P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
80回国会衆議院1977/06/07

法務委員会 第20号

発言数
7
登壇者
2
会派数
2
開催日
1977/06/07

会議録

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 これより会議を開きます。  横山利秋君外五名提出、刑法の一部を改正する法律案を議題とし、提出者から趣旨の説明を聴取いたします。横山利秋君。     —————————————  刑法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————

横山利秋日本社会党

○横山議員 私は、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同、無党派クラブを代表して、ただいま提案のありました刑法の一部を改正する法律案に関する提案理由の説明を行います。  最高裁判所は昭和四十八年四月四日、昭和二十五年の旧判例を変更して、尊属殺人に特に重罪を科している刑法二百条は違憲無効であり、尊属殺人についても普通殺人罪の規定である同法第百九十九条を適用するほかはないことを示しました。これは、最高裁が憲法第八十一条に定められた違憲立法審査権に基づき、現行法の規定を違憲無効とした最初の判例でありました。  日本国憲法第十三条は、「すべて國民は、個人として尊重される。」べきことを規定していますが、これは個人の尊厳を尊重し、すべての個人について人格価値の平等を保障することが民主主義の根本理念であるという基本的な考え方を示したものであり、法のもとの平等を定めた憲法第十四条一項も、右の基本的な考え方に立ち、これと同一の趣旨を示したものであります。  近代国家の憲法がひとしく右の意味での法のもとの平等を尊重、確保すべきものとしたのは、封建時代の権威と隷従の関係を打破し、人間の個人としての尊厳と平等を回復し、個人がそれぞれ個人の尊厳の自覚のもとに平等の立場において相協力して、平和な社会、国家を形成すべきことを期待したものにほかなりません。日本国憲法の精神もここにあるものと解すべきであります。  刑法第二百条の尊属殺人に関する規定が設けられるに至った思想的背景には、封建時代の尊属殺人重罰の思想があるものと解され、同条が、配偶者の直系尊属を殺す場合までも刑を加重するのは、旧憲法下の家の観念を存続させるものであります。  ところが、日本国憲法は、封建制度の遺制を排除し、家族生活における個人の尊厳と両性の本質的平等を確立することを根本のたてまえとしこの見地に立って民法の改正を行ったのであります。  この憲法の趣旨に徴すれば、尊属がただ尊属なるがゆえに特別の保護を受けるべきであるとか、本人のほか配偶者を含めて卑属の尊属殺人はその背徳性が著しく、特に強い道義的非難に値するとかの理由によって、尊属殺人に関する特別の規定を設けることは、一種の身分制道徳の見地に立つものというべきであり、前述の旧家族制度的倫理観に立脚するものであって、個人の尊厳と人格価値の平等を基本的な立脚点とする民主主義の理念と抵触するものと言えます。  諸外国の立法例において、尊属殺人重罰の規定を廃止する傾向にあるのも、右の民主主義の根本理念が浸透してきたからであります。  親子の情は美しく、自然であります。だが、それは個人の尊厳と人格価値の平等の原理の上に立って、個人の自覚に基づき自発的に守られるべき道徳であって、法によって強制すべきではありません。強制の上に成立する制度がいかにもろいかは歴史が示しています。  普通殺人と区別して尊属殺人に関する規定を設け、尊属殺人なるがゆえに差別的取り扱いを認めること自体が民主主義の根本理念に抵触し、直接には憲法第十四条一項に違反するものであります。刑法第二百条だけではなく、尊属傷害致死に関する刑法二百五条二項、尊属遺棄に関する刑法二百十八条二項及び尊属の逮捕監禁に関する刑法二百二十条二項の各規定も、被害者が直系尊属なるがゆえに特に加重規定を設け差別的取り扱いを認めたものとして、いずれも違憲無効の規定であります。  よって、早急にこれらを全面削除し、関連条項を改正する必要があります。先の昭和四十八年、私どもがこの法案を提出して以来、自民党は党内議論が賛否いずれもまとまらずに今日に至っていることはまことに遺憾であります。すでに、刑法二百条は、冒頭に申し上げましたとおり最高裁判決によって空文となり、最高検の通達によっても同様の扱いを受けているのであります。  以上が本法案を提出した趣旨とその内容であります。この際、議員各位におかれましては何とぞ、この法案の趣旨に御賛同を賜り、速やかに可決あらんことを切望する次第であります。

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。      ————◇—————

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 この際、申し上げます。  本委員会に付託になりました請願は二十件であります。各請願につきましては、先ほどの理事会において協議いたしましたが、いずれも採否の決定を保留することになりましたので、さよう御了承願います。  なお、今国会、本委員会に参考送付されました陳情書は四件でございます。念のため御報告いたします。      ————◇—————

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  内閣提出、刑法の一部を改正する法律案  沖本泰幸君外二名提出、犯罪被害補償法案  沖本泰幸君外二名提出、刑事補償法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案  横山利秋君外六名提出、政治亡命者保護法案  横山利秋君外五名提出、刑法の一部を改正する法律案  裁判所の司法行政に関する件  法務行政及び検察行政に関する件 並びに  国内治安及び人権擁護に関する件 以上の各案件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、閉会中の委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  閉会中審査案件が付託になり、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣承認申請を行うこととし、その派遣地、期間、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午前十時五十四分散会      ————◇—————

国会会議録検索システムで原文を見る ↗