物価問題等に関する特別委員会 第16号
- 発言数
- 62 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1977/05/26
会議録
○西宮委員長 これより会議を開きます。 物価問題等に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村靖君。
○中村(靖)委員 私は、戦後一貫して取り上げられ、一向に解決されない、古くて新しい問題である歩積み両建て等のいわゆる拘束預金の問題を初め、金融機関行政に関する幾つかの点について、きょうは質疑をさせていただきたいと思います。 申すまでもございませんけれども、わが国の産業経済界の発展を考える上において、全国で五百十一万事業所のうち九九・七%が中小事業者である、そこに三千万人の方々が従事をされておる、こういう中小企業の健全な育成をなおざりにすることは絶対にできないわけであります。彼らがいま一番悩んでいるのは、まず何よりも仕事が欲しいということ、そして、金利負担が余りに大き過ぎるということではないかというふうに私は思います。 そこで、まず大蔵省にお伺いをいたしたいと思いますけれども、これだけ何十年という長い期間にわたって大きな社会問題になってきておるこの拘束預金について、公正取引委員会はすでに二十五回、アンケート調査等を実施してこられておるわけですけれども、大蔵省は昨年の春初めて債務者側に対する実情調査をなさったわけであります。なぜこれだけの重要な問題について、金融機関側だけでなしに債務者側に対して実情の調査を大蔵省としてなさらなかったのか、何か理由がありましたら、それをお聞かせいただきたいと思います。
○宮本説明員 先生御指摘のとおり、確かに債務者を対象にいたしました調査は、昨年初めて行ったわけでございますが、それは公正取引委員会の方がかなり前から、これも御指摘でございますけれども、実施いたしておりまして、私どもは金融機関を監督しておりました関係上、債務者に対して直接に調査をするというのは、行政管理庁の方の法律がございまして、国民に統計作成のために余り負担をかけてはいけないというふうなことがございまして、公正取引委員会でやっておられるものでございますから、またここで大蔵省がダブって債務者に対して調査をするというのはどんなものかというふうなことで、なかなかできなかったわけでございますけれども、先年来、国会におきましてもこの問題につきまして真剣に御論議いただきまして、ひとつ大蔵省としても調査をしてみたらどうかというふうな御示唆もございまして、行政管理庁とかけ合いまして、それでは公正取引委員会とは別の見地から大蔵省がやるならば認めてもよろしいというふうなお許しを得まして、去年実施に踏み切ったということでございます。
○中村(靖)委員 いままでアンケート調査をなさらなかった事情をいま伺ったわけですけれども、こういう大事な問題で、調査をされる側の負担というものももちろん無視はできないかもしれませんが、しかし、昨年の調査は中小企業三千社を対象におやりになった。公取と同じ会社に調査を依頼されたわけでもないでしょうから、私はそれは余り理由にはならぬと思うのでございます。せっかく昨年初めておやりになったわけで、大蔵省としては今後もこういう調査を定期的にお続けになるおつもりでしょうか。
○宮本説明員 私どもといたしましては、このアンケート調査を例年やっていきたいというようなことで予算要求をいたしておりまして、毎年予算は計上していただいております。したがいまして、今後もできれば続けてやっていきたい、こういうふうに考えております。
○中村(靖)委員 もう一つこの調査のことで伺いますが、この調査はいわゆる記名式で回答を受けておられるのでしょうか、あるいは無記名式なんでしょうか。
○宮本説明員 記名式でございます。
○中村(靖)委員 記名式といまおっしゃいましたけれども、回答が全部社名入りあるいは代表者名入りで大蔵省の手元に届いておりますのですか。
○宮本説明員 種々ケースがございまして、無記名で回答が来ているのもございます。
○中村(靖)委員 いままで公正取引委員会で二十五回、毎年二回ずつ調査をおやりになった。大蔵省も、先ほど申し上げたように、昨年春初めて調査をなさいました。確かにいままでの調査結果を見ますと、昭和三十九年に初めて公正取引委員会が調査をされたころに比較して、いわゆる狭義の拘束預金はかなり減ってきておるというふうに思いますし、その間の大蔵省並びに公正取引委員会の御努力というものは私は大いに多とするものでございます。しかし、それでもいまだに金融機関からそれとなくにらまれているというような、いわゆるにらみ預金というのがまだまだ後を絶っていない。大蔵省の調査によりましても、一〇・九%もにらみ預金があると言われておるわけでありますし、そういったにらまれている預金を債務者が金融機関に引きおろしにいったときに、現実に引きおろしを拒否されたというケースも二〇・四%あるということでございます。債務者側はこういった問題についていろいろな不満を感じておる、これは偽らざる事実だと私は思うのです。この不満を、どこかにこの苦情を言いに行きたいということはもちろんあるわけでしょうけれども、現実には、いまたとえば取引先の銀行の窓口に相談をするとか、あるいはたとえば銀行協会を初めとする各金融機関の関係協会に申し入れをするとか、あるいはもう少し熱心な方はたとえば公正取引委員会の取引課に苦情を持ち込むとか、あるいは大蔵省の財務局財務部に申し出る、こういうようなことで、現在の窓口はいま私が申し上げたようなところになっておるわけでありますけれども、調査によると、苦情を申し入れた方々というのは実は非常に数が少ない。こういった窓口に苦情を申し出たのはわずかに四・八%にすぎない。取引先の金融機関に苦情を申し入れたのは四・二%、大蔵省の財務局や財務部に申し出た数というのはわずかに〇・一%にすぎない。七〇・六%はこういう不満を感じながら苦情を申し出たことがないと答えておるわけでございます。 これは大蔵省と公正取引委員会と両方からお聞きをいたしたいのでありますが、いままでのこういった苦情処理の実情あるいはどういった行政指導をなさったか、そういう点について、簡単で結構でございますが、伺いたいと思います。
○宮本説明員 私どもといたしましては、財務局とか財務部に苦情受付所を設けまして、申し出るようにということを皆様方に申し上げているわけでございますけれども、現在まで、確かに御指摘のとおり、非常に少のうございまして、五十年度が三十六件、五十一年度が三十七件。ただ、ことしからは非常にふえまして、実は去年の十一月に新しい通達を出しまして、私どもといたしましても新聞あるいは週刊誌、テレビ等を通じまして、財務局とかあるいは銀行協会等におきます苦情相談所にどしどしお申し出いただきたいということをPRいたしました結果、五十二年度に入りまして四月中一月で二百五件というふうな苦情の申し出がございます。したがいまして、私どもといたしましても、この点につきましては今後十分留意していきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
○中村(靖)委員 いろいろ御説明があって、最近は非常にPRも行き届いて、そういった苦情処理の数もふえてきたというお話で、私は非常に結構な傾向だというふうに思いますけれども、拘束預金の問題というのは、債務者側は大きな不満を抱えながらどうも金融機関に苦情を言いにくい、また、もし何々会社のだれだれがこういうことを役所なり銀行なりにいわゆる文句をつけたということになりますと、言葉は悪いかもしれませんが、しっぺ返しを食うというような心配が非常にあるわけですね。もしかたきをとられたら、会社はにっちもさっちもいかなくなるというような心配もあるわけです。そこで、いままでのこういういわゆる苦情処理窓口というのが、たとえば一つの例として公取を挙げますと、公正取引委員会では取引部取引課で苦情を承る、それからたとえば全国の八カ所の地方事務所でもってやはりそういった窓口を置くというようなことをなさっておりますけれども、しかし、これでも全国にほんの何カ所かしかそういう窓口がないということになってしまうわけですし、こういう問題は、債務者がもう少し堂々と胸を張って、遠慮なく率直に苦情を言い、またいろいろ教えてもらい、指導を受けるというような機関がどうしても必要じゃないか。 そこで、きょうはせっかく経済企画庁長官が御出席でございますので、長官に御意見を伺いたいのでございますが、そういう意味で、できれば民間も参加したような形で第三者的な苦情処理機関というものを新設すべきじゃないだろうか。そこで安心してわれわれが御相談にあずかれる、そこでいろいろ指導を受けて解決できれば一番いいんですけれども、なかなかそれで解決できない問題も多いと思いますので、そういう場合には第三者的な苦情処理機関を通じて、たとえば大蔵省なりあるいは公取なり、あるいはたとえば銀行協会なり各銀行なりにいろいろな指導をしていただくといったような、間にワンクッション入れたような形の機関というものがどうしてもこの際あるべきじゃないだろうか、こういう気持ちが私は強いのですが、長官、いかがでございますか。
○倉成国務大臣 拘束預金の問題につきましては、しばしば予算委員会あるいは大蔵委員会、またその他の委員会におきましても問題となりまして、その都度大蔵大臣から、この問題についてはさらにそういう拘束預金によって債務者の方が非常に大きな負担にならないように指導するということが言われておりまして、特に最近におきましては当局の指導もかなり進んで、ただいまの質疑応答にもありましたように、拘束預金、にらみ預金というのが減ってきたことは事実でございます。しかし、いま中村委員のお話のように、そうでありましても、まだまだお金を貸す方と借りる方の立場ということを考えると、どうしても借りる方の立場が弱いものですから、やはりこういう拘束預金あるいはにらみ預金というものが残っておることも事実であろうかと思います。ただ、この解決の方法として、やはり一義的には、銀行と借り入れ関係の企業との問題でありますから、当事者同士で円滑に話が進むということが一番望ましい方法であり、先ほどの総務課長からのお話のように、銀行協会やあるいはその他の窓口の整備ができておるわけでございます。しかし、それでも足らないからどうするかということで、中村委員の御提案は、実は国民生活審議会が四十八年二月二十七日に答申をいたしておりまして、その中においてちょうど中村委員と同じような苦情処理窓口の拡充、第三者を含めた苦情処理委員会の設置などその体制の整備を図ることが必要であるという一つの答申を出しておるのでございます。私も多少財政金融の関係に携わってまいりましたけれども、実際どういう第三者の苦情処理委員会かということになると、非常にこれはむずかしい問題なものですから、まだこの問題について具体的な構想というのが固まっていないというのが実情でございます。 したがいまして、これはやはり監督官庁であります大蔵省を中心に、そういう借り手の立場の方々が今日相当努力をしておられるけれども、なおかつまだ苦情が、借り手の不満が残っているという問題にどうやって取り組んでいくかということを、ひとつ監督官庁である大蔵省を中心に考えていただきたいと思いますし、われわれもまた何らかの形でお手伝いをしたい、そう思っておる次第でございます。
○中村(靖)委員 長官、ひとつぜひ関係官庁で御相談をいただいて、できればやはり気楽に御相談に行けるような機関というものの設置を私はぜひお願いをしておきたいというふうに思っております。 大蔵省は、昨年の大蔵省の調査結果を踏まえられて、昨年の六月と十一月に銀行局長通達を出されました。特に十一月の「歩積・両建預金の自粛の強化について」と題する通達におきましては、たとえば債務者の手元に預金証書が保有されている預金は非拘束預金として扱うということを徹底する、また債務者側の逆相殺権を認めることを取引約定書に明記させるといったような強い姿勢で行政指導に乗り出されたわけですけれども、実際に大蔵省はこういった拘束預金についていままで現実にどういうチェックをなさっていらっしゃるのか、あるいは行政指導をなさっていらっしゃるのか、少し具体的にお伺いしたいと思うのです。 これは、最近は銀行も非常に要領がよくなってきたというか、あるいは利口になってきたというか、たとえば貸し付けや手形割引の日から少しずらして、一、二カ月おくらせてその預金をしてくれとか、あるいは自分の店に預金をするとばれるから本店や別の支店に預金をしてくれとか、あるいは自分のところの預金をおろして定期にするというのはどうもまずいから、それはやめてよそからお金を持ってきてくれとか、それから債務者名義でない個人名や無記名の預金を要求するとか、やり方がどうも陰にこもって、ぐあいの悪い傾向があるやに聞いておるわけでありますけれども、そういったような点をどういうふうにチェックをされておるのか、実情を少しお聞かせいただけないでしょうか。
○宮本説明員 私どもといたしましても、いま先生御指摘のとおり、銀行側が非常に巧妙になってきているというようなことは耳にいたしております。私どもといたしましては、この問題につきましては、先ほど御指摘のようなアンケート調査とか、あるいは財務局、財務部あるいは銀行協会等の苦情の受付に出てまいりますケース、あるいは一番重点を置いておりますのは銀行検査でございますけれども、歩積み両建てを主眼にいたしました検査班を編成いたしまして、常時パトロールするというふうなことでやっておるわけでございますけれども、やはり限界がございます。どういたしましても銀行側といたしましてもいまおっしゃいましたような点がございますので、個々のケースごとに私どもはその実態を把握いたしまして、そしてケースが出てまいりますれば、厳重な注意なり、あるいは担当役員をはっきりと登録させておきまして、余りひどいケースでありますれば、担当の役員に厳しく責任をとってもらうというふうなことをやっておりまして、そういう意味におきましては、先生御指摘のような個々のケースにつきまして具体的に苦情が出てまいる、私どもの耳に入るということが一番必要じゃないかと思います。そういう意味におきましては、まだ第三者的なものは設けられておりませんけれども、財務局なりあるいは銀行協会等の相談所にどんどんお申し出いただきたいということを、最近ようやくPRし始めたということでございます。せっかく努力しておるわけでございます。
○中村(靖)委員 私が調べたところによりますと、たとえば非常に悪質なケースがあった、大蔵省がこれをキャッチした、その場合に、これが銀行の場合には銀行協会に、こういうケースがあったからという文書を加盟銀行に流させた、そういう行政指導を大蔵省がされた事実があるようですけれども、それも私がいろいろ調べてみますと、何々銀行何々支店がこういうことをいたしましたという具体的な銀行名とか店名は書いてないらしいのですね。つまり、こうこうこういったようなケースが起きましたという、漠然としたことで文書には載っておる。そんな手ぬるいことではいけないんで、やはり具体的に銀行名なり店名なりはっきり書いてそういう通達も出していただかなければいかぬと思うし、むしろそれ以上に、こういうことを金融機関内部に知らしめるということも大切でしょうけれども、一般の市民にこの銀行はこういうけしからぬことをしたということを、非常に悪質な場合には知らしめる必要がある。そういう意味で、大蔵省は行政指導をする上において、非常に悪質な場合には一般に公表するというようなことをお考えになっているのか、あるいはこれは制度的にできないのか、その辺いかがなんですか。
○宮本説明員 たとえば架空名義預金を預かるとか悪質なものについては公表したらどうかというような御提案もちょうだいしたことがございます。ちょうど似たようなケースだと思いますが、金銭的な取引というのはプライベートな面も多分にございまして、歩積み両建て問題につきましても、個々のケースにつきまして白、黒の判定をすることはなかなかむずかしいところがございまして、一概にすべて公表するというような点はなじまないかもしれませんけれども、先生御提案の趣旨につきましては私ども十分理解できますので、今後の検討課題にさせていただきたいと思います。
○中村(靖)委員 ぜひ検討課題にしていただいて、よほどひどいときには公表するぐらいの思い切った処置を大蔵省はとっていただかないと、いつまでたっても中小零細業者は金融機関に振り回されるということがなくならないと思います。ぜひお願いをしたいと思うのです。 それに関連いたしまして、私は先日、親しくしているある中小企業の社長からこういうことを聞きました。最近、銀行がうるさくて困ります。ここのところ、ある銀行から、自分の銀行はもうすぐ創立百周年を迎える、幾ら幾ら定期をしてほしい、どうしても定期をしていただけないんだとすると、残念だけれども貸出金利の面で扱いが不利になりますということを言われて、実はほとほと困っておるという話を聞いたのです。これは現実の問題です。つい最近の問題です。これなどは必ずしも拘束預金ということではないのかもしれません。しかし、金融機関が何か一つの自分の方のお祝い事で、むしろ百周年なら銀行から何か品物でも配ってくれるのがあたりまえだと思うのですけれども、逆に預金をしろとは、非常におかしい。これは一つの例でして、たとえばやれ頭取がここのところでかわりましたとか、あるいはまた支店長が交代しましたとか、あるいは支店の店舗の開設何周年でございますとか、こういった理由で預金を強要する金融機関というのはまだ非常にあります。これなどは独禁法上の不公正な取引方法の一つである、取引上の優越した地位の乱用行為に該当するんじゃないだろうかというふうに私は思うのですけれども、その辺、公正取引委員会はどうお考えですか。
○長谷川政府委員 お答えいたします。 具体的な事実を存じませんので、余りはっきりしたことは申し上げられませんけれども、取引上の優越地位を乱用いたしまして、相手方にとりまして不当に不利益な条件で取引するということは不公正な取引方法になっております。 ただ、御指摘の件が不当に不利益な条件での取引と言えるかどうか、少し具体的に検討いたしませんと何ともお答えしかねますけれども、一般的には不公正な取引方法になる場合もあり得るということかと思います。
○中村(靖)委員 公正取引委員会の問題だけではなしに、やはり大蔵省の銀行局としての行政指導にまって——金融機関も預金競争があります。これはもう現実の問題ですから、私もこれを無理になくせとは決して申さないわけですし、銀行や信用金庫が定期預金をふやしてくれという要望は、一これは商売ですから、むしろ当然だと思うのですけれども、これをしなければ云々といういろいろ条件つきでいわゆる中小企業者を圧迫する、無理を言うということはこれからさせてはならない。そういう意味で、ぜひ大蔵省並びに公正取引委員会のそういったことの起こらないような指導をこれからお順いをしておきたいと思っております。 それからもう一つ、これは昨年、経済企画庁が全国地域婦人団体連絡協議会、地婦連という団体だと思いますけれども、この地婦連に調査を依頼いたしました金融、保険の表示等に関する消費者の意識調査というのをされたわけでありますが、その中で、消費者がたとえば住宅ローンとか自動車ローンとかトラベルローンとか、そういうものを利用する際に定期預金を強要、強制されたというケースが、この調査によると全体の一三・五%もあったという報告がなされておるわけであります。私が最近調べたところによりますと、たとえば建て売り業者がお客さんに建物を売る、これにお客さんの便宜のためにローンをつけたい。そのために銀行に半ば強制的に建て売り業者の方が預金をさせられる。建て売りを買う方ではなくて、建て売り業者の方が銀行にお礼の預金をさせられる。名づけて、協力お礼預金というのだそうです。つまり、そういう消費者の零細なローンを利用するというようなことに関してまで直接、間接にこういった動きが、金融機関の預金強要というようなことが行われている。 こういうことはやはり実質的な金利の上昇にも結びついてくるわけですし、ひいては物価問題を初めとする国内経済の問題にも関係してくるだろうと思うので、特にこれは経済企画庁が御調査をなさったことでもありますので、簡単で結構でございますが、長官にこのことについて御見解を伺いたいと思います。
○井川政府委員 いまここにデータを持ち合わせませんので、具体的にどういうパーセンテージが出ているかということは承知いたしませんが、地婦連の調査の中にたしかそうした該当項目があったと思います。実は、中小企業等に関する歩積み両建て等の問題ほど消費者預金における歩積み両建ての問題は問題化いたしておりません。と申しますのは、むしろ金融的にいま金融機関が大いにこれから伸ばそうとしている分野ではございますけれども、現実にはきわめて信用度の強い消費者にしかローンが行きわたっていない。そういう意味では、これから伸ばしていってもらわなくちゃならぬ分野だというふうな考え方が成り立つのじゃないかと思っております。しかし、その少ないローンの中にもやはり定期預金の強要というふうなことがあるとすれば、これは先ほどの中小企業等に対する歩積み両建て等の問題と同じように、関係各省とも十分話し合って、そういうことがなくなるような方向になっていかなくちゃならぬだろうというふうに考えておるわけでございます。
○中村(靖)委員 時間が参りましたのでこれで終わらせていただきますけれども、非常に重要な問題であると同時に、むずかしい問題だと思いますが、ぜひ御関係のそれぞれの役所におきまして十分な御指導をこれからもいただきたいと思います。 最後に、これは私の言っておる言葉ではないのですが、私の知っておりますある中小企業経営者の独自、ひとり言をつけ加えさせていただきたいと思います。私がかわって発言をするわけです。 とにかく金融機関は横暴です。貸し付けや手形割引に見合う物的担保は十分過ぎるほど取り、連帯保証で無限責任を負わされ、その上預金をしろ預金をしろと言う。すべての財産を金融機関につぎ込んで、そして実質金利負担は莫大だ。私は会社や社員のためにではなく、銀行のために働いているようなものだ。私は、将来銀行の幹部を呼びつけて頭を下げさせることのみ夢見て、死にもの狂いで仕事をしているのです。 この中小企業経営者のひとり言をもって、私の質問を終わらしていただきます。
○西宮委員長 中村靖君の質疑は終わりました。 次は、愛知和男君。
○愛知委員 五月の末ともなりますと、お米の値段の問題がそろそろにぎわいを持ってくるわけでございますが、先日も実はわれわれ委員会が塩釜、仙台にお魚の値段の問題で調査に参りました。その際に消費者団体との懇談会があったわけでございますが、消費者の皆様方も、これからお米の値段がどうなるのだろうかということで大変心配をしておられたわけでございます。また、きょうのある新聞によりますと、米価の引き上げについて報道がされておりまして、これからいろいろ各方面からお米の値段についての議論が重ねられていくわけだと思いますが、きょうは限られた時間でもございますので、余り突っ込んだ議論はできかねると思いますけれども、ひとつお米の問題につきまして、幾つか政府のお考え、取り組み方と申しますか、お聞かせをいただきたいと思います。 まず初めに、現在の消費者米価は六十キロ当たり一万三千四百五十一円、こう言われておりますけれども、これを庶民にわかりやすく言いかえまして、茶わん一杯の御飯というようなことで換算をすると、どれくらいになるのでしょうか。
○小野説明員 一食大体百グラム普通食べますが、お茶わん二杯ぐらいです。したがいまして、茶わん一杯ですと五十グラムになります。一方、消費者米価でございますが、標準価格米を例にとりますと、十キロ当たり二千七百四十円でございます。したがいまして、五十グラムということになりますと、お茶わん一杯十四円ということになります。
○愛知委員 いま日本人は一日平均何杯ぐらいの御飯を食べているのでしょうか。何か資料はございますか。
○小野説明員 国民一人当たりのお米の消費量でございますが、最近は一年で八十八キロでございます。ということになりますと、一日当たり二百四十グラムになりますが、二百四十グラムということになりますと、先ほど申し上げましたように、茶わん一杯五十グラムですから、おおむね五杯程度ということになります。ただ、八十八キロという一人当たりの消費量はお米全体でございます。したがいまして、御飯で食べるものもありますし、それからお酒にするのもありますし、せんべい、みそ、いろいろあります。したがいまして、御飯で一日五杯食べるというわけではありませんが、それに相当する、こういうことでございます。
○愛知委員 そのうちのいわゆる御飯というのは、どれくらいだかわからないのですか。いわゆる主食である御飯としてどれくらい。
○藤井(直)政府委員 家計調査で見まして米の消費を計算いたしますと、五十一年の歴年で約五十一キロでございます。したがいまして、それが先ほどの御説明の八十八キロのうちの食用分だということになるかと思います。主食用ということになるかと思います。
○愛知委員 五十一キロということになりますと、それは、ちょっと計算していただけますか、御飯にすると何杯ぐらいになるのでしょうか。
○藤井(直)政府委員 御飯にしますと、一日三杯ぐらいじゃないかと思います。
○愛知委員 そうしますと、これも計算すればわかるのかもわかりませんけれども、一日のいわゆる御飯代というのは、一人当たり幾らぐらいになりますでしょうか。
○小野説明員 三杯ということですと、標準価格米で申し上げますと、先ほど申し上げましたように、一杯十四円でございますから、四十円台というようなことになろうかと思います。
○愛知委員 そうすると、およそ一日に食べる御飯代として平均一人四十数円ということでございますが、この値段は、いわゆる家計の上で占めるウェートというのはどれくらいになっておりますでしょうか。
○小野説明員 約三%でございます。
○愛知委員 この三%というのは、主食の家計におけるウェートでございますが、外国に比較してどの程度かというようなことがおわかりでございましょうか。
○小野説明員 ちょっと手元に数字がございませんが、外国の場合ということになりますと、パンに相当するかと思いますが、いわゆる欧米の国でございますが、食べる物の中のでん粉の量——でん粉比率、こう言いますが、これは生活が向上するに従って低くなるということでございますので、たとえばアメリカ、ヨーロッパもそうでございますが、パンの全体の食品に占める比率というのは日本よりは少ないと思います。数字は手元にございませんが、そういうことが言えるかと思います。
○愛知委員 日本人はだんだんお米を食べなくなってきているという話をよく聞くのでございますけれども、事実はどうなんでしょうか。
○小野説明員 お米の消費量、これは主食のみならず、酒やら何やらほかの一切をひっくるめての話でございますが、戦後一番多かったのは昭和三十七年でございます。一人当たり百十八キロ食べておりました。現在では、先ほど申し上げましたように、八十八キロということになりまして、減ってまいっております。 その減り方でございますけれども、たとえば四十年の前半では年率二・六%くらいの減り方でありますが、最近では減り方が少なくなってまいりまして、最近の数年では年率一・五%の減少ということになりまして、ごく最近では、一・五と申し上げましたが、減り方は非常に少なくなってきたということでございます。 いずれにしましても、お米の消費量が一人当たり減ってきていることは間違いないのでありますが、その原因は、先ほどもちょっと申し上げましたが、国民の食生活の中におけるでん粉比率は、どうも所得がふえるに従って減ってくる。何にかわるかということになりますと、畜産物とかあるいは砂糖、油脂、こういうものにかわってきておる、こういう食生活のパターンの変化によるものが非常に大きいというふうに私ども考えております。
○愛知委員 最近は少しずつその減り方が減ってきたというお話でございますが、その傾向は今後はどんなふうになっていくだろうと見ておられますか。
○小野説明員 一人当たりのお米の消費量の減り方は、これからも減り方が鈍化するということになると思います。ただ、国民全体の消費量ということになりますと、人口増がございます。人口増とそれから一人当たりのお米の消費量の減、これが大体見合うというふうに見ております。現在わが国のお米の消費量は千二百万トン、ちょっとそれを切れるかもしれませんが、農林省で立てました昭和六十年の長期見通しによりますと、千二百十万トンにふえるということにしておりまして、おおむね横ばいということでございますが、その横ばいの中身は、先ほど申し上げたようなことであるというふうに考えております。
○愛知委員 そのお米をだんだん日本人が食べなくなってきたということと、お米の値段が少しずつ上がってきているということの相関関係というものは、何かあるのでしょうか。
○小野説明員 お米の消費の減退傾向の原因でございますが、これは価格との関係、私ども統計的にいろいろ研究しまして、いろいろな数字をはじいているわけでございますが、どうも価格との関係というのはそれほどはない。大きい理由というのは、やはり食生活の変化という原因が一番大きいのじゃないかというふうに考えております。
○愛知委員 御飯の値段が一杯十四円、一日四十二円ぐらいということになりますと、ほかの物価、たとえばいまコーヒーが一杯何百円もするような時代に比べて、大分安いのじゃないかという考え方というか議論もあるわけでございますが、長官はこの点どんなふうにお思いでいらっしゃいましょうか。
○倉成国務大臣 私もお米の価格を他のいろいろな物価と比較しまして、たとえばコーヒー一杯最低いま二百円、そういう場合に、いまお話しのように、茶わん一杯五十グラムといたしまして、一日三杯ぐらい食べていると、主食代が四十円から五十円の間ということになりますと、これはそういう限りにおいては非常に安い、そういう感じを持っております。
○愛知委員 一方、たとえばコーヒーはいよいよとなったら飲まなくたっていいんだということもございますが、お米に関しては、これは食わないわけにはいかないということもあるわけで、そういう点から言いますと、御飯の値段というものは、主食ということからいっても、ほかの物価とは違う次元で考えなければならないという議論も同時にあるんじゃないかと思いますが、その点はいかがでしょうか、長官。
○倉成国務大臣 コーヒーを飲む場合には、何というか、他の要素が入っておりますね。たとえば娯楽であるとかあるいは余暇を過ごすための一つの手段であるとか、待ち合わせのためのものであるとか、そういう要素が入っておりますから、一概に喫茶店におけるコーヒー価格とお米の値段と比較するということは適当でないと思います。また同時に、このお米というものはわれわれ日本人にとって欠くことのできないものでございますから、この価格を考える場合に、他の著移的なものと同様に考えることは適当ではないと思います。同時に、これは最近の商品市況とも関連するのですけれども、欧米ではコーヒーというのが必需品でありまして、食生活の中で大変なウエートを占めておるわけですから、そういう生活様式、食生活のパターン、そういうこととも関連して考えなければならないと思いますが、一概に両方比較するということはなかなかむずかしいことじゃないかと思います。
○愛知委員 さて、お米の値段の一般的なことを幾つかお伺いしたわけですが、ことしも消費者米価があるいは少し上がるかもしれないと報道などされております。そこで、この問題でちょっとお伺いしてみたいのですが、昨年は消費者米価が一〇・二%上がったわけでございますが、この米価の一〇・二%の値上げが物価にどの程度の影響を与えたかということで資料がございましたら、教えていただきたいと思います。
○藤井(直)政府委員 昨年のお米の値段が一〇・二%上がったことによりまして、消費者物価に対する寄与度は〇・四%でございます。
○愛知委員 この〇・四%というのは、お米のウエートから機械的に計算した数字なんでしょうか、それとも、便乗値上げみたいなものがあったかどうかわかりませんけれども、そんなようなものも加味した寄与率なんでしょうか。
○藤井(直)政府委員 このうちには直接的なものと間接的なものと二つ含まれておりまして、家計調査上の、要するに米として支出する分に対するものが〇・三五%、それからあとの間接的な影響としては、たとえばみそのようなものとか外食のもの、そういうようなものに対する影響度を計算しましたのが約〇・〇五でございます。
○愛知委員 その間接的な面というのは、ちょっとよく内容がわからないのですが、米価の値上げに伴う便乗値上げといったような事実が去年の場合にはあったでしょうか。
○藤井(直)政府委員 例年、米の値上げをいたしますときには、いま御指摘の便乗値上げの問題を私ども一番心配しているわけでございます。したがいまして、値上げに際しましては、外食関係の団体に対して便乗値上げをしないようにという要請を非常に強くいたしますと同時に、個別の商店について、たとえば都道府県それから農林省の食糧事務所等におきまして調査をいたしまして、そういうことが仮にあれば強く警告するというようなことをいたしますし、また一方、物価モニター等にお願いいたしまして調査をするというようなことをいたしております。そういうことで、昨年の値上げの際には、調査いたしました結果、便乗値上げというような事実は余りなかったというふうに思っております。
○愛知委員 便乗値上げ防止のために、食糧庁の方もそれなりの対策というものをやっておられるでしょうか。
○小野説明員 便乗値上げ問題でございますが、二つございます。 一つは精米、お米屋さんの売るお米の問題でございますが、これは、たとえば標準価格米のようなものは指導価格をきちっと設定しましてそれで守らせる、これは守られております。それからまた、それ以外の自主流通米とか、あるいは中米と言っている政府米のうちの一部でございますが、これにつきましても、原料玄米の値上がり、それと流通経費の増高、これらを考慮しながら、品質に応じた適正な価格を設定するように都道府県知事、食糧事務所が協力して指導に当たっておりまして、その結果を見ましても、決して便乗値上げはないということは言えると思います。 それから、あとは外食の問題でございます。これにつきましては、ただいま物価局長から御説明ございましたが、外食関係のいろんな団体がございます。おすし屋さんとかいろいろあるわけでございますが、この団体を通じまして、いやしくも便乗値上げがないようによく指導しましたし、また、食糧事務所それから都道府県の職員を動員しまして、価格の調査それから指導、これに当たらせております。そのような結果、数字はいろいろございますが、決して便乗値上げはなかったとはっきり申し上げられると思います。
○愛知委員 ことしも消費者米価が少し上がるのじゃないかと一般によく言われておりますが、それに伴う便乗値上げがないようにということで、いまから対策を考えておられますでしょうか。
○小野説明員 ことしの米の価格をどうするかはこれからの問題でございますので、何ともちょっといま申し上げられないのでございますが、もとより売り渡し価格を引き上げた場合の便乗値上げの防止につきましては、従来の値上げの際も先ほど申し上げましたような形でやっておりますし、同じようなことを当然やりまして、いやしくも便乗値上げがないようにいたしたい、かように思っております。
○倉成国務大臣 いま非常に大切な御質問をされておりますが、消費者米価が上がった、その部分が外食のたとえばカレーライスあるいは親子どんぶりの中でどのくらいの値上がりになるかということになると、非常に金額的には少ないものであるわけですけれども、ちょうど各そういう仕事をしておられる方々にとっては人件費の値上がりがあるとか、いろいろそういう他の要素がある、これをたまたま米の値上げと一緒にやるというような場合が間々あるわけでございまして、なかなかカレーライスが五円上がったとか親子どんぶりが五円上がったということは聞かないので、一遍にやはり二十円、三十円上がる、そういう場合がありますので、この点はひとつ消費者米価が上がった場合にどの程度のものがお米の部分であるかということを十分消費者の方々にもPRして、いやしくも便乗値上げがないように努力をしていくべきだと思っております。したがって、数字の上ではいろいろな説明ができるかもしれませんけれども、そういう傾向があるということは事実だと私は思います。 それからもう一つは、そういう物理的なものとは別に、やはりお米というのは一つの物価の象徴的なものであるということで、非常に心理的な要素が多いと思うのです。お米も上がった、したがって多少物価が上がるのは当然だというような感じが、従来の物価体系の中であることも事実でございます。したがって、お米の問題についてはやはりわれわれとしては慎重に対処していかなければならない、そういうつもりでございます。
○愛知委員 いま長官からまことに適切な御指摘があったと思うのでございますが、私は物価というものにおける心理的な要素というものはまことに大きなものがあると思うのでございます。何年か前のいわゆる狂乱物価のときにトイレットペーパーの買い占めが起こったというようなことも、その心理的な要素が非常に大きかったと思うのでありまして、一般消費者が心理的にそういう動揺なり何なりを来さないように、前もってそういった面での手を打つというのが物価対策のまことに大きな大切な要素ではなかろうかと思うわけでございます。このお米の値上げの問題につきましてその対策をすでに講じておるかと御質問申し上げますと、政府としてはまだ米の値段も決まってないのだからいま答えるわけにはいかない、こういうことになるのも仕方がないのかもしれませんけれども、決まってからでは遅いのでありまして、そういう場合に備えての対策というのが、物価の監視役としての経済企画庁のまことに大きな大切な仕事ではなかろうか、こんなふうに思うのでございます。その点につきまして、先ほど長官からも伺いましたが、重ねてもう一度、一般に物価問題に対する対処の仕方、たとえばこの間の魚の問題にしてもそういう要素がなきにしもあらずだ、こんなふうに思うわけでございますが、前もって先手先手と消費者の心理を落ちつかせるということに対してどう取り組んでいくかということにつきまして、大変原則的な話でございますが、長官のお考えを聞かせていただければと思います。
○倉成国務大臣 先ほども申し上げましたように、お米の価格というのが非常に物価に及ぼす心理的な影響が大きいわけでございますので、われわれはこれに慎重に対処してまいりたいということと同時に、やはりお米の家計費に占めるウエートなり、あるいはお米の部分が一体どのくらいの消費量があり、どのくらいの価格であるかというようなこと、ただいま愛知委員がお話しになりましたけれども、一日三杯食べてそのお米が四十円台だということは、なかなか一般国民は知らないと思うのでございます。したがって、そういう賢い消費者になるようないろいろな努力を、われわれとしてはできるだけの情報を提供いたしまして、お米の価格の仕組みについてもあるいはこれの及ぼす影響等についても関係の消費者団体あるいは関係の方々にもできるだけのPRをこれから努めてまいりたいと思います。
○愛知委員 以上で質問を終わらしていただきます。
○西宮委員長 愛知和男君の質疑は終了いたしました。 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時三十二分散会