予算委員会第二分科会 第1号
- 発言数
- 379 件
- 登壇者
- 31 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1977/03/11
会議録
○金子主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。 私が本分科会の主査を務めることになりましたので、よろしくお願いを申し上げます。 本分科会は、外務省、大蔵省及び労働省所管につきまして審査を行うこととなっております。 なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。 昭和五十二年度一般会計予算及び昭和五十二年度特別会計予算中労働省所管について、政府から説明を求めます。石田労働大臣。
○石田国務大臣 昭和五十二年度一般会計及び特別会計予算中労働省所管分について、その概要を御説明申し上げます。 労働省の一般会計の歳出予算額は三千七百四十三億一千七百五十二万二千円で、これを前年度当初予算額三千四百十二億九千七百二万八千円と比較いたしますと、三百三十億二千四十九万四千円の増加となっております。 次に、労働保険特別会計について御説明申し上げます。 この会計は、労災勘定、雇用勘定、徴収勘定に区分されておりますので、勘定ごとに歳入歳出予定額を申し上げます。 労災勘定は、歳入歳出予定額とも九千八百四十二億八千六百三十八万三千円で、これを前年度予算額九千百五億一千七百七十五万一千円と比較いたしますと、七百三十七億六千八百六十三万二千円の増加となっております。 雇用勘定は、歳入歳出予定額とも一兆一千三百二十四億六千七百七十八万円で、これを前年度予算額一兆五百五十二億八千八百六十五万八千円と比較いたしますと、七百七十一億七千九百十二万二千円の増加となっております。 徴収勘定は、歳入歳出予定額とも一兆四千三百六十九億七千四百七十四万円で、これを前年度予算額一兆三千二百二億七千七百四十万四千円と比較いたしますと、一千百六十六億九千七百三十三万六千円の増加となっております。 最後に、石炭及び石油対策特別会計の石炭勘定中当省所管分としては、炭鉱離職者の援護対策等に必要な経費として百五十八億六千百三十二万二千円を計上しておりますが、この額は、前年度予算額百四十五億三千五百五十七万七千円と比較いたしますと、十三億二千五百七十四万五千円の増加となっております。 以下、この労働省予算の重点事項につきまして、委員各位のお許しを得まして、説明を省略させていただきたいと存じます。 よろしく御審議のほどをお願い申し上げる次第でございます。 なお、先般の与野党の合意に基づく社会保障関係予算のうち、当省所管の失業対策事業費の修正につきましては近日中に御提出いたしますので、よろしくお願いを申し上げます。
○金子主査 この際、お諮りいたします。 労働省所管関係予算の重点事項につきましては、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○金子主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔石田国務大臣の説明を省略した部分〕 次に、その主要な内容について概略御説明申し上げます。 第一は、成長率低下のもとにおける完全雇用の達成に必要な経費であります。 当面する最大の課題はインフレなき完全雇用をいかに達成し、維持するかにあります。 このため、政府といたしましては、雇用の動向に十分配慮した経済運営の確保に努め雇用機会の拡大を図るとともに、雇用対策の面からは、今後の安定経済成長を踏まえて失業の発生を事前に防止することが何よりも大切であるとの観点に立ち、雇用安定資金制度を創設することとし、これに必要な雇用保険法等の一部を改正する法律案を今国会に提出いたしております。 また、高齢化の急速な進展の中で、特に再就職が困難となっている高年齢者につきましては、昨年創設いたしました高年齢者雇用率制度の施行と相まって定年延長奨励金制度及び継続雇用奨励金制度の拡充を図るとともに、高年齢者職業相談室及び人材銀行の増設、高年齢者雇用奨励金の増額を図るなど高年齢者の雇用対策の強化を図ることとしております。 心身障害者につきましては、雇用義務の強化、身体障害者雇用納付金制度の創設を中心とした身体障害者雇用促進法の改正を昨年行ったところであり、今後はこの制度を軸に事業主の一層の協力を得るとともに、心身障害者職業センターや、勤労身体障害者体育施設の増設、雇用奨励金の増額等就職援護措置の拡充、障害者雇用促進団体の育成強化などの措置を講じ、心身障害者の雇用を促進することとしております。 なお、建設労働者、大学卒業等新規学卒者、炭鉱離職者、沖繩失業者、同和対策対象地域住民等のための雇用対策については、これを一層充実するほか、失業対策事業につきましても、就労者の賃金を五十一年度当初に比べ一二%引き上げることとしております。 これらに必要な経費として九千九百十五億五千二百八十三万八千円を計上いたしております。 第二は、職業訓練の充実発展と生涯訓練の基礎づくりに必要な経費であります。 雇用対策と並んで雇用の安定を支える柱である職業訓練の面におきましては、離転職者や雇用調整下にある労働者に対し計画的かつ機動的な訓練を行うとともに、より長期的な見地から、生涯訓練制度の確立を目標とした施策の展開を図ることとしております。 このため、在職労働者を対象として行う事業内職業訓練について、補助内容を大幅に充実すること等によりその振興を図ることとしているほか、職業転換訓練及び高年齢者職業訓練の拡充、心身障害者職業訓練の充実等訓練需要の多様化に対応した公共職業訓練施設の拡充と機能の強化を図ることとしております。 また、職業訓練技法及び訓練教材の総合的開発整備を行うため、職業訓練研究センター(仮称)を設立することとしております。 これらに必要な経費として四百九十一億九千九十二万六千円を計上いたしております。 第三は、労働者の健康と生命を守る労働者保護対策の推進に必要な経費であります。 労働災害は逐年減少傾向を続けていますが、一方で、社会的に大きな関心を呼んでいる職業がんなどの新しい職業病の発生が見られ、その対策が緊急の課題となっております。 このため、健康管理の始点である特殊健康診断の徹底を図るために中小企業労働者健康管理事業を創設するとともに新しい化学物質の有害性調査を行うための化学物質等実験検査センター(仮称)を新設し、また、疫学的調査研究を実施するなど、予防、健康管理、治療、補償等の施策を総合的に推進することとしております。 なお、職業病対策等の充実強化を図るため有害性調査の義務づけ、疫学調査体制の確立を中心とする労働安全衛生法の改正と粉じん作業労働者の健康管理の充実を期するためのじん肺法の改正を行うため、労働安全衛生法及びじん肺法の一部を改正する法律案を今国会に提出することとしております。 次に、未払い賃金の立替払事業につきましては、昨年から実施いたしておりますが、五十二年度におきましてはその支払限度額の引き上げなどを行い、制度の適切な推進を図ることとしております。 また、最低賃金制度につきましては、今後の最低賃金制のあり方について、現在、中央最低賃金審議会において審議が行われているところであり、その結論を待って対処したいと考えております。 これらに必要な経費として六千二百四十四億三百七十四万三千円を計上いたしております。 第四は、今後の経済社会情勢に即応する合理的な労使関係の形成促進に必要な経費であります。 労使関係を取り巻く情勢が大きく変化する中で、新たな経済社会情勢に対応する労使の適応が要請されており、厳しい現実に対する共通の認識を育てていくことが必要であると考えます。 このため、産業労働懇話会等を通じて労使関係者相互の理解を深めるなど合理的労使関係の形成を図るとともに、労使紛争の平和的解決を促進することとしております。 これらに必要な経費として七億三千三百七十七万六千円を計上いたしております。 第五は、勤労婦人を中心とする婦人の地位向上対策の展開に必要な経費であります。 国際婦人年を契機として婦人問題についての関心はさらに高まっており、先般、国内行動計画が策定され、また、昨秋には婦人少年問題審議会の建議も出されるなど婦人の地位の向上を図ることが強く要請されております。 このため、婦人雇用コンサルタントの配置などにより職場における男女平等の促進等を図るとともに、育児休業制度の充実など職業生活と家庭生活の調和に関する施策の推進を図ることとしております。 また、就業を希望する家庭婦人等の就業を援助するため、婦人就業援助センター(仮称)を設置するほか、特に寡婦等に対しては、職業訓練手当の支給、雇用奨励金の増額等積極的な就業援助措置を講ずることとしております。 これらに必要な経費として四億九千八百二十万五千円を計上いたしております。 第六は、勤労者福祉の充実に必要な経費であります。 勤労者の豊かで安定した生活を実現するためには、福祉対策の充実を図ることが必要であります。 このため、来年度におきましては、財形持家個人融資制度の発足等勤労者財産形成政策の充実を図るとともに、中小企業退職金共済制度の普及促進などの諸施策を推進することといたしております。 また、勤労者体育施設を初め勤労者のための福祉施設の増設を進めることとしております。 勤労青少年福祉対策につきましては福祉施設の整備充実のほか、勤労青少年のスポーツ活動の振興を図るための体力増進振興講座の開催、勤労青少年福祉団体の育成援助などを行うこととしております。 これらに必要な経費として二百十八億二千二百十七万五千円を計上いたしております。 第七は、国際化の進展に対応して、労働外交の展開に必要な経費であります。 近年、世界各国の政治、経済、社会の諸分野における国際協調の必要性はますます強まっており、このような情勢に対応して、労働問題の分野においても、国際的視野に立つ積極的活動が強く要請されるようになっております。 このため、今後とも、ILO、OECD等の国際諸会議への積極的参加等を通じ国際諸活動への協力を一層推進する一方、国際交流事業の拡充、レーバーアタッシェの増員等により積極的な労働外交を推進してまいることとしております。 これらに必要な経費として二十億五千百二十七万八千円を計上いたしております。 以上のほか、労働行政体制の整備充実、一般行政事務費等に必要な経費を計上いたしております。 以上、昭和五十二年度労働省所管一般会計及び特別会計の予算について、概略御説明申し上げました。 何とぞ、本予算の成立につきまして、格段の御協力をお願い申し上げます。 —————————————
○金子主査 以上をもちまして労働省所管についての説明は終わりました。 —————————————
○金子主査 この際、分科員各位に申し上げます。 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願いを申し上げます。 なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に要領よく簡潔に行われますようお願いいたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田芳治君。
○山田(芳)分科員 私は職業訓練校の問題と身障者の雇用促進の問題について簡潔に関係政府委員に答弁を求めたいと思うのでありますが、まず第一に、職業訓練校というのが、それぞれ名前はありますけれども、府県並びにいわゆる政府所管の事業団の訓練校があるわけでありますが、最近の傾向として高等学校進学率が非常に高いので、中学の卒業者によるところの職業訓練というものが非常に減少しているのではないかと思うのでありますが、総体としての、一類、二類というふうに分けられているわけですけれども、一類の中学卒業者、二類の高校卒業者というような関係で、一体定数に対して実際どの程度の入校者が最近の統計であるか、まずひとつ全国的にお知らせをいただきたいと思います。
○岩崎政府委員 公共訓練校といたしましては、いまおっしゃいましたように県立のものとそれから雇用促進事業団立とあるわけですが、養成訓練につきまして申し上げますと、全国おしなべましての入校率は約八七、八%になるかと思います。それで、県立の専修訓練校だけをとってみますと九〇%、それから事業団立の総合高等職業訓練校をとってみますと八七%ぐらいになっております。
○山田(芳)分科員 中学校卒業者を対象とする部分についてはどのくらいの入校率ですか。
○岩崎政府委員 いま申し上げましたように、専修訓練校につきましては九一%ということになっております。
○山田(芳)分科員 私が現実に職業訓練校へ行きまして、いろいろ関係者に話を聞いたところによると、もう高等学校への進学率は九〇%を超えていくというような段階になりますと、中学を対象とした職業訓練校ということになると非常に減ってくる。非常に関係者はその点を憂慮をしておられるということでありますから、そういう点、一体今後の方向としてどうなるんであろうかということを皆心配をしておるという状況であります。 ですから、言うならば現在、中学校を出ると二年、高校を出ると一年、こういうことになっておりますね。だから、どこに問題点があるのかというと、確かに一つは、中学校を卒業をして職業につくというようなのは、職業訓練を経て行くということよりも、就職をして、その後企業内訓練あるいは企業から委託を受けてやるという形なら、これは一つの可能性はある。しかし、将来にわたって、一体日本の進学率というのは、ふえこそすれ減ることはない。極端に言いますと、中学から高等学校へ行くのに、ある程度いろいろな事情があって行けない人が、中学を出て職業訓練校へ行くというような形になっている。余り詳細に言いますと、いろいろ差し支えがありますから申しませんけれども、そういう状況の人しか行かないということですね。ですから、将来に向かってこの問題を本当に考えなきゃいけないんじゃないか。 一点は、それじゃ職業訓練校を出たからといって、特定な資格があるわけではありません。確かに技能が養成されるということであるなら、企業へ入った中で、企業内に訓練所があればそこへ行く。そうでないところは、委託みたいな形でそこへ入るというような形なら成り立っていくけれども、中学を出たままですぐに職業訓練校へ行って、それからまた就職というようなケースは、非常にレアなケースではないかというような状況になってきつつあるという点に対して、労働省としてはどういうふうにお考えになりますか。
○岩崎政府委員 高学歴、すでに高等学校進学率がいずれ九七、八%になろうというような状況でございますので、先生おっしゃるとおりだと思います。それで、四十四年の法律改正におきましては、県立は原則として中学卒を主体とした専修訓練校、それから事業団立は原則として高等学校終了者を対象とした高等訓練校というような仕分けをしてまいりましたけれども、その後の中学卒で訓練校に入ろうという人の漸減に伴いまして、現在は法律のたてまえもできることになっておりますけれども、県立の専修訓練校の専修訓練課程を高等訓練課程に切りかえていくという措置を、全国的に申しますと、毎年大体六十科目ぐらいについてとってまいっておりまして、総計県立で申しますと、三百二十四校ございますうちの、いまは半数以上の百二十三校が高等訓練学校という形で変わってきております。今後これはさらに毎年予算措置をもちまして、県立の訓練校につきましては、高等訓練課程の切りかえを促進してまいりたい、このような対応が一つでございます。 それから、いま先生おっしゃいましたように、事業内訓練を思い切って振興いたしまして、一たん企業に入って、それから、大企業ですと、その中での訓練施設ということになりますが、中小企業ですと、共同の事業内訓練というようなところでやって、養成訓練をいたしますことについての思い切った助成をして振興してまいるということと同時に、今後の公共職業訓練校のあり方としては、そういった一たん就職いたしました者の事業主の委託を受けて、受託訓練をするというような形のものも、できるだけ進めてまいりたいというようなことで現在検討をしております。
○山田(芳)分科員 そういう時代に適合した訓練校のあり方ということをひとつ十分考えていただきたいと思うので、中学卒という者については、もうほとんど志望がなくなる傾向にあるということをひとつ十分把握をしていただきたいと思うんですが、この質問は、私は後の本当の質問の背景として質問したのでして、実を言いますと、一つは高いところは高くしていかなければいけない。それから中学校等を対象にしたのを思い切って切りかえて、いわゆる身障者の職業訓練というような方向へ持っていくべきではないのかということを提唱をしたいわけです。 と申しますのは、昨年の十月に身障者雇用促進法の一部を改正されて前向きに取り組まれて、これは各党一致で成立をしたわけでありますが、どうですか、まだ一年たっているわけではありませんが、いわゆる企業がこの促進法によって身障者の雇用の状況を、納付金を納めてその義務を免れるという傾向は一体どうなっているか。まだ一年たたぬからわからぬと言うのか、あるいは大体の傾向はわかっているのか、この点、ちょっと現在の状況をまずお知らせをいただきたい。
○岩崎政府委員 いま先生の御質問に直接お答えすることになるかどうかわかりませんが、実は私どもが身体障害者の雇用状況につきまして現在つかんでおりますものは、一昨年十月一日現在の調査の結果しかわかっておりません。したがいまして、昨年の十月一日現在でつかまえるものはいま集計中でございます。 そこで、身体障害者雇用促進法の改正によりまして雇用率が高められ、また納付金制度というようなものが設けられた現状における数字ということを、数字的に裏づけて申し上げることはちょっとできないのでございます。
○山田(芳)分科員 われわれ聞いていますと、身障者の雇用の促進の方じゃなしに、どうも納付金の方へ行くんではないか。まあ特定の企業は非常に熱心なところがある、しかしどうもそうでないんだ。せいぜい、そういうのを高められたので、自分のところの企業の中で事故があったりして身障者になったような人を、そのまま雇用を継続する形でシェアを埋めていくというような形が多いというようなことを聞いておりますが、この納付金の問題と雇用促進との選択が許されるわけですが、その傾向についてどうですかということを伺っているわけです。
○北川政府委員 先生御指摘のような傾向といいますか、納付金さえ納めればいいんだという考え方がいまの段階で経営者側にあるということは、これは否定ができないと思います。ただ経営者側で、これはほんの一部かもしれませんが誤認がございまして、納付金というものが月三万円を年三万円というような考え方の方もございます。それで、実は新年度の会社の予算を負担するに当たりまして、結局一人雇わないと三十六万円になるわけでございますから、支出としてはかなりのものでございます。むしろそのことが契機になりまして、トップ段階でこの雇用促進制度、雇用率の問題が認識され始めて、身体障害者の雇用についてトップが積極的になりつつある、こういう好ましい傾向がございます。 実は、東京の飯田橋に学生センターというのがございまして、大学卒の就職あっせんをやっておりますが、先般超一流会社に対して身障の雇用率が達していないではないか、この際学卒の中で身体障害者でこういう人がおるけれどもどうかということで紹介を出しましたところ、非常にそれに対しての応募率がようございました。一般の学生からむしろうらやまれたというような事例もございますので、私は、この法律の施行を一つの契機といたしまして、やはり納付金制度というよりも、身体障害者を雇わなければならないという意識が次第に定着する、こう考えております。
○山田(芳)分科員 そういう好ましい状況は結構なんです。結構なんだけれども、雇わなければならないというのは、いま言った納付金が高いから雇わなければならぬという気持ちになっているだけであって、企業というのは労働を一つの商品としてやること、これは間違いありませんから、やはりその人に技能なり特殊なる能力があるということが必要なのではないか。 そこで、私が本来質問で聞きたいのは、いま言ったように、中学校の方の技能訓練の定数なり、あるいは切りかえ中だというふうにおっしゃるわけですが、非常な高校進学率、九〇%を超える進学率の中で、中学校卒業者の職業訓練の応募者というのは総体的に減ってくる。そういう中で、中学校の卒業者を対象とした部類にこの際身障者の職業訓練というものを設けていかないと、納付金制度とか雇用率の義務化をしてみても、現実に雇う企業側がいざとなったときに、雇いたいという意思はある、納付金を納めるより何かの形で企業で働いてもらう方がいい、こう考えても、今度は身障者側の訓練というものを十分やっておかないと、身障者の雇用促進法だけはできたけれども、身障者側もやはり十分な職業訓練、技能を身につけるという施策が並行していかなければだめなんですから。そういうふうにたまたまいま、中学校卒業者の訓練校というものがあいてきているのだから、それのかわりに身障者の雇用促進というものを、法律的、形式的に伸ばすのじゃなくて実質的に伸ばすために、やはり身障者のための職業訓練の科目なり設備に切りかえていただきたい。 というのは、身障者になりますと、たとえば車いすで上がれるような階段というのも必要なんですよ。また、便所なんかもいろいろ施設をしなければなりません。金がかかります。金はかかるけれども、やはりそこまでやっていかないと、身障者の受け入れというものについて法律ができたからといって、実質的な裏づけがないではないか、こう私は思うわけであります。 リハビリセンター等が各地で設けられて、そこでは一定の職業訓練を身障者に対してやろうとしておりますけれども、これはまあはっきり言って治療その他機能回復が主であって、現在は養護学校で高等学校まで行く。その上をリハビリセンター等で機能回復の訓練はするが、その後の身障者の行方というのはやはり職業を確保していくということでなければいかぬのであって、そうでなければ本当に身障者の人権を守っていくということにならない。そのためには、これは重症身障者を対象にして申しているわけではないので、働く意思と能力がある身障者に働いてがんばってもらうということが生きがいを与えるわけですから、そういう機能回復というものが一定の水準に達したならば、いま言った職業訓練校に身障者のコースを置いてこの技能訓練をやっていく。そのためにいろいろの施設も変えなければならないし、予算も要ると思うけれども、そこまで考えていかなければいかぬ。 確かにこの身障者の雇用促進法は、工場をつくったり何かすると書いてあるけれども、そのモデル工場も身障者が技能というものを身につけていかなければいかぬので、そういう意味では中学校を対象とする部門を逐次変えると言うのだけれども、私はちょうど身障者の雇用促進法も改正され、成立をしてまだ半年にもならないこの段階に、ひとつ思い切って身障者のために職業訓練校の中学校部門を切りかえていくというふうにすべきではないか、私はあえて提言をし、提案をするのですが、大臣どうでしょう、この考え方は。
○石田国務大臣 現在、一年たっておりませんので、事業団でやっているのが十一、県立が三つで、まだ数としては不十分であります。しかし、おっしゃるように適職、適能を探し出して訓練科目をふやしていく、と同時に、モデル事業所というようなものを一方においてつくっていくというような方法を講じていく必要があるし、その方向に向けて予算獲得、予算措置その他の努力をしていきたい、こう思っております。実情その他については局長からお答えをいたします。
○岩崎政府委員 いま大臣からお答え申し上げましたとおり、身障者のための訓練校はそういうかっこうになっております。さらに、いま先生おっしゃいましたような趣旨に若干適合するかと思いますが、一つは、現在でも一般の職業訓練校におきまして、一般の訓練生と同じような訓練を受けられるような科目、並びにその方々に対しましては、身障者も訓練をやっております。 それから、一般の訓練校の中に身障者のための訓練科目を設けるということにつきましても、県立の訓練校を中心にいたしまして各県といろいろお話をして、若干ではございますが訓練種目を身障者のために切りかえることの予算上の措置ができるようになっております。これはそれぞれ、その年度の各県の訓練計画等とのにらみ合わせもいたしまして私ども促進をしてまいりたいと思っております。 それから、身障者の訓練をいたしますには、さらに今後、一つには産業界での需要に対応し、かつ身障者に適合するような新しい訓練科目などについても開発の研究をしておりますし、また試験的に若干やっておるものもございますので、そういった方向でさらに充実、整備に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
○山田(芳)分科員 私がいま提案をしておりますのは、この中学校卒業を対象とするところは減ってくるんだから身障者の方に積極的にやれ、こういうのが一つであります。 もう一つは、高校を卒業した場合に、高校卒業してそれではすぐに訓練校に来るかということになると、これまたいろいろ問題があるわけで、それならむしろ企業が採用した中で、さっき言いましたような企業内訓練なりあるいは委託を受けるという形でやっていくという方向が現状では望ましいようであります。 さて、それとともに、いわゆる短大ですね、いま全国に三つつくろうと言われておるようであります。私はこの傾向はもっとどんどん高くなっていくんじゃないかというふうに思いますが、労働省としてはこういった短大程度のものをもっと各地に設置していくという方針ですか、どうですか、それをまずお聞かせいただきたい。
○岩崎政府委員 短期大学校につきましては、先生おっしゃいましたとおり、高等学校卒業者が主体になってまいりますので、それに対する技能の付与というのは、より高度の技能、知識を有する者を養成するということで、実は四十九年の法律改正で特別高等訓練課程、これが短期大学校の修得課程に当たるわけですがそれを設けまして、昭和五十年度から試行的に東京に短期大学校を一つ、小平につくったわけでございます。二年課程でございますので、その卒業生が今回出るということで新聞に報ぜられましたが、非常に引く手あまたであるというような報道がございました。それで、全国的にも、これは法律のたてまえにのっとりまして当面は雇用促進事業団立の総合高等職業訓練校を漸次特別高等訓練課程、短期大学校に切りかえていこうということを現在検討しておるわけでございます。それで、いま先生おっしゃいますように、二、三の訓練校につきましていろいろ現地での需要関係あるいは客観的な施設整備関係、それからもう一つは、その現地でいままで果たしておりました高等訓練課程をやっておりますそれをうまくほかに切りかえることができるか、それから主体的に申しますと、そこにおります指導員にそういった特別高等訓練課程まで教えられる能力を再付与するというような問題もいろいろございますので、ややテンポが遅いのでございますけれども、逐次そういうことで短期大学校の設立に努めてまいりたいと思っております。
○山田(芳)分科員 短期大学校程度のものは、今後の日本の技術革新なりあるいは企業の要請等からいうと必要であると思うので、やはりもっと前向きにやっていただきたいというふうに思うのですが、これは大臣も御存じなんですが、地元の舞鶴に訓練校ができて、これは地域のいろいろの要請にこたえているわけです。 ところで、人の集まる場所とかそういう形で、こういう新しい制度ができる場合には、どうしても日本海側というものは無視をされる。兵庫県も福井県もそういうものはありませんので、いわゆる西日本海側の拠点として現在の舞鶴の高等専修学校をぜひひとつ短大の方向に持っていってもらいたい。これは単に京都というのじゃなくて、北陸、山陰地域を抱合していかがなものであろうかということについて、将来の構想とその可能性についてひとつここでお伺いをいたしたい、こういうふうに思います。
○石田国務大臣 これは山田さん経緯をよく御存じだと思うので、私は一汗も二汗もかかされたところでございますので、私もよくわかっております。それから私自身も日本海側の出身でありますので、職業訓練、特にその土地に産業を興すという意味において、比較的おくれている地域に訓練所を設けるのが妥当なのか、あるいは人の集まりやすいところに置くのが妥当なのか、これはあのとき以来の問題でございます。しかし、短期大学校をふやしていかなければならぬ、ふやしていくのにはやはりそういうおくれたところへも置くという考え方も成り立つと思いますので、十分検討いたしてまいりたいと思っております。
○山田(芳)分科員 大臣の方向がそうですから、ひとつ事務当局も積極的に検討して、この舞鶴、京都の訓練校については非常な経緯があって、もうここでは申しませんが、大臣にはずいぶんお世話になった由緒ある訓練校ですから、ひとつ将来の発展を事務当局として考えてもらいたいという要望をして私の質問を終わるとともに、ぜひひとつ身障者の雇用促進というものを真剣になって考えてやっていただきたい。法律だけ変わったからという、仏像をつくって魂を入れないということでなしに、実質的に身障者の雇用が促進されるようにせっかくの御努力を願って、私の質問を終わります。
○金子主査 次に、池端清一君。
○池端分科員 私は、季節労働者の雇用保険の問題につきまして一、二お尋ねをしたいと思うのであります。 御案内のように、昭和五十年の四月から、それまでの失業保険法にかわりまして雇用保険法が施行されました。この結果、出かせぎ等季節労働者は短期雇用特例被保険者として一般の労働者と区別をされて、給付も従来の九十日分から一時金の五十日分の給付に打ち切られてしまったわけであります。この結果、季節労働者、とりわけ全国の季節労働者の約半数を占めていると言われております北海道の季節労働者は、いま深刻な生活危機の状態に直面いたしております。すでに再三にわたりまして労働省に対してこの実情を訴えて問題解決を迫ってきたところでありますし、先般の参議院の予算委員会におきましてもこの問題が取り上げられたわけであります。労働省としては、先月の二十二日から四日間にわたって北海道においてのこの問題についての実情調査をされたというふうにお伺いをいたしておりますので、どのような実態認識を持ってお帰りになったのか、まずその点を最初にお尋ねをしたいと思うわけであります。
○北川政府委員 先ごろ労働省から担当課長を北海道に派遣いたしまして、二月の二十二日から四日間、二十五日まで各方面の事情聴取、これは相手先は全道市町村会、建設関係業界、商工会、関係労働者団体それから道の関係者の方々、こういう方から実情聴取をいたしますとともに、現在労働対策といたしましてやっております職業訓練校の実態あるいは通年施行工事の事業所の実態、安定所の窓口の現状等を調査いたしてまいりました。 なお、関係者からの要望を大きくまとめてみますと、やはりわれわれは何も遊んでおって失業保険、雇用保険をもらうというつもりはないので、冬季における就労の確保ということに全力を尽くしてほしい、これが第一点でございます。 ただ、第二点としまして、北海道の現状からなかなか就労確保といっても実現が困難ではないか、そういうことから五十日の一時金現行制度と前の失業保険制度時代と同じように九十日給付、そのいずれか選択、あるいは五十日そのものをもう少しふやす、こういうような声が大変強かった、こう伺っております。 なお、実態調査につきましては、実は労働省として北海道庁で行っております調査の一環として実施いたしたわけでございまして、北海道庁が各安定所の実情、それから建設を中心とする季節労務者雇用事業所の実態、それから短期保険受給者の実態というものを詳しく調査いたしまして、本年の六月までにその結果を収集いたす予定にいたしておりますので、その結果を踏まえて今後の就労対策について私たちの参考にいたし、新しい方向を出すべき点があるならばその方向に努力をいたしたい、こう考えております。
○池端分科員 いまこの問題は北海道では大変な社会問題になっていると言っても言い過ぎではないわけであります。本日もたくさんの陳情団が永田町かいわいにお集まりになっている、こういう状況であります。この調査団が北海道へ参りましたときの状況を新聞の報ずるところによりますと、道内の季節労働者の方々からこもごもに五十日分の一時金としてもらった十二万八千円はすでに昨年中に食いつぶしてしまった、年が明けてからはみそと煮干しだけの副食で食いつないでいる状態だ、あるいは三度の食事を二度に切り詰めて、その一食はおかゆをすすっている現況だ、また出かせぎで朝の四時半には目が覚めるという習慣がついているのに九時まで布団に入っておって燃料代を節約している、早寝遅起きというそういう状況だ、こういう窮状が訴えられている。またある婦人の労働者からは、五十日分のお金はもうなくなりました、偉い人に何とか頼んで、ぜひ九十日に復元してください、情けないことですが助けてくださいということまで涙ながらに訴えられているということが新聞等で報ぜられておるところであります。 いま一、二の例を挙げたわけでありますけれども、先ほど申し上げましたように、北海道内ではこの季節労働者の雇用と暮らしの問題がいまきわめて重大な問題になっている。石田労働大臣も先月の二十七日に札幌にお出かけになって、いろいろ関係各機関からこの問題について陳情を受けられたと思うのでありますが、この問題に対して大臣は今後どのように対処されようとなさっているのか、その見解をお伺いをしたいと思うのであります。
○石田国務大臣 北海道で受けた各方面からの陳情の状態は、先ほど職安局長から御報告申し上げたものと大体同趣旨のものであります。ただ、雇用安定法の改正は、いわゆる負担と給付との公平と申しましょうか、これを目標としたものでありまして、現状は、季節労働というものだけに限っていいますと、国庫負担分を除きまして、収入が七十八億円で支出が千三百九十二億円、こういう実情であります。それから地域的に申しますと、北海道は収入が二百五十九億円で支出が九百九十九億円、第二番目が青森県で、四十一億円で三百四十億円、これは倍率にいたしますと青森県が一番多い。約八倍になる。それから第三番目が私の郷里である秋田県でございまして、三十八億円の収入に対して百七十億円、これは金額の順番で、倍率でいきますと青森が一番多く、それから秋田が二番目で、三番目が北海道、こういうことになるわけであります。 そういう負担と給付とのアンバランスというものを取り除くという趣旨で改正されたものでありまして、いまにわかにこれをもとへ戻す、あるいは一年間の選択期間を設けましたが、これは院の附帯決議に基づいて設けたものでありますが、それを本年も継続するという考えは持っておりませんけれども、しかし北海道の実情についてはよくわかりますので、あとう限りの雇用機会を増大させる、あるいは予算の執行を早める、五十一年度の補正予算の執行などは北海道を優先的に早めてもらうように働きかけておるわけでありますが、その結果かどうか、この間二十七日に行きましたときに、もうすでに五十一年度の補正予算分の発注があったというような報告をも受けておるわけであります。また一方、私の郷里である秋田県で職業安定課で関係者の意見を聞きましたところが、六二%までは改正された制度の方がいいという回答をいただいた。地域によって非常に違います。北海道の実態は、二十八万人ぐらいの数の季節労働に上ると思うのですが、その中で、自分の力で職業を見つけられる者、あるいは農林業と兼業をしておりまして、まあそちらの方で収入を得られるあるいは働いておる、こういう人たちを取り除いた実数は約七万人ぐらいであろうとつかんでおるわけであります。その七万人に対しましては、でき得る限り具体的な求職活動、就職活動というもののお世話をいたしておるつもりでありまして、その詳細はいまこれから局長からお答えを申し上げたいと思います。
○池端分科員 負担と給付のアンバランスを是正する目的で雇用保険法というものができたというお話でございますけれども、北海道の場合は、大臣も御案内のように、積雪寒冷という自然的条件から、冬場の産業活動に非常に制約を受けている、こういう状況であります。加えて、昨年は、これは東北地方も同じでありますけれども、非常な冷害に見舞われている、こういう特殊的な状況下にいま置かれているわけでございます。秋田の状況をお引きになって御説明されておりましたけれども、私は本州府県と北海道の場合は多少趣が違うのではないか。ということは、北海道の季節労働者の約八割は専業型季節労働者で、ところが本州の季節労働者の大半の方々は兼業型季節労働者と言ってもいいのではないかと思うのであります。大臣は、この間の予算委員会においては、五十日の給付をまとめて一遍にもらう、これは前の失業保険時代と変わっているのだ、保険給付を受ければ他の職業に従来はつけなかったけれども、今回は、五十日まとめてもらって他の職業へおつきになっても結構だ、こういう制度になっているということをお話しになっております。確かにそういうメリットもあるということを私は否定をしませんけれども、これは兼業型季節労働者を念頭に置かれた法律の一つの盲点ではなかろうか。北海道のような専業型季節労働者に対するこの適用の仕方としては、これはやはり大きな問題をはらんでいるのではないだろうかという点で、そういう特殊事情についてどのような御認識をなさっているのか、重ねてお尋ねをしたいと思うのです。
○石田国務大臣 北海道にはいわゆる専業型という季節労働者が、他の内地の同じ積雪寒冷と比べて多いということは、確かにそうだろうと思います。しかし二十八万人の季節労働者の中で、いわゆる兼業型、農林業に従事している人たちは二十二万人ぐらいはいるわけでありまして、実態的に専業型と申しましょうか、自分の力では冬場の仕事を探し出すことが困難、こういう人たちの数は七万人ぐらい、パーセントにして一五%ぐらい、その程度のものと認識をいたしております。この人たちに対しては、やはり就労の機会をできるだけ努力をしなければならぬと思っておりますし、道庁とも打ち合わせをいたしましてそういう方向で努力をしておるつもりでございます。 ただ、私ちょっとこの役所に来る前に運輸省におったのですが、運輸省の関係では、通年で仕事ができる仕事はかなりあるのです。たとえば苫小牧の築港工事、これに仕事を出してもなかなか参加してくれない、そういう事態も一方にあるわけなんです。運輸省関係、それから漁港関係、これは冬場でも通年の仕事は出せる面がたくさんございます。そういう点のお互いの理解のし合いによって就労機会をふやしてまいりたい。現に道庁と打ち合わせをいたしまして、大体の就労の機会というものの増加について一応数字的な打ち合わせをしておりますので、それを局長から説明をいたさせます。
○北川政府委員 いまの大臣の点について若干補足しますと、先生御指摘のように、北海道の季節労務者というのが約二十八万でございます。大臣は専業と兼業とをちょっと逆におっしゃいましたけれども、専業が約二十五万それから農林漁業等と兼業が三万程度でございます。なお専業の大半が建設就労というふうに私たちは考えております。 なお、大臣が要対策人員七万と申しましたのは、なるほど二十八万人の季節労務者、受給者がおりますけれども、昨年の十一月、職業安定所の窓口で安定所を通じて就職を希望する意向を調査いたしましたところ、その結果が七万人、あとの者につきましては自分で就職を探す、あるいはその間兼業的なことがやれるというような回答でございます。なお、それを先般の実情調査の一環としまして、五職業安定所十一市町村で季節労務者の離職票を支給しました対象一万四千七百人について調べましても大体同じ傾向でございまして、直ちに就労する必要はない、急いでいないという者は全体の約六五%でございました。それ以外の約三五%が直ちに就労をしたい、こういう内容でございますが、直ちに就労をしたい者の内訳としまして、働き場所について、もう自分で見つけて見通しがあるという者が一五・六%、探す見通しがない者が約二〇%でございますけれども、そのうち出かせぎができる者が五%おりますので、これは道外に対する広域紹介を本年は道庁の協力を得ましてかなりの数、一万一千人すでにやっておりますので、出かせぎができる方については再就職が十分できる。したがって出かせぎができない約一五%の方につきまして、先ほど大臣が申しましたように、公共事業の早期発注等によりまして一応安定職場のお世話ができ得ると私たちは考えております。
○池端分科員 季節労働者二十八万人、そのうち専業が二十五万人、これに対して要対策人員が約七万人、こういうことでございます。いまいろいろ言われましたけれども、しかしそれにしてもいかにもこの数というものは少ない、微々たるものだと指摘せざるを得ないわけであります。さらにまた公共事業の年度内着工、早期着工というようなことも言われております。われわれも、季節労働者の地元での就労の確保及びその拡大というのはもとより大きな要求と言いますか、希望でありますので、ぜひともその面についての積極的な努力を図っていただきたいということはこの際申し述べておきたいと思うのでありますけれども、しかし、公共事業の早期発注あるいは早期施行あるいはまた冬季間の工事の施行の推進というようなことをこれまでもいろいろ言われておりますけれども、本道の場合、現実にはそう簡単なものではないということをぜひ御理解いただきたいと思うのであります。現に北海道開発庁等では、零下十度ないし三十度という冬季間での仕事というものは予算の面からも技術的にも大変な無理があるという、これについてはきわめて消極的な態度をとっているというのも現実の問題でございます。したがって、私は確かに地元での就労の確保あるいは公共事業の早期着工ということについても積極的に推進してもらいたいと思いますけれども、これだけでは当面の問題の解決にはならない。したがって、確かに給付と負担のアンバランスという問題はあるでしょうけれども、季節労働者の暮らしを守るためには、一時金五十日分と一般九十日分のいずれか選択ができるという方途をこの際特例措置として講ずべきではないだろうか、これこそまさに福田内閣の言われる連帯と協調の精神ではなかろうか、こう思うのでありますが、重ねてその辺の見解についてお尋ねをしたいと思います。
○北川政府委員 先生おっしゃいますように、北海道、特に道北地帯におきまして、厳寒の時期でございます。二月に公共事業の施行というものは大変むずかしい事態に直面するということは私たちも認識をいたしております。ただ、いままででは北海道の季節労務者が年間どのぐらい稼働しておったかということでございますけれども、七・二カ月というのが平均的稼働月数でございます。それで従来は九十日の保険金をもらって、そして一年間、十二カ月の生計を立てておった。したがいまして、いまは七・二カ月の稼働に五十日で結局四十日の差が問題になっておるわけでございますが、私たちは、この四十日分を、七・二カ月の稼働を一カ月ないし一カ月半延ばすことによってかなりの改善ができるのではないか。それは私が申し上げるまでもないことでございますけれども、先生御承知のように、北海道の場合に早期発注と申しましても二月、三月というようなことはきわめてまれでございまして、いまのところ平均して五月になってからやっと事業が発注される、こういう状態でございます。これをたとえば四月、今度雇用促進住宅等につきましては雇用促進事業団が三月に発注するというような異例の措置をいたしておりますけれども、なるほど単価につきまして若干のコスト高を生むということは事実でございますけれども、その点についてやはりこの施策の方向として踏み切らざるを得ない、またそのことは事業官庁の御協力を得れば私は可能、こう考えております。
○池端分科員 北川職業安定局長は、私は揚げ足を取るというような意味で申し上げるわけではありませんが、ある新聞社との対談で、私も北海道の特殊事情は理解をしている、しかし就労の機会がないというツケを雇用保険だけに回すのはどうかということを述べておられますね。働きたくても就労の場がない。しかも給付は五十日で打ち切りだ。それじゃ一体労働者はどこに救いを求めたらいいというのか。私はここに大きな問題があると思うのです。雇用保険法は、その第一条で、「労働者が失業した場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活の安定を図る」ということを目的でうたっているわけでありますから、その生活の安定が図られないというような状況に直面したならば特例の措置等を当然講ずべきではないか、これが行政なり政治の責任ではないか、こう私は思うのですが、その点について大臣いかがなものでしょうか。政治家の大先輩としての石田労働大臣にひとつお尋ねをしたいと思うのです。
○石田国務大臣 雇用保険法の趣旨はおっしゃるとおりでございます。したがって、本来、失業保険というものは季節労働というものを対象とすべきかすべきでないかということから議論が出てこなければならぬ問題でありまして、これは法律ができ上がりましたのは、多分加藤勘十さんの労働大臣のときでございました。そのときには、季節労働者というものについては、それは失業保険の対象にならないのがあたりまえなんだ、こういうような趣旨の答弁もあったわけでございますが、その後現在のような状態に変わってきたわけでありますので、そのときのそういう議論を根に持とう、根拠に置こうとは全然私は思いません。 そこでもう一つは、いま先ほど申し上げましたように大変なアンバランスがございます。そのアンバランスは、むろん国庫負担もありますけれども、別の地域の勤労者の負担において行われておる、そういう事実もやはり無視はできないわけであります。そこで、いま局長からもお答えを申しましたように、四十日分は何とか事業の発注を一カ月早めることによって補いをつけていきたい。それから先ほどもちょっと申しましたけれども、数から言っては大きな数じゃございませんけれども、冬にできる工事に応じないということもある。あなたはもう御存じだと思いますが、苫小牧なんかそういう例。それから港湾、漁港等についてもそういう場合もあり得る。これはやはりお互いが協力し合ってやっていかなければならぬものである。 それからもう一つは単価の問題がございます。単価は、これは単価ですから技術的な問題、冬季の非常に寒いときに、たとえばセメントその他の凝結が可能かどうかという問題等もあると思います。単価の問題は、政策実施官庁に対して私どもの方からも強く働きかける。それから予算の執行に当たって、形式的に予算が成立してから設計を始めるとかなんとか、そういうようなことのないように、あるいはまたそのほか債務負担行為みたいなものも可能かどうかというようなことを考慮いたしまして、現実に、早くて五月ごろに発注されるものを四月に発注しても、一月分それだけふえるわけでございますので、そういう方法によって就労期間を延ばす、そういうことで解決するのが筋だろう、私はこう考えて、そちらの方向に向けて鋭意努力を続けておるところでございます。
○池端分科員 この問題につきましては、私ども社会党を初め、野党の先生方がこういうことをおっしゃっているだけではなくて、実はもう自民党の皆さん方も、たとえば昨年暮れの総選挙におきましては、この雇用保険法の改正の問題を選挙公約に掲げられて選挙をやられた先生方が非常に多いわけであります。そういうこともひとつ十分御留意をいただきたいと思います。また、いま道内の各自治体では、非常に地方財政の厳しい中にもかかわらず、この季節労働者の生活の危機を何とか救わなければならないということで、独自に生活資金の貸し出しの制度あるいは独自の特別土木事業、こういうようなもの等も実施をしているわけであります。 そこで、大臣は、法改正あるいは特例措置というようなものについては考えていないということを再三にわたって言われているわけでありますが、いま申されたような対策ではこの問題の抜本的な、基本的な解決にはならないということを私、いまこの際申し上げておきたいと思うのであります。そして、どうしてもこの問題について政府当局が、労働省が消極的な態度に終始をするならば、われわれとしては遺憾ながらこの問題については法改正の対応の措置をとらざるを得ないということを申し添えまして、私の質問を終わりたいと思います。
○金子主査 次に、斎藤実君。
○斎藤(実)分科員 私は、雇用保険法に関連をいたしまして、特に北海道の季節労務者の特例一時金についての質問をいたしたいと思います。若干重複するかもしれませんけれども、角度を変えて御質問をいたしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 先ほど大臣からいろいろ御答弁がございましたが、この雇用保険が一昨年改正されまして、五十年度から五十日と九十日の本人選択に基づく二本立てで一年間施行されました。したがって、五十一年度からは五十日の打ち切りとなった。この積雪寒冷地の労働者が四十日をもぎ取られたということで非常に大きな生活苦あるいは社会問題になっているということは、これは私どもだけの認識ではなくて、昨年の春から本年の初頭にかけて全道の労働者あるいは中小企業の経営者あるいは地方団体の首長さん方がこの問題を深刻にとらえて、何とか冬期間の四十日分について抜本的な改正をしてもらいたい、あるいは特例措置をつくってもらいたい——先ほどもある町村の方が見えまして、地方自治体としては、この仕事をどうして出して雇用関係を解決するかということについて、実はもう仕事にならないくらい頭を痛めているという話を聞きました。この問題について、確かに北海道は仕事があれば、あるいはそういう仕事ができる状態であれば幾らでもやる、しかし、零下十度、二十度というところでは仕事はできない、こういうことで、この問題は、まあ大臣からいろいろお話がございましたが、早期発注あるいは雇用機会の改善等だけでは不可能ではないか。したがって、この積雪寒冷地の労働者に生活の安定というか、あるいは雇用を何とかするという意味で、大臣からどう認識をされているのか、まず最初にお伺いをしておきたいと思います。
○石田国務大臣 先ほどお答えを申し上げましたように、雇用安定法の改正の趣旨は給付と負担とのバランスをとる、これは保険会計全体として当然やらなければならぬことだと思うのです。しかしながら、季節労働の実態にかんがみて五十日給付するという処置をとっているわけでありまして、そのこと自体でも非常にアンバランスがまだ残るわけであります。しかし、いままでの経緯その他にかんがみまして、いま申しましたような処置をとった次第であります。 そこで、先ほどから申しますように、北海道の実態、これは北海道だけではなくて、積雪地に、人数の大小は別として、共通した時代になっておると思うのでありますが、これはやはり仕事をする、就労の機会をふやす、あるいは期間を延ばすということで残りの部分は解決していくのが筋だ、私はこれはやはり保険会計を預かるものとしてそうかたく信じておる次第であります。 そこで、その期間を延ばすためには、結局四十日分でありますから、一カ月公共事業を早くスタートを切らせて発注する、仕事の発注その他もそういう方向に向かっていく、それから冬期間できる仕事はやはりできるだけそれに応じてもらう、そういう理解と協力を得る、こういうことで処理をしていくのが筋であって、その障害になる予算執行の遅延とかあるいは単価の問題、こういうことの解決に全力を上げていきたい、こう考えておる次第でございます。
○斎藤(実)分科員 いま大臣から、失業保険法から雇用保険法に変わった大きな原因が、給付と負担のアンバランスの解消だということを御答弁になりました。被保険者が三%の負担をしておきながら支給額が三四%に上っているということ、確かに私もそうだと思います。しかし、保険制度である以上はアンバランスがあるのは当然でございまして、生活がどうしてもできない労働者には、労働者全体の負担で生活を安定させるということは私は当然だろうと思うのです。しかもなおかつ雇用対策法第三条一項五号で、不安定な雇用状態の是正は国の義務であるというふうに言われておる。これは大臣の御答弁でございますが、私はちょっと納得がいかないわけでございます。 さらに、雇用の機会の増大と公共事業の早期発注ということで解決を図りたいということでございましたが、来年度の予算が四兆三千億それから道の負担が五百億あるいは市町村の負担が五、六百億ですか、そのほか団体が六百億くらい、約六千億くらいの金になるだろうと思いますが、この中で道路、港湾あるいは住宅というものが大きな柱になっておるわけでございます。 たとえば早期発注といいましても、契約をしてそれから実際に仕事にかかるということになれば、やはり一月や一月半ぐらいの準備期間がかかるわけです。早期発注によって冬期間でもできるという仕事は、トンネルでございますとか橋梁、ピアのくい打ちであるとか、あるいはコンクリート下水管を入れるにしても、シートパイルで囲いをして打ち込んで、しかもその中にヒーターを入れてやるということになれば、これは零下十度、二十度の中で果たしてできるのか。できたとしても莫大な費用がかかるということで、北海道の労働者が早期発注によって四十日分が解決できるということはちょっと私は考えられない。したがって、やはり何らかの特例措置等を設けるなり、あるいは一年間施行されましたように五十日と九十日の並行する選択期間をまた延ばすとか、何らかの対策が必要ではないかと思うわけでございますが、大臣いかがでしょうか。
○石田国務大臣 私も、一月とか二月とかという極寒のマイナス二十度とか、ことしは特に寒かったようでありまして、われわれの郷里も同じでありますが、そういうところは非常にむずかしいと思うのです。それはもう同感です。それから、無理にやろうと思えばいろいろなことでそれだけコストがたくさんかかるから高くなることもよくわかります。しかし、実際公共事業等が予算成立後どういう形で施行されているかというと、早くて五月なんですね。そこでそれを一カ月早めることは可能なんですよ、四月は働けるわけですから。それをまずやらせなければいけない。それから、四月からやるにしましても、やはり寒い時期に入るのはそれだけ他の地域より早いわけなんですから、単価の上でもそういう部分を見てもらうようにする、これは私は可能だと思っておるわけで、これをしていくことが筋なんだと思います。 それから、保険というものは、バランスが崩れるのでみんな公平に給付されるものではないことは当然わかります。わかりますが、物の程度でありまして、昭和五十年度において季節労働者の納付いたしました保険金は七十八億、給付しました金額は国庫負担分を除いても千三百九十二億円、これは少しアンバランスがひど過ぎる、差があり過ぎる。それから、これはほかの同じ勤労者の納めた負担において行われているという点もひとつお考えをいただきたい。 そういう意味で、五月から施行するのを四月にすることは不可能ではないのでありますから、そこで三十日、あと残るのは十日ということになるわけでありますから、そういう方向で努力するのが保険会計を預っている者としての筋だろう、私はこう考えておる次第でございます。
○斎藤(実)分科員 早期発注でこの問題を解決するという大臣の御答弁でございますが、先ほどから私もいろいろ申し上げておりますように、それじゃ具体的に四月から働けるような仕組みになっているかというと、私はなかなか厳しいと思いますね。 私も若いころ、建設業などやっておりまして、北海道開発庁の審議会の委員なんかやっておりまして、ずっと何年来、何とかして冬場の早期施行ということについて各市町村あるいは工事現場を、私も研究もしましたし実際に見てきましたが、早期発注といえども、それではすぐに仕事ができるかというと、やはり対象は限られている。北海道の二十五万人の方々がすべて雇用関係が解決するかというと私は無理があると思う。確かに大臣は早期発注なり雇用の機会をつくったり、あるいは単価の面でも考慮するということをおっしゃいますけれども、この二十五万人に上る労働者の雇用は、私はこれだけでは無理だろうと思うし、また地域の実情も踏まえれば、何らかの法改正なり特例措置というものをここでもう一遍考えるべきではないか、あるいは検討すべきではないかと思うわけでございますが、再度御答弁をいただきたいと思います。
○石田国務大臣 いままで何度も早期発注ということを言われてきながらなかなかできなかったということも私はよく承知しております。その障害になる一番大きなものは、予算がまだ成立してないじゃないか、成立しないうちにその準備をするのはけしからぬ、こういう議論が出ることを恐れて、設計とか準備というような要するに冬でもできること、屋内でもあらかじめ十分やっておけることまで延ばしておった。そのために地方自治体その他に対する通達がおくれるというようなことがあった。 〔金子主査退席、愛野主査代理着席〕 今回、五十一年度の補正予算はそれをなくするために、実は私は閣議でしばしば発言をいたしまして、早期発注ということは、設計や準備は予算案審議中でも、もしそれを削られたらその削られれた分だけあきらめればいいのであって、当然三月のうちに十分できるじゃないかと言ってきました。五十一年度の補正予算分についてはほぼ一〇〇%発注を終わっておりますし、特に北海道は二月二十七日に参りましたときに、五十一年度の補正予算分について工事の発注状況はどうかと言ったら、もう受け取ったという返事があったくらいでございます。 それから、本日早朝に、景気浮揚その他を目指しまして、公共事業の早期発注について関係閣僚の協議会を開きましてそれを決定をし、閣議でも決定をいたしまして、それを実現すべく強力に努力をすることを決定をいたしたわけであります。一遍に直ちにすぐ、四月にぱっと全部がやれるということは、これはむずかしいし、役人の長い習慣というものはなかなかとりにくい。 〔愛野主査代理退席、主査着席〕 われわれから考えてみると、これくらいのことはできるはずじゃないかということさえも、時間がかかるということもよくわかります。しかし、労働省に関する限りはもう三月に発注したものもございます。しかし、労働省だけやったってしようがないじゃないかと言われるかもしらぬが、まずみずから率先して他官庁の協力を求めて、今回はほかの官庁もこの趣旨に対して非常に好意的かつ理解ある態度を示しておりますので、かなりの前進を見られると考えております。 それから、二十八万人という数でありますが、先ほどから申しましたように、そのうち冬期間の就労の機会を積極的に求めなければならぬ人数は、先ほど局長が説明いたしましたような七万人程度の数でありまして、ほかの方々は自分で探せるか、あるいは農林業その他との兼業、あるいはそちらへ働きに行くとかというような機会があって、それほど急がないという人たちでございます。そういう数でありますので、そういう方向での努力は私は可能である、またしなければならぬ。 それから、同じことを何回も繰り返しますが、たとえば苫小牧のようなところ、仕事があるというのに行かぬというのはやはりどうかと思うので、そういう点ではやはり協力をしていただきたい。それから、そのほかでも運輸省、それから農林省の漁港関係というものは冬期でも可能なものが相当ございます。
○斎藤(実)分科員 大臣、私も大臣のおっしゃることはよく承知の上で申し上げているわけでございまして、確かに建設省あるいは農林省あるいは運輸省、北海道開発庁の中で、北海道の早期公共事業発注については頭を悩めているようですが、やはり日本のお役所というのは縦割りでございまして、これは大臣がいまここで答弁されたような仕組みではないわけですね。福田内閣の閣僚である大臣は、その点もっとスムーズにいくような対策をとっていただきたいし、ひとつ細かいところまで目を配っていただきたい。やはり末端へいきますとなかなか各省のなわ張り争いがありまして、口で言うようなわけにはいかない仕組みになっておりまして、これは大臣、閣僚の中でもひとつ大きな力を発揮していただきたいと思います。 と同時に、先ほど私もるる申し上げておりますように、早期発注なりあるいは雇用機会の増大等だけでは解決のできない問題である。日本の法律は非常に画一的でございまして、法律といえどもやはり住民の福祉のための法律である以上は、地域性というものをそこに加味をし、実情に合った立法というものが必要ではないかということを私は申し上げたいわけでございまして、これ以上申し上げる気持ちはありませんけれども、雇用の増大あるいは早期発注についても、北海道の労働者が就労できるような環境なり、あるいはそういうふうな状況にできるような積極的な施策を講じていただくと同時に、それだけでは解決できない問題でございますので、どうかひとつ特例措置を設けるなりあるいは法改正の検討ということを御要望申し上げて私の質問を終わりますが、最後に大臣の所見を伺っておきたいと思います。
○石田国務大臣 先ほども局長からお答えを申しましたように、先月私どもの方の役所で参りました調査、それを中心といたしまして道庁及び各自治体の協力を得て実態調査を進めているところでございます。それに対する御要望は十分承りました。 ただ、雇用保険法に対する私の考えは、何度も同じことは繰り返しませんが、変わりません。また、同時に御指摘のように、役所というのはいろいろなことがあって、早期発注と言ってみても実現がいままで大変むずかしかったことはよくわかるのです。私自身が雪国ですから、よくわかるのです。わかりますが、今度は五十一年度の補正予算分の早期発注については、ちょっとうるさいくらい毎回しゃべっておりました結果として、現在ほとんどみんな完了しております。 それから、私どもの役所が幹事役になりまして、関係各官庁に対して早期発注について協力を要望する会議をずっと継続してやっております。これの感じ方がいままでと非常に違ってきたこともまた事実でございます。役所の、特に中央官庁の恐れているのは、予算がまだでき上がらないうちに、でき上がったこととして準備をするのはけしからぬじゃないかという一種の形式論理ですね、それを排除していきたい。その点については野党の方々も御寛大に見てやっていただきたい。そうするとかなり前進はできるものだと私は考えて、その努力をいたすつもりでございます。
○斎藤(実)分科員 以上で私の質問を終わります。
○金子主査 次に、栗林三郎君。
○栗林分科員 私は、労働大臣におおよそ次の四点にわたりましてお尋ねしてみたいと思います。 その第一は、建設労働者の雇用の改善等に関する法律、その他特に出かせぎ関係者に関する諸法規がどのように守られておるのか、実施されておるのか、これをどのように行政指導をやっておられるのか、その実態についてお尋ねしたい。第二は、労働災害、病死等の事故に関する事実を二件申し上げまして、それらの処理がどうなっておるのか、この点が第二であります。第三は、ただいまも斎藤さんから質疑がありましたが、雇用保険の短期労働者に対する保険給付に関する問題。それから第四は、出かせぎの基本に関する問題等についてお尋ねをしてみたいと思います。 第一点の建設労働者の雇用の改善等に関する法律、この法律はたしか昨年の通常国会で成立した法律と承っております。で、これは五月二十三日に公布され、施行は十月一日と記憶しておりますが、この法律が十月一日に施行されて、今日果たしてこのとおり実行されておるのかどうか、また、監督署やあるいは基準局はどのような指導を業者あるいは会社側、使用者側にしておられるのか、この点を伺ってみたいと思います。
○北川政府委員 建設雇用改善法は、いま御指摘のように、昨年の十月一日から全面施行をいたしております。まだ法律の施行後日が浅うございますので、趣旨が必ずしも十分に徹底していない面がございますことは否定できないと思いますが、法施行以来、関係業界に対するこの法律の趣旨の徹底、そのための講習会、説明会あるいは協議会等を開催をいたしますほか、雇用促進事業団を通じまして、この制度につきましてのいろいろのPR資料等を広く配布いたしまして、この法律制度が徐々に浸透しつつあると思います。 なお、この法律に基づきまして、本年度から建設労働者の雇用改善計画を樹立することになっておりますが、これにつきましても、現在中央職業安定審議会の専門部会の中でいろいろ御論議をいただきまして、その方向を徐々に固めつつあるところでございます。 なお、この法律で中心点として考えております雇用関係の明確化あるいは雇用管理体制の整備、さらには建設労働者の技能の開発、向上あるいはその福祉の増進というように多岐にわたりまして、安定所の指導だけではなくて、労働基準監督機関との協力ということも大変重要な事項でございますので、労働基準局とも中央、地方両面にわたりましていろいろ協力をし合って、この内容についての浸透を図っておる次第でございます。
○栗林分科員 この法律の第七条によりますと、「事業主は、建設労働者を雇い入れたときは、速やかに、当該建設労働者に対して、当該事業主の氏名又は名称、その雇入れに係る事業場の名称及び所在地、雇用期間並びに従事すべき業務の内容を明らかにした文書を交付しなければならない。」と定められております。 十月一日に施行してまだ日が浅い、いまPR中だ、こういうお答えでありますけれども、なるほど十月一日の施行でありますから、施行後四カ月にしかなっておりません、五カ月目ですか。日の浅いことは私も認めますが、しかしこの法律の成立したのは、公布したのが十月一日ではないはずでしょう、五月二十三日ではありませんか。してみますと、執行するまでの間四カ月ある。この四カ月間に十分PRをして、この法律の施行後においては一人の業者も違反のないような指導をするというような積極姿勢をなぜ示さなかったのですか。
○北川政府委員 この法律制度の趣旨の周知徹底につきましては、十月の施行後やったというわけではございませんで、この法律が成立をしました直後から精力的にいたしております。 なお、御指摘の雇い入れ通知書の交付の義務づけにつきましては、この法律で、出かせぎを初めとする臨時の日雇いの雇用形態、そういうことが常態であります建設労働者の雇用関係を明らかにするということで設けられましたもので、この法律制度の中で大変重要なことと考えております。 一部労働組合等の調査で、この制度が必ずしも十分に徹底しておらないという御指摘もございましたので、現在、その施行の状況を各県単位に任意に選定しました建設事業主を対象といたしまして調査を行っておりまして、その把握はまだまとまっておりませんけれども、私たちとしまして、もし不十分というようなことがわかりましたならば、さらにその趣旨の徹底のために厳重な指導監督を行いたいと思っております。
○栗林分科員 一部労働者側のそういう申し入れ等があったというお話ですけれども、全国出稼組合が調査した内容を申し上げましょうか。東京を中心にして二百五十カ所、大阪を中心にして七十数カ所、これは全部新聞に発表してあります。その中で建設業関係は七〇%を占めております。その建設業関係のうちで、全部と言っても過言ではありません、ごく一部を除く九五%、全部が実行しておらない、通知書を発行しておらないというのが実態でございます。 こういうような状態では、こんな法律を幾らつくったって役に立たないと私は思うのだ。特に、基準法の第十四条、十五条に契約条項が示されてありますが、この条項がある以上、この法律の中に第七条なんというものを取り入れる必要はなかったと私は思う。これは重複ですよ。しかし、特に建設業労働者を保護するという立場でこの単独立法の中に第七条が規定されたもの、私は当時議員ではありませんから、そのように伺っておるものでございます。したがって、雇い入れが決まったら必ずその通知書を出さなければならない、これはある意味において私は一歩前進だと思う。しかし、この大事な第七条がほとんど行われておらない。しかも、役所も言われるまで何一つ行政指導を行っておらないということは歴然とした事実ですよ。これはいかに出かせぎ労働者をばかにしているか、いかに出かせぎ労働者というものを軽視しているかということの証拠ではないでしょうか。少なくとも昨年の五月二十三日に公布された法律でありますから、執行されるまでの間の四カ月熱心に業者を指導されるならばこういうような結果は出ないと私は思う。あなた方の怠慢ではありませんか、監督行政の怠慢ではありませんか。
○清水説明員 その第七条の規定は、特に建設労働者の問題それから出かせぎ労働者の問題の解決にとりまして非常に重要な規定であるというふうに私ども考えております。したがいまして、こうしたものを、法律上様式化はされておりませんけれども、労使の協議、審議会における審議を中心といたしまして、非常に重要な事項である事柄であるだけにきっちりとやっていただこう、こういつたことで様式化をいたしましてその実施をする、こういう運びにいたしまして、そうした関係で具体的な様式ができ上がりますまでに、法律施行の十月までの間かなりの時間がかかりましたことは事実でございます。しかしながら、この法律の施行段階につきましては、私ども全都道府県におきまして約三万名の人たちを対象にこの説明会を行ってまいりました。また、これらのことを周知するためのもろもろのパンフレット類、こうしたものを十数万部印刷いたしまして配布し、その周知に努めてまいったわけでございます。御指摘のように、なおその周知徹底、遵守ということにつきまして私ども自身非常に不満な面があることも事実でございます。ただ、しかしながら、これらの事項を守っていこうということ、建設労働者の雇用の改善について真剣に取り組んでいこう、こういった機運が建設業界におきまして非常に強くこの法律の施行を機として盛り上がっていることも事実でございます。したがって、そういう機運がさめないうちに、私どもといたしましてはぜひこの法律の目的が達成するように一生懸命この施行に努力していきたい、こういうふうに思っておるわけであります。
○栗林分科員 法律はできたが、規則はできたが、制定されたが、実行されておらないというものの一つに、建設業附属寄宿舎規程がございます。私どもの調査によりますと、この建設業附属寄宿舎規程、これが遵守されておる業者は大体半分と承っております。大阪基準局関係で公式の資料を私はとりましたが、大阪基準局関係では残念ながら違反宿舎が五〇%以上、半数以上ございました。この寄宿舎規程がどの程度一体遵守されておるのか。これはもう十何年も施行されておる法律でありますし、私どもずいぶんだびたび、これは厳しい質問等をやってまいりましたから、これの調査はできておられるかと思いますが、大体違反はどのくらいありますか。遵守されておる宿舎はどのくらいありますか。内容は別にして、そのパーセントだけでよろしゅうございます。
○桑原政府委員 昭和五十一年の三十七局によろ監督結果が手元にございますが、監督実施しました事業所数は千百三十六でございまして、違反の発見ができました事業所は五百五十二、したがいまして、違反率は四八・六、こういうふうになっております。
○栗林分科員 この規則の制定されたのはたしか昭和四十二年、これは小平さんが大臣のときだったでしょうかね。いまの藤縄次官が監督課長時代であったと記憶しておりますが、この法律の規程ができました。しかし、この規程が施行される以前に、成立と同時にずいぶんPRに積極的な姿勢を示してくれました。あるいは業者に対してはモデル宿舎をつくらせて、そういうモデル宿舎を提示させ、そういう展示会までも開かせたものですよ。ですから、成立してから施行されるまでの期間積極的な姿勢を示せば、この寄宿舎規程のようにかなり事前にPRなり徹底はできたはずだと思う。その寄宿舎規程も出発当初は業者も熱心に改善してくれました。また役所の方も熱心に指導してくれました。それですから、改善は非常に進んだわけでございます。しかし四十五年、四十六年を境にして、その改善の度合いが非常に弱くなってしまいました。そして、今日ではほとんど改善されておらない、こういう状況でございます。ですから、寄宿舎規程などもできましても、これが改善されておらないのが半数もあるという状態では、しかもこの法律は、この規程は施行されてから十年以上になるでしょう、これでは何にもならないのだ。さっきの法律と同じではありませんか。少なくとも十年になっておる今日ですから、違反宿舎が一つも出ないような、もっと厳重な指導が必要ではないでしょうか。そういう宿舎設備が改善されないところに、いろいろな病死事件が発生しております。しかし、この場合の病死は業務起因に基づく病死扱いになかなかされない、単なる病死として処理されておるわけであります。もしも宿舎が完全に改善されておれば十分に静養もできる、したがって、かなりな労働をやりましても、十分静養ができれば健康を維持することもできたであろうと思われる。宿舎改善が行われないために、あたら命を落としておる出かせぎ労働者も多数あるのですよ。そして、これは労災認定にはならない。宿舎の規程につきましてもどうか徹底的な指導をされまして、少なくとも遵法宿舎が八〇%、八五%に上るような、そういう行政指導を強く要望しておきたいと思います。 さてもう一つ、法律、規程が守られておらないために出かせぎ労働者が不幸になっておる事実を一つ申し上げてみたいと思います。職場もしくは附属寄宿舎内で仮にそれが病死でありましても、労働災害に基づく死亡でなくて仮にそれが病死でありましても、これを業者は、雇用者は、使用者は監督署へ届けなければならない義務があるのですかないのですか。そういう規定がありますかありませんか。
○倉橋説明員 事業所の附属寄宿舎内で私傷病によりまして労働者の方が亡くなられた場合、またはけがをした場合につきまして、特に報告義務は法律上ございません。
○栗林分科員 報告する必要はないとお答えになったわけですか。はて、ちょっとそれは違うのじゃないですか。行政指導か規則か何かの中に、その場合は遅退なく報告をしなければならないという規則を私は記憶しておりますが、これは規則であるのかあるいは一つの行政指導の要項であるのか私はわかりませんが、速やかに報告しなければならないと規定されておるはずでございます。
○倉橋説明員 私がいま申しましたのは、私傷病ということで亡くなられた場合、負傷した場合については届け出の義務がないというふうに申したわけでございまして、もちろん附属寄宿舎内で業務上に関連する場合につきましては報告義務がございます。
○栗林分科員 私は理屈を言う気持ちでいま立っているわけじゃないのですけれども、いまの法律では業務起因に基づく病死でなければこれは労災扱いになりませんから、それはわかるのですよ。しかし業務起因による死亡であるかどうかは監督署が調査をしなければ出ない結論でしょう。したがって、病気で死んだからという使用者側の報告そのままでは、果たして病死であるのか業務起因に基づくものか、これはわからないはずです。そこから、病気で死んだ場合でも届け出をしなければならない、これは何かの規則にあったはずだな。私はその規則の名前は忘れましたけれども……。
○桑原政府委員 一応、私傷病報告というのがございまして、一定の場合には報告しなければならない義務がございます。それはもちろん罰則がございます。したがって、その場合は使用者に義務づけておりますので、先生おっしゃるように業務災害に類するものが挙げられております。しかし、灰色の問題がございますので、食中毒とか窒息とか多少広げて報告を求めておりますけれども、まあ罰則を科しますから、そんなに広くは報告を求めることはできません。ただ、先生のおっしゃいますように、業務上外の問題で非常に疑わしいものにつきましては、これは別に労災のサイドから申請いただいて、それに基づいて業務上を見ていく。一応安全衛生法的な立場と労災保険法上の立場と両方ルートがございますから、それぞれに応じて私どもとしては対処していきたい、こういうふうに考えております。
○栗林分科員 これに関連して二つの事件を申し上げて、それをどのように処理をされておるかを簡潔に御報告願いたいと思うのです。 一つは、昭和五十年二月十八日、事故発生現場は神奈川県平塚市、業者は北海道PSコンクリート株式会社、作業現場はいま申し上げたところでございます。ここで秋田県の佐藤長作さんという方が脳溢血で死亡しております。これは作業中の病死であります。これが届け出られてあったかどうか、届けたとすればいつ届けたか、わかりませんか。
○桑原政府委員 私どもは、最近照会いたしまして、その結果が手元にございますが、何分急でございましたもので、必ずしも詳細を承知いたしておりませんけれども、御質問の事案は、脳溢血で亡くなったというような事案のようでございます。したがって、先ほど申し上げました私傷病報告による報告の義務になるかどうかという問題がございます。そういったことで、最終的に私確認いたしておりませんけれども、報告がなされていないようなふうに伺っております。
○栗林分科員 これは私、後で問題になってから報告したと承っております。だからよほど後日だと思います。 問題は、この方の作業中の病死でありますけれども、脳溢血でありますけれども、私どもの調べによりますと、ほとんど早出、残業は三時間。これは橋梁工事でございます。連日、そういうような作業が続いておった。したがって、心身の疲労は非常に激しい。休ませてほしいと言っても、期限が来ておるから工事は急ぐというので、なかなか自由に休むこともできない。そういうような過重な労働が継続されておった、これは事故でございます。しかも、この方は単なる短期雇用者でなくて、通年雇用者のように私は聞いております。しかし、雇用契約がありませんから、その実態はわかりませんが、四年間もずっと継続して働いておる人なんです。してみれば、健康診断も受けなければならない。また、健康診断をさせなければならない義務もあるはずでしょう。そういう健康診断等は一つも行われていない。そうして発生した事故でございます。私どもの見解ではこれは業務起因に基づく病死、こういうように一応考えて調査を進めておるわけでございますけれども、いずれにしても、病死をした場合は、業務起因によるかないかは調べなければわからないことです。したがって、今後はいかなる場合でも、職場もしくは付属寄宿舎内におけるそういう事故の場合は、病死であっても必ず届けるというような——これは法律の必要は私はないと思うのです、行政指導でも可能だと思うのです。そういうような指導を徹底させてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
○桑原政府委員 法律的には、いま申し上げましたように安全衛生法上業務災害と考えられるものが報告されることになっておりますが、いま御指摘のようにそういった労災サイドでいろいろ調査しなければならぬ問題につきましては、私どもといたしてもそういった方向で指導を申し上げてまいりたいと思います。
○栗林分科員 時間がなくなったので最後の問題に移りますが、第四番目の出かせぎの基本に関する問題についてお尋ねしてみたいと思います。端的に言って、この出かせぎ労働というものは、大臣は好む労働とお考えになっておりますか。好ましからざる現象、労働とお考えになっていらっしゃいますか。これは端的にお答え願います。
○石田国務大臣 私は就業は家族と家屋のあるところですることが最も望ましいことであると考えますから、好ましい就労の状態と考えません。
○栗林分科員 好ましくないという御見解、私も同じであります。してみれば、好ましくないものはこれは解消することに努力をしなければならないと思う。だが、これを解消するためには、それならば何のために何が原因で出かせぎというこういう現象が起きておるのか、この原因を究明する必要がある。そしてその原因が明らかになれば、その原因を除去することによってこの問題の解決はできるわけであります。しかし、その原因を究明する、それに基づく解消する施策というものは、私はそう簡単なものでできないと思う。いま仮に好ましからざる労働と言われるが、それならばいま出かせぎ労働力百万と言われ、七十万と言われるこの労働力に社会的問題がある、家庭破壊に通ずる、農業破壊に通ずるという事柄だけでこれをストップしたと仮定してごらんなさい。都市の近代化はできますか。新幹線はできますか。公共事業ができますか。好ましくないことだが、必要悪とでも申しましょうか、いまの産業、経済ではどうしても必要な労働力でもあるわけでしょう。これは好ましくないが、私どもは反対です、反対だが、この労働力がなければ、いまの体制下にある日本の産業、経済、どうなりますか。これはやはり必要だ。だが、一方においては家庭が破壊される。農業が崩壊する。子供がだんだんと非行少年がふえている。こういうゆゆしき社会問題を抱えておるのが出かせぎでございます。だからそういう大きな矛盾を抱えつつも、なければならないのがいまの事情でしょう。したがって、私はこの出かせぎの基本に関する問題について労働省は真剣に検討する必要があろうと思うのでありますが、時間がなくなりましたので、その内容等について私は申し上げるあれはありませんけれども、この出かせぎ労働の基本に関する問題を真剣に討議する、策定するための審議会をつくってもらいたいと思いますけれども、そういうお考えはございませんか。
○石田国務大臣 ただいまこの問題については中央職業安定審議会におきまして専門部会——建設業関係が一番多いものですから、建設部会においてこの問題を検討してもらっているところであります。別に審議会を設けろというお話でございまして、それだけの重要性を持っているとは思うのでありますが、いま一方において審議会とか諮問機関というのが多過ぎる、それを整理しろという議論も強く上がっております。したがって、別にこしらえるということはこれはにわかにお答えはできませんが、しかし実質的な効果が上がるような検討はぜひしなければならぬと思っております。
○栗林分科員 最後に、雇用保険の短期雇用に関する給付に関する質問ですが、これは斎藤委員がそれぞれ質問しておりましたし、私も聞いておりましたから重複は避けますが、時間がないので私は特に北海道のような酷寒地域、東北のような特に積雪のひどい地域、そういう地域での労働者で、冬場の人は別にして、夏場の出かせぎ労働者に対しては何らかの特例の道を開く必要があるではないか、こう考えておるわけでございます。 なぜなれば、北海道は、これはもう酷寒の地でありますから、冬季公共事業の発注もいろいろ工夫されておられるようでありますが、これはなかなか私はむずかしいと思う。働く意思がありましても働く機会を得られないのが実情ではないでしょうか。したがいまして、夏場の方々は十二月に帰るわけでございますから、こういうような特殊な地域における夏型の労働者に対しての何らかの特例の方法を講ずる必要があるではないか、かように私は考えておるものでございます。 いずれにしましても、法は平等でなければならない。したがって、この短期労働者の失業給付は一律に一時金五十日と、こう定められて、経過措置として一年間五十日、九十日の選択は許されましたが、これも一年で打ち切られてしまいました。私はこうした特殊な地域における労働者に対しては、平等といいましても、これは平等にはならないと思うのです。たとえば、公務員の給与について考えても、公務員の給与は全部これは一律というわけにはいかない、寒冷地給もある、そういうような地域的な特殊な事情を考えて、これに補完的ないろいろな制度が設けられておるわけであります。それでありますから、雇用保険の給付につきましても一律に五十日とは、かえってこれが不公平になると思うのであります。その地域に合うような改善は必要ではなかろうか。 そういう意味で、夏型の、つまり春来て十二月に帰る、こういう出かせぎ労働者に対する保険給付につきましては、何らかの特例の道を開く必要があるではないか、かように考えるものでありますが、これについてひとつ大臣の所見を伺いたいと思います。
○石田国務大臣 これはもう先ほど何度もお答えをいたしたのでありますが、雇用保険法の改正は負担と給付とのアンバランスをできる限り除去しなければならぬという趣旨に基づいて行われたものでありまして、夏型の季節労働者に対して五十日の給付をして、そしてほかの仕事にその給付をもらってもついていいような措置をとりましたこと自体が、私は特例の措置であると考えておるわけであります。 地域的に申しますと、北海道の場合は、先ほども申しましたように二百六十億円程度の収入に対して約千億円の支出、お互いの秋田県においては三十八億円の納付に対して百七十億円の給付でございます。秋田県におきまして職業安定課を通じて調査をいたしましたところが、新しい制度の方がいいという答えをしました者が六二%に上っておるわけであります。そういう実情にございまして、五十日を給付し、しかも他の就労を認めるということそれ自体が私は特例措置であると考えておる次第でございます。
○金子主査 次に、大出俊君。
○大出分科員 最初に、これは書類がございますので、ちょっと大臣に差し上げたいのですけれども、よろしゅうございますか。——冒頭に承りたいのですけれども、労働者災害補償保険法という法律の目的は一体どういうことになっておりますか。
○桑原政府委員 不幸にいたしまして業務に起因いたしまして疾病あるいは事故によって負傷いたしました労働者の方々に対して、迅速にその補償をして、最終的には職場復帰していただく、こういうのが目的でございます。
○大出分科員 その迅速にということなんですが、四十七年に起こった労働災害に対しまして、今日まだ等級も決まっていないということ、その間、この災害を受けた労働者は、見るに見かねる状態で病床になお呻吟している。きょうも電話をかけましたら、奥さんが川崎まで薬を取りに行っているわけでありますが、一日に二十何回も便所通いをするので、わざわざ二階に便所までつくって行かなければならぬ。本人を車に乗せて通院させるのでも、近所の個人タクシーが断るわけであります。これは大変に小水が近いからであります。そういうことになっているのに、いま五十二年でございますが、四十七年のものが今日まださっぱりわけがわからぬ。これは私は、この法律の趣旨に沿わない。いずれの決着がつくにせよ、こういう無責任な話はない。 だから、私はきょうは、私予算委員でございますから、質問者の数が多いので、各分科会全部遠慮をいたしましたけれども、これだけは遠慮をしようにもできない。何が何でも、これは責任の所在は一体どこにあって、だれが一体責任者なんだ、私は、その責任をとっていただきたい、こう実は思います。質問をいたしました結果として、まだ予算委員会に時間もございますから、改めて総理なりに質問をしようと実は思っておるわけでありまして、責任を明確にしろ、責任をとれ、こう言いたいのであります。 そこで、この事情を御説明をさせていただきたいのですが、大臣がいま読んでおいでになります陳情書というのがございますが、病床におります御本人がお書きになったものであります。風間時次郎さんという方でありまして、横浜の瀬谷というところに住んでおりますが、六十一歳ということで、働いておって重傷を負ったということなんであります。 「私は、昭和四十七年十二月二十一日午後一時二十分ごろ、鉄建建設、東京都千代田区三崎町二の二二の十八号総経ビル内、新橋地下鉄工事作業所地下五階移動用足場上にて作業中、突然足場にトロッコが突き当たり、五メートルはねとばされ、地上五メートル五十のトロ線上に転落し、その勢いで半回転し、全身打撲、肋骨骨折左十本、両肩骨折、骨盤右骨折、頭部挫創にて意識不明となり、新橋慈恵医大に入院しました。そのとき、後で、一緒に働いていた友人に八カ月後に会い、」これは意識不明で入院していましたからね。「やっと事故の原因が判明いたしました。」この友人の方というのも、私いろいろ承りましたけれども、一人じゃないのであります。「友人より話を聞き、トロッコが突き当たったこと、救急車を頼まず、下請のトロッコを突き当てた」、鉄建建設の下請でありますが、「向井工業のライトバンで送られる途中、信号が何度も赤になり気が気ではなかったと申しており、」つまり一緒にいた人がついていったわけでありますが、「私を病院に送り届けた後、所長命令で足場を全部ばらし、」足場にまず欠陥がございます。だから、問題になりますからあわてて足場を全部ばらさせた。「次の日の正午までかかり全部改造し、」その二時間くらい後ですね、足場を改造した後、「基準局より係官が現場検証に来たとのことです。別の友人がおかしいというので、所長と会い、基準局へ提出した書類と図面を、強硬にかけ合いやっとのことで取り上げてくれましたが、」後から説明いたしますが、ここにその取り上げたものもございます。大変作為に満ちた書き方をしておりますが、「取り上げてくれましたが、偽造書面にてただあきれるばかりでした。事故当時三人以上もいた人たちに」、仲間が三人いたわけでありますが、「病院へ絶対行かないよう頼み、」行っちゃいかぬというわけです。「それがため、医師は、肋骨骨折十本のうち三本が肺に刺さり、内出血のため輸血を行い、一カ月半後に血清肝炎となり、両肩骨折の接骨は命にかかわると言うので、マッサージで何とか手が曲がるようになりました。問題は、頭が絶えず痛み、夜も全然眠れず、医師に診断していただきましたところ、棒で首や肩をたたき、老化現象と言われ、そのまま何の手当てもなく、ただ毎日苦しみ続けました。早く現場にいた人たちがそのときの様子を話してくれたら、頭をよく調べてくれたことと思います。八カ月後に初めて、安全帽が三メートル先に飛んでいたということで頭を強打したことがわかりました。小水は近く、多い日には一日二十三回もあり、寝る間は現在でもありません。四十八年五月三十日、通院ということで退院し、川崎市木月の関東労災病院整形外科で診ていただきましたところ、頭の痛みは老化現象だと言われ、胸の苦しみだけ診ていただきましたところ、血清肝炎が大分悪いとのことで、内科で診ていただきましたところ、目がかすみ、肝炎も相当悪いとのことで、眼科で診ていただき、脳外科へ行くよう言われ、初めて首、頭のレントゲン検査で八カ所も悪いところが見つかり、早ければ治ったが、もう手おくれでどうにもならないので、打ち切りを宣告されました。実に残念でなりません。次は、神経科で診ていただき、三年過ぎた今年の六月打ち切りにされ、国保で薬をいただいております。次は、泌尿器科で診ていただきましたところ、お年で近いとのこと。私は、事故前はこんなことはなかったので、ぜひ診ていただきたいと申し出、やっとのことで診ていただきましたところ、膀胱、尿道打撲のためレントゲンではっきりわかり、排尿後も尿が残っているため排尿が近いので、手術をしても見込みなく、打ち切りにされました。残念なのは、内科で昨年四月突然国保だと言われ、薬代を払うよう通知が来まして、次の診断日に行き、医師、医事課事務所で何のため国保にしたか、払う払わぬの争いとなり、何カ所も診断で最後に残され、お金を払わなければ薬を渡さぬと言われ、やむを得ずお金を払って薬をいただいておりましたところ、無理したため八月二回、九月に三回も倒れ、近くの病院へ入院いたしましたが、」云々と、こうなっておりまして、最後の四枚目に「川崎の市役所へ妻が行き、国保の件を調べたところ、全然でたらめで、内科、基準局、鉄建の三者が連合して悪いことをしております。」と言っているのであります。これも後で説明しますが、「昨年十二月、一月で認定検査が終わっておるにもかかわらず、」これはおくれていることを言っているわけでありますが、その最後のところに「公傷でありながら労災にならず、後遺症のため働くこともできずに泣く人の実に驚くべき数字が」あるのじゃないかというわけですね。したがって、これは国会で問題を何とか取り上げてもらって、労働大臣以下各地区基準局長、署長の、どうも納得がいかない、こういうふうな問題について、くやしくてしょうがないと本人は言っているわけでありまして、ちょうどこれはロッキード事件で騒ぎになっていたときでありますから、「ロッキード問題以上」なんて書いていますけれども、苦しんでいる人間の実感だという気がするのであります。「しかし、現在の体ではいかんともすることができず、よけい残念でなりません。一日も早く国会が平常になり、」ロッキードでこれはなっていませんでしたから、「第一番にこの不正をお取り上げくださるよう切にお願いいたします。」こういう文面なんであります。 二、三点つけ加えておきますけれども、三田の労働基準監督署長名で、関東労災病院に対して意見書の提出依頼が出ております。これで病名その他の問題点をおわかりいただけると思うのであります。かつまた、ここに医者の名前が書かれておりますから。 そこで、「傷害事故報告」という昭和四十七年十二月二十一日の文書、これが会社側がとっさにつくって基準局その他へ出した文書であります。これをお読みいただくとわかりますけれども、トロッコがぶつかったということは一言も書いてない。整理していたところ、片側の手すりと上げた型枠との間隙が五十四センチあいていた、足場で仕事をしていたらですね。そして、これはまさに誤って軌道上に転落して負傷したんだ、ここで言っているのはこういうわけですね。 後「事故の原因」というところで何を書いているかというと、移動式足場台車の上床部のパイプ手すりと上げた型枠の間隔が片側だけ五十四センチあいていた。あいていたところへ落っこった。だからそれが直接の原因だということにして、作業員が老年のために作業行動がもたもたしていたというわけですな。これが直接の原因だ。ふざけた話だ。そして、その後は延々と、なぜここに五十四センチのあいているところがあったかという言いわけをしているわけですね。しかも、この足場は取っ払っちゃって、基準局が来るまでには、いろいろな人が調査に来るまでには徹夜がかりで全部組みかえちゃって、組みかえたものにはこの間隙はすでにない。すき間はなくなっている。これは現場の方々みんな知っています。なぜ一体こういうことをやるか。大きな紙にございますのが、これはここに十枚も同じこういうものがあるのでありますが、つまりトロッコがぶつかったというところを隠して図面を書いて添付して出しているわけであります。これはもう被害者本人のほかに三人いたのでありますから、まじめな、やはり高年齢労働者でありますけれども、正直な話をしております。何てひどいことをするんだろうと思ったという言い方でありまして、つまり、なぜこういうことをやるか。 私も昔、総評中央本部の役員を長らくやっておりまして、古き日の石田労働大臣に年じゅうお目にかかった時代があるのであります。こういう場面には、当時の仕事柄、年じゅう組合で取り上げますからぶつかりましたが、一貫していまだに変わらぬのは、企業の側というのは、まずもって会社側に瑕疵がないんだ、本人のミスなんだ、こう言いたいのです。そうすれば、会社側は負担がない、補償しないで済んでしまう。 それからさて、やむなくいろいろな資料をごまかして出しますけれども、それがばれてきて労災適用になるということになってまいりますと、今度は等級をできるだけ下げたいわけです。そうすると支払いがまたそれで少なくなる。そのための老練な係がいて、年じゅうそればかりやっている。そういう露骨なあらわれなんです。奥さん、その他知り合いが見かねて一緒に動いてやっているのでありますが、その方々にお目にかかって聞いてみますというと、こういう席ですからある病院ということだけにしておきますが、奥さん初めこの方々見ている前で、会社側がデパートなどの商品券、こういうものを持ってきて手渡す。かっかかっかしているわけですよ。そこへもってきて、何と家族をつかまえて、労働省へ行ったり会社へ行ったり、そこら飛びまわったって奥さんだめだぞ、打つべき手は皆打って、すでにもう全部済んでしまっているんだ。だから幾らじたばたしたってだめだからあきらめなさいということを平気で本人にぶつけてくる。こういうことであります。いまの点は、その御家族の証言でございますから、私が直接見たわけではありませんから、真偽のほどはまさにそこから先のことでございまして、お調べいただければいいわけでありますけれども、つまりそういうことまでやって、片方では等級を下げる、できれば労災適用からはずす、ずっとやってきたわけです。私は忙しかったものですから腰を上げななかったのですが、だがしかし、見かねて、しようがないからと思って、三田の基準監督署の皆さんのやりとりの話なんかも聞きましたが、私が心配したのは、長いやりとりでございますから、関係者は何とか作為に満ちた会社側の事故報告から始まるいろいろな動きを、真相をあばき出そうとする。そこに感情のもつれが出てくる。基準監督署の監督官の方々初めその衝に当たる方が感情的になったのでは、相手は重病人を抱える家族ですから、多少頭にくるのはしようがない。一生懸命やることもしようがない。それを相手にしてどうも感情的になってしまったのでは問題にならぬ。そこで、私が、労働省本省担当課に物を言いまして、調べてもらいたいと言ったところが、本年一月でありますが、三日ばかりたちましたら奥さんから連絡がありまして、三田の基準監督署の監督官が電話をよこして、奥さん、銀行に口座があるかと言った。そんなものはありませんと言ったら、五十円持っていけば口座をつくってくれるから、持っていってつくってこい。何するんだと言ったら、六級で送ります、こう言った。金を送るんだから、四の五の言っているととれなくなるよというようなことを言ったという。これはもってのほかだと私は思う。幾ら感情的になったからといって、さっき局長がお話になっておったが、この法律の目的に徴してみて、いかに感情的になろうとも、本人の重病人が二階に寝ている、下に電話があるのですが、そこに電話をかけてふらちなことを言うなと私は言うんだ。そこで局長、今度あなた方に物を言ったらどういうことになったかというと、私は予算委員会もあることだからと思ったりして、とは考えたんだが、この種のことは早い方がいいので、なるべく早急な処理を願いたいんだがと言って皆さんに頼んだ。そうしたら皆さんが初めだけ一遍出てこられて、三田にあったものを本省で引き取って補償課で検討しますというお話になった。それきり今日まで音さたなし。私はついこの間、先月の二十六日でございますが、局長に電話をかけて、会議中恐縮だったが出てきていただいて、予算委員会で質問通告しようと思っているんだがどうなんだと物を言ったわけだ。そうしたら、補償課長に預けているからそちらからと言うから、何か言ってくるかと思ったらきょうまで何も言ってこない。しかも、隣で私は主査やっているわけだから、そこへ来て、こんなときになって説明を聞いてくれとかへったくれとか、補償課長はふざけたことを言うんじゃないですよ。こんなものはきのうやきょう話したんじゃない。人の命をどう考えているんだ、日本の労働者の労働権というものを一体どう考えているんだ、そんなことで労災行政ができるか。ふざけちゃいけませんよ。大臣、お答え願います。所感を聞きたい。
○石田国務大臣 私はたびたび労働行政をお預かりをしているわけですが、基本的な労働行政に対する姿勢というのは、これは労働者諸君に対するサービスを基本とする行政である、人間だけを扱っている唯一の役所であるから、人間の尊厳というものを守ることを第一のたてまえとしなければならない、こういう基本的な考え方で万事に当たっているつもりであります。 いまこのお話を聞いて私は実は一驚をした。ここに書かれてあることが事実であるとかないとかということは別問題としまして、何よりもこの処理が五年間もほうっておかれたということは何としても許しがたいことでございますので、この事件自体の処理は早急にいたさせますが、同時に、会社側にそういうような故意の隠匿行為があったといたしますなら、これは責任を追及しなければならぬことは言うまでもありません。それから、サービスをモットーとする役所でございますから、したがって、その対象になる勤労者の諸君に対する態度はその精神に貫かれなければならぬわけでありますので、相手方がたとえどういう態度に出られたとしても、感情的になることは間違いであると思います。 まず第一に、この事件の処理を速やかにさせます。それから第二には、役所としてこれに対処した処置、それを厳重調査いたしまして、処置をいたしたいと存じます。
○大出分科員 大臣、横浜に三菱横浜ドックという有名な会社がありまして、ここの組合員の方々が私を支持していただいて十何年になるのですけれども、その方々と会をつくって、元日に必ず会うことになっておりましてね。ところが、私も十四年目ですから、いつの間にかそこの労働者も年とってやめていくわけですね。だから、三十人ばかりの会のうちの半数は退職者なんですね。この十五人の方がどういうところに勤めているのか、ことしの元日に会いましたときに、酒の席ですが、聞いてみたわけです。この十五人全部がやはり肉体労働なんですね。第二の人生。横浜ドックをやめて、退職金をもらって、新しい職場。横浜市戸塚区に戸塚の中小企業団地なんというのがございますが、ここに六人も七人も行っておりますけれども、みんな流れ作業の中で体使ってまだ仕事しているのですね。大体六十三、四から六、七ぐらいまでです。ところが、給料を聞いてみると、八万円なんですよ。申し合わせたように八万円。何とか十万欲しいと粘ったら、稼働日数をふやしてくれるかということだった。それでもいいからと言って十万円もらっているという人が一人いましてね。しかし、力を入れる場所が変わるものですから、最初の三カ月ぐらいはもうとにかく——いままでも船をつくっているのですから体を使っているのですけれども、力を入れる場所が違うものだから、あっちが痛いこっちが痛いでまいったというわけですな。 つまり、いまの六十歳前後からの方というのは、みんなそういう苦労をして、しかも安月給で働いているわけですね。だから、この会社の事故報告にありますように、まず直接の原因を挙げまして、「作業員が老年の為に作業行動が不確実であったのが直接原因と考えられる。」というこの書き方は許せぬと私は思うのですよ。こんなことを言うならなぜ使うんだ、不確実だから落っこってしまうような足場に何でこれ使ったんだと言うのです。四十七年だと思ったけれども、労働安全衛生法をこしらえて、五カ年計画その他で皆さんは事故防止対策をやってきているはずだ、監督署が先頭になって。そうでしょう。しかも、全国のあらゆる職種の中で建設業が港湾とともに一番事故が多いのは御承知でしょう。年によって多少の違いはあるけれども、死亡事故を比べてみたら港湾と建設が圧倒的に多いでしょう。こういう職場では下請、再下請はざらにある。指揮系統は一貫していない。だから、とんでもないところからトロッコが飛んできてぶつかったりするのです。そういうところで出す会社側の報告ではこれはないですよ、大体。トロッコがぶつかったということを隠しておくにしても、こんなことをぬけぬけと書ける筋合いではこれはないのです。そんなことを言うなら、労働省の監督行政というのはどうなっているんだ。それを、こんなものを見て、これは本人の責任だというようなことを監督署が口走るようなことであって、労働行政ができるかと私は言うのだ。皆さんの三田基準監督署の言い分というのは、私は本当に腹が立った。会社側はこう言っていると言う。会社側はこう言っているかもしらぬ。会社側の言っているのを一〇〇%認めたって、こんなに事故が多いのは一体何だというんだ。それなら、六十一歳の人間を使うならそれなりの使い方があるじゃないですか。五十何センチもあけておいて、地下鉄工事なんだから振動が来て一つ間違えば落っこちるかもしらぬ。それなら、それに対する対策があってしかるべきじゃないですか。一体何のために立法までして、しかも建設業者にまで災害防止の団体をつくらせて、下請その他から基金まで集めさせて、何でそんなことをやっているんだ。それで底が抜けていたのでは、これは労働行政にならぬじゃないですか。この辺の根本的な問題を一体どう考えているのかということを私は改めて聞きたいんだ。いかがでしょう。
○石田国務大臣 私も六十歳を越えましたので、六十歳を老年と言われることには非常な抵抗を感じます。 それから同時に、おっしゃるとおり、その人の能力に従った職場を与えるということは人事管理の基本でありますから、それをその人の責任にするということは私はやはり間違いだと思います。 それから、労働省の立場はできるだけ労働者の側に有利な判断をするように努めるべき立場にあると考えますので、この対応の仕方というものについては厳重に反省をしなければならぬ問題である。先ほども申しましたように、一つにはもう速やかに処理をするということ。二つには、やはり労働省の果たすべき役割りというものを現場にさらに一層徹底させると同時に、責任の所在も明確にしなければならぬと思っております。
○大出分科員 この等級ですけれども、さっきから申し上げておりますように、私も全逓信労働組合中央本部の役員を十七年もやったのです。その間、いまの総評をつくって、総評本部の副議長に至りまして、副議長も四年何カ月やっておったのですから、たくさんの組合をつくってきた一人ですから、知らなくはない。 ところで、この規則に別表がついておる。これは医者が決めるんだと言うけれども、これがまたそう簡単ではないのですよ。私の兄貴も公立病院の医者だけれども、医者というのは井の中のカワズで、世間のことは知らない。本当にそうなんだ。世の中の人は医者が言えばみんなそのとおり聞いてしまうんだ。だからしようがないんだな、医者というのは、本当に。そういう意味ではこれは医者の習性なんだ、悪いというのではないが。そこで、私も恩給を十三年間やり続けているけれども、項症だ款症だ、審議会があってみんな医者がやっているのだけれども、だから私もお医者さんに何遍も会って話しているけれども、医者の認識たるやわれわれが考えているのとは違うのです。だから、医者が決めるんだからいい、そういうものではないのですよ。ですから、この等級の第一級、第二級、この中で、「胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」、これは一級です。そうでしょう。この項目一つつかまえても、四六時中介護をしていなければならない、一日に二十何回も便所へ行く人間をつかまえて、これでは何もできやせぬじゃないですか。明確に、打撲によって尿が残る、残るからこうなると医者がちゃんと所見まで出している。ここに診断書が十何枚もあります。きょうはこんなものを差し上げたって、労働大臣を相手に物を申し上げるのだから、かえって御無礼だからと思って印刷しませんでしたが、これは全部診断書です。だから私は、それを出先の監督署の監督官が電話で六級だなんて、それでいけないのだとか、出ませんよなんていうことを言うたとすれば、これは私も家族の方からの電話によるまた聞きですけれども、だからさっきから直接ではないと申し上げているのですが、いま私が申し上げているのは、一緒にいた人や何かに会っておりますけれども、それは間違いない。だが、会社には会社の言い分があるだろうとは思う。思うけれども、いみじくも労働大臣が言ったように、私も労働組合を長くやったからそうなっているのかもしらぬけれども、会社側に比べれば労働者というのは弱い。特に個個の労働者というのは弱過ぎる。しかも、この作業員の方々の属する組合はない。組合が対等の立場で取り上げてやっていない。だとすると、そこに大臣がおっしゃっておられるように法律の趣旨があるのであって、だから弱い働く諸君の側に立って、しかもそれが六十一歳という年齢であればなおのこと、年寄りでおまえさんのところの亭主が悪いのだということをまかり間違っても言うべきではないし、そんなことが腹の中にあってもいかぬと私は思っておる。それでなければ中高年齢層対策なんてできはしませんよ、老齢人口がどんどんふえるこの世の中に。六十一歳を取っつかまえて、とんでもない、年寄りだからなんということを言ったのでは、これからの世の中は成り立ちはしませんよ。おまけに個人差はみんなあるのだろうから。だから、そういう意味で基本的な問題だと言うのです。私は、この状態は第一級、第二級に該当すべき人間だと思っておるのです。ひどいものですよ、骨折を見てごらんなさい。十カ所も骨が折れてしまって、両肩まで折れちゃって、手の施しようがない状態になっちゃっている。しかも救急車を呼んで持っていくならいいのだけれども、下請けのライトバンか何かのトラックへほうり込んで持っていくなんということを、労働災害を担当している労働省があって、本来させるべきではないですよ。だから、私に言わせれば、片っ端労働行政上の手落ちだらけです。だから私は、責任の所在を明らかにしてくれ、こういう言い分にならざるを得ない。等級がどっちに向くという問題もありますが、それのみならず、前提となるべきものが責任を果たされていない。これが私は黙っていられぬものだから、できればここまで出てきて大臣に物を言おうというのをやめようかと思った。こういう問題はがたがたしないで、早くまとめてあげるにこしたことはないからですよ。現に大変な肉体的苦痛を負って寝たきりでいる人間がいるのだから、その家族がいるのだから、すぐ片づけぬことには困るのだから、だから本省の方に話した方が事が早いと思うから話したわけです。いままで何も言ってこない。そんなばかな話はないじゃないですか。そんなことを言ったらどうしようもないじゃないですか。 これ以上言う気はありませんが、大臣そこをぜひ、先ほどお話を承りましたからよろしゅうございますけれども、このあたりでもう一遍、長くなりますととかくいろいろな意味で思わざるミスが出るものでございまして、だから労災関係の行政の分野でも改めて見直していただいて、せっかく五カ年計画等を立てて、法律ができてからやってこられた、四十七年だったと思いましたが、安全問題をやってきましたが、そこらも改めて見直していただいて、ひとつこの国の高齢化する人口のふえる現時点においてどう対処するかという、それらの方々の側に立ってのあり方をやはり御探求いただきますようにお願いをいたしまして、最後に大臣からもう一言、ここいらを何とかひとつやっていただきたいので、御答弁をいただきたい。
○石田国務大臣 先ほどからお答えをいたしておりますとおり、労働省の役割りというものは、勤労者諸君の利益を守るサービス官庁である、そして勤労者諸君の側に立って問題を処理する唯一の役所であります。そういうたてまえに立ちましてこの問題の処理に当たりたい。それだけでなく、一般的に、現場の諸君に強く注意を促したいと思います。
○大出分科員 そこいらを感情的にならぬでぜひ御処理をいただきたいのです。
○金子主査 本会議散会後直ちに再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後零時四十分休憩 ————◇————— 午後二時三十六分開議
○武藤(山)主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 主査は都合によりおくれますので、その指名により、私が主査の職務を行います。 労働省所管について質疑を続行いたします。小宮君。
○小宮分科員 いま本会議でも雇用保険法の問題について大臣にいろいろ質問してきましたけれども、やはり私たちがわれわれの周囲をながめてみた場合、本当に労働者の生活が少しずつは向上されたといっても、なかなかわれわれが考えておるような生活水準までにいっていないことは当然なんです。 そこで、国がいわゆる憲法二十五条の国民の生存権に基づいて、いわゆる生活保護法という法律ができているわけです。ところが、労働者の中には、この生活保護法以下の生活水準を余儀なくされておられる方々がもうたくさんおります。そういうようなことで、いまからいろいろ質問をしてまいりますけれども、労働省に聞いてもらわなければいかぬから、厚生省にまず質問しますけれども、いわゆる生活保護費が四月一日から一二・八%引き上げられることになっておりますが、夫婦、子供二人の標準世帯で幾らになるのか、一級地、二級地、三級地別に示してもらいたい。
○入江説明員 五十二年度の生活扶助費でございますけれども、一級地が、先ほど先生がおっしゃいました標準四人世帯、これは小学生の男の子と四歳の女の子のいる若い夫婦の世帯でございますけれども、一級地で九万五千百十四円、二級地の場合八万六千五百三十三円、三級地で七万八千三円に引き上げられることになっております。
○小宮分科員 いまの数字は、これは生活扶助基準の中の一類と二類の合算額だと思います。そうしますと、そのほかに生活保護費の中には住宅扶助基準あるいは教育扶助基準、医療扶助基準と、こういうふうなものもあるわけですけれども、そこで、この医療費のように一定しないものは別としても、毎月一定して扶助される一類、二類、そのほかの住宅扶助、教育扶助、こういうふうなものを含めれば、大体一級地、二級地、三級地でそれぞれ幾らになるのか。
○入江説明員 いまおっしゃいました教育扶助、これは一、二級、三級地、全部同額でございまして、千百九十円になります。住宅扶助の方は一、二級地が九千円以内の実額、三級地が五千円以内の実額ということになりますので、これを足しますと一級地では十万五千三百四円、二級地では九万六千七百二十三円、三級地では八万四千百九十三円になるかと思います。
○小宮分科員 そこで、大臣もいまお聞きになったように、国が最低の生活水準として決めておる生活保護法の扶助基準ですら、いまのような数字になっているわけですよ。そうすれば、いま労働省の資料をもらって見ましたところ、地域別最低賃金の最高日額が二千二百六十四円で、二十五日働いたとしても月額五万六千六百円です。最低日額では千九百円ですから、月額四万七千五百円。平均日額で二千百二十二円で、月額五万五千円となっているのです。また、産業別最低賃金でも、中央で決定された分の全国石炭鉱業が、日額三千九百二十円で月額九万八千円。全国金属鉱業が、日額三千七百円で月額九万二千五百円。地方決定の分では、木材、木製品、家具等の最高日額が三千七百二十円で、月額九万三千円。最低は繊維産業の日額二千円で、月額五万円になっているわけです。このように、働いておる人が生活扶助を受けておる人よりは安い賃金で、生活扶助基準以下の生活を余儀なくされておるというこの問題について、まじめに働く人から見れば、むしろこれはもう働くよりは生活扶助をもらった方が得だというような空気が出てまいっておることと、そのことが逆に今度は生活扶助を受けておる人との間にいろいろなトラブルあるいは不満が非常に出てきておるわけです。ですから、そういうことを考えますと、生活保護基準というものは、最低生活を営むに足る必要経費として国が生活保護法で、法律で認めておるわけです。それも、よって立つ理論的な根拠は憲法二十五条の生存権から出ておるわけですから、働いておる人が、いまの最低賃金で、生活扶助基準以下の賃金をもらっておるという、これは憲法違反です。その憲法違反を労働大臣自身が一そういう最低賃金を決める場合の承認はやはり労働大臣がやるわけでしょうから。これは地域最低賃金でもそうなんです。それは極端に言えば、労働大臣は公然と憲法違反を認められておるということにもなりますよ。労働大臣どうですか。
○石田国務大臣 生活保護は世帯に対して与えられる、最低賃金は働いておる人一人の労働の給与でございますので、それは同一水準で比較はできないと思います。たとえば、最低賃金なら、一世帯で二人働こうと三人働こうと同じなのでありますから、片一方は標準世帯について与えられるもので、私は憲法違反だとは考えません。
○小宮分科員 それは、生活保護は世帯に対してと言うけれども、最低賃金で働いておる人は、それで家族の生活をやっておるのですよ。そういう、個人だ、こちらは標準世帯だ、だから世帯が単位だと言ってみても、働いておる人は、この賃金によって家族は生活しておるじゃないですか。そういう答弁では納得できませんね。しかも、結局、同じ条件の人でこの最低賃金が適用されておる人は、私が先ほどから申し上げるように、いわゆる生活保護基準以下の生活をしておるということなんです。それがいまのような答弁だけで、法律で、生活保護は幾ら世帯単位であっても、それだけの所得がなければ、それだけの金がなければ生活できないということでしょうが。それなら、こちらはそれ以下であっても、賃金は個人の労働の対価だから、それ以下の生活もよろしいということになると、物わかりのいい労働大臣の言としてはちょっと解しかねますね。
○石田国務大臣 いや、その制度のたてまえの違いを申し上げたのであって、その金額が適当か適当でないかという問題とは別でありまして、そういうことはそれぞれの審議会で、中央、地方の最低賃金審議会で御審議をいただいているわけであります。ただ、最低賃金というのはいろいろな、一家族で二人働き、三人働く場合もあるし、それがいわゆる最低ですからね、それで固定さしているわけでは決してないのであって、そういう意味では、私は、やはり制度の違いは御認識をいただきたい。
○小宮分科員 制度の違いといっても、現実にその最低賃金で生活しておるわけですよ。生活保護の制度とはなるほど違うでしょう。違うけれども、そちらの方は、これだけなければ最低生活は営めないということで、これだけはひとつ国がその生活を保障しなさいという義務づけを国はされておるわけですよ。ただ、制度の違いはあったとしても、やはり私たちは、生活保護法の目的、憲法のたてまえからいっても、国民が、たとえば生活保護を受けておるいまの標準世帯と、それと同列におる人がこれより以下の生活をしておって、制度が違うからそれはしようがないんだというようなことは、私は、労働大臣としてそういう答弁はちょっと問題があると思いますよ。それは、制度が違う、最低賃金だ、労働の対価だと言ったって、それはわかりますよ。しかし、私は労働大臣に認識してもらいたいのは、そういうような生活保護基準以下の人は、全部生活保護の申請をして、その差額に対しては生活保護の扶助を受ける権利があるわけです、これははっきり生活保護法に書いてあるのだから。だから、そういうような意味で考えておるわけですけれども、これは後で厚生省に質問するつもりだったけれども、労働省も、ただ単に制度が違うんだとか、あるいは最低賃金は中央とか地方で決定するからそれはしようがないんだということではなくて、少なくとも最低生活が営めるだけの水準にしていくための努力を私は大臣にしてくださいと言っているんです。だから、初めからそういうようなことで制度が違うんだということじゃ、ちょっと大臣困りますよ。
○石田国務大臣 それは、勤労者の労働の対価というものは実情に応じて順次高められていくことは望ましい。いま、生活保護世帯とお比べになりますから、お比べになって、正確に比較をしようと思えば、今度は一体最低賃金の人たちがどれだけの家族数を抱えているかというところを基準にしないと比較にならない。片方は一人のこと、片方は四人でしょう。だから、そういう意味で比較の対象にはならない。ましてや、憲法違反を私どもがやっていると言われたのでは、これは、さようでございますか、憲法違反やっておりますと私はお答えはできない。しかし、全体として勤労者の所得水準を高めていくというような、労働の対価を順次高めていくという方向に努力をすることは労働省の仕事でございます。
○小宮分科員 それではもう一度厚生省に質問します。 いまの標準世帯は、夫が幾らで妻が何歳で子供が何歳と何歳ですか、もう一遍言ってください。
○入江説明員 先ほど申し上げました標準四人世帯は、男が三十五歳でございます。女が三十歳、子供が九歳の男と四歳の女の子でございます。
○小宮分科員 大臣は、たとえば働く人と同じ世帯の中で実は二人も働いておる人がおるかもわからぬとか三人働いておるかもしれぬという答弁をされたわけですが、三十五歳、奥さんが三十歳、子供さんが九歳と四歳、こういう三十五歳ぐらいの人で二人も働くような人はいないですね、まだ子供さんが九歳と四歳ですからね。だから、それでは、この生活扶助を受けておる御主人が三十五歳、奥さんが三十歳、子供さんが九歳と四歳という立場で、この最低賃金の適用を受けておる人がいるわけですから、そういうような人と比べて、私がさっき言ったように低いわけですから、それはどう考えておりますか。
○石田国務大臣 基準局長からお答えをいたしますが、実際問題として、三十五歳くらいまで勤務をいたしますと、それは最低賃金の最低のところの賃金ということには、おおむね、普通常識上ならないんじゃないだろうかと思うのですが、しかし、こちらの方から……。
○桑原政府委員 大体二十歳を一〇〇といたしますと、四十代になりますと約二倍の賃金額の引き上げになってまいりますので、お説のように直ちに生活保護と比較すること自体がいいかどうかと思います。
○小宮分科員 いまの地域別の最低賃金を労働省からもらった資料で見ても、月額で大体ずっと五万一千程度ですよ。たとえば窯業関係もそうですよ。それで、そういうような人たちは、みんな三十五歳ぐらいの年齢になれば、子供の二人はおりますよ。そういうような人が現実に、夜勤とか残業でもあれば別ですが、最近はそういうようなものはない。二十五日働いた、二千円でも五万円にしかならぬ。そういうような人は、それで生活しておるんです。そればかりではありません。生活扶助者の場合は、そのほかに貸し家に住んでおれば家賃も払ってくれるし、子供さんに対しても千百円ずつ上げるし、子供さんの学校に通う交通費も出る。病気したら医療費もただ。それで学校の給食費も出る。こういうものがあるわけですから、たとえ同じ賃金を——仮に九万円なら九万円としましょうか。働く労働者は、これから子供さんの学校に行く交通費であろうと給食費であろうとみんな出すわけですよ。だから、その点はひとつ十分労働省ももう一遍調査をしてみてください。 厚生省、そこでこういう働いておる労働者は、賃金が生活保護基準より以下の人、同じ条件で以下の人の場合は、厚生省の生活保護の申請をしますから、その場合は厚生省としては受け入れることは当然だと思いますが、どうですか。
○入江説明員 生活保護は申請主義になっておりますから、申請があれば、その実情を調査いたしまして、賃金の方が低いということであれば、差額が保護費として出るということになっております。
○小宮分科員 それは労働省に調査を依頼してもなかなかむずかしいと思いますけれども、現実はかなりおるんですよ。だから、生活保護というのは、憲法で保障された立場から、毎年生活水準あるいは物価は上がっていくわけですから、こちらの方は当然そうしてもらいたいし、それより以下の労働者の生活水準というものをどうするかということを労働省は考えていただかぬと、私は大臣にも、定年制の六十歳の問題も法制化のことも言ったけれども、少なくとも最低賃金くらいは、最低賃金法によってある程度法文で明確化する。それで、毎年生活保護基準は上がっていくから、それに右へならえで上げていって、全国民が憲法で保障をされた最低生活ができるように持っていくことを労働省は考えるべきじゃないのか。法制化ということに大臣も本会議で大分こだわっておったようですが、法制化とまでいかぬでも、そういうことで今後指導をしてもらいたいと思うんですよ。だから野党が、全国一律最低賃金の問題を持ち出したりいろいろしておるわけですよ。この最低賃金という問題、生活保護と比べて非常にアンバランスがある。それは、地域でいろんなトラブルを起こしておる。そうしたら、働くよりは生活保護もらった方が得だということですよ。そうしたら、働く人たちから勤労意欲がなくなってしまいますよ。だから、そういうような点を十分考えて、労働省もただかたくなな気持ちだけじゃなくて、そういうような人が現実にわれわれの周囲におるわけだから——あなたたちの周囲にはおらぬかもわからぬよ。ぼくらはやっぱり帰ってみればおるわけだから、そういうような人たちの生活をどう引き上げていくかということは、労働省の人も十分、労働者の側に立つ労働省ですから、その点、今後とも努力をしてもらいたい。 それから、労働省関係で、造船不況によって、五十年一月以降五十一年末までに離職した全国の造船下請労働者はどれくらいおるのか。
○北川政府委員 運輸省で造船造機統計というのがございます。これによりますと、造船業下請労働者の数が、四十九年十二月末には約八万九千でございます。ところが、五十一年七月末で約六万六千に減少をいたしております。その差は、したがいまして二万三千人、この五十年の一月から五十一年七月までに減少をしておるということでございます。ただこの減員、減りました数は、単に解雇による減員だけでなくて、自然退職あるいは反面新たに就職をした、そういうものを全部加えまして、それとの減少でございますので、それがすべて解雇につながるわけではございません。 ちなみに、長崎県の職業安定課で、その期間におきます解雇の下請労働者の数を調査をいたしました結果がございますので、それを申し上げます。長崎県の管内で、五十年一月以降五十一年十二月までの解雇下請労働者、造船関係でございますが、約五千六百名、こういう回答が参っております。
○小宮分科員 下請労働者を含む造船の離職者は、これは労働省もよく御存じのように、職業転換給付金の対象職種に指定されたわけです。しかしながら、現実には今度は大蔵省との関係もあって、職業転換給付金対象職種に指定されながらも、やはり職業転換給付金制度には乗せてもらっていないのです。いまの雇用保険法で、従来であれば三年間の失業保険給付がなされるわけですが、今度の場合は、造船の離職者に対しては、これからもうどんどん出るわけですから、それであしたも運輸省でこの問題をやるわけですけれども、これからずっと谷底に入っていくわけですから、そういうときに、今度の造船の離職者に対する取り扱いは、失業保険の給付期間を十カ月だ、それから個別延長制度を二カ月適用しようということで一年間、それにプラス就職指導手当を三カ月——本当に三カ月やるかどうかよくわからぬけれども、あと訓練所に入所した場合に訓練手当を一年間支給する。こういうことで、合算してみると大体二年三カ月ぐらいになっておるわけですけれども、本来の職業転換給付金というのは、繊維産業だとか駐留軍の離職者だとか、こういうようなところは三年間の職業転換給付金の支給があるわけですが、今度の場合、職業転換給付金の対象職種には指定されたけれども、実際の適用は、これはいま雇用保険法の中でやりくりして、こういう制度、こういうことでやったわけですが、ひとつこの制度を五十三年度あたりは、やはり職業転換給付金の本来の姿に乗せてやっていただきたい、こう思うんです。これは大蔵省は、今度の予算折衝でも大分壁が厚かったから一応やむを得ぬと思いますけれども、ひとつ来年度はいわゆる三年間の職業転換給付金を支給するような制度にぜひとも乗せてもらいたい、こう思いますがどうですか。
○北川政府委員 いま先生が、造船業については職業転換給付の対象にしていない、こういう御指摘でございましたが、これは厳密に言いますと、やはり転換給付として職業訓練手当を支給することにしておりますし、就職指導手当につきましても、これは転換給付制度の一環として支給をいたしますので、いま御指摘のように、繊維とかはしけのように三年間の就職促進手当の支給という点では違いますけれども、転換給付の対象にしたということについては、私は大変な前進と思っております。 では、なぜ繊維産業あるいははしけ、これからの二百海里問題の漁業対象者のごとく三年間の保障をしなかったかという点につきましては、これらの三年間の特別の転換給付の対象といたしますものとして、われわれが必要要件と考えておりますのは、その離職者が一般の離職者に比べて大変就職が困難であることのほかに、その産業が長期的に国の施策に基づいていわゆる構造変化を行う衰退産業である。たとえば繊維のようにスクラップで買い上げる、石炭のようにスクラップの合理化法をつくっておる。そういう構造改善の方針が国の方針として非常に明確であることを前提として、この制度の適用をしておるわけでございます。今回の造船につきまして、ECの輸入規制等から大変厳しい情勢にあることは知っておりますけれども、ただ、その産業構造転換という点につきまして、先ほど述べました諸産業とはかなり質的差があるのではないか、こういうことで、今回やや一歩前進をしたという形をとったわけでございます。ただ、造船がこれから非常にむずかしい状況に直面をいたすようでございますので、運輸省が明確に、国の施策として造船産業について、国の方針として構造改善を行う、ほかの繊維等とバランスのとれた産業政策を行うのだということが明確になりました場合には、われわれも前向きに検討いたしたいと思います。
○小宮分科員 職業転換給付対象職種として造船業はいま指定はしてないのですか、してあるのですか。
○北川政府委員 職業転換給付金の対象業種とはいたしております。
○小宮分科員 それでこれは労働省に私はいろいろ文句を言っているのじゃないのですよ。労働省の今度の努力に対しては非常に感謝をしているのですよ。だから、感謝のしついでにもう一息努力をしてもらいたい。そうしないと、たとえば、いま言う去年の十一月二十五日に造船法第七条によっての操業短縮勧告を行ったわけです。さらに、今度のEC諸国との貿易戦争の中でもいろいろやったわけです。それでこちらの船価の値上げをしてみた。それがどう響くかということをいまからやるわけですけれども、そのほかに、やはり西ドイツの受注を規制するとか、いろいろなものが出てきておりますし、いまからどんどん谷に入っていくわけですから、そういう意味で、ひとつまた格段の努力をしていただきたいということをお願いしているわけです。 そこで、指導手当とか訓練手当、これはやはりいまのところかなり水準が低いですね。だから、これについて少し引き上げるべきだということをわれわれは常々考えておるわけですけれども、その点はいかがですか。ひとつ五十二年度では無理としても——私は物わかりがいい方ですから、そうわけのわからぬことを言っているわけじゃないのです。五十三年度ぐらいにはやはり上げてもらわぬと、実際は給付をもらっておった、それが指導手当になった、訓練手当になったというふうになると、これもまた生活保護との関連も出てくるのだけれども、そういうふうなことになれば、皆さん方は安心して生活の保障ができないということになりますので、その点ひとつぜひ五十三年度予算あたりでは改正をして、安心して就職の機会を増すということに努力をしてもらいたいと思うのです。
○石田国務大臣 造船関係から出る離職者ですね、機械を扱いなれているわけなんで、要するに訓練を受けやすい、また、受けて物になりやすい経験を持っておる。それから、本来、ただもらうのではなくて、仕事を覚えて安定的な職業についてもらうことが趣旨なんでありますから、その訓練を受けるという状態の方が、何もしないでもらう者よりも安いのでは困ると私は考えて、そういう方向に向かって努力をいたします。
○小宮分科員 もう時間が来たようですから、これで質問を終わります。
○武藤(山)主査代理 次に、玉城栄一君。
○玉城分科員 私は、沖繩の失業の問題につきましてお伺いをしたいと思うわけでございますが、先ほどの本会議でも雇用保険法の一部改正で、失業問題についてはあらゆる角度から質疑が交わされたわけでございます。すでに御存じのとおり、総理府の統計局の五十一年度平均の労働力調査報告によりますと、五十一年度は完全失業者が毎月平均百八万人、完全失業率が二・〇%、ことしの一月が百十四万人、二・二%、こういう常に百万台の高水準の完全失業率を示しているわけであります。これは改めて申し上げるまでもないことでありますけれども、現在の不況の最大の犠牲者と申しますか、これはまさにこの失業者の方々であると思います。先ほどの本会議のときにも総理の御答弁にありました。この失業問題というのは、あらゆる総合的な要因が絡んで出てくる問題である。まさにこの失業問題というものはきわめて重大な問題であると思います。そういう中でもすでに労働省がよく御存じのとおり、沖繩県の場合は本土全国平均の完全失業率二・〇%あるいは一・八あるいは二・二、そういう状態の中で、常にいわゆる本土復帰を境にいたしまして、特に例の沖繩海洋博から急激に完全失業率が高くなってきておるわけでありまして、六%から七%の間を常に上下をしている。いわゆる三倍以上というまさに異常な状態を示していることは御存じのとおりであります。沖繩が本土復帰をいたしましてはや五年になるわけでありますけれども、復帰の際に政府とされましても沖繩に対してはいろいろなお話がされたわけでありますけれども、復帰をいたしましてこの五年間、現実はきわめてこの失業問題を焦点にして多くの問題が噴出をしているという状態であるわけであります。本土並みということがよく言われますけれども、まさにこの本土並み以上のものが沖繩にはたくさんあります。この失業問題を一つの焦点にいたしまして、基地の問題あるいは物価の問題にしましてもそうであります。したがいまして、大臣にこの際沖繩の異常な失業、深刻な失業問題につきましてどのように御認識をなされ、またそのよって来る原因、そしてまたどう対処されようとしておられますのか、その点を詳しくお伺いをいたしたいと思うのであります。よろしくお願いします。
○石田国務大臣 沖繩が日本全土の平均に比べて非常に高い失業率であるということはよく承知しております。その一つの原因として、第三国の労働力がかなり入り込んでいるような状態もあるように思います。それからやはり産業基盤が弱い、そういうことが第二番目の原因かとも思います。それから第三番目は、広域職業紹介をして他府県へ就職を、いま特別の人員配置もいたしまして、お世話をしておるのでありますが、県内就職を希望する人が他地域に比べて多いというようなことも一つの原因ではなかろうか。これからは基本的には県内の産業が盛んになってもらうということが、これは何といっても第一でございますが、できる限り公共事業とかあるいはそのほかのいわゆる政府、行政関係の事業を活発にすることは無論でありますが、広域職業紹介を積極的に広げ、その後のお世話なども十分にすることによって解消をして、できるだけ減らしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
○玉城分科員 ただいま大臣の沖繩のああいう異常な失業対策と申しますか、第三国の労働者が入るということは、これはまた沖繩の失業問題とは別の話だと私は思います。それと産業基盤の問題、広域職業紹介あるいは県内に就業の場を確保する等のお話がございましたけれども、こういう一般的な失業対策で三倍以上という深刻な沖繩の失業問題がどのように実効あらしめられているのか。ただありきたりの一般的な対策では、この五年間が証明しておるのでありまして、今後の見通しとしてむしろこれはふえる可能性も大きいと憂慮されるわけであります。そういうことで、一般的な対策ではなくして、あの深刻な実態を認識した上でどう真剣に対処されようとするのかということにつきまして、もう少し詳しくお伺いをしたいと思います。
○石田国務大臣 具体的な施策については担当局長からいたさせますが、抽象的ということだけでなくて、たとえば広域職業紹介については今度特別に人員を二名新規に配置することにしております。あるいは駐留軍関係その他によって失業した人が自営業を営む場合の金融枠の拡大というような具体的な措置もとっております。それから県内に就職をお世話するのが一番いいに決まっていますけれども、これは産業基盤と並行していかなければなかなかむずかしい。そういう場合に、具体的に各県へお世話をしております実数も役所としてつかんでおりますので、これも後で御報告いださせます。
○北川政府委員 先生御指摘のように、やはり沖繩に雇用の場を確保することが一番大事でございますので、政府としましては、御承知のように沖繩振興開発計画をすでに樹立いたしまして、それによって工業誘致、産業の振興を図っておるところでございますが、われわれとしましては、そういう産業政策全般のたてまえと並行的に、昨年の五月に沖繩県の労働者の職業の安定を図るための計画を樹立いたしております。それは、いま大臣が申しましたように、まず当面県内求人をどう開拓していくかということで具体的な計画をつくっております。さらに、当面は、沖繩の経済基盤が非常に沈下をしておることもありまして、広域職業紹介を積極的に進めて、沖繩の方が本土の方に御就職をいただく、そのための職場が安定した職場であるかどうか、これの確認あるいは就職されてからのアフターケア、そういうことにいろいろ努力をいたしますとともに、就職前の職業指導もやっておるわけでございます。 なお、沖繩の失業問題の場合に非常に特色的なことは、大臣もいろいろ申されましたけれども、そのほかに私たちが注目しておりますのは、若年層が非常に多い。本土の場合には高年齢層が非常に多くてその就職が困難なのでございますけれども、若年層になりますと、求人と求職を比べますとまだ求人の方が多いという実態でございます。沖繩の場合には、一番就職のしやすい年齢層である二十歳代の方がかなり多くおられますので、この方々の広域職業紹介をもう少し何とか効率的に進めるということで、いま大臣が言いましたように、指導員の設置とか相談員の増設というようなことを考えておるわけでございます。それとともに、訓練を行いまして安定した職場につけたいと思っております。 なお、そのほかに、当面の事業といたしましては、沖繩で行われます公共事業に失業者を吸収していただくということで、中高年法では無技能者の四〇%を失業者吸収と、こういう率を決めておりますが、沖繩の場合には、御承知のように、特に六〇%と吸収率を高めましてその吸収に努めておるところでございます。 さらに、沖繩関係の失業者につきましては、御承知のように、沖特法あるいは駐留軍離職者臨時措置法に基づく求職手帳を発給いたしまして、職業転換給付と同様に三年間の生活の保障をいたしておるというようなことをいろいろやっておりますが、先生御指摘のように、現在の六・何%の失業率から見て、さらにこの対策の充実のために私たちとしても真剣に取り組みたいと考えております。
○玉城分科員 最初に申し上げましたとおり、ただいま局長がお話しになられました多くの点につきましては、私もよく承知をしております。しかし、現実の実態としましては、完全失業率六・三とか、二万六千人あるいは二万七千人、ピーク時には三万人、常にこういう状態がこの二、三年続いておるわけであります。端的に申し上げまして、失業の解決は、働く場所を与える、仕事が欲しいという方に仕事をつくってあげる、そういうことになろうかと私は思います。それはあくまでも政治の力で解決をされなくてはならないと思うわけであります。もっと具体的に申し上げますと、先ほどもお話がありましたけれども、沖繩は労働市場が狭い、いわゆる雇用の機会が少ない、働く場所をつくるという意味で沖繩への企業の誘致、雇用産業の誘致ということも言われておるわけでありますが、そういう点につきまして具体的に労働省としてどのようにお考えになっておるのか、お伺いをいたします。
○北川政府委員 産業の誘致につきましては、労働省は直接やっておりませんけれども、総理府の中に官庁協議会をつくっておりますので、そういうところで、沖繩の雇用問題の対策としてはやはり沖繩の振興開発が一番大事であるということをいつもお願いして、政府として他官庁の御協力を得て実効を上げるべく努力をいたしておるところでございます。 なお、先ほどちょっと数字を言い忘れましたので、県外就職につきましてちょっと申し上げますと、一般県外就職は、五十年の場合にはわずか二千人程度でございましたけれども、五十一年にはそれが二・五倍、約五千人にふえております。学卒等も同様に増加の傾向にございますので、いま先生おっしゃいましたように、長期的に島内への産業誘致、振興ということで、他官庁の御協力を得ていろいろ施策を展開いたしますが、当面、労働省としましては、やはり安定した広域職場へ沖繩の失業者の方々をお世話することに最重点の施策を置いておるわけでございます。
○玉城分科員 この点は要望になるわけですが、沖繩の失業問題の解決で広域職業紹介、これは本土の他府県に仕事を紹介してあげようということです。御存じのとおり、遠く海を隔てておりまして、若年の学卒、そういう青少年の場合はいろいろな面でなじみも早かろうと思いますが、いずれにしましても遠く海を隔ててのそういう距離的な関係で、こちらに来て就職をし働くわけでありますけれども、特に要望をしておきたい点は、アフターケアの問題については労働省とされましても十分御関心を持たれまして、その点はきちっとやっていただきたい、このように思います。 次に、これは大臣にお伺いをしておきたいわけですが、先ほど申し上げましたとおり、沖繩の失業の大きな原因の一つとして、軍雇用員をどんどん大量に解雇してくるということが、沖繩の失業問題をまさに非常に困難にしている原因であるわけであります。これは失業問題に限らず、沖繩のあらゆる問題は、あの巨大な沖繩の軍事基地の存在が大きく影響しておるわけでありまして、その中でも特に、基地はそのまま維持されながら、そこに働く日本人従業員はどんどん大量に解雇されていく。こういうことにつきまして大臣としてはどのようにお考えになっておられるのか、その点をお伺いしたいと思います。
○石田国務大臣 基地の規模が以前と同じでありながら、日本人が解雇されるという状態、解雇するときの条件というようなものもむろんあわせて問題にすべきだと思いますが、沖繩の雇用情勢というものに対して、米軍も十分配慮をしてやってもらう必要があると考えます。
○玉城分科員 そういう中で、大臣も御存じかと思いますけれども、いわゆるVOAの沖繩中継局、これは沖繩国会でも実は大変論議の的になりまして、返還協定の第八条によって、暫定期間の存続、五年間ということで、いよいよ五月十五日が目前に迫っておるわけであります。あと二カ月という状態にあるわけであります。その事情につきましてはすでにお聞き及びかとも思いますけれども、雇用保険の問題につきましては、すでに解決をして、関係従業員の方々もその件についてはもう十分喜んでおるわけです。しかし、問題は退職金。これの平均勤務年数が大体十六年。基地従業員と退職金に大きな差があるわけであります。 御存じのとおり、基地の離職者に限らず、沖繩の失業者というものは、その退職金をほとんど生活費に充てて生活をしているというのが現状、そうならざるを得ないわけでありますけれども、この正規の七十四名の従業員並びに契約雇用の四十一名の方々について、退職金のめどが全くついておらない。いわゆる米国機関としてなりの退職金は支給されるわけでありますけれども、その額は、軍離職者の退職金と比べますときに、多い人で半分、あるいは三分の一という差がありまして、関係従業員の方々がこの間もその件の解決のために関係省庁に陳情にも来ておるわけであります。まさにこの方々はじりじりとして、どういうことになるのかということで待っておる状態でありますけれども、労働省とされまして、このことについてどういう対策を現在とっておられるのか、お伺いをしたいと思います。
○石田国務大臣 これは私も、詳しくではございませんが、おおよその事情は知っておるのですが、御承知のように、これは軍の従業員でなくて、国務省の従業員。それから沖繩の返還に伴っていろいろな法律や何かで決められたものは、それぞれの法律の所管官庁で扱いますけれども、それ以外のものは沖繩開発庁で扱うことになっておりまして、したがって、この問題も沖繩開発庁で扱う。ただ、一般的に日本人労働者の労働条件の問題でございますので、私どもの役所といたしましても、沖繩開発庁その他の関係官庁と協議、協力をいたしまして、何とか有利な条件を得られるように努力はしておりますが、アメリカの国内法の関係等もありまして、非常にむずかしい問題であると聞いております。
○玉城分科員 これは、これまでも再三外務省からも話を伺ったわけでありますが、アメリカ側としましては、これは日本国内の問題であって、それ以上の退職金のかさ上げ、上積みはできないということははっきり言っておるようであります。アメリカの言い分としましては、VOAというものは日本政府の意思によってこういう状態になっているのであって、当然日本政府の責任において皆さんの退職金の問題は解決されるべきじゃないかということを強く言っておるようであります。したがいまして、日本人従業員のいわゆる退職の問題、そういう失業の問題という立場から——この件は開発庁にも何回もお伺いをしておりますけれども、開発庁としては、これは外務省じゃないかあるいは労働省ではないかというようなたらい回し的なことで一向にらちが明かない。しかし、タイムリミットはもう来ているということで、何らかの対策をここで打ち出していただかないと、これ以上、もう二カ月しかないわけでありまして、その見通しと申しますか、もう一回大臣にお願いしたいと思います。
○石田国務大臣 関係各省でぐるぐる、ぐるぐるたらい回しにしておっては、いつまでたっても解決するわけはないと思います。したがって、これは早急にそれこそ一堂に会してこの問題をどうするかという検討をさせたいと思います。
○玉城分科員 最後に、要望でありますけれども、大臣がそのようにおっしゃっていただきますならば、この方々はほとんど高年齢の方々が多いわけでありまして、現実に沖繩の経済の情勢については大臣もよく御存じのとおりであります。再就職の見通しもつかない、いわゆる子供にしましても学校に通わせているという年代であるわけでありまして、先ほども申し上げましたように、退職金というものは今後の生活にとってきわめて重要な問題であるわけであります。したがいまして、これは国内の問題として、政府の責任の立場に立って何らかその間の格差を考えてあげるという措置は、ぜひ大臣の御熱意で解決を図っていただきたい、このように強くお願いをする次第です。
○北川政府委員 先生からの強い御要望につきましては大臣も先ほど答弁したとおりでございますが、ただ、この問題は退職金を駐留軍並みにという御主張でございまして、先ほど先生が御指摘のように、駐留軍と今回のVOAの職員の退職金の比較をいたしますと、最低で、正規職員の場合に十三万七千円ぐらいでございます。これが駐留軍は二十四万円ぐらい。いまおっしゃいました約半分程度。最高になりますと、VOAの場合でも千二百万円出るわけでございます。それに対して駐留軍の場合は二千百万円。これはやはりかなりの格差があることは事実でございます。ただし、退職金そのものは労使の自主的な交渉の中で考えるわけでございまして、駐留軍の場合には、国が間接雇用主としての責任があったという点が、この問題とVOAと果たして同じように取り扱い得るかどうか、非常に疑問があると私たちは思っております。 ただ、先生からそういう御要望もございましたし、大臣からかねがねこの問題については積極的に関係各省と協議をするようにという御指示もございますので、沖繩開発庁を中心としてこの問題についての結論をなるべく早く出すように努力をいたしたいと思います。
○玉城分科員 せっかく大臣がおっしゃることを局長さんは何か少し弱くするような感じの御発言がいまございましたけれども、この基地に働く方方といいますのは、VOAも完全にそういう機関であります。好き好んでそこに働いているわけでありませんし、そういう事情の中で働きながら、またそういう状態で解雇されるという事実においては、全く変わりがないわけです。雇用契約が形は変わったにしましても、その退職の時点における退職金の問題についてやはり同じような扱いを政府が考えてあげるべきである、これはまた当然であるという考えがあるわけでありまして、ぜひその要望が満たされるように全力を挙げてやっていただきたい、このように御要望を申し上げる次第です。 以上です。
○武藤(山)主査代理 次に、只松祐治君。
○只松分科員 高度経済が失敗して、日本国じゅう大変な問題がいろいろ起こって、国民が非常に不安に駆られております。そういう中で最も不安に思っておるのは、インフレと高物価の問題が一つ。いま一つは平均余命が長くなりまして、依然として五十五歳で首になる、こういういわゆる定年制の問題だと私は思います。大臣はそういうふうに御認識になりますかどうですか。
○石田国務大臣 たびたびこの席でも申し上げましたが、なかなかむずかしい課題ではございますが、インフレなき完全雇用の達成というのは現在の最大の課題であると思っております。特に、完全雇用の実現のためには、中高年齢層の就職の問題、定年制につきましては、いまお話しのように平均余命が非常に長くなって、五十五歳定年というのが始まったときの日本人の平均寿命は四十三、四歳であった。それが七十歳になった今日までそのままに置くことは、きわめて不公正な状態だと思います。しかし、何しろ長い間の人事管理体系、それから賃金原資配分の問題、それから若い人たちの昇進というような問題なんかともいろいろ絡んでおりますし、それから職種によって高年齢でも十分たえられる職種と、高年齢では不適当な職種等もあると思います。しかし私どもとしましては、厚生年金の支給開始時期につなげるためにも、一日も早く六十歳定年制の普及ということに努めたいと思っております。次第にその効果があらわれてまいりまして、大体三十数%の企業においてはすでに六十歳定年を実施し、子会社等に移っていく関係もあって、なかなか普及がおくれておりました大企業においても二〇%近くになってきつつあるようであります。またそのほかに、仕事を年寄り向けと若い人向けとに、年寄りも中高年でもやれるような職種に分けまして、別会社をこしらえてやっていくというようなこと、あるいはまた単能工を複能工にするというような工夫をこらし始めた、そしてまた実施し始めておる企業も多くなってまいっておる次第であります。
○只松分科員 世界の平均余命は幾らになっており、その中で日本は第何位ですか。
○前田説明員 諸外国の平均寿命につきましては、国により生命表の作成年次が異なっておりますので正確な比較はできませんが、世界の最長寿国はスウェーデンであろうと思われます。その平均寿命は、一九七三年で男七十二・一二、女七十七・六年となっております。わが国はこれに比べまして、男で〇・三六年、女〇・七一年とこのくらいちょっと短いわけですが、ほとんどスウェーデンに次ぐ、同じ程度の長寿の国幾つかあるかもしれませんが、大体その程度かと思われます。したがいまして、英米独仏と比べまして男はその水準を上回っている、女は大体その水準、そう言うことができると思います。
○只松分科員 いまお話がありましたように、世界で大体二位、しかも一位と余り変わらないくらい平均余命が長くなってきた。そこで労働省のどなたか、世界の先進資本主義国における定年制の状況の概要を御説明願いたい。
○森説明員 お答え申し上げます。 諸外国におきましては、日本におけるような定年制というものをとっておる例は少のうございまして、むしろ年金の支給開始年齢、これが大体六十五歳程度に決まっておりまして、その年齢に達すればおのずから勤労者が隠退していくというのが実情のようでございます。
○只松分科員 年金の支給開始と連動している、こういうところもあります。そうじゃなくて、やはり定年制というのが、六十、六十五、あるいは雇用が三十歳過ぎた場合には七十、一応いろいろ決まったところも相当ありますね。そうじゃなくて、あなたがおっしゃっているように全部連動している国だけですか。相当定年制が決まっているところがあるでしょう。ないですか。
○森説明員 おっしゃるとおりでございまして、国によって若干の違いはございますけれども、西欧におきましては、おおむね年金支給開始年齢が事実上隠退の年齢である。ただ、たとえば公務員などにつきましては全部六十五歳というところもございます。
○只松分科員 その定年に連動する年齢はおよそ何歳ですか。
○森説明員 おおむね六十五歳ということになっております。ただ最近はむしろ一、二年短くするというような傾向が出てまいっておるように思います。
○只松分科員 いま事務当局のお話がありましたように、平均余命は世界で第二位くらい、世界の退職年齢はいろいろな年金に連動して六十五歳くらい、こういうことですね。これはあたりまえだと思うのです。ところが日本では依然として、特に官公吏の場合にはほとんどが五十五歳というけれども、実質上は五十四歳、ここにお並びになっているような高級の公務員は五十三、四歳、こういう形で、いわゆる首になるというより他へ天下りをしていかざるを得ない、こういうのが実情だと思いますが、違いございませんか。
○石田国務大臣 私も正確な数字を覚えておるわけじゃありませんけれども、ただもう少し高い年齢に皆なっているのではないかと思います。というのは、私が一番最初に労働省に参りましたのは昭和三十二年でございますが、そのときは次官が四十六、七歳であった。次官の同期の人は一人がなるとやめていくということになっておりました。ところが現在は次官は五十五、六、七歳、十年間くらい全体としてずれてきておるわけであります。これはやはり二十年という歳月の中に、人事管理体系がそういうふうに自然的に伸びてきているように思うのです。しかし、先ほどから何度も申しますように、五十五歳でやめていかなければならないという制度というものは、いまのような平均寿命になってまいりましたときにはこれは適当でないという考えには変わりはございませんし、そういう点について対応できるような管理体系というものを官庁も考えるべきだと思います。
○只松分科員 実は大臣、十二年前にあなたは同じようなことを言っているんだ。私はこれはほとんど毎年やっている。あなたが十二年前大臣をされた四十年二月二十四日、このときここで、やはりこの委員会でやりまして、あなたが「むろん文明国家にはあり得べからざる話だと考えております。」こういうことを前提としてずっと私はあなたと論戦して、とにかく努力をいたします、こういうことをあなたは言っているのですよ。それから十年以上たっているのですよ。いいですか。ところが、いまあなたは少しは延びていると言っている。実際上は下級公務員はほとんど延びておりません。おったら、だれかひとつ資料を、どの程度延びているか。若干業種によっては、種類によって延びているのもあります。それから国鉄の現場職員から、こういう現場の人を見ると、私が知っている限りにおいてはほとんど延びてもおらない。あるいは私がいま論議している大蔵省の役人諸君はいま申しましたように五十三、四歳でほとんどどんどんよそへ行ってしまうわけですからね、天下りで。いわゆる五十五歳の定年制があるから一つは天下りというのも出てくるわけですね。そのことも私はその当時言ったわけです。そのときに、とにかく私はこれは昭和のじじ捨て山じゃないか、こういうことを言ったら、いや全くそのとおりであるし、無論文明国家にはあり得べからざることである、こういうことを言って、あなたは努力するとおっしゃった。私はそのときから、まあその前から、海部君が労働政務次官をやっておりましたそのときに、何とかしろよ、こう言ったら、海部君が、その前から多少はやっていたんですが、いわゆる高年齢者の雇用調査というものを本格的に始めた。それから田村君が労働大臣になりまして、やれよと言って、田村君のときに初めて六十五歳という定年制を大臣の公式発言としてしたのです。それは首をひねることは何もないよ、ぼくのところへ電話してきたんだから。そのころの新聞にも載っているよ。六十五歳にしたが、一生懸命六十歳ぐらいまで何とか目標でやるよ。大臣によってはそういう努力をした人もありますが、あなたがまた三たびですか労働大臣をやられて、そしてその間、十二年前にこの委員会でやって、努力する、こういうふうにお約束になったんですが、どういう努力をあなたはされましたか。
○石田国務大臣 各企業に対してあらゆる機会に中高年の雇用の促進、特に定年制の問題についての検討をするように要請をいたしましたし、これは私の在任中ではありませんけれども、中高年齢者等雇用促進法も成立をいたしました。また実績でも、先ほどもちょっと申しましたけれども、六十歳定年制を採用する企業数も、企業の割合も非常にふえてまいりました。速度においては非常に不十分、不満な点もあるかと思いますが、実績としては改善の跡は見られてきておると思います。 ただ、天下りとか天下りでないとかいう場合、それは役所の場合も、それから企業の場合でも子会社へ移っていくというような場合、その仕事の種類によっては一概に言えない。たとえば第二の人生を始めるとするならば、できるだけ早い方がいいんだという人も中にはあるのであります。しかしそういう意味で、定年制の問題というものは各企業とも平均して取り上げるようにだんだんなってきていることはやはり事実であろうと思います。
○只松分科員 民間においては、労働組合がしっかりしておるところは、特に高度経済が続いておった間はある会社によっては六十歳ばんと出しておるのがありますね。それからそれがさらに後退して、一遍は出したけれども五十八歳になった、七歳になった、こういう退却したのもありますよ。それは私全然知らぬわけではない。しかし、いま言いますように、世界的な長寿国になりながら依然として五十五歳の制度、勧奨退職が行われていることは事実ですよ。それでたとえば警察官なら警察官の例をとってみますと、これも五十四歳ないし早い人は三歳でやめなければならない。平巡査の人は六十歳なら六十歳ごろまでいけるわけです。ところが、署長や何かになりますと、後がつかえているということがあって、ところが昔は消防署長やら自動車学校長やらこういうのが職があったわけですね。あるいはもっと言えば、労務管理の職があった。ところがいまはもうみんな命が長くなりましたから、消防署長になってもなかなかやめない、あるいは自動車学校長も七十になってもやめない、あるいは労務管理というものは必ずしも警察に向かない。こういうことで、五十三、四歳で依然として首になっている警察署長の行く先というものはないのですよ。どこにあると言えば、一番あるのは県庁や市役所やそういう関係の、今度自治体のいわゆる六十歳前後の定年までしているそこに第二の職を求めていかなければならない、こういう状態が続いている。これは警察の幹部の一つの例です。 あるいはそういう警察幹部でなくて、国鉄なら国鉄の現場の職員も、五十四歳で肩をたたかれてみんなやめているわけです。国鉄の大宮工場あたりみてごらんなさい。全部五十四歳で肩をたたかれて、五十五歳でやめさせられている。だから、あなた方は簡単にそういう延びているというようなことをおっしゃっているけれども、実態はなかなかそうではない、特に官公吏の場合に。だから、私は一挙に五十五を六十にしろなんていままで言ったこともなければ、またできるわけもない。せめてたとえば二年に一年ずつ延ばしていけば、あなたは前の労働大臣をやってから十二年たっているのだから、これはもう五十五は六十になっているわけです。いいですか、これにはいろいろな関係する賃金体系から年金の問題から全部関連しますから、一挙にできるわけじゃない。そういうことをしろという暴論を私は言ったことは一遍もないけれども、少なくともいままでのこの高度経済のさなかに、やはりもっと積極的に延ばしていく努力をすべきではなかったかと思うのです。いまから、低成長時代に入りましてするというのは、いままでむずかしかったのだから、私はなかなか容易でないと思うのです。しかし改革というのは、今度三千億減税だってできましたように、やり方によってはできるわけです。戻し税方式はだめだと言ったって、それはやはりできるのです。いわゆる政府の政治力、指導力。具体的にいまからあなたはどういうふうにやって、とにかくこれは大変なことだということはきょうもおっしゃっているし、前に、十二年前もおっしゃっている。文明国家にあり得べからざることだということまでおっしゃっているわけですから、具体的にどうやって定年制延長に取り組まれるか、ひとつお考えを聞かしていただきたい。
○石田国務大臣 文明国家では、働ける年代とそれから社会保障とはこれは引き継がれるべきものだという認識は、もう無論いまでも変わりません。そこで具体的な措置といたしましては、たとえば定年延長に対する給付金制度、これは従来中小企業だけに行われておりましたものを大企業にも行えるようにするとか、あるいはまた各企業がそれぞれ自主的な努力をいろいろやっておる例がございます。同一企業内で定年だけを延長するという場合は、人事管理体系それから賃金原資、いろいろなことで一遍にはできませんが、それをたとえば仕事を分けて、年をとった人たちに向く仕事を分けて別会社をこしらえてそこで吸収するという方法をとっているところもございますし、いろいろな実例も労働省として調査したものもございます。そういう実例を踏まえながら、一方中高年齢層に対する雇用の促進の奨励給付、それから定年延長に対する奨励給付、それからやはり使用者の社会的責任の自覚、そういうことを求めながら六十歳定年というものの一般化に努めてまいりたい、こう思っております。
○只松分科員 通常何か政府なり官にやれと言いますと、いや民間の方がまだそこまでついてきてないからと、こういう答えが一番返ってくるわけです。確かに一般の国民の経済情勢なり社会情勢と離れて政府がそう先走ったこともいかがかと思います。しかし、いいこと、必要なこと、これはやはり政治が勇気を持って、あるいは先走ってということじゃなくてもっと率先してやるべきだろうと思うのです。いま年金関係と社会保障関係と連動するということをおっしゃったけれども、何としてもいまから社会福祉国家に向かっていくことは事実です。向かわなければならない。そうすると、そういう年金に依存していくかあるいは定年制に持っていくかということになりますと、きょうはもう時間がありませんから、日本の経済状態から社会状態から全部の問題について論及はいたしませんけれども、日本のいろいろな矛盾の一つというのはやはり若年定年制にあると私は思うのです。だから、この若年定年制問題を除去するといいますか、早い話が、最低六十歳までとすれば、子弟の教育にいたしましても、父親が六十になったときには下の子供も大体大学は出ておると思うのです。ところが、五十四、五やなんかではほとんどが大学にありますし、もっと小さい子供、戦争に従事したような人は高校生、中学生というのもあるわけです。だから、そういうことを考え合わせればいろんな社会のひずみというものが起こってくるし、天下り問題一つ考えても、そういうことはするなと言ってもしていかなければ人間として生きていけない。各官庁の局長なんかにまでなっていて、第二会社の小さいところの小使と言っては失礼だけれども、平社員やらポストの低いところになかなか行く気はしないでしょう。あるいは公社公団をどんどんつくっていくから予算がふくらんでしまって、いまみたいに予算が硬直化をして、そしてどんなにしても予算をしぼめることができない。こういうことでやがて昭和五十五年には五十五兆円、これは自分たちが幾らひいき目にいろんなことを試算しても五十五兆円も赤字公債を発行せざるを得ないという。五十五兆円もなったら、言っておくけれども、日本の財政つぶれちまいますよ。こういう事態というものがやはり出てくる。まあそういうことまで全部論及いたしませんが、とにかくこの若年定年制というものは日本を今日に追い込んでいる別な意味の一つの大きな矛盾点だと思うのです。だから、そういう意味では、民間が上がったとかあるいは三〇%を超してこういうふうになったからということに満足するんじゃなくて、いいことは政府が率先をし——地方公務員はほとんどが六十歳前後になっていますから、いわゆる官吏の方ですから、だから政府においてもそれをもう少し勇気を持ってやられたらどうかと思いますけれども、どうです。 しかも具体的にいつをめどに——いま私言いましたように、十二年前もあなたはそういうことをお答えになった。十二年たって一つも進歩がない、ほとんど見るべきものは特に官吏においてはない。前の田村君のとき六十五歳を発想をして努力しようということになったわけですが、まあ彼の場合は大臣が短かったわけですが、あなたみたいないわば大物が労働大臣になられたわけですから、この際ひとつ勇気を持ってやっていただきたいと思いますが、そのお考えと、何年ぐらいをめどにしてそういうことを努力するかひとつお答えをいただきたい。
○石田国務大臣 三十何%になったことで決して満足はしておりません。しかし、たしか十年前は一一、二%であったものがとにかく三十何%になったということを申し上げて、しかもそういう傾向が続いているということを申し上げたわけであります。 国家公務員の場合、問題になりますのは賃金体系の問題がどうしても出てくるだろうと思います。その賃金体系と、それから若い人たちの士気の問題というようなことも考えなければならぬと思いますし、一面において行政機構の簡素化ということをしきりに言われる時代でもあります。なかなかむずかしい問題ですけれども、民間にそういう傾向があらわれ、しかもこれがだんだん一般的になってきているときでありますから、役所としてもそういうような人事管理体系に持っていくようにしていくべきものだろうと考えます。これは行政管理庁その他との話し合いも進めなければなりませんので、いついつまでというわけにはいきませんけれども、しかしこれは漸進的に取り扱うべきものだと考えておるわけであります。できるだけ早く六十歳までは下級の人でも働けるというような方向へ持っていきたい。ただ、警察官とかなんとかになりますと、警察官というのは例は悪いかもしれませんが、職種によっては同じ職種で高年齢までいられないのもあるだろうと思う。そういうものの仕分け、検討あるいは他の職種への転換というようなものもあわせて考えながら、できるだけ早い機会に六十歳定年制へ役所も持っていけるように努力をいたしたいと思っております。
○只松分科員 だからそういうことは言いわけなんですよ。石田大臣はお年幾つですか、なかなかお元気じゃないですか。あなたが警察署長の、激務だ、第一線で指揮するといったって、それはあなただって幾らだってできますよ。そう言っちゃなんだけれども、昼だけじゃなくて夜の方もなかなか盛んなような……。とにかく相当の激務は六十ぐらいまで耐えられますよ。私でも五十六なんですよ。これだって日夜全部、日曜祭日休みなく行動しておりますよ。だから、昔の五十五歳なり六十歳といまは違うわけですからね、これは私が言わぬでも。したがって、いまお答えになっているようなことは、私は詭弁とまで申しませんけれども、余り実のあるお答えではない。要するに、これだけ平均余命が長くなったということは、五十五や六十で元気だということですからね。それで、平均余命が短いときはもう五十五ぐらいでよぼよぼになっていたわけですけれども、いまはこうやってみんな元気なわけですからね。だから、そういう意味では、いまおっしゃったように、職種によってとかあるいは若い者との関係はとかこういうことは——厚生省の人口動態を見れば、やがてあと五年から十年たったら六十、七十の高年齢層がずっとふくらんでくるわけですよ。そういうことと雇用関係というようなことを労働省としては当然に考えなければならないですね。 まあ大体時間が来ますから、そういうことを突っ込んでそういうところから論戦してくれば、私はもっと合理的な論議ができるわけですけれども、三十分の時間ですからそこまでしておられないのですが、ぜひひとつさっきから言っているように、民間に調子を合わしてとか——たとえば自治体はできているわけですからね、官吏においてできない、政府においてできないということはない。だから、一年後とか二年後とかこう言って——この前から十二年たってここまでしか進んでいないですから、少なくとも私がおる間にここまで努力をして、あとこれだけ高年齢者がふえてくる五年後ぐらいまでには一つの目標を置いて努力したいとか、やはり努力目標というものは設定しなければ、ただ社会情勢や何かになすがままに推移してするということではなかなかできない。幸いに大物労働大臣の石田さんのときですから、ひとつ目標ぐらいはここでお答えをいただきたい。
○石田国務大臣 いや私は否定的な意味で言っているわけではない。一概に全部一遍にやれということになると問題はあるかもしれないが、しかし役所自体としてこういう社会、特に年齢構成になってきたことに対応できるような姿勢をとるべきである。しかし一方において行政の簡素化というようなことをしきりに言う声もあるものですから、そういうものとの調整も必要だ。やはり、もうそれこそ五年か六年たてば高年齢層がかなりの割合になるだろうということは必至なんですから、そういう時代に役所自身も対応しなくて民間だけに長く働かせろというのはこれは一方的に過ぎますから、そういう意味もあわせて検討していきたい、実現を図っていきたい、こう思います。
○武藤(山)主査代理 次に、田邊誠君。
○田邊分科員 日本の労働者の職場が非常に環境が悪いために各種の労働災害が起こっておるのですが、特に戦前からの劣悪な労働環境の中でクロム、じん肺、最近はまたベンチジン等のいわば職業病というものが非常に発見されてきたわけですが、この際、ひとつ近代的な労働環境を確立するためにも、これらの労働災害というものに対して、徹底的なメスを入れて、その原因を探求、実情の調査、その対策を講ずるということは理の当然だろうと思うのですが、ひとつその御用意があるかどうか、まず大臣に伺いたい。
○石田国務大臣 私は久しぶりで労働省へ参りまして、一番新しく大きく知ったこと、一つはこの職業病の問題であります。しかも前には聞いたこともなかったような名前がやたらに出て戸惑っているという状態、基本的には原因と結果との間に時間的経過があってなかなかむずかしい問題ではありますけれども、しかし新規な資材を使うとか原料を使うとかいうような場合に、それが人体に及ぼす影響というようなものは、これはやはり事前にあとう限りの調査研究をいたしまして予防するということが根本でなければならない。このことについては今回も非常に強く申しまして、そういう積極的な予防措置をとりますための予算的措置もできるだけ講じたつもりでございますし、ことに新しくでき上がりました産業医学総合研究所、これは私も第一番目に見に行ってきたのですが、非常にりっぱにでき上がっております。そういうものの活動を積極的に促して、あとう限り事前に防止する方法をとってまいりたい、こう思います。
○田邊分科員 そこで、これから先のいろいろな予防や対策は当然のことですけれども、いままで実は発見をされなかったもの、また発見をされてもその対策がおくれておるもの、その進行中のもの、こういったものに対しても、やはりこれは過去にさかのぼって十分な手だてを講ずることは理の当然である。私がきょう特に顕著な例としてお伺いしたいのは、このクロム禍被害の中でもって最もいわば典型的だと言われるところの日本化学工業、このクロム被害の調査をいままで労働省はやってきたわけです。専門家会議等も実は設けてやってきたのでありまするけれども、これは一体どういう方法で行われておるのでしょうか。特に私どもが、この専門家会議でもっていろいろといま検討されておると言いまするけれども、その検討の実は素材、検討の対象、それからまたやり方、これはきわめて不備であると実は考えておるわけですけれども、そのとおりですか。
○山本(秀)政府委員 専門家会議はそれまでにわが国で行われてきた各種の研究調査データをすべて収集いたしました。それからあとう限りの諸外国のすでに出版されて認められている文献を収集いたしました。それから現実に日本化工その他で起こりましたさまざまな事例につきまして、ケーススタディーも行いまして、その上で結論を書いたということでございますが、御承知のように五十一年の一月付になっておりまして、現実には五十年末というところまでの文献で書かれているわけでございます。
○田邊分科員 あなたいま、外国のいろいろな文献を参考にされたと言うが、一番生きたあれは何ですか。生きたものは、日本化工なら日本化工におけるところの被害が一体どのくらいあったか。これは戦前から戦後にかけてずっと長く続いてまいりまして、しかもいわば五十歳以上の人たちというのが一番死亡率が多い、あるいは病気が多い。こういった生きたものに対してあなた徹底した調査をしましたか。そうでないでしょう。一体どこの時点から調査を始めてどれを対象にしてやっておるのですか。
○山本(秀)政府委員 たとえば日本化工でございますが、昭和二十二年以降の退職者及び死亡者につきまして洗い出しを行いまして、その結果に基づいて一応の考え方をまとめておるということでございます。
○田邊分科員 昭和二十二年九月以降に入社した人たち、それだけを対象にしたわけですね。
○山本(秀)政府委員 はい、そのようでございます。
○田邊分科員 そうしますると、その当時に入社しておった人たちをなぜ対象にしないのですか。——そんなこと、わかっていないのじゃ困るじゃないか。
○山本(秀)政府委員 それまでのリストがしっかりしておるという者を取り上げたということでございまして、基準法以前の者は余りしっかりしておりませんでした。そこで対象にしなかったということでございます。
○田邊分科員 私の聞いておるのは、この専門家会議は二十二年九月以降に入社した者しか対象にしていないでしょう。二十二年九月現在入社しておってその被害を受けつつある進行状態の者に対して、あなた、それは対象にできないはずはないでしょう。それで調査が不明確になるはずはないでしょう。それなら一体この人たちはどのくらいの対象者、そうしてこのクロムにかかって死亡されたとあなた方は認定するのですか。
○山本(秀)政府委員 最終結果はまだ完全に固まってないということだそうでございまして、そのうち固まって、またクロム委員会を開きたいということでございます。
○田邊分科員 だめだよ。あなた、結論出たと言っているではないか。そんな、結論が出たような出ないような不明確なことを言ってもらっちゃ困る。いまあなた方が調べたところでは、死亡した人員は一体何ぼですか。その中でもってクロムの被害によって亡くなったと言われるところの人たちの中におけるがんの死亡者は一体幾らですか。——局長だ部長だが、わからぬでどうするのだ。
○溝辺説明員 補償課長ですが、現在まで私どもの方で把握し、死亡並びに療養をしている人たちに対する認定をした者は、日化工を含めまして、がんにつきましては、死亡者数で三十人、療養中の人で六人、計三十六人について補償を行っております。 なお、日化工につきましては、小松川工場、死亡十五人、療養中の人二人、計十七人でございます。
○田邊分科員 ひとつ資料を出してください。
○溝辺説明員 はい。
○田邊分科員 それで、いま私が指摘をいたしましたように、これは大臣に聞いておいてもらいたいのですが、急に病気が発生するわけじゃありません、死亡するわけじゃありません。これは大体十代で入社をしている人たちが多いのですから、これは三十年、四十年からかかっておって、実はこれが判明をし死亡する、こういう状態なのです。とすれば、それを極力拾う形が必要なわけです。いまの調査を見ますと、二十二年九月以降に入社した人を対象にして調査をいたしました結果がいまの御報告のような状態ですが、実際にはその当時に現に入社しておって、その後このクロム禍によって死亡した者が、判明した者だけで七十人、がんの死亡者は三十八人というのが実はわかっておるわけですね。そういうことに対してあなた方は調査を正確にしてないということが、われわれとしては何としても重大な問題であると思っておるのです。したがって、正確な調査をするためには、専門家会議がいろいろと検討される際に、当然それにかかった人たちあるいは実際に被害にかかっておる人たちを調べた医師、こういった者の意見を聞くのは当然のことです。それは聞いていますか。
○溝辺説明員 補償請求のありましたものにつきましては、先生御指摘のとおり昭和二十二年以前の人たちにつきましても、法施行以後暴露のある人たちについては専門家会議が検討を行っております。
○田邊分科員 あなた方はその被害を受けた方々やそれを調べた医者の意見を聞いておるかということに対して正確な答えがない。それは調べてないのですよ。実際言うと、あなた方が調べているこの資料というのは、このクロム禍を実は隠しに隠してきた会社のデータに基づいてこれは調査をしているわけですね。そういったことで正確な調査になりようはずがないのです。私が最初に大臣にお伺いしたように、その原因を探求するためには幅広く関係者の人たちの意見を全部聞かなければ正確を期せないと同時に、徹底した対策は講じられない。それをいま労働行政は問われているのですよ。ですから、私はこの日本化工に限ってみても、いままでのあなた方の調査というのはきわめて不十分であり、不正確で不親切である、こう実は言わざるを得ないのですが、これは局長どうでしょう、もう一度検討し直しますか。
○桑原政府委員 こういった新しいむずかしい病気につきましては、先生御指摘のようにできるだけ広く調査をして、いろいろな御意見を聞きながら的確な判断をしていかないと現実の処理ができない、こういうふうに考えます。
○田邊分科員 そこで、日本化工のクロムについてはいまもちろん死者のことが重点になっておるわけですが、その死者についてもわれわれとしてはいろいろと問題がありますけれども、生存しておる被害者について調査されていましょうか、その健康状態について調査されていましょうか。これはいま最も問題になっておるところですから、これに対するデータはございますか。
○溝辺説明員 生存者につきましては、先ほど申し上げましたようにがん療養中の人たちについて、あるいはがん以外の者につきましても、鼻中隔せん孔その他、これについては認定をし補償してきておりますが、全体的な健康調査、これはこの事件が問題になりました当時健康調査を行いまして、それ以降については実施していないということでございます。
○田邊分科員 大臣、もう一度やってください。いいですね。
○石田国務大臣 私もいま初めて伺った事件でございますが、この種の事件は、二つあって、一つは実態調査をして再発を防止する、一つは被害を受けられた人に対してできるだけ手厚い待遇をすることである、こう思いますので、できるだけ広範な調査をいたさせます。
○田邊分科員 そこで、これは局長、調査をする対象者というのは、私がいま特に最初に強調したのは、このすべての職場、そこに働いておる人たちというものをやらなければならない。その職歴をあなた方がただ紙の上だけ見ますと、現在は直接このクロム被害を受けるような職域に働いてない。ところが過去における経歴をずっと見ませんと実はこれは判明しないんですよ。ですから、いわば濃度の濃い工場に働いておったということ、それから過去においてそういった非常に危険のある状態に置かれておった者、特にこれは呼吸器のことが重点ですけれども、必ずしも呼吸器だけに限らない、人体のすべての臓器に実はこれが及んでおるというのが最近の学者の意見ですね。こういった臓器の被害というのはこの二十二年以前が非常に多いのです。 ですから私は、そういったことに区切らないで、少なくとも戦後この会社におって、その職歴からいってそういう強い被害を受けたような職域におった者を包含した形で調査を徹底してやるべきだ、こういう意味で言っているわけですけれども、その点はどうでしょうか。
○桑原政府委員 先生のいまの御指摘は、医学的な調査というものは、その労働者の作業歴とか作業条件とか濃度とか、そういうこととの関連において病気との関連をはっきりさせなければいかぬのじゃないかという御指摘だと思いますが、そういった意味で、私どもといたしましては、その疫学調査というのは、おっしゃいますように最近のものだけではなくて、非常に古いところから含めてやりませんと本当の調査の結果が出ないのではないかと思いますので、二十二年でございますと所在その他がなかなかむずかしいと思いますけれども、そういった御趣旨については賛成でございます。
○田邊分科員 私の言っているのは、二十二年以前も、戦前までさかのぼれというのではなくて、二十二年九月以降に入社した者しか対象にしてないのは不行き届きではないか、こう言っているのです。現に調べられるのです。被害者の方々の意見も聞いたり労働組合の意見も聞いたり、そして会社のデータと比較をしてみたり、そういういわば冷静な形でこれに対処しなければならぬだろう、こう思うのです。 それで部長さん、あなた方のいわば対象というものが呼吸器系統のがんに限定をして調査するというようなことは、私は時代おくれだと思うのです。いま私が申し上げたように、すべての臓器にわたってこれが拡大しているということは理の当然なんですから、特に十代、二十代で入った方が五十代以降において一番発生率が多いというのは、これは外国の、部長が言ったようなアメリカの調査を見てももうわかるのでありまして、そういった面から見てもわれわれとしては、あなた方がいろいろな文献をさらったと言われるならば、これらの事態に的確に対応する調査をする必要があると私は思うのですけれども、それが抜けておったのではないでしょうか。
○山本(秀)政府委員 やはりすべての臓器について異常があるかないかを評価していかなければならぬというふうに考えております。そこで、いまそのような調査を手がけておるということでございます。
○田邊分科員 特にこの日本化工が非常に状態が悪いということは、あなた方の方では調べてないかもしれないが、古いあれですけれども、昭和三十二年でしょうか、公衆衛生院の調査によってこの会社の作業環境が非常に悪いということを明らかにしておるわけですね。ですからこの調査の開始というのはできるだけさかのぼることが必要である、こういうことが私は特に言えるわけですけれども、いまあなた方が言われたように、これはもう一度調査をし直すということになれば当然判明をしてくるだろうと私は思っておるわけであります。 そこで、大体いままであなた方が調べたものの状態と、私がいま申し上げたような調査の再検討、方法等をとれば、かなりいま申し上げた呼吸器のがん以外のいろいろな形のものが出てくるのではないか、このように思っておりますけれども、そういった面についてはいままでの調査の状態の中ではどのように発見されておるでしょうか。
○溝辺説明員 現在調査を実施中でございまして、調査結果についてはまだ私ども的確なことを把握しておりませんので、先生先ほどお話しの肺がん以外のがん、それから製錬作業以外の場所における肺がん、これらについて調査中でございまして、間もなく結論といいますか報告ができると思いますので、そのとき御報告申し上げたいと思います。
○田邊分科員 あなたがさっき言った数字は、それじゃ一体どういう形でもって出された数字なんですか。
○溝辺説明員 先ほど申し上げました数字は、現在までに肺がんとして労災の認定をした数字を申し上げたわけであります。
○田邊分科員 ですから、これは肺がん以外のものについてなぜ調査しなかったか。そんなことは当然わかるわけなんです、調査すれば。肺がんのことについてはわかっておって、それ以外の臓器に対するところのがんが発見できないはずはない。だからあなた方の調査は、これは大臣聞いておいてもらいたいのですが、なるべく局限された形の中でもって物を処理しようというところに実は誤りがあるのでして、これは日本化工ばかりじゃないけれども、いま訴訟も起こっており、五十年に問題になった当時からのいろいろないきさつもあって、すでに二年以上も経過していることだから、これはその間に再検討されたのじゃないかと思うけれども、そういった措置はなかったということだから、大臣も聞かれておって、肺がんに対するところの労災の認定がある程度できておったとすれば、それ以外のものができなかったというのはおかしいじゃないですか。大臣、そう思いませんか。
○石田国務大臣 どうも私には肺がん以外の臓器に対しての関連性というものはよくわからないので、専門家にひとつ……。
○山本(秀)政府委員 さまざまながんがあるということでございますが、われわれは、これまでわかっておる、あるいはこの報告書が出ました段階では、一応肺がんということが大変にクローズアップされ、かつ非常にこれは職業と関係が強いという専門家の御意見でございましたので、一応補償上はそのようなたてまえをとったわけでございますが、なお多くのいろいろの種類の臓器についての問題があるということでございますから、なお調査を広めまして、しっかりしたデータをつくった上で事を進めたいということでございます。
○田邊分科員 ですから、私どもが調べている経過から言いましても、当然これは膵がんもありまするし胃がんもありまするし、ほとんどすべての臓器に対してがんが侵食をしている、こういう状態ですね。で大臣、これは極言をしますと、うんと濃度の強いところを歩いた者は、これはもう逆にどうにもならぬ、あるいはまたがんにならない状態というものがあるのですよ。それからある一時だけとらえますと、それはがんの侵食は少なくてその対象にならないという状態なんです。ですから、すべての状態というものを勘案した形で調べないと、肺がんに限定をされる、その数も少ないという形になるわけですから、これを一つのいい契機として、いままであなた方が調査されたことを私が全部否定するわけじゃないけれども、こういう例というものを、何か外部からのいろいろの意見もあるからあるいは役所としてはそういったものにとらわれがちですけれども、一つの典型的な例として、しかも職業病の戦前からの一番の顕著なもの、この六価クロム禍というものが一番問題にされてきたことなんだから、その中で政府の公衆衛生院の調査によっても非常に環境が悪いと言われる日本化工を一つの例として、突き詰めた調査をしてはどうか、こういうので大方の、いま大臣なり局長なり部長なりも賛成をされたのじゃないか、私はこう思っておるので、したがって、いままでの判明をされたものはきわめて不十分である。それをもとにしてまたそれを幾らかでも広げようとすると、これはどうしてもとらわれがちなんですよ。ですから、私どもが被害者の方々から受けているところの結果から見ましても、これだけのいろんな病名が判明しておる。これを調べた医師が現にあって調査結果を集約している。こういうかっこうから見て、この人たちの意見も聞くのは当然じゃないかと私は思うので、ですからそれらのことを含めた再調査をひとつしてもらいたいということを実は要請しているわけですが、大体おわかりでしょう、大臣。どうでしょう。
○石田国務大臣 私は専門でありませんので、そういう立場からのお答えはできませんけれども、この六価クロムが肺がん以外の臓器に影響を及ぼしているということについては、その因果関係というようなものも確かめなければならぬと思いますけれども、事実調査はできるだけ広範にやらせるべきものだと考えます。
○田邊分科員 それでは時間がないから、私はこれは引き続き社労で、また労働安全衛生法なりじん肺法の改正案も出まするから、きょうの大臣の意向を受けた事務当局がこれに対して再度洗い直す、それから専門家会議に対しても、そういった私どもの意見というものを踏まえてひとつさらに徹底した調査をやってもらうという中で、これはいわば一点突破方式なんということがいいかどうかは別として、日本化工を洗い出してもらうことによってこの六価クロム禍に対するところの不安を除去する、それからまた住民のいろいろなそれに対するところの被害なり危惧なりを除去するということによって全体的な労働環境をよくする方策の一助にしてもらうということを、特に私は希望しておきたいと思うのでありまして、大臣よろしゅうございますね、それで。
○石田国務大臣 結構です。
○田邊分科員 終わります。
○武藤(山)主査代理 次に、山原健二郎君。
○山原分科員 建設業退職金共済制度について質問をいたします。 この問題の経過ですが、昭和五十年、一昨年の三月二十五日に社会労働委員会におきましてわが党の寺前巌議員が質問をいたしております。これは、公共事業を行う場合に退職共済制度に加入をして、労働者に対して手帳を渡し証紙を出すというものでありますけれども、実際は労働者に対しては十分の一程度しか給付されていないという問題を指摘したわけであります。これに対しまして東村政府委員、この方がその事実を認めまして、掛金収入の一〇%程度の退職金給付と認められますという答弁をいたしております。もっともその中で、この建設業退職金共済制度の特性その他からいってそういう結果にならざるを得なかった、こういう答弁もあるわけです。しかし最終的には、ちょっと読み上げてみますと、東村政府委員は、「さらには団体等を通じて加入促進、証紙の貼付徹底を指導勧奨しているところでございます。しかし御指摘のように現在の証紙の貼付状況は必ずしも十分とは言えません。これについては関係者の自覚ということも大きな問題でございますが、行政としてもできるだけの手を尽くしまして、趣旨が徹底され、証紙が張られるようにということをさらに私どもも努力してまいりたい、」と述べています。引き続いて当時の長谷川労働大臣は、「御指摘のようなことなども非常に肝に銘じまして、いろいろいい方に検討してまいりたい、」こういうふうに述べておるのでございますが、その後この問題について改善の措置がどのように講ぜられたかということを最初に伺っておきたいのであります。
○森説明員 お答え申し上げます。 建設業退職金共済組合を含みます中小企業の退職金共済制度の加入促進につきましては、従来から、加入促進月間の実施その他でいろいろと措置をしておるわけでございますが、その中で、特にそういう履行確保の面につきましても、十分措置をするようにいろいろと指導をいたしております。また本年の一月二十四日には「中小企業退職金共済制度への加入促進等について」という局長通達を出しまして、これは主として、今度、賃金の支払いの確保等に関する法律によりまして退職金の保全措置が努力義務として課せられましたので、その関連で、それを契機としてさらに加入促進を図るように、また、履行の確保についてもさらにいろいろの努力をするようにということで通達を出しておるわけでございます。
○山原分科員 この建設業に従事しておる人たちはほとんど農民であります。そして、今日不況問題を契機にして、購買力の増大とかいうようなことで、今国会でも一兆円減税を初めとして最大の政治課題になったわけですが、せっかくいわゆる建退共という制度があるにもかかわらず、私の調査ではほとんど退職金が給付されていないのです。これは寺前議員の質問も公式に報告された数字に基づいておりまして、十分の一という数字が出ていますが、実態を調べてみますと、ほとんど渡っていないというのが実情であります。 そこでお伺いいたしますが、建設業労働者というのは大体全国でどれくらいの数に上っておるのでございますか。
○森説明員 建設業労働者のうちでこの建退に関係がございますのはいわゆる期間労働者でございます。そこで、建設業関係の期間労働者数を申し上げますと、約二百八十万人、そのうち建退共に入っております者が百十八万二千人ということでございまして、大体四五%程度の加入率ということでございます。
○山原分科員 そういう報告があなたの方には来ておるようでありますが、実態はどうか、恐らく御存じだろうと思うのです。 私の高知県の例をとりますと、県の統計で、現在この仕事に従事しておる者の数が三万二千人となっています。実態は高知県だけで四万ないし五万という建設業従事の労働者がおるわけですが、この三万二千という県統計の発表による数字に対して、加入者は一万四千人となっているわけです。調べてみますと、全国でも高知県が一番加入率が高いということなんですけれども、では実態はどうかといいますと、この手帳がすべて業者どまりで、労働者には手帳はほとんど渡っておりません。 〔武藤(山)主査代理退席、愛野主査代理着席〕 ほとんど皆無と言ってもいいのです。これが実態なんですね。現場の労働者にお聞きになったらわかりますけれども、どういう数字で発表されておるか、私もわからぬわけではありません。たとえば公共事業を受ける場合に、業者はこの制度に加入します。だから、その限りではこの共済制度に加入しておることになるわけですけれども、実態はそうじゃない。私がきょう言いたいのはそこのところなんですね。 寺前議員の場合は十分の一という数字が挙げられ、いまお話では四十数%という数字が出ていますけれども、それでは今日の働いておる方たちの実態を把握しておるとは思えません。私が調べてみますと、常用者に対して多少出ています。しかし、この常用者の場合は、当然厚生年金から出すべきものでございまして、そういう変質な使われ方をしておる部分がありますけれども、ほとんど出ていない。高知県で年間約二億のお金が工事費の中の現場管理費の法定福利費の中に予算としては組まれているのですけれども、それが渡っていない。全国で恐らく百五十億から百八十億の予算が組まれておると思いますけれども、それが全部流れているという実態なのです。中には、業者が加入してもう困って、手帳を親戚や縁者に渡してそうして証紙を貼付するという状態で、現場へ行ってお聞きになったらわかりますが、全く渡っていない、こう言っても過言ではありません。しかしながら、問題は、そういう実態の点検が行われていないということにあるわけです。だから私は、建設省も労働省も、まずそこのところから出発してもらいたいという考えを持っています。 〔愛野主査代理退席、武藤(山)主査代理着席〕 だから私は、説明をしておいて最後に労働大臣にお伺いしたいのですが、この実態を把握するということが非常に大事なのです。帳面づらだけで、工事を請け負った場合に加入したからそれでまあまあ一〇〇%などという認識では、いまの建設現場で働いておる無数の農民、建設労働者、この人たちの生活を保障することができないわけです。その点で、この実態の点検、また、具体的に把握するということが非常に大事だと思いますが、この点について、建設省ですか、労働省の方ですか、お伺いしておきたいのです。
○森説明員 お答えいたします。 手帳方式をとっておりますのは、これは建設業の場合、特に期間労働者が対象であるということがございまして、したがって、多数の事業主の間を転々とする期間労働者を対象に掛け金の納付ということができますためには、手帳を配って、それに証紙を貼付させるという方法をとらざるを得ないわけでございまして、従来からその方式の徹底には努めておるわけでございます。 御指摘のように、一部の事業主におきまして手帳の交付を行わないというふうな例もございまして、問題を感じている点は全く同感なのでございますが、この点につきましては、先ほど申し上げましたように、いろいろ啓蒙の面で努力をやっておるわけでございます。 なお、昭和五十二年度以降におきましては、証紙の購入状況と手帳への証紙の貼付状況等につきまして、各契約事業主ごとに照合をやってみたい、そういうことによりまして、実際に手帳が配られ、証紙が買われて貼付されておるかという点を、事業主ごとに照らし合わせの作業をやってみたいということで今後とも努力してまいりたいと思っております。ただ、非常に移動の激しい労働者でございますので、その一々をトレースするということは非常に困難でございまして、その点は御理解いただきたいと思うわけであります。
○山原分科員 私も、皆さんが努力していないなどとは言っているのじゃありませんが、実態が余りにもひどいのですね。私が一番かちんときたのは、二十年以上も建設現場で働きまして重症の心臓病にかかった労働者が一銭も退職金をもらっていないという実例がありまして、これはもうほうっておけないということでいま質問をいたしておるわけですが、たとえば通達も出しています。また、県へ行って調べてみますと、県の副知事通達というのを、高知県の場合には、一番新しいのでは昭和四十六年の三月十五日に出しておりますが、しかし、これがほとんど徹底してない。業者に聞いても余り知らぬのですね。それから市町村段階の土木部の責任者に聞きましても、余り知らないという状態があるわけですね。しかも、この問題は罰則規定まである強行規定を盛ったものなのでございまして、それが完全に無視されておるのは許せないことであります。 それで、たとえば二年働きまして退職をした場合に、一日一枚の証紙を張りまして、年間二百五十二枚の証紙を張る。二年間働きますと、二年で五百四枚の証紙が張られるわけでございますが、そうしますと、規定によれば六万四百八十円の退職金が出るわけであります。これが出ればどれほど助かるかわからぬわけですね。それを働く本人も知らない、それから中小業者の方たちも余り関心を持っていないものですから、手帳はどこへ置いたかわからぬという状態で、これが渡されるとずいぶん助かるのですけれども、それができていないという状態があります。五年間働きますと、十六万五千七百六十一円、十年働いて退職した場合には四十三万八千二百九十円、これは、いわばこの制度がフルに活用されれば大変ないいことなんですよ。それがみすみす捨てられている。 そこで、実際にどういう状態かということで、ある土木部の責任者と話し合ったのです。そうしますと、こう言うのです。登録業者には、毎年二月の審査時に加入状況をチェックしておる、そして工事発注の際にもこの共済、いわゆる建設業退職共済に加入するように指導している、したがって、ほぼすべての労働者に行き渡っていると思います、こう言うのですね。これはうそを言っているわけではなくて、そういうふうな報告になるわけです。ところが、私がいま言いましたように、私の調査では手帳については、また証紙についても全く知らないというのが現状であります。特に建退共につきましては、いま私が言いましたように罰則規定まであるわけですが、この県の土木の関係の人はこう言うのですね。建退共については建設業法の処分対象にはならない、こうおっしゃるのです。これは建設省の指導だ、こう言うのです。ところが建設業法では処分対象に国内諸法令に違反した者が挙げられております。建退共は国内諸法令に入らないのかといって聞きますと、それは当然入りますと、こういうお答えになるのですね。そうすれば、罰則規定まであるこの強行規定なんだがどうなのかと言いますと、次の県の責任者の方のお答えは、加入は業者の自由でございますから、処分の対象にはなりませんと、こういうお話です。ところが、公共事業の場合は、公共事業は各業者とも欲しいものでございますから、全部加入しているのですね。そうしますと、手帳を渡さない、証紙を張らないということは、これは規定にある五千円の罰金に処せられることになるんじゃないかというふうに聞きますと、やっとそこでこの土木の関係者の方は、建設業法二十八条営業停止、二十九条登録取り消しの対象になります、こういうふうになるわけです。 で、私どもはその業者を処分せよなどということを言っているわけではありませんが、それほど規定としては厳密なものでございますから、当然政府としては行政官庁に対して適切な指導を行ってもらいたいというのが、これは当然の要求だろうと思うわけでございます。またこれが守られていない場合には、共済制度ですから契約解除になります。契約解除になっておる例も——大体実態そのものがつかめないわけですから、そういうものがないわけですが、契約解除になって次に加入するときには相当厳しい条件がついて、たしか何カ月か加入できないような状態になるわけです。ともかく問題は、この問題に関しては全くかいもく雲をつかむような状態で、その実態も把握できない、こういうことになっておるわけであります。 そこでもう一つの問題は、現場で働いておる労働者がこのことを知りまして、おれたちにも手帳を渡してくれ、こう言った場合、各地の業者の間で起こっておる問題は、そんなめんどうくさいことを言うのはもうやめてくれというて首切りをやるわけですよ。こういうことまで起こって、現場におけるトラブルがこの問題をめぐって起る。労働者として当然要求できるものを要求しても、もうそんなめんどうくさいことを言う者はやめてくれというような調子で、ちっとも事がはかどらないという状態であります。 そこで、そういう現場におけるトラブルをなくすために、特にトラブルといっても、御承知のように市町村段階にいけば、その市町村の業者がやっておる仕事で、働いておるのが農民でありますから、知り合いばかりなんですね。そういう状態でここでトラブルを起こすことは決して好ましいことではありません。したがって私はここでひとつ労働省に、建設省ですか、どちらにお尋ねしていいかちょっとわかりませんが、建設業退職共済制度に対して加入をした場合には、その労働者の氏名というもの、これを当然正確に把握すべきではないか、いわゆる名簿をつくるべきではないか、少なくとも市町村段階ではその程度の名簿は持つべきではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。
○森説明員 お答えいたします。 現在各都道府県の建設業退職金共済組合の支部というのがございますが、支部におきましては加入事業主の台帳はつくっておりまして、これは地方自治体や建退共等が事業主を指導します場合の資料に活用しておるわけでございます。 さらに労働者の名簿をつくるということにつきましては、これは加入時につきましては各支部にある事業主のもとにおける労働者名というのが載っておりますが、その後転々と移動するわけでございまして、期間労働者であるということの性質上なかなかむずかしい問題を含んでおるわけでございます。したがいまして労働省といたしましても、今後この制度の適正な運営を図りますために諸般の新しい措置を考えたいと思っておりますけれども、いま直ちにこの労働者名簿を各自治体につくらせるということは、これは非常に膨大な作業量と申しますか、技術的にも非常に困難でございますので、もう少し研究さしていただきたいと思います。
○山原分科員 ちょっとわかりにくかったのですが、たとえば工事発注の場合に、その業者が加入しました場合に業者名が登録されておる、その事業で働いておる労働者の名前は加入者としては登録されていないというわけですか。
○森説明員 支部におきましては、加入します場合に、加入するのは事業主でございますから、事業主の名前はもちろん載っておるわけでございます。同時に、その加入時点における従業員の名前も載っておるわけでございますが、期間雇用者の性質上、その労働者がいつまでもそこの事業所にいるわけではございませんので、すぐにかわってしまう。したがってそれがどこへ行ったか、転々としますのを全部フォローしていくことは非常に事務的にむずかしゅうございまして、いまのところ常に、どこの労働者がどこで働いておるかという点をつかむ制度はないわけでございまして、それを手帳で代行させるように考えておるのがこの制度でございます。
○山原分科員 確かにその移動が激しいということもありますけれども、私はそれほどむずかしいことではないと思っているのですがね。一度加入した場合に、加入した労働者の名前も一緒につけて出されて、それからその中のAならAという人物が次の事業主のところに行くということがあるからやりにくいというわけですか。
○森説明員 そのとおりでございまして、その移動のあり方は、これは地域的に全く北から南へ、東から西へということでございまして、それをフォローしていって、常にどこにだれがいるかをつかまえておくという制度をつくりますことは非常に困難であろうかと思うわけでございます。したがいまして、現在の制度では手帳制度でそれをフォローすることになっておるわけでございますが、そこに御指摘のような問題があることもまた事実でございます。
○山原分科員 それはみんながみんな動き回っているわけでもありませんし、それからまた手帳を持っておれば——異動する場合には手帳は返却をして、また別の事業所に行った場合にもらうことになるのですか。それはどうなっておりますか。
○森説明員 手帳はその期間労働者が自分で持って、そして次に就職した事業主のところへ出すということになるわけでござます。
○山原分科員 すべて正確につかむことは困難だといたしましても、そういう面から考えますとある程度のことはできると私は思うのですね。これができますと非常にやりやすいのは、手帳を持っておれば証紙の問題が出てきますね。証紙を張っていけば希望が出てくるわけですね。私は二年働いてもう年がいって働けなくなったとき、やめるときには六万何千の退職金が入るんだ、こういう希望も出てきますね。それが手帳の重みですよ。そのことを大事にしてもらいたいということを私はいま申し上げているわけです。それは困難なことには違いありません。ありませんけれども、あの山間で働いておる人たち、ほとんどの農業も食い詰めてこの賃仕事に出ている人たち、全国に二百数十万と言われた人たちがいまおるわけですね。私はもっとたくさんおると思うのです。県で調べたのが三万二千人、こういうわけですけれども、四万、五万おるわけですね。その人たちが手帳を持って三年働き、四年働けば少なくともこれだけの退職金がもらえるんだという、これは大変大事なところでございまして、その点しかと胸におさめていただきたいと思うのです。労働大臣も長い労働大臣の経験者でございますから、私の質問の趣旨はおわかりいただけると思います。 そこで大臣にお伺いしたいのですが、先ほどから申しましたように、なかなか実態が把握できないという問題があります。その困難さはわかりますけれども、しかし期間労働者の実態というものをぜひ調査していただきたい。全国的に大変精密なものができないとしても、たとえばある県をとってみる、都会地あるいは山間僻地の県をとってみるとかいうような特徴的な例はつかむことはできると思います。そうすれば私の言った驚くべき実態が必ず出てまいります、第一、労働者も知らないのですから。手帳なんか持ってない、見たこともない、証紙なんか張るなんということを知らないという状態に置かれているわけですから、この実態の調査を、どの程度にやるかは別にしまして、ぜひしていただきたいと思いますが、お約束できますでしょうか。
○石田国務大臣 いまお話をずっと承っておりまして、調査をする場合に、逆に公共事業なんかに従事している労働者の方を抜き打ちの調査をして、そして手帳を持っているか、証紙を持っているか、持ってなければそれこそ公共事業に従事できない、指名を受けられないわけでありますから、そういう調査ならばわりにやりやすいのじゃないか。そうしてそういうことによって摘発をしていけば防止措置が自然とできてくるんではないか。しかし、何をおいてもこういう制度があるということを知らせることが肝要でありますので、制度を知らせることにまず努力をする。それから実態も、やはり日本じゅう全部に正確というのはお認めいただいているようにむずかしいのですが、これも抜き取り的な調査をするということも可能だと思いますので、そういう方法によって実情をつかむことをぜひ検討したいと思っております。
○山原分科員 いまのお答えで、ぜひ実現をしていただきたいと思いますが、抜き打ち調査をやってその業者を処分するとかいうようなことでなくて、実際にもらっているのかもらっていないのか、これさえわかるだけでもどれほどこの事業が前進するかわかりません。せっかくよい制度があってもそれが使われないということに問題があるわけです。しかもそのために国費も出ているわけですから。百八十億何がしかの金がここでみすみす消えるということでなくて、これを生かしていくという立場で、私は実態調査をしていただいて、実情を労働省としても建設省としても把握をしていただきたい、こういうふうにお願いします。 最後に大臣に、もう一つの問題は、いまもおっしゃいましたけれども、労働省の通達も出ております。しかしこの不況の中で、こういった問題は働く人々にとって非常に重要な問題でありますし、また購買力を高めていくという点でも重要な問題でございますから、この際改めて通達を出していただきまして、そして特に各自治体、行政機関に対する指導に強力に努めていただきたいと思いますが、これはぜひお答えをいただきたいのであります。
○石田国務大臣 これは公共事業の単価の中にも組み入れて勧奨しておるわけなんであります。したがってそれを、入っておると称して実際入ってなくて入れてしまうということになると、これはある意味では犯罪でありますから、厳重な調査をしなければならぬ。しかし、いまの段階で知らない方が多いわけでありますから、そういうことをまず知らせるための努力はぜひいたしたいと思います。
○山原分科員 私特別にこの問題を取り上げましたので、通達をいままでも出されておりますが、私どもも現地において努力をいたしますし、各県段階の土木部等に対しても、政府からこういう通達が出ておるから地方自治体に対しても必ず連絡するようにというふうな努力は私たちもしたいと思うのですが、ぜひもう一回通達を出し直していただきたいと思います。その点お約束できますか。
○石田国務大臣 それはぜひやらなければならぬことだと思っております。
○山原分科員 終わります。
○武藤(山)主査代理 次に、細谷治嘉君。
○細谷分科員 最初に、私も化学工場で二十二年間働きました。そういう関係で化学工業に働く労働者の健康ということについて大変憂慮いたしておるわけです。たとえば和歌山県で起こっておりますベンジジンの問題、これはいまに限ったことでありませんで、戦争前に大量に生産いたしました。ベータナフチルアミンあるいは最近取り入れられておりますスチルベン系の化合物、こういう有機のアミノ化合物というのがたとえば膀胱がんを発生するとかあるいはいろいろながんを発生するとか、そういうことが最近明らかになってまいっておるわけです。それから第二番目は、昨年大変問題になりました塩化ビニールあるいは塩化ビニリデン、あるいはゴムの原料でありますクロロプレン、あるいは冷媒等に使われております有機の弗素化合物、さらには四エチル鉛に必ず必要であるエチレンブロマイド、こういう有機のハロゲン化合物、さらには製鉄所なり骸炭炉等で起こっておりますベンツピレン等、多環式炭化水素による肺がん問題、さらには無機の問題といたしましては、砒素なり例の土呂久の問題、あるいはアスベスト、石綿工場における害の問題、あるいは昨年あたり大変問題になりました六価クロムという無機の化合物、さらにもう一つ例を挙げますと、 〔武藤(山)主査代理退席、愛野主査代理着席〕 有機の重金属化合物、メチル水銀に代表されるものでありましょうが、あるいは四エチル鉛とかいろいろ化学工業で生産され得るものについて、労働者の健康というのがいつの間にか侵されておる。この中には長いものでありますと十五年とか二十年以上の潜伏期間を持ってこの職業病が起こってくる、こういう実態である。こういう実態に対して、どうも労働者の健康と、あるいは職場の作業環境というのの維持、改善に責任を持っておる労働省の対応というのがきわめて鈍い。この種の問題が多く問題になってくるには、住民の告発とか、あるいはそこにおける労働者が職を賭して、たとえばベンツピレン等については製鉄の労働者が職を賭して、場合によっては労働組合からも疎外されながら、こういう問題を取り上げていったのが逐次実を結びつつある、実を結ぶという言葉が適切かどうか知りませんけれども、そういう状態である。こういう問題に対して、どうも労働省はイニシアチブをとれない、後手後手、省庁間においても後手後手、あるいは指導監督する工場等に対しても後手後手、あるいは場合によってはどうも遠慮しているのではないか、こういうことですね。すべてこういう問題についてとりかかるときには国内で後手後手、国際的にはたとえばベンジジン等は、西ドイツやイギリスではもう生産をストップしたのに、労働省の指導というのは、いままではオープンの容器の中で製造しておったからいかぬから、今度は密閉した容器でつくろうなんということでそれを指導しようという、こういう姿勢、こういうところに今日の大変大きな問題が発生しておると思うのであります。こういう現状で、労働大臣は労働大臣としての、言ってみますと長い間の経験を持っており、しかもかなりバイタリティーを持った労働大臣として評価しているわけでありまして、どう対応していくのか、この点について、時間が十分ありませんので、まず御質問しておきたいと思います。
○石田国務大臣 先ほどもお答えをしたのでありますが、私、久しぶりで労働省に参りまして、この職業病の問題というものが非常に重大かつ、特に化学工業の発達、あるいは成長期におきまする製造工場その他の急速な発達というようなものの結果として、私ども知らなかったような病気が続続問題化していることを知って驚いたわけであります。特に、いまお話がありました石綿の状態について、先般大阪に参りましたときに詳細な報告を聴取いたしました。現在までにかかっておられる人に対する労災法上の手厚い処置は無論でありますが、研究機関等の充実を図りまして、積極的に予防措置を講じたい。今度の五十二年度予算にはそのための所要の予算的措置もある程度講じたつもりでおります。
○細谷分科員 こういう問題について労働省も関心を寄せられて、昨年十二月に中央労働基準審議会の労働災害防止部会長から、労働基準審議会長にあてての答申が出されました。この答申に基づいて今度の国会に労安法の改正を出すということを承っておるのですが、その労安法の内容については、法律が出た段階でまた論議すればいいわけでありますけれども、私は、この段階において、たとえば昨年ですか、科学技術庁が中心になって連絡会議、こういうものが設けられておりますけれども、各省間の連絡も必要でありましょうけれども、必要なことは、もっと第一線でやっておる知悉しておる労働者と労働省なら労働省、あるいは関係省庁も加えて結構だと思うのですけれども、そういう間の意思疎通を図っていくために懇談会を設けてほしいという要請が昨年来出されておるわけでございますけれども、その問題については労働省としてはどういうお考えですか。
○石田国務大臣 法律案を提出する準備を進めておるところでございます。 それから、実情をつかむためにあらゆる努力をしながら、特に働いている人たちの現実の体験、そういうものをお聞きしなければならぬことは言うまでもないと思うのでありますが、いま政府としてやっておりますことは、続いて局長からお答えをいたしますが、現場に働いている人たちの意見を聴取するという方法をとらなければならぬことは、これは言うまでもないことだと思っております。
○桑原政府委員 いま先生のお話の、科学技術庁等を中心にしました会議を持つというようなことは、昨年早速、労働、通産、厚生、農林、まあ科学技術庁を中心にいたしまして会議を持って、私どもとしてはこういった問題に対応する十分な意見交換、情報交換、こういうようなことをやってまいりますし、いま大臣からお話がございましたように、必要に応じて労働者の意見なり現場の生の声を聞いていくというようなことも必要ではないかと思っております。
○細谷分科員 少し日程を追っていきますと、昨年の四月十四日に化学労協、化学産業労働組合協議会ですか、日本のすべての化学工業の労働者の集まった組合の協議会ですね、それが化学物質安全性確保懇談会というものをぜひ設置していただきたいというのを当時の三木総理大臣に提出をいたしておるわけですね。その後に、いま私が申し上げました昨年六月の八日に化学物質安全研究推進連絡会議というのが科学技術庁の研究調整局を核として設置されたわけです。この設置された連絡会議というのは、これは官庁間の担当者の連絡会議で、幹事会等もありまして何遍か開いておるようでありますし、予算も五十一年度ではある程度ついたわけでありますけれども、それはそれで私は否定するわけではございません。ございませんけれども、その前に出された過去についての労働者との懇談会をひとつしてもらいたい。その三木総理大臣あての中にも、個別的な対策物質として、具体的には塩ビその他の私が冒頭申し上げたような物質が挙げられて、早くこういう懇談会、そして労働者の意見を聞いてほしい、こういうことが出されておるわけでありますけれども、この懇談会は今日まで日の目を見ておらないと私は思っておるのですけれども、どうなんですか、つくるのですか、つくらぬのですか。
○山本(秀)政府委員 ただいままでのところ、議題が各省でそれぞれ得意得意の領域がございますので、この調整ということがいま中心課題でございます。 なお、塩ビに関して言えば、労働者保護の観点からはわれわれは規制をしておりまして、またその際に、労働組合の方々と、学者その他の方と、それから経営者の方、三者寄り合いをいたしまして、さまざまな協議を進めたわけでございます。しかし、この科学技術庁に設置されております会合では、いまだ個々の問題につきましてはちょっと無理だということで、基本問題の検討をしておるというふうなことでございます。
○細谷分科員 ということは、つくる前向きの姿勢はいまだに持ってない、こういうことですか。
○山本(秀)政府委員 個々の問題、まあ塩ビにつきまして言えば、一応関係省庁、厚生省あるいは労働省主体でございますが、一応の対策というものができましたので、これはそれとして一応終わったと思います。しかし、先生が先ほどおっしゃいましたいろいろの問題があることは事実でありますので、私どもの方から科学技術庁の方に、そういう希望が強いということを申し入れをしようかというふうに思っております。
○細谷分科員 ぜひひとつこれは、科学技術庁というよりも、私は、むしろやはりその主務官庁である労働省が、この職場環境あるいは労働環境、そういう問題について既存の物質等についてもこれから調べていくのだ、こういうことでありますけれども、ひとつ労働省が、第一線で働く労働者、その組織の代表と定期的に、いま取り上げるべき問題はこういう問題なんだ、こういう問題だという形でやはり懇談をして、できるだけの手を打っていくことがいいんであって、官庁サイドの連絡会議がありますから結構です、あとはまた必要とあれば科学技術庁に相談します、こういうことでは、冒頭私が指摘したような労働省としての役割りは果たせないのではないか、こう私は思うのです。大臣、ひとつこれはやはり懇談会等を設置してほしいということでありますから、思い切って定期的にそういう問題を取り上げていく、そして対応をしていくということが必要であろうと思うのですが、いかがでしょうか。
○石田国務大臣 特に化学工業関係における御指摘の問題、私は専門家でありませんから個々のことについてはわかりませんけれども、そういう実情を、労働者保護の立場にある労働省が主導的な立場でつかんで対策を講ずることをすべきだと思います。 ただ、最近非常にやかましく言われている問題で、審議会とか懇談会とか諮問機関とかというようなものを整理して、そして具体的な問題はその中で部門を設けて処理をするという形の方がいいんじゃないかという議論が予算委員会等でも出るのです。そういうこととの関連もございますので、私どもの方でもいまそういうものを全体として見直しておるところであります。それから行政管理庁からもそういうような要求を出され、予算委員会でもそういう強い御議論が出ておるわけでありますので、それとの関連もございまして、御指摘の仕事をするということについては、これは異存はございませんが、どういう方法で具体的にやるかということはいましばらく検討さしていただきたい。
○細谷分科員 そういう仕事をやらなければならぬという大臣の御理解でありまして、それが一つの、たとえば鉱山の保安というものをどうやっていくのか、あるいはその他のいろいろな職場環境、安全性を確保していくという点において、労働省としては、全労働者の問題でありますから、それは全体としてやるにしても、確かにいま火がついておる化学物質、そのために労安法も改正しよう、こういう決意をなさった段階でありますから、ぜひともやはりこの問題については具体的な形で労働者の参加を求めて、そうして問題に対応していく、こういうことが必要であろう。その一つの方法として、化学物質の安全のための懇談会ということを化学労協等が提示しているわけでありますから、ぜひひとつ実現をしていただきたいということを私はお願い申し上げておきたいと思います。
○石田国務大臣 おっしゃることや、やらなければならぬことはよくわかるのです。ただ、先ほども申し上げましたように、懇談会とかなんとかが多過ぎるという議論が一方にあるわけなんで、その具体的なやり方についてはそういうものとの兼ね合いで検討をさしていただきたい。実際の仕事をやらなければならぬということは全く同感でございます。
○細谷分科員 もう一つ、私も前々から思っておりました公害問題と言っている、その公害問題の発生源というのは、多くは化学工業が相当持っているのですよ。公害問題の根源というのは、やはり発生源を抑えるということが一番大切であると思うのですね。そういう意味におきまして、最近、まあ私どもも当時全然予想もしておらなかったような化学薬品による、たとえばそういうものによって遺伝性のものが出てくるのだ、あるいは催奇形性の薬品があるのだとか、あるいは発がん性とか、いろいろあるわけでございますけれども、こういう問題について、労働組合サイドとしては、総合的な化学物質についての安全性の研究所、こういうものを設置すべきではないか、こういう声があります。残念なことには、日本の官僚機構というのは余りにも縦割り行政でありまして、重複した仕事もする、あるいは非能率な点がある、そしてそれが政府として十分に生かされない、こういう欠点があるわけでありますけれども、少なくとも、何万とあるような化学物質についての、まあ今度の法律改正の中にも、答申を受けて、そういう問題があるようであります。そういうものを推進していくためにはかなりの時間を必要とする、いま私が申し上げたような研究テーマを取り上げていくとすれば、やはり化学物質についての安全性を研究するそういう研究所を設けていく、そうして労働省なり政府というのがリーダーシップをとって対応していくということが大切ではないかと私は思うのです。こういう点について、大臣いかがですか。
○石田国務大臣 職業病というのは、これは原因と結果との間に相当な時間的経過がある問題で、なかなかむずかしい問題ではございますが、問題が発生してから騒ぐということでは、これはそもそも間違いでございますので、そういう新しく使われるもの、あるいはすでに使われておっても危険性のあるものについての調査、研究を速やかにやって、そしてできる限り事前に防止する策を講ずることが労働者の安全を守るゆえんだと思っております。 具体的な、現在とっております処置につきまして、局長からちょっと答えさせます。
○桑原政府委員 一つは、産業医学総合研究所というのを、もう一昨年なことになりますけれども、新しくつくることにいたしまして、それが現実にいま機能を発揮しつつございます。特にそこでは、いろいろな化学物質の動物の吸入実験をやるというようなことで、化学物質の有害性について研究を進めることにいたしております。ただ、これだけではやはり足りませんし、今度のああいうのとの絡みで、これからの新規物質もやはり有害性を十分チェックして、それから使うという体制が必要でございます。そういった意味で、先生のおっしゃいますような化学検査センターということでございましょうか、そういうようなことも一つのプロジェクトとしていま検討して、少し長い期間で完成をしてまいりたいというふうに考えております。
○細谷分科員 それで、いま局長がおっしゃった化学物質というのは、既存物質だとか新規だというのは、一体どういうふうに理解しているのですか。新しい化合物あるいは既存の化合物という理解ですか、どういうことなんですか。
○山本(秀)政府委員 われわれがいま考えておりますのは両方でございまして、新規に生み出されるものについては、当然に御指摘のような子孫にまで遺伝関係に影響するというようなものを調べなければならぬと思いますが、古い物質でございましても、たとえば塩ビは二十年も使ってあんな状態になったわけでございますが、これにどうも似ておるといって、危ないんだな、こう考えるものにつきましては、調査、研究を国みずから進めていく、あるいはまた業界に指示してその調査をやらせるという態度が必要であろうかと思います。
○細谷分科員 そこで、いま新しい物質を工場等でつくる場合には、その工場が、外国の情報なり、知り得ている自分の簡易な試験結果というものを労働大臣に届けなければいかぬ。労働大臣の方ではそれを受けて、学者の意見等も場合によっては聞いて、そして、さらに必要とあれば労働省自体がチェックする、こういうシステムになっておるわけでございますけれども、何千、何万とあるような問題の中で、冒頭挙げました、今日やはり危険がいっぱいであると言われる、そして長く従事すれば問題になってくるような有機アミノ化合物とか、ハロゲン化合物とか、あるいは多環式の化合物や炭化水素を扱うようなところとか、やはりそういうものに優先的に取りかかっていただかなければいかぬ。そして、疑わしいことがあったら——どうも業界のことを余り心配して、オープンでやっておったのを今度はクローズにするんだ、それで解決するようなごまかしの姿勢ではなくて、きちんと対応していくことが問題を未然に防止することにつながるのではないか、こう思うのですよ。そういう考えであるかどうか、これはいかがですか。
○山本(秀)政府委員 おっしゃるとおりの考え方でおります。そうは言いましても、指摘されておりますものは非常にたくさんございますので、一遍にはまいらないということで、多環式あるいはアミノ基を含んだものというようなものから順次始めてまいりたいというふうに思っております。
○細谷分科員 今度のものには疫学調査とかありますけれども、最近問題になっているサッカリンもそうでしょう。アメリカの機関が調査をやって、サッカリンは抑えた、緩めた。そうしたらまたアメリカの方で、今度はそれを使用禁止をしようということに出てきますと、日本のあれというのは全く外国の情報だけに追随している、こういうことですね。これはやはり政府の権威の失墜ですよ。これは何も化学物質に限りませんけれども、そういうことだと思うのですよ。そして、疫学調査といいましても、これはたとえばあるものについては十五年、二十年というふうな潜伏期間を持っておるとすれば、これは大変なんで、私がいま挙げたようなそういう化合物、ハロゲン化合物というと塩素の化合物、臭素の化合物、弗素の化合物、これはとにかく危ないんだ、有機のアミノ化合物、これは危ないんだ、こういうことがいままでの実績からわかってきておりますから、そういうものに重点的に、言ってみますと、疫学調査等のスクリーニングを労働省等でやっていただかなければ、とてもじゃないが百年河清を待つに等しいのじゃないか、こう私は思うのですよ。二万、三万の、あるいは莫大な工業製品の薬品の中でそういうものを選んでいくというわけですから、いままでの実績というものをやはり踏まえて対応していく以外にないと思うのですが、そういう方針ですか。
○山本(秀)政府委員 おっしゃるとおりに、動物実験その他もそういったものを中心に優先的にやる、同じ意味で疫学調査もそういったものを優先的に選んでやっていくというのが筋であろうかと考えております。
○細谷分科員 そこで、後ほど法律が出てから労安法との議論があるでしょうが、これは答申を受けてやるわけですけれども、労働省がつくっております素案か第一次案か知りませんけれども、要綱等を見ますと、答申はありますけれども、今日の段階においては実際に被害に遭っておる労働者としての安全性を守っていくという点、あるいは先ほど申し上げました今日の産業に対応できるような産業医というものが育成されておるのかどうか、いろいろな問題点、あるいはこの職場は危険なんだ、ところが、たとえばベンジジンですと労働者は知らないのですよ。恐らく上の方からは、あのベースを何トン仕込め、あのベースですから、化合物の名前はベンジジンなんということはわからぬ。新聞でベンジジンが膀胱のがんになるということがあるかもしれませんが、ないと思う、いろいろな点で不満があります。ですから、労働者が、そういう職場ではいけないんだといった場合に、これもできない。だから、労働者等の保護について、場合によっては労働者がその就労を拒否する、あるいはそういうものについての就労の時間を制限するとか、いろいろな問題が労安法の中でも取り入れられていかなければならない、こう私は思うのです。それは法律の際にまた参加させていただくことにいたしまして、私の思いついた点を申し上げて、それからもう一つ、具体的な点ではそういうことでありますから、過去に、法律ができる前にそういう被害に遭って発病をした、死んだ人、生きている人、いろいろありますけれども、そういう者に対する対応もきわめて不十分でありまして、こういうものについても、先ほど局長も加えて会議をやってきたのですけれども、ひとつ十分な対応をしていただきたい。 時間が参りましたから、これだけを強く要望いたして、大臣のそういう問題についての対応を一言お聞きして、私の質問を終わります。
○石田国務大臣 よくお話はわかりました。御趣旨にのっとって対応策を講じたいと思います。
○細谷分科員 終わります。
○愛野主査代理 次に、米沢隆君。
○米沢分科員 私も、細谷先生と同じように、化学物質の安全確保の問題と、それに関連する労安法の一部改正の問題について、時間もありませんので、入り口論だけ質疑をさせていただきたいと思います。 いまるる御質問いただきましたので、その持つ意味については多言を要しませんけれども、何といいましても、この化学物質の安全性の確保の問題につきましては、過去における試験研究水準の低さ、それから事前における安全性確保のためのもろもろの制度がなかったということ、その結果として規制その他の行政執行上の怠慢あるいは責任回避等が因となり果となって、いろいろな悪影響を及ぼしてきたと思います。 そこで、まず最初に労働大臣に、労働行政の長として労働環境を守る立場から、過去の有害化学物質の安全確保についての足らざる面、あるいは行政面でのおくれ等の反省をどのようになされて、今後どのような姿勢で臨まれるのか、まず基本認識からお伺いをいたしたいと思います。
○石田国務大臣 これは先ほどからもお答えを申し上げておるのでありますが、労働者の労働環境を守るというのが労働省の大きな仕事の一つでありまして、特に、久しぶりで労働省へ参りまして、職業病関係の事情を知るに及んでその感を一層深めたわけで、重要施策として実施をするつもりであり、所要の予算措置も講じておるところでございますが、いろいろな官庁にまたがっている部門が多い。たとえば食品とか薬品については厚生省、あるいは農薬とか肥料なんかについては農林省、放射性物質は科学技術庁というように方々に分かれておるわけでございます。しかし、一般公衆に及ぼすという問題も無論あるわけでありますが、労働者の働く環境の保全を図るというのは、何と申しましても労働省でございます。これが各方面に分かれておるものを、効率的に対策を講じていくのにどうしたらいいか、いま行政改革の問題とも関連をいたしましていろいろ協議を進めておりますが、先ほども局長から答弁をいたしましたように、科学技術庁、農林省、厚生省、そして労働省等が化学物質の処理対策等について定期的な協議を行っておるところでございます。
○米沢分科員 今後、ILOの職業がん条約というものが今国会に提案される、こういう面についての対策が前進するという意味では大変評価をしなければならぬ、同時に歓迎しておる一人でありますけれども、しかし、これを受けてやらねばならぬことが、いまこの「職業がんに対する労働衛生対策の確立」という中間報告なんかを読ませていただきましても、非常に多いという感じがするわけです。そういう意味で、労働省としては、急速にはいかないにしても、そういうものに対応できる体制というものが本当にあるんだろうか、やらねばならぬ対策が余りにも多過ぎて、いままで御答弁の中でも聞かしていただいてわかっておりますけれども、こういう化学物質の安全確保の問題についてはかなりおくれておる分野でありまして、それゆえにまた、労働省もいろいろな努力をなされたとしても、一向にまだはかばかしく進まないという実態の中で、また新たにこういうものが出てくる。前進ではありますけれども、本当に省内にそういうものに対応できる体制なり対策を打っていく手順を踏めるような段階にあるのであろうかという心配をするのでありますが、そのあたりいかがでございましょうか。
○石田国務大臣 確かに次から次へと問題が出てきて、しかも、対応すべき化学物質の種類も非常に膨大でありまして、いまの体制でそれに全面的に直ちに対応できるかというお尋ねを受ければ、非常にむずかしい問題をたくさん含んでいるとお答えせざるを得ないと思います。しかし、これに取り組むことが、現在雇用問題とともに労働行政の大きな柱であるという認識のもとに、あとう限りの努力をし、対応をしていきたいと考えております。
○米沢分科員 話は敷衍しますけれども、まあ皆さん専門家ですから簡単に基礎的な整理だけをさせていただきたいと思うのであります。 まず第一に、化学物質というものも、それぞれの使い方によっては毒にもなり薬にもなる。そういう意味で、いわゆる毒性を持つ化学物質というものは、いま世界の中で幾つぐらいあるのでござ いましょうか。
○山本(秀)政府委員 毒性といいましてもいろいろな性質があるわけでございます。そこで、ある物質について一部分ずつわかっているのを拾い集めれば、それはアメリカあたりでは二万という数を挙げておるわけであります。ところがそれは物性のごく一部でありまして、それ以外のことまでと言いますと、ほぼわかっているというようなことを言いますと、約五百足らずということでございます。しかし、その五百足らずの中にもまだまだ突っ込みが足らないものがたくさんあるわけでございます。たとえば先般起こりました塩化ビニールというようなものは、もともと麻酔性があるということでリストアップされておった五百の中に入っていたわけでありますけれども、そこからの発がん性があるというようなことはごく最近わかってきたというようなことでございまして、およそわかっているというのがまあまあ五百ということでございます。
○米沢分科員 いまのは疑問物質も含めての話ですか。もしあったら、疑問物質はどれぐらいでしょうか。
○山本(秀)政府委員 疑問物質という意味がいろいろあろうかと思いますが、人間に対して障害があるということがわかっておるというのが五百ぐらいということだと思います。なおそのほかの、問題点があるんではないか、たとえば塩ビに類したもので塩化ビニリデンというもので動物に腎臓にがんが起こったという報告がこの間出されましたけれども、そのようなものが果たして人に害があるかないか、これはまた、それこそ疫学調査を大々的にやってみなければわからないことでございますし、またある一人の学者がそうおっしゃっているだけでございますから、追試もしなければならぬということでございまして、そういう疑問点が提出されておるという物質の数は、先ほど申しましたようにアメリカでは約二万ぐらいあろうかということでございます。
○米沢分科員 時間もありませんので、簡単でいいのですが、解釈論は大体わかりますから……。日本でそういうようなものの範疇に入る物質は何種類ぐらいつくられておるのでしょうか。
○山本(秀)政府委員 日本では、一応行政のアクションといたしましては、先ほど言いました約五百種類程度について、労働者の方々にも、あるいは使用者の方々にも毎年広報をしておるわけでございますが、それ以外の物質につきましては、まだまだ疑問点がありますので、必ずしもそれをパブリックにしていいかどうかというようなことで、学者の意見も聞きつつ、漸次それを追加するという態度であります。その数といいましても、ちょっといま申し上げられないのが残念でございます。
○米沢分科員 それで、いままでその化学物質の毒性に起因していろいろな職業病が出てきた、たとえば塩ビモノマーとか、有機水銀とか、六価クロムとかありますね。そういう化学物質の毒性によって職業病等を発生させた、社会問題化した物質は、いま幾つぐらいありますか。
○山本(秀)政府委員 五百ほどを終始広報に努めておるわけで、またその中で幾つか非常にポピュラーなもの、あるいはまた重篤な障害を起こすようなものにつきましては規制をしておるわけでございますが、これは私個人の推測になりますが、恐らく二百種類程度というふうに考えていいんじゃないかと思っております。
○米沢分科員 これは概括的な話で大変恐縮でありますけれども、大変毒性が問題になるであろうというものが約五百種類ある。日本の中で顕在化したもので約二百種類ぐらいある。残り三百種類というものは、今後危険性を持つ可能性があるといいましょうか、そういう問題を発生させ得る可能性のある物質である。そういう意味では試験研究等に大変なお金がかかるということを聞いております。しかし、いままで、行政のおくれといいましょうか、起こってからでないとそういう対策が立てられないというところに一番大きな問題があったわけでありますから、あと残されたこの三百種類等については、毒性等について年次的にも鋭意いろいろな調査等がなされていくとは思いますけれども、当面この三百種類について、どういうふうにしてその有毒性、与える影響等を考えていったらいいのであろうか、そしてまたそういうものに対して労働省としてどういう対策をとられようとしておるのか、そのねらいどころだけでも結構でありますから、当面の問題をちょっと説明いただきたいと思います。
○山本(秀)政府委員 残されたものは、中にはたくさんの事業場で使われているものもございますが、比較的に限局された作業に使用されていると言った方がよろしいかと思います。私の方では、毎年安全週間衛生週間というものがございまして、その際に、毎年十数万でございますか、米国あるいは日本の医学的な提言というものを踏んまえましてリストを公表いたし、そこにまた有害症状というようなものを、漸次これは毎年改定をいたしておりますが載せまして、これを使っている事業場では自主的にその予防対策を講ずるようにという指示をしておるのでございます。その五百といえども、すべてがわかっておるわけではありませんから、これを直ちに法規制をいたしまして罰則をかけるということも、いま不可能な事態でございます。しかし、漸次明らかになったものはどんどん規制対象にしていくということで進めてまいりたいと思っております。
○米沢分科員 こういうものを議論する場合に、どうしても国内のいろいろな技術とか開発された調査結果等は余りにも小さ過ぎて、国際的な協力というものが必ず前提にならなければならぬ、そう思うのであります。しかし、概括的に見て、国内的にもそういう情報の交換のルートというものが非常に薄いような気もしますし、また国際的にも何か大きく新聞に取り上げられてそれが日本の報道になってこない限り、まあ専門家の皆さんはいろいろ御存じだろうと思いますけれども、国際的な連絡体系、情報の収集体系、そういうものが非常におくれているような感じがするのです。こういうものは、やはり国連で、特にこの化学物質の有害性については世界的な課題でありますから、もう少し日本としても情報の交換等が促進されるような体制をつくるために努力をすべきだという感じがするのです。そしてまた、いまアメリカ等でこの種の法律ができたと聞いておりますけれども、そういうものを仄聞しますと、結果的には、この情報というものが企業だとか私的な研究機関等の自発的な協力を得ない限り取り得ないがゆえに、ちょっと規制法をかけて公開させるのだ、そういうものまで含まれておるように仄聞するのでありますけれども、日本としても、少なくとも国内のいろいろな情勢については、企業の利益の観点から秘密どうのこうのという議論はありますが、労働省を初めとしてこういうものに携わっていただく行政官庁の皆さんが、いわゆるこういう情報にすぐ接しられるような、公開させるような規制法律というもの、そういうものまで突き進んでいかないと、いつまでたってもこういうものの行政はおくれてくるのではないかという感じがするのでありますけれども、いかがなものでありましょう。
○山本(秀)政府委員 新開発物質あるいは既存の物質でございましても、それを使っているというようなことがわかりますと、すぐノーハウであるとかあるいは企業の致命的な秘密にかかわるということもありまして、公開させるということがなかなかむずかしい点があることはあるのでございますが、私どもは、これにかかわらず、諸外国あるいはその他から情報を得た場合には、必ず関係者を呼びまして、どうかということを問いただし、できるだけ協力を得つつ、その情報をまた有効に関係者に分かち与えるということをやろう、それがわれわれの任務であるというように考えております。大いに努力を進めていきたいと思います。
○米沢分科員 お聞きしますところ、長年の懸案でありましたが、こういう試験研究水準を向上させるために、労働省で今度三年がかりでこういう研究所みたいなものをつくられるという話でありますけれども、その規模と機能をどれぐらいのところまでやれるのか、ちょっと簡単に説明してほしいと思います。
○山本(秀)政府委員 新規物質あるいは旧物質でございましても、非常に発がん性が疑われるというようなものにつきましては大いに実験を進めまして、シロかクロか灰色か、少なくともそのくらいまでのことは明らかにしてまいりたいと思うわけでありますが、規模といいましても、予算にかかわることでございまして、われわれとしてはできるだけ大きなものというふうに心がけておりますけれども、残念ながら、お金の方はさることながら、実験をしっかり遂行するだけの技術者がたとえば二年後に十分調達できるかどうかというところにも一つ大きな問題があります。しかし、それはできるだけそういうことを心がけることにいたしまして、そして諸外国、特にアメリカあるいはイギリスで少しずつ始めておりますが、アメリカの半分程度まではぜひ持っていきたいものだというふうに考えております。
○米沢分科員 いま労働大臣が席を外されましたので、それじゃ後でお伺いします。 これと関連いたしまして、労働安全衛生法の一部改正案についてちょっとお聞かせいただきたいと思います。 先ほど来細谷先生の方からもいろいろと議論があったかもしれませんけれども、化学工場等で働く皆さんの意見として、先ほどもありましたが、健康障害を生ずるおそれのあるような業務については、もう少し作業時間の制限等について規制をすべきではないか。しかし、労働協約とか就業規則でそんなのは対処しろという議論があるかもしれませんが、少なくとも、そういう法規制をすることによって次の健康被害を最小限に食いとめるという、そういう一面での配慮とか、あるいはまた健康の保持に重大な影響を及ぼすような可能性のあるところについて、もしその安全性が担保されない場合には、御案内のとおり就業拒否権を与えるようなものにせよ、そういうものは労働者として当然権利があるのだからという意識でいいのかどうか、こういう問題については審議会を通じて長年議論されてきたはずでありますから、審議の経過と結論についてぜひお伺いしておきたいと思います。
○桑原政府委員 作業時間の短縮なり制限の問題でございますが、審議会の場におきましては、最終的には結論が出ずに、今後の課題として引き続き検討しよう、こういうことになっておりまして、今後の審議会における取り扱いの問題になっております。 それから就業拒否権の問題は、いろいろ審議会で御議論ございまして、これも最終的には事業主に義務をつけておりますし、最終的には、もし危険が目の前に迫ればそれは緊急避難というような制度もございますから、そういうことでいいのではないかというようなことで、これも答申から外されまして、大体そういうところで落ちついたように私どもは理解をいたします。
○米沢分科員 ちょっと細かい話になりますが、この法律案の要綱を説明いただいたわけでありますが、新たな化学物質を製造する場合に「一定の方法による」という試験の制度ですが、話をお伺いしますと、これは変異原性の試験というものをやろうということだそうでありますが、確かに費用の問題等についてかなりの問題がありましょうけれども、実際は、こういう発がん性の試験以外に、やはり蓄積性とか分解性とか遺伝性とか催奇性とか、そういうものまで含まれたものでないと万全ではないという感じがするのでありますが、いまここで「一定」と書いてありますけれども、これは今後新しい別の方法論が追加されていく可能性があるのかどうか。
○山本(秀)政府委員 ただいまのところは職業がん対策が最重点でございますので、おっしゃいますとおり、変異原性テストというものをまずやっていただくということでございますが、その方法論は日進月歩でございます。したがって、次第次第に方法としては追加されあるいは変更されていくであろう。また、変異原性のみならず、ほかのテストの方法もあろうかと思いますので、そこらあたりは学識者の、あるいは医学の進歩によりまして変わっていくというふうに考えていいと私は考えております。
○米沢分科員 それから、これを見ておって感じますのは、へ理屈になるかもしれませんが、こうしなければならぬという規制よりも、「できるものとする」という表現が多いわけですね。ここらにぼくは、「しなければならない」としたら相当の責任感が伴いますから、またこれを根拠に理屈を言われると、そういう問題で、まあ「できるものとする」ということで濁しておるような責任回避の感じがしてならぬのでありますが、どうなんでございましょう。
○桑原政府委員 重要な規定で当然に守らすべき規定は、それを義務規定にしております。それから、「できるものとする」というのは、主語が労働大臣になっておりまして、権能規定的に書いてございます。もちろんそれによって違反があれば罰則をかけるということでございまして、別に他意はございません。それから、非常にむずかしい問題については「努めなければならない」ということで、努力義務に表現をいたしておりまして、それぞれそういった使い分けをいたしておるつもりでございます。
○米沢分科員 問題は、ここにもありますように、新たな物質以外に既存の物質、先ほどおっしゃいましたようにあと三百ぐらい残っておるわけでございまして、そういうものについて、、ぜひ私はもう少し積極的に、特に見ておって既存の物質に対して積極的に有害性を解剖していこうという、そのあたりがどうも欠けておるような感じがするのでありますが、これは感じだけでありまして、ぜひ私はこの際、残された物質について、年次的でも結構でありますから再検討を行い、今度センター等もできるわけでありますから、そういうものを利用して年次的に解決していくという積極的な姿勢だけ御返事を欲しいと思うのですが、いかがですか。
○山本(秀)政府委員 おっしゃるとおり、われわれとしてこれは怪しいという既存物質があるならば、どんどん取り上げてまいりたいと思うわけであります。ただ、施設がまだ未完成のところでございますので、そうたくさんにわかに取り上げるということはできませんが、漸次できるだけのことはしてまいりたいと考えております。
○米沢分科員 それから疫学的な調査の件でありますが、これはむずかしいのは、ああいう職業病等が発生しますと、簡単に明らかになるものは別でありますけれども、であろうという、そこまでは推定できるけれども、そうだと断定できないというもどかしさみたいなものが常に、特に労災の認定なんかを議論するときには出てくるのでございます。そういうものが結果的には対応の仕方をおくらせたり、逆に無用な社会的な混乱を起こさせていくという、そういうものにつながっていくのが普通の姿ではないかと思うのでありますが、私は、特にこういう化学物質等に関する有害性が議論されるものについては、特に労災の認定については、疑わしきはすべて入れるというふうに明言をしてほしいのでありますが、いかがでありましょう。
○桑原政府委員 確かに、最近新規物質が出まして、その因果関係がいろいろと学説の面においても区々にわたっておる面がございます。しかし、私どもとしては、できるだけいまおっしゃいますような疫学的調査を進めながら、相当因果関係が推定できるような、そういった、たとえば作業歴とか作業条件とかそこに置かれる環境とか、その関連においてできるだけ業務上外が認定しやすいように、言ってみればみなし認定みたいな面も非常に取り入れてまいりたい、それが疑わしきは罰せずということになるかどうかは別といたしまして、そういった運用を、こういったむずかしい職業性疾病については普通のけがと違った形で取り入れておるようなわけでございます。
○米沢分科員 クロム事件なんかで見ておりますと、確かに行政の立ちおくれとか、企業の立ちおくれとか、化学的な情報の不足、化学さえ知らなかったこと等々が原因となって、あんな事件が起こったわけでありますが、特に、同時にぼくは、やはり産業医のあり方というものが、金をもらっておるところに余り頭が上がらぬ、余りいやなことは言いたくないというところに問題があるような気がするのです。ただでさえお医者さんは不足ですから、余り理屈を言うともう産業医にもなってくれぬというむずかしい事情はわかりますけれども、私はやはり産業医のあり方というものをもう少し、こちらの方でどういう規定の仕方があるかわかりませんけれども考えていかないと、結果的にはとどのつまり救ってくれるか救ってくれないか、労働者の立場からしたらまさにここにかかっているんですね。そういう意味で、私は産業医の確保の問題とかあるいは資格の問題、あるいはその産業医のあり方というものについて、皆さんがどういう認識をされておるのか、もしベターの方向に進む方向で何かあるのだったら教えてほしいと思うのです。
○山本(秀)政府委員 御承知のように医師全体が不足の時代でございます。そこで、そうは言いましても、医師の方々の手を経ずしては人の健康というものははかり知れないわけでございます。そこで、日本医師会あるいは産業衛生学会というような専門団体にお願いをいたしまして、過去六年間産業医講習というのを毎年開く、かつまた四年前からは地方におきまして講習をやっているわけでございます。そういった講習が次第に実を結びまして、各地の医師会には産業医部会というのが半分以上できたと私は思っております。この勢いをますます加速させてまいりたいということでございます。なお産業医科大学は明春開校を予定しておりまして、長期的なことでございますが、産業医としての中核的な知識、技術を備えた医師が配属をされるということを期待しておるわけでございます。
○米沢分科員 その産業医のあり方について問題認識はあるんですな。
○山本(秀)政府委員 産業医が、産業医学、つまり作業あるいは環境というものと人間の身体障害とのかかわり合いということの知識がそれほど十分でなかったということは、問題認識として十分持っております。
○米沢分科員 最後に大臣にお聞かせいただきたいのでありますが、先ほど細谷先生もお触れになっておりましたけれども、この化学物質というものが、働く環境とか消費者という立場で、いろいろなセクションで出ないと対応できないという、そういう問題はありますから、それに対応する試験研究機関等も、一元化するというのはむずかしいかもしれませんけれども、どうも横から見ておって、各省庁別にこういう化学物質の毒性に対する予算を持ち、いろいろとチェックをされ、クロスチェックも必要でありましょうけれども、いろいろとなされておるというところに、先ほどおっしゃいましたように、まあいろいろな審議会とか懇談会をつくるのは、いまの時世ではどうもという話がありましたけれども、基本的な基礎的な試験機関については、もう少し各省庁の縦割りを除いて一元化するという方法論が、能率の面からも行政改革の面からも大変必要だという気がするのです。特に先ほどおっしゃいましたように、今度できるセンターについても、試験官というのですか技術者そのものが確保できるかどうか非常にむずかしいということを考えても、私はこういうものを分散させていくよりも、もう少し体系的に集めてやっていくという、豊富にそういう人が出てきたらいいでしょうけれども、やはり一元化するという努力を、労働省自体も皆さんの口から言うていただきたいということが一つと、それからもう一つは、こういうものに関する費用の問題です。確かに発生源が負担をするというのは大原則でありますから、いろいろな企業等に負担をさせねばなりません。しかしながら、この前、製薬会社の方とちょっと話をしておりましたら、いろいろと難病、奇病も出てくるので、それに対応する薬を開発したい、その結果、相当の金額を使ってやっておるけれども、実際はまたああいうことで問題になって何億という金を取られてしまう、だからもう新しい病気に対応できる薬をつくる意欲を失いつつあるのだ、それゆえにもう汎用性のある、かぜ薬とか胃薬とか、そういうものにしか製薬会社自身が投資をしなくなっていく、そのことが結果的には国民の立場からしたら私は発展を阻害する大きな要件になってくる、そう思うのです。 そういう意味で、まあ化学物質などをつくるのは商売でありますから、製薬会社とちょっと異なる面があるかもしれませんけれども、やはり日本の経済とか文化の向上のためにしなければならぬ問題について、その費用の多さを計算したらだれも手をつけていかないというものは、科学の進歩というよりも発展を阻害する要件になり得る、そういう意味で、行政が費用負担するという意味は、特に日本は行政の中立性とかやかましいところでありますから、国の費用、単なる企業の負担というよりも、こういうものを前進させるためにももう少し国の費用負担というものを大々的に取り入れていくということが前進につながるのではないかと思うのですが、最後に所信だけお聞かせいただいて終わりたいと思います。
○石田国務大臣 これはなかなか実際、われわれ役所に育たなかった者から言えば、行政の一元化なんというのはできないのがおかしいと思います。ところが、こういう役所に携わってみますと、そのむずかしさもまた痛感をいたしますが、方向としては、やはりこの問題に限りませんけれども、整理統合して一元化していく必要を痛感をいたします。特に研究部門、私どもの所管ではございませんけれども、地震予知という問題を一つとらえましても、いっぱい役所が関係する。そのためにかえりて能率が上がらない。これはぜひ何とか努力をして一元化すべきものだと思います。 それから、費用の問題でございますが、少なくとも研究対応という部面、それから検査という部面、これはやはり国がやるべきだと考えておりますが、これもなかなか限度がありまして、その企業の実際上の責任まで見るわけにはいかない。研究という部門におきましては、国がもっと積極的に、しかも一元化してやるべきものだと考えております。
○米沢分科員 それでは終わります。
○愛野主査代理 次に、上原康助君。
○上原分科員 私は主に失業対策の点についてお尋ねをさせていただきたいと思います。 きょうも本会議で雇用保険法等の一部改正の提案がなされて、わが党の質問をした安島さんなりほかの方の質問に対しての大臣の御見解なども承ったのですが、どうも最近の経済状況を見ましても景気浮揚というのがなかなか思うようにいっていないし、まだまだ企業倒産というのもむしろ深刻化の傾向にある。三月の決算期になると一千万円以上の中小企業を含めてかつてない倒産が起こるのじゃないかということが民間の調査機関の資料を見ても明らかになりつつあるわけです。そうなりますと、必然的に雇用問題というのが現在よりも、春の新卒者等の就職問題を含めると、私は全国的に厳しいものが予想されるのではないかという気がいたします。そこで、政府として労働省のお立場で今後の失業対策、雇用対策というものをどうお考えになっておられるのか。果たして雇用資金制度をやる、あるいは雇用保険法等を一部改正して法的な援護措置などの面を整備強化していくだけで、言われておる百万前後の完全失業者、潜在失業者を入れると相当数に上っているのではないかと思うのですね。こういう失業雇用対策ということが可能なのかどうか、どういう展望を持っているのか、そういう点について少し明らかにしていただきたいと思います。
○石田国務大臣 一月から三月というのは、例年失業者がふえる月でございます。これは年度末できりがいいとか、あるいはボーナスをもらってやめるとかいろいろなことがあるわけでございます。したがって、二月は百十四万ぐらいになっておるのじゃないかと思うのですが、三月もそれよりもう少し上回るのじゃなかろうかと思います。ただ、それは季節修正を加えてまいりますと、就業者数の増加、特に最近は製造業部門においても就業者数が若干ふえつつございます。それから二月の百十四万という数字も、昨年同月と比べますと、十一万人ぐらい減っているわけであります。景気全体の回復の基調がはかばかしくないということは確かでございますが、緩やかではありますけれども、やはり回復基調はたどっているというふうに考えております。それから三月を過ぎますと、例年今度は失業者率が減ってくる月でございますので、またもとへ緩やかではございますが回復していけるのではないかと思っております。 私どもは、目標といたしましては、やはり一%前後を目指さなければならない。いろいろ雇用の変動等で失業が出ますから、一%前後であれば、これは完全雇用に近いことになるのじゃなかろうか、こう考えておるわけです。しかしながら、基調はやはりどうしても経済の回復を待たなければならない。われわれがやれる仕事というのは、経済の回復を期待をしながら、そこにいくまでの間に生じてくる事態をどう抑えていくかということ。それから特に近年におきましては、産業構造の変化が非常に大きく見られるわけであります。その構造の変化に伴って生じます雇用変動、これをできるだけ犠牲を少なく対処していくことにある。大きく見ますと、緩やかではありますけれども、そしてぼつぼつではありますけれども、回復の道をたどり、それから就業者数も増加を見ておるというのが現状でございます。
○上原分科員 いま大臣から御説明がありましたのは、せんだっての閣議で発表された総理府の資料によっても、今年の一月の労働情勢の就労者総数とか、そういう面の発表で大体そういうことが明らかになっているわけですが、確かに前年に比べれば、いま御説明ありましたように、十一万人の減少である。しかし、実質的にはそれ以上、二月が百十四万で、おっしゃるように三月はもっとふえる見込みだ。さらに一−三月というのは季節的な面もあるんだというような御見解ですが、そういう要因は一部にはあるにはしましても、結局景気回復というものがなされないと、なかなか雇用の拡大というもの、ましてや完全雇用ということにはおぼつかない。そこで、目標とするのは大体一%ぐらいだというお答えですが、そうしますと、大体数にしますと五、六十万程度に抑えたいというお気持ちだろうかと思うのですね。一体そういう見通しは、いまの経済状況なり景気回復のテンポの面からして、果たして今年というものは見通しが立つのかどうか、そこいらはどうお見立てなのか、御見解を承っておきたいと思います。
○石田国務大臣 正直に申しまして、これは私の願望であります。それでは、ことしのうちにその願望を達成できるか、これは非常にむずかしい。自信はございません。政府といたしましては、五十年代後半にそういうところへ持っていきたい、こう考えておる次第であります。
○上原分科員 ずいぶん気の長いお話で、いま昭和五十二年ですから、五十年代後半となると、受け取りようによっては、五、六年もこういう状態が続くかもしらぬということにもなりますが、そういう議論だけをしているわけにはまいりませんので、いずれにいたしましても、前途というのは大変厳しい、シビアなものであるということだけは言えるかと思うのです。 そこで、私も勉強不足で、十分にこの調査をしたり、調べてきているわけじゃありませんが、どうも政府のやってこられたこれまでの雇用対策とか失業対策というものは、援護措置の面に非常に重点が置かれているきらいがあると思うのです。もちろん、私はそのことは必要でないということは申し上げません。しかし、それだけでは雇用の拡大にもなりませんし、実際の雇用対策、失業対策にはならない。そのことが非常に顕著に最近の労働、雇用の面であらわれてきているんではないかと思うのですね。もちろん、当面する緊急対策としては、援護措置なり制度的に補強していかなければいけない点は、いまのような状況では避けがたい、必要であるということは認めますが、しかし、おっしゃるように完全雇用の方向に持っていく、あるいは願望であるにしましても、高度経済成長下における雇用環境には戻らないにしましても、大臣のおっしゃったように一%目標を達成していくというには、やはり雇用の機会を与える、この政策的配慮というものを労働政策あるいは経済政策として、私は新しい低成長下における雇用政策というのは一体どうあらねばいかないかというところまで掘り下げてやっていただかないと、なかなかこの問題は解決しないんじゃないかと思うのですね。そういった面についてはどのように御検討しておられるのか。 それと、時間も限られておりますので、いま一%が願望だ、目標だ、まあ非常に望ましい雇用状態、雇用形態ということをおっしゃりたいのかと思うのですが、では失業率というものはどのぐらいが限界といいますか、限度というふうに大臣はお考えになっているのか。いま本土は、先ほど言いましたように大体二%前後の失業率ですね。どのくらいまでは何とか援護措置なりそういう面でカバーできるか。五、六%あるいは七、八%という失業率というものに対しては、これははるかに限度を超えるわけですね。そういうものに対しては、どういう措置なり対策を講ずるお考えなのか、あわせてお聞かせをいただきたいと思います。
○石田国務大臣 私どもは、現在の失業率は漸次低下させるべきであり、させるような方向へ経済政策もとられており、非常に緩やかなものでありますがそういう傾向が見え始めておりますので、現状の何倍もの失業率になるというような計算は実はまだいたしておりません。どれくらいなら雇用保険特別会計がもっていくかとか、あるいは雇用資金の運営でどれくらいまでやっていけるかという計算は、残念ながらいたしておりません。しかし、いまの見通しは、先ほど申しましたように、非常にむずかしく、厳しく、しかも速度はなかなか思うようにはいきませんけれども、漸次好転をさせていく方向でいくものと考えておるわけであります。 それから、結局援護措置に尽きるじゃないかという御説でございますが、まず雇用の安定の基本は、やはりこれは経済の安定的成長である。これは労働行政の範囲を超えた課題でございます。ただ、そういう中で、現状を踏んまえて労働行政のやれる援護措置以外の措置は何かと言えば、これはやっぱり石油ショック以来産業構造というのはかなり速い速度で変化をしつつある、その構造の変化に応じやすいような施策をとるということと、それから労働者自身がその構造の変化に応じられるような訓練をできるだけ広い範囲でやっていく、これはやっぱり援護措置を超えた積極的な措置ではなかろうか、こう考えております。
○上原分科員 確かに低成長下における雇用政策、産業構造の変化に順応していくあり方というのは必要かと思うのですね。そういう面から週休二日制の問題も前面に出てきておるわけですし、それもそれなりに推進されている。 そこで、そういうことも一応私なりにも踏まえながら、具体的にお尋ねをしていきたいわけですが、私が一体失業率の許容限度というのがあるのか、政府はどの程度と見ておられるのかという具体的な点をお尋ねしたのは、日本全体としての失業、雇用問題というのは、まだまだそれほど深刻ではない向きもあるわけですね。しかし、特定の地域というようなものを限定して考えていく場合には、非常に深刻な問題が出ている、もうお気づきだと思うのですが。沖繩の場合ですと、御承知のように六・三%、昨年五十一年の一月から十二月までは、ほとんど六%台ですね。場合によっては七%台に達している面もあるし、潜在失業者を含めると、大体比較をされる数字としては、たとえば日本全国の国民総人口が一億だと沖繩は一%で百万だというふうに、国民としてとらえる場合は、百分の一くらいが普通の概念なんです。しかし、失業問題に至ってはこういう状態にいまあるわけですね。これは私たちの素人的な考えでも、失業率の許容限度というものをはるかに超えている。このことは、私は一地域の問題として片づけられる問題ではなくして、まさに政治の問題だと思うのです。これに対してはどういうお考えでおられるのか。 私はこれまでもたびたびこの失業問題は断片的に取り上げてきたわけですが、今日の事態になってまいりますと、広域職業紹介とかあるいは従来のような援護措置だけではどうにもならない限界にきていると思うのです。そういう面で、ぜひ政府の積極的な御配慮も賜りたいわけですが、一体沖繩の失業問題は日本全体の雇用政策の中に位置づけているものと、そういう顕著に失業者が出てきている地域の問題とは、やはり分けて対策を講じなければいかない問題だと思うのですが、この点についてはどのようにお考えで、どういう御方針を持っておられるのか、明らかにしていただきたいと思います。
○石田国務大臣 沖繩県がわが国の中で失業率が際立って高い、そういう実情は正確に認識をしておるつもりでございます。それだけ大きいだけに、これに対して全国の他の地方と同じような態度をもって臨んでいるつもりはございません。昨年の五月に沖繩に対する雇用の促進についての基本的な方針を立てまして、その方針に基づいて沖繩の労働者の職業安定の計画を定めまして、それに基づいて諸般の措置を具体的にとっておるのでありまして、その具体的な措置の内容について、そしてまたその具体的な措置について挙げた実績については担当局長より説明をいたさせますが、同一の扱いは決していたしておりません。特に沖繩の場合は駐留軍離職者の関係もございますし、そのほか特別の事情に基づいた離職もあるわけでありますので、それを配慮しつつ特別の措置を具体的に幾つかとっております。これはいま説明をいたさせます。
○北川政府委員 いま大臣が申されましたように、五十一年の五月に沖繩県の労働者の職業の安定のための計画というのを具体的につくりました。それに基づいていろいろの施策を講じておるわけでございますけれども、私たち、上原先生御指摘のように、沖繩県内に産業を起こし工業を振興をして地元で働けるということが雇用対策の理想と考えております。ただ現に沖繩振興開発計画に基づいていろいろ関係各省が努力をしておりますけれども、なおそれにつきまして十分な成果が上がらない現在におきましては、やはり広域職業紹介というものの積極的展開を待たざるを得ない、こういうことで、広域職業紹介にかなりの重点を置いておるわけでございます。さらに、職業指導あるいは訓練等につきましてもそれなりの実績を上げておりますが、それでなおかつ吸収ができない場合、地元における公共事業につきまして、失業者の吸収率を一般内地の場合、中高年法に基づきまして四〇%というふうに定めておりますのを、沖繩では六〇%とその吸収の実効を上げておることは御承知のとおりでございます。 さらに沖繩の離職者の場合に、駐留軍離職者がかなり多くおられること、あるいは沖特法に基づく離職者に対しましては、いずれも求職手帳を発給をいたしまして三年間の生活の保障をいたしておるところも御承知のとおりでございますが、当面の施策としましては、広域職業紹介が的確に行われるように相談員を置くとかあるいは就職促進手当の引き上げ、債務保証額の引き上げ等々を行っておるところでございます。
○上原分科員 おっしゃるように、そういう援護措置なり就職あっせんの事業をできるだけ努力しておられることは私も否定はいたしません。しかし御承知のように、では広域職業紹介とおっしゃいますけれども、一体、年間どのくらい応じているのですか。もう時間ありませんから、たしか五十一年は千名足らずですね、九百七人程度でしょう。
○北川政府委員 県外広域職業紹介一般の場合に、五十一年は四千九百七十六人でございます。
○上原分科員 いまの四千名余りというのは、新しい新卒者が本土就職をしたものなんですよね。
○北川政府委員 いま申し上げましたのは一般の求職者でございまして、これ以外に高校三千三百二十七、中卒四百三十三、合わせまして三千七百人おりますので、その両方を合わせますと八千七百人が沖繩県外に五十一年度においては就職をしておる、こういう実績でございます。
○上原分科員 そのうち、現にいわゆる駐留軍離職者とか沖特手帳を適用をされている人々は何名ですか。
○北川政府委員 ちょっと手元に正確な数字は持っておりませんけれども、対象になっておる方はきわめて少ない、こう思います。
○上原分科員 私が指摘を申し上げているのはその点なんですよ。確かに新卒とか若年の、年齢的に若い層はどんどん本土に就職の道はいろいろあるわけですからやっている。しかし、実際問題として四十歳以上の——四十歳以上をすぐ中高年と言えるかどうか別としましても、四十歳以上の方方というのはきわめて少ないのですね。この広域職業紹介だけでは、いわゆる言われている失業者というものの対策には必ずしも十分な効果は上げていない。それといま一つは、広域職業紹介というのが非常に強調されているのですが、その紹介推進委員というのは一体どのくらいを配置しているのかということ、さらにその広域職業紹介のための予算というのはどのくらいなのか、これも明らかにしておいていただきたいと思うのです。
○北川政府委員 本土就職者に対します相談、援助を行います就職援護相談員、これは五十一年に三名配置をいたしております。それから本土就職希望者に対する地元での職業相談、いわゆる広域職業紹介相談員、これを二名配置いたしております。
○上原分科員 これではちょっと大臣、三名、二名、もちろんそういう相談員の数が多ければそれで十分効果を上げるということにはストレートにならぬかもしれませんが、いろいろ雇用基本方針をつくって努力をしておられるというわりには、広域職業紹介の問題とかそういう失業対策、雇用促進というものについての実態というのは、私がいまこの一例を指摘しても、余りにも何か形式的な面があると思うのですね。その点ももっと実情に即応した改善をやっていただきたいということが一つ。 さらに、時間もありませんので、いま一つは、これだけの失業者が出ると、援護措置の面においてももう少し特別な配慮が私は必要じゃないかと思うのです。たしか昨年のこの全国的な失業問題がクローズアップされた段階で、雇用保険金の給付内容の拡大をやりましたよね。ですから全国的な失業率よりもはるかに高い地域については給付期間を延長していくとか、そういう何らかの特別な配慮というものが、私は沖繩の地域については必要じゃないかという気がいたしますね。それはまだ実現してないのです。また全国に適用されている面は画一的にやられていますが、それよりもはるかに高いというものについては、雇用保険の給付の問題とかあるいはもっと期間延長するとか、何らかの具体策というものを講じつつ、広域職業紹介なり雇用機会の拡大というものを行政的にも政治的にもやるということでないと、六%、七%の失業率というものは私は解決できないと思うのです。 そしてもう一つ指摘しておきたいことは、すでに、駐留軍の場合だけを申し上げるつもりはありませんが、このいわゆる援護措置が切れてもう何の手当も受けない人々が今年の二月あたりから三千名近くいるわけですよ。これが今後どんどん拡大されていく傾向にある。したがって、七%の失業率が出てもパニック状態が起きないというのは不思議だという見方もあるようですが、私はこれからますますこの問題が深刻化していくと、いまのうちに何らかの、たとえば私がいま申し上げたような、そういう特別措置などを考慮していただかないと大変な生活問題、社会問題が出てくる。この点について特段の御配慮を賜りたいと思いますが、よろしいですね。
○石田国務大臣 沖繩の状態、現在の失業高率発生の状態に対応するためには現状で必ずしも満足だとは思っておりません。ただ広域職業紹介の相談員とか本土に就職した人に対する相談員の数、なるほどそれだけを取り上げられると、二人や三人で何ができるかということになるのですが、ほかのと一緒の相談員があって専門の相談員がそれだけだというふうに御理解をいただきたいと思います。それから不十分ではございますが、現在、広域職業紹介に乗る人に対して九十日の給付金の延長などをいたしております。しかし、沖繩の現状はよくわかりますので、さらになお一層検討を加えて効果のある方法を見出したいと思っております。
○上原分科員 いま私が申し上げたのは、必ずしも広域職業の就職に応ずる者だけじゃなくて、現地でも家族を抱えてもっと深刻な状態に置かれている人々に対してもそういう道を講じていただきたいということです。これはもう時間がありませんが、たとえば浦添市あたりで市役所の職員を、事務職とか技術職を採用するに、何と一人の採用に二百人の受験者がわんさと申し込みをする。ちょっと本土あたりで想像できないような深刻な問題が出ているわけですね。いま琉球大学、沖繩大学、沖繩国際大学の千四百名余りの卒業者のうちで今度就職が決まっているのはわずかに四十七名だといっているのです。これでは本当に何をかいわんやという気持ちになりますので、労働大臣はその面では非常に御理解もありますし、また権威者ですから、給付金の問題等含めてひとつ積極的な対策を講じていただいて——もう失業予防どころじゃないですよね、本当に。失業予防どころじゃなくて生活をどうするかという状態に追い込まれているということを御理解いただいて、ぜひ積極的な御検討をしていただいて、従来よりも効果の上がる失業雇用対策を推進していただきたい。改めて大臣の決意のほどをお伺いをして、私の質問を終えたいと思います。
○石田国務大臣 何度も申し上げておりますが、沖繩の実情についてはよく承知もし、憂慮もいたしております。その現状についてもよくわかっているつもりでおりますが、さらに効果ある即効薬的な方法を見出すというのはなかなかむずかしいことも御理解をいただきたいと思いますけれども、あとう限りの努力をいたしまして御期待に沿いたいと思います。
○愛野主査代理 次に、上田卓三君。
○上田分科員 私は、二日に予算委員会の一般質問で労働大臣に質問をする予定になっておったわけですけれども、労働大臣がおかぜを召したということで休まれたんですけれども、くれぐれもひとつ体に気をつけていただきたいと思います。 やぼな質問になるかもわかりませんが、まず石田労働大臣に冒頭、労働省は労働者のために、労働者の味方になる省なのか、それとも大資本家、いわゆる使用者の側を擁護するためにあるのか、その点についてお聞きしたいと思います。
○石田国務大臣 労働省は労使の間で中立的立場をとって、よき労使の慣行を築き上げていくことが労使関係における労働省の立場でございますが、しかし、雇用の安定を図り、あるいは労働条件の維持、向上あるいは労働環境の整備というような諸問題あるいは産業構造の転換に当たって職業訓練の充実を図っていくというのは、すべて労働者の生活の維持、向上を図り、これを守るという立場にあるわけであります。
○上田分科員 私はそういう中立的な立場で、あるいはやや労働者の雇用あるいは労働者の立場に立ってというよりも、やはり基本的に労働省が生まれてきたいきさつというものを考えれば、あくまでも労働者の権利擁護というその線が貫かれてきたのではないか。労働三法ができたいきさつもそうである。常に労働者は雇用されているという立場から、そういう権力を持つ使用者側の圧迫を受けてきた。そういう立場で労働者が弱い立場にあるんだ。そのために労働三法があり、またその三法を守るために労働省が設立され、積極的な労働行政をされているというように考えておるわけですが、その点について簡単に答えていただきたいと思います。
○石田国務大臣 労働三法はむろん労働者の立場を守るためにあるものであります。ただ、私は労使関係という……(上田分科員「私は労使関係とは言っていません」と呼ぶ)いやいや、私が中立と言ったのは、そういう意味です。
○上田分科員 聞いていないことは答えないでください、時間がありませんから。 次に、私は大阪地方の最低賃金制定の共闘会議の初代の議長をいたしておりまして、現在副議長をさせていただいておりますが、昭和五十年度には全国一と騒がれたわけでありますが、一日二千六十四円、東京よりも一円プラス、また五十一年度は二千二百六十四円という形で注目されたわけであります。私は決してこの大阪地方の最賃が高いとは思っておりません。われわれの要求はあくまでも七万円最賃という要求の中でこういう結果が出たわけであります。ことしはぜひとも八万円最賃、四月実施ということで大阪労働基準局と交渉いたしておるわけであります。 そこで、石田労働大臣に聞きたいわけでありますが、大阪のそういう最賃がある程度全国でも目をみはるような金額に達しておるわけでありますが、私が冒頭に労働者の立場にあるのかどうかということを申し上げたのは、この大阪の事情について、あ、これはいいことだと思っておるのか、これは資本家側にとっては大変なことだという形で、やはりそれは今後とも抑えていかなければいかぬというように思っておるのか、そういう点で申し上げたわけでありまして、この点につきましてお答えいただきたいと思います。
○石田国務大臣 大変なことだとは決して思っておりません。基準審議会がそういうように御決定になったのは、一番事情を知っている方々の相談の結果だろうと思いますから、そんな考えは毛頭ございません。
○上田分科員 労働大臣は労働者の真の味方だということであれば、とりわけ未組織労働者の賃金をやはり一定の基準で引き上げていくという立場で、上がることについては当然了とされておるものだ、こういうように思うわけでありまして、そういう点で労働省においては大阪労働基準局あたりに変な圧力をかけないように御要望申し上げたい、こういうように思うわけであります。 さて、今日の経済不況というものは非常に深刻な状況にあることは御承知のことだというように思うわけであります。とりわけ失業、それから中小零細企業の倒産というものは本当に戦後最高だとも言われておるわけでありますが、この問題に対して労働大臣はどのように対処されようといたしておるのか、基本的な問題について一点お聞きしたいと思います。
○石田国務大臣 中小企業の倒産が非常に多いことも承知しております。まずこれについては、やはり経済の基調の回復ということを期待をしなければならぬ。現在はわれわれが期待するような速度で上昇はしてはおりませんけれども、緩やかな回復基調にある。しかしながら地域的あるいは職種において非常なアンバランスが依然として残っておる。これに対する対応策は講じなければならぬ。一方、そういうことのために発生した失業者に対しましてはそれぞれ所要の措置を講ずべきだ、またとっておるつもりでございます。
○上田分科員 いずれにいたしましても、労働者の生活は非常に窮迫をいたしておりますし、とりわけ昨年は物価上昇率が賃上げ率よりも高くなるというような形で、実質賃金が低下しているというように私たちは思っておるわけでありますが、政府の統計などを見ますと、いやそうじゃない、二%ぐらい上がっているのだというような形も出ているやに聞いておるわけでありますが、これは労働者の実感に全く合わないわけでありまして、やはり統計のやり方に大きな問題があるのではないか、こういうようにわれわれは思っておるわけであります。そういう点で、本当にそういう立場に立って石田労働大臣が英断をふるわれることを期待したいと思います。 さて、次に申し上げたい問題は、石田労働大臣は先月の二十八日に大阪へ参られまして、関西経済団体との懇談会の席上で「労使交渉の場での暴力事件に対してきびしい態度でのぞむ」との姿勢を強調されたわけであります。そうして「近く労基局などの出先機関に同趣旨の労働省通達を出すことを明らかにした。」これは三月一日の朝日新聞に報道されておったわけでありますが、これは事実でありましょうかどうか、ひとつお聞きしたい。
○石田国務大臣 大阪でいまお話しのような会合で、現在当面しております労働事情について講演をしたことは事実でございます。その後の質問の中で、団体交渉中に暴力行為が行われるということをどう思うか、こういう質問がありました。いまからかなり前、正確に覚えておりませんが、かなり前に労働省は労働組合法の条文解釈について次官通達を発しておるわけであります。その中に、いかなる場合においても暴力行為というものは認められない、こういうのが入っております。私はそのことを指摘すると同時に、そういう労使関係の団体交渉その他が紛糾する原因の中には、労使関係についての無理解が原因をなしていることも多いと思う、そういう点は考えてもらわなければいかぬが、しかし、たとえそれが理由であるとしても暴力というものを認めるわけにはいきません、こう申し上げたのです。その後の新聞記者会見で、そういうことはどういうことか、こう言うから、つまり同じことになる、労働組合法の解釈というものはそう時期によって違うものではないから同じことにはなるけれども、必要とあらば、暴力行為というものはやはり好ましくない、労働組合法の認めるところではないのだということを改めて言えというならそれは言ってもいいがという返事をいたしたので、断固とかなんとか、そういう言葉を使った覚えはございませんが、暴力行為はやはり組合法では認められないという解釈については今日も変わっておりません。
○上田分科員 当然私も暴力には断固反対する立場であるわけでありますから、労働組合たりとも暴力を肯定するものではないことは明らかであります。また労働大臣がそういう暴力的な、あるいはそういうトラブルといいますか、そういうものが使用者側の無理解による場合もあるという、もあるというのじゃなくて、われわれはその方が大半であるというように解釈をしておるし、また労働大臣はそういうような理解をしていただかなければならぬのではないかと思うわけであります。 なぜ私がそういうことを言うかといいますと、不当労働行為は大阪が一番多いのですね。一番多いところでそういう労使のトラブルがあるということは、少なくとも使用者側の不当労働行為ということが原因になっておるわけでありまして、特にたとえば五十年度では東京が新規発生の不当労働行為が百四十一件あるわけです。ところが人口がそれの半分とはいきませんが六、七割ほどしかない大阪で百三十四件あるということですね。東京並みにあるということ。また昨年の一月から十月までの統計によりますと、東京が百九件、そして大阪府が百三十二件あるのですね。東京よりも多いということです。それだけ関西の使用者側が非常に労働問題について理解が足らぬというようにわれわれは考えなければならぬと思っておるわけであります。特に全国金属の大阪の傘下で三百五十の支部があるわけでありますが、現在二十五の支部、いわゆる会社で長期の紛争が行われておるわけでありまして、これはひとえに資本、使用者側の姿勢に大きな原因があるとわれわれは考えておるわけであります。 そういう点で、やはり多くの場合は使用者側が労働組合の団体交渉、法律で決められているそういう交渉を、あたかも暴力だということで言いがかりをつけて拒否するということが多くあるわけでありますから、そういう点についてやはりはっきりしていただきたいし、とりわけ暴力行為があったと言われておるところの二月の二十六日のいわゆる大阪総評の全金と関経協との話し合いには、新聞記者などマスコミの方が大ぜい参加されておるわけでありまして、その中である程度の口角あわを飛ばすということはあったとしても、そういう暴力行為があればこれは新聞にも載っただろうし、そういう点私は非常に、全くデマに満ちておると言ってもいいのではないか、こういうように思っておるわけであります。そういう点で、今後労働大臣においてはやはり大阪でなぜそういうものが、不当労働行為が多いのかということを篤と私は理解をしてもらいたい。その点についてひとつ御感想を述べていただきたいと思います。
○石田国務大臣 不当労働行為の申し立て件数が大阪が東京より多いという事実、これも承知しております。各種の労働統計を見ますと、大阪というのは大体一割から一割弱ぐらいのところなんですが、この不当労働行為の申し立て件数だけは全国の一五%ぐらいになっておることも知っております。その原因がどっちにあるとかこっちにあるとかいうことは、これはそれぞれの事件がいま地方労働委員会の審査にかかっておる最中でございまして、私がアンパイアみたいなことを言う立場にございません。しかし特に多いという事実認識は持っております。
○上田分科員 特に労働大臣、やはり大阪に来られたときには、労働者団体とまず会って、いろいろどうなっておりますか、経営者の横暴はありませんかという形で会っていただくのが当然であって、何か経営者団体、ときたまそちらが早くなったのはどういう形であったのか知りませんが、私はそういう点でやはり一方的な形で理解をして、当然暴力はいいのか悪いのか、それは暴力はいけませんというような形で、事実あったのかないのかもわからぬのに一般論で言われることは、マスコミを通じてあたかも労働者が暴力的であるという印象を与えることになりますので、以後慎んでいただきたい、こういうように思うわけであります。
○石田国務大臣 いまちょっと、大変誤解がある。私は大阪へ参りまして、まず最初に大阪府の労働部長それから労働基準局長、その両方の幹部を集めて、労働事情一般についてそれぞれ報告を受けました。その後、大阪府知事と大阪市長の主催で労働団体の方々とお目にかかりました。それからいまの講演会に臨んだわけであります。
○上田分科員 それであったらいいのですけれども、会ったと言うならば、その後でもいいですから労働者の皆さんと会って、こういう指摘があるがどうかというようなことまであってしかるべきではなかったかと思います。それは、時間の関係もありますから、後ほど内閣委員会なりそれなりの委員会で私もまた発言したいと思います。 次に、いわゆる最賃制で、特に大阪では対象事業所が三十万あるわけでございますが、昨年の八月に労働基準局が最賃法違反の事業所を調べたわけです。ところが、監督官が少ないということがあって、私はこれは基本的に問題があると思うのですが、三十万ある事業所の中で二百六十二件しか調べてないわけですね。この二百六十二件ですらそのうちの四十五件が最賃法違反をしている、一七%に当たっているわけで、これは非常に大変な問題ではないかと私は思うわけであります。特に、大阪でも泉州あたりの繊維産業では、四社に一社が繊維産業の産業別の最賃制に違反している事実があるわけでありまして、そういう点で強力に指導をしていただきたいし、事業所に比べてとりわけ監督官が少ない、島根県並みである、これはゆゆしき問題であるということで、大阪労働基準審議会から増員をしてもらいたいという強い要望が出ていることも御承知だと思いますので、そういう点でこの問題に対してひとつ善処してもらいたい、こういうように思っておるわけです。特に、三十万の事業所がありながら、「最賃制の改正についてのお知らせ」、これが現物なのですが、十万しか出てないのですね。三十万の事業所があるにもかかわらず、その改定を知らせるリーフレットを、こんな小さなもので十万しか出しておらないというのも大きな問題があるのじゃないか。先般、二月二十一日の大阪労働基準局交渉の中で、新たにポスターと立て看板を立てる、周知徹底さすということを約束されたわけでありますが、私は全国的にこういうことがあると思うので、そういう点について善処してもらいたいと思うのです。ちょっとお答え願いたいと思います。
○石田国務大臣 監督官が少ないというのは事実でございまして、予算編成期ごとに監督官の増員を要求いたしておりますが、なかなか思うようにはふえておりません。事業所が非常にふえておるのに監督官が少ないのが実情でございますので、その点は御了察を願いたいと思います。最低賃金が決定したことの周知徹底の方法に手抜かりがあり、不十分な点がいまのお話ですとあると思いますので、そういうことのないようにいたさなければならぬと思っております。
○上田分科員 次に、これは二月十七日の日経の夕刊でございますが、「最賃守ると経営困難」「老人四十人を解雇」という見出しで、これは和歌山県の新宮で起こった問題であります。これに対して、これも御承知のことだろうと思うのですけれども、新宮の労働基準監督署の引地署長が、「最賃法は労働者の労働条件、生活向上を目的としているが、今度のようなケースもあり得る。あとは基準行政の範囲外で職安法や福祉行政の領分」だというような形で非常にけしからぬ発言をしておるわけであります。あたかも最賃法が中小零細企業の倒産、経営困難に追い込んでいるのだというような形で、結果的にそういうことが出てきているということは私はわかりますが、それじゃ最低賃金が高いのだということになりかねないわけであります。これは当然、通産省あたりが中小零細企業をどのように擁護していくのか、育成していくのかということにもかかわってくるわけでありますが、こういうものを後ろ向きでとらまえるのじゃなしに、もっと前向きでとらまえていただきたい、そういうように私は思うわけであります。特に現場の監督署に対しては強力な指導を願いたい。その点について。
○石田国務大臣 事件があったことは知っております。いまの事件について監督署長がそのような発言をしたとすれば、いわゆる法解釈というか、そういう点から言えばこれは何とも役人らしい物の言い方だと思うけれども、監督署が持っておる役割りあるいは最低賃金制の使命から考えてそういう表現は適切な表現でないと思います。そういう態度で臨まないように指導をいたしたいと考えております。
○上田分科員 次に、労働大臣、私は二日に質問したかったわけでございますが、私は部落解放同盟の地方本部の中央執行委員をやっておりますので申し上げるわけではございませんが、いわゆる同和問題が大きな問題になっております。先ほど上原議員からも沖繩の失業の問題が大きく取り上げられたわけであります。私も先月末に、地籍確定の問題で、調査団の一員として沖繩へ行ってきたわけであります。そのときに開発庁の局長が、沖繩ではすべてがうまくいっているのだ、ただ失業問題が本土に比べて約三倍だということで、六・三%あるということを述べられておったわけでありますが、昨年は県外への就職が七千人、そのうち四千人がUターンして帰ってきている、失業しているという問題があるわけです。これは沖繩県民に対する本土でのはっきりとした差別である。高度成長の時代には日雇いとか臨時工とか社外工で吸収していきながら、一たん不景気になるとこういう形で沖繩の、特に若年労働者がUターンをしなければならないという現状、これは非常に悲しい出来事だと私は思っておるわけであります。 それに関連して、同じだとは言えませんが、未解放部落住民の就職難というのは非常に深刻なものがございます。大阪府の同和事業促進協議会という団体がございますが、その一九七三年の調査では、完全失業者が四十三の同和地区において二五・九%、今日それ以上の状況になっておるということで、非常に深刻な問題だと考えております。いわんや、第一、第二、第三の部落地名総鑑、今日では第五の部落地名総鑑すら出てきている。そして購入した企業は、当初はいろいろ理由をつけておったものの、最終的には差別的な意図で出身者を就職から外していく、差別する目的で買ったと言っておるわけであります。そういう点で、われわれはこの問題に対して善処方をお願いしたいと同時に、被差別部落の子弟の就職問題を中高年齢層も含めて根本的に考えていただく必要があるのじゃないか。特に、特別措置法はあと二年という状況でございますが、これは大きな問題だ。そういう意味で、この際、同和対策事業特別措置法を強化または抜本的な改正をして、基本法的な性格をとりながら、同時に各省別の特別措置法がいまこそ必要なのじゃないか。特に労働省においては同和対策の雇用促進特別措置法というものがあってしかるべきじゃないか、こういう考えを私は持っておるわけであります。その点についてお聞きしたいわけでありますが、特に労働省のことしの同和対策の予算が約十五億、そのうちの十一億が就職支度金の貸し付けでございまして、そういう意味で仕事保障の基本であるところの職業訓練とかあるいは職業相談体制の確立、あるいは職業のいわゆる教育といいますかあるいは労働福祉、そういうようなものがほとんどと言っていいほど予算化されておらないわけでありまして、この点についてひとつ労働大臣の見解をお聞きしたいと思います。
○石田国務大臣 失業率が特別に高い、その高いことが差別による、これはもうわざわざ言うまでもなく憲法違反でありますし、許さるべきことではない。ましてや、いまちょっとお触れになりました本を売って差別を外から何か援助するような行為というものは、これはもう厳に排撃されるべきものだと考えております。就職の促進のためにはやはりある程度の技能を身につける、そういう機会を平等に与えられなければならぬことは言うまでもありません。そういう点について積極的な措置を講じ、そういう現状打破にさらに一層努力をいたしたいと思います。 現にとっております措置につきましては、それぞれ担当者からお答えをいたします。
○北川政府委員 同和地区の実態調査につきましては、いま先生の御指摘の調査をわれわれ入手しておりますし、さらに労働省独自で昨年調査をいたしまして、本年はその分析をよくいたしまして、いままでの雇用対策のどこに欠陥があるかというような点をよくつかみまして、御指摘のように、たとえば訓練の強化とかその他職業相談体制の充実に努めたいと思います。
○上田分科員 法の制定も含めて抜本的な対策を立ててもらいたいし、特に五十年度の総理府の調査で労働調査が抜けておりますから、特に現状の部落の失業状況、就労状況について篤と調査していただきたいと思います。 次に、最後でございますけれども、障害児の失業問題は大きな問題でございます。特に、昨年末の調べでございますけれども、東京都立の障害児学校、高等学校でありますけれども、卒業生のうち就職なりあるいは施設入所者などの行く先が決まっているのはわずか二五%、四分の一しか決まっておらない。もう昨年末であったら、高卒の就職先などは大体決まっていると言っても過言ではないと思うのです。特に卒業者の二百九十六人中七十四人だけが決まっているということでございまして、その中でも盲学校卒業者は二十五人おるわけですが、その中で一人しか決まってないというような状況にあるわけであります。特に身体障害者の雇用促進法というのがございまして、その法律では雇用率は一・九%というような形で決められておるわけですが、特に都民連絡会というのがございまして、そこの調査によりますと、それに達しておるのは東京都内では何と保谷と東村山の二つだけであるということで、それ以外から回答がないということはやはりこれに達してないと言ってもいいのではないか、こういうように思うわけでありまして、そういう同和問題あるいは身体障害者その他在日朝鮮人とかそういう差別された人々が特にこの不況下で塗炭の苦しみにあえいでおるわけでありますから、特に労働大臣はこの分野に大きな力を発揮していただきたいということを要望いたしまして、時間が来たようでございますので私の発言を終わりたい。一点だけその点ちょっと答えていただきたいと思います。
○石田国務大臣 いまお話しのように、民間は身体障害者雇用促進法によりまして一・五、それから公的団体は一・九、民間につきましてはそれに達してないものに対しては課徴金を課しておるわけであります。しかし、公的団体がそういう態度で、東京都でそういう現状であることは大変遺憾なことでございますので、そういうことのないように強く行政指導をいたしたい、こう考えます。
○愛野主査代理 次に、土井たか子君。
○土井分科員 昨年五月に労災法の改正がございましたが、その節、衆参両院において附帯決議がございます。附帯決議の中で、一の部分にこのように述べてあります。 政府は、次の事項に関し所要の措置を講ずべきである。 一傷病補償年金制度の運用に当たつては、特に頸肩腕症候群、むち打ち症、腰痛症等の職業性疾病患者の療養の実情に即して、適切に行うよう努めること。 このように附帯決議があるわけでございます。御存じのとおりに、保母さんや看護婦さんや介護者さんやキーパンチャーやタイピスト、事務職員等々、特に女性の職場でたくさん起こっております頸肩腕症候群あるいは腰痛、こういう問題を考えていきますと、この労災法の改正に伴いまして実は大変気にかかることがございますので、ひとつそのことをきょうはお尋ねをしてみたいと思います。 三月一日の社会労働委員会で、桑原政府委員は御答弁の中に、「頸肩腕症候群みたいな方は大体お働きできる程度の方でございますから、まず年金に移るはずがないと思います。したがって解雇制限規定との関係は出てこない、」云々というふうに御発言をされているわけです。ここで再度確認をさせていただきたいと思うのですが、頸肩腕症候群のような職業病というのは年金の対象にならないのかどうか、この辺いかがでございますか。
○桑原政府委員 年金受給者は、一応私ども労働不能というような状態にある方たちに年金を差し上げる、こういうたてまえになっております。したがって、頸肩腕症候群の方もいろいろおられると思いますけれども、私どもの行政をやっております経験から言いまして、こういう年金をもらえるような労働不能の方という方は非常に少ないのではないか、こういうふうに思っております。
○土井分科員 そうすると、頸腕のような職業病については年金の対象になるというふうな場合がないことはない、しかし非常に少ないと、そういう御答弁と受けとめていいわけでありますか。
○桑原政府委員 頸肩腕症候群の症状の問題はケース・バイ・ケースでございまして、一概に言えませんけれども、場合によっては非常に重い方があって介護を要するというような状態になることがあるかどうか、私ども医者でございませんから確認できませんが、そういった症状にある方については、あるとすれば年金受給者たり得る、こういうふうに考えますが、一般的には私ども、そういう方はおられないのではないか、こういうふうに思います。
○土井分科員 一般的にそういう方はおられないというそういう御認識であるということは、一つ確認をしておきたいと思うのです。 ただいま医者でないからそういうことに対しての認定は大変むずかしい問題だがという前置きでおっしゃった中身は、端的に一般用語で申しますと、重症の人の場合というふうな受けとめ方をしていいのではないか。重症であるか重症でないかということによって、この問題に対しての判別ということがなされてよいのではないかというふうに私は考えますが、いかがでございますか。
○桑原政府委員 概念的にはそれで結構だと思いますが、重症の判断でございますけれども、私どもは労働不能というのをそういった判断の基準にしておるわけでございます。
○土井分科員 ここで労働不能という問題に入る前に、ひとつその重症ということについても確認をしておきたいと思うのですが、重症者というのは一体どんな程度の人たちのことを指して言われるのか。つまり、重症というのはこれまでも長期傷病年金に移行しておられる方を指すのかどうかという問題であります。そして、それは現在把握されているところによると何人ぐらいいらっしゃるというふうに認識なすっているかどうか、ちょっとこの辺はいかがでございますか。
○増田説明員 昭和五十一年三月末現在で、頸肩腕症候群につきまして療養を継続している方は二百二十六名でございます。なお、頸肩腕症候群の患者として業務上の認定を受けた方々は、昭和五十年度までの累計で千六百三十三人でございます。
○土井分科員 それは頸肩腕症候群についてのお答えなんでしょう。いま私は重症のことを問題にしておるわけなんですよ。いかがですか。
○桑原政府委員 重症の定義が問題でございますが、私ども先ほど労働不能というようなかっこうで定義いたしましたが、頸肩腕症候群の方でそういった労働不能にある、いわゆる年金をもらった方についての統計を正確にとっておりません。ただ、私どもは行政の経験からいって、ほとんど長期傷病給付ではなくて一般の休業療養をやっておられる方が大部分である、こういうふうに理解をいたしております。
○土井分科員 そうすると、長期傷病年金にすでに移行をしている人たちは、いま重症という認識でもってこれを受けとめられていないというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
○桑原政府委員 長期傷病補償給付というのは旧法の概念でございまして、今度年金にそれを切りかえたわけでございますが、今度はっきりその辺の定義づけをいたしました。したがって、旧法における長期傷病給付という概念は重症という点について概念がはっきりいたしておりません。
○土井分科員 そこで、重症という概念がはっきりしていない、しかし先ほどおっしゃった労働不能ということについては一定の考えていく目安がおありになる、そのように私は理解をいたしますが、さて、二月十八日の全国課長会議で出された労働省の部内資料がございます。この部内資料によりますと、労働不能ということについて一定の定義がここに述べてございます。この部内資料というのは、もうすでに私が申し上げるまでもなく御存じだと思いますが、「廃疾等級の認定について」という部内資料ですね。この中で、労働不能の定義は、「療養管理上労務に服することを禁じられているもの」というふうに言われておりますね。ところでこの考え方は、二月十日の労災保険審議会に提出された省令案の中に「廃疾等級認定方針の概要」というのがございますが、ここに出ております「常に労務に服することができないもの」というのと同じかどうか、ひとつこの点御確認願えませんか。
○増田説明員 二月十日の審議会資料と二月十八日の廃疾の認定の基準と、表現は違いますが内容的には同じと考えております。
○土井分科員 そうすると、これらの人は現在までは休業補償給付の受給者ですね。いかがですか。
○増田説明員 先生のおっしゃるこれらの方というのがはっきり理解できないのでございますが、頸肩腕症候群の患者という意味でございましたらば、ほぼ休業補償給付の受給者であるというふうに考えます。
○土井分科員 それは「療養管理上労務に服する」というのは、一年六カ月経て、さらに六カ月を経過して休業状態にある人が傷病年金の対象というふうに私たちは理解しているわけです。これらの人は——いま言っているこれらの人はというのはこれなんです。これらの人は現在までは休業補償給付の受給者だというふうに認識してようございますでしょう。とすると、年金の受給対象者が現在の長期傷病給付よりも拡大されていくという、こういう関係になるわけですが、この点はいかがなんですか。
○増田説明員 現行法の長期傷病補償給付と傷病補償年金制度との違いは、傷病補償年金制度に廃疾等級という概念をはっきり入れまして、そこで先ほど来先生お尋ねになっていらっしゃいます労働不能という概念について明確にしたつもりでございます。したがいまして、必ずしも長期傷病補償給付の対象者の廃疾の程度というものについて明確ではございませんでしたが、ほぼ同様であると考えておる次第でございます。
○土井分科員 そこで大変気になるのは、いまの御答弁からしてもそうなんですが、治療すれば治って職場復帰できるはずの労働者が、必ず三年以内に職場復帰できなければ、年金の対象者として解雇制限が解除されることになるのではないかという不安です。こういうことは全くないと言い切れますかどうですか。いかがでございますか。
○増田説明員 療養開始後一年半の時点で傷病補償年金の受給者となった方につきましても、傷病補償年金の受給対象である廃疾等級に該当するかどうかということについては定期的に調査をいたして、その場合その場合に最も適切な給付をしたいと思っております。したがいまして、傷病補償年金の受給者が休業補償給付に戻るということもあり得るわけでございまして、自動的に療養開始後三年たったから解雇制限が解除されるということにはならないと思います。その点は現在と同様でございます。
○土井分科員 これはもうちょっと質問の趣旨を聞いていただきたいと思いますよ。三年たったら自動的に解雇制限が解除されるという意味で私は聞いているわけじゃありません。三年たって後に、治療すれば職場復帰ができるはずの労働者が、三年たって職場復帰をその時点でできないというときに年金の対象者として解雇制限が解除されることになるのではないかという不安があるわけですよ。このことに対して大丈夫だと言い切れるかどうかをお伺いしている。いかがですか。
○桑原政府委員 三年たったら必ず——一年半のときにまず見るわけでございますね。そのときに年金に移るような非常に重い方については年金に移すわけです。そして、その方が三年を経過した場合には解雇制限規定から除外するというような法のたてまえになっております。このたてまえは旧法の長期傷病給付と全く同じでございますから、その切りかえた方については従来どおりの同じような解雇制限規定の解除があるということでございます。ただ、御指摘の三年たってでも、療養すれば間もなく職場復帰できるだろうというような軽い方は、年金を支給するような労働不能という状態でなければ年金に移らないわけですから、解雇制限の解除が適用されることはない、こういうことでございます。
○土井分科員 ちょっとこれは質問の趣旨から外れる御答弁ですよ。現在三年を経過して休業している職業病被災者というのは、先ほど御答弁にちょっとありましたけれども、千四百八十六名もいるわけです。一年六カ月を経過して六カ月以内に勤務できない人というともっともっと数が多くなるはずなんですよ。こうした人が年金の対象になることがあるのではないかという不安は非常に大きい。だから先ほど来、労働不能について特にお尋ねをしたわけでありますが、これについての認定いかんによっては、治療すれば職場復帰をできるはずの人まで含めて年金受給者として解雇制限というものが解除されるということがあるわけであります。たとえば頸肩腕症候群の女性の労働者に例をとってみましょう。三年たちましてリハビリテーションがそれからできるような状況になった、そして職場復帰の明るみもそれから出てきた。ところがその時点において、労働不能だという認定で、三年たったのだ、だから年金の受給者としてこれは解雇制限というものは解除しようじゃないかという向きが出てこないとは限らぬです。そのことに対して、大丈夫だ、そんなことは絶対ないというはっきりした一つの確認を得ない限りは不安で不安でたまらないというのが実情だろうと私は思いますよ。いかがでございますか。
○増田説明員 療養開始後三年たった時点でどういう廃疾状態にあるかという点が問題でございますが、先生お尋ねのように、療養開始後三年の時点で傷病補償年金の受給者である場合には解雇制限の解除があり得るということになります。ただし、それは現在の長期傷病補償給付の場合と同じでございます。
○桑原政府委員 最初のときにお話のございました頸肩腕症候群の例をとりますと、私ども最初から申し上げましたように、いわゆる重症というふうに見られる病気ではない、したがって、その方たちがずっと療養していかれれば、恐らく——よくなることはあっても悪くなることはないわけでございますから、私どもの考え方としては年金に移ることはあり得ない、したがって解雇制限の解除が適用されることはない、こういうふうに考えております。
○土井分科員 三年を経過して休業中の職業病の被災者というのは、労働省調査で先ほどおっしゃったとおり五十一年三月現在で千四百八十六名ある。中でも頸腕の人は二百二十六名いる。そこで、再度確認しておきたいのですが、この二百二十六名の人たちは年金の対象になりませんね。
○増田説明員 ただいま休業補償給付を受けておられる方につきましては、四月以降症状の調査をいたしまして、年金に該当するかどうかということを判別する予定でございます。したがいまして、その症状調査の結果が出ないうちはその点についてはちょっとお答えできないということになります。
○土井分科員 それはおかしい。長期療養者の話ですよ。では大臣、どうぞお願いします。
○石田国務大臣 ぼくは専門家じゃないからよくわかりませんが、いま応答を伺っておりますと、頸肩腕症候群という病気の性質から考えて、労働不能に陥ることはない。たとえば三年たった時点において、それはまだすぐには働けないとしても、もうちょっと療養すれば働ける状態になる。頸肩腕症候群という病気の性質から考えてそれが年金移行になることはまずない。したがって同時に、解雇制限を解除されることもない。ほかの病気を例にとられれば別ですけれども、この病気に関する限りは私はそういうものだろうと思います。ほかの病気の話は別ですよ。
○土井分科員 そのことはひとつはっきりと御確認をいただきたいと思います。というのは、先日労働者代表の方々が労働省にいらっしゃいまして、労災管理課長補佐といろいろとこういう問題について討議をされたようでありますが、頸腕であるとか腰痛などの問題を取り上げて話をされた節、一年六カ月を過ぎて休業状態にあってなおかつ六カ月を過ぎても治らないような場合は傷病年金の対象になりますというふうなお話を承ってきているわけであります。したがいまして、この辺はやっぱり、はっきり大臣からの御確認をきょういただいたことによりまして、これはしっかりしておきたいと思うのですよ。
○石田国務大臣 私は素人で頸肩腕症候群というのはどういう病気かよくわかりませんけれども、話を聞いたその病気の性質から考えまして、あるいは原因から考えて、この人が労働不能にこの病気でなるということは考えられない。したがって年金に移行することも考えられない。したがって解雇制限を解除されることも考えられない。さっきの説明は一般論としてはわかるけれども、頸肩腕症候群というものに限って言うならば私はそう考えます。
○土井分科員 それで確認をいたしましたから、質問を終わります。
○愛野主査代理 次に、東中光雄君。
○東中分科員 労働者の賃金の問題についてお聞きしたい。 最初に、厚生省から来ていただいていると思うのですが、保護課長おられますか。——労働者の賃金が非常に低いので、いろいろ問題が起こっておるわけです。それにつきまして、さしあたりまず厚生省にお伺いしたいのですが、生活保護の基準ですけれども、生活保護法では、生活困窮者に対して健康にして文化的な最低限度の生活ができるように、健康にして文化的な最低限度の生活ができないような状態に置かれている人を保護するということでやっておると思うのですが、その最低限度の生活の基準は現在はどういうところへ置いておられるか、最初にお聞きしておきたいと思います。
○入江説明員 私どもは、標準四人世帯というモデル世帯で一応最低保障水準をあれしておりますけれども、一級地、東京都なんかの場合に、その四人世帯で生活扶助費が九万四千百十四円に五十二年度からなることになっております。
○東中分科員 その額を聞いているのじゃなくて、そういう額が出てくるについての保護基準はどういうことをめどにしておられるのかですね。
○入江説明員 私どもが生活保護基準を決める際には、一般の国民の消費動向を中心にしまして、あと物価の動きとかそういうものを見まして、具体的に言いますと、政府の経済見通しの個人消費支出の伸び、そういうものを中心に見ながら保護基準の改善を図っております。
○東中分科員 その改善される保護基準というのは、平均的勤労者の家計費ないし生活費の大体六〇%ぐらいのところを水準にする、そういうめどでやっておられるのではないのですか。一級地の場合九万何がし、そういうのは何を基準にどこから出てくるのかということを聞いているわけです。
○入江説明員 明確な目標というのを持っておりませんけれども、おっしゃるように大体六〇%程度というのが最低保障水準としてほぼ適正な水準ではないかというふうに考えております。
○東中分科員 これがぎりぎりの最低基準である。生活保護法によると、第一条では、「その自立を助長することを目的とする。」こういうふうにうたっておりますね。だから、生活保護基準以下の人は一般的にたてまえとしてそれでは自立ができていない、だから自立をできるように助長する、そういう趣旨で生活保護を出しておる、これが生活保護についての制度の趣旨ではないのですか。どうでしょう。
○入江説明員 自立ができていないということとはちょっと違うかと思いますけれども、要するに自分の能力なり資産をすべて活用していただいて、それでも私どもが考えております保障水準まで達しない場合に保護を行うということにしております。
○東中分科員 それはわかっているのですが、保護を行うことの目的の中に、法は「自立を助長することを目的とする。」というようになっていますね。自分で一生懸命働きやっておるけれども、しかしまだ自立ができないような状態になっている。「自立を助長する」という趣旨はどういう趣旨か、これは時間がかかるといかぬので簡単に言ってください。
○入江説明員 おっしゃるように、困窮者の保護と、その人の能力を活用すれば自立できるような方については、保護だけではなくて自立していただくように努力していただくための施策を保護基準の中で講じております。
○東中分科員 要するに、能力を活用してそして保護を受けないでも自立できるようにしたいというのが趣旨だと思うのです。ところが、最近私の方で調べてみますと、資本金何百億というような大企業において、労働者が生活保護基準をはるかに下回るような賃金実態があるわけなんです。私調べたのによりますと、これは川崎重工の大阪工場の場合でありますがここで例に挙げますのを言いますと、三十歳の仮にAという人にしますが、妻と子供三人の扶養家族を持っている、勤続年数は七年一カ月、仕事の内容はビル用の冷暖房機の組み立て工、エックス線技師でもある、この人が、賃金総額が十万九千七百三十九円、そして実際の手取り収入、保険金その他いろいろ引かれますから、実収入は九万五千五百円であります。労働しておるわけでありますから、生活保護基準で言えば基礎控除が一万七千八百六十円ある。そうすると、生活保護費としてこの人に支給される額と、現実にこの人たちの手に入る額との差は四万四千七百六十円、生活保護基準よりも四万四千七百六十円も低い賃金なんですね。これが川崎重工といわれるような大きな会社で三十歳のいわば熟練工の賃金になっておるわけであります。次にBという人の例で言いますと、これは二十六歳、妻と子供一人、勤続年数八年、これも昭和四十七年から共同作業における責任者、未経験者に対する作業指導を行うというようないわば熟練工ですね。この人の場合生活保護費との差を見ますと、月額八千九百十円、こういうのがあります。例はたくさんあるわけですが、三十三歳の妻及び子供三人の高校卒、勤続十五年という溶接工がやはり生活保護よりも一万九百八十円低い、こういう状態になっておるわけです。例を挙げればたくさんございますが、こういう低賃金ですね。残業があったときは実収入はもっとあったわけですけれども、残業がなくなるとここまで小さくなってくる。逆に言いますと、八時間労働では、健康にして文化的な生活ぎりぎりの生活を保障できない状態になっておる。残業を強制していることに事実上なるわけですね。そして基準法のたてまえは、八時間労働がたてまえで、それの超過勤務ということになれば、特別の協定を結び、同意がなければできない。やればそれは犯罪になるという性質のものだと思うのでありますけれども、それが低賃金によって強制されておった。いま残業がなくなった段階ではこういう状態になっておる。こういう点について、賃金に政府が介入することを私はいま言うているわけではないのでありまして、あくまでもここで申し上げたいのは、憲法二十五条の趣旨からいって、こういう大企業は社会的責任を負うているわけですから、生活保護基準よりも小さい、低いという状態にしておいて、そして生活保護を受けなければいけない、国からそういうものを出さなければいけないという体制になっておるというこの低賃金、これを労働省として是正をしていく、国として労働者の人たるに値する労働条件を確保していくという大きな趣旨からいって、大企業で一般化しておるだけに処置を考えられないかどうか、労働大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
○石田国務大臣 川崎重工ともあろう大企業が、いま御指摘のような状態に勤労者を雇用して賃金水準にあるということは、私の常識から言えばちょっと考えられないことであります。ただ、それは東中さん自分でおっしゃっているように、賃金には政府は介入すべきでなく、川崎重工にもちゃんと労働組合があるわけでありますから、労使の間で勤労者の生活の安定ということを配慮しつつ労働の質と量とに対処して決められるべきことだと思います。しかし、私の感想を率直に申し上げますと、事実とすればちょっとひど過ぎる、そういう労使間の交渉のあったこと自体が不思議だと思われるわけであります。ただ、低賃金を抑えるために言うまでもなく最低賃金制というものがしかれておるわけであります。その最低賃金制の額に違反した場合は、むろん法律違反としての処置をとらなければならないわけであります。しかし、いま御指摘の具体例につきましては、基準局で調査もしておると思うので、ちょっと基準局長からお答えをしたいと思います。
○東中分科員 ちょっとその前に……。川崎重工ともあろうものがと大臣言われましたけれども、まさに資本金六百三十億円余り、年間売り上げは五十年度を見ますと四千九百一億円、ことしの見込みの経常利益はこの三月期決算で百四十七億二千九百万円と言われておるわけです。百四十七億円もの経常利益が上がっておる会社で、そういうことはまさかというふうに思われるのですが、私この納税表とそれから会社の出した給与明細書をずっと調べてみたのですが、いま申し上げたのはほんの一例であります。生活保護基準そこそこのが半分近くになっておる。これは、造船関係の残業がどんどんやられているときはなるほど実収入はあったわけですけれども、それは八時間労働の原則をいわば実質上崩しておったわけです。いま実際はそういう事態になっている。生活保護の請求をやろうじゃないかということさえ出てきているぐらいなんですね。これは一、二の例外的なことを私が言っているのではなくて、非常に一般的な問題なんです。だから、そういう点で、労働省の立場から言えば、個々の細かい法律の規定じゃなくて、憲法二十五条あるいは基準法の趣旨からいって、こういうままで放置しておくことは許されぬことじゃないか。労働者自身の問題があります。労働組合の問題があります。しかし同時に、政府としても、そういう点については、これは社会的にアピールする必要があるんじゃないかというふうに私は思うわけです。大臣自身が意外に思われるような状態が実態なんですから、その点をまず指摘させていただいて、なぜこういう事態が起こってきているのかということについて、そういう体制をつくるについて、賃金体系が非常に近代的な形を装いながら、実はとんでもない賃金体系になっているというように私は思うのです。 といいますのは、この場合は、職能等級制度という形で細かく規定をしているわけでありますが、職務内容の面あるいは職務遂行能力の面で、この二つの面でランクをつけていくわけですね。そのランクのつけ方がA、B、C、D、E、Fというふうになっておって、しかも、それぞれのランクに一と二がある。ところが職務内容で六階級も分けられるような仕事かどうか。同じ場所で同じ仕事を、熟練工もおれば、比較的新しい人もおれば、入ったばかりの見習いの人もおる。だから、職務内容では区分は本来はなかなかできぬわけですね。能力ということになれば、これはもうそんなに十二段階にも分けられるわけばないわけです。そういう点で、そういう基準は本来はつくれないものなんですね。性格から言えば、そういう職場の職務内容あるいは職務遂行能力についての基準というものはつくれないものなんだ。そこへ主観が入ってくる。そこでの差別がやられておる。だから、長い間、もう十年近くも勤めておってなおいわゆるBクラスの、A、Bのところの一番下の次ぐらいということに固定をする。そうすることによって異常な低賃金というのが押しつけられておる、こういうことになっているわけであります。そこで、そういう異常な低賃金が起こるについては理由があるわけなんですね。なぜ私はこのランクに入れられるのか。私は四十七年からもう共同作業の責任者、いわゆる房心的な仕事をしておる。ところがそれから五年たっても、なおずっと下のランクで動かない。だから賃金も低いということになっているわけですね。なぜそうなっているんだということを聞けば、経営者側は説明がつかないわけです。直接その仕事をしている人自体について言えば説明がつかないわけですね。私は何とも言えません、勤労課でございます、こういうことになるわけですね。だから、そういうランクづけをすることによって、もとで思想、信条あるいは政治活動、こういうことによる差別をやっておる。形はそういう整った形をとっているのですけれども、しかしAランクの二だと、こう言われると、何か客観性があるようだけれども、それ自体は中身は区分できない基準になっている。説明はできない。実際上は思想、信条による差別をやっている。こういう事態があるわけですが、言うまでもなく、思想、信条によって差別をするということになれば、これは基準法上明らかに許されないことでありますが、そういう問題についての調査を基準監督署としてやられておるか。これは川崎だけの問題じゃなくて、全国的に大企業で起こっていますので、その点についてお聞きしたいと思います。
○桑原政府委員 信条による賃金その他の差別の問題につきましては、その信条によって賃金が差別されているかどうかということは、なかなかケース・バイ・ケースによってみないと非常にむずかしゅうございます。 それから私ども監督機関として監督する場合に、あなたは思想、信条はどうですかと漫然と聞くわけにもいきませんので、そういった調査のやり方といたしましては、私どもは、原則として、申告がありましたら、それに基づいてきちっと調査をする。その調査の結果、信条によって差別があるとするならば、それは法違反でございますから、それに応じた是正措置を講じる、こういう調査の仕方をやっております。
○東中分科員 申告によってやるというのは、何か親告罪であるかのようなことをいま言われたわけですけれども、親告罪ではございませんわね。明白に犯罪行為なんですね、そういうことがあれば。犯罪行為であって、それに対する捜査権を司法警察官と同じように持っておられる基準監督署でありますから、これは、そういうものを知ればあるいはそういう嫌疑があれば、これは申告のいかんにかかわらず調べなければいかぬ性質のものだと思うのですが、私がここで言いたいのは、川崎重工の具体的な例で申し上げていますけれども、後でまた申し上げますけれども、一般的にいま日本の大企業の中で、あるいは中小企業の中でもあるかもしれませんけれども、こういう生活保護基準以下のような状態で差別されているというのは非常に多いのですよ。そういうことについての調査なりされているかどうか、これはきわめて非人間的なことでありますから、これは憲法二十五条の、あれは社会権ですから、ほっておけばそうなるから、そうならないようにするのだ、いわゆる自由権と違う生存権的基本的人権でありますから、国としてはそういう立場でやらなければいかぬ性質のものだと思うのですが、何かそういう調査をされておりますか。
○桑原政府委員 先ほど申し上げましたように、従来から信条の差別の問題で事件が幾つかございます。それによって調査をいたして、その結果、明らかに違反があった場合には是正させておりますが、一般的に事業所に行ってこの信条差別の監督をすることは非常に技術的にむずかしいし、場合によっては、そのこと自体が信条の問題にまたいろいろと触れてくるということでございますので、そういった明らかにそうなった場合には、私どもとしては必ず調査をいたします。
○東中分科員 それはちょっと違いますね。明らかにそうなったら、請求し、処罰しなければいけない。そうでしょう。明らかになったら、それは犯罪行為が認定されるのだから、それは請求する義務がありますし、そして、それは裁判にかけ、請求をし、処罰をしなければいかぬ性質のものですね。相手が大企業だからといって、そういうことをやらないということじゃないでしょう。その点はどうですか。
○桑原政府委員 全く企業の規模その他のことは何も考えておるわけではございませんで、明らかになったらというのは表現がちょっと不十分ではございましたが、申告によりましてその事実が非常に濃厚だということであれば、それに基づいて調査を必ずいたしております。
○東中分科員 また濃厚だという条件がついたのですけれども、嫌疑があれば——だって、被害者が申し出たら、それが特にうそだというのだったらこれはまた別ですよ、そうでない限りは、これは基準局長ともあろう人が、濃厚であればなんというようなことは、司法警察権をこの分については持っておられる監督署としては、これはちょっとおかしいんじゃないですか。申告があり、嫌疑があれば調査する、当然でしょう。
○桑原政府委員 私が申し上げているのは、そういった申告があって、明らかにそういう事情にあるという場合には、司法警察権を行使するあるいはその監督をするということの前に、やはり関係者の事情聴取をしながらいろいろな調査をする、それからさらに監督に入る。この問題について非常に微妙な問題がありますので、そういった、直ちに申告によって、疑いが濃厚だからということでこの問題を処理するわけにいきませんので、そういう手順をもって必ず調査をし、違反があれば必ず是正をする、こういう考え方で行政を進めておるわけでございます。
○東中分科員 だから、捜査の前の段階で調査をやり、正すべきものは正す、それで、明確な司法的な証拠があればこれを請求をし、処罰をするという性質のものであります。 それで、川崎重工の場合は、私がいままで調べた範囲でいって、たとえば会社の門前で階級的な組合の建設を訴えるビラを配る、あるいは革新政党を支持する国政革新のためのビラを配るというふうな行動をやった人に対して差別がやられているということ、これは事実なんです。それで、仕事の面でなぜランクが低いのかということについての説明が、直接の人は、当該の職制ではできない、上でやられているのだから。すると、その能力とか職務内容とかいうのは直接の人しか知らぬわけだから、それが上でやられているということになるわけですね。あるいは勤労課でやられているということになる。そういうような行為があるあるいは組合の行き方について考え方が違うということになると差別をするということになれば、しかもその差別の結果が、最低限度、ひどいのは先ほど言いましたように四万も割るわけですね。そういう事態になっておるということを、これは事実でありますので、これはもちろん当該の人は言うていくでしょうけれども、所轄の監督署でぜひ調査に入ってもらいたいということを私は思うわけです。しかも、それはこの企業だけではなくて、全国的にそういうものがあるということについて、そういう姿勢で臨んでもらいたい、こう思うのですが、いかがでしょうか。
○石田国務大臣 思想、信条の違いによって雇用条件に差をつけるということが基準法違反であるばかりでなく憲法にも反すること、これは言うまでもないことであるわけで、そういう事犯が申告される場合、あるいはまたいまこうやって東中さんがおっしゃっていらっしゃるわけですから、具体的な氏名その他についておわかりになっていらっしゃるならば、それを待って調査をするのはこれは当然だと思います。しかし、一般的には、うわさだけで立入検査をするとか、それから第一、あなたはどういう思想を持っているのですかと聞くこと自体がまた差別を誘発するということにもなりかねないわけですから、やはりそういう事実があれば、そういう事実を申し立てて、基準監督署に申告していただければ、当然調査をいたします。
○東中分科員 時間ですので終わりますけれども、事実があればということでございますが、事実はあるのです。ただそれが基準監督署でつかまれるかつかまれないかというところへ問題はかかっておるわけです。ですから、私たちは、そういう点については正さなければいかぬではないか。事は憲法十四条の問題に触れる、そうしてまた、差別の結果が憲法二十五条あるいは基準法が言っておるような「人たるに値する生活」というふうなことに触れてくる性質の問題でありますので、具体的に申告をいたしますと同時に、基準監督署として、これは犯罪につながる問題でございますから、基準法違反の百十九条、あれは懲役刑もあるわけですから、そういうものはどろぼうなんかと違ってどうも余り犯罪的に考えない、新しい刑罰法規ですからそういう傾向があるわけですね。だから、少なくとも、その担当官庁である労働省の方はちゃんと姿勢を正していただきたい、こう思うわけであります。これは大阪関係になりますが、先ほど申し上げた中には、川崎重工でありますが、明石の関係もあります。両県にまたがると思いますが、ひとつぜひやっていただきたい、こう思うのですが、よろしゅうございますか。
○石田国務大臣 いまのところはそういう申告があったという報告に接しておりませんが、申告があれば事実調査をし、法違反があれば法律にのっとって措置をする、これは当然であります。
○東中分科員 時間ですから終わります。
○愛野主査代理 以上をもちまして、昭和五十二年度一般会計予算及び昭和五十二年度特別会計予算中、労働省所管に関する質疑は終了いたしました。 次回は、明十二日午前十時から開会し、大蔵省所管について審査を行います。 本日は、これにて散会いたします。 午後八時六分散会