申しますと、いま委員御指摘のように、公教育というものが本来きちんと果たすべき責任を果たしておらなかった面があるのではなかろうか、そういう謙虚な反省の上にも立ってあの数字は受けとめなければいけない、こう受けとめております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田分科員 いまの大臣の答弁と重複する点があるかもしれませんけれども、端的にいきましてこのアンケートの実態ですね、大臣としては是と見るか非と見るか、非常に酷な質問かもしれませんけれども、その是と見るか非と見るか、これは正しい意見として文部省ではとらえるかどうか、その点お伺いしたいと思うのです。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 ちょっと御質問の趣旨が是と見るか非と見るかというのは、塾の現在のあり方を是と見るか非と見るかということですか。

春田重昭公明党・国民会議

○春田分科員 塾の存在そのものなんです。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 現在のような塾の存在そのものは、私は好ましい状況ではないと率直に思っております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田分科員 いずれにいたしましても、今日の塾の問題というのは、学校教育だけでなくして、社会的な問題にも大きく発展しようという状況にありますので、現時点では、先ほど大臣答弁にあったとおり、もう少し時間をかしてほしい、検討させてほしいということでございますので、どうか早急に対策をとっていただきまして、的確なる教育指導というものを出していただきたい、このように要望するわけでございます。  続きまして、私は、人口急増地域、とりわけ児童生徒急増市町村の教育設備につきまして、私の住んでいる地域は、七市ございますが、全部そういう地域でございますので、前から非常に関心を持っていたわけでございますので、この問題につきまして御質問を展開してまいりたいと思います。  今日の国の予算、五十二年度予算が約三分の一が国債で占められるように非常に苦しい予算であることはよくわかります。ともに地方自治体においても、それ以上にやりくりをやっているような財政になっておるわけでございます。その中においても、人口急増地域、とりわけ児童生徒急増市町村におきましては、教育施設の設備にかかる費用が非常に膨大であるということで大きな悩みを持っておりますし、一つはいま行き詰まっておるような状況にあります。と申しますのは、この教育施設の予算のほとんどが起債で賄っておるわけでございます。ところが、その起債の約半数といいますか、五〇%が教育施設で占められているわけです。ところが、人口急増市町村におきましては、教育施設以外にいろいろなそういう住民からの要望がありますので、新しい施策をどんどんとっていかなければならないし、従来からとっていたそういう福祉等も後退させてならないということで、予算が非常にかさむわけでございます。ところが、その教育施策がそのうちの半分を占めるということで非常に起債に頼っているわけでございますが、国としては、起債率が三年間、二〇%をオーバーすれば今後一切起債を認めない、こういうことできておりますので、住民からの、父兄からの要望では、学校を建ててほしいという要望がある。ところが財政的な裏づけがないので建てられない、こういう問題で非常に板ばさみになっておる状況があるわけですね。  こういう点で、この問題につきましては、文部省よりも自治省の方がいいと思いますけれども、自治省の方、おいでになっていると思いますが、自治省としてはこの問題をどうお考えになっているのか、また今日までどのように対処してきたのか、御説明願いたいと思うのです。

津田正自治省財政局地方債課長

○津田説明員 義務教育債が人口急増市町村で大きな財政負担になっている、こういうような点でございますが、御指摘のように、公債費比率が三年間平均が二〇%を超えますと、一般単独事業、それから厚生福祉施設事業、こういうものを制限してまいったわけでございます。私どもは、今後におきまして、このような実は義務教育施設等の起債の元利償還につきましては、一部交付税で後年度措置しておる、そういうような関係もございますので、いわばそれはその地方団体に財源がある、こういうふうに見てよろしいかということで、公債費の負担につきましては今後カウントしない、そういうような措置を考えておる次第でございます。

春田重昭公明党・国民会議

○春田分科員 時間がありませんので、これ以上突っ込んだ質問は展開しませんけれども、いずれにしても、大体、児童生徒急増市町村につきましては、昭和四十六年ごろから改正がされまして、用地費においても、いままで補助の対象じゃなかったのが三分の一の補助をしたり、校舎の新増築に関しましても二分の一を三分の二にしたり、若干そういう改正はされつつありますけれども、私はまだまだ十分に手厚い保護はされてない、このように認識しているわけでございます。  その問題は別といたしまして、もう一点この人口急増市町村で問題なのは、教育施設の設備の問題で超過負担という問題があるのです。いわゆる国の補助基準と実際の実地の事業実績の差がかなりある、こういう問題があるわけでございますけれども、文部省としては、この超過負担に対してはどのようなお考えを持っているのか、ひとつ御説明願いたいと思うのです。

犬丸直文部省管理局長

○犬丸(直)政府委員 公立文教施設に絡みましてのいわゆる超過負担の原因にはいろいろな要素があるわけでございますけれども、一つは単価の点でございます。単価の点につきましては、逐年努力してまいりまして、実態調査などを行いまして、その結果、上げてまいりました。最近では大体物価上昇率を上回るような形で単価の上昇をやってまいりました。来年度は鉄筋の場合は七・三%アップということを予定しておるわけでございます。  それから二番目は数量差の問題でございますが、これは往々にして文部省の基準の建物よりももっと大きいものを現場ではつくる、その差が超過負担になっているというお話でございますが、この点につきましても、基準改定を最近行いまして、二〇%くらいのアップをいたしましたもので、まずそれによって、生じた不足坪数を埋めることが先決ということで、それに鋭意努力している。これは事業量をできるだけふやすということで、これは予算の規模にも関係するわけでございますけれども、できるだけの努力をいたしております。  それからもう一つは対象差。校舎、体育館だけでなくてそのほかの付属する施設もやってくれないか、補助の対象にすべきではないかということでございますが、その点につきましても、かねてからの御要望がございまして、私どもなかなかそこまで手が回りかねたわけでございますけれども、幸いにして五十二年度には、門、囲障等につきましては、これを対象にするということを考えているわけでございます。

春田重昭公明党・国民会議

○春田分科員 いまの局長の説明の中の対象差の  中で、門、囲障等とありますね。これは「等」というのはどういうものを含んでいるんですか。

犬丸直文部省管理局長

○犬丸(直)政府委員 たとえば渡り廊下とか、そういったものもあるいは考えられるだろうと思います。

春田重昭公明党・国民会議

○春田分科員 それだけですか。

犬丸直文部省管理局長

○犬丸(直)政府委員 五十二年度の予算に積算されておりますのは以上だけでございます。

春田重昭公明党・国民会議

○春田分科員 細かい質問になりますけれども、渡り廊下も一応認める。その場合、渡り廊下の屋根の工事は含むのかどうか。それから二点目は、非常放送、ランプはこの対象の中に認めるかどうか。それからアンテナ、浄化槽、それからいろいろなフェンスがありますね。野球場とかテニス等のグラウンドのフェンス等、こういうものは学校運営上当然不可欠なものであると私は理解しているわけでございます。ところが今日まではそれが一応対象の中に入ってないわけですよ。この点はどのようにお考えになっているか。

犬丸直文部省管理局長

○犬丸(直)政府委員 単価の中に必要最小限度のものは盛り込まれてあるというふうにいままで考えてきておるわけでございます。しかし、いまの御指摘のような門、囲障、渡り廊下は入っておりませんでしたので、今回入れたわけですが、たとえば浄化槽、これは一応単価の基礎に組み込んであります。それから渡り廊下は屋根つきのものを考えておるようでございます。それからアンテナその他は施設と一体のものと考えられておりませんので、この補助金の対象には入っておりません。

春田重昭公明党・国民会議

○春田分科員 私がいま言ったように、これは当然必要不可欠なものなんですよ。そういう点で、五十二年度には門と囲障が入りまして若干前進されたということは、私も評価をいたしますけれども、さらに検討いたしまして、こういうものも補助の対象の中に入れるようにひとつお考え願いたいと思います。  私は、市町村の実態を取り寄せまして、ここに持ってきたわけでございますけれども、これは校舎の新増築だけでございます。土地の場合は入ってませんけれども、校舎の新増築だけで、トータルで実績が十三億五千万になっております。国の国庫負担の基本額として十一億九千万です。そこへ補助率がありますので掛けますれば、実際、市へおりてくる国庫負担というのは七億九千万です。したがって相当な超過負担になっているわけですよ。だから、局長はかなり改善されてきたということをおっしゃっておりますけれども、これはいままでの実績でございますので、五十二年度の予算では若干改正されたと言っても、私は追いつかない数じゃないかと思うのです。そういう点で、こういう事例をよく踏まえて、この超過負担の問題につきましては、もっともっと真剣に考えていただきたい、このように思うわけでございます。  それからもう一点、超過負担の問題でお聞きいたしますけれども、用地取得の場合、公立は昭和四十六年から四四%で始まったわけでございますけれども、五十二年度予算を見ますれば、七〇%になっておりますね。ところがこれは前年度においても七〇%なわけです。公立は四四%から始まりまして、五十一年度までは毎年五%ずつアップされているわけですよ。ことしに限って前年並みになっているわけです。局長の方はこの辺を限界とお考えになっているのか、ひとつ御答弁願いたいと思うのです。

犬丸直文部省管理局長

○犬丸(直)政府委員 用地の場合の交付率でございますが、そもそも用地に対して補助金を出すということ自体が非常に例外的な措置でございまして、特に急増地域に限ってということでございます。したがいまして、急増以外のところでも、普通の市町村でも、ある程度のものは学校用地を取得する場合があるわけでございます。そういったものとのバランスにおきまして、一〇〇%を対象にするということではバランスを失するということで、七〇%になっているわけでございます。初めは予算の制約等もございまして低かったわけでございますけれども、全体の様相から見て、大体七〇%くらいが現在では妥当であろうということで、そのようにいたしておるわけでございます。

春田重昭公明党・国民会議

○春田分科員 現在ではという答弁があったのですが、これは将来上げる要素はあるのかどうかお聞きをしたいと思うのです。

犬丸直文部省管理局長

○犬丸(直)政府委員 全体の実情が変わってまいりますれば、あるいは上げなければならぬかもしれませんけれども、いまのところは上げるつもりはありません。

春田重昭公明党・国民会議

○春田分科員 基本的にそういう用地または校舎につきまして補助をしないというのが当局のお考えみたいでございますけれども、校舎の新増築におきましては、そういう児童が利益を受けるわけですから、受益者負担の制度におきまして、当然生徒が負担すべきである、こういう形で当局はお考えになっているみたいでございますけれども、義務教育は、憲法二十六条でもうたっているとおり、無償であるということを考えれば、この点はやはり根本的に考える必要があるのじゃなかろうか、私はこう思います。  この問題は、もう時間がありませんので、これくらいにいたしまして、いずれにいたしましても、この児童生徒急増市町村につきましては、もっと手厚い保護をしていただきたい、私はこのように要望しておきます。  次に、現在プレハブ教室が全国的にまだかなり残っていると聞いておりますけれども、文部省としては、どれくらい、何学校、何クラスくらい全国的にあると掌握されているか、ひとつ御説明願いたいと思うのです。

犬丸直文部省管理局長

○犬丸(直)政府委員 文部省の五十一年五月現在の調査で、全国三千八百八十教室まだ残っているというふうに考えております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田分科員 文部省の一クラスの用地の面積が大体決まっていると思うのですね。この三千八百八十クラスで大体どれくらいの用地が必要なのか、御説明願いたいと思うのです。

犬丸直文部省管理局長

○犬丸(直)政府委員 土地の計算は学校規模によっていろいろ違いますので、ちょっと一学級当たりという数字はいま出てまいりませんが……。

春田重昭公明党・国民会議

○春田分科員 こちらの方で一応計算したわけでございますけれども、大体平均で百五十七平米と聞いておりますので、三千八百八十を掛けたら約六十万弱になると思うのです。したがって、五十二年度予算でも、この用地取得につきましては、二百四十万の予算がつけられておりますので、即やろうと思ってもできないことはないと思うのですけれども、文部省としては、このプレハブ教室をいつごろまでに解消しようとしているのか、そういう計画がありましたら、ここで御説明願いたいと思うのです。

犬丸直文部省管理局長

○犬丸(直)政府委員 いま先生のおっしゃいました数字は、たしか建物の数字でなかったかと思います。したがいまして、建物につきましては、私ども全般的な小中学校の不足坪数の解消に努めておりまして、県の方が、その不足坪数の中で、プレハブ分にどれだけ重点を置くかということにもよってくるわけでございますけれども、それを重点的にそちらの方に向けますれば、二、三年あるいは数年の間に解消できるのではないかと思っております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田分科員 二、三年の間で解消するということでございまするけれども、そういう地元から要求があった場合に、そちらとしてはちゃんと事業量が確保されているのですから、できると思います。  そこで、先ほど言ったような全体的な予算が問題になるわけですね。そういう点で、ぼくはこのプレハブ教室につきましては、特別な裏負担のいわゆる補助をする必要があるのじゃなかろうかと思いますけれども、そういうお考えはお持ちないかどうか、お聞きしたいと思います。

犬丸直文部省管理局長

○犬丸(直)政府委員 急増地域の指定市町村につきましては、補助率を三分の二に高めておるわけでございますので、裏負担は比較的少ないと思いますけれども、さらに、それにつきましては、起債なり交付税措置ということでお願い申し上げたいと思っております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田分科員 それ以外でということです。それ以外で考えられないかということです。

犬丸直文部省管理局長

○犬丸(直)政府委員 補助金の裏負担の九五%を政府資金で融資しておるということでございますから、これ以上の措置ということは考えられないのじゃなかろうかと考えております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田分科員 続きまして、奨学金制度につきまして質問を展開していきたいと思いますが、現在の奨学生は、全学生に対してどれくらいの割合になっているとそちらの方で掌握されているか、御説明願いたいと思うのです。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 所管の局長がおりませんので、失礼でありますけれども、私の資料によりますと、現在、育英事業の対象として、高校から大学まで、私立、公立全部合わせまして、トータル三十三万五千人が対象になっておる、こう思います。

春田重昭公明党・国民会議

○春田分科員 特に高校の奨学生が、全学生に対して比率から言ったら二・一%です。大学にいきまして約一〇%という状態になっております。  そこで奨学生の人数は、全体的な数字がいま一応大臣から示されたわけでございます。そこで新規採用人員の問題でございますけれども、この新規採用人員は出願者のどれくらいに当たっているのか、この辺をお聞きしたいわけでございますが、この辺掌握されておりますか。

宮地貫一文部大臣官房会計課長

○宮地政府委員 貸与率で申し上げますと、大学の場合について言いますと、一般が五・二、特別が四・八で、貸与率としては一〇%くらいになろうかと思います。

春田重昭公明党・国民会議

○春田分科員 そうじゃないのですよ。出願者数に対する採用者数ですよ。全学生じゃないです。

宮地貫一文部大臣官房会計課長

○宮地政府委員 お尋ねの点はただいま手元にちょっと資料を持ち合わせておりませんので、後ほどお答えいたします。

春田重昭公明党・国民会議

○春田分科員 資料がなくてお答えできないというので、質問が前に進まないわけでございますけれども、私の手元にある資料では、高校におきましては九八%平均いっております。大学においては六九・八%いっております。  そこで私、この出願者と採用人員が、高校の場合においてはほぼ一〇〇%いっている、ここに疑問を抱くわけでございますけれども、このように採用者がほとんど一〇〇%出願者に対してされている。こういう点から考えてみて、これは採用されるにはいろいろな条件があります。学校の点数とか、また家庭の収入とか、そういう資格条件がございますけれども、それ以上に、そういう資格のある人であっても、予算の枠があるから、上の方から、ことしにおいてはこれくらいの枠にしてほしいという、最初から枠組みの中で採用されているのじゃないかという疑問を抱くわけでございますけれども、この点についてどうですか。

宮地貫一文部大臣官房会計課長

○宮地政府委員 先生御指摘のとおり、育英事業全般につきましても、予算全体の枠組みがございまして、必ずしも申請者全員に対して受給するというところまで参っていない点は御指摘のとおりでございますが、育英奨学事業全般につきましては、五十二年度も、前年度に比べまして、さらに金額的にも前進をさせる措置を講じておるところでございまして、奨学事業全体についての受給率の引き上げということについては、五十二年度予算でも努力をいたしておりますし、今後も努力をいたしたい、かように考えております。

春田重昭公明党・国民会議

○春田分科員 そういう答弁は前もされたと聞いておるのです。それが現在の時点で二一%と一〇%なんですね。そういう経済的な理由で非常に有能な学生が大学、高校に行けないことは、私は国の施策としては問題があるという観点から、この奨学生の員数をもっともっと高める必要があるのではなかろうか、このように考えているわけです。文部省としては、現在二%弱の高校生、一〇%弱の大学生に対して将来にどの時点で何%ぐらいまで持っていきたいか、こういう計画があるならば御説明願いたいと思うのです。

宮地貫一文部大臣官房会計課長

○宮地政府委員 五十二年度予算の奨学事業を伸ばしました重点といたしましては、私学の貸与者をふやすことと大学院の博士課程の人員増について、重点的に伸ばしたわけでございまして、先生御指摘のように、学生数全体に対して、将来奨学生の数をどのくらいにするかという問題につきましては、今後の大学進学率の増加の動向でございますとか、あるいは今後の学生数全体の推移経過等を見ました上で、計画的に奨学事業の充実を図るべきものと思いますが、それらの数字の今後の全体の趨勢を見ました上で計画的な将来計画を策定いたしたい、かように考えます。

春田重昭公明党・国民会議

○春田分科員 この問題は、前から論議されていることでありまして、この時点で将来計画したいというのじゃなくして、もっと前向きで早急にこの問題は解決していただきたい、私はこのように思うわけでございます。わが党としても、高校においては少なくとも一〇%、大学におきましては二〇%ぐらいに、昭和五十五年ぐらいまでに持っていく必要があるのではなかろうかという方針でおりますし、そういう方向に向かって文部省としても鋭意努力していただきたい、このように思うわけでございます。  その他の奨学金の金額の面につきましても御質問したかったわけでございますけれども、時間が参りましたのでここで終わりますが、いずれにいたしましても、先ほどの登壇者の御質問にもありましたように、私立の場合でございますけれども、高校においては四十万台、大学においては五十万台というように入学納付金が非常に高くなりつつある現在、この奨学金制度をもっともっと人数も額もふやしていただきたい、このことを要望いたしまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。

始関伊平自由民主党

○始関主査 これにて春田重昭君の質疑は終了いたしました。  次に、竹本孫一君。

竹本孫一民社党

○竹本分科員 私は大臣に、余り質問ということにならぬかもしれませんけれども、要望を中心にして申し上げてみたい。  まず第一に私は、日本人というものは民族としては非常に優秀な民族であると思っておるのです。戦争中、戦後、アメリカ人にかなわないか、あるいはドイツ人の科学的な水準には追いつかないかといろいろ比較をしてみたつもりでございますけれども、結論として日本の国民はどの国にも負けないぐらい優秀な民族であるという信念を持っているわけです。  ところが、敗戦のショック、戦後のいろいろな混乱の中でそれがだんだんたがが緩んでおるわけでございますが、松下幸之助さんの何か書いたものを読んでみると、玉みがかざれば光なし、こういうことを書いてある。なるほど日本人も世界で最高級に優秀な民族であるけれども、戦後にはみがく努力が足らないのではないか、これでは余り大きな光を発することもできなくなるということを心配しながら意見を申し述べてみたい、こういうことであります。  それで、私のきょうの結論は、教育課程審議会等においてもいろいろ御論議があるようでございますが、勤労にかかわる体験的学習というものを学校教育の中で正しく位置づけると書いてあるけれども、正しくと言えば正しくだが、私は力強く位置づけてもらいたい、こういう結論であります。  御承知のように、中国ではずっと前から知育、徳育、体育ということになっておって、三つの教育が並んで進まなければいかぬ、三育並進ということを言っておる。われわれとイデオロギーが違い、方向が違うかもしれませんけれども、知育、徳育、体育、三育並進で完全な全人格的な人間形成をやろうというねらいは私は正しいと思うのですが、日本の教育については、新しい海部さんの若さと知性とエネルギーに期待して申し上げるわけだが、この三育並進といったような中心的スローガンというか、教育のねらいがありますか。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 御指摘のように、教育の目的は心身ともに健康な国民の育成でありますから、それは言葉をかえて言えば、いま竹本先生がおっしゃったように、知育、徳育、体育、この三つが調和がとれて、そして完成されていかなければならぬものだ、こう考えます。もちろん私どもの考えております学校教育の中で、その調和のとれた、バランスのとれた育成をしたい、これは大きな基本として持っております。

竹本孫一民社党

○竹本分科員 では逆に伺いますが、いまは三育全部完全に調和がとれているか、そのうちの一つか二つはおくれているか、その辺はどうですか。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 これはいろいろな考え方や基準があると思いますけれども、私のきょうまでの経験や考え方を率直に申し上げますと、知育はいろいろな意味で非常に進んでおる。もちろんその進み過ぎるがために起こる問題、たとえば落ちこぼれか落ちこぼしかというような議論とか、いろいろございますが、今度は教科内容を精選して基礎的、基本的なことに少し減らそうではないかというような意見が強くなってきておる。私もそうだと思います。  それから体育の方は、たとえば今度学校に少しゆとりのある時間を設けよう、そのゆとりのある時間は何に使うかという例示の一つとして、体育に使ってもらったらどうかということを申し上げた。その裏は戦後三十年を顧みまして、外から見た目の体格はりっぱになってきましたが、体力といいますか、これはもう少し鍛えなければならない面があるのではないか。そういう面からいくと体育の方はややおくれておる部門ではなかろうかという感じが私は率直にいたします。  それから徳育の方に関しましては、これは道徳教育の時間等も置いて、日本国民として当然わきまえておるべきこと、また友達に対する関係、親に対する関係、あるいは社会に対する心構え、そういったものについては十分教えるようにしていきたい、こう願っておるわけでありまして、やはりバランス、でこぼこ、それぞれ問題を抱えておる、こう理解をいたしております。

竹本孫一民社党

○竹本分科員 おおむね私も大臣と同じように考えておるのです。文部省の皆さんの御努力も高く評価しなければならぬと思うのですけれども、私は欲張って考えるからかもしれませんけれども、三つの教育——いまよく三無主義なんというのがはやりますけれども、ぼくはもう一つくっつけて四無主義ぐらいにした方がいいという考えなんですがね。知、情、意、あるいは関心が足らない、あるいは感動がない、あるいは気力がない。その上に、いまもお話がありましたが、最近の若い青年層においては体力もだめですね。そういう意味で、四つともないではないかという点を心配しておるわけです。  本論に入る前に一言。いまの知育の問題でも、大臣もおっしゃいましたけれども、詰め込み主義になったり、過大な負担をかけたりしている点は反省をされて、今度はゆとりのあるようにしようというお考え、結構でございます。私の地方では七五三という言葉が非常にはやっているんですね。七五三というのは、いわゆる七五三ではなくて、高等学校では七割がわからない、中学校では五割がわかってない、小学校でもなお三割はわかってない、そういうマイナスの七五三ですね。ということを聞いて、大変なことではないかと心配をしておるわけですから、この点も大いにやってもらわなければならぬが、それには、教える量を減らして、もっと基本的なことを教えてもらうということも必要であるし、これは大臣の方でお考えいただいておると思うから、強いて申しません。  それから、第二番目の情の問題ですけれども、最近は非常に中学生なんかの犯罪が多いですね。私も教育には熱心な一人なんですけれども、非常にこれは憂慮すべき問題だという点で心配をしているんですが、非常に封建性の強い町の中学校、高等学校でシンナー遊びが非常にはやって、父兄にショックを与えている。あるいは性的な犯罪がある。いろいろなことで驚くばかりでございます。フランスでは道徳学科というのがちゃんとあるそうですけれども、日本でもその点は、小学校、中学校、高等学校を通じて、いま大臣も言われましたが、民主主義ですから、やはり新しい民主主義の原則に沿った新しい倫理、新しいモラルというものが必要だと思うのですけれども、それについてはどういうふうにお考えですか。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 やはり、いかに新憲法とはいえ、国民として基本的に守っていかなければならぬ道徳とかモラルがあるものであります。それを否定したら社会も人間生活も成り立たないわけでありまして、学校教育においては、やはり基礎的、基本的に日本国民として持つべき心構え、守らなければならぬこと、そういったことは道徳の教科を通じて身につけてもらうように指導をいたしておるところでございます。

竹本孫一民社党

○竹本分科員 道徳科目というようなものの科目が設けられておる課程がありますか。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 道徳の領域というようなことで教えております。

竹本孫一民社党

○竹本分科員 道徳を論じたり倫理を説いたりすれば、すぐ反動化したような受け取り方をされるのですけれども、やはりこの辺で、新しい民主主義に即し、また日本のあり方に即した正しい道徳教育というものをもっと積極的に考えてもらいたい、これも要望いたしておきます。  次は、知、情、意で言うならば意の問題で、いま一番困ることは無気力ですね。無気力、無関心、無感動とよく言うけれども、この無気力が大変な問題だと思うのです。先ほどの体の問題も、外形的にはなかなか大きくなったけれども、体力としてはない。気力ももちろんない。そういうことも含めて、勤労にかかわる体験的学習ということを、いろいろ教育課程審議会等で書いて言っておられるものを読んでみると、文章としてはありますね。文章としてはあるんですけれども、庶民の立場で、今度われわれがこれを見た場合には、なるほどやっているなあという、筋金の通ったようなあり方になっているかという点については、文章の上で見れば、理科だとか家庭だとか技術だとかいろいろ言っておられる。そして書いてあることはいろいろ書いてあるんだけれども、国民が率直簡明に、なるほどいまの学校教育の中においては勤労体験もできる、大いに鍛えられておる、これなら頼もしい人間もでき、力強い民族もできるだろうという期待が持てるような印象を、われわれ余り受けていないんです。先ほど、バランスと大臣もおっしゃいまして、調和をとってということは大事でありますけれども、いま一番欠けているのは、無気力なことであり、体力が弱いという点ではないかと思いますが、その点について、先ほど申し上げたように、もうちょっと力強く位置づけていただくわけにはいかないかということはどうですか。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 先生のおっしゃること、私よくわかるわけでありまして、結局、国民の一人一人が勤労と責任を重んじるようにということは、これはもう教育基本法にもきちんと明示されておる問題でありますし、また教育課程審議会の答申の中の重点事項というものの中にも、勤労にかかわる体験的な学習を重視して、正しい勤労観を、という指摘もございます。それは学校の科目のみならず、学校生活全体を通じてクラブ活動であるとか、その勤労の気持ちというのは奉仕の気持ちにも通ずるわけでありますし、共同体におけるそういった奉仕活動、勤労活動といったようなものが大切なものであるということを、お互いの実物教育を通じて理解し認識をしていってもらうこと、これは大切な指摘でもございます。その力強く位置づけろという先生の御指摘でございますが、これはやはり大事なことでございますので、学校で課外活動とかあるいはクラブ活動とかいったようなことを通じて、全体の学校生活を通じて、学習の中で、教育課程審議会の答申にも示されておりますように、きちんと力強く位置づけをしていきたい、私はこう考えております。

竹本孫一民社党

○竹本分科員 たとえば中国に行って驚きましたけれども、幼稚園みたいなところに行きましても、小さな子供がちゃんと仕事をしている。何をやっているかというと、糸をほぐすようなことをやっている。何のためにやっているかとだんだん聞いてみると、やはり労働することの喜び、また苦しみ、そういう意味で、それこそそういう体験を通じて労働を尊重することのためにやっているんだ。こういうのにたびたび出会いまして、これならなるほどと思った。それは共産主義の国ですから、労働の問題についての考え方も違うのでしょうけれども、しかし、われわれはわれわれなりにそういうあり方があっていいのではないか。ところが、われわれもいま学校をそう一々のぞいて見ておるわけではありませんけれども、外から見て、なるほどこれならば労働というものが神聖だということ、労働することの喜びというものを彼らが身につけるであろうといったような印象を、われわれは余り受けないのですね。われわれの努力が足らない点もあるしすると思いますけれども、ちょっと見た目にも、なるほど日本の教育というものは労働することを一つ大きくたたき込んでおるのだ、労働の喜び、労働の神聖さというものをみずから体験させておるのだと国民が受け取るように、ぼくはやってもらいたい。こういうことで積極的という言葉を使うのですね。書いたものを見ると、植林とか緑化の問題等にもどんどん取り組んでいくようにしたらどうかということも書いてあるが、これは学年によって違うでしょう。小学校のときには近所の掃除をすることぐらいが精いっぱいでしょうが、上の方の中学校、高等学校ぐらいになれば、これは一定の植林事業なら植林事業、あるいは緑化作業なら緑化作業、あるいはその辺の工場の実習、あるいは農家の手が足らないときには、救農といいますか、援助、協力のために農村に入っていくというような、積極的で、かつ大規模な活動というものは考えられないかということを私は考えるわけです。そういう点はどうでしょう。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 竹本先生のおっしゃるように、それぞれの児童、生徒の発展段階において学校が創意工夫をされて、それにふさわしい実習みたいなことが入れられたら、たとえば小学校では、いまおっしゃるお掃除とか草むしりとかいろいろあるでしょうし、また高等学校における勤労体験教育の中では、学校行事として、生産的行事とか、あるいは勤労的行事とか、いろいろなことも例示いたしまして、学校行事として、集団による活動としてそういったことをみんなが身につけていくように、文部省としても、こういったことは広く進めていく方向で指導をしてまいりたいと思います。

竹本孫一民社党

○竹本分科員 お考えはよくわかり、ありがたいと思うのですけれども、問題は、そういうことに充てられる時間がどのぐらいあるかという点、これは細かく聞こうという意思もありませんけれども、はっきり線を描いてやっているというようなやり方をしてもらいたい。文章の中にいろいろ書くのは簡単ですけれども、現実に——それは野球をやるのもいいし、テニスをやるのも結構ですけれども、しかし、植林作業なら植林作業、緑化作業なら緑化作業、あるいは救農のための活動なら救農の活動を、日本の中学生あるいは高等学校の学生はやっているんだということを、本人も意識を持つ、国民の方もそれを受けとめるということができるぐらいの量と、大きさと、すばらしさにおいてやってもらいたい。いまは、ただ趣味とか文章の横の方に書いてあるというような感じではないかという意味で、私はもう少し積極的にやってもらいたいということを思うわけです。  内閣も働く者の内閣ということになっておるようですから、やはり国民が働くということに、もう少し積極的な意欲と意味とを見出すようにならなければ、ろくなことはない、こうぼくは思うのですね。ですから、これからはちょっと乱暴な言い方になるかもしれませんけれども、単なる学校教育の中の体験的学習ということをさらに越えるかもしれませんけれども、思い切ってそういう点をひとつ考えてもらいたい。  そこで私は、この間、松下さんが書いた書物、名前は忘れましたけれども、あれは国土創成論というのでしたか、創造論とかいう、簡単に言えば島をつくれということですね。江戸だって半分以上は、たんぼか海だったものを埋めて、こんなふうになったんだ、よその国の都市も、みんなそんなふうだということが書いてあった、結局国づくりをやれということなんですね。しかし、あれには総論ばかりで各論がないのですが、ぼくは、学校の教育というものも、それに結びつける方法はないかということを考えておるわけです。  たとえば、いまの量の問題ですが、大臣が言われた点も私みんな賛成ですけれども、それを何時間やられるかということで、たとえば夏休みの利用方法について、初めから官製的、官僚的にやった方がいいかどうか、これはまた一つの問題があると思いますが、しかし、夏休みに二週間なら二週間、あるいは三週間でもいいですが、とにかく植林のために山へ入っていくというようなことを大規模にひとつやってもらえないか。  それからさらに、松下さんの言うように、島をつくるということも結構なことだ、おもしろいと思うのですけれども、それには国土利用計画というような総合的なものができなきゃいかぬので、それを待つということもちょっと大変だと思うのですが、しかし、利用計画が全国的規模において最終的に決定しなくても、だれが考えても、あそこに島をつくったらよかろう、あそこを埋めてみたらいいだろうというのが基本的にわかるところはたくさんある。まず、そういうものを自発的に、ボランタリーなものにしてもいいから、ひとつ大規模にやって取り上げてみるというようなお考えはないか。  私は、結論的には、文部大臣が松下さんと一遍ゆっくり話してもらって、そしてあなたの構想を、いまの大学生あるいは高等学校の学生の一つの勤労体験学習という形にして一部分をとにかく実行してみたい。それにはどういうふうにしたらいいか。松下さんも構想のいい方ですから、話して、そしてあれをやるとなれば、学生動員が一番いいと思いますから、そして学校教育にも必要でもありましょうから、それをやってもらわなきゃいかぬ。それをやることによって、まず一つは、いま申しました勤労の喜びなり意義というものを本当に身につけてもらいたいということが一つのねらい。  それからもう一つは、これは大臣、言うまでもなくよく御理解いただいておると思うのですけれども、私は戦後の民主主義というものは、それなりに正しく評価しているつもりなんです。しかし、民主主義というものは、哲学的に考えてみれば、これは個の解放の原理なんですから、本当の意味の国民的団結とか民族的誇りとかいうものとは違うのですよ。  私は、いまでも印象に残っておりますけれども、終戦直後に、豪州の人だったと思いますが、ジャパン・タイムスに論文を書いた。その論文の見出しが「デモクラシー・ディモービライジス」という題なんです。要するに、軍国の日本は軍の要請に従って国家本位、皇国何とかで全部一元的に集中的にやった、そして戦争へ持っていったのだ。だから、アメリカの民主主義というものは、これを解体してばらばらにすることだ。モービリゼーションをかけた日本の体制に民主主義、個人尊重の名において、そして、それがまた歴史的にちゃんと意味がありますけれども、それをディモービライズする、もう一遍ばらばらにすることだ。確かに、それが民主主義の基本的人権尊重にもなりますが、しかし、よく考えてみれば、民族の創造的エネルギーというものは、これで雲散霧消させられているんですね。いまそうなんです、実際は。  そこで、これからは、まあ立場によって少しずつニュアンスが違うと思いますけれども、やはりわれわれは日本の民族としての誇りも持ちたい、エネルギーも創造的に発展させたいということになれば、分散め原理も必要ですけれども、それを通り越して、昔のような個人を否定する、個を否定するという考え方ではないのだけれども、民主主義を通り越して、個の尊厳ばかりを言っておる民主主義の上に出ていく必要があると思うのですね。私は、それはネオ・ナショナリズムと言っているけれども、呼び方はどうでもいいのですが、そういう新しい民族のエネルギーの統合の原理というものがもう一つ要るのではないか。いまの民主主義というものはディモービライジスであって、それが行き過ぎてしまえば、個のエゴだけが解放されたことになる。いまそのとおりになっている。哲学的に見た考え方のとおりになっている。  でありますから、ここで新しく、正しく民主主義を理解して、その上に出たネオ・ナショナリズムが必要である。それも観念的教育ではだめですから、やはり国づくりというようなことが具体的な体験を通じて一番りっぱに育っていくのではないか。そういういろいろのねらいを込めて個人に働くことの喜びを教える、そして国づくりを通じて国を愛する気持ちを培う、そして国づくりを通じて国民の正しい意味の民族の団結をかち取っていく。こういうことを考えながら、松下さんの言っておるような国土創造論を、その一端をボランタリーな形においていまの学生に担ってもらったらどうか。そういう意味で、ひとつ大臣が松下さんにでも会って、そういう話をしてもらいたい、こう思うのです。どうですか。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 先生のおっしゃること、私もよく拝聴いたしまして、御意見の方向というものはよく理解できますし、また現に、私もお話を聞きながら、いまふと思い出しましたのは、東京のある特殊な教育形態といいますか、高校生を寮に集めて教育をしておる学校で、夏休みにその寮生全部が、学校が買いました特定の原っぱへ行きまして、そこで農作業をするなり、掘っ立て小屋をつくる組なり、いろいろな組ができて、そこで共同をしていろいろな収穫をする。そういった体験をさせてみたら、夏休みの宿題で出させた生徒の論文が、ほとんどその話ばかりであって、教育効果も非常に上がったと思うということを私は聞いてきたことがあるのです。  それで、いま先生のおっしゃる広大な構想に従った計画につきましては、松下さんの所論がどういう角度から述べられておるのか、大変申しわけありませんが、私まだその本を読んでおりませんので、私もやはりそういったことに関心を持って本も読んでみたり、いろいろ検討をさせていただきたい、こう考えます。

竹本孫一民社党

○竹本分科員 私は、そういうことをねらいとして持っているだけで、別に調査したり、あれしたわけではないので、新聞の記事もはっきり覚えませんが、草刈り大作戦とかいうのが朝日新聞の投書欄に一遍出たと思うのですね。これはどこかの大学の先生だったと思うのですが、何か有志が大学生を募集して、そしてどこかの山へ行って山全体の大掃除みたいなことで草刈りをやったのですね。そしてこれは滞在の旅費なんかもみんな自弁なんですよ。とにかく二週間だったか何だか、もう汗びっしょりになって、どろまみれになって働きに働いた。それで、自分たちが山を整備した跡を見て、みんな喜んで別かれた。第二年目に、今度もう一遍やろうということで募集したというのです。こりてしまって、だれも来る人がいないのではないかと思ったら、倍以上の人が集まってきた。結局、いまの若人は、働くことにいかに大きな意義を見い出すか。これで本当に生きがいを感じたというので、むしろ感謝しながら自発的に集まってきたということを、新聞の相当大きな投書欄で私は見て、これは全く自分たちが願っておるようなものが出ておると思って、感激をしながら読んだのです。  いまの若者がみなだめだというような議論もありますけれども、やらせもしないで、だめだという結論を出してはいかぬと思うのです。ですから、そういうチャンスを与えてやる。それが国づくりに結びつけば、なお結構。そういう意味で、草刈り大作戦でもよければ、植林大作戦でもいいですが、もうちょっと文部省に積極的に乗り出していただいて、ことし夏休みもありますから、個人の全く恣意的な夏休みの過ごし方でなくて、そういう団体訓練を通じ、そして計画性を持った、啓蒙的な役割りと意義があるような、そういうものをことしの夏休みあたり本気で考えてもらいたいというのが結論なんです。将来は、私はもっと本格的なことを言いたいし、考えたいと思うのですけれども、とりあえずはボランタリーの形において、大学生、高校生の夏休みの一部分を、ぜひそういう勤労する喜び、草刈り大作戦への感激というものを与えてもらうようにやってもらいたい。  それから、民主主義ですから、上から官僚的に物を教え込むとか拘束するということはまずいと思いまして、共産主義の国なんかとは違うと思うのですけれども、私は、二、三年前ですが、アフリカのタンザニアに行った。そこで小学校を見に行ったのです。これは共産主義で中国と一番仲のいいところです。行ってみて、われわれが入っていきましたら、小学生がみんな起立しまして、そして一人が何かわからぬことを言ったのです。それで、後で大使館の書記官に聞いてみた。いまのは何と言ったのかと聞いたら、小学生ですよ、小学生が宣誓のようなことを言って、われらは大統領のためにこの国の政治を改革すると言ったんだそうです。小学生がそんなことまで言うのかと思って、ちょっとびっくりしました。  それからさらに校長は、きょうは幸い土曜日だから、日本で言うと郡を二つくらいに分けて、北の方なら北の方の中学生が全部集まっているから見に行ってくれ、こう言うのです。それでつい行きました。いろいろ話を聞いていると、三千人か四千人中学生が集まっている。だんだん聞いてみると、毎週土曜日は、ちゃんとそれをやると言うのです。目的は何だと聞いたら、政治教育だ、こう言うのです。小学生、中学生にそんな政治教育をやるために、特別に土曜日を当てているのかというので感心しましたけれども、こんな子供に、と言いましたら、向こうの校長は逆に、ベストエイジと言いましたよ。子供のときに、本当に働く喜びなり政治の教育をしなければ、ろくなものにならぬ、このことをベストエイジであると言いました。  そこで、私どもは共産主義でもありませんし、そういう行き方が正しいかどうか疑問も持ちますけれども、やはり日本の民族の理想というものをそれなりに持たせるような努力もしなければいかぬということも考える。まあ、そういう政治的な大きな意味もあり、それから先ほど申しますように、ばらばらの原理、エゴの原理というものを超えて、民主主義以上の高い次元に、われわれはこれから邁進しなければならぬ。そしてまた個人個人としては、勤労体験を身につけた働く人間を養成していきたい、そういう意味でいろいろのことを申し上げたわけですが、大臣も、われわれの意のあるところをくんでいただいて、ひとつ大臣が文部省にいらっしゃる間に一歩前進させてもらいたい。いかがですか。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 御意見十分拝聴いたしました。私も同感するところ多々ございますので、全力を挙げて努力をしてまいりたいと思います。

竹本孫一民社党

○竹本分科員 終わります。

始関伊平自由民主党

○始関主査 これにて竹本孫一君の質疑は終了しました。  次に、安田純治君。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田分科員 私は、特殊教育、なかんずく特殊学級に関する問題についてお伺いしたいのでございます。  前もって、この特殊教育とか特殊学級という言葉は不適当なのでありますけれども、そして現場では各地で、障害児教育とか、あるいは促進学級とか、いろいろ呼んでいるようでございますけれども、法令上の用語として、特殊教育、特殊学級という用語になっておりますので、この質問においては、法令上の用語の方を用いることを申し上げておきます。  そこで、まず第一に伺いたいのは、特殊学級中、いわゆる精神薄弱、精薄の児童生徒のIQが逐年向上していると言われておりますけれども、実情はどうでしょうか、伺いたいと思います。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 特殊学級に在級する児童生徒の数は、近年特殊学級自体の数が、各県の努力によりまして非常にふえてきておる、したがって、その対象となる特殊学級に在学する児童生徒の知能の程度というのも、かなり幅が出てきたということは事実でございます。それから一方、昭和五十四年度から養護学校が義務制になるわけで、いま各県が養護学校の整備もいたしておりますけれども、現在その整備の段階でございますから、本来ならば養護学校へ行った方がいいと思われるような子供でも、まだ特殊学級へ行っている者が若干おるということも事実でございますので、全般的に申しまして、どのくらいかという数字はつかんでおりませんけれども、かなり幅が出てきておるということは事実と言えると考えております。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田分科員 幅が出てきたというお言葉でございますけれども、そうしますと、IQが高い子供も入っておる、年々だんだんそうなってきつつあるというふうに承ってよろしいでしょうか。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 特殊学級にどの程度の子供を入れるかということにつきましては、文部省としては、昭和三十七年に一応の目安を示しております。そして知能の発達程度がかなりおくれておる、IQから言うと、五〇から七五ぐらいというようなのが一応対象になろうかと思うのであります。さらに、そういった意味での精神薄弱者と正常者との中間にある、境界線児というふうに言っておりますけれども、それがIQで言いますと、七五から八五の程度というふうに見ておるわけであります。その辺の子供さんについても、普通学級に入れるよりは特殊学級に入れた方がいいというような判断の場合は、特殊学級に入れておる、こういうふうなことがございます。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田分科員 IQの比較的高い児童生徒も特殊学級に入れた方がいいという判断があった場合にはとおっしゃいますけれども、そういう判断の基準は一体どういうものでしょうか。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 そこで、特殊学級にこの子供を入れるべきかどうかというその判断は、いま申しましたように、文部省としても基準を示しておりますけれども、それは一律に考えた場合に、おおむねこうだということでありまして、個々の子供の実態なり、あるいはIQだけでなしに、社会的な適応性であるとか、あるいはその家庭環境であるとか、その他いろいろの状況を勘案して決めるべきものである。そういう意味で、決めるに当たっては、児童相談所とか教育研究所などと十分連絡をとって、専門家の意見を聞いて決めてくださいというようなことを指導しておるわけでございまして、それ以上具体的な基準というものは、一律には決めていないわけでございます。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田分科員 いわゆる境界線児あるいは知能の普通な学業不振児が特殊学級に入っていて、実際に特殊学級に入った方がいいと思われるような者が断られている実情があるというように聞きますけれども、こういう事例を当局ではつかんでおらないでしょうか。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 どの子供を特殊学級に入れるか、入れるべきでないかということは、いま申しましたように、具体的には個々の学校において判断をするということになるわけでございまして、学校がそれを判断して、必要に応じどれだけの特殊学級を設けるかということを県の教育委員会に届け出て、その承認を得て特殊学級を設置するというのが現在のたてまえでございますから、末端の個々の学校について、いま御指摘のような点があるいはあるかもしれないということは言えるかもしれませんけれども、私ども一々はつかんでおらないわけでございます。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田分科員 国立特殊教育総合研究所というのは文部省の研究機関になっておりましょうか。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 所轄機関でございます。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田分科員 ところで、この総合研究所の所長をなさっておられる辻村先生が「転形期の特殊教育」という本を出しておられます。これは昭和四十九年に発行された本でございますが、この中にいろいろ書いてございます。  「そこで、特殊学級は、易きについて、入級児を知能の高い属の中に向かって求めようとする。境界線児、知能の普通な学業不振児、気が弱くて先生に勧められついハイと言ってしまった親の普通児等々……。そして、他方でまことに意外なのは、IQが低すぎるからという理由で本当の精神薄弱児が特殊学級入級を断わられ、付近に養護学校がないからせめて特殊学級に入れてくれというのに普通学級に入級させられたりしていることである。しかし、これも驚くには当たらない。同じ理由で、養護学校からも、そして精神薄弱児通園施設からさえも締め出しを喰った精神薄弱児を、私は何ケースか知っている。  こうして特殊学級の在籍児のIQは逐年向上するばかりである。」  この本の二百四ページから二百五ページに、おたくの方の所管の研究機関の所長さんがりっぱに述べておるわけであります。ですから文部省では、そういう研究機関に国費をつぎ込んでやっている以上は、その研究の経過は当然掌握しているはずでございますから、こういうことについて御存じないのですか。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 一般的に申しまして、本来特殊学級に入れるべき子供さんを入れていない、あるいは普通学級に置いた方がいい子供を特殊学級に入れておるというようなことが起こりがちであるということは、私どもも聞いておるわけでございまして、そういう点につきましては、県の特殊教育担当の課長会議等の際には、再三特殊学級編制の適制化ということで連絡はいたしておるわけでございますが、現実にそういう点において、末端ではいろいろあるということは聞いております。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田分科員 若干現場での具体例を摘示して伺いたいわけですが、たとえば福島市で私が調べたある人の場合でございますけれども、この人の子供は一年生のときは普通学級だったわけであります。二年から特殊学級に入ってほしいと担任教師や校長が三回、四回と説得に来ております。それで学業が必ずできるようになる、先生の目が届く、だからだれにも言うな、黙っていてくれと言って校長がどういうことを言ったか。人数が欲しいのだ、あなたの子供さんが入ってくれないとクラス編制ができなくなり、市内の学校にまとめられてしまう、四年生になったら普通学級に戻すから、こう言って勧められた、こういうケースもあるわけでございます。  ちなみに、この子供さんの場合には、実は私ども現地に調査に行きまして、すぐ市の教育委員会に行ってこのケース——具体的にだれと言わず、こういう人がいると言ったら、次の日、不思議にもわかったらしくて、四月から普通学級に戻しますと校長さんから通知があったそうです。つまり普通学級に入れていてもいい子供を、員数が足らなくて学級編制ができなくなる——まさに員数合わせですね。こういうことが現場で行われておるということを、実例としてわれわれはつかんだわけでございます。  そのほかいろいろあるわけでございますけれども、こういうように現実にはきわめてふさわしくないやり方もとられておる。ですから、特殊学級がふえて、いままで見捨てられていた子供たちに対して、適切な教育をしようという抽象的な行き方については決して反対するわけではございませんけれども、ここに文部省の行政上のやり方の欠陥があって、都道府県でこういう実態が起きておるのではないかというふうに思います。私がいま挙げた福島のケースは、レアケースとは言えないように思うので、これは福島でたまたまわれわれがぶつかったケースですけれども、辻村先生もその著書の中でお書きになっているということになりますと、わりかし普遍的に存在している事例ではなかろうか。その点文部省はどうお考えでしょうか。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 先ほども申しましたように、特殊学級をなるべくつくって、普通学級で教育するよりは特殊学級でした方がよろしい者の教育を充実してくれ、こういう方針を文部省は持っておるわけであります。いま申しましたように、逐年その数がふえておるわけでございます。一方特殊学級を編制する子供の数は一学級幾らにするのかという基準は、普通学級が御承知のように四十五名でございますが、特殊学級は、この五カ年の改善計画の中で十三名から十二名にしたいということで各県やっておるわけでございます。  そこで、われわれの方針は、さらさら不適応児をそういうところへ入れておくということではないわけですけれども、個々の学校にとってみれば、やはり不適応児を特殊学級に置いて教育したいという教育的な熱意がございますから、そうすると特殊学級をつくりたい、つくりたいためには、その学級の編制を県で認めてもらわなければならないということがありますので、いまおっしゃったように、実は学級編制の都合だからおたくの子供さんを入れてくれということは、端的に申しまして、私はやはり教育上見識の足らぬ話だと思いますけれども、そういうことが間々あり得ることであろうというふうには思うわけでございますが、その点は、先ほど申しましたように、われわれとしては繰り返し、そういうことのないようにということで今日まで指導してきておる、こういうことでございます。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田分科員 そういうふうにおっしゃいますけれども、これは大変目に余る部分がたくさんあるのですよ。たとえば私の調べたところによると、ある学校では五名の生徒中IQ八〇以上が三名もいる。それから福島県のある市でございますけれども、これは学力促進学級という名前で、実は特殊学級なんでございますね。法令上特殊学級なんでございますけれども、十学級ある。IQ八五、一一〇の生徒もいる。明らかな対象児童が一人もいないクラスもある。こういうケースもございます。毎年の進級時に、科学的な検査は一切やらずに、一斉授業についていけない子供と断定して特殊学級に入れる、こういうような状態も行われておりますし、あるいは特殊学級に入る際に、小学校在学中だけで中学になれば普通学級に戻す、こう言って説得している。これは中学校に特殊学級が必ずしも小学校に対応するだけないという面もあるかもしれませんけれども、それにしてもそういうことを言って説得する。したがって、この小学校では普通学級と同じ教科書を用いているわけです。少数個人指導であるのでかえって勉強ができるようになって、普通学級で習得できない分野も学習できるようになって、特殊学級の児童が普通学級の児童をしのぐ学力をつけて中学校に入学する、こういうケースもございます。  はなはだしいのになると幽霊学級もあるのです。Tという中学ですけれども、一学級設置したとして設置費、補助金を取り、教員一名増員しながら学級は実際はない。あるいはY中学の場合には二クラスのはずが一クラスのみで、教員が三名増員されたが、二名は普通授業に振り向けている。  枚挙にいとまがないわけでございますけれども、こういうふうに、どうも特殊教育の理念とかけ離れたようなことが、たまたまある学校の校長先生が行き過ぎたとか見識がない話だというのではなくて、中学校にも小学校にも、福島市だけでなくて二本松とかいろいろなところに——私は福島県出身だから福島の方を主に調べたわけですけれども、起きておるということは、やはりシステム的な欠陥といいますか、法制的な欠陥といいますか、そういうものがあってこういうことになるのじゃなかろうか。ただ、たまたま、そういう事件の起きたところの校長先生なり、あるいは市町村の教委なりがやり過ぎたとか、そういう問題ではないのではないか。これだけのケースがあれば、これはいわば一種法則的に起きているものだというふうに考えてしかるべきではなかろうかと思うわけでありますけれども、いかがお考えでしょうか。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 おっしゃるような点でございますが、最初にも申しましたように、しからば、その特殊学級に入れる子供はどこからどこまでだと具体的に線が引けるかと申しますと、これは非常にむずかしい、IQだけの問題ではないだろうと思うわけでございます。そしてそれは、IQももちろん一つの判断の基準でございますけれども、いろんな点を考慮してやらなければいかぬということは、末端の学校及び教育委員会関係の方々のこの問題に対する正常な認識と、それから理解といいますか、これを期待して、それぞれの的確な判断をまってやっていただくということしかないように私は思うわけでございまして、そういう意味で、今後とも特殊学級在級児童生徒の選別といいますか、それはもっと的確にやるように各県にお願いをするという努力はいたしたいと思いますけれども、それ以上に具体的に、ここからここまでを入れろというようなことは、やはりちょっとちゅうちょせざるを得ないというふうに考えるわけでございます。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田分科員 次に、福島県の精薄の特殊学級の学級数ですね。それから児童生徒数が飛び抜けて多いのでございます。これは、文部省の初等中等教育局の特殊教育課で出しております「特殊教育資料」という統計数字がございますね。これをずっと見てみますと、非常に多いわけでして、福島県は東京の六・四倍、大阪の三・五倍ですね、児童数のあれから見ますと。つまり、児童数に対する比率で見ますと、極端に多いのです。ほかの府県でこんなに多いところはございません。大体、大阪や東京と同じぐらいの人数なんです。人口は福島県は五分の一ぐらいでございます。福島県だけが特殊学級に入らなければならない子供が特に多いということは、ちょっと異常だろう。わざわざこじつけて見れば、福島県は特殊教育に大変熱心で、草の根を分けても適当な児童を探して歩いて、入れておく。東京、大阪は不熱心なためにほうっておかれる子供が多いんだというふうに、無理に見れば見れるかもしれぬけれども、四十七都道府県のうちで、福島県はこんな飛び抜けて多いとなれば、当然文部省では、これは何かあるというふうにお感じにならなければならないはずであろうと思うのですが、いかがでしょうか。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 御指摘の点につきましては、十分調査をいたしておりませんので、さらに私どもの方といたしましても検討さしていただきたいと思います。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田分科員 そうすると、この特殊教育課で出した数字は、当然おたくの方でまとめられた数字でございますが、昭和四十七年度から五十年度までの四冊を調べただけでも、はなはだしく数字が違うわけであります。  たとえば、福島は四十七年が、全児童数が十九万七千六百五人で、精薄児童といいますか、特殊学級に入っておるのは二千九百人、一・四六%。大阪の場合は、児童数が七十一万六千五百七十一人で、精薄児童とされているのは三千五十八人、〇・四二%。それから東京の場合、福島県より少ないですね。九十三万百九十八人児童数がおって、精薄の特殊学級に入っているのは二千六百五十七人。福島より絶対数でも少ない。これが四十八、四十九、五十年と同じような状態でございまして、五十年度は福島が三千七十八、大阪が三千七百八十九、児童生徒数は大体五倍くらいになっていますね。これは歴然としておるわけですよ。まだ調べておりませんなどと言いますけれども、きょう、いまここで数字が明らかになったわけで、いま現在、変にお感じになりませんか。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 確かに、全国の五十年度の特殊学級在級者数の比率を見ますと、全国平均が〇・八七ですから、福島県の二・〇五というのは二倍強でございますので、ちょっと多いという感じは率直に持つわけでございます。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田分科員 いま数字を見て初めて気がつかれるようでは困るので、何のためにこういう統計を、おたくが出していらっしゃったり、あるいは特殊教育の総合研究所という機関を持っていらっしゃるのか。そういうことも的確に把握して、いろいろ指導されたり、対策を立てるためにやっていらっしゃると思うのですが、ちっともこの数字が生かされていないというふうに言わざるを得ないと思うのですが、どうでしょうか。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 御指摘のとおり、いまの数字でございますが、一般的に申せば、特殊学級をどのくらい設けるかということは、県の方針なり、それぞれの市町村の教育委員会の方針によってやっているというようなやり方をしてきたわけでございますが、福島の場合、他よりちょっと多いようでありますから、なおよく私どもその件について検討、調査をしてみたい、かように考えます。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田分科員 こういう研究機関を使ったり、こういう統計的な数字をまとめていらっしゃっても、ちっとも生かされていないというのは、きわめて残念でございますけれども、これからでもぜひ福島の実情を調べていただきたいと思います。  福島県の場合の特に多いという理由について、われわれもちょっと調べてみたわけでございますが、こういう現象があるわけですね。福島県は、全体的に見て過疎化といいますか、人口が減っておるというようなこともあるのでしょうが、児童生徒の自然減と学校統合で、全体の学級数が減っておるわけでございます。ところが一方、特殊学級はふえておる。教員が余る。ところが、御存じのように学級編成の問題は、特殊学級は十二人で一学級というふうに計算されますか、普通学級の場合は四十五人でしたか、そういうふうに計算しますね。過員教員対策として学級をふやすというようなことに使われておるのではなかろうか。ほかの府県から飛び抜けて何倍も、福島県人だけが精薄児の発現率が多いなどということは、私も福島県人でございますけれども、それ以外考えられないわけでございまして、これはどうもおかしいのではないか。  しかも、御答弁にありますように、特殊学級の中には、いろいろ精神薄弱以外のところがありますけれども、福島の場合の特殊学級は、精神薄弱児の学級がほとんどであって、ということは、つまり御答弁にありましたように、だれを入れていいか非常にあいまいな基準しかないですね。だから、学級編成でうまくつくろうと思えばつくれる、非常に奇妙な部分なんです。肢体不自由児とか何かとなれば、これは客観的にだれが見てもわかる基準、メルクマールがある程度はございますね。ところが、精神薄弱児という定義自体も相当困難な定義でございますが、まして御答弁のように、各市町村や校長さんの見方によってというような、あいまいなことになりますと、自由自在に学級がふえるということから、福島県の場合に、特殊学級の中でも精神薄弱学級がほとんどで、数が多い、こういう現象になってあらわれているのではなかろうか。親には促進学級とか学力増進学級などと説明しておるわけでございます。実際現場では。しかし、統計上の数字の中に、どういうふうに入るかというと、法令上は特殊学級だ、十二人で一人の教員、そういう編制でもある、こういうことになっておるわけであります。  そうして、こういうことがきわめて普遍化しているために、校長先生の方の側といいますか、教育をする側の方でも、感覚が麻痺しているらしくて、一番先に例を挙げました福島の子供さんの場合に、合同運動会で自転車レースで二位をとったところが、「特殊学級設置校長会」の印というでかい賞状をくれたのです。この子供は、いま言ったように、四月から普通学級に戻すという。私、何も文句を言ったわけではない。ただ市町村教育委員会に、こういうケースがないですかと聞きにいったら、途端に、その人は五十二年度の四月かから戻す。この人はこういう「特殊学級設置校長会」の印を押した運動会の賞状をもらった。ところが親御さんは、こんなものを部屋に張っておけるかということをおっしゃっておるわけですね。  こういうふうに無神経なことになってくるということもたくさんありますし、また、はなはだしいのは、これは実際の現場でこういうことも行われているわけですね。普通の学級の生徒を特殊学級の部屋の前に連れてきて先生が、勉強ができないとここへ入れるぞとおどかしていることがある。子供からそんな話を聞くと本当に腹が立つと、この親御さんはおっしゃっているわけでございます。これは、たまたま偶発的に起きたものではなくて、いま私が挙げた諸般の数字から見て、少なくとも福島県の教育現場において、ゆゆしき大事になっていると思われます。ことに福島県の場合に、田村郡の要田中学校では、どろぼうをした疑いをかけられた子供さんが、大分先生方に調べられて自殺をした。週刊誌にも大分書かれました。須賀川の小学校では、自分の下級生の女の子にいたずらをして殺した、こういう事件もございます。この要田中学の場合のある教師の言によると、ああいう生徒は特殊学級に入れておけばよかったということを言っておるわけです。この間テレビでも第四チャンネルで放送されました。  特殊学級というものをそういうふうに見ておるのは、たまたま一人二人の先生の偶発的な現象ではなくて、これはやはり国全体の特殊教育行政、もちろんそれは普通児童に対する教育の行政も含めてでございますが、これに欠陥があるために、こういうことになるのじゃないかというふうに言わざるを得ないわけでございます。時間が足りないので、結局余り詳しいことは述べられませんけれども、こうして少なくとも統計数字の上では、福島県は異常な状態であるということだけは、お認めいただけると思うのです。  そこで、福島県の教育行政にメスを入れて、正しくない学級設置はやめさせるということを、はっきりここで答弁願いたいということと、こういう強引な県の教育行政がつくられる要因、背景はやはり国の教育施策にあるのではないか。つまり福島の場合は、われわれの調査によると、過員対策その他で先生を確保しなければならない。そこで、十二人で一人の先生ということで、はなはだしいのは幽霊学級までできた、こういう調査があるわけでございます。三人教員を獲得して一人だけ充てて、二人は普通学級で授業をやっているというケースもございます。現に私どもも調べてきました。こういうようになっているのは、やはり国の教育施策に問題がある。普通学級の定員を下げて普通学級数をふやす、こういうことを実行することが必要だろう。  国会でも、御存じのように附帯決議がされております。御存じだと思いますが、普通学級の定数を減らせということが出ていますね。そういう附帯決議を尊重する気があるのかどうか。もしあるとすれば、これは直ちに施策に取り組んでいただきたいと思うのですが、これは文部大臣にひとつお答えいただきたいと思います。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 いま長時間にわたる具体的な実例を踏まえてのお話を私もここで聞いておりまして、率直に言って初めて聞くケースでございましたけれども、特殊学級というものを設置しております本来の目的、本来のあるべき姿というものは、あるはずでございますから、福島県だけが非常に多いということは、福島県が非常に御熱心なのか、あるいは東京、大阪その他のところが、むしろ逆に落ちこぼししておるのではないか。いろいろ問題はありましょうが、きちんと一遍調べてみまして、特殊学級というものが置かれた本来の目的、本来の姿、これをきちんと守っていくにはどうすればいいかということを、私どももよく指導してまいりたいと思います。  それから定員の問題につきましては、国会の附帯決議がございましたことを私もよく承知いたしておりますし、現在文部省としましては、五カ年計画をつくりまして一生懸命教員の数の計画的な増員をやっておりますが、学級編制につきましては、ただいままだ二つ、三つも受け持っておる、多学級を受け持つ先生の問題もあり、あるいは養護学校が今度義務化になりまして、そのための整備等もございますので、いま御指摘の附帯決議の四十人という線に直ちにいま持っていくわけにまいらず、現在、四十九年から始めております五カ年計画では、そちらの複式学級の解消とか養護教員の方に全力を挙げて改正の努力をしておるところでありまして、それが終わりましたときに、また新しい宿題として取り組んでいかなければならない、こう考えております。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田分科員 最後に一点だけ。  国立特殊教育総合研究所長の辻村先生は、いろいろな実例を述べられた後で、こういうわけだから特殊学級といわゆる促進学級と分離せよという御提案をなされております。そうすれば、ただの学業不振児といいますか−と区別されるし、これを一緒くたに入れておくところに、員数合わせで奇妙なことが起きたりするのだというふうに考えられますので、この辺について大臣のお考えはいかがでしょうか。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 これは、具体的にはどうやって指導していくかという指導方法の問題になってくると思いますけれども、私も正直に先ほど申し上げましたように、特殊学級のいろいろな実態とか、あるべき姿とか、その辻村さんの書かれた本の問題点等も、私自身もちょっと調べてみまして、よく考えてみたいと思います。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田分科員 終わります。

始関伊平自由民主党

○始関主査 これにて安田純治君の質疑は終了しました。  次に、武田一夫君。

武田一夫公明党・国民会議

○武田分科員 私は、体育の問題から、ひとつお伺いしたいと思います。  いま知育、徳育、体育と言われておりますように、どうも知育、学力偏重というような傾向が余りにも強い。ところが、小学校、高校あるいは大学に至っても、いろいろのケースに非常に体力の弱い子供が多過ぎる。私の学校であります東北大学において、ある教授が入学生の一割テストした。そうしましたら、老人的症状を示す学生さんがいまして唖然とした。たとえば、懸垂をさせると懸垂ができなかったのが一割いた。そして息切れ、動悸、食欲不振というような学生さんが何と三割近くいた、そういう実態があります。小学校に行っても、最近の子供はそういう体力が弱いということでございまして、大臣が五本の柱という所信表明の中で、体育の振興、スポーツ振興ということを叫ばれて力を入れられていることに非常に私も同感しておりますので、今後そういう面の一層の政府の力強い施策というのを私は期待しております。  まず、日本の成人人口が約七千七百万ですか、そのうちの六五%ですから、大体五千万近くの方が、スポーツというものを見たりやったりするという時代になりまして、日本が世界一スポーツの愛好家である、こういうような実態が出ておりますけれども、これは、地域のコミュニティーセンターとか、あるいは教育文化センターとしての学校の開放というものと関係しておりまして、施設がない、設備がないために学校を使うケースが非常に出てまいります。私の住む団地などでも非常にこれは盛んでございますが、現在、学校の開放ということが、小、中、高、大学等を含めましてどの程度の進行状況であるか、まず現況をお聞きしたいと思うのでございます。

安養寺重夫文部省体育局長

○安養寺政府委員 五十年度に全国の国公私立大学等々の学校、民間の施設を悉皆調査をいたしまして、十八万八千余の体育施設があるということでございますが、何とぞの六八%程度が学校の施設でございます。われわれの生活の身近にある学校で、そのように施設がそれなりに整備をされておるわけでございまして、いろいろこの民間への開放、一般地域社会への開放について議論を重ねてまいりました。  昨年、そのまとまったものを文部次官通知ということで各関係方面の方へお流しいたしまして、施設の開放に一層御努力をいただくように、また文部省自体としましては、学校の施設を開放する際に必要な、そのための施設設備の建設のための補助金の交付、あるいは体育施設を開放しました際の管理指導員というものの配置が望ましい、それであるからには配置された指導員について謝金の国庫補助もしたいというようなことで、関係の予算を計上するということに努力をしてございます。  いまお尋ねの体育施設の開放の状況を申し上げますと、屋外運動場で小、中、高等学校なべて申しますと、七三・七%、屋内運動場、いわゆる体育館で六七・八%、プールで五二・八%、公立学校に関する限りのデータでございます。ただし、これも継続的、計画的に開放しておるというばかりではございませんで、そのときどき少しでも開放しておればというようなデータでございます。

武田一夫公明党・国民会議

○武田分科員 大学の施設の開放は非常に進まない。ところが実際問題としまして、どこの県でもそうでしょうが、もう膨大な広場、運動場、そういう施設があるのが大学でございます。手をつけたくないというような気がしてなりませんけれども、市民あるいは県民とのつながりを持つ意味で、大学の所持しているものの利用する度合いをもっと高めていきたいと私は思っております。また大企業等が充実した施設を持っておりますが、国としては、こういう特に新しいものをつくることが大変だというときに、そういうものも何らかの手を打って、国民、県民、市民に開放する方向に持っていけないものかどうか、あるいはそういう方向で考えているのか、そういう点についてお聞きしたいのでございます。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野(文)政府委員 国立大学の体育施設の開放につきましても、いま体育局長からお返事申し上げましたように、同様にその開放を促進するということで、昨年の七月に、文書をもって国立大学あるいは国立高専の校長、学長に対する通知をいたしたところでございます。  ことしの二月に、五十一年度の開放の状況を八十三の国立大学についていっておりますが、その状況によりますと、使用申し込みのなかったものが十九大学ございますが、残余の約六十の大学につきましては、申し込みのあったものの八割については使用許可をいたしております。件数にして千件を超える使用許可をいたしておるわけであります。さらに開放を進めるように努力をいたしたいと思います。

武田一夫公明党・国民会議

○武田分科員 ひとつその開放が一層進むようにお願いをいたします。  次に、スポーツの振興が進むにつれまして、指導員というものが問題になってくると思いますが、もう十年近くも指導員という立場でがんばっておられる方がおります。当初は余りスポーツというか、そういうものを一生懸命やるような時代でなかったので、つい気軽に受けてしまった。ところが最近になると、これは高度な技術等も要しまして、そういう方々が苦労している。どちらかというと、仕事が自由業で自由に時間がとれるという人が多いのですが、聞いてみますと、最近、余りにも奉仕という精神だけに甘えているような感じがしてしようがない。こういう点で、指導員に対する待遇といいますか、そのあり方というものが問題ではないかと思いますが、その点について、どのような状態になっておりますか、お聞きしたいのでございます。

安養寺重夫文部省体育局長

○安養寺政府委員 いまお話しの体育指導委員というのは、スポーツ振興法に基づきまして各市町村で非常勤の職員としてお願いするものでございます。いろいろスポーツのクラブを推進するとか、場合によれば実技の指導等も行っておるわけでございます。このほかに数としましては、日本体育協会で養成しますいわゆるスポーツ指導員、あるいはそれぞれの競技団体でそれなりに資格を付与されて実技の指導をしておる方々等でございます。  体育指導委員は、そのようなことで公務員でございますので、その報酬につきましては、いわゆる報酬と実技指導に当たりました際の指導謝金、この二つは地方交付税で積算をいたしておりまして、現在全国に四万三千人強の方々にお骨折りをいただいておるわけでございます。報酬もだんだんに上げてまいっておるわけでございますが、一般的に御指摘のようなことがございます。考え方によりますと、体育、スポーツをやる人たちがそういう方々に対する待遇のことを考えるべきだというようなこともございますけれども、体育指導委員は公務員でありますとか、あるいは先ほど申しました学校開放の際の管理指導員等につきましては、ここにもスポーツ振興の観点からいろいろいまてこ入れをしておるという現況でございます。

武田一夫公明党・国民会議

○武田分科員 それでは、体育関係はそのくらいにしまして、特殊教育の問題、特に重症心身障害者等、あるいはまた、それに準ずる心身障害者が、いわゆる家において治療しているというか、静養しているというケースが非常に多いわけでございます。そういう方々に対する教育はどういうふうになっておるか。  というのは、実は私のところに手紙が来ました。宮城県の仙台市に西多賀というところがありますが、そこの筋ジストロフィーの青年が、われわれにも人並みに教育の機会を与えてもらいたい、なかんずくどうしても施設へ入れない人たちにもっと国の温かい政治が欲しい、こういう手紙が参りました。私もいろいろ聞いてみますと、そういう方が非常に多い。そういう点で在宅患者における教育というものについて、ちょっとお伺いしたいのでございます。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 特殊教育の対象となる障害児の障害の程度が、いま御指摘のように、重度障害であるとか、幾つもの障害が重なっておる重複障害者というような方に対する教育も、逐次普及してきたわけでございますけれども、障害の実情によりましては、学校へ来て教育を受けるということができないわけであります。そこで、四十九年度からいわゆる訪問指導ということを国として考えまして、その訪問指導に参る指導者の経費について国が補助をする、こういうようなやり方で、五十一年度現在におきましては、対象となっておる児童生徒が全国で約七千五百人、指導者の数が千七百人、こういうことになっておるわけでございます。  御承知のように、五十四年度から養護学校教育が義務制になりますと、そのような障害児についても、訪問指導というものが全国的にわたって整備される必要がございますので、それを今後どういうふうに拡充していくかということを引き続き検討、整備してまいりたい、かように考えております。

武田一夫公明党・国民会議

○武田分科員 義務教育、これはぜひ早くやっていただきたいと思いますが、その義務教育以後の問題もあると思います。といいますのは、いままではどちらかというと、特に農村の方などは、そういう子供が生まれると隠しておきまして、そのうちに教育を受ける機会がなくなった。もし何らかの機会に教育を受ければ、そんなにひどくならなくても済んだものをというケースがあるわけです。  最近、福祉の充実ということが叫ばれますと、少しずつそういう方々が出てまいりました。そのときには十八、二十になってしまったというケースがあります。こういう方々に対する教育は真剣に考えていただかなければならないのではないか。それを親も本人も望んでいる。この点についてお伺いしたいのでございます。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 一障害者教育について、早期に障害を発見し、早期から教育を始めることは非常に有効であることは、一般的に言われておるところであり、そういう意味からは、幼児期における障害者教育、端的に言えば養護学校の幼稚部の充実というのも、義務制と並んで一つの整備目標となっており、また、それを推進しておるわけでございますので、そういう点にさらに力を注いでまいりたい、かように思うわけでございます。

武田一夫公明党・国民会議

○武田分科員 現在、そういう方がある場合は、どういうふうにしてそういう方々に教育の機会を与えようとなさるおつもりでしょうか。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 その点につきましては、五十四年度からの養護学校の義務制を控えて、各県及び幾つかの市町村をまとめて就学指導委員会というものを設置奨励いたしまして、その就学指導委員会に専門の医者、心理学者、学者等に参加してもらって、個々の子供さんについて進学の指導を徹底するようにやっていただくことが一つと、それから各県にこのような障害者教育の趣旨の説明、そういうものを関係者に理解してもらうための協議会のようなものをつくっていただく、こういうようなことをやっておるわけでございます。

武田一夫公明党・国民会議

○武田分科員 本格的にそういう方々に教育の機会を与えていける見通しなんというのは、いまのところどうでしょうか。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 施策といたしましては、いま申しましたように、義務化ということになりますと、まず小学校段階と中学校段階の整備が最重点になる。続きまして、いまの幼時期の教育という点から幼稚部の設置をやり、それから障害の軽い方についての特殊学級の整備を当面の目標といたしておるわけでありまして、その目標としては、五十四年度の義務制までには、まず義務関係の施設、教員の充実をいたしまして、義務制に円滑に移行できるようにする。それから、それと並行しながら、いま申しましたような幼稚部や特殊学級の充実を進めてまいりたい、かように考えております。

武田一夫公明党・国民会議

○武田分科員 ひとつその点も早急に御配慮いただきたいと思います。  大臣にちょっとお尋ねいたします。  大臣は早稲田出身で、私学を御経験なさったわけでございます。私も七年私学の教員として教鞭をとってまいりました。御承知のとおり、これは大変な現況でございます。大学も大変ですが、私は高等学校はもっと大変だという認識に立っております。というのは、昭和五十六、七年ごろ私学の危機が訪れるのじゃないかという現実を大臣は御承知かどうか、お聞きしたいのでございます。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 私が理解しております範囲では、昭和五十一年から五十五年までの間は、高校に進む学齢生徒の数が大体百五十万ぐらいふえ、それがピークになって、その後は横ばいになるというふうに理解しておりますので、私の理解から申しますと、私立の高等学校に問題を限定して考えてみますと、これは地域によりけりだと思いますけれども、前回来いろいろなところで御指摘があるように、高校就学者の減少していくことが著しい地域においては、学校経営上の問題が起こるのではなかろうか、私はこう理解をしております。

武田一夫公明党・国民会議

○武田分科員 経営上の問題はもうずっと継続して起こっているわけでございます。学校によっては、中央にあったのが全部土地を売って山の中に引っ込んでいって、それでもって経営不振の赤字などの埋め合わせをする。こういうケースが非常に多いわけです。それだけでなく、大事な運動場を切り売りして、運動場が狭くなりながら、さびしい思いをしながら生徒は高等学校に通い、また経営している。そういう現状もあるわけです。  五十六、七年、特に七年というのは、入学者はひのえうまの年に当たるわけです。産もうか産むまいかといううちに産まなかった、まあ間違って出てきたのかというようなケースの中で、東北で、たとえば宮城県の場合を申し上げますと、これは私学連盟の方で調査したそのときの受験率はこのくらいというパーセントから出したものですが、昭和五十一年から一応申し上げますと、私学の入学者が約七千三百人、五十二年は七千百人、五十三年が六千三百人、五十四年が約五千八百人、五十五年が六千六百人、ところが五十六年にいきますと五千二百人と下がります。さらに五十七年には正確に言いますと三千六百二十人、何と昭和五十一年から比べると、この時点で三千六百八十人という数が少なくなろうという予想をしております。これを乗り切りますと、五十八年には七千五百人とまたふえてくるわけです。  また一方、岩手県の現況を見ますと、五十年で二万五千人、ところが五十七年には一万九千人、これも六千人私学に入ると予想される数が減るわけです。山形県におきましても、五十年が一万九千人、それが五十七年には一万五千人と、四千人減るわけです。  こういうようなケースがありまして、この減った生徒がもし集中的にある学校に行ったならば、たとえば宮城県の例を申し上げますと、高校の場合は本当は五十人くらいが精いっぱいなんでしょうが、何せ経済的な問題がございますから、多いところは六十人とか五十五人とかたくさんありますが、五十人と仮定しましても、大体四つか五つの学校がそのときどうしようもない場面に到達する。岩手県の場合などもそういうケースがありまして、聞いたところによりますと、県段階としてもどうしようもない、つぶれるのはつぶれろというような感じです。これは県の段階で処理させる問題ではないと私は思う。沖繩の方に聞きましたら、沖繩でもそういうことがありまして、できるなら国で引き取ってもらいたいな、もうこうなったら県や市の方で引き取ってもらいたいな、こういうような深刻な悩みを訴えている。何せ全国には五万名近くの教員がおりますし、百三十万の高校生が現在いるわけです。こういうような状況から、これに対して国がやはり何らかの手をいまから打っておかないと、そのときあわてたとしても収拾がつかないのじゃないか。宮城県の場合は、非常によく県の方と私学の方々が連携をとっておりまして、残念ながら公立の高校を余り建てないようにしてほしい。建ててもらいたいのはやまやまですが、そのために、十七校ほど建てるのを十四校に減らすとかいうような話し合いをしながら調整をしているそうでございますが、やはりこれは重大な問題として認識していただかないといけないのじゃないか、こう思いますが、その辺についてお尋ねしたいのでございます。

犬丸直文部省管理局長

○犬丸(直)政府委員 初めに、全国の高等学校の生徒数、特に私学との関係におきまして、その状況を申し上げます。  いま先生おっしゃいましたように、ひのえうまのときに出生率が低かったということのために、ある程度減少する要因がそこにございます。それからもう一つは、進学率がだんだん高まってまいります。それはふえる要因でございます。それから一番大きな要因はやはり社会移動でございます。都市の人口集中によって、各県別に見ますと非常にそれが影響をしているというようなことで、各県の事情はそれぞれあるわけでございますけれども、タイプに分けますと、将来どんどんふえていく県がございますことが一つ。これはむしろ過密対策と申しますか、大いに助成をして学校をつくることを進めていかなければならないわけでございます。第二のタイプは、ある時期に減るけれどもまたふえるというところが明らかにあるわけでございます。そういうようなところが特にその間に私立学校がつぶれてしまう。そしてその次にまたふえるときになったら、また何とか私学に依存しなければならない。そういうかつての高校急増時期に私学に依存したようなことが、また起こる危険性もあるということでございます。それから、将来かなり長い間にわたって減っていくだろうというところもございます。それはそれとして、特色ある私学を残していかなければならないという問題もございます。そういうところで、様相は各県ごとに違いますけれども、それぞれの状況、各県からの報告と予測を、私どもは全部表にして持っておりまして、今後いろいろな対策を講じていきたいと考えておる次第でございます。

武田一夫公明党・国民会議

○武田分科員 そういう地域、あるいはそういう学校、そういうところに対する助成というような問題も含めまして、やはりこれは真剣に討議していただき、そして安心して学校経営ができ、地域社会に貢献している私学の存在というものを絶やさないように私はお願いしたいのでございます。  それともう一つ、関連があるわけですが、いま国は高校以下には一部の補助をしておりますけれども、県ではそれによって一生懸命私学の父兄負担については軽減するように努力しております。どの県においても、私学の問題については、経営の問題、それからまた父兄負担の問題を一生懸命努力しておりますけれども、国としても、その方には最近力が入ってまいりました。それで千葉県などでは、ことしは授業料を上げなくても済むという、非常にうれしいニュースなどを聞いておりますけれども、できるならば、一部などとけちなことを言わないで、要するに県あるいは学校で一生懸命やっているその貢献度を重視して、どうですか・思い切って二分の一ぐらいまで補助して、確固たる基盤の中で高校生活というのを送らせていく、また経営させていくというような考え方に立って、ひとつ私学の振興を図っていただきたいと私は心からお願いするのでございますが、大臣、その点につきまして……。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 全体の方向といたしますと、これは先生御指摘のように、私どもは、公立、国立、私学、この間の教育費格差の是正、親の教育費負担を何とかしたい、そういう見地から教育の機会均等ということ等も考えて、私学助成に全力を挙げますとともに、高校以下につきましても、いま本当に一生懸命取り組んでおるところでございまして、借金財政と言われます今年度の苦しい財政事情の中でも、私学振興助成法の精神を生かしまして、私立大学並びに私立の高校以下に対する助成の額は伸び率二四・四%、高校以下はもっと伸びたわけでありますが、それで十分かと言われると、なかなか十分だとは言い切れませんので、御指摘のように、せめて二分の一、これは私学振興助成法でも二分の一以内の助成ができると書いて、努力目標をそこに置いておるわけでございますから、大学についてそういうものがあるなれば、私立の高校にもどうなんだということ、これは地方自治体の負担の割合とか能力の実態とかいろいろございまして、一概に国で頭からごうごうと言い切るわけにまいりませんが、精神的にはそこに努力目標を置いて毎年できるだけの努力をしていきたい、私は基本的にそう考えております。

武田一夫公明党・国民会議

○武田分科員 どうかひとつ、私学が危機に瀕する、そういう状況を回復させていただきたいという願いを込めて、次の問題に移ります。  最後に専修学校、この問題について伺いますが、これは私は非常に大事な学校だと思っています。実技を身につけて社会の中核として生きた学問をしている分野だと私は思っております。それで、今後これに大いに力を入れていただきたいと私は思っておりますが、ただそれが私が見る限り、あるいはまた昨年でしたか、全国地域婦人団体連絡協議会というようなところで調べたら、余りもうけ過ぎの傾向があるんじゃないか。正直言いまして、私も何年か、昔で言えば各種学校ですね、いまも各種学校がありまして、それが昇格しているわけですが、そこで教えた経験がありますけれども、うまくやるとかなりもうかるというケースを、私はその現場で見ております。しかしながら、それが広告の面で過大に広告されたり、あるいは経営者が非常にもうけ主義に走って肝心の教育というものをおろそかにしているというようなことが全国各地にあるという実態を考えたときに、やはり専修学校への昇格という時点において、経営者の要するに資格というものが問題になると思いますが、そのときにどういう資格の条件があるわけでございますか。それについて一応お願いしたい。

犬丸直文部省管理局長

○犬丸(直)政府委員 専修学校につきましては、各種学校の制度と別に、新しく専修学校の制度をつくりますときに、法律にはっきり規定をもうけまして、専修学校の設置者については、専修学校を経営するために必要な経済的基盤及び知識または経験を有することを要する、また社会的信望を有することが必要だ、そういうことになっております。なお、そのほかに、実際にたとえば振興会の資金を貸し付けるというようなものにつきましては、原則として、学校法人立、準学校法人立、あるいは公益法人立、そういったものに限定してそういうような優遇措置を講じております。

武田一夫公明党・国民会議

○武田分科員 その社会的信望という問題ですが、本当に信望があるかどうかというのは、これは調べればわかるのです、やってきているわけですから。それがどうも信望もありそうでなさそうで、そうしてやっているうちにもうけ主義に走っているというようなものは、厳重に取り締まるか何かしなければ私は大変だと思うのです。  こういう例があるのです。時間が来たそうですから一つだけにしますが、要するに入学金とか一年間の授業料も全部取って、そして教えている間に、三カ月もしますと、いい就職口があるからとぱあっと就職させてしまう、生徒を出してしまう、そしてまた埋め合わせをするというようなケースもあるそうです。  こういうような点を考えますと、これはやはり大事な専修学校という問題ですので、この点についてはひとつ厳重なる監督、指導というものを国は責任を持ってしていただきたいと思うのですが、大臣、その点につきまして最後にお答え願います。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 せっかく期待をされて発足した専修学校でありますし、また、最近の社会的に専修学校の卒業生が受け入れられておる実績等を見ましても、影響が非常に大きいと思います。御指摘のような、専修学校が本当にその使命を果たすために、特に今年度予算にも措置をいたしまして、一体、専修学校というものが教育の中においていかなる位置を占めるのか、基本的なあり方について、今後どのようなことを重点的に指導し、どのような面を考えていったらいいかということ等を、やはり学識経験者や専門家等も集まってもらって、いろいろ調査、検討を行っていこうと思っておるところでございますから、御質問の趣旨を十分踏まえて運営をしていきたいと考えます。

武田一夫公明党・国民会議

○武田分科員 終わります。

始関伊平自由民主党

○始関主査 これにて武田一夫君の質疑は終了しました。  次に、金子みつ君。

金子みつ日本社会党

○金子(み)分科員 私は、学校で設置されております職員の中の養護教諭に限りまして本日は二、三質問をさせていただき、当局のお考えを聞かせていただきたいというふうに考えております。  申し上げるまでもありませんが、養護教諭は、学校職員として養護教諭を置かなければならないことになっております。私がお尋ねしたいと思いますのは、学校教育法に基づいて置かなきゃならないことになっているこの養護教諭が、何を目的に置かれているのか、その目的が定かでない。と申しますのは、二十八条を見ますと「養護教諭は、児童の養護をつかさどる」と書いてあるのですね。だけれども、その「養護」というのは何かということなんですが、その概念規定はどこにもないのです。ちなみに、正式な職員じゃありませんけれども、学校保健法に基づいて学校には医師とか歯科医師、薬剤師が嘱託として置かれておりますね。この人たちのためには、学校保健法の施行規則の中ではっきりとその職務の準則が決められているわけですね。何をするのかということがはっきりしている。ところがこの養護教諭に関しては、何をするのかということが一つもつまびらかにされていない。それで、何の目的で二の人たちが置かれているのかということを、その「養護」という言葉の概念規定とあわせて、ぜひわからせていただきたいのですが、御説明いただけませんでしょうか。

安養寺重夫文部省体育局長

○安養寺政府委員 「養護教諭は、専門的立場からすべての児童生徒の保健および環境衛生の実態を的確に把握して、疾病や情緒障害、体力、栄養に関する問題等心身の健康に問題を持つ児童生徒の個別の指導にあたり、また、健康な児童生徒についても健康の増進に関する指導にあたるのみならず、一般教員の行なう日常の教育活動にも積極的に協力する役割を持つものである」、これが文部大臣の諮問機関でございます保健体育審議会から指摘されました養護教諭の職務ということの記述でございます。  それで、具体的には学校には、学校保健委員会とか、またそれをマネージする保健主事というのがございますが、保健主事は、養護教諭の協力のもとに、学校保健計画策定の中心になるというようなことを実際にやるということになるわけでございます。

金子みつ日本社会党

○金子(み)分科員 大変に詳細に説明されておりますが、それをどうして規定の中にお入れになっていらっしゃらないのですか。それは委員会からの答申みたいなものですね。答申という言葉はおかしいかもしれませんけれども、説明ですね。それを規定の中に取り込まないでいらっしゃる理由は何ですか。

安養寺重夫文部省体育局長

○安養寺政府委員 学校の教職員の主たる任務の表示というのは、先ほどお話のございました学校教育法の各章条にございまして、養護教諭につきましては、児童生徒の「養護をつかさどる」、このようにきわめて簡潔に表示をしてございます。教員につきましてもそのような程度のものでございまして、詳しく書くというよりも、実際このような認識で具体的な作業をしておる。特別これを書き上げるというふうなことについてのお話もございませんし、またこれで足りるのではないかと思います。

金子みつ日本社会党

○金子(み)分科員 足りるか足りないかというのは一概には言えませんですね。どれだけの仕事をしているかということがちゃんと調査されて、その結果が出されて分析されて、その結果評価されなければなりませんから、足りているか足りていないかは、そのように簡単におっしゃっても私は納得できないと思うのです。ただ、そういうものを規定の中に入れることがいいか悪いかという問題につきましては、専門的な観点もありましょうから、私はあえて規定の中に入れなきゃならないとは申し上げませんけれども、そのことがみんなにもっとはっきりわかるような形をとっていただけないものかということでございます。何のために養護教諭が置かれているのかということについてだれもわからないのですね。一般にはそういうところまではだれもわかっておりませんから、だからそれを何か方法を講じていただけないか。そうでないと養護教諭というのは一体何をする人なんだろう、あれは赤チン先生だよ、こういうことになるんですね。その辺をどういうふうにお考えでいらっしゃいますか。

安養寺重夫文部省体育局長

○安養寺政府委員 養護教諭も、かつては学校看護婦さんという制度から、戦後、新学制で養護教諭という職制を明確にいたしまして、教諭は「教育をつかさどる」、養護教諭は「養護をつかさどる」という職務を規定いたしまして、専門的職制であるということのために、教育職員免許法の上で特定の資格を取得しなければいけないというようにまで整備をしたわけでございます。当初はいろいろ定員の配当の問題がありましたり、あるいは、いま御指摘のような、職務に対する認識、あるいは社会的な評価の度合い等々もございますのでしょうが、逐次定員も計画的に配当し、充足もし、養成の方法もいろいろな資格を援用するというような資格取得のほかに、国立の養護教諭養成所を意図的につくりましたり、いまやそれを四年の学士のコースに正規に切りかえつつあるというようなことで、内外ともに養護教諭の重要性なり職務のあり方についての認識の実態は定着をしつつあるのではないか、かように考えておるわけでございます。

金子みつ日本社会党

○金子(み)分科員 それでは、学校にはたった一人しかいない養護教諭の存在は非常に重要な存在だというふうにお考えでいらっしゃいますね。

安養寺重夫文部省体育局長

○安養寺政府委員 これは大変に大切な仕事だと私は考えております。また、各学校なり教育委員会の責任者から、そのような評価をいろいろ承ることが多うございます。

金子みつ日本社会党

○金子(み)分科員 それでは、関連してお尋ねいたしますが、養護教諭はいまどれぐらい学校に充足しておりますか。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 養護教諭の充足につきましては、これは養護教諭に限らずすべての教諭等を含めて、御承知のように、五カ年を一区切りにして配置の回転を実施してきておりますが、昭和四十九年からの五カ年計画というのがただいま進行中でございまして、この五カ年計画によりますと、この五年間の最終目標の達成の時点で、全学校の四分の三の学校に養護教諭が一人ずつ置かれるようにする、こういう目標で逐次充実を進めてきておる、こういう現状でございます。

金子みつ日本社会党

○金子(み)分科員 五カ年計画の最終年次は昭和五十四年になりますね。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 五十三年でございます。

金子みつ日本社会党

○金子(み)分科員 そうすると、五十三年に四分の三、一〇〇%はいつですか。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 これは過去のことになりますけれども、第三次の五カ年計画、そのときの到達目標が五〇%ということでやってきたわけでございます。そこで、五十四年度から次の五カ年計画をスタートさせる、こういうことになるわけでございますが、その際に、いろいろの状況を考えながら養護教諭の改善をどこまで持っていくかということを検討したい、かように考えております。

金子みつ日本社会党

○金子(み)分科員 第四次の五カ年計画、五十三年で四分の三ですね、いまのお話のとおり。その先は第五次五カ年計画になりますか。一〇〇%になるのはいつの目算でいらっしゃいますか。それを伺っておけばいいです。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 いま申し上げましたように、いつの時点ということは現在のところは申し上げられません。第五次の五カ年計画が始まりますのが五十四年でございますから、その五十四年の計画を立てるに当たってどういうふうに考えるかということを今後検討してまいりたい、かように思っておるところでございます。

金子みつ日本社会党

○金子(み)分科員 一定の資格を持つ人を職員として採用していくわけでありますから、機械でつくり出すようなわけにいかないことはよくわかります。ですから、その需要供給が計画どおりにいかないということもあると思うのです。そのことはよくわかるわけですが、目的としてお立てになるのに、完全に設置が果たされるということの目標を置かないで、四分の三でいまのところとまっていますね。そういうのはいかがでございましょうか。このように大切な、たった一人しかいない職員で、児童生徒あるいは職員たちの健康管理をつかさどる人でありますから、他人をもってかえがたしということになるわけですね。それがもし何年たっても完全に設置されない場合には、設置されている学校はいいですが、設置されていない学校はどうお扱いになるおつもりなのかということを考えなければならないと思いますが、それはこれからどういうふうに進めていらっしゃるかということは一つの政策だと思いますが、大臣いかがでございますか。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 これは御指摘のように、重要な職務を担当をし、やはりそれぞれの学校にすべて置かれることが理想の姿であることは間違いございませんから、私はこの次の五カ年計画をつくりますときに、その重要性を認めて、でき得ればすべての学校に置かれるように、次の五カ年計画においてきちんと予定を立てられるようにこれは努力すべきテーマである、こう理解いたします。

金子みつ日本社会党

○金子(み)分科員 それでは、事務的な質問になりますが、五十三年で四分の三ですね。ですから、来年度でございますね。そうすると、現在は何%になっているのか伺っておりませんけれども、多分六三%くらいですかと思いますが、あと残りの設置されてない学校は、日常どのようにして子供たちの健康管理をしていらっしゃるのでしょうか。それが大変に不安でございますが、それはどういうふうに御説明いただけるでしょう。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 学校には、御承知のように、校長、教諭、助教諭、事務職員等、学校教育法のたてまえでは置くべき職員が定められておるわけでありますけれども、事務職員なども、すべての学校に現在必ず置いておるというわけではないわけでございます。これも改善目標を立てて逐年その整備を図っておるわけでございます。そしてそのような仕事も、先生の公務の一環としていろいろ協力してやっていただくということでございますから、一般的に申しますならば、養護教諭のいないところは、本来的な意味での養護教諭の活動はできないことは御承知のとおりでございますけれども、やはり関係の先生方の、養護教諭の職務内容に理解を持った方々の協力をもってやっていただくということで進めております。

金子みつ日本社会党

○金子(み)分科員 だれがかわりをしておられるか、学校によって別々なんだろうと思います。養護助教諭がいるところもあるでしょうし、それすらいない学校だってあるんじゃないでしょうか。そういたしますと、この学校保健法の十五条ですか、「都道府県の教育委員会の事務局に、学校保健技師を置くものとする。」学校保健技師が置かれていますね。これは主として医師ですね。この学校保健技師というのは「学校における保健管理に関し、専門的技術的指導及び技術に従事する。」こうなっているのですけれども、この学校保健技師が、それぞれの自分の担当の県内の学校に指導をする場合、だれがこれを受けとめるのですか。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 もう一つ、御承知のように、現在の学校教育法の施行規則では、学校に保健主事を置くということになっておりまして、これがいわゆる各般の主任の一環でございまして、その保健主事が中心になって当該学校の保健計画を立て、かつ指導するということになりますので、もちろん、養護教諭がおられます場合には、養護教諭、保健主事が中心になります。養護教諭がおられなければ、やはり保健主事等を通して教育委員会の指導を受ける、こういうことになろうかと思います。

金子みつ日本社会党

○金子(み)分科員 保健主事がいらっしゃることは存じております。しかし、この保健主事という方は、大体校長先生があって、保健主事がいらっしゃる。まあ学校によって違うとは思いますけれども、多くの場合、教務主任のようなかなりベテランの、位置づけとしては高いところにいらっしゃる方が保健主事を併任していらっしゃるというふうに私は理解しているのですけれども、それは結構だと思いますが、子供の健康管理とか、あるいは保健衛生とか、その他学校保健主事が指導監督をする内容に関しては、失礼ながらずぶの素人でいらっしゃる。ということになりますと、そういう指示とか指導とかいうものは、口で言っただけでは実際には行えないものなんですね。それを、保健主事がいるから大丈夫だと思っていらっしゃるのは、大変に甘いと私は思います。  たとえば私にもこういう経験がございます。大学の保健学科の学生を教育実習に出します。そのときに一緒についていってみるわけですね。そうしますと、ああ、先生のところの学生さんが来るのを待っておりましたよと保健主事さんがおっしゃる。なぜですかと申し上げると、いや、むずかしいところはあけてあるのですよ、それで学生さんが来るのを待って教えてもらおうと思いましてね、こういう話がありまして、そのときは、冗談のようにしてごまかして笑って済ませましたけれども、私は後でこれは本当に大変なことだと思ったのです。背中が寒くなるみたいな思いがいたしました。もし教育実習の学生が行かなかったらどうなさるおつもりだったのでしょう。教科書に載っていることだけをぺらぺらと読み上げる、あるいは子供たちに宿題として読んできなさいということだけで、ここからここまでの間は済んだというふうに終わらせておしまいになるのじゃないでしょうか。学科によってはそれで済むものもあるかもしれません、保健の科目であるとか。  それは教室の問題でございますが、いま一つ例を申し上げてみますと、これは岡山県の話でございますが、子供たちが、休み時間に庭に出て遊んでいて、子供のけがの一番多いのは、小学生の場合休み時間なんですね。そしてここの学校でも、子供たちが何か、あのころのはやりなんだそうですか、亜鈴みたいなものを投げる遊びがあるそうです。それを投げていたところが、一人の子供の額にぶつかって、そしてぶつけられた子供は、よほど強く当たったのだと思うのですが、しりもちをついて頭を校庭にぶつけたというのですね。そしてすぐ起き上がって何ともなかったのでそのままにしていようと思ったのですが、周りの子供たちがわいわいと騒ぎ出して、そして先生のところへ連れていった。ところが先生は、こうやって見て、ああ、別に血も出ていないよ、何ともないからいいよ、いいよと言って、またそのまま子供を帰されたという例がございました。その子供は間もなく家へ帰りまして、うちの人に話をしたら、うちではびっくりして、すぐにお医者さんのところへ連れていってレントゲンをかけた。というのは、ぶつけられたのと、転んで頭を打っているという事実があるのですね。それを全然意識の中に入れないで、外傷もないし何ともないからいいと言っておさめてしまっておるというのは、非常に問題があるのではないかと思うのです。それで子供の父兄が学校にそのことを注意したそうです。そうしたら、今度ほかの子供の場合ですが、これまた乱暴な子供たちのことですから、ひざにすり傷をつくった。そうしたら、血が流れていたのを見てびっくりして、お医者さんに行きなさいと言って、すぐ家に帰してしまったというのです。  私は、この二つの例を聞きまして、こういうことのために養護教諭を置かなければならないというのではもちろんございませんけれども、学校におけるこういう突発事故に対して、正しい判断をして適当な措置をする、正しい措置をするということができなかったために後で大きな問題が起こらないとは限らない。たまたまこの二つの事例は余り大きな問題にならなかったからよかったのですが、そうでないことも幾つか事例として出ておりますから、そういうことを考えますと、決してなおざりにできない、軽く扱えない重要な役割りだと私は思うのです。それを、養護教諭が充足されないから、あとはだれかがかわっているからいいというのでは困るのですけれども、それはどういうふうに考えていただけるでしょうか。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 おっしゃるとおり、保健主事がいるからいいとは私もさらさら考えるわけではないのでございますが、何と申しましても、学校の職員陣容を整備するというのは、計画を立てて逐年やってまいることでございますから、一挙にはいかないという点がございます。したがいまして、いま御指摘のようなケースにつきましては、もちろん養護教諭がおって、常時適切な処置がとれれば一番よろしいわけでありますが、私どもとしましては、普通の教諭であっても、そういう場合にどのぐらいの配慮をするのが教育上必要なのか。あるいは子供のけがの状況その他を見て、素人と言ってはなんですけれども、そういう場合に、普通の教諭であっても、どのくらいのことを考えなければいけないかというような点について、言ってみれば、学校の保健管理についての一般教諭の協力体制というか、そういう点について一層認識を持っていただくというようなことは、やらなければならぬし、必要だと思います。そういうことをしながら、長い一応の計画を立てたその計画に向かって逐次充足していく、こういうことでやってまいるというふうに考えるわけでございます。

金子みつ日本社会党

○金子(み)分科員 それでは、数の問題はそのようにぜひ御努力なさって、一年でも早く、五年計画が四年で仕上がるように、あるいは三年で仕上がるように督励をなさって、そして進めていただきたいと強く要望しておきたいと思います。  それからいま一つの問題は質の問題でございます。いまお話ししていたのは保健主事の話だったのですけれども、養護教諭の場合でも決して例外ではないということでございます。先ほど申し上げた教育委員会からの学校保健技師の指示や指導というものを受けとめるのは、本来なら養護教諭のはずでございます。保健主事がまず受けとめるでしょうけれども、その先生は素人ですから、実際にはおできにならない。ですから、やはりそれは養護教諭が受けとめて実践するという立場にあると思います。養護教諭の仕事は、ただ単に救急処置をやったり、あるいはけがの手当てをしたりというような、子供の突然の問題を処理したりということだけではなくて、本当の仕事は学校における子供たちの保健計画のプランナーでなければならないし、そのはずだと思うわけです。そしてそれを実際に実行する場合には、ほかの先生方の御協力もいただかなければならないと思います。そのほかの先生方の御協力をいただく場合のやはり彼女はマネジャーでなければならないというふうに考えます。そういうふうにしてプランを立てて実行して、その結果を集計したり、あるいは分析したり、評価したりというようなことは、やはり専門的な勉強をした人でなければむずかしいことだと思います。ただ数字だけ見たからと言って、その裏にある問題を引き出すということは素人にはできないというふうに私どもも考えます。ですから、それこそ養護教諭の仕事なんでして、言うなれば、私なんか考えますと、学校保健主事というのは養護教諭がするべきじゃないだろうかというふうにすら考えるわけでございます。そのことが可能かどうかは別問題だと思いますけれども、むしろそういうふうにすることが、その学校の子供たちの幸せであり、教職員たちの幸せでもあるというふうにすら思うわけでございます。  そこで、そういうような役割りを持ってもらう養護教諭の資質の問題でございますけれども、現在は、先ほどお話がありましたように、養護教諭の歴史的な背景がありますから、いろいろな質の人が実際に仕事についておられると思います。方針としては文部省はどういうふうにお進めになっていらっしゃるのか、後ほど伺いたいと思いますけれども、現状では、大ざっぱに分ければ、学士号を持っている養護教諭の人と、それから看護婦あるいは保健婦の免許を持って養護教諭になっている人といるわけでございますね。この保健婦の養成は、現在、厚生省と文部省と共同所管の学校の規則で進められておりますけれども、三年間の看護教育を済ませた後、一年間公衆衛生の勉強をするのですが、この一年教育が学校の養護教諭の一級免許の資格がとれるように全部指定されておりますね。ですからここの卒業生はそのまま養護教諭になれるわけでございまして、そういう人たちもかなりたくさん現在いると思います。比較検討するわけではございませんけれども、私どもが非常に心配いたしますのは、大学の学士号を持って養護教諭になっておられる方たちでも、個人差がありますから一概には言えませんけれども、養護教諭になるための資格として四十単位ですか、養護に関する科目をとらなければいけないことになっておりますね。この四十単位がどの程度に行われているのかということが非常に問題になるだろうと思うのです。この四十単位で本当に満足するべき実務の行える養護教諭が生まれているのかということなんですが、この四十単位の中でどれだけのことが行われているのか、ちょっと教えてください。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野(文)政府委員 現在、一級普通免許状を取得するために必要とされております最低の養護の専門科目の単位数は、御指摘のように四十単位でございます。この中では、衛生学、食品栄養学、予防医学あるいは学校保健、養護教諭の職務に関するもの、あるいは解剖生理、細菌学、免疫学、薬理概論、個人衛生、精神衛生、看護学、その他のものが行われているわけでございます。

金子みつ日本社会党

○金子(み)分科員 演習と実習の関係はどうなっておりますか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野(文)政府委員 教育実習につきましては二単位以上ということになっております。

金子みつ日本社会党

○金子(み)分科員 ごめんください、取り違えていらっしゃる。その四十単位の中に演習、実習が必要とされている科目があるはずだと思うのですけれども、それはどうなっておりますか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野(文)政府委員 看護学の分野が臨床実習を含んで八単位ということでございます。

金子みつ日本社会党

○金子(み)分科員 その実際の八単位をどこでやっていらっしゃるのかということも細かく伺いたいですが、時間が大変に切迫してまいりましたので、後ほど別の形で聞かせていただきます。  私が申し上げたいと思っておりますことは、今度、国立の養護教諭養成所が、文部省の御方針で大学の教育学部の教員養成課程ですかに昇格するように承知いたしております。結構なことだと思います。そういう専門職の人の教育が大学教育になるということは、私どもも望むことでございますから、大変結構だと思っておるわけでございますが、そのときに、それに関してぜひ注意していただきたいのは、大学教育になりました場合に、単位修得に非常に問題が起こってまいります。理論が非常に先行いたします。実習や演習が大変立ちおくれるという欠点がございます。この欠点を何とかして補っていかないと、養護教諭の人たちは、養護をつかさどる、先ほどお読み上げくださいましたあれだけの大切な重要な仕事をするのに、その仕事の内容のほとんどは実務になるわけでございます。ですから、そのためには、やはり実習というものの重要性は非常に大きい。ただ単に見学だけで実習を済ませたとお考えになっていただいたのでは大変だと思うのです。その辺をはっきりさせていただきたい。大学教育の場合に、えてして陥りやすい欠点が、演習、実習といいながら実際にはその施設へ行って見てくるだけです。だから、臨床看護の実習と申しましても、何日間か病院へ行ってくるという程度のことだろうと思いますが、それでは本当の実習にならないということです。公衆衛生の実習が入っておりません。これもまた大変に問題だと思います。どっちかといえば学校保健は公衆衛生の仕事が非常に大きい。それが抜けているというようなこともございますので、これからの養護教諭の教育のあり方について御注文申し上げたいのですが、そういうような実践のできる、間違っても口先だけでその場を過ごしてしまうような養護教諭をつくっていただきたくない。  と同時に、学校では、養護教諭の取り扱いを、ほかの先生方と大変別に扱っていらっしゃる。別の扱いになることがプラス・マイナス両面出てくるわけでありますけれども、養護の先生たちに保健の科目を担当させるということも一つの方法だと思うのです。それがなくて、だれもする人がいなくて何もしないでほうっておくというのは問題だと私は思うのです。ですから、知らない人が教科書を頼りに、教科書を読むだけで授業が終わったというようなことで糊塗してしまうのではなくて、その場合には養護教諭に授業を担当させる。養護教諭も授業担当ができるはずだと思うのです。能力を持っております。させないという法律はどこにもないと思うのです。ですから、そういうような扱いもぜひ考えていただきたいと思うわけです。  そこで、時間がなくなりましたから、最後に大臣にお願いと決意とを伺いたいと思うのですけれども、養護教諭の問題は、もちろん最近起こった問題ではございませんで、ずいぶん昔からの問題でございますが、正しく評価され、正しく位置づけられ、正しく活用されていないという大変に大きな欠点がございます。これをよくお調べいただいて、そしてこの人たちの持っている専門性を十分発揮できるような位置づけと役割りとを与えて、そして責任を持って子供の健康管理——健康管理は、ただ単に管理するだけでなく健康の増進を含めておりますから、それが実現できるように図っていただきたいのです。新しい御計画の大学教育に進められる問題についても、あるいはそのほかの大変多様性のある養護教諭の養成の実態でございますが、それらを全部合わせて、ばらばらな教育にならないように、ぜひ正しい指導と行政を進めていただきたいと思いますが、そのことについて大臣のお考えを聞かせていただいて、私の質問を終わりたいと思います。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 御意見よく拝聴いたしました。そうして、この養護教諭が本当にあるべき姿と申しますか、能力を発揮してみんなに喜ばれるように、御活躍いただくように、いろいろな養成の問題とか配置の問題等についても、私も関心を持って取り組んでまいりたいと考えます。

始関伊平自由民主党

○始関主査 これにて金子みつ君の質疑は終了しました。  次に、沢田広君。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 委員長や大臣を初め関係者、連続で大変お疲れだと思います。最初に敬意を払って質問に入りたいと思います。  重複した点はお許しをいただきたいと思いますが、塾通いの問題等も、きょうの新聞にもたくさん報道され、それぞれ議員等もこれを取り上げておられたと思うのでありますが、このような事態を直視してみたときに、今日の教育の方向はどうあるべきか、とにかく模索をしなければならない時期に来ているということだと思うのです。といってこれは、大根を切るようにすぱっと割り切れるような論理なりあるいは一つの方向なりというものも、また簡単に出てくるものでもない。非常に慎重かつまた重要なものだと思います。言うならば、非常に長い時間をかけて結果が出るものでありますから、それだけになかなか、大臣の任期中にこれをというものではないだろうと思うのです。そこでやはり官僚政治にならざるを得ない。ですから、その官僚政治にならざるを得ない点について、以上のような諸点を含めて、文部省としては一つの方向を、今日のゆがんだ教育の状態をどういう方向で直していかれようとなさっておられるのか、その点をまずお伺いをいたしたいと思います。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 けさの各紙に報道されました塾調査の結果を踏まえての、私のいま考えておりますこと、これを率直に申し上げますと、やはり、学校教育の場でいろいろな問題が指摘されておりますけれども、ただいま文部省が取り組んでおります学習指導要領の改定、これなども、いままでいろいろ御批判のありました、知育偏重ではないか、あるいは詰め込みではないか、新幹線教育ではないか、いろいろな御批判にこたえる一つの回答でございまして、教育科目を精選をする、そしてゆとりのある、充実した学校教育にしていく。そういう教育課程というものをできるだけ基礎的、基本的なものに精選することによって、塾が過熱してくる一つの面である、落ちこぼれといいますか、落ちこぼしといいますか、そういったような面も片づいていくというふうに私どもは期待し、願っておるわけでありますし、また、大学の入学試験というものを中心にいろいろ学校生活が送られるようになってまいりますと、大学の入学試験に受かるために、その下の段階からいろいろ受験専門の技術を身につけるために塾へ走るというようなこと等もあります。これはもう古い問題で、昭和四十六年に大学入試問題の会議からいただいております報告に基づいて、大学の入試制度も共通一次試験、国公立から変えていこうという、こういう改革の努力もしておりますが、これも学校の教科課程、あるべきものを誠実に努力をしてもらったならば、それで解決できる問題が出題されるのだということになりますと、高校生活にも一つのゆとりが出てくる。いろいろなものを総合しながら、きょうの調査にあらわれましたような好ましくない状態、進学塾の過熱しておる状況、そういったようなものが少しでも改善されていくことを願いつつ施策を進めてまいりたい、こう考えます。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 時間がありませんので、ひとつ簡単にお答えいただきたいのですが、教育の問題は、いま言ったように、簡単には片はつかないにしても、たとえば全入にするということによって——これは一つの簡単な例でありますけれども、こういう過熱という状態は解決をする。あるいは塾通いをさせないように学校の方から指導をさせるということも不可能ではないと思うのでありますが、その点はいかがですか。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 高校全入の心構えで、簡単に言いますと、高校の現在の合格率を維持していこう、能力ある、希望する人がすべて入るためには、やはり今後五年間に四百三枚ぐらいは公立高校をつくらなければならぬ、そういう基本的な心構えでやっておるわけでございますし、それから塾の問題については、もう少し内容をきちんと調べてから私は物を言いたいと思うのでありますけれども、やはり学校で先生方が、心も眼も子供の方に向けて、基礎的、基本的なことをきちんと教えていただくなれば、塾通いをするなというような角度の指導をしなくても、自然、塾には通わなくなるものである、私はこう考えておるわけです。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 いまの答弁で、なくなれば結構ですが、そうは問屋は卸さないだろうと思うのでありまして、これはこれからの課題としてひとつ御検討いただきたいと思うのです。  続いて、子供の体力の低下というものが特に取り上げられているわけでありますが、いわゆる持久力がない、あるいは子供の虫歯が多い、あるいは長時間に対する持久力、体力、そういうものの点、あるいは投てき力、脚力、オリンピックでもマラソンなんかもうほとんど入賞の域からほど遠くなってきている。マラソンは何も優勝することが能じゃありませんけれども、とにかく全体的に見てモヤシの子だと言われているのが今日の現状であります。よって来る原因はどこかということについて、これは簡単にひとつお答えをいただきたいのです。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 よって来る原因はいろいろあると思いますが、やはり知育偏重といいますか、頭を使うことに時間を割かれ過ぎたということも一つの面ではなかろうかという感じがします。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 要するに今日の世代の子供たちが、戦後のいわゆる高度成長経済、そういうものによって、一方では学歴社会、いわゆる高い給料を取ってぜいたくな生活を行う、そして一方では華やかな社会が広げられている、一方では貧しい生活に追い込まれてとにかく汗みどろに働かなければならない、そういう社会構造の格差そのものがいや応なしに子供を塾に通わせなければならない親心になり、あるいはまた同時に、勉強の方に重点的に走らせるというような形になっていく。そのことが同時に、今度は栄養過多といいますか、どうしても過保護になる。その結果、鍛練が足らなくなって、結果的にはいま言ったようなモヤシの子であり、塾通いの子であり、あるいはそういうようなものになってきたのではないかと私たちは推察するわけでありますが、これは見解の差もあると思いますから、次の質問と一緒にお答えをいただきたいと思います。  埼玉県や神奈川県、あるいは千葉県は、人口急増県の対象県で、最もひどい対象の県となっております。ちなみにちょっと数字を申し上げてみますが、昭和五十一年度は、もうことしは終わりましたけれども、五万八千七百六十七人であります。これをずっと挙げていると大変ですから、最後の方にしぼりますと、昭和六十四年には十一万六千五百三十四人が中学校三年生になります。もっと短い時間、四年目、四年目ごとに大体二万人ぐらいずつふえていきます。どういう現象でそうなったのかわかりませんけれども、これが五十四年には大体七万八千人になる。それから、その四年目の五十七年には九万七千人になる。それから大体その四年目の六十年には十一万三千六百四十八人になる。それからその四年目には十二万四千三百人になる。大体四年目ごとに一万八千名から二万名の増、こういう結果が出ているわけであります。二万名の増をクラスに直すと幾らになるかということは、いまの四十名の定数として計算するとわかると思うのです。そうすると、現在の地方財政の中でこれをどういうふうにして建てていかなければならないか、その点どういうふうにお考えになっておられるか、お伺いをいたしたいと思います。

犬丸直文部省管理局長

○犬丸(直)政府委員 いわゆる急増地域におきます高校生の増加というものは非常に顕著な状況でございますので、それぞれ各県によっていろいろな事情がございますが、急増地域における小中学校の建物の建設につきましては、特にそういう急増地域の実情を勘案いたしまして、特定の指定された地域については補助率をアップするとか、あるいは、従来土地に対する補助金というものはございませんで、もっぱら交付税措置で、あるいは起債措置で賄われておったものを、土地の補助も臨時措置として始める、そういうような措置を逐次講じてきたわけでございます。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 いま抽象的にお答えになられましたけれども、五十一年度の五万八千人が六十四年度には中学三年生が大体十二万人になる。こういう場合に高校が何校必要になってくるか、これは計算してわかるでしょう。その場合に、普通高校の場合で坪数大体一万坪。一万坪で、国土庁が発表している埼玉県の公示価格で大体どの程度になると思われますか。暗算でいいですから、ちょっと計算してみてください。

犬丸直文部省管理局長

○犬丸(直)政府委員 突然数字をお示しいただいたので、ちょっと急に計算できませんが、小学校、中学校、それぞれ一校分平均してどのぐらいかかるかということでございますが、たとえば小学校の十八学級にいたしますれば、基準で算定いたしますと、建物で約三億九千万円、それから中学校の場合にはやはり十八学級で四億八千九百万円、そのくらいの金がかかるだろう、われわれの計算ではそういうことになるわけでございます。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 いま五万八千七百六十七人という数字で百八校あるわけです。それが倍になるということは、いまの競争率をそのままとしても、少なく見て百校の高校ということになるわけですね。百校ということは、普通高校の場合に一校一万坪という坪数で計算しますが、大体埼玉県の平均坪単価をどの程度に考えますか。最低に見て調整区域でも十五万か二十万と見ざるを得ないでしょう、どうしても県南が多くなりますから。そうなったらどうなりますか、この土地の取得は。いままでつくってきた六・三・三制の高校を、このわずか七、八年の間にちょうど倍の高校を建てなければ、いまの競争率にならない、こういうことになるわけですね。その現実をどういうふうにお考えになられますか。

犬丸直文部省管理局長

○犬丸(直)政府委員 急増地域におきまして、高校建設につきましては大変大きな需要があるということは存じております。そういう地域における高校建設につきましては、補助金を増額するように、そもそも高等学校の建物自体本来は交付税措置で賄っておったわけでございますけれども、緊急措置として五十一年度から補助の金額をふやすように努力いたしておる次第でございます。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 努力をされていることについては敬意を表すとして、要するに高校の人口の急増によって地方財政がゆがめられないような配慮をするということが、まず一つ必要なことだと思うのです。ですからいま私があえてこの数字を挙げているということは、現実問題としてここ十年ぐらいの間に倍の高校を建てなければならない。そうすると、この四年間しかこの間は数字は出していないのですけれども、それでも三万人の数になってくるわけです。九四・五%の進学率、その六割を公立高校に入れるとしたとしても、いま言ったように八十何校の高校を必要とする。そうすると、地方財政のいまの状況では、大体人口一人当たり十万ぐらいが現在の予算規模でしょう。二十八兆円の予算ということになるから、大体人口一人当たり十二、三万円が予算規模の限界です。そのうちの半分は人件費ということになると、三十何%が教育費にとられてしまう。あとはもう一切構成比からはとることができない、こういう事態を迎えるわけですね。これはおわかりになるでしょう。その点どうですか。

犬丸直文部省管理局長

○犬丸(直)政府委員 急増地域の県あるいは市町村にとりまして、学校建設というものは大変な財政的な負担になっておるということは、全般的な事情としてよく存じております。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 わかってもらうだけでは困るので、これをやはり実現する体制を必死になってやってもらわないと、地方財政それ自体がいわゆる破滅といいますか、破局を迎えてしまうということになるし、特に埼玉県なんかでは地盤沈下はどんどん進んでおりますし、所沢なんかは二十センチも下がっているというような状況も進んでいるわけですし、平均二十ミリも地盤沈下は進むし、あるいは学校は足らないし、通勤はパンクだし、こういう状況の中で土地をどう取得するかという現状もあるわけですから、そこへどんどん人口はふえていくということになれば、いや応なしにどこかに無理が起きてくる。それが子供の教育の上にもいろいろな問題が生じてくるわけですから、やはり基本的な環境整備というものを含めながら、学校教育の基盤の整備に特段の配慮をしなければ地方財政そのものが破滅になってしまう。こういう事態を真剣に受けとめて、予算措置というものを講じないと、いま言ったような事態になるという点については十分理解をしていただきたいと思うのですが、いかがですか。

犬丸直文部省管理局長

○犬丸(直)政府委員 そういう急増府県の実情につきましては、何とか対策を講ずる必要があるということで、先ほども申しましたけれども、従来補助の対象にいたしませんでした高等学校の建物につきましても、五十一年度から補助を開始しております。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 次に、医科大学の問題についてお伺いをいたしたいと思うのですが、現在の医療水準は埼玉県は全国最下位であります。ほかにも最下位の——最下位というのは一つしかありませんけれども、低い水準の県もございます。昭和五十三年度から高知、佐賀、大分が開設されるようでありますけれども、この五百万人という、ほかの県の二つか三つ分くらいある人口を抱えている埼玉なり、いま岩手がないのでありますが、この埼玉と岩手について医科大学の設置の順番といいますか、どういう順番でこういうものがつくられていっているのか、その順序の基準についてちょっとお伺いをいたしたいと思うのです。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野(文)政府委員 国立の医科大学の創設につきましては、昭和四十八年に無医大県を解消する。この無医大県と申しますのは、国公私を通じて医科大学のない県を解消しようということで着手をいたしまして、ごれまでに十二校の創設を終えているところでございます。そういう意味で、無医大県、つまり医大のない県というのはあと四つ残っております。これらの四つについては、五十二年度において創設準備を進めるということにいたしております。  医科大学の創設というのは非常に大きな仕事でございます。私どもは、これまでの十二、これからつくっていく四つを含めて、その整備ということについて全力を挙げるということを考えておりますので、無医大県解消が終わった後について、さらに国立の医科大学をつくっていくというふうなことは、現在のところ考えておりません。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 無医大県というのは、具体的に言うとあと福井、山梨、香川、沖繩で、高知、佐賀、大分は五十三年度でありますが、そうすると福井、山梨、香川、沖繩、この四つ以外にもあるのですか。その四つがそうなんですか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野(文)政府委員 御指摘の四つが残りの無医大県でございます。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 そうすると、この四つ以外の埼玉、岩手はどういう順序になるのですか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野(文)政府委員 埼玉の場合も岩手の場合も、それぞれ私立ではございますけれども医科大学が存在いたしますので、私どもは無医大県とは考えていないわけでございます。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 そうすると、この埼玉医科大学というものを無医大県ではないという一つの存在の評価として考えている、こういうふうに解釈していいのですか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野(文)政府委員 御指摘のとおりでございます。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 この埼玉医科大学の現状で、入学金の問題をあえて私も触れたくはないのでありますけれども、そうなるとやはり一応触れざるを得ないのですけれども、入学金二十万、授業料六十万、実験実習費十五万、施設拡充費六十万、体育実習費一万、雑費一万、それから学生会費二万、毛呂山会費として父兄会で二十万、毛呂山会育英会費で五万、合計百八十四万、これは入学願書に示されている入学金なんです。しかも一方、われわれが聞くところによると、そのほかに裏金幾らという。ここで公表することはどうかと思いますから・あえて公表することはしませんが、一学年の定員が八十名、総定員が四百八十、現在五百二十七名を収容いたしております。こういう状況の中で、これも内容を見なければわからないのですけれども、入学している子供たちの質的なもの、あるいは状況的なものを判断したときには、われわれとしては、それが果たして本当の正規の医科大学というふうに評価することが妥当なのかどうか、その点、非常に疑問に感ぜざるを得ないのでありますが、この五百万という県民を持っている埼玉、しかも一番へんぴなと言っては悪いのでありますが、郵政大臣のいるところですから、へんぴなと言っては悪いのでありますが、いずれにしても毛呂山という地域であります。そういうようなところにこの大学が存置をしている。埼玉県民として利用する場合にはきわめて不便であります。そういう状況を考えたときに、これを医科大学の一つの例に挙げているという根拠は、これが、十分な施設と十分な内容と、それから標準的なものを持っていると解釈されているのかどうか、その点ひとつお伺いをいたしたいと思うのです。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野(文)政府委員 設置形態の別によりまして、確かに御指摘のように、入学時の寄付金の問題あるいは授業料の問題等はございます。その問題ございますけれども、医科大学として備えるべき病院その他の問題、あるいは教員、組織の問題その他については、いずれも設置基準に従って設置をされ運営されているものでございますから、国立大学の場合と同じように医科大学であるということがりっぱに言えると思います。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 いま埼玉の医療水準は全国最下位だとさっき述べました。ベッド数においてしかり、看護婦数においてしかり、とにかく医療水準は医療砂漠と一応言われているわけであります。そういう状況の中で、二千万のような金でここに入ってきている生徒は県内はわずかに一七%であります。ほとんど全国のお医者さんの子弟が入ってきているというのが現状です。しかもその裏金のような金で、全国のお医者さんの子供たちで、正規の医科大学に入りがたいと言うか、入りにくいと言うか、そういう条件の子供が入ってきている現状です。そういう状況の中で、ただ大学の名称を使っているからそれは大学なんだという、そういう格づけをするところに問題が——私は何もこの大学を誹謗しようという気はありません。しかし、そういう認識で埼玉の医科大学の存在そのものを見るということになると、どうしても比較論争というものをせざるを得なくなるし、あるいはこの内容についても議論をせざるを得なくなる。そういう点については、どういうようにお考えになっておられるのか。これは大学は大学であるかもしれないけれども、その実態と中身をもう少し調べたらわかるんじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野(文)政府委員 埼玉医科大学は、落合学長を中心といたしまして、やはり埼玉医科大学としての建学の理想を掲げて、そしてそれを発展させようと努力している医科大学でございます。もちろん国立のない、岩手医科大学しかない岩手の場合、あるいは埼玉医科大学しかない埼玉の場合、それぞれ国立医科大学を設置してほしいという御要望があることは承知をいたしておりますけれども、先ほど来申し上げておりますように、無医大県解消の十六の医科大学をつくるということはきわめて大変な仕事でございますので、これに全力を挙げさせていただきたいということでございます。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 あなたは実態を調べられたことがありますか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野(文)政府委員 新しくつくりました医科大学につきましては、大学設置審議会におきまして年次計画の進行状況等についてはチェックをいたしておりますので、その点から言って、設置基準との関係で現在は問題はない整備の状況にあるというふうに承知をいたしております。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 さっきの数字を訂正しておきますが、県内は七十一名で一三・五%、県外が四百五十六名で八六・五%ですね。一七%というふうに言いましたけれども、これは訂正をいたしておきます。  そういうような条件の中で、いま言ったようなX金と言いますか、マル金というようなものによって全国のお医者さんの子供さんが入ってきているという実態なんですね。そういう実態の中で、果たして日本の正常ないわゆる医科大学としてこれを見ていくことが正しいのかどうか。それはそれなりの意味はあるでしょう。お医者さんの後継ぎがいなければ困る、そういうような気持ちの父兄もおられるのでありますから、それはそれなりの意味はあるだろうと思う。しかし、一般の国民の水準から見た常識の医科大学というものに当てはまるかどうかということになると、それは常識的な医科大学には当てはまらない、そういうことになると思うのです。だから埼玉県知事がわざわざ、医科大学は別途埼玉県としてはつくってもらわなければ困る、こういう要望を出しているゆえんは、私のようにずけずけ物を言ってないだけの話であって、中身から見ればそれはわかっている話じゃないのかということを暗に言っていることにつながるのじゃないですか。その辺のことを考えて、五百万の県民の命を守るという立場からも、あるいは東京都に隣接するという立場からも、配慮してもらわなければ非常に困るというふうにも私たちは考えるわけですが、順位の変更とかなんとかという問題は別として、考慮される用意があるのかどうか、重ねてもう一回お答えをいただきたいと思うのです。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野(文)政府委員 四十五年以来多くの新設の私立の医科大学ができております。それらの新設の私立の医科大学の教育研究の内容の充実ということについては、もとより私どもも鋭意指導に努めているところでございます。  しかし、先ほどもお答え申し上げましたように、私どもは現在、国立医科大学の創設につきましては、無医大県解消計画以上のところは考えておりません。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 いま言われた答弁、具体的に言ってくれませんか、どこがどうなるということで。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野(文)政府委員 先ほど御指摘のありました福井、香川、山梨、それから琉大の医学部、この四つをつくるということ以上には考えていないわけでございます。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 すると、埼玉には建てないということですか。岩手にも建てないということですか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野(文)政府委員 埼玉と岩手に国立医科大学をつくる計画は、私どもは現在持っておりません。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 非常に遺憾な答弁でありまして、これは追って別の機会に論戦もするし、また別な機会にあなた方の方針が重大な誤りであるということがわかる。来年五百四十七名が卒業するそうですか、そのうち国家試験に何名通るか、その事実によって恐らく証明されていくであろうと思います。そうなったときに、あなたも在職していてくださいよ。そしてあなたの言葉が、いかに今日の事態にそぐわないものであるかということが明確に証明されることを、私は信じて疑わない。そういうことを保留して、次の問題に入りたいと思います。  次に、文部大臣大変お疲れのところで悪いですけれども、今日の青少年の問題について、テレビの放送の中に青少年の意見を組み入れる、こういう発想というものはあるかないか、そういう点についてひとつお答えをいただきたいと思うのです。  時間の関係で簡単に言ったのですが、いわゆる青少年問題というものは、いまの日本の一つの大きな問題になっております。この青少年の健全な成長、あるいは環境、そういうものを保持していくために若い人の意見を放送の中に入れていく。われわれが考えるのではなくて、本人たちに考えさせるという場を与えていくということが必要ではないかと思われるのでありますが、放送の中にそういうような意見を反映させる機会をつくってあげる、あるいはとらえてそういう機会をつくってやる、そういう企画なり考え方はあるかどうか、この点をお伺いをいたしたいと思います。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 私も余り専門的な知識は持ち合わせておりませんけれども、たとえば中学生あるいは高校生の立場で、それらの人が番組そのものに出演をして、いろいろ活発に青少年としての自由な討議をしていらっしゃるのを私も何回か見たこともございますし、それから、それはまた各テレビ放送局ごとの編成上の問題になろうと思いますけれども、聴視者参加番組の中なんかに、青少年が出演をしていろいろ意見を述べ発言をしておる場も現にあると私は思っておりますし、また、そういったことは大事にされたらいい、こう考えております。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 じゃ一応そういう点について、これからひとつ文部省としても十分御考慮いただくようにお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

始関伊平自由民主党

○始関主査 これにて沢田広君の質疑は終了しました。  次に、古川雅司君。

古川雅司公明党・国民会議

○古川(雅)分科員 断片的にわたりまして、はなはだ恐縮でございますが、二、三の事項について政府の所見を伺ってまいりたいと思います。  まず最初に、広島大学水畜産学部に所属をいたしております実習船豊潮丸についてお伺いいたします。この船は非常に老朽化をいたしておりまして、設備等も非常に陳腐化いたしております。新年度予算で新たに建造の予算として四億八千万円が計上されたというふうに伺っております。予算要求の方は六億円ということで試算をいたしております。この約一億二千万の減額が出ておりますけれども、この点、問題はないか、まずその点からお伺いしていきたいと思います。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野(文)政府委員 御指摘のように、現在の豊潮丸は三十四年二月に建造されて老朽化いたしておりますので、代船三百トンを建造するという計画で近く着手をいたす予定であります。五十二年、五十三年を通じて建造をいたすわけでございます。御指摘のように、ことしは四億八千万円でございますけれども、国庫債務負担行為が別にございますので、建造には支障がございません。

古川雅司公明党・国民会議

○古川(雅)分科員 確認をしておきますが、これは瀬戸内海における海洋資源の確保とあわせまして、環境開発の面からも、海洋の調査研究に非常に大きな期待が持たれておるわけでございます。特に、新造に当たりましては、最新の設備を備えてということで、大学当局も非常に期待をいたしておりますところで、設備資材の高騰等もあわせまして、所期の計画設計が後退しないように、十分に御配慮をいただくように御要望申し上げまして、次の質問に移らしていただきたいと思います。  次は、国際連合大学、いわゆる国連大学の運営及び各国の協力の見通しについてお伺いをしてまいりたいと思います。非常に限られた時間でございますので、これまで私が伺いましたことを若干羅列いたしまして、大臣の所信をお伺いできればと思います。  まず、国連大学の運営機構につきましては、一つには研究教育センター、これはまだ未設置でありますが、もう一つ提携機関がございまして、この二つの機構をもって運営をされていくということを聞いております。  開設以来この一年間の国連大学の活動の実績を伺ってまいりますと、大きく四つ挙げておられるわけでございまして、第一に、東京に本部の事務所を設置したということ、二番目に研修プログラムの企画を立てたということ、それから三番目には国連加盟各国を訪問したということ。そして四番目に、これは活動と言えるかどうかわかりませんが、この一年間何とか維持してきたということ。こういう実績を挙げておられるわけでございまして、すでに設置をした提携機関につきましては、三カ所、グアテマラとインド、フィリピンが挙げられておるわけであります。研究教育センターの方は、設置の希望の申し入れ国が十六カ国ありますが、未設置の状態にある。  ここで非常に大きな問題になりますのは財政運営の面だそうでございまして、いわゆる運営資金の調達が思うようにいかない。設立当初、目標としては国連加盟国全体から五億ドルの基金を集める、そのうち一億ドルを日本が分担するという目標であったということであります。今日までの実績を伺いますと、全体で六千三百万ドル、そのうち日本が六千万ドル拠出しているわけでございまして、日本以外の加盟国につきましては、三百万ドルという非常に低調な状況である。そこで、こういう状況の中で、一体この国連大学の運営の見通しはどうなっていくのか。そしてまた各国のこうした非協力の原因と申しますか、そしてまた今後の見通し、対策についてどのようにお考えになっているのか、これをまずお伺いしてまいりたいと思います。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 基本的なことについて私の知る範囲でお答え申し上げますが、国連大学は、御承知のように国連とユネスコの共管のもとに行われるものでありまして、日本に本部を設置したことは御指摘、御承知のとおりでございます。  問題点は、御指摘のように、拠出金の集まりぐあいでございますが、日本は約束を忠実に守ってきちんと分担を果たしてまいりましたけれども、まあ私、率直に物を言うことをお許し願うならば、アメリカの拠出金が出ていなかったということに一番のネックがあろうか、こう考えましたので、この間へスター学長が私のところへ訪ねられたときも、私からもそのことを率直に申し上げて、先生御指摘の数字はまさにそのとおりでありまして、世界の十カ国がいま協力しておってくれるのでありますが、アメリカもやはり責任を果たしてもらいたい。もちろんアメリカにもいろいろ政権の交代等があったわけでありますけれども、ヘスター学長も、その際、自分としてもこのことはアメリカ本国へもよく話をするということを私には言って別れたわけでありますけれども、アメリカがそういう態度を示してくれることが、引き続きヨーロッパ諸国にもそういった影響を及ぼすのではないか、またそうなると私は思っておりますので、日本は日本としての立場で責任を果たしながら、国連大学の運営が今後当初の目的どおり、これは人類にとって大変な貢献をする研究機関でございますから、歩みを進めていくように取り組んでいきたい、私はこう考えております。

古川雅司公明党・国民会議

○古川(雅)分科員 大臣の御答弁を伺いますと、非常にアメリカに対する期待ということに重点を置いていらっしゃるようでございます。大変失礼な言い方でありますが、ただ期待にとどまっているという感じを受けるわけでございまして、特にアメリカに対してそうした期待をお持ちになる以上、やはり具体的に何らかの働きかけ、行動を起こしていかなければならないと思うのでありますが、その辺すでにお考えになっていらっしゃるかどうか。たとえば、今回の首相の訪米に際して、それも一つのテーマとして大統領に申し出をするとか、協議の一項に加えるとか、そういうことはすでにお考えになっているのでしょうか。

今村武俊文部省学術国際局長

○今村(武)政府委員 国連大学と文部省との関係では、大変やりにくい面が一つあるわけでございます。と申しますのは、国連大学は、国連とユネスコの共管のもとに開かれる、全く国際的に自治的な機構でございます。これに対して日本が招致したといういきさつがございまして、外務省の関係者のお話を伺いますと、諸外国に対して日本立国連大学という印象を与えないようにしなければならない、そういう面のむずかしさが一つあるわけでございます。いまのところ、私ども国連大学の事務当局から事情を伺っていて、そういうことをお話しできる程度でございますが、いま大臣が言及されましたアメリカの寄付のことにつきましては、すでにアメリカの議院では、一千万ドル拠出の権限法案を上下両院で可決したわけでございますけれども、前大統領がそのお金を諸般の事情から出さないという態度をとられた。新しい大統額が任命されまして、外交ルートを通じていろいろと接触はいたしておるわけでございます。

古川雅司公明党・国民会議

○古川(雅)分科員 先ほど数字を挙げて申し上げましたとおり、基金の拠出状況は惨たんたるものであります。したがいまして、国連大学の運営の見通しについては、現状ではきわめて暗いというふうに判断せざるを得ないわけであります。何か非常に中途半端な形でいま停滞をしているわけであります。いかがでありますか。

今村武俊文部省学術国際局長

○今村(武)政府委員 国連大学は、大学という名前を冠しておりますけれども、これは研究の組織でございまして、国連大学の本部と、御指摘なさいました研究研修センターの世界的なネットワークをもって、人類共同の課題を研究していこうという組織でございまして、キャンパスのない、学生のいない大学でございます。したがって、国連大学の基本的な性格の普及宣伝というところに従来力点が入っておりまして、いま一年に二回の理事会を開きながら三つの研究テーマも設定いたしましたし、それの世界の研究研修センターも、先ほど先生御指摘のように、三カ所も決まりまして動き始めましたが、それぞれ少しずつ遅々たる歩みはいたしております。世界的な規模で動いておりますので、国内のテンポからいたしますと、ずいぶんゆっくりしているように思われますけれども、世界各国から集まってくる理事の方々が、一年に二回協議して基本方針を決めながら動かしていきますので、非常にスローではございますが、しかし、私どもやはり、徐々にある方向に向かって動いているような感じはいたしております。

古川雅司公明党・国民会議

○古川(雅)分科員 先ほど、日本が余り積極的に表に出られない、いわゆる日本立国連大学という批判を浴びないようにという配慮が非常にむずかしいところだという御答弁でございましたけれども、本部が日本に置かれている以上、やはり日本の政府、特に文部大臣におかれても、この問題は、ただ単に静観とか、あるいは基金の拠出に対して一定の期待という段階だけでこの現状を見過ごすわけにはいかないと思いますが、大臣、いかがでありましょう。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 できるだけの成果を具体的に上げるために、なし得ることがあったらしたいと思いまして、私も、外交上とかいろいろな国際礼儀を抜きにして、最初に学長とお目にかかったときに、私の気持ちを率直に伝えて、学長としても御努力を願いたいということを率直に申し上げたわけでありますけれども、そのほかにも、いろいろ方法がありますれば、考えて行動していきたい、こう思います。

古川雅司公明党・国民会議

○古川(雅)分科員 私は、この国連大学の運営の将来の見通しについてお伺いしましたのは、実はこの研究教育センターの設置につきまして、広島が非常に強力な誘致運動を展開いたしております。これは広島県、広島市、大学それから経済、文化団体等をもちまして、国連大学広島誘置期成同盟会というのを結成いたしまして、まさに二百六十五万県民の一つの総意として受け入れを準備しておるわけであります。したがいまして、こうした将来の運営の見通しがはっきりしない以上、この運動も宙に浮いてしまうわけでございます。いまさら申し上げるまでもございませんけれども、広島市を中心といたしまして、人類最初の被爆地でもございますし、いわゆる平和文化都市の建設を基調としておりますその広島といたしまして、非常に強い要望を持ってこの運営の成り行きを見守っているわけでございます。そういう意味でこの運営の将来性について伺ったわけでございまして、こうした広島における誘致の運動に対して、どのように受けとめていらっしゃるか。その点をお伺いいたしたいと思います。

今村武俊文部省学術国際局長

○今村(武)政府委員 私ども、国連とは、権限という関係ではなくて、事実上の連携関係、連絡の関係があるわけでございますが、私ども国内のテンポで考えるのとは、ずいぶんゆっくりしたテンポで仕事をやっておるわけでございます。しかし、着実にやっておるという感じでございますが、いま理事会を開きながら三つのテーマを決めたことと、それからその連携の世界の研修所の指定の問題に入っております。  それから、私ども日本の側といたしましては、いま暫定的な本部があるわけでございますけれども、約束によりまして、恒久的な本部の敷地を定め、その建物をつくるという仕事を政府が約束をしておるわけでございまして、そういう仕事をやっていかなければならないわけでございます。そういうテンポからいたしますと、研究センターの設置について国連大学自体がまだ確たる方針を持っていないというような段階でございまして、広島のそういう運動に対しましては、国際的に大変御理解のある熱心な運動だと思いますが、相当気長なテンポをもっておやりになる必要があるのではないかというふうに私見としては感じています。

古川雅司公明党・国民会議

○古川(雅)分科員 大臣、この点につきましては、いまるる御説明を伺っておりますと、非常にテンポのおそい、先行きの遠いといいますか、歩みのように受け取れるわけでございますけれども、少なくとも研究教育センター、この設置につきましては、政府の方でも、ある程度日本においては候補地を挙げ、こうした広島であれば広島というふうに具体的に地域の設定もして、なおかつ国連に対して話を具体的に進めていくべきではないか、このように思うわけでございますが、いかがでございますか。

今村武俊文部省学術国際局長

○今村(武)政府委員 国連大学の関係は、時間の進行とともに、あるいは国連大学の理事会において国連大学の方針が決まる経過とともに、いろいろ考えていかなければならないと存じております。広島のそういう問題も視点の一つにおさめながら、今後検討さしていただきたいと存じます。

古川雅司公明党・国民会議

○古川(雅)分科員 この二百六十五万県民の総意による熱心な要請があるということをひとつ踏まえて、強力に大臣、御努力いただきたいと思いますが、いかがでございますか。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 御熱心な御要請があるということを私十分ここで承りましたので、心にとどめて作業していきたいと思います。

古川雅司公明党・国民会議

○古川(雅)分科員 第三番目の質問になりますが、いわゆる私学の振興について、特に大学、高校における父兄の負担について若干お伺いしてまいりたいと思います。  大臣の所信表明でも、私学振興など五本の柱をお立てになりました。特に、基本的な方向といたしまして、大臣は、私学はわが国の学校教育の普及と発展に多大の貢献をいたしております。このようにおっしゃっておるわけでございます。しかし現実には、非常にたくさんの議論が繰り返されておりますとおり、なかなかその貢献にこたえるというところまで達していない。文部省の調査にもございますとおり、私立の大学で学生の一年間の一人当たりの納付金が約五十万円、私立の高校の方では入学金などを含めた初年度の納付金でさえ四十五万円からまた五十万円ぐらいに達している。これは私立に子供を送る父兄にとっては非常に大きな負担になっているわけです。これは、いまさら申し上げるまでもありませんけれども、いわゆる教育の機会均等の立場から見ても、私学の振興という面から見ましても、今日の助成のあり方でいいのであろうかということが非常に大きな問題になってきているわけであります。  端的な例を見ましても、五十一年度の公立高校の生徒一人当たりの経常費の地方交付税の積算額が二十九万七千五百円、五十一年度の私立高校等の経常費に対する国の財源措置は生徒一人当たり六万円、国の五倍もの非常な開きがあるわけでございまして、この財源の助成の開きが私学の授業料等に非常に莫大に父兄負担となってはね返ってきているわけでございます。特に私学振興を進めるグループ等から非常に大きな要望として投げかけられてきております。私立高校の経常費の二分の一まで補助額を早急に上げるように実施してほしいということが、まず冒頭に挙がっているわけでございます。  この点に対して、先般来、予算委員会でも大臣は非常に前向きの姿勢を繰り返しておられました。すでに検討の段階に入っていると思いますが、きょうは少し具体的にその内容についてお知らせをいただきたいと思います。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 私学助成の全体の方向というものは、私たちは、私学振興助成法を通して、そこに二分の一以内と書いてはございますけれども、あれは努力目標である、こう受けとめて、一刻も早くその努力目標に到達したいというので、五十二年度予算折衝に当たりましても、その点には十分力を入れて折衝をしてまいったのでありますけれども、いかんせん昨今の国の財政の実情というものとの板ばさみになりまして、必ずしも御満足のいただけるような数字的な成果を上げることができなかったかと思いますが、それでも私立大学に対します千六百五億というのは二四・四%の伸び率で、公共事業の伸び率を上回っておるわけでございますし、高校以下につきましても、三百億ということは、対前年度と比べるとこれは一番伸びた率でございまして、ささやかながらそういう努力の積み重ねをしながら努力目標に近づけていきたい、そういう基本的な心構えでこの問題には立ち向かっております。  それから、具体的ないまの御指摘の高校以下の二分の一というのをどうとらえるか、これは法律には規定してございません。それは、御承知のように設置者が県でございますし、県の負担分もございますから、国の方でいきなりどうのこうのということではございませんけれども、私どものこの問題に取り組む精神としましては、やはり大学に準ずる扱いで、地方団体とともに協力しながらその辺を目標にしてやっていきたいという決意でいま取り組んでおるところでございます。

古川雅司公明党・国民会議

○古川(雅)分科員 私立学校振興助成法の第四条の、大学についてですが、いわゆる二分の一以内という規定について、実際は三分の一にとどまっているわけでありますけれども、この二分の一以内というところにかなりひっかかりがあるのではないでしょうか。ここに甘んじているのではないかという印象が非常に強いわけであります。この点いかがですか。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 これは、法律ができます前夜といいますか、その前後のときに私どもも非常に議論をしたところでありますけれども、理想は高く掲げましたが、現在の置かれておる立場、実情、しかも御指摘のように現在まだ、たしか昭和四十五年から経常費補助が始まりまして、少しずつ上積みされてきた。そして今年度は二四%ぐらいでございます。五十二年度の予算措置、努力しました結果、これが成立しますと、それでも二七%ぐらいということです。ですから、二分の一以内というのも、現実と比べますと、われわれが到達すべき努力目標として、あの法律ができますときには、とりあえずはまずそこまで持っていこうということで、理想は高く掲げましたが、現実の国の財政事情とかそのほかの政策との整合性というところで折り合わざるを得なかった数字である、これは御理解をいただきたいと思います。

古川雅司公明党・国民会議

○古川(雅)分科員 同法の第九条の高校以下につきましては、全くそういう努力目標すら明記してなかったわけでございますけれども、この点、非常に手落ちだったのではないかという感じがいたしますが、今後これはどう対処していくか、やはりきちんと努力目標を掲げて、そういう方向に向かって助成を強めるべきじゃないかという感じがするわけでございますが、いかがでございますか。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 このことは、大学、それから高校の設置者の違いと申しますか、地方自治体にも一枚参加してもらわなければならぬという立場の違い等もございましたので、明示はしてございませんでしたが、実際の足跡としますと、それはもう大学並みに財源措置等も講じられてきておるわけでございます。試みに昭和五十二年度は、先ほど申し上げました私立大学等は全体で二七%と申しましたが、私立高校以下になりますと、財源措置、額の中に占める経常費二七・七%ということで、大体同じレベルで、むしろいまのところは高校以下の方がちょっと先行した形でありますが、同じようなレベルで進んでおりまして、法律に書いてある、書いてないは別にして、私どもの考えておる努力目標というものは同じところに置きたい、これが心情でございます。

古川雅司公明党・国民会議

○古川(雅)分科員 特に高校につきましては、最近、高等学校の義務化というところまで非常に議論が進んでおるわけでございますが、広島県等につきましても、中学から高校への進学率は大体九八%、九九%に達しているような状況でございます。事務局の方にお伺いいたしますが、全国的に高校の進学率というのは大体何%ぐらいになっているんですか。その中で、いわゆる公立と私立のそれぞれの割合ですね、ちょっと御明示願いたいと思います。

犬丸直文部省管理局長

○犬丸(直)政府委員 五十一年五月一日現在の一番正確な数字、現在のところはその数字でございますが、全国平均で九二・六%。公私立の区別は、ちょっとお待ちください。——ちょっといま公私立の区別の数字は持っておりません。

古川雅司公明党・国民会議

○古川(雅)分科員 私学の助成につきましては、こうした学校経営、運営に対して国あるいは地方自治体が助成をする、援助をする、それがひいては父兄の負担の軽減につながるんだというワンステップ置いた非常に間接的な効果を強調しておられるわけでございます。私、特に高等学校について申し上げたいのでございますけれども、私立を望んで私立の高等学校に進学させるというよりも、非常に公立の高校が少ない、また非常に狭き門で入学ができない、そうしたオーバーフローした人たちが私立に殺到している。これは何も家庭的に経済のゆとりがあって私立に上げているわけではないというのが現状であります。そういたしますと、公立に進学をさせるよりも五倍ないし六倍という負担を父兄がかぶっているわけでございまして、これは単に私立の学校経営、学校の運営そのものを財政的に助成するというだけでは、いつまでたっても父兄の負担の軽減にはつながらないという議論が非常に多くなってまいりました。  したがって、特に私は高校について心配をしているわけでございますけれども、こうした私立の高等学校に子弟を進学させている家庭に対して、直接その負担の軽減をさせる措置というのは講じ得ないものかどうか。従来、大蔵省との間で、いわゆる教育経費を税制的な必要経費として認めるというような議論もあったようでございますし、そういった方向からの父兄負担の軽減という方向、あるいは努力はなされていないのか、その点をお伺いいたしたいと思います。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 私立の高等学校に通わせる親の負担を軽減するために、いま先生御指摘の税制の上で直接教育費控除という制度、これは確かに検討をいたしたことございます。前から検討してまいりましたし、文部省といたしましては、それも一つの方向であると検討はしたのでありますけれども、何といいますか、所得税を納めておられない層に対してはもちろん恩恵は及びませんが、所得税を納めていらっしゃる層に関しても、その層ごとに控除の何か税制のむずかしい制度がありまして、私うまく説明できぬのですけれども、何かばらつきができてきて必ずしも公平ではないというような指摘等もあり、また、税制調査会の壁等もございますので、それなればいっそ、やはり私学助成という開かれておる現在の道でうんと努力して財政支出をすることと、それから私学助成だけで片づくとは決して思いませんので、私学振興財団の方の融資の方にも、いろいろ幅を広げたり新しい項目をつくったり、たとえば入学金の一時払いというのは親にとっても負担でございますから、学校法人が分割払いを認めるというならば、その制度に対する低利、長期の融資を事業団を通じてやるとか、あるいは育英奨学金は、これは個々の学生に貸し付けられるものでありますので、私学へ通う人の貸付額を増額するように措置をするとか、考えられるいろいろな現在の制度の中で手を尽くしてやってまいりましたわけで、税制に頼るという方法は検討はいたしましたが、いま申し上げましたようないろいろな問題点等もありまして、もう少し慎重に検討すべき問題だ、こういう結論になったわけでございます。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野(文)政府委員 先ほど、豊潮丸の代船の建造につきまして、不正確なお答えをいたしましたので、訂正をさせていただきます。  国庫債務負担行為約四億八千七百万円をもちまして、二カ年にわたって代船の建造をいたします。従来八十一トンでありましたものを、三百トンで規模を拡大してつくるわけでございまして、大学側も十分にこの案については了解をし、納得をいたしておりますので、これでりっぱな船をつくるということで御了承をいただきたいと思います。

古川雅司公明党・国民会議

○古川(雅)分科員 終わります。

始関伊平自由民主党

○始関主査 これにて古川雅司君の質疑は終了しました。  次は小川仁一君。

小川仁一日本社会党

○小川(仁)分科員 遅い時間で恐縮でございます。急を要しますことなどがございまして、文教委員の身でありながらここで質問することを、ひとつ御了解願いたいと思います。  学歴社会の打破、学歴を教育の中から排除していこうということについて、大臣非常に苦労しておられることに敬意を表しながら、実は教育の社会の中で、教育の行政の中で、学歴社会に準ずるような仕方での研修、こういうものが行われているような感じがしてならないのであります。たとえば文部省が中心になって行います中央の講習会等につきまして、その修了生のみが教頭になる、あるいはそういう重要な人事に登用される。また、海外研修等の場合も、中央の講習を受けた者は長期の方に回されて、地方の講習を受けた者が短期の海外研修。講習を受けない者は全然そういう資格は出てこない。こういった一つの講習会みたいなものが、学歴社会とは言いませんが、現在の国立大学対私立大学、あるいは学閥的な争いみたいな印象の中で行政が行われている感じがしてならないわけでございます。  まず第一に、教育行政の中から、ぜひこういった傾向を打破していただきたい、これが非常に大事なことではないか、こう考えますので、大臣の所見を伺いたいと思います。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 いま御指摘になりました具体的な問題、どう行われておりますか、ちょっと私その事実を把握しておりませんので、詳しいことは政府委員から答弁をいたしたいと思います。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 ただいま御指摘のありました研修の件でありますが、御承知のように、現職の教員の研修につきましては、国が直接主催をして行う研修もありますし、国が補助、助成をして都道府県でやっていただく研修もございますし、都道府県が独自にやる研修もあるわけでございますが、国といたしましては、おのずからその範囲に限界がございますので、現在、毎年、小、中、高等学校の校長、それから教頭、それから中堅教員、合わせて千八百名ほどの者について、これを教育会館の筑波分館において四週間ないし六週間の長期研修をするというようなことをやっておるわけでございますが、それは御指摘のように、それをもって、それぞれの県あるいは学校における特殊な身分を保証するというようなことでは、さらさらないわけでございます。  その研修を通じて、それらの人々の資質を向上していただくとともに、それらをならってまた各県においても独自の研修を展開していただきたい、そういうふうに考えておるわけでございまして、そのことが、いま御指摘のように、校長や教員の身分取り扱いに直接関連づけるというようなことは考えていないわけでございます。

小川仁一日本社会党

○小川(仁)分科員 関連づけていないというのじゃなくて、これは事実でもって存在しているから私は聞いているわけなんです。そういう講習を受けた者だけが重要人事に登用される、あるいは海外の長期派遣にやられるという形が具体的に存在するから、私はそのことを否定するのではなくて、それ以外の者でも、教室で毎日よくやっている者、あるいは現場の教師から非常に信用のある者、そういう者が、人事の任用なり、あるいは文部省のいろいろな海外の視察なりに登用されていない。登用されるような形を行政の中でつくっていかなければ、実は学歴社会の打破とか、あるいは教育の偏向とかと言っても、行政自体の中にそういう基本的な間違った考えがあるのではないか。事実に合わしてそういう状態を打破してほしい、こういうお願いを申し上げておるわけなんです。いかがでしょうか。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 どういう校長さんなり先生に中央の研修を受けさせるか、あるいは県の研修を受けさせるかということは、まさにそれは県の教育委員会の選定によるわけでございますから、その辺で、先生がおっしゃるように、各県があらかじめ、こういう人のみを幹部あるいは中堅として登用するのだという設定をしておれば、それは確かに問題だと思いますけれども、人事としては、これまでの実績なり研修の成果なりというものを挙げて、そういうことも一つの身分登用の見地として考えるということはあり得ることだと思いますし、また、そのことだけでやるということであれば、御指摘のように、それは問題であろうかと思いますので、十分考えなければいけないだろうと思います。

小川仁一日本社会党

○小川(仁)分科員 もうおわかりになって、百も御承知でおいてそういう御答弁をなさってはいけませんね。やはり事実として存在しているわけだ。一つの官製研修会を終えたものは、その次どうなる、その次どうなる。これに参加する機会のなかった者は浮かび上がれないという状態が存在するから、そうではなしに、この層からも人材登用やなんかというものを思い切ってやるという行政指導がなければ、もう教育界全体が沈滞いたしますということを含めて、基本的な方向を聞いておるのであって、その点について、大臣、ひとつ本気になって考えていただきたいと思いますが、どうですか。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 御指摘のように、そういったことがあろうがなかろうが、現場で一生懸命やっている人には、たとえば長期の海外派遣とか、そういったものに参加するとか、あるいは登用されて教頭、校長になっていくとか、いろいろな問題で区別がつくというのは、これはよくないことでありますから、私は、いまの局長の答弁を信頼して聞いておるのですけれども、もし、しかし、そうでないという事実があるとしますなれば、そういうことは改めていくように、今後厳重に心を配ってまいります。

小川仁一日本社会党

○小川(仁)分科員 ただいまのお話を聞きながら、後でそれでは事実を含めながら、文教委員会の方でお話を申し上げます。  次は、研修自体のことでありますが、今回、初任の採用教員と初任後五年の教員の研修予算が盛られました。これは画一的でないということを前提にして、お願いを含め、お考えを聞きたいのですが、岩手の場合で一つの例を申し上げますと、初めて教員になった中学校の教師が、自分が一つの免許状を持っておりますが、小規模の学校へ行きますと、直ちに二つないし三つの教科を持たされるわけでございます。これは岩手だけでなくて、全国そのとおりになっているわけでありますが、全国的に、このように中学校、高等学校で臨時に免許状を持たされて授業をしている教員の数はどれくらいございましょうか。——後で結構です。  私の県の例で言いますと、岩手の場合ですと、去年度の数字で、中学校で九百二十五人、二教科以上の教科を持っている者が二百十二人、これは一定時期を区切った数字ですから異動はあると思います。それから茨城県を調査いたしましたところ、千七百七十四人、二教科以上の教科を持っているのが二百四十二人いるわけでございます。こういう人たちが、実は教師自身も悩み、子供たちも大変困っているわけであります。  そういう観点から、研修の予算について、まず自分の免許状以外の教科を持たされた教員が勉強する機会に、その費用をぜひ回していただけないかということなんですが、いかがですか。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 おっしゃるように、小規模学校等へ行きました場合には、本来の免許教科以外の教科を担当しなければならないというような事態があり、そのために研修も必要とするということも理解いたしますけれども、私どもは、それはそれといたしまして、新任者全体について教育実習的な勉強が不十分であるという見地から、このたびの研修をしようとするものでありますが、それはそれとして実施をいたしたいということでございます。

小川仁一日本社会党

○小川(仁)分科員 教員になるには、一応自分の専門の学科は勉強してまいります。それなりに免許状ももらってまいります。そうして国語の免許状を持ってきた者が、学校の教員が足りないというので数学を教えろ、こうなるわけです。そのときに、この教師に一番先にしてやらなければならないことは、新任教員一般の心得ではなくて、いま自分の全然専門以外の教科を責任を持って子供に教えるために、十日間なり二十日間なり自分が入った大学へ行って、数学の授業の方法を勉強してきたい、こういう希望があったら、この人たちに優先的に研修の予算を使わせて、子供たちにも責任を持てる、自分自身も苦労しないで済むという形で研修をやらせてほしい。  ですから、最初言ったように、初任の研修の予算を画一的ではなくて、一番困っている者に使わしてほしい、こうお願いをし、このことについて、大臣、基本的な問題ですから、お考え願いたいと思うのですが、どうなんでしょうか。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 私は実情をつまびらかにしませんけれども、しかし、お話を聞いておりますと、確かに、自分の専門の教科以外のものを教えろと言われた場合の教員の立場というものは、自信を持って教えたいと思えば、そういった研修をしたいということになるのは当然だろうと思いますが、私は、これはよく検討させていただきます。

小川仁一日本社会党

○小川(仁)分科員 さっき全国の数字を聞いておりましたが、これは岩手県などのような僻地だけではなしに、全国的な傾向だと思います。岩手は高等学校でも、七十五人の者が自分の専門以外の免許の仕事を教えているわけであります。どういう形でいくかというと、一つの例で言いますと、音楽の先生は授業時間数が少ないわけです。ですから、どうしても全体的な時間数の関係で違った教科を持たされる。若い女の先生は体育を持たされる。こういう状態が往々にしてあります。そうしますと、ピアノを弾くという仕事と鉄棒を握るという仕事とは、全然相反する仕事、指の運動になるわけです。そのために学校の教師をやめたという具体的な例もあるわけです。  また、理数科だからというので、理科の教師が数学をみんな教えさせられるという形もあるわけです。現実に岩手で千人を超える人がいるわけです。茨城でも千七百人からの人がいるわけです。  そういうふうに専門以外の教科を教えている人たちが子供に責任を持って教育をするためには、当然自分の専門以外のものを、十日でも二十日でも教壇に立つ前にやりたいという気持ちを持つわけであります。  三月の人事が発表になります。いままで一教科持っていた者が小さな学校に行くと、四月から二教科、三教科になるわけですが、その期間にぜひ勉強したいという者に、私は初任の採用教員の予算がありますので、この予算から割いて、その人たちの希望を満たしてほしい。そうしなければ、とてもじゃないけれども、教師が子供について責任を持てません。  大体、無免許運転というのは、ほかのところでやったら処罰されるのですよ。車などで無免許運転したら、えらいことになりますが、教師だけが無免許で、しかも将来ある子供に責任を持たなければならないという状態のことをやっているときに、せめて十日ぐらいその者が、自分が専門でない教科の勉強をする時間と予算を与えることは、教育を考える立場から非常に大事ではないかと私は本気になって考えているのです。  その中で、銭がないというならともかく、初任新採用者の研修の予算がある。これは新採用だけではございません。初任後五年という予算もあるわけです。ところが、若い連中がみんなそういうふうにして、一人が二教科も三教科も授業をしているわけですから、この研修予算をまとめて、そういう勉強をしたい人たちに回していただきたい。これは緊急を要するのです。これがはっきりすると、小さな学校に行って、僻地に行って教師をいたします、こう言う人が出てくるわけです。もし、それがだめであれば、二教科も三教科も持たされる学校には行きたくありませんと言って、僻地を抱えている県では、人事異動等でも何でも非常に困る。こういうことなんで、直ちにいま予算に組んだものの中身を変更ということはできないにしても、ぜひ御考慮いただきたいことだと思うのですが、いかがでございましょうか。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 私は、いま初めてそういった御質問を受けまして、直ちにそれができるかどうかとか、いろいろ技術的な問題もございますが、実情を聞いてみると、最初申し上げたように、なるほどそれは、自分の専門以外の科目を教えろと言われれば、その教員の立場としてみれば、自信をつけるために研修したいという気持ちが起こることは、率直に言って私もよくわかります。  ただ、そういったことは、きょうまで全く方法として考えていなかったし、とられていなくて、これは各県ごとに各県の実情に応じて、それぞれ御処置を願っておったのだというふうな理解のようでございますので、直ちにいまここで、それをどうしろこうしろとおっしゃいましても、ちょっとお答えが申し上げられませんので、そういった実情等について私もよく調べて考えさせていただきますので、しばらく時間をいただきたいと思います。

小川仁一日本社会党

○小川(仁)分科員 私もここで、予算を全部かえて、そこへ回してくれと言っているつもりではないのですから、大臣にまじめに検討していただけば、大変ありがたいことなんです。  この機会に、先ほどの数字もお聞きしながら申し上げてみますと、特に三学級の中学校は教師が五人しかおりません。九教科ありますから、どうしても四教科は無免許運転をやる。それから時間数のバランスがありますから、一人で二教科も三教科もやる。こういう教育をしている岩手を含めた各僻地の状態と、一方、きょうは塾の問題の調査結果が出ました。よく見ましたら、岩手は鹿児島とともに二つ真っ白になっているのです。塾へ通っている子供たちが一〇%以下という県ですね。  しかしこれは塾に行く前の問題なんです。教育の中で、免許状を持っていない教師によって三年間教育をされている子供がいるという現実。だから、その子供に対して教師が責任を持って教育したい、こうなったときには、次分でもちろん勉強はします。しかし、二年、三年たった者ですと、いろいろ勉強の方法もわかるでしょうが、ことし初めて採用され教員になった者にとっては、やはり自分の教わった大学に行って、知っている先生に二十日でも十日でも聞いて、幾らかでも自信のある教育をしたい、これが教師の本当の気持ちだと思いますので、大臣ぜひこれは真剣に考えていただきたい。  同時に、私の方からもう一つお願いしたいことは、さっき無免許運転の話をしましたが、教科によっては相反する教科があるわけです。先ほどは体操と音楽の例を出しました。しかし、どうしてもそうなるのです。  というのは、さっきの茨城の例で言いますと、千七百七十四人の人が自分の専門以外の教科を教えているわけでありますが、そのうち免許状を持たないで体育をやっているのが六百七十人います。そうしますと、若いから体育を持てということになりますが、若いから体育を持てと言われても、いま言った問題も出てきますし、大変なことなので、これは定員問題にかかわると思いますが、上から力づくで臨時免許状をとって教えろということではなしに、最低本人の了解を得、本人の納得を得ない臨時免許状を提出させるという方式はやめてほしいと思うのです。  これは定員上の問題とか、いろいろあると思いますので、実情を知っていて言っているわけですから、無理な言い方をするつもりはありませんが、将来の課題として、この方向をなくしていくのだということで御確認を願いたいと思いますが、いかがでございましょうか。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 いまの小規模学校における無免許の場合は、臨時免許状をとらせるか、あるいはたしか法令上は一年の許可を得てやらせるかという制度があるわけでございまして、おっしゃるとおり、その場合、本人が自分の能力からして無理だというのを強制するということになりますと、実際の教育効果の問題もございますから、それは任命権者としては十分配慮しなければならない問題だと私も思います。しかし、一方また限られた定数の中で全教科を授業展開をしなければならないというのが学校の課題でございますから、そこはやはり校長とその担当者の間で、よくよく話をしてやっていただきたいということで私はいってもらいたいと思うわけでございます。

小川仁一日本社会党

○小川(仁)分科員 免許法上の問題の法律的な論争をするつもりでやっているのではありません。現場をどうかしてよくしたいという観点から申し上げているつもりなんです。そういうわけですから、免許法上から言ったら、上から押しつけて免許状を取らせることはできないはずでありますから。ところが、いまの状態を見ますと、自分がやれない教科を上から押しつけられて、しかも免許状を取るために、自分のお金を出してやらされているという、まことに矛盾した方式が行われているわけであります。その学校の教師である者が、たとえば数学の教師が一人いないというので数学の教育を全然やらない、こういう状態ができないことはわかっています。しかし、そういう場合でも、一つの地教委があり、あるいは各学校のいろいろな異動も含めて、やれない者に押しつけるということは、教育効果自身ではなくて、およそ子供にとって物すごく不幸でございますから、強制はできないのだという点を前提にして、どう話し合いで詰めていくか、教育的な話し合いの中で物をやっていくか、こういうことを考える、こういう方向で御指導いただけますか。  いまの指導は、取らせて、上からばあんと言いつけて、何であろうが一定の数をそろえろ、こういう権力行政でありますから、そういう方向ではなしに、教育効果を考えて話し合いでやる。どうしてもだめなときには、近くの学校と異動してでもその教科を埋めるという、いろいろな大きな地域を含めた形での物の見方で強制をしない、こういう考え方に立つわけにはいかぬでしょうか。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 おっしゃるように、そういう場合に、おられる人について無理無理に臨時免許状を取らせるなりなんなりということの前に、やはり小規模学校の場合は、どうしてもそういう二つ以上担任しなければならぬというケースもあるわけですから、その学校にどういう人を配置するかという教員の採用、配置について、まず十分気をつけてくれということを言っておるわけなんですね。その上でなお、いまおっしゃったような問題が生じた場合にこれはどうするかと言えば、確かにそれは、一方的におまえやれと言うてもうまくいく問題ではありませんから、よく話し合ってそれを分担をするようにするということでやるべきであろうと思います。

小川仁一日本社会党

○小川(仁)分科員 その自分の都合でなく取らされる臨時免許状については、一般の教員からお金までは取りませんね。いまお金取っているでしょう。免許状出すときに、手続料だか何だかわからぬけれども。どうですか。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 それは免許状を交付するわけですから、お金は一般的に取っておるはずでございます。

小川仁一日本社会党

○小川(仁)分科員 そうなんだよね。おかしいと思いませんか。自分がやれない教科を、学校の都合でやらせられたときに、それを取るのに、お金まで出して取らなければならないなんて非常に困難だと思うので、その辺はどうします、これからの課題として。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 先ほど申し上げましたように、そういう場合のやり方は二つございまして、一つは臨時免許状を取らせる。臨時免許状を取らせれば、それはやはり本人の申請にかかわりますから、免許状交付ということになりますが、もう一つ、その場合は、一年以内の期限を切って、特別に免許教科でない教科を教えることができるという法律上の制度がございますから、許可でやるという場合には、そういう手数料の問題は起こらないわけであります。

小川仁一日本社会党

○小川(仁)分科員 教員がそれやっていないわけではないのですよ、小規模学校でね。体育の先生が英語教えているかもしれない。それからお金を取るというのはおかしいと思うので、取らないと、ここで言ってくださいよ。たかが一枚五十円でしょう。そんなことは、取ったから財政がどうとか——むしろ、ぜひこれをやってくれとお願いする立場でしょう、任命権者の方は、免許状を持っていないのを。だから逆にお金をつけて、これだけ出すから勉強して、その教科を教えてくれと頼まなければならない立場だと思う。どうもこの辺が納得できないので、さっきの研修の予算をそっちの方に、勉強する者に使わせてくれという問題とあわせて、この辺ではっきりした態度を表明願えればありがたいと思いますね。

諸沢正道文部省初等中等教育局長

○諸沢政府委員 繰り返しますけれども、臨時免許状を取るということであれば、これは制度上、その場合は……(小川(仁)分科員「取るんじゃなくて、取らせているでしょう」と呼ぶ)ですから、免許状を取らせるということであれば、手数料を取らざるを得ない。しかし別の方法があるわけですから、手数料を取らないで、許可制度によって教科外の教科を担任できるわけですから、そのような方法でやっていただきたいということだろうと思います。

小川仁一日本社会党

○小川(仁)分科員 これは大臣、多分初めてのことだと思いますから、ひとついま言った問題も含めて真剣に御検討願いたいと思います。  私が、きょう申し上げましたのは、実は各県で人事異動が行われているわけです。僻地の学校に行っている教員があるわけです。その教員たちが僻地へ行きますと、一人二教科も三教科もやらなければならない。これは大変なことです。特に音楽の先生がいない学校などでは、中学三年の音楽を、ほかの教科をやった人なんというのは、まず不可能ですね。ピアノ弾けと言ったら、綱つけて引っ張るくらいが精いっぱいだというふうな状態があるわけです。それをやらせているわけですから、ぜひ予算について、初任の採用の研修予算、初任後五年の研修予算、こういうものを免許外担任の教員に思い切って優先的に使わせて、その教師たちが子供たちに対して、最低でも責任を持って教育ができる状態というものを、今度の予算の中で御検討願いたいと思うのです。私も、初中局長のところに参っていろいろお伺いし、これからの具体的な意見も申し上げたいと思いますから、この点については、くれぐれもお願いを申し上げたい。そして、そういう使い方の方が、並べて一週間どうこうという授業よりも非常に効果があるものだということを認識を願いたい。  それから、時間がありませんけれども、実は厚生省に質問するものの関連の中で、文部省御出席にならなかったので、中国の問題をちょっとやらせていただきたいのですが、中国の孤児、三十歳代の人たち、日本に帰ってまいりますと、学齢外の人たちでありますが、日本語が全然わからないという人たちがいっぱいいるわけであります。もちろんこれは学校教育の課題ではありません。したがって、文部大臣の所管かどうかわかりませんが、実は私、岩手でそういう人たちを何人も扱いまして、大変苦労をいたしました。小さい子供ですと、学校ですぐのみ込みますが、三十を過ぎた人たち、特に岩手のように開拓義勇軍なんかに行って奥地にいた人たちは、漢字もよくわからないままに日本に来るために、日本語教育が非常にむずかしいわけなんであります。  これの一貫した体制がないわけなんで、私は、所管が厚生省だというので、厚生省の方へ改めて質問をしながら、一つの責任体制みたいなものをつくって、各省協力をして一貫した引き揚げ者の対策を願いたい、こう申し上げるつもりなんで、時間がありませんから、お願いだけでございますけれども、文部省でも、日本語教育という問題について、ひとつ御関心を示していただきたい、こうお願いして終わらしていただきます。どうもありがとうございました。

始関伊平自由民主党

○始関主査 これにて小川仁一君の質疑は終了しました。  以上で、昭和五十二年度一般会計予算及び昭和五十二年度特別会計予算中文部省所管に対する質疑は終了いたしました。  次回は、来る十四日午前十時より開会し、運輸省所管の審査を行います。  本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十分散会

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