商工委員会 第14号
- 発言数
- 405 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1977/04/20
会議録
○野呂委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案及び多賀谷真稔君外八名提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐野進君。
○佐野(進)委員 私は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案につき、前回の法律審議において質問をし続けてきた経過を踏まえながら、今回提案された内容について質問をしてみたいと思います。 公取委員長あるいは総理府総務長官、さらに通産大臣は、昨日の質疑を通じて私どもの考えている点がどこにあるかということについてはすでにほぼおわかりになったと思うわけであります。そこで、私は、そのほぼおわかりになったということを前提にしながら質問してみたいと思うのでありますが、前回、昭和五十年の審議のとき、われわれはまさにこの法案の審議に全生命をかけたと言うと少し言い過ぎになりますが、それくらいの意気込みを持って審議をしたことは事実であります。したがって、その審議の経過の中で、私自身三回、約五時間以上にわたって質問をいたしておるわけでありまして、この法律の内容につきましては、微に入り細にわたってきめ細かな討議をいたしたことは速記録の中にも明らかになっておるわけであります。したがって、私は、もうこの速記録の中にある事項そのままをきょうこの段階で質問すれば、それで事足りるほど聞くべきところは聞き尽くしておるわけであります。 そういうような形の中で昨日の質疑を聞いておりますると、やむを得ないということはよくわかるのでありまするが、私といたしましては、まさに着物の上からかゆいところをかくような感じをぬぐい切れないわけであります。と申し上げますことは、ここに並んでおられる三人の責任者の方々はそのとき御在職でなかったわけでありまして、その後いまの地位につかれておるわけでありますから、そう申し上げてはまことに失礼かもしれませんが、この出されました法律の内容につきましては、審議を通じた当時の経過を知る私といたしましては歯がゆいという感じは否めないのであります。しかし、歯がゆいという感じが否めないからといって質問をしないわけにはまいらないわけでございますので、そういう点をよく了解していただきまして答弁をしていただきたいと思います。そして、その答弁はできる限りお三方にお願いをしたい。直接お願いをしたい。いわゆる政治的な判断も必要となる場合がたくさんございますので、できる限りお三方に答弁をお願いしたいと思うわけであります。 そこで、第一に、大臣並びに委員長の三人に質問をしたいわけでありますが、今回改正された法律案がそれぞれの方々にとって満足なものであるのかどうかということであります。大変回りくどい聞き方になりましたけれども、要するに公取の立場からすれば公取試案というものが出されたわけであります。それが五十年の第一回の政府案として出されてきたわけであります。そして五党修正が行われ、第二次政府案が出され、そして今度の第三次政府案という形になってきたわけです。その経過の中でいま一体どういう心境に公取委員長はいるのかということは審議をする上において非常に重要な意味を持つわけでありますから、そういう点についてのいまの心境は、公取試案をつくられた側として——先ほど申し上げたとおり公取委員長はそのときおられなかったわけでありますが、しかし、委員長という職責は続いておるわけでございますから、そういう面において公取としてどう御判断をなされておるかということであります。 総務長官は、当時植木さんと私どもは激しい論戦を展開いたしましたが、あなたはこの問題については今回の改正案を手がけることが総務長官として最初であろうと思うのでありますが、この内容はきわめて複雑多岐で、一つの文字の解釈においても相当大きな影響を与える内容を持っております。したがって答弁もきわめてむずかしいということはよくわかるわけでありますが、そういう形の中においてあえてこの法案を提案される責任者になられました。五党修正案がそのまま通っておるということになればあなたはこの役割りを果たさなくともいいわけでありますけれども、一般的な論調の中では五党修正案を一歩後退させたと受けとめられているこの案を提出することになった現在の御心境と、そして、その中において、この案が五党修正案とどう違うのかという位置づけをどのように御判断なされておられるかということ、この点について明快なる御答弁をいただきたい。 通産大臣は、この改正案提案の閣議決定に対して再三にわたって抵抗を示されたと報道されておりますが、事実かどうか、きょう初めて聞くわけですがわかりません。しかし、いずれにせよ厳しい抵抗を続けられたということだけは間違いないわけであります。そして、通産当局の続けられたこの厳しい抵抗によって、私どもの解釈では遅くとも先月の末に提案されるであろうと言われていたのが十二日になったわけであります。約半月間この法案の提案がおくれたのは、かかって産業政策を推進する通産当局の抵抗によってそれが行われたかのごとき印象を与える一般的な報道が行われておるわけであります。とすると、独禁政策に対して通産当局はきわめて激しい敵意を持っているというぐあいに一般的には見られておるわけであります。 きのうの質問に対する答弁としては、決まったからには協力しますと言いますが、通産当局がこの法案に対して反対しているという、しかもその反対の仕方がきわめて激しいという形の中で、約半月間も提案がおくれたという事実の中で、通産当局としては、この提案された内容についてどう御判断なされておるか、その公式的な答弁はともかく、心情としてどう御判断なさっておるか、できれば、この法案が今回も廃案になってほしいという願望の中できょう御出席なされておるか、そういうことも含めてお三方の見解を、本格的な質問に入る前に心境をひとつお聞きしておきたいと思います。
○澤田政府委員 お答え申し上げます。 この独占禁止法改正問題の推移を考えてみますと、非常に幅のある御意見がいろいろと整理集約されまして、第七十五国会の衆議院におきまして全会一致で修正可決されたという事実、この事実及びその五党修正案の内容というものをその意味において私は評価するものでございまして、独占禁止法の改正案がその後いろいろと検討されましたが、そのたびに一貫してこの五党修正案を基本として御検討願えればという希望を申し述べてまいったのでございます。現在におきましてもその心境は変わっていないのでありますけれども、と同時に、今度政府から提出された案も、そういうむずかしいいきさつを踏まえまして非常に苦心された案であるという点につきましても私は十分評価したいと考えております。 したがいまして、今度野党四党から、五党修正案そのものが再提出されております。政府からも、その五党修正案に大筋において相当沿った案が提出されたということでございますので、独禁行政の担当者といたしましての私の心境を申しますと、国会におきまして十分御審議の上、一致した御意見のもとに法律が成立いたしますことを切にこいねがっておる次第でございます。
○藤田国務大臣 おっしゃいますように、確かに七十五国会、五十年の六月に五党合意案は衆議院を通りましたけれども、参議院において廃案になったということでございます。衆議院は通ったけれども参議院で通らなかったということも一つ今回は踏んまえまして、各党がそれぞれ合意を得られるような案というふうなつもりでその調整をしてまいり、そしてここに提出をしたということでございます。後退とおっしゃいましたけれども、それはそれなりの理由もあり、そうして提出をしたということでございます。 それから、五党修正案との主な相違はという御質問があったと思いますが、三点であろうかと思います。 第一は、独占的状態の手続に関する修正がございますが、公正取引委員会の職権行使の独立性を尊重しつつも、独占的状態についての調査の特色を踏んまえて行ったものでありますが、誤解のないようにこれを規定しようとする、こういうものが一つございます。 それから二つ目には、不当な取引制限等に対する排除措置及び価格の同調的引き上げというものを、五党合意案の方では一応なくなったものを再び盛り込んだということがございます。 それから三番目は、審判手続及び訴訟に関して今回課徴金制度が新設されましたので、審判手続等の信頼を高めようという趣旨で新しく新証拠を提出できるとか、そういう点は五党合意案とは違った点である。 以上三点が主として違った点である、かように思っております。
○田中国務大臣 お答えいたします。 本件につきまして皆様方の御主張なさいますことも、これまた国家国民のために、国を思って主張されるわけであります。私どもも政府の一員といたしまして、産業、経済をお預かりする立場から、閣内において主張すべきことは十分に主張いたしたわけでございます。しかしながら、一たび閣議において、また政府において本案を決定いたしました以上——その段階までにおいては十二分に主張いたしますが、政府といたしまして決定いたしたことにつきましては、これは私といたしまして本案を支持いたす次第であります。 同時に、また、これは一私情の問題ではございませんので、あくまでも国家のために、あくまでも国民のためにわれわれは尽くすべきだけの努力を尽くした次第でございます。私人としての感情等は一切ございませんから、その点はどうぞ御了解いただきたいと思います。
○佐野(進)委員 総務長官、私はさっき申し上げているとおり、前国会でもう微に入り細にわたり質問をしているわけです。しかも、その後において、きわめて関心の深い立場において内容等は十分知り尽くしているつもりであります。その上で質問を申し上げるのでありますから、答弁も、私の言うことに対して機械的でなく、その問題に対してどうかという、その反響として答弁をこれからしていただきたいと思います。 そこで、そのことに関して総務長官に特に関係するのですが、きのう後藤委員の質問に対して修正は考えていませんとおっしゃいましたが、玉置委員の質問に対しては、全党一致であるならば、各党が一致したものであれば修正することについては受け入れると申されました。その間の時間は約一時間二十分、正味を言うならば一時間十分の間です。あるいはもっと端的に言うならば、一時間以内の中にその見解が変わったわけであります。これは重大なことだと思うのです。前回の質問の際、五十年の六月四日に私は質問いたしましたが、さっき見えた林委員がその後この質問をいたしまして、公取委員長の答弁はそのわずか三日か四日後に訂正されてしまった。私に対する答弁を訂正したというか、理事会において問題になったことがございます。そしてその調整を理事会で取り計らったことがあるわけでございますが、いわゆる修正をするかしないかという重要問題に対する見解表明というがごときことが一時間以内に変更があるなんということは、その同一人に対しての答弁の場合はあり得ても、後藤委員の質問に対しては修正はしませんと言っておいて、玉置委員の質問に対しては修正を考えても差し支えないと言うというようなことはきわめて不見識だと思うのであります。 そこで、議会政治の常道として、各党が一致して修正をするということになれば、それを受け入れることは当然であろうと私は思うのです。政府側もそれに対して謙虚にその態度で臨むべきことは当然で、その提案者としても、原案を通したいという願望は願望としても、その願望に基づく努力をする過程の中で、審議する議会側が修正するという意思統一が行われた場合は、それに従うのはいまの通産大臣の見解と同様であろうと思うのでありますが、これは三人の方々に伺いたい。 提案者は総務長官でありますが、公正取引委員長は直接閣議に関係がないということでありましょうけれども、三人の方々は、この法案審議の経過を通じて、その集約された結論については率直に従い、いわゆる修正を含めて一切の結論を謙虚に受けとめながら法案の成立を期していくというようなお考えであると私は判断するわけでございまするが、これについてはいかがか、通産大臣、総務長官、公取委員長の見解を聞いておきたいと思います。
○田中国務大臣 先ほど申し上げましたとおりに、政府としては一致して本案の通過を願っておる次第でありまして、私は一切総務長官にお任せをいたしてお答えをいたします。
○藤田国務大臣 後藤委員の御質問に対しては、私が、修正はいたさない、修正する考えはないと言いながらも、玉置委員の御質問に対する答弁では修正はするような弾力的なことを言ったというおしかりでございますが、私の後藤委員に対する答弁が言葉が足りなかったのかもしれませんが、この提案をした立場は、与党を含め、あくまでも全党の御賛成を得るというふうな立場でこの法案を提出しておりますということが第一点で、それから第二点は、この法案に対する審議が本日開かれたばかりでありますので、本日いま現在すぐ修正云々というようなことはとても言えませんということが第二点にあったわけです。ですから、後藤委員に対してはどのように言ったか定かでありませんが、修正いたしませんということを申し上げたことは確かでありますが、第二点の方だけを申し上げたのではないかと思います。 玉置委員に対しては、第一点と第二点と両方申し上げて、全党で御修正なさるというのなら、当然そのとおりにいたさざるを得ませんと申し上げたと思うのであります。 ですから、これは趣旨としては違っておりません。同じ趣旨のことを言ったので、後藤委員に対しては多少言葉が足りなかったことは私も認めます。
○澤田政府委員 独占禁止法の運用を担当する者といたしまして、国会の御審議に上っております二つの法案につきまして、これは御審議のことでございますから私からとやかく申すことではございませんけれども、私の立場で申しますれば、どの案が通るとか、どういう修正があるとかいうことは御審議の問題でございますが、一致した意見が見出され、法案が成立するということを切にこいねがっておる次第でございます。
○藤田国務大臣 ただいま申し上げましたことにもう一点つけ加えさせていただきたいのでありますが、全党で合意されて修正されていくことはやむを得ないということを申し上げたわけでありますが、政府としては修正の意思はありませんということをもう一言つけ加えさせていただきます。
○佐野(進)委員 いまの総務長官の答えは蛇足だろうと思うのですね。それは当然のことだと思うのです。政府が修正しますと言うなら、何もそんなことを出すことはない。そういうことを言うから話がこんがらがってくる。そういうことがわからないで質問しているわけじゃないわけですから、これからもっと質問をいたしますが、そこらの点はもう少しうまく答弁をして、いたずらに混乱を起こしたり解釈に誤りがないようにひとつ希望をしておきたいと思います。 時間が余りありませんから、一つ一つの問題について具体的に質問をしなければ私の役割りは果たされませんので前段の質問はその程度にいたしまして、具体的な内容に入ってまいりたいと思います。 そこで、第一に、順序がいま総務長官がお話しになられたことと若干違うかしれませんが、きのう後藤委員を初め各党の委員が質問をなされ、かつまた、今回、いま総務長官が御説明になられましたように、五党修正案を訂正して出された昨年度の原案は、私どもはそれは審議に値しない、こんなものは出してきても審議する必要がないということだった。政府側は、当時の総務副長官であった橋口理事がここにいるのですが——いや、その後総務副長官になったのかな、ともかく大変熱心でありましたけれども、私どもはこれは審議するに値しないということで、趣旨説明だけを当委員会で受けたかどうかわかりませんが、それだけで昨年提出された政府案は審議しなかったわけです。総務長官、いいですか、ことしはその政府案を若干手直ししたという形の中で出されてきたこの本案をいまこうやって審議しているわけです。しかも、その審議する経過の中で、出すのが遅かったじゃないかということをいまその責任追及を含めて発言しているわけです。 そういうことの持つ意味は、われわれは前向きに積極的にこの法案を審議し、できるならば積極的に成立させたいという願望を持ちながらこの質問をいたしておるわけです。これを廃案にしようとか、これは審議に値しないとかというのじゃなくて、これを成立させたいのだということを前提にしながら、しかも、不備であり後ろ向きである昨年度の政府案に比べれば前進した跡が見られたから審議しておるのだが、なおかつ五党修正案に比しては不服だ、不満だということで五党修正案を共同提案しているわけです。そういう意味において御理解をしていただき、質問に答えていただきたいと思うのであります。 まず、公正取引委員会の独立性の問題でありますが、この案がこのまま通ったという形になった場合、公正取引委員会の独立性に対して非常に大きなマイナス的要因を与えるのではないかということをわれわれは心配しているわけであります。そして、そのマイナス的要因を与えることに対して通産当局が積極的な役割りを果たしているのではないか、通産当局が積極的な役割りを果たす形の中においてこの法案の成立を図っているのではないかという心配が一般的にあるわけです。そこで、この法律の改正によって公正取引委員会の職権行使の独立性は一体どういう形になるのか、二十八条に規定されたその権限行使がこの法律によって影響されるのか、その影響のされ方は結局マイナス的な形の中において影響されるのかという、こういう心配を私どもは持つわけでありますけれども、そういうことについて公正取引委員会はどう御判断なされておるのか。この点を公正取引委員会委員長に御質問したいと思います。
○澤田政府委員 今度の政府案におきまして、公正取引委員会の職権行使の独立性について論議をされておる点が幾つかございますが、一つは、四十五条の二が新設されまして、公取が、企業について、独占的状態についての調査の過程において、それを立件審査に切りかえて審査部に回すという、その前に主務大臣に通知をして、主務大臣はそれについて意見を申し述べることができるという規定で、これが一番問題になっておるようでございますが、産業をそれぞれ担当いたします主務省との間にいろいろな連絡をし、そして調査の場合に必要な資料を求めるというようなことも実際上ありましょうし、そういう意味から申しましても、これが職権行使の独立性にかかわるというのには、それによっていわゆる強いチェックを受けるということでなければそうは言えないと私は思うのでありまして、通知をして、結局意見を求め、参考にするということでございますので、いわゆる二十八条による職権行使についての制約というものは、この面からも加えられることはないと考えておるのであります。 もう一つは、事務遂行上いろいろな規定が加えられておるのでございまして、五点あろうかと思います。ここで申し上げるのはくどいので省略いたしますが、これにつきましても、一つ一つを見てまいりますと、すでに現在内部の規定で明確に定められておるもの、あるいは実際行っておるものその他でございまして、これも職権行使の独立性に差しさわりがあるというものではないというふうに考えておる次第でございまして、ただいまの御質問の、今回の改正案がそういう重大な支障になるのではないかという点につきましては心配ない、こういうふうに私は考えておるわけでございます。
○佐野(進)委員 同じ点について長官と通産大臣に質問いたします。 第二十八条のいわゆる公取の独立性について、今回の改正によってこれを侵すことになる可能性があると一般的に言われておるわけでございまするが、そのことはいまの公正取引委員長の見解と同じかどうか、影響をする可能性があると御判断なさるのかどうか、この点をひとつお答えください。
○田中国務大臣 右の点につきましては、総務長官がお答えいたします。
○藤田国務大臣 公正取引委員長の見解と同じでございます。
○佐野(進)委員 実は、長官に先に聞いて、それから委員長に聞けばよかったのかもしれませんが、同じだということでございますから、それでよろしいでございましょう。 そこで、そうだといたしますと、独自性を損なわない、しかして四十五条の二の条項の創設に関しては、それぞれ独立性を侵さないという形の中でこの法律は改正されておるということになりますと、いわゆる独立性を侵さないという意味は、公取の事実の認定及び法的判断に対して、他から影響を受けないでその仕事をなすことができるのだというぐあいにいまの公取委員長の説明では判断できるわけでありますが、そういう判断に基づきますと、第四十六条は独立性の範囲内の問題であると考えるわけでございます。すなわち、事件について必要な調査をするために立ち入りや報告をとり、あるいは処分をするというような、そういうようなことはこの範囲内の問題であると考えるわけでございます。 そう判断することは当然だと私は思うが、公正取引委員長、いかがですか。
○澤田政府委員 私もそのように考えます。
○佐野(進)委員 総務長官、よろしいですね。ちょっと答弁してください。
○藤田国務大臣 そのとおりでございます。
○佐野(進)委員 そういたしますと、四十五条の二の、主務大臣に通知し、独占状態の有無についての意見を述べる権限を与えておるのは、四十六条に移る前、すなわち公取が事件になるかならないかの心証形成が終わっていない段階であるわけであります。ここではもっぱら公取の判断によって四十六条を発動するかどうかを決めるべきであります。そういうような状況の中で四十五条の二で通知をするのは、明らかに影響を受けることを可能にしているのではないか、そういうようなことを可能にしておるだけでなく、影響を受けざるを得なくなるような規定なのじゃないか、影響を受けざるを得ないというように私は思うわけでありますが、先ほどの答弁との関連の中で、公正取引委員長の判断はどうなりますか、四十五条の二の設置ということが四十六条との関連の中でどうなるか、この際明らかにしていただきたい。
○澤田政府委員 先ほども申し上げましたように、通知に関しまする主務大臣の意見というのは、当然私どもの調査の参考となる点もあろうかと考えるわけでありまして、これを尊重することは少しも差し支えないと思うのであります。これに拘束されるというものではないのでありまして、公正取引委員会がとるべき措置は、公正取引委員会としてあくまでも総合的にかつ自主的に決定するということでございますので、四十六条との関連においては少しも問題はないと私どもは考えるわけでございます。
○佐野(進)委員 そうなりますと、四十六条の関連においては全然問題がない、しかし、一方においては十分尊重し考慮するのは当然であるということになりますと矛盾はいたしませんか。あなたの方で四十六条に基づいて判断をするということの前に四十五条の二が来て、それは十分に尊重する、こっちは独自性で判断する、と、こういうようにお話しになられるわけですが、だれが聞いてみてもそういうことはなくて、いわゆる独自性の判断に対して十分尊重するという意味は、当然影響を受けるということにおいて理解せざるを得ないという結論になる。必然的に四十六条に影響を与えるということになる法文のように解釈をされるわけでありますが、この点については、二十八条の問題、四十六条の問題、それに関する総務長官の見解との関連の中で矛盾しないとするならば、この条項はあること自体がおかしいような気がするわけであります。 これは相互矛盾が当然のような感じがいたしますが、これが矛盾しないという点について、あなたの確信があるならばもう一度その点についてお聞かせをいただきたい。
○澤田政府委員 主務大臣の意見を受けまして、それを参考にいたすわけでありますから、影響がないと申すことではないのでありまして、いい影響は当然取り上げるということであります。 四十六条との関連におきまして、支障になるような悪い影響は受けないという確信のもとに申し上げておる次第でございます。
○佐野(進)委員 だから、公正取引委員長、これは議論だから、考え方だから、それはそれでいいですよ。ただし、いいものはとります、悪いものはとりません、それは私たちの独自の判断でやりますとおっしゃっておりますが、今日の産業政策ないし日本経済の運営という形の中における通産省の占める役割りは非常に大きいですね。これは大きくてしかるべきだと思うのですが、その中であなた方が自由なる競争を守る意味において、促進する意味において、公正取引委という形の中において対応しておられるわけですね。そういう場合において、いい影響は受けるが悪い影響は受けませんと言ってもどうにもならない。しかも、そのいい影響とは何か。その当時の状況の中で、あなた方が調査に入ろうとする条件の中で、経済的な知識その他について足らざるところを補うという形にならざるを得ないと思うのですね。 そうすると、この条文を置かれる意味は、専門的な知識に公正取引委員会の職員は不足しており、したがって、その不足している専門的な知識について、調査に入る前に産業政策を行う通産当局の意見を聞かざる限りこの調査に入ることができないのだという、公正取引委員会の経済的知識に対する無能性をこの中において明らかにしておると判断しても、先ほどの質問の関連から言えばこれは間違いがないように考えるわけですが、それでは公正取引委員長はいいとしても、公正取引委員会の一般職員は大変残念なことになるのではないかと思うわけでございますが、この点はいかがですか。 また、この点について総務長官はどのように御判断になられますか、お二人から答弁をいただきます。
○澤田政府委員 公正取引委員会の事務能力というような問題にお触れのようでありますが、これは各産業等につきましてあらゆる知識を集約しておるわけではございませんので、それぞれの専門の主務官庁の資料なり意見なりを参考にするということ、そしてそれによってよりよき結論を得るために努力するということは当然のことでございまして、そういう意味で先ほど影響についてちょっと分けて申し上げたような次第でありまして、私どもはそのように考えてまいりたいと思うのでございます。
○藤田国務大臣 そのような一般的な調査は事前に始めておるわけでございますけれども、公正取引委員会の中の経済部というのはたしか六十人か七十人程度の人間であると思うのです。それが寡占企業なり独占的な弊害を出しておるというふうな企業に対してずっと一般的な調査を始めておる。そこで、主務官庁と申しますか、そこに専門的な高度の調査をした長年にわたるものを聞きにいくというふうなことも必要なことではないかと私は思うのです。その意味合いにおける通知であり、そしてまた大臣が意見を述べることができるということでございますので、二十八条あるいは四十六条を何ら拘束するものではないというふうに考えるわけです。
○佐野(進)委員 いずれもはっきりしないのですが、しかし、これは重要なる問題だと思うのです。四十五条の二を置くことに対して、公正取引委員会として、その独立性を保持しながらその行政をどう行うかということについては重要なる問題だと思うのです。したがって、私は先ほど来申し上げておるのですが、たとえば公正取引委員会がいい影響、悪い影響、いい判断、悪い判断というような二つの判断の例を先ほど示されたわけですが、しかし、それらの問題については、中立的な立場に立って的確に判断するというのが本来の公正取引委員会の立場ではないかと私は思うのです。これはいわゆるいい影響だと通産省が言い、これは悪い影響だとだれかが言う、それで、公正取引委員会は、いやおれはこちらの立場だよ、おれはこちらの立場だよということについて、通産省の言った方はいい影響で、こっちは悪い影響だというような形の中で判断を示されたりすると、公正取引委員会がこの法律が改正された後においてこれを運用する場合においても的確性を欠くのではないかという気がするわけです。そして、そういうような判断のもとにこの条項が運用されるとということになりますならば、常にいい判断だという形の中で通産行政の指導を受けざる限り、いわゆる営業の一部譲渡ですか、それらを含む企業の分割の問題は処理をされないというような形になってくるような気がするわけでありますが、その点はいかがですか。
○澤田政府委員 影響を分けて申し上げたというような形になりましたが、私どもの判断の結論は一つ出すわけでありますから、その際によき参考になるという意味において影響を受ける、そういう趣旨のことを申し上げた次第でありまして、主務大臣の意見を尊重し、よく検討し、そしてよき参考になるようにそれを扱って、そして結局独自の結論を出すということでございますので、その意見によって制約を受けるということを心配する必要はないと考える次第でございます。
○佐野(進)委員 公取委員長、この判断は公正取引委員会の運用にとって非常に重要な問題だと思うのです。先ほど来の答弁でいいとか悪いとかいう影響の問題を口になさいましたけれども、結果的にいまの質疑を通じておわかりのように、こういうものは公取の独自性その他の立場からあってもじゃまにこそなれ、大して効果のあるものではない。あなたの答弁を通じてみれば、いいものなら取り入れる、悪いものなら聞かないよ、それはおれの勝手だよ、しかし、このことは運用の上においては非常に重大な危険性があるということでそれぞれ反対をし、また、これが外されたのではこの法案に対して了承しないよという形の中で反対をしておられる方々もあるやにわれわれは聞いておるわけですね。 そういたしまするならば、少なくとも公正取引委員会の立場において、先ほど総務長官がお答えになりましたけれども、それらの公正取引委員会の独立性については全然侵害しないし、単なる参考的なものであるという、そういうような考え方で答弁をなされておるようでございますが、ああいう考え方もそれと同じなのかどうか。もしそれと同じようなものであるとするならば、あえてこの条項を置くことによって多くの人たちに疑惑なり反感なりを持たれる必要はないと思うのでございますが、その点について公正取引委員長と総務長官の御見解をもう一度お聞きしておきたいと思います。
○澤田政府委員 この条項が設けられました趣旨は、やはり重大問題でございますから、その所管の主務大臣の意見を聞くという、念を入れるということがまずあろうかと存ずるわけであります。そういう念の入れ方が一つ加わったことの、そのよしあしについてはいろいろ議論があると思いますけれども、そういう行き届いた念の入れ方の一つとして入ってきた。しかし、それが公正取引委員会の独立性という問題との関連においてどうかと申しますれば、先ほど来繰り返して申しましたように、有益な参考意見として十分検討し、それによって独自の判断をしたいということでございますので、その基本的な問題については支障はない、かように考えておる次第でございます。
○藤田国務大臣 最後の判断は公正取引委員会にあることは間違いございませんけれども、しかし、その前に主務官庁と連絡を密にする、あるいは整合性を持つというふうなことは必要なことではないかと思います。そういう意味合いにおける条文でございますし、それが仮にないとすれば、先ほど公正取引委員会は経済部六、七十人と申し上げましたが、それくらいのわずかな人数で一般調査をやっておるわけでございますからおかしな間違いを犯すかもしれない。そういうことも考え得るわけでございますから、主務官庁のみならず、一般の他の官庁ももちろんのこと、それらの有効な意見は大いに公正取引委員会は聞いてしかるべきものだというふうに私は思います。 しかし、あくまでも最後の判断は公正取引委員会にあるということを重ねて申し上げておきます。
○佐野(進)委員 いつまでもこの問題だけをやっておるわけにはまいりませんが、いずれにせよ、公正取引委員長ないし総務長官の答弁は、この条項が入ることによって公正取引委員会の独自性を侵さない、むしろこの条項を入れることによって独自性を守るのだというようなニュアンスですが、これは違うと思うのです。公正取引委員長、これは違うと私は思いますね。これが入ることによって独自性を守れるというようなことは考えないでしょうと思うのですが、それは後でまた聞くといたしますが、いずれにせよ、この条項が入ることによって公正取引委員会の独自的な判断に対して悪い影響を与えるという可能性はある。 いまの質問の中において、六十名では足りないから百名あるいは千名の人たちの判断が入ることよって公正取引委員会の独自性が守れるのだというようないまの総務長官の答弁というものは、全くそんなことでこの条項が設けられたものではないと私は思うわけでありますが、しかし、いずれにせよ、そういう意味においてこの条項がこのまま入れられたという意味はいまの質疑を通じて明らかになったと思うのでありますが、公正取引委員会にこの条項によって非常に悪い影響を与える、そういうような形の中において処理がされざるを得ないという意味においてこれは改悪であると断ぜざるを得ないと私は思うのであります。 しかし、これをいつまでもやっておるわけにはまいりませんので、この点については、一応そういうような質疑を通じて内容を明らかにした形の中で次に進んでまいりたいと思います。 第二の問題は、第七条二項のカルテルの影響排除についてであります。この問題につきましては、五党修正案におきましては、いわゆる括弧書きを削除いたしまして、本文の中に「影響を排除するために必要な措置」というような条項を入れる形の中においてこの問題の処理を図ったわけであります。そしてこの処理を図るに際しまして、この条項に対するところの激しい論戦は与野党を論ぜず五党全体において展開されたことは御承知のとおりでありますが、そういうような経過がある条項に対して、さらに括弧書きで挿入した字句を削除し、そしてその括弧書きの中のことを七条の二項として設置した。 昨日もいろいろ議論がございましたけれども、その本来の意図するものは何なのか。これはどのような形の中においてそういう経過になっていったのか。いわゆる五党修正案から第二次政府案、第三次政府案に至る経過の中においてそれが変わっていったいきさつについて、この際、形式はいいですから、考え方について明らかにしていただきたい。このことは五党修正案よりも後退と受けとめるのがわれわれの常識なんですが、そのことがそうなのかどうなのかという点について、長い説明を要しませんから明らかにしていただきたい。総務長官、公正取引委員長。
○藤田国務大臣 第七条の方は違反行為の排除を主目的といたしておりますし、影響の排除がこれでできないというわけではありませんけれども、影響の排除を主目的としているものではないことは確かであります。七条の二項は影響の排除を主目的といたしておりますから、これを合わせるならば違反の行為の排除とそれから影響の排除も十分にできると解釈いたしておりまして、後退ではない、このように思います。
○澤田政府委員 いまの総務長官のお話と大体同意見でございます。
○佐野(進)委員 そうすると、括弧善きとこの二項にしたのと同じことですか。
○大橋政府委員 お答え申し上げます。 趣旨としては同じでございますけれども、前回第一次の政府案におきましては、括弧書きの「含む。」という言葉が七条の一項にございます行為を排除する措置そのものを限定するような解釈が行われる、当委員会の審議を通じましてそういう論議がございましたので、そういう誤解のないようにあくまでつけ加えたものであるという趣旨を明確にするために二項にしたわけでございます。
○佐野(進)委員 そうすると、挿入した字句を削除した理由はどうなんですか。
○大橋政府委員 これは五党修正案が成立いたしましたときには、公正取引委員長もこれをもって原状回復命令ができるというような解釈を持っていたわけではございませんけれども、その後検討の結果、やはりこの条項では原状回復命令まで含む可能性がある、さらに申しますと、カルテルの拘束を排除した後に事業者が自主的に決定すべき事柄についてまで国家権力が介入してああしろこうしろということを言える可能性がある、こういう条文になっていたわけでございまして、それは独占禁止法の本来の考え方にそぐわないのではないかということで五党修正案のとおりにはしなかったわけでございます。
○佐野(進)委員 その問題が非常に重要な問題なんですが、それでは、きのうも出ましたけれども、いま言われた当然含むということ、いわゆる挿入された字句がある形の中においては原状回復命令をも含むという形の中で誤解される、したがってこの条項については削除し、新しい項を設け、影響を排除することにいたしたのだというような説明でありますが、そうすると、きのうも出た昭和二十八年の東宝、新東宝の不当なる取引制限に関する東京高等裁判所の判決についてはこの問題との関連の中でどのように判断されるのか、判決の内容との関連の中でお聞きしてみたいと思うのであります。 この判決は、公取の排除命令は「将来の行為を禁止したものであることは明らかである。」と判断を下した後に、「一般に」とわざわざ断った上で、「独占禁止法違反の行為があるとき公正取引委員会はその違反行為を排除するために必要な措置を命ずるのであるが、ここに違反行為を排除するために必要な措置とは、現在同法に違反してなされている行為の差止、違反行為からもたらされた結果の除去等」——ここは繰り返しますよ。「結果の除去等、直ちに現在において違反行為がないと同一の状態を作り出すことがその中心となるべきことは当然であるが」というような形の中で当時の判決が出ているわけであります。 そうすると、この判決が出ていることの意味は、いま審議官が説明された五党修正案によるところの挿入された字句が当然この七条においては生かされておるというように判断して差し支えないと思うのでありますが、その判断において差し支えなく、しかも、五党修正案が共同におけるところの修正としてそれを成立させた、そういう経過の中でこの問題がいま言われたような形の中で処理されだとすると、それは一般的な常識と大変違いが出てくるというぐあいに判断するわけですが、公正取引委員長、これはどうですか。
○澤田政府委員 私は、現行第七条は違反する行為を排除するために必要な措置で、これをとる規定である、それから加えられた第二項は、不当な取引制限につきまして第一項に掲げる措置を命ずる場合に、当該行為によって生じた影響を排除するためにとることとなる具体的措置を命ずる規定というふうに解釈いたしまして、現行第七条で現在までいろいろなことが行われております。本体の排除命令のほかに将来にわたっての不作為命令あるいは付随的な協定の廃棄命令とか、あるいは周知徹底の措置とか、また価格の再交渉命令まで出ておるわけでございます。 たとえば価格の再交渉命令というようなものについては、それが影響であるかどうかというような点に若干議論はあるところでございますけれども、従来こういった現行の七条でできていたことは今度の七条第一項ですべてできると私は考えるわけでございます。それは第二項におきまして残ることが予想される影響についての規定が加わった、かように考えるわけでありまして、先ほどの東京高裁の結果の除去というようなことに関しますいろいろな従来やっておりますことは第一項で当然できるもの、それに第二項が加わった、かように理解する次第でございます。
○水口政府委員 先ほど先生が御指摘になりました東宝を原告とする東京高裁の訴訟の件でございますが、これは御承知のように東宝と新東宝との関係におきまして、東宝が新東宝に対して排他条件付取引ということで不公正取引を行ったのではないか、また、カルテルを行ったのではないかというふうな問題が起こりまして、裁判所の方は、カルテルの方はなかったが、しかし不公正取引があったというふうな判断を下しまして、それに関連して判示したものでございます。 その中で、確かにおっしゃいますように「違反行為からもたらされた結果の除去」という言葉が入っております。これをどういうふうに解釈するか、これがイコール影響排除措置まで含むのかどうかという点は確かにいろいろ議論のあるところであろうと思います。 われわれはいろいろ検討いたしましたが、そういう見方もできないでもないかもしれませんが、この結果の除去というのは、もう少し違反行為の排除措置に密着した行為と申しますか、影響の排除措置まではちょっといかない、もう少し違反行為に付随する行為的なものではないかというふうにわれわれとしては解しておるわけでございます。
○佐野(進)委員 それでは、いま私が質問いたしましたように、この判決のポイントは今回のこの法律の改正に大きな影響を与える判決ではないかと私は判断するわけで、そこでそれに関連して質問をいたしておるわけでありますが、このポイントは三つあるわけです。一つは「一般に」と断っている点、二つは、「違反行為を排除するために必要な措置」に「行為からもたらされた結果の除去」が入ること、三つは、そしてそれは行為の排除が「中心となるべきこと」ということ、これがこの判決の中心だと思うのです。 その判決というのは、今回の法律改正に際して、いわゆる挿入された字句を削除する形の中において参考になったのか、全然ならないのか、これを総務長官にお尋ねし、そして公正取引委員長に対しましては、この判決のことがもし参考になったなら——当然参考にしておると思うのでありますが、これは七条の特定の排除についてではなく、七条に対する一般的裁定と見ることができると思うのでありますが、それはどういうぐあいにあなたは御判断なされるか、この判決に関連して、その三つのポイントを中心にして明らかにしていただきたい。 〔委員長退席、橋口委員長代理着席〕
○大橋政府委員 作業に当たりましてこの判決があったことは承知しております。ただ、この判決は、先生もよく御承知のとおり不公正取引に関する判決でございます。カルテルと不公正取引との組み合わせでございますけれども、主体として不公正取引になっているわけでございます。 ここには、「一般的に独占禁止法違反の行為があるとき」という書き方でございまして、必ずしも私的独占、不当な取引制限だけをとらえておるわけではございませんで、株式の保有、役員の兼任、合併及び営業の譲り受け、あるいは不公正取引、そういうものまですべて含んで一般論を論じている部分ではなかろうかと存じます。当然のことでありますが、株式の保有制限に違反した場合に、その排除措置というのは、株式の処分というような、まさに結果の排除ということを含んでおるわけでございまして、これは行為の性質によりましてこの判決がどこまで妥当するかということはおのずと変わってくるのではないかという、こういう考え方でございます。 私どもといたしましては、不当な取引制限に関しましてはこの判決の効果というものは及ばない——及ばないといいますか、「一般に」と書いておられるのですから及ばないと言うのもあれでございますけれども、そこまで細く意識して書かれたような文章とは拝見しておらないわけでございます。
○澤田政府委員 先ほども申し上げましたように、行為の排除が中心になるが、結果の除去について当然これを含むというような判決の趣旨は、今度の新しい法案の第一項、第二項について先ほど申し上げた点に支障のあるものではない。現行の七条で行えましたことは今度の第一項で行えるし、第二項は影響の排除という規定である、かように考えておる点を重ねて申し上げる次第でございます。
○水口政府委員 先ほどお答えしましたように、この結果の除去をどういうふうに解釈するかということはいろいろな解釈があろうかと思います。むずかしい問題でございますが、直ちにこれが影響の排除措置とイコールであるかどうかという点については、われわれはそうではないのではないかというふうに思います。 たとえば、これは先ほど内閣審議官の方から申し上げましたように、問題のポイントは不公正取引の事件でございます。それで、違反行為の排除措置といたしましては、そういう不公正取引に該当する契約を破棄させるわけでございますが、契約は破棄しても、強い方が弱い方に対してにらみをきかせておって弱い方が思うように取引できないということでは困るので、そういう結果を除去するというふうな意味合いもあったかというふうにわれわれとしては考えております。
○佐野(進)委員 結果の除去と影響の排除というのは違うというようにいま審議官は答弁しておるわけですから、当然そうであろうと思うのでありますけれども、そういう違うということを言っているが、内容については、先ほど来の公取委員長の答弁その他について私はまだ釈然としない面があるわけです。これはなぜこのようなことを質問しておるかと申し上げますれば、先ほど来七条の二項は影響の排除を目的として項を起こす必要があるのだというようなことを言い、挿入された字句がそのままあると法律的に公正取引委員会の立場が悪いような形の中でその権限を行使される可能性があるから削除したのだと審議官は説明しておるわけです。先ほどの説明では私はそのように理解しておるわけでありますが、いずれにいたしましても、そういうような形の中でこの七条の二項が設けられるということになりますれば、結果的に七条の二項の持つ意味が改悪というような形の中で、一項をどのように説明をされようとも、制約するというような形の中で判断せざるを得ないと思うのでありますが、この点についてもう一度公取委員長から答弁をしていただきたいと思うわけであります。
○澤田政府委員 先ほども申し上げましたとおり、現行第七条におきましては、違反行為の本体の排除のほかに、その排除を有効ならしめるためのいろいろな命令を従来出しておりますが、そういった価格の再交渉命令というようなものも含んでおるわけでございます。 こういうものが影響に類するのではないかというような意見もございますが、私どもは、これはやはり行為の排除命令である、そして従来やってまいったのは今度の法案の第一項でも依然としてできるものである、そこに今度影響を明確に排除するための措置というものがつけ加えられたものである、と、かように考えておりますので、この点重ねて申し上げる次第でございます。
○佐野(進)委員 この問題についても、先ほど来申し上げましたとおり、私どもは五党修正案がベターであると思っております。いま総理府の審議官が言われたような形の中で処理されるということについては釈然としないわけでありますが、それでは、この規定がどういう場合に審決違反という事態が生ずることになるのかということについては大変わかりづらいわけでありますが、その点についての説明を総理府からお願いします。
○大橋政府委員 お答え申し上げます。 この七条の二項によります審決がまずどういう形になるかということによりまして審決違反の問題が起こるわけでございます。これは審決をお決めになるのは公正取引委員会が具体的な案件に応じて決定されるわけでございますけれども、私ども立案をした立場から申しますと、「具体的措置の内容の届出」とございますのは、これは決定を前提とした届け出でございます。それから、「具体的措置の実施状況の報告」というのは実施を前提とした報告でございます。 したがいまして、この条文の解釈といたしまして、公正取引委員会が審決をする際に、命令の内容を決定する、あるいはその措置を実施するということを審決の主文に書かれるということは認められるというふうに解釈しております。したがいまして、具体的措置を決定しないとか実施しないという場合には、それはよほどの理由のない限り審決に従わなかったというふうに理解されると考えております。
○佐野(進)委員 公正取引委員長、いまの問題についてはどう御判断なさいますか。
○澤田政府委員 審議官の考えと同様でございます。
○佐野(進)委員 そういうようなことについて公正取引委員会は当然審査しなければならない。委員会の審査なくして審決違反の判断はできないわけであります。 ところで、この届け出規定では公正取引委員会については審査することができるようになっているわけでありますが、企業が届け出た場合に公正取引委員会は受け取らざるを得ないということになるのか。公正取引委員会は、違反だと、そういうような形の中においては言えない場合もあるのではないかというような考え方が出てくるわけでありますが、いまの問題に関連して公正取引委員会ないしは審議官の方からお答えをいただきたい。
○水口政府委員 この七条二項の問題は、先生御承知のように、届け出るのは具体的措置の内容でございますが、それは公取が決めるのではなくて事業者が決めるわけでございます。したがって、いわばソフトな措置であろうかと思いますが、かといって、公取の方としては、先ほど総理府の方からも答弁がありましたが、何と申しますか、その届け出の内容が誠意のないものであるというふうな場合にはそれを直ちに受け入れるということはしないで、いろいろと行政指導をすると申しますか、話し合いを通じて誠意のある中身のあるものにしたい、こういう願望を持っておるわけでございます。
○佐野(進)委員 五党修正案によるところの括弧内削除、そしてまた字句の挿入という問題が結果的に今回は修正されて第二項の創設という形になって新しい法律案として提案されてきたわけでありますが、先ほど来大変長い時間をかけて質問をいたしましたが、結果的に申し上げますならば、総理府の方の見解等によってこの条項が字句を削除され、括弧内を新しい項に置いて設けたということの意味は、公正取引委員会がいままで行ってきた第七条の権限に対して全然関係なく、むしろこれがいい方に活用されるというような説明については納得のでき得ない、釈然としない結論しか私どもは持ち得ないわけであります。 したがって、このことについては、公正取引委員会の権限を結果的に制約するもので、委員長の、第七条の一項はそのまま行き、第二項において新しい情勢に対応してより積極的に運用することができるという判断についても、先ほど来の質問の経過の中でいささか心配をせざるを得ないというような答弁のニュアンスも承るわけでございますので、私は、この点については、当然第二項を削除し、五党修正案の方に影響排除を行うことができるという字句を挿入すべきではないかという見解をいまの質問においても持ち続けざるを得ないことになったという見解を表明して、この項の質問を終わりたいと思います。 次に、同調値上げの問題について質問をしてみたいと思います。 昨日の答弁で、委員長は、同調値上げが行われているという事実があることについては否定できないというように答えられておるわけでございますし、また、大橋審議官は、十八条の二の規定は、独占禁止法の今回の改正の中の規制措置としては一番弱いものであると述べられたわけでありますが、同調値上げは証拠なきカルテルを含めれば、今日きわめて重要な課題であることは言をまたないわけであります。そして、具体的な規制を独禁法の中に織り込むべきであるという主張はわれわれの考え方であるわけでございます。 政府答弁のようにこの規定が弱くても、規制を目的としたものであるとすればみずからの制裁的性格がなければならないと考えられるということになっておるわけでございますが、その考え方について、この際、昨日の質問の経過を踏まえた上でもう一度お聞きをしてみたいと思うわけでございますが、公正取引委員長、総務長官の見解を明らかにしていただきたいと思います。
○澤田政府委員 同調的値上げの問題に関します新しい規定の十八条の二を設けました趣旨等につきましては昨日もいろいろ申し上げたわけでありますが、現行四十条の「調査のための強制権限」は、公正取引委員会の職務を行うために必要があるときに行使されるものでございまして、「職務を行うために」と申しますのは、独占禁止法の規定の具体的運用に関する職務を言うと解釈されておるわけでございます。しかし、現行法のもとでは単純に同調的値上げの形をとっているという事実だけで直ちに独占禁止法上問題とすることはむずかしいのであります。 通常、四十条によりまして値上げ理由の報告をそういう場合に求めるということも必ずしも適当ではないと考えざるを得ないのでありまして、改正法案の十八条の二の報告徴収権の規定はそういう点を踏まえまして考えられたものでありますと同時に、現行四十条の権限を縮小せしめるようなものではない、むしろ、こういう規定を新しく設けることによって形式的に同調的値上げの要件を満たしている場合にはすぐ報告の徴収という発動ができる、こういう規定であるというふうに解釈をいたしておる次第でございます。
○佐野(進)委員 総務長官にお尋ねをしたいと思うのでありますが、そういうようないまの考え方が一般的であるといたしますならば、第四章の二に、四十条の二からなぜあえてこの項に移して新しい章をつくってこれを入れなければならなかったのか、四十条の二として存在したものを十八条の二として新しい章を起こした理由はどういうところにあるのか、この際その点を明らかにしてもらいたいと思います。
○藤田国務大臣 四十条の二に前に置いてあったわけでございます。第二次政府案でございましたか、そのときには四十条そのものを拘束するというふうな誤解を招きましたので項を新たにしたということが一つでございます。 もう一つは、やはりカルテルを強化いたしておりますし、また、高度寡占の状況に対する新しい条項も入っておるわけでございますから、そうすると中間部分が一つ抜けておるということもございます。法体系といたしましてはその中間部分が必要であるし、また、寡占の状況になっている業種もあるということもございまして、この同調的値上げというものに対しては国民の関心のあるところでありますから新たに項を起こした、こういうふうに理解しております。
○佐野(進)委員 この項については、同調的値上げの問題については今日なお大変多くの議論があるが、この条項を削除したということについてはたまたま両方の見解が一致した、解釈は両方全く相反するけれども、四十条の二を削除するということについては見解が一致して五党共同修正がなされたというぐあいに言われており、私どももまた私どもの立場において、この条項は四十条を制約するというような形の中でこれを削除したわけであります。しかし、この条項がいずれの形の中においても復活したという意味は、その誤解されるされないという問題を超えて、やはり四十条を制約するというぐあいに解釈せざるを得ないというように私は判断するわけでありますが、その点については誤解という問題だけであるのか、あるいは事実上この項が十八条の二になったことによって全然問題がないというぐあいに判断されるのか、これは公正取引委員長にその見解をお聞きしておきたいと思います。
○澤田政府委員 先ほども触れて申し上げましたように、四十条の権限を制約するものではないと考えております。そして、十八条の二が設けられることによりまして、そこに掲げられております形式的要件があれば直ちに報告を求めることができるという意味におきまして、これは少し広く加えられたもの、昨日はプラスアルファと申したのでありますが、そういうふうに考えておる次第でございます。
○佐野(進)委員 公正取引委員長、そういたしますと、いままでの四十三条の公取の「公表」の規定でコストにかかわる公表を行ったことはいままで公取としてはございますか。これはプラスになったというような形の中で解釈するとすれば、いままでそのような措置を行ったことがございますか。
○澤田政府委員 コストに関しての公表はないと記憶しております。
○佐野(進)委員 新聞にコストの平均と最高、最低水準は出たことがあるように私は記憶いたしておりますが、このことについて公表されたことは全然ないと言う。そうすると、私の誤解でありまするか。
○水口政府委員 後でよく確認いたしたいと思いますが、われわれはそれはないと思っております。
○佐野(進)委員 そういたしますと、ないという公取の正式な見解でありますから、私はあると理解いたしておりましたが、ないということであれば、これはここで論議をしても平行線をたどりますから省略いたしますが、いずれにせよ、公正取引委員会の公表という形の中における条件が、この条項が持たれる形の中において制約を受けるということは全然ございませんか。公正取引委員長。
○澤田政府委員 公正取引委員会がその職務遂行上必要であると判断いたした場合には公表できるものと考えております。
○佐野(進)委員 たとえば、コストの問題についてもそうでございますか。
○澤田政府委員 企業の秘密に関するというようなことになりますれば、当然法規によって制約を受けるわけでございますが、そういうものでなければ、公表して差し支えないものは公表できると考えております。
○佐野(進)委員 この項については、十八条の二をつくる形の中において四十条の項が制約を受けるから、これについては、その内容、手続等についてどうしても明らかにさせなければならないと私は思っています。 そういう形の中で質問をいたしておるわけでありますが、それでは念のために伺いますが、四十条について、その調査権の位置づけについてはどういうようにされていますか。昨日、集中度の調査などで四十条が発動し得るという答弁があったわけでございますが、そのこととの関連の中で、四十条の問題についてもう一度確認をしておきたいと思います。
○水口政府委員 現行法の四十条につきましては、先生御承知のように、職務を行うため必要があるときに行使されるものでございます。ただ、この規定は罰則によって担保されておりますので、公正取引委員会がむやみとこれを振り回すということは適当でないとわれわれは考えております。 そこで、従来どのような事例に対してこの四十条を発動したかということでございますが、やはり原則といたしましては、先ほど申しましたように、罰則によって担保されておるということも考慮いたしまして、独禁法の中の具体的な規定の適用に直接結びつく事項の調査を中心にいたしております。一番多いのは、たとえば第二十四条の二の再販関係につきましていろいろ調査を行うというのが一番典型的でございます。 ただ、それだけではなしに、従来の事例といたしましては、管理価格調査に対して四十条を適用したという事例はやはりございます。
○佐野(進)委員 審議官にもう一度お尋ねしますが、そういう事項は現在の四十条では十八条の二を置かなければ不可能でございますか。
○水口政府委員 ただいま私が申しました管理価格調査は、十八条の二を置くと置かないにかかわらず今後も可能であると思います。 それで、問題は、いわゆる同調的値上げの調査でございますが、これが現行法の四十条でできるのかできないのかということはいろいろ議論があるところだと思いますが、公取としてはぎりぎり詰められればできるという見解をとっておりますが、やはりこういう調査は任意調査の方が適当であろうということで、実際には任意調査という形で行っております。
○佐野(進)委員 大橋審議官、あなたは先ほど来いろいろな形で立案者としての立場において答弁をいたしておるわけでありますが、第四章の二としてこの十八条の二を置いた形の中において、その設置された意味がもっと積極的に一般的に理解され、そしてこの条項が効果あるものとして生かされるような条件は、これに何を加えたらいいと判断されますか。私は、これだけでは非常に誤解を生じ、かつまた四十条そのものを制約していくというぐあいに判断するわけですが、その点についての見解を明らかにしてもらいたい。
○大橋政府委員 政府の立場といたしましては、現在の条文そのままでそれが十分理解されるようにしていけばいいというふうに考えております。
○佐野(進)委員 総務長官、この四十条の二を十八条の二として第四章の二を起こした趣旨は、誤解を生じ、とかくの問題があったから、これは削除したものを復活する意味において第四章の二に置いたというように言われておるわけですが、誤解を生ずる余地は、いままでの質疑の経過を通じましても解消されておらないと思うのであります。 もしこれがそのままの形において積極的な意味を持ち得るものであるとするならば、この結果に対しての公表を、それも一定の時間、三月なら三月という形の中において、その理由について公表するという措置をつけ加える形の中においてこそその意味が理解され、その持つ効果が発揮されると考えるわけですが、この点についてはどうか。公正取引委員長ともどもお答えをいただきたいと思います。
○藤田国務大臣 現在では、その公表ということは、年次報告の中で国会に対して報告するというふうになっておりますが、いまのお話では何か三カ月というふうに聞こえましたが、その三カ月以内に公表したらどうだという御意見でございますか——個々の事案に対して公表していくか、一括して公表していくかという問題はございますが、四十三条は生きておりますし、これは何ら拘束するものではございませんから、個々の事案においてどうしてもやらなければならぬ、周知徹底せしめなければならぬということがもしありますれば四十三条でもってできるわけでございます。 ただ、同調的値上げとみなされたものが報告を出して、それをただ単に発表するということはまたいたずらな誤解や不安を与えるもとにもなりはしないかということもございますから、一括して年次報告という形にしているわけでございます。 個々の事案について必要があれば四十三条でやる、こういう関係でやっていくものだと考えております。
○澤田政府委員 総務長官の御意見のとおり考えております。
○佐野(進)委員 時間も参りましたので質問について集約いたしたいと思うのであります。 時間がございませんので改正点の中で手続問題等に触れるわけにはまいりませんでしたが、今回の改正の中において、この八十一条の改正が公取の権限を弱めていくであろうということについては大方の方々が指摘しておるわけであります。したがいまして、この手続問題等を含め、今回の法律改正に際しましては、私どもといたしましては、改正案提案に至る経過とともに不満を持たざるを得ない内容が多々あるわけであります。しかし、冒頭に申し上げましたとおり、この法律の成立を望む方々もまたたくさんいるわけでございまして、私どもはよりよい内容にする形の中においてこの法律の成立を早期に望みたい立場に立っておるわけであります。 そこで、最後に質問をいたしたいと思うわけでございますが、通商産業大臣、この質疑の経過を通じて、私どもは、少なくともこの改正が五党修正案の趣旨を大きく逸脱しないように、そして五党修正案を中心にした衆議院におけるところの満場一致の決議が生かされるように、この条文の解釈等についても五党修正案に近づけていきたいという願いを込めて先ほど来質問をいたしておるわけでございますけれども、通商産業大臣としては、冒頭に御質問申し上げましたとおり、この法案に対しては、閣議で決定したのだからやむを得ない、したがってそういう形の中でこれに対応するということでなくして、今日の経済情勢の中で日本経済が発展していく上にこの独禁法の改正は必要だという観点に立って、修正を含む一切のこの法律成立に対する問題について積極的に協力をなさり、積極的に推進されるべきではないかと私は考えるわけでございますが、それらの点についての見解をこの際承っておきたいと思います。 さらに、総理府総務長官に伺いますけれども、この法案については冒頭に質問を申し上げたとおり、われわれとしてはこの法律が成立することに対して非常に前向きに対処いたしておるわけであります。そして、この前向きに対処する形の中において、先ほど、昨日の質問の中で一番最初の答弁と後の答弁との中で大きな食い違いがあったということを申しましたら、それについては釈明をされましたが、成立をさせるために修正を含む一切の問題について柔軟な態度をもって積極的に対応していくという見解の表明がなければならないと思うわけでございますが、その点についてこの際御見解を聞いておきたいと思います。
○田中国務大臣 いろいろと詳細に経過等をお話しいただきましてありがとうございます。 私も、政府の一員といたしまして総務長官と全く同様に行動いたしますから、どうぞ御安心いただきとうございます。
○藤田国務大臣 所管の省といたしまして、この法案が全党一致をもって今国会で成立することを深くお願いをするものでございます。
○佐野(進)委員 公正取引委員長、前回の審議の際、高橋公取委員長は、この法律の成立のために病躯を押して、まさに私どもが見るにたえないほど痛々しい状況の中において積極的にその所信を披瀝され、そして本法の改正に努力された姿が私どもはいまこの目の前に鮮やかに浮かんでくるわけでありますが、そういうような形の中で独禁法を改正する国民の要望にこたえたいという、その姿から今日もうすでに少なくとも二年たっているわけですが、そのまる二年近い年月の経過の中でこの法律がまだ成立を見ていないわけであります。 われわれはこの法律を通すとき、附帯決議案をつけてこの法律に対して要望いたしましたが、その附帯決議案も本法が成立しない上においては全くの空文と化して、公正取引委員会の行政の上に反映されていないように私どもは判断いたすわけでありますが、しかし、この法律が成立する形の中において、一刻も早く実施されることを望む多くの国民の人たちの希望があるわけであります。 これは比較いたしては大変失礼かもしれませんが、公正取引委員長の姿勢の中には、前委員長の執念にも似たこの法律成立に対する熱意というものがきわめて薄いように私は判断をせざるを得ないわけですが、先ほどの答弁の中においても見られましたが、本法の解釈をした上に立って結論をつけるのはわれわれでありますから、常に総務長官と同じであるという形だけでなくて、少なくとも少しぐらいの食い違いがあってもいいのではないかという気が私はするわけであります。それは熱意の不足という形に私の目には映るわけでありますが、そういうことではなく、ひとつ積極的な対応をしていただきたい。悪いことは悪い、いいことはいい、しかしこうすべきことはこうすべきだという判断を示す中でこの法律の成立に対して全力を尽くすべきではないだろうかというように私は感ずるわけでございますが、それについての見解をお聞きいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○澤田政府委員 御指摘のような数々の過去のいきさつすべてを踏まえまして、この改正案の成立いたしますことを私は心から念願して努力を続けておるのでございますが、人間の持ち味の相違につきましての厳しい御批判は甘んじて受けるよりほか仕方がありません。 何とぞよろしく御鞭撻のほどをお願い申し上げます。
○橋口委員長代理 午後零時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後零時八分休憩 ————◇————— 午後零時三十九分開議
○武藤(嘉)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。林義郎君。
○林(義)委員 独占禁止法の改正案が、政府提案及び野党の方からも提案がございます。野党の方の御提案につきましても私は拝見しておりますし、これにつきましてのお考えもまた聞かせていただきたいと思っておりますが、きょうはそこまでの時間がどう考えてもないようでございますから、まず、政府案の方から質疑をさせていただくことにしたいと思います。 質疑に入るに先立ちまして委員長にお願いがあるのですが、本法案は五十年の国会におきましても審議がされました。私もそのときに質問に立ったわけでございますが、そのときには私は質問を留保にしてあるのです。私は留保にされたままで実はあの委員会で採決をされたというようなことになりました。 そこで、本法案は経済憲法と言われるような大変重大な法案でありますし、当委員会として十分な審議を尽くしていただくこと、また、発言の機会を、野党の諸君だけでなくてわれわれにも公正に与えていただくことを要望しておきますが、委員長、いかがでございましょうか。
○武藤(嘉)委員長代理 理事会でそのような方向で十分同意を得ておりますので、配慮できると思います。
○林(義)委員 この法案はこの前の全党一致のときの法案と変わった点もありますし、その後二年間の状況を見ますとずいぶん経済情勢も変わってきたし、あの五十年にやったときのような石油ショック、狂乱物価というような状態というものは二度と起こしてはならないということが日本の経済運営の基本だろうと私は思うのです。そういう点で、これからの安定成長経済をどうしていくかということがこの独占禁止法の一つの大きな目標でありますし、そういった点から考えましていろ いろと問題があると思います。 第一に、その考え方ですが、総務長官にお尋ねしますけれども、これからの安定成長をやっていく場合におきまして、日本におきましてはビッグビジネス、大きな企業もありますし、中堅企業もあるし、中小企業もあるし、零細企業もある。競争の原理が完全に働いてもらわなければならないのはやはり大きな方からでありますし、本当に零細なところを競争原理を働かせることによっていじめるということは、かえって全体の調和を壊すものであろうと私は思うのであります。アメリカのガルブレイスも言っておりますけれども、私はその説を全部とるわけではありませんけれども、独占禁止法こそは大企業に対して向けられるべきだという考え方でありまして、逆に言いますと、中小企業や本当の零細企業の人については、実際問題として、適用するといったところでなかなかこれはできませんし、中小企業につきましては中小企業等協同組合がありまして共同化をしていくということが一つの大きな柱になっておるわけでございますから、そういった意味で全体としてのバランスをとった政策運営が必要だろうと私は思うのであります。 この私の考え方について総務長官はどういうふうにお考えでありますか、御答弁ください。
○藤田国務大臣 おっしゃいますように、競争に適さざる特殊の分野というものもあると思います。また、もうすでに林委員御承知のとおりで、協同組合とかいうふうなものは除外例になっておりますし、ビッグビジネスがそういう競争を大いにやるべきであるということも当然だと思います。 ただ、大きいから悪いんだというふうな考え方が何か一つはあるように思うのですが、それは間違いだと思うのです。大きくても安くてりっぱな物を国民に供給し、そしてちゃんとした新規参入も可能であるとか、弊害も出していないとか、こういうことになれば、それはもう大きい企業は決して悪くはない。ただ、大きい企業は悪いことをする力があるわけですから、そういう意味においては、今回こういうふうな法案の改正によって悪いことを抑止するということは十分に意味があると思います。 それから、もう一つ言わせていただければ、御質問にもなかったのですが、好不況、景気のいいとき悪いときということに限らず、そしてまた政治の状況の影響を余り受けないで——こういうふうな経済憲法とも言われるようなルールを出していくのにはそういう影響を受けない方がよかろう、かように思います。ですから、いま景気が悪いからそういうふうなものを出す時期ではないというお話も間々ありますが、それはそうでないというふうに考えております。
○林(義)委員 質問のないところまで御答弁をいただきまして感謝しております。 実は、私は、この法律をずっと見ますに、今度独占的状態ということが入りましたし、同調的価格の引き上げの問題が入っております。中小企業の問題がある。独占的状態で考えていますのはまさに高度寡占産業である。学者的に言うならばガリバー型寡占の問題をここでは取り上げてやっておるわけであります。ところが、寡占の弊害というものはガリバー型寡占だけではとどまらない。そのほかにいわゆる寡占の問題というものがあるわけでございまして、その寡占の問題についてメスを入れた考え方を出していこうというふうにしたのがたまたま同調的価格の引き上げなどという形になっておりますけれども、これは本当は寡占対策だろうと私は思うのであります。寡占でないところの産業間においてどういう問題があるかといえば、やはりカルテルだろうと思うのであります。カルテルについては今度は課徴金という形で規制を厳しくしていくということであります。さらには、寡占でない、不当な取引制限によって規制をされるような以下のところ、そういう以下のところのいわゆる中小企業等協同組合をやっていくようなところにつきましてはやはり別の考え方をする。これが今回の改正案の大筋だろうと思うのです。 先ほど来の御質問を聞いていますと、四十条と四十条の二との関係で何か議論があったようでありますが、私は、全体の考え方からすればいま申し上げたような体系になっている、すべての分野において競争政策の貫徹を図っていくということが独占禁止法なりあるいは政府なり国会の持っているところの競争政策の目的でなければならないだろうと思うのでありますが、総務長官、いかがでしょうか。
○藤田国務大臣 おっしゃるとおりでございます。大、中、小、また零細なところとあるにしても、どこかに抜けるようなことがなく、一貫した競争が公正に行われておるという状態が望ましいと思います。
○林(義)委員 そこで、まず中小企業の方からまいりますが、独禁法の二十四条に「一定の組合の行為」については適用除外をするという条文がございます。この各号に掲げてある事項を読みますが、「一 小規模の事業者又は消費者の相互扶助を目的とすること。二 任意に設立され、且つ、組合員が任意に加入し、又は脱退することができること。三 各組合員が平等の議決権を有すること。四 組合員に対して利益分配を行う場合には、その限度が法令又は定款に定められていること。」こういう「要件を備え、且つ、法律の規定に基づいて設立された組合の行為には、これを適用しない。」つまり、独禁法の規定は適用しないと書いてあります。そして、「但し、不公正な取引方法を用いる場合又は一定の取引分野における競争を実質的に制限することにより不当に対価を引き上げることとなる場合は、この限りでない。」と書いてあります。この一号から四号までの要件に該当するのは中小企業等協同組合であります。これは明らかにこれに該当する。そのほかにいろいろたくさん組合がありますけれども、中小企業等協同組合についてはこの要件に該当する組合である。したがいまして、この二十四条のただし書きに書いてあるようなことをしなければ中小企業等協同組合は独占禁止法の規定の適用をはずすという解釈だろうと思うのであります。 ところが、もう一つありますけれども、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外等に関する法律というのが昭和二十二年十一月二十日の日に法律第百三十八号で公布されておりますが、これの第二条によりますと、「私的独占禁止法第八条の規定は、左に掲げる団体に対しては、これを適用しない。」となっており、その中に「中小企業等協同組合法」というのが入っているわけであります。本法の第八条の規定は「事業者団体」の規定でございまして、その事業者については「一定の取引分野における競争を実質的に制限すること。」となっており、以下、いろいろな制限的な活動をやってはならないということが書いてあるわけでございますが、ここで、先ほど申しました二十四条の規定は、「不公正な取引方法を用いる場合又は一定の取引分野における競争を実質的に制限することにより不当に対価を引き上げることとなる場合」ははずすのだと書いてありますし、適用除外法の方はこれは全部はずすのだと書いてある。全部適用除外にすると書いてある。したがいまして、その辺をどうするかということが法律論として非常に問題になるところだろうと私は思うのです。 そこで、その法律の解釈と同時に、中小企業協同組合が行うようなカルテルについては、いままでは、もしも価格の引き上げをするというような形になりましたならば二十四条のただし書きの規定が適用されまして独禁法違反ということになり、適用除外法の二条によりますとこれはいいのだということになりますが、今度はカルテルについての審決とか審判とかというどころではない、中小企業については、もしも同じような違反事件でありましたならば、やはり不当な取引制限をすれば課徴金がかかるわけであります。 こういうふうにどう考えても法律で二つの解釈が出てくるところで、中小企業協同組合のカルテルについては、課徴金については一体どういう形で公正取引委員会はやっておられるのか。これは総務長官でも結構ですが、解釈の問題ですから公取の方がいいのかもしれませんが、公正取引委員会の委員長から、その辺をどういうふうにされるのか御答弁いただきたいと思います。
○澤田政府委員 いまの御質問の点につきましては、規定の事実はおっしゃるとおりでございまして、独禁法第二十四条におきましてはただし書きがございます。ところが、適用除外法第二条にはそのただし書きがないわけでございます。 それで、どういう取り扱いになるかということが問題になるのでございますが、公正取引委員会の従来の解釈、取り扱いを申しますと、適用除外法第二条につきましても独占禁止法第二十四条のただし書きと同様の制限が働くものと解釈をいたしまして、中小企業協同組合の組合員による価格協定は同条ただし書きに該当しない限り独禁法第八条の規定は適用されないという解釈をいたしてまいっておるのであります。 ところが、いまの御質問にもございましたように課徴金というような問題がここに起こってまいったのであります。従来もこういうような方針のもとに運用はしてきましたが、実際には独禁法第二十四条ただし書きが適用された事例はございません。ございませんが、今後どうなるかということを考えますと、課徴金制度が新設された場合には、中小企業協同組合の組合員による価格協定に対する独禁法第二十四条ただし書き及び適用除外法第二条の規定の適用に当たりましては課徴金が課されることになるという、そういう事実にかんがみまして、この運用については従前にも増して一層慎重に臨まなければならないと考える次第でありまして、従来これが適用された事例はございませんけれども、なお一層慎重に臨まざるを得ない。 したがいまして、実際には中小企業協同組合の組合員に対して課徴金を課すことは困難であろう、まずそういうことはむずかしいのではないか、課されない扱いにせざるを得ないのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
○林(義)委員 中小企業協同組合の不当な取引制限については課徴金を徴収することは困難であるというふうな御答弁でありますが、昭和五十一年に一つの事件がありまして、富山県の生コンクリート協同組合の事件があったわけですが、この事件は生コンですから、販売価格を協定してやらなければ過当乱売競争になってどうにもならない。大手の生コン業者もあるし、協同組合でやっているところの小さな者もある。大手の二社と協同組合とが価格の協定をいたしました。それは大手の二社と協同組合とがやったならば、これは明らかに相当大きなところでありますから、不当な取引制限として追及をして結構だと私は思うのです。ただし、同時に、たまたま協同組合の傘下の非常に零細なところまで皆その価格でやれと言ったものですから、それがひっかかってしまったというような事例がありまして、これについては大きなところと協同組合との間の協定及び協同組合内におけるところの協定すべてについて破棄判決が出ているのであります。協同組合内の問題については、実は、学者の間ではこの判決は少し行き過ぎであるというふうなことを言っておられますから、私は、やはり、協同組合内のものはいま言ったような形で課徴金を取るのは少なくとも抑えるとか、ないしは立件できないという態度を貫いていただきたいと思うのです。とかくいままで解釈がはっきりしていなかったところでございますから、私は念のためにこれを申し上げたような次第でございます。 それから、取引制限の問題でお尋ねしたい点がまだ四点ぐらいありますが、ちょっとこれはおきまして、今回の改正で、先ほど総務長官から御答弁がありましたが、現在の経済状態を見ますと大変な不況であり、景気の回復を図ることが第一であると言われておりますが、特に不況業種と言われておるところは大変なことをやらなければならないというふうに思うのです。そこで、産業政策担当官庁であるところの通産大臣にお尋ねをしたいのですけれども、安定成長下におきまして競争政策というものを貫徹していかなければならない場合において、業種間のアンバランスというものは当然出てくるだろうと思うのです。肥料であるとか、平電炉であるとか、そういったところは大変な不況に見舞われるでありましょうし、また、溶解パルプなどというものも相当なウエートは占めておりますが、これもまた大変景気の悪い業種である。いろいろな業種があります。ところが、一方では景気のいいところもあるわけでありまして、日本全体としては景気、不景気というものがいろいろな形で破行的に行くことがやはり経済の実態だろうと私は思うのです。 そして、そのときに考えなければならないのは、言われているところの協調的な寡占、ビッグビジネスが見えざる手によって結ばれるというようなところについてやはりメスを入れていくということが問題だろうと私は思うのです。実は、協調的な寡占、競争的な寡占ということを言い出しましたのは経済白書であります。昭和四十年の経済白書の中にはっきりそういった考え方が出ているのです。その経済白書の中には、寡占だからといって悪いわけではない、寡占は非常に競争的である、実は、寡占産業間においてシェア争いが相当激甚であって、シェアが非常に動いておる、それから技術革新というものも相当にある、それから新規参入についても相当活発に行われている、これが日本経済の実態であるということを言ったのが昭和四十年の経済白書であります。 日本の経済、日本の産業の実態について通産大臣は一体どういうふうな御認識を持っておられますのか。これから経済成長はだんだん減速していきます。かつての一〇%以上の経済成長を果たした状態と違って六%の成長になります。そういう状態においては企業間格差というものの矛盾は相当顕在化するでしょうし、国際経済におきましてもまたいろいろな問題がある。そういうように国際経済でも問題がありますし、日本は国際経済と非常に深いかかわり合いを持ってこれから経済運営をやっていかなければならないのでありまして、条件としては、国際的な環境を考えますならば、むしろ大変競争が激化していく状態だろうと私は思うのでありますが、そういった状況なのかどうかという点につきまして通産大臣の忌憚のない御意見を承りたい。
○田中国務大臣 林先生にお答えいたします。 ただいまの御質問は、ただいま御審議いただいておりまする独禁法の問題と離れまして、産業政策全般の私に対する御質問だと考えますが、お説のとおりに、ただいまの国際競争というものは激甚をきわめておると申しても過言ではございません。その中におきまして日本経済が、アメリカ、西独、日本の三者によっての国際景気の回復をねらい、また、国際経済間におきましても今後ますます提携し、緊密な姿において国際経済を扱っていかなければならぬと同時に、また、激しい競争もあるわけでございますから、さような関係から申しまして、われわれといたしましては、産業政策懇談会を設置いたしまして、かねてからこれらの問題につきまして慎重に検討を加えてまいったのでございます。さような次第で、この集中度の高い産業におきまする今後のあり方につきましてはまたいろいろと方途を講じなければ相ならぬ、かように考えております。 さような次第で、私どもの寡占度に関しまする国内的な反響というものを考えてまいります場合に、企業に対する活力を与え、そして国内産業の景気を回復し、守ってまいるというようなことから申しまして、さらにまた国内的には物価の問題がどのような傾向をたどるだろうかということを考え、特に、通産省の寡占と物価の問題についての検討並びにその寡占が必ずしも高物価を誘致するものではないという点におきましての国内経済に対しまする貢献度というものにつきましては、過般統計をもって発表いたしたような次第でございます。 さような意味のことを申し上げて先生の御質問 に対するお答えといたします。
○林(義)委員 提案者は総務長官でしょうから、総務長官にお尋ねしますが、今度の改正で、独占的状態及び寡占対策として譲渡命令というものをやっていますが、基本的な考えとしては、いわゆる寡占産業というものをどう考えるかという問題だと思うのです。これは公正取引委員会の委員長にも後で基本的な考え方をお尋ねしておきたいと思うのですけれども、寡占産業というものは、国際競争を通ずるところの外貨獲得、技術開発によるところの新しい雇用の創出、新製品や品質改善によるところの消費者利益の向上、スケールメリット追求による消費者、関連産業への合理化、利益の提供、海外資源開発や安定輸入のリスク負担等々をめぐって、経済的にはメリットのある企業だと思うのです。 〔武藤(嘉)委員長代理退席、山崎(拓)委 員長代理着席〕 しかしながら、いろいろと弊害があるからその弊害を直そうというのが今回の独占禁止法の改正だろうと私は思うのです。したがいまして、具体的なことで言っていただいた方がいいと私は思うのです。というのは、言葉で言うよりは、たとえばビールでありますが、ビールは、麒麟麦酒が御承知のとおり大変高い寡占度を持っています。朝日麦酒、サッポロビールと競争してやるわけでありますが、競争こそが独占禁止政策の根幹でなければならないと私は思います。ビール会社というものは、朝日麦酒も徹底的にサッポロ、麒麟に対して競争していくことが望ましいことである。シェアが五〇%を超えたからもう余り競争しないで適当にやって、中で重役にたくさん給与を払ったりむだな広告を出したり何かするということは国民経済的に見たらきわめて望ましくないことだと私は思うのです。したがって、麒麟麦酒のようなものが競争して、シェア率がたとえて言うならば九五%になっても競争してもらった方がいいのだと私は思うのですが、そういった考え方でやっておられるのか、いや五〇%を超えたらいかぬからおまえはもう余り競争するなとおっしゃるのか、その基本的な企業に対する考え方について総務長官はどういうふうにお考えになりますか。
○藤田国務大臣 先ほど御質問がなかったことにお答えしましたときに、大きいことは悪いことではないと申し上げたのはその答えの一つであろうと思うのです。個々の商品名を出すことはお許し願いたいのですが、その企業のシェアを、優秀な技術をもってよい品物を安く販売するがためにどんどんと高めていった。そうしますと、同種の他の企業といろいろな問題がそこに生じてくるかと思いますけれども、しかし、これはやむを得ないことだと思います。 ですから、先ほど一言で言いました大きいものは悪いことではないのだという考え方が根本になると思います。
○澤田政府委員 基本的にはいまの総務長官のお話と同様でございますが、競争の維持、促進というものを産業のあり方の基本として考えますときに、行政のたてまえから申しますと、公正にして自由な競争の結果寡占体制が進み、あるいはシェアが非常に高まる企業が生まれるということは、それ自体悪いというものではない。しかし、大きくなり、寡占体制になりますととかく弊害が起こってまいるということでございますので、その弊害を起こさないようにすることがまた独禁法の目的にかなうゆえんでございます。そのメリット、デメリットを十分かみ分けた立法なり政策なりが必要である、かように考えるわけでございます。
○林(義)委員 そういった意味で、停滞的な寡占というか、協調的な寡占ということについてはやはり大いに非難をしていかなければならないと私は思うのです。停滞的な寡占というのは、有名な例はアメリカの鉄鋼業でありまして、アメリカの鉄鋼業というのはUSスチールを中心として伸びてきた。しかし、操業度五〇%ぐらいになりましても依然として価格のつり上げをやろうというような話があったわけでありまして、もしも日本でそういうふうな状況があったならば、これは追及していかなければならない問題だろうと私は思うのです。 これは通産大臣にお尋ねいたしますけれども、そういうような状態というものがいまの段階として一体あるのだろうかどうだろうか、そういうふうに競争的でないところの企業があるのだろうかどうだろうか、あるいはそういう企業群があるのだろうかどうだろうか、その辺につきまして通産大臣、御所管の産業の範囲で結構でございますから御答弁いただきたい。
○濃野政府委員 お答えいたします。 先ほど大臣の御答弁にございましたように、これからの新しい経済成長の中で、減速経済下でいろいろな問題が起こってまいりますが、そのうちのいわば産業組織の問題の一つといたしましての寡占の問題というものは、産業政策の上からも私どもも非常に大きな関心を持っておりまして、昨年以来いろいろ勉強を続けてきておりますが、ただいまの先生の御指摘のような意味で、私どもの所管する業種の中で、いわば協調的な寡占といま先生がおっしゃった言葉、いわゆる寡占の弊害が現実にあらわれておるというような業界はいまの感じではないというふうに私は考えております。
○林(義)委員 もう一つ通産大臣にお尋ねいたしますけれども、大企業の社会的責任ということがよく言われておるわけでありますが、大企業の社会的責任ということは独占禁止法の問題とは決して無関係な問題ではないと私は思うのです。特に、これは、単に製造業なり商社以外にもいろいろな問題があるだろうと思うのです。今回出されたような問題以外にもいろいろな問題があると私は思います。たとえて申しますと、建設業界が大変に不況であるというふうな話が一時ずいぶん言われました。いまは大分改善されてきておりますが、公共事業に深くかかわっているところの大建設会社が下請企業を非常にいじめるのではないかという話もありましたし、そういったような大企業と下請との関係をどういうふうに直していくかという点の問題もあります。 それから、当面金利の問題が出ておりますけれども、金利というのも、公定歩合を中心にして、まさにこれこそ同調的に動いておるわけであります。しかも、銀行というのは相当高い利潤を上げておることも事実であるし、一方では、店舗を新しく出すということになれば非常にりっぱな店舗を出し、預金に行くといろいろなサービス品などをくれるという形で、少し行き過ぎたサービスではないかという点も社会的な問題としては当然に考えていかなければならない点だろうと私は思うのでありまして、そういうような点もこの独占禁止法の改正とともに近い将来において取り上げていかなければならない大問題だろうと私は思うのです。 いまの親企業と下請との関係なんというのも、まさに下請代金支払遅延等防止法をどうするかという問題でありますし、銀行の店舗の非常な華美さを規制するとか、銀行がマッチを配ったりなんかするようなことを抑えていくのをどういうふうにしてやるかということは、銀行というものはやはり大企業でありますから、そういった意味での社会的公正というものは、これからも単にこの問題にとどまることなく追及をしていかなければならない問題だと私は思うのですが、この辺につきまして、両大臣がおられますから、両大臣から簡単で結構でございますから御答弁ください。
○田中国務大臣 お答えいたします。 これは自然人であろうと法人でありましょうと、自由というものには社会的あるいは国家的な一定の制限というものがあり、過度の自由というものがあるいは社会的な混乱を招き、あるいはまたその相互間の非常な不当な事態を招き、ひいてはみずからを滅ぼすといったようなことがあるわけでありまして、憲法にも、自由あるいは権利の主張ということには、その間には社会、公共のための一定の限界があるわけであります。その個人の自由にいたしましても、さらにまた法人の自由にいたしましても同様であろうと存じます。さらに、また、これは国内問題だけではなく、国際的な協調ということから言いましても、これが過度になりますればエコノミックアニマルと言われるような国際的な指弾を受けることもあるわけでございます。かような一つの考え方は、やはりそこにはあくまでも協調と連帯という問題が哲学的に横たわるわけでございます。 いまの大きな法人の活動が、金融業といい、製造業といい、建設業といい、その他いろいろな業態にいたしましても同様の一つの理念というものがあるわけでございます。その間をいかに制約し、国家的あるいは国際的な道義に尺度を置きました秩序をいかに守っていくかということが国家権力あるいはまた行政組織の活動でなければならない。非常に概括的に申すならばさような気持ちで産業行政なりその他の一般を律すべきものである、かように考えております。
○藤田国務大臣 ただいま林先生が言われましたように、この際の独占禁止法にかかわります問題以外に多くの問題があるということはおっしゃるとおりでございます。
○林(義)委員 委員長にもお願いをしておきたいのですが、先般、五十年の国会でこの法案をやりましたときに、参考人を呼んでいろいろと意見を聴取されましたが、今回もぜひいろいろな参考人を呼んで十分な意見を聞いていただくことを私は要望しておきます。
○山崎(拓)委員長代理 林委員の御要望につきましては、理事会で諮らせていただきます。
○林(義)委員 五十年のときの参考人の意見の中で、今回のような問題は、本来は寡占規制法というようなものを別につくって別に考えなければならないという御意見を、独禁法の学者としても非常に権威のある方が述べられたのですが、諸外国の例を見ましても、この寡占対策というものはそう簡単にいってないのが実情だと私は思うのです。 たとえばアメリカでは有名なハート法案というものが出されておりますが、これは構造規制を内容とするところの法案でありますが、たしか五十年に私がアメリカへ独禁法の問題で調査に行きましたときでも、出すだけで十年ぐらいはちょっと通る見込みがないだろうというふうに言われました。なぜ通る見込みがないかというと、やはりいろいろな企業のところから反対があってどうにもならないのだというのが実は提案者の意見でありました。ところが、アメリカでは独禁法というものは非常によく運用されていますし、まさに国民のものになっておるわけであります。司法省とFTCとがいろいろとやっております。と同時に、アメリカでは民事訴訟、独禁法に基づくところの損害賠償というものが非常に使われて、それによって競争政策の維持、競争原理の維持ということがやられているわけであります。西独でも、市場支配的企業の推定基準というものを設けて乱用行為を規制しておりますけれども、これはカルテル庁と経済省とが一体になってやっておることでございます。西独の場合には社会民主党という政党がやっておりまして、いわゆる計画された市場経済という形の運営でございます。 そういう形で各国ともいろいろとやっていますけれども、今度、こういう市場の構造規制というか、そういったものを独禁法に取り入れた方がよかったかどうかということは依然として将来に問題があり、また、学者の間でも議論のあっていい問題、またあるような問題だろうと私は思うのです。そういう問題を踏まえましてこの独占的状態ないしは寡占体制の問題についての議論を進めていかなければならないだろうと私は思うのです。 そこで、構造規制と言われ、あるいは企業分割と言われるところのいわゆる独占的状態の問題に入りますが、まず、第一に、事業分野という考え方があります。そしてこの中に「同種の商品」という言葉を使っておられますし、それから「市場構造」という言葉も使っておられるわけでありますが、先ほど来申しているように、これらのすべての問題は競争政策の観点からとらえていかなければならないと私は思うのです。 それで、この「独占的状態」が適用されるであろうところの業界というのは九業種であるということが五十年の国会のときに出ておりまして、この九業種をどうして選んだのかということが一つの大きな問題だと私は思うのであります。公正取引委員会は集中度調査というものをやっておられますが、どういうふうな形で九業種というものをその中から抽出してこられたか。業種の数というのは無制限でありますし、標準産業分類、通産省の工業統計を使うものではたしか二千ぐらいあると思うのですが、それをどういうふうな形でその分野なり商品というものの分類をまずしておられて、それをどういうふうな形でしぼってきて九業種までにしてこられたのか。その辺の説明をまずしていただきたいと思うのです。
○水口政府委員 御説明いたします。 おっしゃるように品目が非常にたくさんあるわけでございますが、御承知のように、公正取引委員会におきましては従前から生産集中度調査を行っております。それで、この生産集中度調査の一番新しいのは昭和四十九年分に関する調査でございまして、この調査では多くの品目の中から主要なものを選ぶわけでございますが、昭和四十九年分におきましては、品目にいたしまして四百十四品目にわたって調査を行っております。 ところで、独占的状態は御案内のように市場占拠率が一社で五〇%、二社で七五%超ということでございますので、この四百十四品目の中からこういう市場占拠率に該当するようなものを選び出したわけでございまして、それが五十三品目でございます。 ところが、むずかしい問題がございまして、この五十三品目というのは工業統計表の中の単純な品目でございますが、この「独占的状態」の定義規定を読んでみますと、「一定の事業分野」というふうな定義がしてございます。この「一定の事業分野」というのは、少しくどくなりますが、「同種の商品」というのがまず書いてありまして、その「同種の商品」の中に、「同種の商品に係る通常の事業活動の施設又は態様に重要な変更を加えることなく供給することができる商品を含む。」というふうになっております。まずそれを加えなければならない。その二つを加えたものが「一定の商品」でございまして、その一定の商品に係る事業分野が独占的状態に言う「事業分野」でございます。 さらに複雑になっておりまして、五百億円といったような計算をする場合、あるいは七五%、五〇%というような計算をする場合には、そのほかに「機能及び効用が著しく類似している他の商品」も加えて考慮することになっております。そういうことでございますので、まず、この括弧内に書いてあるそういう商品とは何か、類似商品とは何か、そういうことを決めませんとなかなか算定ができないわけでございます。 そこで、公正取引委員会といたしましては、一応試算ではございますが、今回の改正法案に書いてあります規定にのっとって分類をし直したということでございます。そして事業分野の分類をし直しまして、その上で改めてさらに五百億円を超え、かつ一社で五〇%、二社で七五%以上の、いわゆる形式的な要件に該当するものがどうなったかということを暫定的に計算しましたところ九業種というものが残った、これが九業種を試算いたしました経緯でございます。
○林(義)委員 これは聞いてもなかなかわからないだろうと思うのです。恐らくほかの先生方だって、聞いておられてもよくわからないことだろうと思うのですね。むしろそこから入っていく議論とともに、これは公正取引委員会がガイドラインを出してその辺をやる、こういうことになっておりますから、そのガイドラインをいつ出していただけるのか。やはりそれがないと、いまの説明ではこれを審議してもなかなか——商品がどうだ、事業分野がどうだというのを一々やってもいいですよ。やってもいいけれども、品目的に全部洗ったら、それだけで四、五時間かかるだろうと思うのですよ。ですから、まずガイドラインを出してもらって、そのガイドラインがどうだということで議論をした方が審議の促進のためにも役立つのではないかと私は思います。 いつごろそのガイドラインを出していただけるのですか。自民党でやりましたときには、早急にやると、もうあしたにでもやるようなお話だったのですが、まだ出されませんが、いつごろ出されますか。
○水口政府委員 お説のように、たとえば自動車業界一つとってみましても、二輪車と四輪車が一緒になるのかとか、乗用車とバス、トラックはどうだとか、いろいろな議論があるわけでありまして、世間にはいろいろ不安を持たれる向きもある。それで、こういう問題についてはやはり基準と申しますか、あるいはガイドラインと申しますか、そういったものをつくった方が親切であろうということで、公正取引委員会といたしましてもそういうものをつくるつもりでございます。 それで、いつつくるかということでございますが、こういったガイドラインというものの性格上、法律ができていないのにガイドラインをつくるということはどうかと思いますし、従来も公正取引委員会のガイドライン的なものはいろいろございますが、これはいずれも法律に基づくガイドラインでございますので、今回の改正法が成立いたしました暁に速やかに、それも各関係者の意見を十分お聞きいたしました上でガイドライン的なものをつくりたい、こういうふうに考えております。
○林(義)委員 ガイドラインそのものはそうかもしれませんが、やはり、ここで議論をするときには、どこまで入るのか入らないのかというのは、案ぐらい出してもらってもいいと思うのですね。案も出せないというんじゃ、それなら私は品目を挙げてこれは全部やりますよ。そうでなかったらこれは議論できないじゃないですか。
○水口政府委員 正式のガイドライン的なものは、やはりただいま説明いたしましたような理由で、法律が通った後でないとつくることはむずかしいかと思います。したがって現段階では、将来そのガイドラインをつくることに備えての事務局としての試案と申しますか、そういったものは一応まとめてはございますが、しかし、これは、率直に申しましてわれわれも商品学にそれほど詳しいわけでございませんので、あくまでも試案といった程度のものでございます。
○林(義)委員 やはり、その試案を出してもらわないと議論がなかなか進まないと思いますよ。たとえばいま自動車の話がありましたから申しますが、トラクターというのがあります。農業用のトラクターと建設機械用のトラクターの二種類ありますが、建設用のトラクターだけでしたら明らかな寡占業種になっていると私は思う。第一社のシェアが五〇%以上だろうと思います。第二番目を入れましても七五%以上は完全に突破しているだろうと思います。大体一台の値段が一千万円くらいであります。今度は農業用のトラクターも、そのものだけとらえて言うならば、第一社と第二社を入れますと七五%以上のシェアを持っているだろうと私は思うのです。 しかし、トラクターはこの前出された九業種の中に入っていないということは、恐らくトラクターというものを一緒にされるということで考えておられるんだろうと思うのです。つくる場合も、一千万円のトラクターと百万円のトラクターとではつくる工作機械もみな違うでありましょうし、なぜこれを一緒にしなければならないのか。ここには「通常の事業活動の施設又は態様に重要な変更を加えることなく供給することができる商品」と書いてある。商品として果たして同じ施設でつくるということが言えるのかどうか。それからもう一つのことで言いますと、「機能及び効用が著しく類似している他の商品」である。機能、効用は違うんだろうと私は思うのですが、これはなぜ一緒にしたのか、私はよくわからない。私がたった一つだけたとえて申しましてもそういった問題があるのです。何ぼでもしゃべれと言えば何ぼでもしゃべりますが、これは一体どういうことになるのでしょうか。 それから、また、この前ブリキというのが出ておりましたけれども、産業分類、工業分類によりますと、ブリキというのは御承知のとおり薄板に特殊加工したものであります。ブリキのシェアがどうだこうだとおっしゃるが、鉄鋼業をとらえましたら、やはり銑鉄、棒鋼、何からずっと始まったその方が生産高も多いし、そこでブリキをとらまえるならば、むしろ鉄鋼業全体を——ほかの方を鉄鋼業一本でとらえてなぜブリキだけを別にしなければならないかという理屈も、これまたわからないと思うのです。ブリキはかん詰め用かんに使われるわけでありますから、むしろ代替商品というか、類似の商品として出るということならば、アルミ産業、アルミの板というものを製かん用に使うことがふえている。それからこのごろはステンレススチールというようなものも出てきている。やはりそれと一緒に考えなければならないのに、なぜブリキだけを取り上げてやっているのか。 これは正面申し上げて、この説明はなかなかむずかしいと私は思うのです。したがって、どういうふうなガイドラインをそこでおつくりになるのかということをはっきりさせてもらわないと、どこが入ってどこが入らないかということがはっきりしないととてもこの審議はできないと私は思うのですよ。全然出さないと言うんだったら、私は一つ一つ四百品目ぐらい全部当たってやります。それでよければそれで結構ですし、御答弁をください。
○水口政府委員 まことにむずかしい問題でございまして、いま先生の方から、一つはトラクターの話が出ましたのでこれを申し上げますが、トラクターの中に農業用装輪式のトラクターとそれから装軌式のトラクターがございますが、われわれの方といたしましてはこれは同種の商品と解釈をいたしまして、トラクター製造業の中に入れるというふうに、暫定試案ではございますが処理をいたしております。しかし、くどうございますが、これが決定ということではございません。もちろん法律が通った暁に、さっき申しましたように専門家の御意見もよく聞いて、それで決定をしたいというふうに考えております。 それから、ブリキの話が出ましたが、これもやはりわれわれ素人考えかもしれませんが、ほかの普通鋼とかいったものとは事業分野がやや異なるのではなかろうかと思います。会社等をいろいろ見ましても、ブリキはブリキで特殊の会社があるようでございますし、今回の法律に当てはめました場合に、普通の普通鋼等とは別にした方がやはりいいのではなかろうかと思っております。いろいろ御意見はあろうと思いますが、現段階ではわれわれの方ではさように考えておる次第でございます。
○林(義)委員 公正取引委員会の委員長にお尋ねしますが、これはやはり出していただかないと困るんじゃないかと思います。一つ一つやってもいいのですが、やはりある程度までの——九業種にどうしてなるのか、また、これでやるのかということでしょう。ガイドラインをつくるという話は、ガイドラインをやはりつくって、そのガイドラインに合ったものについては公正取引委員会はいろいろやっていきましょう、ガイドラインに入っていないものについては一応は独占的状態の問題には手を触れないというようなことであって、そのガイドラインを今国会に出したから、これで永久千古不磨の大典のごとく何品目にしろなどとは私は言いませんよ。経済状態は変わってきますし、産業構造も変わってくるのですから、かつて盛んであったものがだんだん落ちぶれてきたり、これから新しく出てきて、その業界の中でも、一つ一つの業種の中で一つの企業が非常に寡占度を高めていくというようなことはまたいろいろとあるだろうと思う。そういったことはありますけれども、そういったガイドラインはやはりつくっていかないと、また、その考え方がどうだということでないと、これはなかなか議論できないと私は思うのです。 もしもどうしてもそれを出さないと言うのでしたら、しようがない、一つ一つやっていくことを委員長にお許しいただかなければならないと思うのですが、まず、公取委員長の方から御答弁ください。
○澤田政府委員 非常にむずかしい問題ですが、大事な点のお尋ねでございます。 先ほど審議官から、いわゆる九業種にしぼったプロセスを御説明申し上げたわけでございますが、こういったやり方の一つの基準をさらに詰めてつくっていかなければならぬわけでございます。それによって果たして九業種が該当するのか、あるいはもう少しふえるのか減るのか、そういう問題をこれから詰めていく段階でございまして、そのための基準と申しますか、ガイドラインについて、私どもは、これは正式には法律が通ってから各方面の意見も聞き、また専門的知識も参考にして決めるべきものでございますけれども、いま内部で全然やっていないというものではございません。暫定的なものとして検討しておりますので、その程度のものでも御参考になり、審議をお進めになるのに資料として役立つのでございますればお示しして差し支えないと考えております。
○林(義)委員 私は、先ほど申しましたように、これは千古不磨の大典のようなものではないと思うのですよ。やはり刻々と変わっていく経済状態に合ったことだろうと思いますし、先ほど私がお話し申し上げたように、いまの九業種だけではどうしても説明がつかない点がたくさんあると思いますから、そういったものを出してでもやらないと、この事業分野の問題は一つの物の考え方でありますし、競争がそこにおいて行われ、それで今度あとそこに対する新規参入がどうなりますとか、あるいは各商品がどうなりますというようないろいろな話にみなつながってくるわけでありますから、この基本がぐらぐらしていて、いやこっちだとかあっちだというような話では議論できないと私は思うのです。 もう一つ私は申し上げておきますよ。ピアノというのが確かにこの前のには入っていたが、ピアノとオルガンとはなぜ同種の商品ではないのか。オルガンを入れたら大分変わってきます。いま値段が違うからだという話をされましたが、値段が違うんだったら、私はもう一つ申し上げておきますけれども、この前の資料ではビールとウイスキーとはそれぞれ別々に出ていますね。皆さん方大変お酒もお好きでありますからよく御承知でしょうけれども、ちょっと飲みに行ったときにビールにしますかウイスキーにしますかということはよく言われるのですね。これは飲む方からすれば、はっきり申し上げて効用はそう違わないのですよ。それで、ビールとウイスキーをなぜ一緒にしてはいかぬのだというふうな議論があると私は思うのです。同じアルコール飲料だし、アルコールの度数もそんなに違わない、それならば清酒も入っていいじゃないか、しょうちゅうも入っていいじゃないかという、こういうふうな話です。 それから、もう一つ言いますと、今度は逆の場合ですが、ウイスキーでもいろいろあるのですね。高官の方が飲まれるような高いスコッチウイスキーなどは余りお飲みにならないと手を振っておられますが、これは二千五百円から、高いものはずいぶん高いものがありますね。日本でもサントリーのマルというやつがあります。普通に飲むやつですね。あれは二千二百円であります。実は、あの丸ビンを出しているところの市場占拠率が非常に高いのですよ。あの丸ビンというのは非常によく売れていますし、高い。ところが、ウイスキーというのはあれだけじゃないのです。千円ぐらいでもウイスキーは飲めるのですよ。N社というか、ニッカのブラックというやつがありますが、このブラックの方が占拠率が高いのですよ。非常によく売れているのです。もう一つ下のやつでトリス何とかというやつがありますね。三百円から五百円ぐらいのやつですが、この辺になりますと三楽何とかという方が実は市場占拠率が高いのです。 二千円のものと三百円のものとが同じ商品であるということは言えないという議論もできます。まあ、たまたま同じような商品として、果たして同じかどうか。しかも、製造工程も、二千円以上三千円もするようなものと三百円ぐらいのものとではおのずから違うわけでありまして、合成アルコールを入れたりしたものと外国からいろいろな原料を持ってきたりなんかするやつと違うのですよ。一定の事業分野というものを決めるのですから、その辺の考え方、商品の範囲というものがどの範囲だということをはっきりしておかないと、後で市場占拠率がどうなりましたとか、あるいは新規参入がどうなりましたとか、いろいろなことを言うときに非常に違うのです。 私はいまウイスキーの例を申し上げましたけれども、ウイスキーの例について公正取引委員会事務局はどういうふうに判断しておられますか。 それでは、もう一つ例を言いますと、三百円のウイスキーで申しますと、三百円のウイスキーになりましたら、このごろはウイスキーと同じような蒸留方法でやっていますのはしょうちゅうであります。しょうちゅうがいま大変売れてき出しているのですよ。あれはなかなかいい飲料であります。そうしますと、並みのクラスのウイスキーとしょうちゅうとはまさに競合商品ではないか、類似商品だということも効用その他の点から言えるだろうと私は思うのですが、その辺はどう判断されるのか、この辺についてはいまどういうふうになっているか、その考え方をお尋ねしたい。 それから、いま申し上げましたようなこともありますから、私は委員長に再度お願いしますが、暫定案でも結構ですし、灘田公取委員長私案というようなかっこうでも、あるいは事務局の案というようなことでもいいですから、できるだけ早く当委員会に大体の考え方を出していただきたい。そうでないと、これはやり出したら、五十何品目というのは全部五百億円以上、一社集中度五〇%以上、二社累積集中度七五%以上という中に入ってくるだろうと思うのです。もっとたくさんの業種が出てくるかもしれないと私は思いますので、あえてこれはお尋ねをしておきます。
○澤田政府委員 先ほども申しましたように、確定的なものあるいは各方面の意見を聞いて基準を最終的に決めるということは現段階ではむずかしいのでありまして、法律が通りましてから十分検討し、各般の意見を聞いて決めるべきものと思いますけれども、現在も法案の御審議と並行して私どもの方で検討しているということを申し上げましたが、そういったものでもなければ御審議について困るというお話でございますが、これは至急その暫定案をお示ししたいと存じます。 〔山崎(拓)委員長代理退席、中島(源)委員長代理着席〕
○林(義)委員 やはりこれは商品学的な問題もあるでしょうから、余り法律の条文をそのままちょろっと焼き直したような形で抽象的な文言で出されたのではわからないと私は思うのです。この前九業種出しておられますから、あの程度のものが当たるのだというような話についてはどういう考え方だという考え方は、私は、とことん法律論としてぎりぎり詰めたら非常にむずかしいと思うのだけれども、そこは公正取引委員会というのはいいところだと思うのです。わりとその辺は弾力的に考えて運用してもらってもいいような役所だと思うのです。これは単にこの問題だけでやっているわけじゃないのですから、本当は寡占の弊害を規制するという形でやるわけですから、そういった点に焦点を合わせて、一体どの程度の品目がいま問題になり得るのかということをひとつ出していただきたい。それでないと、十分の審議をしろと言われても審議のしようがないと思うのです。 委員長、いつごろこれを出していただけますか。
○水口政府委員 われわれ事務局で一応たたき台の試案としてつくっておるものの内容でございますが、ごく簡単に申し上げますと、いろいろの事業分野で主なものを何種類か挙げまして、その事業分野に関連いたしまして、その同種の商品とは何か、それから括弧の中にいろいろ書いてある商品とは何か、それから類似の商品とは何かと、具体的に商品名を挙げまして、これとこれとこれとを足して事業分野と言うというような一応の試案をつくってございますが、そういうものを御要望がございますのでなるべく早く提出いたしたいと思います。 それから、さっき、ビールとかいろいろお話ございましたが、これもなかなかむずかしい問題でございまして、人によっていろいろ見方は違うかと思いますが、われわれのいまの段階では、酒類につきましては、ウイスキーは一つの事業分野、それからビールも一つの事業分野というふうにいたしております。 それから、また、ピアノとオルガンの話が出ましたが、ピアノとオルガンは同種の商品ないし類似の商品ではないというふうに一応考えております。いま類似の商品としてわれわれが例示的に考えておりますのは、バターに対するマーガリンだとか、鋳鉄管に対する塩ビ管だとか、その辺のところを考えております。
○林(義)委員 これはバターとチーズが一緒で、ピアノとオルガンがなぜ別かという理屈を説明してくれと言われても、委員長、できますか。商品学的に言ってこれはなかなかむずかしいと私は思うのです。
○澤田政府委員 バターとマーガリンでございます。
○林(義)委員 バターとマーガリンですか。それじゃチーズはどうなんでしょうか。それから粉乳はどうなんでしょうか。その辺は一体どう入るのですか。
○水口政府委員 いまおっしゃいました粉乳とかバター、チーズといったたぐいは乳製品ということで一つの事業分野にしてございます。 おっしゃるように、これは人によっていろいろ見方は異なりますし、類似の表についてはむずかしい問題があろうということはわれわれは重々承知いたしております。
○林(義)委員 法律というものは、やはり法的安定性というものが一つ大切なことだと思うのです。経済実態が動くのですから、いついつまでも同じだということではないと私は思います。ある一定の期間を通じて企業はいろいろ行動するわけです。 独占禁止法というのは企業の行動の大変な一つの基準になるわけですから、そのときに、いつこういうふうな状況になるのか、いつどうなるのかわからないということでは、企業行動に対して非常な不測の影響を与えると思いますから、ガイドラインをぜひ出していただけば、そのガイドラインに当たったものについてはこの規定の適用があるというふうに考えるし、ガイドラインにないものについてはガイドラインを書いてから取り上げをしていくということが、これは独禁法の運用の問題だけでなくて、安定性ということから考えても、一般的な経済運営の問題としても考えていかなくてはいかぬ問題だと私は思うのです。そういったことですから、これはぜひ出してもらいたいし、それから出してもらうのはできるだけ早くということで、この審議もずいぶん急いでやらなければいかぬですけれども、そうするとこの審議は私は中断をして、きょうはこの問題についてはペンディングにしてやっていくしかありませんから、この辺の新しいデータが出てきた上でこの事業分野の議論はやらしていただきたいと思いますが、委員長、よろしゅうございますか。
○中島(源)委員長代理 次の質問にお移りください。
○林(義)委員 法制局の方はきょうは来ておられないようですが、ほかの役所の方も呼んでおりますから法務省にお尋ねをいたします。 順番が後先になって申しわけありませんけれども、営業の一部の譲渡という規定が入っておりますが、これは大変にもめた規定でございまして、実は、最初に企業分割という話が高橋公正取引委員会委員長の私案という形で出てきたときには、企業分割を命ずるという形になっていました。企業分割ということにつきましては、とてもそんなものは商法上できないからという話でございますし、それから営業の一部譲渡命令という形でやるという話でありましたけれども、命令を出しましても、株主総会で否決をされた場合には営業の一部譲渡というのは商法上の関係からしてできない。それから、譲渡すべき営業を構成する工場がありまして譲渡命令が出された場合、工場抵当法に基づくところの工場財団を組成するときは抵当権者の同意を得て財団の分割手続をとる必要があるけれども、その同意が得られなかった場合というような場合があります。営業の一部譲渡を命ずるけれども、株主総会の決議であるとか、あるいは抵当権者の同意の問題であるとか、そういった点について法務省当局はどういうふうに考えておられるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
○香川政府委員 営業の一部譲渡の審決が確定いたしました場合に、その一部が重要な一部である場合には、御案内のとおり商法の二百四十五条一項の規定によりまして株主総会の特別決議が要件になるわけでございます。もちろん、審決が確定いたしますと、その審決を履行する責務が会社にあるわけでございますが、ただ、審決自身は、たとえば簡単に申しますれば、甲なら甲という工場を譲渡しろというふうな客体だけが明記されるような性質のものであろうと思うのであります。そういたしますと、当然、その会社の業務執行の責任のある取締役会を構成する取締役は、買い手を探して、そして値段を決める。また、従業員をどうするかというふうな問題もございますし、いま御指摘のその工場が工場財団の中に入っておるというふうなときには、入ったままでは譲渡できませんので、工場財団の分割をいたしまして、その工場だけを抜き出すわけでございます。その場合に、抜き出た工場には抵当権の効力が及びませんので、抵当権者の利害に重大な関係があるということで、工場抵当法では抵当権者の同意がなければさような分割ができないということになっておるわけでございます。 それやこれや、従業員の身の振り方等もむずかしい問題がございますから、いろいろ努力いたしまして一つの譲渡案を作成するということで、その案を取締役会にかけまして、取締役会で決議をされまして、それを株主総会にかける。もちろんその企業の重要な一部でございますから、株主としては非常に重大な利害関係がある。さような趣旨から特別決議が要るということに相なっておるわけでございますが、譲渡そのものは審決が確定いたしておりますので、会社は当然それに拘束される。したがって、常識的な意味におきましては、会社の最も重要な機関である株主総会も拘束はされるわけでございますから、したがって、その取締役会から提出された譲渡案そのものが会社の株主の立場から見まして合理的なものであるというときには、当然特別決議を与えるべきだろうと思うのでございます。 しかし、株主総会というのは御承知のとおり法人格を持っておるわけではございませんから、審決の拘束力があると申しましても、法律的にそれを否決した場合に、強制力を用いて可決と同じような法的状態をつくり出すというふうなことは現行の法制度ではできないわけでございますから、したがって、観念的にはいかに合理的な案であっても否決されるということはあり得ないとは理論的には申せません。しかし、先ほど申しましたように、株主総会が一つの会社の機関として審決を当然尊重すべきいわば社会的な責務と申しますか、さようなものを持つ株主の集合体でございますから、したがって、合理的な案であればそれを認めるというふうな特別決議がされることは十分期待できると思うのであります。 それから、抵当権者の問題は、これは審決の拘束によりましてどうしてもその工場を譲渡しなければならないというときには、取締役会といたしましては別のかわり担保を立てるとか、あるいは場合によっては一部弁済して残りの工場だけで十分担保価値があるような状態をつくり出すとか、そういうふうな努力をして抵当権者の承諾を得るということになるわけでございますけれども、これも全く観念的に法律論を申しますと、どのような努力をしても抵当権者が首を縦に振らぬということになりますと分割そのものができませんから、そうなると、工場財団の組成工場を譲渡することは法律的に不可能でございますからどうしようもないというふうなことは起こり得るわけでございます。しかし、やはり、合理的な一つの代案、かわり担保を立てるというふうな努力をすれば、工場財団の抵当権者は大体大きな金融機関でございますから、さような意味での了解のもとに同意が得られるものと期待していいだろう、かように考えておるわけでございます。
○林(義)委員 社会的な状況におきましていろいろなことが期待できるというお話であります。工場財団の抵当権者の同意の問題もそういった社会的な環境の中では期待ができる。法律論だけで申しましたらきわめて観念的な話でありますけれども、同意が得られなかったときにはしようがないということだろうと私は思いますし、それから株主権の場合でも、そういった株主の、株主群というものが社会的な責任をそこでとっていい決議をしてくれるだろうということでありまして、株主権というものはそれぞれ保証されているところの私権でありますから、それが拘束されるというふうに書いてない限りはこれは法律論としては拘束できないと言わざるを得ないと思うのです。 それから、もう一つお尋ねをしておきますけれども、特別決議に反対の株主から会社に対しまして株式買い取り請求権を行使された場合に、会社がこれに応じられないような事態が考えられますけれども、その場合に、何か特例というものが必要なことになるのではないか。営業の一部譲渡だということになりまして、株価は途端に暴落して不測の損害を株主に与えた、株主の方からそれが請求されたという形になりますと、そこで株主権の保護という観点からすれば問題なしとしないと私は思うのですが、この辺につきましては民事局長はどういうふうにお考えになりますか。
○香川政府委員 特別決議がされまして営業の重要な一部が譲渡される場合に、決議に反対の株主は株式の買い取り請求が当然できるわけでございます。この場合に、会社は、これは法律的には拒めないわけでございまして、努力をして買い取らざるを得ないという事態に相なろうかと思います。
○林(義)委員 そこで、株主権と会社なんですが、営業の一部の譲渡命令の及ぶ範囲というものは、法律論としてはどこまで及ぶのでしょうか。恐らく、普通は、審決が出ますのは、「○○株式会社社長何がし殿」あてに、主文としては、「○○工場はどこそこへ譲渡せよ」というような形の主文で出てくるのだろうと思うのですよ。そういうときに主文の効力というものは、普通には○○株式会社の社長何がししか拘束しないのだろうと考えるのですか、それともそれは取締役会を拘束するのでしょうか、その辺は、主文というか、審決の書き方によって違ってくるのだろうと思いますけれども、どういうふうに解釈したらいいのでしょうか。
○香川政府委員 審決によりまして確定いたしました場合に、拘束されるのはまさに会社でございまして、営業の一部譲渡でございますから、審決に従った営業の譲渡を実現するということはつまり業務執行になるわけでございますから、取締役会が決議をして実施するということになるわけでございます。したがって、端的に申しますれば、業務執行の面で取締役の責任が出てくるということに相なろうかと思います。
○林(義)委員 取締役会の責任になるということですね。そうすると、一遍特別決議をするための株主総会を開きまして、否決されてしまった後も依然としてその効力は取締役会に及ぶから、何遍も何遍も株主総会をやれというようなことが論理的には出てくるわけでしょうけれども、そんなことはおかしな話でありますから、どういうふうな形でその辺は調整をしていったらいいのでしょうか。 これはなかなかむずかしい話かもしれませんけれども、法務省としての、あるいは民事局長個人の見解でも結構ですから、法律論として教えていただきたいと思います。
○香川政府委員 法律的に申しますれば、その合理的な案を総会に提出しても否決されたということに相なりますと、取締役といたしましては、その株主総会の意向をくんで、特別決議が得られるような案、あるいは譲り受け人と交渉して価格を上げるとか、もろもろの条件について再検討して、さらにより合理的な案をつくるというふうな努力をいたしまして株主総会に再度提出するというふうなことになろうかと思うのでありますが、株主総会でどのような案であれ否決されてしまえば、それで取締役の責任は免れるという性質のものではないわけでございますけれども、取締役が最大限の努力をして客観的に合理的な案を提出したにもかかわらず、ついに株主総会では了解が得られない、特別決議が得られないということになりますと、これは取締役としてはいかんともしがたいということに、いわば自己の責めに帰すべからざる事由によって履行不能ということになるわけでございます。この場合にすら取締役の責任を問うということはできないだろうというふうに考えております。
○林(義)委員 非常によくわかりました。 もう一つ、商法の関係で、商法の二十五条に「営業譲渡人の競業禁止」という規定がありまして、「営業ヲ譲渡シタル場合ニ於テ当事者が別段ノ意思ヲ表示セザリシトキハ譲渡人ハ同市町村及隣接市町村内ニ於テ二十年間同一ノ営業ヲ為スコトヲ得ズ」という規定がございます。第三項には「譲渡人ハ前ニ項ノ規定ニ拘ラズ不正ノ競争ノ目的ヲ以テ同一ノ営業ヲ為スコトヲ得ズ」という規定がありますが、私は具体的な例で申し上げますが、仙台市に麒麟麦酒の工場があります。麒麟麦酒がいろいろな問題があるからというので営業の譲渡命令が出まして、大分北の方ですから、一番北のあの工場はサッポロビールへ譲れという命令が出たとします。そういうときに、そのサッポロビールにこれは譲り渡すのですが、今度は麒麟麦酒の方はこの規定を読みますと、仙台市内ではキリンビールは売れなくなるんじゃないかというふうな問題があると思うのです。二十年間売ってはいかぬということですからね。単に製造だけではなくて、営業の一部譲渡でありますから、販売部門も何もかもという話になりますれば、それは仙台市全体では売ってはいかぬという規定になるんじゃないかという解釈が出てくるのです。 そこで、これは「別段ノ意思ヲ表示セザリシトキ」と書いてありますが、だから、いや、それはおまえのところは売ってもいいんだという別段の意思を表示すればいいということになるのか。学説によれば、別段の意思表示というのはそんなことではないので、二十年間というのをもう少し短くするとかなんとかということだけの話である。最後の三項に書いてありますところの「不正ノ競争ノ目的ヲ以テ同一ノ営業ヲ為スコトヲ得ズ」というのはいかなる場合においてもあるわけですから、この辺の考え方は、この条文をちょっと見ると当たるような場合にも読めますし、別段の定めをしておたくがまた売るぞということになれば、本当は公正取引委員会の営業の一部譲渡を命令したようなこととは違う効果をもたらすかもしれないという問題もあると思うのです。 この二十五条の解釈について、民事局長は御専門でしょうから、ここはどういうふうに解釈をしたらいいのか、お尋ねしておきます。
○香川政府委員 商法の二十五条の一項の規定は営業の全部を譲渡した場合のことを規定いたしておるわけでございます。ただ、いま御指摘の二十五条の三項の規定もございます関係から、営業の一部譲渡の場合にもかような趣旨でやはり競業禁止の義務というものは出てくるだろうというふうに解釈されておるわけでございます。 その場合の適用関係ですが、いま具体例を挙げられましたが、たとえば仙台に工場がございまして、それをサッポロビールに売ったというふうな場合に、この二十五条の趣旨から考えますと、仙台でまたビール工場をつくってはいかぬというふうな意味合いで義務が出てくるだろうというふうに解釈されるだろうと思うのですが、実際問題としまして、営業の一部譲渡のときには特約によっていろいろ競業の関係を取り決めされる例が多うございますので、その特約が優先することになるわけでございます。 二十五条それ自身は営業の全部譲渡の場合の規定でございます。
○林(義)委員 わかりました。 先ほど法務省の方から御答弁がありました中で労働組合との関係の話がありましたが、株主権の問題と取締役会との関係の問題と同じように、労働者の権利保護の問題も一つ問題があると私は思うのです。条文の中には、労働者及びその関連企業に対するところの十分な配慮をしなければならないというようにしてありますが、その配慮事項だけでは足りないような問題が出てくる可能性がある。営業の一部譲渡命令というのはあくまでも命令でございますから、命令によってやるということになれば、いきなりぽかっと命令が出てくると、配慮するのは公正取引委員会でありますから、労働者の方も配慮すると言ったところで、労働組合の方の、本当に配慮されたかどうかという判断はおのずから別だというふうに考えていいと思うのです。労働組合法では労働者の権利というのは認めておりますし、そこでの同意がなければ一部譲渡ができないということになりますと、これまた独禁法上からすれば問題だろうと思うのです。 また先ほどの例で恐縮なんですが、仙台のビール工場の話を申し上げますが、単に施設だけでは営業の一部譲渡ということにはならないので、施設だけを持っていったのではもらった方も大変なことでありまして、施設で働いている人も一緒に引き受けなければなかなかうまく動かないという問題があります。そうしますと、仙台の麒麟麦酒工場で働いている人は新しいサッポロビールの会社へ転属になるのか、一遍麒麟麦酒との雇用関係は打ち切って、そして新しい工場に新規採用という形でやられるのか、あるいはそうではなくて、雇用関係は依然として継続しておるので、営業の一部譲渡命令の中でずっと一緒に続いていくのかという、そういう問題があると思います。労働組合法の方でもたしかこれは規定してありますし、それをむやみやたらに解雇すれば当然不当労働行為になるわけでありますから、いきなりぽかっと営業の一部譲渡命令なんか出されちゃったら不当労働行為として訴える場合も観念的にはあり得るだろうと思うのです。 そういった場合に、独占禁止法で命令が出されたんだから労働者は解雇してよろしいという形には労働関係法では必ずしもならないだろうと思うのですが、その辺をどういうふうに考えるのか。これはなかなか例がない話でしょうから法律論としてむずかしい話だし、恐らく、最高裁の判決なんかもそんなものが出ているわけでも何でもないわけでありますが、そういう場合について、労働関係法規を所管しておられる労働省としてはどういうふうにこの辺を考えておられるのか、まずお尋ねいたします。
○岡部説明員 お答え申し上げます。 営業の一部譲渡が行われます場合に、労働関係といたしまして、まずは雇用関係が承継するかどうか、それから移籍労働者の選定をどうするか、あるいはまた労働条件が変更するのかどうか、さらに配置転換の問題、さらには企業の変化に伴う不安、あるいはまた御指摘のような移籍をいたします場合に、労働組合に対する支配介入になるような行為が起こらないかどうか、そういうような不当労働行為としての問題が多々予想されるわけでございます。 最も基本的な問題は、御指摘のように雇用関係が一体承継するのかどうかということの法律判断でございまして、これはまた労働協約が承継するかどうかということにもつながってまいるわけでございますが、そのことにつきましての、営業の一部譲渡に当たりましての確定的な法律判断というものはあいにく現在までないわけでございます。それに関しまして、雇用関係が承継するとする裁判例、承継しないとする裁判例、あるいはその折衷的な考え方を示した裁判例等区々に乱れておりまして、学説もまた規律するところがないわけでございます。したがいまして、この辺は最高裁等のものが出まして考え方が明確になるのを待つしかないわけでございますが、いずれにいたしましてもそういう状況でございますので、こういう営業の一部譲渡が仮に行われます場合には、関係労使におきまして問題が生じないように十分協議することが大きな課題になろうかと思うわけでございます。 また、今回の改正法の中におきましても、八条の四の第二項におきまして、「当該事業者に雇用されている者の生活の安定について配慮しなければならない」というふうに、公正取引委員会が措置を命ずるに当たっての配慮事項があるわけでございます。この辺は公正取引委員会において十分御配慮いただけるものとわれわれは信じておる次第でございます。
○林(義)委員 配慮事項があるから配慮してくれるだろうというふうなことでは法律論としてはちょっと足りない点があると思うのです。事実上の問題ではなくて、ここは立法府ですから、ここでやるのは法律がどうなるかということを私たちは議論しなければならないと思うのです。 非常に悪いようなことを言いますけれども、まずお尋ねしておきますけれども、企業内で職員の異動をするというのが労働協約の対象になるところもあるし、ならないところもありますが、その関係で配転というものがすぐに違法にはならない。労働協約で認められているとかなんとかであればできるのだろと私は思いますが、会社の中での異動というのは当然にやれることだろうと思いますけれども、その辺は労働省の方ではどうでしょうか。
○岡部説明員 配置転換につきましては、それが労働契約の内容を逸脱しない限りにおきまして自由に行えるというふうに考えます。
○林(義)委員 非常に悪い例を引きますけれども、経営者にとって好ましくないところの労働者であるという場合に、公正取引委員会と談合しまして、ともかく一部譲渡命令を出してもらって、そのかわり悪いのはみんなあそこへ持っていってしまえというような形でやるというような話が、これは法律の運用ですからできないという保証は何もないですね。そういったような場合も考えられるわけなんです。 先ほどの麒麟麦酒はそんなことをするとは思いませんけれども、麒麟麦酒の仙台工場に会社側としてはどうも好ましくないという形で一カ月ぐらい前に配置転換をして、それで一部譲渡命令を出し、出したところでそれは公正取引委員会がやつたんだから移ってしまえというような話になりますと、全体からながめればそれは非常におかしな行為だろうと私は思うのです。私は全く観念の話として申し上げているのでありますけれども、そういったようなことも法律論として考えられるわけであります。そういうようなことからすれば、会社に働くところの労働者の権利というものについては、単に配慮というだけでは足りないんじゃないかという気が実はしているわけであります。会社で働くところの労働者の権利というものと株主の権利というものは、株主権というものはいわゆる近代法によって認められた商法上の権利であり、労働者の権利というものは労働関係法によって認められているところのいわゆる経済法的なものでありますから、近来の考え方からすればむしろ労働者の権利の方を優遇するという考え方の方が強いのではないだろうかと私は思うのです。 もう一つ、これは同じ経済法であるところの独占禁止法の関係との調節をどうするかということが基本問題だろうと私は思いますけれども、労働省はいま公正取引委員会で適当にやってもらえるからそれで結構なんですというふうなお話がありますが、その辺について労働省の方はどういうふうに考えておられますか。
○岡部説明員 ただいまのお尋ねは、八条の四の二項におきます「雇用されている者の生活の安定について配慮しなければならない」ということの確保がどの程度行われるかということについてのお尋ねであろうかと思われるわけでございますが、この点につきまして、労働省といたしましては、実は非常に大きな関心を払っております。たとえば去る四月六日の関係閣僚会議におきましても、労働大臣から、公正取引委員会が営業の一部譲渡の審決をする前に当該企業の労働者の意見をよく聞き、労働者の移籍、労働条件の変更などに関する意見が反映されるような手続をとってほしいという発言をいたしまして、事務的にも実は公正取引委員会の方に同趣旨の申し入れをしたわけでございます。 この労働省の申し入れに対しまして、公正取引委員会からは、雇用されている労働者の生活の安定に配慮しなければならぬというふうに法律上規定されていることからして、その審問の過程におきましてはそれら労働者の意見も当然聴取されることになるという御返事をいただいているところでございます。
○林(義)委員 労働者、働く人の権利を十分に考え、「当該事業者に雇用されている者の生活の安定について配慮しなければならない」という規定がある。そこで、働く人の意見を必ず聞くということを公正取引委員会の義務としたらどうだという意見が一つあると思うのです。確かに、公正取引委員会は必ず聞きますとおっしゃいますが、公正取引委員会というのは独立の官庁でありますし、合議制の委員会でありますから、大変な名委員長以下りっぱな委員がおられますけれども、かわられたらまたその約束がほごになってしまうというようなことじゃ困ると思うのですよ。困るのですが、実は、公正取引委員会というのは、法律的に言いましたらそういう役所だと思うのですよ。澤田さんが約束されたものを子々孫々ずっと後まで伝えるというようなことは、それは個人的な考え方として伝えるということはあるかもしれませんけれども、合議制の機関でありますから、それを必ずそういうふうにするという役所ではないと思うのです。 その辺については、公正取引委員会の方では一体どういうふうに考えておられるのか、委員長から御答弁ください。
○澤田政府委員 いままでいろいろ御意見がありましたように、対象事業者の従業員につきましては、法律案にも、「生活の安定について配慮しなければならない」という、従業員の状況について十分配慮しなければならない趣旨の規定があるわけでございます。こういう規定の精神をくみますれば、対象事業者に対して措置を命ずる場合、従業員の状況についての十分な把握が当然必要でありますし、したがって、その従業員自身の意見を聞くということも必要なものであろうと考えまして、その辺は十分手を尽くして生活の安定を図る措置をとるべきものと考えていまして、先ほど事務的に労働省との間に連絡があったのもそういう趣旨のことでございます。
○林(義)委員 実は、この問題は、五十年の当委員会での質疑のときに私は申し上げて途中にしてあった問題なんですが、日本の雇用関係におきましては世界に類を見ないところの一つの慣行がある。それは終身雇用制というものであります。 いままで麒麟麦酒で一生懸命働いてやっていた人が、一片の命令があり、公正取引委員会から行けと言われたからといって、二十年も働いたこの会社を出て何で相手のサッポロビールに移れますかという気分というものは非常に強いと思うのです。そこで働いている労働者であるならば、まじめな労働者であればあるほど、そんなこととんでもない、いまから敵のところへ行って働くことはできません、そんなことを言われるなら私はやめますぜ、と、こういうふうなくらいの話だって出てきて、絶対行きたくないというのが恐らくそこで働く人の気持ちだろうと私は思うのです。 それじゃ終身雇用制というものが悪いのかどうかという話でありますが、当時の副総理の福田さんから、私は終身雇用制は決して悪いとは思いません、いま突然に言われたが、いま特に弊害があるとは思いませんというような御答弁を実はいただいているのであります。私は、いまの日本の労働者の気質その他からいたしますと、とてもじゃないが移ろうなどというような方はまずないと思いますし、その辺は野党の諸先生方もよく御承知でございましょうから私は申し上げていますけれども、敵方の企業とか別の会社に移るなどというようなことをそんなに簡単にあっさりのむような労働組合ではないと思うのです。そうしますと、営業の一部譲渡命令を実際に実現すると言ったところでこれはできなくなってくるのじゃないかと私は思うのですけれども、総務長官、これはいかがでしょうか。その辺は一体どういうふうに考えられますか。 これは非常に変な話ですけれども、こういう終身雇用制というものは競争政策に照らしたら必ずしもいい形じゃないのかもしれません。しかし、日本にはやはり終身雇用制というものがありますから、それは日本の労働慣行として尊重していくべきものだろうとしますと、なかなか別の会社に移らないと私は思うのですよ。そういった点は総務長官はどういうふうに考えられますか。
○藤田国務大臣 ただいまの終身雇用制の問題ですが、私は私なりの別の意見がございまして、終身雇用制については一長一短があるのだと思うのです。いいのかどうかということは、これはもう自分の意見でございますから、きょうは差し控えます。 しかし、終身雇用制のいい点は多分にあるわけでございますから、いま林先生が言われましたようなことも多分に起こり得るというふうに思います。
○林(義)委員 まだやらなければいかぬ問題がたくさん残っておるのですが、いま係からもう余り時間がないと言ってきましたから途中で恐縮ですが、時間いっぱいやらせていただきます。野党の先生方の御了解をいただきながら私もやりたいと思います。 「価格の同調的引上げ」の「報告」という規定があります。通産大臣はお帰りになりましたが、先ほど通産大臣からもお話がありまして、寡占体企業の中での価格はわりと安定をしておるということを言っておられました。価格が同調的に上がるかどうかということで問題にしておられますが、現在の経済状態の中では、製品差別化の行われていないようなもの、特に、鉄鋼であるとか石油化学であるとか非鉄等の基礎資材はいろいろな形で品質というものがほとんど一致してきているわけでありますから、そういったようなものの価格というものは寡占産業であろうとなかろうと大体一致してきているのが経済現象だと私は思うのです。 最も極端な形で申し上げますならば、自由主義経済体制の中での市場メカニズムが最もよく働くと言われておりましたのは、いまは余り働くかどうか私はわかりませんが、商品取引所の機能であります。商品取引所というのは価格形成をいたします。大変繊維に詳しい方もおられまして恐縮でありますけれども、たとえば毛が千八百円になりますとか、綿糸の四十番手が三百三十円になりますとか、毎日毎日相場が動くわけであります。それは、そういった綿糸なりあるいは毛の四八双糸というものが一つの標準品になりまして、そこで一物一価というものが貫徹をされるのだろうと思うのです。そういった形で価格が動くということは、一物一価になる原則というのは、市場経済としては当然のことではないかと私は思うのです。むしろ、価格が差別がつくといいますのは、たとえば自動車など、これはいろいろな種類がありましたり、モデルチェンジがあったり、やれちょっと飾りをつけるとかなんとかという話がありまして値段がみんな違うというような形になってくる。そこではいわゆる製品の差別化というものが行われると思いますけれども、そういうふうなものが価格の動きではないかと思います。 これは単に寡占産業だからどうだろうかという話ではないと私は思いますが、この辺については総務長官はどういうふうにお考えになりますか。
○藤田国務大臣 十八条の二の同調的値上げに関する御質問だと思うのですが、確かに素材メーカーの場合は、いまおっしゃいましたように、鉄鉱石あるいは銅鉱石を同じような場所から、外国から買ってきて、同じような時期に工場をつくっておれば似たような価格になっていくことは確かなんですが、そういうふうなことが同調的値上げと言えるのか言えないのかということなんです。 これは法案で明らかになっておりますように、近似に、大体同じように価格が上がれば全部に同調的値上げとして報告を求めるわけではないのでありまして、大体その理由が明らかになっているものについては求めない、求める必要はない、こういうふうに私たちも十八条の二につきましては解釈をいたしております。 ですから、また、求められたにいたしましても、それらが国民的な理解を得られるような方向であるならばその企業に対しても別段何らの被害もないわけでありますから、そういうことについても、あっても事が明白であるならばかえって国民に対して理解を求める手段ともなり得るというふうにも私は思います。
○林(義)委員 長官から先の方まで御答弁いただいてありがたいのですが、コスト構造から見ますと、いまお話がありましたように、原料も同じようなところから買ってくる、それから賃金でも、これまた日本の特有の現象でありましょうけれども、春闘相場によりまして、同じ業種につきましては同じ賃金になっていく、金利につきましても大体そんなに大きな差はない、こういうことでいわゆる生産要素そのものは著しく硬直的なのが日本の体質だろうと思うのです。しかも、もう一つの価格としては、大量に行われるところの原材料供給ですが、それはたとえば薄板を鉄鋼会社が自動車会社に売るというようなときには、自動車のトップのトヨタと、ことしは住金でしたか、どこかとが話をして値段をつけましょう、ほかはみんなそれへ右へならえというような話が横行しているわけですね。自動車会社の方もどこか代表が出て話をして、それからあとの会社も大体それに追随して値段を決めるというふうなかっこうで行われている。それは賃金交渉のときでも自動車労連は一本で交渉するというようなことで、日本の風土でははっきり申し上げてそんなにおかしな感じではないと思うのです。 そこで、一体どこがおかしいのかという点、何を求めるのかという点を問題にしなければならないと私は思うのですが、寡占体制はやはり同調的値上げをするということがいろいろと言われておりまして、それはまさにミーンズが言ったところの管理価格である。管理価格というものを持つのがやはりいかぬのだ、管理価格を持つというのは、一般の競争的な産業よりも寡占産業の方が持ちやすいのだということをミーンズが言い出したから実はこの議論が出てきたわけであります。しかし、メスを入れるということになるならば、単に価格だけの問題ではないのではないか、そのほかにもいろいろと競争をさせていくところの条件整備というものが必要ではないかという気が私はしてしようがない。今回はこうした同調的な価格の問題だけでありますけれども、やはり何かそこを問題としていかなければならない。寡占産業というものについて、今度の法律では、一社で五〇%、二社で七五%というようにきわめてガリバー型のビッグビジネスがおってあとは全くちっぽけなものばかりだということについてやったのですけれども、それだけでいいかというと、どうもそれだけではないと私は思うのです。したがって、一社で五〇%、二社で七五%というのをたとえば一〇%下げまして、一社四〇%、二社六五%というようにした場合でも、いやこれは独占的状態に当たらないからいいのだというようなわけには理論としていかないのだろうと私は思うのです。 そういうようなことを考えますと、何かここでやはり考えていかなければならないので、そこがこの同調的値上げの規定を置いた本旨だろうと私は思うのです。単に建て値を報告して、はいさようならというわけでもないだろうと思うのですね。その辺を何かメスを入れる端緒にするのだろうというのが今回の立法趣旨であると思うのです。四十条で報告がとれるからその報告をとるのを制限するというのは、これも非常におかしな議論で、学説の中にそんな議論がありますけれども、公正取引委員会はそこがはっきり分かって、新しい同調的値上げについての報告命令はそういった形での寡占対策だという形で、条文の置き場所も考えられてやってきておられるわけでありますから、そこを何かやっていかなくちゃならない。そこを通じて一つの新しい分野に、いままで取り組んだことのない管理価格の問題にメスを入れる端緒でなければならないと私は思うのですよ。 そういうときに一体何でやったらいいかということでありますが、ここにもありますが、取引の基準として用いられる価格というのは建て値のことなのか、実際の価格のことなのかという点が一つ問題になると思うのです。いろいろ問題はあると思いますけれども、時間が来たというので後にしますけれども、管理価格というようなことであるならば、そこの管理価格体系というものがどういうふうな形で行われているかということを正確に認識する必要があると思うのです。 たとえて申しますとフィルムがありますねフィルムはフジフィルムもサクラもコダックも皆大体同じ値段で動いている。ところが、フィルムの建て値はなぜこうやっているかということをいろいろ調べてみますと、実は国税庁が税金を取るわけでありまして、税金を取るときに建て値を決めてもらわないと税金の取りようがないというふうな形で建て値を決めており、実際の価格とは相当に遊離しているわけであります。実際に町で買うと、高いところでは二十四枚撮りですか、四百五十円とか言いますけれども、安いところに行くと三百何ぼというような形で買えますよ。そういったような形の場合に、そのフィルム業界が持っているところのビヘービアについて少し調べてみたらどうだろうかと私は思うのですが、その辺については総務長官はどういうふうにお考えになりますか。
○大橋政府委員 お答えいたします。 同調的値上げについての理由の報告を求めるということは、林先生御指摘のように、寡占産業に対する弊害の発生を予防していこうという観点からの観察の一つのやり方ではないかと思います。そして、このような監察を長い期間にわたりまして積み重ねていきますと、先生の言われますような寡占産業のビヘービアがかなり浮かび上がってくるのではないかというような考え方でこの提案をしている次第でございます。
○林(義)委員 私はずいぶん質問を残しております。特に、一番の問題であるところの「独占的状態」については、これは最初の土台が揺らいでいるのですから、土台から構築していかなければ議論ができないが、時間が来たということですから、この辺は次の機会にぜひ質問をさせていただきたいと思います。 終わります。
○中島(源)委員長代理 板川正吾君。
○板川委員 政府の独禁法改正案について質問をいたしたいと思います。時間の関係上きょうは問題点の指摘にとどめたいと思いますが、法案の審議に入ります前に、先ほど来いろいろ質疑応答の中で意見も出たので、総論として一点だけ大臣や公取委員長の御所見を承りたいと思います。 この独禁法がなぜ必要なのか、わが国が独禁法を必要としておる理念は一体どこにあるのだろうかと考えて、原点に立ち返って考えてみたいと思うのでありますが、そこで、まず総務長官に伺いますが、わが国が独禁法という法律を必要とする根拠といいますか、必要とする理由というものは一体どこにあるのかということと、また、改正を必要とする認識について御所見を承りたいと思います。
○藤田国務大臣 日本が高度に発達した工業国となるとともにそのような高度寡占の状況も、経済界の中に、産業界の中に生まれてきたと思うのであります。そういう状況になってきて、公正なる競争が漸次停滞してきたというふうな様相も一部にあったと思います。それが四十年代の後半にドルショックを経て石油ショックに至り、狂乱物価というふうな時代になり、そして四十九年の九月でございましたか、公取骨子案というものが最初に出された、かように思います。 そういうことで、狂乱物価の時代は、特に買い占め、売り惜しみあるいはカルテルというふうな違反行為が横行したということが非常に刺激をしたと思いますが、しかし、それよりも、基本的に日本の工業、産業というものがこれほど高度に発展してきておりますから、経済ルールとして公正、厳正に競争が行われるようなことをより必要としてきた土壌がもうすでに芽生えておったということだと思うのであります。
○板川委員 公取委員長に伺いますが、独禁法は公法でありながら私法的でもあり、非常に抽象的で難解な法律であります。また、公正取引委員会は行政委員会でありながら準司法的な権能も持っております。内閣総理大臣に直属しながら、その指揮、監督を受けていない。したがって職権の独立性が保証されている。委員は行政官でありながら裁判官のように身分保障がされておる。また、公取は告示を制定することで、部分的でありますが立法的な機能も持っておる。憲法の理念ではとても理解することが困難な組織であり、そして独禁法の法律の内容だと思うのでありますが、なぜこのような独禁法がわが国にとって必要なのか。 いま世界的に独禁法はどこの国でも強化されつつありますが、なぜこういう特殊な組織と法律が必要とされておるのか、公取の存在の理由という意味において、公取委員長から説明をしていただきたいと思います。
○澤田政府委員 公正取引委員会の組織、権限は御指摘のとおりでございまして、行政官庁の中では独特の機能と性格を持っておるものでございます。 これは基本的には独占禁止法第一条の「目的」から出ていると私は考えるのでありまして、最も大事な点は、第一条に書いてありますが、「公正且つ自由な競争を促進し」ということで、それによって経済の基本的ルールを定めたのがこの法律でありますが、その法律の運営に当たる次第でございます。 したがいまして、御指摘のように、職権行使の独立性を保証され、委員は身分を保障されるといったような独特の機構になっておるもの、かように考えておる次第でございます。
○板川委員 独禁法の審議に入ります前にわれわれの考え方も理解してもらいたいと思いまして議論をするわけでありますが、私はこう思うのですね。なぜ独禁法を必要とする根源があるかといいますと、日本は憲法前文や第一条に示すように、主権在民の民主国家として生まれ変わった。民主主義は国政の基本であり、それは政治、経済、社会すべての分野にわたって普遍されなければならない原則だと理解をいたします。政治の分野での民主主義の反対は、いわゆる独裁であります。特定の人に権力が集中して長期にわたると批判や反省がなくなり、独裁政治となります。独裁は一時的には非常に能率的に見えましても、長期的にその体制が続けば、やがて大きな誤りを犯す。これはヒトラーの例を見るまでもなく、古今の歴史がこれを証明していると思うのです。 経済の分野でも、経済の独裁者である独占は悪い、独占はいかぬ、これは民主主義の理念からそうあるべきだとわれわれは思うのであります。なぜかならば、特定の企業に強大な市場支配力があり、長期にわたってその体制が許されれば、通産省がいろいろ発表しておりますように、確かに独占、寡占が一時的には能率的のように見えましても、やがて市場構造が硬直して、不公正が拡大して、国民経済にとって取り返しのつかない弊害をもたらすことがあるということは政治の歴史が示すのと軌を一にするわけであります。 ですから、独禁法は経済の独裁者を規制し、公正かつ自由な——この自由というのは、独占の自由じゃありません。これは国民全体の自由です。これが民主主義でありますが、公正かつ自由な競争を促進し、すべての事業者に創意と活力を与え、消費者の利益を守りつつ国民経済の民主的な発展を期すること、これが独禁法の目的でもあるわけであります。だから、今度の改正案は、最近硬直しつつあります市場構造に一定の条件のもとにメスを加えるように整備しようとするものであって、憲法の理念、経済民主主義の理念からするならば、この程度の改正は当然であろうと私は思うのであります。 先ほど来総務長官は大きいことは悪いことじゃないということをしばしば発言されておるのでありますが、実は、大きいことは悪いことにつながる可能性を持つ、だから独占禁止法が必要なんだと私は思うのですね。だから、大きいことは悪いことじゃないと無条件に言うことは独占禁止法の理念を否定することにつながるんじゃないでしょうか。この点は総務一長官はどう思いますか。
○藤田国務大臣 私は、大きいことは悪いことではないと、かように思います。ただ、大きいがために悪いことをする力があるわけですから、その悪いことをしないように、ただ単に独占禁止法を強化するだけではなくて、国民経済の立場に立って、政治家も一般の方々もあわせてこれを見守らなければならぬと思いますが、ただ単に大きいがために悪いということではないというふうに私は考えております。
○板川委員 御承知のように、戦後財閥が解体され、また、地主が追放され、農地が解放され、労働者には団結権が与えられ、日本の民主化政策が前進をしたわけであります。そして、そのために日本の経済はかつて歴史にないほど活力を取り返してきた。農民は生産力が、米の場合ですが、戦前の同じ面積から一・七倍もとれるようになった、労働者の生産性も上がった、また、幸いにして日本はベトナム戦争に巻き込まれなかった、これらのことは日本が民主化した一つのおかげだろうと私は思うのですが、その民主主義の基本というものは、やはり、経済ならば経済的な独裁者、独占、市場支配力の強大なもの、こういうものを規制しようという理念なんですね。だから、大きいことは悪いことじゃない、その方が能率的だ、価格を見ても、通産省で計算すれば、かえって寡占価格の方が競争があって値下がりしているじゃないかという、こういう論理もありますが、それは部分的なある時期の話でありまして、そういう体制を長期的に続ければ取り返しのつかない状態になる。 だから、それを予防するために独占禁止法というものが機能しなくちゃならないと私は思うのですが、通産大臣、この点はどういうお考えを持っておりますか、御所見を承りたい。
○田中国務大臣 いろいろとお話がございましたが、大きいことは必ずしも悪いことではないが、同時にまたそれが悪いこともできる可能性を持つというような御所見に対しましては、そうであればこそ行政というものの必要があり、同時に、また、主務官庁というものの、悪いことをしないようにするだけの行政力というものもまたあわせて必要であるわけでございまして、いまのそういうようなことがないことをわれわれは期待をするわけでございます。 なお、また、国際経済の伸展やその後の処置につきましても、私どもは先般来主張すべき議論はいろいろと十分に尽くしたわけでありまして、ここに政府の案として定まりました本御提案に対しましても、私どもは、さようなことがないように行政府の一員として今後も全力を尽くすつもりでございますが、今回のこの政府提案につきましては、総務長官の御意見どおりに私どもは心得ておる次第でございます。
○板川委員 独禁法というものが長い目で見て日本の経済にとって重要なんだという理解を通産大臣も持ってもらいたいと思って私は申し上げました。 総務長官に伺いますが、七十五国会で自民党も賛成をし、全会一致で衆議院を通過した五党修正案と同じ内容をなぜ今度の改正案で提出をしないのか、これは国民に対する重大な背信行為じゃないかと私は思います。また、衆議院としては全会一致で通ったことでありますから、衆議院の権威を失墜するもはなはだしいと私どもは言わざるを得ないのでありますが、五党修正と同じ内容の改正案を再度提出をしなかった理由はどこにあるのでしょうか、伺います。
○藤田国務大臣 先生の御存じのようなことで、衆議院の方は全会一致で通過、成立をしたわけでございますが、参議院の方では廃案になったという経緯でございまして、そこで、政府の方といたしましては、与党を含めて野党各党にも御理解、御賛成を得るような案を出そうということで、実際にはもっと早く提案をいたすべきであったのでありますけれども、時日がかかって申しわけなかったと思いますが、慎重に与党の方で練られまして、その上で政府の方のものもいただき、そしてまた慎重に検討した結果このように出してきたわけであります。 ですから、五党合意案との違いが多少ございますけれども、大体五党合意案を骨子として出してきたもので、そしてまた各党の御理解と御賛成を得られるものであるというふうに考えて提出したわけでございます。
○板川委員 確かに、参議院の本会議では趣旨説明と若干の質疑がありましたが、参議院の商工委員会では提案理由の説明だけで、一回も質疑をしていないようであります。われわれ衆議院側としては、参議院での審議の結果どこが反対で、その反対の理由は何かということを知りたいわけですね。二院制ですから、衆議院と参議院の意見が違っても当然でありますが、審議の結果これこれが反対だから賛成できないと言うなら私はわかりますが、しかし、衆議院で自民党も賛成して全会一致で通過した法案を審議もしない、理由も示さない、継続審議にもしない、そして廃案にしたという参議院の措置が私は納得できないのです。 だから、衆議院としては、少なくとも一たん可決した五党修正の内容を法案として出すべきだと私どもは主張せざるを得ないのでありますが、いかなる理由で廃案になったのですか。大臣は参議院議員ですからこの点は十分御承知と思いますので、承っておきたい。
○藤田国務大臣 私はもちろん参議院議員でございますが、しかし、その間の理由をちょっとつまびらかにしておりませんが、たしか時日が余りにも少なかったのではなかったかということが一つございます。それから、もう一つは、確かに院としてはそういうふうな状態でいま先生がおっしゃったような経過になったわけでございますが、自由民主党内部においてしっかりとこなれていなかったのではないかというぐあいに考えられます。ですから参議院においてそういうふうなことにもなったのではないかというふうに考えられます。
○板川委員 われわれも五党修正に必ずしも満足しているわけじゃないのです。しかし、せっかく五党で意見の一致を見たのですから、一度賛成した以上は政党として責任があると思いましてその実現を図ろうとしているわけでありますが、政府もこの際、われわれ野党四党で提出した五党修正案と同じ内容の改正案に賛成をして、もう一度参議院に送って参議院の審議の結果を待つべきじゃないだろうかと思うのです。そして、参議院が衆議院と異なった議決をしても、それは私どもは尊重すべきであります。 われわれの提出法案に同調して政府の法案を撤回するというのが少なくとも衆議院における自民党のとるべき一貫した態度じゃないかと思いますが、いかがなものでしょうか。総務長官に伺います。
○藤田国務大臣 先ほど来申し上げましたように、政府の方としては与党内部の御意見もよく伺い、そしてまた従来の経緯も踏まえまして、与党、野党の各党に御理解をいただけるという線をもって法案として提案をしたわけでございますので、ひとつこの線でぜひお願いをいたしたい、かように思っておる次第でございます。
○板川委員 聞くところによりますと、自民党の中では独占禁止法改正は今回も流そうという動きが活発のようでありますが、一体政府は本気でこの法案を成立させる気があるのだろうか。内容については野党が承服できそうもない点を三つ、四つ用意しておって、異論があればこれを幸いに廃案にしようという気持ちもあるような感じがいたしますが、この独禁法の改正案に対して政府は本当に成立をさせる意思があるのかどうか、もう一遍伺っておきます。
○藤田国務大臣 福田総理も衆参の予算委員会やその他の委員会でたびたび申し上げておると思うのでありますが、独占禁止法の改正はこの国会でぜひ決着をつけたいと申し上げておりますし、私たちもそのようなつもりでこの法案を提出したつもりでございますので、何かむずかしいところをくっつけて云々というようなことはございません。 本当にぎりぎりの線を出してきたと思って提案をいたしておりますので、ひとつぜひこの線でおまとめをいただくようお願いをする次第でございます。
○板川委員 この法案は、全会一致で通った野党が出している法案とまだまだ大きな差がありますから、ぜひひとつ柔軟な態度で対応してもらいたいということを注文しておきます。 次に、本論に入りますが、営業の一部譲渡、まあ、企業分割規定と言われておりますからそういう言葉を使っていきますが、本項は第二次案で削除をされて今回復活をいたしたものであります。この営業の一部譲渡は五党修正にありましたから、いわば五党修正に返った項目でありますから、われわれは一応評価するにやぶさかではありませんが、しかし、新しく追加されました四十五条の二が問題だと私は思うのです。 それは、公取委は、独占的状態に該当する事実ありと思料して職権をもって調査を開始しようとするときに、主務大臣に通知をするという規定が入りました。これは現在でも通知をしておるそうでありますから是認するとしましても、その後主務大臣は公正取引委員会に対して独占的状態の有無について意見を述べることができるということを法文化しておりますが、この「独占的状態の有無」というのは、本来、公取委がだれの指揮、監督も受けずに自主的に判断すべき事項ではないだろうか、主務大臣がとやかく言うべき事柄ではないだろうというように私は思います。それで公取委には、先ほども言いましたように、内閣に所属する行政委員会でありながら、その職務を行うに当たって公正を期するために独立して職務を行う権限を与えておりますから、これは公取委の独立性を侵すことになるんじゃないだろうかということが言えると思うのでありますが、主務大臣が独占的状態の有無について意見を述べるというこの項は重大な改悪になる、特に公取委の自主性を侵すという意味で私は承服できないのであります。 これは削除をすべきだと思いますが、御意見を承っておきます。
○藤田国務大臣 経緯は先生すでによく御存じでございますからもう申し上げませんが、主務大臣と協議するという点が五党合意案に一点残っておったわけでございます。それにこれがつけ加わったわけで、「通知」と「意見を述べる」ということがつけ加わったわけでございますが、大体、独占、寡占というふうな状況は長年の間にオープンな形で積み上げられてくるものだと思うのです。その間に公取の方では経済部調査課が集中度調査というものをやっておりまして、ずっと一般的資料の中でそれを確めておるといいますか、見守っておるわけでございます。そして、いよいよ弊害があらわれてきたかというときに本格的調査に入るということになってくるわけでございますが、本格的調査に入るということは大変な強制的な調査になるわけでございますから、その時点において、知識が豊富であり、また、種々の資料を豊富に持っておるところの主務官庁、あるいは主務官庁以外でも専門家の方々にいろいろと相談もし、また、その独占的状態の有無を思料したときでございますから、独占的状態の有無ということについても意見を聞かせてもらうということが必要なことであろうと私は思うのです。 ただ、最終的な判断はあくまでも公正取引委員会がやることでございますから、二十八条の公取の自主性を傷つけるものではない、かように考えております。 〔中島(源)委員長代理退席、委員長着席〕
○板川委員 これは通産大臣に聞きますが、独占的状態の有無について意見を述べるわけですが、お互いの意見がその状態がありとする場合には、片一方も独占的状態ありと思料して調査に入ろうとするのですから、お互いにある場合には問題はない。また、意見を述べる必要は大してない。 ただ、もしありという場合ですが、この場合にはどういう話し合いになりますか。独占的状態があるという場合には通産省としてはどういう話をするのですか。
○田中国務大臣 お答えいたします。 御質問の趣旨がよくわからないのでございますが、どうかと聞かれたのに答えない方が変なのでありまして、聞かれても知らぬ顔をしていることの方がどうかと思うのでありまして、聞かれるから答えるだけでございます。それ以上のことは総務長官の申し上げるとおりでありまして、ではどういうことを答えるのか、独占的状態があるかないか——これも御質問そのものも国家のためによかれと思い、また、悪いことが起こらないようにしようと思う善意の表現であろうと存ずるので、その間におきまして、同じ政府の一員といたしまして公取に御協力できるならば御協力を申し上げることの方が当然であろうと私は思うのであります。 なお、また、具体的な細かいことがございますれば、政府委員がおりますからお答えをいたします。
○濃野政府委員 ただいまの先生の御質問でございますが、私ども今度の改正案の条文に照らしましてこのように理解しております。ここにございます「独占的状態の有無」の「独占的状態」と申しますのは、第二条六項の次に二項が加えられまして、独占的状態というのは一号、二号、三号に該当する場合ということでございます。 一号と申しますのは非常に型式的要件でございまして、五百億を超え云々ということでございますが、公取から通知がございまして、私どもがもしここで独占的状態の有無について私どもの意見を言う場合というのは、恐らく、たとえばこの二号で、「当該事業分野に属する事業を新たに営むことを著しく困難にする事情があること」であるかどうかというような判断をして——これはたとえば国際的な外国企業との関係の問題でございますとか、いろいろ事情があると思いますが、この辺は、産業政策を所管しております私どもとして、公正取引委員会が思料されました場合にも私どもの目から見ますとこういう事情があるのではないかというようなことについてもし意見があれば申し上げ、あるいは三号の利益率が過大であるとか、あるいは過大な販売費、管理費の支出等につきましても、その業界、業界の特殊事情等から見まして、産業行政を預かっておる目から見ますとこういう問題点があるのではないかというようなことを私どもの意見として申し上げる機会があるのではないか、こういうふうに私は理解をしております。
○板川委員 こういうことでしょう。四十五条の二にありますように、「競争を回復するに足りると認められる他の措置に関し意見を述べる」ということでしょう。そういうことに法律でなっております。ですから、片方は独占的状態がありと思料するから調査に入ろう、片方はそれを肯定した上で、ありと認めて、それじゃ他の方法で、関税を引き下げるとかいろいろなことを競争回復のためにやってみましょうという、こういう話し合いになるわけですね。
○濃野政府委員 お答え申し上げます。 ただいま私がお答え申し上げましたのは、独占的状態の有無の判断について私どもの意見を言う場合があるかどうかという御質問だと思ってお答えをしたわけでございますが、ただいまの先生の御質問のように、私どもが産業官庁として申し上げる主な点はただいまの先生の御指摘の点だと思います。 産業構造あるいは産業組織という面から考えましたときに、今後独占的状態がある場合に、今回の法律改正によるいわゆる営業の一部譲渡という競争政策でこの問題を片づけるか、あるいはもっと輸入を促進するというような輸入政策をやるか、あるいはいわゆるマーケットメカニズムの有効性を確保するか——それを最大に発現させるというのが競争政策だと思いますが、そのほかに、いやいやこれはもっと政府が介入すると言うと言葉は悪いと思いますが、たとえば一つの特定の事業分野としての事業法でも制定してやっていくべきだと判断する場合もあると思いますので、そういう点について産業政策の面からの御意見を申し上げるということが大部分ではないか、かように考えております。
○板川委員 あるということで意見が一致した場合にはそういう措置をとるのでしょう。公取の方では独占的状態ありと思料して調査に入ろうという通知を出した、しかし主務大臣の方はそれはないと言う場合は、一体どんな根拠でないと言うのでしょうか。公取で独占的状態がありと思料するのは、すでに発表されておる公知の資料に基づいて判断して独占的状態があり得ると考えて調査に入ろうというわけですが、通産大臣と言った方がわかりいいから言いますが、その場合に通産大臣の方で独占的状態はないという言い方をできるのかどうか、どういう根拠に基づいて独占的状態はないと言うのか、伺いましょう。
○濃野政府委員 独占的状態の判断で、ないという私どもの意見を申し上げる機会はまことにわずかな場合だろうと思いますが、この点は先ほど最初に御答弁いたしましたように、今度の法律の二条に追加になりました独占的状態の定義の中で、たとえば市場への新規参入が困難であるかどうかというような判断は、この辺は公正取引委員会は独占禁止政策、競争政策の観点から当然御判断になると思いますが、私どもは、たとえば日本の経済が非常に国際的なつながり等を持っていますので、公取委員会で市場参入が非常に困難だと見ているのだけれども、これは必ずしもいわゆるここに言う独占的状態に該当するものではなくて、それにはこういう理由があるのだという判断をする場合もあるかもしれません。その場合には私どもとして私どもの意見を申し上げるということがあるのではないかというふうに考えております。
○板川委員 先ほどの質問で、有無の意見を通産大臣から強硬に主張された場合に、公取は影響がある、悪い影響は断るがいい影響はあるというような質疑応答がありました。それを前提として言いますが、中立性や独立性というのは、これを確保するというのは、悪い影響もいい影響もそこから避けて中立性、独立性を守るというのが本当じゃないでしょうか、いい影響なら受け入れて悪い影響なら拒否するということは、たとえば最初の一回、二回はそういうことで通っていったとしても、それは結局公取の独立性を侵すことになるのじゃないですか、公取委員長、この点はどうお考えですか。
○澤田政府委員 この四十五条の二の規定が設けられました趣旨を考えてみますと、公正取引委員会といたしましては独占的状態の該当性ありと思料して、たとえば四十六条の調査に入るという段階の前に通知をすることになるわけでございます。これは主務大臣の意見により、また、要すればその提供を受けた資料によりまして効率的な調査が図れるということが一つであります。 もう一つは、「競争を回復するに足りると認められる他の措置」につきまして、主務大臣が競争回復のための適切な措置を講ずることができるかどうかということでありますが、これにはかなりの時間が必要でありますから、少し早く通知するということも必要でありましょうが、そのゆとりがまた考慮に値するわけでございまして、こういう趣旨で主務大臣に意見を述べる機会を定めるということで、これはこういう重要な問題についての公正取引委員会の判断に対する参考としての役目を果たすわけでございまして、いかなる判断にもできるだけ多くの参考資料によって判断することが大事でありますから、そういう意味におきまして、これは決して公正取引委員会の職権の行使を制約するというようなものではございません。 最終的決定はあくまで公正取引委員会が総合的かつ自主的に結論を出すということだと私は理解しておるわけでございます。
○板川委員 最終的決定は公取委員会がやるからということでは、それでは何回も意見を聞いたり協議したりということになると、そういうことが公取の独立性を侵す結果に影響を与えてくるのじゃないかということを私は言っておるのであって、最終的に公取が決断するのだから何を聞いても大丈夫だというのは、これは独立性を守るべき公取の委員長の言葉としてはおかしいと私は思いますね。 そこで、総務長官に伺いますが、独禁法の六十一条をちょっと読んでください。まず、「関係のある公務所」とあるが、この「公務所」というのは官庁ですよ。「関係のある公務所又は公共的な団体は、公共の利益を保護するため、公正取引委員会に対して意見を述べることができる。」とありますが、関係のある官庁は、最初に調査に入りますぞといって通知を出したならば、それで関係がつくと思うのです。関係のある官庁になると思うのです。そうすると主務官庁は、これは主務大臣でもいいですが、公共の利益を保護するために公正取引委員会に対して意見を十分述べられる機会は六十一条であるんじゃないでしょうか。
○大橋政府委員 条文の技術的なことでございますのでお答えさせていただきます。 この六十一条の規定は、審判手続においてのものというふうに解釈されております。
○板川委員 この場合、この六十一条で主務官庁は十分意見を言える機会があるんじゃないだろうかと思うのです。だから、あえてこの独占の有無について云々なんということを言わなくても、六十一条の場合に、主務官庁は、独占の有無についてもあるいはその対策についても堂々と十分意見が言える機会が法律で確保されているんじゃないでしょうか。私はそう思うのですが、どうですか。
○大橋政府委員 独占的状態に関します調査から始まる手続というのは非常に膨大な調査になりますので、長い期間を要するわけでございますが、この六十一条の規定の審判手続が始まりまして、その審判手続の中で意見は述べられるという規定でございます。 この四十五条の二は、調査を始めることとしたとき、そういう場合に通知がございますと、その通知を契機といたしまして、独占的の状態の有無あるいは他の手段に関する意見を述べることができるという規定でございまして、審判手続開始に至る前の調査の段階での意見でございますので、これは趣旨が違うというふうに考えております。
○板川委員 六十一条は手続の場合でしょう。 では、独占の有無について意見を述べることは公開、公表をされる性質のものですか、どうなんですか。
○大橋政府委員 通常の場合、官庁同士の意見の交換でございますから、公開されるという性質のものではないと考えております。 また、場合によりまして公開されるということが仮にあるとしましても、その場合は事業者の秘密についての十分の注意を行った上で公開されるということになると思いますが、両官庁にまたがることでございますから、公開については主務大臣並びに公正取引委員会の双方の了承が必要だろうと思います。
○板川委員 そうしますと、こういうことがあり得ますね。公取は独占的状態がありと思料して調査に入る、通知をする、そしてこの主務官庁が直ちに会見を申し込んで有無について意見を言う、しかし、通産省の強硬な反対で結局それがうやむやになってしまうという、こういう影響を受けることもあるわけですね。
○大橋政府委員 仮に、主務大臣の出されました独占的状態がないという判断、この根拠になりましたものが、公正取引委員会が四十五条で独占的状態に該当する事実があると思料するという判断を覆すに足るほどのきわめて説得的なものであるといたしますと、その段階で調査が打ち切られることはあり得るわけでございますけれども、それは決してうやむやにされたとかいうことではなくて、調査を独自に開始いたしました公正取引委員会が主務大臣の意見を参考として、また、独立した判断を下した結果ということになるわけでございます。
○板川委員 どう考えても、主務官庁、主務大臣が独占的状態の有無について意見を述べるのは、それは影響を与えるためだ。公取委員長はいい影響は受け入れても悪い影響は拒否するからいいのだと言うが、こういう状態が続きますと公取はやがて独立性が失われていくと私は思います。今度の法律改正の中では、これは重要な改悪点だと私は思います。特に、この改正点が自民党の中の手続の中で最後に付け加えられたという点などを聞きますと、この改正は非常に重要であって、この点は削除すべきではないだろうかと私は思います。 しかし、「競争を回復するに足りると認められる他の措置」の「他の措置」をとるという話し合いのときに、仮に独占的状態の有無について話が出たとしても、これはやむを得ないと思うのです。ただ、公然と法律で独占状態の有無について大臣が意見を言うということは、立て方としてやはり問題だと私は思いますが、公取委員長、どう思いますか。「競争を回復するに足りると認められる他の措置」について話し合うことは、これは通知してあってもいいと私は思いますし、その場合に、いや、独占的状態は実はこういうわけでないという話が出ても仕方がないかもしれません。しかし、法律で独占的状態の有無について通産大臣が権利として主張できるというのは独禁法のたてまえとしておかしいと私は思いますが、いかがですか。
○澤田政府委員 お話しの点はもちろんわからないわけじゃないわけでありますけれども、重要問題について私の方の判断に基づき通知をいたしますと、それについて主務大臣は各般の意見を実際上は申されるだろうと思います。そういう意味合いにおきまして、最も重要な問題がこの「独占的状態の有無」としてここに出てくるわけでございますが、これが出ておってもおらなくても、実際問題としてはそう違いはない、しかもそれは参考意見であって、それに左右されるものではないという意味におきまして、私は特にこだわってはいない次第でございます。
○板川委員 私も、話し合うことが事実あってもいいと思うし、話し合ってはいかぬとまで言っているわけではないのですが、法律の立て方としてそれを認めることは好ましくないと思います。 〔委員長退席、中島(源)委員長代理着席〕 時間がありませんから先へ進みますが、企業分割の対象業種は公取は先ほど九つだと言い ますし、通産省は何か三十一もあるというふうに言っておりますが、通産省と公取との違いはどういう統計上の違いですか。
○水口政府委員 この点は先ほども若干説明しましたが、独占的状態の中に「事業分野」という言葉が出てまいります。これをどういうふうに確定するかということが実際上はなかなかむずかしい問題でございまして、われわれの方の試算によって事業分野を確定いたしまして、それでもって試算した結果は九つであるが、通産省の方を拝見いたしますと、一般的に申しましてわれわれよりも狭い範囲で業種をとっておられる。そこが一番の問題点だと思います。
○濃野政府委員 私ども、今回の独禁法の改正問題が自民党の山中調査会でいろいろと御議論をされているうちに、私どもの内部の勉強資料として、工業統計を基礎として今回の法律案の五百億、五〇%、七五%という形式的基準でいろいろ拾ってみたところ、約三十の業種が形式的に当たるのではないかという資料も内部資料としてつくりました。 ただ、いま公取の審議官から御説明がございましたように、問題は、その「事業分野」という法律上の規定をどう概念するかという問題でございまして、先ほど御質問にもいろいろございましたように、公正取引委員会でこの事業分野というものの考え方をはっきりさせるということでございますので、はっきりしました段階で確定をする問題ではないかというふうに考えております。
○板川委員 そういう対象業種の中での独占的状態の構成要件は、五つの要件と、四つの措置要件がありますね。その五つの構成要件とは年間五百億以上の売上高を持つもの、二として一社五〇%、二社七五%以上のシェアを持つもの、三として新規参入の困難性があるもの、四として価格の下方硬直性が相当期間続いておるもの、五として過大な利潤や管理費を支出しているもの、ということで、このうち一と二は構造要件であります。三と四は構造要件と弊害要件の混合であります。五番目は弊害要件であります。この五つの構成要件を満たして、次に、コストが非常に高くなる、経理が不健全になる、国際競争力の維持が困難である、競争回復の他の措置がとれないという、こういう四つの措置要件があって、合わせて九つの要件を満たして、そして企業分割の対象になる企業は一体どのくらいあると公取は考えておりますか。 この九つの要件をみごとに果たして俎上に上る企業というのはどのくらいあると公取は思料しておるのですか。
○水口政府委員 九業種と申しますのは、たとえばビールとかウイスキーとか、そういったたぐいのものでございますが、これらはいずれもいろいろな要件の中のいわば形式的要件と申しますか、国内供給額が五百億円以上、シェアが一社で五〇%以上、二社で七五%以上という、この二つの要件に該当するものを選び出したところが九つだということでございます。 そのほか、いまおっしゃいました新規参入の要件であるとか、あるいは長期にわたって高い利潤を得ておるとか、いろいろなことが書いてあるわけでございますが、そういったものに全部当てはめてみますと、どの会社がどれでということは差し控えさせていただきたいと思いますが、要するに新規参入が行われているとか、あるいは相当の期間需給の変動及びその供給に要する費用の変動に照らして価格の上昇が著しいとは言えないこととか、三番目には過大な利益率を長期間にわたって得ているということが言えないこと等、現在の統計から見ましたところは、こういった理由によりまして独占的状態のすべての要件を満たしている業種はないのではないかとわれわれの方では一応考えております。
○板川委員 そうしますと、この要件を全部満たして企業分割の対象となる企業というのはいまのところ一つもないというふうに考えてよろしいですか。 そうだとしますと、御承知のように、麒麟麦酒が、私のところは分割対象に入りますということで大変大騒ぎをしているが、麒麟麦酒の主張は一体どういう点で誤解がありますか。
○水口政府委員 お答え申し上げます。 余り個々の会社にわたって申し上げることはいかがかと思いますが、麒麟麦酒の場合は、長期にわたってその価格の上昇が著しいとは言えないということだと思います。
○板川委員 ちょっとお伺いしますが、麒麟麦酒はこの分割の対象にはなる条件を備えていないというわけですか。ないんだからないと言うわけだろうけれども、それでいいわけですね。
○水口政府委員 少なくとも、現在われわれが把握しております資料からはそういうことが言えようかと思います。先のことはわかりません。
○板川委員 それでは、仮にこの企業分割の対象になる企業が将来あるとして、十重二十重の難関をみごとに突破して営業の一部譲渡命令を受けた企業があったといたします。これは仮定ですが、その場合、先ほど商法との関係が言われましたが、私も全部聞いたわけじゃないのですが、取締役会が株主総会に諮って、株主総会がそれを否決したならばいたし方ない、それ以上のことはないと言われておったようでありますが、そうだとすると、独禁法という公法の命令が株主総会で否決されたら、それきりにとまってしまうというのはおかしい話ですね。前回の審議の際にも、高橋公取委員長は、三カ月の間にもしだめだったらば取締役会は高裁に訴えることが必要だ、たとえば株主総会で否決されたから、商法の手続上もうやるだけやったんだからいたし方ない、だから、公取の命令を誠実に履行しようと思ってやったけれども、株主総会において否決されたんだからいたし方ない、と、こう言っておる。先ほども何かのお話でも、それでも仕方がないというような言い方になっておりますが、これは独禁法としてやはりおかしいと思うのです。そこでそのような場合には公取としてどういう措置をとられますか。 植木総務長官は前に、これはやっぱり刑法上の処分を受けますと言ってもおりますが、公取としては、株主総会にかけて否決されたときにこの会社の役員が何もしなかったという場合にはどういう措置をとるわけですか。また、その場合に会社には、役員にはどういう措置をとることを期待しているのですか。手続関係のことについてちょっと伺います。
○水口政府委員 営業の一部の譲渡命令の審決が確定いたしますと、会社はこの審決に従う義務があることは当然でございます。したがって、その会社の取締役といたしましては、審決の内容を実現するためにまじめな努力を行う必要がある。まじめな努力を行わなければ審決違反として刑事責任が追及されることは当然あり得ると思いますが、具体的にこういった場合はこうかということは、具体的な事例に即してこういう場合はどうなるかということはちょっといま即答しかねるように思います。
○板川委員 おかしいじゃないですか。別にいまどこかの企業をどうこうやれということを議論しているんじゃないんで、法制上の議論ですからね。それじゃ結論が出ないんじゃないんですか。そんな答弁はないですよ。 公取委員長はどう考えるのですか。それは場合によったら、会社が株主総会で否決されてしまったら、それきりでいいんですか。公取としては、命令を出し、処分をしたことの履行を迫る何らかの——相手がやらなければ高裁に告発をして履行を迫るとか、刑事的な責任を迫るとか、どっちかしなければならないんじゃないですか。いまのは何か言えないというのはどういうわけですか。法理論上のことじゃないですか。
○水口政府委員 先ほど申しましたのは、その審決を受けた会社の取締役がその審決の内容を実現するためにまじめな努力をする必要があるということを申し上げましたが、先ほどの具体的な例のように、こういうことをしなければそれが真摯な努力をしたことになるのかならないのか、その辺は微妙な問題もございますので、ちょっと即答を避けたいというふうに申し上げたわけでございます。
○板川委員 私が聞いているのはこういうことなんです。営業の一部譲渡命令を出しましたというのは、それは会社の役員に出すわけです。会社はこれを守らなければ罰則が適用される。これはまあ独禁法に書いてあるとおりですね。では、会社は、出たんだから仕方がない、まあ好ましくないけれども、命令だからそれに服従するほかはないということで、重要な営業の一部譲渡ならば、商法の手続に従って株主総会を開いて特別決議を要請した、しかし、特別決議が成立をしなかった、この場合ですね。公取としては、この場合、この命令を担保する手段というものをとらないのですか、どうなんですか。
○大橋政府委員 これは制度の問題でございますけれども、制度の問題としましては、何らかの理由によって公正取引委員会の審決が実施できなかった場合の執行強制手段についてでございましょうが、この場合には刑事罰の規定以外に担保する手段はないわけでございます。したがいまして、公正取引委員会はもちろんその事情を十分調査いたしまして、その審決が実施できない理由がどういうところにあるか、そういうことを調べた上で是正ができる。あるいは審決の内容を若干変更することによって実施ができるようなことがあるといたしますれば、六十六条の二項の手続を利用して審決を変更する。 ただし、これは被審人の不利益になるような変更はできませんが、利益になる限りにおいて変更するというような手続はとれますけれども、しかし、それでもなおかつ実施できないような場合につきましては、あくまで刑事罰以外に担保する手段はない、こういう制度になっているわけでございます。
○板川委員 そうですね。公取が営業の一部譲渡の作業を全部やれと言っているわけではないのです。その場合に刑事罰を科するほかはないでしょう。刑事罰を科するのは、公取は一体どういう手続をとりますか。こういった簡単なことじゃないですか。公取委員長、答弁できないですか。
○澤田政府委員 正当な理由なしに審決の履行の努力をしないという場合には告発をいたすわけでございます。
○板川委員 告発した結果、そういう罰則を受けることはある、そうでないとおかしいと思うのです。先ほどのお話をちょっと聞いていると、何か、株主総会で否決されればもうどうにもならないんだという議論があったものですから、その議論の決着をつける意味で聞いたわけであります。 〔中島(源)委員長代理退席、委員長着席〕 次に、七条の二項の復活問題について伺いたいと思うのですが、本項は、第一次案の際に五党修正で補強されたものを、第二次案では削除されて、今度の案で一次案と同じように、括弧書きが別についたというだけで、復活をしてまいりました。一度五党修正に応じ賛成しながら、今度それがまた変更されて提案されたというのはどういう理由なんでしょうか。総務長官に伺います。
○藤田国務大臣 第七条はそのまま残しておりますが、この七条の主眼点になるものは違反行為の排除であります。 違反行為の排除に付属するものとしていろいろとやることができるわけでございますが、ただ、違反行為、カルテルによって生じた価格の影響の排除を主目的とするものではないことは確かであります。そこで、第二項にその影響の排除を主目的とする項目を入れたわけでございまして、第七条をそのまま生かし、その二項で影響の排除を強めたということでございます。
○板川委員 五党修正と異なる点は、「その他これらの規定に違反する行為」の下に五党修正は「及び当該行為によつて生じた影響」がついて、「その他これらの規定に違反する行為及び当該行為によって生じた影響を排除するために必要な措置を命ずることができる。」となるのですが、今度は「行為を排除するために必要な措置を命ずることができる。」として、その次に「事業者に対し、当該行為によって生じた影響を排除するためにとることとなる具体的措置の内容の届出及び当該具体的措置の実施状況の報告を命ずることができる。」となる。こういうところが五党修正案と違うのでありますが、影響を排除する方法が違うわけです。当該行為によって生じた影響を排除する行為が、五党修正の方では、公取がその職務上これを排除することになるわけです。ところが、今度の政府案は、もとと同じように、それは事業者に内容の届け出をさせ、それをやったかどうか報告を命ずることができるということで、影響排除の措置を事業者に任しておる。これが違うところだろうと思うのです。 これでは、われわれがこの前からも議論しているように、せっかくカルテルを排除したとしても価格がちっとも下がらないということがあるわけであります。この価格が下がらないということに間接的に影響を与えようというのがわれわれの直接価格をどうしようというのじゃありませんが、このカルテルで値上げした価格を間接的に排除しようという考え方でありますが、これでは事業者の届け出と報告だけにとどまります。それだけにとどまりますから、いわばカルテルのやり得ということになり、これは前回の修正の意思に非常に相反するわけであります。 ここで伺いますが、届け出の内容について、今度は、政府案で、「事業者に対し、当該行為によつて生じた影響を排除するためにとることとなる具体的措置の内容の届出」とありますが、この届け出があった場合に公取は意見を表明できるのでしょうか。届け出があったら、はっと言って受けるだけですか。
○大橋政府委員 立案の考え方を申し上げますと、どういう審決になるかということでございますが、まず、「当該行為によつて生じた影響を排除するためにとることとなる具体的措置の内容の届出」でございますが、「当該行為によつて生じた影響」は何かということは公取が認定して、たとえば価格カルテルでございますれば、カルテル価格による販売が続くことというような影響を具体的に特定いたします。そして、これを「排除するためにとることとなる具体的措置」を届け出ろということは、決定が前提でございますから、決定しろということが命令できるわけでございます。そういたしますと、その決定した内容を届け出るわけでございますけれども、決定したこと自体が、何もやらないとか、そういうようなことを決定した場合にはやはり決定しろという命令に従ったことにならないというふうに考えております。 カルテル価格によらない価格を決めるような、そういう具体的措置を決めろということが審決の主文の一くだりに出てきても、この法律から見ると違反ではない。この法律の条文は認めているところでございますから、その命令に従わなかったという判断がされる程度のものでございますれば、それについては審決に従わなかったということになるわけですから、実際には公正取引委員会としてはこれに対して是正するという手続が一たんあるのだろうと思いますが、そういう手続がとれることになります。
○板川委員 公取はどう考えていますか。
○水口政府委員 新七条二項は影響の排除措置でございますが、これを命ずるのは当然公取でございます。命ずるのは公取でございますが、ここに書いてあります「具体的措置の内容」を決定するのは、公取ではなしに事業者でございます。 そういう意味で、私は、ソフトな措置の命令であろうというふうに考えておりますが、しかし、そうは申しましても、公取は審決によってこういう措置を命ずるわけでございます。したがって、それを受けた事業者の方が、みずから定めた具体的措置の内容が非常に誠意を欠いたものであると認められる場合にはこの命令を十分果たしたことにはならない、したがって、公正取引委員会としてはこの措置が十分目的を達せられるように指導をする必要がある、こういうふうに考えております。
○板川委員 こういうことでしょうか。「具体的措置の実施状況の報告を命ずることができる。」——これはもちろんその前の項もひっくるめてでありますが、これは審決をもって出すんだ、だから、カルテル値上げをした場合には、カルテル値上げでない新しい値上げの届け出をせよ、こういうことを審決内容といたします——しかし、その審決内容が実は八十円のものをカルテルによって百円に上げた、それを下げろという命令が審決で出た場合に、九十九円で届け出をしたという場合に、八十円であったものを百円にカルテルで値上げをして、それを変更せよという命令が公取から出たから九十九円なり九十八円なりということでやってきた場合に、届け出に対して公取が意見が要るのかどうかということを聞いたわけですが、それでは要るんですね。
○水口政府委員 いま一つの例といたしまして、八十円であったものがカルテルの結果百円になって、それで七条二項の措置を命じたら九十九円でどうかと言ってきたというお話であったわけでございますが、その場合にはどうかということを申し上げるのはなかなかむずかしいと思います。やはり、実際にはケース・バイ・ケースで判断せざるを得ないと思いますが、全般としてまじめに具体的措置の内容を定めておるということが必要であろうというふうにわれわれは思っております。
○板川委員 そうすると、結局公取は届け出したものに余り発言はできないということになるのでしょう。
○大橋政府委員 ただいまの価格の点につきましては、あくまでも事業者が自主的に価格を決めるというところに問題があるわけでございまして、相互に連絡をとってみんなが九十九円でしてきたということの想定でございますと、これはまた新しいカルテルの疑いがあるわけでございます。しかし、十人なら十人の事業者のうちに九十円まで下げた者もおるし、九十五円まで下げた者もおるし、九十九円だった者もおる。しかし、それはそれなりに相手方との交渉もした上でそういうふうに決まってきたんだというような実情でございますれば、その交渉をするというところに新しい意味がございまして、その結果価格が幾らに決まるかということは独占禁止法は余り考えていない、こういうふうに考えております。
○板川委員 独占禁止法が価格を余り考えていない、価格の介入は考えるべきじゃないし、考えていないという議論がありました。私も公取が価格一般に介入する権限があるなんてことは考えないし、ないことは独占禁止法の目的に照らして明白でありますから、ない。しかし、不当な行為によって上がった価格、いわばカルテル価格などがそうですが、それから不公正取引によって生じた価格、こういう価格にまで一切公取は介入してはならないという解釈はどこにありますか。
○大橋政府委員 たとえば不当廉売のように、不公正取引の系列の中には、価格そのものについて決まった価格がいけないということを公取が言う場合はございます。しかし、カルテルの場合につきましては規制の考え方が違いまして、規制自体は価格が不当に高いとか低いとか、そういうことではなくて、通謀して、話し合って相互の拘束によって一つの価格を決めて、この価格が百円か九十円かということではなくて、通謀し合って決めたというところに問題があるわけでございますから、カルテルの場合には、少なくともその拘束を解くというところに独禁法の考え方の基本があるわけでございます。
○板川委員 価格について、御承知のように公正取引委員会は中部読売が月五百円で販売しようというときに、それは不公正取引の一般指定告示十一号の五に当たるとして、八百十二円以下では売ってはならないと命じたわけですね。この八百十二円というのは、公取が独自の計算をして、これ以下で売ることは不当廉売になるということで値上げを命じて、それでいま実行されているわけであります。不公正取引の場合でも、現実に公取が価格に介入しているのですね。 不公正取引という、独占禁止法から言えば罰則のない不公正な行為についてそういう価格に介入できているのに、カルテルのように罰則のついている行為について、そのカルテルで値上げしたのが九十九円であろうが九十八円であろうが、それは業者の決めることであるから、そう届け出をされてきたら余り発言ができないというのは、結局、これではかってありましたようにカルテルのやり得という結果になるのじゃないでしょうか。
○大橋政府委員 不当廉売の場合に価格に関する規定を設けているということは事実でございますが、これは昔不公正競争という名前が不公正取引に使われていたこともございますように、不公正な競争の結果の値段であるという観点から規制をするわけでございまして、すべての点で自由競争の結果定まるであろう価格を尊重するという考え方は独占禁止法のたてまえではなかろうかと思います。 ただいまのカルテルのやり得という点につきましては、七条の二項の新設によりまして、従来できなかったケースについても、「影響を排除するためにとることとなる具体的措置の内容」の決定及び届け出というものを事業者に命ずることによりまして、カルテルの後にカルテル価格が維持されるというケースは少なくなってくるのではないだろうか、少なくともすべての事業者が同じ価格で売るという状態は改善されるというふうに考えておる次第でございます。
○板川委員 この七条の二項は、従来から見て、どう考えても、特に五党修正案でせっかく「当該行為によって生じた影響を排除する」それを公取の職務とするということになったのを、それを業者の届け出だけにするということは、この五党修正の線から非常に後退したことになると思います。これはせっかく七十五国会でわれわれが共同修正して通したものですから、五党修正案にひとつ足並みをそろえていただきたいと思います。 七条の二項についてはそれで終わりますが、次は手続規定を、いままでやってないようですからやってみましょう。 五点にわたる手続規定の改正が第二次案から出ております。今回もそれが入っておりますが、これは新しい問題で、いままでの質問になかったようですから少々詳しく伺いたいと思うのですが、本来こういう手続の改正というのは、実務を担当している当事者がいろいろやった結果、手続上不備な点があるからといって原案を出すということがあるべき姿だと思うのです。ところが、今度そういう公取の見解なりを越えて、別な角度から修正案が出たわけです。 出たことが悪いという意味じゃないので、本来なら公取が必要ならばこういう手続規定というものを整備する当事者としての責任があると思うのですが、この五点にわたる手続改正をしようとする理由、改正の理由はどういう点にありますか、伺います。
○藤田国務大臣 審判の手続と訴訟に関することだと思いますが、これは、今回は課徴金を取るようにカルテルの措置の強化も図っております。 そこで、第一審のごとき措置でありますところの公取の審決に対して不服を唱えた場合に東京高裁に持っていくことができるということになっておるわけでありますが、そういうふうなことが多くなるのではないかと思います。そういうふうに課徴金を取られるということ、それから、独占禁止法の独占に対する、高度寡占に対する措置ということも強まってきますので、審判手続をより公正にしようということで新証拠の提出を認めた。しかし、事実認定の一元化ということにつきましては、これはあくまでもそれを守っていこうという措置も、これもまた別段にとっておるわけでございます。
○板川委員 訴訟手続の改正ですが、手続の一について、「審判手続の一部の委任」という項目がございます。これは現在審査審判規則の二十六条の二項に、規則の中に同じものがありますから、これを法文化するということで問題はないといたします。 手続規定の二番目にある証拠不採用の場合の理由開示でありますが、この手続を新たに法文化するのはどういう意図があるのだろうか。証拠不採用の理由を個別的に明らかにする義務は民訴にも刑訴にもありません。その証拠が信頼できるかいなかは、全体として裁判官が自由心証主義にのっとって採否を決めるのであって、一々個別に不採用の理由を開示してはいないという説がありました。証拠が不採用であれば、不採用が不当であれば、被審人は取り消し訴訟で争うことが十分可能であります。 そこで、伺いますが、この証拠不採用決定の場合の理由開示、これは個別的に開示をするのでしょうか、どうでしょうか。
○水口政府委員 ただいまお尋ねの点は、現在実行上公正取引委員会で行われておる点でございまして、今回の改正によってやり方そのものが変わることではないということでございます。 そこで、いまお尋ねの点でございますが、被審人なりあるいは当事者の方からこういう証拠を見てほしいという提出があった場合に、それを採用しない、その理由の開示でございますが、それは、個々にやる場合もあれば一括してやる場合もある、そういう運用をいたしております。この法律改正がございましても、やり方は同じであると考えております。
○板川委員 個々にやるか一括して後でやるか、これはだれが決めますか。
○水口政府委員 これは、担当の審判官でございます。
○板川委員 では、個別に開示の要求があったら、個別に出さざるを得ませんか。
○水口政府委員 これはいわば審判官の審判指揮の問題でございまして、審判官が適当と思う判断をするということに相なろうかと思います。
○板川委員 この理由を示す方法は文書ですか、口頭記録ですか。
○水口政府委員 通常は口頭で行っております。
○板川委員 これは、現在は実質的にはやっておって、現在やっていることと事実上は違いはありません、特別変わっていません、こういうことなんですね。 三番目として、委員会の審判事務手続三ですね。被審人から要求があれば委員会に陳述をさせなければならないとありますが、被審人から申し出があれば、「これらの者が直接公正取引委員会に対し陳述する機会を与えなければならない」というふうに法律が新しく入るわけでありますが、この法律は、被審人からの申し出があれば、必ずその都度公正取引委員会に対して陳述する機会を与えなければならないということでしょうか。
○水口政府委員 われわれはさように解釈しております。
○板川委員 そうしますと、たとえば審判が開始されて幾つかの事案を審理する。一つ一つ、この問題についてはでは委員会に陳述をさせてくれと言って、何回でも同じ審判の中で委員会に陳述する機会を与えるということになりますか。
○水口政府委員 お答えいたします。 この審判の手続というのはやや専門的でございまして、ごく概略を申し上げますと、審判官の審判と申しますのは、その順序といたしまして、まず審査官の冒頭陳述、それから被審人の答弁、準備書面陳述、証拠申し出、証拠決定、証拠調べ、審査官意見陳述、被審人意見陳述というふうに進められるわけでございます。 それで、審判官が委員会にかわって審判を行うということは、いわば委員会の行うべき仕事を審判官に任せたということでございますから、その途中の段階において直接審判を行うということはいろいろと審判の遅延にもつながりますので、われわれとしては、こういう審判官の審判が一応終わったところで被審人の方から申し出があれば意見の陳述の機会を与える、こういうふうに考えております。
○板川委員 そうしますと、これは同じ審判の期間中何回でもというわけじゃなくて、審判が一段落して最終的に結論が出るという前に委員会陳述の機会を与える、こういうことなんですか。
○水口政府委員 さようでございます。一応審判官の審判がほぼ終わって、もう結論に近づいた段階で被審人の方から申し出があれば直接審判を行う、それもなるべく長引かないようにしたい、こういうふうに考えておりまして、具体的な内容は審査審判規則で定めたい、かように考えております。
○板川委員 わかりました。 手続改正の四番目でありますが、審判における証拠主義ですが、これは「被審人が争わない事実及び公知の事実を除き、審判手続において取り調べた証拠によって事実を認定しなければならない。」というのは、これは、事実認定は当然でありますが、どういう改正の意図を持っておりますか。
○大橋政府委員 これは公正取引委員会の審判手続そのものが、従来から審判官、審査官、被審人という対審構造をとっておるわけでございますけれども、この対審構造を維持するということが行政手続の公正を確保するということから必要でございます。この見地からいたしますと、公正取引委員会の審査と審判というものが可能な限り分離されるということが要請されるわけでございますが、審判手続において取り調べた証拠によるという限定をすることによりまして、審査官と審判官の間の交通でたまたま知り得たような事実を審決の際の事実認定には使えないということを明らかにすることによりまして、被審人の側から見て審判手続の信頼性を高めようというものであります。 しかし、これは、法律に書いたということは改正でございますけれども、従来からも当然のことでございますし、裁判所におきましても実質的な証拠というものがなければならないということでございますから、審判手続において取り調べた証拠ということが改正点と言えば言えるわけでございますけれども、いきなり審査官から審判官に渡された証拠を使われたのではたまったものではないわけでございます。
○板川委員 民訴法二百五十七条では、「裁判ニ於テ当事者が自白シタル事実及顕著ナル事実ハ之ヲ証スルコトヲ要セス」というふうに規定をされております。刑訴では三百十七条で「実体的真実主義」というものが規定されているわけですが、これで言いますと、「公知の事実を除き、審判手続において取り調べた証拠によつて事実を認定しなければならない」というこの新しい法律の趣旨は、民訴法二百五十七条で「顕著ナル事実ハ」証拠を要せずという規定があるのに、その「顕著なる事実」がここで抜けておる、顕著なる事実も証拠を出せ、こういうことになるのはどういうわけでありますか。民訴との振り合いから言ってどういう考えでありますか。
○大橋政府委員 「顕著ナル事実」と「公知の事実」の間に入るものはどんなものかと申しますと、これは裁判所が職務上知り得た事実というようなものが民事訴訟法上は「顕著ナル事実」というふうに扱われていると思います。公取の場合には、公取が職務上知り得た事実といいますのは、公正取引委員会が審査、審判両方の機能をあわせ備えているということからいたしますと、やはり審判手続において知り得た事実ということでなければならない。審判手続において知り得た事実というのは審判手続において取り調べた証拠でございますから、そういう意味でこれは公正取引委員会が審査、審判両機能を兼ねあわせているという特殊性からきたものでございます。
○板川委員 民訴では「顕著ナル事実ハ」証拠を要せずとあるのに、公取の場合には、今度は顕著なる事実でも証拠を必要とする、こういうことになるわけでありますね。 五番目の新証拠の申し出と事件差し戻しという項目で、新証拠の提出制限の緩和ということになると思いますが、この新証拠の提出制限を緩和するという根拠はどういう点にありますか。
○大橋政府委員 これは先ほど総務長官からも答弁されましたように、今回の改正によりまして、課徴金の新設あるいはその他の各種の規定の強化がございますが、特にそういう課徴金ということを考えますと、審判手続において過失で出せなかった証拠、しかし、その証拠を出せば実はカルテルはなかったということが証明できて課徴金も払わなくて済むというような証拠が仮にありましたときに、これを裁判所でもう見てやらないというようなことは、課徴金を組み入れた独禁法の性格としていささか問題があるのではなかろうかというふうに考えた次第でございます。 ちなみに、独禁法事件でありましても、刑事事件につきましては一般の刑事事件と同様に証拠の提出に制限などはございません。
○板川委員 この証拠は、民訴法百三十七条による「攻撃防御の提出時期」という項目に、別段の定めある外は口頭弁論の終結に至るまで提出することができるというふうになっているわけですが、今度の改正はそれに準じて、重大な過失がなければ高裁の場合に証拠が新しく出せるということに変わるわけでありますね。 いまのこの法律の立て方として、公取が認定した事実は、これを立証する実質的な証拠があるときは高裁を拘束するという実質証拠の原則、実質証拠主義というものが崩れることになりませんか。
○大橋政府委員 実質証拠の原則と申しますのは、先生御承知のとおり、独禁法で申しますと第八十条で、ここには、「公正取引委員会の認定した事実は、これを立証する実質的な証拠があるときには、裁判所を拘束する。」ということがございまして、審判手続において取り調べました証拠というものから合理的に推定した公正取引委員会の認定事実というものは、裁判所はこれを覆すことができないということでございますが、第二項には、「前項に規定する実質的な証拠の有無は、裁判所がこれを判断するものとする。」とございまして、裁判所の司法、審査権というものは一応憲法の要請でございますから、こうやって確保されているわけでございます。 ただし、この実質証拠の原則というものと八十一条の証拠の提出制限というものがどういう関係にあるかということでございますけれども、これは必ずしも関係ないのではないだろうかと思います。八十一条の、特にこの証拠を調べないと正しい認識が得られないというような判断を裁判所がした場合には、公正取引委員会に戻しましてもう一度公正取引委員会の専門的な知識に基づく判断を要請するという手続がとられるわけでございまして、必ずしも八十一条の証拠制限とはかかわりがないのではないだろうかと思います。 ただ、それは程度の問題でございまして、この八十一条の存在理由というのは、やはり、こういう形で証拠の提出制限をすることによりまして、なるべく多くの証拠を、当事者の努力を期待して審判手続に出させるというところにあるわけだと思うのでございますけれども、被審人が完全に審判手続の期待するような注意力のある人間ばかりであればこういう規定も酷ではないということになるのだと思いますけれども、やはり、課徴金のような程度の強い行政措置を課する場合には、こういう点の考慮というものは必要なのではないだろうかと思います。しかし、私どもとしては、実質的証拠の原則を乱すような程度の改正をしたというふうには考えておりません。
○板川委員 御承知のように、公取で証拠は調べて、公取が認定したものが高裁を拘束するということになっておること、そういう制度を設けたということは、なるべく第一審の公取で——特殊な専門的な機能を持つ、経済と法律と両方かみ合わせての審判をするという公取第一審に事実認定を任せておこうということが八十条の趣旨だと思うのですね。 それで、民訴の方は高裁までに証拠を出せるわけですけれども、民訴の場合には個人で訴訟する、弁護士がつかずに訴訟するということもありますから、あるいはよくわからなくて出し忘れたということもありますから、第二審でも証拠を出せるようになっていると思うのです。結局、第二審、東京高裁で新しい証拠を重大な過失がない限り出せる。どこが重大かどうかということはまた問題になるでしょうが、出せるということになりますと、今度は高裁から再び公取に差し戻していくという機会が非常に多くなりますね。 こういうような手続改正を私は私なりに考えますと、この手続規定の改正の本心のねらいは何かというと、被審人の保護に名をかりて手続を繁雑にして、公取に審判や裁判維持の困難性というものを予測させて独禁法の発動をちゅうちょさせ、独禁法は改正しても、ちょうどガソリンの入っていない自動車のように動けなくなるような一つの縛り方をしているのじゃないだろうかという感じがするのでありますが、公取はこの手続についてどういう受け方をしておりますか。
○水口政府委員 公正取引委員会といたしましては、先ほど総理府の方から御説明がありましたように、今回課徴金制度が導入された、そのことに伴って被審人の権利を保護しよう、こういう趣旨であろうと思います。 それで、いままでの裁判での実際でございますが、この過失がなかったことを理由にして新証拠の申し出が行われた事例は二、三ございますが、裁判所がそういうふうなことの過失の有無について判断をしたことは一件もなかったわけでございます。 それで、今回これが重大な過失というふうなことに改正になりました場合に、先生のおっしゃるように高裁から差し戻されてくる件数がふえるかどうかという点でございますが、これは新しいことでございますのでちょっと予測がつきかねますが、現在のところは審判の数もそれほど多くはないし、そう激増するようなことはないのではなかろうかという程度に考えております。
○板川委員 総務長官に伺いますが、こういう手続はある意味では被審人保護という名目でしょう。そうおっしゃっていますから、名目で非常にややこしくなるわけですが、今度の独禁法改正によって公取の人員強化とか組織整備というのはどういうふうに総理府としてはお考えですか。
○藤田国務大臣 これは公取の委員長にお聞きいただいた方が具体的に……(板川委員「予算は総理府だから……」と呼ぶ)さしあたっては人員の方は十名ほど増加するということになっております。
○板川委員 もう一問だけ伺いましょう。 同調的値上げについて伺いますが、本項は五党修正で削除された四十条の二が場所を変えて十八条の二として復活をしてきております。ここに第四章の二としてわざわざ章を起こしている。第四章の二というのはこの項目しかないわけですが、第四章の二として章を起こして設けたという理由は一体どういうことを考えておられるのですか。
○大橋政府委員 これは主たる理由は、二年前に提出いたしました政府の法律案が四十条の二という場所にございまして、これは公正取引委員会の「組織及び権限」のところに並んでおり、なおかつ調査に関する権限の規定の一つとして規定されていたわけでございますが、これは一般的な調査権限に対する特別的な権限であるというような色彩が非常に強く、条文上というか、条文の位置としてあらわれてしまったということにかんがみまして、この規定にやはり一つの意味を持たせるということで、「価格の同調的引上げ」というものに対する独占禁止法の関心というものをあらわした条文というような意味を持たせまして、四十条との関係の誤解を解こうとするものでございます。
○板川委員 五党修正で削除した理由は、いまお話がありましたように、四十条の二というところは、公取の設置法的な、いわゆる一般的な権限を置いておる節でありますところの、その節の中に四十条の二として置かれるということは、四十条の「調査のための強制権限」というのを反対解釈として制限するおそれがあるということが削除になった理由であります。 今度十八条の二として、第四章の二の中で設けたわけでありますが、これは一体実体的な規定なんでしょうか。手続規定なんですか。手続規定なら一章設ける理由もおかしい。実体的規定でなければおかしい。章をわざわざ設けるからには、手続の一つの問題だけに章を設けておくというのはおかしい、実体的な規定でなければおかしい、こう思うのですが、どうですか。
○大橋政府委員 これは公正取引委員会対事業者という関係で、特別に実体的な意味を持つ何らかの規制をするという規定ではございませんけれども、報告をとるという一つの権限規定ではございます。そして、その条文の目的が、価格の同調的引き上げに対する独占禁止法の立場からの関心を示すというような趣旨におきまして、目的はやはり一つの独立したものでございますので、章を立てるという意義はあるものと考えております。
○板川委員 実体規定でなくて、単に届け出をしろという手続規定なら、章を立てるというのは法制上おかしいのじゃないですか。
○大橋政府委員 ちょっといま思いついた例でございますけれども、たとえば統計法なんという、統計をつくるだけの目的の一つの法律があるわけでございますから、それなりに独禁法の中にも値上げの理由の報告を求めるというような条文があって、それを章にしたからといって、それが法制上問題があるということはないのじゃないだろうかというふうに思います。
○板川委員 私が言うのは、法制の常識として、章を設けているからには、手続規定がどこかにないというなら別ですが、単なる手続をわざわざ第四章の二として十八条の二だけ置く独禁法の一つの形というのはおかしいのじゃないかと言うのです。だから、実体規定でなければいけないのじゃないかと思うのです。しかし、これの内容を見ると実体規定ではないのじゃないですか。手続規定だけじゃないのですか。
○大橋政府委員 実体と手続をどう分けるかという問題はあろうかと思うのでございますけれども、十八条の二というのは、価格の同調的引き上げというものについて、あくまでも独禁法の立場からの関心をもって事業者から値上げの理由の報告を求めるという権限を公正取引委員会に与える規定でございます。手続的な規定ではございますけれども、やはりそこには何らかの実体を持ったところのそういう規定であると考えております。
○板川委員 公表の方法ですが、四十四条に年次報告をもって報告するというふうに書かれておりますが、十八条の二をわざわざ四十四条のところで年次報告で報告するということを書いたからには、四十四条の年次報告で報告する場合の内容は具体的にどういう内容が記載されますか。
○大橋政府委員 これは法律の立場からは報告の概要ということになっておりますので、どの程度の概要をつくられるかは、これは年次報告をつくられる公正取引委員会の件数にもよりますでしょうし、そういうお立場からの判断でございます。
○板川委員 この十八条の二を第四章の二として置くからには、三カ月以内に同調的値上げしたら「引上げの理由について報告を求めることができる。」ということでなくて、多少実体的な規定を入れたらどうかと私は思うのです。たとえばその報告は公表するとか、それは多少時間がかかるでしょうが、そういう規定でも入れたらいいんじゃないかなという感じがいたします。 これは十八条の二について議論のあったところでありますが、どうもこのままでは四十条の二と同じように、われわれが削除した理由と同じように解されるおそれがあるという感じがいたします。 時間だそうですから、以上をもちまして私の質問を終わります。
○野呂委員長 西中清君。
○西中委員 最初に総務長官にお伺いしたいのです。 私たちは、今国会におけるこの法案の強化改正を目標にしておることはこれまでも表明してきたところでございます。福田総理も今国会での決着を明言しているわけでございますけれども、国会の会期も大変残り少なくなってまいりましたし、私は、審議をしっかりと促進して、修正問題も含めて話し合い、速やかな衆議院の通過を図るべきだと考えておるものでございますが、この点について総務長官はどう考えておられるか、まずお伺いをいたしたいと思います。
○藤田国務大臣 おっしゃいますように、今国会でぜひこの法案の成立をお願いしたいところでございます。 この法案の性質にかんがみましても、従来の経緯もこれありますので、与野党を含めて御賛成を得てぜひひとつ成立をお願いいたしたい、かように思っている次第でございます。
○西中委員 昨日からこの法案の質疑が続いておるわけでございますけれども、これまで多くの問題点が取り上げられてまいりました。この政府案の問題点を私もこれから伺うわけでございますけれども、その前に長官に伺いたいことは、おおよその問題点と思われるものは一通り出てきたような気持ちもいたしておりますが、昨日修正について若干の御発言があったわけでございますけれども、この段階に入って、この修正問題について長官はどのようにお考えでしょうか、御意見を伺いたいと思います。
○藤田国務大臣 けさでございますか、申し上げましたように、あくまでも前提としまして与野党に合意を得るという気持ちで政府の方はこの政府案を提出したわけでございますから、この法案で合意を得ますれば、これにこしたことはないわけでございます。しかし、いずれにしろ、与野党間で調整がつきますれば、政府の方としてはこれに従わざるを得ないわけでございますから、そういう意味のことをきのう申し上げて、けさ、一時間以内に二つの意見を言ったではないかというおしかりを受けたのですが、それは全く変わっていないのです。一言言葉が足りなかっただけでありまして、実際は変わらないことを申し上げたわけでございます。いまも同じことを申し上げている次第でございます。
○西中委員 ただいままでにいろいろ質疑がありましたけれども、通産省は、寡占の弊害というものは現在の段階ではあらわれていないということをおっしゃっておりますが、果たしてそうだというように認識をしておられるのでしょうか。
○濃野政府委員 お答え申し上げます。 いわゆる寡占問題でございますが、私どもは、従来の非常な高度成長から減速経済を迎えまして、幾つかの問題意識を持っておりますが、これは長期的に見ました産業構造の問題と、それから寡占問題を含みました産業組織の問題と、大きな問題意識を持っております。昨年の五月以降、そういう意味で産業政策全般の問極点の見直しをいたしました。 その中で、いわゆる寡占問題等につきましても、その中の一つの問題意識として持っておりまして、この法律に言います「独占的状態」というものを離れまして、いわゆる寡占という問題につきまして私どももいろいろ勉強をやっておりますし、これからもいま申し上げたような一つの大きな問題点として勉強していきたいと思いますが、現在のところ、いまのような状況で、いわゆる寡占の弊害というものがはっきりとあらわれているということはないのではないかというのが私どもの認識でございます。
○西中委員 いまおっしゃいましたように、昨年から調査をしてそのような判断をしたということでございますが、その基礎となる資料を提出していただきたいと思いますが、どうでしょうか。
○濃野政府委員 まず、私どもはそういうことで、内部の勉強資料として幾つかの資料をつくっております。寡占の状況等につきましても、現在外に出しておりますものも、たとえば自民党の中で山中調査会が御研究、御検討をなさいました際に、いわゆる寡占業種の実態というようなものにつきましても若干の資料を出しておりますので、もし御要請がございますれば、私どもはお出しすることにやぶさかでございません。
○西中委員 それでは、そのようにお願いをしたいと思います。 そこで、こういう通産省の見解に対しまして、公取としてはどういう御見解をお持ちなのか。私たちとしましては寡占の弊害は顕在化しておるという認識をしておりますし、今後の減速経済のもとで寡占の弊害がより一層顕著になるという見方をしておるわけでございます。そういうことを念頭に置いてのこの独禁法の改正論議をしておるわけでございますけれども、まず、その点について委員長の御見解をお伺いしたいと思います。
○澤田政府委員 公正取引委員会におきまして、昨年十月に企業の集中度調査をいたしました。これを公表して各方面の御批判を仰いだわけでございますが、その調査によりますと、寡占度の集中度の高い企業が増えつつある、そういう場合にはそれが価格の下方硬直的傾向につながる点が見られる、したがって今後その成り行きについては注目を要すると、こういう見解でございました。
○西中委員 ここで具体的な問題に入っていきたいと思いますが、第七条のカルテル行為に対する排除措置についてお伺いをしたいと思います。 改正案によりますと、七条の排除措置の一部を「事業者に対し、当該行為によつて生じた影響を排除するためにとることとなる具体的措置の内容の届出及び当該具体的措置の実施状況の報告を命ずることができる。」ということにしており、これは、事業者の自発的排除措置の決定にゆだねる、単にその届け出を命ずるということに端的に言えばなろうかと思いますが、これは現行法から見れば後退であるというように私は認識をいたしておりますけれども、どうでしょうか。その点の御見解をお伺いいたします。
○大橋政府委員 いまの御質問の中で、事業者の自発的なというような表現とか、あるいは届け出だけというような表現がございましたので若干御説明させていただきたいと存じます。 この七条の二項で決めておりますことは、公正取引委員会が必要があると認める場合におきましては、事業者に対して、「当該行為によつて生じた影響を排除するためにとることとなる具体的措置」を決定しろ、そしてそれを届け出ろ、それから実施しろ、そしてそれを報告しろということの審決が書けるものと、私どもは条文をつくりました際にそういう理解でつくっておるわけでございます。 したがいまして、単なる「届出」「報告」という条文の表現で出てまいりますところが、自分でやることでなくて国に対する関係というところで条文に出てきているので非常にわかりにくいわけですけれども、届け出の前提になる決定、報告の前提になる実施というものは当然命令としてやってもいいんだというふうに理解しておりますので、その意味では、事業者が自主的に決めるものではございますけれども、自発的ではございません。その点は若干訂正させていただきたいと思います。 かような意味におきまして七条の二項というものがあるわけでございますが、これが七条の一項との関係でどういうことになるかというような点だったと思いますが、七条の一項は、当該の「行為を排除するために必要な措置を命ずることができる」わけでございますが、七条の二項は行為の排除ではなくて、「行為によつて生じた影響を排除するためにとることとなる」というのは事業者の措置でございますが、そういう措置でございますので、一項に全く手をつけないで二項をつけ加えたという形でございますから、これで現行の七条の一項がいささかでも制限を受けることはないというふうに御理解いただきたいと存じます。
○西中委員 公取委員長にお聞きをしたいのですけれども、いまも説明がありましたけれども、いわゆる五党修正案の七条の排除措置、それから今回の七条の排除措置、これは違っておるのか違っておらないのか、どういうふうに判断をされておりますか。
○澤田政府委員 いわゆる五党修正案におきましては、その際の原案におきまして、括弧内に今度の二項と大体同じ形の規定が入っておったのでありますが、それを削除して、その本文の方を「これらの規定に違反する行為」として、その次に「及び当該行為によつて生じた影響を排除するために必要な措置」を入れたものと存じます。 ところが、その後これが広過ぎるという意見があって大分問題になりまして、結局この前の七十七国会に提出されました政府案ではこれを削除されておったと記憶いたしておりますが、今度はこの括弧内にありましたものをそのまま第二項として復活した、こういう意味合いであろうかと存じます。 その内容につきましてはただいま審議官から御説明があったとおりだと私も存じますが、第一項は現行第七条そのままの規定でありまして、不当な取引制限等に違反する行為があるときに、「違反する行為を排除するために必要な措置を命ずることができる。」のであります。 二項は、それにつけ加えまして、不当な取引制限につき第一項に掲げる措置を命ずる場合におきまして、「当該行為によつて生じた影響を排除するためにとることとなる具体的措置」を命ずるという規定でございまして、この現行第七条によりまして、公正取引委員会は、本体の違反行為の排除と同時にいろいろの命令を出しております。 たとえば価格の再交渉命令というようなものを出しておりますが、こういうものに至るまでこの第一項で全部できるという解釈でございまして、いささかもそれを制限するものではなくて、それに加えて第二項において影響の排除について定められたもの、こういうふうに理解をいたしておるわけでございます。
○西中委員 そうすると、この五党修正案の排除措置と今回の排除措置と、どちらが望ましいと判断されておるのでしょうか。委員長。
○澤田政府委員 先ほど申しましたようないろいろと隔たりのある、あるいは御意見の違う錯綜したいきさつがございます。それを踏まえてできたのが今度の新しい法案であると私は存じます。 従来、私は、この法律改正問題につきましては、いわゆる五党修正案の線を基本として検討されることを望むという希望を一貫して申してきたのでありますが、しかしながら、いま申しましたようないきさつで、新たにできた法案も非常に苦心の結果でございます。いろいろな点でここまで接近してまいりましたのでございますから、ここに至ってどちらがいいというものでなしに、何とか合意ができて法が成立するということをこいねがっておる次第でございます。
○西中委員 この段階ではどちらがいいとは言えないけれども、本来的に五党修正案の方がいいという意味でございますね。
○澤田政府委員 そのように考えてまいった次第でございます。
○西中委員 そこで、お伺いをしますが、前の質疑者と重なるかもしれませんけれども、よろしくお願いしたいと思います。 影響を排除することとなる具体的措置を決めるのはあくまでも違反行為者であるということ、これは何度も言われておりますけれども、そのとおりで間違いございませんですね。
○大橋政府委員 条文には「事業者」と表現されております。
○西中委員 先ほどから論議を開いておりますと、公取の措置は、カルテルの場合として一つの例を挙げて、カルテルでない場合の価格に決め直すための措置を自主的に事業者に決めさせる、そして公正取引委員会に届けさせる、さらに実施、そして報告、こういうことでございましたが、この排除命令が出された場合に、決め直した結果カルテルによる価格と同じであった場合、要するに直ってこないということですが、これは審決違反ということになるのでしょうか。
○大橋政府委員 それは審決に従ってどういう具体的措置を決めてきたかということによるわけでございますが、具体的措置としては、幾らにするという措置ではなくて、価格交渉をするというような形の措置ではなかろうかと思います。 そういう場合に、十人なら十人の事業者のカルテルがありました場合に、たまたま一人が百円の元の値段で言ってきた、しかしAは九十八円であった、Bは九十五円であった、一人はかえって個上がりして百五円だったというような状況がありましたといたしましても、これはもうすでにカルテルの拘束による価格という意味での影響はございません。単に価格だけをとらえて審決違反だとか、そういう問題にはならないというふうに考えております。
○西中委員 決め直した結果が全く一緒だという、このケースを聞いておるのです。
○大橋政府委員 お答えいたしたのもそのつもりでございましたのですが、十人なら十人のカルテルということがあるわけでございまして、たった一人でカルテルはできないわけでございます。十人なら十人の人が全部決め直したといって、また百円で持ってきたということになりますと、これは新しいカルテルの疑いは起こるということではなかろうかと思います。
○西中委員 すべてでなくても、一部が同じ価格であった場合はどうなりますか。
○大橋政府委員 これはたまたま一人とか二人、そういうものが偶発的と認められる状況での前提でございますが、価格について再交渉をするというように具体的措置の届け出をしてきた場合に、その再交渉の結果が同じ価格であれば、これは仕方がない、こういうふうに考えております。
○西中委員 そうすると、審決そのものと合わないですが、それは違反にならないのでしょうか。
○大橋政府委員 審決の内容は価格を自主的に決めたものにするという、そういうこととなるような具体的措置をとるという審決でございますから、これは審決を実施したことになるわけでございます。
○西中委員 自主的に決める前に、公正取引委員会としては、これはカルテルじゃないかと認識をした上で決めることでしょう。そういう発動をすることでしょう。それなら、それがそのまま来るということは公取の間違いであったということですか。
○大橋政府委員 カルテルというのは、一人の人が百円にするのがカルテルではなくて、十人なら十人の人が同じ値段である百円にするというのがカルテルでございますから、カルテルがなくなって値段がばらばらになって、その中の一人がたまたま元と同じ値段の百円だったといっても、この百円はカルテルによる百円ではございませんから、カルテルは排除された、また、その影響も排除された、そういうことになるわけでございます。
○西中委員 そうしますと、極端な例からいけば、九十九円、九十八円、九十七円、九十六円、九十五円というふうに決めてきて、これは少なくとも値段さえ違っておれば、決め直した結果カルテルによる価格と違ったものになったという認識をされるという意味ですか。
○大橋政府委員 これはそういうふうにすることで、また十人が約束してばらばらになるように決めたという特別の事情がある場合を除きますと、それなりに自主的に決めたものであればそれで差し支えない、こういうことになるわけでございます。
○西中委員 「とることとなる具体的措置」がないと事業者が言ってきたら、これは審決違反になるでしょうか。
○大橋政府委員 それは特別の事情で、何らかの措置をとる前にカルテルによって生じた影響がなくなってしまっているというような特別の状況がない限り、やはり何らかの措置をとらないと審決違反になる可能性が大きいということでございます。
○西中委員 総括して言えば、届け出されたものが公正取引委員会が判断する影響の排除に相当しない、または十分でない、こういう場合は審決違反になるのでしょうか。
○大橋政府委員 審決違反ということを断定するためには、それが故意であるということを認定することになりますから、そういう場合にもう直ちに審決違反になるというような決め方でなくて、その事情を知らしめる程度として影響を排除するに足るようなものに直していくという手続が、恐らく公正取引委員会と事業者の間でなされるのではないだろうかと思います。これは非公式の手続でございますが、そういうものがあるといたしまして、それでもなおかつ不十分だと承知しながらそれしか届けてこないという場合にはやはり審決違反の可能性が大きいということになると思います。 〔委員長退席、橋口委員長代理着席〕
○西中委員 この条文からいきますと、影響を排除することとなる具体的措置は事業者が決めて、そして、その出してきたものについて審決違反になるというような読み方はちょっとできないわけでございますけれども、要するに、公正取引委員会が妥当であるとかないとかいう判断をしても、審決違反になるという判断は出てこないのじゃないかと思いますけれども、その点はどうでしょうか。
○大橋政府委員 これは審決をどういうふうに書くかということが非常に重要なことになるわけでございます。七条二項の私どもの解釈としましては、審決の主文にこういうことを書くことが認められており、それはたとえば価格カルテルでございましたら、価格がカルテルの価格のままで維持されている状態がカルテルによって生じた影響でございますから、カルテル価格でない価格に直すための具体的措置を決定しろ、そうしてそれを届け出ろ、それからそれを実施しろ、またその状況を報告しろということになりますと、その決定しろという審決の部分に違反する、従わないという形になってあらわれてくるわけでございます。
○西中委員 そうしますと、公正取引委員会の見解というものがあって、それに該当しない、妥当でないというような届け出であると、具体的にはどうされるのですか。
○水口政府委員 お答えいたします。 新しい制度でございますので、頭の中で考えている審決主文の書き方でございますが、たとえば一例といたしまして、カルテルによらない価格に決め直すための具体的措置を自主的に定め、これを速やかに公正取引委員会に届け出るとともに、当該具体的措置の実施状況を一定期間定期的に報告をしなければならないという、こういうふうな審決になろうかと思います。 そこで、この具体的な措置は自主的に事業者が決めるわけでございますが、何回も繰り返して私が申し上げておりますように、こういう審決を命ぜられた以上は事業者は誠意を持ってこういうふうな措置を自主的にとらなければならない、したがって、その届け出たものが誠意が認められないようなものであれば、これは公正取引委員会としてはしかるべき指導をしなければならない、こういうことであろうかと思っております。
○西中委員 それは再提出という意味なのでしょうか。
○水口政府委員 そういう場合にはもう一度考え直してくれ、こういうことでございます。
○西中委員 具体的には、もう一度届けを出すということなのですか。
○水口政府委員 そういうこともあろうかと思います。
○西中委員 そうしますと、二回目の措置が適当でない届け出であった場合にはどうなりますか。
○水口政府委員 実際には、何回も出し直しをするというふうなことはきわめて少ないかと思います。
○西中委員 実際上の問題はないということでございますけれども、もしもそういうことがあったらどうされるのですかということです。
○水口政府委員 なお引き続き指導することに相なろうかと思います。
○西中委員 その場合は三度目の届け出ですか。
○水口政府委員 理屈の上ではそういうことになります。
○西中委員 私が先ほどからくどいことを言っておるのは、それなら初めから公正取引委員会が影響を排除するための命令を講ずることが妥当ではないかというふうに私は判断をするからでございますが、その点はどうでしょうか。
○大橋政府委員 具体的措置の内容を自主的に決めるというのは、影響を排除するための手段というのは幾つかあるだろう、それはそれぞれの事業者の取引関係などに応じて決めるべきものである、そういう考え方でございます。 それの内容について公正取引委員会が画一的に決めるということはふさわしくない、それは事業者が自主的に決定すべき事業活動の分野であろうというふうに考えておるわけでございます。
○西中委員 昨日もそういう御答弁でございました。ただ、独禁法の精神は事業者の自由な発想を尊重することだというようなことを繰り返し言っておられますけれども、企業の行動の自由を尊重するということは、ある面から言えば、独禁法のルールを守っていて、その上で言えることではないかというように私は思うわけですが、これは見解の相違でしょう。 私が先ほどからくどいように言っていますように、要するに、いまの作業の中で何が起こるか、一回届けてきた、しかし、公取としてはどうも気にくわない、もう一遍やれというような、こういう作業の中で実際にカルテル状態を排除する適切な処置がとれるのかどうなのか、非常に疑問を持つわけです。俗な言葉で言えば、この辺でいいじゃないかという妥協がすぐ起こるのじゃないかというように私は思うわけでございますけれども、その点はどうでしょうか。
○水口政府委員 妥協と申しますと言葉は悪うございますが、この七条二項の措置は、御承知のように公取が価格を幾らにしろというふうなことを命ずる措置ではない、あくまで自主的な措置でございますから、いわばソフトな措置であろうと、かように考えております。
○西中委員 ですから、この措置はやはり現行法から後退しているんじゃないですか。昨日も、東宝の高裁の判例で言うところの七条の排除措置は結果の除去まで入るということでございましたけれども、こういう問題を考え合わせてまいりますと、公正取引委員会が影響の排除措置を命ずるべきであると私は思うわけです。事業者が影響を排除することとなる具体的措置をとるなどということは、これは排除措置と言葉の上では言っても、実質はそうはならないんじゃないかと私は認識をいたしております。 ここで第七条の排除措置の政府の見解を確認しておく必要があるのではないかと私は思っておりますが、今日までの判例とか公正取引委員会の運営とかいうものから七条は非常に後退しておるというように認識をしておるわけです。高等裁判所の判例には、明確に、結果の除去が中心となることは当然で、さらに将来に違反行為が行われないための予防措置ができると申し述べておるわけでございます。これはむしろ今日この運用と判例ということで確立しているというふうに私は認識をいたしますけれども、その点はどうでしょうか。
○水口政府委員 まず、従来公取でやっております七条の運用の実態から申し上げたいと思います。 現在の七条の中心は、もちろん競争制限的協定の破棄を命令することでございます。ところが、それに付随してと申しますか、それだけでは十分でございませんので若干範囲を広げまして、たとえば将来同じような違反行為をしてはならないと いったような主文を書く、それから、そのほかに、たとえばカルテルに関係いたしますところの価格表の回収、廃棄等を命ずる、あるいは事業者団体の解散を命ずる、それから、最もしばしば行っておりますのは、取引先及び需要君への周知徹底を行っている、そういうことをやっております。それから、さらに、公取が命じた措置につきまして事後報告を求めております。こういういろいろなことをやっておりますが、これらは、先ほどから議論が行われております違反行為の排除措置かあるいは影響の排除措置かということを分類いたしますと、違反行為の排除措置の分野に属するだろうと私は思います。 若干問題がございますのは、よく例に引かれます価格の再交渉命令でございますが、これも非常に特殊な事情がございまして、いろいろ御意見はあろうかとは思いますが、強いて分類すれば違反行為の排除措置の分野に入るんじゃなかろうかと私も考えるわけでございます。 そこで、現在七条の規定に基づきましていま御説明したようなことをやっておるわけでございますが、先ほど委員長も御説明いたしましたように、七条一項の方は全然いじっておらないで、二項をつけ加えたわけでございますので、現在やっておることは新しい法律の七条一項でできるのではなかろうかと、かように私は考えております。 それから、もう一つ、東京高裁の判例のお話が出ましたが、これもしばしばお答えいたしましたが、この判例の中で、特に、「違反行為からもたらされた結果の除去等」という言葉がございますが、この「結果の除去」とは一体何であるか、いま議論になっております影響排除措置になるんじゃないかというような見解もあると思いますが、これはいろいろ意見の分かれるところであると思いますが、私どもといたしましては、この「結果の除去」というのは、影響排除行為に比べれば違反行為との距離がより近いもの、したがって、どちらかと言えば違反行為の排除措置の中に入るべきものではなかろうかと、これは解釈でございますが、そういうふうに思っております。
○西中委員 いまの御答弁を聞いていましても、違反行為の付随措置、こういうような排除の付随措置という御説明でございますが、これはもう繰り返し皆さん方が質疑をされておりますけれども、第七条の付随措置というのと影響を取り除く措置とはどの辺が違っておるのか、御説明をいただきたいと思います。同じことではないのですか。
○水口政府委員 付随措置というのは私が名前をつけたわけでございますが、一項の方は違反行為を排除するための措置で、それは典型的にはカルテルに対する協定を破棄しなさいというふうなことでございますが、それだけ言ったのでは不十分でございますから、そのほかにいろいろなことを命じなければならない。 それから、改正法によります七条二項の方は、そういうふうな違反行為に対する排除措置を命じましても、カルテルの場合でございますと、協定は破棄したけれども値段がそのままになっているかもしれないというようなケースも間々ございますので、それを何とかするというのが影響の排除措置ではなかろうかと思います。 こういうふうな考え方をいたしますと、私が先ほどいろいろこういう事例があるということを御説明しましたのはどちらに分類するかと言えば、われわれの解釈では一項の方の範疇に属するものではなかろうかと、こういうふうに申し上げたわけでございます。
○西中委員 無理に分類をしておられるような気がするのですね。 実際的にやることは余り差がないのじゃないかと思いますけれども、それはどうでしょうか。
○水口政府委員 先ほど申しました事例の中で、再交渉命令のようなものはいろいろ見方があろうかと思いますが、そのほかの関係先へ周知しろとか、あるいはそういったことを報告しろとかというのは今回の七条二項の措置とは若干ニュアンスが異なるように思います。
○西中委員 要するに、今日までとられてきた措置について見ましたならば、七条でこの二項の問題はすべてできると私は判断するわけですね。ですから、先ほどから論議をいたしておりますように、どれくらいの差があるのか、もう少し明快にお伺いしたいのですけれども、これ以上はやめますが、いずれにしても、現行の七条には影響の排除まで当然のこととして含まれるべきであって、今回の改正は現行法から後退しているという受け取め方を私はしておるわけでございます。 それから、次に参りますが、二十八条で公正取引委員会の「職権行使の独立性」がうたわれているが、これは今日まで国会でもしばしばこの見解について述べられておりますが、結局のところ、公取の職権行使の独立性とは他の官庁から影響を受けないことであるというような答弁で終始しておられると思いますけれども、それに間違いはないか、また変更はないか、その辺をお伺いしたいと思います。
○大橋政府委員 影響を受けないというのは非常にあいまいな表現でございますので、たとえば新聞を読みましても、その影響を受けるということがあるわけでございますから、影響を受けるということではなくて、決定について何らかの拘束を受けないということが独立性の本質であろうと思っております。
○西中委員 何らかの具体的な拘束さえ受けなければいいということでございますか。
○大橋政府委員 法律的にはそういうことでございます。
○西中委員 そうすると、法律的に触れない範囲では影響を与えてもいい独立性だということでございますね。
○大橋政府委員 法律的な意味の独立性と、事実上公正取引委員会の判断に曇りのないようにするということはまた別のことであろうと思います。
○西中委員 そのことは、法律上問題がなければいいということですか。
○大橋政府委員 法律上問題がなければ法律的には問題はない、それだけのことでございます。
○西中委員 その場合、法律的以外に問題はあるでしょうか。
○大橋政府委員 それはすべての立法の問題でございますけれども、一つの条文を立案しますに際しましては、それが適当か不適当かということは問題になるわけでございます。そして、適当か不適当かという判断に際しましては、公正取引委員会の仕事のやり方にとってそれが有益かどうか、あるいはそのやり方に際しまして、判断の独自性を損なうか損なわないかということは当然問題になると思います。
○西中委員 要するに、職権行使の独立性を他から影響を受けない——いま若干のやりとりになっておりますけれども、これは法制度をはっきり確立しなければならないということの証左なんですね。要するに、法律的にはという、この拘束の状況を出してこられる。では、それ以外はいいのだという勝手な判断をされたのでは、公正取引委員会の職権行使の独立性というものはしばしば危機に瀕するということになると私は思うのです。やはり法制度を確立しなければならないと私は判断しますけれども、長官、どうでしょうか。
○藤田国務大臣 ただいま大橋審議官が申し上げておるのは、その法制度は二十八条をもって確立してありますし、他の条文において拘束するものはないという考え方を申し上げておるのであって、実態においてもそのように取り扱われるということでございます。
○西中委員 二十八条で確立している。これははっきりしていただきたいと思います。非常に慎重なお答えをされたので疑問を持つわけですから、率直なお答えをいただきたいと思いますね。 それで、今回の改正案では、独占的状態であると思料するときには公正取引委員会は主務大臣に通知するということになっておりますが、これまでの答弁を聞いておりますと、所管官庁の意見を参考にするためだというように言ってこられておるようですね。これは間違いございませんか。
○大橋政府委員 独占的状態というものは一般の違反行為とは違いまして、寡占の弊害がオープンな形で相当の期間にわたってあらわれているという状態でございます。したがって、その調査につきましても、公正取引委員会が広く資料を収集し、また分析いたしますとともに、各方面の専門的な意見も求めながら進んでいく、こういう性格のものと考えております。 そういう意味におきまして、四十五条の二の規定は、独占的状態に対しますこのような調査の特質を踏まえまして、具体的な調査、これはすなわち審査でございますが、審査を開始することとしたときは、その旨を主務大臣に通知するということによりまして、主務大臣の専門的な知識に基づく独占的状態の有無に関する意見、あるいは産業政策上の諸手段等の競争回復措置に関する意見を述べる機会を与えるといいますか、とにかくつくることにしたわけでございまして、公正取引委員会は調査を進める上でこのような主務大臣の意見を重要な参考とするということでございます。
○西中委員 主務大臣の意見を重要な参考にするということでございますね。 こういう条文を新たにつけ加えなければ、今日まで公正取引委員会はそういう作業はできなかったのでしょうか、どうなんですか。
○澤田政府委員 今回の規定は新たな重要な規定でございます。したがいまして、その判断に当たりましては、公正取引委員会といたしましてもできるだけ多くの資料によって正確を期したいと考えるのは当然でございます。 したがいまして、こういう特別な重要な規定につきましての措置については通産大臣の意見を参考として求めるという趣旨であろうと考えるわけでございます。 〔橋口委員長代理退席、委員長着席〕
○西中委員 いままでそういった重要な参考意見を聞くことはできなかったのですか。この条文を設けなければならないという理由をいま聞いておるので、できたのかできなかったのか、この点をお答えいただきたいと思います。
○澤田政府委員 いままでと申しますと、この条文と関係なしに、従来の公正取引委員会の行政においてということとして理解いたしますと、こういう条文のあるなしにかかわらず、私どもは、それぞれの法運用につきまして、判断の材料としてできるだけの多くのものを活用してまいったわけでありますが、今回はこの規定が特に重要であるという意味合いにおきましてこういう特別の措置が設けられたと考えるわけでございます。
○西中委員 委員長のお話を聞いておりますと、特に今回ということでございますけれども、第四十条には公務所に対して意見を聞けることになっておりますけれども、それは間違いないんじゃないでしょうかね。四十条の解釈はどうでしょうか。
○水口政府委員 四十条は、報告を求めることはできるわけでございますが、これはその罰則によって担保されておる規定でございますので、慎重に運用しているところでございます。
○西中委員 わざわざこれを設けなくても調査はできるということは間違いないですね。どうでしょうか。
○水口政府委員 それはできると思います。
○西中委員 長官、いまお聞きになったように、この新しい改正がなくても従来の四十条で調査はできたわけですから、これは削除した方がいいんじゃないでしょうか。
○大橋政府委員 これは中身の調査という意味ではあるいは四十条でもできたかと思うのでございますけれども、しかし、主務大臣の、正式な相当突っ込んで考えたあげくの議論、それを踏まえた上での意見というものは四十条では求めることはできないだろうと考えております。 さらに、四十五条の二の規定は第八章第二節の手続の規定でございまして、審査で仕事を始めることにしたとき、そういうとき以降のものでございますので、四十条の調査ではなくて四十六条の調査を行うというようなことが通常のようでございますが、四十六条の調査を主務大臣に対して、あるいは主務官庁に対してかけるということは官庁相互の関係で果たして適当かどうかということになりますと、私どもは官庁相互の関係はもう少し円滑なものにしておくべきではなかろうかというふうに考えております。
○西中委員 四十条でできるということですよ。しかも、この点については、先ほど、広く情報を集め、そして分析し、専門的知識を得るということでしたが、それ以上に大臣がつけ加えることは何でしょうか。
○水口政府委員 先ほどちょっと私は勘違いをいたしましたが、先生のお尋ねは独占的状態の主務大臣への通知、この意見の申し出、これと四十条との関係でございますか。——とすれば、この四十条は、その事業者を念頭に置きまして、事業者に対して出頭を命ずる、あるいは報告その他必要な資料の提出を求める、こういった規定でございますので、あの通知とかあるいは意見の申し出とは若干側面が異なると思います。
○西中委員 四十条の中に含まれると私は解釈する。その立場で御質問しておりますので、その点の若干の異論はあろうかと思います。 これ以上論議は続けませんけれども、ここで主務大臣に通知する時期は公正取引委員会としてはどのような状態のときですか。
○大橋政府委員 これは条文で申しますと、「前条第四項の措置をとることとしたとき」でございまして、「前条第四項の措置」といいますのは、公正取引委員会が独占的状態に該当する事実があると思料いたしまして審査を開始することとしたときということでございますので、時点といたしましては、審査を開始する決定が行われた後でございます。現実に審査が始まっているかどうかについては、条文としては触れるところがございません。(「審査前でしょう」と呼ぶ者あり) これは審査前かどうかについては、条文として触れるところがございません。審査を開始する決定をしたときということが書いてあるわけでございます。
○西中委員 この時点が答弁ではどうももう一つ明快でないようなことがきのうから続いておるわけなんで、もう一度私は確認をしておきますけれども、四十六条の「必要な調査をするため」はこの発動の前なのか、審査中なのか、審査前なのか、審査決定前なのか、その辺はもう一回はっきりしたものを出していただきたい。
○大橋政府委員 これは条文の書き方はいろいろあるわけでございます。「前条第四項の措置をとろうとするときは」ということになりますと、これは審査を開始する、決定をする前であることが明らかになります。しかし、この場合にはそういうことにしてございませんで、とることとした、という決定済みの状況のときに、その決定をしたという旨を主務大臣に通知する、こういう規定になっておるわけでございます。 それで、現実にその審査が始まっているかどうかということになりますと、いまの先生の御指摘の四十六条の調査が行われたかどうかということが具体的な問題になろうかと思いますが、それは通常の場合には、四十六条の調査というのが決定の明くる日、あるいは非常にわずかの日数で開始されるということは準備が必要でございますからないのではないかと思いますが、そういう場合ですと、通常の場合には審査を開始する前に通知が行く、届くということになると思います。これはしかし法律には具体的に定めはしてないわけでございます。
○西中委員 ここで、その主務大臣が独占的状態があると判断をした場合に、「競争を回復するに足りると認められる他の措置に関し意見を述べることができる。」となっておりますが、公取が判断を下さない前、独占的状態があるのかないのかわからない段階で主務大臣が判断を下すということですけれども、その点はそう判断してよろしいのですか。
○大橋政府委員 公正取引委員会自体もまだ断定的な結論は——もちろん断定は審判手続を終わらなければできませんが、審判手続を開始するに足るほどの結論をまだ持っていない時期でございますから、主務大臣においてもあるいは断定的な意見が述べられない状況があろうかと思います。しかし、主務大臣が持っております専門的な従来の経験あるいは知識というようなものを踏まえまして、独占的な状態について相当有力な意見が述べられるということになろうかと思いますが、こういうような有力な意見をこなしていってこそ最終的な公正取引委員会の公正な判断というものは下せるわけでございます。 そういう意味で、資料が不足しているからといって主務大臣の意見が必ずしも根拠がないものではなく、十分な根拠を持った場合もあろうかと思います。
○西中委員 この「競争を回復するに足りると認められる他の措置」というのは、具体的には何を指しているのですか。
○大橋政府委員 これはもともと八条の四のただし書きにあるわけでございますが、八条の四の本文は、公正取引委員会の命令する「営業の一部の譲渡その他」「競争を回復させるために必要な措置」でございますが、そこに「他の措置」と書いてあるわけでございますから、公正取引委員会が事業者に命令する措置以外のものすべてを含むわけでございます。しかし、それは、当然のことでございますが、「競争を回復させるに足りると認められる」という状況のものでなければなりません。 この措置をだれがとるかといいますと、通常の場合、国あるいは政府が、関税率の引き下げでありますとか、あるいは輸入の自由化でございますとか、新規参入のための特別の助成措置でございますとか、税制上、予算上のいろいろな措置というものも考えられますし、何らかの意味で行政指導ということもあり得ると思います。しかし、行政指導の場合は、この次に申し上げようと思っておりました事業者のとる自主的な措置というものもここに含まれておるわけでございまして、事業者が自発的に一つの事業所を他へ譲るというようなこともこの法律の観点から言えば「他の措置」に含まれるわけでございます。それが行政指導によってなされるということも当然あり得るわけでございます。
○西中委員 そうしますと、公正取引委員会が主務大臣の意見を尊重して、その意見に従って他の措置をとられるものと受けとめて、最終的にいまおっしゃった行政的な措置をいろいろ考えられるとおっしゃるけれども、それがとられなかった場合はどういうことになるのですか。
○大橋政府委員 審判開始決定のときでございますと、「競争を回復するに足りると認められる」ということでございますから、単に可能性があるということでなくて、やはり、相当具体的な現実性のあるものでなければならないということは当然のことであります。 しかし、調査を開始する段階でございますから、それは主務大臣の決意の表明の度合いによるわけでございましょうけれども、相当の決意を持って競争回復のための措置をとるんだということで具体的に部内での検討も始めるというような実質がありました場合に、公正取引委員会がそれ以上調査を進めるかどうかということは、公正取引委員会がその場のケースに応じて独自に判断されることになるわけでございます。
○西中委員 仮に予算措置でも関連するようなことですと、大臣が意見を言ったからといって、そう簡単にとれるものではないと思いますね。ですから、ここで予算のことは別として、主務大臣が意見を言った、そしてその意見に従って公正取引委員会としては結構でございますということで措置をとられた、ところが独占的状態が排除されない、さらにはまた独占的状態が継続していろいろと他に影響を与え続けておるというような状態、その場合は意見を言った主務大臣に責任があるのか、それともそれを受けとめた公正取引委員会に責任があるのか、どちらでしょうか。
○大橋政府委員 責任というのがどういう意味か、余りいろいろなケースがございますのでだれが悪いということは言ってもしようがないのですが、法律的には、公正取引委員会は、なお独占的状態が続いているという状況でありますれば、通常の場合はまたその審査を再開するというようなことをする責任があるわけでございますし、主務大臣はその述べた意見が実現しなかったことについての何らかの責任があるということにはなろうかと思います。
○藤田国務大臣 ただいまの御質問は、私は、公正取引委員長に責任があると思うのです。なぜならば、公正取引委員会は自主性を持っておりますから、納得するに足りるというふうな主務大臣の説明あるいは意見を聞いて、公正取引委員長はそれに従ったわけですね。しかし、なおかつ独占的状態、弊害が続いておるということになれば、そこの判断に誤りがあった、そういうふうに思います。
○西中委員 先ほどは大臣に責任があるという話ですが、違うのですか。
○大橋政府委員 いま総務長官の言われましたのは、調査を進めて手続に入るべきかどうかはあくまで公正取引委員会の権限でございますから、そういう意味で責任が公正取引委員会にあると言われたのだと思います。 私が先ほど申しましたのは、もう少し軽い意味の責任ということで申し上げたわけでございますけれども、ただいま撤回させていただきます。
○西中委員 委員長、いまあなたの方に責任があるということですが、そのとおりでしょうか。
○澤田政府委員 主務大臣の意見を参考にいたしまして、決定をいたすのは公正取引委員会でございます。その結果の責任は公正取引委員会にございます。
○西中委員 公正取引委員長が責任をとるような形になるとするならば、私が先ほどから申しているように、主務大臣がいろいろと意見を差しはさまない方が自由な裁量ができていいのではないか、こういうように私は思いますが、長官。どうでしょうか。
○藤田国務大臣 私は、この段階は大変大事な時期だと思うのです。構造規制も含まれた新しい独占禁止法というものに改正されるわけでありますから、そうしますと、どんどんと審判手続その他も進んでいくわけです。この開始する時期というものは一つの大きな段階だろうと思うのです。公取委員長がここで決心されるのには、細部にわたる十分な調査なり判断をするための資料なりをお集めになる最後の段階だと思うのですね。ですから、そういう重大な時期に主務官庁の意見を聞かれる、あるいは通知をされるということは必要なことであろうと思います。
○西中委員 公正取引委員長、主務大臣の意見で影響は全く受けないと言い切れますか。
○澤田政府委員 公正取引委員会の事案に対する判断は、あらゆる情報を参考にして決めるわけでございます。主務大臣の意見に限りませんが、参考となる意見は十分検討して取り入れるわけであります。 その影響という言葉が非常にあいまいでありますけれども、そういう意味では参考として取り入れて公正な判断をする、こういう意味におきましてあらゆる情報が参考になると申し上げることができると思います。
○西中委員 私は、一番最初に二十八条の問題の「職権行使の独立性」ということについて確認をいたしました。いま公取の委員長は、悪い影響は受けない、と、端的に言えばそういうことでしょう。委員長はいまりっぱだからそういうことを言うけれども、またいまの委員の方はりっぱだからそういうことをおっしゃるけれども、将来の委員長が絶対そういうふうにならないという保証はない。ですから、法の制度としての確立が必要だと私は申し上げておるのです。 結局公正取引委員会がしっかりさえしておればいいのである。影響があるかないかは結局は公正取引委員会の姿勢だということに任されるわけですね。いまのお話ですとそういうことです。ですから、公取のメンバーが変わる、情勢が変わるということになりますと、いまの保証はどうも怪しくなるということでございます。大事なことは公正取引委員会がしっかりしていないこと、影響を受けやすい体質であることです。仮にそうだとしても、法制度をきちっと確立して、そして職権行使の独立性を担保するという制度がはっきりと確立されておらなければならぬ。ですから大臣から意見を聞くのですけれども、一つもそういう悪い意見は聞かないんだ。正常な判断はきちっと公取でやるというのは、あくまでもそうしたみずからの確信をおっしゃっているだけであって、法的な裏づけはない。 また容易に影響を受けやすい状況になるということは否定し得ない、このように私は思うわけですが、どうでしょうか。
○澤田政府委員 繰り返して申し上げますが、事柄の判断材料といたしまして、いろいろな情報を活用いたします。ところで、主務大臣の意見というものは、これは尊重する度合いにおいては上位に属するものではあろうとは存じますけれども、判断に用いる情報の一つであることには毫も変わりはないのでありまして、そういう意味で参考にするということでございます。
○藤田国務大臣 主務大臣の意見を聞かれまして、公正取引委員長が自分で自主的に公正取引委員会の責任においてこれを判断なさるわけでございますから、二十八条は少しも損われない、かように私は思っております。
○西中委員 先ほどから繰り返しておりますけれども、その決意は結構です。だけれども、制度として絶対に影響を受けないものを立法するのが立法府そのものではないかと私は思うのです。その点で危惧があるという意味でございますので先ほどからくどく申しておるわけでありますので、いまの御答弁では私は納得ができませんけれども、時間もございませんので次へ移りたいと思います。いずれまたこの質問については私も続けていたしたいと思いますので、委員長、よろしくお願いをいたしたいと思います。 それから、次は、「価格の同調的引上げ」についてお伺いをいたします。 この価格の「同調的な引上げ」というのはこのところどういう状況にあるのか。できれば四十九年、五十年、五十一年と、この辺の実態をお知らせいただきたいと思います。
○水口政府委員 御説明いたします。 寡占産業における価格引き上げの実例でございますが、主な例を申し上げますと、最近ではビール、それからピアノ、板ガラス、日刊新聞紙、そのほかいろいろございますが、そういった事例がいろいろとございます。
○西中委員 何年くらいまで出ておりますでしょうか。できれば資料をお願いいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○水口政府委員 資料を提出いたします。
○西中委員 十八条の二、ここで価格の同調的値上げに関する報告を聴収するわけですが、その際公正取引委員会としては「当該価格の引上げの理由について報告を求める」ということになっているわけですが、この際どういうような報告を求めることになるのか、具体的に御説明をいただきたいと思います。
○水口政府委員 お答え申し上げます。 値上げ理由の報告といたしましては、ケースに応じまして値上げの理由を説明するに足りる資料の提出を求めることとなりますが、現在のところおおむね次のような事項につきまして報告を求めることになると思われます。 次の事項と申しますのは、まず価格引き上げの状況でございますが、これは建て値その他標準的な価格による引き上げ前の価格、引き上げた価格、平均的な引き上げ率等、こういったものでございます。 それから二番目が価格引き上げの理由でございますが、これは理由の説明に参考資料をつけたいというふうに思っております。参考資料といたしましては、たとえばその理由がコストの上昇にありますときはそのコストの額の推移、それから原材料の上昇の場合には主要な原材料の種類別の購入価格の推移、労務費の上昇の場合には従業員一人当たりの賃金の額の推移、こういったことになろうかと思っております。
○西中委員 それが国会に報告されるときには、どの程度の報告をされるおつもりですか。
○水口政府委員 ただいま申しましたような、どういう状況で引き上げをされたか、その理由はどういうことであったかということでございます。 なお、もちろん企業秘密に属するようなことは掲載されません。
○西中委員 コストの上昇、原材料の価格、賃金、これは企業の秘密で公表しない、要するに国会には報告しないということですか。
○水口政府委員 その点につきましては、実際の場合にケース・バイ・ケースで慎重に判断したいと思っております。
○西中委員 ということは、国会の年次報告に報告することもあるということですね。
○水口政府委員 企業秘密にわたるものを除いては報告はいたします。
○西中委員 これは企業秘密になるのですか。 いま申し上げました原材料の購入価格、従業員の賃金、そういったものはどうなんですか。
○水口政府委員 場合によってはそういうものも出てこようかと思いますので、何回も申しますが、ケース・バイ・ケースで慎重に判断をしたいと思っております。
○西中委員 これがなければ値上げの理由がわからないというケースが非常に多いと判断しますけれども、そういうようにお考えになりませんか。
○水口政府委員 同じ答弁になるかもしれませんが、企業秘密にわたるものを除きまして、なるべく国民によくわかるように掲載をいたしたいと思います。
○西中委員 企業秘密、企業秘密ということでとかく公表を渋られるわけですけれども、今度こうして国会にというふうにわざわざお述べになっている。現実にいま年次報告というのは出ておるわけですから、ことさら断る必要はないと思ってこの条文の意味を私ははかりかねておるわけですけれども、値上げの理由について、原材料の値段とそれから賃金の上昇ということについて企業秘密ということで報告しないなどということになれば、ほとんどこれは意味のない資料ではないかというように思います。 きょう午前の質問の中で、新聞社の上限、下限の報告を公表しているではないかということについて否定的な御答弁がございましたけれども、公正取引委員会としては企業の秘密にも属すると思われる資料を出しておられるように私は認識をいたしておりますが、再度お尋ねをいたしたいと思います。 〔委員長退席、中島(源)委員長代理着席〕
○水口政府委員 先生のお尋ねの趣旨がどの資料を指しておられるかつまびらかでございませんが、仮にこの昭和四十八年に発表いたしました「新聞購読料引上げ問題等に関する審査結果の概要」だといたしますと、これには若干いろいろな数字が入っておりますが、これは個々の会社の数字と申しますよりも、その平均値のようなものでございます。したがって、企業秘密には当たらないのではないかと思います。
○西中委員 それでは、この程度のものは当然報告をするということでございますか。
○水口政府委員 この程度のものは企業秘密に当たらないと思います。
○西中委員 そうしますと、現行法でこの処置がとれておるわけですね。違いますか。発表しているのですからね。
○水口政府委員 この程度のものと申しますか、企業秘密にわたらないものは公表することができるわけでございます。
○西中委員 現行法でこの程度のものが出され、そしてこれから出されるであろう国会への年次報告もやはりこの程度ならば、今度の新しい改正は必要でないと私は思いますが、どうでしょうか。
○水口政府委員 今回の十八条の二の改正は、現行の四十条でございますと、必要がある場合には報告を求めることができるというふうに書いてはございますが、これも何回も申しますように、われわれといたしましては、罰則で担保されておる現行の四十条の適用というものは非常に慎重に扱っておりまして、たとえば同調的値上げの場合でも、これは四十条を適用いたしませんで任意調査でやっておりますので、十八条の二のような規定ができますと、同調的値上げの報告を求めることが非常にやりやすくなるのではないかというふうに思っております。
○西中委員 この処置は現行法の公表権で行っているんじゃないですか。
○水口政府委員 さっきの数字のお話とすれば、それは四十三条の公表でございます。
○西中委員 公表という点ではどうなのですか。年次報告を国会に提出するということをわざわざ今度改正する必要はない、従来の現行法の公表権で十分ではないか、中身も大差がないというならなおさらこの条文は必要がない、そのように私は思いますけれども、どうでしょうか。
○水口政府委員 四十四条に今度加わりました規定は、こういう報告を求めた場合には必ず年次報告にそれを掲載するものとするという趣旨でございます。 それで、四十三条の関係でございますが、われわれといたしましては、十八条の二で報告を求めたものをすべて四十三条で公表するというふうなことは考えておりませんが、もしどうしても必要なものがあれば、それは四十四条にそういう規定を加えましたことは、四十三条の公表権を適用除外としたものではない、したがって四十三条を適用することも可能であるというふうに考えております。
○西中委員 ここで一般調査権について具体的にお伺いをいたしたいと思います。 「価格の同調的引上げ」について、十八条の二は、「公正取引委員会は、これらの主要事業者に対し、当該価格の引上げの理由について報告を求めることができる。」となっておりますが、これは四十条で十分できるのではないかというふうに私は判断するのですが、その点はどうでしょうか。
○大橋政府委員 四十条の規定は字句のとおりでございますが、「公正取引委員会は、その職務を行うために必要があるときは、」云々という権限規定でございます。ここで「その職務」と申しますのは、独占禁止法の規定の具体的な運用の職務というふうに解されておるわけでございます。 そして、その具体的な運用による職務に基づき、どういう場合に公正取引委員会がこの報告をとれるかと申しますと、これはこの規定が罰則により担保された特別に国民に義務を課する規定でございますので、そういう点を考慮いたしましてケース・バイ・ケースで判断されるべきものでございましょうが、当然、運用に当たる公正取引委員会が一次的にはその解釈をするということになるわけでございます。 しかし、この規定によりまして、単に同調的な価格の引き上げがあったからといって直ちにその報告をとるというようなことは四十条によってはできない。何らかのほかの意味での職務上の必要というものが必要であるわけでございまして、そういう意味におきまして十八条の二の規定は、そういう職務上の必要性という要件の点検を必要とせずに、一定の要件に従った同調的な価格引き上げがあった場合には直ちに理由の報告をとれる、こういう点に強化の意義があるわけでございます。
○西中委員 時間も迫ってまいりましたのでいまのところはこれ以上いたしませんが、やはり、基礎になるのはいま申されましたいままでの政府の四十条に対する考え方のようですが、これもいろいろの問題があるのではないかというふうに私は思います。それでこの点にすぐに飛んでしまいますけれども、若干の御質問をしたいと思います。 御答弁にありましたように、一次的には公正取引委員会がケース・バイ・ケースで慎重に判断すべきものと考えているということですが、これは一体どう解釈したらいいのか、公正取引委員会の判断に任せるというように判断したらいいのでしょうか、どうでしょうか。
○大橋政府委員 結局、すべての規定の解釈というものは裁判所で行われるわけでございます。そこで、その四十条についての争いがあった場合にどういう形で裁判所に行くかと申しますと、御承知のとおり、四十条につきましては行政不服審査法の規定の適用除外になっておりませんから、仮に四十条の出頭命令に不服があるといたしますと、公正取引委員会に対して異議の申し立てをする、こういうことになります。そして、それに対して公正取引委員会が判断する。これは二次的な判断になるかと思いますが、その判断が行われました場合には同じく行政事件訴訟法の特例になっておりませんので、その不服がある場合、今度は地方裁判所に行く。地方裁判所に行った場合には、一般の審決に係る事件とは違いまして、下公の指揮をするのは法務大臣でございます。 そういう意味におきまして、ここではその訴訟の指揮という形で法務大臣が判断を加えることになるわけでございます。その法務大臣の判断というものは、およそ行政権が国民に対して何らかの意味での負担を課するという、そういう規定の運用についての一般的な原則に基づいて判断をするわけでございます。この法務大臣の判断が第三次的な判断でございます。 そして、法務大臣が公取の意見を支持するという形で訴訟を進める場合には、裁判所の判断が第四次的なものになるわけでございます。第一次と申しましたのはそういうような意味でございます。
○西中委員 これは結局法務大臣が公正取引委員会を指揮するという形になるわけですか。
○大橋政府委員 これは、この場合に公取の職員が裁判に当たるといたしますと、それを法務大臣が指揮することになります。
○西中委員 そうすると、公取は職権行使の独立性という点で侵害されるというように判断できないでしょうか。
○大橋政府委員 これは御承知のとおり現行法の規定でございます。現行法の規定でございますから、侵害されるといいましても、この法律ができたときからそういうような考え方でできておるわけでございまして、新しく私どもが制限するというようなことではございません。 しかし、これはもともと公正取引委員会にどういう意味で独立性を与えているかということと関連すると思うわけでございますけれども、独占禁止法の規定というものは、毎日毎日変わるような生きた経済に抽象的な法規を当てはめるという意味で非常に判断に苦しむケースが多いわけでございます。こういう判断の安定性を確保するために公正取引委員会という行政委員会をつくりまして、行政委員会はメンバーの入れかえも一人ずつ起こってくるというような形で非常に判断の安定性がある、かつ、他の独任制のものからの指揮、監督を受けない、そういう形によりまして判断の安定性を図っているのが公正取引委員会の姿だと思います。 そして、その本質というものは違反事件の審査、審判にあらわれてくるわけでございまして、違反事件の審査、審判に関しましては、独占禁止法の解釈、運用の安定性ということを重く見まして、法務大臣の指揮、監督というものが排除されておるわけでございますけれども、こういう個々の行政権としての一般的な行政と同じような権限の行使につきましては、やはり、国の行政においての強制権限の行使のあり方ということの統一性ということが重要視されますので、この点に関して公正取引委員会に独立性を与えるという規定にはなっておらないわけでございますが、これは当然のことではないかと思います。
○西中委員 時間がやってまいりましたのでこれ以上論議いたしませんが、いまの御説明では、公正取引委員会の権限というものについてやはり若干の危惧を持たざるを得ないわけでございまして、また引き続いて論議をいたしたいと思います。 一応終わります。
○中島(源)委員長代理 次回は、明二十一日木曜日、午前十時理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時十二分散会