法務委員会 第7号
- 発言数
- 129 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1977/04/01
会議録
○上村委員長 これより会議を開きます。 沖本泰幸君外二名提出、犯罪被害補償法案及び沖本泰幸君外二名提出、刑事補償法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、提出者から順次趣旨の説明を聴取いたします。沖本泰幸君。 ————————————— 犯罪被害補償法案 刑事補償法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○沖本議員 ただいま議題となりました犯罪被害補償法案につきまして提案の趣旨を御説明申し上げます。 労働災害での労災保険、自動車事故での自賠責、一般の疾病、傷害、死亡での健康保険、厚生年金、公害被害での公害健康被害補償制度などのように、私たちが日常生活において生命、身体が損なわれた場合は、不十分だとはいえ、救済の制度が設けられています。 ところが、通り魔的犯罪、無差別爆弾テロなどのいわゆるいわれなき犯罪によって被害を受けた人たちは、どこからも特別な救済の手が差し伸べられず、精神的にも肉体的にも悲惨な状況のもとに放置されています。しかもいわれなき犯罪は近年次第に増加する傾向を示し、福祉国家を目指すわが国としては被害者をこのまま見過ごしにしておくことはできないところであります。 わが国における犯罪被害の救済は、現在のところ民法上の損害賠償制度による以外にありませんが、同制度は訴訟の長期化とそれに伴う経費の増大を避けることができないのであります。すなわち、同制度では犯罪被害者の窮状を速やかに救済することは実際的に不可能なのであります。 仮に訴訟を起こしたとしても、加害者側に賠償責任能力に欠ける場合が多く、よくてわずかな見舞い金を受ける程度、悪くするとそれすらなく、被害者の大半は泣き寝入りしているのが実情であります。中には、加害者が不明あるいはつかまらない場合も多く、現行民法の損害賠償制度は、犯罪被害の救済に対し、ほとんど効果を上げていないといっても過言ではありません。 このように犯罪被害者に対する社会的救済措置が極端におくれている反面、犯罪者の人権保障は刑事制裁の緩和、社会復帰対策の促進、収容施設の合理化及び近代化など積極的に推進されています。犯罪者の人権保障の充実は憲法の規定に基づくもので当然のことでありますが、同時に犯罪被害者の人権保障もあわせて充実されるべきであります。犯罪被害者の救済を怠るならば、著しく社会的公正に欠けるとともに、刑事政策上からも片手落ちの観を免れないのであります。 以上の観点から、犯罪によって身体または生命にかかわる被害を受けた場合に、国が速やかに被害者を救済する犯罪被害補償制度を樹立するため本法案を提案した次第であります。 以下この法案の内容の概要につきまして御説明申し上げます。 第一に、この法律の目的は、犯罪によって人の身体または生命が害された場合における被害を国が補償し、被害者またはその遺族の生活の安定を図ることとしております。 第二に、補償の対象となる犯罪被害は、日本国内における他人の犯罪行為に起因して、負傷し、疾病にかかり、または死亡した者の当該負傷、疾病または死亡としております。なお、外国人にあっては、日本国内に住所を有している場合に限り、補償の対象としております。 第三に、補償形式は一時金形式をとっておりますが、その種類として、加療期間が二週間を超える傷病の療養については療養補償金を、療養による休業については休業補償金を、後遺障害についてはその程度に応じた額の障害補償金を、死亡については遺族の態様により千五百万円または千万円の遺族補償金を掲げております。なお、健康保険法、厚生年金保険法、労働者災害補償保険法等により公的給付が支給されることとなる場合にあっては、その額を控除して支給することとしております。 第四に、扶養義務者等が加害者である場合においては、補償を行わないこととするとともに、被害者側にも犯罪行為の誘発等の責めがある場合、報復措置がなされた場合等においては、補償の全部または一部を行わないことができるとして、公平な補償が行われるようにしております。 第五に、補償機関としては、各地方裁判所の所在地ごとに、補償実施機関たる犯罪被害補償地方委員会を、法務大臣の所轄のもとに審査機関たる犯罪被害補償中央審査会を設置することとしております。すなわち、犯罪被害補償地方委員会は、三人以上九人以下の委員で組織する合議制行政機関であり、その権限及び所掌事務は、補償申請の裁定、補償給付の支給、加害者の賠償能力及び生活状況の調査等としております。また、犯罪被害補償中央審査会は五人の委員で組織し、委員は弁護士資格を有する者のうちから国会の承認を得て法務大臣が任命することとし、その権限及び所掌事務は、犯罪被害補償地方委員会が行った処分に対する審査請求の審査等としております。 第六に、補償の申請は、その申請をすることができるときから二年以内に、犯罪被害補償地方委員会に所定の申請書等を提出しなければならないこととする等補償手続等について規定を設けております。 第七に、この法律の公布日前二十年間に行われた犯罪によって被害を受けた場合も、公布日以後の補償事由について補償することとしております。 以上が本法律案の提案の理由及びその概要であります。 次に、刑事補償法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案につきまして提案の趣旨を御説明申し上げます。 現在の刑事補償法では、心神喪失等の責任無能力の理由によって犯罪が不成立とされ、無罪の判決を受けた者に対しても補償金が支払われることとなっています。 刑事補償の本来の目的は、いわゆる犯罪行為を犯していない者に対する補償を行おうとするもので、現に犯罪類型該当の違法行為を行い、かつ、責任無能力の理由で無罪となった者までをも補償する趣旨のものとは考えられないものであります。 昭和四十三年に、殺人者が、心神喪失中の殺人行為であるとの理由で無罪判決を受けた後に、その殺人者が国に刑事補償金を請求してきた事例において、東京地裁は、判決文の中で、刑事補償金の支払いが、法律上、やむを得ないものと認めつつ、「現行刑事補償法の立法的な解決を期待する」と述べております。また当時の法務省刑事局長も「健全常識から見て非常に非常識」と述べているのであります。 速やかな立法的解決こそ望まれるところであります。 しかも、さきにわが党が提案しました犯罪被害補償法案では、心神喪失等責任無能力の理由によって加害者が無罪となった場合においても、被害者等を救済することとしております。 当該犯罪行為によって、被害者等と加害者の双方が国家から補償を受けるということはきわめて不自然なところであり、常識的にも納得できないところであり、無罪の裁判を受けた責任無能力者に係る刑事補償については、裁判所の健全な裁量によってその一部または全部をしないこととする必要があると考えるのであります。 また、同様の趣旨により、無罪の裁判を受けた者に対する刑事訴訟法の規定による裁判費用の補償についても、犯罪類型該当の違法行為を行いながら責任無能力の理由で無罪となった者に対しては、その全部または一部をしないことができることとする必要があると考え、ここに本法案を提案する次第であります。 何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○上村委員長 これにて趣旨説明は終わりました。 両案の質疑は、後日に譲ります。 ————◇—————
○上村委員長 法務行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
○横山委員 質問をいたします前に、委員長に二、三お願いやらあるいは御努力をお願いしたいことがございます。 その第一は、先週の火曜日に私が統一神霊協会に関する問題で二時間有余質問をいたしました。その際、福田総理大臣が予算委員会で石橋委員に答弁をされたことを引用したと思います。福田総理大臣は、大蔵大臣のころ希望の日フェスティバルに出席をして、そして一場のごあいさつをいたしました。それに対して言及されたので、福田現総理大臣は、そのときの記録もありますから見てください、こういう趣旨の答弁をいたしました。そこで私は、委員部を通じて総理大臣に、その記録を本委員会に提出するよう求めたのでありますが、どうなりましたか。
○上村委員長 横山委員に申し上げます。 御要求の資料につきましては、委員部を通じて関係省庁等に照会いたしましたが、御要望に沿うことができませんでしたので、さよう御了承願います。
○横山委員 意外なことを承るものであります。いやしくも内閣総理大臣が予算委員会で、一党の書記長に対して、記録もございますからよくごらんを願いたいと言ったその記録がなかったということは、総理大臣としては、これはまさに食言と言わなければなりません。一時逃れで予算委員会の答弁をしたということでは重大なことだと思います。私は、委員長みずからこの問題についての処理をされたいのでありますが、いかがでございましょう。
○上村委員長 横山委員の御要望につきましては、理事会にも諮りまして善処をしていきたい、こう思います。
○横山委員 理事会の問題ではありません。もし委員長が、御答弁がそういうことであるならば、私は内閣総理大臣に対しまして直接質問主意書を提出する用意を整えておるわけであります。これはまた、予算委員会なり議院運営委員会の問題に波及するおそれがあると思います。したがって、私は、当委員会が本件を取り上げた機会に、その議事録を引用してお願いしておるのでありますから、理事会に諮ることなく委員長が責任を持って善処してもらいたいとお願いしておるのでありますが、いかがですか。
○上村委員長 理事会にいろいろ御報告することもございますので、諮りながら善処していきたい、こう思います。
○横山委員 これは決して理事会の問題ではございません。国会議員として資料要求をする根拠を持っておるわけであります。総理大臣が予算委員会で、記録がございますから見てくださいと答弁しておいて、記録の提出を要求したのにかかわらず、また、委員部が努力をしたのにかかわりませず、それがないとか、提出ができないとか、そういうばかげたことは国会の権威を侮辱するものだと私は思うのですが、委員長はそうお考えになりませんか。
○上村委員長 先ほど、委員部を通じて関係省庁等に照会いたしましたが、御要望に沿うことができませんでしたと、こう申し上げましたが、委員部の方から、各関係省庁等に照会しましたところ、それに該当する資料、書面は存在しないという報告がありましたから、そういうふうに申し上げたわけでございます。
○横山委員 わかりました。委員長が責任を持っておっしゃることでありますから、それを信用いたしましょう。 つまり、その記録は存在しないということでございますね。その記録が存在しないというならば、つい先日、予算委員会で福田総理大臣が言ったことはうそである、一党の書記長に向かって、記録があるから見てくれと言ったことはうそであるということになるわけであります。これはきわめて重大なことと言わなければなりません。 本件は事務的な問題ではない、まさに政治問題である。総理大臣がうそを言ったということになるのでありますから、本委員会において私がこの問題を取り上げたのを機会に、政治的に、委員長が、総理大臣に法務委員長としてひとつお話を願いたい、そう思いますが、いかがでございましょう。
○上村委員長 いまの点は、御趣旨をよく承りまして、そして善処をいたしたい、こう思っております。
○横山委員 わかりました。 第二番目に、この際、委員長にもう一つ伺いたいことがございます。 これは、その当時の思想新聞であります。この思想新聞に、福田当時の大蔵大臣のメッセージ、あいさつの文章が出ておるわけであります。 一応、朗読いたします。タイトルは、「文師はアジアの偉大な指導者 大蔵大臣 福田赳夫氏」となっております。文章どおり読みます。「アジアに偉大な指導者あらわれた。その名は文鮮明師である。今晩は文師にお会いでき、実に気持がいい、晴々しい気持だ。人間が人間らしいということは、お互いに助け合うところにある。そこに価値があると思う。文先生はそれを明確に示して下さった。今日の世相をみるとエゴがはびこっているが、神から授かった自然な情操を取り戻さないと、いい日本にはならない。この尊いものを取り戻すことが、政治家の使命だと感じている。自己の政治原理が整理された気持だ。(当日の挨拶から)」となっています。 このことについても委員部に確かめてもらいました。しかし、委員部が私に申したことは公式ではございませんから、これは差し控えます。したがって、委員長にお願いしたいのですが、言われたことはこの文章に間違いないか、もし間違っておるとしたならばどういうところが追加されるか、修正されるとするならばどういうところを修正されるか、あわせて御確認を願いたいと思いますが、いかがでしょう。
○上村委員長 そういう問題も含めまして、重要な問題でございますから、今後、理事会にも諮りながら善処していきたい、こう申し上げております。
○横山委員 あなたは理事会理事会とおっしゃるのですけれども、これはもう理事の諸君みんな聞いていらっしゃることでありますが、理事会に諮るべきことではないのであります。事の真偽はいずれにありやということを委員長に一遍確かめてもらいたいとお願いしておるわけでございますから、理事会に諮るべき問題ではない。当委員会の主宰者としての委員長に御努力をお願いしておることであります。
○上村委員長 わかりました。委員部の方から委員長の方へ先ほど申し上げたような報告が来ておりますが、委員部に再度確認をさせたいと思います。
○横山委員 事実関係の整理をお願いしておるのであります。しかし、これを確認するかどうかということは、委員部の事務能力に限界がございます。私は政治問題としてお願いしておるわけであります。委員長が委員部に対しまして、どこかへ行って、それは間違いないかどうか調べてこいということではだめなのであります。委員長みずからがこの問題について、一体記録があったのかなかったのか、それはうそであるか本当であったか、また、この思想新聞に載っております、当時の福田大蔵大臣の言ったことは事実であるかどうかということをハイレベルでお話を願いませんと、これは事務当局に任せただけではかえって問題が混乱する。事務当局の責任を追及しなければならぬようなことでも困ります。だれに会って、だれがそれをうんと言ったか、そうだと言ったか違うと言ったかということを考えますと、委員長みずからにお願いをしたいと、私はお願いしておるのです。
○上村委員長 いま横山委員がおっしゃることは、重要な問題だと受けとめて、そしてそのことによって善処をいたしたい、こういうふうに委員長が先ほどから申し上げておるわけですから、ひとつ御了承を賜りたいと思います。
○横山委員 わかりました。それでは、重要な問題として委員長が受けとめられたのでありますから、後刻、この問題について、重要なこととして委員長から御報告をお願いしたい。 第三番目に、理事の諸君にも私の気持ちをもう一度聞いてもらいたいと思いますし、理事以外の委員の同僚諸君にも聞いてもらいたいと思います。簡潔に申し上げます。 私は、先週、二時間有余にわたって世界基督教統一神霊協会に関する諸問題を提起いたしました。私は、憲法に基づく思想、信条の自由についてとやこう申すつもりは毛頭ありません。これはくどく私が言っておるところであります。その中に関連的に生じました違法、不当、人権の問題は、いまやわれわれとしては看過することのできない問題でございます。しかし、一方的な意見ばかり聞いてはいけないと思いましたから、私は理事会に、教会の会長であります久保木修巳氏、父母の会の代表者、それから入信しておられた人々を参考人として当委員会にお招きするようにお願いをしたところであります。先ほどの理事会で長時間をかけて議論いたしましたが、結論に至らず、次回の理事会で相談をすることに相なりました。 私も、提起をいたしました一人として、もし御了承願えるならばと思いまして、父母の会あるいは入信者の数多くの人に会って意見を聞き、決心をしてもらったわけでありますが、もし国会が招くならば参考人として出席をさせていただくということであります。しかし、そういう決心をするということは、同僚諸君もおわかりだと思いますし、御推察できると思いますが、並み並みならぬ決心が必要なのであります。そういう客観情勢の中にあります。それにもかかわりませず、父や母が子供のことを心配し、一家が破壊され、子供の変心とも言うべき諸問題が生じていたことについて、長年にわたって国会に陳情し、数々の政府に対する提起をして、政府が善処されることを望んできた人々にとっては、どんなことがあろうとも、とにかく国会が自分たちを参考人として招いてくれるということに心あふれるような期待を持っておるわけであります。私は、その人たちの言うことはすべて間違っていないと言っているわけではありません。もしも客観的な判断を必要とするならば、久保木会長、つまり教会側もそのほかの人たちも招いて結構でございますと言っておるわけであります。 委員長初め同僚諸君がその父母の会や入信者の諸君の意見をぜひとも本委員会で一回聞いてやっていただきたい。それを先ほども委員長にくどくお願いしましたけれども、改めて私は心からお願いをいたしたいと思いますが、いかがでございますか。
○上村委員長 この問題につきましては、この前、横山委員から一般質問の際にいろいろとお話がございまして、理事会でいまいろいろと協議をされておるわけでございまして、また、きょうの改めての御発言に対しまして理事会ともよく協議して善処していきたい、こう思います。
○横山委員 これはひとつくれぐれも同僚諸君にお願いを申し上げたいところでございまして、次回の理事会でそれらの人々の意中をくんで、国会が率直に国民の訴えとして、参考人として意見を聞いてやるように御配慮をお願いしたいと思います。 さて、本日は入国管理局関係の諸問題について伺います。 伝うるところによりますと、昭和五十二年二月四日、日本船鵬勢丸、シンガポールに九十九人の人が上陸して、三カ月以内にわが国の責任により同国から出国させる旨の保証をしておる。五十二年の三月十二日、インド船が、ベトナム難民三十八名が乗船しているのが宇野港に入港の予定。同じく三月十二日、リベリア船がベトナム難民十四名を乗せて大阪港に入港の予定との報告を受けたわけでありますが、これらインド船、リベリア船は現在宇野、大阪に入港をいたしましたかどうか、まずその点から伺います。
○吉田(長)政府委員 インド船は三月十八日神戸に入港いたしました。三十八名の難民を上陸さしております。騰勢丸がシンガポールに揚げました九十九名については、目下落ちつき先を国連の方であっせんをしております。そのあっせんが調った人々は、日本に来ることなく、あっせんされた先に行くことになりますが、あっせんし切れなかった人たちにつきましては、五月に日本に受け入れることになっております。 もう一つ、リベリア船につきましては、これはリベリア政府の保証がとれませんでしたので、わが国から去りまして、これはちょっと情報でございますが、フィリピンに上陸したと聞いております。
○横山委員 ベトナムからの難民の入出国状況表を見ますと、私の手元には、五十年の五月二日から五十二年の二月三日までの統計でございますが、上陸数三百八十三、出国数二百五十一、残留数百三十二となっております。この二カ年近い間に実にたくさんのベトナム難民が入出国をしておると思うのであります。これらについて、政府は基本的にどういう措置をなさっていらっしゃるのですか。
○吉田(長)政府委員 基本的にわが国は移民を受け入れない政策をとっておりますけれども、これらのベトナム難民につきましては、人道問題として、わが国が許せる限り協力するという基本方針をもって臨んでおります。 〔委員長退席、羽田野委員長代理着席〕 したがいまして、わが国に向かって来る船がこういう人たちを救助いたしました場合には、まずわが政府は、その船籍国政府に対して、あなたの国の船はこういう人を拾って日本に向かっているけれども、こういう人について最終的に責任をお持ちいただけるかどうかということを照会いたします。それと同時に、国連に連絡をいたしまして、国連としてもこういう難民について救助をしていただけるかどうか、こういう問い合わせをいたしまして、その相手国政府から、最終的には自分の方で責任を持つという回答を得ました場合に、また国連からも国連は難民としてこれを扱うという保証を得ました場合に、わが国は一時的にわが国に上陸を認めております。そうしてわが国にこれらの難民が滞在している間に、相手国政府及び国連が最終的にこれらの人が落ちつく先を探しまして引き取るということになっております。
○横山委員 ベトナム難民については今後もまだ継続をするものと思われるわけであります。これは国際人道上の問題から善処しておると言われるのでありますが、しかし、一方において、原則としてわが国は難民受け入れの国でないという原則を立てておられることについて、一体その原則と現実に難民が入ってくるものとの間の調整は、後者が、つまり人道的な立場というものが優先しておる、こういうふうに理解してよろしいのですか。
○吉田(長)政府委員 ただいまの私の発言の中でちょっとお聞き取りにくかったので誤解を与えたと思いますが、わが国が難民を受け入れないということではなしに、わが国は移民を受け入れない国策をとっているということでございます。
○横山委員 了承しました。 これとやや問題は違うのでありますが、不法入国の問題であります。 私も法務委員としてしばしばいわゆる不法入国に関連した問題のいろいろな陳情を受けております。これは「法務年鑑」の五十年版でございますけれども、これを読んで一驚しました。つまり驚きました。不法入国者検挙状況、四十六年が八百四十九、四十七年が八百九十二、四十八年千二百七十九、四十九年千四百三十三、五十年がちょっと減っておりますが千九十二となっております。 〔羽田野委員長代理退席、委員長着席〕 そして五十年のこの年鑑を見ますと、 本年中に判明したいわゆる水際検挙の集団不法入国事犯は十件、不法入国者百五十人で、うち被検挙者数は九十五人である。これら不法入国者はすべて韓国人で、出港別にみると、釜山九件、木浦一件であり、出身地別では依然として済州島出身者が圧倒的に多く八十九人(九四%)となっている。 また、 本年の集団不法入国事犯のうち、特異なものとしては、関釜フェリーを利用(通関済みのコンテナー搬送用車両の車軸の上に潜伏)した事案が、昭和四十五年回フェリー就航以来初めて検挙されたほか、日韓双方の密航ブローカーが緊密な連絡をとり、密航者を洋上で日本船に積みかえた上、自動車を利用して搬入した大がかりな組織的事案が二件検挙されている。すなわち、十月十日福岡県博多港において、対馬から入航した定期フェリーに積込まれたトラックに潜伏中の密航者三十三人が、また十一月十一日大阪市内において、福岡県苅田港から大型保冷車で搬入された密航者四十人がそれぞれ検挙されている。 となっております。 五十一年、最近の事情はどうでございますか。
○吉田(長)政府委員 五十一年一月から同年十二月までの一年間の本邦への不法入国者数は九百六十五名であり、そのうち水際検挙いたしましたのが十九名、潜在中の検挙が九百四十六名となっております。
○横山委員 局長にお伺いしますが、これらは検挙された数であります。密入国は韓国がほとんどでございますが、一体、密入国してきておる数は検挙数の何倍ぐらいと想定をしていますか。想定して、年間どのくらいの密入国が実際はあって、その何%くらいが検挙できていると考えていますか。
○吉田(長)政府委員 これはなかなかむずかしく、われわれも正直なところ正確には把握いたしておりません。しかし、潜在している密入国者は全国で数万人いるとわれわれは推測しております。
○横山委員 これに対して、いまの特殊な密入国、偶然にもでありますか、御努力願った結果逮捕されたのかもしれませんけれども、少なくともいまおっしゃるように年間数万人の密入国者が現在日本におるだろう、そして年間検挙数の少なくとも数倍ないしは十数倍の密入国が現にあると推定されるわけであります。この状況が一体改善されておるのか。これは仕方がない、できるだけ捕らえるだけだということに推移しておるのか。私の聞いたところによりますと、広範な海上あるいは水際で入国警備官が年がら年じゅう見張っているわけでもあるまいに、それから港なんかの中では二人しか入管の職員がおらぬ、そういう点では密入国は全く自由に行われているのではないか。この検挙数に十倍、二十倍する密入国が現にいま行われているのではないか。それについて一体入管は人とか予算とか十分な対応ができておるのか。もう今日はこれより仕方がないと思っておるのであろうか。その点についてはどうですか。
○吉田(長)政府委員 これはなかなかむずかしい問題でございまして、まず、われわれといたしましては、入ってくるのをとめるわが方だけの努力ではこれはだめで、結局韓国政府側にも協力してもらいたいということを韓国政府に申し入れまして、韓国政府側でも、そういう密出国者を取り締まるという協力態勢を最近とってくれております。たとえば釜山なんかで密出国のブローカーなんかおりますけれども、釜山の市民に報賞金を与えて密告制度で、どうも密出国をたくらんでいるらしいということを密告してもらって、それを韓国政府は取り締まるというふうに、大分わが方と協力態勢ができてまいりまして、これは幾分改善策になるのじゃないかと考えております。 他方、わが国内の態勢でございますが、警察及び海上保安庁とも密接に連絡をとって協力しております。しかし、何分にもわが国は島国でございまして、四面海に囲まれており海岸線全部に見張っているわけにもまいりませんので、なかなかむずかしい問題でございますが、そういうときに、たとえばいま施行しております外国人登録制度なんかは、わりと怪しい人についてチェックできる制度になっておる次第でございます。今後とも努力する方針でおりますが、非常にむずかしいことを率直に申し上げて私のお答えといたします。
○横山委員 この密入国者のほとんどが韓国人であるということ、この八万人の密入国者が現在日本におる、密入国者の生活について私もいろいろ知っております。これはもう社会で公然と働くことができません。そして大阪等の一部に蟠踞しておる。公然と働けないのですから、いろいろな仕事をします。低所得層であります。そしてそれが犯罪の温床だと必ずしも申し上げることはできませんけれども、少なくともそれに近い条件下にある人たちであるということは、もうだれも首肯せざるを得ないことであります。したがって、国内で犯罪を犯したときに逮捕することもさはさりながら、八万人の密入国者が現にあって、年々歳々韓国から、特に済州島から密入国があって、検挙数は減っているのですけれども、ようつかまえられないのかもしれませんから、密入国者が減っているという証拠にはならぬのであります。これは根本的にいろいろな角度から考えなければならぬと思います。 一つは、いま局長が言われたように、韓国政府にもっと厳重な取り締まりをしてもらわなければなりません。済州島対策を特別にしてもらわなければならぬとも思います。 それから八万人の密入国者が現に日本にある。何かの関係で交通事犯をやった、何かのときにひっかかる、そこで密入国者とわかるということになっていくわけであります。それを逃げるために、彼らはまた別な手段を講じてひき逃げだとかいろいろな問題に発展をしていくわけであります。 こう考えますと、現におる八万人を逮捕すること、あるいは調査することもさはさりながら、一体、いつまでたっても密入国者として処理をしていいものかどうか。ある時期になって、日本に定着をした、そして生業をやっておるという者については、みずから名乗り出るように、自首をするように指導することも必要であって、その自首によって審査をし、できる限り公然たる立場を与えてやることが犯罪を防止する一つの方法ではなかろうかとも思います。 それから、いま私が指摘したように、何にしても入国警備官が少な過ぎる。圧倒的なイナゴの大群が来るのに、人間が人力でイナゴを一匹一匹つかまえているような状況を私は思わざるを得ないのであります。私は、入国管理局の仕事についてはいろいろこの機会に調査をしたわけでありますが、まだいろいろ問題があるけれども、この密入国、あるいはまたここ二年来ふえてまいりましたベトナム難民、そういうような問題に対処できない機構、運営になっているのではないか。思いを新たになさらなければなりません。 それからもう一つ、局長が言及をされたのでありますが、入管令の問題があります。この入管令の問題は、私どもがかねがねあのときの政府案に反対をしてまいりました。それは条件が私どもと違うからであります。私どもは、あのような南北を差別しないで、もうこの際一本の入管令をつくったらどうかというのを基本原則として考えているわけであります。南北両朝鮮のいろいろな違いはありましょう。けれども、この南北の扱いの違いというものが入管の仕事を複雑にしておると私は思うのであります。そしてまた、その中から南北両朝鮮人の諸君の反目あるいは競争、そういうものが生じておるわけでありますから、この際、これは政治的な決断、判断が必要ではありますけれども、入管令は、四回流れた経緯をも踏まえてひとつ新しい立場に立った方がよろしかろう。これはさきの法務大臣が私どもに言われたことがあります。それは、もうとにかく四回も流れたのですから、この際与野党コンセンサスの案をつくってもらえば政府ものんでもよろしい、こう大胆な発言をされたことがあります。そういう点から考えますと、何も私どもが言っておることはおわかりのことだと思いますから、思い切った南北両朝鮮人の平等な立場という立場に立った物の考え方を基礎にしてお考えになったらどうか、こう考えているわけでありますが、これらの点について、次官並びに局長の御意見を伺いたいと思います。
○塩崎政府委員 ただいま横山委員が御指摘になりましたように、難民の問題、さらにまた韓国からの不法入国の問題等の状況から見て、ひとつ思い切って発想の転換をしたらどうか、あるいは政治的な決断のもとに制度を根本的に改めたらどうかという御指摘でございます。その方法といたしまして、三点ばかり御指摘がございましたが、私もこれまでの経過を踏まえましてよほどこれは考えなければいかぬ問題だといましみじみと考えさせられたのでございます。しかし、何と申しましても、日本には移民を拒否しておるという大きな態勢がございますが、これらの問題とあわせて、ひとつ新しい角度から十分にはかりにかけまして検討しなければならぬ、こんなふうにいま感じたのでございます。 まず第一の、恩赦と申しますか、あるいは徳川時代の徳政令みたいなやり方、あるいは機構、あるいは管理の問題、これらの問題について、さらにまた古い出入国管理令を一本化する問題、これらの問題は、今後ひとつ大きな検討課題として検討してみるべきである、こんなふうに思います。
○吉田(長)政府委員 ただいま先生の非常に貴重な御意見を拝聴いたしまして、私個人といたしましても同感の点も多々ございますので、また慎重にこれからそういう先生のりっぱな御意見も勘案して、この法案の改正並びに入国管理局の改善というものに努力していきたいと思っております。
○横山委員 ベトナム難民に関連をして、かねがね私どもが主張しております亡命者について御意見を伺いたいと思います。 すでに先年私どもは亡命者保護法案を本委員会に提出したことがございます。その後国際的な会議も開かれたかに承っておりますが、昨年ミグ25が日本へ飛来いたしました際に、あのベレンコ中尉の扱いにつきまして日ソ両国間でずいぶん見解の違いがございました。よしや日本政府の言うように亡命者であるといたしましても、あるいはまたソビエトが言うような緊急着陸であったにいたしましても、亡命者について、亡命者だということであるならば、そのような客観的な判断のシステムが必要ではないか。また、ベレンコはアメリカへ亡命をしたのではありますが、とにかく日本へ亡命と言って着陸をしたという事実から考えましても、亡命者の扱いというものについては、もうこの際、国際的な先進国の例を参考にいたしまして、亡命者の保護法案を策定すべきではないか、そう痛感をされるわけであります。これは年間そんなにたくさんある問題ではありません。しかし、一つのことがございますと、必ずそれが政治問題化するという状況にあります。政治問題化するということは、東から入ってきた人と、西から入ってきた人と常にそれが判断が違いやすい。政治的ないまの内閣なりいまの与党の判断が主になって、そうして政治亡命者の扱いが異なるという批判的なそしりを免れ得ないのであります。私は、国際的な人権宣言なり難民条約を含めたあらゆる法規、条約、協定等を含めまして、この際、亡命者保護法案を政府が積極的に立案し、国会に提案すべき時期が迫っておると思うのでありますが、いかがでございますか。
○塩崎政府委員 御指摘のように、大変むずかしい問題でございます。しかし、多分にまた人道上の問題も含まれている問題でございます。私は、国連等におきまして、これは国際的にお互いに人道問題からきたところの大きな問題として慎重に検討し、そうしてまた解決の方向はやはり大きな政治的な判断のもとに今後努力すべきだ、こんなふうに思います。
○横山委員 事務的に局長に二、三伺いたいと思うのですが、まず第一に、難民条約の批准を早急にすべきであるという点が私の一つの主張でありますが、それはいかがか。 第二番目に、私が提起いたしましたのは入り口だけの問題に一応限定しました。つまり亡命者保護法案をつくるのは、入国したとき亡命者であるかどうか、あるいは亡命者であっても重要犯罪を犯した場合に強制送還、どっかへ送るべきかどうかという入り口と出口の問題だけに一応限定をして、あとの難民条約に基づくさまざまな問題については、これは別途難民条約批准と相並んでやるべきであって、それを、政府がもし難民条約を批准すると大変なことになるということに籍口して亡命者保護法案をつくらないとするならば、それは順序を逆にすべきであると考えるが、その点はどうか。 それから第三番目に、いまの入管令のいろいろな諸条件、これは改正をされる点が多々あるのでありますが、亡命者であるならば、それよりもかなり広範に人道上の理由をもって緩和した、原則として難民を受け入れるという立場において例外規定をつくる、こういうようなやり方にすべきであると思うが、その点はどうか。あるいはまた亡命者というものの定義が大変むずかしいことではございますけれども、まず、いま申しましたように、広範な立場でこれを受け入れるということにすべきであると思うが、どうか。あるいはまた、亡命者であると主張して、そして訴えた者については、その訴えがある間は少なくとも強制送還をすることを行政上避けるべきであると思うが、どうか等について、いま国際的な審議も行われておると言われますし、法務省においてもいろいろ検討をされておると言われるのでありますから、その辺の検討状況をひとつお聞かせを願いたいと思います。
○吉田(長)政府委員 お答えいたします。 第一点の、難民条約の批准はどうなっているかということでございますが、難民条約及びその議定書につきましては、法務省としては原則的にその趣旨には賛成でございます。ただ、これに加入するに際しまして、同条約並びに加盟諸国の国内立法例ないし運用状況、こういうものを十分調査研究しなければなりませんし、わが国内法の手直しを要する点があるかどうか、こういうことも鮮明にして、所要の措置を講ずるように多角的検討を現在重ねておるところでございます。 ただ、いま先生の方で御指摘がございましたこの難民条約というのは、すでに国内に難民となって入っている人たちの処遇をどうするかというのが、国連が戦後つくりました難民条約でございます。この条約は、第二次大戦後、ヨーロッパで戦争中にヨーロッパ諸国が戦場になりましたために、また戦後国境が非常に変わりましたために、各国内に難民が存在した、そういう人たちを各国が人道的見地から処遇をしようではないかということで、ヨーロッパを中心にできた条約でございます。先生の御指摘の、むしろ国内にいるよりも、これから入ってくる人たちの方が大事じゃないかという御指摘でございますけれども、まさにそのとおりでございまして、国連におきましては、それでは、要するにこれから入ってくる、その国に入ってくる亡命者をどうするか、入れるか入れないかということについての各国政府間の条約をつくろうという動きが最近発生いたしまして、実はことしの一月、二月にかけましてジュネーブで国際会議がございまして、これは領土的庇護条約と申しておりますが、この条約締結のための国際会議が本年初頭にございまして、わが方も代表全権を派遣いたしまして積極的にこの条約審議に参加した次第でございます。何分、国連のつくります条約審議といいますのは、すぐ一回の会議ででき上がるものではございませんで、第一回まあ条約案の三分の一ほど審議を終えまして、もう一、二回また国際会議をやらなければならないと思っております。わが国としましては、この条約について重大な関心を持っておる次第でございます。
○横山委員 私の具体的に問題を提起したことについては、お答えがないんですが……。
○吉田(長)政府委員 恐れ入ります。もう一回ちょっとその問題点を御指摘願いたいと思います。
○横山委員 亡命者保護法案をつくるならば、出ていくとき、入るときに限定をしないと、いつまでたってもできませんよ、それはどうですか。あるいは、亡命者であるという法案をつくるときにはなるべく寛大な方向でやらなければだめですよ。それから、少なくとも亡命者であると訴えておる間は強制送還をすることは当然避けるべきであるかどうかという問題です。
○吉田(長)政府委員 ただいまの先生のは、国内立法の立場からお述べになっておられると思うのでございますけれども、実は、ずっとわが国に亡命者的な人は入っておるのでございます。また出ていっておるのでございます。これは公表いたしておりません。といいますのは、基本的人権にかかわる問題でございまして、したがって、現行法でもこの国連の難民条約の精神でわが方としては処理しておる次第でございます。 それから、その出入りのときの問題でございますが、これをまさにいま、先日もジュネーブの国際会議で各国政府がとるべき態度について条約案を審議したわけでございますが、この条約案が最終的にどういう結果になるかということを踏まえて、国内法もそれと統一を図るのが適当だと私は考えておる次第でございます。実際上は運用で、いまの国内法で行われておりますけれども、それを特別な法律とした方がいいかどうか、それから将来の国際条約がどういうことになるか、こういういろいろな点がございますので、これらをあわせて慎重に今後考えていきたいと思っております。
○横山委員 最後に、細かいことで一、二お伺いをします。 一つは、統一神霊教会の入信者が指示を受けてアメリカへ数百人行っておるわけであります。ところが、先般披露いたしましたように、それは恐らく観光ビザで行って、そのまま居座っておるか何かだと思うのでありますが、アメリカの移民局が、渡航目的が違うからといって七百人に送還命令を出した、帰国命令を出したということが、先般御披露いたしましたように新聞記事に載っておるわけであります。私の入手いたしました情報を見ますと、ある時期に七十名ぐらいが集団帰国したと言われております。こういうことは、一体入管が、移民局が外国からおまえ帰れと言われた、そういう事実というものについて、まあ事務的には羽田などでチェックができないと思うのでありますが、恐らくそうだと思いますが、それで一体いいものかどうか、外国で目的が違うから帰れと言われたような者については調査をしておくべきではないか、またそういう事実があるとするならば、帰ってきた人間についてのチェックの方法を別途講ずべきではないか、この移民局関係について調査をされたのかどうかを含めて御答弁を願いたい。 それから二つ目には、大村収容所の問題でございますが、私の知る限りにおいては、大村収容所に二年半にわたって収容されておる人間がおるわけであります。この事情をいま詳細に述べるのは省略いたしますが、大村収容所へ行けば、当然強制送還ということなのであります。それを韓国政府が受け取らないということだと思うのであります。受け取らないで、そのまま大村収容所に何十年もとどめておくことが一体適当であるかどうか。収容所におるということは一つのもう刑罰だと思うのでありますが、その刑罰が二年半に該当をするようなことであったかどうか。ある時期までその刑罰を大村収容所で満たしたとするならば、それは大村収容所にとめておくばかりが能じゃないのでありますから、そこの点は少し、受け取らぬものをいつまでも置いておくということについては、少し策がなさ過ぎるのではないか。この人物なりそのほか長い人の特殊事情は恐らくあなたも御存じだろうと思いますから省略しますが、そういう点についてどうお考えでございますか。
○吉田(長)政府委員 先生のお尋ねの第一点でございますけれども、アメリカが強制退去を日本人に命じました場合には、わが入管でも強制退去を受けて帰ってきた人はわかっております。ただ、アメリカが、強制退去まではしないけれども、あなたはもうお帰りなさいと、こう個人的にイミグレーションが言いまして、わが入管局でもよく外国人にするのですけれども、強制退去措置は講じないけれども、あなたはもうできるだけ早い便で国外に去ってくださいと、こういう口頭で申す場合がございます。この場合はアメリカのイミグレーションからわが方に通報はございませんで、したがいまして、わが方はちょっと把握できない、こういうことでございます。帰りなさいと言われたら、自分の費用で自分で切符を買って帰ってくるわけでございますから、羽田では、それで帰ったかどうか、一般の帰国者と全く同様でございますので、把握できない、こういうことでございます。 第二点でございますが、実はこの三月末に、先生のいまおっしゃっていた、長期に大村に収容している人たち二人を釈放いたしまして、こういう先生の御指摘の点は、十分慎重に考えて逐次実行に移していく方針でございます。
○横山委員 質問を終わります。
○上村委員長 次に、正森成二君。
○正森委員 最近のある新聞の報道によりますと、大阪府の八尾市内のAさんという人が大阪法務局の八尾出張所の登記簿を調べたところ、自分が遺産相続した土地が消えてしまっておったという事件がありまして、大阪地検特捜部が調べたところ、元司法書士事務所員が、公文書投棄、同変造、同行使ということで、登記簿を抜き取っておったという事件が発生いたしましたが、法務当局はこういう事件を御存じですか。
○香川政府委員 存じております。
○正森委員 この事件が起こりましたときに、佐倉良彦という八尾出張所の所長補佐さんの談話の中で「担当職員はわずか三人で、毎日七、八十人の閲覧者と二千枚もの謄本を相手にしており、監視や登記簿のチェックはきわめて困難だ。事件後、所長が机を登記閲覧席の前に移して目を光らせています」、こういうぐあいに書いてあるのですね。同じ新聞では「いつのまにか消えていた土地登記。閲覧中に抜き取るという手口も珍しければ、これを法務局が半年間気付かなかったというのだから、あきれる。」これは私が言っているんじゃないのです。新聞があきれると言っているんですが、「「職員不足」が問題と法務局側はいうが、所長さんが“臨時監視員”になったぐらいで、再発を本当に防げるのかどうか。」とこういうふうに言うているわけですね。これは結局、法務局の職員が絶対的に少ないから、現場の職員は一生懸命やっているんだろうけれどもこういう事故が起こるというように考えざるを得ないのですが、過去十年間ぐらいの登記事件数の増加比率と職員数の増加比率について、もしおわかりならお答えください。
○香川政府委員 まず登記事件数でございますが、昭和四十一年で大体、つまり登記甲号事件と言っておる登記簿に記入する事件でございますね、これが千四百万件を超えているわけでございます。それが、昭和四十八年がピークでございますが、二千百万件を超えるようになりまして、五十年度では、四十八年以来若干ずつ減ってまいりまして、千九百六十万件ぐらいになっているわけです。さような意味で登記事件の激増ということは否めないわけでございますが、それに対処するための増員はまことに少のうございまして、ちょっと申し上げますと、昭和四十三年ぐらいから申しますと、この当時から御承知のとおりの定員削減が一方であるわけでございまして、したがって、以下申し上げますのは純増分でございますが、昭和四十三年が百六十七名、四十四年が六十三名、四十五年が六十一名、四十六年が六十八名、四十七年が八十四名、四十八年が百二十四名、四十九年が百六十八名、五十年が百六十五名、五十一年が九十五名、五十二年度、本年度でございますが、予算上は九十五名の純増というふうなことになっておりまして、事件の増加に対処する人員増といたしましては十分ではないわけでございますけれども、さような人員不足をカバーする意味で、能率機器の導入とか、その他いろいろ金の面で手当てがされておるわけでございます。
○正森委員 いま甲号関係についてお話しになったのですが、乙号関係について私が手元の資料で申しますと、昭和四十一年には約一億件ぐらいございましたのが、四十九年には二億四千百五十二万件ということで、つまり四十一年を一〇〇にすると二四一にふえておる。それから甲号関係では、四十一年を一〇〇にすると、大体四十九年ぐらいをとると一四四、五ぐらいにふえておる。それに対して、いま純増でお話しになりましたが、四十一年を一〇〇といたしますと、四十九年、五十年ごろで大体一一四ないし五ぐらいであるということになっておるのですね。したがって、絶対数が非常に不足しておる。そこでいろいろの矛盾が起こってくるというようになると思います。そこで、法務省としては、五十二年度の要求といいますか、登記所関係の増員が九十五名というようにたしかお話しになったと思いますが、法務局としては何名の増員を大蔵省関係に要求されたんですか。あるいは労働組合は一体何名ぐらいいないとやれないというように当局に要請しておったのか、もしおわかりならお答えください。
○香川政府委員 要求数は千三百七十二名でございます。組合の方は、これはいろいろ地方局ごとのあれで違いますけれども、大体のところ五千名ぐらいの要求が必要だというふうに言っております。
○正森委員 私の方の資料では、登記関係だけで八千八百名ぐらいを要求しておるということだそうであります。法務省当局もいまお話ししました約千四百名を要求しておったけれども、その十分の一以下の九十五名しか認められなかったということなんですね。国の財政のこともありますけれども、こういうように非常に人員が少ないということからいろいろ無理が出ておりますが、どういうぐあいに法務省当局も千数百名は必要だと認めておられる人員をこれから埋めていこうとされるのか、もし概略のお考えがございましたらお示しを願いたいと思います。
○香川政府委員 職員数をふやすという増員関係は、御承知のとおりの定員抑制の厳しい措置が閣議決定されておりまして、また一方、定員削減と並行いたしましてもそれを繁忙庁に割り当てるいわゆる原資が非常に少のうございますので、なかなか増員措置だけではとても法務局の特に登記行政には対処できないということから、継続的な仕事でなくて一時的と申しますか、臨時的と申しますか、さような仕事も多々あるわけでございますから、さような点は賃金職員によって賄うということが一つ。これは年々さような面の要求をいたしておりまして、相当賃金予算が認められておるわけでございます。 そのほかに、何と申しましても、先ほどお示しのように乙号事件が急増しておるわけでございまして、これは主として謄抄本関係が非常に手数がかかるわけでございますが、これは最近のいわゆる複写機というふうなものによって機械化するわけでございます。そういう能率化と申しますか、人手を省く、そういった能率機具を導入いたしましてできるだけ人手の不足を補うというふうなことが一つ。これもやはり財政当局の御理解によりまして相当の金の面の手当てがされておるわけでございます。 さらに、これは非常に問題のあるところなんでございますけれども、幾ら謄抄本関係を機械化するといたしましても、やはり職員を張りつけなければならぬ。法務局の職員は、一般的に申しますれば法律実務をやるわけでございますけれども、かような謄本作製というふうなコピーづくりは、どちらかというと単なる機械的な労働でございまして、法務局職員の将来の法律実務家としての養成という面からは相当マイナスの面として考えなければならぬわけでございます。そういうことから、かようなところは部外委託と申しますか、部外の適当な機関に請け負っていただいて、そして職員外の手で機械的なそういう作業をしてもらうというふうなことがここ数年前から行われておるわけでございます。これは法務局職員の立場から考えますと、やはり登記所の仕事であることは間違いないわけでございますが、それはいかに機械的な仕事といえ、部外者によってされることはいかがなものかといういわば素朴な疑問が出るのは当然だと思うのであります。ただ一方、さようなことを職員がやるといたしますと、これはいい悪いにかかわらず、非常に労働過重になることは明らかでございまして、さような面でこの部外委託をどうするかということがやはり現在問題になっておるわけでございます。私どもも、そのメリット、デメリットをいろいろ考えながら、暫定的な措置として法務局全体の職員のコンセンサスが得られるならば、さような措置を大幅に導入して少しでも職員の負担を軽減するということは、さしあたりの問題としてやむを得ないのではないかというふうに考えるわけでございまして、そういう点で、ただいま法務局職員のさようなコンセンサスを得る意味の話し合いをいろいろ続けてまいりたい、かように考えておるわけでございます。 率直に申し上げまして、今日までの増員は、先ほど御指摘のとおり不十分であることは否めないわけでございますけれども、幾らこれ私ども努力が足りない面を努力をいたしましても、客観情勢としては増員の大幅なそういう措置というのは当分無理な話じゃなかろうか。一方しかし、職員の労働過重という問題は放置できないわけでございまして、いろいろな手だてを講じて、増員以外の方法によって職員の労力を少しでも軽減していくというふうに考えておるわけでございまして、これといってさような最も適確な措置というのはなかなかそれぞれ問題がございますけれども、さしあたりの対策としては、先ほど申しましたようなことを考えているわけでございます。
○正森委員 非常に丁寧な御答弁があったわけですが、結局、謄本、抄本関係の乙号事件というのは、私が指摘しましたように、非常な急カーブで国民の権利意識の上昇とも相まって増大しておる。それについては、いまの御答弁ですと、部外委託と、それから近代的な大量複写機の導入というようなことを考えておられるようなんですね。私は、いずれも当局としては御苦心の対策だと思いますけれども、部外委託の場合には謄抄本の原本を出さなければ謄本にも抄本にもならないので、それを部外者に任せるという点でどうであろうかという点も研究しなければなりませんし、その点はしばらくおいておくとして、いま申しました大量複写機の関係で職員の健康状態に一定の問題があるんではないかと思われますので、これからあと残りましたしばらくの時間、聞かせていただきたいと思います。 いま香川民事局長が言われた大量複写機というのは、アンモニア複写機のことで、ほぼ四十年ごろから導入を始められて、質問時間の関係から申しますと、現在三百台余りが全国で投入されておるというように聞いているわけですが、ここで使用しているアンモニアの溶液というのは何%で、使用量はどのくらいになっておりますか。
○香川政府委員 いま使っておりますOM複写機あるいは全自動複写機のあれは二五%のアンモニア溶液でございます。これは全国でどれくらい使っておるかというのは、ちょっと数字を持ち合わせておりませんけれども、全国で、出張所の中で一番大きい東京の城北出張所あたりで、あれは容器があるのでございますが、大体十二本ぐらい月に使うというふうに聞いております。
○正森委員 厚生省が来ておられれば伺いたいと思いますが、毒物及び劇物取締法では、二五%のアンモニア溶液というのは何に該当することになっておりますか。
○代田説明員 二五%のアンモニアは劇物に該当しております。
○正森委員 劇物アンモニアは取り扱い上でどういうような規制を行わなければならないことになっておりますか、いま民事局長から答弁がありましたように、登記所では二五%のアンモニア溶液を相当大量に使っておるようですが、これについては一定の規制が必要じゃないかというように思いますが、厚生省の一般的な考えとしてはいかがですか。
○代田説明員 いわゆる劇物たるアンモニアにつきましては毒物劇物取締法によりまして、まず製造、輸入につきましては厚生大臣の、あるいは販売につきましては都道府県知事の登録を受けなければならぬというふうな規制がかかっております。それから毒物劇物の営業者あるいは業務上取り扱い者などにつきましては、盗難、紛失の防止であるとか、あるいは施設外へこういうのが飛散するあるいは漏れ出るというようなことを防止する、あるいは運搬上の飛散、漏れというような、安全性の面からの措置を講ずるという規制がかかっております。それから容器あるいはその被包につきましては、医薬用外の劇物という文字の表示を必ずする、あるいは貯蔵する場所にもそういう表示をするというふうになっております。それからあとは、譲渡につきましては、譲渡の都度いわゆる譲渡書——名称あるいは譲り受け人の名前、住所というようなものも出すことになっております。それからこの譲渡につきましては、十八歳未満の者あるいは精神病者等にはできない。それから廃棄につきましても技術基準が定められておりますし、それから事故が起きた場合には警察あるいは保健所等へ届け出るというようなそれぞれの規定が毒物劇物取締法には定められております。
○正森委員 毒物及び劇物取締法の二十二条で、業務上の取り扱い者を設けなければならないという規定があるようですけれども、これは一般的にはメッキ業者とか運送業などの業種のようですけれども、登記所も、いま言いましたように大量に使われておるというような場合には、この規定を準用するということも考えられるのではありませんか。
○代田説明員 二十二条の問題でございますが、業務上取り扱いというものにつきましては、いま先生お話ございましたように、製造ではなくて、それを逆に使用するという立場、あるいは使用して物をつくるとかあるいはそれを運送するとか、そういうふうな立場の者が特に指定をされておるわけでございまするが、いまお話のございました、登記所におきましてリコピーのような機械を使ったらそれに付随して現像液というような中に出てくるものが、直ちにその業務上の取り扱いになるかどうかということにつきましてはちょっと研究してみたいと思っております。ただ、私どもとしましては、物が劇物でございますので、いずれにしましてもその扱いについてはやはり慎重にしていただく。特に毒劇法では貯蔵の規定がございますので、そういう面からの管理については慎重な扱いをしていただきたいというふうに考えております。
○正森委員 昭和四十七年の二月十七日に、当時世田谷出張所に勤務しておられた柳沢秀雄さんと豊島豊司さんがアンモニア廃液を顔に浴びて負傷するという事件が発生したというように聞いておりますが、これは公務災害に認定されているかどうか、あるいはどんな対策がとられているかどうかということを伺いたいと思います。
○香川政府委員 公務災害の認定がされております。 さような災害の防止は職員の健康管理の重要な問題でございますので、防止対策をいろいろ検討してまいっておるわけでございますが、アンモニア液を使っていることから起こる災害というのは、いままで余りさような事故が起こってないものですから、どういう過程で起こるかというふうなことを私どもよくわからない面もあるのでございますが、ただいま考えて早急に実施したいと思っておりますのは、登記所の中で複写機を使っております関係上、一つはアンモニアの臭気が外に出るわけでございます。これが何か継続的に、八時間労働という前提で考えまして、五〇ppmになるとやはり害があるというふうに言われておるわけでございまして、この辺のところがあるいは緩やかなのか厳しいのか私どもよく存じませんけれども、イギリスでは何か一〇〇ppmまで、アメリカでは二五ppmというふうになっておるそうでございます。現に登記所でのその関係は、普通の場合には大体三ppm、多くて五ppmぐらいのものだそうでございます。したがって、さような室内の空気の汚染という面からはさほど心配はないんじゃないか。ただ大量に使っておりますので、コピーした用紙が出てくる瞬間は場合によると一〇ppmぐらいになる、瞬間的な測定でございますが。しかし、すぐに発散するものですから、室内が常に一〇ppm以上の汚染ということはまずないというふうに聞いております。ただ、健康に害がなくても、アンモニアの臭気は御承知のとおりつんとした非常に不愉快なものでございますので、職場環境という面からはかようなものはなくする努力をしなければなりません。現在のところほぼ試作品ができておるのでございますが、機械の中でアンモニアの臭気を全部取ってしまうというふうな脱臭装置をつける新しい機械でございますが、これが大体六月ごろに試作品ができ上がりまして、ただ慎重を期さなければいけませんので、一月か二月ぐらい特定の登記所で使用いたしまして、その効果がよければさような機械に順次切りかえていくというふうなことを考えております。 それから事故が起こりましたのは、これは廃液の処理の関係でございますが、大体二五%のアンモニア液が、廃液になって出てくるときには一〇%以下だそうでございますけれども、やはりアンモニアは劇物であることは間違いございません。したがって、その廃液を出さない装置を考えなければならぬということで、環流させまして結局全部使ってしまうというふうな廃液が出ない、さような機械も現在試作中でございまして、これも見通しとしては大体夏ごろにはうまくいくのじゃないかというふうに考えております。 それからもう一つの、その事故が起こる原因になりかねないものは、液を入れた容器でございますが、これは取り扱いに注意すれば特に問題がないのでございますけれども、登記所というところは御承知のとおり、先ほど申し上げましたように、非常に多忙であると同時に施設の劣悪な狭いところが多うございまして、通常の注意を払えば大丈夫という場合でも、さような環境が悪いところでは職員に通常の注意を払うことすら期待できない、その前提で考えなければならぬ問題もございますので、ただいまその容器を開発していただきまして、取り扱いが少々乱暴でも外にそれが吹き出すとかあるいはこぼれるというふうなことのない容器ができておるわけでございまして、この実験中でございますが、六月ごろから九月ごろまでに全部その容器に切りかえてしまうという措置をいま考えておるわけでございます。ただ、このアンモニアを使わない機種に全部切りかえるということは、先ほど申しましたように謄抄本事件が非常に多うございますので、どうしてもスピードがなければならぬ。アンモニア液を使わない複写機はどうしてもスピードが落ちる点がございます。たとえばゼロックスのようなものも御承知のとおりカーボンの粉を吹きつけてやるわけでございまして、まあいまのところは安全だということになっておるそうでございますけれども、これもやはりカーボンを使うわけでございますから、それを考える以上は、絶対心配ないのかどうかというふうなこともやはり慎重に検討しなければなりませんので、はなはだ立ちおくれているわけでございますけれども、さしあたりはさようなことで対処して、業者にも依頼しまして、登記所向きのと申しますか、環境の悪いところでのさような災害が、絶対にというところまでいけるかどうかよくわかりませんけれども、できるだけさような事故の生じないようなものの開発をいろいろお願いしておる状況でございます。
○正森委員 いま御丁寧な答弁がありましたけれども、事故は、発生の原因などというものをいろいろな場合について言われましたが、柳沢秀雄さんたちの場合は、満タンになった廃液が突然容器から噴き出した。それを顔面に浴びたということなんですね。調べてみますと、アンモニアというのは大体二五%ぐらいの濃度の場合には、温度が三十度C以上になりますとガスが充満してきて、それで噴出するというようになる場合があるのですね。これはリコーといいますか、製作会社の取り扱い注意書にもあらかじめそういうように書かれておるのですね。ところが、われわれが労働組合関係の人に来ていただいて調べたところでは、必ずしも法務省当局はアンモニアの危険性を周知徹底させるような措置を、導入してから約十年近くの間とっていなかったのではなかろうか、あるいは複写機のメーカーのリコーがアンモニア水の取り扱いについてという文書をあらかじめ出しておったわけですけれども、その文書にもこういう事故の可能性が明記されているにもかかわらず、それをあらかじめ見ておった職員は、最近一年近く事故が起こってからは別かもしれませんけれども、それまでは全くなかったというように言われておるのですね。そういう点については、法律の番人でなければならない法務省側として、若干そういう労務管理に手落ちの点があったのではないかというふうに思われるのですが、その点はいかがですか。
○香川政府委員 はなはだ常識に欠けると申しますか、アンモニアが劇物であることはだれも承知しているわけでございますが、お説のように、管理の面で職員に十分注意を喚起するというふうなことが不十分であったことはまことに遺憾でございます。
○正森委員 それで、実際に労働環境を調べてみますと、その保管状況が非常に悪くて、ポリ容器といいますか、貯蔵の簡単なタンクみたいなものを、公衆の出入りする待合室ですね、そこに置いてあるところがある。毒劇物の管理主任は置いていない。廃液が野ざらしになっておって、廃液も回収されていないとか、それから当局にアンモニアの濃度はどういうぐあいにしてはかるのかと言うと、それも検討中で、本当ははかったことがないと言う、そういうような状態が実際にあったというように報告されているのですね。もしこういう点が事実であるとすると、これはある程度事故が起こったり、公衆に危険が及ぶ可能性が多いのはやむを得ないというように思われるのですね。 ここに写真がありますが、これは東京法務局の法人登記課ですが、ごらんのように機械のすぐそばの通路に、こういうぐあいにポリバケツみたいなので並んでいるのですね。これは安全管理上も非常に問題だというように思われますし、今後そういう点については注意をしていただきたい、こう思うのです。 それからまた、ppmについてお話がありましたが、確かに平均的な点はそういう点かもしれませんけれども、ここに私は、労働者側が当局と相談の上かどうかわかりませんが、財団法人の労働科学研究所というのが「登記所職員の労働負担作業環境調査報告書」というのをつくっておるのですね。恐らく香川局長もごらんになったと思いますが、その結論部分を見てみますと、こういうぐあいに書いてあるのですね。確かに一般的にはppmは低いかもしれないけれども、あるところでは刷り上がり用紙の上で一〇ないし三〇ppmほどあった。それから「リコピー機側のアンモニア濃度は作業者の側で五ppm程度刷上りの用紙の上では一五〇ppmに達するところもあった。」だから、刷り上がった直後ですね、それを引き出さなければなりませんから、そういう関係では一五〇ppmに上るような点が報告されたというようになっておるのですね。 そういう関係があるわけかわかりませんが、全法務労働組合が昭和五十年六月に行ったアンケート調査では、アンモニア複写機の作業に従事している二千三百三十七名について、体の異常を訴えた者は、「頭痛」が九百十名、約三三%、それから「はき気」が五百九十七名、約二一%、「目まい」が三百七十二名、約一三%というように報告されておりますし、それ以外にも症状として、皮膚がかぶれたり、耳鳴りが起こったり、涙が出たり、結膜炎、鼻炎、気管支炎、こういうのが出ておるというように報道されているわけであります。ですから、私はこういう点について、健康保持上慎重な配慮というものがやはり行われなければならないというように思います。 そこで人事院に伺いたいと思いますが、人事院規則の一〇—四の「職員の保険及び安全保持」の第十二条に、「各省各庁の長は、職員の健康管理及び、安全管理に関し健康安全管理規程を作成し、これを職員に周知させなければならない。」というようになっておりますが、この規程はつくられているわけですか。
○五十嵐説明員 お答えいたします。 御指摘のように人事院規則一〇—四条、十二条におきましては、各省各庁の長が健康安全管理規程をつくっていただくという規定になっておりまして、法務省当局においてもこれがつくられているというように報告を受けております。
○正森委員 法務省に伺いますが、私の調べたところでは、法務省職員健康安全管理規程というのは「法務省厚訓第一号」というので出ておるようですが、その日付は昭和五十一年八月三日でありまして、このときまでつくられてなかったというように理解してもいいのではないかと思いますけれども、そうではありませんか。
○香川政府委員 その点は厚生管理官室の所管でございますが、五十一年のそれは改訂されたものだと思います。私の知っている限りでは、四十七年ごろにはもうできておったと思いますが……。
○正森委員 私がそれを読んでみますと、アンモニアについては触れていないのですね。これは確かですね。あるいは五十一年のは改訂だったかもしれません。それは私ももう一度調べてみますが、ですからアンモニアについて規程をつくっていなかったということは事実ですね。ですから、これについてはやはり改善されなければならないということを指摘しておきたいと思うのですね。そうでしょう。
○香川政府委員 さような管理規程に抽象的にいろいろのアンモニアに関する関係を規定することも一つの方法なんでございますけれども、たとえば管理者をだれにするかというふうなこと——これは所長とかいうふうなことに当然なるわけでございますけれども、私どもはそういう管理規程でこういう点に注意しろというふうなことをいろいろ事細かにあれいたしましても、先ほど申しましたようなことでございますので、物理的にと言いますか科学的にそういうことにならぬような、まず機種の改良が先決問題だろう、かように考えているわけでございます。
○正森委員 人事院について、時間がなくなってまいりましたので伺いたいと思いますが、規則一〇—四の第十六条で「有害な業務に係る措置」について定めておりますけれども、アンモニアがこれに該当するということは間違いありませんね。
○五十嵐説明員 御指摘のアンモニアにつきましては、規則十六条に関連しまして、別表で「酸、アルカリ」という有害物資を例示しております。したがいまして、この「酸、アルカリ」の「アルカリ」の方に該当するというように解釈いたしております。
○正森委員 そこで、人事院規則一〇—七では、女子職員を危険、有害業務につかせてはならないというようになっていますが、そうだといたしますと、この機械を扱う業務について危険性がある場合には、やはり女子職員を従事させるということは考えなければいけないんじゃないですか。
○五十嵐説明員 ただいま御質問の規則一〇—七の「女子職員及び年少職員の健康、安全及び福祉」という規則がございますが、この第二条におきまして「十八歳以上の女子職員及び年少職員を別表に掲げる危険有害業務につかせてはならない。」という規定がございます。そして別表におきまして、そのいろんな危険有害業務を並べているわけでございますが、そちらの方では、十八歳以上の女子職員につきましての危険有害業務といたしましては、二十項に、「鉛、水銀、クローム、ひ素」等々の「ガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務」というようになっております。したがいまして、こちらのこの規定の考え方は、非常に大量に常時こういうガスなり蒸気または粉じんが発散する場所というように限定といいますか考えておりますので、いま問題になっておりますリコピー作業中の条件がこれに該当するかどうか、この点について私どもとしても十分法務省と連携をとって調べて検討していきたい、かように考えております。
○正森委員 ここに三月八日付のある新聞がありますが、これは大阪法務局の西分室で、有害ガスを発生するということでガスマスクを配って、それをつけて作業をしておる、こういう現場の写真が載っておるんですね。それを見ると、女子職員がガスマスクをつけてやっておって、コメントがついておりまして、女子職員が「みっともないわ」と言いながらガスマスクをつけてやっておるというのが写っておるんですね。やはり法務省としては万一のことを考えてこういう措置をとったと思うんですけれども、そうだといたしますと、やはり女子職員をこういう職種につけることが適切であるかどうかということも含めてぜひお考えいただきたい、こう要望しておきたいと思います。 それから、第十六条の第二項では、「各省各庁の長は、」「定期に勤務環境を検査し、及びその結果について記録を作成」というようになっているんですが、これを法務省当局はやっていないんじゃないですか。
○香川政府委員 うかつにも、やっているかやっていないか私よく知りません。
○正森委員 やっておるかおらないか知りませんという含みのある答弁ですけれども、やっていないんですね。ですからいまいろいろ問題が起こっているわけで、やはりこれは人事院規則で定められたことについては、もちろん抜本的にそういうことがないようにといういろいろの行政上の措置をとり、害を発生しない機械の導入を図るとか、それはもちろん必要ですけれども、しかし、現行法で規則で定められていることはやって職員の健康保持に努めるということをぜひ要望しておきたいと思います。 それでは、これで質問を終わらせていただきますが、職員の中から、速やかに職員の健康状態を調査してほしい、それから特にアンモニアによる汚染については詳細に行ってほしい、それから空気調整設備、強制排気、それはぜひ設置してほしいという要望、それから極端に環境が悪化している場合が職場を調べてあれば、一時的に機械の使用を中止して改善の措置をとるというようなことをしてほしい、執務体制については、八時間勤務ですけれども、一回一時間以上は連続してしないとか、できればそれを三時間以内とか、あるいは一度にそうならなければそれに近い範囲にしてほしいとか、あるいはまたアンモニアを使用しない無害複写機、これはいま香川局長から答弁がありましたが、そういうものの開発導入について考えてほしいとか、いろいろ要望が出ているわけですね。 これで質問を終わりますので、最後に法務次官に、いま私がるる申し述べましたが、職員の健康管理上ゆるがせにできない問題だと思いますので、こういう労働者の要望あるいは職員の要望をも含めて、前向きに御検討いただけるかどうか、お考えをお述べいただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。
○塩崎政府委員 正森委員の御指摘を待つまでもなく、私も大蔵省時代から、登記所が国民の財産権の保護の大きな役割りを果たしているところであり、私は登録税も通じまして大変重要な役所だと思っておりました。法務政務次官になりまして、ときどき現場に行ってまいりますと、確かに人手が足りない、一方、同時に仕事がふえておる。施設設備、人員、健康管理その他につきましては、ひとつ万全の体制を整えて、国民の財産を保護するというサービスに遺憾なからしめたい、こんなふうに考えておりますので、十分に注意してまいりたいと思います。
○正森委員 終わります。
○上村委員長 次に、鳩山邦夫君。
○鳩山委員 私は、北朝鮮における日本人妻の問題を取り上げるつもりでありますけれども、その前に、人権問題一般につきましてお考えを伺いたく思います。 ここに憲法の教科書があります。これは有斐閣の「法律学全集」でありますから、コマーシャルではありませんが、比較的権威がある教科書であります。この「憲法I」には、これは清宮四郎先生の著でありますが、「統治の機構」という副題が載っております。そうしてこの「憲法II」の方は宮沢先生の著書でありますが、副題は「基本的人権」となっておるわけであります。すなわち、憲法を大きく分けるならば、一冊目は、国会とか内閣とか裁判所とか、あるいは国会の中が衆議院と参議院に分かれているとか、そういう統治の仕組みについて述べてある。もう一冊の方は、基本的人権のみについてこれだけの書物ができておる。すなわち、私は、基本的人権の問題というのは統治の機構から独立した重要性を持っていると判断したいと思います。 そのことについて、この「憲法II」の人権の方の教科書で、「はしがき」で宮沢先生がこう書いていらっしゃいます。「憲法の教科書をつくるに当たって二人で話し合った結果、全体を「統治の機構」と「基本的人権」とに分け、前者を清宮教授、後者を私が書くことに決めた。編集の便宜的理由にもよるが、その分け方は今日でも十分な理論的根拠があると信ずる。」これがいわば宮沢先生のお考えであると思います。そこで、統治の機構が仮に国会が二院制から一院制になったとしても、基本的人権の問題は同じ重要性を持つ、独立した重要性を持つというのが私どもの判断でございます。そして、ではその人権問題の最高責任者がだれであるかと言えば、行政上の最高責任者はそれはもちろん総理大臣であると思いますが、この際、各大臣がおられるわけでありますから、総理大臣はいわば行政の総括の責任者でありますから総理大臣を除いたとして、人権問題の最高責任者が法務大臣であるというお考えをお持ちであるかどうか。きょうは大臣がおられませんので、塩崎先生の方からお答えいただきたく思います。
○塩崎政府委員 私も国家行政組織法全般についての知識はございませんが、ただいま人権擁護委員法を見ておりますと、人権擁護委員につきましては法務大臣が指揮監督するという条文を見つけたのでございます。このような趣旨から見ますと、人権擁護につきまして法務大臣が重大な責任を持っておる、こんなふうに考えます。
○鳩山委員 先日、横山委員が統一教会の御質問を塩崎次官になさったわけであります。その際、統一教会はこれは宗教でありますから、いわば法務省と文部省の接点の問題になると思います。しかしながら、横山先生は、私は宗教のことを問題にしているのじゃない、その宗教活動の中で人権が明らかに抑圧あるいは侵されているという側面があると信ずるので質問をしているということを繰り返し述べられたのであります。その際、次官は、しかしながら直ちに法務省の所管とは言いかねるという御答弁をなさったのを私はメモしたわけであります。それは文部省との関係について配慮なさっているからだと思いますが、しかしながら、統一教会で人権に関する問題が存在しているならば、おれたちがやる、法務省で、法務大臣がやるという答弁を私は期待をしておったわけでありますが、その後お考えにお変わりはないでしょうか。
○塩崎政府委員 先ほども申し上げましたように、人権擁護につきまして法務大臣に重大な責任があることは言うまでもありません。法律によって人権は保護されているものだと私は思います。 先般、横山委員の御質問に対しましてお答えいたしましたのは、人権と申しましても、宗教、信仰の自由あるいは言論の自由、これらと多分に密接な関連があると思うのでございます。朝と夜との区別以上に限界がむずかしい面があろうかと私は思います。人権擁護の名にかこつけまして言論の自由あるいは信仰の自由ということを侵すことがあったならば、またこれは憲法上の基本的人権の侵害になる、こういった観点からこれは慎重に扱わなければならぬ、こんなような意味で申し上げたわけでございます。いろいろと御議論がございましたが、私は人権擁護委員法を見ておりましても、人権擁護の仕方について、普通の行政官庁に与えられておるところの権限と違ったような人権擁護の仕方になっておることを考えてみますと、行政官庁が、単純な質問検査権限を与えられて、それによって保護したりするようなやり方というふうに明白に見ないわけでございます。これは私もまだまだ勉強が足らないかもしれませんけれども、行政官吏が、公務員が権限を与えられるのにやはり一つの法的根拠が要り、しかもまた、その根拠は一つの限界が認められておる。質問検査権限というのは大変むずかしい仕組みだと私は思いますが、そんなような観点から見て、まだまだ人権擁護のあり方については検討すべき点があるのではないかと思って申し上げたのでございます。
○鳩山委員 人権問題というのは、冒頭に申し上げましたように、独立した重要性を持っていると私は考えております。ところが、人権と言いましてもいろいろな人権の接点がありまして、なかなかむずかしい問題を多く含んでいると思います。しかし、やはりそれだけ重要な人権問題でありますから、私は、法務大臣がその最高責任者であるという自覚を持っていただき、またそれを世に広く宣言していただきたく期待をしておるわけであります。ですから、これからも明らかに人権問題が含まれていると思う場合には、私は、この法務委員会で取り上げ、大臣あるいは次官その他の皆様方の御意見を伺いたく考えております。 ところで、北朝鮮における日本人妻の問題、これはいわゆる日本人妻自由往来実現運動の会という市民団体もございますし、一般にはこの問題の存在はかなり広く知れているようでありますが、法務省として北朝鮮における日本人妻の問題の存在を認めていらっしゃるかどうか、お伺いしたく思います。
○村岡政府委員 北朝鮮に現在居住しておりますいわゆる日本人妻、いわゆるとつけましたのは、後で御質問があるかと思いますが、正確な意味での日本国籍を有するかどうかは問題がございますのでいわゆると申し上げますが、日本人妻の生活状況等、先ほどの往来の問題等につきましては、人権擁護の観点から関心を持っております。
○鳩山委員 そうしますと、多少あいまいな点があったわけでありますが、皆様方は、北朝鮮における日本人妻を何名であると把握なさっておるわけでありますか。
○吉田(長)政府委員 北朝鮮に現在居住している日本人妻、いわゆる朝鮮人の妻になっている日本人の女でございますが、その正確な数字は不明でございます。ただ、現在までに北朝鮮向けに戦後出国した日本人女性がおりますが、そのうち、出国の際の年齢とか家族構成などから、朝鮮人の妻として出国したと見られる者の数を推計いたしますと、千八百二十七名でございます。
○鳩山委員 しかしながら、この北朝鮮における日本人妻の問題が外務委員会でもしばしば取り上げられておりますのは、要するに北朝鮮に渡ってその後の消息がわからない、手紙の往来も余り自由でない、もちろん里帰りはできない、安否調査をしても結果が出てこない。すなわち、日本に残された親戚、肉親と北朝鮮に渡った女性の方とがその後会えないという点に一番大きな問題があると私は考えます。したがいまして、いま千八百二十七名とお答えになりましたけれども、これは北朝鮮に帰還するに当たって日本国籍のままで行かれた方の数でございますか。
○吉田(長)政府委員 そのとおりでございます。
○鳩山委員 私が申し上げました観点から申しますと、いわば北朝鮮に渡られたすべての女性をいま問題にしなければいけないと思います。むしろ日本人妻という言葉を本来使うべきではないかもしれません。 簡単に仕分けをいたしますと、日本国籍のままで北朝鮮の男性について渡って行かれた方、あるいは日本国籍を以前に離脱をして、私、この辺詳しくはわかりませんが、北朝鮮の国籍と言っていいのでしょうか、日本の国籍をすでに離脱をしておられて北朝鮮の方と結婚をして渡られた方もおられるだろうと思います。あるいは日本人の女性、日本国籍を有したままで向こうに渡られて、その後に向こうで結婚をなさっているであろうと思われる方もおるわけでありますので、この際、千八百二十七名とおっしゃらずに、そのすべてを含んだ形で問題を認識していただけないかと私は考えるわけであります。 なぜならば、いま私は三種類の型を申し上げましたが、その三種類の型につきまして問題はすべて同じであります。肉親と会えない、里帰りができないという点については全く同じでありますので、今後その三種類合わせますと、これが一体四千人なのか、六千人なのか、これははなはだあいまいでございますので、その数をまず確定をするぐらいの作業をしていただきたく思います。 私、外務省からいただきました資料に「北朝鮮における日本人妻関係・外務省宛依頼内容及び処理状況」という書類がございます。これを私、見せていただきました。一件に二名書いてあったりいたしますので、件数と人数は必ずしも合致しておらないと思いますが、ナンバー四四九の山田さんというところまでの文書をいただいておるわけでありますが、外務省あてに依頼があったのはこれがすべてでございますか。
○遠藤説明員 お答えいたします。 本件に関しましては、外務省としましても人道的な観点から非常に重大な関心を持っておりまして、先生の御質問にちょっとそれるかと思いますけれども、お差し支えなければ、いま外務省が本件につきましてどういうふうな仕組みでやっておるかということを御説明させていただきたいと思います。 北朝鮮に帰りました、いわゆるという言葉を使わせていただきたいと思いますけれども、いわゆる日本人妻の日本におります家族の方々から外務省あてにいろんな手紙が来るわけでございます。それでその手紙の中身は、大別いたしますと、自分の親族の者が北朝鮮に帰っておるから消息を調べてくれないかという点が一つと、それからもう一つは、一度里帰りをしてもらいたいんだけれども、里帰り実現のために努力してくれないか、この二つの照会なり依頼が来るわけでございます。もちろん中にはこの両方が重なっておるものもございます。その件数が現在、全部で四百六十件ございます。 そこで、その内訳をちょっと御参考までに申し上げますと、安否つまり消息の照会をしてくれないか、こういう御依頼が全部で二百四十件ございます。それから里帰りを何とかして実現させていただけないだろうか、こういう御依頼が二百五件ございます。そのうち、両方を含んでおりますのが十五件でございます。したがいまして全部合わせますと、ちょうど四百五十五件でございます。 それで、こういった依頼に対しまして、では外務省としてどういうふうにしておるんだという点でございますけれども、非常にたくさんの手紙がございまして、その中身は種々雑多なのでございますけれども、その手紙を仕分けいたします。中には非常に内容不足な点がございますので、そういう方々に対しては再度こちらから照会するというような手続をとりまして、ここに実は要旨を持っておるのでございますけれども、日本人妻の名前、それからその方の生年月日、あるいは現在住所が漠然とわかっておる方々もおるわけでございまして、その現在の北朝鮮における住所、それからいつごろ日本を立って北朝鮮に帰ったのか、それから子供がいるのかというようなこと、それから日本人の依頼者の名前、その人との続柄、あるいは日本人の依頼者の住所等々を実は一覧にしまして取りまとめまして、それを日本赤十字社に伝達しているわけでございます。 そこで、安否依頼、安否調査の照会、それから里帰りでございますけれども、いま外務省としましては、まずとにかくいま消息がどういうふうになっているんだという安否の方の照会に実は重点を置きたいと思いまして、現在は安否調査依頼の方をやっておるわけでございます。そこで現在までに安否調査の依頼を受けましたのが全部で二百四十プラス十五で二百五十五件でございますけれども、このうち百八十五名につきましては日赤から北朝鮮の赤十字会に向かって安否調査の依頼の手紙が実は出ておるわけでございます。 ところが、先ほど御説明しましたように、日本各地からの依頼の手紙というのは一遍に来るのでございませんで、当然のことながらばらばらに来るので、それをときどき——ときどきというよりか、照会をし内容を確定してから取りまとめて、それを日赤に渡すという形をとっております。したがいまして、日赤の方もそれを受けまして、少しずつたまっては北朝鮮赤十字会に依頼する、こういうふうな形式をとっておるものでございますから、いままでのところ、その都度一名であったり、あるいは二十数名であったり、あるいは三十名を超える照会の場合があるのでございますけれども、合計十回、北朝鮮赤十字会に対して日本赤十字社から計百八十五名依頼の手紙が出ておるわけでございます。最後にこれをいたしましたのは、去年の十二月十三日の二十二名でございます。 以上ちょっと複雑にわたりましたけれども、経緯を御説明申し上げました。
○鳩山委員 外務省あての依頼が四百六十件であるというふうな御答弁をいただいたわけでありますが、そうしますと……(遠藤説明員「四百四十五件です」と呼ぶ)四百四十五ですか。それでは四百四十五といたしますが、先ほど申し上げましたように、本当は北朝鮮に渡った日本人女性、国籍的な日本人と血統的な日本人とこれは両方を問題にすべきでありますが、この際、国籍的な日本人女性、すなわち日本のパスポートを持って北朝鮮に渡られた方のみを問題にするにいたしましても、その中で千八百二十七名が日本人妻と言われるであろうということで問題になっておりますが、千八百二十七名のうちの四百四十五件が外務省あてに依頼が来ておるわけでございますね。そうすると、依頼が来ない者については何もしないということでしょうか。すなわち、少なくとも千八百二十七名を名簿化したものぐらいはおつくりになっていらっしゃるんでしょうか。
○吉田(長)政府委員 名前はわかっております。(鳩山委員「一覧表」と呼ぶ)ちょっと手元にございませんので、あるかないか即答いたしかねますけれども、つくろうと思えばつくれると思います。
○鳩山委員 それはぜひつくっていただきたく思いますし、千八百二十七名だけでなしに、日本人女性、日本国籍を持ちながら北朝鮮に帰られたであろう人数、これは大体四千百名強ではないかと思いますが、この全体の名簿もつくっていただきたい。というよりも、法務省あるいは外務省としては絶対に作成すべきものであると私は思います。 それから第七十六回国会の外務委員会におきまして、昭和五十年十二月十日、永末英一先生がこの問題を取り上げております。その際、中江政府委員の答弁の中に、「安否調査の依頼を受けました者のうち、これは確かに調査を依頼するに値する者というものについて先方に照会するという方針でございます」、こういうお答えがあるわけでありますが、この問題の大きさを考えた場合、できれば四千百名強全部を何らかの形で処理していただきたく思いますが、この「調査を依頼するに値する」というのは、一体どういう意味でございましょうか。
○遠藤説明員 鳩山先生御指摘の昭和五十年十二月十日の衆議院外務委員会での中江政府委員の答弁でございますけれども、この答弁の趣旨は、先ほどちょっと私が触れたのでございますけれども、依頼の手紙自身は中身がかなり不備な手紙も非常に多いわけでございまして、したがいまして、不備な手紙のままでちょっと照会するわけにいかないものでございますから、不備な手紙に対しましては、実は外務省の私どもの課から当人に向かって手紙を書きまして、これではちょっと不足だからたとえばこういうことを教えていただきたい、こういうふうな照会をしょっちゅう行っているわけでございます。そこでアジア局長の中江政府委員の答弁は、そういったような不備な点については調査をし、それが確定し次第というか、ある程度はっきりし次第日赤に取り次いでおる、こういうふうな趣旨でございます。したがってその意味で、依頼を受けました案件について、これはだめ、これはいいというふうな仕分けは一切行っておりません。依頼者全部につきましてそういうふうな調査を行った上日赤に取り次ぐ、こういうことをやっておるのでございます。
○鳩山委員 ちょっと繰り返しになるかもしれませんが、外務省が依頼を受けたものが四百四十五件でございますね。
○遠藤説明員 お答えいたします。 外務省が依頼を受けましたのは、先ほど申しましたように安否調査依頼が二百四十件、里帰り依頼が二百五件、安否調査と里帰りの両方の依頼を受けましたのが十五件、足しまして四百六十件でございます。外務省はこれが全部でございます。
○鳩山委員 依頼を受けたものですね。
○遠藤説明員 はい。
○鳩山委員 それを日赤に伝えたのは何件でございますか。
○遠藤説明員 このうち、先ほど申しましたように安否依頼をまず重点的にやろうということで、これは日赤との協議でございますけれども、安否依頼につきまして、二百四十件——ちょっと私いま数字を持ち合わせてないので恐縮でございますけれども、二百十数件伝えておると思います。 それでは、なぜ二百十数件と百八十五名との差があるのだという点でございますけれども、これは目下日赤で——これは実は私どもが日赤に渡しますのは日本語で渡すのでございまして、それを英語に訳したり等々する手間がかかりまして、この二百十数件と百八十五の間の差は、近く北朝鮮に対して照会する予定でございます。
○鳩山委員 非常に混乱をしておるようでございますが、私が申し上げたいのはこういう点であります。 日本人女性で北朝鮮に渡られた方は膨大な数にわたっている。日本国籍のまま行かれた方でも四千人以上いるのだ。その中で日本人妻として一応問題になっているのが千八百二十七名である。その中で依頼の来なかったものには何もしていない。名簿の一覧表もつくっていない。依頼を受けたものが四百四十五あっても、そのうち里帰りの方はまだ何もしていない。安否調査だけ手をつけている。それも安否調査全部を日赤の方に渡しているわけじゃなくて、調査するに値するものを日赤に渡している。日赤から北朝鮮の赤十字にいくときには、どうもさらに少なくなっているような情報を私は得ておるわけであります、全部渡しておればいいんですが。そういうようにどんどんいろいろなスリットがあって減ってしまって、数千名と言われる日本人女性のうち、結局まだ百八十五件ぐらいしか北朝鮮の赤十字に伝えてない、私はこれを問題にしているわけでありまして、政府としてもっと全体を一括して調査するというような姿勢を見せていただきたくお願いをする次第であります。
○遠藤説明員 お答えいたします。 安否調査の依頼の方につきましては、これは先ほど申したように事務処理上の時間だけでございまして、これは近く二百四十名全員の調査というか、北朝鮮の方に照会を依頼する予定でございます。 ただ、問題は里帰り依頼の方でございますけれども、この点につきましても、先生の御趣旨よく私どもわかりますので、この点前向きに検討させていただきたいと存じます。
○鳩山委員 私は、外務省から四百数十件の資料をいただいておるわけでありますが、依頼された時期が五十年の四月から始まっておるわけであります。 その処理状況欄というのを見ると、最初の方は何らかのことが書いてある。北朝鮮の赤十字まで確かに話がいったとか、そういうことが書いてあるわけですが、ある程度ページをめくっていくと、突如すべての処理状況が空欄になってしまうのであります。依頼されてから約一年半近くたちながら、処理状況が全く空欄であるというのは、幾ら何でも遅過ぎるのではないかというのが私の考えであります。 そこで伺いたいのですが、日赤から北朝鮮の赤十字会へ調査を依頼しているのは、それはどんな形で調査依頼をしておるわけてありますか、手紙ですか。
○遠藤説明員 お答えいたします。 日赤から北朝鮮赤十字会の責任者あての手紙でございます。
○鳩山委員 その手紙は、これは万国郵便連合というようなものもあると思いますが、どういうルートで北朝鮮の赤十字会まで届くわけでありますか。
○遠藤説明員 お答えいたします。 手紙のルートにつきましては、実は私詳細に承知していないのでございますけれども、たしか間違いなく手紙自身は届いておるというふうに承知しております。日赤と北朝鮮赤十字との間にはコミュニケーションがあるわけでございますから、その他一般の手紙も届いておるわけでございますから、これも届いているものと私は承知いたしております。
○鳩山委員 実は日赤の方に伺ったわけでございますが、最近インドでアジア赤十字国際会議というのが行われて、すでに終わったのではないかと思いますが、その際、日赤からは綱島部長が出席をなさっておりますが、帰ってこられておっしゃったことには、私直接聞いたわけではありませんが、北朝鮮の日本人妻について北朝鮮の赤十字の人たちとじっくり話す機会がなくて残念であったというお話をなさっているようでございます。 私は、郵便で北朝鮮の赤十字会に依頼することが何も間違っているとは思いませんが、赤十字というものは戦争中でも活躍をするようなりっぱな団体でございますから、何か郵便では余りに心もとないような気がいたします。日本の赤十字と北朝鮮の赤十字会かもっとこの問題で積極的に会って、そして交渉をするという舞台は、現在のところ考えられないわけでございましょうか。これは赤十字の方に伺わなければわからない問題だとは思いますが……。
○遠藤説明員 これは実は赤十字の問題で、私が口を出す立場にないのでございますけれども、そのように御意向は赤十字に伝えまして、私どももそういうふうに期待いたしております。
○鳩山委員 これはまさしく外務省に伺いたい点でございますが、朝鮮民主主義人民共和国と日本の間には現在国交がないわけであります。国交がないと、こうした問題が起きても赤十字ルートぐらいしか考えられないものでございましょうか。
○遠藤説明員 お答えいたします。 国交のない状況では、残念ながら赤十字というのが、ことにこういったような人道問題あるいは人権問題につきましては一番いいのではないか、こういうふうに考えております。
○鳩山委員 ほかに考えられる方法というのはございますか。
○遠藤説明員 たとえば北朝鮮には日本からときどき国会議員の先生方がおいでになる機会もあるわけでございまして、こういう先生方にも、ピョンヤンに参りましたときにこの問題を取り上げて向こうの意向を打診するようにお願いしたことはございます。
○鳩山委員 日本のパスポートを持って外国に行かれた方につきましては、外務省として、そして政府として、あるいは国として保護義務があると考えてよろしいわけでしょうか。
○遠藤説明員 日本の旅券を持ちまして外国に出ました場合には、一般的には日本政府の保護というものは与えられるべきであろうかと思いますけれども、実際上はそれが有効的になし得ない場合もあろうかと思います。ちょっとこの答弁、私自身必ずしも権威をもってお答えできる答弁じゃないので、この点、御勘弁いただきたいと思います。
○鳩山委員 私は、保護義務はあると思います。すでに日本国籍を離脱して北朝鮮に渡られた方、この血統的日本人に対して保護義務があるかどうかは、これは恐らく、ないという考え方の方がむしろ通説であるかと思いますが、少なくとも保護義務があるわけでありますから、法務省と外務省でもっとよく話し合われて積極的な方法を——ただ単に赤十字にお願いをする、あるいは北朝鮮に国会議員の方々が行かれるときに何らかの文書を持っていっていただく、それだけでなしに、幾ら国交がないとはいっても、事柄は人道問題でございますから、この人道問題、人権問題については積極的に、特に法務省は、冒頭に申し上げましたように、これからは中心となってやっていただきたく思います。 それから、北朝鮮の赤十字会から日本の赤十字へは何の答えもないと聞いておりますが、事実でございますか。
○遠藤説明員 日本赤十字に照会しましたところでは、これまで何の返事も来ていない、こういうふうな返事でございました。
○鳩山委員 外務省としては、なぜ答えが来ないと解釈していらっしゃいますか。
○遠藤説明員 先ほど私が申し上げました、国会議員の方が行かれまして、この問題を先方で取り上げましたときに、先方の方が言われたのは、日本人だと日本はおっしゃるけれども、実はこの人たちはもはや日本人ではなくて朝鮮国民である、ちゃんと取り扱っておるのだからということと、いずれにしましても調査をするということでございまして、いままでのところ残念ながら返事がないのでございますけれども、ごく最近にも、日赤を通じまして私ども再度北朝鮮に依頼をするつもりでございます。
○鳩山委員 私、これで質問を終わることにいたしますけれども、きょうはいわば法務委員会で先鞭をつけたつもりでございます。委員長を初めとする委員の皆様方も、この北朝鮮における日本人妻の存在を厳しく認識していただいて、全力で取り組んでいただきたく思います。 そこで、ただいまのお答えでありますが、北朝鮮からは何の返事もないということであります。日本では、日本人妻自由往来実現運動の会というのがございまして、北朝鮮から日本の肉親にあてた手紙その他を発表したりいたしております。まことに熱心な運動を続けられているようでございます。しかしながら、私たちがこの問題を取り上げた場合も、何か知らず知らずのうちにイデオロギーがくっついて回るようなことがどうしてもあるわけでありますが、事柄は人道問題でありますから、あらゆるイデオロギーを排除して取り組まなければいけないと考えております。朝鮮が一つか二つかとか、朝鮮半島の問題の政治的な大きさとか、あるいは民族問題としての大きさとか、そうしたものはこの際度外視して、不幸な方を救うために努力をしなければいけないと思います。 ことしの一月二十五日、日朝議連の久野忠治会長がピョンヤンで北朝鮮政府の要人とお会いになったとき、日本人妻の問題を取り上げて、できればそういう人たちといま会いたい、また資料があったらくれないかと申されたのであります。その際、北朝鮮政府の要人が、そうした方々はいまピョンヤンにはほとんど住んでいない、あなたの滞在日数がもっとあればお連れ申し上げることもできるが、滞在日数も限られているので、残念ながら御案内できない、次回あなたがお見えになったら時間をかけて御案内したい、またそれなりの手配はできるであろうと語っていたそうであります。宇都宮徳馬先生が行かれたときもほぼ同様の回答があった。そう考えますと、イデオロギー問題を排除して、北朝鮮の立場をむしろ理解するような形で、この日本人妻の問題を北朝鮮に対してぶつけていけば、きっと何らかの誠意ある回答が得られるだろうと私は思いますので、そうしたイデオロギーを排除した取り組み方を、単に法務省の皆様方、外務省の皆様方だけでなく、この法務委員会のすべての委員の皆様方にお願いを申し上げて終わりたいと思います。
○塩崎政府委員 おっしゃるとおり、人権と申しますか人道上の問題は、イデオロギーを越えあるいは国境を越えた問題だと思います。法務省は人権擁護局を持つ人権擁護の所管省でございますので、いまおっしゃった点につきましては努力していくことを申し上げたいと思います。しかし、何といっても外国のことでございます。そこで、私どもの気持ちをわが鳩山外交の大きな柱として推進してまいることをここで申し上げたいと思います。
○鳩山委員 ありがとうございました。
○上村委員長 次回は、来る四月六日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時四十七分散会 ————◇—————