物価問題等に関する特別委員会 第4号
- 発言数
- 204 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1977/03/15
会議録
○西宮委員長 これより会議を開きます。 物価問題等に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬場猪太郎君。
○馬場(猪)委員 この委員会が始まりますときの長官のごあいさつの中にもありますように、物価の上昇率についてはなお未確定、予断を許さないというお言葉があるとおり、二月、三月の物価は大分上がり続けているようであります。そして昨日の参議院の本会議で福田総理大臣は、五十一年度の政府見通し八・六%の達成はむずかしいというふうな御答弁をなさっておる、不可能だとおっしゃっている。長官の方はどういうふうなお考えを持っていらっしゃるか、全く同じなのかどうか。
○倉成国務大臣 四十五年を基準とする物価指数によりますと、五十一年のか月からことしの一月までの物価上昇率は七・八%となっております。 なお東京都の都区部の二月の物価指数が出ておりますが、この一月から二月に至る物価の上昇率〇・六%というのを参考にして全国の指数を考えますと、二月の指数が四十五年を基準として八・五%になるわけでございます。したがって、八%程度という目標はよほど努力しないと大変厳しいという意味を総理は参議院の本会議で、私もおりましたが、申されたわけでございます。私も同じような感じを持っておりますが、最善を尽くして物価の安定にいま努力しているところでございます。
○馬場(猪)委員 いまおっしゃったように、東京都内の消費者物価指数が一一六・二、これは年率の上昇率に直しますと八・八ということですが、経企庁の政策課長さんの方では新聞のインタビューで、まだ見込みがあるんだというふうなお答えをなさっているのですが、どういう点で成算を持ってそういうふうなお答えをなさっているのか。
○倉成国務大臣 物価局の方で成算があるとかないとかいうのではなくて、最善を尽くしているということであろうと思うわけでございますが、御案内のとおり、十二月には電話料金の値上げが大きく消費者物価に響きました。それから一月から二月にかけての東京都区部また全国の物価に一番響いたのは、やはり異常寒波による野菜を初めとする生鮮食料品の価格上昇でございまして、野菜は寒波に非常にやられた。これは十数年来の寒波でございますし、それから魚の方は入荷が昨年に比べて非常に少なかった、そういうことが響いておるわけでございます。したがって、お天気が回復すれば野菜の出荷等もかなりうまくいくんじゃなかろうか、価格も安定するんじゃなかろうか、そういうことを背景にして申しておるのでございます。
○馬場(猪)委員 物価の見通しの問題というのは非常にむずかしい問題だと思いますが、そのでんでいきますと、ことしもまた物価の抑制ということで七%程度に来年は抑えるんだということで、またそのときになってみるとどういう情勢かわからないということも予想されます。したがって、物価問題については非常に多岐にわたって、せんだっての長官のごあいさつの中でも七項目ほどに分けていろいろと述べていらっしゃるわけです。需給の価格動向の監視だとか、消費者に対する問題、競争政策等々七項目ほど述べていらっしゃるのです。全部それをお聞きしたいわけですが、時間の関係もございますので、私は流通問題を中心にしてお伺いしたいと思うのです。 その前に、けさの新聞によりますと、いままで輸入を抑えておりましたグレープフルーツやレモン等について厚生省が食品衛生調査会に諮問をするという記事が載っておりました。その中で、これは物価担当の局じゃないのですが、いままでずいぶんと議論をされて、五十年ですか、二年前の春ごろからとまっておりましたこのレモンやグレープフルーツの輸入をめぐって、突如として食品衛生調査会に、疑問でありました遺伝性は認められないという研究データーを添えて、OPPの安全性について諮問することになった。これはまあ厚生省の問題ですが、その中でその局長さんの方から、理由として無害であるというデータが出て、おいしい柑橘類が安く手に入ることになるなど、国民生活に便利なものであれば添加物をふやすこともいたし方ないという談話が載っております。二年前の春ごろは突如として一つ五百円という異常な高値を呼んだようなことがあったのですが、いま急にアメリカの柑橘類を輸入しなければならないような状態にはないと思うのです。これを輸入することによって少しでも物価の安定に役立つんだという受け取り方をするわけですか、そういうことはあるのでしょうか。
○倉成国務大臣 私の方がそういう発言をしたわけでございませんので、ひとつ発言者から……。
○馬場(猪)委員 そういうふうな発言をなさっていますけれども、いままで問題が起こって輸入がとまっておったレモンや柑橘類について、輸入しなければならないような、そういう物価の上昇とかなんとかについて手を打たなければならないような情勢はありますかということを聞いているのです。
○倉成国務大臣 いまのOPPの問題は、物価の問題と直接関係はないと私は思っております。
○馬場(猪)委員 さしあたってそういう緊急性がないにもかかわらず、いろいろ問題があっていまだに国民の一人一人の間で疑問を持たれておるにもかかわらず、OPPはもう安全だからということで諮問をなさる、その背景についてひとつ厚生省の方からお答えいただきたいと思います。
○宮沢説明員 御説明申し上げます。 いま先生御指摘のOPP、すなわちオルトフェニルフェノールは主として柑橘類の防ばい剤に使われておるものでございます。実は現在日本では同じような系列のものでジフェニールというものが認められておるわけでございますが、このオルトフェニルフェノールにつきましては、ジフェニルだけでは効果が十分でないというような資料等もございまして、以前からこの指定について関係者からの申請も出ておったわけでございます。しかしながら、私どもの方としましては、食品添加物の安全性の観点からいろいろな毒性データを要求しておるわけでございます。このものについてはすでにFAOとWHOという国際機関がございますが、そこですでに一九六九年には一般毒性等について安全性の評価を行いまして、一日摂取許容量が体重一キログラム当たり一ミリグラムまでは安全であるという結論を出しまして、一九七四年には柑橘類に残存する量が十ppmで結構であるという勧告を出しておりまして、すでにアメリカ、カナダ、スイス、フィンランド、スウェーデン、イスラエル、EC諸国、それからオーストラリア等では広く使われておるものでございます。 しかしながら、日本におきましては特に一般の消費者の方が食品添加物の安全性について懸念を持っております。食品衛生調査会の内規としましては、新しい学問ではございますが、遺伝学的な面からもこういった安全性について十分審議を必要とするというふうな内規ができておりました。したがって、私どもはこの遺伝学的な面までの安全性の検討を終えなければ調査会で審議することはできないということで、いままで諮問をいたさなかったわけでございますが、先生御存じのように、昨年の暮れにそういったデータが出てまいりまして、私どもはその資料を整備いたしまして、ようやく本日食品衛生調査会に諮問という段取りになったわけでございます。
○馬場(猪)委員 ちょうど二年前の春ごろから問題になっていたわけですから、当然厚生省としても研究をなさっていたと思うのです。ところが、この新聞記事を見ますと、青果物の輸入団体である民間の日本青果物輸入運営協議会が民間の実験機関である残留農薬研究所にこのOPPの遺伝毒性実験を依頼したと言われております。そういう民間の機関で調査されたものだけを頼りにして安全だと断定されるのか。薬品の安全性については相当長期にわたって調査しなければ結果は出ないと思うのです。まして毒物といっても遺伝性という問題になれば、短期間には調査結果は出ないと思うのですが、あえて害がないと判断されるからには、それだけの根拠があると思うのです。それらについて資料は明らかになっておるわけですか。
○宮沢説明員 御説明申し上げます。 遺伝学的な学問というのは非常に新しい学問でございまして、こういった研究で果たしてそれが人の安全性に外挿できるかどうかということは、まだ学界の意見も分かれておるわけでございます。しかしながら、わが国におきましては御存じの四十九年、豆腐などの殺菌剤に使っておりましたAF2が当初遺伝学者から、遺伝の面から安全性が指摘されました。そして食品衛生調査会では、AF2の安全性を審議するときに、今後こういった遺伝学な面からの実験が少なくとも必要ではないかという暫定的な一つの審議の基準をそのとき設定いたしたわけでございます。そしてその後初めて添加物として新しい添加物を指定する事態にこのOPPが該当したわけでございまして、したがって、私どもとしましては、四十九年八月につくりましたこの基準に沿って、遺伝学的なデータを出してほしいという要求をしておったわけでございます。そして実は、遺伝学的なデータはもちろんでございますが、食品衛生調査会で審議をいたす場合には、必ずその専門の関係学会なりあるいは学会誌に公表した上で、その批判を経た上でわれわれはそのものを審議資料として使うということになっておりまして、このデータは一九七六年の十月十六日に開かれました日本環境変異原学会第五回研究会の席上で発表されておりまして、私どももすでにその学会等には私どもの課の者を出しまして、どんなやりとりがあったか聞かせておりますが、特にこの内容等について異論はないというようなことを聞いております。しかし、このものについて、さらに私どもとしましては専門の学者から成っておる食品衛生調査会委員の方に生のデータをお示しして十分に審議を尽くしていただく、そういうことによってこの安全性に疑いがないような審議を十分尽くしていただくことを予定しているわけでございます。
○馬場(猪)委員 そうすると、いま食品衛生調査会に出される資料の中には、安全だと言う側の資料ばかりで、危険だという資料は一切ないわけですか。
○宮沢説明員 先生の御指摘は、多分名城大学の花田先生のデータのことを指しておられると思うのですが、これも昨年の四月に日本薬学会でジフェニルとかあるいはOPP、こういった一連のものについて、細胞を使ったりあるいは動物に塗布したりして発表がございました。このデータももちろん審議の資料として私どもは提出を予定しております。
○馬場(猪)委員 そのほかにも資料ございますか。
○宮沢説明員 私どもが現在手元に持っておりますのは、WHOがOPPの安全性について世界各国でなされた急性毒性から亜急性、あるいは奇形性のデータとか発がんに関するデータとか慢性毒性、そういったものを全部資料として提出いたしますし、それから先ほどの遺伝学的な毒性について残留農薬研究所の発表されたデータ、それから名城大学の花田先生のデータ、ここまでが私どもの集め得たすべてでございますが、そういう危険ではないかと言っておられる先生のデータも交えて十分に審議を尽くしていただく、こういうことを予定しております。
○馬場(猪)委員 いま改めて食品衛生調査会にかかるわけですが、実際はこの問題は二年前の春、四月、五月ごろ起こったわけでしょう。そしてその秋ごろから花田先生の防カビ剤OPPに対する研究結果が御報告になっていたわけですから、その間、これが妥当なものかどうなのか、普遍性のあるものかどうなのかというような調査はなさらなかったわけですか。七五年の十二月ごろにたびたびこういう会議を開いたり勉強会をやったり講演会もやったりしておりますし、すでに資料は二年前に発表されていたわけですね。その間今日まで手をこまねいてじっと待っておったわけですか。
○宮沢説明員 先ほども御説明申し上げたように、食品衛生調査会で審議をいたす場合に、こういう資料が必要だという一つの内規がございます。そして遺伝学的なデータにつきましては、先ほども御説明したように、四十九年に食品衛生調査会で新しく暫定的な一つの基準を設定したわけでございます。私どもとしましてはその線に沿って、食品衛生調査会が決めた基準にのっとったデータが全部整備するまでは調査会には諮ることはできませんので、現在までそのまま放置してきておったわけでございます。
○馬場(猪)委員 疑わしきは罰するというのは、特に命に関係のある、健康に関係のある食品ですし、そういう意味では、二年前の九月ごろに発表されておりましたいろいろのデータについては参考にすべきものが多いと思うのですよ。たとえば動物実験をしてみますとものすごい毒性のあることがわかったと言っておられるのですね。急性毒性はジフェニルよりも弱いけれども慢性の毒性、長くちょっとずつ使えばそれが累績して長い期間にいろいろな被害が人体に起こってくる。OPPは水に溶けにくいので、大豆油などで一、二%溶かしてこれをえさとしてネズミに食べさせた結果、必ず死んでおるというようなことも報告されておりますし、循環器障害や肝臓障害等もはっきりと出てきておるというような結果も出ております。そういうふうなことについてそのときから今日まで警告されておったわけですが、それが二年たって今日突如としてこれを許可する方向に動いておるというのは、どういう意味があるのでしょうか。
○宮沢説明員 その花田先生のデータも私どもは食品衛生調査会に配付して十分審議を尽くしてもらう、こういうことを予定しておるわけでございますが、実は食品添加物としてその安全性を審議しますときに、食品衛生調査会では、WHOで定められております一つの原則があります。その原則にのっとった一般的な毒性試験、慢性毒性とか発がんとかあるいは奇形性とか、蓄積性があるかないかとか、そういう試験、それにこれは日本だけの特殊の事情でございますが、遺伝学的に、たとえば細胞レベルで染色体に異状が出るか出ないかとか、あるいはそれを食べさせた動物の脊髄の白血球なんかの染色体に異状があるかないかとか、あるいは食べさせて交配させたその胎児に遺伝学的な影響があるかないかとかいう、優生致死の試験と申しておりますが、そういうものをチェックする、こういうような基準があるわけでございます。後段の遺伝学的な基準に沿っての実験データというものはOPPについてはWHOでは審議しておりません。 ですから、私どもは、日本の食品衛生調査会で審議するときは、消費者のそういう不安も払拭しなければならぬということで、完璧なデータが出るまで要求しておった。もちろん、花田先生が前からそういうようなことを学会に発表しておることは聞いております。ですから、私どもは、その学会にも係員を派遣してそのデータ等も収集に努めておりまして、このものについて審議をする。つまり、審議の基準となる資料がそろった段階では、こういう花田先生の疑問を呈する資料も用意をして一緒に審議をしていただく、こういうことで今日まで放置しておいたわけでございます。
○馬場(猪)委員 全く害がないと言われる側の立場の人も恐らくこういう花田先生の御研究も御存じだろうと思いますが、しかし、現に西ドイツではOPPの使用は禁止しておりますし、そしてアメリカ自体も、禁止はしておりませんけれども、一応残留許容量として一〇ppmまではいいのだということで毒性についてははっきり認めておる。だからこそ一定の制限を設けて農薬として使用しておるということになる。だから、疑わしいものはまだまだ残っておるのだということは判断できます。 ということになると、特に人体に影響を与える食品添加物ですし、従来から三百九十幾つあったものが最近では三百三十三くらいですか、非常に添加物を減らしてきておる動向の中で、あえてふやさなければならない積極的な理由がないにもかかわらずこれを認可される、その背景にはいろいろ憶測されておる面もあると思います。現に二年前の春起こったこの輸入のときにも、小麦の輸入との関連において自民党の農林部会が非常に運動なさっておるということも聞きました。今度もまた福田総理がアメリカへ行かれるみやげ話じゃないだろうか、みやげのためにこういうことを急遽やったのじゃないかということも言われておるわけですから、そういうふうな関係のことについて、憶測を与えられるような時期にあえて危険なものを許可するということは今後の将来にとっても影響が非常に大きいと思いますので、十分に慎重にやっていただきたいと思います。 経済企画庁の方でも、物価に直接関係も何もないのにこういったものの輸入にあえて踏み切るような情勢というものは、ほかの理由でそういうことにならないように気をつけていただきたいと思いますが、長官ひとつお考えを聞かしていただきたいと思います。
○倉成国務大臣 ただいま厚生省の方からお話しのように、食品衛生調査会の方で十分検討していただくということでございますので、その検討の結果を待ちたいと思うわけであります。直接物価と関係あるものではないということを御理解いただきたいと思います。
○馬場(猪)委員 それでは、流通機構の問題についてお尋ねいたしたいと思います。 先ほども申し上げましたように、物価対策の七つほどの項目の中で、流通機構の合理化ということを挙げていらっしゃるわけです。具体的にはどういうことを合理化していこうというふうに考えておるのか、お伺いしたいと思います。
○倉成国務大臣 流通対策が総需要管理政策、競争政策あるいは個別物価対策と並んで構造政策の中で非常に重要な地位を占めるということは御承知のとおりでございます。 そこで、私どもは、物価安定政策会議において流通の改善、合理化に関して提言がなされておりますその中で卸売市場の整備、食料品の配送合理化など主要な物資の流通の改善、合理化対策ということが述べられておるわけでありますが、これらの問題に積極的に取り組んでおるわけでございます。また物価局に学識経験者からなる流通問題研究会を設けておりまして、これは五十年度から発足いたしておりますが、ここで種々の検討をいたしておるわけでございます。 そこで、五十二年度の予算の中でこのような物価に関連する流通対策はどうなっているかということでございますが、卸売市場施設の整備費として百五十六億、それから新流通経路育成事業対策費として一億七千三百万、その他野菜価格の安定やあるいは食肉、鶏卵の価格安定、配送品合理化施設あるいはこれらの食料品の流通の情報をサービスするというような事業あるいは水産物の調製、保管の事業というのを含めまして大体総額四百五十九億、約四百六十億の予算を組んでおるところでございます。
○馬場(猪)委員 いま言われたのはほかの面であって、純然たる流通問題の合理化については卸売市場の整備、新流通経路の育成事業費の二つだけですね、情報の提供はほかの項目で触れられているわけですから。 では、具体的に卸売市場の整備はどういうふうなことを考えておられ、そして新流通経路についてはどんなことを考えておられるのか。
○倉成国務大臣 担当の局長から御説明いたさせたいと思います。
○増田(甚)政府委員 卸売市場につきましては、先生御承知と思いますけれども、整備計画をつくりまして、一応昭和六十年度を目標に、現在あります市場の整備なりあるいは新たな都市に卸売市場を整備してまいるというふうなことを考えております。 具体的に申しますと、予算といたしましては五十一年度が百三十五億円計上いたしておりまして、来年度、五十二年度につきましては百四十六億円を要求しておるわけでございます。卸売市場の整備はそういうことでございますけれども、そのほかにも、後から御説明があると思いますけれども、小売等につきましてもいろいろやっていく。 それから、いまのお話にもありました新流通経路の育成でございますけれども、これは御承知のように、いわゆる産直というものを一つの流通経路として育てようということで、産直に要しますいろんな施設なりあるいはそれに要する輸送費等、そういうこともいろいろ考えておる次第でございます。
○馬場(猪)委員 予算は説明していただいたのですが、具体的に卸売市場をどういうふうにしようと考えていらっしゃるのかということです。
○増田(甚)政府委員 地域によってかなり違いまして、たとえば既設の市場でございますと、先生御承知のように、大阪あたりを例にとりますと、これは非常に古く、施設が単に古いだけではなくて狭くなっておるというような状況がありますので、そういうところには市場を広げ、あるいは駐車場でございますとか、最近のいろんな冷蔵施設ですとか、そういうものを整備してまいりたい。それから全くないところには新たにそういう市場をつくってまいりたいということを考えておるわけでございます。
○馬場(猪)委員 卸売市場を整備して新しくつくっていけば、それで物資の流通というのはある程度政府の考えていらっしゃるような線で価格の安定の一助になるというふうに考えていらっしゃるわけですか。
○増田(甚)政府委員 御承知のように、流通につきまして卸、小売等いろいろの段階がございますし、いま申しました卸、小売を通ずる以外にも新しい流通のルートがあるというようなことでございますので、卸売市場だけということではございませんけれども、全体の中で、御承知のように新流通経路といいましても、野菜なんかにつきましては卸売市場を経由しているのが現在でも九〇%近くございますので、われわれとしては卸売市場の整備についてまず重点的にやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○馬場(猪)委員 卸売市場をたくさんつくることによって、逆に物価を引き上げるというような現象もあることは御承知ですか。
○増田(甚)政府委員 具体的な中身がちょっとつかみかねるのですけれども、私どもとしましては、やはり卸売市場これは御承知のように、競りを中心に委託販売あるいは即日上場ですか、そういうことをやっておりますので、地域によって場所によって、あるいは具体的に一般的に私が言っておることとは違うようなケースもあろうかと思いますけれども、われわれは総体的にはやはり市場整備によりまして流通コストは引き下げの方向に向かうというふうに考えておるわけでございます。
○馬場(猪)委員 具体的な例を申し上げましょうか。大阪では古くから中央卸売市場が一つあります。そうして、いま北部流通センターの中に一つこしらえつつあります。そして十年くらい前でしたか、中央卸売市場と別に大阪市内に一つ市場をつくりましたね。奈良に最近市場をつくりましたね。それから京都も二、三年来に新しい市場をつくっております。というふうに、たくさん市場をつくられることによって、逆に相場の高いところへ野菜が流れるということをたびたび経験するのです。さらにまた別流通系統として、全国農業協同組合の生産物の流通センターを、いま大阪がつくっております北部の流通センター内の北部中央卸売市場のすぐ近くに、たしか三年か四年前におつくりになりましたね。このごろは交通便利がいいわけですから、お互いに近くに市場ができることによって野菜が相場の一番高いところに流れるという弊害もたびたび出てきているということは御存じですか。
○増田(甚)政府委員 恐らくいまのお話は、われわれが転送と言っている問題に関連すると思うのですけれども、いま先生おっしゃいましたように、転送という事実もあるわけでございますが、これは私どもとしましては一般的には認めませんで、特別の場合だけ認めるということにしておるわけでございます。御承知のように、市場がありますと、そこの市場の開設区域の需給によりまして物が集まってくる、あるいは分荷されるということになるわけでございますので、一般的には大阪、京都あるいは奈良、そういうような市場がございますけれども、それはそれぞれの需要に見合って集まるというのが一般ではないかというふうに思っておるわけでございます。転送が起こる場合にはいろいろな場合がございますけれども、たとえばある市場に必要以上に荷が集まり過ぎて残品が生ずるおそれがあるという場合には、先生おっしゃいましたように、転送ということが出てくると思いますし、あるいは結果として残品が出てしまったという場合には、それは当日さばくという意味で、よその市場に回すというケースはあろうかと思います。
○馬場(猪)委員 余り市場のことで議論するつもりはないのですが、市場だけつくれば安定するような感じを持っていらっしゃるから、そういうことは非常に多いことなんですよ。転送はごくわずかと言われるが、いまそうじゃないのですよ。集荷団体はほとんど車の中に無線機を積んでおりますよ。そして刻々各地の市場の相場を聞いて、一番高いところへ——これはあたりまえのことだと思うのです。生産者団体、集荷団体は高いところへ、あたりまえのことだと思う。消費者は安いところへと求めます。けれども、売る側は高いところへ持っていこうとするのはあたりまえなんですよ。ところが、行政の側としては市場の中にはそういう電子機器なんかもありませんし、通信網も何も持っておられないのが現状だと思うのです。むしろ集荷団体の方が進んでおるわけですよ。そうすると、名阪国道を走ったり高速道路を利用して走っておる途中で、そのときそのときの情報の中で一番高いところへさっといつでも転換できるのですよ。そうすると、特に二月、三月のように端境期になると、一層高いところへ土持ちをするような結果が出てきている。それが今日の端境期の野菜の高騰を招いている大きな原因じゃないでしょうか。そういうことも考えて、ただ単に市場の数をつくればいいのじゃないかというふうな考え方というものは疑問だと思います。それはまた農林省の方で別に議論いたします。 もう一つ、市場が価格を形成するそういうメカニズムの中の主要たる場所だというふうに認識していらっしゃるからそういうふうに考えられるのじゃないでしょうか。いまでも価格形成の場所は卸売市場だとお思いになっていらっしゃるか。
○増田(甚)政府委員 主要な価格形成の場であるというふうに考えております。
○馬場(猪)委員 主要なということになると、ほかにどういう要因がありますか。
○増田(甚)政府委員 物によっては違うと思いますけれども、生鮮食料品、特に野菜等につきましては、これはやはり卸売市場が主要な価格形成の場である。物によりまして、これは食料品といいましても、生鮮でない、たとえばかん詰めなんかですと、市場をほとんど通らないというようなことで、別のところで価格形成ができるという意味での主要食料品につきましては主要な価格形成の場ではないかと考えておるというふうに申したわけでございます。
○馬場(猪)委員 市場を通らないものが市場で価格形成しないのはあたりまえの話ですから、市場を通るものの話が前提だから、そういう必要はないですよ。 ところが、だんだん卸売市場の価格形成能力は弱ってきておるのだということは御存じですか。
○増田(甚)政府委員 これも品目によりまして……(馬場(猪)委員「いま言っておる野菜とかそういった主としてそこを通用しておるものだ」と呼ぶ)野菜は大体市場でつくられておるというふうに見ております。ただ、魚の中でも生鮮と冷凍とございますけれども、冷凍等につきますと、これはいま言った市場が主要な価格形成の場であるかどうか。これは数量的にも、非常に大ざっぱに言いますと、市場を通るものが半分くらいということでございますから、これは必ずしもその市場が主要な価格形成の場であるというふうに申していいかどうかという点はあろうかと思います。
○馬場(猪)委員 余りこれで時間をとりたくないのですが、議論をやり出したものですから、やむを得ずやりますけれども、たとえばスーパーがこのごろ非常に伸びておりますね。東京の卸売市場価格の中で四十五年ころはせいぜい三%か四%くらい間接に買っておったと思うのですよ。最近は力がついてきてスーパーあたりがどんどんと買うようになりまして、五十年には大体三〇%くらいスーパー向け、そしてもうあと四、五年しますと、五〇%を超えるだろうといま予測がされております。ということになってくると、もう三〇%、スーパーがこの市場て取り扱う生鮮食料品——市場で取り扱う生鮮食料品ですよ、これを扱うようになると、市場価格というものは自然にスーパーの思っておる方向に動いていかざるを得ないという結果も出てきているのではないでしょうか。あるいはまた肉なんかの相場を見ても、従来、肉、豚などについてはスーパーや商社関係の取り扱いが直接市場に関係なかったのが、これも東京の卸売市場あたりでは全国の二〇%以上の入荷率が普通あったのが、最近ではせいぜい四、五%に下がってきておる、肉だとか豚は。ということは直接ほかのルートで肉や豚が流れておる。主にスーパーあたりがそれを扱っておるという結果が出てきておるわけなんです。そうすると、価格形成の過程というものはずいぶん変わってきていると思うのですよ。これは、じゃなぜそういうふうになってくるのでしょうか。なぜそういうふうに変わってきたのでしょうか。
○増田(甚)政府委員 御案内のとおり、最近スーパーがふえていまして、したがって、私どものあれでは売買参加者と言っておりますけれども、その中にはスーパーの方もかなり多くなっております。ただ、御承知のように、市場では売買参加者、競りに参加しておりますので、スーパーの人はまだ数としては——取扱額はあるいは多いと思いますけれども、数の上では非常に低い比率しか占めておりませんので、スーパーによって競りの価格が左右されるというふうには私どもまだ見ておらないわけでございます。
○馬場(猪)委員 個々の問題はまた別に、時間があればあと引き続いてやりますが、結局、流通過程の中で、いま長官、お答えいただいたのは、せいぜい卸売市場の合理化と新しい流通経路の育成、これはもう農林省に所属することだけ、生鮮食料品だけですが、そのほかにもいろいろ流通過程について改めなければならないと思うのですが、そのほかには何も考えていらっしゃらないわけですか。
○倉成国務大臣 日本の経済の中で流通問題というのはある意味で暗黒大陸とも言われておりますし、いま農林省からお答えしたのは生鮮食料品の問題、また卸売市場を中心とした議論であったと思いますが、あらゆる物資について、工業製品につきましてもあるいは衣料品についてもいろいろな形での流通過程が非常に複雑である。したがって、その複雑な流通過程をどう解きほぐしていくかということがこれからの課題ではなかろうか。もちろん、この問題は単なる機構だけの問題でなくして、この裏づけとなる金融の問題、商社等がかなりそういう流通関係に融資をしているというような問題とも絡んでおると思いますので、この問題の重要性というのは十分認識をいたしているつもりでございます。したがいまして、先ほど申しましたように、物価安定会議等におきましてこの問題の検討会をいたして調査、検討を続けておるという状況でございます。
○馬場(猪)委員 長官が七つの項目にわたってずいぶん熱心に経済安定のために、物価抑制のために考えていらっしゃると思ったところが、あにはからんや、中身は、いま具体的なものとしては二つだけなんです。ところが、福田総理、いま非常にやかましく言われる、有資源時代、節約時代とよく言われるわけですが、日本の国というのはほとんど資源を外国に仰いでおるということはご承知のとおりですから、その外国の資源が入ってくるときから、そして入ってから加工して消費者に至るまでの間、至るところで合理化対策というものは本当は考えなければいけないのじゃないでしょうか。ところが、そのほかの問題については、具体的なことは何も考えていらっしゃらない。暗黒大陸だから探りようがないととれるような意味しかないのですが、もっともっと、流通対策と言われる限りは——生鮮食料品というのはごく一部ですよね、もっともっとほかの部門でもやらなければならない点たくさんあるのじゃないでしょうか。 たとえば、先ほど申し上げましたように、資源が非常に輸入に頼っておることが多いと言われますが、五十年の貿易協会の調査を見ますと、総合商社、十大商社の売上高が四十六兆二千七百八十三億あります。これは同年の国民総生産の三一%だという。三割、十大商社によってわれわれの生活関連物資がほとんど扱われておる。そしてその商社によって輸出が五六・四%、輸入が五五・六%、半分くらいは私たちの生活をこの十大商社によって左右されていると言っても過言でないと思うのです。これだけ大きなウエートを占めているのですから、物の価格を決めたり流通の経路をつくったり、いろいろなことについて大きな影響力があるということは当然だと思うのですが、少なくとも、あの四十八年の石油危機のときに、石油が足りない、砂糖が足りない、あるいは小麦粉が足りないというときに、流通経路がわからなかったために、どこを押したら石油が出てくるのか、紙が出てくるのか、砂糖が出てくるのかわからないままに経過したわけですから、少なくともあれから四年もたっておるのですから、流通改革と言われる限りはそういう流通経路なんかも十分押さえていらっしゃると思うのですが、この半分に及ぶ輸出部門を占めておる十大商社の流通経路、国民生活に関係の深いものについて主な流通経路あたりは押さえていらっしゃるかどうか、お伺いしたいと思います。
○藤井(直)政府委員 商社自体の流通経路の問題というのは、なかなか個別的な問題で、私ども十分把握しかねるわけでございますけれども、先ほど大臣が流通対策の中で生鮮食料品中心に申し上げたわけでございます。ただ、そのほかに、もちろん産業関係、農業以外の分でございますけれども、それから運輸関係等広範にわたっておりまして、そういう全体の流通についてのシステムの問題、それから商品別の流通構造がどうなっているかというような基礎的な調査から始めまして、やはり具体的な対策を講じていく必要があろうかと思うわけです。 現に中小企業の面では、協業化とか共同化ということでかなりそういう面の改善が進んでいると思うわけでございますが、ただ、何分その流通の問題は非常に複雑広範でございまして、対応がむずかしいという基本的なところがございます。単に流通の経路を短くすればいいかと言いますと、その場合にはまた別の面の障害が出てまいるということもございますので、その辺は個別的にそれぞれの事情に即してやらなければいけないと思いますが、流通全体の問題として見ますと、生鮮食料品、それからその他の物流、それから商業流通等につきまして、いろいろ基礎的な調査を各省、特に通産省とか運輸省等でもやって、それぞれの問題の検討をしておる段階でございます。
○馬場(猪)委員 きょうは通産省や運輸省、農林省、全部来ていただいておりませんので、そこまで議論を深める時間もないと思いますが、実際には経企庁でも流通対策の合理化を言われる限りは、ある程度主要な産物についての流通経路ぐらいは押さえておかなければ、本当の流通経路の改革、合理化というようなことはできないのじゃないでしょうか。先ほど私、何も流通経路をばらばらにして、分割してなんて、ちっとも言っていないわけです。 それじゃ、食糧だけに限って見ましょうか。 五十年度の食糧の輸入総額は二兆六千四百四十五億、三井、三菱、丸紅、伊藤忠、日商岩井、兼松、住友、トーメン、蝶理、日綿実業、これら十一社で何と二兆四千九百億。輸入総額のうちの九〇%以上をこの十一社で占めておりますね。私は数字だけしかわかりません。実態は知りませんけれども、統計で見ると、これだけのものを十一社が輸入で占めておる。十一社が話し合いをすればどうにでもなりますよね。砂糖なら砂糖、大豆なら大豆、どうにでもなるのじゃないでしょうか、いまそういう流通経路になっているのじゃないでしょうか。その程度のことは御承知なんでしょう、経企庁も。
○藤井(直)政府委員 大体承知しております。
○馬場(猪)委員 そうすると、十一社がそれだけのものを輸入しているということになると、大体どれくらいのシェアを各商社が持っておるかということは御承知でしょう。
○藤井(直)政府委員 個別的な会社の業務の取扱高その他について、現在数字を持っておりません。
○馬場(猪)委員 数字も何もなくて、物価の計算ができるのでしょうか。ただ総括的な数字だけ知っておる……。じゃ、もう一つ細かく議論いたしましょうか。 これだけ、九〇%以上の——これは農産物もあるいは水産物も、穀物も飼料も全部入れてですからね。これだけのものを左右されていると、九〇%も輸入に頼って、この十一社ぐらいに占められておるということですから、ただ単に輸入だけじゃなしに、日本の農業も左右しているということになるのじゃないでしょうか。飼料を押さえられている。きのうですか、畜産関係のコストアップについて審議会を開いていらっしゃるようですが、結論を出しておられません。農民側の要求としては、二〇%くらい上げてもらわなきゃ畜産は成り立っていかないと言っている。しかし国の方では、せいぜい三%か四%くらいに抑えたいというような意見が載っておりましたけれども、穀物から飼料から十一社でほとんど独占的な状態になっておる中で、日本の農業そのものも生かすも殺すもこの十一社の考え方いかんで変わってくるというような状態に来ているのじゃないでしょうか。その結果がどういうふうになったでしょうか。たとえば大豆。いま大豆の自給率は何%くらいですか。——まあ、いいです、時間がありませんから。大体四%くらいですよね。大豆をつくったって引き合わないんだから。それはそうでしょう、いまの日本の考え方というのは、重化学工業で日本の製品、工業化学製品を輸出して安い農産物を買うという政策がこの二十年来続いているわけですから、育たないのはあたりまえです。そして九六%の輸入のうち、九〇%をアメリカに依存しているのでしょう。そしてこの十一社がほとんどこれを押さえているわけでしょう。そして、いまや大豆は国内だけの価格形成ではどうにもならないのでしょう。大豆の価格形成はどこで行われるのですか。どなたでもいいです。
○増田(甚)政府委員 国内では御承知のように取引所がございまして、そこで価格形成、指標と言いますか、つくられておると思います。
○馬場(猪)委員 九六%輸入しているのですよ。そして十一社がこの価格を左右しているのですよ。国内で価格ができるわけがないですよ。砂糖はロンドンでしょう。穀物はシカゴでしょう。シカゴで価格形成がされるのでしょう。そうすると、シカゴの穀物市場で情報を集められるのはだれですか。いま言った九〇%も占めておる商社の人たちでしょう。そのときの投機の状態、アメリカにおける国内の豊凶の状態あるいはまた、日本の商社の買い付けの状態、そういうことによって価格というものは変わっていくのでしょう。そしてそういう情報を持っているのは、日本政府は持っておりますか。農林省か通産省か経企庁か、そういう情報をどこかお持ちになっていますか。
○増田(甚)政府委員 私ども極力手を尽くしまして、たとえばジェトロでございますとか、そういうところの御協力を得まして入手できる情報は入手しておるつもりでございます。
○馬場(猪)委員 じゃ、入手できない情報はだれがその情報を知っているのですか。
○増田(甚)政府委員 御案内のように、情報源はいろいろございますので、われわれの手の届かないところはもちろんあろうかと思います。ただ、シカゴでございますとかあるいはニューヨークの相場でございますと、私どもは十分把握しておるつもりでございます。
○馬場(猪)委員 余りそういうわき道の議論ばかりしておりますとなにですので……。 結局、食糧の大部分をこういう大きな総合商社が情報網と資金力、輸送力、そういったものを総動員して輸入してくるわけでしょう。砂糖はどうですか。砂糖も同じようにロンドン市場の価格が日本の市場の価格にぴんと響く。そして、砂糖はいま何社ぐらいでこれをやっておりますか。砂糖も農林省ですか。通産と農林と関係がありますが、やはり農林省ですか。
○増田(甚)政府委員 砂糖につきまして輸入にタッチしておる商社は、これは地域によって若干違うのですけれども、大ざっぱに言いますと三十から四十くらいというふうに承知しております。
○馬場(猪)委員 精製業者はそんなにたくさんありませんね。——細かいのはいいです。いま大きく分けると、結局三井物産系統が三井製糖と台糖でしょう。三菱の系統が明治と大日本と東日本、丸紅の系統が東洋と神戸、日商岩井の系統が日本製糖、大体ここらで日本の砂糖をほとんど支配しているんじゃないでしょうか。 こういうふうな状態で、大豆にしろ砂糖にしろ、ほとんどこの十一社で輸入から消費者の中まで行っている。これがいまの流通経路の実態じゃないでしょうか。 そして今度、直接消費者のそばにきたら何があるのでしょうか。スーパーです。いまや六つのグループで日本の小売業界はほとんど押さえられようとしているのじゃないでしょうか。ダイエー、西友ストア、ジャスコ、いづみや、イトーヨーカ堂、長崎屋、ニチイ、七つの大きなスーパーグループがあります。そしてこの大きなグループが小売市場をほとんど一人占めしていこうとしている。それだけではなしに、また最近では大型店舗から地域のコンビニエンスストア、これに積極的に乗り出しておることは御承知のとおりだと思います。五十年に千三百二店あったものが翌年は千九百四十五店、ことしは三千店になると言われています。そしてその一つの店舗は、大体五百メートル半径で千五百世帯を対象としてボランタリーチェーンをつくっていっております。 こうなったら、輸入資源から生産資源から、流通経路をほとんど完全に商社とこの六つのグループで占められてしまうのじゃないでしょうか。こういう流通経路をだれがつくったのでしょうか。この二十年ほどの高度成長路線の間に、流通の合理化という名目のもとにこういう組織がつくられておる。小さいお店の小売商の方々が、最近自分たちの仕事の分野にまで、家内工業にまで大企業が入り込んできてどうにもならないということで、ここ五、六年前からめがね屋さんの組合であるとかクリーニング屋さんの組合であるとか、あるいはまた手工業のいろいろな分野の中小企業、零細企業の方々が中小企業分野法をつくって、せめてわれわれの仕事だけでも確保してくれという運動をなさっているのは当然じゃないでしょうか。こういう実態は経企庁は御承知のはずですね。どの程度御承知なんですか。
○藤井(直)政府委員 現在の日本の商業流通の段階で考えてみますと、スーパーのウエートが高まってきたということは事実でございます。それはやはり全体として非常に零細で分散しております商業が、何と言いましても人件費の高騰その他を受けまして効率が悪いということは指摘されていたところでありまして、やはりスーパーのような協業化といいますか、大型化という方向はその時点では推進してきたことではないかと思うのです。それがそれでは行き過ぎてしまうかどうかという話については、また別途中小企業との分野の調整の問題が出ているわけでございますけれども、少なくともいままでのスーパーのウエートが高まってきたということは、流通のコストその他についてはそれなりの意味を持っていたのじゃないか、このように思います。
○馬場(猪)委員 経企庁として、いま局長の言われたように、結構それはそれなりに物価の安定に役立っていると言われるのですか。
○藤井(直)政府委員 やはり一店舗当たりの取り扱い量が大きくなるというような意味での規模の利益は出ていると思います。
○馬場(猪)委員 いや、物価の安定に役立っているというふうにとらえているのですか。いまのは、店舗当たりの規模が大きくなれば利益は上がっているという御答弁ですね。物価の安定に役立っていますかと言うのです。
○藤井(直)政府委員 スーパーの営業がそういう形で行われた場合に、従来のような小さな規模でやっているのに比べますと、やはりコストの上昇というのは少ないのではないか。そういう意味で、それは物価の安定にも資するものであると思います。
○馬場(猪)委員 合理化が進んで、かえって大量仕入れし、大量販売するから安くなっていると、こういうふうに言われるわけですか、平たく言えば。
○藤井(直)政府委員 一般的に言いまして、コストが下がっていく、コストの引き上げ要因が他に比べて少ないということは、やはり物価の面から言いますると、上昇圧力としては総体的に弱いと思います。
○馬場(猪)委員 一般的に言わなくても、これだけ大きなスーパーの販売網ができたのでしょう。実際には物価が安くなることに役立っていますか。一般的ではなしに、いま実際にどういうふうに判断されていますか。
○藤井(直)政府委員 個別の問題になりますとこれは区々でございまして、私どももどの部分がどうかということは申し上げられませんけれども、少なくともそのコストが全体として大量取り扱いという中で上がらない、上がり方が少ないということは事実だと思います。
○馬場(猪)委員 それが原価に応じて一定の利率が消費者サイドで考えられた場合はそうですね。しかし、いまのスーパーの商法はそうなっているでしょうか。そういうふうに消費者本位の価格形成がスーパーによってなされているでしょうか。
○藤井(直)政府委員 先ほど申し上げましたように、個々のスーパーがどういう値づけをしているかということまで私どもは承知しておりませんけれども、全体としてのコストの動き方その他については、やはり従来の方式よりも物価の上昇の面から言えばプラスではないかと思います。
○馬場(猪)委員 消費者サイドで政府に協力して物価を下げようということで、非常に低いマージンで、大量生産、大量販売だから安くしようということであればそういうことが言えるのですが、いまのスーパーの販売方法はそうじゃないのです。一、六、三というのを御存じですか。一割は原価を割って売る、六割は大体一般の物価、小売店と大して変わらない、三割は一般商品より高く売る、値の張るものは高く売る、こういう商法がいまのスーパー商法だ。結果的には消費者に還元せず、おとり商品で安く売っているように見えるけれども、実際にはスーパー全体を平均すると高いといま言われている。「暮しの手帖」ですか、あれの調査をごらんになったことがありますか。「暮しの手帖」であの調査をいたしましたね。時間がありませんからそれに触れませんけれども、あの調査をごらんになれば、その一、六、三商法は歴然とわかるはずであります。そうしますと、流通過程の、輸入から、生産から、保管から、輸送から、小売に至るまで全部がだれかが価格を一人決めしておる、いわゆる管理価格の制度というものがいまの日本の流通界を支配しているわけでしょう。そういう実態を明らかにしてこそ初めて流通の合理化ということが言えるのじゃないでしょうか。ところが、言葉は、流通の合理化と書いてあるけれども、実際の中身はそういうことがほとんど触れられておらない。いや、知っていてもお触れにならないのかどうか、そこまで経企庁としては分析も何もなさっておらないのか。当然、経済団体、経済省である通産省や農林省といろいろの協議をなさっているはずなんですが、そういうことは実態をまだ把握しておいでになりませんか。
○藤井(直)政府委員 流通の問題は、先ほど申しましたように、非常に広いということでございまして、その問題意識の中にはかなり零細で多数の事業所というものが介在して、そして物資の保管、輸送、それから販売、そういうようなことをやっているわけでございますので、そういうような構造自体がやはり近代化されていかなければ本来の流通機構の姿と言えないのではないかというような面は、非常に私ども強く持っております。 ただいま特定の品目について流通を取り扱う業者が非常に少数で、しかも大きいという話につきましては、個別的に、たとえばいまの食糧などの輸入につきましては逆に非常に取り扱い量も多いということもありますし、リスクもありますから、かえって大規模な事業者が取り扱って、その中で競争していくということも、これはそれなりに事業の形態としてはあってもいいのじゃないかと思いますが、全体としてそういうような状態の中で異常に物資の売り惜しみとか買い占め等をしていくというようなことによって利益を得るということは困ると思います。それで狂乱物価の前に生活関連物資の買い占め、売り惜しみ防止法というものをつくりまして、そういう場合には売り渡し命令とか売り渡しの指示をすることができるというような法律をつくっているわけです。その中に御指摘の砂糖とか大豆も物資として最初は入っておりました。現在そういう価格が異常に高騰するおそれがないわけでございますからこの法律は働いておりませんけれども、そういうような事態において巨利を博するというようなことがもし出てくれば、出てくるというような事態が起これば、こういう法律を発動していかなければならないと思います。 それから、この法律はいま動いておりませんけれども、その当時生活関連物資の需給について価格動向を監視しようという体制ができたわけです。それはいまでも全体として四十四品目についてこれをやるという体制で現在地方公共団体と一緒になってやっております。そういうようなところで十分その価格の動向に目を光らせていきたいと思っております。
○馬場(猪)委員 四十八年の石油ショックのときにある程度流通過程もお調べになり、そしてどこのボタンを押せば不足している物資が出てくるんだといういわゆる流通経路をある程度お調べになっているのかもわかりません。公表されないだけかもわかりませんが、そういうことがきちっとわかっておってこそ初めて合理化対策というのはできるわけでしょう。 だから、そういうことが余りはっきりつかめておらないということになると、そしてただ単に言葉の上で流通経路の合理化と言われるけれども、先ほどお聞きしたところ、結局卸売市場とか新しい流通経路、その程度に終わっておるということでは、これじゃ経企庁の発表なさっている、あるいは総理も言われている物価安定について、流通対策の合理化をやっておるということについて信ずることができないじゃないですか。やはりもっと積極的に、言葉だけじゃなしに、ひとつ国民の側に立った合理化対策を考えていただきたいということを要望申し上げたいと思います。経企庁長官にそれについての所感、ひとつお願いしたいと思います。
○倉成国務大臣 私どもは流通の問題については非常に大事な問題であるという意識を持ちまして、これからも十分勉強していきたいと思っております。 ただ、御案内のとおり、自由な企業体制をとっているわけでありますから、その中で流通問題というのを考えていくということは御理解いただきたいと思うのです。これは統制経済をやっているわけじゃないわけですから。したがいまして、非常に売り惜しみをしたり買い占めをしたり、不当なマージンをもってやっているということについて監視を深めていく、そして自由公正な競争が行われていくということによって価格が安定していくということを考えておるわけでございます。 しかし、ただいまいろいろな部門についての御指摘がございました。流通問題についてもう少し掘り下げて勉強せよという御激励につきましては、私どももそういう問題意識を持ってこれからも勉強を深めていきたいと思っております。
○馬場(猪)委員 終わります。
○西宮委員長 馬場猪太郎君の質疑はこれで終わりました。 次は、中川嘉美君。
○中川(嘉)委員 福田総理は今国会の野党質問に答えて、独占禁止法改正問題は今国会で最終決着をつけると、このように言明しているわけでありますが、この独禁法改正問題、これは政府ですでに改正案の作業が進んでいるというふうに聞いております。そこで、公正取引委員会委員長はこの強化改正にどのように取り組まれるか。私はあくまでも五党一致案でいくべきだ、このように思うわけですが、この点と、さらに現在の政府案作成に対して特に注文があれば、この際伺っておきたいと思います。 また、経済企画庁長官はこの強化改正にどのように長官として取り組まれるか。特に改正問題の焦点がいわゆる企業分割規定ということでありますが、この分割規定あるいは構造規制に対してどのような見解を持っておられるか、こういったことを含めて御答弁をいただきたいと思います。
○澤田政府委員 独占禁止法改正問題につきましては、私ども公正取引委員会といたしましては、寡占化が進んでおるというような経済社会情勢にかんがみまして、一貫してこれを強化する方向で改善策が必要だと申してまいっておるのでありますが、現在、従来のいろいろな経緯を踏まえまして、新しい改正案をつくる方向で調整が進められておる段階でございますので、具体的な項目につきまして私の立場からいろいろ申し上げることはあるいは不適当な段階かと存じますけれども、この改正につきましての方向といたしましては、第七十五国会におきまして衆議院において全会一致で可決されましたいわゆる五党修正案、これが基本となって法案が作成され、御審議願えますことを切に期待をいたしておる次第でございます。
○倉成国務大臣 自由な市場企業体制を維持していくためのルールづくりとしての独禁法というのは非常に重要な意味を持っておると思います。なお、この問題については、内閣では総理府総務長官を窓口としまして、また与党の方では山中委員会で鋭意問題を煮詰めておる段階でございます。また各党との折衝もいたしておるというような状況を伺っておりますので、私から格別な御意見を申し上げるのは適切ではないのじゃないかと思います。
○中川(嘉)委員 御答弁をそれぞれいただいたわけでありますが、低成長、安定成長期の突入に伴ってこの独占、寡占の弊害というものがいわゆる高度成長期よりも一層顕在化して、国民生活、国民経済の向上、発展の上に大きなブレーキとなることが必至であろうと私は考えますので、この強化改正にひとつ前向きで取り組んでいただきたいことをこの際要望をしておきたいと思います。 いま私が国民生活、国民経済の向上、発展というふうに申し上げましたけれども、きょうの私の質問は、実は拘束預金の実態について若干御質問をしたいと思います。 まず、大蔵省が昨年初めて中小企業を対象とした拘束預金の調査を行ったわけですが、これを見てみますと、拘束預金が一四・五%に達している、このように報告がなされているわけであります。公正取引委員会も本年の一月、拘束預金の実態を発表したわけですが、この調査は御承知のとおり昭和三十九年から行って二十五回目ということであります。これによると、中小企業の千八百十六社からの回答を集計した結果、これら中小企業が金融機関から借り入れた額の二四・二%が拘束されている、こういうことがわかるわけで、これはもう大変な率に相当するわけであります。それで、たとえば拘束預金があるために倒産をした会社とかあるいは消費者金融にまで拘束預金があるという例を多々聞いているわけでありまして、中小企業がこういったことで泣かされているということ、このことについて公正取引委員長がこの実態をどのようにとらえておられるか。同じく経済企画庁長官の御意見もあわせて伺いたいと思います。
○澤田政府委員 ただいま御指摘のように、公正取引委員会といたしましては年二回、金融機関から資金を借りている中小企業者を対象といたしまして拘束預金の実態調査を続けておるのでございまして、先ほど御指摘の二四・二%という広義の拘束預金比率、これは今回の調査で初めてやってみた方法による結果でございまして、一人一人の借り入れと拘束預金の比率を出しましてそれを平均した結果の数字でございます。従来は総借入金と拘束預金の総数との比率でずっと調べておったのでございまして、これによりますと広義の拘束預金は一六・八%。これは両方の計算の仕方が違いますからこういう違いが出てくるのは当然と申されるわけでございますけれども、継続してずっと見てまいりますと、だんだんと改善の方向にあるということがうかがわれるわけでございます。 しかしながら、今度の調査でもう一つ新しいことをやってみたのでありますが、何らかの形で拘束預金があるという答えをしたものが企業数で見ると六五%あるというようなことから考えまして、なお拘束預金については金融機関に改善に努力してもらいたい面が少なくないということを感ぜざるを得ないのでありまして、先ほど御指摘のように大蔵省もこれに力を入れております。私どももこの種の調査を継続いたしまして金融界の自粛の励行を促すとともに、中小企業者の利益が害されないように監視を続けてまいりたいと考えておる次第でございます。
○倉成国務大臣 ただいまも公取委員長からるる御報告がございましたけれども、企業と金融機関との関係、どこまでが拘束預金であるかという判断というのは非常にむずかしいところじゃないかと思います。しかし、いずれにしましても拘束預金ないし拘束預金と称するものがあることは事実であるということでございますから、こういった過当な拘束預金が零細企業を苦しめることのないように、大蔵省による金融機関の指導というのを特に期待をいたしておる次第でございます。
○中川(嘉)委員 それらの拘束預金が、保証協会の保証をつけたりさらに担保も提供した上でなお拘束されているというものであって、中小企業を不当に圧迫していることはまず間違いがない。また大蔵省が調査をしたアンケートによってもこれらのことが明瞭に出ているわけであります。公正取引委員会は、これらの拘束預金について不公正な取引方法に該当する恐れがあるものとして、当然三十九年以来調査を重ねてこられたと思いますが、一体いつになったら拘束預金が不公正な取引方法に該当するか否かの結論が出るのか、また出すのか、この点について伺いたいと思います。
○澤田政府委員 御指摘のように、長年この調査をいたしておりまして、その結果私どもが法規に照らしてこれは不当であると思うものは直接注意をいたしますし、また大蔵省の銀行行政の面から注意をしてもらうために大蔵省に連絡することもございます。また直接中小企業から不当な拘束を受けたという申告と申しますかそういう相談もございます。しかし、これは事の性質上、名前を明らかにして申し出るということはなかなかむずかしい面もあるようでございます。その辺の事情も考えまして、私どもはケース・バイ・ケースで極力こういう苦情が起こらないように、先ほど申しましたような努力を続けておる次第でございます。
○中川(嘉)委員 そうしますと、ケース・バイ・ケースというお話ですが、こういった不公正な取引方法に該当するかどうかという結論は、それじゃ、出さない、出せないというふうに理解してよろしいわけですか。
○澤田政府委員 一般的な問題としては、例の不公正な取引に関する一般指定がございますが、それによりまして、優越した地位の乱用をして預金を強いておるというような判断をいたしますれば、これは当然その件については処置するわけでございます。したがいまして、具体的な処置はやはり一つ一つについて判断をしていくということになろうかと存じております。
○中川(嘉)委員 大蔵省は、中小企業に対する拘束預金の調査の結果、これらの改善について銀行局長通達を金融機関に出して、拘束預金の明確化等について行政指導を行っているわけですが、われわれの知るところでは、いまだ改まった様子がないわけであります。たとえばある都市銀行において、支店を通して一千万円の融資を申し込んできた、こういった中小企業に対して大蔵省の監視が非常に厳しい、こういうことで本店の方に預金を二百万してくれたら融資をする、こういうふうに歩積み両建てそのものが非常に巧妙悪質になってきている。また、都市銀行利用の中小企業経営者の意見を聞いてみますと、手形を割り引いてもらう場合も、百万円ならば五万円以上預金しろとか、このように迫ってくる、預金のない人には手形を割り引いてくれない場合が多い、そして担保があっても預金をしろとか、こういう例があるわけでありまして、このように、大蔵省通達による行政指導ぐらいでは効果が上がらないという意見さえもあるわけであります。公正取引委員会の速やかな結論を、先ほど来御質問しているとおり、期待しているわけでありますが、もう一度この点についてお答えをいただきたいと思います。
○澤田政府委員 事柄が抽象的に、こういうものが不公正であるといったような一般的な指定と申しますか、これは告示で出ておるわけであります。それに対応しましてこの件はどうかということは、一つ一つについて判断をせざるを得ないわけでございますから、そういう案件につきましては厳正に判断をして対処してまいりたいと考えておる次第でございます。
○中川(嘉)委員 さらに伺いますが、この歩積み両建ては金融機関の貸し出し債権保全のために必要であるかどうか、この点はどうでしょうか。
○澤田政府委員 先ほど広義の拘束預金と申しましたが、私どもは広義の拘束預金と狭義の拘束預金に分けております。狭義の拘束預金ははっきりして、しかも何らかの理由があるわけでございます。貸し出しの担保であるとか、割引のための保証であるとか、いろいろな形において理由のある拘束がなされておるわけでございまして、こういうものは今度の大蔵省の指導基準によりましても明確にされることと存じます。したがいまして、こういうものがすべていけないというのではないのでありまして、いわゆるにらみ預金と申しますか、預金者の方は何となくとにかく出しにくい、出そうとするとどうも不都合が生じそうだ、金融機関の方はいや決して拘束はしていないのだと言いますけれども、その辺の微妙な関係がございます。問題は広義の拘束預金というのが、もっと自由化され、その比率が減っていくということが望ましいのではないか、このように考えておる次第でございます。
○中川(嘉)委員 私としてはこの債権保全のために必要ということであるとすれば、非常に疑問が残るわけでありまして、たとえば一千万円を貸し出しまして三百万円を拘束した場合、三百万の担保預金で保証される債権というものは一千万円のうち三百万円にすぎないわけであります。残りの七百万円を信用で貸している、こういうことになって、債権のリスクという点ではこれは余り変わりはないのではないか。拘束預金が債権保全のために必要というよりは、むしろ安心料とかあるいは銀行の預金獲得のための手段として行われている面が非常に大きいのではないか、こういうふうに思うわけですけれども、この点についての御見解を伺いたいと思います。
○澤田政府委員 感じから申しますと、御指摘のような感じもないわけではなかろうと存じますけれども、金融機関の事務処理の上から考えますと、担保なり保証なりに使われておる預金というものは明確なわけでございます。ただ、その場合には、ただいま御指摘の問題と関連しますけれども、両建てになっておるわけでありますから、そこに貸し出しに対する金利について配慮を加えるというようなことが当然伴っていいものというふうに考えられるわけでございます。
○中川(嘉)委員 中小企業の間では拘束預金についての不満が非常に強い。銀行に対して大変に弱い立場にあるし、文句も言えない、こういう実情であるわけであります。したがって、苦情処理機関が当然必要なわけで、現在では銀行の内部機関としての相談窓口が設けられている。これでは効果が期待できないのではないか。また実際に苦情を持ち込んだ件数はほんのわずかだというふうにも聞いているわけで、大蔵省が昨年の六月十五日に公表した歩積み両建てなどの拘束預金に関するアンケート調査というのがありますけれども、これによっても苦情を申し出たことがないというのが七〇・六%、こういう大きな数字になっておるわけです。このアンケートによりますと、取引先金融機関に申し出たことがあるというのが四・二%、あとはもうほとんど非常に低い数字で、銀行協会に申し出たことがある、これが〇・一%、相互銀行協会に申し出たことがある、これが〇・二%、信用金庫協会に申し出たことがある、これが〇・一%、大蔵省財務局財務部に申し出たことがある、同じく〇・一%、こんなふうに非常に低いパーセンテージを示しているということでありますが、これは、こういった苦情相談所というものがあることを知らないのじゃないだろうかというのが一つ、よく徹底されてないのじゃないか。第二番目は、この苦情を申し立てることによって銀行からにらまれたりあるいはまた仕返しをされたり取引ができなくなるとか、こういったことを恐れているからじゃないだろうか。いろいろと考えられるわけですけれども、最初に申し上げた苦情相談所のあることを知らないということに関しては、これは恐らくPRが少し不足しているのじゃないかというふうに私は思うわけで、この点についてどのようなPRを行ってこられたか、またこれから行おうとされるか、この辺について伺いたいと思います。
○澤田政府委員 その点がなかなか、おっしゃいますように、借り入れ人から具体的に名前を明かして申し出るということがやりにくい面があろうかと存じます。したがいまして、公正取引委員会といたしましては、年二回こちらから積極的に呼びかけてアンケート調査をする際に、公正取引委員会はこういう関心を持っておるのだということを理解してもらう努力をあわせてやっておるわけでございますけれども、と同時に、私ども世帯が小さいものですから、そういう苦情の受け付けというようなのは取引部の取引課で行っておりますし、これが実は窓口のようなものでございます。また全国八カ所の地方事務所がございます。ここでも受け付けておるのでございまして、また違反事件として申告があるというようなものにつきましては、審査部においてこれを取り扱いますし、地方事務所の審査課においてこれを取り上げるわけでございます。したがいまして、あらゆる機会に、苦情があったらおいでくださいという理解をしてもらうように努めておるつもりでございますが、先ほどもお話がございましたように、事柄の性質上お申し出がそう多くないというのが実情でございます。
○中川(嘉)委員 それでは、たとえばポスターとかそういうような手段によるPR、こういうものについての現状はどうでしょうか。
○澤田政府委員 ポスターによる周知方法というのは、これは今後考慮に値するかもしれませんが、現在までのところいたしておりません。
○中川(嘉)委員 聞くところによると、商工会議所とかあるいは商工会に張られているというようなふうにも聞いたわけです。実際はその張られている事実を私たちは余り見ない。もっとそういった意味でも真剣にPRを今後とも行うべきではないか。たとえば市役所なんかにもそういうものを張っていくとか、いろいろこういう方面のPRということを通して、やはりそういうものを少しでも緩和していくことが大事ではないか、こういうふうに思いますが、これからの決意のほどといいますか、そういうことに対してどのようにお考えになるか、もう一度ちょっと。
○澤田政府委員 御指摘のような点は、いろいろ検討いたしてみたいと思います。
○中川(嘉)委員 第二番目に、先ほど申し上げた仕返しが恐ろしいとか、そういう苦情の申し立てができない場合、これがいわゆる歩積み両建て問題が根絶できないところの原因の一つではないかというふうに私は思うのですが、いろいろ苦情を申し立てて銀行との取引がまずくなったら、これは国が責任を持って政府の三機関から優先的に貸し付けをする、あるいはまた国の責任で他の金融機関をあっせんするなどの措置をしない限り、弱い立場にある中小企業は苦情を申し立てないのではないだろうか、こういうふうに思うわけでありまして、この点についてまず伺いたいのですが、そのためにももっと性格のはっきりした第三者機関をつくって拘束預金をなくす努力というものをすべきではないか、このように思いますが、この点はいかがでしょうか。
○澤田政府委員 御承知のように、今年四月一日から実施ということで大蔵省が相当厳しい金融機関に対する拘束預金規制の方針を打ち出しております。それとの関連で、第三者的な苦情処理機関はどうかということが問題になっておるようでありまして、これは公正取引委員会の問題というよりは、金融機関行政の立場から検討してみるべきものではないかと思いますけれども、またその成り行きを私、存じておりませんが、公正取引委員会といたしましては、そういった金融機関行政の面の進め方を注視したい面がございます。ことしの五月に、先ほど申しました定例の調査をいたすのでありますが、四月一日に大蔵省の新しい指導が実施されました結果、五月に中小企業の面の調査にどういう影響が出てくるか、実はそれを注目したいというふうに考えておる次第でございまして、直接お答えにならぬかもしれませんが、そういうふうに考えておる次第でございます。
○中川(嘉)委員 きょうは限られた時間の中ですので、最後に一つ伺っておきたいことは、公正取引委員会が先ほど申したように、これで二十五回目のいわゆる調査である。何回調査しても拘束預金が大変多く行われて、一向によくならないというふうに私は思うわけです。たびたび国会でもこの問題が取り上げられて、大蔵省が拘束預金の規制をする約束をしながら一向によくならないという印象が非常に強いわけなんですが、このことについて公正取引委員長、そしてまた最後に経済企画庁長官の御意見もひとつお聞きしておきたいと思います。
○澤田政府委員 過般発表いたしました調査は、御指摘のように第二十五回で、ずっと続けておるわけです。これを最初からずっとたどってみますとかなり改善された、最近は横ばいあるいは若干いいという程度の改善でございますが、大蔵省のいろいろな指導もございまして、徐々ではあるが改善はされておる。それで冒頭申しましたように、しかしなお金融機関にもっと努力してもらう余地があるということで、私どももその点についての金融機関の努力というもの、それからまた中小企業が思い余ったら遠慮なく相談に来てもらいたいという指導と申しますか、そういう両面にひとつ努力をしてまいりたいと考えております。
○倉成国務大臣 ただいま公取委員長が申されましたように、基本的にはやはり金融機関のビヘービアの問題じゃなかろうかと思います。したがいまして、企業間の取引の問題で非常にデリケートな問題をはらんでおる問題でありますが、やはり大蔵省あるいは公正取引委員会というのが絶えず調査をする、そして強い指導をしていくということが大切なことではなかろうかと思っております。
○中川(嘉)委員 御答弁をいただいたわけですが、大蔵省あるいはまた公正取引委員会等がこの拘束預金の規制をするという、あくまでもそのような方向に、そしてまた中小企業を守るんだという原点を踏まえて、今後とも強力に努力されることをひとつ最後に要望いたしまして、終わりたいと思います。
○西宮委員長 中川嘉美君の質疑は終了いたしました。 次は、宮地正介君。
○宮地委員 先ほども若干質問がございましたけれども、国民の消費生活を安全に守るという意味からもOPPの問題について若干関係当局に伺いたいと思います。 何ゆえこの時期に厚生省は諮問を急いだのか。二十一日から始まる日米首脳会談の政治的配慮が働いたのではないか、それが第一点。 第二点は、遺伝毒性がないという科学的因果関係が成立するまで使用許可をすべきでないと思うが、厚生省の見解を伺いたいと思います。特にOPPの研究のわが国の第一人者であります名城大学の薬学部教授の花田信次郎氏は、談話の中におきましても「私の動物実験などではOPPは主として遺伝に対して毒性があり、有害だ。厚生省はこのことを十分承知しているはずだが……。農薬として扱うのなら問題は別だが、グレープフルーツの表皮に塗られたOPPは浸透性があり、食べた場合、遺伝子に影響があり、食品添加物として無害というのはちょっとおかしい。軽々にOKすべきでないと思う。」こういう専門家の談話も出ているわけでございます。答弁をいただきたいと思います。
○宮沢説明員 お答え申し上げます。 まず第一点の、なぜこの時期に急に諮問をしたか、こういうことでございますが、実はOPP、オルトフェニルフェノールという柑橘類などに防カビ剤として使用する化学物質でございまして、これはすでに一九六九年、国際機関でございますFAOとかWHOの合同委員会におきまして、動物実験を通して一般毒性を見て安全であるとして、一九七四年には柑橘類への残存量と申しますか、一〇ppm以下というような勧告の値を出しておりまして、現在アメリカとかカナダとかスイス、あるいはフィンランド、スウェーデン、イスラエル、EC諸国、オーストリア等においても広く使われておるものでございます。 こういったWHOあるいはFAOなどの国際機関ですでに勧告の出ておるのをなぜ日本でいままで認めなかったかと申しますのは、実は先生御存じのように、AF2と申します豆腐の殺菌剤がございました。これが遺伝学者の方から、遺伝学的に見て安全とは言えないのではないか、こういうような提言がございまして、その折に食品衛生調査会におきまして、現在の遺伝学的な学問から見てどういうような評価をしたらいいんだというようなことを議論いたしまして、その折に遺伝学的な面からどういう試験をして安全性を確かめたらいいのかというようなことの議論の過程において、暫定的に一つの評価の基準を食品衛生調査会が定めております。私どもとしましては、そういった世界ですでに認めておるものについても、特にわが国におきましては一般の消費者は食品添加物の安全性というものについて非常に深い関心を持っておるというような観点から、遺伝学的なデータについても調査会の定めた基準に沿って資料を整備して出してほしい、それまでは食品衛生調査会では審議をすることができないということで今日まで拒否しておったわけでございます。 そのために関係業界が研究所に依頼をしまして、遺伝学的なデータの収集に努めまして、それぞれ関係学会が発表した後、昨年の暮れに私どものところに提出されたわけでございます。そこで、私どもはことしに入りましてこの提出されたデータ等について整理をしてまいったわけでございますが、その整理も完了いたしましたので、実はきょう食品衛生調査会に諮問する、こういうようになったわけでございます。時期としては、そういうことで私どもがたまたま完了したのが今日になったということでございます。 次に、遺伝学的毒性について花田先生の御指摘も知っております。名城大学の花田先生が昨年の薬学会におきまして発表しております。私どもは当然この学会に係官も派遣しまして十分当時の模様を聞かしてございますが、その折にこのデータ等についても先生からいただきまして、そして私どもはこの花田先生の提言しておるその資料も含めて食品衛生調査会で慎重に審議をしてもらいたい、こういうふうに思っております。 最後に、農薬なのかという御指摘でございますが、実は一般に法律上の規定の違いがございますが、農産物に使用するようなそういう化学物質は、外国の法令では農薬という扱いをしておるようでございますが、日本の食品衛生法、それから農薬取締法等見ました場合に、日本ではすでに収穫を終えて、そしてその終えた段階から一つの食品というものをつくっていく、その過程で使われます化学物質は食品添加物である、こういうような規定になっております。もちろん残留農薬につきましてもそうですが、食品添加物についても私どもは非常に慎重な毒性試料について検討してやっておりまして、食品添加だから厳しいとか農薬だからいいかげんにやるとか、そういうことはございません。
○宮地委員 政治的配慮が働いたかに聞こえるという国民の声があるわけであります。それは、一昨年の八月、フォード大統領、パッツ農務長官が、三木首相が訪米の際、三木首相あるいは安倍農相にOPPの使用の許可を強く要請しておる。また本年の二月一日にモンデール副大統領がカーター大統領の特使として来日した際にも、強く福田総理に申し入れがあったわけであります。まして、この十九日からアメリカに福田総理は行くわけであります。そういう時期も時期にこういうような諮問が出されれば、国民は疑惑を持たざるを得ないと思うのであります。また、ただいまの名城大学の先生の資料に対しましても、諮問機関には単なる参考資料としてしか取り扱いをさせておらぬ、こういうことが報道をされているわけでありまして、国民から見れば、明らかにこれは福田総理の日米首脳会談へのおみやげではないのかと錯覚をする、あるいはそう信じたくなるのも当然であります。私は、そういう意味合いの政治的介入によって国民の健康と生命に関係する重大なこの問題については、慎重に厚生省として取り扱いをしていただくことを強く要請をしたいと思います。 本題に入りたいと思います。 昨日の参議院本会議におきまして福田総理は、五十一年度の政府消費者物価見通しに触れまして、八・六%はどうも達成がむずかしい、こういうような発言をされておるわけであります。これは重大な問題であろうと私は思います。国民への消費者物価の公約が果たされなかった、総理みずからがその否を認める発言があった。 物価の大目付として国民生活をリードしていくべき経済企画庁長官、まだあと十五日ばかりあるわけでありますけれども、現実にその達成ができなかった場合、その責任をどう感じられておるのか、長官の所信を伺いたいと思います。
○倉成国務大臣 消費者物価につきましては、四十五年の基準の指数で、現在のところ、昨年の四月からことしの一月までの上昇率は七・八%でございます。二月は東京都区部だけ出ておるわけでございまして、東京都区部の一月から二月の上昇率が〇・六%、この率を適用いたしますと、ことしの二月までの消費者物価の上昇率が大体八・五%になる。したがって、約束している八%程度の物価上昇という目標を達成するためにはきわめて厳しい状況になったということを、総理が率直に参議院の本会議で申したわけでございます。 これは、御承知のように、昨年の暮れ十二月に電話料金の値上げがございまして、それから、ことしの一月また二月、非常に異常な寒波がございまして、これは十数年来の寒波でございまして、われわれとしては非常に残念であったわけでございますけれども、野菜その他生鮮食料品の値上がりがあったということでございます。それからまた、お魚の方も若干入荷が少なかった。そういう事情がありまして非常に高い上昇を示しておるわけでございます。これらの季節的な商品を除きますと安定基調にあることは間違いないわけでございます。したがいまして、まだ残された期間、できるだけの努力をいたしていきたいと思っておる次第でございます。
○宮地委員 努力をするのは、私は当然であろうと思います。しかし、一国の総理がその非を認めつつある、また物価問題といえば現在日本国民の最重要な課題であります。マスコミなどの調査によりましても、いま何を一番してもらいたいか。物価を安定させてもらいたい、これが国民の願いであります。その物価問題に対して、政府が目標を立て、そして達成ができなかった。努力はしております、しかし達成はできませんでしたというのであれば、これはその目標自体に大きな責任が伴っていないと思います。政府が目標を立て、努力をして達成ができなかったとなれば、当然国民に対してその厳しい反省と責任を明確に表明すべきであろうと思います。達成できなかったとき、経企庁長官としてどういうふうに国民に反省あるいは謝るつもりでいるのか、その点について伺いたいと思います。 〔委員長退席、武部委員長代理着席〕
○倉成国務大臣 政府の経済見通しの中の物価というのは非常に重要な要素でございます。したがいまして、この目標が達成できないということは、やはり非常に大きな責任を感ずるわけでございます。 ただ、御理解いただきたいのは、十数年来の異常寒波という事態、これは御承知のように、アメリカでも寒波のために非常に物価が上がっているという状況、失業者が出ているという状況が出ているわけでございますから、これらの事情を国民にも十分御理解いただいて、今後の物価政策が遺憾のないようにいたしたいと思うわけでございまして、決して責任逃れをしたりするつもりはございません。ただ、その間の事情を十分国民の前にも明らかにしたいと思っておる次第でございます。
○宮地委員 それだけ責任を感じていらっしゃるのであれば、私は物価政策に対して思い切った抜本的な行動をとらなくてはならないと思います。前委員会でも取り上げられましたが、三月の段階に入って官製大バーゲンセールがやられて、国民の疑惑を招くような、何か数字の突き合わせをするような、そういう小手先だけで、国民に対して物価の努力をしているのだというポーズは許されないと思います。経企庁長官も、物価の理想的目標は定期預金の金利程度にしたい、できれば一年に六%台にしたい、こう決意を述べておられる。しかし、そのやっている行動自体はどうもなまぬるい感じで国民の目には映るわけであります。 私は、そういう意味で、この物価の抜本的行動を起こすためにいろいろ方法はあると思います。まず第一番目に、何といっても国鉄運賃の値上げなど公共料金の値上げを積極的に抑制する、第二に、流通機構の改善、簡素化、第三番目に、消費者保護に徹して、あの大企業の横暴な管理価格の形成などにメスを入れるためにもあの五常修正案の独禁法の改正を行う、こういうことが思い切って政府の手で行われて初めて、国民は政府は物価に真剣に責任を持って取り組んでいるんだなという信頼を持つと私は思うのであります。そういう点から見まして、まずこの三つの中において、消費者保護のまた一番国民の最重要の期待である独占禁止法に対して真剣に取り組んでいただきたい。特に与野党一致でつくられたあの五党修正案を勇気を持って経済企画庁長官あるいは公取委員長が推進をすべきであると私は思うが、おのおの方の決意を伺いたいと思います。
○倉成国務大臣 ただいま種々御激励をいただきましたけれども、狂乱物価、原油の値段が四倍になってという、そういう価格革命が行われた。このときに日本の消費者物価、卸売物価は二十数%値上がりをしたわけでございまして、これから次年度に一五%にし、さらに一〇%以内にするということで、現在も非常に高い状況でありますけれども、曲がりなりにも一けた台になってきたということは、世界的に見ますと、ドイツやアメリカは若干日本より低い状況でありますけれども、比較的私はうまく対処してきたと思うのであります。しかし、これは決してこれで満足しているわけではないわけでありまして、これからもひとつあらゆる手段を使って物価の安定に取り組んでいく決意でございます。 それから、公共料金についてのお話でございますが、五十一年度の消費者物価というのが、やはり狂乱物価時に公共料金を非常に抑えたわけで、このツケが五十一年度にかなり来たということはもう事実でございます。したがって、公共料金も、私も十数年前に企画庁の政務次官をいたしまして、当時公共料金一年ストップということをやった経験がございますけれども、そういうことをやりましてもどこかでそのツケを払わなければいけない。いわばツケで買い物をするようなものでございますから、全部公共料金を税金で賄って抑えるというわけにはいかないということになれば、やはり公共料金についてはおのずから物価の動向を見ながら適正な水準に定めていかなければならないのじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。 それから、流通機構については、御指摘のとおり、これはわれわれももっと勉強いたしまして、この面で物価が安定するようにさらに努力をしていかなければならないと思ます。 それから、独禁法の問題は公取委員長からもお話があろうかと思いますが、これからいませっかく与野党の間においてもいろいろ御検討いただいておるところでございますので、やはり自由、公正な競争を確保するために必要なものであると思うわけでございます。 ただ、私は、独禁法というのは物価対策に対しては直接的な効果というよりも間接的な効果を持つものではなかろうか。これはもう独禁法の条文をごらんになってもおわかりのように、自由、公正な競争を促進して事業者の創意を発揮させて、そして事業活動を盛んにすることによって一般消費者の利益を確保するという間接効果をねらっておるわけでございまして、独禁法によって物価をただ安定させるという非常に過大の期待があの狂乱物価時にはあったわけでございますけれども、私はやはり独禁法でなし得ることとなし得ないことがあるのじゃなかろうかと考えるわけでありまして、あの需要超過インフレ、非常に過剰流動性の場合におきましては、やはり金融政策というのが大事な問題でありますし、また賃上げで人件費がアップする、あるいは原材料が海外から入ってきて値上がりをするというような問題については、おのずから独禁法の限界があろうかと思うわけでございます。
○澤田政府委員 独禁法改正問題の現段階、あるいは独禁法と物価との関連についての考え方、いま経企庁長官のお話しのとおりでございますが、公正取引委員会といたしましては、この改正問題につきましてはいわゆる五党修正案が基本となるべきものであるという旨を一貫して国会等で表明してまいっておりますし、またこういう考え方を広く理解していただくためのいろいろな努力を続けてまいっておりますが、現在政府・与党において意見調整が進められておる段階でございますけれども、私どもとしてもなお努力を続けてまいりたいと考えておる次第でございます。
○宮地委員 ただいまの経企庁長官の答弁には非常に不満な点があります。その一つは、公共料金を抑制すると、これはツケで買い物をするようなものだ、こういう考え方に私は問題があろうと思います。たとえば国鉄運賃の値上げをする前に何をしなければいけないか、国鉄再建の抜本的な改革をしなくてはならない。政府の公共事業が果たして国民の期待するようにきちっと平準化なり合理化なり企業努力というものがされているのか、体質は国民の期待する方向にきちっと事業運営がされているのか、そういうものにメスを入れて、そしてそこに生きた国民の税金というものを投入していく、それをしないで、ただツケで買い物をするようなものだ、これは私はとんでもない御発言であろうと思うのであります。また、独禁法についても間接的な効果しか期待できない——独禁法というのは本来自由経済というものを正常に運営する、健全に運営するための重大な法律であろうと思うのであります。現在自由主義経済競争が円滑に機能されておるかどうか、むしろ自由主義経済の中で放漫的になっているんではないかという国民の批判があるわけであります。そういう本質的な問題に反省なくして、何か皮相的に経済企画庁長官は考えているように見えてならないのであります。本日は時間が限られておりますから突っ込んでお話し合いができないのは残念であります。私は非常にいまの発言に不満であり、国民はまことに情けない感じを受けると思います。 私は、流通機構の簡素化、改善の問題につきまして、具体的に一つの事例を挙げてお話をしたいと思います。先ほどから政府としてもいろいろ努力をしているという発言がありました。しかし、民間の中小零細企業でさえものすごい努力をしているところがあるのであります。これは埼玉県の入間市の仏子というところに昭和四十八年五月一日に中小零細企業、繊維の機屋さんが共同でつくった協同組合所沢織販というのがあります。この人たちは、こういうことを言っております。「世界的なインフレーション、物価の高騰に悩む現今の情勢の中で、繊維製品の流通機構は複雑怪奇なもの、最たるものであります。 製造工場から出荷されて消費者のお手に渡るまでに買継商・問屋・地方問屋等幾つもの経絡を経るため必然的に末端価格は高くなるか、価格を抑えれば製品が粗悪品になってしまうのが現状であります。 一流商品として名前のとおっているシーツ・タオル製品についても、その殆どが私共の製造した商品です。私共製造業者としては、たとえ大商社のマークを冠した商品であっても、価格の圧迫によって粗悪品を作ることに大きな抵抗を感じております。 良質な商品を廉価に消費者のお手許にお渡しする方法として、私共は協同組合所沢織販を結成いたしました。 ユーザー・フロム・メーカー、メーカーから即消費者へ」このようなまことに涙の出るような、われわれがもう一度この流通改善に対して大きく取り組まなくてはならないという警鐘として、これが機屋さんと言えば、皆さん御存じのように、家内工業からせいぜい五十人未満の小さな中小零細企業です。こういう汗水たらしている中小零細企業の皆さんが、いい品物を安く国民の皆さんにお届けしたい、そのためにあえてこのような協同組合所沢織販をつくったんですと言っているのであります。つくられてからもう四年になろうとしております。私も現地へ行っていろいろ意見を聞き調査をしてまいりましたけれども、現在の政府の制度資金の枠からはみ出てしまったり、あるいは既成の古い流通機構の問屋さんなどから猛烈な圧迫を受けたり、いやがらせを受けたり、手形の長いのをもらったり、あるいは印紙税はおまえのところでつけろと、いろいろな御苦労をしていま細々と生き長らえている。こういうような民間の努力によって、本当に国民のことを考えてつくられたこういう流通団体に対しては、思い切って政府が育成保護すべきであろう。ほかにも同じようなケースの流通団体はたくさんあると思う。この際経企庁が、全国にこのような国民のために献身的につくられた流通団体の総点検をして、そして関係当局と綿密な連絡のもとに保護育成していく考えがあるかどうか、経企庁長官の所見を伺いたいと思います。
○倉成国務大臣 ただいま所沢のお話を引例なさいました。各中小企業がそれぞれの努力をして一生懸命やっているという事例につきましては、われわれも十分これからも勉強してまいりたいと思います。 なお、先ほど公共料金について、また独禁法についてお話がございました。あえて議論するつもりもございませんけれども、ただ私は、公共料金というのは基本的には経営合理化に徹底的に努める、その上で事業の健全な運営が確保されるような料金水準でなければならない、そしてまたその負担についてはサービスを利用する者が利用によって受ける便益の程度に応じて費用を負担するといういわゆる受益者負担の原則によるべきものと基本的に考えている、その前提のもとで議論しているわけでありまして、余り公共料金を抑え過ぎるとどこかでこれを上げなければいけない、国鉄がそういうことで非常に運賃の値上げというのを抑えてきたり合理化がおくれたという点で、国鉄が破局的な状況にまでいっている、そういうことを申し上げたのでございますので、その点はひとつ御理解いただきたいと思います。 それから、独禁法が自由企業体制の基本の法律であるということ、これは申すまでもなく大事なことで、これを何も否定しておるわけではございません。ただ、独禁法が価格対策として考えた場合にはおのずから限界があるという点を申し上げただけでございまして、あえて議論するつもりはございませんけれども、私の真意をひとつ御理解いただきたいと思います。
○宮地委員 最後にあと一問だけお伺いしたいと思います。 福田総理は、物価対策に円高傾向というものを活用しなさい、こういうことで閣議で指示があったと思います。しかし、現実に、私もいろいろ調べてみましたけれども、この円高傾向が物価の抑制といいますか、あるいは消費者物価のいい面の影響、具体的に安くなる、こういうものについては、どうも効果が上がっていないという感を受けるわけであります。 特に今回まことに不可解なのは、石油業界における値上げであります。石油業界は、この円高の影響で史上最大の利益を上げているという大手の元売り会社もあると聞いております。しかし、今回日石を初め値上げ攻勢が始まりました。国民から見ると、一体どうなっているんだろうか、こういう疑問は率直に言って私は残ると思います。また、食糧庁の小麦の食管会計を見ましても、小麦は世界的に豊作のために国際価格は非常に安くなった。五十一年度の見通しに比べて約一千億円黒字になった。食糧庁の担当の方にどのくらいこの中で為替差益があったのですかと伺えば、ざっと五十億ぐらいです、こういう説明も私はいただいております。しかし、食管会計の累積した赤字の補てんのために、そのまま黒字の分は五十二年度に繰り越しました、こういう御説明であります。 総理自身がこの円高の傾向を何とか国民生活の特に物価の面に反映するように関係当局よがんばれ、こう指示しておりながら、実際の受ける現場の当局の方は、またいつ円が安くなるかわかりませんですからとか、何かちぐはぐな、総理とは全くうらはらのような言々句々であります。国民の前に物価が安くなったという証拠がどこを探しても見当たらない。これでは幾ら総理が国民の前にうまいことを言っても、国民の目に映るのは、またうまいことを言ってら、実際何もやってないじゃないか、こういうことであります。 私はこの際、円高傾向と物価の安定に対しての総理の指示に対して、まず経企庁長官がどのように受けとめ、どのように具体的に関係当局に行政指導をしたのか、またそれに対して農林省あるいは通産省あるいは食糧庁、関係当局がどのようにそれを受けて、現在それに対して手を打っているのか、現実に総理の言う効果が上がるのか上がらないのか、この点について最後に伺って、質問を終わりたいと思います。
○倉成国務大臣 為替相場が円高傾向を続けてまいりますと、輸入品などの価格を通じて卸売物価、ひいては消費者物価に好影響を及ぼすことは一般的に認められているところであります。今回の円高がフロート下でございますので、この情勢がどこまで続くかということについてはやはり種々見方が分かれておるわけでございます。したがいまして、私どもは輸入品の価格の追跡調査ということで、各品目につきましてそれぞれ調査をいたしておるところでございます。細かい資料が必要であればまた資料として差し上げて結構だと思います。 同時に、石油の価格の問題につきましても、円高が確かに石油業界に大きな利益をもたらしていることは事実でございます。したがいまして、累績赤字やその他のこととの兼ね合いで石油業界がいろいろ値上げを申請しておるようでございますけれども、これはやはり各需要家との交渉の間で取り決められることだと思いますが、政府としてはとりあえず、灯油の価格が需要期であるので、この灯油の価格が上がらないようにということを通産省を通じて指導いたしておるというところでございます。 前回の円切り上げ、円変動相場制移行と若干違いますのは、あのときは御案内のとおり輸入の自由化、関税の引き下げ、各般の施策がとられまして、そこで非常に輸入量が増大するということによって値下がりするものが顕著にあらわれたわけでございますが、今回は御案内のとおり、まだ時間的に見ますと十二月平均で二百九十四円八十四銭程度、一月が二百九十一円二十五銭、それから二月平均が二百八十五円四十二銭、そしてきょうあたりが二百八十一円というようなことでございますので、やはりこれらの期間がまだ短いということもございます。これからの推移をずっと見守ってまいりまして、総理の御指示のように、円高を卸売物価、ひいては消費者物価の安定にできるだけ活用したいということで、万般に目を光らせておるというのが現況でございます。
○小野説明員 食糧管理特別会計の中の輸入飼料及び輸入食糧管理勘定ですが、ここでは輸入小麦を主として扱っておりますが、この勘定では当初予算では八百四十九億の実は赤字を計上してございます。これが実行上では百二十五億の黒字に転じております。これは先生御指摘のように、為替の変動によるものもありますし、また国際価格の変動によるものもございます。さらには去年の七月に麦の売り渡し価格を引き上げましたその分もございます。いずれにしましても百二十五億という黒字が出ておるわけでございます。 この黒字をどう考えるかという問題でございますけれども、たとえば昭和四十七年以前、麦の国際価格が安定している時期がございますが、当時でも関税相場の黒字を計上したというような経緯もございます。いずれにしましても、これは麦の売り渡し価格をどう今後決めるか、こういう問題でございます。食管法では家計費、米価その他の経済事情を参酌して決めるということになっております。さらには国際価格の動向も見きわめなければなりません。また物価、家計費、そういう点についても十分配慮していかなければなりません。いずれにしましても、今後の問題でございまして、そういう点を十分検討して配慮してまいりたい、かように思います。
○古田政府委員 OPECは昨年十二月のドーハの総会でことしの一月一日から原油価格の引き上げを決めたわけでございますが、これは先生御承知のとおり、五%の引き上げと一〇%の引き上げというように非常に変則的な形になっております。そのためにわが国に対しましての原油価格の引き上げの影響は非常に会社ごとに区々の姿になっておりまして、それを受けまして現在石油会社は需要業界に対しまして製品価格の引き上げを打ち出しておりますが、先発グループは二千四百円の引き上げ、後発グループは若干期間もずらしまして二千円前後というふうな形になっておるわけでございます。私どもは、会社ごとの影響が非常に区々になっておりますので、現在のところ、この価格の動向につきましては需要業界との交渉の推移を見きわめたいと思っておるわけでございます。ただ、その間為替のレートが上がりましたために、原油価格の引き上げに対しましてこれを相殺する要因が発生していることは事実でございますが、石油会社の石油製品価格の引き上げにつきましては、最近時点での平均的な為替レートが取り入れられておりますので、それなりに為替レートが高くなったためのメリットというのは取り入れられているというふうに考えております。 なお、灯油につきましてだけは、例外的に需要期に限り抑制的な指導をしたということは先ほど長官から御答弁いただいたとおりでございます。
○宮地委員 所沢織販について通産省。先ほどちょっと答弁漏れがあって、大臣の後言う予定だったが。
○福川説明員 先生御指摘のとおり、化繊産業に対しましての流通機構の改善ということは非常に重大な課題である、かように思っております。このために繊維の流通改善につきましては、一般の流通対策とともに、たとえばいまお話のような組合による共同購入、共同販売といったような取引改善事業も私どもいろいろな手段を通じて助成を図っておるところでございます。また民間におきましても、繊維取引近代化推進協議会といったようなものを設けまして、取引条件の改善にも取り組んでおります。御指摘のように、生産指定団地が共同いたしましてみずから販売をするというような仕組みが業界でつくられてまいりますことにつきましては、その取り扱い品種あるいは経営基盤、資金力等にふさわしいものでございますれば、私ども物価対策の面からも好ましいし、流通の近代化という面からも好ましいというふうに考えておりまして、今後私ども個々の実情にふさわしい形でその育成推進に努力していきたいというふうに思っております。
○宮地委員 関係当局の物価に対する熱意ある努力を期待し、また先ほどの経企庁長官からの資料の提出をよろしくお願いいたしまして、私の質問を終わります。
○武部委員長代理 宮地君の質疑はこれにて終わりました。 次に、米沢隆君。
○米沢委員 私は、先ほどの所信に対して、安定成長下の物価の問題につき若干質問をさせていただきたいと思います。 御案内のとおり、現在の日本経済の大きな課題はインフレの再燃を防止する一方で持続性のある景気回復を図っていく、そしてそういうものを日本経済の大きな基調に乗せていくというのが大きな課題だろう、こう思います。 ところで、政府の公式見解によりますと、石油危機がもたらした戦後最大の不況も、五十年三月を底に回復に向かった、こういう見解が表明され、五十一年度の政府の経済見通しも、何とか達成されるであろう、こう言われておりますけれども、その後の経済指標を見てもらってもおわかりのとおり、従来までの不況の底から景気が回復していくという過程とは明らかに立ち直りの様相というものが大変異なっておりまして、経済の実態は決して予想したほどに順調には動いていないというのが事実ではなかろうかと思います。 そこで、経済企画庁長官にお尋ねしたいのでありますが、今日の経済の実態をながめられた上で、いままでの景気回復の時期に比べて今回の場合どういうところに大きな問題があり、経済企画庁として景気判断に大変甘さはなかったのかどうか、そのあたりを明らかにしてほしいと思います。政府見解のように、五十年三月が不況の底とするならば、もう三年近く経過してもなおかつ不況の色の濃いこういう実態というものはいままで経験なかったと思うのです。そういうものを踏まうた上で、ぜひ問題点を明らかにしていただきたいと思うのです。
○倉成国務大臣 ただいまお話しのように、景気が底入れをしましてから景気回復の過程をたどってくるわけでありますけれども、従来であれば底入れをしてからの回復が非常に速やかに行われるわけでございますけれども、今回の場合は、五十年の一−三月に実質〇・二上昇しまして、それから五十年の四−六が〇・九、いずれも前期比の実質でございますが、七−九が一・一、十−十二月が〇・三ということで、五十一年に入りまして、五十一年の一−三月が三・九とかなりの大幅な上昇になりまして、四−六が一・四、七−九が〇・三、それから十−十二月が〇・三、これが最終需要でございます。そこで、これを国民総支出の実質で申しますと、五十年の一−三月がマイナス〇・三であったわけですが、四−六が〇・九、七−九が一・四、それから十−十二月が一・一、それから五十一年の一−三月が三・二、これは輸出が非常に好調でありましたために大変大幅な上昇でございました。それから四−六が下がりまして一・三、七−九が〇・四、つい先日発表しました五十一年の十−十二月が〇・六、こういう経過をたどっておるわけでございまして、これはマクロベースで見た国民総支出の推移を申し上げたわけでございます。したがいまして、底入れをしてからの景気回復が五十一年の一−三月にかなりの上昇を示したので、このまま上昇過程に入るかと思っておりましたところ、四−六、七−九と中だるみをしてまいりまして、成長をしていることは間違いないわけでありますけれども、その回復が非常に緩やかであるというのが今日の状況ではなかろうか。これがマクロペースでございます。しかし、業種別、企業別の格差が非常に激しいということで、やはり業種によりましては構造的な問題も抱えておりまして、大変な不況感を持っておるというのが今日の姿ではなかろうかと思うわけでございます。
○米沢委員 それで、いま業種別、地域別、ミクロにおいてかなりの不況色が濃くなっておる。マクロの論議はよくされるのでありますが、ミクロの不況感からの脱出策として、経企庁はどういうふうな対策を持っておられるのか、ぜひそこらをお伺いしたいと思います。
○倉成国務大臣 これは多少構造的なものを含んでおると思います。それは二つあると思いますが、一つは、四十七、八年ごろに、将来の経済成長が実質一〇%以上の成長をするであろうという見通しのもとにかなりの設備投資をした、また人も雇い入れた、そういう意味の過剰設備あるいは過剰雇用と申しますか、そういうものがあろうかと思うわけでございます。同時にまた、国際的に見まして、日本の産業構造というのがいろいろな意味で大きな転換期に来ているわけでありまして、やはり構造的にこれから大きな変革をしていかなければならない、そういう産業もあるわけでございまして、そういうものが一緒になって現在いる。したがって、循環的なものと構造的なものとが混在しているというのがいまの景気の姿ではなかろうかと考えておるわけでございます。したがって、そういう循環的なものと同時に、構造政策について取り組んでいかなければならないのではなかろうかと思っております。この点については、関係各省とも十分相談をしながら進めてまいる所存でございます。
○米沢委員 限られた時間でありますから、評論家的な御見解の表明が多いのでありますが、もう少し経済企画庁長官としての積極的な姿勢、政策論、そういうものをぜひしていただきたいと思います。 今国会を通じても、御案内のとおり、いろいろな経済演説なんかにいわゆる安定経済成長という言葉が多発されております。高度経済成長といい、低経済成長といい、減速経済成長といい、安定成長といい、使われてみれば何となくわかるような気がするのでありますけれども、これまたいろいろと解釈できる便利な言葉でございまして、そういう意味では、安定経済成長というのをよくいま政府が使われておりますので、それが今後の政府の目標であるとするならば、この際、安定経済成長とは一体何かという概念を私ははっきりしていただきたいという感じがするのです。簡単で結構ですから、安定経済成長という概念、政府としてどういう見解を持っておられるのか。
○倉成国務大臣 政府として安定成長というのをどう定義づけるかというところまでは立ち至っておりませんけれども、私の理解するところでは、安定成長としては大体三つの要件があろうかと思います。 その一つは、やはり資源、エネルギー、土地、水、環境等の制約条件と調和を保った成長であるということであります。第二の要件は、同時に完全雇用が確保される、失業のない成長、そして充実した国民生活が実現されて、国際経済社会の重要な一員としての役割りを果たす、成長の量的な水準が変動なく確保されるということでございます。第三は、そういう要件を満たした上で、経済の活力が維持されるということではなかろうかと思うわけでありまして、成長の成果の相当部分が社会保障とか住宅とか生活関連社会資本、教育等に、国民生活の充実のために向け得るような成長。大変概念的になりますけれども、言ってみれば、そういうものではなかろうかと思うのでございます。
○米沢委員 わかりましたけれども、いまおっしゃった二つ目の中に、雇用等々が変動のない経済の推進、そういうものが安定経済成長の一つの概念である、こう御説明いただきました。 そこで、安定経済成長といいましても、ただ単に従来までのあの高度経済成長から、何しろ成長ができなくなって低成長になったのだ、成長率そのものが低くなったのだということではなくて、私は一番大事なことは、景気変動の波があってもできるだけ小さなものにして、なだらかな成長を持続させる、そのところに一番大きなポイントがあるのではないか、そういう感じがいたします。そういう意味では、それを可能にするためには、何といいましても景気政策、具体的には財政とか金融とか予算編成のあり方、こういうものを中心にして、いままでの行き当たりばったり的な感じのするものから脱却して、もう少しきめ細かく、経済企画庁自体に需要の管理手段というものが開発整備されねばならぬ、そういう感じが私はいたしております。 そういう意味で、いま長官の言われたような安定した、あるいは均衡のとれた、あるいは持続的な成長を確保するためには、経済大臣としてどのようなかじ取りをなされるおつもりなのか。従来の経済運営からどういうところが新しいものとして出てきて、新しい需要管理の手段として何かを開発していかねばならぬ、そういう問題についてどういうことを考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。
○倉成国務大臣 減速経済下に入ってまいりますと、これから減速経済下で非常に重要な問題の一つになってまいりますのは、やはり一つは物価でございます。物価は、需要の面からは上昇する要素はある程度少なくなると思いますけれども、海外要因あるいは賃金コストあるいは公害その他の安全コストという面から物価を押し上げる要素が出てくると思います。それから雇用の問題というのが、先ほども申し上げましたように、一つの重要な問題になってくると思います。特に、中高年齢層の雇用、高学歴の人の雇用という問題が出てくると思います。それからまた財政というのもこれからの一つの課題になる。同時に、国際的な環境の中で日本をどう位置づけるかということも低成長の中で考慮しなければならない問題ではなかろうかと思うわけでございます。これらの問題をひっくるめて、バランスのとれた形の成長を続けていくということでございまして、これからやはり国際的にも国内的にも不確定の要素が非常に多いわけでありますから、そういう不確定な要素が出てまいりました場合に、機敏に対応できるような体制をとっていくということがこれからの政策では非常に大事なことではなかろうかと思っておるわけでございます。 〔武部委員長代理退席、委員長着席〕 いまお尋ねの点は、何かもう少し特別な政策手段というか、あるいは安定法的なものというようなお考えがあるかとも思いますけれども、われわれが目標とする福祉国家を目指しながら、いま申しましたような項目をバランスをとりながら、にらみながら絶えず機動的に対処していく、そして活力のある経済を維持していくということではなかろうかと私は思うわけでございます。
○米沢委員 政府では、昨年、三木内閣のときでありますが、五十年代の前期経済計画をつくられました。これが安定成長時代の指針だ、こういうふうな言い方をされておるわけでありますが、過去の日本の経済計画をずっとながめておりまして、戦後十数回つくられておるのではないかと思います。そうした中で、閣議決定をして正式に政府の方針としてこういう経済計画をつくられたのは七、八回ではないか、そう思うのです。 それで、そういう流れをずっとながめておりますと、結局、鳩山内閣の経済自立五カ年計画以来、今度の五十年代の前期経済計画に至るまで計画と実績というのは全然違うのですね。全然と言ったらおかしいのでありますが、ほとんど計画どおりにいっていないというところに私は問題があると思います。特に成長率にしてもそうですし、物価そのものについてもほとんどの計画と実績とは乖離がございますね。そういうことを考えたときに、五十年代の前期経済計画が安定成長時代の一つの指針であったとしても、本来そういう計画をつくられたならば、そういうのを本当に実現していこうという政策手段なり努力というものがいままで本当の反省としてなされていないのではないか、私はそんな感想を持つものでございます。 そういう意味で、こういう経済計画をつくられるのは結構でありますけれども、こういう長期経済計画を守っていかねばならぬという心の中に占める比重というものをもう少し大きくしてもらわなければ、ただ絵にかいたもちにすぎない、あとは弁解をするにすぎない、そういうものになってはおかしいと私は思うのです。これから先、安定経済成長というものを追求されるならば、こういう各種の長期経済計画等を丹念に実行していくという姿勢をぜひ貫いてほしいと思いますし、そういう意味では、財政の面からも単年度主義が災い寒して、長期的にはどうもうまくいかないという面がたくさんありますので、財政五カ年計画等もきっちり具体的に立てていただいて、そういうものと連動させながら計画を推進していくという立場をもう少し明らかにしていただかねばならぬと私は思います。特に、これから先、従来のような高度経済成長は夢想だにできませんけれども、これから先の景気の変動に対しましても、たとえば景気調整基金を新しくつくっていくとか、新しい手段がなければ、私は、言葉だけの安定だけでは納得いかないという気がするのでありますが、御見解をお伺いしたいと思います。
○倉成国務大臣 戦後の経済計画は、ただいまお話しのように、鳩山内閣が昭和三十一年から三十五年度まで経済自立五カ年計画というのを立てました。このときは経済の自立ということと完全雇用という、雇用の問題に非常にウエートを置いたわけでございまして、そのときは消費者物価については目標がなかったと記憶しておるわけでございます。そういうことで、その時代、時代に応じまして計画をつくったときの重点を置く目標がいろいろあろうかと思うわけでございますけれども、今回のわれわれの計画によりますと、四つの目標、物価の安定、完全雇用、国民生活の確保あるいは将来の基盤の育成とか、そういういろいろの目標を掲げながらこれからの計画を進めていくわけでありますが、お話しのように、何かもう少し政策手段として西ドイツその他の経済安定法というようなものを必要とするのじゃなかろうかというお話だと思いますけれども、われわれもそういうものができないものだろうかということは、いろいろ内部では検討いたしているところでございますが、まだ皆様方にそれをお話し、そして御提案する段階ではないというところでございます。
○米沢委員 そこで、先ほどからおっしゃるように、安定成長下において一番大きな問題は物価の問題である。いまこの経済計画等を見ますと、最終年度あたりで約六%くらいというふうに踏んでおられますけれども、今後その五十五年に到達するまでに消費者物価なり卸売物価というものはどういう傾向線をたどらせていこうとされておるのか、その政策手段もあわせてお答えいただきたい。
○倉成国務大臣 計画年度における消費者物価というのは大体六%強という目標であるわけでございますが、われわれの感覚としては、定期預金の金利以下に抑えたいということを一つのめどにしておるわけでございます。昭和五十一年度は公共料金あるいは異常寒波というようなことでかなり消費者物価の上昇が見られるわけでありますが、五十二年については、公共料金の物価に占める比率が五十一年よりも少なくなるであろうというふうに予想しておるわけでございます。七%台に五十二年の物価を抑えていきたい。そして五十三年、五十四年ということで経済情勢を見ながら目標年度の六%強の物価達成をいたしたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
○米沢委員 政策手段については非常にむずかしい話でしょうから、後に議論を残しておきますが、いままで経済の原則として、景気がよくなれば物価は上がる、景気が低迷すれば物価は鎮静化する、あるいは下がる。こういうのが従来までのいわゆる経済の原則だと言われておりました。ここでは、景気回復と物価安定というのは二者択一的な関係にある、こういう理解をいままでしてきたのでありますけれども、ところが、昭和五十一年度の経済白書にはこの経済原則はなくなって、こういう経済原則には立っておられず、物価安定と景気回復の同時達成は可能である、こういう見解に変わってきておりますね。 そこで、これは今後の物価対策としては大変頼もしい論理でありますけれども、物価と景気は両立すると主張されたその根拠は一体何なのか、そういうものを支えておる経済の変化というものがどれほど起こってきておるのか。そのあたりをあわせてぜひお聞かせいただきたいと思います。
○宮崎政府委員 お答えいたします。 先生御指摘のように、物価と成長あるいは景気の間には通常トレードオフの関係がございます。それは設備なり労働力の稼働状況が一定の均衡状態にあるときにそういうことが起こりがちであるわけですけれども、今日の状況では需給のバランスが設備につきましても労働力につきましてもアンバランスのような状況になっております。したがいまして、そういう遊休の設備があるためにかえって固定費の圧迫要因が強まっているために、景気は悪くて物価が上昇するというような傾向が出ております。そういう状況のもとでは、景気を刺激し、景気が回復する過程で生産性が向上いたしますので、むしろ物価は安定するという働きがあるわけでございます。いつもどういう状況になっても景気と物価がトレードオフの関係であるということではございませんで、そのときそのときによるわけでございます。したがいまして、景気がこの段階である一定の段階まで戻ってまいりますと、従来のようにトレードオフの心配が生ずるということも考えられるかと思います。
○米沢委員 大体わかりましたけれども、いまの経済状況を見ておりますと、大変不況の深刻化の状況でありますから、景気をどうしても向上させていかねばならぬ。しかし、そういう意味では、景気対策が先行しておりますがゆえに、いまおっしゃったような物価安定と景気回復の同時達成は可能であるという、そういう論理を逆につくられたのではないかという感じがするのです。これから先の安定経済成長下においてもその論理がずっとつながっていくのかどうか。景気を回復させれば企業の操業率が上がっていく、上がっていきますと固定費の比率も軽減してコスト上昇の圧力は弱まる。しかし一転して、いま公共事業だとか公定歩合の引き下げだとか、いろいろなされておりますから、そのあたりがどこらで逆転するのか。本当に今度は景気が上っていったらどんどん物価に影響してくるという、そういう上昇傾向が出てくる、その限界みたいなものはどういうもので判断されるのですか。
○宮崎政府委員 ただいまの御質問にお答えするには、卸売物価と消費者物価と分けて考えてみたらはっきりするかと思いますが、卸売物価につきましては、景気の回復によりまして操業度が適正な水準、たとえば稼働率で申しますと九〇%以上というような状況になってまいりますと、その均衡線で推移をすれば卸売物価というのは、海外の要因がございますけれども、その点を除きますと安定した状況になるかと思われます。ただし、消費者物価につきましては、海外の要因もございますけれども、いまお述べになりました公共料金あるいは生鮮食料品等、卸売物価と違った要因がございますので、個別の対策もそれなりに必要かというふうに考えます。
○米沢委員 ぼくの質問は、いまのところ企業の操業度が下がっておりますから、コスト上昇要因となって大きな問題を与えておる。したがって、少々の景気回復というものは逆に物価対策にはいいのだ、こうおっしゃる。その後一連の景気対策というものが功を奏してきた場合に、今度は景気をある程度抑えなければいかぬという方向に立つのが皆さんの立場ですね。そうなったときに、経済指標としてどういうものを参考にされながらそのあたりの政策判断をされるのかということを聞いたわけです。
○宮崎政府委員 総需要と総供給のバランスというのが一番中心であろうかと思いますが、具体的には稼働率が適正な水準に達するあるいは失業率ないしは求人倍率が極端な形にならないという状況だと思われます。
○米沢委員 まあ数字であらわすのはむずかしいかもしれませんが、そういうものは後に残しておきたいと思います。 それから、昭和三十年代の後半から四十年代の半ば過ぎまでは、いわゆる消費者物価はじり高で卸売物価は安定をしておる、こういう経済のパターンが定着しておったわけであります。ところが、たとえば五十一年度のこの前期経済計画によりましても、いままさに消費者物価と卸売物価というのは逆に接近をしておりますね。卸売物価を大体年平均上昇率で五%くらいで見られて、それから消費者物価を約六%台と見られる。いままでかってこういう傾向はなかったわけです。しかし、こういう傾向を経済計画の中にも取り入れざるを得ないというものにはいろいろな背景があると思うのです。まあ考えますところ、資源の問題もありましょうし、それから減速経済下ではもう技術革新も大体行き詰まっておる感じもしますし、スケールメリットの効果も余りない、それからまた寡占化が進んで価格が非常に下方硬直性を示す、こういう要因がいろいろあろうと思うのでありますが、そういう意味で、これから先は卸売物価をいかに安定させるかというのが物価対策の一番大きなポイントになってくるのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○藤井(直)政府委員 御指摘になりましたように、高度成長下におきましては、CPIとWPIにかなり格差がございます。これは大企業製品を中心といたしまして非常に産業部門で生産性の向上が顕著に進みまして、したがって相当賃金の上昇が可能であったわけですが、一方生産性の低い部門では、主として消費財部門、それからサービス部門になりますけれども、そういう意味での生産性向上は期待できないということから、大企業部門からきます賃金の波及効果というのが出てはおりますけれども、一方生産性の向上で吸収し切れないということがあって消費者物価は上がる、それで卸売物価の方は安定するということであったわけであります。現に先進各国はそういうパターンになっております。 これからの日本について見ますと、輸入物価の影響が非常に卸売物価に影響してまいります。特に石油を中心といたしましてその影響の度合いが大きいということもございますし、生産性の向上も減速経済下に入りまして期待できないということになるわけでございますので、卸売物価の方もある程度上がっていく。したがって、消費者物価との間に差が少なくなるということでございまして、先生の御指摘のとおりだと思います。したがいまして、これからの物価は、消費者物価もそうでございますけれども、卸売物価についても十分にその動向を注視して各種の政策を行っていかなければならないと思います。
○米沢委員 そういう状況になるとしますと、やはり一番大きな問題は、流通と競争促進対策というものにしぼられていくのじゃないかと思います。御案内のように、こんな大変な景気の連続でありますから、いま生産段階におきましても、流通段階におきましても、企業はもう血眼になって利益の確保というものにがんばっておるというのが私は実情ではないかと思います。このことは一面では、自由主義経済において市場の原理が働いて価格が決定されるというよりも、ありとあらゆる方法によって不公正な価格決定方式を生む土壌ができつつあるというふうに見ても過言ではない、そう思うのです。先ほど来独禁法の改正の問題がいろいろと論じられておりますけれども、この際安定成長下における特に競争政策の推進について、特にこういう不況でありますといろいろな業者からの圧力等、あるいはまた参議院選挙も控えておりますから、いいかっこうもせなければいかぬということで、非常にまたいろいろな大きな問題が出てくるような気がするのでございます。いま不況カルテルなんかの見直し論等も、私はいわゆる競争を促進していこうという対策にとっては非常にマイナス面を持つ大きな原因になっておる、そう思うのでありますが、この際ぜひ大臣並びに公取委員長に、安定成長下において競争政策の推進をどのように積極的に図っていかれるおつもりか、この点をお伺いしたいと思います。
○倉成国務大臣 安定成長下に入ってまいりますと、企業としてはどうしても技術革新が鈍化するとか、いろいろそういう諸般の情勢から、供給先行型ではなくして需要先行型の投資になっていく可能性が非常に強いと思います。したがいまして、そういうことになると、どうしても供給能力をふやすということよりも、ひとつ価格で利益を得よう、そういう行動に走る可能性があろうかと思うわけでございまして、そういうことのないように、やはり将来の需給バランスを考えながら投資を促進していくということも大切なことの一つではなかろうかと思うわけでございます。また、寡占価格等について絶えずその分析をし、その行動を監視していくということも大事なことの一つではなかろうかと思うわけでありまして、競争政策が安定成長下において非常に重要な政策の一つであると考えております。
○澤田政府委員 経済情勢が悪くなりますと、企業といたしましてはどうしても自己防衛的あるいは競争制限的な方向に走りがちでございます。その場合に、やはり構造的な問題とそれから競争制限的な問題が起こるわけでありまして、合併とか業務提携といったような形、それからカルテルとか不公正な取引方法という形、それによって企業体制を守り、あるいは収益を確保しよう、こういう動きにとかくなりがちでございます。非常に企業が苦しいときでありますから、それに対する独禁政策の適用もなかなかむずかしいのでありますけれども、そういうときにこそ公正な、自由な、しかも活力のある企業行動が大切であると考えますし、独占禁止法の理念もそこにあるわけでございますので、十分そういう情勢に対処してまいりたいと考えておる次第でございます。
○米沢委員 いろいろ用意してきましたが、もう時間がありませんので、最後に二点だけお伺いをしておきたいと思います。 一つは、けさほど来物価の問題に関して、常に流通機構が大きなウエートを占めるという議論がなされてまいりました。先ほど経済企画庁長官の答弁にもありましたように、いまだに流通機構というのは暗黒大陸だと言われるような状況がある。暗黒大陸であるということは、暗いというばかりではなく、そこに不公正というものがあるはずです。特に流通の段階でも、有利な立場を利用して、特に需要と供給のバランスがとれていない分野につきましては、まさにその有利な立場を利用して大きな、不公正な取引が行われているという実態は私はたくさんあると思います。そういう意味で、ぜひ公正取引委員会の仕事として、本来の任務そのものに従ってやるべき問題が、特にこの流通機構の近代化という問題についてたくさん残されておるような気が私はするのです。そこにメスを入れないのが逆におかしかったのではないかという、私はそういう見解を持っておるのでありますけれども、公正取引委員長、流通機構の改善、近代化という一つの施策と同時に、そういうものをバックアップする意味で、勇気を持ってこの流通機構に皆さんの目を、公正取引委員会としての目を、メスを入れてほしいと私は思うのでありますが、その点が一点でございます。 それから、先般の新聞を読んでおりますと、通産省が、寡占が進むほど価格は安定をする、企業分割には何しろ反対だ、こういう資料つきで発表されておりました。私、これを読みまして、寡占が進むほど価格が安定をするならば、いま独禁法等にのっとってやっておられる、いままでやってこられた公正取引委員会の仕事というのは、逆のことをやっておるというふうにぼくは思うのですね。そういう意味で、皆さんの立場からしたら、この寡占が進むほど価格は安定するというこういう一つの資料に対して、どういう見解をいまお持ちなのか。そして、こういうものに対して何かアクションをされる必要があると思うのですね。具体的な反論なりあるいはまた、そうは言うけれども実際はこうだ、そういうものがないと独禁法の改正論議に完全に水をかけられたような感じですね。そのあたり、どういうふうに御見解を持っておられるのか、お聞かせいただいて終わりたいと思います。
○澤田政府委員 流通機構に関する御指摘、ごもっともだと思います。 一般論といたしましては、流通機構がもっと簡素でしかも能率的であって、そのために物価にはね返るというような面が少なければ少ないほどこれは望ましいのでありますが、独禁法のたてまえという面から考えますると、流通業界におきまして、その間にもし不公正な取引が行われるあるいはカルテル的な行為があるということになりまするというと、その面を取り上げまして厳重に対処する、こういうことになるのでありまして、流通機構そのものの改善あるいはその指導ということになりますと、独禁法の守備範囲とややマッチしない面が、これはやむを得ないと思いますが、あくまで法のたてまえによって不当な取引制限や不公正な取引方法あるいは私的独占というふうなものは排除してまいりたいと考えておる次第でございます。 それから、過般通産省から出たと言われますペーパーでございますが、あれは非公式なもので、公式に発表したものでもないようでありますし、いろんな資料の使い方でああいう見方も出るのかもしれませんが、私の方といたしましては、過般発表いたしました寡占体制の調査の結果の正しさを信じておりまして、高度寡占になればなるほど価格が下方硬直性的な傾向を示すということの観察は間違いないものと考えておる次第でございます。
○米沢委員 あと一つ……。 そういうお話を聞いておりますと、通産省がつくる数字、公取がつくる数字、取り扱う数字の見方によって全然結果が違う。そうなりますと、何を信じていいかわかりませんね。私は、この際通産省と公取と一緒に同じ調査をすべきだと思うのです。そうでないと、自分たちが勝手につくったものを自分なりに判断し、見解を示し、そして判断は全然別なものが出てくる。そんなのは私はおかしいと思うのです。ぜひ私は共同で同じ調査をやってほしいと思うのですが、どうですか。
○澤田政府委員 御指摘の点、ごもっともでありますので、検討してまいりたいと存じます。
○米沢委員 終わります。
○西宮委員長 米沢隆君の質疑は終了いたしました。 次は、東中光雄君。
○東中委員 消費者物価の見通しが、この間二月三日の閣議決定で、昭和五十一年度の経済情勢の中では消費者物価は安定化の方向にあるが、年度中上昇率は八・六%程度、昭和四十五年基準指数で八%程度、こういうふうに見込まれるということで、昨年福田内閣としては、そういう見通しをずっと言ってこられたわけでありますが、一昨日の参議院本会議での総理の答弁、あるいはことしの一月の対前年比消費者物価上昇率が全国で九・二%、すでに発表されておりますし、二月の東京都区部での対前年比上昇率は九・三%アップ。先ほど経済企画庁長官も八・六%前年比上昇率ではおさまらないのではないかという趣旨のことを答弁されておるわけでありますが、どれくらいになると思っていらっしゃるのか、それからそれに対してどういう対策を、これは国民の非常に大きな関心事でありますと同時に、政府の公然とした公約でもありますので、どういう対策をとっておられるか、お伺いしたいと思います。
○倉成国務大臣 先ほども御説明いたしましたしおりに、政府が五十一年度の政府経済見通しの中において消費者物価を年度中上昇率を八%程度にしたいということでございまして、昨年の四月から今年の一月までの上昇率が七・八%、東京都区部の一月から二月に至る上昇率を当てはめまして計算をいたしますと、四十五年基準の消費者物価が昨年の四月から二月までに八・五%という上昇率になるわけでございますので、八%程度ということになると少し生鮮食料品でも下がってもらわないとなかなかうまくいかないというのが現在の状況でございます。したがいまして、これは一つには異常寒波というのが非常に響いたわけでございまして、これは十数年来の寒波で一月、二月というのが非常に野菜の出荷等が十分でなかったという点がございましたので、お天気が回復すれば何とか野菜の出荷等もうまくいき、そして価格も安定するんじゃなかろうかということで、端境期の野菜対策というのを農林省にもお願いしまして、最善を尽くしておるというのが現況でございます。
○東中委員 四十五年度基準指数で言われますので、一般国民から言うとよくわからないわけですね。対前年比で明らかにされた方がむしろ実感に近くなると思うのでありますが、八・六%というふうに見込まれておったのが、実際いまの時点では三月でどれくらいになると思っていらっしゃるのか、いかがでしょう。
○倉成国務大臣 東京都の二月の指数が八・八ということになっております。(東中委員「三月の見込みは」と呼ぶ)これは生鮮食料品あるいは衣料品等の価格がどうなるかということでございますので、いまこれは総理府統計局で調査をするわけでございまして、いまのところ私どもとしては少しでも物価が安定するということを願っておるわけでございまして、いまどれだけになるかということは、ちょっとここで申し上げる段階ではございません。
○東中委員 八・六%程度という見込みを公式に二月三日の閣議決定で発表されておるわけでありますが、現在の時点で、今月のは結局どのくらいになるのかということについてどうもそうはいかないらしいということでありますから、それより上がるんなら上がる、それに対してどう対策するかということになると思うのでありますが、ちょっと成り行き任せのような御答弁のようにお聞きしたのですけれども、どうでしょう、その点。
○倉成国務大臣 決して成り行き任せということではございません。われわれは最善を尽くしてこの端境期の対策に努力をしておるわけでございますが、もうしばらくすると数字が出ることでもございますし、ここでいまいろいろ議論しておりますのは、これが二%も三%も上がるというものではなくして、コンマ以下の数字でいまいろいろどうなるだろうかということで検討しておるわけでございますので、この見通しがどうなるかということについての現時点での見解はお許しをいただきたいと思うわけでございます。
○東中委員 円高、ドル安で先ほども差益の問題が出ておりましたが、二月十八日の閣議で福田総理が、この為替差益について消費者への利益還元を図るように努力しろ、輸入業者や流通業者に滞留させないようにしろという指示をされたようでありますが、これに対して具体的にどういう処置をおとりになっておるのか、お伺いしたいと思います。
○倉成国務大臣 為替相場がいま円高傾向を続けておるということで、これは輸入品などの価格を通じて卸売物価に影響を及ぼすということでございまして、これからひいては消費者物価に引き下げの効果があるということは一般的には言えるわけでございますけれども、現在は円高がフロート下のものでございます。きょうあたりは二百八十一円前後の数字でございますけれども、これもまだ十二月の月の平均が二百九十四円八十四銭、それから一月が二百九十一円二十五銭、二月の平均が二百八十五円四十二銭ということで、まだ非常に短期間のフロートの状況でございますので、やはりこの情勢がどこまで続くかということをもう少し見きわめる必要があるということで、輸入品の価格をいま追跡調査をいたしておるというのが現況でございます。
○東中委員 前の四十七年三月三日に「通貨調整に伴う物価対策の強化について」物価対策閣僚協議会了解で文書が出されましたし、四十八年四月十三日にも「当面の物価安定対策について」ということで、「変動為替相場制移行に伴う物価安定効果の確保 変動為替相場制移行に伴う円レート上昇の物価安定効果を確保し、円レート上昇の利益を適正に消費者に還元するため、次の措置を講ずる。」ということで、政府関与物資等についての対策、民間取り扱い物資についての対策等、相当具体的な対策が示されておるわけでありますが、今度の二月に入ってからのレート、そんなにひどいものではないですけれども、しかし二百八十一円あるいは八十二、三円というところまで下がっておるわけですから、十二月と比べても二十円近く下がっておる。こういう状態でありますから、この差益というのは相当大きなものになると思うのですが、それに対して具体的な対策をとっておられるのか、前回と比べてどういう具体的な指導をされておるのか。なるほどまだ安定しておらぬ、フロートしているんだからということでありますけれども、相当大きいわけですから、具体的にどういう処置をとられているか、お伺いしたい。
○倉成国務大臣 この前の円の切り上げ時は、アップ率は一六・八八%でございます。四十七年三月までで一九・〇三%、それから円のフロート時が一四・一九%というのが円のアップ率でございます。今回は、五十二年一月十四日から二月二十二日までが三・四七%、十二月から二月の終わりごろまでが八%強という円のアップ率でございますから、前回と比べるとまだかなり円のアップ率というのは低いということが一点。それから持続性の問題。それから、前回の場合には、御承知のように関税等の引き下げということが見られたわけですけれども、今回はその条件がないわけでございます。したがって、もう少し様子を見なければならないと思うわけでございます。しかし、それにしてもこの輸入品についての監視ということを強化しまして、そして円高が卸売物価、ひいては消費者物価に還元されるように最善の努力をしていきたいと考えておる次第でございます。
○東中委員 いま差益が非常にふえている中で、先ほど来の論議にもありましたが、石油関係の値上げが、先発一キロリットル当たり約二千四百円、七・五%アップということで、後発の日石で二千円、六・二%アップという形で出ておりますが、この為替レートを見ましても、一応想定している為替レートというのは、先発グループは一ドル二百九十五円、後発グループが一ドル二百九十円五十銭ということになっておるようでありますけれども、差益をまさに消費者に還元していくという点で言えば、こういう時期にこういう五%、一〇%のOPECの値上げがあったとしても、こういうものに対する抑制の指導というものをやられるべきだと思うのですが、このまま業者に任せっぱなしということになるのかどうか、まずお伺いしたい。
○倉成国務大臣 これは通産省も見えておりますので通産省からお答えいただくのが適当じゃないかと思いますが、基本的にはやはり石油製品の価格は当事者同士の自主的な交渉で決まるべきものである、そしてその交渉を政府としては注視していくというのが必要であろうかと思うわけでありますが、やはり石油会社が値上げをしようと思いましても需給の動向ということに大きく左右されるわけで、簡単にユーザーがこれに応ずるかどうかという問題も一つありましょうし、またOPECの値上げによる原価の上昇とか円高による原価の低減がどの程度のものであるかとか、あるいは石油会社でも民族系と外資系の会社の経理状況がいろいろ違うというようなもろもろの条件があろうかと思うわけでありますけれども、これらを勘案しながら、われわれとしては円高がなるべく価格が安くなるように反映していくことを期待しておる次第でございますが、直接の担当であります通産省からさらにお答えした方が適切ではないかと思います。
○古田政府委員 OPECの値上げが五%と一〇%という非常に変則的な形になっておりますが、わが国への影響は大体七ないし八%程度ではないかというふうに考えております。この程度の原油価格の引き上げの影響がありますと、金額にしまして全体としまして十七億ドル程度、レートにもよりますが、円に換算しますと大体五千億円程度のコストアップ要因になるのではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。 これをどういう形で今後吸収していくかという問題が生ずるわけでございますけれども、このOPECの値上げを背景としまして、石油会社が石油製品の価格を打ち出してきているわけでございます。その石油製品価格を打ち出す場合に、最近の為替レートを取り上げて、一番最新時点ではございませんが、ある期間を取り上げましてその平均値を採用しているということで、その間にそれなりに最近の円高レートによるメリットが反映しているということが一つ言えるのではないか。 それからもう一つは、このOPECの二重価格制のために各精製業者ごとに原油コストが非常に異なってくるというふうな実情がありますので、私どもとしましては、当面、石油業界と需要業界との価格につきましての交渉の推移を見守りたいというふうに考えているわけでございます。 ただし、先発六社が価格引き上げを打ち出した時期が二月中旬でございましたので、これはまだ一番寒い時期であるということで、国民生活への影響をおそれまして、家庭用灯油につきましてだけ需要期間中の抑制指導をしたわけでございます。その他の製品価格につきましては、今後の石油精製業界と需要業界との交渉の推移を見守りたいと思いますし、その間におのずから需給関係あるいは各需要業種ごとに持っております問題点がその価格形成の過程で反映されていくのではないかというふうに考えております。
○東中委員 エネルギー庁に聞きたいのですが、石油業界の為替差益は昨年、暦年一年でどれくらいになっておるのですか。
○古田政府委員 石油精製各社の資料によりますと、五十一年度上期では四百四億円の為替利益を計上しております。下期についてはまだ数字が発表されておりません。
○東中委員 私たちの方で試算をしてみたのでありますが、これは石油業界の「石油資料月報」を基礎にして試算をしてみました。昨年一年で八月までの為替差益分は二百六十六億三千万余り、九月が二百三十五億六千万、十月が二百五十億、十一月が百三十六億四千万、十二月が百八億、これはユーザンス金利百二十日と見て計算しておりますので数量的には四カ月ずれがあるわけですが、差益一円で生ずるキロリットル当たりの利益金というのを八十円という計算をしているわけです。それで昨年一年間で、十二月までのトータルは九百九十六億円、一千億に近いわけです。この前のエネルギー庁長官が予算で言われておるのでは、いま言われたように上半期が四百億、下半期はわからない、推計すれば、上半期並みであれば八百億というようなことを言われておるわけでありますけれども、これは相当大きな額になっておる。とりわけことしに入ってからは、私たちの計算では一月は二百十八億、二月は三百五十三億、三月をレート二百八十二円という計算で三百九十五億、だからことしに入って三カ月で約一千億円近くになっておる。これだけの差益がほとんど無視されたような形でおったのでは、その影響するところが非常に大きいわけでありますから、 ユーザーとの交渉の関係もありますけれども、それは最終的な消費者である、たとえば電気なんかを考えれば国民に影響してくるわけでありますので、こういう差益を国民の側に返すという立場からの指導というのは、十八日の閣議での福田総理の指示からいっても当然やられなければいかぬことではないかというふうに思うのですが、その点はいかがですか。
○古田政府委員 直接的には、先ほど御説明いたしましたように、OPECの値上げが非常に変則的な形になっておりまして、各社ごとに影響が非常に区々であるということで、全体につきましての統一的なとらえ方というのは非常にむずかしい段階にあるわけでございます。 それから一つは、現在の景気の動向から考えますと、やはり石油精製業界とそれから各需要業界がそれぞれ価格につきましての協議を十分するという形で、先ほど言いましたように、石油の需給動向なりあるいは需要業界の事情といったものがそこに反映してくるということになるのではないかと思います。したがいまして、現在石油精製業界は二千四百円あるいは二千円前後といったような石油製品価格の引き上げを打ち出しております。それの計算をいたします場合に、為替レートにつきましても二百九十五円とかあるいは二百九十円五十銭とかいうふうなレートを使って計算しておるわけでございますけれども、この辺につきましても、一番新しい時点での動きを見ながら需要業界と相談していくことになるのではないかと思います。私どもとしましては、この辺の動きを見ながら今後の方針を考えていきたいというふうに思っておるわけでございます。
○東中委員 予算委員会でのエネルギー庁長官の答弁では、四十九年、五十年には一千億くらいの差損があったというようなことも考えなければいけないということを答弁されておるわけでありますが、それは全く大企業、特に石油業者の立場に立っての発言であって、むしろそれは、昨年一年で約一千億円の差益があるわけですから、ことしになってそれが非常にふえてきているという事態で、全く業者任せ、そしてユーザーの交渉結果を見守っておるというのは、経企庁長官、私はいかがなものかと思うのであります。福田総理が指示をされたというのがここで生かされなければ、一体どこで生かされるんだということを言いたくなるわけであります。非常に影響が大きいということから見て、そういう点についての通産省の姿勢なりあるいは経企庁として何かの処置をとられるかどうか、お伺いしたいと思います。
○倉成国務大臣 いま仰せになった数字の基礎が私自身はよく……、通産省の方からお答えいただきたいと思うのですけれども、私は、石油を使う需要者の方が、その石油の値上げを要求された場合に、おいそれと簡単に応ずるわけはない。やはり需要業者としては、どういう理由で値上げをするのかということでかなり抵抗をしていくというふうに思うのです。ですから、一方的に石油会社が値上げをして、それがまかり通るというわけにはいかないのじゃないかと思うわけでございまして、そういう点をやはりわれわれが注意深く見ていくということと、それがまた私どもの立場から、不当に高い石油を買うことによって消費者物価に反映していくということのないようにするというのが、私どもの基本的な立場でございます。数字のことについては、ひとつ通産省の方からお答えいただいた方が適当ではないかと思います。
○古田政府委員 為替レートは、直接それが利益とか損失とかいう形ではなくて、原油のコストを決める場合に使われる一つの比率ということになるわけでございます。したがいまして、たとえば原油価格が一〇%上がった場合でも、その間に円レートが上がりますと、国内への波及は一〇%以下にとどまるというふうな形になるということでございます。 そういう観点からしますと、為替レートのほかに、石油精製業界のコスト要因として考えなければならないのは、たとえば最近におきます備蓄コストとか、あるいは消防法やコンビナート関係の法律の災害防止関係対策の強化に基づきますコストアップ要因とか、そういうふうなものもあるわけでございまして、その辺全体を見まして、現存の石油精製業界が打ち出している価格が適当かどうかという判断をする必要があるんじゃないかというふうに考えているわけでございます。 それから、もう一つは石油精製業界の経理状沖でございますけれども、全体の経常損益で見ますと、四十九年度、五十年度はそれぞれ約一千億円程度の経常損失を出しております。五十一年度上期には九百五億円の利益を計上しているという形になっておりますが、繰越損益を見ますと、五十一年度上期でなお三百九十四億円の赤字を計上している。それから、中でも民族系の企業は九百十億円の繰越損失をなお計上しているというふうな姿になっておりまして、この辺の精製業界の経理的な体質といいますか、その辺との関係も考慮して判断する必要があるんじゃないかというふうに考えられるわけであります。 この辺、いろいろ関係するファクターがたくさんございますので、私どもとしましては、先ほど来の繰り返しになりますけれども、需要業界とそれぞれの需要業種ごとの事情を十分協議して、お互いに相談して最終的な製品価格を打ち出していくように交渉を進めてもらう、それを通産省としては見守っているというふうにしていきたいと思っております。
○東中委員 輸入業者に滞留させないで消費者へ利益還元するように、そういう指導をやりましょう、やりなさいということを総理がわざわざ言っているわけですね。なるほど需要業者の方だってそれは抵抗するでしょうけれども、しかし、抵抗しても、それは業者と業者との間で決まれば、たとえば電気の場合なんかは結局消費者へ転嫁されるわけです。国民に転嫁をされるわけです。だから、この時点で総理がわざわざそういう発言をされたのは、単なるゼスチュアでそう言われているだけなのか、そうじゃなくて、具体的にそれが石油業界についてはどういうふうにされているのかということを聞きたいわけですよ。総理はそう言っているけれども、それは対外向けにそう言っているだけであって、実際には何にもしていない、業者に任しているのだというのでは——差益が相当大きくなってきているということは、これはもう一カ月間で四百億近くということになれば、そしてその二百八十円あるいは八十二円か三円くらいのレートというのはそう急に変わっていくという性質のものではないと思うのです。大蔵大臣もまた総理も、円高、円が強いということは歓迎すべき方向だ、特別な変動がない限りは、乱高下がない限りは介入はしないということも答弁されているわけでありますから、そういう点から言って、通産省としては、それでは総理の指示に従って具体的にどういうことをやっておられるのか。いま言われているのだったら、何にもしていないということになるわけですね。何かやっているのか、やってないのか。やっているなら何をやっているのかということをお伺いしておきたいと思います。
○古田政府委員 OPECの原油の価格の引き上げに伴います影響は、いずれにしましても、適正な価格の形成によってわが国経済として吸収せざるを得ないということになるかと思いますが、先ほど御説明いたしましたように、先発組の石油製品価格の引き上げ発表の二月中旬につきましては、国民生活への影響が大き過ぎるということで、これは諸般の情勢も勘案し、その際、為替レートの問題も私ども念頭にあったわけでございますが、家庭用灯油につきましては需要期の抑制指導を打ち出したわけでございます。
○東中委員 時間ですからこれで質問を終わりますけれども、灯油については指導された。しかし、その他の部分については何にもしていない。総理の指示は対外向けに言っているだけであって、現実には通産省は何にもしていないというふうに聞こえるのですけれども、それでいいのですね。最後にだめ押しだけ押して、質問を終わります。
○古田政府委員 先ほど言いましたように、石油製品のコストを構成する要素は幾つかございまして、(東中委員「差益について聞いているのです。ほかのことを言っているのではない」と呼ぶ)差益によるメリットもございます。逆に、それを相殺する要因として、先ほど御説明しましたように、OPECの価格引き上げによる部分がございますし、さらに備蓄コストとかあるいは災害対策費の増大というふうな問題もございます。それから石油企業自体が持っております現在の経理的な実情といったふうなものもございます。 したがいまして、もし現在私どもが石油製品価格について何らかの判断をするということになれば、そのプラス要因、マイナス要因、いろいろな点をすべて勘案するということになりますと、実態的な見通しとしまして、下支え的な形になるのではないかという感じも一部あるわけでございまして、その辺のことも勘案しながら、私どもとしましては重油業界との交渉を見守るということにしているわけでございます。
○西宮委員長 東中光雄君の質疑は終わりました。 次は、依田実君。
○依田委員 先般の企画庁長官の所信表明について幾つかお伺いをいたしたい、こういうふうに思うのであります。 最初に、経済見通しにつきましてお尋ねをさせていただきたい、こういうふうに思うのであります。 政府見通しは、五十二年度は実質六・七%、こういう経済成長見通しをお持ちのようでございます。当時いろいろ各方面から経済見通しが出ました中で、政府見通しはわりあい高い方に位置しておる、そういう意味で、果たしてこれが達成可能かどうか各界からいろいろ疑問があったわけでございますけれども、その後、最近の諸般のいろいろな経済指標を拝見させていただいて、どうも余り芳しからぬ、そういうような経済状態じゃないだろうか、こういうふうに思うのです。三月九日に出ました日銀の短期経済見通し、これなどを見ましても、どうも政府見通しの考え方が甘いような書き方もしております。また、最近いろいろ企業の収益が非常に悪く、当初の見通しよりも落ち込んでおる。証券会社の調査部のいろいろ資料を拝見しましても、この三月期の企業利益、これなども当初より約六%くらい落ち込むのではないかというような数字を出しておるところもあるわけでございますけれども、大臣は、この政府が掲げております経済成長見通し、これがいまの段階でも達成可能とお考えになっていらっしゃるかどうか、お伺いしたい。
○倉成国務大臣 いまお話しのように、開銀あるいは日銀の短期観測あるいは日経新聞のニーズによる調査、こういういろいろな調査が設備投資についていたされておるわけでございますが、五十二年度の経済見通し実質六・七%の成長でこれらの調査並びに民間の人たちとわれわれが多少違うのは、やはり設備投資と在庫の見方ではなかろうかと思うわけでございます。 この設備投資については、開銀が資本金十億円以上の企業千九百三十七社、これが政府見通しの五十一年度の投資額のカバー率として三六・五%、それから日銀がやはり原則として資本金十億円以上の企業五百四社についていたしておるわけですが、これが二八・四%、それから日経新聞では上場企業及び有力企業千六百六十九社についてしておるわけですが、このカバー率が三六・三%ということになっておるわけでありまして、確かにこれらの調査によりますと、設備投資について政府見通しよりも非常に低い数字が出ておることは事実でございます。 ただ、一つは、いま企業家心理というのがちょっと冷えておりまして、ある時期よりも下方修正に設備投資を見ておるという気迷いがあるわけでございます。また、多少景気上昇のチャンスが出てくれば、これは上方修正ということもあり得るのではなかろうかという感じを持っておるわけでありまして、総じて申しますと、やはり製造業は冷えておる、非製造業の電力を初め流通その他の関係あるいは中小中堅企業等での設備投資ということを考えてまいりますと、政策のよろしきを得れば、政府の見通しております名目一二・二%の設備投資は達成できるのではないかというふうに考えておるわけでございます。 それから、在庫の方は、五十一年度が低いものですから、五十二年は少し上昇率が大きいわけでございますが、三兆八千億程度の在庫投資ができるというふうに考えておるわけでございます。これに政府の支出の中の資本支出というのが十八兆二千五百億ということで、前年に比較しますと一五・九%増ということで、何とか六・七%の成長はできるのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
○依田委員 経済は生き物でありまして、上に行くという心理が一般の人に抱かれるようになれば予想外に上昇をするわけでございますけれども、いま逆に歯車がすべて逆回転をしておる、そういうような感じがするわけであります。個人消費、これも冷え切っておる、いま御説明の設備投資も当然でございます。 そういうようなことで、企業家もまた一般の消費者も景気がよくなるというそういう心理をどうしても持てない。ここで一応景気刺激対策の公共投資、そしてまた減税、そしてまた公定歩合の引き下げ、全部そろったのでありますけれども、どうもそのそろった後のいろいろな心理状態も、これもひとつすっきりしない、こういうことで、私としてはなかなかその見通しがむずかしいのではないだろうか、こういうふうに思うのであります。 ここで、細かいことでありますけれども、三千億の減税、われわれは一兆円という減税額を掲げたのでございますけれども、一応三千億、こういうことになりました。この減税の景気刺激に対する効果、そういうものについて経済企画庁の方でシミュレーション、試算をなさったかどうか、もしそういう数字があれば教えていただきたい。
○倉成国務大臣 三千億の減税、問題はこの財源をどこに求めるかということによって、この乗数効果というのをはじかなければいけないものですから、まだその財源が必ずしも明らかでない段階だものですから、これのシミュレーションというのをいたしておりません。
○依田委員 また、公定歩合の引き下げ、〇・五下がったわけでございますけれども、下がった当初から、下がった段階ですぐにまた次の公定歩合の引き下げスケジュールに乗るような発言も一部に聞かれるわけでございます。いままでの公定歩合の操作は後手後手になっている、小出しになっているような感じがするわけでございますけれども、大臣、今度の公定歩合の引き下げで十分なのかどうか、将来再度の引き下げがあるのかどうか、その辺についてお尋ねをしたいと思います。
○倉成国務大臣 公定歩合の問題は、日銀政策委員会で決定する事項でございますので、私から意見を申し上げるのは適切でないと思います。金融政策が財政政策と並んで有力な景気対策の一つの手段であることは率直に認めるわけでございますが、現在の段階では、私は、やはり景気というのは心理的な要素が非常に大きいという感じがするわけでありまして、公定歩合を〇・五%下げたから、それじゃ設備投資がすぐ興ってくるかということになりますと、現在非常に稼働率が低い状況ですから、すぐ公定歩合と設備投資というふうには結びつかないのじゃなかろうかと思うわけでございます。したがって、こういう金融政策は、今後の経済情勢を見ながら、日銀の政策当局がこれから判断していくべきものと考える次第でございます。
○依田委員 今度、総理が訪米するわけでございますけれども、アメリカと諸問題についていろいろ話し合いが行われる。もちろん韓国からの米軍の撤退問題などが大きな問題だろうと思いますけれども、もう一つの、アメリカの日本に対する大きな要求、それは日本が世界の経済の牽引車いわゆる機関車になってほしい、こういう意味でも、政府見通しであります六・七%の成長だけはぜひ達成してくれということで、いろいろ強い要求が出るのじゃないかと思うのです。アメリカの方では、日本のこの六・七%の成長はどうもむずかしいのじゃないか、こういう意見を持っている当局者もたくさんある、こういうふうに聞くわけでありますけれども、向こうへ行って、六・七%は大丈夫という説明をただするだけで向こうが納得するのか、あるいは、そこにもう一つ確証といいますか、日本としてはこうするんだから絶対大丈夫という強い確証がないと、向こうもなかなか納得しないのじゃないかと思うのでありますけれども、大臣、その辺はどういうようにお考えでしょうか。
○倉成国務大臣 先ほど申し上げましたとおりに、設備投資また個人消費も、物価が安定してくれる段階においてまた所得がふえてまいりますと伸びていくということで、全体の需要項目を、検討した上で六・七%という数字を出しておるわけでございまして、日本の場合には物価がかなり高く、財政の公債への依存率が三〇%という中での六・七%ということでありますので、国際的には、この六・七%の成長を達成することによって十分責任を果たし得ると思っておる次第でございます。 なお、私どもの宮崎調整局長が総理にお供してまいりますので、必要があれば宮崎局長からお答えさせたいと思います。
○依田委員 ぜひひとつ。
○宮崎政府委員 経済企画庁と申しますか、政府が六・七%の成長を五十二年度について考えましたときには、その当時のデータとして確実に達成できるということで六・七%を決めたわけでございます。ただ、その後出てまいります経済指標は、依田先生御指摘のように、大変弱い指標が多かったわけでございまして、こういう際でございますので、三月十一日に四項目から成る景気対策を打ち出し、それとあわせて日本銀行が公定歩合の引き下げに踏み切ったわけでございます。したがいまして、これで景気対策として考えられることが一応出そろったという意味で、六・七%の成長はいよいよ確実になったと私どもは考えております。
○依田委員 話が前後しましたけれども、先ほど公定歩合の問題をお尋ねいたしましたので、それに連動いたしまして例の預貯金の利下げの問題、これは経企庁の直接の担当ではございませんが、たしか四十九年の秋に国民生活審議会から、これは経企庁に関係のあるところでありますけれども、物価上昇下のひずみ是正というような御意見が出ております。その中に、個人の小口預金の金利は別扱いにするという意見が出ておるわけでございますけれども、公定歩合が引き下げになりまして、個人の小口預金、具体的に言えば郵便貯金などの金利の引き下げ、こういうものについて経済企画庁はどういう御意見をお持ちになっておりますでしょうか。
○倉成国務大臣 郵便貯金の問題であろうかと思うわけでございますが、この問題はいろいろな角度から郵政省また大蔵省との間で検討しておることではなかろうかと思いますので、直接担当でない私から意見を差しはさむのは適当でないのじゃないかと思っております。
○依田委員 これは長官にお尋ねするというよりも私の意見でありますけれども、景気刺激、いわゆる公共投資、減税、金利、いろいろ考えられるわけでありますが、この辺でひとつ思い切ったアイデアというものを経済企画庁でいろいろお考えになったらどうだろう、こういうふうに思います。たとえば三千億減税をする、これも一つの手でございますけれども、そういう金を発展途上国へ援助をいたしまして、ひもつきというのはいかにも問題があるのでありますけれども、それによって日本からいろいろ輸入をしてもらう、そうしますと、発展途上国ですから、カラーテレビとか自動車とか、日本の好況産業をもう一回潤すよりも、産業機械とか日本の不況業種を刺激するのにいい影響を与えるのじゃないだろうか、こういう考えもするのでございますけれども、これまでの景気刺激、いわゆるパターン化したそういうものでない考え方というものを経済企画庁でいろいろお考えをいただけたらと思うのですが、大臣としてそういう思い切った発想の転換というものをお考えになっているかどうか、伺いたいと思います。
○倉成国務大臣 ただいまのお話は、三千億というものとの結びつきが私よく理解できなかったわけでございますが、昭和五十二年度の政府予算でも、政府の開発援助の予算として五千四百八十五億、国民総生産に比較して〇・二八%という予算を計上しておるわけでございまして、乏しい財政の中から開発途上国にかなり思い切った予算を組んでおるという状況でございますので、この開発途上国の経済協力が日本の経済に大きく貢献してくると信じております。プラント輸出という問題も非常に大事な問題の一つではないかと思っております。
○依田委員 景気の話題をかえまして、円高の問題についてお伺いをしたい。先ほども東中委員の方からいろいろ詳しく御質問がございましたので、私も石油のことをお伺いしようと思いましたけれども、一つだけここでお伺いをしておきたい。 福田総理の御発言にもありましたように、この円高、為替差益というものを、物価、要するにコストアップを抑えるだけの消極的なものとして見るか、あるいはその利益を積極的に国民の皆さんに還元をするか、このどちらの方針であるのか、ひとつここで長官にお答えをいただきたい、こういうふうに思います。
○倉成国務大臣 先ほども申し上げましたように、この円高がいつまで続くかということが一つの問題点ではなかろうか。したがって、長期にわたってこの円高が続いていくということになりますと、政府の対策もかなり具体的に打ち出すことができるのじゃなかろうかと思うわけでございますけれども、現在は、フロート制でございますので、そして先ほど申しましたように、昨年暮れ二百九十五円、それから二百八十五円という段階をずっとたどってきておるわけでございますので、われわれとしてはやはり輸入品についての追跡調査と申しますか、監視をしていくということで考えていきたいと思っておるわけでございます。総理が非常に為替の問題について関心を持たれておりますので、私どもとしても前回の円の切り上げあるいはフロート時期にとりました政府の施策がいろいろありますので、こういうのを参考にしながらこれからの政策を進めていこうと思っておる次第でございます。
○依田委員 御答弁の中に、幾つかの物価を追跡調査されておる、こういうお答えが出ておったのでございますけれども、具体的にどんなものについて追跡調査をなさっておるのか、お答えをいただきたいと思います。
○藤井(直)政府委員 輸入品につきましては、やはりそれが国内の消費に対して非常に大きなウエートを持っておるものを選択しないといけないと思っておりますが、前回のときは、加工食品それから食品の原材料でございますね、砂糖とか大豆とかそういうもの、それからその他、消費用品として万年筆とか腕時計とか、そういうようなものの品目を選んで調査いたしております。 今回の方につきましては、いま前回の調査内容等を見ておるわけでございます。先ほど大臣がそれをおっしゃったわけですが、私どもとしては、その辺を念頭に置いて少し本格的な調査をしたいと思っております。
○依田委員 そうすると、まだ今回は品目などについて決まってないということですか。
○藤井(直)政府委員 具体的な調査はこれから始めたいと思っております。現在、前回のそういう調査の結果をフォローしておるところでございます。
○依田委員 時間もありませんものですから、最後にひとつお伺いいたしたいのでございますけれども、公共料金についての基本的なお考え方、大臣の所信表明演説の中にも受益者負担、こういう言葉がございます。いま国鉄運賃の法定主義についていろいろ国会で御審議されておるわけでございますけれども、独立採算制、原価主義、受益者負担、いろいろな要素を考慮してひとつルールというものを確立していただきたい。また将来、電話料金あるいはまた郵便料金の再値上げというものが考えられておるわけでございます。そういうためにも、ひとつ公共料金というものはこういうふうにあるべきだというルールを確立しておいていただいてこの値上げをしていただきたい。そのたびに国会でもめる、こういうことでは困ると思うのでありまして、公共料金のあり方につきまして、大臣のお考えを最後に承らせていただきたいと思います。
○倉成国務大臣 公共料金につきましては、基本的には経営の合理化を徹底的に努めるということ、これがまず一つの前提でございます。そしてその上で、事業の健全な運営が確保されるような料金水準が定められるということではなかろうかと思うわけでございます。また、その負担については、サービスを利用する者が利用によって受ける便益の程度に応じて費用を負担するいわゆる受益者負担の原則によるべきもの、こういう基本原則を私どもは考えておるわけでございます。 ただ、これから先、もちろんこういう原則のもとでやるわけでございますから、余りこの基本原則から離れて公共料金を凍結したりあるいは抑制したりする場合には、事業の収支が極端に悪化する——まあ国鉄がいい例でありますけれども、そういうことで国民生活に欠かすことのできないサービスの安定的な供給ができない。したがって、先ほどツケが回ってくるという話をしたわけでございますけれども、後日大幅な料金改定を避けられないことになるということでありますから、やはり物価の動向を見ながら適宜適切に公共料金を決めてまいりまして、国民生活になるたけ影響の少ないように、時期を選んで公共料金を定めていきたいというのが私どもの基本的な考え方でございます。 しかし、同時に、これから先の省資源あるいは省エネルギーという立場から公共料金をどういうふうに考えていったらよいかとか、あるいは財政がどういう形で公共料金に関与すべきかというような問題については、もう少し基本的に勉強してみたいと思っておる次第でございます。
○依田委員 終わります。
○西宮委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時三十六分散会