大蔵委員会 第2号
- 発言数
- 63 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1977/02/15
会議録
○小渕委員長 これより会議を開きます。 国の会計、税制及び金融に関する件について調査を進めます。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田耻目君。
○山田(耻)委員 坊さん、大蔵大臣に就任なさっておめでとうございます。 こうして初めてのあなたとのやりとりになるわけですが、大変な時代に大蔵大臣をお引き受けになりまして、本当にめでたいのやらお気の毒やら、よくわかりませんけれども、しかしいままで長くわれわれの中の平場にいらっしゃいまして、やはり混迷を続けてきたいまの経済不況なり歳入欠陥の問題を問いただしてまいります中で、あなたの非常に正義感あふるる、われわれ野党に対する御激励、なかんずく医師診療報酬の問題についての格段の御協力、私は非常に感謝をしております。そのあなたが大蔵大臣になられまして、必ず従来の大蔵大臣がおとりになったように、本音とたてまえがまるきり違う、こういうふうなことはないものと私はあなたの人間性を信頼しております。その意味から、あなたの時代に、長い間硬直し切っておった国の財政政策あるいは税制、こういうものについて国民が期待できる抜本的な改革がなし遂げられていただけるものだという期待を私はいたしております。 一般的な紋切り型の所信表明は前回伺ったのですが、そういう長い間の大蔵委員会のおつき合いを通して、今日の日本の財政が直面をしておる諸問題について、文字どおり、大蔵大臣として、ある意味ではその職を賭して改革に手を染められるかどうなのか、その冒頭における決意、気持ちを表明していただきたいと思いますが、あなたの所感、いかがでございましょうか。
○坊国務大臣 心温まる友情のお言葉を山田さんからちょうだいいたしました。しかしその中にも、政界にある人間といたしまして、まことにまた厳しいお言葉を承ったと思いまして、非常に万感胸に迫っておるような次第でございます。お言葉のように、私もまことに微力ではございますけれども、皆さん方の御批判、それと御支援、御指導をお願いしながら全力を挙げてまいりたい、かように考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○山田(耻)委員 きょうは二月四日のあなたの所信表明に対してお伺いするわけでございます。 時間も非常に限られておりますし、夜もだんだん遅くなってまいりますので簡潔にお伺いいたしたいと思いますが、せんだってのあなたの所信表明は、大別すれば二つに分かれています。 一つは、今日のインフレの現状の中で、あるいはスタグフレーションの中で、日本経済は依然として低迷を続けておる、しかし五十二年度国家予算はこうした状態を十分踏まえて、公共事業投資など十分行いながら、安定成長過程に決して希望を失わない、こういう立場から、全体を述べられております。 私は、きょうは、特に、二番目に述べられております財政再建というものが五十二年度、財政元年としてスタートされましたけれども、しかし大量の国債発行をしなくちゃならぬ、国家財政は維持できない、しかも国債発行は三〇%を占めて、予算の中で重い比重となってきた。このような状態を続けていかれるならば、財政硬直化はもちろん、日本の財政運営そのものが困難になってくる。しかし、片一方では、財政インフレの危機が強まってくることは避けがたい事態であろう、こういうふうに分析されております。こういうふうな財政困難な事情に立ち至ったいまの日本の国家予算の現状ですけれども、推し進めてまいりますと、いまのような税制の状態、いまのような経済の状態では、来年度もまたまた事志と違って大量な国債発行に依存しなければならない、こういう状態に推移していくんじゃないだろうかと大変心配しております。今回五十二年度予算の中で、国家予算の中で占める国債依存率が三割近くもなったというその主因、一体これはどこにあるのか、その点についてあなたのお考えを述べていただきたいと思います。
○坊国務大臣 御指摘のとおり、全く五十二年度は財政が千古未曽有の難局に逢着しておるということは、私もよくわかります。その財政のもとにおきましてどうしてもいま大事なことは、景気を浮揚いたしまして安定成長の路線へこれを持っていかなければならないということ、さようなことから考えてみるならば、その方法としてどうしても手だてを講じなければならない。その手だてにはやはり金がかかるということと、もう一つは国民生活の安定ということも期していかなければならないというようなことでございまして、それを二つとも何とかして実現していこうというためには、景気の刺激が要る。景気を刺激するということになりますと、これはさなきだに物価というものが、前門のオオカミ後門のトラじゃありませんけれども、物価に対する不安というものがひしひしと迫ってくる。これがそのままいきますとインフレになってしまうというような事態におきまして、いま申し上げましたような目的を何としてでも達成をしていこうというならば、まあ経済というものはそんな単純なものではありませんけれども、二律背反と申しますか、そういったようなまさに相逆行する要請をどうして片づけていくか。それをやるためにはどうしたって私どもは、山田さんとは違うかもしれませんけれども、ひとつ景気浮揚のためには公債政策でもっていこうということと、それからいま申し上げました民生の安定というためには、まあまあかなわぬまでも、十分じゃありませんけれども、中小所得者の負担というものを軽減していかなければならぬといったような要請のもとにこの予算をつくりましたけれども、最も心配なものは、そうやってまいりますと、どうしてもいまおっしゃられました赤字公債というようなことになって、何とかして公債の額も減らしたかったけれども、民生だとかあるいは公共事業だとかいったようなもの、これを何とかするためには、どうしても赤字公債の額は前年度に比してふやさなければならなかった。しかしながら、その依存率におきましては、これは自慢にも何にもなりませんけれども、とにもかくにもその一線だけは守らしていただいたということで、この方針でもって、五十一年度、五十二年度大変危ないじゃないか、危険じゃないか、こういうふうにおっしゃられますけれども、私は今日までやりました景気浮揚の七項目、さらにまたいまお願いをいたしておりまする五十一年度の追加補正予算、それに今度の五十二年度の予算というものを結びつけてまいりまして、何とかしてこの五十二年度というものを突破してまいりたい、かように考えております。
○山田(耻)委員 二十八兆五千億の国家予算の成立がなし遂げられなければ、それが実行されなければ国民生活の安定もあり得ないし、その中には公債等を財源として公共事業投資を活発にやらなければ経済不況克服の施策は遂行できない、こういうおっしゃり方をなさっています。しかし二十八兆に対して税収は十八兆二千四百億しかない。この絡みを私は伺っているのです。そこに八兆四千八百億という国債に依存をする。それはインフレ要因をなお強めていくことになる、これはあなたも認めておられます。問題は、前回の国債発行計画を載せられたときに、できるだけ赤字国債はその額を減らしていきたい、国債依存を弱めていきたい、こういうことを前提に計画書が出されております。確かに二九・九から二九・七になったので国債依存率は下がりましたと言っておられますけれども、発行額に対しては七兆二千七百五十億が八兆四千八百億です。一兆二千億もふくらんできておる。私はこういう当面の施策として、あなたたちが安易な道を選ばれたのではないか、こういう心配をするのです。それが将来にわたって国民生活を破壊し、ひいては経済全般を破壊していく、こういうことにつながる危険性を持っておるのではないかと私は心配しているのです。 だからもう一歩進められて、二十八兆五千億という国の財政がなければ国民生活も安定させることができない、不況を克服することもできない。しかし税収は十八兆二千四百億しかない。健全財政の上から見たらまことに不均衡な財政なんですね。ここで打つ手は、国債に依存するというほか道はなかったのでしょうか。あるいは将来も余りお考えになっていないようだが、昭和五十一年二月に大蔵省でお出しになりました国の財政収支計画。自治省もお出しになっておりますね。この財政収支試算というものは増税を意味していますね。これをちょっと私も読んでみました。この財政収支試算並びに地方財政収支試算、こういうもの二つあわせて中期財政展望というのをお持ちになっているようです。昭和五十五年まで、いわゆる赤字国債発行を中止する時期ですね。この時期に向かって増税をする。五十五年で国税の方は二%、地方税の方は一%増税をする。これは国民生活をまた苦しめる増税の仕方ですね。国民生活を圧迫します。国民は反発します。この中期財政展望の中にもう一つ抜けているものがあるんじゃないか。それがあるからこそ増税というのがなかなか国民のコンセンサスが得られない。その抜けているものは企業の優遇税制です。この優遇税制に手をつけずして、いまの跛行的な税体系を残したまま増税を図ろうとすれば、私は国民の抵抗が出ることは当然だと思います。だから、この国の財政収支試算なるものは一応それなりにお出しになったのですから、この中期財政展望を踏まえて国民は大変な議論をいま起こしているのです。 東京都もこういう本を発行しながら、「不公正税制と財政構造の改革」という文書をつくりながら、国の施策のあり方に厳しい批判を加えております。この東京都の分析を見ましても、私はそれがみごとに貫かれておると思いますけれども、現在の国民が見ている不公正税制の中心は企業優遇税制である。この企業優遇税制は特に大きな企業、一億以上の企業を分類してみると、百億までで八分類に分かれます。この一億から百億までの企業分類を見ていけば、一番調子のよかった昭和四十七、八年ごろの企業のいわゆる申告所得は四八%もふえておるのに、税負担割合、負担率は逆に〇・一%下がっておる。これは百億以下の分類です。百億円以上になると三・七%も税負担率は下がってくる。大企業になるほど、収入がふえるほど税の実効割合は下がってくる、こういう操作になっておるのが企業優遇税制の実態であり、その中身は租税特別措置法である。税というのは総合累進課税が基本に据えられておりますように、そうした収益、収入の高いところほど税負担割合は高くなっていかなければなりません。それが実効税率が、金持ちほど収入の多いほど下がってくるというやり方を厳しく指摘をいたしております。一体、こういう企業優遇税制の改正に本格的にお取り組みになる用意があるのかどうか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
○坊国務大臣 昭和五十五年度までに健全財政の実を上げていくということは、御指摘のとおりこれは非常な難関だと思います。しかしどうしてもそれをやっていかなければ、日本の財政経済というものがなかなか立っていかないという事態にあることもよくわかっております。そこでいま山田さんの御指摘は、それにはこのむずかしい道程において一つ大変なものを忘れておるじゃないか。それは企業優遇、大きな所得者である企業に対して忘れておるんじゃないか、これに対する税の公正、是正ということをやることを忘れておるのじゃないか、こういうお話でございまして、それに援用されたのは東京都で研究されました、私もそれは拝見いたしております。しかしながら、これはもう恐らく山田さんもその東京都でつくられた論文と申しますか調査と申しますか、全面的にお認めになっていらっしゃるというふうには私も考えておりませんが、あの東京都の調査による結果というものにつきましては、大蔵省の事務当局でもしさいに検討をさせましたけれども、私どもの考えとは大分違うということもこれあり、私どもといたしましては何としてでも大きな企業を優遇していくというようなことをいつまでも続けちゃいけないということはよく知っております。だから五十一年にとにもかくにも租税特別措置法を全面的に洗い直しをする。さらにまた五十二年度におきましては、期限の来たものからこれを改定していくというようなこと等をやっておりますけれども、それはそういうようなことで追いつくわけのものではない。ただことしの予算編成にあるいは税制改正に際しましては、私も十二月の末ですか、大蔵大臣に就任をして、だからといって責任を回避するつもりは毛頭ございません。これは幾ら時が短くても、大蔵省というものは代々続いてきておるのであって、それで私は責任を回避するつもりは毛頭ございませんけれども、まさに私は、ここで泣き言を言うのじゃございませんけれども、疾走中の汽車に飛び乗ったようなかっこうでございましたが、それはそれといたしまして、とにもかくにも五十五年度を目指しまして何とかしてこれを改定していきたいということは私は考えております。 そこで、私は、五十二年度予算の編成に際しましては、泣き言を言うのじゃございませんが、とにもかくにもさしあたって日本の今日の財政状況というものを、何とかしていまの五十二年度を突破していくために、さらにまた景気を浮揚していくというためには、いまおっしゃられました大企業に対しまして、今日この際大きな増税をしていくということも、景気を浮揚しようと言うておるときに、それを急いでやっていくということにも私もちゅうちょしたわけでございまして、その点はおしかりを受けておりますけれども、五十五年までにはどうせ中期税制、大きな税制の整備拡充をしていかなければならないというときには真剣になってこれを考えてまいりたい、かように考えております。
○山田(耻)委員 あなたの決意はそういうことで述べられておりますが、東京都が出しておるこの研究レポートといいますか報告書といいますか、これは私はまだ書かれた学者なり責任者を大蔵委員会に参考人として呼んで、そうして十分聞きながらしさいに解明しておりませんから、一応これをうのみにするというわけにはいきません。ただ、国家財政なり地方自治体財政の将来に向かって確かに投げかけておる一つの志向というのは、私はこの中で尊重し得るあるいは認めなくちゃならぬものが多くあることはあなたも同感ではないかと思うのです。 いまの、大蔵省がお出しになっておる財政収支試算というのをずっと伸ばしていきますと、五十五年、二%ということですが、確かに今日では法人税と所得税は一対一で大体拮抗していますね。ちょっと最近は所得税がふえて、法人税対比が一・二弱ぐらいでしょう。しかし昭和五十五年には、このグラフを伸ばしていきますと、法人税一、所得税一・六、こういう指数を示してきておりますね。私は学者でありませんから、大蔵省でお出しになった収支試算を綿密に分析をしてその方向を確定づけたものというふうには理解をいたしません。そうして、あなたは二番目に、公債に依存しなければ、あるいは優遇税制を撤廃して大企業に一つの税制上の荷物を背負わせるとこの不況が克服できない、もろ刃の剣なんだ、だからそこは昭和五十五年をめどに努力をしていきたいとおっしゃっているわけです。 しかし、大倉さんもここへお見えになっておりますが、歴代の主税局長、そうして次官におなりになって行かれた方が去年の暮れ、日本証券の例の座談会の資料の中に皆収録されておりますが、あの歴代の主税局長をなさっていた人たちは、ここに座っておられるときは優遇税制なり租税特別措置を見直すということを約束しますと皆力んでおられるけれども、中身の改革というのはなかなか実効を上げていない。しかしあの人たちが現職をおやめになって、租税特別措置を撤廃しなくちゃいかぬ、全部やめる、全部やめて企業にどうしても必要なもの、これから取り直していくのであって、撤廃をしてそこから出直しをしないとこの企業優遇税制の本当の改革はできないとおっしゃっている座談会を読みまして、なるほどもっともだ、現職をおやめになってそういう正確な意思、見通しが述べられるものだ、現職にいる間はなかなか圧力が強くて言えないのだと私もそれを読みながら感じたのですけれどもね。いまの東京都のレポートにも、いまの不公正税制によるそういう優遇税制を五十二年度に撤廃をする、そうしたら法人課税の改正だけで一兆七千七百三十五億、税が入る、個人の利子配当、株の譲渡所得の改正だけで九千二億入る、合わせて二兆六千七百三十七億増収になると書かれています。恐らくあの日本証券の座談会にお出になりました高木さんにしても吉國さんにしても、こういう数字はちゃんと理解して申されたんだと思います。 そうして昭和五十五年には、このまま推移していきますと、四兆三千億の税増収になる。私は国債発行をなさるときに、ことし税収が十八兆しかない、八兆五千億近い国債発行をしなくちゃならぬ、こういうときに、この問題点をどれだけ大蔵省はたたき台にのせて税の増収ということに腐心をなさったのか、その点をひとつお聞かせいただきたい。
○大倉政府委員 政策税制の見直しにつきましては、当委員会でも何度かお答え申し上げましたように、一昨年の八月から税制調査会に洗い直しをお願いいたしまして、五十一年度改正で、なお不十分であるというおしかりは受けましたけれども、私どもなりに期限の来ないものを含めましてかなりの改善に努めたつもりでございます。五十二年度もそれに続きまして期限到来分を中心に同じ考え方で若干の整理をいたしております。ただ五十二年度は、先ほど大臣が申し上げましたように、非常に大幅な増税を考えるということは、残念ながら景気の側面からいって適当でないという御判断で、税制調査会でも景気対策と矛盾しない範囲内での増収を考えるときであろうという御答申をいただいたわけでございます。 ただ政策税制の見直しにつきましては、先ほど申し上げました一昨年の八月以降の御審議があり、さらに昨年六月からは、ただいま山田委員のおっしゃっておられます中期的な展望で今後の税制を洗い直していただきたいとお願いをいたしまして、その過程で東京都の財源問題研究会がお出しになっている資料は非常に広く取り上げられておりますし、税制調査会にお見せする必要があると思いまして、異例ではございましたが、お出しいたしました。 そのときの御審議の経過は、これはもし委員会としてのお計らいを得られますれば、部会長報告という形で出ておりますので、資料としてお出しした方がいいのかもしれませんが、その報告の中にございます、ごく短い文章でございますので、あるいは読ましていただいた方がいいのかもしれません。「東京都新財源構想研究会の報告について論議が行われ、内容の是非はともかく一つの問題提起であるとする意見もあったが、同報告における資本金階層別法人税負担率及び企業優遇税制による軽減税額の試算については、各種の引当金並びに受取配当益金不算入及び配当軽課制度、さらには、いわゆる欠落軽減税額分に含まれているとみられる収用等の場合の圧縮記帳等の制度をすべて企業優遇税制とみていること、また、特別償却による軽減税額の計算上いわゆる取戻し計算を行っていないこと等多くの問題があり、したがって、この試算を法人税負担の論議の基礎とするのは適当でないという意見が多かった。」という報告をいただいております。おっしゃいましたように、十分論議をすべき問題であると思いますけれども、私どもはこの試算に出ております実効税率とか減収額とかそういうものを今後の法人税負担の基礎に持ち込むのはどうも適当でないという御意見が非常に多いということを申し上げさせていただきます。
○山田(耻)委員 大臣どうですか。
○坊国務大臣 大変勉強家の山田さんでございまするから、恐らくはお読みになっておるんだと思っておったのです。だからぼくは説明を申し上げるのは失礼だと思ったから申し上げなかったわけなんですが、いま主税局長が申し上げたようなことで、何も東京都をぼろくそに言うわけでも何でもございません、一つの資料、一つの見解としては、これは私は非常な力作だと思いますけれども、これを財政当局が取り上げまして、これによって今後の税制を考えていくという資料としてはちょっと適当ではないというふうに私は考えております。
○山田(耻)委員 一つの増税策を考えるときの物の見方としては、それは大臣、大倉さんのおっしゃることも、私は全然爼上に上せられない暴論だとは思いませんよ。ただここに出されておる東京都の調査報告書も、それはそれなりの立場を通しての物の集約の仕方ですからね。在来の大蔵省の考え方は企業まる抱えという考え方に近い立場から税制を考えてこられたからそういうお話になるんだと、私は私なりにやはり受け取るわけですよ。だから、その一つの圧力といいますか、その成り立っている条件から離れて別の立場にお座りになると、主税局長であったり、あるいは事務次官であったりする人たちが大胆にそういう意見を述べられる。私はこの違いの中に、日本という国を考えるときに、日本の財政というものを考えるときに、あれはやめていって勝手なことをしゃべっているんだというふうには国民は受け取りませんよ。そこにやはり大蔵財務当局としてもっと国民に顔を向けて、企業寄りではなくて、思い切った不公正を直していく税制をつくり上げていくという立場に立たなければ、これから先のなかなか歳入欠陥の多い日本の国家財政の中で国民生活を安定させていく、生活を守る、企業の健全な成り立ちを求めるというふうな言葉だけでは国民は理解しないし、われわれも理解しない。そういう意味では、いまのあなたの意見なり大倉さんの意見というのは、私はそれなりに聞きますよ。聞きますけれども、それでは今日の財政危機を克服していく税体系のあり方としては認めるわけにはいかないのですよ。この点はまた委員会でどうせ税の問題やりますから、参考人もずいぶんお呼びしまして議論を深めていかなければならぬと思います。 しかし、そうではあってもあなた少しずるいですよ。私は今回の税改正の法案まだ全部検討いたしておりませんけれども、部分的には期限切れの措置法の見直し、手直し、廃止、こういうものは見受けます。そうして交際費課税の問題利子配当の問題等について多少手を加えられておる点は認めます。しかし、国民だれが見ても不公正の最たるもの、そうして税制調査会が今日まで再三にわたって指摘してきたもの、ここまで言うとあなたもおわかりだと思う。(坊国務大臣「そこまでおっしゃらぬでもわかります」と呼ぶ)医師優遇税制は、あなたが大臣に就任なさったときに、おれがこの問題を手がけるとおっしゃっていた新聞記事を私は見ました。それから予算編成の段階に入ってきたときに、これは両年度ぐらいは少し延ばしながら検討していきたいという新聞の談話も見ました。坊さん大蔵大臣になるまでは、この委員会室で私がやっておると一生懸命後で応援してくださっていたが、大臣になった直後はまだやりたいという気持ちはあったが、日がたつに従ってだんだんぼけてきた、こういう感じで、私はこの談話を見ながらさびしい気がしました。なぜこれを逃したのか。不公正税制を直すということは、国債依存度を高めるということとうらはらの問題です。一体この不公正税制の最たる医師優遇税制をなぜ今回やられなかったのか、ひとつ見解を述べてください。
○坊国務大臣 恐らくは山田さんからそこのところをおしかりを受けるであろうということは、もう十分予期しておりました。私ははっきりと申し上げまして、決して私の今日までの考え方というものを変えてはおりません。私は大蔵大臣として、その責任者として大蔵省へ入っていったときに、私はぜひともこれをやりたいと思った。ところがそれより先に、医師課税というものは医療費と非常に深い関係があるというようなことで、まずその医療費というものの真相をはっきりさせる必要がある——私ではありませんよ。政府がそういうふうに決めまして、そうして厚生大臣のもとに専門家会議とかというものをつくりまして、そこでこの医療費というものの真相をすっかり検討の末に洗い出して、それに基づいてこの医師課税というものを改正するんだという一つのルールと申しますか、そういったようなものができておる。そういうことを大蔵省と厚生省と、無論政府として、私が行ったときには、これは山田さんもあるいは御存じじゃないですか、去年の九月でしたか、そういったような一つのルールができておったということで、そこで私が行って、これは不公正だからこれを是正しようじゃないかということになると、この問題はいま厚生大臣のもとでそういった専門家会議においてこれをやっておるんだ、一年、二年かかってこれをやっていくんだ、そしてその審議とにらみ合わせて租税の改正をやるんだ、こういうことになっておる。 そこで私は、今度の税制改正に間に合うようにこれをぜひやろうということをあきらめました。これはおしかりを受けても私は弁解しません。しかしそういったような一つのルールというものができておる以上は、私も政府の一員になってしまって、何も大蔵委員のときに強く言っておったのを大蔵大臣になって変節したとか変心したとかいうつもりは毛頭ございません。私は、この厚生大臣のもとにおける審議あるいは協議といったようなものがどういうふうに進んでいくかということをにらみながら、自分の考えというものをぜひ実現していきたい。厚生大臣に対しましては、いま大臣のもとにこういうものができておるということを承っておる、これをぜひ促進してもらいたいということは、私は厚生大臣に申し入れております。私は弁解するつもりも何もございませんけれども、そういったような経過になっておって、その審議とにらみ合わせながら私は所信を貫徹してまいりたい、かように考えております。
○山田(耻)委員 いまのあなたのおっしゃっていたことでは、税体系を考えるただ一つの委員会である大蔵委員会としてはいただけないお答えなんですよ。この医師の優遇税制の問題は昭和四十年から出ている問題なんです。その都度厚生大臣は努力もしましたが、しかし適正な診療費と必要経費とのバランスをとらなければできないということで、今日まで十一年かかっているんです。あなたが厚生大臣なさったときもそうでしょう。その厚生大臣をなさった経験の中から、これは何とかしなくちゃいかぬという気持ちで決意をなさって、この優遇税制を改めようと自民党の関係の委員会でもお決めになったのでしょう。それは、そういう適正な診療単価をどうしなければならないということと無関係でやられたんじゃないのです。今日まで何回かにわたって医療費は改定されました。それは改定される以前の議論から通じておる事柄なんです。改定されてきました。しかしこの問題に一切触れられないのです。決断じゃないんですか。おっしゃっているような、前段を調整しなければこの改正ができないということではなくて、自民党政府の、特に所管大臣としての厚生、大蔵大臣の決断じゃないんですか。私、あなたに求めているのは、こういう点があるからやりにくい、これを片づけなければやりにくいということを聞こうとしているのじゃないのです。不公正税制を正していかなければ、日本の国民全般に向かって増税を求めることはできませんよ。だから、仕方がないから国家予算の足らない部分は国債に依存する。この繰り返しじゃないですか。国民全般の皆さんが、この程度の増税はやむを得ない、こういうような判断に立つのは、不公正税制がなくなってからですよ。それをなくするためにやる一つの仕事が大蔵大臣としてあなたにはあるのですよ。その中で一番国民も見、あなたも言っておられた、私も言っていた、その優遇税制について、いまみたいな事情だからできない、もう少し時間をかしてくれというのでは、私は、私を含めて国民の皆さんはなかなか納得できないと思う。問題はあなたの決断、政府の決断でしょうが、一体、あなたは大蔵大臣という職を辞してでも、この問題を片づけていくのに、かねてここでやられていたような情熱でこの問題にぶつかっていらっしゃる決意があるのですか、ないのですか。その点を重ねてお尋ねをいたします。
○坊国務大臣 山田さんおっしゃるとおり、私は大蔵委員の末席におきまして、絶えずこの問題について山田さんとは意気投合いたしました。それで、お互いにこれを努力してまいったことをいま思い出しております。だから、その気持ちというものは私は変わっていない。ところが、私が大蔵大臣として大蔵省へ参りましたら、私も薄々知らぬじゃなかったのです。知らぬじゃなかったけれども、一つの大きな前をふさぐ難関ができておったわけなんです。その難関があるのを横へ回るとか何とかというようなことではとてもやれるわけじゃない。どうしたってこの難関はできておるんですから、何とかして突破しなければならない。私は、飛び越えるとか横へ回るとかということでなしに——せっかく政府がつくっておるのですよ。せっかくと言うといいものをつくったというようにとれるけれども、私はそうは思っちゃいないのですよ。思っちゃいないけれども、現実に難関ができておる。その難関をやはり突破しなければ、幾ら私だけが焦っても、これはとうてい困難であるということを私は考えました。おまえ勇気がないじゃないか、おまえ変節したんじゃないか、変心したんじゃないかということをかつての同志、大蔵委員会の同志、山田さんからおしかりを受ければ、私はこれを甘受しなければならない。しかしながら、私はぜひともこの難関というものはできるだけ早く門を開いて通ってまいりたい、かように考えております。
○山田(耻)委員 もう時間がございませんから、また改めて税制審議のときにやりたいと思います。ただ私は、あなたというのは常識人だから、私が言わなくてもおわかりになっていると思いけれども、こういうふうにして経済が深刻な不況になっておると、国債に依存しなければならぬ、五十五年までに赤字国債をやめるという立場で努力はなさっておることはわかりますけれども、このままの状態で推移したら、私はそれは不可能なことじゃあるまいかと心配するのですよ。だから、どうしても可能な、しかも公平な立場で増税ということも考えられ得るのじゃないか。もちろん歳出の節約ということも十分に考えなくちゃいけません。いけませんけれども、何しろ国家予算が膨大なものになってきますし、そういうことも考えられ得るのじゃないかと思いますが、しかし、いまのような不公平な税制を残しておいたまま増税をするということは、厳しい国民の批判を受けることは間違いありません。この国会も通ることはない、与野党伯仲の時代ですから。 その一番の焦点は、くどいようでございますけれども、企業優遇税制、租税特別措置、この中に多くございます。だから、これを一遍全部なくして再出発するというやり方も考えられないわけじゃないんですよ。たとえば、株式譲渡についての取り扱い、あるいは医師優遇税制の取り扱い、一つ一つやろうとしますと抵抗が出るのです。それは長い間つくられておる制度じゃないですか。お医者さんの悪口言ってはいけませんけれども、大変苦しんでおられる方もいらっしゃるでしょうが、いま不景気なときに町を見まして、りっぱな建物ができるのはほとんど病院、警察、銀行。銀行の貸倒引当金も部分的には手がけていただいてはおりますけれども、まだまだ不十分ですよ。こういうふうにして、医師優遇税制も、それを払いのけようとすれば当然理由は出てくるのですから、残そうとする理由は出てくる。そういうことで、一つ一つやろうとすればなかなか年月がかかる、むずかしい。だから、一遍企業優遇税制なるものは全部やめる。やめて、どうしてもこれだけは必要だというものから起こしてくる。それが不況克服の大事なかなめになるということであれば、私や国民は認めますよ。この中には、改廃に弾力性を持たして——政令の分野もたくさんございますよ。こういう問題を含めて再検討しなくちやいけない。それをしないで国債依存ということになりますと、やがて、あなたが冒頭おっしゃっておりましたような非常に危険な状態に日本は落ち込んでいきますよ。そういう意味から、一遍この優遇税制については根本的に検討してみる、こういう点をひとつお考えいただきたいと思うが、いかがかという点が一つです。 それから、これは大倉さんの方にもお願いしておきたいのは、租税特別措置を手がけて古い問題なんですよ。私は昭和三十八年に出てきまして、最初大蔵委員会に入ったとき本会議で租税特別措置の問題を取り上げました。あのときから今日までそうですけれども、租税特別措置によって一体どれだけ減税になっていったのか、どれだけメリットが出てきたのか、効果はどうなったのか。そういう点については、いかに資料を求めても報告がございません。この際、こういう関係の資料を全部お出しいただきますように、まだ税法の審議には入りません段階で各委員にお配りくださいますように、そしてわれわれももっと真剣に、まじめに中身を検討いたしまして、冒頭申し上げました優遇税制全体から出発しよう、こういう再検討の資料にしとうございます。これらをひとつお出しいただきますようにお願いいたしまして、何かそれに対する見解をお述べいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○坊国務大臣 租税特別措置法でございますが、これをスクラップ・アンド・ビルドというお考えのようでございました。それで、租税特別措置法を一々当たってみますと、企業優遇というものだけではなくて、これはもう御存じのことですが、中小企業あるいは個人、そういったような措置がずいぶんございまして、それで絶対額におきましても、これを全部一たんスクラップしてしまう、そうすると、どうしても先ほど申しました企業優遇でないというようなものは、これはつくっていかなければならない。たとえば法人税についてもそういったようなものもこれあり、だからそこいらのところをスクラップすれば、一つ非常にありがたいものはありますけれども、そのスクラップをするということにするか、やはり一つ一つこれを検討して見直していくかということにつきましては、これはひとつ真剣に考えてみたいと思っております。 それで、いまおっしゃられました租税特別措置における各条項がどういう作用をしておるかということにつきましては、これはひとつ主税局長、委員の方々に資料として差し上げる、こういうことにさせていただきたいと思います。
○大倉政府委員 資料の点についてお答えいたします。 実績でどの程度利用したかということにつきましては、法人税関係は国税庁の調査をもといたしまして、ある程度推計が加わりますが何とかなる部分がございますので、過去四年分くらい大蔵委員会にお出ししておると思いますが、同様のものを当委員会にお出しできるように努力をいたしてみたいと思っております。 ただ、今回事前にちょっと申し上げておきたいのは、基本のデータが、国税庁が申告書ベースに集めるわけでございますが、一番最近大蔵委員会にお出ししているのが四十九年度分でございます。今度五十年度分の実績がお出しできるわけですが、御承知の商法改正がございまして、決算期が製造業はほとんど全部一年決算に移ってしまいました。そうしますと、従来ベースでの五十年度実績というものをお出しするときに、従来半年決算で一年決算に移行したもののかなりの部分が統計上いわば半年分しか出ないという点がございます。ある意味で継続性がないものですから困ったなと思っておるのでございますが、それを一年ベースに引き延ばすということもちょっとできません。いろいろ擬装が入り過ぎてかえっておかしくなるのかもしれません。従来どおりの方式で、いわばデータに制約があるということを前提といたしまして、とにかく同じ方式で機械的に計算してみるということでございますれば、もう少し時間をいただきますと何とかお出しできるのではないかと考えております。 それから、そういう基礎データの全くないもの、たとえば一番具体的に申せば、利子所得というのは、この結果だれが一体減収になったということは全くデータがないわけでございまして、そういうものはちょっと実績というのはお出ししようがない。むしろ毎年度の私どもなりの非常に大胆な推計をした減収額というようなもので御審議いただくしかしようがないんではなかろうか。 さらに御質問の中にございました個別の政策的な措置が一体計量的にどういうメリットをもたらしたか。たとえばこの特別償却があったから、そのことのゆえに設備投資が幾らふえたかということも、これまたどうにも計量的には出ない問題かと思います。ほかの要素が余りに多過ぎて、税のために設備投資が幾らふえたのかということを計量的に把握することは、これは言うべくしてできないのではないかと思います。したがいまして、その点につきましては、せめてその特別の措置というものはどういう政策効果をねらってやっておるのかという御説明にとどまらざるを得ないのかもしれません。 くどく申しましたが、いろいろな条件のもとにおきまして、私どもとして御審議にたえ得るようなものはできるだけ早い機会にお出しいたしたいと思います。
○山田(耻)委員 むずかしい点もあろうと思いますが、優秀な大蔵官僚ですから、余り間違わない推計を加えていただいて、政策効果については十分それは付記していただく。それは具体的にこれだけこうだ、だから政策効果はこうなっているというものでなくても結構ですから、日本経済全般に個々の企業はどういう政策効果をもたらしておるかという点を付記していただければ、大体私たちもそれを見させていただいて検討することができますから、それをよろしくお願いします。 以上で終わります。
○小渕委員長 次に坂口力君。
○坂口委員 二十分少々の時間でございますし、大変夜も更けてまいりましたので、簡潔にお聞きをして簡潔にお答えをいただきまして早目に切り上げたいと思います。 日本の経済の最も重要な時期に差しかかったこのときに大蔵大臣を引き受けられましたわけでありますが、それだけに大臣は大きな自負もお持ちになっているだろうと思うのです。大臣が今日から向こう数年間どういうふうな物差しで、どのようなことを尺度として経済のかじをとっていこうとお考えか、まずお聞きをして、質問に入っていきたいと思います。
○坊国務大臣 大蔵大臣の仕事というものはきわめて広範であり、きわめて重大であるということはよく自覚をいたしております。その大蔵大臣としてこの一番むずかしいときに私がこれを務めさしてもらうということは、私にとりましても一面非常に苦しいとともに、一面また私も非常に張り合いを感じておるということでございますが、さしあたって私の仕事は、いまの景気、これを何とか回復いたしまして、そうして持続的な安定成長へ日本経済を持ち込んでいく。それと私は、財政を、いまも非常に御心配をしていただいておる三〇%の公債依存といったような姿の財政を健全化していきたい。私は年をとっておりますからよく知っておりますけれども、戦前にとにもかくにも陸海軍の要求を満たすために公債を発行したその公債が、何と普通歳入の中の公債の依存度が三〇%であったということも考えまして、まことに今昔の感にたえない次第でございます。ぜひ健全財政に持っていきたい、かように考えております。
○坂口委員 そこで、最近新聞等にも伝えられておりますように、日本の円に対する圧力というものが非常に強くなってきている。米国初め、特にこの数日はECからかなり圧力が高まってきているというニュースが伝えられているわけであります。この円に対する圧力、きょうの夕刊等にも各紙伝えておりますような円高、この傾向というものは、これは当然のことながら景気にも大きな影響を及ぼしていくだろうと思うわけでありますが、現在の円に対する諸外国、特に欧米先進国からの圧力というものを大臣はどのように受けとめておみえになりますか、お聞かせいただきたいと思います。
○坊国務大臣 最近、きょうを含めた両三日の円というものはこれは別といたしまして、それまでには円に対しましていろいろと誤解があったと思います。と申しますことは、日本の日銀、通貨当局が何とかして円というものを不当に安く抑えていこうというふうな目的を持って介入しておるんだというふうに誤解を受けておった。しかしそれは全然さようなことはありません。一つの円のずっと上がっていく傾向につきましてこれを介入して抑えていこうといったようなことは、日本の通貨当局は全然やっておりません。それについてよくアメリカにもECにも御説明を申しまして、もうアメリカあたりは大体それを了解してくれた。ただし、いまフロートでございますから、そこで乱高下というものがありますね。その乱高下というようなことが起こってきた場合には、何とかしてそれを抑えていこうということはやっておりましたが、一般的傾向を、介入して抑えていこうなんということは全然やっておりません。 そういうことで、大分その了解を取りつけておる折から、まさに乱高でございます、この両三日は。これは新聞にも出ておりましたとおり、何とかして抑制していかなければならないというような手だてを通貨当局はとっておろうと思います。
○坂口委員 そうしますと、この二、三日の乱高下はともかくとしまして、今回の、今日まで続いております円に対する圧力というものは、これは誤解からきているもので、この二、三日の問題も含めてこれらの根源には誤解がある、誤解を中心にして起こっているものだ、こういうふうに理解をしておみえになる、こうお受け取りさせていただいてよろしゅうございますか。
○坊国務大臣 いまの両三日のは、これはもう現実に強いのでございますから、誤解ではございません。ただしかし、ずっと上がってきた、それにつきましては、決して無理に上がるのを抑えようというようなことをやっておりませんということです。これを了解してもらっておる、こういうことでございます。
○坂口委員 先ほども申しましたとおり、貿易の不均衡というような問題もその背後には影響をしていると思うわけでありますが、これは景気対策というものに対しても何がしかの影響を与えることは必至だと思うわけであります。 大臣は、現在の円高というものが今後どのように推移するかという、これは予測というのはなかなかむずかしいことだとは思いますけれども、今後のことについてどういうお気持でおみえになるか。また、現在の円高というものに対する分析と、そして景気に対してどう影響するか、もしも影響するとするならばどういう政策を打ち出していこうというふうに思っておみえになるか、その辺のところを、現時点においてお考えになっているところをできるだけ聞かせていただきたいと思います。
○坊国務大臣 御承知のとおりいまの日本経済というものは、これは日本の戦争中みたいな籠城経済ではもちろんなく、日本だけではどうにもやっていけない。そこでどうしても連通管のごとく世界の経済というものと歩調を合わせて、そして栄えていかなければならないということでございます。今日日本の公債依存度が、たとえばドイツに比べましてもアメリカに比べましても、大変高いといったようなことだとか、物価がやはり日本が一番高いといったようなこと、そういったようなことでOECDあたりでは、経済成長もこれらの国に比しまして日本が非常に高く見られておるというようなこと、これは私は、世界経済に歩調を合わせてやっていく日本としては、どうも歩調が少し合わない。それでこれは合わしていかなければならぬというようなことで、たとえば日本の国内の景気、これをだんだん引き上げていくということによりまして、日本の輸出——輸出というものは日本の経済が沈滞しておるというようなことで外に向かって輸出がどんどんと出ていく。出ていきますから円がだんだん強くなるというようなことも考えなければならない。さような意味におきましても、この五十二年度というものは大変大事なときでございまして、国内はもちろんのこと、国際経済の立場に立ちましても、これはどうしても日本の景気を浮揚していくということが大事なことであろう、かように考えます。
○坂口委員 本当はもう少し言っていただきたいところでありますけれども、時間がたってまいりますので、次に進ましていただきたいと思います。 大臣は、所信表明の中でインフレなき成長ということを言っておみえになるわけであります。これは考えてみれば非常にむずかしいことであることは私も理解をするわけであります。五十一年度の経済成長というもの、これが予定どおり達成できるかどうか、これは経企庁の長官に本当はお聞きしなければならない問題かもしれませんけれども、大蔵大臣としてのお立場から、現在の景気の進みぐあいというものについてどのようにお考えになっているかお伺いしたいと思います。
○坊国務大臣 これは先ほど山田さんにも申し上げましたとおりです。われわれはベストを尽くしております。それで、ベストを尽くしておるだけじゃなく、この見通しはどうか、こういうふうにおっしゃられるかもしれませんけれども、なし得る限りのことをやりまして、そうして景気を回復して、経済成長も所期の目的を達成する。そのためにいろいろやっておりますことが、たとえば先ほど申しました七項目だとか、五十一年度の予算だとか五十二年度の予算といったようなもの、これをぜひとも国会におきましてひとつ順調にまとめ、成立をさしていただきたい。幾らそういったようなものをやりましても、五十一年度は、予算が半年以上もおくれてみたり、諸般の施策が全くおくれたということが相当大きな影響を及ぼしている。上がるべき景気も上がらず、下がるべき物価も下がらないというようなことに作用したんじゃないか、こう考えますと、この国会におきましてぜひとも皆さん方の御協力によりまして、施策が時を余りおくれないようにやっていただきたい、これをお願い申し上げます。
○坂口委員 五十一年度の景気のおくれというものを、大臣は予算の上がるのが非常におくれたというようなことだけに原因を押しつけておみえになるように聞こえるわけでありますが、決してそうではなしに、自民党内におけるいろいろのごたごた、あるいはまたベースアップ、そういった問題が低く抑えられたというようなこと、こういったこともわれわれは非常に強く影響をしていると考えているわけであります。 いまここでその議論をするいとまはございませんけれども、これらのことを加味いたしましても、大体この間の予算委員会でも所定の経済成長というものはなし遂げられるのではないかというふうに総理もお答えになっているわけであります。しかし、内容をよく見せてもらいますと、たとえば五・六%上がりましたといいましても、これは五十一年の一月−三月の間の三・三%というものをげたにして、その上に継ぎ足しての話でございます。実質的には非常に成長が低い。しかも、言うまでもなく、貿易等の経済要因というものが、海外要因というものがかなり大きな影響をしていたことは事実でございます。国内需要というものを中心に考えましたときに、数字で見ますよりも、実際の現場における中小企業を中心とした皆さん方の苦労というものは、これは想像以上にあるのではないかと思うわけであります。 先ほども話題に出しました円高というようなものともにらみ合わせまして——今度は五十二年度です、いまは五十一年度を申し上げているのですが、五十二年度の景気対策に新しい角度から検討を加える必要があるのではないか。政府が今年度の予算案の中に示されておりますような、ただ公共事業一辺倒という形ではこれはいけないのではないかということをわれわれは主張してきているわけでありますけれども、最近の円高等を含めた新しい要因等も含めてその必要、この現在の予算案に組まれたそれだけでいけるというふうな確信をお持ちであるかどうか、この辺も重ねてお聞きをしたいと思います。
○坊国務大臣 私は、ある目的を達成していくためにいろいろな手だてがある、この手あの手、それからこれかあれかというふうに、いろいろな手だてがあるけれども、本当に日本が今日はぎりぎりのところに来ておる、そのぎりぎりのところに来ておるときには、もうこれこそ最上である、これこそベストであるという手を、これでもっていくのと、あるいはこれは二番目、三番目にいいのだというのでその両方でいくのと、二つも三つも行き方があろうと思うのです。あれもこれもということと、これだというのとあろう、こう思うのです。人間ぎりぎりのところに来たら、やはりこれでいくのだ、これが力強いのじゃないか、私は、抽象的なことを申し上げて大変失礼でございますけれども、いま話がちょっとそこへ触れてきたようでございまするからこれを申し上げたのでございますが、その手を考えてみますといろいろあって、一つの手はいい、この二番目の手もいい、いいけれどもそれには副作用が伴うとかいろいろなことがあるわけなんですね。そこいらのところをしさいにこれ検討してみますと、私がいま考えておりますのは、この手でいこうということであって、それで——それは補完ということはありますよ。二本足でいくか一本でいって補完をしつついこうか、こういうことでございますが、話がそこへ触れてきたものでございますから、私の心境を抽象的に申し上げたような次第です。
○坂口委員 時間がなくなってきまして、もう一問だけお聞きをしておきたいと思います。 いまお答えいただきました公共事業か減税かという問題につきましては、予算委員会はこれからまだ続くと思いますので、そちらの方でまた議論をさせていただくといたしまして、現在国債がこれでもうすでに幾年か発行されまして、そしてその国債を都市銀行を初めとします銀行等が引き受けていくわけでありますが、都市銀行などはこの国債を引き受けますために、いままで持っておりました債券等をかなり手放して、そしてこの国債を持っているという現実がございます。また、その銀行が手放しました債券、そうしたものの中で有価証券等を企業金融がまた引き受けている。現在、企業は民間投資等がなかなかできにくい状態でありますのでこれを引き受けている。幸か不幸か、現在の段階はそういった形で一つの落ちつきと申しますか、そういう形になっていると思うわけでありますけれども、これから景気がだんだんと回復をしてまいりますときに、企業は設備投資あるいは在庫投資等に金を必要としてまいる。その場合に、現在のように有価証券を持っているということがある程度困難になる。そういう景気回復の時点において、特にこの国債問題というものが、新しく五十二年度において次々とまた出てくる、この引き受けのシェアの問題、この見直しの問題が私は大きな問題だと思うわけです。また逆の面からいきましたら、金融構造を根本的に見直す時期ではないかと思うわけです。これにどう対処していかれるのか、非常に大きな問題で、粗い質問でございますけれども、これに対する大臣の大枠をお聞かせいただいて、もう時間が過ぎておりますので、終わりにしたいと思います。
○坊国務大臣 御指摘のとおり、今日ただいまは企業の資金というものはまあまあとにかくやや順調にいっておるということでございますけれども、やがて多額の公債発行が余儀なくされるというようなことになってまいりますと、これはまた金融市場が相当公債によって窮屈になってくるといったようなことも予想されます。そういったような場合には、またオペレーションだとかいろいろな方法をやるということと、それから市場の育成それから国債の管理といったようなことを、あらゆる手を講じまして資金が窮屈にならないように努めていきたいと考えておりますけれども、詳しいことは事務当局にひとつお答えさせますから……。
○後藤(達)政府委員 私の方の所管範囲から申し上げますと、ただいまおっしゃいました点は、これからの私どもが関心を持つ一番大きな問題と思います。したがいまして、いま大臣が仰せのように、これからの国債管理政策その他の問題が大変大事になると思うわけでございますが、金融的に見ましても、時期的な資金の競合でございますとかあるいは緩和とかいうことの調整が大変大事になってまいると思っております。したがいまして、それは中央銀行のオペレーションその他のことを中心といたしまして、そこに問題が起こらないように極力努力をしてまいる、こういうふうに考えております。 当面のところは、先生も御指摘のように非常に落ちついて順便にそれぞれ資金が供給されておりますけれども、将来来るべき問題に備えましていまから十分勉強をし、対処する備えをしていきたい、こう考えておる次第でございます。
○坂口委員 誤解があるといけませんので一言だけ断っておきますが、私は落ちついていると申し上げたわけではなしに、いびつながらも一つの均衡をとっているということを申し上げたわけです。大臣はオペレーションとかいろいろなことをおっしゃいましたけれども、それは一つの方法、技術をおっしゃったわけで、その中からどれを選択するかということをお話しにならなかったわけでありまして、事務当局の方にこれを求めることはもちろん無理な話で、大臣自身からこれはお聞きしなければならない問題であると思いますが、重ねて、もしもつけ加えていただくことがありましたらつけ加えて、なければこれで終わりたいと思います。
○坊国務大臣 私が申し上げて、事務当局が申し上げて、それにつけ加えるところはございません。
○坂口委員 では終わります。
○小渕委員長 次に、高橋高望君。
○高橋委員 私はきょう初めての国会の質問でございまして、どうぞよろしくひとつお願い申し上げたいと思います。また、先輩委員各位、何かと御鞭撻のほどお願い申し上げたいと思います。 きょうは時間を私、十五分ということでございますので、前回の大臣の所信表明の中におけるまず景気の問題について、現状認識についてお伺いしたいと思います。 所信表明の中で、「景気の回復状況には」という言葉を大胆に使っていらしゃいますけれども、私は中小企業で育ってきた一人の男でございますので、この景気の回復という実感が現在ございません。 それは御承知のように、私たちの国のいまの経済というのは、高度成長から一転して深刻な経済危機に直面している、私はそう思います。しかも景気変動説からすればキチンの説やジュグラーの波では説明できないで、私はこれはコンドラチェフの波をもって初めて説明できるような異常な事態であろう、そのように解釈いたしております。 何よりの証拠は、依然として減らない企業倒産を考えていただきたい。昨年の企業倒産は、御承知のとおり、ある民間の信用調査機関の発表によれば、全部で一万六千件、負債金額は二兆二千六百億円。これは前年に比べて、件数で二四%増、負債金額でも一八%増になっておりまして、史上最高でございます。この結果、企業倒産というのは、石油ショックに直撃された昭和四十八年以来、四年続けて前年を上回っている。この中にはもちろん東洋バルヴさんを初めとして一部上場企業の倒産も含まれてはおりますけれども、倒産企業の多くが資本金一千万円以下の中小企業、しかもその集中度は、百万円から五百万円までの中小企業に集中している。 どの国の経済状態を調べるのにも、中小企業の動向が景気のバロメーターだと言われます。しかも御承知のように、この一、二月は何とか毎月一千二、三百件でとどまりそうでございます。しかし、三月には千七百件を上回るのではないかという予想がなされている。この説は遺憾ながら実現の可能性があると私は判断いたします。 それはまず第一に、これまでの政府の経済政策の失敗によって、先行きが不透明である。そのために民間設備投資が依然としてふるわない。さらには個人消費投資個人消費支出も高まらないで、最終需要が盛り上がるような情勢にはないということ。第二には、企業、特に中小企業には政府系金融機関から年末金融がございまして、無理をして越年をいたしましたけれども、その返済時期が三、四月に迫ってくる、いわゆる資金繰りが悪化してくる。そして第三には、いつものことながら、企業収益が悪化している企業には、銀行やその他の金融機関は金を貸さない。このために、こうしてお話をしているこの一日でも五十件の企業倒産が出ている。 どうしてもここで政府の時宜を得た適切な政策がなければ、さらに景気の沈滞が長期化する、倒産件数も一層増大するものである、そう思いますので、大臣が所信表明の中で言われた「景気の回復状況には」という言葉に私は大変な不満がございますので、まずこの辺の状況についてのお考えをいただきたい。お願い申し上げます。
○坊国務大臣 おっしゃるとおり、現在は倒産あるいは失業者といったようなものが後を絶たずに増勢にあるということは、私もよくわかります。 そこで、振り返って考えてみますと、そういったような状態になってきたということは、とにかく高度成長というものがきわめて軽微な成長というものに切りかえられなければならない。それから、石油ショックといったようなものが起こってきたことが、何といいましても日本経済に対する一大痛棒であったというのがあらわれてきておる。しかしながら、おっしゃるとおり、去年の春あたりから少し曙光が見えてきた。ところが、どうしても中だるみがいまもまだ続いておるというようなことになりましたゆえんのものは、むろん高度成長それから石油ショック、それの痛手が、まだ後遺症が続いておるということだけではない。それは続いておるには違いありませんけれども、しかし一つは、去年はしなくも起こったロッキード問題というもので予算を初め諸政策が非常におくれてしまったことが、非常に大きな影響を与えたというふうに私は考えるのです。 そういうことから考えてみまして、今度の政府はどうしたってこれを立ち直らせなければならないと思いまして、先ほども申し上げましたとおり、七項目だとか、あるいは五十一年度の補正予算だとか、あるいは今度御審議を願うところの景気回復予算といったようなものを何とかしてできるだけ早くつくっていただいて、このいまの事態を立て直していくということをやって、そうすれば——私は何も余り楽観する人間ではありませんけれども、やり得ることをやって立て直しを期するということでなければならない。かような意味において、何としてでも私はこの日本の景気、経済というものを立て直してまいろうと、かような決意をいたしており、またこれは不可能であるとは私は考えておりません。
○高橋委員 私、中小企業の仲間の多い立場からすると、どうも大変失礼ながら、まだまだ御認識が甘いような気がしてなりません。と申しますのは、私は、今回の不景気というのは一九三〇年代の不況、私がちょうど生まれて育ち始めたころの、私の両親たちが苦労したころの日本の国の、あるいは世界の不況状況に大変似ていると思うのです。 御承知のように、一九二九年にニューヨークで株式の大暴落があった。自来アメリカの鉱工業というのは三年半ばかり低落傾向を続けてきた。わが国も大同小異だ。私のおやじなどはこれで倒産をいたしました。 ところで、今回の不況の際にも、主要先進国の鉱工業生産というのは、石油ショック後軒並みに大幅な落ち込みをして、まだ回復していない。もちろんイタリアが一番大きな数字でありますが、御承知のとおり日本が二番目。そうすると、いま倒産している企業の倒産構造と申しましょうか、これが、いわゆる放漫経済というようなものではなしに、御承知のように、売り上げ不振であるとかあるいは連鎖倒産もございましょう。いずれにしても、大変な倒産構造の変化が来ている。これに対して、特に中小企業に対して政府は何らかの救済手段をお考えにならないか。たとえばイタリアでは、御承知のように、GEPYという倒産企業救済公団がもうすでに発足をしている。邦貨換算で六百億に及ぶ政府の持ち株会社ができて、倒産企業の選別をし、ものになるところには金も人も出しておる。こういう対策をイタリアですら——イタリアですらと言うと、大変イタリアには失礼ですけれども、イタリアですらやっているのに、私たちの国はそれができない、あるいはしない。あるいはこれから先早急になさろうとしていらっしゃるか、この辺をひとつお伺い申し上げたい。
○後藤(達)政府委員 いま金融的に私どもの方でやっておりますのは、御案内のように政府関係金融機関、ここが倒産関連の企業に対しまして融資に配慮するということを一つやっております。それから信用補完の方の制度といたしまして、信用補完をいたします。これは保証協会が保証をいたしまして、そちらへ資金が流れるようにする仕組みでございます。これにつきましては保険がかかるようになっておりまして、そこは政府出資その他で国が最後のめんどうを見る、こういうことに相なっておるわけでございます。そのほか、市中金融機関におきましては中小企業救済の特別融資の枠をつくっておりまして、これの融資をいたしております。 いま、保険というようなお話でございますが、保険関係には、倒産の企業自体が保険契約者になって保険が受け取れるという制度をつくりますのは、保険の考え方から言いますと、なかなかむずかしそうな感じがいたします。なお、私どもよく勉強しなければいけないと存じますが、保険関係はやはり大数法則が働きますとか、事故は偶発的なものでございますとか、あるいは損害と保険事故との因果関係が明らかになっておりますものでございますとか、そういうような基本的な要請がございますので、なかなか保険関係ということではむずかしそうな感じがいたしております。
○高橋委員 どうぞひとつ、さらに詳しく倒産の実情を御調査の上、御善処方願いたい。しかも早急にお願い申し上げたい。よろしくお願い申し上げます。 私は二十三分までなので、最後の質問になろうかと思います。 ことし福田総理が経済の年だとおっしゃった。私も、日本の当面の最大の課題はそこであることは全く認識を同じくいたします。しかし、そのプロセスなどについては若干政府と見解を異にするものでございますけれども、二、三ちょっとお伺いをしてみたいと思います。 景気の回復を確実なものとすることに第一の優先順位を与えるべきであり、またその大半の責任は財政が担うべきである、これも当然だと思います。個人消費にせよ企業の設備投資にせよ、残念ながら民間の需要項目には、これといって自力で立ち直る要因が現在見当たらない。そのため、政府もいわば財政主導型によって景気の回復を図ろうとしていることは、大臣の所信表明でも私よくわかります。 しかし、私は政府原案の予算によって果たして政府見通しの名目一三・七%、実質六・七%という経済成長率が達成できるか否か、大変疑問を持っております。それは、公共事業によって景気の拡大を図ろうとしておりますけれども、無理があるのじゃないか。ある有名な統計学者の言葉で、この世の中に三つのうそがある、御承知のとおり一つは善意のうそ、一つは悪意のうそ、さらに統計のうそだということを言っております。しかし、さらに私はつけ加えさせていただいて、政府の経済見通しのうそというのをつけ加える必要があるのじゃないか。このところ経済見通しはほとんど当たっておられない。高度成長時代でも減速経済時代でも同様に当たらない。しかし、その内容は大きく変わっていることは申すまでもございません。高度成長時代においては、政府の見通しよりも実際の成長率の方が高かった。減速経済下では、逆に政府の見通しは絶えず実際よりも高くなっている。よろしゅうございますか。それは、石油パニック以来政府の経済見通しが計画達成目標にすぎないで、政府の望ましい、いわば期待する姿を描いているにすぎないのじゃないか。四十九年にマイナス〇・三%、五十年に三・四%。五十一年度五・七%、これは大体政府の数字に近うございましたが、いずれも低い。そして、ここ数年の異常な海外余剰、要するに輸出がなければ、五十年度は実質では私は二・〇くらいだと思う。きょうも予算委員会で私どもの河村委員がお尋ねをしておりましたけれども、五十一年度では二・四%にすぎないじゃないか。輸出に支えられているのじゃないか。以上のことから見ると、五十二年度の六・七%の実現というものは大いに疑問がある。すでに福田総理も過日の予算委員会においてこのことはにおわしていらっしゃるというふうに私は伺いました。 しかも、五十二年度経済見通しを見ると、まず民間設備投資が一一二・二%に伸びるだろうと言われている。あるいは在庫投資が一五八・三になるだろう。しかし、OECDの経済成長だって昨年は五%だが、ことしは三・七五だ。そうすれば、輸出の伸びにしても昨年のような一九・七%期待できない。一一・九だとおっしゃるが私はこの一一・九という輸出の伸びすら非常にむずかしいものだと思う。 以上、ひっくるめて考えますと、すべて民間部門においては問題があることを指摘せざるを得ないのですけれども、この辺、大蔵大臣どのように認識されていらっしゃいますか。
○坊国務大臣 おっしゃるとおり、ここ数年間の経済見通しというものはぴったりしない。なかなかぴったりするわけのものではないと私は思います。しかしながら、ぴったりせぬからというて、これは一顧の価値もないというものではないと私は思う。どうしたって、政治をやっていくためには一つの見通しというものを立ててやっていかなければいかぬというようなことで、私は、これを政府として考えた者にとりましては、これはぜひとも実現をしていきたい、かように考えておりますけれども、しかしなかなかぴたり当たるというようなものではない。だけれども、せっかくつくったものは忠実にそれの実現に向かって進んでいこう、こういうことを考えております。 なお、事務当局から補足して申し上げます。
○佐上説明員 経済見通しと実績が乖離するというお話でございます。確かに内外非常に不安定な要素が含まれております。ことに石油ショック後問題がございましたけれども、いま先生御指摘のとおり、五十一年度は五・七、当初見通しは五・六でございましたけれども、〇・一上がったのでございますが、これはまずほぼ実現可能であるというふうに見ております。これは、先ほども坂口委員のまさに御指摘がございましたように、一−三が非常に輸出あるいは個人消費あるいは設備投資というのがよみがえってきたということに起因しまして、高原になりましてからずっと出てまいりました結果、確かに五・七という数字になったわけでございますけれども、これは経済企画庁が所管省でございまして、私どもももちろん相談に上がっておりますけれども、ごらんのとおり、一三・七という名目成長率というものの中を見ていただきますとわかっていただきますが、確かに輸出の方が昨年に比べますとトーンダウンしております。また、政策的にもそういう方向におもむくことが正しいことであろうと思いますけれども、とりわけ輸出を除きましては、私ども個人消費にしてもあるいは設備投資にいたしましても、いろいろ最近のデータ等を集めますと、去年よりも名目ではプラスになるではないかということを考えているわけでございますが、その際にやはり重要な点は、内需主導型に持っていくことが重要であること等兼ねまして、大臣が累次にわたって御答弁申し上げましたように、その際は特に政府固定資本形成、つまり資本支出を名目の一二・七から約二ポイント上回ります一五・九という姿に置くことによってその波及効果を他にも及ぼしていくという考えをもちまして、先ほど申し上げましたように一三・七%、六・七%の成長を実ははじき出しているわけでございます。もちろんいろいろの不安定要素もございますが、これは見通しでございますけれども、努力目標として、これを実現する方向で政策当局も努力いたさなければならない。決して無理な見通し、過大な見通しをいたしておるという状況ではございません。
○高橋委員 どうもありがとうございました。
○小渕委員長 次に、荒木宏君。
○荒木委員 大臣初め政府委員の皆さんにはお疲れと思いますが、大臣に対する初めての質問ですので、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。 まず第一は、今後の税負担をだれがどのような形で担っていくのか、こういう問題でございますが、総理も本会議で、五十五年に赤字国債をゼロにする、こういうお話でありました。租税負担率をそのために三%高めるという中期計画も出まして、この負担率の数字はさらにふえるということも言われておりますが、これをどういう形で負担するかということは、国民生活、日本経済の将来に非常に大きな影響があります。企業課税に求めるかあるいは個人課税に求めるか。間接税にしましても、個別消費税に求めるかあるいは一般消費税に求めるか。またその間に自然増収の問題、いろいろな関連する要素がありますが、こうしたことについて国民的な合意、納得を得る必要がある。従来から政府も言われてきたとおりであります。 いま、御承知のようにその中の一つとして言われております付加価値税につきましては、非常に強い反対の声もあります。こうしたことについていろいろ調査研究、勉強、手続としては税制調査会の審議もありましょうが、進められてきたわけですけれども、私はそうした国民的な合意を得る一つの機会としては、来るべき参議院選挙、これも一つの大きな機会であろうかと思うのです。もちろん、こうした調査研究、従来から政府が言われてきた検討には一定の時間が必要なこともよくわかります。したがって、そうした時間的な関係からあるいはそれまでに結論を得ることが容易でないということも考えられるのですが、しかし、三月、半年のことではなくて、本院でもしばしば論議をされまして、その都度勉強中という答弁を伺ってきました。 そこで、私は大臣に、この問題について、そうした国民の理解を得る機会、特にそうした将来の税負担について各党がかくあるべしという政策を掲げて選挙を取り組むわけですから、政府もその時点を目指して研究の過程の中間的な、できる限りわかる範囲の政府の考え方を国民に明らかにしていく、最終結論はあるいは得られないかもしれませんが、そうした努力を尽くされるべきではないか、こういうふうに思いますが、その点について大臣のお考えを伺いたい。
○坊国務大臣 租税というものは、これはもう国をなしておる限りはやむを得ないものであって、どうしたって税負担はしていかなければならない。ところが、税負担というものはやらなければならぬけれども、課せられる方の側にとってはできるだけ負担は軽い方がいい、これはもう申すまでもないことである。それからまた、もう一つは、公正な税でなければならないということ。そういったいろいろな諸要請が税にあろうと思いますが、そういったような中においてもう一つ考えなければならないのは、いまの日本の国の経済とか財政とかあるいは国民生活だとか、そういったような現状がどうあるかというようなことに対しまして最も適切なる税を、適切なる税というと、額においてもあるいは種類におきましても、課税する方法におきましても、最も適切なるものを選んでいかなければならない。それに対しまして、いま御指摘のように、国民の皆さんのいろいろな税がある、あるけれども、その中で同意を求めるということ、これまた非常に大事なことであって、しかしながら、一つの税を、たとえば消費税をかけるんだ、どうだと言いましたら、それはかけられる方は困る、困るから私はそういう課題の提供の行き方ではだめだ、いろいろな材料を出していって、そして、こういう税もあり、こういう税もあり、こういう税もある、いまの日本にとってその中のどれが一体適当であるか、国民の皆さんがどうしても——健全財政に持っていくということは、私は国民の皆さんの願望でもあろうと思う。これは、財政が狂ってしまったんじゃ日本の国が立たぬ、そのいまの事態において健全財政に持っていくためには一体どういう税が適当であろうかということを選択してもらうのには、いまおっしゃるとおり選挙などというものは非常にいい機会であり、かつまたこの国会において議論をしていただくということが一つの非常ないい機会である、かように私は考えております。ひとりよがりでこれをやるんだとか、それはやられたら困るとかというようなことではなしに、広くメニューを出しましてこれを選択してもらう、これをやればこれはやることは要らないのだというようないろいろな相関関係があろうと思いますから、そういうふうに持っていきたい、かように考えております。
○荒木委員 関連して大臣に。 税の不公正の問題、先ほども論議に出ておりましたが、大臣も税の負担の公正を一層推進する、こういう所見を述べられました。すでに本院でもしばしば論議されましたように、実際の税負担率、大企業と中小企業、資本金百億円で刻みまして、大蔵省の試算でも四十六年から四十九年まで資本金百億円以上の企業の方が、実際負担率がそれ以下の企業よりも軽いという数字が出ておりました。 この問題は、すでに昨年も前大蔵大臣にお尋ねをいたして、いろいろ個々には政策目的で出されておる税目ではありますけれども、それなりの措置ではありますが、トータルして、結果としてそういうことが傾向的に続くのはやはり検討の必要があるだろうという趣旨のことをおっしゃっておったのです。五十年度はまだ資料をいただいておりませんが、私は改めて大臣が就任されました機会にこの問題について、全体としてのこうしたいわゆる逆累進といいますか、これを是正するという方向で検討を続けられるかどうか、御所見を伺いたいと思います。 これは四十六年以降資料を出していただいておりましたが、税制調査会の資料によりますと、昭和二十七年から三十三年まで歴年同じことがずっと続いてきている。昭和三十六年もやはり同じでありまして、時間がありませんから詳しい数字は省略をいたしますけれども、言うなれば、二十数年来続いてきた積年の宿弊であるという言い方もできようかと思うのです。そうした意味でひとつその点についての大臣の御決意、御所見を伺いたいということ、これが一つでございます。 それから関連をいたしまして、税負担の公正ということは、同時に税の執行の公正ということも関連があると思います。すでに本院でもしばしば論議をされました田中角榮氏のいわゆるあの五億円についての課税、追徴の問題、これは一部の報道によりますと、むずかしいからもう見送りだという趣旨の観測記事も出ております。公判は公判で別なんですけれども、課税の公正という上で国税庁はこの問題についてどういう決意を持っていらっしゃるか、この点を関連をして伺いたいと思います。 それからあわせてもう一つ、税の問題でございますので伺っておきますが、いま豪雪で関連の地帯の皆さんは大変な難儀をしてみえておりまして、大臣もよく実情は御存じと思うのですが、雪よけの費用がなかなか損失控除として認められない。これは現行のたてまえでは一つは雑損控除というのがあります。もう一つは災害被災者の税の減免の特別の法律というのがあります。ところが、この特別の法律は、家がぺしゃんこに崩れるとかそういった大変な損害がなければ適用にならないし、一方、雑損控除の方は物損が基本になっておりまして、しかも一〇%という一定の限度がありまして、そういう意味で、自分でなかなかおろせない、やむなく人に頼んでおろした、年収三百万円ぐらいの勤労者が一日一万円の費用を払って三十日間三十万円払った、ところが、これが所得控除で見られない、こういう問題が出ております。市長会その他関係方面からも強い要望が出ておることですが、こうした点についての一つは、申告時の国税庁としての処置ですね。もう一つは、税制度の問題として局長あるいは大臣はこういう点についての救済措置をどのようにお考えになるか。 以上三点を関連してお尋ねしたいと思います。
○坊国務大臣 いまのお話の法人税の中で、中小法人の方が大法人よりも負担が重くなっておるじゃないかというお話でございますが、そういうお話を聞かぬじゃございません。そういうことが行われておるということは決していいことではない。ただし、しかし何かの理由でもってそういうことになっておるというその理由がはっきりすれば、そういったようなことにつきましては私が話を申し上げますよりここに主税局長が来ておりますから、時間がありませんから、もっと要領を得た話をひとつ主税局長からさせることにいたします。 それから、田中さんのこと及び雪おろしのことにつきましては国税庁が来ておりますから、その方が時間の節約にもなると思いますからひとつ……。
○山橋政府委員 お答えいたします。 先生の御質問の田中元総理に関係する問題でございますけれども、田中元総理が収賄したといたしまして刑事訴追をされております金額五億円につきましては、当委員会並びに他の委員会におきましてもしばしばお答えをしておりますけれども、法律上の没収追徴に絡むいろいろな問題もございます。しかしながら、現在公判でいろいろな事実関係その他の審理が進んでおるわけでございますが、私たちといたしましても、税務処理上必要な実態を十分調べました上適切な処理を行う所存でございます。現在税務処理のために必要な実態を把握するための作業を鋭意行っておるという段階でございます。 それから二番目の除雪費の関係でございますけれども、これは災害によりまして住宅や家財に損害を受けた場合には、資産そのものの損失額と被害があった場合の付随費用が雑損控除の対象とされていることは先生御存じのとおりでございます。したがいまして、豪雪の場合にはその被害を防止をするためにやむを得ず支出した除雪費をも雑損控除の対象とする取り扱いを現在国税庁としてはしておりまして、この点につきましては第一線にも特に周知徹底を図っております。五十一年四月二十八日の衆議院の当大蔵委員会におきまして「豪雪雪除費用にかかる災害費用の雑損控除については、実情に即し適切な配慮を計るべきである。」という決議もされておりますが、この決議の趣旨に沿って現在取り扱っておるところでございます。
○大倉政府委員 最初に、豪雪の雪よけ費用につきましてただいま国税庁次長が申し上げました、実情に即するような運用という以上に税法上さらに措置できないかという御議論、前々からございまして、時間がございませんのでごく簡単に申し上げますと、やはり一〇%の足切りというのは、それはそれとしてすぐに直すわけにもいかないということで、むしろ去年のこの決議をいただき、実際の運用を弾力的にしてまいるということであるように私は考えております。 なお、先ほどの御質問の中で一点ございました、年収三百万円だと三十万円の費用は引けないかという問題でございますが、これは荒木委員御承知のように、合計所得の一〇%でございますから、年収三百万円でございますと給与所得控除が百五万円ございますから所得は百九十五万円でございますので、若干ではございますが、その十九万五千円を超える分は控除はできるので、そういうところをむしろ皆様方によくわかっていただくように努力しなくちゃいかぬのかと思います。 それから冒頭におっしゃいました資本金階級別に負担が逆進的になっているではないか、それは東京都を御引用になりましたりあるいは大蔵省が毎年お出ししておりますものを御引用になりましたりして、予算委員会でも御指摘を受けておるわけでございますが、先ほど山田委員にお答えいたしましたように、なるべく早い時期に五十年度分を、先ほど私申し上げたようにいろいろな前提はございますけれどもお示しいたしまして、なお議論をちょうだいいたしたい、全体の流れとしてはなるべく中高になるということがないように考える方が妥当だと私自身も考えます。ただ、それがどういう理由によるのかということにつきましては、資料に即しましてなお御議論をちょうだいできれば幸いだと考えております。
○荒木委員 終わります。
○小渕委員長 次に永原稔君。
○永原委員 新米でございますので、ひとつよろしくお願いいたします。 まず最初に景気浮揚策として、公共事業についてどのようにお考えになっているか伺いたいと思います。 財政主導型の景気浮揚策、その一環として、いやむしろその大宗として公共事業の拡充こそ乗数効果が非常に大きい、こういうように指摘なさっておりますけれども、いまの経済、社会の情勢を見て、本当に公共事業にその効果があるかどうか、私は疑問を持ちます。と申しますのは、昨年の第七十七回国会、ここにおいて三木総理は施政方針演説をなさっておりますが、その中で「来年度予算及び経済運営では、景気の順調な回復と雇用の安定を図ることを最優先目標としております。財政においても公共事業と住宅に重点を置きました。」こういうように申され、しかも公共事業については、予算総額は前年度に対して一四%の増だけれども、二一%の増を図った、こういうように申し述べられております。まさに公共事業、住宅建設に寄せる期待が非常に大きかった、こう言っても過言でないと思いますが、一年たった今日、福田総理並びに大蔵大臣のお話によれば、経済回復は一つの基調に乗っている、しかしながら、やはり夏ごろから停滞が起こっておる、その中においてなお経済の失速、これが懸念されるような状態ではないが、経済の回復の状況を見ていくと、業種的にもまた地域的にも跛行性が見られる、こういうことを指摘され、また雇用面においても改善がおくれているし、倒産の増加、こういうような摩擦的現象が生じている、こういうことを指摘されております。摩擦的現象かどうか、これは議論の余地がありますが、これは別といたしまして、三木総理が強調された公共事業や住宅の拡充、これが決して内需の喚起とかあるいは景気の回復につながらなかった、こういうことを示すと思いますが、その点についてのお考えを伺いたいわけです。 繰り返しますけれども、昨年の経済は一月から三月にわたる輸出によって支えられていた。夏からは停滞しております。全体とすれば、マクロとして一つの回復の兆しを認められますけれども、ミクロ的な立場においては、先ほどもお話がございましたように、不況感がみなぎっているのが実態でございます。公共事業は長期的計画的にわたって支出されますので、その促進のため上半期に集中して投資するにしても、どうしても業種あるいは地域的にばらつきがあります。しかもその中で用地費の占めるウエートが非常に高い、こういうことからしますと、流動性が乏しい、そういうことになりまして、跛行性を生ずるのはやむを得ないと思います。そういう中で余りこれだけに期待をなさるということは多くの成果を期待できないのではないか、こういう気がしますが、いかがでしょうか。
○坊国務大臣 五十二年度の予算を編成するに当たりまして最も重大視いたしましたのは、これはやはり景気の回復である、景気を回復していくために一体どういう方法があるだろうということも考えました。そうなってまいりますと、公共事業でもって政府投資をしていくということもある。それから減税をしていく、そしてその可処分所得をふやして消費を刺激していくということもある。いろいろなことがある中で、われわれが検討の結果は、やはり公共事業というものが一番需要創出効果が大きい、こういうことに結論が相なりまして、それではひとつそれで行こう。ところが世間さまからは、それだけではない。それだけではなくして減税もやったらいいじゃないか、こういうお話もある。それもまたいろいろ考えてみました。ところが減税ということと公共投資ということと一体どっちが効果が大きいかということを考えてみますと、これは経済企画庁でも考えてもらったのですけれども、大体において需要創出効果というものは、公共投資、公共事業ということになりますと一・五倍あるいは一・九というような数字が出てくるのです。ところが、減税ということになると〇・八というような数字が出てくるということもこれあり、そこで可処分所得をふやして個人消費を刺激するということも、公共投資というのはすぐ雇用の安定ということにこれまたつながってくる。さらにはまた国の社会資本というものを充実していくということ。それからもう一つは、これでもってやっていくということが財政に弾力性、刺激というようなものを与えるというようなこともありまして、どうしてもこの際は、同じような財源があるということであるならば、ひとつその財源を非常に有効な方へ使っていこう、こういうことで公共投資を選んだというのが五十二年度の予算編成の基本的な考え方でございます。
○永原委員 同じ財源を使うのに公共事業がより有効だ、このお考えももっともだと思います。しかし、景気刺激をするというような観点で公共事業が果たす役割りを見ながら公共事業の増大を図ったかどうか、ここに疑問があります。というのは、昨年も前年対比二一%、ことしも前年対比ですと二一・四%、大差はございません。また構造的に見まして、予算に占める割合が前年度が一五・一%、本年が約一五%でございます。公債償還費を別にして考えても一六・二、三%ということで大差がない。そういう中で本当に公共事業に力を入れてそうして景気の回復をお考えになったのかどうか、この点に疑問が残りますけれども、いまのお考え、一応いただいておきます。 次に、減税について大臣のお考えを伺いたいと思います。 国民生活の現状から、また景気回復の観点からわれわれは一兆円減税を主張しているわけです。ところが大臣の方と意見がかみ合いません。主要諸国との水準を比較したり、あるいは今後の公共サービスの増大をするためにも税負担の拡大ということこそ考えられるようなお話が出ておりますが、そういう中でなお大臣がいま景気浮揚策の一環として減税のお話をお出しになり、それも意味があるんだという気持ちで御説明いただきましたけれども、今年度に引き続き来年度においても所得税減税を見送った場合には、国民の税負担感が高まることを懸念して、中小所得者の負担軽減を中心として減税することとした、こう申されております。このお気持ちは経済情勢の不況、物価高に対応しようとする、そういうお気持ちで、これだけの一〇・一%の課税最低限の引き上げをなされたのか、その点を伺いたいと思います。
○坊国務大臣 減税をしたことにつきましては、やはり中小所得者の負担軽減ということはいついかなるときでも大事なことだ、こういうような考えでもって——この財源は非常に苦しかったです。しかしながら中小所得者は負担軽減をしよう、こういう苦しい中にもそういうことをやったということでございます。 それから大幅な減税をやることについて、私は減税が景気刺激に効果ないとは申しません。それは確かにあるでしょう。あるでしょうが、いまもう一つ日本の今日の財政において大事なことは、やはり健全財政をつくり上げる、財政の健全化が必要である。そういうことを考えてみますと、減税をやるということは、その減税はひとつ公債財源によってやろうというふうに新自由クラブさんでもおっしゃっておられる。減税をするということは、いまも申し上げましたとおりいろいろな点で効果がないと私は言いませんけれども、公債財源でもって減税をするということで、そういったような公債を後に残すということは健全財政をつくり上げていこうということに対しましては非常に逆行することであり、かつまたわれわれがいま家を建てるために借金をするということはまだいいといたしましても、減税をして可処分所得をふやすために公債をつくるということは、そういうようなことについての負担を後代のわれわれの子や、孫までは行かぬかもしれませんが、そういうところへ残していくということと、もう一つ健全財政に立ち返るためには、先ほど来もいろいろ御心配いただいておりますとおり、五十五年度までにある程度の増税はやむを得ないと思うのです。そこで、いま減税をしておきますと、この減税の分を増税か何かによって何とかして取り返して、さらにたくさんある公債、毎年毎年発行しておる公債を発行しないようにするためには、さらにまた増税が要る。二重の増税をやらねばならぬということを考えますと、どうしても減税をしていこうという方向へ踏み切ることができなかった、こういう次第でございます。
○永原委員 物価調整的なお気持ちも恐らくお気持ちの中にはあったのじゃないかと思いますけれども、そういう中で中小所得者の課税最低限度を一〇・一%引き上げられた、これは五十二年度の七・七%の消費者物価の吸収はできるかもしれません。しかし五十一年度の八・六%の吸収はできないと思うのです。こういうようなものについてもお考えいただければと思ったのですが、時間がありませんので、突っ込むことはやめます。 国債についてのお話がございました。いま地方自治体においては、起債の償還費が一般財源の二 〇ないし三〇%になれば単独事業債も制限を受けます。そういう中で、国家財政においては、公債償還費と一般財源、租税との関係でどういうように抑えていったらいいのだろうか、こういうようなお気持ちも伺いたいのです。 しかし時間がありませんので、私は結論を急ぎます。私どもは国民生活の現状から見て景気の回復、不況感の解放を願っているのです。公共事業による景気の回復の効果は、昨年の実績で明らかなように、私は余り期待できないと思います。しかも公共事業費そのものは、総理やあるいは大蔵大臣が胸を張るほど拡充されたとは思われません。国債にしても破局的現象になっている、こういうようには思えないのです。福田総理は連帯と協調を非常に訴えておられます。総理と一体になって事に当たる大蔵大臣が、やはり自分の考え方を是とし他を非とするのでは連帯と協調の精神に沿ったものではありません。野党側は足並みをそろえて一兆円減税を叫んでいるのです。どうですか、大臣。一兆円減税による景気浮揚策、その心理的効果の大きさを考えていただけませんか。一顧だに値しない、そういうお考えでしょうか。御心情を承りたいと思います。
○坊国務大臣 決して一顧だにしないとかなんとかということではございません。御心情はよくわかりますけれども、今日の日本の財政経済に処する上におきましては、私は、一兆円減税一兆円公債ということにはちょっと賛成いたしかねるという心境でございます。
○小渕委員長 次回は、明十六日水曜日午後六時理事会、午後六時十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後九時一分散会