予算委員会第一分科会 第2号
- 発言数
- 362 件
- 登壇者
- 40 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1977/03/12
会議録
○木野主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。 昭和五十二年度一般会計予算中総理府所管について質疑に入ります。 科学技術庁に関する事項について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石野久男君。
○石野分科員 大臣にお尋ねしますが、福田総理は近いうちにアメリカへ行かれる。そこで、カーター新政権の原子力政策というものが非常に日本の原子力行政にも影響があるということで、総理がカーター氏とお話をする段階では、原子力問題について非常に重要な決意を持って臨むやに聞き及んでおりますが、大臣は、総理との間で、どのような態度でアメリカに対応しようとして話し合いをしておられるか、この際、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○宇野国務大臣 来週、私は総理にお目にかかりまして、具体的に今日までの経緯を御報告申し上げ、そして福田・カーター会談の参考の資にしていただく、こういう所存でございます。 今日までの経緯は、先生も御承知のとおり、井上ミッションを派遣いたしました。このときわが国は三つのことをアメリカに説明をいたしております。これは、まだ相手の案が決まっておりません、したがいまして交渉という段階ではございませんが、強くわが国の立場を相手方に理解をしてもらうべく説明をしたということでございますが、次の三点でございます。 第一点は、日本としてはもちろんすでにNPTにも参加をいたしておりますし、唯一の被爆国として非核三原則を持っております。だから核拡散防止という基本的な流れに対しては、もちろん双手を挙げて賛成するものである。 しかしながら、第二番目といたしましては、核不拡散条約参加の際に、国会においても附帯決議がついておりますが、核兵器保有国と非核兵器保有国、この間に差があってはならない、何か核兵器保有国だけが平和利用に関しても特権のごとく振る舞ってはいけない。われわれはもちろん非核兵器保有国ではあるが、平和利用に関してはわが国は徹底して開発を進めたいし、そのことについて世界にも貢献をいたしたいと考えておるが、そのことがNPTの第四条では示されておる。つまり、非核保有国の平和利用に支障を来すようなことがあってはならない、こういうふうに書かれておる。 ところが、承るところの米国の新政策によれば、わが国がこれから核燃料サイクルを確立しよう、その中でも特に問題なのは再処理である、そうした再処理に対して三年間待て、凍結をする、こういうふうな様子がうかがわれるが、これではもう明らかにわが国の経済に破綻を来すことになって、せっかくわが国が参加をしたNPTの精神にも反するではないか、言うなれば四条に対してアメリカは責任を持たれないことになるではないか、この点はもっと、われわれのNPTに参加した精神を尊重してもらいたいし、それを主張してこられたアメリカとしてもそうしたことをはっきりしてもらいたい、これを井上ミッションが三番目として申し上げ、なおかつ、いま申し上げました再処理等を含む核燃料サイクルの確立がどうしてもわが国にとっては不可欠なものであるということを主張してまいった次第でございます。 その後に、先生も御承知だろうと存じますが、アメリカの規制委員会の有力スタッフであるギリンスキーさんが来られました。この人は規制委員会の方ですから、政策には直接タッチする立場じゃないと思います。しかしながら、政策決定に参与し得る資格のある人として国務省からはシャインマンさんが来たわけでありまして、この二人が表敬に参りましたから、いま私が申し述べました井上ミッションの三つのポイントを改めて御説明申し上げると同時に、もう一つ、私は次のような観点から主張いたしておいたのであります。 それは、福田政権誕生後、直ちにカーター大統領から電話がございましたし、その後、モンデール副大統領も来日されまして福田総理と会見なさいましたが、そのときの主要テーマは、いま世界は大変な不況問題あるいは物価問題で困っておるのだから、ひとつお互いにがっちりと手を結んでロコモティブ、機関車としての役割りを果たそうではないかというのが主要なお話し合いであった。われわれ日本もさように考えておる。そうなってくると、日本は経済問題においてもことしは六%以上の成長率を見込んでただいま国会で御審議中であるが、それによって国内の需要も喚起し、さらにはまた輸入も増大せしめて、世界の不況に何らかの好影響を与えるように努力をしておる、この日本の立場を考えれば、その日本で一番大切なのは核燃料サイクルなんだから、これに水を差すようなことがあってはとても日米親善とは言えませんぞ、私は実は両氏に対してそういう主張をいたしたわけでございます。 いま申し上げましたような経緯はすべて、私、数次にわたりまして総理大臣とお目にかかりまして御報告申し上げておりまするし、もちんこれは重要な外交問題でございますから外務大臣にも立ち会っていただき、さらにはまたエネルギー関係の問題として通産大臣も同席いたしております。 そういうふうな姿でいよいよ来週土曜日に、参議院もいろいろございましょうから、もし御了解を得るならば出発ということになるでございましょうが、来週の早々にでも、いま申し上げましたような経緯をわれわれからさらに強く総理大臣に御報告をいたしたい、そして総理大臣はそうしたことをおまとめになられまして、恐らくカーターさんとの間においては、交渉ではございませんが一つのトーキングはなされるであろう、こういうふうに私たちは思っている次第でございます。
○石野分科員 大臣の御意向はよくわかりますが、昨日で終わった第十回の日本原子力産業会議の会議の席上に参っておりましたギリンスキーやシャインマンさんたちは、そういうわが国の意向があるにもかかわらず、依然として核燃料サイクルについてのアメリカ政府の主張を強くなさったそうでございます。特に日本だけ特別扱いはできないのだというような趣旨の御意向もあったように聞き及んでおりますが、そういうようなことに対して政府はどのようにお考えになっていますか。
○宇野国務大臣 当初アメリカとこの問題をいろいろ話し合っておる段階におきましては、アメリカは、日本の立場は非常に重大であってよく理解しておる、そして日本がウラン資源がないということも理解し、石油がないことも理解しておる、こういうふうな非常に理解をしておるような発言が多かったと聞いておりますが、井上ミッションが行ったときには、いま御指摘のとおりに、日本だけを特別扱いするのはどうであろうかというふうにアメリカの態度が変わってきたことは事実だろうと存じますし、私が出会いました両氏も、その点は明らかにグローバルな問題であるから、ひとつお互いに考えていきたい、しかし、アメリカの考え方を他国に押しつけようということはしない、これはやはり他国の協力を仰がないことにはどうしてもできない問題である、これは事実なのだ、しかし、いま宇野大臣が経済面からいろいろ話をされたが、やはり経済面というのは世界の平和があってこその経済の安定成長であって、もしも平和が乱されるというようなことになれば、そんなことを言っている場合ではないから、われわれとしては、何としてもやはり核不拡散という強い姿勢でいることは事実だ、こういうふうに二人も主張いたしました。こうした主張が、原産会議においても二人のスピーチとなってあらわれておると私たちは考えております。 そこで、私ははっきり申し上げますと、やはりこれは外交問題でございますから、世界各国の反応がいかがであろうかということもわが国としては十二分に察知しておかなければならないと考えておりまするし、特にECとわれわれとはやはり今日密接な関係にございます。そのECもアメリカの新政策に影響されるところ多大だろうと思います。そうした関係におきまして、アメリカにもさらにいろいろと外交ルートを通じましてわが国の立場を説明し、なおかつ、拝む頼むという態度ではなくて、やはり友邦である以上はお互いにもっと理解を深めなくてはいかぬ、そういう姿勢でひとつ臨むべきであると私は申し上げておりまするし、今日ただいまEC関係におきましても、この問題に関して各国がどのような反応を持っておるか、またどのような対応策があるのか、そうしたこともお互いに連絡し合わなくてはなりませんので、それぞれ外交ルートを通じまして、いま真剣にそうした連絡を模索しておるというところでございます。
○石野分科員 その外交ルートを通じて真剣に模索しているという長官の考え方というのは、どういうところに焦点を合わしているのですか。
○宇野国務大臣 次のように私は判断いたしました。 これはやはり各国ともそれぞれ重要な問題でございましょうから、ひとつ核の平和利用ということについて分析してみようということで分析しまして、大体ABCDと四つぐらいに私は分けました。 その一つは英国とフランス、これはもう核保有国でございます。フランスは特にNPTには参加いたしておりません。だからアメリカの言うことなんてどうでもいいのだ、極端に言えばあるいはそうである国かもしれません。同時にまた、ウランをフランスは植民地、英国はカナダに持っておりまするから、わが国と全然立場が違います。まだ、すでに再処理におきまして各国の委託を受けておる国でございまするから、さような意味におきましては、核の平和利用そのものにはあるいけ直撃弾は受けない、受けるとするのならば再処理というコマーシャルベースにおいて受ける、これがAグループであるのではなかろうかと私は思います。 Bグループというのは、それ以外の欧州の国々でございまして、イタリアあるいはスウェーデン等、ここらは再処理というようなことは全く考えておりません。したがいまして、再処理をしなければ飯が食えないわが国とは恐らく立場が違うのではなかろうか、これがBグループです。 Cグループは、パキスタン、イランあるいはブラジル、韓国、ここらはそれぞれ再処理を願うておった国々でありますが、しかしながら、中にはNPTに参加している国もあれば参加しておらない国もある。しかし、大半がもうギブアップした、こういうふうに承っております。ブラジルだけが、どうしても西ドイツからプラントを輸入して再処理に踏み切るのだ、こういう状態であるということは承っております。 こういうグループとわが国並びにドイツとは性格が違う。なぜかならば、われわれはもうすでに再処理という技術を身につけまして、いよいよわが国もこの夏からホット試験に入ろう、来年からはもう本格的な操業に入ろう、こういうことでございますし、ドイツも再処理に関しましてはそれだけの技術を身につけて、もうすでにそれだけのことができ得るという段階に達しておるわけであります。ところが、残念ながら、両国ともに言うならばウラン資源がございません。したがいまして、両国ともにお互いに、食わんがためにはこれしかないのだというせっぱ詰まった考え方を抱いておる。しかも、NPTに参加をして平和利用だけでがんばっていこうという国と、いま申し上げたABC、いろいろ事情はありましょうが、これとは違うじゃないか。 そういうところからも、私たちはフランスにも今後コマーシャルベースで再処理の委託をいたすわけですし、カナダからは天然ウランを買うわけですし、そういうふうな関連から、どの国ともいろいろと関係がございますから、そうした国々にも関係を持ちながら、連絡をしながら、わが国の立場を明らかにしておきたい。そうした立場で米国に、米国単独のモラトリアムでは困る、ひとりの独善的な凍結主義だけでは、世界の平和もあるいはまた経済の発展もお互いに共同できないじゃないか、こういう立場を鮮明にしていきたい、これがただいまの私たちの方針でございます。
○石野分科員 大臣の気持ちはよくわかりますけれども、アメリカの方針はまた方針としてあるわけですから、そこで日本だけ特別な扱いはできませんよというような情勢になると、ただ再処理一本やりでいくのだということだけでは、外交交渉上まとまり得る可能性が必ずしもありとは思えない。 有沢さんが、国際管理、IAEAの管理のもとならばいいのじゃないかというような話などもしておるようでありますが、そういうような発想については、政府は何か考えておるのですか。
○宇野国務大臣 現在、わが国にすでにプルトニウムはございます。そして、これは試験用としていろいろ持っておるわけでございますが、これに関しましても、現在は御承知のとおり、IAEAが国際的な査察をいたしております。私も事実視察をいたしましたが、三週間に一回来る、非常に厳しい査察をしておるということでございます。 この国会にNPT批准に伴いまするIAEAとの間の保障措置に関する協定、これが提案されることと存じますが、それが国会で承認をされますと、今度はわが国がそうしたプルトニウムの管理をすることになります。これが言うならばユーラトム並みと言われるものでございます。そしてIAEAはそれを追検する、こういうふうになっていくわけでございます。しかし、プルトニウムがインドで、平和目的のための爆発だったとインド当局は言うわけでありますが、これには深い疑念が各国から寄せられておりますから、そうしたことを中心として、米国がその管理を強く訴え出したというゆえんもわからないわけではございません。 しかし、有沢さんは原産の会長として一つの考え方をお示しになったと思いますが、政府といたしましては、現段階は、いま申し上げたようなことで、特にIAEAとは緊密な関係を保ちながらそうした手段を講じておりますから、これからこの問題に関する外交が展開されようというときに、政府が、あの手この手はああです、こうですとかあれはよろしい、これは悪いというふうなことは、やはり慎まなければならないのじゃないか、こういうふうに考えますので、有沢さんの意見は意見といたしまして、これも一つの意見でございましょうが、私の口から、あれはいい、これはいいと言う段階ではない、こう存じておるところであります。
○石野分科員 これは核の燃料サイクルを確立する上で、特にプルトニウムに対する日本の追求というのは必死の構えを持っておるという政府の態度はよくわかりますが、保障協定等が今後具体的に批准されるということになってまいりますれば、いまのお話しのように、IAEAが日本のいろいろ検査したものを追検するという態度をとろうとしている。そういうときに私はしみじみ思うのですけれども、美浜のようなああいう状態が業者の間にあったりしました場合には、とてもじゃない、そんな追検どころではない。世界的には信頼なんか与えてくれないんじゃないかというふうに私は思っておりますが、そういう意味でのいわゆる原子力行政上長官が考えなければならない問題、数多くあるんじゃないか。アメリカがクエスチョンマークをいろんな意味において各国に持つ。それは、インドの核実験というようなものに対してこれだけ大きな反応が出てきておるということは、日本が、もし原子力産業をやっておる諸君が安全性の問題等に非常に安易な考え方を持っておったり、それがやがてまた核兵器という問題へもつながっていくというようなことになっても、これは大変なことになるんだという疑義を持つ可能性は出てくると思うのです。そういう意味で、原子力行政上厳粛に厳格にやらなくちゃならない問題は数多くあると思いますけれども、長官は、そういう意味で原子力についての行政上の問題、今日何が一番大切だというようにお考えになっているか、この際、もう一遍ちょっと聞かしておいてもらいたいと思います。
○宇野国務大臣 それだけ非常に危険な物質であることは、これは皆がわかっておるわけでございますから、これが科学技術の開発によって誕生したものであれば、ひとり歩きして、ひとりで暴れないように、人間の英知と科学技術によってこれをコントロールすることも私たちの最大の責任ではないか、かように存じます。つまり、安全ということは言うならば核に対する最大の防壁である、それがなければ核は開発できない、こういうふうな思想で、哲学と申し上げても過言でないと思いますが、その原理原則というものをわが国は打ち立てまして、そして進むべきだと思います。 したがいまして、過般の美浜のごとき、三年間ほおかぶりをされておったということにつきましては、私個人といたしましても、これをこのまま放置しておっては決して原子力に対する国民の信頼を仰ぐことはできない。せっかく先生から予算委員会でいろいろと御質疑なり、また貴重な御意見も承った次第でございますから、実のところ沖的措置はもうすでに時期を失しておったが、行面的に何とかできないか、行政的であってもよいからぴしっとしたことをしておかないことには、これは今後のわが国の原子力開発のために決してプラスにならないというふうなことで、科学技術庁といたしましても、先般御報告いたしましたような措置をとった次第でございます。 いずれにいたしましても、私は、ますます国際的にプルトニウムの存在ということに対しましてはいろいろと疑念がわいておるところでございますから、やはり日本といたしましては、何としてもその面においてはより一層平和に徹していかなければならないと存ずる次第でございます。 特に、わが国のGNPが大きいということは、これは世界におきましてもいろいろの評価があろうかと思われるのでございます。五月には世界の先進国七カ国が集まりますが、昨年度までは、世界百五十数カ国のうちでこの七カ国だけでGNPの三分の二を占め、貿易の二分の一を占めておる。そのうちのトップがアメリカ、二番が日本、こう言われておるわけでありまして、このGNPの強大さというものは、いろいろな意味で世界から評価されておると存じます。したがいまして、特に核という問題に関しましては、やはりわれわれは、あらゆる面で平和利用のみが日本人の生き得る道であるということを、ことごとくあらゆる機会をとらえて鮮明にいたしておかなくちゃならないと存じます。 この間、ギリンスキー氏等とお出会いいたしましたときも、私はそのことを申し上げましたが、はっきり両氏ともに、今日、日本が核について平和利用を志しておられる、いやしくも軍事的な利用なんということは本当に毫もない、そうしたことについてはアメリカは疑いを毫も差しはさまないものである、こういうことは言っておられますが、しかし、まず国内において原子力に対するところの国民の御理解を深めるためには、御指摘のとおりに、われわれといたしましてはやはりその信頼を得る行政を今後とも強く推進していきたい、そして民間に対しましても、国民から不信感を抱かれるようなあり方であってはいけない、こうしたことで、今後ともにその安全性に関しましては規制を強化し、さらには行政指導も強化していく、これが科学技術庁といたしましての方針でございます。
○石野分科員 全地球的の情勢が資源が非常に有限的な時代になってきておる。特に資源寡少国だと言われる日本は、人口の増大においては世界に負けないぐらいの勢いで伸びていっているわけです。第二次世界戦争の当初の時期に、日独伊三国同盟というものができた。その、イタリアは別ですけれども、日本とドイツが、いま核の問題では非常に技術を身につけてきているし、学術的にも進んだものを持っている。そういう情勢の中で、国は小さい、人口は非常に大きい、そういうような情勢のもとに核に対する不安をカーター氏が訴えているということになりました場合に、核の平和利用というものに対する信頼は置きながらも、日独という技術的、学術的に伸びている非常にGNPも高いという国に対する世界政策上からのアメリカの目の向け方というものは、いろいろな意味合いがあるんだと思うのです。そういう意味で、わが国の政治、外交上の問題が、核の時代に入ってくるに従ってますます重要性を持ってくると思います。 私は、この機会に、そういう外交上の問題はともかくとしましても、現に資源寡少国である日本における資源の問題あるいはエネルギーの問題について、わが国がやはり真剣に考えなければならない時期に来ているんだと思うのです。エネルギー問題では、原子力を準国産ということで長期計画の中に組み込んでおりますけれども、対外的な側面からしても問題がありますと同時に、核の技術開発の側面においても私どもは政府の考え方と若干違った物の見方をしておる。これは技術的にまだまだ未熟なものがたくさんあって、そこに足を踏みとどめないというと、案外資本投下が多いわりあいに効率は少ないよという私たちは訴えをしているわけなんでございますが、この機会に私は大臣にお聞きしておきたいのです。 こういうような非常に資源寡少国におけるエネルギー対策、そしてしかも、二十一世紀になれば核融合の時代だというような安易な考え方だけではなかなか進めないものがあるんじゃないか。むしろ、わが国におけるところのエネルギー対策というようなものは、対外依存度が大きければ大きいほど国内の依存率を探し出さなければならない、そういう一方の要請があると思うのです。そういう意味で、国の内外におけるエネルギーに対する政治方策というものがきちっとしていないといけない、こういうように私は思います。そういう意味で、長官にこの機会に、ひとつこういう日本の国柄におけるエネルギー政策についての基本的な物の考え方だけを聞いておきたいと思います。
○宇野国務大臣 現在わが国が海外に依存しているエネルギーはもうほとんど八五%である、こういうふうに考えてもいいと思うのであります。そのうちの最たるものが石油でございます。そしてそのほかLPGあるいはLNGといったようなものに依存をし、特に粘結炭においては、これまた石炭は海外から輸入をしておるというふうな状態でございます。いま御指摘のとおりに、無尽蔵と言われておる核融合ならば、これは非常にエネルギー問題を解決してくれるでございましょうが、これは二十一世紀が訪れまして、それから二、三、十年しないことには実用化できないであろうというのが、世界の一般的な見方でございます。地熱という問題もございます。日本で現在五万キロワットぐらいは発電いたしております。五万キロワットならば二十万都市ぐらいを養えますから、私は大いにこの地熱も利用していきたいものである、こういうふうに考えておりますが、しかし、環境問題等々もございまして、なかなか思うように進まないのが実情でございます。したがいまして、現在は勢い火力発電というところにエネルギーの問題の中心が置かれておるわけで、これにつきましてはもう石油がほとんどでございますから、とうていわれわれといたしましてはいつまでもこれに依存することはできないわけでございます。試みに政府が二年前にこしらえ上げました長期の需給計画に基づきましても、一九八五年、昭和六十年度には石油は四億八千五百万キロリッター輸入しなくちゃならぬ。それは今日の二億八千万キロリッターから見ればもう途方もない大きな数字でございまして、そのためには国内においてまず九十日なら九十日分備蓄するにいたしましても、備蓄基地がその倍要るわけでありますが、果たしてその基地に対して住民が協力をしていただけるだろうかという問題もさることながら、海外からわが国のデスクプランどおりに四億キロリッター、五億キロリッターの石油を売ってくれるかという問題も考えていかなくちゃなりません。しかしながら、それを確保しないことには六%台の成長は不可能だ、こう言われておるわけであります。そのときの原子力の発電量が、先生も御承知のとおり、四千九百万キロワットでございますが、今日すでに電調審の許可のおりたものを含めまして二十八基ありますが、建設中、未建設等々を合わせましてこれが全部動いても二千七十九万キロワットです。だから、あと八年先に迫ってまいりました一九八五年という時代をとらまえましても、そのときの日本の経済はどうなるのだろうか。下手な計算をいたしますと、三%台の成長しかないじゃないか、こういうふうに言われるわけでございます。そうなれば、ここまで発達してまいりました国民の生活、文化、経済、社会問題、それらが一挙に大きな音を立てて崩壊するような気がいたします。 この問題に関しましては、私はもうイデオロギーで解決できる問題でもない。ましてや、お互いの党の政策で解決できるものではない。国民全部が相寄って速やかなるコンセンサスを得なくちゃならない問題であるのではなかろうかと思うのでございます。もちろん、いま御指摘の中にもありました経済性はどうかという問題に関しましても十分に考えていかなくちゃならないでございましょうけれども、しかし、そのほかにも国内には水力もございましょうし、また石炭もございましょう。そうしたことにおきましても、いろいろ知恵を振りしぼってやっていかなくちゃならないと存じますが、いずれにいたしましても、この環境問題等々がそれらに付随してまいりますので、エネルギーの最たる発電一つをつかまえてみましても、最初計画してから動き出すまで十年かかる。このようなスピードでは、とてもとても私は今日の国民生活を維持することすらもむずかしいのではないか。だから、本当に切実な思いを込めてこの国会ではあらゆる機会に総理もそのことを申し上げられておるような次第でございます。 したがいまして、いずれにいたしましても、そうしたものをきっちりとまとめて、国民の御理解を仰がなくちゃなりませんので、先般新しく発足いたしましたエネルギー問題閣僚会議、ここにおきまして速やかなるときに完全な整合性、実行性を伴うプランを策定いたしまして、これを広く国民の方々にも御認識賜り、またその際には野党の先生方にも十二分にその御協力、御理解を賜るべく政府といたしましても最大の努力をしていきたい、かように存じておる次第であります。
○石野分科員 終わります。
○木野主査 次に、中村重光君。
○中村(重)分科員 いまエネルギーの問題が議論をされておった。非常に重要な問題であるし、宇野長官もかつて商工委員会で一緒にこうした問題については取り組んできた仲間であるわけですが、私はきのう小宮山郵政大臣にも提起したんだけれども、省エネルギー、省資源の時代、政府も大いにこれをPRしているんだけれども、やはり政府が身をもってエネルギー問題について、また省エネルギーということについて取り組んでいるんだということを実感として知らしめるということが必要だろうと思う。特にエネルギーの開発ということになってくると、クリーンエネルギーに全力を尽くさなければならぬ。しかし、そのクリーンエネルギーといっても、大型開発ということになってくると、バランスを崩してさまざまな公害といったようなものが出てくるわけなんです。そこで、郵便局であるとかあるいは電電公社なんかで――全国に無数にあるわけだ。郵便局なんかも二万もある。そのほとんどは冷房、暖房というのがある。そこで、太陽熱の利用をやるために、屋上に太陽熱を利用するような設備をやったらどうだ、これほど政府は真剣に取り組んでいる、またクリーンエネルギーというものに対する注意を喚起することにつながってくるということを言ったところが、まことに適切な御提言だ、プロジェクトチームをつくって大いにひとつ検討してみたい。ぜひやってほしいというようなことをやったんだけれども、長官もこういうことには反対でないだろうし、積極的にエネルギー閣僚会議なんかでもこうした問題を取り上げて対処してほしいということを要望しておきたいと思うのです。 時間の関係もあるので、いまお手元に「むつ」の問題についてお尋ねをしたいことを書いてありますから、これを一応私が読みます。それによって個条的にお答えをいただきたい。 まず「むつ」の安全研究委員会というのが御承知のとおり長崎につくられた。二十三日に取りまとめをするんだけれども、大体の結論は出たわけです。それに対して知事も県議会の答弁できわめて慎重な答弁をしているんだけれども、知事がこれにどう対応するというように思っていらっしゃるのか、その見通しについて伺いたい。 それから、研究委員会は燃料棒を抜くということが多数意見なんです。岡島委員長が燃料棒を抜くことについて賛成の方は挙手を願いますと言ったところが、十四名の委員の中の七名は挙手したのですね。そして一名は専門家でないからわかりませんと言った。五人は全く意思表示がない。その中の二人はずっと委員会の中で燃料棒を抜いたりなんかする必要はない、安全なんだということを積極的に主張してきた委員ですから、二人はこれははっきりしている。三人は全くわからないというようなことなんです。そういうことで、燃料棒を抜くことが多数意見なんだが、それが可能かどうかということについて見解を伺いたい。燃料棒を抜くということになってくると、青森で抜かなければならぬことになるんだろうけれども、青森はこれを受け入れる見通しがあるかどうかということ。 それから、自民党の県選出国会議員は御承知のとおり特別委員会をつくっているわけですね。これに対してどう対応しようとしているのか。ある筋から伝えられるところによると、燃料棒を抜くということで合意をしているというようにも伝えられているんだけれども、真偽のほどをひとつ伺ってみたい。 それから、県民感情は、率直に言って、安全と言うんだったら炉をつくった神戸の三菱重工でやったらいいじゃないか、あるいは船体をつくった東京でやればいいじゃないかとか、それが率直な感情ですから、それに対して長官はどのようにお考えになっていらっしゃるか。 次に、知事がどう対応するかわかりません。慎重な態度で、恐らく多数意見が燃料棒を抜けということだから、そういう方向で知事の意見が出るんだろうと思っているんだけれども、仮に知事が受け入れるという態度をとったといたしましても、水産県であり、被爆県である長崎、婦人団体なんかも反対に立ち上がっているんだから、これはもう県民の大多数は反対の態度は崩さないだろう。そこでもうあきらめて――恐らく私は、宇野長官であれば知事さんが手を挙げても佐世保に飛びつくことはなかっただろう。あなたは少なくとも見識がある、新しい感覚もあるんだから、そういうことはやらなかっただろう。恐らくいまでは、これは佐世保はまずかったなとあなたはお考えになっていらっしゃるのではなかろうかと思うんだけれども、青森にも四者協定があるのでいつまでもそのままずるずると引っ張るわけにもいかないだろうから、この際、長崎に対する要請を撤回するということの方がよろしかろう。私どもは「むつ」を廃船にしろということを言っているのだけれども、どこでどういう方法で廃船するのだ、廃船したらどういうようにこれを処理するのかということについて考え方があります。きょうはしかし時間の関係もありますから、そういうことを改めてまた別の機会に私どもの意見を申し入れることもありましょうし、お尋ねがあればお答えをしたい。 そこで、県民が反対をする、知事は受け入れた、こういうことになってくると、強行入港ということでもお考えになるのか。まさかそういうことはないだろうと思うのだけれども、考え方をお聞かせいただきたい。 次に、佐世保は修理港だけで、母港としては要請をしていないのだけれども、本当に母港として要請をするという考え方はお持ちでないのかどうか、そういうことも考慮しようというようなことなのかどうかということ。 それから、佐世保が仮に修理港だけということになりましても、修理が終わっても母港が決まるまで出港できないだろう。青森が現にどこへも持っていくところがないものだから、協定の四月半ばまでにはとうてい出港できない。だから、この間も竹内知事等を呼んで、延ばすことを了承してほしいという申し入れをなさったというように伺っているのだけれども、そういうことで、修理が終わっても母港が決まるまでは出港できないということになるのだろうと思うのですが、その点はどうなのか。 それから、修理をしても、機械ですからまた事故が起こる、故障が起るということになりますが、その場合は再修理でまた修理をした佐世保に入港することになるのだろうと思うのでありますが、その点どうか。 それから、いろいろ奄美大島であるとか、あちこち手を挙げているということが伝えられているのだけれども、そういった手を挙げている港があるのかどうか。 それから、「むつ」は定期修理をしなければなりませんから、定期修理をするということになってくると、これはまた、その船をつくり炉をつくったところでは入れないのだから、修理をした佐世保でまた定期修理という形になるのであろうと思うのでありますが、その点どうなのか。 それから、自民党の中には、外国で修理をしたらいいじゃないかというような、カンボジアとかなんとかという、これは園田官房長官からも言われておることなんです。最近は韓国に持っていって修理をするのだというようなうわさが立っているのだけれども、そうした自民党の中にある意見、そうした外国修理というようなことを検討しているのかどうか。 それから、先ほど佐世保以外に手を挙げているところはないかと言ったのだけれども、手を挙げている挙げていないにかかわらず、佐世保以外に複数でもってその選定でもしようというようなお考えを持っておられるのかどうかということです。 次に、実用船とか実験船の建造で、六十万トン程度の実用船の建造計画がある、次の実験船の建造計画もあると伝えられているのだけれども、そういうことが本当にあるのかどうか。 それから最後になるのだけれども、五十二年度の原子力船事業団の予算、これは十七億六千万円が計上されている。前年より減っているのだけれども、点検修理の予算というのは、前年の出資分を合わせると、八億七千万円になる。これは実は原子力船事業団法の延長法案が廃案になっていることを考えると、これは植物人間なんだから、まあ百歩譲って、職員の給与といったようなそういうものは考えられると私は思うのだけれども、そういう動的な経費といったようなもの、そういうものはこれは少なくとも計上することは遠慮すべきであったのじゃないか、そう思うのだけれども、あえてこういったような予算を計上したことはどういう意図にあるのか。 そうした点等、それぞれはっきりしている問題ですから、時間の関係もあるから、ひとつ簡明、率直、大胆にお答えをいただきたい。
○宇野国務大臣 細部にわたりましては政府委員からお答えさせますが、私に与えられました問題に関しましては申し上げておきたいと思います。 安全研究委員会の結論に知事がどう対応すると思うか、見通しはどうかということでございますが、これはもうあくまでも知事自体の判断でございますから、二十三日に安全委員会が結論を出されて、知事がそれに直ちに決断したい、こういうふうに伝わってきております。ただ、私といたしましては、知事の決断も尊重いたします。同時に、佐世保市自体もやはり二十九日が議会の最終である、この辺に議会としての決意もしたい、市長も決意したい、こうなっておりますから、やはり知事、市長あるいは両議会、こうしたものを総合的に判断をしていかざるを得まい、こういうふうに思っております。こいねがわくば、長崎並びに地元の佐世保の意見が似通った、できたら一致したものであるということをこいねがいながら待機いたしておりますので、私みずからは見通しはどうかということはちょっと御遠慮さしていただきます。 また、研究委員会で燃料棒を抜くことが多数の意見だが、可能か、そしてそれを青森県に要請できるかというお話でございますが、これは非常に重大な問題でございます。私自身といたしましては、今日も燃料棒はもうすでに御承知のとおりに冷態停止状態という状態で、私さわってもいいと思うのです。私みずからがさわってみようかと、さわれと言うのだったらさわろうと思うくらいのことであります。だから、科学技術的にはこれは絶対安全だということになっておりますから、そのままの姿で、できたら長崎に受け入れていただきたいと存じております。しかし、いま事は単に科学技術の純粋理論だけではなくして、多分に政治的な問題も加味され、あるいはまた社会的な問題も加味されておるということも私は重々存じておりますが、この問題、まだ正式に知事からもあるいは研究委員会からも御連絡を承っておらないときに、私がコメントするのはどうであろうかと存じております。したがいまして、現在、私の心境を申し上げれば、大丈夫だからひとつそのまま入れていただきたいということを申し上げる以外にございません。 その次は、県民感情は製作した港でやれということだ、県民感情から申し上げればそうした御意見もあろうかと存じますが、何分にも原子力船でございますから、したがいまして、これはその手続に従って六十日以前に入港届を出さなくちゃなりませんし、特に政府が昨年の二月に長崎県にお願いしたばかりでございますから、お願いをしておきながら、いやあなたのところ都合悪いからこちらだというわけにもまいりませんし、手続上そう簡単に製作した港へ持っていくというふうなことはとうてい現状では考えられない次第でございます。 したがいまして、唯一の被爆県であるということは重々承知いたしておりますが、これからは原子力船時代でございますから、原子力船に対する御理解をなお一層深めていただくように今後もわれわれは努力をいたしたい、かように存じておる次第でございます。だから、せっかくの中村委員の仰せでございますが、要請を撤回せよというのは、ちょっと私といたしましても、これは内閣の継続性でございますので、前内閣がお決めになったことは、自由民主党の内閣である以上は、これを継続していく。外国におきましても、いろいろ重要な問題は水際まで継続するというのが通例でございますから、ましてや、同じ自由民主党の内閣でございますので、これははなはだ私といたしましても、こういうようなことはできないということを申し上げざるを得ないわけでございます。 強行入港もあり得るかというのでございますが、できましたらそういうことのないように私は考えたい。やはりお互い国民同士でございますから、何かこう敵と味方に分かれたようなすさまじい光景を展開しながらこの問題が解決するということは、果たして今後の原子力行政のためにプラスになるかどうであろうかということも、やはり為政者といたしましては考えていかなくちゃなりません。特に、福田総理大臣もそうした点におきましては、極力県民の方々の御理解を仰いで、粛粛と青森県から出て粛々と長崎県に入る、そういうふうな方途で科学技術庁長官は努力せよ、こういうふうな厳命も受けております。決してさようなことを私は望む男ではございませんが、そのためにも御理解をお願いいたしたいと存ずる次第でございます。 なおかつ、母港問題でございますが、佐世保市当局は、これはひとつはっきり母港として、将来原子力船の建造、そうしたものに関しても、集約産業として佐世保市にそういうふうな産業を残していきたいものだというふうなお考え方を率直に申し述べられております。私も、これは一つの市長としての大見識であろう、こういうふうに考えております。そのために市長も非常に努力をしておられまして、できたら母港としてはっきりしてほしいのだ、こういうふうな考え方があろうかと存じます。しかしまた、長崎県という県もございますから、その中の佐世保市の問題でございます。いろいろとその間、やはり県民感情、市民感情等もございましょうから、その辺も考えながらやっていかなくちゃなりませんので、だから、今日ただいま佐世保を母港とするというふうなことは、ちょっと私からは慎まなければならないんじゃないだろうか。だから、とにかく佐世保で修繕をさしていただいて、三年の間に母港を決めたいものである、こういうふうに存じておるような次第でございます。 そのほかに、手を挙げている港はないかということでございますが、あちらこちらあるらしゅうございます。しかしながら、すぐにそれが間に合うかと申し上げますと、中には全く岸壁もない、埠頭もない、しゅんせつもしなくちゃならぬというふうなところもございましょうし、やはり一部の方々が賛成でございましても、住民の方々全部が、じゃそれに対して同調されるかどうか、まだこれは少しもわれわれといたしましては調査も何にもいたしておらない段階でございます。幾つかの方面から、おれのところはひとつ今後の発展のためにぜひともこれは受け入れたいというお気持ちは、どんどんと耳にいたしておるようなところでございますが、政府といたしましては、まだ、じゃどこにするかとか、調査をしたかとか、そういうことは全くいま考えておらないところでございます。 しかし、将来原子力船時代を迎えるわけでありますから、こういう問題に関しましても、やはり無事「むつ」を佐世保に入らしていただいて、そこで修繕を開始すると同時に、やはり私は、全国的にも母港問題というものは真剣に取り組んでいく必要があるのではなかろうか、こういうふうに考えております。いずれにいたしましても、修理期間の間に母港は決めなくちゃならぬ、こういうふうに考えておる次第でございます。 その次に、自民党内に外国修理の意見があるが検討したのかという問題でございます。これは、一部何か新聞で伝わったことがございますが、検討と申しますと、これは折衝したのかということになりますが、その折衝は全く外国とはいたしておりません。特にわれわれが考えるところは、やはり太平洋ということになれば、一番近いところはアメリカだなというふうなことを自民党内で言われた方々もおられまして、それが、私が就任いたしましてから一部にそういうような御意見もあったのですが、しかしもう佐世保にお願いをして、いまさら外国だというようなわけにいきますまい。しかしまあ、そういう御意見があれば、それに対してやはりお答えするのも科学技術庁長官としての務めであるからというので、政府委員の方に尋ねましたところ、昨年党内からもそういう声がありましたが、実は各国の法規を調べました、法規だけを。その結果、アメリカの法規なんかはもう全く何重にも関門がございまして、四月十四日、青森から出ていかなくちゃならないこのときに、じゃそこに修理頼むといったって、その修理自体に関しましても幾つもの法規がございまして、外国船はこの限りにあらずと、全く外国船を頭から適用除外のような国もあるので、とてもそれは無理でございましょうということはもう調べてありますということだったものですから、私も、そうした御意見を持っておられる方々には、実はこうだったんだとお伝えしたまででございまして、したがって、具体的にアメリカと折衝したとか、他国と折衝したということはないわけでございます。したがいまして、今日は、ひたすら佐世保市にお願いを申し上げたいというところでございます。 なおかつ、五十二年度の原子力船事業団の予算に関しまして、余り前向き過ぎるじゃないかという御意見でございますが、昨年は、残念にいたしまして、延長法案がとうとう流れてしまったわけでございます。われわれといたしましては、何としても昨年この法案を通していただきまして、しっかりした立場で「むつ」の改修に当たりたい、今後十年もかかるわけでございますから、そう思っておりましたが、流れました。しかし、ことしはぜひともこの事業団法の改正は国会で御承認を賜りまして、そして速やかに原子力船時代を迎えるその第一号船をりっぱな健全な体にして、国民の御信頼を仰いでやっていきたい。何と申し上げましてもいま日本は油を外国から輸入しておりますが、その油を運ぶのに油を食わなくちゃならないということじゃなくして、やはり原子力で船を動かした方が得策でございますから、さような意味でどうしてもことしは「むつ」のしっかりした体制を持ちたいものである、こう考えましたので、もちろんこの国会にも事業団法の延長改正法案を出しておるわけでございます。だから、これはもう間違いもなく通していただきたい、通ったらこれだけの仕事をしなくちゃならないということで、その予算も組んでおるような次第でございます。 いろいろ技術的な問題は、あるいは質問の中には含まれておるかもしれませんが、技術的な問題に関しましては局長の方から答弁をさしていただきたいと思います。
○中村(重)分科員 ぼくは、長官の率直な答弁というのは非常にいいと思うのです。いまの佐世保を母港にするかという問題にしても、今日ただいま直ちに母港ということは言えない。だがしかし、辻市長の意図というものもあるんだし、やはり三年のうちに決めるんだから、そういう中で辻市長の意図あるいは県民感情、市民感情といったようなもの等も十分参酌しながら、やはり一つの候補として考えているというような、そのとおりなんだから。それをいままで母港なんて毛頭考えておりませんなんて、わかり切った子供だましみたいなことを言ってきたということ等も、この「むつ」の問題に対するごまかしだという反発というものがさらに強く起きてくる原因にもなっている、こう私は思うのです。しかし、私は、やはり長崎は適当でないということ、それじゃどこを、県民の健康とか生命を考えながら、外国はいいじゃないか、あっちはいいじゃないか、そういうことを言おうとは思いません。先ほど申し上げたように、アメリカのカーター大統領の最近の核エネルギーに対する考え方というものはきわめて慎重になってまいりましたが、私は、アメリカのサバンナ号なんかでも、もう四年も五年もそのまま係留したまま。日本の技術はまだ安全性という面において特におくれている。だから、「むつ」の炉というものも取り外すならば、舶用炉として陸上で研究用に使うといったようなことであるべきだ。まだその段階だというように考えているので、そういうことで、廃船ということがきわめて現実的であるということで、ただ単に反対するための反対ということで言っているのではないので、建設的な立場から私は申し上げているわけです。 それから、お答えがなかったのは、事故が起これば再修理にまた入港するということになるのだろう、これはそのとおりだということをいままで非公式に言われてきたんだけれども、そのとおりであるかどうかということ。それから、定期修理をやらなければならないんだから、そういう場合は、修理をした佐世保でまた修理をするということになるんだろうと思う。 それから、実験船や実用船の建造計画があるとも伝えられているので、この点どうかということ。 それから、燃料棒を抜くと、まだ県の方から見返りをはっきり公式に言ってきているわけじゃない。しかし、恐らく長官の耳にも入ってきているのだろうと思うんだけれども、針尾団地がどうだとか、原爆病院の国有化だとか、あるいはつくっている水産場の引き込み線であるとか、いろいろなことが、時間の関係がありますから言いませんけれども、そういうようなことが言われてきている。ところが、燃料棒を抜くと普通の船なんだから、普通の船を持ち込むのに対して見返りなんということは考えられないというようなことが言われている。ところが、県議会の松田議長なんかは、おかしな嫁さんをもらえと言って、持参金のないようなお嫁さんなんて、そんなばかな話があるか、こう言っている。ざっくばらんな言い方なんだけれども、これは見返りがあれば考えましょうという言い方なんだけれども、その見返りの問題についてどう考えているか。燃料棒を抜くこととそれから抜かないことというのが見返りということにおいてどう関係してくるのか、この点ひとつお答えをいただきたい。
○宇野国務大臣 最初に言われました、事故が起これば再修理の問題、定期修理の問題、あるいは実験船、実用船の問題、さらには原子力船事業団法の問題、これはまた局長からもう少しく詳細に答弁させます。 見返りの問題でございますが、この間の予算委員会でも同様の質問が――同様ではございません。全く別の角度の質問が野党の委員から出されました。それは、こういう際になると、政府はすぐに札束で横っ面を張っておまえ従え、そういうふうな調子でくるんじゃないか、むしろこういうふうな質問がございまして、私はそれに対しましても、決して札束で事を解決しようというふうな気はさらさらございません。しかしながら、こういう大きな問題でございますから、地元には地元としてのいろいろな御迷惑をおかけする面もございましょうし、そうしたことに関しましては、やはり地元がどういう御意見を持っていらっしゃるか、これはひとつ率直に吸収しなくちゃならぬ。その吸収する機関と申しますと、あるいはちょっと語弊があるかもしれませんが、自由民主党に特別委員会をつくっていただいたのも、じかに吸収していただく立場でいろいろな県民の声を吸収してもらって、そしてこれに対しては私たちは、あえて札束をばらまくとか、それでほっぺたをたたくというのじゃなくして、むしろこちらから進んで、こういう問題についてはやはりかくあるべきであろうというふうな体制は自民党で検討しよう、こういうふうに根本特別委員長も言っていただいております。だから、その自民党で検討していただいた結果が政府に届いて、それを政府が消化し得るか否か、こういう問題になると存じておりますので、今日核を抜いたらどうなるこうなるという話は、これはちょっと私といたしまして、仮定のことに対するお答えになりますから、現在の立場から申し上げれば、見返りということにつきましてはいま申し上げたような態度で臨みたい、こう思っておる次第でございます。だから、核を抜いたらもう見返りは要らないじゃないかというふうな御質問に対しましても、いま私はちょっとお答えする時期ではない、こういうふうに考えております。 いずれにいたしましても、わが党にも、この問題は重要でございますから、どういうことを知事さんが決意されるか、その決意を尊重しようと言っておるわけで、それに対しては機敏に党も政府も対応しましょう、こういうふうに言っておりますから、まず党でいろいろとそういう問題に関してはお考えになるんじゃなかろうか。その特別委員会には、長崎出身のわが党所属の国会議員諸君も入っていただいておるわけでございます。だから、そういういろいろな声が出てくるんじゃなかろうか、こう思っておりますので、まだ限定した答弁は、今日ただいま私といたしましてはいたしかねますが、十二分に地元の御意向というものはやはりそんたくしなければならないということだけは申し上げておきます。
○山野政府委員 細部の点につきまして、若干補足説明を申し上げます。 事故が起これば再修理に入港するのかという御質問でございますが、これは恐らく出力上昇試験以降、実験航海を行っておる間におきまして故障等があった場合にどこで修理するかという御趣旨かと存じますけれども、故障の起こりました場所あるいは故障の態様、内容によって修理をする場所は変わってこようかと存じます。たとえば新しく決まった定係港で修理する場合もあるでしょうし、あるいはまた洋上で修理可能なものもあると思いますし、また何らかの特殊事情で、たとえば佐世保港において修理をするということが必要な場合も、あるいは仮定の問題としてはあり得るかもしれませんけれども、現在、佐世保市並びに長崎県にお願いをいたしておりますのは、昨年の二月に工事の内容をしさいに添えてお願いをしました範囲内においてでございまして、将来、このような事故、故障等が起こりましたときを含めて修理港受け入れをお願いしておるわけではございませんので、今回幸いにして御了承いただきまして、受け入れるという御返事があったといたしましても、それをもって自動的に、将来必ず修理は佐世保港で行うということにはならないと考えております。 それから、定期修理はどこでやるのかという問題でございますが、これは恐らく新しい定係港において大部分の定期点検といったふうなことはやることになろうかと思います。それから船底等、船としての定期修理、定期点検というのは、しかるべきドックを持った造船所において行うということになろうかと存じます。これが佐世保港になるかどうかというのは、先ほどの故障の関連で申し上げたのと全く同じ考え方でございます。 それから、次の実験船や実用船の建造計画があるかという御質問でございますが、世界的に現在言われておりますのは、一九八〇年代の後半には本格的な原子力船時代が来るであろうと言われておるわけでございまして、ここ一、二年の間に実用船の発注があるものというのが世界的な通説になっておるわけでございます。先般も新聞によりますと、六十万トンクラスのタンカー三隻の仮発注が外国において行われたといったふうなこともございます。そういったふうな世界的な情勢でございますけれども、わが国におきましては、現在の原子力船「むつ」に続く第二船の具体的な計画というのはまだございませんけれども、昨年、原子力委員会で組織されました原子力船懇談会の結論によれば、この「むつ」に続きまして、民間を中心として第二船の建造を始めることになるであろうという予測がございます。ただ、具体的な計画はきょう現在まだございません。 それから、この点検、修理の予算の関係の御質問でございますけれども……
○中村(重)分科員 それはいいです。 最後に、強行入港ということもあり得るのかということについて、福田総理の、整々と出て行き、整々と入る、そういう意図もある、そして私としてできましたらとか、望ましいことであるとかというお答えがあったんだけれども、そういうお役人のような答弁の仕方でなくて、やはりこれは混乱の中にできるものじゃない、県民合意でもってその納得の中でしか入港しない、強行入港というものは考えていない、こう受け取ってよろしいのかどうか。その点はっきりしておいていただきたい。
○宇野国務大臣 あくまでも整々粛々と青森を出て、佐世保に整々粛々と入りたい、これが私の今日の方針でございます。
○中村(重)分科員 終わります。
○木野主査 次に、古寺宏君。
○古寺分科員 ただいまも原子力船「むつ」の問題につきましていろいろと御質疑があったわけでございますが、私は、青森県の立場でこの原子力船「むつ」の問題について御質問申し上げたいと思います。 原子力船「むつ」の定係港入港及び定係港の撤去に関する合意協定書、これが四十九年の十月十四日にできておりますが、これは政府とそれから青森県知事さん、市長さん、漁連の会長さん、こういう方々との四者協定、こういうふうに言われておりますが、この四者協定を政府は守る御意思があるのかどうか。まず、この点からお伺いしたいと思います。
○宇野国務大臣 守らねばならぬという立場で今日まで努力をし、また、その努力を続けております。しかし、率直に申し上げまして、二つばかり問題点が出てまいりました。 四者協定の中では、この協定が締結された後、半年以内に母港をつくれ、こういうふうな提案がございますが、これがまずできておりません。母港に関しましては、いま中村委員にお話しいたしましたとおりでございます。 その次に、四月十四日に「むつ」の定係港を撤去せよ、こういうことでございます。そのためにはどういたしましても、四月十四日に出ていってどこかへ入るためには、六十日以前に入港届を出さなくちゃなりませんから、逆算をいたしまして二月の十四日、これが言うならば一つのめどでございましたが、この十四日が守れなかったということでございます。 その理由は、受け入れていただく長崎県におきまして、知事がせっかく努力をしていただいておる、その判断をなさる研究委員会の最終的な結論が出ておらないから知事の決断もまだ下されておらないという事態が今日ただいま続いておるわけでございますので、ましてや二月の十四日、そのころに、政府がそうした長崎県の事情を全く無視いたしまして、入港届を事業団が早々に出すということ自体はどうであろうか、こういうふうなことで、出る方と入る方との両者がおられるわけで、私はその両者に対しまして同様の責任を痛感いたしておりますから、そうしたことで、長崎の事情をせんだっても青森県の知事、市長並びに漁連の会長さんに申し伝えたということでございます。そのときには、若干おくれるかもしれません、しかし、極力短縮をして努力をいたしとうございます。こういうふうに言っております。だから四月十四日、若干おくれるかもしれませんが、何とかその四者協定を守りたいものであるという努力を今日も続けておるわけでございます。
○古寺分科員 いま努力を続けていらっしゃる、こういうふうにおっしゃいましたが、まず第一に、いま長官がおっしゃったように六カ月以内に新しい母港を決定する、こういうことを今日まで全然まだ調査も何もやっておられないという先ほどの御答弁がございました。こういうことになりますと、この協定を守ろうという、そういう御意思が政府には誠意がないというふうにわれわれ解釈してもやむを得ないんじゃないか、こう思うのでございますけれども、この協定書に六カ月以内に新母港を決定すると言いながら、なぜ今日までその努力を全然なさらなかったのか、その点についてお尋ねしたいと思います。
○宇野国務大臣 母港ということになりますと、やはり原子力船の修理ということが今日の問題でございますので、その修理ということから考えますと、どういたしましてもそれだけの施設、設備を持っておるというところを探さなくてはなりません。第二番目には、やはり原子力船でございますから、これはたとえ使用しないまでも核燃料を積載しておるわけでありますから、したがいまして、それに対する監視体制、これも常にいたしておかなくちゃなりません。そういうふうなことを考えますと、佐世保がわが国においては一番よい港で、これしかないというふうな判断がなされたのが昨年でございました。 それに対しまして、横須賀もあるじゃないかという反論があるかもしれませんが、横須賀も同様の体制であるとは申しながら、やはり今日そうした施設はほとんど米軍が所有いたしておりますから、なかなかむずかしいのではないかという判断が昨年の二月になされまして、佐世保ということになった次第でございます。 同時に、これは修理港だけなのか、母港なのかという議論も当然沸いたわけであります。したがいまして、佐世保の市長さんなりあるいは議会とされましては、今日、よし政府がそこまで言ってくれるのならば修理も引き受けましょう、そして将来われわれとしては母港も望むところである、こういうふうにおっしゃっておるわけでありますが、それに対しましてやはり長崎県のいろいろの御意向もございましょうから、そこに政府といたしましても、修繕港はお願いできるが、それをもって直ちに母港だということを早急に判断することはいかがであろうかというふうな、修理と母港という関連におきまして非常にこの問題が難航したということも、これは経緯を考えていただきますとおわかりになっていただくんじゃないかと存じます。 もちろんその間に、母港はおれのところが引き受けようというふうな、かたじけない挙手をなさった幾つかの場所もございますが、これもまたそうかといって、すぐにそちらに参りましてそう簡単に事が決まらなかった。そうすると、肝心かなめの修繕をしてもらわなくちゃならない修理港を探すのだけでも精いっぱいのときに、政府はあちらこちら手をつけたが、全部母港問題で騒動を全国に拡散したにすぎないという結果では、これまた原子力行政にとりましては重大な問題でございますから、恐らく、四十九年に締結された半年後に決めなくちゃならぬという立場に置かれておった政府といたしましても、いろいろ煩悶しながらそれができなかったんじゃなかろうか、かように存じます。 もちろん、前内閣のこととはいえ、これは継続性に基づきまして、いまやすべて私の責任にかかっておるわけでありますから、私といたしましても、さような意味で無事佐世保に「むつ」が入港いたしまして、そして三年間修理をし、総点検をするわけですから、その間にひとつぜひとも母港は決定したいものである、こういうふうに申し述べておるわけでございますので、この点に関しましても、青森の四者協定の三者に対して過般も十分私から説明を申し上げたわけであります。もちろん、三者の方々が、よしわかった、イエスだと決して言っていらっしゃいません。言っていらっしゃいませんけれども、政府が努力を払いつつもついぞ志を遂げるに至らなかったということに関しましては、まあまあながらこれはわかっていただいているんじゃなかろうか、こちらが欲目で考えればそういうふうなことではなかろうかと存じておりますが、確かに御指摘のとおり、その点に関しましては政府としては約束を果たしておらないじゃないかと言われましても、何の言葉もないかもしれない、私はかように存じております。
○古寺分科員 ただいまの非常に懇切な御答弁でございますが、政府は、長崎に対して、佐世保市に対して修理港としてお願いをしているのか、母港としてお願いをしているのか、ただいまの答弁ではこれがはっきりしません。 それからもう一つは、青森のむつから出るのが若干おくれる、こういうことで青森県の方に要請をなさっているようでございますが、この若干という意味ですね、どのくらいをお考えになっていらっしゃるのか。この協定書をつくったときには、二年六カ月以内を「目途」にと、「目途」というのが入っているわけですね。大体これは、二年六カ月きっちりいかなくとも、若干おくれることもあるということを最初から想定してこういう協定をつくったと思うのです。その「目途」という、いわゆる若干おくれるというのは大体どのくらいをお考えになっていらっしゃるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
○宇野国務大臣 佐世保に対しましては、昨年の二月に、修理をしたいからひとつお願いしたいというふうに申し入れておるわけでございます。したがいまして、あなたのところを母港にしますよと政府は申し上げておらないということでございまして、修理港を引き受けましょうと佐世保市自体がおっしゃって、その後われわれとしては母港も望みますよ、こういう態勢でございます。 いまの「目途」ということにつきましても、実は恐らくその当時、私も当事者じゃございませんが、いろいろ地元並びに政府代表として行かれました現農林大臣の鈴木先生からもお話は承っておりますが、一応お互いに「目途」は「目途」ということで、「目途」とは何ぞやという厳しいせんさくもなければ、あるいはその具体的な日数をそれに注釈を加えたものでもない、こういうことでございますので、われわれが日常慣用語として使っておる目途というのは、まことに何か言い逃れのようなことに聞こえるかもしれませんが、われわれからすれば、そこはいろいろ気象の関係もあろう、あるいはまた船の都合もあろう、人の都合もあろう、そういうことで四月十四日と限定してしまっておいてはまたまたやりにくいこともあろうから、ひとつ目途でいいじゃないかというふうな漠然とした四者のお気持ちで「目途」にしておいた。しかし、その「目途」は決して数カ月だとか一年だとか、そんなものではないであろうと私は考えておる次第でございます。 したがいまして、この間の若干おくれるという表現に関しましても、ちょうど漁連の会長さんはそのときおられなかったと思います、知事さんと市長さん、そして私、そしてその三者の間でいろいろお話をいたしたのですが、ひとつ極力お願いしたい。それは四月の十四日に出れば問題ないのでございますね。しかし、六十日前ですから、洋上どこか六十日「むつ」がうろうろして、そして六十日目に佐世保がオーケーだったから入ったと言えば、これもまた青森に対しましては四月十四日までに出たよということになるかもしれません。しかしながら、その洋上を目的もなくうろうろすることがいいか悪いか、それは漂流じゃないかというふうなお声もございましょうし、そうしたこと等もあわせまして、やはり私は六十日前に出さなくちゃならないし、長崎県がまだ態度を表明しておられないし、そんなことをいろいろ含めまして、若干おくれるかもしれないけれども、というて「むつ」を洋上に漂流さすというようなこと、これはもう受け入れ手がなかったときの話でありますから、したがいまして、そういうことはわれわれは考えたくない。極力長崎にもひとつ結論を無理かもしれぬがお急ぎ賜らないかと、実はこの間も私直接知事さんに電話をして、そういうこともお願いしておるようなことを、今日ただいま四者協定を守るべく、若干おくれまするが、がんばっておる最中だ、こういうふうに表現しておるのでございますので、決して横着千万に若干というのはこんな期間だというようなことは私は申し上げたくございません。極力それは四月十四日に近い線である、その線で努力をしておるんだ、こういうふうにひとつお考え賜りたいと存じます。
○古寺分科員 いろいろ経過を申し上げますと、六カ月以内に母港をつくるというようなことも、前に政府は青森県に言っているのですよね。そういうことも実行してない。そして現段階においては、長崎県という、これは被爆県です。青森県にしてみれば、こういういわゆる欠陥原子力船を無理無理青森県から長崎県に持っていけというような、そういうことは国民感情としてどうしても言い切れないものがありますよね。それをいいことにして、こういう協定書をつくっていながら、そういうことを知りながら政府は協定書を守ろうと努力してこなかった。また、現段階においても受け取り方の方が、入港させる側が佐世保でございますから、佐世保の方がオーケーしなければ、これ若干といってももっと延びるかもしれぬ、こういうニュアンスに聞こえるわけです。そういうものを一体長官として、政府としてどう考えていらっしゃるのか。何か事を起こさないと動かないという――この協定書のできたのも、入港を阻止したからこういう協定書ができたわけです。そういう何か事を起こさなければ政府が一生懸命に努力しない、積極的な姿勢を示さない、こういう原子力行政であっては私はいけないと思う。 そこで、若干おくれます、おくれた場合に、この中にはいろんな協定事項がありますよ。たとえて申し上げますと、第五次漁港整備計画及び第四次港湾整備計画の促進、こういうのがあります。ところが、昭和五十二年度からもう第六次漁港整備計画が始まるのです。こういうものについては、一体今後どういうふうに政府として誠意を示すお気持ちがあるのか。その辺を含めてもう一遍御答弁をお願いしたいと思います。
○宇野国務大臣 いま、あるいは佐世保が入港を引き受けてくれない場合があるかもしれぬ、そのときはどうなるかという御心配の御質問がございました。そういうふうな御意見も青森の方々の中にはあるやに承っておりますが、私といたしましては、長崎並びに佐世保ともどもに、何とかこれはやはり政府の要請をかなえてあげたい、こういう気持ちで現在進んでおるというように考えておりますし、また、そういうふうなことになってもらうべく最大の努力をいたしておりますので、長崎県から拒絶されて、拒絶されたから仕方がございませんからいつまでもむつに居座りますと、決してそういう考え方ではないということだけは、ひとつ御了解を賜りたいと存じます。 なお、四者協定のいろいろな問題に関しましては、ひとつ事務当局から詳細に御報告させます。
○山野政府委員 ただいま御質問の漁港並びに港湾整備事業につきましては、水産庁におきまして漁港整備事業、海岸保全事業の一環として実施中でございます。また、港湾整備事業、港湾、海岸整備につきましても、運輸省においてこれら整備事業の一環として実施中でございます。それから海岸保全事業につきましては建設省において実施中でございます。 〔主査退席、瓦主査代理着席〕 いずれも現在実施中でございますが、これに加えまして田名部-大湊間の道路整備につきまして、これも昭和五十年度から七年計画で計画に着手いたしておりまして、現在用地の買収中でございます。
○古寺分科員 私が申し上げたいのは、この協定には違約条項がないわけです。この協定に違約した場合にはどうするかということは、これは取り決めていないのです。しかし、当時もしこの協定を守らない場合にはどうするかというようなお話があったと思うのですが、それはどういうことになっておりますか。
○山野政府委員 御指摘のとおり、この四者協定には違約した場合の条項というのは加えられておりません。私どもできるだけ誠心誠意この四者協定を履行すべく努力をいたしておるわけでございまして、先ほども大臣が御答弁申し上げましたように、四月十四日をおくれるにいたしましても、このおくれる期間をできるだけ短くするように努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○古寺分科員 努力するというのはわかりますよ。努力するというのはわかりますが、それがおくれた場合、協定が守られない場合に、政府は一体どういうふうに青森県に対して責任を負うのか、その点についてお尋ねしている。長官からひとつ……。
○宇野国務大臣 やはり政府といたしましては、協定が本当にお互いに了解をし合っているようなことで、どうにかこうにか守られたというのならばいざ知らず、全く守られなかったということになれば、これは大変政府といたしましても責任を痛感しなくちゃならぬ、こういうふうに思う次第でございます。 また、若干というニュアンスに関しましても、いろいろ私は御異論があろうかと存じますが、そうした点に関しましても、はっきり申し上げまして、政府に責任なしとは言えない。私はそれに対しては、地元からどうだ、責任はどうだと言われなくても、やはり政府といたしましては責任なしとは言えないのじゃないだろうか。この点はやはり今日までいろいろと四者協定を結んでいただいた県民のお気持ちもございましょうし、それを代表された三者の方々のお気持ちもございましょうから、そうしたことにつきましては率直にお話を申し上げなければならないであろう。ただ一方づくで、おくれたことは仕方がないじゃないかというふうなことでは、私はこれはやはり政治じゃないと思います。極力、やはりそうした場合には四者間でさらにお話を詰めまして、政府みずからがこういう問題に対しては、私は責任というものを感じておるから私としてはせめてこれに対してこういうふうな気持ちでありたいとか、そういうことはやはり当然申し上げなければならないことになるであろうと思います。したがいまして、まあまあそういうふうな厳しい意味の責任追及がなされないように、極力政府としても努力をしておるということでございますが、やはり青森の方々から見れば、今日まで政府は一片の誠意も示しておらぬじゃないかというふうなお言葉ばかりが現在われわれの耳に返ってきておるということは事実でございますので、そうしたことはわれわれといたしましても神妙に承っておるという段階であります。
○古寺分科員 先ほどもお話がございましたが、日本原子力船開発事業団法の一部改正の法律が出ております。これはもう七十七国会で一遍流れて、それで今度また第八十国会にこれを御提案になる。そうしますというと、この事業団というのは現在生きているのですか、死んでいるのですか、その点をひとつ。
○宇野国務大臣 現在生きております。
○古寺分科員 生きているのであれば、何もわざわざ改正する必要がないのではないでしょうか。われわれは時限立法であるというふうに解釈をしているわけです。時限立法であるがゆえに政府は改正案を御提案になっている、こういうふうに考えているのですね。どうもその辺がいろいろ法解釈はあるようでございますが、生きているのであれば何もこの改正案を出しくる必要はないんじゃないか。こういうことが国民の不信というものを増大する大きな要因になっていると思うのです。 青森県では御承知のように、むつ市の隣に東通村というのがございます。そこでいま東北電力と東京電力が原子力発電所を建設するためのいろいろな調査を進めております。将来の日本の原子力の開発というものは、こういうような政府の怠慢が続いて、国民を裏切るような原子力行政であっては、もう他国に比較して何歩もおくれていかなければならないという結果になるわけです。そういう政府の姿勢がすべてに影響を与えているとしか私は判断できないのですが、そういう面から言って、長官としてそういう国民の不安あるいは不信というものを取り除いていくためにも、この事業団法の改正の本当のお考え、時限立法なのか、そしてまた、そういうこれからの開発地域に対して住民の合意を得るためには、政府としてはこういうふうにこれから決意を新たにしていきたいというふうな長官の御決意を承りたいと思うのです。
○宇野国務大臣 事業団法の有効性に関しましては、この間予算委員会の一般質問におきましてもこの場でいろいろと討論がなされまして、そのとき法制局長官からも意見が出されました。現在の事業団法が昭和五十一年三月三十一日をもって「廃止するものとする。」というふうに書いてある。したがいまして、残念ながらこの法案は先国会で流れたけれども、さような意味で生きておるのである。完全にこれを廃止せんがためには、やはり廃止法案が必要であって、この原子力船事業団法は何月幾日をもって廃止するという法律案が必要でございますよ、こういうふうに法制局長官からも答えておりますので、私たちといたしましても事業団は生きておる、こう申し上げておるわけでございます。 しかし、今後やはり「むつ」そのものは、事故がありました直後に、内閣に御承知のとおりこの原因を追求し、さらに今後どうすべきであるかということに対する委員会が結成されました。これがいわゆる大山委員会でございます。この大山委員会におきまして調査の結果、「むつ」はりっぱな技術的な水準に達しておる原子力船であって、そして遮蔽改修並びに総点検をして修繕をするところがあれば修繕をすれば、これはりっぱに将来の原子力船時代の第一ページを開いてくれるであろう、こういう決断がなされましたから、われわれといたしましても長崎県にお願いをしてその趣旨に沿って修繕をしよう、こういうわけでございまして、御承知のとおり、大体この修繕に三年かかって、そして出力試験に一年かかって、あと実験航海に三年、二年と、こういうふうにかかりますから、どういたしましてもやはり十年という期間を必要とするわけでございます。その十年という長い期間を考えますと、五十一年三月三十一日をもって「廃止するものとする。」というまま「むつ」は生きておるのですよというふうなことであってはならない、かように考えますから、ぜひともひとつ事業団法をもう一度改正をさしていただいて、昨年から勘定いたしますと一年足しておかなくちゃなりませんので十一年間の寿命を与えていただきたい、こういう気持ちで今回も改正法案を出さしていただいたということをひとつ御理解賜りたいと存ずるのでございます。 特に今後御指摘のとおり、下北におきましてもりっぱな原子力発電の開発をしていきたいと思います。これは御承知だろうと存じますが、現在十三基すでに運転いたしておりまして、十一基が建設中で、電調審の許可決定をいたしましたのが四基で、二十八基でございます。これが全部がスムーズに動きましても、その施設能力といたしましては二千七十九万キロワットしか発電能力がないわけでございまして、これでは将来にはなはだ心もとないわけでございます。したがいまして、どういたしましても、やはり原子力の発電に私たちはかかっていかなくちゃなりませんが、ともいたしますと、いろいろと故障を生じまして、そうしたことで国民の不安を招いたというようなことがあったかもしれません。しかしながら、今日まで幸いに軽水炉に関しましては、国内におきまして一名の人身事故も出ておらないというのが現状でございまして、環境に対しましても厳しい規制をいたしておりますから、そうした規制を今後ともしっかりと守っていくことは当然でございますが、やはり原子力行政そのものが安全ということを第一義といたしまして国民の御信頼を仰ぐことが先決ではなかろうか、かように存ずる次第でございます。 だから、いろいろ議論がございました。たとえばアメリカにおいては、原子力開発、開発だけよりか安全の方がいいよというので、アメリカは原子力委員会を安全委員会に切りかえて久しき年を経たけれども、安全が効き過ぎてかえって開発がおくれたねというふうな反省の声もあるのだ、だから、わが国において、余り安全安全と言っておると開発がおくれるよというふうな声もなきにしもあらずだったのでございますが、しかし、それよりもやはり将来の開発のためには安全ということを第一義にすべきである、私はこう判断いたしましたので、したがいまして、この国会に原子力基本法の改正法案を提出さしていただいて、安全規制に関しましては従来に見られないような強い行政の体制をしいたというのもそこにあるわけでございます。そうしたことで、ひとつ国民の方々のより一層の原子力開発に対する御賛同を得たい、かように存じております。 けさほども社会党の石野先生からも、その問題のいろいろ具体的な御質問がありましたが、そうした問題に関しましても、御指摘どおりの不祥なことが過去にあったかもしれません。そうしたことに対しては政府も厳しい態度で臨んでおりますので、ぜひとも今後の原発の開発に関しましては格段の御理解を賜りたいし、また政府もそれだけの体をもって示していかなくちゃならないと存ずる次第でございます。
○古寺分科員 いまのお話ですと、これはもうとっくに改正していなければならないということになるわけです。 そうしますと、これは「むつ」というものはその期日までにいわゆる実験の目的を果たすというためのこれは法律だったわけです。しかし、これからさらに、この原子力船「むつ」を実験船として十年やっていくということになれば、日本の原子力船というものは非常におくれるんじゃないか。ですから、むしろこの際この法律を廃止をして、新しく日本原子力研究所なり、そういう形のものをつくって、現在の「むつ」はこの実験の方に使う、これからの研究に使う。そして、新たに出発していった方が、私は国民の信頼を回復できるんじゃないかと思うのです。一番大事なのは、やはり国民の信頼の上に立った原子力行政でなければいけないと思うのです。いまお話のあった東通村というのも、原発を誘致するために青森県が中に入りまして、土地を全部県の職員が一生懸命買収しました。それで、住民に対して十一項目のお約束をしているんです。道路をよくしてあげるとか、あるいは学校をつくってあげるとか、水道を通すとか、いろんなことをおっしゃっていながら、いまだにそれを実行していない。農民は、自分の耕作地を手放したために出かせぎをしなければ生活をしていけない、そういう立場に追い込まれておる。 そういうことから考えるならば、やはり原子力船開発事業団法というものは一遍廃止をして、新しい法律をつくって、そしていまの「むつ」は、これは実験船に使う、廃船にしてしまう。そして、新たな日本の原子力船の開発というものにもう一回踏み出した方がいいんじゃないか、こういうふうに考えるわけですが、どうでございましょうか。
○宇野国務大臣 しばしば廃船論が出ますが、私は廃船論にはくみすることはできません。これは経済的に申し上げましても、過去の予算で七十億円投入し、なおかつ定係港のために三十億投入し、その他としてすでに七十億を投入して、全部で百七十億という巨大な予算が使われたわけでございまして、しかもそれを使うことに関しましては、当初御指摘のとおりに原子力船事業団、これをつくれという国会の御意思であったわけでございますから、そして、それに対して先ほど申し上げた内閣の設置をいたしました大山委員会が、修繕さえすればりっぱに原子力船時代の第一ページを開いてくれる、こういうふうに、言うならば折り紙をつけてくれておりますので、その線に沿って原子力船事業団法を改正をし、そして修繕をしよう、こういう路線でございますので、いろいろ御議論はございましょうが、廃船ということに関しましては、私はこれは賛同しかねると申し上げる以外にないわけでございます。そうしたことでございますから、ひとつよろしくお願いいたします。 なお、具体的な地元問題に関しましては、現状を私余りつまびらかにいたしておりません。局長から答弁をさせます。
○山野政府委員 ただいま東通村の件につきましては、産業界において用地買収等をして、お説のようなことを進めておると存じますが、まだ科学技術庁の方には何らの連絡もない現状でございます。
○古寺分科員 本当は通産を呼んでおったのですけれども、これで終わります。
○瓦主査代理 谷口是巨君。
○谷口分科員 いま科学技術庁で一番時の問題でございますこの原子力船「むつ」について、また私も再度質問をするわけでございますが、大変恐縮でございますが、お答えをいただきたいと思います。 本題に入る前に、安全審査について、いままでいろいろ資料を調べてみても非常に疑問に思うことがたくさんあるわけです。それは、すでにずいぶん論議されたことだと思いますけれども、安全専門審査会というのがあったわけですね。それが六カ月間の審査をやって安全だと報告をいたしております。ところが、例の問題調査委員会の大山委員長の報告によっても、これは基本設計はやったけれども、その後の詳細な設計その他については審査していない、こういうふうに報告されておるのですが、この辺についてひとつ御答弁を願いたいと思います。
○伊原政府委員 お答え申し上げます。 ただいまの安全審査の問題でございますが、現在の原子炉等規制法のたてまえと申しますか、制度といたしまして、原子力施設の設置の許可をいたしますときに、その施設が災害防止上支障がないかどうかということが、許可をするときの基準の一つになっております。これを十分行政庁で審査いたしますとともに、客観的な立場の学識経験者の方の御意見も十分伺うということで、原子力委員会のもとにございます原子炉安全専門審査会にお諮りをいたしまして、いわゆる安全審査をやっていただくわけでございますが、原子力施設の安全性の確保は、最初の段階での安全審査だけで済むものではございませんで、その後に具体的な詳細設計あるいは工事の方法、それにつきまして認可行為がございます。さらには検査をいたしまして、その施設が設計どおり十分できておるかどうかを確認し、さらに保安規定等におきまして、その運転状況が安全上支障がないかどうかを常に見ておる、そういう全体のシステムとして安全性が確保される、こういうことになっておるわけでございます。 したがいまして、最初の段階の安全専門審査会による検討が行われれば、それですべてが終わるということではない、こういうことになっておるということを御理解いただきたいと思います。
○谷口分科員 安全審査後にいわゆる重大な設計変更が行われている。その詳細な設計、それがきわめて重大な結果を生ずる部分、この部分についていわゆる政府としては本格的な審査をする体制、そういうものも十分なくて、いわばこの段階においてはメーカーの方面のいろいろなデータを基準として安全審査が行われている、このように私は思っておりますが、それについての答弁を願います。
○伊原政府委員 先ほどの説明の補足も兼ねてお答えさせていただきますが、安全審査を終わりました段階で詳細な設計と工事の方法の認可の段階になるわけでございますが、これは現在の原子炉等規制法では、原子力船につきましてはこれが適用除外になっておりまして、船舶安全法の体系の中でその安全性がチェックされるわけでございます。運輸省の方といたしましても、いろいろこの関係の基準の整備なり、あるいは図面の審査などをなさったわけでございますが、基準の問題につきましては、これは横断的な技術上の問題もございますので、一般論といたしまして、原子力委員会といたしましても基準の整備などにいろいろ努めておるというところでございます。 ただ、何分にも原子力第一船ということでございますので、まだ経験が不十分というふうなところもございますので、基本的な基準、たとえば放射線の基準がどうあるべきであるかとか、そういう基本的な問題はもちろんあるわけでございますけれども、詳細設計の一つ一つについての基準というもの、これはむしろ原子力船の実用化時代になって整備されるものである、ただ、その基準というものの詳細がないからすなわち安全ではないということではない、安全性については十分な確保は行われておる、こういうことであると存じます。
○谷口分科員 いろいろ説明がございましたけれども、私たちは、このような状態では安全審査が十分に信頼性が持たれたものではないのではないか、こういう不安を持っておるわけであります。 またもう一つ、本来なら、船に積み込むためには、その前に陸上の試験もしくは同型の炉をつくって陸上で十分に試験が行われなければならなかったのに、これが行われなかった理由、これは本題でございませんから、簡単に説明願いたいと思います。
○山野政府委員 舶用炉を開発いたします場合に、お説のとおり、陸上で実験炉をつくりまして、実験を経た上で船に積む舶用炉をつくるという開発の手順ももちろんございますし、また、今回のものはこれは軽水炉でございますので、陸上の経験をもとにしまして、最初から船に積む舶用炉をつくるというふうな開発手順もあろうかと存じまして、この原子力船「むつ」の場合は後者の方を選んだということだと存じます。
○谷口分科員 いずれにしても、十分な手段が尽くされないで船に積み込まれた結果が今度のみたいな事故を起こした。また、今度の事故についても、中性子のストリーミング現象に関するいわゆるウエスチングハウスの助言を無視したという一つの否定できない事実があるわけです。実験段階においてすでにそれは察知される、そういう現象があった、それすらも十分にデータを生かさなかったということについてはどのように考えておられますか。
○山野政府委員 当初、各種の実験をし、また得られた知見等につきまして、米国の会社のチェック・アンド・レビュー等も受けたのでございますが、当時遮蔽に関しまして現在ほど技術、資料等が蓄積されておりませんし、また遮蔽の専門家というのも数も少なかった時代でございまして、今回のような結果になったということはまことに遺憾に存じておるわけでございまして、これをいい教訓といたしまして、できるだけ新しい技術情報をつかみながら、かつ幅広い技術専門家を集めて、再び同じ過ちを繰り返さないように、各種のモックアップ実験等を経て、現在改修計画を進めておるという現状でございます。
○谷口分科員 いろいろほかにもあるわけでございますが、いまの申し上げたようなことから判断しただけでも、今度の放射能が漏れたということはまだ軽い事故であって、これから先もっと大きな予期できないものが起こってくる可能性を完全に否定できない、こういうことを私は最初に指摘をしておきまして、話に入りたいと思うわけであります。 いままでいろいろ論議されたと思いますので、重複するのをできるだけ避けますけれども、原子力船「むつ」について、修理港を佐世保に依頼した、それについてあくまで政府は核をつけて持っていこうと思うのか、あるいは核を外して持っていこうとするのか、その辺のところを確認しておきたいと思います。
○宇野国務大臣 核と言われますと、いろいろ核抜きだとか非核三原則がございますので、この際は、われわれが核と言う場合には核武装の場合の核でございますから、日本におきましては平和利用しかございませんので、正式には核燃料というふうに考えましてお答えいたしたいと思います。 現在、政府といたしましては、核燃料体そのものが冷態停止状態と申しまして非常に冷え切っておる、だから、おまえがひとつさわってみろと言うのだったら、私いつ何どきでもさわってもいいと思っておるくらいでございます。その安全性は確認されておりますから、その燃料体をつけたまま入りたいものである、これが政府の今日の考え方でございます。 このことは、私はあくまでも科学技術庁長官でございますから、したがって、科学技術としての責任者として私はそういう立場を貫かなければいけない。しかし、長崎県の知事が、それプラス県民感情とかあるいは社会性とか、いろんなものを加味されながら御判断なさることがあるかもしれませんが、それはまだ承っておりませんから、私がその是非を申し上げる段階ではない、かく申し上げておるわけであります。
○谷口分科員 非常にうまい逃げ方ではございますけれども、たとえば長崎県知事が知事の私的研究委員会なるものを委嘱いたしまして、そしていろんな論議をして、その結果が、正式の回答はまだ出されていないけれども、すでに十四名の委員の中で七名が、いわゆる核燃料抜きが望ましいという、そういう結論を出したということは、すでに報道関係で報じられておるわけですね。それについては長官はご存じですか。
○宇野国務大臣 先般の研究委員会において、挙手をしてそうしたことをお決めになったということは報告を受けております。
○谷口分科員 核燃料について研究委員会で抜いた方がいいという理由、そのこと、あるいは核燃料抜きの提言をした、こういうことについていろいろ新聞では報じられたようでございますけれども、この核燃料体を抜いた方がよろしいという提言については、架空のことじゃございませんから、長官としてはどのような見解を持っておられますか。
○宇野国務大臣 研究委員会全員がそうであったならば、結論が出ないまでもあるいはそれは一つの中間的な結論かもしれない、こう考えてコメントすることができるかもしれませんが、現在のところすべての意見ではございません。したがいまして、今日ただいま私がコメントする立場ではない。それに対しまして、いや、そのままでも大丈夫だとおっしゃっている委員の方々もおられるわけでございますから、さようなことで知事さんの諮問機関に対して国の最高の責任者が今日ただいまコメントすることはいかがであろうかと考えておる次第であります。
○谷口分科員 長官の話によりますと、全員であればコメントがある、全員でないからコメントがない。これは余り説得力がない感じがしますね。十四名の中で一名は保留した、七名はそれが望ましいという結論が出た、ということはすでに過半数を超えているということに一応なりますね。そういうことによってコメントが一切なされないというのは、ちょっと私は承服いたしかねますけれども、じゃ一般論として長官に伺いたいのは、長官、答えられるかどうかわからないけれども、核燃料を抜いた船自体を佐世保に持っていくということは可能になりますか、一般的に言って。
○宇野国務大臣 先ほどの多数決の話でございますが、私は知事とも一回だけしかお目にかかっていませんが、非常にむずかしい問題で、長崎の知事さんの立場に仮に私がありとすれば、多数決で事が決まる問題ではないんじゃないか、やはり皆さんのできるだけ合意に近い線を得て知事も御判断なさるんじゃないだろうか、こういうふうに思っておりますから、したがいまして、七人おられたから、多数だからもうここら辺でコメントしたらいいじゃないかという御質問でございますが、私はさような気持ちがございますし、また恐らく知事さんもそういう気持ちだろうと思いますので、今日ただいま答弁をはばかったわけでございます。 それと同様に、いまの御質問も同じようなカテゴリーに入っておる質問でございますから、遠慮さしていただきたいと存じます。
○谷口分科員 了解できないけれども、それでは先に進みます。 今度、長崎の県議会が三月十八日まで行われるわけであります。知事が県議会の一般質問の答弁として、いわゆる核燃料を抜いてもし持ってくるとするならば何ら反対する意思はないじゃないか、こういうことを発言しているわけですね。このことについて、長官どのようにお考えになりますか。これもノーコメントですか。
○宇野国務大臣 非常に重要な発言であると存じましたので、事の経緯を調べました。そういたしますと、ある議員さんに対しての知事の御答弁だったらしゅうございますが、五十年の九月ごろに、やはりその方に対して県会で答弁なさったその趣旨を繰り返されたのであって、具体的に核燃料体を抜けば云々という言葉は少しもなかった、今日の答弁にもそれはなかった、こういうふうな報告を受けております。
○谷口分科員 それはちょっとおかしいと思うのですよ。今度の質問に対して――いま長官おっしゃったことは、少しうなずけないと思うのですよ。あの県の委員会の結論が出された後の、あの状況を踏んまえての議員の質問に対して答えた知事の答弁でございますから、それは当然新しい事態というものを頭の中に置いての答弁と考えるのが、これは普通じゃないでしょうか。改めて長官の御答弁を……。
○山野政府委員 一昨年の九月ぐらいの県議会であったというふうに聞いておりますが、その席上、核燃料を抜けば一般船と変わらないといったふうなお話をされたそうでございまして、今回核燃料棒を抜けば云々という話をされたのではないというふうに地元から聞いております。
○谷口分科員 そうすると、あの新聞報道はうそだということですか。
○山野政府委員 県の事務当局に確認したところが、私がいま申し上げたような内容でございました。
○谷口分科員 それが目的じゃございませんし、いまの話はちょっと重大な問題ではないかと私は理解をいたすことを指摘して先に進みますが、もし知事がそういうふうな発言をしたといたしますと、県民はそう受け取っているわけですが、とすると、非公式ながらも、核燃料を抜いての入港ならば賛成だけれども、それでなければいけないんだというふうな意味に発言を私たちは解釈するわけですが、長官の見解どうですか。
○宇野国務大臣 これはまあ何回も繰り返すようでありますが、まだ長崎県からは正式にそういう問題を私の方に承っておりませんから、したがいまして、新聞報道がどうであったかは別といたしまして、私から今日コメントする問題ではない、かように考えております。 特に、いろいろ長崎県の研究委員会も御努力しながら勉強しておられることだろうと思いますが、仮にそうしたことがありせば、一体全体どこで核を抜くのだろうというふうな問題が出てまいります。したがいまして、じゃ長崎の入り口で抜くのか、どこで抜くのだろう、そういうことが可能であろうかどうだろうかという問題もございましょうから、これは出ていく方が青森県であり、入る方が長崎県であるということでございますので、私は、やはり両県のお気持ちを私がくみながら、今日同じ責任を両県に対して持っておるわけでございますので、だからこの問題を正式に何ら承っておらないときに私がああだこうだと申し上げることは、事をよけい問題にしていくのではなかろうか、こういうふうに思っておりますので、その点も十分御了解を賜りたいと存じます。 恐らく長崎の知事さんも、最終的な決断を下されるに際しましては、やはり同じ立場に置かれておる青森のこともお考えでございましょうし、青森の知事さんも長崎の知事さんのことをお考えであろうと思います。しかしながら、これは私が希望的観測でそういうふうに思っておるだけでありまして、やはり両県知事はそれぞれ異なった県民の代表でございますから、あるいはここで私が先走ったお話をすること自体がかえって知事さんの立場を悪くしたり、あるいは思いがけないことに引き金を引いたというようなことになっては政府といたしましても申しわけがございません。とにかく青森に対しましては、四月十四日若干延びろかもしれませんが、極力努力いたしております。この気持ちは長崎の知事さんもくんでいただいておると思いますので、いまのような御質問に対しましては、繰り返すようでございますが、私も慎重の上に慎重を期しながら今日この問題を処理したい、かように存じておりますから、どうかその辺はよろしく御理解を賜りたいと思うのであります。
○山野政府委員 先ほど御答弁申し上げました内容を若干補足さしていただきますが、三月七日県議会での久保知事の御発言につきまして、県の事務局から私どもの承りましたメモによりますれば、前から――この前と申しますのは、五十年九月の県議会の時点を指すようでございますが、前から一般の修理船としてならば問題ないと考えていた、研究委員会で核燃料体抜きの提言がなされたことは承知しており、重大な関心を持っておる。なお、報道に見られるような、核抜きならば「むつ」受け入れといったふうな発言は行わなかったということでございます。
○谷口分科員 提言の最後のところで、こういうことが書いてあるわけですよ。「むつ」問題をこじらぜているのは政府の原子力行政に対する不信感だ、また長崎県民の持つ不安感は当然だ、さらにそうした人々の大方の合意を得ることが必要だ、このように述べておるわけですね。これは私は、いま長崎の状況にとっては非常に適切な提言だと思うのです。現在、漁連あるいは被爆者団体あるいはその他の労組等の反対の運動が非常に激しくなっておるわけですが、先ほどの長官の「むつ」に対する問題、佐世保に対する問題も、整々粛々という言葉を使われて、私は非常に意味深長だと思うのですけれども、どのような整々粛々なのかよくわかりませんけれども、こういうことと絡み合わせて、いまの反対の方々をあくまで納得させた上でということにならなければいけないと思います。これは長官の姿勢だと思いますが、確認の意味でもう一度お答え願いたい。
○宇野国務大臣 やはり政治というものは事を起こすのが政治じゃございません。どういたしましても、こうした地域的な問題に関しましては、純粋に科学論だけでは納得していただけない面もあろうかと存じます。そうしたことを責任者である知事あるいは市長さんが代表していろいろとお考えになって、そしてお答えを出されるであろう、こう考えますので、私はその御決断に対してこれを政府として尊重いたします、そういうふうに申し上げておるわけでございます。恐らく知事さんも、漁民の方が騒がれて、ワッショイワッショイ、それでもいいから入ってこいとは決して言われないだろうと思うし、漁民が反対されてどうにも仕方ないんだったら、知事は知事で、あるいは別の決断をなされるかもしれません。そういう帰趨はわからないときでございます。だからやはり政府としては、出る方も入る方も整々粛々といたしたいものである、これが政治である、こう考えておるわけであります。
○谷口分科員 くどいようになりますけれども、長官、これまたノーコメントかもしれないが、長崎の現状を私たちが判断いたしますのに、佐世保の市議会というのはだんだん状況が当初と変わってきておるようですね。長崎県議会の場合は、まだ非常に微妙な表現がされておるわけですから、これもノーコメントかもしれないが、もし万が一長崎県議会と佐世保の市議会がそれぞれ違った結論を出した場合にはどういうふうになさいますか。
○宇野国務大臣 そういうことのないように、過般佐世保の市長さんあるいは知事さんにお目にかかりました節にも、私の考え方、希望を申し述べておきましたが、御両者ともに、やはり知事、市長は十二分に連携を保ちながら、同じ県の問題であるから一致した行動をとりたい、こういうふうにおっしゃっておりますので、ひたすらそのことを御信頼申し上げまして、努力をいたしておるところでございます。
○谷口分科員 私らが非常に心配いたしますのは、過去のエンタープライズの入港の際には過激派の学生がかなり来たのですけれども、今度はそうじゃなくて、ああいうものじゃない方々の動きが相当盛り上がっているし、また盛り上がってくると思うのですね。それを私たちは非常に憂慮するわけです。長官の話によると、知事の答弁が県民代表なので、それを尊重していくとおっしゃっているようですが、それがまさか長官のおっしゃっている整々粛々じゃないと私は思うのですよ。整々粛々という言葉を使われておるけれども、それは、あくまで反対と言う者が納得できて、そしてお互いに了解づくでいくということを私は考えるわけです。いまの状態のままで、あるいは若干の変化があったにしても、県の態度として、じゃ入港賛成だ、その入港賛成も、いろいろな見返りが非公式に長官のところに来てないというのは、私は恐らくうそだと思う、地元でいろいろなうわさがすでに流れているから。非公式だから答えられないだろうけれども、条件いかんによっては持ってきてもよろしいというのが現在の賛成の大部分の状況であろうと私は思うわけですね。現在反対と言っている方々の大部分は、たとえ金を積もうと、物を持ってこようと、現状で安全性が確認されない限りはだめだ。また、皆さん方には理解できないものがあるかもしれないが、被爆県民の感情としては、理論以前のものがあるわけですね。これが理解されなければ非常に大きな禍根を残すことになるのじゃないか。 これまた新聞記事を引いて申しわけございませんが、自民党の中にある特別委員会の根本委員長がいろいろな記者の取材に応じて話された一連の言葉の中に、一連の言葉の中ですから御本人としては何でもない発言だったのではないかと思うのですが、たとえば今度の「むつ」入港と被爆団体とは関係がないというような意味の発言がなされたと新聞に報じられておるわけです。あれは第三者が聞くと、本当に一面うなずける面もあるかもしれない。だけれども、長崎県民にとってはあの言葉を聞いただけでぐっとくる、そういう人たちがいま反対をなさっている方々の大部分である、これだけは十分に理解をなさらなければいけないと思うのですが、重ねて御見解を。
○宇野国務大臣 長崎がわが国でたった二つしかない被爆県であり、そこの県民の方々の核に対するお気持ちには、他の県民でははかり知れないものがあるということは、私も重々承知いたしております。したがいまして、その点は、政府としても十二分にその方々のお気持ちをくみながら、なおかつこの問題に関する御理解を深めていただきたいというのが今日の政府の立場でございます。
○谷口分科員 青森で四十九年に事故が起きたときに、問題解決のために鈴木代議士が現地に行かれて、四者協定をなさったわけです。よく承知しておりますが、その協定書の実施のために予算が幾らかかかりましたね。あれは幾らでございましたか。
○山野政府委員 十三億七千八百万円であったと記憶しております。
○谷口分科員 私は、あの問題の背景はよく理解をするわけです。だから、あながち反対をし非難をするということではないのですけれども、いままでの政府の立場からいくと、何か問題があり、何か反対があればすべて金で片づける、俗な言葉で言うと札束でほっぺたをたたいて納得させる、こういうことが現実に行われてきたわけです。今度の場合もそういうことで片づけようという考え方で終始なさることは、政治の本質にもとることだと私は思うわけですが、どうでしょうか、長官。
○宇野国務大臣 全く同様でございます。私もそういう思いをひとしくいたしております。したがいまして、現在のところは、関係者の方々も、決してそういう問題を先頭に立てて賛成をしあるいは反対をなさったものではないということも十二分に承知いたしております。
○谷口分科員 最後の締めくくりになりますけれども、いま現地の方でいろいろな話が出ております。非公式に話が詰められておりまして、その結果がああだこうだと、いろいろなことが言われているわけです。たとえば新幹線ができそうだとか、漁港整備等に新しいことがしてもらえそうだとか、あるいは針尾団地云々だとか、いろいろあるわけです。 私が長官に将来のために指摘しておきたいことは、こういう問題については「むつ」の問題と全く別問題として――これは年次計画として実現される計画が従来まであったわけです。だから、そういう問題をえさにするということじゃなくて、これは全く別問題として実現しなければならない。それと絡み合わせての云々ということは、政治の本質にもとってくるわけでありますが、最後に長官の答弁を伺って、できればそれで私の質問を終わりにしたいと思います。
○宇野国務大臣 そういう問題は、具体的には私まだ一度も聞いたことがないわけでございます。ただいま御指摘のとおり、そうしたことは地域地域の問題であり、すでにスケジュールに組み込まれているものもございましょうし、あるいは今後政府に対して要望される問題もございましょうが、これは当然地方としての社会資本の充実で、そういう地方の要望は政府としても一つでも多くかなえさせていただくことが、言うならば国力を大きくするゆえんでもございますから、それはそれとして私たちは考えなければならないという御指摘に対しましても、同様の意を表明いたしておきます。
○谷口分科員 長官のいまの答弁を聞いて、私最後に要望をいたしますが、現在の原子力船「むつ」の問題とは全く切り離して、当然行うべきものは行う、その問題はその問題として推進していくという立場をひとつ政府としても堅持していただきたいということを要望して、私の質問を終わります。
○瓦主査代理 山原健二郎君。
○山原分科員 私の質問は、高知県の宿毛湾の原油基地、CTSの問題を中心にしまして備蓄問題等、最初に通産省に対して質問をいたします。 まず第一番に、伊藤忠株式会社が宿毛湾CTS構想をすでに幾たびか発表しておりますが、この点について御存じでございましょうか、またどんな構想か御承知でしょうか。
○古田政府委員 宿毛湾の石油基地計画につきまして、伊藤忠商事が建設構想を持っていることは伺っておりますが、四十九年七月の計画につきまして、私どもとしましては伊藤忠からその内容を聞いております。
○山原分科員 いままで伊藤忠が発表しました経過をちょっと申し上げてみたいと思うのですが、四十五年にこの地区の吉ノ沢に五百万キロリットルの計画を発表しています。引き続いて四十七年の五月二十四日に宿毛湾CTS概念検討報告を出しておりまして、これは宿毛市の藻津に五百万キロリットル、年八回の回転で四千万キロリットルの計画を発表しています。いま申されました四十九年の七月には、宿毛湾エネルギー基地建設計画概要を出しております。引き続いて四十九年の七月から九月までに、藻津、宇須々木、大島に千五百万キロリットルのケースA、それから、藻津、吉ノ沢に千二百五十万キロリットルのケースBという計画を立てています。それからさらに、四十九年の十月に、吉ノ沢に六百万キロリットル、藻津に五百万キロリットル、計千百万キロリットルの計画を立てておりまして、これは通称第一プロジェクトと呼ばれておりますが、以上のように、結局、五百万から千五百万キロリットルの計画を次々と発表いたしまして、その工作がずっと続いておるわけです。 〔瓦主査代理退席、主査着席〕 これは、現在世界最大の規模と言われる鹿児島の喜入の日石の基地が、六百七十万キロリットルないし六百八十万キロリットルと言われておりますから、これをはるかに超えた計画であると思います。こういう計画について、大体御承知になっておるのでしょうか。
○古田政府委員 おおよその内容を会社側から聞いております。
○山原分科員 この計画に対して、適切な計画であるというふうにお考えでしょうか。その点、通産省としての見解を伺っておきたいのです。
○古田政府委員 私どもとしましては、備蓄の促進は、一般的に言いましてエネルギーの安定供給確保上非常に重大だと考えておりますが、個々の備蓄基地の建設につきましては、安全環境対策上、遺漏のないよう万全の配慮を払うとともに、地元の十分の理解と協力を得ることがまず大前提ではないかと思っております。 したがいまして、先生御指摘の宿毛の計画につきましても、私どもといたしましては、計画を伺ったというだけでございまして、それにつきまして意見を述べるというふうな段階になっておりません。
○山原分科員 そこで、政府は九十日備蓄計画を持ちまして、五十四年度までに九十日備蓄を達成すると言っておるわけですが、その目標は大体何万キロリットルになっておるのでしょうか。
○古田政府委員 五十四年度に九十日備蓄を達成するということで、五十年度以降諸施策を実施しているところでございますが、その目標としましては、六千七百五十万キロリットルというふうに考えております。
○山原分科員 それで、現在の原油タンクの貯油能力は幾らでしょうか。
○古田政府委員 製品換算いたしまして、九千七百十八万キロリットルでございます。
○山原分科員 現実の問題として、六八・七%の貯油率として九十日備蓄はすでに可能なのではないかと思いますが、この点どうでしょうか、伺っておきたいのです。
○古田政府委員 タンク容量とそれに入れます備蓄の原油量との関係についてでございますが、タンクの運営につきましては、季節変動をその間で十分考えておかなければいけない。たとえば、冬場の需要期に入ります前には非常にたくさんためておく必要があります。それから、石油の油種の相互間での融通も非常にむずかしい。したがって、たとえばサルファの多い原油の入れてあるタンクがあいているときに、サルファの低い原油が入ってきた場合、それをすぐ利用するわけにはいかないというふうないろいろな事情があるわけでございまして、実績で見ますと、大体原油のタンク容量に対しまして、ならしますと五〇%前後が貯油率ということになっているわけでございます。
○山原分科員 昨年の十月から十一月の例を挙げてほしいのでございますが、私もここに通産省の出された「エネルギー統計月報」を持っておりますけれども、備蓄日数の推移というのによりますと、昨年の十月、十一月はどういうふうになっているでしょうか。
○古田政府委員 ただいま昨年の十月、十一月の数字はございませんが、最新時点で、ことしの一月末で製品換算五千七百七万キロリットルの備蓄量というふうになっております。
○山原分科員 いま私が申し上げました備蓄日数の推移、通産省で出しておられる「エネルギー統計月報」ですが、昨年の十月が三千四十一万キロリットル、それに製品、半製品で二十九万八千二百キロリットル、製品換算すると、合計で五千八百七十一万七千キロリットルで、九十二・四日分となっております。それから十一月を見ますと、そういう計算をしますと九十三・五日分となっておりまして、すでに九十日分を超しているのではないか、それだけの能力をすでに持っておるのではないかと思いますが、この点いかがですか。
○古田政府委員 先ほど御説明しましたように、備蓄につきましては、季節変動が非常に大きいわけでございます。先生御指摘になりました十月、十一月は、一年を通じますと、タンクの中へ入れてあります油の量の最も多い時期ということになっておりますが、備蓄の目標として考えております九十日水準は、三月末ということで、タンクの中へ入れてあります石油の量としては最も低い水準の時点で考えるということで、目標値を掲げているわけでございます。
○山原分科員 しかし、現実にはすでに貯油率を六八・七%といたしまして九十日分を超しているわけでございまして、それだけの可能性を持っているわけですが、こういう状態の中で、今後の建設のペースは、現在通産省が発表しておりますように十万キロリットル・タンクが三百二十九個の計画でございます。そうしますと、これは三千二百九十万キロリットルになりまして、既設のものと合わせますと一億三千万キロリットルという膨大な数字に上るわけでございまして、私の見解では、表では九十日と言いながら、裏では百二十日の備蓄を考えておるのではないかというふうに思うのですが、その点いかがですか。
○古田政府委員 先ほど御説明いたしましたように、緊急時対策でございますので、季節変動を考えまして、一番備蓄の量が低くなった時点でも緊急時にたえ得るというふうなことが政策的な目標ということで考えているわけでございます。 実際の季節変動を考えますと、冬場の需要期に入ります前と三月末の時点で考えますと、平均十日ないし二週間程度の備蓄量の変動があるのが通例でございます。
○山原分科員 その点では、これはやりとりになってしまうわけでございますけれども、私は能力としてあるんじゃないかという点を申し上げているわけですが、その上に、宿毛湾原油基地構想というのは、まさに莫大な量の計画になっておりまして、今日の段階で見ますと、まさに不要不急の計画ではないかというふうに思っているわけです。相当無理をして、地元の反対もあり、県論が二つに分かれるというふうな大政治問題になって、なおかつこれが進められるほどの重要なものであるかという点ですね。たとえば九十日備蓄につきましても、この予算書に出ております新潟、九州等におきましても現在進行していまして、それで足りるのではないかというふうに考えるわけですが、あえて人心を紛糾をさせてまで強行する必要があるのかという点ですね、この点についてどういうふうにお考えになっておりますか。
○古田政府委員 一次エネルギーの八八%を海外に依存するというわが国のエネルギーの供給構造を考えますと、将来のエネルギーの安定供給確保のために、備蓄の増強は政策的に非常に重要な課題ではないかというふうに私どもとしては考えております。 現在の計画では、五十二年度から五十四年度までの三年間に、タンク容量としまして二千三百万キロリットルの建設をする必要があるというふうに考えているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、個々の地点の選定につきましては、あくまで地元の意向を十分尊重する必要があるというふうに考えておりますので、各地のプロジェクトにつきましては、事態の推移を慎重に見守っていきたいというふうに考えております。
○山原分科員 最後に通産省に、石油備蓄基地調査補助金の問題でございます。 これはかつて私も何度かお尋ねをしてきておるわけですけれども、石油備蓄基地を前提とした調査費であると考えておりました。また、そういう答弁も政府筋からなされておったのでありますが、最近お聞きしますと、CTS前提でなくてこの調査補助金を出すのだという政府間の意思統一がなされているということですが、この点、そういう動きがあるのですか。
○古田政府委員 共同備蓄基地の建設につきまして、石油備蓄施設安全対策調査費を私どもの方で用意しているわけでございますが、これは基地の建設を前提とするものではございません。あくまでその基地の建設の適否を判断するための調査ということでございます。
○山原分科員 石油備蓄基地調査補助金ですからね。まだどこの県、どこの場所もそれに対する申請はなされていないようですが、明らかに石油基地を前提として調査をする。ただ、皆目わからないのに、適地であるかどうかということだけのために膨大な国費を使うというのが通産省の考え方ですか。
○古田政府委員 備蓄基地の建設に関しましての調査ではございますが、それの可否を判断するための調査ということでございます。
○山原分科員 可否判断のための調査費ということですね。県議会あたりの昨日、一昨日あたりの答弁によりますと、県知事は、CTSなどと全く関係ないのだというような答弁をしておりまして、かなり政府の方からもこの調査費を受け取るような工作がなされておる、こういう状態のためにまたまたこの問題が再燃し始めているという、どこまでも伊藤忠という会社の構想のために住民を振り回す、それに通産省が一枚かみ込んでおるという、これが実態なんですよ。そういう点についてどういうふうにお考えになっておりますか。
○古田政府委員 宿毛湾の伊藤忠によります石油基地計画につきましては、伊藤忠が会社として独自につくり上げた計画でございまして、私どもとしましては、内容は伺っておりますが、通産省がその計画の中に意向を反映したとかその促進のためにそれについて力をかしているとかいうふうな関係にはございません。
○山原分科員 漁民の皆さんがいやがっておることは御承知だと思うのです。数年来の紛糾の源がここにあるわけでして、そういう状態があるにもかかわらず、一方、関係はないと言っても、伊藤忠は次から次へと構想を発表して、世界最大の原油基地をつくると言う。一方では、政府の方はその調査費を使いなさい、こういうかっこうですね。まさに企業サイドのやり方であるということはだれが見ても明らかです。そういう点を私は指摘しておきたいと思います。 引き続いて、この及ぼす影響でございますが、水産庁の方に伺いたいのですけれども、現在、御承知のように二百海里問題が出まして、沿岸漁業の見直しということが出ているわけです。高知県の場合は遠洋漁業もありますけれども、この宿毛湾というのは沿岸漁業としてはきわめて重要な地位を占めているわけであります。 ところで、昭和四十六年の宿毛工業立地センターによる水産資源調査、さらに四十七年九月の宿毛湾工業流通基地に伴う漁業に対する影響調査というのが行われておりますが、水産庁、これを御承知でしょうか。
○森実説明員 ただいま先生御指摘の調査については、正式の報告は受けておりません。
○山原分科員 この調査によりますと、湾内、宿毛湾が一〇〇%だめになるという結果が出ています。六七%の漁獲が減り、八七・九%の漁民が失業するという報告書が出ているのでございます。さらに、五十年三月には宿毛湾海流調査解説の宿毛湾における油分汚濁拡散予測というのが出ておりますが、これによりますと、原油基地ができました場合に宿毛湾の汚染状況は〇・〇一ppmの油分で、異臭魚が発生するということが出ています。湾内全部は大体〇・〇一ppmとなると報告をしております。したがって、漁業者にとりましてはまさに魚か油かというこの二者択一を迫られる、両立することは不可能だという報告書が出てまいったわけでございます。水産庁としましては、漁業者の立場に立って日本の漁業を守る、特に二百海里問題を含めて沿岸漁業の重要性については十分御承知のことと思います。新たな観点に立って沿岸漁業を保護していくのが水産庁の立場だと思うのですが、この漁民の諸君が現在猛烈な反対をしておる原油基地、そういう問題を考えましたときに、水産庁として世界最大の原油基地に対してどういう見解を持っておるか、伺っておきたいのです。
○森実説明員 お答え申し上げます。 私どもが高知県当局から事情を聴取したところによりますと、まだ具体的な建設計画については全く未定であると聞いております。この種の問題につきましては、私ども、仮に計画が固まってくるといたしましても、幾つかの条件が漁業の立場から充足されていかなければならないだろうと思います。 一つは、ただいま先生、各方面で行われております調査の問題にお触れになりましたけれども、やはり漁業及び水産資源に与える影響というものについて十分専門的な立場から有権的な調査が必要だろうと思います。まず、これが事前に行われることが必要だろうと思っております。また、もちろん関係の地元漁民の事前の了解が必要だろうと思っております。それから、さらに私どもといたしましては、やはり漁業生産の確保という視点で、特にこの種の問題については漁場環境の保全という問題について十分保証されることが必要ではないかと思っております。 しかし、いずれにせよ、まだ計画がないと伺っておりますので、問題があるとすればこれからの問題、かように理解しております。
○山原分科員 いま通産省に対して大きな声を出したのですけれども、通産省の方も具体的な問題については、安全と地元の了解の問題を出されておるわけで、それは当然のことです。同時に、水産庁の方におきましては、さらにこれは一層深刻な問題として受けとめていただきたいと思っております。 特に、二百海里問題が出まして、遠洋漁業にも重大な影響が出てまいっております。たとえば高知の遠洋漁業、特に室戸を中心にしましていまカナダの東海岸の方にまで進出をしておりますが、こういった問題で、この二百海里問題が出ますと入漁料その他については国が補助してもらいたいという漁民の大きな声も出ておる段階であります。 遠洋漁業にも影響が出ますけれども、この沿岸、近海についてはさらにこれを大きく促進をさしていかなければならぬという事態が一層大きくなってきておると思うのですね。しかも、この前海上保安庁が調査しました海洋汚染の報告書が出ておりますけれども、特に鹿児島の喜入町に原油基地ができましてから、あの四国南岸の廃油ボールによる汚染状態というのは非常に進んでいるのです。たとえば、宿毛に原油基地をつくれば宿毛湾の問題だけよく私たちも取り上げるのですけれども、鹿児島の喜入にできれば鹿児島湾の問題だけじゃなくて、そこに出入するところのタンカーあるいはバラスト水の放下とかという問題の影響が非常に大きいわけですね。したがって、私は、この日本の沿岸漁業、漁場を守るという点では新たな構想をもって調査もし、そして、その保護政策をとらなければならぬと思っています。その点について、水産庁の今日の段階に立っての見解を伺っておきたいのです。
○森実説明員 ただいま御指摘がございましたように、二百海里時代の到来ということは、漁獲数量の約四割近いものを外国の二百海里に依存しておりますわが国としては、漁業の立場からも食糧政策の立場からも非常に重要だろう、非常に深刻な問題だと受けとめております。その意味で沖合い漁業あるいは沿岸漁業を今日の時点でさらに見直していく必要があると考えておりまして、今年度審議をお願いしております予算でも、栽培漁業の畑づくりである漁場整備あるいは種づくりの問題、構造改善の問題、さらに漁港の整備の問題、漁村環境の整備の問題、こういった新しい施策の充実をお願いしておるわけでございます。もちろん、漁場環境の保全という問題も非常に重要な問題だろうと思います。これは産業排水だけではなくて都市排水の問題も含めて、私どもは機会あるごとに問題の解決に努めるとともに、優良漁場の確保には十分努力してまいりたいと思っております。
○山原分科員 最後に宇野長官に伺いたいのですが、この宿毛湾周辺は地震特定観測地域として指定をされております。昭和四十九年の二月の地震予知連絡会でそういうふうになっておるわけでございまして、したがって観測が強化されておるはずだと思うのです。そして、現在東海沖の地震の問題が非常にやかましく言われておりますが、東海地震と東南海地震とは非常に関連があると過去の例から言われておるわけでございます。そういう点から考えまして、特に私は、今度のルーマニアの地震によって石油コンビナートが非常に大きな被害を受け、十五分間で火の海になり、十時間炎上したという報道を聞いております。もし日本のように過密な人口を持つ地域であったら大変なことになるだろうという報道がなされておるわけでありますが、科学技術庁はこういう問題での統括庁として、世界最大の原油基地を無理にこういう地点につくるということが適切なものであるかどうか、これはかなり警戒をし、その安全性について用心をしなければならない問題だと思うのです。 そういう意味で、現在この地域の漁民の方たちも反対をしておる中で、しかも備蓄量の問題について見解の違いはありますけれども、私は、今日でも九十日備蓄は不可能な問題ではないというふうに考えておりますが、そういう点から考えまして、無理にこういうものを設置するということが果たして適切であるかどうかという点、長官に伺っておきたいのです。
○宇野国務大臣 石油備蓄の問題は私の所管じゃございませんが、やはり内閣にいる者といたしましては非常に大切な問題であると考えておりまするし、特に石油の消費量は今後ますます増大する。こればかりに依存することは決して好ましいことではありませんが、やはり現在よりは増大するであろうということを考えますと、ますます地域選定ということに対しましては国民の御協力を仰がなければならない次第でございます。 いまおっしゃいましたが、実は御指摘の宿毛地域は、ここに表がございますが、昭和四十五年の二月と四十九年の二月の二回に分けまして地震予知連絡会が地域指定をいたしております。この中で四国は伊予灘、安芸灘にかけての地域指定がございますが、宿毛地域はこの地域指定より外れておりますので、何か入っておるというような御発言でございましたが、私の手元のきちっとした資料に基づきますと現在その地域は外れておるということでございます。
○山原分科員 もう時間が来ましたけれども、宿毛地域、宿毛湾周辺ですが、それを言ったので、私のあれが間違いであれば後で正しますけれども、こういう状態の中で果たして無理な原油基地などというものの設置が適切かどうかということなんですね、それだけ伺っておきたいのです。
○宇野国務大臣 科学技術庁長官といたしましては、御承知のとおりに地震予知連絡推進本部の本部長でございまして、いまそうした問題を慎重に扱っておりますが、もし地震予知連絡会が指定しておらない地域だということになりますと、これはいまさして問題になっておらない地域じゃないかと考えます。そうしたことがもし一般住民の間にかりそめにもあったとするならば、やはり専門家が寄っていろいろ検討したがその地域はまだ地震予知連絡会としても特定地域に指定しておりませんよということぐらいはお教えした方がいいのじゃないかと思います。しかし、万一非常に危ない地域につくるということは慎重を期さなければならぬことであろうということは、一般論としては当然ではないかと存じます。
○山原分科員 終わります。
○木野主査 次に、与謝野馨君。
○与謝野分科員 本日は、宇野科学技術庁長官に原子力船に関しまして三点ほど御質問申し上げたいと思います。 その第一点は、わが国がやっております原子力船開発、特に「むつ」、この問題に関しまして国民のコンセンサスが必ずしも得られていないという背景には、やはり日本の将来の経済、産業あるいはわれわれの生活にとって原子力船というものは一体どういう位置を占めるのか、そういうことが必ずしも説得力のある、あるいはわかりやすい言葉で国民に説明をされていない、そういうところがあるのではないかと思うわけでございまして、日本の原子力船の長期計画、長期的な展望につきまして、ひとつ国民にわかりやすい言葉で、宇野長官にその展望、その将来についてお尋ね申し上げたいと思います。
○宇野国務大臣 事実そういうふうな御質問をしばしば国民各位からちょうだいするわけでございまして、私は次のように考えていただければわかるのじゃないかと存じます。 昭和五十年度の統計で、わが国が依存をいたしております石油、これに対しまして全商品輸入額の三分の一の外貨を払っておるのが実情でございます。六百億ドルのうち二百億ドルを石油に払っております。その石油を船が一割食っておるということでございます。したがいまして、将来そうした石油ばかりに頼っておられないという実情を考えました場合に、その面におきましてもぜひとも原子力船時代を一日も速やかに迎えなければならない、かように存ずる次第でございます。 二番目には、船舶自体を考えましても、いまも共産党の山原さんからちょうど御質問があったところですが、今日は三億キロリットル未満の石油でしょうから、九十日分の備蓄と申し上げましてもそれなりの備蓄の地域を必要といたしましょうが、その石油を将来は倍も必要とするであろうというふうな時代が想定されますと、当然われわれといたしましては備蓄に関しましても国民の了解を仰がなくちゃならないし、それがなかなかむずかしいとなれば、やはり日本へ輸送する船の速力をスピードアップするということも考えていかなければならないわけでございます。そのためには原子力船は非常に有能であるということが言われておりますし、経済性から申し上げましても、船を動かすために油が要る、それで油を運ぶために油を使っておるというふうなことではなくして、油を運ぶためにはどういたしましてもやはり原子力によりまして一滴でも多くの油を日本へ運んでくるということの方が国民のために必要ではないか。私、この間、二十万トン級のタンカーで調べさせましたが、現在で中近東からわが国へ一そうのタンカーが往復するのに大体三十五、六日かかりますが、これに要する油は現在で大体四%ぐらいであろうと言われております。これを倍のスピードにしなくちゃならぬというふうな事態が起こった場合には、船のスピードと燃料の関係は三乗だと言われますから、勢い八倍の油を必要とする。それに油を使っておるというふうなことであってはならない。こうしたことからも実は原子力船時代を速やかに迎えたい、そのためには「むつ」は貴重なその第一号である、これが私たちの原子力船に対する考え方でございます。
○与謝野分科員 特に日本がやっております原子力船「むつ」、私たち日本人が設計し製作した非常に貴重な原子力船だと思いますので、科学技術庁長官初め政府の関係御当局におきまして、何としても一日も早くこの船が走るように全力を挙げて取り組んでいただきたいと私は思うわけでございます。 当面は原子力船「むつ」の修理港につきましていろいろ御努力をされているというふうに伺っておりますけれども、青森県並びに長崎県との折衝の状況、いろいろ難航されていると思いますけれども、一体どういう状況になっているか、どういう点で困難に遭遇されているか、その点についてお伺いしたいと思います。
○宇野国務大臣 現在両県ともに、政府に対しましてはその立場を非常に理解して、そしてそれぞれの知事、市長が市民、県民の方々に対処していただいておるだろうと思うのであります。ただ、入るそして出るというのが、ちょうどその時期が一致しなくちゃなりませんので、その面におきましては青森とのお約束が四月十四日である、それを守らんとすれば受け入れ側の長崎にそれまでに態度を決定していただかなくちゃならない、こういうことで、両方の知事並びに市長に対しましても、政府といたしまして、片一方にはすでにお約束があるからひとつよろしく頼むということを、それぞれの立場で御説明を申し上げております。 したがいまして、大体の現在の見通しから申し上げますと、来る二十三日に長崎県の知事の諮問機関の研究委員会が最終的な結論を出す、それによって長崎の知事は決断する、肝心の佐世保の市会が二十九日が最終日でございますから、そのときに佐世保の市会においては、「むつ」に関する賛成、反対の請願書が出ておるわけで、その賛否をどういうふうに終了せしめるかということの最終的な態度表明があろう、こういうふうに存じております。したがいまして、その後に佐世保の市長の態度表明があろうと思いますから、でき得ましたならば長崎と、そうして佐世保の市長さんが同じような方向で、政府に対してイエスというふうな答えを出していただきたい。それを承りましてから青森に対して、十二分に「むつ」出港に関する御相談を申し上げたい。すっといけば一番いい、こういうふうに考えているところです。
○与謝野分科員 修理港の件につきましては、長崎県民も青森県民も大変御理解をいただいているということは私はありがたいことであると思いますし、また、そういう県民の理解の上に立ってひとつ進めていただきたいと思うわけでございます。 ただ、修理港を決めましても、その後、当然原子力船の母港という問題が出てくるわけでございます。先ほどのお答えの中に、やはりある時期、世界は原子力船時代を迎えるということが当然想定される、そういう場合に、たとえば「むつ」につきましても母港が一つだということもおかしなことでございまして、やはりいろいろな港に出入りできる、そういう体制、あるいはこことここはとりあえず「むつ」が入れる、そういう母港と申しますか寄港地と申しますか、そういうものに対する考え方も少しく変えていただきまして、もう少し幅広い考え方で母港という問題をお考えいただいた方がいいんではないか、そういう気がいたすわけでございますけれども、長官の原子力船の母港という問題についてのお考え、また将来の展望についてお伺いしたいと思います。
○宇野国務大臣 「むつ」に関しましては、現在残念でございますが母港がまだ決定しがたい状況でございまして、一応修理港ということで佐世保にお願いいたしておりますが、確かに御質問にございますとおり、将来は原子力船時代を迎えなくちゃなりませんので、やはりわが国におきましても、東西南北それぞれ、四面海に囲まれておりますから、できるだけその母港があるということは必要だろうと存じます。 「むつ」に関して申し上げますと、幸い佐世保に引き受けていただいて、三年間修理、修繕にその時間が必要とされますから、そうした間に母港を決めたい、私はこう思うわけでございます。これはもう佐世保の市長さんの方は、私のところを母港にしてくれ、こういうふうにはっきり表明しておられるわけでございますが、しかし、それに対して長崎県にもいろいろまた別の御意見もある、そういうようなことから、現在といたしましては、私は佐世保をいま直ちに母港といたしますということは言いがたい状況でございますので、したがいまして佐世保につきましても、私は、三年以内に母港を決定するんだ、こういうふうに言っておりますが、確かに御指摘のとおり、将来の原子力船なりいろんなことを考えた場合に、一番むずかしい母港という問題に関しましてはやはり広く国民の御理解を仰ぎたい。そのためには、国民の希望されるところもございましょうから、私といたしましては、でき得べくんばこの三年の間に一カ所の母港を決めるということではなくして複数の母港を決める、こうしたことが将来のわが国の原子力船行政に関しましても安定したポジションを得られるのではないか、かように存じまして、ただいまの御質問まことに適切な御質問をいただいたと存じております。
○与謝野分科員 ともかく私たちの大事な財産であると思います国産原子力船第一号、本当に私たちの税金で、そして日本人の手で設計製作した大事な舶用炉でございますので、これを生かすも殺すも科学技術庁初め政府御当局のこれからの御尽力によるものと思いますので、ひとつそういう面で県民の理解を得つつ、原子力船時代に備えて「むつ」を生かしていただくよう御努力されんことを御要望申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
○木野主査 これにて総理府所管中科学技術庁に関する事項についての質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○木野主査 この際、昭和五十二年度一般会計予算中皇室費、裁判所及び会計検査院所管について、順次政府から説明を求めます。富田宮内庁次長。
○富田(朝)政府委員 昭和五十二年度における皇室費の歳出予算について、その概要を御説明いたします。 皇室費の昭和五十二年度における歳出予算要求額は二十三億六千四百三十七万二千円でありまして、これを前年度予算額二十二億九千四百八十六万五千円に比較いたしますと、六千九百五十万七千円の増加となっております。 皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費、宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。 以下、予定経費要求書の順に従って、事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費一億九千万円、宮廷に必要な経費二十億五千六百四十五万二千円、皇族に必要な経費一億一千七百九十二万円であります。 次に、その概要を御説明いたします。 内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上することになっておりますが、前年度に比較して二千三百万円の増加となっております。これは内廷費の定額一億六千七百万円を昭和五十二年度において一億九千万円に増額改定することを予定していることによるものでありまして、これに伴う皇室経済法施行法の一部を改正する法律案は、今次国会に提出いたし、御審議を願うことになっております。 宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費三億十九万一千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費十七億五千六百二十六万一千円でありまして、前年度に比較して三千百九万七千円の増加となっております。 皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっておりますが、前年度に比較して一千五百四十一万円の増加となっております。これは、内廷費と同様に、年額算定の基礎となる定額一千五百三十万円を昭和五十二年度において一千七百六十万円に増額改定することを予定していることによるものでありまして、増額改定に伴う皇室経済法施行法の一部を改正する法律案は、今次国会に提出いたし、御審議を願うこととなっております。 以上をもちまして、昭和五十二年度皇室費の歳出予算計上額の説明を終わります。 よろしく御審議くださるようお願いを申し上げます。
○木野主査 次に、寺田最高裁判所事務総長。
○寺田最高裁判所長官代理者 昭和五十二年度裁判所所管予定経費要求額について、説明申し上げます。 一 昭和五十二年度裁判所所管予定経費要求額の総額は一千四百七十八億六百十七万円でありまして、これを前年度予算額一千三百七十一億五千九百九十三万一千円に比較いたしますと、差し引き百六億四千六百二十三万九千円の増加となっております。 これは、人件費において七十八億六百二十六万八千円、裁判費において八億八百八十三万一千円、施設費において八億七千九百二十七万八千円、司法行政事務を行うために必要な旅費、庁費等において十一億五千百八十六万二千円が増加した結果であります。 二 次に、昭和五十二年度予定経費要求額のうち、主な事項について説明申し上げます。 1 まず、人的機構の充実のための経費であります。(一)特殊損害賠償事件等の適正迅速な処理を図るため判事補八人、裁判所事務官八人の増員に要する経費として三千七十六万八千円、(二)会社更生事件の適正迅速な処理を図るため判事補三人、裁判所事務官六人の増員に要する経費として一千四百五十七万円、(三)差しとめ訴訟事件の適正迅速な処理を図るため判事補四人の増員に要する経費として一千二百五十一万五千円、(四)調停制度の充実強化を図るため裁判所事務官二十人の増員に要する経費として一千三百八十九万七千円、(五)交通事件(道路交通法違反事件)の適正迅速な処理を図るため裁判所事務官三人の増員に要する経費として二百四十七万円、合計七千四百二十二万円を計上しております。 以上、昭和五十二年度の増員は、合計五十二人でありますが、他方、定員削減計画に基づく昭和五十二年度削減分として、裁判所事務官三十二人の減員を計上しておりますので、これを差し引きますと、二十人の定員増加となるわけであります。 2 次は、裁判運営の効率化及び近代化に必要な経費であります。(一)庁用図書、図書館図書の充実を図る等のため裁判資料の整備に要する経費として三億六千五百八十七万円、(二)裁判事務の能率化を図るため複写機、計算機等の整備に要する経費として三億四千六百四十六万六千円を計上しております。 3 次は、裁判所施設の整備充実に必要な経費であります。裁判所庁舎の新営及び増築(新規十四庁、継続九庁)等に必要な経費として七十五億八千三百二十四万九千円を計上しております。 4 次は、裁判費であります。(一)証人等の日当を増額する経費として一千五百九十九万円、(二)国選弁護人報酬を増額する経費として一億二千八十七万八千円を計上しております。 以上が、昭和五十二年度裁判所所管予定経費要求額の大要であります。 よろしく御審議のほどをお願いいたします。
○木野主査 次に、鎌田会計検査院事務総長。
○鎌田会計検査院説明員 昭和五十二年度会計検査院所管の歳出予算について説明申し上げます。 昭和五十二年度会計検査院所管一般会計歳出予算の要求額は、六十七億三百五十九万四千円でありまして、これは、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づいて、会計検査院の一般事務処理及び検査業務を行うために必要な経費であります。 いま、要求額の主なものについて申し上げますと、一、職員の俸給、給与、手当等として五十九億三千百六十万九千円を計上いたしましたが、これは総額の八八%に当たっております。 これらのうちには、会計検査の充実を図るため、技術専門官一人、調査官四人などを増置する経費も含まれております。 二、旅費として四億七千三百十七万九千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、会計実地検査旅費が四億五千九百五十九万五千円、外国旅費が六百二十九万一千円であります。 三、施設整備費として五千八百十四万八千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、庁舎別館空気調和設備改修工事費、書庫棟特殊消火設備工事費及び庁舎本館安全庫改修工事費であります。 次に、ただいま申し上げました昭和五十二年度歳出予算要求額六十七億三百五十九万四千円を前年度予算額六十一億六千五百二十四万九千円に比較いたしますと五億三千八百三十四万五千円の増加となっておりますが、その内訳について申し上げますと、一、職員の俸給、給与、手当等において四億四千三百九十七万八千円、二、旅費において五千八百三十六万六千円、三、その他において三千六百万一千円となっております。 以上はなはだ簡単でございますが、昭和五十二年度会計検査院所管一般会計歳出予算要求額の概要の説明を終わります。 よろしく御審議のほどお願いいたします。
○木野主査 以上で説明は終わりました。 ―――――――――――――
○木野主査 別に質疑の申し出もありませんので、皇室費、裁判所及び会計検査院所管の質疑は終了いたしました。 この際、暫時休憩いたします。午後一時三十分再開いたします。 午後一時十三分休憩 ――――◇――――― 午後一時三十分開議
○木野主査 休憩前に引き続き会議を開きます。 昭和五十二年度一般会計予算中法務省所管について、政府から説明を求めます。福田法務大臣。
○福田(一)国務大臣 昭和五十二年度法務省所管予定経費要求の内容につきまして、大要を御説明申し上げます。 昭和五十二年度の予定経費要求額は二千七百五十四億五千二百三十四万九千円であります。前年度予算額二千五百三十四億七千五百七十六万円と比較しますと、二百十九億七千六百五十八万九千円の増額となっております。 さて、予定経費の増減について、内容を大別して御説明いたしますと、第一に、人件費関係の増百四十五億五千二百二十二万五千円であります。これは、昇給等の原資としての職員基本給の増額分が主なものでありますが、そのほかに、副検事、法務事務官等四百三十人の増員に要する人件費が含まれております。 ここで、増員の内容について申し上げますと、一、財政経済事件、公害事件、交通事件、公安労働事件等に対処するとともに、公判審理の迅速化を図るため、副検事三人、検察事務官九十二人、二、登記事件、国の利害に関係のある争訟事件及び人権侵犯相談事件に対処するため、法務事務官二百十一人、三、刑務所における看守の勤務条件の改善と医療体制の充実を図るため、看守五十三人、看護士(婦)十二人、四、非行青少年対策を充実するため、少年鑑別所教官七人、保護観察官十三人、五、出入国審査及び在留資格審査に対処するため、入国審査官二十人、入国警備官三人、六、暴力主義的破壊活動に対する調査機能を充実するため、公安調査官十六人となっております。 他方、昭和五十一年の閣議決定に基づく「昭和五十二年度以降の定員管理計画の実施について」による昭和五十二年度定員削減分として、三百三十五人が減員されることとなりますので、これを差し引きますと、九十五人の定員増加となるのであります。 第二に、一般事務費の増七十四億二千四百三十六万四千円であります。これは、事務量の増加に伴って増額されたもののほか、積算単価の是正、職員の執務環境の整備改善並びに保護司実費弁償金及び人権擁護委員実費弁償金の単価引き上げに伴う増額分等であります。 次に、主な事項の経費について概略を御説明いたします。 第一に、法務局、地方法務局において登記、供託、戸籍等の事務を処理するために要する経費として三十七億六千七百十四万九千円、第二に、検察庁において刑事事件を処理するための検察活動に要する経費として十七億五千二百六十六万七千円、第三に、拘置所、刑務所、少年刑務所、少年院、少年鑑別所及び婦人補導院の被収容者の衣食、医療、教育、作業等に要する経費として百六十三億三千四百一万円、第四に、保護観察に付された少年等を更生させるための補導援護に要する経費として二十七億二千八百二十九万八千円、第五に、出入国の審査、在日外国人の在留資格審査及び不法入国者等の護送、収容、送還等を行うのに要する経費として三億六千四百八十一万円、なお、外国人登録法に基づき、在日外国人の登録及び指紋採取の事務を処理するために要する経費として十一億三百九十万一千円、第六に、公安調査庁において処理する破壊活動防止のための調査活動等に要する経費として十四億七千十五万八千円、第七に、法務局、検察庁等の庁舎及び刑務所、少年鑑別所等の収容施設の新営整備に要する経費として百三億三千四百五十七万七千円が計上されております。 最後に、当省主管歳入予算について一言御説明申し上げます。 昭和五十二年度法務省主管歳入予算額は六百九十五億六千三百六十五万四千円でありまして、前年度予算額六百十九億六千六百二十万円と比較しますと、七十五億九千七百四十五万四千円の増額となっております。 以上、法務省関係昭和五十二年度予算案について、その概要を御説明申し上げました。 よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。
○木野主査 以上で説明は終わりました。
○木野主査 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川口大助君。
○川口分科員 最近、裁判をめぐるいろいろな問題が次々に発生をしておりまして、生命、財産を守り、人権を擁護すべき立場にある人々に対して国民の間に不信の念が起きておるわけであります。これは法治国家としましてまことにゆゆしき事態であると思うのであります。そこで、法務大臣としてこの点につきましていかなる見解と御処置をなさるのかという点につきまして、以後お尋ねをしてみたいと思うのであります。 まず、弘前大学教授夫人殺しの事件、この問題からお尋ねをいたしますが、この事件は、御承知のとおり、犯人とされまして懲役十五年の実刑を受けた人が、名前を省略いたしますが、再審公判で無罪になった事件であります。昭和二十七年の仙台高裁の控訴審と昭和二十八年の最高裁の上告棄却の判決がともに誤りであったということになったわけでありまして、二十八年間にわたって無罪を叫び続け主張してきた、しかも実刑を終えましてから自分の主張が認められまして無罪になった、こういう事件でありますが、この事件につきまして大臣、いかがお考えでしょうか、まずお伺いいたしたいと思います。
○福田(一)国務大臣 ただいま御指摘をいただきました弘前大学教授夫人殺害問題について、犯人を検挙し、裁判に付した結果、懲役十五年ということになりまして、その実刑を終えたのでありますが、その後真犯人が出てきたということによって、検察が起訴をするに当たっての十分な資料、その他を検討しておったかどうかという問題が、いま大きくクローズアップしてまいりました。さらにまた、ただいま御指摘があったように、このようなことで人権をじゅうりんされたという場合に対してどのような国家補償をするかと言えば、これはその御質問はございませんけれども、余り大したことはしておらないというのが実相でございまして、こういう点から見ますと、これは検察、裁判の面から見て容易ならざることであり、また人権を尊重するというか人権を擁護するという法務省の立場から言えば、これほど残念なことはないというか、汚点を残したことに相なるのであります。 そこで、法務省といたしましては、この事案にかんがみまして、今後検察あるいはまた裁判の事務等について一層慎重を期しまして、これを一つの反省の資料として、今後こういうようなことがないように大いに努力をいたし、人権擁護という意味から、われわれとしては一層努力をいたさなければならないと考えておるところでございます。
○川口分科員 ただいまお話しされましたとおり、幾ら補償されましても、人生というものはなかなか取り返しのつかない問題でありますから、まことに残念なことだと思うわけでありまして、お話しされましたとおり、当然関係者は、この際、自戒、反省、謙虚になるべきだ、こういうふうに思うわけであります。 くどいようでありますが、私は、過ちを二度と繰り返しては困る、そういう意味でさらにお尋ねを続けたいと思うのであります。 よく言われますとおり、裁判官の判断必ずしもこれは神の声ではないのであります。ただ、この問題で特に他の事件と異なります点は、一人の新聞記者が、どうもこれはおかしいというので、この問題についてずいぶん走り回っておるわけであります。そうして聞くところによりますと、この一人の新聞記者の力によって真犯人の自白ができた、こういうふうなことも言われておるわけであります。でありますから、長い裁判の中で、新聞記者というと、これは大変失礼でありますが、いわば素人であります。素人が疑わしいというふうに思っておるような事件が、なぜ少しの疑いもはさまずに十五年の実刑を科ぜられるような形になったのか、この点に対して私は大変判断に、素人判断としてもまた国民としても素朴な疑問があるわけであります。この点について大臣、どうお考えになりますか。
○福田(一)国務大臣 私は、検察の事務をやる場合にも、裁判の事務を行う場合にも、一種の予断を持ってやってはいけない、したがって、非常に慎重を期して事を処理しなければならないと思うのでありまして、万般の事情に目を配って処理をする必要があると思うのでございます。しかし、一種の犯罪資料をもとにして起訴をし、またそれをもとにして裁判が行われるということでありますから、一応それに事実そういうことがあったということを認定しておる、そこにそごがあったということになってこのようなことが起きたのでありますから、これからはひとつそういうように、いま御指摘があったような第三者というようなものが介在――介在というか一つの疑問を持っておったというような件については、その面にも一応耳を傾けて問題の処理に当たる慎重さもあってしかるべきではないかと思うのであります。というて、余りそちらの方に重点を置きますと、これは検察事務がおくれたり、あるいはまた裁判がおくれたりすることもございますから、十分両者をよく軽重を考えながら問題の処理に慎重に当たっていくということでは、第三者の意見というものも私は検討の対象というか考えを採用するといいますか、そういうような点について一つの疑いの目を持って見ていくということも必要になるのではないだろうか、こう思っております。これは私は素人でございまして、余り法務専門でございませんから、あるいは私のあれがいささか行き過ぎの点があるかと思いますが、私としてはそういうふうに、だれが言うことでもやはり耳を傾けなければいかぬというふうな感じはいたすわけであります。
○川口分科員 よくでっち上げ事件であるとかいろいろなことが耳にされることがあったのですが、私はよもや警察や裁判の中ではでっち上げなどというものはあり得べきことではないとかたく信じておったわけであります。ところが、結果として出てまいりましたのは、つまりでっち上げであったわけで、犯人でない者を犯人に仕立ててしまった、こういう結果になっているわけであります。ただいまおっしゃったように、私はやはり警察の初動捜査の中に一つの問題がないか、あるいはまた見込み捜査というものにも一つの行き過ぎがないか、こういうふうなことをこの事件を通して私は痛感したわけであります。大臣も素人、私も素人でありますが、素人同士、じゃ、でっち上げというものはいままであったというふうにお認めになりますか。
○福田(一)国務大臣 パーセンテージは少ないと思いますけれども、ないとは言えないと思うのでございます。どうしても第一線で活動する警官その他からいいますと、やはり犯罪を捜査する熱意の余り、何としても犯人を挙げなければいかぬということになって、間々そういうようなこともあったやに私は理解をいたしております。 したがって、その意味で警察あるいは検察が十分ひとつ慎重に、人権尊重ということも考えながら、しかも犯罪捜査は的確にやっていくという、この二つの命題を十分に両者とも満足させるように努力をいたすべきではないか、かように考えております。
○川口分科員 よく私ども耳にするのですが、検事と弁護士の間で勝った負けたという言葉がよく出るようであります。ぼくは裁判というのは勝ち負けじゃないと思うのであります。真実というものは一つであるべきでありますから、その真実を追求する、そこに意義があるのであって、勝ち負けではないと思うのであります。その勝ち負けという言葉の出る背景を私なりに考えてみますと、いまお話ありましたとおり、あるでっち上げがあった、若干おかしいと疑問を持ちましても、一たん起訴した以上はどうしても負けられない、こういうことでかたくなな態度になりまして、本当に被告が無罪を叫ぶその叫びに耳を傾けるようなゆとりもなくなる、そういう場合もあるのじゃないかと思うのであります。でありますので、私は公判維持の中で今後はひとつ十分にそういう点を考慮して、二度と再びこのような過ちのないように心から祈念をするわけであります。 次にお伺いしたいのは、今回のこの弘前大学教授夫人殺しのような事件を契機にしまして、現在無罪を叫び続けながら冤罪をこうむっておると思われる方がいるかどうかという点についての御調査をなさったことがおありでしょうか。 〔主査退席、瓦主査代理着席〕
○安原政府委員 そういう調査は特にいたしておりませんが、検察当局といたしましては、公判を請求するに当たりましては、ただいま御指摘のような結果的には間違いもございましたが、有罪であるということを確信をいたしまして公訴を提起しておることでございますので、そういう調査はいたしておりませんが、しかしながら、また他面、先ほど御指摘のような再審請求というようなもののございました場合におきましては、何よりも御指摘のように事案の真相ということこそ刑事訴訟の明らかにすべき目的でございますので、事案の真相を至上命令といたしまして、真相の発見のために検察官として公明正大な活動をすべきことを肝に銘じておる次第でございます。
○川口分科員 伺いますが、現在再審の申請といいますか、ぼくは専門語はわかりませんが、申請中のもの何件ぐらいありまして、また申請をしましたが、却下した、こういう件数が何件ぐらいおありでしょうか。
○安原政府委員 昭和五十年までの最近三年間の統計でございますが、昭和四十八年には再審の請求が七十四件ありまして、理由があるということで再審の開始決定のございましたものが三十件、昭和四十九年におきましては請求が八十九件で再審の開始決定のございましたものが二十五件、それから昭和五十年に至りまして再審の請求のございましたものが九十三件で再審の開始のございましたものが二十件、以上でございます。
○川口分科員 私は、再審制度は大変結構なことでありますが、ただ、再審の手続が少しむずかし過ぎるんじゃないか、こういうふうに思うわけであります。さらに、再審のためには新たな証拠がなければならぬ。犯罪を犯した犯さないということについて、裁判上にあらわれてない一つの新しい証拠を提示しなければならない、こういうふうないろいろなことがございまするし、また、場合によっては、再審をしたいんだけれども、弁護士を依頼するだけの力がない、こういうふうな者がありまして、どうしても再審の手続さえできないでおるという人も中にはいるんじゃないか、こういうふうに私は思うのであります。特にいま三年間の実績をお聞きいたしましたが、これによりますと、四十八年は約半数ですね。四十九年は約三分の一、五十年になりますと四分の一くらいが、実際は再審の手続のために救済になるかどうかわからぬのでありますが、再審までこぎつけたというふうなことになっておりまして、大半は棄却になっている。でありますので、この再審制度につきまして、いま少し現制度のままでこういう冤罪に苦しんでおる人々のために何か救済の手だてがないものかという点につきまして、私はお伺いいたしたいと思うわけでございます。
○安原政府委員 その点につきましては、われわれ事務当局もいろいろ考えているところでございますが、まず、再審を開始するに当たりましては、開始する理由といたしまして、ただいま、御案内と思いまするけれども、無罪の言い渡しをすべき新たな証拠で、しかも言い渡すべきことの明白な新たな証拠、明白性と新規性の証拠ということが二つの要件になっているわけであります。 そもそも再審というものは、もう釈迦に説法かとは思いますけれども、一たん確定いたしました判決につきましてその再審をするということでございますので、再審をどの範囲で認めるかということは、一面において、わが国が認めております司法制度上の判決の確定力というものを尊重するという法的安定性――常に、永遠に確定をしないということではいけませんので、判決が確定をいたしましたならば、それをできるだけ尊重するという一種の安定性と、もう一つは、いま御指摘の無辜の者を救うという、人権保障と申しますか、具体的な正義の実現、これを制度上その調和をどこで図っていくかというむずかしい問題でございまして、そこで、先ほどの御指摘のように、現在は事実誤認の問題につきましては、一たん確定した判決につきましては、その確定判決の事実認定を覆すような明白な新たな証拠の発見というものを再審開始決定の理由にしておるわけであります。 したがいまして、それが狭過ぎるんだ、明白なというのは非常にむずかしい条件だから、これを寛大に、緩和しようというような議論も従来からしばしばあったわけでありまするが、最近わが国の最高裁判所は、この明白なということの判断につきまして、疑わしきは再審を請求する者の利益にということで、字義どおり有罪判決を確実にひっくり返すに足る明白な証拠ということでなくて、確定した判決の事実認定について合理的な疑いを生ずる程度の疑いを起こさせるような程度でも明白ということになるんだ、つまり、疑わしきは確定判決の利益にではなくて、疑わしきは再審を請求する被告人の立場にある人の利益にということで、最近の最高裁判所の判決は、合理的な疑いを確定判決の事実認定について持つに至る程度であれば明白性の要件は充足するんだということで、有名ないわゆる白鳥事件以降そういう判断でございまして、そのようないわば現行の法制の緩やかな解釈、被告人側に有利な解釈、疑わしきは被告人の利益にという解釈が最高裁で示された結果、先ほどの弘前大学の問題につきましても、そのような最高裁の態度が弘前大学の問題を含めまして一般に下級審に影響しておることが、再審開始を最近においては多くしておる原因になっておるわけでございますので、その意味におきまして、わが国の制度は、制度そのものとしても欧米諸国よりも開始理由は狭くはないというふうに聞いておりますし、また、運用におきましても、そのように被告人に有利な運用がなされつつあるということでございますので、再審開始決定、再審開始の理由については現行制度のままでいいんではないかというふうに考えておりますが、いま御指摘のように、再審開始決定をするにつきましての手続におきまして、貧しい人は弁護人も雇うのに大変だ、あるいは決定をするのが全くの書面審理であって、そして書面審理でなくても、いわゆる再審を請求した人あるいはその弁護人が立ち会うようになっていないというようなこと、あるいはそういう再審開始決定をした以上は、たとえば刑務所におる者でありましても、弁護人との間に刑事訴訟法の確定判決前のような秘密交通権を認めることはできないかというような、つまり国選弁護人制度を再審開始決定手続についてもやる、あるいは事実調べの立会権を認める、あるいは秘密交通権を認めるというような、開始理由ではなくて、開始をするまでの手続の中に被告人の権利をもっと主張できるようなことを考えてはどうかというようなことが、われわれ事務当局としてはさしあたり検討すべき課題であるというふうに考えておる次第でございます。
○川口分科員 結局、誤認ということが決まるのは再審の結果決まるわけです。ですから、誤認と決まればこれは問題ないわけですが、ただ、それに至ります経緯の中で、仮に疑わしき者が罰せられた場合だってあるわけであります。疑わしき者が罰せられた場合は、疑わしくもあるけれども疑わしくもないということになるわけでありますから、新しい事実というものをそこに見出すということはなかなか困難な場合があるわけです。しかし、実際再審を受けてまた新しい裁判を起こされた場合には、いろいろと状況判断についての説明なり、あるいはまた前の判断が誤っておるというふうないろいろな説明はつけられるわけでありますが、再審の手続の中に新しい証拠を突きつけて申請するということは、実際問題として困難な場合があるわけです。そういう場合はいつまでたってもそれは救われる道がないということになるわけであります。その辺のところが私はどうしても理解に苦しむ点であります。確かに白鳥事件以来、ただいま局長さんがおっしゃったとおり、疑わしきは罰せずということであるようでありますが、地方においては必ずしもそういうことではないと私は思っておるわけであります。 したがって、くどいようでありますが、何か手続の中で手軽にやると、これはとても膨大になり過ぎてどうにもならぬという面があるかもしらぬ。しかし、事人権に関する問題でありますから、手続や繁雑さによってあるいは事務の都合によって人権が守られることが阻止されるということはけしからぬことじゃないか、私はこんなふうに思うわけであります。ですから、金やそういう手続や制度の問題ではなしに、人権を守るんだ、そういう見地に立った再審の救済の仕組みを、何といいますか、もっと広くして、再審のその場所で厳格に審査をする、こういうふうなことにならないかと思うのでありますが、いま一度ひとつ御所見を承りたいと思うわけです。
○安原政府委員 先ほどもたびたび申し上げておりますように、刑事訴訟の目的は、人権の保障を全うしつつ事案の真相を明らかにすることでございますので、事案の真相を明らかにできても人権が守られなければ、それは刑事訴訟の目的を達成しないわけであります。したがって、そういう意味においてあらゆる制度を人権の保障、事案の真相の発見、公共の福祉の維持という観点から考えていくのが刑事訴訟のあり方でございます。 したがいまして、いま申し上げましたように、従来は最高裁の考え方は、明白性についていま御指摘のように必ず無罪をかち取れるような証拠を提出してこなければ再審を開始しないぞという程度に狭かったのを、いまはその有罪の判決について何か疑いを生ぜしめる、合理的な疑いが出るという程度でも再審を開始するというふうに解釈上広がっておりますとともに、再審を開始してくださいということを求める手続において、被告人側、再審を請求する者がより十分に主張できるように、国選弁護人の制度とかあるいは事実調べの立会権とか秘密交通権を認めるべきではないかというようなことをいま事務当局では検討しておるわけでありまして、御指摘のように人権の保障を全うしつつ事案の真相を明らかにする制度、それから三審制度というわが国の司法制度の問題というものの調和をどこに求めるかにいま苦慮をしておりますが、何といたしましても無事は罰せられてはならないということは肝に銘じております。
○川口分科員 どうも時間がなくて、もう少しお話をお聞きしたいのでありますが、先へ進みます。 そこで、たまたま弘前の問題は一人の新聞記者によって事件が解決したわけでありますが、やはり素人判断というものは必ずしも無意味なものじゃないと思うのであります。かつてわが国にありましたとおり、陪審裁判ですね、これは日本の国土になじまないというふうな問題もあるだろうし、いろいろな経緯で中止になったと思うのですが、いまここで陪審裁判というふうなものをさらに法改正して行うような意思がないかどうか、お聞きいたします。
○賀集政府委員 陪審制というのは、委員も御指摘になりましたように、素人判断を裁判に反映する、もう少しつけ加えて申しますと、素朴な民衆感情とか社会常識を裁判に反映させ、裁判を民主化し、国民の身近なものにしようというのが制度のねらいであると思われます。それで、これを採用するかどうかという前に、日本の憲法のもとでどうなっているか。といいますのは、もう御案内のように「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」という憲法の規定がありまして、しかも憲法は「司法」という章のところに、裁判所の構成員である裁判官の身分保障であるとか裁判官の独立、司法権の独立を手厚く規定をいたしておりますので、そういたしますと、何人も裁判所による裁判を受ける権利というのは、裁判官が構成する裁判所で裁判を受けるんだということになりますと、陪審制をいま採用していいかどうかというのは、一つの憲法上の問題が出てまいります。 そこで、先ほども申し上げました憲法の規定からすると、最終的な判断権を裁判官に留保するといいますか、最終的な判断権の余地を残した、そういう留保づきの陪審制ならば採用することは憲法違反ではないと考えられるのでございます。 それでは、採用することは考えているかどうかという点になるわけでございます。先ほども御発言のありましたように、戦前わが国において施行されました陪審制は、実はそれほど利用されなかったわけでございます。それからその後といいますか、戦後になりまして社会生活が大変複雑になり、深刻な社会的なあるいは経済的な対立とか、そこから出てくる犯罪現象が出てまいりますと、事実認定が大変むずかしくなるわけでございます。先ほど憲法の条文を申し上げましたけれども、裁判官の身分保障とか裁判官の独立、司法権の独立というものを規定しておりますのは、結局それによって専門的な裁判官の地位を保障しようということでございまして、事実認定にいたしましても、最終的には専門裁判官の判断によるというのがわが国には非常になじむということになろうかと思います。その方が国民一般に信頼されるということではなかろうかと思います。 それで陪審制というのは、御案内のように英米で発達したわけでございますけれども、その英米でも最近下火になったと申しますか、減ってきたような状況でございますし、日本の学界から私どもいろいろ意見を聞いておりますけれども、陪審制を採用せよという声は余り聞かれない。そういう状況でございますので、慎重に検討するというところで考えております。
○川口分科員 それで大臣にお伺いしますが、いま裁判をやっているのですが、鬼頭判事補の問題ですね、これがやはり大分裁判というものに対して国民に不信を抱かせておる一つの要因になっていると思うのです。意見をお聞きすると長くなるようでありますが、あと、こういう裁判官はいないでしょうね。 それでもう一つ重ねてお伺いします。現在国会で大臣といろいろ問題がございましたが、灰色高官につきましても、結局、一般国民の場合はわずかささいなことでも新聞その他に名前が出まして、その名誉を回復するのに非常に困難をする。しかし、国会議員であるがために、実際の犯罪の事実はあったけれども時効のために名前は発表しないでおる。こういうことは取り扱い上いかにも差別があるように思われるわけでありますが、この点についての大臣のお考え。 さらにもう一つつけ加えますが、現在の裁判官の国民審査制度の問題であります。これも選挙の際にとにかく白い紙を出せば信任した、こういうことになるわけであります。この制度は確かに裁判官と国民とを結ぶ唯一のものではあるわけでありますが、どうも国民の意識の中にも投票による信任というものに対する自覚の程度もまだ十分でありませんので、この制度だけで信任をするということはいささか早計ではないかと思うわけでありますが、御意見を承りたいと思います。
○福田(一)国務大臣 いま鬼頭判事補についての弾劾裁判の判決が出る直前のことでもございますから、これについて私がどういう判決があるかとか、どうあるかとかいうことは申し上げませんが、これは私も直接取り調べに関係したわけではありませんが、いかにも意外な事件である。そしてまた、あれが事実とすれば、裁判官としてはどうも不適当な行為をしておると私は考えておるのでありまして、いまの裁判官の中にこの種の者が相当おるかというような意味の御質問と考えますが、私はあれは異例中の異例のことである、もし有罪となっても、異例中の異例のことであるかと考えております。 それから、灰色高官の問題について特に御指摘をいただきましたのは、罪はあるけれども時効でもって罪にならないというか、裁判に付せられないようなもの、これは政治家の場合にはもっと厳しくやるべきではないかという御意見は、私もごもっともな後意見だと思っておるのでございまして、そういう意味では、私はやはり一つの社会――私はいろいろの社会があると思うのです。たとえばわれわれのような議員なら議員という一つの層もあれば、あるいはある一種の業界、石油業界なら業界というものが守らなければならないルールもあるし、いろいろなことがありますが、少なくともそういうことがあった場合には、やはり適当な措置をとるという一つの申し合わせみたいなものを議員の中でやっておいていただければ、私は非常にやりよいということになるかと思うのであります。 今度の場合は、灰色高官の定義というものを決めまして、そしてそれを出したわけでありますが、そういう意味で、灰色高官、いわゆる政治家というものは一般の者よりは厳しくその行為を律しられなければならない、また律しなければならないということについては、私は異議はございません。もちろん、そうであってしかるべきだと思うのであります。 それから、いわゆる裁判官の国民審査の問題でございますが、これはいささか制度がわが国の制度になじんでおらぬという面もあるわけでありますが、しかしまた、あの制度を残しておけば何らかのときにまた非常に有効に働くこともあり得ると思うのです。いままではそういうことはほとんどございませんでしたけれども、裁判官が非常に異例のことをして、あそこにずっと書かれた人のうちで非常にこういうことがある、というて、これは罪にするにはどうもそこまではいかぬというようなことがあった場合に、国民全般から見てこれはもういかぬと言ってバッテンをつけるという制度があればそれが救われると同時に、また、裁判官もああいう制度があることによって慎重に事務の取り扱いをするという面もあるかと思いますから、必ずしもあの制度自体はなじまないからといって無用のものであると決めつけるわけにもいかないのじゃないかというふうに私は考えておるわけでございます。
○瓦主査代理 時間が参っておりますので簡明に願います。
○川口分科員 大分意見もありますが、一応やめます。 最後にお願いでありますが、どうかひとつ罪なき人を罪にするようなことは二度と再び起こさないでいただきたいということを心からお願いをいたしまして終わります。どうもありがとうございました。
○瓦主査代理 加藤万吉君。
○加藤(万)分科員 最近、騒音問題に対する国を被告とする訴訟が各地に起きているわけですが、大阪空港の高裁の判決あるいは新幹線の騒音訴訟、これから問題にしようとしております米軍基地下における騒音訴訟、私は一連のこの訴訟関係を見て、結局被告側の基地公害、騒音公害に対する施策のおくれが住民の生活権、生存権あるいは人格権を補うまでには至っていない、このことが結果的に国を相手として訴訟提起をする、こういう課題になっているのではないか、こういうように思うのですが、まず法務大臣の見解をお聞きをいたしたいというように思います。
○福田(一)国務大臣 住民が自分の権益を守るという意味合いにおいてそういう騒音問題等についても一つの提訴をしていく、また主張をするということは、やはり権利を守るという意味において否定するわけにはまいらないと思います。
○加藤(万)分科員 そこで、これから問題にしようとしている大和における厚木基地の航空機発着差しとめ等を求める訴訟の問題ですが、大臣はこのことが法廷にあることを御存じでしょうか。同時にまた、法廷における国側の主なこれに対する反論といいましょうか、主張といいましょうか、 この点はどういう点になるのでしょうか。
○貞家政府委員 横浜地方裁判所に係属いたしております厚木海軍飛行場における航空機発着禁止等請求事件でございますが、この事件におきまして原告らの主張をかいつまんで申しますと、原告らは本件の飛行場の周辺に居住しておりまして、飛行場を離着する航空機の騒音でありますとかあるいはエンジンの整備騒音等によりまして身体的、精神的被害をこうむっておる。そこで日常生活等に妨害を受けておりまして、いわゆる環境権、人格権を侵害されているということを理由といたしまして、海上自衛隊及びアメリカ合衆国軍隊の夜間飛行の差しとめと昼間の音量規制並びに過去及び将来の損害賠償を求めているわけでございます。 この事件におきまして現在口頭弁論期日が二回開かれまして、訴状及び答弁書、それから各双方の準備書面が陳述されているのでございますが、原告らの主張といたしましてはいま申し上げているような内容の主張が行われまして、それに対しまして、被告、国といたしまして、本件飛行場は安保条約及び地位協定に基づきましてアメリカ合衆国に対して提供いたしておるわけでありまして、同国軍隊にその使用を許しているものである、したがいまして、日本国がアメリカ合衆国軍隊に対しまして直接飛行の差しとめを求めるというようなことは条約の趣旨からして許されるものではないという主張、並びに原告らの主張しております環境権、人格権等につきまして、その内容について問題が多々ございますので、原告としてそれらの点を明確にされまして、なお各人につきまして主張される具体的被害の態様、程度というようなものを明確にしていただきたい、こういうような意見を述べているわけでございます。
○加藤(万)分科員 国側の主張は、日米安保条約ないしは地位協定に基づいて米軍の自由使用であるから、これに対してわが国が環境権を侵害をされるそういう状況があっても甘んじて受けなければならないというように受け取れるわけでありますが、米軍基地であろうとやはり日本の国が提供している基地でありますから、その基地から起きる公害が波及的に住民の生活権の破壊という課題に結びつく限り、アメリカ軍に対してもその被害に対しての救済措置を求めるのは当然ではないかというふうに私は思うのですが、見解を承りたいと思います。
○貞家政府委員 厚木海軍飛行場につきましては、施設、区域といたしましてアメリカ合衆国に対して提供しその軍隊に使用を許しているわけでございまして、この飛行場の使用を制約するような結果を招くようないわば使用態様の変更をするということ、この条約に基づく米軍の使用を一方的な意思によりまして差しとめるというようなことは条約の趣旨からして可能なことではない、かように考えております。
○加藤(万)分科員 防衛施設庁に聞きますが、この厚木基地はいま日米間の共同使用になっているわけですね。いまお答えでは、アメリカの軍事行動について制約をするような条件をわが国から提起をすることはできない。としますと、厚木基地は日米間の共同使用ですから、たとえば滑走路について、あるいは航空管制について、この面に対するわが国の監督ないしは管理権というのは及ばないのでございましょうか。
○貞家政府委員 御指摘のとおり、厚木海軍飛行場全体が施設及び区域として米国に提供されておるわけでございますが、その中には米軍がもっぱら使用している部分と米軍と自衛隊がいわゆる共同使用をしている部分とがございます。したがいまして、米軍が専用を許されている部分につきましては、完全に権限が米軍にございまして、わが国にはこれを管理する権限は全くございません。しかしながら、いわゆる共同使用しております部分につきましては、国――これは機関は防衛庁長官でございますが、これを厚木飛行場として管轄、管理するという関係に立っているわけでございます。しかしながら、これを含めました厚木海軍飛行場、その一部にわが国の一般的に管理いたします厚木飛行場があるわけでございますが、全体が一体となって施設、区域として提供されているわけでございます。したがいまして、そのうちの厚木飛行場の部分、すなわち共同使用しております部分につきましての被告、国の管理というものは、本来わが国の自衛隊の使用のためのものでありましても、一体になっているわけでございますから、アメリカ合衆国軍隊がこの厚木海軍飛行場を安保条約の目的遂行のために使用していくことと調和いたしまして、その使用を阻害することがないように管理が行われなければならないという関係にあるわけでございます。 したがいまして、確かにわが国の管轄、管理しております厚木飛行場の部分、これについて一般的な管理権があるといたしましても、これと一体となってその機能を果たしておりますところの厚木海軍飛行場全体の使用までも制約するような結果を招くような使用態様の変更というようなことを、米国に対して一方的に求めることは不可能である、かように考えるわけでございます。
○加藤(万)分科員 管理権はあるけれども、米軍の行動に対する制約を与えることはできないということですね。そうしますと、いわゆる主が日本の管理権で従が安保条約に基づく米軍の諸行動、これの制約条件、こういうように理解してよろしいのでしょうか。
○貞家政府委員 主、従という表現は必ずしも当たるかどうか私は自信がないのでございますけれども、ともかくいろいろな設備について、この施設につきまして、厚木飛行場につきましては――これは狭義の厚木飛行場でございますが、これにつきましては日本国が管轄、管理をする、しかしながらその管理の態様というものはおのずから制約があると申しますか、逆に米軍に提供されました施設及び区域といたしまして、米軍が厚木海軍飛行場全体を使用するに当たりましてそれを制約するような結果を招くような管理というものは許されない、かように考えるわけでございます。
○加藤(万)分科員 管轄、管理をする権利が日本にあるとするならば、その管轄、管理の中における米軍の行動によって周辺の日本国民が被害を受けた場合、いま問題になっております基本的人権が侵害をされた場合に、米軍に対する日本の意思として、いわゆる管轄、管理権の状態の中で日本国民の基本的人権を守るという形での日米合同委員会への問題提起は考えられますか。
○高島政府委員 お答え申し上げます。 ただいま先生の御指摘は、日本政府側に管理権があるならば、その管理権も基づいて米側も種々の問題提起を合同委員会でできるかという御指摘のように理解をいたしますが、御案内のように周辺住民に与える影響等はいわゆる基地騒音公害ということで非常な影響を与えておるところでございますので、日米合同委員会を通じまして使用条件をどういうふうに改善していくかということは、日米合同委員会の下部機関である騒音対策分科委員会というのがございます。そういった機関を通じまして、随時必要に応じいろいろな問題を提起し、改善を図っておるところでございます。
○加藤(万)分科員 先ほど法務省の側から国側の法廷における主たる主張をお聞きいたしましたが、その第一点は、安保条約に基づく基地使用の権限、いま一つは、原告が請求している基地騒音の条件の中でどういう条件があればと、こういう二つの主張をされているようでありますが、いまお聞きになりましたように、基地があることによって起きる基地公害、それを救済する措置は、日米間では、いまお話のありました日米合同委員会の騒音対策分科委員会で問題の提起ができると言っておられるわけです。 そこで、法務省の方にお伺いをいたしますが、法務省の人権擁護局長が昭和三十九年六月六日、参議院の決算委員会あてに「厚木航空基地周辺における米軍ジェット機による騒音事件の調査結果について」という報告書を提出されておる事実がございますか。
○村岡政府委員 そういう事実がございます。
○加藤(万)分科員 この全文は大変なことですから読み上げませんが、最後に、この調査結果は「日常生活において直接、間接、精神的、肉体的或いは物質的に何らかの影響を受けていることは想像に難くないところである。」というように結んでおります。すなわち、法務省としてはこの騒音が人格権の侵害、環境への侵害を及ぼしているということを少なくとも人権擁護局長の文書で見る限り認めているわけです。認めているということになりますと、先ほど法務省の見解では、周辺に及ぼす影響について原告側にどのような条件があるのか御提示を願いたいという主張は成り立たないように思うのですが、いかがでしょうか。
○村岡政府委員 お尋ねの人権擁護局の関与の次第について一応御報告いたしますと、昭和三十六年五月十八日に厚木基地爆音防止期成同盟委員長知久重一という人から横浜地方法務局に対して人権侵犯事件として申告がございまして、横浜地方法務局においてその後事情を調査いたしました結果、三十九年の十月二十八日に人権擁護局長から防衛施設庁次長に対して文書による通知をいたしております。その通知の中で人権擁護局として到達した結論が述べられているわけでございます。 その内容を申し上げますと、結局騒音が激しい場合があって相当多数の住民が精神的及び日常生活上ある程度の被害を受けていることが認められる。しかし、この被害をもって直ちに住民の基本的人権の侵害であると断定していいかどうかは、その被害の程度が健全な国民感情に照らして受忍すべき限度を超えているかどうか等々の諸般の事情を総合して判断しなければならないのであるけれども、その調査の結果では、直ちにこれらの被害をもって基本的人権の侵害と言い得るかはにわかに決しがたいところがある。しかしながら、憲法の理念としている基本的人権の尊重という観点から考えますと、このまま放置することはできない問題である。そこで、この担当の行政機関であります防衛施設庁に対しまして、「更に調査検討の上適当な措置を講ぜられたくその参考として本件調査結果を通知します。」として、先ほど申しましたような文書を出したわけでございます。
○加藤(万)分科員 大変明確になりました。 問題は、国を相手にして原告があの主張をせざるを得ない――いまも御報告がありましたが、適当な処置を防衛施設庁に対して申し入れを行った、しかし、その適当な処置が、その後国会に提起をされました新周辺整備法に基づいてもなお適当な処置にならない。原告側の主張で言えば、受忍限度を超えているから今日ここで法廷での争いと、こういうことになっているわけです。 そこで、適当な処置、そこに住む人が環境権、人格権を侵害されない、人間として受忍をされる限度、このことについて少しお聞きしますが、本件と非常に似通っているのが大阪空港の訴訟事件であります。私は、大阪空港の判決の内容についてとやかく言おうというように実は思っているのではないのです。大阪空港のあの判決が出るまでに至った中でも、運輸省の側では、周辺住民の受忍限度に対する対応策というものを考えておられる、また、されておるわけですが、いま大阪空港に対する騒音のための事業対策は、一年間どのくらい予算を組まれておるのでございましょうか。たとえば五十年度に限ってでも結構です。
○梶原説明員 民間空港におきましても騒音問題が深刻になっておりまして、四十二年度に航空機騒音防止法を制定していただきまして、その法律に基づく措置といたしまして各種の騒音対策をやっておるわけでございますが、御指摘の大阪国際空港における騒音対策事業費といたしまして、本年度は国費で二百三十四億でございます。そして、御案内のとおり、大阪国際空港周辺整備機構というものの手を通じて大半の事業をやっておりまして、その二百三十四億のうちの、重複する部分がございますが、トータルしまして二百七十億の事業費で、周辺整備機構では二百八十億の資金で対策を進めておるところでございます。
○加藤(万)分科員 それだけの騒音対策費を使ってもなお今日高裁では、いわゆる市民の受忍限度を超えているという判決がなされているわけです。 そこで、防衛施設庁にこれはお聞きをしますが、もし私の数字が誤りでなければ、施設庁で防音工事補助金、五十年度は一億五千万ですね。四十九年度が三億二千七百万、四十八年度が一億五千万。いま、人口密度その他の環境条件はもう相当違いがありますから、相当割り引くといたしましても、大阪空港に対しては二百三十五億、地元の厚木基地については、一番多い四十九年度でも三億二千万、ここに法務省側が、人権擁護局が提起をされてもなお住民が告訴をせざるを得ない条件があるというように私は思うのですが、この比較について施設庁はどういうふうにお考えになるでしょうか。
○高島政府委員 お答え申し上げます。 防衛施設庁といたしましては、いま先生御指摘の防音工事費に全体としては三百数十億をいま予算に計上し、本年度の予算で御審議を願っておるところでございます。 御指摘のように、防衛施設は日本全国に相当の数がございます。したがいまして、防衛施設庁といたしましては、いま先生御指摘のように、伊丹空港のようにもっと大幅な予算を要求し、あるいは実施をすべきであるというふうな御指摘、まことにごもっともだと思いますが、私どもといたしましては、限られた国家予算の範囲内でどのようにやっていくかというのが実は一番悩みの種でございます。年々厚木周辺につきましても、防衛施設庁といたしましては、市町村の方々あるいは各地方公共団体の長の方と密接に御協議、御連絡申し上げて逐次実施しておるところでございまして、御指摘のような、まだきわめて不満足であるということはまことにごもっともだと思いますし、私ども今後とも全力を挙げてなお増額に努めたい、かように考える次第であります。
○加藤(万)分科員 大臣、いまお聞きになったとおりなんですよ。法務省の人権擁護局が提起をされている課題が防衛施設庁側でしっかりと受けとめられておれば、私はこの訴訟は起きなかったと思うのです。いわゆる周辺整備に対する各原局側の態勢が、本問題を法廷に出さざるを得ないという、そういう態度にある、ここに一番問題があるわけですね。私はあえて大阪空港の問題を援用しましたが、たとえば労働科学研究所、この説を大阪空港判決ではとっているわけですが、人間が受忍される限度四十から五十ホン、神奈川県の県知事が決めております基準でも、昼間の八時から夜間の六時までは六十五ホン、夜間は五十ホンぐらいに下げなければそれはもう人間としての住む条件ではないと定めているわけです。そういうことが本件の場合にも適用されていけば、結果的に今度の場合には、安保条約とか憲法云々とかという問題ではなくして、まさに騒音による人格権の侵害に対する裁判でありますから、したがって、原告側が言っておりますように、その条件が保たれてくれれば本件は一件落着になっていくわけです。 そこで、私は大臣に特にお願いをしますが、私は、この人権擁護局が出した調査結果、しかも結びにある部分、先ほど私読み上げましたが、この部分に沿って法廷における立論をされるのが国の立場じゃないかというふうに思うのです。だから、どのくらいの許容限度が許されるならば原告側は本件に対して満足されるんですかという投げかけではなくして、これだけの膨大な調査項目が法務省の手でなされているわけですから、これと相反する形で法廷で立論されるのは間違いではないか。したがって、私は、本件訴訟が法廷でどのくらいの期間争われるかわかりませんが、この人権擁護局の調査結果に基づく中で国側の主張をされる、これが最も適当な策ではないか、こういうように思うのですが、大臣の見解を承って、私の質問を終わりたいと思います。
○福田(一)国務大臣 ただいま御指摘のありました件は、これはわれわれは裁判に直接タッチすることはできないわけでありますけれども、御要望として十分承らせていただいておきます。
○加藤(万)分科員 終わります。
○瓦主査代理 鳥居一雄君。
○鳥居分科員 二月二十日に報道されました東京法務局管内で起こった登記事務をめぐる不祥事につきまして、概要の御報告をお願いしたいと思います。
○香川政府委員 東京法務局の渋谷出張所の係長が、司法書士から四回ばかり合計十万円を超える金をもらいまして、その司法書士の申請事件の処理に便宜を図ったという贈収賄事件でございます。 それで、ただいままで私どもが承知いたしておる事件の内容は以上のとおりでございますが、なおその他に非違事件がないかどうか、現在調査中でございます。
○鳥居分科員 どんな善後策を講じられましたでしょうか。
○香川政府委員 被疑者本人につきましては検察庁の取り調べ中でございますが、本人から始末書を徴しまして、すでに懲戒免職いたしております。監督者つまり所長あるいは所長補佐の懲戒処分につきましては、現在事案を調査中でございますので、その結果を待って適宜の処分をいたしたい。 なお、かような事件が起こりました関係で、全国の登記所の綱紀粛正と申しますか、かような事件を再び起こさないように厳重注意方を通達いたしておるところでございます。
○鳥居分科員 登記事務につきまして香川局長は大変権威でいらっしゃいますし、その意義について御説明いただきたいのですが。
○香川政府委員 登記制度の意義と申しますのは二つあろうかと存じますが、一つは、民法の百七十七条の規定によりまして不動産に関する権利の得喪、変更は登記をしなければ第三者に対抗できないということに相なっておりますので、この面の対抗要件としての登記をするということが主たる機能でございます。もう一つは、わが国の土地、建物の現況を明確にして、それによりまして取引の客体を特定明確化するとともに、一般行政等におきまして一つの資料として用いることができるようにしよう。かような二つの意義を現行の登記制度は持っておると理解いたしております。
○鳥居分科員 それで、今度のこの二月二十日に報道された事件、これはささいと言えばささいな事件かもしれません。しかし、一体どういうわけでこういう事件が起こったのか、これは大変大きな問題が背景にあるように思えてならないのです。法務当局では、こうした不祥事を起こさないためにも、この事件の原因をどのように解明されていますか。
○香川政府委員 かような事件が発生いたしました原因はいろいろ考えられるわけでございますが、何と申しましてもこれは私ども監督者としての責任もあることでございますが、職員に不心得な者がおる、つまり姿勢を正す、綱紀粛正の趣旨が徹底していない、平素のしつけが足りないということが最も大きな原因であろうと思うのであります。そのほかに考えられる一般的な原因といたしましては、現在の登記所、特に大都市の登記所におきましては非常に事務が多忙であるということ、そのために登記事件の処理がややともいたしますとおくれるということで、そういう関係は申請人に非常な迷惑をかけるわけでございまして、取引の迅速性から申しまして、登記事件を一日も早く処理してほしいというのが、これはもう当然のことでございまして、さような関係から、申請人側あるいは代理人側から登記事件の処理を急がれる。 〔瓦主査代理退席、主査着席〕 それが極端に相なりますと、今回の事件のような贈収賄というふうな形で事件の処理を急ぐというふうなことも一つの原因かと思うのであります。 かような意味で職員の心構え、これを常時いろいろの方法によりまして粛正しなければならない反面、そういった申請人側からの不正事件への誘いかけと申しましょうか、そういったことがないようないろいろな面での配慮、たとえば増員とかその他施設の改善というふうな、あるいは能率化等の処置を講じまして、事務処理を適正迅速にするような措置を十分配慮しなければならない、かように考えて平素から努力いたしておるつもりでございますけれども、かような事件が起こりまして、私どもの努力のまだ足りないということを反省しておる次第でございます。
○鳥居分科員 ところで、窓口へ参りまして登記事件を申請する場合、現況は大変繁雑で、事務量が多い。それはともかくといたしまして、それが現状において順番どおりいっていると認識されているのか。今回の場合にはお金が動いて受け付け順になされず、下から順番を狂わせて急がせた、そこに金品が動いたという事件です。それで今回問題になったわけですけれども、実際の窓口業務が順番どおりいっていると局長はお考えですか。現状はどうでしょうか。
○香川政府委員 これは一般的に申し上げますれば、もちろん登記法には受け付けの順序で処理しなければならないということになっておりますので、これは十分守られているというふうに思うのでありますが、渋谷の出張所のような大きな出張所に相なりますと、その登記を一つの流れだけで、つまり受け付け、調査、登記簿の記入、校令というふうな一つの流れだけで処理しておったのではとうてい事件がさばけませんので、受け付けのところは一本でございますけれども、その受け付け後のただいま申し上げました各処理の行程が数本の流れによってなされるということはやむを得ないわけでございます。その場合に、結局、受け付けたものを四つなら四つの流れにそれぞれ適正に配転するわけでございますが、事件の内容によって簡単に処理できるものもございますれば、あるいは時間を要するものもあることは当然でございまして、さような意味で、一つ一つの流れにおける登記の順序は決して狂っていない。受け付けの順序で処理されていると思いますけれども、流れを比較いたしますと、結果的には受け付けの順序に必ずしもなっていないということはあり得ると思うのであります。ただ、不動産登記法はこの受け付けの順序で処理をしろというふうに言っておりますのは、つまり同一不動産につきまして受け付けの順序を狂って処理いたしますと、順位に差が出てくるわけでございまして、さような不公正なことではいかぬ、かような趣旨が最低限の要請であろうと思うのでありまして、さような意味の最低限の登記法の要請は、ただいま申しました大きな登記所においてもこれは完全に守られておる。さような関係での不正事件、同一不動産について順序を逆にしたために関係人にきわめて損害、迷惑を与えたというような事件はいまだ発生しておりませんので、その点は守られておるというふうに考えております。
○鳥居分科員 部外者応援というのがあるのだそうですけれども、部外者応援の実態について具体的に何カ所か、それから全国でどのくらいの数に上っているものか、もしおわかりにならなければ――おわかりになりますか。
○香川政府委員 実は部外者の応援によって相当の事務処理がされておるというふうなことから、昨年の五十一年の七月でございますが、全国的にどの程度の部外応援を受けておるものかということの実態調査をいたしました。これは年間を通じての調査ではございませんので、推計的なことを申し上げるほかないのでございますけれども、たとえば登記簿の謄本をコピーする作業を二時間手伝ってもらった、そういう者が四人おりますと八時間を一人というふうに計算いたしまして、全国約千五百名から千六百名ぐらいの部外応援を得ているというふうに推定いたしております。 この部外応援者でございますが、これは主として司法書士あるいは土地家屋調査士の補助者が大部分でございまして、千五、六百名のうち約九百名ぐらいが補助者であろう。残りの六、七百名が市町村等の地方公共団体の職員というふうに考えておるわけでございます。 部外応援によって手伝ってもらっておる仕事の内容でございますが、これは一番多いのが、先ほど申しました登記簿の謄本をつくるのに現在複写機によってやっておりますが、この複写作業を応援してもらうということ、そういった仕事が主でございます。
○鳥居分科員 千五、六百ということでございますから、年間推定五十万人という部外応援というのが登記事務をやっておる。私の調査によりますと、この司法書士、土地家屋調査士、その補助者の部外者応援数が一日約九百人、地方公共団体、公団等の職員、等というのは土地改良区の職員であるとか全くの民間あるいは公社職員、こういう人たちの手を煩わし、しかも数字からいくと、年間五十万という大変な皆さんが事務に当たる。もちろん複写、そういう単純な作業もあると思いますけれども、登記事件に絡む事故が大変多いですね。部外者応援による事故ということは必ずしも私どもの調査では明確にはわからないのですけれども、登記にかかる国家賠償事件をこの十年間ずっと見てみましても五十件下らない。特に最近の昭和四十六年以降五十一年までこれを見てみますと、四十六年が五十件、四十七年が五十八件、四十八年が六十七件、四十九年が六十件、五十年が四十七件、五十一年が五十一件、これは完全に紛争事件という形になったもの、そのほか法務当局が職権登記をやったという職権による更正件数、これもこのところ十年間見てみますと、特に昭和四十四年以降の七年間一万件台を下っておりません。明らかに登記事務の上での誤り、それが指摘をされ、直されたものということになるわけです。これは一体どういうことなんですか。
○香川政府委員 ちょうど四十七年、八年、九年あたりに登記事件が急増いたしまして、その間になされた登記に、仰せのとおりその処理が粗雑なものがあったように思われるのでありまして、これは結局のところ多忙をきわめるというところから一件、一件の処理に気の配りようが足りないというところから、さような間違った事件がふえてきておるということになろうかと思います。
○鳥居分科員 それで、登記事務をいろいろ見てみますと、登記の甲号事件、乙号事件の一件当たり要する時間――甲号事件、これは物権登記、法人登記等に要する時間ですけれども、一件当たり大体四十七分、乙号については約三分。それで、一人が何件一日に処理をしておるのか、こういうのもとってみました。このところ四十四年以後一日十件以上処理をしている、こういう計算も出ております。 それで実際問題、いまの登記事務の体制、今年度に限って大蔵あるいは行管に対して折衝をして、登記事務の改善のために人員を増強しなければならないと大変な数を要求されていますけれども、実際にはそういう予算措置がとられていない。きょうは主計官来ていますか。――幾人の要求に対して、この予算案では幾人になっていますか。
○香川政府委員 千三百七十二名の要求に対しまして、増員が来年度予算で認められておりますのが百九十二名でございます。
○鳥居分科員 大変な開きがあるのでびっくりいたしました。これを千葉地方法務局を例にとりまして、千葉地方法務局に、百九十二人が増員された場合、幾人増員されることになりますか。
○香川政府委員 千葉地方法務局には、来年度予定いたしておりますのが五名純増でございます。
○鳥居分科員 千葉地方法務局は本局に四十人おりまして、本局、七支局、三十一出張所、特に最近登記事務が激増している地域は流山市、この流山出張所は松戸から応援に出ておりまして、大体前年の四割事務量がふえている。こういう中で五人ふえるのです。これはもうとても焼け石に水ということになるんですけれども、また、いまのお話によりますと、千三百七十二人の要求をなさった。これは全国でどのぐらいの滞貨になっているか。法務省の資料によりますと、千葉地方法務局管内で大体五日、窓口に出てから五日たたないと謄本がとれない。また別な地域、東京法務局管内台東出張所、ここは職員数十一人、それで一日、それから大森出張所四日間、こんなような数字が出てきております。千葉地方法務局の場合五日間、これは一件当たりの処理の時間数から申しますと、一時間足らずの時間でできてしまうことで、理想的に言えば、出してその日に受け取れるというのが一番理想的です。千三百七十二人増強されますと、こういう滞貨というのはどういうふうに緩和されるのですか。なるべく簡明にひとつ御答弁いただきたい。
○香川政府委員 即日処理の体制を整える意味で千三百七十二名の増員を要求いたしておるわけでございますから、それが全部認められますれば、ただいまのところ即日処理が可能になる、かようなわけでございます。
○鳥居分科員 また法務局の実情、登記事務をやっている出張所などに参りますと、大変な老朽、狭隘、サービスの悪さ、この三拍子そろっているということなんです。非常にその点で憂慮されるわけであります。それで、そういう実情をなるべく早い時期に改善していかなければならない。また、たとえば市町村からの借り上げ庁舎が非常に多いわけです。これはなるべく早急に新営しなければならない。この営繕の問題があります。登記所の庁舎整備がおくれている、これは一体整備計画はどんなぐあいになっているのか、大蔵との折衝が円滑に運んでいるのか、その辺が心配でならないのですが、どうでしょうか。
○香川政府委員 現在、いわゆる老朽あるいは狭隘の庁舎で、ぜひとも早急に新営しなければならないというものが全国で約四百七、八十あろうかと思います。 かような結果になっておりますのは、御承知のとおり、昭和四十六年から登記所の統廃合を実施いたしまして、そのための受入庁の新営、増築等が非常に膨大になりましたために、それに該当しないところがいわば後回しになったというふうなことが大きな原因だと思うのでありますが、さような意味で、五十二年度予算におきましては、私ども大蔵当局にかような実態を訴えまして、できるだけの配慮をしていただきたいということで折衝を重ねました結果、幸い五十二年度予算編成の過程におきまして、約七十庁の新営、これは前年度に比較いたしますと、約倍ぐらいになるわけでございますが、さような配慮をしていただきまして、このようなことで新営が進むといたしますれば、四、五年の後には、いま申しましたような早急に新営をしなければならない庁が片づくわけでございます。鋭意私どもも努力をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○鳥居分科員 大蔵当局と大臣に伺いたいと思うのですけれども、たまたま起こった事件、それでいろいろ背景を調べてみました。そうしますと、行き着くところは、人員を増強しなければならないという大変深刻な課題、壁の前にぶつかるわけです。どうも法務省当局、大蔵との折衝は一体どうなっているのだろうかという感じがしてならないのです。国民に対するサービスからいきまして、滞貨がざっと五日という現状を考えましたときに、これは現状を改革する以外にない。どのように今後改革に当たられるのか、また大蔵としてどういう対応をされるのか、大蔵からまず聞いて、大臣の見解を伺いたいと思います。
○岡崎説明員 登記事務の繁忙の実態につきましては、ただいま先生からもいろいろ御指摘がありましたとおりでございまして、私ども、これにつきまして考えなければいけない柱といたしまして、二つ持っております。 一つは、いま先生の御指摘のありましたそういった繁忙化をどうやって解消に努めていくかということでございます。 あと一つの柱といたしましては、これは国全体の姿勢でございますけれども、国家公務員の定員管理を厳正にやって行政コストを下げていく、事務の効率化ということが非常に強く求められておるところでございまして、これは五十一年の八月に第四次の定員削減計画ということで閣議決定もされておりまして、これによりますれば、五十一年度末の定員をさらに今後四年間で三・二%下げていこうではないかという方針がございます。しかし、この方針を機械的に実施してまいりますれば、先生御指摘のように、国民に対するサービスというものもさらに低下していく。これは事の本旨に反するわけでございますので、国民の負託にこたえながらいかに事務の能率化を図っていくかというところに苦慮する点があるわけでございます。 そういった二つの柱を彼此勘案いたしまして、五十二年度は純増九十五名という数字で法務省とお話し合いをさせていただいて、御理解をいただいたわけでございますけれども、私どももとよりこれで十分だというふうには思っておりませんので、許された範囲内で資金的にも、事務の合理化のための機械でありますとか、あるいは特に繁忙期における事務補助職員の手当てというものにつきましてもいろいろ配慮しておるところでございまして、今後とも着実に解消の方向に向かって進んでいきたい、こういうふうに考えております。 庁舎につきましても、実態は先生御承知のとおりでございまして、これは施設費につきましても、一般の官公庁の建物につきましては、このように容易ならざる財政事情のもとでございますので、非常に厳しく努めておるところでございますけれども、サービスの窓口ということでございますので、相対的な問題ではございますけれども、特段の配慮に努めておるところでございまして、これも財政事情の許す限り御趣旨に沿う方向で努めてまいりたい。 ただ、一言お願いしたいのは、登記所というのは、非常に数が多うございまして、いろいろ社会経済事情の変化に伴いまして、都市近郊で非常に忙しいところと、時代の変化とともにややそういった意味におきましては閑散になっておるところもございまして、この点につきましては、法務当局も過去御努力されまして、先ほどもちょっとお触れになりましたけれども、統廃合ということにも努めていただいておるわけでございまして、こういう点につきましては、引き続き統廃合に努めていただきまして、人間の再配置ということによってある程度対処してもいただきたい、こんなふうにも考えております。
○鳥居分科員 大臣の答弁を聞いて終わりますから、大臣お願いします。
○福田(一)国務大臣 ただいま承っておって、まことにごもっともな御質問であると思うのでございますが、法務省としては、実は人員の問題ではかなり積極的にことしも要望をいたしたのでございますけれども、なかなか大蔵省との折衝が思うようにはいっておりません。これはまことに遺憾と存じますけれども、行政整理というような問題等もある時期でもございますので、先ほど来問答のうちにもお話がありましたように、非常に事務量の多いところと事務量の非常に少ないところとをどううまく調和をさせていって、そして事務量の多いところに人員をよけい配置して住民の要望にこたえるかというようなことも、これから積極的にやってまいらなければならないと思いますし、それからまた庁舎等々の問題につきましても、ことしは、庁舎については従前よりもかなりよけいとることにいたしましたが、しかし、それだからといって一挙に解決ができるわけでもございませんが、今後なお一層この問題についても積極的に努力をいたしまして、住民の便宜が図られるようにひとつ考えてまいりたいと存じておるわけであります。
○鳥居分科員 終わります。
○木野主査 次に、土井たか子君。
○土井分科員 先日、政府から婦人問題企画推進本部を通じまして、婦人に対する施策として「国内行動計画」が出されたのを法務大臣はよく御承知でいらっしゃると思います。これは御説明申し上げるまでもなく、一九七五年のあの国際婦人年に当たりまして世界会議が採択した世界行動計画を受けて、これからの日本政府としての政策に対しての指針をこの中で打ち出しているわけでありますが、この行動計画の中に「憲法に定める男女平等の原則を一層徹底させ」ていく、そういう点から「常に諸法制を見直し、その再検討を行う。」そのためにいろいろ書いてありますが、「引き続き、民法等関係法令の再検討を行うとともに、法的に認められた諸権利が確実かつ容易に実現されるような制度ないし手続きの整備について所要の改正を検討する。」こう述べてあるわけでございます。そこできょうは、こういう観点からいたしますと、大変問題になる現行法のあり方並びに取り扱いのあり方についてひとつ御質問を申し上げたいと思うのです。 大臣も御承知のとおり、憲法で述べられております男女平等の原則は、言うまでもなく第十四条という条文に置かれておるわけでありますが、さらにこの十四条に即応して、日本国憲法の二十四条の個所では「婚姻は、雨性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。」というのが一項でございます。さらに二項では、「配偶者の選擇、財産権、相続、住居の選定、離婚竝びに婚姻及び家族に関するその他の事項に關しては、法律は、個人の尊嚴と兩性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。」こうございます。 このことから考えてまいりまして、まずお尋ねしたいのは、日本人と婚姻関係を持っている外国人に対しての在留許可、入国許可について具体的にはどのような運用がいまなされているかという点でございます。これはおわかりになると思いますが、夫が外国人であって日本人の女性がその妻である場合と、夫が日本人であって妻である女性が外国人である場合には明確に取り扱いの上で差異がある、このことは大臣も御承知のとおりだと思うのです。たとえば外国人の女性が日本に在留しようとすると、一年ずつこれに対しては在留許可を受けなければなりません。ところが、夫が日本人である場合はこれが三年ずつの許可ということになります。その反対に、夫が日本人であることに対しての配慮が明らかにそこにあるのに反して、妻が日本人である外国人の夫である男性に対して同様の取り扱いがあるかどうかという問題については、このとおりにいっていないわけであります。こういう点は行政措置としての取り扱いに対しての是正がなされるべきだと私は考えているわけでありますけれども、どのようにお考えになっていらっしゃいますか。
○福田(一)国務大臣 御案内のように、一昨年は婦人年でありまして、われわれも大いに男女の平等という問題を推進していかなければならないと考えておるのでございまして、それについての諸施策を実現してまいらなければならないという考え方に立っておるのでございますが、ただいま御質問のありました件については、私は余りつまびらかでございませんので、政府委員から答弁させていただきたいと思います。
○土井分科員 先日来、国籍法に関して御質問するということで、国籍法ということになると、当然入管関係の事務処理等々も関係があるというふうに認識をなすって至当であると思いますが、まだ入管の関係の方がここにお見えになっていらっしゃらないので、いま何か呼びにいらしたようであります。したがいまして、大臣、これは基本的な問題ですから、別に手続の上でのきめ細かい技術論はいま不必要だと思います。こういう問題に対しての対処の仕方に男女差があるということはお認めになりますね。この男女差のあり方ということは今後やはり是正していくべきだとお考えになっていらっしゃるかどうかをまずお伺いさせていただけませんか。
○福田(一)国務大臣 私は、その取り扱いがそのように変わっておるということについて御疑問をお持ちになっておるということはごもっともなことだと思いますが、これはなぜそういうことが起きてきておるのかという何らかの手続上の問題が恐らくあったんではないかと思うのでありますが、今後は御趣旨に沿って順次是正をしていくように努力をいたすべきかと考えております。
○土井分科員 これは何らか手続上の問題があるのではないかとおっしゃるわけでありますが、それ以前の問題だと私は思うわけであります。これは憲法の十四条や二十四条から考えていきますと、昭和二十一年十一月三日以降の問題だと思うのですが、あの昭和二十一年の十一月三日に憲法が公布されたあの段階で、少なくともこういう問題に対しての取り扱いというのが憲法どおりに是正されていく、しかもそのことに努力を払われなければならない、このように思うのですが、現にいろいろ起こっております事情の中でこういうのがあるのですよ、大臣。 日本人の女性が外国人の男性と婚姻関係にある場合、外国人の男性が妻は日本人であるから当然日本への入国や在留については許されるものだと考えている場合が多いんです。ところが、入国や在留許可についてまことに厳しい条件がございまして、それに対して、妻たる日本人の女性が入管に対しておかしいじゃありませんかというふうな意見を申し述べる場合がしばしばございます。私の夫ですよ、おかしいじゃありませんかと、これは当然だと思うのですね。そういう場合に、今度入管の方ではどういうお答えをなさるかというと、あなたの夫は外国人なんだからあなた自身もその国に行ってお住まいになるのが当然だ、そういうふうな御答弁をなさるようであります。これはどういうふうな認識かということになりますと、妻は夫に従うべきもの、夫のいる場所に常に妻はいなければならない、夫が外国籍である場合はその外国において夫とともに居住すべきものである、こういう認識だと思うのですね。いかがでございます。今回の国内行動計画の基本になっておりますのは、これははっきりここにも明記されておりますとおり、大臣もよくこれは御承知だと思うのですが、「適性に対する偏見や固定的な男女の役割分担意識がまだ根強い」、このために「婦人自身の意識や行動を消極的なものにし、権利や機会の活用を不十分なものにしている。」とはっきり明記してあるのです。どうも妻は夫のもの、妻は夫に従わなければならない、こういう旧態依然たる認識というのがこの取り扱いの背後にありはしないか、こういうふうなことを私はいろいろな例を知らされるたびごとに強く感ずるわけでありますが、こういうことについて、大臣はどういうふうにお感じになりますか。
○福田(一)国務大臣 私、男女平等の原則ということについては賛成でございますが、いまあなたも御指摘になりましたように、日本においては妻は夫に従うというような古い一つの慣習があったことも、これは事実でございます。国の異なるに従いまして風俗、習慣等も違っており、また歴史が違うに従ってそういうことも違っております。そういうことがあるからといって、男女平等はその旧来の方式でよいとは、私はもちろん考えておりませんけれども、それを順次是正をしていく。理想は常に高く持っていくが、現実と調和をさせながら、だんだん理想に到達していくというような形にならざるを得ないだろう。現実の問題は、そういうふうな方向にあるのではないかと私は思います。 したがって、あなたの御主張になる男女平等の取り扱いをすべきであるという原則にはもちろん賛成でございますけれども、そういうようないままでの考え方がある程度、法制の面においてもあるいは取り扱いの面においても、何分幾分の差を生じておることもこれは事実かと思いますが、これは順次是正をしていかなければならないかと考えておるわけです。
○土井分科員 いま私が主張を申し上げておりますのは、別に高い理想ではございませんで、日本国憲法の十四条、二十四条が明記している中身でございます。したがいまして、現実が憲法よりもはるかにおくれている、まずこう認識をいただきたいと思うので、これは私は高い理想を掲げて言っているわけではない。現実の問題として、現実ある日本国憲法からひとつお考えをいただくということでなければ、日本の法体系の上で、基本は憲法でございますから、したがって、いまの法制度を維持するという点から考えても、これは現実に合わない、こうなると思うのですね。したがいまして、この点をひとつ国内行動計画の内容を実施する政府の立場としても、お取り組みをぜひ申し上げたいと思うのですが、いかがでございますか。
○福田(一)国務大臣 憲法に規定してありますが、いわゆる敗戦後におきます日本の憲法というものは改まったわけでありますから、その憲法の趣旨に沿っていかなければならないことはもう十分承知をいたしておりますが、それと先ほど私が申し上げたような現実との間に陥落があるということは、決していいことではない。だから、これを是正するためには努力をいたさねばならない、かように考えておるわけであります。
○土井分科員 それでは、先ほど申し述べましたこの日本人と婚姻関係にある外国人の在留許可やあるいは入国の問題については、男女差があるという点、ひとつ御検討願いまして、これを男女差をなくする方向でひとつ是正方をぜひお願い申し上げたいと思います。 さて、これは同じ類似の問題になると思うのですが、現行国籍法を見ますと、この国籍法の第四条で、帰化の条件がここに述べられておりますが、一般外国人の場合は、その第四条の一項で、「引き続き五年以上日本に住所を有すること。」ということになっております。引き続き五条、六条というところを見てまいりますと、日本国民の夫が外国人である場合、この外国人の夫に対しては引き続き三年以上日本に居住するということがこの帰化の条件になっております。ところが、ここで大臣、日本国民の男性が外国人の女性を妻にした場合、この妻である外国人の女性の日本における居住歴は要らないんであります。日本に現住するということだけで帰化が認められるということに、いまの国籍法からずっと見てまいりますと、なるわけであります。これは妻と夫というふうな立場で緩和条件に明らかに差がある。つまり、日本国民が外国人と結婚する場合、日本の男性が外国人の女性と結婚する場合と日本の女性が外国人の男性と結婚する場合とでは大変にその緩和条件に差がつけられているわけであります。これもまた妻は夫に従うものであるという旧態依然たる思想というものがこの背後に、国籍法の中にはあるのではないか。こういうことがかねてより言われ続けてきて、なおかつこの国籍法の中身に対しては手が加えられないで今日に及んでおりますが、大臣もご存じのとおりに、先年国際婦人年ということを機会に民法の七百六十七条、離婚によって妻は婚姻前の氏に復するというあの条文が改正になりました。この国籍法に対して、やはり同様の意味をもって考え直さなければならないと思うわけでありますが、この帰化の条件について大臣はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
○福田(一)国務大臣 私は、原則としては、もう当然平等でなければならない。世界共通人といいますかコスモポリタンというような物の考え方で世界じゅうがそのようにされれば、これは問題がなくなるわけでございますけれども、やはり国があり、そこに境界があり、またそれぞれの国々がございまして、そして違った法制をとっておるところもございます。日本も順次それは是正をすることには異議がございませんが、いままでの状況あるいはまた経済的な問題、社会的な問題等もあって、一挙にそこまでいけるかどうかというようなことも一応検討をいたしてみる必要があるのではないかと私は考えておるのであります。
○土井分科員 外国の例で申しますと、属地主義、属人主義、いずれもあるわけでありますが、日本の場合はこれは厳密に言いますと、属地主義でも属人主義でもございませんで、男子主義と言えば私は言えると思うのですね。どうも男子本位に物を考えておりまして、父系血統主義なんであります。血統主義ということから言うと明らかに男子血統主義であります。外国に持っていって通用する例ではこれはないのではないかと、私は今日ただいまそういうふうに認識をしているわけであります。 たとえばここに私はアメリカの日本人向けの移民査証申請者のための説明書というものを持ってまいりましたが、この中では男性と女性とを別取り扱いして、しかも差別を設けて男子本位に物を考えているということがみじんもございません。その表現は、男性の場合にはこうだ、女性の場合にはこうだという表現は一切なくて、配偶者という取り扱いでやっています。男女いずれの場合も、男性であれ、女性であれ、配偶者であるという、その社会的関係というものを念頭に置いての取り扱いをここにしているわけでありますが、日本の場合も、こういう場合には配偶者主義でいいのではないか。配偶者という取り扱いでいいのではないか。男性の場合にはこうなんだ、女性の場合にはこうなんだ、なぜこんな差が設けられているのかというので、どこをどう突っついて考えていっても、やはり旧態依然たる男子中心主義、半封建的家族制度という旧民法の旧態依然たる影をここに見るわけであります。 これは法務大臣、ひとつ法務大臣時代に、こういう点についても基本的に検討を加えていただきまして、国内行動計画、せっかくこれを出されているわけでありますから、これに対して一歩を踏み出すという意味からしても、やはり現行法の中でひとつ基本的にそれにそぐわない点は考え直してみる、そして改正を検討する、こういうふうにお願いしたいものでありますが、いかがでありますか。
○福田(一)国務大臣 検討させていただきます。
○土井分科員 さらに、これは婚姻関係について申しましたが、親子関係となるとこれは切実な問題があると思います。特に母親の立場からすると、子供に対しての取り扱いがどういうふうに取り扱われるかという問題は非常に切実な問題があろうと思いますが、国籍法の、これは同じく第二条、第二条を見ますと、「子は、左の場合には、日本国民とする。」とありまして、その一に「出生の時に父が日本国民であるとき。」二に「出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であったとき。」どこまでも父が続くわけであります。三に「父が知れない場合又は国籍を有しない場合において、」初めてここで母が出てくるのです。「母が日本国民であるとき。」こうくるのですよ。したがいまして、子供の国籍については、父親が日本国籍を有している場合には日本国籍を取得できますが、日本の女性が外国人の男性と結婚したときにその子供の国籍はいずれかというと、いまの日本の国籍法からすると日本国籍は取得できないというのが原則なんです。 それで、いろいろな例がこれについてはございますけれども、どうも外国におって、つまり夫の本国にいてそこから子供を連れて自分の母国である日本に日本の女性が里帰りする節、その女性は日本国籍を有している女性でありますから、したがいまして入国に対して問題は何もない、そして日本において居住することについても問題はない。ところがその子供については、入国手続から在留手続から、いろいろとこれもまことにむずかしい手続を必要とされるわけなんであります。特に就学期の子供について学校の問題であるとか、あるいは就職期の子供について就職の問題などを考えてまいりますと、これは親子関係からしていまの国籍法のあり方というのは、母と子の関係において非常に問題が多い。この点なども大臣としては検討を進められまして、改正の方向に取り組まれるようにひとつしかと申し上げたいと思うのですが、いかがでございますか。
○香川政府委員 実務的なことでございますので私からお答えいたしますが、これはおっしゃる趣旨は、父または母のいずれかが日本人であれば、その子供は日本国籍を取得するということにしたらどうか、こういう御趣旨だと思うのでございますが、わが国は、先ほどおっしゃいましたように父系主義をとっておる。現在、父、母、いずれかがその国の国籍を持っている場合に子供が同一の国籍を持つというようにいたしておりますのは、メキシコとフランスとドイツ、三カ国でございまして、そのほかの国は、さような意味でのいわゆる平等主義をとっていないわけでございます。 これは父を基準にするかあるいは母を基準にするかというところはしばらくおきまして、二重国籍が生じますと非常にいろいろの問題で困るわけでございまして、さようなところから父系主義をとるかあるいは母系主義をとるかということの選択があるわけでございます。わが国は前者の父系主義をとっておる、この点、現実の問題といたしまして、わが国の国籍法のあり方としてこれを完全に母系主義に変えるということは、なお慎重に考えなければならぬ問題ではなかろうか。 それから、形式的にと申しますか男女の平等をというふうなことから、先ほど申しました三カ国のように、父または母が日本人であればその子供は日本人というふうにするのは、二重国籍のいろいろのむずかしい問題を解決いたしませんと、容易にさようなことにはいたしかねるというふうに現在考えておるわけでありまして、この問題はなお慎重にひとつ検討したいと思います。
○土井分科員 これは二重国籍を取得するといろいろと不便があるので、したがって、あらかじめこれを是正するために父系主義を日本はとっているがごときいま御答弁でございました。二重国籍の問題は別じゃありませんか。二重国籍を取得するという状態になれば、それはその時点で自主的にいずれの国籍を取得するかということは選ばせればいいわけです。選択をさせればいい。日本国憲法の中でも、国籍離脱の自由というのはあるわけでありますから、そういう点からすれば、そういう権利というものを保障するという意味においても、二重国籍を取得した上で考えれば済む問題です。あらかじめ二重国籍を取得することをいかに避けようかということで、無理に父系主義を日本においてとるといういわれはどこにもないと私は思うのです。 むしろこういう点から言うと、子供の国籍について考えるならば、父親、母親いずれの国籍でも選択できるということにするのが基本じゃありませんか。そうして父、母いずれかが日本国籍を持っている場合には、日本国籍は取得できるのだという方向で選択ができるということを用意しておく必要があるのではないかというふうに思います。先年、民法の氏の改正が問題にされた節にも、もう一度もとの氏に戻るかいずれかは本人の自主的判断でありまして、必ず戻らなければならないということを命じていた方に問題があったのです。したがいまして、戻るか戻らないかということは自主的に自分でいずれかを選択するという方向で改正されたというのは、私たちは一歩前進だと考えている。そういう意味において、この問題だって、やはりいずれを選択するかということは余裕として考えていいんじゃないですか。法の改正の方向から考えると、この点はやはり一歩前進としてぜひ取り組まなければならない問題だと思いますよ。いかがですか。
○香川政府委員 例で申し上げますとおわかりいただけると思うのでありますが、たとえば日本人女と外国人男の間に生まれた子供を日本の国籍法で日本人とするというふうにいたしました場合、その外国人である夫の本国法によれば、その国は夫である自国民の子供は当該国の国民だ、かように扱うことになるわけでございまして、さような意味で二重国籍が生ずる、こういうふうに申し上げたわけでございます。したがって、選択させればいいじゃないかということに相なりましても、生まれたばかりの子供が選択するわけにまいりませんから、そこで父と母とが相談して子供をどこの国籍にするかということを決めることに選択ということをおっしゃるのだろうと思うのでありますが、そのことを相手国、夫の国の本国法が認めてくれなければ、わが国の法律としてはいかんともしがたいわけでございまして、つまり国籍はその人とその国の間の問題でございます。だから夫の本国法におきまして、外国人との間に生まれた子供の国籍の選択は、その外国人である妻と本国人である夫との協議によって決めていいというふうに外国の法律でなされますれば、おっしゃるような選択が可能になるということに相なるわけでございますけれども、さような選択を認めている国は現在ございません。
○土井分科員 日本の法律というのは外国の法律に従って考えていくわけでありますか。日本の国内法というのはあくまで日本国憲法に基づいて考えていかなければならないという、私は基本態度を持っております。これは万国共通の原理だろうと思う。外国の法律に従って日本の法律を考えるなんということは、どこに持っていったってそんなもの通用する原理じゃありませんよ。いまの国籍法の問題は、なるほど技術論から言うと衝突を起こす場合だって出てくるでしょう。しかし、そのことは、いま現行法として認めている日本国の国籍法の第二条にある男子中心主義、男系主義、この問題を、男女いずれを問わず日本国籍を父母たる者が持っている場合には日本国籍を有することについて選択ができるという方向で規定をすることは、何ら、衝突を起こすときにどこまでもしこりになるとは私は思わない。こういう方向での改正というのは可能ですよ。このことに対しての努力は手をこまねいておいて、外国の国籍法と衝突を起こすから、外国の国籍法の関係から考えて日本の国籍法を動かすわけにはいかないという姿勢は、私はまことに間違いだと思うわけであります。 先ほど来法務大臣は、現行法について考えてみた場合に、憲法が言うこの男女平等の規定から、また今回の国内行動計画の基本施策の内容から、手直しをしなければならないと考えるものは検討するとおっしゃいました。そういう観点からすれば、やはり私は、この国籍法の二条に言うところの「出生による国籍の取得」に対して、子に対する親権というあり方からして、父親である場合、母親である場合、子に対して差が出てくるという問題は、どこまでも私は問題だと思います。法務大臣、先ほどの御答弁のとおりこの点もひとつ検討を加えていただくように申し上げたいと思いますが、いかがでございますか。
○福田(一)国務大臣 私は、政府委員も答弁をいたしておりますが、いろいろの国によって法制の相違がある程度存在することは土井さんも御承知だと思うのでありますが、そこをどう調和させてうまく男女平等が実現できるかということについて検討しろという意味のお考えであると思いますから、検討をさせていただきたい、かように申し上げておるわけであります。
○土井分科員 最後に一言申し添えさせていただきたいのですが、外国の国籍法との調和、これは大事な要件でございましょう。しかし、日本においては、いまこういう問題を考えていく場合の基調になるべきは、やはり再三再四申し上げるとおりに、あくまで憲法なんでございますから、そういう点からいたしますと、この男女平等という点に従って、男性に対してと女性に対してとの取り扱いが法制上非常に違う、しかもそれに対しては何ら合理的な根拠がないというふうな場合には、これはやはり手直しを必要とする問題にどうしてもなってくるわけであります。本日お伺いする限り、外国の国籍法と衝突を起こす限りにおいて日本の国籍法のその部面は、男女平等という観点からすると一定の制約を受けるがごとき御答弁でございますけれども、しかし、これもあくまで平等の本質に立って考えていくということがどうしても日本の国内法としては望ましい。そうでなければ、日本の国内法として憲法の趣旨に従った考え方とは言えないだろう。このことを私は強調いたしまして、終わりたいと思います。
○木野主査 次に、上田卓三君。
○上田分科員 上田です。 私は、総理の国会での発言にもありますように、現在の日本の社会に歴然として存在する忌まわしい部落差別の解消について、特に昭和四十年の八月に出されました同和対策審議会の答申では、同和問題は人類普遍の原理である自由と平等に関する基本的人権にかかわる重大な社会問題であると述べられておるわけであります。そういう観点に立ちまして、いま全国の未解放部落仲間、また全国の労働組合や民主的な諸団体や多くの自治体、宗教界にまで及ぶところの広範な世論が、石川一雄君は無実である、狭山裁判取り消し、断固直ちに釈放せよという、大きな闘いが巻き起こっておるわけであります。この問題につきまして、わずかな時間でありますが、法務大臣の考えをただしたい、このように思うわけであります。 その前に、去年からことしにかけて世間を騒がしておりますところの「部落地名総鑑」、あるいはそれを購入した差別企業に対する糾弾闘争が大きく展開され、二日の予算委員会一般質問でも私が取り上げたわけでありますが、法務大臣は御欠席であったわけであります。この闘いをさらに大きくわれわれは闘い抜いていく、後日、委員会でもこの問題について法務大臣の見解をただしたい、このように思っておりますし、また同時に、法務省が現在入手しておるすべての地名総鑑の資料の提出を求めておりますので、早急に出していただきたい、こういうように思うわけであります。 また、先般の内閣委員会での社会党の前衆議院議員であります和田貞夫氏の質問の中で、安原刑事局長が、部落問題を人種差別だという重大な差別発言をいたしておるわけであります。安原刑事局長は近く栄転するというようなことも聞いておるわけでありますが、このような差別者をいまだに置いておくということに対して、私は腹立たしい怒りを持っておるわけであります。これにつきまして後日の委員会で徹底的に追究することをまず冒頭に述べておきたい、このように思うわけであります。 さて、いわゆる狭山事件とは、昭和三十八年の五月一日に中田善枝さん、当時高校二年生でありますが、行方不明になる、そして四日には死体となって発見されるという非常にいたましい事件であります。その前には吉展ちゃん事件があり、捜査当局が犯人を取り逃がすということで世論の反撃を買ったやさきだけに、またまた犯人を取り逃すということで、世論が警察は何をしているのかということで、国会でも大きく取り上げられたことは事実だ、こういうように思うわけであります。 ところが、善枝ちゃんが変死体、いわゆる死体となってあらわれた二日目に、中田善枝さんの元小作人であるところの奥富玄二がいわゆる空井戸に身投げをして、自殺というような形で判断されておるわけでありますが、この奥富玄二は血液型はB型でございまして、中田善枝ちゃんが死体となってあらわれ、その体内にあるところの精液を調べると犯人はB型であるということで、そういう意味では奥富玄二が犯人ではないかというようなこともささやかれたわけであります。 ところが、この事態に対して当時の国家公安委員長であります篠田さんが、犯人を生きたままつかまえなくて残念だ、こういうような発言をいたしておるわけであります。その後においては、何が何でも生きた犯人をつかまえろというような形で、狭山市内にある二つの差別部落を集中的に警察、検察が見込み捜査をして差別的な捜査をしたということは、社会党の各国会議員からも各委員会でるる説明のあったところだ、このように考えておるわけであります。特に菅原二丁目と柏原の二つの部落に対して、百二十人の部落の青年が集中的に捜査を受ける、こういうようなことが起こっておるわけであります。そういう意味で、他の一般部落でこのようなことがなされているのじゃなしに、本当に差別部落においてなされているということは、部落の青年ならやりかねないという予断と偏見、そうして世間にあるところの差別意識を利用した、全くそういう利用性に富んだ捜査であることは言うまでもない、このように考えておるわけであります。 特に、犯人が使ったと見られるスコップが、いわゆる石田養豚場から紛失したものであるということから、それに出入りする差別部落の青年二十人が取り調べられ、その中から別件逮捕で四人を取り調べ、ついに石川君を不当にも逮捕するという形の中で自白をさせて、一審においては死刑の判決。一審が終わって二審の段階で、おれは無実だという形で石川君はいまだに十四年間、獄中からこの裁判の差別性、そして、私は無実だという形でいまも牢獄の中で闘っておることは、法務大臣もすでに御存じのことだろう、こういうように思うわけであります。 さて、最近、戦前戦後の幾つかの殺人事件について再審開始がなされておるわけであります。金森老人事件もしかりであります。また財田川事件、加藤老人事件、弘前大教授夫人事件などもそうであります。 このことは、最高裁第一小法廷が白鳥事件判決の中で指摘した、疑わしきは被告人の利益にの原則は、再審事件においても妥当性を持つものであります。したがって、判決確定後の新証拠であっても、これを当時の事件でしんしゃくして総合判断していたとすれば無罪の結論となったときには、再審開始を決定すべきであるとの考え方が、ようやく司法実務に定着しつつあると言えると思うわけであります。 同時に、無実の被告人が無実を証明するために一生を犠牲にした事実、死刑執行の危険にさらされていたことを示しておるわけであります。さらに、この人たちが冤罪に陥れられるについて、必ず捜査官憲による不正捜査、証拠の捏造とかあるいは自白の強要が行われたことを示しておる、このように思うわけであります。そういう点で本当にこの弘前事件一つ見ましても、血痕の問題についても非常に偽造がなされたということが明らになっておるわけであります。これと同じことが狭山事件についても明らかになっておる、われわれはそのように考えておるわけであります。幾つかその例を列挙しまして、最後に当局から御答弁をいただきたい、このように考えております。 まず、石川一雄君の自白によって発見されたと言われるところの三物証の一つとされているところの万年筆でございます。この万年筆が被告人石川君の家族の自宅から発見、押収されたのは三十八年の六月二十六日、第三回目の家宅捜索の際であります。第一回目は石川一雄君を逮捕した五月二十三日、捜査員が数時間にわたりいずれも二十数名で天井裏をのぞいたり、便所のつぼの中をかき回すなどして、徹底的に調査しておるわけであります。三回目は小島警部ら二、三人の捜査員が出向き、直ちに勝手口上のかもいの上から万年筆を発見、押収したということになっておるわけであります。二回も二十数人の捜査員が小さな家を家捜ししながら出てこなかったものが、三回目にはすぐさま勝手口上のかもいから、石川君の兄さんに、あそこに万年筆があるからとってごらんという形で、本当は証拠の指紋のつかない形でとらさすのが当然であるにもかかわらず、そのままの手でとらさせておる。これらの指紋についてもいまだに明らにしていないということが大きな問題ではないかと思います。このかもいの高さは百七十五・九センチで、奥行きは八・五センチでありますから、身長百七十センチぐらいの人であれば五、六十センチ離れたところからでもすぐ見えるところであるわけであります。そういう意味で、われわれは何としてもこういう万年筆の発見というもの自身に非常に勝手な検察当局の陰謀というのですか、でっち上げというものがわれわれは感じられるわけであります。 ちなみに、この三回目の捜査で万年筆が発見される数日前に関源三という巡査が、これは後にも先にもそれ一回切りなんですけれども、勝手口から家の中に勝手に入ってきておるわけでありまして、恐らくこの関源三がその万年筆をかもいに置いたのではないかというような疑いがあるわけであります。 また、その善枝ちゃんが持っておったという万年筆、それが石川君の家のかもいから出てきたわけでありますが、この万年筆の中のインクに大きな問題があるのではないか、このように私は思っておるわけであります。科学警察研究所の鑑定結果によると、石川一雄さんの自宅から押収された万年筆はブルーブラックインクが入っていたということになっているわけであります。ところが、被害者の中田善枝さんが使用していた万年筆はライトブルーインクを使用しておったということが明らかになっておるわけであります。ここに善枝ちゃんの日記があるわけでありますが、これ法務大臣見てもらったらわかりますが、ライトブルーで書かれておることが明らかであります。そういう点で、本当に犯人がとったと言われる万年筆から出てきたのがライトブルーじゃなしにブルーブラックということで、全然インクの質が違うということが明らかになっておるわけであります。 特にライトブルーのインクを使っておったということは、たとえば善枝ちゃんが行方不明になった五月一日、それは学校でペン習字があったわけでありますが、そのときに習字の先生の講師であります小谷野憲之助氏がそのことを述べておる。行方不明になったその当日の朝のペン習字の時間にもライトブルーを使っておったということになっておるわけでありますから、この万年筆が全く善枝ちゃんの物でないということが明らかではないか、このように思うわけであります。 次に、筆跡でございますが、筆跡につきましては、やはり石川一雄君は被差別部落の出身者であるということから、差別の結果、小学校の教育さえ満足に終了することができていないわけであります。ほとんど文盲に近い状態で社会に出ております。たまたまくつ屋に住み込んで働いているときに、その家人にひらがなの練習をさせられたことがあったくらいで、ほとんど物を書いたことはなく、また新聞などを読むことはほとんどできなかったわけであります。 石川一雄さんの当時の筆記能力の程度は、逮捕直前の上申書を見れば、ここに上申書があるわけでありますが、よく理解することでありますが、一言で言えば小学校の二、三年生程度であったということができる、このように思うわけであります。しかるに脅迫状は、たとえば学習院大学の教授の国語学者であります大野先生、また元京都の教育委員会の指導主事で国語の先生であります磨野先生らによれば、その文章構成能力あるいは文法知識、書き取り能力のいずれを見てもかなり高水準であり、義務教育課程以上のものであり、こうした点から見て石川一雄さんがこの脅迫状を書くことは、何よりも能力的に見て無理であるということを言っておるわけであります。ここにありますので、一回法務大臣は篤と見ていただいたらありがたい、こういうように思います。委員長、ちょっと見てもらってください。――ちょっと見てください。この日記も見たらわかりますよ。 次に、手ぬぐいの問題であります。手ぬぐいの問題も大きな疑点があるわけでありまして、善枝さんの死体の両手首を後ろ手に縛っていた日本手ぬぐいは、五十子米店が前年の暮れに百六十五本注文製造させ、その年の正月に得意先に配布したものであります。捜査当局は五月四日の死体発見後多数の捜査員を動員して、手ぬぐいの配布先を回らせ同じ手ぬぐいを回収させました。捜査は、五十子米店の主人が作成した配布メモ四枚に基づいて行われたわけであります。最終的な担当検事の集約によりますと、百六十五本のうち有効に回収できなかったのは七本で、その中には石川一雄さんの姉婿の石川仙吉方に一本、石川一雄さんの隣の家の水村しもさんの家に一本、計二本が含まれているわけであります。石川一雄さんがそのいずれかから手ぬぐいを一本入手して、この事件の犯行に及んだものと推定されておったわけであります。 しかし、昨年八月最高検から証拠開示を受けて改めて弁護団が調査したところ、未回収数は七本ではなく八本であります。そして五十子メモによりますと、配布していて回収されないものは、前の石川仙吉、それから水村しも以外にちょうど八人いること、メモには種々の書き加えや訂正がなされておるわけであります。これは警察、検察が後から加筆しているということで重大な問題だ、こういうように思うわけであります。メモの記載上疑問の余地のない新井宗助とか五十子福二の二名が、なぜか滝沢直人検事が作成した配布先一覧表から抹消されているということですね。意図的に抹消されておるわけでありまして、これはミスということではないと私は考えておるわけであります。それにかえて、メモの集計記載の検討結果からは不合理と思われるところの石川仙吉、水村しもの二名が書き加えられている。なかったやつが書き加えられているということが明らかになっておるわけであります。つまり捜査が密室で行われているという点を利用して、本来のメモにいろいろの工作をし、しかも集計に当たってはメモの内容の一部を都合のよいようにカットし、あたかも石川一雄さんの親族や隣人が二人も手ぬぐいを未提出であるとして、石川さんの犯人性を証明したものではないか、このように考えておるわけであります。 そもそも、石川一雄さんは何らかの直接的、具体的証拠があって逮捕されたものではなく、犯行現場に比較的近い石田養豚場に以前に勤めていたことがあったこと、事件当日ここから残飯用のスコップが一丁盗まれたが、事件後十日ほどして養豚に使用していたと思われるスコップ一本が死体現場付近の畑の中から発見されたこと、この二つが石川さん逮捕の大きな根拠となっておるわけであります。 死体現場の百二十四メートルのところにスコップが落ちておったわけでありますが、そこに二つの足跡があったにもかかわらず、石川君の起訴後この足跡をなくしてしまっているということは、何としても腑に落ちないところであります。また、スコップが発見された畑は、事件後多数の捜査員によって何回も調べ尽くされた場所であって、これが見落とされていたとは全く考えられないと私たちは考えております。スコップの付着土壌が死体現場の土壌と同一であるとの捜査官の鑑定は、和光大学の生越教授の再鑑定によって否定されておるわけであります。右のスコップを石田養豚場から盗み出されたスコップとすることは間違っているのであり、また、養豚場に飼っている犬にほえられずにスコップを盗み出せる者は、ここに常時出入りしていた者であると捜査当局は考えておるわけであります。そのことから石川君だという断定をしておるわけであります。しかし、この養豚場の横に管理人宅がありまして、そこにいた戸門クラさんが、ちょうどその晩の十時ごろ犬がほえておったという証言をいたしておるわけであります。 そういう点で、やはりわれわれは、戸門クラさんの供述を無視して、予断と偏見を持って死体現場付近のスコップを石田養豚場のスコップと断定し、石田養豚場出入りの者の中から石川一雄君一人を割り出して、そしてたまたま血液型がB型であるということだけで、あえて検挙し、有罪の世論をあおったということは、われわれは何としても認めるわけにはいかない、こういうように思っておるわけであります。 そこで、法務大臣に聞きたいわけでありますが、憲法第十三条で「すべて國民は、個人として尊重される。」こう言っておるわけであります。また、疑わしきは罰せずということにもなるわけでありますが、無実の人間が有罪とされてはならないことは憲法の基本原則とわれわれは考えておるが、その点についてまずお答えを願いたい、このように思います。
○福田(一)国務大臣 ただいま御指摘のあった、憲法の基本原則を守らなければならないということについては異議はございません。もとより当然だと思います。
○上田分科員 疑わしきは被告人の利益にという原則があるわけでありまして、裁判の原則であるだけではなく、捜査の原則でもあろう、このように思うわけであります。捜査における人権尊重が狭山事件でこれだけ乱暴に踏みにじられたことをあなたはどう考えるか、ひとつお答え願いたい、このように思います。
○福田(一)国務大臣 裁判がいま行われている段階におきまして、法務大臣として事実の認識その他まだ十分ではありません。また、それについて法務大臣が意見を述べるということは穏当を欠くと思いますから、差し控えさせていただきたい。
○上田分科員 私は裁判の問題を言っているのじゃなしに、捜査段階での捏造というもの、でっち上げというものをわれわれは問題にしているわけでありまして、私は裁判の問題を言うなら裁判所の分科会で発言するはずでありますから、その点はひとつ法務大臣の責任においてこの問題を明らかにされたい、このように思うわけであります。 特に、先ほど申し上げました万年筆、それから手ぬぐいの捜査の不正について、その捜査担当者に対してどういう措置をとるのか。これはもう事実関係でありますから、ひとつその点については、後日、私は必ず法務委員会で追及しますから、参考人として出頭させて事実関係について明確にさせたい、このように思いますが、その点についてひとつお答えを願いたいと思います。
○福田(一)国務大臣 事件の取り調べその他が行われておる段階におきまして、その捜査に当たった人間を呼び出していろいろの質問応答をしたり認否を確かめるということになりますと、これはちょっと国会が裁判所と同じような仕事をすることに通ずるのではないかと思うのでありまして、これは一応検討をさせていただきたいと思います。
○上田分科員 国会は裁判所でないことはよくわかっておるわけであります。しかし、現実に石川一雄君が無実だと言っているだけではなしに、あなた方の方から証拠が開示されて、われわれは百余点にわたってその要求をしたわけでありますが、そのうち四十八点が開示され、その中で物証その他の、先ほど私が申し上げた中で、やはり事実を誤認しているじゃないかという形でわれわれは問題を明らかにしておるわけでありますから、そういう点で狭山事件の捜査全体を弁護人の指摘に基づいて根本的にやり直すということが私は非常に必要なんではないか、こういうように思っておるわけであります。 特に、法務大臣、この石川一雄さんは無実の身であるのに、冤罪のためすでに十四年間勾留されているということは、われわれはこれは非常にけしからぬ、差別であり、ゆゆしき人権侵害であるというふうに考えておるわけであります。 そういう点で、法務大臣は検事総長に命じて、いわゆる勾留の取り消しを直ちに最高裁に請求してもらいたい、いわゆる指揮権発動をしてもらいたいということを私はいま申し上げておるわけであります。そういう点について法務大臣はどのように考えているか、ひとつお答え願いたいと思います。
○福田(一)国務大臣 具体的な刑事事件の問題について法務大臣がとやかく意見を述べることは、いわゆる司法行政という立場からいって穏当を欠くと思います。 一般論として、その誤認が行われておるということはけしからぬではないかということについては私は理解はいたしますけれども、この問題を具体的な問題に結びつけて、そうしてその穏当性あるいは違法性等をここで明言せよとおっしゃっても、それは私の立場では差し控えさせていただきたい。
○上田分科員 いずれにいたしましても、証拠がぼちぼち開示されて、狭山事件の差別性、でっち上げ性というものが明らかになりつつあるわけであります。そういう点で、やはりまだまだ全証拠あるいはリストがすべて明らかにされておらないわけでありまして、とりわけ差別見込み捜査の、本当に部落差別にかかわるそういう捜査の調査結果というものについて、われわれは直ちに明らかにすべきではないかということで、最高検に要求をいたしておるわけであります。特に、前の佐藤刑事部長なり大堀主任検事は、弁護団に調査を約束いたしておるわけでありますが、調査は果たして進んでおるのか、調査結果を公表していただきたい。 ただ、私が申し上げるのは、きょうは最高検の検事総長に出てもらいたいと言っているにもかかわらず、前例がないという形で来てないということは非常にけしからぬ。前例というものはつくるものであって、前例がないという形で私の質問に対してそういう関係者が来ないということについて非常に不満であるわけでありますが、その点についてひとつお答え願いたい、このように思います。
○安原政府委員 具体的な事実の問題でございますので、私からお答えをいたします。 上田委員御指摘のように、証拠開示の要求が弁護人からございまして、検察当局としては、被告人の防御権の行使のために必要欠くべからざるもので証拠隠滅等のおそれのないものについては、できるだけその開示の御要求に応ずるということで、先ほど御指摘のように、一部については御開示申し上げております。それで、その他につきましてまた御要求がございましたので、ただいまその点の検討を進めておる段階でございます。
○上田分科員 早急にあと残りを全部出していただきたい、こういうように思うわけであります。 そこで、昨年の一月二十八日に弁護団の方から上告趣意書が最高裁へ出されておるわけであります。それに対して、聞きますれば、検察当局がいわゆる答弁書なるものを当然つくっておるものだと私たちは思っておったわけでありますが、その答弁書をつくっていないというようにも聞いておるわけでありますが、それは一体なぜなのか、あるいはつくっておるならつくっておるということで、ひとつ御答弁をいただきたい、このように思います。
○安原政府委員 先ほど御指摘のように、七つの新たな鑑定というような点を中心にした上告趣意書が出されて、そのことにつきまして最高検察庁当局で慎重に検討しておることは聞いておりまするが、ただいま御指摘の上告趣意書に対する答弁書を出すとか出さないというような決定をしたということにつきましては、報告を聞いておりません。
○上田分科員 その点について篤とひとつ検察当局に問い合わせをして、当然この問題は重大な問題でありますから、最高裁において直ちに口頭弁論、そして事実審理を行うべきだ、このように思うわけであります。そういう点で堂々とひとつ最高裁でシロ、クロを――法務大臣はやはりそういう意味で慎重に最高裁でこの狭山裁判を決着をつけるように言うべきだと私は思いますし、また同時に、公正な裁判が行われるために法務大臣は検察当局に、すべての証拠を開示する、あるいは、上告趣意書を出されておるわけでありますから、それに対する答弁書というのですか、そういうものがちゃんと用意されてしかるべきだ、このように思いますので、その点で、刑事局長、後からしゃべってもらいますけれども、先に法務大臣からお答え願いたいと思います。
○福田(一)国務大臣 すでに上田さんもおわかりかと思いますが、法務大臣は検察の面については監督もいたしておりますけれども、裁判所は独立をいたしておるわけでございまして、最高裁が自分のその権限において公正にこの問題を取り扱っておると私は存じております。私の直接の所管ではないので……(上田分科員「検察当局に対して」と呼ぶ)検察は先ほども刑事局長からもお答えをいたしておるとおりでございます。
○安原政府委員 答弁書を出す出さぬの問題は、早速調べまして御連絡を申し上げたいと思います。 それから、口頭弁論を開始するかどうかは、これは最高裁判所の判断でございまして、私どもがお約束するわけにはまいりません。 それから、検察当局に対する法務大臣の指揮の問題でございますが、指揮監督をされる法務大臣としても、具体的な事件でああせい、こうせいと、言うことは、権限はございまするが、そういうことをしなくとも、検察、検事総長は法務大臣の一般的な指揮監督のもとに、人権の尊重をしながら事案の真相をきわめるというのが刑事訴訟法のたてまえでございますので、そのたてまえに従って行動するものとかたく信じておられる次第でございます。
○上田分科員 非常に不満でございますが、時間も来たようでございます。この問題については、私も部落解放同盟中央本部の中央執行委員をやっております。そういう関係で、わが党の代議士からも各委員会でもあると思いますが、私、中心になってこの問題を徹底的に追及することを申し上げまして、私の発言を終わりたいと思います。
○木野主査 次に、渡部行雄君。
○渡部(行)分科員 私は、国土調査法に基づく調査結果を原因として土地所有者の住所変更がなされた場合、それによって所有権登記名義人表示変更の登記がなされる場合の登録免許税に関する問題についてお伺いいたします。これは本来、大蔵省あるいは国土庁にお伺いすべきものと思いますけれども、事、登記の法律上の体系と論理に関するものでありますので、あえて法務省にお伺いする次第でございます。 すなわち、国土調査の成果についてでございますが、国土調査法第二十条の規定と国土調査法による不動産登記に関する政令で登記が義務づけられておるのでありますが、ここで問題なのは、同法第二十条第二項の後段の、「所有権の登記名義人の表示の変更の登記をし」云々とあるところの法の解釈と運用についてであります。 現在まで法務局では、この所有権の登記名義人の表示変更の登記というものを、登記簿の甲区事項欄に所有者として木登記されている者の氏名、住所に変更または錯誤があり、かつ住民票の記載が改められているにもかかわらず、登記簿上の記載が改められていない場合に、その旨の国土調査が行われている場合に行う、こういうような立場での取り扱いがなされてきたわけであります。しかし、このことを考えてみますと、前段の土地の表示に変更がなされた場合は、登記官の職権で簿冊のとおりに土地の表示に関する登記がなされるわけであります。そこで、この土地の表示の変更が宅地に及んだ場合、それに基づいて市町村役場では住民基本台帳の住所の変更をして、その原因に何年何月何日国土調査によると記載されるわけでございます。そこで、この国土調査と所有者の住所の変更はまさに一体をなすものであって、切り離すことはできないと考えるわけでございますが、まずこの点についてひとつお尋ねいたします。
○香川政府委員 国土調査法のたてまえといたしましては、一筆調査、つまり何番の土地の現況はどうなっておるかということの調査がされるわけでございますので、したがって、理論的には直接その地番の変更というふうなことは法律上も規定いたしていないわけでございますけれども、御指摘のとおり、実際の国土調査事業におきましては、錯雑している地番を整序するというふうなことで、国土調査の際にあわせて地番整理的なことをやっておるわけでございます。したがって、現実の問題といたしましては、一緒にやっておるという関係に相なろうかと思います。
○渡部(行)分科員 法律上は確かに、別だと言えば別にも考えられるわけです。それは登記官が地番の訂正権を持っておる、いわゆる国土調査法に基づく調査によってできた地図及び地番は、それはあくまでも仮のものであって、それを登記官が地番変更したときに初めて本物になる、そういうことでございます。しかし、それで終わるなら法律上別々だと言っても差し支えなかろうと私は思うのですが、しかし、それはそのまま放置されないで、今度はそれによって住民基本台帳の住所が変更される、こういうことに相なれば、これは当然土地の表示の変更と、そしてそれに基づく住所の変更というものは連動しておるので、これは切り離せないのではないか。もしこれが連動させない、住所は住所だ、こういうならば話は別でありますが、その点についてお伺いいたします。
○香川政府委員 お説のとおり、ある人の住所が地番で表示されています場合に、国土調査によってはもちろんでございますが、そのほかの事由によってその土地の地番が変わりますれば必然的に住所の表示も変わる、そういう意味では連動しておるということになるわけでございます。
○渡部(行)分科員 連動しておるということははっきりといま認められましたから、しからば、国の行政の一つの効果としてそういう変更の事態ができたとすれば、当然これはその終末まで国が処理する責任があるのではないか。それを住民の負担においてその帳簿を合わさせるということは、私はどうも腑に落ちないのでございますが、その点についてはどうでしょう。
○香川政府委員 確かに、地番が変更になりました場合に、その地番を住所として用いている登記名義人、これは所有権の登記に限らずその他の権利の登記名義人も同様でございますが、住所の表示が当然変わる。国がそういった地番変更をやったことに伴って住所の表示が変わり、したがってそれぞれの権利者がみずからの負担において名義人の表示変更登記をしなければならぬというふうになるのは不合理じゃないか、まことにさような面は確かにあろうかと思うのでございます。ただ、たとえば東京で土地の表示、地番が変わりました場合に、その土地を住所にしておる人は、あちこちの登記所でいろいろの権利を持っていることも考えられるわけでございまして、それをいかようにして各登記所が職権で名義人の表示変更登記までできるかというその手続は、すぐおわかりいただけると思いますけれども、きわめて困難なことでございまして、やはり最もそのことをよく知っておられる権利者から申請していただいて直すというのが、理念的には不合理な点のひっかかりはございますけれども、それがいち早く登記簿の権利者の表示を実態に合わせる方法といたしましてはやむを得ない、一番適当な方法ではなかろうかというふうな考え方で、現在職権では名義人の表示変更登記をしないということに法律上なっておるわけでございます。
○渡部(行)分科員 確かに、そういう一つの事務の取り扱い上非常に困難な面があることは重々承知しております。ただ、私はまず第一点としては、法律の解釈の中ではそういう一体性があるのではなかろうか、こういうことでございます。そこで、不可能な手続を要求してもなかなかできないことでありますが、少なくとも申請による場合、その原因が国土調査法に基づく場合は登録免許税を無税にする、免除する、こういうことがなければならないと思うわけであります。現実には、この際の所有権登記名義人表示変更の登記は登録税を個人が負担しておる、これは全く不合理だと私は思うのです。ところが、同じ行政行為であって、たとえば住居表示の実施あるいは行政区画変更、こういうものが住民票によって証拠づけられたときは登録税は免除される。この国土調査法に基づいて変更された場合は免除されないで個人の負担になっておる。この同じ行政行為の一つの結果として出てきたものについてそういう差別があるのはおかしいではないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょう。
○香川政府委員 確かに、現行の登録免許税法では、国土調査によりまして事実上なされておる地番変更の場合につきましての登録免許税、これは免除する規定がないわけでございます。現在の登録免許税法のさような考え方は、結局、住居表示による場合、あるいは行政区画が変更した場合、あるいは土地区画整理の場合、そういった法律で行われる事業の実施が、事実上じゃなくて、必然的にその地番変更を伴うというふうな場合のみに着目いたしまして免税にするというふうな規定が設けられておるのだろうと思うのであります。 しかし、おっしゃるとおり、国土調査の場合も、現実には調査の一環として事実上地番整理が伴って行われておるということ、このこと自体はまさに合理的な運用でございまして、さような意味から考えますと、同じような免税の扱いをすべきではないかということはごもっともなことだと思うのであります。 ただ、実は御承知のとおり、住居表示の場合におきましても、一々その住居表示によって住所の変更が生じたのだということを申請人に証明させて免税にするというふうなことでございますと、その証明書をもらう手数が負担になるわけでございまして、免税になっても、そちらの手数を考えると、かえって負担が大き過ぎるというふうなこともございます。御指摘のとおり、住居表示の場合には、住民基本台帳の方で、これは住居表示によって住所が変わったのだということを書き添えていただきまして、どうせその住居の変更の登記を申請する際には、住民票の謄本が要りますから、それを出してもらう、そこに住居表示によって変わったのだということが書き添えられておれば無税にするということにいたしますれば、特に無税の措置を受けるための負担はかからないわけでございます。したがって、国土調査の場合にもそれと同じような扱いをするといたしますと、市町村における住民基本台帳におきまして、国土調査の一環として住居の表示が変わったのだということを付記していただくというふうな措置をあわせ講じなければ、かえってあだになるおそれすらあるわけでございまして、さような点もございますし、現在の解釈といたしまして、御指摘の国土調査の場合にも無税にする扱いができるかどうかという問題もございましょうし、その辺のところは、大蔵当局あるいは国土庁ともよく協議をいたしまして、何らかのお説のような措置がとれるかどうか、十分ひとつ前向きに検討させていただきたい、かように考えております。
○渡部(行)分科員 所有者の住所変更によって所有権登記名義人の表示変更登記がされる場合は、それを立証する証明書が必要なわけです。それは住民基本台帳で行政区画変更、あるいは住居表示の実施というものははっきりさせておるわけです。したがって、その際は何ら問題はありません。しかし、役場によっては、国土調査法によるということで住所を変更しておるところもあるわけです。そういうふうに、役場がその証明書を出せば、かえってその負担が大きくなるということはあり得ないわけです。 しかも、住民票の交付の金は、いま役場によってどうですか、たかが七十円ぐらいだと思います。ところが、一筆所有権登記名義人の表示変更をやるには五百円の登録免許税を払わなければならないわけです。そうすると、農村地帯では二百筆も、大きい人は三百筆も持っている人がいるわけですよ。これの変更になると大変なお金がかかっていくわけです。こういうように、実態とあるべきものとが一致していないということが、まずはっきり言えるのではなかろうか。そうして都市は、比較的国土調査後に住居表示の実施とかあるいは行政区画変更をやって、その点をカバーしておりますけれども、農村部に行くと、それが全然カバーされないわけです。したがって、そこに都市はむしろ非常に優遇されて、農村部は非常に不当な負担を強いられているのではなかろうか、こういう実態が出ておるわけです。 いずれにいたしましても、国土調査がなければ何の変更をする必要もなくおられるものを、国の行政に協力をして、その結果としてそういう莫大な個人負担を強いられるということは、住民の側からしてとうていこれは理解できないわけです。ですから、現実に、そういう権利の移動、設定の場合に、私が頼んでやったのではない、しかるにその責任を私が負担しなければならぬということはどうしても理解できないという苦情がどんどん来ておるわけです。これについてひとつ御意見をお伺いいたします。
○香川政府委員 国土調査法施行当時は、先ほども申し上げましたように、連動的にと申しますか、地番の変更もあわせてやるというふうなことは予想されていなかったものでございますから、そういった問題もあわせて検討していなかったのだろうと思うのであります。しかし、現実には、先ほど申しましたように、あわせてやっておるのがほとんどの例でございますので、お説のような不都合な結果になっておるということは十分承知いたしておるわけであります。 したがいまして、先ほど申しましたように、できるだけ申請人側の費用負担の軽減という意味で、免許税も含めまして十分ひとつ検討させていただきたい、かように考えているわけでございます。
○渡部(行)分科員 本来ならばこれは職権でやるべきであると私は考えておるのです。それは、この法律上の解釈をどういうふうにされているか知りませんが、この二十条の第二項では、部分だけを読みますと、「同項の規定による送付に係る地図及び簿冊に基いて、土地の表示に関する登記及び所有権の登記名義人の表示の変更の登記をし、」云々とあるわけですよ。そうすると、土地の表示の変更については権限でばたばた直してしまう、それに伴う住所の変更については、いままでの所有者の住所が登記簿上の住所と違っている場合は権限で直して、そして国土調査実施の成果としてなされた新しい住所については全然及ばないという、ここに私は非常な矛盾を感ずるわけです。したがって、本来法の厳密な解釈からいけば、これは一体をなすものではないか。しかし、先ほど言われたように、土地を各所に持っておる、登記所の管轄の違いの場所に持っておる人々を、一つの行政区の中の問題で他の行政区にそれを及ぼすということは、調査が非常にむずかしいし、それはなかなか困難だろう。しかし、これはむずかしい、困難だけであって、不可能ではないわけですよ。それはなぜならば、その登記簿なりあるいは市役所に備えてある簿冊というものがそれぞれあるからなんです。ただ、それが全国的に散らばっている場合、皆そういうことをやれば、これは事務が非常に膨大になって、かえって国民の利益のためにやろうとしたものが不利益を来す危険性はあるわけなんです。だから私は、そこは一体として職権で全部やれとは言いませんけれども、それは百歩譲って、とにかく権利の移動あるいは移転、設定という場合の登記名義人の表示に関しては、その役場が発行する住民票に付記させて、この付記は義務づける、そして、それに基づいて登録免許税を免除する、ここまではぜひやっていただかないとならぬと思うのです。その点についてひとつお伺いいたします。
○香川政府委員 結論的には、いまおっしゃったような登録免許税の免税措置、しかもそれが簡便な手続でされるようにという方向で検討することはもう当然でございますが、それは立法措置が要るか、あるいは先ほど申しましたように、現行法の解釈からさような取り扱いができるか、その辺を十分検討させていただきたいというふうに考えます。
○渡部(行)分科員 その検討ということは、白紙で検討するのでなくて、いま私がお伺いした質問の要旨に従ってその方向で検討する、こういうふうに積極的な、前向きの意味に解釈して差し支えございませんか。
○香川政府委員 そのとおりでございます。
○渡部(行)分科員 これで終わります。よろしくお願いします。
○木野主査 以上で法務省所管の質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○木野主査 昭和五十二年度一般会計予算中国会所管について説明を聴取いたします。 まず、衆議院関係予算の説明を求めます。大久保衆議院事務総長。
○大久保事務総長 昭和五十二年度衆議院関係歳出予算につきまして御説明申し上げます。 昭和五十二年度国会所管衆議院関係の歳出予算要求額は、三百十二億三千五百八十六万七千円でありまして、これを前年度予算額二百七十億四千三百四十五万二千円に比較いたしますと、四十一億九千二百四十一万五千円の増加となっております。 次に、その概要を御説明申し上げます。 第一は、国会の運営に必要な経費でありまして、二百八十七億二百八万六千円を計上いたしております。この経費は、議員及び委員会関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比較し三十四億二千八百三十七万六千円の増加となっておりますが、増加したものの主なものは、立法事務費の月額二十万円を四十万円に増額計上したほか、昨年の給与改定による議員歳費等の増額並びに外国旅費、証人等旅費、議案類印刷費等の増加でございます。 第二は、本院の施設整備に必要な経費といたしまして、二十五億二千六百七十八万一千円を計上いたしております。このうち主なものは、五十四年夏完成予定の事務局庁舎の新営費二十一億七百六十九万八千円のほか、第一議員会館の玄関、廊下、食堂等の内部塗装替え、憲政記念館旧館内外装改修費等でございます。 第三は、国会予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の七百万円を計上いたしております。 以上、簡単でございますが、衆議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。 よろしく御審議のほどをお願いいたします。
○木野主査 次に、参議院関係予算の説明を求めます。岸田参議院事務総長。
○岸田参議院事務総長 昭和五十二年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。 昭和五十二年度国会所管参議院関係の歳出予算要求額は、百七十四億一千五百三十八万六千円でありまして、これを前年度予算額百六十一億一千二百四十五万三千円に比較いたしますと、十三億二百九十三万三千円の増加となっております。 次に、その概略を御説明申し上げますと、第一は、国会の運営に必要な経費でありまして、百六十九億七千六百二十七万五千円を計上いたしております。 この経費は、議員及び委員会関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し、十九億四千百四十万七千円の増加となっておりますが、その主なものは、立法事務費の月額二十万円を四十万円に増額計上したほか、外国旅費、証人等旅費、議案類印刷費等でございます。 また、本年行われます第十一回参議院議員通常選挙に伴い、改選に必要な経費を計上いたしております。 第二は、参議院の施設整備に必要な経費といたしまして、四億三千四百十一万一千円を計上いたしております。 このうち主なものは、議員会館構内一部敷地整備費及び本館昇降機整備改修費等でございます。 第三は、国会予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の五百万円を計上いたしております。 以上、簡単でありますが、参議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。 よろしく御審議のほどお願いいたします。
○木野主査 次に、国立国会図書館関係予算の説明を求めます。宮坂国立国会図書館長。
○宮坂国立国会図書館長 昭和五十二年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。 昭和五十二年度国会所管国立国会図書館関係の歳出予算要求額は、五十四億六千九百六十六万一千円でありまして、これを前年度予算額四十九億九千二百三十五万七千円と比較いたしますと、四億七千七百三十万四千円の増加と相なっております。 要求額を事項別に概略御説明申し上げますと、その第一は、国立国会図書館の管理運営に必要な経費でありまして、五十二億五千四百五十七万円を計上いたしております。 これは、職員の給与等に関する経費、立法調査業務に要する経費、図書の収集及び利用に要する経費、目録・書誌等の作成刊行に要する経費、図書の製本、印刷カードの作成・頒布に要する経費、図書館間協力業務に要する経費並びに図書館業務の機械化に要する経費、その他別館建設計画の調査に要する経費等でございます。 第二は、科学技術関係資料購入に必要な経費でありまして、一億九千七百一万四千円を計上いたしております。 第三は、国立国会図書館の施設整備に必要な経費といたしまして、一千八百七万七千円を計上いたしております。 これは、書庫棟避難誘導灯設備及び特殊書架の設置等に要する経費であります。 以上、簡単でございますが、国立国会図書館関係歳出予算の概略について御説明申し上げました。 よろしく御審議のほどお願いいたします。
○木野主査 次に、裁判官訴追委員会関係予算の説明を求めます。大迫裁判官訴追委員会事務局長。
○大迫裁判官訴追委員会参事 昭和五十二年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。 昭和五十二年度国会所管裁判官訴追委員会関係の歳出予算要求額は、六千九百二十三万八千円でありまして、これを前年度予算額六千三百九十一万九千円に比較いたしますと、五百三十一万九千円の増加となっております。 この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長の職務雑費及び事務局職員の給与に関する経費並びに訴追事案の審査に要する旅費その他の事務費でありまして、前年度に比し増加となっておりますもののうち主なものは、職員給与関係経費の増加によるものでございます。 よろしく御審議のほどお願いいたします。
○木野主査 続いて、裁判官弾劾裁判所関係予算の説明を求めます。西村裁判官弾劾裁判所事務局長。
○西村裁判官弾劾裁判所参事 昭和五十二年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。 昭和五十二年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係の歳出予算要求額は、六千六万一千円でございまして、これを前年度予算額五千五百五十五万一千円に比較いたしますと、四百五十一万円の増加となっております。 この要求額は、当裁判所の裁判長の職務雑費、委員旅費及び事務局職員の給与に関する経費、事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官の弾劾裁判に直接必要な旅費、庁費でありまして、前年度に比較し増加となっておりますもののうち、主なものは、職員給与関係経費の増加によるものでございます。 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○木野主査 以上で説明は終わりました。
○木野主査 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高沢寅男君。
○高沢分科員 私は、衆議院の大久保事務総長に衆議院の職員の待遇の改善の関係でひとつお尋ねをいたしたいと思います。 現在、衆議院では約千八百名弱の職員が勤務しております。これらの職員を統括する立場の事務総長としては、労働条件の改善とともに、職員がそれぞれの分野で安んじて職務に専念し、その職責を十分果たし得るような待遇改善についてもきめ細かな配慮が必要であろうと思います。 〔主査退席、瓦主査代理着席〕 私の手元にある職員の年齢別分布表を見ますと、平均年齢も高くなっておりますし、また、四十歳代の職員が非常に多くなっております。これらの人は勤務の年数も長く、職員の中堅として働いていますが、待遇面において必ずしも十分とは言えない状態にあります。 国会職員には、行(一)、行(二)、速記、議警の四表が適用されていますが、特に行(一)表の三、四、五等級あるいは速記や議警表の上位等級の頭打ちがひどく、昇給間差額の低くなる二けた号給に多くの職員が滞留しています。このような状態を打破して、職員が意欲を持って職務に専念できるようにするためには、上位等級の定数を大幅に拡大し、昇級の促進を図る必要があると考えられます。 いま審議されております五十二年度の予算案においても、上位等級の定数拡大に努力されたことは確かでありますが、しかし行き詰まりの現状から見れば、まだまだ十分なものとは言えません。特に課長職が行(一)一等級にランクアップされているところから見て、課長補佐職の二等級定数を拡大すべく一層の努力をなさるべきだと思うが、どうでしょうか。また、特にこの中堅層の深刻な行き詰まりの現状をどのように打開していくか、この点について、最初に総長の基本的なお考えをお尋ねをしたいと思います。
○大久保事務総長 お答え申し上げます。 ただいま御指摘がありましたが、確かに現在の職員の年齢構成から見ますと、四十代の方が中堅で働いておりながら頭打ちの傾向があるということは事実でございます。 国会事務当局も終戦後二十年代の初期に機構を拡充しまして、その方々がちょうど年齢的に見ましても、先生の御指摘のとおりの場所で中堅になって働いていただいておる、そういう意味で、われわれも上位等級、特に課長補佐四等級ランクの三等級あるいは二等級、その級別定数の確保、これは先生御存じだと思いますが、毎年努力しております。 今回も曲がりなりにもわれわれとしては努力したつもりでおりますが、今年度につきましては、運用面を含めまして改善していきたいと思います。また、来年度以降につきましても、できるだけの努力を払いたいと存じております。
○高沢分科員 いま総長が言われましたように、終戦の直後に採用された職員の人がちょうどいまそういう中高年のところで非常に滞留しているというケースは、ほかの官庁でもずいぶんあるわけであります。このことの根本的な対策は、結局その人々に職づけのできるそういう定数をふやしていくということで乗り切るしかほかに方法はないだろう、こういうふうに私は考えるのですが、この点については、その方向で大いにひとつ御努力を願いたいということを申し上げて、具体的な問題として、あとそれぞれお聞きしたいと思います。 一つは女子の昇格促進の問題であります。 概して女性は庶務的な仕事が多く、重要な職務の一つと言われながらも、昇格の際においては、職階的な職務内容の違いということで男性よりも昇格がおくれております。ここ数年女性の六等級高位号俸での滞留は段階的におおむね解消されてきておりますが、さらに一歩進めて、現在、今度は五等級で滞留しておる、こういう状態でありますが、この高位号俸者の解消を図る、またそれは、男女の差別感をなくして女性の働く意欲を進めるということにもなりますが、ひとつこの点についての具体的なお考えをお聞きしたいと思います。
○大久保事務総長 お答えいたします。 もちろんわれわれ職場におきまして、男女の区別をつけているわけではございませんし、例年そういう御指摘があるものですから、毎年運用面を含めまして、なるべく同じ年数その他条件の同じ場合においては、上位等級へという努力はしております。ただ、職種によりましてと申しますのはあれですが、そこに多少のおくれが出ていることも事実でございます。 今年度におきましても、先ほど申しましたように、運用面を含めまして、五等級の中からできるだけそういう趣旨に沿ったことをやっていきたいと思っております。
○高沢分科員 これは要するに、四等級の方への前進をひとつ大いに促進していただきたいということであります。 次に行(二)表の関係についてお尋ねいたします。 従来も、国会に働く職員には行(二)職表は好ましくない、あるいはまた、役所の特殊性から同じ仕事をしている人を職種によって分けない方が、一体として仕事をしていくためにはいいというようなことで、行(二)職から行(一)職への移行が行われてきましたけれども、しかし、初任給の有利性を生かすということでは行(二)職もまた一つのメリットがあるということで残されているわけでありますが、この五十二年度の予算案では、行(二)職は本年度五十一年度に比べて一名減の四十一名となっております。 そこで行(二)の適用者の必要数についてお聞きしたいのでありますが、四十八年には、知野総長のお答えでは六十名ぐらいが適当というふうなお答えがあったわけですが、その後、今度は五十年には、藤野総長のお答えでは四十数名程度いないとやりくりに困るというようなお答えもあったわけです。行(二)をなくしていきたいという基本的な路線もまたあるわけですから、そういうふうに考えると、現在、大久保事務総長のお考えでは、どのくらいの数が適当であるとお考えか、お尋ねしたいと思います。
○大久保事務総長 お答え申し上げます。 具体的に何人が一番よろしいかということは、非常にむずかしい問題でございまして、その年のいろいろな要請もございますし、行(二)職としてどうしても採用の際に有利な条件でないと採れないという部門もございますので、的確な数字は申しかねますが、現状の四十名ちょっとぐらいが一応のめどじゃないか、そういうように現在は考えております。
○高沢分科員 ことしの予算が四十一名になっているわけですから、そういうお答えになると思いますが、これも、過去からいままで進んできた従来の経過がありますから、ひとつその進行方向へさらに進んでいただきたいということだと思います。 技術職の昇格促進の問題についてお尋ねします。 行(一)に移行した人は、技術職定数に入るということですが、行(一)移行後の処遇については、他の職員との比較で不利益にならないような運用をするという、そういう過去からの立場があって行われてきているわけですが、本年も昨年同様四等級定数十名の増があったことは評価できます。しかし、技術職の四、五、六、七等級のどこを見ても、いずれもまだこの上の方の号給にかたまっているわけであります。給料表で見ると、どの等級も特に昇給間差の非常に少ないところに大ぜいかたまっておるという問題があるわけであります。採用時には、初任給を有利にするということで行(二)表で採用して、そして行(一)移行後も不利益にならないように運用すると言われているわけですが、昇給間差の少ないところに多くの人が置かれているというようなことでは決して有利に運用されているとは言えないわけであります。特別に有利にせよというわけではありませんが、少なくも不利益のないように――こういう昇給間差の少ないところばかりを歩かせるというようにするのは、私は大変問題だと思うのですが、この点についてお尋ねしたいと思うのです。 さらにもう一つ具体的な問題ですが、技術職員の六割以上というのは自動車の運転者であります。そこで自動車の職員の等級別分布を見ますと、五等級に約四割の六十一名の人たちがいるわけであります。しかも、そのうちの五十一人、六十一人の中の五十一ですからパーセントにすれば八〇%以上になるのですが、その人たちが非常に昇給間差の少ないところにたまっている、こういう実態があります。年に一回の定期昇給がわずかに三千円あるいは四千円、こういう非常に少ない昇給間差、こういう人たちがたくさんいて、しかもその人たちは勤続二十年以上であるとか、あるいは二十五年の表彰を受けた人というふうな人たちもいるわけでありまして、こういう人に対してその処遇として、いまの状態は決して適当な状態とは言えない、こういうふうに考えるわけです。 これらの人を救済するには、結局上位等級への昇格を促進する以外には方法はないというふうに考えるわけでありますが、特にここ数年、徐々にではありますが、四等級への昇格はやられてはおりますけれども、しかし、五等級の行き詰まりを解消するには、これをさらに促進するということが必要だと思います。 昨年までの速記録で調べてみると、四等級というのは一般職では課長補佐だから、したがってこの範囲が狭くなるのはやむを得ない、こういう答弁があったわけですが、しかし、なかなか定数増がその人のためにむずかしいと言われておりますけれども、五十一年度の予算の級別定数表を見ると、課長補佐二百三十八名のうち、四等級はたったその一割の二十三名にすぎない。そして、課長補佐のほとんどの人はもう三等級になっているわけです。そして、同じ四等級に、今度は課長補佐ではなくて、その下の係長の人が、これが百五十二名もあるのですが、三百名の係長のもう五割以上がすでに四等級になっておる。こういう実態がある。ですから、この実態から見れば、係長同格までは四等級にして少しも差し支えないという、すでに実態が出ておるということだと思いますので、したがって、この自動車運転者の四等級昇格というものをここで思い切って大幅に促進するということで、さっき言いました五等級滞留をひとつ解決していくということが適切ではないかと思いますが、ひとつお考えをお聞きしたいと思います。
○大久保事務総長 お答え申し上げます。 先ほど先生が御指摘になりましたように、基本的な理念としては、われわれ、当時庶務部長でございましたが、行(二)職をやめて行(一)職に持っていく、そういう基本理念でやったわけでございます。ただ、その場合に、結局採用の場合に、第一点は前段に対するお答えになりますが、採りにくいというところで、行(一)職のある数を確保して、それで行(二)で採っておいて、それから行(一)に移行する、そういう方法をとっているわけでございます。 先ほど御指摘になりました自動車の運転手さんにつきましては、長うございますから、行(一)に振りかえる場合に、どうしても上位号俸に行ってしまう形になるわけです。そこで、上位等級である四等級をここ二、三年前から確保し始めたわけですが、何と申しましても、行(一)に持っていきますと、一応職階制というたてまえがございまして、やはり何人かを指導監督するという形にならないと、いわゆる課長補佐だけでもございませんが、四等級クラスというふうにならないという一つのネックがございまして、そこで、毎年苦労して四等級定数確保ということで、今年度、先生御承知と思いますが、十名増を取ったわけです。 ただ、先ほど先生御指摘のとおり、四等級は全部課長補佐ではなくて、むしろ本来の行(一)の職員とすると、数からいったら三等級の方が多いことは確かです。そういうのを含めまして、今後四等級の定数確保に努力していきたい。今年度は、運用面を含めまして定数よりか多くできるんじゃないかと思っております。 以上です。
○高沢分科員 いまのことに加えてさらにお尋ねするわけですが、昨年の予算は、例のロッキード問題が出てきて、結局分科会ができなかったのですが、五十年度の予算の分科会の中では、藤野前総長が、この技術職員の昇格問題で、四等級の増加に努力するとともに、その先についても検討していきたい、こういうふうに言っておられるわけです。その先というのはどこか、その五十年度の分科会で、私このことをやはりお尋ねしたわけですが、その先というのは、要するに三等級を意味するということになるわけですね。そういうふうな四等級の先についても検討を加えていきたいと藤野前総長が言われた。その御趣旨を受けて考えれば、いま言いました三等級へのさらに前進を図るということになろうかと思いますが、これについては、ひとつ引き続いて御努力をいただきたいと思いますが、もう一度この点についての総長のお考えをお聞きしたいと思います。
○大久保事務総長 お答え申し上げます。 三等級の線になりますと、確かに藤野前総長は、検討していくというお話をしております。私も、その点については、変わりございません。 ただ、三等級になりますと、非常に職階制というのが基礎になっておるものでございますので、その辺がやはり制度的な問題がございまして、なかなか一挙にいくかどうかという点を危惧しておりますし、もう一つは、ずばり三等級といいますか、専門職定数等もございますので、そういうものを含めて検討していきたいと考えております。
○高沢分科員 ここのところは、職階制というたてまえから言われることも、私、決してわからぬじゃありませんが、先ほど言いました、終戦直後に入られて、そして年々年をとっていく。この人たちは、一年一年容赦なく年をとっていくわけでありますし、また、自動車のそういう技術職員の人たちも、同じように一年一年確実に年をとっていくということがあるわけですから、そのことに対応できる方法としては、職階制というものを前提としながらも、しかし、その人たちが職員の仕事を終わっていくまでに少なくもそれにこたえ得る回答が出なければ間に合わぬわけですから、そういう意味においては、これは大いに勇断を持ってひとつ措置をしていただきたい、こう考えるわけです。 私、実は大蔵の関係でもってやってきた経験からすれば、国税の職員にも全く同じケースが、実にもっと深刻な姿であるわけです。そういう場合にはまた特別な、これは大蔵省との関係において格づけをひとつつくってもらうというようなやり方などもしながら事態に対応しているという面もあるわけでありまして、こういう点については、国会の職員でもひとつ同じような御配慮はぜひ研究していただきたい、こういうふうに考えるわけです。 次へ進みまして、用務職員の昇格促進の問題です。 これも同じ性格の問題になりますが、用務職員は、その経験年数から見て、やはり行(二)表の五等級で採用されておりますけれども、行(二)表での期間は非常に長くて、行(一)移行後も六等級の高位号給に滞留しているわけです。これを解消するためには、やはり五等級昇格ということを拡大するしか方法はないと思うのですが、同じ性格の問題になりますが、総長のお考えをお尋ねします。
○大久保事務総長 お答えいたします。 用務職の方の上位等級への昇格につきましては、これも毎年われわれ非常に苦労しているところでございまして、いま先生のおっしゃった趣旨を体しまして今後やっていきたいと思っております。
○高沢分科員 次は、速記職員の待遇の問題であります。 最近、一般職においては、人事院に向けていわゆるランクアップの要求を出し、それから上位等級の定数増の措置がそれぞれなされてきております。また、衆議院においても、行政職ではそれに見合った措置がとられているように見受けられますけれども、速記職においては、どうも、ここ数年努力されてはいますが、まだ非常に立ちおくれが見えるということではないかと思います。この立ちおくれを是正するということが、特に速記職の職員の場合には非常に緊急じゃないか、私はこう考えるわけです。 そこで、五十二年度の予算案で見ますと、行(一)二等級への定数移行が一名認められたにすぎない。特に速記職一等級への昇格については、昇格基準に達している者が二十名もいる現状であるのに、級別定数の増がないために結局この昇格難はいよいよ厳しくて、その結果、職場の中核ともなるべき層が速記職二等級上位号給に滞留している。そのため非常な不利益を受けている。また、そのために職員の中に非常な不満があるということも、これまた事実であります。 この際、行政職のランクアップ措置に見合って、速記職でも一等級定数の拡大を図る、そして有資格者がスムーズに昇格ができるようにすべきでありますし、またなお、速記職一等級暫定の増についても、ひとつ引き続き御努力をお願いをしたい、こう考えるわけですが、事務総長のお答えをお聞きしたいと思います。
○大久保事務総長 お答え申し上げます。 速記監督から行政職(一)の二等級の表の適用定員でございますが、これは先ほど御指摘のとおり、定数上は一名でございます。この点も、正直申しまして、われわれ毎年非常な努力をしておりますが、形の上ではそういうことになっております。 ただ、二等級から一等級という点につきましては、暫定定数等もございますので、それを運用と申しますれば、運用面においてなるべくその点が不満のないような形でやっていきたいとは思っておりますが、この点につきましては、若干われわれも遺憾と思っております。
○高沢分科員 この点では事務総長大変御努力されて、しかしまた、最後はそれは結局大蔵省主計局の問題になるわけですから、そこの壁があるということは私もよくわかりますけれども、そういう壁をひとつ穴をあけていくという点については、われわれももちろん大いにその努力はするつもりですが、事務総長ひとつ大いに御努力をお願いしたいと思います。 最後の問題ですが、議警職の待遇改善についてお尋ねいたします。 これも一昨年の分科会ですが、藤野前総長は、特一等級は業務が著しく困難な衛視長に適用する、こういうことで、本来ならば三、四年かかるところを大体一年で特一等級に行けるようにしているんだ、こういうふうな答弁をされたあれがあったわけですが、特一等級新設の以前は、ほぼ一年で行(一)二等級へ暫定移行ができたという過去の経過から見ますと、現在一等級から特一等級へと、こういう階段を登って、それから行(一)二等級へランクされるのに三年もかかる、こういう実態があるわけですが、これは過去のそういう大体一年で行けたという時代から見ると後退じゃないでしょうか、この辺事務総長いかがお考えでしょうか。
○大久保事務総長 お答え申し上げます。 確かにその面をとらえますと、過去より悪くなったというふうに見られますが、もっともそのときの職員の定数上の構成の問題もございます。たとえば十年前と現在では、かなりそこに差ができていることも確かでございます。と申しますのは、現に行政職三等級のある人が二等級になるには四年以上いま現在かかっているのです。前はそんなにかかってないと思いますが、そういう人的構成の問題もございますので、その点だけでは判断しにくいと思う点があるのと、もう一点は上位等級をつくって、ある面においては有利に待遇改善しているわけです。そうしますと、そこを素通りというわけにいかなくなってくる職務上の問題もございまして、その点は御理解いただきたいと思います。
○高沢分科員 議警職表に特一等級を取り入れる際、衆議院当局としては、決して不利な扱いはしない、特に衛視長の行(一)二等級への暫定移行をおくらせることはしない、将来特一等級を有利に扱う、こういうふうなことで職組との間で約束もされているというふうに聞いているわけでありますが、この問題を解決するには、衛視長昇任と同時に特一等級に格づけをする、そして一年で行(一)二等級に暫定移行をやる、こういうふうなやり方が適当じゃないか、こう考えます。 さらに、二等級上位の頭打ちを解消するためにも、一等級の副長課長補佐は特一等級に暫定移行の道を開くべきではないか、こういうふうに私考えます。また、副長の待遇を見ても、実態は暫定ながらも一等級在級者も多い現状にかんがみまして、また二、三等級に高位号給者が滞留しているということから考えても、議警職は全体に対してランクアップする、こういうふうな措置を講じて、行(一)表とのアンバランスをなくする、昇格の頭打ちの解消を図る、こういうふうにすべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
○大久保事務総長 お答え申し上げます。 議警職におきましては、特に下からの押し上げと申しますか、もらすでに新しい国会になって三十年近くなっておりますので、確かに頭打ちの傾向は出ております。そういう意味におきまして、数年前から同じ衛視副長でも、等級を上位の暫定として取って運用しているわけなんでございます。したがいまして、現在では、なるべく上位の暫定定数を取って、拡大して、それで解消していきたい、一般論としてはそう考えておりますので、あとは運用においてなるべく不満のないようにやっていきたいと考えております。
○高沢分科員 ひとつその方向で大いに御努力を要望いたしまして、私、質問を終わります。
○瓦主査代理 山本政弘君。
○山本(政)分科員 国会の権能といいますか、これを十分に発揮する要件の一つとして、事務局の体制が十分に整備をされる、そしてそれが円滑に機能するということが、私は一つの条件だろうと思うのですけれども、事務局の機構を支えておるのが実は職員である。そういうことから考えて、国会の立法府としての特殊性から、職員の職務内容あるいは勤務形態、これも一般の官庁の職員とは異なった面があると思うのです。ある意味で厳しい面もあるだろうし、そして複雑さを持っているだろうと思うのです。 特に近年、通年国会の恒常化とか言われるし、それから施設の拡充あるいは警備体制の強化というようなことによって業務が大変多様化している。さらに、議員定数が二十名ふえているというようなことがございました。そういうわけで、各職場の人員増というものが非常に要求が切実になっているだろう、こう思うわけです。 そこでお尋ねしたいのは、総定員について五十一年度は議員の定数が二十名の増加をしている、そういう中で三名の純増がございましたね。しかし、これだけの増員で業務量の増加に一体見合ったものと考えられるのかどうか、これをひとつお伺いしたいわけであります。 総長は、政府の定員削減計画には直接拘束されないと、藤野さんからたしか前の国会で私の質問に対してこういうお答えがあったわけでありますけれども、そういう意味で大久保事務総長、今後業務量の増大に一体どういうふうに対処していくおつもりなのか、まずその点をお聞かせいただきたいと思います。
○大久保事務総長 お答え申し上げます。 基本的に申しますと、私どもの職場と申しますか、職員の場合を考えてみますと、他の官庁とは違いまして、特殊な部門がたくさんございます。勤務の態様も違っております。したがって、私としましては、絶えず職員の待遇改善と申しますか、その点には留意しております。そこで、もちろん先生御指摘のように、国会の定員につきましては、閣議決定について拘束されません。ただ、国会といたしましても、自主的な判断で、大事なところにはどんどん人をふやす、しかし合理化できるところは合理化しようということで今日までまいったのでございますが、端的に先生からも御指摘のあった定員二十名の先生方の増員に対して三名で十分なのかと言われれば、私は十分とは思っておりません。 そういう意味で、これからは運用面で十分合理化した部門を必要な部門に配置転換してまいりますが、それでも足らないという場合には、当然その点について検討してみたいと考えております。
○山本(政)分科員 それじゃ具体的に大事なところには重点的にという話がありましたのでお伺いしたいのですが、速記者の一日の適正執務回数といいますか、これは一体どれくらいなんでしょう。
○大久保事務総長 通常、速記の職務においては、三回ないし四回ということを考えております。
○山本(政)分科員 たしか昭和二十四年の衆議院の記録部の依頼で東京慈恵会医科大学の生理学教室の方で調査をして、いまもお話のあった回数というものが答えられたと思うのですね。 そこでお伺いしたいことは、本院では近年審議内容が非常に広範にわたってきているし、そして専門化をしてきている。そういう中で審議時間も年々増大をしてきておりますけれども、審議の会議録作成に当たる現場の体制が十分かというと、仕事の量というものあるいは質というものが非常に過重な労働を強いられておるのではないだろうか。最近は、お伺いすれば、退職者も非常に多い。そして毎年新規採用については配慮されておるけれども、実際には速記者定員の百六十七名の八・四%に当たる十四名という欠員がある。そのために第一線で速記に当たる職員が六十二組、百二十四名となって、速記者数が不足をしているために、職場ではとりわけ二月、三月、四月、この繁忙期の対策に苦慮をしておる、こう聞いております。 そこで、事務総長すでにもう御承知だと思いますが、四十八年でしたか、七十一国会で、たしか頸肩腕症候群が出たとかということがありましたね。そういう経験もあるし、四十九年の、これは私の前の前のときの質問でありますが、四十九年の七十二国会では三月七日の七十七時間二十五分、五十年の七十五国会では二月二十六日の七十八時間、ことに昨年の七十七国会では五月十二日の九十三時間五十八分と、だんだんと時間が長くなってきているということは事実だろうと思うのです。それに伴って、速記者の一日当たりの執務回数もふえている。最高十二回に達している。これは速記者の一日の、いま総長のお答えになった一日三回のまさに四倍である、こういうことになります。しかも、これをピークに、その前後数カ月というものが実は繁忙時期が続くということになりますと、どうも私は要するにオーバー労働になっているのじゃないかという感じがするわけです。 お亡くなりになった藤野さんは、私の質問に対して、なるほどそういうことはあるかもわからぬけれども、年間にならしてみたらそんなに多い時間じゃないじゃないかというお話がありました。しかし、二月、三月、四月というような繁忙時期というものがかなりな長期間にわたることは事実だろうし、そして生身の人間の仕事ですから、単に年間にならしたそういう時間だけで律し切れるものだろうかどうだろうか、これは私は大変疑問だと思うのですね。そうすると、そういう過去の四十八年にあったような苦い経験を繰り返さないためにも、特に繁忙期、三月から四月にかけて、いろいろ手だては講じておられるだろうと思います。しかし、やはりこれを乗り切るために抜本的な対策というものをするということが私は必要だと思うのです。その点について、総長どのようにお考えになっているのか、聞かしていただきたいと思います。
○大久保事務総長 お答え申し上げます。 ただいま御指摘の点につきましては、もうすでに数年前から二月、三月の最繁忙期と申しますか、ちょうど現在分科会が開かれている時期が一番繁忙のときなんであります。これにつきまして、ある時期には病気も出ました。将来そういうことのないようにとそのときから、と申しますのは、国会の速記者というのは日本の速記レベルの最高でございますから、すぐ簡単に雇用するわけにいきませんので、三年計画でその当時から始めまして、来年を含めた見通しと申しますか、長期計画と申しますと、現在十四名の欠員がございます。それはちょうどことし九月に研修科を出る優秀な速記者が十一名採用予定でございますので、一応それでほぼ今年度につきましては補充しまして、また来年度当然自然減がございますので、来年も十名確保するつもりでおりますので、とりあえずその欠員分については、来年を含めまして計画を立てておるわけでございます。 ただ、最繁忙期にどうするかという問題は、これは毎年ございますが、そのためにまたというのも非常にむずかしい面がございますが、それはいままでのような運用その他を改善しまして、できるだけ努力したいと思っております。
○山本(政)分科員 私は、この点については、実はもう通算九回ぐらい質問しておるわけなんです。そしていつも私は、将来計画を含めてひとつ考えてほしいということで、できるだけそういう措置をとりたいと、こういうふうにお答えをいただいてきた。しかし、現実にはそうなっていない。なるほど見ますと、十月にふえていますね。十月には大体ふえている。しかし、今度はいまごろの時期になると、また減っておるということがある。一体なぜだろうか。一体なぜだろうかという点について、事務総長はどうして要するにそういうふうに一たん増員になった人たちがまたやめていかれるのか、その原因は一体どこにあるのだろうか。これはひとつ個人的な見解で結構でございますから、お聞かせいただきたいと思います。
○大久保事務総長 お答え申し上げます。 もちろんいま私申しましたのは、現在のたまたま重なっております欠員をいかにして補充するか、これはやはり急にはできませんものですから、一応一昨年から三年計画でやった。ただ、自然退職を含めまして、現在の繁忙の状態を改善するという意味におきまして、将来は速記者の優秀な者を採れれば、もちろん定員にはそうこだわりませんで増員していくつもりでおります。
○山本(政)分科員 つまりおっしゃるように、優秀な人材が数多く採れるということについては、やはりぼくはいろいろな点があるだろうと思いますが、たとえば生徒手当を増額をするとか、あるいは寮に入って、そのことによって一応の生活ができるというような措置がなされなければ、私はやはり定着をしないだろうと思うのですよ。 そういう意味で、ちなみに三十二年当時の研修生の手当は、この数字を見ますと、速記者の初任給の四〇%強であった。ところが現在では、比率から言えば一七・四%にダウンをしている。そういう点をひとつぜひ考慮をして、一定水準を確保する。そして、たとえば公務員の給与にスライドさせていくというような措置を講じて、そして要するにそういう意味では、生徒が速記の訓練を安心して受けられるというようなことをすることも私は一つの手だてではないだろうか、こんな感じもするわけであります。聞けば、生徒手当というのは、五十二年度予算で一、二年生が千円、研修生が千五百円増額をしていただいておる、これはやはり私は大変御苦労だと思うのですよ。しかし、一体それで十分だろうかどうだろうかということです。 ここに参考までにありますが、気象大学校あるいは海上保安大学校、海上保安学校、航空保安大学校、防衛大学校、防衛医科大学校というようなもので、生徒の手当が全部書いておりますけれども、これに比べると、格段に低いということです。ぼくは非常に低いと思うのです。そういう点を見ますと、ひとついま申し上げた五十二年度予算で一、二年の人たちが千円、研修生が千五百円というのは、一体これで十分であるとお考えになっているのだろうかどうだろうか、その点ひとつ聞かしていただきたいと思います。
○大久保事務総長 お答えいたします。 生徒手当の千円増額は不十分であるという点につきましては、毎年少しずつ改善しておりますが、ことしも改善しまして、千円、千五百円のアップと、われわれとしてはできるだけの努力をしているわけです。 ただ、先生御指摘のようないわゆる正職員ということになれば別でございますが、やはり生徒の性格の問題もございまして、なかなかその点がむずかしいものじゃないかと考えております。
○山本(政)分科員 いま申し上げた、要するに気象庁とか海上保安庁とか運輸省とか防衛庁、これはやはり同じ資格でしょう。そうじゃないのですか。
○大久保事務総長 お答えいたしますが、先生の御指摘の気象庁とか海上保安庁、防衛大学等は、私の理解では職員というふうにしていますから、生活給的なものが当然入ってくるのじゃないかと思います。
○山本(政)分科員 じゃ、要望として、そういう点についても、ひとつ職員というふうなことについて、制度上の問題についてひとつぜひお考えをいただきたいと思うのです。これは人事院総裁もお見えになっていると思いますが、ぜひそういうことをひとつお考えいただきたいと思うのです。これはぱっと一覧表を見てみても、ぼくはそういう点では、大変不公平だという感じがするのです。あるいは不十分と言った方が正しいかもわかりません。ひとつぜひ努力をしていただきたいと思います。 それから、自動車課の増員要求についてお伺いしたいのですが、大変交通の量が増加をしている。そして自動車課の皆さんたちは、国会運営の一翼を担っていらっしゃる。そしてこれも大変繁忙だと思いし、職務の性格上、年次休暇もとりにくいという立場があるし、同時に健康の管理の必要から、皆さんたちが代替要員の確保を要求してきたと思うのですが、今度はさらに、先ほど申し上げた定数増、これに対する増車が行われるということになった。それで、聞きますと、増車に伴う人員増というものは内部操作で措置をすることになったという話であります。 そういうことで、従前よりも業務量が増加することになっておるということですから、そのために、やはりどうも責任のある業務遂行というのがなかなか困難になってくるのではないだろうかと私は思いますし、きちんと責任のある業務遂行をさせるということでは、やはり一人一車両が原則ではなかろうか。私ども、聞いてみますと、やはり一つちゃんと車を持っているということが本来の私どものあり方だというふうに、これは単に自動車課だけではなくて、ほかのところでもやはりそういう声を聞きます。私は、国会の自動車の運転をなさっている方々だけではなくて、ほかの人にも聞いてみました。それは当然、普通運転をしている車とまた変わった車を運転するというのは、どうもなじみませんねという話なのです。とすると、そういう意味では、それに見合った人員増というものをひとつお考えいただきたい。そのことが健康上無理をしないということにもなるのではないだろうか、こう思いますので、その点について、一体どうお考えなのか。
○大久保事務総長 お答え申し上げます。 一応自動車課の運転される職員は百六十二名ですか、それで各専属の方あるいは各党の方に配車しておりまして、その範囲では一応先生方に御迷惑をかけることはないと思いますし、勤務体制としましても、そう無理なことはさせないたてまえでやっております。それはあれば一番いいのですが、それは全般のほかの職種との関係もございますので、現在そういうように連行させていただいているということでございます。
○山本(政)分科員 つまり、増車に見合った人員増を行うということは、ちょっと無理だということなのでしょうか。私どもはそのことについて期待をしていいのでしょうか、どうでしょうか。そのことなのです。つまり、私は人員増について、努力をしていただきたいのです。
○大久保事務総長 お答えいたします。 先生方の数が二十名ふえまして、それに関連しまして、全部含めて五台車を各党の方にふやしているわけです。そういう数字から言いますと、五人ふえるのが一番いいのですが、二名ほかの方から持ってきてふやして、それで車全体としては、事務局にもございますので、それを実際は回しているということになっております。なるべく運用の面で負担のかからないように配慮したいと思っております。
○山本(政)分科員 余り時間がないので、それだけでやりとりをするのはなんですけれども、とにかくお願いしたいことは、年次休暇もとりにくいというような点も一つあると思うのです、率直に言って。そういうことをぜひひとつお考えいただいて、御尽力をしていただきたいということをお願いいたします。 印刷それから製本技術者の増員のことについてお伺いいたしたいと思います。 国会の印刷それから製本職場というのは、やはり流れ作業というようなことだと私は思うのですけれども、これもやはり非常に特殊な仕事ですね。そういう中できわめて少人数で手がけている。そのために、技術者が一人でも欠けると作業量全体が著しく減少してしまうおそれがある。 最近聞きますと、業務量が非常に増加をしておって、すぐに仕事にかかれる技術的に優秀な人の新規採用による人員増加というものが望まれておるのだけれども、しかし、なかなかそれを充たすことができない。考えてみれば、それは恐らく、技術者を採用するのにも民間に比して初任給が低いのじゃないだろうかというようなこともあるのではないかという推測がありますが、そういう点をひとつぜひ考慮していただいて、業務量の増大に対応し得る人員増を私はやはりすべきである、こう思うのですが、その点についての御見解をひとつ聞かせていただきたいと思います。
○大久保事務総長 確かに印刷技術者というのは特殊な技術でございまして、先生御指摘のとおり、特殊技術でございます。したがいまして、わが方としましても、もし欠けた場合には、定期的な試験ではなしに、すぐその時点で採用するというたてまえをとっております。 ただ一つ申し上げたいのは、行(二)の初任給の改定に伴いまして漸次改定されておりますので、民間の技術関係の給料から比べて、そう給料の面だけで採用しにくいという状態ではなくなってきているようでございます。その点は少し改善されたのじゃないかと思っております。
○山本(政)分科員 その次にお伺いしたいのは宿日直の問題であります。 いま衆議院では、宿舎、それから会館、警務、自動車課等、十三の職場で毎日四十一名が宿日直勤務をしておる。そしてその対象者も約三百名の多きに上っておる。その勤務内容は、人事院規則で言う宿日直と異なった特殊な形態である。で、私は、それが全く庁舎の管理のためだけということであるならば、これは職員を配置しなくとも済まされる、こう思うのです。本来宿日直の廃止をすることが望ましいということは、前回の質問でもお答えをいただいていると^こう思いますが、まあ俗に言う世の中の流れというものも、そういうふうに宿日直を廃止するような方向にあると思うのですね。そういう点で、総長はどういうふうにお考えになっておるのか、まずお伺いしておきたい。
○大久保事務総長 お答え申し上げます。 私どもとしましては、国会のたとえば議員会館、本館、宿舎を含めまして、非常に重要な認識を持っておりますので、その点について宿日直をやめてしまうというのはどうかと考えております。やはり必要であるというふうに考えております。
○山本(政)分科員 人事院総裁お見えでしょうか。――衆議院の実態を申し上げますと、宿日直の現状を見ると、多いところで三日に一回、大体は五日ないし六日に一回の宿日直勤務をしておりますが、これは私、考えてみると大変だと、こう思うのです。五日に一回とすれば年間で七十三日、つまり二カ月以上ですね、日曜、土曜をつぶして行くということで。考えてみれば、これは一日宿日直をやると三十二時間拘束ですか、出勤をして泊まる、翌日は夕方でなければ帰れないのですから、朝家を出て夜帰る日は七カ月しかないということになります。三日に一回の者は、今度は一年の三分の一を宿日直することになるから、これもまた私は大変だと思うのですが、泊まった翌日の午後は疲労が激しいということは、これは常識だと思うのです。判断力が鈍るということも常識だと、こう思うのですが、そういう状態が人事院規則の言う第三条ですか、第六条ですか、これで言う――要するに、つまりぼくの聞きたいことは、過酷ではないだろうかどうだろうかということなんですが、その点、一体人事院総裁はどういうふうにお考えでしょうか。
○藤井(貞)政府委員 いま具体的に問題になっております国会職員の関係の問題は、これは私の直接の所管ではございませんことは御承知のとおりでありまして、批判がましいことを申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。 ただ、宿日直という勤務の形態というのは、役所の業務を運営してまいりますためにやむを得ない面のあることも、これは事実でございます。しかし一面、その勤務自体が職員にとっては大変なことであることは、これは事実でございます。そういう観点から、われわれの態度といたしましては、従来やはり、やる場合においても職員の健康なり福祉というものを十分考えて、その頻度についても過酷にわたらないように、そういう配意を優先的に考えていかなければならぬという立場でやってまいっておるわけであります。 そういうことで毎年、関係の会合、打合会その他でもってそういう趣旨の徹底をやっておりまして、漸次その効果は上がってきておると思います。毎年でもございませんが、大体定期によく調べておりますが、現在のところでは、われわれ担当いたしております職場は、大変多岐にわたって複雑でございますけれども、ごく平均をいたしまして、職員一人について言いますと大体二回程度というような状態になっておるのが一般公務員の場合の現状でございます。
○山本(政)分科員 ちょっと人事院総裁、待ってください。 そうすると、一般的に言って、三日に一回というのは一般の官庁から言えば、やはり無理ですね。国会のことを言っているんじゃありません、一般の官庁で言えば。つまり一年間の三分の一が宿日直であるということはやはりあり得べき本来の姿ではない、もしそういうのが一般の行政官庁にあれば。断っておきますけれども、国会ではありませんよ。
○藤井(貞)政府委員 大体、職場でも違いますが、指導の一つの基準、目安といたしましては、日直については月に一回程度、宿直については週一回が限界ではないかというようなことでやっております。そういう意味で、大体二回か三回の間ということに相なっておるというのが一般公務員の現状であるということでございます。
○山本(政)分科員 ありがとうございました。 実は私は、四十八年の分科会で宿日直問題を取り上げた際に、人事院規則に宿日直を命ずる際の注意というものがあって、「過度にならないように留意しなければならない。」という個所を引用して、そうして宿日直勤務が四日に一回という点についても配慮願いたい、こうお願いをしたわけであります。三日に一回というのもあるということを聞いたわけでありますが、やはり職員の健康管理という点から改善を図っていただきたいと私は思うのですね。国会という特殊なところであるということは万々承知をいたしております。しかし同時に、一般の行政官庁でそれだけのことがあるということについては、総長としてもぜひ御配慮していただきたい。その点いかがでございましょう。
○大久保事務総長 お答え申し上げます。 先生御指摘のとおり、三日に一遍という職場はごく限られたところでございますが、それは確かに過重だと私も思います。ただ、特殊な職場でございますが、なおそれは将来検討させていただきます。
○山本(政)分科員 同時にもう一つお伺いしたいことは、宿日直に当たっている人たちが、長い人で十五年、二十五年というような人たちがおるようですね。これはぜひお調べになっていただいて、そういう職場に長い間拘束される、場所が変わってもやはり同じ宿日直をやらなければならぬというようなところで、十年もあるいは十余年も宿日直の職場に回されておるというようなことは健康管理上から言っても過酷ではないだろうか。ですから、そういう意味では活発な人事交流をお願いしたいと思います。 時間がもうないようでございますから、あとはひとつ宿日直に携わる人たちの健康上の点も配慮していただいて、最後にお願いしたいことは、これも私前々年にお願いしたのですが、結婚休暇ですね。これは外国だけではなくて、民間の方ももうそういう情勢になっていると思います。それから同時に、人事院規則で十四の項目、職員のレクリエーション特別休暇というものを認めておりますが、その中で父母の祭日、忌引など、慶弔のうちの弔は認められているのですが、慶がないのですよ。ですから、その点は人事院総裁にもぜひひとつお願いしたいのですけれども、まあ若い人たちが人生の門出といいますか、そういうこともあるわけですから、ひとつ結婚休暇というものを特別休暇の対象にしていただくようにお願いしたいと思うのです。 それからもう一つは、庁舎ができるそうであります。いまさっきの報告にございましたけれども、二十五億でしたか、予算が出ておりますが、ぜひこれは国会の職員の人たちの健康とかあるいはレクリエーションとか、いろいろな便宜のことも考えていただき、同時にひとつ職員の人たちとの十分な話し合いをしていただいて便宜を図っていただきたい、こう思います。その点いかがでしょう。
○大久保事務総長 お答え申し上げます。 いろいろと職員のことにつきまして御配慮いただきまして、ありがとうございました。 職員の待遇改善は、われわれも本来の職務でございますので、先生の御趣旨を体しましてやっていきたいと思っております。
○山本(政)分科員 どうもありがとうございました。終わります。 大蔵省の主計局長たしかお見えだったと思いますが、時間がございませんので、大変失礼いたしました。
○瓦主査代理 田中美智子君。
○田中(美)分科員 国会図書館長に質問させていただきます。 ことしの二月十五日から十九日まで国会図書館の六階の講堂で、日韓議員連盟主催の美術展が行われたということですが、これは事実でしょうか。
○宮坂国立国会図書館長 事実でございます。
○田中(美)分科員 この講堂を使用するに至った経過は、どういうことだったのでしょうか。
○宮坂国立国会図書館長 日韓議員連盟の会長の方から私あてに使用の申し込みがございまして、諸般の情勢を勘案いたしまして御使用していただくという御回答をいたしましたわけでございます。
○田中(美)分科員 もう少し大きな声でお答え願いたいと思います、ちょっと意味がわかりませんでしたので。いま諸般の事情をとか言われましたけれども、もう一度そこのところだけちょっと……。
○宮坂国立国会図書館長 図書館の講堂は、わが館の営造物でございまして、もっぱらわが館の業務によって使用するわけでございまして、使用規程等を見ましても、そういうことについては詳細な規定がございますが、これを館の外の、外部の方に御使用していただくという点につきましては、規定はございません。 それでございますので、ケースによりまして、いろいろな諸般の事情を考慮いたしまして、これが妥当と認めれば、御許可申し上げて御使用いただくというわけでございます。本件につきましては、議員連盟の船田会長から正式な申し入れがありましたので、われわれといたしましては、全館を挙げて国会サービスをいたす使命が第一義的な使命でございますので、われわれの業務に差し支えない限りは、差し繰りいたしまして御利用していただくというふうに努めておるわけでございます。その他議員でなくとも、また一般の図書館協会とかあるいはまた外国の文献を展示するとか、そういうもろもろな需要がございますれば、御許可をいたしまして、御使用いただいておるわけでございます。
○田中(美)分科員 いま諸般の事情を考慮しというお答えがあったわけですけれども、この「講堂の使用に関する件」というので、館長決定の規則があります。これを見ますと、講堂の使用というのは、「館が主催する会議又は講演若しくは研究等の会合」、二として「館の職員が主催し、館の職員を対象とする講演又は研究等の会合」というふうに規則に書かれています。そうしますと、これは館の主催かまたは館の職員の主催でなければできない規則になっているわけですけれども、なぜこの日韓議員連盟は特別の措置がとられたのでしょうか。
○宮坂国立国会図書館長 お答え申し上げます。 ただいま先生お読みくださいました「講堂の使用に関する件」は、わが館の内部の業務に使っておるときにはどういうふうにして使ったらいいかということを規定しているのでございまして、館以外の者の御使用の場合にはこれは触れておらないわけでございまして、われわれはこの規定以外の常識をもちまして運用しておる、こういうことでございますので、今度のものは、この「講堂使用に関する件」とは直接関係はない、私はこう考えておるわけであります。
○田中(美)分科員 規則がちゃんとありながら、これは中の者には規制するのだ、外の者には自由だというふうないまのお考えは非常におかしいと思うのです。 ちょっとお聞きしますが、過去に、このように外の者にお貸しした例がありますでしょうか。
○宮坂国立国会図書館長 少し長くなりましてよろしゅうございますれば……。
○田中(美)分科員 簡単にお願いします。
○宮坂国立国会図書館長 四十四年ごろからでございますと、ドイツ新刊書展示会、ドイツ書籍販売組合主催のものとか、あるいはまたOECDの刊行物展示会とか、議会開設八十年記念議会政治展示会、明治開化の本展示会等いろいろございますが、特に外部の点につきましては、これは多少うちの館と共催のような形式でございますけれども、全然館と関係ないということはございませんけれども、主催者が館の外という場合は、公共図書館管理運営研究協議会、これは日本図書館協会でございます。それから支部図書館連絡協議会、それから専門図書館協議会、それから図書資料整理・図書館サービス実務講習会、これは関東地区協議会でございます。それから、地方議会図書室職員講習会等もうちで行われておりますが、その後私たちと懇談会なんかありますものですから非常に便利なものですから、地方議会の職員にはしょっちゅうお使い願っておる、こういういろいろなケースがございます。
○田中(美)分科員 いまこういうようなお話を聞きますと、ほとんどが館と共催とか、館が後援するとか協力するとかという形でやっているわけですね。しかし、この日韓国会議員美術作品展というのは場所だけを貸していて、主催は日韓議員連盟だけになっているのですね。過去にこういうことをしたことがありますかと聞いているわけです。館がかんでいるのは、この規制に当てはまるわけですからね。ですから、私がいまお聞きしているのは、そういうわかり切ったことをお聞きしているのではなくて、このように完全に外の者に、館は全くタッチしないで、場所だけを貸すという形でやったものがありますかとお聞きしているわけです。
○宮坂国立国会図書館長 お答えいたします。 最近の最も典型的な例といたしましては、日本とカナダの議員連盟がございますが、これがカナダの議会制度の展示会をいたしまして、りっぱな写真等を飾りまして、何日か非常に好評を博した展覧会がございますが、これはカナダのあれでございますので、もっぱらカナダの大使館がこれに当たりました。そういうことで、日加の議員連盟の主催でございます。
○田中(美)分科員 カナダ展の場合は去年の春だったと思いますが、これは「国立国会図書館月報」の中にも書かれておりますけれども、これは日本の国会の衆参両院議長の招待によってカナダの上下両院議長を含んだ議員団が日本に招待されたわけですね。そのときにそれを記念してカナダ議会展というのがやられた。これはきちっとカナダの大使館のゴーラム公使という方とジョーンズ二等書記官が図書館長に正式に依頼をしているわけですね。そしてポスターも私は見てまいりましたが、ポスターもカナダ大使館主催、国会図書館が協力という形にきちっとなって、正式に図書館が協力をしているわけですね。ですから、職員もこれを全部知っておりまして、そしてこれは外国との親善のためにも記念すべき事業として、図書館を挙げての事業としてやったわけです。ですから、カナダ展は規則に反していないと思うのです。しかし、この日韓国会議員美術作品展は完全に主催が日韓議員連盟になって、国会図書館は協力も後援も何もしていない、場所だけを貸している。 そして、その十五日ですけれども、毎日新聞にも出ておりますけれども、十五日の日は大変な警備だったそうです。図書館の職員は、ほとんど知らされていなかった。朝来ましたら南口の、あそこの入り口のところですね、三階のところです。あそこの入り口も警備の人がいる。これは警察なのか私服なのか、中には韓国語をしゃべっていらっしゃる方もいる。そういう人がチェックする。エレベーターのところでもチェックをされるという形で、何事だということで初めて職員が知ったということは、図書館長、お言葉を返すようですが、先ほど館を挙げての仕事だというふうに思われたとおっしゃいますけれども、館長だけはそう思われて言われたかもしれませんが、カナダ展のときには職員が全部知って、これを仕事としてやっている。今度の場合は、全く知らないで、出勤してきてびっくりした。何事が起きたのか。エレベーターも乗れないで歩いていくという人も出てきたということです。外国の要人が来られたわけですから、それが正規のルートを通して正しい形であれば、時間的に警備が非常に厳しかったためにいろいろの不便があったということまで私はとやかく言おうとは思いません。しかし、館を挙げての仕事でなかったということは、やはり図書館長と職員との間に差があるように私は思います。 それで、次に質問したいことは、この美術展にどのようなものが展示されていたかということは図書館長、御存じでしょうか。
○宮坂国立国会図書館長 先ほどちょっと言葉が足りませんで、先生に誤解を生じまして申しわけありませんが、議員からの申し入れの件について私たちが応諾したというその気持ちは、われわれの図書館が何事にもよらず全館を挙げて国会サービスすることが第一義的な使命であるんだから、なるべく業務に差し支えない限りは融通いたしまして、そういうお申し出に応じるということでございまして、今度のこの日韓国会議員美術作品展に館が全力的サービスをしたと、ほかのケースとちょっと違うことを御了承お願いいたしたいと思います。 それで、日韓国会議員美術作品展は、書並びに絵画等いろいろな芸術品が展覧されておりまして、先生お持ちのプログラムと間違いございません。私も最初の日から後二、三回拝見いたしました。
○田中(美)分科員 図書館長がごらんになられて疑問を感じなかったのは不思議に思いますが、この中に、目録の「出品者一覧表」というところの下から二番目のところに、李道先という方の書が一、額入りというふうに書いてあります。しかし、残念ながら、それはこの中のどこを探しても写真がございません。これを実際に図書館長ごらんになったと思いますけれども、この李道先という方はどういうふうなものを出していらっしゃったかといいますと、去年の八月、板門店で起きた事件現場のカラー写真が一枚張ってありまして、そのそばに切り倒されたポプラの輪切りが張りついている。その下に説明が書かれている。この説明の中には「一九七六年八月十八日、韓国板門店共同警備区域内で金日成共産軍がオノで人命を殺害したときの事件の発端になったポプラの切れはし、共産軍の残忍性を永遠に証明するであろう。李道先」という言葉が書かれていたわけです。これは図書館長は、お気づきになっても疑問に思われなかったかもわかりませんが、国会図書館は何人にもよらずといまおっしゃいましたけれども、これはどの政党とか思想とかそういうことではなくて、憲法に保障されているすべての人ですね。それから、これは優先順位もありますけれども、特に国会図書館ですので、すべての国会議員が、だれでもがひとしく、気持ちよくこの図書館で研究できる場所でなければならないと私は思うわけです。ですから、政治的に中立であるべき場所を使って、特定の外国を誹謗したり外国の個人を名指しで誹謗したり、この事実が正しいか正しくないかは別問題として、そういう展示をなさる、これを許すということは、これは外国に対して礼儀に反することではないかと私は思うわけです。これに対して、図書館長はどのようにお考えになりますか。
○宮坂国立国会図書館長 先生のただいま御説明になりました、板門店云々の件につきまして私は見過ごしてしまいまして、それの経過はよく存じておりませんが、御必要ならばまた担当官でも御説明いたさせますけれども、先生おっしゃるとおり、国会議員の先生方が気持ちよくわが館をお使いくださるような雰囲気をつくることはわれわれの使命でございますので、そういった点につきましては、十分配慮いたさなければならぬことは覚悟いたしておりますが、本件につきましては、何と申しましても、日韓議員連盟の方々の正式なお申し入れがございますので、私は、特にいろいろな中の内容につきましてとやかく申し上げるのは差し控えておりまして、責任のある御行動をとっていただけるものと、かたく信じておったわけでございます。
○田中(美)分科員 規則にないこと、かつていままで外部にこのように貸したことが一度もないこと、それを諸般の事情ということを考慮してお貸しになった。そして結果的には、予測なさらなかったことでしょうけれども、そこで外国や外国の個人の氏名が誹謗されるようなことが起きていたという事実があったわけですね。毎日新聞にもこのように書いてあります。この日は「船田中・日韓議員連盟会長、金鍾泌・韓日議員連盟会長が仲良くテープを切った。作品展は十九日まで。金大中事件はいまだにくすぶり続け、KCIAの対日工作が取りざたされている最中。一般参観者の反応が気になるようだ。」というふうに、新聞でも疑いを持った書き方をしておりますし、ちょうどそのころ、この国会のこの場で韓国のソウルの地下鉄の問題で、日韓の癒着というものが世に問題になっている、その最中ですね。ということは、国民に対して、規則にないことをする、かつて慣例のないことをする、そしてうっかりして、中にはそのようなものが展示されていたということは、やはり正しい姿勢でなければならない国会図書館の姿勢が疑われるし、国会図書館までが日韓癒着ではないか、こういう疑問を持たれるのではないかと私は思うわけです。図書館の職員にもほとんど知らされていなかったということは、やはり図書館でも疑問を持ったのではないか、図書館長も疑問を持たれたのではないか、それが与党の船田中さんから強く言われれば、これを断り切れなかったのではないかというふうに私は思うのです。図書館長が信じて疑わなかったはずの展覧会の中にこのようなものがあったということは、館長としては信じていたのに裏切られたということになるんだと思いますけれども、そのように与党が圧力をということは大げさかもしれませんが、与党から強く言われれば断れないような国会図書館では、国民の本当の自由と民主主義が守られているとは私は言えません。野党であろうと与党であろうと、規則にないことはやるべきではなかったと私は思うわけです。 それで、たとえどのように言われたにしても、国会図書館長としては、私は議院運営委員会に諮るべきだったと思うのですけれども、なぜそれをなさらなかったのでしょうか。
○宮坂国立国会図書館長 国会図書館が公正不偏な国会職員によって運営されておる、各党に対して平等の取り扱いをする、これはもう申し上げるまでもないことでございまして、われわれといたしましては、日夜そういう気を配りまして、お疑いのかからぬように努力はいたしてまいってきておるわけでございますが、本件につきましても、われわれは議員の団体、少なくとも日韓議員連盟という団体でございますので、その点は、そこが中心で私たちはお貸し申し上げたので、これが他の党から、たとえば少数党とかいろいろな党からでありましたらお断りするというような、そんな性質の考えは毛頭持っておりません。いかようなる党から御依頼がございましても、館の業務との勘案におきましてせっかく御協力申し上げたい、こう考えていることには間違いございません。
○田中(美)分科員 私は、あなたが偏っているということを言っているのではないわけです。国民の目というのがあるわけです。いまのような時期にこういうことをなさるときに、なぜ議院運営委員会に相談をなさらなかったのか。御自分で諸般の事情を考慮というのは、何が諸般の事情か。規則にないことをする、前例のないことをするというときには、たとえそれがどうであっても何であっても、やはり相談すべきではなかったかと私は言うのです。それをしないでやるから、このように国民から疑われる。新聞からも、このような疑いの目で書かれるような結果になったし、中には、このように、ものによっては国際問題にまで発展しかねないような展示があった。それが一般のどこか民間のところでやられていたというのならば、これは別です。しかし、この国会の中でやっているということは、いま図書館長のおっしゃった不偏不党であるべき、中立であるべきということには、結果的にはならなかったんではないかということを申し上げているわけです。今後、このような問題には十分な配慮をして、議院運営委員会に相談をして、慣例にないこと、規則にないことというのはやっていただきたいというふうに思います。 次の質問に移りますが、国会図書館における非常勤職員の問題です。 ここには、いわゆる賃金職員という職員が七十名ほどいらっしゃるというふうに伺ったわけですけれども、月六万円程度の収入で働いていらっしゃる。この方たちの仕事の中身、時間がありませんのですべてを申せませんし、おたくに聞くということができませんが、一応質問の前にお聞きしてありますので、共通の理解であると思ってお話ししたいと思うんですけれども、仕事の内容というのは、決してパートだとか非常勤の方にしていただくものではなくて、本当の職員、正職員がやるべき、いろいろな和図書の目録カードの作成のための機械にデータシートを記述していくとか、国会会議録の索引、法令沿革索引の編さんとか、こうしたものというのは正職員が当然やらなければならないものです。これが月六万円ぐらいの賃金で身分も全くなく働かされているということに対しては、図書館長、どのようにお考えになるでしょうか。
○宮坂国立国会図書館長 臨時の非常勤職員の使用につきましては、われわれといたしましては――実際図書館は間口が非常に広うございまして、いろいろの業務がございます。中には時を限って、限時的な業務もあるわけです。一番手近な例で申し上げますれば、何かの手不足で滞貨がたまったとか、あるいはまた各大学教授等から何万冊の書を御寄贈になったとか、そういうような滞貨がたまりますから、そういうときにその件につきましては、ふだんの常勤の職員でそれを賄えれば非常に結構でございますけれども、先生御承知のとおり、いまは大変な人員の削減が行政庁で行われておりますので、われわれも、その行政庁の削減の計画には入りませんけれども、国会の事情を考えまして御協力申し上げて、増員等はここ十年ほとんどなかったわけでございます。 しかるに、国会図書館の図書館資料等は十数万点、まだ入ってくるわけでございますので、業務が重なるということは当然で、常勤の手不足が生じることは当然でございます。臨時的な業務に対しまして手が回らないのが実情でございますので、いろいろな便法を講じまして、特別なる賃金支弁、それから非常勤職員手当と二本立ての予算をちょうだいいたしまして、ことしの新予算におきましては、十七項目程度の予算がありますが、それらをプールいたしまして、各部局から出てくる仕事の量、それから予算、それからまた人員、そういうものを勘案いたしまして、この急場の間に合わせている。こいねがわくは、常勤職員が大いにふえまして、われわれの職員はいま八百四十七人ございますが、これが倍ぐらいの人員になります日の早からんことを祈っております。いまのこの臨時の体制がいいとは私は申し上げません。しかし、やむを得ずやっておる事情を御賢察いただきたいと思います。
○田中(美)分科員 事情はよくわかります。これが非常に問題だと私、思うのですけれども、日給が三千二百四十円、この中に足代が入っておるわけですね。通勤代が入っているということなんです。そうしますと、いまのように、国鉄が値上げする、私鉄が値上げする、次々に値上げしていくのに、日給ということでこの中に足代が入っていますと、正職員の方は定期が上がればその分というのは出るわけですけれども、この人たちは、足代が上がっても全然ふえないわけですね。日給がふえないだけじゃなくて、足代も足が出るという状態になっているのですけれども、この計算の仕方ですが、日給と足代を分けるということはできないでしょうか。これをぜひやっていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○宮坂国立国会図書館長 これは先生、ごもっともなる御質問で、われわれもここ何年間研究はいたしておりますが、通勤手当に見合う額でございますね、たとえば私のところの全職員の平均の通勤手当、ことしでございますが、五十一年度は二百四十円ぐらいですが、そういうものと見合いまして、非常勤の方にもそれを入れてお支払いしているわけでございます。その点につきましては、いろいろなケースがございまして、非常に先生方には御想像できないようないろいろな裏の事情もございますので、われわれとしては、将来とも大いに研究いたしていきたい、こう思っております。
○田中(美)分科員 見合った金額というのは、なかなかむずかしいわけですけれども、私は、いま見合った金額をどうしてほしいというのではなくて、金額を足代が幾らというのを別枠にしてほしいと言っているわけです。ですから、足代が上がった場合には、当然これは見合った額じゃないわけですから、これを上げていかなければならない、これは別枠にしてほしいということを言っているわけです。これをぜひ強く要求したいと思いますが、簡潔に一言でお答えください、時間がありませんので。
○宮坂国立国会図書館長 その点につきましては、先生の御質問、まことにごもっともでございますが、いまの非常勤職員の体制がこういうことになっておりまして、行政庁はもちろん、それから両院、衆議院、参議院の事務局等におきましても、そういうケースでやっておりますので、私のところでいきなりそういうことというようなわけにはまいらぬのでございまして、この点については、各方面と十分連絡をとらなければならない問題でございますので、時日をかしていただきたいと思います。
○田中(美)分科員 私は、今度の国会図書館の予算を見ましても、事務経費で組まれているところに問題があると思うのですね。国会図書館は、国会だけの図書館ではなくて、日本国民全体の図書館です。ですから、各地方の大学などは非常に国会図書館を頼りにし、いろいろなレファレンスや何かをお願いしている。ということは、一つの大きな国家的な事業をやっておるところではないでしょうか。私も大学におりまして、いろいろと国会図書館にはお世話になりました。国会図書館に対しては、非常に尊敬と敬意を持っているわけですけれども、中身を見ますと、非常に少ない予算で、まさに低賃金もひどい低賃金、民間にさえないようなひどい低賃金で国会で働かされている。国会図書館というのは、その国の文化を守る殿堂であるというふうに私は思っているのですけれども、いまのような働く人たちの現状を見ますと、まさに文化果つるところではないかというふうな感じさえするわけです。 そういう点で、ぜひ国会図書館長が議運に御相談になったり、こういう訴えをしていただきたい。よそがやっていないからなかなかできないんだ、こういうふうに言っていますと、衆議院の方でも、よそがやっていないから、こういうふうに言いますと、両方がやっていないから、こうなるので、そうではなくて、まず国会図書館からこれを改善していくという気構えでもって、図書館長にもっと強くなっていただきたいというふうに思うのです。日本は文化が政治の上から非常に軽んぜられているということを強く感ずるわけです。 このような規則に反した展覧会などが、船田中さんが言えば図書館長も言うことを聞かなければならないというふうな、こういう弱腰では困るのであって、あなた一人の決断でできないものというのは、議運というのがあるわけですから、そこには超党派の議員がいるわけですので、やはりそこに相談するということをしませんと、いろいろと誤解や、また結果的には図書館の方に迷惑がかかるということにもなりかねませんので、今後とも議運に相談をなさり、こうした矛盾というものを解決してもらうように――国家的の事業をやっているところが事務費でやられているという大蔵省のあり方というものにも問題があります。これはやはり議運に、図書館長の方はこれでいいのだというふうにおとなしくしていらっしゃらないで、強く申し出ていただきたいというふうに思います。よろしいでしょうか。
○瓦主査代理 時間が来ておりますので、簡明に願います。国会図書館長。
○宮坂国立国会図書館長 事務費で賄って事業の形態でないという御批判をいただきましたが、私たちの方で五十数億の予算がございまするけれども、われわれの気持ちといたしましては、事業官庁の気持ちで運営しておるわけでございまして、私も昔こちらの事務局に勤務したことがございますが、こちらは事務費で結構でございますが、私のところはやせても枯れても事業をやっておるわけでございますので、お示しの点については、せっかく努力していきたいと思っております。
○田中(美)分科員 質問を終わります。
○瓦主査代理 以上をもちまして国会所管の質疑は終了いたしました。 次回は、明後十四日午前十時開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時十九分散会