商工委員会 第13号
- 発言数
- 355 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1977/04/19
会議録
○野呂委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、小規模企業共済法の一部を改正する法律案及び板川正吾君外九名提出、小規模企業共済法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮田早苗君。
○宮田委員 小規模企業共済法の本題に入ります前に、大臣お見えでございますので、小規模企業を含む中小企業全般の景況について御所見を承りたいと存じます。 申すまでもなく、中小企業の経営はこれまでに経験したことのない長期にわたる不況のあらしの中で倒産、廃業に次々と追い込まれております。五十二年度予算案でも、中小企業庁所管の予算の伸びは一一・八%ということになっておりますが、先行きの見通しが立てられないというのが現状だと思います。 景況の現状認識と見通しをまずお聞かせ願いたいと思います。
○田中国務大臣 お答えいたします。 中小製造業の生産は、昨年の八、九月の停滞の後、十月以降に増加に転じましたが、また五十二年の一、二月につきましては前月比減少となっておるような状態でございます。業種別に見ますると、景気回復の状況は跛行性が目立っております。民生用の電気機器等の一部の業種におきましては、落ち込みの前の最高水準を上回る回復が見られておりまするが、いまだ十分な回復をしておらない業種も少なくはないのでございます。 中小企業の景況の回復には一進一退の状況が見られまして、倒産も最高水準で千七百五件というような先月の発表もございました。五十二年度の予算の早期の執行、並びに本日閣議におきまして、特に景気浮揚対策に重点を置いて予算の上期の執行に強力な推進をし、あるいはまた機構も大蔵大臣が中心になって予算の執行に当たる。あるいは預金金利の引き下げのこともございまするし、そのほか民間設備投資等におきましても繰り上げ発注を行う。まあ、整合性をもって景気回復を大いに推進いたしておりますけれども、何と申しましても今日までのこの冷え切ったひずみが中小企業には最もたまっており、冷え込んでおる。こういう中におきまして中小企業のこれからの政策いかんというものはわれわれの努力にまつところが多いのでございます。 さような意味におきまして御審議を願っておりまするこれらの保険その他の措置というものが大きな効果をもたらさなくてはならぬ、かように存じておる次第でございまして、よろしくお願いをいたします。
○宮田委員 それでは本題に入りますが、加入事業所数のうち小規模企業共済制度の対象となります企業の数は把握できないものかどうか、まずお聞かせ願いたいと思います。
○岸田政府委員 事業所統計で私どもいろいろ推計をいたしておりますが、小規模企業の数は大体四百五十万程度ではないかと想定をされております。
○宮田委員 それから、中小企業庁さんにもう一遍お伺いしますが、通産省所管の共済制度には個人で約五十万人、法人で約十四万人が加入しているわけですが、自分のところの従業員の福祉対策といいますか、制度を活用することに経営者は余り熱心でないような数字にも受け取れるわけですが、この点についてはどうですか。
○岸田政府委員 現在までの加入者累計約六十七万件のうち、会社等の役員の加入が約十四万件でございまして、総加入者の大体二一%程度になっておるわけでございます。 この率が印象として高いのではないかという御指摘であろうかと思いますが、実は、小規模企業の中における法人の比率というのが一八・五%になっておるわけでございまして、先ほどの二一%と比べますとほぼ比例した数字があらわれているのではないかと思っておるところでございます。さらに、法人企業の場合には一つの企業で複数の役員が加入するというようなケースもあり得るわけでございまして、特に、個人企業の場合と法人企業の場合と加入率に差があるというふうには受け取っておりません。 私ども、今後この制度をなるべく多くの方に利用していただくように普及に努力をいたしたいと考えておりますが、その際には会社の役員であろうとあるいは個人の事業主であろうと、これによって将来恩恵を受けられるような方々には広く利用していただけるようにしたいと思っておるところでございます。
○宮田委員 ちょっとお断りしておきますが、ただいまの質問は労働省の方にもお伺いをする予定にしておりますので、お見えになりましたらもう一度質問を繰り返させていただきますから。 それでは、中小企業庁の職種、地域別それから口数別の加入状況の資料がありますが、それによりますと法人役員の加入数が全体の約三割を占めております。法人役員というのは大ざっぱな分類だと思うのですが、会社役員、企業組合、協業組合の役員を合わせた数字と理解していいものかどうか、この点をお聞きいたします。
○岸田政府委員 口数別の加入状況について御質問がございましたが、この際における法人と言いますときには、協業組合等の組織も法人に含まれておると理解いたしております。
○宮田委員 では、その、含まれておるということなんですが、法人役員の加入数はどうなっておるんですか。
○岸田政府委員 この法人の中には、会社それから企業組合、それから協業組合、この三種類が含まれておりますが、その三種類のそれぞれの分類というのが統計上ございませんので、一括して御報告せざるを得ないわけでございます。
○宮田委員 私が法人役員の率の問題を取り上げましたのは、制度の啓蒙普及ということについてであります。会社役員や団体役員というのは間々利用しやすい環境にあるわけです。しかし、個人に対するPRというのはいつも言われることではございますが、いま申されましたいろいろな関係から反省すべき点が多かろうと思うわけですが、この点についてどのようなお考えを持っておいでになるか、それもお聞かせ願いたいと思います。
○岸田政府委員 この制度の普及につきましては、各種の組合組織を利用し、あるいは金融機関の窓口等を通じまして、こういう中小企業、零細企業の方々の将来のための制度があるということを普及しておるわけでございますが、その際に、やはり、組合の役員をやっておるとかあるいはかなりしっかりした企業は、金融機関の窓口へ行ってそういう情報を得やすいという傾向は当然あろうかと思います。 しかしながら、やはり零細な方にこれを利用していただくというのが制度の本旨でございますので、従来もこういう個々の事業主の方々には特に力を入れて普及をしてまいりましたし、今後とも力を入れてまいりたいと思っておるところでございます。
○宮田委員 おっしゃったように、加入促進運動のやり方なんですが、これに関連しまして、いまも金融機関のキャンペーンが寄与しておる部分がかなりあるというふうに言っておられるわけです。つまり、金融機関に対する先行預託金の魅力から金融機関が得意先に対して共済加入を呼びかける、取引関係を通じての勧誘になるとも考えられるわけですが、これは無理が生ずると問題になりはしないかと思うのです。資産運用と加入促進が同時にできるというメリットはあるわけですが、その点どうお考えか、もう一度お聞かせ願いたいと思います。
○岸田政府委員 いまお話がございましたように金融機関を通ずる加入促進を一生懸命やっておりますが、それに対する一種のインセンティブとして御指摘のように定期預金の形で先行預託を行っております。ただ、それがあるからこの制度に無理に加入させるというような実態にはございません。私どももその面に関する苦情というものは一度も聞いたことがない実情でございます。やはり、金融機関としても、広い意味での取引先を拡充するという意味でこの制度を意識しておることは事実でございますが、それを強制的にやるとか、あるいはそれを無理に加入させるというような傾向はないと理解をいたしております。
○宮田委員 それでは、昨年一年の実績で見た場合、金融機関のあっせんといいますか、呼びかけで加入したものがどの程度ございますか、わかればお知らせ願いたいと思います。
○岸田政府委員 昨年の実績で大ざっぱに申し上げますと、全体の加入促進の中で団体経由で行われたと思われるものが大体三分の二、それから金融機関経由の加入促進の効果によって加入されたとみなされるものが大体三分の一、こんな傾向ではないかと思っております。
○宮田委員 労働省の方お見えのようでございますので、まず質問させていただきます。 小規模企業共済制度と表裏一体をなす中小企業退職金共済制度について労働省の方の御見解をお伺いするわけですが、単独では退職金制度を設けることが困難な中小企業者に対する本制度の運用状況でございますが、一般の退職金共済制度の普及状況はどうなっておりますか、その点をまずお聞きします。
○中岡説明員 お答え申し上げます。 中小企業退職金共済事業団という特殊法人で行っております退職金共済制度の普及状況でございますが、現在のところ共済契約者が、これは事業主のことでございますが、十八万三千人、それから被共済者、これは従業員のことでございますが、百四十五万七千人といった数字になっております。
○宮田委員 さっき中小企業庁さんに質問いたしましたところと重複しますが、もう一遍労働省の方にお聞きいたします。 共済制度には個人で約五十万人、法人で約十四万が加入しておるわけですが、自分のところの従業員の福祉対策として制度を活用することに経営者は余り熱心ではないような数字にも受け取れるわけですが、この点、労働省の取り組み方というか、取り組む姿勢についてお伺いいたします。
○中岡説明員 御存じのように、わが国の退職金制度というのは、中小企業を除けばほとんど一〇〇%に近い普及率を示しておるわけでございます。ただ、中小企業の従業員に対してはその普及率がその他に比べて劣る面があるわけでございまして、こういう中小企業に働いている従業員のために、国の補助も含めて退職金が支給できるような制度をつくろうじゃないかということでこの制度が始まったわけでございます。制度の趣旨がそういうことでございますので、これは強制適用ではございませんが、われわれ中退金事業団を含めまして加入の促進に鋭意努めてまいっておるところでございます。 ごく最近も賃金の支払の確保等に関する法律というものが制定されましたが、そこで退職金の保全措置を講ずる努力義務が事業主に課されたわけでございますが、この退職金共済制度に入っておる事業主はそのような保全措置を講ずる義務がないということに法律上してございますので、そういう面からもこの中退金制度へ入るように、加入の促進についてわれわれは事業団とともにこれからも鋭意努力してまいりたいと思っておる次第でございます。
○宮田委員 それでは、中小企業庁さんに続きをもう少し質問いたしますが、「商工共済ニュース」という広報誌をいただいておるわけですが、それに「加入推進リポート」という、ある金融機関の報告が掲載されております。これは表現の問題もありましょうけれども、預金増額に四苦八苦しております銀行が預託金に飛びついてキャンペーンを張っているわけであります。加入する方は将来のためにいい制度を教えてくれたという、こんなケースもあるわけでしょうが、おつき合いもあるのではなかろうかというような危惧も持つわけでございますが、そういう点について、何か中小企業庁さんの方でお考えがありますればお聞かせ願いたいと思います。
○岸田政府委員 私ども、この制度を少しでも多くの人に利用していただくために、先ほど申しましたように組合を活用し、あるいは金融機関を活用しておるわけでございます。金融機関としても新しいお得意を獲得するためにこういういろいろのサービスをいたしておりますが、そのサービスの一環としてこの制度の普及ということも取引先に喜ばれる事業になるかと思います。 私どもはそういった活動をいわば裏から支援する意味での預金をいたしておるわけでございまして、預金をいたすことを加入のための一つの条件にするというようなやり方は、考え方からしまして、いわば本末転倒でございます。私どもは今後ともいまやっておりますような形で預金を継続いたしますが、その趣旨に誤解のないようには十分気をつけてまいりたいと思います。
○宮田委員 老齢給付要件を六十五歳二十年から六十五歳十五年に緩和する案は時宜を得た措置だと思います。 この共済制度が発足したのが四十年ですから、次の見直しの五十七年度までの間に当初加入した人から給付資格者が出てまいると思います。当初の加入者は少ないわけですが、この改正案において、先ほど質問いたしました貸付制度の拡充とあわせて事業団の経理見通し、これはどうなっておりますか、お聞きいたします。
○岸田政府委員 老齢給付の今回の要件緩和によりまして、従来の制度であれば掛けた方の大体半分ぐらいしか利用できなかったのが、今度は三分の二程度までがこの老齢給付の支給を受けられるという形になるわけでございまして、そのこと自体、小規模企業の方々には喜ばれる制度になるわけでございます。 これの事業団経理に対する影響でございますけれども、実は、老齢給付金の利回りが従来から十五年目から二十年目までを同一の水準として設定をいたしておりました。さらにまた老齢給付の算定額は将来起こり得べき廃業給付の額よりは低率になっておるわけでございます。したがって、現在考えております脱退残存表の範囲内で処理できるのではないかと思っておるところでございます。 なお、還元融資の拡大についてお話がございましたが、これはいわば余裕金の運用の一つの形態として考えておりまして、それ自体が安全確実に運用されます限りは事業団の経理には特段の支障は来さないと考えておるところでございます。
○宮田委員 ただいまの質問について、何か労働省の見解がございましたら……。
○中岡説明員 私どもの中退金事業団に関してのお話と理解してよろしゅうございますか。同じようにたとえば還元融資をやっておりますが……。
○宮田委員 ええ。
○中岡説明員 私ども、御存じのように、従業員のための福利厚生施設を中心にしまして、事業主団体なり事業主が何か物的施設を建てるといった場合に一定の要件で還元融資をやっておりますが、現在のところ私どもは資産の純増の一定割合という感じで毎年融資枠を設定しておりまして、その意味では全体の共済の収支とバランスをとりながらやっておるところでございます。
○宮田委員 もう一つ通産省の方にお伺いいたしますが、契約者貸付制度の拡充についてでございます。 現行制度にあります即日貸し付けとは別に、新たに都道府県の制度融資とからめた形での貸付制度を設けることはまことに結構だと思います。都道府県での現行制度では保証協会を通じた保証制度がこれに当たるものと思いますが、この不況下での利用状況はどうなっておるのか、全国の利用の実態のアウトラインで結構ですので、御説明していただきたいと思います。
○岸田政府委員 まず、一般的に不況下の金融信用補完制度の概況でございますが、御承知のとおり中小企業の経営が大変苦しい状況になっておりまして、私どもとしては、金の面から経営が行き詰まるということを少しでも少なくしようということで各般の対策を進めておるところでございます。御承知のように、政府系中小企業金融三機関における資金量の確保であるとか、あるいは信用補完制度の面におきましても、たとえば倒産関連保証を機動的に活用するなど、各般の施策を現に推進をいたしておりますし、また、これらをなるべく機動的に運営をしていきたいと思っておるところでございます。 今度の新しい融資制度におきましても都道府県の制度融資を活用いたしますが、この際信用補完制度とうまく結びつけて、実際の零細企業の方々の事業資金を利用しようという希望にこたえられるように配慮いたしてまいりたいと思っております。
○宮田委員 最後の質問でございますが、新しいこの制度に対する都道府県の取り組みはどうなっておるか、お聞きします。
○岸田政府委員 この新しい融資制度につきましては、都道府県における体制の整備に応じて順次実施していくという考え方でございまして、目下一つ一つ関係の都道府県とお打ち合わせを進めておるところでございます。 いまの見通しとしましては、五十二年度中に大体半数の府県において実施されることになるのではないかという見通しを持っておるところでございます。
○宮田委員 これで終わりますが、この制度はまだまだ全般に浸透ができていないんじゃないかというふうに思っておりますので、一層の宣伝ですか、キャンペーンですか、そういう点について各段の御努力をお願いしまして、質問を終わります。
○野呂委員長 安田純治君。
○安田委員 最初にちょっと確認の意味でお伺いしたいのですけれども、本法の共済契約の種類には一種と二種とあるようでございますけれども、共済事由の範囲を狭く限定しておる一種の契約の方が利回りが高いということになりましょうか。
○岸田政府委員 そのとおりでございます。
○安田委員 ところで、この契約者が子供に事業を譲り渡した場合に、第一種と第二種とではどういう違いがあるのか、御説明をまずいただきたいと思います。
○岸田政府委員 第一種の共済契約における廃業給付につきましては、一つは個人事業が会社等に組織変えをした場合、これを私どもは法人成りと言っておりますが、こういう場合と、それから二つ目には、いまお話に出ておりました配偶者または子供に事業を譲渡する場合、これは俗に言う隠居でございますが、この二つの場合は給付事由から除外をいたしております。その意味において二種と違いが出てきております。そして、このような二つの場合につきましては、第一種契約におきまして事業団が契約を解除しまして、いわゆる準共済金を給付するという形で処理をいたしております。
○安田委員 しかし、第一種の契約者が子供に事業を譲り渡した場合であっても、第二種で譲り渡した場合であっても、契約者、つまり事業主にとっては生ずる事態は同じであるわけです。ところが、いまお伺いしたように、支払われる共済金については、第一種の方は準共済ということでもちろん金額も大分違うということになると思うのですが、掛金がいままでの五百円の場合、二十年で隠居した場合の準共済の給付と第二種における給付とでは一体どのくらいの差になるか、ちょっとお知らせいただきたいと思います。
○岸田政府委員 二十年のケースにおきまして、先ほどお話がございました第一種における解約手当金が試算によりますと十七万三千五百二十円になります。これと同じようなケースで、第二種でございますと廃業給付金が交付されることになるわけでございますが、この第二種における廃業給付金という処理の場合には交付される金額が二十五万五千六百七十円でございます。したがいまして、その差額が八万二千百五十円になるわけでございます。
○安田委員 そうしますと、結局子供、配偶者に事業を譲渡して俗に言う隠居するということについては、事業主にとっては一種、二種変わりない事態なんですけれども、これだけの違いが出てくるということになりますと、やはりこれは何らかこの差が出てくるのを改めるようなことをすべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○岸田政府委員 第一種の共済契約は、いわば保険的な色彩が非常に濃厚な制度でございます。これに対しまして、第二種の共済契約は第一種と比べますと貯蓄的性格が強い。利用者におきましては、その二つの制度をそれぞれ自分の将来設計をにらみながら選択をするという形になっておるわけでございます。第一種によります場合には、要件を厳密にして、そのかわり有利な利用ができるという形をとっておりますために、先ほどの隠居なりあるいは法人成りを適用除外にいたしております。 ただ、これは念のために申し上げておきたいわけでございますが、隠居をした親が解約手当金の支給を請求しないで、そして事業を譲り受けた子供が新たに同一の共済契約を締結するという形をとります場合には、その申し出によりまして親の加入期間を子供の加入期間に加算する、いわゆる承継通算という道が開かれておるわけでございます。それによりまして子が期間の利益を引き継ぐことができるわけでございまして、実質的には相当のカバーができるのではないかと考えておるところでございます。
○安田委員 そうしますと、今日まで第一種に加入している人の人数とその変遷、第二種に加入している人の人数とその変遷、これが大体わかりましたらお知らせいただきたいと思います。
○岸田政府委員 昭和四十二年の改正で第一種、第二種という二つの道が開かれることになったわけでございますが、その後の変遷を見ておりますと、やはり第一種に加入をしたいという希望が圧倒的に強うございます。現在では、総体五十二万件ございます中で第二種を選択しておる方が約六千件と、率としては非常に低くなっております。
○安田委員 この変遷についても、第二種の方は多分ほとんどふえないだろうというふうに考えるわけですけれども、これは昭和四十二年の法改正でこうした二種類に分けてみても、やはり分けたことが余りメリットがないので一方の方だけ加入者がどんどんふえていく。それでも総体的には少ないというので一生懸命に加入を勧められているようですが、それにしても、二つのパターンのうち一つだけがほとんど絶対数も少ないしふえもしない。こういう傾向になりますと、これはやはり制度的な欠陥といいますか、再検討する余地は十分あるのではないかというふうに思うのですけれども、その点についてお考えをお聞きしたいと思います。
○岸田政府委員 御承知のとおり、第一種につきましては保険的な性格が強いということから、税金の面でも第二種に比べて優遇されております。加入者が圧倒的に第一種を希望される背景には、恐らくいま申し上げたような事情もあるのではないかと思っております。ただ、第一種と第二種の共済事由を比較いたしてみますと、たとえば法人役員の任意退職などは第一種ではカバーされておりません。したがって、そういう点に着目して第二種を選ばれるという方が今日でも依然として続いておるわけでございます。したがいまして、これを全部一本にしてしまうということまでいまの段階で踏み切るのもいかがかということから、とりあえず第一種、第二種は併存の形でしばらく様子を見ていきたいと思っておるところでございます。 なお、第一種、第二種のあり方について引き続き検討するようにということは先回の国会の御審議の際にも宿題として出されておりまして、私どもも引き続いて検討してまいりたいと思っております。
○安田委員 第二種もある以上は多少は加入者もいらっしゃるかもしれませんし、すでにいままで加入していた方もいらっしゃる。ですから、なくすわけにはいかないということになれば、なぜこれだけの加入者に差が出てくるかということを十分に考えまして、なくせとまでは言わなくても、第一種について、たとえば先ほどの隠居した場合の給付の大きな差を何とか縮めていくような改善の措置を講ずるなり、やはり何かすべきではなかろうかと思うのです。一本にするか、あるいは二本にしておいても第二種がそれほど加入者がないということであれば、第一種の方に、そういう欠点といいますか、これを十分カバーするような制度を考えていかなければならないのではないかと思うのでございますけれども、引き続きその点についてはぜひ検討をしていただきたいというふうに思います。 昭和五十年の九月から十月に行った中小企業庁の調査によりますと、小規模企業総合調査というのですか、小規模事業者の老後の経済保障で、「子供に頼る」としているのは大都市で一七・二%、中都市で一九・三%となっているようでございまして、「子供に頼れない」と考えている業者の方がはるかに多いのではないかと思うわけです。そういうことを考えますと、第一種と第二種で、先ほど長官は、子供が引き継いだ場合に子供が加入すれば親の期間の利益を引き継ぐことができるというようなことを言っておりますけれども、この中小企業庁の総合調査を見ると、「子供に頼れない」、つまり、子供と親の間の断絶という言葉が適当かどうか知りませんけれども、確かに営業は引き継ぐのだけれども、そういう意味では親の期間の利益を子供にくっつけてやるというだけでは済まない、親自身が給付を受けたいという意思が非常に重大にここにあらわれているのではないかというふうに思うわけです。中小企業庁自身のお調べで多分こういう数字が出てきていると思うのですね。「子供に頼れない」というのが圧倒的に多い。ですから、親の期間の利益を子供にくっつけてやる、そして親は解約して給付はもらわぬということではどうしても足りないのではないかというふうに思うわけでございます。そういう意味で、ぜひ考えていただきたい。 大臣にお伺いしたいのでございますけれども、わが国の全事業所数の八〇%は小規模企業であって、日本経済の安定や発展にきわめて重要な役割りを果たしてきたことは申し上げるまでもないと思うのです。戦後の日本経済の再建復興にも多大な貢献をしてきたわけでございますけれども、こういう業者に対して、残念ながら福祉対策としてはほとんど見るべきものがないと言わざるを得ないと思いますけれども、この立ちおくれを大臣はどうお考えになりますか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○田中国務大臣 お答えいたします。 先生の仰せのごとくに、わが国の企業数から言いましても九九%、また、それに就労する人口といたしましても実に国民の大半を占めておる中小企業に対しまして、今日までいろいろと政府の施策が講ぜられておるわけでございますが、御審議をいただいておりまする共済制度という問題につきましても、いろいろとたび重なる改正をいたしておるような次第でございます。 同時に、これら企業の経営に当たりましては、融資の面におきましても、国といたしましては、政府関係の三機関を初めとしまして、できるだけの信用補完制度なり、あるいはまたきめの細かい融資あっせん、その他倒産防止等いろいろな施策を講じておる次第でございますが、今後の低成長に入りました構造変革に対しまして、特に中小企業の構造的な内在いたしておる多くの悩みにつきましては、国といたしまして全力を挙げてこれと取り組んでおるような次第でございまして、融資の問題にせよ、あるいは共済の問題にせよ、今後なお一層これが改正、完璧を期してまいりたい、かように考えております。
○安田委員 小企業に対する福祉政策が他の分野に比べて非常に劣っておることは事実だと思うのです。この共済制度を一層小規模企業者にとって魅力ある制度とするためにいろいろと改善すべき点が多い。さっき申し上げましたように、第一種、第二種の関係での隠居の場合の給付の改善という問題も十分考えていただきたいのですが、一つの提案として、たとえば休業に対して何らかの共済があってもいいのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。 今日、激動する経済情勢のもとで、中小企業者の経営努力ではどうしようもない、本人の経営努力だけではどうしようもないという理由で休業を余儀なくされるという場合が多々あると思いますが、こういう場合、今日の制度で何らかの救済制度があるのかどうか、これをお伺いしたいと思います。
○岸田政府委員 休業に対してこの制度の上において何らかの給付制度を設けてはどうかという御提案でございますが、私どもは、休業というのは、やがては事態が改善されて事業を継続するある程度の見込みがあるときに行われるのではないかと思っておるところでございます。そういたしますと、たまたま休業になったという事態でこの給付金を給付いたしますと、後で事業を再開しましたときに、いわば期間の利益を喪失してしまうことになるという点が問題ではないかと思っております。したがって、休業期間は別途金融その他の措置によってカバーをしながら、再開のときには当初からの契約がずっと継続するという形の方が長い目で見れば中小企業者のためになるのではないかと、一応そう思っておるところでございます。 そこで、金融等で処理をするということをいま申し上げましたが、たとえば現行制度における還元融資制度によってしばらくつないでいくとか、あるいは労働省等がやっておられます雇用調整給付金を活用するとか、こういったつなぎの施策を別途充実することによっていまの御希望にはこたえ得ることになるのではないかと思っておるところでございます。
○安田委員 そうしますと、それにしては還元融資制度が不十分ではないかというふうな感じもしないことはないと思うのですね。休業補償のために還元融資制度を活用するにはちょっと不十分ではなかろうか、したがってここも相当検討の余地があるのではないかというふうに指摘しておきたいと思います。 たまたま休業とおっしゃいましたけれども、小規模事業者は一般的に言って外的条件に対する抵抗力が弱い。たまたまと言えばたまたまかもしらぬけれども、やはり、社会のちょっとした情勢の変化によって休業せざるを得ない、本人の努力だけではどうしようもないということも明白なわけですから、そういう点ではぜひ休業補償制度についても考えていただきたい。たとえば下請事業者を考えてみた場合に、大企業の事由によって休業を余儀なくされたりすることもあるわけですね。そういう場合のことを考えますと、国、自治体あるいは大企業の三者による出資と中小企業者の積み立てによる共済を結合させたりして休業補償制度をつくり出していくべきではなかろうかと思うのです。 だから、いま提案になっている小規模企業共済法のこの条文の中では賄えないかもしれませんけれども、ぜひそういう休業補償制度を検討して創設するように努力をしていただきたいということを考えるわけですが、その点はどうでしょうか。
○岸田政府委員 いまお話がございましたように、現下の経済情勢は中小企業にとってまことに厳しいものがございます。本人は一生懸命努力をしておりましても、親企業が倒産をしてしまって翌日から仕事がないというような事態は間々起こり得ることでございます。私どももそういう場合に対しまして従来からいろいろな手を打ってまいりましたが、一つは倒産関連保証制度をフルに活用するという措置と、それから、先般新たに通達を発しまして倒産関連に対する緊急措置を実施をいたしたということも第二のお答えになろうかと思います。 ただ、私どもは、そういったつなぎの金融のほかに、当面あしたからの仕事をどうするかということの方が関連下請企業者にとっては一番の悩みではなかろうかと思っております。その意味におきましては、下請振興協会がこの不況期を通じていろいろと仕事のあっせんのために努力をしてまいりまして、あっせん件数も年々拡大をいたしております。特に、最近は、個々の府県ごとの仕事のあっせんだけではなくて広域的な仕事のあっせんということに意を用いておりまして、これらもある程度の効果を上げているのではないかと思っております。 いま申し上げましたように、親企業が倒れたことによって巻き添えを食って中小企業が倒れていく、それがさらに連鎖反応を起こしていくということのないようには今後とも十分気をつけてまいりたいと思っております。
○安田委員 親企業がつぶれて、その下請なりが倒産する場合、廃業ということになればこれは給付をもらえるのかもしれませんが、問題は、私の申し上げているのは、やめてしまうわけではないけれども、何カ月かあるいは半年か、ある期間どうも店を閉じざるを得ないという、いわゆる休業の場合の補償のことをいま申し上げているわけなんです。 ですから、廃業の場合は別でしょうけれども、廃業の場合の補償はもちろん当然いろいろ考えていただかなければならぬのですけれども、いま私が強調しておるのは、当面何らかの形で休業補償の制度を創設するような検討をするお考えはないかということを伺っているわけであります。
○岸田政府委員 私は、仰せられることの趣旨はよく理解しておるつもりでございます。ただ、この共済制度というやり方でやります限りは、休業があったということで給付金を給付いたしますと、再開したときの扱いをどうするかということが基本的に問題がございますので、むしろ当面は他の対策によってカバーする方が長い目で見て有利ではないかという趣旨で先ほど御答弁した次第でございます。 ただ、私どもも、この共済制度につきましては、今後長い制度でございますので、資産の状況あるいは経済情勢の変化等を絶えずにらみながら、もっといい制度はないかということを工夫していくというのが私どもの課題であると思っております。 いまの御指摘の点も含め、その他いろいろの事態に対応して今後とも知恵を出していきたいと思います。
○安田委員 最後に、大臣にお伺いしたいのでございますけれども、中小企業の場合、農業の場合などと比較しても政府の対策が実に劣っておる。比較にならないほど劣っていると言わざるを得ないと思うのです。農業の場合には農業者年金制度もございます。それから政府の出資、補助金なども、至れり尽くせりとまではいきませんが——農業も非常に苦しいし、農業はもちろん日本の農業をちゃんと守っていかなければならないのでまだまだ不足でございますけれども、中小企業と比較してみますと相当いろいろの制度があるわけです。 そもそも、一般会計予算全体に占める中小企業対策費がわずかに〇・六%という超低率で、これが数年続いているわけでありますが、せめてこの共済制度という唯一の福祉政策に対して格段の配慮があってしかるべきだろうというふうに思うわけです。 休業補償制度を先ほどから私はしつこく言っておりますけれども、この休業補償制度の創設を含めて政府の出資金増額を検討する意向がおありかどうか、重ねて大臣の方にお伺いしたいと思います。
○田中国務大臣 先生の御指摘につきましては、私ども拝聴いたしておりまして、なるほどなという気がいたす次第でございます。 御案内のとおり、積立金の還元融資というものも、いまのような客観情勢になりますと枠も非常に小さかったりして思うように振り回せないのではないか、それから、先ほど申しましたように、中小企業関連の人口というものはいまや日本の全国民の半数以上になりはせぬかということを考えましても、この社会福祉制度とこういうふうな中小企業の共済制度、この辺の見方も一遍見直していかなければいけないのじゃないかという気もいたしますが、私は、中小企業問題は経済問題としてとらえる面と、もう一つは社会問題としてこれを全面的にとらえ直すということが必要じゃないかとも思います。 何はともあれ、本制度はいろいろと改正に改正を重ね、諸先生方のいろいろな御注意やあるいは御意見に従って逐次よくなってまいったのでありますが、御指摘のような件も確かに一つの面だろうとも存じますので、またいろいろと研究もしてまいりたい、かように考えております。
○安田委員 ぜひそういう点を検討してよりよい共済制度の確立に努めていただきたいと同時に、共済制度でも賄えない部分についてぜひ中小企業の福祉対策をお考えいただきたいということを強調いたしまして、私の質問を終わります。
○野呂委員長 大成正雄君。
○大成委員 大成でございます。 小規模企業共済法の一部を改正する法律案に対しまして若干御質疑を申し上げますが、私の後に佐野委員の締めくくり質問等もありますので一括御質問を申し上げますので、ひとつそれぞれ御答弁いただければ幸いと存じます。 親方日の丸の事業でうまくいっているということは余りない。しかしながら、この親方日の丸の事業で中小企業の皆さんに非常に喜ばれる唯一の制度として、このたびこの法を改正いたしまして、この魅力づけがなされましたことは非常に結構なことだと思うのでございますが、さらに、以下、この制度をより充実するために、また、この加入を促進させるために若干の御質問を申し上げたいと思うのであります。 まず、質問の第一点でございますが、この制度の改正に伴う加入促進目標として第三次の目標を立てておられます。ことしの一月末の本制度の加入在籍者数は五十二万という報告であります。また、全事業者に対する加入比率は一二・七%ということになっておりますが、この加入率は必ずしも高いものではないと思います。そこで、第三次加入目標として二五%を目標にしておる、百十五万ぐらいまで持っていきたいというふうにしておられるわけですが、この目標を達成することは可能かどうか、率直にこの考え方を承りたいと思います。考え方というよりは、自信のほどを承りたいと思います。 二番目の質問としましては、この増口促進あるいは大口契約の増大についての問題点について御質問申し上げたいと思います。 現在の平均加入口数が九・三口というふうになっておりますが、この内容を見ますと、ばらつき、断層が非常に目立っております。たとえば二口加入というのが全体の二一%、それから一段超えて十口というのが二七・四%、さらにこれを超えて二十口というのが二〇・二%というふうになっておるわけでありますが、昭和五十年度の実績を見ますと、この二十口というのが三四・三%。五十一年度は五五・二%というふうに大口契約が非常に伸びておるわけでありますが、二口、十口、二十口の中間が非常に少ない。こういう状況になっておるわけであります。 今度の改正によりまして、親方日の丸の事業であるだけに税金の方も三十六万まで控除になる。これは他の民間の保険会社や何かのやっている制度に比べたならばはるかに優遇されており、一番魅力のある制度だと私は思うのです。こういうような国税、地方税の優遇措置なんかももっともっと一般の中小企業のいわゆる潜在契約者に理解してもらって、そして大口契約を促進しなければならないし、また、大口の契約をした人に対しては、一口や二口の人よりは大口ならこれだけのメリットがあるんですよ、これだけの得があるんですよということを何かあらわす必要があるような気がするのですが、その辺の考え方がとれないかどうかということが二番目の質問です。 それから、三番目の質問を申し上げますが、これは加入促進をするための事務取り扱いに問題がないかどうかということの問題なんです。 現在、この制度の取扱機関は、加入申し込み取り扱いが千七百十三団体、それから掛金の取り扱いをやっているのが三千八百二十二団体あるのです。これらを指定しているわけですが、その実績を見ますと非常にばらつきが多いのですね。たとえば府県別の加入状況なんかを見ますと、茨城、埼玉、京都、大阪、福岡といったところが一〇%以下の加入率の県なんです。この中に埼玉が入っているというのは私は恥ずかしいのですけれども、ともかく一〇%以下です。それから、二〇%以上という成績のいいところは奈良、島根、山口で、全国平均して一二・七%という加入率であることは先ほど申し上げたとおりであります。 また、この金融機関の取扱実績と委託先の拡張というふうな問題を見てみますと、五十一年四月から五十二年一月までの間の加入件数が六万六千二百六十八件ありますが、金融機関上位十社のばらつきを見ますと、都市銀行が四行、地方銀行が三行、相互銀行が三行ということでありまして、信用金庫とか相互銀行というような、いわば中小企業を専門に扱っている金融機関の扱いというのが低調なんですね。この点は少し問題があると思うのです。中小企業を専門に扱っている金融機関に政府直営のこういう制度をもっと一生懸命にやれということでもう少し鞭撻する必要があると私は考えるのです。 それから、次に申し上げることは非常に大事なことだと思いますのでひとつ御意見を承りたいのですが、全国の会議所や商工会、中央会という商工団体と委託契約を結んでおるわけですが、この委託契約のあり方に問題がないかどうかということであります。率直に申し上げますと、この共済制度よりも、商工会全体、商工連合会独自で設計している他の制度の方が魅力がある、得になるという考え方があるのですね。ということは、なぜかと言うと、取扱手数料なんですよ。要するに会議所とか商工会なんというのは会員から会費をもらって財政を維持しておるわけですが、人件費その他なかなか自主財源がないのです。そこで、単位会議所や商工会のような場合には、年間の財政に安定して寄与ができ貢献ができるようないわば余禄があるというか、そういう制度ならば一生懸命やろうじゃないかということになるわけですね。そこで、商工会議所や商工会が独自にやっている制度の場合には余禄が多いわけですね。安定した財源になっておるわけです。 たとえばこの制度の場合は、一口最初に契約をした最初の日には、千円の場合に六百円ですか、五百円の場合に三百円ぐらいですか、手元に入るのですけれども、その翌年からはその収入がなくなっちゃうのですね。そういうわずかなものしか手数料が入ってこない。そこが問題なんですよ。たとえば日本団体生命なんかがやっている従業員対象の特定退職金制度などは、毎年毎年その取扱手数料が非常に安定して入ってくる。そこで魅力が出てくるという問題があるわけですが、この辺のところをこの制度は何か制度的に再検討しないと、一生懸命増口をやってもらい加入促進をやってもらう単位の会議所や商工会が、言うことはわかるけれども、一生懸命やってもどうも足しにならないからということになってしまうと思うのです。その辺のところが問題なのであって、このことを御指摘したいと思うのですが、御意見はいかがでございましょうか。 それから、他の会議所や商工会の制度なんかを見ますと、たとえばいま申し上げた特定退職金制度の場合は、本部の職員が各府県に重点的に集中的に巡回加入促進をやるのです。この制度の場合には、本部の人員が百人以下くらいですからそういう余裕はないわけですね。本部でトレーニングされた人間が各地方にどんどん出かけていって単位会議所や商工会の連中と一緒に回って歩くというような制度、あるいは他の制度の場合には、民間の保険会社の外交社員が一緒に回って歩くのですよ。ですから、この制度とは足が違うのですね。加入促進のための足が全然違うのです。ですから、この加入促進には非常に問題が多いということを御指摘申し上げ、御意見を承りたいと思うのでございます。 次に、管理諸費の内容を申し上げたいと思うのですが、主としていわゆる資金の運用の問題について承りたいのです。 この事業団の経理を見ますと、管理諸費として、五十一年度に十三億四千二百一万円、五十二年度に十五億八千四百二十九万円支出しておるという報告になっておるわけですが、その中で委託団体に対する取扱手数料というのは幾ら払っておるのか、また払う基準はどうなっておるのかということを承りたいわけであります。 試みに、この五十一年十月から五十一年十二月三千二百二十四万円払ったという報告になっておるのですよ。これが四半期で一億三千万ですから、年間を通じますと大した額じゃないかなと思うのですけれども、この点はどうなっているかを承りたいわけでございます。 次に、資産運用についてでございますけれども、いまある約一千億の資産の運用利回りが八・一四%というように聞いております。この資産運用については中小企業に対する還元融資が中心になっておりますから、商工債を買うというようなことが中心で、金融債が八六・三四%、八百五十九億は商工債を買っておるということなんです。ですから、商工債の利回りからすれば、この運用利回りというものは決まってしまうわけですね。ところが、たとえば組合の厚生年金基金なんかの運用を見ますと、たとえば信託銀行にこの運用を委託して運用させている例なんかを見ますと、私が調査してみますと、大体グロスで九%を超えているのですね。一%運用利回りが違っても一千億ですから、大変な違いですよ。ですから、この事業団の場合には中小企業にその資産を使ってもらうんだというたてまえがあるから、一つの制約があるわけです。 年金基金の場合には、株式口が幾らとか、不動産口が幾らとか、いろいろと大蔵省の基準の中で操作をしているのですけれども、努めて利回りのいいもの利回りのいいものというふうな非常に合理的な運用をしているわけなんです。ですから、グロスで九%以上の運用利回りを上げているわけなんですよ。これからだんだんふえるでしょうけれども、この一千億を超えた資産の運用をうまくやって利回りを上げて、そしてその分融資条件を改善するなり、あるいは共済金の支払い内容を改善するなり、いろいろと要求されておるそういう改善の内容の資金にしていくということが非常に大事なことだと思う。 私は、本制度は一つの抜本的な検討の時期に来ていると、この資産の運用については考えるわけであります。余り親方日の丸でもうけてもどうかと思うのですけれども、もうけるというよりは、要するにお預かりしている金なんですから、それを高利回りに運用して、この制度そのものに魅力をつけてやるということが大事だと考えます。 〔委員長退席、武藤(嘉)委員長代理着席〕 次に、貸し付けの制度について最後に承りますが、聞くところによりますと、何か、原資を都道府県に積み増しして、都道府県の制度としてこの貸出制度を拡充しようというふうに考えておられるようでございますけれども、いま考えておる都道府県の積み増し融資の制度の運用についてはどういう考え方を持っておられるのか、さらに、また、その信用補完のための信用保証協会の保証枠であるとか、あるいは保証料の問題についてはどのように詰めをしておられるのか、これを承って私の本法の改正に関する質問を終わりたいと思います。
○田中国務大臣 いろいろと詳細にわたりまする御指摘、ありがとうございます。 何はともあれ、PRが欠けておるという諸先生方の御指摘に対しましては、私ども反省を要する点も多々あると存じまするし、また、経営その他運営の面におきましても、民間の保険業その他と比べましてお役所的なものがあっては相済まぬ、なお一層努力をしなければならぬと考えますが、御指摘の詳細の点につきましては政府委員から詳しくお答えいたします。
○岸田政府委員 幾つかの点につきましてお尋ねがございましたので、順次お答えをさせていただきます。 まず、加入目標を達成する自信があるかどうかという点でございますが、私どもも、この制度が少しでも多くの方に利用されるということが大切でございますので、全力を挙げてこれに取り組みたいと思っております。五十二年度におきましては加入者目標十二万件、それから五十三年度におきましては十三万件というふうに、逐次具体的な計画を組んでこれに取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。 〔武藤(嘉)委員長代理退席、委員長着席〕 それから、第二にお尋ねのございました口数をもっとふやして大口契約を増大すべきではないかという点につきましては、これはこの制度の趣旨からすれば、少しでも大口に利用すればそれだけ長い目で見て有利な給付金が受けられるという制度でございますので、私どもも従来から小口に加入した方については少しでも増口をしていただきたいというような運動をいたしてまいりました。現在では、先ほどもお話がございましたように、二十口の加入者が全体の五五・二%、それから十口以上というものを通算いたしますと、加入者の大体八割がそれに相当するというところにまいっております。特に今回は口数の限度も増加になりましたし、また、その相当部分については免税であるというような魅力も加えられましたので、これは一般的な傾向としてはかなり口数の増加をし得る見通しを持っておるところでございます。 それから、次にお尋ねのございました府県別でかなりばらつきがあるではないかという点は、私どもも承知をいたしております。これは各府県別の普及率の一覧表も用意をしまして各府県に流しておりまして、こういう状況にありますので、ひとつ低いところはぜひ高い県に見習って上げてほしいという運動を精力的にやっております。特に、これを進めます場合には各種中小企業団体の協力が大切かと思いますので、中小企業団体にもそのような資料を提供してこれの応援をお願いいたしたいと思っておるところでございます。 それから、その次にお尋ねがございました金融機関を通ずる加入促進において、見ておるとどうも一行当たりの取り扱い件数が都市銀行などが非常に多いという点についてどう考えるかというお尋ねでございますが、確かに、一行当たりの取り扱い件数は、支店の数などから見まして都市銀行、地方銀行が多くなっておりますが、総件数で見ますと、商工中金、信用金庫、信用組合、相互銀行等、以上のような中小企業を対象とします金融機関の取り扱い件数が全体の七割を占めておるところでございます。私どもも、こういった中小企業関係の金融機関の方々が本当にその気になって普及に力を入れていただくということが特に大切ではないか、今後とも力を入れていただくようにお願いをいたしたいと思っておるところでございます。 それから、次にお尋ねでございましたのは事務取扱手数料等の報償制度のあり方でございますが、いまお話のございましたように加入一口当たり三百円、それから毎月の掛金収納について一口当たり十五円という手数料を支払うことになっております。これは商工貯蓄共済との比較がいろいろお話に出ておりましたが、私どもは、全体として見ればそれほど差がないのではないかという感じを持っておりますものの、これはやはり積極的に魅力のある勧誘をしていただくということが大事なポイントでございますので、御指摘の点をもう一度いろいろ調べてみたいと思います。 それから、次に、人の面の増強が特に必要であるという点の御指摘は、私どももごもっともと思います。小規模企業共済事業団の人員の増強につきましても五十二年度二名の増員を予定いたしておりますほか、電算機等を活用いたしまして事務合理化を図り、そして一般的な加入促進体制の強化にも資していこうというようなことも考えております。保険会社のように人の力でくまなく回るというところまではなかなか力が及びませんけれども、団体のお力をおかりし、また、金融機関の窓口の協力を得まして、少しでも多くの方に利用していただけるようにしてまいりたいと思っておるところでございます。 それから、管理費の内訳についてお尋ねがございましたが、特にその中で事務代行手数料の額がどの程度になっているかという点でございますが、実績から申しますと、五十年度で五億八千七百万円余り、それから五十一年度で六億九千七百万円余り、それから五十二年度で八億三千五百万円余りという支出になっております。この額の推移をごらんいただきましても、やはり逐次この加入促進が増大しておるということが御理解をいただけるのではないかと思っておるところでございます。 それから、預託金の運用をもっと高利回りでやる工夫をしてはどうかという御提案でございますが、私どもも、お預りした資金を何とかうまく活用しまして、そして利用者の方に還元できる資金源を増強いたしたいと思っておるところでございます。お話がございましたように、最近の平均利回りが八・一四%になっております。ただ、お話の中でたとえば厚生年金基金等をお引きになりましての、もっと高い運用をしている例があるではないかという点ですが、これは私どももいろいろ実情の調査もいたしております。ただ、厚生年金基金のように株式購入等の資産運用ということになりますと、私どもとしてはやはり安全、確実ということをどうしても考えざるを得ませんので、そこまでいくのはいまの段階ではどうも行き過ぎになるのではないかということで、中小企業者に結びついたような資金の利用をしながら、そしてそれが最後に小規模企業の方に還元できる安全な制度ということを課題にして今後ともいろいろ工夫を続けてまいりたいと思うところでございます。 それから、新しい融資制度に対する府県での協力体制でございますが、これはいま各府県といろいろお話し合いをいたしておりまして、各府県の中で半数ぐらいが今年度は新しい融資制度に協力をしていただけるというところを大体の目標といたしております。私どもも、この制度がさらに広がるように今後とも各府県と相談をしてまいりたいと思っておるところでございます。 これに関連いたしまして、保証枠、保証料等の問題はないかという点でございますが、いまのところ現実には円滑にいくものであろうと予想いたしておるところでございます。 大成先生はこの制度につきましてはいろいろ実情をよく御承知でございますので、今後ともいろいろ御指導いただきたいと思います。
○大成委員 どうもありがとうございました。
○野呂委員長 佐野進君。
○佐野(進)委員 本会議の時間もございまするし、緊急上程をされる予定となっておりますので、質問につきましてはきわめて簡潔にいたしますので、答弁も具体的かつ簡潔にお願いをしたいと思います。 まず、第一に、この法律の審議に入ります前に大臣に全体的な問題として見解をお聞きしたいと思ったわけでございますが、時間の関係もございますので省略いたします。 ただ、中小企業を取り巻く環境は、日本経済が不況下にあえいでいるという現状の中でいよいよその厳しさを加えつつあるわけであります。その中で最も重要な問題は倒産の増加であります。したがいまして、この倒産問題については、当面政府のとる中小企業対策の中で最重点的な課題として取り上げていかなければならぬと私は考えるわけでありますが、倒産を課題として取り上げるにいたしましても、さて、どのようにその問題を把握して処理していくべきかということになりますと範囲、が大変広くなっていくわけであります。 そこで、私は、一つの具体的な問題を取り上げて質問をしてみたいと思うのでありますが、私の関係したある企業の中で、くつを生産している企業があるわけですが、そのくつを生産している企業は、大手の企業があり、そしてその次に中小企業のくつ生産企業があり、さらにその下にその請負をしておる企業があるという形で、一定の系列があるわけです。ところが、その一番大手の企業が今日の経済情勢の中で行き詰まりを来し、銀行から融資の道に対して非常に厳しい制限を受けるようになった。そうなりますと、大手が厳しいわけでありますから、中小企業にそのしわ寄せがいきます。したがって、大手が自分の厳しさを自分の犠牲の中で受けとめるのではなくて、次の企業にそのしわ寄せをするために、その企業がいま倒産の危機にあり、第一回の不渡りを出し、第二回の不渡りを出そうとしております。不渡りを二回出しますればその企業が倒産いたします。親企業は残るけれども、その中小企業はそのことによって倒産する、関連する小規模企業は連鎖反応を起こして倒産するという状況になっております。 それではこれを救う方法はないのかということでいろいろな角度から検討いたしますれば、その親企業に融資している大手銀行が親企業に対するところの融資の道を閉ざすことでなくして、それに対して当面救済をする措置を講ずるならば親企業も再建できるし、中小企業も再建できるし、小企業も当然営業を続けていくことができるわけです。こうなってまいりますと、結果的に倒産を誘発したのは大手銀行だということになるわけでありますが、これら大手銀行がみずからの経理の状況下において役員を派遣しておるにもかかわらず、企業の内容が苦しくなれば役員に命じてその企業を縮小させ、倒産させるという例は枚挙にいとまがないわけであります。 これは一つの具体的な例でありますけれども、そういうような状況の中で倒産が誘発されることに対して通産当局としてはどのような措置を講じられようとしておるのか、この際御見解を明らかにしていただきたい。
○田中国務大臣 簡潔にお答えをいたしたいと存じます。 ただいまのお話のように、みずからは健全な経営をいたしておるにかかわらず親企業あるいはその他の関係で連鎖倒産をするというような問題が多々起こってまいっております。それに対しまして、連鎖倒産防止の体制を先般も中小企業庁を中心にいたしまして末端に指示をいたしたような次第でありますが、簡単に申すならば、政府系三金融機関に対しまする特に貸し出しに対しまして別枠の融資の限度を設定いたすこととか、あるいは特定の場合の適用金利の軽減でありますとか、あるいは償還期間、担保徴求等の貸し付け条件の緩和等を特に倒産防止のために中小企業倒産防止対策の緊急融資という名のもとに施行いたした次第でございます。今後はまた地区別の中小企業金融懇談会の場等を活用いたしまして、関係機関と密接な連携のもとに融資制度を機能的に有効に活用してまいる、かような方針のもとに実施いたしております。
○佐野(進)委員 大蔵省の銀行局からおいでになっておられると思いますが、これら大手銀行が系列下の企業に対して、その企業の経理を合理化するために、企業運営を健全化させるために関連中小企業に対する融資を差しとめ、そのことによって小規模企業者が連鎖倒産の危機に陥るという例があることはいまの大臣の答弁の中にもあるわけでありますけれども、大蔵省としては具体的にどのような対策をとっておられるのか。これに対して、それら大手銀行に対する厳しい措置を講ずべきであると思うのでありますが、銀行局としての見解を明らかにしていただきたい。
○宮本説明員 先生の御指摘のとおり、金融機関の融資のあり方によりましてかなり倒産が防止されるというふうなケースのあることは私どももよく承知いたしております。従来、金融機関に対しましては、大衆からの預金を大切にするというふうな見地もございまして、健全経営ということを主に、たとえば貸し出し等につきましても確実なところに貸すとか、あるいは担保を十分取るとか、そういうふうな指導が行われてきたわけでございますけれども、石油危機以降大変世の中が変わってきておりまして、銀行の融資のあり方等につきましても、単に健全経営という見地からだけではなく、まじめに努力しておる企業につきましては若干の危険を冒しましても一時的な融資に踏み切るというふうなことも必要ではないかということで、長い目で見てその企業を育てていくというふうな見地から、従来と同じような単純な健全というようなことだけの見地から融資をするようなことのないように、このところは積極的に前向きにその点についても指導いたしておるところでございます。 ただ、金融機関でございますのでどうしても確実というふうなところに主眼を置きやすい。あるいはまた最近は非常に世の中が変わってまいりまして、企業等におきましても思わぬケースで破綻を来すようなこともございますので、その辺との兼ね合いが非常にむずかしゅうございますけれども、一方で健全性を堅持しながら、そういうような倒産防止につきましては十分配意するように常常指導しているところでございます。
○佐野(進)委員 この点につきましては、大臣に、いまの答弁の趣旨に基づきまして関係局等に対してさらに積極的に倒産防止のために対応していただくよう指導していただくことを要望しておきたいと思います。特に、中小企業庁におきましては、中小企業の倒産防止が今日最大の課題になっている現況にかんがみ、関係省庁との連絡をとりながら、いわゆる系列の中における大手企業の下請関係が系列関係打ち切りの犠牲の中で倒産が発生しないように、特に金融系列等については具体的に積極的に対応していただきたい。これを要望しておきたいと思います。 第二番目は、今日の景気対策の中で最重要課題として公定歩合の引き下げが行われたわけでありまして、このことについては私どもは歓迎するわけでありますが、これに関連して預金金利の引き下げがうわさされ、貸出金利等の問題も非常に大きな課題になりつつあることは大臣も御承知のとおりでございます。 私どもはこの内容について目下つぶさに検討を加えつつあるわけでありまして、それに連動して金利引き下げの範囲はどこに置かれるべきか、どこまでその範囲を置くべきかということにつきましても検討を加えております。恐らく当局としても努力をしておられると存じますが、ただいたずらに庶民の預金金利が引き下げられるということであってはならないし、さればといって一般の企業金利が引き下げられる、貸出金利が引き下げられるということは望ましいことであるというような矛盾等もあるわけでありまするが、いずれにせよ、金利の引き下げを通産当局としては積極的に進めていただくことが今日の企業の経営の実態に即して最も必要であろうと思うわけでありますが、その点について大臣の御見解を明らかにしていただきたい。
○田中国務大臣 先般の〇・五%金利の引き下げ並びに昨日の一%引き下げは、預金金利につきましては、景気対策の上から申しましてこれを行ったわけでございます。 なお、また、御案内のとおり、この金利の引き下げと並行いたしまして、おかげさまで予算が成立いたしましたので、予算の執行の面につきましても、今朝の閣議におきまして上半期に七割をどうしても実行に移すというような強い政策を打ち出すことを決定いたしたような次第でございまして、あわせて御報告を申し上げます。
○佐野(進)委員 金利の問題については、今日の経営の実態の中で非常に大きなウエートを占めておるわけでございまするから、公定歩合の引き下げに関連して貸出金利の引き下げも当然考慮していかなければならぬと思うわけであります。 そこで、大蔵省にお尋ねいたしますが、過日の〇・五%の金利引き下げに対して商工中金は政府系金融機関として一定の金利の訂正、いわゆる引き下げを行っておりますが、中小企業金融公庫、さらに国民金融公庫等におきましては具体的にどのように対応されておられるのか、これからどう処置されようとするのか、この点について明らかにしていただきたい。
○宮本説明員 昨日公定歩合の引き下げが決定されまして、それに追随いたしまして市中の貸出金利が低下する。また、私どもといたしましては極力その低下幅を大きくするように指導いたさなければならないと考えておりますが、いま御指摘の政府関係金融機関の金利につきましては、これは主として長期の設備資金ないしは長期の資金が多いような状況でもございます。したがいまして、これから長期の金利の引き下げも近く日程に上ってくるのではないかと思います。 したがいまして、長期の金利、たとえば民間におきます長期のプライムレートはいま九・二%でございますが、このようなものが引き下げが行われるような状況になりますれば、当然に政府関係金融機関の金利につきましても関係者の間で検討がなされ、引き下げの方向へ進むのではないかと想像はいたしておるわけでございます。
○佐野(進)委員 大臣、これにつきましては、関係省庁、特に大蔵省との折衝の中で中小企業金融対策として重要な意味を持っておりますので、積極的な御努力を要望しておきたいと思います。 さて、時間が大分たちましたので、小規模企業共済法の内容について質問をしてみたいと思いますが、すでに質疑が進められ、それぞれその内容が明らかになっておるわけでございますが、私は数点にわたり質問をしてみたいと思います。 まず、第一に、中小企業従業員の退職金共済制度の問題についてでございますが、これらについては、この共済制度との関連の中で政府の補助が非常に少ないのではないか。八百円の掛金に対して三年以上では五%で一月当たり四十円、十年以上で一〇%で一月当たり八十円というような程度しか補助が行われていないわけでございますが、この政府補助を増加させるという点について努力をいたすべきではないかと思うのでありまするが、この点についてどう考えられるか、大臣並びに長官の方で、総括的な立場で結構でございますから見解を明らかにしておいていただきたいと思います。
○岸田政府委員 小規模企業の従業員の共済制度につきましては、私ども直接所管ではございませんので答弁を差し控えさせていただきたいと思いますが、私どもの所管いたしております小規模企業共済事業団につきましては、従来からその事務運営資金について全額補助をし、また、逐次その出資の応援をいたしてまいったところでございます。 私どもも、今後ともこの小規模企業共済事業団が円滑に運営されるように、その助成については意を用いてまいりたいと思っておるところでございます。
○佐野(進)委員 それでは、その内容について一括して若干質問してみたいと思います。 まず、第一に、政府の補助が少ないから加入者が少ない。したがって、この加入者を増加させるためには、中小企業の従業員の退職金共済制度の趣旨から言って、いま申し上げたような補助を積極的にしてもらわなければならないと思います。第二には退職金が少ない、第三には中小企業は魅力ある職場になっていないという形の中で、この面は一つの不満の起きる条件となっておるわけであります。いわゆる退職金その他の福祉的な措置がきわめて不十分であるという形の中で、中小企業に働く従業員の人たちが中小企業に対してよりも大企業へと流れていくと思うわけでありますので、これらについてひとつ積極的に対応していただきたいと思います。 特に、この問題につきましては、法律を改正して国の補助を増額することを——いまの長官のお話のように、これは労働省所管ということでもございますから直接的には関係ないといたしましても、中小企業共済法を制定しているこの状況の中で、労働大臣と話し合い、積極的にこの面を推進していかれる必要があろうと思うのでございますが、大臣の見解をこの際明らかにしておいていただきたいと思います。
○田中国務大臣 お答えいたします。 所管の問題は別といたしまして、中小企業全般を取り扱っておりますわれわれといたしましては、先生の御指摘の従業員に対します問題につきましても、あるいはまた事業主の共済制度にいたしましても、これらの充実を図っていかなければならないと思っております。 もう一つは、やはりわれわれのPRがよほど不足しておるのではないかということですが、こういう制度があるということを知らない方々も、お忙しい仕事の中ではなかなか周知徹底が無理であるので、私どももその点は十分心がけて、もっと皆さんに喜んで加入していただけるようにして、そしてまたその内容も充実してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○佐野(進)委員 労働大臣と話し合うということについてはどうですか。
○田中国務大臣 これらの問題は、労働省の方とも、私どもの方でまた御指摘によりまして連絡もとりたいと存じます。
○佐野(進)委員 それでは、最後の質問をいたしたいと思いますが、本法律案につきましてはすでに長時間にわたって審議が行われておるわけでございますから、その内容も深く掘り下げておられるわけでありますが、そこで、私は、これらの質疑を通じての経過の中で次の諸点について大臣と長官の見解を聞いて質問を終わりたいと思うわけであります。 その一つは、小規模企業共済制度の一層の発展を期するため、いまの従業員の共済制度の関連もございますけれども、一層その助成を充実しなければならないと思うようなわけでございますが、この点についてのお考えを聞きたい。 その次は、小規模企業共済事業団における共済加入者のための福利厚生施設の設置等について積極的に検討していかれる必要があるのではないか。これは特に質疑を通じて明らかにされておりますので、この点についてのだめ押し的な質問になりますが、御見解を明らかにしていただきたい。 その次は、還元融資については、共済資産の規模の拡大に応じ、経済事情の変化及び加入者の資金需要に対応できるよう、その拡充を図っていかれるべきではないかと思いますが、その御見解はいかがでございますか。 最後に、共済給付の改善に関し、引き続き制度の充実、見直し等を検討する必要があると考えるわけでございますが、見解はいかがですか。 これらの諸点についての大臣並びに長官の見解をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○田中国務大臣 お答えいたします。 御指摘の国の助成の充実の問題でありますとか、あるいはまた小規模企業共済の加入者の福利厚生施設の設備等の充実、検討とか、さらにまた引き続いて本制度の見直し等先生の御指摘に対しましては十分に考慮して今後進んでまいりたい、かように考えております。
○岸田政府委員 この制度を少しでも改善し、そして魅力のあるものにするために、いま御指摘の諸点を含めまして今後とも努力をしてまいりたいと思います。
○野呂委員長 以上で、内閣提出、小規模企業共済法の一部を改正する法律案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○野呂委員長 この際お諮りいたします。 板川正吾君外九名提出、小規模企業共済法の一部を改正する法律案について、提出者全員から撤回の請求がありました。 本案は、すでに本委員会の議題となっておりますので、これを撤回するには委員会の許可を要することになっております。 よって、本案の撤回を許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野呂委員長 御異議なしと認め、撤回を許可することに決しました。 —————————————
○野呂委員長 これより内閣提出、小規模企業共済法の一部を改正する法律案を討論に付するのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○野呂委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○野呂委員長 次に、本法律案に対し、橋口隆君外五名より、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブ六派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 まず、提出者より趣旨の説明を求めます。佐野進君。
○佐野(進)委員 ただいま提案いたしました附帯決議案につきまして、提案者を代表して私からその趣旨を御説明申し上げます。 まず、案文を朗読いたします。 小規模企業共済法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本法施行にあたり、小規模企業共済制度についてさらに改善を進め、その魅力を高めることにより、加入の促進及び途中解約の減少を図るため、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。 一 小規模企業共済制度の一層の発展を期するため、国の助成の充実に努めること。 二 小規模企業共済事業団における共済加入者のための福利厚生施設の設置等について検討すること。 三 還元融資については、共済資産の規模の拡大に応じ、経済事情の変化及び加入者の資金需要に対応できるよう、その拡充を図ること。 四 共済給付の改善に関し、引続き制度の見直しを検討すること。 以上であります。 本決議案の内容につきましては、法案審議の過程及び案文等により、各位におかれましては十分御理解願えることと思いますので、個別の御説明は省略させていただきます。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。 以上です。
○野呂委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○野呂委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。 この際、附帯決議について、政府から発言を求められておりますので、これを許します。田中通産大臣。
○田中国務大臣 ただいま議決をいただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして対処してまいりたいと存じております。 ありがとうございました。 —————————————
○野呂委員長 お諮りいたします。 本案に関する委員会報告書の作成については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○野呂委員長 午後四時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後零時十七分休憩 ————◇————— 午後四時一分開議
○野呂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 本日付託になりました内閣提出、中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律案を議題といたします。 提案理由の説明を聴取いたします。田中通商産業大臣。 ————————————— 中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○田中国務大臣 中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。 中小企業の事業活動の機会を適正に確保することは、中小企業基本法の制定以来中小企業政策の重要な柱の一つとなっております。このため、すでに昭和三十九年、中小企業団体の組織に関する法律の一部改正により、中小企業と大企業との間に生ずるいわゆる事業分野をめぐる紛争について、これを当事者間の自主的努力を基本として解決するための特殊契約制度が商工組合の行う事業として創設されたところであります。 しかしながら、以来現在までこの制度の運用実績は乏しく、また、石油危機以降内外経済環境の変化によりわが国経済が安定成長への移行を余儀なくされている中で、従前中小企業が多く手がけてきた事業の分野において大企業の進出をめぐる紛争の発生が増大するに至りました。このような状況を背景として、時代の要請に合致した新しいルールをつくるという観点から、より実効の挙がる法制を確立すべきであるとの要請が、国会における与野党一致の決議を初めとして各方面において高まることとなった経緯は御高承のとおりであります。 政府といたしましては、このような情勢に対処し、中小企業と大企業の事業分野の調整のあり方について中小企業政策審議会に検討をお願いしておりましたところ、昨年十二月新規立法の方向について各方面の意向を取りまとめた意見具申を受けたのであります。 本法案は、この意見具申で示された方向に沿って、関係各方面の御意見を十分聴取しつつ作成したものであります。 次に、本法案の要旨について御説明申し上げます。 第一は、一定の要件を備える中小企業団体の申し出を受けて、主務大臣が大企業の進出に関し調査を行い、その結果を通知することとしたことであります。これにより、中小企業団体が大企業の進出情報を早期にかつ的確に入手し、適切な時点を選んで調整の申し出を行うことが可能となるのであります。 第二は、中小企業団体の調整の申し出を受けて、主務大臣が中小企業の事業活動の機会を適正に確保するため、学識経験者により構成される中小企業調整審議会の意見を尊重して、勧告により大企業者の事業活動を調整することとしたことであります。これにより、大企業の進出について行政が積極的に対応し、迅速かつ的確に調整を行うことが可能となるのであります。 勧告により大企業者の事業活動を調整する方法をとりましたのは、分野調整に際しましては、経済の効率化の達成や消費者利益の増進といった自由経済のメリットを可能な限り損なわないよう配慮しつつ、多種多様な問題に対し機動的な調整を行う必要があり、そのためにはこのような調整方法が妥当と考えられるためであります。 第三は、主務大臣が、調整の申し出のあった案件に関し、大企業の進出が切迫している場合には、これを一時停止すべき旨の勧告を行い得ることとしたことであります。これにより、大企業の進出が既成事実化し、調整が難航することを防止することが可能となると考えております。 以上がこの法案の提案理由及びその要旨であります。 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手) ————◇—————
○野呂委員長 次に、松本忠助君外三名提出、下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案を議題といたします。 提案理由の説明を聴取いたします。提出者松本忠助君。 ————————————— 下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○松本(忠)議員 ただいま議題になりました下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。 本法は、取引関係で弱い立場にある下請事業者の利益の保護を図るため、下請代金の支払いの期間及び支払い条件等について基準を定めておりますが、実際には不況の深刻化等、経済変動の影響が下請事業者に著しくしわ寄せされ、親事業者から不当に不利な取引条件を押しつけられる場合が少なくないのであります。 たとえば不況により親事業者は減産に追い込まれると、下請事業者に対する発注量を大幅に減らすのみならず、自社の操業率の低下を食いとめるために、それまで外注に出していた仕事を社内生産に切りかえる内製化を進めることにより、下請事業者の一方的な切り捨て、あるいは自社生産の減少分をはるかに超える仕事量の削減を行うのであります。 さらに、親事業者は資金繰りが苦しくなると、下請代金の支払い条件についても現金比率を引き下げたり、納品から支払いまでの期間、さらには手形の決済期間を延長して下請事業者にその負担を転嫁することになります。言うならば、親事業者は下請事業者を景気変動のクッションとして利用しており、景気がよいときは生産費の節減を図るために多くの外注を出す一方、不況時にはこれらを切り捨てて不況の影響を少しでもやわらげようとするのであります。 このように親事業者は下請事業者を利用して不況に対処することができますが、下請事業者にとっては自己防衛の手段は全くありませんので、その利益を保護するためには法的に十分な措置が必要なのであります。 この点から見ますと、現行法は一部にざる法とも言われるように、下請事業者の保護対策としてはきわめて不十分な内容であります。 そこで、本改正案は、下請事業者の置かれている現状にかんがみ、支払い条件について規制を強化して、親事業者と下請事業者との公正な取引を確保し、もって下請事業者の経済的利益の保護を図ろうとするものであります。 次に、改正案の内容について御説明申し上げます。 第一は、下請代金の支払い期日を現行の六十日以内から四十五日以内に短縮することであります。 本来、下請代金は給付受領後遅滞なく支払うべきものであります。しかしながら、現実は、不況となり資金繰りが苦しくなると代金の支払い期日を繰り延べる傾向が見られます。 この際、下請代金を速やかに支払い、下請事業者の保護を図るため、支払い期日を給付受領後四十五日以内に短縮することといたします。 第二は、下請代金のうち、現金支払い部分の比率を新たに定めることであります。 親事業者は、資金繰りが苦しくなると、下請代金について現金支払いの比率を下げる傾向が見られます。 手形の場合は金融機関で割引くとき一定の割引料がかかりますし、また、実際には、金融機関により手形金額の百分の十五ないし百分の三十を歩積みとして強制的に預金させる場合が少なくありません。 さらに、手形が不渡りになった場合には、下請事業者は金融機関からそれを買い戻さなければならず、それだけ危険負担を負うことになります。 このように、手形による支払いは下請事業者にとって相当不利な面がありますので、公正な取引を確保するため、親事業者は、下請代金のうち、親事業者の現金支払い比率の実態及び支払い能力を勘案して、百分の四十以上を現金または小切手で支払うように努めなければならないことといたします。 第三は、都道府県知事に、中小企業庁長官と同様に本法違反事実に関する立入検査、報告の要求、公正取引委員会に対する措置の請求の権限を与えることであります。 現行法ではこれらの権限は都道府県知事に与えられておりませんが、膨大な下請取引の実態について十分に把握し、それに関して必要な措置を講じて下請事業者の保護に遺憾なきを期すためには、これらの権限を都道府県知事にも付与することが必要であります。 第四は、親事業者は下請事業者との継続的な取引関係を維持するように努めるべき旨の規定を新たに設けることであります。 これは、経済変動により親事業者の生産が縮小されると、外注部分を大幅に減らして一方的に下請事業者を切り捨ててしまう場合が少なくありませんので、下請事業者の立場を保護するために、親事業者は継続的な取引関係にある下請事業者に対しては引き続きその取引を維持するように努めるべきことといたしました。 以上が本法律案の提案理由及び要旨であります。 何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
○野呂委員長 以上で、両案についての提案理由の説明は終わりました。 両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。 ————◇—————
○野呂委員長 次に内閣提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案及び多賀谷真稔君外八名提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山崎拓君。
○山崎(拓)委員 独占禁止法の改正案が再び国会に提出されることになったわけでございますが、独禁法の改正の意義につきましては私どもも十分認識をいたしておるわけでございますけれども、本国会に提案されました政府案並びに四党案につきましてこのまま成立を見ますことにつきましては、私どもいろいろの点におきまして疑念を感じておるものでございます。 わが党も質問予定者は十数名に及んでおりまして、これから十分審議を尽くしまして、この独禁法の改正案件が今後の日本経済に資するものでありたいと念願をいたしております。 そこで、まず、私はきょうは政府案に限って御質問申し上げますが、基本的理念についてお伺いしてまいりたいと思っております。 本法案が国会に提案をせられました提案理由の説明を拝見しておりますと、「最近における経済を取り巻く環境は著しく変化しており、わが国経済は従来のような高度成長を期待することはできず、安定成長に向かって大きく変貌を遂げようとしております。このような環境のもとで今後のわが国経済の一層の発展を図るためには、情勢の変化に適応し、国民の理解の得られるルールを確立して、公正かつ自由な競争を促進し、自由経済に新しい活力を与えることが必要となったのであります。」と述べられております。これが独禁法を改正する提案理由の主たるものだと了解をいたします。 そこで、まずお伺いしたいのは、ここに述べられておりますところの、経済を取り巻く環境の著しい変化という点でございますが、そもそも独禁法改正の機運というのは、かつて過剰流動性その他の原因によりまして商社の買い占め、売り惜しみ等の行為が問題になったことがございまして、それから続いて石油ショックが起こりまして、石油企業のやみカルテルの摘発等の問題が発生いたしまして、企業悪に対する国民の批判がその当時非常に強く出てまいったのでありますが、そのような主として企業のビヘービアに対する国民の批判から独禁法改正の機運が生まれてきたと私は承知をいたしておるわけでございますが、その点につきまして、長官、いかがでございますか。
○藤田国務大臣 独占禁止法は、昭和二十八年以来二十年間以上の間、実質的な改正を行っておりません。 この間、わが国の経済は、競争の中に生かされた民間経済の活力に支えられまして目覚ましい発展を遂げてきましたけれども、このような発展の中で寡占化等の形による企業集中が徐々に進行し、寡占的な経済体制のもとにおける独占禁止法の有効性の確保につきましては種々の観点から疑問もあり、そしてまた研究も進められておりました。他方、昭和四十年代の後半に入ると、いわゆるドルショック等の国際的な環境の変化、公害意識の高まり等、わが国経済を取り巻く環境は次第に変化し、従来のような高度成長を期待することはできなくなり、安定成長を旨としての経済運営を行っていかざるを得ない状況と相なってきました。このような中で、競争政策の強化の必要性は一層強まることとなったのであります。 おっしゃいましたように、いわゆる石油ショック以降独占禁止法の改正の動きが強まったことは事実でございますが、政府としては、今後の日本経済のルールを確立するという長期的な観点からこれに取り組むべきものと考えた次第でございます。
○山崎(拓)委員 ただいま長官がお述べになりましたように、経済環境の著しい変化というのは石油ショック後に発生したものと私は考えております。 当時の石油ショックあるいはそれ以前の経済の混乱というものを考えてみますと、それは今日の経済の状況と違いまして、非常な人為的な面もありますが、供給の不足が一方にあり、同時に、仮需要その他需要の増加という現象があったわけでございまして、今日の需給のアンバランスとパターンが異なっておると私は考えるわけであります。したがいまして、確かに、経済環境の変化ということは、高度経済成長が望めなくなりまして、フロンティアとしての新しい事業分野が今日は少なくなったということでございまして、各企業の集団とも共存共栄のための協調への誘惑が非常に強いということはよく言われるところでございますが、しかし、振り返ってみますとむしろ需要が強かった。そして、供給不足時代に非常に不当あるいは不公正な企業の行為というものが生まれたのでありまして、今日はむしろ供給が過剰であり、需要が不足しておる。 こういう経済情勢の中で独禁法改正をやらなければならないような企業のビヘービアというものが果たして顕著になってきているのかどうか、この点についての御認識を総務長官にお伺いしたいのであります。
○藤田国務大臣 確かに、先生がおっしゃいますように、現在は安定経済成長下と言いますと形はいいのですが、あるいは不況下と言ってもいいのかもしれません。この不況下に公正な自由な競争の状態が進行されていきつつあるのか、あるいは停滞の方向に向かっておるのか、これは判断の分かれるところであります。 われわれは、このような状態におきましてもやはり高度な寡占の状況は進行していくものだというふうに思いますし、また、今回のこういう独占禁止法の改善をすることによって企業の公正な活動を、競争の活力をより一層この安定経済成長下に取り戻せるものだと、かように思いますので提案をした次第でございます。
○山崎(拓)委員 寡占が進行しておるという御指摘でございましたけれども、オイルショック後三年有余の不況の期間を通じまして、果たして寡占の弊害というものが具体的にふえておるのかどうか、こういう点についてお伺いいたしたいわけでございます。 それと同時に、安定成長下では競争が少なくなるという一般論、常識論というものがあるわけでございますが、今日見ておりますと、たとえば不況カルテルの申請が相次いでおるということでございまして、産業界は実際は非常な競争場裏にあるのではないか、いわば過当競争と言っても過言でないような熾烈な競争にむしろさらされているのではないか、したがって寡占の弊害がその後逐年ふえてきておると、こういう御認識に立ってこの法案を提出されたと思うのでありますが、私どもはそのように考えないのでありますが、いかがでございますか。
○澤田政府委員 法案の提案の趣旨につきましては総務長官から申し上げたとおりでございますが、ただいまの御質問の点に関しまして申し上げますと、わが国の経済の推移を見ておりますと、近年産業の寡占化が進行しておるということは見過ごしのできない点であると考えます。こういう状況のもとで公正かつ自由な競争が期待しにくい環境が醸成されつつある、こういう傾向を放置いたしますと競争政策の有効性を確保することについて憂慮されるというふうに判断をいたすのであります。 寡占の弊害と申しますと、現実のもの、予想されるものと、いろいろあるわけでございますが、企業の集中度と価格の下方硬直性の関係、あるいは生産集中度と卸売物価の相関関係等、いろいろ考慮せらるべき問題が起こっておるように考えるのでありまして、先ほども総務長官からお話しのように、そういう状況におきまして公正かつ自由な競争を促進いたしまして自由経済に新しい活力を与えるという意味で、今回の改正案は長期的な独禁法の理念を考えたものと私は理解いたしておるのでございます。 確かに、御指摘のように長期の不況でございますから、産業が不況カルテルを余儀なくされるような業種も少なくないのでございまして、その点は非常に厳しい情勢ではありますけれども、今回の改正は、先ほど申したような意味で、長期的な観点から産業のあり方に対するルールを一層推し進めてまいるというふうなものと理解しておるような次第でございます。
○山崎(拓)委員 いま公取委員長のお話があったのですが、これは新聞の報道でございますが、澤田委員長が十三日の記者会見で不況カルテルについて述べておられまして、「「景気停滞を反映しているものだろうが、申請があればできるだけ早く結論を出し、前向きに認可したい」と、公取委の立場から産業界の景気回復に積極的に協力する姿勢を示した。」ということであります。これはサンケイの記事でございますが、こういう記事もございまして、非常に不況が深刻であり、かつその不況下におきましては過当競争が行われておるということを御認識なさっているのではないかというふうに行間から読むわけでございますが、その点についてなお付言する点があればお伺いしたいと思います。 それから、長期的に見て経済の基本的なルールを確立するということでございまして、それが本法案提案の趣旨であろうかと思うのでありますけれども、提案理由の説明を見ますと、「国民の理解の得られるルール」ということが実は出ておるわけであります。ところが、本日、いわゆる中小企業分野調整法が国会に提案をせられたわけでございまして、こういう競争制限的な法案と競争促進のための独禁法とがはからずもこの商工委員会におきまして同時並行的に審議が行われることになったということで、果たしてこれが国民の理解の得られるところであろうかと思いますと、私は非常に疑問を感ずるわけでございますが、その点につきまして、分野調整法と独禁法改正との同時提案というのは矛盾しているのではないかというように私は思うのです。 分野調整法の提案の趣旨を見ましても、経済環境の変化に応じて時代の要請に合致した新しいルールをつくるのだということが述べられておるわけでございまして、全く同趣旨の提案理由の説明になっておりまして、この辺がはなはだしく矛盾すると私は思うのでございますが、総務長官、いかがでございますか。
○藤田国務大臣 独占禁止法は競争を促進することによって国民経済の健全な発達に資するという目的があるわけでありまして、あらゆる事業分野に対しまして一般的な一般法としての性格を有するといいますか、そういうものであろうかと思うのです。ただ、特定の分野を限って見るならば、競争政策が必ずしも妥当ではないと考えられる分野もあるわけでございますから、そういうふうな分野に関しましては、従来から特別の事業法等を制定して競争原理の外に置くということもなされてき、たわけでございます。 そのような意味合いにおきまして、いま申されました分野調整法も同時に提案されたのは別の意義がある、私はかように思う次第でございます。
○山崎(拓)委員 中小企業の分野に関しまして、競争政策のらち外に置く必要がある面もあるというお話であろうかと思うのでありますが、私は、私なりに解釈をいたしますと、産業政策、経済政策の観点から言うならば競争政策のらち外に置く分野もあるんだということであろうかと思うのです。そういう意味におきまして、産業政策と競争政策の整合性ということは非常に大切な追求課題だと思うのでございますが、その観点から申し上げますと、競争政策というのは公取が独禁法に基づきましてこれを推進するという立場に立っておるわけでありますけれども、公取の権限というのは非常に強大なものである、内閣から独立をした機関である、ということがよく指摘されるところであります。しかしながら、公取は内閣から独立した機関であって、国民経済の運営に直接責任を負う立場にも同時にないわけであります。 そういう意味で、これからむずかしい時代に経済政策、産業政策、金融財政政策というものと並びまして、競争政策もその一環として日本の経済を巧みに運営していかなければならないわけでございますが、そういう意味において経済政策と競争政策の整合性をどのようにこれから持していかれるのか、その点について御見解を承っておきたいと思います。
○澤田政府委員 先ほどカルテルについてちょっと御質問がございましたので一言触れて申し上げておきたいと思いますが、御指摘のように非常にむずかしい情勢にありますので、次々と不況カルテルの申請の動きがございます。過般綿紡績につきまして認可いたしましたが、その後塩化ビニールあるいは合繊、段ボール等がまた申請があるのではないかと思いますが、お話しのように実情をよくつかみまして、法の要件に照らし審査を進めて、できるだけ早く結論を出して対処したいと考えておる次第でございます。 不当競争の問題がございましたが、こうしてカルテルの申請等の苦しい業界をながめておりますと、例外なくと言っていいほど構造問題を含んでおります。競争もありますが、構造問題の重大性というものがそこに絡んでおりまして、非常にむずかしい事態になっておることを私どもも深く認識しておる次第でございます。 それから、公正取引委員会の職権の独立性と産業政策との整合性というものでございますが、これにつきましては私どもは最も留意すべきものと考えておるところでございまして、独占禁止法の精神によって競争政策の根幹を遂行いたしますとともに、それが国民経済の発展活力になりますよう、国の産業政策との整合性につきましては十分配慮の上、その運営につきましても、御承知のように合議制の体制をとっておりますので、法の運用にはその合議制という行政機関の特徴を生かしまして誤りなきを期したいと考えておる次第でございます。
○山崎(拓)委員 通産大臣にお伺いいたしますが、今度の独禁法改正案は、藩閥有名なように構造規制が入っておるわけでございまして、その点が最も論議を呼ぶところでございます。 構造規制は産業政策の範疇に属するものであると考えるわけでございますが、そのような意味におきまして、ただいま申し上げました質問と同趣旨の点について大臣の御意向を承りたいと思います。
○濃野政府委員 お答え申し上げます。 私ども産業所管官庁は、各省設置法で各省に与えられました任務と権限の範囲内で、各産業なりあるいは各企業をそれぞれの立場から見まして、これが適当だと思う方向に、あるいは法律によりましていろいろな規制措置をいたしましたり、あるいはいわゆる行政指導というものを中心に誘導していくというのが産業政策の方向であろうと私ども考えております。 産業政策と競争政策との関係でございますが、私どもも、従来から、産業政策の遂行に当たりまして、その点は競争政策との関係と矛盾がないように十分留意をしてきたつもりでございますし、今後ともそういう意味で競争政策と産業政策の調整には最も注意していかなければならない、かように考えております。 現在、通産省といたしましての産業政策の一番の基礎は、これからの減速経済に対応いたしまして企業の活力の維持、高揚を図るということで、そのためには、現在の経済体制を前提にいたしますと、いわゆるマーケットメカニズムと申しますか、これの持っておる効用を一番発揮できるような体制に産業構造の面でもあるいは産業組織の面でも持っていくことが重要だと思いますし、その際、先ほど公取委員長の御答弁にございましたように、これを競争で片づけるか、あるいは場合によってはいわゆる行政権の介入と申しますか、関与の方法あるいはその程度をどうするかということについて十分その調整に努めていくことが必要であろう、こういうふうに考えております。
○山崎(拓)委員 提案理由の説明の中に、独禁法を改正することによって自由経済に新しい活力を与えるということがあるわけでございますが、果たして本改正がそのようなことにつながり得るものであるかどうかという点について私は疑問を抱くものでございます。確かに、かつて商社の買い占め、売り惜しみの問題が起こりましたときに国民生活安定緊急措置法が制定せられましたし、本改正案におきましても株式の保有制限の強化という項目が織り込まれておるわけでございまして、この点はそういう方向に沿ったものであると考えます。また、石油ショックの際に千載一遇のチャンスというような不当な言葉が出ましたけれども、そういうことで、石油企業の当時の不当なビヘービアというものにつきましては、今回不当な取引制限等に対する課徴金あるいは排除措置等々の新しい改正点が織り込まれておるわけでございまして、その点につきましては、まさに自由経済に新しい活力を与える方向にこの改正が進んでおるということは私も評価いたします。 しかしながら、くだんの構造規制の問題でございますが、五百億、五〇%、二社七五というような独占的状態の中の一つの前提条件があるわけでございますが、そういう独占的状態になっていない、弊害を生んでいない企業、しかしながら企業分割の対象となり得るような条件を有した企業というのは、それ以上拡大発展することはみずからの手足を縛ることになりかねないという危惧が当然生じてまいるわけであります。したがって、その結果経営努力による企業の拡大発展の意欲を阻喪してくるということは当然考えられるわけでございまして、そういう観点からいたしますと、むしろ活力をそぐのではないかというふうに私は危惧するものでありますが、この点についてはいかがなものであろうかと思います。 その点は、価格の同調的引き上げの項目につきましても同じようなことが考えられるわけでございまして、三社七〇という基準になっておりますけれども、そういうボーダーラインに来ている業界というものが競争によるシェアの向上に努めないということにもなりかねないわけでございます。そのことがひいてはどうしても国際競争力を強化し、あるいは企業の体質を強めなければならないという命題から外れてくるのではないかと思うのでありますが、その点についての御見解を、これは総務長官並びに通産大臣にお伺いしたいと思います。
○藤田国務大臣 独占的状態というものは、さっきおっしゃいましたような一つの土俵というものがあって、その土俵の上に——五百億以上の一定商品の売り上げがあり、そしてまた一社五〇%、二社七五%という、それを土俵と言っているわけですが、その上で弊害があらわれてきたときに初めて独占的状態と言い得ると思うのです。ただ単に大きいから独占的状態であるとか、大きいから悪いんだというふうなことではないと思うのです。大きくても安くて良質の品物を国民に供給していただくならばりっぱなことでございますし、歓迎すべきことだと思うのです。ですから、シェアを高めることを何ら恐れられることはないというふうに思うのです。 ただ、たくさんの弊害が相当長期間にあらわれた場合にこそ初めて独占禁止法の全面的な対象となるということでございますから、もうすでに先生御存じのとおりに、過大な経費の支出があるとかあるいは著しい不利益があるとかというふうな弊害の基準が設けてありますし、また、それらも相当期間そういうものが続くことによって初めて弊害としてつかまえられるということになっておりますし、企業が大きくなることが決して悪いことでもないし、そして企業はそういうことがあることによって、こういうふうな法律があることによってまた注意深い経営もなされていくであろうし、そして、また、そういう面で公共に対してもマイナスの行為はとられないようになろうというふうなことをわれわれは考えておるわけでございます。 だから、政府としても、各大企業なり、そういう独占的あるいは高度寡占に近い企業の方々にこの改正案の趣旨が十分に理解されることを望んでおる次第でございます。
○田中国務大臣 ただいまの御質問でございますが、あるいは独占的状態を形成することによりましてこれが産業政策上悪い面が生ずるというようなこととか、あるいはまた国民経済上いろいろの不都合を来すということとか、産業政策との調整という問題についてもいろいろ御議論がございましたが、経済というものが本当に日本国家、国民のために活力を持っていけるようにして、そしてこの冷え切った経済を引き上げて景気を浮揚させるとか、あるいはまた厳しい国際場裏のもとに大いに活力を発揮して日本経済を守っていくとか、要はそれはその行政を扱う者の行政指導なり心構えによるものでございまして、これが二律背反するものだとか、あるいはまた寡占はいけないものだとかというふうなことを断定的にきめずに、もっと弾力性を持って考えなければならぬのじゃないかと、かようにも私は存じておる次第でございまして、その点は直ちにそれが相矛盾するといったようなことではない、要は、行政を扱う者が的確な認識と的確な判断のもとに国政を運用していかなければならぬ、私はかように存ずる次第でございます。
○山崎(拓)委員 ただいまのようなお話がありましたけれども、しかしながら、五〇%以上一社、七五%以上二社というようなガイドラインが設けられますと、それを超えておる企業あるいはこれから超えようとする企業というのは、企業のイメージということもございまして、これは専門的に申しますと弊害が、独占的状態が生じない限りにおきましては企業分割の対象にならないからいいじゃないかということにどうしてもなるわけでありますけれども、国民一般の見方からいたしますと、大きいということだけでこれは独占的状態を来しているのではないかというふうにとりがちなものでありまして、そういう点で企業イメージを損なうということ、あるいはこれからいろいろ議論の中で明らかにされていくと思うのでありますが、公取の調査が具体的にどのように行われるかはわかりませんが、調査の対象になるということのおそれのゆえに、やはり企業の拡大意欲というものを阻喪する面があるのではないか、かように危惧することを重ねて申し上げておきたいと思います。 それから、先ほどちょっと触れましたように、本改正案によりますと、国際競争力の維持が困難になると認められる場合は営業の一部譲渡その他の措置を命ずることはできないということになってはおりますけれども、しかし、日本は名うての貿易立国でありまして、国際競争力というのはいわば企業の生命線、日本経済の生命線と言っても過言ではないわけであります。したがって、「国際競争力の維持」という表現では不十分でございまして、常に国際競争力というものは強化していくべき筋合いのものでございますから、そういった意味で、私は、今回のこの構造規制というものが日本の経済の活力をそぐ面が国際競争力の面から見てあるのではないかという不安を持つものでございますが、この点について総務長官並びに通産省の御意見を承りたいと思います。
○藤田国務大臣 国際競争力を強めるということは、すなわち企業のコストを軽減していくということにつながるかと思うのです。それは、結果は企業を強めていくということでございますから、これは一体のものであると思うのです。ですから、国際競争力を強化するように企業のコストを下げていくということは当然努めなければなりませんし、もし万一そういうことがあっても、なおかつ国際競争力に対して何らかの阻害要因になるというふうなことがあれば、これはもう分割の対象にも構造規制の対象にもしない。 こういうことでございますから、おっしゃいましたように、国際競争力が日本の全国民的な経済に対していかに必要であるかということは十分承知いたしておりますので、これを尊重をしながらやっていくというふうに考えております。
○濃野政府委員 ただいまの先生の御指摘のように、今回の改正案の「独占的状態」の第八条の四のただし書きに、国際競争力の維持が困難になると認められる場合はこの限りでないという規定が入っております。私ども、当然のことながら、企業の活力及び国際競争力というのは、今後の日本の経済のために企業がどうしても持っていかなければならぬものだと思っております。今回の独占的状態に対する措置につきましては、公正取引委員会からの四十六条の調査開始をしようとする際の私ども通産省への通知でございますとか、あるいは審判開始決定前の協議等が行われることになっております。 私どもは、産業所管官庁といたしましては、必要な産業政策上の観点からの意見もそこで十分に述べる機会がございますし、そこの段階でいまの先生の御指摘のような問題も十分調整をしていく余地がある、こういうふうに考えておる次第でございます。
○山崎(拓)委員 続いて技術革新の促進の問題でお伺いしたいわけでございますが、いわゆる経済の進歩は技術革新によってもたらされるものであります。この寡占化が進んでまいりますことによって技術革新が阻害されるという御認識が提案者の中にあるのかどうかということをお伺いしたいと思うのでありますが、私は、むしろ、先ほど来主張いたしておりますように、企業が大きくなることをむしろ恐れる要因が生まれてくることはかえって技術革新を阻むものであるというふうに認識するものでありますが、その点はいかがでございますか。 これは総務長官並びに通産省の方にお伺いしたいと思うのです。
○藤田国務大臣 技術革新という意味は、コストが上がるような技術革新では余り意味がないと思いますから、コストの軽減ということにつながる技術革新であらねばならぬと思うのです。そういう意味の技術革新であるならば、これは大いに歓迎すべきことでもございますし、どんどんそれをやっていただくことによって国民経済なりあるいは国際競争力を強めていくという結果になるわけでございますから、いまのような独占禁止法で、先生が言われますように、大きくなることが何か国民から悪いことだと思われるとか、そういう誤解を解いていくことは必要でありますし、また、いまのような技術革新というふうなことが構造規制と関連して阻害されていくというふうなことはないとわれわれは信じております。
○濃野政府委員 先生御指摘の技術革新はこれから大変重要なことだと思います。特に、日本の産業が非常に長い間、いわば導入技術に基づきまして、これをうまく利用して産業の発展の基礎にしてきたという事態が、今後減速経済下におきまして、そういう導入技術に頼れない、これからみずから創造をするという立場に立たされておることを考えますと、これは大変重要なことだと思います。 それで、この「独占的状態」の問題と絡みまして、ただいま御指摘のような問題、それによって企業の活力なり産業のこれからの適正な成長が阻害されることは私どもも非常に大きな問題だと思いますが、今回、この改正案におきましても、たとえば八条の四の二項の中の配慮事項といたしまして、「特許権、商標権その他の無体財産権の内容及び技術上の特質」というような言葉も入っておりまして、この辺も公正取引委員会が独占的状態の判断をされます場合に、先生の御指摘のような技術革新問題等もこれによってお考えになるのではないかというふうに私ども思っております。 いずれにいたしましても、先ほど御答弁申し上げましたように、公正取引委員会が当省に対して意見を求められましたときには、私どもの産業政策面から見まして、いまの技術革新問題等につきましても十分私どもの立場を述べさせていただくことにいたしたい、かように考えております。
○山崎(拓)委員 構造規制の問題につきまして、少し中身の御質問を申し上げたいわけでございますが、まず、本法案におきましての「独占的状態」の定義でございますが、「市場構造及び市場における弊害」として、「市場における」という文言が挿入されたわけでございますが、その意味はどういう意味であるのか、お伺いしたいと思うのです。 と申しますのは、「弊害」というのは、私どもは、国民経済における弊害あるいは国民経済に対する弊害と、このように考えるものでございますが、わざわざ「市場における弊害」というふうに改められておるのはなぜであるか。たとえばここで指摘されております弊害条項の中の「標準的な政令で定める種類の利益率を著しく超える率の利益を得ていること。」というのは「市場における弊害」であるのか、あるいは「標準的な販売費及び一般管理費に比し著しく過大と認められる販売費及び一般管理費を支出していること。」ということですか。新規参入が阻害されるということは確かに「市場における弊害」というふうに理解できますが、この点はどういう趣旨なのか、お伺いしたいと思います。
○大橋政府委員 お答えいたします。 「市場における弊害」というのは、その弊害の発生している場所が市場であるという趣旨でございまして、弊害がどこへ及んでいるかということは問うているわけではございません。 そして、この「市場における弊害」というのは、私どもといたしましては、一応三号要件というものが「市場における弊害」を具体的にあらわしているというふうに理解しております。
○山崎(拓)委員 先般公取の経済部が発表いたしましたところの、これは昭和五十一年十月十九日の日付になっておりますが、「主要産業における生産集中度の調査について」という資料でございますが、これを見ますと、寡占業種では価格の下方硬直性が見られ、石油ショック以後の経済環境が変わったことにより市場行動が変化したことも硬直化をもたらす原因であるといたしておりますが、この分析に対する公正取引委員会の見解をお聞きしたいと思っております。 公取は、元来、価格の硬直化現象が大企業の管理価格の証左であるということで弊害視してきたようでありますが、この点について新しい澤田公正取引委員長に見解を確認しておきたいと思います。
○澤田政府委員 昨年の十月に主要産業におきまする集中度調査をいたして発表いたしたのでございますが、御承知のように、集中度三社七〇%以上の高度寡占業種では、価格の下方硬直現象を示しておる品目の比率が上昇しておる。それから、七〇%以上の品目平均で見ますと、昭和四十六年不況時の四二%から五十年不況では六三%に増加しておるというような結果を見たのであります。 それから、成長率の低下は集中度の上昇をもたらすという関係があって、経済が減速化に向かうといたしますとどうしても価格が下方硬直的な傾向を示す可能性があるので、特にここで高度寡占業種におきましてはやはり注目をしていく必要がある、こういうような感じを持った次第でございます。
○山崎(拓)委員 ただいまお話がありましたように、この調査を見ますと、三社七〇%以上の高度寡占品目で硬直品目比率が上昇しておる。昭和四十六年不況時で四二%、五十年不況では六三%に増加しておるというような指摘をいたしておるわけでございますが、ところが、先般私どもの自民党の山中調査会に通産省産政局が提出いたしました調査資料を読みますと、価格硬直現象が指摘される三十三品目の実態調査の結果が出されておりまして、たとえば原材料費用のコストに占める比率が非常に高くて、原材料価格の急騰による影響を強く受けているもの、あるいは半製品または中間財であるため需要者側の要請もあって一定期間は価格の安定性がもたらされるもの、また、半製品や中間財とは言えなくとも、需要側が寡占である等の理由から需要サイドの力が強いもの、生産の減少傾向と産業の縮小の方向にあるもの、こういったパターンに分類をいたしまして価格硬直化現象を説明いたしておるわけでございます。 したがって、これは、果たして寡占の弊害によってこのような価格硬直現象があらわれたものであるのかどうか、一概に言えないという感じがこの資料からいたすわけでございますが、その点についての見解をお伺いしたいと思いますが、これは公取委員長と通産省の両方からお願いしたい。
○澤田政府委員 ただいま御指摘のように、私の方の調査に対して批判的な御意見が出たのは存じておるわけであります。これはいろいろ調査の仕方の違いもありますし、品目の相違あるいはいま御指摘のような石油ショックによる原材料の高騰の影響というものも私どもは決して無視はいたしておりませんけれども、私どもの調査は四十六年不況と四十九—五十年不況とを比較いたしまして、高度寡占品目に価格の下方硬直的な品目が増加していることを指摘したのでございます。これに対します批判の御意見のデータによって見ても、高度寡占品目の動きが一貫して上昇しており、それ以外の品目は四十九—五十の不況において一たん下降して、それから上昇しているというような点は私どもの見方と違ってはいないのでございます。 また、その御意見では、上位三社集中度二〇%未満の最も競争的な品目のグループが除かれておりますけれども、これらの品目の卸売物価指数は五十年不況においては相当の下落をしておるのでございます。 また、御批判の意見は四十五年の水準を起点としておりますので、ああいう結果が当然出てくる面もあるのでございますが、私どもの調査は、最近の価格動向を的確に見たいと考えまして四十九年を起点といたしてとったのでございまして、高度寡占品目の価格上昇率が低いという結論にはならないというふうに考えております。 要するに、いろいろとり方の違い等で違った結果も出てきておるのではないかというふうに考えております。
○濃野政府委員 ただいま公取委員長の御答弁にもございましたように、私どもが三十三品目につきまして行いました調査と、それから公正取引委員会が先ほど御指摘になりました調査と、調査の方法が非常に違っておりますし、一概にこれによりまして全く意見が違うとは私は思っておりません。 たとえば公正取引委員会が行われました前回不況との違いにおきましても、調査資料の中に、前回と今回とではコストの状況が石油ショックという大きな——石油を中心とした原材料の値上がりという非常に違った情勢があるので一概には言えないが、言葉はそうであったかどうか私は記憶しておりませんが、そういうお言葉も入っておりますし、その意味で私どもの調査と公正取引委員会で行いました調査とは、いろいろな視点やとり方等の違いはございますが、基本的に物の考え方が違うというふうには必ずしも私も考えておりません。
○山崎(拓)委員 通産省の資料によりますと、ただいま公取委員長からお話がありましたように、生産集中度が低いほど卸売物価の上昇率が高く、生産集中度が高いほど低いということです。これは七〇年を一〇〇といたしました場合の七六年度末の数字でございますが、いま、公取委員長は、昭和四十九年を一〇〇とした場合には必ずしもそうはならないのだという御指摘があったわけでございますが、その点について通産の見解を聞きたいのですけれども、たとえば通産省の資料を見ますと、価格硬直品目三十三のうち二十一品目が赤字である、それから八品目が採算線ぎりぎりである、収益を上げているのは四品目にすぎないという、こういう指摘もあるわけでございますが、昭和四十九年度以降の生産集中度の高い業種における状況というものをひとつ御説明いただきたいと思います。
○濃野政府委員 集中度と価格との相関関係につきましては、先ほど公取委員長のお話もございましたように、時期のとり方によりまして、このカーブとそれから集中度と価格との相関関係がいろいろ違った数字が出てまいると思います。 私どもがただ四十五年をとりまして山中委員会への御説明を申し上げましたのは、四十九年、五十年と申しますのはいわば不況の時代でございまして、しかもいわゆる石油ショックの後の、非常に大幅な値上がりをしました石油価格の段階的な転嫁が品物によって非常に違っておりました、いわば若干アブノーマルな時代ではないかということで、若干長期的に見るということで一九七〇年を一〇〇として調査をいたしたわけでございます。 それから、第二に、ただいまの先生の御指摘の私どもが調査をしました三十三品目でございますが、五十年度におきまして調べました段階で企業として赤字となっているものが二十一品目、それから採算線ぎりぎりのものが八品目、要するに収益を上げて水面に顔を出しておりますものが四品目でございました。
○山崎(拓)委員 独占的状態が生まれた場合に、営業の一部譲渡その他の措置をとるということでございますが、「その他の措置」というのは一体どういうものが含まれておるのか、お伺いしたいと思います。
○大橋政府委員 営業の一部譲渡その他競争を回復させるために必要な措置といいますのは、営業の一部譲渡に至らない程度のその他の措置を指すわけでございます。そして、その他の例といたしましては、たとえば資産の譲渡あるいは株式の譲渡、営業方法の変更、これは具体的に申しますとリース方式から販売方式への変更、あるいは流通機構に非常に閉鎖的なものがあればこれを開放するというようなものが現在の段階では考えられると思いますが、これは具体的には個々の事案に応じて選定されるべきものというふうに考えております。
○山崎(拓)委員 いろいろお伺いしたいのでありますが、時間が参りましたので最後にもう一つだけお伺いしておきたいのですが、先般澤田委員長が記者会見をされましたときに、調査の問題につきまして御見解を述べておられるわけでございます。「企業が独占的にあるかどうかを公取委の経済部が調べる場合、公表された資料に基づく調査だけで見当がつくので、公取委の一般的な強制調査権を定めた四十条というような罰則つきの条項をいきなり発動しなくてもよい。経済部の調査の段階で四十条を発動することはまずないだろう。公表された資料だけで判断できないような場合には、たとえば通産省などの専門的な知識を借りてもよい。決して企業が心配しているような過酷なチェックではない。」という御見解を述べておられるわけでございますが、この通りの御見解でございますか。
○澤田政府委員 ただいまお話しのとおりの見解でございますが、重ねて申し上げますと、いわゆる独占的状態と申しますのはいきなり違犯行為から始まるのではございません。相当の期間にわたりましてオープンに形成されてくる状態でありますので、独占的状態に関する調査は、過般も申しましたように、通常は、有価証券報告書あるいは各省庁発表の統計資料等の公表されている資料や、あるいは公正取引委員会の通常の業務を通じて得られます情報等でほぼ見当がつくのではないかというふうに考えておるのでございます。公表資料等によって十分把握できないというような情報、たとえば新規参入がどの程度困難であるかとか、国際競争力の状況はどうであるかというようなものにつきましては、関係事業者等の協力が得られれば任意の協力を求めて調査することになりましょうし、また、この場合、主務官庁の専門的な知識あるいは判断の力をかりるということが調査を効率的に進める上で必要でありますし、また有益であろう、こういうふうに考えてあのような発言をしたわけでございます。 なお、独占禁止法第四十条の権限に基づく調査につきましては、これが御承知のように罰則によって担保されておる強制的権限でありますので、その実施には慎重に臨みたいというふうに考えておるわけでございます。
○山崎(拓)委員 構造規制に関しましてもなおお伺いしたいと思いますし、同調的値上げ、課徴金、不当な取引制限に対する排除措置あるいは審査、審判機能の分離等につきましても質問を留保いたしまして、きょうは終わります。
○野呂委員長 後藤茂君。
○後藤委員 政府の提案をされました改正案につきまして、問題点を非常にしぼってこれから御質問を申し上げたいと思います。したがいまして、時間もございませんので、公正取引委員長、総務長官、通産大臣の御三人の御答弁をぜひお願いいたしたいと思います。 中身はそう技術的な問題ではございません。政治的判断を加えていただければ結構な内容について御質問を申し上げたいと思いますので、そういうお取り計らいをお願い申し上げたいと思います。 そこで、最初に、自民党の党議で今回の改正案が決定をされまして、それが政府案になっておりますが、ところが、漏れ聞くところによりますと、自民党内におきましても異論があるやに実は聞いているわけです。 政府はこのような異論に対しましてどのような対応策をとられるのか、まず総務長官から、これは簡単で結構でございますのでお答えをいただきたいと思います。
○藤田国務大臣 総理もしばしば各種委員会で答弁しておりますように、今回提案をいたしましたところの独占禁止法のこの法律につきましては、与党を含めて野党にも賛成していただけるように苦心をいたしましてこの法案をつくったという経緯でございますので、賛成を得るものだと私は信じております。
○後藤委員 前回の五党修正案に近づけるために努力をされた点は評価をするわけですけれども、私どもも実は改正案を提案いたしております。これは野党案ではございますけれども、七十五国会におきまして自民党も含めて全会一致で衆議院で可決をされまして、不幸にして参議院で審議未了になったわけでございますが、この改正案は政府といたしましても軽視することができないだろうと私は思うのです。 この事実を踏まえて、これから日程が大変ハードスケジュールになっておりますけれども、十分な論議を通じて政府案を修正する用意がおありかどうか、この点も総務長官から一言で結構でございますからお答えをいただきたいと思います。
○藤田国務大臣 ただいま申し上げましたように、与党を含めて野党の皆様方にも賛成してもらえるという案を出したつもりでございますから、修正に応ずるつもりはございません。
○後藤委員 政府案が一番正しい法案であるというように言われておりますけれども、しかし、委員会の論議というものはやはり十分に尊重をしていただきたいと思うのです。そして、政府案はこれが正しいと思って提案をしたけれども、中身の点の論議をいろいろ聞いておるとこれはどうもまずい点があるという場合には、委員会のその審議の方向をぜひ尊重していただきまして、いまのような修正の意思は全くありませんという答弁はぜひ差し控えていただきたいと思います。 そこで、通産大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、大臣は、四月一日の閣議後の記者会見で、「我が国産業が厳しい国際環境にある中で、企業に対して過剰な介入は避けるべきだ」と指摘して、職権の独立している機関が産業構造改革までやるのは問題であると語っておられます。同じ日に通産省は独禁法改正に対する見解をまとめられました。その中身を見ますと、「構造規制のような産業政策上の問題は、もし行うとなれば、その是非の判断を含めて内閣の責任で行うべきものである。」と述べておられるわけです。 私は、この発言なり見解というものは大変重大な意味を持っていると思いますが、これはこれからの審議にも大変影響いたしますので、反独占政策と時の内閣が立てていく産業政策との関係を大臣はどのようにお考えになっておられますか、見解を承りたいと思います。
○田中国務大臣 お答えいたします。 私が記者会見の際にたまたま申しましたことは、まだ山中試案がわれわれの方に示される前の段階でございます。メモ程度のものが党の方に来たという段階におきまする私どもの所見でございます。それから総理府の方に参りまして、自来、御案内のとおりに、政府部内といたしまして、私どもは慎重に議論もし、審議を尽くしたわけでございます。その結果ただいま御提案申し上げました政府案と相なったわけでございまして、われわれもそれが政府案としてできるまでに、内部の議論といたしましては十分に慎重に論議を尽くした結果が政府案でございます。 〔委員長退席、山崎(拓)委員長代理着席〕 さような意味におきまして、政府案につきましてぜひとも皆様方に御協力のほどをお願い申し上げまして、ただいまの御質問に答えたいと思います。
○後藤委員 いまの点につきましてはまた後でちょっと触れていきたいと思いますので、その際にまた具体的に御答弁をお願いしたいと思いますが、公正取引委員長にお伺いをしたいと思います。 独禁法というのは、俗に経済憲法と言われております。経済憲法と言われている以上、たとえば通産省の設置法だとかあるいは定員法だとかいろいろな法律がたくさんございますが、その法律が全然重要性を持たないという意味ではございませんけれども、そのような法律と独禁法とはウエートが違うのじゃないかと思うのです。 そういう意味で、独禁法に凝結されておるといいますか、貫かれておるといいますか、その反独占政策というものはどのように公正取引委員会委員長は理解をされておられるのか、その性格なり意味合いなりというものについてお答えをいただきたいと思います。
○澤田政府委員 独占禁止法の精神は、いま御指摘のように一国経済の運営に関する企業行動等についての基本的ルールを定めるものであるということは申すまでもないところでございます。そうした独禁法の運用に当たりますためには、御承知のように二十八条に職権行使のための独立性が付与されておるわけでございまして、それに基づいて運営をいたしておるのでございまして、各般の行政行為がこの独禁法の理念を尊重して行われますことを私どもはこいねがっておりまして、もしそこに矛盾がありました場合には、適用除外法によって明確に区別をするということでやるのがたてまえであろうというふうに考えておる次第でございます。
○後藤委員 総務長官にお尋ねをいたしたいと思うのですが、いま公取委員長が二十八条を例に出されました。そして、その独立権限といいますか、それを御答弁なされたわけですけれども、二十七条にも「公正取引委員会は、内閣総理大臣の所轄に属する。」という規定があるわけです。 この「所轄」というのは一体どのような意味を持っているのかをお答えいただきたいと思います。
○大橋政府委員 お答え申し上げます。 所轄といいますのは、一般の場合の所管とは違いまして、内閣総理大臣の指揮監督権が若干制限はされておるけれども、しかし、全体的に組織図をかいてみれば内閣総理大臣の下につく、こういうことでございます。
○後藤委員 では、これは基本的な問題でございますので、大臣並びに関係の各長官、委員長にお答えをぜひいただきたいと思うのですが、時間が大変短こうございますので、その点は委員長においてぜひ取り計らいをお願い申し上げたいと思います。 いま公正取引委員長も言われましたように、独禁法というのは経済の基本ルールとしての経済憲法的なものでありますし、時の政府の政策いかんにかかわらず規制自体が自己目的を貫いていくべきものだと私は考えるわけなんです。その考えから二十八条の規定も置かれているのではないであろうかと思いますし、また、公取が準司法的な機関であると言われているゆえんもここにあると考えるわけです。 そこで、先ほど通産大臣が、あれは山中試案が出る前のメモを判断の材料にして答えたんだということをお答えになられましたが、そういたしますと、あの一日の記者会見での、公取の過剰な介入あるいは産業構造なり産業政策に対してくちばしを差しはさむということは行政に対する大きな干渉であるという御発言、そのお考えはもう完全に氷解しているのかどうかを私はお尋ねいたしたいのです。 先ほど、この所轄の点について総理府の方から御答弁がございましたが、もしこういう独立性の認識がなければ、産業政策の一環としてやればいいと私は思うのです。ところが、産業政策の一環としてやるべきものじゃないのだ、経済の基本的ルールである、そのルールの確立については独禁法に基づいて公正取引委員会がやるのだということになってまいりますと、大臣が一日に発言をされたもの、あるいはその後通産省が見解として明らかにされましたものは、この閣議決定をして提案された段階ですべて氷解してしまって、いや、あれは間違いであった、過剰な介入でもなければ、また通産省としていろいろとくちばしを差しはさむべき性格のものでないと、このように理解をされておられるのかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
○田中国務大臣 民主主義というものは、一つのことが決定をいたしますまでに大いに自己の見解を申し述べることは、そのルールといたしましても当然なことと存じます。経済を所管いたしまする担当者といたしまして、閣僚の一員といたしまして、政府案の最終的な決定の段階までは濶達に意見を述べることは当然なことであろうと存じます。しかしながら、閣議として一応一度決定をいたしました後におきましては、部内におきまするこれらの見解なりあるいはまた意見の表明は、閣議の決定に万事従うことが当然の民主主義のルールであろうと存じます。 今日は、この政府案につきまして、私どもは全面的にこれを支持いたします。
○後藤委員 後でまた論議をしていきたいと思うのですけれども、構造規制の問題は産業政策上の問題なのかどうかということについて大臣のお答えをいただきたいと思います。
○田中国務大臣 そういう問題こそ総理大臣の御決定に従うわけでございます。
○後藤委員 いま言われた意味がちょっとよくわからないのですけれども、つまり、ここのところを私が御質問申し上げておりますのは、この産業政策とそれから独禁政策というものは大変むずかしい問題だと思うのです。それをいま総理大臣の考えどおりだとかというようなことは、これは答弁ではないと思うのです。公正取引委員長や総務長官の御答弁を総合してみまして、公正取引委員会というのは独立した反独占政策を執行するという、その意味では大変広い産業政策をも分掌していると私は思うのです。このことがもしなければ独禁法なりあるいは公正取引委員会の存在意義はないと私は思うのです。逆に、構造規制が産業政策上の問題でありまして、通産省の見解にも触れておりましたけれども、内閣が責任を持ってやるべきだということで、仮にこれが正しいとすれば、独禁法の中にこういった産業政策にかかわる、つまり構造規制にかかわるような規定が入るということはおかしいと思うのです。 この点は、大臣は、恐らく、いやもう政府の決定になりましたので政府の決定案どおりでございますという御答弁より出てこないと思いますのでこれ以上は申し上げませんけれども、ただ一言申し上げておきたいのは、独禁法に凝結されております反独占政策というのは経済の運営についての基本的なルールだと私は思います。一方、産業経済政策というのは、具体的な経済現象に対するいわば対症療法的な政策であろうと思うのです。私は、その集積が産業政策だろうと思います。不況時の産業政策もあります。あるいは好況時の産業政策もあります。あるいはまた時の政府が変わった場合に、たとえば田中内閣の列島改造のように、あるいは池田内閣の所得倍増計画のようにいろいろあるわけなんです。そして、その時の内閣のビヘービアに基づきまして、それぞれの産業政策が緩急自在にあるいは軽重をつけて進められていくだろうと思うのです。これが産業政策だと私は思います。 それに対して独禁政策は、先ほどその自己目的を貫徹していくんだということを申し上げましたが、そういった時の政府の意向に左右されない市場における経済秩序の維持確立を図っていくこと、これが独禁法の運用であるでしょうし、また、公取委がそこに立脚して運営をしていかなければならない。ここのところはぜひ明確にしておいていただかないと議論が大変混乱をしてまいりまして、お互いが不信感を持つわけです。政府のお話を聞いておりますと、そういった整合性の問題とか調和の問題ということを言われておるが、しかし、こういった調和の問題とか整合性の問題というものはぬえ的なものだと私は思うのです。 このような公取委の独立権限というものがあり、そしてまた通産省は、行政の面におきまして、今日の経済のあり方、産業のあり方というものを十分にマクロ的にとらえていきながら、現実に当面しておる課題について政策を進めていくという、その間には緊張関係があった方がいいと私は思います。そういう緊張関係の上にぜひやっていただきたいと私は思うわけでございますけれども、総務長官にこれはお伺いをいたしたいのですが、こういった考えに立って、なおかつ内閣と公取委の政治的力学、力関係というものは大変違うだろうと思うのですが、内閣と公正取引委員会との政治的力関係というものは一体どちらが大きいとお考えになられますか。
○藤田国務大臣 どちらが優先するかという御質問でございますが……(後藤委員「力関係」と呼ぶ) 力関係ですが、産業政策が仮に縦の線であるとするならば、横の線は経済に関する環境政策あるいはいまの競争政策、すなわち公正取引委員会の行うものでございますけれども、こういう縦の線と横の線がうまく組み合わされてこそ国民経済がバランスのとれた円満な発展ができると、かように私は考えておるわけでございますので、いまの力関係と言われましてもちょっと困るのですが、私は、独占禁止法の二十八条によりますところの公取の独立性というものについては尊重しなければならぬものだと思っております。
○後藤委員 内閣と公正取引委員会とを比較していった場合、政治力学上からいくと、その力は、通産省も含めて圧倒的に内閣側にあるだろうと私は思うのです。その上に立ってのバランスということにいたしましても、そのバランスなり調和というものは、弱い者が強い者に従わさせられるという実態を隠すことはできないと私は思う。このことは、これまでの独禁法の運用というものが過去二十年休眠状態にあったということが雄弁に物語っていると私は考えるわけです。独禁法の運営は時の経済現象に振り回されるものではない、経済の基本ルールである以上内閣の政策意図で左右されるものであってはならない、このように実は私は考えておりますので、ぜひひとつその点は御確認をされ、その上に立って以下の私の質問にお答えをいただきたいと思います。 そこで、総務長官にお伺いをいたしたいのですけれども、八条の四の独占的状態に対する措置、いわゆる構造規制ですが、構造規制部分というものは公正取引委員会に言わせればわずかであって、弊害排除規定なんだというようなことも言っておられますけれども、構造規制とか、俗に企業分割とか言われているものは現行の反独占政策には実は入っていなかった。カルテル規制でもなければ、不当な取引制限や不公正な取引方法でもない、新しい規制なんですね。このような規制を独禁法に新しく加えたという意味、その必要性を政府はどのようにお考えになっておられるのか、総務長官にお伺いをいたします。
○藤田国務大臣 すでに先生御承知のように、そのような大きな力を持った企業が独占的になるか、高度寡占的になるか、そういう状況になったときには悪いことができる力もあるわけでありますから、こういうことが国民経済にとって大きな不幸をもたらすゆえんでもございますので、そういうことをひとつ抑止していこうではないか、しかし、それが簡単にそういうふうな構造規制が行われるようなことでは、これはまた経済界に混乱も起こし、意欲もなくさせるので、御承知のような弊害が相当長期間にわたって生まれてくるならばその構造規制というものももうやらざるを得ない、こういうふうなことでございますから、私は、それなりの重要な意味を持っておるというふうに思っております。
○後藤委員 同じ質問でございますけれども、公正取引委員長はどのようにお考えになっていらっしゃいましょうか。
○澤田政府委員 いまの総務長官のお話のとおりでございますが、通常の事業活動によりまして独占的状態が生じ、弊害が起こったという場合に、現在の法制におきましてはこれを規制することができない。これを補完する必要は私どもは痛感いたしておるわけでございまして、その意味において必要な改正であると存じます。
○後藤委員 いまのお考えからいたしますと、少しおもしがかかり過ぎているようにも実は思えるのですけれども、それはおきまして、独占的状態の規制の問題に入っていってみたいと思います。 この場合に、今度新しく四十九条の四項で、審判手続開始の場合には公正取引委員会は主務大臣に協議するという規定が入りましたが、それにもかかわらず、さらに四十五条の二で、公正取引委員会は調査開始に際しては主務大臣に通知をし、そして主務大臣が意見を述べる旨の規定が置かれているわけですが、これはどういう意味合いを持っているのか、また、主務大臣への通知は調査前に行われるのか、それとも調査と並行して行われれるのか、お聞きをしたいと思います。
○藤田国務大臣 四十五条の二に、「通知」と、それから「意見を述べる」ということが新しく出ておりますが、これはあくまでも主務大臣に対する通知でございますし、主務大臣がまたそれに関して意見を述べるということでございますが、これは何ら公取委員長と公正取引委員会を拘束するものではない、このように思います。 ただ、その意味合いは、その主務官庁が従来から高度の専門的なその分野における知識を持っておるということは当然なことでございますから、そういうふうな研究なり知識なりを公取の方で借用されていく、知恵もお借りになる、そういうことも当然なことだと思うのです。そういう意味合いの「通知」でもあり、そしてまた「意見を述べることができる」ということでもあると解釈をいたしております。それによって公正取引委員会が拘束せられるものでもないわけであります。 それから、また、調査のことでございますが、調査をする前に通知する。先生も御承知のように、独占的状態とかそういうふうなものは相当期間の間にオープンな形で進められていくものですから、その間に公正取引委員会の方におかれては一般的な資料といいますか、公開されている資料をもととしてずっとその調査は進んでいっているわけでございます。そして、いよいよこれは弊害があらわれてきたなというときにそういうふうな通知がいくものだと思います。調査はその通知後も続けられるものだと私は解釈をいたしております。
○後藤委員 公正取引委員長にお伺いいたしたいと思うのですが、いま総務長官は、主務大臣は意見を述べるだけだというように言われましたが、そこで主務大臣が、独占的状態がない、あるいは競争回復の手段があります、と、このように意見を述べた場合、公正取引委員会が、いやこれは意見を聞いているだけなんだ、それは参考にお聞きしたのであって、公取委は独占的状態があると考えて、独自にその必要性を判断して調査に踏み切るのだ、と、こういうことで事実上調査に踏み切れるのかどうか。主務大臣に通知をし、意見を求めて、主務大臣から意見がなされたときに、それにもかかわらず調査に踏み切り、調査ができるのかどうか。 先ほど私は力関係というものを申し上げましたけれども、そのような決意でおることができるのかどうか、お伺いをしたいと思います。
○澤田政府委員 この主務大臣に対する通知という決めが、事柄の重大性に基づく念を入れた措置であることは申すまでもないのでありますが、その通知をいたしまして、いやしくも所管の主務大臣から意見が出てまいりますれば、これを尊重して十分検討することはもちろんでございます。 しかし、最終的になおその主務大臣の意見と違う見解が私の方にあります場合には、職権をもって調査に踏み切ることがあることは当然でございます。十分話し合いをしないということではございませんが、その意見によってさらに四十六条の職権調査、立件調査をしないという問題ではございません。
○後藤委員 所管の産業政策を担当しておる主務大臣と話をしていくというようなことはあり得るだろうと思うのですけれども、ここで法文によって通知をし、意見を求めていくということになりますと、いま公取委員長が言われたような、そういうものではないのじゃないかと私は思うのです。公取委の職権行使に対して非常に大きな歯どめがかかってくる。 つまり、主務大臣が意見を述べるということは、解釈論としては確かに意見を述べるということだと思うのですけれども、力関係から見まして圧倒的に違うわけですね。単なる意見ではないと私は思う。しかも、それが法文の中に明記をされてくるということになってまいりますと、公取委員長はよほどしっかりと腹をくくっておらなければ、そう簡単にはいかないのじゃないか。さらに、また、主務大臣の意見を述べる権限を認めるということは、調査によって実態が明らかになる前に調査及び判断に影響を与えてくるだろうと私は思います。 実態的にそれが権限行使の抑圧にならないかどうか、もう一度公取委員長にお伺いをいたします。
○澤田政府委員 繰り返しになりますけれども、最終的にどうかということについて端的にお答えすれば、職権抑圧の事態にはならないということは明白でございます。しかし、先ほども申しましたように、行政の整合性等を考えますと、主管大臣の意見を聞き、これはいろいろな意見が出ると思います。その尊重すべきもの、あるいは取り入れられないもの、いろいろなものであろうと思いますが、その意見を尊重して十分考慮することは当然でありますけれども、最終的には総合的に独自の判断をするのが公正取引委員会でございます。
○後藤委員 この問題は議論の分かれるところでございますが、総務長官が言われました見解あるいは公正取引委員長が言われました見解のようにはなかなかならぬのじゃなかろうかと思います。ですから、私どもの改正案におきましてはこれは削除いたしております。また、この法文規定というものは、むしろこれからの法の運用の上に非常に大きなおもしになってくると思いますので、公取の独自的職権を行使していく上においてこれこそ大変弊害になると思いますので、これはぜひ削除すべきではないかと考えるわけでございますけれども、これは意見として留保しておきます。この問題は後でまた先輩同僚委員の皆さん方から追及をされると思いますので、この点にとどめておきたいと思います。 次に、同調的値上げの問題について触れてみたいわけですけれども、同調的値上げの問題に入る前に一言お聞きしておきたいと思います。 いわゆる管理価格の問題がいつも論議の対象になるわけです。しかも、管理価格の問題が取り上げられまして大変久しい時間が経過いたしておりますが、公正取引委員長、管理価格というものは一体どういうものでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
○澤田政府委員 学問的にはいろいろと議論のあるところでございますが、実際問題として、私どもが考えますと、寡占状態にある業界は硬直的な価格をそういう場合には決めやすいものでございます。個々の企業がやる場合と、あるいは共同してやる場合といろいろございますけれども、実際の需給状況とかけ離れた人為的な価格が定められるもの、こういうふうに私は考えておるわけでございます。
○後藤委員 独禁懇の昭和四十五年にまとめられました「管理価格問題についての中間的とりまとめ」を見ますと、「市場が寡占状態にあることを原因として生ずる需要やコストの変動に対して下方硬直的な価格で、カルテルによる価格操作や、政府による価格支持制度等を伴わないもの」と言っているわけですけれども、この規定も実は不十分だと私は思うのです。少数の寡占企業が市場支配力を持っており、その結果として適正利潤を超える利潤を獲得している、そういう性格を持っているから管理価格というものが問題になるのではないか、また問題にすべきではないか、と、実はこういうように私は考えるわけです。 そこで、通産大臣にお伺いをしたいわけですけれども、通産省の見解を見ますと、価格というのは、「一物一価の原則で同一または近似したものにならざるを得ない」というふうに指摘をされております。そして、「同質の財の場合は、わずかの価格差が各企業の取引量の大きな変動をもたらす危険があり、むしろ競争の結果として同一価格が形成される」と言っているわけですが、この「競争の結果」の「競争」とはどういうものを意識しておられるのか、お聞きをしたいと思います。
○田中国務大臣 お答えいたします。 部内の論議は別としまして、政府の見解につきましては、総務長官から統一的な見識をお述べになると存じます。
○濃野政府委員 ただいまの先生の御質問の件につきましてでございますが、ただいま御質問になりましたような点は、恐らく、同調的値上げの問題につきましての一部の私どもの見解をお述べになったのではないかと思いますが、同調的値上げという問題に関連しまして、基礎資材の一部につきましては、一つは市場における価格形成のあり方、それからもう一つは、特に最近でございますがコストの要因、たとえば鉄を例にとりますと、入ってくる鉄鉱石あるいは石炭という主要原料の値段はほぼ各社とも同一になりますし、労賃はこれまた同一水準になるというようなコストの均一性ということ、まずこの両面から価格というものは同一、非常に近いものになるのが結果である、そういう結果が当然財の性質からして出てくるのではないかと、こういうことを私どもは第一に申し上げました。 それから、第二に競争の問題でございますが、少なくとも現在の情勢を見ますと、いわゆる寡占の弊害の結果非常に過大な利潤を上げるという状態ではございませんで、市場の実態は、各社の非常な競争の力でむしろ低い水準に抑えられておる、あるいは業種によりましては需要家と供給者の関係でむしろ需要家の方が強い、むしろそういう要素の方が非常に強いのではないか、こういうことを先ほどの御質問の同調的値上げの問題に関連いたしまして私どもの見解として持っておった、こういうことでございます。
○後藤委員 いまの御答弁は見解を読めばわかりますし、また、この中間報告の中にも出ておりますし、いろいろな本だとか文書にも出ておるわけですから、時間がございませんのでそういう読めばわかるものにつきましてはどうか御答弁を御遠慮いただきたい。 〔山崎(拓)委員長代理退席、委員長着席〕 私が申し上げておりますのは、競争の結果一物一価が出てきたんだということになれば、何でこれを問題にするのでしょうか。競争の結果出てきたのでしたら問題にする必要はないと思うのですね。独禁懇でも管理価格の問題は問題として追求いたしております。これをまとめた四十五年ころまでは実は管理価格というものがあって、最近は、いま局長も御答弁になりましたように、原材料にいたしましても、あるいは労賃にいたしましても融資条件にいたしましても、あらゆるものが大体同じような条件になってまいりますので一物一価の傾向が出てくる、しかもそれは競争の結果だと、このようになってまいりますと、同調的値上げ、つまり管理価格の問題等は、これをとらえていこうとすることは大変ナンセンスなことになるのではないか、そういう管理価格というものはないのだというように読めるようになってくるわけです。 その、ないものについて「御用」と言って法律に規制していこうとするのではないだろうかというように思えてならないのですが、公取委員長、いかがでございましょうか。
○澤田政府委員 今度の法案に関連しての御質問と思いますが、価格の同調的な動きというものは実際問題としては否定できないのでございます。したがいまして、それについての適当な対策、独禁法上の措置のできる仕組みというものができますことを私どもかねがねこいねがっておったのでありまして、簡単に申しますと、今度の十八条の二の改正の精神はそこにあると考えております。
○後藤委員 私も、寡占状態にある市場が常に競争制限的であるというように短絡申し上げようとしているわけじゃないのです。しかも、企業間におきましては競争意欲が大変旺盛であるということも承知いたしております。しかし、広告宣伝競争というような大変非価格的な競争が激しいことをもって競争が非常に厳しく行われているというような面に幻惑されていはしないかというように思えますので、この点はまさしく論議が残るのですけれども、先へ進めていきたいと思います。 この改正案では、価格の同調的引き上げについてはその理由の報告を求めているわけですけれども、現行法の四十条では、この同調的値上げ、つまり管理価格についてどういう手段を持っておられたのか、公正取引委員長にお聞きしたい。
○澤田政府委員 御承知の四十条の規定がございます。しかし、これは職務遂行上必要な場合の調査ということでございまして、同調的な価格の動きがあるからということだけで端的にこの条項を発動するということにつきましては私ども必ずしも疑問なしとしないのでありますが、しかし、発動すればできるという考え方も上方持っておるわけで、実際問題としては、私どもの調査は従来そういう動きがありました場合に主として任意に調査いたしまして、そしてある程度問題を把握できたというのがいままでの実際でございます。 それに対して今度の改正は、一定の条件があれば端的に報告を求め得るという形になっておるというふうに理解をいたしておるわけでございます。
○後藤委員 私は、現行の四十条の一般的な強制調査権は、公正取引委員会がおかしいと思った場合にはこれで主体的に活動ができる規定だと思うのです。これまでも公取委員長はその考えで調査活動をされてきたのじゃないかと思うのですけれども、どうでしょうか。
○澤田政府委員 先ほども申しましたように、任意に調査をいたしまして、いろいろと調査について協力を得られます場合にはそのとおりで結構であったわけであります。しかし、これでできないとは私どもは思っておりません。協力を得られない場合は使う覚悟で臨んだこともございます。そういうことでございますけれども、しかし、なお、単に同調的な動きがあるというだけで、この罰則によって担保された規定をすぐ発動することがいいかどうかということについてはやはり慎重に臨んでおった次第でございます。
○後藤委員 発動していいかどうかについては慎重で、主体的に、どうも同調的値上げのにおいがありそうだという場合には四十条の一般的調査権限をもってできるわけでしょうか。
○澤田政府委員 できないということではないと考えております。
○後藤委員 できないということではないとすれば、十八条の二の報告はどういう規定でございましょうか。
○澤田政府委員 先ほども申しましたように、十八条の二という規定は、一定の要件を形式的に備えておりますと、それに従った報告を求めることができる規定でございます。四十条の方は、これも先ほど申しましたが、職務の遂行上必要な具体的な問題についての一つの考え方をもって臨むべきものではないか、単純にどうも同調的な傾向があるというようなことで、これをいきなり発動するのはやはり慎重であるべきだという、そういう意味で十八条の二というのはむしろ四十条に対するプラスになる、私はこういうような感触を持っておる次第でございます。
○後藤委員 いま、四十条の二でできるけれども、同調的値上げの問題について十八条の二があればプラスになる、と、このように公取委員長は御答弁になられたわけですけれども、総務長官、いかがでございましょうか。
○藤田国務大臣 ただいま公取委員長が申されましたように、四十条によっても同調的の値上げとみなされるものを直ちに報告なり何なりがとれるかという、その辺は解釈の仕方がいろいろあると思うのです。ですから、今度の十八条の二におきまして、同調的な値上げとみなされるものについては報告を求めることができるということが新しくはっきりといたしましたので、その点ではプラスになると私も思っております。
○後藤委員 この点はぜひ確認をしておきたいと思うのですけれども、これはただ議事録に残しておけばいい問題なのかどうか。つまり、わざわざ十八条の二を規定いたしまして、大体四十条でできるにもかかわらず十八条の二で、ある物を限定いたしまして、そしてそれが四十条でプラスアルファであるというように読み取れるのかどうかということなんですね。 いままでも四十条では、たとえば管理価格の問題だとか、あるいは第二次商社調査とか、家電製品の二重価格調査とか、再販の実施状況調査あるいは原油の購入価格調査とか、紙の価格形成調査とか、買い占め売り惜しみの調査とか、こういうものをされておるわけですが、これは必ずしも違反事件と関連をしていないと私は思うのです。違反事件と関連していないものも調査をされている。ですから、わざわざ十八条の二を置かなくても、四十条の一般調査権限を発動してやる方が公取委はより自主的にできるのではないだろうかと考えますので、この点、十八条の二に該当するものは十八条の二で報告を求めるわけだけれども、それいかんにかかわらず、四十条というものは一般調査権限として発動できるのだというように確認してよろしゅうございましょうか。
○澤田政府委員 私の結論だけを簡単に申しますと、十八条の二の報告徴収権の規定は現行四十条の権限を縮小するものではない、むしろ、こうした規定の新設によりまして、同調的値上げの条件を満たしている場合、直ちに値上げ理由の報告を徴するという措置がとれる、かように考えておるわけでございます。
○後藤委員 そういたしますと、十八条の二でいろいろな要件を書いておりますが、たとえば三百億円を超える場合とか、あるいは上位三社七〇%とかいろいろありますけれども、こういうのを一体何で知るわけですか。つまり、四十条の一般調査権限でこういうものは全部常に承知をしておくと、このように理解してよろしゅうございますか。
○澤田政府委員 審議官から説明申し上げさせます。
○後藤委員 つまり、十八条の二では一応限定しているわけですね。その限定以外のもの、それからまたそれを限定されておるそういうもの、日常基礎的な調査として独禁法の具体的な運用の参考になるような調査というものは四十条の一般調査権限でずっとされていかなければならぬ性格のものだと私は思うのです。それと、また、三百億を超えるもの、この十八条の二で規定されているものから外れている同調的値上げあるいは管理価格というものも、公取委員長、これは四十条でできるわけですね。くどいようですけれども、もう一度確認をしておきたいのです。
○澤田政府委員 一般的な調査あるいは管理価格調査、これは四十条で調査できるわけでございます。
○後藤委員 いまの点は、それでは十八条の二というものはつまりプラスアルファも含み、また、それ以外の管理価格の問題、あるいは公取が独禁法の運用上必要と思われる調査等については四十条が発動できる。この点をひとつ確認をしておきたいと私は思います。 そこで、もう一点、この十八条の二の問題でお伺いをしておきたいのですけれども、十八条の二で公正取引委員会が仕事をして、それは四十四条の第一項を見ますと、国会に年次報告をすることになっているわけです。そこで、十八条の二でもこの年次報告に入ると考えられますけれども、総務長官、これでよろしいでしょうか。
○藤田国務大臣 そのとおりでございます。報告を求めることができるわけでございますから、報告をとれば年次報告の中に入ります。
○後藤委員 そういたしますと、年次報告に入るとすれば、四十四条一項の後段の十八条の二の権限行使、これは「報告の概要」と書いてあるが、この「報告の概要を示すものとする」という規定を設けた意味は一体何でしょうか。
○藤田国務大臣 一般的な年次報告の中で、それらを取りまとめまして、一つ二つではないかもしれませんから、それらの概要をまとめて明らかにすることが適当であるという考え方からそのような表現になっておる、かように思います。
○後藤委員 同じ質問を公正取引委員長にお伺いいたしますが、この十八条の二の権限行使ですね。「報告の概要を示すものとする」という規定を設けた意味をお伺いしたいと思います。
○澤田政府委員 同調的値上げが行われた場合に、値上げの理由の報告を求めるわけでございますが、国会の年次報告でその概要を示すことに相なりますれば、寡占産業におきまする価格形成が国民の理解を得られることになりますし、企業の価格決定も慎重になる、こういう意味合いにおいて国会に対する年次報告に載せる、こういう趣旨であろうと存じます。
○後藤委員 四十四条の一項の後段に十八条の二項の権限行使が入るというのは意味がないのじゃないかと思うのです。ちゃんと四十四条の第一項に国会の年次報告をすることが規定づけられているわけです。さらに、また、四十三条で一般の公表規定があるわけです。 総務長官、これはこれまでどおり行われるわけですね。いかがでしょうか。
○藤田国務大臣 それはそのとおりに、従来どおり行われます。
○後藤委員 私は、一般公表の方が実質的効果が大変大きいと思うのです。もちろん、国会への年次報告も大切です。しかし、国会の年次報告は大分時期がおくれるわけですね。大分時期がおくれて報告の概要を年次報告で見たら、ああこういうことがあったのかと知ったときには、すでにその事態から相当時日が経過している。したがって、この報告を求めていくということは、そういった事態を国民の皆さん方に理解をしてもらうという意味での四十三条での一般の公表規定で——これは国会報告という規定があるのだから、ここに入れるまでは公表されないのだというようにもし読まれますと大変困りますので、一般公表規定というものでこれが押さえられるのかどうか。こういった事態が超こった場合にはすぐに報告を求めて、その概要について、状況について四十三条での一般の公表規定でここで公表する、このようになると理解してよろしゅうございますか。
○澤田政府委員 十八条の二に基づく報告がありましても、従来行ってまいりました同調的値上げの調査と同様に、法律の適正な運用を図るために必要があると認めますときには四十三条に基づく公表が適宜行われてしかるべきものと私は考えております。
○後藤委員 この点は法律ができました後の解釈論争にもなっては困りますので、総務長官、いまの公正取引委員長の御答弁でよろしゅうございましょうか。
○藤田国務大臣 そのとおりで結構でございます。
○後藤委員 次に、カルテルに対する排除措置の問題について御質問を申し上げたいと思います。 現行法の七条の運用といたしまして、事業者が価格の再交渉をすべきことを内容とする命令をされた例があると私は承知をいたしております。この七条の解釈といたしまして、違法行為の排除命令だけより行えないという狭い解釈ではないかと思うのですけれども、現行法の解釈はこれでいいのでしょうか。
○澤田政府委員 現行七条の規定に基づきまして、たとえば価格の再交渉を命じた例がございます。これはある意味では違法行為の影響が残るおそれがあるから、それを排除するというふうにとれないことはないのであります。しかし、その本体の排除措置と同時に、その辺はやはり排除措置の一環として行われたものと私は考えておる次第でございます。
○後藤委員 七条に新しく第二項が加えられまして、その中で、「事業者に対し、当該行為によつて生じた影響を排除するためにとることとなる具体的措置の内容の届出及び当該具体的措置の実施状況の報告を命ずることができる。」という規定になっているわけですが、業者が違反した行為を排除するために、主体的にどう是正するかということを報告という形で聴取することになるわけですね。つまり、影響の排除は事業主にその判断が任されてしまっているわけです。 この前提になる第一項は排除命令だけしか出せないという逆解釈が生ずるおそれがあると思うが、これは素人の読み方なのかどうか、総務長官と公正取引委員長にお伺いをしたいと思います。
○澤田政府委員 私どもの解釈は、その現行法七条は、不当な取引制限等に違反する行為があるときは「違反する行為を排除するために必要な措置を命ずることができる。」という規定であると考えております。 それで、今度設けられまする第二項は、不当な取引制限につきまして第一項に掲げます措置を命ずる場合に、当該行為によって生じた影響を排除するためにとることとなる具体的な措置を命ずるという規定であるというふうに考えておりまして、一項と二項の関係は、前の七十五国会に提案されました政府案のように括弧書きではなくて、別項として明確にされたものというふうに理解をいたしておる次第でございます。
○藤田国務大臣 公取委員長と同じような見解でございます。
○後藤委員 そうすると、一項を狭めるようなものではないと理解してよろしゅうございますね。
○澤田政府委員 そう理解いたしております。
○後藤委員 そう狭めるものではないとしますと、二項というのは一項より、軽重を言えば差しさわりがあるかもわかりませんけれども、大変軽い命令を規定をしていると私は思うのです。排除措置を限定して規制の後退をもたらすおそれが大変強いのではないかと私は思うのです。 ですから、もしいま総務長官と公取委員長が御答弁になりました考えを確認するとすれば、これはなぜこれが入ってくるのかが私は理解ができないわけでございますが、公取委員長、いかがですか。
○澤田政府委員 先ほど申しましたように、一項と二項は、排除措置とそれから影響の除去という区別でございますが、一項の方は従来の第七条そのままでございまして、第七条によりまして従来公正取引委員会が行ってまいりましたことは一向に排除されない、制限されないということでございまして、そこに問題はないのではないかと私は考えるわけでございます。
○後藤委員 本当に問題がないのでしょうか。問題がなければ要らないのじゃないかと思うのです。 くどいようですけれどもこの点をもう一度確認しておきたいのですが、公取委員長、全く問題はございませんか。
○澤田政府委員 先ほど申しましたところの、七十五国会に政府が出しました括弧書きになっておりました案は、そこにいきなりひっついておりましたから、いかにも従来の七条を制限するかのような論議が起こったと聞いております。また、公正取引委員会がその命令をするのじゃなくて、相手方がとるべき措置を命令するというような形でございますので、そこもまた制限して、かつ、なおその措置が弱くなるというような意見もあったかに聞いておるのでありますが、今度それを一項、二項と明確に分けまして、その問題はなくなったものと私は考えている次第でございます。
○後藤委員 いまの御答弁を聞いておりましても、二項を加えていかなければならない積極的理由というものがもう一つ理解できないのです。この点は、規制の後退をもたらすのではないか、そのおそれが強いというように思いますので、削除すべきではないかという意見を私どもは持っておりますが、これはまた後でぜひ詰めていただきたい問題だと思います。 そこで、さらに、いろいろな手続の関係で八十一条の改正点について御質問をしてみたいと思います。 この八十一条の改正点ですけれども、違反についての審判ないしは上級審の裁判につきましては、いわゆる実質的証拠の原則が公正取引委員会に求められていると思うのです。このことは、公取の構成が法律と実体経済との両面における専門家で組織されていることによって、審判及び裁判の手続の上では、実体裁判については公取の判断を優先させるようにという考え方であると私は考えております。上級審である東京高裁はいま申し上げましたような公取委の人員配置ではないわけですね。これは法律の専門家ではあると考えるのですけれども、経済に精通した人を網羅するということは大変むずかしいと私は思うのです。ですから公取委に対しまして、第一審的な役割りとしてその優先性を与えているのだと思うのですが、総務長官、この考え方はこれでよろしいでしょうか。公取委員長にもこの点について同じ質問をお伺いしたいと思います。
○藤田国務大臣 そのとおりでございます。
○澤田政府委員 総務長官と同意見でございます。
○後藤委員 そこで、改正案を見ますと、実体判断を公正取引委員会がする、しかし、審決に不服があった場合には上級審である東京高裁に訴えを提起していく、その場合に新しい証拠を提出できるということになったわけですね。現行法の八十一条では、いままでは、公取委の審判に際して、事業者が提出できなかったことについて過失がなかった場合に限定していると思うのです。無過失であった場合という大変強い限定になっているということは総務長官も公正取引委員長も先ほど御確認になった。つまり、公取の一審としての優位性というものを認めておるからだと私は思うのです。 この新証拠の提出というのは、実は第一次政府案にもなかった条項なんですね。今度の改正では重大な過失以外には上級審で新証拠を提出することができるというように緩和していく。これはどのような理由でこの新証拠の提出ができるように改正をしたのか、それはまたどのような効果をもたらすかということについてお伺いをしたいと思います。これも総務長官と公正取引委員長に伺いたい。
○藤田国務大臣 御承知のように、このたび課徴金を取ることになっておりますし、いろいろとそういう罰則の強化がございます。そうしますと、いまのような第一審的存在でありますところの公取の判断はもちろん尊重しなければなりませんけれども、しかし、新証拠の提出ということによってなおかつその判断の厳正を期するということも必要であります。ただ、一元的な事実認定というふうなものがございますが、これらが乱れてはいけませんので、新証拠の提出できる場合もこれは公取の方に差し戻されるというぐあいになって、その一元化は乱されないようになっていると思います。
○澤田政府委員 いまの総務長官のお答えのとおりでございますが、従来は審判手続において過失のために申し出ることができなかった証拠、審判取り消し訴訟においても新証拠として申し出ることができないとしております現行法第八十一条の規定は、司法上の事後救済の点から見まして必ずしも十分なものとは言えないという考え方もございまして、このため、審判手続で提出できなかったことについて重大な過失がない場合には新証拠の申し出をすることができるということにしたものと理解いたしております。
○後藤委員 無過失であった場合という強い限定がなされておりますのは、これは先ほども御確認をいただきましたような公取の権能というものを大切にしているからだと私は思う。確かに、上級審に来ますと八十一条の三項で当該事件を差し戻しをしていくということになっております。 ところで、公正取引委員会というのは、その審決に入るに際して、いささかでも間違ったような審決をするというのは大変なことですから、したがってあらゆる調査をしていくと思うのです。また、その審理にいたしましてもあらゆる防衛体制をとって、そしてあらゆる有利な資料を提供して争われるものだと思うのです。ところが、もしこの規定がありますと、証拠を何かちょっと置いておいて、やらせるだけやらせておいて、不服がありますと言って上級審にやります。上級審はその新しい証拠に基づいてもう一度差し戻しをいたします。一般の地裁、高裁の例を見ましても、差し戻しをされた場合というのはさらにそれを上回る努力が払われていかなければならない。私は、このことも公正取引委員会の権能を非常に大きく制約するものだというように断定せざるを得ないと思う。 何で「重大な過失」という「重大な」という言葉を入れていかなければならないのか。もし私がその立場だとするならばいろいろな証拠を置いておきます。そして、やらせるだけやらせておいて、上級審の際に、大変うっかりいたしておりました、こういう資料がございますと言います。さて、それが出されてくると差し戻しされる。公正取引委員会というのはこれだけで振り回されてしまうのじゃないだろうかというように私には思えてなりませんが、公取委員長、いかがでしょうか。
○澤田政府委員 いろいろとお気遣いをいただきましてまことに恐縮でございますが、本改正は被審人の立場ということもやはり考えなければなりませんので、被審人の審判手続上の不注意で、訴訟段階である程度救済し得ることがあればそれは救済してやった方がいいという考えであろうと存じます。訴訟の引き延ばし等によって重大な事務上の支障を生ずるということは決してなかろうと考えている次第でございます。
○後藤委員 実態といたしましてそうなってはいかないのじゃないかと私は思います。だから、恐らく公正取引委員会としては、えらいものが入ってきたぞというように、特にこの事件等にかかわってこられた方、これからかかわる方々はお考えになっていると思うのです。公取の審判の価値を引き下げていくような効果を持つということは明らかだと私は思います。 だから、この公正取引委員会の独立職権の問題と、それからまた経済政策、産業政策と公取の自由な公正な競争秩序を確立する基本的なルール、この二つの間には緊張関係を持ちながらも、お互いが過剰介入をしていかないというお互いの立場を尊重していくことが大事だと思う。しかも、行政機構の一つであるとは言っても、公正取引委員会といいますのは、政治力学上、その力関係というものは圧倒的に内閣に有利ではないか。今度の改正案をずっと見てみますと、確かに五党修正案に対して近づけようとする努力は見られるわけですけれども、すべての条文と言っていいほど公取委の権限が行使されるものについての歯どめがかかっているわけです。 公正取引委員長はいまプラスアルファであるとかあるいは支障がないとかいうように言われましたけれども、これからの法の運営においては大変いろいろな問題になってくる面が多い。私が先ほど御指摘を申し上げました諸点についてはプラスアルファと言われておりますけれども、これはむしろない方がよろしいというように考える面のみを私は御質問申し上げましたが、この「重大な過失」の「重大な」というところも削っておいた方がよろしい。これまでもそのことで支障はなかったと思います。何も罪人を仕立て上げるというのが目的ではないと思いますけれども、その点はぜひ強調をしておきたいと思います。 なお多くの御質問を申し上げなければならない点があるわけですけれども、時間が参りましたので私の質問を終わらせていただきたいと思います。 ありがとうございました。
○野呂委員長 松本忠助君。
○松本(忠)委員 私は公明党を代表いたしまして、ただいま議題となっております独禁法の改正案について質問をいたしたいと思います。 わが党は独禁法の強化改正をきわめて重要視しているわけでございます。それと申しますのは、わが国経済は現在減速経済へと突入しているわけでありますが、減速経済の時代におきましては、高度経済成長の時代に築き上げられたところの独占、寡占の弊害というものがますます顕在化してくるわけであります。その意味におきまして私どもは独禁法の強化改正を急務と考えているわけでございます。 本日の質疑におきまして各党一巡方式をとりましたが、これは各党それぞれの態度表明という意味もございますので、さきの質問者と重複する部分はあろうかと思いますが、よろしくお願いをいたしたいと思うわけでございます。 要綱の順序に従いまして、第二の問題、すなわち第七条、第八条の二の問題、続きまして第四の問題、第二条、第八条の四の問題、さらには第五の問題、第十八条の二、第四十四条、最後に第十の問題、審判手続及び訴訟に関する規定の整備、この四項目に従いましてお伺いをいたしてまいりたいと思うものでございます。 まず最初に総務長官にお伺いをするわけでございますが、言うまでもなく、独禁法改正問題は第七十五国会におきまして衆議院で全会一致で修正可決した法案であることは御存じのとおりでございますが、今回提案されました改正案は五党修正案を多くの点で後退させてしまったと私は判断をいたしているわけでございます。私は、議会制民主主義のもとにおいて衆議院を通過し、修正可決したという厳粛な事実というものはあくまでも尊重されなければならないと思うわけでございますが、今回提案されました改正案が五党修正案に比べましてなぜ多くの点で骨抜きにされたかをまず御説明をしていただきたいと思うわけでございます。
○藤田国務大臣 今回の政府案が五党修正案を大きく骨抜きにしたと言われましたけれども、われわれはそうは思っておりません。かえって強化した部面もございますし、いろいろな意見の中でやっとよりよいものをまとめ上げてきたというふうな考え方を持っておりますから、先ほども申し上げたのでありますが、与党も含めて各党に御賛成いただけるぎりぎりのものを出してきた、こういうふうに思っております。
○松本(忠)委員 あなたは骨抜きにしたとおっしゃらないことは私もわかりますけれども、それでは公取委員長さんにお伺いをいたします。 公取の委員長さんはかねてから五党修正案の成立を望んでいる旨を表明されてまいりました。しかし、今回提案されました改正案は五党修正案を後退させたものであることはいまも申し上げたとおりでございまして、今回公取の委員長が政府案を評価した、そのこととさきのものと矛盾をするのではなかろうかと私は思いますが、いかがでございましょうか。
○澤田政府委員 独占禁止法改正問題につきましては、私は、かねがね、その考え方の基本となるべきものは大筋としていわゆる五党修正案であるべきだということは一貫して申してまいっておったのでございます。したがいまして、今度野党四党で御提案なさいましたのはそのままの姿でございますが、これを私は尊重いたしますことは申し上げるまでもないところでございます。 と同時に、今度政府から提案いたしました新しい改正案でございますが、一たん非常に重要な項目が落ちたのをまた再び入れるというようなことはなかなか容易なことではないと思いますが、実施官庁としての私どもから考えますと、大筋としていわゆる五党修正案にこれも沿ってきたものと考えて十分評価できるものというふうに思う次第でございますが、しかし、いずれにしても二つの案が御審議に相なるわけでございますので、早く一致する点が見出されまして成立いたしますことをこいねがっておる次第でございます。
○松本(忠)委員 参議院におきまして、四月の十六日に私どもの桑名議員が質問をいたしました。そのときも公取委員長は、五党修正案を評価するけれども、政府案も大筋では同じだというような御答弁がございました。いまも全くそのとおりでございますが、徐々にこれから質問をしてまいりますが、総務長官に伺います。 総務長官は各野党が修正を求めていることは御存じだと思うわけでございますが、総務長官としては国会における修正についてどのような見解をお持ちでございましょうか、お伺いをいたしたいわけでございます。 また、われわれは以下申し上げますような問題点を修正し、今国会において強化改正を実現したいと考えているわけでございますが、総務長官は今国会で強化改正を実現するという強い決意をお持ちになっているのかいないのか、この点をまず明確にお答えをいただきたいと思います。
○藤田国務大臣 現在の政府案によりまして強化改正の実を挙げ得よう、かように考えております。 本日は御審議をいただいた初日のことでもございますし、ここで与野党のそれぞれの論戦、御審議をいただきました上で、与野党の間で何らかの御相談なり合意が生まれれば、これはまた話は別でございますけれども、本日提出したばかりの、御審議いただいたばかりのこの法案を修正するというふうなことはただいま現在では考えておりません。
○松本(忠)委員 総務長官の御意見はよくわかりますが、そこで、与党であるところの自民党内では、でき得れば今国会においてもこの改正案を廃案に追い込んでしまいたいというような動きがあるということも聞いているわけでございますが、こういう動きを総務長官は御存じでございましょうか。この点をお伺いいたしておきたいわけでございます。
○藤田国務大臣 私はどうも耳が悪いせいか、そのような話は聞いておりません。
○松本(忠)委員 便利な耳でありまして、私どもは目から見ることもできる。新聞にもいろいろ出ておりますし、情報も聞いておりまして、私のいま申し上げたことが大変大きな動きになっているということも聞いております。しかし、総務長官とすれば閣僚の一人としていまの御発言も当然だと思います。 そこで、通産大臣にお伺いいたしますが、報道によりますと、通産大臣は政府案が決定するまでに相当の難色を示されたということです。そして、いろいろと総理あるいは総務長官等々との折衝というか話し合いというか、それが行われたように聞き及んでおりますが、今回提案の政府案に対して通産大臣としてはどのように評価をしていらっしゃるのか、お伺いいたしたいわけでございます。
○田中国務大臣 閣僚として部内の意見を求められた際におきましては、私ども経済をお預かりしておる者の責任といたしまして、申すだけのことは十分に意見を述べました。同時に、また、それはあくまでも部内の意見でありまして、一たび閣議において政府として決定を見た今日におきましては、この政府案をもって同時にまた私の主張ともお思いいただいて結構であります。
○松本(忠)委員 意見のあったことも事実と思うわけでございます。しかし、閣議で決定いたしました以上はその閣議の方針に従っていく、当然この法案の成立を望んでいる、積極的に取り組み、そして改正強化に前向きに取り組んでいくんだ、と、こういう明確な意思を私はお受け取りいたしましたが、それでよろしゅうございますか。
○田中国務大臣 よろしゅうございます。
○松本(忠)委員 それでは、次に進めまして、総務長官にお伺いをいたしますが、われわれが最も重視しておりますのはカルテルの排除措置でございます。五党修正案が全く踏みにじられたと私は思っております。五党修正案を全く尊重しないで、修正される前の第一次政府案と全く同じ内容にしてしまったということは一体いかなる理由によるものか、お答えをいただきたいわけでございます。
○藤田国務大臣 今回、第七条はそのまま生かしまして、その第二項を加えたわけでございますが、これはカルテルによる影響が第七条のままでは残るというふうなおそれもございますので、第二項によりまして自主的にその影響をなくさせるようなために報告をとるというふうな措置をしたわけでございますから、私は、第七条だけがあるよりも、この方が影響排除のためにもより効果的になった、かように考えておる次第でございます。
○松本(忠)委員 総務長官のお答えを一応いただいておきまして、それでは公取委員長にお伺いいたしますが、公取委員長は先ほど抽象的なお答えを述べられたのですが、第一次政府案を五党修正によりまして、第七条が「違反する行為及び当該行為によって生じた影響を排除する」という修正がなされた背景というものをもう一度頭の中で振り返ってみていただきたいと思うわけでございます。 公正取引委員会が四十九年に公取試案を発表いたしましたが、この中には原状回復命令が盛り込まれてあったと記憶をいたしております。野党も一致して原状回復命令もしくは価格引き下げ命令の創設を主張したわけでありますが、その代案といたしまして、政府がカルテル排除の徹底として第一次政府案に盛り込んできたものでございます。しかし、これが不十分だということでさきの七十五国会において五党で修正をしたわけでございますが、このいきさつは十分御存じのとおりでございます。 公取委員長は、公取試案から見て、「影響を排除する」ということで原状回復とも読めるということも含めまして、五党修正案が望ましいという態度をとってきたのではなかろうかと私は思いますが、いかがでしょうか。
○澤田政府委員 違反行為の影響を排除する措置を規定しようとした趣旨を考えてみますと、カルテル協定の破棄後におきまして、カルテルによって形成されました価格など、この影響が残存することが非常に多いと考えられますので、影響が残るおそれがある場合にはその影響を排除し、競争を促進させる措置をとらせ得る、そういう趣旨にあると私は考えるのでございますが、御質問の五党修正案で、御承知のように括弧内を落として一行字句を差し加えた、その部分が解釈によって非常にあいまいでございまして、議論を呼んだところのいきさつもまた私は逆に承知をいたしております。 非常にむずかしいところでございまして、先ほど総務長官からお話しのように、今回、旧七条はそのまま置いて、そして影響を排除する規定を第二項として加えたということは妥当ではないかと、この部分については私はそう考える次第でございます。
○松本(忠)委員 どうもちょっと理解に困るわけでございますが、要するに今回の政府案というものは、第一次政府案の括弧を外して第二項を起こした、これだけのことじゃないかと思うのでありますけれども、それとも、今回の第七条二項というものは七十五国会の議論を踏まえて改善されたとおっしゃるわけでございますか。この点を公取委員長からひとつお伺いしておきたい。
○澤田政府委員 その議論を踏まえたと申しますと語弊があるかと存じますが、いろいろないきさつから、先ほど総務長官も申しましたように、七条はそのまま第一項として置いて、それに影響の排除の規定を括弧内でなしに項を起こして第二項として置いた、こういうふうに理解をいたすわけでございます。
○松本(忠)委員 これは重大な問題のところなのですけれども、要するに、この七条の二項というものは現行法すら後退させるものであることを私は指摘せざるを得ないわけであります。 総務長官にもう一度お伺いいたしますが、影響を排除することとなる具体的措置を決めるのは一体だれなのですか。
○大橋政府委員 具体的措置を決定いたしますのは事業者でございますが、公正取引委員会は、その措置の届け出を命ずるということの内容によりまして事業者が何らかの措置を決定するということを命ずることができる、こういうふうに理解をしております。
○松本(忠)委員 要するに、違反行為者が具体的措置を決めるということなんですね。
○大橋政府委員 措置の内容を決めるのは、違反行為者といいますか、その排除措置を受ける事業者でございます。
○松本(忠)委員 そうしますと、排除命令はどういう内容のものになるわけですか。
○大橋政府委員 具体的な審決の案文につきましては公正取引委員会で検討されることになると思いますが、立案の立場から申しますと、公正取引委員会が行為によって生じた影響というものを合理的な範囲で特定いたします。したがいまして、カルテルでございましたら、そのカルテルによって維持されている価格を自主的に決めた価格に直すための具体的措置を決めろ、そして決めたものを届けてこい、そしてそれを実施しろ、その実施したものについての状況を報告しろ、こういうふうな内容の主文になるというふうに理解しております。
○松本(忠)委員 それでは、審決違反となる場合というのはどういう場合を言うのか。たとえて申しますと、カルテルによって価格が引き上げられ、その価格が影響として残っていると公取が判断し、影響を排除することとなる具体的措置を事業者に命じたときに、事業者が影響を排除することとなる具体的措置がありませんというふうに申し立てた場合、あるいは公取の判断と違った措置をとった場合、これは審決違反となるのですか。
○大橋政府委員 それは具体的なケースによって変わってくるわけでございますけれども、明らかにその影響が排除されると思われないのに何らの措置をとらない、こういうような場合には審決に従ったことにはならないというふうに考えております。
○松本(忠)委員 そうしますと、公取が最初からこの影響を排除するための措置を命じるようにした方がいいと私は思いますが、その点はどうなんでしょうか。
○大橋政府委員 これは独占禁止法の基本的な考え方でございますけれども、違法の行為を排除する、排除した後には、その拘束から離れた事業者の創意を生かした自由な活動が行われるというのが独占禁止法の考え方でございまして、したがいまして、公正取引委員会は事業者の自由な活動の起こるきっかけを与えるというところまでが独占禁止法の考え方としては限界ではなかろうか、こういうふうに考えております。
○松本(忠)委員 公取委員長にお伺いいたしますが、結局政府は現行法では影響を排除することができない、したがって二項で影響を排除するようにしようとしている、こういうふうにとるわけです。しかしながら公正取引委員会としては、いままで、価格の再交渉命令、場合によっては事業者団体の解散命令まで出したことがありますが、公取のこういう排除措置は間違っていたということになるのでしょうか。
○澤田政府委員 従来、公正取引委員会は七条によりまして本体の排除命令と同時にいろいろな命令を出しております。その一つに先ほどの価格の再交渉命令もあるわけでございます。しかし、私どもは、これは影響の排除とは理解いたしておりません。違反行為の排除の一環と考えておる次第でございまして、こういった従来行いました行為は今後も第一項によってできるもの、こういうふうに理解をいたしておるわけでございます。
○松本(忠)委員 どうも私は納得ができないわけでございます。具体的に違反事業者に届け出を命じても効果がないと私は思いますけれども、そうじゃないでしょうかね。
○大橋政府委員 これは、従来に比べてはやはり効果のある排除措置ということになろうかと思います。
○松本(忠)委員 おたくは効果があるとおっしゃるわけでございますが、どうも私にはそう受け取れないわけでございます。 そこで、重ねて総務長官に伺いますが、現行法第七条が影響の排除まで含まれることは、これは昭和二十八年十二月七日の東宝及び新東宝の審決取消請求事件の判決でも明確でございます。すなわち、その判決文には、「一般に独占禁止法違反の行為があるとき公正取引委員会はその違反行為を排除するために必要な措置を命ずるのであるが、ここに違反行為を排除するために必要な措置とは、現在同法に違反してなされている行為の差止、違反行為からもたらされた結果の除去等、直ちに現在において違反行為がないと同一の状態を作り出すことがその中心となるべきことは当然であるが、これのみに止まるものと解するのは、同法のになう使命に照らして狭きに失する。」という判決がございます。 そこで、この判例から見まして、現行法におきまして影響排除も含まれていることは明白ではないかと私は思いますが、いかがでございましょうか。
○水口政府委員 お答えいたします。いま先生がおっしゃいましたような、そういう判決があることは確かでございます。それで、現在まで七条の規定によりまして公正取引委員会が具体的にどういうふうな措置を講じていたかということでございますが、若干申し上げさせていただきますと、まず第一がそのカルテル等の破棄命令で、これは当然のことでございます。しかし、七条によって命じます措置というのはこのカルテル等の破棄命令だけじゃなくて、それに付随する措置の命令といいますか、そういったものはいろいろいたしてございます。たとえば将来同じような違反行為をやっちゃいかぬとか、それからカルテルをやった場合のみんなでつくった価格表を回収して廃棄しなさいとか、あるいは先生もおっしゃいましたが、そのきつい措置としては事業者団体を解散しなさいとか、それから一番しばしば命令いたしますのは取引先及び事業者への周知徹底でございます。それから、そういったもろもろの命じたことについての措置を事後報告しなさいとか、こういったようないろいろな付随する命令が含まれております。 判決は、その影響排除措置というよりも、この七条の違反行為の排除措置、それに付随する措置、これを含むことができるということであろうかと思いますが、この場合に若干問題になりますのが、先生がいまおっしゃいましたいわゆる価格の再交渉命令で、これはコーテッド紙製造業者に関する審決が出ておるわけでございますが、これは一種独特な事情もございまして、当時非常にお行儀が悪いといいますか、カルテルの破棄を命じましたら、それは破棄したけれどもまたすぐ同じようなカルテルをやったというような事情もございまして再交渉命令を出したわけでございますが、この点については、影響排除措置というよりも、むしろその七条一項の方の排除措置の方に属するものだというふうにわれわれは解釈をしておるわけでございます。 〔委員長退席、中島(源)委員長代理着席〕
○松本(忠)委員 重ねてお伺いしますが、ここでは一般に公取が排除措置を講ずることを言っている。そして、三条前段のことのみを言っているのではなくて、一般にということは七条の排除措置についての判例ととらざるを得ないのではなかろうかと私は思いますが、この点はいかがでしょうか。
○大橋政府委員 今度政府の提案いたしております七条の二項は、不当な取引制限について限定しているわけでございます。私的独占、不当な取引制限、不公正な取引方法、不公正な取引方法につきましては、やはり、それぞれの態様に応じまして排除措置が及ぶ範囲というものはおのずと明らかになってくるものと考えております。七条一般が同じようなものというふうには理解しておりません。
○松本(忠)委員 それならばお伺いいたしますけれども、ここの排除措置というのは不当な取引制限だけなんですか。私的独占にはなぜ適用しないのでしょうか。私的独占にはこういう措置をとらないということも矛盾するのではないかと私は思いますが、どうなんでしょうか。
○大橋政府委員 七条二項の改正案は不当な取引制限についてのものでございます。それで、私的独占についてなぜそういうことをやらないのかということでございますが、私的独占につきましては競争を実質的に制限する排除、支配というような行為として定義されておりますが、その行為というものは市場の状態と密接に結びついた概念であると存じます。それを排除するために必要な措置と申しますと、やはり市場の状態の是正に及ぶということが認められますので、排除措置自体の実施、その中に状態の是正というものも含んでまいるというふうに理解しております。 したがって、排除措置以上にその行為の影響を排除するというようなことは通常の場合必要と認められない、こういうふうに理解しておるわけでございます。
○松本(忠)委員 この七条二項の問題ばかり取り上げておるわけにもいきませんので次に移るわけでございますけれども、この七条二項の新設という問題につきましては、私はどうも納得ができかねるわけでございます。あくまでも五党修正案に戻すべきではなかろうかというのが私の見解でございます。 時間の関係もございますから次に移るわけでございますが、今回の政府案は、独占的状態の排除についても、五党修正案にさらに修正を加えて、この規定の発動に制限を加えようとしていると私は思います。五党修正案においてわれわれは相当の譲歩をしたことを考えあわせれば、これは納得できないのは当然ではなかろうかと思うのでございます。 そこで、公正取引委員会委員長さんに伺いますが、独占的状態の要件として、第四の一の(三)のイに、「当該事業者の属する業種における標準的な政令で定める種類の利益率を著しく超える率の利益を得ていること。」とされていますが、この標準的な利益率を著しく超えるというのはどういう場合を指すわけでございましょうか。また、どういう資料によってこれを判断するのでございましょうか。この点をお伺いいたします。
○澤田政府委員 審議官から申し上げます。
○水口政府委員 ただいま御質問のありました二条七項の三号のイでございますが、標準的な利益率を著しく超えるというふうに規定してございますが、これはまずその前に「当該事業者の属する政令で定める業種における」とございます。これはかなり広くわれわれの方は考えておりまして、たとえば製造業とか、建設業とか、卸売業とか、そういった範疇でとらえたいと思っておりますが、そういった業種における標準的な利益率でございますが、それを「著しく超える」ということでございまして、何が著しく超えるかということにつきましてはケース・バイ・ケースで決めたいと思っておりますが、一応の目安といたしましては、標準的な利益率を五〇%以上も上回っておること、そういうふうなことが必要であるというふうに考えております。
○松本(忠)委員 どういう資料で判断するわけですか。
○水口政府委員 失礼いたしました。 それは、有価証券報告書であるとかいうような公開された資料とか、それから公正取引委員会が通常の業務を通じましていろいろと情報を得ておりますが、そういったものを中心にいたしまして、もしそういったもので足らなければ任意の協力を求めるとか、そういったことで補足をしたいとわれわれの方は考えております。
○松本(忠)委員 もう一つ、その次の第四の一の国のロに、当該の「事業者の標準的な販売費及び一般管理費に比し著しく過大と認められる販売費及び一般管理費を支出していること。」とございますが、これを具体的に説明し、「著しく過大」というのは一体どういうことなのか、明らかにしてもらいたいと思うわけでございます。これもまた前の質問と同じように、いかなる資料によってこれを調査するのか、お答えを願いたい。
○水口政府委員 このロにつきましては、先ほど申しましたイとは若干異なっておりまして、「当該事業者の属する事業分野における事業者の標準的な販売費」と書いてございますので、例を挙げてみますと、たとえば麒麟麦酒の場合には、ここに書いてあります事業分野というのは製造業といった広い概念ではなしに、ビール業界というふうにわれわれは考えております。それをまず申し上げておきます。 それで、そういった業界における「販売費及び一般管理費に比し著しく過大と認められる」という表現になっておりますが、何が著しく過大であるかということは、これもさっき申しましたように一律的にはなかなか決めにくい話でございまして、ケース・バイ・ケースで判断せざるを得ませんが、一応の目安を申し上げますと、他の業者に比べて標準的な支出額を超えて支出しており、その分を利益の額に加えた場合に、これがすぐ前のイに戻りまして、そこでさっき申しましたように五〇%以上も利益を上げていることになる、そういった場合はロの「著しく過大」というふうに判断する、われわれの方では一応の目安としてはそのように思っております。 それから、何をもとにこういう数字をはじくかということでございますが、これはやはりイで申しましたことと同じでございます。有価証券報告書とか、そういったいろいろな資料でございます。
○松本(忠)委員 四十条を使わずにこれらの調査ができるというふうに公取委員長が言われておりますけれども、交際費などというのは当然四十条を使わないと判明しないと私は思いますけれども、これはどうでしょうか。
○水口政府委員 われわれといたしましては、そういったいろいろな資料で足らざるところは任意調査といった形でやりたい、それからどうしても協力が得られない場合は四十条ということも考えられますが、四十条を使うことはできるだけ慎重にしたい、このような態度でございます。
○松本(忠)委員 独占的状態を公取が把握する場合に四十条を使うことは余り好ましくないけれども、使うということもあるわけです。しかしながら、その段階で公取が完全に審判を維持するに足るところの心証を固めていないのが普通であろうと私は思うわけでございます。そして、その四十条の調査につきましてはさまざまな疑問が出されているわけでございます。そこで四十五条の四項の措置をとらなければならないというケースが当然多いと思うわけでございますが、今回の案ではここで「主務大臣に通知しなければならない。」というふうになっているわけでございます。 結局、公取が独占的状態をこれから明確にするというところで主務大臣の意見を聞くということにならざるを得ないのではなかろうかと思いますが、この点はいかがでしょうか。
○澤田政府委員 その段階までは、具体的に申しますと経済部で先ほどから申しましたような形で調査をいたすわけでございまして、いよいよこれを立件審査を必要とするという印象になりました場合に、そこへ移す前に主務大臣に通知するというのが実際上のやり方になろうかと思います。したがいまして、そこで主務大臣の意見を聞いて、念を入れるという一段階が設けられたものというふうに理解するわけでございます。
○松本(忠)委員 総務長官にお伺いいたしますが、独占的状態を排除するのには、独占的状態があるかどうかが判明しなければ排除できないと思う。独占的状態がまだ明確でない段階で、これから調査を開始するときに主務大臣に通知するというのはちょっとおかしいと私は思いますが、総務長官はどう思われますか。
○藤田国務大臣 独占的状態があり、その中にもちろん弊害があると思考される状態において公正取引委員会が主務大臣に通知をし、主務大臣の意見を述べることができるということになっておるわけでございますから、主務官庁が長年にわたってその業種、業界をいろいろと詳しく知っておることは、これは間違いのない事実です。 ですから、そこにたくさんある情報あるいは調査資料を公正取引委員会が利用させてもらい、そしてまたいろいろなことに対して連絡も密にしていくということは決して悪いことではなく、公正取引委員会としても当然とられる措置であろうと思うのです。それを「通知」と「意見を述べる」という言葉で表現されているものだと私は思っております。
○松本(忠)委員 それでは重ねてお伺いしますが、総務長官、主務大臣が公取から通知を受けて、要するに独占的状態の有無及び競争回復策について意見を述べるということであれば、主務大臣は独占的状態の有無を常時把握していなければできないと思うわけです。こうしたことは実際上の問題として可能なのでしょうか、どうでしょうか。
○大橋政府委員 四十五条の二の規定は主務大臣が独占的状態の有無に関し「意見を述べることができる。」ということにはなっておりますが、これは意見があれば申し出ることができるという趣旨でございまして、独占的状態の有無について主務大臣が常時独自の権限で調査を行い把握しているという必要性はこの規定から出てくるということはないわけでございます。
○松本(忠)委員 それでは、総務長官は、公取の職権行使の独立性については尊重なさるところの御意思があるかどうか。また、この職権行使におきましても、最も重要なことは公取の事実認定が他から影響を受けないということだと私は考えるわけでございますが、この点はいかがでしょうか。
○藤田国務大臣 現在の二十八条の規定にもありますように、公取の自主性、独立性というものに対してはこれは尊重していかなければならぬと思いますし、事実認定につきましても同じように尊重していかなければならぬと思います。
○松本(忠)委員 主務大臣が通知を受けた段階で独占的状態の有無及び競争回復策について意見を述べるということは、公取に何らかの影響を与えようとする意図があるのではなかろうかと思いますが、この点はどうでしょうか。
○大橋政府委員 影響ということがどういう意味か余りはっきりわからないわけでございますけれども、調査の内容に主務大臣の意見が重要な参考になるということは申し上げられると思います。 しかし、公正取引委員会はまだ調査の途中ということになるわけでございますから、その調査の結果について主務大臣の意見に拘束されるということはございません。
○松本(忠)委員 時間が大分迫ってきましたので、この問題はこの一問で一応終わりにしますが、独占的状態に関する質問の最後に、通産大臣と公取委員長にお伺いをしますが、公取は独占的状態の一応の対象となる業種は九業種、通産大臣の方は三十一業種と、このように言っておられるわけですが、どちらの調査が正当なのか。私はこの際これを明確にしておきたいと思いますので、それぞれから簡単にお答えをいただきたいと思います。
○田中国務大臣 事務当局からお答えいたします。
○濃野政府委員 お答え申し上げます。 実は、今回の法律の改正に関します自民党の山中調査会での検討の途中で、工業統計をベースにして私どもの内部資料としていろいろ資料をつくりました。その中で、工業統計をベースにいたしますと約三十の業種ということになっておりますが、これは独占的状態という法律上の今度の概念の構成要件がまだ決まっていない段階の私どもの勉強の資料でございまして、今度の法案が成立し、これについての基準等が公正取引委員会で定められればそこではっきりしてくる問題だろうと、かように考えております。
○水口政府委員 いわゆる九業種ということがよく言われておりますが、これは公正取引委員会において暫定的に現在ある数字を用いて計算をしてみて、その場合に、独占的状態の中の形式的要件、いわば国内供給額が五百億円以上であるとか、あるいはシェアが一社五〇%、二社七五%以上あるとか、そういう形式的要件だけに該当する業種は幾つあるだろうかということで一応の試算といたしましてつくりましたのがいわゆる九業種でございます。それで、通産省の方はただいまお話のありましたように三十幾つということになっておりますが、比べてみますと、結局は独占的状態の定義の中で一定の事業分野という言葉が出てまいりますが、これは実は非常にむずかしい概念でございまして、いろいろな商品を含むことになっておりますので、それの事業分野のとり方の相違によるという点が一番大きいように思います。 われわれはいまの段階では九つである、こういうふうに考えております。
○松本(忠)委員 この問題はやはりいろいろの疑惑を招いておりますので、どうしてもはっきりさせるべきであろうと私は思います。 そこで、最後でございますが、価格の同調的引き上げに関する報告の聴取につきましてお尋ねをいたします。 五党修正案でこの規定は削除されておりますが、この規定を復活させた理由は何であるか。それから、四十条の二どこの十八条の二という位置についてはどのような違いがあるのか。これが一点。 それから、次の問題は、条文の位置が変われば解釈が違ってくるということはないと私は考えるわけでございますが、第一次政府案のときも議論された問題でございまして、この規定は四十条の一般調査権、四十三条の公表権を制約するおそれが多分にあると私は思うが、少なくともわれわれは四十条、四十三条を制約することがないように明確にしなければならないと思っております。これが二問。 それから、最後ですが、わが党は訴訟における新証拠提出権の緩和のような各種の手続規定の改正につきましても、必要性が全くないと考えております。特に、訴訟における新証拠提出権の緩和は、行政委員会としての公正取引委員会の事実認定権を侵害するものと考えておりますが、いかがですか。 これらの点についての見解を伺いまして、本日の質問を終わりたいと思いますが、以上三点について逐次お答えをいただきたいと思います。
○藤田国務大臣 同調的値上げに関しまして、なぜまた新しく復活させたかという御質問が最初であろうかと思いますが、これはもう御承知のように、高度寡占の状況になりますと、何と申しますか、電話一本ででも、あるいは何ら相談なくして近い日月の間にそういうふうなものが行われるということはあり得るわけでございます。今度カルテルを非常に強化いたしておりますが、そういう意味におきましても、この三百億というふうなところが一つ抜けるということも問題がございます。 そういう意味合いにおいて、同調的値上げについては「報告を求めることができる」という一項を回復させているわけでございますが、四十条の二としてあったものが新しくなぜ項を起こしたかということでありますが、先ほど先生が言われたように、四十条の二としたがために何か四十条を制限したというふうな誤解を与えるということで、そこから切り離しまして十八条の方に持っていったということでございます。 それから、裁判のことでございますが、新証拠の提出という例でございますけれども、これも従来よりはカルテルを強化いたして課徴金も取るようになっておりますし、いろいろとそういう問題が起きてくる、裁判の問題も件数も多くなってくる、かように思います。そうしますと、何も第一審における公正取引委員会の審決を軽んじるということでは毛頭ございませんけれども、しかし、重大なる過失がなくして証拠の提出が行われなかったというふうな場合には、これをやはり新証拠の提出として認めるだけの余裕を持つ、そして正当な妥当な裁判を受ける、こういうことでございますし、事実認定の問題については、一元化するためにその問題の新証拠の方はまた公正取引委員会の方へ差し戻すということにもなっておるようなことであります。
○松本(忠)委員 いろいろと質問をいたしまして、納得のできない点も多々ございますけれども、時間も制限をされておりますのできょうはこれで終わりますが、明日以降の質問におきまして、わが党の同僚議員よりさらに細部にわたりまして質疑をいたしたいと思っております。 きょうは以上をもって終わります。
○中島(源)委員長代理 玉置一徳君。
○玉置委員 本日は三十分の時間でありますが、内外ともに非常に注目をいたしておる法案でありますし、しかも、公取委員長がお話をなさったからといって、お答えになったからといって、そのまま公取委員会がすべての責任を負うというような体制になっていない委員会でもありますから、やはり十分な審議をしておかなければならないわけであります。わずか三十分でありますから通りし遍の質問しかできないと思いますが、ひとつ真剣にまじめにお答えをいただきたいと思います。 そこで、まず、総務長官にお伺いいたしましょう。 三年間に三回にわたります政府案が次々入れかわって提案がされたわけでありまして、こういう経過を考えますと、五党修正案のこの間のものと、どうしてもこういうところでぐあいが悪いからこうなったんだというような主要な点をひとつお答えをいただきたい、明示していただきたい、こう思います。
○藤田国務大臣 五党修正案とどういう点で変わったかということでございますが、大分これは詳細にわたり長くなりますので、政府委員をもって説明させたいと思いますが、変わった点だけの話ですか。
○玉置委員 こちらが指名した人にやってもらわぬと困るわけです。委員長はそれで指名したのです。それまでは、初めから逃げるようなことではだめですよ。先ほどお願いをしておいたように、まじめに明快にお答えをいただきたいと言うておるわけですからね。
○藤田国務大臣 それでは、少し長くなりますが申し上げます。 両案の主たる相違点は次のとおりでございます。 第一番目として、不当な取引制限等に対する排除措置でございますが、第七十五回の国会修正案は第七条を一部修正し、当該行為によって生じた影響を排除するために必要な措置としていたが、今回の改正案では新しく次の七条二項を設けることといたしております。「公正取引委員会は、不当な取引制限につき前項に掲げる措置を」これはつまり排除措置ですが、「措置を命ずる場合において、必要があると認めるときは、事業者に対し、当該行為によって生じた影響を排除するためにとることとなる具体的措置の内容の届出及び当該具体的措置の実施状況の報告を命ずることができる。」 第二は……(玉置委員「委員長、議事進行について」と呼ぶ)
○中島(源)委員長代理 玉置君。
○玉置委員 それはもう結構ですから、それでは、公取委員長にお伺いしましょう。 第一案、第二案、第三案、ことに今度の三案ですね。特に同調的値上げとそれから企業分割について、前よりも後退したと皆さんは言われておいでになるわけですが、あなたの方はどのようにお考えになっておるか。仕事の上で支障を来さないという自信があるかどうか、お答えをいただきたいと思います。
○澤田政府委員 いずれも重要な点についての御質問でございますが、同調的値上げにつきましては、当初七十五国会に出しました政府案の規定を今度は十八条の二として別建てにいたしたわけでございますが、これは現在の四十条の規定を制限するものでもないし、一定の要件を備えたならば直ちに報告を求めることができるという点が明確になった点におきまして、プラスアルファと評価していいものと私は考えておる次第でございます。 それから、独占的状態に対する対応策としての規定ですが、これはこの間七十七国会に出しました政府案では全面的に削除されたのでありますが、いろいろないきさつの上復活いたしたわけでございまして、その復活いたします点について、たとえば先ほど来も問題になっておりますように、ある段階において主務大臣に通知するというようないろいろな段階が加えられましたけれども、私ども実務を担当しております者から申しますと、いろいろな問題は御指摘になれるかもしれないが、これが大筋において復活したということは高く評価してしかるべきものというふうに私は考えておるところであります。
○玉置委員 そこで、公取委員長にお伺いしたいのですが、そういう点では前の五党修正案には不満であったのか、あなたの方の立場からすれば、五党修正案は不満でいまの方が公取委員会の職務遂行にそういう点でより便宜にできておるのかどうか、その点お答えをいただきたいと思います。
○澤田政府委員 私、就任以来、独占禁止法改正問題につきましては、大筋において五党修正案を基本として検討されることが望ましいということを申してまいったのでございまして、したがいまして、現在でもそれを尊重し、評価している気持ちは変わらないのでございます。しかし、私も実務家でございますから、できるだけその線に沿った改正案が実現しまして活動し得るようにということが念願でございます。 先ほども申しましたように、今度の政府提案は、私の考えから申しますと、いろいろな点があるにしても、大筋においては五党修正案に沿ったものと実務的に理解して差し支えないと考えておる次第でございます。
○玉置委員 若干わかったようなわからぬようなものですが、これは詳しくはまた後日に譲りたいと思うのです。 そこで、公取委員長、一番問題の注目を浴びておるのは、ある意味では非常な心配をかけておる面もあれば、いや、こんなものではぬるいのだという形でこの問題が非常にクローズアップされておるわけです。そこで、営業譲渡が一番問題点ではないかと思うのです。この間からあなたが新聞記者会見で、心配を少なくしようという御意図だろうと思いますけれども、これは構造規制じゃなくて主に弊害を規制する弊害規制であるというようにおっしゃっておったように思うのですが、どのような意図でおっしゃったのか、それは本当におっしゃったのか、ああいう御意見が今後のあなたの方の業務を遂行するのに妨げにならないかどうか、どのようにお考えになっていますか。
○澤田政府委員 私といたしましては、法案がまだ御審議にも入らないようなときに具体的な問題について、特に、その運用にわたるようなことについていろいろ申すことは実は気が進まなかったのでありますが、国会の予算委員会でも御質問もございましたし、記者会見では必ずそれが出ますし、あの問題につきましては極端な憶測やら危惧やらが非常に言われております。大きいというだけでいまにも分割されるのではないかとか、あるいは反対に、あれは決して抜かれない宝刀であるとか、そういうようなことがいろいろ言われ過ぎております。 〔中島(源)委員長代理退席、委員長着席〕 いずれもそういう行き過ぎた憶測というものはよろしくないと考えましたのでああいった発言をいたしたような次第でございまして、それが私の真意でございます。
○玉置委員 そこで、公取委員長にお伺いするのはあなたの方の仕事の仕方ですが、公取委員さんはそれぞれ独任制であり、あなたのお答えが返ってそのまま通用するようにやれるという保証はない、いまの時点においてどのような運営をせられようが、今後どういう形に運営されるかどうかはわからない、と、皆さんこういう懸念があるように思うのです。だから、公取委員長がせっかく御努力いただいておるにもかかわらずそういうものがちっとも消えないというところに問題があるのじゃないかというように私は感ずるわけでありますが、間違っておったら堪忍してください。失礼にわたるかもしれませんからお許しをいただきたいのですが、そういう意味で相当な基準をつくっておかなければいかぬということだけはあるいは真実かもわかりません。 こういう問題について、今後そういう心配をなくするためにはどのようにしたらいいか、何かお考えがございましたら、この際お示しをいただきたいと思うのです。
○澤田政府委員 一つは運営の組織の問題であろうかと思います。御承知のように、行政機関としては珍しい合議制をとっておるのが公正取引委員会であります。五人の合議によって運用に誤りなきを期しておるわけであります。いろいろな重要な規定が入りますれば、なおさらこの合議制という特徴を生かして慎重に運営をしてまいるということは当然であろうかと思います。 もう一つは、ああいう新しい規定がいろいろ入りますと、具体的にどうなるのだといういろいろな懸念やら、逆にまた御不満やら、いろいろあるわけであります。私どもは、この法案が通過いたしましたならば、そこでいろいろな問題についてのガイドラインと申しますか、一つの基準と申しますか、そういうものを策定いたしまして、必要なものは公表し、無用の不安や何かがないように、あるいは無用の楽観もないようにしてまいりたいと考えておるわけでございます。
○玉置委員 先ほど申しましたように、いたずらな不安を起こさないようにするために、あるいはまた合議制という点を考えてみますと、審議の前にあらかじめそういうものが提案されることが必須条件じゃないだろうかというような意見にもある意味では耳を傾けなければならないのじゃないだろうか、法をつくってからガイドラインを示すわという形では、真実味のある審議というものにもちょっと欠けるのじゃないか、少なくともある程度のガイドラインは審議中に示されることが望ましいのじゃないか、このように私は思いますが、いかがお思いになりますか。
○澤田政府委員 その点は同感でございまして、たとえばどういう企業が独占的状態の基準に合うか、現在弊害のところは調べておりませんけれども、いわゆる出荷額要件、シェア要件の二点ではどういうものになるかというようなことは、公取の一応の暫定的調べでは九業種というようなことになっております。そういったものは暫定的なものであれ、一つの気持ちの上での受け取り方として重要であろうと存じております。 しかし、それが確定的かという点になりますと、いま申し上げたように、法が成立いたしまして施行までの間にもっと具体的な基準を決めて、みな一般が安心できるように、こういう意味で申し上げたわけでございます。両案の審議の過程においても、必要な資料は差し出したいと考えておる次第でございます。
○玉置委員 まことに失礼な言い方で、ある意味では恐縮でございますが、私は、公取委員さんに若干の民間人も加えなければいかぬのじゃないだろうかと思っております。前の三木総理大臣のときに、もう少し増員を考えなさい、そして直に経済の実態に触れた人も、現役じゃなくて、生の人では問題が起こるおそれもあるからというようなことを申し上げたこともあるのもその意味であります。そういう意味で、たとえば石油ショック以来非常に不況のどん底にあえぎまして、現在思い切った構造政策をとらざるを得ないような形の繊維産業、造船あるいは平電炉等々たくさんございます。それに従来は一月か二月くらいの不況カルテルしか認めなかったような幼稚なところに不安があるのじゃないだろうか、本当に経済を知っているのかなというような心配もあるわけです。私は、皆さんも一生懸命やっておいでになるし、いまのところごりっぱな方々であるということはよく承知いたしておりますけれども、そういうところが非常に不安を醸し出しておるのじゃないだろうかという感じもいたします。 世を挙げて、ここ三年ぐらいに日本の産業がいかにして乗り切るかということで塗炭に苦しんでいる不況産業もあることは公取委員長も御存じのとおりであります。それが一月や二月の形ではとても回復できないことも事実であります。と同時に、エネルギーの制約からして、やがてあと三年、五年の間には相当厳しい時代がもっと来るんじゃないだろうかと思います。景気回復なんというような上っ調子な話じゃなしに、日本の経済をどのようにして生かしていくかということに国民全部が本当に知恵をしぼらなければならない時期が来るように私は思います。こういう意味で、一体いまの時代をどのように認識しておいでになるのか、日本の将来の産業のあり方をどのように御認識をいただいておるのか、そのことが一般の不安を醸し出しておるような感じがするのです。書いておることは皆りっぱであります。ただ、まだまだ足らない。足らないけれども、運営のいかんということに心配をさす向きがあるんじゃなかろうかと思います。 そういう意味では、先ほど言いましたような基準というようなものがあらかじめ審議の途中に出ることが望ましいことは事実であります。満点のものができないことは私たちも承知いたしております。しかし、ガイドラインのおぼろげのものだけはぜひとも必要じゃないかと私は思うのであります。だから、そういう意味で不況カルテルあるいは過剰設備の廃棄というものをやらなければもう収拾がつかないというところまで来ておる産業もございます。 こういうものにどのような構造政策をやるか、これは役所と申しますか、主務官庁と申しますか、皆さんが寄り合って相談をしてやるわけでありますが、こういう問題につきまして、昔のような、いままでのような態度で対処しようとお思いになっておるのかどうか。実態をもう少し勉強される必要があると思うが、どのようにお考えになっておいでになりますか、お答えをいただきたいと思います。
○澤田政府委員 戦後三十年たって日本の経済が非常にむずかしいところへ来ておるということはもう御説のとおりでございます。そして、独禁法という法律の運用に当たります私ども委員といたしましては、そのむずかしさと実態把握の重要さと責任というものを十分考えて運営に当たっておるつもりでございまして、私は突然委員になってからまる一年ちょっとたったわけでございますが、いかにほかの委員さんが真剣にやっておるかということを実地に感銘をいたしておるのであります。これをもう少し徹底して、ここまでの認識でここまで考えてやっておるかという一般に対する安心感と申しますか、信頼感と申しますか、これを増進することは最も重要なことではないかという、そういう心構えで一層運用に努めたいと考えております。
○玉置委員 そこで、総務長官にお伺いをしたいのですが、私は、今度のこの重要な独禁法というものにつきましては、なるべく速やかに会期末に間に合うように成立させなければならない、同時に、そのことは、できれば与野党一致して一つの成案を得たいものだ、経済法規でありますから、若干の多数決でもって通すというようなことは本当はできるだけ避けたいものだ、と、こういうように思っております。 ついては、与党自民党におきましても、政府におきましても、やはり野党の言うことも聞いてやらなければこのことがうまくいかないと思うわけでありますが、そういうことについての取り組み方の決意をひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
○藤田国務大臣 しばしば総理が予算委員会その他でも申し上げておりますように、与党を含めて野党の御賛成を得るような案を政府としては提出いたしたいということを言明しておりましたところの、その案をわれわれとしては提出したつもりでございます。しかし、それぞれの各党におかれましては、修正とか後退をしたのではないかとか、こういう御意見もいろいろと本日伺ってまいりましたが、本日は第一回目の初日の御審議でもございますし、ただいまここで歩み寄って修正をするとかしないとかということを私の方から申し上げることはできません。 原案をぜひひとつお願いいたしたいということしか申し上げられないわけでございますが、その質疑を通じまして与野党の間でまた何らかの合意が得られるならば、最初に戻りまして全会一致の法案をぜひつくって今国会で決着をつけたい、これが総理の意向でもございますので、そのような気持ちでおります。
○玉置委員 三十分の質問時間というのはなかなかむずかしゅうございます。まともに入り出したら抜けられませんし、飛び飛びに何か言うことになるし、本当にむずかしいものなんです。りっぱな御配慮をいただきまして委員長に厚く御礼申し上げますが、本当のところちょっと弱っておるのです。何か入ろうと思うとそれに深入りしてしまうおそれがありまして、そこを一番初めに総務長官ががたがたと読み出したものだからよけいにはなを折られてしまって、どうもこうも手がつかぬようになってしまったのですが……。 それでは、公取委員長、細切れでまことに申しわけないのですが、分割譲渡の場合、利害関係者に対してあらかじめその方々の意見を聴取しなければならないし、それから労働者の雇用の安定を図る責任をお持ちになっておるわけであります。だから、私は株主の問題はまた別の日に質問しますけれども、株主よりも従業員の皆さんの将来に対する不安ということは一番考えなければならないわけでありますが、この条文によりましてもそのことをうたっておりますね。だから、必ず意見を聞かなければならないというように私は思いますが、どのようにお考えになるのですか。
○澤田政府委員 営業の一部譲渡というようなことは、その企業にとっては重大問題でございまして、責任者のみならず株主、従業員その他重大な影響を及ぼすものでございますから、法案にもいろいろ配慮すべき事項が御承知のように挙げてあるわけでございます。 従業員につきましては特に配慮を加えなければならぬことはおっしゃるとおりであると思います。そういう具体的な問題に相なりますれば、従業員の意見も十分聞かなければならないのではないかというふうに考えております。
○玉置委員 その条文は第何条の第何項にありますか。どれとどれとを適用されますか。事務当局からでもお答えいただきたいと思います。
○水口政府委員 まず、独占的状態の場合の配慮事項でございますが、これは八条の四の二項の二号で、「役員及び従業員の状況」について配慮することになっております。 それから、一般の意見でございますが、これは独禁法七十二条の二でもって、「公聴会を開いて一般の意見を求めなければならない。」と相なっております。
○玉置委員 意見を聞かなければならないとすると、意見を聞いたらそれはどうしますか。どのように聞くのですか。事務当局からで結構です。
○大橋政府委員 立案の考え方でございますが、八条の四で、「公正取引委員会は、前項の措置を命ずるに当たっては、次の各号に掲げる事項に基づき、当該事業者及び関連事業者の事業活動の円滑な遂行並びに当該事業者に雇用されている者の生活の安定について配慮しなければならない」というふうに書いてあるわけでございまして、「次の各号に掲げる事項」の中に「役員及び従業員の状況」というのがございます。 したがいまして、役員はともかくといたしまして、従業員につきましては、従業員の意見も聞くという形で審判手続で事実を明らかにした上、こういうことに基づきまして、ただいま申し上げましたような事業活動の円滑な遂行あるいは生活の安定について配慮しなければならないというのが法律の規定でございます。
○玉置委員 意見を聞いて、そのことを皆さんの判断で無視して物をやった場合、そしてやったときにうまくいかなかった場合、そのときはどうされますか。
○大橋政府委員 これは、一般的に行政手続において瑕疵があった場合ということに当てはまりますれば裁判所において取り消しの理由にもなる、こういうふうになっているわけでございます。
○玉置委員 瑕疵があった場合に訴訟上取り消しの理由にはなる。同時に、事実上できなかった場合はどうしますか。このごろは、労働組合の諸君の意見を無視して物をやろうと思っても、事実上なかなかやれぬ場合がたくさんありますね。その場合はどうされますか。
○大橋政府委員 これは配慮と言いましても、労働組合の反対がどういう反対かということによるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、審決が労働組合の反対を無視して行われるといいますか、配慮を十分した上で、しかしそれでもなおかつ審決が行われることはあり得ることだと思います。 そして、この場合になお労働組合が反対をしたらどうなるかということでございましょうけれども、この場合には、労働組合との労働協約が締結できなければ、現実の問題として一つの工場を他に譲るということの実行ができないという状況が起こってくるわけでございます。このような場合の法律関係につきましては、商法による特別決議が得られなかった場合と同じようなことになるわけでございまして、取締役としては労働組合の説得をするという義務はあるわけでございますけれども、しかし、そのことによって真摯な努力を続けているという限りにおいて刑事的な責任はない。したがって、公取の審決を実行する方法はないということもあり得るわけでございます。
○玉置委員 そのときに、そうした審決を、予想もせずに下した責任はどうなるのですか。
○大橋政府委員 その過程で、公取、つまり国でございますが、国に過失があった、そのために損害を及ぼしたというようなことが起こりますれば、これは国家賠償法の問題にもなるわけでございますが、一般的に、損害が起こる前にそういうような紛争があって、結局審決がどうしても実現できないというような場合がございますれば、これは法律の規定では第六十六条の第二項に審決の変更の規定がございます。そういう審決の変更の手続を経ることによりまして現実に実現可能な審決に変えていくということを公正取引委員会としてはされなければならない、こういうことになるわけでございます。
○玉置委員 こういう問題につきまして次の機会にゆっくりと中へ入り込んだ質問をしたい、そして皆さんの心配をなくして、本当に独禁法が国民の中へ溶け込んでいけるようなものにしたい、こう思うわけであります。 三十分のことでございますので、中途半端で恐縮でございますが、終わりたいと思います。
○野呂委員長 工藤晃君。
○工藤(晃)委員(共) 私は、日本共産党・革新共同を代表しまして、独占禁止法改正の政府案に対しまして質問いたしますが、もとよりわが党は社会党、公明党・国民会議、民社党と野党四党の案を出しております。これは七十五国会における五党修正案の内容と同じであり、第七十六国会にやはり四野党で出したものと同じ内容のものでありますが、私は、この内容でこそ改正しなければならないという立場から質問をいたします。 さて、そうは申しましても、きょうは最初の質問にもなりますので、最初に少し私たちの考え方、立場をもう一度改めて述べておきたいわけでありますが、問題が紛糾したときに原点に戻れということが言われておりますが、なぜあの二年前の国会において独占禁止法の改正が問題とされたのか、国民がこれに大きな期待を寄せたのか、この原点であります。 第二次大戦後、高度成長政策のもとで大資本本位の高度成長が続いて、日本経済の構造に非常に大きな変化があらわれた。その変化があらわれ、そこでオイルショックにぶつかったときに、あの多国籍企業や大企業の、国民の暮らしをじゅうりんするような、千載一遇をねらったような値上げが相次ぎ、ここににわかに日本経済の構造問題というものが大きく出て、そして国民はどうしてもこの独占禁止法を改正しなければならないという強い要求を持つようになったと考えるものであります。 その後の日本銀行の卸売物価の動向を見ましても、石油ショック後の動向というものはその以前と明らかに大きく違うわけでありますが、それは石油ショックの起きた一九七三年平均を基準にしてことしの二月までを見ますと、大企業性は四一・七%、中小企業性の方は三二・四%、日銀卸売物価のウエートが、大企業性の方は千分の六百三十三・二、中小企業性の方は千分の二百・九でありますから、この間の上昇への寄与率というものは大企業が五七・九%、中小企業は一三・四%と、このように価格の運動そのものにも大きな変化があらわれたわけであります。 同時に、物価安定政策会議の第二調査部会意見、これは五十年八月二十日のものでありますが、いわゆる競争的寡占の状態から協調的寡占へ転化する可能性を多分に有しているという指摘があり、このような構造の変化の反映がここにあらわれているということが明らかになってきたと思うわけであります。こうして独禁法改正の国民世論の高まりとなり、しかもそれは国民の暮らしを守るだけでなしに、日本経済を正常な方向へ向けて発展させるためにもどうしても必要だということ、これが改正の原点だと私は思います。 そういうことで、われわれは五党修正案に基づいて改正する、こういう方向でこそ改正する、そして一日も早く改正する、こういうことを念願するわけでありますが、こういう原点に基づいて今度の改正問題を真剣に考えるかどうかという問題につきまして、最初に政府の見解を伺いたいと思います。
○藤田国務大臣 たびたび申し上げておりますように、政府の方といたしましては、与党、野党を含めて御賛成いただけるような案を提出すべく努力をしてきたわけでございます。今回そういう案を提出したという思いでございます。 ただいまおっしゃいましたような経済的な推移、そしてまた大きな経済的な転換の時期にあることもよく存じておりますし、もちろんそういうことは踏んまえた上でこういう政府の提案というものをしたわけでございます。願わくは、どうぞひとつ与野党含めて政府の提案に御賛成をいただきまして、この国会で決着がつきますようにお願いをする次第でございます。
○工藤(晃)委員(共) 総務長官は、こういう経済の状況、私が原点と述べた問題について十分考慮していると言われましたが、その結論はどうか政府案に御賛成くださいということでありますが、そうはいきません。 しかし、二年前の七十五国会の商工委員会でも、第一次政府案をめぐって多くの審議が行われたと思います。私もいろいろ議事録を読ませていただいて勉強させていただきましたけれども、そこでの問題点というものはかなり——かなりというか、ほとんど審議し尽くされたように思います。そして、われわれはもちろんそのときの政府案の中にある前進面は評価すると同時に、もともとさっき言いましたような国民的願いから出発して公正取引委員会が出した最初の試案などと比べて、後退させられた面だけでなしに、独占禁止法にとってきわめて重要な、生命とでも言うべきいろいろ違反などに対する排除の措置やあるいは公正取引委員会の職権行使の独立性などの点でこれらを弱める、侵す、あるいは非常に複雑にすることがあるというような指摘の中であの五党修正に至ったと、このように考えるわけであります。 ところが、今度の政府案を見ますと、あのときおおむね四点にわたって修正された一点は大体そのままでありますが、あとの三点は振り出しに戻したというか、大体もとの第一次政府案に近い。五党修正案とあのときの第一次政府案と比べて、もしここにあるものはどっちに近いかと言えば、明らかにこちらに近いもの、そういうものになっているというだけでなく、いわゆる第二次政府案、その中で野党が反対し、また実際にこういうものが入っては困るといったような要素までが今度の問題に入ってきたということになるわけであります。したがって、私もここでいろいろ質疑をやらせていただきますが、この前の二年前の問題をいささかまた蒸し返すようなところもあって、このことは大変遺憾なことでありますが、しかし、そういうことになった経過も、実は、政府や自民党がこのような出し方をしたということから来るもので、この問題は最初にはっきりさせておかなければならないと思います。 ところで、先ほど公正取引委員長は、あの五党修正案は歓迎する、あれに基づいたものであるならばいいということを言われましたが、それならば今度のこの審議におきましても、これから五党修正案にもっと近づけるような修正を行うというようなことに対しましては、公正取引委員長はどうお考えでしょうか。
○澤田政府委員 先ほども申した点でございますが、私は、かねがね、独禁法改正については、いわゆる五党修正案を基本にして、大筋はそれにのっとって検討されますことをこいねがうという希望を一貫して申してまいったのでございます。したがいまして、今度野党四党の方から提案なされました案はそのままのものでありますから、これは尊重し、評価すべきものと考えております。 しかし、今度政府から提出された案も大筋においてはこれに非常に接近したものと私は評価をいたしておるのでありまして、いろいろと問題や御意見もおありと思いますが、非常に重要な項目で全面的に落ちたものが、いろいろないきさつの上でまた復活してきた、それを取り込まれて新しい案ができたというようなことは、私は、実務の点から申しても十分評価してしかるべきものと存じます。 国会での御審議のことでございますから、私の希望といたしましては、早く皆様の意見の一致いたしまする案ができまして成立いたすことを心からこいねがっておる次第でございます。
○工藤(晃)委員(共) それでは、時間が限られておりますが、時間の限られた中で具体的な問題について質問を続けたいと思います。 第七条の排除措置の点でありますが、そもそもこの問題の出てきたのは、先ほど原点と申しましたが、国民にとってカルテル、価格、国民生活をいろいろ圧迫する重大な問題になってきた。そしてカルテルに対してそれをやめろと、差しとめのいろいろな措置がとられたところで、排除が行われたところで、実際価格は上がりっぱなしであるというようなことから、公正取引委員会の最初の試案では、原状回復に対してきつい命令の措置という案が出されてきた。そしてこういうことが当然とられるべき措置だとわれわれ考えたのは、そもそも独占禁止法の目的から言って、その中には一般消費者の利益を確保するということもありますし、国民経済の民主的で健全な発達を促進するということも目的としてある。こういうことも含めて当然なことであるということになりましたが、その事態の経過というのは、第一次政府案におきまして七条の括弧書きがあり、しかもその括弧書きは、そういうカルテルなどの影響、その排除を命令するというのでなしに、それを届け出るといったような括弧書きになり、それがあの五党修正として、その影響を排除するため必要な措置を命ずることができるというものになった。それがまた今度括弧からはずされたけれども、二項へ移されて、内容は、全く同じではないけれども、ほぼ同じ内容として出されてきたわけであります。 しかし、ここで検討すべき点は三つあると私は思うのですが、これでカルテルでつくり上げた価格上昇をもとへ戻す措置として十分であるかどうかという問題がまずあります。二つ目が、これまでの現行の独禁法の排除措置の規定を弱めるのではないかという問題であります。三つ目は、公正取引委員会の権限を弱めることにならないかという問題であります。この三つをこの点では検討しなければならないと私は思います。 さて、一応第一の点はおいて、第二の点の独禁法の排除措置の規定を弱めるのではないかという問題をめぐって、まず第七条で、私的独占、不当な取引制限などに対して、「当該行為の差止、営業の一部の譲渡その他これらの規定に違反する行為を排除するために必要な措置を命ずることができる。」となっていることにつきましての具体例として、五十年の六月に公正取引委員会がこの商工委員会に提出した資料がありますが、これは委員会の要求資料として提出されたものでありますが、これ以外に最近の新しい事例があるかどうか、大体こういう類型で理解していいのかどうか、それを最初に伺います。
○水口政府委員 七条の措置の付随的な措置と申しますか、それを類型として分類いたしますと、ただいま先生が御指摘になった分となるわけでございます。それ以上変わったものが最近特に出てきたということはございません。
○工藤(晃)委員(共) そうしますと、しばしば引用されたと思いますが、将来の違反行為の禁止も出てくる。それから、取引先及び事業者へ、価格協定はもう破棄しましたよ、今後は共同しての販売価格を決定いたしませんというようなことを周知徹底し、その方法については公取の承認を受けてやるということや、価格表の回収や破棄や、価格再交渉をして改めて決めるということも、この七条として具体的にとられてきた。そして、それを踏まえて、五十年の六月三日に、衆議院の商工委員会におきまして、野間委員の質問に対しまして、そのときの高橋公取委員長は、ここに議事録を持ってきておりますが、七条としてとったものの中にはその行為の影響を排除する措置も入っているということを答弁しております。野間委員が、「いま公取が苦労してつくられた二つのパターン、ケース、これはまさに影響を排除する中身の一つあるいは二つの形態ではなかろうか、こう思うのですから聞いておるわけです。そうですね。」と質問して、高橋政府委員が、「確かにそのとおりです。実際的にその影響を排除するための措置が入っていると考えます。」と答えている。これが高橋公正取引委員長のそのときの答弁であります。 そうしますと、先ほど来のいろいろな具体的な例は、前の公取委員長は影響を排除するそれも入っていると言い、今度は入っていないという解釈でありますが、そういう解釈の不統一があるわけですか。その点について御質問いたします。
○水口政府委員 七条に基づきますカルテルの排除措置の具体例は、ただいま先生がおっしゃいましたようないろいろな類型があることは事実でございます。 われわれといたしましては、この委員会にも提出いたしましたこの類型は、いずれも七条の違反行為を排除する措置及びこれに付随する措置であるというふうに考えておりますが、その中で若干問題がございますのが、先生がただいま御指摘になりました例の四十八年でございますか、コーテッド紙関係の価格の再交渉命令でございます。 これにつきましてはいろいろな説があろうかと思いますが、われわれの方では、これもやはり影響排除措置というよりは、七条の違反行為排除措置の付随行為の一つであるというふうな解釈をとっておるわけでございます。
○工藤(晃)委員(共) いまそのような答弁がありましたけれども、この商工委員会で前の公取委員長から影響を排除する措置も入っているというはっきりした答弁があったという事実も踏まえて、そういう審議も踏まえて先へ進まなければならないと思うわけでありますが、そこから直ちに、きわめて簡単にわかることは、この七条にそういう行為の影響を排除するものが入っていたと見る見方と、あるいはそういう解釈をしたくないという見方があって、きわめて不統一だという事実であり、少なくとも前の公正取引委員長は入っていたということを答えられたわけであります。 そして、また、実態に即していろいろ考えてみますと、たとえば最近の物価の上昇につきまして、これは日本銀行の調査月報の五十一年十二月号が指摘していることとして、「生産調整実施企業の割合があまり低下していない鉄鋼、非鉄などの素材関連業種では価格上昇が総じて大きくなっている。」「ただ、不況期にのみゆるされるこうした供給制限行為が、需要改善の後にも業界の体質として定着することは問題であり、」ということがありますが、こういう体質として定着するということになると、先ほど言いました不作為を命ずるといいますか、今後もこういうことをやってはいけないというのは、いわばカルテルをやって、それが体質になって定着してしまうということを排除するということから言えば、影響の排除の一例だという解釈もりっぱに成り立つと私は思うわけでありますが、問題は、このようにこれまでの実例について実際に公正取引委員長が答弁したということから言っても、この七条で具体的にとってきたいろいろな排除措置の中には、それはいまは狭く解釈される方もありますけれども、実際にこれはその影響を排除する措置命令までやってきたんだということもあったということが明らかになるわけであります。 ところで、問題は、七条の中でそういう違反行為を差しとめ、そのほかその行為を排除するのに必要な措置という、その「必要な」ということをめぐって、先ほど言いましたような幾つかの具体例が出てきて、その解釈をめぐって——この「必要な措置」という中に影響を排除するために必要なあらゆる具体的な例が含まれ得るかどうか。先ほどの具体例では少なくとも一部分は入っているということは認められているのですが、すべてがこちらの中に入り得るか、この辺に一つの議論があるのだと私は思います。しかし、これは先ほども松本委員が引かれました東京高裁の東宝、新東宝の判決の中ではっきりと全部入っているという解釈を下されていると私は思いますが、その点はどうでしょうか。
○水口政府委員 先ほどもお答えいたしましたが、東京高裁の判例につきましては、われわれは、七条の措置命令というものが単なる違反行為の排除措置命令だけではなしに、もう少し広いものだ、それに付随するような命令も含まれるんだというふうに解しておりまして、必ずしも今回七条二項として新設いたしました影響排除措置まで含むと判示したものではないのではないかというふうに考えております。
○工藤(晃)委員(共) そういうお答えならもう一度読まざるを得ないわけでありますが、「一般に独占禁止法違反の行為があるとき公正取引委員会はその違反行為を排除するために必要な措置を命ずるのであるが、ここに違反行為を排除するために必要な措置とは、現在同法に違反してなされている行為の差止、違反行為からもたらされた結果の除去等」となっているが、この「もたらされた結果」とは何ですか。これは影響じゃないのですか。そして、「直ちに現在において違反行為がないと同一の状態を作り出すことが」——つまりそういうカルテルや何かがなかったと同様の状態をつくり出すということから言えば、価格カルテルがあって上げられてしまったならば、それが下げられるような状態、その「状態を作り出すことがその中心となるべきことは当然であるが、これのみに止まるものと解するのは、同法のになう使命に照らして狭きに失する。」と言って、これだけでもまだ狭いという立場をとって、将来の予防もやらなければいけないという立場をとっているわけであります。 このように東京高裁の判決は、こういう違反行為、それが生んだ諸結果の排除、そういう違反行為がなかったとすれば起こるであろうところの状態の回復まで明らかに入っているのです。明らかにこう書いてあるではありませんか。その点はどうですか。
○水口政府委員 その点に関しましてはいろいろな解釈があることはよく承知しておりますが、繰り返しお答えしておりますように、われわれが従来実際に命令しておりますところを分類いたしますと、先ほどから御説明しておりますように、本来の破棄命令のほかに、典型的なものといたしましては、将来の違反行為の禁止であるとか、あるいは場合によってはその事業団体の解散を命ずるとか、そういうこともいたしておりますし、最も多い例といたしましては、取引先とか需要者に対する周知徹底とか、それからいろいろな措置の事後報告をしなさいというふうなこととか、そういうふうなことがいろいろあるわけでございますが、これをしさいに見てみますと、やはり、影響排除措置というよりは、改正法の七条一項に書いてございます方の違反行為の排除措置、そちらの方の範疇に属するのではないかと、われわれとしてはさように解しておるわけでございます。
○工藤(晃)委員(共) いずれにせよ、これまでの私の質問の中で、七条の排除措置の、「排除するために必要な措置を命ずることができる。」ということの中はかなり広い内容があり、そして東京高裁は明らかにその影響排除ということで出している。そして、これは当然政府としても尊重せざるを得ない点だと思いますが、そういう事態を踏まえてこの改正を考えなければいけない。これが大事な点だと思うわけであります。 もちろん学者の方や専門家の方によっても意見が分かれている。公正取引委員長がかわればまた解釈が変わってしまう。こういうことを踏まえて、今度は七条の第二項として——第一項の方にはその行為の排除が入っていた。この中には、言葉として、行為の影響の排除というのは入っていなかった。今度は当該行為から生じた影響という言葉が出てくると、新しい用語が出て、どうしても新しい概念が出てくる。一項の方は行為に対しての措置、二項の方は行為から生じた影響に対する措置とどうしてもなってしまうわけであります。法律のたてまえからしてそうなる。はね返りが出てくるわけであります。 そうすると、第一項の方は、従来は影響までも含めて実際上排除命令措置が出た。不当な取引制限、カルテル、それによって生じた影響の方は、従来それ自体を排除する命令ができたにもかかわらず、今度は、この項目を設けることによって、こちらはそれぞれの事業者が自分で考えて出しなさいということになって、こういうものは排除しなさいということと、自分で考えてよきにしなさい、報告しなさい、届けなさい——全く違うのですがこういうことになってしまうではありませんか。このことを言っておるわけであります。 そして、七条に対する見解が非常に明確になっておるならばともかく、少なくとも東京高裁の判決でも、この中にはそういう影響排除措置がはっきり入るというようなことがあるとき、そして、公正取引委員長がかわるたびに変わるというような現状があるときにこういう言葉を入れる。いやがおうでもこちらは行為そのもの、こちらは影響、それで対策が全く違うと言って、従来できたことも弱めることになるではないか。こういうことでありますが、ひとつその点について公取委員長からお答えを願いたいと思います。
○澤田政府委員 お答えをいたします。 いまの御質問は、おっしゃるように、第一項と第二項の機能を分けることで、第一項で従来できたことが制約されはしないかという御懸念を踏まえての御質問かと存じますが、確かに、高橋前委員長の答弁を読んでみますと、「実際的にその影響を排除するための措置が入っていると考えます」という答弁をいたしております。 実際的に排除するというところがやや微妙な点がございますが、私も率直に申しまして、先ほど政府委員からお答えしましたように、いろいろな排除措置と同時に行う措置が従来やられております。その中で価格の再交渉命令などは影響の排除ではないかというふうに考えられる面もないではないと存じます。しかし、これは本体の排除命令と同時にいずれもやっておりますので、その本体の違法行為の排除命令を全からしめるための措置と解釈する方が妥当ではないかと私は考えておりまして、その考えから申しますと、七条一項では従来やっておりましたことはすべてできる、そして二項におきましては、影響の排除に関しての新しくつけ加わった規定、私はこういうふうに解釈をいたしておる次第でございます。
○工藤(晃)委員(共) 時間が来ましたので、これ以後の問題は改めてまた質問を続けたいと思います。
○野呂委員長 大成正雄君。
○大成委員 新自由クラブを代表いたしまして、独禁法の改正に関しまして御質問をさせていただきたいと存じます。 質問に先立ちまして申し上げておきますが、私どもの党はこのたびの政府案に対しましては多くの評価すべきものがあるという立場と、しかしながら部分的には改正を要すべきところもあるということで、野党四党の修正案には加わらなかったわけであります。かといって、政府案を全面的に肯定するということではないわけでありまして、あとう限り合理的な改正をしていただきたいという立場で御質問を申し上げることをお認めいただきたいと存じます。 まず、最初に、総務長官に二項目ばかり承りますが、第二条第六項の次に二項を追加しまして構造規制が創設されたわけでありますが、憲法に言う営業権の自由ということとこの構造規制というものは、法律的な解釈としてはどのように政府は考えておられるか。この点は原点でございますので、この際明確にさせていただきたいと思います。 次に、もう一つ、この構造規制に関しましては、通産大臣を筆頭といたしまして、政府の行う産業政策に重要な影響がある、公取委員会の次元でこういう問題を取り扱うことは疑問がある、と、こういうような見解が出されたやに承っておるし、われわれもそのように承知しておりますが、この構造規制というものは、行政組織論的な立場あるいは産業組織論的な立場から、この立法の正当性に対してどのように評価をしておられるのか。 この二点を総務長官にまず承りたいと思います。
○藤田国務大臣 憲法に保障されております営業の自由というものは、無制限に保障されているものではないと思います。やはり、公共の福祉に基づく法令上の制限に服することは当然だと思うのです。ですから、今回、構造規制の創設に当たりまして、その意味で憲法に保障された営業の自由とは相反しないと、かように私は思っております。 それから、もう一点は、産業政策といまのような独占禁止法がどういうふうな取り組みになるのかという御質問かと思いますが、先ほどちょっとお答えしたのでありますが、産業政策を縦の糸といたしますと、横の糸は産業に関連する、経済に関連する環境問題、あるいは競争を公正かつ自由にやるというこのような法案の問題、こういう問題が横の糸であろうかと思います。そして、この縦の糸と横の糸がうまく整合されていくことが国民経済のバランスのとれた円満な発達をもたらすものだと、かように考えております。また、そのように努力をいたす所存でございます。
○大成委員 次に、四十五条の二の委員会の活動の開始に当たっての歯どめについて承りたいのでありますが、今回のこの四十五条の二の点に重ね重ね御質問があるわけでありますけれども、主務大臣に通知をするとか、他の措置について意見を述べることができるとか、いろいろあるわけであります。五党修正案では一度の協議ということにされたわけでありますけれども、今度の改正では第一次政府案の二度の協議という考え方が復活したというようなダブルチェックになっておるわけでございます。 そこで、この受けとめ方でありますが、まず前段にこのようなダブルチェックが織り込まれたことは、この改正案に構造規制を持ち込むために必要最小限度の規定であるという解釈をとっておられるのかどうか、総務長官に承ります。 次に一方公取の委員長さんに承りますが、このようなダブルチェックが公正取引委員会の職権行使の独立性を侵すものであると解釈するのか、そうでないと解釈するのか、その点を承りたいと思います。 前段の総務長官に対する質問としては、いわば自民党さんとして、この構造規制という踏み絵を踏むための免罪符としてどうしてもこれだけは入れなければという事情であったのかどうか、その辺を承りたいと思います。
○藤田国務大臣 まず、第一に、ダブルチェックということをおっしゃいましたが、これは決してダブルチェックではございません。主務大臣に対する通知であり、主務大臣は意見を述べることができるということでございますので、公正取引委員会の方の権限を拘束するものではございませんので、これはダブルチェックではないということでございます。 それから、いまのような独占なり、そういうふうな形は長年の間オープンな形で形成されていくものですから、公正取引委員会におかれては、一般的な資料をもって、これはそろそろ弊害があらわれてきたな、いよいよ弊害があらわれてきたと思料する、というふうな順序にある程度なっていくわけでありますけれども、その間におかれて公正取引委員会の方では、方々の官庁で集めております資料を自由にお使いになることもできると思うのです。ですから、特に主務官庁に集められておる資料や調査のいろいろな点は、これはやはり自由に使うことが必要であろうと思うのです。そういう意味が一つございますとともに、主管大臣の専門的知識を生かせるという意味もこれまたございまして、一応通知し、意見を聞くということでございますので、ダブルチェックということではございません。
○澤田政府委員 法案の四十五条の二の通知の性格等に関しましては、ただいま総務長官から申し上げたとおりでございますが、この通知に対しまする主務大臣の意見は公正取引委員会の調査の参考となる点も多いわけでありますから、これを尊重するのは当然でありますけれども、これに拘束されるというものではございませんで、公正取引委員会のとるべき措置の判断は、委員会として総合的にまた自主的に決めるべきものでございますから、このことが職権行使の独立性を侵害するということは考えておりません。
○大成委員 しからば、この「意見を述べる」ということの内容の問題でありますが、公取さんの方では、先ほどの御答弁の中で、この調査の内容に大臣の意見が非常に参考になると——非常にであるかどうかわかりませんけれども、参考になるという言い方もされておられるわけでありますけれども、この四十五条の二の条文を見ますと、「公正取引委員会は、独占的状態に該当する事実があると思料する場合において」ということになっておるわけでございますが、「思料」という言葉の意味が私も専門でありませんのでよくわかりませんけれども、この思料された事実を行政指導で解除できるということの前提で大臣の意見が述べられるというふうに理解してよろしいかどうかという、その確認の問題。 それから、この調査の内容に大臣の意見が非常に参考になると言うのですが、この意見を述べる段階では、すでに公取としてはそういった事実があるということを思料しており、さらに深く調査するという、その一歩手前の問題であろうと思うわけでありますけれども、この法文全般といたしましては、四十九条によって審決の前に協議をするということになったわけであります。そして、なおかつ先ほどの御答弁の中に、審決に当たって大臣の意見に左右されないということも言われておるわけでございますけれども、この審決前の大臣との協議という、その協議の内容というものをやはり具体的に受けとめていかなければならぬ。この点は後ほどももう一回触れますけれども、公聴会があり、審決前の大臣の意見もある、これに加えてこの意見が述べられる、こういったことはダブルチェックではないと言うのですが、確かに、政府側からすればチェックするという意味ではないという御答弁は当然であろうと思うのでありますが、公取側の立場からすればいわば一種のチェックであると、私どもはそのように理解せざるを得ないのでありますが、この点がどうかということ。 それから、大臣の意見を述べる、その意見の内容の中で、競争の回復の措置を超えて独占的な状態の有無にまで至って容喙するというようなこともこの意見を述べる意見の中に入るのかどうか。 これらの点を承りたいと思います。
○澤田政府委員 通知をいたす前の思料という点の御質問でございますが、これは具体的には経済部におきまして一般的な資料その他によって状況を調べまして、そして、これはどうも独占的状態の条件がそろうのではなかろうかというような思料をいたしまして、これを具体的に審査部の審査に移す前に通知する、こういう意味でございます。 それから、通知、公聴会あるいは協議という、こういういろいろな関門は委員会を拘束するものではないかというような御質問でございますが、事が重要でございますから念を入れるという点はもちろんございます。と同時に、通知に対する意見あるいは協議の際の内容等につきまして、こちらの判断に有意義な面もあるわけでございます。しかし、それが公正取引委員会の判断を決して拘束するものではないのでありまして、結論は独自の権限によって決めるということでございますから、職権行使に差し支えがある、それを制限するというものではない、このように考えておるわけでございます。
○大成委員 さらに一歩突っ込みまして、通知はさしたることはないということを認めても、通知ということはいわば注意信号みたいなものでございますから、公取はそういう事実がある程度あるということを思料して通知するのですから、その場合に、その通知を受けた政府は、要するに意見を述べるというための準備をすると思うのです。その意見を述べるための準備というものはいろいろあると思うのです。要するに、行政指導によって公取が介入しなくてもこういった競争の条件は回復できるではないかとか、そういういわば行政指導という内容をいろいろ用意するだろうと思うのです。あるいは、個々に業者に対してそういった折衝というか、交渉事が始まるだろうと思うのです。そのことが非常に問題だと私は思うのです。 かつてのオイルショックのときの行政指導というもの、行政指導と独占禁止法との関係というものは法律的にもいろいろ論議のあるところでありまして、行政指導というものは独禁の立場から言うならばいわばよけいなものだ、邪魔なものだ、あるいはその基本を侵すものだという解釈もあるわけでありまして、この行政指導を容認するようなことは——容認するというよりは、むしろ行政指導によって公取の介入が避けられるといった、そのことの方が事態が望ましいのだという意味にわれわれは解釈せざるを得ないわけでありますが、この点をもう一回承ります。
○大橋政府委員 ただいま御指摘の行政指導というのは、競争を回復する他の措置の中に行政指導も含まれるのではないかという御指摘ではないかと思うのでございますが、確かに、競争を回復するための他の措置といいますのは公取が事業者に命令する以外の措置でございますけれども、その中に、行政指導以外に、関税率の引き下げでございますとか、あるいは本当に予算措置を伴うような新規参入の条件をつくっていくような政策でありますとか、そういうものはもちろん幾らでもあるわけでございまして、ここは単に行政指導というものを考えているわけではございません。 また、行政指導一般につきましてもいろいろ御議論はございましょうけれども、ここで行われます行政指導は、少なくとも競争を回復するための措置となり得る行政指導でございますので、一般的に独禁法と行政指導の関係は言われておりますような意味の行政指導とはいささか趣が違うのではないかと考えております。
○大成委員 公取は、公取が介入するよりは政府の方で行政指導を活発に積極的にやってもらって、そしてこういった競争条件を回復することの方が望ましいと考えるのかどうか、その点を承ります。
○大橋政府委員 政府案の考え方は、公正取引委員会の命令というものは最後の手段であるというふうに考えております。そのほかの経済政策一般が競争を回復するような形に向かっていくことが、この方が望ましいことである、そういう考えでございます。
○大成委員 次に、シェア基準の問題について承りますが、二条六項の新設項目の構造要件の基準でございますけれども、このような基準を判断する統計資料というものは完全かつ十分でなければならぬと思うのですけれども、そのような基準というものを調査するために、そういう資料を入手するために弊害規定の創設等もあわせ加えまして、公取が、企業の原価とか価格とかあるいは経理内容といったもの、いわば企業秘密に立ち入って調査がなされるのではないかということを産業界では非常に心配をしておるわけであります。そしそういう事態があったとするならば、産業国家日本として、単なる国内的な問題だけでなく、同一商品の海外との競争条件等においても企業の秘密というものは非常に重大な問題だと思うのでございますけれども、この点に対して公取はどのように考えておられるのか、それがまず第一点。 第二点としては、先ほど申し上げた判断の基準としての完全かつ十分である統計資料というものは果たしてあるのかどうか、この点を承ります。
○水口政府委員 最初に企業秘密の点でございますが、これは御承知のように国家公務員法には公務員の守秘義務が規定してございます。ところが、公取の場合にはさらにそれに加重いたしまして、独禁法第三十九条をもちまして、委員長、委員、職員等の秘密保持の義務を規定してございまして、一般の公務員よりもさらに重い守秘義務が課されております。したがって、そういったような企業秘密が外に漏れるというふうな懸念は万々ないと考えております。 それから、次に、独占的状態の場合の五百億円であるとか、あるいは一社五〇%、二社七五%といったいろいろな計算もしなければならぬわけでございますが、これをどういうふうにするかということでございますが、一番大事な市場占拠率につきましては、公取は従来から生産集中度調査というものを行っておりまして、そこで大体のことは把握をいたしております。 それから、そのほか収益状況であるとかいろいろなことを調査しなければならぬのですが、これは有価証券報告書であるとか、いろいろとそういったような各省庁がつくっている統計資料がございます。 それから、また、公正取引委員会としましてもいろいろと日常の業務を通じまして情報を得ておりまして、そういったものをもとに考えてまいりたい、このように考えております。
○大成委員 次に、第四十九条の新設項目について承りたいと思うのですが、さきにもちょっと触れましたけれども、審決、審判手続の開始に当たって主務大臣に協議しなければならないということになっておるわけですが、この段階の大臣の協議という内容はどういうことなのか、その解釈やその協議のあり方、内容等を承りたいわけでございます。この段階においてはもうすでに調査をし尽くして審判を下すという、いわば判決前の状態でございますが、この段階で大臣と協議をしなければならない意義は何なのか、あえてこのような項目を新設した意義は何なのかをこの際承りたいと思うのでございます。 また、昭和四十八年八月の鉄くずの合理化カルテルの認可のときのように、公取は拘束されないということもあったわけでございますが、この協議の内容においては、大臣との協議において、その判決、審決には拘束されない、協議によって拘束されない、こういうことであると理解してよろしいのかどうか。 それから、協議の内容というのはこういうことを協議するのだという、その協議の目的、内容等をできるだけ具体的に明らかにしていただきたい。 それから、また、協議の内容というものは第三者には公表される筋合いのものであるかどうか、どういう協議を大臣としたのかという内容は全く部外者にはわからないのかどうか、この点を承ります。
○大橋政府委員 四十九条の協議でございますが、これは審判手続を開始する前の協議でございます。その「協議」を置きました理由は、独占的状態に対する措置は、その要件あるいは措置の内容につきまして、事業分野における産業構造にもかかわりを持っておるわけでございます。そして、独占的状態に対する措置の規定そのものも、競争を回復するのに他の手段があればそれを優先するという考え方をとっておるわけでございまして、そういう意味におきまして、その事業分野に対します主務大臣の行います行政との調整というものが必要であるという考え方に基づくものでございます。 それで、協議というものは拘束力があるかどうかということでございますが、一般に協議を要するというふうに定めがあります場合には、合意に達することを目的といたしまして徹底的に話し合うべきものではございます。したがって、通常の場合には合意が得られることが期待されているわけでございますけれども、どうしても合意に達せざる場合には、法的に詰めると、最終的な判断といたしましては権限を持つ官庁、この場合には公正取引委員会でございますが、公正取引委員会の判断にゆだねられるというのが解釈でございます。したがいまして、協議を必要とするからといって公取の独立性というものとは必ずしも関係がないということでございます。 それから、協議の内容でございますが、この四十九条の「協議」は、条文にもございますように、「審判手続を開始しようとするとき」ということでございまして、この協議の対象になりますのは審判手続を開始することの可否でございます。公正取引委員会がこの審判手続を開始することの可否について協議の対象になるわけでございます。 そして、その結論は協議の可否でございますが、実質的な内容につきましては四十九条に審判手続を開始するための要件が書いてございます。ここに独占的状態に関しましては、「独占的状態があると認める場合(第八条の四第一項にただし書に規定する場合を除く。)」という要件があるわけでございます。したがいまして、主務大臣はその可否を判断する場合には、当然、その実質的な内容といたしましては独占的状態があると認めることの可否、それから第八条の四第一項ただし書き、これは条文のあれでございますが、規模が縮小するとか、経理が不健全になるとか、国際競争力の維持が困難になるとか、そういう要件のほかに競争を回復するに足りると認められる他の措置があるかどうか、こういうようなことをすべて含みまして協議の実質的内容になるわけでございます。 そして、その協議の内容が公表になるかどうかということでございますが、一般的に行政機関相互間の手続は必ずしも公表しなければならないというものではございません。しかし、審判手続に入るということになりました場合には、その協議が行われたかどうか、協議が行われた場合の結論がどうだったかということは秘密に保つという性質のものではなくなると思いますけれども、その協議の内容によりましては、これは事柄の性質によりまして秘密を保たなければいけないものもあろうかと思います。必ずしも公表されるというものではございません。 以上でございます。
○大成委員 先ほど聞きました四十五条の二の大臣の意見を述べるということと、ただいま審議官から御説明がありました大臣との協議との違いですが、明確な違いは何でしょうか。
○大橋政府委員 協議の場合には、ただいま申し上げましたように、公正取引委員会の行う審判開始決定がいいか悪いかということの協議をするわけでございます。四十五条の二におきます通知、意見というものは、協議といいますか、対象になる事柄というものはないわけでございまして、公正取引委員会が進めております調査、その参考となる事項を主務大臣が意見を述べることができる、そのきっかけを与えるための通知、こういうことでございまして、基本的な違いは、公正取引委員会の行います何事かについてその可否を協議するというものではない、対象がない、こういうことでございます。
○大成委員 この問題も、対象があるかないかの問題について若干論議のあるところでありますが、これは後ほどに譲るといたしまして、次に、第十八条の二の問題について承りたいと思います。 この「価格の同調的引上げ」の、いわゆる三社集中度七〇%の判断でありますが、この統計資料は先ほど御説明がありましたので、これは一歩譲るといたしますが、先ほど来論議がなされております四十条、四十三条の調査、公表の権限とこの十八条二項とのかかわり合いの問題でございますけれども、先ほどの総務長官の答弁は、四十条を制限することの誤解があってはということでこの十八条の二として持ってきたんだということでありますが、大体今度の改正案の条文の持っていき方がきわめて不自然でありまして、第四章の二としてこのことがうたわれておるわけであります。 第四章というのは、株式の保有、役員の兼任あるいは合併、営業の譲受というようなことが掲げられておるわけでありますが、その第四章の二としてこの同調的な引き上げ問題をうたい込んであるわけでありますが、何か条文構成上非常になじまない、非常に無理をした条文構成になっておると思うのでございます。しかしながら、この十八条の二を新設したことは非常にプラスだと私どもは考えておるわけでございますが、この同調的値上げがあったときに本条項によって直ちに調査ができる、一般的な調査、管理価格は四十条でできる、という先ほど来の御答弁の区分けがなされておるわけでございますけれども、このような規定というものは、先ほど来の御答弁にありますように、それだけの、四十条、四十三条と切り離して別に設けた価値が果たしてあるものであるかどうか、その点の意義を承りたいと思います。 言葉を変えるならば、この同調的値上げというものをあえてここに挿入した意味というものは何なのかをもう一回ここで承りたいと思います。
○大橋政府委員 第四章の二といたしました理由でございますが、第四章の二というと第四章と親類みたいな感じがするわけでございますけれども、これは場所を意味しているだけでございまして、全然独立の章でございます。 その章をそこに置きました理由は、第三章の二が「独占的状態」で、それから第四章が株式の保有制限でありますとかいうようなもので、全般的に寡占、企業集中に対する規定が並んでいるわけでございますが、その中で一番規制の程度の弱いものという考え方で「価格の同調的引上げ」を一番最後に置いた、こういうわけでございます。 しかし、そこに章を起こしますことによりまして、従来、組織、権限の中に第一回の政府案では入っておったわけでございますけれども、「価格の同調的引上げ」という章が起きるということは、やはり、それ自体独占禁止法の関心がかなりそこにあるという意味を示すものだと考えております。
○大成委員 この寡占の状態を判断する場合、「同種の商品」、「同種の役務」ということになっておりますが、この「同種」の内容は、解釈によってはシェアが全く違ってしまうということもあるわけでありますが、この点についてはどうですか。
○水口政府委員 この「同種の商品」ということでございますが、むしろこの十八条の二の「同種の商品」という方は簡単でございまして、これはごく常識的に考えまして、一つの品目というふうにお考えいただければいいと思います。たとえばバターであるとか、チーズであるとか、ウイスキーであるとか、ブランデーであるとか……。 ところが、むしろむずかしいのはあの「独占的状態」の方でございまして、詳しい説明は差し控えますが、一定の事業分野についていろいろ詳しい規定がございますので、こちらの方はもう少し範囲が広くなりまして、たとえばいま申しましたバターとかチーズ等につきましては、その個々の品目じゃなくて、乳製品製造業というふうなとらえ方をしようとわれわれは考えておりますが、そちらの方がむずかしいのではないかと考えております。
○大成委員 時間が来ましたので、これで終わります。 ありがとうございました。
○野呂委員長 次回は、明二十日水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後八時五十九分散会