予算委員会 第19号
- 発言数
- 388 件
- 登壇者
- 42 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1977/03/04
会議録
○坪川委員長 これより会議を開きます。 昭和五十二年度一般会計予算、昭和五十二年度特別会計予算及び昭和五十二年度政府関係機関予算、以上三件を一括して議題とし、一般質疑を行います。 小川国彦君。
○小川(国)委員 最初に田村運輸大臣にお伺いをしたいと思います。 先週、運輸委員会におきまして、私は初めて大臣の施政方針に対する質疑を拝聴いたしました。その中で、大臣は関西新空港について次のような抱負を述べられました。私は大体ノートにメモをとってまいりましたのですが、関西新国際空港については航空審議会の答申を経て泉州沖に決定した。ここについては環境アセスメント、アメニティーということについて十分配慮をしたい。この空港をつくるのは世界に冠たる空港をつくることである。要するに、ただ空港をつくるということだけではなく、環境についても世界に類例のない調査をやる。気象、海流等の自然条件、学校、人口などの社会条件についても徹底調査をやる。この結果に基づいて空港条件を調査する。そうして環境調査を三年間かけてやる。この内容は府県を通じてどんどん住民に知らせる。大要このようなお話でありました。そのように承って、私は大臣の御卓見に心から共鳴をいたしたわけであります。転々とした関西新空港ですが、こうした大臣の言われるような高邁な計画といいますか、調査といいますか、それによって住民も安心して大臣を信頼し、政府を信頼することができると思った次第であります。 ところで、成田空港につきましては、十一年間、決定以来歳月をかけておりますが、あなたの時代においてもあるいは前任者の時代においても、この関西新空港に対するような調査、検討がなされたかどうか。私の知る限りにおいては、残念ながらそうした自然条件とか社会条件、特にその地域に住む人間社会の問題については何ら環境アセスメントもあるいはまたその社会的な問題の調査も全くなされなかった、こういうふうに感ずるわけでございますが、関西新空港について述べられた大臣の抱負がそのまま成田空港にも適用されるべきではないかと考えるわけですが、この点、大臣の所見を承りたいと思います。
○田村国務大臣 関西新空港につきましては、これからつくるといいますか、これから計画をし、つくるわけでありますが、いま小川委員おっしゃったような答弁をいたしましたし、そういうふうに考えております。 成田の問題につきましては、過去の調査ということにつきましては航空局長から御報告をさせますが、成田の場合はもうすでに開港を目前に控えておるということでありまして、いまからまた後ろを向いて走るというわけにもまいりますまいが、これから新しく計画をする飛行場というものについては、過去の経験を生かしながら、慎重にやって、りっぱなものをつくっていく必要があるのではないかというふうに考えております。
○小川(国)委員 ただいまの大臣の答弁でございますが、成田空港の開港については昭和五十二年度予算の中で十月開港を目途として諸般の準備を閣僚に命じた、こういうことが福田総理大臣に対する私の質問主意書に対する答弁でなされているわけです。関西新空港の周辺に住む人たちも日本国民であるならば、成田空港の周辺に住む住民も日本国民であるはずであります。法のもとの平等という立場でいうならば、関西新空港に対しては、新聞等も伝えているごとく、成田の悲劇を繰り返さないためにこうした配慮をしたということを言っているわけです。しかも、六十億円という膨大な予算を三カ年かけて関西新空港に対してはやろうというわけなんです。あなたは関西の空港に近い三重県の出身であるかどうか知りませんけれども、関西空港の周辺の、海でいうならば漁民、陸でいうならば地域の住民、その人口の配置から、学校の配置から、社会的な諸状況にまで、環境調査を十分やってから空港を決定したいということなんです。成田空港も十月開港を目途としているならばまだ開港されない空港である。法のもとの平等ということでいうならば、関西新空港に六十億をかけて自然条件、社会条件を調査するならば、成田についても、周りの自然の農業の状態はどうなっているか、地域の住民はどのぐらい住んでいるか、飛行機が飛び立ったならば千葉県の北部から茨城県、関東一帯に襲うこの騒音の問題とか、そういうことの条件の調査を当然、同様におやりになって、その環境アセスメントの上で成田の開港について最終的な判断を下されるならともかく、そういうようなやり方は、国政のあり方としてきわめて不公正だ、こういうふうに考えるわけですが、その不公正さについて大臣は疑問をお感じになりませんか。
○田村国務大臣 もちろん日本国民はすべて法のもとに平等であります。ただ、関西空港は、あらかじめ申し上げておきますが、私が三重県出身であることとは関係ありません。また、関西空港と三重県とはうんと離れております。関係ありませんが、関西空港の場合は、これからいろいろと調査をして事業計画を立てていこうという、言うなれば将来の問題であります。成田の場合はもうほとんど仕事が完了に近づいて、いよいよ開港への最後の仕上げを急ぐ段階でございますから、現実を踏まえての問題となりますと、一概に関西空港のようにもう一回第一歩からやり直すということが適当かどうか、これは大変なことになる。ただ、これからつくる空港に関しましては、過去の経験を生かしながら完璧なものにしていくべきであろうと考えております。
○小川(国)委員 大臣、あなたの答弁は、関西はこれからつくると言うけれども、成田はまだ開港してないわけですよ。まだ建設途上にあるわけです。だから、その地域の住民も大阪の周辺の住民も条件は同じなわけです。一方を切り捨てて一方にそういう六十億の調査費をかけるというやり方はきわめて不公正なやり方だ、この点は大臣にも改めて認識をいただきたいと思うわけです。この点については、私はさらに分科会で追及をしてまいりたいと思います。 なぜ成田空港の問題についてあなた方が関西新空港のようなことをやらなかったか。成田空港の今日までのきわめて非民主的なやり方、住民をだますやり方を運輸省、公団がやってきた、こういうことを私は事実を挙げて申し上げたいと思うのです。 その第一点は、成田空港の敷地内にはA滑走路四キロがある。それから二・五キロのB滑走路、三キロのC滑走路がある。あなた方はA滑走路については騒音コンターを発表したけれども、B、Cの騒音コンターについてはいまだに発表していない。千葉県からの要望事項にも成田市からの要望事項にも、運輸省、公団は一日も早くB滑走路、C滑走路の騒音分布図を発表して、周辺住民に納得のいくような騒音コンターを示せということを要求しているのですが、あなたの方はそれを示していない。しかし、私の手元にはあなた方のそういう騒音コンターをもとにした資料というものがあるのです。しかし、あなた方は騒音地区の反対を恐れてか、いまだにB、C地区の騒音コンターを発表しない。決定以来十一年たって、空港の敷地も飛行場の滑走路の位置も全部決まっているのに騒音コンターを隠して発表しない。そういうところに自民党の内閣の、運輸省の、公団の住民をだませばいい、空港をつくってしまえばいい、そういう姿勢が出ている。B、Cの騒音コンターができているかどうか、この際まず明示してもらいたい。それが第一点。 それから第二点に、あなた方が銚子市をだましてきた問題があります。銚子市には、御承知のように、ボルタックという成田空港に出入する飛行機のための飛行無線誘導装置を運輸省がおつくりになった。そのつくるときに、運輸省は銚子市長や銚子の市民にどういう説明をしたか。これは九十九里から成田空港に直接出入りする飛行機にその位置を知らせるためのボルタックだ、銚子市の上空を飛行機が出入りするためのものではない、そういうことを運輸省は銚子市に説明したのです。銚子市にそういう図面まであなた方は添付したのです。成田空港には九十九里から出入りします、銚子の上空は通りません、だからボルタックの用地を買収してください、設置させてくださいと言ってボルタックを設置した。いまになって銚子市に何と言っているかというと、その上空を飛行機が出入りさせてくれということを運輸省がひそかに何遍も頼みに行っているのです。これに対しては運輸大臣、あなたに銚子の市長から、こういう運輸省のやり方はだまし討ちのようなやり方だ。おとといも銚子の市長に私が電話をかけたら、運輸省に一杯食わされた、成田空港によそから出入りする位置を知らせるボルタックだと言って、つくってしまったらその上を飛ばせてくれ、こういうだましているやり方。 それからもう一つ、第三点として指摘したいのは、運輸委員会でも予算委員会でも質問が出たかと思いますが、あなた方は成田空港に着陸し離陸するこの飛行コースをいまだに住民に知らせていないのです。これも十一年たっているわけです。飛行機がどういうコースで入ってきてどういうところから飛び立つかというのは、飛行コースは当然運輸大臣、あなたの手元にあるはずですよ。それを隠しているということは、騒音の被害を住民に知らせまい、政府の決定を正しく住民に伝達しない、そういう形で飛行場をつくってしまえば、飛ばしてしまえば泣くのは住民だ、だまされたのは住民だ、こういう自民党内閣の歴代の政策があるわけなんです。成田空港の十一年にはそういうあなた方の卑劣な、住民をだましてきた、いろいろな事実を隠してきたそういうインチキが累積されてきているのです。いま成田空港で連日機動隊が何千人と出て、日本列島の中でああいう成田のような事件が起こっているのは成田だけしかないでしょう。これは居並ぶ大臣の方にも、閣僚の会議の中で成田の問題は十分再認識してもらいたいと思うのは、自民党政府が成田空港を決定した時点で一遍も公聴会も何もやっていないのです。外国では都市計画の道路一つつくるのに百回も公聴会をやるというのに、いきなり昭和四十一年七月四日の閣議決定で、ばっとあなた方は一方的な作業をやってきた。しかも、いま申し上げたように、騒音の分布図も発表しない、飛行コースも知らせない、ボルタックはだましてつくる。こういうことを繰り返してきて、ファシズムのような、ナチの国家のようなやり方を自民党が成田ではやってきているのです。そういう事実をあなた方は十月開港だからといって切り捨てて、成田空港を強行するつもりかどうか。いまの三点について運輸大臣に伺いたい。——委員長、私は時間がないので大臣に答弁してもらいたいのです。いま言った事実は大臣だってわかるはずです。大臣に答弁を願いたい。
○田村国務大臣 これは大変専門的な問題ですから、航空局の方から御説明させます。
○小川(国)委員 委員長、これは専門的な問題じゃないです。飛行コースは大臣、あなたは知っているわけですよ。知っている事実をなぜ知らせないかというきわめて簡単な質問なんですよ。私は、大体答弁は大臣が答弁するというのが正しいと思うのです。答弁できない大臣は私はやめるべきだと思うのです。官僚に答弁をさせているからこういういいかげんなことを官僚がやってくるわけで、大臣がこれだけのことを答弁できなかったら大臣をやめるべきですよ。
○坪川委員長 小川君に申し上げますが、一応次長の御説明をお聞きになってから、また……。
○小川(国)委員 質問事項も知らせてあるのですよ、委員長。大臣がそのくらいのことを答弁できない。だから自民党内閣はだらしなくなるのだよ。
○松本(操)政府委員 技術的な点につきまして私からかわって答弁させていただきます。 まず第一に、B、C滑走路の騒音コンターでございます。B、C滑走路の騒音コンターをつくりますためには、B、C滑走路の使い方、つまりどのような飛行機がどういうふうに飛ぶかというのを決めなければなりません。したがって、現時点においてはこれが作業中でございますので、B滑走路につきましては近くこれを公表できる段階に至っております。C滑走路につきましては年間の使用量が一%程度であるということから、これに関しまして環境庁の定めましたいわゆるWECPNLによるコンターをつくることが不可能でございますので、したがいまして、C滑走路は使い方を別途工夫する、こういう考え方を持っております。 銚子のボルタックにつきましては、ただいま御指摘のように、当初はこれを空域の分離に使おう、そして従来のコースの上に重ねて成田と羽田を使おう、こういうことでございました。しかしその後千葉県から、あるいはその他関係の市町村からいろいろと飛行コースについての御注文がございましたので、現在のところではこれを使わざるを得なくなってきたわけでございます。 第三点のコースにつきましては……(小川(国)委員「時間がないのに何ですか、その答弁は。時間つぶしのためにやっているんじゃないか」と呼ぶ)
○坪川委員長 御指摘のように、時期の見通しをはっきり言ってください。
○松本(操)政府委員 B滑走路のコンターにつきましては、近くと申し上げておりますのは一、二カ月でございます。(小川(国)委員「十月に開港するというのに、あなたは時期を明示できないんじゃないか」と呼ぶ)現在作業中でございますので、時期を明示することは差し控えさせていただきます。
○小川(国)委員 委員長に申し上げますが、時間が三十分という中で質問をしているので、ああいうむだな答弁をする役人については、ひとつ厳しく注意をしてもらいたい。 それから運輸大臣、空港公団法二十四条に基づいて同法二十条に定める業務を開始する際……(「委員長だれだ、あそこに座っているのは。なぜあんなところに座っているのだ」と呼び、その他発言する者あり) 聞かないことを五分も答弁している。ああいうやり方はないですよ。委員長、大臣に答弁させろと言うのだから、大臣にきちんと答弁させてください。 次に、空港公団法二十四条において、同法二十条に定める業務を開始する際、「業務方法書を作成し、運輸大臣の認可を受けなければならない。」と定めておりますが、認可申請が昭和四十六年の十月一日に出されて認可が四十六年十二月一日にあって、そして実際の公団の業務の開始は昭和四十一年七月三十日だ。五年四カ月の間、公団が運輸大臣に提出する業務方法書を提出しないで無認可で業務をやってきた。このことについて、大臣はこの事実を知っておりますか。
○田村国務大臣 いまおっしゃったことは事実のようでございます。ただ、どのようにして、どういうわけでそういうふうになりましたか、これはちょっと公団から説明を聞いていただきたいと思うのです。
○小川(国)委員 いや、その説明は結構です。 建設大臣にお尋ねいたしますが、土地収用法第十八条第二項六号には、事業認定申請書には「事業の施行に関して行政機関の免許、許可又は認可等の処分を必要とする場合においては、これらの処分があったことを証明する書類又は当該行政機関の意見書」を添付しなければならないと規定されております。この添付書類が欠けていた場合、大臣はどういう処理をなされますか、建設大臣にお伺いいたします。
○長谷川国務大臣 一応土地収用法によって認可をした、しかしその範囲内において、この分だけは特に緊急にしなければならない条件が備わって出てきたから、新たにこの分だけは、たとえば一枚のところをこれだけの部分だけはひとつ緊急にやらなければならないという申請が再び出てくれば、それはもちろん緊急処理をしてもよろしいという認可は与えます。
○小川(国)委員 成田空港の事業認定申請書の中には、業務方法書の添付はございましたか。あったかなかったか、それだけで結構でございます。
○長谷川国務大臣 お答え申し上げます。 私はまだ二カ月の体験しかありませんので、それを専門に取り扱っている政府委員にお答えをいたさせます。
○大富政府委員 業務方法書の添付はございません。
○小川(国)委員 これはきわめて重大な問題であります。空港公団が業務を開始しました昭和四十一年七月三十日から五年四カ月の間、空港公団が業務を開始しておりながら、業務方法書の認可を運輸大臣から受けなかったわけです。これは空港公団法というりっぱな国の法律に決められた手続なんです。それを、いま伺いますと、建設大臣のところにはその書類が添付していないわけです。その添付していない間に、あなた方の方ではどういうことをやってきたかというと、五年四カ月の間に大変なことをやってきているわけです。外郭測量で昭和四十二年にはくい打ち、それから四十三年には三百戸の農家に対する強制立ち入りの調査、四十六年二月、四十六年九月には第一次、第二次代執行をやって農民の土地を取り上げ、あるいはまた老婆の住む家を取り壊す、そういうきわめて非道な代執行をやったわけです。その代執行をやった時点に、あなた方は航空法に定める要件と公団法に定める要件の二つのうち、業務方法書について大臣の認可を受けないまま公団は建設大臣に事業申請をして、そうしてこの代執行をやってきたわけです。それについて、あなたはどういうふうにこの問題を考えますか。
○田村国務大臣 土地収用法で事業認定をした、その中の一部をいわゆる特例法でやる、そういうときに特にそういう添付は必要でないというふうにわれわれは理解をしておりますが、ただそういうようないまの具体的な事実がございますから、これは当然空港公団の方から総裁がお答えを申し上げるべきものと思います。
○小川(国)委員 いや、それは総裁に聞く前に大臣に聞きたいのですが、あなたは認可する責任があるわけです。それから空港公団を監督指導する責任があるわけです。あなたが大臣になってからでないといっても、前任者の自民党の大臣のときにそういうことをやってきているわけです、五年四カ月も。私はほかの公団も住宅公団その他全部調べた。事業開始して、早いので五日、おそくて一年で業務方法書は出している。こういう手続で業務をやりますという認可を受けている。空港公団だけは五年四カ月もそういう手続をやらないまま、代執行までかけて農民を追い出したり農民の土地を奪ってきているのですよ。きわめて重大な問題なんです。それについて、運輸大臣はそういう監督の責任についてどういうようにお考えになりますか。
○田村国務大臣 前任者の責任といえば私の責任になるわけでありますが、いずれにいたしましても、法律上そういう添付をする必要がないというふうに私どもは聞き及んでおりますし、理解をいたしております。ただ、いまのお尋ねの件は、これはむしろ空港公団がお答えすることだと思います。
○小川(国)委員 公団の違法な事実については、これは言うまでもないことなんです。私はもうこういう無法な公団に聞く必要はないと思っているのは、公団がこの十一年間にやってきたのは消防法違反、農地法違反、もう違法の数々だけで十件近くあるのですよ。そういう無法な公団の総裁に聞いたところで、この民主主義の国家において法を守らないような、そういう非民主的な組織、集団に対して質問してもむだだと思っているのです。 それならば運輸大臣、この土地収用法の問題はきわめて重大な問題なんでさらにこれをただしていきたいと思うのですが、その最初の出発時点において、五年四カ月の間業務開始の法定要件を欠いた、公団法に違反している、無認可業務を行ってきた、こういう公団に対しては、公団法四十二条でその役員に三万円以下の過料を課さなければいけないわけですよ。大臣、法違反の事実はお認めになるでしょう。
○田村国務大臣 これは国会の審議でございますから、やはり空港公団がどういうふうにしてきたかという見解をお聞きいただかなければ、一方的に違法だときめつけられて、空港公団の話を聞く必要もないということであれば、私は審議にならないと思うのですよ。審議でございますから、空港公団にも意見や言い分があろうかと思いますから、これは当然お聞きをいただいて、その上でお責めをいただくなら結構でございますけれども、一応総裁の意見は聞いていただきたいと思います。
○小川(国)委員 大臣、これは総裁の意見を聞く必要はないのですよ。空港公団法というのは国会がつくった法律なんですよね。国会がつくった法律というのは、あなた方行政府の大臣初め役人が全部守らなければならないことなんです。運輸大臣、あなた自身も国会がつくった法律のもとで大臣になって、運輸省の責任者になっているわけなんです。その公団法の中で決められたことをやらなかった、五年四カ月もやらなかった。このことについて、あなた監督者として当然責任があるわけなんです。それから、公団法違反という事実についてはどういう処理をするのか、監督するのか、あなた自身の考えがなければならないわけなんですよ。それは総裁に聞くべきことじゃない。法を守る立場というのは、行政府にある大臣が一番責任を感じなければならない。公団法違反の事実というものについて、あなたはその事実をどういうふうに把握されているか、これをはっきりさせてもらいたい。
○田村国務大臣 もちろん、立法府でありますからこの場で法律はつくられました。しかし、公団法違反であるかどうかという事実関係の問題につきましては、これは空港公団から事業関係に関する事情をお聞きいただくのが当然だと思います。一方的に違反を犯したではないか、違法ではないかと言われても、これは私としてはお答えのしようがございません。
○小川(国)委員 そういうふうにおっしゃられるなら、あなた方の答弁書に全部出てきているんですよ。これは全部政府の答弁書なんですよ。公団法の二十条とか二十四条は読み上げなくても大臣わかっていると思う。業務方法書を提出して大臣の認可を受けなければならないというふうになっている。それからさらに、その手続に従って業務方法書が出されたのはいつか、そしてその認可を受けたのは昭和四十六年であったというふうに内閣の答弁書で答弁しております。業務を開始したのは昭和四十一年七月だ、こういうふうに答弁しておる。両方とも内閣の閣議を経た答弁書の中に書かれておる事実なんです。だから、総裁に聞く必要ないのです。法違反はあなた方の答弁書の中でおのずから明らかになっておる。そういう公団法違反の事実、法的要件を欠いて五年四カ月も行われてきた公団の業務に対して、あなた方は運輸省としてその問題の事実を認めるのか認めないのか、これを運輸大臣、はっきりしてもらいたいのです。公団の説明は聞く必要ない。あなた方閣議の答弁書で全部答弁してきておる。
○田村国務大臣 土地収用法の事業認定を受けた土地、その事業、そのうちの一部を緊急性あるものとして特別措置法の適用をしたわけでありますが、それに対して、いまの、添付しなかったのは違法だとおっしゃるけれども、公団の方は違法だとは言ってない。(小川(国)委員「いや、そうじゃない。公団法違反の事実があったことは認めるかというのです」と呼ぶ)いやいや、違法であるかどうかということ自体、あなた方の考え方とそれから公団の考え方とは対立しているわけです。ですから、公団の意見を聞いていただきたい。それは審議でございますから、公団の意見を聞いていただいてあたりまえじゃないでしょうか。公団の意見は聞く必要ない、一方的に問答無用だというのは、私は審議としては行き過ぎだと思います。聞いてくださいと言うのです。別にあなたに対して反論するとかしないとかということより、事情を聞いてくださいとお願いしておる。
○小川(国)委員 運輸大臣のやり方は、答弁を逃げちゃっているんですよ。責任ある答弁をしないで、私の時間が切れるのを待っているんだ。そういうあなた方のきわめて悪質なやり方が、国民をだますやり方と似ているのですよ。恥を知らなければいけませんよ。運輸大臣として、この法違反の事実というのはあなたは必ずどこかで認めますよ。はっきりと言っておきますけれども、公団法に違反した事実をあなたは認めますよ。認めたとき、あなたどうしますか。運輸大臣をやめますか。この国会で、この三十分の時間はだましおおせても、その事実が明らかになったとき運輸大臣は責任をとるかどうか、それをはっきりしなさい。
○田村国務大臣 私は逃げたわけでも何でもないのですよ。私は、時間をわざわざつぶすようなそんなこそくなことをする男じゃありません。あなたの方の党にも私を知っておる人はたくさんおります。私の性格を知っておられる方がおりますよ。私はそういうこそくなことをする男じゃありません。ただ聞いてください、聞いていただいておったらもうとっくに審議が進んでおるじゃありませんか。聞いてくださいと私はお願いしておる。一方的に違法だとおっしゃる。こちらの方は違法でないと言う。私に責任をとれと言う。それは私に重大な瑕疵があれば辞任するぐらい何でもありません。ありませんけれども、一方的に違法だと言って……(小川(国)委員「いや、私の聞いた事実にあなたは答えればいいのよ、回り道の答えでなくて」と呼ぶ)だから私はお答えしておるのです。(小川(国)委員「公団法違反の事実があったら、あなたは大臣をやめるくらいの責任をとるかと聞いておるのだよ」と呼ぶ)だから、違法であるかどうかということをまず聞いてください。(小川(国)委員「あなたが違法の事実を認めないから、違法の事実があったときはあなたは大臣をやめるくらいの責任をとるかと聞いておるのだよ」と呼ぶ)大臣の地位というものはそういう軽いものでしょうか。(小川(国)委員「いや、あなた法律違反は重大だよ」と呼ぶ)いやいや、そういう軽いものでしょうか。そうではないと思いますよ。(小川(国)委員「重大だよ、あなた」と呼ぶ)
○坪川委員長 小川君に申し上げます。発言を求めて発言してください。 さらに、公団の方から説明することも当然ではなかろうかと私は考えるのであります。公団の意見もお聞き願いたいと思います。
○小川(国)委員 委員長、それについてお尋ねしますが、三十分という限られた時間で問題の真実を確かめるためには、一番の総括責任者に聞く以外にないのですよ。だから、私は限られた三十分の中で時間を終わらすために、大臣にあなた違法の事実を認めるかと聞いておるわけですが……
○坪川委員長 よくわかります。よくわかりますが、大臣が公団の総裁からもお聞き取り願いたいと言われるのですから、それも聞いてあげてください。
○小川(国)委員 その分の時間の延長は認めますか。その分の時間はどういうふうになるの。(発言する者あり)終わってしまうでしょう。だから私は、あなた方が言うように、大臣からはっきり違法の事実があるかないかと聞いておる。(発言する者あり)いやそうじゃない。そういうふうに役人が末端で問題を片してしまうからいけない。自民党内閣が責任ないというのはそういうことなんです。大臣がしっかりそういう事実を認めなければいけないんですよ。誤りを正すなら正すで、事実は事実であなたは認めなければいけないのだよ。 じゃ、はっきり違法の事実があったかどうかということだけあなた答弁してくれればいいですよ。公団法違反の事実があったかどうか。その後に土地収用法をやったという重大な問題があるわけなんだよ。違法の要件で農民に対して土地を奪ったり家を奪ったりしている。
○田村国務大臣 違法事実があったかどうかということにつきましては、私がお願いしておることは、よしんば仮に違法事実があったとしても、公団から一応言い分をお聞きくださいとお願いしておるのです。違法事実があったかどうかと言ってきめつけられましても、公団の意見もお聞き願いたい、事実関係でございますから。 大変僭越でございますが、私から委員長にお願いしたいことがあります。そうこう言っているうちに時間が過ぎました。そこで、小川君から先ほどああいう御発言がありましたので、まことに恐縮でございますが、小川君の時間がすでに切れたとはいえども、公団総裁の意見を述べる時間だけはこの際お与えを願いたいと思うのです。
○坪川委員長 大塚総裁。
○大塚参考人 公団としましては、公団法……(小川(国)委員「大臣から答弁を求めておるのです」と呼ぶ)
○坪川委員長 いま発言を委員長が許したのです。(小川(国)委員「いや、大臣の答弁を求めておるのに」と呼ぶ)委員長が発言を許したのでお聞き取り願います。
○大塚参考人 公団法第二十六条によりまして、公団は毎年事業計画並びに予算の大臣の認可を受けて事業をやってきております。ただ、二十四条の業務方法書について御指摘のように認可を受けていなかったということは、実質的には事業計画の認可で足りてはおりましたけれども、やはり手続的に適切でなかったというふうに考えます。
○小川(国)委員 大変残念であります。時間が経過しましたが、いま総裁おっしゃられたとおりなんですよ。手続はやってなかったのです。それで、そういう間に代執行をやって、十万人の機動隊員を公務という名のもとに動かしたわけです。そういうことを言いながら、自分たちは航空法で言う要件と公団法で言う二つの要件、事業計画書の認可は得たと言うけれども、業務方法書の認可は受けなかったんですよ。片肺飛行なんです。そういう形でやってきた。このことに対しては運輸大臣、今度は分科会で十分尋ねますから、公団総裁の過料の処分はどういうふうに行われたか、その点をひとつ御答弁願いたい。大変申しわけないのですが、関係各大臣には分科会で改めて質問を続行させていただきますので、御了承いただきたいと思います。 以上で終わります。
○坪川委員長 関連質疑を許します。柴田健治君。 〔委員長退席、田中(正)委員長代理着席〕
○柴田(健)委員 農林関係についてお尋ね申し上げますが、まず農林大臣代理ですが、農業の振興について一番大事なものは何かということをまずお聞きしたいのです。農業振興について、いろいろ大事なものがありますが、その中で特に一番大事なものは何か、それをまずお聞きしたい。
○渡辺国務大臣 農業の振興について何が一番大事かというと、農業哲学みたいな話でございますから、適正な答えになるかどうか知りませんが、民族が生存するためには食糧が必要なわけであって、その食糧の中で、やはり農業関係のものが多くのシェアを占めておることも事実であります。これをどうして生産をして、しかもつくられた物が有効に消費者に喜ばれて消費をされるか、しかもそれが適正な値段で生産されて、生産する方も生産ができるし、消費者も買うことができる、こういうようなことなどが一番必要な考え方ではないかと思います。
○柴田(健)委員 わかったようなわからぬような御答弁をいただいて、私たちの立場から申し上げると、農業の振興の一番大事なものは人と土地だ、こう思っておる。その人に対する政策、それから土地に対する政策、この二つが明確にならないと本当に農政の基本というものは生まれてこないと私は思う。そういう立場から私はお尋ねを申し上げたわけでありますので、その点は十分理解をしていただきたい、こう思います。 まず土地政策について、土地をどう付加価値を高めていくか、そして農業の国際競争力にどう耐えていくかという立場から申し上げると、もう少し土地の生産性を高める基盤整備というものが一番大事ではないか。こういう立場から、時間が余りありませんから簡潔に順次お尋ね申し上げたいのですが、いまの生産基盤のあり方の方法について一番いいとお考えになっておりますか。
○渡辺国務大臣 諸般の情勢を勘案して、一番いいと思われるものを採用しておるわけであります。
○柴田(健)委員 大臣は代理だから、代理らしい答弁らしいのですが、もう少し自信を持ってお答えを願いたいのですね。 いまの方法については、国営、県営、団体営という三つに区分されてそれぞれ受益者負担の原則が生きておるわけですが、受益者負担の原則論をあくまでも踏襲していく、そういう行き方をする形の中で今日の生産基盤の予算措置をしておる。その予算措置を見ておると、余りにも無責任というか、無計画というか、誠意のない予算執行の姿である、こうわれわれは受けとめざるを得ないのでありまして、とにかくこの工期を一つ取り上げてみても、国営の場合でも県営の場合でも団体営の場合でも、非常に工期がおくれておる。こういう工期のおくれていく原因というものは、ひいては土地の生産性を弱めていく。そして、農民に対しては過重な負担を必然的に強要していくような、結果的には農民に借金だけを背負わしていくような形になっておると私は思うのであります。 たとえて申し上げますと、国営の関係でも、灌漑排水事業は、四十六年度時点をとると、着工から完成まで十三年から十四年かかる。それが五十一年度では十八年も十九年もかかるような計算になっている。二十年近くかかる。十年一昔。いまはもう三年で大きく世の中は変わっておるのですよ。それから国営事業で、一般会計にしても特別会計にしても、特に一般会計は二十八年、約三十年近くかかるような計算になっている。こんな工期で、結局その間通貨の膨張政策等で、高度経済政策ということで大幅な通貨の膨張でありますが、四十六年から今年まで米の価格を見ると余り上がってない。四十三年の時点の米の価格というものは、米一俵が六十キロ八千二百五十六円ですよ。今日、五十一年度で一万六千五百七十二円になっている。約倍です。米の価格は倍になっておるが、工事の方は十年も十五年もかけて、その間受益者負担が、昭和四十四年の時分には受益者農民の負担が大体十アールが二万円前後だった。いま、農民負担が全部十万円以上かかっている。五倍以上に上がっておる。米価は倍になっておる。負担は五倍以上になっている。こういう実態を農林大臣はどう理解しておるのか、まずその点をお答え願いたい。
○渡辺国務大臣 土地改良の中で、特に国営事業等がおくれておるということは事実でございます。特に四十九年、五十年といわゆる狂乱物価になって、総需要抑制策というものがとられて公共事業がみんな抑えられた。やはり農林関係もその中に入ったわけであって、それが進捗率をおそくしておる原因であります。しかしながら、土地改良の問題については全体的に見るとことしも二十数%の伸び率を示しておって、一般の公共事業よりもよけいに土地改良関係には金をつぎ込んでおりますし、おくれた分はこれからもまず十分予算をつけるということ、それから特別会計制度を活用するというようなことでこれは回復をしてまいりたい、かように思っておるわけであります。
○柴田(健)委員 たとえば国営の中でも、農用地開発についても四十六年は十一年、十年前後で完成できておったものが、今日では十八年から二十年かかる。県営の一般灌漑、圃場整備、畑作、広域農道、たとえば畑作の場合は約二十年、二十一年かかるようになっている。団体営にしても大体三年ぐらいで済んでおった。工事着工から実施設計までが二年ほど準備がかかる。工事着工して三年ぐらいで完成する。それなら農民の方も計画的に新しい営農方式が立った。ところが、今日ではもう七年も八年もかかる。農民をだましておるような結果になる。採択する時分には、三年でやりますよ、こう言うておいて、こういう予算のつけ方というものは、継続事業、新規事業、この二つに区分をして要するに農林省はやりたいのだろうけれども、予算がつかないという弱さがあるのではないか。これは大蔵省に責任があると私は思う。大蔵大臣の重大な責任だと私は思う。だから、大蔵省がなぜこんな査定をするのか、こういうことが正しいと思うて査定をしておるのか、予算をつけておるのか、まず大蔵大臣に聞きたい。
○坊国務大臣 お答え申します。 今日の日本の経済事情の中におきまして、また農業の現況におきまして、私は農業の基盤を整備するということが食糧増産の上におきましても、農村や農業の実力をつけていくという上におきましても、最も大事なことであるということは痛感いたしております。 そういうような関係上、五十二年度予算におきましては、一般公共事業費が前年度に比べまして二〇・七%ふえておりますが、この農業基盤につきましてはそれをはるかに上回る二二…四%、すなわち五千三百五十四億円を計上いたしております。農業生産基盤及び農村環境の整備を積極的に進めていくということにつきましては、財政当局も厳しい財政状態のもとにおいて鋭意努力をいたしておるということを御理解願いたいと思います。灌漑排水、圃場整備、農用地開発事業等の積極的推進を図りまして事業の進捗——工期がおくれておるという御指摘でございますけれども、でき得る限り工期の短縮に努めるとともに、畑作振興、農村環境の整備のうち、防災、保全等の事業に重点的に配慮をいたしておるつもりでございます。
○柴田(健)委員 五千三百四十億余り農林関係の公共事業予算をつけておるから、あなたはそういう自信を持って答弁されたが、われわれから言うと、そういう大幅に予算をつけているとは思えない。人口一億として比例した場合に、たとえば八兆四千八百億の赤字公債は国民一人頭八万四千八百円の借金。ところが、われわれ、食糧問題というのは、民族の生存、そして国の安全保障の基本だ、こう思っている。防衛費を見ると、国民一人頭一万六千九百円くらいの予算規模になっている。食糧生産の一番の基本で大事な生産基盤の予算が五千三百億なら一億で割るとたった五千三百円、国民一人頭五千三百円ほど予算を組んで、これで大幅に二二・四%伸ばしましたと言っても、それは農民は信用しない。せめて生産基盤一兆円以上の予算を組んだと言うなら、多少は理解できる。けれども、いまこんな現実ですよ。この現実の姿で、これだけ農民に約束して三カ年なら三カ年で完了いたしますと言うて工事に着工したのが、四年も五年も大蔵大臣の責任で延びるということになれば、延びただけは国は責任を持たなければならぬ。それだけの物価、賃金その他の上昇については、受益者負担に対する原則を変えて、延長した分だけは国が責任を持つという考え方に立ってもらいたいと思うが、大蔵大臣、これどうですか。
○坊国務大臣 御承知のとおり、この五十二年度というものはまことに厳しい予算でございまして、その中におきまして、財政当局としましてはでき得る限りのことを農業に留意をいたした次第でございますが、数字的に大変御不満の模様でございますが、その数字につきましてひとつ政府委員からお聞きを願いたいと思います。ひとつお願い申します。
○吉瀬政府委員 柴田委員の御指摘は、結局前々から言われている問題でございます。要するに、農業基盤整備事業について工期が長いという事実は、私どもも前々から認識いたしております。ただ、いま大臣から御答弁申し上げましたとおり、限られた財源の中でございますから、もしこれを解決するとすれば、新規の採択個所をしぼるか、事業個所数をしぼって工期の促進を図るかというようなことに相なろうかと思います。 ただ、全国的に相当要望がございまして、御承知のとおり五十一年においては、従来から工期がおくれておりました国営の事業につきまして事業を伸ばしまして、五十二年につきましては補助事業について事業を伸ばす。しかも、御説明申し上げましたとおり、一般公共事業二〇・七%の中で、農林関係の基盤整備等の公共事業につきましては二二・四と相当私どもその中でも重点を置いておりますが、御指摘のような事業個所数とあるいは工期の促進ということにつきましては、その相互関係につきまして農林省と将来よく相談してまいりたい、こう思っております。
○柴田(健)委員 主計局長の答弁を聞くと、痛ければ離せという言い方です。新規事業をとめればいいじゃないかという言い方です。これはふざけておると思う。そんな答弁がどこにあるんだ。農民が聞いたらどう思う。いま国際情勢の厳しいさなかということをみんな言うている。日本の農業をどう発展させていくか、コストをどう下げていくか、国際競争力にどう耐えていくかということを長年唱えてきた、政府・自民党がみずから言うてきた、それに対応するためには生産基盤を十分整備していきます。それは自民党の一枚看板。それを今日勝手に予算を査定をしてずるずるとしておいて、新規を抑えたら継続は完全に済むんじゃないか。そんな方法で物を考えるという、そういう発想なら、主計局長なんて要りやしない、女の子の計算でいい。大蔵大臣、どうだ。この問題をあなた責任持って解消すると、こういう方法が絶対いいものかどうか、もう一回あなた明確に答弁してください。
○坊国務大臣 私は、日本の国にとりましても、現段階の事態におきましても、農業政策というものは非常に大事なものである。そこで、日本の生産を、食糧生産その他の物を心配の要らぬように持っていかなければならないということは痛切に感じております。 それとともに、私は、今度の五十二年度予算に際しましては、ここで申し上げるまでもございませんけれども、その他にも大事な大事な項目がたくさんございます。そういったようなものを俎上にのせまして、そして国全体としてどういうふうに配分していくかということが財政運営の非常に大事なところだ、かように考えまして、そしてでき得る限りのことを農林政策に傾斜して財政を、予算を決めていったというふうに私は考えておるのでございます。
○柴田(健)委員 ことしのこの予算については景気問題、景気調整だと、景気対策という言葉を盛んに使われるのですが、まずこの景気対策についても、農林関係の中で特に農林公共事業をふやす方がより一層景気浮揚策については効果がある、こうわれわれは判断しておる。大蔵省は常に予算のときには均衡論をよく言うのです。昨年と、また他省間との関係、いろいろ均衡論を言うて何%伸び、そういうただそろばん勘定だけの均衡論でいくから、農政の大転換というのが一つも出てこない。言葉としては出てくるけれども、予算の面においては一つも生まれてこない。それは大蔵省の重大な認識の誤りがある。先ほど申し上げたように、民族の生存の基本である食糧問題についてはどうすべきかということを、まず大蔵大臣がみずから認識しなければならぬと思う。それをしないところに問題があると思う。 それでわれわれは不思議に思うのは、農林省の関係で品目がものすごく多い。新しい品目には予算がつく。古いのにはもう余りつけない、現状維持論でいく。古いのでもいい仕事があるわけです。新しいやつはやはり思いつきだ。依然として思いつき農政だと言わざるを得ない。それから新しい名称が幾らでもふえてくる。中身は一緒のことをやっている。こういう予算のつけ方に私は問題がある、こう思うのです。 時間が進みますから、生産基盤の問題については今後十分配慮願いたい、こう思いまして次に進みたいと思います。 次に、畜産問題に関係をして、畜産と食糧管理問題の二つにしぼって申し上げたいのですが、まず今月末には乳製品の価格決定をしなければならぬ。酪農振興法に基づいて畜産振興審議会を開く、こういうことになるわけですが、いまの畜産振興審議会の委員の構成メンバーの構成分野というか、われわれ生産農民の立場からいうと納得のできない構成メンバーである。これは長年の不満であります。このきおいに今度はかえてもらいたい。この点について農林大臣はどういう見解を持っておられるか。
○渡辺国務大臣 畜産振興のために畜産振興審議会というものを構成いたしておりますが、これらについてはいろいろな各界各層から出しておってやっておるわけでございますけれども、やはり生産者だけというわけにもいかぬし、学識経験者だけというわけにもいかぬし、消費者ばかりというわけにもいかぬ。したがって、やはり各界各層の人がみんな出ておるいまのようなやり方がいいのではないだろうか、こう私は思っておりますが、さらにいいようなお考えがあればお教えをいただきたいと存じます。
○柴田(健)委員 どうもいままで学識経験者ばっかりを入れて、消費者また生産者代表というのが少ない。引き続いてこの審議会の問題を言いますが、たとえば米価審議会でもそうです。米価審議会の委員構成を見ても、生産者が四名、消費者が三名、あとは、二十五名の構成の中で十八名が中立、学識だ。何が学識か中立か知らないけれども、御用学者、御用機関の代表ばっかりいる。そういうところに農民の心をみずから破壊するようなそういう制度になっておる。だから、畜産振興審議会委員も米価審議会委員もこの際新しい再出発ということで、農民と一緒になって日本の農業振興をやるのだという、そういう基本姿勢を持ってひとつ委員の構成をかえてもらいたい。この二つの点について明快な御答弁を願いたいと思う。いずれわれわれも対案を示していきたい、こう思っておりますが、対案を示したらそれをあなたはのんで、尊重して、委員の構成を講じられるかどうか、お答えを願いたいと思います。
○渡辺国務大臣 私は、米価審議会委員の顔ぶれを見ましても、これは決して生産者に不利な顔ぶれではないと思っています。それはみんな農業関係には非常に愛情を持ったような方が顔ぶれに多いのですよ、実際問題として、ずっと見て。しかも、これはやはり日本の農業をどうするか、食糧をどうするかということをよく真剣に考えてくれる人たちばかり。しかも、この審議会は多数決で押しまくって決めるなんということはやっておらぬわけですから、みんなそれぞれの御意見から、大所高所からのお話があって、また立場上生産者の側は生産者を中心にしたお話があるし、消費者は消費者の方の代表のようなお話があるし、それをどういうふうに取り入れていくか。中立委員と言われる方々も、財政の問題もわからないじゃ困るし、かといって一方的に金のかかる話ばっかりつくってこられたってこれは執行できないわけですから、やはり私は大体このような顔ぶれでいいのじゃないだろうか。任期が来れば人はかわります。かわりますが、特別にかえなければならぬというようには考えておりません。皆さんから、こういうような案があるからどうだと言えば、その案を見てお答えをいたします。
○柴田(健)委員 時間がありませんから、いずれこの審議会の委員の方についてはそれぞれの機関から正式に対案を示し、また大臣の方に示してまいりたい、こう思います。 畜産関係の中で、私は畜安法の改正のように、食肉の輸入についてはある程度規制ができる、こう思って、日本の国内の流通なり国内の肉牛生産について一つのルールが確立された、こう思っておった。ところが、あの法案が改正された直後、生体牛をどんどん輸入している。この生体牛の輸入は法の盲点というか、これは規制がないんだから入れればそれでいいんだと思うのです。しかし私は不思議に思うのは、この間もアンカレジで飛行機が墜落して、生体牛が五十七頭か一緒に乗っておったが、まるで死んだと、こういう。年間どの程度この生体牛を入れているのか。この間のアンカレジの生体牛を購入した、あっせんした商社、委託した業者、その経過を説明願いたい。
○渡辺国務大臣 この間の業者名や何かは事務当局から説明をさせますが、五十一年度では約二千七百頭入っております。 御承知のとおり、四十六年から生きた牛は自由化になっておるわけです。そして二千七百頭という数字は精肉に直すと約六百トンです。したがって、これは輸入量の一%、日本の全体の消費量から比べれば〇・何%というような数字でございまして、国内の需給価格に影響を及ぼすというようなことじゃない。しかも、生体牛については一頭で七万五千円の関税をかける。これはアメリカあたりからはあのときも、禁止関税じゃないか、そんな牛の値段よりも高いような関税をかけるということは禁止関税だといって、国際的には実は非難のあるほど関税も高くなっておるわけですから、入っている結果もしたがってもうからないから入れないのであって、私はこのこと自体は、こいつをふさいでしまうといって大きな国際問題にするよりも、この程度のものを置いたからといって何ら関係ないだろう、こう思っております。
○大場政府委員 この間のアンカレジで起きました事故のときの輸入の商社でございますが、これは鈴木商事という商社と聞いております。 それから、行く先は、卸売問屋を通じまして、具体的にはいろいろスーパーがありますが、そういったスーパーでいわば目玉商品的な形で販売ししておる、こういうふうに聞いております。
○柴田(健)委員 いま大臣が答弁した、大したことない——大したことがなければ、ああいうことは何でもやれるということは、もうほかの、たとえて言えば一億盗むところ百円盗んだんだから、百円ぐらい盗んだって愛きょうがあっていいじゃないか、こういうことと一緒なんで、生産農民に与える影響というものを、あなた、考えてください。まあ食肉の輸入規制についていろいろコントロール、そのために畜産事業団というものをつくってある。あんなことを許すんなら、畜産事業団はだんだん要らないようになってくる。だから、畜産事業団があるために目玉商品にならぬということになれば、事業団が値上げをしておるということになる。だから、そういう考え方というのはおかしいのであって、やはり法治国家らしく規制をして、たとえば鈴木商事が委託を受けてダイエーならダイエー——名前はいま畜産局長言われなかったけれども、畜産事業団からそのスーパーは食肉の販売の割り当てをもらっておるわけです。事業団から割り当てをもらって売りながら、また別に生体牛をよその国から買って売るというのは、どう考えても道義的に私はおかしいと思うのです。畜産事業団から全然割り当てをくれないから、仕方がない、よその国から生体牛を買ってきて自分で屠殺場へ回して販売する、やむを得ないんだというならわかるけれども、畜産事業団から割り当てをもらっておる業者がまたこっちからやるというのは、私は道義的におかしいと思う。規制ができるわけです。何も法的規制じゃなしに行政指導で、そんなことをしたら割り当てをとめますよ——。二千七百頭くらいは大したことはないと言うけれども、農民に対する影響というのは非常に大きいのですよ。この点を大臣はもう一遍ひとつ明確に御答弁願いたい。
○渡辺国務大臣 輸入で去年の実績は六百トンなんです。牛の数で二千七百頭、精肉に直すと六百トン。ですから、それは輸入牛肉の一%程度のものです。したがって、全体の需要からすると〇・三とか〇・二とかという数字になるわけです。これは自由化の問題と非常に大きな関係がございまして、牛肉の自由化をやれという強い主張がかねてあるわけです。しかしそれは、ともかく日本が過剰米処理で生産の転換をやっているときですからできませんと、どこまでも断ってきたのです。生牛はともかく生きた牛ですから、これを持ってくることも実際はなかなか大変です。動物の検疫所もございますし経費もかかる。しかも、これについては自由化はしてありますけれども、いろいろ手続がむずかしい。七万五千円のなにも取られるということですから。きちっとやってしまえ、とめろと言ったって、これは実際は全体の数字から見れば小さな話なんですが、そのためにでかい国際問題を起こすということはやはり得策ではないだろうと私は思う。 それからもう一つはへその業者が畜産事業団の販売割り当てをもらいながら、しかも生牛も入れたじゃないかとおっしゃいますが、これは道義的な問題はどうか知りませんが、消費者の問題も考えているわけです。農林省というのは生産者のことだけ考えているわけでなくて、生産者のことを守っていくけれども、一方では消費者のことも尊重していく、両方の立場に立っていなければ農林省は勤まらぬわけです。ですから、弊害がうんと出てくるということなら話は別だけれども、そうでなければ、いまの段階で荒立てる必要はないんでなかろうか、かように思っておるのです。御納得いったでしょうか。
○柴田(健)委員 納得はできないのですよ。それで、畜産事業団の手持ちがふえてにっちもさっちもいかなくなった時分には、いずれまた農林省はいろいろな形で日本の生産農民にしわ寄せをするようになるわけです。いまはもう大したことはないだろうというにきび論だと思う。けれども、これが日本の和牛生産、肉牛生産の農家に精神的に与える影響というものをまず考えなければ、りっぱな農政をやっておるとは言えないと私は思う。 時間がないから前へ進みますが、もう一つは生乳の流通改善なり消費拡大というものは、日本の酪農家にとって非常に大きな問題なんです。価格問題を含めてそうですか、とにかく年間三百万トンから三百二十万トン生乳を飲んでおる。その中で一割近く、三十万トンほどが還元乳ということで、これがいつも問題になってくるわけですね。この還元乳というのは、われわれの立場から言うとどうもインチキだ。インチキ牛乳だ。あれは化学飲料水に入るのではないか、牛乳という名前をつけるのはおかしい、こういう考え方を持っておるわけですが、その還元乳をある程度規制してくれというのが酪農民の強い要望なんですよ。これは長年の懸案なんです。これが一つも直らない。これは厚生省の担当なんですが、厚生大臣、あなたは厚生大臣で、農林大臣を兼務しておるが、厚生省としては、還元乳の問題と、いままた酪農界で問題になっておるロングライフミルクという、この問題について規制はできないのか。ある程度規制ができるのか。その点の見解をまず聞いておきたいと思う。
○渡辺国務大臣 厚生省は農林省とまた違うわけでありまして、これは食品衛生法等の関係から関与をしておるわけでございますが、還元乳は加工乳として従来からあるわけですよ。これについて、昭和四十七年の食品衛生法の一部改正の際に、加工乳については生乳を七〇%以上含むものとすべきだというような御決議等もございましたものですから、そのような趣旨にのっとりまして、実は農林省には全面的に御協力を申し上げて、そういうようなことが決まった以上はちゃんと表示をしなさいというようなことを指導をしてやっておるわけであります。加工乳をやめてしまえという議論もあるのですが、それはなかなかむずかしい。やはり場所によっては九月から十一月ごろまで牛乳の不足する地帯等もあって、生乳はそんなに長くとってはおけないし、やはり加工乳をやめるというわけにはいかない。しかし、できるだけ生乳で飲んでもらうように御協力は申し上げております。
○柴田(健)委員 時間がありませんから、次に進みたいと思います。 まず、農林省の予算の大筋の大綱というものは三本の柱になっておる。一つは食管制度の予算、一つは奨励金、行政費という非公共事業の予算、もう一つは公共事業という、この三本の大筋の柱が農林省の予算の大綱なんですが、その中で食管の問題は、常に国民的な立場と生産農民、消費者の立場といろいろに角度を変えて論議が出てくるわけです。われわれも食管の中で、輸入食糧というものをある程度規制してもらいたい。ほら休耕、ほら生産調整、ほら減反政策ということで日本の生産農民だけに行政権を乱用していくというやり方はおかしい、消費者行政にももうちょっと行政権を使うべきではないか、輸入行政についてももっと行政権を使うべきではないかという、それこそ均衡論をわれわれは持っておるわけです。 〔田中(正)委員長代理退席、委員長着席〕 ところが、いまの時点では日本の生産農民だけに行政権を使って抑えつけていく。価格問題にしても、また買い入れ限度の問題についても、輸入にもう少し買い入れ制限をやったらいいじゃないか、こういう考え方を持っておるのです。食管で常に赤字が出る、食管赤字論、逆ざや論、いろいろ問題がその都度出てくるわけです。特に、われわれは食管の問題で二つを考えなければならぬ。これ以上赤字を出してはならぬということも考えなければなりませんが、食糧管理法という法律の精神を十分理解する、第三条、第四条の条文を生産者も消費者も全国民がもっと理解しなければならぬ、こう思っておるのですが、これが歪曲されていろいろと意見が出ている。自民党の中川一郎君は、食管制度をもうやめてしまえという発言をこの間朝日新聞に投書しておられたようです。ゆゆしき問題だと思う。けれども、私は、これから日本人がつくる米をどう消費拡大をするか、消費拡大をするために現行の流通制度がいいのかどうか。たとえば自主流通米制度、私たちは自主流通米制度はインチキだ、こう思う。あれは消費者をごまかす、生産者をペテンにかける、こういう考え方を持っておるのですが、自主流通米制度は食管法を悪用した、法を悪用した一つの発想であると思っておる。自主流通米制度はやめるべきだという判断に立っておるのですが、しかし、その自主流通米制度——政府が標準価格米をつくって、要するに米屋、小売店に置いておくわけですが、どうも政府が示したその標準価格米の質が悪いということと、ちょいちょい店先から消えてしまう。自主流通米、そういうものだけしか置いてない。量から言うと、自主流通米は百七十万トンほどですから、二〇%程度だから、政府の標準価格米の方が店舗には多くなければならぬはずだ。それが切れるというのは、どうも販売の方法についてもう少し行政的に指導、そしてまたこの点検というものが十分なされてないのじゃないか。それから、米を買いに行っても、標準米を買いに行ってもないと言われる。高い自主流通米の方があります。いまも賃金が上がらない、所得が上がらないから、どうしてもできるだけこの標準価格米を買いたい、それが買えないというようなこと。たまに買ってみるといろいろな悪い米をまぜておるというような意見があって、消費者が米屋さんに対して不信感を持っておる、信頼をしていない。また悪い米を押しつけられるのかと、こうなる。そういう不信感を持つところの米屋に消費者が足を運ぶかどうか。即席ラーメンやその他でしんぼうしようと、こうなる。この流通についてもう少し鋭意検討、メス、そしてまた改革というものに本気で取り組む必要があるのではないか、こういう気がするのですが、その点の見解を聞きたい。
○渡辺国務大臣 私は代理でございますから、将来の改革の方法の具体案を提示することは差し控えますが、先ほどのお話の中で、たとえば行政指導をもっと輸入や何かについてやれということを言っておりました。しかし、生産者の方ばかり悪い行政指導をしていると言いますが、私はそう思わないのであって、一般のサラリーマンの方やあるいは消費者の方から聞きますと、ともかく農家にばかり保護し過ぎじゃないかというようなことを逆に言われることが、率直な質問を受けることが非常に多いのです。ですから、決して日本の農家に対する指導が冷たいなんということはあり得ない。私は最大限の温かい施策を行っておる、こう私は思っておるわけでございます。 また自主流通米制度というものはいかがなものであるかということですが、これは、これができたときのいきさつを考えてみなければわからないのでございまして、やはり国民の所得がだんだん高くなってきますというと、生活費の中に占める米の代金というものが少なくなって、すでにもう二%を割っちゃった。米騒動の起きるころは三〇%も生活費の中で米代がかかったものだが、いまや三%を割っちゃった。二%台になってしまったというようなものですから、できるだけうまい米を食いたいということを言うわけであります。ところが、うまい米といっても、やはりうまい米とまずい米の値段というものを政府の国家権力でつけるということは言うべくしてどうしてもできない。したがって、うまい米は手数もかかるだろうし、取り方も少ないというようなことから、自主流通米制度をつくって、それは農協が一定の指導のもとに食管制度の枠の中で売ってよろしゅうございますよというふうにつくったわけです。したがって、これが現在二五%ぐらいのシェアになって喜ばれておるわけです。東北の方なんかではかなり喜んでおる。東北のうまい米を、まずい米の地帯と同じ値段にするということは問題があるのですよ。しかし、政府でそれを強制的にできないものですから、ある程度自主的にお任せをしておって、米の味が価格に反映できる面も開いてあるということは御了承いただきたいと存じます。
○柴田(健)委員 いずれこの問題は改めて論争しなければならぬと思う。 次に、食管会計で赤字が出る原因をいろいろ調べてみると、韓国へ相当米を貸し付けをしておるのと、延べ払い分として売っている。韓国に売っている。貸し付けが四十四年三月十一日で三十三万三千トン、これは十年据え置き二十年償還。第二次が四十五年二月十日で三十万トン、十年据え置き二十年償還。合計、貸し付けが六十三万三千トン。それから延べ払いとして売ったやつ、四十五年十二月十六日十五万トン、十年据え置き二十年償還。第二次、四十六年四月一日二十五万トン、これも十年据え置き二十年償還。第三次、四十六年七月二十八日二十万トン、これも十年据え置き二十年償還。第四次が四十八年六月十二日十五万トン。計七十五万トンが売却されている。貸し付けが六十三万三千トンで、売却が七十五万トン、合計百三十八万三千トンということになる。このうち貸し付けは、貸借対照表では七百九十七億七千二百三十四万円というのが韓国に貸し付けの代金として払われている。売掛金の方の七十五万トン、これは非常に安く売っている。売掛金の一千五十一億円の中で三百六十億五千五百万。貸した方の台帳価格は六十三万三千トンで七百九十七億の台帳価格になっておるが、七十五万トン売った方は三百六十億五千五百万、これは十年据え置きで二十年償還になっている。金利が二分、二%、償還に入ると三%になるわけですが、この七十五万トンの三百六十億円を計算すると、トンが四万七、八千円。日本の農民から買った価格を見ると、四十七年が八千九百五十円で約九千円。農民から買い上げたものが約九千円で、韓国に売ったのが一俵二千七、八百円、二千八百円くらいで声っている。これだけ安く売った上に、金利が二%で、それで売掛金として食管会計の貸借対照表の中に載っている。これもいろいろやむを得ない、これは商取引で売ったのだろうか、海外経済協力というか、経済援助の形でやったのか、どちらなのか、この点をまずお答えを願いたい。
○渡辺国務大臣 結論を申し上げますと、これは過剰米処理の一環としてやったわけでございます。したがって援助でもございません。当時七百万トンの過剰米を持っておって、一年間一トン一万円かかる。そうすると過剰米の金利、倉敷代だけで七百億円かかる。にっちもさっちもいかない。置く場所がない。中禅寺湖にでも沈めようかというて騒ぎをしたときですから、(「倉庫に入れたらいい」と呼ぶ者あり)入れる場所がない。当時は倉庫はいっぱいなんです、どこでも。いっぱい入っておって、入れる場所がなくなって、それで援助にくれたらどうかという話も出たわけです。ところが、もらう方が援助ではもらいたがらない。どうしてもらいたがらないかと申しますと、どうせ評価をする場合は、日本は援助とすると一トン十六万円ぐらいで評価しなければならない。本当は値打ちのないものを高い値段でもらった計算にされるから困るというようなことで、結局国際価格で売ろうということになった。ところが、ともかくそれを買う人がなかなかないわけです。そこで、これは一トン一万円とか二万円でえさにまで払い下げたわけです。しかし、それよりは高い四、五万円のところでインドネシアとか韓国とかパキスタンとかバングラデシュとかほかのいろいろな国々に売ったわけです。そういうようなことで、結局過剰米処理の一環としてやったのです。 それじゃ持っておって、その分を食わせて、麦を入れないでいつまでも持っておいたらいいだろうという御議論がありますが、三年も四年も持っておって、これ以上持っておったのでは黄変米になってしまうのです。黄変米になってしまっては、今度国民の方から文句が出て、腐った米を食わせるかという話になりますから、そこで腐らないうちに——腐った米を配給されたのでは厚生大臣としても困るわけですね。だから、緊急避難的に輸出をしたというのが真相であります。
○柴田(健)委員 渡辺大臣はそのときの状況を言われましたけれども、計算してみると、結局ただでやるようになっている、本当は。金利を二%とかで。たとえば日本の国民にその米を二万円なら二万円で売って、すぐ現金を持って預金をしておいたらどれだけ金利がつくかということを考えた場合に、日本の家畜農家に安く売った方が財政的にはよっぽどプラスになる。三百六十億の金利二%というと年間七億ですね。実際普通なら六分ですから、三倍になると二十一億の金利が入ってくる。金利をどんどんまけていくと、十年置いておいたらもとはただになってしまうのです。だから結果的にはただでやったことになる。向こうはそれをどういう方法で使っておるか。韓国の国民にどれだけの価格で売って、十年も三十年もその資金を政府がどういう形で使っておるかはおよそ見当がつくわけです。 この米を韓国に輸出をした取り扱い商社、安宅産業、三菱商事、伊藤忠、三井物産、兼松江商、口綿実業、日商岩井、住友商事、東食、トーメン、加藤商会、丸紅、明和産業、金商又一のうち加藤商会、金商又一、明和産業というのがわれわれはちょっとひっかかるところがあるのです。一遍に七十五万トンを出したということは、これだけの十四社をフルに活用することも考えるけれども、年次が違うし、なぜこれだけの商社を使わなければならなかったのか、ちょっと理由がわからない。この点ひとつお答えを願いたい。
○渡辺国務大臣 その輸出先は韓国だけでなくて、これは先ほど言ったようにたくさんの国があるわけですよ。しかし、これは米を食う国でなければ買ってくれないわけです。ですから、韓国だけ言われましても困るのでありまして、その他の国にもたくさん売っております。 それから、えさで国内に払い下げたらいいだろうというお話がありました。これは国内にも払い下げているのです。四百万トンぐらいなものは国内で消費しているのですが、なかなか消費し切れないわけです。どうしてかというと、御承知のとおり鶏だって米ばかり食わしたら卵を産まなくなっちゃうわけです。米をよけい入れたら鶏の卵の黄身が白くなって商品価値がなくなっちゃう。だからあれはトウモロコシみたいに黄色いのを入れているわけです。やはり一割以上は無理であるということになる。それから豚も米をうんと食わせば食べますよ。食べるけれども、脂肪ばかり厚くなって値段が安くなっちゃうわけです。そういういろいろ苦労に苦労をした結果やっておるわけですから、実際のところそんな手落ちは余りないのです。 商社のことは農林省から説明させます。
○柴田(健)委員 もう時間が参りましたから、いずれ改めてこの問題は論議したいと思うのですが、私は、食管会計へいつまでも置いておくのはいけない。これは大蔵省へ移管して、別の経済協力基金制度に入れるか別の立法措置をしてつくるかしないと、食管会計は依然としてこういう膨大な赤字を貸借対照表の中で持たなければならぬ、不合理だ、こう私は思いますので、その点の見解を一言だけ聞いて、いずれまた改めて質問します。
○渡辺国務大臣 約一千億円近い金が食管会計の中で処理されているのではないか、それは食管会計でなくて援助かどこかへ回せという御質問だと理解をいたしますが、これはいきさつが、過剰米処理ということで、それによって需給の均衡がとれて米価の値上げもできるようになったし、国内的にも一応安定の状況になっているという点からすれば、まあいろいろな理屈があるが、食管特別会計の中に置くのが仕方がないのかなという程度でございます。
○坪川委員長 これにて小川君の質疑は終了いたしました。 次に、吉田之久君。
○吉田委員 初めに住宅問題についてお聞きいたしたいと思います。 この間、公明党の正木さんの本委員会における質問におきましても、今日、日本住宅公団は一万二千戸の空き家住宅を抱えておる、また千六百ヘクタールに上る遊休土地を持ち合わせておる、このままでは第二の国鉄になりはしないかということがいま大変心配されていることは事実でございます。 そこで私は、今日公団住宅が遠くて狭くて高いからという理由によって次第に空き家がふえていることを憂うる一人でございますけれども、しかし同時に、今日その居住性そのものがやはり、入居しようとする人たちの側から見て大変問題になってきているのではないか。昔のように住宅に困り果てている時代ならばまだしも、今日、住宅は欲しいけれども、よりベターな住宅がないだろうかという考え方は否めない事実であります。そういうときに、依然として今日住宅公団の部屋は全部がもう白い壁一色ではないか。しかも、結露と申しまして露が非常に浮かぶ、そういう弊害がございまして、特に各棟の事情あるいはその位置にもよりますけれども、非常にひどいカビが発生する。したがって、家具や洋服ダンスなども全然だめになってしまう、こういう苦情が頻発しているわけであります。にもかかわらず、防露工事等に対する公団の対策には依然として積極的なものが見られない。その仕様書などにも一向対策らしきものが出てこない。こういう状態でありまして、入居希望者の中には、いかに公団がPRをなさいましても、むしろ口コミの方が早くしかも確かに伝わっていくわけでありまして、この住宅ではだめだよというような声が次第に広がってきているような気がいたします。こういう点につきまして、総裁はいかがお考えでございますか。
○南部参考人 お答えいたします。 結露の問題につきましては、最初鉄筋住宅に対する居住の仕方というのがまだ一般的でなかった時代、大変問題になりました。私どももこれに対してどのように対処していいかということで、いろいろ技術的な検討もいたしまして、現在は、北側と妻壁につきましては二・五センチの断熱材を張るということで、この対策を講じておるわけでございます。なお、バランスがま等で外気との排気の良好を期するということでBFがまを使用しておりますところの団地においては、結露の問題大分少なくなっております。 そのような点から、技術的に、過去に施工いたしました団地につきまして、どうやったら一番結露の問題が防げるかということで、修繕費等を充当いたしまして、逐次改良に手をつけておるところでございますけれども、何しろ過去のストックが三十万戸にも及びますものですから、手が回りかねているところがありますのは先生御指摘のとおりでございまして、できるだけ早くこの問題につきましても修繕の実を上げたい、このように考えておる次第でございます。
○吉田委員 特に新しい団地に対して全然まだその対策が講じられていないように聞いております。現地では保全課長らが大変苦慮している状態のようでございますから、一刻も早く科学的なよりベターな材料を選びながら、今後こういう問題を起こさないように相当の努力が払われなければならないと思います。 次に、家賃の問題でありますけれども、最近マンションでも月十万円ずつぐらいローンで払っていけば、二十年ぐらいたてば自分のものになる、こういう現状にあります。しかし、一方公団の場合には、2DKで月六、七万円家賃を払わなければならない、それも永久に自分のものにはならない。また、最近傾斜家賃を採用しておられますけれども、たとえ当初五万円程度の家賃で入居いたしましても、年七%のアップでまいりますと十年後には確実に倍になるだろうと思います。こうして、自分のものにもならない公団、しかも十万円も将来は払わなければならない、また敷金も三十万ないし四十万円近く払わなければならない。それほど無理をしてしかも将来夢のない団地に入ることはいかがなものだろうか。 なお、私どもが一番心配いたしますのは、経済成長の激しい時代ならばまだしも、こういう低成長時代に入ってまいりますと、果たしてこの不況の中で入居希望者の将来の賃金というものがそれほど順調に上がっていくだろうか。こういうことを考えますと、なかなかに不安でありまして、ついに住宅公団に入居することに決心、踏ん切りがつかないという傾向が最近とみにふえてきているのではないかと思うわけでございますけれども、こういう社会経済の動向と見合って今後の家賃問題をどう設定していくか、総裁はいかにお考えでございますか。
○南部参考人 石油ショック以来の建築費の急騰に伴いまして、昭和四十六年あたりには二月当たり四百万円でできた中層耐火の住宅が、五十年度一千万を超える、五十一年度一千二百万円ということになっておりますので、これに伴いまして、現在七十年、五%の金利ではじいております家賃もどうしても六万円台になるという現状でございます。これをできるだけ何とか現在の勤労者所得に合わせたいということで、実は傾斜家賃制度というものを導入いたしました。先生御指摘のとおり、できるだけ傾斜の幅を少なくいたしまして、当初は五年ぐらいで五%程度で傾斜を考えておったわけです。それがだんだん現在では六・九%ぐらいの傾斜の率を採用しなければならないということでございまして、この家賃と勤労者の収入との乖離の問題につきまして、現在建設省におきましても、住宅宅地審議会におきまして家賃問題全体について御討議を願っているわけでございまして、われわれも一日も早くその結論を得まして、公的賃貸住宅の家賃体系をどうするのかということについての結論を得られるように希望いたしておる次第でございます。 さしあたりましては、五%の率は償却を——特に建築費の高騰いたします面開発でありますとかあるいは高層住宅につきましては四・五%に本年度から引き下げまして、これによって五、六千円の家賃の引き下げを行う。家賃の中に占める金利負担分が一番多うございます。約半分を占めております。したがいまして、金利計算を五%にするのか四%にするのかというような問題にも一つの一番の家賃を下げるポイントがございます。こういう点でいろいろ財政当局とも御協議の上、この問題については善処していきたい、このように考えておる次第でございます。
○吉田委員 次に、資金問題でもいろいろ公団の将来にとって心配な面が出てくると思うわけでございまして、いかに財投による資金であってもそれは無限でないのであります。したがって、この辺で公団自身が公団のあるべき住宅の基本的な構想について、改めてひとつ再検討なさるべき時期に来ているのではないか。 私どもの考えでは、大体地方公共団体等でニュータウンを設定する場合に、公団にもひとつ乗らないかという誘いかけが必ずあるようであります。結局断り切れずに便乗なさっている。乗った途端に学校とか保育園をつくれと公団に要求される。本来は自治体がやるべきものでありますけれども、現状においてある程度負担を持たざるを得ない。せっかく道路をつくっても、その後の管理面等で市はこれを市道として扱ってくれない。こういう状態が続いてまいりますと、公団も将来ますます苦しくなる一方であろうと思うわけであります。結局借入金もふえてくるばかりであります。私は、こういうパターンがそのままで、ただ予算規模が大きくなりながら三十年間続いているのが今日の日本住宅公団の実態ではないかというふうな点が気になってならないわけであります。この辺でさらにもっと独創的な自主的な事業の進展というものを本気で考えるべきときに来ているのではないか。 なお、資金需要の点でもさらに一歩踏み込んだ一段の工夫が必要だと思うわけであります。たとえば住宅分譲債券にしても、いろいろ御苦心はなさっておりますけれども、私どもの聞いておりますところでは、東京や大阪では直ちに売り切れたけれども、名古屋や福岡では未消化の分があったというふうにも聞いております。最近の物価高騰では約束価格が倍になるおそれがありまして、ことしからは価格を表示しないで住宅分譲債券を募っていかなければならない、こういう現状にもあるわけであります。 そこで私どもは、たとえばこの際、ひとつ債券に適当な金利をつける工夫をしてみることはできないだろうか、あるいは思い切って最近はやりの宝くじ債券のようなものもひとつ考えてみるのも賢明な方法ではないか。優先分譲あるいは優先入居という確かな現実面の期待を持ちながら、さらに夢のある債券を募集していく、こういう工夫もアイデアとして必要な時期に来ているのではないかというふうな気がするわけでございますが、いかがでございますか。
○南部参考人 特住債の制度につきましては、本年開始いたしまして、従来は実は団地を固定いたしまして債券を発行しておったのでございますが、この債券の利率は、実は四%、五%と非常に低いものでございました。したがいまして、そういう面も考慮いたしまして、今回は大体定期預金並みの金利にこれを直すということにいたしたわけでございます。 資金の調達のために宝くじ式なものをという発想は、非常に斬新な発想でございますが、御承知のように、宝くじにつきましては、それぞれ特殊な立法、法制上の制約がございます。そのようなことで現在まではそのような考えを持っておりませんですけれども、これから行く行くの資金需要はだんだん増大してまいりますので、あらゆる点でなお検討させていただきたいと存じます。
○吉田委員 次に空き家の問題でございますけれども、大和郡山市におきましても、すでにちゃんと住宅ができ上がっておりますのに依然として全く未入居の状態。それは公共下水が完備できていないので入れない。あるいは京都の醍醐石田などにつきましては、結局小型過ぎて高家賃であったのでそっぽを向かれた。あるいは滋賀の美空の場合にはびわこローズタウンに食われてしまった。その他全国至るところ、こういうまことにほめられない状態が続いていると思うわけであります。私はこれは予測しがたい状態ではなかったと思います。すべては調査が不十分ではないか、予見の不足ではないか。今後こういうことを繰り返しておられるようでは、将来の公団は大変なことになると思うわけでございますが、その点についてどう反省していらっしゃいますか。
○南部参考人 従来、用地の取得に当たりまして、実は四十八、九年ごろ、公団といたしましてもなかなか用地の取得ができませんものですから、用地の申し込みがあるとどこでも飛びついたというような形で用地の選定をしておりました。先生御指摘のように、この経済の変動に伴いまして、また一般に非常に選択の自由が住宅についても大きくなってきておる現在におきましては、やはり初めから国民のニーズにこたえるような立地の選定が非常に大事であるということを痛感いたしまして、今後同じような過ちを繰り返さないように、現在用地の取得につきましては、民間の需要、民間マンションの付近における立地条件あるいはそれの応募状況、こういうようなものまで全部調査の上で用地の選定に当たるというように、慎重な構えで現在用地の取得に当たっております。したがいまして、今後、いま御指摘のようないろいろな問題につきまして極力これを避けていく。醍醐石田におきましては、御指摘のように1DKが五百戸というようなことでございまして、これは単身に開放するというような方途でいま再募集をしている次第でございます。
○吉田委員 次に建設省の方に聞きたいのでありますけれども、この公団住、宅の保守、営繕の問題につきまして、団地サービスという会社があって、それが主として担当いたしておる。あるいは、さらに一般の営繕業者が直接あるいは団地サービスを通じて間接にこの営繕業務に当たっているという事情でございますが、まず一つは、この団地サービスという会社が大変内容がいいようでございます。公団の方が非常に苦しんでいるのに、その下請であるべき団地サービスが非常に事情がいいようでありまして、たとえば公団のボーナスは三・五カ月分しか出ておりませんのに、団地サービスでは四・五カ月分が支払われているはずでございまして、この辺にもいろいろ問題があるのではないか。決してボーナスが高いことを責めるわけではございませんけれども、やはり高い家賃をいかに低くしていくかという点では、そういう保全関係につきましても、その制度、体制あるいは運用等について一段の工夫がなされなければならないのではないかというふうに考えます。 同時に、民間の個々の営繕業者がいま一番悩んでおりますことは、建設業法で現在二十八種の職種を決めてそれぞれの許可を与えておりますけれども、しかし、公団の営繕に当たるべき人たちの場合には、いわば非常に多岐にわたる、そして個個その仕事はミニでありますけれども、全体的には非常にゼネラルな分野に対応しなければならない。そういう職種でありまして、この公団住宅あるいはその他いろいろな公営住宅がこれから日本にますますたくさんふえてくる現状に際しまして、その入居者のためにも、こういう営繕にかかわる業界のために、さらに一段の配慮がなさなければならないのではないか。特に、その業法の改正によりまして、そういう住宅営繕工事業というようなものを第二十九番目の職種に入れるべき時期に来ているのではないかというふうに考えるわけでございますが、いかがでございますか。
○大富政府委員 建設業業法を四十六年に改正いたしまして、建設業者の専門化を促進しましてその専門的な施工能力を向上させたいという目的で、御案内のとおり二十八業種、しかもこれは法定をいたしたわけでございます。 お述べになりましたような住宅営繕工事業は、確かに新しい需要のある業種だと私は思います。この二十八業種の中に、現在、大工工事業とかあるいは左官工事業とか塗装工事業とか多分に重複する業種もありますので、一体既存の業種とどう仕分けした方が現在の要請にマッチする業種区分けになるか、十分検討させていただきたいと思います。
○吉田委員 それでは、次に防衛問題について御質問いたしたいと思います。 さきに防衛庁は次期戦闘機にF15を内定し、五十三年度には確実に導入すると三原防衛庁長官も国会で答弁なさったわけでありますけれども、しかし、去る二月二十四日、ブラウン米国防長官が、F15の火器管制装置FCSと空対空ミサイルに欠陥があり、これを改良するには今後五年間を要するということを公式に明らかにしているわけであります。このことはきわめて重要な事態の変化であると思いますけれども、政府はこの問題に対してどう対処しようとなさっているのか、長官のお考えを聞きたいと思います。
○三原国務大臣 お答えいたします。 ブラウン国防長官がアメリカ議会で証言をいたしましたことにつきましては御指摘のとおりでございます。しかし、事実私どもにおきましては、F15を今日まで内定いたします諸般の準備をここ数年間検討いたしましてそこに到達したわけでございます。したがいまして、どうした理由でああした証言をなさったか、そういう点について目下アメリカ国防省に対しまして十分な照会をいたしておりまするが、現在のところ、まだその回答を得るに至っておりません。しかし、事実現在のところアメリカにおきましてはF15が就役をいたしており、またその生産も続けておる現在時点でございますので、私ども、その実際の具体的な内容等についてそれを十分確かめた上でやっていかねばならぬということで、現在のところこれを見直すというようなことは毛頭考えておりません。そういう段階にあるわけでございます。
○吉田委員 回答待ちであるけれども、現段階においてはまだ見直すところまでは考えていないという御答弁でございますけれども、それならば改めてこのFXの問題、特にF15を内定するに至った調査の段階におけるいろいろな事項につきまして問いただしていきたいと思うわけでございます。 まず、FXの調査団は、TF15にだけ乗ってテストされているはずであります。実際にF15に搭載する火器管制装置のAPG63については全くテストしていなかったのではないかと思わざるを得ないのでありますけれども、この点はいかがでございますか。
○伊藤(圭)政府委員 調査団が乗りましたF15は二人乗りのTF15でございます。しかしながら、乗りましたその飛行機、現在は全部同じFCS、火器管制装置を装備いたしております。
○吉田委員 TF15用のAPG63はまだ実際に運用でき得る段階にはなっていなかったはずでありまして、それをあたかも要求性能が出ていて確認し得たようは報告をしておられる点が私どもにとりましてはどうしても理解ができないわけでありますけれども、その点はいかがでございますか。
○伊藤(圭)政府委員 いま先生がおっしゃいましたAPGの64でございますが……(吉田委員「63」と呼ぶ)63をF15に装備しているわけでございます。64の方はこれは幾つかつくっておりますけれども現在は使っておりませんで、調査団が乗りましたTF15の指揮装置FCSはまさに63であったというふうな報告を受けております。
○吉田委員 ちょっとあいまいな点がございますが、まあそれは後でまた機会を見て聞くことにいたしまして、次にスパローの問題でありますけれども、AIM7FもそのFCSとともに欠陥があるということをいまアメリカの国防当局が発表しているわけでございますけれども、そういうものを内定しているということはまことにこれは無責任な問題になってきはしないか。いかにF15の性能そのものがいいとしても、結局一番重要な火器管制装置、その他搭載兵器がきわめて欠陥があるようであるならば、まさに無用の長物でありまして、この辺のところについて今時点で防衛庁はどうお考えでございますか。
○江口政府委員 御承知のように、AIM7Eあるいは7Fは俗称スパローと申しておりますが、スパローは、7Eというのは従来使っておりますスパローでございまして、先生御指摘の7Fというのは、これは一両年前から生産に着手しておるものでございます。現在千数百発がアメリカでつくられておるというふうに聞いております。この点につきましていま御指摘の国防長官が議会で御証言になったということでございますが、私どもまだ正式に先方から公式の回答を得ておりませんので、いわゆる新聞情報というふうにお考えいただきたいと思いますが、それを見ましても、必ずしも欠陥であるとは言っておらないように考えております。と申しますのは、一応アディクエートと申しますか、適当ではある、しかし若干まだ改良すべき問題があるというふうに理解しております。具体的に申しますと、いわゆる低空で高速で入ってまいりますような相手方に対しまして完全に追尾できるかどうか、あるいは敵方から妨害電波、ECMと言っておりますが、そういったようなものがあった場合に、それにどれだけこたえられるかといったような点が私どもの推測では一応問題点として挙げられておるというふうに思いますけれども、これも一応改良の途次にあるものでございますので、いまの段階におきましては、ほぼ要求は満足されておるというふうに理解しております。そういう意味で必ずしも欠陥であるとは私ども考えておりません。
○吉田委員 いまお話ありましたルックダウン能力については確かにF4よりもすぐれているというふうに言われているわけでありますけれども、実際その運用審査のデータも現に明らかにされておりませんし、ただそうであろうかという程度のものではないかという点で私たちは大変まだ不十分な調査であるように思うわけでありますが、大体今度のこの防衛庁が報告をし、またF15を内定する経過をいろいろ公表しておられる文書などを読みましても、結局F15を選定した理由には、むしろF14やF16が欠点があるからF15が最適なんだというふうな表現が随所に見られるわけでありまして、大変その点では根拠の薄弱なものであり、しかもいまアメリカの方からこういう欠陥があったということを公表してきている事実から考えまして、F15を直ちに採用するかどうかという点については大変私たちは危惧の念を抱かざるを得ないわけであります。 そこで、F15は当面の環境におけるわが国の防衛に必要な戦闘機としては最適であるということをしばしば防衛庁は申しておられますけれども、一体F15が最適であるというものさしは何なのか。この辺から御説明をいただきたいと思います。
○伊藤(圭)政府委員 新しい戦闘機の要件といたしまして私どもが考えましたのは、一九八〇年代の航空の脅威に対応できる能力というものが重点でございました。その時期になりますと現在と非常に違ってまいりますのは、戦闘機が日本の上空まで飛んでこられる。すなわち従来爆撃機の脅威というものを中心に防空態勢を考えておりましたが、戦術戦闘機に対応できなければならないという要請があるわけでございます。したがいまして、この新機種の選定に当たりましてはまず第一に性能の面ということでございまして、その中には全天候性とか、あるいはいま申し上げました対戦闘機に対する戦闘能力、これは上昇能力とかあるいは操縦性能といったような飛行性能になってまいります。さらに、日本の置かれております。この海に囲まれました列島におきましては低空侵入の可能性というものがきわめて顕著になってまいります。したがいまして、いわゆるルックダウン能力といいますか、高いところからも下を見通せるという能力。それから一九八〇年代になりますといわゆる電子戦の時代に入ります。したがいまして、この電子戦にたえ得る能力、そういったものが性能の面では特に重視されたわけでございます。さらに安全性の問題あるいはパイロットの教育の問題、さらには後方支援態勢の問題、そういうものを含めまして適切なもの、それから費用対効果の高いもの、そういうものを考えたわけでございます。したがいまして、御承知のように防空任務というのは、ほかの陸上あるいは海上と違いまして、その兵器そのものが非常に高い性能が要求されるわけでございます。日本の地形を利用したりあるいは海峡等の防備と違いまして、空におきます一対一の戦いになるわけでございますから、そういった意味の戦闘能力を重視し、さらにいま申し上げました後方支授態勢などを含めまして、一定の機数をもって一番効果が上がるのはどういう飛行機であるかというような観点から調査をいたしまして判断をした次第でございます。
○吉田委員 その判断の材料の中に、F15は米空軍の戦闘機である、米海軍のものではない。米空軍の戦闘機をわが国の自衛隊と合わせることが非常に今後の運用面でベターであるというふうな判断がかなり大きく作用しているのではないかというふうにその皆様方の発表されている文章からも見られますし、われわれもそういう感じがいたします。その点はいかがでありますか。
○伊藤(圭)政府委員 私どもは米空軍機ということは特に重視したとは考えておりません。しかしながら、米軍機であるということは、いままでの長い経験からいたしまして補給の面あるいは教育の面、それからまた有事に際しましての日米安保体制に基づく米軍の支援期待をする、そういった面におきまして米軍機であるということはやはり好ましいことであるとは考えておりました。しかし、空軍機であるということは必ずしも必要条件ではなかったわけでございまして、現にいま主力になっておりますファントムは米海軍の主力戦闘機であったものでございますので、その点は特に考慮したということはございません。
○吉田委員 じゃ重ねて運用構想と運用要求についてお聞きしたいと思うわけでありますけれども、この運用構想や運用要求は航空幕僚幹部でつくったものでございますか。
○伊藤(圭)政府委員 運用要求は、航空幕僚長が関係の、いわゆる隷下の部隊の意向等をくみまして運用要求として決定して長官に上申したものでございます。
○吉田委員 ところが、その第一線部隊である航空総隊などの意見が本当に正しく伝わっているかどうか。そういう点で何かいろいろと不協和音が出ているようにわれわれは仄聞いたしておりますけれども、その点についていささかの心配もございませんか。
○伊藤(圭)政府委員 御承知のように、こういう運用要求を決める、運用性能を決めるに当たりましては、それぞれの立場の者がいろいろな形から議論をいたします。したがいまして、この運用性能を決定するに当たりましては部内におきまして多くの議論があったということは承知いたしております。しかし、いろいろな角度から検討いたしまして、最後は幕僚長の判断によりまして、各隷下の部隊もそれに納得をいたしてあの運用要求という形になってきたというふうに聞いております。
○吉田委員 次に、F15は米空軍が相手の国を侵攻していくときにも十分に使用できる戦術空軍の制空戦闘機であると思います。そういう要求に基づいてアメリカで開発された戦闘機でございます。そういう戦闘機がこの日本の環境の中で必ずしも適応するものであるかどうか。防衛庁の言うように、これが最適のものであると言えるかどうか。日本は全く攻め込めない、相手に対しては積極的に攻めていけない立場の防備でありまして、その辺で、F15の内定につきましてはわれわれは日本の特殊事情からいって大変危惧を持つわけでございますけれども、その辺はどのように検討なさいましたか。
○伊藤(圭)政府委員 最近の戦闘機は非常に技術が上がっておりまして、一つの限られた単一の目標のためにつくるという飛行機はほとんどございません。したがいまして、アメリカにおきますF15、16、14にいたしましてもそれぞれのねらいがあるわけでございますけれども、F15につきましては、いわゆる攻撃的な面よりはやはり対空戦闘をねらいとしてつくられておるということが明らかでございます。したがいまして、優秀な飛行機でございますから、いまおっしゃいましたような対地攻撃能力というものももちろんあるわけでございますけれども、それよりはやはり対空戦闘用の能力というものが高く評価されているわけでございます。私どもが選定をいたしますに当たりましては、もちろんわが国の防空作戦からいたしまして、この対空戦闘能力というものが中心でございます。運用面から見まして、わが国の場合には列島であるということからきわめて短時間に早く上って、そして戦闘機に対しても戦闘能力を発揮しなければならないわけでございます。そういう観点から検討いたしました結果、幾つかの項目があるわけでございますけれども、そのあらゆる項目におきましてこれがすべてすぐれておったというわけではございません。しかし、総合的に見てやはりF15がそういった面ではすぐれていたということでございます。 御参考までに、わが国の防空戦闘機として必要な能力として私どもが検討いたしましたのは、一九八〇年代の脅威といたしましては、高々度の侵入に対する対処能力あるいは先ほど来申し上げております戦闘機に対する対処能力、電子戦に対する能力、それから日本のような気象状況におきましては全天候性というものが重視されたわけでございます。さらに低空侵入に対する対処能力、さらには独立で対処できる能力という、独立対処能力と私ども言っておりますが、これはレーダーサイトが爆破されたようなとき自分で探しそして撃墜する能力、こういうものも要素として考えたわけでございます。
○吉田委員 そういう要求性能の諸元につきましては、それぞれまた質問をしていきたいわけでございますが、特に私は、このF15がファントムの搭載量の約二倍の爆弾を積んで対地攻撃でき得る能力を持っておるということでありました、その搭載量をさらに四・五トンもふやす計画が現に米空軍で進められているということも承っております。果たして今後のわが国の戦闘機にこういう能力が必要でありますかどうか。
○伊藤(圭)政府委員 いま先生がおっしゃいましたこの搭載能力というものでございますけれども、これは搭載いたしますいろいろなロケット弾とかあるいは誘導弾、そういうものの組み合わせということによっていろいろ違ってまいりますが、本当に比較するために五百ポンド爆弾を一体何発搭載できるかということでございますが、それでまいりますと、私どもの調べました資料では、現在のファントムは五百ポンドの爆弾を二十四発積めるわけでございますが、F15は十八発ということになっております。したがいまして、搭載量、これはその搭載する兵器にもよるわけでございますけれども、いま仮にそういう形で申しますと、必ずしもF15の方が大きいというふうには考えていないわけでございます。
○吉田委員 ちょっと数字が食い違うようでございますけれども、これは一九七六年ファンボロー・エア・ショーの特集号の広告として「ジス・イズ・ザ・F15・グラウンド・アタック・ファイター」というのももう世界じゅうに公表されているわけでありまして、私どもの感じではこれは明らかに攻撃機でありまして要撃機ではないように思うわけでございます。しかも関連いたしますことは、まあその爆弾の搭載量が幾らであるかはいずれ調査をするといたしまして、いまF4は爆撃装置を外しているはずでありまして、このことと、今後FX、特にF15を採用する場合にどう関係していくのかあるいは矛盾しないか。このF15の爆撃能力について防衛庁はいかがお考えでございますか。
○伊藤(圭)政府委員 まず最初に、先生がおっしゃいましたファンボローショーの広告文のことでございますが、私ども、これを調べてみましたけれども、この中に書いてありますのは、F15という飛行機は従来いわゆる要撃戦闘能力というものが非常に高いということが言われているのだけれども、これはまたグラウンド・アタック・ファイターとしての能力もあるのですよということを特に指摘してあるような文章だというふうに理解したわけでございます。このことは、ヨーロッパにおきましては日本の防空体制と違いまして、やはり地上攻撃能力というものがきわめて重視されているわけでございます。したがいまして、ヨーロッパの国々に対するアピールとして特にこういう書き方をしたのだというふうに私どもは理解しているわけですが、実際問題として私どもで注目いたしておりますのは、先ほど来申し上げております。要撃戦闘機としてのすぐれた性能というものに着目しているわけでございます。 なお、その爆撃装置の問題でございますけれども、この技術的なことは装備局長から御説明申し上げますけれども、私どもがいま知っております範囲では、いわゆるファントムのときはずしたような爆撃照準装置というふうに分けてあるものではない。空対空の戦闘の場合にも、地上を攻撃するときも同じように組み込まれてあるというふうに聞いております。したがいまして、これを分けて、その爆撃照準装置だけをはずすということは技術的にも不可能だというふうに聞いております。
○吉田委員 説明の仕方は、それはどのようにでもなります。しかし私は、こういう重要な問題を言葉の表現だけで、あるいは解釈のニュアンスだけでごまかし切っていくことは、わが国の将来にとって大変危険なことだと思うわけでございます。私どもは、この写真一つを見てみたって、これはどうしたって爆弾がざあっと一遍に落下している状態でありますから、これが要撃機だとは思えないわけでございます。しかも、いまの説明によりますと、F4のように爆撃装置というものを分離することは不可能だ、ならば一体に組み込まれているわけでございます。そういう飛行機を次期戦闘機として選択することは、わが国の本来の防衛の精神、原則に大きく抵触してきやしないだろうかという気がしてならないのでありますけれども、その点装備局長の方からもひとつ御答弁をいただきたい。
○江口政府委員 いわゆる運用構想という問題につきましては、これを選定するに当たりましてどういう点に重点を置き、着目してやったかということにつきまして、いま防衛局長の方から御説明を申し上げました。その限りにおいて、確かにこの飛行機は爆撃機能は持っております。いま御指摘の写真等によりましてもそういうことがございますけれども、これも繰り返しになりますが、従来これは要撃機、いわゆるインターセプターということで考えられておるという飛行機であるけれども、ごらんください、こういうふうに爆弾が落ちています、こういう言い方であろうと思うわけでございます。 爆撃装置の問題につきましては、これもF4のときには爆弾の投下用計算機でありますとか核管制装置あるいはブルパップの誘導制御装置というようなものを取りはずしております。おりますが、今回の場合は、先ほども申しましたように、要撃戦闘機に不可欠な航法関係の装置あるいはディスプレーと申しますが、各種の表示装置、そういったものにあわせまして爆弾装置も中央コンピューターの中に全部組み入れておるわけでございます。したがいましてこれだけを取り出すということは物理的にほぼ不可能である。絶対とは申しませんけれども、ほとんど不可能ではないかという感じがいたします。そういうのが実態でございます。
○吉田委員 爆撃装置だけを取りはずすことはすでに不可能である。わが国は相手の基地に先制攻撃をかけることは絶対にいたさない。ならば、わが国の将来の戦闘機は爆撃装置を一切持つ必要がない。少なくともその能力は乏しい方がよろしい。にもかかわらず、全く使わない不用の爆撃装置を抱えているF15を採用するということは、それは非常に私どもにとりましては解せない話でありまして、そういうよけいなものを抱えている飛行機が、非常に上昇能力が速くて日本の防衛に最適の飛行機であるという結論がどうして出てくるのかという点はますます不可思議でございます。 しかも、私がなぜこの問題をしつこく聞くかと申しますと、これは防衛庁長官にとくと申し上げたいのでございますけれども、いまの空幕長平野さんは、部内ではもちろん、航空自衛隊の先輩、OB、それに一部の記者団にもFXは樺太や千島、沿海州などをたたく対地攻撃能力がなくてはならない、それにはF15が最もよいのだという、きわめて不穏当な発言を随所でなさっているということであります。そういう発言があって、現にこのF15の内定があって、しかもそれが異常な爆撃能力を持っておるということになると、これは大変容易ならざる問題であると思いますが、長官はいかがお考えでございますか。
○三原国務大臣 お答えをいたします。 吉田先生の御質問の中にいまの平野空幕長の発言等のことがあるということを承知いたしましたので、これは私は重大な発言であると思いましたから、昨日本人に、本人は実は一昨日から小松基地の方に現地出張をいたしておるのでございまするが、これを電話口に呼び出しまして、吉田先生からそうした御発言のあることを承知をいたしておるが、このことについて真偽のほどを確かめたのでございます。そういうことは絶対にございませんということを申しますので、私といたしましては、本人の人柄等を見て、その言葉に信頼をして、本日お答えをするわけでございまするが、そういう発言をしたことはございません、なお、みずからが樺太とかあるいは千島等のそうした基地を事前に爆撃するというようなことを考えたこともございません、ということを私に、電話でございまするけれども回答をいたしました。また、帰ってくればなお一層本人と直接面談もいたしまするけれども、昨日私が電話で問い合わせますとそういうことを申しておりますることを申し上げて、信頼を願いたいと思うのでございます。
○吉田委員 さらに慎重にこの発言の有無についてお取り調べをいただきたいと思います。 次に、F14でありますけれども、これは調査は十分できているのかどうか。特に、その搭載システムのFCS、すなわち火器管制装置でありますけれども、それのAWG9システムと、フェニックス、空対空ミサイルAIM54Aについても十分調査なさったかどうか、御答弁を願います。
○伊藤(圭)政府委員 F14につきましても、昨年調査団が参りましたときには、全く16、15と同じように調査をいたしております。ことしのラムズフェルド長官の国防報告にも、F14はこれまでにエンジンのファン部分に弱点があったというようなことが述べられておりますけれども、当時調査をしてまいった報告によりますと、いままでありました幾つかの事故のうちの半分ぐらいはやはりエンジンに起因するもののようでございます。さらにFCSにつきましても十分調査いたしておりますし、またフェニックスを積んで飛んでおります。もちろんこれは発射はいたしておりませんけれども、そのFCSについても十分に調査しておりまして、このFCSにつきましては、以前はその信頼性の面あるいは整備性の面で幾らか問題があったようでございますが、調査団が参りました時点におきましてはそういう問題も解決いたしておりまして、ほとんど問題がなかったということでございます。ただアメリカの海軍は、もう少しこれを改善したいのだというようなことを言っておったというふうに報告されておるわけでございます。
○吉田委員 それでは、F16についての調査は完全になさいましたですか。
○伊藤(圭)政府委員 F16につきましても、同じ条件のもとに同じ内容につきまして調査をいたしております。ただ、違います点は、御承知のように、F16は試作機が一機しかございませんでしたので、これに搭乗して実際に操縦するという機会は得られませんでした。しかしながら、ミサイルを搭載しオペレーションをやるその飛行機に追随いたしますファントムに乗りまして、同じような行動をとりながら調査をしてまいっております。さらに地上におきますあらゆるデータ、テレメーターによってとりましたデータ等も持って帰ってきておりまして、同じ条件のもとに調査をして帰ってきたという報告を受けております。
○吉田委員 その程度の調査では完全な調査ができたとは義理にでも言えないと思うのであります。パイロットが乗って全然テストもできていない状態で調査が終わって、これはだめだろうというような結論を出すということは大変軽率だと思うわけであります。 時間がございませんので、FXについての質問はこの程度で終わりたいと思うのでございますけれども、最後に長官に一言聞いておきたいと思いますのは、あるいは大蔵大臣からもお答えいただければありがたいと思うのでございますけれども、結局、わが国の防衛費はGNPの一%をめどとして今後も進めていく。しかも、人件費はだんだんと高騰いたしてまいります。また、いま論ぜられましたように、たとえば次期戦闘機一つをとってみましても、日進月歩各国の性能がどんどん上昇している状態。したがって、戦闘機もいよいよ大型化にならざるを得ない。したがって、当然戦闘機そのものの値段も飛躍的に高くなっていくはずでございます。だといたしますと、たとえば現在百機の戦闘機をそろえることができた、しかし今後経済の伸びは余り大きく期待できない。したがって、防衛費のグロスとしての額もそんなに急に膨張はしないだろう。同じような陸海空のバランスをこのまま保持していくとするならば、私の心配は、現在百機持っている戦闘機がやがて五十機になり二十五機にならざるを得ないのではないか。一体この辺の問題を考えるときに、今後の日本の自衛そのもののあり方について根本的に見直さなければならない時期に来ているのではないかというふうに考えますけれども、その点、長官や大蔵大臣はいかにお考えでございますか。
○三原国務大臣 きわめて重要な御発言でございまするが、防空効果の問題と費用効率の問題というようなものが、わが国の防衛計画を整備していきますのに非常に大きな問題であることも承知をいたしております。特にF15に関連をして、特にまた御心配を願っておると思いまするが、私自身も、最近またアメリカの国防省等でいろいろな発表がなされておるような問題等を勘案しながら、F15を選定をしたときに、内定をするに至った経過の中で、将来ある程度の展望に立って、そうした陸海空全体の整備計画等を考えてそういうことをしたかどうかということを私は意見を聴取をいたしました。その結果、もちろんそういうことは一応の物価の値上がり等も勘案しながら、そうした点を十分検討した上で決定をいたしましたが、将来の展望に立ち、陸海空全体を見て、非常に厳しいものであるという受けとめ方をしていかねばならぬということは十分配慮をいたしておるところでございます。
○坊国務大臣 お答え申します。 防衛計画の大綱において、防衛力整備の具体的実施に際しましては、そのときどきにおける経済財政事情を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつこれを行うこととされており、また別途、当面の防衛力整備について国防会議及び閣議で決定し、当面防衛関係費の総額が当該年度の国民総生産の一%を超えないことをめどとすることとされております。 今後の防衛予算については、上記の方針に従って作成されるものでありまして、五十三年度以降、御指摘のFXの導入を考える場合においても、当然、いま申し上げました方針を踏まえて検討されることになろうと思います。
○吉田委員 そうすると、長官、いま大蔵大臣のお話しのとおり、GNPの一%を超えないことをめどとするというこの大原則は崩れないということになれば、FXがだんだんと高性能なものになり、高額なものになればなるほど、それは在来の陸海空のバランスが徐々に変更を余儀なくされることもあり得るというふうに私たちは受け取らざるを得ないわけでありますが、そう受け取ってよろしゅうございますか。
○三原国務大臣 お答えをいたしますが、先ほども申し上げましたように、F15を例にとりますれば、こうした問題を内定をいたしますときには、一つの展望に立ち、GNP一%を上回らないという線で、一応のそうした見当の上に立って、そういう点でやって準備をしてまいりましたから、その点につきましては、私どもといたしまして、いま御心配のような陸海空全体のものを一応見通しながら内定をいたした経過でございまするので、そういう点について、いま大蔵大臣の言われたその線を踏まえながらやって当分の間は対処してまいる所存でございます。
○吉田委員 これ以上聞こうとは思いませんけれども、結局政府自身も自縄自縛といいますか、ますます今後こういう世界情勢の変化の中で苦しみ出さなければならないと思いますので、その点はあらかじめ申し上げておいて、どういう対応をしていくか、真剣に、わが国のたてまえを堅持しながら、いろいろと防衛の進め方についてさらに慎重な再検討をなされるべきだと思います。 以上をもちまして防衛問題に対する質問を終わりまして、エネルギーの質問をいたしたいと思います。 まず、わが国の使用済み核燃料再処理計画を予定どおり進めるために訪米されました、政府の原子力交渉団、団長井上五郎原子力委員長代理でありますけれども、この交渉団は、米国政府との協議を通じて、核拡散防止に対する米国の姿勢が予想以上に厳しいことを確認した、しかもそれを確認したにとどまるのであって、動燃事業団の東海村の再処理工場を予定どおり七月から試運転するための米国側の了解は得られなかった このように報告しておられるわけでございます。 だとすれば、この重要な問題は、三月二十一、二日に予定されている日米首脳会談にまつ以外に方法はないと思うのでございますけれども、きょうは外務大臣お見えでございませんので、通産大臣からひとつその辺につきましての、この重要なアメリカの態度、言うならば、わが国の原子力エネルギーに対する将来のまず最初の大きなつまずきの問題であるとするこの問題に対して、どうお考えになっているか、御答弁をいただきたいと思います。
○田中国務大臣 お答えいたします。 カーター新政権になりましてからのエネルギー問題につきましての動向につきまして、先般は原子力委員会の委員長代理の井上さんにアメリカに行っていただきまして、そうしていろいろと交渉をいたしたような次第でございます。御案内のとおりに、本件はまた同時にカナダのウランの問題、さらにプルトニウムがインドの核爆発に活用されたというふうな問題とも相関連いたします国際的に非常にむずかしい問題とも相なっております。 いまのエネルギーの問題につきましての井上委員長代理の御報告は、所管の関係から科学技術庁長官の方からお答えをいたした方がよろしいと存じますので、科学技術庁の方からお願いいたします。
○宇野国務大臣 井上原子力委員長代理を団長といたしましたミッションを先月派遣いたしまして、次の三点について米国といろいろと話を進めました。まだ交渉ではなくして、米国の新核政策の全貌をつかむこと、またわが国における核政策のポジションを説明しようということで派遣をしたことは、先般この予算委員会におきましても申し述べたとおりでございます。 三点の第一点は、今回の米国がとらんとしている核の平和利用を徹底しよう、分散を防止しよう、この趣旨には賛成でございます。しかしながら、わが国が昨年批准をいたしました核拡散防止条約の第四条の中には、核非保有国にしてその国内で平和利用に用うるときには支障を来してはならない、こういうところがはっきり書かれておりますから、この点を主張いたした次第でございます。特にわが国におきましては、御指摘のとおり、核燃料サイクルの確立が言うならばわが国の生命線でもある、その中で一番大切なのは再処理である、わが国はいよいよこの夏からホット試験に入るのだから、何としてもこの点は御了解を賜りたいということを説明した段階でございまして、もちろんこれに対しまして米国からの回答は与えられておりません。われわれといたしましては、この交渉は相当シビアな交渉になるであろうと思っておりますが、しかし新しい政策がカーター大統領によって決定される時期がまだまだ未定でございます。福田訪米前にあるかもしれないという話もございますし、いや、その後であろう、あるいは予定されておる世界首脳会談の前後になるのではないか、そういう話もございまして、まちまちでございます。だからその辺のことは、今後外交ルートを通じまして鋭意わが国の立場を強調していきたいと存じますし、月曜日にもわが国に米国のそのような関係者が参りますから、私もお目にかかりまして、当然その面を強調いたしたい、かように存じております。
○吉田委員 いまの御説明でございますと、井上ミッションはあくまでも打診に行った程度であって、正式な交渉でも何でもない。だとするならば、日米首脳会談を見越して事前交渉に行った使節団ではないわけですね。だとするならば、正式な交渉はこの問題についていつごろから起こしていつごろに正式な解決を見たい、こう考えておられたのでございますか。
○宇野国務大臣 この間の接触によりまして一つ明らかになったところがございますが、それは世界のいずれの国に対しても同等の措置をとりたいのだという米国の主張であります。この新政策に関連する世界の国が幾つあるかということもわれわれといたしましては重要な関心事でございますが、いまのところ、みずからウラン鉱を持っているフランス、英国、これは核保有国でございますし、なおかつ再処理等に関しましても各国の請負をしておる国家でございますが、この再処理の引き受けという点については影響があろうけれども、自国内における核開発という問題に関しましてはさして影響を受けない国家ではなかろうか。こういうふうにいろいろ判断いたしますと、現在すでに再処理を行っておる国家、またその工場を持っておる国家といたしましては、日本とドイツが一番大きな影響を受けるのではないだろうかと考えます。特に両国はウラン鉱がございません。わが国は一万トン程度しかないわけでございますから、さような意味合いにおきまして、今後の各国の動きもわれわれとしてはながめていかなければならない。かように存じておりますので、アメリカとの話し合いの中におきましては、もちろんグローバルな問題ではあるが、日本の特殊事情を十分考慮いたしておるから、決定する前にはあらかじめ日本にも連絡をしたいものであるというふうな便りも耳にいたしておりまするから、そうしたことも踏まえまして、いまのところは外交ルートにおいてそれぞれこの問題に対処していきたい、かように存じております。
○吉田委員 私は、この点で二つの誤算があったのではないか。一つは、日本とアメリカのことだ、非核三原則の日本は十分理解してくれているはずだ、だから日本だけは特別扱いしてくれるだろうとたかをくくっておられたと言えば表現が適切かどうかわかりませんけれども、非常に甘く考えておられたのではないか。ところが、決して日本だけを特殊扱いはできない。カーター新政権以来その辺はいまおっしゃるとおり、かなり厳しい態度だと思います。それが一つ。 いま一つは、日本と西ドイツなどの場合には燃料サイクルを早く確立しないと、将来に向かっての見通しが全然立たないわけでありますけれども、アメリカなどはもっともっと息の長いエネルギー問題としてしかとらえていない。言うならば、再処理なんという問題はそうせかなくてもいいではないかというような気配が十分くみ取れると思うわけでございます。この辺の違い、誤算をどう埋めて、緊急の課題であるわが国のエネルギー対策にこれから臨もうとするのか。ですから、この井上ミッションの本来の趣旨がどこにあったかは別として、このつまずきから一刻も早く立ち上がって、次の外交ルートを通じた強力な推進が行われなければ、わが国のエネルギーの将来に占める原子力の比重、役割りの再検討を迫らざるを得なくなってくるのではないかというふうに思いますが、その点長官と大臣の御答弁をいただきたいと思います。
○宇野国務大臣 最終的には日米間におきまして原子力協定がございますから、その原子力協定に基づきまして、同時決定、つまりアメリカから受領した核燃料を再処理する場合には、その保障措置に関して両国が同時に決定する、こういうことがございますから、これをやりたい。これをやることがすなわちわが国の核燃料サイクルの確立につながります。またホットランにもつながりますので、この同時決定を得るべく最大の努力を外交面において払っていく、こういうふうに考えております。
○田中国務大臣 お答えいたします。 ただいま御指摘のごとく、対米関係の折衝に全力を傾けなければ相なりませんし、今後のエネルギーという問題を考えます場合に、その重要な基本的な一環であります原子力のエネルギーにつきまして、われわれ政府を挙げまして、この交渉に当たってまいりたい、かように考えております。
○吉田委員 さらにいまプルトニウムとウランを混合状態で抽出することによって、それが軽水炉にもあるいは高速増殖炉にもきわめて広範囲に使える新しい燃料とならないか、なりそうである。あるいはベルギーにおいてもプルトニウムを再利用して軽水炉原子炉を動かすことがすでに成功できたというふうな事例が最近伝わっておりますので、この辺の技術の変革もやはりこの問題を解決する一つの重要な突破口として利用していくことも考えなければならないと思うわけであります。その点に対する科学技術庁長官のお考えと、さらに科学技術庁長官の所信表明には、参議院の方のをいただきましたけれども、サンシャイン計画については全くお触れになっていない。それは通産の仕事だと思っていらっしゃるかもしれません。しかし、やはり原子力の将来とも非常に大きな関係のあるエネルギーの問題として、サンシャイン計画について科学技術庁は依然として全く考える余地がないのか。あるいは通産省はどう考えているのか。あるいは、この予算についてわれわれの巷間聞くところによりますと、大蔵の方がいつも大なたをふるう傾向があるとか聞いておりますけれども、その辺について大蔵大臣はどうお考えか、簡単で結構でございます。
○宇野国務大臣 十年ほど前からウランとプルトニウムの混合溶液を混合酸化物に変えて、そこから粉末状のものを製造するという研究はいたしておりますが、これは現在はあくまでも加工技術の開発ということでございまして、再処理技術そのものにはストレートにはつながらない。したがいまして、これをもって対米折衝のてことすればいいじゃないかというお考えがございましょうけれども、現在の段階ではまだてこになるような段階ではない。しかし重大な問題でありますから、今後はこの技術開発に努めていきたいと考えておる次第でございます。 なおかつサンシャイン計画は、石炭のガス化、液化そのほか地熱、太陽熱等を含めまして通産省が全部やっております。科学技術庁といたしましては、こうした技術開発の面に対するいわゆる特別調整費を持っておりますので、そうした調整費等々を通じまして、それぞれ各省でやっておられるエネルギー開発に応援を申し上げておるという段階でございますので、今日私の所信表明の中にはそれが直接入らなかったという経緯でございます。
○田中国務大臣 お答えいたします。 総合エネルギー計画の原子力、六十年四千九百万キロワットの中にもこの再処理の問題については重大な影響を持つものでございますので、これらの問題につきまして、科学技術庁とともどもになお今後の推移を見守ってまいります。 サンシャイン計画につきましては四十九億の予算を計上いたしてございますが、御案内のとおりに太陽熱の問題あるいは地熱利用あるいはまたその他各般にわたります新規のエネルギーの増設につきまして、パイロットプラントというような単なる研究から、さらに一段と上昇いたしました段階におきまする中間的なものもつくってもらわなくてはなりませんので、この予算を計上いたした次第でございますが、なおこのサンシャイン計画は今後強力に推進してまいりたい、かように存じております。
○坊国務大臣 お答え申します。 新エネルギー開発につきましては、いわゆるサンシャイン計画として通産省において進めておられますが、この計画は発足後三年を経過しまして、研究開発はおおむね順調に進められておりまして、一部の技術については基礎研究の段階からプラント開発の段階へ進むものもできております。当省といたしましても、わが国のエネルギー事情にかんがみまして、引き続き所要の予算措置に努めてまいりたいと考えております。
○吉田委員 最後に、時間が大変少なくなりましたが、ちょっと地震の問題について御質問をいたしたいと思います。 実は、きのうの経団連のあの問題を見ましても、わが国の都市というものはもはや無防備状態にあると思います。ましてその状態の中で、南関東においてもういつ地震が起こってもおかしくない、あるいは東京を中心とする大震災が起こり得る可能性は大いにあるというのは、もはや今日学者だけの説ではなしに日本人の常識になっております。しかし、一たんこういう大規模な地震が起こったときに、それに対してどう対応すればいいのかという点では、今日、日本の行政というものはまだまことにばらばらな状態、準備もできていない状態にあると言っても私は決して言い過ぎではないと思います。したがって、地震予知のために今日までに各省庁が講じてこられたいろいろな足跡、努力、現状。それからもしも地震が起こったときに、第二次、第三次災害をいかに防止するかという点について各省庁がどのような努力をしておられるか。まずその辺のところを簡単で結構ですからお聞きしたいと思うのです。
○宇野国務大臣 これは科学技術庁長官が地震予知推進本部長でございますので、まず私からその経緯だけ申し上げておきたいと思います。 地震予知推進本部は、昨年十月に政府に設置されました。そしてまず、わが国の地震予知をせんがためには、文部省に測地学審議会がございますが、ここで大きな長期の計画を立てております。それを各省庁において検討いたします。その結果出ましたデータを、国土地理院にあるところの学者グループですが地震予知連絡会議に持ち込んで、そこでさらに検討してもらいます。その結果は、それぞれ報告をし発表されております。そうした学者グループよりのいろんな各省庁からのデータ、それを今後行政の面においていかに実効的に反映せしめるか、これが地震予知推進本部の任務でございます。 ただいま推進本部といたしましては、すでに話題になっております東海地方の地震に対処するのにはどうすればいいか、これをいま鋭意検討いたしております。ただ、予知と申し上げましても、いつ、どこで、どのような大きさの地震が起こるかということを予知するわけでありまして、この点は非常にむずかしい技術だろうと思いますが、鋭意努力いたしておるところでございます。
○田澤国務大臣 お答えいたします。 地震に対しては、災害基本法に基づきまして中央防災会議というものができておりまして、中央防災会議がただいま大都市圏の震災対策促進要綱というものをつくりまして、まず第一には大都市圏の災害対策の強化あるいは防災体制の強化、あるいは防災意識の高揚あるいは地震予知等に力点を置いて、いま極力協議を進めておるわけでございます。特に、これは御指摘のように各省庁にまたがるものでございますので、連絡会議を開きまして、それで六つの分科会を開きまして、あるいは援護だとかあるいは情報通信だとか防災体制だとかというものをそれぞれ検討いたしておるのでございます。私も非常に心配でございましたので、過日この関係十五省を全員集めていろいろ意見を聞いてみました。かなりの体制が整えられております。ただ、それが一括して一つのものに発表されていないというところに、何か国民全体が地震に対する対策が何もないのじゃないか、こういうように受けとめられておるようでございますが、各省庁ともそれぞれ地震に対する対策は相当程度に進んでおるということだけは御理解いただきたいということでございます。
○唐沢政府委員 地震予知推進につきましては、大きく分けまして基礎研究と観測業務があるわけでございまして、この二つが相提携、協力していくことが望ましいわけでございますが、観測業務につきましては国土地理院や気象庁が主に担当し、大学では基礎研究をいたしております。基礎研究の目的は、御承知のように地震予知理論を構築すること、地殻変動と地震の関係を解明することでございますが、そのため基礎研究といたしまして微小地震とか極微小地震の観測研究とか、あるいは地殻変動の連続的な観測等をいたし、そのためにそれぞれの目的に合いました観測所を設置し、そこから出てまいりますデータを集中し自動処理し、そしてそれをもとに研究いたしておりますが、今後ともこの地震予知理論確立のために研究体制の整備を図ってまいる所存でございます。
○吉田委員 いまおっしゃるとおり、もちろんそれぞれ無関心でおられることではございませんで、いろんな組織機構をおつくりになっております。しかし、それがまず全く国民に知らされていない。同時に、各省庁にまたがる大変複雑な機構が一元化される見通しもとてもついていない。まず、民心に動揺を与えないことも非常に大きな要素でございますから、この地震対策につきましては、せっかくつくられたそういう機構というものをさらに集大成して、そして常設的な権威のある、たとえば原子力委員会に匹敵するようなそういう委員会というものを早くつくって、すべてここで指揮棒を振るんだという体制に入っていかないとなりません。私がこの質問をするについて、おい、もしも地震が起こりそうな場合、だれが予知するんだ、どの省が責任持つのだと言ったら、担当者の皆さんは、みんないや、わかりません、わかりません、だれがやるんでしょうねというようなこと。あるいは一番重要な避難場所の設定、これも必ずしも行政区というものがそういう緊急の場合の実態に適合しているとは思えない。ある川の流域、ある広場にはこの辺が全部集まる、あるいはこの公園にはこの町と村が集まりなさい、そういう当意即妙の手を講じなければならないし、その訓練を絶えず繰り返しておかなければならない。こういうことを考えましても、それはどこがやるんだ、自治省だろうと言ったら、いや国土庁でしょう。国土庁に聞いたらやっぱり自治省らしいです。これでは、まさかの間に合わないと思うわけでございまして、その辺について自治大臣は、各公共団体にどのような御指導をなさっているか。
○小川国務大臣 消防庁といたしましては、何よりもまず火を出さないこと、出た場合には初期に消火をするということに重点を置いておりまするが、いよいよ大きな火災になりました場合は、当然避難の場所が必要でございます。それは地域住民がよく知っておる場所であることが必要でございましょうから、通常、市町村の区域内に設定されるということが最も望ましいと存じまするけれども、状況いかんによっては、市町村の行政区域を超えて避難場所を設けることも必要でございますから、そのような場合には地方公共団体相互の間で協議をしてもらう、こういう指導をいたしておるわけでございます。
○吉田委員 私たち民社党は、この問題に大変関心を持ちまして、党としてもいろいろ地震対策を具体的に提案しているわけでございますが、まずその日常訓練、これはもう絶えざる積み重ね以外に対策はないと思うのです。この準備訓練は幾らやってもやり過ぎることはないと思います。それからヘリコプターの発着できるスペース等もいまから早く用意しておかないと、このままで混乱期を迎えた場合にはもはや収拾がつかないように思うわけであります。そういう点を考慮して、大蔵大臣も、この国民の不安の的である地震対策につきまして、さらに積極的な配慮をし、各省庁に指導なさっても決しておかしいことはないのではないかというふうに思うわけでございますし、特に地方自治体が今日財政難で非常にあえいでおりますけれども、いまお話がありましたような東海地震の該当するであろう各県、市町村は、もうなけなしの財源をはたいて努力しているようでありますけれども、とても対応できるものではないと思います。その辺の財政的な見通しについて、一言所信をお述べいただきたい。
○坊国務大臣 お答え申します。 御指摘の地震対策につきましては、これは財政当局といたしましても尊重いたしまして、今度の五十二年度予算の編成に際しましても、対前年度比一八・七%増の四千三百八十二億円を計上いたしましたが、この上ともに努力をしてまいりたい、かように考えております。
○吉田委員 われわれは減っているとは言っていないのです。しかし、この程度では対応できない。対応できないような予算ならばこれは意味がないわけでありまして、私どもは、その辺さらに大胆な発想の転換が必要ではないか。こういうことをわれわれ国民の側から考えること自身もあるいはおかしいのかもしれませんけれども、大災害に対する相互扶助基金というふうなものを、国民の側から自発的にでもいまから積み立てて用意しなければならないのではないか。年額一人当たり二百円ずつでも出し合って、いざ大災害があったときに、一つの援助の手を国民のサイドからも差し伸べるべきではないかというふうな国民運動さえ起ころうとしておる現状なのでございまして、私は答弁を求めませんけれども、この地震対策につきましては、特に政府が一段の機能的な対策を講じてくださるよう強く要望いたしまして、質問を終わります。
○坪川委員長 これにて吉田君の質疑は終了いたしました。 この際、暫時休憩いたします。本会議散会後再開いたします。 午後一時六分休憩 ————◇————— 午後二時五十二分開議
○坪川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。山原健二郎君。
○山原委員 最初に、各種審議会の組織と運営について質問をいたします。 質問は、いま資料をお配りいたしましたので、そのときには資料の番号を申し上げますから、参考にごらんになっていただきたいと思います。 まず最初に、人の問題を通じての政界と財界の癒着ですね。また、官庁との癒着という問題が今度のロッキード事件のような問題を起こしておりますし、そういった意味で、戦後の一連の疑獄あるいは政治の金権腐敗構造の主柱をなしていると私は思います。その中でも特に政府の政策立案や許認可事項の決定で大きな役割りを果たしている各種審議会の委員人事を通じての癒着は、その大きな内容となっています。それで、その実態は、財界代表と大企業代表が重要な地位と比重を占めまして、その組織と運営を牛耳っており、財界癒着の奥の院とまで言われているところでございます。こういう実態のもとでは、審議内容や答申がどうしても財界寄り、大企業寄りにならざるを得ないという実態があると思うのです。 国民生活とこの審議会の関係について申しますと、たとえば一昨年の十二月、大手私鉄の十四社が平均二四・六%に及ぶ運賃の大幅な値上げを実施しましたが、これに先立って運輸審議会は大増益の九月期決算を対象外にしてもうけを隠し、そして答申を行っております。さらに昨年の十一月四日には産業構造審議会が自動車排ガス五十三年度規制の告示を目前にしまして、規制緩和を要求する中間報告を発表いたしておるわけであります。さらに十一月の十日、昨年でありますが、郵政審議会が、会長は土光敏夫氏でございますけれども、電報電話料金の法定制撤廃の提言をいたしております。また、十一月二日には税制調査会、この会長さんは元官僚でありますけれども、付加価値税を含む新税構想の検討を開始すると述べております。さらに、本年の二月二十一日、国民生活審議会におきまして、公共料金における受益者負担の原則を貫くべきだという大勢を占める発言がなされておるわけであります。こういう一連の最近の動きを見ましても、各審議会における財界と官庁との癒着に徹底的なメスを入れることは、疑獄の再発を防止するために必要であるというだけでなく、国民生活を防衛するという点からもきわめて重要な課題となっているわけであります。 そこでお尋ねをいたしますが、各種審議会は、戦後におきまして行政の民主化あるいは官僚統制の打破という観点から重視されるようになりましたが、同時に、その弊害についてもさまざまな指摘が行われています。 たとえば元行政管理庁局長の岡部史郎氏は、官僚的行政の隠れみのになっている、役人のつくったプランを審議会答申ということで箔をつける役割りを果たしておる、役人の時間かせぎの種にされているという論評を取り上げまして、右の批評を見当違いだと言って反論できないものがあることは確かである。しかも、右の批評は、審議会の病理症状の一端を指摘しただけで、その病弊を数え上げればまだまだたくさんあると述べているわけであります。 私は、こうした弊害を是正するために、いままで政府は臨時行政調査会などの勧告を受け、閣議口頭了解や閣議決定等で一定の改革基準を決定をいたしております。 そこで、まず初めに伺いたいのでありますが、政府は昭和三十八年九月二十日に「各種審議会委員等の人選について」という閣議口頭了解を行い、昭和四十二年十月十一日には「審議会等の設置および運営について」と題する閣議口頭了解で、各種審議会委員の構成及び人選の基準を決定しておるのでありますが、その部分につきましてここで読み上げていただきたいのであります。 私がお配りいたしてありますナンバー一、ナンバー二でございますが、ナンバー一につきましては、特に五、六、七、八、それからナンバー二につきましては一、二、三、四、この点を読み上げていただきたいのであります。
○西村国務大臣 読み上げですから、政府委員から読み上げさせます。
○辻政府委員 昭和四十四年七月十一日の閣議決定の「審議会等の設置および運営について」でございますが、 行政の簡素化と、能率化を推進するとともに、審議会等の効率的な活用をはかるため、審議会の設置および運営について、下記のように定めるものとする。 現存の審議会等については、この方針に即するよう、その整理統合を推進するとともに、組織および運営の改善をはかるものとする。 記 一、専門知識が必要なものについては、専門官の育成、公正の確保のためには公聴会および聴問の活用、利害の調整のためには関係団体の意見の聴取等をはかり、いたずらに審議会等を設置することを避けるものとする。 二、設置目的の類似する審議会等の濫設を防ぎ、審議事項の重複をさけるため、審議会等の所掌事務をできるだけ広範囲のものとし、必要に応じ、分科会または部会を設けて弾力的、機動的な運営をはかるものとする。 三、審議事項が臨時的な審議会等については、存置期限を付するものとする。 四、所掌事務が複数の省庁に関連する審議会等については、原則として、特に事務の関連が深い特定の省庁に設置するものとする。 五、委員の数は、原則としては二十人以内とする。なお、試験、検定、規格決定等に参与する審議会等については、試験委員、専門委員又は臨時委員等の制度を活用して、本来の審議会等の構成員はできる限り簡素なものとする。 六、委員は、原則として、常勤制をとらないものとする。 七、国会議員および行政機関の職員は、原則として、審議会等の構成員にしないものとする。 八、所掌事務に利害関係がある者を代表する者を委員に任命するときは、原則として、これらの委員の総数が委員の定数の半ばを越えないものとする。
○山原委員 内閣官房の方から、閣議口頭了解の事項についても、個条の一、二、三、四だけでよろしいのでありますが、読み上げていただきたいのであります。
○角田説明員 読み上げます。 各種審議会委員等の人選について 昭和三十八年九月二十日 閣議口頭了解 各種審議会委員等の人選について 審議会委員等の任命に当っては、基本的には適任者本位ということで選考されているが、今後、特に次の諸事項に留意して人選し、審議会本来の使命を十分活用するようにしたい。 一、候補者の選出については、出身校あるいはネーム・バリュー等にこだわらず、なるべく関係のある広い分野から清新な人材を起用するようにつとめる。 二、会議によく出席して、十分にその職責をはたし得るよう、本人の健康状態出席状況に留意し、これに該当しないような高齢者又は兼職の多い者を極力避ける。 兼職の数は最高四とする。 三、広く各界の意見を行政に反映させるため、委員の長期留任は特別の事由のない限り行なわない。任期三年のものは三期まで、任期四・五年のものは二期までを原則とする。 四、当該省庁出身者(特に退官後間のない者)又は現在当該省庁の顧問の職にある者は、原則として、これをその省庁の審議会委員に任命しない。 なお、閣議人事については、事務次官等会議に付議されるものを除き、閣議決定又は閣議了解を経るまでは、厳に発表を差控えるようにしたい。 以上です。
○山原委員 ただいま読み上げたことが基本になっておるわけでございます。 そこで、昭和四十二年十月の閣議口頭了解は昭和四十四年七月十一日の第二次行政改革計画の閣議決定で追認をされておりますが、これら閣議口頭了解や閣議決定はことごとく踏みにじられ空文化してしまっているという問題であります。 まず、政府は国会議員及び行政機関の職員は原則として構成員にしないとしておりますが、昭和四十二年十月の閣議口頭了解以後に設置された四十一の審議会中、宇宙開発委員会、情報処理振興審議会など九つの審議会が閣議決定の原則に違反をしております。違反率は実に二二%に達しております。それだけではありません。昭和五十一年一月一日現在、委員が任命されている二百二十三審議会のうち、国会議員が構成員となっているものが十五、率にいたしまして六・四%、行政機関の職員が構成員になっているものが百八、率にいたしまして四六・四%にも上り、その違反率は実に五割に達するのであります。閣議決定等は「原則として」という表現をとってはおりますが、こうした事態は明らかに閣議決定の基準に違反しておるのでありますが、政府はこれに対して調査をいたしておりますか。またどのようにお考えになっておりますか。
○辻政府委員 審議会等の委員の任命につきましては、個々の審議会ごとにそれぞれの設置法等によりまして国会議員や関係行政機関の職員の数等を明示しておるものもございますけれども、通常は学識経験者、関係行政機関の職員等のうちから各省大臣が任命するとされているものでございます。法令上、国会議員を構成要素としておりますものの数は、現状では私どもの数字でございますと十六、国の行政機関の職員を構成要素として予想しておるものにつきましては百二十となっているわけでございます。 なお、実際にどのような任命がなされているかにつきましては、個々の審議会ごとにそれぞれの設置法等によりまして各省大臣の権限事項とされているものでございますので、行政管理庁といたしましてはこれを統一的に把握する立場にないわけでございます。
○山原委員 行政管理庁長官にお尋ねしますが、いまのような御答弁でありますけれども、少なくとも閣議の決定の姿とは違ったものになっておるということはお認めになりますか。
○西村国務大臣 いま局長から答弁がありましたように、なるべく国会議員は参加しないように、行政の職員もしないようにと言うのですが、現在はそのようになっておりまするから、今後は機会あるごとにこれを改善したい、かように思っておる次第でございます。
○山原委員 改善をするというお話でございますが、さらに引き続きまして、ただいま長官からもお話しになりました行政機関の職員が構成員になっているということは、諮問する側の人間が答申する側に加わるということであります。審議会本来のあり方から見まして、これは明らかに問題があります。こうした事態を放置しておりますと、結局審議会の御用化がますます促進されることは明白ではないでしょうか。審議会の設置目的が、国民各層の意見や官庁内部に不足している専門的知識の導入を図るという点にあるならば、より多くの部外者を構成員にすべきでありまして、行政機関の職員は部外者に席を譲り、臨調意見を尊重いたしまして、必要に応じて幹事として参加するにとどめるべきであると私は考えるのでございますが、長官、この点について御検討なさる用意があるか、伺っておきたいのであります。
○西村国務大臣 国会議員の場合は、これはほかの機会がありまして意見をいろいろ述べることはできますから——まあいま国会議員は十六の審議会に出ておるのです。これは法定されておるのでございますけれども、なるべくそれは避けたいと思っております。 行政職員につきましては、これは委員会がいろいろありまして、特に専門的なことを審議しなければならぬという場合もありますので一概には言えませんが、やはり努めて行政の職員はこれに加わらないようにという答申の線に沿って改革したい、かように思っておる次第でございます。
○山原委員 委員の定数について政府は「原則としては二十人以内とする。」ことを決めておりますが、またこの原則も御承知のとおりの結果になっております。 それをちょっと具体的に申しますと、昭和四十二年の閣議口頭了解以後設置されました四十一の審議会中この原則に違反しておるものが十七、率にいたしまして四一・五%に上っています。また昭和五十年一月一日現在、委員が任命されている二百三十三の審議会のうち、定数が二十名を超えておるものが百十六、率にいたしまして四九・八%、半数です。この数字は正規の委員に限って集計したものでありまして、臨時委員、特別委員、専門委員などを加えると、その違反率はもっと高くなるのであります。定数を二十名以内にするという基準は、行政運営に国民各層の意見を反映させ各界の専門的知識を総合的に導入するという点から見て、問題なしとはしません。しかし、その是非はともかくといたしまして、こうした事態は明らかに閣議決定の原則に違反するものであります。 政府はこうした実態を踏まえまして、委員定数のあり方についてさらに検討すべきであると思うのでありますが、この点についてももう一度長官にお伺いしたいのであります。——検討する必要があるかということだから、政府委員はいいですよ。
○西村国務大臣 「委員の数は、原則としては二十人以内とする。」いま二百四十六の審議会がございますが、これで二十人以内が百二十四審議会、二十一人以上が百二十二ですから、半分以上は二十人以内になっております。しかし、いままでの審議会をもっと広い範囲にしまして、なるべく審議会は少なくして、その中に部会をつくるとかあるいはその中でいろいろやるような仕組みにするとこの委員の数も少なくなると思っておりますから、この勧告にもありますように、審議会はなるべくよけいつくるな、もし必要があればその中で部会等をつくってやったらどうか、というとこの原則の委員の数も守られると思いますから、今後その方面につきまして注意を払っていきたい、かように思う次第でございます。いまは少し守られていないじゃないかという御指摘はそのとおりでございますから、今後はひとつ改善をしたいと思っております。
○山原委員 もうちょっとこだわりますが、委員の定数は原則として二十名以内、また簡素にしていくという方針であります。また、国会議員および行政機関の職員は原則として構成員にしないという二つの基準、いずれにも違反していないものを見てみますと、二百三十三の審議会中わずかに六十八でございまして、二九%にしか過ぎません。だから、二十名にする、しないということの是非は別として、閣議決定の線から見るならば、これは原則が例外になり、例外が原則になるという異常な事態であるということは明白であります。閣議決定の実行をサボリ続けてきた政府の責任はまさにそういう意味では重大であり、みずから決めた原則をみずから公然と踏みにじってはいけないということを考えますと、いままでの姿勢については当然反省をすべきであると思いますが、もう一度その点について伺いたいのであります。
○園田国務大臣 いま指摘をされた閣議了解、また決定事項に対して、これが完全に行われてないということは十分反省をいたしたい。そこで、御承知のとおりに、いままで決めたこと及び今日以後の問題、これを十分に遂行するために八月までに期限を決めて、行政管理庁長官を中心に審議会のあり方、統廃合、あるいは委員選任の仕方等についてそれを実行すべく準備をいたしております。
○山原委員 いま園田官房長官のお答えをいただいたわけですが、もう少し審議会の内容について、その検討をする材料として私の方から申し上げておきたいと思います。 審議会制度が形骸化している問題につきまして、所管大臣が審議会等の会長になっている例があるわけです。これは先ほど言いました行政機関の職員の問題と同じでありますが、諮問する側の責任者が、つまり大臣が答申する側の責任者になるということは審議会制度そのものを形骸化することになりまして、臨調以前の行政改革で所管大臣を会長に充てないということが勧告されてきたところであります。昭和五十年一月一日現在、所管大臣が審議会等の会長になっているものが、電調審や行政管理の大元締めとも言うべき行政監理委員会など十三にも及んでいるのであります。これと同質のケースといたしまして、各省庁の事務次官や局長などが会長になっているものが、公正審査会や輸出入取引審議会など十三もあります。さらに、政府関係法人の役員が会長になっているものが国土総合開発審議会、国民金融審議会、米価審議会、税制調査会など二十にも上っておるのであります。こうした事態は早急に検討しまして、必要な是正措置を講ずべきであると考えるのでございます。これはいま申しましたように、諮問をする側の責任者が答申をする側の責任者になるという異常な事態ですね、これについてどのようにお考えになっておるでしょうか、官房長官にお伺いしたいのであります。
○園田国務大臣 審議会または委員会の会長に所管大臣または所管の局長と職員がなることは、御指摘のような点がたくさん出てくると思います。その中にはあるいは特別な事情があってやっておるのがあるかもわかりませんので、よく実情を調査して、そういう方向に検討してまいるつもりでございます。
○山原委員 さらに、政府は「当該省庁の顧問の職にある者は、原則として、これをその省庁の審議会委員に任命しない。」こういうことを閣議で決めておりますが、この原則も踏みにじられております。例を挙げますと、昭和五十一年五月現在、経企庁には六名の参与が任命されておりますが、このうち二名が経企庁所管の審議会委員に任命されています。さらに、環境庁では三名の顧問のうち一名が所管の審議会委員となっております。法務省に至りましては、二名の特別顧問のうち二名とも所管の審議会の委員になっておるのでございます。このように、一つ一つ閣議の口頭了解あるいは閣議の追認決定と違った結果が出ておることは大臣もよく御承知のことと思います。 さらに、委員の兼職の問題でございます。これまでの行政改革の中でたびたびこれは問題になりまして、政府も「兼職の数は最高四とする」ことを閣議で決めております。この閣議決定も、また後で数字を挙げますけれども、空文化しているわけでございます。この閣議決定の基準は他の基準と違いまして、原則としてというような表現を用いておりません。したがって、兼職最高四という基準は例外を認めない立場から決定をされておると思うのです。ところが、政府が公式に発表しました資料によりましても、昭和四十八年二月一日現在、政府関係者を除く委員のうち、五以上兼職しておる者が四十二名に達しておるのでございます。現在でもなお五以上兼職しておる者が相当数に上っておりまして、行政管理庁発行の昭和五十年版の「審議会総覧」を見てみますと、違反者数は数十名に及んでおりまして、日商会頭の永野重雄氏は八つの審議会に顔を出しておりまして、そのうち五つの審議会の会長をしております。さらに、日経新聞の円城寺会長に至りましては九つの審議会に顔を出して、そのうち五つの審議会の会長になっています。ロッキード事件で逮捕、起訴されております若狭得治も、起訴される直前まで五つの審議会の委員を兼職しておりました。こうした事態は明らかに閣議決定に違反をするものであります。閣議決定後十年以上経過しておるにもかかわらず違反者が数十名に及ぶという事態を私どもは容認することはできないのでございまして、早急に是正措置を講ずべきであると考えますが、官房長官のお答えをいただきたいのであります。
○園田国務大臣 いま御指摘のように、審議会の兼任及び会長の兼任等がだんだんふえてまいります。これは一面から言うと、審議会の会長に適任な方であってしかも能力のある方ということでそういうことになるわけでありますけれども、しかし、それは単なる理由であって、弊害は出てくるし、閣議の決定、了解事項でございまするから、こういうものはすべて改革は行政管理庁長官のお仕事でございますが、この運営は私の責任でございますから、全部一遍洗い直しをいたします。
○山原委員 委員長に要請したいと思いますが、本年一月一日現在におきまして、兼職制限に違反する者の氏名とその所属する審議会名を資料として提出をしていただきたいと思いますが、委員長におきまして御配慮をいただきたいと思います。委員長、いかがですか。(園田国務大臣「いいです」と呼ぶ)
○坪川委員長 政府側から出す様子でございますから。
○山原委員 わかりました。
○西村国務大臣 兼職の調書を出せということですが、これは人事ですから私の方の直接じゃございませんが、しかし、官房長官と打ち合わせましてそういうふうにしたいと思っております。
○山原委員 官房長官と行政管理庁長官、ごちゃまぜにして私は質問しておりますから答弁の方が混乱するかもしれませんが、この兼職問題について、さらに事務次官の兼職に至っては全く驚くべき実態でありまして、お渡しいたしてありますナンバー三の一、二と見ていただいたらわかるのでございますが、事務次官のうち閣議決定に違反していない者はわずかに四名だけで、あとは全部五以上の兼職になっています。十や二十の兼職はあたりまえになっていまして、国土庁次官に至っては二十三も兼職しています。これはまだましな方で、厚生事務次官に至っては二十四、自治省次官は二十八、農林次官は二十九、通産次官と建設次官は三十、運輸次官は三十一、大蔵次官は三十四というありさまであります。したがって、どの委員会の委員をしておるのかということすら恐らく忘れておるだろうと思うのですね。こういう事態になっておりまして、まさに正常な姿ではないわけです。四つ以上兼務してはならぬということが三十四も兼務するなどということは、まさに審議会に対する認識を疑わざるを得ないのでございまして、この点については官房長官の見解を伺いたいのです。
○園田国務大臣 前と同じでございますので、一遍見直して、全部調査をして検討をいたします。
○山原委員 特にこの兼職問題で閣僚の問題があります。たとえば、閣議決定をしておる閣僚自体が、内閣総理大臣と経企庁長官、通産大臣は、限度ぎりぎりの四つの審議会委員を兼務しております。四つですから滑り込みセーフというところで内閣総理大臣も助かっておるわけですが、そうもいきません。してはならぬ会長をやっておるわけでありまして、セーフにはならないでこれはアウトであります。大蔵大臣が五、農林大臣に至っては七つも兼職しております。閣僚みずから閣議決定を公然と踏みにじってはばからないという事態は、絶対にこれは容認してはならぬと思うのでございまして、早急に是正措置を講ずべきであると考えます。これはナンバー四の資料を見ていただいたらわかるのでございます。 次に、運営上の問題について指摘をいたしたいのであります。総理府に設置されました地方開発審議会の運営についてでございますが、現在首都圏、中部圏、近畿圏の三つの大都市圏整備審議会と東北、四国、中国、九州、北陸の五つの地方開発審議会がございますが、これらにはいずれも関係省庁の事務次官が構成員として加わっています。事務次官の兼職が多いために、ほとんど代理出席が常態化いたしまして、会議の成立要件を欠くという問題が出ているわけでございます。最近五年間の開催状況を調べてみますと、いずれの審議会とも毎回成立要件を欠いています。しかも重大な問題は、成立していないにもかかわらず意見具申や答申を決議しておることであります。 たとえば昨年三月六日に開かれました首都圏整備審議会は、委員四十九名中三十名出席したことになっておりますが、出席者の内訳を見てみますと、代理出席が二十一名に上り、正規の委員はわずか九名しか出席していないのであります。それにもかかわらず「都市開発区域整備計画の決定等について」というようなきわめて重要な答申を議決をいたしておるのであります。さらに、近畿圏整備審議会に至っては昭和四十七年から五十一年までの五年間に合計八回会議を開催しておりますが、いずれも成立要件を欠いています。それにもかかわらず九つに上る答申を決議しています。昭和四十八年六月二十五日の会議は、委員四十三名中二十六名が出席したことになっていますが、正規の委員の出席はわずかに八名。昭和五十年六月二十四日の会議に至っては、正規の委員はわずか六名出席しているだけであります。その他の地方開発審議会についても事情は全く同様でございまして、こうした異常としか、言いようのない——昭和三十九年の臨調意見では「委員の代理出席は認めないものとすること。」を政府に勧告しておるわけであります。こうした事態の責任は、事務次官を委員に任命しました内閣総理大臣にあることは明白であります。このような異常な事態を是正するために、閣議で真剣な検討を速やかに行いまして、早急に是正措置を講ずべきであると考えます。恐らく官房長官の御答弁もそのように検討するという御答弁になると思いますが、あえて御答弁をいただきたいのであります。
○園田国務大臣 御指摘の中に総理大臣が審議会の会長あるいは国務大臣が審議会の会長という御指摘があったわけでありますが、審議会のほかにいろいろな会議、懇談会、こういう私的な、所管大臣または総理大臣が行政事務を実施するための意見を伺う会がございます。それと審議会とまざっているような感じもいたしますけれども、十分調査をして、私の見当では、国務大臣、総理大臣が答申を得る審議会の会長にはなってなくて、行政事務を実施するためのことだと思いますけれども、その懇談会あるいは会議等の会長あるいは長になっているものもあわせて、御指摘のような弊害がないかどうか、よく調べて検討いたします。
○山原委員 委員の構成の問題について次に御指摘をいたしたいのであります。 政府は「所掌事務に利害関係がある者を代表する者を委員に任命するときは、原則として、これらの委員の総数が委員の定数の半ばを越えないものとする。」ということを閣議で決めております。この点、たとえば財界は大臣や一部の高級官僚と結びつきまして、ほとんどの審議会にその利益代表者を送り込んでおります。しかも重要な地位と比重を占め、その承認なしには政策立案や許認可事項の決定ができない仕組みをつくり上げ、事実上その実権を握っておると言えます。たとえば通産省の産業構造審議会の場合、委員七十七名中、財界、企業代表が四十四名、率にいたしまして五七%、政府関係者が七名、率にいたしまして九%を占めています。会長には土光敏夫経団連会長がおりまして、財界本位の運営をほしいままにしておると言っても過言ではありません。産業構造審議会の実態は陰の通産省とまで言われておることは御承知だと思います。この審議会は委員定数としては中規模でございますが、その裏に隠された機構は膨大であります。想像を絶するものがあります。産構審の実際の運営は部会、小委員会、分科会単位で行われておりますが、そのスタッフとして委員以外に専門委員が任命をされております。昭和四十七年から現在までに活動した部会等は二十一部会、二十二小委員会、四十四分科会に及びまして、これらに配置された委員、専門委員等の延べ人員は千四百十一名にも達しております。これらの委員、専門委員等の出身階層を調べてみますと、財界、企業代表が九百名、率にいたしまして六四%、政府関係者が百二十三名、率いにいたしまして九%を占めております。これを部会ごとに見てみますと、産業資金部会では、財界、企業代表が六七%、政府関係者が二一%、化学工業部会では、財界、企業代表が七九%、政府関係者が九%を占めています。ことに鉄鋼部会に至りましては、財界、企業代表が九八%、政府関係者が〇・六%という事態になっております。こうした実態は、国の経済、税制、財政、金融政策を左右する経済関係の審議会についてもほぼ同様でございまして、たとえば経済審議会や貿易会議など十一の主要な経済関係審議会では、財界、企業代表が委員総数の五六%を占め、政府関係者が二一%を占めております。会長のポストも、両者でほぼ独占をしておるのであります。 こうした委員構成は、財界と官庁との癒着の温床となり、審議会制度形骸化の重大な原因ともなっています。同時に、こうした実態は、閣議決定の原則とこの閣議決定のもとになった「調査審議事項に関し各方面の意見が総合的かつ公平に反映されるように、委員の構成を適正にする。」という臨調意見にも違反するものでございます。臨調にかわって設置された行政監理委員会は、去る四十九年十月に、こうした実態を踏まえた上で、審議会等行政に対する国民の直接参加の制度は、社会経済の発展と国民のための行政の姿勢を確保する必要性に伴ってますます重視されなければならないと提言をしております。政府は、臨調意見や行政監理委員会の提言を踏まえまして、行政に対する国民の直接参加の機会を拡大する立場から、委員の構成のあり方について真剣な検討を行うべきであると考えますが、私の指摘に対しまして、行政管理庁長官はどのような見解を持っておるか、伺いたいのであります。 〔委員長退席、大村委員長代理着席〕
○西村国務大臣 審議会は実に二百四十六もあるのでございまして、それは全部法律をもっていたしておるのでございますが、やはり相当に今後は——その運営の面とかあるいは人事の面は、私の方ではございません、所管大臣が官房長の方と相談をしてやることでございまするが、一遍見直しをしたい。いろいろいままでも先生が御指摘になりましたが、そういうことにつきましても、いませっかく見直しをして検討中でございますので、十分今後これの整理、合理化と申しますか、そういうことについて行管としては力を入れたい、かように考えておる次第でございます。
○山原委員 この審議会の運営につきましても、昭和二十六年六月三十日の臨時行政機構改革審議会の勧告の中にこういうふうに書かれております。「審議の結果、重要事項について多数意見と少数意見に分かれた場合、少数意見については、その理由を付して報告中に記載すること。」これを勧告しておりますが、ほとんどの審議会では、こうした運営をしておりません。また「議案の審議に当たっては、関係部局または関係団体の代表を招致して説明を聴取すること。」と勧告しております。これは私どもが絶えず審議会で主張してまいりました。たとえば公聴会のようなものでございますけれども、これも守られておりません。さらに「一定期間ごとに、または任務の終了したときは、なるべく速やかにその審議の結果をできるだけ詳細に一般に公表し、一般の参考に資するとともに批判を求めるようにすること。」と勧告をしておるのでありますが、議事録は部外秘にされたままであります。 さらに昭和三十九年の九月の臨調意見では、「議事運営を明確化するため、委員の意見を議事録上明らかにすること」を勧告しているが、議事録を作成していない審議会が少なからずあるのであります。特に行政管理の元締めである行政監理委員会が議事録を作成していないという事実があるわけでございますが、この点は御承知でございましょうか。
○西村国務大臣 私は存じませんが、政府委員が……。
○辻政府委員 行政監理委員会につきましては、議事要旨を取りまとめているところでございます。
○山原委員 そういうことですから、幾ら勧告をなされても、閣議決定がされても、この内容がまさに空文化される事態を招くわけであります。 また、「答申・意見と異なる方針・措置をとるときは、内閣または主務官庁は、その理由を公にするものとすること。」こうなっています。これもほとんど実行されておりません。さらに、委員の代理出席は認めないことを勧告しておりますが、事務次官の代理出席が常態化していることは、先ほど申し上げたとおりであります。さらにまた、「答申・意見の取扱い方式、議事運営の準則、報酬の基準等、審議会等に関する通則を法定する。」という勧告もなされておりますが、十数年経過した今日でも、その検討作業はほとんど進んでいないというのが実態でございます。これは指摘にとどめたいと思います。 さらに、先ほど大臣の方から御答弁がありました私的諮問機関の問題であります。政府は、これまでこの審議会にかかわる行政改革は、整理統合を大きな柱として推進をされてきたのでありますが、こうした画一的、機械的なやり方には問題があると思います。こうした機械的な改革のもとで、一方では法律に基づかないいわゆる私的諮問機関が乱設をされております。他方では、不明朗な部会や小委員会等が乱設をされておるという事態があります。たとえば、後で私は文部大臣に対して御質問申し上げるわけですが、いま教育上の大問題になっています主任制度の問題につきましても、文部大臣の私的諮問機関である教員等待遇改善調査会、ここから端を発しておるのでございまして、この私的諮問機関についてお尋ねをしたいことがあるわけです。 国家行政組織法は第二条第一項で、「国家行政組織は、内閣の統括の下に」「系統的に構成されなければならない。」と定めておりまして、第三条第一項で、「国の行政機関の組織は、この法律でこれを定める」と規定をし、第八条第一項は、府、省、委員会または庁に付属機関等を置く場合には、法律によらなければならないとしておるのであります。したがって、付属機関たる各種審議会の設置は法律をもって行わなければならない。これには例外は許されないのでありますが、実際には閣議決定その他で懇談会、研究会と称する私的諮問機関が脱法的に乱造されまして、これらの多くは反国民的な行政運営の隠れみのとして利用されておるのであります。中には、法律で設置された審議会の所掌事務を代行しておるものもあるのであります。その数は、行政管理庁のきわめて不十分な調査でも、昨年七月現在、各大臣のもとに置かれているものだけでも四十に上っております。本省の局長等のもとに置かれたものについては、その全貌すら明らかにされておりませんが、たとえば環境庁に設置されているものが、一昨年十二月時点で五十七にも上っておることから見まして、恐らく数百に及ぶものと思われます。 これら私的諮問機関のうち、国の重要な政策決定にかかわるもので恒常的に設置されているもの、また合議制の機関として意思表示を行っているもの、及び所掌事務または諮問事項が法律で現に設置された審議会と類似するものは、明らかに行政組織法に違反をしております。これらについては法律で設置するか、または既存の正規の審議会を活用すべきであると考えるのでございますが、この点について行監委員長のお答えをいただきたいのであります。あわせて、私的諮問機関の全貌を速やかに調査いたしまして本委員会に報告すべきであると考えますが、いかがでございましょうか。
○西村国務大臣 私的諮問機関というのは、私的懇談会のことかと思いますが、この問題につきましてはいろいろ従来からも指摘を受けておりまして、国家行政組織法のいわゆる正規の第八条に基づく審議会とごっちゃになるのではないか、重複しておるじゃないかというようなことがありまして、行政管理庁としてもその打ち切りをやれとか、あるいは懇談会の任務が過ぎたらいつまでに閉鎖せよとかいうその終期を決めておったのでございます。先生がいま相当な数だとおっしゃいましたが、それはどこの辺までとるのか知りませんが、大臣が決裁をしてそれを私的懇談会としておるのでございまして、局長、課長までいろいろ業務をする上におきましては部外の意見を聞く場合があります。そういうものを除けば、局長が決裁してやる私的懇談会というのは、いままでの私の方の調べでは、昨年の五十一年の十月の時点では四十七懇談会があったのでございます。それを十一打ち切りまして、その後また二つの懇談会ができまして、五十二年、今年の二月の十九日現在では三十八の懇談会になっておるわけでございます。しこうして、その三十八のうちの八つは、終期を決めて、懇談会の目的が達せられましたらいつやめるんだということを決めておる次第でございまして、いま先生の数と大分食い違いがございますが、私の方の大臣が決裁した私的懇談会というものは相当に整理をいたしたつもりでおります。三十八のうち八つは終期を決めておりまして、いつまでにやめるんだ、こういうことになっておるから、御了承を賜りたいと思います。
○山原委員 ここでやりとりをしますと時間がたちますので、私は国家行政組織法の規定に基づきまして申し上げておるわけでございます。 それで、いま長官の答弁と私の見解とは少し違っておりますが、それを明らかにする時間的余裕がありませんので、少し先へ進めさせていただきたい。 最後に、この問題について、たとえば審議会運営の中心問題といままでなってきたと思われます、また各審議会で常に問題になってまいりました審議会公開の問題です。アメリカでは、御承知のように、昨年ウォーターゲート事件の苦い経験から、これまで非公開で運営されていた行政委員会を原則として公開することを決めたサンシャイン法、すなわち日の当たる政府法の制定に踏み切っております。日本でも、今度のロッキード疑獄の苦い教訓を積極的に生かしまして、各審議会の公開に踏み切るべきであると私は考えます。一般公開に至るまでの間、報道関係者の取材を認めるべきであるとも考えるのでございます。また、ことしの八月を目途にして進めている行政改革の具体案づくりの中で、審議会公開問題を検討課題としてつけ加えるべきであると思うのです。 そこで私は、この審議会につきまして、こういうふうな見解を持っているわけです。組織、運営について民主的な基準を決めるということ、さらに任命は原則として国会の同意を得るとか、あるいは構成につきましては国民の意思を反映できるものにするとか、あるいは会長などは財界、企業の代表を除く委員から選挙するとか、あるいは大臣、行政機関の職員は委員もしくは委員長にならないとか、あるいは議題につきましては、あらかじめ官報をもって告示する、 〔大村委員長代理退席、委員長着席〕 また委員の三分の二以上が特に必要と認めた以外は原則として公開をする、また議事録の閲覧、こういう立場をとるべきではないかと日ごろから考えておるわけでございますが、いま最後にお尋ねするわけですけれども、内閣官房長官、先ほどから改めて検討されるというお話がありましたが、きょうの私の指摘を含め、また私の提起を含めまして、総理並びに閣議において慎重な検討をされまして八月までに改革案を出される用意があるかどうか、最後に官房長官と行政管理庁長官に決意をお伺いしたいのであります。
○園田国務大臣 ただいま御指摘の私的の懇談会あるいは調査会、会議、こういうものを法律的に規定をして、そして国会の審議を受ける、こういうことでありますが、この私的な大臣の懇談会、調査会、会議等は、場合によっては早急に事を運ぶ場合、あるいは各方面からの行政事務に対する御意見を伺う場合、こういう点がありまして、一々法律に決めていただくよりも利点もあるわけであります。しかしまたその中に、その便法に隠れて行政組織法を犯し、あるいは脱法行為を犯す、こういうことがあってはなりませんので、これは十分、各省政策調整の責任である私の方で検討したいと思いますが、全般にわたっては、最初から申し上げましたとおり、八月末までに行政管理庁長官を中心にしてその検討、改革を進めたいと考えております。 なお、審議会の公開については、行政管理庁長官からお答えしていただきます。
○西村国務大臣 官房長官からもう御答弁がありましたが、審議会につきましては、その設置の目的に従いまして諸官庁で運営をうまくやっておるとは思いまするが、公開にするか非公開にするかというのは、いまでは法律、省令、政令等で決めて公開にせよとか非公開とかということを決めておるものも若干ありますが、おおむね公開、非公開のあれば審議会の規約で決めておるものが大部分なようです。ないしは、いままでの慣例に従ってやっておるとかいうようなことでございまするが、先生のせっかくのいろいろな御注意もございまするので、今後われわれも十分その点につきましては見直しをしてやっていきたい、かように思う次第でございます。
○山原委員 もう一言。私はいま幾つかの指摘をしたわけです。そして審議会の民主的改革の、まあこういうものもあるのではないかという一つの参考として出しているわけでございまして、一つ一つすべてが取り上げられるなどという状態ではないかもしれませんが、しかしこれらを含めて、また私の指摘した問題を含めて、総理並びに閣議において十分な検討をされて結論を出す、こういう立場をとっていただきたいと思いますが、官房長官、もう一度その点だけお答えをいただきたいのであります。
○園田国務大臣 いろいろ御指摘をいただきましたが、根本問題は、審議会というものができた原因は、国民の方の御意見、各階層の御意見を広く聞いて、そして政治をやるということが根本問題でありますが、ややもするとそれがだんだんなれてきて惰性に流れて、役所または所管大臣の隠れみの、責任逃れになるおそれが多々出てきたわけであります。それから、いま御指摘のような問題がいろいろ出てきたと思います。そういうことを十分念頭に置いて閣議、行政事務の実行に検討を加え、これを改革する所存でございます。
○山原委員 次に、教育問題につきまして三つはかりの質問を用意しておりましたが、時間の関係もありますので、海部文部大臣に、いま当面しております私立大学のいわゆる入学時における寄付金問題について質問をいたしたいのであります。 ついに昨年も自殺者が出まして、本年も自殺者が出るという、全く社会問題になっています。また、今国会でもしばしば取り上げられておりますし、国民の間にも医学教育を心配する声がたくさん広がっております。これは二月二十二日の読売新聞の例ですけれども、「禍根残す金銭万能 もうからぬ辺地ますます敬遠」されるという題で、東京町田市の矢尾板さんの投書が出ております。「「金次第」の実態は、将来に禍根を残し、粗悪な医師を出現させる原因になりかねないことを憂える。」という記事であります。さらに、長野の松本市の牧野寛さんという方は、「公立増設など公約どうした」と、こう題しまして、文部省は「通達で自粛を促しただけで野放しである。抜本策を立てるべき時にきている。」と述べております。私は、これは多くの国民の共通した声ではなかろうかと思うのであります。 そこで、文部省が二月十七日に入学時寄付金の実態調査を公表したのでございますが、その経過と内容について伺いたいのであります。 これによりますと、医学部の場合、三十八の私立大学医学部のうち、二学部を除きまして、入学者の四分の三に当たる二千四百二十名から平均千六百六十五万円、計四百三億円が集められ、歯学部では入学者の九八・九%、二千四百七十九名から一人当たり平均千二百五十五万円、合計いたしまして三百十一億円集めておることになっております。歯科系におきましては、入学寄付金を納めていない学生はわずか二十七名にしかすぎないという結果が出ておるわけでございます。五十一年度の全私学経常費補助金、国が出しておりますものが千二百九億円でございますから、実にその半分に達する七百十四億円がわずか四千八百九十九人の学生と父母から集められているわけであります。いまやみ寄付金と呼ばれておりますものは一億に達しておるとさえ言われておるのですが、今回文部省が発表されましたこの数字はどういう性格を持っておるものでしょうか。学生募集要綱にないものであるからやみと呼ばれておるのか、あるいは文部省に報告され、私学財団も知っている金額なのか、この点を明らかにしていただきたいのであります。
○犬丸(直)政府委員 ただいま先生がおっしゃいました数字、若干違いますけれども、ほぼ同じ数字を私ども持っております。この数字は各関係大学に協力を願いまして、具体的な個々の名前を出さないという前提のもとに協力を求めて調査した数字でございます。私学振興財団その他では別途その業務を執行するに必要な財務諸表等を法令に基づきまして徴収いたしておりますけれども、そちらの方の数字とは別なものでございます。
○山原委員 こういうことですかね。各大学から文部省に報告されているこの数字というのは、学校法人会計基準に基づいて各大学で処理され、文部省に提出を義務づけられている財務諸表上に処理されている寄付金に限られており、それ以外の、いわばやみとでも言うべき寄付金が報告されていない、こういうふうに理解していいのですか。文部省には決算報告の中に出てくる数字でありますか。
○犬丸(直)政府委員 私学振興助成法第十四条に基づきまして、経常費助成を受ける私立学校は同法に規定されております財務関係の諸表を提出することになっております。その中に寄付金という項目もございます。しかし、これはいわゆる入学時に学生ないし父兄から集める寄付金と、それから一般の寄付金、それも込みになった数字でございます。それで、ただいま申しましたその助成法十四条に基づく数字というものは正式な報告でございます。しかし、その今回公表いたしましたものは、それと別個に、個別に協力を促して、学生から入学時に募集したものがあったらばそれを報告してほしいということで求めた数字でございます。
○山原委員 そうしますと、まさにこの数字はやみということになるわけですね。
○犬丸(直)政府委員 必ずしもその後の数字がやみとは限りません。私どもの希望いたしますのは、その全部が正式の報告書の中の数字と一致することを期待しております。
○山原委員 期待しておるということですから、文部省も正確にはこれがどういう性格のものであるかということをつかんでいないということを立証しておると思います。これはまた重大な問題です。一部は決算報告その他私学財団に報告されるけれども、部分は、期待はするんだが全部報告されておるかわからないという、それは一体どこへ使われておるかわからぬものになるわけですが、そのことはさておきまして、今回文部省は、岐阜歯科大学の入学時寄付金と助成金の経理内容に関する調査報告書を求め、入学時寄付金の実態を明らかにする考えであると報道いたしておるのでありますが、これは一体何を探そうとしておるのですか。
○犬丸(直)政府委員 法律に基づきまして提出される財務諸表の中には、具体的にどういう形で納めたかとか、入学時にどういうものを集めたかという形では出てまいりませんので、改めてその辺の事情を詳しく調査しようとしているわけでございます。
○山原委員 私がなぜこういう質問をするかと申しますと、実際には会計処理のされていない金が多額に動いておるということであります。一例を申し上げますと、私はここへ資料を持っております。杏林大学の場合ですが、文部省への決算報告によりますと、寄付金の額は昭和四十七年度四億一千三百九十四万円となっています。これは文部省から決算書もいただいています。昭和四十八年度は十億八千二百三十六万円となっておりますが、間違いありませんか。
○犬丸(直)政府委員 私どもの方で調査しました結果、おっしゃるとおりの数字が決算書の中には出てまいっております。
○山原委員 この杏林大学の実態を調べてみますと、たまたま入手した資料でありますが、昭和四十七年入学許可者百四十三名から十九億六千六百五十万円が徴収されております。そのうち三十二名については三億八千万円が返却されておりますが、あと百十一名で十五億八千六百五十万円が残るわけです。この文部省に提出をしております決算資料との差額は何と十一億七千二百五十六万円に上ります。実に十二億に上る金が学生から徴収されて、そしてそれは使途不明になっているわけです。四十八年の例を見ますと、結局九十九人の学生から十四億五千四百万円の徴収がなされておりまして、決算との差額は三億七千百六十四万円となっております。で、この四十七年の約十二億、四十八年の約四億は学校法人によって会計処理がなされておらず、だれかの手に渡っていることになるのであります。 国税庁にお伺いしたいのでありますが、このような問題について国税庁は、このいま問題になっておるいわゆる裏入学金をめぐる税問題について調査をするということは今日までありましたか。また調査をするような考え方を持っておるのでございますか。
○山橋政府委員 お答えいたします。 御指摘のような裏入学に当たっての寄付金の問題につきましては、税法上の問題としては、たとえば入学に当たってその媒介をした者が謝礼をもらったというような場合、あるいはその入学に際して寄付をした方々のその寄付金の資金の出所が適正であったかどうかというふうな問題、そういうふうな問題が実は課税上の問題になろうかと思います。私たちといたしましては、税法に照らしまして適正な課税処理に現在努めているところでございますけれども、ただ、事柄の性質上、たとえば媒介等の場合には現金で直接手渡されるというふうなケースが多いということが予想されますので、実務上非常に捕捉がむずかしい分野ではないかと実は考えておりますけれども、従来にも増しまして資料、情報の収集に努めまして、その辺の課税の充実に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。また、その資金を出した方々の問題といたしましては、これにつきましても、その資金出所が適正であったかどうかということがやはりわれわれの関心になる点でございますが、こういう点につきまして、入学金を支出した者につきまして、その入学金を把握をするために、大学当局の御協力を得まして、その点の実態の解明も進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○山原委員 文部省はこの四十七年、四十八年の問題につきまして、その後どういう指導をこの大学に対してなされておりますか。また、四十九年、五十年国の助成はこの大学に対して幾ら行っておりますか、この二つを伺いたい。
○犬丸(直)政府委員 杏林学園のこの問題につきましては、たしか昨年文教委員会において先生からの御指摘もございまして、その直後五月の末に私ども杏林学園の責任者に来てもらいまして、その状況を聴取いたしました。それで、杏林学園の話では、数字が多少先生のおっしゃいました数字と違いまして、四十七年度におきましては、寄付金の総額が九億六千七百八十万円であった。そして決算書による寄付金収入としては、先ほどおっしゃいましたとおりの数字の四億一千三百九十四万円と、約三億円の差がございます。この三億円の差については、後援団体である、これは杏会というのでございますか、そこへ寄付をして、そこが翌年度へ繰り越しておるんだ、こういう説明でございました。それから四十八年度におきましては、ほぼ先生のおっしゃった数字と同じでございまして、約十四億何千万円かの寄付金がありまして、決算書には十億八千二百三十六万円とその差の約四億円につきましても、やはりこれもその後援会の方の金としてそちらへ寄付をして、それが資金として積み立てられておるんだ、こういう説明でございました。 それで、その際でもございますが、強制的な寄付はしないようにということ、それからその辺の、学生から寄付してもらったお金につきましては、その管理を公正にし、適切な処理をするようにということを強く指導したわけでございます。 さらに、六月十九日関係者に来てもらいまして、まず第一点が、入学の条件となる寄付金の徴収は絶対にしてはいけない。また、社会の非難を受けるような寄付金の募集は行わないようにという申し入れをいたしました。さらに、この後援会が収納した寄付金は、最終的には学校法人会計に繰り入れるようにこれは強く求めております。それから寄付金の募集というものは合格発表の前に行うというようなことをしないようにということ、このような指示をいたしまして、同副理事長は、指摘された点につきまして理事長にも伝え、今後問題を生じないように善処いたしますと、こういう確言をいただいておるわけでございます。
○山原委員 助成金の問題、もう時間がないからいいですが、助成はその後も行われておることは明白でございますけれども、私の数字と違っておるところもありますが、それが後援会などということになっておるようでありますけれども、実はこういうものが全くわからない。突き詰めていけば後援会だというふうに逃げられる。私はいま杏林という大学の名前を使いましたが、一つの大学名を使うということは大変心苦しいわけでありますけれども、しかし、この場合、四十七年、四十八年の場合は、入学試験期の前年の十一月から徴収が始まるわけですよ。そしてあなたは一千五百万だ、あなたは二千万円だと言って徴収をした途端にそれが各種の銀行に振り込まれる。たとえば私の調べただけでも、A君が千五百万円、引き続いて行ったY君が二千万円というふうに徴収をされますと、直ちにそれが埼玉銀行あるいは三和銀行、第一勧業銀行、東海銀行、三井銀行、三鷹の農協、信用組合あるいは都民銀行等に、何でこんなふうにばらばらに預金されるかという疑問も生ずるわけでございますが、そういうことがなされているわけでございます。そして問題は、こういう事態が起こる問題の根源は、この種学校がいわゆる民主化されていない、教授会もほとんど機能を発揮していないというところから出てきておるわけであります。したがって、いま問題になっておりますいわゆるやみ入学金問題をなくするためには、一つは私学の経理の民主的公開が必要です。もう一つは私学の民主化が必要です。理事長やその一族が学園を支配しておるということでは絶対にこの禍根を断つことはできないわけでございます。私はその決意をまず文部省が持っていただかなければならぬと思うのでありますが、これにつきまして海部文部大臣の見解を伺いたいのであります。
○海部国務大臣 御指摘になっております私立の医科大学の入学時に、非常に多額の入学金が、あるいはその方法が強制に及んでおるのではなかろうかと疑われるような、あるいは一部において明朗を欠くのではないかという御指摘のあるような点が存在しますことを、大変残念なことですが、私もある程度は率直にこれは認めなければならない問題だと思います。同時に、私が就任いたしまして以来、新聞に報道されましたように、社会的にも大きく問題を提起した不幸な出来事等も起きました。私は、元来、私立の医科大学、歯科大学というようなものは、学校経営に多額の経費がかかるということは、これは事柄の性質上よくわかるんですけれども、しかし、これを政府といたしましてもほうっておくわけではなくて、教育の機会均等という立場から、予算にも措置をし、国会の審議もお願いをして、多額の助成金を出しておるわけでありますし、また私学振興財団の方からの融資にも年々力を入れてやっておるわけでありますから、私は、こういったことが行われないようにしてほしいという文部省の再三の自粛指導というものを、第一は私学側の皆さんが厳しく受けとめてこれを守っていただきたいと願いますと同時に、これだけ多くの税金を投入して私学の健全育成というものにもわれわれ意を用いておるところでありますから、どうかひとつ、これはどんなことがあっても、こういったような出来事が放置されて野放しで行われていくんだということでは、われわれもいささか残念でありますから、当該問題を中心として、問題を起こした学校のみならず、協会とも直接担当局長にただいま接触をしてもらいまして、学校側が積極的、自主的に世間の大きな疑惑を解くように協力してもらうように厳しく指導をしておるところでございます。御理解をいただきたいと思います。
○山原委員 いま御答弁がありまして、そのお気持ち、また今日まで指導しておることはわかっているのですけれども、しかし、私学助成というのは、ことしは千六百五億円が予算に組まれていま審議をされているわけでございまして、大蔵大臣もいらしゃいますけれども、たとえばある団体に補助金を出すという場合には、その団体の経理状況というものをかなりつぶさに知って初めて——いま睡眠をされておりますが、国民の税金を投入する場合にはそれなりの、助成を受ける団体の経理状況が判明をして、そうしてやられるわけですね。ところが私学の場合は、いま文部省の方からも答弁がありましたように、わからない部分があるのですね。しかも、私学助成の金の半分に匹敵するような金が動いておるわけですね。そうしますと、たとえばAならAという医科大学、医学部の経理状態はどうなのか、付属病院を含めて赤字経営なのかどうなのか、これがガラス張りにならないと、幾らお金を投入してもやみ入学金というものは上がる一方なんです。だから、たとえばAならAという医学部に対してこれだけのお金を出せばやみ入学金を巨額に取らなくても済むんだという確信がなければ、助成の問題はなかなか結論が出ないわけです。本委員会で予算の審議をしておりますけれども、全く皆目わからないものに対して国費を投入するなんということは、恐らく普通だったら審議の対象にはならぬと思うのですよ。だが、私学の場合には千六百五億円という支出がなされるわけですが、なされる以上は、私学の特に医学部、歯学部につきましては財政の公開といいますか、だれが見てもわかるようなガラス張りの状態にして、そして国会なら国会が、ではこの大学に対してはこれだけの金が出ればやみ入学金を出さなくても済むんだなということが、基準がわかるわけでありますけれども、いまの段階では全くわからない状態で国費が支出されている、こういう状態にあると思いますが、大蔵大臣、この点についてどうお考えになりますか。
○坊国務大臣 私学の経理につきまして非常にわけのわからぬ点が多い、そういうことをそのままで置いておいたのでは将来大変な問題になるんじゃないか、これを財政上、税制上何とか考えていく手はないか、こういうようにお聞きいたしますが、それにつきましては、大変技術的な問題も絡んでおりますので、政府委員からお答えをさせます。
○山原委員 いまの答弁でいいです、詳しく聞くと時間がありませんから。 文部大臣にお伺いしますけれども、私は一つの提案としまして、私学の経営、特に医学、歯学の場合の経理の公開といいますか、これだけの運営をやり、あるいは交際費も私学ですから要るでしょう、そういうものは当然あるわけでございますが、そういうものを含めましてこれだけの赤字が出ている、あるいはこれだけの入学金を取らなければやっていけないのだという、そこのところがわからないままに国費の助成が行われておるのが現状ですけれども、それを改善するために、私学の経理状況の公開ですね、文部省にいたしましても、また国民の側からしましても、ああ、あの大学はこれだけの苦しい経営をしておるんだな、それならば私学助成金をもっとふやしてやみ入学金などというものは取らなくてもいいようにする、こういう基礎というものをつくる、それは私学の経理の公開ではないかと思いますが、この点につきまして何か支障があるんでしょうか。
○海部国務大臣 私どもは私学に対してやはり世間の理解と納得を得るためにも、でき得る限り私学の経営の実情というものはお聞かせを願いたい、こうして担当局長がただいまいろいろな角度から私学の自主的な御協力を強く求めておるところでございます。われわれといたしましても、そういう私学の経理内容というものの実態といいますか、どのくらいどうしていったらこの問題が解決に向かうだろうかという側面からの議論も一つございますので、そういったようなことをただいま担当局長が詰めておるさなかでございますので、お見守りをいただきたいと思います。
○山原委員 いまこのやみ入学金の問題が大きな問題としていろいろ論議をされておりますので、あっさり言えば、一番たまらぬのは私学の医学部、歯学部へ行っている学生諸君だと思います。世間から何か金で入学したんじゃないかと見られる、そういう六年間を送らなければならぬという問題などもあるわけです。だから私は、私学に対する助成、これは大いにふやして、国公私立間の格差をなくしていくという、これは当然のことでありますけれども、同時に、ではどれだけ援助をすればこういうやみ入学金などというものがなくなって、正当な入学試験によって優秀な学生が合格でき、そして将来医者として国民の健康、生命を守るために情熱を傾けることができるようにするかという問題にかかっておると思うのです。 そういう点で申し上げておるのでございまして、私は一つの提案として、私学の経理、それはガラス張りにすべきである、同時にそれができるような私学の民主的な経営、理事者あるいは理事長一族が支配をするというような体制はできるだけ改めていって、そして経理の問題については公然と公開をしていくという立場をとっていただけるならば、これは私学助成は一層増大いたしまして、このような問題を解決していく基礎になると考えております。その点いかがでしょうか。
○海部国務大臣 先ほど来御答弁申し上げておりますように、今月に入ってからも何回もそういったようなことを私どもの方から私学協会側に指導し、そして私学側の一致した意見で自発的にできるだけそういうようなことに向いてこないか、向こうもそういったものを厳しく受けとめまして、そういったようなことに対する私学側の自主的な態度といいますか、どういうふうにしたらこういった問題の解決に向かうかということを、ただいま担当局長と鋭意詰めておるさなかでございますが、私はそういった方向に行くような考え方で局長に指導をいたしております。
○山原委員 そうしますと、経理状況についても文部省としてはしっかりとつかむ、また自主的なそういうつかめるような状態をつくってもらいたいということで指導されておると思うのですが、私は、私学の経理の公開によってだれも被害を受けないと思うのです。だからそれが公開されるような状態になるならば、やみ入学金などというものを取らなくても済むだけの国の助成が行われる。そうするならば、この問題は相当部分解決できると思うわけです。だから、私学経営の民主化とガラス張り、このことをあえて主張しておるわけですが、もう一度、私学経営の経理の公開ということについては、これは必要ないとお考えではないと思いますけれども、それをなし得る決意を持っておりますか。
○犬丸(直)政府委員 私ども、私学振興助成法に基づきまして助成をするに当たりましては、その効果が上がるように、そのお金が有効に使われるように、そのために必要な財務上の諸表はとりまして、そこのところは確認して実行いたしておるわけでございます。 ただ問題は、それ以外の寄付金の問題等もございますので、そういう面も含めて、より一般の世間が納得するような形で、世間の信頼を博するような形で経理の内容を明らかにしていくという措置をとりたいと思います。 ただ一口に経理と申しましても、いろいろな局面がございますし、それぞれの大学の自主性という問題もございますので、その社会の誤解を解くという面で必要な限りにおいて、できるだけ物事を明らかにしていく、こういう方向でいま鋭意詰めておるわけでございます。
○山原委員 昨年にもなりません、一年もたっていないときに、私はこの問題を指摘して、昨年も自殺をする学生が出ました。またことしも出ているわけでございまして、ことしはまた去年よりもさらに大きな問題として論議をされているわけでございますが、また来年もこれを繰り返す結果になりかねないと思うのです。だから、杏林の問題にしましても、いま御答弁がありましたが、何となく頼りない答弁でございまして、まだ理事長さんもそのまま続いておる、後援会に入っておる何億という金も指摘をしなければこれはやみに流れておったところです。すでに、後援会に会計上算入されておることは確認されておりますか。四十七年のことですが、もうすでに四年目を経過しておりますが、どうですか、確認していますか。
○犬丸(直)政府委員 最近さらに連絡いたしまして確認いたしましたところ、学校側の返事では確かに入れましたという返事でございました。
○山原委員 四年たって大変頼りない返事でありますけれども、そういうことがないようにすべきだと思います。 この問題はまた文教委員会等で論議されると思いますが、時間が参りましたので、私の質問をこれで終わります。
○坪川委員長 これにて山原君の質疑は終了いたしました。 次に、有島重武君。
○有島委員 教育、それからエネルギー、日本語、そういった諸問題について質問さしていただきたいと思っておりますけれども、その前に、外務大臣きょう来ていただいておりますので、二、三質問さしていただきたいと思います。 鳩山外相が、昨日の本委員会におきまして、日中平和友好条約の締結交渉につきまして、締結を妨げる大きな障害は解消されておる、両国が満足できるように仕上げの段階に来ている、双方が決意して取り組むことになるであろうということをおっしゃったわけでございまして、そうなりますと、日中平和友好条約の早期締結について、政府は、特に鳩山外相は並み並みならない決意をお持ちであろう、こう推察するわけであります。外相として、場合によっては訪中して、中国側とこの問題をお話し合いになるつもりがおありになるんでしょうか。
○鳩山国務大臣 昨日のこの委員会の答弁におきまして、日中間におきましては共同声明によりまして大きな路線は敷かれておるということで、ただ大きな障害が何があるかと、こういうお尋ねでございまして、端的に申し上げまして、その大きな障害というものは、現在こういう大きな障害があるというようなことではないという私の認識を申し上げた次第でございます。これから双方が本当に満足のいく状態に持ち込むことができれば、私はこの日中平和友好条約というものは必ずできるものと確信をいたしておりますし、両国政府ともそのような方針であると考える次第でございます。そういう意味で、私は、もう最終段階という表現は適当かどうか知りませんけれども、相当詰まってまいってきておるという感じを申し上げたのでございます。
○有島委員 時間が大変限られておりますので、答えは簡明にしていただきたいと思うのですけれども、私が伺っているのは、訪中なさるかどうかということなんです。
○鳩山国務大臣 機が熟しますれば、福田総理の御指令があれば訪中することにやぶさかではございません。
○有島委員 せんだって、福田総理が近く訪中する自民党の川崎秀二さんとお会いになった際に、懸案の日中平和友好条約を早期に締結したいという意向を表明された。また、必要ならば国会終了後の適当な時期に交渉妥結のために鳩山外相を中国に派遣してもよい、そういうことを言われたと伝えられております。鳩山外相は福田総理からこの問題につきまして何か指示を受けておられるのではないかと思いますが、それから外相訪中の話もそのときにあったのかどうかお話しください。
○鳩山国務大臣 まだ福田総理よりそのような指示は受けておらないのでございます。
○有島委員 外務大臣が訪中なさるというお話は全然まだ口の端にも上ってないということはあり得ないと思うのですけれども、少なくとも日中復交満五年に当たる九月、これには交渉が妥結する、こういうことが望ましい、これは国民の一般の期待でございますし、私たちもそのように思っておる。これを一つの目標として取り組むべきではないか。どのようにお考えになりますか。
○鳩山国務大臣 御意見は真剣に承っておきます。
○有島委員 私、御意見というのじゃなくて質問をいたしておりまして、外務大臣のお心構えを承りたい、こういうわけでございます。
○鳩山国務大臣 福田総理の御指示を仰ぎまして決めるべき問題であると思います。機が熟しますれば、この機も早い方が好ましいと思いますが、機の熟すのを待ちまして解決に当たりたい、こう思っております。
○有島委員 何か大変奥歯に物がはさまったようで、福田総理とはこの種の問題について全くお話がないということは、とてもそういうことは国民一般は信じないでしょう。大変お答えとしては私は不満を持ちますけれども、先に参ります。 〔委員長退席、大村委員長代理着席〕 さきの日ソ漁業交渉でソ連側が、漁業専管水域二百海里、大変強硬な態度を示してきたわけですね。そうして今回の交渉で当初予定されておりました共同声明ではなくて交換文書になった。この理由と背景はどういうことになっておりましょうか。
○鳩山国務大臣 現地におきまして鈴木農林大臣が記者団に答えておられますところによりますと、この共同コミュニケが書簡の交換になったということは、そういう深い意味があることではないということを承っております。内容は、漁業交渉にこれから入るわけで、その段取りを決めたものにすぎないものでありますから、したがいまして書簡の交換ということにしたというふうに承っております。
○有島委員 農林大臣代理の渡辺さんが来ていらっしゃいますので承りたい。けさの今回取り交わされました日ソ交換書簡でございますけれども、どのように評価なさいますか。
○渡辺国務大臣 まあ、ああいうふうなことしかないだろうと思います。
○有島委員 重ねて伺います。今月の十五日から現行の日ソ漁業条約に基づく漁業交渉が東京でもって行われますね。それから暫定取り決め、これはモスクワで行われるわけですね。その後基本協定決定のための交渉、こういった三つのことがございます。で、こうしたことについて基本的にはどういう考えを持って臨まれますか。
○渡辺国務大臣 基本協定には、長期にわたる北洋漁業の安定かつ安全操業をどうするかということが基本的な考え方であります。なお、御承知のとおり突然二百海里を言ってきたわけです。しかし、それを三月一日からやりましょう、そう言われましても、こちらはなかなかできないわけです。そこで暫定的にとりあえず決めましょう。ところがその暫定もすぐ簡単に決まらない。そこでとりあえず鈴木さんが参りまして、暫定の暫定みたいな話ですが、三月いっぱいに暫定の協定をつくります、それまではいままでどおり魚をとっても結構です、ただしニシンとサケ・マスだけは三月中は除いてくださいという話になったわけです。そういうわけでございます。
○有島委員 ただいまの取り交わされた交換文書の中でも、突如としてニシン、サケ・マス漁業は今月いっぱいソ連の二百海里水域内で操業できない、こういうことが同意された。これは私たち大変不満に思っているわけでありまして、一体こういうふうになった経緯はどういうことなのか。また、現在ニシンの操業が行われている最中です。それで、漁民は江戸以来の自分たちの一つの水域であると思ってやっているわけでありまして、大変影響を受けるこうした関係者に対しての善後策、そして今後の操業開始、こういったことについて積極的にやらなければならない、それは当然だと思うのですけれども、そういう御発言がないのはおかしいと思うのですが、お考えでしょうか。
○渡辺国務大臣 どういういきさつ、応答、そういう細かいことは当事者でなければわかりません。わかりませんが、ともかくソ連の立場からいたしますと、最初は本協定でやろうということを言い出してきたわけでございますが、日本では国会がございますから、本協定を結ぶということになると国会にかけなければならぬ、それはすぐにソビエトのように親方同士で話し合って全部決まってしまうというわけになかなかいかないわけです。そこで、それは改めてやるわけだけれども、とりあえず暫定協定というようなものを結んでいこうという大きな話をしまして、それで、三月中はスケソウその他いろいろなほかの魚もあるわけですから、そういう魚はとってよろしゅうございますよ、しかしサケ・マス、ニシンは、まあ資源の保護という立場もあるし、三月中に暫定協定が発効するわけですから、そのときにいろいろなことを相談するので、資源の保護というような立場からこれは見合わせてくれ。こちらは当然それはとらしてもらいたいと言ったと思いますよ。しかし実際問題としては、サケ・マスについてはいま、ソ連の域内ではとってないのです、魚は日本の近くの方におりますから。四月、五月になると向こうへ回っていくわけです。ですから、これは事実上は規制されても魚がいないところにとりに行く人はいないわけですから、実際問題としては余り関係がない。ただニシンの問題は、これは御指摘のとおりございます。ございますが、いろいろそういうような大きな問題を持っておりますから、小さなことでここで争いが起きてしまったというようなことになっても、小さなことのためにでかい話がこじれても困るので、資源の保護ということはお互い必要でございますから、そういうことで合意されたものと私は想像しているわけです。細かい訓令とかありませんから、帰ってきてから鈴木大臣に詳しく聞いてもらいたいと存じます。
○有島委員 外務大臣にもう一遍聞いておきます。 こういった具体的な暫定措置や漁業問題、これは今後の問題であろうと思います。政府が最初の日中平和友好条約に何かもう一つ積極的になれない、先ほど何となく歯切れの悪い大臣の態度というのは、これらの日ソ漁業問題の関係と絡めて、何かそれを恐れていらっしゃるのじゃないでしょうか。いかがですか。
○鳩山国務大臣 日中におきます条約交渉は、私どもは日本とソビエトとの外交関係と何らかかわりのないものというふうに理解をしております。
○有島委員 それでは、ちょっと時間を食ってしまいましたので、私はエネルギー問題をやります。 文部大臣は今度、新しい学習指導要領を計画しておられるそうです。その中でいま、一番重要課題となっておりますエネルギーの原子力について、その扱いについて大変苦慮をしていらっしゃるということを承っているわけです。これは結論的にどうか商業主義あるいは生産第一主義的にはならないで、科学的な、本当に大胆な、遠い未来を担う青少年たちのための正しい行き方でやってもらいたい、こう思うわけです。いまこれはお答え要りません、だんだんやっていきますから。 そこで、外務大臣にまた伺います。 エネルギー問題はもう申すまでもなく政治、経済、環境、いまの学術問題、大変現代的、多角的な課題であろうと思います。アメリカのエネルギー研究開発局、御存じですね外務大臣、これが一九七五年、昭和五十年六月に、アメリカのエネルギー研究開発実証計画、こういうのを発表した。これは御承知でしょうか。
○鳩山国務大臣 その点につきまして、正直に申し上げましてつまびらかにしておりませんので、国連局長からでも御答弁させます。
○有島委員 じゃ申し上げましょう。この中で、将来のエネルギー源につきまして短期と中期と長期、こう分けまして、短期というのは一九八〇年まで、中期というのは一九八〇年から二〇〇〇年まで、長期というのが二〇〇〇年以後というふうに分けまして、どういうエネルギー源の開発に対して人と資金とを投入すべきか、こういう優先順位を明らかにした。その中でもって太陽エネルギーが二〇〇〇年以後の最大エネルギー源として位置づけられている、こういった情報については、科学技術庁の方ではキャッチしていらっしゃいますね。科学技術庁長官、いかがでしょう。
○宇野国務大臣 あらまし存じております。
○有島委員 わが国においては、こうした短期、中期、長期というような計画がありますか。
○宇野国務大臣 いま有島委員がおっしゃる中期に該当するもの、つまり一九八五年を一つの時代として考えておる長期エネルギーの需給計画がございます。長期ということになりますと、一応今日、技術開発をし、いろいろな措置をとっておりますが、これは一応二〇〇〇年までということでその作業を急いでおります。もちろんその中には太陽熱を初めいろいろなものも含まれておるわけであります。
○有島委員 お聞きのように、長期計画というのは抜けているわけであります。そして、これもアメリカの方の話でございますけれども、二〇五〇年ごろになったならば、太陽のエネルギーが全体の三分の一から二分の一を占めるであろう、こういった研究もあるわけです。現在の技術水準ですと、せいぜい直射光でもって暖房、冷房、こんなことに使っておる、これは日本でもできておりますけれども。NHKの取材班の報告によりますと、これは開発局の発言ですけれども、太陽エネルギーの開発は大事業だから、政府の手だけではとてもできるものじゃない、これは産業界も全部手を組んでやっていこう、こういうような決意を示しておるようです。私たち公明党の綱領の中には、われわれは地球人としての自覚を持ち、というようなことがあるわけなんですよ。近い将来、と言っても二十一世紀ですかね、地球に住んでいる限り、われわれはまた太陽のお世話にならなければならないのじゃないだろうか。石油を使っていますけれども、これは昔の太陽のエネルギーの貯金を使っておるようなものじゃないか。それからいま原子力、それから地熱だとか核融合、これはやっていかなければなりません。やっていかなければなりませんけれども、これはいわば体で言えば、自分の血液を抜き出しながら、当座何かに間に合わせるというような形ではないだろうか。結局、弥生式農法じゃないけれども、太陽に戻る。太陽エネルギーに依存すべきことは自明じゃないか。 環境庁長官の石原慎太郎さんに伺いたいのだけれども、ひとつこの辺の長期的な問題について長官としてはどんなふうにお考えになるか。これが本当の太陽の季節じゃないか、(笑声)こう申し上げる。
○石原国務大臣 エネルギー問題に関しましては、これは通産省あるいは科学技術庁の所管でございますけれども、環境庁の立場で申しますと、やはり太陽エネルギーでございますとか海洋エネルギーでございますとか、大気や水質の汚染につながる可能性の少ないエネルギーが積極的に開発されていくことは、環境保全のためにも大変望ましいことでございます。そう心得ます。
○有島委員 環境庁長官、望ましいということですね。さっきからお聞きのように、大体いまの内閣の行き方といいますか、これは短期の問題、中期の問題しか考えられないわけです。長期の問題、地球的な問題になりますと、だれが考えてくれるかというと、やはり環境庁長官ぐらいしか——これは無責任な立場だとは言いませんよ。だけど、本当に考えてもらえるのは環境庁長官じゃないか、そう思っているわけですよ。ですから、望ましいことです。しかし、将来は日本の国としても世界としても、やはり太陽に戻っていくんじゃなかろうか、そう申し上げたいわけなんですが、もう一遍言ってください。
○石原国務大臣 やがて私が通産大臣になり科学技術庁長官になりましたときは、環境庁長官としての体験を踏まえまして、そのような汚染率の少ないエネルギーの開発に鋭意努力するつもりでございます。
○有島委員 そこで通産大臣、やがては総理大臣といまおっしゃらなかったかもしれないけれども、私は端的にお聞きしたいのですけれどもね、石原長官、これは非核三原則の問題でございますけれども、つくらず、持たず、持ち込ませず、これは賛成ですか、反対ですか。
○石原国務大臣 私、参議院時代、非核三原則が国会で決議されます前に、一議員といたしましていろいろ所論を述べたことがございます。しかし、その後、国際情勢でありますとか技術開発でありますとか、いろいろ三原則に関します政治的な係数の変化もございました。それを踏まえまして、かつ私は今日、福田内閣の閣僚でございますし、内閣全体の非核三原則の立場を私も遵守するつもりでございます。
○有島委員 私伺っているのは、賛成か反対かと聞いているわけです。守るか守らないか、聞いているのじゃない。
○石原国務大臣 遵守するということは賛成でございます。(「心ならずもだ」と呼ぶ者あり)
○有島委員 私、本当のところを——心ならずも守っていくというのか。これはいまさら、いまおっしゃったから蒸し返すまでもないけれども、ここに議事録がございまして、「非核三原則」「つくらぬ、持たぬ、持ち込まず、妙な火事の標語のようなものでございますけれども、私はどうも、何でこんなものを政府がおつくりになったか、いささか理解に苦しむ。」それから「われわれは、つくらぬ、持たぬがゆえに、場合によっては持ち込まなくてはならない。それでなければ完全な防衛は果たせないと思います。」とおっしゃっているわけですよ。ですから、第一点としては政府のやり方は理解できないということ、それから、場合によっては持ち込まなくてはならない、完全な防衛はできない、こうおっしゃっているわけです。そこで、国際環境がだんだん違ってきたからこの考え方は撤回した、こう言われるのであるか。本当はやはりそう思っているのだけれども、いま心ならずも、閣僚であるからこれに従うとおっしゃるのかですな。 それからなお、これは昭和四十四年三月十五日、同じ日なんですけれども、「政府がはっきりと、やはり万一の場合に日本をほんとうに防衛するためには、この安保条約をより有効に使うためにかれらに事前協議で、向こうがたとえノーと言っても、われわれがイエスと言わせるだけの主体性を持って核を持ち込まさせるという形で安保を運用するということをおっしゃってしかるべきと思いますが、」こういうようなことを言われたわけですよね。私たち、いま石原さんお答えになったように、大きな未来を見て、そしてやがて通産大臣となり何となったときにはと、こうおっしゃるわけだけれども、それは期待が大きければ大きいほど、この辺はうんと心配になるわけですよ。だから、現在この考えは全く撤回されたのかどうか。
○石原国務大臣 でございますから、当時から現在まで、諸般の情勢、非核三原則にかかわります政治係数の変化を私認識いたしまして、その上で、福田内閣のもろもろの姿勢を私自身も考慮いたしまして、そのうちの大きなたてまえの一つでございます三原則を私も遵守するということで入閣をいたしました。
○有島委員 それはわかっているのです、福田さんもおっしゃっているから。遵守することはわかっているのですよ。本当に賛成していらっしゃるのか、反対していらっしゃるのか。じゃ、これは福田内閣じゃなくなったら、だんだん石原さんが偉くなったら……。
○石原国務大臣 賛成しないものを遵守はできないと思います。賛成するがゆえに遵守するわけでございます。
○有島委員 それでは、いま賛成をしていらっしゃる、このように考えてよろしいでしょうか。
○石原国務大臣 そのとおりでございます。
○有島委員 そういたしますと、この前のことは撤回なさったと。これは大変な問題でございまして、石原さんは三百一万からの票をお集めになって、そういった国会議員のお立場として、それで御発言になったことですから、重さが大変重いわけですよ。ですから、非常に心配な点もあるわけです。はっきりしておいてもらいたい。あれは撤回したとおっしゃってください。
○石原国務大臣 撤回ではございません。そのように変化いたしました。
○有島委員 ときどき変化なさる。変化して、だから撤回はしてないんだとおっしゃるわけですね。それならそれでもいいんですよ。撤回はしない、変化しただけだ、こうおっしゃるのですか。私は別にへ理屈を言おうと思ってないのですよ。私はざっくばらんに承ろうと、それだけです。
○石原国務大臣 言葉の問題になるようでございますけれども、撤回と変化とは時間帯に関する概念がいささか違うと思います。私は変化いたしました。
○有島委員 この問題については、これは国の基本にかかわる問題でございますから、やたらに変化されちゃ困るのです。そうすると、何か余り保証されないみたいで、これから先のお話が大変しにくくなる。だから、いまのところでは変化をして、変化をしてどうなったのかと言えば、このときの意見とは変わって賛成である。それでよろしゅうございますか。
○石原国務大臣 でございますから、賛成がゆえに遵守すると申し上げているわけでございます。(発言する者あり)
○有島委員 いろいろおはやしが入っちゃったけれども、将来とも憲法にのっとって非核三原則は続けなければならない、こういうふうに私どもかたく決意しているわけだが、その点では石原さんと私たちとは大分違うのだという認識を持たざるを得ない。いつ変化するかわからない。当分大丈夫ですか。これが問題なんですね。そう変わられちゃかなわない。
○石原国務大臣 短い将来か長い将来か存じませんけれども、非核三原則を左右するようないかなる事態が起こるかということは、これは何人にも想像できないと思います。(発言する者あり)
○大村委員長代理 環境庁長官。
○石原国務大臣 それじゃ答弁をつけ加えさせていただきます。 将来一体どのような事態が起こるかということ、これは何人にもわからないと思います。でありますから、将来を想定してのお答えは、私はここですべきでないと思います。そのかわり、私が福田内閣の閣僚である限り、私は非核三原則を遵守いたします。
○有島委員 一番最初の答えに返っちゃったわけだ。大分後退なすったわけです。こんなことで時間を使いたくない。だけれども、これは重大な問題じゃないでしょうかね。だから、福田内閣の閣僚になるために心ならずもそれを遵守するのだ、こういうことです。そういうことになりますよ。そこは無節操という印象を国民に与えませんか。
○石原国務大臣 心ならずではございません。私が非核三原則についていまお読みのような議事録に載っております発言をしました時点から、私自身の認識も変化いたしましたし、同時に、非核三原則にかかわる諸情勢、政治係数の変化がございまして、私はそれを踏まえて、非核三原則に対する私の認識を変化し、これを正当と認め、そして遵守するということを申し上げたわけでございます。
○有島委員 どうも堂々めぐりみたいになりましたが、この問題は留保させていただきたい、先に進めませんから。理事会でお扱いいただけるでしょうか。(発言する者あり)
○大村委員長代理 それでは委員長として申し上げます。 この問題につきましては、理事会において検討することとし、有島君の質疑を続けていただきたいと思います。
○有島委員 いま原子力が大変中心になっているわけですけれども、委員長にお願いしますが、私、説明を省略するために資料の図表を持ってまいりましたので、ひとつ配らしていただきたい。お願いします。 それで、私ども、長期的には太陽であろう、しかし中期的、短期的にはこれはどうにかしなければならない、したがって原子力、核融合を開発しなければならないと思います。ところが、それは野方図にそういうことができるか。やはりリミットが必要であろう。そのリミットはどの辺に置くべきか。極端なことを申しますと、埋蔵量でリミットをつけるということであるならば、石油は約二十億年前にできた植物の死骸であるということになりまして、これは全部燃やせば昔の空気の組成になりかねないという危険をはらんでいるわけです。 〔大村委員長代理退席、委員長着席〕 ですから、原子力についてはますますわからない。放射能が地球環境のリサイクルを断絶しない限度はどの辺にあるかということを見定める、監視する、こういうシステムがどうしても必要なわけです。 科学技術庁、こういった監視するシステムについてはどうですか、できていますか。今後のエネルギー開発、新しいエネルギー開発、地熱をも含めて原子力というものがどのような影響を与えていってしまうか、そのことです。理論的な問題もあるでしょう。しかし現実にこれを監視していく、こうした体制はどうですか。
○宇野国務大臣 資源そのものからいきますと、わが国は石油資源またウラン資源、これはほとんどない国でございますから、海外に依存しなければなりません。したがいまして、現在は国内において新しいエネルギーをつくり出すということについては努力いたしておりますが、では埋蔵量等等から考えた場合どうかという問題に関しましては、科学技術庁といたしましても一通りの見通しは持っております。 申し上げますと、石油は約三十年で終わるであろう。現在の確認埋蔵量は八百八十四億キロリッターでございます。石炭は石油の約十数倍はあるであろう、こういうふうに確認いたしております。したがって、アメリカ等ではガス化あるいは液化を進めております。わが国におきましても、これはサンシャイン計画で進めておりますが、いずれも一九九〇年代の実用化を目指しております。 原子力は、ウランから申し上げましても、軽水炉だけの利用でありますと、あと二十年ぐらいでウランも有限の資源であろう、こういうふうに私たちはながめております。したがいまして、でき得べくんば、そのウランを六十倍効率を高める高速増殖炉、これを一九九〇年代には実用化したい、これが今日のわが国の立場でございます。もちろん無尽蔵のエネルギーといたしまして核融合というものがございますが、これは二十一世紀の問題であろう。しかしながら、すでにプラズマ臨海実験装置、これ等も本年度の予算において提出をいたしております。 先ほどおっしゃいました太陽エネルギーに関しましても、日本には大体四百五十億キロリッターぐらいの換算率で太陽が照射しておるから、その一%を使えば、将来は五千万キロワットぐらいの発電ができるのではないか、こういうふうなことで、これも実は二〇〇〇年以降の問題として、われわれは課題として把握いたしております。
○有島委員 大変時間がないので、伺ったことに答えていただきたいのです。 埋蔵量から今後のエネルギーを考えるということは、皆さん方がやっていらっしゃることは存じ上げております。そこで、これは環境破壊あるいは人体に及ぼす影響、この限度、こういったことについてどうなっておるのか。この影響を監視する、そういった体制はできておるのか。できているか、いないか、どっちですか。
○大澤政府委員 お答えいたします。 先生おっしゃいますのは原子力、それから太陽エネルギー、両方のことをおっしゃっておられるように思います。原子力につきましては放射能の問題でございます。この放射能の問題がどれだけ地球に広がっていくかということにつきましては、日本だけの監視ということではございませんで、高空の放射能の調査というようなことを世界的にいたしておりまして、定期的に気象庁とかそういうところがいたしております。ただ、廃棄物の中に含まれるようなものについて、どれだけの量があるかというようなことにつきましては、日本のものはわかっておりますけれども、世界のものについて日本が監視するというようなことはいたしておりません。 それから、原子力以外の太陽エネルギーあるいは一般のエネルギーのことにつきましてはいろいろな問題がございまして、たとえば環境の問題で温度の上昇がどうなっていくかというようなことにつきましては、まだその監視というところまでまいっておりませんで、どういう影響があるのか調査をしていかなければならないということで、いろいろな提言が出ておる、こういう段階でございます。
○有島委員 日本の原子力開発の将来を見通して、その監視体制ができているかという問題です。もう一遍言ってください。できています、いません。
○大澤政府委員 お答えをいたします。 現在使っております原子力発電所等につきましては、監視体制はできております。
○有島委員 だから、将来のこれから開発する分についてはできておりません、そうですね。
○大澤政府委員 お答えをいたします。 大気中の放射能につきましては監視をいたしております。
○有島委員 こういうわけでありまして、環境庁長官、さっきの話は後の話といたしまして、日本でも人間環境をしっかり守っていかなければならない。このためには理念的なことを言っていてもしようがない。そして、これは現在のところ守っている、後追いじゃなくて。これからエネルギーを開発しなければならないということはわかっているわけですから、だけれども、それがどの程度までは開発しても大丈夫だ、その安全率のようなものですね、これはぜひとも考えていかなければならないんじゃないだろうか。科学技術庁は開発する側でございますから、環境庁が人間を守る側に立ってくださらなければならないと思うのですよ。ですから、監視体制をどうしてもつくる、このことをひとつ推進してもらいたい。いかがでございましょうか。
○石原国務大臣 環境庁といたしましては、環境保全長期計画の策定に並行いたしまして、この種の問題を目下検討作業中でございます。もし必要ならば、現在までの詳しい内容について担当の局長からお答えさしていただきます。いかがでございましょう。
○有島委員 結構です。 外務大臣に伺います。 一九七二年にストックホルムでもって国連の人間環境会議というのがございました。人間宣言だとか世界の環境保全のための行動計画であるとか、それから環境問題のための国際機構であるとか、そういったことを決議いたしまして、その後いろいろな機関ができたわけです。三つほど機関がございます。このことについては御承知ですね。
○鳩山国務大臣 国連局長からお答えさしていただきます。
○有島委員 結構です。じゃ外務大臣、よく勉強しておいてください。 どうしてかと申しますと、こういうところに日本はみずから一つの提言もし、これを推進していくという姿勢をとっていただきたい。そういった御用意があるかとぼくは伺いたかったんだけれども、御存じないくらいじゃ御用意はないでしょう。ですから、これはどうしてもそうしなければいけないと私は訴えたいと思うわけであります。
○坪川委員長 大澤局長、答弁されますか。
○有島委員 いや、結構です。 外務大臣、これは日本としてやはり原子力をこれから開発しよう、核融合も進めていこう、こういった姿勢でいるわけですから、それと並行して環境を守っていく、ここに積極的にアピールするような御用意をなさるのが至当であろう、そう存ずるわけでございますけれども、所信を言っていただきたい。
○鳩山国務大臣 これから一生懸命研究いたします。
○有島委員 研究するのはいいんですけれども、研究してその方向ですよね、やはり日本の国が世界に尽くしていこう、そういう方向をはっきりしていただきたい、そう思うわけなんですけれども、いかがですか。——頭を下げないで言ってください。
○鳩山国務大臣 仰せのように努力いたします。
○有島委員 そこで、政府が出されました「総合エネルギー政策の基本方向」こういうのがございます。五十年十二月十九日にお出しになった。総合エネルギー対策閣僚会議というのはもう解散になったというふうに聞いておりますけれども、大蔵大臣、この総合エネルギー政策の基本方向、これは変わりございませんね。大蔵大臣に、ここで筆頭大臣でいらっしゃるから一言承りたい。これは変更はございませんね。
○坊国務大臣 お答え申します。 明日やります。総合エネルギー計画の会議はあしたやります。——方針は変わっておりません。科学技術庁長官が明日開く、こう言っておるのです。
○有島委員 この書類は生きているわけですか、それともこれは撤回されたのですか、どっちですか。
○宇野国務大臣 総合エネルギー関係会議は通産大臣が窓口でおやりになるわけでありますが、同じことでありますから申し上げますと、基本方針は少しも変わっておりません。これを今後どうするかということにつきまして、あすから会議を開きたい、こう思っている次第でございます。
○有島委員 これは変わっておらぬ。 それで、図を見ていただいて……。申し上げます。 この中で、エネルギーの分類をいろいろしていらっしゃいますけれども、第一の分類は、石油エネルギーと非石油エネルギーというふうな分類です。これは、平家にあらざる者は人にあらずみたいな言い方で、石油中心主義のいままでの日本の姿であった、これから踏み出そうという姿勢が出ていると思います。これは短期的な構想による分類でございますね。宇野さん、いかがですか。
○田中国務大臣 ただいま御指摘のとおりに、その総合エネルギーの計画は今日なおそのままでございまするが、分類がまず国内、国外というふうに分けてございます。それから準国産、それに原子力が入っております。
○有島委員 いま田中さんがおっしゃったのは、第二番目に書いてございまして、もう一つ分類があって、海外エネルギー、準国産エネルギー、それから国産エネルギー、こうなっているわけです。これは、言葉で準国産エネルギーは何だと聞くと、大概わからないわけで、まきじゃないかという人がたくさんいるわけですけれども、これは原子力が準国産エネルギーということになっているようです。これは国際経済上、あるいは防衛上の分類ではないかと思いますけれども。 それから、その次のところ、二枚目を見ていただいて、これは科学技術会議エネルギー科学技術部会の分類です。これは化石燃料と原子燃料と自然エネルギー、こういう三つの大分類になっているわけです。その化石燃料のところに、石炭と石油天然ガスとタールサンド、オイルシェール、こういうふうになっている。原子燃料のところに、ウラン、トリウム、重水素、リチウム、こういうふうになっている。自然エネルギーのところに、太陽と地熱、こうなっているわけでありまして、あと太陽が分かれていろいろになっている。大蔵大臣はこういうことを非常によくおわかりになると思うのだけれども、たとえば、この分類の、番号のついている化石燃料、原子燃料、自然エネルギーといったところが大臣クラスだとすると、太陽は局長クラスで、その他とかなんとかいっているのが課長クラスのところに書いてあって、光、熱、水力、風力、波力、これは係長クラスのところというふうに書いてある。これも内閣総理大臣を座長とした科学技術会議の分類です。ですから、これは中期計画というところではないかと思います。 それからその次のところを見てください。これは工業技術院のサンシャイン計画本部のエネルギー分類表です。上の方にその一とございますのが、予算系統のための分類である。これは政府の中期的な研究開発の姿勢を示しているのじゃないかと思いますけれども、工業技術院、来ていらっしゃいますか。これはそういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。——じゃ、結構です。これは工業技術院からいただいた書類からつくったものですから、御確認いただけば間違いないことがわかります。もし万が一間違ったところがあれば言ってください。 それからそこにございます工業技術院のその二というのは、ずいぶん未来に向かった姿勢のものでございますけれども、これは残念ながら政府の方の分類というよりは、「工技」という雑誌がございまして、こういう雑誌です。これは工業技術院の方の雑誌だそうです。そうですね。
○窪田政府委員 お答えいたします。 工業技術院でつくりました資料に基づいて「工業技術」という雑誌に載せたものでございます。
○有島委員 間違いありませんね。
○窪田政府委員 間違いありません。
○有島委員 こういうわけでございます。 その次のところ、少し大きな字で書いてあるエネルギー分類表というのは、私たちがつくった分類表です。これについて科学技術庁、意見を承りたい。
○大澤政府委員 先生がおつくりいただきまして、私どもの方に意見を求められましたものにつきまして拝見いたしましたが、長期的な観点からの分類かというふうに考えております。
○有島委員 一枚抜かしまして一番最後のところに横の線の入っている、これが科学技術庁で私どもの分類を検討していただいてお出しいただいたものです。いま科学技術庁の御意見として、これは長期展望のもとにおける分類である、こう言われました。よろしゅうございますね。 そこで、これはどういうふうに伺ったらいいか。大蔵大臣、いいですか。短期の計画は中期の計画の中の部分として位置づけられますね。中期計画は長期計画の中の部分として位置づけられるべきですね。これは物の道理だ。物の道理は坊さんに聞けということはないけれども、大蔵大臣、それはあたりまえのことですね。そうなりますと、私たちのつくりましたこの分類、あるいは科学技術庁のおつくりになったこれ、大体同じですけれども、こういう物の見方を基本にして今後エネルギーをお考えになるべきではないか。予算にしても、いまはずいぶん原子力に偏っているようです。偏っているというか、集中されて予算をつけられておるようです。そういったことをもう一偏こうした大きな分類の中で考え直さなければならないのじゃないか、そういうふうに私は思うのだけれども、大蔵大臣、筆頭大臣として、これは別にエネルギーに詳しい、詳しくないということよりも、本当にごくごく常識的な話として御意見を承りたい。
○坊国務大臣 閣僚の中に筆頭とか筆頭でないとかそういうことはございませんから、ひとつ……。 それで、私はエネルギーの内容につきましてはほとんど知識を持っておりませんが、いまの短期、中期、長期、その分類でございますが、きわめて常識的でございますが、その短期、中期、長期というものは、マクロに見まして長期を考えるときには、無論その中にパートとしての中期、中期の一つのパートとしての短期ということが一応考えられると思います。ところが、その長期、中期、短期というものを考える場合には絶えず総合的な——一つの短期というものを独立して考えますと、中期の中へ入るかあるいははみ出してしまうかわらぬというようなこともありまして、すなわち短期を考えるときには長期も考える、中期も考える、長期を考えるときには中期も短期も総合的に考えていかなければ、大変これは常識的な話でございますが、そこに一つのまとまりが——これがこれの短期である、これがこれの中期であるということを規定していくためにはどうもちょっと簡単には考えられないというふうに、私の常識でございますけれどもいまふっと思いついたことでございます。
○有島委員 これは本当に物の道理ですから、短期的なことを考えるときはやはり中期、長期的なこと、この部分をまた考える場合にはさらにこう大きく、こういうことになっております。政府は、石油ではもうだめだ、何かしなければならない、こういう羽目にいま日本は全部陥っているわけですね。ですからその先として開発をしましょう、こういうことになっているわけですね。そこまでは行ったけれども、じゃその先はということが欠落していたことはお認めになりますね。長期的な展望が欠落しておった。アメリカは石油の国ですね。そこにおいてどんなことがいま緊急の問題として扱われているか、その情報を外務大臣はキャッチしていらっしゃらない。だから、長期的な展望は欠落しておったということは認めざるを得ないでしょう。いかがですか。
○坊国務大臣 なかなかこれはむずかしいことでございまして、長期と申しましてもそれにも限度と申しますか、どれだけの長期か、量もございますね。そこで無限の長期のことにつきまして、無限とは私はあえて申しませんが、非常に限りの長い長期のことにつきましては、これはとうてい考えられるべきことではない。凡夫は、ほんの先のことしか私ども人間としては考えられない。しからばその長期とは一体どれくらいのことを言うのかというようなことになりまして、まことにどうも申しわけございませんけれども、私の頭がどうもそこから先へ進まないというようなことでございます。
○有島委員 坊さんもお子さんがおありになり、お孫さんもいらっしゃるでしょう。で、文部大臣、長期と言っても、いま小学校に入った子、幼稚園に入った子供、この子たちは二十一世紀に活躍する人たちですよね、せめてその辺のことまでは考える。彼らがこれから大人になってから何をしていくか、そういう方向づけは大体考える。われわれが考える長期は、一万年先まで考えましょうということは言わないでしょう。アメリカで言っておりますのもわずか二十五、六年先から以後のことを長期と言っているわけですよ。この辺のことさえも政府のエネルギー政策の中には欠落しておったんだということはお認めいただかなければならない。通産大臣、この長期をひとつお考えになるように、お考えの中にこうしたことをひとつどっかりとお据えになるように……。
○田中国務大臣 先般の総合エネルギー計画の中におきましては、先ほども科学技術庁長官から申し上げたとおりの限界でございます。さらに、将来に向いましての展望ということに相なりますれば、これはいろいろ研究機関等において検討もいたしておるだろうと存じますが、国家計画といたしましての今後の問題になりますると、社会情勢の変転きわまりない問題でありますとか、あるいは科学技術の日進月歩でありますとか、なかなか把握しがたいものがあると存じまするが、大変示唆に富んだ御注意に対しましては深く傾倒いたします。
○有島委員 何だかお答えがあいまいなようですけれども、長期計画は政府には欠落していた、今後長期の展望に立って、先ほど大蔵大臣がおっしゃったように長期のことも考えていかなければ、いまの短期そのものも存立が——存立といいますか、危うくなる、これは物の道理でございますから、それで申し上げたわけです。 そこで、通産大臣に聞きますけれども、いままで原子力にどれくらいの投資がなされているか、昭和五十年までに実績でもって二兆九千九百六十億、こういう数字になっております。これは民間と政府とまぜてです。これは間違いございませんね。そこで、五十二年度には一千百八十億を政府が出資していらっしゃる。これにお金を使うことになっている。こういったことを計算いたしますと、大体五十二年度までに約四兆円のお金が原子力に投資されておる。これは間違いございませんね。
○田中国務大臣 計数でございますから政府委員からお答えいたさせます。
○大永政府委員 先生の御指摘になりましたのは原子力発電所の建設費が大部分であろうかと存じます。数字につきましては現在手元に持っておりません。
○有島委員 この場じゃこれは全然わからないのですか。——結構です。通産大臣、大体の目安くらいはおわかりになるでしょう。——じゃ言っておきます。後でお調べください。
○坪川委員長 大永次長に申しますが、その数字がわかりましたら差し上げてください。
○有島委員 それでは中期計画といいますか、未来計画のための新エネルギーの開発にはどのくらいのお金が使われているか、またわからないと悪いから言いましょう。サンシャイン計画の新エネルギー技術研究開発予算、これは今年度の予算が——わかっていますか。どうぞ。四兆円に対してどのくらいあるのですか。
○田中国務大臣 サンシャインの新しいパイロットプラントの分だけでございまして四十九億でございます。
○有島委員 四十九億円だそうです。それから、ずっとさかのぼっていままでどのくらいの投資がされてきたか、全部で二百億だそうです。間違いありませんね。——大蔵大臣、いかがでしょうか、この違い方。 そしてエネルギー分類表をもう一遍見てください。次のところ、横に書いてございます。ここには各エネルギーについてどういった原理でもって、どういう方式でもってやっていくのか。それから技術開発は実験の段階か、実物大実験に踏み切ったのか、その実用の見通しはいつごろか。安全性については、人体の障害あるいは環境破壊、環境破壊されても復元の可能性があるかないか、それから地球のリサイクルをどのように破壊するか、しないで済むか、カバーできるか。安定性については、自然の継続性とありますのは、たとえば太陽エネルギーは雨が降ったらだめなわけですね。夜もだめなわけですね。それから国際関係、石油なんかも本当に国際関係、ウランもそうですね。原子力も国際関係、大変むずかしいでしょう。それからもう一つは、保存と運搬の問題ですね。それから立地適性と申しますのは、日本の国に合うか合わないか、山に合うか海の方に合うか、それから社会的にどのようなことになるか、反対が出るか出ないか、それから他の経済的な動きに対してどのようになるか。あるいは今度は、用途が、太陽エネルギーも小さな家を暖めるにはいいけれども、工場を回すほどにはなりませんとか、海のエネルギーは約十三億キロワット、これは波浪のエネルギー、さっき宇野科学技術庁長官が五十数億というようなことを言われました。これは日本の国の周りに関してどのくらいのものが開発できる可能性があるか、そういうような量的なもの、それからそれが転換しやすいか、波なんか転換しにくいわけですね。それから貯蔵、運搬というようなこと。そしてコスト、こういうようなことにつきまして、これは実は最初の図とちょうどかけ合わせたみたいな形でもって、大きな図を国会図書館の力もかりてつくりました。後でごらんになっても結構です。それから工業技術院の方でもそういった図はおつくりになっているようでございますけれども、こういう全般的な一つの検討をして、その上でもって原子力の位置づけをしっかりしないと、さっき大蔵大臣がおっしゃったとおりに、それによって本当に振り回されてしまう、あるいは進むべきものも進まない。原子力のためには四兆円……。ちょっとこれ、委員長にお見せしてください。ここにございますのは、「政策展開を待つ原子力産業」五十二年一月、日本原子力産業会議です。ここに業者が並んでおります。二千近く。委員長に見ていただいて、それから回してください。 通産大臣、資源のないわが国だと言われるわけです。輸出は振興しなければならないわけです。自動車や船や——この際言いませんけれども、エレクトロニクスというのが一大ホープでございますね。しかし、原子力の方はまだ輸入国のようなものですね。将来を見越して、将来といっても近い将来ですが、太陽エネルギー技術の開発、広い意味での太陽エネルギー、ここでは御説明しませんけれども、これがわが国の一つの将来の有望な知識集約的な産業になり得るのではないか。実はフランスなんかでは、自分の国で使うために資源エネルギーに関してやっておるわけではないのです。アフリカに売りましょう、発展途上国にこれを持っていってあげよう、そういう構えの開発が始まっておることは通産大臣も御存じでしょう。片や四兆円、片や四十八億円ないしは二百億円。このアンバランスは日本のいまのエネルギー政策がいかに先見性がないか、また、これからの日本の国の経済そのものを自分のうちで賄っていく、それだけのことでもって追われているのじゃないんだろうか。これは考え直す余地があるのではないかということを申し上げたい。いかがですか。
○田中国務大臣 お答えいたします。先生の太陽エネルギー、なかんずく広義の、広い意味における太陽エネルギーの問題につきましてのサンシャイン計画、確かに拝聴いたしました。なおまた、私が申し上げました四十八億七千万円、約四十九億と申しますのは、科学技術庁その他の方面におきましていろいろと研究されました中におきまして、パイロットプラントといたしましての分がサンシャイン計画の中に四十九億載っておるわけでございます。それからなお、将来のエネルギーの問題におきましては、もちろん原子力の問題、さらにまた核融合の問題、いろいろございますので、今後さらに勉強させていただきます。
○有島委員 文部大臣、未来を切り開いていく創造的英知を備えた日本人を育成する、そういうような御所信でいるように承っておりますけれども、生産第一主義というのはこういう側面もあるわけです。それはつくることはつくっていく、しかし後始末ができない、ほかにどんな影響があるかはお構いなしだ、こういう側面があるわけです。家庭でも、実は教材屋さんのいろいろな工作物をつくって、その切りくずで困っておるわけだ。プラモデルの切りくずで困っておるわけだ。困るというほどではないけれども、これはつくればほめられる、限度というものを設けない、先のことまで考えない、こういうようないまの教育のしつけにも大変問題があるのじゃないだろうか。いま通産大臣が、これも勉強してくださるとおっしゃったし、大蔵大臣も、いままで日本にエネルギーに関する限りは長期の計画が抜けておった、欠落しておった、これでは短期、中期も本当は役には立たないということをお認めになったわけです。これは私たちも大人として大きく反省して見直さなければならないけれども、これはやはり国を挙げて将来のために努力していかなければならない問題ではないんだろうか。指導要領というものもこうした方向でもって御検討いただきたい。いかがでしょうか。
○海部国務大臣 いまいろいろ御議論なさいましたような問題、特にエネルギーの性質とかその利用に関する基礎的、基本的な問題について、学校教育の段階から正しく理解をしていくということは大切なことだと私は考えまして、先ほど先生途中でちょっと御指摘ございましたけれども、現在の学習指導要領におきましても、エネルギーの性質とか利用については中学校あるいは高等学校の理科の段階で教えるようにいたしておりますし、また原子力の問題につきましては、その科学的知識を得させるような配慮もいたしております。また海洋エネルギーとか、いろいろ御議論のありました太陽エネルギーの問題については、現在まだ開発利用という直線的な観点からの指導はしておりませんけれども、将来の課題として、学習指導要領の中にも取り上げております。なお後半の部分にございましたいろいろな後の問題、すなわちこれを換言しますと、人間と自然との今後のかかわり合いの問題の認識になってくると思いますが、私どもはこういったことも人間の資質の一つとしてはきわめて大切なことだと思いますので、学習指導要領の改定の中にもそういったことも配慮をいたしまして、基本的、基礎的なことはやはり各学校の段階に応じて教え込むようにしていかなければならないし、またそういったことをきちんと理解し、認識してもらうことが国民としての一つの大切な資質である、こう考えて対処していきたいと思います。
○有島委員 いまの海部文部大臣のお答えですけれども、私、指導要領を拝見しているのです。まだまだ次の時代については非常に観念的であり、これからの問題もたくさん含んでいると思うのです。ですから、お答えはそう言えばそのとおりかもしれないけれども、よく御検討いただきたい。 時間が足りるか足りないかわからないけれども、できるだけ日本語という問題についてやっていきたいわけなんですけれども、外務大臣にこれを渡してください。 いまお渡しした紙は、朴正煕とか金日成とか毛沢東とか華国鋒とか王陽明とか、そういう人の名前が並んでいるわけです。外務大臣、これは普通に読むとどういうふうになるか、いかがでしょうか。
○鳩山国務大臣 間違えるといけませんから、政府委員から。
○柳谷政府委員 情報文化局長の柳谷でございます。 いまいただきました紙を読みますと、一がパク・チョン・ヒ、二がキム・イル・ソン、三がマオ・ツォー・トン、四番目がホア・クオ・フォン、五がワン・ヤン・ミン、こうであろうかと思います。
○有島委員 どうもありがとうございました。 これは、別にふざけて言っているわけじゃないんですよ。たとえば、鳩山威一郎はチューシャン・ウェイイーラン、こう言うわけだ。これはどうですか、ぴんときますかハイプー・ツンシュ、これは海部さん。シュファン・ションタイラン、これは石原慎太郎、向こうから見ればこういうふうになるわけですよ。 かつて、NHKが二十三年十月から現地読みの全面実施に踏み切ったことがあるそうです。NHKでは非常に御苦労なすったそうです。いまはまた昔流になったのですけれども、一つの風習かと思います。風習かと思いますけれども、だからまさか王陽明を一々ワン・ヤン・ミンと読まなきゃ教科書はおさまらないというわけにもいかないでしょう。毛沢東は毛沢東でもしようがないでしょう。しかし、華国鋒のあたりからは、今後順次にでもいいですから、これからの国際的感覚を身につけた青少年を育てていくという立場から言えば、これは現地読みに近い読み方にしていくべきではないか。これは外務大臣と文部大臣にお答えいただきたい。外務大臣、いかがですか。
○鳩山国務大臣 いまの日本におきます外国の方方の呼び方につきまして、これはなるべく実際の発音に従って表示をされる方が私は好ましいと思います。しかし、現在の日本の風習がそこまでいっておりませんので、これにつきましては、逐次、これはひとり外務省だけということだけでなしに、社会的な風習と申しますか、広くそういうことが行われるようになることを私としては希望するのが好ましいことは当然だろうと思います。
○海部国務大臣 これは教科書のきょうまでの一連の流れの中で、そのような方向でなかったという点もあるわけでございますから、きょうのここの御議論等を私は拝聴いたしまして、私の気持ちも率直に伝えて、どうしたらそういうふうになっていくだろうかということも考えてみたいと思いますが、なるべくはそういうきちんとした読み方、正確な読み方というものが教科書の中に反映されるようにしていくにはどうしたらいいかということを私の方で研究させていただいて、そういうふうに取り組んでいきたいと思っております。
○有島委員 言葉の問題、基本的なことですけれども、こうやって言葉を通じてすべてがわかるわけでありまして、さっき言葉のすれ違いみたいなことがありましたけれども、文部大臣は、教科書を薄くしてゆとりのある教育にする、こういうことをおっしゃっているけれども、国語の教育課程のところは、国語について関心を深め、言語感覚を豊かにして国語の特質を理解させ、国語を愛護し、その向上を図る、こうした教育目標だけは長く普遍でございましょうね。
○海部国務大臣 おっしゃるような基礎的、基本的なことは普遍でございます。 〔有島委員、資料を示す〕
○有島委員 お渡しした資料の一番最初のところは、国語学習が大変きらいになった人が年とともにふえ、それから好きな人がだんだん減っていくという図表です。これは国立教育研究所調べです。 それから二番目は、これは名前を言ってもらいたくないと言うのですけれども、私たちはこういった資料を持っています。 もう時間がありませんから、そこで、私は現在の国語審議会のやっていらっしゃるお仕事は日本共通語に限られておるということを指摘したいわけです。これは御理解がおありになるからよくわかると思うけれども、方言もあります。それから古典もあります。現在の国語審議会がやっていらっしゃることについても、もう話が長くなるから、あと三分ぐらいしかないから結論だけ申しますと、漢字の問題、漢字の音訓あるいは送りがな、かな遣い、こういうようなことを全部、いまの日本共通語、いわゆる標準語、これに関しての中村梅吉文部大臣の当時の諮問によってなされているわけです。ですから、国語審議会という名前はちょっと大き過ぎるのです、さっきの大蔵大臣のお話じゃないけれども。国語の中の日本共通語についての審議会である。これは名前の書きかえでもなさった方がよろしいのではないか、こう申し上げたいのが一つです。 それからその次には、日本語の中には、もうこれは御承知だろうと思うのだけれども、大和言葉ですね、和語、二千年来の言葉、「ます」とか「です」とか、こういった言葉、これと、後、漢語、外来語、それから混種語と言っておりますけれども、窓ガラスだとか重箱だとかのまぜ合わせ、こういったものがまざっているわけだけれども、実際われわれが生活してこうやって話しているのは、実に二千年来の古事記、万葉に使われている大和言葉を七〇%使っているわけなんですよ。それにしてもいまの教育は漢字中心主義じゃないか。いろいろ話し言葉、書き言葉、やっていますよ。やっているけれども、教えていることは漢字の音だ、訓だ、こういうふうに教わるわけだ。ですから、いまの国語審議会のやっていらっしゃることは、日本共通語審語会の漢字部会というようなお仕事をしていらっしゃるんだ。それを、あたかもこれが国語の審議でございというようなことで日本人のわれわれに印象づけられることはゆゆしいことであるということを指摘したいのです。いやそうじゃございません、審議会でもこういったこと、こういったこともやろうと思っておりますと、文化庁長官言いたそうなお顔をしていますけれども、私は知っています。「その他」と書いてある。そのほかこういった諸問題についても話し合った、その程度の扱いです。これは勉強して調べてください。 こうした国語の取り扱いがどのくらいの影響力を及ぼしているか、これは各大臣にもそれぞれ承りたかったのだけれども、ちょっときょうは時間がなくなりましたから、海部文部大臣、ただいまの国語の中の日本共通語の部分だけが日本語ではないんだ、それから共通語の部分だけとっても非常に大和言葉があるんだ。 それで御提案申し上げたいことは、漢和辞典はたくさんあるのに、大和語の辞典がないのはどういうわけだ、これをおつくりにならなければならない、これをお考えいただきたい。それで、大和語の辞典、いきなり完璧なものをつくれとは言いません。これが全然ないのです。ないということは突きとめたから、もういい。これからつくろうという計画はあるそうだけれども、完璧なものを何年もかかってつくることも大切かもしれないけれども、何人かいろいろな系統があっても結構だからつくりたい。それにはいままでの学校教育の中で、いわゆる大和言葉の扱いですね、そこに一番最後に書いてあったけれども、「なれる」だとか、「ならす」だとか、飼い「ならす」、「ならぶ」、右へ「ならえ」、こういったような言葉は耳で聞いていれば仲間の言葉だとすぐわかるわけですけれども、私どもは漢字中心主義で教わってきたから、その仲間意識というものが全くわからなくなっているわけです。言語感覚を豊かにするとは言うけれども、これがずいぶん乱れてきた。あるいは、本当は母体語である大和言葉の中でもって漢字を使っていたはずなのに、それが今度はかなの方が使われているという主客転倒が行われている。こうした国語の主客転倒や仲間意識の分断というものが、私たちの考え方、それから表現の仕方にどのくらい悪影響を及ぼしているかということを実は例証しようと私は思っていたのですけれども、これはぼくは文教委員会だけじゃなくてやりたかったのですよ。これは残念だけれども、あとのことは文教委員会でまたやれるようにしますけれども、そういう辞典の問題が一つ。それからもう一つは国語の授業の時間をもう少しおふやしになって、厳格になさいませ、この二点のことを申し上げたい。お答えをいただきたい、文部大臣から。——文化庁はいいです。文化庁は、やる計画ありますとかなんとか言うけれども、これから和語の辞典をつくっていかなければならない、これは国民的な判断です。技術の問題じゃないのです。
○坪川委員長 安嶋文化庁長官。
○有島委員 委員長、私のお願いと安嶋さんのお願いと、どちらをお聞きになるのですか。
○坪川委員長 海部文部大臣。
○海部国務大臣 私は文化庁長官に聞きましたところ、和語の辞典もあるということでございましたので、それなればここで御説明をされたらどうか、こういうことを申し上げたのですが、先生の御提案のことは、私、心にとめて今後検討さしていただきます。
○有島委員 それじゃ、文化庁長官に……。
○坪川委員長 いや、さっき指名して、お断りになったのですから、それはひとつお願いします。 次に、工藤君。
○工藤(晃)委員(新自) 新自由クラブの工藤晃でございます。ただいまから、医療問題について幾つかの質問をさせていただきます。 まず最初に、スモン訴訟の東京第二グループ原告団に対する一月十七日の東京地裁和解裁定について、厚生大臣の御所見を承りたいと思います。
○渡辺国務大臣 スモン訴訟につきましては、非常に重要な問題を含んでおりますので、裁判所の和解の意見書は出ておりますが、それをどうするかということで目下詰めております。そう長い時間かからないと思います。
○工藤(晃)委員(新自) これは一月十七日に出てまいりましてから、私の承りましたところ、また厚生省の窓口でも一月いっぱいでそれに対して十分なる政治的配慮をして返事をする、こういうふうなことでございました。ところが、いまだに返事がございません。そして昨日も大変お気の毒な方々が国会陳情にお見えになっていらっしゃいます。そのときにも、窓口に対しましても私はこう申し上げました。解決に対する積極的な何かの解決案を持っているならば、あるいは日を延ばすことはいいかもしれない、しかし確たる解決案がないのに、いたずらに日を延ばすことは罪悪だ、こういうふうに申し上げたのですが、その点について大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○渡辺国務大臣 工藤先生、お医者さんですからよくおわかりだと思いますが、あの問題は、非常にいろいろな学問上の問題、法律上の問題、一方においては患者を救済してやらなければならないという社会上の問題、三つが混在をしておるわけであります。したがって、法律的に争うというだけならば、一番簡単明快なんです。裁判の判定を待って、それで不服ならば控訴をする、上告をするということならば一番簡単なことですが、それは非常に長時間かかる問題だし、中には患者で非常に重体の方もおることでもあるから、法律論とすればそういうことなんだけれども、もっと患者の救済ということも何とかできるようなことがないかというようなことを含めて詰めておるわけなので、これは非常にむずかしい問題がいろいろ入っておるのです。ですから、誠心誠意これは詰めておるのだ、ただ事務的に扱っているんじゃないのです。事務的に扱うのだったら、簡単なんです。それだけにわれわれは悩んでおるということを御了解いただきたいのであります。
○工藤(晃)委員(新自) 大変御好意のあるお言葉でございますけれども、原告団にいたしますと、この問題は大変深刻な問題でございます。でありますから、その回答だけでは満足しないと思うのです。やはりいつごろまでにその問題について答えを出すというふうな厚生大臣のざっくばらんな御所信を、ひとつここで御披瀝願えませんでしょうか。
○渡辺国務大臣 裁判所ともいろいろ事務当局が打ち合わせをいたしておりますが、そう長いことかからないで方向を決めたい。何月何日ということはなかなか言えないので困っておるわけであります。これは厚生省だけの問題じゃございませんし、当然訴訟の当事者である、法律をたてまえとする法務省が窓口になっておるわけですからね。それからまた、仮にああいうようなことで、いずれにしても国も責任を分かち合うということになれば、財政上の問題があるわけですから大蔵省も当然絡んでくる。また、あの問題がむずかしいのは、それじゃ和解にすぐなったならば裁判はなくなるのかというと、断固裁判、裁判というグループもあるわけですから、そこにまたむずかしい問題があるわけで、それはずうっとつながっていくわけです。だけれども、何とか早く救済のことも考えて、統一的に処理できないかということでやっておるわけでございますから、もうしばらくお待ちを願いたい、かように思います。結論を出すのは簡単なんですよ。簡単だけれども、このことは必ずしも患者にいい結果は出ない。それは法律で争うという話ですから、それは一番簡単なんです。そうしたくないということも含めて、ともかく患者の救済ということを考えていこうというところにむずかしい問題があるということを御了承願いたいと存じます。
○工藤(晃)委員(新自) 私は問題の難易をここで論議するつもりはございませんので、これ以上大臣と私がやり合いましても時間のむだでございます。難易を私は聞いておりませんので、具体的に解決する方法について、ぜひともひとつ短い期間で御努力いただきますようにお願い申し上げます。 次の質問に入ります。医療の問題をこの国会の場でいままで論じ合いをした場合には、常に何となく医療費の問題だけに終始してしまった傾向があると思うのです。しかし、医療の問題というのは、問題は医療費の問題じゃなくて、医療の原点は一体何かということが一番問題だと思うのです。人命尊重という立場に立って、すべての医療問題を考えなければいけない、こういうふうに考えますが、その点について大臣のお考えを承りたいと思います。
○渡辺国務大臣 それは当然、許される限り人命尊重を第一として考えてきておる、そういうことであります。
○工藤(晃)委員(新自) 大変基本的なことを改めて聞くようでございますが、健康保険法というものは、やはりそういうふうな人命尊重という立場に立って運営されていかなければいけないことは申すまでもないと思うのですが、その点について改めて大臣のお考えを承りたいと思います。
○渡辺国務大臣 この医療の問題で人命尊重ということを非常に尊重してやってまいりましたから、先生はお医者さんだから御承知のように、いまは大部分の病気が健康保険で治療が受けられる。その中には、たとえばいつも例に出るのですけれども、人工透析のように一カ月五十万円、六十万円とかかる病気も、本人ならば無料で受けられるというようなことで、何百人分かあるいはそれ以上の人の保険料も全部費消してしまうようなものまでやってきているわけですよ。ですから、そうなりますと、これはかなり費用がかかる問題が出てくるので、人命尊重ということは、やはり費用の問題も全然無視して健康保険法は運営できないということも御承知おきいただきたいと存じます。
○工藤(晃)委員(新自) ところで、健康保険法の趣旨というのはやはり人命尊重というところにあることは間違いございません。ただ、現在の日本の健康保険法は一般の国民の中から大変評判が悪い。これはもう事実です。評判が悪いのは何かというと、人命が尊重されていないというところに評判の悪さがあると思うのです。たとえば三時間待って三分だとか、やれ薬づけだとか、夜間救急医療の問題が整備されていない。それからまた入院時に自己負担金が大変かかってしまう、だからお金持ちしか入院できない。逆に言えば、貧乏人は入院できないから命も捨てなければいけないというふうな、大変いろいろなひずみがここに生まれてまいります。そういうひずみは、人命尊重という立場に立った健康保険法が円滑に運営されているとするならば、起きてこないだろうというふうに考えるわけです。ところが、そういうふうに余りにも医療のひずみというものが国民の大きな悩みになってしまっている。 そこへ持ってきて、今度はまた健康保険料の値上げの問題が出てまいります。医療の中身、高福祉高負担という中身が大変まずいのにもかかわらず、負担の方だけは大変大きくかさんでいく。これは大変大きな問題だろうと思います。今度の国会におきましても与野党の一つの大きな攻防戦の問題だろうというふうに言われておりますが、政府は、公共投資とそれから国民生活安定のために行います三千五百億円の物価調整減税を、これは目玉として盛んにおっしゃっている。ところが、一方では健康保険料というものが値上げされてまいります。これは単年度で一千六百億の累積赤字を一挙に解消しよう、保険料の値上げによって解消しようということになっておりますが、お答え願いたいのは、この保険料というものの性質を、私どもはやはり源泉徴収で強制的に取られるものですから、実質上は一つの税金というふうに考えているわけなのです。国民の側に立ちますとそういうふうに考えるわけなのですが、大蔵大臣に、その点についてどういうふうな御見解をお持ちかお聞きしたいと思います。
○坊国務大臣 お答え申します。 人間の健康なり生命なりというものは、これは人生にとって一番大事なことだ。私は、人間が無限の願望を、限りなき願望をこれにかけておると思います。だから、これにつきまして、人生においても個人においてもできるだけその願望を達成したい。 その達成する方式ですね、何がいいか、どういう方式がいいかということを考えてみますと、それは個人個人がそれに対して一生懸命になるということ、これがいいのでございますけれども、しかし、いまの資本主義の世の中には貧富の差がございます。そこで、金持ちは無限の願望を達成することができて、貧乏な者はそれができないというのではこれはよろしくないということで、そこで保険方式というものをとりまして、保険方式というのは相互扶助でございますね。そこで健康保険、いろいろな健康保険がございますけれども、その健康保険の方式でもって健康を保っていこう、こういうことになった。健康保険で健康を保ち、生命を長引かしていくというためには、これはやはりそれをやっていく媒介者と申しますか何と申しますか、それにはお医者さんというものがいるわけなのです。そこで、そのお医者さんに対してはしかるべき報酬を払わなければならない。個人のふところから出すのでなくて保険方式で出しますと、これは保険料というものでもってお医者さんに給付が行われるということであろうと私は思いますが、いずれにいたしましても、無限の願望を満たしていくためには報酬、報酬は何でこれをつくっていくかと申しますと、これはやはり個人の財布から出るという場合でも、あるいは保険料から出るという場合でも、あるいは国庫がこれに対して負担をしていくという場合にでも、これには一つの限界があろうと思います。つまり、国の経済力ですね。ところが、片や願望というものは無限である。そこで、これを満たしていくためには有限の経済力というものによって満たしていくというところに非常にむずかしいところがある。ところが国は、この健康保険というものを国民皆保険ということにいたしておりまするから、そこで、本来ならば、保険方式というものは保険料でもって賄っていくのが保険方式の性質だと私は思います。ところが、一方において国が国民皆保険ということをやって強制的に保険に加入させておるといいますことから、やはり国も経費の面において分担をしていくのが筋ということです。だから、無限の願望を満たしていくための今日とられておる方式は保険制度でありますが、その保険制度を遂行していくためには、保険料というものとそれから国の負担というものと両方が相寄って保険というものを成り立たせ、保険というものによって人間最大の願望を満たしていくというのがいまの制度であろうと私は思います。
○工藤(晃)委員(新自) 私がいま一番お聞きしたかったのは、保険料というものの性質が税金に準じるというものか、あるいはそうじゃないのだというものかを明確にしていただきたかったわけです。
○坊国務大臣 保険料は税金ではない。つまり保険方式における保険料というものであって、これは税金ではない。ただし、国が皆保険ということを採用しておりまするから、そこで保険へ入っておる者には原則として保険料を支払ってもらうということでありますが、税金というものは、国の経費、あるいは公共事業にいたしましても、いま申し上げております社会福祉の費用にいたしましても、それにいろんなものがありますが、これを分担していくためには税金というものがありますけれども、保険料は税金ではないと私は考えております。
○工藤(晃)委員(新自) 時間がございませんので、できるだけ明確にお答えだけいただきたいと思います。 それで、いま一度お聞きいたしますが、税金でないとしても強制的に給料袋の中から取られることは間違いがない。ということになりますと、不況のときに給料袋の中身が軽くなることに対しては、国としてはいいことか悪いことかということをやはり考えていただかなければならない問題だと思うのです。税金じゃないからそれは関係ないのだというふうに言い切っていいものか。あるいはそうじゃない、そういうものは不況という状態についてはできるだけ——片方においては自民党さんもあるいは政府も一緒になって物価調整減税だ、公共投資だ、これはやはり全部国民の生活を安定させるという立場から主張されているのだと思うのです。そういう意味においては、給料袋の中がたとえ税金であろうとなかろうと軽くなることに対しては十分な配慮をしなければいけないということは、そのようにとらえてよろしいのですか。
○渡辺国務大臣 皆保険になっておりますから、保険料は徴収手続等においては税金に準じたような方法もとられております。おりますけれども、やはりいま大蔵大臣がおっしゃったように、税金の方は国家の一般の財政に充てるために取っておるわけですが、保険料の方はちゃんと保険集団の事故に充てるために取っておるわけですから、そういう点で非常に違うと私は思います。したがって、保険料は好不況によってうんと上げてみたりうんと下げてみたりというようなわけにはいかない。それは保険の需要、つまり保険事故がうんとふえたか減ったかというようなことは影響するでしょうけれども、税金とは違いますから、好不況で上げたり下げたりすべきものではない、私はこう思っております。
○工藤(晃)委員(新自) 大変難解なお答えばかりをちょうだいいたしました。ただ、ここで大蔵大臣から相互扶助、こういう言葉が出てまいりました。これはやはり社会保障をある程度意味しておっしゃったのかどうか、あるいは特定な組合の中だけの相互扶助を意味するのか、あるいはそうじゃなくて、やはり社会的な保障の一環として相互扶助というふうにお考えになったのか、そこら辺のところをひとつお聞かせ願いたいと思います。
○坊国務大臣 保険というものは、保険契約と申しまして、個人とか集団とかの契約によってできておるものです。ところが、この健康保険につきましては、そういったようなものでなくして——初めはそうだったかもしれません、しかし、いまは国家が介入いたしまして国民皆保険、何のたれべえも何の花子も全部、皆保険でございまするからひとつ入る。(「強制だから」と呼ぶ者あり)そういうことになっておりますから、そこで保険料というものと、国がいまおっしゃったとおり強制しておるということから、おまえさん方勝手に保険へ入って保険料だけでいきなさいということはやっていない、国が介入しておるから国もその保険についての費用を分担しておる、こういうのがいまの制度だと思います。
○工藤(晃)委員(新自) やはり社会保障的な意味を含んだものだというふうに解釈させていただきます。 そこでお聞きいたしますが、その保険料、確かにそれは個人の負担になりましょうけれども、国もその一端を担っているのだということになりますと、やはりその運営上いろんな問題が出てまいりましたときには、できるだけそれを合理化していくということは必要なことだと思うのですが、その点について厚生大臣ひとつお答え願いたいと思います。
○渡辺国務大臣 それはいま大蔵大臣から御説明がございましたように、社会保障的な意味も入っております。しかし、原則は、やっぱり保険は保険の集団でやるというのが本当は原則であります。したがって、黒字組合の多いいわゆる組合保険のようなものに対しましては大部分のものには補助金は国は出していないわけです。一千百万人も組合員がおっても国は補助金を出していない。そのかわり、政府管掌保険のように千三百五十万人のところでも、これはかなりの支出というものを国はやっておるわけです。国民健康保険には一兆四千億円ぐらいの金を出しているわけです。ですから、それは全体をいろいろ見て、それだけじゃなかなかやっていけないというような階層には国は金をできるだけ出しております。そういう意味で社会保障的性格は非常に強いと言っても差し支えないと存じます。
○工藤(晃)委員(新自) いま保険組合の話が出てまいりました。それに関連して少し申し上げます。 いま厚生大臣、保険組合の方には金を出してないのだ、こういうようにおっしゃっておりますが、私の記憶いたしますところ、事務費の全額は国が出しております。それから医療費の中にも一部、去年、おととし五億、六億ぐらいの金が出ております。そういうようにやはりそういう保険組合に金を出していることは私の知る限りにおいては事実だと思うのですが、その点どうですか。
○渡辺国務大臣 それは事務費の補助をしていることも事実でございます。しかし、私が例示的に申したのは、組合保険の方は千百万人の被保険者があって五億か六億しか補助金は出しておりません。本当に困った赤字の組合だけですよ。たとえば政府管掌は千三百五十万人、二百万人ばかり多いですが、二割ぐらい違ってそれには三千億からの補助金は出しているわけですよ。ですから、そういうことも一律にやっているのじゃありませんよということはひとつお聞き取りを願いたいと存じます。
○工藤(晃)委員(新自) 時間がなくなってまいりますので少ししゃべらせていただきます。 確かに給付の仕方においては差があるのです。しかし、これを同じように給付したとすれば大変な大きな問題が出てくる。その点は大臣も十分先刻御存じのとおり。いまの保険組合の財政は黒字でございます。これは各管掌いろいろございますけれども、大変大きな社会の問題になっているところでございます。その中身をちょっと御説明申し上げます。簡単にどう違うかという点だけを指摘します。 ただいま大臣は保険組合に対して余り補助をしていないとおっしゃいますけれども、私の知る限りでは三百九十七億円事務費全額を年間補助しておる。それから、いま私どもがこういう質問をいたしております目的は何かというと、政管健保と組合、この二つの管掌を比較した場合に、余りにも格差が大き過ぎる。そこに社会保障的な、相互扶助的な、そういうふうな精神がどこにもないほど格差がひどくなってしまった。それで、政管健保が赤字になればなるほど組合の方は黒字になっていくような構造になってしまった。これは財源が一緒にならない以上は絶対にうまくいかない一つの大きな原因でございます。片一方が赤字になれば片一方は黒字になる、こういう構造上の変化というものがあるわけです。これはもう宿命的なものですからどうにもならない。それを埋め合わす以外にこの健康保険の抜本改正というものはなし得ないんじゃないか。そういうところを避けて通りながら、抜本改正をやるということは困難な事業でございます。 先ほどの話に戻りますが、組合健保の方も少しは赤字がふえてきた、こういうことをおっしゃっておりますけれども、総額一兆円以上の医療費の中で百億ちょっとの、一%未満の赤字組合があるというにすぎない。あとはすべて黒字でございます。 〔委員長退席、大村委員長代理着席〕 そして給付も、家族の三割をまた後で給付してしまっている。返している。こういうふうな恩典は政管健保にはございません。そういう給付額は年間幾らになるかといいますと、付加給付額は、昭和五十年度の推定で六百四十四億、こういう膨大な金額になっているわけです。それから、そういう給付をしてもなおかつまだ非常に問題になっております保健施設、保養所をつくったりなんか、そういうふうな保健施設費にどれだけ使われているかというと、年間八百十三億。これは医療の内容とは全く関係ない、別荘に等しいものをつくっていく、そういう金額が八百十三億。そうしてなおかつ五十年度は九百三十六億の黒字をつくっております。 一方の政管健保は、大変その財政が圧迫されておりまして、今度も累積赤字一千六百二億。何とかこれを解消しなくちゃいけないということで、この保険料値上げという形に出てまいったわけでございます。 こういうふうな格差があるという事実は、厚生大臣、御存じですか。
○渡辺国務大臣 おっしゃったようなこともございます。ございますが、先ほど組合保険に政府は三百九十億円も補助金を出していると言っていますが、これはけたを一けた間違っているのでございまして、三十億円でございます。保険庁の方の事務費は、これは国が直接やっていますから、膨大な金額になるということだけはお知りおきいただきたいと存じます。 給付の差等があることは御指摘のとおりでございまして、今後保険の抜本的な改正を行う場合においては、そういうようなものも含めてやはり何らかの改革をしなければならぬというように考えております。
○工藤(晃)委員(新自) この数字については後でお互いに確認し合います。 何らかの改定というふうにいまおっしゃいましたが、一方においては、この不況下において健康保険料の値上げを大変国民は心配しておるわけです。のんびりした話じゃないので、ひとつその点は十分御承知の上でお願いしたいと思います。 先ほどの話に戻りますが、三千五百億の中から増税というような形で一千六百億近い金が保険料として回収されてくる。その一千六百億の中身がいま大変大きな問題になろうとしておるわけです。そういう財源的に非常に弱体な政管健保にだけそういう大きな保険料の荷重を加えて、それで累積赤字一千六百億、不況なときに全部赤字を解消してしまい、なおかつ来年度は黒字になってくるようなやり方を政府は今度やろうとしているわけなんです。そこに、健康保険の中で、政府が介入しながら、社会保障的な意味を持ちながらやっている制度のあり方としては、こういう保険料の取り方というのは大変批判されなければいけない。特にその中で一番問題になりますのは、政管健保で賞与の二%を財源として臨時的に取る、こういうお話でございますが、これも最初は、厚生省の方は、五十三年度に抜本改正をやる前提としてきれいさっぱりいままでの累積赤字を解消したい、そのためにどうしてもボーナスの二%の保険料をいただきたい、こういうふうなお話でございましたが、最近の新聞などを見ますと、どうもその発言が引っ込んでしまった。それで、そういう改正ができるまで暫定的にというような話になっておるように思われます。そういう意味で、本気で五十三年度に抜本改正をおやりになるのかどうか大変疑問に思うところでございます。しかし、ボーナスから二%取るということも、社会的な低所得者に対してのみそういう保険料の増加を強要していく、これは大変問題があろうと思います。それが今度の保険料の中の約八〇%を占める、そういうところにも大きな問題点があろうと思う。そういうボーナスからの取り方に、大変不公正を拡大していっているのじゃないか。不公正の是正ということは大変いま問題になっているところでございますが、より不公正を拡大していくような政策をおとりになっている政府のあり方について、私どもは大変批判をしたい、こういうふうに考えております。 同時に、そういうボーナスからの取り方の中にも、非納税者、特に政管健保は組合と違いまして低所得者層が非常に多い、その中で非納税者に対しては税金のバックがない、減税がない。一方的に保険料だけが持っていかれてしまう、保険料だけを上積みされて持っていかれる、そういうふうなだれが聞いても納得できないようなやり方をしてまで、累積赤字を現在解消しなくてはいけないのですか。その点大臣にお聞きいたします。
○渡辺国務大臣 先ほども申しましたように、組合保険の人数は千百万人なんです。政府管掌は千三百万人なんです。似たような数字なんです。しかし、片方は六億円しか補助金はやらぬが、政府管掌の方は三千億円から補助金を出しておるわけですよ。それだけのてこ入れを政府としてもやっているのです。やっているけれども、医療費の高騰を初め、医療内容の高度化、そういうようなもの等があって非常に赤字ができてきた。そのことは、結局加入者がそれだけよい待遇を受けているわけですから、政府も今回は、ボーナスの特別徴収をやるかわりに、これについては百三十億の定額補助も出そう、こういうようなことになっておるわけです。 それから、低所得者だけ取るのかというお話でございますが、これは、ボーナスも少ししかもらわない人は少ししかかからないし、たくさんもらう人はたくさんかかるということですから、それは納める額が違うので、低所得者だけにかかっていくというわけじゃないわけです。まして、上限の引き上げの問題は、月給が三十二万円以下の人はいままでと同じで、その方は保険料がふえるわけじゃないのですから、三十二万以上の人が保険料がふえる、こういうようなことなんでございまして、低所得者だけをねらい撃ちしているというようなことは、私はどうも納得のいかないところでございます。したがって、不公平の拡大ではなくて不公平の是正の方に働いているのじゃないか。 なお、二%二%と申しますが、被保険者の方はボーナスの一%なんです。ですから、十四万とかなんとかという人は千五百円、こういうようなことなんでございまして、事業主の方はそれは一%持たなければならぬから大変だということは言えますが、被保険者の方は一%ですから、緊急非常の事態でもあるし、ともかく保険料が足らないために補助金をたくさんやってもなかなか穴埋めができない状態なので、この際御協力をいただきたい、一%の御協力をいただきたい、こういうのが趣旨でございます。
○工藤(晃)委員(新自) 私にはそういう発想は大変理解できません。一つ一つ私の考えを申し述べたいのですが、時間がございませんので、簡単に申し上げます。 いま大臣おっしゃいました、ボーナスの少ない人から少なく取り、多い人から多く取るんだ、確かにそうでございます。ただ、わずかしかいただかないボーナスの中から、わずかでも取っていかれる人の痛みと、たくさん取っていらっしゃるボーナスの中から定率で持っていかれる方の痛みとの痛みの違いを大臣おわかりですかと私は申し上げたのです。 それからもう一つ、この定額百三十億政府が補助金を出すんだ、こうおっしゃいます。しかし、政管健保に対して定額補助金は一五%前後になっておるはずでございます。そうしますと、百三十億といいますと、一千六百億に対する定額といいますと、二百四十億くらいになると思うのです。それが百三十億というと八%前後だと思うのです。国民にそれだけの負担をかげながら、政府は同じように苦しんでやろうという気持ちがなくて八%に下げてしまう。私はこれはおかしいと思う。少なくとも、やるのならば、いままで一五%の補助をしていたのだから、それ以上はしてやるべきじゃないかというふうに私は考えます。 それからもう一つ、大臣いまおっしゃったように、医療の近代化に即応していった、高額な、いろいろな医療費もかかる、だから医療費の内容は金額もたくさんになる、こういうお話でございますが、そうじゃないのです。そういうことよりも、もっと必要なことは、組合健保に入っていらっしゃる方は、定年になるまで健康な人を選んで、必ず一年に何回かの健康診断をし、健康管理をして病気にならないような管理をしているわけです。そして病気が多発してくるであろう定年になってくる五十五歳、それから先はどこへ行くか御存じですか。これは国民健康保険だとか、政管健保のそういうところへ流れ込んで行くんですよ。そうしてから、組合保険の被保険者も、今度は病気するようになると、給付の非常に悪い政管健保の中でお世話にならなければならない、そういう人がふえてくるわけです。これはここにデータがございますから説明したいと思いますけれども、時間がございませんので言葉だけでやめます。 そういうわけで、一つ挙げても、そういうことが平等に行われていて、給付がよくなるから医療費も高くなるのだというのじゃなくて、そういう構造的な変化がある。それは何かというと、組合健保の被保険者も皆政管健保にお世話になっていくわけです。ところがいま財源的に見ますと、組合の方は一切政管健保の赤字については私は知らない、私の財産なのだからこれは出すわけにはいかないんだと言って、お持ちになっている金額は膨大な金になっている。余った金は全部不動産投資に行っているわけです。それを現時点で評価したら膨大な何十兆という財産になるのじゃないかと思う。これは私は知らないからわからない。もし間違いなら、国でちゃんと調べてみてください。私はぜひ知りたいと思うところなんです。そういうことを片っ方に置いておきながら、こっちの弱いものだけから何とかたくさん取ろうというふうな姿勢で行ってくるのが今度の健保法改正なんです。だから、われわれはどうしてもそういうやり方については、格差を拡大し、強者を救い、弱者を圧迫するやり方ではないかということを申し上げたいのでいま申し上げたわけです。 そういうふうに、年齢的にいっても何にしても病人が多発するところへ、保険料取ってもそれが浮いてくるようなところから回してくるのが常識です。この問題を避けて通ろうとすれば、やはりいまのような矛盾したことでもやらなければ財源の補てんにはならない。ことしやってもまた来年同じことをやらなければいけない。時間がございませんので言いたいことはたくさんありますけれども、そういうふうなことでございますので、ぜひとも、私どもは、そういう管掌別の横の連絡がない、財政調整もできない、財政面においてもプール化できない、いろいろな意味においての不合理を合理化してしまう以外に、この非常に評判の悪い健康保険法をすっきりした形で、人命が尊重される形になるような、こういう制度には絶対ならないということをここではっきり申し上げたい。それに勇気を持って厚生大臣は決断していただくことをここでお願いしたいわけです。その点いかがですか。 〔大村委員長代理退席、委員長着席〕
○渡辺国務大臣 弱い者をいじめるというのは、私は納得いかないのですよ。先ほど言ったように、ほぼ似たような人数でも、片方は六億円しか補助金をやらないが、一方には三千億から出していますよ。また国民健康保険に至っては一兆四千億円も給付の補助を出しているわけですから、それで政府がバランスをとらしておる。ただ、いまあなたがおっしゃったように、確かにそういう面もあります。組合保険の方は元気な者だけ採用して、それでともかく病気になったらほっぽり出して国民保険へやっているじゃないか、だから組合保険は黒字なんだ、これはそういう御意見はりっぱな御意見としてあるのですよ。したがって、退職医療の問題をどうするのかというようなことも、組合でもっとめんどうを見させるというようなことを考えた方がいいのか、それとも老人保険だけは別な組合をつくった方がいいのか、いろいろな問題があるのです。赤字の組合もあるのですから、それではプールをもっときちっとさせたらいいのか、いろいろあるわけなんです。ですから、こらの問題については、ことし抜本的にひとつ改正しようじゃないかということで、老人医療問題懇談会とか、あるいはその他の医療専門家会議とか、いろいろなものをもって田中大臣のときからスタートしておりますから、いま勉強最中で、ことしじゅうにひとつ何とか方角をつけよう。そういうときには、あなたのおっしゃったような中で、私はもっともだなと思う点があるのです。そういう点は非常に参考にしてまいりたいと思っております。
○工藤(晃)委員(新自) この不況の世の中に、一挙に累積された何年間の赤字を、そういうふうな一いずれにしても弱者を圧迫されているのではないか。これはそうじゃないとおっしゃれば平行線になってしまう。これは国民がそれを正しく判断すると思います。そういう意味で、そういうものを一挙にゼロにしてしまわなければいけない根拠も私にはわからない。なぜならば、前提がないからです。いまおっしゃったように、いま検討中なんだとおっしゃるのならば、検討が済んでちゃんとすきっとして、こういうような形にしますから、いままでの赤字はひとつりっぱにこういうふうにしましょうよというのなら私は国民も納得すると思うのです。しかし、これは検討中というのは、いつになったらできるのかわからない。初めの厚生省の話だと、今年度一年こっきりのボーナスの二%の徴収なんだというような話に聞いておりましたところが、どうもそれもでき上がるまでというような、いつでき上がるかわからないけれども、それまでやるんだというような話に後退してしまっているように見受けるのです。だからそこら辺に、厚生省のおっしゃっていることに対して私どもは信用していいのかどうかを大変疑問に思うわけでございますので、ひとつここではっきりと、抜本改正をやるんだ、抜本改正の中身は、そういう財源上の問題、構造上の問題、すべてすっきりと一本化していくのだというような前提に立っておやりになるということをお約束願えますか。
○渡辺国務大臣 それは健康保険法の改正案を通していただいて、きれいな体になって、これは全組合を統合するかどうかわかりませんよ、しかしながら、あなたのおっしゃったようにもっと合理化、効率化、公平化、それを進めるようにことしじゅうに決着をつけたい、こういうふうに思っています。
○工藤(晃)委員(新自) つけたいというのとつけるというのでは大変言葉の開きがございます。そういう意味で、私自身は、もう時間もございませんから、詰めてみたところで答えは出ないと思います。ただ、私がきょう申し上げたのは、いまの健康保険制度の中には大変いろいろな矛盾点がたくさんあるということを指摘して、何とかこの健康保険というもの、人の命は貧乏な人もお金を持った人も同じように重いのだという立場に立って、給付内容が違うということは、人の命が軽く扱われているのと重く扱われているのとの違いがちゃんと出ている、そういう意味においても、ちゃんと人命が尊重されていくような制度をつくってもらいたいから申し上げているのです。そこを避けて通るときに、大きないろいろな矛盾点が生まれてまいります。これを解決しなければどうにもならぬところまで来ている。だから、きょうやるのもあすやるのも一、あるいはあさってやるのも同じなんです。だからそこを主張して——こういう問題が出た以上は、国民の前にすかっと明らかにして、皆でお互いに、国民も保険者も診療担当者側も、人命尊重という立場に立って、お互いに謙虚に、エゴを言うのではなくて、謙虚に、人命を尊重するにはどうすればいいか、血の通った医療が行われるためにはどうすればいいか、謙虚に考える時期に来ているのではないか。このままいけば遅過ぎるのですよ。なぜならば、高齢化社会はもうすぐ来ている、医療費は膨大になっていく、財政も硬直してくる。こういうつくろいをいつまで厚生省がやったってどうにもならない、そういう時期に来ているから、すきっとさせるために厚生大臣、勇気を持ってそういうふうにやります、こう言ってください。
○渡辺国務大臣 ですから、それらの改革はぜひやらしていただきます。内容についてはどういうふうにやるか——社会党あたりからもいい意見も出ているし、公明党あたりもいい意見が出ているんですよ。あなたの意見も出ておるし、自民党だけでごり押しできないのですから、なるほどこれでいこうじゃないかというコンセンサスさえとれれば、それはもうすぐにでもやりたいのです。しかし、すぐにと言ったって時間がかかりますからね、ことしじゅうくらいに考えておかないと。そういうことでぜひとも——組合保険だっていままでのままというわけでなくて、メスを入れるところはメスを入れていくということに私はしたいと思っております。
○工藤(晃)委員(新自) ことしじゅうをめどにはっきりとそういう抜本改正に向かっていただけるということを、きょうの最後のお答えとして承ります。 それでは、私の時間が参りましたので、質問を終わらしていただきます。
○坪川委員長 関連質疑を許します。田川誠一君。
○田川委員 私は、長い間——外務省が来ていない。外務省は要求してあったんですよ。(「休憩、休憩」と呼び、その他発言する者あり)
○坪川委員長 ちょっと待ってください。——外務大臣並びに外務省の政府委員に申し上げます。時間励行で御出席を願います。 田川誠一君。
○田川委員 最初に、時間におくれたことを非常に遺憾に思います。気をつけてください。 外務省にぜひ聞いていただきたいと思います。長い間外国に居住しておりまして、日本へ二十年ぶりあるいは三十年ぶりに帰ってきた人たちに対する政府の対応の仕方について、少し質問をしたいと思います。 外務省で数字をとっていらっしゃると思いますが、日本と中国との外交関係が開かれてから五年になりますが、中国に長い間とどまっていなければならなかった人々、そういう人たちが国交正常化によって最近かなり帰ってきておられます。そのために、外国に長く住んでおられる方の帰国者の数がずいぶんふえてきていると思いますが、外務大臣、その数字がわかりますか。数字がわからなければ事務当局で結構です。厚生省——外務省がわかったら外務省で……。どなたでも結構です。
○鳩山国務大臣 里帰りと引き揚げ者につきまして、国庫負担によりまして最近引き揚げられた方の数でございますが、四十八年度に引き揚げ者が百十名、里帰り者が百名でございます。四十九年度は引き揚げ者が二百三十六名、里帰り者が千七名でございます。五十年度が引き揚げ者三百九十名、里帰り者千五百六十二名。五十一年度は五十二年の一月まででございますが、引き揚げ者が二百三十六名、里帰り者が六百九十五名、こういうことになっております。
○田川委員 全体の数字を知りたかったのですけれども、いま外務大臣は中国の数字を挙げられました。まあ九十何%が中国から帰ってきた人ですから、その数字で結構です。私が調べたところによりますと、数字が少し違うかもしれませんけれども、中国から永住帰国した人千六十二名、世帯にして三百二十二世帯、里帰り、一時帰国をして、そしてまた帰ってきた人たちが三千三百九十五人、二千二百十五世帯、こういう数字ですが、そう大して違ってないと思いますが、特に中国から帰国をしてきた方々の中には、日本語も知らないし、もう忘れちゃった、あるいは向こうで生まれた、そういう人たちがずいぶんいるわけですね。そういう人たちのめんどうをどうやって見るかということが、政府のいままでやってこられたことを見ると、少し温かさがないのではないかと思うのです。 その前にもう一つ問題があるのですけれども、中国にいるときに親子が離れ離れになっちゃったんですね。終戦のあの混乱時期、ソ連軍が満州、いまの東北に侵入をしてきた。関東軍の人たちは、あるいはその関係者は、いち早く情報を知って早く逃れた。しかし、一般の人たちはそういう情報を知らなかったために、あの混乱時に親子が散り散りばらばらになっちゃったというようなことで、親と子が散り散りばらばらになっちゃったために、親は帰ってこられた、しかし子供は連れてきたくとも連れてこれないで、生き別れをしちゃった、そして中国人に預けられて向こうで育った。そういうような人たちがずいぶんあることは厚生大臣も外務大臣も文部大臣もよく御承知だと思うのです。いま外務大臣にお聞きしたいことは、そうした中国に残留している日本人の肉親捜し、これは最近その関係者の要望によってかなり帰ってきているようでございます。私が調べたのでも、そういう親子散り散りばらばらになったということで向こうに残されて、そうして国交正常化以後こっちへ帰ってきた、そういうような方が百三名ばかりある。しかし、まだまだかなりあるのではないか。この関係者の家族が最近会をつくりまして、そうして何とかして肉親に帰ってきてもらいたい、あるいは中国におられる日本人の青年が、自分は日本人である、そうしてまだ家族や肉親が、親族がいるはずだからということで、日本に何とかして親族を捜してもらいたいというのがかなりあるわけですね。そういう団体に中国の方から何とかして肉親を捜してくれというのは三百二十三件もある。国内の方でまだ自分の肉親が中国に残っている、だから捜してほしいということをその関係者に申し出ているのが百九十六件、三百四十五名の多きに達している。これはいまあらわれた数字だけですけれども、恐らく中国に残留している人たちは四千人、五千人もいるのではないかと想像できるわけでございます。で、そうした肉親捜しをいま外務省が北京の駐在大使館を通じておやりになっているはずでございます。中国の政府の方もそれに協力をしているはずでございますが、その状況を簡単で結構ですから外務大臣おっしゃってください。
○鳩山国務大臣 ただいまお話しの親捜しの問題でございますけれども、政府としてはこれは大変重要な仕事である、こう考えて、関係各省の協力のもとにできる限りの努力を払ってきておりまして、北京におきますわが大使館におきましてはこの事務量は大変な量に上っておるようでございまして、各地の引き揚げ里帰り希望者及び孤児らからたくさんの手紙を寄せられてこれを処理いたしておるわけでございますが、これからも最大限の努力を払ってまいる所存でございます。
○田川委員 中国の政府は協力しておりますか。協力してくれておりますか。
○中江政府委員 具体的な細かい問題になろうかと思いますので私から簡単にその点を申し上げますと、一口に申しまして中国政府は日本側から照会したもの、あるいは日本がそういう情報を集めようというような努力に対しては非常に積極的に協力していただいております。中国に残っているいわゆる日本人孤児からの照会、それから日本におります本邦在住者からの肉親捜し、つまり両方の面があるわけでございますが、双方につきましてもそうでございますし、またそういうものを待つまでもなく日本の大使館員が中国各地に参りまして、中国側の協力を得てその地の在留法人との懇談会を開きまして、そういうところから関連情報をいろいろ集めるということによって、まだ隠れている人たちも積極的に捜すというようなことをやっております。
○田川委員 かつての戦争が中国に大変な被害を及ぼしておりますことは、国交正常化の日中共同声明に書かれている条項を見てもおわかりだと思います。そうした戦争の傷跡、これをまた再びえぐり返すというのは、被害を受けた方の国から見れば、これは心情的には余りいい感じがしないものだと思います。しかし残留された日本人には戦争の責任はない。これは特に東北地区、旧満州に動員をされた人たちというものは、満蒙開拓団、いわゆる戦前の政府の国策として旧満州にやられたわけですね。そういう人たちは戦争の被害者なんです。これは中国の亡くなった毛沢東主席も、戦争の責任というのは日本の軍国主義者であって、日本の国民はむしろ被害者である、こういうことを中国政府の最高指導者が言っているわけです。しかし、だからといって中国政府に当然のことのように要求をするということは、いま申し上げましたように過去の戦争から見ればなかなかこれは言いづらいことでもあり、またそう簡単に片づけられる問題じゃないと思う。そこで日中共同声明の中にあるような気持ちをもって中国政府に協力を求めていけば、こういう問題はどんどん解決していけるのではないかと思います。ですから政府当局におかれまして、外交当局におかれましては、謙虚な態度でこの中国に残された日本の肉親捜し、こういうものに対してひとつ今後も努力をしていっていただきたいと思います。当然やっていただけるものと思ってよろしゅうございますね。
○鳩山国務大臣 ただいま仰せになりましたように、当方からお願いをする仕事でございますので、謙虚な態度をもちまして努力をしたいと思う次第でございます。
○田川委員 そこで、これは法務省、日本人とわかっていながら中国から日本になかなか帰れないという人がずいぶんいるわけです。戸籍がないからです。その戸籍をどうやって回復していくかということですね。中には中国で、自分は日本人である、山形県に肉親がいるはずだ、そうして便りをよこした、あるいは外務省に便りをよこした、北京の日本大使館によこした、そうして山形県の県庁に肉親を捜してくれ、そうして山形県の人たちが八方手を尽くして肉親を捜し当てた、こういうケースもずいぶんあるわけですね。そういう人たちの例がたくさんあるわけですけれども、戦争で親子もろとももう死んじゃったとみなされて戸籍がなくなっちゃった。そういう人たちは、戸籍がないので日本に帰りたくても帰れないというような人がやはりあるわけです。私の法務省で調べたところによりますと、そういう人たちは戦時死亡宣告を受けちゃった、だからその戦時死亡宣告を何とか取り消さなければ、これは戸籍回復できない、その戸籍を回復するには、当該日本人が日本人である、山形県なら山形県に肉親が必ずいる、そういう証明ができれば、厚生大臣と知事が戦時死亡の取り消しを裁判所に言って、そして戸籍を回復する、そういう方法をとればできるということをちょっと聞いておりますが、それでよろしいかどうか。
○乙部説明員 お尋ねの、戦時死亡宣告によりまして戸籍から除かれている者につきまして、その者が生存していることが判明した場合には、その戦時死亡宣告の取り消しを家庭裁判所に請求いたすことになるわけでございます。その家庭裁判所に対する死亡宣告の取り消しは、本人、利害関係人ということになっておりますが、この戦時死亡宣告につきましては、厚生大臣もその請求をすることができるというふうになっております。 以上でございます。
○田川委員 もう一点、山形県の例ですけれども、山形ばかり言って申しわけないですけれども、山形の例で、そういう肉親があっても、肉親の方で、もういまさら、別れちゃったし、帰ってくるとめんどうだということで、帰ってもらっちゃ困るというようなことを言っている例があるのですね。しかし、その肉親が、確かにこれは親族である、おいだとかおじだとか、そういう家族の一員である、親族の一員であるというふうに認めれば、それは戸籍の取得というものはそんなに困難じゃないと見てよろしいですね、日本人として認めれば。
○乙部説明員 戦時死亡宣告の取り消しの請求につきましては、必ずしもその親族の同意あるいは親族に請求が限られるということにはなっておりませんけれども、御指摘のような、親族が国内におりまして、その関係を明らかに認めるということになりますれば、その請求が容易に認められるということにはなろうかと思います。
○田川委員 もう一点、親族がわからない、日本人であるけれども、親族はどうも日本にはだれも身寄りがない、しかし自分は日本人の家庭で生まれたのだ、物心がついたときにはもう中国人の家庭に入っちゃった、そして中国の国内にも、中国人としてでなく外僑、日系の外僑として向こうで生活している、こういうような人は、これは日本人として証明が国内でできない。そして中国の国籍もなく、日本の国籍もない。国籍がないのですね。しかし自分は日本人である、こういう場合、一体どうしたらいいでしょうか。 私の考えでは、全然身寄りがないといっても、何かその残された中国にいる子供の親の知り合いや、そういうものはあるはずですね、こっちでかつて生活していたのですから。そういう人たちが、中国にいる子供の親を知っていた、そうして間違いないだろうと言った場合には、そういう人たちの証言をもとにして出生届けを新たにできるかどうか、これについてお答えをいただきたい。
○乙部説明員 日本人でありながら出生届けがなされていないために戸籍に記載されていないという者につきましては、出生の届け出は十四日以内ということになっておりますけれども、その期間が経過した後でも出生届けはできるし、これは受けなければならないということになっておるわけでございます。 ただ、出生後相当期間経過しておりますような場合には、その出生の事実を確認するための出生証明書等の入手が事実上困難であろうというふうに思われますので、その出生の事実の確認につきましては、関係者の供述等をもとにいたしまして確認をするということになるわけでございます。したがって、そのケース・バイ・ケースによりまして、出生事実の確認ができる限り出生届けはできるということになるわけでございます。
○田川委員 大変理解あるお言葉で、あなたの立場でそれ以上はっきりしたことは言えないと思いますが、ひとつ、特殊な事情にあるということを法務当局も考慮していただいて、そして日本人としてわかるというような、日本人であるというような何らかの証明ができた場合にはできるだけ幅広く解釈をとっていただいて、出生届けができるように御配慮をしていただきたい。——あなたはもうお帰りになって結構です。 それから、先ほど申し上げましたように、帰ってきてからのことが大変これは重要な問題で、何が一番問題かといえば、せっかく日本人として祖国に帰ってきて、生活に困っている人たちが相当多いということですね。なぜ生活に困るかといえば、とにかく日本語を忘れちゃったとか、全然日本語を知らないという人たちが相当数いるわけですね。そういう人たちは中国でいろいろ教育を受けた、技術も身につけた、しかし日本語がわからないために自立ができない、就職ができない。ですから、まず日本に帰って生活をしていくには日本語を習わなければならぬということが一番隘路になっているのです。 そこで文部大臣に、いま文部省がそうした日本語の教育について一体どういう配慮をしているか、おわかりになった程度で結構ですから、ひとつお伺いをしたい。
○海部国務大臣 わかっている限りお答えさせていただきます。 引き揚げてこられた方で、その子供さんが日本の義務教育に該当する学齢者の場合ですと、それぞれの学校に入っていただいて、そこで日本語の教育をすることになっておるのですが、いろいろハンディもございましょうから、特に文部省は、そのうち比較的数の多い五つの学校を協力校に指定をいたしまして、そこで、どうしたらいいかという課外指導とかあるいは特殊なその教育指導、いろいろなことをするとか、あるいは視聴覚器具を特に貸与して日本語の学習が進むように協力させておりますが、その五つの学校には当然予算措置等もいたしておるところでございます。 それから、その五つの学校に収容できない方は全国にばらばらで散らばるわけでございますので、そういう人に対しては、現在引き揚げ者の児童生徒全員を対象とした日本語の補助教材というものを作成いたしまして、これでひとつ学習の手助けにしていただこう、こう思いまして、近く全員に配付する予定でございます。 それから問題は、学齢を超えて帰ってこられた方に関してはどうなるかということでありますが、御承知の夜間中学校に在籍をするという形で、そこで日本語教育を、日本語の理解を主とした教育を行っておるところでございますが、その教える先生とか教える教材についても、そういった特別ないろいろな事情を考慮しまして、できるだけ理解を深めていくように、とにかく誠心誠意その方向で取り組んで教育を進めておるというのが実情でございます。
○田川委員 最近ようやく文部省もそうした考慮を払うようになったことは、私もある程度は承知しております。しかし、現実に一体そこで日本語を十分修得できるかというと、私も東京都のある学校に行っている中国から帰ってきた人に話を聞きました。肝心の教えてくれる先生、非常に熱心だけれども中国語がよくわからないと言うんです。戦争中中国へ行っただけの中国語の知識で、せっかく教えてくれているんだけれども意味がわからないで、まあむだに時間を過ごしているというような例がある。これは私、その行った人は一人ですけれども、想像できることです。そういうことで、余り成果が上がらないんですね。上がらないから、民間の人たちが協力して、中国語をよくわかる、こっちにいてわかる、それはみんな中国から戦後帰ってきた人たちですね、そうして日本語ももちろん忘れてない、よくわかる、そういう人たちが少しはいるわけですね。そういう人たちが、これはかわいそうだと言ってボランティア精神を発揮して教育をしているという例が幾つかあるわけです。 二、三年前に岡崎嘉平太さんあるいは茅誠司さん、そういう方々が代表になっている日中協会という中国との友好を深めていこうという会がある。そういう会も、日中交流よりも日本の国内でひとつ日中間の未解決の問題を解決しよう、その一つの仕事として、中国から帰ってこられたそうした気の毒な人たちで、もう成人をしてしまって就職ができない、日本語もわからない、そういうような人たちを若干名集めて週に三回ぐらいやっているわけですよ。これはある程度成果は上がるんですね。 それから、これはなかなかりっぱな例ですけれども、長野県の天竜川沿いの下伊那郡の泰阜村という、ここは関係者もいらしたことがあると思いますけれども、かつて戦前、満蒙開拓団ですか、をずいぶんたくさん出した地域なんです。そういうところでは事情をよく知っていますから、国から狩り出されて中国に行ってしまった、そして犠牲になっていま帰ってきた、そういう人たちを救わなければならぬということで、村長以下千名くらいの人口のところですけれども、中国語の勉強や生活指導、これにみんな一生懸命献身的にやっているんです。ですから、あの地域の出身者でなくても、泰阜村へ行けば何とか早く日本の生活になれるということで、地域以外の人もそこへ行くように実はなっているんです。 そういうボランティア精神で早く日本人の生活になじませたい、こういうようなことを献身的にやっているところへもっと政府が助けてやらなければならぬじゃないかと思うのです。これが国の仕事じゃないかと思いますね。文部省も教材その他最近はやってくださるようになってきておりますけれども、時間がありませんからもうそれ以上申しませんが、どうぞそういうところへ、民間のボランティアに余り経費がかからない、負担させないように国がもっともっと努力をしていただきたい。文部行政上これは重大なことでもありますし、ひとつぜひ文部大臣にもこの問題を重視していただくようにお願いをいたします。いかがですか。
○海部国務大臣 御指摘のありました長野県泰阜村のことは、私も事例として報告を受けておりますし、また、その学校は指定校になっていただいて御協力を願い、現在できるだけの予算措置をしたり器材等を、先ほど申し上げましたように、文部省からも提出をしていたしておるところでございますが、十分心にとめましで、できる限り御期待に沿うように一生懸命やらしていただきます。
○田川委員 そこで、言葉を習得しないと就職できないわけですね。その間の生活を一体どうやっているか、これはなかなか皆さん苦労しているのですよ。この生活を一体どうやってめんどうを見るか。これは各省もみんな地方団体へおっつけちゃって、生活できないから生活保護法を適用して、そして地方団体がいろいろ心配をして、寮をつくったりしてそういうところへ入っている。 東京の例でも、これは韓国から帰ってこられた方と同じですけれども、江戸川区の引き揚げ者の寮があるわけです。一時宿泊所、私も行ってきました。もう三十年ぐらいたちまして、おんぼろの木造のひどいところです。そういうところへ入って生活保護費をもらいながら生活をしている。言葉を覚えるまでは成人になっても仕事できないのですから。そうしてぶらぶらしているわけです。こういう人たちの生活、少なくとも日本語を勉強する、そういうような費用をもう少し国がめんどうを見ていってもらわなければならぬ。 時間がありませんから、私の希望だけ申しますと、せめて学校へ行く費用ぐらいは教育扶助というのですか、そういうようなものぐらいをめんどうを見ていただきたい。生活保護の世帯で学齢の適齢期である者ならば、これは自然にもらえるのでしょう。しかし、三十になり四十になり、そういうような人も一体もらえるのかどうか。もしもらえないのならひとつもらえるように、何人でもないのですから、そういう人たちに温かい手を差し伸べていただくように、厚生大臣、あなたも中国問題については格別の関心を持っていらっしゃった方ですし、われわれとはちょっと立場は違うけれども、違う意味で大変関心のあられる方でございますから、どうぞ厚生大臣、ひとつ勇断を持って、こういうような生活に困っていらっしゃる方に援護の手を差し伸べていただく、いますぐ具体的な問題、お答えになれないかもしれませんけれども、そういうような姿勢で、帰ってこられた気の毒な方々のめんどうを見るような方法をひとつお考えをいただきたい。いかがですか。
○渡辺国務大臣 厚生省といたしましては、五十二年度から、特に帰ってきてもだれとも相談相手がないと困るものですから、そういう人たちには引き揚げ者の生活指導員制度というのを発足させまして、先に帰ってきた人が後の人をめんどうを見るというようなことで、現在でも月二回くらい講習会をやったり何かをしてめんどうを見ているのですよ。それから日本語がわからないという子供に教育扶助を出せといっても、これは義務教育の人には教育扶助があるのです。しかし、大人の場合はないということなんですが、しかし、日本語ができなければ、本当にいまおっしゃったように就職できないわけですからね。ですから、就職や生活に日本語というのは不可欠なことでございますので、これは子供以外は原則はできないのですよ。しかし、不可欠なことですから、日本語ができない人に対しては御期待に沿うようにいたします。
○田川委員 厚生大臣のことですから、その言葉を信じてひとつ大いにめんどうを見ていただきたい。こういう問題はいままで余り政治の中で論議されないのですよ。気の毒な方がかなりいるのです。役所へいままでそういう力のない谷間にいるような人たちが行っても、軍人と違ってそういうことはできないのだとか、ずいぶんそっけない態度でいままで扱われていた、そういう例があります。私は、いまここにおられる皆さん方にもぜひこういう人たちの苦しみというものを理解していただきたい。私はたくさんの手紙をいただいていますけれども、その中で特にいま冷たくあしらわれているという例を申し上げます。 この人は敗戦の当時旧東北で子供を失っちゃたお母さんです。中国人にずいぶんやっかいになった、中国に感謝しなければならぬ、しかし帰ってみて、親捜しの運動や、あるいは帰ってきてからの生活を見ると、本当に残念でならないと言って奉仕的にこの親捜し運動に挺身をしているある主婦なんです。 私はこの運動で政治に関係しておられる方とか、国、県などの民生関係の方々に何度かお目にかかりました。話を聞いて下さって、その方方の口からまず出ますお言葉は「それでその人達は今生活に困っているという事ですか?」とか「中国に子供を預けて帰国して……。今さら会いたいって……そりゃ……ちょっと」とかでした。三十年もたった今そうゆう言葉が出ても仕方ないのでしょうか。それ程遠い昔の事になってしまったのでしょうか。 私が八月十五日を迎えましたのは、安達(今の大慶)の近くでした。住んでおりましたのは斉々吟爾市でした。八月に入る前から、日本軍の家族はトラックや汽車でどんどん南下しておりました。ソ連の戦車が近づいたという事で十五日の未明城内の家を出されました。関東軍は敗戦を知っていて、自分達の家族を早く避難させたようでした。敗戦を知っていたら私は斉々吟爾を出なかったと思います。私は中国の友人を数多く持っていましたので……。 私が流浪の末、長春にたどりついたのは十月の中旬でした。その間、草を食べ、どろ水をすすりの旅でした。着れるだけ着て出た衣類は一枚づつ幼かった息子の食事にかわりました計などはソ連兵に持ち去られました。木の葉の上にのせたトーフを手づかみで黙々と食べる子供の姿、今もはっきりとおぼえております。 もうすぐ長春……という地点で私は一人の中国人に声をかけられました。その人も歩いて郷里の九台県に帰るところだと言いました。夫の部下だったというその青年は骨と皮になった幼い息子の手をなでながら涙を流していました。その青年が食べさせてくれたまんとうが私の息子にとっては最後の食べ物らしい食べ物だったのです。 私事ばかり書きまして申訳ございませんが、今も食事の度に私は罪悪感をおぼえるのです。食べるものもなく死んでいった数多くの方々を考えますと……私の心はいたみます。 長春の避難民生活の中でもいろんな事がありました。一度でいいから医者にみてもらって死なせたいと子供をかかえて医院のドアをたたいた避難民に、小窓からのぞいただけでドアを開けてくれない日本人の医者もいました。 こんな中で母親達は「死なせるよりは」、と子供を預けたのです。長春の街の中を親を亡くしたり、はぐれたりした子供達がさまよっていたのです。暖かい南方ならいざ知らず、零下三〇度近くにもなる冬、窓ガラスもこわされた小学校で背中と背中を合せてごろごろねていた難民。朝になると一つの教室の中で一人や二人凍死しておりました。カチカチに凍った死亡者が校庭に積まれていました。時々市の大車がやって来て運んでゆきました。二年間の難民活しの中で日本の関係からは、一ぱいの粟がゆも、もらった事はなかったのです。 そんな中で子供を預けた母親なのです。それを誰が……「預けておいて今さら……」などと言えるのでしょうか。 厚生省の方は「小野田さんとはちがう」と言われます。私はどうゆう意味か理解に苦しみます。一般人であれ、同じ日本人です。こういう、ちょっと長くなりましたけれども、これに似たような手紙が私どものところへずいぶん来ているのです。そうしたやむにやまれぬ気持ちで子供を中国に預けてきてしまったという人たち、そういう人たちに対して政府がもう少し温かい目で見守ってやっていただきたい。そうして親捜しの問題につきましても、これはもっと成果を挙げることができる。それは日中平和友好条約を早く締結することです。それからもう一つ、中国と日本との文化交流、いろいろな面の交流というものをやっていく必要があると思うのです。 五十二年度の予算の中に外務省が日中文化交流調査費として一千万円余りを計上されております。これは詳しいことはわかりませんけれども、いまそういうものを、中国から帰ってきた人たちに宿泊設備をするとか、あるいは語学の研修もやる、あるいは中国から日本に留学してくる人たちの宿泊にも使ってもらおうじゃないかということで、いま一部の民間の中で、ひとつ政府に金を出してもらって日中会館をつくったらどうかという話も出ているのです。来年度の予算の中で外務省がこの日中文化交流調査費というものを一体どういうふうに見ているか。私は、これをぜひ日中会館をつくる一つの調査の段階として、準備の段階として有意義に使っていただきたい。外務大臣、いかがですか。
○鳩山国務大臣 日中会館をつくりたいという民間の方の御意見がありまして、それにつきまして検討が進められていることも承知いたしております。そして今回予算化いたしました日中文化交流調査費一千万円というものは、日中文化交流のためにどうしたらいいかという調査する経費としようということになっておりますが、民間におきましてそのような案が検討されておるということも十分承知いたしての上の調査費であるというふうに承知をいたして、その努力をいたしたいと思います。
○田川委員 あと一問、これでやめます。 外務大臣、私どもはその予算を日中会館として将来できるという期待を持って間違いないと思いますが、よろしいですね。期待をしております。そういうことでよろしいですか。
○鳩山国務大臣 そのような有力なる案も承知をいたしながら、この文化の交流の案を検討いたしたいということであります。
○坪川委員長 これにて工藤君の質疑は終了いたしました。 次回は、明五日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後七時二十九分散会