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80回国会衆議院1977/03/10

農林水産委員会 第3号

発言数
269
登壇者
18
会派数
5
開催日
1977/03/10

会議録

菅波茂自由民主党

○菅波委員長代理 これより会議を開きます。  委員長の指名により、私が委員長の職務を行います。  農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。  農林水産業の基本施策について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松沢俊昭君。

松沢俊昭日本社会党

○松沢(俊)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、大臣が所信表明を行われましたことにつきまして御質問を申し上げたいと思うのであります。  まず最初に、いままでずっと日本の農政が続いてまいりましたのですけれども、昭和三十六年に農業基本法が制定されまして、この基本法が制定されれば日本の農業というのは発展するんだという宣伝が行われたのでありますけれども、それ以来もう十数年間ずっと農村をながめてみますと、まず第一に農業の生産の問題でございますけれども、自給率の点におきまして、昭和三十五年におきましては総合自給率が九〇%、穀物にいたしましても八三%の自給率、こうなっておったわけでございます。それが四十九年になりますと、総合で七二%、そして穀物におきましては四〇%。半分以下に落ちてしまっているわけなのであります。  さらに、構造改善事業が実施されまして、いま二次構の段階に入っておるわけなのでありますけれども、調べてみますと、これもまた約一兆円の金が使われているわけでありますけれども、農業生産の拡大にはちっとも成果が上がっていない、こういう状態であるわけなのであります。  そこで、ことしの予算等を見ますると、地域農政、地域農業という言葉が使われているわけなのでありまするが、これは、いままでの農政が失敗したから今度新しいところの農政をやっていかなければならない、こういう反省の上に立って地域農業という言葉が使われたのかどうか、この点をまずお伺いしたいと思うわけであります。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 戦後、わが国の経済成長の過程におきまして、農地の壊廃、また農業生産労働力の他産業への流出、そういう現象が高まってまいりまして、わが国の農業の体質が脆弱化いたしましたことは御承知のとおりでございます。政府といたしましては、こういう日本農業の戦後の傾向に歯どめをかけて、一日も早く農業の振興、農林業の従事者の所得の向上、生活の安定を期したい、こういうことに政策の重点を置きまして努力を続けてまいったわけでございます。  そのためには、まずもって日本農業の体質の強化を図る必要がある。生産体制も整備しなければならない。そして総合的な食糧の自給力を向上することを基本といたしまして、土地改良基盤の整備、農用地の確保と有効利用、またその担い手でありますところの農業従事者並びに後継者の育成、確保、そういう点に政策の重点を置いて努力をしておるところでございます。  五十二年度の予算編成におきましてもそういうような観点に立ちまして、農林水産予算の重点を基盤整備、これに置いたわけでございます。もう一つは、農林漁業に従事する人の問題、この養成と確保に力を入れた次第でございます。  松沢さんから、それにしても自給率は大分落ち込んできているのではないかという御指摘がございました。これは御承知のように、稲作につきましては稲作復帰の志向傾向が高まっておりまして、米の過剰基調、一方においてはそういう現象を来しておりますが、その他の麦あるいは大豆、飼料作物等々、必要なものの生産がむしろ減退傾向にあったわけでございます。そこで全体としては、需要の伸びとあわせまして自給力は確かに落ちてはおりますけれども、この総合的な自給力を向上させますために、前段で申し上げたように政府としても努力をいたしておるわけでございます。土地改良事業等、生産基盤の予算の確保につきましては、全体で二二・四%の伸び率を示すように予算の確保ができております。     〔菅波委員長代理退席、委員長着席〕 これは公共事業全体から見ましても、三%近い伸び率を示しておるわけでありまして、この点私どもの苦心と努力のあったところを御理解賜りたいと存ずるわけでございます。  また、農業従事者の確保とそれから後継者の育成の問題、これにつきましても、前年度に比べまして予算も相当伸びております。今後ともこの後継者確保の問題につきましては、特段の努力を傾けてまいりたい、こう思うわけでございます。  そういう観点から、どうしても農村における地域の方々の創意と工夫を生かして、そうして地域に合った農業の振興、特にわれわれの地域の農業は将来に向かってこうなるのだということをみずからの創意、工夫等で明るい一つの計画と展望をつくっていただきまして、     〔委員長退席、菅波委員長代理着席〕 それを政府がバックアップをして、そして農業の振興を図りたいというようなことで特別対策事業を今年度からやってまいる、こういう考えでございますので、御了承賜りたいと思います。

松沢俊昭日本社会党

○松沢(俊)委員 私が聞きたいのは、いままでいろいろな施策をやってこられましたけれども、金も使ってこられましたけれども、その金というのがほとんど農業の生産の発展、農民の生活安定という、そういう効果は出ていなかったんじゃないか。その反省の上に立って地域農業という言葉が使われるのかどうかということを聞いているわけなんであります。いままでもういろいろ構造改善事業もおやりになったわけです。なったけれども、大臣もいま言われましたように、米の面におきましては千二百万トンを上回るような生産ができておりますけれども、その他の農作物というものは自給率がぐんと落ちているわけでしょう。実は農業の発展というのは、生産がバランスがとれて、そしてそれが上回っていくというのが農業の発展だと思うのですよ。ところがそれが下回っているということは、金を使っても効果がなかったということになるんじゃないですか。だからその反省の上に立って地域農業なんという言葉をお使いになっているのか。これはだんだん調べてみましたところが、昭和四十何年かの農業白書に地域農業という言葉が使われておりますけれども、私も四年間ずっと落選しておりましたので、それで地域農業なんという言葉は非常に珍しい言葉だ、それは一体反省してこういう言葉が使われたのかどうか、この点をまず聞きたいわけなんであります。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 いままでの構造改善事業なりいろいろの政府の施策が成果をおさめ得なかった、そういう反省の上に立って地域農政特別対策事業を始めるようになったのではないか、こういう端的な御指摘でございますが、私は必ずしもそうは考えておりません。農林漁業をめぐる客観的な外圧、これは相当私は厳しいものがあったと思います。そういう厳しい環境の中で、とにかく農業生産の確保を図り、農民生活を守ってここまでやってきたのは、構造改善事業その他政府のやってまいりました施策がその歯どめになっておったのではないか。こういうことがなければ農村は大変な壊滅的な打撃を受けたであろう、こう私は認識をいたしておるわけでありまして、それなりに成果をおさめてきたものである。しかし最近、農林漁業地帯各方面から、やはり地域の特性、地域の盛り上がる自主的な、また創意と工夫を大きく取り入れて地域農業を振興すべきである、またそうしたい。それに対して政府も大いに手をかしてほしい、こういう機運が高まってまいりましたので、そういう施策を今年度から力を入れてやってまいる、こういうことにいたしたものだと御理解をいただきたいと思います。

松沢俊昭日本社会党

○松沢(俊)委員 それじゃそれほどやっぱり効果はあったんだ、こういうお話なんでありまするが、それじゃ、あったということであるならばその生産が伸び悩んだところの原因というのは一体どこにあるのでしょうか。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 私は今後総合的ないろんな角度からの施策が必要である、こう考えております。その一つは、価格政策の問題も重要な要件である、こう考えております。私は、だからといって米のように全部の作目につきまして生産費所得補償方式をとるということを申し上げるのではございませんが、それぞれの価格の算出方式というものがございます。この間に、果たして作目間の相対的な価格のバランスがとれておるかどうかということにつきましては、十分研究を要する点があると考えておりまして、農林省の中に、農産物価格の検討委員会、これを設置いたしまして、ただいま相対価格の改善、適正化につきまして鋭意検討を進めておるところでございます。  また、価格政策とともにいろんな構造政策あるいは生産のための助成政策、こういうものも総合的にかみ合わせまして、そうして米だけに偏重することなしに、必要な主要作物の生産がスムーズにそういう方面にも移行できるような環境と条件、そういうものをつくることが必要であるということを、私就任以来特に感じておりますので、今後そういうようなことで、バランスのとれた総合的な自給力の向上に努めてまいりたい、こう考えております。     〔菅波委員長代理退席、委員長着席〕

松沢俊昭日本社会党

○松沢(俊)委員 今回の所信表明にもありましたように、食管の逆ざやの解消をやって、そうして浮いた分を、これを要するにその他の農業施策に使う、こういうことを大臣は言っておられるわけであります。私は率直に申し上げますけれども、確かに大臣の言われるとおり、生産が下がった最大の原因というのはやはり価格政策にあったと私は思います。価格さえ安定しておればそれはそれなりに物はつくると思っております。  そこで考えられることは、いま米が総需要を上回る、そういう生産になっている。これは考えてみますると、減反政策が行われているにもかかわらず農民が米をつくる。つくる方が悪いのではございませんで、やはり他の農産物の価格というものが余りにも低過ぎる。たとえば統計からしますと、四十九年までしか出ておりませんけれども、小麦にいたしましても二千円前後の一日当たりの報酬にしかならない。大豆もそのとおりでございます。そういうような状態であるならば、それをつくれと言ってもこれは無理なんであります。  そこで、米の価格の面にいたしましても、私たち賃金の問題で比較してみますと、日本の労働者の平均賃金からいたしまするならば、米の価格の中に含まれるところの農民の労働賃金というものは決して高いわけではございませんで、低いのであります。低いのでありまするけれども、農産物全体から見ますならば、これは米の方が大豆をつくるよりも小麦をつくるよりもいいわけなんであります。そこでそこへ集中していく、そして米の過剰という状態が出てくるということになるわけであります。  ところが今度の予算を見ますると、食管の逆ざやというものを解消して浮いたところの金をその他の農業施策のために使う、こういう方針がとられているようでありますが、これは一つの基調になっておるように思われるわけでありまするが、壊滅寸前の状態になったにもかかわらず農業がなお壊滅しなかったというその歯どめの役割りを果たしたのは食管制度だと私は思うわけであります。この食管制度を、逆ざやの解消という形でなし崩しをやっていった場合においては、それこそ今度は壊滅寸前から壊滅へ向かってしまうのじゃないか、そういう点を私は危惧しているわけであります。大臣は、脱食管の基調というものがこれからの農政として本当にいいというふうにお考えになっているのかどうか、これをお伺いしたいと思うわけであります。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 私は、日本の農業の中で稲作農業が占める役割り、地位というものは非常に大きいものがある、これは今後とも守っていかなければならない、こう考えております。と同時に、先ほども申し上げましたように、麦づくりをしても大豆づくりをしても、あるいは野菜づくりをしても、稲作農業をするのと同じような所得がおおむね確保される、そういう環境と条件を整備していかなければどうしても稲作復帰志向、これは是正することができない。政府や国会でもっとバランスのとれた総合的な農業がぜひつくられなければいけない、こう考えましても、個々の農民諸君としてはやはり少しでも所得の多い方に偏らざるを得ない、これは私もそのとおりだと思います。そういうことを考えますと、どうしてもただ旗を振るんでなしに、他の作目をつくっても十分自分らが稲作をやった場合と同じような所得が得られるようなそういう条件整備、それをつくってやる必要がある。それは単に価格政策だけではないと私は思いますけれども、土地改良事業等の基盤整備の問題もございましょうし、あるいは政府の振興助成措置の問題もございましょう。総合的なものをかみ合わせまして、全体として作目の転換、転作等がスムーズに行われるような条件をつくり出す、こういうことに私は今後力を入れてまいりたい、こう考えております。  それから脱食管というお話がございましたが、脱食管ということは私は言ったこともございませんし、適切な、適当な表現ではない、こう考えております。食管制度というのが生産者の所得を守り、また再生産を確保する、こういう一面と、また消費者である国民の生活を守る、国民経済を守っていく、こういう二つの大きな柱がこの制度にはあるわけでございますから、私はこれを基本としまして、食管制度の根幹というものは今後とも絶対に守っていかなければならないと考えております。  ただ、いまの逆ざやがどんどん広がっていきまして、そして在庫数量もふえる、それが食管の財政の大きな圧迫になる、これは国民経済全体の上からいたしましても、今後農政を進める上からいたしましても、食管制度の健全化というものは私はやはり必要だと思います。松沢さんも御承知のように、かつて逆ざやのなかった時代もございます。そういう時代におきましてもわが国の食管制度というものはりっぱに守られておった、こういうことでございまして、食管会計等の財政の健全化を図るということは脱食管ではない、こういうことを私は申し上げておきたいと思います。

松沢俊昭日本社会党

○松沢(俊)委員 いま大臣の方から食管は守るんだというお話でありますが、ただ、私は逆ざやの解消にもいろいろあると思います。末端逆ざやの解消というものもありますし、売買逆ざやの解消というものもあると思うわけであります。いろいろお聞きしますと、やはり売買逆ざやの解消に向かって進んでおられるやに聞こえるわけなんであります。いま大臣は、逆ざやのなかった時期においても食管は守ってきたじゃないか、こういうお話なんでありまするけれども、その逆ざやのなかった時代というのは自主流通米制度もなかったわけなんであります。自主流通米制度が導入をされた。ですから、いま米、麦、こういう主食というものは完全に政府の方で管理している、こう言われますけれども、実際は管理されていませんです。  もうすでに自主流通米の消費者の価格なんというものは大変高くなっているわけであります。あるいはまた余り米という言葉が使われているところの余剰米ですが、これなんかも、これは自主流通米に準じてそのルートに流しなさいということを言って指導しておられますけれども、それであっても、それはもう政府の監視の目から離れているという状態になっているわけなんであります。ですから、完全に政府が米を管理していますというふうに断言できるところの状態ではなくなっているのです。  そこへもってまいりまして、逆ざやは去年から解消だということでやっておられるわけでありますけれども、これを完全に解消したということになりまするならば、これは政府が集めるところの力というものはなくなってしまうんじゃないですか。そうなれば、いや、価格というやつをちゃんと決めているんだから心配ないんだと言われるけれども、これは一つの支持価格的なものになってしまって、政府が完全に米の管理というものができなくなってしまうじゃないか。だから、食管制度を守る守ると言っておられますけれども、しかしその食管制度というのは一体どういう食管制度なのか。食管制度の原則というのは、これは食糧管理法ができたとき湯河長官が言っているでしょう、米の専売制のようなものだ、こういうことを言っているわけなんです。われわれはいままで食管制度の根幹というのは全量買い上げだ、二重価格制だ、政府の直接管理だ、この三本というのは食管の根幹である、こう言ってきたわけなんです。これは鈴木大臣も岩手の御出身でございますので、私も新潟でございますので、食管を守るために大臣みずから一生懸命でがんばってこられたわけなんです。農民の声もよく聞いてこられたわけです。われわれの食管というのはこの三つであったわけなんです。要するにその三つのうちの一つの全量買い上げ、これが自主流通米制度によって打ち破られているわけなんです。今度二重価格というのが逆ざや解消ということによって打ち破られてしまう。名目的には、政府が管理しているのですよと言ったとしても、事実上は管理ができないというところの状態になってくるんじゃないか、そうなればいまの食管とは違った形のものが出てきてしまうじゃないか、こういうぐあいに私は考えるわけなんであります。しかも、いろいろお話を聞きしますと、いや、逆ざやの解消をやったとしてもその心配はないんだということをよく言われるわけなんであります。ですけれども、私はいままでの食管というようなものはこれでパアになってしまうじゃないか、こういう非常な危機感を持って御質問申し上げているわけなんであります。  それともう一つは、ほかの方の価格の方にも手をかけてやっていくんだ、非常に結構な話なんであります。ほかの方の価格というのを解決つけてから食管の逆ざやの解消ということであるならばこれはまたひとつ話はわかりますけれども、ほかの方を解決つけないでこっちの方だけ手をかけて、そして八百億の金を浮かせてよその方につぎ込むことによって日本の農業は発展するなんというような考え方を持っているということは、これは大きな誤りなんじゃないか、こういうぐあいに私は思うわけなんであります。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 私は逆ざやの解消を段階的に行うという政策が、生産者に対しては低米価につながり、消費者に対しては消費者米価の引き上げに通ずる、こういうぐあいにお考えいただかないようにお願いをしたいと思うのでございます。生産者米価は、生産費所得補償方式、こういうことで算定のルールが確立をいたしております。また消費者米価につきましても、国民生活を守っていくということ、経済状況も十分勘案をしていくということ、そういう基本の上に立って消費者米価の決定もいたすわけでございまして、私はそういう両面を考えながら、いまの年々増大してまいりますところの逆ざやによるところの食管会計の財政的な大きな負担、これは将来破綻に通ずる心配がある、食管制度そのものの崩壊につながるようなことであってはいけない、私は生産者の立場、消費者の立場を考えながらこの食管財政の健全化、合理化というものについてはやはりあらゆる努力を傾けるべきだ、このように考えております。  なお、いろいろお話がございましたので、食糧庁長官から補足説明をさせます。

大河原太一郎食糧庁長官

○大河原政府委員 食糧管理制度につきまして、全量買い入れなりあるいはその二重米価と申しますか、先生お話の言葉を使わせていただきますと二重米価ということ等につきましては、これはしばしば御議論を賜っておりますが、私どもといたしましては、国民食糧を確保し国民経済の安定を図る、そのために米を管理いたしまして需給並びに価格の調整を行い必要な配給の規制を行う、その目的を達するために生産者の方々にも売り渡し義務を課して行っておる。そういう意味で、必要量の確保ということが食管制度のたてまえであるというふうに思っておるわけでございます。  それからまた、二重価格等につきましても、いま大臣が申し上げましたように、生産者価格は再生産確保のために適正に決める。それから、消費者価格は家計その他物価事情等を考慮して決めるわけです。ただし、経済事情その他ということで、両者の関連を考慮しながら決めるというたてまえであるというふうに考えておりまして、制度として二重米価を否定しているものではないというふうに思っておるわけでございます。ただ、食糧事情が需給の関係で厳しい時代になりあるいはその後の時代でやはり全量を買い入れなければその需給関係についての必要を果たせないとか、あるいは四十年以降生産者米価について引き上げがございましても、物価狂乱の時代等でやはり家計の安定ということで据え置きさせていただいておるということから、先生ただいま御指摘のいわゆる逆ざや問題が出たというようなことでございまして、私どもとしては、その点でやはり両米価の関係は関連をつけて正常な関係を保つことができる条件があればそれをしていかなくてはならないというふうに考えておるわけでございます。  さて、先生御所論の立場から言えば、逆ざや解消後が一層食管制度の崩壊につながるのじゃないかというような御意見でございますが、まず自主流通米の認識でございます。これは御案内のとおり、本来需給上必要なものは、先ほど申し上げましたように、食管法第三条に基づいて生産者の方々にも売り渡し義務を課して買い入れておりますし、またその価格は先ほど申し上げたとおりでございますし、配給についても、消費者への配給を確保する。そうしてその価格も当然本来食管法に基づいてやっておりまして、その流通量は、飯用のウルチ米で言えばおおむね八割近くはやはり直接統制のもとに置いてございます。  自主流通米についての御認識の差が御議論を呼んでおると思いますけれども、これは御案内のとおり、四十年代大幅に食糧事情、米の需給がゆとりができまして、消費者の方々も生活水準が上がりまして、やはり品種と申しますか、食味に対する要請が非常に高まった。やはりそういう条件のもとにおいて米の生産、消費というものを考えていく場合に、その消費者の選択商品に適した制度が必要じゃないかというようなことでとったことは、先生御案内のとおりでございます。自主流通米といえども、やはり政府米と全く同じルートで自主流通計画に基づいて法律上農林大臣の許可を得た自主流通計画によって集められますし、また、事販売に関しましては、登録配給団体等にこの米が渡されるということでございまして、しかも政府米と全く同じ取り扱いがなされておるというようなことで、私どもといたしましては、食管制度の本来の直接統制というものを基幹としながら、需給の状況に応じた政府の管理のもとにあって位置づけられているというふうに考えておりますので、その点が一つだと思います。  さて、逆ざや解消後一層崩れるのではないかということでございますが、自主流通米自体は消費者需要によってその流通量が決まりますし、生産者の方々も、流通経費それから仕切られる価格とか、いろいろな点を考えて、割高だけれども食味がいいのを求めるという実需者の要請からその量が決まってくるわけでございまして、今日の、本来の直接統制を基幹として行われておる運用が、先生御心配のように、たてまえとして大変崩れるというようには私どもとしては認識しておらないわけでございます

松沢俊昭日本社会党

○松沢(俊)委員 さっき私が申し上げましたように、食管というのはもともと三つの根幹というものがあったわけでございますから、それが次から次へと崩されていくということになれば、食管といういまの制度、それはやはり変質してくる。長官が何と言おうと変質することだけは私は間違いないと思うわけなんであります。しかも、これは私だけが言っておるわけではございませんで、そういう状態になったならば一体どういう結果になるのだろうかということを、やはり食管に関心を持っておる人たちも言っておるわけなんであります。そういう点で、逆ざや解消、そしていま長官が言われるように、生産者の米価というものはちゃんと法律に基づいて再生産確保ということで決めているのだ、こう言っておられますけれども、しかし、いままで生産費及び所得補償方式等の言葉はありましたけれども、その算定方式の中に入るところの中身はしょっちゅう変わっている。だから、昭和四十二年方式で去年の米価をはじき出せば、農協の要求の米価よりも上回るのですよ。それを低く抑える気であるなら、分母を変えたり、分子を変えたりして幾らでも低く抑えることができるんです。だから、逆ざや解消というものは、消費者の経済の状態もよくなっているわけだから、少しずつ負担してもらうようにするんだというようなことを言っておられますけれども、これは両米価連動しておりますので、いままでの米価を決めたところの経過からいたしましても、中身がみんな変わっているんです。たとえば、昭和四十二年にはワン・シグマというのがあったわけです。それを今度半分にして、ゼロにして、そして分母をだんだん小さくしてきているというところの事実もあります。幾らでもこれは変更ができるんですよ。だから、逆ざや解消というのは、言ってみまするならば低米価につながり、そして消費者の負担を増大すると同時に、やがては食管そのものが変質してしまう、こういうことを私は指摘しているわけなんであります。そういう点で、これは時間がありませんので、これからまた委員会がたくさんありますから、さらに追及していきたいと思いますが、その点を大臣の方も十分考慮をしていただきたいということを私は要望申し上げるわけなんであります。  次に、私は福島潟問題につきまして、御質問申し上げたいと思います。  これはもう大臣も聞いておられると思いますけれども、新潟県の福島潟という潟は、新潟県で有数な大地主市島さんの所有地になっておったわけなんであります。その総面積四百三十四町歩、そして十三本の川がその潟に入っておったわけであります。そして新潟県の越後平野の最も低いところの場所にございまして、海抜マイナス六十センチ、こういう状態であったわけなんであります。その福島潟を何とかして干拓して米をつくりたい、こういう地元の農民の要求がございまして、政府の方といたしましても、農地法に基づくところの強制買収をやったわけなんであります。ところが、市島さんの方では、六百三十九万では安過ぎるということで裁判を起こしまして、そして国の方では金を出してくれない。そこで、地元の農民が三百万円つけ足して解決をつけ、これを国有地にしだわけなんであります。  ですから、本来から申し上げますならば、強制買収のたてまえといたしましては、それを関係の農民に払い下げるというのがたてまえになっておるわけなんであります。それを払い下げないで、干拓をやってから払い下げようとしたわけなんです。そして昭和四十一年から干拓工事が始まって、昭和四十八年に大体完了してしまいましたので、関係農民二百二十七人に対しまして配分されたわけなんであります。昭和五十年九月完工式が行われまして、農林大臣の代理もおいでになりましたし、関係機関の代表の方々もおいでになって盛大な完工式が行われたわけなんであります。ところが、昭和五十一年三月に——もう終わったわけなんでありますから、終わると同時に土地改良法に従いまして農林大臣公告をやるということになるわけでありますが、農林大臣公告をやりますと、自動的に国の所有権は消滅して農民のものになる。農民のものになると米をつくるおそれがあるということで、三月二十二日になってから、事業所は全部閉鎖したにもかかわらず、工事は終わって完工式をやったにもかかわらず、工事はなお続けると言い出したわけなんであります。そこで起きたのが、昨年のあの福島潟におけるところの現地のトラブルであったわけなんであります。  そこで、私は申し上げますけれども、福島潟の状態はさっき申し上げたとおりなんでありまして、したがって、農林省の方に聞きましても、溢流堤という堤防に囲まれた干拓地は日本国じゅうどこにもないということなんです。あふれ流れる堤防なんでございますから、三日間連続で百七十ミリの雨が降ればそこは水たまりになってしまうわけなんであります。そういう場所なんでありまして、毎年毎年大雨が降るたびごとにそこは池になっておるわけなんであります。そのところに幾ら生産調整をやるとしても、畑にして野菜をつくれということは、これはやほな話じゃないですか。これは全くやぼだと思うのです。それで、町村長から関係農協の組合長から福島潟土地改良区も全会一致で決議しているわけなんです。うまくないから米作を認めてもらわなければならないというところの決議をやっているわけなんであります。それを無理押しに押しているというのがいまの状態でございます。大臣は所信表明の中にも、やはり全体の理解を得ながら農政というものを進めていく、こう言っておられるわけなんであります。  今月の三日の日本農業新聞にも社説に出しておりましたが、要するに、NHKテレビで農民の福島潟におけるところの稲をつくる状態をずっと映画で写したわけなんであります。全国の国民に見せたわけなんであります。全国の国民もやはり農民のあのような痛ましい状態というものに、そしてそれにもかかわらずとにかく米以外にないんだということで真剣になって米をつくる、そして九月になって農林省の方で稲を刈るという強権発動があったときに、農林省に稲を刈らせるわけにいかないということで、潟の外のたんぼのところにその稲を移植した、こういう農民の姿には感動させられたと社説には言っているわけなんであります。  鈴木農林大臣は東北の出身でございまして、私も新潟の出身でございまして、農民のことについては十二分に理解を持ったところの大臣であろうと私は期待をいたしておるわけなんでありますが、あのような争いというものが、このままの状態であるならばまたことしも続くわけなんであります。恐らく激突になって血が流れることだけは間違いないわけなんであります。私は、そういう点からいたしまして、新しい大臣、しかも農村のことをよく知っておられるところの大臣が今度大臣になられたわけなんでありますから、この問題は血の流れるような状態にならないような解決をしてもらわなければならぬのじゃないか、こんなぐあいに考えておるわけなんでありますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思うわけなんであります。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 福島潟干拓問題は、古い問題であると同時に、早急に解決をしなければならない今日的な問題だ、私はそういうぐあいに考えております。これには、いまお話しのございましたように、いろいろのいきさつがあるようでございます。私も二度ばかり御陳情も伺いまして現地の声もお伺いをしておるところでございまして、担当局長に命じまして早急にこの問題の円滑な解決ができるようにということで指示もいたしております。関係局長もいま苦労しておるところでございますが、局長から当局がいままでとってきた経緯等につきましても一応説明をさせたいと思います。

森整治農林省構造改善局長

○森(整)政府委員 先生御指摘のような事態がなお続いておることはまことに残念だと思っておりますが、私どもとしましてはなるべく早く工事を完了をいたす、したがいまして、竣工の手続を早くとりたい、それには係争地につきましての問題を何らかの形で解決をした上でそういう手続を踏んでまいりたいということで、鋭意努力を続けておるわけでございまして、大臣も何とか円満に解決したい、こういうお気持ちでおられるわけでございますから、     〔委員長退席、菅波委員長代理着席〕 その意を受けまして新潟県ともよく連絡をし、また、私どもしばしば農民の代表ともお会いいたしまして、その真意をくみ取りながら鋭意調整に努めておるわけでございまして、去年のような事態ということは、私どもは何らかの形で回避できるのではないだろうかという信念でこの処理に当たっておる次第でございます。

松沢俊昭日本社会党

○松沢(俊)委員 私は、時期がもうすでに切迫しておりますのでいま局長が申されましたように、今度は公告をやるという段階へ入っているわけなんでありまして、それを三月の末にやるということになりますならば、もう幾ばくも時間はないわけなんであります。そういう状態の中で、二十四人の取り消しを受けた人たちの取り扱いというものは、これは早目に解決つけないと、いま成田空港の三里塚ではあのような争いというものが起きているわけなんでありますが、そういう二の舞を踏むおそれがあるんじゃないか。私は、それを回避するためにも、時間が迫っているんだから、大臣みずからが乗り出してこの問題の解決を円満裏に図る、こういうことを大臣の方から言明をしてもらいたいわけなんであります。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 この点につきましては、松沢先生にも私の気持ちはしばしば申し上げておるわけでございまして、いま局長にもそういう方向で指示をさせておりますし、前向きでできるだけ早急に結論を出すようにいたしたいということを申し上げておきます。

松沢俊昭日本社会党

○松沢(俊)委員 次に、これは米の話とまたちょっと違っておりまして、私はいままで日中友好運動を実はやってまいりました。御承知のように、田中総理、大平外務大臣等の北京訪問によって国交の回復はなされたわけなんでありまするが、しかし、いまなお平和友好条約が締結されないままの状態になっているわけなんであります。私は、一刻も早く平和友好条約の締結を図るべきだという立場に立っております。同時にまた、日本と中国は一衣帯水の国なんでありまするから、これは友好関係を促進するという立場に立って日本の行政も前向きな立場をとっていかなければならぬじゃないか、こんなぐあいに実は考えるわけなんであります。  そういう立場から御質問申し上げるわけなんでありまするが、中国の食肉輸入の問題でございます。この問題につきましては、口蹄疫があるから輸入するわけにはいかない、そういうことでもう十年余りこの問題がしょっちゅう問題にされてきているわけなんであります。しかし、いろいろ調べてみますると、四十年には獣医界の権威でありますところの高松博士が訪中をしておられます。そして調査をしてこられているわけなんであります。それからこれも四十年でございまするが、前農林大臣の大石さんが団長になられまして、麻布獣医大学教授の入江さん、東京大学の石田さんが同行されまして、口蹄疫の問題につきましてのこれまた調査をやってこられ、しかもこれについての報告書が出されておるわけなのであります。要するにこの調査団というものは、LT貿易、いわゆる高碕事務所の方から派遣せられたところの調査団なのでありまするから、したがって国交の回復前でありますが、準政府代表として訪中されておることだけは間違いないわけであります。その報告書によれば、中国の「家畜伝染病月報」という月報が出ておるが、これは信頼できる、こういうことがはっきりしておりまして、口蹄疫の問題はこの時点で解決がなされておるはずなのであります。しかし、それにもかかわらず政府機関の方でとやかく言うものでありますから、なおまた高碕事務所を通じまして、もう一回調べさせてくれという交渉をやったわけであります。そこで、中国側の方といたしましては、電報をよこしまして、「大石武一先生ヲ団長トシ入江、石田教授が参加シタ食肉視察団ガ我国訪問中詳細ニワタリ全面的ナ観察ト了解ヲナサレ、コレ又充分貴方ノ要求ヲ満足サセタ、目下ノ問題ノキーポイントハ貴方ガ我国ノ食肉ニ対シ真ニ誠意ノ有無ニアル」、こういう電報をよこしました。そうして何度も高碕事務所の方から、まあそれはそれだけれども、もう一回とにかくその調査に招待をしてくれということで、そこで農林省の元衛生課長でありましたところの日本獣医師会の副会長の田中良男さんがまた行かれたわけであります。そうしてまた調査をして帰ってこられておるわけであります。ですから、もうすでにこの問題は解決しているはずなのであります。その後、前農林大臣の大石さんの方でも、何とかこれは解決をつけなければならない、そういう態度を示しておられたわけなのでありますが、その後、大臣が更迭されまして、このままの状態になっておるわけであります。  少なくとも国を代表する代表がちゃんと了解をしてきたならば、やはり相手国に不信感を抱かせるような態度に出てはならないじゃないか。了解してこないのであるならば、まだいろいろとイチャモンをつけてもいいかもしれませんけれども、了解してきたということであるならば了解したなりに、口蹄疫を省令から中国は除外するというはっきりした態度に出ていくというのが、これが両国の友好を促進するということになるのじゃないか。それをこのままの状態にしておくとするならば、これは不信がつのるばかりであります。私は、新しい大臣としてどういう態度でこの問題に対処されるのか、その点お伺いしたいと思うわけであります。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 日本は口蹄疫につきましては全くの処女地でございまして、日本の畜産業、畜産農家を守る観点からも、この点は十分慎重な態度をとってきておるところでございます。しかし、いまお話しの中国の問題につきましては、政府としても前向きでこれに取り組んでおります。調査団等の報告も十分検討もし、またその調査報告を私ども評価をいたしておるところでございます。また、政府からもそれぞれの専門家を派遣して中国の状況もつぶさに調査をしておるところでございます。そこで、この肉の処理場等、中国政府が御指定になれば、わが方から専門家をやってその処理場等も拝見したいというような実は前向きの回答もしておるわけでございます。まだそれに対する回答はございませんが、今後、日本の畜産農民にいささかの不安も与えないように、しかし、日中の友好関係を増進するということは、国としての大きな方針でございますから、そういう方針を踏まえながら、この問題をできるだけ早く解決をしたい、これが私の気持ちでございます。  これらのことについて、具体的に農林省としてどう対処しておるかという問題につきましては、畜産局長から説明をさせます。

大場敏彦農林省畜産局長

○大場政府委員 経過をただいま先生御指摘になりましたけれども、国交正常化以前に実は三回民間の調査団が派遣されております。第一回目はたしか昭和三十一年だったと思いますが、その時点におきましては、口蹄疫は発生している、こういうような報告があります。それから四十年、これは前農林大臣の大石先生が民間の資格で団長として率いて調査団が行かれたわけでありますが、その報告では、中国のレポートというのは信頼していいだろう、そのレポートには口蹄疫という欄には棒が引っ張ってあります、そういうレポートをいただいております。それから昭和四十一年、これは田中良男さんが調査団として行ったわけでありますが、これは非常に限られた時間、限られた場所しか見られなかったので、十分根拠あるような言い方はできないけれども、現時点では中国に口蹄疫が発生していないということは信頼していいだろうという意味の報告書を出されております。  その後、四十一年にそういった報告書を踏まえまして、それから行かれた方々も含めまして、その報告書をベースにいたしましていろいろ討議をした。獣医の方々あるいは家畜衛生の専門家の方々二十数名であったかと思いますが、その中にはいま申し上げました方々も全部入っております。そういった方々も含めましていろいろ討議した結果出た結論は、レポートが報告しておりますように、中国の家畜衛生事情というものは非常に見るべき改善のあとはある、それは評価に値する、しかし、いろいろ検討した結果、まだ不明な点が残っているので、中国食肉の解禁の問題はこの不明の点を明らかにした上で解決した方が適当であろう、こういった御意見が出たわけであります。  そういったことに従いまして、私どもといたしましては、たしか数項目のことにつきましてこれを教えてもらいたいという形で中国に御照会しておるわけですが、残念ながら、現在までそれに対する返事はない、こういったことでございます。  それ以降、昭和四十六年に——ただいま申し上げましたのは生肉の話でございますが、生きた家畜、生体の家畜につきましては、これは輸入を解禁する法手続をとっております。それにつきましていろいろ検疫条件を統一しようじゃないか。これはほかの国はすべて日本と外国と事前に検疫条件を統一しておいて——統一しておきませんと、いろいろまたトラブルが起こる可能性がありますので、統一しておこうじゃないか、こういうことでわが方の案を中国側に提示して返事を待っておりますが、まだその返事は残念ながらいただいていない。  それから、大臣が申し上げました加工肉につきましては、昭和四十七年に輸入の条件を緩和いたしました。従来は日本政府が指定したそういった加工肉の処理施設で加工したものだけは輸入を解禁するというようなことになっておりましたのを、中国政府自身が指定した施設でも結構であるという形で拡大いたしたわけでありますが、ただし、その場合に、指定した施設につきましては、指定したときには日本政府に連絡してほしい、こういう御要望をした経緯があります。それにつきましても、残念ながら、いままでのところ返事がない、こういったことで、実はいろいろ問題がかなりこじれておるというふうに私どもは感じております。  私ども今後の考え方といたしましては、中国食肉を入れるということは、貿易とか需給とかそういった問題とは離れまして、もっぱら家畜衛生上の見地から処理していきたいということでございますから、やはり口蹄疫が大丈夫であるという確認をし、日本の農民に安心感を与える、そういう措置が必要であると思いますので、今後、中国といろいろ技術交流をしながら、そういった点での知識を解明していきたいと思っております。ただし、その場合に、従来みたいにこじれた関係の中で資料をよこせ、いやそれは解決済みだというような一本綱を引っ張り合うような形では、私は必ずしも得策ではない、賢明ではないと思っておりますから、幅広く、口蹄疫という問題とは場合によっては離れて、お互いの獣医技術者の交流というものを深めていき、中国の方々にも積極的に日本に来ていただいて、日本の検疫体制なり日本の畜産の実情を理解していただくと同時に、わが国の方からも、口蹄疫とは直接関係なしに、もっと幅広い形での知識の交換をするような機会をつくっていきたい、かように思っております。  それから同時に、先ほど申し上げました生体の輸入につきましての検疫条件を統一しようじゃないかということを中国側にお願いしておるわけでありますが、これも日本側から案を出しておりますが、その案に徹頭徹尾固執するというような態度は決して持ちたくない。これにつきましても、中国側にいろいろもっと弾力的な違った考え方がおありになれば、日本側といたしましても弾力的に処理していきたい。そういった考え方で、そういったルートを通じましてのお互いの接触、理解の仕方ということも一つの方法じゃないか、こういうような形で私どもといたしましてはできるだけこの問題につきましては前向きに処理していきたいと思っておるわけでありますが、いずれにいたしましても、基本問題としてはやはり家畜の衛生問題だというふうに認識しております。

松沢俊昭日本社会党

○松沢(俊)委員 私は、大臣のお考えと局長の考え方にやはりずれがあると思うのであります。大臣の方では、大石団が行って報告書を提出した、それを検討してこれで差し支えないというところの立場で前向きに考えていかなければならない、ところが局長の考え方は、まだそれが解決されていないという立場に立っておるわけであります。いま局長は、中国側の方にいろいろの質問の手紙をやったということを言っておられますが、何回手紙をやっても、もう終わっておるわけなのでありますから、人をばかにするなということで返事なんか来る道理はないと思うのであります。ですから、やはり口蹄疫の問題は、もうすでに報告書によって解決済みである、だから省令から除外をする、そうしてその後において技術交流をやる、その間において口蹄疫が発生しておるとかいう事実があったとするならば、これまたとめることも一向差し支えないわけなのであります。  問題は、民間としてのというお話でございますけれども、やはりあの当時におきましては、大使館も何もなかったわけでありますから、高碕事務所がいわゆる準政府機関としての役割りを果たしておったわけなのであります。だから、北京政府の方といたしましては、当然、政府代表にあれくらい視察をさせて満足させたのであるから、それで了解されたのであるから、それをいまごろ何言っておるのだという、そういう不信感が非常に強いと思うわけなのであります。そういう点で私は、この問題は、やはり大臣の言われるとおり、一たん了解をしたのでありますから、心配ないということの報告書も出ておるわけでありますから、それを踏まえて、それで前向きの検討をしてもらう以外にないのじゃないか、こう思っておりますが、これはむしろ政治的な問題だと私は思っております。そういう点で大臣の方からの御答弁をいただきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 私の気持ちとしては、早くこの問題は解決をしたい。これは日中国交正常化という基本の上に立って進めたいと、こう考えておりますが、いろいろわれわれは話し合いも十分いたしまして、そうしてお互いに理解し合った上でこの問題を円満に処理したいという気持ちを持っておりますから、技術的な若干の問題について照会はしておりますが、いずれ関係者間で十分話し合いをいたしまして、円満な処理に向かいまして努力をしたい、こう考えております。

松沢俊昭日本社会党

○松沢(俊)委員 四日まで続きましたところの日中の貿易混合委員会、その席上におきましても、中国側の方としては、口蹄疫はないのだからそれは除外してもらいたい、こう言っておるわけです。ですから、それを踏まえて、今度は日本側が返事を出す番だと私は思っておるのですが、大臣、そういうふうに理解して差し支えございませんか。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 私、古い経過は知りませんが、いま局長から御説明申し上げましたように、数点について御照会をしておる、また煮沸肉の処理加工場の指定も中国政府に早くやっていただきたい、こういうことも向こうに連絡しておるわけでございます。そういうようなことで、農林省としても、この問題は、日本の畜産農民にいささかの不安も与えないということも考えねばいけませんが、前向きで早く処理したいということで、いろいろな努力をやってみたい、こう思っております。

松沢俊昭日本社会党

○松沢(俊)委員 これで終わります。

菅波茂自由民主党

○菅波委員長代理 野坂浩賢君。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 農林大臣の所信表明の演説に対する質疑でございますから、したがって、この表明に関して一つ一つ質疑を行い、問題を明らかにしてまいりたいと思います。  鈴木農林大臣は、所信表明演説の中で、農林漁業者の生活の安定と福祉の向上、そうして消費者である国民の皆さんに農林水産物の安定的供給を図ることを農林省の使命としており、その実現のために努力することを確約をする、こういうお話であります。農林漁業者の生活の安定、福祉の向上を、農林大臣の就任中には不満のないように必ず期待に沿ってそれは進めていく、こういうふうに言われたというふうに確認をしてもよろしゅうございますか。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 私は、近年におきまして農林漁業者の諸君が熱意を持って農業の振興、農村経済の発展、また農民の社会的、経済的な向上ということに大変御努力を願っておりますし、政府もまた他産業との間の所得の格差、あるいは他の地域と農村との間の不公正、そういうものを是正をいたしますためにいろいろな施策を今後とも進めてまいりたいと考えておりますが、私は、まだ他産業との間、また農村と他の地域との間にいろいろの格差があるということを率直に認めるものでございます。そういう格差の是正、これに向って私在任中全努力を傾ける、こういうことを申し上げておきたいと思います。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 格差があるということは認められる、格差是正に全力を挙げるということであります。大石農林大臣は非常に短期間でございましたので、その方針を聞くだけにとどまったわけでありますが、その前の安倍農林大臣は攻めの農政だ、こう言って内外に明らかにされてまいりました。その攻めの農政をこれから引き続いておやりになる、こういうことになりますか。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 安倍さんの攻めの農政という御発言、これは非常にいろいろな意味合いを含んだ内容のものである、こう思いますが、積極的にいまの農業の振興、農業者の経済的、社会的な地位の向上を図るのだ、こういう意味合いであろうかと思いますが、そういう意味合いでは、私が所信表明で申し上げたことと全く軌を一にするものでございますから、私もそういう方向であらゆる努力を傾けるということを申し上げております。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 格差是正の農政をこれから進められるわけでありますが、私は本年度の農林予算を見まして、全予算の構成比率の中の九・三%になっておる。従来農林予算というのはざっと一〇%以上というのが一つの目標であったわけでありまして、去年は九・九になりました。ことしは九・三ということになっております。そうすると格差是正ということは、金額であらわすということはどうかとも思われるわけでありますが、あなたの所信表明から考えてまいりますとむしろ後退をした、こういうことになるのじゃないでしょうか、全体の予算から見れば。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 野坂さんもすでに御承知のとおり、五十二年度予算案の中に占めますところの国債費の割合、これが非常に大きくなっております。この国債費といいますのは、過去において農政の面でもいろいろな予算としてこれを使い、進めてまいったものでございまして、この国債費を除きますと、いま御指摘がございましたように、全予算の中で農林予算が占める割合というのはおおむね一〇%台を確保しておる、こういうことは申し上げられると思います。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 こういうことで議論を余り長引かせるわけにまいりませんが、確かに国債発行費を除きますと一〇・一%になる、おっしゃるとおりです。しかし、国の予算が一七・四%伸びておりますね。そういたしますと、食管その他全体を全部一七・四に掛けてまいりますと、公共事業等は伸びておるとしても、食管会計といいますか、先ほど食管財政健全化というお話がございましたけれども、食管をそのまま引き上げたとしますと二千三百億というものが食管の方で伸びてくるわけであります。それを逆に、約八百億とったということから考えますと、松沢さんが指摘をしたように脱食管という方向でその他の予算がふくれたということが言い得るわけであります。議論としてはそういうことになるわけであります。そういう意味で、私は、農林予算全体の占める率というものは、食管の段階的な、あなたがおっしゃっておる逆ざやの解消の方向でその他の面がふくらんできたということが言える農林予算であるというふうに断定的に思っております。違いましょうか。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 私は五十二年度予算編成に当たりまして、まず土地改良等基盤整備の予算、農林公共予算というものをできるだけ確保して、そして日本農業の体質の強化を図りたい、足腰の強い日本農業をつくりたい、これが第一点でございます。第二点は、何といっても農業の振興なり農村の発展なりを図りますためには農業従事者の確保、後継者の育成、この人の問題が非常に大事だと考えまして、そういう関係の予算を重点的に確保することに努力をしたわけでございます。第三点は、稲作復帰志向が強まっておるという中で、麦とか大豆とかあるいは飼料作物とか国全体として必要な主要農産物、これも生産の増強を図って、そして総合的なバランスのとれた生産の確保を図りたい、こういう関係の予算、これを力を入れて確保することにしたわけでございます。  そういうような観点から、五十二年度予算は、一方において食管財政というものを健全なものにしながら、一方において総合的な農業施策を進めるという観点で予算の編成ができた。いろいろ御批判なり評価なりはあると思いますけれども、そういう観点で五十二年度予算は編成を行ったということを、私は申し上げておくわけであります。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 食管会計を健全なものにするというところについては議論があります。しかし、後に回しますが、いまお話しになったように第一義的に農村の農業基盤整備をする、土地改良を進めていくのだ、こういうお話を第一義的に取り上げられました。この土地改良問題につきましては、昭和四十八年度以降十カ年計画で総額十三兆円ということになっておりますね。安倍さんも、私はたしか五十年だったと思うのですが、お尋ねをしたのです。そうしたら確実にあと七年ばかりだから必ずやっていきます、こういう大みえを切った演説をされました。あなたも重点だということでありますが、金額的に土地改良というものは順調に進んでおりますか。十三兆円というものは順調に進んでおるとお思いですか。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 十カ年計画を立て、十三兆円をその投資として必要であるということで進めておりまして、五十二年度予算をもちまして国会の御承認が得られれば四カ年間におきまして三三・五%程度が進むわけでございます。今後ことしの伸び率のようなぐあいで基盤整備予算がついてまいりますれば十年間で十三兆円の達成は十分可能である、私はこういう見通しを持っておるわけでございます。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 私はそう思っていないのです。四年間とおっしゃいましたけれども、五十二年度の見込み額一兆百六十七億ですか、これを入れて三三・五なんです。五年間で金額的には三三・五なんです。そうですね。  それから総合整備事業は百二十万ヘクタールを十年間で予定しているのです。いまでは二十四万ヘクタールじゃないですか。そうしたら二割しか面積はいってない。金額よりも面積が農業者としては大きな問題なんです。それであと五年間で八〇%できるか。これからの予算の見通しを立てて、あなたのように展望のできる人が五年間で金額では三三・五%やって、面積的には二〇%にも満たない。これで十分に五十七年度には百二十万ヘクタールは完全にできる、こういう証明には絶対なりません。どうですか。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 十カ年十三兆円の予算の確保、これが見通しがあるかという御質問でございますので、その点につきましては見通しについては確信がございますということを申し上げた次第でございますが、御指摘のように面積の達成ができるか、こういう問題になりますと、これはその後における物価その他工事費等が増高をいたしておりますので、なかなかその達成は容易でないということは、率直に私も認めておるところでございます。しかし、今後とも金額面だけで十三兆円の目標を達成するということでなしに、面積もできるだけこの目標に向かって努力をしていきたい、こう考えております。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 畑地の総合整備事業は十年間で六十万ヘクタールなんです。五万しかやっていない、一割にも満たない。五年間で一割、あと九割を五年間でやるというのであるならば、この閣議決定を、土地改良計画を見直して、しかもあなたがおっしゃったように、第一義的に農村の農業の構造改善事業、基盤整備事業を進めるということであれば、これを変更しなければならぬじゃないですか。農家の皆さんは基盤整備の面積をどうするかということを問題にしておるわけですから、十三兆円さえとにかく消費すればそれでいいのだ、面積は関係ないということではないのです。それだったら見直しをし、計画の変更をされる必要がありませんか、こう言っておるのです。どうですか。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 面積の達成率がおくれておるという点は野坂先生御指摘のとおりでございまして、私どももこのおくれをできるだけ取り戻すように今後も一層努力をしてまいりたい、こう考えておりますが、あの十年計画でこれだけの農地は整備をしたいという計画、これは変更する必要はない、私はこう考えております。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 百二十万なり六十万やるということで、これを達成するためにあとの五年間、ことしを含めて六年間、ことしは予算は通過するとすれば、あとの五年間で来年度から大幅にこの予算というものはつくっていかなければならぬ。そうなれば全予算に対する構成比は一〇%以上になりますよ。私はそれが言いたいわけです。そういうことにさせていただけますか。面積は必ずあとの五年間でやるということでありますから、それに見合った金額、予算は必ずつけるというお約束ができますか。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 面積の問題につきまして物価並びに経済情勢、いろいろ変わってまいるわけでございますから、面積の面につきましては残りの年次で必ずやるということは、ここではっきり私自信を持って申し上げるわけにまいりません。しかし、この目標としている面積の拡大に向かってあらゆる努力をしてまいる、この決意、また農民諸君の期待に沿うように努力をするという点は、御理解を賜りたいと思います。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 余りこのことで時間をとるとほかのことができなくなりますけれども、もう一ぺん私が大臣に確認をしておきたいのは、面積で百二十万の水田はやります、六十万の畑地はやります、いまは一割ないし二割程度ですから、あと八割なり九割を五年間でやらなければならなくなりました、これはよくわかると思うのです。それを達成するためには金額をもっとふくらまして一兆円を二兆円にも三兆円にもしなければなりませんよ。これは面積をやるために努力をするとおっしゃるのですから、そうすると金をよけいつけてこなければならぬ。農業を見直す時代だ、農業の安定と福祉の向上は私が大臣就任中は必ずやる、こう先ほどおっしゃったのですから、そのような方向が約束されますか。努力をしたけれどもだめだったということでは——もう五年間やった、半分に来たのだから見直していかなければならない、手直しをしなければならない時期に来ておる。そうせざるを得ないのではないですか、物価その他があって予定の面積ができぬかもしらぬということだったら。農家の皆さん、国民の皆さんは結果論を言うわけですから、努力したというよりも、それならば必ず達成をするためにはどういう手段、方法をとるかということを私は聞いておるし、国民の皆さん、農家の皆さんもそこを聞きたいわけです。それに沿っておやりになりますかということを聞いておるのです。やっていただけますね。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 そういう目標達成に向かってあらゆる努力を傾けるということを再三申し上げておりまして、五十二年度予算におきましても、私は私なりに、前年度対比にいたしましても一般公共の伸び率よりも、三%には及びませんでしたけれども、その程度の上回った伸び率の基盤整備、農林公共予算を確保した。今後ともそういう強い心構えでこれに取り組んでいくということを申し上げておきたいと思います。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 努力をされたことは否定をしませんが、去年も国の補助事業や農用地や基幹農業の用排水や防災や、全部ひっくるめて九千億なのです。ことしは一兆円なのです。伸びは一七・四なのです。そうするとそれほど伸びていないのです。だから、そういうことを踏まえていただきますと、大臣がおっしゃっておる決意表明と実際とはずいぶん違うものだなあ、こういうふうに攻めの農政を引き継いで格差是正をするとおっしゃっている大臣が、むしろ格差拡大につながっておるこの予算を見て、私は手直しが必要なんですよと提言をしておるのです。与野党伯仲の時代でありますから、あなたを責めるだけで私は了としておるものではありません。提言をして、ただすべきはただし、直すべきは直し、そして経済閣僚なり福田内閣それ自体に、あなたは体を張って今日の現状を踏まえてその予算というものを獲得をし、われわれも協力をしていかなければならない、そういう考え方に立脚をしてお話しを申し上げておるわけでありますから、この目標達成を全力を挙げて推進する、必ずやり遂げるという決意くらいは述べてほしい。どうも自信がないけれども、やるだけやってみるというようなことでは、国民を代表するわれわれは引き下がるわけにはまいりません。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 野坂さんがこの問題を取り上げてお話しいただいておりますそのお気持ちは、私もそのとおりに感謝を持って受けとめておるわけでございます。日本の農業を長期的な展望に立って、他産業との間の格差がないように農民の生活を守っていく、食糧の増産確保を図っていく、こういうことはイデオロギーを越えて、これは全国民的な立場でやっていかなければならない、そういう意味で、特に与野党伯仲の今日の日本の政治情勢の中において、与党も野党も一体になってこういう問題は処理していかなければならない、こういうお考えも、私は全くそのとおりだ、こう考えております。今後とも皆さんの御協力を得ながら、目標達成に向かって全力を挙げる、こういうことを申し上げておきます。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 まあやってもらわなければなりませんが、あなたの所信表明の中に、農村における自主性と創意工夫を生かしてやってくれ、いわゆる地域農政だ、こういうのが特徴的に出ております。そういう特性を発揮してやらなければなりませんが、いま申し上げた土地改良なり、基盤整備なりあるいは総パの問題なり、ミニパの問題なり、たくさん出ております。結構なことだと思うのですが、これが予定どおり年次別に進行しないといううらみがあって、そういう特性を発揮するのに障害となっている。五年でやるところが十年になるような傾向、構造改善が三年でなければならないのが、四年にも五年にもなるような状況、こういうように三年計画のものが五年、六年というような姿では、創意工夫というものはなかなか生かせない。それはいま私が申し上げたところに起因しておるわけなのです。予定どおり進行しておるところはほとんどないのですよ。そのことは、どのように薄めるか、どのように狭めるかということは別にして、予定をした地域の特性を生かし、創意工夫を生かす農業をやられるというならば、国が計画をした予定年次で終結ができるように、終了ができるように、農政の最高責任者としてはぜひやっていただきたい、こう思うのですが、それを進めていただけますか。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 五十二年度予算から地域農政特別対策事業というものを新たに施策として展開することにいたしました。これは、各農村地域の農業に携わる方々、また特に若い後継者たらんとする方々、そういう方々の創意と工夫と熱意を結集をして、わが地域の農業はこうなくちゃいかぬということで、地域の特性に合った計画をお立ていただいて、それを政府ができるだけバックアップをして、そして進めていきたいという趣旨でございまして、これは全国の農民諸君から私はわりあいに理解も持たれ、歓迎をされておる施策であろうかと思います。したがいまして、今後この施策は、五十三年度以降におきましても引き続きこれを大きく拡大をし、展開をしていきたい、このように考えております。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 農家の皆さんは理解をしておるんでなしに、こういう計画でやむを得ぬということであきらめておるのですから、あきらめのないように、前向きにやっていただくようにお願いをしておきたいと思います。  私は林政の問題について質問をせよということになっておりますので、これからそういう点について入っていきたいと思うのです。  林政の問題について尋ねるわけでありますが、大臣の所信表明演説を見ますと、第五次治山五カ年計画というものが整備をされました。まことに結構なことでありますが、なぜ治山計画を立てなければならなかったのかということであります。これは経済性もありますが、環境、福祉の関係も山というのは持っておるわけですから、二面性を持っておるのですが、この治山五カ年計画というものは、山が荒廃をしておるからやらなければならないわけですね。なぜあの山が荒廃をしたのか、その原因はどういうことだとお考えでございましょうか。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 これはすでに御承知のように、戦後の経済の混乱期、それからさらにわが国の高度経済への進行の過程におきまして、木材の需要等が急速に高まってきた、それに伴って伐採等が過度に進んだ、こういう点もございます。     〔菅波委員長代理退席、山崎(平)委員長代理着席〕 また、山村等の林業に携わる人々の他産業への流出、したがいまして、大事な森林等を十分管理をし、これを育てていくという面について、人手の面でも欠くるところがあった。いろいろの事情があるわけでございます。  この森林・林業の問題は、経済的な問題もございますと同時に、国土の保全あるいは水資源の涵養、いろいろ公益性も高いものでございますから、私どもは新たに治山五カ年計画というもので、そういう両面を十分重視をしながら五カ年計画を立て、また今後この五カ年計画に向かって十分施策を進めていきたい、こう考えております。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 結局戦時中の伐採、あるいは戦後の需要に対する過伐、そういうことであったということであります。その造林については、人手がなかったということですが、当時やはり造林をする必要があったし、問題は手入れが不足であったということが言われると思うのですが、手入れその他は今日国有林等を含めて十分やっておる、こういうふうに農林大臣はお考えでございますか。

藍原義邦林野庁長官

○藍原政府委員 ただいま大臣からお答えいたしましたように、戦中戦後の森林の乱伐というもの、あるいは戦後の一部開発というような問題から、森林は一部荒廃した時点がございました。しかしながら、その後の造林の推進ということによりまして、現在ではおおむね森林は正常な状態に復帰しているというふうにわれわれ考えておりますが、ただいま先生お話しございましたように、これからの森林の施策として重点になりますのは、森林の保育と手入れでございます。これにつきましても、着実に私ども国有林、民有林含めまして下刈りあるいは除間伐等を現在進めておる段階でございます。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 下刈りなり枝打ち等も十分にやるということでございますが、林野庁では、国有林の中で不良造林というようなものはありませんか。現在十分そういうことの手入れは行き届いておって、もっと造林をしなければならぬ、そういう状況であるのに、不良造林があるということをよく聞くのですけれども、そういうことはありませんか。

藍原義邦林野庁長官

○藍原政府委員 国有林におきましては、おおむね伐採をされましてから二年以内には造林をするという考え方で進めておりまして、いま先生が御指摘のような不良造林と言いますか、造林をすべきところでありながら造林をしていない地域というものはないというふうに考えております。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 不良造林は、林野庁長官はないというふうにおっしゃるのですが、たとえば熊本の営林局の管内では、三十六年の造林方針書では杉を三千五百本植えることになっておるのですよ。一五%以上の枯れたものができておるのです。そして復旧するということを定めた。四十九年度は二千八百十八本植えるということになっておる。ところが全体のやったのでは、二万四千八百四十七ヘクタールが手抜きされております。だから、推定では二十七万四千ヘクタールの人工林の二〇%は山になっておらぬ、こういうふうに私どもは承知をしておりますし、あるいは函館の営林局内、こういう点についても、三十二年から四十四年に植栽した個所で、現在ヘクタール当たり百五十本ないしゼロという個所が二百四十六ヘクタールもあります。まだ読むとたくさんありますけれども、その時間がありません。しかも根曲がりになっておりますね、倒木等ですぐ起こさないから。そういうところをやりますと相当個所あるということなのです。手抜きしておるというか、人手がないというか、こういうことになっておるわけです。  今日の日本の国産材といわゆる外材との供給比率を見ると、六七対三三というようなことになっておる。この現状を踏まえてもっと造林体制を強化しなければならぬ。しかも予算は、造林事業費は去年よりも下回っておるではないですか。一体何をしておるのですか。こういうことを十分把握をして対処してもらわなければならぬ。どういうことをやっておられるのですか。なぜそういうことがないということが言えるのですか。

藍原義邦林野庁長官

○藍原政府委員 ただいま先生御指摘の個所につきましては、私どもただいま資料を持っておりませんので、後刻十分調査してみたいと思いますけれども、造林事業につきましては、一般的に植えました後でどうしても自然災害その他のために一部枯れることがございます。その場合には補植等を行いまして、後ほどその森林が適正な本数になるように補植をいたすこと、あるいはさらに必要以上の面積が枯れた場合には、数年後に改植という手続をとりまして、森林の改植をいたしまして、健全な森林を育てるということをやっております。私どもそういう観点から、従前から造林地につきましては十分な手入れをいたしますし、また森林計画制度がございまして、五年置きにその森林地域、造林地域等を点検いたしておりますので、そういう時点におきまして、造林地が所期の目的以上に成長しないところにつきましては、いま申し上げましたような改植なり補植なりをやるということをいたしております。  さらに先生御指摘がありました問題につきまして、私どもといたしましても、十分現地を点検いたしておりますので、御指摘の個所につきましては、後刻十分調査をしてみたいというふうに考えております。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 不良造林があるかどうか、全国的に点検をし調査をし、この農林水産委員会に報告をしていただきたい。  委員長、資料を要求しておきますので、善処してください。

山崎平八郎自由民主党

○山崎(平)委員長代理 承知しました。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 いまの乱伐なり過伐というかっこうで、外材と国産の材というものの比率は、いま私が示したように、たしか六七対三三くらいですね。そういうことになっておるわけですが、大臣の所信表明の演説を見ますと、その材価の低迷と木材業者の不振と書いてありますね、こういうふうに演説をされております。不振が今日続いておる。この外材というのを一遍見直してみなければならぬのじゃなかろうかと思うのですが、ウェアハウザー社というのがほとんどアメリカの材木の独占的な立場ですから、これと三菱と契約をして輸入をしておるというのが現状です。四・五三立方メートルというのが向こうでは一つの基準になっておるようですが、昭和四十七年の一月から三月までその単位が百四十ドルであったものが、五十一年の九月には三百五ドルになっておる、二・五倍くらいになっておるということであります。しかしアメリカの国内では、長官、一九七三年の一月ごろは指数としては一七五くらいでありますが、一九七四年には一〇〇を割っておる。アメリカの国内とは非常に差異があるということに私は驚いておるのです。あなたもそうだと思うのです。しかし輸入材の場合は、そういうアメリカの国内の状況を反映をしないで、ずっと上がりっ放しだ、そういうかっこうで輸入されておるということになると、非常に不思議に思われるわけです。異常にアメリカ国内では下がっておるのに、日本の輸入材の場合には下がることなしに、あの狂乱物価のときにも三百五ドルでありますが、今日も同じだ。そのときには非常にアメリカの国内では下がっておるのにこういうふうに上がっておるというのは、われわれはよくわからぬのです。そういうところには輸入商社というものがかんでおるわけですが、どういうふうにアメリカの状態を——この原価計算ですね、あなた方ももちろん計算をしていらっしゃると思う。たとえば木の代金とか労賃とか機械類の償却とか作業道とか船賃とか運搬費とか利息とか備品とかそういうものを計算をしてみれば、一応の話し合いというものは私はわかると思うのです。そうすれば商社の指導はできると思うのですが、商社が思うようにやるということになれば、国内の状況を見て勝手に値段がつけられる、こういうきらいが私はこのアメリカのウェアハウザーの姿を見て率直に考えられるわけですが、その点についてはどういう指導をし、どういう計算をして商社指導を行政府としてはなされていますか。

藍原義邦林野庁長官

○藍原政府委員 ただいま先生御指摘のように米国の丸太の輸入価格につきましては、国内におきましては大体国産材と似たような動きの伸びをいたしておりますけれども、ただいま日本が米国から輸入しております丸太につきましては、米国におきましては、国有林材は丸太を一応輸出を禁止いたしております。そういう観点から日本の輸入の場合には、輸出業者は民間の山林を所有している少数の大手業者に占められておるために、日本の価格交渉の立場は非常に弱くなっておるということは事実かと思います。そういう点で私どもも、外材の輸入価格につきましては十分の対応をしてまいりたいとは考えておりますけれども、この問題につきましては通産省との関連もございますし、現在私どもといたしましては、今後どういうふうに対応していくべきか検討中でございます。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 私が言いましたように向こうの国内の償却とか木の代金とかそういうことは調査できるでしょう。調査ができれば一つの原価計算みたいなものが向こうなりに私は日本で把握ができるだろう。そうすれば商社が思うように値段を自由につけて持って帰るということは、指導部面としては当然やらなければならぬことじゃないかと思うのですよ。それは林野庁なり通産省が十分話し合ってできるじゃないか。来たものだから後はどうしようもないというようなかっこうでは私は意味がないと思うのですが、そういう点については十分やっていられますか。

藍原義邦林野庁長官

○藍原政府委員 いま先生おっしゃいました船積みのいろいろな経費等につきましては、林野庁としても十分つかんでおりまして、今後この資料に基づきましてどう対応していくか十分検討してまいりたいというふうに考えております。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 では、材価の低迷とか木材業者の不振というものの原因は何ですか。

藍原義邦林野庁長官

○藍原政府委員 材価の低迷につきましては、先生方十分御存じだと思いますけれども、木材価格の中心になります変動要因は、住宅建設の戸数によって大きな変動がされております。そういう観点から、数年前住宅建設が非常に伸びましたときには材価は伸びましたけれども、最近の住宅建設戸数の伸び悩みという観点から低迷いたしておりまして、そういう観点からの低迷が一番大きな原因であろうというふうに考えております。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 それは需要と供給との原則を踏まえてお話しだと思うのですが、私は、いま私が指摘をしましたように、外材が六七%も入っておる。しかもそれは商社が握っておる。この市場操作というものは一部の商社ができ得る、こういうことに私はなると思うのですよ。そうすると、この外材というものの取り扱いについて十分注目をしなければならぬ。だからそういう原価計算もやってほしい、こう言っておるわけです。そうしなければいつまでたってもこの低迷を脱しない。  しかも福田総理大臣も施政方針演説で述べておりましたが、これからは資源有限時代だ。昔から資源は有限だったのですけれども、為政者の皆さんが無限であるような幻想を抱かせたということは事実だ。その資源有限で、特に材木等は一年間で百メーターも伸びるわけではないわけです。徐々に伸びるわけでありますから、世界の木材資源というものも減少する傾向をたどるであろう、これはまあ当然だ。だから丸太、素材で輸入をしないで製品化して来る。今日すでに三三%ないし三四%が製品化されている。木材業は国内で用事がなくなってくる、仕事が少なくなってくる、こういうところにも問題が出てくる、こう思うのですね。それらについて、輸入の価格をできるだけ抑えて、いまは無税である関税というものを考えて、そしてその関税そのものを国内の林業家や木材業者にはね返らせていくということになれば、消費者の価格も上がらないし全体的にプラスじゃないか、こういうことだって言い得ると思うのですね。これは大蔵省の所管かもしれませんが、そういうことを考えて、日本の木材業界というかあるいは森林業というか、そういうものの安定的な発展と健全なる育成というものを考えていかなければならぬじゃないかと私は思うのでありますが、長官はどうお考えでしょう。

藍原義邦林野庁長官

○藍原政府委員 先生お話しのように、ただいま外国におきましても木材の輸出につきましては、丸太から製品へという移行が強いことは事実でございます。したがいまして私どもといたしましても、ただいま木材輸入あるいは木材需要に対します検討会を開いておりまして、この検討会の中で、今後これに対して日本の林業を振興する上からもどういう対応をすべきか目下検討を進めております。その検討の中で私どもといたしましても、今後木材輸入をどう国として対応して調整していくか、あるいは国内の林業を振興するか、この辺の方向を見きわめながら対応してまいりたいと考えております。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 いまも住宅の建設——需要その他について、低迷はそういうところにもあるんだというお話があったのですが、今度の福田内閣では、政府全体が住宅建設というところに非常に重点が置かれておりますね。そういうことから安く建てる方法ということで、通産大臣の田中さんの所信表明演説を見ますと、ハウス55方式に異常な熱意を示して、特に建設についてはハウス55をやる、こう言って、予算も五億数千万つけておりますね。しかも建設省も共管だ。こういうことになってまいりますと、国産材なり木材というものの使用というものは——あの内容を見ると、一万戸をつけて、大体五十年の状態で五百万円を五十五年度でやるんだ、こういう方式で、新日鉄なり竹中なり積水ハウスとかそういう人たちが研究をして、三つの方式があって、木場に建てておりますね。あなた方の場合も、住宅部の流通消費改善対策ということで、在来工法によってやる。そしてもう一つは、今度は松くい虫対策とか間伐材といいますか、そういうものを備蓄をしてやるというかっこうのものが目玉として出ておりますけれども、そういうものを利用して建てるというのが木場にもできておる。林野庁長官としては、これは在来工法でやる、日本の特性に合っておるということで専念するということですが、予算を見ても一億と五億ですからね。そうすると多くの大工さんなり在来やっている建築家とか左官さんというのは、これからただでさえ不況で仕事がないのに、これで攻められてくるということになると大変なんです。  福田内閣としては、私は長官ではなしに農林大臣に聞きたいと思うのですが、それぞれの分野で一生懸命やっておるということですけれども、こちらの方に私は重点を置いていかなければ全体の振興は図れないではないか、こういうふうに実は思っておるのです。農林大臣としては、もちろんこちらの方としては木材技術センター等についても十分配慮するということでありましょうが、それと対抗してより以上なものをやるためには、もっと予算をつけていただいて、全国の大工さんや建築家の皆さん、工務士の皆さん方にこれを研究開発をしてもらうということの方が、私はずっと福田内閣としても必要ではないかと思うのでありますが、それについてどうお考えになっており、あるいは建設大臣なり通産大臣とどのように連携をとって、国内の問題、あるいは今日の工務士の皆さん方、大工さんなり左官さんの皆さん方の生活権を守っていくところに重点を置かなければならぬというお話をされたことがあるかということが一つと、これからどのようにそれらを調整をしてこれを振興させようと考えておるのか、お伺いをしたい。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 住宅の建設確保、特に勤労者の皆さんの住宅難を早急に解消する、こういうようなことで建設省も通産省もまた農林省も力を入れておるところでございます。  そこで農林省としては御指摘のとおり、在来工法というのが国民の嗜好にも歓迎をされておる、こういうようなこと、並びに大工さんとか左官屋さんとかの職場の確保、さらに国内の木材産業等の育成、そういうようないろいろな観点から、私どもは住宅の緊急確保ということとあわせまして、この在来工法の改善促進ということについて農林省としては力を今後とも用いていきたい、こう考えております。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 そうおっしゃると思っていたのです。ただ、田中通産大臣等が異常にハウス55というものを推進をしていきたい——そういうことか取ってかわるようになりますと、木材も低迷をするでしょうし、あるいは仕事の問題等も、雇用安定の問題についても重大なことになります。ハウス55はいままで空間のまま運搬をするハウスがありましたが、それは空気を運ぶようになりますから、切った材料を全部トラックに積みまして現場に行く、そしてばたばたっと三日間ぐらいで建ててしまう、そういうようなかっこうを進めようとしておるわけですよ。だからそういうことになると、このハウス55と在来工法との対抗上非常に問題になるので、十分配慮してこのことを進められると思いますけれども、その値段とかあるいはそういう点の補助あるいは指導、そういうことを徹底的にやらないと、非常に重大化をしてくるのじゃないか。日本の建築業界、たとえば大工さんとか左官さんには非常に影響があるじゃないか、あるいは木材、森林組合の皆さんにも大影響があるじゃないか、こういうことを非常に心配をするので、そういう点のないように十分通産大臣なり建設大臣とも話し合っていただいて、在来工法優先方式を福田内閣はとる、こういう方向をとっていってもらわなければならぬのではなかろうか、こう思うのですが、そういうふうに考えてよろしゅうございますか。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 私は、先ほど申し上げたように、一方においてこの住宅難を一日も早く解消せねばいかぬ、そういうようなことでハウス55というような問題も取り上げてきておるわけでございますが、この緊急に住宅難を解消するという要請にもこたえつつ、また一方、先ほど申し上げたように、日本の在来工法、これが日本の木材産業なりまた左官屋さん、大工さん等の職場の確保という面からも重要な問題でございますので、こういう点を農林省としては十分取り上げまして力をいたしてまいる。もとより通産、建設等とは調整を図りながら、この面について農林省としては努力を一層続けていきたい、こう考えております。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 先ほど、山の荒廃については造林の手遅れなりあるいは手抜きなりいろいろありました。十分これから対処をしていただくわけですが、その一番の原因は人手不足だという御指摘が大臣からもございました。国有林の場合ですけれども、私はこの間地元でいろいろと林業労働者の皆さんと懇談をしたのです。その懇談をした中で、私たちはずっと前に入らせていただいて、入ってからはだんだんよくなるよといってお話しになった、しかし今日、ストライキをするときだけえらい人が来て、君たちは国家公務員だよ、そんなことをしちゃいかぬのよ、こうおっしゃるけれども、働くときは、八カ月半ほど働かしてもらって、後は失業保険で待っておれ、こういうふうに言われて身分も不安定だ、退職金は一銭もありません、八・五カ月で、あと六カ月失業保険をもらって、その休業保障の中に退職金は入っておる、どこにどう入って、どれだけが退職金かわからぬけれども、入っておるんだ、入っておるんだと言われるものですから、そうだろうと思っておるのですけれども、だんだん年が寄ってきて、人は退職金をもらうのに私はありません、しかも厚生年金も共済年金もなしに国民年金だ、ストライキのときは国家公務員だとりっぱなことを言われるのだけれども、ちっともいいことがありません、そして白ろう病になったり、体はだんだん疲れてまいります、これではとっても私たちはやれません、こういうふうにおっしゃっておるのですね。そして四月になると、ちょうどそういう方々はお休みでございますから、学校に子供たちが入学をして、お父さんの職業を書けと言われたときに、国家公務員と書けないと言うのです。無職と書くと、先生が見て、君のお父さん無職なのと、こうおっしゃると言うのです。  これは一方では、大臣がおっしゃったように人手が足りない、だから山が荒れました。そして一方では、働きたいけれども、おまえは八・五カ月でやめろ、雪が降る間は失業保険だ、こういうふうにおっしゃるのですね。私はそれを聞きながらこう思いました。失業保険は六割出ます。六割出ますが、まあ冬の山の間、作業効率としては夏場に対して七〇%の効率がなければ雇う意味がないとおっしゃっておるそうですが、六〇%ありましても、私はそれだけ働いてもらえば、何にもしないで六割失業保険料なり税金でお払いするよりも、国全体から見れば私はプラスだろうと思うのですね。そういう考え方に立ってやはり身分の安定というものをやっていかなければならぬじゃないか、そして働く意欲というもの、冬場でも働こうというものを働かせない、こういうことは国の行政としていい方法ではないではないか、こういうふうに思うのです。しかもこれは林野庁といわゆる全林野という組合との問題だけではなしに、四十一年の三月二十五日に国会で問題になっておるのですね。そして国会で、直営、直用はやりますよ、そしてそういう常用化、常勤体制はとりますよ、そういう努力をしますと言ってから、十二年間であります。一向に解決をしない。ことしは四月から何人か定期の常勤化をする。一万三千三百人のうち四千九百人、一万人も残るわけですから、その人たちは働くという意欲を持っておる。働かしてもらいたい、それを働かせない。身分の安定をしてもらいたい。ストライキをすると国家公務員だといって規制をするわけですから、それならばそういうときにも国家公務員と同じような取り扱いをして、全体的に年老いてやめていくときには退職金が出る、こういうような姿をやはりとっていく。そしてそういう点については四十一年六月三十日にも確認をされておるわけですから、これは政治課題なんですから、そういう矛盾をなくしていくという方向をとっていくのが鈴木農林政としての当然の責務で、福祉の増進とそういう農林業に従事する労働者なり農民の皆さん方の生活の安定を保障していくために命をかけると明言をされた鈴木農林大臣としては当然やられるべきことだ。しかも農林省に所属する職員の諸君たちの実態、こういう点について、いま申し上げましたような点について、政府の姿勢、農林大臣の姿勢としては善処をしていくという方向というものが必要であろうと私は思いますが、どのように大臣はお考えでしょうか。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 国有林野事業の経営のために必要な基幹要員として、私どもは、国の行政機関の定員令に基づかない立場でありますけれども、その処遇の改善については十分考えていきたいということで前向きに取り組んでおるところでございます。  まず最初に常用制の問題については、いま林野庁の労使の間でも非常に前向きで話し合いが進んでおりますし、また関係省庁との間におきましても、その解決すべき条件等につきまして話し合いが進んでおります。この常用制の問題につきましては早急に結論を出して五十二年度から実施に移していきたい、このように考えております。  なお、定期要員の問題等につきましてはいろいろ検討すべき問題もございますので、いませっかく関係機関との間で話し合いをいたしておるところでございます。常用制の問題は五十二年度中において実施に入る、そういう方向で私これを処理したい、こう思っています。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 それは、私はたしかいま一万三千三百人いらっしゃるというふうに理解をしておりますが、あるいは数字が間違っておるかもしれませんが、それについて約四千九百人程度の常用化という話ですが、全員だというふうに理解をしてよろしゅうございますか。

藍原義邦林野庁長官

○藍原政府委員 常勤化に移ります人数につきましては目下労使間でも打ち合わせをしておりますし、ただいまどのくらいということを申し上げる段階に至っておりませんが、私どもとしてはできるだけ通年化、できる仕事を見つけまして対応してまいりたいと考えております。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 私は鳥取県でありますが、雪が降ります。しかし労働者の皆さん方は非常に働く意欲を持って、ぜひ働かせてほしい、枝打ちもやります、一年じゅう降っておるわけじゃないですから、一月から三月まで下刈りも十分できます、こう言っていらっしゃるわけですから、通年化と身分の安定、こういうことについては、ぜひそういう山林従事者の皆さん方の期待にこたえるように善処をしていただきますようにお願いをしておきますので、よろしくお願いをいたします。いいですね、大臣。——頭を下げてもらっても議事録になりませんので、そういうことを言っておいてください。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 野坂さんは鳥取県でいらっしゃるし、私は岩手県で、青森県とか秋田県とか山形県とか、同様に雪の降る地帯でございます。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 したがいまして、この冬場にどうやって仕事を見つけて、冬場に仕事から離れるというようなことがないようにしようかということで、せっかく私も地元の実態をよく知っておりますので研究をしておる段階でございますから、御了承を賜りたいと思います。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 よく研究しておるということでございますので、その研究という意味は、私の申し上げたことを十分了承して善処措置をするというふうに理解をした、こういうふうに考えておきます。異議があったら後で言ってください。  さらに山の問題で、白ろう病の問題がございますね。このチェーンソーの問題についても林野庁では十分に開発をされ、検討をされて、小径木等はリモコンでやれるようにするというようなことになっております。非常に大変でございますが、営林局管内いろいろと歩いて聞いて回りますと、大体百人くらいしか年に検診ができない。千人もおるのに、全部一年間にできぬものだから、予防対策なりそういうことができぬじゃないかという声がございます。そういう点については早急にその予防対策、治療対策、そして補償対策、この三つの問題が白ろう病対策としては非常に重要だ、こういうふうに思っております。この三つの点を十分配慮して安心をして働けるような態様と体制というものをぜひつくってもらわなければ、職場の安定化ということはできない、こういうふうに思います。そういう点については措置をしてもらえますか。現状とこれからの考え方を明らかにしてほしい。

藍原義邦林野庁長官

○藍原政府委員 振動障害につきましては、先生のおっしゃるとおりに、予防あるいは治療、さらにはかかった方につきましては一応補償の問題、こういう問題があろうかと思います。予防の問題につきましては従前から操作時間を規制するというような形で考えておりますし、さらには作業仕組みの改善、たとえばチェーンソーとほかの作業とを組み合わせるというようなことを考えながら指導していくという方針をとっておりますし、さらには振動の少ない機械、いま先生もリモコンとおっしゃいましたけれども、リモコンチェーンソーの開発とか、あるいは振動の少ないロータリーチェーンソーに切りかえるとか、そういうことにつきましても、民有林につきましては林業改善資金におきまして無利子で機械の買いかえができるというような制度をとっております。今後ともこういう問題につきましては積極的に対応してまいりたいというふうに考えております。また、五十二年度からは指導員をパトロールさせまして、安全点検その他が十分行えるように、さらには技術指導が十分に行えるような対応をとってまいりたいということで、ただいま予算の要求もいたしておる次第でございます。  それから、治療の問題でございますけれども、治療問題につきましても、国有林につきましては積極的に温熱治療療法あるいはその他物理的な療法、さらには関係方面と十分連絡をとりながら病棟の確保その他を十分対応しておりますし、民有林におきましても労働省等を中心にされまして振動障害病に対します療養につきましても、現在、十分三省庁で打ち合わせをしながら対応してまいっておりますし、今後とも三省庁間で十分打ち合わせをしながら療養についての万全を期してまいりたいというふうに考えております。

野坂浩賢日本社会党

○野坂委員 今度の林業の問題につきましては先ほど申し上げましたように、目玉は松くい虫の法案その他が出ておるわけですが、松くい虫の問題につきましては法案が出ておりますので、そこで同僚の皆さんから十分議論をしていただく、こういうことになっております。大気の汚染がカミキリムシなり材線虫というものが発生をしておる一つの要因ではないかとかいろいろな議論もございますが、何としても一致して言い得ることは、手入れが悪い、手入れが不十分であるということが松くい虫の発生、マダラカミキリのそういうことから松が枯れていくということにつながっておる、この一点だけはどこから見ても間違いないと思うのです。そういう意味で、山林の手入れなり下刈りとかそういうことを十分にこれからやって、生き生きとした山林行政というものをやっていかなければならぬ、こういうふうに思うのであります。  そういう意味で、これからの林野の問題についてただいま反論もありませんでしたから、林野の行政に従事をする方々の身分の安定なり喜んで生産活動ができる、そういう体制を林野庁としては具体的に指導していただきますようにお願いをして、私の質問をこれで終わります。ありがとうございました。

金子岩三自由民主党

○金子委員長 この際、午後一時四十分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時三十三分休憩      ————◇—————     午後一時四十一分開議

金子岩三自由民主党

○金子委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  松くい虫防除特別措置法案、漁港法の一部を改正する法律案及び漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件の各案件を議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。鈴木農林大臣。     —————————————  松くい虫防除特別措置法案  漁港法の一部を改正する法律案  漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     —————————————

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 松くい虫防除特別措置法案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  松林は、わが国の重要な森林資源であり、防風、飛砂防止、土砂扞止等の国土保全上の役割りや良好な生活環境の保全上の役割りも大きなものがあります。  ところが、近年、松くい虫による松林の枯損被害が激甚をきわめ、北は宮城県から南は沖繩県までの広域にわたり、約四十五万ヘクタールにも及ぶ被害が発生しており、被害材積も年間百万立方メートルを超えるに至っております。  このような松くい虫による松林の枯損被害の発生原因につきましては、林業試験場を中心として農林省において鋭意その究明に努めてきたところでありますが、その結果近年ようやくその原因が解明されました。すなわち、線虫類の一種であるマツノザイセンチュウが松くい虫の一種であるマツノマダラカミキリを介して健全な松の樹体に侵入し、次々に松を枯死させるのであります。  また、これを防止するためには、マツノマダラカミキリが羽化脱出してマツノザイセンチュウを健全な松に運ぶ時期に松の樹冠に薬剤を散布してマツノマダラカミキリを駆除する方法が有効であることが明らかにされたのであります。  そこで、農林省におきましては、昭和四十八年度から森林病害虫等防除法に基づき松くい虫を防除するため、薬剤の空中散布による駆除を進めてきたのでありますが、その実施地域についてみますと、この方法は松くい虫の防除のためきわめて有効適切な方法であることが実証されております。  しかしながら、松くい虫の繁殖力はきわめて旺盛であり、また、これを駆除し、その蔓延を防止するためには、特別防除、すなわち航空機を利用して行う薬剤防除を緊急かつ計画的に推進するための措置を講ずることにより、松林に発生している異常な被害を早急に終息させる必要がありますので、森林病害虫等防除法に対する特別法として、この法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。  まず第一に、農林大臣は、特別防除を行うべき松林に関する基準等についての基本方針を定めることとするとともに、都道府県知事は、当該基本方針に即して、民有林である松林について特別防除の計画的な実施に関し必要な事項等を内容とする実施計画を定めることといたしております。  第二に、保安林等の公益的機能の高い松林がその面積の過半を占める松林群または特別防除を緊急に行わなければ被害が著しく拡大することとなると認められる松林群について、松くい虫を駆除し、その蔓延を防止するため特に必要がある場合には、森林病害虫等防除法の規定に基づく防除の命令にかえて、農林大臣または都道府県知事が特別防除を行うことができるものといたしております。  第三に、特別防除を行う者は、薬剤の安全かつ適正な使用を確保するとともに、農業、漁業等に対する被害防止措置を講ずべきことといたしております。  このほか、国有林である松林についての計画的な松くい虫の防除の実施、都道府県に対する国の補助等について所要の規定を設けますとともに、この法律は、昭和五十六年度末までの時限立法としております。  以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  次に、漁港法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  漁港は、漁業生産の基盤であり、かつ、水産物流通の拠点であることから、水産業の振興を図るためには、漁港の整備を推進することが不可欠の要件であり、政府といたしましては、これまでも国会の承認を受けました漁港整備計画に基づきその整備を推進してきたところであります。  しかしながら、最近における新しい海洋秩序の動向のもとにおける国際的規制の強化等わが国水産業を取り巻く諸情勢の著しい変化に伴い、現行の漁港整備計画を実情に即して変更することとし、今次国会において別途その承認を求めでいるところであります。この変更後の整備計画におきましては、緊急に整備を要する重要な漁港につきまして重点的に整備を図ることといたしておりますが、その利用範囲が全国的であり、また、利用漁船数においても水揚げ量においても規模が大きく、特定第三種漁港に次いで重要な役割りを果たしている第三種漁港につきましては、今後、事業規模も大きくなり、事業主体である地方公共団体の負担も増大してまいりますので、その整備を円滑に推進するための措置を講ずることとし、この法律案を提案いたした次第であります。  次に、この法律案の主要な内容は、第三種漁港の国の費用負担割合についての改正であります。すなわち、特定第三種漁港以外の第三種漁港の漁港修築事業に要する費用についての国の負担割合のうち、外郭施設及び水域施設に係るものを現行の百分の五十から百分の六十に引き上げ、地元負担の軽減を図ることといたしております。  以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  次に、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件につきまして、その提案理由及び主要な内容について御説明申し上げます。  わが国の水産業は、国民の食生活に必要な動物性たん白食料の過半を水産物に依存しているわが国において重要な役割りを果たしており、水産物の安定的供給を確保するためには、その積極的な振興を図ることが必要であります。このため、漁業の動向に即応して、漁業生産の基盤であり、かつ、水産物流通の拠点である漁港について、全国にわたり計画的に整備拡充することが水産政策上重要な課題となっております。この趣旨から、政府としては、漁港法に基づき、漁港整備計画を定め、国会の承認を受けて漁港施設の整備を図ってまいったのであります。  現行の漁港整備計画は、昭和四十八年第七十一回国会において承認を受けたものでありまして、当時の水産情勢を基礎とし、これに将来の水産業の動向を勘案して定められたものでありますが、最近における新しい海洋秩序をめぐる動向のもとにおける国際的規制の強化等わが国水産業を取り巻く諸情勢の著しい変化に伴い、このたびこの計画を実情に即するよう全面的に変更することとし、国会の承認を求めることとした次第であります。  次に、本件の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。  今回の漁港整備計画は、水産業と漁港施設の現状とを基礎とし、将来における漁業生産の確保、流通機構の改善、漁港の安全性の確保、地域社会の基盤強化等の観点に立ち、沿岸漁業及び増養殖漁業の振興上重要な漁港、沖合い漁業の根拠地として重要な漁港、遠洋漁業の根拠地として重要な漁港並びに漁場の開発または漁船の避難上特に必要な漁港について、それぞれの整備を図ることとしております。  整備漁港の選定に当たりましては、指定漁港のうち漁業振興上及び地域振興上重要であり、かつ、漁港施設の不足度の高いもの、経済効果の大きいもので緊急に整備する必要があるものを採択することとし、昭和五十二年度以降六年間に、四百五十港の漁港について漁港修築事業を実施し、それぞれの漁港に適応した外郭施設、係留施設、水域施設、輸送施設及び漁港施設用地等を整備することとしております。  なお、以上申し上げました漁港整備計画につきましては、漁港法に基づき、漁港審議会の意見を徴し、妥当であるとの趣旨の答申を得ております。  以上が、本件を提案する理由及びその主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御承認下さいますようお願い申し上げます。

金子岩三自由民主党

○金子委員長 引き続き松くい虫防除特別措置法案の補足説明を聴取いたします。藍原林野庁長官。

藍原義邦林野庁長官

○藍原政府委員 松くい虫防除特別措置法案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  本法律案を提案いたしました理由につきましては、すでに提案理由説明におきまして申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。  この法律案は、本則十三条及び附則から成っております。  まず、第一条におきましては、この法律の目的を定めております。  すなわち、この法律は、森林資源として重要な松林を保護するため、特別防除を緊急かつ計画的に推進する措置を講じ、もって国土の保全に資することをその目的といたしております。  次に、第二条におきましては、「松くい虫」及び「特別防除」をそれぞれ定義しております。  まず、「松くい虫」は、松の枯死の原因となる線虫類を運ぶ松くい虫を言うことといたしておりまして、具体的には、線虫類の一種であるマツノザイセンチュウを運ぶ松くい虫の一種であるマツノマダラカミキリを指しております。  また、「特別防除」は、松くい虫を駆除し、またはその蔓延を防止する上で最も効果的である航空機を利用して行う薬剤防除を言うことといたしております。  第三条におきましては、農林大臣が定める基本方針につきまして定めております。  すなわち、農林大臣は、昭和五十二年度以降の五カ年間において松くい虫が運ぶ線虫類により松林に発生している異常な被害が終息することとなるように、関係行政機関の長に協議するとともに、中央森林審議会及び関係都道府県知事の意見を聞いて、特別防除を行うべき松林に関する基準その他松くい虫の薬剤防除に関する基本的な事項についての基本方針を定めなければならないことといたしております。  第四条におきましては、都道府県知事が定める実施計画につきまして定めております。  すなわち、都道府県知事は、都道府県森林審議会及び関係市町村長の意見を聞くとともに、農林大臣に協議して、基本方針に即して、民有林である松林につき、松くい虫の薬剤防除に関する実施計画を定めなければならないことといたしております。  この実施計画におきましては、基本方針に定める特別防除を行うべき松林に関する基準に適合する二以上の松林を合わせて一つの防除の単位として定める松林群ごとの特別防除の計画的な実施に関し必要な事項等を定めることといたしております。  第五条から第七条までにおきましては、松くい虫の防除上重要な松林群において特別防除の適正かつ確実な実施を確保するため、松林所有者みずからが防除を行うことをたてまえとする森林病害虫等防除法の規定に基づく薬剤防除の命令にかえて、農林大臣または都道府県知事がみずから特別防除を行う方式を導入することとし、そのための所要の規定を設けております。  すなわち、都道府県知事は、保安林その他の公益的機能が高い松林がその面積の過半を占める松林群または特別防除を緊急に行わないとすれば、松くい虫が運ぶ線虫類により松林に発生している被害が著しく拡大することとなると認められる松林群につき、松くい虫を駆除し、またはその蔓延を防止するため特に必要があると認められるときは、その必要の限度において、森林病害虫等防除法に基づく薬剤防除の命令にかえて、特別防除を行うことができることといたしております。  また、このような松林群で一定の面積以上のものにつきましては、農林大臣が、都道府県知事の申し出があった場合において、早期に、かつ、徹底的に、松くい虫を駆除し、またはその蔓延を防止するため必要があると認めるときは、その必要の限度において、森林病害虫等防除法の規定に基づく薬剤防除の命令にかえて、特別防除を行うことができることといたしております。  また、森林病害虫防除法の規定にならい、農林大臣または都道府県知事がこの特別防除を行おうとする場合におけるその区域及び期間の公表並びにその公表に係る区域内において松林を所有する者の不服の申し出等につきまして所要の規定を設けますとともに、その区域内の松林の所有者または管理者に対し、公益上の観点から行われる私権の制限として特別防除の実施行為を拒んではならない旨の受忍義務を課する規定を設けております。  第八条におきましては、松林群において特別防除を行う者は、薬剤の安全かつ適正な使用を確保するとともに、農業、漁業その他の事業に被害を及ぼさないよう被害防止対策等の必要な措置を講ずるものとすることといたしております。  第九条におきましては、農林大臣または都道府県知事は、松くい虫の防除に係る森林病害虫等防除法の規定に基づく薬剤防除の命令をするに当たっては、実施計画が達成されることとなるようにしなければならないことといたしております。  第十条におきましては、国有林である松林を所管する国の機関は、松林所有者の責務として、基本方針に即して、当該松林について計画的に松くい虫の防除を行うものとすることといたしております。  第十一条におきましては、国は、都道府県に対し、この法律に基づき都道府県知事が行う特別防除に要する費用の一部を補助することといたしておりまして、具体的には、当該特別防除に係る駆除経費の三分の二を補助する等の措置を予定いたしております。  第十二条及び第十三条におきましては、協力要請及び分担金についての森林病害虫等防除法の規定の準用について定めますとともに、森林害虫防除員がこの法律に基づく特別防除に関する事務に従事するものとすることといたしております。  最後に、附則におきましては、この法律の施行期日等について定めておりまして、この法律は、公布の日から施行し、昭和五十七年三月三十一日限り、その効力を失うことといたしております。  以上をもちまして松くい虫防除特別措置法案の提案理由の補足説明を終わります。

金子岩三自由民主党

○金子委員長 次に、漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件の補足説明を聴取いたします。岡安水産庁長官。

岡安誠水産庁長官

○岡安政府委員 漁港整備計画の変更について承認を求めるの件につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  まず、現行の漁港整備計画の実施状況から申し上げますと、その総事業費四千八百億円のうち実施済みの事業費は約二千三百七十一億円で、その進捗率は約四九%となっております、  次に、今回承認をお願いいたしております変更後の漁港整備計画に基づいて整備をしようとしております四百五十港の種類別内訳を申し上げますと、第一種漁港が百七港、第二種漁港が百八十三港、第三種漁港が八十二港、特定第三種漁港が十一港、第四種漁港が六十七港となっております。これらの漁港を昭和五十二年度以降六年間に総事業費八千八百億円をもって整備することといたしている次第であります。  また、現行の漁港整備計画に定められております整備漁港と今回の変更後の漁港整備計画に定められております整備漁港との関連を申し上げますと、現行の漁港整備計画から引き続き変更後の漁港整備計画に取り入れようとするものは、三百六十七港でありまして、新規に採択しようとするものは、八十三港となっております。  なお、現行の漁港整備計画の整備漁港のうち変更後の漁港整備計画の整備漁港とされていなかったものが五十三港ありますが、このうち現在すでに整備が完了している四港を除いた四十九港につきましては、別途漁港改修事業により整備することといたしております。  さらに、変更後の漁港整備計画に採択されなかったその他の漁港についても、必要に応じ、漁港改修事業または漁港局部改良事業により整備することといたしております。  漁港修築事業にこれらの漁港改修事業、漁港局部改良事業等の実施に要する事業費を含めた事業費は、総額で一兆四千五百億円となっております。  以上をもちまして、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件の提案理由の補足説明を終わります。

金子岩三自由民主党

○金子委員長 以上で各案件の趣旨の説明は終わりました。      ————◇—————

金子岩三自由民主党

○金子委員長 この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま趣旨の説明を聴取いたしました松くい虫防除特別措置法案について、参考人の出席を求め、その意見を聴取したいと存じますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金子岩三自由民主党

○金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選、出席日時及びその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金子岩三自由民主党

○金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  この際、暫時休憩いたします。     午後二時五分休憩      ————◇—————     午後五時十一分開議

金子岩三自由民主党

○金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  引き続き農林水産業の基本施策について質疑を続行いたします。岡田利春君。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 まず初めに、今回鈴木農林大臣が訪ソをされて、漁業交渉、大変御苦労さんでありました。  私は主として今回の日ソ関係の漁業交渉と若干の水産問題に限って、大臣の所信をお尋ねいたしたいと思う次第です。  私は、今回の鈴木農相の訪ソは、日ソ間の漁業交渉においては、さきに昭和三十一年河野農林大臣が訪ソをされて日ソ漁業条約を締結された、まさしくこの歴史的な訪ソに匹敵する意義を持つものではないか、こういう実は理解をいたしておるわけです。しかし、昨年の四月のアメリカ議会におけるアメリカの二百海里漁業専管水域の法律の可決、それ以来の一連の流れをずっと見てまいりますと、日本としては当面対米交渉に重点を置いて、八月から対米、対加の漁業交渉を進められる。そして同時にまたその間ソ連とアメリカの間においても接触が持たれて、ソ連はアメリカの二百海里についてこれを確認をして、直ちにその後交渉して、米ソの漁業条約の締結に入った。しかも翌月の十二月にはソ連自体が最高会議の二百海里漁業専管水域の幹部会令を公布をする、こういう一連の流れが続いてまいったわけです。そして一方においては、ECあるいはまたカナダ、さらにノルウェーが一月一日から漁業専管水域の二百海里を実施に移す、こういう流れ、過程を経て、まさしく一九七七年は二百海里元年の状況を迎えたものであると理解をしておるわけです。  ただしかし、その後今回農林大臣が訪ソに至るまでの経過を見ますと、対ソ関係については、いずれこの幹部会令はその実施の時期については別途定めるものであろうと、いわばまあ都合のいいように解釈をしてきたのではないか。あるいはまた、そういう状況の中で対ソ折衝を持つということはいわばやぶを突ついてヘビを出す、二百海里問題を逆に引き出しかねない、そういう意味ではきわめて消極的な受け身の姿勢に終始をしたのではないか、こう思うのです。  私どもの聞いている範囲では、重光ソ連大使から一月下旬の帰国に際して、どうもソ連側から三月の日ソ漁業条約の交渉の中で二百海里問題が絡めて提案されるのではないか、こういう進言があって、初めて二月に入って松浦部長を急遽ソ連に派遣をした。そして二月十七日にはこの松浦部長の報告を受けて水産庁で大臣を交えて対ソの関係についての協議をいろいろ行った。くしき因縁と申しましょうか、二月十七日には一方においてソ連はバレンツ海の二百海里の実施を三月一日から行う、こういうことを実は関係国にそのときに通告をいたしておるわけです。そういう意味で一連の流れを見てまいりますと、最終的には大臣の訪ソに当たってポリャンスキーソ連大使を呼ばれて晩さん会を開催した、その深夜に初めて、三月一日、ソ連は二百海里を実施をする、こういうモスクワ電を受け取られた、そういう状況の中で大臣は訪ソをされた。まさしく交渉日程から言えば二十八日に第一回の交渉が行われて、三月一日に第二回の交渉が行われる、第二回の交渉、すなわち三月一日はソ連が二百海里を実施する期日である、そういうぎりぎりの情勢の中で鈴木農林大臣は訪ソをされたわけです。  私はこの一連の経過を振り返ってみますと、こういうぎりぎりのタイムリミットで大臣が訪ソする状況になった、このことは日ソ漁業交渉の中でもまれに見る情報の不足であり、しかも甘い判断であり、もう少し強く言えば、これは失態ではなかったろうか。そういう意味で在ソ連の外交団あるいはまた外務省、農林省の責任と申しましょうか、そういう意味において多くの関係漁民や水産団体は非常に強い不満を持っていた。昨年から北海道でも各漁業団体が何回も、対ソの関係は特に中小漁業あるいは零細漁民が非常に多いのであるから、この点は十分ひとつ強力な漁業外交を進めてほしいということが繰り返し繰り返し水産庁には訴えられておったはずです。私は、そういう意味で今度の訪ソのタイミングというものは漁業外交の面から言っても非常に多くの問題を残したのではないか、こう考えるのでありますけれども、まず冒頭、この件について大臣と外務省からその所見を承りたいと思うわけです。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 昨年の十二月十日に最高会議幹部会令というものが出たわけでございますが、これにつきましてはタス通信で承知をした、直ちに重光大使に連絡をとりまして、ソ連側の考えをいろいろの角度から接触をしまして打診をしておったわけでございますが、タス通信以外に明確な内容の提示もございません。また、情報不足と言われるわけでございますが、ああいう国柄でもあり、なかなか情報をよそから入手するというようなことも困難でございます。  そういうような経過から外務大臣が重光大使に東京においで願って、その際に私は大使からいろいろ状況の報告も伺ったわけでございます。しかし、これも前段で申し上げた域を出ない、こういうようなこともございまして、重光大使がお帰りになります際に松浦海洋漁業部長を同行させまして、そして鋭意ソ連側の方針、考え方というものを打診をしたわけでございます。初めて重光大使並びに松浦部長がイシコフ大臣にもお会いをすることができたわけでございます。その際に、日ソ両国の漁業政策の担当責任者同士の会談かすべての出発点である、だから、ここでソ連側の方針をあれこれ言うわけにいかない、こういうことであったわけでございますが、その連絡に基づきまして、私、直ちに訪ソをして、イシコフ漁業大臣とひざを交えて話し合いをする、今後の新しい二百海里時代に対応する日ソの漁業関係を確立をしたい、こういうことで訪ソをしてお目にかかることをお伝えをしたわけでございます。  しかるところ、岡田さんからもお話がありましたように、イシコフ大臣はECあるいはノルウェー、それらの国ともやはり漁業問題で困難な交渉をおやりになっている段階で、そういう方へ出張されて二十八日にモスクワに帰ってくる、私が二十八日にモスクワに来るならば日程をそれに合わせるようにしよう、こういうようなことで、今回のイシコフ大臣と私との会談が持たれた、こういう経過でございまして、昨年十二月十日の幹部会令が発せられましてから、われわれとしてはあとう限りの接触を図り、情報も入手をしてこれに対する対応もしたい、また進んで会談もしたい、こういう努力をしてまいったわけでありますが、以上の経過でございます。  しかし、私は二十八日にイシコフ大臣とお会いをして、三月一日の一日前ではございましたけれども、伝統的な日ソ友好という観点に立って、そして腹を割った隔意ない意見の交換ができました。その結果、長期漁業協定を行う、またそれには日本の国会の御承認、批准等の手続を経なければ発効しない、その間は暫定的な措置で、暫定取り決めでやろう。また暫定取り決めにしても、時間を要することであるから、その間は、暫定取り決めができるまでの間は従来どおり操業をさせる、つまり安全操業を向こうに認めてもらう、こういうことに相なったわけでございまして、今回の交渉は、私がモスクワへ飛びまして、そしてイシコフ大臣と腹を割った会談ができたということは、結果としてよかった、私はこのように考えておる次第でございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 大臣、私は今度の交渉の内容について、いま冒頭に云々を申し上げたのではないわけです。やはり昨年からの一連の流れの中で、もう少し積極的に、対米の方ばかりに目を向けないで、対ソの関係についても積極的な接触を図った、そういう経過の中で交渉が持たるることが最も望ましいし、そういうウエートがわが国の国際漁業の面から言えば最も高いわけですから、その点を実は指摘を申し上げたわけでありますから、この点は若干見解の相違もあるのではないかと思います。  次に、大臣がいま述べられたように、大臣が訪ソされたときに、約六百隻の船がソ連海域で操業をしている、こういう情勢を踏んまえて大臣は訪ソをされたわけです。そして二十八日冒頭、当面の操業については従来どおり持続的に操業ができるという確認がとれたことは、私は非常に喜ばしい結果だったと思います。だがしかし、それも結局イシコフ・鈴木トップ会談における合意を前提にしておったものであろうと思うのです。もしここで合意に達することができないとするならば、これは幹部会令の内容から分析をしても、このソ連海域における操業の継続というものが中断されただろう、こう私は思うわけです。そういう中で意見の対立があり、二日間の会期を延長して、最終的に鈴木・イシコフ合意書ができ上がった。書簡が交換をされた。だがしかし、私は、この交換文書の中をずうっと検討してまいりますと、今度暫定協定の交渉が五日後の十五日から始まるわけですが、わずか十六日間の中で暫定取り決めが行われなければならない仕組みになっているわけです。これまたタイムリミットがかかっておるわけです。もし三月三十一日まで何らかの暫定取り決めができないとするならば、四月一日以降の従来の操業を安全に持続をすることは恐らく不可能ではないか、こう私は思うわけです。  しかも四月一日からは、御承知のように流氷明けで続々とそれぞれの近海の漁船が、いまソ連が主張する海域に出漁しなければならないという情勢であり、時期でもあります。こういうタイムリミットの中でいま暫定交渉が行われようとしている。あるいはまた、本格交渉の場合にも、十二月三十一日までという期限が切られておりますから、暫定協定が一応できても、長期基本協定の場合も同様に、もし年内に基本協定が成立をし、何らかの形でこれらの国内手続が済まなければ、来年一月一日からのいわゆる安全操業、従来の操業を継続することができなくなる。まさしく北洋のスケトウダラ漁業の最盛期であります。そういう状況の中で、本格協定も年内いっぱいというタイムリミットで交渉せざるを得ない、こう端的に理解しなければならない厳しさではないかと思うのですけれども、この点についてはいかがですか。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 岡田先生が御理解なさっているような非常に厳しいものでございます。三月十五日にモスクワでこの暫定取り決めの交渉を始めまして、そして、三月三十一日までにこの暫定取り決めを合意に取りつけなければならない、こういうことでございますが、すでにわが方におきましてもそういう方針が決まりましたので、東京に帰りましても、水産庁はもとより外務省等々とも緊密に連絡をし相談をいたしまして、日本のこの交渉に臨むべき案というものをいま作成中でございます。でございますから、テーブルにつくのは十五日からでございますけれども、その準備作業というものはすでに着々なされておるということでございます。私どもは訪ソ中、イシコフ大臣、最高責任者と会談をして、その間にいろいろの感触もつかんでおります。この暫定取り決めの会談には万全の準備をし、また最善を尽くして、何が何でも三月三十一日までには合意にこぎつける、こういう腹構えでこれに取り組んでおるところでございます。  それから、基本協定、これは一九七七年の十二月三十一日までにこれが発効しなければいけない。実はこの点につきましては、わが国の国会等の都合から、私としては、どうしても次の通常国会にこの御審議を願い、そして国会の御承認を得なければならない、そうすると、どうしても一九七八年の五月末、そのころでなければ日本側としてははっきりしたお約束ができない、であるから、この暫定取り決めについても、それが発効するまでの間暫定取り決めで操業ができるようにということを、るる日本の国会の事情その他もお話しをして、御理解を願うように努力をしたわけでございます。しかし、イシコフ大臣は、最高幹部会議の方から一九七七年の取り決めについての権限しか与えられていない、七八年については自分ではイエスともノーとも言うわけにいかない、こういうお話でございまして、私どもは、そういうことから、どうしても七七年十二月三十一日までにこれが発効するようにあらゆる努力をしなければならない、このように考えております。この点は国会の特段の御理解と御協力をいただかなければかなわぬことでございますので、政府もいろいろな準備を進め、国会の御理解、御協力もお願いをしたい、こう考えておる次第であります。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 十五日からのモスクワにおける暫定取り決めの日本代表団のメンバー、また、同様に東京で日ソ漁業委員会が開催をされる。しかも、いまニシンの問題がありますから、同時並行的に関連を持っていくことは非常に明らかだと思うのです。そういう意味でも、私はまずそのメンバーについて、まだ正式に発表されていないように承っておりますので、この機会にお聞きしたいというのが第一点。  第二点は、ニシンの取り扱いの問題で暫定協定が三月三十一日までにできたとしても、日ソ漁業委員会でニシンの問題は取り扱うわけですから、これがもし三月を過ぎるとすれば、たとえば最終的にニシンのある一定の漁獲量について協定できても、これは操業ができないということになるのだろうと思うのです。いま、大臣の暫定取り決めの決意から判断をして、そういう意味では、ニシンの問題だけは三月中に必ず決着をつける、こういうことになるのではないかと思うのですが、この二点についてお答え願いたいと思います。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 三月十五日から始まります暫定取り決めの交渉に当たる交渉団のメンバーは、いま外務省その他ともいろいろ協議中でございまして、できるだけ早い機会の閣議にかけまして御決定を願わなければならない、こういうことでございますが、まだ最終的に固まっておりません。  それから、一方東京におきましては、これも三月十五日から日ソ漁業委員会が開催をされまして、サケ・マスとニシンがその議題に相なるわけでございます。私は、岡田先生御指摘のとおり、漁期的な面でサケ・マスよりもニシンを色心かなければならない、このように考えておるわけでありまして、東京におけるシャルクの場における交渉にはそういうようなことも十分頭に置いて早くニシンについての話し合いがまとまるように努力をしたい、このように考えております。  なお、これに加えまして農林水産委員会の皆さんに御報告を申し上げておくわけでございますけれども、ニシンとサケ・マスは三月中の出漁を休止する、こういうことで合意したわけでございます。これは御承知かと思うのでありますが、二、三年前からソ連側は、ニシン、サケ・マスにつきまして、シャルクの場でそれが議題になって当該年度の漁獲量あるいは操業の条件、方法等々についてこれから協議をしようというのに、日本側はまだ会談も始まらない時点でもう出漁する、お先に失敬する、これはルールに反するではないかということを大分強く言っておったところでございます。しかし、わが方としては漁期その他の都合もあるからということで無理にこれをお願いしてやってきたというのが今日までの状況でございますが、今回、二百海里時代に入りまして、サケ・マスは御承知のように日本海の方から始まるわけでございまして、主月中はソ連二百海里の水域には入りません。ところが、ニシンはそのものずばりで樺太の西海岸等で操業する、こういうことでございますので、これを話し合いによらずに例年のように強行出漁するというようなことになればこれは不測の事態になる、拿捕その他の事態も十分予想されるというようなことから、これは東京における三月十五日からの日ソ漁業委員会で正式の議題として討議をする、こういうことにいたしまして、その前の三月中の操業は残念ながらことしは休止するということにいたした経過でございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 いま大臣から述べられましたけれども、最近の新聞の報ずるところによりますと、一応外務省筋の談話として、ニシンの漁業については、これは対ソ関係の交渉の中で北方四島の問題と関連もするので、ソ連のこれまでのニシン資源に対する主張から判断していわば全面禁漁に同意せざるを得ないだろう、こういうことが流されて、翌日になると、八日ですけれども、今度は農林大臣が記者会見をして、領土と魚の問題はあくまでも別である、取引はするべきではない、そういう意味であくまでも従来のソ連の主張を踏まえながら一定のニシンの漁獲量の確保については全力を尽くす、こういう談話が述べられているわけです。いまこの重大な局面を前にしてどうも不協和音が政府の中から聞こえてくる、非常に遺憾だと私は思うわけでありますけれども、この点について大臣はどう考えられるのか、外務省筋とは一体何なのか、そういうことをもし外務省筋から述べたとするならば、外務省のお考えを聞きたいと思うのです。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 新聞の報道を私見まして、大変ショックを受けたわけでございます。外務省とも十分私ども話し合いもいたしておるわけでございまして、ニシン、サケ・マスの問題は約束どおり三月十五日から東京において日ソ漁業委員会の場でこれは協議をする、その際にはニシンにつきましても科学的、学問的な立場から十分資源量等の評価をやりまして、その上に立って取り決めをする、漁獲量並びに操業の条件、方法等をそこで決める、これがルールでございます。私はあくまでそういう筋を通した行き方をとっていこう、またその場においてはわが方としては最善を尽くす、こういう考えで取り組んでおるところでございまして、ニシンと領土を絡めてどうとかこうとかいうことは私は全く晴天のへきれきと申しますか、予想もしなかった報道でございます。本来これは全く次元の違う問題でございまして、私は責任ある外務省の方々がそういうことを言うはずがない、このように存じております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 今回の暫定取り決めの場合、従来サケ・マス、ニシンは日ソ漁業委員会で毎年の漁獲の量が決められる、あるいはまた大陸だな条約に関係するカニ、ツブについてはこれまた一年協定でそれぞれ協定が行われる。今回の暫定取り決めの場合には、サケ・マス、ニシンの場合には、これは委員会でやるわけですから、そこで決まるのだろうと思うわけです。しかしカニ、ツブあるいはまたスケトウ、カレイ、いわゆる全魚種にわたってこれは暫定取り決めの対象になるものかどうか、今度の交渉に出られた大臣の感触といいますか、判断をお聞かせ願いたいと思うわけです。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 ソ連側の認識といたしましては、二百海里内における漁業資源、水産資源というものはすべてである、こういう認識であるようでございます。しかし余り大きな漁獲量もないようなものをすべてにそういう規制の網をかけるかどうかということはまだはっきりいたしておりません。私どもは主要な魚族資源、こういうものを対象にして、そうして実際の規制等につきましても確実、円滑にこれが実施されるように、こういうことで相互の理解を得たいものだ、このように考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 今回の交渉は、当初共同コミュニケを発表するという前提で話し合いがなされておったと思うわけです。しかしこれが最終的に書簡の交換という形で、二日間交渉会期を延長して行われた。その中で、特に会期を二日間延長しなければならない重大な対立点というものは何であったのか、この点お聞かせ願いたいと思いますし、同時にまた、この会談の中でアメリカと同じように入漁料の問題については全然触れられなかったのかどうか、お伺いしたいと思うのです。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 この会談を通じまして二つの点がはっきりしておるわけでございますが、一つは、公式にも非公式にも領土問題は一切出なかった。向こう側からも、こちら側からも、一切領土問題は公式、非公式にも出ていない、これはきわめて明確な問題でございまして、はっきり申し上げておくわけでございます。  それから岡田さんも不思議のような御質問があったのですが、入漁料の問題もこれまた全然出てまいりません。これにつきましては、暫定取り決め等の際に出てくるのか定かでございませんけれども、先般の会談では全然出てこなかったということも事実でございます。  それから最初、共同コミュニケを出し、イシコフさんと二人で記者会見をしようか、こういう話も雑談の間にございました。そのことは同行の記者諸君にも披露してあったわけでございます。ところがその後、会談の内容がきわめて具体的にずっと煮詰まりまして、そうして書簡の交換でこれを確認し合おう、こういうことに合意ができました。しかもその際私は、日本の関係漁民並びに国民一般も今回のこの日ソ漁業会談を非常に大きな関心で見守っておることであるから、その会談の中身というものは全貌を国民に知らしておきたい、こういうことを私イシコフさんに申し上げたわけでありますが、しかるところ、そちら側の扱いについては鈴木農林大臣に任せる、御一任をする、こういう話でございましたので、あの各般にわたる取り決め、約束事項を書簡として取りまとめてあるものをそのまま全部公表をした。そうなりますと、共同コミュニケというような包括的なものは必要ないのではないかというようなことになりまして、最終の本委員会、そこでサインをしたわけでございますが、そこでイシコフさんがあいさつをされ、私もそれに対してあいさつをしたわけでございまして、その両者のあいさつの中に、共同コミュニケに出すような内容のものは表明をしておいたところでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 領土問題については全然触れられなかった。だがしかし、幹部会令のいわゆる二百海里の線引きでは、北方四島がこれは向こうの海域として含まれて線引きがなされておるということも明らかだと思うのです。したがって、これから暫定取り決めをする枠組みの交渉に当たって、海域の問題についても領土問題そのものでなくて、この海域自体の扱いについても全然大臣の方から触れられなかったのかどうか、何らかの話があったのかどうか、この点率直にお聞かせ願いたいと思います。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 あの往復書簡をお読みいただけばわかるわけでございますけれども、ソ連邦沿岸に接続する水域で、かつ一九七六年十二月十日のソ連邦最高会議幹部会令の適用を受ける海域、こういう表現になっておるわけでございます。     〔委員長退席、菅波委員長代理着席〕 この幹部会令には、御承知のように線引きがなされておりません。決定いたしておりません。それが後に、それを受けた閣僚会議でございますか、閣議かで決まったということを私どもタス通信等で承知をしておる程度でございます。そういうようなことで、あの交換文書につきましては、前段で申し上げたように、私ども話し合いもし、そのとおり記載をしておるわけでございまして、その辺のことは先生方にもよく御理解おきを賜りたい、こう思うわけでございます。私どもは、領土問題に触れますればもうその途端に交渉は暗礁に乗り上げ、北洋漁業の問題はにっちもさっちもいかぬ、これは私は恐らく相互に十分腹の中にある問題である。北方四島は一九七三年に田中首相が訪ソされてブレジネフ書記長と会談をした際に、戦後未解決の問題を解決をして、日ソの平和条約締結の交渉をこれからやるんだということで合意をし、その戦後未解決の問題というのの中には北方四島の問題を含むんだということもその後両国の外務大臣間で確認をされておる、こういうことが明確でございますから、私はそういう問題は、今度は私は漁業交渉で行ったわけでございますから、その問題とは離れて、日ソの将来に向かっての新しい時代の日ソの漁業関係を確立をしたい。日ソ両国の利益になるようにこれを決めたい、そういう立場でこの間の会談を終始やってまいった、こういうぐあいに御理解をいただきたいと思います。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 しかし、魚をとるということは、海の海水面の問題が当然問題になってくるわけです。今度の場合には枠組みの取り決めですから、大臣も意識的に触れられなかったのではないかという気がするわけです。しかし、これは暫定取り決めの場合には避けて通れない問題であることは確かです。一応日本側が言うソ連海域では約五千隻の船が操業いたしておりますけれども、北方四島周辺を含めますと一実に昭和四十九年度の実積では一万四千隻以上の船が操業をしているということになるわけです。まさしく、特に北海道の漁民にとっては大変な関心事であることは大臣も御承知のとおりであります。したがって、いずれにしても、この海域でのいわゆるわが国の漁船の操業問題というのは、当然暫定取り決めの中には最も重要な議題として触れられなければならない問題であることは確かだと思うのです。そういう意味で大臣が今回訪ソされ、そしてまた代表団が今度の交渉に臨むに当たって避けて通れないこの海域における操業について、どういう姿勢をもってどういう考えで交渉に臨むのか、お聞かせ願いたいと思うのです。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 北海道にきわめて近接をした海域でございまして、北海道並びに東北、北陸等の零細な中小漁船が多数あの海域で操業をしておるのが実態でございます。この実態というものは、私はイシコフ漁業大臣も十分認識をしておる。私は、会談の中でこの実情というものはもうるる説明もし、イシコフ大臣も理解をしておる、このように受けとめております。実態に沿うようなそういう漁業の枠組みというものを何とかしてわれわれは実現をして、そうして北海道並びに三陸、北陸等の日本海の中小沿岸漁業者、零細漁民の操業には支障のないようにやることに全力を尽くしたい、こう考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 そういたしますと、三月三十一日のタイムリミットのかかっている暫定取り決め交渉のこの交渉の推移の状況によっては、大臣はもし問題の解決が困難な場合には再度訪ソしても交渉に臨み、本件の解決のいわば先頭に立つ、こういう決意があるかどうか、この機会に承っておきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 国会の関係もございます。私も領海十二海里の担当国務大臣としての使命も帯びておりますし、いろいろな国会の御都合等もあろうかと思います。いまから行くとか行かぬとかいうことを申し上げる段階ではございませんが、いずれにしても私の責任である、この結果というものはよくとも悪くとも私の責任である、こういう強い責任感の上に立って全国の漁民諸君のために、また国民の皆さんの御納得のいくような線でこれができるように全力投球をしたい、最善を尽くしたい、こう考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 鈴木農林大臣はこれまで国内においてはわが国の二百海里の設定は、これは時期尚早である、こういう見解に終始をされて、領海十二海里法の場合も外務当局と大分やり合った、われわれはこういうニュースを耳にいたしているわけです。今回大臣が訪ソをされて交換書簡の中にもわが国も二百海里は近く設定をする、こう明確に述べられておるわけです。そうしてその反語としては、ソ連の二百海里の宣言を認める、こういう解釈に私はなるのではないかと受けとめておるわけです。私はこの書簡は外交公文書に匹敵するものでありますから、そういう意味で国内的には手続といいますか、閣議了解といいますか、そういう点について国内的な手続をとられてこういう書簡で表現をされたのかどうか、そうしてまたこのわが国の二百海里を近く設定するという決断をなされたのは、どういう判断に基づくものであるかという点について明確に御説明を願いたいと思うわけです。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 わが国の二百海里設定の問題につきましては、かねてからわが国は国連海洋法会議の場におきまして遠洋漁業国家の立場からできるだけ世界の海洋は自由であった方がいや、これを独占支配をして割拠的にやることは資源の有効利用、そういうものを阻害する、食糧問題が世界的に非常に大事な時期に、資源の再生産、これを阻害しない許容限度においては漁業資源というものは人類のために活用さるべきものだ、こういう立場に立って日本はやってきたわけでございます。そこで国連海洋法会議の動向ということにつきましては一番深い関心を持ってやってきたわけでございます。  それからもう一つ。私はまず十二海里というものを先にやらなければいけない。日本の近海におきまして外国船の無秩序な操業によって相当の漁具の被害も出ております。底刺し網等の漁具が相当の被害を受けておる。また沿岸の零細な漁船の操業は制約を受けておる。また千葉県銚子沖等においては廃棄物のために漁場が荒らされておる、荒廃しておる、そういうようなことから、十二海里問題は一日も早く国会の各党の御理解、御協力を得てこれを実現をしたい。そしてわが方の二百海里設定の問題は、前段で申し上げた国連海洋法会議の動向を見ると同時に、西日本の方におきましては、日韓漁業協定なり日中漁業協定で非常に秩序がよく保持されて、何らのトラブルなしに安全操業が相互に行われております。私は、この日韓、日中の漁業協定というものはこれは大事にしていきたい、これを壊したくない、こういう気持ちを強く持っておるわけでございます。したがいまして、そういう方面とも十分お話し合いもする必要があるということで、慎重な態度を実はとってきておるわけでございます。  しかし、いずれはわが国としても二百海里の専管水域の設定をしなければならないということは政府部内においてもいろいろ話し合いをしておったところでございます。私は、日ソの漁業交渉におきまして、やはり同じ条件、同じ土俵づくりをしてそして交渉をするのでないと、本当の日本の国益を守ることができない、そうした方がベターである、こういうようなことをはだで実は感じ取ったわけでございます。そういうようなことで、わが方も近い機会に二百海里の専管水域を設定する考えであるということを私は率直に話をしたわけでございます。それは書簡の中にもはっきり明記してもらうということでやったわけでございまして、先ほどの、二日延びたじゃないか、こういうことにも関連するのでありますけれども、あの交渉は私に相当の裁量権を与えていただいて、任されて行ったものではございますけれども、最終的に書簡の交換をするということについては、やはり私としても大事をとりまして政府に確認を求めておいたわけでございます。私にお任せは願っておるけれども、これで書簡の交換をやろうと思うがいかがかという確認を求めておる、そういうようなこともございまして、またイシコフさんが三日の日にはよんどころない会議で一日体が縛られておるというような事情等もありまして二日延びた、こういう経過でございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 けさ水産庁が明らかにしたところによるとという新聞の報道でありますけれども、わが国が二百海里を設定をする場合にはあくまでも対ソ連の関係だけである、中国あるいはまた韓国については、非公式に日本はこの海水面には適用する意思はないんだ、中国、韓国はこれを対象としない、こういうことを水産庁が明らかにしたという記事が実は報道されておるわけです。ところが、このソ連の三月一日の二百海里の設定によって、いま韓国の漁船がどんどん南下をして、北海道沖で操業しておることは大臣も御承知のとおりであります。最近の情報によりますと、釧路沖で四隻、苫小牧沖で六隻、それから琴似で三隻、そしてそれ以外の地域で五ないし六隻、合わせて二十一ないし二十二隻、これが実は操業をいたしておるわけです。どんどんふえて、四十杯以上になるのではないか。もちろん韓国のトロール船は大型であります。こういう状況がすでに北海道の沖にあらわれておるわけです。こういう情勢の中でも、韓国との間には二百海里はこれは実施をしないのだということを述べられておるのは、私はどうも水産庁の見解としては早計過ぎるのではないかという気もするわけであります。やはり同様韓国がソ連と国交を持たないわけですから、締め出された漁船は日本海へ来てどんどん、どんどん操業するということになれば、当然韓国との間にも漁業秩序について問題の解決を図らなければならないということになるのではないでしょうか。中国の場合には実績がございませんけれども、二百海里に反対をいたしておるわけですから。そういう意味で、この点についてどうお考えになっておるのか、非常に注目されておりますので、御説明願いたいと思うわけです。

岡安誠水産庁長官

○岡安政府委員 先ほど大臣からお答えいたしましたとおり、日本の隣国特に韓国と中国の間におきましては、日韓の漁業協定、中国との間では日中の漁業協定というものがございまして、きわめて安定的に操業が行われているわけでございます。  確かに御指摘のように韓国船につきましては、ソ連が二百海里の設定をしたことに伴いまして引き揚げを命じたようでございますし、引き揚げを命ぜられた漁船が北海道の周辺に集結をしておるということも私ども承知いたしております。また、その集結したことによりまして若干のトラブル、たとえば定置の網その他が損傷を受けるという被害があったという報告も受けております。従来から日韓の間におきましては、漁業協定によりまして円満な操業をいたしておりますが、そういうように特定の漁船によって日本の漁船その他が被害を受けました場合には、日韓の民間レベルでこれを解決をするというルールが確立しておりまして、昨年の六月すでに第一回が開かれ、ことしも近い機会にそれが開かれるということになっております。私どもはこれらのルール等を活用いたしまして、今後とも日韓関係につきましては秩序ある円滑な、お互いに円滑な操業ができるようにしてまいりたいというふうに考えておるわけであります。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 岡田先生から、水産庁の方から韓国や中国には二百海里は適用しないとかそういうことが新聞に出たというので、私、長官を答弁に立てたわけでございますけれども、水産庁からそういうことを言うたことはございません。これは私は慎重にこの日韓、日中の関係は両国間で話し合いをしながら、専管水域というのは相互的なものでございますから、十分話し合いをせにゃいかぬという慎重な態度をとっていることは申し上げておりますけれども、いまのようにもう適用しないんだとかそういうようなことは水産庁あたりから言うはずがございません。これは高度の政治判断を要する問題でございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 時間がありませんから、この際、今度のニシンの出漁見合わせによって約八十隻のニシン漁船がいま休んでおるわけです。稚内でも大変な問題になっております。この補償を政府はする、こう言われておるわけですが、これは昨年七月の八日、抱卵ニシン漁業者等救済交付金交付について、水海第三百六十八号、これは予算措置でこの補償措置がとられておるわけです。このときの措置と全く同様の措置をとると、こう理解してよろしいでしょうか。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 ニシンの問題は、先ほど申し上げたように、日ソ漁業委員会で今年度の操業は決まるわけでございます。ただ、三月中はニシンの出漁を取りやめる、こういうことになりましたので、私はその間、もう三月中にも操業して漁獲を上げて、その売り上げによって漁具、漁網あるいは油あるいは乗組員の給料、そういうものを三月中の漁獲を引き当てにして手形を切っておるというような方も多数おられる、こう考えますので、これらの方々に対しては早急に金融の融資の措置を講じたい、そのように水産庁長官にも指示もいたして、手配をいたしておるところでございます。  全体の救済措置云々の問題は、これはシャルクの場においてニシン漁業全体がどういうことになるか、そういうことを最終的に見きわめた上であとう限りの対策を講じたい、こう考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 いまわが国で領海十二海里法の問題がこれから国会に付託をされる予定になっておりますが、特にこの発端になりましたのは外国漁船による北海道沿岸の漁民の漁網被害、こういう事件が頻々と発生をした中で急速に高まってきたものであろうと思うわけです。もちろん日ソ漁業操業協定が結ばれて、そして、いままでの私の調べによりますと、十一件が東京委員会で処理され、うち二件がモスクワ委員会に送付され、近く一件が送付される、されておるかもしれません。遅々として実は進んでいないわけです。一月の二十日現在では、対ソ連関係で見ますと、実延べ件数で一千六十一件、賠償請求額は五億七千万に達しておるわけです。この問題については、今度の鈴木農相の訪ソについて何ら触れられなかったかどうかという点が第一点。  第二点は、いま水産庁長官が答弁されましたけれども、対韓国関係であります。最近急速に漁網の被害がふえてまいりました。五十一年末で、これは道警が調べたところによりますと、二千十四件の被害が出て、その被害総額は五億七千三百万円。(「若干でないんだぞ」と呼ぶ者あり)大変なものなんです。これは急速にふえておるわけなんです。それで先ほど言ったようにソ連海域から締め出された韓国漁船は、いま大々的に北海道沖で操業しておるというのが実態であります。そして水産庁長官が答弁されたように、これらの問題の処理については、事故防止という面で、大日本水産会と大韓民国の北洋振興会との間で民間レベルで話をされておる。対ソの関係は政府間レベルで話をされる、これは一体どういうことになっているのか。なぜ一体韓国関係も外交レベルでびしっとこれらの問題の処理方法について、その方途を打ち立てられないのかどうか、一体韓国の関係はどういう話し合いになっておるのか、この内容はつまびらかでないわけです。この点についてひとつ答弁を願いたいと思うのです。

岡安誠水産庁長官

○岡安政府委員 まず日ソの間の損害関係の処理でございますが、御指摘のとおり現在日ソの間の損害賠償請求処理委員会が活動しておりますが、まだ発足早々でもございますので、いろいろ手続き等の問題を処理する期間が必要でございましたし、また損害賠償請求につきましての書類の不整備等の処理がございまして、まだ確かに進捗いたしておりません。現在七百十三件が持ち込まれておりますが、御指摘のとおりモスクワ委員会に送付済みのものは二件ということになっております。ただ、これはいままでの経験も積みましたので、今後は相当これは進捗をするというふうに考えますし、私どもも大いにこれは処理を進めたいというふうに思っております。  韓国につきまして、先ほど若干と申し上げましたのは、最近韓国船が北海道の東の沿岸に集結したことによりまして生じた被害が若干あるということで申し上げたわけでございますが、御指摘のとおり韓国船による被害は五十年度は特にふえてまいりまして、五千年度の被害件数が二百七十件、八千六百六十五万円というような被害でございますし、五十一年もこの二月の初めまで百十六件、約三千万円の被害ということに私ども承知いたしております。  これは先ほど申し上げましたとおり、民間同士の損害処理の形態が整いまして、その間は非常によかった、損害が非常に低下いたしたわけでございますけれども、昨年末から今年にかけまして非常に被害がふえてきたことによりまして、私ども民間同士の接触を進めると同時に、先般、韓国の水産庁長が見えられましたときに私からも、非常にいいルールができているんだから、これの第二回を早速開こうということを申し上げましたところ、韓国の水産庁長も同意をされまして、これは早速開くということになっておりますので、私どもはこのできましたルートといいますか処理方法を活用いたしまして、損害の処理には遺憾のないように、私どもはこの方法によって十分今後の被害の発生は防止でき得るし、過去に起きました被害の処理もでき得るというふうに考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 わが国の二百海里対策、今年度予算でもそれぞれ予算が計上されています。しかし、いま大臣が述べられたように、当初予想した以上に、わが国の二百海里の設定は早まる、いわば今度の海洋法会議の終わった時点、五月以降になるでしょうか、いずれにしても対ソ交渉の中でもこの問題が出てまいるわけで、この対応策というのを早急に急がなければならないのではないか、こう私は思うわけです。  その第一点としては、やはりわが国の漁業法関係法規の総見直しをする必要があるだろう。もう漁業法が制定されて二十七年目ですか、そういう意味では総体的にいままでの関係法規の見直しをする必要があるのではないか、こう判断せざるを得ないのですけれども、この点についての御所見。同時にまた、ちょうど来月からは沖合い底びき、遠洋カツオ・マグロなど十漁種の一斉更新が行われるわけです。対米交渉の結果でもそうでありますけれども、対ソ交渉の中でも今度は一年協定になってまいるわけですから、従来、国際漁業関係は一年免許更新という制度がとられてまいったわけです。今度は国際関係で漁種が拡大をされてまいるわけですから、そういう意味では、この大臣許可についても当然考えなければならないのではないか、現行法から言えば五年間という許可年限になっている、こういう問題も当面の問題としてどう扱われるのか、見解を承りたいと思います。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 二百海里時代が現実のものとして到来をいたしまして、これに対する対応策、これは非常に大事でございます。また五十二年度の予算の編成に当たりましても、漁業外交の積極的な展開、また新漁場の開発、新しい資源の有効利用、さらにわが国沿岸、沖合い、日本列島周辺の海域の資源の徹底的な正確な把握、いろいろなそういうものに対応する予算の措置というものをやったわけでございます。さらにまた、沿岸漁場開発整備事業あるいは漁業の基本施設であります漁港の整備、こういう点にも力を入れておるところでございますが、この五十二年度中に不幸にして減船あるいは再編成、そういう事態が起こった場合におきましては、必要な財政的な措置も講じなければならない。しかし、起こらない前に予算に組むというわけにもまいりませんので、私は、大蔵大臣との最後の予算折衝におきまして、二百海里時代を迎えて、年度内にもいろいろな財政的な措置を講ずる必要が起こるかもしれない、そういう場合には、予備費その他、財政当局としても十分これに協力をしてほしい、必要な措置を強くこの際留保しておく、こういうことを大蔵大臣との間にも確認をしております。そういうことを私も大蔵大臣とは話し合いをちゃんとしておるところでございます。  それから、こういう状況になって、漁業法を改正をするような必要はないかと、こういうお話でございますが、私は、わが国の漁業法あるいは水産資源保護法あるいは外国漁業規制法、いろいろの法律がございまして、当面現行法の運用によってこれに十分対処できる、このように考えておるわけでございます。  いま、漁業許可制度の一年更新というようなことについても検討を要するのではないかというような御意見もあったやに私耳にしたわけでありますが、漁業には相当の投資を必要といたします。でありますから、できるだけ長期にやはり安定的に漁業経営ができるということが望ましいわけでございまして、私は、日米関係、日ソ関係の漁業交渉におきましても、単なる単年度というようなことでなしに、長期安定的に漁業量等も確保できるようにという、そういうスタンスに立って今後の交渉もやっていきたい。毎年漁獲量等については協議はいたすたてまえにはなりますけれども、それは微調整、毎年大きな変動があるというようなことでは漁業経営は成り立たない、こういうことでございますので、そういうような立場で今後の漁業交渉にも当たりたいし、そういう努力をしていきたいと、こう思っております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 これから国際漁業の二国間協定がそれぞれ結ばれて、そして、漁業許可が五年なり三年なりまだ期間が残っている、わが国の漁業法の第三十九条は、制定以来一度も発動されたことがないわけです。大体予算措置とかなんとか、いろいろな措置でこれらに類似する問題については処置されているわけです。私は、漁業法第三十九条のこの補償の問題は、こういう時代を迎えて、やはり運用すべきではないか、積極的に考えていいのではないか、こういう見解を持っておるのですが、いかがでしょうか。

岡安誠水産庁長官

○岡安政府委員 いま大臣がお答えいたしましたとおり、私どもは、対外的な関係におきましては、なるべく長期で安定した形の約束ができるということを望んでおります。ただ、やはり二百海里時代が急速に到来いたしておりますので、私ども現在一斉更新、七月の末に時期がくるわけでございまして、これは中央調整審議会の議を経るということになっておりまして、せっかく審議中でございます。御指摘の三十九条、これは六十何条かで準用をいたしておるわけでございまして、御指摘のとおりいままでそういう発動をしたことはございません。私どもは、むやみにこれを発動するということはいたずらに混乱を増すということもございまして、従来は、いろいろの問題も、あれは発動しないような形、たとえば減船というような場合等につきましても自主的な話し合いによりましてこれを処理するということが行われてきたわけでございます。あれはいわば法律の最後の締めくくりといいますか、伝家の宝刀というようなものではなかろうかというふうに考えておりますが、私どもは、やはり今後なるべく漁業というものは、遠洋漁業も含めまして安定的な形がとれるように努力はいたしたいというふうに思っております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 年内にわが国の漁業専管水域が決まると仮定して考えますと、今年度予算でもたとえばヘリ搭載の監視艇というものが予算がついたけれども、二年間建造期間を要するわけでございます。非常に急速にわが国の二百海里問題を扱うに当たって、問題は、領海十二海里でもそうでありますし、あるいは二百海里専管水域でもそうでありますけれども、ぴちっとこれらの海域が管理されなければ独立国家として非常に問題だと思うわけです。一体今日わが国の体制として、二百海里を宣言し、あるいは実施をしても、その海域をきちんと管理する体制があるのだろうか。これは海上保安庁が当然その任に当たるわけですけれども、そういう点の総体的な十分慎重な検討をする必要があるのではないか。だから、当然いまの海上保安庁の警備体制についても再検討しなければならない問題ではないか。たとえば、第一管区から第十一管区までずうっとありますけれども、第一管区というのは東北の岩手から秋田、そして北海道のずっと広い北洋海域全体が対象になっている。そして、この北洋問題が非常にウエートが高くて、この海域は広い。そうすると、こういう海では第一管区だけでいいのかどうか。あるいは飛行機の基地は千歳にある。しかし、道東あるいは道南の関係でいえば、気象条件は全く日高山脈で違う。そういう面も判断をする場合に、そういう体制についても再検討し、必要な予算はつける、こういうことでなければいかぬのではないか、早急に検討されるべきだというのが私の意見でありますけれども、海上保安庁からその点の見解を承っておきたいと思います。

間孝海上保安庁次長

○間政府委員 おっしゃられるとおり、新しい海洋の秩序の時代に入りますと、わが国といたしましても、従来の領海三海里というこの狭い範囲から領海自体も十二海里に拡大され、あるいはさらにこの問題になっております二百海里の経済水域、こういった問題が設定されてくることになるであろうということ、これは私どももそういうことを予測いたしまして、実は一昨年来これに対して海上保安庁としてはいかに対処すべきかということの検討をしてきたところでございます。そこで、具体的には、ただいま国会におきまして御審議をいただいております予算案の中におきまして、いま御指摘もございましたヘリコプターを搭載する巡視船を初めといたしまして、大型航空機あるいはヘリコプター、あるいは高速の巡視艇、こういったものを早急に整備をするということをいま考えておるわけでございます。もちろん、ただいま国会の御審議をいただいております予算案に計上されておりますものはその一部でございまして、私どもはこれだけで決して十分だと思っているわけではございません。今後さらに引き続いてこの体制、特にこの船艇、航空機の体制の整備を図っていかなければならないというふうに考えておるわけでございますが、そのほかにまた、いま御指摘のございましたような陸上のいろいろな部署あるいは基地の体制をどうするかという問題、これもまた一つの検討すべき問題であろうかと思います。これらを含めまして、まだ現在の段階におきましては、将来のこの二百海里の経済水域の内容がどういうふうになるかという点についてははっきりしない点がございますので、そういったものの成り行きも踏まえまして海上保安庁としては具体的なその体制の整備を固めていきたい、こう思っているわけでございますが、しかし、と申しましてそれには若干の日時がかかります。それまでの対応の仕方としましては、現在保有いたしております九十五隻の巡視船と百五隻の巡視艇、こういう現在の体制を最大限に活用いたしまして、重点的にこれを運用してこれに対処していくということを考えておるわけでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 これは唐突に、唐突と言っては大臣に失礼かもしれませんが、書簡の中でそういう見解が出てきたわけですから、これにどう対応するかというのはまだ検討が不十分だと思うのです。私は、やはり正式に大臣が今度の対ソ書簡の中で二百海里問題に触れられたのですから、領海十二海里と同じように、二百海里に対応する各省の連絡会議といいますか、そういうプロジェクトといいますか、これを早急に政府部内につくる必要があると思うのですが、いかがでしょうか。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 私も岡田先生と同じように考えておりまして、近くその準備室といいますか、対応する政府の機関、十分各関係省庁と緊密な連携ができるような体制をつくりたい、こう考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 時間が来ましたので最後の一問で終わりますけれども、きょうは保険庁とか、特に漁業労働者の労働条件、福祉についても触れたいと思ったのですけれども、残念ながらもう時間がありません。せっかくお呼びして、お許し願いたいと思うわけです。  最後に、北方四島の漁業権補償の問題がしばしば、昭和三十六年にも北方協会の問題で出ましたし、改組される場合にも国会で議論をされておるわけです。昭和二十五年に漁業法が変わって、国内の漁業権はすべて補償された。その後二年間、昭和二十七年を限って救済されない漁業権については消滅をする、こういう経過をたどっておるわけですが、北方四島に関しては漁業権の補償はなされていないわけです。これはしばしば議論するのでありますけれども、この漁業権の補償に政府自身が踏み切る判断はないのかどうか。私は歴史的な流れから言えば、政府がむずかしいというのであれば、議員立法によっては可能ではないか、こういう見解を実は持っておるわけです。そういう意味で、この北方四島のかつての漁業権補償について、これはいつまでもそのまま放置しておくのかどうか、この点を最後にひとつ見解を承っておきたいと思うのです。

岡安誠水産庁長官

○岡安政府委員 これはもう先生十分御承知だと思いますけれども、若干経緯を申し上げてみたいと思います。  北方の四島周辺におきます漁業権、旧漁業権でございますけれども、これは昭和二十一年一月二十九日付のGHQの覚書によりまして行政分離措置が行われまして、わが国の法令が適用されないというようなことになりましたので、その時点でこの漁業権は消滅いたしたわけでございます。したがって、その後漁業法が改正されまして漁業制度改革が行われたわけでございますけれども、当然のことながら、この漁業制度改革に伴います漁業権補償の対象にはならなかったわけでございまして、国として法律上その漁業権を補償するということはできなかったわけでございます。  しかし、これは問題はそういうことになっているということでございますけれども、特殊事情、これはやはり当然ございます。そういうような特殊事情、それから北方地域の漁業権者等の特殊な地位等を考えまして、私ども、昭和三十六年以来十億円の国債を財源といたしまして、これは当時の北方協会、現在の北方領土問題対策協議会でございますけれども、それにいろいろ事業資金、生活資金の低利融資の措置を講じておるわけでございます。私どもは、こういうような方法で漁業権補償ということも十分踏まえた上で措置を講じているつもりでございますので、この上重ねて、先生おっしゃるように改めてまた漁業権を補償するということは非常に困難である、私どもは現在そういう考えはないということを申し上げざるを得ないというふうに思っております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 時間がないからこれはお預けにせざるを得ないと思うのですが、私もこの法律の審議には参加をして、当時いろいろ御意見を聞いているのですが、これは漁業補償とは全然別だということで立法されて、約十億、そのうち七億五千万円が一応積算のめどとしては漁業補償に匹敵する額だという説明だけであって、漁業補償とは全然別だということは政府の方でも明らかになっているのですよ。それをもって水産庁が勝手な答弁をするというのはけしくりからぬと思う。時間がないから私はやめますけれども、これはいずれもう一度質問を申し上げますので、ひとつ十分検討をしておいていただきたいと思うのです。  これから大変な厳しい交渉に臨むわけですが、私も、ソ連当局がわが国の国民の権利義務に関する国内的な手続、その点については、暫定取り決めについてもソ連側が十分理解を示されるよう期待をいたしたいと思っております。  同時に、また、ソ連邦自身もわが国よりも他の海域、外国の二百海里海域で六五%程度のいわゆる漁獲量の実績がある、それが対米関係では三〇%程度削減される、北西大西洋では実に三一%に達している、そういう状況にあることも事実でありますから、そういう意味では、やはり北洋の長い長い歴史、そして日ソ漁業における日ソ間の伝統的な友好的な解決のいままでの積み重ね、こういうものを基礎にして、私は本交渉が妥結を見るに至ることを心から期待をいたしておるわけです。そういう意味で、鈴木大臣以上に、私自身も、この日ソの友好関係というものを基礎にして、科学的に問題が処理されることを期待しているわけです。そういう意味で特に格段の御努力をお願いをし、質問を終わりたいと思います。(拍手)

菅波茂自由民主党

○菅波委員長代理 瀬野栄次郎君。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 農林大臣の所信表明に対する質問を行います。  わが党は、農業の位置づけを民族生存のための基盤産業というように位置づけまして、総合農政の発想の大転換を図り、自給率の向上を目指す。端的に言えば農業で食える農政を推進する、かように主張し、訴えてきております。  農林大臣は今回新しく就任されて、今後日本農業を背負う立場で農業を推進する決意を持っておるわけでありますが、時あたかもソ連の一方的な二百海里通告によって、まさに日本の食糧は大変な問題を抱えてきたわけでございます。そういった意味で、大臣は就任されて、まず農業に対してどういう決意で臨まれるのか、位置づけはどういうように考えておられるか、その点を最初に承りたいのであります。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 瀬野先生が御指摘になりますように、私は、日本の農業というのは日本経済の中でも非常に重要な地位を持っておると思います。端的に申し上げますと、農業の安定と振興なくして日本経済の安定繁栄はない、また農村の振興なくして日本の繁栄はない、こう申し上げても過言ではない、こう考えております。私はそういうような位置づけをいたしておるわけでありまして、それだけに皆さん方の御理解、御協力を得ながら、わが国の農政を今後強力に展開をしていきたい。  特に、近年日本の農林漁業をめぐる内外の情勢はきわめて厳しいものがございます。  特に食糧の問題につきましては、国民の皆さんにいささかの不安もあってはいけないわけでございまして、お米だけでなしに総合的な農林水産物の自給力を高めて、そして国民食糧の確保を図る、そのための諸般の政策を進めていきたい、こう考えております。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 大臣も昨年の総選挙後新しく就任されて、まず最初に二百海里問題に取り組まれ、そしていまも決意を述べられたように内外の情勢は大変厳しいと自覚しておられるが、日本の農業、漁業にしても、日本国民の食糧を確保するという意味から、いままさに農業元年とも言うべき重大な転機が来ている、こういった重要なときに大臣は就任された、かように私は思うのです。私はあえて農業元年と強く申し上げて、決意も新たに今後あらゆるものに取り組んで対処してもらいたいと思うのですが、その点大臣はどう受けとめておられるか伺いたい。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 瀬野先生のそういう御認識、また日本農業の置かれておる現在の険しい状況、そういうものにつきましては全く先生と同じ認識を持っておるわけでありまして、私も先生御指摘のように、日本の農業はこれから再出発をするのだ、新しい時代に向かって強力な農政を展開しなければならない、このように受けとめております。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 農林大臣も私と同じ認識に立つ、要するに農業元年という決意で臨まれるということであります。あなたもうなずいておりますが、そういう認識で今後農政を進めていただきたいということをまず強く申し上げておきたいのであります。  そこで、農林大臣は所信表明の中で「わが国の農林水産業を一層足腰の強い体質とし、総合的な食糧自給力の向上を図ることを国政の長期不動の基本方針とし、将来にわたり国民食糧の安定的供給を確保してまいる所存であります。」こういうふうに述べておられます。私も何回か読みましたが、安倍前農相は攻めの農政とかいろいろ言っておりましたが、大臣の今度の所信表明で何か特徴的なものはないかということでずうっと見てきました。強いて最大の目玉と言えば、足腰の強い体質というのが大臣の言わんとするつぼである、目玉である、こういうふうに私は見ているのですが、足腰の強い体質とはどういうことを言うのか。日本農民のために、これは明確に、大臣はこの席をかりてひとつ所信を述べていただきたい、かように思います。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 私は日本農業の振興のためにはまず基本的な問題として土地の問題があると思います。第二は農業の担い手の人の問題があると考えておるわけでございます。戦中、戦後並びにその後における日本経済の高度成長等の影響を受けまして、農用地の壊廃も進みました。また農村の活力ある生産労働力も他産業に流出をした、そして体質が脆弱化してきておる、これは否めない事実であろう、こう思うわけでございます。そういう意味で私は、優良な農用地を確保する、造成をする、また基盤整備等もしっかりやらなければいけない、こう考えておりますし、その農業の従事者である担い手の方々、そういう方々の資質とそれから技術並びに明日の農業に対する明るい展望を持って、希望を持ってこれに取り組んでいくという、そういう意欲、そういう農林漁業の従事者を確保する、これが私が申し上げるところの足腰の強いしっかりした日本農業というものを確立せねばいかぬ、こういうことでございます。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 そこで、所信表明に対する質問であるので私も予算のことでちょっと触れておきますが、五十二年度の一般会計予算は二十八兆五千百四十三億であることは御承知のとおりで、対前年比伸び率一七・四%、農林水産関係予算が二兆六千四百億円、対前年比、当初予算に比べまして九・四%、総予算に占める割合は九・二六%ということでございます。  私ももう七年余り農林省予算をずっと見て、当委員会でも毎年いろいろと政府の方針をただしてきたところでありますけれども、大臣は国債発行費を除けば一〇・一%になる、こういうようにおっしゃっておられますが、昭和五十一年度に引き続き二年間一割を割ったわけです。しかも食管の赤字というものも相当逆ざやを解消しております。昨年が五百六十億、ことしは八百億、こういうふうに解消していかれるわけですけれども、こんなことで足腰の強い体質ということになるかどうか。ことしは、大臣も就任されたそのときにはもうすでに予算もほとんど最終的段階でございましたから、いまさら大臣を責めても、予算編成の当初から大臣が携わったわけじゃありませんので、いろいろ事情はわかるにしても、いますでに来年のことを考えていまからやらなければ手おくれであります。そういった意味で、来年に向かって、こういう食糧自給の大事なときに来ておるときに、大臣は少なくとも一割、一割以上の予算を獲得して、そうして日本農業の再建に、足腰の強い農業に力を尽くしていただきたい、こういう決意でいまから臨んでもらいたいと思うのですが、その点大臣はどういうふうに受けとめておられるか、お答えをいただきたい。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 瀬野先生御指摘のように、昨年の暮れに農林大臣に就任をいたしまして、概算要求等も相当積み重ねておった後でございまして、必ずしも私の考えが十分この中に生かされておるということは申し上げかねるわけでございますけれども、しかし先ほど来申し上げますように日本農業の体質を強めたい、生産体制を整備したい、また農業の担い手である従事者の養成確保を図りたい、それから転作等がスムーズに行われるような、麦あるいは大豆等の面の生産力を向上させたい、いろいろの私の考え、これは重点的に予算の最終的な取りまとめに当たりましては努力を払ったつもりでございます。したがいまして、総体としては国債費を除きまして一〇・一%にとどまったわけでございますけれども、しかしながらその中におきまして農業基盤整備事業でありますとか、そういう農業関係の農林公共は一般の公共事業よりも伸び率も高目にこれを確保いたしております。また後継者の育成確保という面につきましてはこれも前年よりは一つの特色としてあらわれておると私は思うわけでございます。また、二百海里時代を迎えての水産の問題あるいは林業の公益的な機能、そういう面につきましてもこれを重視いたしまして、予算編成の重点を向けた、この点は御理解を賜りたい、こう思うわけであります。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 農林大臣からいろいろ答弁ございましたけれども、時間の制約もあることであるし、漁業問題についてはいろいろ聞きたいことがたくさんございますのではしょってお尋ねしていきますが、詳細についてはまた別途委員会でお伺いすることにして、あと農林大臣の所信表明の中で数点伺っておきますけれども、大臣は「食糧管理制度の適正、円滑な運営に努めることとし、」云々、こういうふうに言っておられますけれども、食管については大臣に就任されてどういうふうに考えておられるのか、食管は堅持されるのか、その点お答えをいただきたい。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 私は、食管制度は、米麦等主要食糧を生産をしておりますところの農民諸君にとりましても、消費者である国民の皆さんにとりましても、これはきわめて重要な制度である。したがって、この食管制度の根幹というものはあくまで堅持していく、こういう考えでございます。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 なぜこういったことをお尋ねしたかというと、大臣は団体等とのいろいろな懇談の中でも食管を維持していくというふうにおっしゃっているやに私承っておるものですから、明確にお聞きしておきたいと思って尋ねたのですが、食管堅持ということで力強いお答えでございましたので、その点は一応了としておきます。  そこで、所信表明の中でさらに「このためにも、両米価の逆ざやの段階的解消等適切な価格決定を行ってまいりたいと考えております。」こういうふうにおっしゃっておられます。逆ざや解消は五十一年が五百六十億、五十二年度八百億というふうに計上されて、逆ざやを解消しておられますけれども、いよいよ政府の考えというものが、五年以内に逆ざやを解消するのだということがだんだん鮮明にされつつあるように見受けておりますけれども、その逆ざや解消の計画というか、そういったことはどういうふうに考えておられるのか、その点まず明らかにしてください。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 これは段階的にこの逆ざやを解消していきたい、こういうことを申し上げておるわけでありまして、必ずしも年次計画を立てて何年間で達成をしなければならない、そういうことには考えておりません。食管法の命じるところによりまして、それを踏まえまして、そして農民の方々が再生産が確保され、その生活も安定をする、一方において消費者の家計並びに経済情勢というようなものを両方にらみ合わせながら、生産者米価並びに消費者米価を決めるわけでございまして、しゃにむにこの逆ざやを解消するために突き進んでいく、そういうような考えは持っておりません。生産者の立場、消費者の立場を考えながら、そして一方においてこの食管財政というものを健全化していく、合理化していくという考えでございますことを御理解をいただきたいと思います。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 大臣は、いまそういう答弁されましたが、食糧庁長官並びに食糧庁の方では、大体五年をめどに逆ざやを解消していくというふうにわれわれは受けとめておりますけれども、その点、食い違っておりませんか、どうですか。

大河原太一郎食糧庁長官

○大河原政府委員 お答え申し上げます。  大臣の御答弁に尽きるわけでございまして、おおむね五年を目途に段階的に売買の段階の逆ざやを解消いたすということでございまして、ただいま大臣も申されましたように、その場合の両米価の関係については、一方において生産者価格における再生産の確保並びに消費者米価におきましては家計、物価というものを勘案して決めるわけでございますので、そのときそのときの状況を見ながら、消費者の御理解を得て決めるということで、その点については、要点は大臣の申し上げたところに尽きるわけでございます。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 食糧庁長官が大臣をカバーして大臣の答弁に尽きるということでございましたけれども、それは違うわけでございます。あなたは同じようなことを言っているけれども、違うわけです。それで、公開の席だからそう言わざるを得ないかもしれませんが、大体五年をめどにということがだんだん鮮明になってきつつあるわけです。  私が言いたいのは、いまのようなやり方で逆ざやを解消していきますと、政府が買う値段と売る値段がだんだん縮まって、格差がいずれほとんどなくなってくる、こういうことになってくれば、逆に農家にしてみると、やみ業者に売っても政府に売っても同じになってくるんじゃないか。よって、政府に売るものがなくなる。食管制度の意味もなくなって、いわゆる食管そのものが変質してくる。食管の変質によって、今度は流通が乱れ混乱をする、こういったことが懸念されるわけです。そういったことは絶対ないと言われるのか、その点はどういうふうに考えておられるのか、その点もこの機会に明らかにしてください。

大河原太一郎食糧庁長官

○大河原政府委員 お答え申し上げます。  午前中の松沢先生の御質問もそれに関連したお話がございましたが、御案内のとおり両米価の逆ざやは、昭和四十年以降生産者米価はそれなりの水準に上昇いたしましたが、物価その池の関係で消費者米価を据え置いたという形から生じたわけでございまして、昭和三十七年ごろはおおむね順ざやでございました。しかも、食管の直接統制の本来の機能は発揮されたわけでございまして、たとえその売買の逆ざやの方が消滅した後におきましても、適正な制度の運用と特に生産者団体等の集荷力の発揮というような点に意を用いますれば、その点の御懸念のことは必ずしもないんじゃないかというふうに私ども現在考えておるわけでございます。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 大臣も就任されていろいろ御検討いただいておると思いますけれども、ことしの米価もかなり厳しいということでわれわれは受けとめておりまして、いずれ参議院選後の米価審議会ということになろうかと思うのですが、こういったことがいよいよ厳しい批判の的になってくる、こう思うわけです。おいおいこういった問題について大臣の見解をただし、またやってまいりますけれども、いま食糧庁長官が言ったようなことをよく受けとめていただいて、足腰の強い体質にするとおっしゃっておるけれども、ますます農家は足腰の弱い、ふらふらになってくる、こういうふうに思うわけですから、その点を十分ひとつ受けとめておいていただきたいと思うのです。大臣が就任しておられる間は、私も足腰の強いということをいつも念頭に入れて今後大臣にも要求していきたいと思っておりますので、認識を新たにして、ことしの米価についても十分対処されるようにお願いしておきます。  そこで、もう一点お伺いしておきますけれども、一昨年の昭和五十年五月中旬に閣議決定されて公表されましたところの昭和六十年を目途とする「農産物の需要と生産の長期見通し」というのがございます。これによりますと、この中に「水産物の需要と生産の見通し」というのがございますが、昭和六十年における水産物の総需要量は千四百七十五万トン、これに対し生産量の見通しは千百九十五万トンとなっております。  そこで、私が疑問に思うのは、現在でさえもソ連の一方的な二百海里通告によって水産業界は大変な危機に瀕しておりますし、一千万トンそこそこの生産確保に躍起になっておるときに、しかも今後わが国の漁業を取り巻く国際情勢というものは厳しさを増すばかりでございます。ちなみに、大日本水産会でさえも、同じ五十年三月に発表した資料によれば、外国の経済水域内での漁獲や開発輸入、深海漁業等によって将来は八百万トンぐらいという予測を立てております。大日本水産会でさえもそうですよ。余りに政府の見通しとかけ離れている。まあ裏話がいろいろあって、自給率のつじつまを合わせるために水産業の方に農林省の方でいろいろと鉛筆をねぶってやったというようないきさつも陰にあるようですが、それを一々とやかく言ういとまはございませんけれども、いずれにしてもこんな計画では国民の食糧確保、食糧政策に関する重大問題から見たときに、余りにもずさんではないか。果たして政府はいまでもこの千百九十五万トンを確保できる見通しを持っておるのか、もし確保できるとすればどういう根拠で確保すると思っていられるのか、その点を大臣からお答えいただきたい。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 瀬野先生御指摘のように、そういう六十年の見通しを立てました時点におきましては、今日のような厳しい二百海里時代というようなものは現実の問題として考慮の中になかったと私は率直にそのことを申し上げるわけでございます。しかしながら、私どもは海外におきましてできるだけ実績を確保いたしますと同時に、漁獲が減った分につきましてはできるだけ加工、保蔵、流通関係の合理化、新しい高度利用の技術の開発、そういうような点に力を入れまして、総体の漁獲量は減りましても、実質的に国民食糧の面におきましては、たん白食糧の充足ということにつきましては最善を尽くしてまいりたい、こう考えております。と同時に、その見通しの中には沿岸漁業は横ばいであるということが前提になっておりますが、こういう情勢下におきましては、わが国周辺の沿岸、沖合い漁業の振興、資源の積極的な培養あるいは増養殖、裁培漁業、そういう点にあらゆる工夫と努力を傾ける必要がある、そういうように考えておりまして、そういう施策を強力に展開することによりましてできるだけ今日の二百海里時代におけるしわ寄せ、これを緩和するような対策をとっていきたい、こう考えております。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 農林大臣おっしゃるように、確かに沿岸漁業の整備を図り養殖漁業を進める、当然のことです。またいろいろ施策をなさることも当然です。しかし、なかなか一挙には、沿岸漁業といいましてもすぐに百万トン二百万トンというふうに漁獲高が上がるわけではございません。しかし、努力はしていかなければならぬ。また、沿岸でできるだけ漁獲をするように努力することは当然です。また、農林大臣は別名水産大臣と言われますように、自他ともに水産には相当力を尽くしてこられた方であり、また水産に明るい方でもあります。そういった意味で、こういった二百海里時代を迎えて、私はいまのような目標というものが大日本水産会の目標からもずいぶん離れているし、事実こんなに千百九十五万トンと言っても、これはだれが考えてもなかなか納得できない数字です。そこで私はやはりこの長期見通しというものを見通しではなくて責任ある長期計画、こういうふうにして、そして長期計画を立てると同時に、六十年じゃ先が遠くて見えないので、五年後は、しからばことしはどうする、こういうように長期、中期、短期の計画を立てて、もっときちっとした計画を立てて国民に示す、こういったことが大事じゃないか。特に水産大臣と自負される、またそういうふうにみんなが言って、水産にかけてはベテランの農林大臣であるということで期待している鈴木農林大臣でありますが、私はそういうふうに思うのですが、その点どんなふうにお考えであるか御見解を承りたい。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 資源の拡大、資源の有効利用、こういうことなくしては大きな日本の水産業の発展は期せられないわけでございます。しかし、この資源の問題は瀬野先生御指摘のように、工場生産と違いまして、そう急に増大を図るというようなことはなかなか困難でございます。したがいまして、先ほどもお答えを申し上げたように、イワシであるとかサバであるとか、ああいう多獲性の魚族、これがいままで高度利用されていないといううらみがございます。こういうものをできるだけ付加価値を高めるように加工、保蔵等に力を入れまして、そしてこれを食糧に向ける、飼料、ミール等に落としておったものをできるだけ食糧に回す、こういうことが当面緊急に手を打てる問題である。と同時に、沿岸漁場開発整備事業等を積極的に展開をしてまいりますし、また未開発の新漁場の開発、未利用資源の活用、こういう点にも力を入れてまいる考えでございます。     〔菅波委員長代理退席、委員長着席〕

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 要するにいまちょっと申し上げましたが、この計画そのものが千百九十五万トンとなっておるけれども、これは過大計画であるから、大臣も当時と違って二百海里問題も起きたからこの目標については時代が変わったということをおっしゃっておるので、この計画についてはまた検討し直すというふうにしなければならぬではないかということが一つと、計画も六十年見通しで遠くて見えないから、五年、またことしはというふうに中、長、短期等の計画を立てていくということでしっかり勉強してもらいたい、また立ててもらいたいと思うのですが、その点どうですか。そういうふうに理解していいですか、簡潔にお答えください。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 いま御指摘のことにつきましても、十分長期とあわせて研究をいたします。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 十分長期とあわせて研究するということでございますが、これは当然のことだと思うのです。  それで、もう一点伺っておきますけれども、わが党も食糧基本法を制定すべきだということをしばしば申し上げ、本会議でも申し上げてきておるわけですが、御承知のように国が責任を持って食糧自給率を高め、農産物、水産物の安定確保を図るという法的根拠を現在の農政と水産行政を基本に据えるということで、当然これは考えていかねばならぬときが来ている、こういうように思うのです。これはわれわれ各党にも呼びかけいろいろ検討を進めておりますが、いずれにしても食糧基本法というものを制定して、今後国民の基本的な食糧を確保するということは大事である、かように思うのですが、これに対する認識は大臣どうお持ちであるか、それをあわせてお答えいただきたい。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 私は農業基本法あるいは農振法、それから漁業法、あるいは水産資源保護法、そういうような法律も現在あるわけでございまして、それらを一つの大きな総合食糧という目標に焦点を合わせまして適切な運用をすることによって十分対応できる、こう考えておりますが、食糧基本法の問題は各党でいろいろ御意見があるようでございますから、私どももせっかく勉強さしてもらいます。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 農林大臣の所信表明に対する質問は、はしょって申し上げましたが、以上で一応終わりまして、日ソ漁業交渉問題についてただいまから質問してまいりたいと思います。  二月二十八日から三月三日までソ連で行われた日ソ漁業交渉は、日本が全面的にソ連の二百海里漁業専管水域を認めた交換書簡という形で、四日間にわたった交渉を終了したわけであります。鈴木農林大臣が訪ソされる前日の去る二月二十六日、衆議院の予算委員会で、私一時間半にわたりていろいろと質問をし、取り上げてきたわけでありますが、その際、大臣に対して、イシコフ漁業相との交渉の方針なり決意なりを伺ってまいったところでございます。いろいろな問題ははしょってまいりますけれども、今回の交換書簡を見ますと、一つにはソ連二百海里水域における日本漁船の操業秩序を決める長期協定の締結交渉開始、二つには今漁期における暫定取り決めの三月末までの締結、三つには三月末までの日本漁船の安全操業の保障、四つには日本側の二百海里漁業水域設定方針の通告など、合意事項として盛り込んであります。早くも三月中のサケ・マス、ニシン漁の禁止をのまされたほか、事実上漁獲量規制も入っており、ソ連の主張を大幅に受け入れた内容となっておりまして、私たちも残念に思うことがたくさんございます。今後は、いわゆる俗に言われる三本立て交渉ということで、実質的にいろいろと交渉に入っていかれるわけでございますけれども、かなり日本側は厳しい、苦しい立場に置かれるということは報道を見ましても感じ取れますが、大臣が訪ソ前に決意を述べられたように、何としても実績を確保して、日本の食糧を守るためにがんばってもらわなければいかぬということには変わりありません。そういったことで、今後交渉に臨まれる大臣は、どういうふうな考えで臨まれるのか、その辺の方針なり腹構えをまず一点伺っておきたい。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 私が訪ソ前に瀬野先生から予算委員会で御鞭撻と御激励をちょうだいしたことを私は肝に銘じておるわけでありますが、あのとき予算委員会で述べました会談に臨む私の基本的な考え方、これはおおむねイシコフ漁業大臣との会談で私は通すことができた、実現することができた、このように自分なりに評価をいたしております。  ただ、その中で残念なことは、ニシンにつきまして三月中の操業を休止せざるを得なかった、こういう点でございます。この点は午前中にも申し上げましたところでありますが、日ソ漁業委員会の場において二、三年前から当該年度のニシンの漁獲を協議しよう、資源量を評価をして、そして許容量も決め、漁獲の条件、方法等も決めよう、そういう会議に入ろうとする前に、日本側は先に単独で一方的に出漁をするということは条約の精神に反するではないか、こういう指摘が執拗に繰り返されておったわけでございます。しかし、今年度は三月中といえどもソ連の二百海里内におけるニシンの操業になるわけでありまして、これをわが国が強行出漁等をいたしますれば、拿捕その他の不測の事態が起こり得る心配があるわけでございまして、これは涙をのんで、待機しておるニシン漁船に対して出漁の見合わせを求めた、こういう経過になっております。その他現在操業中の千数百隻の漁船の安全操業、これも取りつけることができましたし、また暫定取り決め、さらに基本協定、これを結ぶことによって新しい二百海里時代の日ソの漁業関係が将来に向かって再構築されるという場をつくり得た、私はこう考えております。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 交換書簡の中の第一項に、日本も近く二百海里漁業水域を設定するとの方針を通告したことがつけ加えられております。日本はこれまで二百海里の実施については常に慎重な態度をとっており、公式文書でその方針を明らかにしたのはこのときが初めてである、こういうふうに私は認識しておりますが、二百海里方針を通告した真意というものは何であるか、その点を大臣お答えいただきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 一つは、主要漁業国が海洋法会議の結論を待たないでそれぞれ二百海里というものを設定をしてきておる、アメリカ、カナダに続きまして、日本に匹敵する二大漁業国の一つであるソ連も二百海里を設定をした、こういうような厳しい現実がここにございます。また、今後日ソの間で長期取り決め等を交渉いたします場合におきましては、領海につきましては十二海里、また専管水域につきましても同じ条件、そういう同じ土俵の上で今後交渉をすることが国益を守るゆえんである、このように判断をしたからでございますが、いつやるかというその時期につきましては、国連海洋法会議が単一草案によりましてこの五月に開催をされるわけでございますから、それは見守ってしかるべきだ、こう私は考えております。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 実施の時期については、国連海洋法会議が五月にあるので、その結果を待ってというようなことでありますが、従来、海洋法会議の動向を見るが、同会議の結論を待ってからということではないというふうに、今回の日ソ交渉に当たって鈴木農林大臣は早期実施もあり得るようなことをほのめかしておられるわけですけれども、その辺は私の誤認識であるのか、またそのように受けとめておるのですけれども、そうなると、かなり早い時期に実施をするというふうにも考えられるのですけれども、大事なところですから、もう一回このことを当時の交渉を思い出してお答えをいただきたい。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 私が五月の国連海洋法会議の結果を見てと言いますことは、この五月の会議で単一草案というようなあの基礎の上に立って世界的な合意がなされる、海洋法というようなものができるということであれば、これは大変結構だ、こう思っております。しかしその結果、そういう結論が出ない、いつそういうものが国際的に合意されるかのめどが立たないという場合に、私は、じんぜん日を送っていける段階ではない、こう考えておるわけでございますが、せっかく単一草案に基づいて五月に国連海洋法会議が持たれるわけでございますから、その推移だけは見届けたい、こう考えております。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 そこで、時間が迫ってきますので、具体的な問題に入ってまいりますけれども、水産庁は、けさの報道によりますと「韓国と中国に対し「わが国は近く二百海里漁業専管水域を宣言するが、あくまでソ連との関係にとどめ、日中、日韓両漁業条約に基づく現状を変更する意思はない」旨を非公式に伝え」たと報道されておりますが、「両国の二百海里水域問題に対する意向を打診した」のか、これはいわゆる非公式的にやったのか、その点大臣からお答えをいただきたい。

岡安誠水産庁長官

○岡安政府委員 先ほども大臣からお答えしたわけでございますけれども、私どもは、二百海里設定につきましての考え方は大臣のお答えのとおりでございます。隣国韓国、中国に対しましては、その出方を慎重に見るという態度でございますけれども、新聞に報道されておりますような、非公式、公式ともまだ意向打診というようなことをしたことはございません。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 そうしますと、けさのこの報道というものは誤報、こういうふうに見ていいのですね。

岡安誠水産庁長官

○岡安政府委員 私もあの新聞を拝見いたしました。表題は非常にショッキングな表題でございますし、柱の方には先生御指摘のように書いてございますが、中の記事を見ますと、私どもがかねてから申し上げますとおり、わが国の二百海里設定につきましては、近隣諸国との関係を考慮して、これは慎重にやる必要があるという御答弁を繰り返しておりますけれども、またその内容につきましても、日韓、日中間におきましてはそれぞれ漁業協定が存在し、安定的な状態にある、これらを考慮しなければならないだろうというふうな記事になっております。したがって、私どもは重ねて申し上げますけれども、あの見出しないし記事の柱にありますように、非公式、公式とも、そういうような意向を打診したということはないというふうにお答えしておきます。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 けさの報道に対しては否定をされたわけですけれども、それではさらにお尋ねしてまいりますけれども、本日のこの報道は、いま答弁がありましたように、その真意は別としても、わが国の二百海里宣言については対ソ連についてのみということは十分考えられるわけでありますが、これは日韓、日中いま円満にいっておりますし、西日本の特に九州の各地においてもこういった点では一応満足しておる段階でございますので、いま慎重な答弁がございましたけれども、やはり対ソ連についてのみということは十分考えられると私は思うのですが、その点はどうですか。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 この漁業専管水域というのは、大体相互主義で私は臨んでいきたい、こう思っております。韓国あるいは中国等が進んで二百海里専管水域を設定をするというようなことになれば、これはまた別でございますけれども、相互主義でやっていきたい。ソ連に対しましては、向こうも二百海里を設定しておりますし、わが方としてもやはり同じ土俵で今後交渉することが、先ほど申し上げたように、国益を守るゆえんである、こう考えておりますので、すべて専管水域につきましては近隣諸国とは相互主義で臨んでいきたい、こう考えております。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 そこで大臣、韓国、中国への伝達は非公式的にも公式的にもなかった、こういうことで理解しますが、いずれにしても近い将来、そういう事態が訪れるということは、これはもう避けて通れない問題である、かように私たちは認識しております。特に西日本の漁民はいろいろと心配もしているわけです。そういった点、どう判断しておられるか、見通しについてはどう考えておられるか、お答えいただきます。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 具体的にわが国が二百海里専管水域を設定をいたします場合には、事前に近隣諸国にはわが方の考え方を伝える必要がある、理解と協力を求める必要がある、このようには考えております。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 そこでわが国の二百海里実施となった場合、これはいずれそういう時代が来るわけですけれども、日中、日韓の操業関係の影響性等については水産庁はもう当然調査に入っておられねばならぬと思うのですが、調査に入っておられるのかどうか。また、日韓、日中漁業協定というものはどう処理をする考えであるのか。その点もあわせてお答えをいただきたい。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 私は先ほども申し上げるように専管水域の問題は相互主義で臨みたい。そして日韓の漁業関係、日中の漁業関係は現在の両国との漁業協定によってきわめて安定した秩序の上に操業が確保されておる。このことは大事にしていきたい、こう考えております。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 問いに答えてもらいたいのですけれども、水産庁としては二百海里が実施となった場合の日中、日韓の操業関係の影響、こういったことについては当然調査をしておかなければ間に合わないと思うのですけれども、全然タッチせずに傍観しておられるのですか。

岡安誠水産庁長官

○岡安政府委員 先生の御質問が操業関係ということで必ずしも明確ではないわけでございますが、私ども遠洋漁業関係でたとえば韓国周辺二百海里でどれだけ漁獲量があるか、それからわが国周辺二百海里で韓国漁船がどれだけ漁獲を上げているかというようなこと、中国もそうでございますけれども、それらは私ども推定をいたしております。申し上げますと、韓国周辺沿岸二百海里の中でわが国漁船が上げております漁獲量は、昭和五十年度で約二十四万トンでございます。韓国がわが国沿岸周域、仮に二百海里内と考えた場合の操業実績は五千トンから一万トンぐらいの間というふうに考えております。中国につきましては、中国沿岸二百海里内でわが国漁船が上げております漁獲量は昭和五十年度におきましては大体十四万トン程度。わが国の近海では中国は現在漁労、漁獲をいたしておりません。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 いずれにしてもこの二百海里時代を迎えてきております。わが国も二百海里時代が近く到来することは、もうこれは大臣の答弁、また趨勢から見てもうなづけるところでありますが、どうしても避けて通れぬ問題であります。そこで二百海里については西日本の漁民は大変心配をしておるわけです。それでわが国の利害得失を考えた場合に、この二百海里宣言については、ソ連側沿岸だけにするか。また、日中、日韓はいまのところうまくいっているから、これには触れないとされるのか。いずれにしても二百海里の専管水域を設けることになりますと、西日本の漁民、こういった人たちを中心に国内の思想統一というか見解の統一ということが大事になってくると思うのですが、その点どういうふうに対処されるのか、その点、大臣からお答えをいただきたい。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 もとよりそういう重大な決定を下す場合におきましては、関係業界と十分話し合いをし、相互の理解の上に立って方針というものを決めなければならない、こう考えております。瀬野先生に繰り返し申し上げますが、二百海里漁業専管水域というのは、わが国としては相互主義の立場でこれを考えていきたい、この一言で御理解をいただきたいと思います。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 そこで、さらにこの領海十二海里の宣言との関係でお尋ねしますけれども、領海十二海里宣言より二百海里実施の宣言が先行するということが考えられる場合もあると私は思うんですけれども、その点はどういうふうにしておられるか。あくまでも十二海里をやってから二百海里を宣言するのか、二百海里を実施するのか。二百海里問題が急に起きてまいりましたので、その辺はどういうふうに対処されるのか、あわせてお答えをいただきたい。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 私は、まずこの国会に領海の幅員十二海里法というものを御提案申し上げて、各党の御理解のもとにこの国会でぜひこの領海法の成立をお願いをしたい、このように考えております。  なお、二百海里の問題は、先ほど申し上げたように国連海洋法会議、五月の推移も見届けた上で、二百海里の問題は具体的にいつやるかという方針を決めたい、このように考えておりますから、十二海里領海の方が先である、この国会でぜひお願いをしたい、こういうことでございます。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 そうしますと、交通整理すると、五月の海洋法会議の結果を待って二百海里の実施については検討していく。そうすれば、五月以前には二百海里の実施はないということが逆に言えば言えるわけですね。そうすると、それまでには十二海里宣言は領海法の提案をしてやっていく。これは当農林水産委員会に付託になるか、内閣委員会になるか、いろいろ問題があるところでありまして、漁業だけによれば農林水産関係、当委員会の所管でということも考えられますけれども、実際には領海、領土、防衛というような問題がございますので、その辺のところはいろいろ検討せねばならぬ、かように思っております。いずれにしても、十二海里については先にやる、こういうことのようでございます。  それで、さらに若干お尋ねしておきますけれども、暫定取り決めの最大の焦点というものは、北方四島周辺の線引き問題になる、こういうふうに私は思うわけですね。そこで、今回の会談では領土たな上げ方式を貫いたわけでありますが、暫定取り決めの際には、二百海里水域の具体的な線引きを避けて通れないことは明らかであります。  そこで、この領土問題については、大臣は先ほどの答弁で相互に、腹の中にあるものだ、こういったことを言われた。うまいことをまた言ったものだなあと思って、さっきうなずいて聞いておりましたが、農林省は八日、モスクワで十五日から開かれることしの日ソ漁業暫定取り決め交渉で、ソ連側が北方四島の領土問題と漁業問題を絡ませてくることはあるまいと判断されたようでありますが、何の根拠をもってそう言われるのか、その点明らかにしていただきたい、かように思うのです。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 イシコフ大臣と私の四日間にわたる会談におきまして、一切領土問題は、公式にも非公式にもどちらからも出ておりません。あくまで日ソ漁業の関係、将来に向かっての枠組みをどうするか、こういう観点できわめて友好裏に話し合いが進んだ経緯からいたしまして、私はそのように感じておるわけでございます。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 領土問題に絡ますと、なかなか漁業問題が解決できないということで、いわゆるはれものにさわるようなつもりで、ソ連側もまた日本側もあったんじゃないかという気もしないでもないですけれども、絡ませないと言っても二百海里実施を前提としての暫定交渉でありますから、ソ連は二百海里の線引きに際し、現に北方四島を含めることをすでに明らかにしているわけであります。これはもう御承知のとおりです。当然北方四島周辺での操業問題なり領土問題が絡まないわけにはいかない、かように私は考えるわけです。  御承知のように、暫定交渉は細目にわたっての各種課題が検討、討議された、議題となったということが言われておりますから、私はどうしても避けて通れないと思うんですが、避けて通れる、これは凍結して通れる、こういうふうに大臣は強い決心といいますか自信を持っていられるんですか。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 これは北方四島の沖合いの海域であるとかなんとかいう区別なしに、全体二百海里につきましても、わが国としてはまた政府としては、国民の権利義務にかかわる問題が相当あるわけでございます。したがいまして、基本協定を結ぶまでの間は暫定取り決めで、暫定措置でやる以外にない、このように考えるわけでございまして、日米基本条約あるいは暫定取り決め、こういうことを御参考に頭の中に描いていただきまして、国会の御承認と批准手続を得るまでの間は、両政府としてなし得ることとなし得ないことがおのずからあるわけでございます。したがいまして、暫定取り決めの段階では両政府としてなし得ることしかやらない。これは繰り返し私がイシコフさんに日本の国内の事情を十分御説明を申し上げて、理解を深めたところでございます。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 ソ連側は、日ソ漁業交渉で安全保障の問題についてもいろいろ約束されたけれども、実際、現場に行ってみると、あのようにサケ・マス、ニシンにしても、結局巡視船が追っかけてきて、退去せねばならぬということが起きたり、われわれが理解に苦しむことが起こる。どうも上の命令といいますか、通達が下まで届いていないのではないかと思って残念に思っているわけです。  そこで、百歩譲って、大臣のおっしゃることを私たちは理解するにしても、ソ連側の出方というものはなかなか予断を許さない、こういうふうに思うわけです。仮に取り決めができても、操業の実態面でなお解決のむずかしい問題が今後いろいろ起きてくるというふうに思うわけです。その点が大変不安なんですが、時間の関係で一々例は申しませんけれども、そういったことは今回のイシコフ漁業相との交渉に当たって、大臣はどういうふうに認識しておられるのか、その点あわせてお答えをいただきたい。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 私は、イシコフ漁業大臣と私との間で取り決めをいたしましたことは、わが方も誠意をもってその実施に努力をいたしますし、またソ連側におきましても約束は約束として守っていただきたい、また守っていただけるもの、このように信じております。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 それ以上の答弁は無理だと思います。そこで、なおお伺いしておきますけれども、大臣は水産関係はもう専門で特にお詳しいわけだから、詳しい説明は省きますが、特殊保険海域というのが北方四島にはあるわけですね。歯舞、色丹、国後、択捉、この四島の十二海里の海域の幅というものは、特殊保険海域としていわゆる国がいろいろとめんどうを見てきたわけですが、今度はソ連が一方的に二百海里を主張した。そうすると北方四島周辺を二百海里で大きく包むことになります。そうすると、従来のようにこの北方領土海域を特殊保険海域として二百海里についても認めるのかどうか。もしこれを認めるということになると、北方四島をわが国の固有の領土であると言いながらソ連の領土であると認めたかのようになる、こういうことを考えて心配するわけですが、その辺についてはどういうふうに考えておられるのか、まだ何もそういうことは考えておられぬのか。これは重大な問題であるので、大臣には詳しく背景を言わなくてもおわかりだと思うので省略して申し上げますが、この特殊保険海域、北方四島について二百海里に拡大した場合に、十二海里はいままで国がめんどうを見ておったけれども、二百海里についてもさらに見るのかどうするのか、これも漁民の心配しているところでございますので、あえてお伺いしておきます。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 わが方は北方四島におけるソ連の十二海里というものは認めておりません。認めておりませんが、コンブ協定というような民間協定によりまして四島の近接した沿岸におきましてコンブ等の操業がなされていることは御承知のとおりでございます。またイシコフさんとの会談におきましても、北海道並びに三陸等の日本の零細な中小漁船が北海道に近接した水域ではたくさん操業しておるという実態は十分イシコフさんも承知をいたしておるわけでございます。私は、お互いにそういう立場を理解し合いながら、相互の立場が立つように今後の暫定取り決め等は交渉を進めていきたい、こう考えております。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 農林大臣も、日ソ漁業交渉のさらに交渉を進める上で重要なときであるので、慎重の上にも慎重な重苦しいような答弁をしておられますが、交渉の過程でいろいろな言えない問題もあろうかと理解はしますが、いずれにしても、領海法の提案があれば、具体的な問題はまたいろいろたくさん質問することになると思いますが、一応、日ソ漁業交渉にまつわる問題はこのくらいにしておきますけれども、いずれにしても、わが国の食糧確保のために足腰の強い体質をつくる、こう言って大臣も決意しておられるし、特に漁業については、水産大臣と言われるような、専門にずっとやってこられた方でもある。そういう意味でよもや手落ちはないと思うけれども、私たちも今回のソ連の一方的通告についてはまことに寝耳に水で、漁民も驚いたが農林省も驚いた。私は、大使館を通じ、またあらゆる情報収集についても、幾らソ連とは言いながら、余りにも怠慢、余りにも情報の収集に疎かった、こういうように思うわけです。いろいろ予測はしておった問題でありますけれども、何かその周章ろうばいぶりがまことにけしからぬ、かように思っておるのですけれども、こういったことを含めて、もっと大使館を督励し、情報収集を密にして、重大な決意で、特に西日本の漁民も——北方領域の漁民は当然でありますけれども中、日韓両協定の問題と絡んで重大な関心を持っていまこれをながめております。北にばかり目を奪われて南の方、西の方を忘れてはならない、忘れるようなことはよもやあるわけはありませんけれども、十分これは頭に入れて対処していただきたい、こう思うのですが、時間の関係ではしょって申し上げたこの質問の締めくくりとして、そういった点について大臣の決意をお伺いしておきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 御指摘のとおり、わが国の漁業はきわめて重大な局面に立っております。私は全知全能を傾けて、このかつてない日本の漁業の険しい道を切り開いていきたい、最善を尽くしたい、こう申し上げておきます。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 農林大臣、もう朝からいろいろと答弁に立たれ、また参議院の方の答弁にも立たれて夕飯も抜きでがんばっておられるということで、これは人権問題でありますので、これで漁業問題は一応終わって、あと余す十分ぐらいの時間を通告しておりました林業問題の受益者負担問題について触れて、質問を終わることにしたいと思います。残余の問題は後日また改めてお伺いすることにしたいので、大臣、どうぞ中座して食事をしてきてください。あとは林野庁長官、ひとつ答弁席に立っていただいて、林業問題を若干御答弁いただきたいと思います。  公益的機能と受益者負担という問題については、私、国会に出ましてからしばしば当委員会でも見解をただしてまいりました。また四十九年のいわゆる森林法改正に当たっても、この問題を取り上げて当局の見解をただしてきたところでありますが、御承知のように国民的要請である森林の持つ公益的機能の強化を森林所有者のみに義務づけ、これを受益している者は何らの負担もせず受益するという現在のやり方は、社会的にも問題がある、かように私は指摘をしておるわけであります。森林の持つ公益的機能を維持増進するための森林施業に要する費用のかかり増し分は受益者負担とするような措置を講ずべきではないかというのが私の従来からの主張でございます。たとえば岐阜、愛知、三重の各県や関係市町村の出資により、出資金は八百三十二万円となっておりますが、いわゆる木曽三川、木曽川、揖斐川、長良川、上流地帯の水源涵養と国土保全を目的とした木曽三川水源造成公社というのがございます。業務は造林と治山事業を主としております。こういった公社が設立されてもう久しいわけですけれども、これに水需要者である岐阜、愛知、三重の三県から貸付金が出されて、中部電力株式会社もまた関西電力株式会社からも、寄付金という形ではありますが、設立時に七千三百万円が拠出され、その後例年金が出されております。こういったことについて、林野庁は、現況はどうであるか、これは十分承知しておられると思いますけれども、こういった実態についてどういうふうに認識しておられるか、お答えをいただきたい。

藍原義邦林野庁長官

○藍原政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、森林の公益的機能に対する負担を見よという声が最近出ておることは事実でございますし、私どもも認識いたしております。  それから、森林につきましては、確かに公益的機能があるということは十分われわれも承知しておりまして、マクロには計算した例もございます。しかしながらミクロの問題になりますと、非常にいろいろな問題点がございますが、現在のところ、先生お話ございましたように、木曽三川、あるいは琵琶湖に関連いたしまして、滋賀県に公社がそれぞれできておりまして、この二公社におきましてはそれぞれ下流の府県等から出資金等、あるいは事業費の一部を補助してもらいまして、造林を進めておるという事実はつかんでおります。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 それでこの木曽三川の例に見られますように、私も三、四件にわたってこういったことをいろいろ聴聞しておるのですけれども、林野庁長官はこういったぐあいのいわゆる芽生えがどのくらいあるか、どういうように掌握しておられるか、その点、お答えいただきたい。

藍原義邦林野庁長官

○藍原政府委員 現在、私どもが把握しておりますのは、木曽三川と滋賀県が主たるものというふうに考えておりますけれども、林野庁といたしましても、この問題につきましては検討を要するということで、四十九年からこの問題につきまして調査検討を進めてまいっております。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 この受益者負担の問題については四十九年から林野庁も検討を続けてきているというここでありますが、今後、公益的機能の強化に要する費用については、森林所有者のみの負担とせず、受益者負担の制度を確立していくということは、これは今後わが国のいわゆる林業を推進していく上に、また治山治水上からも、あらゆる意味からも私は大変大事なことじゃないか。ましてや御存じのように、昭和四十九年度、いわゆる林業の憲法と言われる森林法の大改正を行ったわけであります。そしてもう数年たちましたが、やはり私は、新しく長官も就任されましたし、いまの林野行政のあり方ということについて、きょうは時間があればいろいろただしたかったのですけれども、いろんな面において何となく停滞しておる、木材も低迷しておるし、いろんな意味においてこの林野行政はおくれをとっております。間伐もおくれておるし、いろんな批判が出ておることは事実です。そういった意味で私は、もっと国土の六八%というこの林野行政に力を尽くしていくべきである、そういう意味でこの受益者負担の原則にのっとった臨時措置法的な法制定をいずれは考えてやってくれないかと思って提案をしておるわけでありますけれども、これに対する長官の対処方針はどう考えておられるか、ひとつお答えをいただきたい。

藍原義邦林野庁長官

○藍原政府委員 森林の公益的機能に対します受益者負担の範囲の問題、あるいは程度の問題、こういう問題につきましては、具体的にこれを分析いたしましてその基準を決めるということは非常にむずかしい問題でございます。しかしながら、林野庁といたしましても、先ほど申し上げましたような、四十九年から森林造成維持費用分担推進調査ということで進めておりまして、今後慎重にこの問題については検討し、今後の方針を研究推進してまいりたいというふうに考えております。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 林野庁長官も今後十分検討し推進を図っていきたいという御答弁ですが、将来の日本の林業ということを考えたときに、こういったことはとても大事な問題でありますのでぜひ私は進めていかれるように、また法制化についても将来十分考えていかれる方向で検討されるように強く要望いたしておきます。  もう若干時間がございますので、もう一点お伺いしておきます。  林業公社の問題ですけれども、林業公社法、まあ仮称ですけれども、法律制定をぜひ考えていただきたいということでございます。御承知のように、拡大造林を図る目的で、昭和三十四年六月、長崎県に初めて対馬林業公社が設立されまして、以来すでに三十三府県に三十七の林業または造林公社が設立され、拡大造林の推進上大きな役割りを果たしてきていることは御承知のとおりでございます。特に最近においては、経済の不況に伴って就労の場が減少する中で、公社が行う造林事業の拡大は、森林組合が中心になって山村労務者の通年雇用対策が確立され、着々その業績が向上することはもちろん、治山治水上きわめて重要な地位を占めております。しかるに、この林業公社は林政上の地位が確立されていないために、公社運営上諸種の問題を抱えながら事業を行っていることも十分御承知のとおりです。  そこで私は、公団造林と林業公社との関係、これは国と地方の公共団体ということになりますが、これを一緒にしろと言っても無理だと思いますけれども、しかし多年の念願でもあるし、何とか林業公社法、まあ名前は変えてもいいですが、こういったことを中心とした法律を制定して、監督権限の確立、職員の身分安定等、基本的な問題の確立が必要である、またそうすることが将来わが国の拡大造林の上で大きな力になっていく、かようにも思っておるわけです。この問題いろいろありますけれども、これら林業公社に属する、または林業者がそういった希望を強く言っておりますし、林野庁も毎年恒例的にいろいろなこういった協議会を開いてやっておられますけれども、一向にこれに対する明確な明るい方針または今後の対処方針というものがはっきりしておりませんので、この機会に、最後になりましたけれども、林野庁長官から、このことについてどういう考えで臨まれるのか、お答えをいただきたい。

藍原義邦林野庁長官

○藍原政府委員 林業公社につきましては、先生いまお話ございましたように、全国に三十七現在できております。この公社につきましてはそれぞれの県におきまして拡大造林について的確な造林を進め、日本の林業に非常に貢献していることは事実でございます。しかしながら、それぞれの三十七について個々に見てまいりますと、その内容が必ずしも同一でないという問題もございます。そういう点、私どもとしても今後慎重に検討いたしまして、現在、公社におきますいろいろな問題点についてはさらに検討を詰め、今後どういうふうに対応していくか、慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 この林業公社については慎重に対処していくということでございますが、公団造林の方はどちらかと言うと、木を植えたにもかかわらず、後の維持管理、手入れが粗雑であるというようなことからいろいろ批判の向きもありますけれども、こういったところも十分今後公団造林についての指導もしてもらわなければならぬと思うのですが、そういったことは長官はどういったふうに受けとめておりますか。十分手入れが行き届くように——植えたのが手入れが行き届かなければ、結局は林分というのはずいぶん荒れてまいりますので、その点の認識を長官、お答えいただきたいと思います。

藍原義邦林野庁長官

○藍原政府委員 公団造林の造林につきましても、造林は植えるだけでは済まされない問題でございますし、十分な保育が必要でございます。したがいまして、保育等の問題につきましても十分公団を指導監督して、積極的にいい造林事業ができるよう、われわれとしても監督指導を図ってまいりたいと考えております。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 そこで、この林業公社については、まあ法制化については今後十分検討していくということでございますけれども、事実、三十七の林業公社があるわけですけれども、将来何かの形で法制定をする、こういうふうなめどがあるものかどうか。もう全然そういった法制定は考えられないものか。公団造林と一緒にはできないにしても、公団造林と林業公社が一緒であれば一番いいわけですけれども、これは国と県の関係がありますのでなかなか大変な問題だと思いますけれども、その点について長官はどういうふうに将来を見通しておられるか、さらにもう一度お答えをいただきたい。

藍原義邦林野庁長官

○藍原政府委員 先ほど御説明いたしましたように、三十七の公社につきましては、それぞれ性格はいろいろ違っておりますし、業務内容も違っておる点がございます。したがいまして、今後それぞれの意見も十分聞きながら、さらに慎重に検討を進めてまいりたいというふうに考えておりますけれども、当面は造林補助というような形並びに融資というような問題で対処してまいりたいというふうに考えております。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 それでは、大臣が来るまで質問を続行してよろしいということでございますので、さらに若干お尋ねしてまいります。  林業公社の問題で、対馬の林業公社はもうすでに本償還に入ってきております。いまの公社に対する融資等を見ますと、現に最大限度が三十五年となっておりますけれども、私は、この公社に対する融資は最大五十年ぐらいにしたい。いわゆる適正伐期齢級がこないうちに金を返す、本償還になる、こうなりますので、やはり融資の期間というものは、地域によって若干は違うにしても、最大五十年。三十五年据え置き、十五年償還というようなことを原則としてやるべきではないか、かように思っておりますけれども、その点長官はどういうふうにお考えですか。

藍原義邦林野庁長官

○藍原政府委員 融資の三十五年という期限につきましては、私ども必ずしも短いあるいは長いということは考えておりませんが、造林につきましては、先生十分御存じのとおり、その間におきまして間伐というものも行われます。したがいまして、三十五年の間には間伐による収入も一部入るわけでございますし、いまの段階では三十五年という融資期間で一応現状ではいいのではないかというふうに考えております。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 長官も余り心にないことをおっしゃっているようだけれども、林業家に対してその点は十分配慮してもらわなければいかぬが、間伐材がコストの関係、その他でなかなか利用か——これはきょういろいろ質問する予定でしたけれども時間がないので次の機会に譲りますけれども、間伐材の利用ということが大変問題になっているし、そういった意味で間伐材をこういった償還に充てるということはいまのところちょっと無理なところが多いわけです。そういった中で、私は、公社に対する融資はやはり五十年を限度にしてやる、こういうふうに将来ぜひ考えてもらいたい、早い機会に考えてもらいたい、かように思うわけです。  それともう一つ。締めくくりとして、この林業公社に対するいわゆる融資の場合に、いままでは事業費のみに融資をされ、人件費とか事務費、こういったものに対しては融資の対象になっておりません。私は、やはり今後造林を進めるためには、こういった事業費以外に、人件費、事務費等についても一〇〇%融資をするというふうな方向にいかなければますます厳しくなってくる、かように思うが、その点は公社のために林野庁長官は十分対処してもらいたいけれども、どういうお考えですか、最後に一言お答えください。

藍原義邦林野庁長官

○藍原政府委員 初めに間伐材の問題につきましても、私どもそういう意味からもただいま間伐につきましては、重点的な施策として、間伐が十分利用でき、森林の造成が十分対応できるような方途を考えておる次第でございます。  また、造林公社の融資等の問題につきましても、ただいま造林補助事業の中で事業費の一六%につきまして、その諸掛かりという形で、造林公社には一般の造林事業費のほかに四十八年からその制度を諸掛かり費として認めておりますし、さらには融資率につきましても最高九〇%という引き上げをいたしまして一〇%の引き上げもいたしまして、融資の率を高めるという形で造林公社が積極的に造林できますような対応を進めておる次第でございます。

瀬野栄次郎公明党・国民会議

○瀬野委員 時間が参りましたので、あと通告しました残余の問題はいずれまた農林大臣に質問をすることとして、以上で終わります。

金子岩三自由民主党

○金子委員長 野村光雄君。

野村光雄公明党・国民会議

○野村委員 私は、ただいままで質問がございましたわが党の瀬野委員の後を受けまして、限られたわずか三十分の予定時間でございますけれども、端的に大臣に御質問をいたしますので、大臣もひとつぜひ簡単明瞭に御答弁をいただきたい。最初にお願いをいたしておきます。  まず最初にお尋ねいたしたいことは、今回大臣がモスクワにおける日ソ漁業会談においでになりました。その会談の成果と今後の対応策について端的にお尋ねをいたしたいと思います。  いずれにいたしましても、今度の大臣の訪ソに対しましては、それなりに私どもも成果はあった、こういうふうに一応評価をいたしております。しかし、一面、率直に申し上げますと、今度の大臣の訪ソに対しましては、事の重大性にかんがみて遅きに失した、率直にこういうような感じで受けとめております。なぜかと申しますと、すでに大臣が訪ソなさいました時点におきまして、ソ連といたしましては二百海里体制というものが具体的にでき上がっていた。しかもその大きな証拠として、三月一日をめどとして具体的にソ連としてはこの取り締まり体制に入っていた、こういうようなさなかにあったために、今度の会談の成果が思うようにいかなかった、そういう一つの大きな欠陥があったのではないか。  もう一つは見通しの甘さについてでありますけれども、これは今回の訪ソの会談が大詰めに入った段階で予想以上にもつれ込んでいった、こういう実態からして、大臣は、この重大な課題に対しての対応策としての訪ソの時期としては遅きに失した、こういう率直な感じでお帰りになっているのではないか、こう考えるわけでございますけれども、この二点について率直な大臣の御感想をまず最初にお尋ねをいたしたいと思います。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 私の訪ソがおくれたことが交渉を困難にし、かつ不利に導いたのではないか、この点につきましては、昨年十二月の十日に幹部会令が出まして以来、できるだけ早く接触をしたいということであらゆる努力をいたしたわけでありますが、イシコフ漁業大臣がEC並びにノルウェー等の漁業交渉に忙殺をされておったということ、またイシコフ大臣を除いては漁業省の幹部の諸君も一言も発することができなかったというようなことで、ようやくノルウェーからお帰りになった二十八日から会談をすることができた。またイシコフ漁業相は、重要な問題であるからハイレベルの漁業相と日本の鈴木農林大臣との会談がすべての出発点である、こういうことで重光大使もわが方から参りました松浦海洋漁業部長も具体的な話し合いには入れなかった、こういう事情がありますことを御了承賜りたいと思います。  第二は、会談に臨んでの甘さがあったのではないか、そのことが最終段階において二日間交渉を延期せざるを得なくなった、こういう御指摘でございますが、私は、イシコフ大臣との会談は、私が東京を出発する際に頭に描いておりました諸懸案は、イシコフ大臣との間の友好的な話し合いの中ですべて処理することができた、このように自分は考えております。  ただ、最終段階におきましては、私とイシコフ大臣との会談を文書にしたためます場合におきましては、随員の諸君にしても向こうサイドの諸君にしても、やはり相当神経を使うわけでございまして、一字下句についてもなかなかゆるがせにできないということで、これに相当手間取ったということもございます。それから、イシコフ大臣が、全国の科学者の会議がモスクワで開かれまして、三日の日は一日その方に体を縛られたというような事情もございます。また、私はその間を利用しまして、私にすべて裁量を任されてはまいりましたけれども、大事をとって、このようにイシコフ大臣と合意をし、これを文書として交換をすることについて政府の確認を求めた、こういう慎重な手続もとったわけでございます。  以上のとおりのことでございまして、決して、当初甘い考えを持って最終段階で事態が紛糾をした、そういうことではないことを御理解を願いたいと思います。

野村光雄公明党・国民会議

○野村委員 私どもの立場から考えますと、若干のこれに対応する考え方に相違はございます。しかし、時間がございませんから次の問題に移りますけれども、もう一つは、今回の訪ソの実態の内容から申しまして、私は、先ほど申しましたようなすでにでき上がっておりましたソ連の二百海里の枠内に日本の方がはめ込まれてしまった、こういうふうにどうしても思えてならないわけでありますけれども、その具体的な実態といたしましては、今回の最終段階におきましてすべての懸案が今後にゆだねられてしまった、こういう時点と、さらに、非常に不幸なことでございますけれども、先ほど来大きな問題になっておりますニシンを初めといたしますサケ・マス漁業というものが操業を禁じられてしまった、こういう大きな混乱を巻き起こしているという現況に対して、大臣としてはどのように認識され、どのように対応なさろうとするのか、この点をもう一点お尋ねをいたしたいと思います。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 第一点の問題につきましては、私はわずか二日間の日程で訪ソをしたわけでございまして、暫定取り決めにしても基本協定にしても、そういう細部にわたっての話し合いを私は計算をし期待をして行ったものではございません。最大の問題は、三月一日から二百海里を設定するということについて、その時点で千数百隻の多数の漁船があの海域で操業しておる、これに拿捕その他の事態が起こらないように、安全操業が確保されるように、これが最大の私の関心事でございました。この点は、その後監視船に不徹底等の点があっていろいろ警告等を出すとかいろいろな問題はありましたけれども、一両日前からそれも徹底をしておるようでございます。  いずれにしても暫定取り決めができるまでの間安全操業が約束された、そして多数の漁船がとにかく取り決めができるまで操業を確保することができた、これは私が一番安心をした点でございます。  ニシンの三月中の操業停止の問題につきましては、これは午前中にもるるお話を申し上げましたように、日ソ合同委員会で一両年前からソ連側から執拗に当該年度のニシンの漁獲について交渉を始めよう、資源の評価あるいは許容漁獲量の設定あるいは操業の条件、方法、そういうことを取り決める会談の、交渉のテーブルにつく前にお先に失礼して日本の漁船が操業に入るということはルール違反だ、こういうことで強く日本にその点を迫ってきておったことは御承知のとおりでございます。  それが、今回は二百海里というものを設定をし、ニシンの漁につきましては二百海里の中で操業せざるを得ない、こういう事態に当面をいたしまして、それでもなおかつ日本が強行出漁、一方的な出漁ということになりますれば、拿捕その他の不祥事態は必至でございます。そういうことで、この点は涙をのんで中止せざるを得なかった。すべては、三月十五日から東京におけるシャルクの場においてニシンの問題はこの操業が確保できるように私どもとしては全力を尽くしたい、こう考えております。

野村光雄公明党・国民会議

○野村委員 次に、先ほど社会党の岡田委員の方からの御質問の中で御答弁なさっておった問題でありますけれども、いずれにいたしましても、ただいま大臣からお話がございましたとおり、現実としてはすべての課題はこれからの暫定協定という中で取り決められていくわけでございます。しかも、暫定とはいいながらも、いずれにいたしましても将来の基本協定の内容というものをお互いに想定しながら交渉が開始されるだろう、こう思っておる次第でありますけれども、その場合に当たって、最終的なこの暫定協定の調印と申しましょうか、最終段階のこの協定に対しては、当然大臣みずからが訪ソなさるなりして、この重要な最終的な暫定協定の取り決めは責任を持つべきだ、こう思いますけれども、この点に対してもう一回お尋ねをいたしたいと思います。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 私は、暫定取り決めにいたしましても、非常にその重要性というものを野村さんと同じように考えております。しかしこの暫定取り決めの交渉のすべては私と出先との緊密な連絡のもとに進められることでございまして、その結果につきましては、私が訪ソして調印すると否とにかかわらず、その重要政策の責任者である私の責任においてなされることである、このように考えております。国会の都合その他いろいろな状況を判断しながら、私としては最終的に訪ソをするかどうかを決めたい、こう考えております。

野村光雄公明党・国民会議

○野村委員 恐らく相手の協定当事者が、責任者がイシコフ漁業相になろう、こう想像するわけでございまして、当然その場合、大臣みずからがその対応者として出ることこそが本当の日本の漁民の立場に立っての希望でもあろう、私はこう思っております。そういう点に対して若干あいまいな御姿勢のようでございますけれども、たって私は漁民の立場に立って御要請申し上げておきますので、改めてひとつその点に対しての御答弁を煩わしたいと思います。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 野村先生の御意見は十二分に拝聴いたしました。いずれにしても前段で申し上げたようなことで、国会その他の関係すべてを判断いたしまして結論を出したい、こう思っております。

野村光雄公明党・国民会議

○野村委員 次に、先ほどもちょっと問題になっておりましたけれども、最近において、特に北海道沿岸漁民のソ連並びに韓国漁船の不法操業によりますところの損害が後を絶たないほど続発をいたしております。これは日ソ漁業操業協定に基づくところの処理委員会におきまして、この問題の損害賠償請求というものがいま何回となく論議されているようでございますけれども、この折衝の具体的な成果が一向に出てこない。こういう中でいま、非常に多くの北海道沿岸漁民の方々が不安の中に陥れられている状態でありますけれども、この処理委員会の現時点における進捗状況、対応、見通し等につきまして御答弁いただきたいと思います。

岡安誠水産庁長官

○岡安政府委員 いまお話ございましたとおり、ソ連漁船による損害の処理につきましては五十年の十月に日ソ漁業操業協定ができまして、それに基づきまして漁業損害賠償請求処理委員会というものが五十一年の三月から発足いたしております。協定によりましてその発効以前二カ年間、過去二カ年間でございますけれども、の紛争につきましても、この処理委員会でもって処理ができるということになりまして、現在七百十三件の案件がこの委員会にかかっております。  ただ委員会の発足当初は、手続その他につきましていろいろ論議がありまして、なかなか、直ちに案件の処理に入れなかったわけでございます。それからもう一つは、新しいことでございますので請求案件につきましての書類等が不備であり、その完備を待つ時間が必要であったこと等もありまして、現在まで処理を終わりましてモスクワの委員会に送付済みが二件ということになっております。いままでの結果は進捗状況がはなはだ悪いわけでございますが、私どもは今後は審議もスムーズに行われ、処理の件数も飛躍的に増大をするというふうに考えております。

野村光雄公明党・国民会議

○野村委員 端的にお聞きしますけれども、この処理委員会のソ連との話し合いに当たって、因果関係といいましょうか、加害者としての立場にソ連がはっきりと認識を改めているのか、その点はいかがでございますか。

岡安誠水産庁長官

○岡安政府委員 これはやはり因果関係を明らかにいたしまして加害者としての立場を認めて、その場合には損害賠償を支払うということになるわけでございますが、東京の委員会におきましては被害の状況等を確認し整理をするということにとどまりまして、それがモスクワ委員会に送られて、モスクワ委員会ではその因果関係を調べる、そこで明らかになった場合に賠償の支払い等が行われるというようなことになるわけでございます。

野村光雄公明党・国民会議

○野村委員 日ソ漁業操業協定の中に当然操業ルールというものがございまして、御存じのとおり操業に当たっては、投網してある場合には、昼間の場合は、たとえて言えば旗を立ててある場合はここに網が設置してあるぞ、夜は電灯をともす、こういうようにして操業協定のルールというものが両者において合意に達しております。しかし、私は地元の沿岸漁民の生々しい実態をつぶさにお聞きして見てまいったわけでありますけれども、これはぜひ大臣にも一回見ていただきたいと思いまして現場の写真を持ってまいりましたので、事務局の方大臣に見せていただきたいのです。(野村委員、写真を示す)  これだけ明確な旗が立っていながら、操業ルールというものを無視して一方的にソ連漁船が入ってきている、こういう具体的な実態というものがありながらも、依然としてこの補償金というものが出てこない、認めようとしない。  もう一つは具体的な実例、御存じと思いますけれども昭和四十九年一月六日、北海道白糠町の片山さんの所有する豊栄丸という十九トンの船が、ソ連漁船によりまして沈没をさせられております事件がございます。すでに二カ年有余たっていながら、いまだに補償金も見舞い金も出ていない。私は去る三日、現地を確かめてみました。この十九トンの当時七千万する船、しかし何らかの補償もなくしていま、やむを得なくして四トン余りの小船で操業をしている、こういう実態でございます。  その他、最近にわたりましても、本土沿岸の漁網、漁具というものがソ連、韓国漁船にひっきりなしに破壊されておりまして、こういう実態の中で何らの補償、弁償もなくして、漁民はいま、将来の生活に大きな不安を抱いておるわけでございます。  そこで、端的に大臣にぜひこの点はお聞きしたいわけでありますけれども、これだけ具体的な実態、しかも長い間破損させられっぱなし、何らの対応的補償も見舞い金もないという中で、多くの沿岸漁民の方々がいま路頭に迷っております。そこで、現在両者において話し合いになっております被害件数と被害金額、これをソ連から賠償金として金が出るまで当然国で一時立てかえ払いをして、漁民が安心して漁業にいそしめるような経済的な対応策を講ずべきだ、こういうふうに思いますけれども、ひとつ大臣の御見解を承りたいと思います。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 この問題は私も大変頭を痛めておる問題でございまして、野村先生が御指摘になりました案件は、いま審議を急いでおる問題でございます。  それから、全体の問題の日本及びモスクワにおける審議の促進、これにつきましても、ソ連当局にもその促進方を強く求めておるところでございます。  さらに、こういうような事態が今後発生しないようにいたしますためには、何といってもその抜本策としては早急に領海法の十二海里設定を急がなければならない、こう考えておるわけでありまして、そういう意味合いで、就任早々、この十二海里を政府の方針として閣議で方針を決定していただきまして、今国会に提案をいたし、国会の皆さん方の御理解、御協力によって国会中にぜひこれを成立さしたい、このように考えておるわけでございます。  なお、ソ連から賠償のことがなされるまでの間、国内で政府において処理したらどうか、こういうお話でございますが、これは民事の問題でもございましてなかなかむずかしい問題がございますが、いろいろ政府部内でも相談をしてみたい、こう考えております。

野村光雄公明党・国民会議

○野村委員 大臣の御答弁を聞いておりますと、相談をするという程度でございまして、民事ではあるとは言いながら、日ソ漁業操業協定におきまして、この処理委員会というものによって、いまお互いにこの実態というものに対して対応しようとしてこの損害賠償請求を日本としても積極的にやっているわけですから、しかも先ほど言ったように、具体的にソ連漁船によって船が全部沈没させられた、二年たってもただの一銭も見舞い金もない、全部漁民自身がこの負担をさせられているわけですから、私は単なる検討という段階でなくして、本当に大臣が漁民の立場に立った大臣として、ひとつ心温かい具体的な経済的な援助対策を早急に講じていただきたいということを強く要請をいたしておきます。  もう一つは、私が非常に腑に落ちないと思っておりますことは、これだけの多くの問題が懸案となりまして、一方で処理委員会が開かれておりながら、一方では何らソ連も韓国漁船も反省しようとしないで、すでにことしの年明けから以降におきましても、本道、日高初め胆振沿岸におきまして百七件からの事件が起きております。損害額もすでに三千六百万、こういうふうにまで出てきております。今月に入りましても、現地に聞きますと、連続のようにソ連の不法操業というものによりまして沿岸漁民が痛めつけられておる。こういうふうに、一方で処理委員会というものによって損害賠償請求というものを起こしてこれにかけておりながら、一方では何ら反省しないで次から次へ依然として起きておるというこの姿勢であります。ですから私は、損害の処理は処理、そして損害の処理さえすれば何ぼ起こしてもいいのか、そうではないと思う。あくまでも、願わくは未然にこういうことが二度と再びない、そういうための日ソ漁業操業協定であろう、私はこのように趣旨を踏まえておりますけれども、これに対するもっと具体的な厳しい態勢で関係漁業団体なり、また漁業相に対して厳しい申し入れをするべきである、こういうように思っておりますけれども、この点に対してお尋ねをいたしたい。  さらに、時間がございませんから、私の聞くところだけ聞いてしまっておきます。  せっかくおいでいただきました海上保安庁の方に、あわせて二、三点御質問いたしますけれども、先ほど来申し上げておりますとおり、紛争がだんだんと渦中に大きく渦巻いてまいっておりまして、これに対するところの海上保安庁の対応の仕方に対しましては、先ほども岡田委員の御質問の御答弁の中で、ヘリコプター等が何機か増強される、この対応策が一応発表されたわけでございますけれども、ただ私は、先ほどの増強計画ぐらいで——これからさらに二百海里問題、こういうものが大きな紛争の要点となって拡大していくであろう、こういうさなかにあって、わずかな警備増強ぐらいで対応できるのかということが第一点であります。  第二点といたしましては、ソ連漁船によりまして漁民がこういうような見え透いた、先ほどの写真にございましたような事態にぶつかって、そうして対応策を求めても、現地に対応しております海上保安庁の巡視艇がソ連語でしゃべれる通訳一人さえ乗っていない、現場の実態に即応した対応さえできない、これが実態じゃないかと思います。そういう点に対する海上保安庁の、あわせてのこれからの対応策について御答弁をいただきたいと思います。

岡安誠水産庁長官

○岡安政府委員 確かに、御指摘のとおりソ連並びに韓国漁船とのトラブルというものが後を絶たないということは残念に思っております。ソ連との間におきましては、日ソ漁業操業協定ができて以来は、前後一年間の被害を比べた場合には大体七割ぐらいは減ったという実績がありましたのにもかかわらず、最近またいろいろ被害が増大をしている。それから日韓の間におきましても、民間の安全操業等に関します協議会が設けられてからは被害等も減りましたわけですが、最近やはりまた被害がふえつつある。はなはだ残念に思っております。その都度抗議はいたしておりますが、やはり被害の大部分が沿岸の十二海里以内で起こっております。船の沈没等もございますが、主として定置性の刺し網等の被害が大部分でございます。  そこで私どもといたしましては、早期に領海を十二海里に拡張するというような措置を講じたいと思っておるわけでございまして、それによりますれば被害の相当部分、これはなくなるものというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、今後とも被害をなくする方向におきまして、私どもさらに関係国とは話し合いを続けたい、かように考えておる次第でございます。

間孝海上保安庁次長

○間政府委員 先ほどの御質問にございましたまず第一点、ソ連あるいは韓国の漁船によりますところの日本の漁業者の受ける被害に対する海上保安庁の対応の体制という点がまず第一でございますが、この北海道の南岸におきまして、すでにこれまでソ連船を中心といたしまして相当な被害が出ておりまして、これにつきましては、海上保安庁といたしましてこの海域に巡視船を随時派遣いたしまして、ソ連船に対しましてスピーカーで——これはテープに吹き込んだものをスピーカーで流しまして、ソ連船に対して注意を喚起する等のやり方によりましてソ連船によるところの事故防止を図ってまいったところでございますが、最近、三月に入りましてソ連の二百海里の漁業専管水域の設定に伴いまして、韓国の漁船がこの方面に多数参って、それによるところの被害のおそれが出てまいりましたので、海上保安庁としましてはこの三月に入りまして、この海域での巡視船を常時四隻にふやしまして、これらによりまして韓国船に対しましても必要な注意を行い、あるいは現場におきまして、漁具に韓国の漁船が接近をいたしました場合には、その間に入りまして事故の防止に努めておるわけでございます。しかし遺憾ながら広い海域のことでございますし、現在海上保安庁がこれに割いております四隻というこの巡視船の数も、現在あの方面に配置しております船の隻数から申しますと、精いっぱいのいまは努力をいたしておるところでございますが、その結果やはりなお目の届かないところにおきまして被害が発生しておるということは大変残念なことでございます。聞くところによりますと、当初は韓国船は領海三海里のすれすれのところまで入ってきておったというのが、最近ではそれが逐次沖合いの方に少しずつ動きつつあるというふうな情報も耳にいたしておりまして、私どもは今後そういう韓国漁船の動向も見ながら今後の体制の問題についても考えていきたい、かように考えております。  さらに二百海里という問題につきましての対応体制につきましては、来年度の予算案にヘリコプター搭載巡視船の建造あるいは大型飛行機の増強という問題が盛り込まれておりますが、もちろんこれで私どもは十分であるというふうに考えているわけでございませんで、今後引き続いてそういう船艇あるいは航空機の増強について努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それから御質問の第二点の海上保安庁の職員のソ連語の問題でございますが、確かにこれは御指摘を受けるまでもなく、私どもソ連語についてはきわめて貧弱であるということを認めざるを得ないわけでございまして、現在全国的に十名ほどソ連語の話せる者がおるわけでございますが、いまそのうちの四名が北海道地区に配置されておりまして、交代で巡視船に乗って仕事をいたしておるわけでございます。何と申しましても、ソ連語と申しますのは日本では一つの特殊の語学でございますので、なかなかそれに役に立つ人間を養成するということがこれまで大変むずかしかった、こういう事情があることは先生御理解をいただきたいのでございますが、しかしこういう時世になりましたので、海上保安庁としましても早急にソ連語の研修を行いまして、今後のこういう対ソ連漁船との間の紛争に備えていきたいというふうに考えております。いまそういう私どもの姿勢で取り組んでおりますので、どうかひとつ御了解をいただきたいと存じます。

野村光雄公明党・国民会議

○野村委員 では予定の時間を超過いたしておりますので、これで終わります。

金子岩三自由民主党

○金子委員長 この際、間海上保安庁次長から発言を求められておりますのでこれを許します。間海上保安庁次長。

間孝海上保安庁次長

○間政府委員 先ほど岡田委員の御質問をいただきました際に私がお答え申し上げました中で、一点間違った点がございましたので、この機会に訂正をさせていただきたいと存じます。  その点は、海上保安庁の今後の二百海里対応体制に伴うところの体制の整備の中で、現在巡視艇が百五隻あるということを申し上げましたが、これは二百十五隻の間違いでございました。その点謹んで訂正を申し上げます。

金子岩三自由民主党

○金子委員長 津川武一君。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 農林大臣、どうも大変なイシコフ漁業相との交渉、成果は別問題としてどうも御苦労さまでした。  そこで私たちこの状態、いろいろな点から見ておりますが、発展途上国がその経済権益を守ろうとする動き、これに便乗してアメリカなどの大国が海洋資源の再分割に乗り出したこと、日本ばかりじゃないのですが、日本の大手資本の漁業家がかなり資源を乱獲させた、こんなめんどうな状態が起きて、いまわれわれがここで論議しなければならぬような状態になっております。しかし、私たちはこれに対して、必ず将来非常に正しい公正な海洋資源を国際的に管理する道が開かれると思っております。そのために私たち日本は、持っておる技術、この技術が全人類の幸せにつながれるように、そしてまた日本は漁業の先進国である、ソ連も先進国である、この二つの国はかなりこの状態を解決するために責任があるし、積極的に努力しなければならぬ。われわれもそのためにがんばるつもりでございます。そこで、外交でございます。何といってもこういう大きな立場から積極的に正しい外交政策を展開しなければならないと思っているわけであります。  そこで、今度イシコフ漁業相とうちの農林大臣が交換した書簡の第一項を見ても、ソ連邦は、ソ連太平洋沿岸に接続し、そしてここから二百海里、鈴木農林大臣が提起した方針で言うと、日本国の沿岸、これの二百海里沿岸です。これはだれが何と言っても領土です。領土を抜きにしてこれは決まらない話なんです。こういう大事な仕事なんです。  もう一つには、この三月十五日に日ソ漁業条約下での委員会を開かなければならぬでしょう。三月三十一日までには暫定取り決めをしなければならぬ。七七年の十二月三十一日までには基本協定が発効するようにしなければならぬ。大変大事なときに来ております。これが二つ目の理由。  三つ目は、先ほど話したようにこの問題を解決する上において、日ソがやはり一番積極的に取り組まなければならぬ。これは一番よけい漁獲量をとっておる。漁業に対して一番関心が深い。漁業に対して一番積極的だ。そして技術的にも検討されている。この二つの国は相互にまず協力して、ここで世界の問題解決に当たらなければならぬ。  四つ目には、マスコミがあれほど報道するのでもわかるように、いまや国民的な課題になっているわけです。  そこで鈴木さんが行かれて御苦労さんでしたが、こういう点では日本の最高トップ、これとソ連の最高トップがまずじっくり話し合ってから事を進めなければ私は枝葉になると思います。福田さんが十九日にアメリカに立たれると聞いておりますが、そういう意味合いのソ連の最高首脳と日本の福田総理を先頭とした外交交渉を本当は一番最初にやって暫定取り決めなりに進めばよろしいのですが、これからでも遅くない、できるだけ早い機会にそういう外交を展開すべきだと思うのですが、いかがでございます。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 津川さん御指摘のとおり、国連海洋法会議で新しい海洋秩序につきまして国際的な会議が継続しておる、そういう段階にアメリカ、カナダ、さらにソ連までが二百海里を一方的に宣言をした、設定をしたということは、まことに残念に思うわけでございます。私はこの点につきまして、イシコフ漁業大臣とも、日本も遠洋漁業国である、ソ連も遠洋漁業国である、こういう世界の二大遠洋漁業国が世界に向かって海洋資源の合理的な利用、資源の保存、管理、こういうルールの上に立って、独占支配するような海の閉鎖的な秩序を打ち立てようとしておることはわれわれのとらざるところである、だから、両国はそういう共通の立場に立って今後海洋法会議にも対処すべきであるし、各国との交渉もすべきだ、それにはまず日ソの間においても伝統的な友好の上に立った漁業実績をお互いに尊重し合うことが必要ではないか、こういう大局的な立場に立って十分意見の交換をしたわけでございます。イシコフさんは、わが国としてもアメリカ、カナダ、EC、ノルウェー、そういうところが二百海里をやったので、やむを得ずやらざるを得なかったという苦衷を述べておりましたが、私はイシコフさんも非常に苦しい立場に置かれておるということをくみ取ったわけでございます。したがいまして、日ソの今回の漁業会談は、そういう基本的な立場の上に立って漁業問題と今後の将来にわたっての新しい日ソ漁業関係を築くのだという観点で話し合いをいたしたわけでございます。  もう一点。領土問題につきましては、先ほども私繰り返し申し上げたのでありますが、イシコフさんと私の間におきましては、領土問題は公式にも非公式にも一切出ておりません。私の認識では、この北方四島の問題は、一九七三年に、モスクワにおけるブレジネフと田中首相とのトップ会談におきまして、戦後未解決の問題を解決して日ソの平和条約締結のための交渉を今後も継続するということで合意かされており、また、その後、両国の外務大臣の間に、未解決の問題という中には北方の四島の問題が含まれておるということも確認をされておる問題でございます。したがいまして、われわれの漁業交渉におきましても、両国か未解決の懸案として今後も交渉を続けようという問題でございますから、そういうものに足を踏み込んでまいりますと漁業交渉はできない、そういうものを離れて日ソ漁業関係の将来の枠組みを話し合う、こういう観点で会談が終始したということを御報告申し上げておくわけでございます。  これから暫定取り決めなり基本協定なりそういうものが行われるわけでございますけれども、日本におきましても、日本沿岸に接続する海域、こういう立場に立つわけでございまして、そういう観点からも、現在は二百海里専管水域法というものは日本ではまだできていないけれども、近く日本もこれを設定する方針であるということを私は明確に申し述べまして、それは交換書簡の中に明記いたしておるところでございます。今後、北方の海域に対しましても、漁業の取り決めにいたしましても、そういう立場に立ってやってまいりたい、このように考えております。  また、イシコフさんも、三十年以上にわたって日ソの漁業交渉に当たってこられております関係もございまして、日本の実情もよくわきまえておられます。北海道に接続するあの海域は、中小の零細な漁船がたくさん操業しておる海域である、これについては自分も十分認識をしておるのだということを申し述べておられたわけでございまして、私どもはそういう認識を持っておられる方を相手にして、そして漁業交渉が進められる。これは、全然日本の事情も知らない、日ソ漁業の伝統的な関係も知らない方と交渉するのとは違いまして、私はそこに両国の利益に沿うような取り決めができることを期待いたしておるところでございます。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 大臣の非常に熱心な、抱負のある長い答弁、よくわかりました。  そこで、大臣、担当農林大臣の鈴木さんを私は役不足とは申しません。外務大臣も役不足とは申しません。事ここまで来たので、総理大臣がみずからソ連に行くか、ソ連のブレジネフさんかイシコフさんを日本に招致するか、いずれかにしてトップの会談をやって、世界の漁業界に大きな役割りを果たしておる日ソ、この二つの国がまず基本方針を相談すべき時期に来ている、こう私は大臣に尋ねたわけであります。いかがでございますか。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 日ソの漁業関係は、北洋における漁業問題が一つの道案内になって戦後における日ソの国交正常化がもたらされた、こういう認識を私は持っておりますし、日ソの友好関係は漁業関係を抜きにしては考えられない、日ソ漁業関係は日ソ友好のかけ橋である、それほど非常に重要な問題だと考えておるわけでございまして、その点は、総理とブレジネフ書記長の最高指導者が会ってこの問題を話し合ってもしかるべきほど重要な問題であると考えております。  そこで、日本の田中総理がモスクワを訪問したわけでございますから、また、その際、日本にブレジネフ書記長を御招待申し上げておることでございますから、今度はどうかブレジネフさんが日本においでになって、総理とこういう問題でじっくりお話し合いになることを私は期待いたしておるわけでございます。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 そこで、これからの進行上の手続の点について若干質問したいと思います。  先ほどの答弁でも明らかなように、イシコフ漁業相は、権限を預けられているのは七七年十二月三十一日まで、うちの大臣は、基本条約を締結する、しかし通常国会で承認しなければならぬ、となれば七八年五月ごろからでないとぐあいが悪い、こう申された。そこのところは食い違ってしまっておる。しかし、ことしじゅうに基本条約を決めないと困る状態になってしまう。とすれば、これと並んで暫定協定を三月中に決めなければならぬ。日ソ漁業条約に従って、サケ・マスにしろ委員会も開かなければならぬ。こういう情勢になりました。大変になりました。私たちも全力を挙げる。とすれば、基本条約はことしじゅうに取り決めをする。それだけでない、ことしじゅうに国会の承認を得なければならぬ。先ほど鈴木大臣は、はしなくも、私は行政府としてできることだけ一生懸命やると言ったが、行政府ができない問題としては、国会承認の問題がひっかかっていると思うのです。したがって、順序とすれば、年内に基本条約を締結して、臨時国会で国会の承認を得られる、こういう形になると思うのですが、こういうふうなつもりでございますか。それができないと大変な状態になるので、また別な手段があるのか、ここいらを明らかにしていただきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 私は先ほど申し上げた点、いま津川さんから御指摘がございましたが、このことは福田総理にもイシコフさんとの会談の結果を詳細に御報告を申し上げてあるわけでございまして、一九七七年の十二月三十一日までに基本協定は発効しなければならない、こういうことも申し上げており、それをいつ国会の御承認の手続をとるか、総理の御判断を仰がなければいかぬということで、総理にも考えていただくことにいたしておるわけでございます。  それと同時に、これは国会の方との御相談もしなければならぬわけでございまして、私としては、先ほど来申し上げた経過からいたしまして、年内にこれが国会の承認と批准手続が完了することを心から願っておるものでございます。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 日本が二百海里の設定をすることは後でまたもう一回お尋ねしますが、この基本協定の国会承認と同時に、二百海里設定、そのために必要な手続もあるかと思うわけです。その点で、私たち共産党はこの間二百海里問題に対する提言を行って、この提言の中で、必要なときに必要に応じて沿岸に二百海里水域を設定できるようにしておくために、われわれは漁業専管水域法などという名前で呼んでいますが、こういったものでもつくっておいて、いつでも設定できるようにすることも一つの方法なのですが、鈴木農林大臣の考えているのは、そのものずばりを一回で出していくつもりか、そういうものができるような法案を提案しておいてやられるつもりか、そこのところをもう一つ答えていただきます。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 私はこの二百海里漁業専管水域は宣言にはなじまない、どうしても立法措置が必要である、このように考えております。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 そうすると、立法措置も基本協定と同じにやりますか、かなり時期が離れてもいいと考えていますか。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 私は五月の海洋法会議の結論を見た上で、できるだけ早い方がよろしい、こういうぐあいに考えております。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 そこで、領土問題ですが、先ほどから繰り返し繰り返し大臣は領土問題は公的にも私的にも問題にならなかった、こう言っておりますが、第一項は、「ソ連側は、ソ連邦太平洋沿岸に接続し」「ソ連邦最高会議幹部会令の適用を受ける海洋区域」これを去年の十二月十日に命令を発して、決定して、そしてことしの二月二十四日に閣僚会議で線引きを決定しております。この二百海里というのは沿岸からです。今度はこちらの方ですが、「なお、日本国政府は、近く日本国の沿岸に二百カイリの漁業水域を設定する方針である」、だとすれば、領土問題を話さなかったと言いましたけれども、実質領土問題を討議したことになりませんか。領土問題抜きにして海里問題が解決できますか、しこれが一つ。  もう一つ。いろいろなことがたくさんある中で、なぜ共同声明にならないで書簡の交換になったか。いろいろ何か仄聞するところ、マスコミの中で報道で流れているところを総合しますと、どうやら共同声明にするつもりであったのが領土問題で暗礁に乗り上げてこういうことになったのだ、実際には領土問題が問題になったのだ、そうすると事がめんどうになるから、ならなかったことに両方で決めたのだというのだ。実態はどうなんだ、ここに国民の不安、関心、聞きたいことがひそんでいるわけです。  もう一つ。あなたは、北海道から出ていく人たちは、四島のきわめて近いところで出ているから、この状態を考えてくれ。イシコフは、わかった。たったいまイシコフがよく日本の事情をわかっていると言った。この中には、あなたは暗々裏に、向こうが四島の領土を主張していることを了解し、こちらでまた言ってきて、そこで今度の交換書簡も玉虫色になっている、そこらが実態なんです。現実に進んでいるのは領土問題が進んでいる、こういう点なんですが、ここのところは一体どうなんです。書簡の中で言っている海洋区域、これは十二月十日の向こうの決定だ。二月二十四日の閣僚会議で線引きをした。私の理解で言うと、最高会議というのは向こうの法律、二月二十四日の閣僚会議で決めたのは、日本で言うと省令だと思うのです。ソ連の最高会議の命令というのは法律だ、法律の中に省令が当然含まれているものだ、賢明なあなただから、このことを抜きにして進めたとすれば大変な事件なんです。したがって、本当の実態をこの際国会を通じて国民に明らかにすべきときにきている。公的にも私的にも問題にならなかったでは通らない。イシコフとあなたがこれだけやっている。これは領土を確認をした上での話なんだ。この文書は両方で相互主義なんだ。どっちも領土と認めているのだ。これを黙ってきているとすれば、向こうの言い分を認めてきたことになる。ここいらに対して、交渉の経過と本当の実態を報告していただいて、これに対する今後の日本の基本計画ではこれは避けられない課題になってくる。だからこそトップ会談を私は要求しているのです。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 先ほど来繰り返して申し上げておりますように、領土問題は非公式にも公式にも一切触れておりません。そして、私とイシコフさんが話し合いをいたしました問題は、すべて交換をいたしました書簡の中に明記をいたしておるわけでございます。普通の場合では共同コミュニケで大筋を発表する、そしてそういう取り決めの細部にわたっては、交換公文なりあるいは書簡の交換なり議事録としてそれば未発表にする、こういうたてまえであろうと思います。私は、この共同コミュニケにかわりまして、最後の全体の委員会におきましてイシコフさんが口頭であいさつをされ、私があいさつをし、そこには随行の記者団も在モスクワの記者団も全部集まっておられたオープンの中でそういうあいさつを交換をしたわけでございます。そして細部の具体的な問題はいま申し上げたような交換書簡、これの中に明記をしております。しかも、私の方からこれをイシコフさんに要請をして、日本としては非常に漁民も全国民も大きな関心の問題として注視している問題であるから、これを伏せるわけにはいかない、公表するということを申し入れをいたしました。それは鈴木農林大臣に取り扱いはお任せする、どうぞ御自由に扱ってほしいということで、私は即刻記者団に対してこの往復の書簡を公表した、こういうことでございまして、それが全部でございます。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 そこで、議事録の中に領土問題のことは書かれてないでしょうね。発表しないと言っている。秘密にする、発表しない。ここのところは大丈夫ですか。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 議事録というのはこの交換書簡、これに全部集約されて載っておるわけでございます。したがいまして、先ほど来申し上げるように、公式にも非公式にも私とイシコフさんの間で領土問題については一切触れていないということを再度ここで申し上げておくわけでございます。領土問題につきましては、先ほど来申し上げるように、田中・ブレジネフ会談で、戦後未解決の問題を解決して、そして平和条約を締結することの交渉を継続する、こういうことで両国の最高首脳が未解決の問題、その未解決の中にはこの北方四島を含んでおる、こういうことが確認されておるわけでございますから、私が漁業交渉に参りましてこの領土問題をあれこれ扱うはずがございませんし、私の権限外でございます。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 そうすると議事録には載ってないということですね、そうですね。  次に、ちょうどいまあなたが何回も繰り返した北海道の漁民、あの領域に関心を持っている、イシコフ漁業相もそう言った。こうなってくると、これは両方で認め合って、相互主義になってきている。両方で主張し合って両方でやっているのだね。ちょうどソ連とノルウェーの漁業交渉の中に、両方にまたがるグレーゾーンという領域があるそうですが、私たちもそういう意味において、そんなことかと思って、提言の中にこう言っております。政府は、歴史的に日本の領土であることが明白な南北千島列島全域については二百海里漁業専管水域の実施を保留するようソ連と交渉するように、これは暫定取り決めの中で、基本条約の中で、ちょうどイシコフがそう言う、あなたがそう言う、両方でこうなっている、ここのところはそういう形でソ連と話をしてみる、提案をしてみる、そして最終的に四島の帰属が決まったときに問題の最終解決を見たらどうか。いまあなたがここで何回か繰り返した。あなた自身が、北海道や三陸の沿岸の漁民があそこにたくさん行っている、このことを考えてくれと、イシコフさんがわかった、そのとおり了承していると、こうなってくると、やり方としてはそこのところを——めんどうな英文の原稿で私まだ正確によく見てないのだけれども、ノルウェーとソ連の間にはグレーゾーンというのがある、そういう形でここでの海里決定、制限を保留する、非常にいい、あなたのあの考え方から言うと真っすぐにそこにいくと思うのですが、いかがでございます。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 私は、北海方面でノルウェーとソ連との間にどういう話し合いが具体的になされておりますか、まだ勉強不足で承知いたしておりませんが、私どもは漁業問題という枠内におきまして相互に実情を話し合って、そして相互の利益になるように漁業問題は処理しようではないかという立場でいろいろ話し合った、そういうことでございます。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 まだまだ問題がありますけれども、若干、直接国民にこたえなければならぬ問題もありますので、質問を進めていきますが、こういう形で二百海里でかなり遠洋漁業に問題が起きてきた。ところが政府はこれまで大手漁業資本を中心とした遠洋漁業に重点を置いて、大手漁業資本はそこに資本を集中して非常にすばらしい技術をやって、多少問題になるような乱獲、今度の二百海里の問題のきっかけにもなったような状態もつくったわけです。政府は漁業政策としてそこに重点を注いで、沿岸、沖合いというものを軽視した傾向がある。国民の本当の主食を補給する魚介類の生産のためには、私たちは、漁業は国を支える重要な産業として沿岸と沖合い漁業というものを育てなければならぬ、こう思っておるわけです。  そこで、漁業労働者のために、中小漁業資本のために、こういう遠洋漁業も発展途上国の互恵平等で主権を尊重して、民主的に平等でやっていくことも必要でありますが、いま何よりも必要なのは、そういう形で沖合い、沿岸漁業を育てる政策にはっきりと転換すべき時期に来たと思うのですが、いかがでございます。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 わが国の長くとってきた漁業政策、これは沿岸、沖合い漁業中心の漁業政策でございます。金融の問題にいたしましても、その他の漁港整備の問題にいたしましてもあるいは沿岸漁場開発整備事業にいたしましても、すべてこれ沿岸漁民の諸君の生業が確保されるように、そういう立場でやっておるわけでございます。戦中戦後にかけまして日本の大型の漁船等も相当戦災をこうむりました。壊滅的な打撃を受けたわけでございます。これは海運の場合におきましては、海運の復興のために国の低利融資、助成等もなされましたけれども、漁業の大型漁船等に対しては、そういう戦時中の大きな壊滅的打撃をこうむりましても、政府は何らの助成政策をとらなかった。そして日本政府がとってきた政策は沿岸漁業中心の漁業政策であった、これははっきり申し上げて差し支えない。また、北洋の操業形態にいたしましても、母船は大手の漁業会社にやらせましても、それに付随するところの実際に漁労するキャッチャー、これは全部中小漁業者でございます。そういうようなことで、大手の会社が自分で母船もそれから漁労船もキャッチャーも、全部仕立ててやる気になればできないことはない。しかし、政府の漁業政策としてはそういう大きな会社に全部ゆだねるわけにはいかない。中小漁船を大いに活用し、これらに仕事を与えるように、これは全部沿岸、沖合い漁業というものを重視した政策の上に立ったものである、私はこの点ははっきり申し上げてよろしいと思います。  私も国会に出ます前、沿岸漁業団体の中心である全漁連におりまして漁民運動をやってきた人間でございまして、私の漁業政策は断じてそういう大手漁業会社を守る、偏重するようなことはいたさないということをはっきり申し上げておきます。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 言葉はきれいだにこしたことはありません。私はきれいな言葉はいやではありませんが、実が伴わないといけません。大臣、いまあなたがはしなくも述べた沿岸漁場整備開発計画、七カ年計画の到達目標、沿岸漁場の整備開発事業で造成する漁場面積は千二百平方メートル。皆さんが昭和五十年度に出した漁業白書、既整備の漁場が約一万平方メートル。未整備で漁場としての開発可能なのは十二万平方キロ。十二万平方キロで、あなたたち、七カ年計画で千二百平方キロなんです。だから、言葉はきれいなのにこしたことはないが、言葉の中に実態が伴わないといけない。そこで、大臣に端的に、この沿岸漁場整備開発七カ年計画を見ていなかったらみんな見て、私の指摘どおりだったら直ちにやったらいい。あなたのいまの言葉を貫く意味においても改定すべきだと思いますが、いかがでございますか。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 この問題は、昭和五十一年度予算編成の際に二百海里時代の到来を予見をして、そして打ち出した政策でございます。今後私どもはこの二千億七カ年計画を達成すると同時に、第二次、第三次、第四次と漁港整備計画と同じようにこれを積み上げてまいりまして、そして日本列島周辺の沿岸の漁場の開発整備、資源の増強、栽培漁業の振興、そういうことに着実な絶え間ない努力を積み重ねていく、こういうことをわれわれは考えておるわけでございます。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 考え直すというふうに受け取ってよろしゅうございますか。  最後に、時間が来ましたので、サクランボ、山形県の人たちが、農林省の方針で当分アメリカからのサクランボの輸入はないものと信じておった。ところが、三月三日の日本農業新聞で、解禁しそうだ——アメリカの副大統領と福田さんの会談でもそれが出たらしい、どうも信用できない……。もう一つには、六年前の参議院選挙。愛媛県で政府自民党はグレープフルーツの自由化はやらないと言って投票日の前の日までやっておる。投票が終わって五日目にグレープフルーツの自由化をしちゃった。そこで山形県民は非常に不安になって、きのう大臣のところにたくさん人が行ったでしょう。  そこで、当分、少なくともいま一、二年その輸入は、あれは自由化品目になっていますけれども、輸入しない、こういうことをこの席上で言明できれば山形県民も安心すると思うし、サクランボ耕作農民も安心する。サクランボにコドリンガが来るとリンゴもだめになる、こういうかっこうになるので、この点ひとつ言明していただきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 コドリンガという害虫は防虫剤をもって完全に防除いたしませんと、輸入した場合に日本のいろいろな果樹その他に被害があるということで、私どもはこれに対しては非常に重大な注意と関心を払ってきておるところでございます。  この間、いまのお話だとモンデール副大統領が来たとき、総理との間にこの話が出たというようなことをおっしゃっておりますが、これは出ておりません。私も重要な関心の事項でございますから問いただしておるわけでございますが、それはございません。  そこで、私としてはアメリカ側もこのコドリンガの駆除のいろいろな研究開発をやっておるということも聞いております。レポートも来ておるようでございます。しかし、なおわが方としては確認すべき問題点もございますので、慎重にこれを取り扱っておる、こういう段階でございまして、私は、その結果を十分吟味いたしませんと、入れる、入れないという判断をするわけにはまいりません。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 これ一つで終わりますが、そうするとここ当分入れないというふうに受け取っていいですか。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 この点はわが方からもやはり専門家を派遣して、十分慎重の上にも慎重に確認をした上でなければ入れるわけにはまいりません。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 終わります。

金子岩三自由民主党

○金子委員長 菊池福治郎君。

菊池福治郎新自由クラブ

○菊池委員 時間の関係上、食糧問題、農政の基本問題、なお時間があれば当面の問題である二百海里対策の問題についてお伺いいたします。  ことしは経済の年であるというふうに福田さんはたびたび言われております。なるほど不況下の物価高という問題はきわめて深刻でございます。この暗いトンネルを抜け出して日本の経済を安定路線に乗せるということは今日の日本の政治の最大の課題であるわけでございますが、その意味で本年はまさに経済の年でございます。  しかし一方、御承知のとおり二百海里問題というものはきわめて急速に、また深刻にわが国の政治、経済の上にのしかかってまいりました。この二百海里問題はわが国水産漁業の根幹を揺るがす大きな問題となっておるわけでございますが、単に水産漁業だけではなくて、わが国の民族の生存に関する大きな食糧問題であると言わなければならぬと思うわけでございますけれども、この難問をどのように克服していくかということはわれわれの将来の命運にもかかわっておると思うわけであります。そういう意味で本年は経済の年であると同様にまた食糧の年である、あるいは水産漁業の年であるというふうに考えられるわけでございます。  先般身をもってソ連に交渉されまして生々しい体験を積まれました大臣は、その体験を踏まえて今日の食糧問題及び農林水産問題というものをどのようにお考えになられるか、その基本的な認識についてひとつ御所見を伺いたいと思います。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 菊池さん御指摘のとおり、食糧問題は、世界的に見ましても、またわが国にとりましても、きわめて重大な問題でございます。近年、食糧事情が世界的に若干好転の兆しを見せておりますけれども、在庫水準は依然として低位にございますし、食糧事情は予断を許さない、このように私は受けとめております。その上に、わが国民のたん白食糧の過半を賄っておりますところの漁業問題につきましては、いま御指摘のとおり、二百海里時代を迎えまして大変厳しい環境下にあるわけでございます。この食糧問題こそ、日本国民の安全保障の最小限度の絶対守らなければならない問題である、私はこう考えておるわけでございまして、そういう意味で、今後厳しいこの環境の中で国民の食糧の自給率を高めながら食糧の確保を図り、そして消費者である国民の皆さんに食糧に関してはいささかも御不安を与えないように、これが私どもに課せられた大きな責務である、こう受けとめまして、この問題に真剣に取り組んでまいりたい、こう思っております。

菊池福治郎新自由クラブ

○菊池委員 ただいま大臣から食糧問題の重要性、自給力を高めていく、また国民に食糧についての不安を与えないという政策を進めるというお話があったわけでございますが、そういう観点から食糧の輸入の問題と自給率の向上について少しお伺いしたいと思います。  政府は今日、御承知のように生産調整というものを米についてやっておるわけでございますが、これは米作に余りにも偏重した結果であろうかと思います。他の必要な穀物の自給率を下げまして、米づくりにおいてきわめて効率の悪いというか、むだの多い、いわばプロの農業でない、アマチュアの農業というふうなものを容認した結果がこのような米の問題になったのであろうかと思います。昭和三十五年から四十八年までの十三年間に、われわれの穀物の消費量は約二千万トンから三千百万トンと一千万トン以上もふえたわけでございます。しかし一方、この間生産量は千七百十万トンから千二百六十六万トンと約四百四十万トンぐらい減っております。これは端的にわれわれの今日の食糧問題の所在を明らかにしておるわけでございまして、われわれの穀物消費量は一千万トン以上ふえましたけれども、しかし生産量は逆に四百四十万トン以上減りました。パーセンテージで言えば、消費の方においては五〇%ふえたけれども、生産量は二五%減った。その結果、自給率は八十数%から四〇%以下になったというわけでございます。もちろん穀物の消費量のふえたのは圧倒的に家畜の飼料がふえたということでございますが、この生産量が減ったのは、米が約七十万トン、麦類雑穀が約三百七十万トン減ったわけでございます。このような国内の生産量が減ったというふうな状態の中で、二百海里の食糧問題というものがいまわれわれに切迫しておるわけでございます。そういうことが重なって、今日の食糧問題というものはきわめて危険な状態にあるのではないか。そういう意味で政府は、先ほど大臣が申されました自給率を高めるために今度の予算案に対してどのような特別なる配慮をされたか、あるいはどのような方針を持って自給率を高めようとするのか。できれば少し具体的にお話しいただきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 食糧の自給率のとらえ方でございますが、われわれ国民の直接食用に供せられる穀類におきましては七四%の自給率を持っております。米の過剰分、いま在庫になっておるわけでございますが、それを差し引きましても七二%の自給率を持っておる。御指摘のように、家畜のえさだとかそういうようなものを含めますと、確かに五〇%を割る、こういう形になっておるわけでございますが、私どもは総合的なバランスのとれた自給力を高めるという施策に力を入れてやっておるわけでございます。  減反政策というものもとったこともございますけれども、今後はむしろ水田の総合利用計画というような形で水田の生産力というものを他の必要な作物の生産に転換をしてもらう、そういう政策をとっておるわけでございまして、そういうような方向で土地改良事業も進めておりますし、また水田の総合利用政策も進めております。また、そういう麦作等に転換をいたします場合に対する助成、特別加算というような施策もやっておるわけでございます。菊池さんが御指摘になったような総合的な施策を進めて自給力の全体の向上を図っていくということに一層努力をしていきたい、こう思っております。

菊池福治郎新自由クラブ

○菊池委員 次に、米の生産調整についてであります。  大臣よりただいま減反のお話もあったわけでございますが、今日、米は過剰であるというふうに言われておりますが、しかし昨年には、御承知のとおり東北、北海道に非常に深刻な冷害があったわけでございまして、そういう点を考えますと、米の生産というものは必ずしも十分でない、不安定な面があるわけでございます。近い将来、むしろ米が不足するというふうな事態も起こるのではないかと考えられる節もあるわけであります。  その理由の一つは、異常気象でございます。気象庁の長期の見通しによりましても、今後二十年ぐらい低温期が続く。日本は、低温や、また大雨や雨が少ないとかいうふうな異常気象に今後見舞われるのではないかと思われるわけでございます。そういう異常気象があった場合、東北、北海道の米は、いろいろな説はありますけれども、百三十万トンとかあるいは二百万トンが減収になるのじゃないか、そういうふうなことも言われておるわけでございます。五十一年度の冷害、台風害というものは戦後五番目の不作と記録されております。予想生産量千二百十万トンを約三十数万トンも下回った。大豊作の前の年に比べれば百三十九万トンの減収になったと言われておりますが、もっと強度の冷害が今後起こった場合には、とても繰り越し米の二百万トンとか、あるいはそれを少し上回るというふうなものでは、一、二年の消費にもたえられないというふうな状態ではなかろうかと思います。  さらに、もう一つの不安は、日本だけでなくて、世界の食糧の危機が到来するのではないかというふうにも言われております。これも原因はやはり異常なる気象のためでございます。御承知のとおり、一九七二年のソ連、中国あるいは東南アジアの諸国、七四年のアメリカの穀倉地帯、七五年のソ連、七六年の西欧などに次々に凶作のような状態が続いたわけでございます。また、開発途上国における人口の増加というふうなことも世界の食糧不安というものに輪をかけておるわけでございますが、われわれ一億の国民が一人当たり百キロとかあるいは百十キロというものを一年に食べたといたしましても、その他のものも加えれば安定的には千二百十万トン前後の米が生産されなければならないわけであり、またさらに、国民が安心して暮らすための必要な最低の繰り越し米というものは、やはり四百万トン前後というものが必要ではないかというふうにも考えられるわけでございますが、そういう点を考えると、現在の稲作の体制では必ずしも十分ではないのではないか。かなり稲作、米作というものを強化する必要がこれからむしろ起こってくるのではないか。  そういう意味におきまして、米の生産調整というものは、御承知のとおり、農民の生産意欲というものを非常に減退させておるわけでございまして、いまのような国内のいろいろな問題あるいは国際的ないろいろな食糧不安の現状を踏まえて、米の生産調整というものは早期に中止すべきものではないかというふうに考えるわけでございますが、大臣のお考えを伺いたいと思います。  また、冷害等が今後起こる可能性の問題を考えた場合に、やはり適地適作というか、そういった米づくりというものを強力に推進をすべきではないかというふうに考えるわけでございますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 東北あるいは北陸等の稲作に最も適した環境条件、そういうところにおきましては、私は、稲作農業というものをあくまで大事にしていくという必要がある、こう思っておりますけれども、国全体の立場から見ますと、やはり依然として稲作復帰の傾向は非常に強いわけでございます。菊池さんが、去年のような冷害が二年と続いた場合にはどうなるのだという御心配をされておりますけれども、私どもはそういう冷害あるいは水害等の凶作等を頭に置きましても、お米の備蓄量は二百万トン程度あれば十分できる、国民の主食は十分確保できる、二百万トンが必要である、そういう考えでございまして、現在二百六十万トンの在庫米を抱えておるわけでございまして、そういう観点から、その他の麦でありますとか大豆でありますとかそういう面のものをどうしてもやはりもっとつくっていただきたい、そういうものに転換をしていただくということが必要である。総合的な自給力を高めるという必要を私どもは痛感をいたしまして、そういう政策を進めておる段階でございます。

菊池福治郎新自由クラブ

○菊池委員 米作だけでなく、もちろん麦とか豆とか、総合的な自給率を高めていくということは必要であろうかと思いますが、米作についても、必ずしも食糧問題というふうな問題を踏まえて楽観はできないのではないかというふうに考えますが、次に冷害対策と共済制度の改正の問題についてお伺いいたしたいと思います。  昨年の東北、北海道の冷害はきわめて深刻なものがあったわけでございますが、その救済としての共済制度というものに対して、農民は非常に不満というか、失望を感じておるわけでございます。今後、先ほど申し上げましたような異常気象というものが続く可能性がある、予想されるというふうな段階でございまするので、共済制度の重要性というものはますます高まってまいるわけでございます。これからの災害に対処しまして、農家経営の安定と農業生産力の向上を期するために、現行の農業共済制度というものを大幅に改めまして、所得補償方式に改めるべきものではないかというふうに考えるわけでございます。この制度の水稲については、比例てん補方式を採用する必要があるのではないかというふうに考えるわけでございます。昨年、制度が一応改正されまして、これから実施になるわけでございますが、適用条項というものはなかなか厳しいわけでございまして、実際の活用というものは限られた地域のみではないかというふうに考えられるわけでございます。現実に一筆単位方式が実施されておりますが、その点で、昨年の冷害の被害に対する不満というものは、いわゆる三割足切りの問題が焦点になっておるようでございます。  私は、水稲共済における損害てん補を次のように改正すべきではないかというふうに考えております。すなわち、全相殺農家単位方式を全量引き受け、全量補償に改めたらいいのではないか。また、半相殺農家単位方式を一割足切りに改めるべきではないか。また、一筆単位方式の中に完全比例てん補方式というふうなものを採用すべきものではないかというふうに考えるわけでございます。こういうことは、もちろん農家の負担と申しますか、そういうものを増加する必要があるわけでございますが、国も積極的に負担をしまして、今後の冷害等に対処して、共済制度というものが農家の農業の災害対策の中核事業となるというふうな高額補償に万全を期すべきではないか。そういうことがなされなければ、不安な異常気象というふうなことが予想されるこれからの農業の経営というものはなかなかむずかしくなって、農政に対する農民の信頼というものも十分には持たれないのじゃないかというふうに考えられますので、農業共済制度を大幅に改善するということは当面の急務でないかというふうに考えるわけでございますが、御所見をひとつお伺いしたいと思います。

今村宣夫農林省農林経済局長

○今村(宣)政府委員 農業共済制度につきましてはいろいろな御比判もございますけれども、私たちは、この制度は長い年月をかけまして農家の間に相当な定着を見ておると思っておるわけでございます。特に今年の冷害の際におきましては、年内支払いという要望にこたえまして、年内に千四百十六億円の支払いをいたしたわけでございます。しかし、近年におきます農業や農村を取り巻く諸情勢は非常に変化が激しゅうございますので、本制度につきましても、その変化に対応して幾多の制度改正が行われてきたわけでございまして、さきの七十七国会におきましても補償内容の充実を中心とした改正を行いまして、制度の一層の改善を図ったところでございます。  現在、いま御指摘のございました足切り問題でございますが、いわゆる足切りを改めることについては、一つは、保険というたてまえをとります場合に、軽微な被害については、農家が農業経営上自家保険といいますか、自分で保険をするということがやはり基本ではないか、また通常言われていますモラルリスクを防止するという面におきましてもある程度の足切りは必要であると思っております。しかし、農家の立場からいたしますれば、足切りの少ないことにこしたことはないわけでございまして、現行制度でも一筆方式は三割の足切りになっておりますが、農家単位方式では二割、全相殺の場合は一割というふうに、前回の制度改正によって改善を図ってきたわけでございます。  しかし、この問題につきましては、補償内容の充実という観点が一方にあると同時に、ただいまお話のございましたような農家の掛金負担の増加という問題が一方にございます。たとえば現在の一筆方式を足切りなしとしまして、現在のてん補の状況で一応計算をいたしますと、農家負担の掛金の増加は約四・七倍になるという計算に相なるわけでございまして、そういうふうな足切りの問題と農家負担の調和をどこに求めるかということが今後の制度の大きな問題であろうと思います。したがいまして、私たちとしましては、長期的な観点に立ちましてそういう問題を今後十分慎重に検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。

菊池福治郎新自由クラブ

○菊池委員 次に、大臣に二百海里時代を迎えた水産漁業の問題について、その対策についてお伺いいたします。  その一つは、先ほど来大臣の御答弁の端々にいろいろ出ておったと思いますが、強力な漁業外交を推進すべきではないかという点であります。今日、水産漁業の関係者は、非常に言い知れぬ不安というものを持っておるわけでございます。この際政府は強力な漁業外交というものを展開すべきではないか。これは一水産庁とかということに限らず、外務省あるいは民間の強力な対策協議会といったようなものをも網羅いたしまして、それらと一体となった、官民協力した水産外交というものを強力に打ち出すべきではないかというふうに考えるわけでございます。わが国の商社は、いろいろな問題はありますけれども、海外においては独自の情報網とか独自の組織を持って世界的に活躍しているわけでございますが、そういった面のよい点を取り入れまして、政府も、官民一体となった物心両面の大きな組織的な機関をつくりまして、常時関係各国とその折衝ができるというふうな水産外交を強力に展開すべきではないかと思うのですが、大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 こういう厳しい二百海里時代に直面して、強力な漁業外交を展開すべきだという御指摘、しかもそれは農林省だけでなしに、関係各省並びに民間も含めて強力な体制で取り組んでいくべきだという御指摘は、全くそのとおりでございます。私は、そういう観点に立ちまして、日米漁業交渉の際におきましても、日ソ漁業交渉に当たりましても、絶えず民間の関係業界の代表等を集めて逐一情報を報告し、その厳しい中にも一体になってこのむずかしい局面を切り開いていこうではないか、こういうことを呼びかけ、協力を求めておるところでございます。菊池さん御指摘のとおり、今後とも最善を尽くしてまいりたい、こう思っております。

菊池福治郎新自由クラブ

○菊池委員 次に、国際漁業規制に伴うさまざまな損失というものが出てくるわけでございますが、その補償並びに救済策についてお伺いをいたしたいと思います。  わが国水産業界にとりましては、この二百海里問題というのはいわば天災みたいなものでございまして、一業者、一業界の方々ではどうにもできない、乗り越えられないところの過大な負担というか、問題が起こってくるわけでございます。さきにオイルショックによりまして、油の高騰などで大きな打撃を受けた水産漁業界でございますが、いままた二百海里の大きな難問を抱えたわけでございます。この二百海里問題の打開のためには、政府は非常な一大決意をされまして、これは水産業界、日本の漁業というものの浮沈にかかわる問題であり、また一方、先ほど来申し上げました日本の食糧問題というふうな問題からも、積極的に政府はその補償問題とか救済問題というものに対してあらゆる知恵をしぼって、しかも蛮勇をふるって、水産業界の蘇生のためにひとつがんばっていただきたい、こう思うわけでございます。  かつて石炭産業が撤退をした当時のこと、あるいは輸出規制による繊維産業というものが縮小した場合において、当然のことでありますが、政府は数々の救済策というものを業界に対してとったわけであります。今度の二百海里問題に直面する日本の水産業界、漁業業界というものは、まさにそうした産業のかつての時代、それにも匹敵する、それ以上の大きな問題を抱えておるわけでございます。過去のそういった救済策、あるいはいろいろな補償策というふうなものを十二分に踏まえまして、今回の水産問題についての対策を練っていただきたい、補償問題を考えていただきたい。いろいろな対策を立てまして、もちろん過去の実績というふうなものは十分に確保するように努力すべきでありまするけれども、どうしても避けられない減船であるとか操業短縮に対しましては、強力にして温かい政府の政策というものを、救済策というものを打ち出すべきではないかというふうに考えますので、その点をお伺いいたしたいと思います。  また入漁料とか漁獲料、操業許可料、登録料、入港料などさまざまな名前がつけられておりますが、そうした過重なる負担がかかってまいりますると、どうしても一業界、一業者ではその負担にたえられないという場合には、やはり魚の値段にはね返ってきて、国民の負担というものをまた非常に重くするというような問題もございますので、入漁料などの補償というふうなものもこれから大いに考えるべき問題ではないか、かように思うわけでございます。また漁船員に対する救済措置とか雇用対策というふうなものも、かつて進駐軍というか駐留軍の失業問題とか、あるいは炭鉱の離職者の救済問題、転業問題というふうな問題もあったわけでございまして、そういう場合におけるさまざまな雇用対策、救済対策というものもあったわけでございますから、そういう点を踏まえて、水産漁業の関係者に対して、政府は手厚い補償あるいは救済策を考えていただきたいと思いますが、ひとつ大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 これからいろいろ厳しい局面に遭遇するわけでございますが、先ほど申し上げたように、強力な漁業外交を展開して、わが国の伝統的な実績を少しでも多く確保するということに全力を挙げる考えでございますが、そういう努力にもかかわらず漁獲量が削減のやむなきに至ったという場合におきましては、それぞれの場合の実態を十分把握をいたしまして適切な措置を講じてまいりたい、こう考えております。  先般、日米の漁業交渉の結果、八九%の実績は確保されましたけれども、一一%程度の削減のやむなきに至った。これに対しましても、この底びき船を資源調査の方に用船として活用するとか、あるいは南方トロール漁船と北洋の新鋭船を置きかえるとか、いろいろの適切な対策を講じております。また、今後の各国との交渉におきましてどういう漁獲量の確保ができるか、そういう結果を見まして十分な対応と措置をしてまいる考えでございます。これも先ほどもお答えをしてあるのでありますが、五十二年度予算の編成に当たりまして、年度中にそういう問題が起こった場合には、これは財政当局と十分協議をいたしまして、それに対応できるようにいたしたいということを大蔵大臣とも話し合いをいたしておるところでございます。  なお、入漁料の問題でございますが、これはアメリカの場合は入漁料を約二十億先払いをする、こういうことに相なっております。そういうようなことで、それが魚価にはね返り、あるいは石油ショック以来漁業経営が非常に苦しくなっておる現状でもございますので、この入漁料というのはやはり大きな重圧になるわけでございます。これらを経営の面のあるいは魚価にはね返る面、その急激な変化を、できるだけそのショックを緩和するためにも、政府として利子の補給その他を考えまして、できるだけの援助の手を差し伸べてまいる考えでございます。

菊池福治郎新自由クラブ

○菊池委員 次に、二百海里対策としての新漁場の開発あるいは沿岸漁業の振興というふうな問題については、先ほど来いろいろ御答弁があったようでございますからその点は先に進みます。  次に、領海十二海里の問題でございますが、これも先ほど来いろいろお話が出たわけでございますが、米国、ソ連の二百海里の制定ということが本腰になりましたが、わが国もいずれ二百海里の問題も日程としては出てくるのではないかと思いますが、先ほど来大臣が言われるように、十二海里の問題はきわめて急を要する問題ではないかと思います。それで十二海里の問題は大分国民の関心を深めまして、すでにある意味では国民的な合意ができておるのではないかというふうにも考えられるわけでございます。もちろん国際海峡の問題などいろいろ難点というか、むずかしい点はありまするけれども、沿岸漁業の現状と各国の二百海里対策という対策上も一日も早くこの制定というか、宣言というか、に踏み切るべきじゃないかと思いますが、政府の法案の具体的な提出の日程というか、今後のそういうスケジュールをひとつお聞かせいただきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 領海の幅員を三海里から十二海里に拡大する問題は、こういう厳しい海洋二百海里時代というようなものを迎えまして、まさに国民的なコンセンサスに成熟しつつある、私もそのように考えております。いわゆる国際海峡の問題につきまして、各党にいろいろの御意見のあることも承知をいたしておりますが、これは一日も早く沿岸漁民のこの切なる願いを取り上げて、そうして沿岸漁業者の保護という大局的な観点に立って御協力を賜りたいものだ、こう念願をいたしておるところでございます。いま準備が着々進められておりまして、三月中には国会に提案をし、御審議を煩わすことに大体めどが立っておりますので、御了承をいただきたいと思います。

菊池福治郎新自由クラブ

○菊池委員 時間の関係上、あと一問御質問申し上げます。  先ほど来食糧問題というものが大変重要な問題だというふうなことが論議されておりますが、また、二百海里問題に関連する食糧問題というふうなこともきわめて深刻になっておるわけでございますが、この際政府は、そういう食糧問題の現状及び将来というものを踏まえて、食糧基本法というか、食糧憲章というか、そういったものを制定して、国民に広く食糧問題の重要性と根本問題の認識というか、啓蒙を深めたらいいではないかというふうなことを考えるわけでございます。  食糧基本法の問題については本委員会でも幾たびか議題となったようでございますが、二百海里時代を迎えまして、いまこそこの食糧問題というものを総合的に取り上げる、あるいは国民的な合意を得てこういう問題について基本的な考えを政府がまとめるべきではないか。いままでのように、単に米というふうなものだけではなくて、穀物類あるいは畜産物または水産資源、さらに加工、流通、消費を一体として、今後日本国民が生活水準を安定的に維持をする、あるいは向上させるためにはいかにあるべきか、あるいはいかに食糧を確保すべきであるかということについて、国民に広く周知啓蒙をする、そうして食糧問題というものを中心的な課題として、あるゆる国政の問題の中枢に位置づけるというふうなねらいを込めて、この際超党派的な論議をいたしまして、基本法あるいは食糧憲章というか、そういったような法律を制定して、政府の将来の食糧問題に対する真剣な取り組み方、あるいは民族、国民の将来に対して食糧問題はこういうふうな重大な意味を持っている、またこういうふうないろいろな対策を立てておるというふうなことを、政府は国民に対して方向を示すべき時期ではないかというふうに考えますが、ひとつ大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党農林大臣

○鈴木国務大臣 食糧問題の重要性、これを国の政策の最も重要な問題として位置づけて、強力な総合食糧政策を展開すべきだ、こういう御趣旨は全く私も同感でございます。したがいまして、政府としては、農産物の需給と長期見通しというものを閣議でも決定をいたしますと同時に、国民食糧会議というようなものも内閣に設置をいたしまして、この食糧問題の重要性、今後のわが国が取り組んでいく食糧政策、そういうものを大きな課題として取り上げて取り組んでおるところでございます。  食糧基本法あるいは宣言というような問題についてはいまのところ考えておりませんが、食糧問題はきわめて重要な問題として政府を挙げて取り組んでおるということを御了承賜りたいと思います。

菊池福治郎新自由クラブ

○菊池委員 終わります。

金子岩三自由民主党

○金子委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後十時十一分散会

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