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80回国会衆議院1977/04/27

石炭対策特別委員会 第9号

発言数
68
登壇者
9
会派数
2
開催日
1977/04/27

会議録

岡田春夫日本社会党

○岡田委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  本件調査のため、本日、石炭鉱害事業団理事長讃岐喜八君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岡田春夫日本社会党

○岡田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————

岡田春夫日本社会党

○岡田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藏内修治君。

藏内修治自由民主党

○藏内委員 私は、産炭地域の問題について質問をしたいと思うのでありますが、産炭地域の問題を大別いたしまして、石炭の鉱害復旧の問題及び産炭地の市町村の地方行財政の問題、この二つに分けて御質問をしたいと思うのです。きょうは行財政まではとても時間がありませんので、鉱害という問題について通産省、環境庁——環境庁はきょうは大臣がおいでになれないようですので、政府委員で結構でございます。それから事業団の理事長に関連して御質問をしたいと思っております。  現在、石炭鉱害が残存しておるところ、さらに将来にわたって鉱害が発生するであろうと思われる地域、いわば産炭地域振興法に指定するいわゆる六条地域になるだろうと思うのでありますが、それにしても市町村の数は百数十になると思います。ここに生活しておる住民の数を勘定すると、莫大な数の住民が鉱害の上に生活しておるわけであり、また将来に鉱害に遭うおそれのある住民がそれだけいるわけであります。直接被害を受けた人はもちろんでありますが、これから受けようとしておる人、あるいは隣接地域が鉱害地域であるがゆえに間接的に被害を受けておるところ、こういう地域に住んでいる人にとっては、鉱害復旧というものは生活と密着して切り離すことのできない問題だろうと私は思います。いまの臨時石炭鉱害復旧法は、条文の冒頭に書いてあるとおり、鉱害復旧によって国土の有効利用、要するに国土の保全という点まで法律の目的を広げておるのでありますから、石炭鉱害復旧の問題を石炭を採掘した後始末の問題としてとらえずに、これから新しい国土に環境づくりをしていくのだという前向きの問題としてとらえて私は質問をしていきたいと思うのです。そういう基本的な考え方で御質問をしますので御答弁をお願い申し上げたいと思っております。  そこで、まず現在の石炭鉱害の復旧事業のこれからの見通しであります。臨鉱法が昭和二十七年に公布施行されて、数年後に事業団が設立されて今日までやってきたのでありますが、臨鉱法施行以来の鉱害復旧の進捗率について、どなたからでも結構です、答えてください。

島田春樹資源エネルギー庁石炭部長

○島田政府委員 お答え申し上げます。  私ども、四十七年十二月に策定されました鉱害復旧の長期計画に基づきまして、現在、鋭意鉱害復旧を努力いたしておるところでございますが、この十年間の長期計画におきまして現在までの進捗率というのを試算いたしてみますと、五十一年度末までの進捗率、いろいろとり方があろうと思いますが、私どもの試算では工種別に見てみますと、農地等で二八・八%、家屋等で四五・一%ということになっております。

藏内修治自由民主党

○藏内委員 臨鉱法発足以来これだけ長い年限を経過して、現在の進捗率はこういうことなんですね。残存鉱害は、俗に世間で事業量にして約三千億円あるとかなんとかいううわさがあります。この根拠は別に後でお答え願っても結構だが、この長期計画に乗っておるものは、鉱害を認定された地域に限っておるのですか、それとも申請中のもの、将来発生すると予想されるものすべて含んでいるのですか。その辺はどうですか。

島田春樹資源エネルギー庁石炭部長

○島田政府委員 私ども考えておりますのは、残存鉱害と呼んでおりますのは少なくとも、現在の長期計画で想定いたしました当初の四十七年価格で約千七百億というふうに推定され、これを十カ年で計画的に処理をしようということでやってまいりました。この計画の対象のものについての進捗率であり、したがって、残存につきましても、その残りのものというふうに一応考えております。

藏内修治自由民主党

○藏内委員 いま御答弁のとおり、要するに鉱害として認定されておるものに限定されておるわけです。ですから、これから申請をして、鉱害であることが認定されるであろうもの、あるいは北海道その他の地域のようにこれから鉱害が発生してくるもの、あるいは九州筑豊に限らず佐賀、長崎も含めて、すでに鉱害復旧はしたけれども世間で俗に言う第二次鉱害が発生しておる地域のもの、こういうものを含めれば、残存鉱害量あるいは将来予測される鉱害量、発生する鉱害量というものは莫大なものになってくると思います。現在、農地に限っても二八%しか進んでいないものが、これが昭和五十七年七月の期限切れの日までに処理できるとお考えですか。どうですか。

島田春樹資源エネルギー庁石炭部長

○島田政府委員 私どもといたしましては、いま申し上げましたように、一応計画的に鉱害の復旧を鋭意努力をいたしておるところでございます。  いま、当初千七百億というふうに申し上げました。物件別に見て、いま申し上げましたように一番進んでいるのは家屋で、ちょうど四十七年からですから、約半ばちょっと越したぐらいですが、家屋が四五・一%、農地は二八八%というようなかっこうになっているわけでございます。政府といたしましては、本年度、ともかく現在の臨鉱法の期限内にこの長期計画の達成を図るように最大限の努力を払うというのが政府の姿勢でございまして、五十二年度予算案におきましても、鉱害復旧予算で、前年度に比べ、二一・三%増というかっこうの予算を組んでおる次第でございます。私どもといたしましては、今後とも、ともかく法に定められた目的を達成するために最大限の努力を払いたいというふうに考えております。

藏内修治自由民主党

○藏内委員 五十七年の法律の存続する期間内にぜひともやりたい、そのために年々鉱害復旧の予算措置を非常な努力をされてやっておる点は、私どもも非常に多とするところであります。ですから、この努力はぜひやっていただきたいんだが、ちょっと話が飛びますが、御承知のとおり鉱業法によれば、石炭鉱害の賠償請求権は二十年あるわけであります。そういたしますると、少なくとも炭鉱の合理化の最も盛んであった三十四、五年から三十八、九年まで、あるいは四十年近くまでありましょう。この間までは、これから二十年間、すなわち昭和六十年ぐらいまでは当然請求権が発生してくると思います。その発生してきた請求権に対してはどうしますか。

島田春樹資源エネルギー庁石炭部長

○島田政府委員 将来の問題ですから、一つの仮定としてお答え申し上げるわけですが、現行法の体系で申し上げれば、一応鉱業法上の賠償請求権があるわけでございますから、臨鉱法に基づいて総合的な計画復旧をする、これは特別措置ということになっておりますが、一般法としての鉱業法による賠償請求権というのは、あくまで鉱業法によって権利として存在する。したがって、たてまえとしましては、きわめて一般論的に申せば、鉱業法上の体系に基づいて鉱害賠償請求権の行使というかっこうで少なくとも処理はできるというのが、基本になろうかと思います。

藏内修治自由民主党

○藏内委員 いま石炭部長からお答えのとおり、現実に五十七年七月までに鉱害復旧するというその意気はまことに壮とすべきものであるが、現実にはこれは非常に厳しいということであり、同時に、いま私が指摘しましたように、鉱害の賠償請求権はとにかく二十年あるのですから、そこでこの二十年の期限、だから、昭和六十年近くまで要するに請求権者があちらこちらから発生してくるとすれば、これはこの臨鉱法というものを存続するか、あるいは別途の形で新しい鉱害復旧の立法をするか何か考えなければ、とうていこれは処理できない問題ではないか。私は常識的にそう考えざるを得ない。これは一般に産炭地に生活しており、鉱害復旧を願望しておる住民にとっても同じことであるのです。ですから、こういう問題について一体どうなさるおつもりなのか、もう一回重ねて御答弁をお願いいたしましょう。

島田春樹資源エネルギー庁石炭部長

○島田政府委員 私どもといたしましても、いまいろいろお話のありましたように、非常に厳しい情勢に置かれているという点は十分認識いたしておる次第でございますが、一方ちょうど長期計画の半ばに達しているという現在でございますので、まず、法期限内の処理完了を可能にするべく最大限の努力をするというふうな考え方でございます。そうして、鉱害量の見直しあるいは今後の問題につきましては、今後ある程度の時間の経過を見た上で関係方面の意見も徴しながら、どういうふうに考えていくかということを検討していきたいというふうに思っております。

藏内修治自由民主党

○藏内委員 私は、鉱害を担当しておるエネルギー庁の方々が非常な御苦労をしていることは重々お察しをしておるのです。しかも、この期限内に鉱害復旧を完了しないという姿勢、あるいはもっと長期にわたってやるのだということになりますと、これは石炭石油特別会計の関係もあり、大蔵省などの予算措置において非常に苦しい局面が出てくるということもよくわかるのです。わかるのですが、鉱害復旧、そうして鉱害の被害者に対する賠償という点に観点を移した場合には、これはもっと基本的な体制づくりをしなければならぬ。現に産炭地の人たちの中にも、市町村の責任者の中にも、石炭政策についていわゆる後ろ向きと言われる鉱害復旧は一般会計に移したらどうだ、そして石炭石油特別会計のいわゆる石炭勘定は、すべてこれを石炭生産面の前向きの方に注入してくれという意見すらあるのです。ですから、これは石特会計の存続する限り、われわれも産炭地のために鉱害復旧費の獲得、確保ということには全力を注入していく覚悟ではありますが、しかし、長い将来のため、そうしてこの臨鉱法の目的の、要するに国土の有効利用とかあるいは環境の整備という点がこれは含まれておるのですから、こういう観点からすれば、鉱害復旧財源というものは長期にわたってもう一遍考え直す時期に私は来ておると思うのです。これは石炭部長に聞くよりも大臣にお聞きしなければならぬことかもしれぬのですが、大臣がおいでにならぬからやむを得ませんが、この点についてのひとつ事業団の理事長のお考えはいかがですか。

讃岐喜八石炭鉱害事業団理事長

○讃岐参考人 お答えいたします。  大変むずかしい問題でございまして、財政問題は政府及び国会でお決めになることでございまして、私どもからとやかく申し上げることではないと思います。  私どもの立場から申しますと、多々ますます弁ずるわけでございまして、期限内に計画を達成するためには今後ますます予算をたくさんちょうだいしたい、そういう感じでございます。

藏内修治自由民主党

○藏内委員 いまの質問に対する大臣の御答弁は、大臣がおいでになってから伺うことにいたします。  そこで、今度は復旧財源についてもう少し細かく入ってみたいと思うのですが、鉱害復旧費の財源は石特会計に依存しておることはもちろんでありますが、さらに臨鉱法の中では賠償義務者の納付金、受益者の負担金、国の補助金、都道府県の補助金、こういうようにかなり細かく規定されておるわけです。この賠償義務者の納付金、これは私の調べたところによりますと、五十年度だったかと思いますが、三十二億円程度しかないのですね。実際はどうでしょう。さらに、いま申しましたような賠償義務者の納付金、受益者の負担金、国の補助金、都道府県の補助金、それぞれどのくらいずつになっていますか。

讃岐喜八石炭鉱害事業団理事長

○讃岐参考人 ただいまの御質問は、五十年度でございますね。

藏内修治自由民主党

○藏内委員 五十一年度か五十年度だったか、どちらかちょっとぼくもはっきりしないのですが……。

讃岐喜八石炭鉱害事業団理事長

○讃岐参考人 お答えいたします。  復旧費の総額で、五十一年度のこれは事業計画でございますが、復旧費で三百六十三億一千八百二十三万四千円でございますが、そのうち国の補助金が二百五十五億一千二百四十五万七千円、県の補助金が六十二億八千四十三万円、地方公共団体の負担金が六億八千三十二万二千円、納付金が二十七億八千百八十八万一千円でございます。

藏内修治自由民主党

○藏内委員 いま理事長の御説明のとおり、賠償義務者の納付金というものは三十二億円と私は思って計算をいたしましたら、二十七億円である。三十二億円として計算しましても復旧費のわずか七%にしかすぎないのですね。これはこんなことではとても私は、国の補助金にもうほとんどまるまる依存していると言ってもいい状態にある。これはこんな状態で将来いくということであれば、石炭鉱害復旧はまさに国家補償であり、国家賠償であると言っても過言ではないのです。一体、臨鉱法というものは国家賠償の趣旨から立法されておるのですか、どうなんですか。

島田春樹資源エネルギー庁石炭部長

○島田政府委員 お答え申し上げます。  臨鉱法、これはもう先生御案内のとおりでございまして、第一条の目的にございますように、国土の有効な利用、保全、それから民生の安定という目的からつくられている、「民生の安定を図り、あわせて石炭鉱業及び亜炭鉱業の健全な発展に資するため」ということをうたっておりますが、まさにそういう目的でつくられました一つの特別立法であるというふうに考えております。あくまで鉱害賠償という観点に立てば、鉱業法に定められておりますように、鉱業権者が鉱業権者の義務として鉱害を賠償するというのがたてまえでございまして、しかしながら一方、賠償というだけでは原状復旧がなされないというところから、国土の有効な利用あるいは民生の安定という見地から見た場合に別途の政策的措置が必要であるという観点で、この法律が制定されたというふうに承知いたしております。

藏内修治自由民主党

○藏内委員 話はまたちょっと戻りますが、石炭石油特別会計というのは、これはこの特別会計法が法律で制定されましたときに、原重油関税の十二分の十、これを石炭に、十二分の二を石油がとる、そういうぐあいに比率が定められましたが、この比率は現在変わっておりますか、いませんか。

島田春樹資源エネルギー庁石炭部長

○島田政府委員 この特別会計でございますが、四十七年に石炭及び石油特別会計になったわけでございますが、そのときには勘定の配分率は御案内のように、石炭勘定が十二分の十、それから石油勘定が十二分の二というふうに定められておりました。四十九年からは、この原重油関税収入の両勘定間の配分率が、石特会計法四条の規定によりまして予算で定めることになっております。現在のところを申しますと、五十二年度の予算でございますが、われわれの計算では、石炭勘定が千分の六百三十一、それから石油勘定が千分の三百六十九ということに相なります。

藏内修治自由民主党

○藏内委員 こういうようにとにかく比率というものが年々下がってきておるんじゃないか。そうすると、石炭の配分、石炭政策に対する原資というものがますます狭められていく可能性にある。これでは前向きの石炭生産政策にも不十分であるし、鉱害復旧にも不十分だ。何かこれは本当に考え直さなければいかぬのじゃないかという時期に財源の上からも来ていると私は思うのです。  そういうことで、いろいろありますが、財源として考えられることはあるんでしょうが、石炭鉱害賠償等臨時措置法の中の三十八条に、石炭鉱害債券の発行ということが認められておる。鉱害復旧費のための財源に充てるために石炭鉱害債券を発行することができるということになっているわけです。これはいわゆる事業団債として発行するというのが従来お考えになっておった考え方のようでありますが、これをもう一つ考え方を変えて、いわゆる国が発行しております建設公債のような形、政府債の形で発行するという方法ができるかどうか。これは石炭部長に御答弁を願うというのもちょっと御無理じゃないかという気がしますので、大臣がおいでになったら改めて聞きますが、この石炭鉱害債券を発行することについて特に問題点があると思われたならば、その問題点を部長と理事長と両方から御説明を願いたいと思います。

島田春樹資源エネルギー庁石炭部長

○島田政府委員 お答えいたします。  まず、現行法の石炭鉱害賠償等臨時措置法三十八条、先生の御質問は、それをさらに形を変えたらどうかという御趣旨かと思います。確かに現行法の三十八条には債券発行の規定がございます。この場合、事業団が石炭鉱害債券を発行することができるという規定があるわけでございます。この規定を活用したらどうかということが一つ、あるいはこれをさらに変えて、新しく政府が債券を発行するというかっこうにしたらどうか。政府が債券を発行したらどうかということになりますと、問題が非常に大きゅうございますし、それからまた、その問題点につきましても、もう少し勉強しないと、私、にわかにお答えしかねるわけでございますが、団債として考えた場合に、たとえば仮に発行するとした場合に、後の償還をどうしたらいいか、償還原資をどういうふうに考えたらいいかというような問題、あるいはこのかっこうで果たして債券の消化が可能であろうかどうかというような点、幾つか事務的には検討を要する問題があろうかと思います。ただ、石炭部長としてお答えするのはいかがかと思いますけれども、結局問題は、いまお話しのありました鉱害対策を円滑に進めていくための財源確保というのをいかにしてやったらいいかというための一つの前向きの御意見であろうかというふうに思います。後に大臣がまたお答えいたすかと思いますが、エネルギー政策全般、その一環として石炭対策につきましても、今後の財源措置につきまして現在エネルギー調査会等で鋭意検討をいたしておるわけでございます。  今後の検討していく過程におきまして、当然、私どもといたしましては、石炭対策あるいはその一環としての鉱害対策というものにつきましても、その遂行に支障のないように必要な財源措置というものを確保するという方向で検討いたしたいというふうに考えておりますので、そういった検討の中で勉強していきたいというふうに思っています。

藏内修治自由民主党

○藏内委員 こういう財源の確保、それからその財源によって鉱害復旧を実施する機関である石炭鉱害事業団、これの機能を、国民の立場からすれば、特に被害者の立場からすれば、できるだけ拡充して仕事がしやすいようにしたい。そういう点についての基本的な制度あるいは法律の改廃につながるような問題については、後でまとめて大臣に御質問することにいたしまして、ちょっと質問を先に進めておこうと思います。環境庁の企画調整課長おりますね。  この石炭鉱害といわゆる公害、ハム公害、——ハム公害なんという言葉は変な言葉で恐縮ですが、混乱をしないために公という字を分解してハム公害と言っておきましょう。この公害と鉱害との関係、石炭鉱害は公害であるかどうか、これについての御認識は、石炭部長さんはいかがですか。

島田春樹資源エネルギー庁石炭部長

○島田政府委員 公害をどういうふうに定義するかということにもよろうかと思いますが、御案内のように、いわゆる石炭鉱害の方は鉱業法で鉱害の定義をいたしております。その定義の範囲において見る限り、いわゆる公害の方はもっと定義というのは広くなっておりますので、その意味においては、私見ですけれども、石炭鉱害というのが一つの特殊な形態の公害というふうに大ざっぱに考えてもいいのではないかと思います。ラフな言い方をすればそういうふうに言えるのではないかと思います。

藏内修治自由民主党

○藏内委員 私は、石炭鉱害というものは最も具体的な形をとった公害であると思うのです。  そこで、私らによくわからぬのは、石炭鉱害に属する損害をいわゆる公害基本法の法規から除外した、これらについては鉱業法の定むるところによるとなっていますよ。この理由は何だと思いますか。

名本公洲環境庁企画調整局企画調整課長

○名本説明員 お答えいたします。  公害対策基本法におきましては明確にいわゆる鉱害を除いておりますのは、地盤沈下についてだけ括弧をして除いておりまして、そのほかのものにつきましては公害対策基本法では除いていないわけです。そのかわりといいますか、それに対しまして、公害対策基本法のほかに個別の大気汚染防止法、水質汚濁防止法がございますが、そのおのおのにおいて鉱害に関するものは除くというふうに規定しているわけでございます。したがいまして、公害対策基本法に言う公害が一般に言う公害ともまた概念的には違う場合もございますけれども、一般的には鉱害も入っておるというふうに判断してよろしいと思います。個別法において除いてあるということでございます。  これを除きました理由でございますけれども、いわゆる鉱害につきましては歴史も非常に古うございまして、法律体系も整っておるということからそちらの体系に譲っているということであるというふうに理解をいたしております。

藏内修治自由民主党

○藏内委員 石炭鉱害に対する賠償規定、これはもう非常に古い。古いのみならず、要するに、まだ旧鉱業法の制定以前からの慣習として企業と被害者との間で、特に民法上の法律の規定によらずして、慣習的にやってきたものを条文化していったという跡すら見えるわけです。そういうことで、だんだんこの鉱業法の整備によって、この鉱害というものは無過失賠償責任ということにいま規定されておるのが学説であります。  果たして本当に無過失責任であるか、私はこれも非常に重要な疑問があると思うのです。たとえば典型的な比較をいたしますと水俣病、この水俣病はアセトアルデヒドという薬品をつくっていく過程において塩化メチル水銀というものがごく微量排出されていく。そのメチル水銀を食った魚をさらに人間が食っていまの水俣病というものが発生する。ところが、このアセトアルデヒドの製造過程において、まさかメチル水銀が排出されて、それを魚が食って、さらにそれを人間が食って、そして水俣病というものが発生してくるなどということは、恐らく当時の人間は夢想だもしなかったと思うのです。ですから、むしろこれは、科学の進歩によって、無過失責任であるべきであったものがだんだん過失責任になってきたのがいまのいわゆる公害による健康被害の賠償法なんです。そういうことになってきたわけです。  ところが、石炭鉱害の賠償の歴史というものを見ていきますと、これはむしろこれに逆行しておるのです。初めはほとんどの国が全部過失責任としてこれを処理した。フランスでもイギリスでも西ドイツでも、全部石炭鉱害の賠償というものは過失責任として処理してきた。民法によって処理してきたわけです。ところが、これがだんだん無過失責任になってきた。だから鉱害賠償責任というものの歴史から考えると、この石炭鉱害というものはむしろ逆行してきたのです。  なぜ逆行してきたか。それはやはり十八世紀後半からの非常な全世界の先進国の工業化政策、そういうもののためには石炭を採掘せざるを得ない、採掘すれば必ず鉱害というものが発生する、したがってこれを何とか処理しなければいかぬということで無過失責任に移行してきたものだと思うのです。だから、考えようによっては、石炭採掘ということは損害賠償をするということを前提というか条件として許容される企業であるわけです。  そういうことの歴史をずっとたどってきたわけでありますが、これは国の産業政策にある程度法律が追随したといっても過言ではない。そういう際に、国から採掘権を許可された非常に多数の企業が、どんどん炭鉱がつぶれていっておるときに、支払い能力がなくなって、賠償能力がなくなってきたときに、許可した国がこれを賠償するということは当然のことであり、いわゆる国家賠償の一つにこれは移行してきている形じゃないかと私は思うのです。これに対する御見解は石炭部長、どうですか。

島田春樹資源エネルギー庁石炭部長

○島田政府委員 現在の鉱業法に基づく鉱害賠償責任の考え方でございますが、鉱害につきましては、いまお話ございましたが、その発生が非常に不可避的である、また、非常に広範かつ複雑であるというような特殊な性格を持っておるために、鉱業法がもしないとすれば、結局通常の民法の不法行為原則に戻るわけでございますが、その通常の不法行為責任では律し切れない面を持っておるというところから、被害者保護という観点で、昭和十四年鉱業法の改正が行われまして、無過失賠償責任の規定が設けられたというのか歴史的な経緯であると承知いたしております。それで私どもといたしましては、そういう現在の鉱業法の歴史を考えてみました場合、むしろ経緯的にはそういうことで被害者保護ということから現在の鉱業法の規定が設けられておるということであろうかというふうに理解いたしておるわけでございます。  それから、国がそういうものを認めて掘らしたのだから、それに対して、国かそういうことによって生じた被害についての賠償の義務を持つのではないかという点につきましては、その御意見でございますが、私どもは必ずしもそういうふうには考えておりませんで、やはり鉱業法上、鉱業権者がその鉱業法に従って賠償義務を持つということであり、国の立場からして、その鉱業法を施行するという国の立場というものは、必ずしも直ちにそれが鉱業権者の権利の行使の結果生じた被害について国が賠償関係を持つというものではないというふうに考えております。

藏内修治自由民主党

○藏内委員 通産大臣、大変お忙しい時間を割いておいでくださいましたのですが、いま大臣がここにおいでになってからの質疑だけでは御了解がいかない点があるかと思いますが、いわゆる鉱害復旧は、もうすでに先ほど事業団の理事長から御説明があったのですが、総額で三百六十億円ほどの復旧費の中ですでに二百五十五億というこれだけの金額を国が負担しておるのです。鉱業権者、要するに賠償義務者である鉱業権者が賠償の責任にあるのだということをいま石炭部長が言われましたけれども、この鉱業権者、賠償義務者の復旧費に対するこの負担分というものはわずかに二十七億なんです。復旧費の五%か六%しかないわけです。これでは現実に国家補償をやっているのと同じじゃないか。だから私は、この際、いまの鉱業法という私法的鉱害復旧を今後も続けていくのか、それとも、もうぼつぼつこの辺で鉱害復旧というものは公法的復旧に制度のあり方を考え直すべき時期に来ておるのではないか、こういうことを概括的に伺いたいのですが、大臣の御見解、いかがでしょう。

田中龍夫自由民主党通商産業大臣

○田中国務大臣 遅く参りましてまことに失礼いたしました。  藏内先生と私とは選挙区も隣ですし、始終御一緒にいままで鉱害問題産炭地の問題をやっておりましたから、多分私お答えすることがそう的を外れてないと思うのでありますが、ここの席に着きましてから、先生が鉱害の性格というものが私的賠償の線から国家賠償の線にだんだん移行しつつあるんじゃないかという御議論のそれを前提といたしまして、いまの後の、鉱害処理は国がめんどう見るべきじゃないかという議論に発展していくのだろう、かように存じておるわけでありますが、石炭部担当の方から申しますと、現在までの一つの理論構成というものは私的賠償というものがずっと貫かれてきておって、足らざるところを国がという考え方から、おまけに今度の法律が期限もあることで、その莫大な予算が、なお必要とするのだし、それについては財源の問題もなかなかだし、私的賠償の場合には各鉱害復旧がばらばらになって均一性がとれていない、偏差ができるというような問題も先生おっしゃったろうと思うのでありますが、そういうふうな問題でございまするが、現在までの政府の考え方、それからまた、今日の立法の体系というものは、まだ先生のおっしゃったようなところまでいっておりませんので、担当の政府委員といたしましては、お答えをいたしました限度を超えて申し上げることはできないと思うのであります。また、私どもも、これからの問題といたしまして、そういう御理論というものがありますことは十分に踏まえまして予算の今後の獲得もしなければならぬ。ことにエネルギーの問題を、石炭だけに限らず総合エネルギー対策の一環として、特に国内産業の二千万トン確保ということを前提に置くならば、まあカーターなんかは十億トンなんと言っておりますけれども、夢みたいな話でありますが、われわれといたしましては二千万トンを堅持するということになりますとびいてはその前段の鉱害という問題が、政府は一体どう取り組むかということにもなりますし、それからこの法制上から申しましても あと数年しかこの現行法は期限が余っていない。その後をどうするかという御議論があったかと思いますが、その問題につきましても、現在の段階におきましては、いまの期限で精いっぱい全力を挙げて鉱害に取り組もう、こういうふうな考え方をいたしておりますので、篤と先生の御意見は十分に拝聴いたしまして対処いたしてまいりたい、かように存じております。

藏内修治自由民主党

○藏内委員 大臣のおっしゃることはまことによくわかりますし、私どもも石炭の生産に関する前向きの対策、それから、後ろ向きと言っては言葉が——実は、もう現在ては臨鉱法のたてまえは国土の有効利用、環境の保全というようなことに重点がありますので、これが法律の立法の目的になっておりますから、ですからそういう意味においてもこれが十分機能していくように、われわれももちろん協力をするにやぶさかではございません。しかし常識的に考えて、大臣、現在の残存鉱害量というものは、四十七年度のベースで計算しまして千七百億、これが現在の単価、工事費等々に計算いたしますと、約三千億あるというのです。これは大臣、要するに鉱害認定をされたものについての総量なんです。これから発生するもの、あるいは先ほどもちょっと政府委員の方には言うたのですが、鉱業法に基づいて賠償の請求権というのはまだ二十年あるわけです。ですから、閉山の一番盛んであった三十五、六年から四十年くらいまでの間、それから起算いたしますと、とにかく昭和六十年ぐらいまでは、明瞭に五十七年というこの法の期限を超えたところまで請求権というものは残るのです。ですから、これらの鉱害というものはとうてい常識的にできるものではありませんので、これを処理するためにはまず、もう一括して御質問を大臣にしておきたいと思いますが、要するにこの臨時石炭鉱害復旧法、この法律の体制を今後持続するのかどうするのかという点が一つある。制度上の問題、法律上の問題が一つある。それと、それの復旧に要する復旧費というものをいままでどおりの調達方法でやっていっていいのかどうか。ですから、先ほども私は、これは政府委員でお答えができないと思いましたけれども、石炭鉱害賠償法の条項の中に、石炭鉱害債券の発行というものが認められておるわけです。この鉱害債券は、もっと高度の債券として認識をして、いわゆるここ一両年発行されておったような建設債券というような性格を持った政府保証債の形で発行したらとうた。そうすれば相当多量の——これは公債と予算の問題がございます。公債依存度をできるだけ低めようとしている現状において、新たにこういう種類の公債を発行するということ自体大問題でありますが、しかし、十分検討に値する問題であり、そういう問題を検討しなければ、いま私が申し上げましたようないろいろな条件によって鉱害復旧というものは、これは財源の調達からも、時期の問題からも、残存鉱害量の問題からも、きわめてむずかしい段階に来ておるのではないか。この点についての大臣の御見解を承りたい。

田中龍夫自由民主党通商産業大臣

○田中国務大臣 まことに貴重な御意見でございます。  現行法上から申しましてもその条項があるわけでありますから、これを新しく立法するわけではございません。ことに、ことしは石油石炭特会なんというものも、関税定率法の改正なんかでしみったれた金を捻出したのでありますけれども、いよいよ総合エネルギー対策ということを打ち出す場合におきましては、膨大な資金がこれから必要となるということは、本当におっしゃるとおりでありまして、私どもエネルギー対策というものと四つに組んでまいります間に、一つは大衆の深い御理解、御認識の御協力と、第二は資金をどう調達するかという問題になってまいります際に、先生のような御意見も、また現行法上から言いましてもそういう条項がある、それを活用するかしないかということにつきましては、十分に御意見として私は承っておく次第でございます。  また、今後ともにこの鉱害は、いま仰せになったように、残るわけであります。またさらに、石炭対策と真剣に四つに組まなければならないときには、第二次鉱害といったようなものも、これをまたどう考えるかという問題もございますので、貴重な御意見といたしまして参考にさしていただきたいと思います。

藏内修治自由民主党

○藏内委員 そこで、質問をもう少し先に進めていこうと思いますが、公害の方の賠償法規あるいは公害による健康被害の救済の法規、こういうものによりますと、やはり人間の尊厳といいますか生命、健康の保持というような観点から、これはそういうものは侵すべからざるものであるという思想的な根拠から、この公害賠償法規というものは非常に厳しい追及を加害者である賠償義務者に課しておるわけです。ところが、石炭鉱害は直接に健康被害には余りこない。ボ夕山などが、要するに坑内から掘り出した石を積み上げておいたものが崩れたとか、こういうのも鉱害になりましょう。あるいは鉱煙、鉱物の煙ですね、ああいうものが噴き出してくる、坑内のガスが近所に被害を及ぼす、こういうものも鉱害でございましょうが、健康被害もあるかもしれぬけれども、直接他の公害のような健康被害というものは余りない。要するに、石炭鉱害の場合は、ほとんど全部と言ってもいいほど財産的損害なんですね。この財産というものは、また憲法二十九条によって、財産は侵すべからざるものだ、私有財産は「これを侵してはならない。」という規定がある。同時にその二十九条の第三項には、これらの損害に対しては公正なる補償をもってやれば許される。「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」という規定があるわけです。公正なる、正当な補償が石炭鉱害の賠償において行われておるのであるかどうか。私はこれについては非常に疑問があると思うのです。要するに、金銭賠償は、後でまた触れたいと思いますが、復旧による効用回復——原状回復ではないのです、効用の回復なのです。この効用の回復ということで行われている鉱害復旧は、これは正当なる補償だと大臣は思われますか。

田中龍夫自由民主党通商産業大臣

○田中国務大臣 大変むずかしい御質問でございますので、ちょっといま事務方と相談します。——それでは政府委員から……。ちょっと私、むずかしくて答えられませんから事務当局から……。

島田春樹資源エネルギー庁石炭部長

○島田政府委員 憲法の解釈となりますと、にわかに私も即答いたすのはいかがと思いますので、とりあえず私見を申し上げさせていただきます。  鉱業法で、私の理解するところでは、被害を与えた以上賠償する義務がある、これは確かにそのとおりでございます。それは鉱業法のたてまえでそういうたてまえが貫かれております。臨鉱法のいわゆる復旧という考え方は、これは先生御存じのように、むしろ国土の保全、民生の安定という政策的見地から計画的に鉱害を、鉱害地域を金銭賠償というかっこうで賠償の関係だけで処理することではなくして、むしろ復旧を行うことによって国土の有効利用をしよう、あるいは民生の安定を図ろうということで立法されたものであるという意味で、それは明らかに別途の政策的意図で行われておるものであろうかと思います。  そこで、いまお尋ねの、そういうかっこうで行われたものが、果たして憲法のあの規定との関係はどうかと聞かれると、私は、どうも直接にはそれとつながってこないのではないだろうかという感じがするわけであります。論理を追っていけば、むしろ私的な賠償関係の処理というものと、それから政策的な見地からの一つの公共的な国土の保全と申しますか復旧と申しますか、そういう事業というものを鉱業法あるいは臨鉱法で行っておるのであって、その結果と、そういうものが今度は憲法上の私権の行使、私権の侵害に対する正当な補償との関係はどうかというものとは直接にはつながっていないのではないかというのが、私のとりあえずの感じでございます。

藏内修治自由民主党

○藏内委員 これは非常にむずかしい法律論争になりますから、余り深入りはしないで、別途また個別に御見解を聞くようにいたしたいと思います。  実は大臣、富山県のイタイイタイ病という病気があります。この病気の判決では、要するに、財産的損害であろうと非財産的損害であろうと、損害は賠償すべきである、特にこの財産的損害については既存利益の減少、要するに、あったものが非常に価値が少なくなってしまった、そういう損害、当然得られるべき利益をその損害によって喪失したという場合、そういうものを一切問わない、これはすべて賠償の責任があるという判決を出しているわけです。これは公害判決、健康被害に対する補償法、こういうものの適用が今日行われまして、そういう判決が実は出たのであります。冒頭に私は、石炭鉱害も公害の最も具体的な一つであるということを指摘しておいて、これについて、そうではないという御意見は環境庁からもなかったのでありますが、ひとつ具体的な例を大臣に申し上げましょう。  北九州小倉北区の一番中心街のところに毎日会館というのとそれから福岡銀行北九州本部、北九州支店、この高層なるビルがあります。この地域は地価が、いまからもう十年前後前に建てられた建物でありますが、この土地を取得いたしましたときには二百五十万から三百万円くらいしておった。現在ではもっと上がっておると思います。それから直線距離にして二百メートル行きますと小倉炭鉱の鉱区になり、鉱害地になるわけであります。そのために、小倉北区砂津という、わずか二百メートルその地域から離れたところは地価が十万五千円であります。この損害は一体だれが賠償するのかということになります。これはもう当然、既存価値の減少であります。要するに、鉱害によって減耗された個人の財産、これに対する補償がだれも行われない。だから私は、公害の補償の規定と、いわゆる鉱業法に基づく賠償の規定、これを比べますと、被害者にとって条文上は確かに鉱業法の規定の方が有利にできております。たとえば、加害者である鉱業権者がかわりましても、最終鉱業権者が追及されるということになっております。共同でやった人まで責任を追及されるということになっております。期限も先ほど申しましたとおり、鉱害が発生してから二十年間請求できるということになっております。そういういろいろな観点から鉱業法の方が有利にはできておるが、現実の問題になってくるとこういう欠点がある。だから、私は、誤解しないでいただきたいのですが、これをいわゆる通産省あるいは鉱害事業団、要するに国が補償しろということを言っておるのではないのであります。いまの公害に関する賠償規定と鉱業法に基づく賠償規定との間には非常に考えなければならぬ多くの盲点がある。これを解決しておきませんと、やがて、これは大臣の御所管になっておりますいわゆる地下水法あるいは工業用水法、地盤沈下に対する防止のための法律、こういうものの立法に全部関係してくるのであります。ですから、私は、法体系全般を見渡して、この公害の賠償規定、鉱業法の賠償規定、これは見直さなければならない時期に来ているのではないか。当然これはしておかないと、将来にわたって日本の行政にあらゆる面において大きな問題を発生してくるおそれがある、こういう点を私は指摘したいと思うのです。これに対する大臣の御見解を承りたい。

田中龍夫自由民主党通商産業大臣

○田中国務大臣 大変貴重な御意見だと思います。ことに前段の冒頭の第二項の、鉱害の中に期待権の喪失の問題をおっしゃっておられますが、この期待権の喪失を鉱害の問題に加えるということにつきましても相当な議論があると思いますが、後段仰せられました、所有権者が承継をいたしましても、なお後継の方々の賠償責任という問題、同時にまた、今後水道関係、水の問題やいろんな問題で起こってくる鉱害の補償、賠償、これは私は、藏内先生の御研究を非常な一つの貴重な御意見として、十分に勉強させていただきとうございます。

藏内修治自由民主党

○藏内委員 大臣、これはぜひ政府の全体の問題として再検討をお願い申し上げたいのです。これはそうしませんと、繰り返すようでございますが、将来にわたって大きな禍根を残してくる問題になる、私はそう確信いたします。  そこで、大臣に対する御質問の最後といたしますが、臨時石炭鉱害復旧法、この法律は、第一条、目的のところに「この法律は、国土の有効な利用及び保全並びに民生の安定を図り、あわせて石炭鉱業及び亜炭鉱業の健全な発達」云々、こうなっておるわけです。そこで私は、そういう観点からすれば、この鉱害事業団の機能をもっと強化していかなければ、産炭地域振興の実は基礎になる鉱害復旧ができないと思います。この法律にうたわれておる新しい環境づくりということを考えていくならば、いま地域振興整備公団の中に吸収されてしまった産炭地域振興の業務を鉱害事業団に移管することの方がより適切ではないか。現在、地域振興整備公団の地方の支部に行ってみますと、全く石炭産業等々から無縁の方がそういう産炭地域の振興業務に携わっておられるのですよ。そういうことで、まことにこの整備公団を利用しようとする人たちにとっては、もう砂をかむような思いで整備公団に通わなければならぬ。そういう状態であってはならない。むしろ、本当に、文句も言われるかもしれぬ、かみつくかもしれぬ、ちょっと恨めしい連中が多いですから。皆さん御苦労ではあろうと思うけれども、鉱害事業団の一部に併設をした方がより実効が上がると私は思うのです。この点についての大臣の御見解をいただきたいと思うのです。

田中龍夫自由民主党通商産業大臣

○田中国務大臣 これまた、現場におられます藏内先生としましては、いろいろなこういうふうな実態に遭遇されて、そして貴重な御体験から出た御意見だと思います。きょうのいろいろな御議論は、特に法制上の問題も含みました幾多の論旨で御主張になっておられます。これまた、先ほど来お答え申し上げておりますように、私どもとして御意見を本日のところは承らせていただいた次第でありまして、これについていま明快な御答弁ということは、まだちょっといろいろと研究を要すると思いますので、御意見を承った段階におきまして本日のところは御了承を賜りたいと思います。

藏内修治自由民主党

○藏内委員 私のいただきました質問時間は一時間でありまして、もう大方一時間になりました。そこで、大臣に対する御質問は、きょうのところはこれで終えておきます。ですから、大臣、もし後の質問者に予定がなければお引き取りくださっても結構でございます。  事業団の理事長に一問だけ御質問をして、私の持ち時間を終えようと思います。  鉱害賠償についていろいろな賠償の方法がありますが、大別して金銭による賠償、そして事業団による復旧工事による鉱害回復、この二つがあるわけです。さらに、これが有資力の炭鉱である場合と無資力の炭鉱である場合と二つに分かれる場合があるわけですから、これはもう非常に工事の実態が複雑になってきておるわけです。そこで、事業団が直接責任主体としてやっておる無資力の鉱害復旧と有資力の、要するに企業と事業団とが密接な連携のもとに会社が主体となって行っておるこの復旧工事の比率はどのくらいになっておりますか。

讃岐喜八石炭鉱害事業団理事長

○讃岐参考人 大ざっぱに申しますと、約五〇%が事業団の施工でございます。しかし、それをもう少し詳しく申しますと、事業団で施工しております工事は、農地と家屋が主でございます。農地については大体昭和四十九年度から五十一年度まで四七%ないし四八%、家屋につきましては六八%から七四%と家屋の方が幾らか多い。それを平均いたしますと、五六%ないし六〇%、そういう比率になっております。

藏内修治自由民主党

○藏内委員 この後、これ一問で私の時間を終えようと思います。  そこで、もう一つ理事長にお伺いしたいのは、こういう鉱業権者である会社がやる場合の復旧、それから事業団が事業主体となっておる無資力の鉱害復旧、この二重構造を一元化して統一賠償機関をつくるということは、いままで審議会の答申にも盛られてきましたし、委員会も一、二回私は附帯決議か何かで出したことがあると思うのです。これが今日なおできないという理由はどこにありますか。

讃岐喜八石炭鉱害事業団理事長

○讃岐参考人 先生の御質問でございますが、先生の御質問の趣旨はよくわかるように思うのでございますが、大変これは政策的な問題でございまして、事業団としてお答えするのはどうかと思うのでございますけれども、統一賠償機関という場合に、私どもで一番頭にありますのは復旧の問題と金銭賠償の問題でございます。事業団は復旧だけを取り扱っておるのでありまして、金銭賠償を肩がわりするということはとうていできないのではなかろうか、そのように考えておるわけでございまして、これはむしろ政府より国会でお決めいただくことではなかろうかと思っております。

藏内修治自由民主党

○藏内委員 いまと同じ質問について、これは石炭部長で結構です。

島田春樹資源エネルギー庁石炭部長

○島田政府委員 お答え申し上げます。  先生いま御案内のように、現在の臨鉱法の運用でございますが、賠償義務者が有資力の場合は当該鉱業権者がやる。それから賠償義務者が無資力の場合には事業団が復旧工事をやるというようなかっこうになっております。  なぜそういうふうにしているかという理由を考えてみますと、一つは鉱害の原因者である鉱業権者に責任を全うさせるということが一つの大事なことであろうかというふうに思います。それからもう一つは、鉱害事業団の執行能力という点も考えなければいかぬというような点を考えた上で、鉱害復旧の円滑な促進のためにどのようなバランスが一番合理的かということを考えてこのような措置をとっておるというふうに考えております。  それで、先生の先ほどからの御趣旨は私も十分わかるわけでございますが、鉱業法のもとでの私企業たる鉱業権者というものが負うことになっている賠償義務というものを、全部一つの統一賠償機関が肩がわって復旧、賠償するというようなことは、企業責任の原則というようなものを考えた場合に果たしていかがであろうかというふうにも思われますし、また、運用上にもいろいろ考えなければならない問題があるように思われますので、その辺十分考えないとなかなかむずかしい問題ではないかというふうに思っております。

藏内修治自由民主党

○藏内委員 じゃ、関連してもう一問だけで終わります。  これも事業団の理事長の関係ですが、無資力鉱害農地の被害者で年々賠償の支払いを受けていない者、こういう者に対する無資力鉱害調整交付金という制度があります。この支払いは、交付金がどのくらいあって、支払い金がどのくらいありますか。これだけ最後に質問して私の質問を終わります。

讃岐喜八石炭鉱害事業団理事長

○讃岐参考人 被害者数と対象面積、支払い金額ですが、被害者数は四十七年度は三千二百五十九人、四十八年度は四千二百二十八人、四十九年度は四千二百八十七人、五十年度は四千三百十人、五十一年度は四千百九十三人でございます。対象面積はそれぞれ千百五十ヘクタール、千六百四十二ヘクタール、千六百九十二ヘクタール、千八百十四ヘクタール、千七百三十一ヘクタールとなっております。金額は、四十七年度から一億八千六百二十一万八千円、三億八百六十八万七千円、四億二千百十七万九千円、五億三千八百五十一万二千円、五億七千百十万九千円、これは見込みでございますが、となっております。

藏内修治自由民主党

○藏内委員 大臣、最後に。これはもうお答えは要りません。いまお聞きのとおり、被害額は年々増大するばかりでありまして、容易ならぬ実態に現実にあるわけです。とにかく五十七年七月三十一日で臨鉱法の期限が切れるのでありますけれども、それまでにこの鉱害を何とかして復旧し終えるという意気は壮としても、現実の問題として、これは本当にむずかしい問題になっておる。ですから、これを制度もというか、法制上もあるいはまた財源の上からも本当にもう一遍考え直さなければならない。予算獲得の技術的な問題で、鉱害復旧は臨鉱法の期限内に解決しますと言わないと予算獲得がむずかしいのです。そのために通産省の鉱害課の方は本当に苦労していることはよくわかるので、私どもは、これはそれとして、石炭石油特別会計だけに依存しておるということが果たしていいのかどうか。これをいま取り払う、鉱害は一般会計に移すなんて言いましたら、これは大問題、大社会問題になります。だから、そんなことは言えませんが、いずれの方法かによって鉱害地域が安心するような財源措置を、十分いまから検討しておかなければならない時点になっておるということだけはぜひ強調しておきたいと私は思うのであります。  きょうは持ち時間を少し過ぎましたが、鉱害の問題だけ——これも十分じゃありません。さらにまた別の機会をいただきまして、今度は産炭地域市町村の行財政の問題についてまた質問をさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。

田中龍夫自由民主党通商産業大臣

○田中国務大臣 藏内先生、最後にお礼を申し上げます。どうもありがとうございました。  大変貴重な御意見、与野党の諸先生もひとつ委員長を初め御一緒にどうぞ産炭地の問題をよろしくお願いを申し上げまして、お礼の言葉にかえます。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員長 中西績介君。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 私は、きょうは石炭とは離れて、逆に白い問題、セメント問題で質問を申し上げるわけでありますけれども、このことは、産炭地における男子雇用型の企業を誘致するに当たって大変苦労しておるし、いままでの実態から申しましても全くと言っていいほど企業誘致がなされておらない実態にあることは、大臣も十分御存じのとおりであります。  そういう中で、大臣、時間がないようでございますので、私は福岡の田川市の麻生セメントについての質問をしたいわけでありますけれども、いつもこの委員会におきましても問題になっております筑豊あるいは田川地区における失業者の率あるいは生活保護者の率というのは、私がここで申し上げるまでもありません。そういう条件の中におきまして、昭和三十八年、四十五年、四十六年そしてさらに四十八年とこの麻生産業セメントが次々と合理化をしてまいったわけでありますけれども、これに対しては、いままで組合側も労働者の皆さんもむしろ協力をしてまいったわけであります。そして、さらにまた最後のこの四十八年の合理化の際には、十分組合側と協議をしていくということを言っておったわけでありますけれども、その間における組合側のいろんな要請あるいは意見、そういうものを出されてきましたけれども、会社側はこれをほとんど取り入れておりません。そして現在に至っておるわけであります。その結果、今度新しく五号キルンを設定をする、そしてそのことによって生産量は倍になる。いまこういう事態にまで至っておるわけです。  そこで、合理化案が昨年の十二月に提案されておるわけでありますけれども、その提案された中身を見ますと、現在約二百七十名をわずか超える従業員でありますが、この二百七十名を百四十名までに切り下げるという案であります。そしていままである四号窯までを全部停止をする、こういう案になっておるようです。いまこの田川市におきまして日産の下請会社が一社だけ来ておりますけれども、これだって男子雇用型と言えば、三十人しか採用しないわけでありまして、この三十人の企業を誘致するに当たっては大変な努力をしながら、また、その三十人がいま産炭地田川におきまして振興策の中ではやはり大変重要な位置づけになっているわけです。ところが、百三十名を超える者を一挙にここで首を切ってしまうということになるわけでありますから、こういう状況から考えますと、産炭地企業誘致の困難さ、さらにまた現状については十分御認識である大臣が、石炭と同様にこのようにして次々と合理化案を提案をし、そして労働者にしわ寄せをしていくというこのやり方に対してどのようにお考えになりますか。産炭地については大変重要な課題でありますから、ひとつお答えを願いたいと思います。

田中龍夫自由民主党通商産業大臣

○田中国務大臣 ただいまの中西先生のお話は、あそこの麻生セメントの問題で、せっかく産炭地に来てもらったセメント工場が、一時はよかったけれども、また不況にさらされて減産体制に入ったり、企業の非常な逆境に来たという問題についての百何十人かの方々に対しまする問題と存じますが、本件は、ただいま労使間の交渉の過程中にあるので、私ども余り勝手な発言もできないわけであります。しかしながら、希望退職の問題につきましては、第一義的には労使の自主的な解決にまつべき問題でございまして、現に交渉の過程にある。政府のこれに対しまする見解はひとつ差し控えさせていただきたい。ただ、今後会社側におきまして一方的な勝手な実施とならないように、あくまでも退職者の再就職のあっせんその他につきましても、十分に万全の処置をとるように役所といたしましては指導してまいりたい、こういうふうな気持ちでおる次第でございます。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 労使間における交渉なり話し合いがある中で政府の見解なりが示されないということでありますけれども、いま大臣がおっしゃったように産炭地であるがゆえにこれを企業誘致したということではありません。もう長い歴史を持っておるわけであります。もともとは八百人を超える約千人に近い従業員がいたものが、現在二百七十名程度になっておるわけであります。これが百四十名前後に落ちてくるという状況でありますから、先ほど申し上げたように、三十名の企業を誘致するといえば大変な努力をし、そしてこういうことはいまの田川にとりましては本当に曙光を見るような感じがすると言われておりますけれども、そういう条件の中でこういうような百三十人を超える者を一挙に首を切ってしまうという状況です。ですから、ほかに組合側から出ておる意見等については、たとえば四号窯を一定程度動かすとか、あるいは関連の特殊なセメントの製造とか、あるいは四十八年のときに三井に原石の山を売ってしまいまして、その隣には自分が持っている原石の山があるわけなんですが、いま購入しているわけですから、それを再度自力によって開発するということになれば、このように人員を縮小する合理化の必要はないわけなんです。ですから、そういうことに対する企業の責任というものがあるわけなんですから、そのことに対して労使間云々ということでなくて、企業に対してこれらについての行政としての指導なり、そういうものはなされないのかどうか。ここいらについてお答えいただきたいと思います。

田中龍夫自由民主党通商産業大臣

○田中国務大臣 いまのお話につきましては、ひとつ政府委員からもう少し具体的にお話を申し上げます。

中村清通商産業省生活産業局窯業建材課長

○中村説明員 ただいま御指摘のございました田川工場の古い窯の運転の問題でございますけれども、先ほど先生のお話の中にもございましたように、旧設備四キルンございますが、現在三キルン動いておりますけれども、その合計で月約五万トン能力、新しい設備一基で十万トン能力というような状態になっております。そういう面で見まして、いまのセメントの需給そのものが、実は四十八年がピークでございまして、そのときにおよそ七千八百万トン程度の生産をしたと思いますが、これが最近になりまして六千八百万トン、いわば一千万トン近く落ちている段階で、まあ麻生の販売の実績ということから見ますと、五万トンの能力を一時期十万トンにふやしただけでもかなりのウエートになるだろうと思います。その上に古い窯を動かしてということになりますと、販路その他で相当の困難があるし、もうしばらく需要がふえない限り、あるいは非能率的な古い窯というのは非常に動かしにくい状態にあるということは一点言えようかと思います。  それから、特殊セメントという問題がございました。あるいは早強セメントであるとかいろいろなセメントがございますが、一般の普通のセメントに比べますと生産量というのはわずかでございます。普通はそういった古い窯を臨時的にある期間運転いたしましてそれで賄うというのが、麻生の場合を詳しくは存じ上げませんけれども、一般的にセメント会社で行っている方法でございます。したがいまして、そういった大きな設備を入れましても、古い窯というのはスクラップにせずに臨時的な使用に使うというような形態で対応しているところが一般的のようでございます。その辺につきまして田川が具体的にどういう考えを持っているのか、ちょっと確認をいたしておりませんのでわかりかねますけれども、通常はそういう形で対応しているようでございます。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 これからもう少し専門的になりますので、大臣忙しければよろしいです。  いまお答えいただきました中身というのは、従来の窯、四号窯までで五万トン、そして新しい窯で倍の生産、十万トン、こういうことなんですが、この一年間、また数年間のセメントの推移を見ましても、確かに四十八年をピークとする、そのことは認めます。しかし、徐々ではあるけれども上向いていることは事実だと思いますし、そしていまの政府をして言わしむるならば、われわれ社会党が追及をいたしますときには、公共事業費にいたしましても、土地代だとかそういうことに食われる公共事業費で果たして景気の回復になるのかどうかということで追及するわけですけれども、ところが、それに対しましても、景気の回復になるんだと言ってずいぶん胸を張ってやっているわけですから、恐らく、公共事業費をこの四半期に七〇%近くも消費をしようという時期でありますだけに、相当の消費量増大というものは見込んでおるはずなんですね。ということになりますと、いままで落ち込んでおる部分はある程度上向いていくということが、これは必然的にだれもが考えられるわけなんですけれども、そうした場合に、いま倍になったからといって、シェアの問題からいろいろなことを考えてまいりますと、この麻生セメントが生産をしたから大変そのことが、今度は売れずに在庫あるいは生産をむしろ中止しなければならぬというような状況にはならない、私たちはこう判断をしているわけですね。こういう条件についてはどのように把握をされておるか。

中村清通商産業省生活産業局窯業建材課長

○中村説明員 先ほど四十八年の、これは暦年のベースでございますが、七千八百万トンと申し上げまして、その後、四十九年が七千二百万トン強、それから五十年で六千五百万トン、五十一年になりまして六千八百万トン、したがいまして、五十一年で見ます限りでは五十年から約二%アップしております。ただ、先ほど申しましたように、四十八年から四十九年、約一〇%ダウン、それから四十九年から五十年一〇%ダウンということですから、ちょうど五十年時点ではピークの二〇%ダウンというところまで下がりまして、やっと昨年二%アップ。先ほど公共工事の関連でセメント需要が出るのではないか。確かにおっしゃるとおり公共工事に関連したセメント需要は出るかと思います。  ちなみに、正確な数字は覚えておりませんが、四十八年当時のいわゆる官公需と民需のセメントの比率というのは、官公需が五五%、民需が大体四五%というふうに言われております。最近の数字で、ラウンドでございますけれども、官公需が六〇%、民需が四〇%というふうに下がっております。したがいまして、むしろ官公需でせっかく伸びた量以上に民需の落ち込みが激しいというところにセメントのいまのつらい立場があるのではないだろうかというふうに考えております。  したがいまして、私ども五十二年度のセメントの需要をどう見るかということをいま検討しておる段階でございますけれども、いずれにしましても、公共工事の出方その他を見た上で判断したいと考えております。ただ、一般的には、公共工事分にそれをさらに押し上げるべく民需がどのくらい出るだろうかというのが、セメント業界あるいは建設業界含めて、そこの判断が各方面で一番問題にしているところであります。その辺がちょっとまだ予測かつきかねております。いずれにしましても、いままでの例で申しますと、大体GNPの実質伸びより少し少ない程度というのが過去の実績になっております。その辺から見まして、一〇%以上の需要の伸び、そこまでは期待できるかどうかということは、ちょっと無理のような感じがいたします。もうしばらく様子を見ますと、およその五十二年度のセメントの需要がどのくらいだという想定が出てくるのじゃないか、かようにいま判断をいたしております。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 現時点におけるこの判断は、まだ四十八年度におけるような需要率というのにはとうてい及びもつかないわけでありますけれども、いずれにいたしましてもそれにだんだん近づくであろうし、さらにまた、一挙にはいかずとも、徐々でありますけれども向上するであろうということの一定の見通しはあるようでありますから、そういう中でのこの生産であります。そうしますときに、この組合側が提案をしておりますのは、問題はこの四号キルンの運転ですね、四号キルンを運転してほしい。それから、先ほど申し上げましたように、この原石自給。現在は三井セメントに原石の山を売って、鉱区を売って、そしてむしろそこから買い入れておるという現状ですね。しかし、生産が倍になるわけですから、必然的に相当量は要るわけです、原石は。そうなると、それを今度は、自分がその隣の山を持っておるわけでしょう。このこともおわかりだと思うのだけれども、それを今度自力で開発するなり、そういう自給するという方法がとられれば、そのような問題は解消するのではないか。  それからあるいは先ほど言った、ごく少量であっても、現在ある古い窯をすぐ取り除くわけじゃありませんから——これはもうどこでもそうですね。だから、そこでやはり生産していくということだってあり得るわけですから、そういうことを遂げてまいりますと、いまの二百七十三名、そして百三十三名を首切って百四十名を残すという案でなしに、もう少しこの百四十名を——大体見ますと、いま組合が出している案というのはこういうふうになっているのですよ。四号窯を動かし、そして五号窯、新しいキルンと両方合わせまして組合案は百七十七名、そしてそれに加えての六十名ですね、あるいは九十名近くになりますけれども、事務系統だとかいろいろなところの部分を約六十名見ますと、会社が出している合理化案が、五十四名、事務系統なりにいるわけですから、これは大体とんとんになるわけですね。そうしますと、四号、五号窯を動かすことによって、大体残るところは、三十五、六名くらいは、ほかの、さっき申し上げたような新製品をつくるなりあるいは自給体制をするなりというようなことでいけば、そういうところは大体解消するわけなんですよ。  ところが、いまこれを見ますと、全くそこら辺は切って捨ててしまって、もうエキスの分だけとってやろうとする体制ですね。なぜ私はこのことを言うかというと、これは三十八年苅田工場が設立された際、それから四十五年に希望退職をとった際、それからさらに今度、四十六年に苅田工場に三号キルンを設置しました、そのときも組合側としては、これを田川に設置をしたらどうかという案と、含めて提案をしているのです。そして四十八年にはこの船尾鉱山、原石の部分を売却した場合、この苅田工場への配転だとか、中央の研究所に配転だとか、すべて合理化に協力をしてきているわけです。こういう過去の実績、事跡を見まして、それくらいのことはやはり企業責任としてもやるべきではないか、こう私は考えるわけなんです。ですから、さっき大臣が申されておりましたように、いま直接折衝しているそのさなかに、皆さんがどうしろ、こうしろと言うことはできないにしましても、人員をどうだこうだと言うことはできないにしましても、少なくとも企業のあるべき姿としてかくあるべきだというくらいなことは、やはり現状では言ってよろしいんじゃないか。特に、この田川地区の産炭地の状況というのは先ほど申し上げたとおりでありますから、こういう態勢の中における首切りというのは大変なものだということをまず前提に置かれてこのことを考えていただきたい。ですから、そのような指導なりができないものかどうか、この点をお答えください。

中村清通商産業省生活産業局窯業建材課長

○中村説明員 先生から御指摘をいただきましたその点を含めまして、私ども詳細につきまして、工場の方のいわゆる合理化案なるものをまだ正式には話も聞いておりませんし、具体的な計画も完全に詰まったというふうには聞いておりませんので、その辺を含めまして、私どもが企業を呼びまして、その辺の合理化案が将来を含んで妥当な案かどうかということも私どもで検討し、いま先生の御指摘のございました点も、十分会社側の考え方なりも確かめた上で、先ほど大臣が申しましたような形での指導をいたしたい、かように考えております。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 時間の関係もありますので、いま通産省の方から言われましたように、この合理化につきましては、産炭地域振興、そして復興をするための大きな基盤になりますし、雇用問題につきましてもやはり同じことが言えるわけでありますから、ぜひそのような指導を強めていただくことをお願い申し上げたいと思います。  そこで、今度、労働省にお聞きしたいと思うのですけれども、先ほどからるる説明申し上げましたように、この問題はいいままで組合側としては何回かの合理化、これに対応してほとんど協力をしてまいったところですけれども、今回の場合には、この田川の実態からいたしましても大変な内容のものでありますし、特に、先ほどから何回か申し上げたように、全く男子雇用型の企業のない条件の中で——これは通産省の方かまたいらっしゃるからお聞きになっておいていただきたいと思うのだけれども、田川と峠一つ越えたところに、また、三菱あるいは住友、いまは住友と言いませんけれども、セメントがありますね。住友セメントが、昨年、ちょうど炭鉱の合理化と同じようなやり方でもって全員解雇、そして第二会社を設立をして、以前の東洋セメントというものに名称を変更して、従業員を完全に半分にしてしまったのですね。そして同じ生産量をいま上げているわけでしょう。しかも賃金は七割、とてつもない条件下にいま置かれているのですね。だから行っていた人が、もうやめようというような人だって出てきている。近いだけに、今度そこにも田川からも産炭地から行っておったわけですね、通勤しておったわけなんです。  このように、引き続き石炭がいかれ、セメントがまたそうしていかれるという——セメントの方は倍も三倍も生産量はどんどん上がっていくわけです。だから、そういう諸条件の中、いろいろ追及したり、お聞きすると、一トン当たりの単価が低いからとか、値上げがされないとかいろんなことでもって言われますけれども、いろいろその条件はあるにいたしましても、そのような状況です。ですから、雇用問題としてこれをどうとらえたらいいのか。特に産炭地田川における問題として、労働省はどのようにお考えなのか。

細見元労働省職業安定局失業対策部長

○細見政府委員 通産大臣からもお話がございましたように、一般的には、企業の合理化に伴います人員整理の問題でございますので、労使のお話し合いによりまして自主的な解決が運ばれるということが基本となるべきであると考えております。しかし、先生からもお話がございましたように、産炭地域の、しかも田川は雇用、失業情勢が大変厳しい場所でございまして、一たん離職いたしますれば、その再就職が困難なことはもうきわめて明瞭でございます。したがいまして、私どもといたしましては、労使の間におきましてできるだけ話し合いを詰めていただきまして、可能な限り離職者の発生を小幅にとどめていただきたいと思うわけでございますけれども、職業安定行政機関の立場といたしまして、一方においてこのような労使交渉の推移を見守りつつ、これら離職を予定しておられる方々につきまして、お話しのような企業の内部におきます配置転換でございますとか系列企業への再就職等によりまして、離職者の発生を、もし発生するとしても最小限にとどめていただくように、必要に応じお願いをしてまいりたいと思っておりますし、現に田川の公共職業安定所からは、幹部が企業に出向きまして事態を把握いたします一方、そのようなお願いを続けてまいっております。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 この合理化案を見ますと、雇用されている全員から希望退職を募るという方法ですけれども、特にその中でも、五十歳以上の者に対しては、これを特にという言葉を付帯的につけまして、ぜひやめてもらうような態勢のようであります。ですから、これはもう失対部長も十分おわかりになるように、五十歳以上の方を離職させる、そういう状況になったときにはどのようになるかということは、もういままでの経験からいたしましても十分おわかりのとおりだと思います。ところが、ここの場合には、ずいぶん長い期間新しい労働者を採用しておりませんから、もうほとんどがずっと年齢が高くなってきている。そういう条件の中でありますから、このやめられる方の失業後における情勢というのがどうなっていくかというのは、これはいまの田川を見ていただけば一番よくおわかりになると思うのです。  そこで、何としても組合のいま提案しておる中身を調査なりしていただきまして、その内容が本当にいまの田川における企業のあり方としてどうなのかというのを十分御検討なりいただきまして、企業の延命策、それから労働者の雇用、そのかかわりについて検討してほしいと思うわけです。その点が、先ほどから言われるように、労働組合と企業間においていろいろな話し合いが持たれておる間に云々ということを絶えず言われますけれども、しかし、提案をされておるときにこそこれは言わなければその効果はないのだし、介入ということでなしに、行政としてどれだけこれらについて指導ができるかという、ここら辺をもう一度追求をしていただきたいと思うのです。この点、お答えがあればお答えいただきたいと思うのです。

細見元労働省職業安定局失業対策部長

○細見政府委員 先生からお話がございましたように、今回の希望退職の募集につきまして、一応全員を対象にはいたしておりますけれども、特に五十歳以上の方あるいは御主人のおありになる女子の方というようなことで、会社から話が組合の方へ参っておるということも私ども承知いたしております。特に私どもといたしましては、再就職あるいは就職の困難な身体障害者の方、それに高年齢者の方につきましては、昨年来中高年の雇用促進法を改正いたしまして、努力義務ではございますけれども、高年齢者の雇用率制度というようなものも定めた時期でございますので、常時現地あるいは福岡県当局に事態の推移を見守らせまして、必要に応じ、できる限り継続して雇用していただくよう努力いたしたいと思っております。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 いま部長言われましたように、県なりあるいは現地田川の職安なり、そういうところを通じて、この麻生セメント企業側に対する中高年齢層あるいは特殊なそういう条件にある人を含みまして十分措置をされるようにということの指導はできるようでありますから、そこができるといたしますならば、先ほどからるる申し上げておりますように、会社側から出されておる合理化案、それだけでなしに、組合側から提起をされてありますその中身についても十分検討していただいて、企業のあるべき姿、そして現在のような大変な状況の中における雇用問題を考えますならば、ぜひ組合の主張する点も理解と認識を深めていただき、そしてその中から可能な限りの指導と要請を強めていただくことをお願い申し上げたいと思うのです。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員長 次回は、来る五月十一日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時二十三分散会

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