商工委員会 第20号
- 発言数
- 145 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1977/05/10
会議録
○野呂委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案及び多賀谷真稔君外八名提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西銘順治君。
○西銘委員 国民の政治に対する不信が高まってまいりまして、多党化を迎えた時代でありますが、このたび政府は第三回目の独禁法改正案を国会に提出したわけでございますが、今国会においてこの成立を是が非でも図らなければならないと思うのであります。また、参議院選挙を迎えまして、この法案が不成立になった場合、国民の不信は参議院の選挙に大きくはね返ってくると思うのであります。 そこで、私がまず最初にお伺いしたいことは、法案成立に対する総務長官の心構えをお聞きしたいのであります。
○藤田国務大臣 たびたび総理が各委員会に出て申し上げておるとおりでございまして、この独占禁止法の改正につきましては、経済ルールとも言うべき法律でございますから与野党の合意を得てこの国会でぜひとも決着をつけたい、かように総理も申されておりますので、私も同様に考えております。
○西銘委員 通産省の独禁法改正案に対する見解が発表されておりますが、これによりますると、特に構造規制の問題に触れまして、営業自由権を前提とする憲法との関係で問題があると指摘をしておるのであります。すなわち、企業については、五〇%とか七五%とか、そういう一定の市場占有率以下においてのみ収益性あるいは経費の支出などの自由が許されるということになっているわけでございますが、憲法二十二条との関連において、これに対する政府の見解をただしたいと思うのであります。
○大橋政府委員 ただいまの通産省の見解とおっしゃいましたのは、恐らく新聞紙上に通産省の見解として伝えられていたことだと思うのでございますが、ここで営業権についての考え方が出ておったわけでございますけれども、あの営業権の考え方が、通常は営業の自由と言いますのは憲法二十二条の職業選択の自由のことを指すわけでございますけれども、たとえば価格をどういうふうにつけてもいいとか、あるいは利益をどのくらい享受していいかということについては、憲法二十二条の問題と言いますよりは、憲法二十九条の財産権の内容の問題ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。 〔委員長退席、山崎(拓)委員長代理着席〕
○西銘委員 そういたしますと、政府といたしましては、第二十二条には抵触しない、問題はないとはっきり言い切るわけですか。
○藤田国務大臣 憲法二十二条の職業選択の自由も、公共の福祉を優先させていることはその条文の中に書いてございます。ですから、「公共の福祉に反しない限り、」ということでございますので、いまおっしゃいましたような分割ということが公共の福祉あるいは公共の利益に反しないというふうな決定のもとに行われることでございますので、憲法を侵害するとか抵触するとかとは思いません。
○西銘委員 憲法で規定されました基本的人権は十一条の規定だけでなく、九十七条におきましても、「侵すことのできない永久の権利」として規定されているわけであります。したがいまして、この基本的人権というものは、自由権というものはあくまでも尊重されなければならないと思います。 長官はいま、この自由権を制限するのは、公共の福祉のためであるならば憲法違反にはならないだろうということを言われたのでございますが、しからば、それを制約するだけの公共の福祉、公共の利益あるいは国民の便益とは何を指しておるのですか。
○藤田国務大臣 憲法の解釈ということになってきますと、これは法制局の方に答えていただいた方が適当かと思うのでございますが、私が仮に答えさせていただきますと、いま申し上げましたような一部営業譲渡あるいは分割ということになるのには、独占的状態と、その中に多くの弊害が——相当期間にわたる著しい価格の上昇があったとか、あるいは著しい利益の享受をいたしておったとか、いろいろな弊害がそこにあるがゆえに、そういうふうな公共に反することがあるがゆえに営業の一部譲渡なり分割ということがあるわけでありますから、そういう意味をもちまして憲法に反しないであろうということを私は申し上げた次第でございます。
○西銘委員 公共の利益、公共の福祉の問題についてはまた後で触れますが、さらに憲法との関連においてお尋ねいたします。 先ほどの答弁にもありましたが、二十九条は財産権の不可侵について規定されており、さらにその財産権の収用については補償が要求されているわけであります。したがいまして、強制的に企業分割を命ずることはこの憲法の基本的人権、いわゆる財産権に対する重大な制約であると私は考えるのでありますが、この制約をたとえ正当化するにいたしましても、これは恐らく国民の利益あるいは公共の福祉であろうと思うのでございますが、この重大な制約を加える公共の福祉、便益というものがあるとすれば、もう一度お尋ねいたしますが、これは一体何であるのか、具体的にお示しをいただきたいと思うのであります。
○大橋政府委員 営業の一部譲渡の規定は独占禁止法の目的を体現しているわけでございまして、独占禁止法の目的でございます「公正且つ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇傭及び国民実所得の水準を高め、以て、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進する」ということがこの場合の公共の福祉になっておるわけでございます。
○西銘委員 いまの答弁は、独占禁止法制定の目的、趣旨がそのまま公共の福祉であり公共の利益であるという話でありましたが、それは一応了解するといたしましても、その場合、何らの補償なしにこれを行うことができるのかどうか。憲法の規定との関連で一体どうなるのか。せっかく公正にして自由な競争の中でかち取った財産権でありますから、これに対して制約を加えるということは、すなわち憲法で規定された補償がなければならないと思うが、この補償との関連において政府の見解をお聞きしたいのであります。
○大橋政府委員 憲法の二十九条は、第一項で「財産権は、これを侵してはならない。」とし、第二項は「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」となっており、第三項に「私有財産は、正常な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」と書いてございますが、この独禁法改正案の八条の四の独占的状態の場合の営業一部譲渡等の規定は、憲法二十九条で申しますと第二項に該当する。したがいまして、「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」となっているこの法律が今回の独占的状態に関する規定であるというふうに了解しておりまして、これを公共のために用いるというものではございませんので、そこには補償の問題は起きてこないというふうに理解しております。
○西銘委員 二十二条、二十九条との関連で公共の福祉ということが出てきましたけれども、漠然としていてわからないのですが、公共の福祉とは一体何ですか。独占禁止法それ自体が公共の福祉ですか。
○大橋政府委員 公共の福祉といいますのは、およそ国の政策は公共の福祉を目的としているわけでございますが、この独占禁止法におきましての公共の福祉と申しますのは、やはり、「公正且つ自由な競争を促進し、」というところに端的にあらわれていると思います。
○西銘委員 次に、商法と独禁法との関係について、なかんずく営業譲渡の問題と関連してお尋ねしたいのであります。 商法二百四十五条は、営業譲渡について株主総会の特別な決議が必要とされているのでございますが、まず、お聞きしたいことは、この商法と独禁法が法律的に対等であるのかどうか。そういう立場をもしとるということになりますと、公取委員会の譲渡命令がありましても、いわゆる株主総会でこれが否決になりますと実効性がなくなるということであります。 これも新聞で見たのでありますが、法務省の見解としては、この点を中心に企業分割条項の問題点を法制面から、これは法律上の問題として指摘しておるのでございますが、独禁法と商法は対等であるのか、あるいは独占禁止法が優位にあるのか、まずそれから簡単にお答え願いたいと思うのであります。
○大橋政府委員 独禁法は公法でございます。それから商法は私法でございます。公法と私法がどちらが優先するかということを一般的に論ずるのはなかなかむずかしいのでございまして、特別決議を経なければならないというような分野については、これは全く私法の分野でございますので、その分野につきましては商法の規定が唯一のものであり、独禁法はここに規定を加えておるわけではございませんので、その限りにおきましては商法が生きてくるということは申し上げられると思います。 どちらが優先するということではなくて、それぞれの分野について独禁法が生きる部分もあるし、私法の規定が生きる部分もある、こういうことでございます。
○西銘委員 もちろん独禁法は公法でありますので、営業譲渡の命令が出た場合、これは公法上の義務が残るわけでございますが、せっかく公取でもって営業の譲渡を命じましても株主総会において否決になる——もちろん株主総会は会社の独立した一つの機関であって、独立した人格ではありませんし、もちろん責任を負うこともないでありましょう。また、株主も責任を負うことはないでありましょう。ところが、いよいよ審決が下って、なおかつ株主総会においてこれが否決されれば営業譲渡は実現しないということになるのか、端的にお答えいただきたいと思うのであります。
○大橋政府委員 これは、その営業の一部譲渡が重要な営業の一部譲渡でありますれば、株主総会の特別決議を経なければ実現しないのは確かでございます。
○西銘委員 そういたしますと、株主総会で否決になれば営業譲渡は実現しないということですか。
○大橋政府委員 株主総会に提案されますのは、営業の一部譲渡等に関します公正取引委員会の審決を実現するための具体的な提案を取締役がいたすわけでございまして、これが否決されれば、その具体的なやり方による営業の一部譲渡というものは実現いたしません。 ただ、その営業の一部譲渡がどういう理由で否決されたか、これは審決そのものがかかるわけではございませんから、その具体的な提案がどういう理由で否決されたかによりまして、改善して株主総会の特別決議を得るという見込みがあれば、それはその手直しをすることによって実現することもあるわけでございます。
○西銘委員 何遍もお聞きするのですが、そういたしますと、独禁法で規定されたいわゆる企業分割、営業の一部譲渡というものは、幾ら公取の審決があっても株主総会で否決されれば実現しないということになるのじゃないですか。どういうことですか。
○藤田国務大臣 それは確かに一時的には実現しないということになります。しかし、その審決を履行する義務は消滅しないわけでございますから、一部営業譲渡とかいうふうな審決がもしあった場合には、取締役会としてはその履行のために真摯なる努力を払わなければならぬという義務があるわけでございます。 そこに真剣な努力が払われていないということになれば、これはまた別段の処置を講ずるということでございまして、取締役会としては、一時的にはストップといいますか、そういうふうなことがあるにしても、継続してその努力を払うべきであるということでございます。
○西銘委員 そういたしますと、役員は、営業譲渡、企業分割について、株主総会に何遍もこれを提出するというところまでの責任しかないわけですか。 そういう熱意の問題ではございませんで、私は、責任と実効性の問題についてお聞きしているわけでございまして、いまの規定からすると、株主総会において同意して企業の分割をやるという以外に分割はできないじゃないですか。どうですか。
○大橋政府委員 それは、現在の第七条の規定による営業の一部譲渡、第十七条の二の規定による営業の一部譲渡の場合でも同じでございますけれども、特別決議がなければ営業の一部譲渡は実現しない、これはこういうふうになっているわけでございます。 御指摘のとおりでございますが、こういう審決が出たこと自体について、審判手続におけるいろいろな調査のやり方に問題があったといたしますれば、なおかっこの審決を維持することが不当であるというような場合には、公正取引委員会は審決を変更して実現可能なものにしていくという努力は当然するわけでございます。
○西銘委員 そうなりますと、会社、株主総会が同意するのでなければ営業の一部譲渡、企業分割はできないということになるわけでございますが、司法救済として東京高等裁判所に提訴することができるのでございますが、最終判決において営業の一部を譲渡しなさい、企業分割をしなさいという場合に株主総会が否決することができますか。まず、それからお聞きしたいと思います。
○大橋政府委員 この場合の判決といいますのは、審決を取り消してくれという訴えに対する判決でございます。そして、審決を取り消しする理由がないという判決が下りますと審決が確定するということでございますが、それ以上の意味はございませんので、特別にその審決に重みが増すということはなくて、単に訴えをしないために確定した審決と同じ効力を持つにとどまるものでございます。
○西銘委員 それでは、これは判決も審決も同じことですね。企業分割、営業の一部譲渡は結局会社がオーケーする以外に実効性がないというふうに理解してよろしいですか。
○大橋政府委員 非常に特別な場合にそういうことが起こり得るわけでございますけれども、一般の場合、これは公取の審決といいましても、性格的には国から行われた命令でございますから取締役も最善の努力をいたしますでしょうし、株主としてもその趣旨を理解して、当然その株主の権利を侵害しない範囲で妥当な営業一部譲渡の案をつくって実現するものというふうに理解しておりますし、それを担保する者といたしましては、取締役に対する刑事責任の追及はもちろん限定されているわけでございますけれども、刑事責任がある場合には、そういう追及をすることによって何らかの形で公取の命令というものは担保されているというふうに理解しております。
○西銘委員 それはわかります。取締役、役員が刑法上の罰を受けることも当然であります。しかし、受けたからといって問題の企業分割が実現するわけではありません。何回株主総会に出しても何回も否決になるということでは審決は無意味である。結局、譲渡規定は初めから抜かざる宝刀といいますか、全然商法との整合性がない。本当に公正にして自由な競争原理を回復するという基本精神に立つのであれば、これは商法改正をしても整合しないということでは、規定の意味がないじゃないですか。 これに対する公取委員長の見解をお聞きしたいのであります。
○澤田政府委員 先ほど来長官並びに審議官からお答え申し上げた趣旨は、私も全くそのとおりだと考えるのでございます。 おっしゃいます御質問の趣旨もまたわかるのでありますけれども、結局は株主総会の決議が得られなければ問題がなかなか解決しない。しかしながら、それによって非常な抑止効果なり社会的な批判なりがいろいろ十分行われるのでありまして、これで十分意味のある規定と考えておる次第でございます。
○西銘委員 政府答弁を聞きますと、結局抜かざる宝刀ということであくまでも精神的な道徳的な規定になってしまって、株主総会が同意しないといつまでたっても実現できないというような規定になっていると私は理解をいたすのであります。 次に、「価格の同調的引上げ」についてお尋ねいたしますが、通産省の発表によりますと、これも新聞で読んだわけでありましてお許しをいただきたいと思うのでありますが、これによると二つの点から——同調値上げについては、これはむしろ公正な自由な競争の結果として結論づけられたものであるから、この引き上げの規定についてはちょっと賛成できないというような意味の見解が発表されております。 そこで、まず最初にお聞きしたいのですが、最近の経営また技術革新によりまして、いま大企業の供給する材の精度、品質というものはほぼ同様のものである場合が多い、このような場合の価格は、一物一価の原則で同一価格または近似価格にならざるを得ない、そこで、同質の材の場合は、わずかの価格差が各企業の取引先の大きな変動をもたらす危険があるのであって、むしろ競争の結果として同一価格が形成されることになるのだ、これが通産省の見解でございますが、これに対する公取委員長の御意見を承りたいのであります。
○澤田政府委員 お尋ねの素材につきましての考え方、あるいは一物一価という経済用語についての考え方にはいろいろ議論のあるところでございますが、教科書的に申し上げますと、完全に競争が行われておる市場におきまして、同じ時期に同じ品質の商品に対しまして二つ以上の異なった価格がつけられることはないというのが教科書的な一物一価という意味でございます。 これは非常に観念的でございますから、現実の経済界におきましては必ずしもこのようにはいかないのが実態でございまして、市場はほとんどの場合に不完全競争状態が見られるのでありまして、同一の素材と見られるものでありましても商品の品質は異なる、供給者間で完全に同質とは言えないと考えられる場合が多いのでございます。したがいまして、現実問題として、同一の素材について必ずしも常に同一の価格が形成されるとは私どもは考えていない次第でございます。
○西銘委員 最近経営も非常に大規模になりますと経営技術も大分似通ってきておりますし、つくり出す材の性能、品質についても本当にそんなに変わらぬと私は思うのですが、いま、委員長は、価格面でそれは違うのだ、価格の面でも違うし、性能、品質の面でも違うということを言われておるのでありますが、次に、価格の面で、コスト構造の面から通産省はこういうことを指摘しておるのであります。 つまり、最近は各企業とも同質化せざるを得ない要因が強く働くようになった、まず、原材料については、原油、鉄鉱石、石炭などほとんどの原材料価格は国際価格であって、その上昇が各企業に与える影響もほぼ同一、均一な影響を与えておる、さらに賃金についても、労働組合による春闘などを通じて各社が横並びの状態が実施されるような形で賃上げが決定される、その時期もほとんど同じだ、また、銀行の貸出金利も同調的に変動しておる、したがって、価格の面から言っても、こういう自由競争の結果として近似の物あるいは同一の価格にならざるを得ない、と、こういう見解を発表しておるのでありますが、委員長の見解をお聞きしたいのであります。
○澤田政府委員 企業によって、たとえば原料の購入先あるいは購入量の多寡、合理化の度合いあるいは生産技術、販売組織等いろいろ異なっておりまして、業種によって各企業間にそういう異なった点が徐々に同質化されておるという傾向がある場合ももちろんございます。しかし、一般的に申しまして、やはりそこにはそれぞれの違いがあるというふうに私どもは実際を観察して考えておる次第でございます。
○西銘委員 そういたしますと、製品の性能、品質の面からしても、価格構造の面からしても、そういうことはないということですか。大体の傾向として、日本の経済がこういうように発展してまいりまして、寡占、独占の形態になって、管理価格制度というものが日本のそういう特に寡占企業の中で定着した情勢の中で、そういうような傾向にあるのが当然だと私たちは考えるのでありますが、もう一度それに対するお考えをお聞きしたいのであります。
○澤田政府委員 ただいまも申し上げましたように、原料の購入先その他販売に至るまでのいろいろな要素を考えますというと、それが均一的になる場合にそういう傾向がある場合を完全に否定するわけではございませんけれども、なおまだ個々の企業の間には相当な違いが認められる、こういうふうに考えておる次第でございます。
○西銘委員 ただ、業界で心配いたしておる点を申し上げますと、率直に申し上げまして、この業界からの報告が義務づけられるわけでございますが、そういう報告を通じて価格に介入してくるのじゃないかということが心配されるわけでございます。むしろ公取が価格決定について個別のケースに立ち入ってくることがあるんじゃないかということが言われており、心配されておるわけでございますが、これに対する委員長の御見解を承りたいのであります。
○澤田政府委員 独禁法の理念あるいは独禁行政の考え方は基本的に競争理念でございます。したがいまして、市場における競争状態が有効にしかも公正に保たれるためのルールを常に考えるのであります。したがいまして、独禁行政について最も注意いたしますことは、具体的な価格形成に介入すること、過度にそういうものに介入するということ、こういうことは極力注意をして避けておるところでございまして、私ども独禁行政の運営については最も注意をいたしておるところでございます。 今回の同調的値上げの報告の徴取につきましても、その運用につきましては、その点は基本的問題として十分考えてまいるつもりでおるのでありまして、価格介入というような問題は起こらないというふうに考えております。
○西銘委員 現行法でも強制調査権が認められておるので、それによっても十分調査ができるのであるからこの報告を求める規定は要らぬのじゃないかという見解がありますが、これに対する政府の考え方をお聞きしたいのであります。
○藤田国務大臣 御質問の趣旨がちょっとわからなかったのですが、四十条の規定あるいは四十三条の規定で、四十条で強制調査権があり、四十三条で公表できるということになっておるから、その十八条の二の同調的値上げの報告については必要ないではないかという御質問でございますか。——同調的値上げについての報告は、これは価格を慎重に決めていくというふうな、これは寡占業種に対して行われるわけでございまして、先生御承知のとおりでございますが、そういう寡占業種、力のある企業、業界にとって慎重に価格が決定されていくというふうなことに非常に効果がある、かように思うのです。 その過程において、客観的に明白にその価格の値上げが理解できるというふうな場合にはこの報告は不必要かと私は思いますが、そうでない限りは、そういう意味において、一応国民に理解させるためにも同調的値上げということに基づいての報告をお願いをするわけでございますから、やはり四十条とは別途の意味を持っておると思います。
○西銘委員 これも新聞で見たのでございますが、公取委員長が、この企業分割の規定は全体として構造規制ではない、弊害規制であると言っておられるのでありますが、その意味についてもう少し詳しくお聞きしたいのであります。
○澤田政府委員 新聞等にいろいろ伝えられておりますが、必ずしも私の真意に添わない点もございますので申し上げますが、あの規定を構造規制であるとか弊害規制であるとか端的にきめつけるのは必ずしも妥当ではないと実は私は思うのでありまして、弊害規制を柱にした構造規制であるというふうなことがあるいは妥当なのではないかと実は私としては考えておるわけでございます。 条件が法律に定められておりますが、そこで、その弊害が起こった場合に構造的な規制を受ける、こういう問題ではなかろうか、したがって、単純にその出荷額なり市場占有率なりに該当するからといって規制を受けるのではない、弊害が起こった場合に規制を受ける、こういう問題であろうと考えるわけでございます。
○西銘委員 私は、この弊害規制についても、これを長期的な観点で見るならばむしろ構造規制と見るべきではないかと思うのでありますが、これらについての見解を聞きたいのです。
○澤田政府委員 法律の規定の条件をずっと見てまいりますと、先ほど申しましたような市場の出荷額総額の条件あるいは占有率の条件等、これは構造的問題であることは明白でございますが、その新規参入の問題というようなことになりますと、弊害であるか構造問題であるか若干むずかしい点がございます。しかし、今度その次に掲げられておりまする過剰の利益とかあるいは過度の経費とかということになりますと、これはやはり弊害と見るのが妥当ではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
○西銘委員 これは見方によればそうかもしれませんが、異常な利益を上げておるということも、これは短期の問題ではありませんので、あるいは一年か半年、そういう異常な利益あるいはまた異常な管理費、そういう広告費等の販売経費、これも見方によっては構造規制と見られないこともないと思うのですが、問題はこの新規参入の場合に、これを検討してみた場合に、いわゆる売上高と市場占有率とあと二つの弊害規定、この四つを勘案して新規参入ができるかできないかを判断するわけですか。新規参入を判断する基準はどこに求めるのですか。
○澤田政府委員 新規参入の難易等の判断は、これは実は非常にむずかしい問題でございまして、具体的な問題になりましたならば関係方面の専門的な判断等も求めまして決定していかなければならない問題であって、基準をどこに置くかということをいまは具体的に申し上げることはなかなかむずかしいと存じます。 もう一つは、先ほどの御質問にございましたが、長い期間を見れば弊害は構造的な問題じゃないかという点に関しまして一言つけ加えて申し上げますが、その弊害が起こったといっても、それをごく短期間をとって一々それについて処置をするというものではなくて、一定期間継続した弊害が見られるというようなことに対応するということでなければならないのではないかということも考えておりますので、つけ加えて申し上げておきます。
○西銘委員 学者によっては、この構造要件だけで当然企業分割の対象にすべきだという考え方も一部にはあるわけです。なるほど公正な、しかも自由な競争によって、何らの違法もやることなくしてやられた寡占、独占の状態ではあったにしても、それ自体がこういう日本という城の中で五〇%以上の市場を占拠するのだということ自体がこれは大きな問題であり、過去善行を積み重ねてやってきておったにしても、それ自体を問題にすべきであるという意見もあるわけでございます。 これにつけ加えまして、さらにそこに弊害規制を加味する、弊害要件を加味する、さらに企業分割によって国際競争能力が低下するとか、いろいろな配慮条件等があるわけでございまして、そういうことで構造規制、弊害規制、配慮条件でがんじがらめになって企業分割ができないということになっておると思うのですが、これらについての公取委員長の見解をお聞きしたいのであります。
○澤田政府委員 この営業譲渡の規定につきましては違った考え方が二つございます。これはもう全然動かないのではないかというような考え方と、あるいはこんな激しい規定は困るという考え方と二つあり、その両方の行き過ぎた考えは適当でないと思うのでありまして、根本的には、公正にして自由な競争の結果、営業努力によって大きくなること自体、それを問題にしておるわけではないのでありまして、そこに法に定める弊害が起こった場合に規制される。したがってそれにはいろいろな歯どめという言葉がありますが、私どもはその言葉は余り妥当ではないと思うのですけれども、その手続に念を入れるための措置がいろいろ加えられております。しかし、これは、それが発動を全然不可能にしておるものでは決してないと考えます。と同時に、あれだけ念の入った手続をとれば実情とかけ離れた措置というようなことになる心配はない、こういうふうに両面から考えまして、あの規定は妥当であると、かように考えておるわけでございます。
○西銘委員 委員長、単刀直入にお聞きしたいのですが、いまのような規定では企業分割は永久にやれない——商法も改正されるでしょうが、いまの実定法のままでの現行商法、現行独禁法の体制では企業譲渡というものは永久にない、こういうふうに見てよろしいですか。どうなんですか、あることもあり得るということですか。それは予言できませんけれども、単刀直入におっしゃってください。できないと私は思うのですが……。
○澤田政府委員 あり得ると存じます。それは砕いて申しますと、企業の方のこれはもっともだという合意が得られれば、これはあり得ることだと考えております。
○西銘委員 私は、あり得るという場合は株主総会がオーケーする場合、要するに会社の同意を得てやる以外にないと思うのですが、それ以外にありますか。考えられますか。
○澤田政府委員 その企業側がもっともだと考える場合と申しましたのは、株主総会も同意をするとこういうことがあり得ると申したわけでございます。
○西銘委員 株主総会が同意しなければできないということですか。株主総会が否決すると、いまの体制ではもうできないじゃないですか。
○澤田政府委員 株主総会が否決いたしました場合の問題につきましては、先ほど内閣審議官、総理府の審議官からもお答え申し上げたように難問題があることは申すまでもないわけであります。ですから、絶対にあり得ないのかあり得るのかという御質問でございましたから、企業がその命令をもっともだとして、しかも株主総会でそれを承認すればあり得る、こう申し上げたわけでございます。
○西銘委員 それでありますと、同意審決しかないということですか。どういうことですか。よくわかりませんがね。
○水口政府委員 確かに、先生のおっしゃいますように、営業の一部譲渡については、実際問題としてなかなかむずかしい面があろうかと思います。 そこで、公取といたしましても、なるべく無理はしないで、ほかの手段があればできるだけそちらの手段を講ずる、最後の手段としてやむを得ない場合に営業の一部譲渡を命ずる場合もあり得るということで、それで、これは審決によって命ずるわけでございますが、先生がただいま仰せのように、われわれとしては実際上はできるだけ同意審決という形に持ってまいりたいと思っております。ただし、法律的には正式審決ということもあり得るわけでございますが、実際問題としては、事柄のむずかしさにかんがみて同意審決という形をとりたいというふうに考えております。
○西銘委員 独禁法上の義務というのがぶら下がったままいつまでもこれが実現できないような状態が続く、商法と独禁法は整合しない、こういう状態にいつまでも置いていいのですか。
○澤田政府委員 具体的な問題が起こりました場合に、その問題の処理といたしましては、何らかの方法で競争状態が回復されるという措置がとられれば一番よろしいわけでございます。しかし、営業譲渡以外には方法がないというようなことになった場合の問題がいろいろ複雑でございますが、その場合でも、実際の問題の処理としては、いまおっしゃるように、未解決にいつまでも宙ぶらりんで問題が残っておるというのは極力避けて、円満に問題が解決するという努力が続けられるべきものと考えております。
○西銘委員 独禁法と中小企業分野調整法との関連において通産大臣にお尋ねしたいのでございます。 私が申し上げるまでもなく、独占禁止法の精神は公正にして自由な競争秩序を回復することでありまして、端的に申し上げまして、競争原理の回復ということが原点であろうかと思うのでございます。したがいまして、政府は、一方では独占状態にある企業を分割しなければならない、また、中小企業の多い分野への進出についてはこれを規制しなければならないという、理論的にはきわめて矛盾した点があると思うのでございますが、これに対する大臣の見解をお尋ねしたいのであります。あくまでも大企業と中小企業との調整の原点を自由競争の原点から得られるのか、あくまでも産業保護という観点から得られるのであるか、この矛盾した原理をどう調整されていくのであるか、基本的な考え方をお聞きしたいのであります。
○田中国務大臣 独禁法と分野調整法とが相対立する一つの概念ではないかという御意見でございまするが、必ずしも私はさようにもとっておりません。企業が活力を備え、そしてまた伸びていきまする場合におきましては、やはりそこには根底的に競争原理というものがあることによりましてなお一層健全な発達をいたすものだと、かようにも存じておるのでございます。かような点からいたしましても、競争政策のみによって律するのは必ずしも妥当ではない場合もございまして、これらの事項につきましては、競争原理を基本的には維持しながらも、別途の政策の目的によってこれを補正することにより国民経済のより健全な発達を確保しておる、中小企業分野調整法案なるものは独禁法との関係ではこのような性格を持つ法案である、かように私どもは考えておる次第でございます。 なお、独禁法の問題につきましても、私どもはいろいろの見解を部内におきましては主張もいたしましたのでありまするが、しかしながら、政府といたしまして、ぜひとも本法案を今国会において通過させていただくことを改めてここに先生にもお願いを申し上げる次第でございます。
○西銘委員 むしろ、大企業の持っておる技術力と申しますか、販売力、こういったものを投入することによってより安い良質の商品が消費者に提供されるという利点も考えてみました場合、中小企業の分野に大企業をある程度抑制するにいたしましても、線を引かなければならぬ。これは大変苦労されると思う。中小企業も大事にしなければなりませんし、そしてまた消費者の保護ということも同時に考えていかなければならぬ。そういう中で競争原理というものを——これはわが国の自由経済の基本でございますし、独禁法の精神でございますので、あくまでもこれを原点としながら、中心としながらこれを規制していくというたてまえでなければならぬと思うのであります。 いわゆる中小企業と大企業との分野をどの線で引くかという点で大変御苦心のあるところであると思うのでございますが、これについての大臣の御見解をもう一回お聞きしたいと思うのであります。
○田中国務大臣 私どもは、分野調整法の問題を論じまする中におきましても、大企業と中小企業とは本質的に対決し対立する存在であるというふうには決して心得ておりません。 御案内のとおりに、かつて中小企業政策といたしましてその系列化を唱え、あるいはまたこの高度化を唱えました精神から申しましても、今日の大企業といえども根底には膨大な下請を擁して、いまの膨大な複合生産のもとに大企業というものが存立を得ておるということから考えましても、分野調整法を論じまする中におきましても、対決、対立という理念ではなく、あくまでも協調あるいは調和ということの一つの線を貫きながら、ことに構造的な変化に対応した調整をこの機会にしなければならぬと私は存ずるのでありまして、独禁法の企業に対しまする健全な競争理論というものと同時に、また、それを踏まえた中小対大企業との間の分野の調整と、これを両々相まって考えておる次第でございます。
○西銘委員 最後に通産大臣にお聞きして私の質問を終わりたいと思うのでございますが、この独禁法改正の中で一番問題になっておりますのは企業分割であります。企業の譲渡であります。ただ、これは構造政策としてわが国構造政策の基本にかかわることでございまするので、これはむしろ政府が指導して、政府が中心となってやっていかなければならない問題であります。 その点、公取の独占禁止法の運用いかんによっては構造政策全般に大きな影響を与えかねないというように私は評価しているのでございますが、この構造政策に対する基本的な考え方をお聞きいたしまして、私の質問を終わります。
○田中国務大臣 御質問の構造政策でございまするが、今日の日本が非常に厳しい国際競争のもとに日本経済を維持し、同時に、また、国民経済の中におきましても、物価を正常化し安定いたしてまいりまする中におきましても、同時に大企業という一つの企業形態の存在意義というものは確かにあるわけでございます。 公取委員会におかれましても政府とは独立の機関ではございますけれども、日本経済を守り、日本経済の維持、躍進のためには国家として共通の目的を持っておりますことは信じて疑わないのでありまして、大なるがゆえに悪いという意味のものではない、弊害があればこそこれを矯正するものであるという根本の思想においては全く一致いたしておると存ずる次第でありまして、政府の御提案申し上げました本法案につきまして一日も速やかに御協賛を賜わりますように改めてお願いを申し上げます。
○西銘委員 終わります。
○山崎(拓)委員長代理 萩原幸雄君。
○萩原委員 総務長官に御質問申し上げます。 国会法の六十九条に政府委員が規定されております。ちょっと読んでみますと、「内閣は、國会において國務大臣を補佐するため、両議院の議長の承認を得て政府委員を任命することができる。」となっております。公取の委員長は政府委員でございますが、この規定からまいりますとどの大臣を補佐されるのでございますか。権限行使に当たっては独立性を持っておられるわけでございますが、その点をお伺いいたします。
○藤田国務大臣 総理府の長たる内閣総理大臣を補佐する、かように考えております。
○萩原委員 そうなりますと、所轄下にはあるのですが、それから組織と予算等の経費面での指揮監督権はございますが、権限行使についての指揮監督権は総理大臣は持っておられません。指揮監督権のない方を補佐するというのはどうも妙なんでございますが、そういうふうにお考えになられませんでしょうか。
○藤田国務大臣 ただいま萩原先生がおっしゃいましたように、確かに独占禁止法の二十八条に「独立してその職権を行う。」と規定されておりますが、これはあくまでも職権行使の場合の独立性を規定したものでありまして、その組織としては内閣から完全に独立をしておるという意味ではございませんので、その点では政府委員として内閣総理大臣を補佐するということには無理がないと私は思います。
○萩原委員 次に移りますが、公取委員長に御質問申し上げるのですが、公取の委員会は、独占禁止法の二十八条で、「委員長及び委員は、独立してその職権を行う。」と書いてあります。そういたしますと、五人いらっしゃるわけでございますから、委員長がここで答弁なさったことが委員会では多数にならないということが理論的にはあり得ますが、そういう立場で答弁をお聞きしてよろしゅうございますか。
○澤田政府委員 御指摘のように、公正取引委員会は合議制で事を決しております。したがいまして、国会で私が答弁をいたすような場合も合議制である公正取引委員会を代表しておるという、その意識で答弁を申し上げておる次第でございまして、いろいろ理論にわたる部分等で私見を申し上げることはございますけれども、職権行使にかかわる問題等は当然合議制であるという、その意識の上に立って答弁申し上げるわけで、したがって、そこに、その答弁が合議機関の同意を得られないというようなことにならないように事を取り運ぶべきものと考えておる次第でございます。
○萩原委員 独占禁止法の改正問題は、ちょうど二年前の五月八日であったと思いますが、国会に提案されたわけでございます。当時の改正案のつくられました背景は、狂乱物価であり、石油ショックであり、企業に対する国民の大きな不信というものを背景にいたしておりました。しかし、そうではないんだ、経済の全体の高い視野から考えたんだという三木総理の御答弁がございましたけれども、実際はそういう背景があったことは否定できぬと私は思います。しかし、この背景がこの二年の間にすっかり変わっておるわけでございます。減速経済になりまして、価格も狂乱というほどの上昇はないわけでごいざますし、企業不信も当時とは比べものにならないと思います。 ところが、今度提出されました案は、当時の二年前の案をベースに置いてつくられております。総務長官は提案理由を説明されましたとき、「今後のわが国経済の一層の発展を図るためには、情勢の変化に適応し、国民の理解の得られるルールを確立して、公正かつ自由な競争を促進し、自由経済に新しい活力を与えることが必要となったのであります。」とおっしゃっておられますが、この情勢の変化というのはどういうふうに認識をなさっておられるのか、伺いたいと思います。
○藤田国務大臣 萩原先生はすでに十分御承知のことでございますが、独禁法は昭和二十八年から改正をされておりません。その昭和二十八年から昭和五十二年に至るまでの約二十四年の間に、日本を取り巻く世界の経済情勢及び日本の国内の経済情勢も大いに変わってきておることはもう御承知のことだと思います。特に、昭和四十年代の後半に至りまして、日本の高度経済成長というものがいわば上り詰めてきたという状態に来たときにドルショックがあり、原油のショックがあり、資源有限という時代に突入していったわけでございます。 いまおしっゃいましたように、確かにその後に物価狂乱というふうなことが起こったわけでございますけれども、私は、独占禁止法というふうな経済ルールを確立するということは、一時的な好景気、不景気あるいは一時的な政治情勢に関連なく、やはり、日本の経済の過去から現在までのあり方を反省し、そして将来にわたっての洞察のもとにこのルールを確立すべきであろうと思うのです。 そういたしますと、安定、減速の経済成長下におきまして寡占化が進むのか進まないのかということがございますが、やはり、これは一部業界では進んでいくということも考えられます。また、間違いなくそういうことにもなっていこうと思います。こういうときに国民から理解せられるような経済のルールが必要であり、そして、また、貿易立国と言われます日本でございますが、今後の経済の発展のためにも活発な自由な競争が行われるということが必要であろうと思います。そういう意味合いにおいて今回提案をしたわけでございますので、安定、減速の経済成長下においても活発、自由、公正な競争が行われ、そういう経済ルールが敷かれることが自由経済をより長もちさせるし、活発化させるものである、かように考えて提案をした次第でございます。
○萩原委員 今度の改正はほとんど全部が寡占対策と言っていい内容であろうと思います。 さて、独占的状態に対する措置と同調値上げに対する報告の徴取が入ってきたわけでございますが、これは一条の目的のどこに該当するのでございますか。
○大橋政府委員 一条の目的の書き方はいろいろでございますけれども、その前段の方のどこにということだと思いますが、前段といたしましては、「事業支配力の過度の集中を防止して、」ということの中に、独占的状態が起こった場合の弊害を防止するような手段あるいは寡占産業におきます同調的な価格引き上げについて、やはり国民の理解を得るような価格形成を期待するというものも含まれている、こういうふうに理解をしております。
○萩原委員 「事業支配力の過度の集中を防止して、」というのは、この法律ができましたときに持ち株会社の規制であるという説明がなされておるようでございます。したがって、今度の場合、いまの両改正ともこれで読むのはいささか無理があるのではないかという気がいたします。一つは事業の集中の分散であり、一つは報告をとるということでございますので、ここではやはり該当しないのじゃないかという気がするのですが、これはぼくの誤りでございますか。
○大橋政府委員 独占禁止法ができましたときには、不当な事業格差の排除というような企業分割の規定も入っていたわけでございまして、それも含めまして事業支配力の過度の集中を防止するということが入っていたわけだと思います。 それから、設定当初の目的の具体的な内容はともかくといたしまして、そのときの内容と現在の段階におきます具体的な規定がどういうふうになるかということは、一条の文言は同じでございましても、やはり、経済情勢の変化に応じまして次第に変化していくもの、変化していってしかるべきものと考えておるわけでございます。
○萩原委員 さて、この寡占対策でございますが、これには過去からのいきさつ、現在の国際経済下における問題等がいろいろ重なって寡占企業と言われるものが出てきておって、ある意味では自然の流れで出てきておると思うのです。したがって、これに対する対策を独占禁止のめがねでやっていくということになりますと、いま申し上げました寡占産業の過去の歴史、現在の実態等を十分分析し、しかも国民経済上みんなのコンセンサスがあるということでなければならないと思うのでございます。つまり、寡占即悪であるという考え方を持ってはいけないのじゃないかと思いますが、いま申し上げたような分析を十分になさり、そしてお出しになったのか。 それから、実際問題として、企業側が非常に不安感を持っております。被害妄想だという議論が先日ございましたが、本当に不安感を持っておることには間違いございません。私が接触した範囲では皆そうでございます。そうすると、いま申し上げる国民のコンセンサスが得られたのかどうかという点にも重大な疑問があるのでございます。 この二点についてはいかがお考えでございましょうか。
○藤田国務大臣 寡占そのものについて、頭からの悪いという断定的な考え方は持っておりません。 おっしゃいましたように、公正な競争と努力によってそういう状況になってきて、国民に対して安いよい品物を供給している企業が特定の分野において五〇%以上になったといたしましても、それを非難する理由は見当たらないわけでございます。ただ、寡占であるがゆえに悪いことをする力もあるわけでございますから、独占状態ということは、禁止法に書いてありますような弊害を全部含んできた場合には、これは国民経済上不利益を招くということでありまして、その構造規制、一部営業譲渡ということを考えるわけでございますから、寡占そのものを悪いとか、大きいものが悪いのだという考え方はございません。 それから、もう一つ、国民のコンセンサスを得ているかどうかということでございますが、確かに一部の寡占産業においては不安を持たれているかと思いますけれども、これはこの法案の精神をよく御理解願えれば、そういうふうな不安は過度のものであるというふうに思います。 また、一般の国民の方々には独占禁止法というものはなかなかわかりづらい法律ではあろうかと思いますが、これは決して歓迎されないものではない、自由競争を活発にして、そして国民、公共に利するものである、そういう法律だからこれは国民に歓迎される法律である、このように私は考えております。
○萩原委員 寡占産業が少数のみで独占的利潤を長期的に追求し、あるいは技術開発をサボるということであれば、これはまさに対策が要るわけでございます。 しかし、一面、寡占なるがゆえにメリットもございます。スケールメリットもありますし、それから研究開発に十分経費は回せる。こういう寡占産業のメリットというものをやはり十分腹に入れられて運用されなければいかぬのじゃないかと私は思っておりますが、その場合に、国民によくわかる競争ルールの確立や、そのほかに競争条件の適正化や環境条件の適正化というものが産業政策として相伴っておらなければならぬと思うのでございますが、この後の方につきまして通産大臣はどのようにお考えでございますか。 〔山崎(拓)委員長代理退席、中島(源)委員長代理着席〕
○田中国務大臣 ただいま御指摘のような御意見につきまして、私どももいろいろと検討をいたしました。ことに、寡占関係が物価に与えまする関係を調査いたしましても、必ずしも寡占なるがゆえに物価が上がるということもございません。また、国際競争力の点におきまするわが国経済を守るという点から申しましても、これまた国家経済の上において非常に重要な存在でございます。 かようなこともございまして、政府部内におきましては、先生も御承知のようにいろいろと検討をし、主張すべきことを主張し、また、論議を尽くしまして、御案内のとおりの最終的な政府案として決定いたした次第でございまして、本案は、今日の時局におきまして、あるいは大企業に対する一つの歯どめともなり、あるいはまた日本経済の堅実な中小企業の育成ともなり、健全な競争力の培養のためにこそ最も必要であるという、かような見解のもとに私どもは御提案を申し上げておるような次第でございます。よろしくお願いをいたします。
○萩原委員 総務長官から先ほど国民に理解できる競争ルールというお言葉がございましたが、ところで、この構造規制の場合の基準でございますが、どう考えてもこの法律のままで国民の理解が得られるかどうか、とにかくわからないわけですね。どういうふうな運用をされるのかわからない。企業は、こういう取り締まりを受けるとか、あるいは営業譲渡等の大変な問題が起こるということがないようにするにはどうしたらいいのか当面わからぬわけです。それは「著しい」という言葉が使われておったりいたしておりまして、非常に不明確でございます。 それから、また、先ほど私が公取委員長に合議制に関する質問をいたしましたが、委員長なり委員なりがおかわりになるとこの「著しい」などという表現の運用が変わってくる可能性もございます。 そういう意味で、ここに挙げられましたルールが明確であるとお思いでございますか。
○澤田政府委員 御質問の点は、まず第一に「独占的状態」とは何かということについての判断の問題であろうかと存じますが、御存じのように、一定の事業分野において競争が抑圧されている状態とは一体何かということでありますが、法律には御承知のように出荷額あるいは市場占拠率とか、新規参入がないとか、あるいは価格の下方硬直性とか、過大な利益率あるいは販売費というようなことが掲げられておるわけでありまして、こうした各要件について判断をして一定の事業分野における競争の抑圧された状態というのを指摘いたすことになるわけでありますが、まず、その場合、「一定の事業分野」とは何だということがまず問題になります。 それで、この委員会で前に御要求がありましたので、公取委員会でつくりました事務局試案を明らかにいたしたのでありますが、これはあくまで事務局の試案でございまして、二年以上前の資料に基づいてつくったものでございますが、法案が通過いたしますれば各方面の御意見もいろいろ聞いて、この「一定の事業分野」とは何かということをまず明らかにして一つの基準といたしたいと考えておるわけであります。 それから、もう一つは、先ほど挙げました後の方の要件、いわゆる弊害要件的なものにつきましては、それぞれの具体的な問題について判断せざるを得ない問題ではなかろうかと思います。しかし、これについても判断の仕方というようなものを今後慎重に検討してまいりたいと思います。 そういうことで、一体どういう場合にどういうことがされるのかということについてできるだけ基準を明らかにして、無用の不安がないように、あるいは混乱が起こらないようにしてまいりたいと同時に、この運用に当たりましてはざっくばらんな御相談というようなことも必要であろうかと思います。 そういうことにつきまして、重大な問題でございますから、法の運用につきましては十分留意してまいりたいと考えておる次第でございます。
○萩原委員 事業分野と関連いたしまして、「同種の商品」についての資料が提出されておるわけでございますが、これを見ますと、一応該当するのじゃないかというのが四ページに九業種ございます。それから五ページから大規模なそれに近いというような「事業分野」が書いてございます。ところが、この大規模な事業分野の方は「一定の商品」が詳細に挙がっておるわけでございますが、四ページ、九業種はそうではないわけでございますが、なぜこれは表が統一できなかったのでございますか。
○水口政府委員 お答えいたします。 まず、別表第二の方でございますが、これは法律の規定に即しまして、まず「同種の商品」というのを持ってまいりました。それから法律に括孤書きで「当該同種の商品に係る通常の事業活動の施設又は態様に重要な変更を加えることなく供給することができる商品を含む。」と書いてございます。それで、そこに掲げてある商品とは何かということをここに示したわけでございます。それで、その二つ、「同種の商品」といまの括孤書きの商品、これを合わせたものが法律では「一定の商品」ということになるわけでございます。 それで、さらに、五百億円とか、そういった金額を計算する場合には、そのほかに類似の商品も加えて計算をするということになっておりますので、別表二の方では「類似の商品」を一番右の欄に掲げたわけでございます。 そこで、別表第一の方でございますが、これが別表第二に比べて少し簡単ではないかということだと思いますが、この別表一の方には、ただいま申しましたような類似の商品がわれわれ事務局の試案ではないというふうに考えておりますので、したがって表が簡単になったということでございます。
○萩原委員 そうすると、どこかにこの「一定の商品」というのはあるわけですか。入っているわけですか。
○水口政府委員 たとえばこの別表一の五をごらんいただきますと、「事業分野」では「板ガラス製造業」というふうになっております。それで「品目名」の方は「普通板ガラス」を初め五つばかりのガラスが書いてございますが、これが互いにこの括孤に書いてありますような商品に該当する。したがって、この五つのガラスを合わせまして「一定の事業分野」ということになるというのがわれ一われ事務局の考え方でございます。
○萩原委員 つまり、ブリキならブリキだけだということなんでございますね。 そういたしますと、個々に疑問を申し上げますと、バターとマーガリンは一緒になっておりますが、時計はなぜこういうふうに「腕時計」と「その他の時計」と分けなければいかぬのですか。この「一定の商品」の中の「その他の時計」には腕時計は入っているのでございますか。
○水口政府委員 時計につきましては、われわれ事務局の試案では、まず「腕時計」というのが別表一に掲げてございます。したがって、これが一つの事業分野です。それから別表二の方では、一番最後の十九のところでございますが、「置時計類製造業」ということで、「置時計」のほか「掛時計」であるとか「電気時計」であるとか、こういったものを含めまして一つの事業分野にいたしております。 それで、これにつきましてはいろいろ考え方があろうと思いますが、われわれ事務局といたしましては、「腕時計」というのはウォッチでありまして、「その他の時計」がクロックということでございます。ウォッチとクロックとは、まず用い方も異なっております。身につけるものとそうでないものというふうに分かれると思いますし、また、精度も異なると思います。したがって、そういったウォッチとクロックをつくる場合には、それぞれ事業活動の施設であるとか態様であるとかいったものに大きな差異があるように思いますので、一つにしてしまうことはいかがであろうかというふうに考えたわけでございます。したがって二つの系統に分類をしたということでございます。
○萩原委員 細かいことを聞きまして申しわけないのですが、六ページに「トラクター」がございますが、農業用と建設用とを一緒になさっておられます。これはメーカーも違うし、販売先も全然違うし、これはどういうわけで「一定の商品」になるのでございますか。メーカーは現在違っておるはずでございます。
○水口政府委員 結局は法律の読み方になるわけでございますが、先ほど来御説明いたしましたように、「同種の商品」のほかに、「当該同種の商品に係る通常の事業活動の施設又は態様に重要な変更を加えることなく供給することができる商品」というのは、これは農業用装輪式のトラクターを基準にいたしますと、その括孤の中の商品に該当するものが何があるだろうかということをいろいろ検討したわけでございますが、現在の試案の段階では装軌式のトラクターはこれに含まれるのじゃないかというのがわれわれの考え方でございます。 なお、こういった点につきましては先ほど委員長からも申し上げましたが、これはあくまで事務局の試案でございまして、この法律が通りました暁には正式のガイドライン的なものをつくるということで、その際には関係者の御意見等もよく聞いてもう一度正確なものにしたいというふうに考えております。
○萩原委員 私の率直な感想を申し上げますと、専門家ではございませんのであるいは間違いがあるかもしれませんが、別表一は非常に事業分野を狭く考えておられる、別表二は逆に広いように広いように考えておられる、そういう感じがしてしようがないのです。 トラクターも、いま申し上げましたように現在ではメーカーが違っておるはずでございまして、そうすると潜在能力を考えたということになるわけでございます。また、チーズはマーガリンまで入ってまいりますが、これもバター、チーズ類とマーガリンとは機能及び効用が著しく類似しておると言えるのだろうか。片や、紅茶とコーヒーは味が違うから類似しておると言えない。こういう例示がございますが、そうしますと、いまの農業用のトラクターと建設用のトラクターなどはこれを分けて、むしろ農業用のトラクターには耕うん機みたいなのが類似しておりますし、それから建設用のトラクターですとパワーショベルなんかがあるわけでございます。そういうふうに考えていかれる方が正しいのじゃないかと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
○水口政府委員 ただいまバターとマーガリンの話が出ましたが、私もこういう商品学の方は素人でございますけれども、バターとマーガリンというのは、われわれ素人が使用しても非常に味も似ておる。ところが、コーヒーと紅茶は必ずしもそうではないというふうなこともありまして現在こういたしておるわけでございます。 しかし、さっきも申しましたように、同種の商品とか類似の商品とか申しましても、かなり言葉が抽象的でございますし、いろいろな見方が出てこようかと思います。そこで、われわれも最後までこれが公正取引委員会の案だということを固執するつもりはございません。 繰り返しになりますが、法律が通りました暁には関係者の御意見もよく聞いて、これをたたき台にして正確なものをつくりたい、こういうことを考えておるということを申し上げておきたいと思います。
○萩原委員 「独占的状態」についてでございますが、いまも抽象的だという御答弁でございましたが、この要件は、新規参入の困難性、価格の硬直性、それからもうけ過ぎ、価格の引き下げをやらない、こういうふうなことが出ておるわけでございますが、およそ価格というものは需要、供給で決まるはずでございます。供給者側の要件だけ見ておられまして、需要者側については要件に一切触れられておらぬわけでございます。極端な例を申し上げれば、鉄の場合、自動車と造船が話し合いがつかなければ実際問題として値上げはできぬわけでございます。そういうふうに需要者が価格形成に非常に力を持っておる場合もあります。 それから、新規参入の場合におきましても、輸入の可能性があれば実質的には参入があったと考えてもいいのではないかという気がいたしますが、この点は触れられておりません。また、新規参入の場合の製造販売に、免許制になっているものがございます。ビール、ウィスキーでございますし、また、ビールも輸入品目は各社ごとに決まっておるようでございます。そういう場合に、この新規参入の困難性というのはどう判断なさるのでございましょうか、委員長にお伺いいたします。
○澤田政府委員 具体的な問題につきましては、御指摘のように、輸入の問題とかいろいろその他の要件がある場合があると思います。また、需要者についての御指摘もございます。それで、独占的状態の定義に該当すれば、通常はそういう場合には有効な競争が行われていない場合が多いと考えられますけれども、御指摘のようないろいろな場合があると思います。 それで、形式的に定義規定に該当しておりましても、実際上は真に有効な競争が行われておるというふうに認められます場合にはその実情は当然考慮されなければならぬというふうに考えますし、それからほかの御指摘のような要件がありました場合にはそれがまた考慮されなければならぬというふうに考えますけれども、その場合の基準はどうかというようなことはいまなかなか申し上げにくいと存ずるわけでございます。
○萩原委員 三号の要件でございますが、価格、利潤について規定しておるところですが、「供給に要する費用」というのは何でごらんになるのでございますか。
○水口政府委員 お答えいたします。 これは有価証券報告書その他いろいろな経済統計に関する資料がございますが、そういったものを利用いたしたいというふうに考えております。
○萩原委員 公取の澤田委員長は、先般、当面該当する企業はないというお話でございましたが、そうしますと、緊急の必要性はないということになるのではございませんでしょうか。
○澤田政府委員 この法律改正の必要性につきましては、先ほど総務長官からも申し上げた点でございますが、長期的観点に立ってこういう条項が必要であるという考え方でございます。したがいまして、御指摘のように、先ほども申し上げましたような九業種というようなものが言われておりますけれども、それがあらゆる条件を満たして直ちに独占的状態に該当しているということではございません。 しかしながら、寡占状態というのが弊害を起こしやすいという観点から、長期的な観点に立ちましてこういう規定が必要であるというふうに理解をいたしておるわけでございます。
○萩原委員 また、委員長は、公表されておる資料を中心に考えていくのだということを言われましたが、ところが、ブリキですが、これは公表した資料で費用が出てまいりますか。
○水口政府委員 お答えいたします。 ブリキにつきましては、ブリキを主として製造しておる会社もあるようでございますが、たとえば新日鉄のような場合にはその一部門にすぎないということでございまして、実際の計算上はいろいろむずかしい面もあろうかと思いますが、場合によっては、そのいろいろな特殊事情を織り込みながら案分計算等の方法も採用するといったようなことをせざるを得ないのではないかというふうに考えております。
○萩原委員 そういたしますと、はっきりと費用がつかめないものは仮定の原則を使って仮定の費用をはじき出すということでございますか。
○水口政府委員 最近は大きな会社でも、それぞれ事業部門別に分けましてその成績等を見ておるような傾向があるようでございますが、場合によっては、そのどの部門に属するか必ずしもはっきりしないという面も残ると思います。したがって、さっき申しましたように、そういうふうな場合には案分計算といったようなこともせざるを得ない場合があるのではないかと思いますが、われわれの方といたしましては、こういった規定を運用するに当たりましてはなるべく慎重にと申しますか、間違いのないようにいたしたいと思いますので、そういったややあいまいさの残る場合にはより慎重にやりたいというふうに考えております。
○萩原委員 品目によりますと、二社だけでしか生産していないとか、三社だけしか生産していないというふうなものがちょいちょいあるはずでございますが、そういう場合にはやはり営業の一部譲渡——二社しかない場合は分割ということも考えられますが、そのような場合にはどう対処されるのでございますか。
○水口政府委員 二社だけと申しますと、ちょっといま具体的なものが思いつきませんが、二社でございましても営業の一部譲渡は、それは必ずしもそのもう一社の方に譲渡をするということにはならないと思いますので、具体的な方法はあり得ようかというふうに考えております。
○萩原委員 ところで、この営業譲渡命令が出まして、それに従った場合、かなりの含み利益が顕現化してまいりまして、法人税との関係が課税になるという場合が予想されますが、税法との整合性はいかになっておるのでございますか、総理府にお伺いいたします。
○大橋政府委員 仮に営業の一部譲渡というものが選択されました場合に、税法との関係は御指摘のようにございます。営業の一部譲渡が資産の譲渡という形で行われます場合には、税法上は、それに伴って生じます資産の譲渡益がございますと、現在の独占禁止法の七条の規定あるいは十七条の規定と同様法人税が課されることになります。 また、営業の一部譲渡命令を受けた会社が営業の一部を現物出資という形で新会社を設立して、そしてその株式を取得する場合等におきましては、現在の税法におきましても、圧縮記帳により譲渡益は生じないというような規定はございます。しかし、競争関係にあります新会社の株式をそのまま所有している場合には競争が回復したということは言いがたいわけでございますから、その株式を処分しなければなりませんが、その株式を処分した時点ではやはり譲渡益、したがって課税関係が生ずるということに現在の規定ではなっております。 これらの場合の取り扱いにつきましては、今後大蔵省とも協議して検討することといたしたいというふうに存じておる次第でございます。
○萩原委員 役務、サービスも対象になっておりますが、この場合の営業譲渡は当然人の分割になるわけでございます。そうするとなかなか容易なことではないと思いますが、どのようにお考えでございますか。
○大橋政府委員 これは工場の場合でも、工場の従業員というような関係、人の関係というのは確かに非常にむずかしい問題があると思います。したがいまして、役務を提供している会社の営業の一部譲渡というような場合には、その役務の性質から適切な人員の配置というものを審判手続の中で考慮していかなければならないという規定になっているわけでございまして、そういうための努力が行われるものというふうに考えております。
○萩原委員 「価格の同調的引上げ」の報告の徴収についてでございますが、経済の自然の流れとして、特に素材産業の場合価格が同調的にならざるを得ない、そういう経済環境になっておるんじゃないかと思うのでございます。これも先ほど西銘委員も質問しておられましたが、株主総会との関係もございますが、特にコストを考えます場合、原材料、賃金、金利が大体同水準で変動いたします。そういう場合にすぐ同調引き上げで、価格介入とまでは言わぬにしても、とにかく価格の分析をなさり、それを国会に報告をされるということになっておるわけでございまして、経済の自然の流れを拒絶するということがいいことかどうかと思うのでございます。 それから、先ほども申し上げましたが、鋼材とか板ガラスとかというのは元来が需要者が非常に強うございまして、需要者と価格交渉が行われるという実態にございます。そうなりますとまさしく同調的にならざるを得ぬわけでございます。そういうことでございますので、この同調的引き上げの報告の徴収は本当にどういう理由でなさるのか、基本的に問題があると思うのでございますが、その点をお教えを願いたいと思います。
○藤田国務大臣 同調的値上げに関しましては、価格の形成がその報告をすることによって一般国民の方々によく理解し納得をしていただけるという一つの利点がございます。 ただいま萩原先生がおっしゃいました素材メーカーの件につきましては、そういうふうな原材料その他輸送コストとか、春闘による賃金の値上げだとか、いろいろ同一条件があることもよくわかりますが、しかし、それによりましても一物一価とはこれはもう限らないと思います。ですが、客観的に明白にその値上げの理由が明らかな場合には、これは何も報告を徴収するということをするわけではないと思います。一概に全部何もかも同調的値上げとして報告を徴収する、三カ月以内に近似の価格に上げた場合には同調的値上げとして報告を求めるということではないと思います。 それから、ユーザーの点でございますが、これはおっしゃるとおりでございまして、自動車等のユーザーが非常に強い場合もございますから、これなんかによって価格が決まっていくということもあり得るわけでございますから、そういうことについて一々報告を求めるということではないと思います。
○萩原委員 いずれにいたしましても、その価格の値上げの理由の報告を求めて、これが公表されるということになりますと、運用いかんによりますと輸入、輸出に甚大な影響を与え、それから結果として国益に反するということが起こり得ると思うのでございます。したがって、この改正案が施行されるとなりますとそういう点は公取の方では十分に慎重に扱っていただきたいと思うのでございますが、いかがでございましまうか。
○澤田政府委員 この趣旨に、つきましてはただいまの総務長官のお答えのとおりでございますが、その運用につきましての御懸念もまたごもっともな点でございます。私どもは慎重な運営をいたしたいと考えておる次第でございます。
○萩原委員 何にいたしましても、私は二年前本会議で質問をいたしましたときにいろいろな人から厳し過ぎるといって怒られたのですが、そのとき、良薬も用い方次第で毒薬になりますよという趣旨の表現をしたことがあるのですが、この独占禁止法の運用はどうか冷静に慎重にやっていただきたいと思います。 これで質問を終わります。
○中島(源)委員長代理 辻英雄君。
○辻委員 ただいま審議中の独占禁止法につきまして若干の御質問をいたしたいと思いますが、ただいま同僚の萩原委員からもいろいろお話がございましたし、また、それ以前にもいろいろ御質問がございまして重複する点があるかと思いますが、その点は御容赦をいただきたいと思います。 初めにお尋ねいたしたいと思いますのは、この独禁法の改正が取り上げられました趣旨につきましては総務長官からお話しのございました提案理由説明にも一応書いてございますけれども、そういう理論上のたてまえじゃなくて、なぜ昨年、本年と独禁法の改正ということが世論から強く要望されるに至ったかということ、その点についてどのようにお考えでありますか、総務長官にお尋ねをいたしたいと思います。
○藤田国務大臣 ただいまのお尋ねはなぜ世論から要望が強くあったかということでございますが、私はその世論なるものについて若干の疑義を持っておりまして、何か、独禁法が成立すれば物価に直接響いて安くなるというふうな一つの世論があるのではないかと思うのですが、独禁法というものはあくまでも公正な経済ルールをつくり、自由経済の促進を図るということでございまして、物価の抑制策ではないのであります。長年の間には物価に影響することは確かでありますけれども、しかし、改正強化されたものが成立したからといってすぐ物価に影響を与えるものではない。そういうふうな世論は、一部ではございますが間違った誤解があろうかと思います。 なぜ独禁法をこの際提出するのかという御質問もその中に含まっておろうかと思いますけれども、先ほど来申し上げましたように、昭和二十八年からこの方、独禁法の改正はなされておりません。この二十四年の間に世界の経済体制も大きく動いておりますし、もちろん日本の経済の体質も変わってきております。このような経済ルールの確立というものにつきましては、時の景気不景気というふうなものに煩わされず、また、時の政治的な影響も受けないで、日本の新しい情勢に対応した経済ルールがつくられるべきであると私は思うのであります。 たまたま昭和四十八年の暮れの石油ショック以来資源有限という時代に突入をいたしまして、高度経済成長から低速、減速経済成長に移らざるを得ないという、こういう大きな変換が好むと好まざるとに限らず日本の経済に及んできたわけでございますので、それに見合った中において新しい経済ルールがここに敷かれることは大きな意義があり、それによって自由主義経済が守られ、促進していくというふうに理解をするものでございます。
○辻委員 ただいまの総務長官の御答弁は基本的には私も了承いたすわけでございますが、一つには、石油ショックの当時におきましての大企業のいろいろな行動というものが非常に国民一般の非難を招いた事実があることは否定できないわけであります。 例を申し上げるまでもないと思いますが、OPEC諸国の原油の値上がりを受けまして、当時どれだけ業者の相互の中に同調的な意思があったかどうかは別としまして、国民から見ますと、灯油その他の不当な値上げが一斉に行われたという事実があったと思います。これに対しましては、むしろ必ずしも独禁法の問題じゃなくて、当時のオイルショック等に対処しますために石油需給適正化法とか、あるいは一般的に言って国民生活安定緊急措置法というふうなことで適正な措置がとられたと思いますけれども、その背景には、個々の現象だけではなくて商社の行動等もありましたけれども、ある程度独占的な支配力を持つような企業が勝手な価格コントロールをやったのではないかというようなことが底流にありまして、国民の経済体制に対する若干の不信感というものがあったことは否定できないのじゃなかろうかと私は思うわけでございます。 その以前の段階の高度成長時点におきましても、当時いわゆる所得政策等が問題になりまして、物価政策の面から、あるいは賃金政策の面から非常な問題が出たわけであります。その当時、大企業の労働生産性が設備投資その他企業の努力によって非常に上がった割りには大企業性製品の価格の下がり方が小さい、あるいは上がり方が大きいと申しますか、そういうふうなことが非常な論議の的になりまして、政府の方でも、当時は大企業性製品の生産性向上の成果は一部は価格引き下げに回さるべきであるということを非常に強調された段階があったと思います。当時の若干の資料もありますが、細かい議論は別にいたしまして、そのような過去の現象に対しまして、これは通産省の方の御所管かと思いますが、どのようにお考えになりますか、お答えいただきたいと思います。
○濃野政府委員 私もここに労働生産性及び価格に関する過去の細かいデータを持っておりませんので、数字についての御説明ができないのはまことに恐縮でございますが、いま御指摘の点でございますが、確かに、いわゆる高度成長期は労働生産性の上昇が大変率の高いものでございました。しかし、これは一方から申しますといわゆる分配問題でございますけれども、労賃の上昇も非常なものでございますし、それから日本の企業が大変にいわゆる間接——つまり、銀行から金を借りて、これで設備をふやし動かすという、こういう生産体制といいますか、企業運営方式をとっておりますので、こういう分配の一部はそちらにもいくとか、いろいろ問題はございます。 その結果といたしまして価格がどうであったかということでございますけれども、卸売物価で見ますと、この高度成長期を通じまして、いわゆる工業製品の価格は諸外国との比較におきましても大変安定した、しかも上昇率の非常に低いものではなかったかというふうに私は考えております。ただ、おっしゃいますとおり、高度成長期の中におきましても、消費者物価の面で、工業製品等につきまして、主として流通問題等を中心とした問題だったかもしれませんが、そういう生産性の上昇を価格に転嫁すべきだという声もあったことも私は記憶をしております。 以上のようにお答え申し上げたいと思います。
○辻委員 基本的には、お話のように、高度成長段階で、三十八、九年から四十年代の初めまでは、消費者物価の上昇が大きかったけれども卸売物価がほとんど上がらなかったということは、私もそのような事実であったと記憶いたしておりますが、ただ、大企業性製品の生産性の数値なり、お話のような海外価格との均衡という問題もあります。あるいは金融費用という問題もあります。あるいは労賃という問題もあります。ただ、労働集約的産業でない資本集約的な生産性の高い分野でもう少し価格が下がるはずであったので、下がらなかったのはいま申し上げたような事情もあるけれども、そこに何がしか大企業相互の間に価格支配的な行為があったのではないかというような憶測が当時もなされたこともあったかと思います。 私が申し上げたいのは、基本的な独禁法の改正の趣旨というのは、ただいま総務長官からもお話がありました経済活動における基本的なルールを確立することが必要であることはそのとおりだと思いますし、かつてそういう疑いを受けたようなことがいろいろな法律によって措置されましたけれども、何といっても市場支配力のある企業の姿勢というものが、この法律の改正によって今後そういう疑惑を受けるようなことはもうないんだと——ないというのは言い過ぎでございますが、ないような体制に持っていけるんだというふうに、この法律改正で十分であるかどうかということのお考えを伺いたいと思うわけでございます。
○藤田国務大臣 物価狂乱のときの、あの異常事態の中におきますところの大企業において、一部買い占めとか売り惜しみとかいう事態があったことは事実であろうと思います。この際、この独占禁止法がその売り惜しみ、買い占めと直接に関連する法律ではないわけでございますから、これはあくまでも先ほど来申し上げましたような経済ルールでございます。しかし、この経済ルールを確立することによって大企業の行儀を正しくしていくということはございますので、間接的な効果はこれあるものと思います。
○辻委員 ただいま過去の細かい事実を論議する余裕もないと思いますが、基本的には私も総務長官のお話に同意するものでございますけれども、大企業のそういう姿勢が正されない姿がもしあるとすれば、いまお話しの石油ショックなりあるいは過剰流動性の高度成長の中でそういうことが起こり得ると同じように、低成長における非常な厳しい経済情勢の中で同じようなことがまた起こり得るから今回の改正をするんだというふうな御趣旨であるというふうに了解をいたす次第でございます。 そこで、一つ具体的な問題についてお尋ねをいたしたいのですが、これにつきましては先ほど萩原議員からもお話がございましたが、今回の八条の四のいわゆる「独占的状態」というものについて若干御質問をしたいと思います。 先ほど来萩原議員も指摘されておりましたように、設備投資であるとか、技術革新であるとか、そういう新しい企業の努力によりまして特定の企業が大きなシェアを占めるということが起こるわけでもありますから、市場占拠率が高まることが悪であるとは私どもも言えないし、あるいは反面において妙な抑制をすることがかえって企業の意欲を減退せしめるということは事実であろうと思いますから非常にデリケートな問題であろうと思います。 そこで、その場合に、その企業の意図にかかわらず八条に規定されておりますような「独占的状態」が生ずること自体は、経済のルールとして、あるいは経済状態のあり方として好ましくないんだというのがこの法律の趣旨であろうと私は理解をいたすわけでございますが、その場合にも企業の分割ということはでき得れば避けた方がよろしいが、しかし、他の方法があるのかないのかということにつきまして——この法律の条文によりますと他に競争を生ぜしめ得るような方法があるのかないのか、ない場合には恐らく企業分割の命令が出ることがあり得ると理解するわけでございますけれども、他に競争を起こさせる条件とはどういうことがあるんだということをお尋ねいたしたいということが第一点でございます。 関連いたしまして、その市場への新規参入が非常に困難だということが一つの条件になっておりますが、その段階になってしまう以前に、そういう独占的な状態が起こることが当事者の意図にかかわらず好ましくないとすれば、新規参入の可能な条件をつくることによってその状態を避け得るのじゃないかということと、そういう状態が起こった場合において他に競争を再び起こさせることができる方法ということとの関連があるような気がいたしますので、あわせまして、事務当局からで結構でございますがお答えをいただきたいと思います。
○大橋政府委員 八条の四の規定の趣旨につきましては、先生御指摘のとおりでございます。 それで、「競争を回復するに足りると認められる他の措置」があればそれに譲る、公正取引委員会の命令は最後の手段であるということでございまして、との「他の措置」にどんなものがあるかということでございますが、先生の御指摘になりましたような新規参入を可能にするような条件をつくること、たとえば特別の産業につきまして税制上の配慮をするとか、あるいは政府の融資をつけて新規参入を促進するというような措置も当然あろうかと思います。さらに、輸入の制限、制限的な関税のようなものによって競争が阻害されているというような状態の場合には関税率の引き下げというような立法措置も講ぜられると思います。 そういういろいろな手段は、これは政府の行います手段もございますし、たとえば閉鎖的な流通機構を開放していこうというようなことを事業者がみずからとることもありましょう。また、この事業者の措置については行政指導によって行われても当然差し支えないわけでございます。こういうような競争条件を整備するという手段がいろいろな方法で考えられていくということを前提にした規定になっておるわけでございます。
○辻委員 ただいまのお答えと関連いたしますが、ちょっと観点を変えますが、この独占禁止法というのは、たとえば不当な制限的行為であるとか独占的行為であるとかいろいろなことについて、従来の規制の仕方というのは、当該の事業者なりあるいは事業者団体の個々の違反行為をとらえて、これを是正させるというやり方で行われておったと思います。その意味で、これはそのときの政府の経済政策とか産業政策以前の問題としてのルールだというふうに思うわけでございます。政府各省が直接所管しないで独立の委員会に所掌させておるということも恐らくそういう趣旨ではなかろうかと思いますが、政府が扱わないで独立の委員会に所掌させたという法律の趣旨につきましてお答えをいただきたいと思います。事務当局で結構でございます。
○大橋政府委員 独占禁止法の規定自体の趣旨は、先ほど申し上げたとおり、その最後の手段として八条の四というものを考えておるわけでございます。しかし、全般的に自由かつ公正な競争を維持していくという職務は公正取引委員会の職務でございまして、これが競争政策を推進していくための行政官庁の行いますいろいろな行政あるいは政策というものと調整を保っていかなければならないことは事実でございますけれども、最後の手段として個別の企業についてのいろいろな手当てをしていくという場合に、これは一般の行政官庁が行うのがよいのか、公正取引委員会のような合議制の委員会が行うのがよいのかというような判断を加えました結果、個別の企業の取り扱いということになれば、やはり独立性を保った機関に行わせる方が適当ではないかというふうに考えておるわけでございます。
○辻委員 その意味で、その時点、その時点における産業政策の問題、経済政策の問題ではなくて、経済社会における基本的なルールである、したがってそのルールというのは自由裁量の幅のあるものじゃなくて、法律で禁止された独占的行為なり、あるいは法律で決らめれた客観的に判断できる独占的な状態というものをとらえてこれを処理する意味であるから、むしろ時の政治と一応独立した行政委員会でおやりになるんだというふうに私は理解をいたしておりますが、それでよろしゅうございましょうか。
○大橋政府委員 この規定が法律の厳正な適用というふうになっておりますのは、先生御指摘のとおりでございます。
○辻委員 そういう意味でありますと、実は、その以前の八条の四に戻りまして、独占的な状態を生ぜしめることを避けるためにはどうするか、また、生じた場合には——この条文によりますと、「競争を回復するに足りると認められる他の措置」が講ぜられればよろしいと言っておりますが、これはすでにそのときには独占的状態が生じておることが前提になっておると私は条文上解釈するわけでございますが、そうではなくして、その生じた段階になればどのような措置をとるかは本来は公正取引委員会の問題であるのに通産大臣に通知をする、平たくは協議をするというような伝え方をされております。 そういうことになると、ルール違反かどうかということを判別するのに時の産業政策の主管大臣が介入、関与することが果たしていいのかどうかということについては若干の疑問があるような気がいたしますが、いかがでございましょうか。
○藤田国務大臣 そういうふうな独占的状態というものは長期にわたって徐々につくられてくるわけでございます。いよいよ独占的状態、すなわち弊害を伴っておる、公正取引委員会におかれて四十条を発動して強制調査にも踏み切ろうかという、そういう時点において主務大臣に通知をなさるということでございます。 この法律の基本的な考え方は、公正取引委員会が強制調査あるいはその他の強制的な手段によって競争状態なり弊害を除去しようというのが何も基本的精神ではないのでありまして、自主的にその企業がそういう方向に進まないように、弊害を生じないようにしていただくのが基本精神でありますから、そういう意味合いにおきましてこういうふうな規定が設けられ、常にその規定を照らし合わせて各企業が自粛をされていくということを期待しておるわけでございます。
○辻委員 ただいまのお話は一般的にはごもっともだと私は思うのですが、この独占的状態につきましては、先ほど萩原委員からも御指摘がありましたけれども、当該の企業が技術革新なりあるいは経営の合理化なりいろいろな努力をした結果まず市場の占拠率が高くなること、このことは、当該企業にとりましては、自粛するとかせぬとかいう問題ではないのじゃないかという気が私はいたします。そういうことから考えますと、その他のここに書いてございます要件、つまり、新規参入が困難であるとか、あるいは次の相当の期間とか、需給の変動とか、供給費用の変動に照らして価格の上昇が著しいとか、あるいは低下が僅少であるとか、これはその企業の価格支配的な行為があったからそうである場合もありましょうし、そうでなくて市場事情でそういう状態である場合もあるのじゃないか、しかし、そうである場合に分割をさせなければならないというのは、これは別途なこちらの方の、国の方の経済のルールのあり方としてそういう状態は好ましくないから、意図にかかわらず分割を命ずることがあるんだという仕組みではないか、そうであるとすれば、そういう独占的状態にさせないためには、先ほどお話の出たようないろいろな手段によって、その新規参入を困難にしておる条件を緩和することによって独占的状態をつくらないでいい、むしろ新規参入の困難な条件を緩和することの方が産業政策として大事なんじゃなかろうか、競争を維持させるためにも結果的には大事なんじゃなかろうか、したがって、そのことについて、企業の方は努力した結果占拠率が上がることは悪ではないんだ、しかし、国の政策としては、そういう状態を生ぜしめて、企業分割というような異例な、企業の組織そのものに介入する手段を避けるためには、それ以前の政策について、先ほどの競争を回復させる手段といったこととも関連しますけれども、こういう面についての御努力を通産当局にお願いをすべきなんじゃなかろうか、こういうふうに考えるわけですがいかがでございましょうか。
○濃野政府委員 ただいまの先生の御指摘の点は私どももまことにごもっともな御指摘だと思っております。 実は、今回の独占禁止法の改正は、これは一つは大きくは寡占問題に対する取り組みの問題でございますが、私どもといたしましても、こういう事態が来る前に、日本のそれぞれの業種、それぞれの産業はどうあるべきかということをやるのがまさに産業政策の目的であろうと思いますし、たとえば新規参入問題にいたしましても、もし寡占の弊害が出るとか、あるいは将来起こり得るということになりますれば、そこで対抗企業を政府の手で育成をするとか、これはいわゆる新規参入ではないかもしれませんが、産業の再編成ということで対抗企業をつくるという問題とか、それから新しい技術がその分野で開発されれば、要するに新しい技術ができますとそこでまた非常な競争が起こり得るわけでございますから、そういう技術開発に対する助成をやる。 それから、先ほど大橋審議官の御答弁にありましたように、関税政策の運用あるいはいまの外資の導入等もフリーにはなっておりますけれども、つまり、外資政策の問題等々、産業政策の面で大いに取り組む問題があると思いまして、私どももそういう問題意識を持って対処をしていきたい、こういうふうに考えております。
○辻委員 次に、十八条の二の「価格の同調的引上げ」に関連してお尋ねをいたしたいと思います。 この点につきましてはこの委員会においてずいぶん論議は尽くされておるようでありますけれども、私も、価格というものが同一市場においてほぼ類似の金額において決められる、あるいは類似の動きをするということはこれまた当然のことであろうと思います。しかしながら、従来の価格の動きの中にはいわゆるやみカルテル的なものがあって、価格が同時的に、あるいは類似の金額で引き上げられるということがあったことも私は否めないと思う。そこでこういう規定をつくられたものだと思いますが、「三箇月以内」という一つの物差しがついて、これが一つの法律の規制の対象になるかならないかの判断として「三箇月」というものが使われておるように思います。 これは技術的にどこかで線を引くのでございますからやむを得ぬかと思いますが、この「三箇月」の根拠につきまして事務当局からお答えをいただきたいと思います。
○大橋政府委員 これを「三箇月」にいたしました理由というのは、どのくらいで切っていいのか。本当は「同調的」という以上、非常に短い期間に行われる場合もございますし、ある程度意識的に間を置きまして行われる場合もございますけれども、まあ大体四半期というものを見た場合にその程度で区切ってよかろうというような、結局そういう程度の問題の判断でございます。
○辻委員 妙な例ですが、夏場にあるビール会社がビールの値上げをしたら、ほかのビール会社は三カ月待たないで値上げをするとこれに引っかかることになる。こういう結果になるというのも常識的に見ると何かおかしい。しかし、これも一つのとらえ方でありますからこれがいけないということもないと思うのですが、その場合に、該当した場合の取り扱いが、価格引き上げの理由の報告ということに法文の上ではなっております。それで、この理由の報告というのはどの程度のことを期待しておられるのか。この規定の趣旨から言うと、恐らく、何らかの相互の意思の疎通のもとに、価格支配の意図を持ってやったかどうかということをお確かめになるために報告をおとりになるという趣旨であろうと思いますが、その際に原価が外に漏れるのではないかということを企業者の側が非常に警戒をしておられるように伺っております。これは参考人の公述の中でもそういう御意見があったと思う。 それで、これは一つの例でございますが、税務署がいろいろな企業の税金の捕捉のために御調査になりますが、だからといって企業の中の秘密を国家公務員は漏らしてはならない。これは当然のことであって、一般的に言うと、税務署の調査を受けたから企業の経理内容の細かいところが外に漏れるというふうには、国民は好んではいないけれども理解をしていない。ところが、この問題については、事が重要でもありましょうけれども、この報告によって原価が公表される結果になってしまうということを非常に警戒をした御意見が多い。 そこで、一つお尋ねしたいのは、どの程度のものをおとりになるか。これはいろいろなケースがあると思います。しかし、それが外に漏れるのではないか、外に公表されるのではないかというふうに世間からとられておりますのが私どもは理解に苦しむわけですけれども、公表されるという積極的な御意図があるのかどうかということもまたお尋ねしたい。 同時に、国会に対する報告というのがこの条項に関連してございまして、その国会に対する報告というのは事と次第に応じては必要だと私は思いますが、国会の公開の場で原価を報告されれば、これは当然原価が漏れることになります。 その辺を含めまして、どういう報告をおとりになるのか、あるいは企業の原価というようないわば機密的な事項についてどのようなお取り扱いをなさるのか、法の趣旨につきまして御説明をいただきたい。
○水口政府委員 お答えいたします。 まず、十八条の二によります報告の徴取でございますが、何を徴取するかということでございますが、まず、価格の引き上げ状況の報告を求めます。そして、その場合には、建て値その他標準的な価格による引き上げ前の価格はどうであったか、そして引き上げた価格はどうであるか、それから平均的な引き上げ率等がどうであるかというふうなことを徴取いたします。それから次が価格引き上げの理由でございます。どういう理由で価格を引き上げたのか、それを徴取いたしまして、それについては参考資料等も出していただきたいと考えております。 そこで、先生がただいま申されましたところの、原価にわたるようなことについての報告を徴取した場合に、それが外に漏れるのではないかということでございますが、御承知のように、国家公務員には守秘義務の規定が公務員法に書いてございますが、独禁法は三十九条でさらにそれを加重しております。また、四十三条の規定でも、公表する場合には事業者の秘密を除かなければならないということが書いてございます。そういう規定の趣旨からいたしまして、こういった企業秘密が外に漏れるということは万々ないと思っております。 それから、国会への報告でございますが、われわれ年次報告と普通呼んでおりますが、そういう文書を毎年国会に提出しております。そして、それに記載する場合にもやはり国民にわかるように書かなければならないと思っておりますが、いやしくも企業の秘密にわたるようなことを年次報告に書くということは適当ではございませんので、それはそういうことのないように注意をいたしたいと思っております。
○辻委員 公取の委員長さんに御質問をいたしたいのですが、先ほどの独占的状態についての判断の、特にこれはそういう状態が生じておるかどうかについての二条七項三号ですね。「当該一定の商品又は役務につき、相当の期間、需給の変動及びその供給に要する費用の変動に照らして、価格の上昇が著しく、又はその低下がきん少であり」となっていますが、この辺についてはなかなかデリケートな判断であろうと思います。恐らくこれはいわゆる自由勝手な判断じゃなくて、この法に照らした一つの物差しを持った判断であることは当然であろうと思いますが、先ほど出ましたように、この判断をするときには通産大臣に通知をするというような規定が入っておるわけでございます。その規定の趣旨が、先ほどもちょっとお尋ねしかけたのですが、ややあいまいな点もあると思いますが、この判断が経済政策と不可分である。つまり、時の政府の経済政策によって非常に左右されるということであると独禁法としてはおかしいのじゃないかと、私は個人的にそのように考えるわけです。 と申しますのは、これは野党の方にしかられるかもしれませんが、わが自民党の方の政府が担当しております場合と、あるいは非常に革新的な、反資本主義的な考え方の方が仮に政府を担当しておる場合があると仮定をいたした場合に、その判断によって独占的な状態であるかどうかということが左右されることがもしあるとしたら、それは独禁法のたてまえとしておかしいのじゃないかと思うのです。むしろ政府の政策としては、先ほど来お尋ねいたしておりますように、そういう状態が起こらないような、新規参入可能な方法であるとかいろいろな政策をわが自民党政府としておとりになると思うのですけれども、そういうところの公取の判断に対して非常な心配を一般の民間の者が持っておるわけです。それから、先ほど御質問しましたので明らかになりましたけれども、価格の同調的値上げというものに対する報告の聴取ということについても、どんなことまでやられるのかわからぬという心配を持っておる。これは委員長さんにはなはだ失礼なのですけれども、委員長さんに対してというよりも公取に対してそういうことを言う連中がおることは事実であります。参考人の公述の中にも、えんきょくでありますがそういうふうな口ぶりを察することができたように私は思うのです。 そういう意味で、これは当該の相手方から見れば余り好ましい仕事でないからやられる方が好まない。税務署とか監督署とかいろいろございますので、そういう一般的な問題であればこれはやむを得ないと思うのですが、何かそれ以上の不信感があるように思うのです。私が疑い過ぎるのかもしれませんけれども、そういう点について公取の委員長さんの御所見を承りたい。 〔中島(源)委員長代理退席、山崎(拓)委員長代理着席〕
○澤田政府委員 独占的状態についての判断について立件調査をいたす前に主務大臣に通知をするという問題でございますが、これは非常に重要なことでございますので主務大臣の意見を伺い、それについての意見をいろいろ述べていただくということは非常に参考になってよろしいのではないかと私は思いますが、反面、先ほどのように、そのときの産業政策によって公取委員会の職権行使の独立性との関連はどうかという問題があるわけでございますが、これはいやしくも主務大臣の意見でありますから尊重することは当然でありますけれども、最終的な判断は、独占禁止法二十八条の「職権行使の独立性」によって公取が独自に総合的に判断するということは申し上げるまでもないところでございます。 また、十八条の二の「報告」の問題でございますが、これも報告を大体どういう要件でどの程度とるかということは先ほど審議官から申し上げたとおりでございまして、しかも、とった報告について企業の機密にわたるものは公表しないということでございます。必要な報告をとり、それを法の定むるところによって処理するということでございますので、私ども、特にそれについての一般の御懸念はないものと考えますけれども、ただいまの御質問のニュアンスで、公取は一体何をするかわからぬといったような御懸念が一般にあるとすれば、これは私はこの際申し上げておきたい一点でございますが、私は公正取引委員会に入りまして一年余になりますが、日々の独禁行政のあり方につきましてつぶさに検討いたしますが、先ほども申しましたように、公正取引委員会というのは行政官庁としては特別な制度、組織を持っておりまして、五人の委員の合議制ということによって一貫した方針で日々の行政を処理いたしておるわけでございまして、これは非常にいい制度だということを私は感じております。 したがって極端な意見は通らない制度になっておるのでありまして、その点は私どもも一般の御理解を得るように努力しなければなりませんが、一般の方々もその点を御理解いただければというふうに感じておる次第でございますので、つけ加えて申し上げる次第でございます。
○辻委員 最後に、ちょっと角度を変えて通産御当局にお尋ねをいたしますが、独禁法では当初なかった規定が途中で加わりまして、必要な場合には不況カルテルなり合理化カルテルをつくる道が開かれておる一方、いわゆる行政指導による勧告操短というようなことが一時非常にたくさん行われておったわけでございますが、これはたてまえはもちろん私的な独占でも何でもなくて、行政官庁が経済政策、産業政策上御指導になることでございますけれども、結果的に非常に類似な状態を呼び起こすのであります。 この点については、最近そういう操短その他の事例がございましたらそれを、あるいはその理由につきましても簡単に御説明いただければありがたいと思います。
○濃野政府委員 御指摘の勧告操短でございますが、昭和二十六年にいわゆる綿紡の勧告操短を始めました後、鉄、化学工業の一部、紙パルプ等につきまして幾つかの例がございますが、いわゆる勧告操短は昭和四十一年に全部廃止をいたしまして、その後は勧告操短は実施しておりません。 ただ、今回の不況期に、基礎資材、特に化学工業品の一部につきまして、その業界の実態について、特にその製品を受ける側の需要側と申しますか、それを原料として使う業界が非常な中小企業でほっておけないということから、勧告操短ではございませんけれども、四半期別の生産の数量を一つのガイドラインとして示したということを若干の品種について行いました。しかし、これも昨年の第一・四半期で全部やめております。 最近の不況事態に対処しまして業界でいろいろ動きがございますが、これは原則として不況カルテルで、正式に申請をし、公正取引委員会の認可を受けて不況カルテルを実施するということで私どもは業界を指導しております。
○辻委員 原則として、そういう必要がある場合には本来独禁法に定められた不況カルテルなりなんなりの手続によってやるべきであるという、そういうお考えであると考えてよろしゅうございますか。
○濃野政府委員 そのとおりでございます。
○辻委員 いろいろ御質問を申し上げましておおむね了解をいたしましたが、この法律の立法の趣旨なり、理由なり、あるいは私なりに理解をいたしました背景にある国民の要望と申しますか、特に、自由な競争を基本とした日本の経済社会において大企業がルールを守って活動すること、そのことがまた日本の国民経済なり国民生活に非常に貢献をしてきたというふうに私は思うわけでございます。そういう意味で、私は、この法律がまた今日の事態に即して速やかに成立することを望んでおる者の一人でございます。 同時に、私はいろいろお尋ねいたしましたが、これの運用につきましては、重要な問題でありますだけに、いわば本来のルールだから別に気がねをしないで堂々とルールを守る行政をやっていただきたい。そのことがむしろ自由経済ルールを確立し、それについての国民の信頼を回復する上にきわめて重要であると私は考えるわけでございます。 同時に、また、規定によりましては若干技術的にむずかしい規定があり、私も不勉強でわかりかねる点を幾らかお尋ねいたしましたけれども、そういう意味の運用がいわば角をためて牛を殺すようなことであってはならない。本来そういうことではないと思うのですが、そういう御配慮をいただいて、この法律が速やかに成立して適正な運用がされることを最後に希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○山崎(拓)委員長代理 次回は、明十一日水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時四十二分散会