予算委員会 第20号
- 発言数
- 364 件
- 登壇者
- 33 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1977/03/05
会議録
○坪川委員長 これより会議を開きます。 昭和五十二年度一般会計予算、昭和五十二年度特別会計予算及び昭和五十二年度政府関係機関予算、以上三件を一括して議題といたします。 これより、理事会の協議による質疑を行います。 鈴木強君。
○鈴木(強)委員 私は、大腿四頭筋短縮症の問題に限りまして、厚生大臣にお伺いをいたしたいと存じます。 乳幼児がかぜを引いたときなどに受けますももへの注射のやり過ぎが原因で、正座をすることができなくなったり、歩くことが困難になったりするいわゆる大腿四頭筋短縮症という病気が山梨県の鰍沢町、増穂町を中心に大量に発生しております。もちろん全国的にも各地に同様な患者が発生しておりますが、これはいまや大変な社会問題になっているのでございます。これらの筋短縮症の子供を持つ親御さんたちは大変に苦しみ、悩んでおるのでございます。そして先般これらの親たちが救済対策会議というものを組織いたしまして、きょうまで国、県それぞれの御当局に対して、原因の究明、治療法の確立、予防のための行政措置、これらをお願いいたしまして、粘り強く活動を続けてまいったのでございますが、今日いまだに納得のできるような患者救済の措置がとられておりません。そのような経過の中で、先般やむなく患者の家族百五十八人の人たちが昨年十二月二十七日、福島県に続いて国と製薬会社とお医者さんを相手取って、総額六十六億七千万円の損害賠償請求訴訟を起こして、東京地裁に訴えております。このようなことになりました責任は厚生省にもあると私は思うのでございます。もう少し患者の皆さんが納得のできるような救済対策なり予防措置をとっていただきましたならば、このようなことはなかったと思うのでございまして、私は、御当局の救済対策の手ぬるさ、指導性の欠如、こういったものがこのような訴訟に持ち込まれた原因になっておると思いまして、非常に残念に思っておるのでございます。渡辺厚生大臣は、御就任以来非常に御熱心に御奮闘でございますが、大臣もこの東京地裁への訴状をよくお読みになっていると存じますが、この際、御所見を聞かしていただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 大腿四頭筋拘縮症の問題につきましては、国会で初めて鈴木議員が参議院の当時取り上げられたというようなことで急に大きく問題になったわけであります。したがいまして、それ以降厚生省といたしましては、四十九年から大学教授を中心としたいろいろな研究班をこしらえるとか、検診の実施をやるとか、あるいは育成医療の給付をするとかいろいろなことをやって、法の許す限り、できるだけ、あなた方の御提案もあって尽くしてきておるつもりでございます。しかしながら目下何せ裁判中の問題でございますから、それについて私の意見を言うのは差し控えたいと存じます。
○鈴木(強)委員 いま係争中でございますから、大臣のおっしゃることはわかります。私も、国、製薬会社それからお医者さんの責任を追及しているその争いは法廷でやっていただくことにいたしまして、さればと言って、この問題をこのまま放置しておくことはできないのでございましょう。ですから、厚生省としてはそういう面に対して積極的にどういうふうな具体的なことをおやりになるのか、そういう点を実は伺いたかったのでございます。 それで、実は私が昭和四十八年、四十九年、参議院におりました当時、当時の厚生大臣とこの問題について質疑を交わしておるのでございますが、そのとき齋藤厚生大臣は、議事録をお読みになっていただけばおわかりのように、大腿四頭筋短縮症に対する厚生省側の対策が非常におくれておったということを率直に認めました。そしてその反省の上に立って、三つのことを約束をしているのであります。まず第一番に、患者の全国的な状況についての調査を行ってみる。二つ目には、原因究明と予防対策を立てるために研究班なり治療班を設置して十分に努力をいたします。三つ目には、身障者に該当する場合には、児童福祉法の育成医療制度というものを活用して父兄負担というものを軽減いたします。こういう三つの約束をされているわけでございます。ですからその面について、私はこれから、一体この約束をどう具体的に果たしていただいたのかということを伺いたかったのでございます。事務当局でも結構でございますが……。
○渡辺国務大臣 先ほどお答えいたしましたように、大体約束懐果たしておると思います。具体的に、何月どういうふうなことをやったということについては事務当局から答弁をさせます。
○鈴木(強)委員 医務局長さんいらしていますか。——あなた、集団訴訟に至るまでの経過を一番よく知っていらっしゃると思うのです。救対会議の諸君があなたの方にも何回か伺っていると思いますけれども、そういう人たちに本当に温かい思いやりのあるお話がしてあるのでございましょうか。ですからこの訴訟を起こされたときのあなたの率直に受けた感じですね、そしてその三つの約束を一体どういうふうにしたのか、具体的にひとつお聞かせいただきたい。
○石丸政府委員 ただいま御質問の大腿四頭筋拘縮症に対しますいろいろな対策につきましては、厚生省におきまして三つの局が共同いたしましてその対策に当たっておるわけでございます。医務局がその総体的な窓口としていろいろ患者さんとの折衝等も行っておるところでございます。 まず医務局の所管の研究のことについて御説明申し上げますと、昭和四十八年十二月、大腿四頭筋拘縮症八十一名が山梨県下で発見されたという報告がございまして、先生からもまたその対策等について御指摘があったわけでございます。その後他県からもそういった患者の発生の報告があったことに伴いまして、昭和四十九年五月に厚生省に佐藤研究班という研究班を発足させたわけでございますが、この佐藤研究班におきましては、主といたしまして診断基準と治療方法の研究を行うことにいたしたわけでございます。さらに同年八月、堀研究班という研究班を発足させまして、主といたしまして発生予防と、不幸にして患者になられました拘縮症患者の指導方法の研究を行うことにいたしたわけでございます。 そこで、まず最初に問題になりますのが、やはり患者の把握ということが一番最初に必要なことでございまして、そういった意味におきまして、昭和四十九年の十月にこの両研究班が共同いたしまして大腿四頭筋拘縮症の診断基準を策定いたしたわけでございます。(鈴木(強)委員「短縮症と言うのでしょう」と呼ぶ)医学的に拘縮症という名前を使っております。一般的に短縮症と言っておりますが、医学上は拘縮症と言います。どうも失礼いたしました。 この研究班で診断基準を策定いたしまして、その診断基準に基づきまして、全国各都道府県におきましてその実態調査を実施した、こういう経過がございます。さらに昭和五十年度におきまして、この両研究班を一本化するという方法をとったわけでございまして、一本化することによって機能を充実させ、佐藤研究班長のもとに総合的にこの研究班を運営することにいたしたわけでございまして、この佐藤研究班の中に、従来ございました二つの部会プラス、リハビリテーション部会をつくって、三つの部会でこの研究班を運営したわけでございます。その後、昭和五十年度に至りまして、大腿四頭筋のほかに臀筋、三角筋の拘縮症の問題が発生いたしましたので、その部分もこの研究班で合同して取り扱うということにいたしまして、これらの三角筋あるいは署筋拘縮症の診断基準を新たに策定いたしました。さらに昭和四十九年度につくりました大腿四頭筋拘縮症の診断基準をその後の実態調査の結果修正すべき点がございまして、昭和五十年度にさらにこの診断基準を補足改定いたした、かような経過をたどっております。 その後、治療の方法でございますが、この治療研究班におきまして、拘縮症患者の治療方法をいろいろ研究いたしたわけでございまして、中間報告を出している段階でございます。ただ、この治療方法につきましては、いまだ学会の一致した意見を見ることができておりませんので、とりあえず中間報告という形で、いろいろな手術等を行う場合の留意事項という形で、治療を行う場合の注意を研究いたしておる段階でございます。
○鈴木(強)委員 それにしても、全国的な患者の把握がどうなっているのか、もっと具体的にひとつやっていただきたい。一遍じゃなくて順にやりましょう。
○石野政府委員 ただいま医務局長からお話ございましたように、四十九年の十月、診断基準ができましたので、それに伴いまして、十月十七日に健康審査の実施についてという通知を出しまして、それに基づきまして患者を把握してまいりました。五十年の十二月末現在の都道府県の報告によります患者数につきましては、A、Bのランクがございまして、Aと申しますのは、専門医療機関の受診をしようとするもの、それからBと申しますのは、定期的に専門医師による経過観察をしようとするもの、こう分けておりますが、そのAに該当するものが千五百五十二名、それからBに該当するものが二千百十七名、こういう数字になっております。なお、その当時Cというものがございまして、現在では大腿四頭筋拘縮症とは言えないというものでございますが、これが九千六百九十六名。こういうA、B、Cのランクによって区分をいたしましてとったわけでございます。その数字を見ますと、合計でA、Bの患者が三千六百六十九名、こういうものが大体現在つかんでいる数字でございます。 なお、その後も各県の方から逐次状況をとっておりまして、また近いうちに、できればその数字をつかんだ段階で御報告をしたい、こう思っておるわけでございます。
○鈴木(強)委員 年齢別から見ると、一番大きい子供さんは、何歳くらいからおりますか。
○石野政府委員 現在の数字では、十二歳から十八歳未満という形でそのA、Bの合計四百九十二名というのがございます。しかし、各歳別にずっと見てまいりますと、大体年齢的に大きな差はないような感じがいたしております。
○鈴木(強)委員 この把握の仕方はいろいろあるでしょう。おたくの方で診断基準というものを設けて、その基準に基づいて全国的に調査した患者の数がいまお述べになったものだと思います。まだほかにも、私たちの情報ですと、かなり多いように聞いておるわけですから、さらに的確な御調査をまずやっていただくことですね。 それから、次が、一番大事なんですけれども、齋藤厚生大臣がお約束になった原因の究明、それから予防対策。この問題ですが、問題はこの短縮症の原因が薬によるものかあるいは注射を打ち過ぎたものによるのか、そういう点については、医学的にまだ最終的な御判断はないと思いますけれども、おおよそ私たちは注射の打ち過ぎ、こういうふうに理解をしておるわけです。これは東大の医学部の高橋晄正先生もそういう考え方を持っておられるようですが、その点はどうなっていますか。そこをはっきりしなければならぬ。
○石丸政府委員 筋肉注射によります筋拘縮症の発生の原因でございますが、ただいま先生御質問のように、まだ明確な結論を得ておるわけではないわけでございます。ただ、やはり筋肉注射という行為が原因になったという点は、ほぼ間違いないというような研究結果になっておるわけでございますが、その筋肉注射を行いました際の注射針による機械的障害によるものか、あるいはその際使用いたしました注射薬の化学的な性状によるものか、そこの点につきましてはまだ結論を得ていない段階でございまして、ただいま、先ほど申し上げました研究班におきまして、動物実験等を実施している段階でございます。
○鈴木(強)委員 もうすでに、短縮症になられて十八歳くらいになる人たちもおるわけでして、これは文献をたどってみましても、短縮症というのは相当前から問題になっておるわけです。ですから、いままでこの問題に対する原因の究明ということが、薬なのか注射なのか、それすらまだわかってない。私が国会で取り上げて、それから研究班をつくっていまやっておられるのでしょうけれども、そういうところに、行政が実態と合ってない、怠慢と言われたってこれは仕方ないじゃないですか。十数年、もう二十一年ごろからこれは出ておる病気ですから、今日に至ってまだ注射なのか薬なのかわからないというような、そんな情けないような日本の医療行政なんですか。医学的に日本が世界一だと言われているわけですから、そのくらいのことは本当に惜しみなく予算を使ってもいいと私は思うのです。そして、もっと積極的に、不自由な子供を持っている親御さんの気持ちになってやってくださいよ。いま、四月一日から入学をする子供さんたちもあるのです。いま、びっこを引いて、座れないで、苦しんでいますよね。そういう親の気持ちになって、私はもっと真剣にやってほしかった。いまごろまだこれから研究班をつくって、どっちだかわからぬことをやろうというような、そんなことでは私はおかしいと思うのです。ですから、注射だと思ったら、その注射の打ち過ぎであれば、これは日本医師会なりいろいろと御協議なすって、御協力を得なければならぬことですから、医師会の方にもやはりそれなりの御配意をいただくとか、そういう点はやっておられるのですか。
○石丸政府委員 原因につきましての学問的な研究段階というのをただいま御説明申し上げたわけでございますが、先ほど御答弁申し上げましたように、筋肉注射なかりせばこういったことも起こり得なかったということは、はっきり言えるのではないかというふうに考えておるところでございまして、そういった点に基づきまして、ただいま先生御指摘のように、日本医師会あるいは小児科学会等の団体ともいろいろ連絡をとって、その対策を講じておるわけでございます。 日本小児科学会におきましても、筋肉注射を行う際のいろいろな注意等につきまして会員に周知徹底を図っておるところでございますし、また日本医師会におきましても、医師会雑誌等を通じまして、筋肉注射の際の注意事項、これは医師として当然守るべきような注意事項でございますが、そういった点について会員への周知徹底を図ってもらうよう医師会にも連絡をとりまして、そういった措置をとったところでございます。
○鈴木(強)委員 大腿部へ打ちますと、そういう短縮舘だなる危険性が多い。したがって、できるだけ注射によらない、経口薬なり何なりによって治療するような方法を私はもう少し真剣に考えてほしいのですね。とにかく生まれてまだ二カ月とか三カ月の子供でございますから、そういう子供に注射を打つなんということは、われわれ素人ですからわかりませんけれども、ちょっとこわいような気がいたします。それらの問題を含めて、もう少し的確な御指導というものがなされてしかるべきではないだろうか。おたくの方も難病、奇病が多いですから、これだけにかかっておられないでしょうけれども、それぞれの担当もいらっしゃるでしょうから、もう少しきめ細かい御指導ができないものですか。それをやってください。
○石丸政府委員 注射に当たっての注意事項、ただいま先生御指摘のような点、すなわち内服で可能なものはできるだけ内服にかえるということで、万やむを得ざる場合にのみ注射を行うとようような点につきましては、小児科学会並びに日本医師会においても、そういった先生御指摘のような点につきまして会員への周知徹底を図っておるところでございます。
○鈴木(強)委員 それで、薬のことですけれども、薬務局長さんいらしていますね。——高橋晄正先生のお話ですと、注射の液、薬にかなり危険と言うと失礼かもしれませんが、そういう子供たちに打っては心配されるようなものがあるのじゃないかということを言われておりますし、アメリカあたりの学説その他から見ましても、たとえばお医者さんが使っているクロロマイセチンとかクロラムフェニコールというようなものがございますが、これは非常に毒性が強くて、骨髄障害を起こして、再生不良性貧血を起こすようなことになる。米国ではもう数年前から腸チフス等でどうしても使わなければならぬ場合を除いてこの薬は使ってはいけない、こうなっているそうですね。日本ではまだこれを使っているでしょう。これはどんなことですか。
○上村政府委員 いまお話しになりましたクロラムフェニコールと大腿四頭筋拘縮症との因果関係というのは明らかではございませんが、厚生省では昭和四十六年から古い薬品の再評価という仕事をやっておりまして、その中でクロラムフェニコールにつきましては昭和五十年の十二月、それから似た薬でございますテトラサイクリンにつきましては昭和五十一年の四月に再評価しました結果、それぞれ有効菌種、どういうような菌に効くかということを決めましたのと、それから適応症を制限いたしましたのと、それからいまお話に出ておりました経口投与などができない場合に限って筋肉注射を使う、そういうふうに定めたわけでございます。したがいまして、その再評価の中でクロラムフェニコールの適応症というのが大幅に制限されたというふうになっております。
○鈴木(強)委員 国民健康保険制度ができて以来、どうも薬を使う率が非常にふえているということを統計的にも示しているわけです。ですから病院へ行きましても、本当に袋やかばんでも持っていかなければならないくらいたくさんの薬をくれるわけです。注射もどんどん打つ。ああいう点われわれもよくわかりませんけれども、少しオーバーなような気がするので、そういう点に対する指導くらいはもっと積極的にやってもらいたい。それは一つ私の要望として申し上げておきます。 それから三千六百六十九名の患者がおりまして、そのうちAに該当する、要するに入院治療ですか、千五百五十二名のうちで、児童福祉法の育成医療の指定を受けている方は何人おりますか。
○石野政府委員 Aランクの中で実際上育成医療給付を受けておりますのは、五十年十二月末現在でございますが、三百十五名という数字になっております。
○鈴木(強)委員 齋藤厚生大臣の約束をされた三つ目の問題ですが、千五百五十二名のうちで三百十五名でございますね。あとはこれは適用にならないわけですが、父兄から見ると大変金がかかることですから、非常に困っているわけですよ。ですからできるだけ法の運用、解釈、いろいろむずかしい点があるかと思いますが、少なくとも父兄負担を軽減するような方向でもっと積極的にやりていただけませんでしょうか。
○石野政府委員 三百十五名と言うと非常に数が少ないように思いますけれども、実際はこの疾患につきましては、子供でございますから常に成長いたしてまいります。そうしますと、手術の時期というのは非常にむずかしいわけでございまして、余り早くやってしまいますと、後でまた再手術という問題もございます。それからまた経過も非常によくないという場合もございますので、慎重に取り扱わなければならない。そういう意味である程度長期的な観察をいたしまして、必要に応じて治療を行う、こういうことが学界の通説になっておりますので、したがって数が少ない、こういうことでございます。
○鈴木(強)委員 そうすると、手術を必要とする場合には育成医療の助成はできるわけですか。一人どのくらいかかりますか。
○石野政府委員 費用の負担でございますけれども、これは御存じのとおり健康保険法で医療保険で七割給付をいたしております。その残りの三割分について公費負担をするわけでございますが、その際に医療保険では三万九千円という高額医療の限度がございますので、どんなにかかっても三万九千円、こういうことでございます。したがいまして、一つの例で申しますと、年収五百万程度と申しますと本省で言えば課長の中堅あるいはそれ以上の者でございますが、それが月々大体二万円程度、それから八百五十万ぐらいの収入になりますと三万九千円、こういう数字でございます。
○鈴木(強)委員 大臣、親御さんたちが非常に苦しんでいるのはやはりこの点にもあるわけですね。もちろん精神的な面もありますけれども、経済的な面で非常に苦しんでいるわけです。だから、何とか全額負担をしていただきたいという切なる願いがあるわけですが、それは、にわかにここで大臣によろしいというお答えをいただくことは、私は無理なことは重々わかっておりますが、ひとつ英知を集めて最大の努力をしていただいて、早く検討、工夫をしていただいて、努力をしてみていただけませんでしまうか。何とかひとつ父兄の期待に沿えるような厚生行政として、そういうような深い思いやりのある施策というものを私はお願いしたいのでございますけれども、どうでございましょうか。
○渡辺国務大臣 御趣旨ごもっともでございますので、現行制度のもとで法律が許す限りできるだけのことはやらせたいと検討するつもりであります。
○鈴木(強)委員 それで大臣、大変あれですけれども、もちろんいまおっしゃったとおりだと思いますけれども、なおひとついろいろな工夫をしていただいて、現行法律の中でやり得ないとすれば、枠を広げてもこういう人たちに対しての医療給付というものを全額国でやっていただけるような、そういうことを検討していただけませんか。
○渡辺国務大臣 いずれ医療問題全体にわたって検討するときにあわせて検討したいと思います。
○鈴木(強)委員 それからもう一つ事務当局ですが、もとの齋藤厚生大臣がお約束した中に、もう一つこの指定医療機関についての話があるのですが、私は山梨県の選出でございますから特にこの問題を取り上げさせていただいたのですが、山梨には、山梨中央病院、これは県立です。それから国立甲府病院、それから私立。この三つが大体指定医療機関として適格性を持っている病院でございまして、あとはほとんどないのでございます。ですから、五里も六里も遠くからバスに乗って病院へ通わなければならないような状態でございますから、近くに専門的な先生がいらしたら、その先生を指定していただいて、そしてその先生のところへ行けば診療をしていただけるような方法をとってもらいたい。それは県とも相談をしてそういうお医者さんがあったらやりますと、こういうお答えをいただいておったのですが、具体的にどのようにしていただきましたですか。
○石野政府委員 指定医療機関の問題でございますけれども、これは非常にむずかしい問題がございまして、高度の医療技術を必要としますので、どうしても医師の経験年数でございますとかあるいは技術の問題あるいは設備の問題、そういうものを踏まえて指定しなければなりませんが、現在のところ、山梨県の場合でございますと、指定医療機関が十一ございまして、そのうち整形外科の専門機関が六つでございます。もちろんその適格なものがあれば私の方は当然指定をいたすわけでございますが、現在のところ、県の方から特にこれを指定してくれというような御希望は出ておりません。
○鈴木(強)委員 いろいろ全国的な患者の調査とか、それからそれぞれの診療基準に基づいてのいろいろな仕事は、下の方へ流してそれぞれの地域でやっていただいているわけでしょう。ところが、それが本当に厚生省でお考えになっているような形で実際的に動いているかどうかは疑問があるのです。ですから、ときどきそういう点については強い指導をしていただいて、本省の考え方が間違いなく下部末端まで行き届くような御配慮を ぜひお願いしたいと思います。 最後に、私は一言申し上げておきたいのですけれども、実際、大臣、この子供たちが、私の体はどうして動かないのでしょう、どうすれば治るの、早く治りたい、そういう悲壮な叫びを上げているのですよ。埼玉県でも、せんだって粕谷さんというおうちにこの子供さんがおりまして、前途を悲観して一家心中しているのです。そういう事態まで起きているわけですから、ぜひこれは心してこれらの人たちのために、裁判は裁判としてやっていただくとしましても、当面国の力でできることは、医療の面におきましてもあるいはその給付の面におきましても、ぜひひとつ格段の御配慮を重ねて大臣にお願いをし、御所見をちょっと聞かしていただいて、私はこれで終わらしていただきます。
○渡辺国務大臣 お申し出のとおり、非常に気の毒な患者がございます。したがって厚生省としては、いま局長からいろいろお話しいたしましたように、いろいろなことはやってきておるわけです。したがって、今後とも医療制度全体の中で、また改むべきところがあれば改めていきたい、こういうように考えております。 ただ、その注射の問題その他医薬品の問題等については、それを用いることによって一命を取りとめておる場合も非常に多いということもございますものですから、注射は一切させるなとか、そういう薬は一切だめだとかというようなところまではなかなかいかない、そこのところは非常にむずかしいところもございます。
○鈴木(強)委員 ありがとうございました。
○坪川委員長 次に、安宅常彦君。
○安宅委員 私は、金大中氏事件に関して非常に疑問がございまして、いろいろ調べておったのですが、このことについてきょうは質問いたします。時間がありませんから簡単に申し上げますから、答弁も簡単にしていただきたいのです。 まず一つは、さきに本委員会で大出氏が調査要求をした、同事件の当時自衛隊が動いた問題などについて、在米日本大使館をして、文明子女史に接触してでもその実態を調べろ、こういう要求が出ておったのですが、これはどうなっておりますか、外務大臣。
○鳩山国務大臣 お答え申し上げます。 在米大使館を通じまして、これは読み方はよくわかりませんが、文明子女史に、これは電話でございますが、接触がとれまして、その報告が参りましたので、御報告申し上げます。(安宅委員「それは後で伺いますから、接触がとれたかどうかということだけで結構です」と呼ぶ)接触が電話でとれたわけでございます。
○安宅委員 法務省にお伺いいたしますが、特に韓国人の出入国の問題でございますが、これは名前を三つも使い分けている人もあるくらいですから、このことについては、私は朝鮮問題をずっとやっている中で、偽名で入国する、こういうことが非常に多いのではないかということを前にも言ったことがあるのですけれども、金大中氏事件以来非常にそういうことが多いのではないかと私はにらんでいるわけでありますが、そういう偽名を使って要人が入国する可能性というのはやはりあるんでしょうね。このことについて入管の方から答弁願います。
○吉田(長)政府委員 お答えいたします。 朝鮮の方及び中国の方は、ときどき、姓は同じでございますが、名前を二つ持っておられる方もございます。ただし入管局といたしましては、在来、旅券が出ておりまして、その旅券に日本の出先の査証が与えられておりますと、日本へ到着いたしましたときに旅券に張られてある写真とその人が同一である場合は、有効な査証を持っておりますから入国をさせております。
○安宅委員 ただ、たとえば非常に際どい仕事をするときにはまるっきり偽名で来て、それ以外のときと思われるときにははっきりした——たとえば大韓航空の社長の趙重勲という人は、私らが調べた範囲内では、金大中氏事件が起きた直後あたりは何回も入国しているのです。だけれども、それが終わって四十八年の十月二十一日ないし二十六日までおった時期、十二月十六日から二十一日までおった時期、これは本名で来ているんですね。あなたの方の記録にちゃんと載っている。ところが載ってない分がたくさんあるのです。こういうやつは、悪いことをしに来たときは別な名前で来て、そうして、いいこと——いいことだか何だかわからないけれども、自分が大したことないと思っておるような入国には本名を使うという際どい使い分けをしておりますから、これは厳重に調査をしていただきたいと思います。 それで、わが党が入手した、韓国におけるジャーナリストで有名な、いまアメリカにおられますが、文明子女史の情報によりますと、これは新聞などでずっと書かれておりますからもう周知の事実なんですけれども、金大中氏事件政治解決のために韓国の筋から三億円渡されたというような説は、アメリカでもいろいろ言われておりますし、このことについて文明子は以下のように言っているわけです。 時間がありませんから要約をいたしますが、朴大統領から当時の田中首相の最も近い仲介者小佐野に、政治解決のための献金として三億円を三回に分けて渡されている。第一番目は、昭和四十八年八月十六日に、朴大統領から依頼をされた大韓航空社長の趙重勲が、赤坂の川崎で現金一億円を非常に近い仲介者であると言われている小佐野氏に渡した。この金は韓国外換銀行、きのう問題になりましたその東京支店からのものであるという非常に確度の高い情報が私どもに入っているわけです。それからその後すぐ趙重勲は朴大統領に報告しに行っているようですね。離れた日が十八日です。 その後、十六日からそういう経過をたどって、九月中旬までの間に何回も日本に行ったり来たりしておるのですが、その過程の中でやはり小佐野氏に現金一億円を渡している。これは日にちがはっきりわかりませんけれども、そういうことを言っております。 そして最後に昭和四十八年九月二十一日、これは小佐野等と会うために箱根に行っているということがはっきりしているのです。この最終的な詰めの話し合いのときには会談の場所は小佐野が準備した、こういうふうに言っておりまして、そのときには、短い時間かどうかは別として、当時の田中首相が顔を出しているということをはっきり私は確信を持って言えるということを、この文明子という人が言っているわけであります。 こういうことについて非常に確度が高いものであるということを私は言いたいのは、文明子女史とは私面識がございまして、いろいろなそういうことについての発言などを何回もお互いに交換したり聞いておるのですけれども、この人が言っていることはいままでほとんど事実と合致しているのですね。したがって、この間小林進先生が言ったモーターボートの事件、それから自衛隊機を動かしたということについて調査しろということで調査をすることになった大出さんの問題、それとあわせてぜひひとつ調査をしていただきたい。これは外務省もそのとおりですが、警察庁に、こういう問題については、金大中事件の正しい解決のためにぜひお願いしたいと思いますが、いかがですか。
○三井政府委員 金大中事件の捜査につきましては先般もお答えしておるところでございますが、ただいま及び前回からも御指摘の各種情報等いただいております。また、マスコミ等におきましても報道されておりますので、私たちは現在維持しておる捜査態勢の中でこれを参考としてこなしていきたいということでございます。
○安宅委員 外務省の答弁ですが、さっき接触した云々の話がありましたね。したがって、大使館の方で文明子女史と会って聞く、こういうのが私の要求ですから、それに沿った答弁をしてください。
○鳩山国務大臣 文明子女史につきましては、先ほど申し上げましたように接触はとれておりまして、またその際に、いろいろな情報を自分は持っておるということを言っておるわけでございます。そして大使館からそれらの情報や資料を日本政府に提供する用意があるかということを尋ねたわけでございますけれども、先方としては、自分は日本政府のために働いている者でもないし、かつまた、金大中事件に関する情報や資料は日本の当局が当然持ち合わせているはずのものであり、ジャーナリストたる自分としては、自分の持っている情報や資料を日本政府に提供しなければならぬ筋合いとは考えていないというようなことを言っております。
○安宅委員 こういうことならば、前から私ども要求しているのですけれども、改めて要求いたします。ぜひ本委員会に文明子女史を参考人として呼んで事実を確かめるということをひとつやっていただきたい。これが私の予算委員長に対する要求です。いかがでしょう。
○坪川委員長 この問題につきましては、昨日来、与野党の間で協議を続けておりますので、さらに安宅君からの御要望の点も御報告しておきたい、こう思っております。 次に、藤田高敏君。
○藤田(高)委員 時間が五、六分しかありませんので、そのものずばりでお尋ねしますが、一昨日の経団連会館襲撃事件に関する件についてお尋ねしたいと思います。 報道されているところによりますと、散弾銃やピストルあるいは日本刀を持っておるいわば凶悪犯人を逮捕するに当たって、警察当局の逮捕のあり方について、手錠をかけないで連行した、こういうふうに報道されておりますが、そのことは事実かどうか。事実であるとすれば、どういう理由で手錠をかけないで連行したのか。またこの種の凶悪犯人ないしはこの種の事件に関連をして、手錠をはめないような逮捕をした前例があるかどうか。このことについてお尋ねをしたい。
○三井政府委員 今回の事件について、犯人の四名を現行犯逮捕に当たりまして手錠をかけなかったという点については、報道等もされておりますように事実でございます。 また、過去において、凶悪犯人等の現行犯逮捕の際に手錠をかける、かけなかったということについては、格別統計等もとっておりませんので、具体的な事案という点については私記憶ございませんが、幾つもあるというのが常識であるというように私たちは考えております。 なお、今回の事件について手錠をかけなかった理由でございますが、今回の事件は御存じのように人質事件でございまして、人質をとって占拠をし、ある種の要求を出す、こういうものでございます。人質事件の場合は各種ありますけれども、このような凶悪な一定の政治的運動のためにやる場合もありますし、また通常の強盗まがいのように金銭要求でやる場合もございますが、警察にとりまして人質事件の処理は最もむずかしい事件の一つでございます。と申しますのは、事件を起こしました犯人を逮捕しなければならぬのは当然のことでございますが、同時に、人質の生命を安全にして救出する、こういうことでございまして、端的に申しますと、この事件処理の方針は二点ございまして、人質の安全救出、第二点は犯人の検挙ということでございます。したがいまして、この際、犯人が人質に危害を加えないように各種の説得をいろいろの手段方法でやるわけでございますが、本件の場合、十何時間という長い説得の中で犯人がようやく、人質に危害を加えない、そしてわが方に投降する、現行犯逮捕する、こういうふうに説得の結果折れてまいりましたので、そこで最後に、その人質に危害を加えないで逮捕する一つの担保と申しますか、犯人側から言わせますと手錠をかけないでくれ、こういう意味のことを申したわけでございます。まあそういう意味で、手錠こそかけませんでしたけれども、そのこもっておった現場において逮捕し、両腕を抱え、持っておりました凶器を全部その場で取り上げる、押収をするということで無事逮捕したわけでありまして、手錠をかけなかったことを含めまして、そういうやり方によって人質に何らの傷、危害を与えることなく、無事にこの事件の解決が成功した、こういうふうに私たちは考えておるわけでございます。
○藤田(高)委員 私は、人質の人命を尊重するという立場からするいまの当局の見解は一応了とするわけでありますけれども、しかし、これだけ凶器を手にした凶悪犯人、現行犯というのはないわけですから、一応人質の人命が大丈夫だという条件が保証されたその瞬間には、私は、当然手錠逮捕ということがむしろ常識じゃないか。そうしないと、たとえば選挙違反で、法律違反ではないかと疑われる程度の文書あるいはチラシの配布をしておっても手錠をかけて逮捕するというような事件との均衡がとれないのじゃないかということが一つ。 いま一つは、ああいう形で胸を張って時扱いをしてくれ——時扱いをするようなことが法律上考慮されるべき理由があるのかどうかということ。そうして、そういう犯人の言い分を入れて、胸を張って、そうして手錠もかけないで連行されるような状態が報道されますと、このことがますますもって右翼の跳梁を許すことになるのじゃないか。右翼勢力をして英雄気取りにさしていくことになりやしないか。第二、第三のこの種の事件を警察当局が誘発さすようなことにならないかどうか。この点についてお尋ねをいたしておきたいと思うのです。 こういうことについて明確にやらなければ、やはりややもすると、かつての、一昨年でございましたか昨年でしたか、姫路の警察署長と有力な暴力団とのかかわり合いが大きな政治問題、社会問題になったように、警察自身とこの暴力団のかかわり合いというものはやはり世論の指弾を受けることになるのではないか。それに対する見解。 いま一つの問題は、野村秋介に代表されるように——彼は河野邸を焼き打ちするような事件で十二年の実刑を受けておる、そうして一昨年出所してきたばかりなんですが、こういう右翼団体に対する警戒といいますか、そういうものに対するマークが非常に私は甘過ぎるのではないかと思うのですが、そのことに対する見解をお尋ねいたしたい。
○三井政府委員 第一点の、手錠をかけなかったことによって今後同種事案の続発防止に寄与しない、かえってマイナスである、こういう御意見でございますが、先ほど申しましたように、一たん事件が起こりますと、当該事件をいわば完璧に処理をすると申しますか、この場合の第一要件は、人質の生命の安全、これが第一でございます。それと並んで犯人を全員検挙する、こういうことでございまして、本件の場合は、人質の生命の危険もありましたし、また犯人も、全部かどうかは別といたしまして、あの場で自決をする、こういうような要素もあったわけでありまして、そのいずれをも防止して、両方の生命を安全に救出し、かつ検挙する、こういうことでございまして、そのためには、説得の結果、手錠をかけないことがそれに寄与する大変有力な要素になる、こういうふうに現場において判断をいたしました。そのかわり、手錠をかけませんでしたけれども、手錠をかけたと同様に、また手錠をかけることにかわる、それと同じような物理的な身柄の拘束として、捜査員が二人以上で両腕をとるということによりまして、彼らの危害あるいは逃亡、さらに自殺、こういうことを防いで逮捕したわけでございます。 それから次に、そういうようなやり方ではまた他の右翼に対してこれと同じようなことをやらせる誘因にならないか、こういうような懸念の点でございますが、私は、犯罪はこれを完全に検挙する、犯罪があれば検挙するということが犯罪の続発防止の最大の決め手であるというように考えます。そういう意味におきましては、今回彼らが自決もできなかったということによって、多くの右翼はこれを見て疎外感を感じておるのではないか、あるいは挫折感を感じておるのではないかというように思いますけれども、つまり検挙にまさる防犯なしということが第一でございます。そういう意味におきまして、大筋におきましては予防という効果もこれによって大いに発揮しておるものというように考えるわけでございます。 それからまた、野村秋介……
○坪川委員長 簡明に願います。
○三井政府委員 はい。 野村秋介のことでございますが、一昨年彼は出所以来、彼の動向についてはよく注意を払っておりましたけれども、言論等におきましていろいろのことを言っておりました。ただ、一般的に暴力を肯定するような言い方を言論で言っておりましたけれども、今回こういうような形でこの種の事案を敢行するということについては、それを判断できる、察知できるような材料といいますか、徴候を把握できなかったのは大変残念であると考えますが、今後こういう点につきましても十分反省を加え、手抜かりのないようにやってまいりたいと考えておる次第でございます。
○藤田(高)委員 ありがとうございました。 見解の違いもありますし、また今後の問題についてもお尋ねしたいことがありますが、時間がありませんので、これで終わります。
○坪川委員長 次に、広沢直樹君。
○広沢委員 きょうは日銀総裁にわざわざお越しをいただいておりますので、最初に森永総裁にお尋ねを申し上げたいと思います。 昨年からもそうでございますが、景気の中だるみということが言われてまいりました。さらに、昨今の経済の動向を見ておりましても、早急に景気回復を図るための緊急対策というか緊急的な課題として、もう少し何らかの具体案を考えなければならない、こういう段階にあろうかと思います。 政府は、昨年十一月に景気対策として七項目、さらに五十一年度の補正予算において公共事業を積み増しする。また、五十二年度の予算におきましても公共事業を重点に景気対策を図る。こういうふうに、当面事態に対応する財政的な手段というものはとりつつあるわけでありますが、やはり財政的な手段もそれは限界があると思います。 それから、ごく最近の主要経済指標を見ておりますと、日銀総裁もこれは十分ごらんになって御検討いただいていることだろうと思いますが、回復テンポはやはり依然として鈍い、こういうことがはっきり裏づけられてきている現状でございます。鉱工業生産だとかあるいは設備投資だとか、それぞれの指標について一々お話をしている時間がございませんが、これはだれが見ても変わりないことでございますから省きますけれども、国際的に見ましても、やはり輸出の方が相当好調である。そういうようなことで、昨今来、対外的な批判も高まりつつあるというような状況でございます。 こういう観点から考えても、財政金融一体の政策を強く推し進めていかなければならない段階が来ているのではなかろうか、こういうふうに考えているわけであります。金融的な政策としますと、やはり公定歩合の引き下げ、こういうことが考えられると思うのですが、いままでの森永総裁のお話を聞いておりましても、まだそういう必然性のあるべき時期ではない、こういう御判断をなさっておられました。ところが、昨今の報道、ニュースが伝えるところによりましても、もうその時期が十分に熟してきたのではないか、こういうような報道が盛んになされております。 そこでお伺いいたしますが、現状の景気からして、公定歩合の引き下げ等の金融、金利政策についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、ひとつお考えを聞かしていただきたいと思います。
○森永参考人 お答えいたします。 景気の現状につきましてはただいまお述べになりましたこととほぼ同じような感触を私も抱いております。年が明けましてから輸出の水準がかなり高いというプラスの面がございますけれども、個人消費、設備投資等につきましてはいま一つ盛り上がりに乏しく、回復のテンポが鈍化した状態がいまも続いておるわけでございます。しかしながら、この先さらに下降局面に向かうとかあるいは失速状態に陥る、そういう心配はいまのところ万あるまいと思っておるわけでございます。政府の七項目の対策あるいは補正予算、五十二年度予算の刺激的効果等も、時間が少しかかるかもしれませんが、いずれ出てまいることでございますので、景気の回復にそれなりにいい影響を与えるのではないかと期待しておるわけでございます。 金融の面でございますが、金融の緩和はかなり浸透いたしておりまして、企業の手元流動性もかなり緩やかなものになっておると思いますし、さらに金融機関の貸出金利も、一昨年の四月公定歩合引き下げ開始以来順調に低下し、公定歩合の引き下げに追随しておる状態がいまだに続いておる状態でございますので、金融につきましてはいますぐに何らかの新しい措置を講ずることは具体的には考えておりませんが、今後の情勢の推移に即しまして適時適切な対策を講ずべきことはもちろんでございまして、目下のところは今後の情勢の推移を見守っているところでございます。
○広沢委員 その時期を明示することは非常にむずかしいことではあろうかと思います。しかしながら、これもいま日銀においての今後の動向を見きわめる上において大変重要な資料になります短期の経済観測、これも近々発表されるのではないかということでありますが、大まかな観測というものは粗づかみながらつかめていると思うのです。日経新聞の調査によるいわゆる設備投資調査、これによりますと、東証一部上場の主要企業を対象にしていわゆる設備計画額、工事ベースで調査をされておるわけでありますが、これが前年度に比べてわずかに二・五%増、いわゆる五十二年度の経済見通しで考えている設備の盛り上がりからすると大変気迷っているといいますか、非常に低調である。したがって、民間の企業の自力的な回復がきわめて弱いことがはっきりしてきているわけですね。そういうことはいまのあなたの方で調べておられる短観の方でも具体的に出てくるのではないかと思われますので、そういうような状況から考えていきますと、私は基本的にこの状況だけではなくて、今回の不況を回復する上においてやはり五十二年度が少し高目の経済成長を考えなければならぬ、そしてその後において漸次安定成長ラインに定着していくものと考えるという基本的な経済計画から考えましても、こういうような状況の中においては、財政のみならず金融もあわせて景気対策として発動するのが当然のことではないだろうか。それが多少おくれている原因というのはいろいろな要因が考えられるわけでありますけれども、やはりそういう時期はもう熟してきている。しかし諸般のいろいろな事情がありますから、いつどうするということは端的には言えないのかもしれませんが、その時期が熟してきているのじゃないかということは言い得ると思うのですが、その点いかがでしょうか。
○森永参考人 御意見は傾聴いたしました。 ただいまお話のございました設備投資の動向等が今後どうなるか、私どもも大変関心を抱いておるわけでございまして、来週早々には私どもで実施いたしておりますいわゆる短期経済観測の結果も判明することでございますし、その他今後の推移を真剣に見守っておる次第でございまして、そのときどきの情勢に即して適時適切な対策を講じてまいりたい、そういうふうに考えております。
○広沢委員 それでは現在の金利体系の上においてどういうふうな考えがあるかということを一、二点聞いておきたいと思います。 政策当局としての懸念されることは、やはり公定歩合を考える上においては金利体系の問題があろうかと思うわけであります したがって 先般も当委員会において一般論ながらと一応は前提を置きながら、公定歩合の操作については預貯金の金利との連動ということを切り離して考えられるというお話がございました。いままでの公定歩合の操作を見ましても、必ずしも連動していない時期はございます。やはり公定歩合だけを引き下げてやっているという時期もこれはございますし、特に不況のときにおいてはそういう場合が多うございますですね。ですから今回の場合、金利体系の状況から考えると、必ずしも連動しないでも過去の例にあったように操作できる状況なのか。あるいはそうではなくて、やはり現在は短期プライムレートとそれからいわゆる一年ものの定期あるいは定額、これは一応接近しているわけでありますから、そういう関係におきましては連動しなければ実際は効果は考えられないというふうにお考えになっていらっしゃるのか、その点。
○森永参考人 お答えいたします。 預貯金金利も重要な金利政策の一環でございますので、その金利がいかがあるべきかということにつきましては、そのときどきの必要に応じ、弾力的に考えていかなければならないことは当然だと存じます。 先ほど申し上げましたように、市中貸出金利の低下に伴いまして、市中金融機関の利ざやはかなり縮小いたしております。だからといって、今後ももう下がる余地がないかと申しますと、これは金融機関の努力いかんではまだ少しは下がろうかと存じますけれども、そこにはいずれ限界があるわけでございますので、貸出金利の低下を実効あらしめるためには預貯金金利の問題を全然無視するわけにはいかないことは当然でございます。これは一般論でございます。 今度公定歩合を考える場合に、預貯金金利の問題をどうするかというお尋ねでございますが、公定歩合そのものにつきまして具体的にまだ検討いたしておりませんので具体的にお答えすることはお許しいただきたいと存じますが、私どもといたしましては、今後の情勢の推移に即し、預貯金金利をどうするかという問題も含めて最善と考えられる対策をそのときになって、そのときの事情に応じて考えなければならぬと思っておる次第でございまして、過去の例はいろいろございます。同時に決定いたしたこともございますし、あるいは公定歩合が先行したこともございます。いろいろな場合があったわけでございますが、過去の先例等をも参酌しながら、そのときの情勢に応じてその問題を最善と信じられるような方向で考えなければならぬと考えておる次第でございます。どうも具体的なお答えになりません点はくれぐれも御容赦のほどをお願い申し上げる次第でございます。
○広沢委員 重ねていまの問題についてお伺いいたしたいと思いますけれども、公定歩合の引き下げの時期はいつかということを明示することは、それはなかなかむずかしい。時期は熟してきていると思いますけれども、また基本的な政策としては当然考えなければならないこともお認めのとおりでございますから、それはわかりますけれども、しかし実際に金融政策、金利体系の政策をとる以上は、現状というものは変わっていないわけでありますから、現状に即してとる場合においては、過去のように預金金利と貸出金利が開いているとか金融機関の総資金量に占める利ざやが相当ある場合は多少過去の例によって考えられると思うのですね。しかし、現在のように預貯金の金利と短期貸出金利、標準金利が接近している状況の中においては、これは非常にむずかしい問題があると思います。 そこで、われわれの主張として申し上げておきたいことは、誤解があってはいけませんから申し上げておきますけれども、昨今、総理府統計局が出しておりますいわゆる家計調査とかいろいろな統計を見ておりましても、実収は横ばい、可処分所得は落ち込んでいる、こういうふうに統計的にも出ているわけですし、実態もそうでございます。したがって、それに対しては、総裁も御存じのように減税要求が盛んに行われているわけであります。政府は、減税についてはいままでのところ非常にあいまいな態度をとっておるわけでありますが、仮に減税は具体的にやらない、それから預貯金の金利は金利政策上仕方がないから下げるということになりますと、これは大変な問題です。御承知のように、貯金だけでも三十兆を超えているということですから、仮に一%連動して下がるということになったら、ざっと計算しても三千億ですね。それだけ預貯金の率が減る。特に貯金というのは少額の大衆預金でありますから、大衆に大きな負担をかける。両面からかけるという結果が出てくるわけですね。そういうことから考えますと、できるだけ金融全体の情勢を考えなければならないとは思いますけれども、これは切り離して考えていくことも考えなければならぬだろう。その際どの辺までやっていけるものなのか。これは、過般、総理が当委員会での答弁のときに、大体〇・二五%の公定歩合の引き下げぐらいだったら何とか切り離しても考えられるのじゃないかという意味のお話をなさっていらっしゃるのですね。また、一般にもそう受け取っております。したがって、総資金量に占める利ざやを見るとある程度それは考え得るのじゃないかと思いますが、日銀としてはその点どの辺までお考えになっていらっしゃるのか。
○森永参考人 先般、福田総理大臣が、〇・二五%ぐらいならば預貯金金利据え置きのままでも下げられるというのが通説であるというふうにおっしゃったわけでございますが、私は、〇・二五%といえども預貯金金利の関係を全然考えないでいいのかどうかという点につきましては、先ほど来申し上げておりますように、金融機関の利ざやないしは預貯金金利も金利体系の重要な一環であるということから考えまして、いろいろと慎重に考えなければならない問題がひそんでおると考えておる次第でございます。 目下のところ具体的に公定歩合の問題を検討いたしておりませんので、預貯金について具体的にどうするかということにつきましてはお答えすることがなかなかむずかしいのでございますが、一般論として考えますと、市中金融機関の貸出金利の低下の実効を確保するためには預貯金の問題も全く無視するわけにはいかないということは、これまでと同じような考え方に立っておるわけでございます。 ただ、具体的にどの程度密着して考えるか。必ず同時でなくちゃならぬか、あるいは預貯金の方が少しおくれてもいいのか、その辺の問題になってきますと必ずしも硬直的に考える必要はないと思うわけでございまして、諸般の情勢を総合的に判断して最善の方途を講ずる、そういうことでよろしいのではないかと考えております。これはもちろんお断り申し上げるまでもなく一般論として考えた場合でございますので、具体的にどうこうするということにつきましては御容赦をいただきたいと存じます。
○広沢委員 では、日銀総裁に最後に一つだけお伺いしておきたいのですが、過般の記者会見におきまして、総理が近く日米首脳会談をなさる、その際には一応総裁として金融対策上からお会いになってお話をする意向があるやに報道されておるわけでありますが、やはり当面の首脳会談といえば世界的にも景気問題というものが大変な問題だろうと思うのです。したがって、対外批判の非常に高まっておる折でありますから、当然その中では景気対策の問題が出てくるでありましょう。ですから、金融的な面からお話しするということになれば、当然金融対策をどうするかということのためにお会いになるのだろうと私は思うわけであります。その点具体的に、首脳会談の前にお会いになって打ち合わせをなさる。それは、最近景気の動向が非常に低迷を続けておるわけでありますから、そういうことを踏まえて、金融政策の具体的な発動の時期も含めてお考えになるのか、その一点だけ最後にお伺いしておきたいと思います。
○森永参考人 金融問題につきましては、大蔵省から総理大臣に対して十分状況の説明等を行われることとは存じますが、日本銀行といたしましても、昨今の金融情勢あるいは為替相場の問題その他所管事項につきまして、もし総理大臣の時間がいただけますならば御渡米の前に状況の御報告を申し上げた方がいいと考えておる次第でございます。これは、公定歩合問題の成り行きいかんにかかわらず、ぜひ短時間いただきたいと考えておりますが、まだ具体的に福田総理大臣に対してお時間をいただきたいという申し入れをいたしておるわけではございません。そのように考えておるということを申し上げたいと思います。
○広沢委員 では森永総裁、結構であります。
○坪川委員長 森永総裁、どうぞお引き取りを。
○広沢委員 それでは経済企画庁長官に、いまのに関連した問題として一つお伺いしたいわけでありますが、私、過般来、各種の機関の経済見通しをいろいろ検討してまいりました。その中に、公共事業あるいはまた減税、さらにはいまもお話をしておりました公定歩合の引き下げ、大体〇・五%ぐらいを見込んで経済見通しを立てておられるわけであります。その集約されるいわゆるGNPの伸びというものは政府の見通しと大差がない、それに似通った形でできてきております。中身はそういうふうな内容が一応網羅されておるわけでありますが、政府の見通しの中にはいまの金融政策上のことも一応加味されているのかどうか、この点お伺いしたいと思います。
○倉成国務大臣 お答えいたしたいと思います。 政府がいろいろな経済見通しをいたしますときには、各種の政策手段の組み合わせによってこの経済見通しを達成することを考えておるわけでございますけれども、具体的に金融政策をどうするかということは、そのときどきの経済情勢に応じて決定すべき問題でありますので、ただいまの御質問のような趣旨では考えておりません。
○広沢委員 それでは、もう時間もありませんので、財政問題について、若干の時間の中で簡潔にお伺いいたしたいと思います。 過般私も、補正の総括のときに取り上げたわけでありますが、今日の財政は、予算においては三分の一も国債にゆだねなければならぬ、その中の半分が赤字国債である、こういう異常な状態であるということでありますし、過般の本会議における坊蔵相の財特法に対する説明の中にも、諸外国に例を見ない異常な状況にある、こういう御認識で説明をなさっていらっしゃいました。この財政法にないいわゆる特例公債、これから早く脱却しなければならないという政府の言い分、われわれも同じ考えです。それには違いございません。しかしながら、そのためには具体的にどういう方途を考えているのかという意味から、昨年あるいは一昨年の補正において多額の赤字国債を出さなければならないという状況になったときに、その見通しを立てるために財政試算というものをつくるように言って出てきたわけですが、これが本予算からおくれていま提出されたということは、はなはだ遺憾だと思うのです。国債に抱かれた財政ということであれば、その見通しというものもやはり参考資料として同時に出すぐらいの考え方でなければならないと思うわけです。 端的にお伺いいたしますけれども、この見通しが出ているわけですが、五十五年に果たしてこれがゼロにできるかどうか。これは総理大臣が過般の本会議では、やるかやらないかではなくてやらなければならないのだ、こういう仰せでありましたし、また坊大蔵大臣も答弁で、総理の言っていることは全くそのとおりだという御答弁ではございました。ですから、それはいまやるということになると思うのですが、果たしてこの指標から見た上で、可能かどうかということに私は大変疑問を持つのです。端的にひとつお答えをいただきたいと思います。
○坊国務大臣 今度提出いたしました財政収支試算でございますが、それを見ますと、日本の財政がなお困難性を加えたというふうにも見られますけれども、われわれといたしましては、ひとつこの財政収支試算を手がかりといたしまして、それでいままでのいろいろな制度や慣行といったようなものの見直しを含んだ歳出の合理化、それからまた公共料金だとか税制だとかいったようなものを徹底的に調整をしてまいるということをやりまして、そうして五十五年にはぜひとも、少なくとも赤字公債を、特例公債を発行することの要らぬ財政をつくっていくべく努力をしてまいりたい、かように考えます。
○広沢委員 過般も坊蔵相がお答えいただいておりましたように、これは、五十年代の前期経済計画に基づいて、それを実行せしめるための財政的な役割りを考えると、こういうふうな試算にならざるを得ないのだ、こういうことでございます。ということは、現実の経済情勢から考えると、五十二年度ではっきりしているわけでありますが、なかなかむずかしいということは考えられるわけでありますね。そこで、この試算を出し直されたわけでありますけれども、これは経済企画庁長官にお伺いしておきたいと思うのですが、経済企画庁長官もこれをごらんになりまして、実際狂うところと言えば、はっきりしているのは税収の問題、これは経済の動向で動くわけでありますから、税収の問題ですね。これはGNPが一伸びたときにいわゆる税収が一・八伸びるという均等計算でいっていますね。いわゆる租税弾性値が一・八。これは不可能だと私は思うのです。ですから、そういうことになりますと、五十年代の計画というものが、事実この試算によってはっきりされているように、非常に実現不可能ではないかということが物語られていると思うのですね。その点、企画庁長官はどうお考えでしょう。
○倉成国務大臣 お答えいたしたいと思います。 財政の収支計算は、経済計画に示されている五十五年度のマクロとしての経済及び財政の姿に基づいて、幾つかの仮定を置いて、国の一般会計の収支状況をいわば機械的に試算したものだと私ども心得ておるわけでございます。したがって、目標とする五十五年度の姿は、経済計画と整合性を保っておると考えておるわけでございます。 ただ、計画は、その目標として各般の指標、たとえば振替所得であるとか公共投資であるとか、そういうものを書いておるわけですが、経済情勢の推移に応じながら、各種の政策手段の組み合わせでその達成を期していくということでございまして、目標までの経路ということについては、これは一義的に、どのようになるかということについては必ずしも私の方では想定していないわけでございまして、今回の財政収支試算によって計画に影響を及ぼすというふうには実は考えていないわけでございます。 そこで、私どもは、経済計画については毎年これを見直すということで推進報告を行うことにいたしておるわけでございまして、去る一月に推進報告を審議会の方からいただいたわけでございますけれども、五十一年度の経済につきましては、各需要項目については多少の出入りがあるけれども、総体としてはほぼ計画の線に行っている、すなわち、五・七%程度の成長ができるというふうに考えておりますし、また五十二年度につきましても、需要創出効果の高い公共事業等を中心に予算を編成することによって、各需要項目の積み重ねによって、実質六・七%程度の成長を達成し得る。もちろん、各需給の状況であるとか、雇用の状況であるとか、あるいは国際情勢であるとか、いろいろな大きな変化があることは考えますけれども、総体として計画を変更する必要はないという考え方でございまして、今後の計画の目標の達成は非常に厳しい条件でありますけれども、政策努力によって達成できるという考え方に立っておりまして、いまのところ計画を見直す必要はないのではないかと考えております。
○広沢委員 もう時間が参っておりますので、残念ながら具体的な議論をすることはできませんけれども、あとは当該委員会等で具体的な煮詰めを行いたいと思います。 ただ、最後に両大臣にお伺いしておきたいのですが、まず大蔵大臣に一点だけ。これは、先ほど申し上げたように、いわゆる経済計画に基づいてこういう試算をなさるということでございますね。そうすると、経済計画が変わった場合、いわゆる土台が変わった場合は、当然試算も変わってくるということになりますね。経済がこのとおりにならなかった場合は、やはりこの財政試算も大きく変わらざるを得ないと思うのですね。その場合、五十五年にゼロにするということは、そこで言い切れる問題ではなくて、そのときはその時点でまたそれに合わせて考え直さなければいけないとお考えになっていらっしゃるかということを、これは今後の議論のためにまずお聞きしておきたい。 それから、経済企画庁長官には、こういうふうな試算は最終年度をくくってやるものですから、単年度、単年度見た場合にどうしても狂いが出てきて、そのしわ寄せが最後のところまで行くという結果になると思うのですね。したがって、経済計画の中の経済見通しをローリング的に見直していく、財政の動きと経済の見通しを見直し見直しで、ずっと実態にマッチしていくような、こういうあり方を諸外国もやっているようでありますが、考えてはいかがかと思いますので、これは所見をお伺いして終わりにしたいと思います。
○坪川委員長 簡明に願います。
○坊国務大臣 先ほど企画庁長官が申し上げましたとおり、いまのところ経済計画を変えるということは、その必要も認めておられないようであります。私どもといたしましては、それを手がかりとしてこの目的を遂行していきたい、こういうふうに考えております。
○倉成国務大臣 お答えいたしたいと思います。 ただいまの御質問、二点だと思います。一つは、各年次別の計画をどうか。それからフランスのように、計画を一年ごとに新しく見直して、目標年次をずらしていくという問題でございますが、最初の問題は、やはりわれわれは長期的展望のもとにあるべき経済の姿を考えて、その目標にあらゆる政策を動員して達成したいということを考えておるわけでございまして、年次別の計画ということになりますと、これだけ国際的にも国内的にも経済情勢が非常に大きく変わっている段階で、これに適応していくためには、余り年次別の計画を細かく出すということはかえって誤解を与えるのじゃなかろうか。やはりこれは毎年やっております政府の経済見通しで足りるのではないか。五年間の一年一年を最初から出すというのは適当ではないのではなかろうかと考えております。 なお、ローリングプランにつきましては、フランスまたアメリカが公共投資なんかについてやっているようでございますけれども、われわれも参考として勉強していきたいと思っておりますけれども、現在のところはローリングプランをとる考えはございません。
○坪川委員長 次に、竹本孫一君。
○竹本委員 私は、二つほど簡単にお伺いいたしたいわけです。御答弁もきわめて簡略にお願いをいたしたいと思います。一つはデノミネーションの問題、もう一つは減税の問題です。 まずデノミの問題につきましては、これはやるべきかやるべきでないかと言えば、当然やるべき問題だとぼくは思うのです。しかしながら、やるべき条件が整わなければならぬ。経済で一番大事な問題は整合性でありタイミングの問題でありますが、従来、この内閣になってからまだその発言が出ないので喜んでおるのですけれども、ときどき、デノミを早くやらなければならぬとかやるんだとかいうような閣僚の発言がありまして、これがためにずいぶん経済界は惑わされる、証券界は株が上がったり下がったりするということでございますけれども、私は、大事なタイミングを考えた場合に、いまはやるべき時期ではない。第一の理由は、国内経済も安定してない、国際経済も安定してない。内外の経済が安定をしていないし、日本の円も、日本のドル相場の関係も全然安定をしていないと見るべきこの時期において、そういうことをやるべきでもないし、考えるべきではないと思っておるわけであります。 〔委員長退席、栗原委員長代理着席〕 物価が安定をいたしまして、たとえば六%前後に落ちつく、そして賃上げ問題も定昇だけで話が片づく、こういう情勢になり、また大蔵省で言うならば、土地や機械や固定資産の再評価もできて、すべてこれが日本の経済がいわゆる安定経済路線にソフトランディングができた、その段階においてこれは考えるべき問題であると私は思っております。 そういう意味で、私は結論だけ聞きたいのでございますが、まず鳩山さんに伺いたい。 外務大臣は、私の記憶が間違いでなければデノミ論者であったように思いますけれども、いまでもそうか。それからもう一つは、言われたときといまとは円がどれだけ変わっておるか。ドル相場に関して幾ら上がっておるか下がっておるか。ぼくは相当変化があったと思うのです。あるとき、ことに油ショックの場合には、百分の一にデノミ切り下げだと言っておったものだけれども、あれをやらなくてよかった、あの油ショックのときには千分の一を考えなければならぬではないかと言う人さえ出た。そういうように内外の経済が動揺しておるときに、デノミ、デノミなんて言ったのはどういう意味であるのか、私は理解できないので、その理由。やるべきであることはちゃんとわかっていますよ。そのタイミングの判断が間違ってなかったかということをひとつ聞きたい。 それから、いまの国際情勢はデノミでもできるように安定しておるとお考えになっておるかどうか、結論だけ簡単に聞きたい。
○鳩山国務大臣 デノミネーションを実施する場合に、これはやはり円滑に実施をできるような状態でやるべきであるということから、いま竹本先生がおっしゃったように、経済が安定をした時期が好ましいということは、まさしくそのとおりでございます。私も全く、違った考え方はしておりません。 私は、総体的には、戦後三十二年たちましたこの歴史的経過を顧みまして、いつかもっと早い機会に円滑にできたらよかったなという気持ちは現在も持ち続けておりまして、なるべく早い機会にそういった機が熟することを心待ちにしておるというのが実際のところでございます。今日といたしましては、まだ日本の経済——まあ経済は安定したときがいいと言うのでありますけれども、まだオイルショック後の大きな変動の鎮静過程にあるというふうに私自身認識しておりますし、これが本当に平常な経済に戻ったときの方がよろしいと私は考えております。
○竹本委員 これはまあ、大蔵大臣もいらっしゃるし、経済関係の閣僚がいらっしゃいますからお願いをしておきたいのですね。要するに、これはデノミがいまにもあるかというようなことで、証券界にショックというか一つの材料を与えるというようなことは慎んでもらいたいということが一つ。それからもう一つは、いま日本の経済が、いかにもデノミでもできるように安定路線に乗ったんだという錯覚がどこかにある。そういうことは厳に慎んでもらいたいということの二つ、これは要望を申し上げておきます。 第二の問題は減税の問題です。私どもは実は一兆円減税を言っておりますけれども、そしてまた集中審議も行われますので、その際本格的に論議いたしますけれども、いまの日本の経済回復というものはまだまだ大変な問題を残しておる、決して回復が順調ではないと思っておるわけで、私は景気回復ということを主眼にした減税を主張しておるわけです。大蔵省あたりは、野党の減税にはねらいがはっきりしないと言うておる方もあるようですけれども、ねらいが幾つもあるのですよ。幾つもなければならぬほど問題が幾つも多いのです。問題は経済の矛盾が多いということなんです。そこで、これは各党考えがありますが、私は私なりに、景気回復が順調でない、景気浮揚が緊急の課題である。私どもは経済の構造改革というものを叫んでおりますので、構造改革ができるような体質、強い体制にしなければいかぬ、そのためにはこの際減税が必要だということを言っておるのでありますが、これはまあ集中審議の際に詳しく議論をしたいと思います。 きょうは結論だけ伺いたいのですが、経済の回復はほぼ順調であると総理は演説でおっしゃった。順調であるか順調でないかの基準は何であるかということ。それを経済企画庁長官にお伺いするのですが、それからもう一つは、経済企画庁の小島次官というのが「“景気復調”公式に表明指標、着実に上昇」、成長率五・六%は可能になったということの記事が出ましたのは一月の八日であります。ところが、青木さんが新しい企画庁次官になって会見していわく、当面の課題は、中だるみから脱し切っていない景気を上向かせることである、こう言って、「景気押し上げ急務」という見出しがついておる。新聞の見出しのつけ方が下手か上手かという問題もあるかもしれませんが、一月八日の新聞と、同じ一月の二十二日、半月しかたっていない間に、しかも経済の運営のかじをとっておる、見通しを専門にやっておるといわれる経済企画庁の事務次官の発言がこんなに変わっている。 そこで私は、景気回復が順調であるという基準は何か。それから、景気はいま上がっておるというふうに見てみたり、あるいはそうでないから押し上げが急務だと言ってみたりして、余りにも方針がぐるぐる変わっておるような、見通しがぐるぐる変わっているような印象を与えるではないか。一体、事務次官なんというものはそんな発言を簡単にやってよろしいか。経済企画庁長官にはその報告をしたのか、あるいは事前の了解を得たのか。その二つを伺いたい。
○倉成国務大臣 お答えいたしたいと思います。 ただいま両次官の発言の新聞記事についてのお尋ねでございますが、私ども次官の発言について一々報告をもらっておりません。ただ、私は、恐らく両次官ともそれほど変わった発言はしていないんじゃなかろうか、いろいろな指標を説明したときに、新聞社の方で、そのどの部分に非常に関心を持つかということによって記事の書き方が違うんじゃなかろうか、同じことを申しましても、その受け取り方によって違うんじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。 それから、大臣としてそういう次官の発言をどう思うかということですが、企画庁は比較的、開かれた企画庁ということを私はモットーとしておりますので、もちろんいろいろな問題について公式の発言をすることは大臣が承知しておかなければいけませんけれども、エコノミストとしての立場からいろいろな発言をすることについては一々制約をいたしておりません。 それからどういう点が景気が回復しているかという問題につきましては、経済企画庁としては、やはりマクロの立場から経済を見ておりますので、マクロの指標としての経済成長に寄与する各需要項目についてよく見ながら、その大きな流れが一体どういう流れになっているかということを実は見ておるわけでございます。たとえば物価にいたしましても、季節的な商品、何十年来の寒波で物価が上がった、しかしそれを除くと安定基調にあるとか、そういうふうな見方をいたしておるわけでございまして、そういう点から見ると、非常に緩やかでありまして、われわれが当初期待したよりもそのテンポが鈍いということは率直に認めておりますけれども、まあ緩やかな動きをしているというふうに考えておるわけでございます。
○竹本委員 受け取り方の問題だと言われると、新聞記者さんの責任みたいになりますが、事務次官にしろ経済企画庁の高官は影響力が大きいのだから、そう半月でぐるぐる変わるような意見の表明は慎んでもらいたいと私は要望いたしておきます。 それから、マクロで景気はどうだという問題は集中審議に譲りますが、しかし、全体として景気回復は順調であると言われた段階がある。それからアクセントが少し変わりまして、回復基調に乗ったけれどもきわめて緩やかであるというように説明がまた変わった。ごく最近では、緩やかがまた緩やかになって足踏み状態だということになっておる。さらに、公定歩合の問題が出てくることになると、景気がこれ以上失速しないように、悪くならないように手を打たなければならぬというふうに変わっておる。政府の説明はずっとニュアンスが変わっておるのですね。私どもは、このままでは景気回復はできないとはっきり初めから言っておるし、初めから考えておりますから、経済の現状認識が政府とはまるっきり違うんだ。そのために一兆円減税の問題も取り上げておるわけです。そういう意味で認識がだんだん変わってわれわれに近づくのは結構だけれども、経済運営の根本の経済の情勢の認識がそんなにあやふやでは困るではないかということをひとつ私どもは強く指摘しておきたいと思うのであります。 そこで、通産大臣にもちょっと伺いたいんだが、あなたは公定歩合の引き下げでもやって景気を刺激しなければならないと言われたようであるが、やはり景気の現状は、政府がいままで考えておったように、緩やかながらも回復基調へ乗っているという楽観論に立っておられるのか、あるいは非常に心配をして公定歩合の引き下げというてこ入れが必要であるという認識に立っておられるか、その点伺いたい。
○田中国務大臣 お答えをいたします。一時間もございませんから結論だけを申し上げます。 私の方で調査いたしております鉱工業生産の統計指数等によりますと、非常に業態別にばらつきはございまするが、冷え込みがなかなか厳しいものがございまするし、倒産等の係数も相当厳しいものがございます。かような意味におきまして、何とかこれを引き上げなければならぬと存じまするが、御案内のとおりに、予算関係も、補正予算が成立し、また近く本予算も通していただくということになりますれば、相当膨大な政府資金の散布もあり、また国際環境等から申しまして、逐次景気も回復するであろう、あろうではございまするが、それにはあらゆる景気回復の努力を総合的にしなければならぬ、かように存じております。
○竹本委員 現状の認識につきましては、政府とわれわれとの間は、先ほど申しますように少し違い過ぎる。景気底抜けと土光さんが言ったとかいろいろ新聞にも出ておりますが、とにかく現状認識が甘過ぎるという点は改めて論議を深めていきたいと思います。 そこで最後に、私どもは、いま申しましたように、福田さん的な表現で言えば、国家、国民のために、今日の経済状況では困る、景気浮揚をさせなければ困る。それには個人消費を伸ばさなければ困る。個人消費が伸びて物が売れなければつくりませんよ。つくらなければ稼働率は上がりませんよ。稼働率が上がらなければ設備投資は起こりません。これは経済の原則ですよ。そういう意味からいって、個人の消費を刺激する意味での大衆減税をやれということをわれわれは主張しておる。われわれはこれは予算編成のときから言っておりまして、一月から特にその問題を野党は強力に推しながら叫んできております。ところが政府の答弁は、きのうきょう少し変わったかもしらぬが、一月以来ほとんど一貫して何も変わっていない。 そこで、御出席の経済四大臣にお伺いしたいのです。きわめて簡単な問題です。 野党はこれだけ真剣に叫んでおる。そこで、野党が言っている減税問題を、三千五百三十億プラスアルファで考えなければならぬのではないかという話が閣議で出たかどうか、それが一つ。これは各大臣に伺いたい。 第二は、総理から、あの問題についてやはり考えてみなければならぬではないかという相談を受けたかどうか。 それから第三は、総理に向かって、あなた方が国務大臣として、野党もあれだけ叫んで真剣に言っている、政治情勢も考えながら、とにかくこの問題については真剣に取り組もうではありませんかという進言というかアドバイスをしたかどうか。この三つの点をそれぞれの大臣から伺って、終わりにします。
○坊国務大臣 お答えいたします。 閣議の席上でいろいろな意見があるかなかったかというようなことにつきましては、ここで申し上げることを差し控えます。 そこで、竹本さん十分御存じのとおりでございますが、いま日本の国の財政、経済に要請されておるところは、私どもの考えといたしましては、これはいま申し上げたとおり、景気を上昇する−(竹本委員「相談があったかなかったかだけ聞けばいいんですよ。そのアドバイスをしたかどうか」と呼ぶ)いろいろな意見はありますが、私は、担当の大臣でございますが、福田さんに対しまして、その一兆円の減税について、これを考えなければならないということを申しておりません。そこで、景気浮揚をするということが一つ、それから物価を上げないで抑えていくということが一つ、それから財政を健全化していくということ、私はこの三つぐらいが一番大事なことだと思いますが、その三つの要請の線、それが交差するところに一つの政策を求めるということを考えたわけなんです。この交差するところに私どもが考えてつくったのが今度の予算であり、またその予算の重大なる面であるところの税制であるというようなところから考えまして、私は、今度つくった予算、税制というものは、今日、私は福田総理じゃありませんけれども、とにかくいまの時限、事態においては最も適切なるものである、かように考えております。
○倉成国務大臣 お答えいたします。 御設問のような趣旨でございますれば、いずれもいたしておりませんということでございます。ただ、減税、公共事業を含めましてどういう経済効果があるかという問題については、常に総理に申し上げているところでございます。
○田中国務大臣 お答えいたします。 経済の担当大臣といたしましていろいろの御相談はいたしておりまするが、御案内のとおりに、決して閣議の内容は公にすべきものではございません。同時にまた、私と総理とは吻合一体でございますので、決して水も漏れておりません。
○鳩山国務大臣 外務大臣といたしましては、国内景気の振興が図られることが好ましいと考えております。しかし、特に大蔵大臣の権限を侵すようなことはいたしたくないのでございますが、閣議の内容につきまして所管の大臣からお話しになるのが筋であろうと思います。
○竹本委員 まあいま各大臣のお話を承っておりまして、野党がこれだけ真剣に取り上げている問題について、国務大臣のステーツマンとしての見識と責任ある行動が余りあったようには私は印象を受けません。それは見識がないのか誠意がないのか、これは一つの問題でありますから、改めて議論を深めてまいりたいと思います。 時間がないので、もう一つだけ結論、これは簡単に答えてもらえばいい。それは大蔵大臣と経企長官にお伺いしますが、組み替え動議を出すという問題が具体的な日程に上りつつありますが、その場合に、福田総理は、それが出て可決されれば重大なる決意をする、こうおっしゃった。その重大なる決意というのは何を意味するとお考えになっておるか。大蔵大臣は信念の人として私は尊敬しておるが、信念が強いということならば、そういう一切の妥協は許さないので、これはお互いに国のためです。われわれも国のためと思っている。あなた方もそう思っているわけであって、しかもその信念と信念が衝突して妥協の余地がないとなれば、野党は組み替え動議を出して闘う以外にはないし、与党の方は受けて立つ以外にはない。その立ち方は、私は総辞職か解散だと思うのだけれども、重大なる決意というものは何を意味するとあなた方は思いながら聞いておられたかという結論だけ承って終わりにします。
○坊国務大臣 私は福田総理には長い間師事しております。しかしながら、そのかたい決意ということの内容につきましては、まだ私がお聞きしておりませんから、ここで……(竹本委員「何と思ったかと聞いておるわけだ」と呼ぶ)何と思おうにも、人様の考えておることを私はわかりません。だから、私といたしましては、竹本さんとは長い間おつき合いを願っておりますので、私どものつくったこの税制を、この予算をぜひともひとつ御理解願いたいと申し上げるよりほかございません。
○倉成国務大臣 お答えいたしたいと思います。 重大な決意ということで、私は総理がどういうことを考えておられるのか一度聞いてみたいなと思いながら、まだそういう機会がございませんで、私としてはよく真意をはかりかねておるところでございます。
○竹本委員 福田内閣は偉大なる人物がそろっていまして、重大なる決意ということも一向重大に受けとめていらっしゃらないようだけれども、まあ時間がありませんからこの辺で終わりにいたします。
○栗原委員長代理 次に、津川武一君。
○津川委員 定係港の撤去をめぐる原子力船問題を材料にして、政府の政治的な責任を問題にしてみたいと思います。 原子力船「むつ」について、青森県、むつ市、青森県漁連、政府との四者協定で定係港の撤去完了を決めましたが、その撤去完了の日時がこの四月十四日に迫っております。ところで、政府は青森県知事やむつ市長などを呼んでいろいろ日延べするような動きも露骨に見られております。欠陥原子力船を押しつけられて、国民、わけても青森県民、むつ市民、漁業者などは、はかり知れない不安に陥り、そうした政府の無責任に対して、やっと手に入れた四者協定を政府はほごにするんじゃないか、このまま居座るんじゃないか、こんな心配を次第に持ってきております。いま青森県の県民は、県民会議を結成して十万人署名運動を起こしておる。この署名運動の要旨の一番大きな点も、政府はあそこに居座るんじゃないか、こういう心配を非常に露骨にしておるわけであります。 そこで政府に、四者協定をきちんと守ってむつ市から定係港を撤去する、居座りはしない、このことを国民に言明できるかどうか、まずお伺いいたします。
○宇野国務大臣 四月十四日がちょうど約束の日でございます。そこで、津川さん御承知のとおりに、原子力船は六十日前に入港届を出さなければなりませんから、逆算いたしますと、二月十四日に果たして政府は入港届を出すのか、こういう問題でございましたが、一応その時点におきましては、まだ長崎の態度が決まっておりませんので出せないということをこの場でも申し上げたものでございます。その後、回航におおむね十日ぐらいかかるからせめてもう十日足した時点はどうであろうかと考えましたが、 〔栗原委員長代理退席、委員長着席〕 その時点におきましても、御承知のとおりまだ長崎県の受け入れオーケーという体制ができておりませんし、また知事はただいま研究委員会に諮問中でございますから、受け入れていただく側の態度が未決定であるにもかかわらず、こちらから六十日前に出すということは、これは余りにも僭越でございますので、私はその旨を青森の三者の方方にそれぞれお伝え申し上げまして、若干おくれるかもしれません、しかしながら極力その期間も短縮するように政府といたしまして努力いたします、そして「むつ」は長崎県に受け入れていただくようにいたしたい、同時に、「むつ」が出港いたしました後においては定係港は当然撤去し、おくればせではあるが四者協定は守っていきたい、こういうふうに申し上げておるわけであります。
○津川委員 定係港は必ず撤去する。そこでもう一つ、同じことになるが、あそこに居座るということは毛頭考えていないでしょうね。この点を念を押したいと思います。
○宇野国務大臣 毛頭考えておりません。
○津川委員 そこで、青森県知事、むつ市長、政府はこの二人を呼んでいろいろな相談をされたようです。また、政府からは現地に出かけていっていろいろな了解をとりにかかったようでございますが、知事と市長を長官が呼んで二回協議しましたが、そのときの協議の内容はどんなことだったのでございましょう。
○宇野国務大臣 大体最初の答弁で申し上げたような内容を、二度にわたりまして誠意を込めて申し上げました。特に二度目は、二月のもう二十三日ごろでございまして、はっきり申して二月十四日が守れなかったし、また、回航日を加えたこの日時においても長崎の態度が未決定であるから、ひとつごしんぼう賜りたい、そのことを申し上げた次第であります。
○津川委員 そこで、知事も市長も政府の説明と申し入れば了解した、こう申されましたか。それとも了解できない、このような態度でしたか。明らかにしていただきます。
○宇野国務大臣 了解したとは現時点では申し上げられないというのが二人の方々の御意見でございました。しかし、長崎の事情等々も考えると非常にむずかしいなということはわかるがというふうなことで、言うならば、イエスもノーもなくお帰りになったというところであります。
○津川委員 知事も市長も了解はしなかった、したはずはないと、こう申しております。きょうもむつ市長と連絡しましたら、出港するだけでも事は片づかない。もう一回帰ってくるようだと困る。定係港は、修理のために出港してまた帰ってくる、実験のために出港してまた帰ってくる、それが定係港なわけです。そこで、出港でなく、定係港の撤去に対して、出港するからいい、それで何とかなったという考え方を、知事を呼んだときに、市長を呼んだときに、現地に説明に行ったときに、そんな空気を醸し出しにかかっているんじゃないかと、ここまで不安に思っているわけです。というのは、原子力船の安全と自主的な、民主的な利用などということをみんな真剣に考えているから、そこで、修理のための出港は問題解決でなく、解決は、定係港の撤去完了だという青森県民のこの認識。政府もそう思ってい戸かどうか。もう一度御答弁願います。
○宇野国務大臣 先ほどお答えいたしましたように、定係港は撤去するというのが四者協定でございますから、若干おくれましても、そのことは守る、このことを申し上げたわけであります。
○津川委員 いま長官が、若干おくれる、こう申した。ところが、原子力船がむつ市に定係港を決めるとき、県民はかなり不安になって大規模な反対運動を起こした。ところが、いまの方が、今度は県民会議に結集して、十万人署名というふうにして不安がつのってきているわけです。したがって、十日とかいつかというのでは、県民が了承しない。そこで、撤去の具体的なプログラム、日程、このことが何回話されても、こういう日程が決まって明確にやらないから、反対運動が起きてくるわけなんです。こういう点で、日程的に物を決めて、県民に報告する、国民と一緒にやるという考え方はございませんか。
○宇野国務大臣 不安の点につきましては、この間も自由民主党に特別委員会をつくっていただきまして、その委員長並びに副委員長に行っていただきましていろいろ関係者とも懇談をされたわけでありますが、津川さんも御承知のとおりに、青森県の知事、むつの市長、さらに漁連推薦の監視委員会というものがございますね、この監視委員会が非常にしばしばむつの監視をいたしておりまして、現在いろいろな報告がなされておりまするが、現在のところ、「むつ」についての不安なしということで、特別委員長がお出会いになった方方は、不安を感じておりません、ただ、約束があるんだから、その約束を履行してほしいということを申し上げておるのだ、こういうふうなことでございました。もちろん、いまおっしゃるとおりに、日時的に私も極力詰めていきたいと考えておりますが、いまのところ長崎県の研究委員会が最終的な答えを出すのは三月の二十三日。だから、青森県にそれだけ御迷惑をおかけするが、できたらもう少しく早く出していただけないかと、実は私の方からも直接知事さんにお願いしておるわけでございますが、委員の方々の御都合によりまして、やはり三月二十三日が最終結論でございますねということでありますから、その最終結論が出ましたら、それに政府は機敏に対応すべく、今日いろいろと話し合いを進めておりますので、したがいまして、何月幾日にはこうだ、こうだということにはまいりませんが、極力そうしたことも同時に青森県にもお伝えしてあります。そして政府として極力努力をしているから、その点はいまのところは三月二十三日が一つのめどである、そこで最終結論が出るであろう、これに機敏に私たちは対応したい。これしか現在としては申し上げられない段階であります。
○津川委員 そう言うから不安になるのです。審査委員会が長崎県で反対の結論を出したらどうなるのかと言う。海のものか山のものかわからないものをあてにして、青森県民にがまんを押しつけているところが問題なんです。だから政府の政治的な責任が問題になる。 そこで、運輸大臣にひとつお尋ねしてみます。本当に皆さんが撤去のために具体的な措置をとるならば——いまむつの中にはこんな話がある。竹内知事によってむつ市民と漁民が無理に結婚させられちゃった、今度は四者協定で離婚が成立した、離婚が成立したけれども、籍がまだある、いつ帰ってくるかわからない。そこで、政府が本当に責任ある態度を言明するならば、船舶法の十条に定係港の船籍港を抜く手続がありますね、この手続はこういうときのためにもあるわけなんです。運輸大臣が事業団を指導し、みずから主導権をとって、船舶法の十条に従って船籍港の変更申請の手続をとるならば、県民は安心するわけです。これが政府のいま国民に対する政治的な責任を果たす一つの具体的な行動になるわけであります。運輸大臣、いかがでございますか。
○田村国務大臣 船籍港は、その船の原簿官庁を定めるということで決められておるわけでありますが、その船舶の所有者の住所地または運航の根拠地に定められるということになっております。「むつ」は運航の根拠地としてむつ市を船籍港としておるけであります。四者協定の履行に当たりましてこの船籍港をどうするかについては、法的には特に変更する必要が直ちに生ずるものではないと思いますけれども、定係港を撤去するまでにはこれは検討しなければならぬだろうと思います。 そこで、実は私がいま考えておりますことは、これは私の意見ではありません、まあでき得べくんば御相談ということでありますが、そういうときには当然船籍港を変えた方がいいのでしょう。定係港を撤去するときには船籍港を変えた方が地元の方々も御安心がいくと思うのです。すると、どこへ持っていくか。そうしますと、運航の根拠地としてのいま、むつ市でございます。原子力船公団の住所は東京都でございます。でありますから、東京都ということも一つの方法でしょう。ところが、東京都というと、今度は東京湾の周囲の人々が、それはえらいことだ、あれがまた東京湾へ来るぞというような誤解が生じるかもしれません。でありますから、東京湾へは来ないんだということを周知徹底せしめて、船籍港を東京都にするということもあるいは一つの方法かなというように考えておるわけでありますが、一方的にこれをやるというわけにまいりませんから、いろいろとまた御意見などを聞きたいと思いますけれども、いまそういうふうに私としては考えておるということでございます。
○津川委員 なかなかいままでも進まなかった。そこでじれったくなる。さっき話したみたいな離婚の話までが出てきますね。そこで運輸大臣、四月十四日に思い切って船籍港を抜く手続をとってみませんか。申請手続をとってみると、政府の態度を信用することになるわけなんです。もう一度その点、とってみるという気持ちをもう少し明確にしてほしいのです。
○田村国務大臣 船舶法の第十条に「登録シタル事項ニ変更ヲ生シタルトキハ船舶所有者ハ其事実ヲ知りタル日ヨリ二週間内ニ変更ノ登録ヲ為スコトヲ要ス」というふうに書いてございます。でありますから、やはり変更がないとちょっとやりにくい面はあります。科学技術庁長官もああいうお答えをしておられるのでありますから、定係港が変わるという時点で考えなければならぬのじゃないかと思いますが、いずれにしても政治の問題もありますから検討いたしたいと思います。
○津川委員 もう一つ政府の態度を示す方法というのは、原子炉等規制法二十六条で原子炉設置の変更許可申請を出す。これは定係港撤去ということです。この手続をとると県民が安心するのです。そういうことをとらないで、長崎がどうだ、あちこちがどうだ、政府がいまどうしているからというので、目標の先の見通しがはっきりしないものでやるからそうなるのです。この原子炉等規制法二十六条に従う手続、この点で科学技術庁長官はどう考えていますか。私は、これもさっきの船籍港と同じようにすぐ手続をとるなり態度を言明すると、もう少し政府の態度が明確になってくるかと思いますが、いかがでございますか。
○伊原政府委員 お答え申し上げます。 定係港の撤去につきましては、先生御指摘のように四者協定をもちまして「入港後二年六ケ月以内に定係港の撤去を完了することを目途」とするとなっております。したがいまして、この定係港を撤去する時点になりますれば、当然に陸上の原子炉付属施設につきまして変更が必要である、原子炉等規制法に基づく変更が必要であると考えられますので、原子力船事業団の方からその時点で変更の申請が出てまいると考えられます。その申請がありました場合、所管官庁といたしまして申請の内容を十分検討いたしまして、許可の基準に照らして許可できるかどうか、その判断をいたしたいと考えております。
○津川委員 原子炉等規制法二十六条に対する長官の考え方をお伺いしまして、質問を終わります。
○宇野国務大臣 ただいま安全局長から詳細に説明いたしましたとおりでございます。
○津川委員 あれほど県民の反対があったのに対して押しつけた原子力船「むつ」、実験に出てみたら放射線が漏れてきた。県民の要求に押され、こたえる形で政府は四者協定を締結した。それから県民を納得せしめるような具体的な措置はとられていない。原子力船事業団にしても、旧態依然のものがあってかなり不安がありますので、この際政治的な責任を明らかにして県民を信頼せしめる立場から速やかに必要な措置をとることを、時間が来ましたので強く要求して質問を終わります。
○坪川委員長 次に、大原一三君。
○大原(一)委員 私は、大蔵大臣と経済企画庁長官に、最近の経済動向並びに見通しについてお伺いいたしたいと思います。 まず、企画庁長官にお伺いしたいのでありますが、最近の主要経済指標を見てみますと、いままで言われていた比較的楽観的な見通しに対して、私は非常に厳しい指標がたくさん出ていると思うのです。 まずその第一番目は、鉱工業生産指数でございますが、通産省関係の予測が二月、三月と出ておりますけれども、政府の見通しは五十一年度一一子二%になっております。この通産省の見通しを二月、三月にセットしてみますと、一二・六%という数字が出るようでございます。さらにまた、在庫指数は例年十二月ですとそうふえない、むしろ減っておる指数があるわけでございますが、昨年の十二月はそれが非常にふえております。そういう状況の中で、この政府見通しの一三・二%というのが果たして達成できるであろうかということを考えるわけですが、企画庁長官、いかがでございましょうか。
○倉成国務大臣 御指摘のように、鉱工業生産が最近停滞しているというのは御指摘のとおりでございます。もっとも、これから先の見通しでどういう見通しをするかということでございますけれども、政府見通し、われわれは一応の線までいくのではないかということで考えておりますが、もし詳細の必要があれば関係局長からお答えいたしたいと思います。
○大原(一)委員 同様に、GNPの見通しも多少私は狂ってくると思うのであります。といいますことは、いままですでにもういろいろの先生方から質問ございましたが、四月−六月が年率で五・五%、七—九ベースが年率で一%、このような生産状況を踏まえて将来を予測しますと、私は一%水準で十月から三月までのGNPを見通すということは、実際問題としてむずかしいと思います。そうなりますと、政府見通しの五・七%、これも危なくなるのではないかという私なりの予測を持っておるわけでございますが、長官、この点についてお伺いします。
○倉成国務大臣 ただいま四半期別の経済見通しについてのお尋ねでございますが、現在まで出ておるのは七—九月まで出ておりまして、十—十二月の第三・四半期がもうしばらくして出る予定になっておるわけでございます。第三・四半期の数字が出てみないと何とも申せませんけれども、十—十二月は多少低いのじゃなかろうかという感じがいたしますけれども、一−三月の方は公共支出の増加であるとかあるいは個人消費も若干伸びてくる、まあそういうような要素があろうかと思いますので、十—十二月、一—三両方合わせまして考えてみなければならぬのじゃなかろうかと思っておりますので、現在のところ、ただいまのお見通しのような線であるかどうかということは必ずしも言えないのじゃないかと思います。
○大原(一)委員 政府側としてはいまの見通しの数字にこだわられる気持ちはよくわかるのでありますが、それでは次に消費者物価でございますけれども、これは二月まで東京都の数字が入っております。仮にこれを全国指数に置きかえて三月の予測をいたしますと、政府の八・六%の枠の中に消費者物価を抑えるためには、どう見ても三月〇・二ないし三%消費者物価が下がらないと八・六%の枠内におさまらないと思うのであります。その点についてどのような見通しをお持ちでございますか。
○倉成国務大臣 お答えいたしたいと思います。 ただいまのお話は、現在まで二月が出ておりますのは東京都区部の数字でございます。したがって、全国数字はまだ出ておりません。しかし、東京都区部の数字で申しますと、現在まで八・八という数字が出ておりますから、お話しのように東京都区部の数字を全国の数字にそのまま置きかえると仮に仮定しますと、三月に〇・二%程度下がらなければならないというのは御指摘のとおりでございます。これはしかし新指数、五十年基準のものでございまして、政府が見通しをいたしましたのは、五十一年度の経済見通しの中では四十五年基準の指数を使っておりますので、それで計算いたしますと、四月から一月末までが七・八%、それから東京都区部の数字を参考にして二月を推定しますと八・四、五%というところじゃないかと思いますので、三月に八%程度という目標を達成するのには大変厳しい状況にあるということでございます。
○大原(一)委員 ただいま長官の経済見通しについての御意見をお伺いしたわけでありますが、私は、GNP並びに鉱工業生産、さらにまた消費者物価、ともに政府の数字と大分違った悪い結果が出そうな感じがするわけでございます。現在の景気状況をいわゆる中だるみということだけで片づけるような世論がございますけれども、私は大変厳しい条件が、政府のこの経済見通しをつくられたときと違った諸条件が出ているような感じがするわけでございます。特に設備の稼働率でございますけれども、昭和四十八年十一月は一〇二%という数字が出ております。それに比べて現在の稼働率水準は一五%ぐらい低くなっておりますが、これは大変なギャップだと思うのです。そういう意味で、私は四十八年水準まで回復するのに、今年度末でも一二、三%の鉱工業生産の見通しではまだ達成できないという感じがするわけでございます。 それともう一つ御指摘申し上げたいのは、失業率の問題でございます。季節調整済みで百万人を超える、百二万人という失業が一番最近の数字で出ているわけでございますが、これを就業者数で割り戻しますと、大ざっぱに二%の失業率になっております。私は、いまの失業統計それ自体が、大変日本の失業統計は大ざっぱ過ぎて、月の最終十日間でございますか、その中に一日働いたら失業にならないという統計自体、これは変えていただきたいと思うのでありますが、それにいたしましても、二%の失業水準というのは、これはわれわれのこの十四、五年の経験からすればやはり驚異的な数字でございます。平均失業率がいままで一・一%ないし一・二%でございましたが、それに比べますと〇・八%の失業ということであります。先ほど申しました昭和四十八年の十一月に比べて鉱工業生産が一五%低くなっておるということ、失業がいままでの平均に対してやはり〇・八%以上上回っておるということ、この二つの指標は、これは現在の景気の不況を占う非常に重大な指標だと私は思います。 と申しますことは、いま私が申し上げましたが、これまでの平均成長率と、それから設備の遊んでおる一五%生産余力があるわけでございますので、これを一〇〇%にした場合には、経済成長率に換算いたしまして九%ぐらいの成長余力が生産面で遊んでおると私は考えます。それと同時に、〇・八%いままでの平均失業を上回っているということは、人的能力が、過去の平均成長率で一%から一・二%の就業人口の増加でございますので、それを換算いたしますと、〇・八%というのはやはりGNPの実質成長率に換算して八%ぐらいの余力が労働予備軍として遊んでおるということに私はなると思います。この二つの数字を合わせますと、八%ないし一〇%まだまだ伸びられる成長余力が遊休化しておるということになると思います。現在の国民総生産を大ざっぱに二百兆といたしまして、その一〇%、二十兆分がいわゆるデフレギャップになっておるのではないかというふうに私は考えますが、その点、よく政府の方はデフレギャップの計算をされないですけれども、率直な長官の御意見を承りたいと思います。
○倉成国務大臣 三点ぐらいの御質問だったと思います。 一つは稼働率ですが、稼働率は御指摘のように五十一年の四月に九〇・六までいきまして、それから少し停滞して、いま八七程度だと思います。これは五十二年度末、したがって五十三年の三月に大体九四程度ぐらいまでいく、こういうふうに私ども考えておるわけでございます。 それから、失業は国際的に見ますと西ドイツが四%を超しておりますし、アメリカも七%以上の失業率でありまして、国際的な関係から言うと、私は日本の失業率というのは非常に低いと思います。しかし、これでよいということを考えているわけではございませんで、失業率の中も、細部に点検いたしますと、二十以下の高校出、中学出の有効求人倍率は非常に高い。それから各年齢で多少いろいろな問題がありますが、中高年齢層の求人倍率というのがいろいろ問題がある。したがって、そういう中高年齢層の雇用ということを真剣に考えていかなければならないと思うわけでございます。 それからもう一つは、これは大原委員がよく御理解いただけると思いますけれども、日本の雇用が、四十七、八年、これから先一〇%以上の成長を考えて人を雇っておる、また設備をいたしておる。そういう点がございまして、低成長時代に入ってまいりますと、減量経済という形で人の問題を考えておる。したがって、なかなか雇用がふえてこないという問題があろうかと思います。 需給ギャップの問題、いろいろな仮定を置いて計算されるとそういうことが考えられるかもしれませんけれども、これは機械の設備だけではなくて、資源とか環境とかいろいろその他の諸問題を総合して考えるのが妥当なものではなかろうかと思っております。
○大原(一)委員 私は、減税の際に同じような質問をもっと細かく現在の不況の深刻さを訴えたいと思います。 きょうここで私が申し上げたいのは、公定歩合の問題でございます。これは事務当局の方で結構でございますが、従来の経験によれば、公定歩合の引き下げによる一般市中金利が下がる連動率と申しますか、その連動率がどのぐらいで、どれぐらいの期間がたったらいままでの経験による連動率が達成されるか。つまり、いま公定歩合を下げたら、いつ民間の金利が下がるかということをお教え願いたいと思うのです。
○後藤(達)政府委員 先生御指摘の市中金利の追随率の話だと思いますが、これはそのときどきの金融情勢によりましていろいろ過去の実績でも変化がございます。したがいまして、一概にどうなるかということを申し上げにくいのでございますけれども、過去の例を少し申し上げさせていただきますれば、たとえばごく最近の五十年の例でございますと、大体なだらかな追随をいたしておりまして、一年ぐらいたちましたところで四二、三%という追随率に相なっております。ただその間、公定歩合だけ下がりましたときと、それから預金金利も下がりましたときと、前回のときはございますので、その波の打ち方というのはいろいろ変化をいたしております。それから四十五年ごろの下げのときは、やはり一年ぐらいのところでは二〇%弱という状況でございました。それからその後のときは、これは比較的早うございまして、数カ月のところで五〇%ぐらいになりました。その後それが横ばいが続いておる。いろいろ情勢の変化がございました。
○大原(一)委員 いまおっしゃった答えの中で、公定歩合を下げましても非常に長期間にわたらないと一般金利の引き下げに連動しない。そういう意味で、一年もかかって四〇%ということは、仮に一%下げて〇・四%下がるのに一年かかるということでございます。ですから、いま公定歩合が議論されておりますけれども、もうそれはすでに遅きに失しているのではないか。そういう意味で、私は一%ぐらいの引き下げをできるだけ早期にやっていただきたい。そうでなければ民間への波及はむずかしいということを考えるわけですが、最後に大蔵大臣の御意見を承りたいと思います。
○坊国務大臣 お答え申します。 大変決定的なお答えをせねばならぬようでございますけれども、もう釈迦に説法でございますが、御承知のとおり公定歩合は日銀の専管事項でございまして、私どもは日銀の出方を見守っておる現状でございます。そういうようなことでございますので、本日この席でさような決定的なお答えを申し上げるということは、私もちろんそんなことを、気にはしておりますけれども、考えておりませんし、お答えを差し控えさしていただきます。
○坪川委員長 午後一時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時三十六分休憩 ————◇————— 午後一時三十六分開議
○坪川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 去る二月二十四日及び二十五日の法務大臣の発言に関し質疑の申し出があります。順次これを許します。小林進君。
○小林(進)委員 福田法務大臣にお伺いいたしますが、あなたは二十四日の予算委員会でこういう発言をしておられます。「行政府の長官といたしましては、議院の方でお決めになっても、やはり法律というものが現存している以上はその法律を守るのが私の責任だと考えておりますので、」云云、またロッキード特別委員会では「法律においてはそういうことはしないことに決まっておるのでございます。」云々と言っておられまするが、これは非常に重大な発言であると思うのであります。「議院でお決めになっても」ということは、ロッキードに関する両院の議決、議長裁定、またはロッキード特別委員会の決定等を指しているものと思わなければならぬのであります。これらの決議や裁定や決定が法律に違反をしている、少なくとも違反をしている疑義がある、だから法律を守る法務大臣としてそれに従うことはできぬ、こういう発言をしておられるのであります。いやしくも立法府で行っている決議や裁定が法律違反を行っているという言い方は、これは断じて立法府の一員としてわれわれは見逃すことができません。取り消してください。これを取り消さぬ限りは論旨を進めていくわけにはまいりません。いかがでありますか。
○福田(一)国務大臣 私が申し上げた真意が、いま小林委員が御指摘になったのとはいささか趣を異にしておるのでございまして、いま小林委員が申し述べられたように、国会において議決があったというような場合に、それを無視するというような真意は毛頭ございません。すでに議長裁定がございまして、そして四十七条の本旨を踏まえて十分に協力をしなければいけない、こういうことを申されておるのでございます。これは議長裁定の第四項にございます。私はその点は十分尊重しなければならないと思うのでございまして、もしその点について私の発言が間違いあるといいますれば、それは私はこの際取り消しをさせていただきたいと思います。
○小林(進)委員 至極重大な問題でありまするから、私はあなたの発言をそのまま、これは文章になったものを読み上げて私はあなたに質問をしている。あなたはその文章にない、やれ真意だとか精神だとかと言われるが、そういう真意とか精神などというものはそれは証拠にはならない。こういう重大な問題のときにあなたの真意がどうでございますの、底意がどうでございますのと、そういうようなことでわれわれのまじめな論陣をはぐらかしてもらうことは法務大臣としてひきょう千万であります。それはおやめになっていただいて、あなたの言われたこの文章を、それは間違っていたから取り消しいたしますと言うなら、男らしく取り消しをされたらよろしいのです。なお、もしお取り消しにならないと言うならば、私は、この国会の決議や議長の裁定や委員会の決定の一体どこに法律違反があるのか、この点を具体的にひとつ御指摘を願いたいと思うのであります。
○福田(一)国務大臣 私は、法律違反があるというような意味で申し述べたことはないと思っております。いま小林さんが御指摘になりましたけれども、私は法律違反がある、そういうようなことは申し述べておらないと思っておるのでありますが、もしいまあなたのおっしゃったとおりの言葉がありとすれば、これは取り消させていただきます。
○小林(進)委員 取り消されますか。お取り消しになりますか。(福田(一)国務大臣「ですから、いまその点をもう一度、どこのところのどういうことがというところを……」と呼ぶ)これは幾つもあるのでございますからね。いいですか。行政府の長官として、議院でお決めになっても、議院でお決めになっても、一体そういう表現が何を指すのか。われわれは、ここはみんな玄人の集まりです。素人の集まりならばあなたの弁説をぶって白を黒と言いくるめることができるかもしれませんが、ここは玄人の集まりでございます。その中でそういうような言葉でこの急場を逃れようとするようなひきょうな態度ではいけませんよ、あなた。 なお、いまの、議院でお決めになっても法律が現存している以上はというのは、これは予算委員会の発言ですが、ロッキード特別委員会の発言の中にはもっとはっきりしたことを言っていらっしゃる。いいですか。「そこで、決議がおありになりましたが、もし必要とあれば、そういうものは当然公表しなければならないというふうに法律を改正されれば、これは問題ございませんが、法律においてはそういうことはしないことに決まっておるのでございます。」、こう決めつけているのであります。これを私は申し上げておる。こういうふうな決めつけ方であなたは国会の決議や議長裁定を、法律が現存している限りはそれはすなわち法律を守る立場で、守ることができないという、そういう解釈以外にできない発言をしていらっしゃるじゃないですか。あなたはそれでもなお白を黒と言いくるめようとおっしゃるのでございますか。ほかの人はごまかせても、小林進をごまかすというわけにはまいりませんぞ。取り消すならさっと取り消しなさい。
○福田(一)国務大臣 確かにいまあなたがおっしゃったように「行政府の長官といたしましては、議院の方でお決めになっても、やはり法律というものが現存している以上はその法律を守るのが私の責任だと考えております」ということは発言をいたしております。そこで私が、これは弁明でお許しにならないということでございますれば取り消さざるを得ないのでありますけれども、私の言っておる真意をひとつ……(小林(進)委員「真意はだめ」と呼ぶ)いやいや、気持ちをお聞き取りを願いたいと思うのであります。 それは、議院として、法律がございますれば、やはり議院の方でもってこうしろ、ああしろというようなことをお決めになることは、これは結構でございます。そうすれば、私としてはそれに従わなければならないのでありますけれども、しかし私がこの言葉を言っておるのは、議長裁定がございますから、議長裁定の趣旨を十分に守るつもりでございます。そういう意味で、法律の趣旨に従ってこの議長裁定の趣旨を守りたいと思っておるのであります、こういうことを申し上げたつもりでございます。
○小林(進)委員 余りにも牽強付会の弁をなされちゃいけませんよ。あのときに百人出席しておりました。百人の者が一人も、いまのあなたの言われたようなそういう趣旨で言われたと理解した者はおりませんよ。それを、いやしくも法務大臣ともあろう者が、そういう牽強付会の弁をなしちゃいけません。男らしくお取り消しなさい。お取り消しになるのが男です。お取り消しなさい。
○福田(一)国務大臣 私は、したがって、私が申し上げたつもりはこういうことであるということはここで申し上げましたけれども、それが皆様に誤解を与えておるということであれば取り消すということを最初から申し上げておるのであります。
○小林(進)委員 若干歯切れが悪いのでありまするけれども、取り消しされたものと理解をいたしまして、第二点にひとつ移りたいと思いますが、次は灰色高官の定義の問題であります。 この問題については、ロッキードの特別委員会において与野党の間で統一の見解ができなかったことは事実であります。事実であります。しかし、当時の法務大臣、当時の法務大臣から、次のような報告をロッキード特別委員会は受けたのであります。それは、トライスターの売り込みについて金銭の授受のあった議員が、金銭を受け取った議員が五名いる。そのうち一人は別の被疑ですでに起訴されているが、他の四人のうちの二人は職務権限に基づいて金銭を受け取っているが時効が成立をしている。ゆえに、これは不起訴にした。他の二人は、金銭の受け取りはあったが職務権限がないのでこれは不起訴にしたという報告を受けたのであります。いいですか。そこで問題になるのは、一体、このエアバス導入について金銭の受け取りがあった、これは前の三木内閣が法務大臣を通じて内閣の責任で報告をされた。いいですか。しかし、その中には時効が成立をしている、職務上の権限がない、この二つの条件がそろっているがゆえに不起訴にしたと、こう言うわけです。いいですか。これを、この二つの条件がそろっていてなおかつ不起訴にした者については、これが、すなわち灰色の高官であるという点について、これは自民党から野党まで全部一致しているのです。灰色高官の定義として、くどいようでありまするが、金銭は受け取っている、しかし時効が成立した、一つはいわゆる職権がなかったということで不起訴だというのは、これは灰色の高官の定義の中に当てはまるということは、ちゃんとこれは自民党から出ているものも、これは全部各党同じなんです。その他の点に不一致である、一致はしなかったが、この点においては与野党ともに完全に灰色高官としての条件はそろっているのです。いいですか。一致しているのです。そこで、一致をいたしておりまするから、これに基づいて、前の田中ロッキード委員長が、これは明らかに政治的、道義的責任があり、灰色高官である、灰色高官であるという前提に立って資料要求をいたします、出してください、ここで改めて法務省に要求された。これに対して法務省は、当時の発言は三木総理大臣でありましょう。三木総理大臣が秘密会を要求された、その要求に基づいて田中委員長は秘密会の中で資料の説明を求められた、こういう順序であります。いいですか、この順序に基づいてその秘密会でお話の説明を聞いた結果、ロ特の委員会は、これは刑事訴訟法四十七条ただし書きによる公表に値する事件であると判断をいたしました。ロ特の理事会の総意としてこれを発表したのであります。いいですか。これに対してあなたは、これが法律違反であると、ロッキード委員会でいたけだかにこれを解説をされた。 そこでお伺いいたしまするけれども、この田中前ロッキード委員長の処置並びにロッキード特別委員会の処置が間違っていると言われる、法律違反であると言われるその根拠がどこにあるのかということをここで明らかにしていただきたいのであります。
○福田(一)国務大臣 私は前内閣の稻葉法務大臣が、いま御指摘になったようなことを灰色高官として認定されたこと、いまあなたがおっしゃった、御説明になったことはそのとおりだと思って承知をいたしております。また田中委員長が、資料が提出された後においてはこれを国会の責任において処理をするんだ、こういう御意見を持っておいでになり、また、この点も明らかにされたことも私は了承するというか、承知をいたしております。 ただ、私の聞いておりまするところは、十一月一日に、灰色高官はこういう者が五名が該当するのであるということを理事会が何かにお話があったようでございまして、そしてその次の二日の日の新聞には、これが皆はっきり名前が出たわけであります。そこで閣議でもいささか問題があったようでありますが、その後の記者会見において、こういうものが出ることは非常に困るんで、法務省としては委員会に対して資料としてこれは提供したのでございまして、そうしてこれは、この人たちが罪があると断定して提出したものではないんでありますからして、そこでこの者は罪はなくても、政治的、道義的責任があるということを、ひとつ委員会の方で十分御審議を願って、そしててこれは発表すべきものであるということでお取り扱いを願いたいという強い希望を持っておったことも、これは事実だと思うのでございます。 当時の新聞記事あるいは法務大臣のお話といいますか、それを見ましてもそういうことは出ております。それから、法務当局から聞きましても、法務当局は強くそういうような考えを持っておったようでございます。私は、その考え方は、法務当局の考え方は必ずしも無理がないと思うのでございまして、しかしそれば資料として提出するということでございまして、そこでひとつ十分審議を尽くしていただいて、直にこれが公表されるような形になることだけはひとつ十分にお考えを願いたいというか、御配慮を願いたいという強い希望を持っておったと理解をいたしておるのでございまして、田中委員長がとられた態度がけしからぬとか、そういうことはいまだかつて申し上げたことはございません。
○小林(進)委員 ずいぶん長々と釈明になりましたけれども、私は何を言われておるかわからない。私は、ともかく灰色高官の定義は、これは与野党含めたロッキードの責任ある委員会において一致した点だ。しかも、その資料を秘密会で要求どおりそれをお聞きして、お聞きした後でロッキード委員会の独自の判断に基づいてそれを公表した。それに対してあなたは、法律違反だ、こういう発言をしていられるから、その発言の根拠は、このロッキード委員会の公表は法律違反だ、間違っている処置だとあなたは言われているんだから、その間違っているところはどこなんだという、その根拠と具体的なところをお示しいただきたい、こう言っている。何も長い答弁を私は求めているんじゃないのです。どこが間違っているかという点だけを簡明直截に言っていただけばそれでよろしいのであります。
○福田(一)国務大臣 私は法律違反という言葉を使っておるかどうかは、いま定かに覚えておりません、そこのところを見せていただきますが……。法律違反という意味は、法律の精神はこういうものでございます。その法律の精神を踏まえて法務省としては処置しなければならないのであります、こういうことを申し上げた。それはもうあなたは十分おわかりのように、この刑事訴訟法の精神というものはどういうものであるかということを私が申し上げるまでもなく、小林さんはよくおわかりを願っておると思うのでありまして、その刑事訴訟法の精神を踏まえてわれわれとしてはすることが大事なことである、こういうふうに自戒をいたす意味において私は申し上げておったと思うのでございます。
○小林(進)委員 先ほどから繰り返しておりますように、私はあなたと精神論をやろうと思っているのじゃない。私は、あなたが二十四日あるいは三日の委員会で吐いたその発言の速記録をそのまま持ってきて私は言っている。その速記録に基づいて質問しているのでありますから、あなたはあなたの言った言葉、その言葉をひとつ認めるか認めないかというだけの論争であります。あなたは言っていないじゃありませんか。こういうような秘密を保ってくださいという捜査当局の要求を、瞬時という言葉は使わぬけれども、待たずして直ちにそれを公表されたことはけしからぬ、それだから、もう今後は何と言われても資料を出しませんというのが二十四日のロッキード委員会と予算委員会におけるあなたの答弁の一貫した思想であり言葉なんですよ。それほど明確に言われているのだから、それじゃ一体、たちまち発表したところにどこに間違いがあるのですか。たちどころに発表したということが間違いだとおっしゃるなら、どこが間違っているのですか。間違っていないのならいない、私の言い過ぎでしたら言い過ぎでした、とはっきり言ってください。ごちゃらごちゃらと男らしくないですね。精神論なんかやっている。お坊さんなら精神論でいいが、国会の場では精神論は通りません。具体的に解説をしていただきたい。
○福田(一)国務大臣 重ねて申し上げますが、私は法律の精神を踏まえてやっていただくのが法務省の立場である、こういうふうに考えておったのでありまして、その点が間違っておる、そういう点が間違っておるということであれば、冒頭に申し上げましたように私の真意ではございませんから、責任の問題は別として、取り消させていただきます。こう申し上げておるのであります。
○小林(進)委員 この灰色問題についてもあなたがお取り消しをなさると言うならば、私も何もそれ以上あなたを責めようというのじゃない。政治の根幹でありまするから、事を明らかにしておきたいという熱意で言うのでありまするから……。 いま一つここで、お取り消しがあったからいいようなものでありまするが、いま一つここで伺っておきたい五人の灰色高官がエアバス導入に関して金銭を受け取ったということを、あなたはお認めになりますか、否定されますか。この点は明確です。あなたは、率直にお答えを願いたいと思います。
○福田(一)国務大臣 検察がこれを受け取ったと認定しておることは承知いたしておりますけれども、ここで、まだ裁判が続行中に、私が、法務大臣が、これを受け取ったと認定するわけにはまいりません。
○小林(進)委員 これは重大な発言でございますぞ。これは重大な発言だ。総理大臣、大変な発言でございまするから、総理大臣にお伺いいたします。前の三木内閣は、前の法務大臣はロッキード委員会に、内閣として、政府として、五人の灰色高官はいわゆるエアバス導入に関係して金を受け取りましたと言ったんだ。私は、検察、捜査当局から聞いたんじゃないのです。捜査当局なんていうそこら辺の言葉をわれわれは信用してこの国会の場で論陣をしているんじゃないのだ。政府の責任で五人がもらっていられると言われるから、私どもは問題にしたのであります。ところが、内閣はかわった。同じ法務大臣の地位にありながらも、その点は捜査当局だけが認定したことで、法務大臣としてはまだお認めにならない、こうおっしゃるのでありまするから、これは大変な重大問題だ。総理大臣としての御見解をひとつ承っておきたいと思うのであります。
○福田(一)国務大臣 私が申し上げておりますことは、これは裁判がいま続行せられておる段階でございます。裁判というのは、もちろん検察が罪がありということを認めてこれを起訴しておるのであります。これに対して被告になる者は、それは自分らはそのようなことはないと言うかあるいは事実誤認があると言うか、何か弁護をする立場にあるわけであります。そういうような裁判が行われておる段階において、私が断定して、そうしてこれは罪があるというようなことを申し上げることは、裁判にやはり一つの大きな影響を与える可能性がございます。この意味合いにおいて、私がそのようなことを申し上げることは差し控えさしていただきたい。 ただし、検察がそのようにして罪がありと言って、そうして起訴をするということについては法務大臣はもちろんこれは認めておったことは事実でございます。
○小林(進)委員 委員長、あなたお聞きになっているんでしょうけれども、われわれは限られた時間で質問しているのでありまするから、余り質問の要旨を離れた、ごちゃごちゃした答弁は、ひとつあなたの方で一応注意を与えていただきたい。同じ選挙区だからなどということで情けをかけてやられたのでは、質問者ははなはだ迷惑至極でありますから、ひとつ御注意いただきたいと思うのであります。 私は、裁判のことを聞いているんじゃないのです。この五人は裁判とは関係ないんだ。これは不起訴なんだ。しかも、不起訴にしたということも、検察当局が不起訴にしたから云々だといい悪いを言っているんじゃないのです。政府の責任において、この人たちは五人でいわゆるエアバス導入で金をもらいましたと報告をしたのだ。だから、われわれロッキード委員会も国会議員も、その政府のいわゆる報告をまともに受けて、私どももその金銭の授受があったと判断したから灰色高官であると認定をして、灰色高官であるから公表に値するという手段をもって公表した、こういう順序なんだ。その根底をなすところの政府の報告が、いまここに来て、ごちゃらごちゃらと言われて、まだ事実が不確定でございますなんということは、それは内閣のいわゆる継続性を否定せられる暴言かあるいは朝令暮改か、子供だましもはなはだしい詭弁論と言わなければならぬのでありまして、とてもあなたとこの限られた時間で論陣していくわけにはいきません。総理大臣、ひとつ責任のある答弁をいただきたいと思うのであります。
○福田(一)国務大臣 私が申し上げましたのは、このことが裁判にでも影響があってはいけないという配慮を申し上げたんでございますけれども、灰色高官として検察がといいますか当時の法務大臣が申し上げましたことは、もちろん検察を信頼して言っておるのであり、私といたしましても、それは検察が言ったことは間違いであるなどともちろん申し上げるつもりはございません。検察は信頼をいたしております。しかし、ここで裁判に影響がないように配慮することの意味において先ほどのようなことを申し上げたわけでございまして、私といたしましては、検察が申したことを信頼しておることは事実でございます。
○小林(進)委員 私はこの際検察などを持ち出すのは迷惑至極であります。私どもは検察がもしわれわれ国会に対して五人の方々に金銭の授受がありましたなどという報告があっても、われわれはそれをまともに受ける気はありません。むしろ立法府が検察側のそういうことをまともに受けたら検察ファッショになるおそれがありまするから、われわれはその点非常に警戒をいたしておりまして、断じて検察が独断的にシロクロ判断するようなことがあっては相ならぬという至厳なる枠をはめている。しかし責任ある政府、行政府が三木総理大臣を先頭にし、稻葉法務大臣も一緒になって、政府の責任で国会に御報告いたします、五人の方々にはいわゆるエアバス導入に関連して金銭の受け取りがありましたと言ったから、われわれはその報告を受けて、これはいわゆる灰色高官であるという認定をして、これを公表したのだ。あなたは何も検察なんということを出してくる必要はありません。その政府が、あなたの前任者の法務大臣がこうやって政府の責任で報告されたことをあなたは認めるか認めないかということだけをお伺いしておるのであります。検察は関係ありません。お認めにならぬならば、ならぬでよろしいのであります。
○福田(一)国務大臣 私は法務大臣がその責任において報告されたものということについては、もちろん異議はございません。(「それを認めるかと言っているんだよ」と呼ぶ者あり)認めます。それは認めます。
○小林(進)委員 それならば前に戻りまするけれども、この灰色高官を国会側が政府の報告を受けて公表したことに対しては、いささかも手続がいわゆる間違いはなかった、法律違反もなければ、違法行為もなかった、こういうことと言わざるを得ないと思うのですが、それをお認めになりますか。そうすると、あなたがいままで言われたことは、全部これは間違っていた論陣であると言わなければならぬ。お認めになりますか。
○福田(一)国務大臣 私は、前の法務大臣がこれは灰色であるということ、それから前の内閣がそういうことを申された裏には、やはり法務大臣だけでは言えないので、もちろん検察の報告があって、それを認めて、それを一応真実として報告をされたのだと、私はそう思っておるわけでございます。その意味で内閣の責任において報告されたわけであります。そこで、そういう場合においてもやはり人権問題というのは、十分いかなる場合にも刑事訴訟法の人権を尊重するという精神はくんで、そうして処理をしていただきたい。 そこで、あなたがおっしゃるのは、法務大臣がそういうことを言ったのだから、それはもうそういうことは、(小林(進)委員「内閣」と呼ぶ)内閣でも結構でございます。内閣がそう言ったのだから、もはや審議の必要はないのである。だから発表する……(「そんなことを言っていないよ」と呼ぶ者あり)いやいや、いまおっしゃったのは、そういう意味で私はおっしゃったと思うのです。それだから発表、公表するのはどこが悪いか、こういう意味で申されたと思うのでございまして、私はそういう点において国会がとられた措置についてとやかくここで申し上げることはございません。
○小林(進)委員 どうもおかしいですね。責任ある報告を受けて、その責任を受けて内閣もこの五人は灰色である、その報告を受けた国会側もなるほどこれが灰色高官である。時の内閣と立法府が意思が一致して、その結果に基づいて立法府が独自の判断で公表したのであります。それがどうも取り調べに影響があるの、やれ検察側を信頼したのという言わでものことをあなたはごちゃごちゃ言っておられまするけれども、私があなたに言っていることは、いわゆる立法府の、その正当な報告を受けて発表した手順、手続には何ら違法性もなければ、間違ってもいないじゃないか。それをあなたは間違っている、法律違反である、おれは法律の番人としてけしからぬから、こういうことは許されないというふうな発言をせられることは、まさに法務大臣が立法府に対するなぐり込みじゃないか。あなたの方にこそ違法行為があり、無鉄砲があるのじゃないかということを言いたいのだ。言いたいんじゃない、そのとおりなんだ。だから、そこまでお認めになったら、あなたは素直に前言を取り消されたらどうですかというのが私の質問の趣旨なんです。(「いや、取り消さない方がいいよ」と呼ぶ者あり)そうですか、それじゃお取り消しにならぬならならぬでよろしいが。これは問題ですぞ。これほど順序正しく理論的に詰めてもなおかつこれは了承はできないと言うならば、法律をあずかる法務大臣としてはこれは大変重大な問題であります。 第二点はそれじゃこれは留保いたしましょう。 第三点へまいりましょうか……
○福田内閣総理大臣 ちょっと待ってください。留保してということでありますが、留保する前に申し上げておきたいのですが、私はいまお話しの点が論議の対象になっておるという話を聞きまして、実は法務大臣に率直にお気持ちを伺ったわけなんです。すると、いろいろ手違いがあってああいう発言にはなりましたけれども、私は国会当局を難詰をするという気持ちはありませんということをはっきり申しておりますので、それにて御了承を願いたい、かように考えております。
○小林(進)委員 総理大臣お立ちになって、国会を難詰する気はないということはわかりました。総理が御答弁にここへお立ちになるならば、あなたは頭脳明晰なんですから、前の三木内閣の法務大臣と三木内閣のとった行動です、国会に報告した行動、これをあなたは、内閣の継続性、自民党政府の継続性に基づいて前の内閣、前の法務大臣のやったことを素直にそのまま承認をいたします、こうおっしゃればりっぱなんですよ。これはお認めになりますか。
○福田(一)国務大臣 私からお答えするのは差し出がましいと思いますけれども、私は前の内閣でおとりになったことを間違いとは考えておりません。
○小林(進)委員 それならば、あなたの発言は全部間違っておるということになる。あなたの発言とあなたの言われたことは全部間違っておるということになる。それを取り消さなければあなたの理論は一貫いたしません。これはネックにしておきましょう。 それから第三点にまいりまして、灰色高官の資料提出の問題だ。これは将来の問題でありまするから、特にここで明確にしておかなければなりませんが、あなたはこういう発言をしていられる。秘密会にして絶対に名前が出ないようにする、こういうことになれば、われわれとしては前にも前例があるので出さないとは言いませんが、果たしてそういうことができるかどうかについて、ちゃんとした一つのルールなり責任なりをちゃんとしていただかない限りは、法律を改正していただかないと、私は、法務大臣としては法律を守らぬわけにはまいりませんので、今後は資料は出しませんと言っているんだ。要求に応じませんとあなたは言っているんだ。これは大変な発言なんでございますよ。言いかえれば、将来に向かって絶対に名前を出さないというルールをつくるか、あるいは法律を改正してちゃんと出せるようにしてくれなければ将来に向かってもう資料は出さない、絶対に出さない、とあなたは言っていられる。このあなたの理屈が通れば、立法府は将来何にもできなくなってくる。刑事訴訟法第四十七条ただし書きはあってなきがごとしだ。何にもできない。われわれの国会の調査権の発動それ自体は一つもできないということになってくる。こういうような重大な発言をしておいて、あなたはよくもまあ法務大臣のいすにのこのこと座っていられると思うのでありますけれども、これをお取り消しになりませんか。 時間がありませんから、この問題についてもあなたの発言と前の法務大臣の発言と以下比較対照いたしますよ。いまあなたの発言を私は申し上げた。前の法務大臣は何と言ったかというと、捜査当局は刑事訴訟法第四十七条本文により、原則として公表をするいわゆる権利がないのです。そこで立法府に向かって秘密会でやってくれ、こういう要求をいたしました。そしてその秘密会に資料を提出いたしました。これまでが捜査当局、いわゆる法務省だ。行政府の守備範囲でございます。これまでが守備範囲。秘密会にしてください、そこに資料を出しますというのがあなた方の守備範囲だ。それを受けた立法府が、その資料なりその名前なりを受けた立法府が、それを将来に向かってそのまま秘密を保っておくかあるいは公表するかは、立法府が独自で判断することである、行政府の関与するところではない、こう言っているのであります。これは意見が全く対立しておりますね。同じ自民党の、同じ法務大臣の中でも対立している。これは一体どっちが正しいか。あなたは前の法務大臣のこの主張を肯定されるならば、あなたは自分のいままで言ったことを全部取り消さねばいかぬ。あなたは自分の言っていることが正しいと思っているならば、前の法務大臣の言ったことはこれはうそだ、これは間違いだとあなたはおっしゃればよろしい。それ以上は精神論は要りません。イエスかどうか。われ正しというならわれ正し、こういうふうに明確にひとつお答えを願いたい。
○福田(一)国務大臣 私は、前の法務大臣の言われたところが正しいと思っております。 ただ、私がいまそういうようなことを申し上げたのは、一言だけ聞いていただきたいのですけれども、アメリカにおいてウオーターゲート事件を取り扱いましたときには、アメリカの下院におきましては小委員会をつくりまして、そして大陪審の資料を提供を受けて、そして極秘裏にこの問題の処理を取り扱ったことはあなたも御承知のとおりだと思うのでございます。私は、そういうことになれば四十七条の考え方も十分何といいますか充足ができるし、非常にいい方法になるのではないかということを実は頭の中に持っておうたものでございますから、そういうようにしていただければありがたいという意味を含めて申し上げたわけでございます。
○小林(進)委員 いやもうあなたの、この国会でいままでロッキード委員会や予算委員会で言われた言葉ときょうのあなたの答弁は天地の差がありますよ。大変な違いだ。それほど違った答弁をするなら、男らしく前回、前々回は間違っておりました、全部取り消しますと、こう出られれば実にりっぱなんだ。男の中の男だ。しかし、前の法務大臣の主張が正しいとお認めになりましたから、私は武士の情けでそれ以上追及いたしませんが、なお念のために一項つけ加えておきますれば、三木総理もこの問題についてはしばしば発言をしていられる。 三木総理も、公表は国会の責任と判断でやってください、こういうことをしばしば言っておられておりまして、秘密会で資料を出す出さないはわれわれの判断でありまするが、それから先はということを言われておるのでございまして、それをあなたがお認めになれば、あなたのいままでのいわゆる発言が全部間違いであったということをお気づきになったと思います。 これで私は私の時間が参りましたから、ほんの一言だけ簡単に、もう質問の要旨はたくさんありますけれども、一つだけまとめてこれで失礼いたしますけれども、あなたはよく刑訴法四十七条の精神、基本的人権、基本的人権と言われまするけれども、これも大変な間違いなんでございますよ。一体四十七条でいう基本的人権というのは何ですか。憲法でいう十三条や十四条の人種、信条、性別、社会的身分または門地、経済とか、何もそういうことを言っているのじゃなくて、あなたの言われるこの基本的人権というのは、私はプライバシーの侵害をされない権利あるいは名誉を傷つけられない権利のことを基本的人権という言葉にすりかえてあなたは言っていたのじゃないかと私は思うけれども、何回も何回も言っているけれども、あの基本的人権ということで、このいわゆる国会議員や各省大臣の公に奉仕する者のそういういわゆる汚職や灰色の行為をそういう言葉でこれを補おうとすることは、大変なすりかえです。すりかえですから、この四十七条ただし書きで言われる基本的人権というものは、いわゆるその人の名誉を傷つけない、プライバシーを傷つけないということだけれども、しかし国会議員に一体プライバシーをそれほど守らなければならないような余地があるかどうか、あるいは憲法の名誉棄損の問題も、刑法第二百三十条の第二項には、公に奉仕する者の名誉棄損も、事実がある場合には公表しても決して罪にはならないという規定があって、非常に厳格でありまするから、この四十七条の問題についても私は、あなたも基本的人権を守るという言葉をしばしば用いられるが、その使い道もひとつ御注意になったらよろしいと思います。 時間が参りましたから、これは答弁を受けないで失礼いたしますが、どうぞひとつ……。
○坪川委員長 次に、楢崎弥之助君。
○楢崎委員 福田総理大臣は、前内閣の継続性について、それを守るという御答弁をなさったわけです。とすれば、前内閣すなわち三木内閣のロッキード事件取り組みに対する姿勢も継続をなさるわけですね。
○福田内閣総理大臣 そのとおりと御了承願います。
○楢崎委員 もしそのとおりであれば、三木総理大臣は灰色高官の公表問題について、だれよりも早く刑訴法四十七条ただし書きによってそれができるという見解を示されました。福田総理もそのような解釈で臨まれますか。
○福田内閣総理大臣 三木内閣の考え方、姿勢は、これを継続してまいります。
○楢崎委員 ただいま小林委員も指摘をされましたが、簡明に言って、田中ロッキード前委員長の灰色高官公表問題については、すでに明らかなごとく、法的にも方法あるいは手続きにおいても全く誤りはなかった、そのように法務大臣はお認めになりますか。
○福田(一)国務大臣 私は、田中委員長がこの院の委員長としておとりになった行動については、これをもちろん認めないわけにはまいりません。当然だと思っております。
○楢崎委員 もしそうであれば、あなたが二十四日のロッキード委員会あるいは予算委員会で言われた、行政府と立法府の間の約束が守られなかった、いわゆる信義則違反の問題ですが、これは信義則違反はなかった、そのようにお認めになりますね。
○福田(一)国務大臣 信義則とおっしゃいますと……。
○楢崎委員 普通、信義則と言うわけですけれども、約束を国会が守らなかったと、あなたはそういう言い方をなさっておるのですが、それは取り消されますか。
○福田(一)国務大臣 いや、そういう意味の発言をしておるとすれば、これは私が、(発言する者あり)いやいや、そういう発言を私がしておるとすればということでお聞き取りを願いたいのでございまして、私は、田中委員長が自分のいわゆる議員としての立場並びに委員長としての立場で処理をされたことについて、何ら異議を差しはさむとか反対するとか、あるいは不当であるとかというようなことを申し上げるつもりはございせん。
○楢崎委員 法務大臣は、委員長としての立場ではということをどうしてそんなに限定なさるのですか。国会がやったことと言ってはいけないのですか。
○福田(一)国務大臣 国会でおやりになったことと御理解を願いたいと存じます。
○楢崎委員 そうすると、あの公表の経過について、議事録にそのとおりあなたは表現をされておりますけれども、——の中での公表、取り消されて、今度は雑音の中の公表——いや、そう言われておるのです。これは最大の国会に対する侮辱ですよ。取り消されますね。
○福田(一)国務大臣 私は、そのときすぐに委員長に対して、——という言葉を取り消していただきたい、雑音にしてもその言葉を取り消していただきたいと言ってお願いをしたわけでございます。
○楢崎委員 法務大臣、きょうこういう集中論議に入ったのはおわかりのはずですから、もう少し自分の言われたことについて議事録をもう一ぺん反すうしておく必要があったんじゃないでしょうか。あなたは、——という言葉を言われて騒然となりましたから、取り消します雑音と、雑音に取り消されたんですよ。——いや、首を振られるなら議事録を見せましょうか。見せますよ。私はそういう、ないことを言っているのじゃございません。これはちょっといま捜しますから、時間がもったいないから、後ではっきりします。 そうしますと次に、法務大臣は、あたかもいわゆる公表問題あるいは資料提供について前提条件を付されておりますね。議事録を読み返してみてもそうです。つまり、まず国会が秘密を守ること、漏れた場合の国会の責任を明確にすること、そして、もし資料提供なり公表したいんだったら法律改正をしてこい、こういう前提条件を出された。このことは法務大臣のいわゆる真意です。真意の中につまりこういう前提を出される以上は、公表そのものが実は違法であったという考えがあなたの根底にあるから、このような前提条件を付されたとわれわれは思いますが、この点は前提を取り消されますか。
○福田(一)国務大臣 私がそのような発言をしたことにつきましては、法務省としては、秘密会でやっていただいて、そうして審議もしていただいて、当然これはもう公表すべきものであるというように一度御審議を願いたいという強い希望を持っておったことは事実でございます。その希望を踏まえて私がそのようなことを申したのでありまして、私の発言がその意味で、いまあなたがおっしゃったように委員会を拘束するようなことになったとすれば、これは私の不明のいたすところでございます。
○楢崎委員 この個所は非常にあなたの論理体系の本質をなすもので、これは言葉の取り消しではできないわけですね、あなたの考え方の根本にあるものでございますから。 ちょっとさっきの点も重大ですから、私どもはおっしゃっていることに基づいて言っているものですから、委員長この議事録をちょっと指摘したいんですが、よろしゅうございますか。
○坪川委員長 はい。結構です。
○楢崎委員 ありますね。それではこのように言ってますよ、あなたは。——と言って、いろいろあって、雑音ということを言い違えたとおっしゃっていますね。本来、雑音と言いたかったのを——と言った。だから、雑音ということを言い違えた、こう言っているのです。何も——そのものを取り消されているのじゃないんです。取り消して雑音にされたんです。(笑声)だから、これは同じ言葉としても、ひどい言葉ですよ、さっき言ったとおり。国会に対する最大の侮辱です。しぼればロッキード特別委員会に対する侮辱ですよ。これは謝罪をしていただかなくちゃならない。取り消すだけでは足りません。どうでしょうか。
○福田(一)国務大臣 私は、そのときの真意を申し上げますと、(「真意じゃない、言葉だよ」と呼ぶ者あり)いや、ちょっと聞いていただきます。私が申し上げましたことは、あのときの委員会の速記録を見ていただきますと、ロッキードのときの委員会を見ていただきますと、いろいろ反対というものがあったとかなんとかいうようなことも出ております。ロッキード委員会のあのときの委員会の中に。そういうこともあって、混乱——部にそういうような反対もあったりしたようなこともあるので、そういうことを頭の中に浮かべておったものでありますから、そこでいまのような発言をいたしたのでございますけれども、それが非常な正しくない表現であるということでございますれば、あのときも私は、雑音にしてもこの——にしても、取り消していただきたいという意味で委員長にはお願いをいたしておったのでございますけれども、その点が侮辱というようにおとりになるのであれば、これはもちろん陳謝をして取り消さなければならないと思っております。
○楢崎委員 もう一度明確にしておきますが、いわゆる灰色高官の公表というのは、もともと起訴の対象にならない事件関係者の問題でありますよ。つまり、政治的、道義的責任の追及でありますから、それを公表するかどうかは、もともとが法的な判断は必要ないのですよ。そうでしょう。法的な判断が必要であれば、起訴の対象になります。もともと法的判断が必要でないものなんですよ。だから、公表するかどうかは、まさに政治的な判断です。つまり、四十七条ただし書きの問題に属するわけです。そのようにお認めになりますね。
○福田(一)国務大臣 私は、四十七条ただし書きの問題は、資料を提出するかしないかということについての問題と考えておるのでございまして、資料を出したものをどう御判断になるかということは、議会の責任において、議会の立場においておやりになることであると、こう理解をいたしておるのでございます。
○楢崎委員 そうしますと、もうすでに言われておるとおり、ただし書きの「公益上の必要その他の事由」という個所は、その部分の立法の趣旨からして、これが、憲法六十二条の国政調査権のかかわりで出てきた、あるいは国会法百四条から出てきておるということはもうお認めになるはずでございますから、そういう点においても、ここに準拠して公表されたのですから、全く問題はない。別にこの点について公表するためには別の特別立法が必要などということは起こり得ないわけです、これでできるわけですから。そうお認めになりますね。
○福田(一)国務大臣 議長裁定の第四項におきまして、刑事訴訟法立法の趣旨を踏まえて最大限の協力をすべきである、こういう御裁定がございました。したがって、一般の場合ならば、これは、いまあなたの仰せになったような法律との関係でいろいろのことも、これは意見の分かれておる面もございます。しかし、今回の場合は議長裁定があるのでありますから、これは当然協力をしなければならない、ほかの問題ではなく、当然協力をしなければならない問題であると、こういうふうに私は理解をしておるのであります。
○楢崎委員 これは議長裁定があるかないかの問題じゃないのです。憲法六十二条の問題でありまして、それを引いた国会法の百四条の問題でありまして、その見解は違いますよ。そこもあなたは違うのです。これは、その違いを明確にしたいと私は思います。 それから、あなたは国会が秘密を守る保証ということを言われたが、これは一体どういうことですか。あなたは、政府が一たん提供した資料について、秘密にせよなどということを国会に言う権限は一体どこから出てくるのですか。
○福田(一)国務大臣 先ほどの問題で申し上げたいと思うのでございますけれども、もちろん四十七条には国政調査権の問題も含まれておると私は理解をいたしております。しかし、それを出す、出さないということについては、やはり政府として判断をすることも許されておる。これは、大体刑事訴訟法でございますから、犯罪捜査の面に関することでありますから、やはりそういうことは許されておると思うのでございます。そうして、憲法六十二条で確かに国政調査権があるということがございますが、これはいささか理屈めいて恐縮でありますけれども、憲法三十一条では、何人といえども法律によらなければ自由は拘束されないということがあって、これはいろいろ議論があったところでありますから、ここで申し上げるのが適当かどうかわかりませんが、そういうこともあるのでありまして、その法律というのが、刑事訴訟法がある。一つの、刑事訴訟法における本来の精神というものは、犯罪の捜査ということ、それから公正に犯罪の捜査が真実に基づいて行われるとか、これはもうあなたの方がよくおわかりですが、そういうような刑訴法もございますので、本来ならば、何でも資料は出すということが正しいかどうかということについてはわれわれが、政府が判断をしなければならない問題だと思うのでありますけれども、今回の場合は、特に議長裁定があったのでございますから、これはもちろん当然出さなければならないものと考えておったわけであります。
○楢崎委員 その点については、完全にわれわれの立場、立法府の立場と違うわけですね。ここは明確にしておきたいと思います。その点は、つまり、だからあなたは特別立法が必要であると、こう結びついてくるのですね。そういうことですね。——じゃ、特別立法はなくてもできるというふうに訂正されますか。
○福田(一)国務大臣 私は、そういう秘密を守るという意味を——守らなければならないということであって、よく疑義が出ておるのであります。この問題ではよく守秘義務との問題で疑義が出ておるので、できるならこういうものは法でもって改正して、疑義がないようにすることが望ましいのではないかという意味を強く言い過ぎて誤解を招いたことは、私の誤りであると思っております。
○楢崎委員 やっぱり別に法改正あるいは特別立法という考えを捨てられないようであります。それは明らかにしておきたいと思います。 そこで次に、秘密が守られない場合の国会の責任を明確にしてくれと、それは一体どういう権限に基づいて法務大臣は言われたんですか。
○福田(一)国務大臣 それは速記のどこにあるでしょうか。ちょっと、どの部分で私が言ったか……。
○楢崎委員 時間を許していただけますか。
○福田(一)国務大臣 まあ、それならあることにして……
○楢崎委員 あることにしてでは、私は論議はしません。(「あることにしてとは何だ」「そんなばかなことあるか」と呼び、その他発言する者あり)
○福田(一)国務大臣 いや、いや、待ってください。
○坪川委員長 いまはお聞きください、福田法務大臣が答えていますから。
○福田(一)国務大臣 いま私が速記録を見ようとしたのでありますが、まだそこのところが私の脳裏に出てきませんでしたから申し上げておるのでありますけれども、いまあなたが仰せになったように、何といいますか、そのような考え方で私は申したわけではないということだけ明らかにさしていただきます。
○楢崎委員 とにかくきょうは謝ればいい、あるいは取り消せばいいというような感じを受けるのですが、自分が何言ったかわからずにおっしゃっているわけですから、非常に、何といいますか、この場を何とか逃れようという趣旨のように見えますが、そこでもう一遍お伺いしますが、じゃ、前回言われたその資料提供なり公表問題については、いろいろ前提を、さっき私三つ挙げましたけれども、そういう前提などということはここで取り消されますね。もう、いままでの田中前委員長がやってこられたような、あるいは三木総理が考えられたような、そういうやり方ですべてできる、だからこういうあなたが述べられたような前提条件は一切必要ないと、そのように訂正されますか。
○福田(一)国務大臣 私は、前の法務大臣がとられた解釈のようにすることが正しいことであると思っておるのでありまして、それに相反することがありとすれば、これは取り消します。
○楢崎委員 つまり、くどいようですけれども、刑訴法四十七条ただし書きというのは秘密を守れという規定ではないのです。公表の規定なのです。いいですか、くどいようですけれども。だから、そこで秘密の義務が生ずるなどということは本来ないのです、四十七条ただし書きに基づいて行われる場合。それも私は確認したいと思いますが、どうですか。
○福田(一)国務大臣 四十七条ば、秘密の規定ではなくて、いま仰せになったように、人権を尊重するとか、将来検察が罪人を捜すために参考人を呼んだような場合に支障が起きないようにするとか、そうしてまた同時に公共の福祉の面も考えるとか、こういう三つの要件があるわけでございまして、その三つの要件に基づいた規定であると存じておるのであります。
○楢崎委員 いいですか、さっきのことをちょっと明確にしておきますが、「秘密が保てなかった場合には、人権擁護の問題からいって、院としてどういうような責任をおとりになるのだろうか、ここいらをよく究明をしていただいて、その措置をお決めになった上でないと、私としては出すわけにはいきません、」。まことに明確じゃありませんか。それは取り消されますね。
○福田(一)国務大臣 私がその言葉を申し上げましたのは公表ということに実は頭がいっておったからでございまして、資料の提供については決してそのような意図を申しておったわけではございません。
○楢崎委員 これもまた違うのですね。資料の提供問題だけではないのです、ここの御論議は。公表問題が中心なのですよ。だから、その点も法務大臣は考えを変えていらっしゃいませんね。二十四日、二十五日のあの予算委員会における言い方を取り消しておられないですね。 そこで、実際問題についてちょっと触れてみたいと思いますが、先ほど小林委員が灰色高官五人の問題を挙げられました。そして、法務大臣は検察庁を信頼しているからという言葉で、私はわかりました。つまり、法務大臣としては、そういう立場でなくてはおかしなことになって、むしろ逆指揮権をあれしたような形になりますから、あれは大事なところなんですよ。 そこで、そういうことであれば、ここは二十四日の鯨岡委員のロッキード特別委員会における質問とかかわってまいりますが、五人の方々の資料についてお出し願えますか。
○福田(一)国務大臣 私は、鯨岡先生が、いわゆる灰色の高官名といえども、人権があるのである、その人権を尊重する意味でこの検察庁が取り調べた調書を出してはどうか、こういう御趣旨で御質問があったと理解をいたしておるのでございます。 そこで、いま御案内のように公判が進められておりまして、そうしてその証拠書類として調書が使われることになっておりますので、証拠書類は公判において使用されるまでは提出を差し控えさせていただくというのが原則であり、私たちとしてはそのように考えておるわけでございまして、実はあのときに鯨岡先生にそのことを十分申し上げなかったことはわれわれとしてまことに残念なことだと思っております。
○楢崎委員 だから、五人に関する限りは、国会の方から要求があれば、まず資料は渡されますね。
○福田(一)国務大臣 いわゆる公判で公表された後においてはもちろんお渡しをいたします。
○楢崎委員 それはどういう意味ですか。よくわかりませんがね。明確にしたいと思います。
○福田(一)国務大臣 その点は政府委員の説明を聞いてからひとつ……。
○安原政府委員 ただいま灰色高官五名の方の関係で書類を出すかというお尋ねでございますが、もう楢崎委員御案内のとおり、これは三十ユニットというものの金の流れの中でいまのような問題が起こったわけでございまして、三十ユニットとなればいわゆる橋本氏あるいは佐藤氏という者も、三十ユニットからの金の流れが犯罪になったとして公判請求をしておりまして、この関係におきましては、他のいわゆる五名の方と関連する証拠関係にございまして、調書等も不可分でございますので、しかるところ、佐藤、橋本両氏の被告事件につきましては、恐らくはこの調書が公判廷に提出されて証拠として採用を願うという申請をするという段階になろうと思いますので、現段階におきましてはその調書を出すことは差し控えさせていただきたいというお願いを大臣はしておるわけでございまして、ひとつよろしくお願いいたします。
○楢崎委員 ロッキード特別委員会が、出すべきであるという委員会としての意見決定をした場合にはどうなりますか。
○安原政府委員 出すべきという決定をなさいましても、それはつまり国会の国政調査による御要求でございますが、他面、この書類の保管者である検察あるいはそれを指揮する法務省といたしましては、刑事訴訟法の四十七条の本文が守ろうとする公益、すなわち裁判への影響の阻止あるいは人権の保護という観点から、せっかくではございますが、その場合におきましては、書類の保管者といたしまして、裁判の利益というものを守るべきだ、その場合においては国政調査に遺憾ながら御協力をいたしかねる立場になろうかと思いますが、これは具体的な問題でございませんで、一般論として申し上げたわけでございます。
○楢崎委員 いまの問題は大変重要であるし、今後の事件解明についての大きな問題になろうと思います。これは軽々にここで、時間の関係上できませんから、問題を残しておきたいと思います。 ではもう一問、これに関連しますからお伺いしておきますが、それでは、その五人の問題についてはロッキード特別委員会でもこれは審議できないことになる、法務大臣の言い方によると、いま裁判訴訟中だから。それが一つ。ではあとの十三人、ダブっておる方を抜けば八人か十人になるかわかりませんが、十三名の方については、ロッキード特別委員会が提出せよというように意思決定をしたらお出しになりますか。
○安原政府委員 その点が公判に関係がないとも必ずしも言えない。というのは、あの九十ユニットはいわゆる全日空の外為法違反の関連から来る使途の問題でございますが、全然関係がないとは思いませんが、それよりも何よりも、まずかねがねお願いし、先ほども大臣申しておりますように、議長裁定によって国政調査に協力するというたてまえから、最大限の協力をすべきたてまえにおるわれわれといたしましても、常々前国会以来お願いをいたしておりますように、まず、いま御指摘の方々が、方々がと言うか、方々が入っているというカテゴリーである九十ユニットの関係で、たとえばせんべつをもらいあるいは何か政治献金のようなものをもらったというようにされる方々が、国会御当局においてそういう行為が灰色——政治的、道義的責任のあるものに当たるという基準、定義をお決めいたされました場合におきましては、先ほど大臣申し上げましたように、かねてのお約束どおり最大限の御協力を申し上げるということでございまして、まずその方々とされるカテゴリーがいわゆる灰色になるかどうかということにつきまして、国会御当局で御決定をいただくことが前提でございます。
○楢崎委員 もう時間がなくなりましたから一言だけ申し上げておきますが、非常に三木内閣時代と態度が違いましたね。明らかに態度が違ってきた。そこでこういうことでは、もう公判に入っておるから、国会に対する協力がこの三十ユニット、九十ユニットについては非常にむずかしくなる、そういう印象を受けます。 総理、ただいま安原局長が言われましたことをコミットされますね、最後に言われたことを。
○福田内閣総理大臣 政府の一貫した姿勢は、三木内閣の方針を踏襲するということにあるわけです。ただ、あの当時と違いまして、公判が始まっていますから、その辺の環境の変化はありまするが、基本的な姿勢といたしましては、三木内閣当時の方針を踏襲する、こういうことでございます。
○坪川委員長 次に、坂井弘一君。
○坂井委員 福田法務大臣に、あなたの基本的な姿勢、あるいは認識と言った方がいいのでしょうか、ということで伺っておきたいと思うのです。つまり、基本的人権ということについて、人権擁護ということを先般来盛んにおっしゃられまして、そこで、いわゆる灰色高官公表に関した前回の措置に対しましてあなたの問題発言といいますか、そういうことで今日集中審議と、こうなったわけであります。そこで、この基本的人権ということ、確かに人間だれしも憲法に基づくところの大事な個人の人権というものは等しく尊重されなければならない、そういうことはもう当然だと私も思う。ただ問題は、基本的人権がよって立つもの、その基盤になるものはやはり民主政治である。ところが、今回このロッキード事件というものは、まさにこの日本の民主政治の基盤そのものがことによると崩壊してしまうのではないかというほどのきわめて重要な受けとめ方をしているわけですね。それは出発点における両院の決議、あるいはまたいわゆる三木親書等にあらわれたあの精神というものがそれを端的に物語っていると思う。 そこで、基本的人権は確かに大事だ、大事だけれども、その人権がよって立つところの民主政治の基盤そのものがまさに崩壊せんとしておる。そういう、言うなればぎりぎりの状態といいますか極限状態、こういう状態の中でこの事件をもしかうやむやにしたならば、全く日本の民主政治はそれこそ致命傷、崩壊してしまう。この危機意識があって、だからこそ何もかもこの事件の内容を明らかにして、そして一切を公表しましょう、そのことが結局は長い将来にわたって日本の国民のより多くの人たちの基本的な人権を保障することにつながるんだ、こういう認識というものが大前提にあって、そういう基本的な考え方に立って事件の真相の解明をやりましょう、私はこういう出発で今日まで一貫してきたと思うのですね。 さて、そういう中で、いまいわゆる灰色高官公表問題に関して、一方、人権擁護の問題、福田法務大臣が人権擁護ということを強調なさる、これはお気持ちとしてわからぬではない。つまり刑事訴訟法四十七条、特に本文に拘束される立場であるあなたの立場に立って理解するならば、それはわからぬではない。しかし、先ほどからもおっしゃるとおり、これは刑事訴訟法四十七条本文と同時に、ただし書きがある。公益の判断。したがって、そういう全文の趣旨をよく理解をし、そして私が冒頭申しましたように、確かに基本的人権は尊重されなければならぬけれども、しかしながら、事件をうやむやにしたならば、これは大変な ことになる。したがって、この事件の特に政治、道義的責任の所在というものを国民の前に明らか にしなければ、政治不信というものはいよいよその極に達して、日本の民主政治そのものは崩れてしまうであろう、こういう意識が大前提にありますものですから、したがって今回、国会の要請、憲法六十二条、国会法百四条、この要請に応じて政府は最大限の協力をいたします、最善の協力をいたします、こういうことなんですね。 ですから、その基本的人権ということについて、私はいま申しましたように、むしろ最大多数の日本の国民基本的人権を将来にわたって保障するためには、この事件に関係したいわゆる灰色政府高官、この人たちにも基本的人権はありますよ、ありますけれども、政治、道義的責任を究明される者として、とりわけ公の人として国民の目の前にこの人たちは明らかにされなければならない、これが私の前提に立つ基本的な認識なんですが、この点について法務大臣はどうお考えになりますか。
○福田(一)国務大臣 私は坂井さんのお考えに全く同意見でございます。
○坂井委員 そうしますと、法務大臣、回りくどいわけのわからぬややこしい議論を避けまして、はっきりしませんか。やっぱり法務大臣のおっしゃっていることは、あなたの信念にもよるのでしょうけれども、非常にまずい考え、姿勢というものがあなたの言葉になってあらわれてきておる。特に決定的なのは、この間のロッキード特別委員会で鯨岡委員に対しますあなたの答弁で「今後そういうものを出せと言われても、法務省としては、私は出す意思はございません。これははっきり明言しておきます。私は法務省の責任者であります。責任者の言うことは、これが法務省の見解であります。」、これに尽きると思うのですよ。ここから出発しているわけです。だから後は、秘密会でもし漏れたならばその責任は国会はどうとるのだ、秘密保持の保証をどうするのだ、だから漏らさないためには立法ということも必要なんだというようなことが普遍的に起こってきている問題なんですね。出発点は基本的にここにあると思うのですよ。いま私が読み上げましたあなたのこの答弁、ここのところは潔く取り消し、撤回をされてしかるべきだろうと私は思う。いかがですか。
○福田(一)国務大臣 お答えをいたします。 坂井さんも読んでいただいてわかると思うのでございますが、先ほどのいわゆる灰色高官名を公表するかどうかという問題が出たわけでありますと前提を置いておるわけでございます。私はこの公表ということを前提に置いて実は発言をいたしたのでございまして、これは牽強付会の弁であって、おまえの考え方は間違っておるとおっしゃれば、したがって取り消せとおっしゃれば取り消しますが、私は先ほど問題になった公表するということでは困る、資料の提供は幾らでもしなければならぬ、これはお約束したことだからいたしますが、公表ということはしない方がいいんです、こういう意味のことを申し上げたということを御理解を願いたいと思うのであります。
○坂井委員 そこで、そういうことになると、法務大臣、また話がまずいのです。私はその大前提としての認識論をまずあなたにお聞きした。というのは、これは事件をうやむやにしてはならぬということなんです。いいですか、なぜこのような事件が起こったのかという、いわゆる構造汚職といわれますが、構造的なそういう仕組みなり、あるいはこの事件に関与した政治家、政治的、道義的責任を究明されるいわゆる灰色高官、そういうものすべてを明らかにする。福田総理も先ほどおっしゃった、確かに三木総理があの親書の中にも、これを全部明らかにすることがわが国の民主政治のために、あるいはまた日米の将来にわたっての友好関係のためにも大事なんだ、こういう認識があるのです、前提が。明らかにする、うやむやにしないということです。つまり公表するということなんですよ。特に政治家たる者、公人たる者、政治的、道義的責任ありとされる者は、その責任の所在を国民の前にはっきりする、これが今度の事件の反省であり、そこから次への教訓というものが起こり、そして再発防止策というものができ上がっていくのだ、私はこう思うのです。だから、あなたはいま公表問題とおっしゃいますけれども、つまり公表するというのが前提なんですよ。いまのようなことをおっしゃいますと、資料としては出します、どこにといえば国会に、それもどういう場所にといえば秘密会に、しかし公表されては困る、そうじゃないですか。
○福田(一)国務大臣 資料として出しますが、国会の判断で公表されることはごもっともでございます。私は、あなたがこれを契機にして政界の浄化をせなければならぬ、それにはなるべく事態を明らかにする必要があるんだとおっしゃる気持ちは全面的に賛成なんです。ただ問題は、やはりそういう場合においても、法律というものがございますから、これはおしかりを受けるかもしれませんけれども、やはりそれを無視してやるような形になりますと、また秩序が大きく混乱する可能性がある、その点も公益の問題として考えなければいけないんじゃないか。私は個人の人権尊重などということだけを言うておるのじゃない。個人の人権は公益の立場からいえば制限を受けることは当然なんです。それはもちろん私もよくわかっております。したがって、できるだけ早く事件を解明して、そうしてこういう事態でこういうことでありますということを国民に知らせるということは、私は政府の責任だと思っております。これはおっしゃるとおりだと思う。その意味で私は全面的に賛成なんです。ただ、賛成でございますけれども、今度はそれではどういうふうに処置したらいいかということになれば、公表しろということになりますと、刑事訴訟法の精神というものといささか背馳する面が出てくると思っておりますので、その点を私は御理解をしていただきたい、かように考えておるわけであります。
○坂井委員 公表する、しないというのは、その判断領域というのは国会です。資料を受けた国会です。われわれが公表するかしないかについて、国会が国会の責任と判断において決めるべきことなんだ。そういう手続によって前回は公表したわけなんです。あなたのおっしゃっているのは、一体どこが間違いだと、こうおっしゃりたいのか、どうもその辺が私、まだはっきりしないのです。たとえば、先ほど資料を提出したところの当時の法務大臣の立場、その手続等においてはこれは間違いなかった、こうおっしゃっているのですね。そうすると、間違いのあった部分があるのですか。たとえば国会に何か間違いがあったのですか、どこにも間違いがないのですか。
○福田(一)国務大臣 私は、こういうような件については、この五名は灰色でありますという認定をされた法務大臣の考え方に反対をしておるわけではございません。それを反対はいたしませんよ。しかし、それを今度は国会の場に提出する場合には、これは検事が取り調べをしたけれども時効であるとかあるいはその他の理由によって罪にはすることができない者であります、そこで法務省としては、その罪にできない者ではあるけれども、これはもう、道義的、政治的な責任を追及なさろうとする国会の立場は十分尊重しなければなりませんから、これは資料として御提出申し上げるのであります、こういうことでございまして、したがって、その資料として提出いたしました以上は、これをどういうふうに国会がお取り扱いになろうと、これについてわれわれは異議を申し述べる立場にはございません、かように申し上げておるわけでございます。それはまあ、できるだけものをみんなに知らせるのがいいんだという、そのお気持ちはよくわかりますけれども、しかし、やはりそういうような法律によって私たちが行政行為をやっておるという面もひとつ御理解をしていただければありがたいと思うのでございます。
○坂井委員 どうも問題の本質がちょっとそれる。もう一遍もとに戻りますけれども、先ほど読みました、法務大臣おっしゃった「今後そういうものを出せと言われても、法務省としては、私は出す意思はございません。これははっきり明言しておきます。」、これは絶対出さぬということだね。こうおっしゃっておるわけだ。これは取り消すのですな。
○福田(一)国務大臣 私がそこで言うのは公表ということでございます。委員会へ資料として提供するということについては、それはこういうような灰色の人間でございますということを認められた稻葉法務大臣の行為を私は何ら非難するつもりはございません。稻葉法務大臣がお出しになったのも資料としてお出しになったんだ、こう私は理解をいたしておる、こういうことでございます。
○坂井委員 そうしますと、今後においても国会が——それでは立場を変えましょう。つまり灰色高官といいましても、これは疑獄解明の一環だと私は思うのですね。灰色高官の公表問題、何もこれだけがロッキード疑獄のすべてじゃないわけで、むしろ一環の問題。より大事なことは何かといったら、この汚職構造の解明だ。では、ロッキード疑獄、汚職構造解明のために、いま法務大臣あるいは法務省あるいは検察庁が持っておるところの資料、これを国会に提出願いたいと国会で決めるわけです。これは一般論として申しましょうね。ロッキード特別委員会において、汚職構造解明の必要があるのでいま法務省、法務大臣が入手しておるところの資料を国会に提出をしてもらいたい、こういう要請をあなたにした場合には、あなたはどういう態度をおとりになりますか。
○安原政府委員 その場合こそまさに基本論でございまして、公判廷に顕出しない訴訟書類を公にする問題といたしまして、刑事訴訟法四十七条の本文並びにただし書きの趣旨にのっとりまして、公益上の必要があって相当と認められるかどうかということを判断の上、できる限りの御協力を申し上げる所存でございます。
○坂井委員 法務大臣、改めて念を押すまでもないですね、刑事局長がそうおっしゃるのだから。その場合にはできる限りの協力をいたします、こういうことですな。ただその場合に、やはり秘密会という形であればより提供しやすい、こういうことになりますか。
○安原政府委員 これは要するに人権の保障とかあるいは裁判への影響とかあるいは将来の検察への支障というようなことの程度等を考えまして、公開の委員会でよろしいか、あるいは著しく人の名誉等にかかわる問題であるということで秘密会でお願いするかは、相当性の判断としてケース・バイ・ケースで考えたいと思います。
○坂井委員 それじゃ少し具体的にお聞きしますが、たとえば先般第二次中間報告をなさいましたね。第二次中間報告をされたあの報告の法的な根拠というのはどこにあるのでしょうか。
○安原政府委員 憲法に淵源いたします国会法百四条による国政調査権に対する報告でございます。
○坂井委員 そういたしますと、法務大臣はあの報告に当たりまして、検察庁に対して検察庁法十四条の本文、つまり、あなたの指揮権によって検察庁から報告を徴した。そのあなたが得た報告に基づいて第二次中間報告書が作成されて国会に報告された、こういうことになりますか。
○安原政府委員 御指摘のとおり、検察庁法第十四条に規定いたします大臣の指揮監督権に基づいて報告が求められ、その報告の内容を大臣の御判断において国政調査権の行使される国会に対して御報告を申し上げたわけでございます。
○坂井委員 じゃ法務大臣に伺いますが、あなた報告聞かれましたね、検察庁から。どなたから受けられましたですか。
○福田(一)国務大臣 刑事局長を通じて聞きました。
○坂井委員 その受けられた報告の内容は、検察庁が今日までこのロッキード事件に対しまして捜査を行ってきたその捜査の経緯、処分の内容、ことごとくつまびらかに、そのすべてについて報告をお受けになりましたか。
○福田(一)国務大臣 前回稻葉法務大臣が報告をされましたね。その報告の内容も十分踏まえた上で、これが重複を避けながら、新しい事実について何があったかということを踏まえてあの報告をさしていただいた、こういうことでございます。
○坂井委員 ちょっと要領を得ないのですが、つまり私、聞きたいのは、第二次報告書をいただきましたね、大変失礼だけれども、薄っぺらい、全く内容的にはゼロというよりも、これは報告ならざる報告だと思うのですけれども、あなたがお聞きになった、あなたが受けられた報告は大変分厚い中身のある報告でしょうか。つまり、その中で全く差しさわりのないといいますか、これは刑訴法四十七条前文の趣旨を判ずるまでもなく、きわめて通り一遍な、そういう報告のみにとどめて、まさに刑訴法四十七条ただし書きに相当するその判断を必要とするような中身のある部分については、すべてあなたの腹中に全部しまった、こういうことでしょうかどうでしょうかということを伺いたい。
○福田(一)国務大臣 お答えを刑事局長からいたしますが、私の申し上げたいのは、実は私が法務大臣になったときに、小佐野とか児玉両被告の病状が非常に悪くてなかなか調べられないということを言いましたから、それは徹底的に調べなければいかぬじゃないかということを強く私は申し上げたのですが、その後しばしば検察当局が調べたようでありますけれども、どうしても体の故障といいますか病気の関係上、新しい、いわゆる皆さんに真実を御報告するようなことがなかなかできなかったという報告に私は承っておるのでございます。
○坂井委員 どうも具体的でないと話がかみ合わない。三十ユニット、五人、結構です。わかっています。八人、九十ユニット、お聞きになりましたか。
○福田(一)国務大臣 九十ユニットについては、前の報告で相当詳しくこういうものがあるということが出ておりますね。そこで、出ておりますから、その重複を避けたという意味で申し上げたと御理解を賜りたい。
○坂井委員 もちろん、名前も含めてその経緯等あるいは金の趣旨、流れ等々について報告をお受けになりましたですか。
○福田(一)国務大臣 名前について、またどういうことがあったかという概略については報告を受けております。
○坂井委員 名前も聞かれましたね。
○福田(一)国務大臣 名前も含めてでございます。
○坂井委員 さて、そうしますと、まさにいわゆる真相解明のためのわが国会におきますところの調査特別委員会、ここでは前回、いわゆる灰色政府高官、政治的、道義的責任ありとされる者五名について、検察、法務省からその資料の提出を得て、そして手続に従ってこの氏名の公表をしたわけであります。いま福田法務大臣が、当時の稻葉法務大臣のこの五名の公表に当たっての、法的にも手続、方法においても誤りがなかった、ましてや、また一方における議長裁定、これも尊重いたします。福田総理はまた、三木内閣のロッキード事件の真相解明のあの姿勢、これは踏襲します、こういうことでありますから、これから国会において次の政治的、道義的責任ありとされるいわゆる灰色高官の定義がつくられて、それに基づいて法務省に対して資料として国会に提出を願いたい、その場合は秘密会で結構でありますということであれば、資料として提出いただけますか。
○福田(一)国務大臣 私は、いまあなたが仰せになったように、前提条件がありまして、何が灰色であるか、こういうものを灰色であるというようなことをお決めになって、そして提出を求められれば、前内閣がとったと同様に、秘密会で資料としてお出しする、こういうことでございます。
○坂井委員 その場合には、先ほどから議論がありますが、秘密会に対して、何らかの制約条件といいますか、秘密保持の保証であるとか、あるいはまた特別立法であるとか、そういうことは要求されませんね。
○福田(一)国務大臣 希望を申し述べるということはいたしたいと思います。制約をする権限はわれわれにはございません。しかし、人権尊重というたてまえから、われわれとしては希望を申し述べることだけはさせていただきたいと存じます。
○坂井委員 改めて伺うまでもございませんが、法務大臣は、前回、いわゆる灰色政府高官、政治的、道義的責任ありとする国会議員の公表の際に、また国家公安委員長をされておりましたですね。この公表には、当時から非常に疑義があるというお立場であったのか、それともそうではなくて、あの時点でこの公表に対して何ら反対とかいうようなことではなかった、こういうことですか。
○福田(一)国務大臣 私は、稻葉法務大臣が委員会に資料を提出されましたときにはすでに国家公安委員長をやめておりまして、この問題にはタッチは——タッチするというか、政府の立場においてはタッチはいたしておりません。
○坂井委員 なお、法務大臣の御認識として伺っておきたいと思うのですけれども、つまり刑事責任と政治責任というのは、これはもう当然全く違うのですが、どこがどう違うのでしょうか。
○福田(一)国務大臣 これは私が申し上げるまでもなくおわかりを願っておると思うのでありますけれども、刑事責任というのは、刑法に定められたその条件にかなった——かなったというか、条件を満たしておるような行為をすれば、これは犯人でございますし、それから政治責任というのは、そういうような犯罪行為でなくても、それぞれの分野において守らなければならない道義的な責任があると思うのでございます。議員というものはその意味において道義的、政治的責任がある、こう理解すべきであると考えておるのでありまして、これは厳重に今後守っていく、またそのためには院において何か適当な申し合わせをなさるとか、いろいろな方法があると私は思いますけれども、そういう意味では、われわれは大いに努力をいたすべきものであると考えております。
○坂井委員 こんなことを改めて申し上げるまでもございませんけれども、刑事責任というのは別にしまして、政治責任につきましては、この主体というものはやはり公権力を行使するそういう立場のいわゆる公人に限られておるわけですよね。したがって、そういう点では刑事責任と基本的に異なっておるということであって、つまり公権力の担当者、これは一般国民の場合と全く違って、刑事責任のほかに政治責任をも負うべき地位に置かれておる、これをやはり自覚しなければならぬと思うのですね。政治責任というものは、刑事責任とこれまた異なって法的な責任ではない。しかも、この政治責任は、権力担当者の不当な行為、あるいはまた不適任性といいますかね、そういうものにも及ぶ、こう解するのが妥当だろうと私は思う。つまり裏返して言いますと、その責任原因というものが違法行為に限定されている刑事責任とは全く違うところですね。そこのところをしっかり踏まえた上で人権論を言いませんと、一般私人の人権と同列に公人の人権を扱うということになりますと、これはもうとんでもない人権擁護に名をかりた権力者の擁護といいますか、権力者を覆い隠してしまう、一般私人から遮断して、権力者の権力のみを、名誉、利益、それを擁護することになりかねない。むしろそうではなくて、何回も議論されることでございますけれども、やはり刑法二百三十条ノ二の問題もこれありというようなこと等考えあわせて、その政治的、道義的責任の所在というものは公人たる者はやはり国民の目の前に明らかにするというこの基本的な姿勢というもの、またそれに対して、国会がそういう姿勢であるならば政府も最大限の協力をいたします、ここがやはり一番大事だろうと思うのですね。その根本を、ともすると基本的人権擁護という名をかりて、公人、権力者だけがいたずらに不当に守ろう、覆い隠そうというような、そういう姿が露骨に見えてまいりますと、福田内閣あるいは福田法務大臣は事件隠しではないか、こういう非難がそこに集まってくるということでございますから、老婆心ながらこれはひとつ御忠告の意味であえて申し上げておきたい、こう思って申し上げたような次第であります。 そこで、せっかく総理お見えでございますので、これもひとつ総理の基本姿勢としてぜひ伺っておきたいと思いますが、この灰色高官公表問題に関係しまして、法務大臣が、先月の十四日でございますか、総理に対して、「昨年十一月の四人の公表は秘密会で資料提供をしたにもかかわらず、公表したことは犯罪捜査上の影響があり、人権問題上も好ましくない」、こういう意見を法務大臣が総理に言った、総理はその意見を聞いて、「「原則は不起訴のものの資料は公開しない」とし、首相らの了解を得た。」こういう報道があるのです。この辺のいきさつについて、あるいは真偽について、これははっきりしておいてもらった方がよろしいと思うのです。
○福田内閣総理大臣 法務大臣とはしょっちゅう話をしておりますが、ただいまのようなことについての記憶はありませんです。
○坂井委員 法務大臣はそういうことはありませんか。
○福田(一)国務大臣 私もそのようなことはないと思いますが、あるいは新聞記者会見なんかで政府は公表はしないというような意味のことを私が申したかもしれません。
○坂井委員 総理にこの機会に伺っておきますが、証人喚問問題です。総理が「証人喚問はこれは国会で決めることでありまするから、その決めることについて異議は申し上げませんが、しかし政府が希望するところは、公判に何らかの影響を与えるような証人喚問並びに証人の尋問、そういうものにつきましては、その辺を良識を持ってお考え願いたい。これは切に希望申し上げます。」、こういうようにおっしゃっていらっしゃる。「公判に何らかの影響を与えるような証人」とは一体いかなる証人を指すのか、「並びに証人の尋問」とは具体的にどういうことを総理はお考えになっていらっしゃるのか。
○福田内閣総理大臣 たとえば刑事被告人となっておるような人を国会において喚問をする、こういうことは何か裁判長に対しまして予断を与えるような結果になるのじゃないかというようなことを恐れるわけなんです。ほかにもケースはそういうような趣旨であり得ましょうが、私が申し上げているのはそういうことを希望する、こういうことでございます。
○坂井委員 希望する……。まず、やはり公判に影響を及ぼす、あるいはまた別のところでは裁判官に予断を与えるとかという言い方もされていらっしゃるようですけれども、いまおっしゃったような刑事被告人はこれは困る、まずい、被告人以外の事件関係者であれば、国会議員を含めて、それは別によろしい、こういうことですか。
○安原政府委員 国政調査権を尊重する立場から、国政調査権の行使として何ぴとを証人に呼ばれるかということに介入すべきではないと思いますけれども、別途裁判、司法の利益ということを考えてのお願いといたしまして、たとえば刑事被告人を証人に呼ばれること、あるいは必ず近日刑事事件の証人として召喚が予定されている人あるいは必ず将来証人となるであろう人というような人を、国政調査権の対象として、同じく刑事事件に絡む事柄について証人として喚問なさいますことは、恐らくは常識上、裁判官に予断を抱かしめるあるいは関係者に証拠隠滅を図らせるというような意味において、裁判に支障があるであろうと思われますので、その点については御配慮を願いますという趣旨が、従来政府がお願いをしている趣旨でございます。
○坂井委員 だから、個々の証人について、この証人は具体的に公判維持に影響があるとかあるいは裁判官に予断、偏見を与えるようなその種の証人であるあるいはそうでないとか、証人が具体的でないと直ちにその議論はできないと思いますけれども、まず通常一般論的な物の考え方からしまして、刑事被告人でない、事件の周辺にあるような人たち、こういう人たちを証人として国会においでいただいて証言をいただくということについては、まず公判維持にさしたる悪影響があるとも思われない。まして、裁判官に予断、偏見を与えるなんというようなことを言いますけれども、予断、偏見といえば、コーチャン証言というのは最大の予断材料であったと思うし、情報化時代でありますから、いろいろな報道がマスコミ、報道機関によって報道されているわけですね。そういうことはもうすでに日本の裁判制度で言えば、裁判官は、そんな情報が目に触れ、耳に入ってくるということはもう織り込み済みなんですから、そんなことでもって影響されるようなことではないと思う。つまり、裁判制度そのものが信頼の上に成りておると思うのですね。したがって、いたずらに予断、偏見であるとか、公判に悪影響を及ぼす——公判の問題だって何も世の中が、検察の刑事立件、このことがもう至上課題であって、これがことごとく何ものにも優先すべき事柄であるなんというような物の考え方もこれはまた、検察はそんな考え方とらぬと思います。思いますが、しかし、ともすると、いまわれわれが国会においてこの事件の真相解明を行いたい、構造解明をしなければならない、また、それをやらなければならないのは国会に課せられたまさに大変大事な課題であるし、これが行われなければ立法府として、この事件に至った構造上の幾つかの過ち、たとえばエアバス導入に至る政策決定のこのメカニズム、プロセス、そういう節々を一つ一つチェックして、どこにどういう問題があったのか、何が間違いであったのか、何が間違いでなかったのか、正しかったのかどうなのかというような判断、そういうものを解明することによって、そこからそういう判断を得て、それが行政監督なり、また今後の立法に資していくという国会としての本来的な活動をしなければならぬ、そういう目的のために国会がやはり十分に機能をしていかなければいけないと思うのですね。そういう場合に、われわれとしてはぜひともこの重要な事件の背景なり流れなりを知り得る立場にあった人たちの証言を得るということ、これは非常に大事なことなんです。 ただ、その場合に、一方においては公判維持の問題がございます。裁判官の予断、偏見の問題がございます。ですから証人喚問はできるだけ慎んでもらいたい、御遠慮いただきたい、強い希望でございますというような言われ方をしますと、裁判が終わるまで国会は黙って手をこまねいてじっと待たなければいけない。五年か十年か、二十年裁判なんというようなことも言われますけれども、早くたって五年か十年、その間国政調査権はたな上げして、裁判が終わるまでことごとく待ちましょうなんというような、そんな悠長な構えをしているわけにもいかぬ。つまり、手術は成功したけれども人は死んでしまったなんというような愚かなことにもなりかねない。われわれとすれば、国政調査権に基づいて国会が真相解明のためにいまからでもこれが活動を始める、機能する、一方検察においてはさらにこの事件の捜査、これを徹底して続行する、刑事責任の追及あるいは裁判においては公判維持に全力を挙げて、これはおのおの皆立場は別々ですから、何となく国会そのものが、本来的にはわれわれがこの事件の解明のための一番大事な分野を持たされながらといいますか、担当しながら、国政調査権というものがありながら、その活用がどうも思うに任せられない、ここに非常に大きないら立ちを感ずるわけですね。したがって、そういうことに対して政府があの議長裁定の精神を受けて最善の協力をしますと言ったのは、私はまさにここにあるだろうと思うのですね。だから、そういうことに対して何か法務大臣の、あなたの先般来からの発言というものは水をぶっかけるというのですか、後ろ向くというのですか、もうやめておきなさい、そんな協力なんかいまの時点ではとんでもないです、あのときといまとは違うのですと言わぬばかりのそういう言われ方をしますと、これは一体国会に対して法務大臣は何事ですか、それはまた福田内閣の基本的な姿勢なんですか、われわれとしては許せませんよ、こういうことにならざるを得ないわけなんでして、少なくともこれは力んで言うのではございませんでして、感情的に申し上げるのでもなくて、まじめに今日まで、昨年二月四日以来国会においても真剣にこの事件の解明のために——これは何も犯人捜しを国会がやったわけでは決してありません。少年探偵団ごっこをやっているのではないかというようなことをある人が言っておりましたけれども、そう目に映ったならば、これはまたわれわれとしても反省すべき点は反省しなければいけないと思いますけれども、しかし、もっとまじめな立場でこの種の事件の構造の解明をし、再びロッキード事件を起こすまいという強い決意に立って今日まで取り組んできたわけであります。そしてまた今日まで来て、さらにこの大事な児玉ルートという非常に大きな山、この解明なくしてロッキード事件の解明はあり得ないと私は思っておるわけでございますけれども、そういう大事な正念場に来て、ここで国政調査権が十分に活用されないというような事態に追いやられたならば、これはもうまことにもって国会としてはがまんできるものではないというわけでありますので、そうした私なりの考え方を申し上げたわけでありますけれども、それらに対しまして総理の事件解明への率直なる決意というものをひとつお聞かせいただきまして、終わりたいと思います。
○福田内閣総理大臣 ただいま国政調査権についての坂井さんのお話は、お気持ちはよくわかります。ただ、法務当局としますと、やはり公正な裁判が行われるということを期待し、これに非常に関心を持っておりますから、国会の証人喚問につきましても、そのような趣旨からお願いをするわけですが、要は最終的には国会がお決めになることです。国会が良識をもってお決めになることでありまして、その決定についてとやかく言うというわけではない、希望を申し上げる、こういうことなんです。問題は、私はそのケースの問題だろうと思うのです。そのケース・バイ・ケース、その一つのケースにつきまして、どういうふうに国会として処置されることを政府として希望するかというようなことになると思うのですが、その際には国会の国政調査権、このことはもちろんもう十分承知しての上でございますけれども、その上において、国会においてこういうふうな扱いをしてもらいたいという希望をば申し上げるということだろうと思うのですが、しかし要するに政府といたしましては、ロッキード事件、この問題はもう非常に大きな政治的、社会的問題でございます。この解明は徹底的にするという姿勢においてはいささかの動揺も変化もございません。そういう姿勢をもって今後ともこの問題を追及していきたい、かように考えております。
○福田(一)国務大臣 いま坂井さんが仰せになりました児玉ルートの解明などまだできておらぬじゃないか、これをどう考えるかというお話がございました。そこで私は、検察の捜査本部というものを解かないで、新しい事態が起きればすぐにまたそれに対処できるようにやっておるわけでございまして、私としては絶対に、この問題をすぐに幕を引くとかそういう意思は毛頭ないのです。これはもうやはり徹底的に糾明をすべき問題である、こういう考え方で処理をいたしておる。そしてその意味で捜査本部も解かなかったという点も御理解をしておいていただきたいと思うのでございます。
○坪川委員長 次に、河村勝君。
○河村委員 福田法務大臣の問題になっております発言は、二つの部類に分かれるのですね。一つは、先ほどから議論になっておりますように、国会で灰色高官についての定義、範囲等を決められて、要請があった。だからそれに対して秘密会を条件にして出した。ところが国会は約束を破って公表してしまったから、今後一切資料は提供しないのだという発言ですね。これは事実誤認に基づく。 もう一つは、あなたの考え方の根底に、議長裁定というものは刑事訴訟法の法の立法趣旨を曲げるものである、どうもそういう発想があるのですね。 〔委員長退席、細田委員長代理着席〕 それで、そのためにそういう精神が方々にちらちら出てくる。だからそういうことでは今後が思いやられる。過去の問題と将来の問題と二つに分かれる。だから前の事実誤認の問題についていままで伺っておりますと、何か私の真意はそうでなかったが、誤解があるならば取り消しましょうというような、取り消すにしても非常に歯切れが悪いのですね。ですから、間違った認識のもとに間違った発言をしたら、きれいさっぱり取り消すことが、これがいいことなんでございますから、その第一点についてどう間違っているかということをまず指摘をいたします。 ロッキード委員会の方の鯨岡委員に対する答弁では、「先ほどのいわゆる灰色高官名を公表するかどうかという問題が出たわけでありますが、」「これは絶対に明らかにされない、外へ出ないということを、また出る場合には、どういうことであるかというようなことがよく審議された上でどうしても出さねばならないという決定があったとしても、その場合は、法務省へは出さないという約束をして、そうして法務省の方は出したんでありますから、それを出されましたから、今後そういうものを出せと言われても、法務省としては、私は出す意思はございません。」こういうことですね。だからこれは「約束」という言葉が使ってある。 それから当委員会における発言では、二カ所、国会に対して秘密会で出したものは公表しないという条件があるかのごとき発言があるのですね。これは読まなくてもおわかりでしょうね。あなたは秘密会に出したものは出さないという条件づきであったにもかかわらず、これを国会がその約束を破って出したという発言が二カ所にありますね。そういう理由で、それはけしからぬ、だから今後一切協力しないんだ、こういうことですね。 ですから、そういう事実は、全く条件などというものはないことは、その後あなたも事務当局からよく確認されたことだと思います。同時に、ロッキード委員会における議事録においても、法務当局は、国会でもって灰色高官についての定義なり範囲が決まった場合には、秘密会において氏名を含んだ資料を開示をします、しかしそれを公表するかしないかは、これは国会の責任である。現に私が安原刑事局長に対する質問におきましても、「灰色高官名公表に関する限り、四十七条ただし書きの適用の責任というものは検察庁は一切負わないで、その責任は国会が持つということにはなるわけですね。」という質問に対して、安原刑事局長は「国会の御判断で公表なさるということになれば、それは国会の責任においてなさるべきものであろうと思います。」こういう答弁をはっきりしているわけですね。ですから、国会の責任で明らかにすべきことについて条件などがあるべきはずのものではもちろんないし、約束事があるわけではない。もちろん、慎重に扱ってほしいという希望等は、それはあったかもしれないが、それだけの、あくまでもそれは国会の責任ですね。ですから、あなたのおっしゃっていることは全体が間違っているから、後、全部間違っている。だからその点は全部、あなたはお取り消しになってしかるべきだと思うが、いかがです。
○福田(一)国務大臣 ただいまあなたが仰せになったことでございますが、先ほど小林委員からも同様の御指摘がございまして、私としては本意でないから取り消しますということを申し上げたのでありますが、なぜそういうような発言をしたかということで説明を許していただければ、これは資料として提出するんで、もう罪があるとしてこの提出をしたわけではございませんから、どうかその事実かどうかということをよくお確かめになった上で、国会の責任において御公表を願いたいということを強く要望しておったと私、聞いておるわけでございます。そういう気持ちがありましたので、先ほどのような発言をいたしたと思うのでありまして、確かにその点はいまあなたの御指摘のとおり事実私が申しておるのでございますからして、それは取り消すべきものであると思いますが、しかし、法務省が、ひとつ慎重に扱ってもらいたい、人権問題に関係ある、罪人であっても人権もあるんですから、慎重に扱ってもらいたいという気持ちは、ひとつ御理解をしていただきたいと思っておるわけでございます。
○河村委員 それが違うんですね。刑事局長、私は当時ロッキード委員会の理事をやっておりましたが、提出された資料を事実であるかどうか国会で調べて、その上で処理してもらいたいなんという要望を聞いたことは一遍もない。もともとこれは、灰色高官名を公表するための基準をつくって、それに基づいて法務省に資料の提出を要求したわけですね。ですから、公表というものが前提になっているんです。そこのところをあいまいにされては非常に困る。そういう事実を調べてくれなんという要請をしたことがありますか。
○安原政府委員 結論から申しますと、秘密会に資料を提出するに当たりまして、かねてから取り扱いの慎重をお願いしたことはございますが、どうこうするというお約束を委員会との間にしたという事実はございませんし、大臣にそのことも先日申し上げたわけでございます。 そこで、私が申し上げたのは、たとえば十月十三日に楢崎委員と田中委員長との応答で、国会の責任において公表はするんだということを委員長が楢崎委員の御質問に対してお答えをなさったのに関連いたしまして、私から次のように申し上げております。稻葉大臣から刑事局長に正確に発言しろということでございまして、それを受け取りまして私から十月十三日に、「大臣から仰せられましたが、」「ただいま委員長が公表すると言い、楢崎委員からも公表できるのではないかという御議論がございましたが、秘密会におきまして私どもはできる限りその国政調査に協力するという立場から資料の提供には応じたいと思いまするけれども、その場合に、あくまでも秘密会でございますので、法務、検察当局が提出した資料をそのまま公にするというようなことではなくて、御判断と責任において御発表なさることはそれは国会当局の御判断でございまして、私ども何とも申し上げかねますが、やはりわが国には刑事訴訟法というものがございまして、刑事訴訟法の四十七条は、人権の保護と捜査、裁判への不当な影響の防止ということがその精神でございますので、国会御当局におかれましても、四十七条の精神はひとつ御尊重いただくのが法治国家のたてまえであろうと思いますので、御公表に当たられましては、その公表の仕方につきまして、捜査、裁判、人権の保護ということに不当な影響の及ばないような御配慮のもとに公表なさることをお願いしたいと思う次第でございます。」と申し上げて、楢崎委員から、「捜査当局としてのお考えは承りました。しかし、わが立法府といたしましては、委員長の判断のもとに理事会の論議が行われる、このように私は理解をいたします。」ということで、要するに私どもの希望の表明をそのときにしたわけでございまするが、楢崎委員のおっしゃるように、お約束というものは取りつけてはおりません。
○河村委員 法務大臣、いま安原君の答弁のように、国会において発表の方法等についてよく考えてくれという発言はあったけれども、国会は慎重に判断してくれというのはあるけれども、しかし事実を調べてくれなんというのはないんですよ。なかったでしょう。それは、捜査が始まってしまえば、国会には強制捜査権がありませんから、検察庁が調べた以上の事実をわれわれがつかむわけにはいかない。それを承知の上で、あなたが事実を国会でもってよく調べた、その上でなければ出すのはおかしいという言い方は、これはできないことを承知の上で、公表反対の意思表示をしたというふうにしかとれないでしょう。ですから、全部あなたのこの一連の発言というのは完全に間違っているんですよ。事実誤認の動機を少し後で問題にしたいと思いますが、しかし、事実誤認であることには間違いないのですから、そこのところはあなたはきれいに取り消してしかるべきですね。おわかりになりましたか、いかがです。
○福田(一)国務大臣 先ほど刑事局長がお答えをいたしましたように、この問題の扱いについてはひとつ慎重にお願いをいたしたい、こういうことがありまして、そして国会の判断でおやりになるということでありますから、刑事局長が資料を提供すればそれで十分だというのも一つの御判断だと、私はもちろんそれは思います。しかしまた、場合によっては、そういう人を秘密裏に呼んででも意見を聞くというような場合もできないわけではないかもしれない。そんなようなことを私は頭の中にいささか置いておったために、事実を調べてというようなことを言ったかもしれませんけれども、その点は、議会が真剣にこの問題の内容を公表して、そしていわゆる汚職を断つというような、その意味での熱意のあらわれとしておやりになったことでございまして、それについて私がとやかくそれを否定する、そのことがいけないというような言葉を申し上げたといたしますれば、これは私は取り消します。
○河村委員 国会で秘密会に呼んで、本人から事情を聞くというようなことをおっしゃいましたけれども、国会は検察庁のように身柄を拘束して調べたりすることはできるわけはないでしょう。検察庁で調べた以上のものを、その場で仮に事実があったにしたって、当事者が言うわけがないでしょう。そういうことを百も承知の上で、そういうことを国会がやらなかったのは不穏当だと言わんばかりのことを言われるのは——私は、そういうことになるから、あなたのこれからのことに非常に心配が起きる。おかしいでしょう。そう思いませんか、できると思いますか。検察庁で調べる以上に国会が事実を調べて、それで確証持てたら公表する、そんなことはできっこないでしょう。あなたはできると思っているんですか、そんなことが。
○福田(一)国務大臣 実はそれで——決してこれはお言葉をお返しするつもりで申し上げておるのではございませんが、アメリカの下院におきましてウオーターゲート事件を取り調べたときに、一つの規則をつくって、そして委員会をつくって、大陪審から資料の提供を受けまして、そして秘密裏に捜査をしたというようなことも承知いたしておりましたので、そのようなこともちょっと頭の中にあったものですから、いまあなたのお気持ちに差しさわりのあるような発言になったかと思いますが、私は、そういうふうにしていただければ非常にありがたいんだがなあという気持ちがあったことは、これは事実でございます。しかし、いまあなたのおっしゃったように、いまこの段階でそんなものをつくれる道理がないじゃないか、だからわれわれとしてはちゃんと公表したんだ、それはそれでいいんじゃないか、こうおっしゃればこの点はごもっともだと思います。
○河村委員 そういう期待があったかなあというようなものではないんですね、あなたの発言を聞いておりますと。「それが秘密会で行われ、しかも十分に審議を尽くされた上でお出しを願いたい、こういうふうに法務省は条件をつけておったと聞いておるのでございます。」それから「秘密会においてそういうような人たちを呼んで、それは事実かどうかということをいろいろお調べになって、そしてそれは事実であるかどうかということを御発表になるのが私は筋であろう」それはちょっとした期待ぐらいの話じゃないですよ。それから、まだ同じようなことが後にあるんですよ。「五名の名前を出しましたときには、これは秘密会において審議をしていただいて、そして事実が明らかになった場合においてひとつ処理をしていただきたい、こういう条件が付せられておったわけでございますから、その点が不明のままに行われたということでございます。そういうことでは、今後いわゆるこの訴訟法の人権擁護という問題が阻害されるといいますか、何かそれに反するような行為が行われるということは、これは議院としてちゃんとやはり法律を国民に守れと言っている以上は、私は議院のだれもがやはり法律を守る立場で処理をするということが必要でないか、かように考えておるわけであります。」そうでしょう、これはあなたの言っている、ただそういう願望が頭にあったなんというものではありませんよ。そういう言いわけをなさらないで、これは非常に不穏当であり間違っておったということをはっきり言われなければ、私は今後のあなたの行動を信用できない。その点もう一遍明らかにしてもらいたい。
○福田(一)国務大臣 冒頭にも、冒頭というか小林議員のお言葉についても申し上げておりましたのでありますが、私がそういうことを申し上げたことについては不穏当であるとおっしゃる気持ちはよくわかるのでございまして、それは私は取り消しをさしていただきたい。ただ取り消しをさしていただきたいということでございまして、それ以上何も申し上げることはないのでありますが、何でおまえそんなことを言ったのだと言われれば、いま言ったような気持ちだったということを申し上げたのでありますから、御理解を賜りたいと思うのであります。
○河村委員 最後まで余り歯切れがよくありませんね。私は、二十五日、この問題の起きた後ですね、閣議の後の記者会見であなたが発表された文章が非常に頭にひっかかるのです。これは朝日新聞だと思います。非常に小さな記事ですから、文脈がそのままあなたの発言だとは思いません。しかし、それにこういうことが書いてあるのですね。「ロ事件の政治的、道義的責任の追及にあたっての「真意」として「人権擁護の立場から一般人に適用される刑事訴訟法の立法趣旨をこの際曲げることは、一般人の人権擁護に悪影響を与え、(検察)ファッショに通じるおそれがある」」、そこでその後で、「さらに政治、道義責任究明のための捜査資料を提供しうる方策として「議員立法による特別立法を考えるべきである」」。この「特別立法を考えるべき」という立法論はいいでしょう、これはそういうものがあって悪いことはないのですから。その前にあります「一般人に適用される刑事訴訟法の立法趣旨をこの際曲げることは、一般人の人権擁護に悪影響を与え、(検察)ファッショに通じるおそれがある」、この議長裁定というのは刑事訴訟法の立法趣旨を曲げた、そういうふうに言われたように思える。これは新聞記事ですから、議事録ではありませんから、私もそれ以上確認しておりませんが、実際どうおっしゃったのか、その点釈明してもらいたい。
○福田(一)国務大臣 私はそのような意味で申し上げたのでございませんので、法律があるからして、やはり法律をわれわれとしては守っていくのがいいのではないかと思う、しかし議長裁定があるのであるから、この件についてはもちろんやらなければいけない、当然それは資料は出すべきである、こういうふうに言ったつもりでございます。
○河村委員 どうも必ずしもそうではないようであって、あなたの発言の中にもそれが片りんが出てくるのですね。「そこで私が申し上げましたのは、この両院の議長裁定というのは、これはすぐに法律を変更する権限があるのかどうか、そこのところが一つの問題点ではないでしょうか。議長裁定があれば法律を変えることができるということであれば問題だが」、こういうことですね。これはやはり、あなたの思想の片りんがここに出てきている、私はそう思いますが、いかがですか。
○福田(一)国務大臣 そのことは確かに申し上げたわけでございますけれども、私の言うておる真意は、議長裁定があるんだからこれは出すのでございますということを強調したかったわけであります。
○河村委員 先ほどの、これはどなたの質問でありましたか、裁定がなければ出すべきでないというようなものでも、議長裁定があるから資料を提出するんだというような言い方をなさいましたね。議長裁定があったから資料を提出するんだ、普通はそう出すべきものではないが、これがあるからやむなく出したというような発言をされましたね。これにもやはり私は、あなたの考え方の片りんがこういうところに出てくるのだ、そう思うのです。これは一体どういう意味でおっしゃったのですか。
○福田(一)国務大臣 議長裁定というのも、御案内のように刑事訴訟法立法の趣旨を踏まえてということがあるのでありまして、その刑事訴訟法を踏まえながら議長が裁定をされたのだと私は考えておるわけでございます。したがって、議長裁定があります以上はもう当然、ほかの場合以上にこれは御協力を申し上げるのは当然のことであると私は考えております。
○河村委員 さっき伺ったところではどうもそういう感じにはとれませんでしたので、まあしかしこれはあなたの考え方の問題ですから、これはどう言っても変わるものではありませんし、それが具体的に今後の問題に影響がなければそれはそれでよろしいわけですから、今後の問題についてお尋ねをいたします。 私は、この事件の灰色高官名公表なるものについて、刑事訴訟法四十七条ただし書を適用するというこういういきさつ、このいきさつをあなたは十分に認識をされていないのではないか。もっぱら人権擁護の点だけを強調しておられる。しかし、この事件の発生した由来をお考えいただけばわかりますように、この事件の炭色高官公表問題というものがなぜここまで大きくクローズアップされたかという理由は、これは国民的な大関心であるということと、それからこの事件が何しろ古いものであって時効にかかってしまう、犯罪としては成立しても時効にかかってしまうものがある。それから国会議員というものが関与している関係で、国会議員の権限というものは非常に限定をされがちであって、本来ならば法律的に責めを関わるべき者が逃れてしまう、そういう可能性が非常に強い。だからこそ、ここでもって政治的、道義的責任を国会の手で明らかにしなければ、これは国民の非常な重大関心であるにもかかわらず、これが本当に表面的な、起訴になった者だけが表に出るだけで大部分の者が隠れてしまう、それでは国民の期待に反するばかりでなくて、今後これを契機に、政治をきれいなものにするというそういう目的にも沿わないであろう、だから何とかこれを明らかにしたいというところからスタートしたわけですね。ですから、初めからわれわれだって、刑事訴訟法には人権擁護と裁判や捜査に影響を与えてはならぬという法益が片一方にあって、片一方に公益という法益がある、これの調整、バランスを図るべきものだということは承知をしています。承知をしているけれども、この場合に関しては事前にこのバランスを整理をして、政治的、道義的責任を明らかにするためには、公益上必要で相当と認める場合というこの四十七条ただし書きを適用せざるを得まいということが、当初からもう合意ができていたわけですよ。 〔細田委員長代理退席、委員長着席〕 ですから一般の場合とは違うわけですよ。ですから、この一般人の場合と混同されるのが初めから間違いなのであって、議長裁定の前提となっております民社党と自民党との合意事項というものがございまして、これは予算を早期に成立させる時期に自民党と交わしたものでございますが、それには政治的、道義的責任の有無を明らかにするために、国会の調査について政府は全面的に協力するというものと同時に、将来、国政調査権の発動に応じて、刑事訴訟法四十七条のただし書きを発動することを予期しているという内容の合意があったのです。あったけれども、そういうものを公表する場合には、これは捜査に対する影響も非常に大きいから、だから私は現在に至るまで公表はしておりません。しかし、もともとそういうところからスタートしているという事実はこれは厳として残って、その上に議長裁定というものが出てきているわけです。ですから、そういう経緯を踏んまえた上で今後対処をしていただかないと、そうするともう一遍この問題に関して新たに公益のバランスを考え直すというようなことをやっておりますと非常に問題の処理が消極的になる。そういう事実をあなたは御承知であるかどうか、それを伺っておきます。
○福田(一)国務大臣 民社党のお方がそういうような意味で予算審議に当たって非常に御協力をいただいたということは、私は承知をいたしております。そうしてまた、四十七条というのは公益をもちろん含んでおるのでございますからして、その公益の立場から必要な資料を提供するということもこれは私は当然だと思いますが、しかし、特にまた議長裁定がありました以上は、これはもう当然やらなければならないことである、できるだけ協力をすべきものであるということは承知をいたしておるのでございます。
○河村委員 それで今後も、総理からも、従来三木内閣でとられてきた態度を変えないという返事がございましたが、さっき、具体的に第一次の中間報告の中に名前は明らかにしておりませんが、事実関係として明らかになっております十八名、灰色高官として公表になった五名を除いた残りの十三名のことに関連をして、今後国会から要請があれば、もし国会でもって灰色高官の定義、範囲等が決まって、要請があれば最大限の協力をするという答弁がございましたが、これは何も十三名に限ったことではなくて、また新たに灰色高官名公表というものが出てくる可能性は今後とも十分あります。その際にあなたの本当の姿勢が問われるわけです。ですから、先ほど言われたように、国会での合意があってそうして要求されれば最大限の協力をする、その点については間違いございませんね。改めて確認をいたします。
○福田(一)国務大臣 御趣旨のとおりに私は考えております。
○河村委員 総理大臣、それでよろしゅうございますね。
○福田内閣総理大臣 よろしゅうございます。
○河村委員 終わります。
○坪川委員長 次に、東中光雄君。
○東中委員 福田総理にお伺いをするのでありますが、この間の予算委員会で、総理は、両院の決議並びに両院議長裁定については、一貫してこれを尊重し、これを遵守すべきものだと考える、こう述べられました。いまの本委員会におきましても、三木内閣のときにとられた態度、方針はそのまま踏襲するというふうに言われたわけでありますが、国会で三木総理大臣が繰り返し答弁してきたその態度は、そのまま踏襲をするというふうにお聞きしてよろしゅうございますか。
○福田内閣総理大臣 そのとおりに心得ております。
○東中委員 三木前総理のロッキード問題に対する態度といいますのは、院の決議が行われましたときには、「国権の最高機関である国会の全会一致の決議は、きわめて重い意味を持つものであります。政府は、ロッキード問題に関する決議の意を体し、事態究明のため最善の努力を行う」、こういうふうに言われました。これは国民的総意だというふうにも本会議で言われております。この見解は、福田内閣でもやはり同じように聞いてよろしゅうございますか。
○福田内閣総理大臣 そのとおり心得ております。
○東中委員 フォード大統領に対する親書の中で、このロッキード問題について金を受け取った関係者の名前が明らかにされず、この事件がうやむやに葬られることは、かえって日本の民主政治の致命傷になりかねない、こういう見解を、これは対外的に外国へ向かって出されておるわけでありますが、この見解自体はどうでございますか。
○福田内閣総理大臣 それもそのとおりに心得ております。
○東中委員 それで、資料の公表に関しまして三木前総理は何回か見解を明らかにされておるわけでありますが、これは五十一年十月二十日のロッキード問題に関する調査特別委員会での総理の発言でありますが、「国権の最高機関である国会が、これだけのものはいわゆる灰色の中に入って、政治的道義的責任を追及しなければならぬということで範囲をお決め願えれば、これに対しては個人名も含めて出します」、そして別のところで同じく三木総理は、やはり「国会でそういう一つの範囲を決めていただければ個人名も含めて資料を出しますということがいわゆる議長裁定に言う最善の協力」である、こう言われまして、引き続く答弁の中で、「国会は国政調査権に基づいて御調査を願いたいのですよ。そしてこれは道義的責任あり、政治的責任ありということならば、国会の責任において公表されるでしょうね、そういう場合は。これはやはり国政調査権として当然のことである」、さらに同じ質問の答弁でありますが、「国会が追及しようとする政治的責任あるいは道義的責任というものは一体どういうものを追及しようとしておるのか、こういうことを」国会で「お決め願えれば」、「秘密会ならば提供いたしますから、その公表というのもやはり国会の判断と責任においてやってもらいたい」、政府はやらぬけれども、国会の責任において、判断において公表してもらいたいということを言っておられるわけであります。 それでさらに、いわゆる灰色高官と言われるようなカテゴリーに入るような、そういう氏名は、これは国会の国政調査権に協力して、これが国政調査権に基づいて明らかにされ、国民の判断の一つの資料に提供することがいいと思っております、要するに政治的、道義的責任の追及というのは国会でやって、政府はそれに対して資料を出して、それを国民の判断に提供する、あるいは公表するということが国政調査としては当然なんだという立場を、これは何回も繰り返して言われておるわけでありますが、福田総理もそのようにお考えかどうか。
○福田内閣総理大臣 大方さように心得ております。
○東中委員 そうしますと、先ほど来論議されております福田法務大臣の二月二十四日のロッキード特別委員会における発言でありますが、いろいろ弁解をされておりますけれども、いま福田総理大臣が言われた福田内閣としての方針からは明らかに違っておる。そのロッキード特別委員会で、運輸省に対する質問が終わってから、質問がないのに出てこられて、そして二つのことを言われたわけであります。 その一つは、先ほど来問題になっておりますように、結論としては「今後そういうものを出せと言われても、法務省としては、私は出す意思はございません。」こういうふうに言われた。それについては、何か先ほどは一番初めに公表するかどうかという問題があるということが書いてあるから、これは公表のことなんだという趣旨の弁解もされましたけれども、これは明らかに文脈上違う。国会へ出さないということを言っておられるのだ。というのは、この項の最後のところで、「法律というものは、やはり法律をわれわれは守るのが義務でございます。しかし、それだけの譲歩をして出したのがすぐ公表されるようなことでは、われわれとしてはこれは今後出すことは非常に困難である」、ここで言っておる出すというのは、公表するような国会へは出さない、出すことは困難だ、こう言っているわけですから、明白に違うわけですね。だから、いろいろな気持ちとかなんとかということは抜きにして、ここで言われている論旨は、明らかに福田内閣のいまの総理大臣の言われた方針とは違いますから、違うけれどもなおそれをいろいろ弁解をして擁護されるのか、すっぱりとここで言われている論旨は全部取り消すということをここで明らかにされるかどうかということをお伺いしたいと思います。
○福田(一)国務大臣 先ほど申し上げましたように、この点は取り消しますということを申し上げておるのでございます。
○東中委員 そしてもう一つの問題でありますが、法律との関係ですね。決議と法律との問題だ、決議というものは法律に優先すべきものであるかどうか非常に問題だ、「決議がおありになりましたが、もし必要とあれば、そういうものは当然公表しなければならないというふうに法律を改正されれば、これは問題ございませんが、法律においてはそういうことはしないことに決まっておるのでございます。」こう言われておるわけであります。決議と法律が対立しているように言われている。法律はそうは決まっていないから、私は法務省の行政当局責任者として法律を守るのだ、こういう趣旨のことを言われているわけです。これも明らかに違うわけですね。法律に従ってやるということを決議自体の中に書いてある。あるいは、ここで言われている決議というのは最低のことでありますけれども、そういう点で言えば矛盾も何もしていないものを矛盾しているかのように言って、そして法律に従うのだということで今度は決議に従わないという結論を出しておられるわけですから、個々の信条は別にして、こういう論の立て方というのは、これは国会決議に対する挑戦だ。そして全面的協力を、最善の協力をするということを否定するものにつながっていくものだと思いますので、これについてははっきりと取り消しをされるかどうか、改めてお伺いしたいと思います。
○福田(一)国務大臣 先ほど来その点もしばしば問題になっておるところでございますが、私は、議長裁定を踏まえて資料の提供をすべきものであるということについては、もうはっきりそう発言すべきものであったと思っておるのでございます。ただ、その後にいろいろのことを申し上げましたのは、先ほどもちょっと申し上げたところでございますけれども、アメリカのような一つの制度があれば非常にいいのではないかということを考えておりまして、その点を申し述べたところが私の誤りになる、こういうことに相なるかと思うのであります。
○東中委員 誤りだから取り消すということだと思います。 これに関連して、これは協力という言葉が盛んに使われておるわけでありますけれども、いわゆる灰色高官五名が発表される前の論議では、前任者の稻葉法務大臣は、これは義務だということをはっきり言っていますね。協力することが義務だ、義務は果たします、こういうふうに言っています。それは憲法六十二条と国会法百四条、そしてさらに決議がある、だから国会として提出を求められたら提出をするのは義務だ、その義務を果たすのに公表はしたくないから秘密会にしてくださいと言っているのであって、秘密会ならば出すのはもうあたりまえなんだ、義務なんだ、果たしていただきたい、だからその範囲を決めていただきたい、政治的、道義的責任の範囲はどこかということを政府が決めるのは困るから、あるいは検察庁がそういうものをやるのは任務でないから、国会で決めていただければそれに従うのは義務であります、義務という言葉を使っています。その点は福田法務大臣は、前三木内閣時代の法務大臣と見解を異にされるのか、やはりその見解はそのまますかっといかれるのか、その点をはっきりとしていただきたいと思います。
○福田(一)国務大臣 議長裁定がある以上は協力するのは当然の義務でございます。
○東中委員 議長裁定があるからではなくて、憲法六十二条があり、国会法百四条があって、そして官署その他は国会が、あるいは委員会が要求した場合には提出しなければならないと書いてあるでしょう。そしてその上にさらに国会決議があり、両院議長裁定があるのだ、だから義務だ、こう言っているわけであって、その点はどうですか。——法務大臣の見解を聞いているのです。刑事局長は、前から同じ刑事局長でしょう。
○福田(一)国務大臣 いまあなたのおっしゃったとおりと存じております。
○東中委員 そうしたら、今後国会から委員会で資料の要求をすればこれは出すということになるわけですね。義務でありますから、義務を果たさしていただきたい、こういうふうに稻葉法相はあのとき言われています。しかし公表はしたくない、こう言っているのです。当然のことでありますがそうなると思います。 それでもう一つ、余り時間がありませんので先を急ぎますが、法務大臣は、刑事訴訟法四十七条あるいは刑事訴訟法の立法趣旨ということを言う場合に、この間のロ特委または本予算委員会においても、人権ということを非常に強く言われておるわけであります。この間国会で公表されたいわゆる灰色高官五人の氏名及びその収賄罪該当行為があったということ、そして時効が完成した三人、そのほかはL一〇一一についてあっせんの努力をした謝礼の趣旨をもって金をもらったという事実、それぞれについて、政府が出されて国会が公表しましたけれども、あの国会が公表したことは、人権を侵害したというふうにお考えになっておるのか、人権は侵害していないというふうにお考えになっているのか、いかがでございますか。
○福田(一)国務大臣 私は、国会が議員という特別の自分らの仲間の問題について一つの判断を下されるということはあってしかるべきものであるし、したがって、当然おやりになったことは間違いだとは思っておりません。
○東中委員 しかし、あのときにとられた政府の態度、それから法務省の態度というのは、秘密会でなければ出さないという態度をとられたわけでありますけれども、刑事訴訟法四十七条のただし書きでいけば、これはただし書きに該当する公益上の必要性があるということになれば公表していいわけですね。秘密会でなくていいわけですね。そうなるわけですが……。四十七条の本文のことばかり言われておって、ただし書きの適用をなぜしないのかということについては一つも見解を出されていないのですが、法務大臣としてはいかがですか。
○福田(一)国務大臣 それは公益の問題も含めて規定してあるのでございますから、優先するものがございますれば、それは当然ただし書きが適用されてしかるべきものだと思います。
○東中委員 捜査に関する書類あるいは捜査中の容疑事実、そういうものを公判の開廷前に公にする場合はずいぶんたくさんあると思うのですけれども、その点は法務大臣はそう思っておられないのですか。これはずいぶんありますよ。いかがですか。
○安原政府委員 検察庁が捜査をいたしまして不起訴にした人の名前など、あるいは捜査の内容などを公表するということはきわめて例外でございまして、しばしばということは、私の承知する限りそういうことはないと思います。
○東中委員 私は不起訴にした人とは一つも言っていないのであって、捜査をしている人、捜査の段階で、あるいは公判の開廷前にと、こういうことを言ったのです。だから不起訴の人も、公判開廷前に、これは公判を開廷しないわけですから前ということになるでしょうけれども、逮捕をした人、そうしたらすぐに被疑事実の要旨を発表するでしょう。公判開廷前に事実要旨を発表しているじゃないですか。あるいは、不起訴になった場合でも発表するものがたくさん——発表というか、麗々しく発表しないまでも、秘密だ、人権だということで抑えているんではなくて、人権じゅうりんするような発表さえ、あるいは流すというのですかね、そういうようなことさえよくやられておるわけであります。 だから、ここで言う人権というのは、あるいは名誉というものは、刑法の二百三十条との関係で不起訴になったって、真実であれば、事実であれば、それは犯罪容疑に関することであれば罪にならない。二百三十条の二のあの規定の趣旨からいって、公判前であっても公表するということはたくさんあると思うのです。もう新聞に出ておるのはほとんどみなそうでしょう。 ところが、この政治家の汚職問題について言えば、調べることさえも、任意で調べることさえも発表しない。なぜそんなに一むしろ国民に対しては非常に責任のある公的な立場のそういう人に対しては、なぜそこまで絶対に秘密にしなければいけないんだというふうな態度をとられるのか。私は、汚職を国民の前に明らかにする、公表する、そういうことが必要なんだと言っている。国民の判断の資料に供すべきだ、だから国会は公表さるべきものだと思う、こういうふうに三木総理が何回か言っているのは、ここに問題が——基本的にはそういう立場に立っておらなければいかぬじゃないか、こう私は思うのですが、今度の五名の人の公表によっていわゆる人権が侵害されたとか、あるいは捜査あるいは裁判上支障を来すということはなかったというふうに考えていいわけですね。そうだとすれば、今度は公表すべきじゃないか。四十七条の本文だけをたてにとっての発言というのは——これは法務大臣の一貫した発言の趣旨がそうなっているわけですけれども、そうじゃなくて、刑事訴訟法の四十七条のただし書きを踏まえて、立法の趣旨全体から見ればこれは当然公表していいものではないか、こう思うのでありますが、いかがですか。
○安原政府委員 まず、公判開廷前の捜査内容の公表の場合としていままで行われている事例は、要するに、逮捕をしたとかいうような強制捜査の対象になった場合においてはこれを公表するというのが慣例になっておるようでありますし、それから告訴、告発のようなものにつきましてはその結果を公表するということがございますが、それ以外についてはきわめて例外に属することでありまして、これはあくまでも公益上の必要があって相当と認められる場合に該当するという捜査当局の判断においてなされておるものであると考えております。 それから、ただいま、国会の公表を待つまでもなく、政府あるいは法務、検察当局において不起訴にした人の氏名を、特に政治的公務員の場合には公表をみずからやるべきではないかという御議論に対しましては、しばしばお願いをいたしておりますように、検察庁の判断は裁判のような確定的な判断ではない、それはあくまでも検察の判断であって、裁判のような確定力を持つものではないというものについては、人権の関係からこれを公表することには慎重でなければならない。 それからまた、不起訴にしたようなものの捜査の内容を公に軽々にするということは、検察の捜査に対する国民の協力を将来困難にするおそれがないか、あるいは裁判に対する影響というようなことを考えますと、政府みずからの立場において不起訴にした人の氏名を公表することは差し控えるべきだという考えで、しかしながら、国政調査の必要ということに対する配慮から、秘密会ならば公益上の必要もあり相当であるというふうに考えられるので、秘密会において国会の国政調査に御協力するのは、刑事訴訟法四十七条ただし書きの公益上の必要があって「相当と認められる」に該当するということで秘密会に資料を提供している次第でございまして、よく御理解をいただきたいと思います。
○東中委員 いわゆる五人の灰色高官の発表があった後、ロッキード調査特別委員会に発表された五人の政治家が十分ずつの弁明をされました。そのときにたとえば二階堂議員は、この国会の委員会の中で「いつ、どこで、だれから金銭を受け取ったというのか。法務省当局は全資料を直ちに公開すべきであると思います。」こういうように発言していますね。そして「政府は当然資料を公開しなければ片手落ちであり、その義務があると私は確信いたします。もし私の利益のために資料の公開をしないと言うならば、私は私に与えられている権利を放棄いたしますから、即時、一切の資料を公開していただきたい。」と、この委員会で二階堂議員は当時議員として、いまも議員でありますけれども、公式に発言をされているわけですね。 こういう矛盾が起こってくるわけですね。むしろ何でもないのをたとえば重要参考人である、指名手配したというようなことを言ってそれが新聞に発表される、それで追及しつつあるのだ、逮捕も何もしていないというのでもそういうことをやることがあるのですね。そういう場合は、もし事実と違うのだったら、やられている側はまさに人権をじゅうりんされているわけですよ。何も確定していないわけでしょう。しかし今度の場合は、法務省として、そして政府として、こういう事実がありました、これとこれとの証拠等によって認められます、こう言っているのでありますから、認められた事実については、これは政府の責任で国会へ資料を提供されたわけですから、その内容について中途半端だからもっとはっきりすべきだ、そして全資料を公開すべきだ、ここまで言っているわけであります。それをしないのが人権じゅうりんだ、こういうふうに言っていますね。二階堂さんだけではありません。加藤六月議員も同じ趣旨のことを、ちょっと表現は違いますけれども、やはり言っておられます。これはそういう点について当然明らかにすべきじゃないか。いかがですか。
○安原政府委員 秘密会においてできるだけの資料の提供について御協力を申し上げるということは当然のことでございますが、先ほど楢崎委員からもお尋ねを受けまして申し上げましたとおり、具体的な問題として、三十ユニットの関係は、現に公判請求をして公判手続中の橋本、佐藤両氏の公判の証拠として将来使われる可能性の多い調書等の資料の提供ということに相なりますので、それは不可分でございますから、現段階においては国会に提出するという御協力はいたしかねるということを御理解いただきたいと思います。
○東中委員 安原さんも法律家として言われておるのだとしたら、ちょっとトリックがあるのじゃないかと思うのですけれども、なるほど調書は一本の調書であるかもしれません。われわれは調書の原本をそのまま出せと言っておるわけじゃないのです。現に公判をやられておる佐藤あるいは橋本さん、こういう人たちの分に関係のない二階堂さんなり加藤さんなりあるいは佐々木さんなり、この五人の人に関係しておる資料を、資料部分を写しにして、それに関係のない部分は出す必要はないのですから、公判に支障を来す分はのけてやればいいわけです。裁判だってよくやるでしょう。その調書を抄本にして分離する。やりますよ。やる気があったらできることですよ。やられますか。
○安原政府委員 不可分というのは、要するにあの三十ユニットにつきましては、同一の機会に同一の動機からああいう行為が行われたと認められるという報告になっており、冒頭陳述でもさようになっておるわけでありまして、内容的に不可分でございまして、その部分を切り取れば全体の趣旨がわからないことに相なりますから、やはり国会に提出するといたしますれば読んでわかるものでなければならぬ、切ってしまえばわからないであろうというふうに私どもは思いますので、現段階で提出をお約束するわけにはまいりません。
○東中委員 金を受け取った、私は加藤さんに渡しました、どこそこで、いつどういうふうにして渡しましたとだれそれは供述をしておりますということを、いつどこで、だれがどんなにどうしたんだということだけですよ、それを明らかにすることが何で公判維持に支障を来すのですか。だれそれの調書によればこういう点はこう書いてあります、あそこで引用されている全日空関係あるいは丸紅関係その他の資料によって認定される、あるいは認められると書いてあるのですから、この認めたもとになっておるものを、それに関係する部分だけを出せるじゃないですか。それを出すことがどうして不可分なんですか。実際できますよ。
○安原政府委員 いろいろ御所見もございましょうが、私どもの報告を受けておるところでは不可分でございますので、現段階においては御協力はいたしかねます。
○東中委員 公判前の開示だからできないのだ、こうあなたは言っているわけです。この間は人権だと言っておったわけです。ところが、人権からいえば出してもらわなければ困ると本人が言うているわけです。そうしたら今度は人権のことが言えなくなって公判のことを言っている。ちゃんと分離ができると具体的に私言っているじゃないですか。実務上そうやっているじゃないですか。やろうと思ったらできますよ。一部同意している書面だってあるでしょう。だから、そういうことは技術的にできることはもう明白なんです。そしてわれわれは、その証拠そのままを出さなくてもいい、その証拠の書類について、その関係の、たとえば二階堂さんなら二階堂さんに関する部分をまとめればいいわけですから、そういうことができないということは、結局やる気がないからやらぬということになるのですよ。国会の決議に基づいて最善の協力をするのなら、そうすることが義務であるという見解に立つのであるならば、やれることをやりなさいよ。それをやらなかったらロッキード隠しになるじゃないですか。
○安原政府委員 すでに冒頭陳述でそのことは、検察官が立証しようとする事実の中に、橋本、佐藤両被告人のみならず、他の五名にもということが陳述されておるわけでありまして、この調書は一体不可分のものとしていずれは公判廷に顕出される予想があるわけでありますので、現段階においては出すわけにはまいりません。
○坪川委員長 東中君に申し上げますが、持ち時間を過ぎておりますので、結論をお急ぎ願います。
○東中委員 冒頭陳述で出ておることというのは、これは検察庁のまとめた主張であります。それは証拠書類そのものではありません。これはもう言うまでもないことですね。まとめた主張じゃないですか。ここで訴訟の書類と言っているのは、四十七条で言っている訴訟の書類というのは、そういうふうにまとめたものもあるでしょう。しかし供述調書もあるわけでしょう。明白じゃないですか。冒頭陳述をやっているのは、あれは起訴された人の公訴事実を立証するために必要な範囲においてまとめてあるのでしょう。二階堂さんやら加藤さんやら、いわゆる灰色五人についてその事実を明らかにするためにまとめたんじゃないのですよ。そのほかのことがあるわけでしょう。だからそれは当然明らかにすべきだ。委員会から要求があればやるべきだ。これは技術的には可能です。ただ、やるかやらぬかというのは、最善の協力をするかどうかということにかかってきておるわけでありますので、法務大臣のお考えと、そして三木総理の見解を踏襲をされる福田総理の態度と決意のほどをお伺いしたいと思います。
○福田(一)国務大臣 私は、ただいま政府委員が申し述べたとおりに存じております。
○福田内閣総理大臣 法務大臣と同様でございます。
○坪川委員長 次に、加地和君。
○加地委員 新自由クラブを代表いたしまして質問させていただきます。 本日のこういう集中審議が行われました経過というものをちょっと手繰ってみますと、去るロッキード特別委員会におきまして、福田法務大臣の、秘密がこの前漏れたからもう資料を前と同じような状態では国会の方へ出せないという発言をめぐりまして、その後すぐロッキード特別委員会の理事懇談会がございまして、その中でいろいろと議論があったわけでございますけれども、福田法務大臣も前の深い経過を知らないままのちょっとした言い間違いではなかろうかということで、その日の午後からの冒頭において午前中の発言を取り消していただければ軌道に乗せてやろうじゃないかというところまで理事懇談会でいっていたわけでございます。 ところがそれと同じころにこの予算委員会におきまして、ロッキード特別委員会における発言と同じような、またあるいは輪をかけたような発言があったために、福田法務大臣の政治哲学というか、これがもうまともに出ておる、単なる言い間違いの問題ではない、また、巷間では福田内閣はロッキード隠し内閣でないかというように言われておる、それと符節が合うような言動でありましたために、この際、福田内閣のロッキード事件についての取り組み方、腹構え、これを国民の前にはっきりさすのが本日の使命であろうかと私は理解いたしております。 それで、まず最初に総理にお尋ねしたいのでございますが、ただいま入手いたしましたきょうの東京新聞の夕刊によりますと、「橋本元運輸相刺される 慈母観音境内で」、この犯人というのは「ロッキード疑獄で悪いヤツは許せないと思ってやった。」それからまた、「ロッキード疑獄に恨みをもっていたところへ、三日夜の経団連襲撃事件が起きたことなどで強い刺激を受け犯行に及んだのではないかと公安当局はみている」、このように報道されておるのです。 で、構造汚職とも言われるロッキード事件というものがいろいろな悪影響で日本丸の乗組員である日本国民の心をむしばんできていると思うのです。総理、この橋本元運輸大臣が刺されたという事件についてどのようにお考えになりますか。
○福田内閣総理大臣 ロッキード事件につきましては、大変残念なことが起きたということで、国民全体が心配もしあるいは憤激をしている、こういう状態だと思います。そういう中であるいは橋本氏の刺されるという事件も起こったのじゃないかという感じもいたしますが、私は、こういう事件が再び起こってはいかぬ、政界は再びこういう事件を起こらしめないための最大の努力をこの際すべきである、こういうふうに考えております。
○加地委員 私はやはり、この犯人というのは特異な例かもしれませんけれども、国民の心の中に、なぜロッキード、ロッキードと言いながら真相が遅々として究明されていかないのであろうかという欲求不満といいますか、いら立ちといいますか、これが非常に大きく影響してきていると思うのです。私は、いかに文教予算をつけあるいは学校の先生の給料をよくしていっても、政治家というものが子供から見られて恥ずかしい、言いわけのできない行為を行うということが、どれだけ幼い子供たちの心をむしばんでおるかということについて憂いを持つわけでございます。 それで、最近の世論調査等を見ましても、ロッキード事件の真相究明は七割の国民がもっとやってほしいと考えておる。これは朝日新聞の世論調査でございます。それからNHKの世論調査によりますと、福田内閣はロッキード事件究明に積極的でない、こういうのが五五%ほどあるわけでございます。このような世論調査の結果について総理はどのように考えられますか。
○福田内閣総理大臣 国民は福田内閣のロッキード事件に対する取り組み方、これについてあるいは誤解があるのかもしらぬという感想を持っております。
○加地委員 私は、誤解という一語で片づけるところに、やはり福田内閣が一生懸命がんばられても内閣支持率が二八%しかない、こういう現実になってくるのでなかろうかと思うのです。私はやはり、悪いことは悪い、そして日本の政界を浄化するために思い切った手を打つということがすなわち福田内閣の支持を高めていくものでなかろうかと思うのですけれども、総理はどのように考えられますか。
○福田内閣総理大臣 私は、福田内閣の支持、不支持、そういうものにかかわらずロッキード事件というものは徹底的に解明しなければならぬ、そういうふうに考えています。 また同時に、このロッキード事件というものを起こした理由を考えてみる必要があると思うのです。私は、このロッキード事件というものは偶然に起こったものじゃない。根があって起きたものだ、その根をえぐり出す、そして再びこういう事件が芽を吹き出さないというような施策を講ずることがこの際非常に大事な問題である、そういうふうに考えておるわけで、そういうために広範なロッキード問題が再び起こらないための措置を講じたい、かように考えております。
○加地委員 先ほどから総理それから法務大臣の答弁を聞いておりますと、三木内閣のロッキード事件についての取り組み方をそのまま継続する、このような御趣旨の答弁であると私は理解いたします。ところが、福田内閣が生まれてきた数カ月前には、挙党協という集団ができまして、その挙党協の動きの大きな背景は、三木内閣のロッキード事件の取り扱い方についての大きな不満があった。三木総理は同僚をかばうという側隠の情に欠けるというようなことが挙党協を結びつけていく大きな紐帯であったように理解するのでございますが、そこから出てきた福田内閣としては、ロッキード事件についての取り組み方は三木内閣と全く同じだ、継続すると言のが、そのままではこの場だけの言葉と受け取られてしまうのじゃなかろうか、だから全く一緒なんだと言うのであれば、まだ全貌というものがほとんど解明されてないこの段階において、具体的にこれからどのように積極的に解明に努力するのか、国政調査権に協力するのかという積極的な姿勢というものを国民に聞かしていただかなければいけないと思うのですが、総理どうでございますか。
○福田内閣総理大臣 挙党協というのは二百八十名も議員がおるのですから、その中にはいろいろなことを言う人もありますが、私なんかは三木内閣にありまして率先してこの事件は徹底解明をすべし、こういう議論だったわけで、挙党協全体の中、流れがロッキード隠しだなんというような議論は当たらない、私はこういうふうに考えております。これから徹底解明をどうするか、こういうことにつきましては法務省の方からお答えをいたします。
○加地委員 総選挙前の自民党の腐敗防止についての意見というものが新聞で報道されたと思うのですが、その中に法の番人である法務大臣は民間人がいいといいますか、民間人をもって充てるという方針が報道されていたように思うのですけれども、現在の福田法務大臣は、やはりある派閥に属され、またいわゆる民間人以上の政治色濃厚なお方でございますが、この民間人起用という点は一体どうなったのでございましょうか。
○福田内閣総理大臣 今度の組閣で私は法務大臣は民間人というか、法曹界からこれを求めたらよかろう、こういうふうに考えまして、ずいぶん物色はいたしたのであります、数名当たったのです。しかしとうとう御理解が得られなかった、こういうことで、まあやむを得ず党内起用ということにいたしたわけでありますが、さあ党内起用ということになりますれば、清廉にして剛毅、そういう定評のある福田一氏が最適任である、こういうふうに考えましてお願いをした、こういうことでございます。
○加地委員 そうしますと、原則として法務大臣は……(「その程度しか総理は思っていないのだよ、あなたを。やむを得ずだと」と呼ぶ者あり)ちょっと待ってください、私の発言中ですから。 福田総理は、法務大臣というのは民間人といいますか、民間の法曹界の方を充てるのが国のため——総理がよく言われる国と国民のために一番ふさわしいというお考えでございますか。
○福田内閣総理大臣 まあこの際としては、民間とは言いません。法曹界からこれを求めることが妥当である、そういうふうに考えまして、ずいぶん努力したのです。しかし、ついに私の努力は功を奏しなかった。そこで党内起用、こういうことになった次第でございます。
○加地委員 私は、次に法務大臣にお尋ねいたします。 朝日ジャーナルという雑誌などを読んでみますと、法務大臣は、法務事務当局もまだ知らないうちに総理と会って、ことしの早々にロッキード事件についての全容報告をする、あるいはそれの幕引きのみやげというような形になるのでございますか、収賄罪の法定刑の一部引き上げ、こういうことを事務当局で煮詰まらぬままに総理とお話しなされたと聞いているのですが、間違いございませんか。
○福田(一)国務大臣 私は、実は就任のときにも申し上げておったのですが、この際は、自民党の中から法務大臣を出しますと言うと、いわゆるロッキード隠しだ、当時からそういう世論もございましたから、そういうような批判を受けることは自民党としてはとるところではない。したがって、これはまあできるならば民間人、いま総理が言われたように、法曹界から採って、中立の方が正しい立場において国民が納得するような措置をとられることがいいんじゃないかと実は思っておったわけでありますが、御指名をいただいたので、私はお受けはいたしました。 そこで私が考えましたことは、これはどうしても三木内閣の方針をわれわれとしては踏襲してやらなければいけないのだ、それを第一義に考えることが一つ。そうして幕引きというようなことを言われることは絶対にしてはいけない。そういう意味合いで、三木総理は、実を言いますと中間報告をした後においても事件がある程度済んだ段階ではこの報告をいたしますということをおっしゃっておったわけであります。ところが、田中前総総の裁判その他の関係から、病気で取り調べがなかなか進まないのでありますけれども、どうしても児玉とか小佐野という人たちの問題をもっとしっかり取り調べてもらいたいと言ったら、なかなかそれが進みそうもないので、一部には、この際はひとつ報告をすべきであるというような意見もございましたので、そこで私は、当時のロッキード特別委員長になられました原君とも相談をいたしまして、どう処理したらいいかということをひとつ原君と御相談をしたいと思います、同時にまた、このロッキード隠しというようなことがないようにするには、私としては捜査本部なんというものはもうそのままにしておいて、そのままというか、これを閉じるというようなことをしない——本当を言いますと、起訴をするというと、従来の例は捜査本部を解くのが慣例になっておるのでありますけれども、私は、そういうことをすることはロッキード隠しということになるから断じてそういうことば認めるわけにいかぬということで捜査本部も解かないようにいたしました。そうして、極力ロッキード隠しではない、三木内閣の姿勢と同様に、あるいはそれ以上にでもわれわれとしてはこの努力をしなければならない、こう思いますということは、これは確かに総理に申し上げましたけれども、朝日ジャーナルで書かれたことは私の真意ではございません。これは、そのときの新聞記事もいささか私の真意を伝えてくれないので、私が報告をすると言ったのは、原ロッキード委員長とも相談した上であるいはそういう報告も考えなければいけないかもしれないが、ひとつ相談した上でやりたいと思います、ということは確かに総理に申し上げましたけれども、そのような幕引きの意味などということは一切考えておらなかったというところだけはひとつ御理解をしていただきたいと思います。
○加地委員 それでは、時間がございませんので話は次に移りますが、先ほどからのいろいろな話を聞いておりますと、灰色高官関係の資料を出すのに、法務省関係は秘密会に出す、あくまで秘密会と、こうおっしゃる。それから国会がどうするかというのは国会の判断だとおっしゃる。これはそれなりに苦しい妥協の産物的な処理という感じがするのです。ところが、法務省の方も公務員であり国民である。われわれ国会議員も、まあ法務省の役人の方とちょっと違いますが、やはり日本の法律を同じように守る立場のもとにある。同じ資料がなぜ、国会へ出るまでの段階の取扱いとそれから国会へ出てから後の取り扱いの段階とが違っていいものであるか。もう一つ突き詰めて言いますと、法務省の方が国会の方へ秘密会なら出せるという根拠条文は何ですか。また、秘密会でなければ出せないという条文は何でしょうか。それからまた、国会がその判断で、秘密会で出た資料であっても、国会の判断で出してもいいという、この条文は一体何でしょうか。その条文の違いをやはりはっきりしてもらいませんと、何かしらん、足して二で割ったような乱雑な処理をやっているということになれば、これから先も筋道の通った処理ができなくなってはいかぬと思いますので。
○安原政府委員 秘密会なら出せるというのは、四十七条ただし書きの、公益上の必要があって相当と認める場合ということになっておりまするから、国政調査に協力するという意味で書類の保管者が公表することは公益上の必要に応ずることでありまするが、どういう仕方、どういう方法でやるかということを含めて総合的に相当と認められる場合と解釈すべきでありますから、この場合、われわれとしては秘密会に提供するということが公益上の必要であり、かつ相当と認める場合に該当するという判断で秘密会に提出したものでございます。 なお、それを法務省がやらずに、国会ではなぜ公表できるのかということは、公表すべきかどうかということは国会の御判断でございまして、私どもは公表してくださいとお願いをしておるわけではないが、いずれにいたしましても、この資料を提供することは、国会が政治的、道義的責任の追及をなさるという立場におられるわけでございまするから、その資料を提供するのが政府の立場、検察は政治的、道義的責任の判断をする機関ではございませんので、政治的、道義的責任の判断をなさる国会に資料として提供するという立場、その資料の提供のやり方は刑事訴訟法四十七条ただし書きの、公益上の必要があり相当と認める場合として秘密会に提供するということでございまして、公表してよいのかどうかということは国会の御判断であるとわれわれは考えております。 しかしその場合に、公表なさるといたしましても、先ほど、楢崎委員の十月十三日のお尋ねにも申し上げましたように、四十七条というものは何もわれわれだけの法律ではなくて、刑事訴訟法というものの精神は法治国家としては何人もこれを尊重しなければならないとすれば、公表するに当たられまして国会御当局におかせられましても四十七条の精神にはひとつ御配慮いただきたいとお願いをした次第でございます。
○加地委員 何度も御説明を聞きますが、ほとんどの国民はトリック的処理というものについて理解がなかなかできないだろうと思う。私は、なぜそういうことが二重操作のようなものになるかといえば、法務省が言っておるところの秘密会なら出せるというこの考え方そのものが根拠がほとんどないのじゃないかというように思うのですね。先ほどのどなたかの質問の中にもありましたけれども、刑事訴訟法四十七条のただし書きあるいは国会法の百四条は、国会の方から要請があったら出さなければいけない、ずばり出すということですよ。それを秘密会ならどうのこうのという、まあ希望的意見とおっしゃるのかもしれませんけれども、条件をつけること自体が私は奇妙でならないのですけれども、もし条件をつけなかったら、秘密会以外のところへ出したら、たとえば政府の方はどれかの法律に違反するという事態が起きるのでしょうか。
○安原政府委員 私ども法務、検察当局といたしましては、四十七条の解釈としては秘密会のような方法で公にすることが刑事訴訟法の四十七条の公益上の必要があってかつ相当と認められるに該当するのだという判断をしたわけであります。もう加地委員に申し上げるまでもないと思いますが、秘密会でありましても、書類の保管者が第三者に開示することは刑事訴訟法四十七条ただし書きの公にすることではあるわけです。その公の仕方を秘密会という場に公にするということは四十七条ただし書きの規定の解釈として私どもはそう考えておる、そういうことでございますので、決してトリックでも何でもございません。
○加地委員 この前の灰色高官関係のロッキード特別委員会での公表のような形に法務省から秘密会に出していただいて、それからしばらくして国会の判断で公表する、こういうことがストレートにずっと行われるものと将来予想されるとすれば、法務省の方で何を考えておられるのか、その秘密会ならよいというかっこうは全く名前だけであって、実質的にもう国会でストレートに秘密会でなしに出すのと結果的には変わらないことになるのじゃないかと思うのですよ。それで、これの違いの出てくる根本というのは、ロッキード特別委員会の方で、刑事訴訟法四十七条ただし書きの公益その他の必要ありと判断をして資料要求するわけですね。ところがいままで往々にして、国会が公益その他の必要というものを判断したものを、いわゆる国税庁とかあるいは法務省の方が国会の判断は間違っていると言わんばかりにこの条文で出せません、こういう現象が起きてきたと思うのです。私は、公益上の判定あるいは必要性の判定というものについて、これが具体的な事件として裁判所などの事件になり、そして裁判官が判定するというレールにも乗っているものであれば、時間の狂いがあってもそれはいずれば解決つくと思うのです。ところが、まさに立法府とそれから行政府との見解の違いというものがいままで往々にしてあって、そのままの状態になっていたと思うのですね。ただ私は、憲法の国民主権の精神あるいは公務員を選定し罷免する権限等々考えれば、どちらでも解釈できるというようなときにはやはり国権の最高機関として立法府の見解というものが尊重されなければならないのではないかと思うのですが、法務大臣いかがでございますか。
○安原政府委員 そういうことは私の思い過しかもしれませんが、お聞きしておりますと刑事訴訟法四十七条の判断について、国会御当局に判断権があるように御指摘のように私は受け取ったのでございますが、四十七条の公益上の必要があって相当であるという判断権はまさに書類の保管者である検察官にあるわけでございまして、国会当局にその判断権はない、もっぱらそれは国政調査上の御要求という国政調査からの必要性という判断は国会御当局がなされるわけでありますが、それは四十七条をお考えでなくて、国政調査としてそういうことを要求する必要があるかどうかということは国会が御判断なされますが、四十七条のただし書きで国会御当局の御要請に応ずるかどうかはまさに検察官の判断でございまして、この判断は検察官に、書類の保管者に限られておるものと思いますので、その点はひとつよろしく御理解をいただきたいと思います。
○加地委員 その点が一番理解できない点なんですが、総理は立法府の方でもありまた行政府の長でございます。このようなことが繰り返し論争の的になって国政が遅々として進まないというのはきわめて不幸なことだと思うのですけれども、総理、何かこの問題についての妙案というかお考えというか、あるいは私の先ほど披瀝した考えについて述べていただけないでしょうか。
○福田内閣総理大臣 私も法解釈の問題としては安原局長の説が正しいような感じがしますが、ただそうなりますと国政調査とそれから政府の解釈が対立する、こういうようなケースが出てくるだろうと思うのです。その場合はやはり私の常に言う協調と連帯だ、そういう精神でお互いが話し合って理解をつける、こういうことにならざるを得ないのじゃないか、そんな感じでございます。
○加地委員 最後に一問。 先ほどから、現に起訴されておる被告人についていろいろな証拠書類が公判に出た段階で国会の方へ提供できるというように聞きましたけれども、不起訴になっておりますところの灰色高官についての捜査資料は国会からの要求があれば公表できるのでしょうか、あるいは秘密会なら出せるのでしょうか。
○安原政府委員 先ほど申し上げましたように、三十ユニットの関係の調書は恐らく近い将来公判廷に顕出される可能性のあるものでございますから、先ほど御理解をいただいて現段階ではお出し申し上げるわけにまいりませんと申し上げたのですが、そのほかに、そのいわゆる三十ユニットの不起訴の人々についての証拠調書等があるかどうかは存じませんので、ちょっとこの段階でお答えいたしかねます。
○加地委員 非常に重要な問題だと思うのですけれども、法務省からもたくさん来ていらっしゃると思うのですけれども、そういう不起訴になった分についての資料があるかないかということはすぐにわかるのじゃないでしょうか。そしてまた出せるものか出せないものかということは、これだけ一年間ほどがんがんと日本じゅうロッキード、ロッキードと言い回してきたのですから、考えというのはまとまっているのじゃないでしょうか。
○安原政府委員 お言葉を返すようですが、法務省としては東京地検にどういう書類が標目であるかなどというように、そこまでは実は承知いたしませんので、いま存じないと申し上げたのですが、いずれにいたしましても仮にあるといたしますれば、本来の四十七条ただし書きの運用の問題として検討させていただくこととなろうと思います。
○加地委員 時間の関係で、これで終わります。
○坪川委員長 この際、午後六時まで休憩いたします。 午後五時二十分休憩 ————◇————— 午後六時四十二分開議
○坪川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。楢崎弥之助君。
○楢崎委員 本日午後、法務大臣の発言問題に対する集中論議を各党行ったわけであります。それで、まあ部分的には取り消された点もあります。ただ、本来ならそういうお気持ちがあれば、質問の前にみずから発言を求められて、そして取り消すところは取り消すということではなかったかと私は想像しておったのですけれども、そうではなかった。だから結局、質問に応ずる形で、同じ取り消されるにしても、もしそうであったとすればとか、あるいはそういうふうな印象を与えたとすればとかいう仮定の言葉が絶えずついておるわけですね。そこで釈然としない点がまだ残っておるわけです。たくさんありますけれども、一例を挙げますと、たとえば四十七条ただし書きの点について、議長裁定があったから協力したんだというあの言い方の中にあらわれておる姿勢というものは、やはりただし書きでは公表はできないんだというその本心がそのようにあらわれておるのではないか。だから、公表は違法という感覚があるし、あるいはまた新しい法改正、特別立法が必要ではないかというふうに発想としてつながっていった、このように思うわけです。 それで、私がただ一問だけお伺いをしておきたいのは、委員会における質疑というものあるいは答弁というものは、お互い責任を持ってやっているわけですから、その中の言われておったことでただしたい点があれば、明確にしておった方がいいと思うので、一点だけ質問をいたすわけでございますけれども、わが党の小林委員の質問の中で、その公表問題に触れていろいろやりとりがあったわけです。 ここに議事録があるわけですが、たとえば小林委員はこういうくだりを言われたわけです。精神論のやりとりがあって、「どこが間違っているのですか。間違っていないのならいない、私の言い過ぎでしたら言い過ぎでしたとはっきり言ってください。ごちゃらごちゃらと男らしくないですね。精神論なんかやっている。お坊さんなら精神論でいいが、国会の場では精神論は通りません。具体的に解説をしていただきたい。」 これに対して福田法務大臣は、「重ねて申し上げますが、私は法律の精神を踏まえてやっていただくのが法務省の立場である、こういうふうに考えておったのでありまして、その点が間違っておる、そういう点が間違っておるということであれば、冒頭に申し上げましたように私の真意ではございませんから、責任の問題は別として、取り消させていただきます。こう申し上げておるのであります。」 このことは、「責任の問題は別として」という、ここにこういうくだりがあるのですが、これはどういうお気持ちであるか、ちょっと確認をしておきたいと思うのであります。つまり、取り消しても責任というものはおのずからあるんだという自省のお言葉なのかどうか、その辺をちょっと確かめておきたい、重大な点でございますから。
○福田(一)国務大臣 「責任の問題は別として」と申し上げましたのは、そういうことで私が皆様方からおしかりを受けるなりいろいろのことをおっしゃっていただくということはあり得るだろうと思う、そういうことにおいて、皆様方の方からどういうような御措置をしていただいても、それは私としては、取り消す以上はやむを得ない。取り消すということに対して、それはいいとか、そんなことはけしからぬとかなんとか、そういう意味じゃない。その責任は私としてはやはりとるべきである。言うたことについては、それはやはり国会議員としてはとるべきであるという意思を踏まえて、「責任の問題は別として」ということを申し上げたのであります。
○楢崎委員 これで終わります。 —————————————
○坪川委員長 この際、安宅常彦君から、議事進行に関し発言を求められております。これを許します。安宅常彦君。
○安宅委員 私は、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同、新自由クラブを代表いたしまして、福田法務大臣戒告決議案を提出いたします。 まず、案文を朗読いたします。 福田法務大臣戒告決議(案) 福田法務大臣は、戦後最大の疑獄事件とも言 われ、国民がこぞってその真相究明を要求して いるかの憎むべきロッキード事件に関し、二月 二十四日のロッキード問題に関する調査特別委 員会及び二十四、五の両日にわたる当委員会に おいて、真相究明のための衆参両院決議及び議 長裁定を批判し、いわゆる灰色高官を公表した 昨年十一月のロッキード問題に関する調査特別 委員会の運営に介入する発言を行い、いわゆる 灰色高官名公表反対の意向を表明した。 これは、憲法第六十二条が保障した院の国政 調査権に対する真っ向うからの不遜きわまる挑 戦と言わなければならない。 しかもなお、本日の答弁においても、言葉で は取り消した部分はあったが、本質的考え方は 依然として変わらず、反省の色を認めることが できない。 ロッキード汚職事件解明継続こそが、今日に おける政界浄化の最大目標とするわれわれとし てば、この憲法に保障されたわが立法府の権威 を守るために、国会と国民の名において、基本 的にはロッキード事件隠し、幕引きを策する福 田法務大臣を強く戒告する。 右決議する。以上が決議案文であります。 以下、趣旨を弁明いたします。 福田法務大臣は、三木内閣において国家公安委員長の要職にありながら、ロッキード事件解明の方法に対しいろいろ御不満を持っておられたことは、新聞、テレビなどの報道によって国民もすでに周知のところでありました。ところが、新内閣成立によって、今度は解明の当事者として国民の驚きと不安の声の中で就任されました。私といたしましては、たび重なる総理の言明などにもかかわらず、法務大臣が福田一氏では、果たしてロッキード事件の解明が十分にできないのではないかという一抹の危惧の念を持ちつつ見守っておりましたところ、果たせるかな、衣の下のよろいどころか、先ほど案文で申し上げましたとおり、堂々とよろいをまともに着て、われわれ立法府に正面から挑戦してきたのであります。まさに本音が吐露されたのであります。 すなわち、まず国権の最高機関である衆参両院が昭和五十一年二月二十三日に行ったロッキード問題に関する決議並びに昭和五十一年四月二十一日の五党首合意に基づく衆参両院議長裁定を批判し、決議及び裁定は法律との関係において疑問ありとし、事もあろうに院外において、いわゆる灰色高官名公表のためには法律改正の要があるなどと発言していることであります。このことは、両院議長の裁定に挑戦するものであり、議院内閣制を定めた憲法をも無視した不見識な態度であり、断じて許すことができません。 第二点として、刑訴法第四十七条ただし書きの趣旨を曲解し、訴訟資料が公開されるのは例外的であることを強調されているのでありますが、この立法趣旨は、憲法第六十二条に保障されている国政調査権に基づく院の記録提出請求権を予想していることは、ほとんどの刑訴法解説書などにも述べられているところであり、法務大臣としては、まさかこのことを御存じないわけはない。とすれば、ことさらに何らかの意図を持って歪曲解釈しているとしか考えられないのであります。 第三点として、法務大臣は、灰色高官の人権の保護を強調されているのでありますが、一般的に人権の保護は憲法及び刑訴法の精神として尊重されなければならないことは当然のことであります。しかし、去る二月二十五日の田中伊三次前ロッキード特別委員長の発言にありましたとおり、公共の利害に関し、公益のために、公務員などの犯罪については、刑法第二百三十条ノ二に見られるとおり別の考え方もなされるわけであり、前国会でなされた灰色高官名の公表については、立法府として行政府から何ら文句をつけられる筋合いのものではありません。行政府にはそのような権限はないのであります。 第四点として、重要なことは、法務大臣は僭越にも院の国政調査権の行使に注文をつけていることであります。すなわち、国政調査に対する協力として提出した資料の取り扱いについては、秘密の保持について万全を期せというのであります。これはまさに前代未聞のことであります。われわれは、院の権限である国政調査権の行使については、その正当な行使である限り、何ら行政府側の制限を受けるべき理由は、どこを探してもあるべきはずはありません。いわんや、秘密が漏れたことについて国会の責任のとり方などで指図をするがごとき態度は、言語道断と言わねばなりません。 これを要するに、福田法務大臣の発言は、言葉としての取り消しはあったが、事実上今後のロッキード事件解明の道を閉ざそうとする意図が明らかであり、まさにロッキード事件隠し、ロッキード事件幕引きのほかの何ものでもありません。これはひいては福田内閣の政治腐敗に対する基本姿勢を象徴するものとして、絶対に許すことができません。 特に注目しなければならないことは、本問題の発端になったロッキード特別委員会での福田法務大臣の発言は、前内閣の官房副長官であり与党である自民党所属の鯨岡兵輔氏の質疑に対して行われたということであります。このこと一つで、国会及び内閣の継続性もろくにわきまえていないことが暴露されており、本人の弁明とは別に、その基本姿勢、本音がよくあらわれていると言わなければなりません。 ここに、国会と国民の名において、本委員会は、福田法務大臣を強く問責すべきであると思いますが、国政調査権に最大限協力するという本日の答弁を踏まえ、今後の法務大臣の動向を注目し、見守ることとして、一応戒告にとどめた次第であります。 ロッキード問題を初め、今日政治にとって最も重要な課題になっているその腐敗の絶滅こそが、政府与党のしばしば口にされる議会制民主主義を守るゆえんであることを認識され、自由民主党を含む本委員会全委員の諸君の御賛成を期待し、趣旨の弁明を終わります。(拍手)
○坪川委員長 安宅君の動議について採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○坪川委員長 起立多数。よって、動議のとおり決しました。 —————————————
○坪川委員長 本日をもちまして、一般質疑は終了いたしました。 次回は、来る七日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時五十八分散会