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80回国会衆議院1977/02/07

予算委員会 第2号

発言数
218
登壇者
21
会派数
2
開催日
1977/02/07

会議録

坪川信三自由民主党

○坪川委員長 これより会議を開きます。  昭和五十二年度一般会計予算、昭和五十二年度特別会計予算及び昭和五十二年度政府関係機関予算、以上三件を一括して議題といたします。  総括質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石橋政嗣君。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 日本社会党を代表いたしまして質問をいたしたいと思います。  総理は、長い間の宿願を果たして総理になられたわけでございますが、御自分でもお認めになっておられるように、激しいあらしの中で船出する「日本丸」の船長に就任したわけでございますから、御苦労さまと申し上げておきたいと思います。  それにしても、施政方針演説の中で、冒頭に「内閣総理大臣の大命を拝受」しとおっしゃったのは、どうも私には腑に落ちないわけです。大命降下の感覚ではなかろうか。明治三十八歳とおっしゃいますけれども、これではやはり明治三十八年生まれということになるのではないかという印象を受けました。総理が指名されましたのは国会においてであります。このことを念頭に置いていただきたい。  同時に、一票差であったということも忘れないでいただきたいと思うのです。あなたが一票差で選ばれたということは、もちろん昨年末の総選挙の結果に関連があるわけであります。自民党が国民の厳しい批判を受けまして、得票率において四一・七八%、議席においては過半数割れの二百四十九、こういう審判が国民の意思によって下った。その結果がこの一票差という形になってあらわれておるということ、これは非常に私は重大なことだと思います。あなたがこの国民の厳正な審判に謙虚に耳を傾けて、そして協調と連帯というものをおっしゃっておるのだと思いますけれども、これを単なる口頭禅に終わらせないようにすることがこれからのあなたの最大の任務だ、このように私は考えるわけでございます。  そこで、最初に、一体この総選挙の結果をどのようにあなたは受け取っておられるのか、その辺からお伺いしてみたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 総選挙の結果につきましては、私は、これは自由民主党に対して非常に厳しい審判であった、かように考えております。私は、政党政治でございまするから、私の担任するこの政治は、その厳しい反省に立って出発しなければならぬ、さように考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それでは本論に入りたいと思いますが、私は、あなたが総理として何を考え、何をしようとしているのか、それを知るために私なりに真剣に施政方針演説に耳を傾けました。その結果、私の耳に強く残った言葉が二つあります。それはあなたが何回もおっしゃったからでもあります。一つは資源有限時代、いま一つは協調と連帯であります。じっと施政方針演説を聞いておりまして、どこに一番ポイントがあるのか、私なりに受けとめたわけでございますが、このくだりではないかと思うのです。「資源有限時代の認識に立ち、「協調と連帯」の基本理念に立って、世界の中での「日本丸」の運営に当たり、その枠組みの中で、当面する問題の処理に当た」る、こうおっしゃった点、これが一つのポイントじゃないかと私は思います。  そうしますと、率直に申し上げて、現在の体制、現在の機構の中で本当にこれが実行できるんだろうか、私はそういう基本的な疑問を持っております。しかし、その議論をしますと、かみ合いません。平行線になるおそれがあります。時間の制約もございますのでそれは避けたいのです。できるだけ議論をかみ合わせていきたいと思います。私は俗に言う揚げ足取りなどをやるつもりもございません。きょうの質疑を通じて、日本社会党とあなた方との考え方にはどこに違いがあるのか、それを国民の前に明らかにしていく、そしてその中で一致点が求められるのかどうか、求められるとすればどの辺か、そういう方向で実は議論を展開してみたいと思いますので、ひとつ率直に受けとめていただきたいと思うのです。  そこで、総理の言う資源有限の認識に立って、協調と連帯、これを保証するためには一体最低の条件となるものは何だろうか、ここから考えてみたいと思うのです。  あなたは、この協調と連帯というものをお互いが譲り合い、助け合い、責任を分かち合う、こういう言葉でも表現をいたしております。それがお互いにできるようにするための前提条件は何か。これはそのままお互いが協調と連帯、すなわち譲り合い、助け合い、責任を分かち合って、目指すものは一体何か。こういうことにもなると思うのですが、それは何でしょう。私は、少なくとも、その条件となるもの、目指すもの、それは公平、公正ではないかと思うのですが、ひとつ総理の考え方を承りたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 私もそう思います。助け合い、譲り合い、それから責任の分かち合い。責任を分かち合わないところに秩序はありません。そのためにはやはり助け合い、譲り合い、その仕組みが社会、国家ということになっておるのですから、これは、またむずかしい言葉で言えば社会的公正、こういうことになってくる、こういうふうに思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それではお尋ねいたしますが、いまの社会において公平、公正は保障されておるでありましょうか。そのことからまずお伺いしたいのです。少なくとも私をも含めて多くの国民が、いまの社会は公平、公正の保障された社会だというふうには思っていないと思います。これは、私たちだけではなくて、あなた自身もそう思っておられるのじゃないでしょうか。なぜならば、施政方針演説の中でもこう言っているからです。「高度成長になれ親しみ、繁栄に酔って、「物さえあれば、金さえあれば、自分さえよければ」という風潮に支配される社会」、これを過去のものにしなければならない。現在は少なくとも物さえあれば、金さえあれば、自分さえよければ、物質万能、拝金思想、徹底した利己主義、そういう社会だということをあなた自体お認めになっておられる。  そこで、話を次に進める前に、一言申し上げておきたいのですが、あなたは施政方針演説の中で評論家的にこんな分析をなさって指摘なさったのではないでしょうね。少なくともこういう風潮を生み出したのは長い間続いた自民党政治の結果なんです。あなた自身も常に重要な地位を占めて、責任を感じていただかなくちゃならないのです。その反省のないところから過去のものにすることはできません。私はこのことを申し上げておきたいのです。  どうしてこのような風潮が生まれたのか。結局のところ、いまの社会が不公平であり、不平等であり、不公正だからなんです。だから、金さえあれば、物さえあれば、自分さえよければといったような気持ちになってしまうのです。そうじゃないでしょうか。もしそういう認識がないとするならば、私は、協調と連帯を幾らあなたが強調されましても、これは実行不可能だと思います。そこのところをまずお伺いしたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 エゴといいますか金中心といいますか、そういう社会風潮、私は率直にこれを認めざるを得ないのです。また、認めなければならないと思いますが、なぜそういう風潮になってきたかというと、やはり私は、高度成長といいますか物質の繁栄、これに酔いしれたというか、そういう時代が余りにも長く続き過ぎた、そういう社会で、物、物、物、金、金、金、こういう風潮が出てきたというふうに思うのです。その中で、政治のかじのとり方、これが責任がなかったかというと、それは責任はもちろんあった。私もかじ取り役の一人といたしまして、責任は痛感をいたしております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それでは本論に戻りますが、先ほど総理も、この資源有限時代、協調と連帯というものを貫いていこうとするには、どうしても公平、平等というものが保障されなくちゃならない、より公平、平等な社会をつくるためにまた協調と連帯が必要だ、私が述べた意見に賛意を表せられました。一致点が見出されたわけです。  そこで、さらに進めます。それでは、私たちがいま力を尽くさなくちゃならないことは、この不平等、不公平を改めること、格差と不平等の是正、このことに全力を尽くすことだ、こういう結論が導き出されてくるはずだと思うのです。だとしますと、私は、福田総理の施政方針演説の中でも不平等の是正、不公平の是正ということがもう少し強調されなくちゃならぬのではなかったか。残念ながら一言も出てこないのです。なぜでしょう。三木さんが多用したからですか。まさか、先ほど意見一致しておりますから必要を認めなかったというわけじゃございますまい。協調と連帯をうたいながら、当面の目標として格差、不平等の是正というものが出てこないということに私は非常に不安と不信感を持たざるを得ないのです。もし三木さんがもう言い尽くし言い古したから、そんな感覚ではこれからの難局を乗り切っていくことはできません。三木さんには総論があって各論がないというふうに評せられました。三木さんという人は。したがって実践もなかった。これに対してあなたの場合は、各論があって総論がない、哲学がない、そういう評価が定まろうとしているのです。各論があるから、それじゃ実践があるか。私はそう思いません。たとえば、この協調と連帯にしても、総論がない。哲学がなければふらついてしまう。その中から何かやっても、何をやったかわからぬ結果になってくる、こういう可能性が出てくると思う。やはり協調と連帯というものを本当に貫こうと思うならば、ここ一番、先ほど公正、平等な社会をつくること、これを目指そうとおっしゃっているのですから、その裏返しの表現として、格差と不平等の是正には全力を尽くす、こういう柱が大きく浮かび出てこなければ、協調と連帯がぼけるのですよ。この点についてはどうなんでしょう。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 私が協調と連帯を力説しておりますのは、まさにそのことなんですよ。つまり、お互いに助け合わなければならぬじゃないか。その助け合いの仕組みとして国があり社会があるじゃありませんか。それから、経済の運営につきましても、これからは量じゃない、質だ、こういうふうに言っているのもそのことなんです。ただ、機械的にあるいは数学的に平等だ、こういうようなことを言っても、それはなかなかむずかしいことです。そこで、私は注意深く、人は生まれながらにしてそれぞれ資質も違うんだ、その資質を伸ばしに伸ばす、こういうことを言っておるわけでありますが、やっぱりとにかく客観的に社会的な感覚として公平が保たれる社会、これが望ましい社会である。その方向に向かって協調と連帯をするということを力説しているわけです。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 乏しきを憂えず等しからざるを憂うという言葉がございます。私たちがこの公平、公正を政治の分野で期するためには、やはり分配という問題に着目し、重視せざるを得ないと思うのです。政治とは何ぞやといろいろな定義の仕方があるわけですけれども、突き詰めていけば、どこからどれだけの税金をいただいてどこにどういうふうに使うかということに尽きるわけです。この税金の公平、これが真っ先に取り上げられなくちゃならぬ。協調と連帯が実際具体的な行動として出てくる場合には、まず私はそこに目が向かなければならぬ、こういうふうに思います。少なくとも現在の税制は公平とは言えません。大企業、資産家、高額所得者が優遇され過ぎております。そして、中低所得層というものが非常に厳しく痛めつけられておる、これが私は現在の税制だと思うのです。この不平等を是正したい、何としても是正しなければならぬ、これが私たちの一兆円減税を主張する一番大きな理由なんです。第一の理由なんであります。  現在の税制は、トーゴーサンとかクロヨンとか、捕捉率の問題もございますけれども、それ以前に、先ほども指摘したように持てる者に甘くて持たざる者に厳しいわけです。総理は、口を開くと日本の租税負担率は低い、こうおっしゃいます。国際比較をやってみますと、確かに数字の面ではそういうふうに現われてまいります。私もちょっと調べてみましたが、昭和四十九年を例にとってみますと、あなたのおっしゃるとおりアメリカは三〇・九、日本は二丁三、租税負担率は確かに日米両国を比べてみた場合にも低い。なぜ低いか。一番大きな原因はやはりこの不平等からきているのです。大企業や資産階級、高額所得者に甘い。持っている者に甘いから平均がうんと落ちてくるのです。中低位層の国民から見た場合に、国際的に税の負担率が低いなどとおっしゃっても、それは通用しません。みんなはだで、生活を通じて見ているわけですから、そんな言葉を並べてもぴんとこないのです。私は、なぜこの大企業や高額所得者優遇の税制というものをもっと思い切って改革なさらないのか、このことを総理にお伺いしたいのです。  たとえば利子配当所得。今度も一部改正を、手直しをやっておられます。しかし、私はこの分離課税というものを残すこと自体に問題があると思う。あなたが租税負担率になるといつも持ち出してまいりますアメリカは、総合課税じゃありませんか。そんなにアメリカのことを引用なさるんだったら、一挙に総合課税に踏み込んだらどうです。なぜおやりにならないのですか。高額所得者、大企業に有利だから踏み込めないんじゃないですか。ほかに理由がございますか。  額に汗して働く人たちは、百八十三万円以上になると税金を納めなければならぬ、今度は改正されて二百一万円だそうですか。配当だけで食べていくという人ならば四百四万円までは税金はかからない。どう考えたって庶民は納得できないのです。アメリカの租税負担率を問題にするならば、まずこの面からいって分離課税は早急にやめる、こういう方針をお出しになったらいかがでしょう、どうです。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 分離課税問題のお話の前に、特別措置全体が何か大企業に偏って不公平であるというようなお話でございますが、これはそういうような色彩は私は認めません。これは、特例措置によりまして、減税になっておる額は、ざっと七千億ぐらいあるかもしれません。まあしかし、その大部分はそれぞれ理由がある。いま石橋さん御指摘の利子配当にいたしましても、これは大企業を優遇しているわけじゃない。これは個人たる預金者また株式の保有者を保護する、こういうことになりますが、しかしその結果預金がふえる。わが国の運営上、預金は非常に大事ですよ。また投資を助長するというために、投資家を保護する、そういうようなことで、これは理由がある。それを、一挙にこれをやめるか、こういうことになりますと、これは非常に衝撃的であり、ねらうところの貯蓄あるいは投資、そういうものに影響してくる。ですから現実的に政策は進めなければならぬというので、いろいろ世間の議論等もありますものですから、いままで課税率が三〇%であったというのを三五%にする、目指す方向は、それから考え方もそう違っておるわけじゃないのだけれども、事を一挙に直撃的にやって摩擦混乱を起こすか、あるいは現実的にやって、まあまあと言って皆さんが納得されるような形で動いていくか、こういうことじゃないか、こういうふうに思うのです。とにかく、税制上不公平があるというようなことがあれば、これはゆゆしいことでありますから、そういうような面は極力整理してまいります。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 先ほど申し上げたように、私たちと政府・与党との考え方の違い、これを浮き彫りにするということを当面目標にしてお話を進めてみたいと思うのです。  いま租税特別措置のことを私の質問なしにお触れになりましたけれども、あなたは大企業だけが優遇されているんじゃない、こうおっしゃいました。そうでしょうか。それは多少のおすそ分けはあるかもしれません。しかし、実際にうんと優遇されているのは大企業であることは間違いないのです。参考までに、私ここに数字を持ってきておりますから御紹介しておきますが、東京都において本法関係、租税特別措置法関係、この適用を受けて法人がどれぐらい税金をまけてもらっておるか、その軽減率を洗ってみました、その数字です。資本金五百万円以下の場合には軽減率はわずかに四五%から八・四%の間であります。これに対して十億円以上の場合は一九・九%、五十億円以上の場合は三〇・一%、資本金百億円以上の場合は何と四二・一%であります。総理、それはほんのちょっぴり中小企業も恩典を受けているかもしれませんが、大企業に比べれば問題にならないのです。こんな税制をいつまでも存続させておくならば、それは利己主義にもなります。私は思い切ってこの際、租税特別措置は一切全廃して洗い直してみる、どうしても必要なものは新たにつくる、それぐらいの思い切った挙に出る必要があるんじゃないか、それぐらいに思い詰めております。非難をかわすためにちびちびと手をつける。この手をつけるということは、じくじたるものがあるからでしょう。今度もちょっと手をつけている。そんなこそくな手段を講ずることなく、私がいま提案したような思い切った措置を考えてみる意思はないか、このこともお尋ねしておきたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 いま私が七千億ぐらい特例措置の結果減税になっているということを申し上げましたが、その中で主なものを申し上げますと、少額貯蓄、マル優なんかですね、これは千億ちょっとです。それから生命保険料控除、これも千億をちょっと超える。それからあと大きなものは、住宅対策のための課税の特例です。これで八百三十億円。それから社会保険診療報酬の関係で千五百八十億円、これがかなり大きゅうございます。しかし、先ほどお尋ねの利子配当、これは利子の面で百二十億、それから配当の方で三百四十億、そういう程度でございまして、国民生活に非常に寄与しておる特例措置が多いんだ。  ただ、私は、医師の問題だけは、そうも申し上げかねる事情があるということだけを申し添えておきます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 私は、いま総理が若干の数字を持ち出してこられましたから、資料要求をいたしておきたいと思います。  租税特別措置、これは俗に言う本法関係も特別措置法の関係も全部含めてでございますが、によって減免された金額、これをひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。予算ベースの減収試算だけでなくて、決算ベースでひとつ出していただきたい。あなたもいま数字を引用なさいましたけれども、都で調べた数字との間にいつも大きな食い違いがあるのですね。たとえば利子分離課税の特別措置、政府が二百二十九億円だというのに対して、都で調べたら八百六十一億円もある。四倍から違うのです。これでは問題になりませんから、ひとつはっきりした資料をぜひ出していただくように、この際お願いいたしておきたいと思います。  内容をもう一度申し上げますが、特別措置法に規定されたもの、所得税法や法人税法などいわゆる本法に規定されたもの、地方税へのはね返り分、そういうものを一切含めてひとつお出しいただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 これは資料をお出しいたします。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 もう一つだけ申し上げます。  なぜ交際費課税をもっと強化しないのかということです。大体年間二兆円を超える交際費などというものが使われる国が一体ございますか。一口に二兆円と言うけれども、大変な金額です。一つの国のGNPに匹敵する額なんです。私の聞いた範囲では、ちょうどアイルランド共和国の、国家予算じゃありませんよ、国民所得でもありません、GNPに匹敵する額だと言われています。なぜこんな莫大な交際費が使われるか。これも税法に問題があるのですよ。交際費で使ったと言って税務署に届ければ何割かは非課税になる、税金で納めるよりは交際費で使った方がましだ、そういう風潮を生み出しておる結果じゃありませんか。私はぜひ、この交際費課税というものも、今度のように損金不算入率を八〇%から八五%へちょっと手直しするなんというようなこそくな手段じゃなくて、うんと強化していただきたい。このことをも注文しておきたいと思います。  そして、私が結論的に言いたいのは、いま私が指摘した配当所得課税の特別措置の廃止、法人関係の租税特別措置の廃止、交際費課税の強化、こういうものをやるだけでざっと計算して一兆二千百五十億円程度の税収確保が可能だということなんです。  社会党の方で大まかに計算をしてみました結果を申し上げますと、配当所得課税の特別措置の廃止によって約五百億円、法人関係の租税特別措置の廃止によって約三千億円、貸し倒れ引当金の引き当て率の引き下げによって約三千三百億円、減価償却資産の耐用年数の延長、これをやることによって約四千億円、そして、交際費課税の強化によって約一千三百五十億円当面増収を図っていく、これで一兆二千百五十億円です。  このうち、とりあえず半分だけにしょう、こういう考え方で行っても六千六百億円の増収が可能なんです。そうしますと、政府は今度国税関係で三千五百三十億円の減税を打ち出しておられます。私がいま出しました六千六百億円と政府がすでに認めております三千五百億円と合計しただけで優に一兆円減税を実現することができるじゃありませんか。それでも足りない、一遍にそこまで廃止はできないとおっしゃるならば、まだ予備として構想を示しておきます。  所得税一千万円以上の者に一〇%の付加税をとりあえず課す、これでも一千億円以上の増収が可能です。会社臨時特別税をもう一度一定の期間復活させる、これでも一千三百億円程度徴収可能です。私は、やろうという意思さえあれば減税はあくまで可能だ、まず財源の面で申し上げておきたいと思うのです。  協調と連帯を進めていくためには何よりも公平、公正、不平等の是正が大切だ。最も政治の分野で不平等是正でわれわれが目を向けなくちゃならないのは税金だ。一石二鳥じゃありませんか。野党が一致して求めておる一兆円減税も実現できる。国民の期待にもこたえられる。そして、不公平の是正もできる。こういうことをやることが政治だと私は思うのです。景気対策としての議論は後でやります。少なくとも、この減税は低額所得者を中心に据えて、非納税者にも恩典がいくように、負の所得税という構想などもなるべく生かすような考え方で取り組んでいきたい、これが社会党の気持ちです。したがって、この際は戻し税方式をとったらどうだろう。所得額や納税額に左右されないで、家族構成だけを問題にしていったらどうだろう、そういう考え方も持っておるわけでございますけれども、ここは私たちも協調と連帯、ひとつじっくりと話し合って、一致点を見出して実現したいのです。でき得れば、この総括質問一巡の後に、減税問題を中心に据えた集中討議をやっていただきたい。そして、一致点を求める努力をしていただきたい。このことを政府と、そして委員長にもお願いいたしておきたいと思うのです。ひとつ御見解をお願いいたします。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 協調と連帯でありますから、どこまでも議論は尽くさしていただきたいと思います。  そこで、石橋さんは非常に簡単な言葉で、一兆円減税の財源は特別措置の廃止というような、一方における増税方式でできるじゃないかというお話でございますが、私は、おっしゃるところの気持ちはわかります。しかし、具体的にそれじゃどの特別措置をどうしてどういうふうにその財源を生み出すかということになりますと、これはなかなかそう簡単には私はいかぬと思うのです。  特別措置でも、先ほど申し上げましたように、大体これによるところの減税額は七千億くらいでしょうか、その七千億円の中で、先ほども申し上げたわけでありますが、とにかく少額貯蓄、マル優などの免税措置のものが千億もある。それから生命保険料の所得税減税ですね、これも千億。それから、住宅対策のものも八百三十億はあるとか、そういうふうに民生安定のために制度として定着いたしまして、あるいは場合によりましては生命保険料の控除、そういうようなものを場合によると強化しなければならぬかというような事情にあるものさえもあるのです。  それですから、それを、一律にこれを廃止します、これは社会の秩序に相当の影響があるわけですよ。ですから、簡単に一兆円減税だ、その財源は特別措置を整理すれば出てくるとおっしゃいますけれども、私どもはそうは考えません。しかし、御見解は十分承らしていただきまして、私どもの方におきましても検討いたすということははっきり申し上げます。

坪川信三自由民主党

○坪川委員長 石橋君にお答えいたしますが、ただいま御要望になりました件につきましては、予算理事会において御要望の点を十分諮りたいと思っております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 ぜひお願いいたしたいと思います。  総理、私が簡単に考えているようにおっしゃいますけれども、そうじゃございません。ずいぶん幅を持って、私はその中からどれがさしあたりできるか、どの程度できるか十分に検討が加えられるようにという、そういう配慮もした上で先ほど提起したはずです。金額にしてもきちきちのものを出しておるわけじゃないのです。しかし、いまその議論はいたしません。ぜひ各党一兆円減税実現のために慎重にお話し合いを進めていただきたい、このことをお願いして次に進みたいと思います。  次は、本年度予算編成に当たって二つの目標をもって編成をした、一つが景気の回復、一つが財政の健全化、こういうふうに言われております。先に財政の健全化の問題に入ってみたいと思います。  果たしてこの目的は達成されたのだろうか。結論から先に申し上げますと、されなかった。逆に五十二年度予算は五十一年度予算よりももっと悪い状態に置かれるようになったのではないか、悪化したのではないか、私はこういうような受けとめ方をしております。国債発行額もさらに五十一年度よりもふえて八兆四千八百億円になっている。そのうちの特例債もふえて、四兆五百億円になっている。五十二年度末の国債発行残高は三十一兆円にも及ぶ。五十二年度予算、二十八兆五千億をすら上回る。国債費が二兆三千四百八十六億円。総予算の中で八・二%を占める。しかも国債を八兆四千八百億円も発行してみても、国債がこのように膨大になってきたために手取り率は七二%ほどに落ちる。国債費の伸び率は前年度当初予算に比べて四一%にも達した。どこをどう見ても悪化したとしか言いようがない。このニュアンスは大蔵大臣の財政演説の中にも私は出ていると思う、苦しい表現ながら。「歳入の約三割を特例公債を含む公債金収入により賄うという諸外国にも例を見ない異常な事態に立ち至っております。」、こういうふうに述べておられます。一体どうしてこんなに国家財政は危機に瀕してきたのか。大蔵大臣は、不況が長引いて歳入の大幅な伸びを見込むことができなかったのに、一方歳出面ではどうしても景気の回復を願い、国民生活の安定を願うために支出せざるを得ない部分がたくさんあったためにこうなってしまった、こう言うわけです。その中心はやはり景気回復のために公共事業費を大幅にふやした。これが最大の要因じゃないかと私は思うのですが、まず総理大臣に、財政状態が五十一年度よりも一段と悪化したことをお認めになるかどうか、その原因はどこにあるとお考えになっておるか、このことからお尋ねしておきたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 財政は非常な状態である、こう私は申し上げていいと思うのであります。五十二年度の財政が五十一年度より悪化したと見るかどうかということになると、私は、改善する努力というか、これは大変大蔵当局を中心として行われた、こういうふうに思いますが、しかし、その実はどうかと言うと、なかなか上がっておらぬというのが率直な私の考え方であります。  どうして財政がそういうふうなむずかしい状態になってきたか。こういうことを考えてみますと、これはわが国が石油ショックまでは財政も経済もいろいろの紆余曲折はありながらもまあまあやってきた。ところが、あの石油ショックによって日本経済が初めてマイナス成長というものに落とし込まれる。そういう中で国際収支は実に一年間に百三十億ドルの悪化をした。これは全く崩壊寸前というようなそういう状態であったわけであります。  ところがいま、あれから三年ちょっとたっておるのです。三年を経過してみますと、世界じゆうで日本とアメリカとドイツ、これが着実な経済の安定という基調を固めておる。その基調を固め得たのは一体何だ。こういうことを考えてみますと、それは財政が非常に大きな役割りを担任したわけです。一つは、財政の支出の面において公共事業をやる。いまお話しのとおりであります。そうして景気牽引の役割りをする。それから収入の面におきまして、これはたとえば公共料金は、当然上げなければならなかったその公共料金を抑制をするというような措置もとる。そういうようなことで、それが回り回って一般会計の歳出面の圧力になってくる、こういう問題もある。それから、とにかくマイナス成長を初めて経験するというような事態でありましたものですから、これは税収入全体といたしましても落ち込みを来す。そういうようなことで、歳入、歳出両面から財政にしわ寄せがいった。  私は、経済の面から見ますれば、物価も落ちつき基調になってきたと思うのですよ。それから経済活動の方もとにかく五%を上回る成長をなし得る状態が五十一年度も実現された、されようとしておる。五十二年度におきましては六%台の成長が展望される、こういうような状態です。国際収支はどうだというと、若干の黒字を残すというようなことになってきておるので、私は、戦後、あの石油ショック後の国家経営としてはまずまずのところというふうに思っておりますけれども、その後遺症といいますか、しわ寄せといいますか、これが財政に来ておるというのが財政悪化の現実の姿である、こういうふうに私は見ておるわけであります。しかし、この財政が混乱いたすようなことになれば、これは国家、社会を紊乱する、こういうことにもなってくるわけでありますので、これを窮地に追い込めてはならない。そこで、最大限の努力をして、今後早く赤字公債依存財政から脱却をしなければならぬ、こういうふうに考えておる次第でございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 総理も財政状態はよくなっておらぬということはお認めになりました。それで、これ以上申し上げませんが、先ほど引用しました大蔵大臣の財政演説でも明らかなように、一番危機的な要因を深めておるのはこの国債依存率なんですね。政府の発表によって見ますと、国債依存率は二九・七%。何としても去年の二九・九%よりも低くなったように見せかけよう、そういういわば細工が行われているんじゃないでしょうか。私は、苦しいなら苦しい、ありのままの姿を国民に示すことの方が大切なんじゃないかと思うのです、こういう苦肉の策を講ずるよりも。  そういう疑問が頭に浮かんでまいりましたのでお尋ねするわけですが、公共事業を何としてもやって景気回復を図りたい。そのために国債発行がふえた。しかし、幾ら公共事業費をふやしてみても地方の方で消化できなければ何にもならない。そこで地方財政の補強を図る。これは当然です。ところが、ここで問題があるのです。地方財政対策費、資金運用部資金の中から四千二百二十五億円を融資する。これだけ金を貸すからひとつ何とか公共事業費を消化しろ。本当に貸したのかと思ったら、二年据え置き、八年後に払うのは地方自治団体ではなくて政府自身。融資じゃないのですね。やっちゃうのですね。それならばこれは政府の借金であって地方債とは名ばかり。実際には国債とプラスして計算すべき問題じゃないのでしょうか。私にはそう思えてならないのです。国の借金なんだけれども、国の借金であることを認めたら国債依存率が去年よりも高まって、しかも三割を超してしまう、大変だというので、こんな小手先細工が行われ、国民が欺かれようとしているのじゃないか。この疑問にはどうお答えになります。これは大蔵大臣ですかね。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 お答え申します。  御指摘の四千二百二十五億円の性格でございますが、総額四千二百二十五億円の臨時地方特例交付金を五十五年度から六十二年度までの各年度において一般会計から交付税特別会計へ計画的に繰り入れるといたしましたのは、借入金の償還に伴い、各年度の地方交付税交付金の総額が法定額より減少することになる事情を考慮いたしまして、各年度の地方交付税交付金の総額の確保に資することを目的としたものでありまして、五十二年度財源対策の延べ払いのような性格のものではないのでございます。したがって、特例公債を増額させないためのカムフラージュではございません。  なお、今回五十二年度の財源不足対策に関連してこのような措置をとることとしたのは、交付税特別会計における借入金残高が五十、五十一両年度の借り入れ等により相当多額になっているのに加え、今回さらに九千四百億円の借り入れを行うこととしたので、この際、後年度における借入金償還に伴う地方交付税交付金の総額の減少による地方財政に与える影響をできる限り緩和するのが適当であると考えたからでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 私、冒頭にもお願いしたわけです。国民の皆さんに私たちとあなた方との考え方、どこが違うのかわかるようにやりましょう。わかりますか、いまあなた、そんな役人の書いたのを読み上げて。みんな何を言っているんでだろうかと思いますよ。私が聞いたことに直接お答え願いたいのです。もう何でしたら、福田総理大臣、あなた兼務してやっていただけますか。  私の聞いているのは、国債依存率を去年よりも何とかして低く抑えよう、三割の壁を突破しないようにしよう、その気持ちはわかるけれども、その結果結局小細工が行われているんじゃないか。本当は国の借金がふえておるのですから、実質的には国債プラスこの地方財政対策費という計算をした方が正直なんじゃないでしょうか。どういう方法をとろうと、実質的には国債発行したと同じような影響を国家財政に与える、こういうことになるんじゃないですか、結果として。数字の説明はいいです。これに対して率直にお答え願いたいと思うのです。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 石橋さんの御指摘はごもっともだと思うのです。しかし、この財政措置は石橋さんのおっしゃるような意図を持ってされておるわけじゃないのです。(「結果的にそうなるではないか」と呼ぶ者あり)結果的にそういうような現象にはなるにしても、考え方といたしましては、交付税率をいま変更するということはこれは大変な問題なんです。石橋さん、いま国の財政は二十八兆円、大ざっぱに申し上げまして。地方の財政も二十八兆円ですよ。その国の財政二十八兆円の中で地方交付税、それから地方がいろいろ事業を行う、それに対する補助、これをひっくるめますると実に十四兆円なんです。それですから十四兆円というのは、国でいろいろ税を取ります、収入があります、それから国債を発行してまた財源を図るわけでございまするけれども、しかしそれが国として使われるのはわずかに十四兆円でありまして、残りの十四兆円、これは地方へ渡されてしまう。つまり中央財政とすると通り抜けの勘定にいまなっておるわけでございます。地方の方はその十四兆円を受ける。それからまたさらにいろいろな自主財源もある。そこで二十八兆円の地方財政の運営が可能になるわけでございまするが、そういう中で、さて中央、地方の財政をどういうふうに調整するかということになると、これは補助金の問題もありまするけれども、最も大きな問題は交付税率を一体どうするか、こういう問題になってくるわけです。地方自治団体におきましては、この交付税率を三二%から三五%に引き上げよというような要求もありましたけれども、そういう財政構造の中で交付税率を変更いたしまして、そしてこれから先々はそれでやっていくのだということになりますると、これまた相当大きな問題になってくる。そこで五十二年度の財政措置といたしましては、そういう恒久的措置を避けたわけです。そこで、五十二年度の臨時の措置として、ひとつ何とか対処しなければならぬ。そこで、地方交付税特別会計に対しまして、資金運用部が貸し金をする。それを交付税として地方に対して配賦するとような措置をとったわけでありまして、御指摘の、結果としてはそういうような観察もできると思うのです。できると思いますけれども、意図するところは、公債依存率三〇%を超えてはならぬなというようなことを意識しながらしたものじゃないのです。交付税率を変える、これが非常に重大な問題でありますので、非常に不規的な形にはなりまするけれども、臨時応急の措置としてのああいう措置をとった、こういうふうに御理解願います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 私は、国債依存率を三〇%以下に何としても抑えよう、これは一つの目標としてきちっと踏まえておくことは大切なことだと思うのですよ。歯どめはないのですよ、何も。いつも申し上げてきたように、国債発行に踏み切ってしまえば、特に赤字国債、特例債の発行を認めてしまえば、ずるずるっといきますよ。歯どめはありませんよ。何を歯どめにするのですかとわれわれは主張してきたのです。これはもう雪だるま式にふえていきます。現にそうなっています。当分、特例債の発行はやめられないじゃないですか。計画を立ててみたものの、早くも初年度で吹っ飛んじゃったじゃないですか。したがって、せめて三割以上はならないようにしよう、こういう目的を、目標を定めることは大切なことです。しかし、それならそれで、それを絶対的な歯どめにしようというのであるならば、実質的に依存率三割以上にならぬようにすることなんであって、つじつまを合わせて数字で三〇%以内にとどめることじゃないはずだ。あなたはいま、結果的にはそうなるかもしれぬ――大切なんです、その方が。どんなに数字合わせをしてみたところで、二九・七に抑えてみたところで、実質的に三〇%を超える形になったら何にもならないのです。お役人にしてみれば、政治家の言うことを何とかつじつまを合わせなければいかぬ。そういうところから、こういう小手先細工的発想も出てくるかもしれませんけれども、あなた方はそういう態度に同調しちゃならぬ。超えてもいいという指示をしたのだから責任をとりなさい、こう言わざるを得ないのですよ。三割以上の支出を命じておいて、数字だけ三割以内にとどめろ、こんなこと言うべきじゃないと私は言っているのです。そうじゃないでしょうか。  福田さんの本会議における答弁を聞いておっても、この数字の魔術といいますか、これがときどき使われているような感じがしてならぬです。たとえば、社会保障関係の予算が減っているじゃないか、後退しているじゃないか社会保障が、こう言うと、いいや減っておりません、前進しております。そう言ったときにどういう数字を持ち出してくるかというと、結局、国債費と地方財政対策費とを支出の面から差し引いてパーセンテージを出していますね。社会保障の関係予算の比率を高めるために、国債費と地方財政対策費というものは支出面から削って、そして高い数字を出してごまかしているじゃありませんか。これは官僚的なやり方ですよ。政治家、総理大臣のやる手法じゃありません。あなたが何と言いましょうとも、社会保障関係の予算はどんどんどんどん後退しているのです。昭和三十年から四十年まで伸び率は一七・四%、確かに低かった。それが四十年から四十五年に二二・五%に伸びた。平均ですよ。昭和四十五年から五十一年になったら、伸び率が二九%に伸びた。それが今度は一七・七%、昭和三十年代に戻っちゃった。二〇%を割るのは六年ぶりのこと。認めなさいよ、この事実を。社会保障は後退しておりません――認めたくないものだから、結局数字の魔術、からくりをやっているじゃありませんか。そういうときには地方財政対策費を差し引いているじゃありませんか。私は、こういうことをやってはだめだ、国民を欺いてはだめだ、苦しいなら苦しいように、後退したら後退しているように、あなた方はそれなりの理由があっておやりになっているのでしょうから、ありのままの姿を国民に見せ、訴え、説得する義務があると私は思っているのです。私たちは、この考え方は間違いだ。とにかくあなたも実質的にはそうなるということをお認めになりましたから、私は進めます。また細かく深くは同僚の議員の皆さんによってやっていただこうと思います。  問題は、この危機に瀕しておる国家財政をどうするかということなんです。先ほども申し上げましたように、財政収支試算は早くも初年度で御破算になってしまった。五十五年までにせめて特例債だけでも、赤字国債だけでも発行しないで済むようにしようといった構想も、どうも危なくなってきた。この事態に立ち至って、われわれは、政府は、政治家は、どうしたらいいのか真剣に考えなくちゃならぬ。結論的にはいろいろある。補助金を整理しなくちゃならぬ。行政の簡素化を図らなくちゃならぬ。いろいろある。しかし、いまの福田内閣の力では、ちょっとここにメスを入れるのは大変です。時間もかかる。それほどの余裕もない。もちろんやらなくちゃならないが、それもやりつつ、当面どうしても取り組まなくちゃならぬのは、好ましくないことであろうとも、増税でしょう。この点いかがですか、総理。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 その点は、私は初めて気持ちがすっきりどうも石橋さんと合うように思うのですよ。つまり、これから先々を考えますと、私どもは乏しい中で世の中の弱い立場の人、その人たちのことを考えなければならぬ。それから、なるほどわが国の社会というものは、衣食の方はまあ大体よろしゅうございますが、しかし、住宅並びに住宅の環境です、これはもう先進国とも言えないような状態にいまあるわけなんです。つまり、わが国はフローはいいけれどもストックがない、こういうふうに言われますが、まさにそのとおりになってきておる。やはりわれわれの生活環境を整えるという問題ですね。これも大いに進めなければならぬ。そういうことを考えますと、これから先々というものは、国家の需要、つまりわれわれの共同の家計ですね、国家財政、これの負担というもの、それからまたそれを元手にしての社会投資、これが相当大きくなるのじゃないか、またならせなくちゃならぬ、こういうふうに思うのです。そういうことを考えますときに、持てる者が負担を大きくしていくということは、これはもうどうしてもよけて通ることのできない道である、こういうふうに考えますので、長い目の国家運営とすると、負担は若干ふやさざるを得ない、そういう傾向にあるということは、石橋さんと全く同じであります。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 財政の健全化のためにいやでもおうでも増税をやらなくちゃならない、新しい税金を創設しなくちゃならぬ、この点では意見が一致した。先ほど不規則発言にもありましたように、それじゃ何を増税するのか、どういう税金をつくるのか、そこで違ってくるのですね。  私たちは、先ほどいろいろ申し上げましたから、あの分についてはあと改めてもう一度申し上げません。一つの考え方として、土地増価税、土地含み益課税というものを考えたらどうかという提案をしているわけなんです。これに対して、どうも政府の方は付加価値税をつくりたいという考え方が根っこにあるのじゃないか。だからなかなか本音を吐かない。増税、新税創設ということを口にしないで、ごまかそうとしているのじゃないか。私にはそう思えてならないのです。私たちはこの付加価値税には賛成できません。なぜならば、当面われわれが目指さなくちゃならない物価の値上がり抑制に反するからでありますし、中小企業の圧迫、何よりも大衆課税だからです。こんなものをつくるべきじゃないと思います。いや、そうじゃないとおっしゃるならば、本当にこれがいいんだと言うならば、堂々と、なぜこれがいいのか、ベストでなくてもベターだという自信があるならば、なぜ訴えないのですか、逃げ回らないで、やみ討ちしないで。そうじゃないと言うならば、一体どういう増税なり新税を考えているのか、具体的に私はここで出していただきたいと思うのですが、いかがですか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 これから先々の国家運営のためには国民の負担がふえていく、これはそのとおりなんですが、さて国民の負担をどういう形で伸ばしていくか、こういうことになるが、これは中央、地方両方の財政においてその問題があるわけであります。その際にどうするか。いままでわが日本の税制につきまして、直間-直接税と間接税の比率、これの論議なんかもずいぶん行われておるわけであります。しかし、これもまた租税体系というような面から見ると、そう簡単に改正だという踏ん切りもつき得ないような性格のものでございます。さあそうすると、直接税は一体増徴の余地があるかというと、いまわが日本の租税負担は軽い軽いと言いながら国民の中に租税負担を感ずる、これはどこで感ずるのか、こう言いますると、これは直接税なんです。直接税についてはだに感じて税というものの響きがやってくる。そこで直接税というものにもなかなかそう多くを期待することはできない。やはり両々考えなければいかないんじゃないでしょうか。どっちに片寄ってどうというようなわけにも私はいかぬと思うのです。両々の面において工夫しなければなりませんけれども、増税というようなことになりますれば、これはやはり国民のコンセンサスというか、国民がなるほどそうかといって理解してくれるものでなければならぬ、そういうようなことを考えながらまだその結論を得ていないんです。これから、税制調査会というような政府の機構もあります、そういう場を通じましていろいろ御検討願いまして、また御検討の過程を通じまして国民の御理解も願いまして、そして、これならいけるかなあ、こういう点を模索いたしまして結論ということにいたしたい。まだどの税をどうするかということまでお答えできないという状態でございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 これだけ財政が悪化しておる。総理自身もお認めになっておりながら、その対策となると、これから考える、税調の答申を待って――えらいごゆっくりでございますね。そんなにまだ安心しておっていいわけですか。一つはここが問題なんです。  私たちがこの土地含み益課税というものを考えよと言う理由を申し上げます。その一つは、今日のインフレをもたらした要因の大きな一つは土地価格の高騰にあるということ、次に土地を担保にした信用インフレが地価をさらに引き上げるという悪循環を重ねているということ。あなたが大蔵大臣のときに創設された土地税制、これがどれだけ法人の土地投機に拍車をかけたかわかりません。大変なものです。昭和三十年から始まった地価騰貴がこの二十年間に全国市街地価格で二十八倍になっておる。この間GNPは十七倍です。大変な上昇率です。法人が一体どれくらいの土地を持っておるのか、買い占めているのか。東京証券市場上場会社の土地の含み資産だけで六十八兆円と推定されている。さらに資本金一億円以上の法人というふうにくくってみると、九十五兆円と言われている。全法人では二百兆円に及ぶだろうと言われている。こういう事態を放置しておくことはできない。地価の上昇は住宅の事情を悪くしている。マイホームを持とうと思っても土地が入手できない。農業基盤を破壊している、地方財政を圧迫している、こういう事態を放置できない。土地を持っている者と持たざる者との格差というものがますます広がっておる。地価がどんどん上がるにつれて、土地を持っておるというだけで労せずしてキャピタルゲインを得ておる。こういう事態を政治が黙って見ておっていいんでしょうか。少なくとも、この利益は土地所有者に任せるのではなくて社会的な再分配の対象にして、そうして不平等の是正、格差の是正を図るのが政治の仕事じゃないのか。それをやるために税制を活用しよう、こう言っているのですよ。いかにこの時価と簿価との間に差があるか。典型的な例としてよく出されるのが、あの東京駅前、丸の内かいわい。坪当たり簿価は幾らですか。八万円にも足らないのですよ。百倍でもあの土地は買えますか、八百万円でも買えますか。こんな理不尽なことがまかり通っていいのでしょうか。これはほんの一例です。私が例に挙げたあの地域の法人は、言い分はあるかもしれません。しかし、少なくともそれほど簿価と時価との間には大きな開きがあるということを私たちは見きわめなければいけないのです。ここに再評価税を課していこうというのが私たちの考えです。  一月一日現在の固定資産税評価額、これの一・七五倍を標準価格とする。時価と簿価ではちょっとかわいそうですから、標準価格を設定しようというわけです。標準価格と簿価との差額、ここに一五%の課税をする。これで、どう低く見積もっても十五兆円の税収は確保できます。分割払いでもいいじゃありませんか、五年分割でも。もちろん農地とか再評価益金が五千万円以下というようなものは私どもは課税対象にしようとは思っておりません。場合によっては私は物納でもいいと思っております。いま不景気だから、とてもそれだけの金は払えませんというなら物納でやってもらおうじゃありませんか。一石二鳥ですよ。学校も建てられない、住宅も建てられない、公園もつくれない、みんな苦しんでいるときです。土地は幾らでも欲しい。金で払ってもらえぬなら物で、土地そのもので払ってもらおうじゃありませんか。こういう構想について、これだけ財政が窮迫している事態においてなお一顧だにする値はないと総理はお考えになりますか、いかがです。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 さあこれから財政をうまく運営していく、このためにどういう対策をとるか。私は、歳入歳出両面について検討しなければならぬ、こういうふうに考えておるのです。いま石橋さんは、税制面のお話でございますが、特にその中で、土地再評価税というようなものを設定したらどうか、こういうお話ですが、いま土地の実際の売買価格とそれから記帳価格、これに非常に大きな開きがある、これは事実です。ですから、わが国のこの経済社会をきれいにするためには、いつの日にかこの現実の価格とそれから記帳価格との調整、つまり再評価、これが必要になると思うのです。その際に、税を取るのか取らないのか、こういう問題が起こってくる。  ただ石橋さん、私、ちょっと感覚が違うのですが、土地の価格は上がるけれども、土地を持っておる法人、個人、その人に利益が直接起きておるわけではないのです。つまり、その高騰した価格をもって売買を行う、そのときに初めてその個人なり法人なりの利益というものが出てくるわけなんです。ただ単に持っている土地が、値段が上がりましたというだけでその個人、法人に利益があるというわけではないのです。  そこで私が申し上げておりますのは、そういう売買の際におきましては、つまり現実に利益が生ずるという際には、その利益に対しましてこれはもうかなり高い――高いと言いますれば、これは土地取引の流通の円滑を妨げるくらいの高い税率をいま課しておるのでありまして、その点私は、わが日本の土地税制とすればかなり厳しいものである、こういうふうな認識をしておるのです。その上、石橋さんのおっしゃるような、ただ単に、利益は生じない、生じないけれども、そういう値上がりがあったという事実、その事実に着目いたしまして資産所得を課するということになると、まあ支払い能力というような点からこれは相当問題があるだろう。ことに、こういう不況の際に、法人、最もその土地を多量に持っておるところの法人、その支払い能力というような問題もありますし、それから、もし考えられるとすれば、いま五年というふうにおっしゃいましたが、私は、とても五年でその支払いに応ずるというような状態じゃないと思うのです。相当長期にわたってこれを支払うというようなことであろうかと思いますが、私は、そういう意味においては検討の課題にはなると思うのです。なると思うが、いま石橋さんのお話全体から聞き取りますと、さあ値段が上がった、そこで利益が出てきた、その利益に課税せいというような印象でありましたので、そういうことは考えられない。長期にわたって、そうして保有税的な税が課せられるかどうか、こういうようなところであろうか、こういうふうに思うのです。いずれにいたしましても、検討の問題にいたします。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 検討の対象とするということでございますから、時間もありませんし、次に話を移していきたいと思います。  次は、昭和五十二年度予算が目指した目標のうちのもう一つ、財政の健全化ともう一つの目標、景気の回復。この方はそれでは果たして目的が達成できるのだろうか。財政の健全化はだめだったが、せめてこの景気の回復だけは何とか見通しが立つような予算が組めたのだろうか、ここに移してみたいと思うのです。  結局のところ、目標を二つ掲げてみたものの、重点は景気回復の方に、景気刺激の方に置かれたと私は思うのです。だからどうしても国債の依存率を低く抑えることもできなかった、したがって財政の健全化を図ることもできなかったというのが本音だと思うのです。したがって、この景気の回復というものが期待できないことになると、全く何一つ目的を達することのできない結果に終わってしまう。二兎を追う者は一兎をも得ずという最悪の事態に立ち至るおそれがある、私はそう思います。  政府演説を聞いておりますと、わが国経済は長い不況から回復しつつある、いまあるのは不況の傷跡だ、これは大蔵大臣の言葉です。そうでしょうか。私にはどうしてもそう思えない。企業倒産も去年の十一月史上最高、去年一年間で一万五、六千件。しかし、この一万五、六千件というのは負債一千万円以上という枠で抑えているわけですね。(「資本金百万円以上」と呼ぶ者あり)いまお話ございましたように、資本金百万円以上という枠で抑えているわけです。そういう一定の枠で抑えないで、とにかくぶっつぶれた会社全部ということになると六万件を超える。大変な状態なんですね。これが果たして不況の後遺症というふうなことで表現できるものだろうか。やはり不況はまだ抜け出し切れずにおるという見方の方が正確なんじゃないかと私は思うのです。去年一年間のこの伸びというものを見ましても、何とか年度末の時点で目標にした五・七%を達成できる、だからもう不況は抜け出したんだと言いたいのでしょう。しかし、ここにもちょっとおかしいところがあります。  なぜならば、四半期ごとにこう見てみますと――確かに五・七%の成長率は達成しそうだ。しかし、四半期ごとに見ていくと、去年の一月から三月までが三・二%の伸び、それなのに四月から六月になると一・三%の伸び、七月から九月になったら〇・三%、十月から十二月も恐らくこれと余り変わらないんじゃないか、ちょっといいぐらいだろう。そして、なべて平均五・七%目標達成ということなんでしょう。だんだん悪くなっているじゃないですか。一月から三月まで三・二%も伸びたというのは輸出に助けられたんでしょう。倉成企画庁長官がいみじくも言っております。一-三月の思わぬ成長に助けられた。神風と言っております。ことしもまた神風を期待しているんですか。そんな神がかりはやめてもらいたいのです。  つぶさにこういった数字を見ていっても、不況から抜け出して、いま残っているのは不況のときの傷跡だ――そんな認識では、私は本当の施策は生まれてこないと思います、本当にそう思っているんだったら。ここのところが大切だと思うのですが、大蔵大臣いかがです。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 おっしゃるとおり、景気回復の基調は、去年の夏から大分こう緩やかになってまいっております。これを中だるみと言っておりますけれども、しかしながら、最近における国内の生産も国内の出荷も、前年同期に比べまして一〇%以上伸びておるということも、これも一つの注目すべきことだと思います。そういうようなことで、いま景気の状況につきましては、業種的、地域的に相当跛行性もありますけれども、私は、これがもう失速してしまうというふうには考えておりません。  そこで、五十二年度の予算編成に当たりましても、またこれに先立つ、いずれ御審議を願う五十一年度の補正予算あるいはそれに続いてこの五十二年度の予算。御承知のとおり、五十二年度の予算というものは、これは非常に苦しい経済の状態の中におきまして、景気浮揚ということ、これを目玉と考えまして編成いたしました予算でございますが、そういったようなものをどうぞひとつできるだけ速やかに御審議願って、そうして成立させていただくということに相なりますならば、私は、この景気の回復、そしてやがては持続的安定成長へ結んでいくというふうにぜひとも持ってまいりたい、かように考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 私は現状の認識というものは非常に大切だということをまず申し上げているわけですね。あなたの財政演説聞いておりますと、もう不況から回復しつつあるんだ、いまあるのは不況の傷跡だ、そういう認識でいいんだろうか。一つの例として先ほど企業の倒産を挙げました。そのほかにも例を挙げるならいっぱいあるのです。たとえば完全失業率、ここに私数字を持ってきましたが、昭和五十年の夏から去年の十一月までほとんど動きませんよ。変わりませんよ。それから企業の操業率、これも言うまでもなく八割程度しか動いていないのですよ。一体これは単なる傷跡というようなことでいいんだろうか。そういう認識で真の対策が生まれるんだろうか。というのは、また同じ過ちを繰り返すんじゃないかという懸念が私にとってはあるのですよ。それは何か。公共事業一辺倒、公共事業というものに重点を置くことに余りにも偏り過ぎ、そして期待を持ち過ぎた結果、五十一年は失敗したんじゃないか。輸出という神風に助けられたけれども、あの神風が吹かなかったらえらいことになったんじゃないか。その反省がなく、また昭和五十二年度も公共事業一点張り、同じ過ちを繰り返すんではなかろうかという憂えを込めた質問なんですよ。公共事業一点張りですよ、五十二年度予算景気回復策は。それでも去年よりもことしは公共事業に力を入れたということにならないのです。数字を見てみましょうか。去年は――ことしですね、五十一年度予算です。五十一年度予算は当初予算の伸びが一四・一%、これに対していま審議しております五十二年度予算の伸びは一七・四%。予算総体を見た場合には、ことしの予算、五十二年度予算の方が伸び率が高い。ところが、公共事業というものに焦点を当ててみますと、去年の伸び率が二一・二%でことしが二一・四%だから、これまたちょいと上回っているとおっしゃりたいんでしょう。ここにまたインチキがある。こんなインチキやめてもらいたいのですよ。政治じゃなくてもう本当にこれじゃ行政もいいところ。万事頭のいい役人が国民をごまかすというやり方をしている。福田さん、そういうふうになっちゃいけませんよ、あなた。いつまでも主計局長の感覚ではいけませんよ。総理大臣になったのですから。実際にこれ見ますと、公共事業、五十一年度よりも五十二年度、そんなに伸びているのでしょうか。  具体的に申し上げます。去年の当初予算には公共事業費予備費というのが組まれたのです。一千五百億円。よもやお忘れじゃございますまい。景気調整の役割りを果たさせたい、どうしても浮揚しないときにはこれをぐっとつぎ込んで、そして何としても成長率を目標の線に持っていきたい、こういう御説明でした。その結果、いままでに大体千三百五十億円災害対策中心に支出されているようです。これは当初予算に組まれておったものです。当然に五十一年度予算の公共事業費には、この公共事業費予備費というもののうち、それじゃ千五百億円と言いません、千三百億円というものは加算して、そしてことしの五十二年度予算と対比すべきであります。こうなるとぐんと数字は落ちる。去年の五十一年度の公共事業予算は総予算に占める比率二六・四となります。これと対比すれば二一・四が落ちるどころか、今度は公共事業費予備費を含めたものと比較しますと一六・四とがた落ちです。公共事業に力を入れる力を入れるとおっしゃるが、実際には五十一年度予算ほどにも力を入れていないということなんです。財政硬直化、非常に危機的状態に陥っておるために、公共事業に力を入れると言いながらも、限界があって、五十一年度以上にはとても力を入れられない、ぐんと落ち込んでいる、これが実態じゃないでしょうか。あれほど力を入れた五十一年度予算をもってしても、輸出という神風が吹かなかったならば、成長率五・七は達成不可能であった。現に一-三月に比べたら、成長というのはとまっていると同じ状態にある。それより落ちる公共事業重点政策でどうして景気の浮揚が図れるのか、私はこういう質問をしているわけなんです。公共事業重点五十一年度予算のようにあんなに力を入れても浮揚しなかったのに、それ以下の公共事業費で果たして浮揚が可能なのかという問題を提起しているのですよ。まず数字の面から、私が指摘している点間違いないかどうか。大蔵大臣、経済企画庁長官、どちらですか。大蔵大臣、あなたからひとつお答え願いたいと思います。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 数字のことですから、正確を期して、詳細を期して、ひとつ主計局長に答弁させます。

吉瀬維哉大蔵省主計局長

○吉瀬政府委員 ただいま石橋委員の御指摘のとおり、昨年の公共事業には一千五百億円の公共事業等予備費を組み入れていたことは事実でございます。ただし、この一千五百億円の公共事業予備費につきましては、過日の十七号台風で相当部分が災害対策のために支出された。そして、石橋委員御承知のとおり、この二月に御審議いただく補正予算に、さらに一般公共事業の追加一千五百億円をお願いしておるわけでございます。この二月の時点における公共事業の追加でございますから、経済効果の発動は五十二年度に及ぶと私ども考えております。そういう点から考えますと、来年は一般公共事業二一・四%でございますが、この一千五百億円はほぼ三・数%に及ぶ。こういうものを足すと同時に、さらに予備費を、たしか公共事業等予備費一千五百億円を減額いたしましたが、一般予備費を五百億円増額しております。こういう点の公共事業の全体の実力を勘案いたしますと、これは二五%を上回るのではあるまいか、こう考えております。  なおこれは時期的な、公共事業投資の発動の時期によりまして、経済効果を判断するわけでございますが、政府固定資本形成の実質でございますが、経済企画庁の方で計算いたしましたら、昨年度の五十年度と五十一年度当初を比較いたしますと、政府固定資本形成は昨年度は八・三%でございましたが、本年度は一〇%に及んでおる。こういう点とか、名目におきましても一四%は一六%になっておる。この一つの十四カ月的に判断することと、もう一つは公共事業の発動の効果の時期というようなことから言いまして、私どもは五十二年度の公共事業の実力はある程度の水準を維持し得たのじゃなかろうか、こう考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 私が質問していることにお答えないのですよ。それじゃ数字に余り重点置かないでいいです。私は総理大臣にお伺いして、あと次にいきたいと思います。  私が言っていることはもうおわかりだと思います。五十一年度予算の方が公共事業重点という点では五十二年度予算よりも比率から言ってもまさるのです。いま千五百億の公共事業予備費について災害対策に使ったということもお認めになりましたから、私ははっきり申し上げたいのです。公共事業予備費というものは公共事業に使うために当初予算に組み込まれておったんだ。だから、純粋に公共事業費として組まれている分に当然にこの千五百億、支出された千三百五十億は加算されるべきだ。これを五十一年度予算公共事業費と見るべきだ。そうすると、本年度の公共事業費というのは、言われるような高い伸び率を示しておらない。この方は事実なんですから、ごまかしはきかないのです。それほど五十一年度も公共事業というものに重点を置いて景気浮揚を図ってみたが思わしくなかった。幸いに対米輸出が伸びた。この対米輸出が伸びたのだって、何かと言えば、福田さんは、減税で景気の回復は図れぬ図れぬとおっしゃいますけれども、アメリカの減税に基づくものなんですね。アメリカで大幅減税をやった、それで個人消費が伸びた、購買力が高まった、日本の家庭電器製品や自動車が買えるようになった、ゆとりができた、そこで日本の自動車や家庭電器製品がどっと輸出された。アメリカの減税の恩典にあずかったのです。とにかく、倉成さんの言う、輸出増という神風に助けられて何とか五・七という成長率、目的は達成したけれども、公共事業重点だけではとてもいかなかっただろうという反省が必要なんじゃないか。その反省がなくて、うまくいったうまくいった、もう不況から抜け出した、いま残っているのはあれは傷跡、後遺症、こんな認識で、また公共事業重点、公共事業一点張り、そんなことで景気の浮揚を図れるのですかという懸念、不安を私は表明しているのです。冒頭から申し上げているように、やっつけようとか、どうしようとかいうのではない。みんなの心配を、そうじゃないと言って、自信がおありなら、納得できるように総理説明してくださいよ、こう申し上げているのです。――もうお役人はいいです。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 昨年の経済を大観しますと、これは上半期に、お話しの、輸出に支えられて急成長した日本経済です。特に一-三のごときは実質で一三%成長、高度成長期にも見られないような高さの成長をしたわけです。それが下半期になりますと、これは反動といいますか、そういう気分もありますが、輸出の停滞、世界景気が停滞するに伴って輸出が停滞するというのに伴いまして、政府でもいろいろ努力はいたしましたけれども、はかばかしい成長状態でなくなってきておる。そこでいま日本社会には不況感というものが満ち満ちておるというような状態になってきておるわけです。そこで、私は施政方針演説でも申し上げたのですが、てこ入れを必要とする事態である、これをやって、活発な上向き状態に転じさせませんと、これは失業の問題もある、あるいは企業の活動、企業意欲、そういう問題も起こってくる。日本社会全体として活力を失ってくる、減退してくる、こういう問題になってくる。そこで何とかてこ入れをしなければならぬ、そういう認識であるということを申し上げておるわけです。  さて、そういうてこ入れということになりますると何だというと、石橋さんまだお話がありませんけれども、私どもは公共事業が一番適確な経済効果を発揮する、こういうふうに考えておるのです。そこで、いま国会にお願いしておる補正予算、これにおきましても公共事業は一兆円を上回る規模のものをお願いしておる。これの効果というものはどこで出てくるかと言うと、着手はいたしまするけれども五十二年度にずれ込んでくるということを考えなければならぬだろう、こういうふうに思うのです。そういうことを考えますと、今度編成いたしました五十二年度予算における公共事業費の規模、また、公共事業という名前じゃございませんけれども、学校だとかそういうようなもの、そういうようなものを入れると相当の規模になるのでありまして、それは五十一年度におきましては実質政府支出の伸びというものは四・八%です、それが今度は七%になる。これが六・七%成長を支える主軸になるわけです。個人消費も着実に伸びるという想定をいたしておりますが、民間住宅もまた相当の伸びを示すだろう。そういう際におきまして、私どもが注目していただきたい点は、輸出が、全体とすると、五十一年度は一三・三%の伸びである、こういうことになりそうでございます。それに対しまして輸出に依存する五十二年度の状態はどうだ、こう言いますと、五・四%しか見てないわけです。まあとにかく国家財政、特に公共事業費、これは政府財政全体とすると伸び率は七%になりまするけれども、その中で公共事業費等の資本支出は実に九・九%になる、そういうことが中心となりまして六・七%成長を実現するというふうに考えておるわけですが、経済のことですから、これは国際環境の変化とかなんとかいろいろありましょう、それに応じて流動的、機動的に対策はとっていかなければなりませんけれども、とにかく六・七%程度のものは実現をいたしたい。これを目標といたしまして機動的、弾力的な財政運営、また金融運営をやってまいりたい、こういうふうに考えておるのであります。これは輸出をとにかく五・四%の伸びだ、こういうふうに見ておる、そういう前提から、相当確度の高い見通しである、こういうふうに御理解願います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 私も公共事業というものの景気浮揚に及ぼす影響というものを全然無視しているわけでも何でもないわけなんです。ちょいと重視し過ぎるんじゃないですか、とこう申し上げているのです。しかも、五十一年度の実績を踏まえて申し上げているのです。公共事業に力を入れさえすれば景気浮揚を図れるものじゃない、それは総理もいま認めました。そして金融の問題まで発言しておられますから、いずれ公定歩合の引き下げでもやろう、やらせようと考えているのじゃないかと思いますが、これは後に問題を残すとしまして、ほかにもいろいろ景気刺激のための要因はある。そうは言っても、公共事業というものを非常に過大視しているような感じがつきまとうのですよ。一体現時点においてそれほど公共事業の乗数効果は高いのか。これは河本政調会長でしたか、GNPが二百兆円にもなる現在、財政の力だけで景気の回復を図るのは無理だということをおっしゃっておったと思います。このことと関連があるのです。高度成長時代には確かに財政を通じて景気を浮揚することができた。しかし、当時に比べれば、いま非常にむずかしくなってきているのじゃないか。第一総需要の中で占める率から言っても問題にならないのです。個人消費はたしか五六・七ぐらいありますね、占めますね。これに対して財政は、地方財政を含めてもGNPに占める比率は二〇%程度、公共事業はその半分弱。この半分弱、一〇%足らずの投資的経費をもって、個人消費五六・七を含む七〇%程度のものを盛り上げる力が出てくるのかどうか。かつてのような効果は期待できないんじゃないか。大体、状況は変わっている。私も賛成ではありますけれども、産業基盤整備から国民生活関連の面にこの公共事業の重点を移そうという、そのこととも関連があると思うのです。いわゆる誘発効果という点でですね。誘発効果の面から言えば、何といったってこれは産業基盤整備の方が大きいわけでしょう、効果は。それと、先ほどもちょっと申し上げた操業率がもう八〇%程度に落ち込んでいる企業、ぜい肉を落とすという名のもとに合理化をやっている企業、そういう諸般の状況を考えていくと、どうも公共事業重点政策というのは本当の景気対策にならないんじゃないか。それから、肝心の公共事業自体が五十一年度予算よりは比率がうんと落ちている。そしてまた、依然として道路予算が三分の一を占めている。道路予算の相当分は土地買収費に食われてしまう。これは消費に回らない。どう考えてみても公共事業一点張りでは景気刺激にならぬ。景気浮揚はちょっとむずかしいんじゃないか。どうしてもここに個人消費を伸ばすという観点をもっと重視しなければならぬのじゃないか。  このような立場に立って私たちは一兆円減税をしきりに主張しているが、まるでけんか腰ですね。一兆円減税ということになると、もう総理は協調と対話が吹っ飛んだような顔をして、一兆円減税なんというのは時代錯誤もはなはだしい、ばか呼ばわりをせんばかりのせりふ、これはちょっと思い上がりじゃありませんか。もう少し謙虚に、現状を分析し、五十一年度の実績を踏まえて、景気回復というものを考えてみる必要があるんじゃないでしょうか、こう申し上げているのですが、いかがでしょう。  もちろんこの一兆円減税という場合にも、あくまでも消費に回るようにするためには、ゆとりのある層に減税したってだめです。貯蓄なんかするゆとりはない層に重点を置いて減税をやる、この発想がなければ、総理のおっしゃるとおりになります。そこから戻し税とか負の所得税とかいう構想が出てくるわけなんです。これをあわせて一本考えなければ景気浮揚はむずかしいのではないか。この私たちの主張は一顧だに値しませんか、いかがです。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 財政が大変豊かである、財政の健全な時期でありますれば、石橋さんのお話はもう一顧どころじゃありません、三顧も五顧もいたします。しかし、財政がいまそういう豊かな状態じゃないのですよ。いま減税せんとすればそれだけの財源が要るのです。一兆円というお話でありますが、一兆円の財源が要るわけだ。さて、その苦しい中で、その財源調達の方法、それはたなに上げておくといたしまして、同じ一兆円の金があれば、いま問題は、景気を浮揚させる、そして社会に活力を再現させる、こういうことでしょう。そうなれば、何が同じ金を使って有効に働くかというと、これは文句なく公共事業です。これはもう定説といたしましてそういうふうになっておるわけであります。公共事業もやり減税もやりといったようなゆとりのあるときなら別ですよ。同じ一兆円の金しかない、こういう際に、どういうふうにこの一兆円を使ったらいいかというと、私は、景気対策のためなら公共事業である、一兆円の公共事業である。その場合には、企画庁が相当精細に検討いたしておりますが、一兆七、八千億円の需要創出効果を生ずるであろう、こう言う。それから、その同じ額を減税に使うというと、そうすると二五%はこれは貯蓄に回る。これはもう、限界的な購買力の注入ですから、あるいはもっと貯蓄に回るかもしらぬ。しかし、少なくとも二五%は貯蓄に回っちゃうのですよ。そうすると、七五%の需要創出効果しかないじゃないか、こういうことになる。減税の場合半分以下の需要創出効果になってくる。まして、いまわれわれが問題にしているのは、企業に活力を与えるというだけの話じゃないので、いま失業者がふえつつある。その雇用の問題もにらまなければならぬ。その際に、納税している人に、減税してやります、こういうようなことをいたして、雇用増進に幾ばくの効果があるか。住宅をやります、下水道工事をやります、学校を建設します、こういうようにすれば、雇用にも目に見えて効果があるわけでありまして、私は、ほかの問題には触れませんけれども、まあとにかく同じ金があって、減税か公共事業かと言えば、文句なしに公共事業であるということだけは申し上げておきます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 依然として公共事業信者の域から出ないようでございますが、これは公共事業一点張りは私は景気回復を困難にすると思います。どうしても私は減税をやっていただきたい。これは景気回復に対して即効的な役割りは公共事業のように持ちませんけれども、持続的な役割りを果たすことができるわけなんです。もしこの公共事業一点張りでやりますと、どうせ、不況から早く抜け出したい、いわゆる前倒しをやるわけでしょう。上半期に集中的に契約もし、できれば仕事も早く進めるという形になっていくのだろうと思うのです。また下半期ダウンじゃありませんか。それを避けるためにはまた補正予算ですか。借金してでもまた補正を考えているのですか。私は、先ほど金融と絡めてとおっしゃいましたが、公定歩合の引き下げを願う気持ちが頭の中にあるのじゃないかと思いますが、そのこととあわせて、この補正予算のことについても、お聞きしておきたいと思うのです。  私たちは、何度も申し上げますが、消費増加のための減税、低所得層中心にそれを行って、そして経済をはっきりした拡大基調に持っていってもらいたい。そうすれば、経営者も将来に確信を持つようになって、民間の設備投資も回復するでしょうが、ここで金利を下げてみたところで設備投資に回りますか、操業率八〇%というときに。いたずらに過剰流動性を生み出して、また投機でも始まるのが落ちじゃないのでしょうか。そんなものを、公共事業とあわせて、金利操作で、金融政策で景気の回復を図ります、依然として過去と同じような方式を踏襲しようなどという、そんな感覚では、私はどうにもならぬと思います。これを午前中の最後の質問にして、あとは午後に譲りますので、ぜひお答えを願いたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 まあ石橋さんが、同じ金を使った場合において、減税の方が需要創出効果があります、こう言うのならば、本当にそのとおりであるとすれば、私は、減税論を大いに振りかざされる、これは妥当なことであろうと思うのです。しかし、これは、そういう客観性を持っておらぬ。やはり景気刺激あるいは需要創出、あるいは雇用増進という見地から言えば、これは何としたって公共事業の方がよほど効果的ですよ。でありますので、その立場から言いますれば、私は、いまこの苦しい財政の中では、公共事業を選択するというほかはなかったのだ。しかし私は、これは協調と連帯ですから、暮れには五党の党首とも会談をいたしました。その際に、五党の党首から、こぞって減税論のお話があったのです。そういうようなことも考えまして、今度一般会計において所得税三千五百億円の減税をする、こういうことを決めておるわけでありまして、一概に、皆さんのお考えを全部取り入れない、そういうかたくなな態度ではないのです。しかし、考え方の基本として、景気対策のためでありますれば、これはもう何としても減税よりは公共事業である、こういう考えでございます。

坪川信三自由民主党

○坪川委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     正午休憩      ――――◇―――――     午後一時一分開議

坪川信三自由民主党

○坪川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑の続行をいたします。石橋政嗣君。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 午前中の質疑を通じまして、五十二年度予算が目指した財政の健全化というものはなかなか達成困難である、同時に景気の回復も容易ではないというふうに、私はいよいよそういう感じを深めました。それではせめて物価だけでも安定するだろうか。どうもこれにも不安がつきまとうわけであります。政府の見通しによりますと、卸売物価の上昇率は、五十一年度実績見込み五・一%よりも高い五・四%を掲げておられるわけですけれども、それでいて消費者物価は逆に五十一年度の八・六%よりも〇・九%も低く七・七と抑えておられる。果たして可能なんだろうか。財政、予算そのものが景気浮揚型であるだけに私は不安がつきまとうわけです。せめてこの物価安定という目標、最低限七・七ですか、そういうことにいたしましょう、この目標達成を図るためにもいろいろなことをしなくちゃならぬわけですね。  まず考えられるのは、公共料金の引き上げです。大体この見通しを立てる段階において、公共料金の引き上げ〇・六%――見込んでおるのは〇・六だったと思いますが、この公共料金の引き上げというものを極力抑制しなくちゃとても達成はむずかしいんじゃないか。それから非常に多額の国債が発行されるわけですから、完全にこれは市中消化というものが行われなくちゃならぬということも必然でしょう。それから輸入インフレの要因というものを一つ一つつぶしていくということもやらなくちゃならぬでしょう。いろいろあるわけですが、そういった個々の専門的な問題については同僚の議員からゆっくりやっていただくとして、私は独占禁止法の改正問題一本にちょっとしぼって、物価安定の観点からもどうでもこうでもやらなくちゃならぬ、その必要性というものを深く認識していただきたいと思うのです。これをやらないことには物価の安定などはない、私はそう思っております。そのことを裏づけるために、現在の日本の資本の集中度というものをここでちょっと注目していただきたいのです。  詳しく申し上げられませんが、生産集中度を見てみました場合に、上位一社で五〇%を占めている、そういう業種が四十一もあります。上位三社で五〇%以上の生産を進めている、五十七業種あります。上位五社で五〇%以上、二十二。上位十社で五〇%以上、三十三。とにかく大変な集中度ですね。  ここから導き出されることは、上位一社で五〇%を占めている、こういった場合には、トップ企業による価格指導が行われやすい。上位三社で五〇%以上を占めている場合、この場合は三社で並行的価格引き上げが行われる可能性が非常に強い。上位五社で五〇%以上、上位十社で五〇%以上、そういう業種においてはカルテル的な市場独占がしばしば行われておる。とにかく、ここにメスを入れずして物価問題は語れないと私は思うのですよ。  それからもう一つ最近の特徴。非常にこの集中度が進んでおるものですから、不況のときでも卸売物価が下がっておりません。これが四十年の不況の場合と五十年不況との一番大きな相違点なんです。昭和四十六年の不況のときにおいては、集中度の高い業種と低い業種との間で卸売物価の下落回数及び最大下落率にそれほどの差は認められなくなっておるのです。しかし、五十年度不況時には、上位三社集中度八〇%以上の業種の価格は全く変化せず、下方硬直性を示している。集中度七〇%以上の寡占品目のうち、不況時の二年間にわたって一度も価格が下落しなかった硬直品目数は、四十六年不況時の二十七品目から五十年不況では四十一品目に増加している。とにかくこの独占というものの影響が物価に非常に影響してきているわけです。  そこで、私たちは、何としてもこの独占禁止法の改正をやるべきだと、ここ数年来執拗に要求しておるわけです。ねらいは、大企業の分割、営業の一部譲渡によって大企業の市場支配力を弱め、独占価格の形成を規制すること。価格協定や生産数量協定などのカルテル行為を禁止し、企業の共同値上げをやめさせること。第三は、製品原価や経理内容を公開させ、値上げの理由を公表させ、根拠のない不当な値上げを規制すること。第四は、大企業の株式保有を制限し、株式の相互持ち合いを規制して大企業の市場支配力を弱め、独占価格の形成要因を排除すること。そのほかにもあるわけですが、とにかくここにメスを入れずして物価の安定はない、そう確信します。  そこで、総理、独禁法の改正についてはすでに昭和五十年六月二十四日、本院において一人の反対もなく全会一致で一定の結論を得ておるわけです。いわばこれは国民の世論を体して衆議院がその期待にこたえたと私は言っていいと思う。なぜこれをもう一度出そうとなさらないのですか。福田さんも当時副総理、この法案には閣僚の一員として、しかも経済閣僚として賛成をなさった。衆議院の一員としても賛成なさっている。それをいまなぜ改ざんしなくちゃならないのですか。あのときのまま出そうとなさらないのですか。その理由を私はよくわかるように説明いただきたいのです。国民が納得いくように御説明を願いたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 独占禁止法につきましては、私は何とか御協力を願ってこの国会で決着をつけたい、こういうふうに考えておるわけであります。私は暮れの五党党首との会談におきましても、皆さんからもそういう独占禁止法改正を進めよという話がある、私はそれに対して賛成である、こういうふうに申し上げたのです。ただそのとき私は申し上げたのですが、独占禁止法の決着をつけるということになると、野党の了承も得なければなりませんけれども、同時に与党の方の了承も得なければならぬという立場にあるのです。いま、この前の五党修正案がついに参議院に行ってつぶれた、あの経過を顧みてみますると、なるほど表面的には与党が衆議院でこれに全員賛成したというようなことになっておりましたが、実際裏側では何かずいぶんもめておったのです。そのまま参議院の方に議案は送られていった。そこで、参議院においては反対というか、意見の未調整が爆発をする、こういうことになって成立するに至らなかった。その経過を考えてみましても、野党の理解を得なければならぬことはもちろんだけれども、与党の理解も得なければならぬ、こういう性質のものになってきておるわけなんです。党首会談の席上では、成田委員長から、決着をつける、それは結構だ、しかし、その決着の話のたたき台は五党修正案ですよというお話があったのでありますが、とにかく、ただいま申し上げたように、与党、野党通じてその理解を求めなければならぬ、こういうふうに私は思っておりますので、いま鋭意党内調整をしております。ある段階で野党と意見も交換する、こういうふうにいたしたいと考えておりますが、いずれにいたしましても、これは御指摘のように非常に重大な経済の基本にかかわる法律でありますので、まあまあ、しかし、ここまで論議が進んできたこの段階になりますと、この国会におきましては何とか結末に到達をいたしたい、かように考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 こういうふうに理解しました。世論の手前、衆議院だけは自民党も形だけ賛成したが、どうもぐあいが悪い内容なので参議院でつぶしたのだ、これならそれなりにわかりますよ。結論的にはそうなんですね。しかし、少なくとも世論が求めているのだという、そのことだけは自覚があるようですね。反対はどうもぐあいが悪い。本当に国民の期待にこたえるためには、こういうときにこそ指導権を総理、発揮すべきじゃないんでしょうか。一回衆議院で通した実績もあるのですから、反対を押さえて、そして国民の期待にこたえる方向に引っ張っていく、そして物価安定を図る、こういうふうに出てこなければいけないと思うのですが、そのためにちょいと時間がかかる、ちょっと待ってくれ、これならいいです。そうなんでしょうか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 まあ最大の問題は企業分割をどうするか、こういうことでございますが、この企業分割につきましても、静かに考えてみますれば、これは五党修正案のような形でするのがいいのか悪いのか、相当これは利害得失を論ずるべき点があると思うのです。ですからそういう点を論議を尽くして、これでひとついきましょうという結論を与党としても得たいと思うのです。そういう過程において野党の御意見も承る、そして腹を割ってお話し合いをし合うということになれば、日本経済のためにいい結論が出るというのを、野党の方だってこれはいいと、こういうことになれば、何も五党修正案にこだわる必要はないのじゃないか、こういうように思いますので、ひとつ腹を割った御論議を願いたい、かように考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 とにかくせっかくの実績でございますから、与野党満場一致で通ったこの法案をもう一度お出しになるように希望いたしておきたいと思います。  そこで、ちょっと先に進んでいきたいんですが、午前中にも申し上げたように、私は、総理の施政方針演説、非常に真剣に聞いておったわけです。その中でこういうことも言っておられます。「無限の欲望と有限の資源というこの相反する命題の解決こそ、現代のわれわれに問われている根源的な課題であると言わねばなりません。このことは、物の部面だけのことにはとどまりません。人間の生き方、さらには現代文明のあり方が問われるようになるということであります。」このように述べて、さらに経済企画庁長官時代の言葉を引用されておられました。「国も、企業も、家庭も、「高度成長の夢よ再び」という考え方から脱却し、経済社会についての考え方を根本から転換すべきだ」こういうふうに訴えられておりますね。もっともだと思います。  そこで、現実を見てみたいと思うのです。企業や家庭は一応おくとして、あなたの率いておる政府・自民党自身がまず率先してこの発想の転換をしなければならないわけですが、実際におやりになっているだろうか。あなたがこのような高邁な演説をやっておられるときに、諸官庁においてそういう発想でやっているだろうか、私はそういう観点からお尋ねをしていこうというわけです。高成長の時代には、豊かな社会をつくるために、あなたの指摘した、つくりましょう、使いましょう、捨てましょうのいわゆる大量消費社会を実現するために必要だ、あるいは国際競争力を強めるために必要だ、こういう大義名分を掲げて、いわゆる経済優先の思想がはびこりました。公害もまき散らされました。自然も環境も破壊されました。経済優先、その発想の転換を総理は説いておられるのです。私もそれに対して同感だ、こう言っているのです。しかし今度は、不況を乗り切るために、あるいに低成長という厳しい経済環境の中において企業が生きるために、こういう大義名分のもとに、口実のもとに、再び経済活動優先の逆流現象が起きているのじゃないか、そう見ざるを得ない幾多の事例が出てきているということなんですよ。具体的な例を挙げながら質問していきます。  自民党の環境部会が中心になってまとめたと言われる文書の中には、イタイイタイ病のカドミウム原因説を否定する動きが見えます。それから経団連を中心とした公害健康被害補償制度の賦課金負担値切りの動きも見られます。それから一部産業が執拗に展開している二酸化窒素環境基準批判と緩和への働きかけがあります。そういう動きを受けたかのごとくに、微妙に基本計画に経済優先、あの高度成長時代の発想がそのまま引き継がれているような感じがしてならぬのです。たとえば国土庁。各種の開発整備計画、いま改定作業を進めておられます。例を挙げますと、新産業都市建設促進法第十条に基づく建設基本計画、工業整備特別地域整備促進法に基づく整備基本計画、首都圏整備法第二十二条に基づく首都圏整備計画、いろいろあるわけですが、この中にはっきりとあらわれていると私は思います。内容に入る前に現時点における状況を聞いておきたいのですが、これは近々総理大臣の承認を得て決定を見る段階まで来ているのですか。このことからまずお伺いしておきます。国土庁長官。

田澤吉郎自由民主党国土庁長官

○田澤国務大臣 お答えをいたします。  ただいま御指摘の点については、すでに各審議会において答申を得て、それぞれ進めているわけでございますが、いずれも環境アセスメント等で状況が整うた上で改めて国土庁として考えてまいろうということでございますので、御了承をいただきたいと思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 この新産都法、工特法について概略ちょっと申し上げておきたいと思うのですが、昭和三十七年から三十九年にかけて制定されたもので、大分とか水島とか鹿島とか、日本で代表的な工業都市二十一地域が指定された。文字どおり高度成長をもたらした工業開発の担い手であるわけです。これによってわが国における自然環境が破壊され、公害列島化が進んだしろものであります。そういうものを今度改定するわけですが、過去の経験に学んで、先ほど総理が指摘されたような発想の転換がなされていますかと私は言いたいのです。  まず第一に、この計画の中で示されております工業出荷額、目標年次を昭和五十五年にとって、昭和四十九年の二十一兆八千億円から三十五兆五千億円へ改める、そのための工業用地の造成計画として二十一地区、合計で一万二百ヘクタールという膨大な計画を立てようとしている。しかも大半が臨海部の埋め立てです。一体どこに過去の反省がありますか。過去の失敗から何を学んだというのですか。総理大臣がどんな演説をぶったって、諸官庁でこんなことをどんどん進めておったら話にならぬじゃありませんか。しかも、問題は環境庁です。あなたのところは拱手傍観ですか。手を打たないのですか。こんなことをどんどん進めさせておいてやむを得ないとお考えになっているのか。まず、国土庁長官に私が指摘いたしました内容の確認をいただき、環境庁としては、過去の経験からどういうふうに事業官庁の独走を抑えたか、その努力の跡を御説明願いたいと思います。

田澤吉郎自由民主党国土庁長官

○田澤国務大臣 お答えいたします。  石橋さん御承知のように、国土計画と地方開発の関係でございますが、国土庁といたしましては、国の新しい動きを土台にいたしまして、まず第一に、国土の適切な利用を図りまして私たちの生活環境を整備するということ、第二番目には、国民がいかなるところに住まっても幸せだなという日本をつくるためには、やはり均衡ある国土の発展を図らなければならないわけでございます。そういうことを目標にしながら、私たちは長期の国土計画を立てているわけでございます。  そこで、均衡ある国土の発展、あるいはまた気持ちのよい生活環壊をつくるということは、現段階では過疎、過密という現状でございますので、これはなかなか実現できません。将来ともこの問題を解決していかなければならないのでございますので、首都圏整備の面では、あるいは新宿あるいは池袋など副都心に高層化を考えており、また筑波学園都市のように、あるいはまた立川跡地の問題あるいはまた各大学の移転等を考えまして、首都圏の整備をできるだけ図ってまいりますが、しかし、それだけではどうにもならない現状にございます。だとしますと、どうしても地方振興、地方都市の確立というものが必要になってまいるわけでございますので、それなりに公共事業なりあるいは交通体系というものを地方につくり上げて、そうして人口の分散を図ってまいらなければならない現状にございますので、最小限の開発という計画を立てなければならない現状にあるわけでございます。ですから、私たちは常に環境を保全するという面を十分考えながら、ただいま地方開発のために鋭意努力をしている状況でございますので御理解をいただきたいと思うのでございます。

石原慎太郎自由民主党環境庁長官

○石原国務大臣 この問題は石橋さんが申されましたように、まさしく文明批判の核心の問題でございまして、環境庁が発足しましてからまだ本当に数年でございますけれども、従来の日本の役所の中では、環境庁としましてはかなり積極的な努力をし、政治の領域だけではなしに、国民全体の意識改革というものに実を上げてきたと思います。たとえば環境の典型七公害の基準に関しましても、世界を総体的にながめてみますと、かなり厳しい基準を設けて、それにのっとるアセスメントを従来も行い、個々の開発について指導してまいりました。またこれから行われます開発につきましても、その基準にのっとった影響評価というものを続けて、これをあくまでも健康の保全という観点から規制してまいるつもりでございます。そしてこれを法制化しますために、お聞き及びと思いますけれども、ただいまアセスメント法というものを考えておりますが、これができますれば、一つの法律の体系の中で在来の行政原理になかった住民の声を積極的に聞き取るという形で、環境問題についての積極的な行政ができると信じております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 アセスメント法の問題についても後でお尋ねします。  私がいまお聞きしているのは、三つの基本計画作成中、そのうちの二法に基づいての基本計画の中で、一万二百ヘクタールというような巨大な工場団地の造成計画を織り込んでいる、しかもその大半が臨海部の埋め立て計画です。これは問題じゃないか。たとえば与野党満場一致でつくりました瀬戸内海環境保全臨時措置法の観点からいきましても、瀬戸内海のあの水域では埋め立てばもうやらぬということになっているのでしょう。それをやろうとしているじゃないですか。国土庁にどのような反省があるのかと私は言っているのです。環境庁はそれに対してどういうように抵抗したかと言っているです。具体的に聞いているのですよ。具体的に答えてください、要らぬこと言わぬでいいですから。

田澤吉郎自由民主党国土庁長官

○田澤国務大臣 お答えいたします。  この問題につきましては、地元の知事さんも十分環境保全を考えながら、さらに地元と話し合いの上で進めてまいる考えであるということを基礎にいたしましてただいま進めているような状態でございますので、御理解をいただきたいと思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 瀬戸内海の臨海部を見ますと、この計画の中で大分地区が五百九十ヘクタール、徳島地区が三百六十ヘクタール、東予地域が二百五十ヘクタール、とにかく大規模な埋め立て計画が織り込まれているのですよ。これは議員立法に対する挑戦じゃないんですか。もうこれ以上埋め立てをやったら環境基準の低下を来す、どうにもならぬ、現在の水準を維持できない、この発想からあの法律が生まれたのでしょう。そんなことはお構いなしに、またもやどんどん埋め立てしょうというのはどういうことですか、総理大臣の演説とどうつながるのですかと私は言っているのですよ。どう考えてもおかしいじゃないですか。現に住民は抵抗の運動を起こしているし、訴訟まで起こしているのです。これだけの埋め立てをさらにやっても現在の水準を維持できる、そんな根拠があるなら示してくださいよ、国土庁でも環境庁でもどちらでもいいから。国会の意思は、もうこれ以上埋め立てをやってもらっちゃ困る、それが超党派でつくったこの法律の趣旨です。出てきた背景です。国会に挑戦するのですか。総理大臣が何言ったってそんなこと知っちゃいない、産業優先と言うのですかと私は聞いているのですよ。どうです総理大臣、こういうことが行われているのですが、いかがですか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 瀬戸内海の具体的な問題につきましては、私つぶさに承知いたしませんが、これからとても成長をとめるわけにはいかぬ。ある程度の成長はやっていかなければならぬ。それには国土をやはり開発していかなければならぬという問題が起こるのです。その際に、問題は環境保全の問題と公害防止の問題とどういうふうに調和させるかということですが、これはもう一方的に偏るわけにいかぬ。やはり両々、開発の要請も公害防止の要請も環境保全の要請も、みんなが相調和されて立っていくという形にならなければならぬと思うのです。そこで、これからの成長社会を考えてみますと、やはり環境、公害、これに対しましてはもうできる限りの配慮をしなければならぬ、こういうふうに考えます。そういうようなことから、開発を進める場合の事前の環境保全あるいは公害の対策、そういうものにつきましては、やはり一つの対策、体系が要るのじゃないかというふうに考えまして、いま関係各省におきましてその体系を一体どういうふうにするかということを鋭意検討しておる、こういう最中でございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 問題はまだあるのですよ。今度は通産大臣、あなたも関係があるのです。あなたの所管する法律の中に工業再配置促進法というのがあることを御承知だと思います。その最も中心となるものは工業再配置計画です。この計画がなければこの法律は全く機能しないと言っていいわけです。ところが、いまだにこの計画がないんですね。お認めになりますか。まずそれからお伺いしましょう。

田中龍夫自由民主党通商産業大臣

○田中国務大臣 ただいま御指摘の問題につきましては、目下審議会で検討中でございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 肝心のその計画がないままに、国土庁は先行しているのですよ。こんなばかなことがありますか。工業再配置促進法なんというものは何も機能してないじゃないですか。いままで、昭和五十年の十二月に審議会に再配置計画案を通産省は諮問しておられる。それっきり音さたなし。そのときに通産省が再配置計画大綱案というものを示しておるのですが、その中に、三大湾、瀬戸内海沿岸は計画が具体化されているものを除き、新増設は原則として行わないと明確に述べております。これに抵抗されているわけでしょう。だからちっともできないのでしょう。肝心のものができない。それ幸いとばかりに、国土庁はこの基本的な計画との整合性を図らなくちゃならないにもかかわらず、無視して独走している。これが実態ですよ。こんなばかなことが許されるのですかと私は言うのです。  まだあります。大体こういう基本計画は、総合計画があって、その総合計画との整合性というものも重視されなくちゃならない。ところが肝心の三全総はいまだになし。何ですかこれ、各個ばらばらだ。  福田さん、よくおわかりになったと思うのです。あなたがどんなに高邁な演説をぶって発想の転換を迫っても、私は一生懸命聞いて、本当だろうか、本当にやるのだろうかと思うけれども、何言ってやがるんだいと言うのがここにいっぱいおるのですよ。何言ってやんだい、これじゃあなた、総理大臣としての資格を問われるじゃありませんか。おかしいのです。みんな認めていますよ。どうです、白紙に戻させたらどうどすか、あなたが本当にこの演説を実行すると言うならば。総合計画ができるまで待て、工業再配置の計画ができるまで待て、独走は許さぬと。これだけの埋め立てをやっても、工場をどんどん建てても、少なくとも環境基準のいまの水準は絶対に維持できるという根拠でもあればまだしも、こんなものは幾らあると言ってだめです、もうだめだということを超党派で認めているのだから。  総理、ひとつこれは施政方針演説が空念仏じゃないということの裏づけのためにも、白紙に戻すということを国民にお約束していただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 私の国会における施政方針演説は、閣議において決定したものであります。したがって、全閣僚がこれに責任を持つものでありますから、それにもとるということはあり得ざることです。しかし、具体的案件について、いろんな立場から御批判はありましょうが、これから日本社会において環境保全する、また開発に当たりましては事前に十分な環境アセスをする、これは当然のことでありまするから、そのアセスをいかにするかということにつきましては、その体系整備をするということをはっきり申し上げます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 幸いに最終的にはこれは総理大臣の決裁が必要なんです。そこまで来てないということですから、当分、私が申し上げているように、総合計画ができるまで、工場再配置計画ができるまで、その整合性を確認できるまで総理は決裁しないということをお約束していただきたい。  それからもう一つ、環境影響評価のアセスメント法制化、これはさっき環境庁長官が言いました。この作業は大分進んでおるようですから、これも実際に確認できてから基本計画の作業に入る、この基準が守れるかどうか、最も大切です。このお約束もしていただきたい。そうしなければ、幾ら環境アセスメントの法律ができたって、また何にもならない。後追いじゃないですか。事実先行、そんなばかなことはありません。ぜひそのことをお約束していただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 いやしくも開発計画を進めるに当たりましては、環境アセスを十分いたしまして、環境と開発が調和のとれるようにした上、この開発に着手する、さようなことをはっきり申し上げさしていただきます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 もう一つ、先ほどの基本計画ですね。これは法律に決められた総合計画との整合性、その他の法律によって規定された諸計画との整合性、そういうものをきちっとやるまで総理大臣としての決裁は控える、このことをお約束いただきたいと思います。法律違反なんだからやれないはずです。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 政府として、法律に違反するというようなことは絶対いたしませんから、これは御安心を願います。  なお、環境のみならず総合計画との調整が済むまでは開発をするな、こういうお話でありますが、これもごもっともな話でありまして、いかなる開発計画も、全体計画との調整をとった上で着手する、こういうことにいたします。具体的な案件につきましてどうのこうのという知識は私ありませんから申し上げかねますが、基本的な考え方におきましては、さように申し上げることができます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それじゃぜひ総合計画あるいは工場再配置計画、環境アセスメント立法、そういうものとの調整をきちっと終えてからスタートするようにしていただきたいと思います。  時間がありませんので、次の質問に移ります。  けさの新聞でも大分問題が取り上げられておるわけですが、KCIAの、あるいは韓国政府ですかが、日本の政界にも多額の献金を贈ったといういわゆるレイナード発言、これについてちょっとお尋ねをしておきたいと思うのです。  まず最初に、総理大臣は本会議において、駐米大使や駐韓大使を通じて事実の調査をさせておる、こういう答弁をなさっておられたわけですが、新聞の伝えるところによると、回答がアメリカの国務省から来ている、こういうことですので、どういう回答が来ているのか、まず最初にお答え願いたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 駐米大使、駐韓大使からの報告は到着いたしました。外務大臣からこれを御報告申し上げます。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 まず、アメリカの政府に対します照会でございますけれども、事件が起こりましてから直ちに、KCIAがわが国の親韓派議員に対して金を支払った等という先般のレイナード氏の発言について、国務省に対しまして、まず、このような発言を裏づけるような具体的な資料を国務省として保管しておるかどうかということ、もし持っておるとしたならば、この資料を日本側に対して提供してもらえないかという照会を行ったのでございます。これに対しまして、アメリカの国務省の回答は次のとおりでございまして、アメリカ政府としては、まず、このレイナード氏の発言は一私人が何らの公的資格を有さずに行ったものであるということ、それから発言内容は日韓両国にかかわる問題でありまして、米国政府としては何ら関与すべき問題ではないということ、それから三番目に、およそ情報機関の報告に関する事項については一切コメントしないというのがアメリカ政府の従来からの政策であるということの理由から、日本政府の照会に対しまして、これ以上の返答はできないという回答に接したのでございます。  それから韓国政府に対します照会につきまして、在韓大使館を通じまして、韓国外務当局に対しましてその真偽をただしましたのでありますけれども、レイナード氏の発言にあるような事実は全くないという回答でございます。また、大使館に対しましては、レイナード氏自身に対して接触をしまして、その発言の真意を確かめたいということも照会してあるのでありますけれども、この接触はまだできてないという報告に接しております。  以上でございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 その回答なるものは、少なくとも、新聞の見出しをかりて言うならば、肯定もせず否定もせずということになると思うのですね。恐らく否定を期待したのだろうと思いますが、否定してくれなかった。どうしても、こんなことを言われっ放しで済む問題ではありません。日本政界全部の名誉の問題です。何としても事実を明らかにしていかなくちゃならぬ。その義務がわれわれにはあると思うのです。そこで、総理に決意のほどをお伺いしておきたいのですが、こんな一片の回答で甘んずるものではない、事実の調査のためには全力を尽くす、この決意のほどを表明していただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 私はこの報道を見まして感じたのでありますが、どうもこういうことはあり得ないことだなあ、私も議員の動き、ことに自由民主党の議員の動きにつきましてはしさいにこれをながめております。目を見張っております。しかし、私の感ずるところは、ああいうような、金をKCIAが日本の議員にばらまいたというようなことは、これはあり得ざることだ、あり得るとすれば、多少、私どももそんなような、何というか、においくらいは感じ取りますよ。しかし、そういうことは全然私は感じ取りません。そういうようなことでもあり、かつ、これはレイナードという特殊な立場にある一個人の発言です。それを一々取り上げて調査するというのもいかがかとも思ったのでありまするけれども、これはとにかく、ああいうことが新聞の記事になるというようなことになれば、これは調査してみる必要がある、そういうふうに考えまして、これは駐韓、駐米両大使に対しまして調査方を命じたわけなんですが、返ってきた返事はいまお話しのとおり、どうもはっきりしたことにはなっておらない。韓国の方はそういう事実はあり得ませんと非常に明快に言っておりまするけれども、アメリカの方は、どうも慣例としてそういう照会にはお答えできない、こういうことでございます。そこで、政府といたしましてはなお手を尽くす必要があるじゃないかというふうに考えまして、駐米大使館はレイナード氏自身に当たっておるのです。レイナード自身に面会を申し入れて何回も何回もやっているのですけれども、なかなか会っていただけないというのが現況でございます。まあしかし、私は一一、個人のいろんな発言があると思うのですが、これを徹底的に究明する、追及するといいましても、外国人の発言でございまするから、なかなかこれを捕捉することは困難だと思うのです。しかし、適当な手段がありますれば、なおそれは追跡してみますけれども、これを刑事裁判で一刀両断だというような、そういう明快な結論を出すことは、なかなかこれは至難じゃないか、そんな感じがいたします。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 この問題はこれからもいろいろと私たちの立場からも調べたいと思います。  そこで、次に移りますが、一応この問題と関係ないように見えるのですが、米国あるいは日本の政界に対して工作が行われたその工作資金がこの辺でつくられているんじゃなかろうかと言われておる、そういう意味においては多少つながりのある問題なんです。そのことについて若干質問してみたいと思います。  いま、私の手元に一枚の請願書がございます。今次国会に全国各地から提出されたものの一部です。表題は「世界基督教統一神霊協会の日本に於ける不法活動を調査し・摘発し・処分し・禁止を求める請願書」、こうなっております。この世界基督教統一神霊協会、通称原理運動というものについては、お互いにある程度報道を通じて知識を持っているわけですが、この請願書の中に紹介されておりますものをちょっと読み上げてみたいと思うのです。  入信者のほとんどは、かつて親に心配をかけたことのない純真な若者たちばかりであるが、入信してからは強烈な教義をたたき込まれ、学業、職場を放棄して家出し、集団をつくり、戸別訪問での押し売り、街頭での強要、募金活動、見知らぬ異性との集団結婚、海外渡航等を実行し、悲嘆に暮れて説得を繰り返す親兄弟を悪魔と呼ぶ始末である。そして、その中の多くの若者は身体衰弱、精神錯乱、自殺、行方不明となり、先般はアメリカで殺害されるという事件も発生しているというのである。ところで、この運動は、韓国人文鮮明なる者を教祖とするもので、キリスト教を原理教義としているが、あらゆるキリスト教団は、この教義はキリストを侮辱し、ねじ曲げた驚くべきものと非難しているのである。  こういうようにしたためられております。  現在、この統一教会員なるものは推定一万から一万五千、原理研究会員は約二千と言われております。この請願書に書かれているような内容については、日本弁護士会連合会が正式に取り上げまして調査を開始しているわけですが、現在までにこの日弁連に提出された百十九名の被害者、この人たちの実態調査の中から数字をはじいてみますと、行方不明三十二、死亡三、家出九十、職場放棄七十四、学業放棄六十一、異常心理四十九、健康不良六十一、こういった恐るべき数字が示されておるわけなんです。私たちはこれ以上黙って放置しておくわけにいかないんじゃないか、そういう気持ちを非常に強く持ち始めました。  そこで、総理に最初にお尋ねしたいのは、一月二十七日付、原理運動被害者父母の会が内容証明で総理大臣あてに文書を発送しておるわけです。期限はできるだけ二月四日までに御返事をいただきたい、こういうふうにつけたというふうに聞いておりますが、この報告は受けておりますか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 まだその報告は受けておりません。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それじゃ、昨年の六月に鳥取県在住の板美都さんという方が当時副総理であったあなたに手紙を差し出した。あなたの代理で保田内閣審議官が返事を出しておられますが、この記憶はございますか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 その記憶はあります。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 そこで各国ともこの対策に大わらわのていでございますが、アメリカの「移民当局はこのほど米国に滞在している原理運動「統一教会」(文鮮明牧師)の外国人信者七百人に対し、国外追放の手続きに必要な措置を直ちにとるよう関係機関に指示した。これら外国人の大半は韓国人および日本人で、さきに連邦判事がこれら信者に「宣教師見習」としての資格を認めないとの裁定を下したことに基づくもの。」と報ぜられている。これは読売新聞の記事でございます。このほかオーストラリア、台湾では禁止、イスラエルでは取り締まりの対象、フランスでは教会員の韓国行きビザの発行中止、こういうふうに伝えられてきているわけですが、この種の情報を政府としては持っておりますか。これはどこになりますか。文部省ですか、外務省ですか。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 ただいまの資料はまだ報告に接しておりません。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 時間がなくなってまいりましたので、先に進めますが、皆さん方も新聞、雑誌等でお読みになったことがあると思うのですが、昭和五十年の二月八日にソウルで集団結婚なるものが行われているわけです。これは集団結婚と言うけれども、結婚は名ばかりで、三年以上先の同居をえさみたいにして信者をハッスルさせる手段に使っていると言われております。実際には同居させない。とにかく三年後には一緒にさせるからということで、こき使うという言葉が最もふさわしいようなことをやらしている。栄養も非常に悪いようです。教会ホームでの食費は二十人分で八百円というような説もあります。栄養失調から重病になる者も多いと言われるのです。精神に異常を来して親元に帰っておられる方もおります。ところが、その集団結婚なるものが再びこの三月に韓国において行われる可能性が非常に強いと言われているのです。その動きがあるのです。旅券の申請その他あるいは家出の続出。ここでもう父母の会は矢も盾もたまらずに総理にも手紙を出す、議員にも訴える、何とかしてくれ、何とかしてくれと来ているのが実情なんです。  一月二十七日付、総理に父母の会から差し出された手紙の中にはこういうふうに書かれております。「来る三月、統一協会は又々、集団結婚を企画、今帰宅していた子等が続々と行方不明となって居ります。私達は無駄かも知れませんが、阻止の為に運動をしようとしています。この結婚は親の手から引離し、統一協会の手によって自由に操られ、やがては消耗し尽される地獄の手段なのであります。洗脳された信者にはその将来が見えず、親達は今切羽詰った気持で居ります。」。  ここまで追い込まれているのに放置しておいていいでしょうか。信仰の自由だとか婚姻の自由だとか、そういう枠の中の問題としてとらえていいでしょうか。私は率直な総理大臣の感想をまずお聞きしておきたいのです。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 どうも実態がまだ十分調査されておらないようですから、実態調査をするようにいたします。その上どういうふうにするかは判断いたします。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 実態がよくわからないと言いますけれども、あなたは去年副総理として陳情を受けて、返事まで出しているのです。今度は、まだごらんになっていないかもしれないけれども、また切々たる気持ちを訴えた手紙を直接あなたに出しているのです。本当に、これはえらいことだ、何とかしてやらなくちゃ、そういう気持ちがあればもう動き出しておらなければいかぬのじゃないですか。しかし、そう言っても始まりません。やっていただきたいのです。前例もあります。昭和三十一年六月三日、衆議院法務委員会において、昭和三十一年五月三十一日、参議院の法務委員会においてこの種の問題を取り上げて、これは日本の新興宗教にかかわる問題でしたが、満場一致の決議が行われた前例もあるのです。それを受けて、文部省から各宗教法人あてに、あるいは都道府県知事あてに文書が出された前例もあるのです。私は、決して初めてのケースではないと思います。まず第一に、その前例を認めるかどうか、所管の文部大臣からお伺いします。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 昭和二十九年、韓国で文鮮明が案出した統一原理なる教義に基づく教会は、昭和三十九年七月十六日に東京都知事所管宗教法人としての認証を与えており、同教会は現在全国に四百余カ所の伝道所を設けているというところまではわかっておりますが、それ以上のことにつきましては、一般的に調査をしたり行政指導をしたりする権限は、戦後、信教の自由を保障する、宗教団体の活動に対して自由を保障しておりますので、それ以上突っ込んだ具体的な調査はまだしてございませんので、一般法規に反するような行動があるときには関係当局の調査を受けることは、これは筋だと考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 私がお聞きしているのは、昭和三十一年に衆参両院の法務委員会で満場一致決議が行われておる。それに基づいて文部省調査局長が各宗教法人の代表役員や都道府県知事に通知を出しておる。この事実を、間違いございませんかと言っておるのですよ。ここに控えがあるのです。ちょっと読みましょうか。国会の決議は「不正なる宗教活動に対する決議」というものです。これに基づいて、宗教法人に対する注意、それから都道府県に対する調査依頼、そういうものが出されているのですよ。間違いないかと聞いているのです。調査局長が出しています。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 突然の具体的な御指摘でありますので、ただいま手元に資料等ございませんから、確認をしてから御返事をいたしたいと思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 結局、新興宗教の行き過ぎに対して国会は取り上げたのです。それで満場一致で決議が行われている。実際やった事実があるのです。これは国内問題です。前例ございます。ぜひこの問題を責任をもって調査をし、悲嘆に暮れておる父兄に希望を持たせていただきたい。このことを強く総理に訴えておきたいと思います。  そこで最後に、福田総理が大蔵大臣のときに、昭和四十九年の五月七日でございますが、帝国ホテルで行われた希望の日晩さん会、これに出席をなさって、韓国に偉大な指導者があらわれた、この文鮮明氏なるものを称賛したあいさつを行ったという記事がここに出ておるわけですが、これは間違いございませんか。そのこともあわせてお答え願いたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 いつだったかははっきり私覚えておりませんけれども、希望の日と申しましたか、あるいは何という名前の会でありましたか、文鮮明というキリスト教の偉い人が来て、そして講演もする、ぜひ聞いてもらいたい、こういう話がありまして、私もそういう宗教の話なんか聞くのは好む方でありますから、そこで参加いたしました。そして、参加しましたら、私にあいさつをせい、こういうことになりまして私はあいさつをした。そのあいさつは、これは私の連帯と協調論です。つまり、文鮮明という人がキリスト教に根を持った新興宗教、それの指導者であるという話であり、キリスト教といえば愛を説くわけですから、人類愛を。私の連帯と協調と全く相通ずるものがある。私はそのとき、私の人間愛というか、助け合い、補い合い、そして責任の分かち合い、これこそが人間社会における最高の指導原理でなければならぬということを力説したわけです。それは当時の記録もありますから、必要があればよくごらんをお願いします。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 時間が来たそうですからこれでやめますが、最後に、先ほど総理あてに父母の会から出されました陳情書の中に、こういう文章が含まれていることを御紹介しておきたいと思うのです。「私達の仲間はこの苦しみを受けた時、一番先に自民党員に駆けつけました。一々名前は申し上げませんが、多くは儀礼的な挨拶だけで、中には「自民党では、この問題はタブーです」とハッキリ断られた人も居ります。」こういうふうに書いてあります。自民党とこの統一教会、国際勝共連合、希望の日フェスティバル、このいうものが一体どうつながっているのだろうか、この疑問は多くの人が持っているのです。これに明快に答えるためにも徹底的な調査をしていただくように心から望んで、質問を終わりたいと思います。(拍手)

坪川信三自由民主党

○坪川委員長 次に、金子一平君。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 私は、自由民主党を代表して、政府の外交並びに政治姿勢について、主として経済問題を中心にいたしまして、総理並びに関係大臣の御所見を承りたいと思います。  不況のさなかで国民が将来の経済の見通しについて非常に戸惑っておりますときに、福田総理がさっそうとして登場されて、ことしは経済の年にする、経済の年の第一年目にするということを宣言されて、国民は非常な期待を総理に寄せております。時あたかもアメリカではカーター政権が発足いたしまして、日独米の三国でひとつ大いに世界経済の繁栄に寄与しようじゃないかという呼びかけがありまして、これからまた総理はさっそうとして世界の舞台にも登場されるわけでございますが、ぜひひとつ国民全体の期待におこたえいただきたい、このことをまず申し上げておきたいと思うのであります。  そこで、本論に入ります前に、総理の政治姿勢についてひとつ伺いたいと思いまするのは、去年ロッキード事件という大変不幸な事件が起こりました。総理は本会議の席上で、この事件の徹底究明と今後の再発防止について、腐敗防止について適切な措置を速やかにとることを言明されたのでございます。また、問題は金のかかり過ぎる選挙ということにもあるから、ひとつ選挙のあり方全般についても検討を進めたい、こういうふうに言明されたのでございます。腐敗防止については、刑法問題だけではございませんけれども、法務省においてはすでに法案も用意しておるようでございますし、この問題の究明と腐敗防止措置について、ぜひひとつ具体的な総理の考え方をまず伺っておきたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 まず、基本的なこの問題についての考え方を申し上げさせていただきたいのです。  まず、起きたこの事件を徹底的に解明する、これはもとよりでございます。しかしより大事なことは、解明は解明としてするが、同時に、再びこの種の事件が起きないようにしなければならない。というのは、私はこの事件がなぜ起こったかということを反省してみるのですが、これは天から降ってきた、地からわいてきた、こういう問題じゃないのです。根っこがあって、その根っこから吹き出した一つの芽である、こういうふうなとらえ方をしているのです。  ですから、これから再びこのロッキード事件というものを起こさない、こういうためにはその根をえぐり出すという作業をする必要がある、こういうふうに考えまして、さあ、それじゃその根とは一体何だと言いますれば、一つは私は、これは人に責任を転嫁する意味で言っているのじゃありません、ありませんが、これは戦後、特に最近の社会風潮が金、金、金、物、物、物、そういうふうになってきておる。この金権社会風潮というか、この風潮を変えていく必要があると思うのです。人生というか、この世の中には金で買えないとうといものがあるのですから、それを追求しながらこの世の中の風潮というものを変えていく必要がある。私が、これからの世の中というものは、これは価値観を含めて人間の心の問題まで変えていかなければならぬというふうに施政方針演説で強調しているのはそこなんです。  それから同時に、この問題は自由民主党を舞台にして起こってきた問題だ、自由民主党の体質の問題ということを考えなければならぬ、こういうふうに考えるのです。自由民主党は、皆さんの御努力、これはずいぶん貴重な役割りを尽くしてきたけれども、とにかく長期政権、これは長期政権にありがちな自由民主党政治に対するよどみ、緩み、また政権の座にあぐらをかくというようなそういう姿勢、つまり、ここで自由民主党の姿勢、体質というものを本当に謙虚に静かに反省してみる必要がある、こういうふうに考えておるのです。  そういう見地で、自由民主党に対しましては、ここで本当に生まれ変わったというような政党になるような改革を求めておるわけです。大平幹事長を中心といたしまして、いま派閥の解体、国民政党への党組織の転換、それから企業へ依存し過ぎるところの党財政の改革、また総裁選挙の改革、こういうものを逐一実行しよう、そしてそれらを全部やってのけて六月の参議院選挙には新しい体制で国民の審判を受けるようにしよう、こう言っておるわけなんです。  それから同時に、やはり行政面で問題があると思うのです。いま、許認可だとかそういうことが非常に多く、かつそういう方面への配慮が足らない面もあるわけであります。そういう問題。それから行政指導、このあり方、これも問題があると思うのです。それをこの際見直す。  また同時に、法制的側面ですね。ああいう国際的な犯罪が起こるというのには、これは多角的な関係が国々の間に出てくる、その間の共助関係を進めなければならぬという問題もあるし、またOECDにおきましてこういう多国籍企業問題というものを検討しておる、その検討の中でこの改革を、スキャンダルに対する改革をどういうふうにするか、こういう検討もされているのですから、それに対してわが国が積極的に参加し、有効な効果を上げるとか、あるいはいまの贈収賄の制度、これの見直しをやる。いま私どもが結論としてこの国会に出すということを考えておりますのは、その贈収賄罪の法定刑の強化ということでございます。  それからさらに、いま金子委員が指摘されました選挙法の問題があると思うのです。ああいう事件が起こるゆえんのものは、やはり政治に金がかかる。政治になぜ金がかかるかというと、私は選挙が非常に大きな責任を持っておる、こういうふうに見ておるわけです。この選挙に金がかからないような仕組みというものが、私は国会各党各派が相協力して相談し合いますれば、この新たなる道が発見されると思うのです。必ず発見されると思う。私は正面から小選挙区だ、あるいは比例代表だ、こんなようなことは言いません。しかし、金のかからないきれいな選挙というようなことで、私は各党各派の意見は一致すると思うのです。その一致した認識に立ちまして、それじゃそれを一体どういうふうに実現するかということについての相談をやったらどうだろう、こういうふうに思うのです。そういう相談の過程で政治資金を一体どうするか、こういうふうな問題も出てくるだろう、こういうふうに思うわけです。  いずれにいたしましても、私の基本的考え方は、事件は徹底解明をする、解明の結果は国会に報告をする。それから同時に、再発防止のために全力を尽くす。これが終わって初めてロッキード事件というものは最終決着だ、私はかように考えております。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 ぜひいまお話しのような線で早急に必要な措置を講じていただきたいと思います。と申しますのは、国民の政治不信感が、こういった問題をうやむやにし、後の措置をほったらかしにしておきますと、ますます高まりまするだけに、私どもは大変な関心を持っておるわけでございます。  次に外交の問題に移りますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、総理は、御就任になりまするといち早く先進諸国七カ国の首脳会議の提唱をされ、また近くアメリカを訪問してカーター大統領との会談を持たれる用意をしておられまするけれども、どういう心構えを持ってどういう問題について具体的にお話し合いをなさる用意をしておられるか。世界景気の現状から見て、この対策でございまするとか、特にわが日本の場合は、貿易立国で行かなければならないのに保護主義の傾向が各地に出ておりまして、大変苦しい立場に追い込まれております。総理としては恐らく、あくまでも自由貿易の原則を貫きたい、その主張を堂々としてこられると私は思うのでございまするが、その他新国際ラウンドの問題でございまするとか南北問題でございまするとかいろいろな問題があると思うのでございまするが、こういった会談に臨まれる心構えについてお伺いをいたしておきたいと存じます。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 私はいまの世界情勢を非常に憂慮しているのです。何か一九三〇年代と申しますか、第二次世界大戦争勃発前夜のような感じさえする。何ゆえにそういう感じがするかと申しますと、いま、とにかく各国とも平和への努力はかなりしていると思うのです。デタントというか緊張緩和、その方面の努力はかなり進み、ことにその中軸をなすSALT交渉なんかも、一歩一歩ではありまするけれども前進をして、そして再び世界大戦争、第三次戦争というようなものはちょっと私は想像できない。ところが、政治的平和への努力がいかに高まりましても、経済的に世界が安定しませんと、それがまた政治へはね返ってくるわけです。これは第二次世界大戦争への発展、あれを顧みてみますと、全くそうなんですね。つまり、世界が不況から脱出したい、そういうのでブロック体制をしいた、そういうようなことがああいう悲劇を生んだ歴史を顧みる必要があると思うのです。  今日も世界が石油ショックの影響を受けまして非常に混乱しておる。特に南の国々が混乱しておるのです。さあ南の国々が混乱している、これを助けるのは一体だれだ、こう言いますれば、南の国々の自主努力はもとよりでございまするけれども、それに支えを与えるものはやはり北側ですよ。ところがその北側が、南ほどではないけれども、なかなかおさまらぬ。その中でとにかく日米独、あるいは日米欧と言ったらいいでしょうか、その国々がとにかく一歩前進した形で今日世界経済の機関車的な役割りをしておる。そういう意味で世界の平和、世界の繁栄、そのために先進工業国の立場というのは非常に大事だ。もう目先の経済という問題ではない。この経済の混乱をほっておくと世界的な大混乱になる可能性を持つ。そこで日米欧の三極というものががっちり手をつなぎ合って、そうして求められておるところの機関車的役割りを尽くすということにならなければならぬし、そういう中で一番かなめをなすものは、やはり再び世界を保護貿易主義、ナショナリズムの世界にしてはいかぬ、自由貿易体制というものを堅持するという体制でなければならぬと思いますが、私はそれを中核といたしまして、いろいろ具体的な諸問題も出てきましょうが、要はそういう歴史的な認識に立って各国の首脳が再び過ちを犯してはならぬ、そのためにはわれわれは責任を持つということを申し合わせる、それが最大の意味じゃないか、こういうふうに思いますが、私が世界首脳会談が早く行わるべしと言っているのは、そういう趣旨でございます。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 いまお話しのような線でぜひこの会談を実り多いものにしていただきたいと思うのでございます。  そこで、私がさらに総理に御要望申し上げたいと思いますのは、ASEAN諸国との関係なんです。日本と一番緊密な関係にある、しかも経済的には三割、四割を日本に依存しているASEANの各国との関係をこれからどう持っていくかということなんです。最近の空気は、ベトナム問題以後相当変わってきているように私ども考えております。ASEANは近いところにございますにもかかわりませず、七四年の一月に田中総理が一遍訪問されただけでございます。外務大臣でも、ここ十年恐らく行った人はないのじゃないかと思う。非常に日本に対する期待を各国は持っておると承っておるのでございますが、総理、サミット会談が済んだら、ASEANの首脳会議を開催させるぐらいの提案をひとつされたらいかがかと思うのですが、総理の御見解を承りたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 わが国のASEAN諸国に対するあるべき姿勢、これは金子委員の御指摘のとおりだと思うのです。これは、とにかくアジアの近隣の諸国であり、かつ自主的に何とか立ち上がりたいという努力を非常に強く打ち出しておる。これらの国々はまた、そういう自主的努力の中で日本の理解と協力というものにも大きな関心を持っておるわけなんです。ですから、田中内閣以来首脳の往来がないというような、ことにわが方からの訪問がないというような状態はよくない、そういうふうに考えまして、私は、日米それから首脳会談、そういうようなことを、これは急いでやらなければなりませんけれども、まあ次に何か海外に行くという余裕でもありますれば、とにかくASEAN諸国との接触を強めてみたいし、私がそういう時間がないというのでありますれば、外務大臣または適当な人にぜひ接触をとっていただきたい、こういうように考えておるのです。  ただ、いまASEAN首脳会談を私が提唱するという御提案でありますが、これはなかなかむずかしいです。むずかしいのは、やはりASEANは自主的な努力で、自主的な体制でこれを強化するということを考えておりますよ。日本がそれに指導者顔をしてというような立場はよくないと思う。私は、日本としては謙虚な姿勢で、求められればこれに協力をするという態度をとるのがよかろう、かように考えております。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 南北問題に触れましたついでに一言申し上げておきたいと思うのでございまするが、わが国の経済協力につきまして、特に政府開発援助のGNP対比比率が非常に低いことにつきましてはすでにほかの委員からも御指摘があり、総理もお答えになっておるのでございまするけれども、先進諸国の平均比率をはるかに下回っておって、南北問題についての関心が薄い、しかも防衛努力も怠っておるじゃないかというような、日本は何しておるんだというような声がだんだんと出ておると思うのでございまするが、一つは、金の量の問題でございまするけれども、まあやはり日本の財政も厳しいのですから、そう簡単に一挙にどうこうというわけにはまいりませんかもしれませんが、少なくとも中期なり長期の計画を立てて、何年までには目標の〇・七%に達するとかというような計画を、関係省でもう少し具体的に詰めてもらっておく必要があるのじゃないかということと、援助の中身、質の問題がいろいろあるのでございます。これは総理よりもむしろ外務大臣、通産大臣からお答えいただいた方がいいと思うのでありますが、現地で最も要望されておるのは技術協力なのか、その他の協力なのか、いま政府としては何を考えておられるか、その点を明らかにしていただきたいと思います。  その前段の問題だけ総理からひとつお答えいただきたい。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 御説のとおり、わが国とすると、とにかく世界に貢献する道といいますれば、いま世界の情勢から見て対外経済協力ということになると思うのです。軍備を持たないわが国が、ただのほほんと、ただ単に諸外国の努力に依存をしておるという状態は許されないと思うのです。そういうところから考えて、常々私思うのですが、対外経済協力を強化しなければならぬ。ところが、まことに残念ながら、わが国の対外経済協力はお恥ずかしいような状態でありまして、五十一年度のごときは、まだ統計はできておりませんけれども、政府開発援助だけをとってみますす、恐らく〇・二二ぐらいになるのじゃないかと思います。諸外国はどういうふうな状態であるかということを見てみますと、この間本会議では〇・三四と、私、ちょっと古い記憶だったのです。ところが、最近の状態は〇・三六まで進んでいるという。わが国は〇・二二。これで一体わが国の立場として世界に責任を尽くしたと言えるかというと、私はさにあらず、これは急いで早く先進諸国の水準に移らなければならぬ、こういうふうに考えまして、一挙にやりますと、これまた財政に相当の重圧でありますからそこまでいきませんけれども、ことしは〇・二八まで持っていこう、こういうふうにいたしたわけなのです。今後とも一刻も早く国際先進諸国の水準までは持っていかなければ、本当に世界に対して責任を尽くしたとは言えません。これは私どもの重要な政策の一つとして、しかと進めていきたい、こういうように考えております。

田中龍夫自由民主党通商産業大臣

○田中国務大臣 お答えいたします。  ただいま金子委員から御指摘の〇・二二とか〇・二六は政府の援助の額でございまして、国際的に申しましてもGNPに対して日本は今日までは非常に低い。そういうことから、今回は予算の方針の決定の際にあらかじめ総理から〇・二八という枠を御設定になったということは、私は非常に画期的なことであろうと思うのであります。これによりまして国際信用も増し、数年ならずして国際水準まで上がってまいるだろう、かように思います。  次に、対外経済協力全般の問題でありますが、貿易の関係は、ECでありますとかあるいは対米関係に、品目別に、地域別にいろいろトラブルが起きていることも御承知のとおりであります。しかしながら、この協力だけは摩擦のない輸出といたしまして、無資源工業大国であります日本といたしましては、事実上から見ましてもあるいは原料の確保、市場の拡大という意味からいたしまして、今後ぜひ遂行してまいりたい、かように考えております。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 次に、日中平和友好条約について総理にお尋ねをいたしたいと存じます。  先般、官房長官の御発言が新聞等でも騒がれましたけれども、このことは了承いたしました。そこで私が伺いたいと思いますのは、本会議の御質疑、御答弁を承っておりまして、総理は、日本としては平和憲法の範囲内において相手方が了承すればいつでも締結する用意がある、覇権主義という言葉を前文に書くか本文に書くか、これはもう拘泥しないのだというふうに御発言になっておりましたが、それはさように了解していいのでございましょうか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 そのとおり御了承くださって結構でございます。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 相手のあることでございますから、しかもこういう問題は国際関係もございまして相当慎重な配慮をしておられると思うのでございます。しかし、日本がいずれの国とも友好善隣の関係に立って平和外交を進めていこうという政治姿勢は戦後一貫しておりますし、日中の共同声明が出されましたのはすでに数年前のことでございますから、私は総理に、後の手続はどういうことになるかわかりませんけれども、慎重にかつ大胆にひとつこの問題を進めていただきたい、こういうことを希望申し上げておきます。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 そのとおりに心得ております。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 次に、安全保障の問題について一言総理の御見解を承っておきたいと思うのでございます。  今日、日米安保を即時廃止しろという議論がどの党からも出なくなったということは、現実の認識に基づいてだんだんと暗黙の合意ができ上がってきておるのじゃないかというような感じもしておるのでございますが、安全保障は事一国の安危に関する問題でございます。こういった問題について各政党の中で意見が対立して、意見の統一がいつまでもできないということは私は民族の悲劇だと思うのでございます。最近、ミグの問題が起こったり、韓国の米国の撤兵計画の発表等がございましてから、だんだんと国民全般もこの問題に対して深い関心を持つようになったと考えておるのでございます。  そこで、私はひとつ御提案を申し上げたいと思うのでございますが、これはもうすでに提案されておることでございますけれども、安全保障問題を国会の特別の委員会あるいは常任委員会の場において、各党が共通の土俵の上に上がって議論を常時する、そういうことがこの問題を詰める上において一番真っ先に必要なことではないかと思うのでございます。この点について、これは国会マターのことでございますけれども、総理の御所見を承っておきたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 ただいま金子委員のお話のように、この問題は国会の問題なんです。ですから、私どもがとやかく介入する性質のものじゃありませんが、しかし私は、総理とし、あるいは自由民主党の総裁として所感はどうだ、こういうことでありますれば、いまお話しのとおりに考えるのですよ。やはりわれわれはもっともっと、われわれの国の安全保障という点につきまして関心を持たなければいかぬと思うのです。それについては国会にまだ常任委員会もないという状態は、私は、何か国会として足らないものがあるような感じがしてならないのでありますが、どうかひとつ、各党と相談していただきまして、そのようなことが実現されるように切にお願い申し上げます。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 日本の古い文化や伝統につきましては、だんだんと教育の場においても取り上げられるようになりました。これは私は大変いいことだと思うのであります。古い日本のものは全部捨ててしまえという考え方はすっかり最近変わってきたと思うのです。それと同時に、私は、この安全保障の問題、民族が自分の力で自分の国を守るのだという自衛の問題につきましては、教育の場でも取り上げてしかるべきときに来ているのではなかろうか。ただ、これは憲法第九条との関係がありまするから、恐らく、学校の先生は一種のアレルギーを感じておると思うのでございまするけれども、こういう考え方について総理はどうお考えになりますか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 やはり国会なんかで常任委員会までできまして、そしてこの問題がもっともっと深く広く論議されるということになりますれば、これは自然学校教育におきましてもこの問題を取り上げるというようなことになると思います。  私、率直に申し上げまして、どの程度学校教育でこの問題を取り上げておるのかよく存じませんけれども、当然取り上げておるのじゃないかと思ったところへ、いま金子委員のお話では、さにあらずというようなお話でございますが、やはり国民全体が、国の安全をどういうふうに保障するかということについてもっと関心を持つべきであり、それには教育、教科課程の問題といたしましてもこれを取り上げるべきである、かように考えます。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 自衛隊員が大学に入学しても授業を受けさしてくれないのです。本当に何というか、国内でよそ者扱いをされている例がたくさんあるのでございまするけれども、私は、やはり自衛隊員に誇りを持たせるようにしないと、本当の意味での自衛隊員の魂が育たないと思います。それには、やはり国民全体のコンセンサスを得て、自衛隊は必要なのだ、かくあるべきなのだという考え方を集結する必要があると思うのでございまするけれども、前の問題とあわせて文部大臣に御所見を承りたいと思います。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 おっしゃるように、みずからの国を愛し、みずからの国を守るという心情を持つこと、その方法についての知識を持つこと、これは国民として当然備えておらなければならない大切な資質の一つである、こう私は考えております。  文部省としては、現在の学習指導要領におきまして、国家及び社会の形成者として必要な資質の育成という観点から、国に対する理解と愛情を深める、そして具体的には、憲法の基本や国際政治などの学習の中で、相互の主権の尊重、平和、安全の問題について認識を深めさせていくように努めておるところでございます。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 次に、内政問題特に景気対策について承りたいと思うのでございます。  景気は昨年の前半には順調に推移いたしましたけれども、夏場以降中だるみ状況があらわれております。国民総生産を見ましても、昨年七月-九月はほぼ横ばいになりましたほか、鉱工業生産等の数字も芳しくありません。また、こうした中で、雇用情勢が改善を見せておりません上に、倒産も十二月は千六百八十五件、昨年は史上最高の数字に達したというような状況でございますが、この状況が長引きますと、やはり私は、日本経済を安定成長路線に乗せるという当初の見込みが大変苦しくなってくるのじゃなかろうかと考えておるのでございますが、総理の景気の現状に対する御判断を承りたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 わが国の経済は、あれだけの石油ショックを受けた後といたしましては、大観して順調に推移しておる、こういうふうに見ておるのです。ところが、昨年一年をとってみますと、いま金子委員の御指摘のように、上半年がばかによかった。その後足踏み状態に入ってしまった。これをほうっておきますと、これは経済社会が大変な沈滞に陥っていくだろう、こういうふうに考えておるわけであります。そこで、どうしてもこの際は景気、これにてこ入れを要するという認識でございます。  これは、ひとりわが国の立場ばかりの問題じゃないのです。先ほどもお答え申し上げたのですが、世界の平和、そういうことを考えてみまするときに、世界の経済状態を安定させなければならぬ、その力を持っておる重要な国わが日本でございますから、そういう国際社会の立場、これも踏んまえてみるとき、やはり景気てこ入れ政策をこの時点においてはとらなければならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。私が、ことしは内外ともに経済の年である、こういうふうに申し上げておるのは、さような趣旨でございます。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 総理は、石油ショック後の深刻な打撃から立ち直るためには全治三年かかる、五十一年度はいわばその最後の調整の、仕上げの年だ、こういうふうにおっしゃっておりましたけれども、いまのお話でございますると、昨年もいろいろなことがございました、だんだんそれがずれて新年度に持ち込む、こういうふうにお考えになっていらっしゃると判断してよろしゅうございますか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 私は、全治三カ年ということを言いましたが、これは非常に基本的な日本経済の流れ、それについての観察を申し上げたわけなんです。何と言ってもこれは物価が大事だ。それから経済活動が大事だ。それから特に大事なのは国際収支であります。  まず、物価については、基調は揺るがないものになってきた。いまそこの上昇のテンポは数字は高うございますが、これは公共料金問題というものの処理を抱えておるので数字的に高いのであって、基調的には決して不安な状態ではない、私はこういうふうに判断しています。  それから、経済活動の方は、とにかく四十九年にはマイナス成長、あの石油ショックの翌年ですが、マイナス成長まで落ち込んだものが黒字になり、プラス成長になり、それから五十一年度は五・六%成長、世界の他のいかなる国に比べても高い成長を実現する、他のいかなる先進工業国に比べても最も高い成長を実現する、そして五十二年度においては六・七%成長を展望できる、こういうところまで来ておるわけです。  それから、国際収支はどうだというと、すでにこれは黒字です。あの石油ショックのあった翌年のごときは、百三十億ドルの大赤字を出したわけですが、それが黒字になってきておる。これもいい。ですから私は、大体骨格といたしまして、わが国の経済はまず石油ショックの打撃から抜け出た、こういうふうに見ておるのです。  しかし、細かい点になりますと、これはいろいろ問題があります。特に後遺症の最大のものは財政である、かように考えております。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 ただいまお話もございましたように、日本と世界経済の相互依存性がますます高まってまいっております現状で、日本経済は世界経済の動向によって大きく左右されると思われます。ところが、現在の世界情勢を見ますと、去年は輸出の急増によりまして非常に日本経済は助かったのでございまするけれども、去年のような輸出急増を可能にする先進各国の力強い景気回復ということは必ずしも期待できないと思いますし、また石油価格が再三値上げされるというようなこともございまして、日本を取り巻く国際環境は大変厳しいと考えられまするが、今日の世界経済の現状、それからこれからの見通し、この二点につきまして総理の率直な御意見を承りたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 世界経済の今後は非常に展望がむずかしいと思うのです。つまり、これは世界の指導的国々がどういう姿勢をとるかによって私は大きく左右されると思うのです。もし、何の施すところもなくこのままで推移したら、これはもう世界は大変な混乱になり、その混乱を受けて、わが国もいま長期安定成長なんて言っておりますけれども、そういうような路線にも重大な支障が出てくる、こういうふうに考えておるのです。しかし、そうあらせてはいかぬ、そういうようなことで、私は、いまこそ先進諸国がそういう事態を回避するための思想統一をすべきである。特にその中で、とにかくあの石油ショックから早く立ち直ることができました日本とアメリカとドイツ、この役割りが非常に大きい。そういうことを考えまして、この日米欧ですね、これらの国々の首脳がこれらの問題を検討し、そして歩調を合わせて世界経済をそういう状態にしないようにしなければならぬだろう、こういうふうに思います。ほっておきますと――これは私が力説している資源有限時代ですよ、結局。そしてその国万の間に経済ナショナリズムの動きが出てくる。そうなりますると世界が総陥没をするわけでありますから、そうあってはならぬということが、これは世界の平和政策、そういう政治局面からいって非常に大事な局面になってきた。そういうことで、そういう努力をひとつして、世界を破局に持っていかないというようにしなければならぬ。ほっておくと波乱重畳の世界というような展望であります。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 経済成長の方は、OECDの発表によりますると優等生でございまするけれども、物価の方は必ずしもそう言えない。ことしの予算編成の基本方針で、政府は、景気の回復と物価の安定を両立させようということを二本柱にしておられるのでございます。景気の回復をちょっと急ぐとすぐ物価が上がります。物価を抑えようとすれば本体の景気の回復が押し込まれてしまう。なかなかそのさじかげんがむずかしいと思うのですが、総理、やはりこれは両立させて、バランスをとってやろうということでいかざるを得ないのでしょうね。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 石油ショック後三年間でとにかくあの狂乱状態から脱出しまして、今日まあ公共料金問題を抱えておりながら、五十二年度におきましては七%台の物価上昇ということが展望できるような状態になってきた。これは私は、かなめは何といっても労使の理解ある協調体制にあったと思うのです。これが非常に物価問題のかなめをなしておる、こういうふうに思いますが、この上とも労使が物価問題を踏んまえて協調を強化するということを切に期待をいたしておるわけでございます。政府においても、そういう民間の努力と並行いたしまして景気政策はとりますけれども、同時に、この景気が急激な物価上昇につながっていかないような最大の配慮をしなければならぬ。つまり、一つ一つの物資につきましてその価格、その需給、そういうものについて最大の配慮をしながらやっていかなければならぬ、こういうふうに考えておりますが、六・七%成長、そして七%台の消費者物価、これは私はぜひ実現したいし、実現できる、こういうふうに考えております。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 そこで、五十二年度のわが国の経済の姿がどうなるかということが一番問題になるわけでございます。政府の経済見通しでは、いま総理のおっしゃっておりまするように六・七%程度の実質成長は実現するというお見通しでございますけれども、私ども一番心配しておりますのは、現在投資意欲が非常に冷え切っておるということなんですよ。経済企画庁が数日前に発表した法人企業の投資動向調査――これはことしの一―六月の見込みでございます。それから十二月の機械の受注の実績ももう出ておるのですけれども、どの数字を見ても、経済の基調全体としては上向いているんだけれども、やはり先行きの見通しがむずかしいということで戸惑っているんじゃないかと思うのです。こういう、まあこれは本当に正念場だと思うのでございますが、六・七%は、先ほどもお話がございましたようにこれはぜひ実現させなきゃいかぬと思っておるのでございますが、現実のこの経済の動きを踏まえて総理の御見解を承りたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 ことしの財政ですね、とにかく公共事業費なんか、政府の資本投資が五十一年度に比べて九・九%ふえるのですから、いま六・七%というのはこれはあらゆる需要項目の総平均でございますが、その中で一番牽引力を発揮するのは公共事業費なんです。九・九%の伸びになるわけだ。個人消費も着実に伸びる傾向のようでありますし、また住宅投資も政府の施策と相まってかなりの伸びを示す。ただ私は、五十一年度のこの動きから反省いたしまして、貿易に余り期待しないのです。五%そこそこの伸びしかこれに期待してない、こういうことでございますので、見通しとすればかなりかた目に物を見ておる、こういうふうに思っておるのです。しかしこれは、まあ経済は生き物ですから、いろいろ変化もありましょう。ありましょうが、そういう際には、財政上もあるいは金融上もいろいろ機動的な手段を使いまして、何とかとにかくこの五十二年度の経済というものは安定成長路線というその路線に乗った、こういうふうにしていきたい、かような考えであります。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 五十二年度の経済を一番大きく左右する個人消費はほんの〇・一%しか伸びておりません。民間住宅投資は若干落ちる。鉱工業生産も落ちる。輸出も一九・一%増から一二・一%増に落ちるというような数字が出ております上に、民間の設備投資につきまして、自分のところの設備過大と見るものがこの企画庁発表の数字では大分ふえているのです。また、在庫水準につきましても過大と判断しているものがふえておるというような状況でございますだけに、私どもはこの点に重大な関心を持っておるわけでございまするが、企画庁長官にお伺いいたします。  現在の設備の稼働状況、それからいま言ったような企画庁で御発表になったような数字についての今後の見通しについて御見解を伺いたいと存じます。

倉成正自由民主党経済企画庁長官

○倉成国務大臣 お答えいたしたいと思います。  まず、ただいま御質問の稼働率について申し上げますと、稼働率は、全産業、製造業につきまして、十一月八七・一という状況でございます。これは四十八年十一月、ピーク時に比較いたしますと八五・一という数字でございます。  なお、金子委員の御指摘の法人企業の投資の調査あるいは機械受注に対する見通し等について、経済企画庁で調査いたしましたところ、確かにかつてのような大きな伸びは期待できませんけれども、なだらかな増加を示す、そういう結果が出ておるわけでありまして、経済の個々の問題について考えてみますと、雇用の問題等につきましては、御承知のとおり、減速経済下において企業がその体質改善をするという立場から、どうしても人減らしをする、多少景気がよくなっても人を雇わない、そういうことから有効求人倍率も比較的低いという状況になっておるわけであります。また、その他の指標をとりましても、必ずしもよい材料ばかりではございません。しかし、これは当然、高度成長の時代から減速経済に入っていく過程において、企業があるいはその他の産業が通らなければならない一つの関門ではなかろうかと考えておるわけであります。  そういった中で達観して見てまいりますと、鉱工業生産指数にいたしましても四十八年の十一月のピーク時が一三二・九、五十年の二月が一〇五・二ということでございますが、五十一年の十二月の水準は一二八・九ということで、五十二年の一-三月は平均が一三一・四、ちょうど四十八年のピーク時に戻っていくということが言えるわけでございまして、来年度におきましても、やはり鉱工業生産は順調な伸びを示していく、九・二%程度の伸びを示していくということでございますので、大きな枠組みから申しますと、景気はなだらかな回復基調を示しておる、そう判断しておるわけでございます。  ただ、ここで特にわれわれが注意しなければならないのは、先ほどの減速経済下における摩擦現象と同時に、やはり業種別、地域別に非常に格差があるということでございまして、造船であるとか、繊維であるとか、あるいは化学工業の一部、あるいは平電炉であるとか、そういう業種については非常に稼働率も低いし、不況の状況になっている。そういう業種を抱えた地域においては不況感を免れないという感じがいたすわけでございまして、そういう業種に対するやはりきめの細かい対策を考えていく。また中長期的に考えますと、産業の構造変換というような問題も、摩擦を少なくしてやっていくということを考えていかなければならないと思っておるわけでございます。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 いまお話しのように、地域的にあるいは業種別に非常なばらつきがあることは事実そのとおりでございまするけれども、景気を本格的に回復させるためには、私は、やはり一番大事なことは三年先、五年先の日本経済の見通しがどうなるかという見通しを政府においてはっきりと展望できるような措置を講ぜられることが何よりも必要だと思うのでございます。そういう見通しがあってこそ、初めて企業の設備投資も動き出しますし、あるいはまた個人消費も伸びていくんだろうと思うのですが、それがいま残念ながら現状から見てはっきりした見通しが立てられないという個々の企業なり家計における判断があるもんだから、景気の低迷に拍車をかけている、こういうふうに私どもは見ておるのでございまするけれども、総理、今後三年、五年先の展望をもう少し明確に、おれはこういう方に持っていくんだぞというような方向をお示しいただけませんか。     〔委員長退席、田中(正)委員長代理着席〕

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 これから五十五年度までぐらいの間の展望につきましては、大体五十二年度は六・七%成長ですが、六%強の成長、これを実現をしていきたい。それから物価につきましては、逐年上昇率を抑えまして、五十五年度までのなるべく早い時期に定期預金の金利以下の水準に持っていきたい。それから国際収支につきましては、もうすでに均衡状態に入っておりますが、この状態は堅持するというふうにし、まあ考えるところは、いま世界の情勢が資源有限時代ということで展望が非常にむずかしい情勢でございますが、その情勢に対して世界各国が協力してこれを乗り切るという努力をするという必要があるわけでございます。  そういうむずかしい世界情勢の中で考えますときに、わが国は資源エネルギーということについてはまことに恵まれない国なんですよ。その点から言うと、なるべく成長率が低い方がいいんです。しかし、活力ある日本社会というところ、それを考えると、これは高い方がいい。その接点を一体どこに置くかという問題ですが、私は、大体六%強ぐらいのところをねらっていく、その先は多少、もう少しエネルギーのことなんか考えると、低目にせざるを得ないのではないかというふうに考えますが、しかし、六%強というと、これは先進国諸国の中で一番高い水準になるわけです。よほどこれは努力をする必要がある、こういうふうに思います。その辺を頭に置きながら産業界もこれに順応してもらいたい、さように考えています。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 五年先の経済成長を六%台に置いて、その間に生活環境、福祉も一応整えようというようなことになりますると、本当はこの六・七をもっと上げなければいかぬです。しかし、それはなかなかむずかしい問題で、そこら辺が総理として一番苦労されたところじゃないかと思うのです。  そこで、時間がございませんから先へ進めますが、失業者が五十二年度においても百万を割らないと考えられます。有効求人倍数は、最近は御承知のとおり〇・六〇というようなことでございますし、特に中高年者の完全失業が全失業者の三割を占めているというような現状でございまして、これから老齢化がだんだん進んでまいりますだけに、来年だけのことじゃなくて、これは大変な問題だと思っておるのでございます。そこへ持ってきて、学校の卒業生が毎年百万ずつ出てくる。特に来年はいまのお話のような状況もございまして、雇用情勢が業種、地域によってそれぞれ非常なばらつきがございますから、そこら辺のきめ細かい対策を十分御配意いただかなければいかぬと思うのですが、労働大臣の御見解をお示しいただきます。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 完全失業者の数はいま御指摘のとおり百万前後でありまして、特に一月から三月にかけては、これは経済の高度成長の時期におきましても離職率の非常に高い時期であります。したがって、本年はやはり一、二、三月は百万を上回るものと考えなければならぬと思っております。  基本的な対策は、むろん景気の上昇にまたなければなりませんが、御指摘のように中高年齢層、それから身体不自由者、そういう人の離職率が非常に高いのであります。     〔田中(正)委員長代理退席、委員長着席〕 これらに対しましては、特に心身障害者に対しましては法律をもって一定の雇用を各企業に促しておるわけでありますが、中高年齢層に対しましてはまだ行政指導の域を出ません。しかし、これに対しましてもさらに積極的な勧奨措置を講じますと同時に、特に定年制の延長というものに力を注いでまいりたいと存じます。  それから新規学校、大学卒業者、この就職問題、これは御指摘のように実は大問題でありまして、しかしながら、その中において販売業とかサービス業、こういう業務については求人の方が求職者よりかなり多いのです。また、全体から見まして技能労働力の不足は七十万を超えております。つまり、求人構造と求職者の希望あるいは条件との間にバランスが非常に崩れておる。これを求職者に理解させると同時に、技能労働力については職業の訓練の強化を図ってまいらなければならぬと思っておる次第であります。また、失業者が新しく出ないようにいたしますためには、本年度は雇用安定資金制度を設けたことは御承知のとおりでございます。  それから地域的、職種的なアンバランス。地域的には、先ほどから有効求人倍率のお話が出ましたが、全体としては御指摘のとおりであります。ただ、この新規求人倍率で見ました場合には、東北、北海道が〇・五、これに対しまして中部地方が一・五と、地域的に非常に極端に違っておるわけでございます。これを何とかいたしますために、広域職業紹介というものに力を注ぐ、つまり求人の高いところに少ないところから回すような努力、それからそういう求人の少ない地域におきまして、新規に事業場を設置したり増設したりして十人以上雇用をいたします場合には、地域雇用促進給付金というものを支給いたすことにいたしております。また、東京、大阪等すでに工場のあったところからそういう地域に工場を移転いたします場合、三百人に限ってこの移転費について給付金を出す制度もとっております。  それから、職種のアンバランスは、いま企画庁長官から申されたように、依然として不況の濃い職種、将来を展望いたしましても回復のなかなかむずかしい、つまり構造上相当の変化を覚悟しなければならない職種につきましては、失業給付金の延長等の処置を講じますと同時に、特に造船等に対しましては、職業訓練を受けるということを条件といたしまして特別の措置をとるようにいたしておる次第であります。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 われわれが景気の回復を力強く進めようとしておりまするのも、雇用問題を片づけぬことには大変なことですから、その点を一番心配をしておりますので、どうかひとつしっかり対策を進めていただきたいと思うのでございます。  そこで、景気を進めるための一つの手段になっております輸出でございますが、先ほども触れましたように、たとえば造船にいたしましても、アメリカ向け自動車、電気製品にいたしましても、なかなか摩擦が多くていままでのような調子にいかぬようになった。そこでこれからは、摩擦の発生が少なくてしかも相手の国の経済発展にも役立つプラント輸出に力こぶを入れていかなければならぬと考えておるのでございまするけれども、これはやはり関連産業が大きいですから、失業者救済という面でも非常に大きな効用を発揮してくれますし、こういった点から、プラント輸出振興措置としてどういうような対策を用意され、またことしは、新年度、五十二年度はどれぐらいの予定をしておられるか、そのことを通産大臣から承りたいと存じます。

田中龍夫自由民主党通商産業大臣

○田中国務大臣 お答えいたします。  ただいまのプラント輸出の問題でございまするが、先ほど申しましたような摩擦のない輸出ということで、特に多くのプロジェクトが参っております。産油国のオイルマネーを日本に引いてくるということも外貨獲得上重大な問題でございまするが、ところが今日まで、プラント輸出、ことに大型プロジェクトの問題につきましては、いろいろと約束はいたしながら、それが実は実行できなかったというには、一つは、まず構造的にそういうふうなプラント輸出を受ける要素がなかったということから、一番ネックになっておりまする向こうとの契約の保証金、保証料と申しますか、ボンドに対しまして保険の機構をつくることにいたしました。この問題につきましては、目下関係各省庁の間に鋭意ボンド保険の制度を確立すべく努力をいたしております。  その次は、まず、プラント輸出の場合にも輸銀の貸し付けの枠というものが問題になります。このプラント関係、輸銀全体の枠としましては一兆三千億でありますが、特にその中でプラント関係に七千三十億円の大幅な枠を取り得ましたことは、このプラント輸出が非常に積極的に出るように相なるだろう、かように存じます。  また第三には、大規模な経済協力のプロジェクトに対しまして、その準備調査の委託制度、これは国際協力事業団に委託するものでありまするが、五十一年度の二億六千六百万円の委託費を倍増いたしまして、五億八百万円と、こういうふうな膨大な枠にいたしました。  かような幾多の施策を並行いたしますることによりまして、本年度は相当伸びがあるだろう、これが特に景気浮揚のための波及効果を非常に期待いたしておる次第でございます。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 不況対策の中でやはり一番私ども心配いたしますのは、不況のしわ寄せを一番受ける中小企業の問題でございます。特に最近、後進国の追い上げで廃業、転業を迫られておるものがたくさんございます。特に年度末、三月、四月は相当倒産もふえやしないかという心配を私ども持っておるわけでございます。  そこで、連鎖倒産防止の対策を含めて、政府は中小企業対策にどういう手を打とうとしておるのか、通産大臣から承りたいと思います。

田中龍夫自由民主党通商産業大臣

○田中国務大臣 先ほども倒産の問題につきましていろいろと御心配をいただいたわけでございまするが、この倒産防止の処置といたしまして、特に一昨々日、二月の四日付をもちまして、通産省といたしましては、各通産局、財務局、日銀支店、政府系の中小企業三機関等々で構成いたしておりまする地区別の中小企業金融懇談会を一層活発にいたすように指示をいたし、また、各通産局と都道府県との連絡会議を設けまして、情報交換等をいたすように一層緊密な連携をとりますことによりまして、倒産防止をいたしたい。なおまた、都道府県商工会議所、商工会等の相談窓口の積極的な活用を図りまして、特に倒産防止について地区別に監視体制を強化する、こういうふうな当面の倒産防止処置を講じましたが、何と申しましても景気の回復が最も根本的でございます。  しかしながら、その次は金融の問題でございまして、昨年末の年末金融も御承知のとおりでございますが、本年はこの三機関の金融の枠といたしまして、三兆六千億円という膨大な枠を予算上出しておりまするが、特にその中におきまして、三機関の中の国民金融公庫を通じます無保証、無担保の分につきましては、四千七百億というような特に零細な小企業に対しまする配慮をいたす等、なおまた信用補完制度を活用いたしまして、つまり言うならば、連鎖倒産とかそういうふうな問題につきましてのきめの細かい配慮をいたしつつある次第でございます。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 最近大企業が資本力を駆使して不当に中小企業の分野に侵入するために、相当この間の紛争が起こっておりますが、今度事業分野の調整法を用意しておられると思います。ぜひこれは早く出していただきたい、このことを通産大臣に御要望申し上げますとともに、総理お帰りになりましたから、一点伺っておきたいのでございますが、金融の問題です。  先般、事業債についてはそろそろ考えるべき時期に来ておるという御発言がありました。長期金利の引き下げ全般についてはどうお考えになっておりますか。というのは、いま資金需要が緩和しておりますからいいですけれども、これからだんだんと、総理の先ほどのお話どおり景気が活発になってきたら、やはり一番問題は金の問題だろうと思うのです。日本の対外競争力という点からも、少し金利が高過ぎる、これはやはり引き下げの方向に持っていくべきだと私は思うのです。どこがその隘路になっているかよく御存じだろうと思うのですが、この問題をどう片づけられるつもりかということと、景気対策をとる場合には、いつも金融・財政一体化の原則ということを言われるのでございまするけれども、事金融に関しては、過去の例を見ておりますと、いつも後手後手に回る場合が多いのです。非常に手際よくいっている場合もあるのですが、なかなかうまくいかない場合もある。ここら辺の、金融についての機動的な運営をやられるような仕組みをお考えになるおつもりはないかどうか、この点を伺いたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 わが国では、金融政策は、量的側面はまあ日本銀行のさじかげん一つと言ってもいいくらいなもので、これは機動的、弾力的にやっていけるのです。ところが、金利問題になりますと、預金の金利との関連がありまして、そう機動的に動けないという仕組みになっておる。端的に申し上げますと、郵便貯金の金利問題というものがかなり機動的、弾力的運営というものに、まあ障害というふうに言ったら語弊があるかもしれませんけれども、その関係でそうてきぱきしたことができない、こういうような状態になっております。最初お尋ねになりました長期金利、この動きにつきましては、実効金利がどういうふうに動くか、あるいは一般の金利水準がどういうふうになるか、それにも関連しますけれども、それらの推移を見ながら適当に誘導をしていきたい。やはり金利は下がった方がいいという判断でございます。  まあ金利全般につきましては、特にその基本になる公定歩合につきましては、日本銀行の管轄するところでございまするけれども、私ども重大な関心は払ってまいる、さようなつもりでございます。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 次に、財政問題に入りたいと思います。  今度の国会の最大の焦点になっております減税か公共事業かの選択を総理は迫られたわけでございますが、減税は物価調整の範囲にとどめて、公共事業主導型の予算を編成されました。これは、今日の赤字国債依存の現実の財政の姿、あるいは国民の租税負担の状況、こういった点から言いますると、四千五百億円が必要ぎりぎりのところで、場合によってはもうがまんしてもらえよという意見もあったということを知っておるのでございまするが、よくおやりになったと私は思っておるのです。甘いお菓子を国民の皆様にやるだけが政治家の政治姿勢ではない。やはりこういう情勢を踏まえて、国民の皆さんよ、しんぼうしてくださいよ、後三年、五年先にはもっと皆さんに喜んでいただけるようになる、そういうふうに持っていかれるのが政治家としての勇気だろうと私は思うのでございます。  そこで、公共事業か減税かの選択をされるに当たって、先ほどもちょっと話が出ておりました公共事業の方が需要効果が減税よりもはるかに大きいというのは、具体的な数字で、大体どんなふうにお考えになっておるのか、それをひとつ国民の前に明らかにしていただきたいと存じます。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 これは、結論とすると、そう私は議論のないところだと思いますが、計数的に言うということになりますと、いろいろの見方をする人があります。わが企画庁におきましては、大体公共事業の方が同じ金を使ったら倍以上の需要喚起効果を持つ、こういうふうに言っております。つまり、公共事業の方は土地買収というものがある。これは土地に対する需要で、物に対する需要ではありませんね。それは引いて考えなければならぬ。しかし、それにしても倍ぐらいな需要誘発効果を持つ。それから減税の方は、これは波及効果はそうないのですよ。のみならず貯蓄に回る。貯蓄性向、これが二五%、こういうふうに言われますが、それを差し引いて考えまするときに、相比較いたしますと、公共事業の方が減税をやるよりは二倍以上の効果があるというのが大方のところであろう、かように考えています。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 私も需要創出効果につきましては総理よりはもう少し大きい数字かと考えておるのでございますが、これは見方はいろいろありましょうからあえてなにしませんが、私はやはり賢明な選択ではなかったか。特に高度成長の時代でございましたら一兆円減税、二兆円減税はできるでございましょう。やはり安定成長下に入ったのだからそこは考え方を変えてもらわなければ困りますよという総理の説得がこれから大事だと思うのであります。  そこで、いま各党から現実を踏まえていろいろな提案が出ております。全額赤字国債に依存して一兆円減税をやれというような議論もございます。これは総理のお考えから言えば問題にならないということでございましょうが、たとえばアメリカのカーター大統領の構想につきましても、この間本会議で御答弁のございましたように、アメリカでは、ロスに橋をかけてもニューヨークの景気はよくならないぞ、これは国土が広過ぎますし、公共事業の施行の主体が違いますからそのとおりだと思うのでございますが、この点については、連邦準備銀行の議長のバーンズ氏も、五十ドル払い戻しても大した景気対策としての効果はないぞということを言っておりますから、私もそのとおりだと思うのです。  ただ、これは大蔵大臣に伺った方がいいのかどうか知りませんが、同じ微調整減税と申しますか、物価調整減税と申しますか、減税してもらうなら、年末調整をやってもらうよりも現金でもらった方がありがたいやという声はあると思うのです。日本はアメリカと違うから恐らくそれはできないと思うのですが、技術的にどういう点ができないかを、大蔵大臣おわかりでしたら……。あるいは主税局長にやらせましょうか。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○大倉政府委員 お答え申し上げます。  金子委員ただいまおっしゃいましたとおり、アメリカのやり方の戻し税と申しますのは、日本の例で申しますと、昨年所得税を納めてくだすった方にことしの財政原資を使って小切手でお金をお返しするわけでございます。ただ、いま金子先生のおっしゃいました各党からの御提案は、昨年の納税者にお返しするのじゃなくて、ことしの減税分をことしの納税予定者に一括してお返しするという御提案であるように考えます。まだ具体的なものは私ども承知しておりませんが、どうもそういう御提案であるように受け取っておりますが、御質問の技術的にどうなるかという点では、アメリカの場合約七千万申告書が出ておりまして、内国歳入庁が一人一人の納税額を自分で知っておるわけでございます。日本の場合は、所得税の場合で三千数百万の納税者、申告していただく方というのは全部でないわけでございますので、一人一人にお返しするためには、まず源泉徴収義務者の方から個別に全部税務署の方へデータを送っていただかないとわからないというところがございます。それは非常に時間と手間がかかるということは御想像がつくと思いますので、まず技術的にはそういうむずかしさがある。  もう一つは、ことしの税の減税分を納税者にお返しするということは、どうも適切な言葉がなくて困るのでございますが、俗に申しますといってこいでございまして、一遍高い税金を納めておいていただいてその中からお返しするということでございますので、それはもともと安くなるはずの税を四月からでも五月からでも安いまま納めていただくという方がいいのではないか。わざわざ減税前の税額を一遍納めていただいて、それから減税分をお返しするというだけの手間をかけなくてもいいんじゃないかなという気がどうも私はしておりますが、具体的な御提案に応じましてまたいろいろ問題は考えてみたいと思います。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 先ほど社会党の石橋委員が具体的な財源問題についてお触れになりました。その中で私がわからない点がたくさんあるのですけれども、たとえば交際費課税の強化をすれば千三百五十億円出るとか、減価償却の改正をやれば四千億出るというようなお話もあったと思うのでございまするが、そんなに出るものかどうか、その点を、これは大蔵大臣、あなたがむずかしければ事務当局からひとつ答弁してもらいましょうか。いいですか。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 数字の問題ですから、事務当局から……。

大倉眞隆大蔵省主税局長

○大倉政府委員 けさほどの石橋委員の御質問の中にございました数字は、実は私どもも率直に申し上げてけさ初めて伺いましたので、まだ十分勉強はいたしておりません。ただ、私の聞き間違いでなければ、交際費課税で千三百五十億とおっしゃったように記憶いたしておりますが、五十二年度の政府提案では、交際費課税強化によりまして平年度増収額が二百四十億でございます。初年度増収額が二十億。これは十億単位で丸めますので、初年度割合は約一割でございます。けさ伺っておりまして、とっさの感じでは、交際費課税を強化するという場合に、御承知のように現在一億円を超える企業の交際費というものは大体六割五分ぐらいが課税対象になっております。一億円以下の中小企業の交際費というのは一割六、七分しか課税対象になっておりません。したがいまして、これは平年度の計算をしておられるのだろうとは思いますが、おっしゃるような千数百という増収を期待するためには、どう考えても四百万円という基礎控除の方を縮減しませんとそういう増収にはならないんじゃないかなという気がしながら伺っておりました。政府案の方は、その四百万円という基礎控除は、現在の中小企業の負担から見てこの際はやはり手をつけないということで御提案いたしておりますが、なお別の機会により具体的に御提案をいただきますまでに、あえて中小企業の四百万を切り込むという前提での御提案であるのかどうか、もう少し教えていただきたいなという感じがしながら伺っておりました。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 先ほどの石橋議員の質問で、中小企業の法人税負担が大企業に比べて非常に高いということを数字をもって引用されました。私もこれは初耳でございますのでよくわからぬのですが、これはあるいは東京都の新財源構想研究会の数字じゃないかと思うのでございます。それで、本会議における成田委員長からの御質問でも、企業優遇税制によって法人税の取りこぼれが二兆六千億もあるという話をされておるのでございますが、これは大変な問題だと思うのです。これは、現実にこういうことがあったのかということは、私は政府の責任において国民の前に明らかにされるべき筋合いの問題だと思うのです。その点ひとつはっきりとさせていただきたいと思います。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 御質問の東京都の試算は、各種の引当金、それからその受け取り配当益金不算入及び配当軽課制度等をすべて企業優遇税制と見ておるわけなんです。  まず、各種の引当金については、わが国の会社がその利益を計算する際によるべき基準とされている企業会計原則においてその計上を強制されておる。また商法もこれを認めておるということは金子さん御承知のとおり。したがって、東京都の研究会の言うような、これは企業優遇であるという批判は余り適当じゃない、こういうふうにわれわれは考えております。  次に、会社が受け取る配当に課税しないという制度、いわゆる受け取り配当益金不算入だとか、会社が配当に充てる利益について低い税率を適用する制度、いわゆる配当軽課制度、こういうものは所得税と法人税が二重に課税される弊害を除去するために考えられた実に沿革のある、歴史のある課税方式であって、外国でも無論こういったような制度でもってやっておる。したがって、これらを優遇税制とする考え方はこれも適当ではない。  東京都の研究会の考え方にはこのほかにも計算の根拠が明らかでないものもたくさんあるようでございます。そういうようなことで、東京都の試算には多くの問題がありまして、この試算を法人税負担の論議の基礎とするのはどうも適当ではない。東京都の試算によりますと、いまおっしゃられたように、二兆六千億円からこのような問題のあるところを除きますと、軽減税額は政府の計算と大きく違わない金額と考えられまして、租税特別措置を仮に全廃しても、決して東京都が主張するような巨額の増収にはならない、かように考えております。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 大蔵大臣の御説明によると、東京都の研究会の数字は、商法や企業会計原則で企業継続の原則の立場から認めてある引当金その他の措置を全部やめてしまって、それをそっくり税金として取ったらこういう姿になる、こういう仮定の数字と考えていいですな。その点をひとつはっきり言ってください。――そういうことになると、これはせっかくの御提言でもなかなか現実性のある財源の議論とはちょっと言えぬと思うのでございます。  あと、先ほど来富裕税と申しますか、一定の所得以上のもとに一〇%の付加税をかけたらどうかとか、企業に重課したらどうかとか、あるいは再評価税一五%でしたかかけたらどれくらいの財源が浮くぞという御提案がございました。早々の際ですから、まだ本職の主税局が計算しておるかどうかわかりませんけれども、考え方だけは私もこの際承っておきたいと思うのでございます。現実性のある議論かどうか、果たしてそれだけの財源としての価値があるのかどうか、その点を承りたいのであります。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 企業課税に対しまして、何か少し増収になるような増税をしたらどうか、こういうお話でございますが、やはり税を変改するということは、私はそのときの財政事情と申しますか背景といいますか、そういったようなものを、これは非常に慎重というか非常に的確にとらえていかなければならない、こういうことが一つあろうと思うのです。そのときに増税を図るというための方法も、これもまた考えなければならない。今日、この景気を何とかして回復していこうと言っておるときに、この企業課税というものをふやしていくということはどんなものか。ただ、いま平板的にながめてみますと、日本の法人税というもは各国の法人税に比べまして余地がないとは私は言えませんけれども、今日、この際、景気浮揚ということが一番大事な折から、そういうようなことを考えるということはどうか、こういうふうに考えます。  それからもう一つごさいましたな。――いいですか。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 結構です。  先ほど総理から特別措置の見直しについてお話がございましたように、私は、あの特別措置というものはそのときそのときの事情によって動いてまいりますから、これは常時見直すべきだと思いますし、また大蔵大臣はその努力を今日まで怠っておられないと思います。最近の税制改正等でも、ある程度の思い切った切り込みをやっておられると思うのですが、ただ特別措置の中には、さっき総理からもお話がございましたように、中小企業対策とか公害防止対策とか、お互いの生活関連のものが相当たくさんありますので、簡単に全部廃止しろとか、それでそれを減税財源に充てればいいではないかという議論に私はつながらないと思うのですよ。そこら辺についてはひとつ大蔵大臣から明確な答弁を、また今後の努力に対する決意を明らかにしていただきたいと思います。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 租税特別措置につきましては、これも金子議員よく御承知のとおり、二年にわたりましていろいろの切り込みをやってまいって、そしてことしはまた利子配当所得等につきましても適正化をやったり、あるいは貸倒引当金等につきましても、これは法律ではない、政令でございますけれども、これもその率を引き下げたりいろいろなことをやってまいっておりまして、租税特別措置というものを今日まで熱心に見直してまいっておりますが、それについていろいろ数字的な申し上げることがございますが、それを申し上げましょうか。――事務当局から。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 それでは、時間がありませんから、別途資料で御提出いただけば結構です。  一応税の論議はこれで終わりますが、一々数字は時間の関係で申し上げませんけれども、赤字国債依存の財政からいつになったら脱却できるのだということはやはり国民のみんなが知りたいところでございます。先ほど来お話のございました経済の先行きとも絡めまして、その具体的な見通しをお話しいただきたいと思うのです。総理どうぞひとつ。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 財政は非常な事態でございます。しかし、筒いっぱい建設公債を出して、しかもその上に赤字公債を出す、こういう状態はもう一刻も早く清算しなければならぬ、こういうふうに考えますが、とにかく五十五年ですか、この辺には何としても赤字公債はやめていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。いまそれではどういう手順でどういうふうにしていくか、年次的にどういうふうにこれを進めていくかということにつきましては、粗見当をつけなければいかぬ、そういうふうに考えまして勉強しておりますが、なるべく速やかにそれを作成して、御審議の資料にさしていただきたい、かように考えております。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 昨年大蔵省から財政収支試算を出してもらっておりまするけれども、ことしの国債の発行額も変わってきたことでございまするし、いまお話しの年次別は余り意味がないと思うのですが、五年後の姿がどうなるのか、そこら辺をはっきりさせる意味において、改めて試算表を御提出いただきたいと思います。これは自治省の関係もございますが、委員長においてしかるべくお取り計らいをいただきます。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 ただいまの御要請ですが、ちょっと私、先ほどの御質問に対するお答えの中で、年次別にと申し上げましたが、年次別は困難なんです。ですから五十五年度の時点でどういうふうになるか、こういうことに御訂正を願います。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 年次別は要りません。五年先なら五年先で。  先ほども、今後の五カ年間の租税負担のあるべき姿について、どう持っていくのだという質問に対しまして、いま税制調査会にせっかく検討させておる、具体的な中身のお話ございませんでしたが、私はこれ以上追及してもこの問題は意味ありませんからやめますけれども、総理にひとつ蛮勇をふるっていただきたい問題があるのです。それは行政改革の問題です。歴代内閣がやろうとしてなかなかできなかったことでございまするが、政府が企業にも家計にも個人にも節約を求め、その協力を求めておるときに、しかも大幅な減税はなかなかできませんよと言っているときに、やはり政府だけがひとりのうのうとしているわけにはいかぬと思うのです。これは地方団体についても同様でございますけれども、福田総理のような蛮勇をふるわれる方が出られぬとこの問題はなかなか片づかぬことでございますので、どうぞひとつ総理の御決意のほどを改めて伺っておきたい。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 その点は御説のとおりだと思います。つまり、政府がまず率先して新しい環境に対応する構えをとらなければならぬ。そういうことになれば、行財政は見直ししなければならぬ。財政というか、経費につきましては五十二年度の予算におきましてもかなりの切り詰めをいたしております。公共事業は伸ばした。しかし、官庁で使う諸経費につきましては思い切った削減をいたしておるわけでありますが、制度の面となると、福田内閣も発足まだ四十余日ということでございますので、まだ具体的な提案ができなかったのです。しかし、これから鋭意検討を進めまして、夏ごろまでには成案を得たい、かように考えております。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 五十二年度の公共事業費は、いろいろ先ほど来議論がございましたけれども、政府関係機関、地方団体を合わせますと十八兆を超えておるのでございます。これがやはり私どもとしては一番大きな景気推進の力になるのじゃないかと思っておるのでございまするが、この中には土地代は入ってないと思うのですけれども、大蔵大臣に伺った方がいいのかどうか、いかがでしょうか。

倉成正自由民主党経済企画庁長官

○倉成国務大臣 ただいまのお話は、政府支出の中の資本支出十八兆二千五百億についてのお尋ねだと思いますが、これは土地代を控除してございます。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 控除してあるのですね。――私は、やはりいま中だるみになっておる景気回復を促進するためには、早く予算を成立させて、それを早く執行してもらう、このことが一番大事なことだと思いますので、どうかひとつ上半期に集中的に、それこそ六割五分か七割くらいでも集中して、一日も早く経済が軌道に乗りまするように御努力をいただきたいと思うのでございます。  それから、これは大蔵大臣に伺いたいと思うのでございますが、国債、政府保証債、地方債等の公共債の発行額は、五十二年度は十四兆くらい予定されておると思うのでございます。そのうち十一兆は民間資金に依存せざるを得ないような状況でございまして、これが市中金融に相当大きな影響を与えることは必至でございます。現在は企業の投資意欲がちょっと下がっておりまするから、資金需要も少なくて何とか無理なく消化できるという現状でございまするけれども、景気がいよいよ軌道に乗ってきたら、民間資金を相当圧迫してくることは当然でございます。金融機関が日銀に手持ち国債を持ち込むようなことになりますと通貨の増発になりますし、インフレ誘引の原因となってきますし、また一挙に大量に市場に売り出せば、市場を混乱させまして取引価格が急落する、あと正常な公共債の消化が困難になってくる、こういうことになりますので、ひとつ適切な公債管理政策とあわせて、公共債の市場整備をしっかりやってもらうということが一番大事なことだと思うのです。しかし、なかなかこれが進まないのですよ。大蔵大臣、これはどういうふうな方向でお片づけになろうということに考えておられるか、具体的に伺いたいと存じます。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 お説のように、大変巨額の公共債というものを発行して、それは原則として市中消化ということでやっていかなければならない。この原則はどうしてもやっていかなければならないということでございますので、御注意のとおり、やはり今後国債の管理、それから市場の整備ということについては、これは全力を挙げて考えていきたい、かように考えております。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 次に、地方財政の問題について若干伺いたいと思うのでございまするが、実は国の財政よりも地方財政の方が深刻な状況にございます。五十二年度は前例のない特別の措置で、支障なく運営できると考えておりまするけれども、地方団体、地方財政の根本的な再建、充実の構想をお持ちになっておるのかどうか、総理並びに自治大臣にお伺いいたしたいと思います。

小川平二自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○小川国務大臣 お答えいたします。  国、地方を通じまする行政全体のうちで、その多くが地方公共団体を通じて実施されておるわけでございます。国民の税負担という点から申しますれば、国が七、地方が三ということでございますが、現実の行政の実施に伴う支出という点ではこの数字が逆になっておることは御高承のとおりであります。これから国民の福祉を高める、あるいはおくれた社会資本の整備をする、とりわけ当面の大きな問題でございます景気を浮揚するという上において、地方公共団体の果たす役割りというものは非常に大きいと存じます。公共事業をてこに景気の浮揚を図ると申しましても、地方自治体がついてくることができないということでは実効を期待できませんから、五十二年度の地方財政対策を立てるに当たりましては、かような点を念頭に置きまして十分必要な措置を講ずるつもりでございます。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 地方財政の問題でいつも問題になりますのは、地方団体側から強く要望をしております超過負担の問題でございます。地方団体側の調査によりますると、四十九年度の超過負担額は総額で六千三百六十億円に達すると言っておるのであります。しかし、これに対しまして大蔵省側は、超過負担はもうほとんど解消しておると言っておるのでございますが、その見解の違いがどこから出ておるのか、それからまた、現実にもう解消措置はこういうふうにとりましたよという点があったら、あわせてその点も伺いたいと思うのです。これは地方団体にとっては大変大事な問題でございますので、大蔵大臣並びに自治大臣から承りたいと思います。

坊秀男自由民主党大蔵大臣

○坊国務大臣 国庫補助金のいわゆる地方公共団体の超過負担の問題については、従来からその解消に努めてきたところでありますが、五十二年度においても、外国人登録事務委託職員の給与格づけの引き上げ等四項目について改善措置を講ずることとしております。それから、補助対象範囲、面積基準等の補助内容についても、建物建設費補助の対象に門だとか囲障等を新たに加えること、それから警察署建物の基準面積の増加を図ること等の改善措置を講ずることといたしております。今後とも社会経済情勢の推移を見守りつつ、適正な単価の設定等に努めてまいりたい、かように考えております。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 最後に地方財政の問題でお伺いいたしたいと存じますのは、国が地方財政のめんどうについて万全の措置をとる、これは当然のことでございまするけれども、しかし一方、地方団体でも最近の情勢に応じて、行財政運営の合理化をしっかりやってもらうことが必要だと思うのです。特に地方公務員の給与が同じ公務員である国家公務員に比べると相当の開きがあるのが現実の姿でございます。この点につきまして自治大臣はいかなる対策をとっておられるか、明確な御答弁をお願いいたしたいと思います。

小川平二自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○小川国務大臣 お答えいたします。  こういう厳しい経済情勢のもとで行政水準を維持し、進んで向上する。いろいろな困難が伴う問題でございますが、まず第一に、一般行政経費の節減、さらに財源の効率的、重点的配分ということが必要でございますから、それぞれの自治体がこの方向で努力をいたしておるわけでございます。  いまお言葉にあります給与の適正化という問題につきましては、昨年度、本年度を通じて相当多数の自治体があるいは改定率の縮減をやり、昇給の延伸という措置を実行しております。この実績は一応評価できる実績だと存じますが、制度の運用の面でも、あるいはまた給与水準の面でもなお問題を残しておりまするから、さらに努力を続けてもらいまして、国民の理解と納得の得られる給与制度を実現するように指導し、督励をするつもりでございます。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員 時間が参りましたから、これで終わります。(拍手)

坪川信三自由民主党

○坪川委員長 次に、小林進君。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 三十八年以来の豪雪でございまして、この雪のために北海道から鳥取に至る十三の道と県が雪の被害を受けて、実に惨たんたる状況を呈しておるのでございますが、まだこれに対して政府は対策本部も設けられていないようでありまするが、これは一体どうなっておるのか。被害地域の住民は、福田総理は何しろ群馬の産でいらっしゃる、上州の空っ風とかかあ天下には大変経験を積んでいらっしゃいますけれども、どうも雪に苦しむ住民の悩みというものにはやや理解が足りないのではないか、これがどうも政府のこの対策がいまなおおくれているゆえんではないかということで、大変心配をしているわけでございます。  そこで、時間もありませんからかいつまんで申し上げまするけれども、大雪になれば、もう部落が孤立するというより一軒一軒が孤立する、普通の日は呼べばこたえる隣の家も、豪雪になってしまうと、道をつけて隣の家へ行くまで半日かかるという、この雪の災害と不便というものは経験をした者でなければわからぬのであります。  こういう状況の中にありまして、一体文部大臣は、豪雪のために休校をしている学校はどれだけあるか、それに対してどういう対策をされているか。  それから、豪雪のために運休をいたしておりまするローカル線がたくさんあります。まあ、いま新幹線だとか、東京へ東京へと走る中央線もなかなか順調に雪のために進んでおりませんが、生活に直結しているローカル線はほとんど停止をしているはずであります。そのために一体どういう手を打たれているのか。テレビやニュース等では、この雪の被害はよく出ます。出ますが、災害地の住民は、また同じところが出た――同じところしか出ないのであります。なぜかならば、テレビやニュースはそこまでしか行けない。それから先の、テレビやニュースに出ないところの住民が本当に雪に泣いているのでありますけれども、それが少しも政治や総理の耳にどうも反映をしない、こういうもどかしさを持っているのでございますが、これに対して、一体どういうふうに考えておられるのか。  それから第四番目には、いま災害救助法の発動をしている町村が一体どれくらいあるのか、どれくらい一体政府は掌握をしておられるか。  第五番目には、この災害のために死去された気の毒な人たちがすでに三十数名、四十名近くなっているはずであります。これに対して、災害弔慰金法というものをわれわれが苦心してつくっておるのでありますけれども、これが素直にいま発動されて、悲嘆に暮れている遺族に温かい手が伸べられているのかどうか、そういう点も私はお尋ねをしておきたいのであります。なお、生鮮食料の輸送が一体円滑にいっているのか。特に生活必需品の確保あるいは予想される物価の高騰であります。こういう交通が途絶いたしますと、非常に物価が上がる。  なお建設大臣にお伺いしますけれども、道路の確保は一体どうなっておりますか。国道、県道等は動いているようでありますけれども、生活に直結しているのは村道であり地方道であります。もっと言うと、部落から部落へ行く道路であります。個人の家から個人の家に通ずる道であります。それが一体どんなぐあいに確保されているのか。まあ県道や主要道路だけは確保しているとおっしゃるかもしれませんが、きょうも私は郷里からのニュースを聞いておりましたら、なるほど県道や国道はブルドーザーを置いて雪をはねのけているから車道はつくった。つくったが、そのはねのけた雪のために肝心の歩道が今度は全部ふさがれてしまう。だから住民は今度は歩道を歩けないから、やむを得ず車道を歩く。車も車道を通る。そのために車道でひかれて死んだという、雪の中の自動車でひかれた事故者がもはや十名近くもあらわれているという、こういう新しい災害も出ているのであります。こういう対策を一体どのように講じられておるのか。雪の問題は、ことしだけではありません。去年も豪雪でありました。  なおかつ続けて申し上げますが、個人の家の雪であります。この雪は一晩のうちに一メートルくらい積もる。木造の家でございますと、一晩でも、ちょっと弱いところはそれでひっつぶれてしまう。朝、目が覚めてみたら雪の下で死んでいたなどという、聞くも涙の物語があるのであります。そのために、雪が深まると、すぐと雪の屋根の上に上がって雪おろしをやるのであります。しかし、自民党の誤れる農政であります。そのために農民は、冬を待たずして皆出かせぎに行っている。この恐るべき雪をおろす人は、もう農村に残っていないのですよ。おじいちゃんであり、おばあちゃんであり、いたいけな子供であります。その人たちがこの雪おろしをだれに頼っていけばいいのか。なおかつ、出かせぎに来ている方々は、東京でも大阪でも、毎日このニュースを聞きながら、おれの家がいまつぶれるのじゃないか、早く出かせぎをやめて郷里に帰りたいと思っているが、汽車が動かない、汽車に乗って雪おろしにも帰れないという、こういう惨たんたる状況がいま行われておるのでございますが、これに対して政府はいかなる処置をとられ、いかなる状況判断をせられておるか。限られた時間でありますから、各大臣とも要領よくさっとひとつお答えを願いたいと思います。

長谷川四郎自由民主党建設大臣

○長谷川国務大臣 お答え申し上げます。  おっしゃるとおり三十八年、四十八年と連続して豪雪に見舞われておるのでございまして、その体験からいいまして、豪雪災害時における道路交通確保のための緊急措置をつくりまして、この要綱に基づきまして万般の用意をして当たっているつもりでございます。したがいまして、国道につきましては、大体いま政府直轄の国道は車の大型は夜分だけはとめるところがありますけれども、食料の輸送に間違いがないように、先ほどお話しのような生鮮食料品の輸送には万全を期しておるものでございます。県道においては、まだ二十三カ所ばかりがそういうように見舞われておりますけれども、これにつきましても、総動員でいまそれらの処置に向かっておるところであります。でありますから、食料の輸送については、現在ではそういうなくて困ったというようなことはいままではまだ入っておりません。したがって、先ほどお話がありましたような、細かに申し上げろというこことでございますが、大体三十何名お亡くなりになったことも事実でございます。これは雪おろしのためとかなんとかいろいろありますけれども、それらの上に、床上浸水が三十五戸、半壊が十七一尺それに対する全壊が十戸ほど現在までにあらわれております。これは昨日の四時現在でございます。  以上でございます。

田澤吉郎自由民主党国土庁長官

○田澤国務大臣 お答えいたします。  今回の寒波及び豪雪による被害状況についてまず申し上げます。  昨年十二月からの寒波の飛来によりまして、一部では、ただいま小林さん御指摘のように、昭和三十八年以来の降雪量となっているところもありますが、七日現在の各地の積雪量は、北海道で五十から二百センチ、東北、北陸地方で五十から三百センチ、山陰地方で三十から百センチメートルとなっておるのでございます。この豪雪に対し、七日現在までに判明している被害状況は、ただいま御指摘のように、死者三十七名でございます。負傷者二百六名、家屋の全半壊三十一棟となっております。  交通状況については、国鉄においては信越本線、大糸線の一部区間で五次規制を行っているほか、東北本線、北陸本線等、各線、各区間で運転規制が実施されております。  また、道路については、ただいま建設大臣から御報告がありましたように、直轄路線では北海道の三路線で規制されているのでございますが、内地の路線は除雪活動によりまして交通は現在確保されているような状況でございます。  食料品、燃料等の生活必需品は確保されておりまして、不足する事態は生じていない現状でございます。  そこで、これに対する対策でございますが、政府は直ちに四日に関係省庁の連絡協議会を開きまして、災害の状況をまず的確に把握すること、それから関係省庁が協調して、そうして地元とも連絡をとりながらこの対策を考えなければならないということでございます。特に、ただいま申し上げましたように、交通の確保が一番重要でございますので、ただいま精力的に除雪作業をやっている状況でございまして、地域住民が、ただいま小林さん御指摘のように、生活物資が不足にならないような状況をつくってまいりたいと考えております。  なお、明八日、関係閣僚会議を開きまして、対策本部も含めて今後の対策について協議をした上、万全を期してまいりたいと考えております。  なお、この三十七名の死者に対する弔慰金のことでございますが、これは転落等のいろいろな理由による死亡者が多いものでございますから、これは調査の上、適切な措置をとりたいと考えております。  さらに、保安要員のことがちょっと話題に出ましたので、ちょっとだけ……(小林(進)委員「まだ出ていないよ」と呼ぶ)そうですか。以上でございます。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 裏日本中心の豪雪による農林漁業に対する被害の状況でございますが、目下県等とも連携をとりながら調査を急いでおる段階でございます。ビニールハウスその他の被害が出ておりますが、その他の被害につきましては今後鋭意その把握に努めていきたい。大体雪解けの際に農業災害が起こる事態が多いわけでございまして、今後の推移を注目しておるところでございます。  農業災害につきましては財政並びに金融の措置を講じまして万全を期したい、このように考えております。  なお、食糧の確保、特に生鮮食料品の問題でございますが、いまのところ量的にもまた価格の面でも、量も確保され、価格も比較的安定をいたしております。しかし、今後の推移を見まして、万全の措置を講じてまいりたい、このように考えております。

田村元自由民主党運輸大臣

○田村国務大臣 昨年末以来の長期間にわたりましてずいぶん雪が降ったわけですが、そのために東北、上信越、日本海縦貫線を初めとして多数の線区で列車の運転に大幅な遅延、一部運休、計画運休ですが、そういう事態を生じております。運転途中で旅客が雪に閉じ込められたというようなことは聞いておりません。  それから、雪のために不通となった線区は、一月中において只見線、大糸線の二線区でありますが、いずれも一月十六日に開通し、本日現在では不通区間は生じておりません。  それから・本日の午前八時現在の輸送障害は、第三次運転規制以上、つまり旅客でほほ三〇%、貨物でほぼ五〇%の規制でありますが、この線区で見ますと、上越線ほか十六線区、延べ一千二百キロに及んでおります。今後においても、除雪作業に努めることは当然でありますが、降積雪の状況に応じまして適正な運転規制を図りたい。  それから、通勤、通学輸送、生活必需物資の輸送を初めとします輸送の確保を図りたい。雪による不測の事態が生じることのないよう万全の措置を講じていきたいと考えております。  なお、国鉄では二月の五日に本社に雪害対策本部を設置して、天坂副総裁が本部長になりました。  それから、昨年十二月二十七日以降二月六日までの延べ運転休止本数を御報告申し上げますと、新幹線で三百九十三本、在来線の旅客の列車が五千四百五十一本、貨物列車が一万一千四十六本、合計で一万六千八百九十本が運転休止になっております。  それから、一月三十一日までに除雪関係に投入された要員は、国鉄職員を初めとしまして自衛隊、地方関係機関等の御協力によりまして約四十七万四千人、また除雪車両の運転キロは延べ三十八万九千キロに及んでおります。  以上でございます。

海部俊樹自由民主党文部大臣

○海部国務大臣 学校施設関係について申し上げますと、被害状況は青森、新潟など十の県で学校数五十七校、いまのところの統計では被害総額四千八百万円程度、幸いに建物そのものの崩壊はございませんけれども、屋根の破損あるいは学校の昇降口など工作物、付属物等の破損の被害でございます。これに対しましては、公立学校施設災害復旧費国庫負担法に基づいて措置をいたしますが、最小限度に学校運営の被害を食いとめるために急ぐように指示をいたしておるところであります。  二点目の休校状況でありますが、北海道、青森、新潟等八つの都道府県で延べにしますと五百八十八校ございます。これはきょう現在の数字でありますが、なお休校はそのときの状況に応じて、法に従い、校長の判断でいたしておりますが、休校しない場合にも登下校時刻の変更とかあるいは経路の変更等、通学の安全確保には万全を期すよう教育委員会、学校等に通達をしております。  なお、休校による授業のおくれをどうするか、これは豪雪地帯で例年行っていただいておりますように、夏休みの振り分け授業等を考えて、おくれをとらないようにいたしたい、こう考えております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 まあ時間もありませんから、もうこれに対する答えは国土庁長官だけでよろしゅうございます。  文部大臣に言っておきますが、答えは要りませんが、小学校の児童には、これは雪おろしの手伝いをさせてはいかぬということになっている。中学もしかりなんだ。ところが、事実は、これはやはり国から出す雪おろし料なんかはけちくさいものですから、みんな子供を使って、そしてその雪の処理をさせている。これは児童福祉法並びに法律違反でございまするから、これは厳重に調査をされて、延べ人員でどれぐらいこの雪おろしや雪の災害に使ったかということを資料でひとつ報告をしていただきたいと思います。これは重大問題であります。  次に、国土庁長官、先ほど問わぬにもかかわらず答えようとされましたけれども、いわゆる保安要員の問題です。これは、保安要員というのは非常に重大問題で、いまも言うように、みんな出かせぎに行っておりまするから、個人の家庭が孤立している。そこで、各部落に保安要員というものを置くんだ。そして公共の建物だとか老人とか母子だとか身体障害者とか、あるいは出かせぎの留守世帯だとかそういう人の除雪の手伝いをしている。家がつぶれてしまうんだから、除雪の手伝いをしている。子供はもう学校へ行く通学の道がないんだ。子供のための通学の雪道の雪踏みをやったり、あるいは部落と部落をつなぐ生活の道路の確保などをするんですね。こういう重大な役割りをするいわゆる部落の保安要員というものを現実に設けている。で、昭和五十年からこの保安要員の費用を何とか国でめんどうを見てくれ、県も負担に耐え切れない、町村も負担に耐え切れないということで、泣くがごとき陳情を続けているけれども、これをやらないのです。総理大臣、これをやらないのです。こういう住民の切実な生活や生命に関する問題にこそ血の通った措置を行うのが、これが政治なんです、豪雪地帯だから。で、わが新潟県なんかでも、県が半分出す、市町村が半分負担して、月に六万円なり七万円くれて保安要員を各部落に置くのですが、なかなか要求どおりにいけないものですから、それを各市で十名だけひとつ保安要員を確保しよう、こうなる。その十名を各部落で取り合いをやるわけです。おれの部落へよこしてくれ、おれのところへよこしてくれという、そういう惨たんたる実情が繰り返されている。これに対してどうも政治が冷たい。  そこで、国土庁長官、こういう実情をあなたはひとつ青森県――青森の雪と新潟の雪は雪の性質も違いますし量も違いますけれども、雪に苦しむのは同じでありますから、早急にこういうことを予算化して、市町村や県の負担を軽減をする。話が余分になりまするけれども、富山県を見てください。石川県でもわが新潟県でも、除雪費だけでも追加、追加で予算を二回も三回も組み直しているというのが現状です。各町村はもはや雪おろしの費用がなくて町村財政がパンクをするという悲惨な状態なんです。いまの保安要員の問題に対して責任ある回答をしてください。やるならやる、いまからやるとこう言えば私も次の質問へ移りますから、きちんとひとつ言ってください。

田澤吉郎自由民主党国土庁長官

○田澤国務大臣 お答えいたします。  保安要員制度を国の補助事業で行ってほしいということでございますが、これは小林さん御指摘のように、昭和五十年からすでにこういう保安要員制度そのものはいろいろ各地で行われているわけでございまして、その点については私も承知いたしております。ただ、これまで考えられるのは、国の補助事業としてはやはり全国一律に一定の条件でやるのが一つの制度になっておりますが、(発言する者あり)ただいませっかくの小林さんの御提案でございますので、昭和五十三年度を目標にしてさらに検討さしていただきたいと考えます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 それが実に――さっきも言うように、国土庁長官、大臣が若いと古手の官僚はこういうずるい答弁をやらせるのですよ。それをまた受けてやってくるから、あなたは大ぜいの前で恥をかかなくちゃならないのです。豪雪地帯対策特別措置法という法律がある。豪雪地帯には特別にそういう措置を講ずるという法律がちゃんとあるのですよ。その法律に基づいて、豪雪地帯には特別に雪上車がついたり、あるいは雪のけ機がついたり、あるいは救急医療のためのスノーセットがついたり、個々にみんなそういう設備があるのですよ。こういう保安要員だけが全国一律でなければできないなんというばかな話がどこにありますか。そういうことをあなたは役人にだまされて、そして大ぜいの前で恥をかかなくちゃならない。だめです、そんなことは。五十三年を目途にちゃんとやる。官房長官、あなたが一番これに熱があるようですが、どうですか、官房長官が責任を持ってひとつおやりになりますか。

園田直自由民主党内閣官房長官

○園田国務大臣 いまの豪雪対策は、報告申し上げました各種の対策のほかに、豪雪排除、救助、その他の財源が地方自治団体は要るわけであります。これも含んで明八日から関係閣僚会議を開いて直ちに検討、善処いたします。  いまの保安要員の問題は、いままでは特別交付金で大体処置をしているようでありますが、それを基準にしてこれも御意見どおりに早急に決定するように善処いたします。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 官房長官の御答弁は積極かつ前向きであると了解をいたしまして、私もこれで少なくとも来年度からは保安要員の特別の補助金はつけるものという感覚を得ましたので、この問題は一応これで終わりたいと思います。  日中友好平和条約締結の問題について御質問をいたしたいと思うのでございますが、時間がありませんので急いでひとつ申し上げます。  これは一九七二年に共同声明が締結をせられて今日まで、その共同声明の中には速やかに平和条約を締結するという条文がうたわれている、にもかかわらずもはや四年有余を経過した今日までもまだ締結ができない。一体その責任がどこにあるのか、問題点がどこにあるのか、これを私はお尋ねをしたいのであります。  どこに問題点があるのか。それは、そもそも共同声明が出てその後平和条約ができぬ問題点はたった一つであります。いいですか、たった一つです。その問題点というのは、共同声明の第七項に、覇権主義反対だ、いわゆる覇権主義反対、この覇権主義反対の共同声明の文言をそのまま条約の本文に入れるか入れないかというだけの問題なんです。そのたった一点でいま延び延びになっているわけでございます。共同声明の本文の第七項目にあるその文章だ。国の代表と国の代表の責任で共同声明に入れたその本文の文章がなぜ一体条約の本文の中に入れられないのか。入れられないというその日本側の主張こそ実に理屈が通らぬというふうに私は考えているのであります。この問題に対して宮沢前外相は、日本政府が本文に挿入できぬ疑点があると言って四条件というものを提示をいたしておるのでございますが、これに対して一体福田総理大臣はどのようにお考えになっているのか、まずこの点を承っておきたいと思うのであります。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 私は、日中関係はいま順調に動いておるという認識でございますが、順調に動いておるそのレールは日中共同声明である、これからも日中共同声明をお互いに誠実に遵守するということで日中関係を進めていきたい、こういう基本的な考え方です。  そういう間で、日中平和友好条約を早く締結しなければならぬという問題があるわけです。この条約につきましては、これはいま小林さんは共同声明をそのまま条約とすればいいじゃないか、こういうお話でございますが、事条約ということになりますと、やはり条約としての文言の整備をしなければならぬ、そういうことでございます。これは共同声明第七項につきましても同様でございます。条約とする以上は、国家間の関係を先々長きにわたって規律するものでございまするから、これはそれなりの配慮が必要である、こういうことで手間取って今日に至っておるということでございます。  宮沢四原則という話でありますが、これは原則でも何でもないのです。また、当方から提出した条件でも何でもないのです。当時における宮沢外務大臣が自分の感想を述べた、こういうものでありまして、別にこれに拘束された、こういうような立場はとっておりませんけれども、とにかくわが国にはわが国の憲法があるわけですから、わが国の憲法について中国側に対しましても十分な理解を持っていただきたい、こういうことです。  双方が話しておる。またその間、小林さんも訪中を先般されてくれた、そういうことで、いろいろ問題の推進のための潤滑油的な大きな役割りをされてくださっておるわけでございますが、早く外交ルートを通じまして日中平和友好条約の締結をいたしたい、かように考えております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 総理のいわゆる宮沢四原則というものは条件でもなければ宮沢前外務大臣の自己の理解を述べたにすぎないというその解釈は、私は大変進歩した、道理にかなったお答えだと思うのであります。ところが、前三木内閣の時代はこの四条件がどうも日中友好条約締結の原則だと、去年の一月三十一日の当予算委員会においても、宮沢外相は私の質問に答えて、五十年九月中国の喬冠華外務大臣に日本側の外務大臣としての考えをニューヨークで述べたんだ、いまその回答を待っているんだ、こういう物の言い方をしている。言いかえれば三木さんも宮沢さんも、日本の方でボールは中国に投げたんであって、中国からボールが投げ返されてくるのを待っているというのが今日の現状だ、こういう言い方をしておられたわけです。  そこで、ことしの一月七日から二十一日まで、私は実は北京を訪問いたしてまいりました。もっとも私の前には、ここにおられる田川委員も行かれた。それから参議院の河野議長も行かれた。私が三番目。私の後には公明党の竹入委員長も行かれた。そこでみんな、言葉のあやは違っても、この四原則の問題について中国側の機関に質問をしたのであります。ところが、これに対して中国側の答えはこういうことなんです。一九七五年九月、国連の中で日本の宮沢外相が言った四条件は、これは中国は問題にしておりません、一部の日本人はこの四条件に対し中国側の回答がないと言っているが、これは全くごまかしで、中国はその席でこれに対しぴたりと断っている、だから、改めて返事をする必要もなければ、返事がないのもあたりまえであります、こういうふうに高位の政府機関は言っている。またそれよりちょっとランクの下の中国の政府機関は、宮沢外相と中国の外交部長との会談は、一九七五年九月国連で二回、十時間にわたって行われた、それについて宮沢外相は四つの条件を出し、その返事を待っていると言うが、これはうそで信用できぬ話である、話し合いの最後に中国側は、中国側の原則、中国の態度をはっきり話をしているのであって、むしろ返事を待っているのは中国側である、ボールは中国から何回も投げているのであって、投げ返す番は日本であります、こういうふうな返事をいたしております。  恐らくこの回答は私だけじゃない。田川委員もみんな同じ回答をされてこられたと思う。私は、この返事は、残念ながら中国側の言い分に正しさがあると解さざるを得ないのであります。  そこで、福田総理にお伺いしたいと思ったのでありますけれども、福田総理が、宮沢四原則というものはわが国の不動の原則でもないというふうな御返事でございましたので、これはさすがに頭脳明晰な総理大臣、ちょっと前総理とは違うなという感じを持ったわけでございますが、その私の解釈が間違いないとすれば、いま日本でこの平和友好条約を阻害しているものは、共同声明から割り出して何もないではないか。宮沢四原則の中であえて考慮する余地があると思われるのは、四つの条件の第二点であります。これは、「両国のいずれも、アジア・太平洋地域において覇権を求めるべきではなく、このような覇権を確立しようとする他のいかなる国あるいは国の集団による試みにも反対する。」この「反対する」ということが、共同行為、日本と中国が共同行為あるいは軍事条約を持って行動で反対を示すというふうに解釈をされているのではないか、とられるのではないか、この一点が残るのではないかと私は思うのでありますが、これについても、現に福田総理は二月三日の本会議場において、わが成田委員長の質問に答えて、日本の平和憲法について中国の理解がつけば前文に入れようが本文に入れようがこだわることはない、こういうふうに言われているのであります。この平和憲法について理解がつけばということは、いま私が申し上げましたように、単に覇権主義、覇権を行う集団、その他国に対して反対の意思を表明する程度にとどまっている、それから先は一緒に行動しようなどということが全然含まれていないものであれば、本文に入れようと前文に入れようとこだわることはない。首相の答弁を素直に見ればそう解釈していいのではないか、こう思うのであります。  で、この問題については、これは私をして言わしむれば、実に杞憂なのであります。中国はいわゆる覇権国家に対して反対の意思を表明する、アジア・太平洋地域において覇権を試みようとする国家には反対の意思を表明するだけでいいのであって、それから先に日本と一緒に軍事条約を結ぼうとか、その覇権国家に対して共同で反対行動に出ようなんて夢にも考えていない。そんなことを考えているのじゃないかと思うことこそ、実に幽霊の正体見たり枯れ尾花みたいなもので、姿もないものに驚いている誤った物の見方。ましてや日本に平和憲法があって、日本はいかなる国とも軍事条約を結ばないし、戦争にも参加しない、こういうようなことをちゃんと中国は理解をいたしております。理解をいたしておりまするから、この点は中国は一笑に付しましたし、もちろんそんなことはもう夢にも考えていないことは、私だけじゃありません、田川委員も参議院の河野議長もこの点は明確に感知をせられておる。たしか参議院議長はこの点も総理に報告をされたはずであります。総理は参議院議長とこの点も詰めてお話しになったはずであります。いかがでございますか、私のこの解釈は。総理の御答弁を私はそのように解釈をしているし、中国側はそのことを夢にも考えていないという私の見方に対して総理はどうお考えになりますか、ひとつ伺っておきたいのです。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 どうも小林さんのお話を聞いていますと、中国側のお話を伺っているような感じがしてならないのです。たとえばいま交渉はどういう段階になるか、ボールは日本側に投げられておるんだというふうに断定をされますが、これは私は、どこへ投げられておるか、どちらに球があるか、そういうようなことをこの段階で論ずるということは愚かなことである、こういうふうに思うのですよ。新しい体制が中国でもできておる。わが日本においても新しい体制ができておるのですから、新しい立場で話し合ったらそれでいいんだ、こういうふうに思います。その両国の関係について余りこの段階で、これはこうだ、あれはどうだということを私の口から申し上げることは、この交渉を妥結させる上において支障がある、私はそう思うのですよ。これはそういうふうに御理解願いたいのです。  私が先ほど申し上げたとおり、これは私はかたい対中姿勢というものを持っておるわけです。一つは何だと言えば、いま日中関係は非常にスムーズに動いておる。それから第二は、わが国の姿勢は共同宣言を忠実に実行することである。当面する平和友好条約については、これは両国の満足し得る形で早く締結したい、そういうのですから、これは外交チャンネルを通じましてそれで話し合っていけばおのずから帰着点が出てくる、こういうふうに考えておりますので、この言葉はどうだとかこうだとか、そういう点について余り論議をしない方がこの問題の処理の上にいいんじゃないか。こういうふうに思って、むしろこちらの方からお願いをして静かに見ておいていただきたい、かように考えております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 ちょっと待ってください。静かに何ですか。静かに私に見ていろと言うのですか。どういうことですか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 いや、私どもがどういうふうに動くかということを静かに見ておいていただきたい、こういうことでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 総理の、私が中国側の言い分を代表しているというふうにおとりになったことは大変な間違いなんです。私は宮沢外務大臣の言葉を信ずればこそ、ああやって何回も予算委員会でこの問題を聞いたのですよ。しかし、その聞いた私に対する答弁がいかにもテクニックで、私をそのままだましたじゃないかということなんだ。日本の外交はいつでもそういう人をだますような外交をやっているじゃないかということを私は言いたい。腹の中で実は私は怒っているから言っているのです。それほど宮沢さんを信用し、三木さんを信用している。いまにもやるような、国交回復をするような話をしているから信用し切ったにもかかわらず、それが全くうそだと言ったから私は憤慨にたえぬということを言っているのでありまするし、いま福田総理が、外交交渉について何もかにも明らかにもっとしゃべるということは、むしろその進展を阻害するようなおそれがあるから、できれば静かに見ていてくれ、こういうお話なのであります。これはわからないことはないのでありますけれども、これがやはり私から言わせると、日本のいわゆる官僚政治なのだ、非民主的な政治の長い運営なのです。これは長い運営なのだ。本当にいいことをやる気ならば、政府はみずからこう考えると、なぜ一体大衆に問題を投げかけて、大衆とともに進むという考え方になれないのか、私はそれがいかにも残念なのであります。  私は、福田総理は大蔵省出身でいらっしゃいますけれども、お役人出身に珍しく、もう二十七年に官をおやめになった。それから長い間裁判闘争などをおやりになりました。大変人生いわゆる逆行の道をお歩きになったから、人間が練れて、そこらここらにいる官僚の仕上がりとは人間が違うわい、りっぱな庶民的な、できた総理大臣だと思っておりましたけれども、いまの御答弁を聞くと、いささか私は少し点数を引かなければならないという感じを持った。私は、願わくば事を秘密のうちに運ぶよりは、できるだけやはり庶民の前に明らかにして、堂々と進めるという姿勢をとってもらわなければならないと思います。しかし私は、この問題について静かに見ていてくれとおっしゃるのでありますから、実は質問はたくさん用意してきたのでありますけれども、まだ総理に対する、この問題に対する信頼を残すことにして、それでは追及をすることをこれでやめたいと思いますけれども、しかしまあ共同声明の第七項目の覇権条項に問題がないということになれば、あとはもう全く問題はないのです。  ただ、言いかえれば、日本の国内の状況だ。自民党の中における対韓国ロビー、台湾ロビーに対して事の道理をどう教え込むかということが一つ、いま一つは、北国のクマと中国は言うのでありまするが、われわれの言葉で言えば対ソ連、日本はソ連の状況を必要以上に気にしているのじゃないかと言うのでありますけれども、しかしソ連の問題を気にするがゆえに日中の平和友好条約が持てないというならば、これはもう永遠にできない話であります。ソ連はソ連、中国は中国、北国のクマはクマ、パンダはパンダ、それぞれ特質があるのでありまするから、一つ一つ問題を処理していくという決断と勇気をお持ちにならなくちゃいけない。  私は総理が静かにしてくれという言葉に信頼を置きましてやめますけれども、総理、あなたにいま必要なのは勇気と決断であります。あなたが決断をお持ちになれば、チャンスはいまでもある。あなたが決断と勇気をお持ちにならなければ、このチャンスはまた三木内閣のように美しい言葉だけで終わってしまうのであります。三木内閣の美しい言葉には、もう私も耳が痛くなりました。中国はこれを称して干天の雷と言った。さすがに文章の国でございますな。千上がったたんぼで、頭の上でごろごろ雷が鳴っている。いま降るかいま降るかと思って、待てど暮らせどついに一しずくの雨も降らないのが三木内閣だ、どうか福田内閣がこの干天の雷でないことを祈りますという伝言を得てきましたが、どうですか、総理の御善処をひとつお願いいたします。ぜひとも私は今度の予算国会の終末までに、この問題に変化が起きることを期待しております。これは起きなければ、また予算委員会の終末にいま一回この問題を質問させていただきたいと思っております。  次に、私は韓国問題について、これは時間がありませんから急いでお尋ねをいたしたいと思いますけれども、これは官僚の姿勢としていいかどうか。  余りいい問題でもありませんけれども、東郷大使――私は先ほどから不規則発言で、各省の中でも一番無能力なのは外務省だと叫んでおりましたが、これは心なくして言っているわけじゃありません。本当に日本の外務省というものは能力のない外務省であると、私並びにわれわれの仲間は皆そう感じております。その中でも、私は日本の国民に利するものが一つもない。ロッキード問題でもしかり、日韓問題でもしかり、外務省が一体国民にこたえるような資料を提供したことがありますか。国民の期待するような調査活動をやったことがありますか。何でも国民の前で皆隠すことをもって外務官僚の役目だと思っている。その中で東郷駐米大使が、シカゴの経済団体主催の昼食会で演説をした。「朝鮮半島の安定のためには米国がアジア地域に存在を続けることが緊要だとの観点から「日本政府は韓国に対する米国の軍事的支援に突然の破壊的変化が起きることはないと信じている」」、こう述べている。言いかえるならば、在韓米軍の削減や撤去は、日本の政府としてはやってもらいたくないということを演説している。福田総理大臣は国会においてしばしば、在韓米軍の削減や撤去は米韓の問題であって日本の干渉すべき問題ではないと言っておられる。しかるに出先の大使は、「日本政府は」という言葉を使って、在韓米軍の削減は困りますと公式の場で発言している。二元外交もはなはだしいではありませんか。政府はこれを一体御存じないのでありますか。御存じであるならば何かの手段を私はとられたと思いますけれども、いかなる手段をおとりになったのかお伺いをいたしておきたいと思うのであります。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 東郷大使の演説につきまして私どもの得ている情報では、韓国におきます米軍が一どきに撤退してしまうというようなことは、やはり韓国のバランスを阻害するので好ましくない、こういう趣旨のことを言ったのでありまして、将来にわたって、長い期間にわたりまして、米軍が逐次――向こうではフェースダウンという言葉を使っておりますが、段階的に慎重にやられるということ、撤退、一部縮減をしていくことにつきまして、それまで反対をしているという趣旨ではないと私どもは解しておる次第であります。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 それでは外務大臣は、この「日本政府は」という言葉で在韓米軍の削減その他撤去は好ましくないという東郷大使の発言はしようがないとおっしゃるわけですな。私はあなたとこんなことで議論をしたくない。ないから、あなたが差し支えないとおっしゃるなら、その記録をひとつ文書にしてわれわれ委員会に配付をしていただきたいと思います。それに基づいて私どもは読ましていただいて、この論争はその後でいま一回やることにいたしたいと思います。私どもは了承できません。「日本政府」という言葉でそういうようなことをちょこちょこやられたのでは、一体日本の外交はどこにあるのかわかりません。  なお委員長、いま一つの資料要求をいたしますが、それは先ほどの総理大臣のお言葉の中で、いわゆる文鮮明と何とかの会で招待を受けて演説をされた、当時の記録もありますから必要があればよくごらんをお願いしますということを言われておりますので、われわれ社会党予算部会では、その総理のお言葉に従ってその記録を読ましていただきたい、こういうことになりましたから、これをひとつ資料として御提出くださるようにお願いをいたします。  よろしゅうございますか、委員長。

坪川信三自由民主党

○坪川委員長 ただいまの資料要求の件につきましては、改めまして理事会において御相談したいと思っております。――小林君。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 私は、日韓癒着の問題に対する本会議場やあるいは本委員会における総理の御答弁を聞いていて、総理はまだ事の重要性を深く御理解になっていないのではないかという感じを受けるのでございます。それでこれをまた繰り返し申し上げますが、第一問として、レイナード氏の信頼性、これを一体どうお考えになっているか。一市民の発言ではないか、こういうふうに言われておりますが、申し上げるまでもなく、レイナード氏は今年六十歳、ロードアイランド州のブラウン大学出身、国務省に入った後、一貫してアジア畑を歩いてきた。一九五二年から五五年まで駐日大使館の文化担当のアタッシェを務めた。一九五九年から六二年までソウル米大使館に政治担当の参事官として勤務をした。一九七〇年から一九七四年まで米国務省韓国部長の要職にあり、韓国の問題に関しては実務担当者として最高のポストにあった人である。その現職の韓国部長時代に知り得た具体的な事例に基づいて彼は証言をしている。現在、民間外交国防問題研究団体の国際政策研究所や国防情報センターに所属して、主として極東問題をいまでも研究している。KCIAの不法活動追及中のフレーザー委員会にもしばしば出席をし、有力な証言をしている。米政界買収工作事件の中心人物である朴東宣氏や元アルバート下院議長秘書のスージー・トンプソン夫人がKCIAの手先であることも、これはアメリカ議会の中で証言して、この証言に基づいてフレーザー委員会も動いているのでありまして、これを一市民という言葉でその証言を軽視してよろしいものかどうか。私はむしろ、この一応専門職にいた外交官が、OBになっても真実を国民に知らせようとしてあらゆる機関を利用してしゃべっているところにこそアメリカの民主主義がある、アメリカの役人の個性があると見ている。わが日本の外務省の官僚のように、OBになったところでまだ役人のつもりで不正を隠し、真実を隠し、物欲しげにあちらこちらふらふらふらふらしているというこの醜い姿から見れば、むしろ私はこちらの方がずっとりっぱだと思う。これは実にアメリカ国民に仕えている姿だと私は思うのでありまして、私は、この点を首相にいま一回このフレーザー証言の信憑性について所見を承っておきたいと思うのであります。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 私は、先入観念として、自民党の領袖といたしまして、自民党の議員がどういう動きをしているかということにつきましては重大なる関心を持ち、よく見ています。私の観察の結果、私は日韓関係におきまして、KCIAからわが国の、しかも自由民主党の議員が金をもらったというよううなことは、本当に考えられないのです。そういうようなことは、私ども見ておって、あればはだに感ずるのです。そういうようなことで、私はそういう前提があるものですから、何と申しますか、あの証言問題につきましてそう神経は使わない状態であったわけでありますが、しかし、あれが大きく新聞なんかに報ぜられるというようなことになりますと、これはわが国の政治の名誉の問題にもなってくるわけでありますので、そこで、在米、在韓両大使をして調査をせよということで調査をしたところ、午前中外務大臣からお答えを申し上げたようなことになっておるわけです。しかし、それで終わりというわけじゃないのです。レイナード自身に会って、そうして事情を聴取するということが一番まず手がかりとしていいのじゃないかというので、接触を試みさせておるのです。しかし、どうしてもまだこのレイナード氏が会ってくれない。こういうような状態で推移しているというのが現状でありまして、日本の政治、その尊厳ということを考えまするときに、これを決して放置しておるわけではないということを申し上げさせていただきます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 自民党の総裁として、自分の指揮下にある議員諸君がそういう汚名にいるということを一応守ろうという総裁の立場は、私どもはわかります。わかりますが、それについても、時間がありませんから先へ行きますけれども、レイナード氏は宇都宮議員に対し、日本政府に対する怒りを込めて言っていられたそうです。それは、彼も韓国部長で韓国へ行った帰りには、そのときには日本の外務省もしばしば情報を教えてくれと言って彼を招待して、下にも置かざる姿で彼からいろいろ教訓を得、情報を取っていたことも事実なんでありまするから、日本という国は何というエゴイストな国であるかということで怒った。それを含めて彼は、日本は韓国問題を遊び半分のゲームをやっている、そんな不まじめな態度をやめて、もっとまじめにやりなさい、第一が金大中の問題である、金大中事件は日本の法域内で起こった事件である、証拠を残したままの金東雲は韓国におる、その指揮をとった金在権公使はアメリカにおる、そうして被害者の金大中氏は牢獄につながれている、KCIAがやったことは全く明らかである。こんな矛盾したそのものを、一番の被害国である日本の政治や日本の政府が黙って見ている手はないじゃないですか、こう言っていたというのでありまするが、私はまことにこの言葉を聞いて返す言葉もないのであります。なお、フレーザー委員会のフレーザー氏は言っているそうであります。日本の国会ではKCIAの調査が進んでいますか――それは彼はアメリカでKClAの活動をいま調べているのでありますから、しかも彼はKCIAの活動がアメリカよりもっと露骨に激しく日本でやられていることを知っておりますから、KCIAの調査は日本で進んでいますか、日韓癒着に基づく調査委員会は日本の国会の中にありますか――彼はアメリカよりも日本がもっと日韓癒着していることを知っている。しかもアメリカは、フレーザー委員会を設けたり倫理委員会を設けたり、また特別委員会を設けて、それを調査している。現にフレーザー氏は、アメリカの議会では米韓癒着を徹底調査する特別委員会を発足させ、その委員会は韓国、日本にも調査に参りました。しかし、それはあくまでも米韓癒着を調査する委員会であって、日韓癒着を調査する委員会ではありませんから、日本のことは日本自身でどうぞやるべきです、こう言っていたというのでございまするが、この言葉に、同じ民主主義の議会の中でも、この金大中韓国問題一つに対する日本の国会とアメリカの国会との物の受け取り方が余りにも違うので、私は情けないのであります。  そこでこの際、私は首相にまずお伺いしたいのです。せめてこの金大中事件やこの政治工作事件、日韓癒着の問題について、あなたが自分の政党や仲間を守ろうとする気持ちはいいとして、その本当に守る気持ちがあるならば、守るためには真実を追求するという姿勢が出てこなくちゃいけない。守るために隠そう隠そうとする姿勢がもし福田総理にあるとすれば、私どもは、少なくともあなたに対する百年の恋を冷めさせなければいけない。そこで、アメリカ議会に右へならいして真相究明のために積極的な行動を起こす、本当にあなたの信頼する同僚なら同僚のために真実を追求する行動を起こす、その具体的な方法として、まず総裁として自民党を説得して、この国会内に日韓問題調査特別委員会、アメリカの委員会に準ずべきものを設置するということを、私はあなたがむしろ提案されてしかるべきではないかと思う。アメリカは、日本の国会に置かないのが不思議だと言っているのであります。ロッキードの前例もあります。余りアメリカだけに資料をもらうようなけちな気持ちはやめて、みずからの力で真相を究明するという姿勢をこの国会の中に持つべきだと思いますが、この点はいかがですか。これが一つであります。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 アメリカのフレーザー委員会の証言がどういう程度の信憑性があるのか、これはかなり私は事実と違ったところもあるような感じがするのですがね。とにかく、いろいろその論議がされておって、そしてこれは調査する必要がある、こういうことでありますれば、国会に頼むまでもありません、これは政府みずからも調査しますが、いまの段階で政府が犯罪というか、そういうようなことを考えながら調査するというような段階ではないのです。何か嫌疑がある、容疑がある、こういうようなことであれば、これはわが国の捜査能力を挙げて調査をいたします。私は決して、自由民主党の人だから、これを犯罪の容疑があるにかかわらずかばうというような態度はとりません。これは公党の名誉のためにも解明をするという立場をとりますが、国会の方にそういうような機能を持った委員会を設けるかどうか、これはひとつ国会の方の御相談の結果と思いますが、私といたしましては、それよりもさらに問題が非常に進んできておる、こういう認識をとるという段階になりますれば政府でやりますよ。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 私は第二番目としては、政府としておやりになるとするならば、捜査当局に対してもいま少し積極的に活発に動くように、これは総理みずからが指示をされたらいかがかという問題です。日本ではKCIAの調査が進んでおりますかとフレーザー氏に問われて、恥ずかしくて返事もできなかった。こういう状態からわれわれは逃れなければならないと思うのであります。一体日本の捜査当局は、単純などろぼうや人殺しを挙げるのは世界一だというのでありまするけれども、こういう国の基本に関するような問題になるというと、実に私は怠慢至極だと思っている。  ロッキード問題一つ考えてみましょう。だれが手をつけた。アメリカの国会の中で手をつけられた。去年の二月五日であります。それが日本のこの予算委員会にはね返って、われわれがこの問題を取り上げた。これは日本の国辱に関する問題だから、予算委員会の審議をやめてもまずこのロッキード問題の審査をしようと言って、アメリカの多国籍企業委員会で名前の出た丸紅だ、全日空だ、児玉だ、小佐野という諸君をこの予算委員会に証人に呼んで、そうしてその事実を聞こうじゃないか、これで二月の十六、十七日、あるいは三月一日に証人で呼んで、そうして事実の追及をした。そのときに、一体日本の捜査当局はこのロッキード問題に何の資料を持っておりましたか、何の調査をしておりましたか。われわれが初めて、その偽証を受けて、われわれの予算委員会でこの偽証者諸君を偽証罪で訴えた。この偽証罪で助けられて、初めて捜査当局はいわゆる国会の証言法に基づく偽証罪だからと言って、東京拘置所へ連れていって、そして二十日間ばかり置いていたら、初めてそこでゲロって、五億が出たの、やれ三十ユニットが出たの、ピーナツが出たのということで捜査当局の活動が始まった。そうですよ。だから、ロッキード問題は、残念ながら国会先行型です。予算委員会が国民の負託を受けて問題を取り上げたから問題の解明はここまで進んできたのであって、捜査当局は国会に先んじて、予備でも調査したという歴史は一つもない。これは恥ずべきことです。国民の前にこれは明確に言っていかなければいけません。  いま私どもは、この日韓問題でもそのとおりです。もしおやりにならなければ、これも必ずロッキードの二の舞になりますよ。私はここで予言しておいてもいいです。二の舞になります。それを何一つ調査をしてないということは怠慢至極だと思うのです。どろぼうもつかまえてもらいたい、詐欺もつかまえてもらいたいが、いま国民が挙げてこれほど疑惑を持っているものである。総理は軽く考えておりますけれども、国民のこの問題に対する疑惑と疑念というものは、これは実に深刻なものがあるのであります。それに捜査当局が一つも答えようとしないことは断じて了承できません。これをひとつ徹底的にやらしていただきたい。ロッキード問題の前例を再び繰り返すことのないようにやっていただきたい。これはお願いです。  第三番目として申し上げまするけれども、外務省の情報活動その他に対しても、もっと的確な指示をしていただかなければならぬ。外務省ほど国民に毒を流しても益をすることのない役所はない。全く正しい情報を国民の前に隠すことで狂奔をしている。何を一つ国民に知らせたことがありますか。何を一つ国民に提供したことがありますか。あったらひとつ示していただきたい。高禄をはんで……。昔の宮廷外交と同じです。秘密を保つことが外交だと思っておる。一体この日韓問題では、金大中事件に対しても、当時の金山韓国大使は何をやった、後宮大使は何をやった、いま大使をやっている西山がわれわれにどんな情報をこの国会に提供した。一つもないじゃないですか。事実をむしろ隠すことのみに狂奔をしている。この外務省の姿勢に対しても、私は厳重なる警告をしていただきたいというのが第三であります。  時間がありませんから第四番目の問題を総理にいま少し申し上げまするけれども、第四番目は日韓議員連盟、これは決して同僚議員の悪口を私は言うのではありませんけれども、けさの新聞に、いみじくもこの韓国側の韓日議員連盟の会長が金鍾泌氏、幹事長が李秉禧氏だ。この李秉禧氏という名前は、きょうの朝の朝日新聞もNHKのテレビもぐんぐん言っておりましたよ。李秉禧氏がいわゆる日韓の議員の癒着工作のために日本へ渡ってきた最高の責任者である。そうして、この人の手を通じてあらゆる贈収賄や汚職や問題が行われている。こういうことをあの権威のあるNHKが繰り返し繰り返し放送しておりました。あの日本一の朝日新聞があんなに大きく書いておりますよ。こういうことに対して、一体ここにいらっしゃる閣僚の諸君が黙っている手はありませんよ。私は閣僚の名誉のために申し上げる。  そこで、私はこの日韓議員連盟の名簿をくまなく調査をいたしてまいりました。恐らく福田総理もおいでになるだろう、こういうことで見てみたのでありますけれども、群馬県の同じ三区でも、中曽根康弘君が議員連盟の顧問に就任して、小渕恵三君も議員連盟二百三十二名の中に入っているけれども、見れど探せど福田総理の名は見えないのであります。まことに遺憾でございましたけれども、お見えにならない。だから、議員連盟にお入りになっていないのであります。総理はお入りになっていない。いないけれども、ここにいられる閣僚の中にも議員連盟のメンバーはたくさんいらっしゃいますよ。いまこれが問題になっているのでありまするから、朝となく夕となくこれは問題になっている。その人たちが議員連盟に入って、こういう大きくニュースに飛ばされているときに黙っている手はありません。みずから進んで、おのれがきれいならばきれいなことを発表するべきであります。渡辺美智雄君、厚生大臣、議員連盟の幹事です。長谷川四郎君、建設大臣、議員連盟の副会長です。宇野宗佑君、議員連盟の副会長です。塩川正十郎官房副長官、これは平の会員だ。坊秀男大蔵大臣、これも平の会員だ。田中龍夫通産大臣、議員連盟副会長。西村英一行政管理庁長官、これは議員連盟の顧問だ。最高顧問ではない、平の顧問だ。こういうわけで、この問題の議員連盟の中に入っている。そうでしょう。いま全部日本じゅうこれは沸かしているんでしょう。こういうことがあるならば、せめて、私は閣僚として議員連盟のメンバーであろうとも、そういう世間に疑いを持たれるような日韓癒着に対してはわれわれは関係はないぞと、積極的に発言すべきでありまするし、こうたくさんおいでになるのですから、いわゆる日韓閣僚会議というものをこの中に設けられている、閣僚会議を設けられている。そうして、いま国民が持っているこのもろもろの疑惑ですよ、金が流れたのを、特に金大中事件以来は、アメリカにまかれた金よりももっと大まかにその金が日本にまかれているということが堂々と言われておるのでありますから、そんなことがないならない、断じて明確に閣僚会議にも出して、そしてその結論を出されて、国民の疑惑の前に明確にされたらよろしいと私は思う。石原環境庁長官なんか、きょう朝言われた勝共連合の強力な御声援を受けて選挙にも悠々当選をされたはずでございまするけれども、何か、あるところではそれに対して感謝の辞も述べられているそうでありまするけれども、だから、あなたもその閣僚会議の中に入って、やはりそういうことを国民の前に明らかにしなければならぬ。私はこれがいわゆる政治的、道義的責任に関すると思います。どうですか総理、こういうことをあなた御指示になる気はありませんか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 まず第一に、このKCIAの問題について日本政府は捜査活動を始めるか、こういう話でありますが、容疑があるという段階になりますれば、これは捜査活動を始めます。  外務省の調査活動が徹底しないじゃないかという話でありますが、これはなお調査活動を活発にやるようにいたします。  それから日韓議員連盟についてのお話でございますが、これは私は、小林さんせっかくのお話でございますが、どうも余りいい御返事はできないのです。これはもうわが国は各国と友好関係にあります。ありますが、同時にこれは政府だけの努力じゃいかないのです。やっぱり議員活動というものが積極的に動かなければいかぬ、こういうので、あるいは日米の間におきましても、あるいは日英の間におきましても、日韓の間におきましても、あるいはあなたもやっておりますが、日中の問題にいたしましても、あるいは日朝の関係におきましても、それぞれ議員連盟なり、その議員会議というものがあるわけなんでありまして、ひとりただ単に韓国だけは議員連盟をやってはいかぬじゃないか、こういうようなことは私はどうもぐあいが悪いんじゃないか、そういう考え方はちょっと偏った考え方ではあるまいか、そういうふうに思うのであります。日韓議員連盟だけは――小林さん、これは日韓関係を進めるというその補助的な活動として活発にやっていただきたい、むしろその方が日韓関係が正常にいくのじゃあるまいか、そういうふうに思います。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 ちょっと総理は私の言うことを誤解されている。けさの朝日新聞それからNHKでも、こういう李秉禧氏が中心になって日本へ来て、そうして日韓議員懇談会から議員連盟というものをつくって、そうしてそこで多額の政治工作の資金を流している。不正な、いわゆるアメリカのレイナードの言う日本に多額の金が流れているという、その下ごしらえをしたのがいわゆる韓日議員連盟であり、それを受けて立ったのが日本の議員連盟である、こういうことが出ておりまするから、その問題についてわれわれは決して疑われるような余地はないぞ、明快だということを、閣僚ならば、みずから進んでそれを明らかにされる必要があるではないか。一片の国民の疑惑も進んで晴らす必要があるのではないか。これを言っているのであります。議員連盟がいい悪いなんて私はちっとも言っていない。大いにやっていただいていいが、その点を明らかにしていただきたいということでありますから、誤解のないように。  それからいま一つは、いわゆる第六回の日韓議員連盟総会が近く行われますね。金鍾泌氏以下四十二人の方々が日本へ大挙していらっしゃることになっております。恐らく私は、このときにはいま申し上げました幹事長の、日本担当の国務大臣をやられた李秉禧氏もいらっしゃると思うのであります。恐らく皆さん方には熟知の間柄でいらっしゃると思いますが、来れば、私は総理とお会いになると思います。それは前の総理大臣でありまするし、超一流の人物であります。私は、そのときには非常に興味を持っています。どういう会談が行われるかということを非常に興味を持っています。できれば私は、そのときの会談の中に総理にお願いしたいことは、この金鍾泌氏は、いわゆる金・大平メモというものをつくり上げて、金大中事件を政治的に解決をしたその責任者であります。金大中事件の問題は、日本の主権に関し、独立に関する問題です。政府がどう言おうとも、この問題が解決する――解決するというのは、金大中氏が再びもとの姿になって日本に自由に帰ってくる、出るまでは日本国民は了承いたしません。でありまするから、ひとつ時世も変わったことでありまするし、内閣もかわったことでありまするから、金と大平とのあの妥協メモはこれは白紙に戻して、金大中事件はいまひとつ国民の納得する方向で解釈をしようという、そういう話をしていただきたいと思います。私はこれだけを、時間がありませんけれども、これは総理に特にお願いをしておきたいと思います。  もう時間がだんだん迫ってきましたから、次に外務大臣にひとつこれも要求いたしておきます。  外務大臣、先ほど言われましたあなたの、アメリカ大使館、在米大使館、それから韓国大使館から来たあなたの読み上げられた報告書類、これは大変われわれにとって重要書類でありまするから、これは文書にしてひとつわれわれの手元に提出をしていただきたい。資料要求であります。資料要求、まだありますよ。それから、二月五日によれば、これはわれわれの情報でありまするけれども、アメリカの中央情報局、これも元高官、名前が要るとするならば、後で言いましょう。七三年八月の金大中拉致事件はKCIAの手で引き起こされたものであると明言をしている。いいですか、明言をしている。しかもなお、この高官は、KCIAから金大中事件の直後に日本政府関係者にかなりの金が流れていると語っている。これはひとつ外務省で調査をして、その結果をこれも直ちに報告をしていただきたいと思います。  なお、私が外務省の調査能力がないと言ったのがお気に召さなければ、ひとつこの際調査能力を大いに発揮をしていただきたいと思うのでありまするが、いま一つは、金大中拉致事件につき、金大中氏の身柄をめぐって日米両国政府が大使館レベルで東京とワシントンで協議をした。いいですか。その相手は、日本側は法眼晋作当時の外務次官、米国側は米国務省のスナイダー極東担当次官補である。この事実を、これは事実なんでありますから、その協議の内容についても、何も国民の前に秘密にしておく必要はないのでありますから、外務省はその話の内容をひとつお聞かせを願いたい。  なお、その会談があったときに、同じ会談があったときに、また別口で、いわゆるわが日本の高島益郎、いまどこの大使をやっていますかな、高島益郎と、それからいま問題になったそのアメリカのレイナードが、これはまた別であります、こっちは法眼とシュナイダー、こっちはレイナードと高島益郎とがこの金大中事件で話をしております。この記録もできる範囲ひとつお知らせをいただきたいと思います。  それからいま一つは、これはレイナード氏が一九七四年暮れに国務省をやめるときに、総括報告書というものを作成をいたしまして、これをキッシンジャー国務長官に提出をしているのであります。ところが、この写しが日本の外務省に入っているという確実な情報を得ている。たしかこれは宮沢外務大臣の手を通じて日本の外務省に入っている。これも支障がなければぜひ資料として御提出を願いたい。  それから、同じく五十一年の三月十七日、フレーザー委員会の秘密聴聞会でレイナード氏が証言をいたしておりますが、これはなお秘密になっております。秘密になっておりますが、その内容は同じく日本では宮沢前外相の手にそれが入手されている。外務省の高官は知っているはずだ。こういうこともわれわれは情報をとっております。これもひとつ支障のない程度に、国会です、国会にひとつ御提出を願いたい。  なお、いま一つ、金相根元アメリカ駐在大使館参事官、FBIで米韓、日韓両国癒着の問題について、これは一切を告白をしております。これらの調書が公表されると大変なことになるだろうというのでありますが、外務省はこの資料も持っていられるはずだ。金相根です。金相根元アメリカ駐在大使館参事官。この資料も外務省はあるというのでありますから、これもひとつわれわれにお示しをいただきたい。お示しをいただかぬでも、われわれの方は別口で手に入れますから、そのときに、ないなんと言ったときにあなたたちがお困りになるわけでありますから、まあまあひとつ素直にお出しをいただきたいと思うのであります。外務大臣にはもう答弁は要りません。資料さえ出していただけばよろしいのであります。それも早急に出していただけばよろしい。それをいただいてから――それじゃ御返事をちょうだいいたしましょう。

鳩山威一郎自由民主党外務大臣

○鳩山国務大臣 ただいまたくさんの資料でありましたが、まだ調査してみらいとあるかないかすらわかりませんので、調査の上、御提出できるものがあれば極力御提出できるように努力いたします。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 ここら辺でひとつ外務省が精神を入れかえて、われわれ国会の要求に素直に協力せられることを切に願って、次に、捜査当局にひとつ質問いたしたいと思うのであります。  金大中事件に対する捜査本部はまだ存続をしているというのでありますけれども、一体その後の捜査の状況はどうなっているのか、これを承りたい。今日に至るまで、金大中事件に関し、国会は毎国会毎国会これほど真剣にわれわれは質問を繰り返しているにもかかわらず、まだ捜査当局から中間報告を受けたこともなければ、資料もちょうだいしたことがないのであります。願わくは、今日この段階に至るまでの捜査の全貌を報告書類にしてひとつ御提出を願いたいと思うのであります。以上、いかがでございましょう。

三井脩警察庁警備局長

○三井政府委員 金大中事件につきましては、当初の捜査本部を縮小いたしましたが、今日なお捜査を継続しておる次第でございます。したがいまして、捜査の内容についてただいまの段階で、継続中でございますので、捜査内容の発表については差し控えさせていただきたいと思います。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 どうして発表できないのですか。あなた方は捜査をしているというだけの話であって、その実績一つ国民に示さないで、それであなたたちの任務が全うされたと思われるのですか。国会に対して、国民に対して、それで責任を果たしたとお考えになりますか。少し国会を軽視し、国民を軽視したそういう姿勢じゃありませんか。出せないという理由をいま少しはっきり言ってください。

三井脩警察庁警備局長

○三井政府委員 現在引き続き捜査を継続をしております。したがいまして、捜査終結段階でございませんので、捜査に支障のあるものについては提出を差し控えさせていただきたい。  なお、従前も国会で御質問に応じて捜査に支障のない限りにおいてはお答えを申し上げておるところでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 私は、それほどのことでは了承できません。一体、捜査本部を縮小したのは、どういう程度に縮小して、いま何人が、どれだけで構成されて、どれぐらいの活動をしているのか。少なくとも、捜査をした人員が延べ何人くらいか、捜査した個所はどれくらいか、少なくとも、努力をしているくらい、それくらいの報告はあってしかるべきだと私は思う。何もできないなどということは、いかにも国会というものをいんぎん侮辱に軽べつをした姿だと私は思う。了承できません。どうしても文書でひとつ提出をしていただきたいと思います。これは、提出をしなければ、この予算の審議にも重大影響があることをひとつ腹に構えていただきたいと思います。  第二番目に私は申し上げますが、KCIAの国内における活動についても、金大中拉致事件、その後の資金工作など、アメリカ側も日本国内の世論も、これはほぼ確定的な事実として皆信じている。それに対して捜査当局は何も知らないと言う。一体こんなばかな話があるかと私は思っている。KCIAの活動について、本当に知らないのですか。知っていても言えないのですか。この点について御答弁をいただきたいと思うのであります。

三井脩警察庁警備局長

○三井政府委員 金大中事件については、かねて申し上げておりますように、犯人が大体六人でございますけれども、そのうちの一人、金東雲につきましては、これははっきり識別、特定することができたわけでございます。その他の五人については、現在までの捜査で、だれであるか割りつけるところまで至っておりません。なお、捜査の現在までのところの結論はそういうことでございまして、これがKCIAによる犯行であるかどうかということは捜査の過程においても、現在まで判明いたしておりません。  以上でございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 私は金大中のことを言っておるのじゃない。金大中のことも含めて、このKCIAの捜査を、一体その活動の捜査をあなた方は何らチェックをしていないのかどうかということを聞いているのであります。アメリカにおいてはそのとおりだ。KCIAのアメリカにおける活動を必死になって追及している。日本にはもっと露骨にKCIAの活動がある。日本の政府も日本の捜査当局もこれをおやりになっているのでしょうねとくどく念を押されても、われわれは答えられない。世界のどこへ行っても聞かれて答えられるように、われわれにはっきり返事してくださいと言っている。やってないの、一体KCIAの調査を。

三井脩警察庁警備局長

○三井政府委員 どんな団体や個人でありましても、違法行為があるときにはもちろん警察として捜査するわけでございますが、KCIAがわが国においてそのような違法行為をやったという点につきましては、ただいま申し上げました金大中事件の例でもそうでありますけれども、その種のことはわれわれとしてはわかっておりません。したいまして、これを捜査の対象にするという段階ではないということでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 全く、私はもうそれが事実ならば残念にたえないです。日本という国は、それではもう何といいますか、それは……(「人名を出して具体的に聞いた方がいいよ」と呼ぶ者あり)  まあ時間がありませんから次にいきますが、金大中事件の問題に戻りまして、金大中が拉致された、その自動車のいわゆる所在と持ち主は明らかになりましたか。アンの家と称する、アンの家という金大中氏がかくまわれた家の所在は明らかになりましたか。ボートに乗せられて砂浜から拉致せられたという、そのボートの所在は明らかになりましたか。この点ひとつお答えをいただきたいと思うのであります。

三井脩警察庁警備局長

○三井政府委員 まず、ホテルから連れ出されるときに乗せられた車、これは最後のナンバーが二〇七七でございますが、それと十三時過ぎあのホテルを出たという、こういうナンバーと車、それが一致するもの、これを洗いましたが、全国で約三千台くらいありましたけれども、そのうちの数台にしぼりました。しぼった中の一つの車が横浜ナンバーでありまして、これの所有者が、横浜の韓国総領事館の劉永福領事の所有する車であるというところまでわかっておりますので、これは数台の中の一台、こういうことでありますが、状況から見て、この犯行に使われた容疑が濃いというところまできております。  また、アンの家につきましては、これも数千、一万近いアンの家の候補といいますか対象として捜査をいたしました結果、それというものは特定するに至っておりません。  ボートにつきましては、大きな船三十数隻、小さな舟、約二千であったと思いますけれども、小さなボートでございますが、これについても一々捜査をいたしました。本件犯行に使われたものと認めるに足る材料、資料は出てきておりません。  以上でございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 あなたは、この大阪市天王寺真田山町六の十一に住む林秀夫、韓国名林秀根、これは日本に帰化した人でありまするが、こういう人をお調べになったことがありますか。――時間がないんだから、余りそっちまで行かないで、ここらにいなさいよ。

三井脩警察庁警備局長

○三井政府委員 ただいま申しました数千軒のアンの家の捜査の中で捜査をいたしました。この人についても捜査をいたしました。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 その林の捜査の結果はどうなりましたか。

三井脩警察庁警備局長

○三井政府委員 本件の犯罪との容疑を認定するところに至っておりません。むしろシロということでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 私は、時間がありませんからこれは申し上げますが、この林秀根というのは、本籍は済州島南部、当年四十七才。これは日本にいられて、そして観光株式会社を経営して、飲食店、クラブ、バー、喫茶店、マージャン、ゴルフ場、キャバレー、パチンコ店などを経営されているのでありますが、この人と非常に親しい人に洪炳喆という人がいる。この洪炳喆というのは御存じでございますか。洪炳喆、御存じですか。

三井脩警察庁警備局長

○三井政府委員 その名前、ただいま私は存じません。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 存じない。これはしばしば日本へ来ている人であります。これは現在韓国の国会議員です。これも同じく済州島選出です。四十九才です。この人の経歴を若干申し上げますと、これは一九六一年、いわゆる朴大統領がクーデターで最高会議議長になられたときの警護室の計画課長になられた人であります。六三年には中佐から予備役に編入されて、同年、大統領警護室で、いわゆる企画課長になられた。六八年には企画室長になった。そして七一年には、いわゆる国会議員の選挙に朴大統領の意図を受けて済州島から民主共和党の国会議員に当選をして、そして七三年の選挙にも当選をしていられるわけだ。これがしばしば日本へ来ていられるわけでございますが、この洪と林秀根氏というのは非常に親しい。同じく済州島出身だということもありまするし、年齢も近いということもありまするが、その他いろいろの関係で近いのであります。  この人との交わりの中で、この林秀根氏が、金大中氏が拉致をせらるる四十八年の八月ころ、七月にはもうこの洪氏が日本へ来ておりまして、そして、上野のホテルに投宿をせられて、そして金大中氏が同じく泊まっていられたそのホテルの中で、韓国民主回復統一促進国民会議というものをおやりになっているところを、それをスパイをされたり様子を知ったりしている非常に不審な活動があったということも明らかになっているのでありまするが、この人の滞在中のその八月の八日の日に金大中氏が拉致をせられた。そのときにこの林秀根氏が、これはモーターボートを持っている。モーターボートのマニアなんだな、これは。そして、モーターボートを持っていられたが、その金大中氏が拉致せられたときに、彼は兵庫県の西宮市の鳴尾港にあるヨットハーバーに預けていた自分のボートを出して、そしていなくなっちゃった。けれども、これに対して本人は、いや実はあのときには何か子供を呼んでチャリティーショーか何かやる企画があって、淡路島まで行ったので、いなかったんだと言っているが、そのボートがヤマハの、何でありまするか、ヤマハの二八CR三百七十六馬力の船というので、金大中氏が目隠しで乗せられたそのボートの感触と同じだな、どうも似ている。しかも、それに乗せられて一時間ばかり乗せていかれて、今度は大きな船に乗せられたと金大中氏は言っているが、状況が似ている。こういうことも三井さん、お調べになりましたか。

三井脩警察庁警備局長

○三井政府委員 当時、捜査いたしました。それで、いまおっしゃった林秀根という人は、私たちの調べでは、帰化をしておらない、永住許可をもらっておる在日朝鮮人だと理解しておりますが、ほかのパチンコ店とかいろいろやっておるという点、並びに年齢等も一致しますので、この人のことだと思いますけれども、そういう人でございます。  また、事件当時、西宮市の鳴尾マリーナに所属している、本人が持っておるモーターボートについて、状況を調べました。八月七日は、従業員、家族と一緒に家島海水浴場に行き、翌八日は全然使わず、翌九日に試運転に使ったと、こういうような状況も判明いたしておりますので、本件事件との関係は薄いということで、捜査はその段階で終結しておるということでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 それは三井さんみずからがお調べになったのじゃないと思いますが、われわれの方の調査によりますと、彼は、ともかくチャリティーショーに行くんだというふうなことで行ったというので、一体どこでそのチャリティーショーがあったのかということで調べてみたら、それは昭和四十八年の八月五日であって、彼が子供を連れてチャリティーショーをやった日にちと三日間のずれがあるということが一つ。  それから、警察を疑って悪いけれども、この林秀根は、山口組の力を背景にしていられた暴力一団、山口組も暴力団でしょうけれども、これは、亡くなられたのでありますが、陳伝鋒と称する山口組の最高幹部、日本名益原という人と非常に親しい。彼が持っているビルディング――彼はビルディングを持っている。そのビルディングの中に山口組の最高幹部が事務所とレストランを持っていられて、またそのレストランを林君の奥さんが支配人になって経営をしているというような、共同経営もしていられるという非常に親しい仲だ。この陳伝鋒さんと、例の姫路の署長の藤田忠夫氏、いわゆる暴力団の結婚式に出席した云々ということが非常に世人の批判を受けて、ついに警察を馘首せられたか処分をされたか、おやめになった有名な警察署長だ。この人が結婚式に出たその息子さんというのが、いま申し上げます陳伝鋒、この林秀根と実に仲がいい。その山口組の巨頭の息子の結婚式にいまの藤田署長が出席をされた。彼は、そのときにはやはりビルもあればモーターボートもある。そのときには姫路署長ですか、尼崎の署長などをやられて、その近くにいられた。だれがお調べになったのかわかりませんけれども、どうも、この結びつきができているから、われわれの調査でいけば、これはアリバイなんかどう考えてもありようがないのを、いまあなたのお話によれば、何か子供を連れて、家族を連れていってアリバイが明確だとおっしゃるんだが、そこら辺いま一度調査をおやりになってみる考えはございませんか。

三井脩警察庁警備局長

○三井政府委員 藤田姫路署長は、その前任が尼崎中央署長でございまして、尼崎中央署長在任中陳伝鋒氏と知り合いになったということはわかっております。陳伝鋒氏と林秀根氏との関係というのは私詳しく存じませんけれども、藤田署長は、尼崎中央署に四十九年の三月に異動で着任をいたしまして、それまでは本部の交通部におったわけですが、それから初めて陳伝鋒氏と知り合いになったということでございますので、事件が起こってから一年近く後に行ったということでございますので、その点私は関係ないと、こういうふうに思いますが、先ほどの韓国国会議員のお話といい、この点といい、せっかく二十三名の体制で継続しておりますので、その捜査の中で解明していきたいというふうに思います。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 なお、この林秀根は尼崎市内に六階建てのマンションを持っているんです。マンションを持っていますね。それが内部構造その他アンの家に非常に似ているんですね。金大中氏がかくまわれていたというところの構造と非常に似ているんだな、金大中の感覚と。しかも名神高速道路に近かったという。このビルもまた名神高速道路に近い。そして、いまあなたがおっしゃるように、なるほど藤田個人から言えば、それはその人が署長に就任される前の話であるかもしれませんけれども、この署長だけが暴力団と癒着をしていて、あとの警察官は神のごとくきれいだと、私に信じろと言ったって、私どもに信じ得られましょうかね。そういう署長が出る雰囲気が、やはり兵庫県下の警察の中に若干あったのではないかということになれば、ものを疑ってかかるというのは悪いのでありますけれども、これほど濃厚なる被疑があるのでありますから、いま一度どうでしょう、これは洗い直して根本から調査をしてみるという必要があるんではないかと思いますが、いかがでありますか。

三井脩警察庁警備局長

○三井政府委員 ただいまの林秀根氏及びその、実際奥さんの所有のようでありますけれども、このビルの形状それから階数等は、金大中氏が供述しておるいわゆるアンの家とは違うわけでありまして、現在違っておるのみならず、事件当時から引き続きいまのような使用法をしておったということでありますので、違うと思いますけれども、継続捜査の中でそういう点もさらに改めて追及してまいりたいと思います。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 まだ私どもは、金大中氏が目を隠されて隔離をされているときに、「アン」という言葉なんか何で出ただろうかということでいままでわからなかったのでありますが、初めてこれは――この調査の資料によりますと、これがやはり、林秀根君の支配下にある各会社の名義上の代表者は内妻になっている。その内妻というのが安田という四十歳の女の人でありますが、その女性が、いまでは日本籍だが、その帰化する前の名前が安だというんだ。そうすると、初めて、ははあ、これは金大中氏が「アン」という言葉を耳にしたという、いみじくも安がこの林秀根の内妻のいわゆる韓国の名字であったというふうにつながってくるわけです。これは全くわれわれは作為的にできたわけじゃありません。これで「アン」の名前がわかった。そういうことに疑点が幾つもあるのでありますから、ひとついまのお話で、調査をし直すということでございますから、これはぜひやっていただきたいと思います。ぜひやっていただきたい。われわれが了承するようにやっていただいて、そして問題のけじめをつけていただきたい。繰り返して申し上げまするけれども、あなたは、捜査当局は機敏にやっているとおっしゃるが、私どもはどうも国民の側からは納得できないのであります。どうも、どこか政治的権力といいましょうか、政治的妥協といいましょうか、そういうものの見えない圧力に加えて、警察が、どうも国会もうるさいからそう捜査本部を解消するわけにいかないけれども、細々と、あるがごとくなきがごとくこれはやっていこうというふうな、どうもそういう態度で、言いわけのために残されているんじゃないかと勘ぐれば勘ぐらざるを得ないような情勢でありますから、繰り返して申し上げます。  問題は、いままでの経過をどうしても報告書類にまとめてお知らせをいただきたい。それから、いま申し上げましたこの問題も徹底的にひとつ調査をしていただいて、その調査の結果をいま一度この委員会で御報告をいただきたいと思うのであります。くどいようでありますが総理大臣にお願いいたしますけれども、この金大中事件は、わが日本の主権と独立に関する問題でございまして、決して政治的な話し合いでできるような問題ではありません。しかも、前の三木総理大臣は、なるほど問題の処理はいたします、けれども、金大中氏は韓国の国内法でいま拘置され、あるいは裁判にかかっているのであるから、それまでも干渉ができないなどという、実におかしな答弁で逃れておりましたけれども、西ドイツにおきましては、御承知のとおり、西ドイツから拉致された学生については、韓国で国内法で死刑にされ、無期懲役にしても、国際関係上そういうことは了承できぬと、必ず一度西独へ返せと言って、ついに韓国から、その不法に拉致せられた学生が一度西独政府へ帰ってきて、そして西ドイツ国家の独立と主権を守ったという、そういう前例がちゃんと戦後にもあるのであります。こういうことを外務省のへっぽこ役人に言うと、それはドイツと韓国は離れているからいい、日本と韓国は隣り同士だからドイツのまねはできない、そういう愚にもつかない理屈を言っている。日本の主権や独立を侵されて、国が離れているからはっきりするが、そばにいるから言いたいことも言えないなどという、そういう理屈は許されるべきではありません。何といっても、われわれは、この問題が明確にせられるまでは、私は死ぬかもしれませんが、社会党の命のある限り断じてこれは追及するのでありまするから、総理もその意味において、くどいようでありますが、金鍾泌氏も来られるのでありまするし、いわゆる問題の李秉禧氏も来られるのでありまするから、この日本の国会の毅然とした姿勢を総理の口から伝えられて、問題をひとつ振り出しに戻して、明確な国民の納得するような結論を出されるように私はお願いをいたしたいと思うのであります。捜査当局、よろしゅうございますね。いいでしょう。了承します。  福田総理の答弁を……。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 金大中問題につきましては、外交案件としては決着を見た問題でありますが、刑事事件としては徹底的に解明し、その結果は国会に報告します。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 私は、もう時間が参りまして、これは予定をした質問が何もできなくなりまして残念至極であります。ついにこれはロッキード問題に質問が入ることができなくなりまして残念でありまするけれども、駈け足でひとつ申し上げたいと思います。  総理は、三十一日施政方針演説において、ロッキード事件について、ロッキード事件の徹底究明は必ず実行し、その結果は国会に報告すると述べられたのでありますが、総理の言う徹底的究明とは、検察によるシロクロを明確にするというにとどまるのか、それともいわゆる灰色を含めて事件そのものを徹底究明して国民の信託にこたえ、もって国民の信頼を回復しようとするのか、その具体的な内容をひとつお示し願いたい。これは基本的姿勢であります。三木前総理は政治生命をかけるとまで言われたけれども、三木前首相の方針と現福田首相の方針と少しニュアンスが違うのではないかというのが国民の疑点でありまするけれども、この点についてひとつお聞かせを願いたい。総理は施政方針において、ロッキード事件を徹底的に究明し、その結果を国会にまた報告すると言われたけれども、その報告の時期を一体いつに設定をしておられるのか、その内容はまたいかなるものを予定しておられるのかということをお聞きしておきたいと思うのであります。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 私がロッキード事件につきましてはこれを徹底的に解明してその結果は国会に報告しますと、こう申し上げておりますのは、これは刑事事件についてであります。社会的、道義的責任につきましては、これは国会の問題として解明せられたい、こういう趣旨であります。また、報告をいたすということでございますが、その報告の時期、内容につきましては、国会の御意向も承りまして決めていきたい、かように考えます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 どうも総理は、政治的、道義的は国会の問題だというそのお言葉、前にもこれは三木総理もしばしば言われたのであります。私はそれはだめだ、国会の問題だと言われるが、総理は総理であると同時に与党、第一党のこれは総裁なんであります。総裁としての指導力をそこで発揮されていかなければ問題の処理にならない。そういうことを申し上げると、三木総理は、私は独裁ではないよ、だからそんな政党に対して自分の独裁権をなんてと言われていますけれども、これは愚にもつかない答弁でありまして、独裁と指導力は違うのであります。総裁というものはやはり一党を引き連れていくのでありますから、そこにやはり大きく指導力というものが物を言わなければならない。まあ国会の問題だと言われたが、自民党は選挙前にことごとく多数の力をもって、証人を喚問することも灰色高官を明らかにすることも、全部拒否されたことはそのとおりであります。  そこで、私が聞いているのは、灰色の問題や道義の問題を国会で明らかにするということはわかりまするけれども、それについて総理が、いま一体総裁としてどれだけの指導力を自己の政党に対して発揮せられるかということを私は承っておるのであります。お聞かせ願いたいと思うのであります。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 幾ら私が指導力を発揮いたしましても、たとえば灰色の問題、こういう問題につきましては政府から資料が出てこなければこれは解明できないのです。政府は灰色という問題につきましては、これはなかなかそう簡単には公開には踏み切れないのですがね。まあしかし、国会の国政調査権との関係がありますから、その辺はまた国会と政府という関係において協議しなければならぬ問題である、こういうふうに考えます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 私はこの際ひとつ総理にお考えおき願いたいと言っているのは、まあ国会議員にもその基本人権があるじゃないか、灰色だというような問題も基本人権を守らなければならぬとおっしゃいますが、私は、一般の国民の基本人権と公に奉仕をする国会議員の基本人権とはおのずから区別をすべきだと思います。私は公に奉仕する国会議員は、これは寝ても起きてもやはり全部の行動が公的に責任ある問題であるというふうに考えていかなければならぬのでありまして、自分の公的地位においてなすわざを、基本的人権があるからというようなことに隠れて問題の処理をあいまいにすることは、一般人には許されても、私は国会議員には許さるべきではない、みずからもっと峻厳に考えて、少なくともいささかも灰色なり疑点があれば進んで国民の前に明らかにする、進んで国会の証言台にも立つ、これくらいの議員には国民に対する責任が私はあるというふうに考えておるのでございまして、この議員の基本人権というものに対していま少し峻厳な考えを私は総裁としての首相にお願いをいたしたいと思うのであります。  なお、時間もありませんから急いで申し上げますけれども、いま国民が知りたがっているものは、もう丸紅じゃない、全日空じゃない、もっと大きな児玉ルートなのだ。で、一体児玉誉士夫という人が日本の政財界にどうしてこんなに大きな存在になったのか、これを国民は知りたがっている。これをひとつ徹底的に国会の中で追及してくれ。しかも、児玉誉士夫が受け取った領収証十七億円ですか、ちゃんと領収証がある。それがしかし冒頭陳述にも公判にも一つも出てこない。これは国民は不思議でたまらないのであります。何で一体これが明らかにならないのか。このもやもやをひとつ国会の場を通じて明らかにしてくれ。  次には小佐野賢治であります。これも実に無尽蔵に近い財産を持っていると言う。山口県の一農村に生まれた男が、戦後駐留軍に捕えられて、若干の刑を食ったのを契機にして、駐留軍と交流を結べたというけれども、あれよあれよという間にこの政財界との癒着をつくりながら、いわゆる巨万の富をつくった。大韓航空の株も持った。あるいは実に済州島から無限の――国際的な、ロサンゼルスに持ち、幾多の財産やホテルを経営する。それが一体どうしてこれだけのことができ上がったのかという、こういう経過を国会の場を通じて明らかにしてもらいたいというのが、これは国民の要望です。要望ですから、それにこたえるためにわれわれはいかんければならぬと思うのであります。だから小佐野氏がロサンゼルスでクラッター氏から受け取られたその金の五千万ドルですか、その行方さえもどこにどう流れたのかわからない、児玉の十七億ドルの受け取りはあるけれども、その金がどこへ流れたかわからない、そういうようなことを捜査当局も国会も一つも明らかにしないで、何で国民の負託にこたえることができましょうか。私は、この問題に対して、この予算委員会においても、いま一度えりを正して徹底的にこれをやるべきであるということを要望いたしまして、総理の御返答を承って、時間が参りましたから残念ながら私の質問を終わりたいと思うのでありますが、いかがでございますか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○福田内閣総理大臣 国政調査権に対しますロッキード事件についての基本的な考え方は、これは国政調査でありますから、その尊厳、それはよく承知しております。これに対しましては、政府はできる限りの御協力をいたします。ただ、捜査の問題がありますね。この捜査の結果についての御報告は、これは公判に影響のある案件になってくるのです。ですから、公判に影響のある案件につきましてこれを政府が公開する、これはなかなかむずかしいんじゃないか、こういうふうに思います。  それからもう一つ、これは個人の人権であります。人権に関する国政調査権への協力、これは、個人的人権というものはきわめて大事なものでありますから、慎重に扱わなければならぬ、そういうふうに考えております。

坪川信三自由民主党

○坪川委員長 先ほど小林委員より御要望がありました資料の提出の問題につきましては、理事会において協議を申し上げたいと思います。  これにて小林君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――

坪川信三自由民主党

○坪川委員長 この際、参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。  明八日、日本銀行総裁及び日本住宅公団総裁の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坪川信三自由民主党

○坪川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次回は、明八日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十二分散会

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