大蔵委員会 第14号
- 発言数
- 31 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1977/03/25
会議録
○小渕委員長 これより会議を開きます。 この際、理事の補欠選任についてお諮りいたします。 去る二十二日、理事小泉純一郎君が委員を辞任されましたので、理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長において指名いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小渕委員長 御異議なしと認めます。よって、小泉純一郎君を理事に指名いたします。 ————◇—————
○小渕委員長 村山喜一君外九名提出、有価証券取引税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案の各案を一括議題とし、提出者より提案理由の説明を聴取いたします。山田耻目君。 ————————————— 有価証券取引税法の一部を改正する法律案 法人税法の一部を改正する法律案 租税特別措置法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○山田(耻)議員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案されております有価証券取引税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につき提案理由及びその概要を御説明いたします。 インフレ物価高騰の中で、不況の長期化によって実質収入は半年以上も連続で低下し、失業者は百万人台を推移しており、まさに勤労者層、低所得者層に生活難が集中し、生活の格差が拡大しているのが現在の状況であります。 このような状況の中で、政府はつい先日まで、勤労国民すべての願いである一兆円所得税減税を、財政危機を口実にして、わずかに三分の一の三千五百三十億円のミニ減税にとどめようとしていたのであります。これではインフレによる名目所得の上昇を考えれば明らかに実質増税となってくるのであります。しかもその減税方法は、わが党がこれまで繰り返して提案してきました、低所得層に有利な税額控除方式を採用せず、相も変わらぬ人的控除の部分的積み増しによる課税最低限引き上げ方式であり、これは高額所得者層により大きな減税効果が及ぶ不公平な方式であります。 このような状況の中で、日本社会党を初めとする五野党が、国民の強い要望を背景にして、一致団結して、一兆円減税の実施を政府に迫ったために、やむを得ず、政府も、新たに税額控除方式による三千億円の減税の実施に踏み切ったのが今日までの経過であります。減税問題についての与野党合意の内容は、減税規模、不公平税制の是正、給付金の方式など、わが党の一兆円減税の主張あるいは五野党共同案と比べ、十分なものとは言えないのでありますが、予算修正の道を開き、従来、わが党が主張していた低所得者層に有利な税額控除方式による減税を採用してきたことなど、これからの不公平税制是正の展望を切り開くことになった点を評価してきたのであります。 このように、所得税減税においては、一定の前進を見たのでありますが、それ以外の面では、政府が提出しております税制改正案の内容は、端的に言って失望の一語に尽きるものであります。 政府の来年度税制改正案においては、来るべき低成長の時代に向けての税制の抜本改革の視点が全く欠落しております。 現在の財政危機を克服するためには、大企業、大資産家優遇の現行税制を抜本的に改革することなくして不可能であり、大企業、大資産家の税負担を高めるべきであります。来年度はその出発点とすべきであります。 政府案においては増税対策として、利子配当源泉分離税率、源泉徴収率の若干の手直しが行われようとしておりますが、利子配当の総合課税を一日も早く採用せよというわが党の主張から見ると、むしろ優遇措置を温存する姿勢と言わねばならないのであります。 企業課税関係の特別措置の整理もきわめて不十分であり、交際費課税の是正や、特別償却や準備金の若干の見直し、そして金融保険業の貸倒引当金の制限強化が挙げられている程度であります。 このほか、企業優遇税制として、近年、批判の高まっている法人の配当軽課税率や受取配当の益金不算入などの廃止問題は全く取り上げられておりません。また、退職給与引当金の是正も含まれていないのであります。 そうして、現行の不公平税制を是正して、取るべき所より税を取るという姿勢がありません。また、このように不公平税制の抜本的是正を放置したまま、安易な特例国債の発行を行うことは、国民を二重、三重の生活難に追い込むことになるのであります。 インフレと不況の中で、深刻な事態に置かれている財政を立て直し、インフレと不況の結果生じた国民生活の被害を救済し、税の公平を実現し、富の再配分を行うため、まず、インフレによる税負担の不均衡を是正し、低所得層中心に救済措置をとること。さらに、大法人課税の改革、租税特別措置の廃止、資産課税の強化により、大企業、高所得者層への課税強化を行って税収を確保していくべきであるのに、その姿勢は見られないのであります。このような政府の税制改正案では、不公平は拡大しても、その縮小、是正は行われず、勤労国民のための税制改革の布石とは言えないのであり、これが、三法案提出の根本理由であります。 まず、有価証券取引税法の一部を改正する法律案について申し上げます。 現行所得税法の中の代表的な資産家優遇の制度は、一つには、給与所得控除の青天井であり、二つには、有価証券譲渡所得の年間取引五十回、二十万株未満についての非課税制度、三つには、配当控除制度であろうと考えております。これらはいずれも高額所得者優遇の制度であり、早急に是正しなければならないものであります。 また、ここで取り上げております有価証券取引税も、現在、税率はきわめて低く抑えられており、資産家優遇の制度であると申さなければなりません。 有価証券を譲渡した場合、何十億もの所得があってもわずか〇・三%のきわめて低い税率の有価証券取引税しか課税されないという不公平な税制では、政府みずから納税道義の低下に一役買っていると言わなければなりません。 この認識に立って不公平税制是正の一環として、有価証券取引税につきましてはその税率を大幅に引き上げる必要があると判断したのであります。 その内容は、株式等を譲渡した場合の税率を現行の三倍に引き上げ、一般の譲渡の場合は現行の一万分の三十から一万分の九十に、証券会社が売買により譲渡した場合は現行の一万分の十二から一万分の三十六にそれぞれ引き上げることといたしております。 次に、法人税法の一部を改正する法律案について申し上げます。 この改正案は、法人税についても負担能力に応じた課税を行うため、現行の比例税率を廃止し、所得区分による超過累進税率を採用するとともに、大企業に有利な受取配当の益金不算入制度を廃止する等の改正を行うものであります。 まず第一に税率の改正でありますが、現行の普通法人に対する四〇%の税率を、年所得一億円以下の金額については三七%、一億円超十億円以下の金額については四二%、十億円超の金額については四七%の税率に改めることとし、解散または合併の場合の清算所得に対する税率についても、これに準ずる改正を行うことといたしております。 一方、軽減税率の適用幅を拡大し、資本金額等が一億円以下である法人の所得の金額のうち百分の二十八の軽減税率の適用を受ける所得の金額を、現行の七百万円以下から、一千万円以下に改めることといたしております。 第二に、現行の受取配当の益金不算入制度は、法人間の配当について二重課税を防止するという見地から設けられているものでありますが、大法人の株式投資が増大し、その持ち株比率がきわめて高くなっている現在におきましては、いたずらに大企業の税負担を軽くする制度となっておりますので、これを廃止し、配当金はすべて課税所得の中に含めることといたしております。 第三に、法人の寄付金につきましては、資本金基準及び所得基準による一定限度の範囲内で損金算入が認められることとなっておりますが、昨今では資本金または所得の増大によりその限度額が相当巨額となり、法人の寄付金支出を容易にしております。そこで改正案におきましては、両基準をいずれも大幅に引き下げて、適正な限度といたしております。 第四に、法人の貸倒引当金の繰り入れ限度は政令で定められておりますが、そのうち、金融及び保険業につきましては、貸し金の千分の八の繰入率となっております。金融機関等の貸し倒れがきわめて少ないことは周知の事実であり、それに対して現行の繰り入れ限度ははるかに多額となっており、これでは利益留保の色彩が濃厚でありますから、直ちにその繰入率を千分の五に引き下げることとし、また、その他の業種につきましても、資本金一億円を超える法人については、同様の理由により、現行の引当率の八〇%まで一律に引き下げることとし、これを本法に規定することといたしているのであります。 第五に、法人の退職給与引当金課税については、引当金は準備金と異なり、企業会計上正当なものと認められ、法人税法に規定されたものとして、異なった取り扱いが必要とされていますが、実態は租税特別措置によるものと変わりがないのであります。退職給与引当金は、大企業が最も多く利用しているものの一つであり、内部留保金ないし営業資金として利潤増大に役立てられております。退職給与引当金の昭和五十年度残高は四兆二千四十二億円という巨額なものになっており、従業員が一斉に退職した際の退職金の二分の一を引当金に計上するというやり方は、適切とは言えないのであります。したがって、資本金一億円を超える法人の退職給与引当金の損金算入限度額を現行の百分の五十から百分の二十五に引き下げることといたしております。 第六は、資本金額等が一億円を超える法人及び保険業法に規定する相互会社については、欠損金の繰り戻しによる還付を行わないこととするものであります。 企業が赤字を出したときなどに払い戻される法人税は、このところ大幅にふえており、法人税の還付(払い戻し)は、昭和五十年一月から十二月分で三千七百四十九億円、昭和五十一年一月から十二月分で二千八百十七億円にも上っております。その中でも、大法人の占める比率は高いものになっております。 言うまでもなく、大企業は、さまざまの税法上の優遇措置を受けており、それがわが国の税体系をゆがめ不公平を拡大してきており、それに対する国民の怒りも大きなものとなってきておるのであります。今日の深刻な財政危機の中で、さらに歳入欠陥に拍車をかけるこのように制度は、一般の国民感情から見て、また、税負担のバランスから見て、大法人には適用しないことといたしております。 最後に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。 この法律案は、現在三大不公正税制と称されている利子配当課税の特例、社会保険診療報酬課税の特例及び個人の土地譲渡所得課税の特例のすべてについて徹底的な是正を行うとともに、大企業と中小企業の税負担に大きな差をつけている支払い配当軽課制度を廃止する等の改正を行おうとするものであります。 まず第一に、利子配当課税でありますが、現行の源泉分離選択課税制度、確定申告不要制度等は、資産所得優遇の最たるものであり、所得本来の姿である総合課税の原則に反するものでありますから、これを廃止することといたしております。 第二に、医師の社会保険診療報酬課税の特例につきましては、昭和四十九年十二月に税制調査会から具体策を示して答申があったにもかかわらず、政府は改正を見送っております。答申案は不完全なものでありますので、この際、税の不公正を是正するために、社会保険診療報酬の課税の特例については、これを廃止することといたしておりますが、その立法の経緯にかんがみ、政府に昭和五十三年三月三十一日までに抜本的な社会保険診療報酬の適正化を行うことを求めて、施行日を昭和五十三年四月一日からといたしております。 第三に、個人の土地譲渡所得課税につきましては、長期譲渡所得に対して一段と課税の強化を図ることといたしております。すなわち、短期譲渡所得に対する重課制度はこれを存続し、長期譲渡所得に対しては、譲渡益二千万円以上の部分については全額総合課税とすることといたしております。 第四に、法人の支払い配当軽課制度につきましては、この特例が、当初の目的である法人の自己資本の充実に何ら貢献せず、いたずらに大企業の税負担を軽減する役割りしか果たしていないことにかんがみ、この制度を全廃することといたしております。 第五に、交際費課税につきましては、社用支出の実情にかんがみ一層の強化を図ることとし、損金算入限度額の定額部分を三百万円に引き下げ、限度超過額の全額を損金不算入することといたしております。 第六に、現行の各種の準備金制度は、将来に予期される偶発的損失や危険に対応して、多額の留保利潤を非課税のまま社内に蓄積しておく手段で、いわば将来の費用の繰り上げ計上でありますが、実際には、現実に発生する損失額を上回って過大計上される傾向が顕著となっております。したがって、実際の費用的支出を上回る計上分は、利潤の免税もしくは国からの補助金的支出と同じ効果を持つことになっており、利益隠しであるとの批判もあり、制度の既得権化の問題が現実化しており、弊害が目立ち始めているのが実情であります。 そのような状態でありますので、とりあえず、資本金一億円を超える法人の価格変動準備金、海外市場開拓準備金、公害防止準備金、商品取引責任準備金、海外投資等損失準備金、証券取引責任準備金、原子力発電工事償却準備金、株式売買損失準備金、渇水準備金、保険会社等の異常危険準備金、原子力損害賠償責任保険または地震保険に係る異常危険準備金、プログラム保証準備金を廃止することといたしております。 第七に、技術等海外所得の特別控除や試験研究費の税額控除についても、大企業が独占的に利用している現状にかんがみ、資本金一億円を超える法人の技術等海外所得の特別控除、試験研究費の税額控除については廃止することといたしております。 第八に、長引く不況とインフレの中で、中小零細企業は深刻な状態に追い込まれております。このような状態の中で、中小零細企業の税負担を少しでも緩和するため、中小零細企業に対する不況期における法人税の延納の特例を設けることといたしております。 第九は、政治団体に対する政治献金についてであります。現在、政治団体に対する寄付金も一般寄付金として損金扱いとされておりますが、大企業の政治献金が社会的問題となっております今日、この種の寄付金の損金算入措置を廃止することといたしております。 以上が税制による所得再配分と社会的不公正の是正を目的とした三法律案の内容であります。 何とぞ御審議の上、御賛成賜りますようお願いいたします。 終わります。(拍手) ————◇—————
○小渕委員長 次に、坂口力君外四名提出、所得税法及び有価証券取引税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案の各案を一括議題とし、提出者より提案理由の説明を聴取いたします。坂口力君。 ————————————— 所得税法及び有価証券取引税法の一部を改正する法律案 法人税法の一部を改正する法律案 租税特別措置法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○坂口議員 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま提案されております所得税法及び有価証券取引税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び概要を御説明いたします。 政府が提出されている税制改正は、所得税の超ミニ減税、不公平税制の糊塗的な是正であります。このうち、所得税の減税については、その後の各党折衝の結果、昭和五十一年度の納税者に対し、税額控除による戻し税で三千億円の上積みが決定いたしました。もちろん、この額については従来からわれわれの主張である生活費に課税せずの原則、物価調整減税、景気浮揚対策など、国民生活の実情から見て満足できるものではありませんが、きわめて異例である予算修正を含めて、減税額の上乗せに政府が応じられたことは、一応の評価をするものであります。 〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕 しかしながら、国民が切に要望することは、所得減税もさることながら、税の不公平を徹底して是正することであります。この点について政府は所得税、法人税、租税特別措置等、いずれを見ても従来の高度成長型税制、すなわち、大企業や金持ちを優遇する税制の是正を微調整にとどめ、不公平税制の温存を図っていると言わざるを得ないのであります。 こうした、税制改正の姿勢が社会的不公正の拡大を初め赤字財政からの脱却、国民福祉を優先する経済社会への移行に大きな妨げとなっていることは明らかであります。したがって、不公平税制の是正を目的とする三法案を提案するものであります。 まず、所得税法及び有価証券取引税法の一部を改正する法律案について申し上げます。 この法律案は、現行法の下で給与所得者と比べて、きわめて優遇されている資産所得者について課税の適正化を行うものであります。 第一に、配当控除制度の廃止であります。現在、この制度は法人擬制説に基づき設けられていますが、この結果、配当のみの所得者は標準世帯で四百四十万円が課税最低限となっております。これに比べて給与所得者の場合は三千億円の減税を上積みしても、課税最低限は約二百二十四万円であり、実に二倍近く配当所得者が優遇されるという不公平なものとなっております。したがって、この不公平を是正することとしております。 第二は、資産所得課税として有価証券の譲渡による所得に対する課税の強化であります。現行法では年間取引で売買回数五十回、株数で二十万株を超えない限り課税されておりません。これを年間取引二十五回十万株以上に対して課税するものに改正しております。 第三は、有価証券取引税の一部を改正する法律案についてであります。この有価証券取引税もまた資産所得者を優遇するものであります。このため、有価証券の譲渡によって巨額の所得が生じても、その税金はわずか千分の三で済んでおります。こうした不労所得に対して課税の強化を図る意味から、その税率を現行の三倍程度、一般の譲渡の場合は千分の三から千分の九へ、また、証券業者については一万分の十二から一万分の三十六に引き上げることにしております。 次に、法人税の一部を改正する法律案についてであります。 この法律案は、不況を隠れみのにして政府が全く手をつけようとしない企業優遇の法人税について、法人の担税能力、社会的責任、国の財政事情など総合的な観点から、課税の公正を期するため、各種引当金の縮小をはじめ法人税に超過累進税率を導入することを目途に、その税率の改正、大企業ほど有利となっている受取配当の益金不算入制度の廃止等を行うものであります。 第一に税率の改正についてであります。 中小企業に対する現行二八%の軽減税率について、資本金一億円以下の法人は、その適用区分を所得七百万円から一千万円に引き上げるとともに、七百万円以下二五%、七百万円を超え一千万円以下二八%として中小企業の税負担を軽減するものであります。また、普通法人に対する税率は所得一億円以下は現行の四〇%とし、所得一億円を超えるものについては四二%に改正することにしております。 第二は、受取配当の益金不算入制度の廃止であります。 この制度は法人間の配当について二重課税を防止することから設けられています。しかし、その利用状況を見ると、四十九年度におきましても全企業で二千九百一億円のうち、資本金一億円以上の企業が二千五百八十三億円と約九〇%となっております。したがって、結果としては大企業の課税を優遇するものであり、これを廃止することにしております。 第三は、現在政令で定められている貸倒引当金及び退職給与引当金について、資本金一億円以下の中小企業を除いてその繰入率を縮小するものであります。 まず、貸倒引当金は、金融保険業については、その貸し倒れ発生状態から見て金融保険業を優遇するものであり、その繰入率を現行の千分の八から千分の五に直ちに引き下げるものとしております。また、その他の業種につきましても、この種のものは損金として計上できることなどの理由により、その繰入率を一五%引き下げることとして、法人税の本法に規定することにしております。 また、退職給与引当金は、その期末残高が四十八年度二兆九千二十五億円、四十九年度三兆七千三百二十九億円、五十年度四兆二千四十一億円と大きな伸びを見せ、しかも、その利用状況は資本金一億円以上の法人が八六%も占めていることや、全従業員の半数が一時に退職することを仮定して積み立てていることなどから考えると、これらの法人は課税逃れに利用していると言わざるを得ません。したがって、この引当率を現行の二分の一から四分の一に縮小することとしております。 最後に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。 この法律案は、資産所得及び大企業などを優遇して、税の不公正を拡大している租税特別措置を改廃することを目的とするもので、利子配当課税の特例、土地譲渡所得の特例、法人の支払い配当軽課制度の廃止、資本金一億円以上の法人について、各種準備金制度、税額拡除制度の廃止、交際費課税の強化、中小企業の延納の特例などの改正を行うものであります。 第一に、利子配当課税についてでありますが、これは大衆の預貯金を守るため、いわゆるマル優制度と言われる少額貯蓄の非課税制度を除き、源泉分離選択課税制度、確定申告不要制度は廃止し、総合課税とすることとしております。 第二に、個人の土地譲渡所得につきましては、土地の高騰による社会的不公正の拡大、インフレ助長などから考えて、短期譲渡所得に対する重課制度は存続するとともに、長期譲渡所得についても、特別控除等を除き譲渡益二千万円を超える部分については全額総合課税とすることにしております。 第三は、各種準備金、特別控除、税額控除等は利益隠しや陰の補助金と言われ、また、その目的を失っているにもかかわらず温存されているものであります。これらのうち、資本金一億円以上の法人については海外投資損失準備金、価格変動準備金、証券取引責任準備金、株式売買損失準備金、異常危険準備金、プログラム保証準備金、渇水準備金、及び技術等海外所得の特別控除や試験研究費の税額控除等については、廃止するものとしております。 第四は、法人の支払い配当軽課についてであります。この制度は法人の自己資本の充実を図るために設けられたにもかかわらず、大企業の負担軽減にしか役立っていないものであり、これを廃止することにしております。 第五は、交際費課税の特例についてであります。政府も課税の強化を行っていますが、交際費の年々の大幅な増加から見て、損金算入限度額を四百万円プラス資本金の千分の〇・二五とし、それを超えるものについては全額課税対象とすることにしております。 第六は、中小企業を不況とインフレから守り経営の健全化を図るため、中小零細企業における法人税の延納の特例を設けることとしております。 以上が税制改正による不公平の是正と所得再配分機能の強化を目的とした三法案の内容であります。 何とぞ御審議の上、賛成賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
○山下(元)委員長代理 これにて提案理由の説明は終わりました。 ————◇—————
○山下(元)委員長代理 次に、内閣提出に係る所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法及び国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。 両案につきましては、去る二十三日質疑を終了いたしております。 これより両案を一括して討論に付します。 討論の申し出がありますので、順次これを許します。山崎武三郎君。
○山崎(武)委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案並びに租税特別措置法及び国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の意向を表明するものであります。 初めに、所得税法の一部を改正する法律案について申し上げます。 わが国財政は、歳入の約三割を公債金収入により賄うというきわめて異常な事態に立ち至っております。そのような厳しい財政事情にあって、政府は、歳入歳出両面にわたって工夫を重ね、中小所得者の所得税負担の軽減を図る観点から、初年度三千五百三十億円の減税を行うこととしたことにつきまして、まず、その努力を大いに多とし、高く評価するものであります。 次に、その具体的内容を見ますと、基礎控除、配偶者控除及び扶養控除をそれぞれ三万円引き上げており、これにより、夫婦と子供二人の給与所得者の課税最低限は、現行の百八十三万円から二百一万五千円に引き上げられることとなっております。これは、先進諸国の課税最低限を上回るきわめて高い水準であり、また、この引き上げ率一〇・一%は、経済見通しによる消費者物価の年度平均上昇率八・四%を上回るものであって、中小所得者を中心とするいわゆる物価調整の要請にこたえているものであります。 このほか、障害者控除、老年者控除等の特別の人的控除についても、その控除額をそれぞれ三万円引き上げており、福祉政策の充実の観点から、きわめて適切かつ妥当な措置と考えられます。特に年齢七十歳以上の控除対象配偶者について、一般の配偶者控除にかえて三十五万円の特別の配偶者控除を新たに認めたことは、ややもすれば取り残されがちな老人に対するきめの細かい配慮に基づくものであり、まことに時宜を得たものと考えます。 第二に租税特別措置法及び国税収納金整理資金に関する法律の改正案について申し上げます。 租税特別措置につきましては、個々の措置の政策目的と課税の公平とのバランスを考えた上で常に既得権化、慢性化の排除に努めることば当然でありますが、その場合においてもそのときどきの経済政策等との整合性を図りながら弾力的な改廃を行う必要があります。その意味で今回の改正案は、当面の社会経済情勢の中にあってきわめて適切な措置を講じたものであります。 すなわち、利子配当所得に対する源泉徴収税率を一五%に軽減する特例を廃止するとともに、源泉分離課税を選択した場合の税率について三〇%の適用期間がなお三年間残っているにもかかわらず、これを三五%に引き上げておりますことは、まことに適切かつ時宜にかなった課税の適正化であります。 また、企業関係の租税特別措置につきましては、適用期限の到来するものを中心に、廃止も含め整理合理化を図っております。これは、五十一年度における全面的な見直しに引き続いての整理合理化であること、企業を取り巻く現下の経済情勢が厳しいこと等を考えれば、現時点におけるぎりぎり最大限の努力が払われており評価すべきものであります。 なお、交際費に対する課税につきましても、近年における交際費支出の状況とこれに対する種々の批判を考慮し、五十一年度に引き続きその課税強化を図っておりますことは当を得た措置であります。 このほか、既存の特別措置の整理合理化を図るとともに、中小企業構造改善計画を実施する商工組合等の構成員の機械等の割り増し償却の適用期限を延長する等、中小企業対策、農林漁業対策、福祉対策、住宅対策、公害対策等のため実情に応じ所要の改正を行っておりますことは、いずれも妥当な措置であります。 以上申し述べました理由により、二法律案に賛成する態度を表明して私の討論を終わります。(拍手)
○山下(元)委員長代理 佐藤観樹君。
○佐藤(観)委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案に対し賛成、租税特別措置法及び国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案に対し反対の立場を明らかにいたしたいと思います。 まず、現在のわが国の財政の状態は、巨額な赤字公債の発行を余儀なくされ、まさに危機的状況にあると言っても過言ではありません。このことは、政府の発表しました五十二年度財政収支の試算においても明らかであります。すなわち、政府の試算は、前提として三%の税負担の上昇と一・八という高度成長期にもなかった高い税収の弾性値を見込んでさえ、昭和五十五年度には公債残高五十五兆円にも達するのであります。 〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕 政府はこうした危機はすべて昭和四十九年に生じた石油ショックに由来すると申しておりますが、同じ状況下にありながら、西ドイツにおいては、わが国のような財政危機にも著しい物価高にも見舞われずに済んでいるのであります。 このように見てきますと、今日わが国が置かれている困難な状況は、多分に政府の施策のまずさ、とりわけ税法上優遇されている大企業、資産家に対する不公平の是正に取り組まず、財政欠陥を拡大させていることに起因すると言わざるを得ません。 しかるに、政府は、今日の状態を反省することもないまま赤字公債を発行し続け、財政危機を叫び、その始末を大増税という国民の犠牲において成し遂げようとしているのであります。 このように断ずる理由の第一は、不公平税制の是正が一向に進展を見ていないことによるものであります。税制において公平は最大の命題であります。早くから課税負担の公平を損なうものとして世論の指摘を受けている利子配当所得の分離課税選択制度が存続され、今回の改正でわずかに税率が五%引き上げられるにすぎません。政府は、その漸進的改正の理由を、国民に資産運用の指針を急に変えて混乱を与えないようにするためと申しております。しかし、利子所得について見ますと、国民の大部分は所得税法本法の少額預金の利子の非課税制度で十分カバーされる程度の資産しか有していないことば国民の貯蓄統計の示すところであります。また、三五%以上の税率が適用される課税所得金額は八百万円を超える部分であり、このような高額所得を有する階層は納税者のわずか一〇%余にすぎないのであります。このように見ますと、政府の言う国民に混乱を与えるとの「国民」は一部の富裕階級を指すのにすぎないのであり、そのような実態を国民の名をもって覆い隠しているのであります。このような利子所得の分離課税は、インフレと不況により富の偏差がはなはだしくなってきている現在、貧富の格差を一層増大するものであります。このような傾向は配当所得の分離課税についても同様であります。政府は、税法に関する野党の諸提案について、所得税法の特質である税率の超過累進構造を損なうとして指摘するのでありますが、実はそれを大々的に破壊しているのは政府そのものであります。 次に、不公平の第二として指摘したいのは、著しい企業偏重の優遇措置であります。特別償却、各種準備金など、日本の租税特別措置法の中には世界じゅうの各国で行われている企業優遇税制がすべて含まれていると言われるほどであります。改正したというものの、相変わらず金融保険業の貸倒引当金は実損と全くかけ離れた繰入率が維持されていますし、価格変動準備金の積立率もこのインフレ下にあっても必要のないほどの非常に高い積立率が認められています。そしてこれらの準備金、引当金の膨大な累計が法人税を逃れているのであります。果たしてこのような優遇を政府は中小所得者や国民大衆に関する税制について示しているでありましょうか。否と言わざるを得ないのが実情であります。 政府は、租税特別措置が採用される場合というのは、たとえ課税の公平が損なわれても、その政策誘導が税制により達成されることにより、重要な意義を見出せる場合としておりますが、果たしてそのような審査が厳密に行われて導入されているのかきわめて疑問であります。政府の答弁でも明らかなように、大多数の政策税制の効果測定は不可能であります。効果の測定しようのないものを導入するのは非常に容易であります。一応それらしい理由があり、関係官庁なりがキャンペーンをすれば名目が成り立つのであります。そして一度導入されれば、効果が測定されないまま長い間存続することになるのであります。このような形で来たからこそ、高度成長時代に多く設けられた制度が低成長時代に入った今日もなお存続せしめられているのであります。そして、一度手に入れた特典は既得権化し、その縮減整理は遅々として進まぬことになるのであります。このことは、政府が全般的に特別措置を見直しているとは言いながら、ここ数年特別措置による減収額が四千億から五千億の間を往来していることにもよくあらわれております。 このような状況から、企業関係の特別措置については一度全部廃止して見直すといった方法も必要かと思われますが、政府はこれに対して非常に消極的であります。 最後に、交際費課税について述べたいと思います。 交際費課税については今回の改正案で資本金割合と損金不算入割合について強化されたのでありますが、国を挙げて財政困難の解消のためそれなりの犠牲が強いられようとしているときに当たり、社会的冗費と目される交際費が二兆円余と増大の一途をたどるのは好ましからざる現象と申さねばなりません。ことに、支出者側の経費として課税の対象外に置かれたものによって利益を享受する者が課税を免れていることを考え、また、下請企業のリベートが交際費にカムフラージュされていることを考えれば、この分野にも公平を乱す要因があると言わざるを得ません。交際費課税のより一層の強化が図られるべきであると考えます。 以上指摘した点につきましては早急に改善が望まれるのであります。政府が示しますように昭和五十五年度において赤字国債をなくするためには大増税が五十三年度から必要であるとするならば、少なくもまず不公平税制の是正をより積極的に行うべきであります。負担の増加のみが早々とちらつかされているのに税制の公平の保証が確実になされていないのでは、国民は納得しがたいのであります。わが党がただいま提案の理由を説明いたしました法人税法、租税特別措置法、有価証券取引税法の各一部改正案の方がよりこの方向をはっきりさせております。 以上の観点から、今回の租税特別措要法及び国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案については反対するものであります。 なお、租税特別措置法による減免税措置それ自体が税制の公平に反するものであることは言うまでもありませんが、不公平税制の是正の観点から見た場合、現行の所得税制に多くの問題があります。 特に、勤労者の生活費非課税の原則に立った所得税減税の実施の必要なことは、慢性的な物価上昇のもとでは物価調整のためだけからしても欠かせません。その点からして、政府の今回提出の所得税減税案の内容は、その減税規模及び所得控除の引き上げによる減税方式など従来どおりの発想に立つもので、今日の情勢のもとでの減税のあり方としては適切さを欠いております。 しかし、勤労国民の強い要望を担い野党の一致した要求で来年度三千億円の追加減税の実現を見ることは、一兆円所得税減税の要求からすればその額において六千五百三十億円と決して満足し得るものではありませんが、低所得者層に減税効果の大きい税額控除、すなわち戻し税方式が採用されることは減税方式として一つの前進であり、前向きの評価をするものであります。同時に、今回の措置が今後の不公平税制の是正のための一つの布石となるものであり、このような基本的な立場から、野党の要求で実現した三千億円の税額控除方式による追加減税法と政府提出の所得税法の一部を改正する案をワンセットと考え、本年は賛成するものであることを申し添えて、私の討論を終わります。(拍手)
○小渕委員長 坂口力君。
○坂口委員 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案に賛成し、租税特別措置法及び国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案に反対の意を表明し、以下にその理由を申し述べるものであります。 まず、所得税の改正についてでありますが、最初に政府から提案されました所得減税は、国民生活の現状を軽視した三千五百三十億円という減税額にとどまったのであります。 三年有余にわたる不況から立ち直るためにも、国民生活を守るためにも、思い切った減税の必要なことは、すでに何度もわれわれの指摘したところでありますが、五野党が共同して要求いたしましたいわゆる一兆円減税についての折衝の結果、昭和五十一年度の納税者に対し税額控除による戻し税で三千億円の減税上積みが決定したことは周知のとおりであります。 その額もさることながら、税制のどこをどう改正して得た減税かということがわれわれにはより重要でありますが、その財源を明確にせず決定されたことに不満は大きく残りますものの、政府が異例の予算修正に応じ、今後の不公平税制の改正に合意が成立したことは一歩前進であり、将来への展望を考えるとき、一応の評価をするものであります。 われわれがかねてから主張していますように、税額控除方式により、夫婦子供二人の標準世帯の課税最低限を二百九十万円に引き上げることや、所得に対する課税の不公平を徹底して是正されることを強く要求しながら、所得税法の一部改正に賛成するものであります。 次に、租税特別措置法及び国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案についてであります。 国民が税制改正について強く要望していることは、一日も早く不公平税制を改正し、困窮する財源を確保することであります。 しかも、この租税特別措置法は大衆の預貯金を守る少額貯蓄の非課税制度や中小企業の特例など一部を除き、そのほとんどすべてが設立目的を失い、大企業等を優遇する税制と化しております。 しかし、提案されています改正案は、一部われわれの主張を取り入れたところはありますが、あくまでも微調整であり、抜本的な改正にはほど遠いものであります。 第一は、利子配当課税の特例に対する是正がきわめて不十分な点であります。 利子配当所得に対する課税の特例についてはすでに五十年度に期限切れが来ていたにもかかわらず、五年間延長された経緯や、税制調査会でも総合課税が望ましいとしていることなどから、その廃止が緊要であったのであります。しかし政府が五%程度の税率引き上げにとどめたことはまことに遺憾とするところであります。 第二は、大企業優遇税制の是正が昨年度よりもさらに大幅に後退していることであります。 税収額を平年度ベースで比較いたしますと、五十一年度は九百六十億円、五十二年度は三百五十億円と六分の一に後退をしております。まだ大企業に対する軽減額がこの租税特別措置によって一千億円を超えることから考えるならば、その実態は持てる者を助け、持たざる者に厳しい国民生活無視の姿勢と言わざるを得ません。 第三は、交際費課税の強化についてであります。 企業の交際費は年々増加の一途をたどり、四十五年度は全企業で一兆七百一億円であったものが、五十年度には二兆三百八億円と約二倍になっております。 こうした交際費の増加は企業の担税能力を証明するとともに、真に企業経営に必要な経費という範囲を逸脱していると言わなければなりません。したがって、一定の非課税限度額を超えるものは全額課税対象とすべきであります。その場合、税収額が一千億円にも及ぶことから考えますと、一日も早く抜本的な改正の必要なことを改めて主張せざるを得ません。 このほか、指摘しなければならない点はまだ多くありますが、これらの点を盛り込んだわが党独自の租税特別措置法の一部を改正する法律案を本院に提出しましたことを申し添えておきます。 したがって、政府は租税特別措置法及び国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案を撤回の上、われわれの要求を入れ再提出されることを要求するものであります。 以上をもちまして、私の討論を終わります。(拍手)
○小渕委員長 高橋高望君。
○高橋委員 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま提案されておりまする所得税法の一部を改正する法律案に賛成し、租税特別措置法及び国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案に反対の討論をいたしたいと思います。 民主主義発展の一段階として、複雑多岐にわたって起こる国民の声、要求をどのように整理し、またその先行順位、内容、程度等を考慮するかは、確かにむずかしい問題であることは私たちも十分に知るところであります。しかも、国際間に発生した経済環境に取り組むには、従来の姿勢によるばかりではいかんともしがたいものでもあります。 このところのすべての国際問題は、わが国にとって、経済的な立場よりは支出を促されるものであり、少なくともかつてのように恩恵を受ける交渉はほとんどないと言っても過言でないと思われます。そして、この支出増を支える税に対して、わが国は、過去の積み重ねがそうさせたのではありますが、税は取られるものであっても支払うものであるとの立場はまだ十分に確立しておらず、いわゆるタックスペイヤーとしての心構えはできておりません。この抜きがたい税金ぎらいを前提の一つとして配慮する必要は十分にあります。 いまここで過去を振り返るのみに多くの時を割くべきではありません。過去は現在から将来へと指針を立てるに必要な一つの資料にとどめます。 さらに考えねばならぬ状況があります。それは十分御承知の与野党勢力接近下の国会運営であることです。昨年末、賢明な国民は、国政運営を与野党接近のもとで行うべしとの決断をなさいました。その意を受けて初めての今回の国会でありましたが、責任を踏まえて行動する野党に比し、与党並びに政府はどれほどの準備、心構えがあったでしょうか。そこに見られるのは、口でこそ新しい局面を唱えながらも、その中身は従来と同じく行政主導型の域を脱し得ずに、過去をなぞって与党としての責任ある行動、特に基本姿勢をとり得なかったと断ぜざるを得ません。したがって、国民が望む選んだ人によって行う政治ではなくして、勇気と知性を持った政治は今回も行われなかったのであります。 私は、税制にあっても手探りの税制しかなかったと申し上げたい。国民はそうした手探りの税制の持つもどかしさにいら立ちを訴えているのであります。一見慎重に見え、思慮あるやに思えるこの手探りの税制は、その実、国民に焦燥と不安感を増大させ、そのまま政治そのものに不信感を持たせて、議会主義そのものにまで不信感を持たすに至ってしまうのでございます。 今回の租税特別措置法の一部改正に当たっても、過去の手探り税制の弊害が露出し、政府としては、その改廃に当たって仕事をしたとの感触を持たれておりましょうが、それはあくまで小手先のことであって、何ら抜本的な改善策とは言いがたいものであることを知らなければなりません。 法人税本税の中における金融機関に対する貸倒引当金に例を見るごとく、制度そのものを廃止してしかるべきものを依然として存続させる愚を続けてはならないと思います。銀行は、貸し出し先が企業であれ、個人であれ、必ず担保なり個人保証なりを要求し、その担保も、たとえば土地を担保の場合は、市価に比しせいぜい半分の評価しかせずに、十分過ぎる担保を取り、どう転んでも損のないような状況をつくり上げております。この企業にどうして貸倒引当金の配慮が必要でしょうか。もし銀行に引当金の必要ありとすれば、不正貸し出しか、行員の不祥事に対して備える、せいぜいこの点でございましょう。しかし、こうした社員、行員の不祥事による損害引当金など許されているところがほかにありましょうか。 この種の例は一つにとどまりません。さらにはすでに多くの国民がこのことを知るところでもあります。税に対する不公平感の芽は、かくして生まれてくるのであります。 私は、この討論に当たって要望を重ねていたしたいと思います。当大蔵委員会の権威を維持、高めるためにも、より率直な討論を願い、そのためには政府・与党が従来のかたくななからを破ってこの席に臨んでほしいし、今回はその姿勢に不十分さがあり、したがって、その案も当然のことながら不十分であることを改めて申し上げるところであります。 最後に一言、協調とはその名のとおり、コオペレーションであり、一緒に作業するものであること、同調だけを求めるだけのものでないことを申し添えて、私の討論を終わります。(拍手)
○小渕委員長 荒木宏君。
○荒木委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案について賛成、租税特別措置法及び国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案について反対の討論をいたします。 まず所得税法の改正に関する法律案は、基礎控除を初め人的控除を各三万円引き上げることを主たる内容とするもので、その意味では一定の改良であります。しかし所得税減税が見送られた本年度と通算しますと、その減税規模は両年度の物価上昇に及ばず実質増税となるもので、物価高と不況に苦しむ国民生活をさらに圧迫するものであり、支持することはできません。 政府は、わが国の課税最低限がすでに国際的に上位にあると言いますが、通貨の対外交換比率にすぎない為替相場の換算によって課税最低限を比較することは税負担の実質比較にはなりません。なぜなら、長期の激しい物価高の結果、名目所得が上昇し、円相場の高騰と相まって名目課税最低限が上昇したとしても、その実質水準がなお低いときには税負担が重いと言わざるを得ないからであります。国際比較の一つの基準であるエンゲル係数をとれば、日本は米国、西独に比べてはるかに劣り、その生活実質は所得の相当部分をなお食費に割かざるを得ない状態にあります。さらに税及び税外負担と社会保障給付の比率が先進諸国の中でも低いことは、国民の重税感の重要な根拠となっております。だからこそ生活防衛のために大幅減税の国民的要求が高まり、与野党伯仲の政治情勢のもとで上積み減税が実現をし、課税最低限は二百二十四万円に引き上げられたのであります。 わが党は課税最低限を二百八十万円に引き上げることを主張しており、その点から見ますとなお不十分ではありますが、今回の上積み減税は国民要求を反映したものであり、政府案が実質的に修正されたものとして賛成する次第であります。 次に、租税特別措置法改正に関する法律案について反対の理由を申し述べます。 第一に、それは不公正税制の象徴並びに根幹であります。各種特別措置は言うまでもなくそれぞれの政策目的に応じて設けられたものであり、中小企業、一般国民も利用しておりますが、しかし全体として大企業、高額所得者の利用額が多く、その結果として実質税負担率が大企業、高額所得者の方が、小規模、低額所得者より軽いという不正常な状態が戦後一貫して続いてまいりました。このことは昭和二十七年ないし三十三年、同三十六年、同四十七年ないし四十九年に関する大蔵省資料、税制調査会資料でも明らかにされております。租税特別措置法は大企業、高額所得者に全体として租税特別措置集積の利益とも言うべき巨額の利益を与えており、不公正税制の温床、象徴とも言うべきもので、その大綱を維持している政府案には反対であります。 第二に、租税特別措置法は経済的危機の根源をなすものであります。たとえば、各種特別償却は整理合理化されたと言いながらなお数多く、これが普通償却の大幅拡張の上にさらに上積みされていることは、長期的に見て日本経済と国民生活に重大な悪影響を与えたことは明らかであります。一つは、資源多消費を促進し、政府みずから資源小国と称しながらエネルギー危機を一層激しくしてまいりました。二つには、それは設備投資を人為的に促進し、今日の不況現象として指摘される需給ギャップをつくり出し、わが国の市場問題を深刻化させたのであります。三つには、原価計算上コストアップをもたらし、物価高、独占価格高騰を進めてまいりました。そして四つには、財政危機の重要な一因をつくり出したのであります。 わが党は、不公正税制の是正とともに、資源を尊重し、物価を抑え、市場問題を解決するために、これら高成長を支えた特権的減免税の廃止、縮減を主張してまいりました。先ほど特別償却を例にとりましたが、このことは他の多くの特別措置についても同様であります。利子配当の優遇税制や貸倒引当金、価格変動準備金など各種引当金、準備金を初め、法人の受取配当の益金不算入、支払い配当軽課措置など、いわゆる特権的減免税と言われる各措置は、すべてその主要な側面がさきに述べたような日本経済の危機を激しくし、高度成長型経済政策に沿って設けられたものであり、その存続は容認しがたいところであります。よって政府案に反対の態度を表明して、討論を終わります。
○小渕委員長 これにて討論は終局いたしました。 —————————————
○小渕委員長 これより採決に入ります。 まず、所得税法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○小渕委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。 次に、租税特別措置法及び国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○小渕委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。 —————————————
○小渕委員長 ただいま議決いたしました両案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表して山下元利君外五名より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 この際、提出者より趣旨の説明を求めます。山田耻目君。
○山田(耻)委員 ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案並びに租税特別措置法及び国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提案者を代表して簡単に御説明申し上げます。 この決議案は、社会経済情勢の推移に応じての中小所得者の所得税負担の軽減及び法人税課税の基本的あり方について政府の検討を要請するとともに、不公平税制として指摘されている利子配当の分離課税制度及び社会保険診療報酬課税の特例制度の合理化並びに税務職員の処遇改善等について、同じく政府の十分な努力を要請するものであります。 個々の事項の趣旨につきましては、法案の審査の中で明らかにされておりますし、また案文で尽きておりますので、その朗読により趣旨説明にかえさせていただきます。 「所得税法の一部を改正する法律案」並びに「租税特別措置法及び国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案」に対する附帯決議(案) 一 政府は、今後においても、引き続き所得・物価水準の推移等に即応し中小所得者を中心とする所得税負担の軽減合理化(配偶者控除の適用要件である配偶者の所得限度の引上げ、白色申告者の専従者控除の引上げ等を含む。)に努力するとともに、税負担の公平化を推進すべきである。 一 通勤手当の非課税限度額については、通勤の実情の推移に応じ、適宜見直しを行うべきである。 一 深夜労働に伴う割増賃金及び寒冷地手当については、一定の非課税限度を設けることの是非について検討すべきである。 一 法人の受取配当益金不算入制度及び支払配当軽課制度等法人課税の基本的あり方や利子配当課税の総合課税の方向について今後さらに検討を進めるべきである。 一 社会保険診療報酬課税の特例については、その合理化について早期に実現を図るべきである。 一 交際費の支出が社会に与える影響にかえりみ、課税の強化措置につき、さらに検討すべきである。 一 社会福祉充実の見地から、年金に関する課税の合理化を検討すべきである。 一 政府は、変動する納税環境の下において、複雑、困難で、かつ、高度の専門的知識を要する職務に従事している国税職員について、職員構成の特殊性等従来の経緯及び今後の財政確保の緊急かつ重要性にかんがみ、今後ともその処遇の改善等に一層配慮すべきである。 一 住宅取得控除については、住宅政策との関連において制度の合理化を検討すべきである。 一 医療費控除、雑損控除については、実情に即し適切な配慮を計るべきである。 以上であります。 何とぞ御賛同を賜りますようお願いいたします。(拍手)
○小渕委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 お諮りいたします。 本動議のごとく附帯決議を付するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小渕委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。坊大蔵大臣。
○坊国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配意いたしたいと存じます。 —————————————
○小渕委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小渕委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○小渕委員長 次に、貴金属特別会計法を廃止する法律案を議題とし、政府より提案理由の説明を求めます。坊大蔵大臣。 ————————————— 貴金属特別会計法を廃止する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○坊国務大臣 ただいま議題となりました貴金属特別会計法を廃止する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 貴金属特別会計は、政府の行う貴金属の買い入れ、売り払いまたは管理に関する経理を明確にするため、昭和二十四年に設置されたものであります。 貴金属特別会計におきましては、従来、海外からの金の一元的輸入及びその民間への売り払い等を行っていたところでありますが、昭和四十八年四月の金の輸入自由化以降、民間による金の輸入が順調に行われてきている状況等にかんがみ、同会計をこのまま存続させておく必要はないと判断されますので、昭和五十二年度末までに同会計を廃止しようとするものであります。 貴金属特別会計の廃止に伴いまして、その保有する金地金の処分を予定いたしておりますが、そのうち大蔵大臣の指定するものにつきましては、政令で定めるところにより算出した価格で日本銀行に売り払うことができることとするとともに、その廃止の際同会計に属する権利義務は、一般会計に帰属させる等の措置を講じようとするものであります。 以上がこの法律案の提案の理由及びその内容であります。 何とぞ御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○小渕委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 本案に対する質疑は後日に譲ります。 次回は、来る二十九日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時四十四分散会 ————◇—————