商工委員会 第16号
- 発言数
- 395 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1977/04/22
会議録
○野呂委員長 これより会議を開きます。 この際、参考人の出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 ただいま本委員会において審査中の内閣提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案及び多賀谷真稔君外八名提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律一部を改正する法律案並びに内閣提出、中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律案の各案について、それぞれ参考人の出席を求め、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、参考人の人選及び出頭日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○野呂委員長 内閣提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案及び多賀谷真稔君外八名提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉置一徳君。
○玉置委員 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部改正に関しまして質問をいたしたいと思います。 まず、「独占的状態」における「事業分野」を明らかにしていただきたいのですが、ガイドラインを出していただいたような感じがいたしますが、このガイドラインの性格についてどのようにわれわれは受け取ったらいいか、お答えをいただきたいと思います。
○澤田政府委員 「独占的状態」に関する定義のうち「事業分野」というものがなかなかむずかしいということでございまして、関係者の間に不安を感ずる向きがあるようでございますので、公正取引委員会といたしましては、今般の改正法公布後速やかに関係方面の意見も徴しまして、事業分野に関する基準ないしガイドラインとなるようなものを明らかにしたいと考えておるのでございますが、先日も審議の必要上、現段階での暫定的なものでもいいからそれを示せという御要請がございまして、ガイドラインの概要を示すに足ると思われる事務局試案につきまして提出いたした次第でございます。 その概要につきましては審議官の方から申し上げたいと思います。
○水口政府委員 お答えいたします。 ガイドラインの趣旨につきましては、ただいま委員長からお答えいたしましたとおりでございますが、きょうこの委員会に資料を提出いたしましたので、ごく簡単に要旨を説明させていただきたいと思います。「独占的状態」につきましては、今回の改正法案の二条七項にいろいろ定義がございますが、これをお読みいただきましてもなかなか複雑でもあるし、抽象的な言葉が多く使われておりますので、なかなかわかりにくい、これを実際に当てはめた場合にどうなるかということがなかなかわかりにくいということでございますので、われわれの方で関係者の不安を除くために一応のガイドライン的なものをつくったということでございまして、その内容はお手元にお配りしておりますが、この二条七項の、特に「事業分野」という概念を中心にいたしまして、それに関係の深い言葉の解説をいたしたわけでございます。 一例を挙げますと、「同種の商品」という言葉が法律に出てまいりますが、これは「機能及び効用が同種の商品をいう。機能とは、商品の物的作用、用途をいい、効用とは、商品のもたらす満足、経済的効用を意味する。」というふうに説明をいたしております。しかし、これだけでもなかなかわかりにくいので、例を引きまして、たとえば自動二輪車の場合、百二十五ccを超えるものと百二十五cc以下のもの、これは商品分類では一応別にしているようでございますが、こういうのは同種の商品となる一例を挙げているわけでございます。以下、そういった言葉の説明をいろいろいたしております。 それから、さらに、後の方で、「市場占拠率要件」として、一社で五〇%、それから二社で七五%超というのがありますが、それも法律には書いてございますが、法律を読んでもなかなかわかりにくうございますので、これを算式の形で一応あらわしたわけであります。その方が国民の方にわかりやすいんじゃないかということで、法律で必ずしも読み取れないところもいろいろ補足いたしまして、算式の形であらわしたということでございます。それから、市場占拠率を算定いたします場合に数量でもって何%という計算をするのか、あるいは価格でもってするのかといった基準も示してございます。 それで一番大切なことは、そういう一般的な説明のほかに、それじゃそういうふうな考え方を実際に当てはめた場合にいまの段階で一体どういうことになるのか、これが多くの方の一番関心のあるところであろうと思いまして、別表一と二をつけてございますが、別表一の方は、現段階におきましての「国内総供給価額要件」、すなわち五百億円以上のもの、それから「市場占拠率要件に該当すると思われる事業分野」、いわゆる九業種について掲載してございます。それからもう一つ、別表二の方は、九業種以外のものではございますが、その他のもので比較的国内供給額も大きいといった事業分野のうち主なものを十九業種にわたりまして掲載いたしまして、その事業分野はどういうものであるか、それに含まれる「同種の商品」とかいったものはどういうふうになるのか、これを表の形で掲示したものでございます。 これはあくまで現段階における資料に基づいて公取の事務局が作成いたしました暫定的なものでございます。
○玉置委員 ガイドラインを出していただきましたので法案の内容がわかりやすくなったことは事実でありますが、ただ、事務局試案ということになっておりますが、これは別に省令でもなし、政令でもなし、どういう性格のものと言えばいいのですか。
○水口政府委員 このガイドラインでございますが、従来、公正取引委員会におきまして、御承知のように、独占禁止法の規定がやや抽象的でわかりにくいという面もございますので、多くの国民に理解していただくために独禁法関係につきましても幾つかのガイドライン的なものが定められております。それから、特に景品表示法関係では数多くのガイドライン的なものが定められております。それで、それらはいずれもその名前といたしましては、認定基準とか運用基準とかいった名前をつけているものが多うございます。今回のいま御指摘のガイドラインをどういう名前をつけるかということはまだ現在決めておりませんが、いずれにいたしましてもその法律が通りました暁に速やかにこれを決定したいというふうに考えております。 その法的性格でございますが、従来公取がつくってまいりましたガイドラインには二通りございまして、一つは、公正取引委員会がその内容を決定いたしましてそれを公表しているもの、それから、委員会の了承を得まして事務局長通達という形で出しておるもの、この二通りに分かれるようでございますが、今回はどちらにするか、これはなお今後検討したいと思っております。大体そういった性格のものでございます。
○玉置委員 そうすると、これが作成は法案が通り次第速やかにつくるということですが、だれがどのようにしてつくりますか。公取委員会だけでつくるのか、どこかに相談ということはないのですが、意見を求められるのか、今後の変更はどうするのか、これについてお答えをいただきたいと思います。
○水口政府委員 お答えいたします。 作成するのは、やはり公正取引委員会の権限と責任において作成をいたします。それで、なお、この中身をごらんいただきましてもおわかりのように、いろいろと商品学の知識と申しますか、そういったものもなければなかなかむずかしいようなものでございますし、法律の規定も御案内のように非常に重要な点を含んでおりますので、これは公正取引委員会だけの見解でやるのはいかがか、したがって、法律が通りました暁には関係者の御意見をよく聞いて納得のいくような案をつくるように努力をしたい、こういうように思っております。 それから、今後の変更、改定でございますが、これはこういった性格のものでございますから未来永劫に不変のものではない、やはり経済の推移に応じていろいろと変更も必要だろう、その場合には関係者の御意見も聞きながら変更を加えてまいりたい、かように考えております。
○玉置委員 そうしますと、輸出輸入は的確に、排除するものと入れるもの——いわゆる輸入は入れておるか、輸出は排除しておるか、それから一定の時期、その時期といえばいつごろのものをとり得るのか、これについてひとつ……。
○水口政府委員 お答えいたします。 輸出、輸入を調整することと、それから物品税等の税金を調整すること、そういった作業が必要なわけでございますが、これはなかなかむずかしい作業でございます。そこで、九業種につきましてはわれわれもそこまできちっと計算をしているつもりでございます。ただ、そのほかの別表第二に載っておるところはまだそこまで物理的に不可能でございます。それから、時期は、なるべく新しい数字に基づいてやるのが好ましいと思いますが、われわれが把握しております一番新しい数字というのが一番基本になりますのは四十九年分の公取が行っております集中度調査の数字でございますので、また新しい数字が出てまいりましたらそれに基づきまして若干の補正が必要であろう、こういうふうに考えております。
○玉置委員 そうしますと、四十九年度のものはこのごろになったら大分変わっているかもわからぬといった場合に、これは一般に何かの形で公表されますか。そうせぬと、それはもうずいぶん変わりましたということを言い出し得るような機会をやはり与えた方がいいのではないかと思いますがね。
○水口政府委員 それは、新しい数字が判明いたしましたら中身の改定をすることがやはり必要だろうと思います。現に、九業種につきましても、われわれは確認はしておりませんが、市場占拠率等が新しい数字では少し変更しているものもあるやに聞いておりますが、そういうことが明らかになれば当然発表をいたしたいと思っております。
○玉置委員 そうしますと、形式的な要件ですね。いわゆる独禁法改正案八条の四でございますが、それの一、二に当たるものは別表に示された九業種、この九業種そのものはその他の要件、三、四、五を満たしておるかどうかはこれからお調べになるのか、どうなりますか。
○水口政府委員 いわゆる九業種と申しますのは、いろいろな要件の中で国内供給額が五百億円以上であるもの、それからシェアが一社で五〇%または二社で七五%以上であるもの、この二つの要件に該当するものを並べたのが九業種でございます。 御承知のように、独占的状態に該当するためにはそのほかに弊害要件にも該当しなくちゃなりませんが、われわれはこの九業種はいずれもその弊害要件のすべてを満たしておるというふうには考えておりません。したがって、現段階で現資料に基づいて判断する限りは独占的状態に該当していないものであるというふうに考えております。
○玉置委員 公取委員長にこの際念のためにお伺いしておきますが、委員長は、現在のわが国の実態でどの業種についても八条の四に値するものはないというように見解を発表しておいでになりますが、このガイドラインについてもそのように考えていいのかどうか、この際改めて御発言をいただきたいと思います。
○澤田政府委員 先ほど審議官からも申し上げましたように、形式的要件と申しますか、国内の供給価額、それからシェアという二点から挙げましたのが九業種でございますが、その他の問題につきましては具体的に詰めていかなければなりませんけれども、現時点において私どもが暫定的に知り得るような資料から判断いたしますと、形式的には要件に該当しておりますけれども、その他の条件を備えておるというわけではないと認められますので、差し当たっては全面的に独占的状態の要件をすべて備えておるというものはまず見当たらないのではないかと、こういう趣旨で申し上げたのでございます。 と同時に、大きくなればいまにも分割されるのではないかというような不安がございますが、そういう意味におきましても、そうではないのだ、いろいろほかの弊害要件が具備されて初めて検討の対象になるのだと、こういう趣旨も含めて申したような次第でございます。
○玉置委員 若干重複しまして恐縮ですが、ガイドラインが出ました機会でありますので申しますが、公取委員長は過般見解を発表されまして新聞に報じられましたが、政府の分割規定は明らかに弊害規制である、まあそういうような意味の弊害規制のあれである、だから、これがあるだけでも非常に大きな効果を発揮するんだ、お互いにいかに一、二の条項を満たそうとも、つまり一社五〇%、二社七五%という形式的なあれを満たそうが、三、四、五で自粛して、この独禁法の精神にのっとってやればそう当たるものじゃないんだ、こういうものに該当するものじゃないんだというようなことで、一般の方々に安心感を与えるという意味でおっしゃったものだと思いますが、これはどういう意味でおっしゃったのか、もう一度改めて弊害規制であるという意味を強調されたゆえんを御説明いただきたいと思います。
○澤田政府委員 前にも申したことがあるのでございますが、国会において御審議中に具体的なことを、あるいは運用方針等について私がいろいろ申すことは実は差し控えたかった次第でございますけれども、いろいろこの問題について硬軟両面からの行き過ぎた憶測やら不安があるのでございます。いろいろ質問などもございますので、そういうことについてお答えする意味でいま御指摘のようなことも申した次第でございます。 形式的要件、いわゆるシェアとそれから出荷額、当たればもうすぐ危険状態になるといったような非常に行き過ぎた不安感、あるいはこれが全く抜かれざる宝刀であるといったような反対の意味での行き過ぎ、そういうどちらも行き過ぎた感覚はひとつ払拭していただきたい、こういう意味で申し上げたのでありまして、弊害規制というのもこれは重大な問題でございますから、法律に定める弊害があって初めて検討の対象になる条件がすべて備わるのだという意味のことを申した次第でございまして、その辺御理解を願いたいと存ずる次第でございます。
○玉置委員 この際お伺いしておきたいのですが、銀行その他金融業務といえども独禁法を排除されておるものではありません。そうしますと、歩積み両建て等で大体同じような方向でものをやっておる場合には調査の対象になり得るのかどうかということと、それからもう一つ、いままでにそういうことを調査された事例があるかどうか、この二つをお答えいただきたいと思います。
○澤田政府委員 いわゆる歩積み両建てにつきましては、従来からその問題を取り上げまする観点が不公正な取引という面で問題にいたしておったわけでございまして、金融機関がその優越した地位と力によって借入人に対して不公正な預金の拘束を加えるというようなことにつきまして、独占禁止法の立場から厳重な調査をし、対処をしてまいっておったわけでございます。 ですから、その面では明確なのでございますが、もう一つ、いまお尋ねの意味は、歩積み両建てというやり方を共同行為としてやっておるような面があるかどうかという意味と推察いたしますが、そういうことは、これは各金融機関が仮に好ましくないことをやるにしても共同してやるというものではない、やはり各金融機関のやり方によっていろいろ差があるものということで、カルテル的行為として問題を取り上げたことはない次第でございます。
○玉置委員 共同して、共謀してやっておるとは思いませんけれども、そういうことが一般事例として普通にどれもこれもがやっておるというような場合には、公取委員会の調査の対象にはなりませんか。
○澤田政府委員 ただいま申しましたように、いわゆるカルテル的な行為は、そこに共同行為としての条件がそろわないと取り上げる対象にはならないわけでございますので、そういう面からはいまのところ問題にしたことはないわけでございます。
○玉置委員 もう一つ公取委員長に重ねてお伺いしておきたいのですが、こういう改正が企業努力を萎靡さすというような言い方——言い方と申しますか、そういう論法がございますが、決してそういうものではないんだということの反論をここでお示しをいただきたいと思います。
○澤田政府委員 この改正の本旨が、経済の自由な公正なあり方によって経済にむしろ活力を与えまして、全体が一層繁栄をするための基礎的なルールに関する改正と私は考えておりまして、この改正によって経済に活力が与えられこそすれ、それによって萎縮するというようなことはないものと考えますし、企業におきましても、こういう改正の趣旨を理解して、むしろ自分たちの守るべきルールとしてこれに対処してまいりますならば決して懸念するところはない、むしろその弊害を抑止する働きこそ重要である、かように考える次第でございます。
○玉置委員 それではちょっと細かいのですが、独禁法改正案八条の四と商法二百四十五条の関係をどのように解釈すべきか。いわゆる分割命令と株主総会の決議との関係でございますが、法制局がおいでになりましたら御説明をいただきたいと思います。
○味村政府委員 独禁法の今回新設されます独占的状態に対する措置といたしまして、公正取引委員会が営業の一部譲渡を命ずるという場合と、それから商法二百四十五条で営業の重要な一部の譲渡につきましては株主総会の特別決議が要るということとの関係をお尋ねでございますが、仮に公正取引委員会の出しました常業の一部の譲渡命令が営業の重要な一部の譲渡命令であるということになりますれば、商法の二百四十五条によりまして株主総会の特別決議が必要であるということに相なろうかと思います。 〔委員長退席、中島(源)委員長代理着席〕
○玉置委員 そうしますと、営業の重要なる一部譲渡の場合には特別決議が要るということですが、法務省のその見解をもう一度お伺いしておきたいと思います。
○元木説明員 ただいまの法制局の御見解どおり、やはり特別決議が要るのではなかろうか、このように考えております。
○玉置委員 そうしますと、営業の譲渡命令が出まして、代表取締役といいますか、取締役会はどのような責任を負いますか。
○元木説明員 まず、第一に、業務の執行機関といたしまして、取締役会は譲渡命令に従いまして案をつくるということになろうかと思います。もちろん、案と申しましても、これは譲渡でございますから相手方もおりますし、また、組合あるいはその他の債権者等々と折衝したものを踏まえた上で案をつくる、その上でこれを株主総会に提案する、こういうことになろうかと思います。
○玉置委員 株主総会がその案を否決した場合、一体事態はどうなるのか、そして株主総会と取締役会の責任はどうなるか、お答えいただきます。
○元木説明員 譲渡案と申しましても、非常に中身がさまざまなものが出てくると思います。したがいまして、譲渡案が一回否決されたということで直ちに株主総会が何か責任をとらなければいかぬというような事態にはならないのではないかと思います。つまり、株主総会としましては、もう少し取締役会でいい案を持ってきなさいという意味を含めましてこれを否決するということもあろうかと存じます。そういう場合でございますと、取締役会としましては、さらにもう一度別の案を検討いたしまして、これを提出するという義務を負うのではなかろうかと思います。 ただ、これで最良の案が出てきた、これ以上は考える余地がないというような案が出てまいりました場合でございますと、これは株主総会といたしましてもやはり会社の一機関でございますから、これを可決する義務があるということになろうかと思います。ただ、御承知のように株主総会というのは会社の一機関でございまして、独立の法人格を持っておりませんので、これについて処罰をするというようなことはできないのではなかろうかと、このように考えております。
○玉置委員 その場合に、最良の案との認定はだれがするのかということと、それともう一つ、もう一度つくって案を出してみたところがまた否決されたという場合は、一体審決はどのようになるのだろうか。 これは法務省と公取委員会の見解をお伺いしたい。
○元木説明員 最良の案と申しますのは、これは非常に相対的な問題でございまして、非常に微妙な問題ではなかろうかと思います。ただ、実際に取締役等の責任が生じたというときになりまして、これが審決違反であるということで起訴されたときは裁判所が認定するということになろうかと思います。 譲渡案が否決されてしまったということになりますと、これは一応不安定な状態に置かれるということになるかもしれませんけれども、御承知のように譲渡命令の実行というのは非常に複雑なものでございまして、一朝一夕にはできるものではないということで、さらに新しい時期を見てまたこれを再度提案するというようなことで行われるのではなかろうか、このように思っております。
○玉置委員 相当な年限がたっていくし、一つもうまくいかないというような場合には宙ぶらりんになりますが、非常に不安定な状態が続くと思いますが、そういう場合の救済はどのようにするか、立法責任者の当局からお答えいただきたいと思います。
○大橋政府委員 取締役が誠実に義務を履行しているにもかかわらずどうしても実現できないような状態、そういうことが客観的に明らかになります場合には、独禁法の六十六条第二項の規定によりまして、公正取引委員会はその審決を変更することができるということが規定になっておるわけでございます。
○玉置委員 そういう場合を想定して、かつては公法、私法の関係で公法が優先するというようなことがありましたけれども、新しい立法でもって公取委員会の審決があった場合に株主総会の決議は要らないんだという、それを排除するような法律が必要なのかどうか、これは法制局と政府当局の見解をお伺いしたいと思います。
○味村政府委員 公正取引委員会が命令いたします営業の譲渡、これは公正取引委員会の行為としてはもちろん公法上の行為でございます、そうすると、命じられます内容でありますこの営業の一部を譲渡しなければならないという措置、これは会社側がだれか買い主を探しまして、そして適当な対価で営業の一部を買ってくれと持ちかけて、そして契約をして、それを実行する、まあこういうことになるわけでございますので、行うことは私法上の行為ということになるわけでございます。つまり、公正取引委員会の命令いたします行為の内容は私法上の行為である。私法上の行為をしろと命ずるわけでございます。その結果、私法上の行為をいたしますのには私法上の要件が必要であるということになりますので、株主総会の特別決議が必要だという解釈になるわけでございます。 そこで、お尋ねのように、ではそのように株主総会の特別決議が必要だという解釈をとるというと、株主総会がいつまでも決議をしない、承認しないということになると、これでは公正取引委員会の命令が不発に終わると申しますか、そういう可能性もなきにしもあらずでございますので、二百四十五条はこの場合には適用しないという措置をとってはどうかということが一つ考えられるわけでございます。 ただ、閥法三百四十五条は、株主が企業の実質上の所有者であるという、そういう株主の立場を保護するために設けられた規定でございます。会社の営業の重要な一部が譲渡されてしまいますと、実質的には一部分が解散したようなことでございますので、これは株主にとって非常に重大な利害関係がございますので特別決議が必要だということになっているわけでございます。したがいまして、二百四十五条はこの場合に適用しないとなりますと、株主の保護がそれで十分に果たせるだろうかという問題が出てくるわけでございます。 公正取引委員会の命令といたしまして、営業の重要な一部の譲渡を命じます場合に、相手方とか対価、どれくらいの値段で売るか、だれに売るかというようなことは恐らく公正取引委員会の命令の内容にはなっていないと思います。株主としては公正取引委員会の命令があったのですから、営業の重要な一部を譲渡するということはまあやむを得ない、しかし、値段はやはりちゃんとしてもらわなければならぬということは当然考えるであろうと思います。したがいまして、値段が折り合わないということになり、株主の方がどうしてもこの値段じゃ安過ぎるというようなことで承認しないということになりましてもやはり売れと言うことは、株主の保護にかなり不十分な結果をもたらさないとも限りませんので、そこら辺のことを十分考えませんと、株主の保護のための対策ということを考えませんと、直ちに二百四十五条をこの場合に適用しないというような立法はなかなかむずかしいのではなかろうか、このように考えます。
○大橋政府委員 ただいまの商法の関係につきましては法制局の御見解のとおりでございますが、そのほかにつけ加えさせていただきますと、現行法にも営業の一部の譲渡の規定はあるわけでございます。第七条及び第十七条の二にあるわけでございますが、こういう場合におきましても、これはむしろ違反行為を排除する規定でございますけれども、その際におきましても商法の特例というものは設けておらない、そういうことが私どもの立案の過程では頭にあるわけでございます。 さらに、商法の株主総会の特別決議というのは、取締役が審決を誠実に実行していく上での一つの障害といいますか、一つの条件にすぎないわけでございまして、取締役といたしましては譲渡先をまず選定しなければいけない、幾らという値段も決めなければいけない、契約を締結しなければいけない、それから債権者に対する関係も整理していかなければならない、また、従業員の雇用関係の整理もしていかなければならないというように、重要なものだけでもそういういろいろのことを処理していかなければならないわけでございまして、それのいずれについても障害というものは起こり得るわけでございますから、簡法の特例を設けて株主総会の特別決議の規定を排除すると定めただけでは、この審決が直ちに強制的な力によって実現されるようになるというわけではないのでございまして、そういうことも考え合わせまして商法についての特例を設けないこととした次第でございます。
○玉置委員 続きまして、八条の四で、公取委員会は、前項の措置を命ずるに当たっては、関連事業者及び雇用されている者の生活の安定について配慮をしなければならないという条項がございますが、配慮するとあるが、公取はどのようなことをいつ配慮するのか、「配慮」という言葉について十分な説明をいただきたいと思います。
○大橋政府委員 「配慮」と申しますのは、八条の四の第二項に、「公正取引委員会は、前項の措置を命ずるに当たつては、次の各号に掲げる事項に基づき、当該事業者及び関連事業者の事業活動の円滑な遂行並びに当該事業者に雇用されている者の生活の安定について配慮しなければならない。」とございまして、次に一号から八号までの事項が列挙してあるわけでございます。 この配慮するときといいますのは、前項の措置を命ずるに当たってでございますから、審決をする、その審決の内容を決める際に、こういう状況を考えた上で生活の安定でありますとか円滑な遂行というものが行われていく、そういう支障のないような審決をしていかなければならないという意味の一種の訓示規定ではございますけれども、しかし、独占禁止法のこの措置の目的というものからいたしますと、仮に営業の一部譲渡が行われたといたします場合に、その命ぜられた事業者、あるいは買い取った事業者、あるいはその下請等の関連事業者、それから雇用されている者の生活の安定、こういうものが害されるようなことがあるというのはやはりこの規定の趣旨に反するわけでございますから、「配慮しなければならない」というのは、一応規定の性質としては訓示規定というふうに解さざるを得ないと思いますけれども、非常に重い意味を持った配慮規定である、こういうふうに理解しております。
○水口政府委員 法律論といたしましてはいま内閣からお答え申し上げたとおりでございますが、やはり、こういう独占的状態の措置という重要な命令をするに当たりましては、経営者も大変でございますが、働く人たちにも非常な影響がある。したがって、法律的には、たとえば公聴会の段階とかあるいは審判の段階でいろいろ御意見を伺うことはあると思いますが、それ以前の場合においても、いろいろ御意見があればそれは慎重に検討すべきものであると考えております。
○玉置委員 そうしますと、営業の一部譲渡というのは、単に工場なり土地なりをどこかへ移せという問題ではなしに、それはお得意さんもあれば関連企業もあれば、もちろん関連企業に働く人々の問題もある。こういうものを全部やるのですから、審決を下してしまってからではどうもこうも手がつかない問題があると思います。審決の始まる前にも、審決の途中にも、大体労働協約その他がうまくいっているかどうかというような形のものもじっと見なければ、あるいは意見を聞かなければやりにくいのじゃないだろうかという感じが私はしますが、どうでありますか。
○水口政府委員 全くおっしゃるとおりでございまして、当該企業に雇用されている人たちの御意見、それからいろいろ関係される方々の御意見、そういうのをよく承って、できるだけ納得のいく形で措置をするということが一番大切かと思います。
○玉置委員 過般労働省の方も話しておりましたように、企業イメージの変化に伴う左遷感、移籍労働者の選定、雇用関係の承継、労働条件の不利益変更、転居を要する配置転換、労働組合の動向等々がかなりウエートを占めてくるわけであります。 そこで、ただいま申しましたように、関連企業並びにそこに雇用される人々、主として労働組合という形に実際問題としてはなると思いますが、その意見を十分にお聞きになるようにいまお話がございましたが、そういうものをしなければならないという保証がこの立法の過程でどこにございますか。
○水口政府委員 法律といたしましては八条の四第二項の配慮事項、そのほかさっき御説明がありました公聴会とか、審判における参考人とか、そういったものがあると思いますが、法律は法律といたしまして、事の性質上、いろいろ御意見の申し出があった場合にはそれをよくお聞きすることが一番基本ではないかと考えております。
○玉置委員 労働組合が反対して事実上この審決の命令がやり得ないような事態になることも想定されます。もちろん、労働組合の方が無理なことを言っておるときは社会的な反省というものを起こすような自然な力が動いてくるとは思いますけれども、そういう場合も想定されるわけですが、そういう場合はどういうように対処されますか。
○水口政府委員 お答えいたします。 先ほど申し上げましたような見地から、こういった独占的状態に対する措置を実行に移す場合には、何といってもその働く人たちの意見を尊重しなければこういうこと自体がうまくいかないとわれわれは考えておりますので、労働組合の方の御理解が得られるものと思っておりますが、法律論といたしましては、先ほど話題になっておりました株主総会において決議が得られない場合と同じように、やはり、公取が審決を出した場合にはその審決は有効でございます。しかし、それは、法律論は法律論でございまして、実際には労働組合の御理解を得られなければなかなか事が運ばない、こういうふうに考えております。 それから、また、法律論といたしましては、仮に公取の方がそういう命令を出しまして、それで労働組合が反対してうまくいかないという場合にはその審決変更の手続というふうな規定もございますが、そういうことは非常にまずうございますので、そういうことのないように取り計らいたいと思っております。
○玉置委員 関連企業におきましてはなおさらの問題が起こると思います。こういう意味で、この問題を実施するにつきましては、慎重な配慮という言葉が適切だと思いますけれども、十分な配慮の上に行われなければ、審決が下されたままにうまくいかないという場合が事実上起こり得ると思います。 私は、審決に対する権威ということも考えてよほど慎重に御配慮いただきたいし、一つのガイドラインを示されることによって自然にそういうことが運ばれるような措置ができればこれは一番スムーズにいき得る場合だと思いますが、無理をして強行した場合によってもって起こる損失というものは一体どこが責任を負うのか、法制局の方と公取の方から、あるいは政府当局の方から説明を願いたいと思います。
○味村政府委員 お答えいたします。 公正取引委員会から営業の一部の譲渡命令が出ました場合に、これをどのように実行するかということは、これは会社の経営者の責任にかかっているわけでございます。会社の責任者といたしましては、従業員に対しましては雇用契約があるわけでございますから、雇用契約上の義務を守らなければなりません。あるいは債権者に対しては債務があるわけでございますから、その債務はあくまで履行するという姿勢が必要なわけでございます。したがいまして、この措置命令の実行に当たりまして、雇用契約上の債務なりあるいは金銭債権その他の債務不履行という問題が仮に発生いたしました場合には、これは会社がそのような責任を尽くすことができなかった——つまり、会社の経営者がやったということの効果は会社に帰属いたしますので、そのような契約上の義務違反といったものが仮にございますれば、それは会社が負わなければならない性質のものであると思います。もしもそのことによりまして従業員なり債権者なりに損害が出たという場合には会社の方で責任を負わなければならない問題ではなかろうかと思います。 もちろん、実際上の実行に当たってはそのようなことがないように公正取引委員会が命令をお出しになる際にも十分御配慮になると思いますし、会社の責任者としてもそのようなことが行われないように十分配慮すると思いますが、万が一そのような損害が生じました場合には会社が責任を負うということになろうかと存じます。
○水口政府委員 法律的にはただいま法制局からお答えになりましたとおりだと思います。 ただ、われわれといたしましては、実際の運用上そういうトラブルが起きないように極力配意してまいりたいと考えております。
○玉置委員 そのような次第でなかなかむずかしい問題も含んでおると私は思います。したがって、これにつきましては審決の権威を守る意味でも十分な配慮をしながらこのことをなさらなければならないと思いますが、これに対する公取委員長の見解をお伺いしておきたいと思います。
○澤田政府委員 まことに御趣旨のとおりでございまして、事柄が非常に重要な問題でございますから、あらゆる段階を通じて最大の配慮をし、無理のない結論を得て、御懸念のようなトラブルのないような処置に全力を尽くすというのが私どもの任務であろうかと考えております。
○玉置委員 次に、株式保有制限に関しましてお伺いしておきたいと思います。 御承知のとおり不況産業が多いのですが、自分のところのある部門を逆に今度はどんどん分離するようなときがたくさんございます。こういう場合に、いまの株式保有制限だけではちょっと無理があるんじゃないだろうか、つまり、二年間にどうしろという形では少し現実にそぐわないのではないかというような感じがするのです。もう一つは更生会社の場合、これも若干無理だと思いますが、その場合はどのようにしたらいいか。 立法当局と公取委員会から見解をお述べいただきたいと思います。
○大橋政府委員 二つの点の御指摘であったと存じます。一つは、一〇〇%の子会社をつくります場合に、不況産業等でやむを得ず分離した場合に、これを二年という制限を課しているのは少し不足しているのではないかということと、もう一つは、更生会社についての株式保有について、これもやむを得ないものがあるのではないかということ、こういう二つの御指摘だったと思います。 まず、一につきましては、九条の二のただし書きの第五号に、「自己が現に行う業務の一部を分離して設立する国内の会社の発行済の株式の全部をその設立後面ちに取得し、又は所有する場合。ただし、当該会社の設立の日から二年以内において所有する場合に限る。」というふうに切っているわけでございますが、これにつきましては、株式を一〇〇%所有しております子会社でありましても、設立後時が経過すればその業務の拡大等がございまして分離当時の一体性が薄れてくるであろうということにかんがみまして、例外扱いの期間を二年としたものでございますけれども、このような規定の趣旨から考えまして、御質問のような事情によりまして設立いたしました分離子会社の株式を二年を超えて所有することが真にやむを得ないと考えられます場合には例外規定に第九号というのがございます。これは、「やむを得ない事情により国内の会社の株式を取得し、又は所有する場合。」でございますが、その規定によります公正取引委員会の承認を受けることもできる対象になるだろうというふうに考えております。具体的なケースにつきましては、公正取引委員会がケースに応じて判断すべきことと考えております。 それから、次の更生会社の株式につきましては、例外規定の八号に、「担保権の行使又は代物弁済の受領により国内の会社の株式を取得し、又は所有する場合。」とございます。この中に、これは「取得の日から一年」ということになっているわけでございますけれども、会社更生法第二百六十五条の規定によりまして代物弁済による取得とみなされる株式につきましては、更正手続終結の決定がされた日から一年以内というふうに例外を定めているわけでございます。 ところで、更生会社の株式を取得する場合につきましては、こういう形で代物弁済による取得とみなされるもの以外に最初から第三者割当の増資をする場合、あるいは代物弁済の形で一たん株主が取得した後更生会社を支えるべき株主が転売を受けまして取得する場合というようにいろいろあるというふうに承知をいたしておりますが、こういうものにつきましては、もともとの八号の規定は、現在金融会社についてございました代物弁済の規定の趣旨を生かしてつくった規定でございますからここには書いてございませんけれども、更生会社の株式を保有することが、これもその実態から見まして真にやむを得ないというケースにつきましては、先ほど申し上げましたように第九号の規定によりまして公正取引委員会の承認を受けることのできる対象になるであろうというのが立法の考え方でございます。
○水口政府委員 改正法九条の二の五号、八号、九号の立法趣旨は、いずれもただいま御説明のあったとおりでございます。そこで、結局は九号の規定によりまして公正取引委員会が承認をするかどうかということになるわけでございます。九号はいわばその他の規定でございますから、乱に流れることになっては困るわけでございますが、先生おっしゃいましたような部門を分離させる場合でも、それが衰退産業である場合であるとか、それから会社更生法が適用になりましてその会社の再建に寄与するためにいろいろな措置がとられるという場合には、その辺の事情をよく承りまして判断をしたいと考えております。
○玉置委員 次に、同調的値上げのことでお伺いしたいのですが、三カ月の間に同じような類似の値上げがあった場合であります。 公取委員会も御存じだし、立法当局も御存じでありますが、このごろは賃金の引き上げも大体同業種一律の場合が多うございます。と同時に、石油はもちろん国際カルテルの形でやられているわけですから、これも大体値段が同じように一斉に上がるものと思わなければなりません。鉄鋼一つとってみましても、このごろの近代的な工場はおおむね同じような様式、同じような形で動いておるわけでありますから、さして価格には大きな変動があり得ない。 こういう場合、どこかが値上げします条件はほぼ同じような条件が多いのじゃないかと見ざるを得ないと思うのですが、こういうものに対してどのような見解をお持ちになっておるか、そして、これの値上げについてはどのように対処されようとしておりますか、公取委員長と公取当局の御意見を聞きたいと思います。
○澤田政府委員 基礎資材等の生産につきましては、いま御指摘のような議論がいろいろあるところでございます。しかし、基礎資材の生産と申しましてもいろいろな場合がありまして、企業によって、たとえば原料の購入先あるいは購入量の多い少ない、あるいは合理化の度合い、生産技術や販売組織等、いろいろな面を精細に考えますといろいろな差があり、それを大ざっぱに同じような考えで処理するというのはどうかというふうに私どもは考えておるわけでございまして、値上げの額または率がそういう点で同一でなければならぬ、同一であることが当然だという考え方はやはり少し行き過ぎであるというふうに私は考えておるわけでございます。
○水口政府委員 公取の当局からということでございましたが、ただいまの点については委員長がお答えしましたことにつけ加えることはございません。
○玉置委員 私は、公取委員長のおっしゃるような同一のものでなければならないというようなことを言っておるんじゃありません。非常に似たような様相を呈するようなものが多いんじゃないだろうか、そういう事態を認識して、そのうちの特別変なものだけをどのようにかぎ分けるか、これはなかなかむずかしい作業でありますが、それについての御所見を承ったわけであります。 そこで、公取当局もそういう場合はどのように対処されるのかということを聞いておるわけです。
○澤田政府委員 私の申し上げた趣旨をもう少し敷衍して申し上げますと、まあ大ざっぱにいろいろ似たようなものだ、だから、似たような時期に似たような価格の引き上げ方はあたりまえだというような結論に導かれる傾向が少し多過ぎる。そこは、やはり、個々の企業が独立して事業を営んでおりますときには、先ほど申し上げたようないろいろな要素を考えて、そしてしかも価格の決定等についてもそういう配慮を加える心持ちというものが大事ではないか、こういう趣旨をつけ加えたかった次第でございます。
○玉置委員 そこで、もう一つ、同調的値上げの場合にも同じでありますけれども、一つ心配の形で出ておる議論として、立入検査等々、企業の秘密に関することに自由自在に入り得るような措置を設けるんじゃないかということについての反論と、あわせて守秘義務との関係についてお答えをいただきたいと思います。
○水口政府委員 お答えいたします。 まず、立ち入り調査等の件でございますが、カルテルのような独禁法違反事件につきましては四十六条で立ち入り調査権等も認められておりますが、十八条の二の規定はそういった強制権限は認められておりません。なお、そういうことのほかにも四十条とか四十六条とかいったような強い権限はなるべく必要やむを得ざる場合に限定したいというふうに考えております。 それから、企業秘密の点でございますが、これは御承知のように、公務員には国家公務員法で守秘義務が課せられておりますが、公正取引委員会の場合にはいろいろとそういう秘密に接することが多うございますので、特に独禁法の中でそれを加重した守秘義務の規定がございますので、従来から秘密を守ることについては特に意を使っておるつもりでございます。
○玉置委員 この際、先般新聞で報じられましたが、アメリカから申し出のありましたところの、お互いにその国に存在する子会社につきましてのカルテル等々の疑いがある場合に連携をとって相互に調査をし得るような方法を講じたいという申し出につきまして、公取委員長から一つの見解を示されておりましたが、若干その他の役所と違うような感覚も持ちましたけれども、どのようにお考えになっておりますか、お答えをいただきたいと思います。
○澤田政府委員 多国籍企業問題等、国際的にいろいろな重要問題が起こったこともございまして、各国とも相協力してそういう問題に対処したいという機運が出ておりましたことはもう御承知のとおりでございまして、アメリカから——アメリカは西独との間に二国間協定でそういう問題についての協力関係を結んでおるのでありまして、そういうことを日本との間にも結びたいという正式な申し出がございました。それで、現在、外務省、通産省等関係当局とこれをどう取り扱うか協議検討中でございます。
○玉置委員 検討中ということでございますが、この間の新聞報道では公取委員長としては望ましいことだというような前向きの姿勢であったように思いますが、そういう姿勢で検討中であるかどうかをお伺いしたいと思います。
○澤田政府委員 前向きの姿勢で検討いたしておる次第でございます。
○玉置委員 御承知のとおり、いまは全般的に不況でありましょうけれども、構造的な不況と重なった不況産業がかなり続出しておることはすでに御承知のとおりであります。つまり、わが国だけのいまの産業の不況だけではなしに、それが南方諸国等々の追い上げによりまして将来とも不況が続き、それがもうとても救えないような状態に構造的になっているような部面がかなりございます。 これにつきまして、設備の過剰廃棄等々というようなことをやらざるを得ないような羽目に陥っておるわけですが、そういうものについて、カルテルもしくはその設備の廃棄等々についての取り扱いについてどのような見解をお持ちになっておるか、改めてこの際お聞かせをいただきたいと思います。
○澤田政府委員 不況が長期に相なりましたので、各業界では非常に混乱に直面しておるものが少なくございません。 御承知のように、私の方にも不況カルテルの申請がこのところ相次いでおるような次第でございまして、独禁行政の基本的な理念はそのときどきによって大きく変わるものではございませんけれども、こういう状況におきましては、実情の把握に一段と努めまして、その実態に即した処理をしてまいりたいと思います。 御指摘のように、単なる不況だけではなくて、大きい構造問題を含んでいる業界が少なくございません。特に、過剰設備の廃棄をしようというような問題は深刻な問題でございますので、よく関係者の意見も聞き、関係主務官庁とも相談をいたしまして、実態に即した処置をとってまいりたいと考えております。
○玉置委員 そこで、この法律そのものについては、国民が一審要望されておりましたのは、狂乱物価のときの余りにもえげつない企業のやり方につきまして国民の憤激を買い、速やかにこの法案を整備するようにということ、これが非常な国民的要望だったと私は思います。その意味で、この国会におきましてこれが一日も早く成立することをこいねがっておるのが国民の皆さんではないかと思いますが、逆に、また、不安その他をお持ちになっている方々もおいでになるわけであります。したがって、こういう審議を通じましてそれぞれの条文の解明がなされていって、国民全部がお互いに気持ちよく、これが日本の経済の民主化並びに日本の経済の今後進む方向であるというように規範意識を高めていただくことが大切だと思います。 私たちは、御承知のとおり、野党の対案を出しまして、若干の後退その他につきまして修正を迫っておるのが現状でありますが、これについて公取委員長並びに総務長官の方ではどのようにそれぞれお考えになっておるか、伺いたい。 つまり、私の言わんとすることは、与野党が一致する調和点を早く見出すことによりまして、国民の皆さんにも、この法律が本当に希求しておるところは産業の民主化であり、そして将来の日本の産業の形成のガイドラインであるというような考えであることを知っていただき、本当にこれが受け入れられるような形で審議が尽くされていくということが非常に大事だと思うのであります。その点で、与野党の意見が一致するためには、立法当局としてもこれを受け入れられるだけの雅量を持ちながらやらなければ進みにくいと私は思うのですが、これについて総務長官はどのようにお考えになっているか、また、公取委員長としては、これが国民全般に気持ちよく了解され、理解され、そして受け入れられていくことをどのようにお考えになっておるか、この二点について総務長官並びに公取委員長からそれぞれお聞かせをいただきたいと思います。
○藤田国務大臣 いまの玉置委員のお説のとおりでございまして、このような法律は各党の御賛成を得て成立すべきものであると考えて、政府の原案として提出をしたわけでございます。 これは政府といたしましては、ぜひ与野党の御賛成を得て原案で成立をさせていただきたいと思いますけれども、この論議を通じまして与野党の間でまた新しいよいことがあればこれを御修正なさり、これは政府としては当然それに従うべきことでございますから、私たちの方としては第一には政府の原案をお願いいたしますけれども、論戦を通じて何らかの修正があれば、これまたやむを得ないこととして受けとめるというふうなつもりでおります。そして、その前提は、あくまでも与野党が合意をされたもの、与野党で合意できる案ということが前提でございます。 それから、第二点の、こういうふうな法案がある一部の方々によけいな御心配を与えておるということですが、こういう誤解をこの論戦を通じてなくしていくという意義も大いにございますし、そして、また、独禁法というものは何かわからぬむずかしい法律だけれども何となく通した方がいいのだというふうな御理解も一般国民大衆の中にはあろうかと思いますが、この辺もよく周知徹底と申しますか、論戦を通じて一般庶民の方々にも御理解いただければ大変幸いだ、かように思う次第でございます。
○澤田政府委員 ただいま二つの法案が提案されて御審議なさっておる次第でございますが、私はかねがねいわゆる五党修正案を基本として御検討願えればという希望を申しておりましたが、今回の政府案は努力の結果非常にそれに近づいたもの、この間のいろいろ調整可能なもの、こういうふうに僭越でございますが考えるわけでございまして、何とぞ十分御審議の上、一致した案が通過いたしますことを心からこいねがっておる次第でございます。 同時に、この御審議の機会を通じて、いま総務長官からもお話がございましたように、この法律が国民によく理解されますような努力を続けますとともに、これが成立いたしましたら、当然の公正取引委員会の任務といたしまして、一般国民各界各方面の一層の理解を得るように万全の努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
○玉置委員 公取委員長にさらに重ねてお願いしておくわけですが、独立官庁でありますから、毅然たる態度でやらなければ国民の期待に反すると思うのです。 と同時に、その運用に当たりましては、文章に書いたのじゃなしに、法文じゃなしに、自分らの知識を十分に獲得するために国民各階層の意見を承る必要があるのじゃないだろうかという感じがいたしますが、どのようにお感じになりますか。
○澤田政府委員 まことに御趣旨のとおりでございまして、職権行使の独立性につきましては、申すまでもなく法律二十八条の精神を厳守いたしまして対処いたすことはもちろんでございますが、と同時に、重要な法律でございますので、各界各方面の理解を得るために最善の努力をいたしてまいりたいと思う次第でございます。
○玉置委員 この際、通産当局に伺いますが、この法案に対してきょうまでいろいろお話しになっておりましたが、これが今後成立いたしました場合にはどのような見解で対処されるか、今後の通産当局の一つの考え方として、経済政策に何らかの変更をお加えになるのかどうか、この点につきまして所見があればお聞かせをいただきたいと思います。
○濃野政府委員 減速経済の経済体制を迎えまして、これからの長期的に見ました産業構造問題、あるいは独占禁止法の改正に絡みまして大変重要な問題になってまいりました産業組織の問題、これは当面する最大の問題であろうと私どもは思っております。 私どもは、そういう産業政策の面から、産業組織政策あるいはその中での寡占という問題につきましても当然取り組まなければならない責任を持っておるわけでございまして、その際、競争政策の推進ということで、今回の独禁法の改正の趣旨を踏まえまして産業政策のこれからの実施、立案に当たっていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○玉置委員 これで終わります。
○中島(源)委員長代理 大原一三君。
○大原(一)委員 私はいままでの審議を全面的にトレースしていないものですから、いろいろと各委員の御質問と重複する部分がたくさんあると思いますけれども、御了承いただいて、時間が余りないので、簡単にお答えいただきたいと思うのです。 まず、第一番目に、今回の改正案の中には、いわゆる企業分割規定と、さらに課徴金という大きな目玉商品が入っておるわけでありますが、私は、この法案については九十点という評価をいたしたいわけであります。残りの改正分十点のところでいろいろ議論がなされているような感じがしてならないわけであります。今後当委員会における御審議の過程でいろいろ修正点についての問題点が指摘されていくと思うのでありますが、本日私が質問いたしますことは、そういう意味で十点のところで非常に議論するような形になって大変恐縮でありますけれども、私は、政府当局の本案に対する勇断に対して大変評価を申し上げたいと思います。 今後の審議過程において技術的な修正点がいろいろ出てくると思いますが、いわゆる五党修正のときには新自由クラブはなかったわけでありますから、現在で言えば四党になりますが、四党の修正案という形での対応、それに対して自民党、主として山中調査会において長期間をかけてでき上がった本案、これは若干の修正が許されるかどうか、またこれから新しい問題がいろいろ出てくると思うのでありますが、まずその点について長官の御意見を承りたいと思うのであります。
○藤田国務大臣 政府といたしましては、しばしば総理が各種委員会で申し上げておりますように、与野党で合意を得られるような、賛成を得られるような独占禁止法の改正の法案を提出する、そして今国会でぜひ決着をつけていただきたい、かような答弁をいたしておりますので、それにのっとりまして与野党の間で合意が得られるものと信じてこの法案を提出いたしたわけでございます。 ただ、いろいろ熱心な論議の過程におきまして、また与野党の間で合意を得られて修正されるという場合は、これは政府としてはやむを得ないことでございますので、それはそれといたしまして政府としては従わざるを得ない、かように考えております。
○大原(一)委員 それでは各論に入らせていただきますが、私は、どちらかといいますと、企業分割と課徴金の二つをはかりにかけた場合、実際問題として現在の企業分割の規定は、これはまあ伝家の宝刀で床の間に飾っておく程度の規定であろうと思います。現に細かく読んでまいりますと、これを発動するまでに、私の計算でございますが十一の関門をくぐらなければならない。さらにまた最後の「配慮」の、項目を計算に入れますと、八つございますから十九の関門をくぐっていかなければならないということでございまして、各委員から質問がございましたように、各項ごとに大変議論の多い規定だと私は思います。 そういう意味で、今後の公取委員会の実際の事務運営で最も効き目を発掘する規定は「課徴金」だと私は思うのです。その意味で私は課徴金規定というものを最大限評価したい。九十点の中の八十点はこの課徴金規定であろうと私は思うのです。この運用の妙を得れば、この独占禁止法の大きな目的が達成される。これは床の間の伝家の宝刀でなくて、いつでも抜けるのです。しかも、書き方は、こういう事態が発生したら「国庫に納付することを命じなければならない。」というふうに書いてあるわけでありまして、課徴金を命じなかったら今度は公取委員長の責任になってしまうということでございまして、私は、この規定を今回の改正案において最大限評価するものであります。 〔中島(源)委員長代理退席、委員長着席〕 ところで、私は外国のことは余り知らないのでございますが、ドイツではビール会社その他非常に高い課徴金がかけられておるそうでございますが、ドイツの課徴金システムはどうなっておるのか、簡単にお教え願いたいと思います。
○水口政府委員 お答えいたします。 西ドイツの競争制限法でございますが、カルテルを原則的に禁止いたしまして、違反に対しましてはカルテル庁が過料を課することができる旨を規定しております。これは厳格には課徴金と全く同じではないかもしれませんが、実質的には非常に似たものであろうと思います。 そこで、この過料でございますが、これは秩序違反に対する一種の行政処分で刑事罰金とは異なる趣旨のものでございますが、その額がかなり多うございます。「十万マルクまたは違反行為により取得した利得の三倍額のいずれか大きい額以下」である、こういうことになっておりますので、実際の事例を見ましても、過去においてかなりの額のこの過料を徴収したという事例が見られるようでございます。
○大原(一)委員 これは本当に大変な規定だと私は思います。まあドイツに比べれば大変軽度と言ったら大変恐縮でありますが、ドイツの案はいまお聞きしますと大変ドラスティックな——十万マルクと言ったら幾らですか、一億二千万円というような高額な課徴金を課せられるという仕組みになっているようであります。 ところで、ちなみに、現在出されております原案の課徴金の程度で、仮に昨年行われたいわゆる違反のカルテルについてペナルティーを課せられたらどれくらいの課徴金に全体でなっておるか、わかりますか。それとも、最近年の違反カルテルの非常に多かった事例にかんがみて、その辺のところでこの課徴金を適用いたしましたら——これは数字がないかもしれませんが、ありましたらお教え願いたいと思うのです。
○水口政府委員 その前に、十万マルクは、これは円に換算いたしますと千二百万円でございますが、その後にあります「違反行為により取得した利得の三倍額」という、こちらの方が場合によっては非常に大きくなるわけでございます。そのどちらか大きい方以下を取るということでございますから、かなり大きい場合があるわけであります。実際の例を見ましても、たとえばある企業につきまして六億七千万円でございますか、こういった過料を取ったというふうなこともあるようでございます。あるいはそれ以外にも十四億幾らというふうな額を取ったこともあるようでございます。 そこで、日本の場合でございますが、日本の場合は、御承知のようにカルテルをやりました実行期間、その間の売上高掛ける——まあ、製造業でありますと四%掛ける二分の一、こういうふうな計算をしてはじき出すわけでございますが、まだわれわれの方で精密な計算はいたしておりませんが、実行期間が長くなったり売上高が大きくなったりすれば、西ドイツには及ばないと思いますが、場合によってはかなりの額になることもあり得るのではなかろうかというふうに考えております。
○大原(一)委員 水口さんはぼくと同期だからどうも物が言いにくいのでありますけれども、やはりこういう案が出されておるわけですから、恐らく手元では御計算をなさっているだろうと思うのです。それくらいの用意がなくては公取委員会としては責任のある御答弁はできないのではないかと思うのでありますが、まあ、あえて追及いたしませんが、またいずれ機会を得てそういう計算式も、特に石油ショック後の非常な違反カルテルピークのときの態様等もお教え願いたいと私は思います。 ところで、これもちょっと技術的な問題になりますけれども、この違反カルテルに関連して、事業者団体の構成事業者に対して事業者団体が違反をすると——これは二項の場合、二番目の問題でございます。私は要綱案で御質問しておりますが、事業者団体のアレンジメントによってカルテルを結ばれたのに事業者団体はペナルティーがなくて、その構成員にいきなりそのペナルティーがいくというのは法理論上どういう構成になっておるのでございますか。若干飛躍があるのではないかと思うのですが……。
○大橋政府委員 課徴金の制度の趣旨でございますけれども、これは違法カルテルによって得られました経済上の利得を、その納付を命じようという趣旨のものでございまして、制裁というふうには考えておらないわけでございます。 したがいまして、事業者団体の競争制限行為がございました場合には、違反行為をやりましたのは確かに事業者団体ではございますが、利益を得たものはだれかということになりますと、やはりそれはその違反行為による指示というものを実行いたしました構成事業者ということになるわけでございまして、そういう考え方に立ちまして経済上の利得を構成事業者から取る、こういう制度にしたわけでございます。
○大原(一)委員 これはいろいろのいままでの公正取引委員会の指示なり命令なりだけなら話はわかるのでございますが、今度は課徴金というもので経済的実質的負担を強いるわけでございまして、そういう意味で、この前の学者の意見を私は見てみたのでございますが、真ん中に規定が何か一つ抜けておるのではないかという議論ですね。これはそういう議論も呼ぶ規定だと私は思うのであります。事業者団体のアレンジメントに服してはならないというような規定を入れたらどうだという議論も一方で出てくるわけでございますので、この点はやはり若干の問題があるのではないかということを私は提起しておきます。 次に、時間がありませんから企業分割の問題に移りたいと思うのでありますが、その前に現在の法律、現行法の七条でございますが、私的独占、不当な取引制限の禁止の排除措置として「当該行為の差止」はいいのですが、「営業の一部の譲渡その他これらの規定に違反する行為を排除するために必要な措置」という営業の一部譲渡規定が現行法の中に入っておるわけであります。それにもかかわらず現在の分割規定を入れることの意味をどのように考えたらいいか。これは両御当局に御意見を承りたいと思います。
○大橋政府委員 現行の独禁法では、三条で私的独占を禁止しておりまして、七条で、私的独占がありました場合には営業の一部譲渡を含む排除措置が命令できるということになっておるのは御指摘のとおりでございます。 ただ、これは私的独占の定義にございますように、他の企業を支配または排除するという行為を伴う概念でございまして、通常の事業活動によりまして独占的な状態が生じ、国民経済に弊害をもたらしているような状況になりましても、現行の規定では、このような状態を排除するとか、あるいはそういうことによりまして競争を回復していくということはできないわけでございます。 私的独占と独占的状態の関係についてはそのように考えております。
○水口政府委員 ただいま総理府からもお答えいたしましたが、現行の七条の規定というのは、違法なカルテルであるとか私的独占であるとか、こういったような違法行為があった場合に営業の一部譲渡を含めて措置を命ずることができるというふうになっておるわけでございまして、御承知のとおり、この規定は営業の一部譲渡に関する部分が適用になったことはございません。 しかしながら、最近の状況を見ておりますと、いろいろ寡占状況が進むという中で、単にいま申しました違法なカルテルであるとか私的独占があった場合にのみ措置することができるということで十分であるかどうかという点を考慮いたしまして今回の独占的措置に関する規定を新設したわけでございます。
○大原(一)委員 現在の改正案の中でいろいろこれを読んでみますと、むずかしくてどっちでもとれるような問題がたくさん入っておりまして、私も読めば読むほどこれはわからなくなるわけであります。私は税法の方には長いことタッチしておりましたが、あれは算式でございまして、あの法律は読んでいけば答えが出るようなことになっておるわけでありますけれども、この法律は読んでいってもさっぱり答えが出ない、どっちでもとれる法律であります。 そこで、私は二、三の問題で承りたいのでありますが、まず五百億円というもの、これは恐らく四十九年の時点で御判断なさったのだろうと思いますが、今後これは著しい物価の変動、出荷の状況等があった場合には改定することになっておりますが、そこで、その「著しい変動」というのは一体どの程度をおっしゃりたいのか。そしてまたもう一つ承りたいのは、五百億はいつの時点を基準にしてお決めになったのか。その時点から恐らく二、三年たっていると思いますが、この五百億を最初の案から現在まで変更していらっしゃらないのはなぜか。この二点を承りたいと思います。
○大橋政府委員 五百億円がいつ決められたものかということになりますと、経緯を考えますと、確かに、先生がおっしゃいますように、二年前の政府法案から五百億円という数字は入っているわけでございますから二年前だったということになるわけでございますけれども、この法律が成立いたしましたときに五百億円という数字は確定するわけでございまして、そういう意味におきまして、その後の変化を織り込んで政令で改定できるというふうに考えております。 それから、二年たってどうして今度五百億円という数字に変わりがないのかということでございますが、御承知のとおり、現在生産も伸び悩んでおりますし、工業製品等につきましては価格もそう上がっておらないということで、試算をいたしましてもそう意味のある変化が出てこないというのが実情でございます。 それから、「著しい変動」ということでございますが、五百億円が、仮にそれでは計算をよくしてみますと五百十億円になったときに著しいと見るかということになりますと、これはやはり見れないのではないだろうか、少なくとも百億円台の変化が起こる場合というふうに脅えておるわけでございます。
○大原(一)委員 大橋審議官のいまの御答弁でいいのだと思うのですけれども、いまの御意見が今後ずっと運用の基準となって動いていくという保証は何もないのですね。ですから、政令でお決めになる場合に、「著しい変動」という、その程度をお決めになる意思はないのか。どの程度著しい変動があったら変更しますとか……。 恐らく、これを動かすときにはまた大変な議論を呼ぶと思うのです。人事院勧告は五%を超えたら勧告しなければならぬとなっているわけでありますが、これにはそういう基準も何もないですね。ずっとこのまま硬直化しておいたら——これはあとで御質問いたしますが、いま九業種とおっしゃるけれども、通産省の業種の計算その他によっては三十一ないし三十三という答えも出ておる。これはいろいろな業種のとり方によるでこぼこだろうと思いますけれども、たとえば五百億以上で四百何品目について公正取引委員会はお調べになったようでありますが、四百五十億から五百億までの企業はいま一体どれくらいあるのか、これも知りたいところでありますが、なかなかこれは大変だと思うのですよ。 二千六百の工業統計表から全部洗ってこいと言ったってなかなかむずかしい問題だと思いますが、そういう点で、政令でどういう決め方をされるのか、その都度何百億と書くだけなのか、あるいは計算方式までお考えになっておるのか、「著しい変動」の程度までお書きになるつもりか、お伺いしたいと思います。
○大橋政府委員 この政令で定めをするものは、五百億円の数字が六百億円になるとか七百億円になるとか、その数字を一つ書くだけでございまして、「著しい」という程度は、第一回に政令が出ますと大体それが前例として確立してくるという形のものではなかろうかというふうに考えております。 この「著しい」というものについて政令でどういうものを書くということはございませんけれども、一回目の政令で改定したときに「著しい」という判断の程度が確定してくる、こういうふうに考えておるわけでございます。
○大原(一)委員 時間がありませんが、もう一つの問題は、一方で五百億円という金額基準でチェックされておるわけですね。ところで、次のチェックの条件としては数量でチェックしていらっしゃるのですね。 数量で把握できない場合は価額によるということが書いてあるわけですが、これはどういうことなんでございましょうか。金額でチェックするなら金額で、やはり一方でチェックされた方がいいのではないか、これは首尾一貫しないのではないか、数量というのは実際問題としてなかなか把握できない面がありはしないか、このように思うのですが、技術的な懸念でございますけれども、お答え願いたいと思います。
○水口政府委員 この辺のお尋ねはごもっともだと思いますが、「独占的状態」に関しまして市場占拠率をいろいろ計算する必要がございます。その場合、法律には「数量」を原則にいたしまして場合によっては「価額」というふうに規定しておるわけでございますが、これは一つはわれわれが現在やっております生産集中度調査とも関連するかもしれませんけれども、いろいろな品目のシェアを計算いたします場合に、物によっては数量で計算をした方が便利であり、物によっては価額で計算をした方が便利だという実務上の要請があるわけでございます。 それで、なぜ数量でやるんだということでございますが、場合によりましては、価額にはリベートとかいろいろな要素が含まれておりまして、それがなかなかわかりにくい、また、その商品によりましては、ブランドイメージによりまして同じものでもいろいろ価格差があるとか、そういったことを考慮いたしまして数量でシェアを計算しているものがあるわけでございます。しかし、今回の「独占的状態は」一定の事業分野をもとに物を考えるわけでございまして、この事業分野が非常にむずかしい。それで、その事業分野の中にはいろいろな商品が一緒になって含まれる場合が多いわけでございますが、そういういろいろな商品が含まれている場合には数量一本で出すことは乱暴でございますから価額によって計算をする。したがって、この独占的状態の方に関しましては、われわれ推定といたしましては、価額によって計算をするという方がかなり多くなってくるんじゃなかろうかというふうに考えております。
○大原(一)委員 たとえば数量が五〇%を超えそうになったという状況を仮に想定してみますと、超えてはたまらぬですね。これは切られますからね。そうすると、そのボーダーライン企業については、何とか付加価値の高いものをつくって数量を価額で逃げるということが起きるだろうと思うのですね。そうするとこれは物価引き上げのメリットがあるんじゃないかと思うのですが、どうですか。 その一点と、それから価額とおっしゃるのは小売価格ですか、卸売価格ですか。この二つをお願いします。
○水口政府委員 まず、価額は卸売価格でございます。 それで、数量でやるか価額でやるかという点でございますが、実は、きょう、この委員会に、独占的状態に関する措置に関しまして、お手元に配付してありますようにガイドラインの公取事務局試案をつくったわけでございまして、その中にも若干数量と価額の点に触れてございますが、いずれこの法律が成立いたしまして正式のガイドラインをつくる際には、こういう事業分野については数量で計算するんだ、こういう事業分野については価額でやるんだということを関係者の御意見もよく聞いた上で決めたいと思っております。 そうすると、ただいまお話しになったような価額を上げてというふうなことが、よくわかりませんが余り起こらぬのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○大原(一)委員 これを読んでみますと「役務の数量」と書いてあるのですが、「役務の数量」というのはよくわからないのですが、これは何ですか。
○大橋政府委員 これは役務の種類によって数量ではかれないものがかなりあることは事実だと思いますけれども、たとえば貨物輸送でございますと、キロ、トンというようなものが数量になるかと思います。
○大原(一)委員 先ほどの数最によるか価額によるかということでありますが、いつぞやの読売新聞に通産省が計算されたものがございましたが、これはたしか三十一業種になっていると思うのです。これは金額でやっているようですね。公取の方は数量でやっていらっしゃるようでありますが、この表をごらんになっていると思いますけれども、金紙と数量の計算で数がふえたり減ったりしているのはどの業種か、お教え願いたいと思います。
○水口政府委員 御指摘のように、公正取引委員会の方では、各方面から何らかの基準がないとはっきりしないという声もございますのでいわゆる九業種というものを公にしておるわけでございます。 それでこの九業種というのは、独占的状態に関する規定の中でいろいろな要件が書いてございますが、その中のいわば形式的な要件、国内供給額は五百億円以上、それからシェアが一社五〇%、三社七五%以上、この二つの要件に該当する業種を選び出したのがこの九業種でございます。そこで通産省の方では三十一業種を言っておいでのようでございますが、これをよく見比べてみますと、どこから大きな違いが出てくるかということは、いま先生がおっしゃいました数量とかあるいは価格の点じゃございませんで、事業分野のとり方でございます。 きょうお手元に配付しました公取の試案をごらんいただきますとわかりますが、「独占的状態」の方の「事業分野」というのは、実際に当てはめようと思うと非常にむずかしいわけでございます。その表をごらんいただきますとわかりますが、一つの事業分野に一般的に言えばかなり品目が入る、これを一つの事業分野として計算をしようということをわれわれの方は考えておりますが、通産省の方はまだそこまでの御検討をされていないようでございまして、したがって、一般的に申しますと公正取引委員会よりもやや細かく品目をおとりのためにそういった差が出てきたのであろう、こういうふうに考えております。
○大原(一)委員 細かく検討しないとわからない点がたくさんあるのですが、たとえばコーヒーとかは公取では拾っておられないですね。コーヒーはどこに入ってきているのですか。
○水口政府委員 通産省の方の表ではコーヒーと一本で上がっておるようでございまして、その範囲がよくわかりませんが、われわれの方ではコーヒー製造業の中でインスタントコーヒーとレギュラーコーヒーと、この二つを合わせて判断すべきであるというふうなことを考えておりまして、その二つを合わせてコーヒー製造業として計算をいたしてみますと、市場占拠率要件を欠くために九業種等には上がっていない、こういうことになるわけでございます。
○大原(一)委員 通産当局に伺いますが、このコーヒーというのはどういう計算基準になっておるのですか。
○濃野政府委員 コーヒーと申しますのは、工業統計の分類の中で、荒びきコーヒー、インスタントコーヒー等全部入った数字として私ども取り上げてみました。
○大原(一)委員 そうしますと、公取と違うところは、公取の方の考え方ではレギュラーコーヒーというのはインスタントコーヒーの中に入っているという理解をしていいのですね。
○水口政府委員 レギュラーコーヒーもインスタントコーヒーも「独占的状態」の定義を判断いたします場合には一定の商品である、したがって一定の事業分野に両方とも入るのだ、こういうことで一緒に計算をしておるわけでございます。
○大原(一)委員 これは、通産当局の資料と公取委のガイドライン資料とを見比べてみますといろいろ論争の種が尽きないわけであります。一つ一つについて全部同じような問題が出てくるのじゃないかと私は思うのでございますが、このガイドラインでございますけれども、九業種を、これは公定力のあるものにして公にされるわけですが、ただこういう資料がございますというだけなんでございますか、その辺はどうなんでしょうか。
○水口政府委員 ただいまのコーヒーの例でもおわかりいただけましたように、仮にこういう法案が成立いたしまして、それを実際の商品に当てはめて計算をしようとする場合にいろいろ見解が分かれるわけでございます。したがって、関係方面からはそれではよくわからぬから公取の方からガイドラインなり基準なりよくわかるようにしてほしいという要請がございます。そこで、われわれの方といたしましては、なるほどもっともなことであるということで、この法律が成立いたしました暁には、関係方面の意見もよく聞きまして意見調整をした上でこれを正式のガイドラインとして公表をしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。 そこで、それじゃそのガイドラインとか基準とかいうのは一体何だということでございますが、それをどういう形のものにするかはまだいま決定はいたしておりませんが、従来このほかに公正取引委員会が発表しております運用基準的なものがいろいろございます。それはたとえば公正取引委員会で決定をいたしまして公表をしたものとか、あるいは公正取引委員会の了承を得て事務局長名で通達として流したものとかいろいろございますので、まあそういったような形に落ちつこうかと思います。
○大原(一)委員 その辺は十分意見調整をしていただいて、その業種のとり方は何らかの基準が出てくるだろうと思うのでございますが、ある程度はっきりされないと、そのときそのときの経済情勢変わってまいりますから、公取委員長もいつまでも同じ委員長がいらっしゃるわけではないのでありまして、くるくる変わってきたのじゃ業界はたまったもんじゃないと思うのです。そういう意味で、いま審議官のおっしゃったガイドライン設定は非常に重要なことだと思います。それと同時に、その業種のとり方にやはり何らかの基準を明示していただきたいと私は思うのであります。 時間がありませんので次に移りますが、五〇%または七五%を超えた場合の分割でございますが、どの部分を分割されるのですか。この条文もむずかしいですな。五五%になったら六%削っちゃうのですか。八〇%になったらその六%分だけを削ればいいのか、その辺は条文に何ら書いてないのでありますが、御意見を承りたいと思います。
○大橋政府委員 政府の法律案の第八条の四でございますが、「独占的状態があるときは、」云々とございまして、「事業者に対し、営業の一部の譲渡その他当該商品又は役務について競争を回復させるために必要な措置を命ずることができる。」というふうに書いてあるわけでございますが、ここは独占的状態を排除するという規定にはなっておらないわけでございまして、いま先生がおっしゃいましたように、五五%のものを六%削れば一応独占的状態ではなくなるわけでございますけれども、それで競争が十分回復されるという目的が達せられるかということになりますと、それはむしろ妙な措置だということになる可能性がございます。もちろんその六%で十分だということもあるわけでございますけれども、この場合には、その措置の有効性を競争回復という観点から見るようになっておるわけでございます。 それから、これは行政の当然の原則でございますけれども、事業者といいますか、国民の側に対して、命令を受ける者に対してなるべく一番負担の軽い措置というのが、必要な限度で負担の軽い措置を選択すべきであるというのがこれは一般の行政の原則でございまして、条文には書いてございませんけれども、そういう理解のもとにこの条文が作成されております。
○大原(一)委員 まあそういうことだろうと思いますが、仮に営業の一部譲渡をやった場合に、株式はどうさせられるのですか。株主はもとのまま残っちゃうということになりますと株式の分割ということは起きないわけです。そうなりますと株価は下がっちゃうことになりますね。 株価は下がるということになると思いますが、その辺の措置については何か配慮があるのですか。
○大橋政府委員 この八条の四の規定自体は、そういう意味におきまして所有権の一部の制限になると考えております。憲法の二十九条の第二項の、「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」ということの一つのあらわれではなかろうかと思っております。したがいまして、このことによりまして正当な命令が出されて株価が下がったということがありましても、そのこと自体で直ちに国家が賠償しなければいけないというようなものとは考えておりません。 しかし、この八条の四の規定は、事業の規模が著しく縮小したり、経理が不健全になったり、国際競争力の維持が困難になったりする場合には発動できないことになっておりますし、また、第二項では「事業者の事業活動の円滑な遂行」ということを配慮の目的として掲げておるわけでありますから、この条項の発動があったからといって株価が著しく下がるということは冷静な判断のもとではないわけでございますけれども、株価というものはいろいろと冷静でない事情も反映して動くわけでございますから、そういうことについてまで補償をするということは予定はしておりません。
○大原(一)委員 先ほども議論が出ていましたが、法務省当局の御答弁は、いわゆる株主総会との関係はどうなんだという議論は、私の個人的見解から言えばナンセンスだと思うのですね。これはもうすれ違いでいいと思うのです。公正競争を実現するために株価がどうなるかなんていう議論は枝葉末節の議論でございまして、これが発動されたら、そのインパクトは原子爆弾クラスだと思うのですよ。企業は、足腰立たぬようになる企業も場合によったら出てくるかもしれない。何回も何回も株主総会をやってこれが通らなかったということになりますと、その社会的責任といいますか、それもただ単なる社会的責任じゃなくて、恐らく、常業の面やいろいろな面で企業にとってはマイナス効果が出てくるであろうと思います。 そういう意味でこれは大変な措置だと私は思いますが、床の間の飾り品でもいいからとにかくこれだけのものを入れられたということについては、これはやはり私が先ほど申しましたように評価を申し上げたいと思うのでありますが、これは読んでいきましてもなかなかわかりにくいですよ。「著しい」という言葉が七つ出ていますね。これは英語で言ったら何と言うのか知らぬけれども、「著しい」「著しい」という、こういう条文というのは、これは税法なんかで書いたらえらいことですよ。とにかく大変気を配られた規定でありまして、私は努力の跡は評価しますが、読んでみて大変わかりにくい条文であるということを印象として申し上げたいと思います。 そこで、この「手続」でございますが、「主務大臣に通知しなければならない。」という、その「通知」というのは「適当な措置」と書いてありますが、この「適当な措置」というのをなぜもっと具体的にお書きにならなかったのですか。
○大橋政府委員 これは通知の時期を指定する趣旨のものでございますけれども、その時期を、現在の条文の中で一番適当な時期——「適当な」というのが重なりますけれども、どういう時期が区切りがついておるかどうかということを考えますと、四十五条という一つ前の条文でございますが、この四十五条に「公正取引委員会は、この法律の規定に違反する事実」とあり、改正法で申しますと、「又は独占的状態に該当する事実があると思料するときは、職権をもつて適当な措置をとることができる。」ということがございますので、この条文を、この「適当な措置」を引いたという形になっておるわけでございます。 その「適当な措置」というのは非常にわかりにくいことはわかりにくいのですが、具体的には非常に条文化しにくい事柄ではなかろうかというふうに考えております。
○大原(一)委員 通産当局は、この「通知」については、これはどの程度の通知が欲しいと思っていらっしゃるのですか。それからこれは何回も通知することはないのでしょうね。一回だけだと思うのですが、その点と、もう一つは「意見を述べることができる。」とありますが、これは何回も意見を申し述べることができるのですか。その辺の解釈をお教え願いたい。
○大橋政府委員 これは立案の考え方をまず申し上げさしていただきますが、「通知」というのは、条文に書いてございますように、適当な「措置をとることとしたときは、その旨」ということでございますから、通知の正式な内容は、具体的に申しますと、この際審査を開始することとした、という通知でございます。ただ、その通知を受けました場合、それは、「主務大臣は、公正取引委員会に対し、独占的状態の有無及び」「競争を回復するに足りると認められる他の措置に関し意見を述べることができる。」ということの前提としての通知でございますから、これは正式の通知の内容となるかどうかは別といたしまして、主務大臣がこの通知をしたことについての事実認識について公正取引委員会に照会いたしました場合には、これは両官庁の話し合いになるわけでございますからそのケースによって異なると思いますけれども、その状況についての意見交換は行われるということになると思います。 それから、主務大臣が意見を何回も述べられるかということになりますと、これは予想しておりますのは、その正式のものは最終的な結論一回ということになるかと思いますけれども、しかし、新しい事実が出てまいりました場合にその意見を述べるということはあえて否定はされておらない、こういうことでございます。
○濃野政府委員 ただいま大橋審議官から法文の解釈についてお答えがございましたが、先ほどの先生の御質問で、この四十五条の二「通知」の内容として通産省として何を期待をしておるかということでございましたが、法文解釈としては、ただいま大橋審議官の御説明にございましたように、法律上は「その旨を」ということになるので、「前条第四項の措置をとることとした」という、いわば審査の手続に移るという事実の通知だと思いますが、私どもといたしましては、その第二項によりまして、産業政策上の観点からもし意見があれば意見を申し述べることになりますので、でき得れば、いま御説明にございましたように、それが通知の内容になるか、あるいは通知を一つの契機といたしましての事実上の各主務官庁と公正取引委員会とのお話し合いになるかは別といたしまして、やはり、「独占的状態に該当する事実があると思料する」に至りました公正取引委員会の御判断の内容については伺いたいというのが私どもの考え方でございます。
○大原(一)委員 その点は、公取の方はいかがですか。紙切れの通知をやって、いまから調査いたしますと言うのですか。なぜかという理由も付して通知をされるわけですか。
○澤田政府委員 通知の内容でございますが、書面にどの程度書くかというような問題とは別にいたしまして、こういう措置をとることにしたという通知、それについての説明というようなものは当然意を尽くさるべきでありまして、それはその後の話し合いのもとになりますから、十分その点は考慮したいと考える次第でございます。
○大原(一)委員 もう時間がございませんので最後に申し上げますが、公取の権限に対して、現在の規定に対して、どうもこの規定はない方がいいような感じが私はするわけでございますが、先ほどの通産当局の御意見では通知をされるについては内容までやはり希望されるということでありますと若干意見の違いがあるようでございますが、私としては、これは調査いたしますということであれば何も通知は要らぬのじゃないかという感じがするのが一点でございます。協議は当然必要であろうと思いますが……。 それと、もう一つ、これは意見を申し上げておきますが、「価格の同調的引上げ」に関する報告の徴収等いろいろ書いてございますけれども、率直に言って、私はこれはもう無害無益の規定だと思います。現在四十条にちゃんと書いてあるんですからね。わざわざこんなことをお書きになって、これは何を書いてあるのかわからない。だから、学者先生方が、こんなことを書くんなら三カ月以内に公表しなさいとまで知恵をつけるだけの話ですね。そういう意味でこの規定はない方がいいという感じが私もいたしますが、公取委員長、これはどうお考えになりますか。
○澤田政府委員 これは、例の七十五国会で御審議をなさいましたときから非常に議論のあるところでございます。四十条の次に四十条の二という規定を置くかどうかというようなことにつきましても非常に問題になったところでございます。しかし、新しい案につきましては、一定の形式的要件が整えば報告を求めることができるという意味でございまして、四十条について特別の制約を加えるものではないというふうに解釈をいたしておる次第でございます。
○大原(一)委員 終わります。
○野呂委員長 武藤嘉文君。
○武藤(嘉)委員 きょうは私よりもほかのもっといろいろ勉強しておられる人にやっていただこうと思っておりましたが、通産大臣が御出席でないということもあったのかと思いますが、わが党の方は次回にやりたいという希望者が多くて、おまえもそのうちにやるんならきょうやっておけということでございますので、きょうは私が一人だけでございますけれども、わが党から質問をさせていただきたいと思います。 理事を仰せつかっている関係もありまして、いろいろと出たり入ったりしておりますので重複する質問があるかと思いますが、その点はひとつお許しをいただきたいと思います。 そこで、まず第一点は根本的な問題でございますけれども、二年前でございましたか、いわゆる第一回の独禁法改正が非常に強く叫ばれまして大きな議論になりました当時はある程度緊急性もあったのではないかと思います。もちろん、独禁法というものは経済の基本的なルールを決めている法律でございますから、そのときそのときに応じて改正をしたり修正をしたりする問題ではないことはよくわかっております。ただ、あのときの物価問題は非常に大きな問題となりまして、そして、独禁法というものも物価政策には多少の寄与は当然あるわけでございますから、そういう面において大きく取り上げられたことは私はよく理解ができますが、最近は全く大変な不況でございまして、正直、企業はその日その日自分のところがつぶれるかどうかというくらいに心配をし、倒産件数も非常にたくさん出ておる。しかも、利潤を上げている企業業種というものは非常に少ない。こういう状態の中で、独禁法の見直しをしていくということを私はもちろん否定するものではございませんが、しかしながら、あの二年あるいは三年前と比較するならば非常に環境が違ってきておる中でなぜ時間を急いでこの法律の改正をやらなければならないのか。いろいろの問題を考えた場合には、やはりもう少し時間をかけていただいてもいいのではないか。 もちろん、わが党でも山中調査会が何回となくおやりをいただいたことはよく承知をしておりますが、しかし、山中調査会の中でやるだけで果たしてこの独禁法の改正はいいのかどうか。もちろんこの委員会でも今度参考人を呼ぶことになっておりますが、もっと幅広くいろいろの関係の多くの方々の意見を十分取り入れ、そしてその上に立って、それは必ずしも経済関係の方だけじゃなくて、もっと大きく言えば日本の国の将来がどうあるべきなのか、たとえば自由主義、民主主義というものをあくまで維持していくという一つの観点から、その政治形態を維持するための経済法律としてはこの独禁法が必要であり、その中で独禁法をこのような形で持っていかなければならないという議論がなされるべきではなかろうか。ところが、残念ながら、私も余り山中調査会に出ていなかったので言う権限はございませんが、いろいろ聞いておると、いわゆる法律字句のいろいろな勉強といいますか、法律の字句をどうすべきかということであって、そういう根本的な哲学的な議論というものはなされていないと聞いておるわけであります。私はその辺において大変遺憾に思っておるわけでございます。 〔委員長退席、中島(源)委員長代理着席〕 きょうまで二、三日続いておる議論の中でも、正直そういう議論というものはいまだかつてなかったように私は思います。 本当は私は総理にお聞きしたいのでございますが、また総理でもお見えになればそのときに聞きたいとは思っておりますけれども、一応提案者である総理府総務長官に、これからの日本の方向というものは一体どういう方向であって、特に経済というものはどういう形態であるべきなのか、そしてその中で独禁法というものはどう位置づけていくべきなのか、その辺の信念と申しますか、独禁法に対する心構えというものをまず承らせていただきたいと思うのでございます。
○藤田国務大臣 すでに先生はすべて御承知の上でおっしゃっていることだと思いますが、独禁法というものは昭和二十八年以来全然改正されておりません。昭和二十八年以来二十四年間にわたって、日本を取り巻く世界の状況、そしてまた日本の経済が非常に変わってきたことは言うまでもないことでございます。昭和四十年代の後半におきまして、ドルショックから始まって、石油ショック、狂乱物価ということを経まして、今日の日本は世界的な物資有限の時代に新しい経済的な産業的なバランスをとり直さなければならぬ。そして、また、世界の中で新しい地位を確立していかなければならぬ。単に経済大国と言われていますが、資源のことに関しましては全く経済的な弱小国であります。そうすると、われわれは武力を持たず、経済をもって今後の日本の世界的な存立意義とそしてまたわが国の国民としての誇りというものを持っていく上におきましても、日本の経済を正常な形で発展させていかなければならぬ、かように思います。 しからばいま不正常であるかというと、こういう不況の中にありまして、正常であるとか不正常であるとかという前に、まず不況を克服しなければならぬというふうなところであろうかと思います。 それから、また、別の観点から言いますと、独禁法の改正というふうなものは、景気の好不況にかかわらず、あるいは政治的なことにかかわらず、これは経済のルールづくりであるし、これをもって自由主義経済に公正な活発な競争を起こしていこう、そして自由主義経済を守っていこう、こういうふうな基本的なものでございますから、いまのような世界的な情勢、そしてまたその中における日本の地位、今後の日本の展望というものは非常に厳しいものがあることもよく存じておりますが、その中において、武力なき国日本にとっては、経済力の公正な、そして活発な発達、自由主義の今後の発展というものが切望されるわけでございます。 これは御質問にないことまで付言して申し上げるようでございますが、いまの日ソの漁業の問題におきましても、アメリカを除いて世界一と言われるソ連の軍事力——われわれにはそういう軍事力というものはない。ないと言ってもいいと思いますね。自衛隊しかないのですから軍事力はないと言ってもいい。しかし、われわれには経済力がある。この日本の経済力をもって、そしてまた世界の公正な判断、批判の中に日ソの漁業というもの、あるいは領土問題というものを取り決めていきたい、かような途上にいまあると思うのです。 ですから、それらを考え合わせますと、今後の日本の経済力というものは、われわれの持つ外国に対しましてのすべての力、その力を養うとともに、公正に対外経済にも世界じゅうにも使用していかなければならぬ、影響を及ぼしていかなければならぬ、かように考えておる次第であります。その意味合いにおきまして今回独禁法の改正措置というものをお願いしておるわけでございます。
○武藤(嘉)委員 将来の展望はわかりましたが、そういう展望からまいりまして、私が先ほども指摘を申し上げましたように、この国会で必ずしもまだ多くの国民各層の意見を聞かないままでありますし、あるいは私ども議員としてもこの問題で十分な調査は行っておりませんが、たとえば西ドイツあたりは御承知のとおり七年間かかっておるわけでございまして、その間には多くの意見を取り入れたり、また、いろいろな調査をしたりして議員自身も相当勉強してやっておるというのが実情でありまして、私も西ドイツへ参りまして直接向こうの国会議員からいろいろその苦心談も承りましたが、正直そういうようなことをもう少ししてもいいんじゃなかろうかと思います。 しかも、先ほども申し上げたように、三、三年前のあの第一回の政府案をお出しになったころとはいささか事情が違っており、その必要性は私はわかりますけれども、ある程度のスピードをあの当時は要求され、早く考えなければいかぬということをあの当時は私も理解できたのでございますが、いまの現在の時点からいけば、いまここで急がなければならないという点が私は理解できない。これが第一点でございますが、どうしてもいまの国会でぜひともやらなければならないという点が私はどうも理解ができないものでございますから、大変恐縮でございますけれども、どうしてもこの国会でやらなければならないんだという緊急必要性について、その点をもう少しお示しをいただけると大変ありがたいと思うのでございます。
○藤田国務大臣 五常修正案が昭和五十年の六月に一応衆議院を成立しましまして参議院で廃案になりましたが、その前におきましても、自由民主党内部におきましてもいろいろ十分に御論議、御審議があったことは承知いたしております。今回のこの政府提案の前に自由民主党の案をいただいたわけでございますが、本当にごくわずかな部分だけを字句の訂正を行いまして、それを政府案として提出をしたわけでございます。この自由民主党案ができます前に、いわゆる山中調査会というものが非常に御勉強に相なって百時間を超える審議をしていただいた、その上に政審、政調あるいは総務会を通して自由民主党としては正式に政府の方に御協議に相なった、政府もそれを受け取りまして慎重に検討した結果出した、こういうわけでございまして、ばかに急いで駆け足で飛び込もうというふうなことではないと私は思うのでございます。 自民党内部でも十分御審議に相なりましたし、各野党の方も、昭和四十九年の公取骨子案というものが出まして、以来十分に御勉強なさってきておりますし、そういう意味では与野党を含めて相当な時間をかけて、足かけは四年でございますが、まる三年足らずの間ですが、時間を経過いたしておりますし、十分御勉強、御研究をいただいた結果本国会で決着をつけたいということでございます。 なぜ本国会で決着をつけねばならぬのかという御質問もその次にございましたけれども、これは先年の暮れに福田内閣ができましたときに各党の党首間の話し合いがございました。そのときにやはり独占禁止法の話も出ておりまして、それぞれ独占禁止法についてはやろうではないかというふうな話し合いがあったように聞いております。これは直接私がその場におったわけではございませんから確かではございませんが、各党とも党首間ではそういう話があったように聞いております。そういうことも一つの要因でもあり、そして、また、いつの日にかいまのような二十四年間も改正されざるこの独占禁止法を改正しなければならぬという時期が来るわけで、また、来ておるわけでもございますし、内容に関しましてもそれほど時間をかけて各党において研究されたものでもございますし、今国会ではぜひとも決着をお願いいたしたい、かようにお願いをしておるような次第でございます。
○武藤(嘉)委員 先ほどおっしゃいましたように、これからの新しい日本の経済の方向というものはあくまでも自由主義経済体制を維持していかなければならないということはよくわかるわけでございますが、ただ、私は、いわゆる大企業を含めて、企業の経営者がこの独禁法の改正によって万が一にも企業の活力を失うような方向に行くならば、これは逆の方向に行くわけでございます。特に、これからの経済政策というものは必ずしもこういう競争政策だけでなくて、たとえば賃金問題あるいは資源問題等あらゆる分野のものと絡み合わせて、独禁政策というのはその中で行かなければいけない。 先ほど総務長官もおっしゃいましたように、非常に制約された中で日本経済が活力を求めていくにはどうしたらいいかということになると、正直、独禁法の従来の法律の字句をいろいろと修正するというだけではいけないのであって、もっと言うならば、私はかつて第一回の独禁法の審議がなされましたときに正田先生が参考人で来られまして正田先生に御質問したことがございますが、たとえば公取委員会の機構というものを変えてしまって、企画庁かどこか、ちょうどドイツの経済省みたいなものの中に公取委員会を外局として入れて、そして経済政策の中で独禁政策を運営していくというのがいいのじゃなかろうかと言ったら、まあ、西ドイツのようなあり方であるならば大変結構だと思いますというお話が正田さんからそのときにございましたが、それは何も日本だってできないことはないだろう——もちろんそれは通産省の機構の改革から、すべて行政の大きな改革が必要かと思うのでございますけれども、そういう議論をしながら、しかしそれは将来の問題だ、しかし第一段階としてはこういう形だというような形で独禁法の改正というものが出てくるならば私はまだわかるのでございますが、独禁法の改正というものが絶対だということになってくると、こういう基本的な法律であるだけにそう安易にいつもいつも直すというようなことはやるべきではないと私は思うのです。 独禁法の改正というのは一回やったら相当の期間——確かに昭和二十八年以降続いてきたのですから、これからの時代に合ったような独禁法の改正をしなければならないということは、先ほど申し上げましたように私もその必要性を十分認めているわけでありますが、ただ、それをやるならば将来を見越して、これから十年なら十年ぐらいは改正をしなくてもいいくらいのしっかりした考え方で改正をしなければいけないのではなかろうかと思うのですが、そういう点においては、正直、自民党の中の山中調査会においてもそういう議論が十分なされていなかったし、この国会の委員会の場でもそういうことが十分議論なされていない。そして、山中調査会の中では違憲論といいますか、機構の問題についての違憲論まで飛び出しておるわけでございまして、この過去にずっと来た違憲論はともかくといたしまして、今後のあり方として、ひとつ思い切ったそういうような機構の改革まで含めてやるくらいの改正を——まあ、それがいいかどうかは別でございますが、ただ、そういうような議論がなされないままに、いまの仕組みの中、いまの一つの独禁法の中で字句を修正していくという形ではいかがなものであろうかというのが私の考え方でございますが、こんな議論をしておりますときょう私は一時間しか時間を与えられておりませんので時間がなくなってしまいますので、ひとつそういう大きな立場での考え方というものも、提案者である総務長官はもちろんのこと内閣全体としても真剣にお考えいただきたいということだけを申し上げまして、次に入らせていただきます。 今度の改正案は、第一次案と多少は違っておりますけれども第一次案に似ておる。それで、第二次案というのは、いわゆる構造規制が全くなくなってしまっておったわけであります。そういう第一次、第二次、第三次と出てきた経緯の中で、私は大変親しくしておる公正取引委員長にこういうことを言うのは恐縮でございますが、第二次案のときも、これでも通れば通らないよりはいいとおっしゃったわけでございます。今度は今度でまたこれも通れば結構だというお話でございますが、第二次と第三次は中身が大変違っておるわけでございます。その辺が、たとえば構造規制がないものは絶対に困るのだというふうに第二次のときにおっしゃっていただいておればこれもまた別でございますが、第二次のときは構造規制が全くないものでもまあいいとおっしゃっていただいた。第三次はまた今度はそれよりはいい、これは第一次案に近いからいい、こういうことだと思いますけれども、構造規制がないものでもまあいまの現行法よりはいいとおっしゃられたことから考えると、第二次案でもいいのか、それともこういうものが出てくればこれが絶対であって、第二次というものはもう全然あれはだめなんだということなのか。その辺のところを、公取委員長のお気持ちをひとつお聞かせいただきたいわけであります。
○澤田政府委員 お尋ねの点につきまして率直に私の気持ちを申し上げたいと思いますが、独禁法の理念とか、その改正の必要等は先ほど総務長官から申し上げたとおりでございまして、それに関して私が就任以来一貫して申しております基本的な考え方は、七十五国会におきまして衆議院で修正可決されました改正の際は、これが基本となって御審議願えれば最も望ましいということを申しておったのでありますが、その間、七十七国会におきまして御指摘のいわゆる第二次案が提案されたわけでございます。私はその際も申したのでありますが、日々独禁行政の遂行に当たっております私どもといたしましては、重要な項目とは言いながら、一つ落ちたから全部だめだというのはいかにも残念である、重要な落ちたものは今後なお時間をかけて、それがむずかしい問題であればあるほど時間をかけて検討するということにして、とりあえず前向きの部分だけでもお通し願えればベターであると、そういう実務担当者のせつない気持ちから申し上げた次第でございまして、基本的に七十五国会でのいわゆる五党修正案が望ましいという姿勢は少しも変わっていないのであります。 今回与党、政府が非常に御苦心の上御提案なさいました案はいわゆる五常修正案に非常に近づいた案でございますので、これを、その御努力とその案自体を高く評価すると申したのは一貫した気持ちから出ておる次第でございますので、御理解を願いたいと存じます。
○武藤(嘉)委員 第一次葉と第三次案、今度の案も正直いささか違うわけでございまして、根本的には第二次案と比べれば相当第一次案に近いことはよくわかりますけれども、いろいろと制約が——制約と言うと悪いのですが、いろいろのものが入っておるわけでございますけれども、その辺は、第一次案と今度の案と比べられてどちらがいいとお考えでございましょうか。もし御意見を承れればひとつ承りたいのでございます。
○澤田政府委員 第一次案も公正取引委員会が政府の一部として関与しております案でありますし、今回の案は私自身が関与して提案の下働きをしておる案でございます。煮詰めてどちらがいいのだという御質問はなかなかお答え申し上げにくいのでありますが、非常に接近したものであり、毎々総務長官も申しておりますように、国会の御審議においてお取り上げ願えるぎりぎりの案としてできたものであるという意味におきまして、新しい案も私は高く評価いたすのであります。 毎々私が五常修正案の線と申しました、その気持ちとあわせまして申し上げますと、これはお話し合いのできる案ではなかろうかと思うのでありまして、先ほども申したのですが、僭越ではございますが、この両案を基礎として御審議を願って、御一致できますならば私として非常に期待しておる結果となり得るものと考える次第でございます。
○武藤(嘉)委員 次に総務長官に伺いますが、今度の第三次案と申しますか、この政府案が決定する段階におきまして、私どもの承知しておるのでは、通産省は第一次案のときよりは正直抵抗が少なかったように私は思うわけでございますが、通産省が第一次案のときより抵抗が少なかったのはどういうところにあったのか、これが第一点。 それから、もう一つは、いわゆる独占的状態があると思考して、調査をする前にひとつ協議をしてほしいということを通産省が申し入れ、それを最後まで——いわゆる審判の前の協議を導入してくれということよりは、どちらかと言えば調査の前の協議をしてくれということを非常に強く主張しておったと聞いておるわけでございます。それが最終的にはたしか「通知」になったと思うのでございますが、その辺のところでございますね。 そして、通産大臣と総務長官との間で内閣総理大臣を入れていろいろ御協議もあったやに承っておるわけでございますけれども、その辺の経緯を少しはっきりと教えていただけますと私どもも政府全体の考え方がよくわかるわけでございますから、ひとつその辺をお願い申し上げたいと思います。
○藤田国務大臣 第一次案ができたときの通産省がどういうことを御主張なさって、そしてまた立案当局である総理府がどういうふうにそれを受け答えしたかということは私はちょっとつまびらかにいたしておりません。ですから、第三次案の方が通産省の方が少し弾力性を持たれた——その比較ができませんのでよくわかりませんけれども、後段の御質問に対しましては、調査を発動するときに、これは強制調査でございますから、これは非常に重要な段階でございます。そして、ある種の業種によっては、そういう強制調査が発動されたということだけでブランドに傷がつくとか、あるいはそういうことが新聞紙上に載ることだけで大変な損害を受けるというふうな業種もあると思います。ですから、この四十条の強制調査というものが発動されるという段階は大変大きな一つの段階であるというふうに思います。その点において、主務官庁である通産省の方でもう少しその辺を考慮したらどうかという御意見があったことはそのとおりでございます。 そこでいまのような「通知」と、それから「意見を述べることができる。」というふうになったわけでございますが、これはあくまでも「通知」であり、「意見を述べる」ということでございまして、二十八条によるところの公正取引委員会の自主性を拘束するものではない。しかし、通知をし、意見を述べるということは、やはりそれなりの大きな意味がある、かように思っております。
○武藤(嘉)委員 通産省の方はどうでございましょうか。産業政策局長もいますし、政務次官も——きょうは大臣がいらっしゃらないのに恐縮でございますが、何かひとつその辺の考えについて……。 私が申し上げたように、私どものひがみかもしれませんが、第一次案のときと今度と比べると、通産省は前と比べると必ずしも抵抗が強くなかった。それから、また、最後までがんばるかと思っておったら、最後はそういうことで、どういう形かでおりられた。どうもその辺が私はよくわからないのですが、どうせおりるなら最初からそんな主張はしない方がよかったのじゃないかと私は思うのですけれども、経済政策を運営しておる一番の責任がある通産省は、その辺はもう少ししっかりと腰を据えていなければいけない。やはり各企業はいろいろと経済政策をしっかりやってくれていると思っている、その通産省が何か腰砕けになるようなことでは——いろいろとそれはよくわかってこうだったとおっしゃればいいのでございますけれども、私ども外から見ているのでよくわかりませんから、その辺、とことんがんばるならがんばるべきだし、本当に考えてこれはおかしいというのなら最初から出すべきじゃなかったと思うのですが、その辺のところを通産省側からもお聞かせいただけると大変ありがたいわけです。
○濃野政府委員 私から御答弁を申し上げることであるかどうか、私自身大変疑問に思っておりますが、ただいま先生の御質問のうちの第一の第一次のときの議論と、それから先生はいま第三次とおっしゃいましたが、今回の改正の経緯を踏まえまして、産業担当官庁の一つでございます私どもの態度が非常に変わってきたんじゃないかということでございますが、私は第一次のときに直接担当しておったわけではありませんのでつまびらかな経緯は存じませんが、通産省としての考え方は基本的には何の変わりもなかった、同じ立場、同じ考えに基づいて今回の改正の議論にも参画をした、このように私は考えております。 それから、第二に、事務当局としての答弁としては大変不適当な答弁かもしれませんが、私どもはいろいろな法律の立案のときに、私どもが立案をいたします場合あるいは他省関係でいろいろな法律がございますが、決まりますまでの間は、それぞれの立場からできるだけの自分たちの立場は主張をし、議論をするということは当然のことでございます。今回も関係者の間で、特に大臣ベースの間でのいろいろな議論が非常に熱心に繰り返して行われまして、その議論の過程で今回の法律の改正案になったわけでございまして、先ほど先生の御質問の中にございましたように、今後の長期的に見ました産業政策は大変むずかしい問題でございますし、特に減速経済になりまして、いわゆる市場メカニズムの効率性、有効性の発揮ということが企業の活力の停滞等を中心に崩れてくるというときには、いろいろな、いわゆる競争原理の減退というものがあるということは一つのおそれとして私どもも考えておりますし、それに対処するために今回のような競争政策の推進ということも非常に重要なことだろうと考えております。 もちろん、その競争政策の問題のほかに備蓄の問題でございますとか等々、市場原理では支配できない、市場原理には任せられない部門というものがこれからの経済運営の中にはたくさん出てくると思いますが、そういうものを踏まえてこれからの産業政策を進める、しかし、その中にやはり競争政策の強化ということも一つの方向として十分わきまえていかなければいかぬことだ、こういうふうに私どもは考えておるわけでございます。
○武藤(嘉)委員 もっと突っ込んでいけば、いまおっしゃたような競争の原理を強化するというようなことからいけば、それならば通産省としてもっと強力な独禁法の改正にしてもいいと思うのですけれども、こうしたら競争がうまくいくとか、あるいは今度のこの独禁法の改正はかえって逆に競争を阻害するものがあるというふうにひょっとして考えなのかどうか。いまの御答弁の中でその辺が私はいささか気になりましたのでお聞きをいたします。
○濃野政府委員 ただいま御答弁申し上げましたように、特に今回独禁法の改正の一つの中心をなしております寡占問題は、これは減速経済を迎えました日本の経済が、いままではいわゆる寡占の弊害というものが日本の経済の面に出ているとは私どもも考えておりませんが、これからの経済の中であるいはそういう問題が出てくる可能性も十分含んでおると思います。そのときには、こういうカルテルの排除措置あるいは独占状態の排除の今回の独禁法に盛られたような措置もやはり一つの方向であるかと思います。 ただ、いまの先生の御指摘は、単に競争政策と言ってもいろいろな内容があるのではないかということで、私どももそういうふうに考えておりますし、先ほど申し上げましたように、現在の経済体制、経済原理を前提にいたしますと、市場のメカニズムを最も有効に活用するということをやはり一つの基本としてこれからも続けなければならぬと思います。しかし、新しくいろいろな問題が出てくると思いまして、先ほどもちょっと申し上げましたように、たとえば経済的セキュリティーの確保ということで備蓄というものを考えたときには、これは市場原理に任してはできない問題でございましょう。それから、そのほかにたとえば国際貿易の問題等いろいろ考えましても、いわゆる市場原理には任せられない面というものが非常にたくさん出てくると思いまして、そういうときには政府がそういうメカニズムを有効に活用させるような補強をすることも必要でございましょうし、あるいは言葉が適当でないかもしれませんが、市場原理に介入していくような産業政策というものもあるいは必要になってくるかもしれません。 しかし、その一番根っこには、企業活力を維持して、市場の、マーケットの持っております有効性はできるだけ最大限に利用していくという意味で競争政策、競争原理ということはこれからの経済政策を貫いていく一つの大きな柱ではないかと、私はこういうふうに考えておるわけでございます。
○武藤(嘉)委員 いろいろと意見を闘わしたいのでございますが、時間が余りございませんので、いまでも問題になっております構造規制の問題について、時間のある限り少し法律に基づいて御質問を申し上げたいと思います。 第一点は、いまもお話がございましたように、通産省は「通知」で承知をしたわけですが、主務大臣に通知をした場合、それに対して「意見を述べることができる。」となっておりますが、その間に調査に入らないのかどうか、その間もすでに調査に入っているのかどうか、ちょっとその辺をお聞かせいただきたいと思います。
○大橋政府委員 規定の上では、その間調査をするかしないかについては何ら規定しておりません。ということは、規定の上では調査を進めてもいいということになるわけでございますが、ただ、行政一般の原則といたしまして、事業者といいますか、民間、国民に無用の負担を課するような調査、権限の行使というものはすべきものではないのではないだろうかということが一般論でございます。
○武藤(嘉)委員 そういう答弁だとこっちは困るのですがね。一般論なら一般論で、それをしないのかどうか、その辺をはっきりしていただきたいのです。
○水口政府委員 お答え申し上げます。 法律的にはいま総理府から説明申し上げたとおりでございますが、実際の運用に当たりましては、まず、独占的状態に対する措置についてはどこが所管するかと申しますと、公取の事務局の中に経済部がございまして、経済部に調査課という課がございまして、一応そこが所管することになっております。 それで、この法律の中にこうなれば独占的状態に該当するといったような規定がいろいろございますから、日ごろからその調査課におきまして主要な業種につきましてはよく状況を把握しております。それで、その把握の仕方はどういうふうにするかと申しますと、主として公表されたいろいろな資料、たとえば有価証券報告書であるとかいろいろな統計がございますが、そういったものを常時把握しておるとともに、市場占拠率等につきましては従来から公正取引委員会が集中度調査などもやっておりますから、そういうことでも情報を得ております。そういうことをもとにいたしまして、それから場合によりましては事業者から任意調査という形で協力を求めてお話を伺うこともございますが、そういうことで把握をする。 そこで、いまお尋ねの「通知」でございますが、調査課の方でいろいろ状況を把握しておりまして、これはどうも独占的状態に該当するのではなかろうか、もう少しよく調べる必要があるのではなかろうかと思うときには、公正取引委員会でもってこれを四十六条調査等に移行するかどうかということをまず決めるわけでございます。そして、これはやはり四十六条で調べた方がよろしかろうという内部の意思決定をいたしました後で主務大臣の方へ通知をする、こういう順序になろうかと思います。
○武藤(嘉)委員 そこで、内部で、経済部でこれを所管するということは今度はきちんと書いてありますからわかりますが、経済部で普通の任意調査やなんかをいろいろやっておられる、その間は相手に対しての立入調査じゃない、これはあくまで資料による調査、こういうふうに解釈してもいいのかどうかということが第一点。 それから、資料によって調査をして、いまの話で、これはどうも独占的状態があるのじゃなかろうかと思考した場合に内部で決定をする。だから、今度内部で決定をするまでは、その間の調査というものはいわゆる資料による調査だと思うのですが、もしそれが間違っておれば御指摘ください。 それから、もしそれが資料であった場合に、ここで決定して通知をする。通知をする間はいいとして、通知を受けてから意見を言うまでの間に当然空間があるわけですが、その空間の間は調査を進めないのかどうか、これが知りたいのです。 前のは私の意見でよければいいとおっしゃってください。
○水口政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、経済部でいろいろ調査いたします際は、やはり、現存する資料、公取が通常日常の業務を通じて得ております情報、そういうことを中心に研究をするというのが中心になろうかと思います。 ただ、それだけでは、たとえば利益の点だとか、あるいは物によってはいろいろと十分でない点もございますから、そういう点を補足するために関係事業者から任意に事情をお聞きするということはあろうかと思います。その協力を得られない場合に四十条の調査権を発動するということも法律的にはあろうかと思いますが、われわれの方といたしましては、実際の運用に当たっては、その統計等を利用することと任意調査を中心にやってまいりたいと思います。 それから、後の方のお尋ねの、さて、公取の中でいよいよこれは四十六条に移行した方がよろしいという委員会の内部決定がございまして主務大臣に通知をいたしますと、そうすると主務大臣から意見を申し出てこられると思いますが、その間でございますが、これは公正取引委員会から主務省の方に通知をいたしているわけでございまして、いずれその主務大臣の方から御意見があるだろうということで、これは常識的に申しまして、御意見があるまでは普通の場合その強制調査にとりかかるということはまずなかろうかと思います。
○武藤(嘉)委員 そうすると、多分いいと思うのですが、やはりこういう点ははっきりしていかないと今後の運営に問題があると思いますので、大変くどいようでございますけれども伺うわけですが、「まず、ない」ではちょっとはっきりしないわけですから、ないならないとはっきりそこは言えないのでしょうか。
○澤田政府委員 これは実際問題と純法律的なたてまえというものがございます。先ほど審議官から、経済部における調査でも、まず既存のいろいろな資料なり任意の協力でやるんだ、そして四十条の調査権を発動するということはまずないということを申し上げたのも同じような意味合いでございまして、四十六条による強制調査を主務大臣から意見表明がないのにやるというのはまことに常識に反することでございまして、「まず、ない」という意味は、そういう強い意味でのことでございます。
○武藤(嘉)委員 「まず、ない」というのは、主務大臣にせっかく意見を求めておるのだから、同じ行政官庁の中ではエチケットとしても当然そういうことはないと、このように判断していいと私はきょうは了承しておきます。 そこで、もう一つ営業の一部譲渡の問題で、この間八日に公取で見解をお出しになりましたが、それを見ておりますと、実質的には寡占状態が起きて、それが弊害の場合にしかやらないことです。言ってみれば、これは新聞でございますから間違っておればあれでございますけれども、こんなふうに見解が出されておるわけでございますけれども、そうなると、この新聞が正しいとした場合に、現行法の七条の営業の一部譲渡は、これは三条の独占の場合も受けてやれることになっておるわけでございますが、そういう意味合いにおいては、現在の独占状態の中で、特に今度の細かいようなことを一々、いわゆる資本金五百億とか五〇%とかいろいろ書いてございますけれども、それをこういうふうに明示しなければ大きな場合に弊害が起こると言うことができないのか。 現行法はそういうことが書いてなくて、独占的状態というのはたしか、読みますと、「事業者が、単独に、又は他の事業者と結合し、」と書いてありますね。そして、「一定の取引分野における競争を実質的に制限すること」ということだけでありますが、これでは不十分だからいろいろと細かく、資本金五百億以上とか、一社五〇%とか、二社で七五%という形にしたのか。その辺は、特に大きいことで弊害があるということならば、これは大きいということじゃなくて、私的独占というのは一定の分野において競争が排除された場合ということになっておりますが、結局、特に大きいということを書かなくても、実際に競争が排除されるようにしなければいけないということで現行法は七条の営業の一部譲渡でやれるというふうになっていると思うのですけれども、それをことさらに一つの独占的状態はこういう状態でありますと言っておいて、そしてその場合には調査をして最終的には営業の一部譲渡を命令するというようなことにいかなければならない。 現行法と今度の新しい考え方のその辺の違いというものについては、現行法でも必ずしもやれないことはないのじゃないかなという感じが私はするのでございますけれども、その辺お聞かせいただきたいと思うのです。
○大橋政府委員 現行法の規定は私的独占に対する規制でございます。先生が先ほどお読みくださいましたように、私的独占は、「単独に、又は他の事業者と結合し、若しくは通謀し、その他いかなる方法を以てするかを問わず、他の事業者の事業活動を排除し、又は支配する」という行為を中心とした概念でございます。これに対しまして独占的状態の方はそういう行為を前提といたしませんで、いわば通常といいますか、そういう特別の行為を伴わない事業活動によりまして独占的な状態が生まれ、弊害をもたらすようになった場合を指しておるわけでございまして、行為を概念としているかしていないかということで若干違いがあるわけでございます。 あと、なぜこういうように細かな規定といいますか、要件を書いたかということでございますけれども、これは一般的に、競争が抑圧されている状態に一つの手段として営業の一部譲渡を設けるというような考え方も確かにあり得るかと思います。あり得るかと思いますけれども、そういう考え方に立ちますと、企業はそれこそどういう場合に競争抑圧というふうに判断されるのかわからないということで、これは企業の行動の指針とは全くなし得ないような定義規定になってしまうのではないだろうかという考えで、ある程度企業が経営の指針とできるような定義規定をつくっていったということでございます。 もっとも、シェアとか五百億円というところが経営の指針になるというのは、そのこと自体余り十分な規定の理解のもとに行われているというふうには考えておりませんけれども、特に三号の要件につきましては、これが企業の経営のルールになるということを期待しているわけでございまして、そういう意味におきまして、この規定の法律的な性格は構造的な規制というふうに読んでいいと思いますけれども、現実の効果は弊害の発生を防止するという、そういう規定であるというふうに考えております。
○武藤(嘉)委員 私の質問の言い方が悪かったかもしれませんけれども、今度の「独占的状態」というものは、いまおっしゃるとおりで、五百億とかあるいはシェア一社五〇%、二社七五というのは絶対的な物差しではないのです。非常に任意的に人間がつくる物差しでありまして、それではそれが独占状態であって、四百九十九億は独占状態ではないのかと言えば、そうではないと思うのです。だから、そういうような規定をことさら入れなくとも、私のこの新聞の受け取り方なんですけれども、確かにいわゆる構造規制と行為規制の違いはありますが、構造でもって規制をするのじゃないのだ、構造があって、その構造の結果弊害があるからということは、何らかの行為がそこにあって当然しかるべきじゃなかろうか、大きいだけで弊害というのは出てくるのじゃなくて、大きいものがいろいろな行為をするから弊害が起きてくるのじゃなかろうかという、そういう私の受け取り方なんですけれども、そうなってくれば、いまの第三条を受けた七条の行為規制でやれないことはないのじゃないかというのが私の質問の趣旨なんです。
○大橋政府委員 私的独占の場合の行為というのは非常に厳しい規定になっておるわけでございます。この「独占的状態」の定義におきましても、それは三号の要件の本文にありますように価格に関する行動、これは行為と言ってもいいと思いますが、その一つ一つの価格決定の積み重ねでございます。そういう相当の期間にわたる価格形成そのものは一つの弊害であり、弊害の要件の一つになっているわけでございますから、そういう意味では行為が基準になっていることは疑いないところでございますけれども、私的独占のような、他を支配するとか排除するとか、他との関係における行為というふうにはなっていないわけでございまして、やはり現在の規定では若干律し得ない、そういうものでないかと思います。
○武藤(嘉)委員 いろいろと議論をしたいのですが、こんなことをやっていると時間が足りませんから次へ進みますが、きょういただいた資料で、いろいろと構造規制のことを書いたものをいただきましたが、あの中に具体例で出ていなかったので私はちょっとお聞きしたいのですけれども、たとえばサントリーにいたしましても、あるいはビール会社にいたしましても、このごろビールと洋酒を一緒にやっているところが多いのでございますが、一体ビールとウイスキーは同じ分類に入れるのか。これは全然別の分類なのか。その辺はバターとかマーガリンとかいうものとはちょっと違って——きょういただいた資料を読んでおりましても、あれから見るとどうも同じ範疇に入れないといけないように私は思うのですけれども、その辺、ビールとウイスキーはどうなのか、あるいはビール、ウイスキーその他の酒数は一体どうするのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○水口政府委員 お答えいたします。 本日この委員会に提出いたしました資料の中に別表第一というのがございますが、これがいわゆる九業種と呼ばれている部分でございます。これをごらんいただきますと、事業分野でビール製造業というのは一つの事業分野である、それからウイスキー製造業というのも一つの事業分野である、これは公正取引委員会の事務局の試案にすぎませんが、いまの段階でわれわれとしてはそういうふうに考えております。 なぜそうかと申しますとこれは非常にむずかしいわけでございますが、法律にいろいろああいった規定がございまして、あれは読んでみてもなかなか抽象的でわかりにくい点もあるわけでございますが、その規定を解釈するに当たっていろいろの言葉をどういうふうに解釈するのかということにつきまして、このお配りした資料の前半の部分にいろいろ書いてございますが、こういった基準によりまして、さて実際にこれを酒なら酒に当てはめてみたら一体どうなるのかというと、これはおっしゃるように非常に判断がむずかしいわけでございます。 商品分類学に関する知識も必要でございますし、法律の知識も必要であるし、お酒なんかわかりやすいものですから、人によってはウイスキーとブランデーは一緒でいいじゃないかとか、あるいはビールまで一緒にしてもいいじゃないかとか、清酒も一緒でもいいじゃないかとかいろいろな説があるわけでございますが、いまここに書いてありますような基準に従って、公正取引委員会の事務局で試案として判断いたしましたところをこういったような分け方にするのが適当じゃないかと思っておりますが、この点については、いずれにいたしましてもこれは試案でございますので、法律が通りますとこれを正式のガイドラインとしてつくり直すことになりますが、その際にはよく関係者の御意見も聞いて、何が一番妥当か納得のいく線を出したいと考えておるわけでございます。
○武藤(嘉)委員 私はこれをきょう読ませていただいたのですよ。そして、「同種の商品」「一定の商品」というのをずっと読んでいますと、私も酒屋だからある程度実態を知っているつもりなんですが、いわゆる酒類を当てはめていくと当然一緒に入ってしまうのですね。そして、その最後になるとビールとウイスキーとは確かに別表では別にしてあるのですけれども、こっちの定義というか、解釈からいきますと、このように書いてある文章を見ていると区分するのはおかしいのであって、だからそれは当然一緒に入ってくるのじゃないかと思うのですが、その辺はどうなんでしょうかね。
○水口政府委員 これは議論をし出しますとなかなか切りがないと思うのです。「類似の商品」ということが書いてございますが、たとえばバターとマーガリンは類似商品であるというふうにいま基準に示してございますが、よく言われる例として、それじゃウイスキーとブランデーはどうかとか、ピアノとオルガンはどうかとか、こうなりますと過去にいろいろ議論がありまして、私はこう思うとかいろいろ説が分かれるわけでございまして、さっき申しましたように一応基準を示しませんと話が進行いたしませんのでわれわれの方としてはこういう基準を示してございますが、いずれ正式のガイドラインとする際には関係者の御意見もよく聞いて、納得のいく妥当な線で確定をしたい、こういうふうに考えております。
○武藤(嘉)委員 もう一つ、たとえばもしビールとウイスキーと分ける場合、「販売費及び一般管理費」ということが、法案に書いてございますが、販売費はこれは直接経費だからある程度わかると思うのですが、ところが、管理費なんというのは、麒麟麦酒にしたって、サントリーにしたって、みんな同じ会社でやっているわけですから、みんな一緒になってしまっているわけですね。たとえばビールとウイスキーと分ける場合、麒麟麦酒なりサントリーの管理費をどういうふうにして配分するのか、それをちょっと教えていただきたいのです。
○水口政府委員 お答えします。 その辺は実際のこういった独占的状態に対する措置が発動されまして、実際に計算する場合にはかなりむずかしい点を含むかと思いますが、一応いまわれわれの段階ではわからない場合には、案分計算というふうなことを考えております。
○武藤(嘉)委員 これは実態からいきますと、私の感じでは、ビールの場合とウイスキーの場合は非常にウエートが違うと思うのですよ。ただ出荷石数だけでやるのじゃなくて、その商売の実態で非常に違うわけですよ。 〔中島(源)委員長代理退席、橋口委員長 代理着席〕 たとえば麒麟が今度シーグラムかなんかやっていますね。そうすると、ビールを売るのは楽なんだけれども、シーグラムを売るのには苦労しているわけです。逆に、サントリーはウイスキーを売るのには楽だけれども、ビールを売るのには苦労しているわけです。それが直接経費だけじゃなくて管理費にも影響しているものが非常に多々あるわけです。そういうものを区分していくのに、ただ案分でやっていいとなると非常に問題でありますね。実際にその辺の基準を明確にできるのかどうか私は非常に疑問だと思うのですが、明確にできるならできるで早くやっていただかないと、法律が通ってからなんて言っていると、正直、われわれ法律を審議しているとその辺がいろいろと問題であります。 だから、もう少し明確に基準を示していただかなければいかぬと思うのですが、きょう試案を出していただきましてまず第一回でございますけれども、この試案でもいろいろとそういう点に問題点があるので、その辺をもっと詰めて、この法案の審議中に基準をもう少しはっきりしたものを出していただきたいと思うのですが、作業はその辺はできないのでしょうか。
○水口政府委員 お答えいたします。 この独禁法の運用に関します基準とかガイドラインというものは現在も幾つかございますが、こういったものの性格からいたしまして、これは法律が成立いたしました暁に可及的速やかに作成するのが筋であろうと思います。 したがって、正式にはそういう運びになりますが、この委員会におきましても、特に「独占的状態」の中の事業分野というものが、いま先生からもいろいろ例を挙げて御指摘がありましたが、なかなかわかりにくい。だから、まず公取の考え方を示すためにこれを提出してほしいという御要望がありましたのできょう提出したわけでございます。ただ、これだけでもなかなか大変でございますが、これはあくまで事務局の試案でございます。 そのほかに御指摘のような点も幾つかあると思いますが、これはいまの段階で全部こういう形にまとめてつくるということはなかなかむずかしいと思いますので、こういう国会答弁等を通じましてできる限りいまのわれわれの考え方をお示ししていきたい、それで、法律が成立いたしましたら、関係方面ともよく御相談もして御意見も聞きたい、こういうふうに思っております。
○武藤(嘉)委員 もう一つ、構造規制で、それでは特許権なんかの適用除外は、当然構造規制の場合についても適用除外になるということはいいと思うのですが、それともう一つは、これはこの間林君も質問したようでございますが、商法との関係で、いわゆる営業の一部譲渡を命じた場合に、今度は取締役が株主総会に対して説得をしなければならない。説得をしてもできなかった場合には——今度は商法の方ですからこれは法務省にお聞きしますが、そういうときには取締役は商法上免責なのか、何も責任を問われないのかどうか、これをお聞きいたします。 私はきょうは、法務省にもちょっと申し上げておきましたが、会社更生法のときの株式保有制限の問題だとか、あるいは中小企業協同組合の課徴金の問題だとか、あるいは中小企業協同組合の場合は、いわゆる独禁法ではカルテルその他が適用除外になっておりますが、そのかわり今度中小企業団体法では公取委員会の同意を得なければならぬと書いてあるわけでありますが、その辺の問題をもうちょっと詰めてやりたいのですけれども、時間がありませんのでその辺は次の機会に細かい問題をやらせていただくことといたしまして、いまの構造規制の問題だけちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○澤田政府委員 特許権との関係につきまして申し上げます。 企業の独占的状態が特許権の行使だけによって生じていると認められるような場合、これは現実的にはまれであるかとは思いますけれども、そういう場合には特許権の正当な行使の結果として独占的状態が生じておるのでございまして、二十三条の趣旨にかんがみまして独占的状態に対する措置はとらないこととなるものど理解いたしております。 それが非常に複合的な原因のときには、これはケース・バイ・ケースによらざるを得ないという考えでございます。
○元木説明員 営業の一部譲渡の命令が下りましたときに、いま、会社の株主総会の特別決議が必要かということの御質問だと思いますけれども、一応私どもとしては必要だというふうに考えております。と申しますのは、もちろん公取委の命令と申しますのは公法上の命令でございますけれども、その後の手続と申しますのはやはり私法上の会社の内部の組織上の問題であるというふうに考えますので、これは必ず特別決議を経なければならないと考えております。 もし、この特別決議をできなかった場合に取締役に責任が生ずるであろうかということでございますけれども、まず、この特別決議に出されます案と申しますのは中身はいろいろございまして、相手方があることでございますから値段の問題もございます。また、ただ営業譲渡の相手方だけではございませんで、債権者と、それからそのほかの従業員等との交渉もございます。したがいまして、それによって譲渡案と申しますのは千変万化ということになってまいります。したがいまして、株主総会としましては、この案ではどうも自分たちの利益が守れない、もう少しいい案を持ってこいというようなことで否決するということもあろうかと存じます。 したがいまして、そういう場合には取締役としましてまたさらにいい案を考えて提出するという義務があるのではなかろうかと思います。ただ、もうこれでこれ以上のものは考えられない、ベストの案を持ってきたのだ、それなのに株主総会で否決されてしまったというようなことになりますと、それは取締役としましては最良の行動をしたわけでございますから、特に審決違反ということにはならないのではなかろうか、このように考えております。
○武藤(嘉)委員 終わります。
○橋口委員長代理 工藤晃君。
○工藤(晃)委員(共) 私は、前回の質問に引き続きまして、第七条の排除措置のところについての質問がまだ十分終わっておりませんので、引き続き続けます。 それで、ここでは第三条で私的独占や不当な取引制限の禁止をし、それから第六条の中の第一項、第二項でそれらの排除措置について規定されているわけでありますが、ここでこういう行為を排除する、そのために「当該行為の差止、営業の一部の譲渡その他これらの規定に違反する行為を排除するために必要な措置を命ずることができる。」ということになるのですが、この「その他これらの規定に違反する行為を排除するために必要な措置を命ずることができる。」ということをめぐっての、実は、二年前のこの委員会での高橋公取委員長の答弁や、裁判所での判決や、あるいはまたここでこの前聞かせていただきました政府の答弁ではどうもいろいろと違いがあるということを前回指摘せざるを得なかったわけであります。 つまり、その行為の差しとめそのもの、これはわかり切っているのですが、その他の行為を排除するため必要な措置ですが、それをめぐって三つの回答があったわけで、一つは、この中にはこういう当該行為の影響の排除措置というものは含まれないのだということ、これは前回ここで伺った意見のように思えましたが、それで悪ければまた改めていただきたいわけであります。 もう一つは、少なくとも部分的には含まれているのだということで、それはこれまで公取が行った審決などで、たとえば将来の違反行為の禁止を行っている。これはもうかなりきつい規制ですね。その行為、あった行為だけでなしに、将来もやってはいけない。これはある意味から言えば、そういう行為が定着することを防ぐとか、その意味で言えば影響ともとれるわけですが、そういうこともあるとか、あるいは価格協定は破棄して、今後共同で価格は決めませんということを取引先や需要者へ周知徹底する、そしてそのやり方まで公取の承認を受けるという例もありましたし、それから価格表の回収、破棄ということもありましたし、さらに価格を再交渉して改めて決める——これなどは大変はっきりして、いまの価格はもうだめにして、それで改めて決めよということになる。当然これは影響の排除措置と見られるわけでありますし、それをめぐっての五十年六月三日の当委員会での野間委員への答弁で、高橋公取委員長が、「確かにそのとおりです。実際的にその影響を排除するための措置が入っていると考えます。」という答弁がなされたわけであります。つまり、これが二つ目の回答であります。 三つ目のこれをめぐっての考え方として、行為の影響の排除措置はすべて含まれるとはっきり受けとれる東京高裁の判決があったことはもうすでに何度も引用されたところであります。「違反してなされている行為の差止、違反行為から、もたらされた結果の除去等、直ちに現在において違反行為がないと同一の状態を作り出すことがその中心となるべきこと」これが中心なんだ。つまり、そういう行為がなかったとした場合にはこういう状態でなければならないという状態をつくり出すことが中心である。価格が上がってしまっている、しかし、カルテルがなければ当然その値上がりがないはずだという状態をつくり出すことが中心であるけれども、これにとどまると解するのは狭い、それだけでも狭いんだということをこの東京高裁の判決は述べていて、現在はたとえ違反行為が継続していなくても、復活するかもわからないときには排除の必要が解消していないという立場から、将来にわたって同一の行為を禁止することもこの行為排除のための必要な措置なんだという、こういう解釈を下しているわけであります。 そういうことから、ここでの審議は、こういう三つの異なる意見があることを前提にして法改正をするということをどうしても考えざるを得ない。そういうことがいいことか悪いことかは別として、本来これは余り望ましいことと思えないのですが、それにしても私が公正取引委員長に一つ伺いたいのは、公正取引委員会として言えばこういう独禁法の条文そのものを今後も当然尊重されると思いますが、公取のこれまでのいろいろな審決の例も尊重する、同時に高裁の判決例もいずれも尊重するということだと思いますが、その点についてここで御明書ください。
○澤田政府委員 御指摘の点は、いわゆる政府の第一次案を審議されました時点においてもいろいろと議論のあった非常にむずかしい点でございますが、今回の改正案の第七条第二項の条文を読んでみますと、「公正取引委員会は、不当な取引制限につき前項に掲げる措置を命ずる場合において、」ということになっております。したがって、影響の排除をいたします場合も前項の措置を命ずる場合において行うと解さざるを得ないのでございまして、その辺からも問題が複雑になっておるのでありまして、影響の排除が第一項に含まれるかどうか、あるいは全然含まれないのかという問題とその辺も関係してくるわけでございます。 それで、実例を申しましても、先ほども御指摘がございましたように、価格の再交渉命令というのは一体影響の排除なのかどうかということ、あるいは非常に明瞭であるように見える東京高裁の判決も影響の排除だけであるというふうに見られるのかどうかということ、その辺がかなりあいまいなところがあることを正直なところ私も感ぜざるを符ないのであります。 しかし、毎々申しましたように、この第一項と第二項と並べて考えますと、影響の排除は第一項には含まれない、そして、いままで行いましたいろいろな措置は本体の違反行為を排除するために同時に付随して行う行為であって、影響の排除とは考えないというのが私どもの解釈でございます。
○工藤(晃)委員(共) 私が最後に伺った公取の審決例はもとより、高裁の判決なども尊重してやっていくかどうか、その点についてお答えがなかったと思います。
○澤田政府委員 従来の審決、それから高裁の判決を尊重することはもちろんでございます。ただ、現在の私の解釈として、それが行為の排除措置に入るのか、影響の排除措置に入るのかという点の解釈を申し上げた次第でございます。
○工藤(晃)委員(共) もしそこまではっきり言われてしまうならば、それでは東京高裁の判決は影響排除が入らないのだという説明なり証明をちょっとしていただきたいのですが……。
○水口政府委員 お答えいたします。 証明というのは非常にむずかしいと思います。確かにこれは「結果の除去」という言葉を使ってございますので、先生のおっしゃったような読み方もあるいはあり得るかと思います。ただ、われわれの方といたしましては、この判決をいろいろ読んでみたわけでございますが、前回も御説明いたしましたけれども、この判決というのは東宝と新東宝との間の不公正取引事件として東京高裁の判決があった、それに伴ってこういう判示がなされたということでございます。 それで、本件は、東宝の方が力が強くて、新東宝に対して、排他条件つき取引とわれわれの方で言っておりますが、そういうふうな不公正な取引をやめなさいというのがその主体でございますが、それに関連いたしましていろいろの判示があった。この中には将来また同じようなことをやってはいけませんよということもございますが、そのほかに「結果の除去等」という言葉も入っておるわけでございます。 この「結果の除去等」というのをどういうふうに読んだらいいだろうかということですが、確かに先生のおっしゃるような説も成り立つと思いますが、われわれの方といたしましては、結果の除去と影響の排除ということがイコールであろうか、やはり多少言葉が違うのじゃなかろうか、違反行為というものがまずあって、その影響が出てきてこれを排除する場合と違反行為の結果を除去する場合と直ちにイコールと言えるか——われわれの感じでございますが、どうも結果の除去と言った方がより違反行為に密着しておるのではなかろうか。だから、たとえて言いますれば、これは東宝と新東宝との問の不公正な取引に関する契約そのものの排除を命ずると同時に、ただ契約を排除しただけで果たして不公正な行為が完全になくなるかどうだろうか、今後とも実際の事業活動においてそういうふうなことがないようにしなさいというふうな趣旨を含んだことではなかろうかとわれわれの方では解釈をいたしておるわけでございます。
○工藤(晃)委員(共) 大分苦しい解釈だと思いますが、たとえば影響という言葉を今度英語に直していくと、インフルエンスだとかエフェクトだとかコンセクエンスなどというのが普通の字引に出てきますが、特にコンセクエンスなんてなると明らかに結果という意味が強いので、これはもともと結果と影響とを分けるということは大変むずかしいことだと思います。 それでは、この独禁法そのもので、「不当な取引制限」とはどういう定義がなされているのか、それをちょっとお読み願いたいのです。お願いします。
○水口政府委員 お読みいたします。 「不当な取引制限」の定義は独禁法の二条の六項に書いてございますが、「この法律において不当な取引制限とは、事業者が、契約、協定その他何らの名義を以てするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。」と、かように書いてございます。
○工藤(晃)委員(共) そのように書いてあるわけですが、ここでは、「不当な取引制限」とは何か、事業者が他の事業者と何らかの形で共同する、話し合いでも何でもする、協定を結ぶ、そして対価を、値段を上げたりいろいろする、そしてそれがそういうことによって「公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。」という、この行為全体の規定から言うと、たとえば公共の利益に反して制限する——事業者が最初から故意に公共の利益に反してやろうという行為としては書いてないけれども、しかし、共同して値段を上げたり何かしたことが結果として公共の利益に反し、そして値段がつり上がった状態になってしまう、だれが買うのでも高い値段で買わされる、こういう状態をつくり出せるわけでありますから、ここのところというのは、これは何もここでこの議論をこれ以上することはないのですが、明らかに、ただ協定をした、共同したという狭い行為でなしに、その結果公共の利益を著しく傷つける、反する、そしてまたこういう値段がもう硬直化したような状態ができるという、ここまで含んで言っているのですから、ごく常識的に読むならば、こういう行為をやってこういう影響まで起きているというこういう全体を取り除かなければいけないということは明らかだろうと思います。 しかし、時間が余りありませんのでそればかりここでやっているわけにいかないので、そこでもう一度本論に戻しますと、いまそういう御説明をいただきましたが、このその他「必要な措置」というのをめぐって三つの明らかにニュアンスの違う説明が行われてきたし、この前も私が引用して、公取委員長も御確認なさったように、高橋公取委員長の確かに影響排除も入っているという答弁もあったということは確認されたと思うのですが、結局、そういうことを前提にして、いままで七条には、「行為」だけで、それ「によつて生じた影響」という用語が入っていなかった。いわば法文として未分化な状態であった。それを今度新たに二項を設けて、「行為」と、それ「によつて生じた影響」というふうに二つの対立をつくり出すとするならば、結局そこでいろいろ問題が出てくるということをこの前も強調したわけであります。 というのは、その第一項もその排除をするために命令を行うことができるということで、第二項も命令ができるということならば、対策として同等の厳しい措置ということになるわけでありますが、「行為」の方は排除の命令で、そして「影響」の方は自分で被審人に届け出なさいと言うにとどめるということになると、しかも、この法文の解釈をめぐって、さっき言ったように幾つかの違いがあるということを前提にしてここで審議をするとなると、特にたとえば東京高裁判決のようなかなりきつい立場からすれば、明らかにこれで命ずることができるのは「行為」だけだというふうにされてしまうともう大変な後退が起きるし、あるいはまたその部分的には入っていたんだという見解からしても、それはこれまでのいろいろな審決例の具体例集として示されたものであり、これはもっとどこまで入り得るか決まったものでないのをここでやはり「行為」と「影響」に分断してしまうとどうしても第一項の方が狭くなるのではないかという、そういう心配が出てくるわけであります。まして、いまのような政府の見解で、いわゆる行為はあっても影響に対する排除措置はないということを全面的にとるということになると一層問題が出てくるということを私はここで指摘しなければならないと思います。 さて、質問を続けまして、それでは、「当該行為によつて生じた影響を排除するためにとることとなる具体的な措置の内容」ですが、これはもう一度改めて聞きたいのですが、だれが決めることになりますか。
○大橋政府委員 この内容を決定するのは事業者でございます。ただし、公正取引委員会は、事業者がその決定をするような命令は出せることになっております。
○工藤(晃)委員(共) 「不当な取引制限につき前項に掲げる措置を命ずる場合において、」というのは、これは審決の中でやるというふうに理解していいわけですね。
○大橋政府委員 そのとおりでございます。
○工藤(晃)委員(共) たとえば審決の形式を、主文、事実、証拠、法令の適用という形式だとすると、主文のうちの一項目としてこれが書き込まれるわけですね。
○大橋政府委員 そのとおりでございます。
○工藤(晃)委員(共) 七十五国会のときの第一次政府案で「当該措置の実施後」とあったのと今度は少しニュアンスが違うのですが、それはどういうふうに違ったわけですか。
○大橋政府委員 第一回の政府案のときの「当該措置の実施後」という言葉の意味でございますが、あれは第一項の本文に書いてございました「措置」を全部実施してもなお残るというような意味で書いてあったわけでございますけれども、時間的に実施した後というような解釈もとられるおそれがございます。時間的に後ということになりますと、一定期間に報告を求めるというような措置の実施後かというような御議論がございまして、そういう意味で書いたわけでございませんけれども、そういう議論がございましたので今回は削除いたしました。 ただし、「必要があると認めるときは、」という言葉が入っておるわけでございます。これは第一項の措置で全部カバーできればそれ以上必要はないけれども、第一項の措置を、従来の考え方をもっと徹底させて、公正取引委員会が限界ぎりぎりまでやった後なお必要なときは、という意味でございます。
○工藤(晃)委員(共) それでは具体的に被審人に対して届け出の命令を書くときに、たとえばどういうふうに主文は書くことになるわけですか。非常に抽象的に、「以上の違反行為によって生じた影響を排除するためとることとなる具体的な措置を届け出よ」というような、この程度の粗さで書くのか、それとももう一つ、「以上の違反行為によって生じた影響を排除せよ」と一度くくっておいて、「そのためとることとなる具体的な措置を届け出よ」というようになるのか、これはどっちになるのですか。
○大橋政府委員 具体的に審決をつくられるのは公正取引委員会でございますが、条文をつくりました立場から申しますと、ただいまの最後の御指摘のような「排除せよ」というような規定は入らないと思います。 ただし、どういう影響かということはなるべく特定していいのではないかと思います。もともと独占禁止法の規定というのは抽象的な文言でございますが、審決という形で国民に義務を負わせます場合には内容はなるべく具体的に行うということで、いままでもそういうふうにしておられるわけでございますが、この場合はどういうものを「影響」と考えているのかということは当然審決の中に表現されるというふうに理解しております。
○工藤(晃)委員(共) いわゆる審決ですから、その当該行為が何であるかはっきりする。それから、では、当該行為によって生じた内容と、それからもう一つそれをとるための措置と三つありますね。そのうち内容はもちろん公取が判断するけれども、なるべく特定してというのはどの程度具体的に書くのですか、それをもう少し説明してほしいのです。
○水口政府委員 現在の七条は御承知のように違反行為の排除措置でございますので、これに基づきます主文というのは、御承知のように、カルテル等がございましたらそういったような協定を破棄しなさいということが一番中心になりまして、それにいろいろな関係先への周知とか、とった措置の報告とか、こういうものが盛り込まれておるのが普通でございます。 今回改正法が成立いたしますと二項が出てまいるわけでございますが、二項は新しい規定でございますのでもちろん前例はまだないわけでございますが、われわれの方の担当のところで、こういう改正法が成立したときにどういうふうな主文になるかなというモデルのようなものを一応書いているわけでございます。それをちょっと読み上げますと、「カルテルによらない価格に決め直すための具体的措置を自主的に定め、これを速やかに公正取引委員会に届け出るとともに、当該具体的措置の実施状況を一定期間定期的に報告しなければならない。」これは単なる一つのモデルでございますが、おおむねこういうことになるのではなかろうかといまの段階では考えております。
○工藤(晃)委員(共) そうしますと、「カルテル価格によらない価格」と、そこまでは書かれますが、当然想像されるとくろのもとの価格へ戻せとか、そういうことはないわけですね。
○水口政府委員 御承知のように、今回の二項は「措置」を命令するのは公正取引委員会でございますが、中身は当事者と申しますか、事業者の方がみずから決めるわけでございますから、公正取引委員会の方からたとえば価格をもとへ戻せとか、幾らに下げろとか、こういうふうなことを言うことはできない、こういうふうに解釈しております。
○工藤(晃)委員(共) 私がこういう質問をするのは、公正取引委員会がどこまで被審人を縛るのかということでいろいろ聞いているわけであります。 この中の「影響を排除するためにとることとなる具体的措置の内容」というのは事業者の決定に任されるということなんですが、そもそも全会一致で通った五党修正案は——それを排除するために必要な措置であるならば、これは公正取引委員会が影響を排除するために必要だと考えるならばそのすべてが含まれるけれども、事業者の方に「排除するためにとることとなる具体的措置」ということになると、もともと事業者は排除したくないし、しかも排除するため必要なすべてのということでもないし、排除するために自分はこの程度とればいいという非常に緩い規定だと思いますが、それでいいわけですか。
○水口政府委員 いまおっしゃいましたように、その「具体的措置」の中身は事業者みずから決めるわけでございますから、そういった意味では緩い規定であるというふうに私も考えます。
○工藤(晃)委員(共) では、ここのところで届け出を出しなさいという命令に事業者が従わなかったとか、あるいはまたその後定期的に報告を出すことに従わなかったというときにはどういう罰則が働くわけですか。
○水口政府委員 お答えいたします。 その場合には審決違反ということで罰則規定が置かれておるわけでございます。
○工藤(晃)委員(共) では、業者の方が自主的な届け出をやって、前の価格はもうパアにします、鋼材一トン当たり一万円上げましたけれども、これをこれだけ下げます、いろいろやる場合もあるし、ただ抽象的に今後は大いに自主的に決めますという、そういうスローガン的な届け出をすることもあるだろうと思いますが、いずれにせよ、かなり具体的に特定して届け出をして、それを実行しなかった場合にはどうなりますか。
○水口政府委員 具体的内容を事業者が決めて届け出をして、それを実行しないという場合は、やはり審決違反になろうかと思います。
○工藤(晃)委員(共) 法としてこういう矛盾も出てくるのは、もともと被審人に自主的に決めろということ自体一つの大きな矛盾があるのですが、それをその当時は非常にまじめに受け取って真剣にこれだけ下げようということを届けてしまったけれども、結果が下げられなかったら審決違反になる、そこをずるく立ち回って、なるべく小さく、そういう後くされがないように届けておく、そういう方が後で審決違反を問われないということになると思いますが、その点はどうですか。
○水口政府委員 お答えいたします。 公正取引委員会といたしましては、申すまでもないことながら、独禁法の規定を厳正に運用するというのが本来の職務でございますから、客観的にだれが考えても非常にふまじめな届け出が出たような場合には、これではだめであるから考え直せといって指導することは可能かと思いますが、しかし、現在の改正規定の二項と申しますのは、何回も申しますように、その内容は事業者が定めるわけでございますから、余り公正取引委員会からああしろこうしろといったような大きな干渉をすることは適当ではない、こういうふうに考えております。
○工藤(晃)委員(共) これと関連して、要するに届け出て後ふまじめだと思ったら行政指導をするというのは、これはすべて審決が出された後で、それは審決分には関係ないわけですね。
○水口政府委員 審決を適正に執行していただくための手段だと考えます。
○工藤(晃)委員(共) 七条関係では一応質問をこれまでとしますが、これまでのいろいろ質疑を通しましても、実際に必要な措置を公取が命ずることができるということにしておけば非常にわかりやすくなるところが、事業者に届け出をやらせる、内容は事業者任せであるというようなことからいろいろ矛盾が出てくるし、しかも、それが、これまでの独禁法の一つの生命とも言える排除措置における厳しい措置がとれるという点などに対してもある影響が出てくるということを見逃がすわけにいかないと思います。 続いて私は四十条、四十四条、それから十八条の二の関係で質問を続けたいと思います。 商工委員会に要求された資料が届いておりますが、そのほか十八条の二の関係の「同種の商品」の価格が合計三百億円以上で、上位三社が七〇%以上の業種、これは調査としてはもう発表されておりますか。
○水口政府委員 恐縮でございますが、いまちょっと調べておりますので、後ほどちょっと……。
○工藤(晃)委員(共) それは、ではいずれ調査してお知らせ願いたいわけでありますが、ついでに上位三社六〇%以上の業種もあわせてお知らせ願いたいと思います。 さて、では具体的なことについて伺いたいのですが、鉄鋼業界に行った一次、二次、三次の調査というのがありますが、これは独禁法の四十条に基づく調査として行われたのかどうか、それについて伺います。
○澤田政府委員 これは事業費の協力を得まして、任意調査で行いました。
○工藤(晃)委員(共) この調査で、「第三次鋼材値上げ調査について」によると、これは五十一年十三月八日とありますが、この中で、「次の点は、メーカー間において事前に意思の連絡があったことを疑わせるが、調査の結果、それを確認することはできなかった。」としながら、「値上げが、五月二十一日から二十七日までの短期間に公表され、しかも、各メーカーの値上げ幅等の決定が五月十九、二十日に集中している。」となっております。非常に短い間に公表され、値上げ幅の決定というのが二日に集中しているということや、それからメーカー側がなぜ値上げをするかというとき、「コストアップ内容や値上げ試算額がかなり相違しているにもかかわらず、」「品目によっては百円単位まで一致したものがある。」というように幾つか理由が挙げられていたわけですが、これは結局いろいろ調査して、事前の連絡があったのではないかということで努力して調査したけれども、確証が得られなかった、そういう結果に終わった、こういうふうに考えてよろしいですか。 〔橋口委員長代理退席、中島(源)委員長 代理着席〕
○澤田政府委員 そういうことでございます。
○工藤(晃)委員(共) ここで「事前に意思の連絡があったことを疑わせる」という、その事前に連絡があるかないかという問題になると、いわゆる寡占市場でのよく言われている意識的並行行為、A社が上げ、それにB社がならうとか、そういうこととは違って、独禁法で言うと共同に関する事前の連絡、そういう疑いを持ってこの調査を行ったということですか。
○水口政府委員 カルテルとは、御承知のように、明示あるいは黙示の意思の合致によるものを申すわけでございますが、協調的な寡占市場におきましては、このような意思の合致がなくても、お互いに相手の行動を予測することによって同一の企業行動がとられることがあり得ることがございます。このような企業行動が意識的並行行為と称されると理解しておるわけでございまして、その点がカルテルと少し異なるというふうに考えます。
○工藤(晃)委員(共) 私が伺ったのは、そういう違いについての説明も結構なんですが、この鉄鋼調査の場合、報告の中でも事前に連絡があったことを疑わせると言うが、確証が得られなかったと言っておりますね。そうすると、ここで単なる意識的並行行為とかいうのでなしに、カルテル行為もあったのではないか、そのにおいも相当するということですか。私が伺ったのはそういう意味なんです。また、そうやって調査したのですかということです。
○吉野政府委員 お答えいたします。 鋼材の値上げの調査に当たりまして、ただいまの先生の御指摘のような共同行為の端緒と申しますか、疑いが持たれた場合には、必然公取としては四十六条の強制調査に踏み切るべきところでございますが、その当時そういった端緒が十分でないというところから経済部の方で任意に調査に取りかかったという事情でございます。
○工藤(晃)委員(共) 四十六条までいかなかったのですが、その場合、ではなぜ四十条調査をやらなかったのかということをちょっと聞きたいと思います。
○吉野政府委員 お答えいたします。 鋼材の値上げ調査につきましては、一昨年、昨年二回と三次にわたって調査をいたしております。それで、第一次、第二次の調査に当たりましても業界側の協力が得られました。また、三次の調査におきましても一応協力が得られるというところで、特に四十条は発動しておりません。
○工藤(晃)委員(共) 協力が得られたから調査ができたということですが、その結果、疑わしいけれども証拠が出なかったという結果も付随したのではないかと想像せざるを得ないのですが、私は最初に、独禁法改正問題で原点ということをずいぶん強調しました。国民が何をどういうことから改正を望んでおるのかということ、そしてその中で寡占体制の同調値上げということが大変大きく問題になってきたわけでありますが、何とかそれを抑えるような改正をやりたいと私も強く念願するものですが、ともかく、いわゆるカルテルと寡占の同調値上げというのは結果が国民にとって悪いということは同じだし、もっと寡占になると、少数が集中しているだけに結果がはるかに悪いということがわかっている。明らかに公共の利益に反して、一定の取引分野の競争を実質的に制限しているという状態があらわれているということは、これはもう認めざるを得ない。 問題は、カルテルでないから抜けられるということですが、寡占体制になると、これは御説明がありましたように、協定だなんてそういうやぼなことをわざわざしなくても、いつも同調的に値段を上げたり、生産を調整したり、設備投資の調整をやったりいろいろできてしまうということもあるし、それからもう一つ、寡占体制になると、仮にこういう事前の連絡をやっていてもなかなかしっぽをつかまれない。つまり、証拠がとりにくいという面から同調しやすい、そういう面からこれに対する対策がいよいよ重要になってきていると思うのですが、先ほど挙げられました鉄鋼の値上げ、いままた次の値上げが行われつつありますが、四十九年からの五回の値上げ、まさに繰り返し体質として定着しているわけであります。 ところが、このことでその値上げがどこでどういうふうに決められたかという調査をいろいろしなければならないのですが、鉄鋼業界というのはいつも集まっていろいろ話し合っているではないか、一体何を話し合っているのか、それで伺いたいのですが、前は産業構造審議会の鉄鋼部会というのが大変よく動いていて、そこで非常に活発な官民協調と言われた活動を展開していたのですが、最近はどうも鉄鋼部会の方は余り盛んにやっておられないようで、かわりに月曜会というのがあるのですが、これは一体何をやっているところですか、お伺いします。
○天谷政府委員 月曜会は通産省の基礎産業局長が招集して、出席いたしておりますのは高炉メーカー八社の営業担当の重役でございます。 そこで主として話しておりますことは、第一に統計報告、それからその他マーケットの状況、それから最近におきましては特に目立っておる現象でございますが、ヨーロッパあるいはアメリカ等におきまして、日本の鉄鋼輸出が現地でいろいろな摩擦を引き起こしておりますので、そういう摩擦に関する情報、認識の仕方、それから対策、こういうようなことについて情報を交換し、あるいは通産省が行政指導をいたしております。
○工藤(晃)委員(共) それは毎週開いているのですか。
○天谷政府委員 毎週月曜日に開いております。
○工藤(晃)委員(共) それは議事録などは見せていただけますか。
○天谷政府委員 議事録等は作成いたしておりません。
○工藤(晃)委員(共) 産構審のときの鉄鋼部会のときは議事録はあったんですか。
○天谷政府委員 産構審の部会あるいは産構審におけるあらゆる会議におきましては、議事録を作成いたしております。
○工藤(晃)委員(共) 産構審の趣旨そのものもいろいろ問題があるのですが、産構審という法律でもある程度規定された審議会とは別の月曜会というものができてしまって、それで議事録もとらないで毎週鉄鋼業界が集まって顔を合わせている。そこへ通産省がおいでになって、いま大体来月の自動車の生産はこのくらいになるからというデータをすれば、では来月は鉄鋼はどの程度、薄板はどの程度にしようかという話もおのずから出てしまうし、さっき言ったところのいつも値上げを繰り返す鉄鋼代表者がそこへ集まっているという状態を見ると、ただの意識的並行行為というもの以上に、年がら年じゅう顔をつき合わせていて、それでお互いのやることを黙認し合い、もし不満があればいろいろあるでしょうけれども、そういう状態が続いている。こういうことを前提にしてこの寡占体制の同調値上げというものをどうしても取り締まらなければならないと思うのですが、その点はどうなんでしょうか。公正取引委員長、こういう状態なんですね。どうしたらいいのか、これまでいろいろお考えになったと思いますが、ちょっと伺いたいと思います。
○澤田政府委員 鉄鋼業界に限りませんけれども、先ほどもお答え申し上げましたように、明白な端緒がある場合は法規に照らして厳重な措置をとります。そこまで至らない場合も、私どもの方は各段階に応じまして任意に事情を明らかにする努力をいたしておるわけでございます。 今後もそういう方針で臨んでまいりたいと思っております。
○工藤(晃)委員(共) いまの産業の実態がそういうふうになっているから、少なくともこの問題に対処しようと思えば二つしか対策はない。一つは、もう年がら年じゅう顔を合わせ、しかも通産省が一緒に出て顔を合わせているそういう業界が四十九年以来もう五回も繰り返し同調値上げをやっているという状態があるのならば、外形からそれに対して相当厳しい措置をとるという問題と、それからもう一つは、結局そういう大企業の経理とか原価を明らかにするという方向に進まなければいけないということがいよいよ明らかになると思うのですが、それはきょうの独禁法の改正問題でまたわれわれが出しております五常修正案に基づく案にもそこまでは言っていませんけれども、しかし、少なくともさっき私が強調した原点をどうするかという精神から言うと、ここのところを何とか突破しなければならないということになると思うわけです。 そういうことで、結局、この四十条に基づく調査とそれから十八条の二に基づく調査というか、報告、その関係についてもう一度伺いたいのですが、これは二年前の七十五国会での委員会で出された資料で、たとえば四十条調査の事例として四十九年四月の第二次商社調査があるけれども、これは何か事前の事件の予備調査としてやったのか、もっと一般的な調査としてやったのか、それについてちょっと伺いたいと思います。
○水口政府委員 お答えいたします。 何か具体的な事件に関連しての調査ではございません。どちらかといえば一般的な調査だと思います。
○工藤(晃)委員(共) それから、五十年六月十七日の当委員会で、これは議事録に載っておりますが、横路委員の質問に対しての味村政府委員の答弁として、四十条調査は公取の一般的な調査権の規定だ、職務は具体的に法律に規定されているから、具体的に規定された職務を行うのに必要な場合四十条の規定で強制的な調査権がある、およそ公取の行う職務を行うのに必要があるとき四十条の規定が働くというふうに書いてありますが、そういう意味で言えば、もう一度さっきの蒸し返しになりますが、鉄鋼の三次調査も四十条による調査はやれる状況にあったというふうに言うことはできますかどうか。
○水口政府委員 お答えいたします。 四十条の調査権につきましてはいろいろ議論のあるところでございますが、これは公正取引委員会が「その職務を行うために必要があるとき」に行使されるものであるというふうに書かれておるわけでございます。御承知のようにこれは罰則によって担保されておりますので、「職務を行うために必要があるとき」とは言うものの、その行使はよほど慎重であるべきだというふうに考えております。 そこで、具体的な従来の運用の事例でございますけれども、原則的には、さっきお話にありましたように、独占禁止法の中の具体的規定の適用に直接結びつく事項の調査を四十条によって行うのがたてまえであるというふうにわれわれは考えております。一例を挙げますと、たとえば上十四条の二の再販の規定による商品指定ということがございますが、それに関する調査、これなどは四十条調査で最もしばしば行うところでございます。 〔中島(源)委員長代理退席、委員長着席〕 問題はそういった独禁法の具体的規定の適用に結びつかない調査でございますが、先ほどちょっとお話のありました商社の調査とか、それからあるいは管理価格調査というものをやっておりますが、そういったものはいわば現に競争が失われておる状態が生じておる、これを放置しておけば独禁法の目的が達成できなくなるといったようなおそれがあります場合に、その実態を明らかにするための調査の事例であるとわれわれは解しておりますが、こういう調査に当たりましては、四十条を適用することはどちらかといえばやはり慎重にやるべきであるというふうに考えております。
○工藤(晃)委員(共) さっき言った鉄鋼調査のときに四十条を適用しようと思えばできたのかどうかということについて答えがなかったんですがね。
○水口政府委員 これは非常にむずかしい問題でございまして、できるかできないかといえばできると思いますが、いま御説明したような四十条についてのわれわれの解釈でございますので、まず、実際の運用に当たりましてはそういった同調的値上げに関する調査は任意調査でやる、どうしてもその御協力が得られないというふうな場合には四十条を適用することも場合によってはあるというふうに考えております。
○工藤(晃)委員(共) これは十八条の二と四十条との関係でありますが、前回四十条の二となっていたところと四十条の関係について、やはり高橋公取委員長が、議事録によりますと、四十条の二はいわば宣言的効果で、四十条の二に基づく報告書で、たとえばその理由がはなはだしく不備なものであるという場合には改めて出頭していただかなければならないけれども、その出頭を決めているのが四十条なんです、ですから四十条とあわせて用いなければ四十条の二は生きてこないという意味のことを言っております。 これは十八条の二に移されたと思いますが、この十八条の二と四十条との関係というのは大体こういう関係だと理解していいわけでありますか。
○大橋政府委員 通常の場合、十八条の二の報告が不十分な場合には、十八条の二自体はやはり十分な報告を求める権限でございますから、十八条の二による権限が行使されるというふうに考えておりまして、そのことをもって直ちに四十条の調査に移るというような解釈はしておりません。
○工藤(晃)委員(共) この前も指摘したのですが、二年前ここで審議して、そこで公正取引委員長の答弁として出されたこととかなりニュアンスが違うことをまた今度は政府がされるということが繰り返されているわけですが、この点についての公正取引委員長の方のお考えはどうでしょうか。
○澤田政府委員 ただいまの審議官のお考えと同じでございます。
○工藤(晃)委員(共) だから、二年前にやった審議の成果などが受け継がれないで、改めた新解釈を次々と持ち出されてくるというところに今度の政府案そのものに対して私はいよいよ疑惑を大きくする、疑惑を大きくせざるを得ないような答弁をそちらがなさっているというように考えざるを得ないのです。 それはそれとしまして、たとえば十八条の二から報告を求めることを避けて、「三箇月以内」を三カ月と一週間くらいにおくらすというようなことが定着するようになったらどうしますか。
○大橋政府委員 そのような場合には現行の四十条の調査としてできるかどうかということでございますが、四十条の調査は具体的な職務の必要性ということでございますけれども、その四十条の調査を発動する理由が十八条の二の「三箇月」というのを一日延ばしたからだということは四十条調査の発動の理由にはならないと理解しております。
○工藤(晃)委員(共) 私が言っているのは、何も、十八条の二違反であるとか、そういうことで四十条でいくとかいうことじゃないけれども、そもそもわれわれが対象としなければいけない寡占業界というものを十八条の二で十分とらえているとは必ずしも思えない。たとえば三百億円であるとか、三社七〇%であるとか、実際は三社六〇%、六五%くらいで相当なことをやっているという事態を踏まえると、この外にある部分というのは相当あるのですが、特に「三箇月以内」というふうに縛ると、では今度四カ月ぐらいにしようやということがどうしても出てくるわけです。 それは結局十八条の二からは外れるということはわかるわけでありますが、このことに対して何らかの対策を今度とろうという法の精神から言えば、やはり積極的に調査をやっていくのかどうか、その辺はどうなのか、それについてちょっと伺いたいと思うわけであります。
○水口政府委員 お答えいたします。 今回十八条の二の規定が新設されることになっておりまして、そこにはいろいろな要件が書いてあるわけでございます。したがって、この法律が成立いたしますと、今後同調的値上げに対する報告を求めることは、その新設された十八条の二の規定によってやっていくことは自明のことでございます。 そこで、たとえば三カ月と何日かたって行われた場合どうかという御質問でございますけれども、これはやはり十八条の二にそういう規定が新設されますと、先ほど総理府の審議官が答えましたとおり、やはりそれは十八条の方で処理すべき問題で、何日か超過したからといって直ちに四十条を適用すべきではないと考えております。 しかしながら、その同調的値上げというものが場合によってはあるいはカルテルの疑いがあるのじゃないかといったような場合には、これはまた別の観点から四十条を適用できることも場合によってはある、こういうふうに考えております。
○工藤(晃)委員(共) いまの答弁と関連して、四カ月ぐらいにしたらこれは十八条の二の方で処理するというのはどういうふうに処理できるのですか。処理しようがないのじゃないのですか。つまり、三カ月を外して四カ月にしたならば、それはあくまでも十八条の二で処理すべきことというのはどういうふうに処理ができるのですか。
○水口政府委員 ですから、たとえば四カ月にした場合は一般的には処理できないということでございます。
○工藤(晃)委員(共) それで、宣言的効果とか、ともかくこういう要件を掲げて、それで、そういうことがあれば、これに対して間接的にしろ何らかの介入をしていかなければいけないという趣旨だと思うのですが、そういうことならば、私も時間がなくなりましたから最後になりますが、この「報告を求めることができる。」というのでなしに、そういう場合にはもう自動的に報告を求めるものとするとか、求めなければならないとか、そのくらいにして、そういう同調値上げがあれば、四十条の場合は公取が自動的に必要を感じるわけでしょう。 必要があるかないか、それで必要があれば乗り出すのだけれども、この同調値上げに対しては四十条を直ちに動かさないというようなことも言っておりますが、それ自体問題なんですが、しかし、ともかく十八条の二で規定するような同調値上げがあればいやがおうでも報告がどんどんされなければならないような状態、こういう法をつくった方が効果が上がるのじゃないですか。 これを最後の質問にいたします。
○大橋政府委員 先生のおっしゃいました意味が、まず事業者の方から自発的に報告しろということだといたしますと、十八条の二という条文は非常に長い条文でございまして、ここに書いてあります要件に該当するかどうかということは事業者の側でわかるものではないというふうに考えられますので、自動的に事業者の方に報告義務を課するということはこの要件のもとではできないということでございます。 それから、第二に、公正取引委員会が必ずそれをとれということにいたしますと、これは公正取引委員会の事務能力の問題もございますし、客観的に見て明白なような理由、たとえば消費税が何月何日から上がったという場合に、製品の小売り価格を一律に上げたからといって必ずしもこれをとらなくてはいけないというふうにはならないのではないだろうかということがございまして、やはり、公正取引委員会の実務的な判断によることにした方が適当であると考えております。
○工藤(晃)委員(共) 時間がなくなりましたけれども、自動的というのは何も業者の方が自発的にということでなしに、公取がそのたびに指摘してとることとするという、そういう意味で言ったわけでありますから、業者の自主的判断をそこまで入れられてはかなわないわけであります。しかし、いずれにせよ四十条に基づく調査は非常に広範なもので、しかも、「職務」としてある。しかも、日本経済の状況がここまで変わって、そしてこういう寡占業界の同調値上げということがますます横行するようになった。そして、しかも、それは独禁法が明らかにしたところのいろいろな公共の利益に反して不当な取引制限を超えたし、国民の生活に対して大きな障害をつくり出している。そういう問題であるならば、四十条の調査というのは当然もっと広範に使われなければならない、同調値上げに対して使われなければならない、こういうことを強調したいわけでありますが、時間がなくなりましたのでこれで質問は終わります。
○野呂委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後二時四十八分休憩 ————◇————— 午後五時十二分開議
○橋口委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。加藤清二君。
○加藤(清)委員 お許しを得まして、ただいま審議されておりまするいわゆる独禁法について質問をいたしたいと思いますが、遺憾なことに、定足数不足であると同時に、自分の権限を増幅させていただけるところの通産大臣が来ていない。もっていかんとなす。 委員長、この時間は割り当て時間外にしていただきたい。与党の理事さん、時間をはかっておいてください。
○橋口委員長代理 ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○橋口委員長代理 速記を始めてください。 加藤清二君。
○加藤(清)委員 新しく与党自民党から提案されておりますこのいわゆる独禁法、これは問題点は幾つかありまするけれども、要は、通産大臣の権限を増幅させる、非常な権限を通産大臣に与えるというところに問題があり、学者も業界も国民大衆もそこに注目をしておる。そういう審議のやさきに、直接一番関係の深い通産大臣が出席をしないということは国会に対する軽視である。それほど忙しい通産大臣ならば、何も公取の関係にまで手を伸ばしてあれもこれもと通産大臣が権限を伸ばす必要はないんだ。 国会は最高の権威であるはずだ。立法によって行政は動くはずである。その立法の審議の最中に、しかも、今国会の一番目玉商品であると言われておるその審議の最中に出てこないなんということはけしからぬ。どこへ行っておられるか聞きたい。
○橋口委員長代理 加藤君に申し上げますが、通産大臣はいま衆議院の決算委員会に出席中だそうでございます。
○加藤(清)委員 決算委員会とこの独禁法の審議との二者択一における択一の決定は通産大臣がなさったのですか。それとも官房がしたのですか。
○橋口委員長代理 ちょっと申し上げますが、いずれだというわけではありませんが、けさの理事会で、衆議院の決算委員会に出席するから商工委員会の方は出なくてもいいという話し合いになっておったそうであります。
○加藤(清)委員 もう一度申し上げる。本法案は通産大臣の仕事を一層ふやす法案なんです。立法の審議の最中にも出てこれないほど忙しい人があれこれ荷物をしょわされたらそれができますか。だから私は言うんだ。ほかの法案と違うんだ。だから、いま現在どこへ行っておられて、何時ならここへ来れるか、至急調べてもらいたい。 なぜかならば、いまの理事の話によれば、通産大臣が来たときに質問してくれということなんだ。それじゃ鳴くまで待とうが、ただ、何時ならば来れるということを聞けば次へ進みます。
○橋口委員長代理 加藤君に申し上げますが、いま向こうと打ち合わせ中ですから、その間質問を続行していただけますか。
○加藤(清)委員 委員長の命に従います。 大詰めに差しかかったようでございますが、いままでの本委員会における当法案の審議を静かに承っておりますというと、質問する側はこの法案には欠陥がある、欠点があると言うが、しかし、答弁する側は、聞いておりますというと、こんなりっぱな法案はない、こんな結構な法案はないという答弁に尽きるようでございます。 そこで私は承りたい。長官も、長官と一緒にこれを行われました審議官も、それは大変な御努力であったでしょう。それは認めます。しかし、その以前に、ここにまた他の法案の審議とは別な問題が介在している。すなわち、過ぐる国会において全会一致で法案を通している。その法案は、まあ審判その他に例をとってみれば、第一審は無罪であったが参議院に行って死刑に処せられたという勘定だ。しかし、これは生きているのだ。なぜかならば、衆議院は現存しておるからだ。それが現存しているにもかかわらず、それと事変わった新しい法案を出してみえた。 そこで、私はきょうは立場を変えて申しますと、五党が完全に一致をみた、全会一致した、だから、五党修正案と言うと紛らわしくなりますから、以後全会一致案と申し上げますが、この全会一致案にどこか間違いがあり、どこか欠陥があったればこそ新しく与党自民党で法案を出してみえたんでございましょう。したがって、この全会一致案のどこが悪いのか、これを聞きたい。全会一致案のどの点のどこがどう悪いのか。いままでそれを聞いておりませんから聞きます。悪かったればこそ、正反合のアウフヘーベンで新しい法案が出てきたんでしょう。どこが悪いんですか。 これは本当は通産大臣に聞きたいところなんですが、提案なさった総務長官と公取委員長に承りたい。
○藤田国務大臣 全会一致案といいますか、それと今回の政府案との相違、あるいはどこが悪くて直したのかとおっしゃる御質問だと思います。 第七条の第二項を新設いたしましたのは、カルテルの違法行為の排除ということが主としてありまして、影響の排除に及ぶか及ばないかは学者の論議がいろいろあるところでございます。そこで第二項を起こしまして影響の排除を明らかにした、これが一点ございます。 それから、その次は、独占状態に対する措置の中で、主務官庁に対して通知をしなければならぬ、そして主務大臣は意見を述べることができる、と、こういうふうな手続が一つ加わりました。これはやはりその段階におきますと、企業分割、一部営業譲渡という問題が先に控えておるわけでございますから、そこは大変重要な段階になっておると思います。そこで、公取委員会といたしましても、より長く豊富な資料を持っているところの主務官庁に通知もし、そしていろいろと連絡、相談もしてみるということは、慎重にやるという点においてより有効ではないかという点でそういうふうな手続が一つ加わっておるのが違います。 それから、もう一つは、価格の同調的値上げに関する報告を求めるという点が新設されておりますけれども、これにいたしましても、寡占の状態において、必ずしもカルテルではないけれども、三カ月以内に近似の金額をもって引き上げたというふうなことは国民の疑惑も招きますし、そしてまたこういうふうな点は、下の方のカルテルに課徴金も取るという非常に厳しい条項にもなっておるわけでございますから、ここの三百億以上という点、いわば中間点と申しますか、そこが抜けるということはおかしいではないか、価格の同調的値上げに対しても一つの報告も求め、そして国民に理解を得るような状況にしておかねばおかしいではないか、これが一つございます。 第四点は訴訟の手続でございますが、カルテルに対して課徴金も取るような制度にもなっておりますし、そしてまたそういうふうな案件もふえることであろうと察せられますので、重大な過失がなくて、事実証拠について、新証拠を被審人の方で提出ができる、しかし事実認定というものにつきましては一元化をしていこう、こういう配慮のもとに新証拠の提出ができる、より一層訴訟の段階において慎重にやるというふうに決めたわけでございます。 大体以上の四点が相違点になろうと思います。
○加藤(清)委員 私に与えられた時間が短うございますので、私の質問に答えていただきたい。 いま長官は、今度新しく提案なさった法案の特徴をおっしゃられた。それはその通り、何度ももう聞いた。重複してしまう。私が聞いているのは、全会一致案のどこが悪いかと聞いている。全会一致案のどこが悪いか、それを簡明直截におっしゃっていただければいい。そうしないと国民は、衆議院で全会一致で通したものを何がゆえに改正しなければならぬのだろうか、財界の圧力があったのではないか、あるいは参議院のロートルの圧力に屈したではないかというように思う。事実こういう声があるのです。 通産大臣の権限、すなわち行政庁の長官の権力を何がゆえにふやさなければならないのか、何がゆえに法律でこれを認めなければならないのかという疑問があるのです。それをいまいいの悪いのと言ったってしようがないし、私は悪いと言おうとは思っておりませんが、ただし、前に全会一致で通した法案は三カ月や四カ月ででき上がったものじゃない。場所もここだけでなくて、いろいろな場所で大ぜいの人間が何度も会合してようやく練り上げた法案なんです。それをその当時審議に加わりもせぬでおいてからに、後からのこのこ出てきた連中が勝手に変えられて黙って引き下がれるものじゃないですよ。現に高橋さんだって、その法案が通ったときにはここへ出てこられて、前の長官の植木君もそうだが出てこられて、まことにありがとうございましたと言われた。それを長官や委員長がかわったからというので、いけずうずうしくも姿を変えて出してくるというのはだれかの指図があったのか。仕掛け人は一体だれなのか。それとも、いや本人の意思である、おれらの意思であるとおっしゃるならば、前が悪かったからでしょう。ヘーゲルの弁証法的発展でもそうでしょう。前は正しいと思ったけれども、いまあれから二、三年たってみたら大変悪い点が出てきた、だから正に対して反ができた、反だけではいけないからというので、今度はアウフヘーベンをしようというわけでしょう。ですから、どこが悪いか。 今度は公取委員長に聞く。どこが悪いのだ。高橋君がやったところのどこが悪いのだ。
○澤田政府委員 私がこれに関係する前からのこの問題の推移を振り返って推測いたしまするに、いま加藤先生がおっしゃいましたような非常な検討と努力の結果できましたところのいわゆる全会一致案が参議院において廃案になったのも、これもまた一つの事実でございます。そういういきさつを総合的に踏まえて、政府・与党におかれてはこれをどう処理するかということに苦心をされたのではないか——いい、悪いという問題よりも、そういう問題の処理の仕方の苦心というものを私は外部から当時見ておりまして推察をしておったのでございます。 それで、いろいろな問題に対していろいろな見解がございますから、いやしくも全会一致をした案が尊重されるべきことは、これはもう私は終始一貫しておることでありますけれども、これにいかに近づいた案をつくるコンセンサスを得て、そして国会において御審議を願うかという方向においていままで努力されてきたのではないかと私は考えておりまして、現在、全会一致案と新しい政府案とが並び提案されまして、先ほど総務長官が申されたような主要点の相違がございますが、これをここにおいていかに一致点を見出すかということの方向で御審議を願えれば、私は独禁行政を担当する者としてこれに過ぐることはない、かように考えておる次第でございまして、よろしく御理解を願いたいと存じます。
○加藤(清)委員 それは答弁になっていないのです。全会一致案のどこが悪いのですかと聞いておる。参議院云々という言葉が出たが、参議院において審議未了になった。いや、審議未了というより審議されなかったのは、表向きは憲法違反ということなんです。私は青木さんにも会って話しておる。青木さんのパンフレットも、加藤君これを読んでくれということで私はいただいて読んだ。しかし、それは全然本質に触れていないのだ。憲法違反云々ということを持ち出されるなら、しからば自衛隊も持ち出さなければならないし、憲法二十六条は「義務教育は、これを無償とする。」となっているにもかかわらず地元負担や父兄負担が非常に多い。これも問題にしなければならない。にもかかわらず、そのことで問題になってお預けを食った。あれはお預けを食っただけなんだ。参議院においても、ここが悪いからこれを審議未了にするとか、ここが悪いから廃案にするということは一言も書かれていない。新聞にもテレビにもラジオにもそれは出ていない。もちろんきょうのことだって出ないから安心して答弁しなさい。どうせ出ないのだからね。せっかく記者の皆さんが一生懸命になって書いて送っても、デスクでほとんどが没になる。過去の審議がそうなんです。本当に第一線の記者の皆さんには申しわけないことだ。それはなぜか。私の質問が下手だからなんです。逃げ回る答弁が上手過ぎるからなんです。 いまの私の言っていることはおわかりになりませんか。欠陥を言うてもらいたいと言っておる。せっかく育てた子なんですよ。これは五年がかりなんですよ。どこが悪いのですか。
○藤田国務大臣 私は先ほど四項目を、主要な相違点を申し上げましたが、そのときに欠陥とは申し上げませんでしたが、これはもういろいろととり方はございますから、私の方はその四点を改善したつもりで今回法案を提出したつもりでございますから、そういう意味で四点の相違点を申し上げたわけであります。
○加藤(清)委員 それでは逐条に移りましょう。 あなたが冒頭に挙げられました独占状態の排除、第八条の問題ですが、これはいわゆる前の法案、五十年四月二十五日提出の法案では独占的状態の排除、つまりそういう状態があるときには営業の一部を譲渡するというのが中心で、それに対してあれこれ条件がついておりました。しかるところ、全会一致案には、審決前における主務大臣との協議に関する規定を削除しておる。ところが、あなたはいまそれを付加したことがよろしいとおっしゃったのです。どういう点でよろしいですか。
○藤田国務大臣 審決前の協議は、これは復活してないことは御承知のとおりでございます。私が申し上げましたのは、本格的な調査に入るときに、非常に重要な段階であるから、最も豊富な資料を持ち、そしてまた知識も持っておるところの主務官庁に連絡をされ、通知をされ、意見を聞くことができるということは公正取引委員会としては必要なことだと思いますし、また、それが公正取引委員会を束縛するものではない、かように思いますので改善ということを申し上げた次第であります。
○加藤(清)委員 異なことを聞くものですね。これはただ単に意見の相違ということだけでは片はつかぬ問題ですよ。さきのいわゆる全会一致案が、すでにあるところの、公取は審判手続開始前及び審決前に主務大臣に協議するという項をあえて削除したのはみえや酔狂じゃないのです。思いつきじゃないのです。前提は一般の法律の慣習に従っているのです。 〔橋口委員長代理退席、委員長着席〕 それをあなたは改正、改正とおっしゃるけれども、私は改悪だと言う。なぜかならば、調査活動前に主務大臣の意見を聞かなければならぬということになっているでしょう。少なくとも、この調査の対象は非教育者じゃありませんよ。犯罪と書っては行き過ぎかもしれませんけれども、この法案に違反をした疑いがあるという対象なのですよ。調査を開始する前にその対象を指導、育成、強化している行政の最高責任者に相談をかける。これは刑事裁判だったら大変なことです。そんな例がほかにございますか。 法制局から来ていらっしゃるでしょうが、被疑者と言っては失礼かもしれませんけれども、これは国民にわかってもらわなければなりませんからね。刑法であるとか刑事訴訟法、民事訴訟法であるならば、これは被告ないしは被疑者である。それを検事局その他が調査をするときに、その関係の、親とか親権者とか保護者に相談をするのですか。そんな法律が世界のどこにありますか。専門の方、来ていらっしゃるでしょう。あるかないか教えてもらいたいと思います。
○味村政府委員 おっしゃいますように、刑事事件の捜査に当たりまして、被疑者の取り調べをし、あるいは強制捜査をするという際に、被疑者の親族の意見を聞かなければならぬというような規定はでざいません。 しかしながら、今回の独占禁止法の改正案におきましては、被疑者の親族というような、そういうニュアンスで主務大臣の意見を聞くというわけではございません。これは、独占禁止法に該当するような事業を所管している官庁はその事業者についていろいろな情報を持っており、その事業の分野についていろいろな知識を持っているから、それの知識なり情報なりを活用しようという趣旨でございまして、刑事訴訟法にそのような規定がないからと申しまして今回の独占禁止法の改正案がおかしいということにはならないと存じます。
○加藤(清)委員 よく気をつけて答弁してくださいよ。スコラ哲学なら結構ですが、よく気をつけて物を言ってくださいよ。これは歴史に残りますからね。私はそんなことはあり得ないと思う。あなたもあり得ないとおっしゃったから申し上げますが、少なくとも被告とか被疑者を調査する以前に、その関係の内容をよく知っているとはいうものの、それの指導、育成、強化の責任者に調べていいか悪いかを聞くなんて、そんなばかなことがありますか。そういうことをよろしいと言うならば、国会において、検事局の捜査中の案件なるにより本件はこの立法府では審議すること相ならぬなんてことがもはや言えなくなりますよ。過去の先例がみんなそうなってきておるのだ。 もっと具体的に申し上げましょうか。最高の権威として、検事を審判、調査する適格審査会がございます。これの調査をするときに、適格審査委員は一々裁判所の長官の相談に乗ってからやるのですか。もう一つ。近ごろ耳新しい問題で訴追という仕事がある。弾劾という機関がある。訴追は調査しなければならぬ。そのときに、同時並行して検事局なり地検なりが調べていた。その場合に、そこと相談したら資料をくれますか。いわんや、訴追と弾劾は同じ国会議員から選ばれた機関なのだ。その訴追と弾劾とが相談しますか。それはしないのですよ。なぜしないか。したら、これは犯罪ですよ。アメリカの法律を調べてごらんなさい。ドイツを調べてごらんなさい。イギリスでは先例に従って行われているけれども、そこにそんな前例がありますか。なぜ日本だけそんなことをしなければならぬのか承りたい。どこに特徴があるのか。
○藤田国務大臣 この際は、法文の中ですでに先生御承知のことと思いますが、公正取引委員会の主務大臣に対する通知は、具体的な調査を開始することとしたとき、その旨を通知するということでございます。これは非常に重要な段階でございますので、公正取引委員会はもう一度主務官庁にそれを通知する、そして主務官庁の方の豊富な知識なり資料なりをもらって、より公正な判断と具体的な調査を進めていくということでありますから、一つの大きな事業の独占的弊害があらわれたことに対する調査というものはよほど慎重にやらなければならぬことでありますし、また、相当な年月のかかることだと私は思うのです。また、かけてしかるべきだと思います。それで、いよいよ独占的弊害があらわれたと公正取引委員会が思料したときにそういう通知をするわけです。
○加藤(清)委員 私は法的手続を聞いておる。審判とか審決ということは裁判なのです。裁判は手続なのです。手続を誤ったらその裁判は過つことになる。したがって、私は手続を聞いておる。あなたたちは大いなる矛盾を犯していますよ。 では、お尋ねします。同じ法案の中に、「審判手続及び訴訟に関する規定の整備」というところがあります。そこを出してください。そこを一遍読み上げてください。
○大橋政府委員 先生がおっしゃっておられますのは要綱のことでございましょうか。
○加藤(清)委員 そうです。
○大橋政府委員 要綱の第十でございますね。
○加藤(清)委員 第十の一と二。
○大橋政府委員 一と二、二つでございますか。
○加藤(清)委員 はい。
○大橋政府委員 「一 公正取引委員会は、事件について審査官の職務を行つたことのある審判官その他事件の審査に関与したことのある審判官にその事件の審判手続を行わせてはならないものとする。二 公正取引委員会は、審査官又は被審人若しくはその代理人から申出のあつた証拠を採用しないときは、その理由を示さなければならないものとする。」よろしゅうございますか。
○加藤(清)委員 はい。それで結構。
○大橋政府委員 以上でございます。
○加藤(清)委員 大企業はいろいろ複雑なことがあるから、慎重によく調査をしなければならぬ。それを、指導、育成、強化の最高責任者である通産大臣からは聞いてもよろしい、いや聞くべきである、聞く権限を与えるというのがさきのあれですよ。ところが、この第十になるとどうなっておるか。「公正取引委員会は、事件について審査官の職務を行つたことのある審判官その他事件の審査に関与したことのある審判官」に「審判手続を行わせてはならない」と書いてある。どっちが正しいのです。この事件と言いましょうか、「職務を行つた」とここにはなっているけれども、この「職務」とは、当該事件を調査した人である。同時に、調査という言葉をここでは「審査」と言いかえておりますけれども、その審査に関与したことのある審判官は審判手続、すなわち裁判手続に関与させてはならないとなっているのです。 通産大臣はよく知っておるから御意見拝聴しましょう。そういう権限を与えてあげましょう。公取の内部で、それの専門官であるけれども当該事件に関与した者は裁判には関与させない。二律背反もはなはだしい。ところで、どっちが正しいかと言えば、この第十の方が正しいのです。当然のことなんです。調査に関与した検事は、裁判に立ち会うことはできるけれども裁判を左右することはできない。国会においても同じことなんです。訴追委員は調査を進める。したがって、裁判の場合に出席をし、質問に答えるけれども、判決に関与することはできないんです。当然なんです。司法の尊厳、裁判の厳正を保つためにはそうあらねばならぬのです。にもかかわらず、通産大臣だけがなぜ例外措置ですか。理由がわからぬ。承りたい。——これは政治的答弁でなければだめです。
○藤田国務大臣 その当該事件に対して審査をした人が、まあ、いわば刑事であり検事役である人が、それが審査官になるということ、審判官になるということは、裁判官になるということでありますから、これは困るではないかと、こういうことを書いてあるわけですから、これは当然なことだと思います。しかし、調査に入るとしたときに、黒か白かもまだわからないわけですから、そういうときに豊富な資料菊集めるために主務官庁にその旨を通知する、そして主務官庁はそれに対して意見を述べるということは、およそこれは話が違うと思うのです。一つは、もう完全な司法的な段階に入っておるわけです。一つは、その前の前の段階にあるわけですから、これは段階が違いますからおかしくない、私はかように思います。
○加藤(清)委員 あなたは公害裁判を調べなさったことがございますか。
○藤田国務大臣 私は直接調べたことはございません。
○加藤(清)委員 公取委員長、あなたに承る。 公害裁判の場合も、これは当該社長が一番よく知っていることである。同時に、その公害を発生させているその発生源のポジションに働いている労働者が一番よく知っている。ところで、それを統括しているのは通産大臣であるが、公害裁判を開始する前に調査が行われますね。その調査を行うときに一々通産大臣の意見を聞きますか。
○澤田政府委員 私は不明にして公害裁判の実態を存じませんので、お答えができないわけであります。
○加藤(清)委員 では法制局に聞く。
○味村政府委員 公害裁判を行います際に、その事業を所管しております主務大臣の愚見を聞くということは、これは公害調整委員会の自由裁量であろうかと思います。現実に聞いているかどうかということは私は存じません。
○加藤(清)委員 法文上通産大臣に事前協議をする権限を与えたり、また、次に審判が行われる直前において協議をしなければならないというような、そういう権限が通産大臣に与えられておりますか。
○味村政府委員 そのような規定はございません。
○加藤(清)委員 そのとおりです。だから聞かなければならぬ。ほかに前例がない。外国にも、国内にも、同じ通産省傘下においてさえも前例がない。この独禁排除、この問題にだけこれを取り入れてきた。何か理由があったんでしょう。しかもなお全会一致案は、だからというのでこれを排除した。全会一致した。これは自民党の良識も、公明さんも、民社さんも、共産さんもみんな——そのときは新自由クラブさんはいらっしゃらなかったけれども、そのとおりだということで全部一致した。慣例にも前例にも法令にもないようなことを、なぜこの際あえてここへ取り込まなければならぬか。一々通産大臣に調査を開始します、いかがでございましょうと意見を聞いて、やめておけと言われたらどうするの。公取委員長、そんなことじゃあなたの部下は、審査官は、いわゆる検事役にしても、判事役にしても、勇気を持ってやれますか。あほなことをやったら後で通産大臣に殴られるかもしれぬ。そんなことになったら本気になってやりますか。 もう一つ、私は秘中の秘言う。環境庁の中に、局長クラスになぜ通産省の先輩が入っていないか。もう一度言う。環境庁の局長クラス以上になぜ通産省の出身が入っていないか。何と心得られる。だから、ここらあたりは通産大臣に来てもらわなければだめだと言っているんだ。
○澤田政府委員 その環境庁の人事については全く存ずるところではないので申し上げられませんけれども、先ほどの通産大臣に対する通知の件につきまして、やめておけと言われたらどうするかというお話でございますが、これは通産大臣に、重要問題でございますからいろいろな資料その他について意見を求めるわけであります。したがいまして、それが公正取引委員会の権限を制約するものではございません。そういうことでございます。
○加藤(清)委員 わかった。そんなことを聞いておるのじゃない。環境を守り、人の生命を守るためには——公害発生源の当該主務長官のみならず、そこに働く機密を知っている連中まで排除しておるのです。それが今日の実態なんです。なぜこれだけを行わなければならないのか、まだ理由がわからぬ。本当は、これは実は通産大臣に篤と承りたいところである。 もう一つ、あなたは専門家ですから、審査並びに審決の最高の指揮官でいらっしゃるからお尋ねするが、伝言は証拠になりますか、なりませんか。法制局から聞く。
○味村政府委員 刑事訴訟法におきましては、伝聞は原則として証拠になりません。しかし、例外的に証拠になる場合もございます。民事訴訟におきましては、そのような伝聞証拠の禁止の原則はございません。
○加藤(清)委員 さすがあなたは専門官で、よう勉強していらっしゃる。りっぱなものです。は検事といえども判事並びに裁判所にこれを証拠物件として提出することはできない。したとしても、それは無効である。証拠裁判における伝言は無効である。無効なものをなぜあえて有効としなければならないのか、ここが聞きたい。法律をよく勉強している人にそれを答えてもらいたい。わが国の法律のみならず世界じゅうの法律が伝言は証拠とならないとあえて規定しているのだ。 お尋ねする。大臣は、あなたと長官と相談をするときに、一々自分が調査に行きますか。行った場合にどうなる。あなたの方の調査の機密を漏洩することになりますよ。なぜかならば、おれの言ったことを証拠立てなければならぬから現場を見せろと言って見てくる。電話だとか書面じゃだめなんですよ。書面を何遍見たって、電話を何遍聞いたって、録音を何遍聞いたって証拠になりませんよ。本人が行って調べなければだめなんです。しかし、通産大臣、それができますか。局長だとか通産局とか、自分らの部下の調査したその伝書を聞いてあなたと相談するでしょう。あなたはよう知っておるとおっしゃるから私は言うのだ。そんなことまで言いたくないけれども、あえて言わなければならぬ。常識的に無効な証拠を有効として、これを活用するのですか。これは法学通論、法学の初歩なんです。そんなことが公取で許されますか。これは裁判になったらどうしますか。
○大橋政府委員 ただいまのお話は、主務大臣の意見を審判手続に入ったときに証拠に使えるかどうかというお話だと存じますけれども、主務大臣の意見はそのままの形では、それはそれなりの証拠能力しかございませんので、仮に独占的状態の有無についての判断をしようとする場合には、通産大臣の意見が端緒になりました事実につきましても、公正取引委員会の審査官が証拠として固めるだけの調査はいたさなければいけない、こういうふうに存じます。
○加藤(清)委員 もちろんだ。そんなことは当然だが、実質証拠にならないものの意見をなぜ聴取しなければならないか。なぜ私はこういうことを言うかというと、過去ずっと審議の状況を聞いておると、通産大臣の意見を聞くと何やら審査と審決が円満にいくような、それを聞かないと何やら欠陥があるような御答弁がずっと一貫して行われてきておるから言うんだ。通産大臣が一々現場を調べに行きますか。全部伝言になりますよ。そんな証拠にならないような——ならないようなではなくて、ならないんだ。これは確定しておるんだ。確定した事実、公知の事実である。それをあえて本法案だけがなぜ後生大事に新しく取り入れなければならないのか。これは何法の第何条じゃないのだ。法学通論なんだ。こんなものは大学に行って最初に勉強することなんだ。皆さん時がたったから忘れてしまいなさったかもしれませんがね。
○大橋政府委員 独占的状態と申しますのは、相当の期間にわたっていろいろ外から観察できるような状態で弊害が起こっている、いわばオープンな形で弊害が起こっている状態でございまして、その調査につきましても、公正取引委員会は広く資料を収集、分析いたしますとともに、専門家につきましてその見方、考え方等も聞きながら、さらに専門的な知識も吸収しながら調査を進めていくべきものでございます。 そこで、公正取引委員会の調査が具体的な形に移りますときに、同じ行政機関の中でそういう専門的知識を持っているそういう主務官庁につきまして、審査に入るということの通知をいたしますとともに、考え方についての意見もございましょうし、公正取引委員会が従来把握できなかった資料もございましょうし、そういうものを収集してさらに審判手続に備えていくということは非常に有効なことだろうと存じます。
○加藤(清)委員 私の質問に答えてください。あなたは頭がよくて大変な努力家であるということはよう知っているのだからね。ここであなたの知識を披露してもらおうとは私は思っておらない。私の質問に答えてもらいたい。 法学の基本にももとる問題、先例もこれなき問題、各国が否定している問題、それをなぜ本法だけは取り入れて、金科玉条として、その方がよろしいという答えがどうして出てくるのだ。しかも、共同一致案はしかるがゆえにこれを否定しておる。 あえてあなたたちがそれで抗弁しなさるなら私はお尋ねする。日本鋼管はレールをどれだけつくっておるか。
○天谷政府委員 わかっておりますけれども、ただいま記憶をいたしておりません。
○加藤(清)委員 これは通告しておいたはずである。 しからばお尋ねする。山田公取委員長が、いまあなたのいらっしゃる席で、もう何回も何回も来られて審議に審議を重ねた。ここにいらっしゃる独禁法の仲間の板川氏も私も中村君もこもごも立って何回も審議した。そのときに合併の独占排除のための許可基準が言い渡されたはずである。何と何であったか。これ公取の委員長と約束したのだから、公取も知っていなければいかぬことだ。
○吉野政府委員 お答えいたします。 八幡、富士の合併に際しまして、公取として四品目を問題にいたしました。一つはただいまの鉄道用レールでございます。鉄道レールにつきましては、当事者から同意審決の際に、富士製鉄の釜石製鉄所の鉄道用レールの製造設備を日本鋼管に譲渡する、またその製造に関するノーハウを提供するという申し出がありまして、公取も、それが実行されれば鉄道用レール分野の競争の実質的制限はないということで、その旨、同意審決でその措置をとるように命じたものでございます。
○加藤(清)委員 その後の三つは次の機会にやりましょうね。よく調べておいてくださいね。 そこで、通産省にお尋ねする。だから私は日本鋼管と言うた。特に場所も指定する。日本鋼管水島工場においてレールはどれだけ生産され、どこへ納められているか。
○天谷政府委員 数字、納入先等については、ただいまはお答えできません。
○加藤(清)委員 ただいまお答えできぬと言うが、ここは座談会じゃないんですよ。 公取委員長、企業は許可を得て行った場合には、年に一回ずつ企業報告をしなければならぬことになっておるでしょう。あなたのところでそれを聴取しておられますか。
○澤田政府委員 富士、八幡合併の問題につきましては同意審決があったわけでありますが、その後三回にわたりましてただいまの鉄道用レールの問題を監査いたしております。その結果は指示どおり実行されているものと認めております。
○加藤(清)委員 これは会社の企業機密なんて雷わせませんよ。ここで約束したことなんだからね。なぜ国会にも報告しないか。おかしいじゃないか。それをいまここで言えぬと言う。なぜ言えないか。予算委員会じゃないから言いなさい。新聞に出やせぬから。
○天谷政府委員 合併の条件が守られているかどうかということをチェックされる責任を持っておいでになるのは公取委員会でございます。
○加藤(清)委員 しかし、生産数量は通産省が握っていなければいかぬじゃないか。この法案がもし通ったとすれば、通産大臣は事前に相談するのですよ。審決の審議に入る前にも相談するのですよ。その相談のもとはあなたたちがつくるのですよ。知らずにどうしてできるか。総理府の総務長官、よってくだんのごとしだったらどうしますか。 そこで、委員長、あなたのところは報告を受けておるはずである。受けぬと言ったらおかしいよ。怠慢だよ。受けているか。受けてないか。
○澤田政府委員 先ほど申しましたように、三回にわたりまして、一回に相当長期間を費やして監査を実行いたしております。監査記録はもちろん保存されておるわけでございます。
○加藤(清)委員 その監査結果を当委員会に資料として提出を願う。委員長、これを諮ってください。
○澤田政府委員 検討いたします。
○加藤(清)委員 もう一つそれについてお尋ねする。 私はここに資料を持っておる。読み上げてもいいですよ。ただ、問題はどういうことになっているか。二社でつくっているだけですね。 通産省に承る。レールはそれ以外につくっておりますか。
○天谷政府委員 おりません。
○加藤(清)委員 さすれば今度は審議官さん、あなたの出番だ。この一部改正する法律要綱の四の一の、そのページの終わりから三行目を読んでみてください。
○大橋政府委員 いま四の一とおっしゃいましたが、第四の一でございますか。
○加藤(清)委員 そうです。
○大橋政府委員 終わりから三行目といいますと……。
○加藤(清)委員 「商品又は役務の数量の占める割合」、そこからでいいです。
○大橋政府委員 ちょっとどこからかわかりませんので、初めから読ませていただきます。 「独占的状態とは、同種の商品(当該同種の商品に係る通常の事業活動の施設又は態様に重要な変更を加えることなく供給することができる商品を含む。以下「一定の商品」という。)並びにこれとその機能及び効用が著しく類似している他の商品で国内において供給されたもの(輸出されたものを除く。)の価額又は国内において供給された同種の役務の価額の最近の一年間における合計額が五百億円」次の括弧の中は省略いたしますが、「五百億円を超える場合における当該一定の商品又は役務に係る一定の事業分野において、次の各号に掲げる市場構造及び市場における弊害があることをいうものとする。」 以上でございます。
○加藤(清)委員 その項の、次のページの終わりから三行目を読んでみます。 前に前段があって、「二分の一を超え、」——二分の一とは、「当該事業者が供給した当該一定の商品並びにこれとその機能及び効用が著しく類似している他の商品又は役務」が一事業者で、それが「二分の一を超え、」次に、「又は二の事業者のそれぞれの市場占拠率の合計が四分の三を超えている」ときには何になりますか。
○大橋政府委員 これは独占的状態の要件のうちの一号には該当いたしますが、ただ、ただいまの重軌条につきましては、本日公正取引委員会から提出いたしました資料によりますと、重軌条は一定の商品というものがほかにございまして、普通鋼、鋼材製造業の生産する品目の一つになっている、こういうことになっております。
○加藤(清)委員 公取委員長、ちょうどこれからが本番というところなんだ。私は、一々あなたたちがおっしゃられていることが具体的に行えるか行えないかをここでチェックしたいと思って、資料はたくさんに持ってきております。スチールだけではありません。ついこの間行われました小棒、平電炉——この間、合併がありましたね。平電炉、製鋼部門、これにも合併の条件がございますね。委員長、御存じないですか。——いやだね。(澤田政府委員「存じております。」と呼ぶ) わかっている人が答えてください。もう時間が来ちゃったから。
○吉野政府委員 お答えいたします。 大同製鋼ほか二社の合併につきましては、合併の条件といたしまして、たとえば大同製鋼が保有しておる東北特殊鋼の株式を処分すること、あるいは東北特殊鋼との間の役員兼任関係を解くこと、それから特許、ノーハウ等についての公開その他二、三について条件を付して合併を認めております。
○加藤(清)委員 そのとおりでございます。 果たしてこれを通産大臣はどれだけ認識しているか。そしてどれだけ指揮しているか。よってくだんのごとし。通産大臣はすべてを掌握しているけれども、すべてに疎い。そういう人が犯罪があるかないか、独占禁止法に違反する行為があるかないかなどということまでどうして調べられますか。すべて伝言になってしまう。伝言証言に終わるのです。それをあえて取り入れなければならぬということについて私はまだ理解がいきません。 しかし、与えられた時間が参りましたので本日はこの程度にし、残余の質問は次の委員会で行わさせていただきます。 終わります。
○野呂委員長 長田武士君。
○長田委員 独占禁止法の改正論議が巻き起こりましてからすでに三年を経過していることは御存じのとおりであります。私は、政府改正案の矛盾点を速やかに修正し、今国会での強化改正をどうしても実現すべきであるという立場から質問を行っていきたいと思います。 言うまでもなく、独占禁止法の改正は、第七十五通常国会において衆議院で与野党一致の修正可決を見たにもかかわらず、自民党の抵抗と政府の消極的姿勢によって廃案になってしまったという経緯があります。 そこで、まず最初に指摘したいのは、独占禁止法の強化改正が実現していれば正すことのできたであろう独占禁止法上の問題点がそのまま今日まで継続されているという、きわめて遺憾な事実がありますが、公取委員長から、五常修正案が廃案になってから今日に至るまでの独占禁止法違反の勧告件数をお示しいただきたいと思います。
○澤田政府委員 時点を申しますと昭和五十年七月五日からということに相なりますが、五十二年四月二十一日までの間に独占禁止法違反と認めて勧告いたしました事件は五十九件でございます。このうちカルテル関係が四十四件、その他不公正取引等が十五件となっておるわけであります。
○長田委員 私なりに業種別に分類してみますと、石油化学五件、石油プロパン七件、窯業七件、化学繊維一件、薬業四件、紙五件、電機精密六件、非鉄金属四件、建設三件、サービス一件、その他十六件となっております。また、累犯も依然として繰り返されておるわけでありますが、独占禁止法の改正の目的の一つは独占禁止法違反のやり得をなくすところにあるはずであります。 もしも第七十五国会で改正案が実現しておれば相当程度独占禁止法違反は抑制されておったと考えられるわけでありますが、この点について総務長官と公取委員長の見解を伺いたいと思います。
○藤田国務大臣 相当程度とおっしゃいましたが、私も、そういうカルテル違反につきまして、ある程度はもう少し厳密なことができたのではないかと思いますが、ただ、今回の七条につきまして、答弁の範囲、御質問の範囲をちょっと越えているかもしれませんがお許し願いたいと思いますが、七条に関しまして、これを補強した形で七条の二というものをつけておりますが、こういう影響の排除に関しましては、やはりなかなかむずかしかったなというような感想を持っております。
○澤田政府委員 二年前に法案が通過いたしておりましたならばどの程度こういう違反事件に影響が及んでいたかということを的確に推定することはむずかしゅうございますが、ある程度は防げたのではないかという感じがいたします。
○長田委員 もう一つ具体例をお伺いいたします。 公取委員長からお答えいただきたいのでありますが、改正案の基準を超えておる会社の株式保有総額の推移、五党修正案が廃案になる前、すなわち四十九年九月期と五十一年十二月期はどのようになっておるか、総合商社、事業会社と分けてお示しをいただきたいと思います。
○澤田政府委員 数字にわたりますので、部長からちょっと申し上げたいと思います。
○吉野政府委員 お答えいたします。 現在会社が規制基準を超えて株式を所有している状況につきまして、有価証券報告書総覧等に基づきまして、四十九年九月期と五十一年十二月期とについて試算をいたしまして、その結果を比較いたしましたが、会社数につきましては、四十九年九月期で十五社ございましたが、五十一年十二月期では二十二社と、七社増加しております。また、規制基準超過額は四十九年九月期は三千八百十三億円でございましたが、五十一年十二月期では四千百七十七億円と、約三百六十四億円増加し、増加率として九・五%増加しております。 その内訳を見てまいりますと、いわゆる総合商社は会社数で九社と、数におきましては変わっておりません。ただ、超過額については若干減少しております。これに対しまして商事会社以外の事業会社につきましては、会社数は六社から十三社と、七社増加しております。したがいまして超過額も増加しております。ただ、この会社数や超過額が増加しておりますのは、株式所有額が増加しただけではございませんで、基準額が減少したことに原因するものも若干見受けられます。 以上でございます。
○長田委員 ただいま事情が述べられたわけでありますが、四十九年九月期と五十一年十二月期を比較いたしますと、基準額を超える株式保有額は、ただいまの数字のとおり三百六十四億円とふえております。基準額を超えて株式を所有している会社が七社ふえて二十二社です。特に、事業会社が六社から十三社となっておることは見逃すことができないものではないかと思います。会社の株式保有総額の規制は、大会社が株式保有をてこといたしまして専業支配力を集中しようということを防ぐということにほかならないと思います。独占禁止法の強化改正がおくれているためにこういう事情が放置されてきたと思われるわけであります。 総務長官から、こういう事情を十分認識されておるのかをまずお伺いしたいことと、また、株式保有の規制が速やかに行われなければ株式保有総額はますますふえ続け、弊害が顕著になってくると私は思っておるのですが、公取委員長の意見もあわせてお伺いしたいわけであります。
○藤田国務大臣 いまのような数字で株式の保有が集中してきたということは事実でございますが、これは反面非常に不景気であったというふうな状況で、そういう環境の中でそういうものが行われたということも一つの理由であろうかと思います。
○澤田政府委員 概要はいま総務長官がお話しのようでございますが、会社の数あるいは超過株数、増加した原因を見てみますと、中には株式所有額の増加だけによるものもございます。それから、基準額が減少した、資産が減ったというようなことのために持ち株が動かなくとも超過したというのもございます。両方が原因のものもございまして、いろいろございますが、やはり、この動きは注目する必要があると感じておるわけでございます。
○長田委員 若干長くなりましたが、私は、多くの面で独占禁止法の強化改正が急がれておることを申し上げてきたわけでありますが、改めて今国会で強化改正の決意があるのかどうか。また、それを実現するためには、これまでにも政府案の矛盾が何回となく指摘をされてまいりましたが、改正案の修正はぜひとも必要であると考えるわけでありますが、きょう現在の時点で総務長官の見解をお示しいただきたいと思います。
○藤田国務大臣 本日の時点で修正に対してどう考えているかということでございますが、やはり、こういう経済のルールをしくという大変長期のものの成案を得るわけでございますから、与野党の御理解のもとに賛成を得てこの法案の成立することをお願いいたしたいわけでございます。 仮にもし万一修正ということがございましても、それも与野党の合意の上でおやりいただくことは当然のことだと思いますし、それに政府は従わざるを得ない、かように思っております。
○長田委員 さて、今回の改正案について具体的にお伺いをしてまいりたいと思います。 カルテルに対する排除措置についてでありますが、私は、政府の答弁を何回聞いても、第七条第二項の規定は現行法を強化しているとは思えないわけであります。むしろ後退させているのではないかと思っておるわけであります。 そこで、総務長官にお尋ねをするわけでありますが、五党修正案の第七条の排除措置の、「これらの規定に違反する行為及び当該行為によつて生じた影響を排除するために」云々は今回どういう理由で採用されなかったのか、この点をお伺いします。
○大橋政府委員 独占禁止法の目的は、不当な拘束を排除して、その後事業者の創意を生かしていくということが大目的でございます。カルテルにつきましては、カルテルの束縛を排除したその後におきましては、どういうことをやっていくかと決めていくのは事業者であるべきでございます。 一昨年の衆議院で修正可決いたしました法律案の条文を拝見いたしますと、あの形では、拘束を排除した後に事業者の行う行為を公正取引委員会が決定して命令することができるというような規定になっておりますが、こういうことは独占禁止法の目的からしていかがなものであろうか、こういうふうに考えたわけでございます。
○藤田国務大臣 私も大体同じようなお答えをする以外にないと思いますが、第七条の規定を第二項が束縛するものでもありませんし、第七条はそのまま置いて第二項がくっついたわけでございますから、より強化されたものというふうに私は思っております。
○長田委員 五党修正案では原状回復命令まで含まれているからまずいということでございますか。
○藤田国務大臣 ただいま審議官が答弁したのは、含まれる解釈もできる、余地なしとしない、という意味であると私は思います。
○長田委員 澤田公取委員長は、一年目のわが党の西中委員の質問に対しまして、本来的には五常修正案が望ましいということを示唆しながら、いきさつがある、苦心の結果であるという趣旨の答弁をされたのでありますが、公取試案は高橋委員長時代のものであるとはいえ、公取委員長は試案にある原状回復命令はいまもって独占禁止法の精神に反しないという見解を持っているはずだと思いますが、その点はいかがでしょうか。
○澤田政府委員 いわゆる公取試案が世に問われてから、非常に幅広い各方面の意見が整理集約されて五党修正案になったものと私は考えるものであります。したがいまして、この案は尊重さるべきものだということをたびたび申してきておるのであります。しかし、その後それに対して、またそれがなかなか成立しないということも事実でございまして、いかにこれを成立させるかということで御苦心に相なっておると私は委員長に就任する前からあいさつをしておったわけでございますが、五常修正案におきましては、「影響を排除する」という条項を七条は挿入した案になっておるわけでございます。 しかし、これはいま審議官あるいは総務長官より御説明もありましたように、少し広過ぎるのではないかということで非常な論議の末原状回復命令というような形が採用されなかったのでありますが、「影響を排除する」という中にやはり広過ぎる意味が入るのではないかというようないろいろな御懸念からなかなか議論のあった問題で、七条につきましては、第一次案の括孤内をどうするかというようなことで非常に議論になった問題でございます。 先ほど総務長官から話がございましたように、今回の案におきましては、現行七条はそのままにして、第一次案で括孤内にあったものを第二項として独立させてそして影響の排除の規定、かように相なったものと存じましてまずまず妥当な線では、なかろうかと考えておることでございます。
○長田委員 政府案をまとめるまでの複雑な経過があることは私は十分理解しているつもりであります。しかし、五党修正案が踏みにじられたということは、同時に、今回の第七条の改正は政府の再三の否定はあるものの、現行法すら制約する懸念があると私は思うわけであります。 総務長官にお尋ねしますが、現行第七条では全く、改正案にある第七条二項の影響の排除は含まれていないのかどうか、この点についてはいかがでしょうか。
○藤田国務大臣 現行の第七条の中に影響の排除ということは——これは主たる目的が違反行為の排除でございますから、それに付随する行為としてはある程度の広範囲なものがそこにはあると思います。 しかし、影響の排除を主目的としたものでないことは第七条は確かでありますから、これを主目的とした第二項を加えたということでございます。第七条では影響の排除はできるとかできないとか、これは学者の議論のあるところでございますけれども、それを主目的としたものではないということは確かであります。
○長田委員 再三本委員会でこれまで東宝、新東宝の東京高裁の判例が取り上げられておりますが、ここでは、「ここに違反行為を排除するために必要な措置とは、現在同法に違反してなされている行為の差止、違反行為からもたらされた結果の除去等、直ちに現在において違反行為がないと同一の状態を作り出すことがその中心となるべきことは当然であるが、これのみに止まるものと解するのは、同法のになう使命に照らして狭きに失する。」とされておるわけであります。 第七条の排除措置は違反の行為からもたらされた結果の除去等だけではなく、将来の予防措置と申しますか、そういう意味も含まれていると思っておりますが、総務長官、このことは影響排除ということではないのでしょうか。
○大橋政府委員 ただいまお読みになりました判決でございますが、まず、この判決は、不公正取引あるいはカルテルでございますが、カルテルは否定されて、不公正取引にかかる判決でございます。そして、お読みいただきました部分につきましては、これは将来にわたっての繰り返しを禁止する排除措置が合法的かどうかということが主たる争点になっているところの書き出しの部分になっているわけでございます。そして、その書き出しの部分でございますが、「一般に独占禁止法違反の行為があるとき公正取引委員会はその違反行為を排除するために必要な措置を命ずるのであるが、」という書き出しになっておりまして、「一般に」というのは、およそ独占禁止法にある違反行為の排除措置一般を指しておるのでありまして、七条だけでなく、合併、営業の譲渡等の禁止に関します十七条の二でございますとか、不公正取引に関します二十条でございますとか、こういうすべての違反行為の排除措置に通ずる書き方になっておるわけでございます。 そして、行為の態様によりまして、当然のことではございますが、たとえば役員の兼任という行為を禁ずるという場合でございますが、兼任した役員をやめさせない。兼任するという行為を禁止したからといって、結果としてはもうすでに役員は就任しておるわけでございますから、この役員の就任をやめさせるということ、これは結果の除去でございますが、そういうような形で具体的に結果の除去に及ばなければ行為そのものを排除と言うことができないと言う者もございますので、東京高等裁判所の判決のこの部分の書き方でございますけれども、これは判決の内容ではございませんけれども、響き方としては私どもとしてはカルテルには妥当しないものではないだろうか、そういうふうに考えております。
○長田委員 私が言っているのは、確かに第七条は影響排除自体を目的とした措置ではないかもしれませんが、しかし、現行の七条自体に影響を排除するというねらいがあるということであるわけであります。 影響を排除することとなる具体的な措置を事業者に届けさせるというようなあいまいな規定では、影響排除自体を目的とした分離解釈の規定を置けば、現行の第七条でとれるはずの影響の排除措置、政府の答弁で言えば影響の排除的措置と申しますか、これまでとれなくなってしまうと思うが、この点はいかがでしょうか。
○大橋政府委員 これは繰り返し申し上げておりますように、七条の第一項というものは手がついておりません。手がついておりませんということは、従来と同じ解釈、同じ考え方であるいはさらに工夫されまして、公正取引委員会が影響排除的な措置も第一項でおやりになる、こういうことは全く制限されていない、こういうふうに理解しております。
○長田委員 東京高裁の判例は七条の排除措置の法意を言っているのであって、少なくともすべてのケースに当てはまるものと私はとらざるを得ないわけであります。すなわち、この判例は第七条の目的解釈の上に立ったものであります。 さらにお伺いしますが、政府案の第七条の二項の「当該行為によつて生じた影響を排除するためにとることとなる具体的措置」は違反事業者がとるわけですね。政府は、これまでの答弁で、違反行為を排除することとなる具体的な措置は違反行為者が届け出をすることにはなるが、影響を排除するに足る措置であるかどうか、公正取引委員会が判断して、公取委の想定する措置でなければ二度、三度と当然届け出をさせる、そして影響を排除する、と、このような答弁ですが、そういうことでしょうか。
○水口政府委員 確かにそういった答弁をいたしましたが、そのときもお断り申し上げましたが、理論的にはということで、実際にはそう二度、三度も突き返すというようなことは少ないんじゃないかというふうに思っておりますが、私が申し上げた趣旨は、公正取引委員会は独禁法の運用に当たっては厳正にこれを行うというのが義務でございますから、したがって、七条二項の命令を受けて、みずからとるべき具体的な措置の内容が客観的に見ても非常にふまじめなものであるという場合には、それをそのままそうですがと言って受け入れるわけにはまいりませんからいろいろ指導をする必要があるということを申し上げたわけでございます。 しかし、何と申しましても、七条二項はその具体的措置の内容が事業者の方に任されているものでございますから、公取がいろいろ指導するにいたしましてもおのずから限界があろうかと考えております。 〔委員長退席、中島(源)委員長代理着席〕
○長田委員 そうしますと、届け出さえすれば審決違反にならないということになりませんか。また、届け出が出た場合で審決違反になる場合を挙げていただけませんか。
○水口政府委員 まず、届け出をしない場合、これは当然に審決違反になります。 それから、届け出をしてもその内容を実行しない場合は、これも審決違反になると思います。 先生のお尋ねは届け出をしても審決違反になる場合ということでございますが、その届け出をすれば審決違反にならないのが普通でございますけれども、その内容がさっき申しましたように客観的に見ても非常にいいかげんなものであるというふうな場合は指導してこれを直させる、こういうことを申し上げておるわけでございます。
○長田委員 一般的には二度、三度届け出を出させるということは行政指導であるわけですね。こうした行政指導には罰則を科することはできますか。
○水口政府委員 行政指導をいたしまして、それになお応じないといたしますと——届け出はしているけれどもその内容は非常に不十分なものである、それで行政指導はしたけれどもなかなかそれにも応じないといった場合、これが果たして罰則に値するかどうかということは非常に微妙な問題であろうかと思います。やはりケース・バイ・ケースで判断さるべき問題ではないかと思います。
○長田委員 要するに、政府案の影響排除自体を目的とする第七条の二項は違反事業者の良心に期待するということだけですか。
○大橋政府委員 これは良心といいますか、そうすると結局やってもやらなくてもいいというような意味になりますけれども、そうではなくて、影響を排除するためにとることとなる具体的措置の決定というものは公正取引委員会が命令するわけでございますから、したがいまして、そのとることとなる具体的措置になっているかどうかということの審査は公正取引委員会がして、もしそういうものが十分なものが出てこない場合には、最終的には審決に従わなかったということの責任が問われることになるわけでございますから、良心的と言いましても、やはり強制力を持ったそういう措置でございます。
○長田委員 具体例について御説明を願いたいと思いますが、百円のものが二百円に引き上げられた価格カルテルの場合で、二項の具体的な措置の届け出が出された場合を例にとってみます。 届けられた事業者の価格が一斉に百九十九円だった、一円下げた、これは新たなカルテルの疑いがあるから問題でありますという政府の答弁でございましたけれども、この点についてはある程度私は理解できるのでありますが、ところが、届けられた価格がある事業者は百九十八円、また、ある事業者は百九十七円あるいは百九十六円というふうな場合に、やみカルテル的なそういうことは存在しないというケースがあると思いますが、そうなった場合に、事業者が自主的に決めたのだから審決に従わなかったとは言えないという答弁があったわけですね。それなら価格カルテルの場合にどのような届け出があれば条文にある影響が排除されたということになるのか、具体的措置が届けられたということになるのでしょうか。ちょっと申し上げますと、影響が排除されたこととなる具体的な措置が届けられた、とありますね。そういうことになりましょうか。
○大橋政府委員 通常幾つかの取引先と値段の交渉をして決めるような性質の取引をしている事業者につきましては、「とることとなる具体的措置」というものは幾らにするということを期待しているわけではございませんで、価格の再交渉をどういう形でどういう日程でいたしますという、そういう回答を期待しているわけでございまして、結果として幾らになるということまでは具体的措置の内容には通常は入らないのではないかと思います。もちろん、事業者によりまして入れてまいりますれば、それはそれでそういうものは公正取引委員会として受け取られるということになると思います。
○長田委員 それなら、公取がいままで第七条の排除措置としてとってきた公取みずからが命ずる価格の再交渉命令以下の排除措置でしかないわけですね。違反事業者が自分で届けるのでありますからそう言わざるを得ないのでありますが、その点はいかがでしょうか。
○大橋政府委員 公正取引委員会の長い歴史の中で、たった一日に二件やった事例だけをとらえて現行七条の解釈、運用というふうな理解は私どもはいたしておりません。それはそれなりに、公正取引委員会がその具体的なケースに応じて、どうしても行為の排除として必要だという考え方でなさった審決であるというふうに理解しておるわけでございまして、七条の二項の「措置」はそういう行為の排除ではございません。行為によって生じた影響の排除ということで、新しい権限規定になっているわけでございます。
○長田委員 しかし、この第七条の排除措置の多くの類型は、さきに挙げた東京高裁の判例をもとにして公取が苦労されてきたものであると思います。しかも、この独占禁止法改正問題における第七条の排除措置については、価格の原状回復命令から出発しているのであります。私は、あくまでも五常修正案の線に戻すべきであると思うわけであります。法律の条文というものは相互の関連性を持つことは当然であります。 二項の問題ですが、現行第七条の目的解釈で、この条文には影響排除も当然含まれるという判例があるにもかかわらず、別項を立てて影響排除措置を分離解釈しようとすれば、結局第七条では影響排除は含まれないということになりまして、現行第七条、改正案では第七条第一項になりますが、この規定が制約されるということは明らかではありませんか。しかも、影響の排除を違反事業者にゆだねてしまっているわけでありますが、この二項を起こした影響について、もう一度総務長官、公取委員長に承りたいと思います。
○藤田国務大臣 私は先ほど申し上げた答弁のとおりでございまして、第一項は現状のままでございますし、そして、これにいまのような影響排除が含まれるか含まれないかということはいろいろ議論のあるところでございますから第二項を起こして補強した、こういうふうに思っております。
○澤田政府委員 七条の二項は、ただいま総務長官もお話しのように影響を排除するということのために新たに起こした項でございますが、七条一項の方では、前にも申しましたように従来行ってきたことはすべてできる。ただ、その中には影響の排除に属するのではないかというような解釈がとれるような事例も含まれておって、そういう御意見もあることも承知いたしておりますが、私どもは、それはやはりその違反行為の排除と一体となった命令であって、影響の明瞭なものは第二項で処理すべきものという解釈をとりますので、第一項の方が制約されるという解釈はとらない次第でございます。
○長田委員 結論的に、この二項を起こしまして第七条の制約が非常に出てきたという解釈を私はしております。実際問題、違反者がこの届け出をし、そしてこのようにやりますよと、このように届け出をするわけですね。やみカルテルをつくり、そして値段をつり上げたとすると実際問題としてどうでしょうか。百円のものを二百円にしたわけですね。それをやみカルテルを破棄した、じゃ百九十八円でも百九十六円でもあとは構いませんよという公取の態度ですか。影響はあるじゃありませんか。百円が二百円になったのです。これはものすごい影響があります。そういう価格については公取は一切関知しません、それは企業が主体的に良心を持ってやるのです、こういうことでは影響の排除にならないじゃありませんか。どうでしょうか。
○水口政府委員 お答えいたします。 いま一つの例を挙げられましたが、この価格というものは御存じのとおりなかなかむずかしいものでございまして、カルテルを実行いたしますと、通常その実行期間というものはかなり長いことが多いわけでございます。その間にはいろいろ経済の動向なんかも推移いたしますし、価格等も変わっていくだろうということで、さてその二百円になったのを幾らにするのが一番正しいのかというふうなことは非常にむずかしいわけでございますが、いずれにいたしましても、公正取引委員会は幾らに下げろとかいったような価格介入をすることはいたさないたてまえになっておりますので、カルテルが完全に破棄されまして、そういったような影響を受けない、本当に自主的な価格になったと客観的に認められる場合には特にとやかく言わない、こういった基本的態度でございます。
○長田委員 そうしますと、百円のものが二百円になった場合、カルテルを破棄しました、百九十八円になりました、ということになった場合には再度報告させますか。
○水口政府委員 お答えいたします。 ケース・バイ・ケースの話でございまして、一概にその場合これはけしからぬからということになるかどうか。さっき申しましたように、一つはそのときの価格動向、経済情勢、それから本当にもう申し合わせ等が行われていないのかどうか、その百九十八円にいたしましても幾らにいたしましても、その新しい価格が本当に自主的に自由な競争のもとに定められた価格であるのかどうか、その辺を重視するわけでございまして、値段が幾らだからよろしいとか幾らだからだめですということではございません。さように考えております。
○長田委員 そうなりますと、二百円になった、そしてやみカルテルを破棄しました、価格は変わりません、こういう場合はどうでしょうか。
○水口政府委員 カルテルを結んでおりまして、影響があると思ったから、したがって二項の影響排除措置も命ずるわけでございますから、通常の場合は若干下がるのが普通であろうと思いますけれども、公正取引委員会としては幾らに下げればいいのかというふうな判断はなかなかむずかしい。ですから、何回も申しますが、時の経済情勢と価格動向、それから一番大切なことは本当にこれが公正で自由な競争のもとに定まっておる価格であるのかどうか、破棄したとはいってもなおかつやみカルテル的なことが残っておるかどうか、そこのところをよく見きわめることが一番肝心であろうと思っておるわけでございます。
○長田委員 そういう点で、私は、第二項を起こした理由というのはわかりませんですね。 時間がございませんので次の問題に入りたいと思いますが、次に、独占的状態の排除についてお伺いをしたいと思っております。 今回の改正案は五党修正案の独占的状態の排除の規定にさらに制限を加えようとするものであるとしか私には思えないのであります。本法案の審議の過程で政府が一貫して答弁しておりますのは、協議の前にある通知制度はあくまでも主務大臣の意見を参考にするものだと言っているわけでありますが、総務長官に伺いますが、こういう制度を設けなければ主務大臣の意見を聞くことができないのでしょうか。
○藤田国務大臣 意見を聞くことはできないかと言われますと、そのときそのときのケースになりますからこれはわかりませんけれども、こういうふうな制度といいますか、法令にちゃんと書いてありますと、必ずそこに通知もし、そして主務官庁の豊富な資料も利用できる、そしてまた主務官庁が意見を述べることができる、と、こういうことでございますから、通常の場合、いままでの場合必ずしもそうであったとかそうでなかったとかということは言えませんけれども、こうやれば必ずそうなるということでございます。
○長田委員 意見を述べることはできるわけじゃないんですか。できますね。 公取委員長にお伺いしておくわけでありますが、現行法においても数多くの規定で公正取引委員会は主務大臣の意見を聞くことが可能である一方、主務大臣も公正取引委員会に意見を述べる機会が可能であるとの規定が設けられておるわけであります。 第一に、四十二条の公聴会の規定があります。あの八幡、富士の両製鉄合併の際開催された公聴会に通産省の担当者が出席をしております。公聴会で参考意見を聞くことはできないのでしょうか。 第二には、今回の改正案では、独占的状態の排除に際しては公聴会の開催が義務づけられております。ここでも参考意見なら聞けるわけであります。 第三には六十条の規定もあります。第四には六十一条の規定もあります。第五には四十一条の規定を用いることができるはずであります。第六には四十条の規定もあります。一昨日、政府は、強制権限のある四十条の規定はこうした意見を聞いたり述べたりする場合はなじむものではないということでありましたけれども、現実に規定があることは事実であります。そして第七には公取と主務大臣の協議事項が決められております。 公取委員長、こうした規定では十分ではないのでしょうか。
○澤田政府委員 独占的状態の有無というようなものは突如あらわれるものではございませんで、経済部におきまして形式要件に該当するような企業については常時観察をしておるわけでございます。その場合は、通常手に入る資料によってこれを行っておるわけでありますが、そこで、いよいよこれは少し疑わしいということで、特別の措置をすることを決定した時点におきまして主務大臣に通知をして参考意見を申し述べる機会を与えるということになるわけでございまして、従来の公聴会でございますとかというものとは若干性格が違うと存じますので、それが公正取引委員会の権限を少しも制約するものではございません。 結局、結論は委員会が独自に決定するものでございますから、手続に念を入れるという意味においてこういう規定が置かれたものと理解するわけでございます。
○長田委員 このように見てまいりますと、公正取引委員会が独占的状態があると思料するときに主務大臣に通知をし、そして主務大臣がそれに対して独占的状態の有無及び競争を回復させる他の措置について意見を述べるということは、単なる主務大臣から参考意見を聞くという程度のものではないと言わざるを得ないのではありませんか。この点はどうでしょうか。
○大橋政府委員 この規定は、一つの考え方でございますけれども、審判手続を開始する前に協議がある、その協議をいつから開始するかという感じの通知があることによりまして、少なくともその時点からは、正式の協議といいますか、協議の内容である実質的な意見の交換が始まる、こういうような規定だと御理解いただきたいと思います。
○長田委員 私は、この通知というのは、主務大臣が公取の判断に影響を与えようとするものとしかとれないのであります。これまでこういう質問に対しては、政府の答弁は、影響という意味がよくわからない、意見を参考のために聞くのだということに終始しておるわけであります。しかし、第七十五通常国会では、当時の植木総務長官は、審決直前の協議の問題についての答弁の中で、「先ほど来影響というお話でありますけれども、その影響という意味に問題があろうかと存じます。その影響というものは、いい意味での影響ということでありますならば、これは合意を目指すための協議なのでございますから、私は望ましいことであると思うのでありまして、職権行使の独立性を侵すような影響というような意味でありましたならば、私はこれはとるべきではないと存じます。」というように答弁しているわけであります。間違いありませんね。 参考意見を聞くということは判断材料の一つとすることではないのでしょうか。ということは、植木元総務長官が言うように、よいか悪いかは別にしても影響を与えるということと違わないと私は思いますが、違いますか。
○大橋政府委員 主務大臣の意見は、あくまで公正取引委員会が調査を進める上での重要な参考となるものではございますけれども、影響といいますと、何か公正取引委員会の判断をする主体に影響を及ぼすというような感じでございますが、主務大臣の意見そのものは判断の客体でございます。判断の客体となる参考資料となるということでございます。
○長田委員 いま取り上げた答弁は審決直前の協議について論じられたものでありますが、私がこの通知制度を重視するのは、公取は完全に独占的状態の心証形成をしていない段階で、これから本格的な審査を始めようとするときに意見を聞くわけですね。植木元総務長官が言われるように何らかの影響を受けると見るのが妥当ではございませんか。 総務長官にお伺いします。全然影響を受けないことはないと思いますが、どうですか。
○藤田国務大臣 これは審決前の協議とは違いまして、本格的調査に入るときの通知でございますから、そしてまた意見を申し述べることができる。これはもう段階が大分違うと思います。審決前の協議とはこれは違うと思います。
○長田委員 私が申し上げたいのは、よい影響とか悪い影響とか、そういうことは別にしまして、何らかの影響を与えるというような法制度は公正取引委員会の職権行使の独立性を侵すと言っているのでありますが、総務長官、重ねて御答弁を願います。
○藤田国務大臣 私は、二十八条の規定による公正取引委員会の自立性、独立性を侵すものではない——これは意見を述べることであって、それを採用するしないは公正取引委員会の自由でございますから、ただ単に主務大臣は意見を述べることができる、いい意見ならばこれは参考として取り入れることはよろしかろう、かように思います。 しかし、さっきおっしゃった悪いおかしな意見ならば、これはもう聞く耳を持たないということで結構なことなんですから、そういう意味合いの意見を述べることができるということでございます。
○長田委員 これまで再三論じられてきましたが、公正取引委員会がこれから独占状態について審査を開始しようとするときにこうした通知制度を設けるということは、職権行使の独立性を侵す危険があるとしか言いようがないと私は思います。私は、職権行使の独立性を侵害するような制度は削除すべきだと主張するものであります。 最後に手続規定について一点お伺いをしたいと思いますが、第五十三条の二の二に、被審人から申し出があるときは、「これらの者が直接公正取引委員会に対し陳述する機会を与えなければならない。」と規定されておりますが、この規定はどの時点で行われるのか、また、何回でも申し出をすることができるのかどうか。
○水口政府委員 お答えいたします。 これは法律をお読みになってもその辺の詳しいことは書いてございませんが、公正取引委員会は規則を制定する権限を与えられておりまして、現在審査審判規則という規則がございます。それでいまお尋ねになりました点も、法律が通りましたならば審査審判規則の整備によって行いたいというふうに思っておりますが、その大体の考え方を申しますと、現在は審判というのは委員会が行うのがたてまえではございますが、実際には審判官がいわば委員会を代理するような形で裁判官に相当するような仕事を行っておるわけでございます。 そこでそういうふうに審判官に任せてあるわけでございますから、被審人側の申し出によって途中でいつでも直接委員会にやってもらいたいということでは非常に困りますので、審判官による審判がずっと進行いたしまして、一応終結した段階において申し出がありましたならばここに書いてございます陳述の機会を与える、それも引き延ばしに利用されますと困りますので、適切な審判指導も通じまして、それは必要最小限度にとどめる、こういうことを考えております。
○長田委員 公正取引委員会に対して陳述する際に、新しい証拠が提出されるような場合はないのでしょうか。また、審査官はこれに同席するのでしょうか。この点、二点をお伺いします。
○水口政府委員 その辺は、まだ新しい制度でございますからなかなか予想しにくいのでございますが、あるいは新しい証拠を提出されるような場合……(「それはいかぬよ、法律をつくるときに同席するかしないかわからないような、そんなばかな話はあるか」と呼ぶ者あり)証拠の方でございます。証拠は、相手方と申しますか、被審人の方が出すわけでございますので、それでそういうこともあるいはあり得るかというふうに考えます。 それから、同席の点につきましては、同席と申しますか、あるいは陪席と言うのがよろしゅうございますか、そういうことはあり得ることだと思います。
○長田委員 少なくともこのような規定がたとえばどうしても設けなければならないとするのであれば、委員会審判ではないことを明確にするとともに、弁明の機会を申し出るのは一回に限るというようにすべきであります。そうしなければ公正取引委員会の審判を故意に遅延させるような動きが出てくることは必至であります。 この規定の質疑で出てきたと思いますが、公取は審判そのものが少ないから影響はないというようなことを言われておりますが、課徴金制度の創設によって審判に持ち込まれるケースはふえると私は考えますが、この点について明確にお答えをいただきたいと思います。
○水口政府委員 おっしゃいますように、公取三十年間の歴史におきまして、審判件数はいままでは比較的少のうございますが、今回のような大きな改正が行われますと、課徴金制度もございますし、いろいろと審判の件数もふえてくると思います。 そこで、いまのお尋ねの件でございますが、その手続はさっき申しましたように審査審判規則に書くわけでございますが、われわれの一応の考えとしては大体一回か二回、その程度ぐらいに普通の場合はとどめるようなことにしたいといったことを考えております。 〔中島(源)委員長代理退席、委員長着席〕
○長田委員 時間がありませんので、次に移ります。 第八十一条の新証拠の申し出についてお伺いしたいのでありますが、審決取り消し訴訟において、現行第八十一条一項二号には、「公正取引委員会の審判に際して当該証拠を提出することができず、且つ、これを提出できなかつたことについて過失がなかった場合」「裁判所に対し、当該事件に関係のあるあたらしい証拠の申出をすることができる。」となっておりますが、改正案ではこれは「重大な過失」となっております。 いわば軽い過失が「重大な過失」となった理由はどこにありましょうか。
○大橋政府委員 審判手続、訴訟を通ずることでございますけれども、課徴金制度の新設でございますとか、そういう意味での独占禁止法の規制が強化されたわけでございますけれども、それだけ国の権限が強くなったということに対しましては、やはり、行政手続についての信頼性を高めていくということが必要でございます。訴訟についても同様でございます。 そのためには、現在公正取引委員会の行っております審判手続あるいは二審から始まる裁判制度というものを通じまして、一回限りの審判手続において過失があった、それで出せなかった証拠がある、その証拠を出せばカルテルの事実認定というものは覆る、覆って結局のところ課徴金は取られなくていいはずなのに、それを裁判に行っても、あのときおまえは過失で出せなかった証拠じゃないか、だからこれは調べる必要がない、したがって残りの証拠で調べたところではカルテルがあったのだ、だから課徴金も取るのだ、こういうようなことではほかの行政手続と比べてみまして余りにも酷ではないだろうかという感じがするわけでございます。 特に、行政事件一般、ただいままでの公正取引委員会の権限では、そう言ってはなんでございますけれども、カルテルについてはいわばやり得だと言われている程度の排除措置だったわけでございますが、その措置の審決についていまのような証拠の制限規定がある。一方、刑事罰のようなものになりますと、これは当然のことでございますけれども証拠は幾らでも出せるわけでございます。課徴金のような制度になりますと、これは中間的なものでございますが、二審の東京高裁の裁判においての証拠の提出というものは、どうもある程度被審人の立場としては認めていかざるを得ない、そうしないと権限を強化した独占禁止法を公正に運用していくことはできない、こういう考え方でございます。
○長田委員 重大な過失と単に軽い過失というのはどういうことか、どうもはっきりしないのですが、その判定基準はどういうことになりましょうか。現行法でも、今日まで、「過失がなかつた場合」ということで新証拠の申し出をした例がございましょうか。もう一度わざわざ枠を広げる必要がどこにあるのか、伺いたいのであります。
○水口政府委員 いままでの事例でございますが、訴訟におきまして過失がなかったことを理由にいたしまして新証拠の申し出をしたという事例は二、三ございます。しかしながら、いずれも裁判所におきましてその申し出に対しまして過失の有無につきましては判断はいたしておりません。その他の理由でもって処理しておるという例が二、三件あるわけでございます。したがって高等裁判所において過失の有無について判断を下した事例はない、こういうことでございます。 それから、重大な過失と重大でない方の過失でございますが、これはなかなか一概に言うことはむずかしゅうございまして、いろいろ判例なんかを見てみましても、それは人によって同様に判断しないで、たとえば弁護士のような場合と素人の場合と判断の基準は異なるといったような学説もあるようでございます。
○長田委員 元来公取委の審決は第一審的性格を持つものとされておるわけであります。現行第八十条の規定は委員会の認定事実の拘束力を認めていますが、これは言いかえれば裁判所は自判することはできないという条文であると言われています。したがって、第八十一条二項の改正によってこの拘束力を弱めるものと言えるのではないでしょうか。この点はどうでしょうか。
○水口政府委員 お答えいたします。 いま問題になっております改正は八十一条の改正でございますが、先生御承知のように、すぐ前の八十条でいわゆる実質証拠の原則と言われている規定があるわけでございます。それで、一言で申しますと、「公正取引委員会の認定した事実は、これを立証する実質的な証拠があるときには、裁判所を拘束する。」ということで、いわば事実認定は公正取引委員会の審判に任せられておるといったような形になっておりまして、裁判所の方はただその事実認定を本当にちゃんと証拠に基づいてやったかどうか、これを判断いたします。その点が十分でないと判断したときには、裁判所は自分で事実認定をいたしませんで、これを公正取引委員会に差し戻してもう一度やり直させる、こういうふうな仕組みになっておるわけでございます。 今回の改正では、御承知のように、従来「過失」と言ったところが「重大な過失」になったということでございまして、理論的には、場合によっては差し戻されてくる件数が若干ふえるかもしれないという懸念はございますが、本質的に実質証拠の原則を後退させたというふうなものではないと理解しております。
○長田委員 独禁法は特殊な法律で、裁判所と違いまして、公取で経済や法律に明るい者が事実を認定するわけであります。この場合、裁判所がやることは実質的証拠があるかないかをチェックするのであり、実質的証拠の調べをするものではないと言われておるわけであります。実質的な証拠がないとか審決が憲法に違反するなどの場合、裁判所は公取委に差し戻す、これが八十条、八十一条の関係だと私は認識しているわけでありますが、この点はどうでしょうか。 東京高裁の判決でも、審決の基礎となった事実を変更したから審決は取り消されるべきであるとの主張について次のように判断が示されておるわけであります。「殊に審決の基礎となった事実は、これを立証する実質的な証拠があるときは、裁判所を拘束するのであって、このことは、裁判所が、自ら反対の事実を認定し得ないことを示すのみでなく、審決後に反対の事実の生じたことを認定することをも禁じたものと解するのでなければ無意味である。従って、裁判所が審決後の事実の変更にもとずいて審決を取り消し又は、変更することはできないものと解すべきである。」となっております。 私は、八十一条の規定を改正し新証拠提出権の緩和を図ることは八十条に決定的影響を与えることであり、この改正は意図的に公正取引委員会の本質に触れるものであるとと言わざるを得ないのでありますが、この点はいかがでしょうか。
○大橋政府委員 ただいまの実質的証拠の原則についてお読みになりました東京高裁の判決の中の文章でございますが、それは八十一条を改正いたしましても全く同様でございまして、事実認定についてただ一回限りでいいんだということは独占禁止法は書いていないわけでございます。実質的証拠がないと認められたとき、あるいは証拠調べとしてさらに調べなければいけない証拠がある場合、こういう場合には実質的証拠がない場合には取り消す場合もありますし、差し戻す場合もあります。調べなければならない証拠がある場合には、もう一度これを調べた上で事実認定をやり直してくださいという形で専門家の公取委員会に戻すというのが実質的証拠の原則でございまして、八十一条において過失があったらもうだめだと言っている場合と、重大な過失があったらもうだめだと言っている場合と、その程度の問題で、実質的証拠の原則という基本原則がいささかでも揺らぐということはございません。 そういう点の八十一条第三項の規定につきましては全くいじっているわけではございません。単に事実認定の基礎になった証拠調べが十分であったかどうかという点の批判を加えようということでございますけれども、現実にはいままで過去に三件ほど過失がなかったという申し立てがあったそうでございますけれども、いずれもその証拠を調べても事実認定に影響がないだろうということで結局差し戻しになっていないわけでございますが、実務的な感覚で申しますれば、わざわざ審判手続に出さなかった証拠というものは故意で出さなかったものでございますから、当然これは今後とも認められません。わざとに近いものも重大な過失ということで認められません。 そういう意味で申しますと、重要な証拠が残っているというケースは非常に少ないのではないだろうかという考え方をするわけでございますけれども、こういう八十一条の手直しをすることによりまして公正取引委員会の審判手続に対する信頼性あるいはその後の司法審査に対する信頼性というものを国民一般あるいは事業者一般に植えつけていくということは、今後の独占禁止法についての考え方を普及していく上でも非常に大事なことではないかというふうに考えます。
○長田委員 時間の関係で多くの論議をすることができませんが、最初に述べましたように独占禁止法の改正強化は急務とされておるわけであります。政府案を速やかに修正し、早期に衆議院を通過させなければならないと考えておりますが、総務長官は衆議院での本法案の通過はいつごろまでに行われるのが望ましいと考えていらっしゃいますか。
○藤田国務大臣 一日も早く通過をお願いいたしたいと思います。
○長田委員 以上で終わります。
○野呂委員長 次回は、来る二十六日火曜日、午前九時四十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後七時二十四分散会