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80回国会衆議院1977/03/25

法務委員会 第6号

発言数
86
登壇者
7
会派数
4
開催日
1977/03/25

会議録

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、証人等の被害についての給付に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲葉誠一君。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 この法律についてはもう質問が大分なされておりますので、若干の時間質問させていただきたいと思います。  法律を見ますと、証人等の被害についての給付という言葉が出てくるわけですね。給付というのは、私ども法律を習ったときに、最初にたしか債権法の総論で出てきた言葉だと思うのですが、この給付と、国家賠償法などで言う賠償、それから刑事補償法などに言う補償ですね、この三つの関係はどういうふうに理解したらよろしいのでしょうか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 お尋ねの補償と給付の差異でございますが、補償と申します場合には、国に何らかの責任があるといいますか、そういう場合補償という言葉を使っておるように思います。たとえば国家賠償法の賠償、これは故意、過失がある場合でございます。それから故意、過失を伴わない場合に補償というような言葉を使っておるように思います。この法律の給付ということになりますと、国と当該損害との直接的な因果関係はない、しかしながら事態にかんがみて国が何らかの手当てをして差し上げる必要がある、そういう場合を給付という名前で呼んでおるというふうに承知しております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そうすると、この法律は、純粋に言うと国としては法律的な責任を負っているんじゃないんだ、だけれども、まあ言葉は悪いかもしれぬけれども、恩恵的な意味で、各般のいろいろな状況から支払った方がいいんだろうというので支払うんだというふうな理解の仕方になるわけですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 恩恵というのも当たらないと思います。要するに、いやしくも証人あるいは参考人として審判あるいは捜査に協力された方が、生命、身体に害を受けられた、こういう場合には当然救済して差し上げるべきだという考え方、さらにはそうすることによりまして証人、参考人の出頭を確保し、もって刑事裁判の適正、迅速を期そうという広い意味の刑事政策的な見地から給付するものでございまして、恩恵というのはちょっと当たらないかと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 恩恵という言葉はちょっと私も当たらないというふうに思うのです。  そこで、刑事被害者補償法との関連といいまするか、刑事被害者補償法はまだいまはできていないわけですけれども、法務省を中心にできつつあるわけですが、これの基本的な考え方と、この本法における考え方とは、大体の筋としては同じことなんですか。片方は補償だからやはり本質的に違うという理解の仕方ですか。まだできていない法律ですから、内容によっては変わってくるかもしれませんですけれども。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 ただいま御指摘のように、被害者補償の関係は、いま被害者補償という名前で呼ばれておりますけれども、中身がどういうふうになりますかまだ確定しておりませんので、はっきりしたお答えはできませんが、多少似たような色彩の点があるということだけは申し上げられるかと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そうすると、刑事被害者補償法が成立した場合でも、それとの関係はどういうふうになるのですか。普通法、特別法のような関係になるのですか、あるいは吸収される形になるのですか、そこら辺のところはどうなんですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 被害補償の関係がどういう給付の内容を定めることになるか、これによって違ってくると思いますけれども、観念的に申し上げれば、被害者補償の法律ができれば、これが一般法で、このただいま御審議願っております法律は特別法という関係になると思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 証人の方は国民の義務として規定されたものですね。それから参考人の方は必ずしもそうでもないわけですが、証人の場合と参考人の場合とを給付の内容その他を区別して、証人の場合には重くするとか、これは何とか具体的な施行の過程で違いがあるようにするのですか、あるいは全く同じように扱うということなんですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 参考人の方も刑事訴訟法に参考人の出頭を求めることができるという規定がございますから、その反射的効果として一応の義務があるというふうに言えると思います。また、その点はさておきましても、証人であります場合と参考人であります場合で、出頭される方の心理的な負担でありますとか、あるいは傷害を受けられた場合の結果等について差異があるわけでございませんから、一律に扱っても差し支えないんじゃないかと思っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 昭和三十三年四月二十一日に参議院の法務委員会でこの法案について質疑が行われておるわけですが、これは立法当時ですね。この中を見ますと、国務大臣唐澤俊樹さんが、「将来といたしましては、もう少しく手厚い補償のできるような道を講ずる方向に向って研究をいたして参りたいと考えております。」と、こう言っているんですね。ここでは、補償という言葉を使っていますね。これはどっちがどっちでもいいですけれども、この補償という意味は、そう正確な意味で使ったというふうではないわけですね。それが一つと、それから、将来としては云々というようなことを言っていますね。「もう少しく手厚い補償のできるような道を講ずる方向に向って研究をいたして参りたいと考えております。」と、こう言っているわけですね。そうすると、その昭和三十三年からずいぶんだっているわけですが、いままでどうしてこの法案についての手厚い補償をするような方向で考慮なり何なりがされなかったのでしょうか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 お尋ねの前段の補償という言葉は、そう深い考えなしにお使いになったものと思われますが、この補償の実際の内容は御承知のように政令において決められておりまして、いろいろな給付をいたします計算の基礎となる金額が制定当時三百七十円という基準額でありました。これを現在まで状況に応じまして順次引き上げまして、基準額が四千二百円ということになっております。そういうことによりまして、実質的な補償がだんだん手厚くされておる、また、今回の改正によりまして打ち切り給付というものをやめることにいたしまして、さらに手厚く措置したい、こういう考えでおります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 実施機関の問題で、この当時に、議事録を見ますると、答弁を見ますと、これは竹内さんが答弁していますが、「実施機関といたしまして、それをどうするかという点でございますが、実はこの点がただ一つ未決定の事項になっております。法務当局といたしましては、」「検事正とするのが一番適当であろうかというふうに考えておるのでございますが、」「裁判所側からは、事、公判廷で行われたものにつきましては、裁判所がするというのがいいのではないかという御意見がございます。その点につきまして、なかなか強硬な意見を持っておられましたが、この法案を提出するまでの間に意見調整をいたしまして、とにかく法務大臣が所部の機関に委任してやるというところまでは裁判所も了解をしたのでございますが、さてその所部の機関を検事正にするかどうかという点につきましては、まだ今後協議してきめるということになっておるのでございます。」と、こう言っていますね。そうすると、立法当時、この法案を出すときには実施機関をどこにするかということは決まってなかったのですか。その後これはどういうふうに決まってきたのか。法務大臣になっているわけですか。これは委任か何かで検事正になっているのですか。そこら辺のところはどういうふうになっているのですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 ただいまのお尋ねは二つの問題点を含んでいると思います。  まず第一は、証人の場合と参考人の場合で給付を行う機関を異にすべきではないかという考えが制定当時裁判所にあったようでございます。それは、話し合いました結果、司法警察職員の取り調べます参考人もございますし、結局検察官が一本にしてやった方がいいのではないかということで話がまとまったように承知しております。  それからもう一つの問題は、立法当時、これは法務大臣が全部の権限を持っておやりになる事柄でございますが、個々具体的な案件の調査あるいは金額の裁定、こういうものにつきまして、どこか下部機構におろす方が便利ではないか、おろす場合にどこにするかという問題がございまして、それが本法制定当時にはまだ決まっておりませんで、議事録にもたしか載っているかと思いますが、法務大臣の所部の機関にするということだけ決まっておりまして、検事正にしようか法務局長あたりにしようかということが考えられたようでございます。結局、刑事司法に属することでございますので、検事正に間もなく落ちついた、こういうふうに聞いております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そうすると、刑事被害者補償法の場合には実施機関をどういうふうにする考え方でいくわけですか。これは何か第三者委員会みたいなものをつくってやる、これはイギリスの行き方ですか、ちょっと私忘れましたが、いろいろな行き方がありますね。だから、この法案はこの法案であるとして、刑事被害者補償法の場合の実施機関ということについてはどういうふうなことが考えられて、どういうふうなことが一番日本の国情に合った妥当な方法であろうとお考えなのでしょうか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 これはまだ法案作成の過程にございますので、確定的なことはちょっと申し上げかねるわけでございますが、いま先生御指摘のように、第三者委員会というようなものを設けて、それで裁定をさせるという考え方も相当有力でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 これは後から質問があるんだと思うのですが、検察庁の場合、証人等にこの趣旨を告知するというようなことは実際にはやってないわけですね。それから、参考人を呼んだ場合でも、旅費を払わなければならないわけでしょう。だけれども、実際には旅費を払うということも言ってないから、来た人は知らないんじゃないですか。そういう点が非常に配慮が足りないんじゃないの。そこはどういうふうになっていますか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 まず、後の方から申し上げますと、昔と大分違いまして、最近は、参考人の方も、足代がかかっておると思う場合には検察官から積極的に参考人に旅費が出る旨を告知しております。  それから、前段の、証人被害給付法の存在につきましては、参考人等を調べます場合に、いきなり冒頭で、もしあなたが何か殺されたりけがさせられても補償がありますよ、というようなことを言って調べるのもいかがかと思いますので、そういうことは申しておりません。おりませんが、この法律による給付を受けられる状態になった人というのは、ほとんどの場合刑事事件として立件されますので、ほとんど漏れなく検察官で承知できるようになっておると思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 それから、この立法当時も問題になっておったようですが、これは辻さんが説明していますが、精神的な損害については把握が非常に困難であるというような技術的な面もあってなかなかむずかしいようなことを言っていますね。これの点について、たとえば精神的な威迫のような問題がありますね、そういう場合でも請求しようと思えばできるわけですか。本法ではできない、別な形でいく以外ない、こういうことですか。あるいは将来どういうふうにしようという考えでいるか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 精神的な損害については、現在の法律では給付の方法がございません。その理由はただいまお述べになりましたようなことが主たるものでございますが、この法律案の御審議の経過を見てまいりますと、精神的な損害についても給付をするような方向で検討すべきではないかという御意見が相当あるようでございますし、私どももそのお考えは一つの見解であろうと思いますので、将来の問題として検討してまいりたいと思っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 警察官に協力援助した者の災害給付に関する法律というのがありますね、これの十三条では、給付を受けようとする者に対し戸籍に関する無料証明の請求権を与えておるんだけれども、本法はかような規定を欠いておるというようなことを立法当時言われていますね。これはどういうことからでしょうか。現在どういうふうになっているのですか。また、将来どういうふうにしようというのですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 警察官の協力援助に対する給付法とただいま御審議願っております法律の場合とは、件数において非常な開きがございまして、私どもの方の法律に関する限りは非常に件数が少ないということ、それから、先ほど申し上げましたように、ほとんど刑事事件として立件されるということから、検察官がみずからすべてやってあげるというようなことが多いわけでございます。また、もし、これは仮定の議論ですが、そういうことの必要があれば、住民基本台帳法の関係で、検察官あるいは法務大臣が直接それらを取り寄せるなり戸籍謄本を取り寄せるなりするということで、十分運用で賄える、必要性がないという意味において規定がないわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 この警察官に協力援助した者の災害給付ですね、これの中身は、たとえば捜査機関に協力した者の場合はこれに入らないでこっちへ入るわけですね、この証人等の法律に入るわけでしょう。だから、警察官の捜査機関に協力した結果被害を受けたという場合には、前の警察官に協力援助した者の災害給付の方に一本にするというわけにいかないのですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 警察官の方の給付法は、若干立法目的が違いまして、警察目にかわって何かやってくれたというような場合でございますので、目的を異にいたしますので、ちょっと一本にはならないかと思っております。

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 次に、正森君。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 昭和三十三年に本法が制定されます前に、昭和三十二年に、証人等になった者に対して危害が加えられるということで法務省で統計をとったと思いますが、その統計数字について簡単に御説明ください。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 暴力事犯の証人、参考人等が危害を加えられた事例は、昭和三十二年度は傷害十八、暴行五などとなっております。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 そうすると、昭和三十二年には、傷害を受けた者が十八名あったということで、これはほっとけないということで本法が制定になったのですが、その後三十三年に本法が制定されてから約十九年間に、この間からの御報告によりますと、実際にこの法律が発動されたのは四件ぐらいだということになると、いかにも少ないと思われるのですが、その理由はどこにあると思いますか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 御指摘のように三十二年度あたりがピークでございまして、非常に証人、参考人が危害を受ける事例が多かったわけでございます。そのような事態にかんがみて昭和三十三年にただいま御審議願っております法律ができ、それとセットをなすものとして、いわゆるお礼参りのおそれのある場合の保釈の制限、それから保釈取り消し事由の改正、さらには証人威迫罪の制定、こういうものがございまして、これらの有機的な活用によりまして非常に事例が減少してきた、こういうふうに考えております。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 いまの刑事局長の答弁は当たっている点もあると思いますが、たとえば昭和五十年、五十一年を見てみましても、傷害を受けた者がそれぞれ一名ずつおりますね。これから見ますと、やはり各年少なくとも一名ぐらいはあったと思われるのですね、十年ぐらい前の統計はないそうですから伺いませんけれども。そうすると、十九年間に四件というのはいかにも少ないというように思われるわけであります。  そこで、その理由はどこにあるだろうかという点を少し考えてみますと、たとえば本法の九条には、「この法律による給付を受ける権利は、これを受けようとする者の請求に基いて、法務大臣が裁定する。」こういうようになっておるのですね。だから、請求に基づくというようになっていると私は思います。  そこで、同種の法律である警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律では、これはやはり請求に基づくというようになっておりますか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 同様でございます。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 何条にそうなっておりますか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 失礼しました。そういう字はないようでございます。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 大体、私が聞いて、そういうようになっておりますというようなことを答えて、私は事前に法律を調べてあったから、そんな条文はないから、あるいはどこにできたかと思って聞いたら、ない、こう言うでしょう。だから、あなた方が思わず知らずそういうぐあいにお答えになったところを見ても、これは法律の均衡から言うて、一方に「請求に基いて」とあれば、警察官の関係についても当然請求に基づいてというようでなければならない。警察官の関係で請求に基づいてという要件がないなら、本法においてもそういう要件で制限するというのはこれは必ずしも公平ではないということが、あなたのいまの答弁の誤りの中からおのずから出てきていると思うのですね。私は、証人に出たときに、あなたがもし殺されたりけがしたときはこういう法律がありますよと言って告げるのは、これは必ずしも適切でないかもしれないという先ほどのあなたの答弁には、私も首肯できる点があるのです。しかし、そういう事例が発生したということは認知し得る場合が多いわけですから、そのときにも請求に基づかなければ支給しないというたてまえをとっておって、検察官の方から逆にそういう場合には請求できるんだということを法律上要件としておらない、逆に要件としておらないどころか、被害者の方から請求しなければ請求に基づいて支給できないんだ、こういうようになっているところに、本法が活用できない一つの大きな理由があるというように私は思うのですね。あなたも、警察官関係と違う点について合理的な理由があるとは思われないでしょう。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 請求権を認めるためには、請求を待って給付するというふうに書くのも一つの立法技術じゃないかと思っておりますが、いずれにいたしましても、この法律に基づきます給付につきましては、いま御指摘のように、ほとんど捜査機関において認知できる場合でございますので、さような場合には検察官において積極的に請求をさせて給付をするというようにいたしております。その趣旨の刑事局長通達を制定当時発しておりますが、なお御懸念があれば、さらに重ねて周知をいたしたいと思います。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 私は、通達と、法律に規定するのでは、大いに違うと思うのですね。さらに申し上げますと、国家公務員災害補償法というのがありますね。これは国家公務員が公務上で災害を受けた等の場合に支給するのですが、その場合にはどうなっているか御存じですか。その場合には、法律によりますと、これは通知をしなければならないというようになっているのですね。第八条で、「職員が公務上の災害又は通勤による災害を受けた場合においては、実施機関は、補償を受けるべき者に対して、その者がこの法律によって権利を有する旨をすみやかに通知しなければならない。」こういうことになって、通知することが逆に義務になっておるのです。  ですから、そういうのとの対比によりますと、証人にせっかく出てきて、生命やあるいは身体に対して傷害を受け、殺されたという者について、こういう法律があるんですということを通知する義務を国が負っておらないというような点に、この法律が活用されない一つの大きな理由があると思うのですね。警察官が通知するというのは、これは法律上の義務としてではないので、たまたま知っておるから好意的に通知するということでしょう、法律的に言えば。それは非常に問題があると思いますね。  次に伺いますが、この法律の第九条によりますと、これは二年間行わないことによって権利が消滅することになっていますね。これは法律上いわゆる除斥期間ですね。時効期間ではないですね。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 そのとおりです。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 警察官に関係する法律ではどうなっていますか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 時効期間になっております。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 なぜそういう差異を設けるのですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 ことさら差異を設けたつもりはないのですが、本法の方は何分件数も少のうございますし、それから先ほど来申し上げておりますように、ほとんど捜査機関が認知できる場合でございます。また、事案の新しいうちに早く給付を差し上げるということで、二年間の除斥期間で何の不都合もないというような考え方で除斥期間というふうになっておるわけでございます。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 この御説明は納得できないですね。時効の場合には、これはもうすぐ二年になって切れるという場合でも、内容証明を一本出しておれば六カ月間時効にならないで済むとか、あるいはその他いろいろ時効を中断する方法がありますね。除斥期間というのは、二年間たってしまえばこれはしようがないということで、一般的に、除斥期間であって、しかもその期間が短ければ短いほど、早いことその権利について決着をつけて請求できないようにするというのが法律の趣旨であることは、これはあなたは専門家であるからきわめて明らかに御存じだと思うのです。それが他意はないとかなんとかおっしゃいますけれども、明らかに警察官に関係する者は二年間の時効である、こちらの方は逆に二年間の除斥期間であって、時効中断の方法や延長の方法がないということもやはり非常な差異である。しかも、この請求をとりにくくする差異であるというように言わなければならないと思うのです。さらに、その点を明らかに示すものに、国家公務員災害補償法ではどうなっていますか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 時効になっております。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 同じようにこれは時効になっているのですね。しかも、国家公務員災害補償法の場合には至れり尽くせりになっているのを御存じですか。二十八条を見ますと、こう書いてあるのです。「補償を受ける権利は、二年間(傷病補償年金、障害補償及び遺族補償については、五年間)行わないときは、時効によって消滅する。ただし、補償を受けるべき者が、この期間経過後その補償を請求した場合において、実施機関が第八条の規定により、補償を受けるべき者に通知をしたこと又は自己の責めに帰すべき事由以外の事由によって通知をすることができなかったことを立証できない場合には、この限りでない。」つまり、二年間の時効で、ある場合には五年間であるというようにしておいて、その上に、国の実施機関の方がちゃんとあなたはこの給付を受ける権利があるんですよということを通知したんだということが立証できなければ、こんな期間に関係ない、あるいは通知できなかったのが自分の責任でない事由によって通知できなかったんだということを証明できない限りは時効は関係ないんだ、こういうぐあいに二重三重に保護されているのですね、公務員は。しかも、公務員は公務上の災害だけではないんですよ。通勤の途上で自動車事故にぽんと遭ったとか、そういうものについてもこういうように至れり尽くせりの保護がある。ところが一方どうですか。証人として出頭しなければ不出頭罪とかなんとかでやられるという場合に、殺された、傷害を受けたという場合について、二年間の除斥期間であって通知の義務もないというのは、これは余りにも法律的にはこの証人に関する災害の補償について軽視しているという明らかな理由じゃないですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 いずれにしましても、この法律に基づく給付は法務大臣が行うわけでございまして、先ほど来お話を聞いておりますと、法務大臣に内容証明を出して時効の中断をしなければいかぬというような事態はちょっと考えられないと思います。いずれにしましても、この法律の給付件数は非常に少ないわけですし、それから、るる申し上げておりますように、ほとんど認知されましてそれの給付の義務を負っておりますのは法務大臣でございます。かような場合に、この法律の条文上の扱いだけをいろいろ論議をしてみても余り意味がないんじゃないか、意味がないと言うと失礼にわたりますけれども……

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 何ということを言うんだ。法務委員会というのは法律上のことを質問をするところではないのか。それを法律上のことをいろいろ言っても意味がないと。取り消せ。法務大臣が裁定権者だから、実施上のいろいろの実務でうまくいくんだから法律上のことは論議しないでもいいということにもしもなったら、法務委員会は一体何を質問するんですか。何ということを言うんだ。委員長、私は、いまの言葉を取り消して陳謝を求めます。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 言葉が足らないために誤解を招いたとすればおわびをいたします。私が申し上げたかったことは、細かい技術的な条文をたくさん法律の上に書くという必要のある場合と、ない場合というものがあるのではないか、こういうことを申し上げたかったわけであります。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 人数が少ないと言いますけれども、私は、そもそも人数が少ないのはどういうわけなのであるか、こんなことが一年間に百件も二百件も千件もあるなんというようなことは異常な社会です。少なければ少ないほどいいのです。しかし、仮にもあったとすれば、そういう人が一人も漏れなく受けられるようにするということ、これが国の責任じゃないですか。そういうことをするためには国が通知義務を負う、あるいは国がその通知義務を忘れておったようなときには、二年間であってもこれは二年間が延長できる、あるいはひょいと請求するのを忘れておった場合に時効中断の手段も与えるということがあっても当然じゃないですか。私の後、同僚議員がいろいろ質問すると思いますけれども、そういう点について、謙虚になるほどそういう点も考えてみなければいかぬなというように答えられるならともかく、法律上の細かいことをがちゃがちゃ質問したって、そんなことは、こんな人数が少ないものについて関係がない、私が指摘しても、誤解を招くような発言があったとすればとは何だ。誤解を招くどころか、誤解でも何でもない。明らかに、国会が法律を制定するときに法律上の諸問題について聞けば、そんなことは論議しても仕方がないというのがあなたの意見じゃないか。誤解を招いたとすればという前提はもってのほかだ。委員長、私は再度発言を求めます。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 私が申し上げたのは、技術的なことをどこまで法律に書くべきかということは、その予想される運用によっていろいろ決まってくるのではないか、こういうことを申し上げたいわけでございます。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 私は、いかなる法律にも規定していないことを規定しろと言うんじゃないのです。警察官の関係については、ちゃんと時効の中断だとかそういう規定があるじゃないですか。請求に基づいてという規定はないじゃないですか。国家公務員の災害補償法については、わざわざ通知をするというのがあるじゃないですか。私が何も頭の中で考えてこういうものをつくれと言っているのではないのです。あなた方が制定した法律にそういうのがあるから、均衡上そういうものを入れたっていいじゃないか、こういうことを言っているだけじゃないですか。どこが悪い。どこが法律上の細々したことなんだ。小さいことなんだ。いまあなたは誤解を招いたとすればとだけ言った。それでは了承できない。もう一度答弁しなさい。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 いろいろ他の法律について御指摘の点は、今後検討させていただきます。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 そう言えばいいのです。何もそんな頭から、幾ら新しい刑事局長だといって気負い立つ必要はないじゃないですか。(「余りいばるなよ」と呼ぶ者あり)いばるなといういま不規則発言があったけれども、法務委員会で法律の質問をしているときに、法律の問題を聞いたら、そんな細かいことごちゃごちゃ言わないで運用で解決するというのなら、法務委員会は要らないじゃないですか。私はそういう発言というのはおやめになった方がいいというように指摘しておきたいと思います。  もう一点だけ伺いますが、今度のロッキード裁判について、渡辺という被告人が松田常務に対していろいろ発言をしたということが載っております。たとえば、松田という証人は検察官に対する供述を大きく変えて敵性証人になってしまったというように言われておりますが、そのときの発言が、昨年の六月衆議院のロ特委員会で証言する直前、渡辺に呼びつけられて、松田が全日空で生きるなら大庭や三井物産にごまをするな、別の新聞によると、国会では余りしゃべるな、いまさら大庭や物産のごまをすっても始まらない、全日空の中で生きていきたいのならごまをするな、こういうように言われたと報道されております。これは事実ですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 そういう報道があったことは事実でございます。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 私は、報道があったことが事実かどうかを聞いているのではなしに、事実上、法廷でのやりとりの中で検察官がそういう事実までも提示して、敵性証人である、敵性証人に変化したということを指摘した事実があるのかどうかを聞いているのです。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 公判で検察官が検察官の作成しました供述調書に基づいて最終尋問を試みた中に、詳細な文言はどうだかわかりませんが、いま御指摘のような趣旨の発言が記載されておったようでございます。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 私はこういう発言は非常に重大だと思うのですね。全日空の中で生きたいのなら、こう言うておるのです。証人として出てけがをさせられるというのは、それはこわいことですけれども、しかし、三日や五日のけがをさせられるのと、全日空の中で生きたいのならというようなことを実力者の副社長が言うということと、本人にとってどちらが圧迫であるかといえば、これは経済的な殺人にひとしい。全日空の中で生きたいのならと、こう言っているのですから。こういうようなことをもし検察側が認知しておられるとすれば、一体あなた方はこういう発言に対してはどういうように法的に取り締まったらいいと思っておられるか、あるいはこういう発言をされた証人となるべき者を保護するためにどうしたらいいと思っておられるか、お答えください。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 ただいまお尋ねの具体的なケースにつきましては、調書の中身を私も承知しておりません。どんなことをどういうニュアンスでどんな機会にどんな場所で言ったかということを詳細わかりませんから、それを前提にお答えすることはいかがかと思いますが、いずれにいたしましても、上の者が下の者に対して、忠告的に言ったのか、あるいは威圧的に言ったのか、その辺をよく確かめてみないと何とも言えないと思います。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 私はそんな答弁には承服できませんね。忠告的に言ったのなら、どうしてあなた方の第一線の検察官がこういうことを法廷の中で聞いて敵性証人になったと言うのですか。単なる忠告的じゃないでしょう。忠告的じゃなしに、全日空の中で生きたいのならごまするな、余りしゃべるなという意味のことを言っているのでしょう。これは明らかに忠告的というようなものじゃないでしょう。また、忠告的に言ったのなら、検察官が法廷でそんなことを言うはずがない。あなたは、忠告的に言ったのかあるいはそうでないのかということさえも、第一線の検察官とは反して、法務省の刑事局長はわからないという前提なんですか。こんなものは単なる忠告的であるはずがないでしょう。あなた方が係属中のことについてここで申し上げるのを差し控えるというだけの理由なら私はわかる。しかし、その前提として、忠告的であるか忠告的でないかというようなことをわざわざ断って、ひょっとしたら忠告的かもしらぬなんていうニュアンスを残すのは、第一線の苦労している検察官に対して、刑事局長はこの苦労はわからぬなと思われても仕方がないと思いますね。いかがですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 忠告か忠告でないかは私もわかりませんから、その点はお答えをする方法がございませんが、いずれにしましても、いま御指摘の具体的なケースは、議院証言法の関係の証人でございますから、法律上、仮にそれが威迫あるいは脅迫にわたったとしても、まあ脅迫にわたれば別ですが、威迫にわたったとしても、取り締まりの方法はないのじゃないかと思います。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 威迫にわたって取り調べの方法がないんですか。刑法では脅迫罪だけでなしに強制罪もありますよ。もし、あなたの言うようなことが本当であるとすれば、同僚議員の、いま提案されているこの法律について、議院証言法に関する証人については非常に法が不備な点がある、だから法改正をする必要があるという御主張がいよいよ妥当性を持ってくる、そのことを裏書きしておるというように思うのですね。  そこで、法務大臣に伺いますが、後で同僚議員がいろいろお聞きになると思いますが、この法律について、私が指摘したことも含めて、検討すべき点が幾つかあると思いますが、それについて前向きに検討をなさいますか。細かいことはいいです、後、同僚議員が御質問なさるようですから。

福田一自由民主党法務大臣

○福田(一)国務大臣 お答えをいたします。  ただいまの問答を聞かしていただいておって、やはり今後検討すべき面があるということを感じました。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 終わります。

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 横山利秋君。

横山利秋日本社会党

○横山委員 一昨日私が提案をいたしました、また御質問をいたしましたことについて、大臣が時間をかしてくれということでございましたから、きょう改めて私の要望点を申し上げまして、御返事をいただきたいと存じます。  時間の関係上、朗読をいたします。  「一 検察官は証人等に本法律の主旨を告知する様にすること。  二 支給事実があった時は被害者の請求をまたず検察官が立件をして手続をすること。  三 脅迫、軟禁等の場合の給付について検討すること。」  四につきましては、同僚議員が他の角度から御質問をされますので、私からは省略をいたします。  「五 刑事補償法に罪の軽減された場合の補償を検討すること。  六 被疑者補償規程を法制化するとともに警察官の不当逮捕などに対する補償を適用すること。  七 刑事被害者補償法を次期国会に提出すること。」  以上につきまして、政府側の最終的な御意見を伺います。

福田一自由民主党法務大臣

○福田(一)国務大臣 お答えをいたします。  横山委員の提出された七項目にわたる御意見については、慎重に検討いたしましたが、その御意見中には、ごもっともな点も多々あり、それぞれ適当な措置をとりたいと考えております。  まず、一、二につきましては、すでに刑事局長通達を発出しておりますが、さらに、改めて刑事局長通達を発出し、この制度の周知徹底を図るよう努めたいと存じます。  三につきましては、脅迫、軟禁等の場合についても給付を行うかについて検討をいたします。  四につきましては、現行法は具体的事実に応じて全部または一部の給付を行うことができるものとされていますので、運用により適正を期することができるものと考えますが、一、二に準じて刑事局長通達を発出し、趣旨に沿うようにいたしたいと思います。  五については、刑事補償法に罪が軽減された場合の補償を設けている外国法制がありますので、その内容及び運用の実態について検討いたしたいと思います。  六については、被疑者補償規程を法制化することは適当ではないが、法務委員会における論議を踏まえて、昭和五十年回規程を改正し、一定の場合、検察官は立件を義務づけることとするなど改善を図っています。警察官の不法逮捕があったと認められる場合、一般刑事事件は必ず送致されることになっているので、被疑者補償規程により補償されます。  七については、刑事被害者補償法案については、関係省庁との折衝を経て、できるだけ速やかに国会に提出いたしたいと存じます。  なお、詳細については事務当局から、御疑問がございますればお聞き取りを願いたいと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 疑問はありません。  ただ、被疑者補償規程を法制化することについては適当ではないという大臣の意見には私は承服をいたしかねます。引き続いて、私は、この問題についてさらに主張なり政府を説得をいたしますが、当面、いまの大臣の御答弁を了承することにいたします。

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 次に、飯田忠雄君。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 二十三日の法務委員会の質問におきまして、本法の改正に当たりまして、なお根本的な問題で改正をすべき点があるのではないかということについて御質問申し上げました。ちょうど大臣はおいでになりませんでしたので、十分の御見解を承ることができませんでした。  それで、当方から三点にわたりまして問題点をまとめて差し出しておきましたが、それにつきまして御質問をいたしたいと思います。時間の関係で、書いてある問題を読んでみますので、その上で御答弁をお願いをいたしたいと思います。  一、証人の範囲を刑事訴訟法の規定による証人に限定する本法は、憲法第十四条に違反する疑いがある。よって、証人の範囲を、すべての法律(それに基づく規則を含む)に規定する証人とするよう、法律改正をすること。  第二は、本法第七条及び第八条、これは二重給付排除に関する規定でございますが、これは本法の制定目的からいって妥当でない。したがって、この両条を削除すること。これでございます。  それから第三は、加害者と親族関係にある証人等について、遺族給付、葬祭給付を認めず、その他の給付についても給付しないことができるという規定がありますのは、これは不当であります。したがって、この制限を削除することを求めます。  以上三点でございます。御答弁をお願いいたします。

福田一自由民主党法務大臣

○福田(一)国務大臣 まず第一の問題でございますが、証人等の被害についての給付に関する法律の目的等にかんがみ、同法に言う証人を刑事訴訟法に言う証人に限ることは、合理的な理由があるものでありますから、憲法第十四条に違反するものとは考えませんけれども、証人の範囲をすべての法令の証人に広げることは、一つの見解と存じますので、本法のような規定の必要性について関係当局とも連絡の上、十分な検討をいたしたいと存じます。  第二の問題については、検討をいたすことにいたします。  第三の問題でございますが、証人等の被害についての給付に関する法律第五条において、遺族給付、葬祭給付につき、加害者と親族関係にある証人等について給付を行わないこととしていることは御指摘のとおりであります。この点については、具体的案件の実体にも応じ得るよう支給制限の緩和を検討したいと考えております。また、第四条の支給制限については、具体的事情に応じて全部または一部の給付を行うことができるものとされているので、運用により適正を期することができるものと考えますが、刑事局長の通達を発出させて、御趣旨に沿うようにいたしたいと存じます。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 ただいまの大臣のお話の中で、納得いかない点がございます。それは先般の二十三日の質問におきまして私がるる御説明申し上げた点でございます。  現在、証人というものは刑事訴訟法に基づく証人だけじゃございません。民事訴訟法に基づく証人、議院証言法に基づく証人、それからまた国家公務員法に基づく証人、いろいろございます。また裁判官弾劾法に基づく証人もございます。こうした証人はすべて宣誓義務を負わされ、虚偽の陳述をいたした場合には法律をもって処断されます。皆同じ地位にあるのです。何も刑事訴訟法に基づく証人だけが特別の地位にあるのじゃありません。証人として全部同じ地位にあります。その同じ証人の地位にあるものが、ただ刑事訴訟法に決めてあるものだけについて補償するというのであるならば、これは明らかに憲法の第十四条に反するじゃありませんか。これは身分によって差別することだと私は考えます。刑事訴訟法に基づく証人、民事訴訟法に基づく証人、議院証言法に基づく証人、裁判官弾劾法に基づく証人、国家公務員法に基づく証人、それぞれ全部同じ地位なんです。国民として同じ地位についておる。しかも、国家の要請に同じように従事しているものじゃありませんか。それに対して刑事訴訟法に基づくものだけ特に補償しなければならぬ、ほかのものは補償せぬでもいいといったような議論が、どうして身分に基づく差別でないと言い得るのですか。御答弁を求めます。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 その点につきましては、大変申しわけないのでありますが、私どもといたしましては、合理的な区別でありますので、憲法十四条違反にはならないと思っておるわけでございます。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 その合理的な区別という内容を正確に理論的に御説明願います。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 前回も御説明申し上げたと思いますけれども、刑事司法の適正、迅速を期するために特に御協力を願うという点を重視したわけでございます。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 証人というものは、どの法律だって、その法律に基づく裁判を円満にやっていく、法律を適正に適用する、そのために来ていただくものでしょう。どうですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 舌足らずで失礼いたしました。刑事裁判の場合には往々にして被害を受けられる方があるという実態、こういうものを十分勘案してのことでございました。舌足らずの点はおわびいたします。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 ただいまのお話によりますと、刑事訴訟法に基づく証人だけが身に危険があって、ほかのものは身に危険がないように聞こえますが、弾劾裁判を先般行いました。私は裁判員として法廷に臨んだものでございますが、このときにいろいろ証人を呼びたかったのです。呼びたいのですが、御承知のように、読売新聞の記者、これは身に危険が及ぶということで証人となることを拒否するという読売新聞の方からのお話だったのです。これは決して経済的な問題ではありませんよ。身に危険が及ぶのです、証人として出てくれば。同じことじゃありませんか。

福田一自由民主党法務大臣

○福田(一)国務大臣 これは私、余り詳しくないから大変当たらない答弁になるかと思いますが、この法律で、ある程度そういう証人の被害が起きた場合は救済を受ける。ほかの法律もいろいろございます。そこで、それぞれの法律において、そういう問題があればその法律において直す、救済措置を講ずるということも一つの方法ではないか。私は一つずつ前進さしていくというのも一つの考え方ではないかと考えます。もちろん、あなたのおっしゃるように、証人というものは同じじゃないか、証人である以上はみんな何か被害を受けたら処理したらいいということになりますと、これはたくさんの法律に関係ございますから、一挙にこれを解決することも、立法技術の問題もございますし、なかなか各省関係のこともあります。そこで、さしあたりこの問題についてやりまして、そうしていま御指摘のあったような面について非常に問題が多いということであれば、そのときにまた処理をさしていただくように、これは法務省関係以外のこともございますから、そういう場合には、法務省の方から他省へもまた連絡をさしていただいても結構だと思いますが、とにかく前進をさしていただく意味で御了承を賜れば非常にありがたいと存じます。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 この問題は人権に関する問題でございます。しかも、これは各省が別々に法律を出されたんじゃ困る問題なんです。同じ証人ですから、一本の証人の補償法として一本で出していただかなければ、国民は迷惑します。今日のわが国の法律体制は、明治憲法下におけるような上からの支配者の法体系ではないはずなんです。明治憲法から言えば全部被支配者である国民、国民が中心の、権力は全部国民から発しておるというそういう立場からの法体系であるはずでございます。そうであるならば、当然国民に便利なような、一見してわかるような法律にするのが当然のことでございます。したがいまして、刑事訴訟法の証人は法務省だ、どこどこはどこどこだといったような個々別々の法律をお出しになること自体が間違いだと私は思います。ことに法務省には法案提出権はないはずです。法務省のどこに法案提出権がありますか。それは法務省ではないじゃありませんか。政府としてお出しになるならありますよ。政府の一部が一々派閥的な行動をおとりになる、それによって国民は大変な迷惑をする、とんでもないことだと思います。どうですか。

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 飯田委員にちょっと申し上げますが、非常に貴重な御意見、御質問が展開されておるわけです。が、きょうの審議の状態につきまして、各委員から時間的に非常に御協力賜っておるわけでございますので、この問題につきましては、また他の機会にひとつ御質問を御続行されることにして、この程度で……。

飯田忠雄公明党・国民会議

○飯田委員 わかりました。それでは、この問題につきましては他の機会に質問をすることにいたしまして、質問を留保いたします。  その他の問題につきましても、憲法に関連する問題ですから、憲法に合致するようにどうか御慎重に御処置くださいますようにお願いいたします。  これをもって終わります。

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 これにて質疑は終了いたしました。     —————————————

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時十二分散会

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