農林水産委員会 第18号
- 発言数
- 274 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1977/04/19
会議録
○金子委員長 これより会議を開きます。 領海法案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。鈴本農林大臣。 ————————————— 領海法案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○鈴木国務大臣 領海法案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。 近年、わが国近海における外国の大型漁船の本格的操業により、わが国の沿岸漁業は、漁船、漁具の被害の頻発、操業の制約等重大な影響をこうむりつつあります。政府は、これら沿岸漁業者の切実な要望にこたえるべく、領海十二海里問題につきまして、国連海洋法会議の動向をも勘案しつつ、鋭意検討を重ねてきたところであります。 今日、世界で、領海十二海里を設定している国は六十カ国近くに上り、国連海洋法会議におきましても、いわゆる国際海峡の通航制度等との関連で論議はありますが、領海の幅を十二海里までとすること自体について異論を唱える国はほとんど見られない情勢となっております。さらに、最近においては、二百海里の漁業水域を設定する国が相次いでおり、国際社会は新しい海洋秩序に向かって、急速な歩みを見せております。 このような内外の諸事情を考慮し、沿岸漁業の保護等を図る観点に立って、この際わが国の領海を拡張することとし、この法律案を提出した次第であります。 次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。 第一に、わが国の領海は、基線からその外側十二海里の線までの海域とすることを定めております。 第二に、領海の範囲を測定するための基線としては、海岸の低潮線を基本とし、このほか湾口、湾内または河口に引かれる直線及び内水である瀬戸内海の外郭線を用いることとしておりますが、これは、従来と同様の取り扱いであります。 第三に、宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡東水道、対馬海峡西水道及び大隅海峡並びにこれらの海域に隣接し、船舶が通常航行する経路から見てこれらの海域と一体をなすと認められる海域に係る領海は、当分の間、基線からその外側三海里の線及びこれと接続して引かれる線までの海域とすることを定めております。 これは、国際航行に使用されるいわゆる国際海峡の通航制度につきまして、国連海洋法会議において、一般の領海に比し、より自由な通航を認める方向で審議が進められており、わが国としては、総合的国益から見て、この問題がこのような方向で国際的に解決されるのを待つことが望ましいこと等にかんがみ、当分の間、いわゆる国際海峡のような水域につきましては、領海の範囲を現状どおりとすることにしたものであります。 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○金子委員長 引き続き補足説明を聴取いたします。岡安水産庁長官。
○岡安政府委員 領海法案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。 この法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由説明において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。 まず、第一条で、領海の範囲を規定しておりまして、わが国の領海は、基線からその外側十二海里の線までの海域とすることとしております。 この領海の範囲を測定するための基線につきましては、第二条に規定しております。基線の取り扱いは従来と同様でありまして、海岸の低潮線を基本とするとともに、入り口が二十四海里以内の湾の湾口閉鎖線、入り口が二十四海里を超える湾の湾内に引かれる二十四海里の直線及び河口に引かれる直線を用いることとし、これらの線を基線として用いる場合の基準その他基線を定めるに当たって必要な事項は、政令で定めることとしております。 さらに、内水としての地位を有する瀬戸内海につきましては、その外郭線すなわち瀬戸内海と他の海域との境界として政令で定める線を基線とすることとしております。 なお、直線基線につきましては、採用しないことになりますが、これも従来と同様であります。 次に、附則第二項の規定でありますが、宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡東水道、対馬海峡西水道及び大隅海峡の五つの特定海域につきましては、第一条の規定は適用せず、これらの特定海域に係る領海は、当分の間、基線からその外側三海里の線及びこれと接続して引かれる線までの海域としております。なお、この場合、それぞれの特定海域には、これらの海峡に隣接し、船舶が通常航行する経路から見てこれと一体をなすと認められる海域を含むこととし、特定海域の範囲等は、政令で定めることといたしております。 なお、この法律の施行期日につきましては、附則第一項で規定しておりまして、公布の日から三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。 以上をもちまして、この法律案の提案理由の補足説明を終わります。
○金子委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○金子委員長 次に、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。 ただいま趣旨説明を聴取いたしました領海法案について、審査の参考に資するため、委員を派遣することとし、議長に対し。委員派遣承認の申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、派遣地、派遣の期間、派遣委員の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○金子委員長 この際、鈴木農林大臣から、日ソ漁業交渉の経過について発言を求められておりますので、これを許します。鈴木農林大臣。
○鈴木国務大臣 日ソ漁業交渉の中間的な御報告を申し上げたいと存じます。 さきに、衆議院並びに参議院の全会一致の御決議によりまして、日ソ漁業交渉に臨む院の御趣旨並びに力強い御鞭撻を賜りました。また、当委員会の委員各位よりも、いろいろ御指導並びに御鞭撻をちょうだいいたしまして日ソ交渉に臨んだわけでございますが、現時点におきまして、最終的な結論を得ずに、今日ここに帰ってまいったわけでございます。これは私の微力のいたすところでございまして、国民の皆さんに対してもまことに申しわけなく存じておる次第でありまして、心から深くおわびを申し上げる次第であります。 交渉は一応中断という形をとっておりますけれども、これはイシコフ漁業大臣が、EC、ノルウェー、デンマーク等の漁業交渉もありまして、私との交渉が延びました関係で日程が大幅におくれておったということで、どうしてもその方に行かなければならない、そういう事情がございました。また、私も、日本へ帰りまして国会にも御報告をし、また総理初め政府にも報告をして、そして新しい態勢のもとに最終的な交渉に臨みたい、こういうことで交渉を一時中止をして帰ったわけでございますが、しかしイシコフ漁業大臣とは五月の上旬にこの会談を再開をしてできるだけ早く漁業協定の最終的な結論を得たい、こういうことで合意をいたしてまいっておる次第でございます。 今日までの交渉の結果につきましては、三月三日の鈴木・イシコフ合意の書簡、これを基礎にいたしまして、わが方の代表団の諸君も鋭意努力をいたしたわけでございます。当初国会の承認を求める時間的な関係等も考慮いたしまして政府間の行政取り決めにしたい、またおおむねその線でイシコフ大臣とは合意を取りつけておったわけでございますが、その後ソ側の方針が変わりまして、どうしてもソ連の設定した二百海里の漁業専管水域の中にソ連の主権的権利を実施したい、実施しなければならない、こういうことになってきたわけでございます。そういたしますと、漁業許可証を政府間で所定の手続で交付を受けなければならない、また入漁料も払わなければならない、取り締まり並びに裁判管轄権の問題も出てくるわけでございます。そうなりますと、わが国の漁船並びに国民の権利義務にかかわる問題でございますから、どうしてもこれは正式の暫定協定として国会の御承認を得て批准をしなければならないわけでございます。そのようなことで、行政取り決めか正式の暫定協定か、こういうようなことで大分交渉団の諸君も交渉に手間取ったわけでございます。そういうような事情等もありまして、三月三十一日までにこの結論を得るに至らなかったわけでございます。そして、この会談はしばしば中断を余儀なくされたわけでございます。 政府はこのことを非常に憂慮いたしまして、福田総理大臣は園田官房長官を総理特使としてモスクワに派遣し、ブレジネフ・ソ連共産党書記長並びにコスイギン首相に親書を送り、日ソ友好の大局的な立場に立ちまして、交渉の再開等につきまして話し合いをいたしました。その結果、私が再度の訪ソと同時に会談が再開をされまして、イシコフ大臣と個別会談その他を含めまして四回に及ぶ会談が持たれたわけでございます。 その結果といたしまして、協定案文の第一条、これは御承知のように幹部会令の適用海域の条項でございます。協定文第二条、これはわが方が近く二百海里の漁業水域を設定をする、その場合に、ソ側としてはソ連の二百海里専管水域に日本漁船の入漁を認めるかわりに、日本の二百海里水城にソ連船の入漁の権利を留保する、確保する、それを条件とするということを骨子としたところの条文が第二条でございます。この第一条、第二条を除きましてその他の協定文の各条項は全部合意をし、成文化も実務者の間で完全に意見の一致を見てでき上がっております。また、実施の細目を決めますところの付属書、これも全部合意し、成文化も完了いたしておるわけでございます。したがいまして、残された点は、前段で申し上げるように、協定文の第一条並びに第二条が残されておるという状況にあるわけでございます。 私は、御説明の都合から、第二条の問題から御報告を申し上げます。 第二条につきましては、私とイシコフ漁業大臣との間におきましては基本的には合意がなされております。これをその合意の線に沿いまして実務者の段階で成文化の交渉が行われてきたわけでございますが、ソ連の制度上の問題とわが方の法制的な仕組みとの間に差異があるのでございます。と申しますことは、ソ連は、ソ連邦沿岸からを基線といたしまして二百海里の海域全体が漁業専管水域である、その二百海里の漁業専管水域の中にソ連の領海十二海里が存在をする、こういう法制的なたてまえになっておるわけでございます。わが方は、基線から十二海里までが領海である、その領海の外側に百八十八海里の漁業水域が設定をされる、こういうたてまえに相なっておるわけでございます。 この違いから成文化に当たっていろいろ問題が出てくるわけでございまして、ソ連は沿岸の基線から二百海里全部が漁業専管水域でございますから、外国との協定によっては領海の中といえども外国船の入漁を認められるという制度になっておるわけでございます。ところが、わが国の領海につきましては、先ほど領海法の提案の理由、趣旨等でも申し上げましたような事情もございまして、領海の中には外国漁船は絶対に入漁をさせることは認められない、外国船の入漁を認めるものは領海の外、百八十八海里、この中に、過去の実績等を勘案をして一定の条件のもとに入漁を認める、こういうはっきりしたたてまえになっております。この日本の法制は、国連海洋法会議の単一草案の線にも沿うものであって、国際的に通用する、是認されるものである、このように私は確信をいたしておるところでございます。そういうようなソ連側の制度とわが国の法制的なたてまえ、この違いが、第二条の成文化に当たりましていろいろ問題があるわけでございます。ソ連の方は、ソ連の原案を基礎にしてひとつ第二条の協定文を作成しようではないか、こうなってまいりますと、領海を三海里から十二海里に拡張いたしましても、この十二海里の中に、別途の協定によっては入漁の道も開かれる、残される、第二条をそういう姿のものにしたいというのが向こうの考え方でございます。 もとより、私とイシコフ大臣との間では、わが国の十二海里の中には絶対に外国漁船は入れないということを申し上げておりまして、それはイシコフも了承いたしておるわけでございます。しかし、別途の協定、別途の取り決めによっては、ソ連の制度におきましては、専管水域の中に領海も含まれておるから、入漁の道も開けるわけでございます。日本の方はそれができない。この辺が、成文化に当たってなかなかかみ合わないという問題もございます。 それから、そのほかに、この二条の中に三海里−十二海里の問のソ連の実績をどうやって生かすかという問題があるわけでございます。 私は、現在における公海でございますこの三海里−十二海里の間の実績は、新たな十二海里領海法が制定をされ、百八十八海里の漁業水域が設定をされた場合に、その百八十八海里の中の実績の算定の中に、三海里−十二海里の間の過去の実績というものも漁獲量算定の基礎に加算をしましよう、そして一定の割合によるクオータによって漁獲許容量というものを決めよう、こういうことにしておるわけでございます。それに対して実務者の間におきましては、それは当然のことだが、そうなるといままでソ連がとっており、一番興味を持っておるところのイワシ、サバというものは、十二海里の外で許容割り当て量はもらったものの、一体実際達成ができるかどうか、こういうことが彼らが心配をしておる点でございます。しかし、サバの漁獲につきましては、日本の大型まき網等は全部沿岸漁業者との摩擦を防ぐために十二海里の外で操業をやりまして、十分な漁獲実績をおさめております。したがいまして、十二海里の外百八十八海里の中でも、サバに関する限りはクオータを十分ソ連漁船は消化できるということを、日本の実態からいって私はよく説明をしておるところでございます。 ところが、イワシにつきましては、果たして十二海里の外でどれだけとれるかということを彼らは心配をするわけでございます。そこでイワシにつきまして、もしクオータを達成できない場合において、イワシが欲しいというのであれば、日本漁民がとったイワシをあなたの方に貿易の形で売ってあげましょう、また、外貨の事情等があるならば、ソ連の二百海里水域内でソ連側がとった、日本の側から見て興味のある魚種、これを一定の価格にそれぞれ評価をして、物々交換をしてもよろしい、こういうことも私は理解を示してあるわけでございます。 でございますから、実態的にはイシコフとの間には話はついておるのでございますが、先ほど申し上げたような法制上の違いがございまして、成文化に時間がかかっておる、こういう状況にあります。しかし、この問題は、イシコフ漁業大臣も、両大臣間で合意をしておることであるから、成文化はできますよと彼も楽観をしておるわけでございます。 問題は、第一条の幹部会令の適用海域の問題でございます。これがいわゆる北方四島がらみの線引きの問題でございまして、これは全く平行線でございます。ソ側の案は、御承知のように一九七七年二月二十四日付の閣僚会議の決定の適用される海域、いわゆる北方四島を抱え込んだ姿の海域の設定、こういう案でございます。これはわが方としては絶対に容認できない、この立場、両方の主張は平行線でなかなかかみ合わないわけでございます。 私は、この交渉に臨みまして、こういう基本的な方針、姿勢で取り組んでおるわけでございます。その一つは、一九七三年に、当時の田中総理大臣とブレジネフ書記長との会談で、北方四島の問題については合意がなされております。戦後未解決の問題を処理して日ソ平和条約の締結交渉を進める、こういうことが合意され、共同コミュニケに発表されておるわけでございます。日ソ間の戦後未解決の問題というのは、北方四島の帰属以外には何も存在しないわけでございます。戦後未解決の問題は即北方四島の帰属の問題でございます。私は、日ソ平和条約交渉、今後の交渉につきましていささかも支障があってはいけない、わが方の立場を損ねるようなことがあってはいけない、民族の悲願であるこの北方四島の解決の問題、これに悪影響を及ぼすことがあってはいけない、これが第一の基本でございます。 と同時に、徳川時代から明治、大正、昭和にかけまして百年に及ぶ間、わが国の漁民が血みどろの困難を重ねて築いてまいりましたところの北洋の漁業権益、私はあえて北洋の漁業権益と申すわけでございます。中南米あるいはアフリカ、大洋州等で五年、十年前から上げてきたところの実績とは事が違う。百年以上に及んで、ソ連もやっていなかった時代から北洋の漁場というものはわが国の漁民によって開発をされ、開拓をされた、これはまさに日本の漁業権益であると私は考えております。したがいまして、一方においては北方四島の帰属の問題にかかる平和条約の交渉、これに影響を与えてはいけない、と同時に、わが国の北洋の漁業権益は守らなければならない、この二つの命題、これを達成するのが私に課せられた使命である、こう心得ておるわけでございます。したがいまして、その交渉の幅というのは非常に狭いわけでございます。そのわずかの狭い範囲、許された中での、そこに日ソ双方が納得できるような妥結点を見出そうということでございますから、非常に困難な交渉ではございます。しかし、私は、困難ではあるけれども不可能ではない、こういう希望を持ちまして今後も鋭意この交渉の打開に努力してまいりたいと考えておるところでございます。 今回、私帰りまして、国論の統一、全党派を挙げての御鞭撻、御協力、私は非常に感激をしておるわけでございます。と同時に、できるだけ早くただいま提案の趣旨を御説明申し上げましたところの領海法あるいは近く御提案を申し上げるところの漁業水域法、この二つを早期に国会の皆さんの御協力を得て成立を図り、ソ連と同じような条件と土俵の上に再度この交渉をいたしまして、最終的な決着をしたいものだ、このように念願をいたしておる次第でございます。 以上、日ソ交渉の現在までの中間的な御報告を申し上げまして、御理解と御鞭撻をお願い申し上げたいと存ずる次第でございます。(拍手) —————————————
○金子委員長 領海法案についての申し出がありますので、順次これを許します。片岡清一君。
○片岡委員 今回提案になりました領海法について、二、三の問題について御質問したいと存じます。 〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 ただいま御説明のありました領海法の提案理由の説明の中で鈴木大臣は、わが沿岸漁業に他国の大型漁船が入り込んできて被害が頻発しておる、そして沿岸漁民が重大な損害をこうむっておることにかんがみて、このかねての切実な要望にこたえるとともに、領海十二海里がいまや世界の大勢になっておるのに、かんがみまして、海洋秩序に対応するような領海を設定したいのでこの法案を提出した、このように述べておられるのでございますが、ちょうどこのときに、この日ソ両国の漁業交渉の時期に際会いたしまして、先日来農林大臣が非常に困難、しかも苦難に満ちた日ソ交渉に心胆を砕かれましたことに対しまして、われわれは深甚なる敬意を表するものでございます。心から御苦労でございましたと申し上げる次第でございますが、不幸にして両国の交渉が中断せざるを得なくなって、志半ばにして帰国されざるを得なかったことは、まことに残念千万であっただろうと存じます。ただいまその交渉の内容について詳細に御報告を賜りまして大体了解することができたのでございます。それで大体私はいまお聞きしょうと思っておったことも意味がわかったのでございます。 私の御質問したいと思っておった点は、かねて沿岸漁民が早く十二海里の設定をしてほしいということを非常に要望しており、政府の方におかれましてもしばしばこれを何とか早く宣言しようという準備をしておられたにもかかわらず、今日まで延々として決まらなかった、こういう次第でございまして、そのことが、先ほど御説明のわが国の三海里から十二海里の間でソ連の漁船が取っておった漁獲量を、さらに操業をやらせろという要求を向こうがしてきた、こういうことで、国民一般はこのソ連の理不尽な領海内における操業の要求に対して、非常に不快な気持ちで見ておったのでございます。これは恐らく、最初そういう要求をしたのは日本側が十二海里の宣言をしていなかった、これからする予定だけれどもという段階で交渉に当たられた、そこにちょっと弱味があった。その弱味のために向こうにつけ込まれたんじゃないかというふうにわれわれは理解したのでございます。 ところが、ただいまの大臣の御報告によりまして、これが法の立て方が違っておる、こういうことの結果であることを知ったのでございますが、しかし、その中でも、日本がこの領海の宣言がおくれておって、この交渉の段階においてもいまだ既定の事実として臨めなかったということに若干の弱味があったんじゃないかと思うのですが、その点の感触をお伺いしたいことと、同時に、ただいまの御説明でもわかったのですが、さらに念を押してお伺いしたいのは、わが国の漁船も今度ソ連の二百海里以内のさらに十二海里のソ連の領海内においても操業が許される可能性がある、これはそういうふうに理解してよろしいのかどうか、その点をお願いします。
○鈴木国務大臣 片岡先生のいまおっしゃったとおりでございまして、ソ連の領海十二海里の中には、これも専管水域の一部であるということで向こうは入れてもよろしいということを言っておるのであります。しかし、わが方としてはこの三海里、十二海里の間でソ連漁船、韓国漁船等の操業によって沿岸漁業が大きな制約を受けておる、また漁網、漁具等の被害も頻発をしておるという事情から、どうしても十二海里に領海を拡大しなければならない、こういうことで御審議を煩わしておるという事情からいたしまして、向こうからそういう誘いがありましても、私は、わが方の十二海里の中にソ連の漁船を入れる、そしてわが方もソ連の十二海里の中に入る、そういう協定はするつもりが全くございません。そのことをはっきり申し上げておく次第でございます。
○片岡委員 それでわかりました。 次に、十二海里の宣言が非常に延び延びになっておった、政府側でもいろいろ検討されて、その結果延び延びになっておった、こういうことを考えますときに、この宣言がなぜそう延び延びになってむずかしい問題であったのか、いろいろの理由があるのだろうと思いますが、この根本原因についてひとつ率直にお話を承りたいと思います。
○鈴木国務大臣 この点につきましては、前三木内閣の去る昨年の一月の閣議におきまして、わが国も十二海里に領海の幅員を広げなければならない、そういう閣議了解をいたしておりますが、その中で、国連の海洋法会議におきまして外国の船舶等が通航いたしますいわゆる国際海峡、これが御承知のように一般の領海における通航よりもより自由な通航制度、こういう方向で論議が進められておるわけでございます。それは無害通航よりももっと自由な通航制度、こういう方向が国連の海洋法会議で有力な意見として出ておったことを勘案をいたしまして、国連海洋法会議の動向を十分見きわめた上で、十二海里の設定をするのだ、こういうことで時間がおくれておったわけでございます。 しかし、福田内閣になりまして、私が農林大臣に就任いたしましてから、もうさような悠長なことは考えておれない。現在の沿岸におけるところの外国漁船の操業等の実態を考えますと、一日も早くやらなければならないということで、このような、本日御説明申し上げたような内容の領海法案を提案をいたした次第でございます。
○片岡委員 それで了解をいたしておきます。 次に、お伺いいたしたいと存じますが、外国の大型の漁船が、特にソ連の漁船団がわが国の漁場を荒らし回って、わが国の漁船や漁具に対して多大の被害を与えておるということは、しばしば沿岸漁業者の方々から切々と訴えられておるのでございますが、その被害の状況につきましては、国会に提出せられております資料によりますと、年年増加しておる、特に四十九年度が千四十二件も起こっており、前の年の四十八年は百二十三件であるが、四十九年には千四十二件、そうして被害額も非常に大きくなって三億四千十八万円ということでございます。五十年が大分少なくなりましたが、五十一年度は大体横ばいといったような状況でございます。 その統計の中で、いわゆる十二海里以内で起こっておるものと、十二海里外で起こっているものとの比率を見ますと、十二海里以内、すなわちわれわれがいま設定しようとする領海内で起こっておるものが、四十九年は圧倒的に多く、これが六五%という高率になっております。ところが、五十年度ではやや少なくなって、その半分ぐらいになりましたが、今度は、五十一年度では四月から十二月までの統計だけでもまた六一%と非常にふえておる、こういうことでございます。これらのことによって、沿岸漁業者の方々が大変な迷惑をこうむり、私の選挙区においても、せっかく新しくつくった漁網が切られて流されてしまったということで、大変困っておられる状況を聞いておるのでございます。 そこで、これらの被害事件をどう処置するかということについては、政府の資料によりますと、昭和五十年の六月に、ソ連との間で協定ができて、両国の間に漁業損害賠償請求処理委員会というのが設置されて、ここで処理をいろいろ話し合う、こういうふうになっておるのでございます。ところが、どうもこの処理が一向にはかどらないということで、漁業者の関係の皆さん方から非常に不満が出ておる。この委員会が一体どういうふうに現実に活動しておるのか。そしてまた、その活動した結果、ソ連側に非ありとして、賠償責任を決定したというようなことはあるのかないのか。それらによって賠償がちゃんと行われているのか、行われていないのか。それらの問題についてひとつ確たる実情をお聞かせいただきたいと存じます。 時間がございませんから同時にお伺いいたしますが、恐らくソ連としても言を左右にして、問題がなかなか解決していないのではないかと思いますが、そういう被害をこうむった方々の窮状を考えますときに、これはほうっておいていいものだろうかということを考えるわけでございます。何とかこれが解決つくまで、もちろん融資をするとか、そういう配慮は当然でございますが、それ以外に、国がかわって補償するというようなことを何とか考えてもらえないかどうか、それらの点もあわせて、水産庁長官でよろしゅうございますが、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
○岡安政府委員 ソ連漁船の操業によりまして、日本の沿岸漁民がいろいろ被害を受けているということに関しまして、現在までの経過を申し上げますと、いまお話のありますとおり、四十九年度に飛躍的に被害が多くなりましたので、五十年に入りまして、日ソの間でいろいろ相談をした結果、日ソ漁業操業協定というものが五十年の十月二十三日に発効をいたしたわけでございます。この協定に基づきまして、いまお話のありますとおり、漁業損害賠償請求処理委員会というものが五十一年の三月に発足いたしております。それ以来この委員会が活動をいたしておりまして、現在までにこの委員会に対しまして損害賠償の申請のありました件数が七百五十二件でございます。その損害賠償の請求額が合計約六億円ということになっております。この申請に対しまして、現在までに審査をいたしております件数、審査済み並びに審査中の件数は三十六件でございます。非常におくれているという御指摘もございますけれども、やはりこの委員会は発足早々でございましたので、いろいろ手続その他を決める時間等がございましておくれたのでございますけれども、今後は相当円滑に処理ができるものというふうに考えております。 なお、この三十六件の審査案件のうち二件につきましては、モスクワにもこの賠償請求の委員会がございますけれども、二件がモスクワの委員会に送られております。と申しますのは、日本の委員会におきましては、申請等につきまして、その正確性その他を審査をいたしまして、それが理ありということになりますと、モスクワの委員会に送られて、そのモスクワの委員会で審査をされまして、具体的に被請求者といいますか、いわば加害者といいますか、その者に対しまして、これこれにつきましては支払いをする必要があるのではないかという請求が行きまして処理がされるということになるわけでございますが、現在モスクワにおきまして二件が送付され、審査を経まして書類がいわば被申請者の方に送られているという状態でございます。したがって、現在までに損害賠償が済んだというケースはまだございません。これからになるというふうに思っております。 それから、そういうふうにおくれているのに対しまして、国が融資その他による中継ぎといいますか、代位弁済といいますか、立てかえ払いをしたらどうかというお話でございますが、そもそもこういうソ連漁船によります日本の漁業者の被害というケースにつきましては民事で扱われる問題でございまして、従来それで処理いたしておったのでございますけれども、それでは処理がなかなか進まないというところで、先ほど申し上げました協定ができまして、ルールが確立いたしたというところでございますので、私どもはとりあえずやはりこのルールを尊重をいたしまして、その処理を円滑に進めるように努力いたしたいというふうに思っているわけでございます。そういう制度があるにもかかわらず、国がこれを立てかえるということはいささか問題があるのではなかろうかというふうに考えております。
○片岡委員 ただいまの御説明を伺いますと、七百五十二件、総額六億円の請求に対して、審査済みが三十六件、そのうち本当にソ連に取り上げられたというか、二件しかモスクワへ行ってない。そのほかの大部分のものは、これはどうなっているんですか。これはだめだ、そんなのは申し立て相立たずというふうにソ連側が言っておるのか、この点、ちょっと……。
○岡安政府委員 モスクワに送られました二件以外は現在審査中でございます。審査が終わればモスクワへ送られるということになるわけでございます。
○片岡委員 それでは、その七百五十二件のうち三十六件以外のものは、これは全部泣き寝入りですか。
○岡安政府委員 実は三十六件以外はいまだ手がついていないというところでございまして、順次審査の対象になるということでございます。
○片岡委員 これはなかなかああいう国を相手の話し合いですから、今度の漁業交渉以上にむずかしいものがあるかと思いますが、ひとつ日本の漁業者の皆さん方の窮状に御同情いただいてぜひひとつ政府としても力を入れてやっていただきたいし、外交交渉でもひとつ強力に押していただきたい、こういうことも向こう側のマイナスの点といいますか、ひけ目の点だと思いますので、ひけ目に感じているのかどうなのかわかりませんが、そういう点をひとつ十分折衝に使っていただいて、強力にお願いいたしたいと要望をいたしておきます。 次は、特定海域の問題につきましてお伺いいたしたいと存じます。 このたび遅まきでございましたけれども、十二海里の領海に踏み切られまして、漁業者の多年の要望にこたえられますとともに、新しい海洋秩序の確立のために積極的に踏み出されたということはわれわれは高く評価いたしたいと考えるものであります。ところが、せっかく十二海里に広げられたにもかかわりませず五つの海峡において——国際海峡でございますが、この五つの特定海域というものを設けられて、そしていわゆる領海の範囲を現状のまま凍結する、こういうことになったわけでございます。この点は国の主権の及ぶ大事な基本的な国土の範囲を何か遠慮したようなかっこうになりますことを非常に遺憾に思うわけでございます。こういうことは、いろいろの理由があるのだろうと思います。ことに日本が海洋国家であり、世界じゅうの海峡を利用させてもらっておるという立場はよくわかるのですが、これらの問題についてどういう理由でこれを設定せられたのか御説明をいただきたいと思います。
○鈴木国務大臣 ただいまの御質問は、この法案の審議におきまして最も論議が集中される問題点であろうか、こう思うわけでございます。これは先ほども私申し上げましたように、国連海洋法会議のいわゆる国際海峡についての議論をずっと見ておりますと、一般の領海の中における通航制度よりもより自由な通航制度、これが確保されるべきであるということが最も有力な意見としてその会議を支配をしておる空気でございます。わが国は、御承知のように通商航海を通じまして国の経済の発展を図っておる。こういうような観点からいたしましても、やはりいわゆる国際海峡というのは自由な航行が確保されることが望ましい、そういう立場で、海洋法会議におきましてもわが方の代表は、そのことを強く主張しておるところでございます。そういう立場からいたしまして、わが国の領海幅員を十二海里にする場合におきましても、その主張の線に沿うてわが国自体もやはりいわゆる国際海峡についてはそのような措置を講ずべきである、このように考えておるところでございます。
○片岡委員 いま大臣のお話のございましたように、確かにわが国は世界じゅうの海峡を自由に使わしていただいておるのですから、わが国から何かこの国際海峡に一つの制限を加えるようなやり方になることは、これは厳に慎まなければなりません。そのことはよくわかるのでございますが、まあそうなれば何かほかに方法があったんじゃないか。まあ十二海里にしておいて、この国際海峡には無害通航の制度とか、あるいは無害通航の制度以上に、海洋法会議でいろいろ問題になっておる自由通航の制度あるいは通過通航の制度というようなことがいろいろ考えられておるようでございますが、これはまだ決まるまではなかなかこれが国際的に通用するものとなるかどうかということについてはやはり問題があると思いますので、その点は大変御苦労になっておると思いますが、わが国においては特にむずかしいいろいろの制限もございますので大変苦心の存するところだと思いますが、こういう点について十分論議を尽くしていただいて、そしてできるだけ領海の制限がいつまでも何かこう無作為に放棄されたというようなかっこうにならぬようにひとつできるだけお考えを願いたいというふうに思います。その点ちょっとくどいようですが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○鈴木国務大臣 今回の法案のいわゆる国際海峡についての内容のものにつきまして心配をされておる向きが若干ございます。と申しますことは、他の海域は全部沿岸の低潮線から十二海里になっておる。ところが、この部分、いわゆる国際海峡部分が従来どおり三海里、こういうことになった場合に、他の海域は全部十二海里であるのに、この部分だけが風穴があいているということで、外国漁船がこの海域に殺到してくるのではないか。そうすると漁民の利益を保護することができないのではないか、こういう御心配が一部あるわけでございます。そういう観点に立って関係地域の漁民諸君から私もしばしば陳情を受けておるわけでございますが、これに対しましては、近く提案をいたしますところの二百海里法、今回二百海里法も提案をいたしますし、今回の領海法とあわせましてその対策を考えておるわけでございますが、外国人漁業規制法というのがあることは御承知のとおりでございます。これは、わが国の領海内におきまして外国人の漁業の規制をやることができるという法律になっておるわけでございます。したがいまして、今回の新しい領海法並びに二百海里漁業水域法、この制度を確立することによりまして、外国人漁業の規制法も同時に改正をいたしまして、そして外国人漁業者につきまして、いま御心配なさっておる海域等においては操業ができないような規制措置を講ずる、こういう措置を私どもとる方針でございまして、関係地域から御陳情があった御心配の点は私は、絶対にそのことが保護される、確保されるように措置してまいる考えでございます。
○片岡委員 それでは、わが国は四面海に囲まれておるわけでございまして、たくさんの海峡を持っておるわけでございます。たくさん海峡のある中で国際的に使われておるものとそうでないものとが区別できるわけですが、特にこの五つの海峡を特定海域として指定せられた理由、その根拠をひとつ長官からでもお示しいただきたいと思います。
○岡安政府委員 今回五つの海峡に関連する海域につきまして特定海域とする特別措置を講ずることといたしておりますのは、この海峡につきましての外国船舶の交通の実態、それから海峡につきまして、これが公海部分とのつながりでありまして、三国間といいますか、わが国に入ってくるということよりも、公海から公海への通常の連絡航行というような便にどの程度利用されているかというような実態を考えまして、今回この五つの海峡につきまして特定海域とするということにいたしたわけでございます。
○片岡委員 そうすると今度の五つの海峡は特に外国船に非常によく使われておるという統計上のいろいろの根拠があるわけですな。
○岡安政府委員 実態を調査いたしまして、私どもといたしましてこの五つの海域につきましてこういう措置をする必要があるというような結論に達したわけでございます。
○片岡委員 次は、私はこの特定海域における沿岸漁業の保護、救済の問題についてお伺いしたいのです。 これは、ただいま大臣からお話がございまして、将来は外国人漁業規制法というものによって、海洋法で採用せられるという段階では二百海里の海域の問題のときにお考えになるということでございますから問題ないと思いますが、心配になりましたのは、その特定海域になったところによその漁船がたくさん寄ってくるような好漁場があるのですか、ないのですか。非常に条件のいい漁場があるのかないのか。これは、このためにたくさん寄ってきて、沿岸の漁業者の方々に御迷惑になることが多いんだろうと思いますが、その点はどういうような状況に考えておられますか。
○岡安政府委員 五つの特定海域につきましての現在の漁業の操業状況を考えてみますと、まず共同漁業権等につきましては、その大部分が現在の三海里の領海の中に入っております。もちろん三海里から十二海里のところにはみ出ているところもございますけれども、相当部分は入っていると考えております。ただそれ以外の漁業につきましては、御指摘のとおり、イカ等を中心にいたしまして相当重要な漁場がございます。現在も相当操業をいたしております。 ただ、外国漁船とのトラブルの発生等の御指摘でございますけれども、現在までは、ほとんど外国漁船が来ていないか、また来ておりましても非常に例外的な操業をやっておりますので、現在までトラブルがございません。したがって、私どもは御指摘のような御心配はないものと思っておりますけれども、先ほど大臣がお答えいたしましたように、私どもはそういうことがないように措置はいたしたいというふうに思っている次第でございます。
○片岡委員 この特定海域というのは、附則によって「当分の間」となっておるのですが、この「当分の間」という意味をここではっきりさせておいていただきたいと思いますが、いつまでのことでございますか、農林大臣の御見解をお伺いしたい。
○鈴木国務大臣 これは、先ほど申し上げましたように、国連海洋法会議等の動向また各国のいわゆる国際海峡に対する対応、そういうものを全般的に総合判断をしなければならない、こう考えておりますので、「当分の間」ということにいたしたわけでございます。
○片岡委員 今度は若干細かい点についてお伺いいたしたいのですが、領海法の第二条の規定にあります基線でございますが、この基線というのが従来の三海里や何かの問題のときと違ったところがあるのかないのか、その点をお伺いいたしたいのと、それから第二条の一項の「湾口若しくは湾内又は河口に引かれる直線」ということでございますが、これは、津軽海峡のように湾が二つも三つも重なっておるようなところはどういうふうになるのか、特に津軽海峡の場合について御説明いただければありがたいと思います。
○岡安政府委員 まず基線の問題でございますけれども、第二条に書いてございますが、結論を申し上げますと、現在領海を設定してありますけれども、その基礎になる基線と今回とは変わっておりません。従来どおりでございます。 それから津軽海峡、特に陸奥湾についての引き方の御質問でございますけれども、現在御指摘のとおり、陸奥湾につきましてはその内側の方に青森湾とか野辺地湾というようなものがございます。しかし、今回ここの湾に引かれる線の場合には陸奥湾の入り口が若干二十四海里より広いようでございますので、これが内側へ若干入りまして線が引かれます。したがって、その中は全部内水ということになりますので、それ以外の青森湾や野辺地湾はすべて陸奥湾の内水になってしまうというような線の引き方を私どもは考えておるわけでございます。
○片岡委員 次は、本法附則第一項において「この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。」というふうに規定されておるのでございます。普通の法律は、公布の日から施行の日まで相当長期に準備期間がとられておるのでございます。事の性質上そういうことが必要なのだろうと思います。ところがいま領海のみならず二百海里の経済水域、漁業水域についても、早急に土俵を決めて日ソ漁業交渉に臨まなければならぬという非常に緊迫した状態にございますときに、この三カ月というのは何か少しのんきなような気がいたすのでございますが、これはこのままでいいのですか、それともこれはやむを得ないのですか、また日ソ交渉にどういう関係があるか、その点を御説明いただきたいと思います。
○鈴木国務大臣 片岡先生おっしゃるとおりで、一日も早くこれは実施し発効さるべきことが望ましい、こう考えておりますので、三カ月以内ということではございますけれども、早急に実施ができますように措置を講じてまいる考えでございます。
○片岡委員 これもやや事務的な問題ですが、領海が三海里から十二海里に拡張されますと、わが国の領海はいままでの領海に比べて一体どのくらいふえるのか、その点についてお伺いいたしたいと存じます。数字がわかればお示しいただきたい。
○岡安政府委員 これは実は海上保安庁の試算でございますけれども、現在の領海三海里の場合におきます領海の面積は約七万五千平方キロメートルでございます。これを十二海里に拡張した場合の領海の面積が約三十一万平方キロというふうにになると考えられますので、約四・一倍ということになると思っております。
○片岡委員 これだけ領海が広がりますと、当然この領海の中の警備体制というものが飛躍的に強化、拡充されなければならぬと存じます。恐らく海上保安庁その他のところにおいては、それぞれこの領海の拡張、さらに二百海里の将来のことを考えて、五十二年度の予算でも海上保安庁の体制も相当整備されておる、拡充されておるとは思いますが、これらの海域の警備の問題について、これはぜひ万全を期していただかなければなりませんし、これをせっかくやっても外国漁船が来て自由にやっておるということではこれは全然効果のないことでございますから、この点の海域警備についてどういう態勢が敷かれておるか、それらの問題をお聞かせいただきたいと同時に、平素の問題は海上保安庁がやるのだろうと思いますが、何かこういざこざが起きたときに海上自衛隊の出動というようなことが起こるのか起らぬのか、そういうときにどういうふうな連絡ができておるのか、それらの問題について概括の点についてお聞かせ願いたいと思います。
○間政府委員 領海の範囲が拡大することに伴いまして海上保安庁の業務が飛躍的にふえる、それに対しまして海上保安庁としては万全の態勢をとらなければならないということはもうそのとおりでございまして、私ども現在その方向に向かって整備計画を進めておるところでございます。 まず、現在の海上におきますところの領海警備の状況を概略簡単に御説明申し上げますと、海上保安庁は現在巡視船艇を三百十隻、航空機を三十四機保有いたしております。これを、全国各地の保安部署に分散配備をいたしまして、おおむね距岸五十海里以内をそれぞれの巡視船艇の行動範囲と決めまして常時巡視、警戒を行っておるわけでございます。こういうことを行うことによりまして、これまでにおきましても、領海内におきましていわゆる無害でない通航を行ったようなもの、俗に領海侵犯と申しますが、こういったようなものにつきましては、これに対して必要な措置をとっております。必要な措置と申しますのは、その状態を是正させる、あるいはその是正に従わないものについては領海外へ退去させる。また、中には法令の違反に該当するものがございますが、こういったものにつきましては刑事訴訟法に基づきましての検挙をするというふうな措置をとってきておるわけでございます。 これが、現在領海は三海里でございますけれども、今後十二海里にふえますと、先ほど水産庁長官からの御答弁にもございましたように、その範囲は四倍以上になるわけでございますので、われわれの常時目を届かせなければならない海域というものがそれだけ広がるわけでございますから、私どもの船艇あるいは航空機の勢力もそれに応じた増強が必要になります。 そこで、まず当面この五十二年度予算におきましては、大型のヘリコプターを搭載する巡視船、これは全く新しい型のものでございます。それから三十メートル型、これは三十ノットを出します高速の巡視艇を二隻、それからYS11型の大型の飛行機を一機、またヘリコプターを一機、これをそれぞれ増強することにいたしております。また、そのために新しく日本海の美保に航空基地をつくることにいたしまして、主として日本海方面の警備態勢を固めることにいたしております。そのほか、現在私どもが持っておる巡視船の中にもかなり老朽の船がございまして、これは性能が非常に悪いわけでございますので、それらの巡視船の代替計画を、これは毎年計画的に進めておるわけでございますが、五十二年度におきましてもその代替が先ほどの増強のほかにございまして、これによって性能はそれだけまた強化されるということになるわけでございます。 以上が当面私どもが行っております体制の強化でございますけれども、また今後二百海里の漁業水域というものがいよいよ目前の問題になってまいりましたので、これに対する対応の仕方というものもさらにわれわれは考えていかなければならないということで、現在部内におきましてそれに対する計画の練り直しを実はやっておるわけでございます。そういうことで、海上保安庁といたしましては、今後の領海拡大に伴う体制の強化については遺憾のないように措置をしたいというふうに思っておるわけでございます。 また、そのほかに自衛隊との関係でございますが、海上におきますところの警備の問題は、一般的にはこれは海上保安庁の所管でございます。しかし特別の必要のある場合、人命、財産の保護あるいは治安の維持という面で特別な必要のある場合には、自衛隊法の八十二条によりまして、内閣総理大臣の承認を得て防衛庁長官が自衛隊について海上で行動をとらせることができるということになっておりますので、そういう必要の場合にはまた自衛隊においての措置がとられることもあり得るかと思います。またそのほか、私どもは常時自衛隊との間に情報連絡の体制はとっております。これはまた法律的には自衛隊法の百一条に、自衛隊と海上保安庁は「緊密な連絡を保たなければならない。」という規定がございまして、これに基づいてやるわけでございますが、そういうことで、これまでにおきましても自衛隊において発見いたしましたいろいろな不審船などにつきましては、その都度迅速に私どもの方に情報をいただいておりまして、それに応じて巡視船を現場に派遣するというふうな措置をとっておるわけでございます。
○片岡委員 もう時間がございませんので、最後の問題について大臣の御答弁を賜りたいと思います。 それは、先ほどのお話で特定海域というのは当分の間でございますが、この当分の間が切れるときに、これはやはり領海法の改正が必要になってくると思います。 〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 そうなりますと、現在の各特定海域の距離といいますか、幅といいますか、書いたものを見ますと、宗谷海峡は二十海里、それから対馬西水道が二十三海里ということで、これら特定海域が「当分の間、」というのがなくなったときには、相手国といいますか、対岸国との領海のオーバーラップする地域が出てくるわけでございます。こういうときにどう措置をするのか。これは大臣ではなしに、あるいは外務省の方が来ておられるなら外務省の方にお伺いしたいのですが、こういうときにどういう国際法の原則があるのか、何か特別の規定があるのか、この「当分の間、」が切れたときに領海法の改正をしなければならない段階になるだろうと思いますが、そういう手続等について最後にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
○中島政府委員 お答え申し上げます。 現行の国際法上、これは領海及び接続水域の条約でございますが、二国の海岸が向かい合っている場合には、その両国の間で特別の合意がない限りは、または歴史的な権原その他特別の事情で必要である場合を除いては、通常領海の境界線は中間線を越えてはならないということになっておりまして、いま先生の御指摘のような事態におきましては、当然そのような中間線ということが境界線になるというふうに考えております。 それから、先ほどの現状凍結から通常の十二海里の幅に戻るときに法律の改正が必要かという御質問に対しましては、当然そのようなことになるだろうというふうに考えております。
○片岡委員 終わります。
○金子委員長 野坂浩賢君。
○野坂委員 鈴木農林大臣は再度訪ソをされて四回にわたる漁業会談を続けてまいられて、お帰りになったことは非常に御苦労さまであったと思います。特に、いま悲痛な中にも、将来の展望を見出すために決意の表明もあわせてされたところであります。 そこで、私は大臣にまずお伺いをしておきたいことがあります。 それは、日ソの漁業会談が行われて終わった後、十五日にイシコフ漁業大臣と鈴木農林大臣の昼食会の席上において、イシコフ漁業相は一筋の期待を持たせる態度を示した、こう言って新聞が報じております。この感触について、鈴木農林大臣は福田総理にもそのように御報告になっておりますが、交渉が再開をされるということになれば、二、三日で片がつくかあるいは百日戦争になるであろう、こういう見解が述べられております。したがって、イシコフ漁業相との昼食会の席上で、イシコフ氏が期待はある、こう言った、そういう感触についてどのようにあなたはお考えになっておるのか、その点をまず聞きたい。
○鈴木国務大臣 十四日の会談におきまして、私は前二回の会談、それからそれまでに至る経過等を踏まえまして整理をして、いろいろ日本側の考え方をずっとトレースして説明をし、ソ側の態度もずっと整理をして、あなたの方の考えはこうである、こういう点が食い違いがある、そこで、十六日に私は一度日本に帰って国会にも御報告をし、また総理初め関係閣僚にも報告をしてやってまいる考えであるが、再度お会いをしよう、こういうことで十四日に会談を一応区切りをつけたわけでございます。その際にイシコフ大臣は、私もいままでの交渉の経過を詳細コスイギン首相に報告をいたします。こういうお話がありました。 私は、十四日で一応イシコフさんとの会談は区切りをつけて、十六日に出発をするということでございましたから、十五日の会談は全く予定していなかったわけでございます。しかるところ、十五日の朝に漁業省のイワノフ官房長が私の宿舎を訪ねまして、時間の御都合がつくのであればぜひ昼ごろイシコフ大臣が会談をいたしたい、こういう申し入れがあったわけでございます。そこで私は、前日交渉の経過並びに結果をコスイギン首相にも御報告をする、こういうことをおっしゃっておりましたから、予定のない十五日に私に会談を申し入れてきたということからいたしまして、これは相当の理由がそこにあるのではないか、こう判断をいたしまして、十五日の昼の会談に応じたわけでございます。 その際に、形式は私とのしばらくの間のお別れの午さん会というような形で、大臣の執務室に食事の用意をわざわざいたしまして、一時間余りにわたって懇談をしたわけでございます。そのときイシコフ大臣は、何としても日ソ友好のためにこの漁業暫定協定はできるだけ早く締結をしなければいけない、成功させなければならないという熱意ある言葉を述べられまして、そして私もEC、ノルウェー、デンマーク等の漁業交渉の日程は重なっておるけれども、できるだけ早く帰ってくるので、五月の上旬には早期に会談を再開をして、早くひとつこの妥結にこぎつけるように相互に努力しましょう、こういう言葉があったわけでございます。私はコスイギン首相にも報告したという前後の事情等を総合勘案をいたしまして、ソ側のこの交渉に当たる熱意というものをくみ取っておるわけでございます。 なお、先ほど来御報告を申し上げましたように、本当に残された問題は第一条の適用海域の問題一つが残っておるわけでございます。したがいまして、五月の上旬に再会談をいたしまして、これが本当に相互の立場を損なわないように円満な妥結ができるのであれば、それは再会談後二回か三回の会談で結論が出るであろう、それがもう五回、六回やってもなかなか結論が出ないようであれば、これはなかなか解決点を見出すということは困難であるというようなことから、新聞で御質問に対して、そういうような、五月に再開された場合にはわりあいに早くまとまるものであればまとまるだろうし、これが長期になるようであればこれはなかなか容易ならぬ会談になる、交渉になるということを申し上げた、こういうことでございます。
○野坂委員 イシコフ漁業大臣が早期に締結をしたい、ソ連にも日本のためにもと、こういうお話でありますが、農林大臣は五月の上旬ということでありますが、何日に大体予定をされておるのか、その点伺いたいと思います。
○鈴木国務大臣 御承知のように五月一日がメーデーでございます。例年メーデーの日から五日までソ連邦各共和国の首脳がモスクワに集まる、一堂に会するというような行事等があるようでございまして、この一日から五日まではなかなかソ側も行事がたくさんあって繁忙だ、こう思っておりますので、六日以降十日までの間に何とか早く会談をしたい、こう考えております。
○野坂委員 今日超党派の議員団の諸君もモスクワを訪れて、昨日でありますか、シチコフ連邦会議議長と会談をしております。その際に、櫻内代表団長等も日本漁民の実情、そういうものを報告をして予解を求めようとしておりますが、その中で、あなたがお帰りになった後、ソ連の首脳が暫定取り決めのできなかった理由について、日ソ友好条約を望まない一部の東京勢力と書いてありますが、新聞等では名前も挙がっておるようですけれども、そういうことのためにこの締結がむずかしかった、こういうふうに述べておる新聞もあります。そういう点については、農林大臣はどのように受け取られ、どのような感触を持っておられたのか。
○鈴木国務大臣 私はこの漁業交渉が早期な決着がつかなかった理由というもの、その原因、責任はどっちにあるのだ、こういうようなことをいま言い合ってみても始まらないことであり、またそういうことを言い合うことが決して日ソ友好関係の発展の上からも、今回の交渉の円満な妥結を願う観点からも何ら益するところはない問題である、このように基本的に考えております。ただ、私がイシコフ大臣その他と会談をいたしておって感じましたことは、日本の報道機関の記事というものは、非常に神経を使って細大漏らさず情報を収集しておるようでございます。マスコミの報道には神経を使っておる。また、日本国内のいろいろな動きについても神経を使っておるようでございます。このマスコミの報道ぶりなりあるいは国会の動きというものを、一部の者の煽動なりあるいはそれらの主導によってそういう情勢が生まれておるのではないか、そういう見方をしておるようなことが感じ取られました。私は、これは全く間違った皮相の見方であって、日本のマスコミその他にあらわれますところのこの国民の声、心、まさに私はこれが自然発生的に盛り上がってきたところの国論だ、このように考えております。また国会の挙党一致の強い要請、これも私は国民を代表する国会の皆さんの、本当に国の将来を考える立場からの、国益を踏まえての一致した御意見だ、こう思うのでありまして、一部の者のリーダーシップなり働きかけによってそういうものはできていない。これを一部の者の働きかけとかそういうもののためにああいうことになっているのだという見方は、本当の日本の国情、国民世論というものを認識しない言葉である、こう考えて見ておるわけでございまして、それを一部の者の働きかけによってそうなっているのだなどという、そういうことから言って日本側に責任があるとかなんとか、そういうようなことはお互いに慎むべきことだ、こう考えております。
○野坂委員 ソ連のそういう認識については、あなたの漁業交渉の中で完全に払拭された、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○鈴木国務大臣 その点は、日本の報道機関の報道ぶりというようなものはつくられてできるものではない。これはそれぞれの国によって体制は違いますが、日本の報道機関というものはもう自由な観点から報道をしておる、こういうことであって、それはつくられた世論ではない。日本ほど自由な言論が尊重される国はない。だから一部の者がそれを使嗾しておるとかたくらんでおるとか、そういう結果の報道ぶりではないというようなことは十分説明をいたしております。
○野坂委員 農林大臣が報告された中で、問題は第一条で、第二条は大体まとまるであろう、こういうことでありました。わが国の領海が設定をされて、その中でソ連が魚なりイワシなりとらせてくれという話があって、それが断られた。ソ連がそれを一たん放棄したというふうに私たちも承知をしております。その後、日本の新領海の十二海里内における操業権の要求の問題を再び復活をしてきた、とらせてほしいということを再び要求してきたというふうにも聞いておるのでありますが、その間の事情はどのようになっておるのか。その点については明確に、先ほど報告がありましたように、十二海里以内は他国の船は入らせない、こういうことは今後も変わりはないというふうに考えてよろしいか。
○鈴木国務大臣 日本の新領海の中では、第三国の漁船、外国漁船の操業は認めない。ソ連もそのことにつきましては、領海の中では当然の権利として操業を要求する、これははっきり取り下げております。ただ、先ほども御説明申し上げましたように、ソ連の法体系は領海十二海里も含めて漁業専管水域ということになっておるわけでございます。そこで、漁業専管水域の中であるから、その漁業協定とは別個の協定、両国の合意によって、操業の道はソ連の法制上は許されている、こういうことでございます。しかし、わが方がソ連の十二海里の中に入っていくつもりはない、したがって、あなたの方も十二海里の中で操業することを要求してきても、わが方としてはそういう特別な取り決めをする意思はないということをはっきり申し上げておるわけでございます。
○野坂委員 交渉された中でいま最大の争点とされているものは、ソ連の最終案といいますか、それは一九七七年二月二十四日付ソ連閣僚会議決定によって北方領土をソ連領とみなして具体的に線引きされているようである、ここが問題です。政府は、さきの鈴木・イシコフ会談によってソ連最高会議幹部会令によって暫定取り決めを行うべきであると主張しております。最高会議幹部会令と閣僚会議決定との関係ですが、これは外務委員会でも、法律と政令のようなものであるというふうに言われておると承知をしておりますが、この最高会議幹部会令と閣僚会議の決定、これは中身としてはどのように違のうか、その点はどうですか。
○鈴木国務大臣 私とイシコフ大臣との三月三日の合意文書、これは適用海域のことをその中でうたい上げておるわけでございます。ソ連邦沿岸に接続する北西太平洋の海域で、かつソ連邦最高会議幹部会令の適用を受ける海域、こういうことになっております。ソ連邦沿岸に接続する北西太平洋の海域というのがまずございます。ソ連邦沿岸に接続する海域ということに、いま不法に占有しているところの北方四島もソ連側としては含めておるかもしれません。しかしわが方はそういうものは絶対認めていない。わが方の固有の領土であるという立場に立っておるわけであります。ソ連邦沿岸に接続するあの北西太平洋の海域という文字を日本人として読んだ場合におきましては、北方の四島は含んでいない表現である、私はこういうぐあいに読むわけでございます。まあ同床異夢ということになりましょうか、そういうことが、あの際に私が合意した点でございます。 それからもう一点、閣僚会議の決定の問題がございます。これは幹部会令第六条に基づいて閣僚会議の決定がなされておるということを言っておるのでございます。私は幹部会令の条文をずっと何遍も何遍も読んでみたわけでございますけれども、お手元にあると思うのでありますが、幹部会令の適用をする海域というのは、幹部会令の第一項が海域をうたい上げておる条項だ、こう私は思っております。これをごらんいただけばわかるわけでございますが、それを受けて第二条以下におきましても、第一項によって定められた海域ということでその他の規制措置等もうたわれておる、こういうことでございまして、ソ連の法律と日本の法律を読む場合におきまして、どうもその辺がわれわれの十分納得がいかない点もございます。そういうようなことで、政令は私は知りません。政令は知りませんが、幹部会令におきましてはそのような認識を持っておるということでございます。
○野坂委員 宮澤欧亜局長もおいででございますが、いま農林大臣がお話しになりましたけれども、最高会議幹部会令と閣僚会議決定、それは法律と政令というような関係のものである、こういうふうにあなたはお話しになったというふうに私たちは承知しておりますが、そうすると、法律をつくって政令を具体的に出す、全く一体だ、こういうことになりますが、全然別なものか、どう違うのか、法的に明らかにしてもらいたい。
○宮澤政府委員 ただいまおっしゃいましたように、私、過日外務委員会におきまして御質問に答えまして、最高会議幹部会令は法律のようなもの、それから大臣会議決定はこれについての施行令のようなもの、こういう御説明をいたしました。これは全く異なった体制の国家におきまして、異なった法制度のもとにつくられておるものでございますので、厳密にこれを類推することは困難と思いますが、私がそのようにお答えいたしました根拠は、ソ連邦の憲法に規定するところに従って一応そのような御説明をしたわけでございますが、ただいまソ連で行われております一九三六年の憲法、これが現行憲法でございますが、これに幹部会が立法機関であるということ、そして幹部会の権限は憲法第四十九条でございますが、十八項目にわたって規定されております。その中に、「幹部会令を発する」という規定がございます。それで、ただソ連の憲法の多少不思議に思いますことは、幹部会令の発布の対象となるべき事項が明示されておりません。しかしながら、列記されておりますところから見ますと、内容は別でございますが、法律と申すべきものを制定するという権限があるということがここに記されております。それから大臣会議につきましては、同じく憲法の六十六条でございますが、「ソ連邦大臣会議は、現行の法律に基づいて、かつ、これを執行するため決定及び命令を発し、かつ、その執行を検査する」と規定しております。 そこで、問題の二百海里水域でございますが、ただいま鈴木大臣もちょっとお触れになったと思いますが、この最高会議幹部会令の第六条に、「ソ連邦沿岸に接続する具体的海域についてとられる生物資源保存及び漁業規制のための暫定措置の実施の条件及び期間、本幹部会令の諸規定の遵守状況の監督措置の確定ならびに本幹部会令第二、三、四及び五条の適用方法はソ連邦大臣会議が規定する。」このようになっておりまして、さらにその大臣会議決定におきまして「第六条に従い」云々、こう書いてございます。そのようなことから類推をして私は一応先ほど申しましたようなお答えをいたしたわけでございますが、重ねて申し上げますが、異なる体制の異なる法制度のもとに行われておりますものでございますから、それが一〇〇%私どもの法律に当たりそして施行令に当たる——この点必ずしも明確でございません。
○野坂委員 そうしますと、外務省の欧亜局長の見解によると、幹部会というものはいわゆる立法機関だ、その法律に基づいて具体的なことは大臣会議で決定するんだ、こういうことになっている。一体感というものが出てきた。 そこで、農林大臣にお尋ねをしたいと思いますのは、従来われわれは、ソ連邦最高会議幹部会令では明確にその線引きがされていない、したがってソ連閣僚会議決定ということになるといわゆる千島全島、北方四島を含む線引きが明確になってくる、だから閣議決定ではなしに幹部会令の線でということをやられたわけですが、いまの見解とあわせると、その点については非常にはっきりしてくるのではないかというふうに思われるわけですが、どうお考えでありますか。
○鈴木国務大臣 幹部会令そのものを、北方四島の問題にいささかでも関連があるということで、これはとらざるところである、こういう立場に立ちますと、これはもう漁業交渉をしようではないかと言ってドアのノックすらもできない、そういうことになろうかと私は思うのでございます。わが国は、さきに日米漁業協定を結んだわけでございますが、これはアメリカが二百海里法によって設定したところの二百海里内におけるアメリカの主権的権利の管轄権の執行を認めなければ二百海里の中には一歩も入れない。国連の海洋法会議で国際的な合意を得ようとして会議が進行中に、アメリカのような世界のリーダーである国が海洋法会議の結論を待たないでああいうことをやったということに対しては、私は非常な不満を持っておるのです。しかし、現実に国会で二百海里法というものができた。カナダもこれを承認をし、漁業協定を結んだ。相次いでソ連もこれを承認をし、そして漁業協定を結んだ。わが国も、この二百海里の中におけるアメリカの主権的権利の行使というものを否定した場合におきましては、一隻の漁船も一歩も入ることができない、こういうことであったわけでございます。 ソ連がどういう線引きをするかはこの幹部会令ではまだ定かではない。しかし、この二百海里に対するソ連の主権的権利を行使する、こういうたてまえで幹部会令というものができておる。その幹部会令そのものも否定してかかったのでは、漁業交渉は全然開けないわけでございます。問題は、この幹部会令に基づいてどういう線引きを向こうがするのか、どういう表現をするのか、わが方がそれにどういう対応をするのかというのが問題であって、幹部会令そのものを頭から否定してかかった場合におきましては、漁業交渉はもう初めから成り立たない、またそれを認めない場合においてはわが方は北洋の漁場に一隻の漁船も入ることができない、こういう基本的な問題がそこに存在するわけでございます。でありますから、具体的な線引きについて、両国の立場を損ねないでやるような表現が一体とられるかどうか、これが焦点である、こういう認識でございます。
○野坂委員 私どもも領土と漁業の問題、これは別にしてできるだけ早期に締結をしなければならぬ、こういうふうに思っておるのです。しかし、ソ連はソ連なりの解釈をする、わが国はわが国なりの解釈をする、言うならばそれぞれの立場で玉虫色といいますか、そういうようなものになりがちだし、そうなってきた今日の問題である、そういう点もこれからいろいろ問題になります。 予定をされました時間は過ぎておりまして、本会議が開かれますので、この問題を保留して一応質問をここで打ち切って、午後からやらせていただきたい、こう思います。
○金子委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時三十九分休憩 ————◇————— 午後三時三十一分開議
○山崎(平)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。野坂浩賢君。
○野坂委員 午前中に引き続いて農林大臣にお尋ねいたしますが、去る三月の八日に駐日ソ連大使は、北方領土に対するわが国の領土の主張に対して抗議して、日ソ間には未解決の領土問題は存在しない、こういうふうに言っておりますが、いま農林大臣から御報告がございましたように、一九七三年の田中・ブレジネフ会談、この日ソ共同声明において、両国の首脳は、戦後の未解決問題を解決をして平和条約を結ぶため交渉を継続すると合意をしております。当時の田中総理は、未解決の問題とは領土問題であると強調しておりますが、このとおりなのかどうか。 それから外務省の宮澤さんにお尋ねをいたしますが、領土問題について、ソ連政府はわが国と交渉する義務を負っておる、こういうふうに私どもは解釈をいたしますが、それでいいのかお尋ねをしたい。
○鈴木国務大臣 私に対する御質問は、全くそのとおりでございます。両国の最高責任者の間の合意でございますから、私どもはそのように確信をいたしておるところでございます。
○宮澤政府委員 田中総理大臣が訪ソされまして一九七三年の十月にモスクワで出されました共同声明でございますが、この中で、一項でございますが、「双方は、第二次大戦の時からの未解決の諸問題を解決して平和条約を締結することが、両国間の真の善隣友好関係の確立に寄与することを認識し、平和条約の内容に関する諸問題について交渉した。双方は一九七四年の適当な時期に両国間で平和条約の締結交渉を継続することに合意した。」こういう共同声明がございます。 それから一九五六年の日ソ国交回復をいたしました共同宣言でございますが、この九条に「日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、両国間に正常な外交関係が回復された後、平和条約の締結に関する交渉を継続することに同意する。」ということでございまして、特に最初に申しました共同声明の中の未解決の諸問題、これが領土問題というふうに双方で確認をいたしましたので、このような双方の合意いたしました文書によれば、ソ連側は当然そういう義務があると申しますか、そういうことに合意をしたわけでございます。 委員長、この際訂正してよろしゅうございますか。——先ほど私が御説明いたしました中で、最高会議幹部会令と大臣会議決定の関係につきまして、多少正確を欠きまして御説明をいたしましたので、ちょっとこの際、訂正をさせていただきます。 私が申し上げましたことは、結論的には同じでございますが、ただ、その際引きましたソ連憲法の条文等がちょっと不正確でございましたので、訂正いたします。的確に、簡潔に申し上げます。 〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 ソ連の現行憲法の三十二条によりますと、「ソ連邦の立法権は、ソ連邦最高会議によってのみ行使される。」すなわち、立法権がソ連邦最高会議にあるということは三十二条、それから同じく四十八条は「ソ連邦最高会議は、両院の合同会議において、ソ連邦最高会議幹部会を選挙する。」云云、多少後がついております。それから同四十九条の(ロ)はソ連邦最高会議幹部会は「幹部会令を発する」と、こういう規定がございます。ところが、先ほどこれはちょっと御説明申し上げましたが、この中には幹部会令発布の対象となるべき事項が明示されておりません。しかしながら、幹部会は、事実上法律の改正ないし新法律の制定を行う幹部会令を現に発出いたしまして、それが最高会議の確認を得る前に効力を発生せしめておりますので、そういうことから考えますと、幹部会令も法律と同様の効力を有しているものと思われます。事実、ソ連の法律学者ラザレフという人がその本の中におきまして、ソ連の憲法が多少とも不備と申しますか明瞭でないという点を指摘いたしまして、そしてその中で幹部会令は法律とほとんど同一の立場をとるような状況にある、こういう解説もしておりますので、条文等、おわびをして訂正いたしました。
○野坂委員 内容は同じでありますから、いまそれぞれお話をいただきましたように、未解決の問題とはいわゆる領土問題である、わが国としては北方領土、われわれは全千島という理解でありますが、その北方領土に対して第一条でいろいろ問題があった。そこで、ソ連は閣僚会議決定による線引きをして、これに対してわれわれは応ずることはできないわけでありますから、この際、二百海里というのは、ここ二、三日中にわが方もここに上程をされる、こういう運びになってきたわけでありますが、農林大臣としては、やはり二百海里を早期に設定をして、あのモスクワ会談にその二百海里を宣言したものを持っていって交渉に当たった方がよかった、こういうふうに思っておられると思うのです。その点はどうかということが一点。 もう一つは、そういう情勢が出ておるのに、三月一日からソ連は二百海里を宣言をしておる、それなのにこのようにおくれたというこの事実は交渉に大きな問題を投げかけたと思うのでありますが、それぞれの点については遅きに失した、こういうふうにお考えになっているかどうか。
○鈴木国務大臣 交渉に当たりまして、同じ条件、同じ土俵で交渉を進めるということが会談を進めるに当たって好ましい条件である、私はこのように考えております。しかるに、三月から交渉に当たる前にそういう条件整備について手おくれであったのではないかという御指摘につきましては、私も、確かにその対応がおくれたということを率直にお答えをいたしまして、おわびを申し上げる次第でございます。
○野坂委員 近々に出される二百海里法案、この二百海里の水域は北方領土をわが国固有の領土として線引きをされる、こういうふうに考えてよろしいか。
○鈴木国務大臣 二百海里法につきましては、当然わが国の領土沿岸の沖合い二百海里に設定をする、こういうことに相なります。
○野坂委員 そういたしますと、ソ連の二百海里とわが国の二百海里とは交差をいたしますね。交差をするということになりますと、その交差をしておる水域、海域は共同規制水域ということに常識的にはなるだろう、そういうふうに考えてよろしいか。それと、それぞれの裁判管轄権、取り締まり管轄権、そういう問題はどのように処理をされていくのか。
○鈴木国務大臣 確かにソ連は、現在占有しておるという戦後三十年のこの実態を踏んまえて四島沖合いについて線引きを考えておる。これはソ連の閣僚会議決定にも見られるとおりでございます。わが方は、二百海里法案ができますれば、これまた当然固有の領土である北方四島沿岸沖合いについても二百海里を設定することになるわけでございます。そうすると、その海域がオーバーラップする、重なり合うということになるわけでございます。理論上そうなるわけでございます。 しかし、相手方がそのようなことをすんなりと受け入れるかどうかということが今後の問題でございます。もしそういうようなことであれば、日本が二百海里を引いてオーバーラップするというようなことであれば、一切日ソ漁業条約は結ばない、日本の沿岸の三十万トンなり四十万トンの実績は放棄する、しかし、ソ連が言い張っておりますところの二百海里の中にも実力でもって日本の漁船は一歩も入れない、こういうようなことになりますと、なかなか容易ならぬ事態でございます。 日ソ友好関係の維持発展という観点に立ちまして、この北方四島が未解決の問題である、こういう実態を踏まえて、相互がそこを理解し合って締結をする、一条の問題を処理するということになれば、野坂さんのおっしゃるとおりになるわけでございます。その場合における取り締まりあるいは裁判管轄権等の問題は、これまた交渉によるわけでございますが、わが方としては当然旗国主義でやるのが筋を通したやり方である、このように考えるわけでございます。 しかし、これは法律論でございますから、外務省からも見解をひとつ述べさせていただきたいと思います。
○宮澤政府委員 北方四島に二百海里法を適用いたしました場合に、この四島につきましては、実際にただいまのところ日本が施政を行い得ない状況にあるのは事実でございますので、政府といたしましては、かかる現実を踏まえて、実際に施政を平穏に行い得るような状況を実現いたしますよう、ソ連側ともさらに交渉を続けていく、こういう所存でございます。
○野坂委員 一番初めに農林大臣は、イシコフ氏も理解ある態度を最後には示したということでありますけれども、いまの論戦をさかのぼって検討いたしますと、そう甘くない、非常に厳しいだろうというふうに思えるわけであります。これが未解決で同じような立場に立つならば、当然私が言ったように、重なり合ったところは共同水域ということで一つの規制区域が設けられるということになるのは当然だと思うのでありますけれども、施政が及んでいないというところに問題があるというふうな提起の仕方であります。 そこで、この問題は基本的に玉虫色というような解釈の仕方はあるでしょうけれども、基本的に解決をしなければ後の漁業が進まないというように考えられる向きもあります。したがって、基本的に解決するためには、やはり総理なり、あるいは当面、その前に外務大臣なりが農林大臣と一緒に行って、あるいは先に行ってそういう問題を解決する必要があるのではなかろうかと思うのですが、その点については農林大臣はどのようにお考えだろうか。きょうは外務大臣を要求したのでありまするけれども、おいでになりませんから、外務政務次官ですか、あなたの方からもお答えをいただきたい。 やはり基本的にそういう領土問題を解決しなければ多くの問題が進展しないという点もあるのではなかろうかと思います。それが一点と、いま大臣からお話がありましたように、なかなかそう簡単にはいかない、常識的にはそうだけれども、思うように進まない、こういうことから考えてまいりますと、いまの北海道を初め北方漁業に従事する漁民の皆さんや、あるいはそれに関連をする中小企業あるいは加工業の皆さん方の損害というものは重大でありますから、その補償を完全にやって漁業交渉に臨む、こういうじっくりとした態度でなければ、この交渉は拙速主義だけでは解決がしがたい、こういうふうに思います。そういう意味で、たとえば休業補償、仕込み補償、操業中止に伴った帰港経費の補償、乗組員に対する給与の補償、水産加工業者等については操業中止または操業短縮の度合いに応じた政府資金による緊急融資、その他魚市場とかあるいは運搬業とか、影響を受けた関連産業については、補償なりあるいは緊急融資を行うということでなければ、私は交渉というものを成功裏に導いていくことができ得ないではなかろうかということを心配をいたします。したがって、いま申し上げました休業補償なり給与補償の問題あるいは操業中止、操短等によるそういう緊急融資については、政府としては責任を持って善処をしていただけるものだ、また、しなければ、交渉を有利に展開することはむずかしかろう、こういうふうに思量するものでありますが、その点についてのお考え方と善処の方法について伺いたい。
○鈴木国務大臣 前段の、この交渉をわが方に納得できるように解決するためには、まず前提として領土問題についてのはっきりした話し合いをつけなければいけない、そのために外務大臣、総理大臣が訪ソをされてその問題に最善の努力を払うべきだ、こういう御質問がございました。 私は、この領土問題、戦後三十年かかりましていまだに解決を見ていないというなかなか厄介なむずかしい問題でございます。したがいまして、果たして明確に北方四島を日本に帰属せしめるというような領土問題の解決がこの時点においてできるかどうかということにつきましては、私どもは強くそれを希望し、念願をいたしておるわけでございますけれども、この差し迫った時間帯の中でそれが可能かどうかということにつきましては、私どもは非常にむずかしい問題と心得てはおります。しかし、少なくとも田中・ブレジネフ会談、一九七三年のあの合意、未解決の問題として今後も引き続き交渉するんだというそのことを確認ができる、再確認するということになりますれば、先ほど来野坂さんからお話があった御意見、また私が御答弁を申し上げました線で、それがはっきり帰属が明確になるまでの間はそれぞれ線引きがなされまして、そしてそれがオーバーラップをしても、これは特別な海域として、それに即したところの新しい操業秩序というものがそこから生まれてくる、私はそのように存じておるわけでございます。そういうような、これはソ連側が本当に日ソの友好関係を将来に向かって確固たるものにする、将来に向かって発展をさしていこう、こういう考え方がソ連の最高指導部によってとられる、これを私は期待をいたしておるわけでございます。そういう意味合いで、羽田に先日着きました際に、記者会見でそのことを私は強調をいたした次第でございます。 なお、こういう事態になりました関係で、その間におけるところの救済の措置、これは万全を期すべきだという御意見は全くそのとおりでございます。したがいまして、私どもはまず低利の緊急融資をやるつもりでございます。そしてこの問題が妥結に至りました際には、わが国が確保できるクオータ、許容漁獲量というものも決まってまいります。それに伴うところの適正な、適当な漁船数、こういうものも決まってくるわけでございます。一部減船をせざるを得ないというものも出てまいります。そういう事態がはっきりいたしました際に、第二段階といたしまして、これに対する救済の具体的な措置を講じなければならない、このように考えております。つまり、低利のつなぎ融資によって当面措置しておきまして、そして事態がはっきりいたしましてから、それに即応したところの救済の措置をやる、それは漁業関係者だけでなしに関連業者に対しましても十分考える必要がある、このように考えておる次第であります。
○奥田政府委員 先生御指摘のように、ただいまお魚の問題で、領土問題が好むと好まざるとにかかわらず前面に立ちはだかってきておるわけでございますけれども、そこに鈴木大臣が二回の訪ソをされて御苦労なさった本当の厳しい問題点があるんじゃなかろうかと思っております。ただ、漁業の暫定協定をめぐって大変微妙な情勢になっておることは事実でございます。もちろん日ソ間のこういった状況を慎重に判断した上でなければお答えできませんけれども、外相訪ソがもし領土面をめぐっての国益にとって必要であるという事態があれば、当然そのようなことも考えられると思います。ただ、いまの時点において日ソ間の平和条約を締結する一つの基本的姿勢として、外務省としては北方四島の返還が実現しない限りにおいてこれは未解決の問題でございます。したがって、先生の御意見のように、私は対ソ交渉においては基本的姿勢を踏んまえながら、拙速でなくと申しますか、ねばり強く——そういった漁民補償等々はもちろん政府において積極的に考えられることは当然であります。そういった先生の御指摘のような基本的姿勢を堅持しながらも、ねばり強くお互いの相互利益というものを図っていくという姿勢が必要であろう、かように考えております。
○野坂委員 ソ連の二百海里水域の設定によりまして、韓国の漁船やあるいは北朝鮮の漁船が北海道なりそれぞれの周辺にもおりてこざるを得ない、くるというのが実態であります。これまた領土の問題でありますが、私の出身県の隣でありますが、島根県に帰属をしておる竹島というのがあります。私たちはたしか明治三十八年に隠岐郡の五箇村の所属になっておる、こういうふうに承知をしておりますが、竹島もわが国固有の領土であるというふうに考えておりますが、そのとおりだというふうに考えてよろしいですか。
○奥田政府委員 竹島は先生御指摘のように、歴史的事実からとらえてみても、国際法的見地から見ても、明らかに日本の領土であります。
○野坂委員 そこで、今度提案されるのは、漁業専管水域でありますか、経済水域として提案をされるのか、その点も明らかになればはっきり示してほしいと思うのですが、この二百海里の海域との問題から、この二百海里の漁業水域は法律として日本の周辺の全海域に設定をされるのか。その法案が出て、当面北方だけに、北方領土を含むいわゆるソ連側に対してだけやるものなのか、全体にやるものか、その辺についてはどうお考えですか。
○鈴木国務大臣 この領海法並びに漁業水域法、これが成立をいたしますれば、わが国の領土いずれにも、十二海里並びに二百海里水域というものが設定できるようにこの法律はできておるわけでございます。ただ、領海法につきましては、いわゆる国際海峡につきましては現状変更しない、こういうことでございます。そこで、具体的なこの二百海里法に基づくところの適用水域、これは政令によって行うようにこの法案の原案ができておるわけでございます。 その際、実際にこの法律に基づいてどういう海域にこれを適用するかという問題につきましては、私は当委員会においても、さきにその方針を御説明を申し上げたところでございますが、中国並びに韓国との間には、現在日本漁業協定、日韓漁業協定というものがございまして、西日本海域の漁業秩序というものは安定的に何らのトラブルを起こさずに円滑に操業が確保されておる。操業秩序がはっきりでき上がっておる、こういう事実を踏まえまして、中国並びに韓国側が向こう側から二百海里を設定をする、こういうことでなければ、わが方としても相互主義と申しますか、そういう立場に立ちまして、その西日本の海域に対しまして、私は急いでやる必要はない、このように考えております。 なおこれは経済水域か漁業水域かという問題につきましては、水産資源の保存と有効利用、それに伴う必要な管理の措置、そういう趣旨の漁業に関するところの水域である、これが二百海里法案でございます。そのように御理解を願いたいと存じます。
○野坂委員 十二海里、二百海里、それぞれ設定をするということになりますと、竹島も含んで領土として線引きがされるものだ、こういうふうに確認をしておきたいと思いますが、そのとおりかということが一点。 それと日韓の漁業協定なり日中の漁業協定、こういうものがございますが、きのうの新聞でありましたか、外務省の遠藤北東アジア課長は、韓国の外務省とこの日韓漁業協定の改廃問題について協議をされたというふうに承知をしておりますが、いずれにしても、その日韓の間に二百海里水域というものは時間の問題だろうと思うのです。また、二百海里を設定するということに伴って、北朝鮮側もかつて松生丸事件等もあったわけですが、そういうトラブルなり紛争を起こさないためにも北朝鮮側とこの海域の設定についてやはり話し合う必要があるのではなかろうか、こういうふうに思うわけです。漁民の安全操業という意味からも非常に重要である。こういうように思うのでありますが、それらの点についてはどのようにお考えになりましょうか。時間がありませんから簡単にお願いします。
○鈴木国務大臣 先ほど御答弁申し上げたとおりでありまして、韓国側が向こうから先んじて二百海里を設定いたしました場合には、わが方も直ちに二百海里を設定をいたします。また、北朝鮮民主主義人民共和国が二百海里を設定いたしました場合におきましても、私は同様と考えております。
○野坂委員 外務省が日韓漁業協定の改廃問題について、課長でありますけれども話し合いをしておる、その意図はどういうものなのかということが一点。 それから、時間がありませんから続いてお尋ねをしておきたいと思うのですが、この領海法で特定水域が五海峡決められておりますね。この五海峡は三海里で現状凍結である。私たちが常識的に考えますには、領海を十二海里というふうに法律で決めるのに、みずからの主権といいますか、みずからの権限を制限するということはまことに不可思議である。また一般の国民も納得しがたい。これはマラッカ海峡等を日本の石油を輸入するために通っていく、こういうことを常におっしゃっておりますけれども、あそこは、シンガポールは確かに三海里ですけれども、そのほかの二国は十二海里で無害通航である。しかも海洋法会議の内容等は、いまも農林大臣お話しになりましたように、通過通航権、通過通航制度というものが大勢を占めておるという状態でありますから、まずどこにも十二海里を設定して、海洋法会議で結論が出ればそれに従うというのが日本の国益にかなうものであるというふうに私は考えておるわけでありますが、大臣の考え方としてはどのようにお考えであるのか。
○鈴木国務大臣 野坂さんの御意見は、まず十二海里にすべてをやっておいて、海洋法会議のいわゆる国際海峡に対する結論が出た場合にそれに従ったらどうか、こういう御提案であります。私どもは、そうではなしに、いま海洋法会議において行われておる議論の大勢というものは、一般の領海の通航、さらに無害航行よりももっと自由な航行を確保すべきである、こういう方向にございますから、私どもはまずそういう方向でこの五海峡については現状変更しない、海洋法会議の結論も見ていこう、こういうことでございまして、若干そこが逆になっておるということでございます。
○奥田政府委員 お話の中にありました遠藤北東アジア課長が韓国側と折衝いたしたことは事実でございます。これは十二海里拡大に伴って、お互いの中でうまく海洋秩序が保たれている形が、さらにこういった領海拡大によっていろいろな紛争が起きないように、あらかじめ日本側のこういった専管水域規制も含めて話し合っているところでございます。 ただ、領海十二海里の中に国際海峡としての五つの海域を三海里にするのはおかしいじゃないかという御指摘については、ただいま大臣から御答弁がありましたので、簡単に述べさしていただきますが、私たちが常に海洋法会議において日本側の主張として行ってきていることは、やはり二つの公海を結ぶそういった重要な国際海峡にあっては、無害航行よりもより自由な航行という形を主張し続けてきておるわけでございます。したがって、この五月に開かれる第三次の第六会期に当たります海洋法会議において、こういったわが方の主張というものが大勢を占めつつあると私たちは思っておりますけれども、国際法的にそういった方向が決まるか決まらないかの結論というものは、もうしばらくの間に何らかの形で出てくるわけでございますので、そこで当分の間従来の三海里の形で凍結していただきたい、このことを御承認賜りたいとお願いを申し上げておる次第でございます。
○野坂委員 私の持ち時間はもうなくなっておりますので、同僚の皆さんにさらに深めていただきたいと思うのでありますが、私はやはり、みずからの主権を制限するという考え方には納得ができない。しかも国際海峡として五つの海峡が設定されておりますが、わが国には六十九の海峡があります。そして頻度の問題等が岡安長官等からも先ほどの質問者に述べられましたけれども、言うなれば伊豆半島と大島の問等はもっとたくさんの通航がされておる、こういうのが今日の実情であります。問題は、わが国の国是である非核三原則、これがやはり一つの大きな問題として投げかけられておるのではないか。だからわれわれは、国益国益ということを政府も言われておるわけでありますが、そういうことであれば、みずからの権限、みずからの主権というものは伸ばしていくということでなければ、国民の皆さんの期待に沿うものではない、こういうふうに思うのであります。われわれは、自由の公海というものがよかった。そういう立場でいままで待ってきた。しかし言われるように、いまは十二海里、二百海里水域時代に入ったんだ。新たな新秩序がつくられるんだ。その状況の大勢を見て明確にすべきではなかろうか、こういうふうに私は思うのであります。 五月の六日ごろまでにこの二百海里の法案を上げなきやならぬだろうし、またそれを持って農林大臣は訪ソされるでありましょうけれども、国民が大きな期待と関心を持って領土にも漁業にも目を向けておるということを十分踏まえて、最大の御努力をされるように期待をして、私の質問を終わります。
○金子委員長 島田琢郎君。
○島田委員 大臣、大変厳しい情勢の中、御苦労されまして努力をされておりますことに対しまして、心から敬意を表します。 きょう御報告をいただいて、一層情勢の厳しさをわれわれもともに認識をしたのでありますが、だからといって、これをそのままに放置するわけにはまいらない、きわめて厳しい局面に立たされている。こういう中から、若干大臣には冒頭冷たい質問かもしれませんが、われわれ日本にとって、これからさらに諸外国との関係を考えますときに、こういう例は例外ではなくて、これからも大いに試練を要求される面が多いと思います。したがって私は、前段でまず、この日ソ漁業交渉に臨む政府の姿勢はどこにあったのかという点についてひとつお尋ねをして、それから私の若干の指摘を加えて、意見を申し上げたいと思います。
○鈴木国務大臣 日ソ漁業交渉に臨む基本的な姿勢はどうであったか、こういうお尋ねでございますが、これは先ほど午前中の私の日ソ交渉につきましての御報告の際に申し上げましたように、今後引き続き行われる北方四島のわが国固有の領土の問題、これをどうしても解決をして、日ソの平和条約を締結をしなければならない。その交渉にいささかでも悪影響を及ぼすような、わが方の主張を損ねるようなことがあってはいけない、これが第一点でございます。 と同時に、私は、北洋の漁業権益、わが国の漁民が営々として築き上げてきたところの北洋の漁業権益、これも守らなければいけない。この二つの命題、これを両方達成をさせるために、私は交渉に全力を上げたわけでございます。 この二つの命題を達成いたしますためには、交渉の幅というのは非常に狭いものであり、厳しいものでございます。それだけに、交渉は困難に困難を重ねたわけでございますけれども、困難ではあるが不可能ではない、私はそのような希望を持ってこれに取り組んでおるということでございます。
○島田委員 大臣の基本的なお考えや、それから交渉に当たられた姿勢については、私はこれを評価いたしますけれども、しかし物事は外交にとどまらず、一定の条件というものが——単に現象的な面だけではなくて、それに臨むに当たっての条件というものが整備されなければならないということも、今回いやというほどお感じになったのではないか。したがって、もっと平易に言えば、日常的ないわゆる外交の姿勢というものが積み上がって、そういう中から国際的な信義というものも生まれ、また二国間における交渉の中では特にそれが土台になっていかなければ、なかなか問題の進展を見ることができないということも、今回の教訓としてわれわれもじっくりとかみしめておかなければならぬと思うのであります。 そういう点から言えば、前段のいわゆる条件整備が完全にでき上がっていたかというと、私はいささか疑問なしとしない。たとえば、交渉の中でも具体的に持ち出されたそうでありますけれども、われわれが非常に心配をいたしましたミグ事件、あるいはまた自民党の不心得な、不用意な発言、こういうものが一連の交渉の中でさえも持ち出されてきたということを聞き及んで、いかさま外交というものはむずかしいもので、そういうことが日常的にきちっとできていないところはだめなんだということも、私以上にその衝に当たられた大臣はお感じ取りになったのではないか。それあるがゆえに、無責任な国内の発言をやめろとまで大臣は、大変怒りを覚えて発言されたということも私どもは聞いており、そういう前段の作業というものについて考えますならば、たとえば外交の姿勢においても、このアジアにおいて大変大事なことなんでありますけれども、対米、対中の外交姿勢に比べて、ソビエトに対する日常的な外交の姿勢には若干差があったのではないか、こんなふうにも私は見ております。 さらに、ついに二百海里時代を迎えての対応が甘かったのではないか。先ほどもいろんな議論がありましたけれども、本委員会においては、二百海里時代を迎えてそれに対応する具体的な姿勢として、昨年の衆議院農林水産委員会におきましては、十二海里の即時宣言をすべきだという国会決議もやり、それにさかのぼる五十年の七月三日には参議院の農林水産委員会において、領海十二海里の早期宣言に関する決議も行われた。二百海里時代を迎えて当然そういう措置が必要であるというふうに考えていたわれわれの考え方に対して、政府は海洋法主義をたてまえにしてなかなかこれに踏み切ろうとなさらなかった。その経過の中では、農林当局と外務当局の考え方においてもなかなか一致点を見出すところまではいき切れず、ことしになってようやく十二海里の問題、二百海里の問題について政府部内が足並みを一つにされようという動きになったという一連のものを考えますと、私は今度の日ソ漁業交渉が難航するのはあらかじめ予測されていたことでなかったかとさえ思えるのであります。こういう一連の指摘に対して大臣はどういうふうにお考えになりましょうか。
○鈴木国務大臣 島田さんがおっしゃるように、対ソ交渉、対ソ外交、これは私はあらゆる分野においてグローバルに、総合的に展開をされなければならないし、そういう積み重ねの上に初めて日ソの友好関係というものが確固たるものになると考えております。 いままで対ソ外交の実質的な面は、ほとんど北洋漁業について毎年毎年行われておったということでございますし、また経済協力、文化交流、そういう面につきましては、また別個の問題としてこれがなされておる。私はそういうものは別々になさるべきものでなしに、全体として総合的な対ソ外交というものが展開をされ、そういう努力が戦後三十年間続けて積み重ねられておるということであれば、日ソの間に信頼と友好というものが築かれておった、こう思うわけでございます。そういう意味合いからいたしまして、私どももいい反省をいたしておるということを率直に申し上げたいと存じます。また今回の苦い体験を生かして、今後の対ソ外交はどうあるべきかということを再吟味する必要がある、このように思います。 さらに、新しい海洋秩序時代を迎えての対応がおくれたのではないか、こういう御指摘でございますが、この点につきましては日本は国連の海洋法会議というものに大きな期待を寄せまして、その場において日本側の主張というものを強調してきたわけでございます。しかるに、世界の国際政治のリーダーであり、また国際経済の分野でも大きな力を持っておりますところのアメリカが海洋法会議の結論を待たないで二百海里法を制定した、それに引き続いてカナダもやった、またソ連もこれに同調して今回のような措置をとった。わが国としてはこういう世界の大国、リーダーであるべき国々が、海洋法会議の結論を待たないでそういう措置を先行させたということにつきましては、非常に遺憾に存じておるわけでございます。 しかし、わが国は海洋国家として、できるだけ海は人類全体として広く利用すべきである、水産資源につきましてもその有効利用を考えるべきである、こういう立場をとってきたというようなことで、今日の事態から見て、確かに対応がおくれたという御指摘につきましては、私はその御指摘を率直に受けとめるものでございます。しかし、私どもは、今後こういう体制を国会の御協力によりまして早く築いて、そして今後の新海洋秩序時代に向かって誤りない対応をしていきたい、こう考えております。
○島田委員 きょうは外務大臣が来ておりませんから、私は欧亜局長宮澤さんに同じような質問をするのでありますが、外交の責任は外務省でございますし、特にアジアの関係はあなたが局長として当面の責任を負っているわけであります。いま農林大臣からお話のありました点はまことに率直にして、私は好感を持っていまの答弁を聞いたのでありますが、こういう直接の窓口の農林大臣を困らせるような外務省の姿勢というのがいままであったのではないかと私には思えてならぬのであります。たとえばアメリカ、そしていまお話のあったようにカナダ、EC、ソ連と続いて二百海里、海洋法会議の行方を見守ると言いながら、現実にはこういう国が次から次へと二百海里時代に突入していった。この問の国際的な見方というものは、どうしてこんなに対応がおくれるほど外務省は諸外国の動きに対して鋭敏に機能しないんでしょうか。その辺が私はちょっと不思議なので明確にお答えを願いたいのであります。
○宮澤政府委員 外務省は元来海洋の自由というものを非常に尊重しておりまして、そういう立場から二百海里というようなものも海洋法において大多数の国の合意が得られた場合に日本もこれを行うことが適当であると考えておりましたが、各国がそれぞれ相次いで二百海里というのを宣言いたしました、こういう現実は外務省は十分に注目しておりました。それでこういう現実を十分に注意しつつ、ただ日本の漁業国としての体質、こういうものもまた一面において十分に考慮いたしまして、こういう点につきましては外務省はやはり農林省、水産庁でございますが、そちらの方と十分に御協議をしてその態度を決定してきたわけでございまして、外務省が農林省の邪魔になった、こういうようなことはなかったと私どもは確信しております。
○島田委員 結果的にはどうもそういうことを言わざるを得ない、こう思うのです。針の振れぐらいのものでもきちっと見分けをして諸外国の動きを見張る、特にアメリカなんというのはその動きをつかまえるのは容易じゃありませんか。ソビエトの動きはなかなかつかまえづらいということはあるかもしれない、あるいは中国なんかもむずかしい外交の相手国と言えるかもしれませんが、アメリカだのカナダだのECなんというのは、もう向こうでちょっと動けばすぐ察知できるはずであります。そのために外務省があるのに、どうもその点の対応が鈍い、結果的には農林省の足を引っ張るというようなことになっていなかったのかという点を私は指摘をしたいわけであります。 しかし農林大臣、私はもう一つ二百海里時代、二百海里問題に対する対応が甘くて、一貫性がなくてどろなわ式ではなかったか、そういう指摘をしなくてはなりません。何となれば、先ほど申し上げましたように、新海洋秩序時代を迎えて、わが国も従来の公海主義から領海主義に軌道修正せざるを得ないというふうに、国際的な情勢の変化が見られたのは、もはやきのうやきょうのことではありません。その時代から私どもは、素人ながらも、新しい二百海里時代を迎えての対応が必要だというふうに言ってきたのは、さっきの国会決議の例を引くまでもないわけであります。しかし、なかなか対応しようとしませんでした。繰り返しここでも何人かがこの二百海里問題を取り上げたはずであります。そのときには、まあそろそろ考えなくてはなるまい、最近になりましたら、参議院選挙後にやらなければならぬだろう、もう少し日にちが近づいてきたら、今度は今国会中にと言い出した、きのうきょうは今月中に二百海里の成立をしてもらいたいという話であります。こんなに変わってくれば、これはだれだって首をかしげたくなってしまいます。それは日ソの漁業交渉の過程において状況の変化がある、それに対応しなくてはならぬというその言い分と大義名分は私どもは理解するとしても、しかしソビエトにしてみても、日本のいわゆる外交の姿勢というのはどうなのだろうかというふうに、疑惑を持って見られるは仕方のないことじゃないでしょうか。 だからといって、私どもは協力しないと言っているのではありません。私の言いたいのは、素人だと言われる私どもの国際的な見方というのは意外と当たっている場合が多いということを言いたいので、専門家の外務省もぜひひとつ、通常われわれが国会で議論しているこの中身についてはよく聞いて、誤りない方向を模索してもらいたいという気持ちもあるからですが、こういう点が一貫性を欠いている。それは同時にまた、非常にじりじりしながらこの成り行きを見守っている日本の国民、そしてまた、いま最も大きな不安に駆られている北洋漁業を中心にした漁民、あるいは漁民の関係者の人たちではないかというふうに思います。こう考えれば、私は、国会の場でこの辺のところを明らかにしておく必要があると思う。そういう気持ちから、この点についての大臣の釈明を求めるものであります。
○鈴木国務大臣 重ねての御指摘でございますが、前段の御質問で、私は率直にそのことを釈明を申し上げて、おくればせながら体制を整え、これに対する強力な漁業外交を展開をしていきたいということを率直に披瀝をいたした次第でございます。 なお、五十一年度予算編成当時におきまして、その一環としての沿岸漁場開発整備、これはどうしてもこれからわが国の沿岸・沖合い漁業を振興しなければいけない、こういうこともこの新しい海洋時代を展望しての一つの施策ではあったわけでございます。しかし御指摘のように、十分でなかったというおしかりにつきましては、私も率直にそのことを受けとめておるところでございます。
○島田委員 そこで、野坂君の質問となるべく重複しないようにと思っておりますが、しかしどうしてももう少し明確にしておかなければならぬ点がございますから、協定案文の問題について重ねてお尋ねをするものであります。 まず第一条ですが、交渉中断の時点でも、なおソビエトは十二海里内のイワシの捕獲にこだわっていたのですか。
○鈴木国務大臣 私とイシコフ漁業大臣との間の数次の話し合いによりまして、日本の十二海里領海法ができました場合におきましては、日本がその十二海里の中にソ連漁船を入れないということは、相互に確認し合っておるところでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、ソ連の法制的なたてまえ、これは大事な点でありますから重ねて申し上げますと、ソ連邦沿岸の基線から二百海里、この海域に幹部会令を適用する、つまりそこを漁業専管水域にする、その中に十二海里の領海というものが存在をする。でありますから、ソ側の見解としては、法制的なたてまえからは沿岸から二百海里の沖合いまでの間は漁業専管水域であるから、相手国との協定によっては、その十二海里領海の中にも入れるのだ、こういう解釈が終始一貫あるわけでございます。しかし、この十二海里領海の中には、日ソ漁業協定とは別個の協定を相手国と合意の上でしなければいけないということも、イシコフ大臣ははっきり確認をしております。 その相手国であるわが方は、領海十二海里、これは領土と同じであるという立場に立ちまして、一切外国漁船はこの海域には入れない。その十二海里の外、二百海里までの百八十八海里、ここは実績を基礎にして相互に納得するような条件で入漁を認める、こういうことも明確になっておるわけでございます。 ただ、これを成文化いたします場合に、ソ連の法制を原案として第二条の問題を成文化しようというところに、実務家、専門家同士の議論が分かれておる、こういうのが実態でございます。
○島田委員 私はいま第一条と言いましたが、間違いでありまして、これは第二条であります。 そこで、先ほどもかなり詳しい説明がありましたが、サバは余り問題がない、こういうふうにも聞いたのでありますが、問題はイワシに大分こだわっている。その分について、大臣から提案がされたという部分について、もう一度お聞きをするのですが、漁獲量ですね。これは等量主義という形でおやりになるという考えなのか。十分クオータを満たし得る、こういう判断のもとに、貿易の問題も持ち出して、うちの方でとった魚を売ってやるからというような話も持ち出されたそうでありますが、この辺のところは、実際にはそれも全く話が煮詰まらないまま中断をした、そうするとこの部分はまだペンディングにされたままになっているのだというふうに理解をしなければならぬのでしょうか。
○鈴木国務大臣 午前中にも御説明申し上げましたが、不十分であったかもしれません。私とイシコフ漁業大臣との間では、十分イシコフ大臣も理解がいっているところと受けとめております。この十二海里の領海の中には、外国船は入れない。その場合に、その外の百八十八海里の漁業水域の中に——現在の三海里の日本の状態の場合において、三海里の外、十二海里の間でソ連のサバやイワシの漁獲実績というものは確かにあるわけでございます。でありますから、この漁獲実績を十二海里の外、百八十八海里の漁業水域の中の漁獲実績としてこれを加算をする、そして、双方のこの実績の何%を一体許容漁獲量として認め合うのかという場合に、今回ソ連が日本に対してどれだけのクオータを与えるかということを勘案をして、わが方としてもソ連側に与えるクオータを決める、こういうことに相なるわけでございます。等量主義というようなことは、私は絶対に容認しがたい。わが方は百七十万トンの実績がある、ソ側はせいぜい四十万トン前後だ、こうわれわれは見ておるわけでありますが、等量主義ということになりますと、ソ連に一〇〇%与えましてもわが方は四十万トンしか北洋でとれない、こういうことは実績を認めたことには相なりません。そういう点ははっきりしておるわけでございます。 そこで、十二海里の外でサバやイワシがどの程度とれるのか、クオータを日本から与えられてもそのクオータを果たして消化できるのかどうかということがソ側の心配であったわけでございます。サバの問題につきましては、専門家の当委員会の委員長の金子先生がポリヤンスキー大使に、農水の理事の皆さんと行かれたときに、サバのとり方を知らない、自分の国ではまき網をやっておるのだけれども、沿岸漁業者とのトラブルを起こさぬようにということで十二海里の外でやっておるが、十分採算がとれるように漁をしておる、ソ連が十二海里の外ではサバもとれないのではないかというようなことは、それは技術がおくれておるからであって、教えてあげてもいいということを金子委員長がおっしゃったということで、私も大変参考になったろうと思うのでございます。イワシの問題につきましては、これは海流の状況で十二海里の外でもとれます。また、とれない場合もある、そういう場合に、イワシがどうしても欲しいというのであれば、十二海里の中ではとらせるわけにはまいりませんが、わが方の漁民諸君がとったイワシをソ側に売ってあげてもよろしい、また外貨事情の関係で、金を出して買うことが困難だということであれば、日本が関心を持っておる、ソ側がソ連の二百海里内でとったところのスケトウダラあるいはその他の魚と適正な評価の上に立って、そしてそれに見合ったところの量をバーターとして差し上げてもいい、こういうことも懇切丁寧に私は説明をしておるわけでございます。そういう意味合いで、十二海里の中に入らぬでもちゃんとうまく協力してあげますよ、こういうことを申し上げておるということでございます。
○島田委員 それはわかりましたが、それはまだ依然協議の対象になって継続されているということですか。
○鈴木国務大臣 そういうことは十分了解し合っております。それを一つの前提として、そしていまの第二条の問題の成文化を実務家の間でやっておるというその途中で、イシコフと私との間にはもうはっきり了解し合っております。しかし成文化の問題で、法制のたてまえが違うということを先ほど申し上げたのですが、そういうことでなかなか議論のあるところでございます。しかし、基本的には両責任者の問で意見が一致しておりますから、成文化はそう時間をかけないうちに結論が出る、私はこのように確信をいたしております。
○島田委員 そこで具体的なことなんですけれども、北海道に限定をいたしますれば、今後十二海里の線を引いてまいります。しかし十二海里の線引きの内外で、現にいろいろな漁業が行われている。内側は領海だから、これはもう絶対にだれが指を触れることも許さぬが、十二海里の線の外側のところについて、実は既得権みたいなかっこうになっていますが、それは領海の外だからといって外国船の踏み荒らしなんということが出てくれば、その取り扱いはなかなかむずかしくなると思うのですが、これはどういうふうにお考えになっておりますか。
○鈴木国務大臣 島田さん御指摘のように、新領海十二海里の外にも、わが国政府は資源保護上の観点等から底びきの禁止区域等を設定しておるところもございます。これはどうしても守らなければならぬわけでございます。資源の保存、その有効利用というのが二百海里の漁業水域の精神でございますから、そこで二百海里の中、つまり領海の外百八十八海里の中でそういう資源保護上設定しておるところの禁漁区等を外国漁船に自由に操業をさせるわけにはまいりません。二百海里法の中にあわせて外国人漁業規制法というものを改正をいたしまして、そしてそれらの措置をやってまいる考えでございます。
○島田委員 それは先ほど野坂委員にもお答えになっていたようでありますが、規制を加えるといっても、現実には領海と経済水域といいますか漁業専管水域とは、私はおのずからその取り扱いが違ってくると思うのです。ですから、領海のような厳しい規制で臨むわけにはまいりますまい。そういたしますれば、そこに損害補償というような事案が起こった場合の取り扱いは大変むずかしくなるのではないか、その点いかがかと聞いているのです。
○鈴木国務大臣 これは二百海里漁業水域法を御審議いただきます際に詳細に御検討いただくわけでございますが、この二百海里法の中でも十分規制ができるように、二百海里法の条文でそれが確保されております。 また、前段で申し上げましたように、外国人漁業規制法、これも改正をいたしまして、両々相まちまして、外国漁業がそういう百八十八海里の漁業水域の中で勝手な操業ができない、漁業秩序、資源の保存、そういうことが十分確保できるように、二百海里法はそういう観点で構成されておるということをこの段階で申し上げておきます。いずれ二百海里法の御審議の際に十分その点が明確になっておるということを御説明いたしたいと思います。
○島田委員 外国人漁業の規制法というのもあわせて出すというお考えですか。
○鈴木国務大臣 その改正も二百海里法の中であわせて行っております。
○島田委員 二百海里法が出てまいりましてから、それじゃそれを検討させてもらいます。 漁業交渉ということでありますから、五十二年の漁獲量の問題が中心になっているでしょうが、この際ですから、私は、話題になったかどうか、その点を含めてお尋ねをしますが、ソビエトのわが国沿岸における加害の実態というのは目に余るものがあるとして、本委員会でもずいぶん幾度もこれが議論され、ついに損害補償に関する二国間の協定にまで発展をして、事実上、損害の補償を行うという制度をしいているのでありますが、現実にはこれがほとんどその対象になっていない、つまり解決されていない。こういう点については今度の会談で、トップ会談では出なかったかもしれませんが、しかし、この正月以来行われております総体的な日ソ漁業交渉の中では当然この話は出なくてはならぬと思うのですが、水産庁長官で結構でありますが、この点についてはどうですか。
○岡安政府委員 ソ連船によりますわが国漁船の被害の問題につきましては、操業協定を結びました当事者といたしまして、ソ連船が協定の内容を守っていないことによりますわが国漁船の被害というのがありますので、私どもはその都度抗議等はいたしております。ただ、日ソの漁業交渉の場におきましては、そういうような被害の問題等につきましては、私ども議題に上せてはおりません。
○島田委員 しかし、協定を守らないという姿勢については、私は当然交渉の中でも触れるべきだと思うのです。そういうことでありませんと、特に二国間でありますから、友好と国際信義の基本とも言われるような、そういう約束事を守るという姿勢がなかったらだめなんでありますから、私はぜひひとつ鈴木農林大臣、こういう点についても現地では大変不満と不安が多いわけでありまして、幾ら法律つくって、そして二国間の協定を結んでも一つも守らぬじゃないか、拿捕はされるわ、踏み荒らしはされても補償もされないわというような不安というのは言い知れないものがあるわけでありますから、こういう点についても、十分ひとつ交渉の中でソビエトを説得すべきだ、私はそう思います。 さて、第一条の関係でありますが、これも野坂君の質問でかなりの部分触れておりますし、大臣からはかなり長時間にわたる報告と説明がなされていますから、おおよそ私どもはこの実態については承知をいたしました。 しかし、この際私は、国内世論としても魚と領土、これを心中させてはならない、こういう意見が強くありますし、特に私の選挙区は、最もその問題の焦点になっている北方領土を抱えている選挙区であります。したがって、非常に神経質に皆さんはなっている。大臣が誠意を尽くして説明を繰り返しても、かたくななまでのソビエトの姿勢から推察する限り、これはなかなか容易じゃなくて、最後ぎりぎりのところまで行ったときに、何かやらなければ問題を進展させることができないといったような事態に立ったときに、一体これはどうなるのだろう、こういう不安は一つも消えておりません。 私ども日本社会党は、北方領土についてはあくまでも全千島というふうに理解をしているわけであります。そのことをきょう長々と、この領土問題をやるわけにはまいりませんけれども、今回は政府自体は四島、こういう考え方でございますから、その点については、私ども現地の言い方としては、いつの間にか四島になぜなったのだという質問も、当然この間から飛び出しております。その点は、国内的なコンセンサスを統一し得ないまま今日に至っていたという不用意さは免れるものではありませんけれども、しかし、この際、領土と魚とどっちをとるのかといったような二者択一、こういう問題ではないと私は思っている。大臣から、るるそのことは述べられていますが、魚も大事なら領土も大事、こういうところに問題の苦しさを抱えておられると思うのでありますが、しかし、困難ではあるけれども不可能ではないという大臣のこの御説明、私はその意を壮とするものでありますけれども、しかしながら、再訪ソされていよいよ最終盤を迎えたときには何らかの決断を迫られる、こういう事態に突き当たるでしょう。すでにいまだってそういう状態の中に置かれておると理解できる状態だと思うのです。ぎりぎり決着の話をきょうお聞きしようとは思いませんが、しかし、私は、困難ではあるが不可能ではないというその自信のほどをどこに持っておられるのかということになると、ずいぶん丁寧に説明を受け、誠意を尽くして報告がなされた、そのことに私は敬意を表しまするけれども、しかし、今後臨まれるに当たって、この第一条は何らかの打開策を考えていかなければならないし、また再び中断でございます。と言って舞い戻ってこれるような状態に果たしてなるかどうか、そうすると大臣は出先で大変な苦労をされて決断を迫られる、こういうふうに思うのですが、この辺のところは、いまのところ私どもは、困難ではあるが不可能ではないという御報告と御説明をお聞きして引き下がるということには、私は現地の事情からいってもなりませんから、その辺のところをしっかりとしたお考えをもう一度重ねてお聞きをしたいのであります。
○鈴木国務大臣 私はるる、私のこれに対する取り組んでおる基本的な姿勢、考え方、信念、このことを率直にお話を申し上げました。領土をとるか魚をとるか、そういう問題ではございません。領土の問題については未解決の問題として日ソ平和条約の交渉が行われるわけでございますから、それに悪い影響を与えるようなことがあってはいけない、わが方の立場を損ねることがあってはいけない、これは民族的な悲願を込めての不動の方針だ、私はこう考えております。と同時に、北洋の伝統的な漁業実績、私はその伝統的漁業実績ということを越えたむしろ北洋の漁業権益である、これも守らなければならない。この二つの命題を達成するために、むずかしい、困難な交渉ではあるけれども、希望を捨てないで取り組んでおるのだということをるる申し上げました。 これからそれをどういうぐあいにやるかということは、交渉の機微にも触れる問題でもございますし、先生方の御意見等も参考に十分踏まえて今後交渉に当たるつもりでございます。 また、わが方の十二海里法、二百海里法という新しい体制固めもできるということでございますから、そういう点も十分踏まえまして何とかこの問題を決着をつけたい、こう考えておるところでございます。
○島田委員 私は、鈴木大臣が訪ソされます前に福田総理が園田特使をソビエトに派遣させましたけれども、わが党の岡田利春君から本会議で首相親書について触れて質問をいたしました。その答弁の中にもありますし、議事録を再点検しましたが、この内容については領土問題には触れていない、こういうようであります。私は、せっかく親書を持って特使がソビエトに飛んだ、その時点でも、どこが問題になるかというのはおおよそ察しがついていた。つまり、最後は領土問題が必ず出てくる、こういうふうに私どもは見ていました。国内的にもそういう見方が大勢を占めてたと思います。ところが、案に相違して親書の中身は大事な問題に、必ず突き当たるであろうその壁の問題には触れていなかったというのは、私は片手落ちであると思えてならぬのであります。確かに日ソ間における友好、そして審議の促進、こういういわゆる精神的な面に触れて親書が書かれておるということは、これは当然のことでありますけれども、中身に、そういう面について、領土といわゆる漁業問題は切り離すべきだという主張を総理みずから親書の中でされるべきではなかったかと思うのであります。きょうは総理に質問するのではなくて、農林大臣に質問するのですから、その辺総理の心情までそんたくすることはできないと言うかもしれませんが、これはそのことが、大臣がせっかくソビエトに行かれたけれども、やはりその壁にぶち当たってはね返されざるを得なかったということにつながったのですから、せっかく特使を出したのであれば、そこまで意を尽くすべきではなかったか。 そしてまた、きょうは園田官房長官に来ていただきたいと言って私どもの方から申し入れをいたしましたのは、ぜひ聞きたい点があったのです。その点はいまの問題ですけれども、これで魚と島というのは切り離されたというふうに特使は当時判断をされた、そして帰国された。この辺の判断も私は非常に甘いと思うのですが、その辺のところのいわゆる経過というものを私はきょうは聞きたかったのでありますが、同時にモスコーに一緒におられた鈴木大臣でありますから、その辺のところもひとつ説明を願いたいと思います。
○鈴木国務大臣 総理の親書を携行して園田特使が最高幹部であるコスイギン首相とじかにひざを交えて話し合いをされた、これは私は、そういうコスイギンの顔色だとか言動だとか、そういうニュアンスを十分くみ取る立場にございません。どうしても、これは園田官房長官からじかにお聞きいただきませんと本当のそのときの事情が明確にならない、こう思いますので、どうかこの法案の御審議の途上においてそのことがぜひ必要である、こうお考えでありますれば、園田官房長官にも御出席を願うように私からもお願いしてよろしい、こう思います。私からその辺のコスイギンに会ったところの場面を、なるほどと言って御納得できるように如実にそれを表現するということは私にはなかなかできないことでございますから、御了承を賜りたいと思います。
○島田委員 ところで、政府はこの漁業交渉中断に伴う関係漁業に対しての補償といいますか融資の道を講じて救済をするということが過日発表になりました。引き続きわが党も、先週十六日に具体的な漁業補償に関する緊急対策を提案をいたし、昨日の党首会談でもこのことについて提議をいたしたところであります。政府のこの融資のやり方では、私は今日大変な苦境にあります漁業者や関係の人たちを救うということはできないと思う。先ほどこれも野坂君から項目別に提案がありましたから重ねて申し上げることは避けますが、補償という物の考え方になぜ立てないのでしょうか。ぜひこの際、休業あるいは仕込み、操業中止に伴う帰港経費の補償、また乗組員に対する給与の補償、これを行うべきではないか、こう思います。これは水産庁長官でもいいですが、もう少し具体的に融資の方向など、どういうお金を使って、どういう末端金利で、どういう支払いの条件でということが省内でまとまっているとすれば、そのことも含めて発表願いたいのですが、前段では私は融資というのじゃなくて、これを補償すべきだという立場に立っているということを踏まえてお考えをぜひ聞かしてもらいたいと思います。
○岡安政府委員 政府といたしましては、去る四月の十五日、閣議の了解のもとに、北洋漁業に関します当面の対策、いわば救済対策というものを決めたわけでございます。私どもといたしましては、現在日ソ間において漁業の交渉をいたしておる最中でございますので、決着がどのようになるか、その点がまだ予想できない状態でございます。いずれにいたしましても非常に厳しい交渉でございますので、従来どおりのような漁獲の実績を一〇〇%確保するわけにはまいらないと考えておりますし、その関係から従来どおりの漁船がすべて出漁できるかどうか、これも非常に困難ではあるまいかというふうに考えております。私どもはそのような操業の形態が明らかになりました暁には基本的な救済措置というものを講じたいと思っておりますけれども、当面三月以降、特にニシン漁船等につきましては三月から、その他の漁船につきましても四月から相当数、休業、出漁停止等の影響をこうむっております。私どもの一応の計算によりましても延べ二千隻、実数で約千八百隻の漁船が影響を受けているというふうに私ども報告を受けているわけでございます。 そこで、交渉の結果が明らかになります前におきましても、私どもはとりあえず必要な資金等につきましては低利の金を融通いたしまして、とりあえず必要な資金の決済が行われるように措置をいたしたいということが第一点でございます。いずれこれは、先ほど申しましたとおり交渉の結果いかんによりまして基本的な救済措置を講ずるということが前提でございます。それ以外の関連企業につきましても、当然私どもは現在影響の度合い、業態の性格等に応じまして救済措置を講ずるべく現在調査をいたしておりまして、まとまり次第、同様なとりあえずの救済措置でございますけれども、できるだけ早く措置を講じたいというふうに思っておる次第でございます。 なお、金利その他につきましては、まだ決定はいたしておりません。
○島田委員 これは非常に急がれる対策でありますので、いまの岡安長官の説明はこういうふうに受け取っていいのですか。当面は融資でやるけれども、その実態が明らかになれば実損補償という形に切りかえる、こういう考え方に立っているんだ、こういうふうなお考えですか。
○鈴木国務大臣 水産庁長官から説明を願ったとおりでございますが、当面低利の資金でつなぎ融資を行う。そしてこの暫定協定が妥結をしてクオトタ等も具体的に決まってまいります。そうすると、そのクオータ等に見合った新しい出漁の体制、どれだけ減船をせざるを得ないか、どれだけのものが一時休漁しなければならないか、そういう実態がはっきりいたしますから、その際に最終的な救済の措置を講じよう、こういう考えでございます。したがって、一時つなぎ融資としてやっておりましたものもあわせて最終的な救済措置の中で全部処置してまいる、こういう考えでございます。
○島田委員 それには乗組員に対する給与の補償、私どもはこれも非常に大事だと思っております。特に固定給と出来高払いといいますか歩合給、こういう仕組みになっている乗組員の人が多いようでありますから、この実態の把握はなかなか大変でしょうけれども、これもやるというお考えに立ってもらいたい。 それから、魚市場あるいはまたトラックを持って魚の運搬を専業にやっている人たち、これはなかなか大変であります。そう簡単に運送業を切りかえをするということはできないわけで、魚を相手にしてトラック業が成り立っておるという人たちがたくさんおります。こういう人たちも対象にしてもらわなければならぬ、こういうふうに私どもは考えていますが、この点についても約束ができますか。
○鈴木国務大臣 乗組員の諸君、この働く人たちの生活は何としても確保してやらなければならない、一番心を痛めておる問題でございます。これは十分業界のその働く方々の納得のいくような措置に向かいまして最善を尽くしたい、こう考えております。 なお、魚市場の関係、運送業者あるいは加工業者等々関連の分野につきましても、その影響の度合いをよく勘案をいたしまして、必要な救済の措置を講じてまいる考えでございます。
○島田委員 さて、問題の法案でありますが、今度の領海法で私どもはどうしても原案に納得ができませんし、当然この法案の修正という問題で今後大いに議論をしなければならないのはこの附則の第二であります。「特定海域に係る領海」、この範囲をなぜ従来のままにしておこうとするのか。この辺の考え方については、先ほど来説明を受けておりますけれども、私どもの考え方と相入れないものがあります。ぜひこれはこの際、日本列島全体にわたって領海の宣言をし、あわせて近く出されるであろう二百海里問題と並行して、わが領海を守るというそういう立場に、せっかくの機会でありますから考え方を修正してもらいたい、こう思っております。 どうやら先ほど来の質疑を通じて農林省あるいは政府の考え方というのは、この点についてはかなり固執をしておるようでありますが、この際、私どもの考え方をもう一度整理をいたしますれば、たとえば北海道の私どものところにあります津軽海峡あるいは宗谷海峡というのが問題になりますが、私は、津軽海峡などというのは、こっちの岸から向こうを見れば、たとえば青森の方から向こうを見れば、函館、つまり日本の北海道であります。北海道の方からこっちを見れば、本州、やはり日本の領土であります。宗谷海峡のように、こちらに立って向こうを見たら、向こうはソビエトの領土であったというのとは違って、私は本来この津軽海峡などというのは、特別に考えるということが許されないかもしれませんが、日本列島全体から言えば、ここに領海があるとかないとかいう話にはならぬというふうにさえ理解しておる私は一人なんです。ですけれども、しかし、いままでの海峡の取り扱いというものはそういうふうになっていたから、そういうふうに取り扱わざるを得ないということだから、あえてその問題で議論をするつもりはありませんけれども、この際、せっかく領海宣言をやられるのですから、ここのところを特定海域に残すというようなことをやっては、逆に日本の領海というものの考え方に対して疑義を残していくことになりはせぬか。特にここで問題になっておりますのが、非核三原則というようなことが出てくるものですから、その辺については鈴木大臣は、一月から、特に北海道のわれわれ社会党の議員団が予算の問題で行ったときにも、予算の話は別にして、まあおまえさんらここのところはひとつおれの考え方を何とか認めろよと言って盛んにPRをされておりましたけれども、私はその当時から聞いていて、そこだけを特別除外をする考え方というのは、これは決して将来に向かってプラスにはならない。この際、やはりきちっと領海宣言をして、そのためにそこを通ることが不都合だという船があれば、それはそれで結構じゃありませんか、少し極論かもしれないけれども。また、ここのところは北海道の漁民にとっても非常に大事な漁場を持っております。先ほどの説明で、この部分については法律の改正、強化を図って漁民の権益を守るから心配ない、こう言っても、それだけのお考えがあるならば、なおのこと私は十二海里できちっと領海宣言をすべきだ、こういうふうに思います。 ついでに、二百海里法がまだ出てきておりませんから、考え方をお聞きするのでありますが、中国と韓国については、今回は適用除外だという考え方があるようでございますけれども、そうだとすれば、この考え方は一体どこにあるのでしょうか。 この二つについてまずお尋ねをいたします。
○鈴木国務大臣 島田さんや野坂さんの御質問を通じまして、日本社会党のいわゆる国際海峡に対する御主張というものがある程度私わかったような気がするわけでございます。私どもは、この海洋法会議のいわゆる国際海峡に対する論議をずっと勉強をしておりますと、この公海と公海を結ぶところの海峡、これは要衝でございますが、このいわゆる国際海峡につきましては、一般の領海の通航よりもより自由な、無害通航よりももっと自由な航行が確保できるようにと、これが大勢に相なっておるわけでございます。わが国もまた海洋国家、海運国家としまして、この主張をやっておるわけでございます。 そういう立場からいたしまして、わが方としては、この海洋法会議の論議の動向等も踏まえまして、津軽海峡等は、無害航行よりもより自由な現状、この状態に置いた方がよろしい、こういう考え方をとっておるところでございます。その際に関係の漁民諸君、住民諸君が御心配をなさっておる、そこだけが風穴があいたというようなことで、外国漁船等がそこで漁業をする、被害をこうむる、資源を荒らす、そういうような御心配に対しては、これは二百海里法、外国漁業規制法、こういう問題で十分その保護が確保できる、こういう措置をやるわけでございますから、決して日本社会党さんがおっしゃるように関係漁民等に御心配をかけることのないような措置を講じていく、しかも、海洋法会議で日本が海運国家として主張しておりますその主張も確保していきたい、こういう両面から今回のような御提案をいたしておるということで、この点はよく御理解を賜りたい、こう思うわけでございます。 それから、第二の問題でございます。二百海里漁業水域法は、問題になっておりますところの北方四島も竹島も含めまして、わが国固有の領土である、そういう立場から、それぞれその基線である低潮線から二百海里の間というものは、この漁業水域として設定できるわけでございます。具体的な海域の線引きにつきましては、先ほども野坂さんにも申し上げましたように、中国及び韓国あるいは朝鮮人民共和国等の出方を見まして、つまり向こうの方から二百海里を設定するということであれば、こちらも直ちに二百海里を設定をする。これは政令でできるようにお願いをいたしておりますから、直ちにできるわけでございます。 いま日中、日韓の間には日中漁業協定、日韓漁業協定、これが存在をいたしまして、この協定によりまして、西日本海域の漁業は非常に安定的に漁業秩序が確保されておる、これを大事にしていきたい、こういう考え方でございますので、二百海里法ができましても、この相互主義で、相手国がやらない場合にはこれを差し控えていく、こういう基本的な考えでおるわけでございます。
○島田委員 鈴木農林大臣ほど紳士的な大臣がおればいいんだけれども、そうでないから、ソビエトの方が勝手に二百海里をさっとやったり、あんなに友好国だなんて言っているアメリカでさえ勝手に二百海里を宣言したり、どうも大臣、それじゃ最後はやられちまうんじゃありませんか。そういう紳士的な態度は私は好きですけれども、しかし外交上通用しないという場合もあるから、やはりその点は毅然とした態度で、問題をこちらから提起するということも必要じゃないか。 それで、具体的にはいろいろなやり方があります。旗国主義をとる、あるいは主権主義をとっていく、こういうようなこともやり方はあるでしょうけれども、まあ水域二百海里、こういう問題については、私は問題になっているソビエトの方はやるが、あとの方は、向こうはまだ何も言っておらぬからもう少し先だ、適用除外だなんという考え方でいいのかどうか。この辺は、新しいいわゆる二百海里時代を迎えた、そういう認識にきちっとまだ立っていらっしゃらない政府の姿勢ではないかと、こんなふうにも思います。その点は、重ねてお聞きをいたします。 あわせて、もう最後になりましたが、日本が漁業専管水域という考え方に立って二百海里をしく。私どもは、経済水域という考え方もこれは捨てるべきでない、こう考えております。つまり魚ばかりではなくて、海底資源あるいはさらにこの水域に存在するあらゆるものの開発、必要な資源、こういうものを考えますときに、経済水域という考え方に立たなければならないところも日本の近海にはたくさんあるわけであります。二百海里以内にはたくさんあります。現在のところ、まだ十三カ国しか、経済水域という考え方に立っている国はないのでありますけれども、私はこの辺の考え方は、いま魚、魚で国を挙げて魚に大騒ぎをしておりますから、漁業専管水域というようなものの考え方になっているのでありますけれども、私はもう少しこういう問題について悔いのない議論をしなければならないと思うのであります。 きょうはもう時間が参りましたから、これで私の質問を終わりにいたしますが、最後にいまの二点だけ簡単にお答えいただいて、時間内に私の質問を終わりたいと思います。
○鈴木国務大臣 前段の問題につきましては、ただいま韓国並びに中国に外務省、水産庁から係官を派遣をいたしまして、韓国並びに中国にわが方の考え方というものを十分説明をいたしまして、相手国の方針を打診をしておる、こういう段階でございますから、その結果を見まして、必ず手おくれにならないように措置してまいりたい。しかし、わが方から二百海里をしかけるというようなことは、現在の日韓、日中漁業協定が円満に機能しておるということでございますから、わが方からこれを壊して二百海里をかぶせていくというようなことは避けた方が賢明ではないだろうか、このように考えております。 後段の漁業水域か経済水域か、こういう問題につきましては、まだ海底資源の問題、その他いろいろな問題で海洋法会議でも議論の分かれておるところでございまして、私どもは、当面漁業水産資源の保存と有効利用というような観点から漁業水域としての設定を急ぐ、こういう立場をとっておることを御了承賜りたいと思います。 —————————————
○金子委員長 この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。 ただいま審査中の領海法案について、参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、参考人の人選、出席日時及びその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 この際、暫時休憩いたします。 午後五時二十九分休憩 ————◇————— 午後六時一分開議
○金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 領海法案について質疑を続行いたします。瀬野栄次郎君。
○瀬野委員 公明党・国民会議を代表して領海法案について、農林大臣並びに関係各省庁当局に質問をいたします。 最初に日ソ漁業交渉について質問申し上げます。 特に、今回の日ソ漁業交渉に当たっては、鈴木農林大臣、国務大臣の資格でおいでになったわけですが、並びに岡安水産庁長官には、大変御苦労が多かったことと思います。心からその労を多とするものであります。また、政府が二月以来対ソ漁業交渉で努力してきたことに対しても、一応敬意を表したい、かように思うわけでございます。 モスクワで今月上旬から行われていた日ソ漁業交渉は、領土問題で折り合いがつかずに、十四日の鈴木農相・イシコフ漁業相会談を最後に一たん打ち切りとなり、一昨日大臣も帰国されたわけでございます。 ソ連側の要求が、わが国の北方領土に対する領有権を後退させるものであったり、わが国十二海里内での操業を求めるなど、受け入れることのできない内容があったことも十分承知しておりますが、政府としての、二百海里時代を迎えた対応、特に対ソ交渉に対する見通しと取り組みの甘さというものを指摘せざるを得ません。たびたび大臣もこのことについては指摘を受けておられますが、私も党を代表して、まず大臣に、このことについて国民の前に改めてこの取り組みの甘かったことについて責任の重大なことを反省を込めて見解を述べていただきたい、かように思うわけであります。
○鈴木国務大臣 日ソ間の漁業交渉、これは過去十数年にわたって行われてきたわけでございますが、私は在野時代からも、この漁業交渉や経済問題での話し合い、その他の問題を全体として対ソ外交というものを展開しなければならない、漁業だけを切り離しての交渉というのはどうしても日本は不利な立場に置かれる、こういう考えを常に持っておったわけでございます。 このたび私自身がその衝にみずから当たるようになりまして、さらに一層そのことを痛感をいたしておる次第でございます。私はそういう意味で、今後の対ソ外交というものは再吟味する必要がある、このように考えておる次第でございます。この二百海里、新海洋時代に対応することにつきまして、私どもが十分な体制を整えることができなかったという点については深く反省もいたしておりますが、今回、国会におきましても、また国民世論としても、早く態勢をつくって、そして同じ条件、土俵で対ソ漁業交渉を進めるべきである、こういう御鞭撻をちょうだいいたしておりまして、私どもはそれを踏まえまして、国会や国民の皆さんの期待に沿うように最善の努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
○瀬野委員 先般、園田官房長官が特使としてモスクワに派遣をされ、日ソ漁業交渉の再交渉の道を開いたわけでありますけれども、結果的には領土と魚が結局切り離せなかったわけであります。この二つの問題の分離は園田特使の任務であったと私は思うのですけれども、結局鈴木農林大臣がこの問題をもろにかぶってしまった、こういう結果になっておりますけれども、その点はどうですか、大臣はどういうふうに理解しておられますか。
○鈴木国務大臣 園田特使は総理の親書を携行し、また、政府の趣旨を貫くためにコスイギン首相に対してあらゆる角度からその説得に努めた、その努力は私、高く評価をいたしておるものでございます。しかし、コスイギン首相は、これは漁業交渉であるから、両国の漁業問題の責任者におろして、そうして会談を早く再開をしてやらせようではないか、こういう結論になったようでございまして、領土問題等につきましてのコスイギン首相から確答がなかったということは事実のようでございます。
○瀬野委員 まことに残念なことでございましたが、そこで、若干具体的な問題をお尋ねしておきますけれども、ソ連の線引き案に対して、日本はどういう具体的な線引き案を出したのか、ソ連の主張はけしからぬと言うだけでなく、逆に日本としてどういう提案を出したのか、この点、大臣に承りたいのであります。
○鈴木国務大臣 わが方の提案は、さきに三月三日の鈴木・イシコフ会談の合意に基づいて書簡の交換で確認をいたしました、そのことをそのまま第一条に移しかえて表現すれば十分ではないか、これが終始一貫とってまいった私の方針でございます。いやしくも、一国の責任者同士が合意に達して、そして署名までした。恐らくイシコフ大臣がこの署名をする前には、クレムリンの上層部の方とも御相談をなさったことだと私は受けとめておるわけでございますが、この合意の線をそのまま第一条に移しかえる、これは当然のことであり、ソ連側もこれに対して責任がある、このように私は受けとめておるからでございます。
○瀬野委員 きょうは領海法の審議に当たってたくさん問題がございますので、明日、あさってとまた審議をして質問をしてまいるわけですけれども、はしょっていろいろなことをお尋ねしておきたい、かように思いますので、要点をかいつまんで大臣にお答えいただきたいと思います。 まず、本題に入る前にもう少しお尋ねしておきますけれども、サケ、マス、ニシンを取り決める日ソ漁業委員会の再開でありますが、四月二十日ごろにはというふうに政府も考えておるようですけれども、端的に申し上げまして、イシコフ漁業相が四月十八日ごろからEC諸国へ行くということで、また、五月一日からメーデーで、五月の五日ごろまではなかなか体があかない。したがって、第三次訪ソをされる鈴木農林大臣も、けさほど私も理事会でいろいろ推測申し上げたのですが、けさほどの答弁で、まさしく一致した意見でございましたが、五月六日ごろから十日の間に訪ソをする予定であるという、これは当然そういうことになるだろうと思いますが、そうなりますと、このサケ、マス、ニシンの取り決め、イシコフがいないときに果たして決まるのかどうか、その点が大変心配なんですけれども、かけ声はいいけれども、実際に可能であるかどうか、その点鈴木国務大臣としてはどうお考えですか。
○鈴木国務大臣 確かにサケ・マスには漁期が迫っております。そういうような事情も私勘案をいたしまして、このソ連の二百海里の外、公海上の問題につきましてはソ側もできるだけ早く結論を出そうではないかということにつきましては、基本的に合意をいたしております。二百海里の中につきましてはソ連の主権的権利があるということで、その他の魚種と一緒にクォータを示してくるというような固い姿勢をとっておるわけでございます。本来、日ソ漁業条約の現在生きておる段階におきましては、二百海里の内と外も同時にこれは処理しなければいけない、このように考えておりますけれども、しかし、ただいま瀬野さんが御指摘になりましたように漁期が迫っておるということでございますから、二百海里の外の公海上の分だけでも早くクオータを決めて、そして出漁に支障を来さないようにする必要がある。四月中、遅くとも五月の上旬早々にはこれを決定をしなければ、せっかくクオータをとりましても、確保しても、魚群が移動してしまうというようなことでは何にもならぬということに相なるわけでございます。そういうような事情を勘案いたしまして、荒勝首席代表をモスクワに私招致をいたしまして、その旨を指示して、現在ニコノロフ代表が向こうにおりますから、ニコノロフ代表と、鋭意公海上の二百海里の外の分だけでも早期にひとつクオータを決めるようにという指示をして帰ってまいった次第であります。
○瀬野委員 モスクワにおる荒勝氏に、早くクオータを決めるように指示したということですが、クオータを早く決めるといいましても、最悪の場合といえども、二百海里以外でよもや五万七千トンで決めるわけはないと私は思っております。それではわれわれは承知できません。強力に交渉をしてもらいたい、かように思うわけですが、早くクオータを決めなければ漁期を失してもまた困るわけでございます。 その点が大変むずかしいところでありますが、いずれにしても二百海里外で漁獲をするとなりますと、いま二百海里外でとっている流し網の中小漁船と、二百海里内でとっていた母船式との内輪もめが起こるということはもう当然で、そういったことが、現地からわれわれも電話でいろいろと報告を受けております。こういうことが十分懸念される。そうなりますと、これはもう外どころか内輪げんかということになってしまうので、十分この点については慎重に対処してもらいたいと思いますが、その点は大臣はどういうふうに理解され、検討されておりますか、お答えいただきたい。
○岡安政府委員 先ほど大臣からお答えいたしましたとおり、私どもは従来から母船を中心といたしますサケ・マス漁の出漁の期限は五月の十五日というのが通例でございますし、中小の、南の方でサケ・マスを主としてとります船団は四月の三十日というのが大体の交渉の終期というふうに心得ております。そこで、従来から大体四月中には遅くとも交渉を妥結をさせるということでやっておりましたので、今回もそういう漁期をにらんで交渉をお願いいたしておるわけでございます。 なお、御指摘の二百海里の内外でございますけれども、ことしは豊漁年でございますが、一昨年の豊漁年の漁獲の枠は、母船式並びに中小の船を合わせまして八万七千トンというのが漁獲の枠でございますが、その中で、ソ連の二百海里内というふうに想定されますものは、これはもちろん推定でございますけれども、約二万トン前後であううというふうに考えます。そういたしますと、御指摘のように、母船式が主として二百海里の中であり、中小が外であるというふうには必ずしもならないわけでございます。私ども、クオータの決まりぐあい等、十分見きわめなければならないと思いますけれども、私どもは、今後サケ・マス漁業が、母船式も中小の方もそれが成り立っていくように、もしクオータが減ればそれぞれ減船ということを当然考えまして、適正な操業規模でこれが操業できるように配慮いたしたいというふうに思っております。
○瀬野委員 岡安水産庁長官からいま答弁がありましたように、大臣も十分御承知だと思いますが、母船式も中小漁船も、こういった厳しい中に、内輪もめをしたりして紛争になるようなことがないように十分指導し、その点、私に言わせれば、ゆっくり急げといいますか、本当に慎重にやってもらいたい、そしてまた、十分対処していただきたい、かように申し上げるわけであります。 なお、領海法の本題に入る前に若干日ソ漁業交渉について大臣に見解を承っておきたいことがございます。 領土問題でわが国の主張を後退させたり、または放棄するような妥協は今後ともとるべきではないということは、私たちかねがね主張しておるところでありますが、先日も各党の党首会談で、わが党の竹入委員長は、長期化を恐れてはならないということで、特に強力な発言をしていることは大臣のお耳に入っていることと思います。私も、安易な妥協で永久に取り戻しのきかない結果になっては相ならぬ、かように思っておりまして、北方の漁民にもまた陳情に来る各市長、議長または関係団体の皆さん方にも機会あるごとにそういったことを懇々とお互いにひざをつき合わせて話をし、われわれも十分慎重に対処をするから、皆さんも安易な妥協を許すようなことであってはならぬということで、大方同じ意見で今日まで漁民の皆さんと話をしてきておるのであります。 そこで、福田総理は漁業と領土を絡ませずに交渉を行うことを今後も続ける、こういうふうに発言をしておられますけれども、ソ連側の今回示した態度といきさつから、果たしてこれが可能であるかどうか、国民としては一応疑わざるを得ませんが、この時期において、鈴木国務大臣はどういうふうにお考えであるか、また見通しを持っておられるか、国民の前に、ひとつ不安を除くためにも見解を述べていただきたい、かように思います。
○鈴木国務大臣 直接交渉に当たります責任者の私としまして、この交渉に臨む基本的な姿勢、考え方というものをるるお話を申し上げておるわけでありますが、御指摘のように、北方四島のわが国固有の領土、この問題は今後平和条約締結への一番大きな、唯一と申し上げても差し支えないと思いますが、戦後未解決の問題でございます。これを解決して平和条約の締結をするための交渉を継続しておるわけでございます。したがいまして、この交渉にいささかも悪影響があってはいけない、わが方の立場をいささかでも損ねるようなことがあってはいけない、これが私の基本的な姿勢でございます。と同時に、北洋におけるわが国の漁業権益、これも百年を超えるわが国の漁民の努力によって培ってきた漁業権益でございます。これも守っていかなければならない。この二つの命題を達成しなければならないというのが私に課せられた任務である、こう心得ておりまして、その間に両国の納得できるような妥協点を見出そうということでございますから、非常に困難な問題ではございます。しかし、私は、困難ではあるが不可能ではない、こういう希望を持ちまして、今後も努力をしてまいる、特にただいま審議を願っております領海法、そして二百海里法、こういう点を早期に成立を願いまして、共通の土俵でこの対ソ交渉を強力に展開をしたい、このように考えておるところでございます。
○瀬野委員 鈴木農林大臣のいまの決意は十分私も了としますけれども、あなたは、農林大臣鈴木善幸であると同時に、国務大臣鈴木善幸としての立場で今回の交渉に当たっておられるわけですから、私はあえて聞きますが、いまおっしゃることはわれわれもわからぬではありませんが、漁業と領土とは別であるという主張で交渉が貫ければよいけれども、ソ連側が絡ませてきた場合はどうするのかということで、政府としても対応策を考える必要があるのではないか、かように私は思うわけですが、大臣が答弁無理ならば、外務省も呼んでおりますから、外務省からでも御答弁いただきたい。
○宮澤政府委員 その点につきまして、まさに鈴木農林大臣に大変な御苦心とお骨折りを願ったわけでございますが、御努力にもかかわら一文今日なおまだソ連側と妥結に達しておりませんので、私どもは、大臣のお話も伺いまして、あるいは代表団の話も聞きまして、ソ連側の態度をさらに検討いたしまして、次の対策をいま研究中でございますが、私どもの立場は、漁業の操業が実現すると同時に、領土に対するかねての日本の主張に影響を与えないような、そういう方法で解決をしたいと、さらに大至急検討を続けておるところでございます。
○瀬野委員 鈴木農林大臣、いまの問題について、ソ連側が領土を絡ませてきた場合、あなたは一番その衝に当たるわけです。五月の六日以降三たび訪ソをする。重大な責任を負って、国民の負託を背負って行かれるわけですが、その点についてはいまのうちによく詰めておく必要があると思いますけれども、あなたはどういう決意でございますか、その点どういうふうに考えておられますか。
○鈴木国務大臣 私は、去る三月三日にイシコフ大臣と私の間に合意いたしましたところのあの交換された書簡、あの表現は、相互の立場を損ねないで妥結できるところの線である、これを第一条にそのまま移しかえることによりましてこの問題が処理できる、という信念に基づきまして今回の交渉にも臨んできたわけでございます。いやしくも一国の漁業問題の責任者同士が合意をした点でございますから、それを採用するということは、これは当然のことだ、このように考えております。また、イシコフ大臣があの合意書にサインをするに当たりましては、最高指導部の承認も得てなされておるものと私は確信をいたしておるわけでございます。あの合意書に基づいて今回の交渉がスタートされておる、それがなされておるということからいたしまして、私は、この問題は、この合意というものはあくまで大事にし、尊重して、その実行を迫っていく、こういう立場でなければならない、このように考えております。
○瀬野委員 皆さんも御承知のように、この領海法提案に当たって、当初は魚ということを主体にやってきたんですけれども、途中から御存じのように領土問題が絡んできて、いまはもう魚の関係が一、二割で、あとはほとんど領土問題、ほかの問題というようなことになってきておりますけれども、われわれは当面、日本の漁業を守るためにも、また漁民の窮状を打開するためにも、何としてもこの領海法を当委員会で早期に通して、そして国益を守るためにこたえなければならぬということでは変わりはないのですけれども、いまの外務省並びに農林大臣からの答弁よくわかるんですけれども、なかなか公開の席では言えない点もあろうかと思うのでこれ以上私は追及いたしませんが、そういったことにも十分対応しながら大所高所からやらぬと、冒頭重大な責任を反省されたように、後手後手と弱腰外交でおくれてしまう、これを私は指摘するわけでございまして、国会議員としてもまたこれを厳しく政府に言っておかねばならぬ立場がある、こういった意味で申し上げるわけですから、十分配慮して検討されていくように要求をしておきます。 そこで、領土問題について安易な妥協をしないという国論の統一が必要であるということも当然考えられます。これはやはり日本国民全体として考えなければならない問題でございますので、そういった意味で、次に私具体的に聞くのですけれども、まず一つには、漁民、加工業など関連業者の救済のための特別融資、補償などの措置を十分に行う、二つには、北方領土返還要求の正当性、必要性を全国民に周知徹底するということ、三つには、対ソ交渉で長引いてもやむを得ないという点について十分国民の理解を得るようなPRをする、四つ目は、これはもう当然のことでありますが、魚の資源の開発、輸入、沿岸漁業の育成、他国との漁業技術の協力の推進など、または、アルゼンチンなんかに対する技術援助をしてあちらから魚を大いに輸入するというような問題もありますし、新漁場の開拓等いろいろあります。以上のようなことを行っていく必要があると思いますが、政府はテレビ、新聞だけに任せることなく、政府自体が国民に納得させるように努力をされて、世論を統一するということが必要だと思うけれども、いまのところ成り行き任せというか、行き当たりばったりみたいな感じがするのですが、そういったことについては大臣はどういうふうに考えておられますか。考えていなかったというのであれば、いまから考える用意があるかどうか、そういう点、簡潔にお答えください。
○鈴木国務大臣 瀬野さんが御指摘になりました点は、これは非常に大事な問題でありまして、全く同感でございます。政府としても、関係各省庁力を合わせまして、そういうような措置が十分な効果を発揮するように最善の努力をいたしたい、こう考えております。
○瀬野委員 次に、日ソ漁業交渉中断に伴う漁業関係被害の現況についてお伺いしたいと思います。 被害の現況は、四月以降操業を中止している漁船はいま一千隻ございまして、北転船が百八十二隻、沖合い底引き船が二百五十八隻、サケ・マスはえなわ漁船が百隻、エビかご船が百七十隻、合計七百、そのほか四島周辺のタコとかはえなわ船が三百隻、合計一千隻、関係漁民が約一万三千人と、こういうふうに言われております。被害の現況を政府はどうつかんでおるかということを聞くために申し上げるわけですが、私たちもこういった数字をいま対策本部で集計をしつつはございますが、加工業の実態を見ましても、北海道の場合だけを見ても千九百三十三工場が現に操業を停止しております。また、稚内市の例をとりましても、ニシン漁業者が約二十億円、この中でも沖刺し網グループが四億、遠洋沖合い底引き網グループが十六億円、そのほかに関連産業で、加工業関係が十五億、漁網が七千万円、漁船船舶電気が三億三千万円、鉄鋼四億七千万円、製かん一億、輸送一億五千万、燃料四億一千万、包装資材一千五百万円、トータルで五十億四千五百万円という被害の状況等が出ておりますけれども、私たちも対策本部を設けていま主要な北方漁業に関係ある八つの都市に対して内々調査を進めております。刻刻いま集計が出ておりますけれども、二十五日には全容が明らかになりますが、政府はこういったものを踏まえて被害の状況は現段階でどのくらいと掌握しておられますか、全然掌握していないのかどうか、お答えください。
○岡安政府委員 日ソ漁業交渉が非常に妥結がおくれている関係からいろいろ影響を受けておりますが、まず漁船の関係から私どもの把握しているのを申し上げますと、ニシン漁船につきましては三月一日以降、その他の漁船につきましては四月一日以降、それぞれ休業または出漁停止その他いろいろの転換等の影響を受けているわけでございます。それらの漁船の総数、私どもの把握では延べで約二千隻、実数で千八百隻というふうに把握いたしております。それぞれがどの程度の被害であるかというようなことにつきましては、現在なお調査中でございます。 それ以外の水産加工業者並びに関連企業への影響につきましては、現在まだ目下集計中でございまして、数、被害金額等はまだ集計をして発表できる段階ではございません。
○瀬野委員 現在集計中とおっしゃいますが、相当な数字に上ってくると思うので、ひとつ刻々調査をされて対応策を考えていただきたい、こう思うのです。 そこで、わが党は、日ソ漁業交渉中断による被害救済対策として、まず緊急対策に仕込み資金の決算に要した経費に対する補償、二つには漁船の係留に要する資金補償、三つには漁業経営者の休業に対する補償、四つには漁船乗組員に対する給与補償、これは固定給のみでなく歩合給も含むわけであります。五つには操業中止による帰港経費並びに得べかりし利益に対する補償、すなわち当然操業で収入となるべき利益に対する補償もせよ、六つには水産加工業者の操業中止並びに操業短縮に伴う損失の補償、七つには次の出漁のために要する仕込み資金に対する緊急融資、こういった七つの緊急対策をぜひやっていただきたい、こういった措置を講ずべきだ、こういうふうに政府に訴えておりますけれども、これにどう対処するのか。 実は、四月の十四日も根室市長並びに議長以下三十名の方がわが党に陳情、請願においでになって窮状を訴えておられました。また、本日、釧路市から九名の市長以下代表が陳情、要請に見えまして、いろいろ窮状を訴えておられましたが、わけてもその中で、私胸を打つ思いをしたのは、釧路港の一日の水揚げが四千ないし六千トン、これが六、七時間で運送業一体となってさばいておった。ところがいま火の消えたようになった。ところが、この運送業の車なんかは自動車そのものが水産向けでつくってあるために、それを改造しない限り他の運送に転用できない仕組みになっている。そういったことでどうしようもない。他に転用、他の運送をやってかせぐわけにはいかない。しかも運転手も会社員となっておりまして、これが日雇いということでないので、やはり社員として給料を払うということで、いわゆる解雇ということもできない。こういったことで一日一日が大変厳しい状況下にある、こう言って窮状を訴えておられましたので、私も本当にしみじみそのことを現地に思いをはせて同情いたしたわけであります。もうすでに釧路でも四、五十名の自動車運転手が解雇されておるということもきょうおっしゃっておりました。そういったことで毎日毎日、日がたつにつれて大変厳しくなってまいりますが、さればとて、漁業交渉が浮き足立って安易な妥協はできないということでございますので、いま申し上げたようなことを徹底して救済をする。それで私たちは、この救済に当たってはいま七つ申し上げましたけれども、一番目から六番目については、やはり実損補償ということで補償金の前払い的性格を持った緊急融資でもって対処していただきたい、かように政府にお願いをしたいわけでありますけれども、その点どういうふうにお考えであるか、ひとつ改めてお答えをいただきたい。
○鈴木国務大臣 漁業経営者並びにその乗組員、これらの救済措置並びにそれに関連いたしますところの市場関係、流通業者、輸送業者あるいは加工業者、そういう方々につきましても、影響の度合いを十分勘案をいたしまして救済の措置を講じなければならない、このように考えております。 その措置といたしまして、当面低利資金の緊急の融資を早急にやりたい。そういたしまして、この漁業交渉が妥結をいたしまして許容漁獲量も決定をし、そして減船その他の問題もそれに見合って出てくるわけでございますが、そういう最終的な結末を見た上で本格的な、総合的な救済対策を講じよう。当面は、いま申し上げたように低利の緊急融資でその措置を講じてまいりたい、このように考えております。
○瀬野委員 鈴木農林大臣、緊急融資ということはわかりましたが、おおむねどのくらいの額を想定しておられますか。
○岡安政府委員 先ほど申し上げましたとおり、とりあえず三月、四月の出漁の停止並びに加工業者等につきましての休業、操短等につきまして調査をいたしておりますが、まだ金額でははっきりいたしておりません。したがって、緊急融資の額につきましてもまだここでお答えできるような段階ではございません。
○瀬野委員 岡安水産庁長官、大体いつごろをめどに決まることになりますか。
○岡安政府委員 できるだけ早くということで、いま大蔵省とも相談をいたしておりますが、私どもの目標といたしましては、でき得れば、漁船関係につきましては調査がある程度進んでおりますので、四月中には何とか対策を明らかにできるようにいたしたいと思っておりますし、加工業者につきましては、準備ができ次第これは手をつけていくというようなつもりで現在鋭意努力をいたしておるところであります。
○瀬野委員 日ソ漁業交渉の問題については以上お尋ねいたしまして、引き続き領海法案に入りつつ、関連する問題を外務または海上保安庁、防衛庁等、関係省庁にお尋ねしてまいりたいと思います。 まず順序として、本法第二条二項に「前項本文に規定する線を基線として用いる場合の基準その他基線を定めるに当たって必要な事項は、政令で定める。」こういうことでございますが、この「必要な事項は、政令で定める。」ということは、どういうことを政令で定められるのか、ひとつ具体的に述べていただきたい。
○岡安政府委員 二条二項の政令は、ここに書いてございますとおり、まず二条一項本文に規定する線を基線として用いる場合の基準というのが一つと、その他基線を定めるに当たって必要な事項というふうに分かれるわけでございます。 まず「基線として用いる場合の基準」といたしましては、まず低潮線についてどうかということでございますが、低潮線につきましては、海図に記載されているような低潮線を用いるというようなことを記載をいたしたいというふうに思っております。それから湾口に引かれる直線につきましては、その天然の入口の両側の低潮線上の点の間の距離が二十四海里を超えない湾のこれらの点を結ぶ閉鎖線を用いるというようなこと、これを書きたいと思っております。それから湾内に引かれる直線、これは二十四海里を超えるような場合でございますけれども、湾内に引かれる直線につきましては、その天然の入口の両側の低潮線上の点の間の距離が二十四海里を超える湾の内側に引かれる長さ二十四海里の直線で、この長さの線で囲むことができる最大の水域を囲むもの、これを用いるというようなこと。それから河口に引かれる直線につきましては、河口を横切り、その河川の両岸の低潮線上の点の間に引いた直線を用いることなどを定めたいというふうに思っております。「その他基線を定めるに当たって必要な事項」と申しますのは、大体湾の定義のようなものを書きたいというのが現在考えておる事項でございます。
○瀬野委員 事務的なことですけれども、そういった基線を設けるに当たって、わが日本周辺に低潮高地というのが十二海里以内にあると低潮高地からまた二百海里が引けるわけですがその低潮高地は大体どのくらいと推定でございますか。わかりますか。
○岡安政府委員 いまのところ十二海里以内の低潮高地がどのくらいの数があるかということは、ちょっと承知いたしておりません。
○瀬野委員 さて次に、領海十二海里の早期実現はわが党のかねてからの主張であり、早急に行うべきである、遅きに失したということをかねがね申しておるわけでありますが、附則の二項に「特定海域に係る領海の範囲」ということが定められておりますけれども、いわゆる国際海峡については現状凍結ということでありますが、われわれは現状凍結でなくて十二海里にせよということで修正を迫る予定にしておりますけれども、この国際海峡という概念は現行国際法においては見当たらないと私は思うのであります。国連海洋法会議の単一交渉草案で初めて出てきた概念でありまして、しかもこれはまだこの条約は成立していないわけでございますから、こうしたものを国際海峡として取り扱う限り政府の明確な定義があるはずだ、なくてはならない、かように思うのですけれども、これはどういう定義になっていますか。
○中島政府委員 現在の海洋法の単一草案におきましては、いわゆる国際海峡につきましては国際航行に使用される海峡ということになっておりまして、この概念が具体的にどのようなものであるかという点につきましてはいまなお海洋法会議で審議中でございます。
○瀬野委員 きのう二時間半にわたって質問の内容については通告をして、しっかり勉強をしておくように言うておいたのですから、まごまごしないでスムーズに答えないと時間がなくなってしまいます。 それで、重要な問題であるから、聞く順序は多少前後しても次々聞いてまいりますから、きちっとお答えいただかぬと、あしたあさっての質問にも差し支えてまいりますので、御協力いただきたいと思います。 そこで、当然五海峡を選定するならば基準というものがなくてはならない。これは農林大臣にお答えいただきたいと思うが、基準というのは、どういうことを基準にして決められたのですか。
○岡安政府委員 国際海峡の定義といいますか考え方は、先ほど外務省の方からお答えいただいたわけでございますが、そういう状態でございますので、この領海法におきまして特定海域というものを設定するに当たりましての私どもの考え方は、まず幅が二十四海里に満たないか、または二十四海里を超えておりましても、そのままでは船舶の航行に非常に差し支えがあるようなそういう狭い海峡であるということが一つと、それから公海と公海を結ぶような海峡であるということが一つ。それから、その海峡につきましては、外国船舶、特にわが国に寄港するということを目的としない、いわば通過航行をするような外国船舶が非常に多いというような基準からこの五つの特定海域を定めた次第でございます。
○瀬野委員 わが日本の周辺には六十九の海峡があるわけですね。その中から五つを選んだということでありますけれども、この六十九海峡の外国船の通過量を調べておるかと私は問いただしたいわけです。と同時に、そのデータがあるかどうか、実際どういうふうにしてこれを調べたか、こういったところはどうですか、はっきり数字を握っていますか。
○間政府委員 この六十九の海峡の船舶の通過量につきましては、海上保安庁におきまして、ことしの二月と三月の二カ月にわたりましてそれぞれ連続して四十八時間程度を二回巡視船を現場に出しまして通航船の調査を行いました。その結果をまとめまして、今回の法律の作成の資料に提供したわけでございます。
○瀬野委員 海上保安庁はもう御存じだと思うが、きょうの朝刊を見ましても、対馬海峡東水道を十八日ソ連ミサイル艦隊が北上通過した記事が大きく扱われております。こんなことを新聞がうそを書くわけはないし、これは堂々と新聞に出ております。皆さんも当然朝日を通されたと思う。そこで、私は何も五海峡にこだわるわけではありませんけれども、特定海域に指定した五海峡における軍艦及び潜水艦、これは防衛庁関係、二つには商船、これは運輸省関係、このいわゆる軍艦及び潜水艦、商船等の五海峡ごとのそれぞれの国別の通航実績というものを明らかにしてもらいたい。これは明らかにできますか。できなければ、追って資料を出してもらいたいと思うが、どうですか。 〔委員長退席、今井委員長代理着席〕
○伊藤(圭)政府委員 いま先生がおっしゃいました五つの海峡ということでございますが、防衛庁は対馬、津軽、宗谷の海峡にはそれぞれ監視所というのを持っております。そこで通航する船舶を見ているわけでございますが、御承知のように二十四時間監視しているわけでございますが、天候の問題あるいはまた夜間等、いわゆるレーダーでどこの船か、どういうものかということまではなかなかわからないわけでございます。したがいまして、私どもの監視所におきまして実際に視認した数というのを過去五年間にわたりまして集計しましたところを申し上げますと、対馬海峡におきましては大体ソ連の艦艇は年間を通じまして百二十隻前後でございます。アメリカの艦艇が二十隻前後でございます。津軽海峡におきましてはソ連の艦艇が五十隻ないし六十隻というデータが出ております。アメリカの艦艇が約十隻でございます。宗谷におきましては、これはほとんどがソ連の艦艇でございまして、年間約百隻でございます。 さらに、いま潜水艦のお話がございましたが、潜水艦につきましては、たとえば対馬海峡、宗谷海峡等につきましては、もぐって通るというものにつきましてはなかなかはっきりわかりません。しかしながら、私どもが推定いたしておりますのは、対馬、宗谷等におきましては、宗谷の方はこれはちょっと全部がわかりませんのではっきり申し上げられませんけれども、浮上して通ったもの、あるいはもぐって通ったもの等含めまして、年間十隻前後ではないかというふうに推定をいたしております。津軽海峡におきましては、これはもぐったまま通るというのはきわめて困難でございます。したがいまして、浮上したのが時折通ることはあるのでございますが、ほとんど潜水艦の通航というのはないというのが実情でございます。
○瀬野委員 いま聞いておわかりのように、何となくはっきりしない答弁ですね。大隅については、これは全然監視所がないから調査していないということでしょう。そういったことで、実際にわが日本の周辺には六十九の海峡がありますけれども、こういったところがつまびらかに調べていないわけですね。私はこういったところが大変問題であると思うのです。だから、私が言わんとするところは全面十二海里にすべきだということを言うためにいまからいろいろなことを申し上げるわけですが、そういう意味で指摘をしておくわけです。 防衛庁、きょうの新聞で十八日のソ連艦隊の対馬通航をキャッチしたという情報は、わかっていますか。
○伊藤(圭)政府委員 防衛庁の海上自衛隊は、対潜訓練のために洋上遠く飛んでおります。それからまた、一方艦艇の通航状況について調査をいたしております。それがたしか十六日に一応北上してくる三隻の艦艇を視認いたしておりまして、その後海上自衛隊の飛行機でこれを監視しながら、対馬海峡を通っていくというのを視認いたしておるわけでございます。
○瀬野委員 次に、農林大臣にお伺いしますが、これは附則二条に関連していまから若干質問するために前もってお伺いするわけですけれども、国連海洋法会議でアメラシンゲ議長は第四回会期最終日に提出した非公式単一交渉草案改訂版で「領海及び接続水域」の中で「領海の幅員」について、第二条「各国は、一二海里を越えない限度までにおいて領海の幅を設定する権利を有する。」とあるが、これは各国が合意していると私は理解しておりますけれども、この理解に間違いないかどうか。また、この第二条の文言は、農林大臣も、また政府の方もこのように認識しておられるか、その点確かめる意味でお聞きしたいと思います。どうですか。
○鈴木国務大臣 同様に認識をいたしております。
○瀬野委員 そこで附則第二条に「当分の間」とありまして、宗谷海峡以下五海峡のことがずっと述べられております。「「特定海域」という。」というふうにしてありますが、「当分の間」とはいつまでを言うのですか。
○中島政府委員 この領海法案の附則におきまして特定海峡の領海幅を現状どおりにいたしますことの趣旨は、わが国がいわゆる国際海峡における航行制度について一般領海におけるよりもより自由な通航制度を確立することが必要であるという立場で海洋法会議に臨んでおりますし、また海洋法会議を通じてそのような通航制度ができ上がることに努力をいたしておるわけでございます。 ところで、今回領海を十二海里に拡張するに当たって、わが国といたしましてはそのようないわゆる国際海峡における通航制度ができ上がるまでの間、その国際海峡における通航制度は海洋法会議を通じて制度ができ上がるのを待つという態度をとるべきである、それがわが国の国益に資するゆえんであるというのが基本的な考え方でございます。したがいまして、そこで「当分の間」と申しますのも、このようないわゆる国際海峡におけるところの航行制度が確立するまでの間、現状どおりを凍結するということでございます。
○瀬野委員 何かわかったような、わからぬようなことですけれども、航行制度が確立する間と言うけれども、私はこれは防衛庁にもすぐ聞きますし、農林大臣にも聞きますので、いまから言うことをよく聞いておいて御答弁いただきたい。 ここに大変なまやかしというか、国民を欺くといいますか、私は問題があるというので、ずいぶんこの「当分の間」というのを検討してみましたが、私はこういうふうに検討してみたわけです。これはもう端的に言うと、「当分の間」ということは「永久」ということに通ずる、こういうふうに私は言いたいわけです。すなわち、海洋法会議の結果、国際海峡について定義が決まっても、世界の合意ができたとしても、核積載艦船の通航を規定するような定義が定められるとはまず私は考えられない、かように思うわけです。そこで日本が非核三原則を堅持している限りにおいては国際海峡の核積載艦船の通航は非核三原則に触れるということは、これはもう当然でありますし、もうたびたび政府も答弁をしておられることであります。 そこで、国連海洋法会議でアメラシンゲ議長が提案したところの単一草案というものが変わることはまずない、しかも各国が合意しております。このように法的な見方をするのが当然の常識ではないか、かように私は思うわけです。そこで海洋法会議が決まっても三海里でよいということだ。なぜかならば、第二条で「各国は、一二海里を越えない限度までにおいて領海の幅を設定する権利を有する。」、「一二海里を越えない限度までにおいて」と書いてあります。だから三海里でも五海里でも六海里でも七海里でもいいということです。十二海里でもいい、「一二海里を越えない限度までにおいて」と書いてある。ここに問題がある。そこで十二海里までならば幾らでも定められるということでありますので、すなわち日本の自主規制でよいということになるではありませんか、理論的には。すなわち、三海里としておいても、海洋法会議の結果においても国際法に触れぬことになるわけです。「一二海里を越えない限度までにおいて」と書いてあるのですから、触れない。よって、「当分の間」こうおっしゃっているけれども、この「当分の間」はうそだと私は言いたい。言いかえれば永久暫定ということになる、かように思うわけです。政府の腹は永久に現状凍結の腹ではないか、ここはかように言わざるを得ない。三海里は永久に続くということになるわけです。日本は余りにも寛大過ぎる、かように私は思うのです。これは重要な点でありまして、何だかごまかされておるような感じがしてならないのですが、この法案の大きな焦点でもあると思う。私はずいぶん検討して、もう紙が真っ黒になるぐらい検討してみました。結局私は先ほど言ったように思うのですが、これはいずれはっきりすることでありますから、まやかしでなく、国民の前に明快に答弁をいただきたい。
○鈴木国務大臣 いわゆる国際海峡につきましては、先ほど外務省の中島条約局長が申し上げたとおりでございまして、わが方は国連海洋法会議におきまして、海洋国家として、海運国家としての国益を守るという観点から局長が申し上げたような主張をやっておるわけでございます。したがいまして、私は海洋法会議におきましても、国際的にこれがオーソライズされるということをこいねがっておるわけでございます。その結果が、わが国がとっておる今回の措置というものと同じような方向でこれが決まるということは、私どもは、わが国として先見の明があったといいますか、そういう対応の仕方をわれわれは主張し、それが実現をしていくということは望ましいことだ、このように考えておるところでございます。したがいまして、それが海洋法会議において結論を得た場合におきましては、この「当分の間」という問題はその時点で検討さるべき問題だ、このように承知しております。
○瀬野委員 鈴木農林大臣はその時点でと言って、そのときはそのときだということであれなんですけれども、これは大変な問題なんです。 防衛庁、防衛庁はこれで満足しますか。これは防衛の上からいけば、私はゆゆしき問題である。これは自衛隊の隊員諸君なんかこれで満足するわけはないと私は思う。すなわち、いまいろいろ申し上げてきたからもうくどくど言う時間はございませんけれども、わが国の安全保障の立場、防衛上の立場から、領海十二海里の実施に当たって、すべての海峡に無条件に十二海里を適用した方が、一部海峡を現状凍結するより望ましいことは当然である。こういった意味で三海里に凍結するとこれは永久に三海里になりかねない。これは明らかにまやかしです。「当分の間」は、これを火であぶるとあぶり出しが出てくる、永久という言葉が出てくると私は思うのです。この点を審議しておかないと後で国民に対して申しわけないから、あえて私は言うのですが、そうならなければ結構ですけれども、これは私は問題だと思う。防衛庁としては十二海里をやった方がどれだけ防衛上助かるかわからぬと思うが、防衛庁の見解はどうですか。
○伊藤(圭)政府委員 いま先生が申されましたように、一般的に申しますと、武力を行使する防衛の立場から申しますと、外国の艦艇等が自由に行動できない範囲が広がるということは防衛上有利であるということは間違いないことでございます。しかしながら、安全保障というものは単に防衛だけの問題ではないと私どもは考えているわけです。したがって海洋国家でありますわが国といたしましては、貿易の問題あるいは海運の問題ということがあろうと思いますし、また先進工業国としての特性もあろうかと思います。そしてまた一方、ただいま外務省の方からも御説明がありましたように、海洋法会議によって通航制度に関する問題がいま審議されている状況でございますので、そういった広い意味の安全保障を考えながら今回のこの三海里というものが決定されたというふうに認識をいたしております。 そしてもう一つ申し上げておきたいことは、現状より不利益になるということはまずないのでございまして、現在でも三海里の領海を持っているわけでございますから、いま先生が御指摘になられますように、非常に不利になるということはないわけでございまして、一般的には十二海里のところがふえるわけでございますから、その意味では有利だということが言えるのではないかというふうに判断いたしております。
○瀬野委員 防衛庁はこのことを質問すると、口を開けばすぐ、広い意味の安全保障を考える上からとか現状不利益になることはない、こう言うので、これは大分農林省やほかから話があったのじゃないかというふうに思いますけれども、全く心にもないようなことを言う。十二海里にした方がいいことは決まっているじゃないですか。 そこで、防衛庁に聞くけれども、海洋法会議で国際海峡が決まった場合、沿岸国というものが武力紛争に際して、戦時に日本が閉鎖できるかという問題、また交戦国というものは国際海峡において戦闘行為ができるのか、また沿岸国は国際法上の権利に基づいて戦闘行為の禁止を要求することができるのか、あるいは国際法は国際海峡における戦闘行為を禁止しているのか、こういったことを防衛庁はどういうふうに理解して、今回の領海法を認めようとしておられるのですか。もしこのことをいまごろになっても考えていないと言うならば、これはおかしいことですぞ。明確にお答えください。きょうは三原防衛庁長官に出てくれと言ったところが、きょうはちょっと新聞記者との何か用事があるのでどうしても出られないので、長官にかわって局長から長官の意思を体して明快な答弁をするということで特に念を押して返事をいただいておりますから、自信を持ってひとつお答えいただきたい。
○伊藤(圭)政府委員 国際海峡におきますいろいろな通航制度の問題等につきましては、防衛庁よりはやはり外務省からお答えいただくのが適当かと存じます。しかしながら防衛庁といたしましては、いま先生がいろいろ御指摘なさいましたようなことが現実に起こるかどうかということは、まあ起こりにくいことだというふうに考えております。しかしながら、仮に起こった場合どうだということになりますと、これはいわゆるわが国の安全に対して自衛権を発動する要件というものがございます。これは急迫不正の侵害があるというようなこと、それから他に手段がない場合、必要最小限度の自衛権を行使するということになりますので、自衛隊法に基づきます警備行動なりあるいは防衛出動というような形になって、日本に侵略の危険がある場合には行動するということになるわけでございます。
○瀬野委員 歯切れが悪いけれども、まあ時間も迫ってきておるので……。 外務省にお聞きするけれども、これまで本委員会における領海十二海里問題をめぐる論議において、政府がなぜ一部海峡を現状凍結しなければならないのか、納得できる説明を私は聞いておりません。いろいろ疑問が持たれるわけですけれども、外務省としてこうした措置をとらなければならないというのには、非核三原則との絡み等で日米安保条約の問題が生ずるというふうなことが言われておりますが、十二海里とした場合にどうしてもやはり安保条約の問題からこういった支障を来すというふうに理解しておられるのか。これはいろいろ言われますけれども、私も一度外務省に聞いてみたいと思っておりましたので、この席でひとつ明快なお答えをいただきたいと思います。
○中島政府委員 お答え申し上げます。 先ほどもちょっと御説明申し上げましたけれども、この領海法案におきまして、特定海域の領海幅を現状どおりとするといたしました趣旨は、わが国は国連の海洋法会議において、一般の領海における無害通航よりももっと自由な通航制度を国際海峡において確立するということがわが国の国益に沿う、海運国として、先進工業国としてのわが国の立場からそれがわが国益に沿うゆえんであるということでやっていることでございまして、これは予算委員会におきまして鈴木農林大臣からお示しになりました統一見解にも明確に示されているとおりでございます。その際にもございましたように、これは非核三原則の問題とは関係がないということでございまして、ましてや日米安保条約の関係からこういうことになっておるということは全くないというふうに御理解願いたいのでございます。
○瀬野委員 毎回答弁される内容でございますが、時間も迫ってまいるので、まだ大事なことを若干お聞きしたいので、次に進みます。 いまの問題の締めくくりみたいな意味でもう一点農林大臣にお伺いしておきますけれども、政府は非核三原則の適用を回避するため——そうでないとおっしゃるけれども、私に言わせれば非核三原則の適用を回避するためというふうに言わざるを得ない。きわめて変則的な領海制度を設定して、主権的な権利として認められている十二海里を領海とする、権利と無害通航に関する日本の権利を放棄しようとしております。きのうの党首会談でもこういったことがいろいろ論議されたわけですが、私は、例外なく領海十二海里を設定し、かつ核兵器積載艦船の海峡通航は一切禁止すべきである、かように思うわけであります。マラッカ海峡のことを政府はよく例にとられてしばしば論議しておりますけれども、御存じのようにあれは一番浅いところで船底から下が三・五メートル、あそこは全然潜水艦や何かもぐれない、通れないということになっているのです。しかも沿岸三国はすでに無害通航をやっておる。政府は自由通航ともおっしゃるけれども、あそこは無害通航でなければ、もぐることはできないのです。あれをすぐ例にとられるけれども、あれと日本の津軽とは全然意味が違うのだ。そこで私は、マラッカ海峡の自由通航を口実に実際には核積載艦船の通航を認めようとすることはわが国の平和と安全、国益を無視するものであり、領海幅は例外なく十二海里として非核三原則の厳格な適用を貫徹すべきである、かように思うわけです。この点は海洋法会議の決定を待たずに実行できるわけであります。さっきのいわゆる二条に基づいてでもできるわけですから、そういった意味で要は政府の判断である、決意である。本法案の一番最後のところに提案の理由として「沿岸漁業の保護等を図るため、我が国の領海を拡張する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である」と明確に書いてあるが、全くこのとおりでありまして、何で遠慮するのか。最後は政府の決断である。あなたは農林大臣であると同時に国務大臣です。漁民の権益を守るために、領土をせっかく広げるのだから堂堂と言い張っていくべきである。外務省であろうと防衛庁であろうと、そういう協力を求めて断固として言い通すべきである、かように思うのですが、大臣、決意はいかがですか。あなたの決断を求めたい。
○鈴木国務大臣 このようにいわゆる国際海峡は現状を変更しない、それはわが国が海洋法会議におきましても終始無害航行よりももっと自由な通航制度というものを主張をいたしておるわけでございます。私どもは、無害通航という制度もございますけれども、それよりもより自由な通航制度というものを海洋法会議で主張しておる。これは先ほど来申し上げておりますように、海運国家として、また近代工業国家として貿易に依存しておるわが国として、そういう立場に立って総合的な国益の観点からそれを主張しておるわけでございます。 また、ただいま瀬野さんから漁民の保護ができないのではないかというような意味合いの御発言がございましたが、これは断じてさようではございません。今回十二海里法さらに二百海里法というものが成立をし、それによりましてこの海峡におけるところの外国漁船の操業ということはこれを禁止することができるという措置が講ぜられておりますし、漁民諸君の保護を完全に行える、こういう措置も十分私どもは裏づけておるわけでございます。漁民の保護を十分確保しながら総合的な国益の観点からこのような制度が一番ベターである、こういう観点に立つものでございます。
○瀬野委員 これはまたあした、あさってもこの委員会があるわけですが、大臣はいまここで十二海里をしますとはなかなか言えないだろうと私は思う。これはまたわれわれも当委員会での採決に当たっては修正案も出し、いろいろと政府・与党にもこの問題に対して要求をしたいと思っております。最終的にまあ二十六日採決を予定としていまのところ進めておりますが、その時点でいろいろ検討さしていただくことにして、当委員会で十分いま申し上げたようなことを踏まえてひとつ政府も与党も御検討いただきたいと思います。 時間が迫ってまいりますので、あと若干はしょってお伺いいたします。 農林大臣にさらにお伺いしますけれども、今回領海法がいずれ制定され、十二海里が設定される、また近く二十一日には持ち回り閣議で漁業水域の設定等に関する暫定措置法すなわち二百海里水域法案が提案されるということで並行審議をする予定になっております。そういうふうになりますと西日本関係も大変いろいろとまた問題が起きてくるわけでございまして、本日も日本遠洋底曳網漁業協会の徳島喜太郎会長を代表として二十数名が先ほど農林委員会に陳情に見えました。二百海里漁業水域設定に関する暫定措置法に対する強い要望があったわけですが、いずれにしても二百海里法案も並行審議をすることに相なります。そうなってきますと、領海侵犯ということが今度は拡大されてくる。また、外国の違反漁船等の取り締まりというものが当然起きてくる。現にアメリカでもソ連漁船初め日本漁船等の拿捕が数十隻出ておることは御存じのとおりです。そこで、現行三海里が十二海里となりますと領海は約四倍になる。二百海里に至っては約七十倍ということになります。そうすれば当然警備体制の範囲が広がることになるわけでございますが、海上保安庁の現行体制でやっておる姿を見ましても、若干ヘリその他を増設するとは言っておりますが、私は相当な増強をしなければこういった取り締まりまたは監視ができない、かように思うわけです。これは私は海上保安庁に聞くのではなくて農林大臣から、あなたが日本の国益を守るために、漁民を守るために、ここで海上保安庁に対しどのような警備体制をとってもらうという決意で臨んでおられるのか、その点明らかにしていただきたい、かように思います。
○鈴木国務大臣 領海法並びに二百海里漁業水域法を閣議で閣議決定並びに閣議了解をお願いをいたしました際に、海上保安庁を所管する田村運輸大臣から、ただいま瀬野さんが御指摘になりました警備体制の整備ということにつきまして強い発言がございました。要請があったわけでございます。その際、この漁業水域なりあるいは沿岸漁業の保護等の観点から領海幅員を十二海里にするということを主張しております私としては同様の立場に立ちまして、この警備体制の整備、監視船、巡視船、あるいは航空機、ヘリコプター、そういうものの整備を十分にやってほしいということを運輸大臣とともに強く閣議において主張いたし、大蔵当局においてもそのことを了承いたしておるところでございます。
○瀬野委員 大臣はもちろんそういうことで要請してもらわなければならぬ。当然不足することは明らかでございます。 そこでさらにお聞きしておきますが、私は海上保安庁、防衛庁にも簡潔にお答えいただきたいと思うが、しからばどう対処していくかということで、まず海上保安庁の人員及び警備艇の増強も当然でありますが、自衛隊の出動依頼というようなことも考えておるのかどうか、これは海上保安庁にお答えいただきます。 それから将来のいろいろのことを想定した場合に、自衛隊法八十二条の弾力的運用を考えるということになるのか、またあるいは自衛隊法を改正するということになるのか、こういったこともいろいろ考えなければならぬと思うのですけれども、こういった機会にひとつ海上保安庁、防衛庁、お答えいただきたい。
○間政府委員 先生御承知のように、現在海上におきますところの警備の任務は、第一義的には海上保安庁がこれを負っております。したがいまして、今後の新しい領海拡大あるいは二百海里水域、こういう事態に対しましても、海上保安庁みずからの勢力をできるだけ強化いたしましてこの任務を全うできるようにしてまいりたいということで、目下そのための整備増強計画を検討いたしておるわけでございます。しかし、そういう新しい増強ができるまでには若干の時間はかかります。その間におきましては、現在海上保安庁は三百十隻の巡視船艇と三十四機の航空機を保有しておるわけでございますが、これらの巡視船あるいは航空機を最も効率的に、重点的に活用いたしまして当面の業務の増大に対処していくというふうに考えておるわけでございます。
○伊藤(圭)政府委員 いま海上保安庁の方からお答えしたとおりでございます。私どもの方も現在の法律ではその取り締まりの任務というものはないわけでございますが、海上保安庁にはいろいろな面で御協力申し上げることができると考えております。たとえば先ほども申し上げましたように、海上自衛隊の飛行機というものは対潜哨戒の訓練のために常に洋上遠く飛ぶことがございますし、また護衛艦も公海上で訓練をいたしております。そういう場合に特異な事態がございましたならば直ちに海上保安庁に連絡をするとか、あるいは海上保安庁からこの海域の特異な状況があるから見てきてもらいたいというような御依頼がございましたならば、それを監視に出かけることも可能であるというふうに考えておりまして、当面私どもが常時やっております訓練、調査、監視の体制の中で御協力できるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○瀬野委員 時間が詰まってまいりましたのでいろいろお尋ねする時間がなくなってまいりましたけれども、若干はしょってお尋ねしておきます。 これは防衛庁にお尋ねしますけれども、頻繁にソ連軍用機が飛行するようになれば、航空自衛隊のスクランブル体制にも人員、航空機の整備等の面から当然支障が出てくるというぐあいに思うわけです。そこで津軽海峡の場合、十二海里を設定すればいわゆる上空も当然制約を受けるわけですから、これは防衛上も大変有利に展開する、こういうふうに思うのです。そういうところも含めてこういった警備体制その他について、従来言われておりましたようにいまのままでいいわけがございませんし、領海十二海里の実施によって領海、領空の拡大をもたらすわけでございますから、当然これに対する防衛庁の対応策というのが起きてくる、かように思うわけですけれども、その点もう一度念のためにお答えいただきたい。また海上保安庁もそれに対する対応をどういうふうに考えて進めておられるのか、十分検討してあると思うのでありますけれども、その点もあわせてお答えいただきたい。
○伊藤(圭)政府委員 先ほども申し上げましたように、領海の取り締まりにつきましては海上保安庁の任務でございます。しかしながら領空侵犯に対する阻止の任務、これは平時の任務として航空自衛隊に与えられているものでございます。海上におきます海上自衛隊の行動というのは、有事の際には領海の中だけでやるわけではございませんので、直ちに影響があるというふうには考えておりません。また領空侵犯の問題につきましては、領空を犯されてから飛行機が上がっていくというものではございません。ジェット機というのはきわめて速いスピードで入ってまいりますので、現在でもソ連の飛行機というものは、私どものレーダーサイトの届く範囲でもきわめて多数飛んでいるわけでございます。しかしアンノーンの飛行機、識別不能の飛行機が日本の領空を犯す可能性のあるものに対してはスクランブルで上がっているわけでございまして、これはすでに御承知のように、年間約三百回スクランブルに上がっているわけでございます。これが十二海里になって、それだけ領空が広がったから、上がる回数がふえるのではないかというような御質問でございますけれども、私どもはいま直ちにそういうふうになるとは考えていないわけでございまして、三海里に近寄ってくる、十二海里に近寄ってくる可能性のある飛行機に対しましては、現在上がっているのと同じような体制でスクランブルをかけるということになろうかと思っております。
○瀬野委員 鈴木農林大臣にあと二、三点お伺いしておきますが、北方領土での領海十二海里の線引き、これは具体的にはどう考えておりますか、お答えいただきたい。
○鈴木国務大臣 北方四島はわが国固有の領土でございますから、その沿岸に接続する二百海里は当然漁業水域として設定をされるわけでございます。
○瀬野委員 当然そうだと思います。そこで現実には北方領土をソ連が占有しているために、現在では北方領土と北海道の問の海域は日ソ両国に管轄されておりますね。そこで、その管轄の基準となっているのは何であるかお尋ねしたい。そのような基準がないとしたならば、今日まで同地域において日本漁船がソ連船に拿捕されている限界というものは北海道沿岸から何海里となっておるのか。現実的には線引きとまではいかなくても何かの基準がなければならぬ、こういうふうに思うのですが、その辺どういうふうに理解していいのか、ひとつこの機会に大臣からお答えをいただきたい。
○鈴木国務大臣 現にソ連が北方四島を不法に占拠している、占有している。そこで北方四島周辺の安全操業というものが非常に重要な問題に相なっておるわけでございます。私どもは特殊な海域ということで、安全操業の確保につきましてソ側と今日までもしばしば交渉して、拿捕等のようなことを一定の規律のもとにやらなければいけない、不当な拿捕等はわが方としては容認できない、こういう主張をやってきておるわけでございます。しかしソ側としては、基本的には領海十二海里というものをいままで基準として、その領海内に入ることを拒否しておる、それに対する措置をとってきておる、このように考えておるところでございます。二百海里時代、さらに幹部会令によりまして主権的権利を行使するということになりますれば、この問題はさらに広がってくるわけでございます。しかし私どもは、この北方四島の沖合い二百海里の問題につきましては先ほど来、これが交渉の争点になっておるということも申し上げておるとおりでございます。
○瀬野委員 最後に一点お伺いしておきますけれども、附則の一項に「施行期日」として「この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。」とあります。これは国内は周知徹底は余りしなくてもよくわかると思うのですけれども、やはり国際紛争の種になってはいけませんから、世界の海事関係者、外国の漁業者に知らせるということは当然であります。そういったことで必要でありますけれども、これは三カ月じゃ長過ぎる。われわれもまた修正を要求しようと思っていますが、いずれにしても一月、長くてせいぜい一月半というようなことで事足りるのじゃないか。日本の沿岸漁民のためにも、またこの厳しい情勢下を考えたときに、これは当然短縮すべきである、私はかように思う。この点について大臣からお答えいただきたい。 と同時に、この領海法が施行になった場合、これは国内法でありますから、法律、政令ができても、各国の皆さんに知らせるためには、いわゆる領海が十二海里になりましたということを知らせる必要があるわけですから、国際的に周知徹底するにはどういう方法でやるのか、またいつやるのか、外務省あるいは農林省等の関係各省がやるのか、その点もあわせてお答えをいただきたいと思います。
○鈴木国務大臣 附則でこの法律の実施を三カ月以内、こういうことにいたしておるわけでございますが、国会の御協力を得まして緊急にこれを御承認願うというような事情、そうならざるを得ない事情、こういうことを勘案いたしまして、三カ月以内といたしましてもできるだけ早くこれを施行いたしたいというのが私の考えでございます。 なお、これを周知徹底せしめる方法につきましては、外務省の方から御答弁願うことにいたします。
○中島政府委員 お答え申し上げます。 ただいまの領海法案につきましては、すでに近隣諸国に対して説明をいたしておりますが、この法案が成立いたしまして法律となりました際には、外交ルート等を通じましてしかるべく世界の国々に通報をいたしたいと考えております。
○瀬野委員 時間が参りましたので、以上で終わります。
○今井委員長代理 稲富稜人君。
○稲富委員 まず私は、質問に入るに先立ちまして、鈴木農林大臣が今回ソ連との漁業交渉においでになりまして本当に御苦労さまでございました、御苦労のほどを察しながら、この機会に厚く敬意を表したいと思います。 まず、領海法の問題につきまして、農林省及び外務省に対して若干の質問を行いたいと思うのでございますが、鈴木農林大臣は、数日後にはまたソ連との交渉に行かれるわけでございますので、私の質問に対しまして、その交渉に差し支えがあるようなことでありますならば、何も答弁をいたさなくても結構でございます。また、私きょう、午前中ほかの委員会に出ていっておりました関係上、大臣の中間報告も承っておりませんので、あるいはその点は失礼なことがあるかもわからぬと思いますけれども、その点もまずお許しを願いたいと思うのでございます。それで、今後の交渉に差し支えない程度においての御答弁で結構でございますから、前もってそのことを私の方から申し上げておきたいと思うのでございます。 第一にお尋ねいたしたいと思いますことは、政府から今回提出されております領海法案の参考資料を見ますと、ソ連は昭和四十八年より日本の沿岸におきまして膨大なる漁船団を組織して、計画的にわが国の近海を襲うてわが国の漁業に大きなる損害を与えておるということは、この資料の中にも示されておるのでございます。これにより、わが国の漁民あるいは漁船、漁具に対して大きな損害を与えております。 この問題は、本委員会におきましても、数年前からしばしば論議されたことでございます。これに対して、われわれはしばしば要求いたしましたが、外務省並びに農林省は、この漁民に与えた損害の賠償並びに日本近海のソビエト漁船団の無謀なると申しますか、傍若無人な漁獲、こういう問題に対してどういう処置をとり、どういう抗議を申し込み、どういう交渉をなされたか、その経緯をひとつこの機会に、外務省並びに農林省双方から承りたいと思うのでございます。 〔今井委員長代理退席、委員長着席〕
○岡安政府委員 ソ連船によるわが国沿岸漁民の被害の発生状況につきましては、先生も御指摘のとおり資料としてお手元にお配りしているわけでございます。 これにもございますとおり、ソ連船は、大体三十年代におきましては調査船程度でございましたけれども、四十年代から本格的な操業を始めてまいりまして、それに伴い被害件数が増大いたしまして、その後ろにございますとおり四十九年が、最高の被害件数並びに被害金額を示しているわけでございます。私どもといたしましては、このような被害状況にかんがみまして、秩序ある操業を求めるということで交渉をいたしました結果、昭和五十年の十月に、日ソ漁業操業協定が発効いたしまして、それに基づきまして損害の発生しないように安全かつ規律ある操業をするということと同時に、発生いたしました損害に対しましては、損害賠償請求処理委員会制度を設けまして、速やかにこれを処理するというようなことをしてまいったわけでございます。しかし、それでもなおかつ、一時はソ連船による被害が激減をいたしましたけれども、最近に至りましてまた非常に増大をいたしておりますので、私どもといたしましてはその都度、ソ連船を確認をいたしまして、日にち、場所、相手方の船名等を外務省を通じて相手方に通報すると同時に、厳重な警告と言いますか、抗議をいたしておるわけでございます。 それに対しまして、ソ連の方では、調査をするという回答もございますし、回答がないときもございますけれども、私どもはやはり協定違反と言いますか、協定のルールを守らないことによる損害の発生は断固これを防止しなければならないという立場で、従来から厳重な抗議を繰り返しておるわけでございます。最近に至りましてふえるというような傾向は残念に思っているわけでございますが、今後、私どもさらに監視等を十分続けたいと思っております。 それから、損害の処理につきましては、協定発効前二カ年間に発生いたしました損害につきましてこの請求を認めるということにいたしておりますので、最初でございますので七百件を超える請求がどっと出てきております。順次審査をいたしておりますけれども、まだ三十数件しか審査が始まっておりませんし、そのうち二件だけがモスクワに送られるというように、審査につきましてはまだ緒についたばかりでございますけれども、今後は大いに事務の促進を図りまして、速やかにたまっております案件の処理を図ってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○宮澤政府委員 ただいま水産庁長官のお述べになりましたことの補足でございますが、外務省といたしましてはただいま答弁の中に言及されました日ソ漁業操業協定の発効いたしました一昨年十月からただいまに至りますまで、ソ連側の違反に対しまして東京あるいはモスクワにおきまして種種の機会をとらえまして八回にわたって抗議をいたしております。一例として申し上げますと、最初は五十年の十二月二十四日に東京におきましてソ連大使館のツェホーニャ公使を呼びまして、欧亜局の参事官から抗議をいたしております。次はその翌年の五十一年の一月でございますが、グロムイコ外務大臣が来日いたしましたときに安倍農林大臣から自粛方を強く要請されております。このようにいたしまして、最近では昨年の九月二十九日、小坂外務大臣よりグロムイコ外相に抗議をされており、またことしの一月二十六日東欧一課長から在京大使館のデニソフ参事官という者に抗議をいたしております。このようにして、一昨年の十二月から今日まで八回にわたって抗議をいたして、その自粛ないし注意を促しております。
○鈴木国務大臣 私からさらに補足をいたします。 今回御審議を願っております領海十二海里法、さらに漁業水域二百海里法、これが成立をいたしますれば、この近海における乱暴な操業、こういうものは十分排除できる、私はまずそういうような事態が今後も続かないようにということをやってまいりたい。と同時に、いままで発生いたしましたものにつきまして、これは基本的には民事の問題でございますから、紛争処理委員会で加害者であるソ連の漁船あるいは韓国の漁船等にその賠償請求をするというたてまえでやっております。それがなかなかてきぱき進んでおりません。そこで、農林省といたしましてはその問題のためにということではございませんけれども、実際にそのために漁業経営に支障を来しておる者に対しましては漁業経営安定資金の中から融資等の措置を講じておるところでございます。
○稲富委員 ただいまも水産庁長官及び外務省の局長よりも御答弁があったのでございますが、協定発効以来過去八回にわたってこれに対する交渉をやられている。しかしながら、一向話は進まない、損害の補償も十分できていないというような現象、こういうような実態を見るときに、余りにも日本のソ連に対する交渉というものが弱過ぎていたのではないか。われわれはこの点をしばしば政府に警告したはずなんだ。常に近海の漁民は被害をこうむっている。これに対して何とか措置をとるべきだ。もちろんいま大臣がおっしゃったように、被害をこうむった漁民に対しては、国としてはこれに対する救済の策をとっておられる。しかしながら、被害を与えたソビエトに対して、わが国の損害について外務省は当然その損害の要求をやってしかるべきである、私はかように考える。こういう点が非常に弱かったがために、いわゆる十二海里内における近海において堂々と理不尽な漁獲行動をとって、日本の漁業に非常に被害を与えた、こういう点があった、私はかように考える。 聞くところによると、ソ連は目下、新聞報道でございますが、わが国が十二海里の領海を決定したとしても、その操業は十二海里内においてひとつやらしてもらいたい、こういうような要求もなされているということも聞いておりますが、それは事実であるかどうか承りたいと思います。
○鈴木国務大臣 今回御審議を願っておりますわが国が領海の幅員を十二海里にする、その問題に関連をいたしまして、日ソ漁業交渉の場におきまして協定文第二条にこれが関連があるわけでございますが、この第二条というのは、今回の協定が成立いたしますれば、ソ連の二百海里の中にわが国の漁船が一定の条件のもとにクオータを確保して入漁をするわけでございます。ソ側としてはこの協定をいたします場合に、第二条で、今度は日本が二百海里の漁業水域を設定した場合にその見返りとして当然入漁させてもらう権利を留保しよう、こういうことを規定するのが第二条でございます。 しかるに、この基本的な問題についてはイシコフ大臣と私との間に合意ができておるわけでございますけれども、成文化の段階で実務者の間でいろいろむずかしい問題が起きております。と申しますことは、ソ連の法制的な仕組みとわが国の法制的な仕組みと違うのがはっきり出てきておるわけでございます。 と申しますことは、ソ連におきましては、ソ連邦の沿岸沖合い二百海里、岸から二百海里線まで漁業専管水域として幹部会令が適用される、こういうことになっております。その二百海里の中に十二海里の領海が存在をする、こういう法のたてまえになっておるのでございます。 わが国の方は、基線から十二海里の間が領海である、これは領土と同じである、領土の延長であるということで、この水域には外国漁船は一切入漁を認めない。そしてこの十二海里の外、二百海里までの水域百八十八海里が漁業水域、こういうことになるわけでございます。でありますから、この百八十八海里の漁業水域につきましては漁業実績等を勘案をして、一定の条件のもとに入漁を認めてやる、しかし領海の中には一切入れない、こういうことになります。 ソ側の方は、先ほど申し上げましたように、岸辺から二百海里までが漁業専管水域でございますから、協定のやり方によってはその領海の中にも入れる、向こうの法律はそうなっておるわけでございます。そこの食い違いがこの第二条の協定文を成文化する場合にいろいろかみ合わない点がある、こういうことでございます。
○稲富委員 私たちが察するところによりますと、ソビエトがいま大臣が御答弁なさったように十二海里以内に協定ができたときも入るということは、われわれは今日まで十二海里以内において漁業をやっておった、われわれの既得権があるのだ、これがソビエトの主張ではないかと思うのです。北洋において二百海里というものが設定をされる、二百海里内において日本が仕事をやる、北洋の漁場は日本が開拓した漁場である、その点から言うならば北洋の漁場は日本の既得権なのだ。この日本の既得権に対して、彼らは二百海里以内にそれを持っていく、そうして十二海里は自分たちの既得権としてこれを入れなくちゃいけない、いわゆる領土の中に入っていこうという主張、考え方をソビエトが持っているということは、私はこれらに対して交渉がまずいと言うのじゃございませんけれども、今日まで日本は外交交渉においてソビエトに余りにも遠慮し過ぎていたのではないか、あるいは余りにも放任しておったというような政府に一つの怠慢があったのではないか。政府も過去のとってきたこういう問題に対しては大いに反省をする必要があると私は思うのでございますが、率直に政府の御意見を承りたい。
○鈴木国務大臣 今日まで政府としては、領海の幅員が三海里でございましたから、三海里の外は天下の公海である、こういうたてまえでソ連あるいは韓国の漁船等が操業をすることを法的に排除することがなかなかできなかった。私は、農林大臣に就任する前に、イシコフ漁業大臣が日本に来られたとき、三海里ではあるけれども、あなたの国は十二海里領海である、日本では資源保護の関係で、三海里の外で底びき船等が操業しないようにということで禁漁区等を設定しておる、だから相互主義で、十二海里の中に入らぬでくれ、こういうことも訴えたことがございます。その際に、イシコフ漁業大臣は、三海里の外、天下の公海で操業することをいまおっしゃるように自分の方が遠慮すると、よその国へ行って公海上での操業までいろいろ支障を来すのでさようにはまいらない、しかし、日本が十二海里を設定した場合にはその領海の中には入らない、こういうことを前に言ったことがございます。 今回の交渉におきましても、わが方は十二海里になるのだ、この領海の中には一歩たりとも入れるわけにいかない、しかし、この三海里−十二海里の間でいままでとってきたところのイワシだとかサバの実績は、領海の外百八十八海里の漁獲実績を算定する基礎の中には加算をしてあげましょう、こういう話をしまして、これはイシコフ漁業大臣とは完全に意見の一致を見ておるわけでございます。一致を見ておるわけでございますけれども、先ほど申し上げたように、実務者の法文化の問題になりますと法制のたてまえが違っておるということでいろいろかみ合わない点がある。しかし、これは両責任者の問で合意ができておりますから、最終的には近く第二条の問題も決着がつく、このように私は考えております。
○稲富委員 私たちは、御承知のとおり、一九七四年、カラカスにおいて第三次海洋法会議第二会期が開催される前から、日本は十二海里を決定してその海洋法会議には臨むべきである、こういうことをおもんばかりまして、しばしば主張しておりました。また与党の自民党におきましても、十二海里というものは早く決定するのだということを漁民大会等でも政調会長等が明らかに言っておった。そう口には言いながらも今日までこの十二海里の決定はなさらなかった。ところが、今回、領海法の提出を突然されなくちゃいけないようになった。こういうことを見ますときに、それじゃいままでなぜおくれたのか、何に遠慮されておったのか、この点に私たちは非常に疑問を持つわけです。この点を、もしも聞かせてもらえるならば承りたいと思うのであります。
○鈴木国務大臣 ただいま御指摘の点は、まさに私どもがその対応がおくれたということを、率直に私認めるわけでございます。しかし、最近におけるわが国近海の状況、内外の情勢、そういうことも踏まえまして、福田内閣が成立し、私が農林大臣に就任いたしましてから、これは早く決断をせにゃいかぬということで、この十二海里領海法に踏み切ったわけでございます。確かに、今日まで対応がおくれたということにつきましては御指摘のとおりでございまして、私ども深く反省いたしておるところでございます。
○稲富委員 ところで、本論に入りますが、今回提出されました法案では、津軽海峡など五つの海峡、水道については十二海里領海とせず、従来どおりの三海里にとどめておられます。これは先刻瀬野君からも質問がありまして、外務省の条約局長の答弁があったのでございますが、よその船舶が自由に通れるようにとか、何かそういうような御答弁のようでございましたので、念のため、非常に失礼でございますけれども、この問題について、なぜ三海里にとどめたのか、その理由を重ねて承りたいと思うのでございます。
○中島政府委員 先生御存じのとおり、わが国は海運立国を旨としております。また貿易に依存すること、これほど大なる国はないわけでございます。そういう意味におきまして、世界のいわゆる国際海峡、海上交通の要衝であるような海峡における船舶の通航の自由が確立されるということがわが国の国益に沿うゆえんであるわけでございます。そういう考え方に立ちましてわが国は海洋法会議に臨んでいるわけでございますが、いま開かれております国連海洋法会議は、まさに国際海峡における船舶の通航制度について、一般の領海における無害通航制度よりももっと自由な船舶の通航を許すような制度をつくるべきである、そういう方向で審議が行われているわけでございます。わが国はこの審議の方向を一般的に支持しておりまして、そのような通航制度ができ上がるのを期待しているわけでございます。 そういう意味におきまして、今回領海を十二海里に拡張するに当たって、そのようなわが国の基本方針を損なうことがないように配慮して、そして国連海洋法会議を通じて国際海峡における通航制度が確立されるのを待つという態度をとるべきであって、当分の間、国際海峡のような海峡については領海の幅員を現状どおりにすることがわが国の国益に沿うゆえんであるというふうに考えた次第でございます。
○稲富委員 その問題につきましては後ほどまたお尋ねいたします。 ここで私は政府に申し上げたいと思いますことは、第一、日本の主権がここに決定されるわけなのです。当然主権の及ぶその領域をわざわざ狭くするわけですから、せっかく享受する国益をわざわざ損なうことになるわけです。なぜ政府はこういうことを考えなくちゃいけないのか。こういうことに対して私は非常に疑いを持つわけです。 さらにお尋ねしたいと思いますことは、世界のいずれの国がこういう不自然なことをしているか、もしそのような国があるとするならば承りたいと思うのでございます。
○中島政府委員 いま、一般的に申しまして、国際法上、いわゆる国際海峡における通航制度というものが特に確立されているわけではないわけでございます。それはまさに国連海洋法会議がそのような制度をつくり上げようということで現在努力をしている最中でございます。したがいまして、よその国にその同じような例があるかと申されれば、日本と同じような制度をとっているという国は特にないわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、わが国といたしましては、海運国の立場、先進工業国としての立場から、いわゆる国際海峡における通航制度の確立ということに至大の関心を持っているわけでございまして、そういう関心、そういう国益から申しまして、わが国としてはわが国の姿勢を貫くということが必要であるというふうに考えて今回の領海法案になったということでございます。
○稲富委員 どうもさっきの答弁と違うようでございますが、それでそういうようなことになりますと、そのような点から、何ゆえに、領海十二海里を決定しておきながら現在の三海里を固持せねばならないか。すなわち、領海及び接続水域に関する条約があります。この条約の第十四条の一項には「この条約の規定に従うことを条件として、沿岸国であるかどうかを問わず、すべての国の船舶は、領海において無害通航権を有する。」ということがこの条約ではっきり明記してある。さらに第十六条の第四項では「外国船舶の無害通航は、公海の一部分と公海の他の部分又は外国の領海との間における国際航行に使用される海峡においては、停止してはならない。」ということが明記してある。こういう点から申し上げると、日本は海運国であるがゆえによその国に余り悪い感じを持たしてはいけない、こういうような遠慮をなぜしなければいけないかということがわからない。これはちゃんと条約にうたってあるのだから、堂々と通れることが決定されているじゃないですか。それをわざわざ日本の持っている権益、国益をみずからこれを狭くするようなことをなぜやらなければいけないか、その点がわれわれが腑に落ちない大きな原因なんです。
○中島政府委員 いま先生の御指摘になられましたような規定が現行の領海条約にありますことは事実でございます。そこで問題は、この現行条約にありますところの一般領海における無害通航制度と申しますのは、先生御指摘のその第十四条の四項にもございますように、「沿岸国の平和、秩序又は安全を害しない限り」で通航するのが無害通航制度でございます。そこで問題は、沿岸国の平和とか秩序とか安全とかいうものを害したかどうかということは、まさにその当該沿岸国自身が第一義的には判断する問題でございます。したがいまして、この無害通航制度の問題は、その沿岸国の平和、秩序または安全を害したとか害さないとかいう判断が、その沿岸国の恣意的な判断が入り得る余地があるという点がこの無害通航制度の問題であるわけでございます。 したがいまして、国連の海洋法会議は、この領海の幅員を十二海里まで認めるということの結果として、領海幅員を十二海里に拡張することによって公海部分が消滅するかまたは航行に必要な公海部分がなくなるような世界の主要な国際海峡における通航制度がこの無害通航制度では不十分であるということで、この無害通航制度よりももっと自由な船舶の通航を許すような制度をつくるべきであるというのがこの国連海洋法会議の目的でございまして、そのための制度の確立に努力をしておる。それがまたわが国の国益にも沿うゆえんであるということで、わが国はそのような国際海峡における自由な通航制度の確立を期待しておる、こういうことでございます。
○稲富委員 どうも私ははっきりしませんがね。そうすると、これは自由に通過することによって日本に損害を与える、こういう見方をしていらっしゃるわけなんですか。自由に航行することができるわけでしょう。航行する権利を持っておるわけでしょう。それを許したら日本に損害を与える、こういうようなことを考えていらっしゃるわけですか。
○中島政府委員 申しわけございません、ちょっと先生の御質問の点が必ずしも明確でございませんでしたので、いま私が申し上げましたことは、わが国がいわゆる海運国として世界の国際海峡における通航を、少しでも自由な通航を確保したいということでやっているわけでございまして、その国際海峡における制度というものは、日本の近海の海峡であれ、それからよその国の周辺の海峡であれ、一律に適用すべき制度として海洋法会議では審議が行われておるということでございます。御質問の要点に果たしてお答えになりましたかどうか、ちょっと自信がございませんが、とりあえず……。
○稲富委員 そうすると、あなたも御承知のとおり、この条約には、さっき申し上げましたように、領海及び接続水域に関する条約の中には無害通航権というものを全部有しておるわけなんでしょう。それだから、何もそれをわざわざこちらの方が遠慮して三海里にしなくても、堂々と通れるわけなんです。日本が海運国なるがゆえに、何もこれを遠慮してわざわざ日本が自分の権利を狭める必要はないではないか、これを全部認めたところで通れるじゃないか、それをなぜ三海里にしなければいけないか、こういうことを聞いておるわけなんです。
○中島政府委員 先ほども申し上げたつもりでございますが、無害通航制度の問題点は、その沿岸国の平和、秩序または安全を害したかどうかという点について沿岸国が恣意的に判断をして、無害通航ではないということで船舶の通航を妨げる可能性があり得るというのが制度の基本的な問題点なわけでございます。したがいまして、そのような無害通航制度では不十分であって、もっと自由な通航制度をつくろうということでございます。
○稲富委員 私はそれは逆なんです。三海里を、そういう特定な条件をつけておくことがかえってこの条約に反したような、無害通航権を阻止するようなことになるのじゃないか、領海法があっても通航するものは無害通航できる権利を有するんだから。その点が、これは私の頭が悪いのか知らぬけれども、あなたのおっしゃるのと私の考えとが違うのですよ。しからば、それがために日本に損害を与えるのですか。日本に損害を与えない、被害を与えないとするならば、そのまま三海里という限定をしなくても、堂々と航海の自由を持っておるわけなんだから、これはちゃんと条約によって決定されておるじゃないですか。この問題ばかりやっておると時間が参りますから、これはまた次の機会にしなければしょうがないですな、水かけ論でこんなことをやっていてもしょうがないから。 それで、私が言うのは、せっかく日本はこの領海法によって、さっき言いましたように、すなわち国としての一つの権利を有するわけなんです。それをわざわざこちらで縮めようとする、その行為ですよ。何がためにこういうことをやらなければいけないのか、こういうことは私はどうも疑問に思う。恐らく、日本がこのような処置をしたからといって、決して諸外国がこれにならうようなことはないと私は思うのです。したがって、日本が諸外国にかかる国際海峡の自由航行を主張する根拠として国際的な評価を得られるようなこともないだろう、私はかように考える。むしろ、かえって諸外国からは、日本は国として正当な国益の主張さえしないというふうに思われるのじゃないかと私は思う。堂々と、日本の国益の主張をするためにはそういう遠慮は要らないじゃないか。そういう遠慮をすることによって、日本は正当なる国益の主張さえも遠慮するというのはどういうわけかといって逆に世界じゅうから物笑いになると私は思う。こういう点に対して政府はどう考えていらっしゃるか。
○中島政府委員 先ほど申し上げましたように、政府として考えておりますことは、海運国としてわが国にとっての国益は何かということになりますれば、当然に世界の主要な国際海峡、たとえばわが巨大タンカドが通航いたしますところの中近東地域における海峡とか、マラッカ海峡とか、そのような世界の交通の要衝にあるような海峡におきまして、わが国の巨大タンカーその他の商船の通航が妨げられることがないようにしようというのがわが国の国益であるとわれわれは信じておるわけでございます。そのような国益から考えまして、そのわが国の立場を損なわないように、今回の領海十二海里拡張に当たりましても、そのようなわが国の基本的な姿勢を損なうことがあってはならないということから、そのような通航制度が確立するまでの問は現状のとおりにしておくというのが法案の趣旨でございます。
○稲富委員 どうも聞けば聞くほど私にはわからぬようになってくる。これは改めて整理しまして、また機会を見て聞かなくちゃいけないが、どうも聞いていると聞いているほどわからぬようになるのですね。それで、この問題はまたいずれ機会を改めて整理して、政府の方の見解もひとつ整理してもらって、もっとわかるように御説明を願わなければ、ますます私たちは腑に落ちないようになってくるわけなんです。 政府は、従来どおりの公海としておきながら、その水域を特定海域としておる。ところが、常識からすれば、日本の領海であるからこそ国内法で特定海域とすることができるのであって、公海において特定海域を設けるとするならば、それは条約によってする場合であり、国内法だけであれば日本の船舶のみが拘束を受けるということになってきやせぬか、こう思うのですが、この点はどうなんでございますか。
○中島政府委員 まことに申しわけございません。先生の御質問の趣旨が必ずしもよくわかりませんでしたので、恐縮でございますが、もう一度お教えをいただければと思いますが……。
○稲富委員 先刻からのあなたの答弁は、私はわからないのです。その点私にはわからないから、それはわからないままにして、また改めてその問題はただすことにする。その問題がわからないから次の問題もわからないまま続いてくるわけなんでございますけれども、従来公海としておきながら、その水域を特定海域と今度はしておられるわけでしょう。そうしますと、日本の領海であるからこそ国内法で特定海域とすることができるのであって、公海において特定海域を設けるとするならば、これは条約によってする場合であって、国内法だけであれば日本の船舶だけが拘束を受ける、こういうようなことになってきはしないかということを私は心配して、そういう点からいまのこの問題を質問しておるわけなんです。
○岡安政府委員 では私からお答えいたしますが、附則の二項ですか、お読みいただければわかると思いますけれども、特定海域に対しましては一条の規定を適用せずと書いてございます。 と申しますのは、一条は、領海の幅を三海里から十二海里とするという、従来と変更を与える規定でございます。それを適用しないわけでございますので、いま先生のおっしゃるように、対外的にこれが国内法でもって効力があるかどうかという御指摘に対しましては、従来よりも対外的に制限を課するわけではございませんので、その点は問題がないんじゃないかというふうに思っております。
○稲富委員 この特定海域の問題につきまして、いわゆる附則の第二項の問題、これに対して私たちもずいぶん疑問がありますので、いずれこの問題に対しましては、もうきょうは時間がありませんから、改めて各党で打ち合わせてひとつ何とか対策をとりたい、かように考えております。 最後になりましたけれども、いずれ近日中に提案されるでございましょう、すでにもう問題になっております二百海里専管水域の問題についてお尋ねいたしたい、かように考えます。 私は、先刻農林大臣の御説明を聞いておりましても、この前も私はお尋ねしたのでございますが、今度の漁業交渉をするに当たっては領土問題というものには一切触れずして、そして漁業交渉によって漁業問題を解決しよう、こういうような立場を特にとっていらっしゃる。私はこれも前回大臣に御質問いたしました。領土問題をここに持ち出せば漁業交渉というものが何か支障を来す、そういうためにわざわざこの領土問題には触れないで漁業問題だけで話を進めていこう、こういうような魂胆があるんではないんですかということを私はお聞きしたのです。 ところが、最近の交渉を見ておりますと、日本側はそういうような考え方でやっていらっしゃるけれども、やはりソビエトの考え方というものは奥の方に領土問題が潜在している。二百海里の線引きの問題でもそうでございますが、領土問題なくして漁業問題だけで解決する見通しがあるかどうか、この点に私は非常に大きな疑惑を持つと同時に、領土問題なくして漁業問題だけで解決されようとしている農林大臣の苦労もまたそこにあるのではないかと私は思うわけなんです。この点から考えますときに、私が率直に申し上げたいと思いますことは、果たして領土問題に触れずして漁業問題だけで片づくものであるかどうか、その自信がおありになるかどうか、この点をまず承りたいと思うのであります。
○鈴木国務大臣 今度の漁業交渉を始めるに先立ちまして、二月二十八日から三月三日までイシコフ漁業大臣と交渉をいたしまして、そして基本的な枠組みを決めたわけでございます。その際に、この海域の適用の問題につきましては、御承知のように、ソ連邦沿岸に接続する北西太平洋の海域であって、かつ幹部会令の適用を受ける海域——北西太平洋の海域でソ連邦沿岸に接続する海域であり、かつ幹部会令の適用を受ける海域こういうことで合意したわけでございます。 これは、北西太平洋のソ連邦の沿岸に接続する海域ということになりますと、ソ連邦の沿岸ということにつきましては、ソ側は、現在占有しておる——われわれは不法に占拠しておると思っておるのでありますが、北方四島を占有しておる、それを自分の、ソ連邦の沿岸と考えているかもしれません。わが方はそれを、私は日本人でございます。日本の政治家でございますから、北方四島はわが国の固有の領土である、でありますから、ソ連邦沿岸に接続する水域という表現では北方四島は含まれていない、私は当然こういうぐあいに読んでいるわけでございます。 それから、かつ幹部会令の適用を受ける海域、幹部会令はお手元にあると思うのでありますが、これをごらんになっていただきたいと思います。この幹部会令の第一条にはこう書いてあります。「ソ連邦の領海と同じ基線から算定される二百カイリまでのソ連邦の沿岸に接続する海域において本幹部会令の諸規定に従い、生物資源の保存及び漁業規制に関する暫定措置が実施される。」、これが幹部会令における海域を指示しておるわけでございます。これは第一条であります。ソ連邦の領海と同じ基線から算定される二百カイリまでのソ連邦の沿岸に接続する海域において本幹部会令の諸規定に従い、生物資源の保存及び漁業規制に関する暫定措置を講ずるんだ、こう書いております。 でありますから、私とイシコフ漁業大臣との問のあの合意事項、これをさらっと見てまいりますと、領土の問題は出ておりません、出ていないのであります。ところが、その後どういう事情でございますかわかりませんが、一九七七年の二月二十四日の閣議決定の水域、こういうことを言ってきた。これがソ連の協定案でございます。こうなってまいりますと、御承知のようにこれが新聞に出た、ソ連の新聞は官報だそうでございますが、この閣僚会議決定の正式のものをひとつちょうだいしたい、幾らこう催促をしても提供しない。外務省にも手に入っておりません。そして、ソ連の漁業省の諸君でいろいろ交渉に当たります者は、新聞の切り抜きを手帳に張って、それを見てやっておるわけでございます。 そういうようなことでございますが、その際に初めて根室海峡であるとかいろいろの、北方四島を抱え込んだ線というものが閣僚会議の決定として出てきた。これは私とイシコフ大臣との合意事項とは似て非なるものである。そこが、そんたくして言いますと、向こうが領土に絡めてきておるように私は思うわけでございます。でございますから、この問題につきましては絶対にわが方としても譲れないということで、この一条問題につきまして何遍会談をやってもこれは平行線である、こういう状況であったということを申し上げておきたいと思うのであります。
○稲富委員 いま大臣から御説明のありましたその幹部会議によるソ連邦の沿岸に接続する区域ですか、これにはいわゆる日本の固有の領土である四島というのがそれに含まれている、こういう向こうの方の解釈じゃありませんか。こちらの方はそれは違うんだと言う。やはり双方の解釈の違いであって、向こうはどこまでもやはりこの日本の固有の領土を、接続している地域であるとしてそれを入れた線引きだというのが向こうの考えである、そこの食い違いじゃないのですか。
○鈴木国務大臣 先ほど申し上げましたように、ソ連邦は、ソ連邦沿岸に接続する、こう言うと、向こうは北方四島を現に占有しておるということで、それを抱え込んだ形のものを頭に描いておるかもしれません。しかし、わが方は、「ソ連邦の沿岸に接続する海域」というのは、北方四島はわが国固有の領土でございますから「ソ連邦沿岸」とは私は読んでいない、日本人はだれも読まない、こういうことでございます。しかもまた、かつ幹部会令の適用を受けるという海域、これはいま私が申し上げましたように、第一条にはいまのように書いてあるのであります。 これを受けまして、第二条以下におきましても、第二条「本幹部会令の第一条に規定される海域内においてソ連邦は、魚類及び他の生物資源に対し、その探索、開発及び保存のため主権的権利を行使する。」ということで、それには、あの閣議決定で線引きしたようなものはどこにも書いておりません。書いてないのでございます。だから、イシコフと私が合意したあれをそのまま写しかえれば、日本としては北方四島を含んでいない、こういう立場で私は協定ができる、こういうことでございました。 しかし、現実にその後、この幹部会令の第六条なるものを引っ張ってまいりまして——第六条は海域のことを本当は書いておりませんが、ソ連の読み方はどうかわかりません。第六条を基礎にして閣僚会議の決定をしたということであの線引きのようなものが出てきた、こういうことでございますから、そういう協定の第一条では絶対にのめないということで今回の交渉が妥結に至らない、こういう事情でございます。
○稲富委員 イシコフ漁業相は幹部会のその決定を動かすだけの権能は持たないでしょう。そうすると幹部会のその決定というのが基礎になってくる、こうなりますと、やはり領土問題というものを何とか片づけなければ、イシコフ漁業相とあなたとの話し合いではやはり結論がつかない、こういうことになるんじゃございませんか。
○鈴木国務大臣 私とイシコフ大臣が三月三日に合意したものは先ほど来申し上げるとおりでございます。しかし、その後、七七年二月二十四日の閣僚会議の決定によって定められた海域、こういうことに改めて協定原案を提出してまいりましたから、これは了承できない。しかも、これはどうもイシコフさんだけでそれを動かすことはなかなか困難な事情にあるようでございます。私はその点でいろいろ話をしてまいりましたが、これは今後も非常に困難な問題である、こう考えております。 そこで、今度はわが方も領海十二海里、漁業水域二百海里でソ側と同じような条件がつくられるわけでございます。私はそれを踏まえてソ側と今度再度交渉をするわけでございますが、端的に申し上げまして、日本も北方四島を基線としたところの二百海里を引くわけでございます。向こうは向こうで現に占有しておるということで北方四島を抱えた線を引くかもしれません。そうすると、日本の二百海里とソ連の二百海里というものがオーバーラップするわけでございます。この戦後未解決の問題という実態にふさわしい姿が、そこに海域の面で出てくる可能性がある。そういうことを両国が、この領土問題が解決するまでの間、そういうオーバーラップされたところの海域というものが相互の理解のもとに確認をされる、当面それ以外に方法はない。こうなった海域、これは特別な海域になりましょう。その場合に、そこにおけるところのわが国の漁船については旗国主義によって取り締まりも裁判官轄権もわが方にある、向こうの船につきましては向こうに旗国主義として管轄権があるとか、いろいろそこにまた問題が出てくるわけでございます。私はそうするということをいま申し上げておるのではございません。これは交渉の問題でございますから、いろいろな考え方がそこから生まれてくるのではないだろうか、こういう新たな基盤と土俵をつくって、同じ条件のもとにさらにわが方の主張が実現できるように努力してみたい、こう考えておるところでございます。
○稲富委員 私は農林大臣の御苦労、その点はよくわかります。しかも、いまおっしゃっているようなオーバーラップの問題のところが都合よく話がまとまれば非常に結構な話でございますけれども、この問題を解決するにいたしましても、またもとに戻って領土の問題が出てきやしないか、こういうこともわれわれ考えなければいけないじゃないか。そうなりますと、やはり領土問題を何らかの形において解決しなければ話は進まないのじゃないか、こういう点をわれわれは非常に憂慮するわけなんです。そして、領土問題が解決しないとできないということになると、これは総理大臣でも行って、まさにこの問題から解決しなければならないという問題も起こってくると思う。 時間がありませんから最後の問題に入りますが、この二百海里の問題について先刻農林大臣は、今回の二百海里の問題は北部だけにして、南部、いわゆる韓国あるいは中国との漁業条約が締結されて都合よくいっているところは、あえて二百海里の宣言をする必要はない、かように島田君に御答弁なさいました。私はもちろん韓国、中国との間は今日の漁業協定によって都合よくいっていることは承知しております。ただ私が懸念いたしますことは、北方だけ二百海里を設定する、南部の方は二百海里を設定しない、こういうことになった場合に、これを受けるソビエト側の感情というものが、あるいはこの漁業交渉にまた影響を来すようなことがありはしないか、この点に対する農林大臣の率直なる御見解があるならば承りたいと思います。
○鈴木国務大臣 こういう漁業水域という問題は、やはり相互主義でなければならない、こう考えております。いま日中の間には日中漁業協定あり、韓国との間には日韓漁業協定あり、それで非常に安定的に西日本の操業が確保されておる、この協定の目的が十分確保されており、機能しておる。こういうことで、私はこの漁業秩序というものは大事にして守っていきたい、こう考えております。したがいまして、韓国並びに中国に対しましては人を派遣したり外交チャンネルを通じましてわが国の考え方を伝えておりますし、向こうのそれに対する考え方もいろいろ聞いておるところでございます。私はそういうことを十分勘案をいたしまして、政令でもって線引きをいたします場合には、日韓、日中の関係を、事前の話し合いの上に立って適切に、両国が納得するような形で処理してまいりたい、このように考えております。
○稲富委員 もちろんこういう両国間の交渉というものは相互主義であらねばならないことは当然であります。しかしながら、その相互主義に立って双方がお互いの立場を理解し合えるような状態であるならば、すべて相互主義によって円満に解決いたします。今日までソビエトがとってまいりました、あるいは日本近海におきますあの船艦によって日本の漁民に対して大きな損害をこうむらして賠償もしない、あるいは日本固有の領土を返還せずしていかにもソビエトの領土であるかのごとき振る舞いがある、こういう行為というものは、民主主義的なわれわれの考えておるような相互主義による考え方の持ち合わせが果たしてソビエトにあるかどうかということさえも、はなはだ失礼でございますけれども、私は疑わざるを得ないと思うのであります。そういう相手と御交渉なさるあなたの御苦労もひどいものであろうということは、私は十分拝察はします。それだから、相手がそういうような関係であろうと、考えを持っておられようと、ともかくも日本の国民の総意である領土問題、日本国民の農林大臣に対する期待は非常に大きい、その国民の期待に反しないように、はなはだ御苦労でございましょうけれども、言うべきことは堂々と言い、主張することは堂々と主張して、たとえその交渉がまとまらないでも、われわれは安易な妥協はすべきものではない、いかなることがあっても日本の国益は守るということが、今回の交渉に当たってその任に当たられる大臣の大きな任務である、かように考えます。御苦労でございましょうが、どうかその点を十分わきまえられて、日本の権益のために、また日本の国民の生命を守るために、大いに努力していただきますことを最後にお願い申し上げまして、私の質問を終わることにいたします。(拍手)
○金子委員長 東中光雄君。
○東中委員 日ソ漁業交渉についてお聞きしたいのですが、今回の交渉の中断が北洋漁業と水産関係者に重大な脅威を与え、国民全体に非常に不安を与えております。非常に遺憾なことだと思うのでありますが、わが党はこの問題が速やかに国際正義に基づいて積極的に解決が図られるべきである、こう思うのでありますが、こういう長期間にわたって北洋での操業ができないという異常事態が起こってきたのは、ソ連が領土問題を出してきた、ここに重要な原因があると思いますが、同時に、日本政府の逃げ腰外交と私たちは言っておるのでありますが、あるいは後手後手に対策が回ったというところにも非常に大きな責任がある、こう思っております。 それで最初に伺いたいのでありますが、政府は領土と魚を切り離すということで、領土問題をそっとたな上げするという態度をとってこられた。園田特使がせっかく総理の代理特使として訪ソしながら、領土のことはうまく逃げてきた、こういうふうに述べられたと報道されております。また、農林大臣も二月末の交渉以来、一貫して領土問題に触れることを避けてこられたように思うのであります。しかし、ソ連が農林大臣の訪ソの直前の二月二十四日に閣僚会議決定を発表して以来、一貫して領土と魚を絡ませる態度をとってきております。 私たちは、領土問題の解決が先決であるというふうな、そういう交渉を決裂さすような態度はとるべきではない、こう思います。しかし、言うべきことははっきり言ってこなければいかぬのではないか、議事録にもきっちりとそういうことは明記してくる必要がある、交渉経過の中で、事実上領土問題についての現状を追認するようなことが絶対にあってはならない、こう考えております。それで千島水域、全千島の水域についてソ連の二百海里水域の設定を留保すべきだということを、私は言うべきだと思うのでありますが、こういった観点から、二百海里設定、全千島について留保しろという要求を交渉の過程でやられておるかどうか、なぜやられないのかという点についてお伺いしたいのであります。
○鈴木国務大臣 日本共産党の御主張、全千島はわが国の領土である、これも昨日も宮本委員長からお伺いをいたしました。しかし、わが国の政府は、御承知の一九七三年の田中・ブレジネフ会談、この際におきまして、戦後未解決の問題を解決をして日ソ平和条約の締結のための交渉を継続する、こういうことが合意されたわけでございます。いま日ソ間におきましては、戦後未解決の問題というのは北方四島の問題以外には存在をしない、こういうことでございまして、領土問題は今後の交渉の課題として引き続き交渉をするんだということを双方が腹に置いて、その前提の上に立ってそれにふさわしい漁業水域の設定、漁業交渉をすることが、この際、緊急を要するこの漁業問題の処理のためには必要だ、まず領土問題を解決せよということになりますと、戦後三十年の間かかってもなお未解決の問題になっているこの領土問題ですから、私が一週間や十日おりましてもこの問題を解決するめどはなかなか立たない。要は、これが未解決の問題として、両国がそれを前提にしまして、その上に立ってこの漁業問題の交渉はなされる。そうでなければ、北洋の漁場で操業しておりますところの関係漁民、それにつながるところの関連企業の方々、そういう人たちの期待に沿うような早期の解決はできない、こういう前提の上に立って私は交渉に臨んでおるわけでございます。したがいまして、これに取り組む基本的な姿勢としては、この北方四島の領土問題につきましては、今後継続されるところの日ソ平和条約交渉、これにいささかも支障を与えてはいけない、わが国の主張を損なってはいけない、これが民族の悲願である、このように考えております。 これが一つ大きな交渉の出発点だと私は考えておりますし、もう一方、北洋の伝統的な漁業実績、私は、伝統的な漁業実績という言葉は不十分な表現であると考えております。過去、徳川時代以来百年間、わが国の漁民諸君が明治、大正、昭和にかけて営々として築き上げてきたところの北洋の開拓、開発、これまさに日本の漁業権益だと私は評価をいたしておるわけでございます。今後の平和条約交渉にいささかの支障も与えないように、そして北洋の漁業権益を確保する、この二つの命題を両立させるように、それを達成するようにというのが私に与えられたところの任務であると心得ておるわけでございます。そういうたてまえで漁業交渉に臨んできておる。でございますから、現在の占有の現状をそのまま踏まえて、北方四島を抱え込んだような閣僚会議の決定の海域の適用ということにつきましては絶対に承認ができない、そういうことで今日まで交渉が中断せざるを得ないような難航を続けてきた、こういう事情でございますので、御了解を賜りたいと思うわけでございます。
○東中委員 問題は二つあるわけですが、北方領土四島というふうに限定をされておるところに一つ問題があると私たちは思うのであります。同時に、共産党は領土問題に解決をつけるのが先決だなどとは言っていないということは先ほど申し上げたとおりであります。だからこそ、未解決の懸案の問題であるからこそ、この地域に二百海里の水域を設定することを留保しろということをソ連側に要求をされたのかされなかったのかという点をお聞きしておるわけであります。 〔委員長退席、今井委員長代理着席〕
○鈴木国務大臣 留保だけではございません。もっと、それは認めるわけにはいかない、こういうことを申し上げておるわけでございます。
○東中委員 それでは、四島に限定しておる問題について、これは外務省にお聞きしたいのでありますが、いま四島に限定して主張してきておるということを言われておるわけでありますが、いわゆるサンフランシスコ条約第二条(C)項での全千島の領有権放棄が規定としてはあります。外務省としては、去る十六日の参議院の予算委員会で、わが党の上田議員の質問に対して、サ条約二条(C)項で放棄した千島には北方四島は含まれていないというのが日本政府の一貫した立場と繰り返して答弁しておられますが、サ条約締結当時の国会答弁について記憶がないという返事を条約局長がやられております。しかし、一九五一年十月十九日の衆議院特別委員会で、西村条約局長は、この条約で千島とあるのは、北千島及び南千島を含むと述べており、十一月五日の参議院の同委員会で、草葉外務政務次官が、千島から国後、択捉だけを切り離すことはかえって無理なこじつけになる、条約のクリルアイランズ、千島列島というのは千島全体について表示した、こう考えざるを得ないという答弁をしておりますし、挙げればずいぶんたくさん、何回もそういう答弁をしておるわけであります。全千島を放棄したのだ、歯舞、色丹は別だという見解をずっととってきたのが、途中で変わった、今度は北方四島だということになっておるわけでありますが、この点について、外務省はこの問の答弁では記憶がないなどと言われておりますので、これは歴史的事実、経過でありますから、はっきりとさせておく必要があると思うのです。
○中島政府委員 まず最初に、私は記憶をしておらないと申し上げたつもりではございませんで、むしろ、記憶をしております。そのような答弁があったことも私は心得ておりますという趣旨をこの問の委員会では申し上げたつもりでおりましたので、ちょっとお断りさせていただきます。 いずれにせよ、当時の西村条約局長の答弁がありますことは先生の御指摘のとおりでございまして、その西村条約局長の答弁も、ちょっと引用させていただきますと、「条約にある千島列島の範囲については、北千島と南千島の両者を含むと考えております。しかし南千島と北千島は、歴史的に見てまったくその立場が違うことは、すでに全権が」——これは吉田全権でございますが、「サンフランシスコ会議の演説において明らかにされた通りでございます。あの見解を日本政府としてもまた今後とも堅持して行く方針であるということは、たびたびこの国会において総理から御答弁があった通りであります。」、「あの見解」と申しますのは、国後、択捉が日本の領土であるという考え方、これは堅持していくんだという種類のことを当時の西村局長も言ってはおられるわけでございます。 そこで、いずれにせよ、南千島、北千島両者を含むと考えておりますというようなことを当時言われたこともありまして、政府としての公式見解を明確にしなければならないということで、昭和三十一年二月十一日に森下外務政務次官から公式見解を発表されました。その公式見解を読ませていただきますと、「一応それでは今の南千島の問題のそういう誤解を解くために、ここにはっきりと一つ声明をいたします。この南千島、すなわち国後、択捉の両島は常に日本の領土であったもので、この点についてかつていささかも疑念を差しはさまれたことがなく、返還は当然であること。」云々ということで、さらに、「サンフランシスコ平和条約はソ連が参加しているものではないが、右平和条約にいう千島列島の中にも両島は含まれていない」——両島といいますのは国後、択捉でございますが、「含まれていないというのが政府の見解であります。」ということをお述べになっておられる次第でございます。したがいまして、私どもといたしましては、考え方といたしましては、これらの四つの島は平和条約第二条でわが国が権利、権原、請求権を放棄したところの千島列島には含まれていないという考え方をずっと持しておるということを申し上げた次第でございます。
○東中委員 それはその部分だけを取り上げておられるので、千島の中に国後、択捉が入ることは当然だ、むしろそれを切り離すのはこじつけだという見解をはっきり委員会で言っているようであります。だから、いわゆる南千島と北千島が歴史的な条件が違うということは、もう日露修好条約あるいは樺太千島交換条約を引くまでもなしに、南千島が、いわゆる四島がずっと固有の領土であり、北についても歴史的に日本の領有する領土であるということには変わりがないわけですね。南は初めから固有の領土である。北は略奪したものでもなければ戦争でとったものでもない。交換条約によって歴史的に領有したものである。千島は南千島も北千島も含めて千島列島であるということはもうはっきりしておることであります。それを二つに分け、南千島は千島でないという論を出すところにこそむしろ矛盾があるのではないか。私たちは、サンフランシスコ条約で、千島列島ということで何らの留保条件もつけないで千島全体を放棄したというこの歴史的事実自体は認めて、その上で国際法上この千島全体を返還させるようなそういう主張をしなければ、国際的には通用せぬことじゃないか、いわばへ理屈を言っていることになるというふうに思うわけであります。 この点については、昭和五十年七月二日の衆議院の沖特で当時の宮澤外務大臣がわが党の正森委員の質問に答えて、一九五一年当時の政府の答弁は多少混乱していたというようなことさえ言われております。これは、混乱しているどころか、千島列島の定義が論議されておるそのときに、国後、択捉も放棄した千島の中に入っておるという答弁をしておることに問題があるわけであります。 それと、昨日各新聞に平和条約交渉の当時のバックボーンになったと思われるアメリカの資料が出されておりますが、それによりますと、スノー政治問題担当法律顧問補佐官の覚書というのが一九四九年十一月二十五日付で書かれておるようでありますが、歯舞、色丹が千島列島の一部でないとの法的主張には正当な根拠がある、国後、択捉が千島列島の一部ではないとの主張には正当な法的根拠はないというふうに、きのうの新聞に一斉に出ておるようであります。この資料自体の評価は別としまして、一九四九年当時のアメリカの主張とその後のアメリカの主張も食い違ってきておる、日本の主張と同じように、こういうことが言えると思うのでありますが、その点どういうふうに考えておられるか、外務省の見解をお伺いしたい。
○宮澤政府委員 ただいまお尋ねの問題に対します日本政府の見解は、ただいま条約局長が申しましたように、統一見解という形で統一いたしましたので、今日までその見解で参っております。 それから、ただいまお引きになりました昨日新聞に出ました米国側のスノーという法律顧問代理の見解でございますが、こういうものは、サンフランシスコ平和条約準備段階におきまして、個々の米国の人々の見解が示されたものと思われまして、その後米国政府自体、一九五六年九月七日付、日ソ交渉に対する米国覚書及び一九五七年五月二十三日の北海道上空における米機撃墜事件に関する対ソ米国書簡の中におきまして、択捉、国後両島は北海道の一部たる歯舞諸島及び色丹島とともに常に固有の日本領土の一部をなしてきたものであり、かつ正常に日本国の主権下にあるものとして認められなければならない、こういう正式見解を表明しております。日本政府もそのように解釈しております。
○東中委員 その公表されている見解が変わってきておるというところに問題があるわけであります。 第二次大戦の連合国の戦争目的あるいは連合国が発表した公式声明、カイロ宣言やポツダム宣言によっても、第二次大戦における連合国の領土不拡大の原則というのはきわめてはっきりしておることでありますし、また、社会主義国というのは戦争によって領土の併合をしないというのが本来の社会主義のたてまえであり、原則であります。こういう点から言って、わが党は、千島列島全体のソ連の領有は、サンフランシスコ条約二条(C)項は別として、認められないという見解に立っておるわけであります。これが国際正義にかなったものだと思っておるのでありますが、その点について政府はどういうふうに考えておるのか、お伺いしたい。
○宮澤政府委員 ただいまお述べになりました御見解と異なった見解を日本政府は持っておりまして、日本政府はいわゆる千島列島——これは桑港平和条約に記されております原文で、英文で申しますとクリルアイランズでございますが、これは連合国に対して、この条約を締結することによって日本は放棄をいたしましたので、千島列島に対する請求権は日本は持っておらないと解しております。そして国後、択捉、歯舞、色丹の四島、この四つのものは日本が放棄した千島列島には元来含まれておらない、こういう見解を政府は今日なお持ち続けておりますので、その点、ただいまおっしゃいました御見解と異なった見解を政府は持っております。
○東中委員 政府はいまそういう見解をとっておられる。サンフランシスコ平和条約第二条(C)項を確認する、そしてその解釈を変えた状態で確認するという態度をとっておられるようでありますけれども、今度の線引き問題で北千島に全然触れないということになって、いまの態度で線引き問題を進められると、改めてソ連との関係でサンフランシスコ条約第二条(C)項を確認するようなかっこうになってしまう。それは、自民党政府はそういう考えに立っておられるからそれでいいのかもしれませんけれども、しかし政府がかわるということはあり得るわけです。私たちは千島列島全体の返還を求めるべきだ、それは先ほども言いましたような第二次大戦の戦争目的あるいは連合国の諸声明あるいは社会主義国の本来のあり方からいって当然そうだと確信しておりますから、そういう点から言えば、今度政府がかわった場合にその主張をするときにマイナスになっていくというか、条件がつけられていくということになるわけでありますので、線引きについてそういうことはすべきじゃないというふうに共産党としては考えておるわけでありますが、北千島については領有権を主張しないということを再確認するようなことだけはすべきでないと思うのであります。宮本委員長も昨日党首会談でそういう趣旨の発言をしておると思いますけれども、この衝に当たられる農林大臣としていかがお考えでございますか。
○鈴木国務大臣 日本共産党の御見解、昨日宮本委員長を通じまして、いま東中委員がおっしゃったとおり、私も伺っておるわけでございます。しかし、私は先ほども申し上げましたように、田中・ブレジネフ会談で、戦後未解決の問題、これは北方四島をわが国の固有の領土として主張してきた、これが未解決の状態にある、このことにつきまして、今後の平和条約交渉にいささかの影響、わが方の主張を損なうようなことはしない、表現を変えますとそれを追認する、ソ連があそこを占有しておるというこの状態を追認するというような結果にならないように、これは不動の方針として絶対に堅持をいたしまして、と同時に一方において北洋の漁業権益は守っていこう、この二つの命題を達成しよう、こういうことで取り組んでおるということを重ねて申し上げておきます。
○東中委員 どうもかみ合わぬ答弁になっておるわけでありますが、言われておることは、先ほど来お聞きしておるのでわかっておるわけであります。問題は、サンフランシスコ条約第二条(C)項の、北千島を含めて、千島に関する部分を再確認するような方法はとらないようにされるべきだと思うのでありますが、その点についてはいかがな御見解で臨まれるかお伺いしたいということであります。
○鈴木国務大臣 重ねて申し上げますが、日本共産党の主張されておるところは私も十分承知をいたしております。しかしわが政府としてはずっとこの北方四島の問題、これをあくまでわが国固有の領土として返還を求める、こういう方針でおりますので、その交渉にいささかも影響があってはいけない、ソ連の不法な占有の現状、これを追認をするようなことは私はいたさない、そういう考えで取り組んでおります。
○東中委員 論点を変えてお伺いしたいと思います。 大臣は、五月の交渉については必ず打開できるというふうに考えておられるように私は思っておるのでありますが、具体的な対策、特に日本の二百海里法が成立すれば同じ土俵に立てるというふうに言われておるわけでありますけれども、具体的には日ソ両国が線引きをしてその重複部分について特別な扱いをするという考え、先ほど来言われておるわけでありますが、実際に四島周辺を協定水域として、これを日ソ双方の協定に基づく水域とする、こういう特別の構想、これは具体的にはどういうふうになるか、もう一回明らかにしていただきたいと思います。
○鈴木国務大臣 私は、わが国の領海十二海里法、さらに二百海里漁業水域法、この成立を各党の御協力によって早期に実現をしていただく、そういたしますれば、ソ側も領海十二海里、専管水域二百海里、同じ条件、土俵の上に立って交渉ができるということは、前回までの交渉よりも足場がしっかりとするわけでございます。そういう状態のもとに、今度の交渉に臨んで何とか打開をしたい。その具体的な問題につきましてはこれからの交渉でございますから、先ほど一般論としてそういうことも考えられるということを申し上げたわけでございますけれども、これからの交渉のことでございますから、いまのところどういう具体的な方針で交渉に臨むかということにつきましてはここで御披露することは御勘弁を願いたいと存じます。
○東中委員 今回の交渉が中断する直前にイシコフ私案が示されたということでありますが、新聞ではその全文と称するものが発表されておるというか、そういうものが報道されておるわけでありますが、その内容はどういうものか、具体的にお示しを願いたいと思うのですが、同時に、それが再開交渉の前提になるのかならぬのか、その点もあわせてお聞きしたい。
○鈴木国務大臣 まだ交渉中の問題でございますから、きわめて正確に申し上げるのはいかがか、こう思っておりますが、大体の輪郭をひとつ私申し上げますから御推察を賜りたい、こう思うのでございます。 ずっとソ側は、この協定案第一条につきましては、一九七七年二月二十四日付閣僚会議決定に従って定められた海域、こういうことになっておりましたが、さようなことではわが方としては絶対に受け入れられないということでいろいろ交渉をいたしまして、イシコフさんにも何かいい知恵を出しなさい、こういうことで迫ったわけでございますが、その結果、初めて、一九七六年十二月十日付幹部会令何条とソ連邦政府の国内法等によって定められる海域、こういうことでございまして、これを読んでまいりますと、ソ連の閣僚会議の決定、こういうことに、表現は若干違いますけれども、実態は何も変わってないということでございますから、これは絶対にのむことができません、こういうことになっておるわけでございます。
○東中委員 三月三日の先ほど来の論議で言われております漁業に関する日ソ交換書簡ですが一この第一条で「ソ連側は、ソ連邦太平洋沿岸に接続し、かつ一九七六年十二月十日付のソ連邦最高会議幹部会令の適用を受ける海洋区域における、日本の漁業操業に関する協定」云々となっておるわけでありますが、大臣の言われております「ソ連邦最高会議幹部会令の適用を受ける海洋区域」というのは、具体的海洋区域はこの幹部会令では具体的にはないことは明白でありますし、そしてそれを具体化するのは、その同じ幹部会令の第六条で閣僚会議でやるということになっておるわけですから、先ほど来の論議でも法律と政令のごとき関係にあるということが外務省からも言われておるわけでありますから、私たちは最高会議幹部会令の適用を受ける海洋区域というふうに言葉を変えても、閣僚会議の決定というふうに言葉を変えても、それは同じことを言っている、結局言葉としては同じじゃないか。条文をこれは訳文で読んでおるわけでありますけれども、その範囲で言えば同じじゃないか。そういうところに問題があるのじゃなくて、やはりはっきりと千島関係についての水域は領土問題の関係があるのだから保留すべきだ、こういうふうに言葉の表現を変えたって結局は同じことになってしまうのだから、その点をはっきりさすべきじゃないかと考えておるわけでありますが、言葉の問題でなくて、実態でやはりあくまでもはっきりとさせるようにすべきだと思いますが、いかがですか。
○鈴木国務大臣 いま三月三日の合意事項、これは東中さんがお読みになったとおりでございます。北西太平洋の「ソ連邦沿岸に接続する海域」これは私日本人として、日本の政治家として読みますと、北方四島は含まれておりません。「ソ連邦沿岸に接続する海域」、北方四島はわが国固有の領土である、こういうことでございますから、日本の政治家である私は、これが北方四島がソ連の中に含まれておるとは私は読んでおりません。 それから幹部会令をお読みになりました。私ども日本の法律ばかりよく読んでおるのでありますが、この第一条をごらんになってください。幹部会令の第一条「ソ連邦の領海と同じ基線から算定される二百カイリまでのソ連邦の沿岸に接続する海域において本幹部会令の諸規定に従い、生物資源の保存及び漁業規制に関する暫定措置が実施される。」第二条「本幹部会令の第一条に規定される海域内においてソ連邦は、魚類及び他の生物資源」云々、海域のことは一条に書いているんです。私はこの二つの点から言って、鈴木・イシコフ合意書簡というのは間違いではない、こういうぐあいに思っておるわけでございます。したがって、それを協定文の第一条に移しかえればこれは双方の立場を損なわないでやれる、こういうことで折衝をしたわけでございます。 しかるところ、その後、三月三日の時点では、御承知のようにすでに二月二十四日には閣僚会議の決定がなされておるんです。そういうことが、もう現実の問題として閣僚会議の決定があるのに、イシコフ漁業大臣は恐らくあれだけの署名をするには、上の方とも相談をしておる。それを閣僚会議の決定ということでなしに、私とはそういう合意をしたわけでございます。このことを着目していただきたいと思います。しかし、いま御指摘がありましたように、そういうことでなしに、事実関係から、はっきりやった方がいい、こういう御意見、これも私は傾聴に値する御意見だと思います。しかし、私が帰ってまいりますまでには、残念ながら、わが方には十二海里、二百海里というものが現実に国会の御承認も得ていない、こういうことでございます。今度はそれがはっきり二百海里体制、十二海里体制というものが国会の御承認を得ておるわけでございますから、そういう実態の上に立って、その後の交渉をしよう、こういう新しい基盤の上に交渉もできる、将来こうなりますよということが前提ではなかなか具体的なことは話し合いが困難であることは、よく御了察がいただけると思います。
○東中委員 私たちは、ソ連側の線引きを保留をすることを前提にして、そして両国の共同管理方式を採用すべきだという主張を前からやってまいりました。大臣は、三月二十九日の参議院の予算委員会で、わが党の上田議員の質問に答えて、ユニークな提案で理想の姿であるというふうな御答弁があったわけでありますが、その提案について、どういうふうに検討され、今回の交渉などで提起されたのかどうか伺いたい。
○鈴木国務大臣 私は、参議院の予算委員会で、上田議員からそういう御意見を伺いました。それは、いま世界の沿岸国は、海洋分割時代に入っていっている、本当はこれは、全人類の観点に立ちますならば、海洋を分割支配をするということは、生物資源に限って見ましても、これが保存と有効利用という目的を十二分に達成するものとは私は考えておりません。そういう意味で、今後この分割時代がある一時期続くでしょうけれども、反省の上に立って今後はやはり国際的な共同規制といいますか、そういうような時代が必ず到来をするだろうというような意味合いで、上田参議院議員の御意見というものはユニークな御意見である、私も賛意を表しておるわけでございます。日ソ交渉に当たって、具体的にそれをどうするこうするということは、いまここでは申し上げかねる、こういうことをお答えをいたしておきます。
○東中委員 近く二百海里法が出されることになりますが、その内容について、一言聞いておきたいと思うのですが、わが国が二百海里水域を設定した場合、北方になるでしょうが、した場合に、もちろん韓国船といえども新しく操業協定を結ばない限りは入ってこれないという見解をとっておられるのだと思うのでありますが、最近の報道ではそうでないような印象も与えておりますので、この点をひとつはっきりとお聞きをしておきたいと思います。
○岡安政府委員 わが国の二百海里法が成立いたしますと、原則といたしましてわが国の沿岸に接続する海域、これが二百海里法、いわば漁業水域になるわけでございますけれども、御承知のとおり韓国との間におきましては日韓の漁業協定というものがございまして、現在円滑にこれが動いているということになっております。中国との問も日中の漁業協定がございます。ここで、そのような現在安定した漁業の状態がある場合におきましては、その関係する海域につきましては、この二百海里法につきまして特別な取り扱いがとられ得るというようなことも当然配慮してもいいのではないかというふうに考えております。もちろん、これは韓国なり中国が二百海里をまたしくということになれば、これはまた別ではございますけれども、現状におきましてはそのような考え方もあり得るということで、私どもといたしましては、法の取り扱い等におきましてそのような措置がとり得るように現在検討をいたしておるわけでございます。
○東中委員 ソ連との交渉の中で日本の十二海里内での操業要求をソ連側から出したり撤回したり、また出したりというような状態になっておりますが、これは現在の時点で農林大臣との話では撤回をしているということになるのかどうかということが第一点。 それからもう一つ。ただ事務レベルではソ連側が領海十二海里も二百海里の専管水域内に含まれるとの解釈をし、別途の協定があれば入漁できるようなことを言っておるということを先ほど報告されましたが、海洋法会議のあの単一草案でも領海と経済水域を明確に区別しているわけでありますし、二百海里内の領海十二海里を除く部分はいわゆる経済水域だということでありますから、先ほどの大臣の御報告で、事務レベルでそういう別途の協定があれば云々ということで、実際事務レベルでの折衝の中でそういうものがまた入ってくる可能性があるような感じを持つわけでありますが、そういうことは絶対にあいまいにしちゃいかぬと思うのですが、いかがですか。
○鈴木国務大臣 いま東中さんがおっしゃったような状況でございます。ソ連の法体系とわが方の法体系が違うわけでございます。沿岸の基線からはかって二百海里、それにソ側としてはその二百海里には全部幹部会令が適用される、こういう法体系になっております。わが方は基線から十二海里までが領海であり、領海の外百八十八海里が漁業水域である。これは御指摘のように海洋法会議の単一草案、国際的に尊重さるべき一その基準に基づいてそういうぐあいにいたしておるわけでございます。ソ連は海洋法会議の単一草案というようなものは全然もう無視して、ソ連独自の漁業専管水域を設定をしておる、こういうことでございます。私とイシコフ大臣との間ではそのことを十分話し合いをいたしておりまして、そうして十二海里の中には入れない、入らない、こういうことを確認し合っておるわけでございます。ところが、向こうの協定案文を基礎にして事務レベルの成文化ということになると、向こうのテキストを中心にして議論をいたしますと、そういう問題が消えたり浮かんだりしてくるわけでございます。私は、イシコフ大臣との話し合いがはっきり合意もいたしておりますし、日本の十二海里領海、その外側百八十八海里の漁業水域、こういうものがはっきりいたしますれば、そういうようなことも整理をされる。実務段階でも整理をされる。すっきりしたものになるであろう。またそうならなければ、私はそれをあいまいもことして受け入れるわけにはまいりません。はっきり申し上げておきます。
○東中委員 その点は万間違いがないと思いますけれども、はっきりとしておいていただきれいと思います。 最後に、漁業者の救済対策について聞いておきたいのでありますが、交渉中断の中で相当長く引くことになりますし、三月中、ニシン、サケ、マスの全面禁漁、四月一日よりソ連二百海里内での操業中止をした北転船、または沿岸、沖合いでのトラブル防止のために操業を自粛した沖合いの底びき船など、休業期間が非常に長期化して深刻になっております。そしてこの休業に伴って、原料魚の不足で加工場がまた休業をする。加工場の操業短縮、休業、労働者の首切り、こういうのが非常にふえてきております。それから冷凍工場、運送業、それから漁網メーカー、こういった関連業者も打撃を非常に受けておるわけでありますが、漁民にとってはまさにこれは天災だというふうなことまで言われておるようであります。万全の補償措置が必要だと思うのでありますが、四月十五日の閣議で決められた三項目の救済対策、これはきわめて抽象的で、具体的な内容がわからないわけでありますが、それはどうなっているか、お伺いしたいと思います。
○鈴木国務大臣 政府におきましては、私が交渉の経過、見通し等を政府に報告をいたしまして、こういう事態でございますから、早急に救済措置を講じてほしい、こういうことを強く要請をいたしたわけでございますが、政府におきましても関係閣僚会議を開き、もとより大蔵大臣もそれに入りまして、いまお話がありましたような救済措置につきまして早急にこれを行うということを閣議で決めてあるわけでございます。私は、漁業経営者並びにその乗組員である漁船員、そういう方方の生活は非常に困難をきわめておる。また、お話がありますように、魚市場の関係あるいは運送関係あるいは製造業者、加工業者その他の関連業者、それぞれ大変な影響を受けておると思います。したがいまして、この際は漁業者の休漁の状態を十分把握をいたしまして、なおそれに関連をするところの関連業界、いま申し上げたような関連業界につきましては、影響の度合いを十分調査、把握をいたしまして、そして緊急に低利のつなぎ融資をまず第一段階としてやりたいと考えております。そうして漁業協定が妥結し、そういたしますれば、わが方の漁獲量クオータも決まってくるわけでございますから、それに見合った新しい出漁態勢がそこに組まれるわけでございます。漁獲量に見合ったところの船の隻数あるいは減船の問題も出てまいりましょうし、いろいろの問題が出てくると思いますが、そういう最終的な結論を待ちまして本格的な救済の措置をやる。それまでの問の低利資金による緊急のつなぎ融資をやりまして、漁業者並びに関連業者が困らないようにする。特に乗組員の諸君につきましては、十分そのつなぎ融資が乗組員の諸君にも早急に届くように、そういう点も十分特定をいたしまして配慮してこの措置を講じてまいりたい、このように考えております。
○東中委員 業を休んでおる休業補償について、対象となるのは、ニシン、サケ、マスなどの日ソ漁業条約関連のものと、それから二百海里内の北転船関係と、そのほかに沖合底びきなどのいわゆる自粛魚種、これも対象になるのかどうか、はっきりしていただきたい。
○鈴木国務大臣 いま農林省に内村事務次官を本部長とする対策本部を設置をいたしておりまして、その救済措置の範囲、対象魚種、そういうものを全体として、いまその被害の程度等を把握を急いでおるわけでございますから、そういう点につきましても十分手当てをしてまいりたいと考えております。
○東中委員 いわゆる自粛された魚種、水産庁の直接指導のもとで操業を自粛しているわけですから、そして水産庁が何らかの救済を約束しておるわけでありますから、これは当然、補償の対象にしなければいかぬと思うのです。それがはっきりしないままでつなぎ融資をと言われても、つなぎ融資をもらっても、後で補償がされなかったら、融資を受けても返すこともできないわけですから、つなぎ融資も受けられないということになるわけです。そういう点で、これははっきり早急にやらないといかぬことでありますから、対象になるのかならないのか。その内容の調査はいいです。損害の程度とかという調査は別にして、自粛した人たちについても沖合いの底びき船なんかですが、対象になるのかならないのかということをはっきりしておいていただきたいと思います。
○鈴木国務大臣 四月の一日から、ソ連の二百海里水域と申しますか、そこに許可証がなければ入れないというような形で、出漁ができないでおるわけでございます。その場合、東中さんひとつ考えていただきたい点は、いつの時点でこれが妥結するかという問題も一つございます。と申しますことは、一九七七年の十二月三十一日までのクオータが魚種別と漁業別に決まるわけでございます。そうすると、この妥結の時期がずっとずれてまいりますと問題でございますけれども、そう延びないということになれば、十二月三十一日までの期間に与えられたクォータを十分達成できる漁業もあるわけでございます。でございますから、そういう点も総合的に勘案をいたしまして、実態に沿うように措置してまいる、こういう考えでございます。
○東中委員 いや、大臣、その言われているのは、後で達成できる場合は補償する必要はないわけですね。ところが、後で達成できないような事態のものについては補償をするというたてまえなのか、それも決まってないというのかということをお聞きしておるわけです。
○鈴木国務大臣 具体的な例を挙げますと、ニシンのようなものは、これは、四月の半ばごろになりますと、仮にクオータが決まりましても、この漁期を逸してもうとれなくなる、そういうものにつきましては早急に措置をしなければならない、こういうことでございます。そういうことは、水産庁その他の専門の立場で十分実態に沿うように措置してまいるつもりでございますから、どうかよろしく御理解を賜りたいと思います。
○東中委員 ちょっとどうもずれておるようなんですが、ニシン、サケ、マスは、それはわかりました。そのほか、私がいま言っているのは、沖合い底びきなどの、水産庁の指導で自粛した魚種ですね、そういうものも補償の対象になるのかならないのかということであります。
○鈴木国務大臣 それは、先ほど申し上げておりますように、北転船であるとかあるいは沖底であるとか、そういうものが妥結をするとクォータが決まってまいります。だから、それは、いつから出発しようと、四月一日から十二月三十一日までのクオータが来るわけでございます。ところが、四月中はとれなかったといいましても、五月以降に十二月までの間にそのクオータを全部達成できる、こういうことになりますれば、その一カ月の休漁中のものはつなぎ融資で生活を守ってあげておる、その後は、四月から十二月までの間にとる分を五月から十二月の間に一遍にとるわけでございますから、通年として、これがどういう影響があるのか、そういう実態を把握した上で実態に沿うように措置してまいると、こういうことを申し上げておるわけでございます。
○東中委員 言われておる趣旨が、五月といっても五月の末になるかもしれませんね、そういう状態で、そうするともう二月間つなぎ融資だけでいいのか。あとクオータが達成できなかった場合はやはり補償をするということであればつなぎ融資を受けるのが安心をして受けられるけれども、そこのところを聞いているんですから……。
○鈴木国務大臣 私もそういう点を理解して御答弁を申し上げておる、こういうことでございますから、実際に五月の中旬から始まるか六月から始まるか、それによってクオータを達成できない、経営上それだけの損失をこうむった、被害が出たという場合につきましては、その実態を十分調査の上でそれに対する措置をやるということを明快に申し上げておるつもりでございます。
○東中委員 では時間が来ましたので、質問を終わります。
○今井委員長代理 次回は、明二十日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後九時四十五分散会 ————◇—————