社会労働委員会 第15号
- 発言数
- 372 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1977/04/26
会議録
○橋本委員長 これより会議を開きます。 労働安全衛生法及びじん肺法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川本敏美君。
○川本委員 私は先般、労働大臣に、いわゆる白ろう病と言われる振動病の問題についてお聞きをいたしました。その際にもいろいろ御答弁はいただいておるわけですけれども、調べてみますと、最近、振動病ほか合併症という病名で死亡診断を受けた者がいままでに四人いるわけです。屋久島の佐々さんというのが五十年十二月、高知の竹邑さんというのが五十一年七月一日、秋田の、これはどなただったか忘れましたが、五十一年十一月ごろだと思います。最近、函館の佐藤さんという方が五十二年の四月に振動病という死亡診断書によって亡くなられた。その四人のうちで、現在までに高知の竹邑さんだけが五十二年四月一日付で労災認定を受けておるわけですけれども、白ろう病、振動病というもの、死亡診断書の中で振動病によって死亡したというような診断書が続々と上がってくるというような実情から見ますと、白ろう病患者というものは健診が進むにつれてますますきわめて深刻な事態に発展しつつあることが証明されていると思うわけです。このことについて、一人だけ認定されておりますが、あとの三名はいつごろ認定されると思いますか。
○桑原政府委員 御設問の件は林野庁の所管でございますので、承知いたしておりませんが……。
○川本委員 そうしたら林野庁の方でお聞きするとして、予防健診とか、いわゆるチェーンソーの使用規定というものは、先般の質疑のときに、通達を出して規制をしておる、こういう局長の答弁でございましたけれども、こういう事態の中でこういう人たちを守っていくためには、まず、この前も申し上げましたが、労働安全衛生法の中で明確に法によって規制すべきではないか、そうでなければもう守ることはできないのじゃないかと私は思うのですけれども、そういうことについて、もう一度ひとつ念を押してお聞きしておきたい。
○桑原政府委員 チェーンソーの構造規格につきましては、昨年までは、いま先生お話しのように行政指導という形で、できるだけ振動の少ないものに改善をするようにという指導をいたしてまいりましたけれども、問題は人間の健康の問題でございますので、やはり安全衛生法に基づいてきちっとすべきではないかということで、チェーンソーの構造規格をことしの十月一日から政令できちっと決めまして、強制的な力を持った施行をいたしたい、こういうふうに考えております。 〔委員長退席、斉藤(滋)委員長代理着席〕
○川本委員 私は後ほどそのことについてもお聞きしようと思っておったのですが、この間、古寺委員ですか、お聞きされておったと思うのですけれども、一九七六年六月二十一日の第六十一回のILO総会において、空気の汚染、騒音、振動など労働環境に起因する職業性のけがに対する労働者の保護に関する条約案というものが採択をされて、これが昨年の十一月末までに日本政府の修正案ないし意見をジュネーブの事務局に出すようにということが決定をされておるわけです。こういうふうに、世界的に振動病というものが大きな問題として、国際条約として取り上げられようとしておる現今の状態の中で、いま局長が言われましたように、チェーンソーの安全基準、構造規格その他についてはやはり法によって制定すべきもので、行政指導によるべきものではないのじゃないかと私は思っておったのです。ことしの十月ということですけれども、いま申し上げたILO条約は将来やはり批准されなければならぬと思うのですが、これについて、どの部分について日本政府は批准しようという考え方でおられるのか。同時に、これに対する修正案または意見をどのような形で提出したのか、あわせてお聞きいたしたい。
○桑原政府委員 ただいま御質問の条約につきましては、現在御審議中でございますし、今度の総会でも議題になるわけでございます。それで日本政府といたしましては、この条約の趣旨はもっともであるということで、これを支持する方向でこの会議に臨んでいるようなわけでございます。なお、今後条約案がだんだん煮詰まっていきます段階において、どの条でどういうような態度をとるかというのは決めていかなければなりませんけれども、この六月に開かれますILO総会までにその態度を決めたい。現段階ではその各条項についてまだ最終的に態度を決めてないような状況でございます。
○川本委員 現在、外務委員会の方にがん原性物質及びがん原性因子による職業性障害の防止及び管理に関する第百三十九号条約の批准案が出されております。私は、これは今度の安全衛生法やあるいはじん肺法の改正との関連があるのじゃなかろうかと思っておるわけです。この条約を批准するために最低必要限度の範囲内において労安法やじん肺法の改正が今回行われようとしておるのではないか。いわゆるILO条約を批准するための最低限の必要を満たすだけの法の改正であって、こういう労働者を守るという積極的な内容ではないように私は思うのですけれども、その点について。
○桑原政府委員 今国会に御承認を願っておりますがん条約につきましては、今度の法改正を待たずとも現行法で十分批准ができる内容でございます。ただ、こういった安全衛生法なりじん肺法の改正を機にがん条約を批准することが最も適当ではないかということで、御承認を求めているようなわけでございます。
○川本委員 そこで私はひとつ話を進めたいのですが、今度の労安法の改正の中で五十七条の二というのが新たに設けられて、いわゆる一定の新規の化学物質の問題について規定しようとするものです。 ところが、これについてまず私が思いましたことは、労安法五十七条というのは御承知のように雑則だと思うのです。雑則の中だと思うのですが、違いましたか。結局五十五条が製造の禁止でございますね。五十六条が製造の許可で、五十七条がいわゆる有害性の表示、そして五十七条の二として今度はこの規定が新たに設けられようとしておるわけです。 その点で、私はそういうところにくっつけるということについても一つの問題があるのじゃないかと思うのですけれども、先般、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律というのが四十八年十月十六日に法律第百十七号で公布されております。さらに消費生活用製品安全法、有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律、こういう法律が従来もうすでに施行をされておるわけですけれども、こういう法律との関連において調べてみますと、今度の五十七条の二では、まず一つは、一で「当該新規化学物質に関し、労働省令で定めるところにより、当該新規化学物質について予定されている製造又は取扱いの方法等からみて労働者が当該新規化学物質にさらされるおそれがない旨の労働大臣の確認を受けたとき」は除外してもよろしいとか、あるいは「新規化学物質を試験研究のため製造し、又は輸入しようとするとき」とか、あるいは「新規化学物質が主として一般消費者の生活の用に供される製品」である、こういう場合には除外していいという除外規定になっておるわけです。私は、ここで言う新規の化学物質というのはどういうものを指すのか、まずお聞きしたいと思う。
○山本(秀)政府委員 新規化学物質について予定しておるところを申し上げます。 すでに法施行の日におきまして既存の化学物質として政令で定める化学物質というのがまず第一でございます。具体的には次のものを予定しておりまして、その一つは、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に基づいて通産大臣が公示した既存化学物質名簿に登載されている約二万の化学物質。それから第二番目が天然物。これはお米とか麦というようなものです。それから三番目が放射性物質。四番目が化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の適用を受けない中間体等である化学物質でございまして、労働大臣が既存の化学物質として別に公示する名簿に記載されている化学物質でございます。 それから二といたしまして、法施行の後、有害性の調査の結果、または一定の有害性、特にがん原性がない旨の労働大臣の確認が行われ、労働大臣がその名称を公表した化学物質。これらは既存の化学物質でありまして、新規ではないというふうに考えております。
○川本委員 大体、がんが発生するおそれがある化学物質というものは、東京都の電話番号帳のような部厚い電話番号帳にして六冊分ぐらいのリストがあるというふうに愛知県がんセンター研究所生物学部長の田中先生がおっしゃっておるわけです。そのくらいたくさんのものがあるはずだと思う。 そこでさらに、この物質が先ほど言いました除外規定の中のいわゆる労働大臣が認めた場合の除外規定に該当する、いわゆる製造または取り扱いの方法から見て労働者が新規化学物質にさらされるおそれがないということになりますと、その製造過程において中間物がまたできてくる。これはまた何十倍という数に上ってくると思うわけです。そういうものを、果たしてはっきりと労働者に影響がないという責任が持てるのかどうか。たとえて言いますと、労働安全衛生法上、今度のこの改正では、労働者に暴露されることはないという密閉した製造工程であればいい、大体そういう解釈だと思う。ところが、これがコンビナートの爆発事故だとか、福竜丸が一回放射性物質を浴びただけであれだけの事故が起こっておる。こういう状態から見て、天災地変あるいはコンビナートの爆発事故あるいは事故等の場合に製造工程が破損をして、そのことによって労働者に暴露した場合の責任は、そうするとそれは労働大臣が負うことになるのかということになるわけです。その点についてひとつお聞きしたいと思う。
○桑原政府委員 がんになる疑いのある物質によってがんになります場合は、非常に長い時間かかって暴露するということが一つの特徴だと思うわけでございます。御指摘のような天災地変等で一時的に暴露するという場合は、そういったがんになる傾向が非常に少ないというのが医学的な考え方でございます。したがって、そういった面は私どもは考えないでいいのじゃないかというふうに理解しておるのでございます。
○川本委員 そういうことについて将来問題が起こったときの責任の所在を明らかにする意味で、私はちょっといま参考までにお聞きしておいたのです。 それから、四で「新規化学物質が主として一般消費者の生活の用に供される製品」というものを除外規定の中に入れておる。ところが、これは有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律とか消費生活用製品安全法というものとの関連において、これを除外するというのはちょっと緩やか過ぎるのではないか。さらに、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の内容から見ても、ここではこのようなものは規制の対象にしていて、除外規定の中に入っていないように思われるわけなんですが、その点について労働省はどう思いますか。
○桑原政府委員 一般の消費者のための物質といいましても、場合によっては大きなものに入れてまいりまして、日本に来まして袋に小分けするというようなことがあります。そういうものは私どもは対象にしなければなりませんけれども、びん詰めになりまして全く問題がなく消費者に渡るというような場合はそれを外すというようなこととか、また、一般的に消費者のためのそういう有害性の予防につきましては、先生も御承知のように、主として厚生省所管の薬事法とか、食品衛生法とか、有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律とか、それぞれ法律がございまして、結局、法制局でその辺の法令の重複を避けるために法技術的に整理をされたというふうに考えております。したがって、危険なものは全部私どもは取り込んでいく、こういうことに考えております。
○川本委員 そこで、新しく設けられる第五十七条の二というのは、これをずっと検討してみますと、労安法第二十八条の「労働者の健康障害を防止するための指針」というところにしかこれはかかってこないのじゃないかと思うのですがね。その点についてはどのように理解をされておるのですか。
○桑原政府委員 五十七条の二の趣旨は、私どもといたしましては、たくさんの新規化学物質がございますから、それをできるだけ水際でチェックをして、そして人体にそういう被害を受けないようにしようということで、そういった調査を事業主にやってもらう。もしその結果がわかりましたら労働大臣に届け出ていただきますけれども、なおそれ以上に進んで問題があるとすれば、五十七条の三の規定によってまたそれよりもさらに進んだ調査をするというようなことで、そういった意味で五十七条は非常に意味がある規定でございます。その段階に応じて危害防止をしていくということ、それからいまお話しのように公表するということ、それから一定の場合はその指針を出すということで、五十七条の二というのは、すべてそういう新規化学物質の有害性を水際でチェックし、それのまた進んだものについてはさらに手を打つという意味において非常に重要な規定であると私は思っております。
○川本委員 そこで話を進めて、五十七条の三で学識経験者というのが出てきます。たくさん出てくるわけですが、その学識経験者に対して、新規化学物質について知り得た秘密を守るといういわゆる守秘義務をかけている。私は、学識経験者とか学者とかいうものは、少なくともがん発生物質だと思われる化学物質を見つけた場合には一日も早くそれを国民に公表するということでなければ、これを業務上知り得た秘密として守秘義務をかけるということは国民の健康を守るという観点から見た場合におかしいのではないかと思われるわけですが、その点についてはどのように考えておられるのか。
○桑原政府委員 もちろん、私どもは有害性があるものにつきましてはできるだけ関係者、特に労働者にそれをお知らせして、それに対する予防の措置をとってもらう、さらに法律的に義務づけられている使用者に対しては防護措置をやってもらうというのが当然のたてまえでございます。したがって、そういう有害性について守秘義務というようなことで外に漏らさないということは考えておりません。ただ、非常に初期の段階、先ほどの水際でいろいろ調査いたしますが、何と申しますか、動物には影響あるけれども人間には影響があるかとか、いろいろ医学的に見解が分かれる面もございますから、やはりその辺は十分専門的に明らかにして、またそれに対する防護措置を十分考えながら一般にお知らせしませんと、その対応策も何も考えずにただ知らせるということは関係者をいたずらに不安に陥れますし、また場合によってはその防護措置もできないというかっこうで問題がございますので、そういった慎重な配慮のもとにおいて手当てをしながら関係者に知らせていく、こういう考え方でございまして、そういう有害なものについて隠すということは絶対あってはならない、こういうふうに思っております。
○川本委員 そこで次に話を進めたいと思うのですが、私は職業病の問題について若干お聞きしたいと思うわけです。 今度のじん肺法の改正に当たっても、合併症のところで、いわゆるじん肺と密接な関係にある合併症の問題、「密接な関係」という言葉を使っておられるわけです。密接な関係とは、これはほかでも出てくるわけですが、どういうことを指すのかということについて私はいろいろ疑問に思っておるわけです。そこで、労災保険法とかその他においては困果関係という言葉がよく出てきます。現在職業性の疾患と言われるものは、そしてその認定について従来政府との間にいろいろ争われている病気は大体どのくらいありますか。わかりませんか。
○桑原政府委員 私どもといたしましては、できるだけ認定基準を明らかにしてそういう争いがないようにいたしておりますけれども、やはりいまの日本の医学の進歩の段階では必ずしも医学的なコンセンサスが得られないという意味において業務上になっていないというふうにお考えの方がたくさんあろうかと思います。そういった意味では、私どもはその数はつかんでおりませんが、相当の数に上っていると思いますけれども、この問題についてはそういった歴史の進化とともに、そういった業務上外の認定について私どもも努力をしていかなければならない、こういうふうに思っております。
○川本委員 この間からちょっと、私もまだ新米で勉強不足ですからわからぬですが、現在認定の問題でいろいろ争われている職業病に大体どんなものがあるかと思って調べてみますと、いわゆる電気、紡績、化学、製薬、専売、保育所、病院、障害者施設等で起こっておる頸肩腕症候群等があります。あるいは重量物運搬や中腰作業など広範な職場で腰痛症の問題が出ておる。その他、有機溶剤中毒症、こういうのが労働基準法施行規則三十五条でもうすでに二十七、二十八、二十九に掲げられておりますが、そのほかにも水銀、マンガン、クローム、カドミウム、砒素、鉛というような金属中毒、それからじん肺からその合併症、それから有機物中毒ですね、塩化ビニールとかスチレンとかクロロプレンとかいうようなものの中毒症、さらに先ほど申し上げた振動病、騒音性難聴、電離放射線障害、超音波、マイクロ波、レーザー波等による健康障害、あるいは酸欠症、潜函病、一酸化炭素中毒、職業性皮膚障害、急性循環器障害、あるいは職業性ぜんそくとかキャディー病とか、こういうようなものが認定上でいろいろ最近調べたところでは争われておる主たる職業病のように思うわけであります。 そこで、こういう職業病というものが、労基規則第三十五条の一から三十六までで表示をされておるものについてはもう因果関係について争うところがないのですから、大体認定はスムーズにいっておる。問題は、三十七号と三十八号に該当するものが認定をするかしないかということで従来争われておる一番大きな問題点ではないかと思う。そこで国家公務員法の方ではどうなっていますか。人事院おいでいただいていますか——。国家公務員の方ではこういうところについてはどういう規定になっておりますか。
○笹川説明員 お答えいたします。 先生お尋ねの職業性疾病につきましては、人事院規則の一六−〇というのがございまして、そこでいわゆる職業性疾病につきまして列挙してあるわけでございますが、その基本的な考え方につきましては、先ほど先生おっしゃいました労働省の方の労働基準法施行規則の三十五条と同趣旨でございます。ただ、表現等につきまして、特に国に事例の多い事案につきましてやや具体的に書いてある個所はございますけれども、基本的には労働省と同一の基準で行っております。
○川本委員 国家公務員法の第九十三条の第一項では、「公務に基き死亡し、又は負傷し、若しくは疾病にかかり、若しくは」この疾病や負傷等に「起因して死亡した場合」と、こういう書かれ方をしておると思うのですが、これは間違いありませんか。
○笹川説明員 そのとおりでございます。
○川本委員 いわゆる業務上の問題について、その認定の一番中心になるのは、私は、労働基準法第七十五条による業務上の疾病の問題、あるいは労災保険法第一条に言うところのいわゆる業務上の事由による傷病という問題がかかってくると思うのです。そこで、業務上の事由によるという、ここの「よる」というのはひらがなで書かれておるわけですね。この「よる」というのがひらがなで書かれておるということは、起因するとかいう「因」という字ではないと思う。この字を漢字の「因」という字と解釈するのか、依存する「依」と解釈するのか、そういうところにおいて法の解釈が違ってくると思うのです。労働省は従来この労災保険の認定の取り扱いについて、業務上外の認定の中心に置いておるのはいわゆる業務上の起因性というところに重点を置いておる。私は、業務上の起因性ということまで労働基準法や労災保険法は求めていないんじゃないかと思う。国家公務員法はもちろん結果だけで、九十三条第一項はいわゆる結果で、原因である業務については一切書かれていない。法は明らかに結果である死傷病の事実の発生に注目しておるだけだということを言っておられるわけです。 私たちはそのようなことを考えますと、国家公務員の場合はその業務上に基づいて発生した死傷病あるいは疾病、ところが労働基準法の場合は、業務上に起因するというのはどこにも書かれていないにもかかわらず、認定の段階ではその起因という言葉を使って因果関係を重視してきておる傾向がある。これは労災保険法のいわゆる保険財政との関連において、できるだけ認定を少なくして保険財政を守ろうという心があるからそういう職業病の範囲を狭めようとするやり方ではないかと思うのですが、その点についてはどう思っているのですか。
○桑原政府委員 労働者が業務上によって疾病をし、あるいは負傷するということに対して補償責任を事業主に課しているわけでございますが、あくまでも無過失責任を課している。基準法の規定によりますと、補償しなかったら罰則をもって強制しているわけでございます。したがって、あくまでもそれが事業主にかかわるそういう業務をさせて疾病にかかった、あるいは負傷したということが大前提ではないか。この解釈はわが国だけではなくて、こういう労災補償制度を持っている各国の共通の考え方でございます。 なおまた、労災保険の財政のためにそういったことをしぼっているのではないかということでございますが、私どもは、業務上のそういった負傷なり疾病がふえましてそういった費用がふえてくるならば、当然に保険料を引き上げてそういうことをやってまいり、措置をしていくということでございまして、何ら、そういう保険財政の方から業務の起因性をつくってそうやったということではございません。あくまでも、使用者の責任として課す以上は、業務上の起因性ということをはっきりさせることが、洋の東西を問わず、そういう制度を持っている国の考え方でございます。
○川本委員 その問題についてはもっと議論をしたいのですが、時間がありませんのできょうはその程度にしておきたいと思います。 そこでさらにお聞きしたいのですが、昨年八月の労働者災害補償保険事業の運営に関する行政監察月報を見てみますと、その中で勧告が出されておるわけです。その勧告の中で、いわゆる労基則三十五条の中で先ほど来私が質問をいたしております振動病の問題について触れておられるわけですが、振動障害は今日なおその三十八号によって処理をされているのはおかしいのではないか。これは「同条第三十七号の規定により労働大臣が指定を行ってこれを公示することにより、」明確にすべき時期に来ているのではないかということを言っておられるわけです。三十八号ということになると、個別に認定が行われているもののうち発生機序がおおむね明らかでないというものについては三十八号でやっていいけれども、振動病は発生機序がほぼ明らかになった段階だから、三十七号によって大臣が公示をして、そして振動病と診断された者は自動的に認定するということにしていいのではないかということを行政監察月報の中で勧告として出されておるのですが、この点についてはどうですか。
○桑原政府委員 基準法施行規則の三十七号で扱うか三十八号で扱うのかというのは意見の分かれるところでございますが、たまたまこれまでの行政姿勢としては三十七号を指定した例がございません。その辺の事情は私ども十分つまびらかにしておりませんけれども、具体的にいまの振動病につきましては該当条文がございまして、全部が全部三十八号でやっているわけではございません。チェーンソーの場合とかその他建設機械の場合等ございますが、そういうことで三十六号までにどうしても入らないものについて三十七号でやって——三十六号までは職業性疾病的なものでございます。三十八号は負傷と申しますか、災害的なものが原因となって疾病が出てくるものではないかということで三十八号が設けられたということでございますが、立法の趣旨は別といたしまして、いずれにいたしましても、御指摘がございますように、三十五条のこの規定がどうも私どもが行政を運営する場合にぴたっとこないという感じは持っております。したがって、これについての見直しはしなければならぬ、こういう考え方を持っております。
○川本委員 私も早急に見直しをすべきだと思う。この中でも勧告しているように、大工等に発症した電動のこぎりによる振動病についても、ここで業務上の疾病として認定した事実もあるではないかと指摘しておるわけです。だから、私は、早急に労基則の三十五条というものを見直しをして、現在の職業病の実態に合うように改正すべきではないかというふうに思いますが、その点、見直しをするというお返事でございますので了解をいたしたいと思うわけです。 さらに、私が先ほど言いました腰痛症等の問題についても、因果関係を労働者に立証せよというのは大変な問題だと思う。先ほど言いましたキャディー病、ひざ関節が痛むというような病気については、労働者本人では立証することは至難ではなかろうか。私は職業と関連があってこの病気になったのだと思えば本人は請求をすればいいわけで、それに対して労働省が反証を挙げることができない限り職業病として認めるべきではないか。椎間板ヘルニアとお医者さんは診断しても、その人が中腰で作業をしたり、重量物を挙げたり、一日中長いこと座ったり、重いものを下げたり、いろいろな長い間の職業的な状態、姿勢、そういうものを見れば、本人はこれは職業から来たものだということはわかっているわけです。ところがいざ申請するとなると業務外と認定されておる。私は、こういう人たちに対してもう少し広範囲に解釈をして、正しい業務上から来たものは業務上として認定すべきではないかと思うのですけれども、この点、いまの運用のやり方は非常に厳し過ぎると私は思うわけです。その点、認定のあり方について、労働大臣、もう少し労働者を保護する立場に立って考えてもらう方がいいと思うのですが、御答弁いただきたいと思う。
○桑原政府委員 労災保険の請求を労働者がしてこられます場合に、私どもといたしましては、当該労働者が具体的な事実を指摘していただければ、後は私ども基準行政機関が専門的ないろいろな立場からその事実を調べまして、そして業務上外の認定をいたしておりまして、労働者に特に立証の責任を具体的に課しておるということではございません。ただ、先生おっしゃいますように、なかなか職業性疾病についてはむずかしい面がございます。確かに認定基準だけではむずかしい面もございます。したがって、今後は、安衛法の改正にも入れておりますように、疫学調査あたりをできるだけして、おっしゃいますような作業環境なりそれに従事している期間なり、そういうものと当該疾病との関係をできるだけ私どもも十分調査し、研究しながら、そういった認定が的確に行われるように努力してまいりたい、こういうふうに思います。
○川本委員 労働大臣にお聞きしておきたいのですが、先ほど来申し上げましたように、白ろう病と言われる振動病を中心とする職業病の拡大は、最近の新しい化学物質もあり、あるいは機械器具等の関係もあり、あるいは作業環境の変化、いろいろな状態の中できわめて深刻な状態にあると思うわけです。そういう中で特に先般来言っております振動病については、国有林だけではなく民有林においてもだんだんと多発の傾向にある。この治療施設については、いろいろ努力はいただいておりますけれども、まだまだ理学療法とか温泉療法とか機能回復訓練を合わせた施設というものは予算的に見ると少ない。もっと早期に全国にたくさんつくっていく必要があると思うのですけれども、その点についての労働大臣の決意のほどをもう一度聞いておきたい。
○石田国務大臣 川本さんのところと同じように、私の郷里は全く同じ条件にありまして、白ろう病の対策というものについてはいわゆる郷土的関心も私は持っておりまして、これも私ははっきりした根拠を持っているわけではないのですが、近年ソ連との接触を深めている間に、どうもソ連の白ろう病予防技術というものは非常に進歩しているように思う。というのは、そういう規定を余り聞かないですね、というのはかなり進歩していると思う。そういうものの研究も基本的にやらなければなりませんし、これの予防はむろんですが、かかった人の治療その他についていろいろな器具や設備が要る、金がかかる。 〔斉藤(滋)委員長代理退席、委員長着席〕 しかもそれが局地的に限られておりませんので、できるだけ広範に労災病院を使うなりあるいは労災委託病院に貸与するなりいたしまして、そういうような施設の充実を格段と図ってまいりたい、こう考えております。
○川本委員 一日もゆるがせにできない緊急の問題だと思いますので、格段の努力をお願いしたいと思うのです。 最後に一つだけお聞きしたいと思うのです。 私はまず人事院の方にお聞きしたいのですが、昭和五十年の二月の二十五日に最高裁の第三小法廷において、国家公務員が起こした訴訟に対して最高裁判所はこういうふうに言っている。 法は、公務員が職務に専念すべき義務並びに法令及び上司の命令に従うべき義務を負い、国がこれに対応して公務員に対し給与支払義務を負うことを定めているが、国の義務は右の給付義務にとどまらず、国は、公務員に対し、国が公務遂行のために設置すべき場所、施設もしくは器具等の設置管理又は公務員が国もしくは上司の指示のもとに遂行する公務の管理にあたって、公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務(以下「安全配慮義務」という。)を負っているものと解すべきである。こう最高裁は判決をしておる。 これは人事院の方で、国家公務員法の中ではこの最高裁判決というものに違背しないように、法律あるいは政令等で、安全保障義務といいますか、これは規定されているわけですか。
○五十嵐説明員 お答えいたします。 いま御質問のございました国家公務員におきますいわゆる非現業の一般職の国家公務員の健康、安全管理につきましては、国公法を受けまして人事院規則一〇−四というのができております。すなわち、その規則一〇−四におきまして、「各省各庁の長は、所属の職員の健康の保持増進及び安全の確保に必要な措置を講じなければならない。」ということを規定しておりまして、これを基本的にいたしまして、各省庁、実情に応じました組織単位ごとに健康管理者及び安全管理者を置くというような形の規則ができております。なお、この規則一〇−四におきまして、各省庁に対しまして指導いたします具体的な健康管理基準あるいは安全管理基準というものを決めております。
○川本委員 そこで、労働省にお聞きしたいのですが、いわゆる国が国家公務員を使っていく場合に、給与の支払い義務のほかに安全保障、安全を確保する安全配慮義務があるということを最高裁は判決の中で示しておられる。民間の雇用関係の中において、やはり雇用主はその使用する労働者に対して安全配慮義務が同じようにあるのではないかと、私はこの最高裁の判決から見て思うのですが、労働省はどう思っておりますか。
○桑原政府委員 安全衛生法の三条に「事業者の責務」というのがございまして、当然にそういった使います労働者に対する安全衛生上の配慮をしなければならぬという規定がございます。また、個々の契約上、賃金支払いと同時に、労働者に対してそういった安全衛生上の配慮をしなければならぬということは当然に契約の中に含まれる、こういうふうに思います。
○川本委員 そうなりますと、先ほど局長の答弁にありました、いわゆる労災保険法というものが無過失責任という立場において、いわゆる事業主の無過失責任を保障するという意味においてできておるということですけれども、労働基準法で示すいわゆる労働者に対する使用者の保障が、いわゆる無過失責任の範囲を超えて安全配慮義務という面からさらに強化されるように、私は労働基準法ないしは労安法等の改正も必要なのではないかと思うのですけれども、その点についてどうお考えですか。
○桑原政府委員 あくまでも災害を起こさないで働いていただくようにするために、事業主にそういった配慮を私どもとしては義務づけているわけでございます。したがって、もし万一そういった配慮があるにかかわらず事故が起こりまして負傷、疾病した場合には、当然に事業主がその業務に起因する限りにおいては責任を負わなければならぬ。そういったたてまえはやはり貫いていかなければならぬと思いますが、今後ますますそういった複雑な作業環境なり労働環境になってまいりますので、安全衛生上の問題その他につきましても、あるいは基準法上の労働時間の運用につきましても、そういった面の配慮を十分しながら運用してまいりたい、こういうふうに思います。
○川本委員 終わります。
○橋本委員長 次に、安島友義君。
○安島委員 後で関連して御質問することがございますので、まず傾向だけ伺っておきたいと思うのですが、現在全国で粉じん作業に従事している方々の数はどのくらいになっていますか。
○桑原政府委員 約六十万人でございます。
○安島委員 このうち、法に定める健康診断はどのように行われているのですか、実数を示してください。
○桑原政府委員 じん肺法によって健康診断が義務づけられておりますが、昭和五十年におきまして、粉じん作業従事労働者で健康診断を受けました方が二十一万でございます。その内訳をおおむね申し上げますと、窯業が約三万人、金属製品機械器具製造業が八万二千人、鉱業が二万一千人、鉄鋼業が四万一千人、建設業が一万二千人、こういうことになっております。
○安島委員 これは約六十万という数との関連はどういうふうになっているのですか。残りは健康診断を受けていないという意味ですか。
○桑原政府委員 現行法によりますと、無所見者は三年に一回というようなことで、毎年やるような義務規定になっておりませんので、そういう関係からこういう数字が出てまいっております。
○安島委員 いまの五十年度の二十万の受診者のうち、有所見者数及び管理区分の四で療養中の方は、短期、長期合わせて現在どのくらいおりますか。
○桑原政府委員 五十年で有所見者は九・四%でございます。そして管理四に格づけされた方が三百十八人でございます。それから別に、これは定期健康診断でございますが、随時申請によって千二百三十九名の方が管理四に指定されております。
○安島委員 二十万の受診者数の中で、いわゆる管理区分の二から四の有所見者と言われている数はどのくらいですか。また、その中で短期、長期を合わせて現在療養中の方は何名ですかと聞いておるわけです。
○松尾政府委員 ただいま局長が御説明いたしました数字でございますが、じん肺管理区分決定対象労働者数は二十万三千でございまして、管理区分四が三百十八、随時申請千二百三十九でございます。管理区分三が千八十、随時申請三百三十八でございます。
○安島委員 どうも何か話が合わないみたいですが、全体で約八千と言われている実態がどうなっているかというのをお伺いしているのですが、それはどういう数字の話ですか。
○桑原政府委員 御質問の御趣旨が療養中の者の数ということでございますれば、じん肺にかかりまして五十一年度末で療養している数は九千七百四十二名で、三年未満の方たちが二千五百八十二、それから三年以上の方が七千百六十、こういうふうになっております。
○安島委員 最近五年間の傾向で、じん肺患者の数はふえているのですか、減っているのですか。また、そのうち特に重視される管理区分四の方々の実数は、最近五年間の傾向はどうなっておりますか。
○桑原政府委員 新規受給者数で見てまいりますと、四十八年では八百六十四人、四十九年では八百二十二人、五十年では千五十二人、五十一年では九百十三人ということで、ややふえている傾向にあるのではないかというふうに見られます。
○安島委員 私が初めに、粉じん作業に従事している方々は全国でどのくらいいるのかということをお尋ねしましたのは、中小零細企業と言われている、そういう事業所で働いている方々が完全に健康診断を受けておられるかどうか、きわめて疑問であるという観点からいろいろといままで御質問したわけです。そして、いろいろと皆さんが努力しているとは思うのですが、傾向として一向にじん肺患者数は減っていない。むしろ、いわゆるこの管理区分四の数は、いま御答弁がありましたように若干ふえているという実態になっている。これはきわめて遺憾なことだと思っているわけです。 そこで次に、企業規模別に見てじん肺発生状況はどうなっているのか、まずお伺いしたい。
○桑原政府委員 ちょっと調査した時点が古うございますが、四十八年に実施しておりますけれども、一−九人の非常に零細なところでは有所見率が三八・三%になっております。それから十−四十九人では二二・四%、五十人から二百九十九人では一四・二%、三百人以上八・三%。非常に有所見率が高いのは、そういった有所見者が見られたところに限って調べた数字でございますのでそういうふうに数字が高くなっておりますけれども、少なくとも、規模の傾向としては、先生御指摘のように零細企業になるほどその有所見率が高くなっているということは申し上げられると思います。
○安島委員 そこでお伺いしたいのですけれども、後で申し上げますけれども、労働基準監督行政というのは非常に広範にわたっておりますし、必ずしも、人の面、質の面も絡めてなかなか万全とは言えないということは私も理解はしているのです。けれども、どんなによい法律をつくりましてもそれが守られていなければ何もならない。そういう点で、特に中小零細と言われているような事業場に対して、この法を義務づけるような指導はどういうふうになされておるのか。具体的に言いますと、健康診断を受ける手続といいますか、そういうのはどういうやり方をとっているのですか。
○桑原政府委員 御指摘のように、確かに中小企業の段階におきましては健康診断が十分に行われていないということは、私ども率直に認めなければならぬと思っております。そういうことで、確かに中小企業の労働者が医療機関に行って健康診断を一斉に受けるということはなかなかむずかしい面がございますので、従来から中小企業の委託巡回健診というようなものを逐次やって、できるだけ中小企業のそういった健康診断を受ける率を上げるように努力をいたしております。しかしながらこれにも限界がございますので、五十二年度の予算で新たに中小企業の健康管理をさらに進めるための制度を一つつくって、医療機関等もそれに見合って整備しながら、またそういった中小零細企業が個々でできないことでございますので、中小企業の団体がかわってやる場合にはそういった健診費用について補助する制度を新しくつくりました。そういった手法をいろいろ考えながら、できるだけ中小企業に働いている労働者の予防安全衛生について国もさらに積極的に努力をしなければならぬということで、そういう制度を考えながら今後とも進めてまいりたい、こういうふうに思います。
○安島委員 また後でお伺いします。 冒頭申し上げましたように、じん肺発生の状況というものは、いろいろな予防措置も講じられ、指導もされていると思いますけれども必ずしも減っていないというような傾向が明らかになっておるわけですが、まず、業種別に見た場合どうなっているのか、簡単に御説明願います。
○桑原政府委員 産業別に有所見率を見てまいりますと、きわめて高いと考えられます業種といたしまして二、三申し上げますと、これは五十年のじん肺健診の結果でございますが、金属工業が二五・七%、陶磁器製造業が二二・九%、鋳物業が一八%、耐火れんが製造業が一五・七%、造船業が一三・七%、土石製品製造業が一二・一%、隧道建設工事が一〇・一%、土石採取業が八・七%、採石業が八・三%、こういうような状況になっております。
○安島委員 その中で、土石製品製造業や隧道建設工事で管理区分四がずば抜けて高い数字を示しておるのですよ。有所見者の中で、この種の事業というか仕事に従事している者がずば抜けて管理区分四が多いのです。これはどういうふうに分析されておりますか。
○桑原政府委員 御指摘のように、確かに隧道工事、土石製品製造業においては管理区分四の療養をされる方が多いということは統計数字でもあらわれております。こういった事業所で粉じんの暴露量が非常に大きいというのが一つだと思いますし、また期間雇用で、そういう職場をしょっちゅうかわって、健診が必ずしも十分受けられてないというようなことで病状が進むということが原因であろう、こういうふうに思います。
○安島委員 私は、土石製品製造業というのはやはり事業の規模がきわめて小さい、いわゆる小規模の経営が非常に多いのではないかと思っております。それから隧道建設工事等の場合は、必ずしも私が言うとおりじゃないかもしれませんが、季節的な労働者を従事させているというケースが非常に高い。これはどちらの方の面をとりましても、こういう点に対する監督行政というものをもっともっと徹底しないと、この数字が示すように予防措置が完全とは言いがたい。したがって、この健康診断をすれば有所見者数の中で管理区分四に該当する人が多い、こういうことが出てくると思うのです。これらについてこれまでの行政は私は十分と思いませんが、今後どういうふうに行政を強められるのか、お伺いしたい。
○桑原政府委員 確かに監督の主体的能力も限界がございますので、私どもとしては、こういった非常に問題のある業種を最重点に選んで監督指導をやってまいりたいと思いますし、あわせてまた、事業主のそういった健診義務の励行、またそういう力のない中小企業に対してはそれなりに国としてもいろいろな助成をしていく。特にいま御指摘のございましたような、季節的に働いて事業主がかわるというような方につきましては、別途そういった業種に対して健康診断を巡回しながらやっていくというようなことを考えながら、こういった業種に対する監督あるいはそれに対する対策というものを十全にやってまいりたい、こういうふうに思います。
○安島委員 やや抽象的なお答えなんですが、私はそれでは非常に不満です。これまでのことについては私はもう余り触れません、今後やはり何としてもこういうことの予防措置を講ずるということがまず大事ですからね。私も素人でよくわかりませんが、聞きましたところがほとんど管理区分四、特に療養中の者が治るということは非常にむずかしいということなんですね。それならばなおさら早く発見をして病状が進まないようにするということが最も重要な問題なんだ。したがって、今後全国各地の監督署に対して具体的な指示を出すお考えがあるのかどうか、お伺いしたい。
○桑原政府委員 御指摘の点につきましては、私どもも、会議その他を通じまして十分地方の第一線についても指示をしてまいりたいと思いますし、また、先ほど申し上げましたように、隧道工事等の建設業につきましては巡回健康診断をぜひ充実をして、予算も計上し、五十二年度やってまいりたい、こういうふうに考えております。
○安島委員 大臣にお伺いしますが、これは非常に重要な問題なんです。そしてやはり予算も伴わなければならない問題も多々あるのでございますが、この点について大臣はどういうふうに考えておられますか。
○石田国務大臣 このじん肺は、要するに管理四にならないように予防することが第一だと思います。その気配が見えた者は粉じんを吸収しない職場に移させることがまず第一だと思います。それには発見に努めなければなりませんから、その発見に努める方法としては、いま基準局長がお答え申し上げましたような所要の方途をできるだけ講じておりますが、それではまだまだ不十分なので、予算的措置の拡大を図ってまいりたい。それから、転換をさせる場合、いろいろな問題がございます。たとえば、新しい職場につくのでありますから、つき得るような訓練をしなければならぬ。そういうような訓練に対する助成、それから使用者及び労働者の両方に対する助成の措置も、現に予算的措置は講じておるわけでございます。しかし、それも現状で十分だとは思っておりませんので、さらに拡大に努めたいと思います。
○安島委員 管理区分の三及び四の年次別の傾向を見ますと、最近の五年間の傾向でございますが、定期健康診断によってそういうふうに三、四に認定された者の数よりも、随時認定——随時というのは退職後本人が診断を受けられた場合、で三、四の場合がはるかに多い。これはどういうふうに分析されておりますか。
○桑原政府委員 御指摘のように、随時申請は離職されたような段階で出てまいるのが一般でございます。したがって、相当古い時代に粉じんに暴露されてじん肺になられたというような方が多うございます。したがって、それは安全衛生法の施行前というようなことでもございますし、十分な対策というものがとられていなかったということがやはり一つの原因ではなかろうか、こういうふうに思います。
○安島委員 これは前にも質問しましたけれども、定期的な健康診断が完全に実施されているならばその傾向をはっきり把握できるはずだ。しばしば指摘しておりますように、必ずしも健康診断が十分に行われていない。しかも、健康診断が行われてないのは、私の推測するところでは中小零細企業に多い。したがって、病状が進んだ段階で本人が申し出るというケースがきわめて多い、あるいはいわゆる退職するまでの間は病状を隠して働いている、あるいは事業主が申請しないとか、圧倒的に退職後に健康診断を受ける方に多いというのはそのためではないかということをお伺いしたい。
○桑原政府委員 随時申請によって健康管理四が出てまいります原因は、一つは時代的なもので対策が十分でなかったということと、もう一つ大きな原因は、御指摘のように、中小零細企業において健康診断が十分行われていないということは率直に認めなければならぬ、こういうふうに思います。
○安島委員 余り率直に認められてしまっても困るのですけれども、これが一番大問題ですよね。しかも、私の推定も入りますが、どうしても病状が進むまでは労働者も事業主も隠したがる。それから事業主も直接それに、特に本人の申し出もなければ触れたがらない。これでは、どんないい法律をつくっても監督行政がそういうところに行き届くようにしないと、ますますこれは病状が悪化するばかりで、結局は、退職後にどうしようもなくなって診断を受ける、あるいは認定を受けるために健康診断を受けるという最悪の状態になっていると思うのです。これでは困りますね。どういうふうに考えておるのですか。
○桑原政府委員 問題は、やはり健康診断を事業主だけに任せず、私ども国、あるいは事業主の団体でございます労働災害防止団体、こういうものが力を合わせて、たとえ法で決められても履行されなければ意味がございませんから、事実上こういう健診が受けやすいような体制を組むということが大事だと思います。したがって、従来からやっております建設業の巡回健診だけではなくて、中小零細企業に働いている方々が健康診断が受けられやすいような新しい制度を五十二年度つくりましたので、こういった中小企業の健康診断体制というものをてこにいたしまして、主としてそれはじん肺を中心として当面やってまいりますけれども、そういうようなことで早期に有所見者を発見し、いろいろな手当てをしていくということをやってまいりたい、こういうふうに考えます。
○安島委員 先ほども触れましたが、企業規模の大きいところは法律を守って健康診断を受けさせるのは当然ですね。ですから、こういうところで患者数が多かったり管理区分四に該当する者が多いようだとこれは話にならぬ。むしろ行政というのは、当然大企業に対しては遵守義務を課すと同時に、中小零細の企業の場合は、ただ法律を守りなさいというだけではどうしようもないのですよ。守り得ないような原因をどういうように対策を講じられるかということがきわめて重要な問題なんですよね。 そこで、私はどうも実態把握の面からも現在は非常に不備じゃないかと思うのです。また、先ほどの随時申請の問題と関連しまして、この随時申請の結果四になった方が非常に多いのです。健康診断を、やめるまでの間受けられなかったとか、そういうことになるとこれは何をか言わんやで、わかりませんが、むしろやめてから病状が非常に進んだということで、退職前は二ぐらいとか、よくわかりませんが、そういうような区分にあった者が退職後非常に病状が進んだというようなケースとか、そういう点でこの実態をどのように把握されておりますか。
○桑原政府委員 確かに随時申請によって管理四がふえてまいっております。二、三年の数字を申し上げますと、四十八年では定期で見つかった者が二百七十に対して九百八十二が随時申請で見つかっておりますから約四倍、四十九年も三百九に対して九百八十五ですから約三倍、五十年も定期で三百十八が随時で千二百三十九ですから約四倍近くというようなことで、私どもといたしましては、御指摘のようにやめてから問題が出てきておるようでございますから、やはりやめるときに健康診断をやるということが一つあるかと思います。それが十分やられてない。それから、やめられた後は自分で健康管理しなければなりませんから、そういう面についてもお気の毒な面がございますが、少なくとも管理三になったような比較的重い方については、国がかわってそういった健康診断をしていくということが欠けているのではないかというようなことが原因として考えられます。
○安島委員 いろいろな面で進歩している中で、こういうじん肺患者がふえるなどということはきわめて好ましくないことですね。しかも、その要因というものについて実態把握がはっきり数字の上に出ておりませんのでちょっと指摘しにくいわけですから、推測も入りますが、健康診断がよく行われていないところほど管理区分三ないし四ということで、特に退職後の随時診断等の場合に多いというのはどうもそういうところに私は原因があると思われますね。それを取り除くための予防措置を、どんなにお金がかかっても、手がかかってもやらないと、かえってますます財政的にも問題が出てくる。早くこういうことにならないように予防措置を講じておくことが、ある面ではお金もかからなくて済む。それから、こういった監督行政に携わる皆さん方の数が少ない中で、わざわざ仕事の範囲をふやすなんというふうなことをしていたのではこれはどうしようもない。そういう予防措置をいかに徹底させるか。もちろん事業主に守らせるということが大事でございますが、なかなか守りにくいような実態にあることも事実ですから、そういうところは行政がかゆいところに手の届くような指導が必要ではないか。これは特に強く要望しておきます。大臣の所見をひとつお伺いします。
○石田国務大臣 実は私、巡回診断をやる団体の会長を務めておったことがございまして、その巡回診断の状態というものはよく知っておるのですが、いま御議論になっておるほかに、巡回をして回る者の能力にも非常に差があるような気がいたします。そういうものについてある程度の基準を設けることも、自分がその仕事にタッチをしておりましたときに痛感をいたしました。 それから、労働者の方も、転換をさせられれば収入が減る場合もあり得る、なれないところに行きたがらないという面がある。それから使用者の方はなるべく隠しておきたい。そういうような両面も確かにあると思いますので、まず第一に、巡回の能力基準というものを平準化して、そして十分その能力を発揮し、役目を果たし得るような方法をとることが一つ。それから、いま基準局長が申しましたように、やめていくときに自分の健康がどういうものであるかということを知っておくような処置をとることが一つ。それから後の処置について、どういう状態になるか、次の職を選ぶにしてもじん肺を吸わないような、それに暴露されないような職を選ぶようなあっせんを療養その他の指導と並行してやらなければならぬが、基本は何としても制度の徹底と自覚を促すことだと思います。 〔委員長退席、斉藤(滋)委員長代理着席〕 今度は中小企業に対してこの巡回を受けることを助成する制度が予算化されておりますが、これによってさらに推し進めてまいることにいたしたい。私は、自覚をさせると同時に、もう一つは健診をする方の能力の平準化ということがどうしても必要だろうと思っております。
○安島委員 時間がなくなってきましたけれども、この問題に限らず、労働省の労働行政に取り組む姿勢というのは、私はここで一番最初に自民党の労働行政は生かさず殺さずだと毒舌を吐きましたが、何か中途半端な施策が非常に多い。人や金を使うなら中途半端では何にもならないのです。やはり思い切って措置をするところは措置をする。申しわけ的な予算措置や人員配置では意味ないのです。有効的に、そういう効果のあるような施策をきちんとしてもらわないと、大臣が幾らりっぱでも口の方だけで、具体的に行政が行き届かなければ何にもならないのです。私は特に、現在の法律を守らせることも大事だけれども、そういうゆとりもないくらいな実態の零細企業とか、そこに働いている方々には、ただ法律を守らせるというだけでは不十分だ。守らせるような助成をいかにするか。と同時に、事業主ばかりではなくて、働いている人たちの法令に対する理解も足りない、これをどんなふうに進めていくかというのが大事だと思うのです。 いま大臣から、聞かないうちにちょっと触れられましたが、作業転換の問題もこれはそのとおりなんですよ。いかに法律の上で進んだ条文を制定されても、具体的に作業転換ができるような環境をつくらない限りはこれは絵にかいたもちになる。そういう点では、鉱山とか炭鉱、窯業のように、粉じん作業の状態の職場の中で長い間こういう作業に従事した者の職場転換というのは口で言うほどたやすいものではない。それから、ある一定の日数を補償したといっても、それは前の所得よりは下回る。だから零細企業ほど働いている者も悪くなるまでは隠したがる、あるいは事業主も見て見ぬふりをする。そこを根本的に考えなければどうにもならないのですよ。こういう作業転換、特に中小零細企業と言われているようなところにどのような指導をされるつもりか、お伺いしたいのです。
○石田国務大臣 具体的なことは局長がお答えいたしますが、たとえ規模がどうあろうと、およそ人を使う以上は、使っている人に対する健康管理の義務を守るのは、規模のいかんによらない、当然使用者の共通の社会的責任であり義務である。したがってそういう観点からやっていかなければなりませんが、しかし、職業転換をさせる、職場転換をさせるというようなことになりますと、大企業のように職種がたくさんあるところと違ってそれはむずかしくなります。そういう点についての訓練その他の助成措置をとる。 それから、私どものやってまいったことは、それは完全ということから見れば御不満がいっぱいあるだろうと思います。しかしながら、前進しているということもやはりお認めをいただかなければならぬ。前進をしてだんだん行き着くところに行くのです。たとえば最低賃金だって私が二十年前に始めたときは、片一方の方からは業者間協定などというものは最低賃金でないと言う、片一方の方はそんなことをやられたら中小企業は成り立たないと言う。しかしながら、いま最低賃金法はだんだんと全国的な整合性を持つところまで来ているのです。それを半端にやらないから、やらないやつは悪いんだ、中途半端だ、こう決めつけられても、それはなかなか物事を進める場合にはむずかしい。それはお金の面だけじゃない、それをやる人を訓練することもむずかしい、そういう点をお考えいただきたいと思います。
○安島委員 大臣の考え方はしばしば委員会等でお伺いしておりますので、非常に私も同感でございますが、哲学だけでは労働災害も職業病も減りませんから、生意気な言い方ですが。労働行政という場合は、人の命を扱うとかあるいは具体的に労働者の権利をどう守っていくかという点では、実態として守りにくいような産業構造の問題とかいろいろな問題が絡んでいますから、これは大企業も中小企業も同じ義務だというような原則的な問題だけでいかない面があるということが、現実にいろいろな統計の中に具体的に出ているということを私は先ほどから申し上げている。 時間もなくなりましたから、最後に、私はこういう監督行政に携わっている方々の努力には大いに敬意を表します。しかも、必ずしも十分な人員だとは思っていません。特に労働省の職員数を見ますと、大体最近の五カ年間に定員が五百八十四名少なくなっております。そこでほかの方を見ますと、防衛庁は二千六百九十四名ふえて、外務省は三百三十三名、大蔵省は百六十七名ふえているが、労働省の方は五百八十四名。中でも監督官関係とか安全専門官とか衛生専門官という方々は、努力をされてわずかですがふえていますが、結局、こちらの方でふえましても総定員の方を減らすというような形で、絶対数はかなり減っているのです。このような財政事情の厳しい中ですから、私はむやみに人をふやさないでやることが一番望ましいと思いますけれども、事やはりこういうようなきわめて重要な行政に携わっている者は十分な数を確保しなければなりません。先ほども言いましたように、予算措置も、これは人の命にかかわること、あるいは病状が進めばそれだけ国家的な損失にもなる、こういう点に対してはやはり十分に主張すべき点は主張してもらいたいと思う。これは大臣の仕事でございますね。この点を最後にお伺いします。
○石田国務大臣 労働省の減っている部門は、一般的な行政改革の方針もあるのですが、実はいままでいわゆる旧失業保険の徴収とそれから労災保険の徴収と別れ別れに徴収しておる、これはむだでございますので、前回私が労働省に参りましたときにこれを一本にするという方針に変えまして、そしてそれに伴って順次進んできたこともあわせてあるわけであります。 それから、先ほど哲学だけ言ったと言いますが、そういう基本的な考えを使用者は持つべきだ、しかしそれだけではいかぬから、われわれの方としては転換を容易ならしめるための措置を講じておる、こういうことを申し上げました。 それから、基準局の監督官、安定所の職員、これは現場において業務量が非常に多くなっておりますので、いま言ったようなところで減るのは仕方がありませんが、そういう点は極力ふやすように努力をすることが私の役目だと思っておりますし……(「定員をふやせない労働大臣だったらやめた方がいい」と呼ぶ者あり)まあ、やめなくても済むように努力をいたすつもりでございます。
○安島委員 どうもありがとうございました。 —————————————
○斉藤(滋)委員長代理 この際、お諮りいたします。 ただいま議題となっております本案審査のため、本日、労働科学研究所主任研究員・医学博士佐野辰雄君に参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○斉藤(滋)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決しました。 —————————————
○斉藤(滋)委員長代理 質疑を続けます。金子みつ君。
○金子(み)委員 私は、本日はこの法案に関する質問を幾つかさせていただきたいわけでありますけれども、法案の性質上二つのものは入りまじっておりますから、明確に区分して御質問申し上げることはむずかしいことだと思いますので、その点を御了解いただきたいと思います。 初めにお尋ねしたいと思いますことは、この労働安全衛生法でございますが、これはもともとは労働基準法から分離したものだというふうに理解いたしております。したがいまして、労働基準法とは兄弟姉妹の関係にあるわけですから、言うなれば姉妹法だと言ってもいい、そういうふうに思われるのですが、そうであるといたしましたらば、労働基準法の関係から言えば、これと切り離したり、あるいは基準の関係において非常に低下するというようなことがあってはならないというふうに考えるわけでございます。 そこで、私が一つ疑問に思いますことは、労働基準法の一条のところで、「この法律で定める労働条件の基準は最低のもの」だというふうにうたってあるわけですね。「最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。」というふうに基準法ではうたわれております。それから、関連の法律だと思いますが、家内労働法の一条の中にもこれと同じ趣旨のことがうたわれているわけでございます。そうしますと、労働基準法の姉妹法であるというこの労働安全衛生法に関してはその部分については明確にされていないのですけれども、これをどこで明確にしていらっしゃるのか、そのことをまずお尋ねしたいわけです。
○桑原政府委員 御指摘の点は、この問題を御審議いただきましたときも関係者の方からいろいろ御議論が出ましたので、私どもも立案作業のときには十分その意を用いたわけでございます。結論的には、法制局の見解もそうでございますが、労働基準法に第四十二条がございまして、「労働者の安全及び衛生に関しては、労働安全衛生法の定めるところによる。」ということになっておりますので、労働基準法と労働安全衛生法は一体的なものであるという解釈が一つございます。それから、労働安全衛生法はそれを受けまして、「労働基準法と相まって」と、こうなっておりますから、一条から三条的なものは当然に安全衛生法に適用がある、こういうふうに私どもは理解しておりますし、法制局もそういう見解でございます。しかしながら、御指摘のように少し明確ではないのではないかという御指摘もございましたので、今回の安全衛生法の改正の機会に、第三条にそれが最低基準であるということを明確にするために、条文をそこを改めまして、家内労働法と同じような明確化をするために改正をいたしたようなわけでございます。
○金子(み)委員 それと関連をいたしますけれども、各企業には総括安全衛生管理者という人がおりますですね。この人の職務というのは非常に重要な職務だと考えるのですけれども、この場合に、この総括安全衛生管理者ですか、この人が企業における災害その他の問題についての総責任者であるというふうに理解するわけですが、もし、法の定めるところに従ってそのことを忠実に行っていない場合、あるいは大きな災害などが起こった場合、いろいろな責任上の問題としてこの人の任免権の問題が起こってくると思うのですが、この総括安全衛生管理者に関する解任権というものが明確にされていないのです。労働省のお考えとしては、総括安全衛生管理者に対する解任権は都道府県の労働基準局長に持たせたいというふうに考えていらっしゃると私どもは了解いたしておりましたけれども、そのことは実現しておりませんし、またそのことが実現しなかったのはなぜかということも実は知りたいわけでございます。それがうわさなどに出てまいりますのは、使用者側の圧力がかかったのじゃないかというような懸念もあるわけでございますね。せっかくいい考えを、昨年の十一月ですか、労働省はお持ちになっていらしたのに、それが実現できていないという問題が一つありますが、そのことをひとつ伺いたいと思います。
○桑原政府委員 確かにそういった御指摘が、審議会にこの法案の御審議をいただきましたときにも出ておりますが、最終的には、労使、公益の意見の一致を見なかったので取り入れていないことが一つの大きな動機でございますが、実質的な理由といたしましては、総括安全衛生管理者というのは、大体、工場で言えば工場長でございます。したがって、そういう方たちを解任してその次のレベルの方をそういった管理者にするということが、果たしてそういった安全衛生管理体制としてプラスになるだろうかという問題が実質的にあると思います。また、場合によっては、工場長をやめさせるということになりますとそれはもう人事権の介入になりますから、とてもそういうことはできないわけでございます。現行法に、いろいろな問題があって十分な働きをしていないときには基準局長がいろいろな面で勧告をすることになっておりますが、実はこの規定が必ずしも十分活用されていないじゃないかというような関係者の御意見も十分ございまして、むしろそういった勧告権をこの際大いに活用しながら、そうしてその後どういう問題が出てくるかということを議論すべきではないかというようなこともございまして、最終的には審議会の意見一致を見なかったので取り入れておりませんし、やはり解任権を入れるということは現段階においては問題である、こういうのが私どもの考え方でございます。
○金子(み)委員 その問題については、ここで時間をかけて議論するということもきょうの場合はむずかしいと思いますので、この程度にいたしておきますけれども、監督権を強化するということはできる問題でございますね。ですからこれは十分に強化していただきたいというふうに考えます。 それから、いまの労基法の基準を安衛法でもこれに準じてやるというそのたてまえからいきますと、いま一つお尋ねしておきたいことがありますのは、企業の中には安全衛生委員会というものを設置して、そして働く労働者たちの健康を守り、あるいは安全を確保するということのために機能するということになっているはずだと思うのですけれども、この委員会を設置する基準の問題なのですが、現行法では、法第十八条の一項の問題ですが、「規模の事業場は、常時百人以上の労働者を使用する事業場とする。」というふうになっているわけですね。ですから、百人以上の事業場でなければそういう機能は発揮されていないという形になるわけだと思うのです。そのこと自体も一つ問題でございますけれども、私は、百人以上というのは少し数が甘いのじゃないかというふうに考えるわけです。御承知だと思いますけれども、ILOではこれは二十五人ということになっておりますですね。ですから二十五人と言いたいところですが、百人を一挙に二十五人ということもいろいろむずかしいという問題もあるかもしれませんので、せめてここは百人をその半分の五十人、常時労働者が五十人いるような企業にはこういう機能を設置するということが、本当に労働者の健康を守り、安全を確保するために必要だというふうにお考えにならないでしょうか。私はそのことが非常に必要だと思うのですけれども、そのように改正していただく意思がおありにならないでしょうか。
○桑原政府委員 確かに小さな企業ほどこういった安全性の問題がございますから、できるだけそういった安全衛生委員会を下までおろしたいというのが私どもの念願でございますが、余り下におろしますと、今度はそういった責任をとる方がそこにおられるかという問題もございます。したがって、現段階では、百人よりもさらに少しおろしまして、常時五十人以上というようなところまで持っていきたいということで内々検討いたしております。ただその場合に、多少問題のある業種ということでしほらなければならぬいろいろな問題もあると思います。もう一つは、この前もお答えをいたしたと思いますけれども、五十人未満でも何か一つの企業が集まって五十人ぐらいになれば、それもやはりある程度単位として認めるべきじゃないかという御意見もございますので、常時五十人以上、あるいはまとめて五十人というようなところも含めまして、十分検討してみたい、こういうふうに思います。
○金子(み)委員 十分検討は大変結構であると思いますので、検討していただくことはぜひお願いしたいと思いますが、えてしてあることですが、検討、検討ということで、それがいつまでもいつまでも長く続いて、いつまで検討しているのだろうというようなことがいろいろな面でよく起こります。ですから、そういうことが労省者におかれてはないように、検討されたならばこれはできるだけ早い機会に実現するという方向へ持っていっていただきたいというふうに考えますので、その点ひとつ確認させていただきたい。
○桑原政府委員 この法律を施行する段階までに私どもは十分検討し、成案を得たらその段階で政令ないし省令でやってまいりたい、こういうふうに考えております。
○金子(み)委員 ぜひお願いします。 ではその次に、じん肺法の関係で少しお尋ねしたいことがあります。 最初にお尋ねしたいと思いますのは、じん肺法に関しては、今回、定義を改正しておられるわけですね。そして、従来の「鉱物性粉じん」というのを改めてただ「粉じん」だけにしたという点、それからさらに、肺結核を合併症にするということが入っていましたのが、今度は「粉じんを吸入することによって肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病をいう。」ということで、明確な疾病の名前は挙げられてはおりませんですね。それで、「主体とする疾病をいう。」こういう言い方になっておりますから、大変に幅が広いと解釈できると思いますし、何を指そうとしているのかということがこの法律を読んだだけではわからないわけでございます。 それで問題になっていますのは、前回の委員会でも議論があったところでございますけれども、今度粉じんだけに改められましたけれども、事実上現時点ではその範囲は無機粉じんだけであるということは事実でございますね。この問題について、有機粉じんについても当然この中に入れるべきではないかという議論がありました。前回もそのことが非常に議論になったのですが、それは専門家の方々のいわゆる医学的なコンセンサスができた段階でなければできないという御答弁が当局側からあったわけです。それも一つの理屈だと思いますからわからないわけではありませんけれども、それが一体いつになるものなのかということが非常に不安でございます。 それで私は、このじん肺法の定義を明確にきちっとつくっていただきたいということを申し上げたいと思うのです。現在改められました取り扱いとしては、じん肺というものの中に肺気腫だとか肺性心というものは加えておられますね。これは合併症としていままで取り扱っておられたのを、合併症にしないで、じん肺そのものとするという意向があるというふうに伺っておりますけれども、このことは事実なんでございましょうか、その点を確認させてください。
○桑原政府委員 この法案を作成する段階におきまして専門家の意見を十分いろいろとお伺いいたしたわけでございます。それで、今回の法律でじん肺の定義をきちっといたしまして、いま先生御指摘のように「線維増殖性変化を主体とする」ということでどこまで入るのかということが議論されまして、現在のところ、いま御指摘の肺気腫、肺性心というものはじん肺そのものだということで読むというのが現段階の専門家の御意見でございます。
○金子(み)委員 そうであるならば、そのことは明記できないわけでしょうか。これを法律に明記なされることがむずかしいとすれば、省令にでも明記なさるおつもりでございましょうか、その辺をはっきりさせていただきたい。
○桑原政府委員 この法律を施行する段階におきましては当然に次官通達ないし局長通達を出しますので、これは解釈の問題でございますので、当然その解釈を施行通達の中において明らかにいたしたいと思います。
○金子(み)委員 施行規則ですね。
○桑原政府委員 施行通達でございます。
○金子(み)委員 通達ですか。
○桑原政府委員 施行通達でございます。
○金子(み)委員 施行規則の中にうたえないのですか。通達というのは大変に権威のあるもののように政府側はお考えですけれども、ああ通達かという取り扱いもあるわけですね。通達が通達どおりきちんと守られていないという事例はたくさんございますね。通達は非常に不安定でございます。ですから、もしこのことをはっきりと定義づけをなさろうとお思いになるのだったらば、私はせめて省令にうたっておく必要がある、施行規則の中にうたわれるべきだと思います伊けれども、その点はいかがですか。
○桑原政府委員 いま申し上げましたように、じん肺の定義を明らかにいたしましたから、当然その中に含まれるということでございます。したがって、それは通達で明らかにすれば十分であると思います。一般的に、省令で書きます場合には法律で委任されている場合が多うございますので、こういった場合には通達で明らかにする、次官通達あるいは局長通達で明らかにすれば当然それが法を補完することになりますから、御心配要らないと思います。
○金子(み)委員 私は法律論議をここでするつもりはありません。私は素人ですからそれはできませんけれども、しかし、法律でそのことが委任されているということですと、「線維増殖性変化を主体とする疾病」という言い方が法律の方にございますね。それを受けているわけでしょう。ですからこれを受けて、施行規則の中にうたえないことはないのじゃないかと考えるわけなんです。それがもしおできにならないのだとすれば、通達でいこうというお考えだということなんですが、その通達が必ず守られるような、従来のような紙切れ一枚の通達だけでなくて、紙に書いた通達と同時に強力な行政指導がついていかなければいけないと思いますけれども、そのことはぜひやっていただきたいと思います。いかがですか。
○桑原政府委員 私どもは、この法律が施行されました場合には、当然に関係機関に対して十分な指示、指導をいたします。それからまた、関係者に対する周知もいたします。そういったことで、今度の解釈が明らかになったことについては私ども責任を持って実施をいたしたいと思います。
○金子(み)委員 次に進みます。 その次にお尋ねしたいのは合併症の関係なんですけれども、今度は合併症に関しましては、「じん肺と合併した肺結核その他のじん肺の進展経過に応じてじん肺と密接な関係があると認められる疾病をいう。」という条文になっておりますね。この条文の中に出てくるもので、はっきりとうたわれているのは肺結核だけなんです。そのほかのものについては明確に示されていないわけでございますけれども、私ども仄聞いたしますところによりますと、合併症として考えられているものは、肺結核のほかに慢性気管支炎、続発性気管支拡張症あるいは続発性気胸、こういうものも考えられていると伺っております。これまた先ほどと同じ論議で、明確に省令でうたい出すことができなくて通達でお書きになるのかもしれないと考えるわけでございますが、これはそのように考えておられることは事実でしょうか。
○桑原政府委員 いまお挙げになりました三つの合併症を新しく追加の問題につきましては、法律上省令で指定することになっていますから、これは省令で書くことになります。
○金子(み)委員 いまのは省令に入ります、いまの時点でこれだけが合併症だと考えられているということでございますが、私は、じん肺の性格上これだけが合併症としてとどまっているのではないのではないかと考えるわけです。これ以外のものでも合併症として当然考えられてもいいのではないかと思われる病気があるはずだと思うのですけれども、その点について参考人の御意見を伺わせていただけますか。
○佐野参考人 まさに御指摘のものが私は肺がんと思います。肺がんを考えます場合に、がん原物質を含んでいない純粋なじん肺と、もう一つ、がん原物質が含まれているものを吸入して起こるじん肺兼肺がん兼内臓のがん、大きく二つに分かれます。そのことについて申し上げたいと思います。 実は定義との関係があるのですが、じん肺というのは一体どういう変化なのかということになりますと、いままで外国が定義しておりました粉じんによるところの線維増殖性変化のみが決してじん肺ではありません。 これはけい肺の写真です。鋳物をおやりになって八年で急進けい肺で亡くなった方です。線維増殖の代表です。昔からじん肺として、けい肺と並んで言われているものがございます。それは石綿肺です。大分様子が違いますでしょう。つまり、これは粉じんを吸入することによって気管支の変化を主体として起こったじん肺なのである。——重要なことでございますので総括的に申します。——そういたしますと、じん肺というのは決して粉じんによるところの線維増殖だけではなくて、考えればおわかりのように、粉じんは吸入されます。気管、気管支、細気管支、そして肺胞に到達するわけでございますから、当然気管支の変化が先行するのです。その程度はいろいろでございますけれども、その程度が最も強いものが石綿肺である。 しかし、石綿肺に劣らないような気管支変化の進行するじん肺は次々にあらわれております。たとえば黒鉛、大きな粉じんを含んでおりますところの黒鉛肺。これです。電極工場十七年、きわめて気管支の変化の強い、そして粉じん巣も発生するじん肺である。 まとめて申し上げますと、じん肺というのは、気管支の変化、それに伴う肺気腫、そしてもちろん粉じんによるところの粉じんの線維化巣、そしてそれらの変化に伴って必ず血管の変化が起こります。これをごらんになってもおわかりでございましょう。ここにある血管が何一つもう見えません。詰まってしまうのです。そういうものをひっくるめたものがじん肺でございますから、その定義が確立されませんと次の具体的な対策が一向合理的に進まないという面がございます。 そこで御質問に返りますと、まさに、肺がんはいままでの日本の広範な臨床病理学的研究によって正式に合併症としてよいものと思います。なぜそういうことが起こるかと言いますと、実は、いまも申し上げましたように、気管支の変化は本質的にじん肺に伴うものであって、気管支炎の継続は、その細胞が変性いたしましたり再生いたしましたり、また変性したり再生したりするということでございまして、細胞核の中の遺伝子がきわめて変異を受けやすい状態、つまりがん化が起こるのでございます。お目にかけたいと思います。日本では、諸外国の研究に比べまして、昭和二十三年以来臨床と病理の共同研究がいまも続いておるわけでございまして、大変口幅ったいようでございますが、世界の研究水準をはるかに抜いております。その事実に基づいて対策はなさるべきと思います。——これです。これは石綿肺に肺がんの合併したものでございます。小さくておわかりにくいのですが、慢性気管支炎の継続というのは、必ず上皮細胞、細い気管支の上皮細胞あるいは肺胞壁の上皮細胞も異常な増殖を起こします。そして異型な増殖を起こします。それががんになるわけですね。石綿肺に合併する肺がんが高頻度であるということの理由は、実は石綿粉じん自身ががん原物質である以上に、慢性気管支炎をより早期に、より広範に起こすというところに原因がある、これが重要です。 ところが他のじん肺、結局遅かれ早かれ気管支変化が起こるわけでございまして、事実そのことが戦後非常に明らかになってまいりました。これは活性炭肺。活性炭には若干ベンツピレンなどもありますけれども、この穴があいております。これが肺がんのあれしたものです。そしてこれも、がん原物質も入っているけれども、必ず慢性気管支炎があります。このケースは、往年の八幡製鉄のガス発生炉工の方の炭素肺兼肺がんである、タールを含んでおりますので。しかし、この場合も慢性気管支炎の継続の後にがん化したのでございまして、これは大変重要なので繰り返して申し上げます。がん原物質を吸入した場合においても、その発がんに至るまでの経過は必ず炎症を経過するということ、その点ではがん原物質のないじん肺に発生する肺がんと同じでございます。つまり、がんというものは原因物質があるというだけで発がんするものではないのである。必ず体の中に発がんする状態ができてからでなければ発がんしないのである。そうでなければ、この人は離職してから十年後のあれでございますね。がん原物質があればがん化するというのであれば、それは在職中でなければならなかった。そうではない。必ず準備期間が要る。 まとめて申し上げます。慢性炎症、肺においては慢性気管支炎の継続は、どの種のじん肺であってもそれは発がんを誘発する。したがって、先生は合併症と申されましたが、じん肺が存在すること、じん肺に伴う慢性気管支炎が存在することによってできたがんでありますから、当然合併症として扱われるべきであると思います。 なお、重要な御質問をいただいたわけでございまして、がん原物質がまじっている場合はではどうなのであろうかということです。結論を先に申し上げますと、がん原物質が混じたものを吸入している場合には、決して呼吸器のがんだけにとどまりません。他臓器のがんが出てまいります。つまり、がん原物質の吸入は、その生物学的な溶解性に対応しまして全身に吸収される結果でございます。それだけではございませんけれども、好例をお目にかけます。 これはクロム鉛作業者のものでございます。これは肝臓がん、膵臓がん。これはクロムメッキの方です。クロム鉛作業者じゃありませんが、もう膵臓全体ががん化しているわけでございまして、ここで気をつけていただきたいのは、十二指腸、それから胃壁の粘膜の非常な増殖、がん化の一歩手前です。つまり全身に影響があるわけです。これはクロム鉛作業者の肝臓がんです。三キログラム。通常は一キログラム程度のものでございますが、この方は三倍になっている。黄色い部分ががんでございますから、三分の二以上ががん化している。そのために三キログラムになっている。 御注意願いたいのはこの分析結果です。これはクロム鉛作業者でございますが、がん原物質として明確に、クロムだけでなくてニッケル、コバルト、ベリリウム等が存在するということです。そういうこともございまして、時間が足りませんのであれですが、これは実はクロムだけではないのです。たとえば電極作業においては黒鉛粉じんとタールの物質が存在します。そしてそれはまさに肺がんだけの問題でなくて、胃がんの多発、食道がん、直腸がん、肝臓がん、膵臓がん、リンパ線のがん、その他が多発しているということは、決してクロムだけにとどまらない、一般的な命題です。 もう一回申し上げますと、がん原物質をともに吸入している場合のじん肺の場合においては、決して呼吸器のがんだけではなくて、他臓器のがんが現実に出ている、多発しているということを御注意願いたいと思います。
○金子(み)委員 ありがとうございました。 いまお聞きになったとおりでございまして、私が申し上げたいと思っておりますのは、いまのお話を聞いてくださったらおわかりになったと思いますけれども、肺がんの問題は当然じん肺の合併症に入るべきじゃないかということを申し上げたいわけなんです。その裏づけをしていただいたかっこうになるわけでございますけれども、現実では肺がんは合併症として取り扱っておられませんから、じん肺管理四に区分された人が肺がんで死亡した場合に補償がないという、大変に悲惨な事実がございます。このことは非常に問題だと思うわけです。いまお話のように、がん原物質を吸入した場合というのは当然がんが発生するということは素人でもわかります。それが全身に広がるということも大体勉強しているのです。しかし、がん原物質を吸入しなくても慢性気管支炎から発がんする、がん化していくということが起こるという御説明がいまあったわけですけれども、そのことを考えれば、当然のことながらこの肺がんは合併症に加えられるべきではないかというふうに考えます。 そこで、いま、じん肺というのは日本の医学では、あるいは世界でかもしれませんけれども、根治することは不可能とされておりますね。根治することが不可能な職業病。考えてみれば、それがそのもの自身でも、あるいはそれにつながって出てくる余病とか合併症とかいうものであっても、もとはじん肺なんですよ。ですから結局、究極的には、死亡するのはじん肺が原因で死亡するということになるわけですから、言葉をかえればこれは業務上の疾病だというふうに考えていいと思いますから、当然のことながら補償があってしかるべきだと考える。その点を考えていただきたいと思うのですが、大臣、そのことはいかがでしょうか。この補償の問題はぜひ考えていただきたいのですが。
○桑原政府委員 労災補償の問題につきましては、先ほど申し上げましたように相当因果関係というのが大前提になります。ただし、こういったじん肺みたいに非常に重篤な病気になりました場合の取り扱いについては、いろいろと専門的な見地から判断をして結論を出さなければならぬ場合が非常に多うございます。そういった意味で私ども慎重に取り扱っておりますが、最終的にはやはりケース・バイ・ケースの問題になろうかと思います。ただ、いまも申し上げましたように、亡くなった方の原因そのものが肺がんでなくても、それに相当有力な原因として肺がんが絡んできているということになりますれば、それはやはり専門家の御意見を聞きながら慎重な配慮のもとに判断をしてまいりたい、こういうふうに思います。
○金子(み)委員 そうすると、ケース・バイ・ケースでそういう補償をすることもあり得る、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○桑原政府委員 一般論ではなかなか申し上げにくい面がございますけれども、じん肺の場合はそういった特殊事情がいろいろありますので、そういった死因とじん肺との関係を十分専門家の意見を聞いて処理したいし、過去にじん肺との非常に有力な関係で亡くなった方について補償した事例もあります。しかしそれはケース・バイ・ケースの問題でございますので一律に申し上げられませんが、そういった慎重な配慮でこの問題は扱っていきたいと思います。
○金子(み)委員 大臣、この問題を将来どういうふうにお考えになりますか。
○石田国務大臣 じん肺というのは、基本的には、これは治らない病気だという前提に立たなければならない。治らない病気だという前提に立てば、まず第一は予防であろうと思います。それから第二には、軽度のうちに職業転換を図らせる。軽度のうちに職業転換を図らせるためには、やはり巡回診療というものを徹底的にやらなければならぬと思います。不幸にしてかかられた場合の健康管理は労働安全衛生法、そして補償の問題は、これは因果関係その他について検討がなされなければならぬけれども、やはりなるべく補償するという方針で労災保険法の運営に当たっていくものだ、こう考えております。
○金子(み)委員 そのことは、事実上そういうふうに考えて当たらなければならないのは当然のことでございまして、そのことが実現されなければ意味がないと私なんかは考えるわけです。ですから、大臣はそういうふうに考えて扱わなければならないとおっしゃいますが、できるだけその方向で、悲惨な目に遭うような人たちがないように、きめ細かく考えていただきたいというふうに思うわけです。その点をぜひよろしくお願いいたします。
○石田国務大臣 私が考えて、その考えのもとに労働行政を運用するのであります。ただ考えるだけではありません。
○金子(み)委員 私はその点を、大臣を信用しておきましょう。 続けてお尋ねいたします。いま大臣もはからずもおっしゃいましたが、根治不能の病気ということになりますと予防が第一というのはだれもが考えることでございます。そこで、このじん肺という病気をなくして、かからせないようにするための予防の問題なんですけれども、予防対策としてはいろいろなことが考えられると思います。この法案の中にもいろいろのことが挙げられているということも事実でございますが、その中で二、三お尋ねをさせていただき、確認したい点がございますので申し上げてみたいと思います。 その一つは、予防と申しましても、一番基本になるのは何と申しましても発じん防止だと思うのですね。このことが行われない限り、幾らほかのことをやってもみんなそれは後追いになってしまって、一つも予防の対策にはならない、こういうふうに考えます。 そこで、その発じん防止の問題でありますが、そのことがはっきりとうたわれておりません。聞くところによりますと、発じん障害防止に関する規定をつくろうと考えているというふうに承っておりますが、このことはいま考えているので、また少し時間がかかるというような御答弁になると大変残念です。この問題はできるだけ早く実現していただきませんと、その間にどれだけ多くの人が病に倒れる、あるいは障害を受けるということにならないとは限りませんので、その点をひとつ至急実現していただきたいのですが、どういう形でそれをやろうとしていらっしゃるのか、お尋ねしたい。
○桑原政府委員 もちろん現行法でも何もやっていないわけではございませんで、安全衛生法に基づきまして労働安全衛生規則というものができておりますし、粉じんに対する対策、いろいろ書いてございますが、しかし、最近非常に粉じんの種類も多くなってきておりますし、一般的な対策ではどうも対応できないというのが実態になってきておりますので、私ども、こういう粉じんの種類ごとにいろいろと研究しながら、いま御指摘の粉じん予防規則的なものをできるだけ早い機会につくりたい、こういうふうに考えております。
○金子(み)委員 予防対策の問題でいま一つ関連して伺いたいと思いますことは、今度の規定の中に離職者に対する取り扱いが出ておりまして、離職者が定年退職者に限っては、本人の求めの有無にかかわらず健康診断を実施するということになっております。けれども、そうでない人は原則としてやらないのですね。ただ、やめる前に相当期間がある、何カ月か先にやめていくというふうな、その期間が長くある人に限っては、本人の意思に基づいてそれをするというふうな考え方を持っておられるということなんです。私はそのやり方も問題だと思いますが、私が問題にしたいと思いますことは、一遍この粉じん作業に従事した人たちが離職した後に——粉じん作業に続けて従事していればじん肺を発病するかもしれません。しかし、離職してしまえばじん肺は発病しないものかどうかという、非常に疑義があるわけなんです。ですから、一たん粉じん作業に従事した人というのはすべて、予防対策上健診をすべきじゃないか。粉じん作業に従事していなくても、離職後でも発病することがあるのではないかと思うのですが、この点は御専門家の御意見を伺いたいのですが、佐野参考人、そういうことがございますかどうですか、一言お答えいただけますでしょうか。
○佐野参考人 私は、粉じん防止対策の要点について申し上げたいと思います。 それは、これもまたお目にかけるわけですが、現在の、日本だけでなくて世界じゅうの粉じん濃度の測定について申しますと、実は粒度ですね、入ってくる粉じんが大体二ないし三ミクロン以下のものであるという前提のもとに粉じん濃度の測定を行い、それを対策の基礎としているわけですが、これを見ていただきたいと思います。二十ミクロンのスケールでございまして、これはけい肺でございますが、ごらんのように十ミクロンを超えるようなものがたくさん入っている。そしてこれはけい肺だけではございませんで、黒鉛肺、同じく大きな粉じんがたくさん入っております。活性炭肺、三十ミクロン。四十ミクロンを超えます、これも活性炭肺。そして驚くべきことに、これは滑石肺でございますけれども、十ミクロン以上の粉じんが反応の主体をなしているという事実をわれわれは見るわけでございまして、それに関して今後わが国の粉じん対策は、そのようなカットをしてはかるということだけでなくて、粉じんの全量をはかることによって基準をつくっていくべきであろうと一つ思います。たとえば、黒鉛粉じんの職場でカットをしてはかりますというと何と二ミリグラムにも達しないけれども、実際に肺の中に入り得る大きな粉じんをはかりますというと二十ミリグラムにも達するということがまれでないわけでございまして、その点を十分考慮しなければならないということ。 もう一つ、御存じと思いますけれども、現在の現場の粉じん測定というのは、場所的にも時間的にもスポットをとりまして平均値をとっておるわけでございますが、このことが実際の労働者の方の吸じん量と対応しないことによる不都合がいろいろ起こっているわけでございまして、大気汚染を例にとってみましても、大気汚染の場合にはほぼ二十四時間の全量を基準にしていろいろなものを考えていくことに比べまして、労働衛生の非常に大きなおくれと思います。その二つを考慮しない限り、いろいろと規則をつくりましても実効を上げることができないということを申し上げたいと思います。 〔斉藤(滋)委員長代理退席、中山(正)委員長代理着席〕
○金子(み)委員 いまの佐野参考人の御意見は、労働省の方たちは十分に慎重にお聞き及びいただきたいと考えます。離職後も発病しているという事例は報告書の中に幾つも出ております。ですから、そういうことがあり得るということを考えていただいて、私はやはり粉じん作業に従事しているすべての人に健診を進めるべきだと考えますので、その方向でぜひ進めていただきたいと思います。 いま一つお尋ねいたしたいと思いますことは、エックス線写真の問題と、それから健康診断を実施した後の事後指導の問題、これは非常に大きな問題だと思います。お互いに非常に関連がございますので、関連してお尋ねもいたしますので御答弁いただきたいと思います。 現状では、第一次の健診は多くの場合事業所でやられておりますね。巡回診療の場合でも同じでございますが。そしてその写真がすべて基準局に送られるわけではないのですね。第一のスクリーニングをやって、分類をやっていらっしゃるわけです。分類して、所見があるものだけを事業所を通して基準局に提出しておられますね。そうすると今度は基準局でこれを分類して、管理幾つだ、管理幾つだというふうに決めて、その報告を事業所へ戻される。そうすると事業所からそれが本人に知らされたり、知らされなかったり、こういうことになるわけでございます。この手続の問題と、そしてその知らせ方の手続の問題もございます。 〔中山(正)委員長代理退席、委員長着席〕 私は非常に心配しておりますのは、事業所で撮影されましたエックス線の写真がそのままなぜ全員を基準局へ送り込まれないのかということです。ここで区分するということについて問題があると思うのです。というのは、事実の問題でございますが、所見のあるものも所見がないというふうな取り扱いになって、送り出していないということもございますし、あるいはまた事業所が意識的に送り出さないこともあるというふうに聞いております。こういうのは大変にふらちなことだと思うのでございますけれども、問題はエックス線写真の読み方、読影の問題、これは技術的な問題になりますから、大変に失礼な言い分かもしれませんけれども、現場の事業所で写真を最初に読まれる方が、果たして正しい読影をしておられるかどうかということは非常に大きな問題だと思うのです。そういうことを考えますと、専門家だけがいるわけではないでしょうから、基準局の方にすべてを送り込むのが、労働者の健康を守るための当然のあり方ではないかしらというふうに考えるわけでございます。 そして、そのことについてさらに管理の区分がされて戻ってくるわけですが、今度はこの戻ってくるのも事業所へ戻ってくるわけです。本人へ真っすぐ返ってこない。この問題を私は指摘したいわけなんです。健康診断をした結果、写真がどうなっているのか、あるいは写真以外の診断の結果がどうなっているのかということは、本来は医師が診断をしたならば直ちに本人に知らせるのが医師法の規定ですよね。ほかのルートを通すということは本人の秘密を漏洩するかっこうになるわけですから、厳密に言えば医師法違反になります。だからこれは医師法違反だという考え方だって出てくるわけです。ただこれは、事業所は労働者の健康を管理する責任上自分のところを通させているのだ、こういう言い分もあると思いますから、それはわからないわけではございませんけれども、本当なら、本質的に言うならば、直接これは報告を受けて、そしてどうしたらいいかということの指導まで受けるべきだと思う。健診しただけでは意味がないので、健診後の事後指導というのが一番大切だと思います。それが、適切な保健指導を受けることができる配慮というのがございますが、だれによってどのようにされているのかということも疑問だと思うのでございますけれども、それはまた別の問題といたしまして、いま私が申し上げておりますのは、写真をなぜ現場で区分して送り込んでいるのか、そしてそれが返ってくるときになぜ本人に直接返ってこないのかという点について、いろいろな思惑がその間に入ってくるおそれがあるということを万全に防止したいわけです。そのままを送り込み、そしてそのままの回答をもらうという形にしませんと、本当の意味で本人の健康が守れない。過去において、結核が隠されていて、そのために死亡したという事例があるわけです。ですから、事業主が故意に隠すということだってあり得るし、それから、医師をそこまで疑ってはいけませんけれども、医師の場合は読影の技術という問題になるだろうと思うので、そういうことは非常に私どもといたしましては心配でございます。 ですから、そういうことが事実ないように指導監督をしていただくことにはなると思いますけれども、手続上の取り扱いをもう少し考えていただけませんでしょうか。そういうふうに直接本人に報告をして、そして同時に指導が与えられるというふうになるように方向づけはできないでしょうか。
○桑原政府委員 先生がおっしゃるような御意見も一つあるかと思いますけれども、私ども、やはり基本には、労働者の健康というものは事業主が責任を持つということだと思います。したがって、エックス線写真が来たら、それが事業主に回りまして、それに対する健康管理を十分やってもらうということのために、必ずそのルートは通さなければならぬと思います。 ただ、おっしゃるように有所見者を隠しているというようなことがあっては困りますので、それは今度の法改正で、そういった場合には提出命令をかけるようにいたしております。それに対しては強制力を持たせております。また、管理区分を決定をしました場合には、そのことを、いままでは口頭でもよかったのですけれども、文書で必ず労働者に知らせる、それからその記録を保存しておく、そういったことによって、監督官が監督した場合に、それを確認しながら、それに違反している方についてはさらに監督指導していくというような形で仕組んでございますので、私は、そういった仕組みで十分ではないか、またそれの方がいいのではないかと考えております。
○金子(み)委員 いまのはわかります。私が申し上げているのは、それにプラスして、事業所へ報告を戻してくるのと同時に、本人にも直接報告をするということです。
○桑原政府委員 なかなかその辺の問題は、非常に大変な事務量にもなりますですね。問題は、やはりきちっと健康管理ができて、そして管理区分に基づいてその予防対策ができる限度において私どもとしてはこの手続を仕組んでいるわけでございますので、御配慮いただきたいと思います。
○金子(み)委員 事務量の問題になるとまた一言言いたくなってくるのです。事務量の方が大切なのか、それとも労働者の健康が大事なのかということになります。これは議論の余地はないと思うのです。もともと一人ずつ基準局で調べているわけですから、台帳はあるはずです。もとはあるはずですよ。事業所へ報告するときはそれをまとめて報告するわけでしょう。したがって事務は簡単に済む、こういうお考えだと思いますが、もとはあるのですから、本人に知らせることだって、決してそんなにむずかしい大変な事務量だとは考えません。事務量が原因になっているのだったらこれはちょっと許せないと思いますけれども、そういうふうなことでなくて、その事務量は、いまのようなもとがないのだったら大変ですけれども、あるのですから、私は一緒に報告することはそんなに大変なことではないはずだと思うし、労働者の健康を考えれば当然それはなされるべきだと考えます。そうすれば、それを受けた労働者は診断をした先生に指導を受けることだってできるはずだと思う。それがなければ本人は知らないということだってあり得るので、それを私は懸念するわけです。
○桑原政府委員 もちろんその事務が大変だと言っているのじゃございませんで、いまの私どもの手続で、じん肺の健康管理については十分ではないか、こういうことを申し上げておるわけでございます。
○金子(み)委員 ではそこは平行線になりますね。十分だと私は考えない。ですからこの問題は保留にいたします。私は、健康を守ることは事業所の責任だとおっしゃることはわからないわけじゃありません。しかし同時に、自分で自分の健康を守るという問題は非常に大きな問題なんです。自分のことを知らなかったら守りようがないのですから、そういう意味におきまして私はそのことを強く申し上げるわけです。 それで、同じような意味で、労働条件を緩和するということで、じん肺にかかった、管理区分の決まった方たち、これを軽作業に回すとかあるいは職場を転換するとかいう方法がございますね。そのことについてですけれども、現行法では勧告をするという「勧告」になっておりましたのを、今度は「勧奨」と「指示」と二つに分けたわけですね。二本立てにしていらっしゃる。そして、勧奨した場合は三十日分の手当が支給されるが、指示を行った場合は六十日分の手当を支給する、こういうことになっているわけです。 そうすると、私の持論からいいますと、自分で自分の健康を守るという立場から考えて、自分で積極的に、自発的に自分の健康を守る意味でこれを申し出た場合、これは勧奨の部類に入るわけですね、指示じゃありませんから、そうすると三十日分の手当しかもらえません。しかし、事業所側から、あなたはこっちに行きなさいといって指示されたら六十日分もらえるということになりますと、やはりみんな弱いですから、収入のこと、非常に重要ですから、自分で自発的にしたいと思ってもしないで、問題があっても黙っていて、そして指示されるまで待つ、六十日分の手当がもらえるから、こういうことだって考えられないことはないと思うのです。ですから、これを区分した意味というのは、私はかえって逆に効果は悪いと思うのですよ。早いうちに自分で気がついて申し出てやるという人がなくなって、事業所の人の目について、あなた転換しなさいということで指示を受けるまで延ばしてしまうということですから、病気は悪くなっていくに違いないというふうに私は考えるわけなので、二本立てにしたのは決して有効ではなくて、むしろ有害だというふうに考えますから、これは一本にすべきではないかと考えているのですが、その点はいかがですか。
○桑原政府委員 私どもは、健康管理区分を現行の四段階から五段階に分けまして、できるだけきめ細かく予防対策をやっていこう。その段階に応じて緊急度が高いわけですから、勧奨から指示というふうに移っていくわけでございます。私たちはあくまでもそういった労使の御理解を得ながら、この法が予定している段階に応じて病気が進んでいくわけですから、それに従ったきちっとした対応をどうしてもやっていただきたい。そういったことを前提といたしまして、本当に最終的に管理三のロになりますと大変なことになりますので、緊急にこれは職場をかえてもらわなければいかぬ、それに対してはいろいろな事情もありますから区分けをいたしたわけでございます。そういったことについて基準審議会の関係の方々の御意見も一致いたしましたので、そういう形で処理をさせていただいたようなわけでございます。
○金子(み)委員 いま一つ事務的な質問をさせていただきます。 それは、健康診断をする場合の医師は、事業所では準備された医師がおって健康診断をするようになっております。しかし、労働者にも医師を選択する自由というものはあるわけですね。ですから、事業所が指定した医師でなくて、別の医師によって健康診断を受けるということもあり得ると思うのですけれども、この場合に、それにかかった費用は事業所は支払ってくれておりませんね。ここの辺の問題なんですが、健康診断を受けるということについては事業所の義務になっているわけですね。使用者側の義務ですから、だれによって健康診断を受けたということは問題はないのじゃないでしょうか。かかわりなく、受けたことについての費用の負担というのは当然持つべきではないかと思うのですが、なぜ持たれていないのでしょうか。
○桑原政府委員 健康診断の義務は当然に事業主に課せられているわけでございますし、しかもこういった健診はできるだけまとめて、しかも具体的な医療機関と相談しながらやっていかれるのが一番能率的だし、またそのアフターケア等もいいと思います。したがって、労働者の選択はもちろんそれ自体を否定するわけにはいきませんけれども、やはり私どもといたしまして法的義務を課している限りにおいて、事業主がその健診料を負担すべきであると思うのです。したがって、事業主の指示されるのと別の医療機関でやられるものについては自分の御自由でございますけれども、それまで費用負担を義務づけるということは酷ではないか、こういう私どもの考えでございます。
○金子(み)委員 時間がございませんので、それについての意見を申し上げる暇がありませんのできょうはここまでにしておきますが、最後に大臣に一つお願いがございます。 それは、今度のじん肺対策に対して、予防問題と治療の問題と補償の問題と、三本立てになっているわけですね。私は、これは一貫した制度にする方が正しいのじゃないかというふうに考えるわけです。というのは、予防と治療というのは、申し上げるまでもありませんけれども、うらはらの問題で、一体のものでございますね。医療が国民に対して健康福祉として実現するということのためには、やはり補償の問題も絡み合っていかなければいけないというふうに考えるわけです。私は、医療と福祉というのは一本のより合わさった糸とかあるいは綱のようなものであって、ばらばらにされるものではないというふうに考えます。ことにこのじん肺のように根治不可能の職業病ということになりますと、社会的責任というものは当然考えられなければならないと考えますので、予防並びに治療、そこへ補償というものを絡み合わせて一本の綱とした、一体的な、一貫した制度として考えていただくということで初めてじん肺に対する対策として全うされるというふうに考えてもいいのじゃないかというふうに考えますが、そういう考え方はお立てになっていただけないでしょうか。
○石田国務大臣 考え方と運用は全く一緒です。同感でございます。ただ、法律の体系がありますので、行政的には基準局の方に固まっておりますが、法体系の関係からいまのような処理をしております。けれども、考え方と運用は全く一緒でございますので、そういう方向で運用の努力をいたしたいと思います。
○金子(み)委員 ばらばらな感じを受けられないような形でぜひお願いしたいと思います。
○橋本委員長 次に、村山富市君。
○村山(富)委員 二日間にわたってこのじん肺安衛法の審議が行われているわけでありますが、質疑の中でも明確になっておりますように、じん肺というのはもう不治の病なんだ、治らない、こういうことになっているわけですね。したがって、じん肺患者はもう一人も出さないということを前提にしていろいろなことを考えるべきだと私は思うのです。 昭和三十年にけい肺の特別保護法ができて、これが三十五年にじん肺法になる、そうして四十七年に労働基準法の中から安全衛生法が姉妹関係で制定されて、そして予防から、さらに健康管理から、あるいは職場転換から、あるいは不幸にして罹患した人に対する補償から、援護から、一貫した体制をつくってきた、一応法体制をつくってきた、こういうことになっているわけですね。ところが、先ほど来質問を聞いておりますと、この法律が制定された当時よりも現状の方がじん肺患者も実際にはふえているわけですね。ふえたのは、健康診断が徹底したとか、いろいろな理由もあると思いますよ。あると思いますけれども、労働省の説明を聞いていますと、万全な措置がとられておるというような説明をするのですよ。だけれども、実際にはそれだけの理由ではなくて、現実に粉じん職場がたくさんありますし、じん肺患者がふえてきているわけですから、こういう現状を見たときに、安全衛生法やじん肺法や労働基準法というものが現状にどのような効果を発揮しておるのか、なぜじん肺患者は年々ふえていくのかということについて、きょうはせっかく佐野先生もお見えでございますから、佐野先生はそういう問題についてどういうふうに御判断されているか、ちょっと御意見を受けたいと思うのです。
○佐野参考人 私は昭和二十二年以来、けい肺、じん肺の研究をずっと続けてきたわけでございまして、いまおっしゃられたことについては明確な意見を持っております。 それは、昭和三十年にけい肺法ができたわけで、各界の努力でできました。石田さんは当時社労委の名委員長としていらっしゃった。きょうここに大臣としていらっしゃる。(石田国務大臣「そのときは大臣なんですよ」と呼ぶ)大臣だったですかな。社労委の委員長のときもありましたよ。あるいはそうかもしれません。いずれにせよ、あなたが非常に厳格で、公平で、愛情のある取り扱いをやった、きわめて深い印象を持っている。みんなの努力でけい肺法ができた。そして世界で初めて事実に基づいてすべての鉱物性粉じんをじん肺法に吸収した。 しかし、それは一体効果があったのであろうか。その後の患者の出方は明らかに少しもその効果を認めなかったということである。昭和三十五年から四十五年までの間に、毎年発生する新しい患者さんは八百名ないし九百名台を下ることがなかった。しかし、やめてからも進行するというじん肺の悪い性質のために、やがては減ってくれるであろうと私ども思っておったことは全く油断でございました。四十六年には千百六名です。四十七年には千百六十九名、それから四十八年には千二百五十四名、四十九年には千二百九十四名、そして五十年はどうでしょうか、千五百五十七名です。少しも減らない。かえってふえている。 私は、その原因は大きく四つあると思います。一つは、やはり大きな企業、大企業は、本当に発じん防止ということを真剣におやりにならなかった。いろいろおっしゃるけれども、真剣にそれをおやりにならなかった。そしてその発じんの作業はまさに中小零細、そして下請作業者にしわ寄せをされました。昔の佐渡や足尾のじん・けい肺は悲惨であったと言います。本当でしょうか。違いますよ。現在の中小零細企業に発生するところのじん肺ははるかに悲惨です。ここに全部あります。たとえば一年四カ月トンネル作業をやることによって死亡したという例もあります。それから三年三カ月、作業員十名のアルミニウム再生工場で働いたことのために、その後四年して、結核の合併も何もなしに死亡している。そのようなものを挙げれば実は切りもないのですね。まさに大企業を中心とする防じん対策のサボタージュが原因と私は言いたい。そして労働省は、私、きょうは労働省の側に立っておりますけれども、それに対して決して有効な監督も指導もしなかったのです。そして、先ほど中小企業のお話が出ました。そして大臣もいろいろ御答弁になっていた。本当にじん肺をなくそうと思うなら、わが国の中小企業の発じん防止対策が完全にやれるような施策を講じない限り、決してなくならないでしょう。その健診を幾ら、何回おやりになっても決して減りませんよ。そういうようなこと。そしてわが愛する労働組合、労働者の諸君は実にそのことに対して、じん肺法まで真剣に闘ったにもかかわらず、その後全く闘わない。御自分たちが殺されるのに闘おうとしなかった。それが大きな原因の三つ目。もう一つあります。これは私ども医師、研究者という者どもに対する反省です、私を含めて。本当に労働衛生の、その職業病を少なくするため、またそれになった人たちをできるだけより進まないようにすることのために、医学的にわかっていることを本当にやろうとしたのかどうか。だめです。やらなかった。私どもを含めてその反省があります。ですから、いまいろいろじん肺法の改正が論議されている。しかし、いまのことを踏まえない限りナンセンスです、と私は思います。それでよろしゅうございましょうか。 そのついてに——いや、また後で聞いていただけると思いますからやめておきます。
○村山(富)委員 いま参考人の佐野先生の方から明確な答弁がございましたが、やはりそういうところに問題点があったのではないかと思うのです。特に、先ほどわが党の安島委員の質問の中にもございましたけれども、大企業の場合には、ぼくらも現地を見て知っていますけれども、そういう粉じん職場なんかはもう下請に押しつけるわけですね。そのために健康管理が徹底しないとか予防が徹底しないとかという場合がありますし、全体的に見ますと、やはり中小零細企業における粉じん職場というのが大変多いのですね。ここはまた資金的に予防措置が講じられないという面もあるでしょう。さらにまた、行政から目こぼれがしてなかなか行き届かないという面もあるでしょうし、労働組合もないためになかなか露見しにくい。こういういろいろな事情が重なっていると思うのですね。 そこで、いろいろな要因はあるけれども、一つだけ具体的に申し上げますと、そういう意味の中小零細企業に対するこの徹底というものは、もう少し考え直してやる必要があるのではないかというふうに思うのですけれども、それは労働省、どうですか。
○石田国務大臣 いまの佐野先生の御指摘を耳が痛く聞きました。 私は子供のときに鉱山ばかりのところで育ったものですから、いわゆる当時のよろけという病状で町や村にいる人を何人も見ました。その後、いわゆる湿式の採掘機ですか、それが採用されるようになって鉱山の方では余り見受けない。このごろ郷里に帰りましても余り見られないようにも感ずるのですが、子供のときはもう非常にたくさん見ました。ところがまた、聞きますと、このごろは坑道が広くなって、採掘機などはいままでのような小型のものでは役に立たたくなって、また出てくるというようなことも聞いておるわけであります。もう一つ、いまどんどんふえている原因の一つは、これは私の推測でありますけれども、いわゆる経済の高度成長によってそういうような作業分野というものが全体として広がった。確かに企業がそういうめんどうな部門を下請に押しつけているという面もあるだろうと思います。 それに対してわれわれの方としていたすべきことは、そういう安全衛生上の投資に対する援助だと思うのです。それから、それをやることによって、とにかくかからないようにする。かかった場合には軽微なうちに転換ができるような補助をする。安全設備とその他に対する融資は百億円ほど用意はいたしております。しかし、現在そういうじん肺の原因になるような作業をしている作業場の数、あるいはそれに対する設備に比べれば金額は十分でないと思います。そういうものを拡充すると同時に、企業者がやはりそれを利用する気持ち、社会的な責任を感じてもらうことも必要であろう、そう考えておりますが、この問題についてはさらに一層の努力、特に、さっきも誤解を生んだのですが、企業責任だけを押しつけることではなくて、企業責任を守り得るような体制をつくることが労働行政だと思っております。
○村山(富)委員 これはくどくど申しませんけれども、金にかえられない問題ですからね、命の問題ですから。だから、特に中小零細企業の場合、そういう現状にあれば、それに対応する対策というものはもっと真剣に考えて、そして積極的にやってもらいたいということを、特にこれは要望しておきます。 次に、時間もございませんから移りますが、現在使われている標準写真については、患者を適正にとらえにくいという面があって、決して適正ではない、こういう批判もあります。また、各県で診査医というものがありますけれども、その診査医の先生がごらんになって、とらえ方がまちまちである。ある県ではこの程度の写真ならそのじん肺患者は管理四になったけれども、ある県では管理三になったとか、そういう不統一があるむこれはなかなかむずかしい問題ではあるかと思いますけれども、やはり基本的には現在使われているエックス線の標準写真に問題があるのではないかと思うのですが、専門に扱われてきた佐野先生は、現在使われておるその標準写真をどのようにお考えになっておるか、見解をお聞きしたいと思うのです。
○佐野参考人 労働省が一番困る、いやがる質問を、大事な質問をなすったわけですな。 現在の標準写真は四十六年におつくりになったようですが、一口に言いまして、じん肺法で実は二型と言わなければならないものを一型として流布された、この罪は非常に大きいのです。まさにそうなんです。その罪の方について申しますと、さっきから話にあったように、どんどん管理四、要療養患者はふえておるのにかかわらず、どうも近ごろ、写真を撮ってみますと、軽いじん肺はなくなっております、と言えるのですね、何にもしないで。そういうことなんですよ、事実は。あれは誤りであると明確に申し上げておきます。これをちょっと見ていただきます。これはけい肺です。炭素肺の系統のものはこういう小さいのがたくさんある。けい肺は大きい固いのが粗くある。こういうのがレントゲンに出やすいのですよ。三型になります。これだけ、つまり肺の上の方は六〇%以上粉じんで充てんされておる。そして下の方は四三%。こっちの方は二〇%以下ですよ。しかしこれは現在の標準写真の一型にならないということ、実に恐ろしいことをおやりになったということを御記憶ください。敵ですな。人民の敵です。 さて、それについて対策があります。それは、けい肺のことばかり考えておつくりになった。いけない。日本はけい肺だけでなくて、炭素肺、金属肺、珪酸塩肺、そして石綿肺、有機じん肺というふうに、きわめて多種なものについて長い間の研究がございます。そんなところは世界のどこにもないのです。そしてそれぞれのじん肺はそれぞれの特徴がございますから、今後なさねばならぬことは、それぞれのじん肺に対しての明確な標準写真をつくっていくということだと思います。労働省もそのお気持ちでいるようで大変結構だと思いますが、私は心配していることが一つあります。それは、できるのに一年も二年も三年もかかるということになりますと大変なことでございまして、私の意見を言いますと、現在の標準写真は全部引き揚げることです。そして、地方自治体を含めるところの猛烈な教育をすることです。それによって初めて労働者諸君は救われるのですよ。非常な被害を労働者諸君は受けている。よい御質問をしてくださいました。
○村山(富)委員 いまお話もございましたように、審議会の中でも大分問題になっておりまして、労働省も恐らくいまの標準写真は見直していこう、こういうお考えだと思うのです。 そこで、いまもお話がございましたが、新しい標準写真をつくるということになれば、相当議論もあると思いますから相当な期間もかかるのではないか。その間のブランクについてはどういうお考えを持って対処されるつもりですか。
○桑原政府委員 現行の標準写真につきましては、いま先生の御意見がございましたように非常に問題があるという提起は聞いております。したがって、現行の標準写真に加えて、特異なエックス線像を呈するじん肺の病型ごとの標準写真も見えるようなものをつくらなければならぬというふうに基本的には思っておりますけれども、お話しのように相当時間がかかるという面もございますので、そういった現行の標準写真に追加した形でこの問題を運用したいと思いますし、その件についてまた専門家の御意見を聞きながらやっていきたい、こういうふうに思います。
○村山(富)委員 佐野先生、もう結構でございます。どうもありがとうございました。
○橋本委員長 佐野参考人には御多用中のところ御出席いただきまして、大変ありがとうございました。御退席いただきまして結構でございます。 村山君。
○村山(富)委員 次に、補償のことについて若干お尋ねしたいと思うのですが、管理三になった有所見者は現行法で言いますと職場転換をすることになっておるわけですね。これが今度の改正案では管理三にイとロができて、そして勧奨とか指示とかという扱いをすることになるわけです。職場転換、職場転換と簡単に言いますけれども、実際には、いままでずっと働いてなれた職場から新しい職場にかわっていくということは、その人にとっては大変なことだと思うのですよ。ですから一番大事なことは、転換をする以前に職場環境を改善していくということが大事だと思いますけれども、しかし、不幸にして職場転換をしなければならぬというような状態に置かれた人の中には、中小企業や零細企業の場合には職場転換のできない者もいるわけですよ。さっきからお話がございましたように、やむなく、がまんをしてその作業を続けていくというようなことにもなろうかと思うのですが、そういう場合の労働者に対する対策というものは何かお考えがありますか。
○桑原政府委員 現実にこの職場転換の行政的な対応の仕方はいろいろむずかしい面があると思います。問題は、そういう中小零細企業におきましてはお話のように粉じん職場以外の職場を造成するのは非常にむずかしい面もございますけれども、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、そういった粉じん職場以外の職場を造成して作業場をつくるということにつきましては相当有利な安全衛生融資がございますから、そういった援助方策を講じながらそういった一つの働く場をつくっていくということがあると思います。それからもう一つは、これも先ほど大臣が申し上げましたように、他の作業に転換をするためのいろいろな訓練の事業主に対する援助あるいは当該労働者に対する援助というものも含めまして、総合的に中小零細企業に対しては十分相談に乗りながらこの問題には対応していきたい、こういうふうに思います。
○村山(富)委員 現実問題としてはそういう職場からじん肺患者が発生する大きな要因にもなっているわけですし、なかなかむずかしい問題だとは思いますけれども、しかしやはり積極的な対策を今後十分講じていただきたいということを強く要望しておきます。 それからもう一つは、不幸にして管理四になって、休業して治療を受けておる労働者、患者さん、これの休業補償は休業前三カ月分の賃金の平均で出してくるわけですね。そうしますと、たとえば職場転換をしたために給料がダウンしているとか、あるいは職場転換をしなくても、体力が非常に弱っておるからそれ以前の賃金に比べてダウンしているとかいうようなことがあり得ると思うのです。今度法の改正で幾らか手直しされましたけれども、しかし現実問題としては健康なときに働いている賃金と比較しますと大分ダウンしている面がたくさんあると思う。そういうものに対する何か手直しをするような考え方がありますか。 私のところにこういう手紙が来ているわけです。これは全部読みませんけれども、「入院外来患者とじん肺患者百数十名おりますが、其の補償金の実態たるや千差万別で、多い人では年間三百万円、少ない人では年六十万余りと、五分の一程の人もおる次第です。ほとんど同じ条件でじん肺患者になり、休業する直前の三ケ月平均額で支給される次第です。厚生年金とか他の年金のようにかけ金によって支給額をきめられるのは当然と思いますが、我々じん肺患者はほとんど同じ状態で病気にかかり、わずか最後の三ケ月でこんな差が出るとは自由平等の世の中にこんな不公平が有って良いものでせうか。せめて長期(年金)になった時点で勤労者平均賃金の%で支給されればこんな不公平は出ないと思います。」こういうような手紙が来ているわけです。この手紙の内容も含めて御答弁をいただきたいと思うのです。
○桑原政府委員 確かに、この労災保険の補償の仕組みというのが稼得能力の損失ということでございますから、従前にもらっておった近い賃金を基礎にしてやるということでございます。御指摘のそれは、恐らくやめた時点においてそれぞれ企業規模も違いましょうし、それから働いていた作業も違いましょうし、非常にまちまちで、その結果があらわれているのじゃないかと思います。 しかし、私どもといたしましては保険給付ができるだけ現実に合うようにしたいということを前々から念願して手直しをしてきておりますが、一つは、先ほど先生がおっしゃいましたように、昨年の改正で、病気されて非常に不利になったときには、私傷病の期間と賃金を除いて、できるだけ有利な計算をするようにということが一つでございます。それから第二点は、余りにも低い人につきましては最低基礎日額というものを決めまして底支えをする。しかもこれは常々社会実態に合うように手直しをしていく。それから三つ目には、やはりスライドを適用させていくということが非常にポイントだと思います。これの考え方は、先ほどおっしゃいました類似の労働者の賃金がどういうふうに動いてきているかということで、これも昨年の改正で刻みを非常に小さくいたしまして、二〇から一〇%というふうに刻みを落としてまいりましたし、たしか五十二年度は三〇%ぐらい引き上げになるというふうに聞いておりますが、それはまさに類似の労働者と見合って保険給付が見劣りしないようにということでございます。なお、この問題については、平均賃金の決め方の問題でございますから非常に技術的な問題でございますが、なお十分研究してまいりたいと思います。
○村山(富)委員 これは私も具体的な事実を調査してみて、そしてまた必要があれば申し上げたいと思うのです。 そこで、いままでずいぶんいろいろな問題をいろいろな角度から質疑が行われたわけでありますが、このじん肺法に関連をして、最後に若干の確認をしておきたいと思う点について御質問をしたいと思うのです。 その一つは、委員会審議の冒頭に川俣委員より質問があった問題でありますが、現在、肺結核によって管理四とされているものは改正法によると必ずしも管理四とされないことから、法律または労働協約等により管理四のものに対して与えられている既得の利益が損なわれるのではないかという心配があるわけです。そこで、既得の利益が損なわれることはないのだ、絶対にそんなことはないというふうに、この点は現在療養している患者の皆さんや関係者が大変不安に思っておりますから、安心し、納得できるような御答弁をいただきたいと思います。
○桑原政府委員 現行法では、じん肺にかかっている者であって活動性の肺結核にかかっておるものを管理四として、療養を要するということにいたしております。改正案では、じん肺にかかっている者であって肺結核が合併しているものは、その管理区分のいかんにかかわらず療養を要するものとして、かつ、肺結核の範囲は、活動性はもちろん、不活動性であっても進行のおそれのあるものを含むものとすることを予定いたしております。したがって、現行法により労働者に対し既得権として与えられている療養を受ける権利は、改正案ではさらにその範囲を広げて認めることといたしているところでございます。 第二番目に、労使交渉の結果労働協約等によって、管理区分を指標として健康管理あるいは補償に関する自主的な制度を設けている例が多いと考えられますけれども、これらの制度に法改正による管理区分の変更をいかに適用させるかについては、関係労使の話し合いが行われることであろうと思います。政府といたしましては、自主的な労使交渉への介入は極力回避すべきであるという態度を堅持しておりますが、法改正による管理区分の変更に伴う前記制度に係る労使交渉への介入もやはり避けるべきではないかと考えております。しかしながら、法改正の趣旨が粉じん作業従事労働者の健康管理をより充実しようとするものでありまして、かつ、肺結核についても、療養を必要とするものにつきましては業務上の疾病として療養するものとする扱いは従前と同様でありますから、かかる趣旨を体して労使の自主的な話し合いが行われ、労働者の健康管理等が充実されることを強く望むものでありまして、労働省といたしましてもその方向で指導等の措置を講じてまいる考えでございます。
○村山(富)委員 なお具体的にお尋ねしたいと思うのですが、現に肺結核が合併して療養しているものの治療認定について、従前どおりの取り扱いであり、じん肺法の改正がなされても療養を打ち切られるようなことは絶対にないというふうに確認していいですか。
○桑原政府委員 御意見のとおり対処してまいります。
○村山(富)委員 改正法案によると、健康管理区分の決定要素には、著しい機能低下がある場合のほかは肺機能を考慮しないことになっているが、障害認定に当たって従来より不利になると思われるような点はございませんか。
○桑原政府委員 心肺機能検査の方法については現在専門家会議で再検討が行われており、その結論を待って現行の取り扱いを改正する必要があるかどうかを検討いたすこととしておりますが、その場合にも、障害認定に当たって、労働者にとって従来のものよりも不利になるようなことがないように、十分配慮をいたしてまいりたいと考えます。
○村山(富)委員 これは先ほど金子委員の質問にもあったし、佐野先生からの説明もあったわけでありますが、改正法案ではじん肺を「肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病」こういうふうに定義しているわけですね。合併症と区別しているわけです。これは肺の線維増殖性変化に付随して、または並行して生ずる気道の炎症性変化または気腫性変化の発展した結果であって、不可逆性の肺気腫あるいは肺性心などをじん肺として扱うことはもとよりでありますけれども、今後医学的な検討を加えた結果さらに広げていくというようなことも当然考えられると思うのですが、そういう考え方であるということでよろしゅうございますか。
○桑原政府委員 前段につきましては御意見のとおりでございます。後段につきましては今後の研究にまちたいと思います。
○村山(富)委員 今度の改正案によりますと、都道府県労働基準局長は事業者に対してエックス線写真等の提出を命令できることになっていますね。往々にして、健診はするけれども、労働基準局の方にその健診の結果有所見者と思われるものの写真を提供しない、したがって管理区分が決められないまま隠されてしまう、こういう事例もあっておるわけです。したがって、適正なじん肺患者管理区分の決定に必要と考えられる場合には、この制度を十分に活用して万遺憾なきを期すべきだと思いますが、その点はいかがですか。
○桑原政府委員 御意見のとおり対処してまいりたいと考えております。
○村山(富)委員 先ほどエックス線写真の標準写真について若干御質問申し上げましたが、これは当然見直しをされて新しくつくられると思うのですけれども、専門家による委員会で検討を加え、じん肺審議会にも諮った上で十分な検討をする必要があると思いますし、その適正な運用について努めるべきだと思いますが、その点はどうですか。
○桑原政府委員 御意見のとおり対処してまいる考えでございます。
○村山(富)委員 これは、じん肺の標準写真ができても、このじん肺の標準写真を読影するお医者さん、診査医がじん肺等に対する知識については十分知っておく必要があると思うのです。これはただ写真だけでなくて、そういう点にも欠ける点があるのじゃないかと思うのですが、粉じん職場の産業医なんかについては特別の講習を積極的に行って、そして万遺憾のないように産業医を確保していくといいますか、そういう意味の積極的な指導と努力をする必要があると思うのですが、その点はどうですか。
○桑原政府委員 現在医師会で行っております産業医講習の中に粉じん作業場の産業医に対する講習を拡大する等、適切な措置を講じてまいる考えでございます。
○村山(富)委員 安衛法でいきますと、二千人以上の職場には産業医を置かなければならぬということになっていますけれども、現状は、いろいろな要因もあるのでしょうけれども、必ずしもそうはなっておらない。したがって、産業医に対する報酬とそれから確保については今後積極的な努力をしていただく、そして万遺憾のないような措置を講じてもらうということを強く要望しておきたいと思います。 次に、安衛法について若干お尋ねをしたいと思うのですが、安衛法の八十八条に基づきまして計画の届け出をすることになっていますが、その計画の届け出をする際に、安全衛生委員会または関係労働者の意見を十分聞いてやる必要があると思うのです。ところが、現在の法体系から申しますと必ずしも必要としないことになっているわけですね。この点は十分配慮する必要があるのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
○桑原政府委員 こういった建設物の設置等の計画の届け出の問題等につきましては、現状、いろいろ問題があるようでございます。したがって、まずこういった運営の実態等を調査して、その結果を見まして、こういった問題につきましてどういうふうに機能できるか、十分検討してまいりたいと思います。
○村山(富)委員 次に、安全衛生委員会の設置基準ですけれども、これは現行では百名以上の事業所となっていますね。ILOのモデル構造なんかを見ますと二十五人になっておるわけです。せめて安全衛生委員会の設置基準を五十人以上の職場というふうにすべきではないかと思うのですが、その点はどうでしょうか。
○桑原政府委員 先ほどもお答えいたしましたが、百人から五十人に引き下げる方向で検討をいたしてまいりたい。なお、この五十人のとらえ方につきましても、企業によっては集めれば五十人になるというような問題もあるようでございますので、そういった点につきましてももう少し検討いたしてまいりたい。そして、この施行の段階までに一定の方向を出してみたいと思います。
○村山(富)委員 改正案を見ますと、五十七条の二の5、五十七条の三の5及び百八条の二の4等にそれぞれ「秘密を漏らしてはならない。」こういう規定があるわけですね。知り得た秘密を漏らしてはならない、こういう規定がございますね。この安全性に関しては本来秘密があってはならぬと私は思うのです。しかし、特に医師法によるものや、あるいはパテントや、あるいはノーハウ、あるいは個人のプライバシーにおける問題とか、こういった問題は別にして、本当の意味で労働者の安全性を確保する、こういうことから考えて必要な資料はむしろ積極的に最大限に公表すべきではないかというように思うのですが、その点はどうでしょうか。
○桑原政府委員 化学物質に関する有害性調査及び疫学的調査につきましては、企業のノーハウや個人の秘密に触れる部分が少なくなく、このため、これらの調査に関与することになる学識経験者等に秘密保持の義務を課しておるところでございます。しかしながら、有害性の調査結果についてはできる限り明らかにして、事業者、労働者が健康障害防止措置を講ずるために資する必要があると考えております。しかし、たとえば人体に対する確定的な結果ではない、いわば途中経過とも言うべき調査結果を公表することは混乱を招くおそれがあります。また、調査結果を公表する際にあわせて予防措置を講じなければ無用の心配を与えるだけに終わる危険もあることなどを考慮いたしまして、調査結果の公表には慎重でなければならないと考えております。そこで、調査結果から見て労働災害防止のため必要があると認められる場合には、労働大臣は、調査結果を届け出た事業者に対して必要の措置を勧告するとともに、その他の事業者に対してはその化学物質を取り扱う労働者の健康障害を防止するための指針を公表して、労働者の健康障害の発生を未然に防止することといたしております。しかして、有害性について秘密があってはならないという原則は御指摘のとおりでございますので、できる限り明らかにし、健康障害の防止に資していきたいと考えております。
○村山(富)委員 次に、安衛法についていろいろ質疑がございましたが、特に確認をしておきたいという点について若干の御質問を申し上げたいと思うのです。 労働者の健康障害を生ずるおそれのあるような作業について、これはいままで質疑の中でもございましたが、健康障害の防止のために作業環境を改善するとか、本質的な改善を図るための規制を加えていくということは当然だと思うのです。しかし、それでもなおかつやはり危険があるという場合には作業時間の制限なんかをする必要があるのではないか。そういう作業時間の制限を不可欠とするような作業については、これは当然作業時間の制限を行うべきではないかと思うのですね。これは単なる行政指導だけではなくて、もっと強いものにして、実効が上がるようなものにしていく必要があるのではないかというように思うのですが、その点はどうでしょうか。
○桑原政府委員 御意見のとおり対処してまいる考えでございます。
○村山(富)委員 さらに、これは疫学調査なんかもすることになっていますが、疫学調査の具体的な実施に当たっては、その調査の正確を期するためにも関係労働者の意見が十分反映されるような配慮が必要ではないかというように思いますが、その点はどうでしょうか。
○桑原政府委員 疫学的調査の実施に当たりましては、中央労働基準審議会の御意見、関係事業所の労使の御意見を聴取します等、調査が円滑に、かつ正確に行われるように十分配慮してまいる考えでございます。
○村山(富)委員 いま確認する事項について何点か御質問したわけでありますが、労働大臣、いま局長から答弁があったとおりに確認をしてよろしゅうございますか。
○石田国務大臣 結構でございます。
○村山(富)委員 そこで最後に、労働大臣に決意のほどをお尋ねしておきたいと思うのですが、それは、中央労働基準審議会の中の労働災害防止部会から提出された報告書もございますし、またじん肺審議会の意見書などにもいろいろ盛られている内容がございます。こうした審議会や部会の趣旨を十分に尊重して今後対処することはもちろんだと思いますが、この委員会でもいろいろな問題点についての質疑が行われました。これは要するに、やはり冒頭に申し上げましたように、じん肺というのは一遍かかったらもう治らないのだ。命をなくすのですよ。しかも、職場転換をすればいい、こういう話もありますけれども、しかし、いままでずっと働いてきて、そしてなれた職場から新しい職場にかわっていくということは、労働者にとってはもう耐えがたいことかもしれぬと思うのですね。ですから、やはり一番大事なことは、発じん源を防いでいく、その規制が十分行われて、健康管理が十分行われていく、そしてできるだけじん肺患者がなくなっていくということに重点を置いてこれから考えていく必要があるのではないか。それが一番大事だと私は思うのです。不幸にしてじん肺にかかった者については、少しでも長生きができるように、少しでも働けるように、そういう措置を講じていく。それでどうしても療養を要する者については、その者に対して十分の報いをしていく、こういう一貫した作業が徹底せられることが一番大事ではないかと思うのであります。そういう意味で、このじん肺法の改正案やあるいは安衛法の改正案を審議するに当たって、労働大臣はどういう決意でこれから労働災害や職業病に臨む決意であるか、その決意を最後に承りたいと思います。
○石田国務大臣 労働災害や職業病の防止について、基準審議会の労働災害防止部会、それからじん肺審議会の御意見を承っております。これを尊重すると同時に、先ほどもお答えを申しましたが、これはもう何と申しましても治らない病気だ、治らない病気は一番大切なことは予防だ。それから後はこれはやむを得ない処置、悲しむべき処置なので、それは万全を期することは無論でありますが、一番大切なことは予防であるという考えをもって極力努力をいたしたいと思います。
○村山(富)委員 先ほど来御質問も意見もありましたように、単に言葉だけでなくて、これはもう本当に命に関する問題ですから、ひとつ徹底した施策を期待して、私の質問を終わります。
○橋本委員長 次に、田口一男君。
○田口委員 終わりの時間が迫っておりますから取り急いで……。 実は先般、十三日に秩父における昭電のクロム、それから二月二十五日に和歌山のベンジジン、こういった問題について調査に参ったのですが、そこで被災者の方はもちろんのこと、県、市町村、それから県の労働基準局、こういった方々からいろいろと事情をお聞きいたしましたが、そこで痛感をいたしますことは、もう少し行政の努力があればこういった悲惨な状態が改善、解決できるのではないか、それから制度の不備、矛盾というものが大変ある、そういった点で七点ほどお伺いをいたしたいのです。 第一は、この和歌山におけるベンジジンの問題について言いますと、戦前戦後、その生産量からいって日本でもトップの地位にある。しかも、ベンジジン生産をやっておった会社はいわゆる中小企業が多い。そしてその後倒産をした企業も相当あるというふうなことから、このベンジジン製造に従事をした労働者の数というものはなかなかつかみ切れないわけですね。したがって、大変むずかしい問題だと思うのですが、労働省の側でいわゆる悉皆調査ということをやる必要があるのではないのか、このように感じたのですが、そういう点についてまずお伺いをいたします。
○桑原政府委員 和歌山地区におきますベンジジン等の製造、取り扱いは昭和十年ころから始められまして、二十九年、三十年ころが最盛期、昭和四十八年には製造、取り扱いが中止されたというふうに聞いております。これらの関係事業場は中小企業が非常に多うございまして、記録の作成とか保存状態が非常に悪くて、また、すでにもう閉鎖したような事業場も少くございません。したがって、ベンジジン等を製造し取り扱った者の把握が非常に困難でございますが、昭和四十七年十月に安衛法の施行と同時に健康管理手帳を交付したわけでございますが、こういったような交付の際に、いろいろ新聞その他でPRしながら交付申請を求めてきたようなわけであります。そういったことも一つの把握の手段としてやってきておりますが、先生御指摘のように必ずしも十分でないということは事実でございます。とりあえず私ども当面把握しておりますのは、在職者、退職者を含めまして千七十八名という方の氏名を把握いたしておりますけれども、今後御指摘のような点につきましては、さらに把握の努力をしてまいりたい、こういうふうに考えます。
○田口委員 今後も大いに努力をお願いしたいと思います。 そういった関連で調査に行った際に言われたのですが、いま規則で定められております健康診断は年二回だというんですね。しかしこの年二回では、さっきのじん肺の話じゃないのですが、やはり発がん性の物質を扱っておったのですから、早期発見、早期治療というたてまえからいっても少ないのじゃないか。労働組合のある企業では三月に一回、二月に一回とやっておるところもあるようですが、この年二回の健康診断の回数について改善をする必要があると思いますが、どうですか。
○桑原政府委員 健康診断の回数につきましては、私どもは、専門家の御意見を聞きながら決めているようなわけでございます。特に年二回の健診でいろいろな問題を発見されて、一定の健康管理が必要と認められる方に対しましては、健康診断期間を短くしろというようなことの措置も通達によって指導いたしております。 この健康診断の回数につきましては、どういう検査項目をやるかとか、どういった回数がいいかということは、医学的に相当突っ込んで検討しなければならぬ問題がございますので、今後専門家の御意見を聞きながらこの面については検討いたしてまいりたい、こういうふうに考えます。
○田口委員 御存じのように、ベンジジンの製造に従事しておる労働者は、尿路疾患というのでしょうか膀胱がん、これが多いのですが、私どもが現地へ行って被災者に会ってお話を聞きますと、膀胱がんだけではなくて糖尿病であるとか言語障害であるとか歩行困難、そういったことを訴える被災者の方が多く見えたわけでございます。 さらにまた、この十三日に秩父に参りましたが、クロムの関係でクロム酸塩を扱っておった者にいわゆる肝臓がんといいますか、腎臓がん、こういったものも大いに関係があると言っておるのですが、ベンジジンに対しましての糖尿病、歩行障害、こういったものとの因果関係、さらにいま言った肝臓がん、腎臓障害、こういったものとの因果関係ということは明らかになっておるのでしょうか。
○桑原政府委員 御指摘のベンジジン製造業に従事しておる方たちにおける言語障害とか歩行困難とか糖尿病というような問題の提起は、私ども聞いておりますが、文献等によりますと、そこに、ベンジジンと言語障害や神経障害あるいは糖尿病との関係は、必ずしもまだ因果関係があるというふうな解明を見ておりません。しかし、労働省といたしましては、こういった問題の解明を急ぎたいと思っておりますので、したがって、医学専門家あるいは健康診断実施臨床専門家、こういった方々の御検討を今後お願いいたしたい、こういうふうに考えております。
○田口委員 次に、先ほどもじん肺の関係で同僚議員の御質問があったのですが、秩父で見る限り、クロム鉱石を取り扱う者にじん肺患者が多発をしておる。まあ数字は申し上げませんが、大ざっぱに言いますと、約千百人のうちで八百十何人が有所見者である、こういった話を聞いてきたのですが、その実態なりこういった予防対策についてどのように考えてみえるのか、お伺いいたします。
○桑原政府委員 クロム鉱石を取り扱う特定の作業については、じん肺法によって定期的なじん肺健診を実施しなければならぬという義務づけがございますが、そういったものを中心にいたしまして、私どもは、監督の対象事業としては最重点に挙げてやっておるようなわけでございますが、確かに、御指摘のような事実が散見されるわけでございます。私どもは、こういったクロム鉱石のいろいろなじん肺の発生に対してどういう対策をやるかということにつきまして、特に予防面からは、局所排気装置等の作業環境の改善という問題について関係者の注意を促すと同時に、いろいろなまたそういった助成についての指導もいたしておるようなわけでございます。 また基本的には、午前中申し上げましたけれども、粉じんによるいろいろな災害防止については、安衛規則で決めておりますけれども、粉じんの種類も非常に多うございまして、もう少しきめ細かく対策を講じなければならぬということで、粉じん障害防止のための規則をできるだけ早く制定をして、粉じん、環境対策の強化を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
○田口委員 次に、健康管理手帳の問題なんですが、この手帳に関連して二つお伺いをしたいのですけれども、クロムの場合には、たしか四年従事をしなければ云々という定めがあるのですが、いろいろ話を聞いてみると、労働条件が劣悪である、そういったことも含めて、四年では長いのじゃないかというような意見があるわけですね。そこで、この四年間という問題をもっと短縮をすべきではないかという気がいたしますし、またベンジジンの問題でいきますと、三カ月云々ということもあるのですが、まあ人によって違うのでしょうが、一週間、十日暴露されても関係がある。こういう点で、健康管理手帳の交付条件についての期間を短縮する要があると思うのですが、その点が第一。 それから第二は、これは秩父で、東京から参りまして、日本も広いなと思ったのですが、この管理手帳を持っておる労働者が決められた日に病院に行く。ところが秩父から、たしか浦和かあの辺にまで行くのだと言っていますが、結局、往復一日かかってしまうわけですね。そういう点でもっと近くに、秩父とかその近くに何か市があるそうですが、そういったところに労災病院なり、また検査の設備を整えるような公立の病院といったようなものが考えられないのか、そういう点について行政の側の努力によっては健康管理手帳所持者も大変助かるのじゃないか、こういう気が強くしたのですが、その対策はどうでしょう。
○桑原政府委員 健康管理手帳の交付要件で、クロムにつきましては、その業務に四年以上というのがいま制度でございますが、私どもは、わが国におけるクロム従事者で肺がんを発生した者の暴露期間というものを調べてみましたところが、最低六年、こういうふうになっております。外国文献においても暴露四年で発生したという報告がありましたので、四年だったら大丈夫だろうということで、従来五年であったのを四年と短縮した経緯がございます。 それから、ベンジジンについても御指摘ございましたが、いずれにしても、私どもは、こういった問題について、やはり今後の専門家の研究を待ちながら、必要に応じて短縮すべきものは短縮していきたい、こういうことを考えております。今後とも、この問題については積極的に取り組んでまいりたいと思います。 それから、引き続き具体的な、健診機関が遠隔地でなかなかないという問題がございますが、こういった健康管理手帳をもらったような方たちの病気というのは、なかなかむずかしい病気でございますから、どうしても専門知識を有するお医者さんがいるかどうかという問題、それから、そういった精密な検診機器を備えておる病院があるかどうかということで、なかなか現状ではむずかしい問題がございます。私どもといたしまして、一定の要件を備えた病院に委託をしていろいろな健診をお願いいたしておりますけれども、先生御指摘のように、なかなか病院も限られてくるようなのが実態でございます。したがって私どもは、関係医療機関あるいは地方公共団体と十分連携を持ちながら、そういった問題の解決に当たってまいりたいと思いますし、御指摘のいまの秩父工場の問題につきましても、所轄の監督署と地元の公的病院といま話し合いをさせておりまして、できるだけそういった労働者が不便がないように、その病院の方にいろいろと御相談をしながら、地元の病院で受けられるようにいま折衝中でございます。できるだけそれが可能になるように努力をいたしたいと思います。
○田口委員 以上幾つかお尋ねしたのですが、労働省側のほんの少しの努力によってそういった方々が救われる、こういう問題があるわけですから、今後さらに努力をしていただきたいと思います。 ところで私は、このベンジジンの問題に限って、大変悲惨な状態であると思い、何とか救済の措置がないかと思うのでお尋ねをしたいのですが、この和歌山のベンジジンは、さっきも申し上げましたように昭和十年代から仕事をやっておる。そうなってまいりますと、発がんといいますか、そういった膀胱がんになってはっきりするのは二十年、二十五年かかる。ところが労働基準法、労災法施行前の昭和二十二年九月一日以前にそういった業種に従事をし、二十二年九月一日以前に退職をする、そしていま膀胱がんで膀胱なんかを取ってしまう、こういった方が案外多いわけですね、数字は申し上げませんけれども。いわゆる法施行前、こういった方々に対して、いま労災保険制度の中では、特別援護措置として若干の療養雑費といったものが出されておることは聞いておるのですが、この金額を比較をいたしますと、仮に平均賃金十二万円とした場合に、八割ですから九万六千円ですね。ところが入院をした場合には、入院雑費二万六千円ですか、こういった金額の差がある。 こういう点で、まず一点お伺いいたしたいのは、法施行前の問題について全く取りつく島がないのか、これだけを、クロムの問題も出てくると思うのですが、ただ単に法施行後のものしか対象にしないというのではなくして、いま言った特別援護措置でやっていただいてはおると思うのですが、なお矛盾がある、格差がある、だから、一つとしては、法施行前のものに対する救済措置、これが何とか考えられないか。もしそれがだめならば、いま言った特別援護措置として出されておる金額を現行の措置に近づけるような、これによって法施行前後の矛盾、格差というものを解消できるのじゃないか、このように思うのですが、そういった点について、施行前に対する考え方、それから特別援護措置としての水準をもっと上げていく、こういう問題についてのお考えを承りたいと思います。
○桑原政府委員 昭和二十二年九月一日に労災保険法が施行されたわけでございますが、そのときに、工場、鉱山における労働者の災害補償に関しては同法は引き継いでいないのでございます。したがって、同法の施行前のみの時点におけるベンジジン等の取り扱い作業者について、現実に補償すべき状態が昭和二十二年九月一日以後に発生した場合でも、旧健康保険法の規定によって保護されるべきものとされておりまして、労災保険法の保険給付の規定を適用することができないという法制度によっておるようなわけでございます。しかしながら、労災保険法の施行前に有害業務に従事して施行後に発病するような遅発性疾病にかかって現に療養している方につきましては、労災保険の労働福祉事業の一環として治療費及び療養雑費の支給を内容とする特別援護措置を講じているところでございます。そしてこの特別措置につきましては、従来からその引き上げに努めてきておりますし、今後とも他の関連制度の引き上げ状況も考慮しながらこれが改善に努力をしてまいる考えでございます。
○田口委員 それに関連して、私は、ちょっと見て何とかならぬかと思ったのですが、この膀胱がんによって膀胱を摘出し、人工膀胱というのですか、つけておる人が、実際見せていただいたのですが、その方のお話を聞くと、三月に一回は人工膀胱を取りかえなければならぬというのですね。そうすると、そこに行くまでの交通費も要るでしょうし、それから現状では、その人工膀胱を取りかえるのに自費でやらなければならぬ。冬のうちは三月に一回ぐらいでもいいのですが、夏場になると汗をかいて取りかえが頻繁になる、何とかならぬかという話が切実に訴えられておるのですが、少なくともこの標準的な取りかえというものについては公費で見てもいいのじゃないかという気がするのですが、どんなものでしょう。
○桑原政府委員 人工膀胱につきましては、いま先生の御指摘のような問題もあるようでございますので、ぜひそういった費用については支給するような方向でこれを扱っていきたい、こういうふうに考えておりまして、現在その手続を進めておるようなわけでございます。できれば四月一日からやってみたい、こういうふうに考えております。
○田口委員 では、ぜひともそうしていただきたいとお願いをしておきます。 それから、さっきの法施行前の問題に関連をして、もう一つ矛盾に満ちた問題があるのですが、何せがんになるまでが長い、しかも、御存じだと思うのですが、当時の状況からいって、ベンジジンを扱ったら膀胱がんになるなんという因果関係も知らされていない。たまたまそういったことを、早い人は昭和三十年代に知ったというのですが、最近になって知った人が多いんですね。時遅し、もう亡くなっておる。そこで、この葬祭料の支給なんかの労災申請をいたしますと、もう二年たったから、五年たったからといって、いわゆる時効で門前払いを食わされておるわけです。この時効という問題は、まあそちらの側にも言い分があるでしょうけれども、いろいろと言いかければ、労働者には知らされていなかった、また、サボっておった、こういう問題もあって、この時効云々ということについては、この問題の特殊性から言って、時効だからだめですよというのじゃなくて、何とか考える余地があるのじゃないか、こう思うのですが、どうでしょうか。
○桑原政府委員 労災保険法におきます保険給付の請求権につきましては、療養、休業、葬祭の各給付は二年、障害、遺族の各給付は五年を経過したときは時効によって消滅する、こういうふうに法律で規定されているわけでございます。 消滅時効の進行の開始時点につきましては、一般に権利者が権利の存在を知っていたか否かに関係なく、法律上その権利の行使ができるときから時効は進行するというのが一般のたてまえになっております。 労災保険の取り扱いといたしましては、クロムによる肺がんについて、昭和四十九年三月に北海道栗山地区において疫学調査の結果、その因果関係が医学的に判明いたしましたので、その時点で消滅時効の開始時点とするというような取り扱いを行った経緯がございますが、この取り扱いはクロムと肺がんの因果関係について、それまで医学的にも判明しなかったので、労働者の救済の見地から法解釈上、許されるぎりぎりの線としてあえて踏み切った経緯がございます。しかしながら、ベンジジンの問題につきましては、すでに昭和二十六年以降昭和五十一年三月までに全国で二百五件、うち和歌山では四十六件の労災補償が行われている実情でございますので、現時点においては、クロムの場合と同様に考えることはなかなかできないというふうに考えます。しかし、御指摘のようないろいろな問題があるようでございますから、その背景にございますいろいろな問題点をよく考究することといたしたいと考えております。
○田口委員 だめを押しておきたいのですが、大臣がおったら大臣の御答弁をいただきたかったのですが、いま局長がおっしゃったように、理屈から言えばといいますか、時効はかかった、では、クロムの場合には、ごく最近、新聞でああいうふうに騒がれたからそこのところから出発する、こういった点で、ではベンジジンはどうだと言えば、やはりそういう意味も出てくると思うのです。 そういった背景について御理解をいただいておるという御答弁ですから、できればいま前向きに、そういった背景というものを十分考慮して、時効の問題についても前向きでひとつ検討してもらう、これをひとつだめを押しておきたいのですが、どうでしょう。
○桑原政府委員 先ほど申し上げましたように、時効の問題についてはしゃくし定規にやっておるわけではございませんで、いま申し上げましたように、クロムの問題についても、その病気の特殊性に注目してああいった考え方を立てたわけでございます。 ベンジジンについては、ベンジジンのいろいろな問題があると思いますから、そういう問題も十分頭に置きながら、この問題は処理をしていきたいと考えております。
○田口委員 では、そのことにひとつ期待をかけておきます。 最後に、これは人事の問題に絡むのですが、こういった和歌山におけるベンジジンが去年、おととしから……
○橋本委員長 田口さん、ちょっと待ってください。 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○橋本委員長 速記を戻して。
○田口委員 では、大臣が見えましたから……。 いままで和歌山のベンジジン、秩父のクロムの問題を中心に質問をしておったのですが、一番問題になるのは、ああいった長い間かかってがんの症候が出てくるという状況ですので、法施行前、それから、わかってから労災の申請をしても、すでに法の定めによって時効になっておる、こういう問題について、ある程度前向きの検討をいただいたのですが、大臣もその点、十分御理解を願っておきたいと思います。 最後に、こういったベンジジン問題で、いま和歌山が騒いでおるのですが、事、人事ですので、ちょっとむずかしいと思うのですが、労働衛生専門官というのが官制であるわけですね。それが今度転勤をして、後に補充がしばらくつきがたいという状況らしいのです。これは人事の問題ですから相当困難な面もあると思うのですが、最前どなたかからあったように、要員の確保という面からも、特に和歌山のこういった問題を考えれば考えるほど、しばらく欠員の状態で置いておくということは、せっかく行政措置によっていろいろな改善を図っておるということが、全部熱意がないと見られても仕方がないと思う。 ですから、これは激励の意味も含めて申し上げるのですが、ひとつ要員の確保、そういう点について特段の努力を払っていただきたい。同時に、こういった問題の追跡調査なんかで労働者、それから山東化学という倒産をした会社なんですが、そこのべンジジンの被災者が人づてに調査をしているわけです。こういう状態を思いますと、法制上いろいろな無理もあると思うのですが、労働者の意見というものを、それぞれの審議会なり何なりに反映をさせる措置をとるべきではないのか、こう思いますので、そういった点についての御見解と、繰り返しますが、法施行前、時効の問題などについて、大臣にしかと前進をするということについてお答えを賜りたいと思います。
○石田国務大臣 大変おくれまして……。 まず第一に、要員の確保の問題、特に労働衛生専門官の問題、この問題は早急に補充しなければなりません。一般的に先ほどお答え申しましたように、基準局の監督官、職業安定所の所要職員の業務量が膨大になっておりますので、できる限り増員に努めてはいるのでありますが、一般的なチープガバメントという、そういう要請との間で難航はいたしております。私どもの方は、かつて失業保険と労災保険と別々に徴収しておりましたのを一本化いたしまして、そのことを通じて事務の簡素化を行ってきておりますし、できる限り機械の導入とか、あるいはまた事務の簡素化によって処理はしたいと思いますが、そういうことをいたしましても、特に監督官は不足をしておりますので、この増員に極力努力をいたしたいと思います。 それから、法施行前の問題あるいは時効の問題、この法のたてまえからいって困難なことはよく御承知いただけると思いますが、しかし、その困難は困難といたしまして特別措置の検討をいたしたいと思っておる次第であります。
○田口委員 終わります。
○橋本委員長 この際、二時十五分まで休憩いたします。 午後一時四十三分休憩 ————◇————— 午後二時十五分開議
○橋本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。草川昭三君。
○草川委員 草川でございます。 じん肺法は、制定後十七年を経過しておるわけでございますけれども、法律の施行後もじん肺の患者が非常に増大をしておるというお話は、午前中参考人の方からも御発言があったわけでございます。 そこで私は、粉じん作業に従事をする労働者の数がどのような増加傾向にあるのか、特にまた新しい職種としてどういうような職種がふえておるのか、顕著な例がございましたら、それをまずお伺いしたいと思います。
○桑原政府委員 粉じん作業に従事しておる労働者の数は六十万でございます。それで、最も多く働いている業種といたしましては、建設業とかあるいは窯業とか土石採取業とか、そういった比較的建設あるいは製造的な業種に非常に多くなっております。特に具体的に産業別には持っておりませんが、そういうような状況でございます。
○草川委員 最近の数字で、約十年ほど前に比べてこの六十万人というのは約十四万人ほどふえておるというのを私、少し調べたのでございますが、大体十年前に比べて十四、五万人の方がふえておるというのは間違いないわけでございますか。
○桑原政府委員 昭和五十年、正確に申しますと五十九万二千八百人程度でございますが、十年前の昭和四十年は四十五万三千八百人でございますから、約十四万人程度ふえていると思います。
○草川委員 やはり対象の労働者の数はふえておる、こういうことでございますね。 第二番目にお伺いするわけでございますが、療養を要するいわゆる管理四の決定を受けた患者の数の推移は、午前中佐野先生のお話だと、昭和五十年で千五百五十七人になっておる、四十五年の八百人から九百人に比べると、かなりの増加傾向であるということを言われたわけでございますけれども、その中で非常に特徴的な例で随時申請、定期検査で発見するのではなくて——随時申請の数というのは、たとえば昭和五十年の場合何人ぐらいであるわけでございますか。
○桑原政府委員 昭和五十年で千二百三十九人の方が管理四に決定されております。
○草川委員 そうしますと、昭和五十年千五百五十七人の中で千二百三十九人ということになりますと、約八〇%の方がいわゆる随時申請ということになるわけですが、実際上この随時申請というのは、私たまたま瀬戸というところでいろいろと調べてきたわけでございますけれども、離職の場合に申請する人が多いわけであります。その定期健診以外に離職時に申請をして管理四に認定をされるわけでございますけれども、これは一体どういうことを意味しておるのか、ここに非常に重要な点があるのであります。 実は最近、約十四、五万の方がふえておるのでありますけれども、ふえておる対象というのは、先ほど建設業だとか窯業関係と言われましたが、これは何といっても下請関係、中小企業に多いわけでございまして、就労中に申請をして発見をされますと、職を奪われるというおそれが非常に大きいわけであります。ですから、離職のときに申請をしてそれが管理四になる、こういう実情というものがあるのではないか、こう思うわけでありますが、その点について局長の御意見を承りたいと思います。
○桑原政府委員 御指摘のように、確かに、中小企業を離職して相当たってから随時申請される方が非常に多うございます。 〔委員長退席、斉藤(滋)委員長代理着席〕 したがって、中小企業一般に健康診断を十分やってないという一つの理由がございますし、特に離職時に自分がどういうふうになっているかということも、労働者として自分の健康状態を把握するという機会もなかなかないというかっこうもござ いますし、また別の面で、配置転換その他でいろいろ職場を変わるということについて労働者としても心配だという面もあると思います。そういったことで、いろいろな事情が重なって、特に中小零細企業を中心にして離職後相当たってから、粉じん暴露もある程度時間がたってからその結果が出てまいりますので、そういったことで、予防対策は進んでおりますけれども、随時申請が相当数多くいまも引き続いて出てきている、こういうように考えます。
○草川委員 ですから、その点がこれからの質問の中心になるわけでございますが、中小企業、零細企業で働く労働者の現状がそうだということを申し上げたわけでございますが、たとえば先ほど申し上げました昭和五十年の場合でもいいのでございますが、約千六百近い管理四という要素の入院というのですか、治療をしなければならない方々の中で、分類がむずかしいと思うのですけれども、大企業とか中小零細、そのような分類というものがあるのかないのか、お聞きしたいと思うわけなんです。
○桑原政府委員 管理四の規模別の数字はちょっと把握しておりません。ただし、有所見率というものが零細企業で非常に高いということは午前中申し上げました。そういった意味で、管理四も当然に有所見率と大体パラレルに出てまいりますから、中小企業に高いということは言えるのじゃないかと思います。
○草川委員 おっしゃるとおりだと思いますが、その資料は、たとえばけい肺病院、労災病院の入院患者の中だけでも調べようと思えば簡単に調べられると私は思うのです。私もたまたま、尾張旭市に労災病院があるものですから、そこの患者さんの方々とお話をしますと、どこの会社に勤めてみえたか、こう聞きますと、ほとんどが名前の知らない工場に勤めてみえる方々が多いわけでありますし、それだけに実は企業の中でけい肺に関する協定もないわけです。午前中も質問がございましたように、労働組合のないところも圧倒的に多いわけでございますので、そういう零細なところで働いておる方々の数値というものは、必ず統計資料で簡単に出ることでありますから、ぜひ早急につくっていただけるように私はお願いを申し上げておきたいと思います。 それから次に、これも午前中に佐野先生がおっしゃられてみえたのでありますけれども、予防対策ということが非常に欠けておるのではないだろうかという、われわれにとっても耳の痛いお話があったわけであります。不可逆性の疾患なるがゆえに、私どもは、もっともっと真剣にあらゆる意味での防じん対策に手を打たなければいけないわけでございますが、現実に作業工程等を見ておりますと、たとえば建設作業の中でも新しくトンネル工事がふえておりますし、あるいはまた新幹線のように屋外作業でもほこりの多い仕事というのはふえておるわけでございますから、その種のじん肺というのですか、これからふえるのではないか、私はこう思うのです。 そういう点で、どちらかといいますと、大企業の場合もそれぞれ職場の中で防じん対策がそれなりにやられておりますけれども、決定的には大企業もめんどうな仕事というのは下請化する傾向にあるわけであります。たとえばサンドブラストというのは、いま造船作業あるいは鋳物工場等においてサンドブラストを直接、本工というのですか、正規従業員がやっておる工場は少ないですね。サンドブラストというのは、圧倒的に下請になっておりまして、サンドブラストを直接それ専門に請け負う工場というのですか、企業もあるわけです。非常にわずかばかりの設備投資で済みますので、結論的にはその労働者の命を売ってサンドブラストをやっておるという例が圧倒的に多い。これは六年間程度の仕事でほとんどじん肺になっておるという例があるわけでございますから、特別に小企業に対する防じん対策ということを考えないと、基本的な解決にはならぬと思うのです。 あるいはまた、佐野先生も多少触れておられましたけれども、アルミ肺でわずか三年の作業をして死んだ。しかもその企業というのは、わずか十名の零細企業だという例が出ておるわけでありまして、非常に重要な問題になってくるわけでございますし、しかも建設業なんかのトンネル工事だとか新幹線等の新しい仕事を見ておりましても、大半が出かせぎ労働者になるわけでございまして、出かせぎ労働者がじん肺になったという例も、最近は具体的に非常に数多く出てきておるわけでございますが、出かせぎ労働者がこのような新しい職業病にかかる率というのは、これも統計では出ておりませんけれども、ふえておるわけでございますが、一体これからどういうように取り組まれるのか、大臣から一回御見解を賜りたいと思います。
○石田国務大臣 まず、就職する前に健診をいたします。それから建設業の巡回診断、これを二分の一補助で行っております。それ以外の中小企業の巡回診断に対してはやはり二分の一補助、それから健康管理事業に対しましては三分の一補助というものをやっております。
○草川委員 そこで、もう一つの立場から、防じんというのですか、予防の問題を論議してみたいと思うのですけれども、現実に職場の環境濃度測定というものがどのようにやられているかという問題なんです。これは参考人からのお話もありましたけれども、結局、ほこりの測定というものについては、どうしてもスポットで見なければいかぬ。いわゆる平均値になるわけでありまして、いま非常に問題になっておりますところの公害防止協定等では、いわゆる二十四時間の連続測定になっておりまして、そのような非常に精密な測定器があるわけです。ところが、いま言いましたように、私どもの対象とするじん肺予防というものについては、さまざまな職種があるわけでございますし、零細の職種もあるわけでございますので、測定が非常に不十分だと思うのです。 そこで一体、具体的にはだれがどのような立場で、どのような権限を持って、産業によって違うと思いますけれども、測定をしておるのか。たとえば陶磁器産業の例を一つ挙げてもいいと思うのですが、陶磁器の零細産業ではどういう監督官の数で、そしてどういう測定がやられているのかという点でひとりお伺いしたいと思うのです。
○山本(秀)政府委員 陶磁器でございますが、現場の粉じん環境測定、年二回やることになっております。これは、むずかしい粉じん成分の分析も必要といたしますし、それからデザインをしっかりした上でサンプリングをすべきだいうことで、作業環境測定法に基づきまして、作業環境測定士試験に合格した方がサンプリングをし、あるいは分析をするというたてまえでやっているわけでございまして、企業は、みずからそういう方を抱えてやってもよろしいし、みずからできない中小零細企業では、測定機関というものが測定法に基づきまして設立認可されておりますが、そこを御利用願うということになっております。監督官は、この測定をされた結果につきまして、果たして妥当であるかないかというエバリュエーションをするということになっているのでございます。
○草川委員 いまおっしゃられましたけれども、現実には測定法で資格をとった測定士なんていうのはなかなかいないんですよ。そして自分みずからで測定できるという場合は、大企業の場合でしょう。 〔斉藤(滋)委員長代理退席、委員長着席〕 ほとんど現実の地域においては測定士という方もお見えにならぬわけでございますし、それからまた、それを一々監督するところの監督官の数も、何回か論議になっているわけでございますけれども、人員不足で手が回らぬというのが実情だと思うのです。 私は、これは余り監視、監督を強化しろという言い方になりますと、零細企業なんというのは、ほとんど製造不可能な現状をたくさん知っておるがゆえに、どのようにこの測定というものを、これから強化をしていったらいいかわからぬのでありますけれども、最終的には私は、ある地域なら地域、非常に零細企業の多い地域でじん肺がたくさん発生しておる地域があるならば、やはりそれは国の費用で測定をして、そして指導していきませんと、企業者に対して、こういうふうになっておるからこのようにしろと言っても、不可能だと思うのです。このような点について局長の御見解をひとつ承りたいと思います。
○桑原政府委員 確かに、監督官の数も限られておりますし、たくさんの粉じん職場がございますから、その辺はいろいろと工夫していかなければなりませんし、いま御指摘のように、やはり事業主がある程度集まってそういった問題に対して対応していくということが非常に重要だと思いますし、また、加えてそういう災防対策とあわせて健康診断なんかも、たとえば陶磁器なら陶磁器のものがまとまって、そこに参加している事業所に働いている労働者の健康診断をする、それに対して国も援助する、こういったような一つの行政的な手法というものを、十分研究しながらこの問題についてはやっていきませんと、ただ監督官の監督指導だけではできないというふうに思いますし、そういった面にさらに努力をしてまいりたいと思います。
○草川委員 その次に移りますけれども、いわゆる定期健康診断の問題になりますけれども、常時粉じん作業に従事する労働者は三年に一回、その他疑いのあるものは定期外にということになっておりますが、実際上、常時粉じん作業に従事する労働者、対象者の中で、現実に定期健康診断を受けておるのは何%ぐらいですか。
○桑原政府委員 統計的には母数がなかなかつかみにくいものでございますのでむずかしゅうございますが、私どもの監督署その他の情報から見て、半分程度やっておればいいのではないかという感じは持っております。
○草川委員 私も、具体的な数字というのは、なかなかつかみ得なかったわけでございますが、現地の健診センターの先生方に聞きますと、約三分の一だと言います。それは企業側がサボるという意味でもないわけでございますし、あるいはまた、中小企業の多い地帯へ行きますと、健診センターのバスが行った日にたまたま休んでいるとかいう例がありますからあれだと思いますけれども、それにしても、明らかに患者というのですか、被害者というのは増大をしておるわけでありますから、三分の一なり、あるいはいま局長がおっしゃられたように、想像でございますけれども、半数の対象しか健診をしてないという事実は、非常に私は重要だと思うのです。でございますから、私は、その健診をする回数をふやすとか、あるいはまた、実際上の問題として企業者の負担で行われるわけでございますけれども、ただいま大臣から二分の一補助をしておるというお話がございましたが、これをさらにふやしていかないと、非常に問題があると思うのです。 これは午前中局長の答弁があったと思うのでありますけれども、労災というのですか、そのようなものは明らかに事業主の責任でやるべきだという筋は当然だと思うのです。でございますけれども、中小零細のところで働く現状というものを見ますと、労働福祉事業として相当大胆な大幅な予防措置というものを考えていきませんと、定期健康診断というきわめて原則的なことすら一〇〇%にならぬわけですから、少なくとも定期健康診断というものが、労働者がたとえば一割なら一割当日休んでおった、だから、九割程度でやむを得ませんというなら、私は実情だと思うのでありますけれども、今日、一般的な大企業の健康診断は年一回とか二回それぞれやられておりますが、衛生管理者等がおって非常にうるさいぐらいに健康診断の履行を迫っている企業が多いと思うのです。ところが、一たん中小企業の段階になりますと、いま言いましたような三分の一なり二分の一という程度になるわけですから、私は、その点の抜本的な反省ということを行政当局でも考えていただかなければいかぬ、こう思います。 同時に、撮影でございますけれども、直接撮影になっておる率と間接撮影でやっている率というのはどういうことになるのか。率がわからなければあれでございますが、どういうように指導してみえるのか、お伺いしたいと思います。
○山本(秀)政府委員 じん肺の健康診断は、小さい間接撮影では微細な陰影を写し出すことはできませんから、したがって、全員直接撮影でやるということになっております。一部では研究的にあるいはスモールサイズのものでやっておられるかもしれませんが、それは研究的な立場でおやりになっているというふうに私は理解しております。
○草川委員 いま小型の間接撮影では発見が困難だと言われました。そのとおりだと思うのですが、現実には、地方でやっておるのは間接撮影ですよ。直接撮影というのは、いわゆる管理四あるいは三以上のところですよ。いわゆる粉じん職場に従事する労働者に対しては、間接撮影が中心ですよ。
○山本(秀)政府委員 安全衛生法では、粉じん作業に従事している方の中で、じん肺にかかっていないというふうに前回診断されたような方につきましては、三年に一回でよろしいといういまのたてまえがございます。したがって、中二年は小さな間接撮影をおやりになってもよろしいわけです。現実にはそういうことになります。
○草川委員 だから、現実には間接撮影が中心になって、実質的には企業者の方のお金で健診センターは実施をしておるわけです。だから、そういう実態というものがつかまれていないところにけい肺患者というのはふえていくわけですよ。だから私は、そういう実態というものを監督行政というのはしっかりつかんでいただかぬといかぬと思うのですよ。 正直なことを申し上げて、現地の監督官はお忙しいわけですから、そこまで手が回っておりません。回っていないからけしからぬというわけじゃないのですけれども、これだけ不可逆性というのでしょうか、治らない病気がふえていくわけですから、よほど先取りして、実態というものを考え、またその費用を見る。直接撮影になると倍以上、一万円ぐらいになるのじゃないですか。非常に高い金額になるはずです。 〔委員長退席、斉藤(滋)委員長代理着席〕 間接撮影でございますから、千五、六百万円の費用で実際上は運用されておるわけです。だから、これも直接撮影をしていただきたいのは当然ですけれども、その場合に、今度は零細企業としての負担は大変なものになるわけですから、その補助金というものも、いま中小企業委託巡回健診制度というのがあるわけでございますけれども、一体幾らぐらいの予算をこの健康診断の方に向けられているのか。金額で言ってもあれでございますから、対象人員をどの程度に置いて予算を立てられておるのか、お伺いしたいと思います。
○桑原政府委員 健康診断には、先ほど大臣がお話し申し上げましたように三種類くらいございまして、特にそれぞれ補助率も違っておりますが、最重点は、やはりじん肺その他重篤な疾病を招くようなものに重点を置いております。 それで、いまお話しの中小企業委託巡回健診は、補助率が二分の一でございますが、対象予定者四万六千八百人、それから中小企業労働者健康管理事業助成制度、これは今年度から始める予定にいたしておりますが、十二万二千三百七十一人、これはみんなじん肺でございます。それから建設業の巡回特殊健診のじん肺健診対象者は一万九千人、こんなところで予算を組んでいるようなわけでございます。
○草川委員 いいですか、じん肺の対象の職場というのが約六十万人いるわけでしょう。もちろん六十万人すべてが零細中小企業に働いているというわけではございません、大企業もいるわけでございますけれども、しかし、いまおっしゃられたように四万六千、あるいは要注意というのが十二万ですか、いずれにいたしましても、それだけの予算では、私が申し上げましたように、直接撮影なんというのはほとんど言うだけで現実的には不可能ですよ。しかし、この直接撮影というのを大量に対象者にふやさない限り、じん肺の早期発見なんというのはできないわけでしょう。 特に七、八人だとか十人だとかというような、それこそ家が傾きかけるようなところで窯業なんかはやっておるわけです。そして一々エアなんかを使いまして、そしてエアで型を外したり何かしているわけですけれども、もう完全に粉じん職場の真っただ中で働いておると言っても過言でないようなところが多いのです。 これもまた、別なときに私はぜひ論議をしたいわけですけれども、防じんマスクというのがありますね。この防じんマスクというのは、御存じのとおりミクロンフィルターというのを入れてやるわけでございますけれども、あのミクロンフィルターでも、いつもあれを取りかえないと、結局効果がないと言われておるわけです。ところが、あの防じんマスクでも、私もかつて造船の労働者ですから、実際私自身もはめてやったことがありますけれども、夏なんというのはえらくて、実際はあれをはめて仕事をやれぬのですよ。ついえらいから防じんマスクを外す、外して作業をするのがどうしても多くなるわけです。まして少し急ぐなんということになると、そういうことになるわけでございまして、私は、この予防医学の抜本的な問題ということは、ぜひひとつこれは現場主義で、この前も私は発言をしたわけでございますが、現場の実態に応じて役所は指導要綱をつくっていただかないと、本当に成功しないし、午前中佐野先生から非常に厳しい御指摘がございましたが、そのとおりになると思うのです。ですから、その点についての御見解を賜りたいと思います。
○桑原政府委員 確かに、こういったじん肺にならないための予防対策というのが一番基本でございます。したがってじん肺法は、健康管理法でございますから、そのこと自体については必ずしも触れておりませんので、安全衛生法なり、その安全衛生規則によって、いまお話しのような防じんマスクをしろというようなことになっておりますが、やはりいろいろ現地に問題点がございます。また粉じんの種類もいろいろありますから、いま一律平均的な予防対策になっておりますので、今後はそういった現地の実態を私どもも十分踏まえながら、また専門家の御意見を聞きながら、予防医学的な見地に立って、粉じんに対する予防の総合対策、必要によってはそれを規則にいたしまして確立してまいりたい、こういうふうに考えております。
○草川委員 次に私、時間がないものですから、要望だけあと二、三述べておきたいと思うのでありますけれども、いわゆる管理四になる方というのは実際上は年齢が六十近い人が多いのです。短期間でなる場合も多いのですけれども、年齢的に私が調べた範囲では五十五とか六十が多いのです。そういう方々に配置転換だとかあるいは訓練をするといってもほとんど不可能なんです、これは午前中も多少意見が出ていましたけれども。だから、そういう点も現実に応じた対応策をぜひ立てていただきたいということ。 それから問題は、管理四になられてもしも死亡なすった場合、たとえば余病死でという場合に、そのいわゆる業務起因性の追及という問題でいろいろと問題も出てくるわけでありますけれども、私は、余病死でもし亡くなられたような場合でも、遺族補償の権利というものの喪失にならぬように、これは一たん仕事をしておってこういうことになったわけでございますから、私は、それはぜひとも行政上温かい配慮をお願い申し上げたいと思います。 さらに御存じのとおり、入院患者の中では旧々法、昔の法律で入院をなすってみえる方がおみえになりまして、労災特別援護措置というので、いま現在最高二万六千円の手当をもらってみえる方がおられるわけですが、明らかに入院患者の中で差があるわけでありますから、これはその他のたとえば原爆だとか公害だとかいろいろな関係との連動の問題もあると思いますけれども、やはり労災としてこのような方々の引き上げをお願い申し上げておきたい、こういうように思います。 次に移りたいと思いますけれども、今度は植物防疫薫蒸に係る臭化メチル中毒について少し御質問を申し上げたいと思います。 現在、輸入木材の殺虫の場合に、一たんその輸入木材を陸揚げいたしまして、テントをかけてそこで薫蒸します。薬を入れまして殺虫をするというわけでございますが、これはどこの所管になるのか、まずそこからお伺いしたい。
○本宮説明員 植物防疫法によりまして、輸入植物及び植物生産物の検疫は農林省が担当して実施しております。
○草川委員 その植物防疫は全国的に何カ所くらい、あるいはどのような規模でやられているのか、あるいはまた直接農林省がやられておるのか、あるいは輸入業者がやっておるのか、あるいは輸入業者が直接やるのか、それは下請にやらせるのか、お伺いしたいと思います。
○本宮説明員 植物防疫所の方の組織は、全国の本所と支所、出張所を合わせますと約百カ所ございます。ほぼ百カ所の港に植物防疫所の機関が設置されております。それで輸入されました木材に害虫が発見されますと、植物防疫法の規定によりまして、これを殺虫した後に輸入を許可するということに相なります。その殺虫命令は輸入をした者にそれを命令いたします。輸入をされた方は、直接される場合もございますが、多くは専門に殺虫を業とする者に殺虫を委託するという形で殺虫が行われるというのが常態でございます。
○草川委員 その場合の検査というのですか、その立ち会いは、やはり植物防疫所になるわけでしょう。
○本宮説明員 そうでございます。
○草川委員 最近、そこで具体的にいわゆる事故というのですか、植物防疫薫蒸に係る臭化メチル中毒というのがどの程度発生しているか、お伺いしたいと思います。
○本宮説明員 私ども植物防疫所からこの報告をもらっておりますが、昭和五十年以降で申しますと、昭和五十年二件三人の方の中毒、五十一年二件二人、五十二年は二件二人という中毒事故の発生の報告を受けております。
○草川委員 昭和四十九年をおっしゃられなかったのですが、昭和四十九年には愛知県蒲郡で死亡事故が一件発生しておるわけでございまして、私は、この植物防疫というものについては、何か非常に盲点のような気がしてならぬわけでございます。特にこのことしの五十二年の一件は、つい最近でございますが、富山県で発生をしておるわけでございますけれども、これも、やはり零細企業の方々が作業に従事をしておるわけでございまして、臭化メチルは毒劇物でありまして、明らかにこれは労働省の方としても取り締まりの対象になると思うのでございますが、その点どうですか。
○桑原政府委員 臭化メチルにつきましては、有毒性の観点から、私どもも特定化学物資等障害予防規則によりまして、その製造、取り扱いについて規制をいたしております。また、その監督等につきましても、地方に通達をし、その監督についての指示をいたしております。
○草川委員 御存じだと思いますけれども、材木を輸入して、それを薫蒸するというわけですから、非常に広大な面積が要るわけです。まずこれは、屋内で薫蒸するというわけにはまいりませんから屋外でやります。そこへテントをかけるわけですね、オーニングをして。そしてそこへ臭化メチルというものを吹き込むわけです。ある一定の時間が必要なので、これは非常に長期の時間がかかると思うのですけれども、大体一昼夜くらい蒸すわけです。ところが、一昼夜くらいこの有毒ガスを天幕の下に吹き込んでいて、実際上の管理人というのですか、監視人というのはいないのです。 でございますから、輸入材料を置くというところは原っぱでありますから、たまたま子供が遊びにいく、あるいはときには急に雨が降ったから知らない人が天幕の下にもぐり込むというような事故も過去にあったわけでございます。それだけに立ち入り禁止という処置をしなければいかぬ。これがもしも一般企業の中で臭化メチルというものを、このように天幕の下に吹き込むというようなことなら大変な、安全立会人だとか管理者を置いて大騒ぎの作業でございますけれども、いま言いましたように、植物防疫薫蒸ということだけだと、何となく昔の伝統というものでやられてきておりまして、いわゆる両省にまたがる、たとえば農林省の所管にまたがる作業について労働省がどの程度これから管理監督というのですか、立ち会うということについては、これも先ほど来から申し上げておりますように、いまの基準監督官のメンバーから言ったらとても不可能に近い。しかも、全国的に百カ所もやっているというわけですから。しかも、実際上のこの作業員の定期健診というものも、これはたしか六カ月に一回やらなければいかぬわけでございますが、それぞれ当該の病院なんかに行きまして調べましても、作業員全体の名簿が来てないとか、あるいは全員が六カ月にやっているわけではない、いろいろ調べれば切りがないくらい問題がある。 だから、そういう点についても、私は、この植物防疫薫蒸に係るメチル中毒を防止をするためにも、労働省は労働省、あるいは農林省は農林省と、明確にどこかで作業員のいわゆる安全衛生というものを管理をする責任の所在というのを明確にしていただきたい、こう思いますけれども、局長の御意見を承りたいと思います。
○桑原政府委員 非常に有毒性の高いものでございますので、従来からこの問題については、特に関心を持って監督指導に当たっておりましたけれども、いま先生の御指摘のように、確かに問題は、労働者だけでなくて一般の住民等にも関連を持ってくる、広がりを持ってまいってきておりますので、この問題については、関係省特に農林省とも今後相談しながら、どういった監督なりそういったものの管理の方法があるかということについて相談をしてまいりたい、こういうふうに思います。
○草川委員 時間が来たので以上で終わりますが、先ほどのじん肺の問題も含めまして私が終始一貫申し上げたのは、現実に作業する労働者というものはいまの薫蒸事故等を含めまして中小企業というよりも零細企業に実際上は多いわけであります。そしてこの零細企業の勤労者の方々の声というものは、直接なかなか行政に反映しないわけです。そして自分たちの置かれておる立場ということを主張しますと、職場を失うというのですか、失業、首ということを覚悟しませんと、現実的に訴えというか告発というのはできぬわけでございます。そういう意味では、局長の方からも、設備改善等について低利のお金があるからというような御発言もございましたが、現実的には担保能力がない、あるいは売り上げ利益率も非常に低い業者の方々が多いわけですから、そのようなものをうまく受け入れるということも困難であります。 でございますから、労働行政の基本的な立場は、もちろん組織労働者の声もどんどん取り上げていただかなければいかぬわけでございますけれども、そこからはみ出た零細な、いわゆる未組織の労働者の声というものをいつも吸い上げ得るような体制というものを、篤とこれからも基本的な柱にひとつしていただきたいということを要望申し上げて、私の質問を終わりたい、こういうふうに思います。
○斉藤(滋)委員長代理 次に、大橋敏雄君。
○大橋委員 わが国の労働者を労働災害から、あるいは職業病から守っていきましょうということで、労働基準法に基づきこうした安全衛生法が成立されて今日までかなりの改善はなされてきたわけでございますが、今回の安全衛生法の改正を見てまいりますと、新規の化学物質については、これからはすべてその有害性調査を行う、こういうふうに改められておりますが、既存の化学物質、これについては、その数は数万に及ぶだろうと思うわけでございますが、がんあるいはその他の重度の健康被害のおそれのあるものについては、個別に事業主にその有害性の調査を指示することができる、あるいはその事業主に指示することが適当でないと思われた場合は国においてもこれを調査する、このようになっているわけでございます。新規のことは、先ほど申しましたように問題ないわけですが、問題は、既存の化学物質でございますけれども、すでに種々のデータから労働者への影響性が懸念されているものがかなりある。国内でもそうしたものがまだまだ多く使用されているという実情にあるようでございますが、これについては国は調査計画をまず早急に立てていくべきではないか。まず、その調査計画の実施に当たっては、もとより国際的協力を得て国際的分業というような形で実施していかなければ、言うならば国際的な立場からはロスも多いと思われますし、早急な調査もむずかしいのではないか。 ですから私がお尋ねしたいことは、国としてこうした国際的な協力を推進していく考えがあるのかどうかというのが一つです。どうでしょうか。
○桑原政府委員 御指摘のように既存化学物質は非常にたくさんございます。できるだけ早くこれの有害性の解明をしなければならないわけでございますが、もちろん一つは、国としてそういった検査施設を整備しながら、日本なりにその有害性について計画的にやっていくということが一つでございますが、もちろん諸外国にもいろいろ同じような研究をしていただいておりますので、有害性のいろいろな情報、文献、そういうものについても十分お互いに情報を交換するような努力をしてまいりたいし、また、そういう体制づくりをやってまいりたい、こういうふうに考えております。
○大橋委員 いま科学技術庁には化学物質安全研究推進連絡会議というものがございますね。これは各関係省庁がみんなで連絡をし合っての会議でございますが、この会議では本当のものは出てこない。というのは、お互いのなわ張りと申しますか、そういうもののみを主張し合って、本当のものは出てこないのじゃないか。いわゆる各界懇談会といいますか、学者あるいは機械の製造者あるいはそうした化学薬品の製造者あるいは労働者、消費者、こういう各界の代表を集めた懇談会的なものをつくる必要はないだろうか、こう考えるのですけれども、この点はいかがでしょう。
○桑原政府委員 確かに、非常に新しい、また非常に有害性の高いものが、これから新規あるいは既存物質の中にも出てまいると思います。そういった意味で、御指摘のようななわ張り根性じゃなくて、お互いに持っておる情報を提供し合うことが、労働者にとっては、また労働者のそういう健康のためにプラスになる、そういった意味で、できるだけ積極的にそういった情報交換をやってまいりたいと私どもは思いますけれども、具体的な組織をどうするかについては、しばらく研究させていただきたいと思います。 最近、行財政改革という問題もございまして、役所で組織をつくるについては、なかなかむずかしいような時期にもなってまいりましたので、そういった問題もありますので、御趣旨については十分よくわかりますが、事実上そういった意見交換なり情報交換ができるような場というものは、私どもとしても必要じゃないかというふうに考えております。
○大橋委員 じゃ、確認をいたしますが、要するに既存の化学物質については、国としては計画的ないわゆる調査計画、これを立てていく、この実施に当たっては国際的な協力も推進していく、このように理解してよろしいですね。
○桑原政府委員 御指摘のように計画的に実施してまいりたいと思います。
○大橋委員 次に、産業医の問題なのですけれども、今日、御承知のように全般的な医師不足の状況の中で、この産業医の確保ということは、大変な困難が伴うと聞いております。しかしながら、職業病の防止対策という立場からこれを推進していくためには、どうしても労働衛生に通じた医師の確保、これはもう絶対的なものだと私は思うわけでございます。 そこで、産業医確保のために具体的な対策を講じますとともに、産業医が実際に活躍しやすいような条件の整備を図る必要があると思うわけでございますけれども、これについてのお考えを聞きたいと思います。
○桑原政府委員 確かに、医師不足という大前提がございますから、この問題に対する対策というのは、非常にいろいろな困難が伴ってまいると思いますが、私どもといたしましては、産業医制度というものをせっかくつくりました以上、十分に機能いたしますように努力をしてまいりたいと思います。 その対策の一つといたしましては、先生も御承知のように、産業医を育成する機関をつくるということで産業医科大学というのをつくることにいたしておりまして、近く開校を見るわけでございますが、基本的には、そういった産業医づくりをしていくということが一つでございます。 第二番目は、既存の御協力いただいているお医者さんがたくさんいらっしゃるわけでございますから、医師会、歯科医師会等の御協力を得ながら、特に産業医としてふさわしい資質を持っていただくようにそういった研修の機会、講習の実施というようなことをやりながら、私どものこういう安全衛生行政、特に衛生行政にこういった産業医が十分機能しますように最善の努力をいたしますし、また、いろいろとアイデアも考えてまいりたい、こういうふうに思います。
○大橋委員 私の地元でも産業医科大学がいま着々と建設中でございまして、これの開校を期待しているわけでございますが、いま局長が申されましたように、われわれ素人があの医者は産業医の資格があるとかないとかいうことを云々する立場でもございません。しかしながら、実態的な職業病の防止対策の上からいくと、やはり労働衛生に通じた人、まあ医者ということになるわけですが、これはそうした専門家の中で十分に検討され、ふさわしい医師を選任していただくような方向で努力をしていただきたい、これを強く要求いたしておきます。 次に、表示の問題なんですけれども、せっかく有害な化学物質について調査が行われましても、それを使用する労働者にそのことが的確に伝達されていなければ労働災害の防止には結びつかない、私はこのように思うわけでございます。現在、有害化学物質について取り扱い上の注意等の表示をさせる制度があるわけでございますが、私は、これをもう一歩飛躍させていくべきではないか、現状のままではまだちょっと物足りないような気がするのですけれども、この点はいかがでしょうか。
○桑原政府委員 私ども今回の法改正をお願いいたしておるのも、こういった化学物質等につきまして非常に有害性があるということで事前にチェックをして調査し、そういうものについては公表しながら一般に知らせていく、これはやはり一つの表示の方式だと思うわけです。具体的には安全衛生法等で義務づけられておりますけれども、結局問題は、こういった今回の法改正に基づいていろいろな有害性の調査をすることによってその有害性が明らかにされていく、それが一つの表示であろうと思います。それからまた、こういったことをさらに拡充することによって、先生御指摘の飛躍的なそういうような表示の拡大につながっていくというふうに思います。 問題は、機械とかその他の問題でございますけれども、これについても現行構造規格を決めることによって表示をいたしておりますが、また今度の安全衛生法の改正でお願いいたしておりますように、包装について現在表示されているだけではなくて、いろいろな包装されないものなんかも運ばれて、それが非常に危険性を持っているということもありますので、そういったものについては、内容を明らかにするように事業主に義務づけをするということで、そういったことが、私は先生のおっしゃる表示の飛躍的な拡大につながる、こういうふうに考えます。ですから、そういった方向でやってまいりたいと思います。
○大橋委員 いまお話がありました機械装置についても、たとえば機械装置から出る騒音とか排気ガスなど、要するに労働者の健康に有害な影響を与える要素については、はっきりと表示していくという段階に入っていかねばならぬのじゃないかと思います。いま局長の答弁では、その方向で大体進んでいくのだというような御答弁がありましたので、これも強く要望して次に移りたいと思いますが、いま私が申し上げました騒音とか排気ガスの問題等もその検討の中に入れられるかどうか、確認しておきたいと思います。
○桑原政府委員 危険、有害なものにつきましては、労働者ができるだけ早く事前に知り得るというような考え方で、現実にいまやっておりますことにこだわらずに、今後広く拡大していくことについては十分検討してまいりたいと思います。
○大橋委員 次に、じん肺の方になるわけですが、じん肺の定義につきまして、現行法では「鉱物性粉じんを吸入する」云々、こうなっているのが、今度の改正法では、ただ単に「粉じん」とされたわけでございますが、この理由についてまずお尋ねをしてみたいと思います。
○桑原政府委員 現行法では「鉱物性粉じん」というふうに規定いたしておりますけれども、今回の改正法をつくります段階において、じん肺審議会の中でいろいろ御議論がございました。また、別個に専門家の会議も開いて御意見を承ったわけでございますけれども現在時点におきましては、やはりじん肺というのは鉱物性粉じんから起こるということが一般的な、医学的なコンセンサスでございますが、一部に、やはり有機粉じんでもこういった線維増殖性変化が起こるのだという説をなされます学者もおられるわけでございます。私どもは、こういった有機、無機にかかわらず、現実に粉じんによって、現在じん肺で考えておりますような不可逆的な症状、つまり線維増殖的変化が起こるということであれば、それはやはりこの範囲に入れていくべきではないか。現実にもしそうであるとすれば、今後の医学的解明に待たなければなりませんけれども、その時点に明らかになったからといって、なかなか法律改正がすぐできるかどうかわからないわけでございますので、いつでも、そういった研究の成果が出てコンセンサスが得られるならば、その時点で将来の別表に追加するというような形で法技術的に解決しておいた方がいいのじゃないかということで「鉱物性粉じん」という言葉を抜きまして、有機、無機にかかわらず、今後そういった事実が出てくるならば、それに対応できるようにしようという改正をいたしたわけでございます。
○大橋委員 こういうことですか。今度の法改正でその対象は広められたのだ、いわゆる鉱物性だけではなくて、有機粉じんにも広げられたのだけれども、有機粉じんの方は、直ちにすべてを入れるというのではなくて、あらゆる事例が出てきた場合に、それを入れるか入れないかというようなものを検討し、いつでも入れられるような状況にしたのだ、こういうことですね。
○桑原政府委員 後段の、いつでも入れられるような状態にしたということでございます。
○大橋委員 それでは次に移ります。 法改正で管理区分の内容が大幅に変更になったわけでございますが、これに対して関係の患者さんが大変不安を抱いていらっしゃるわけです。これはずいぶんと論議されてきておりますが、改めて私もお尋ねしておきたいと思います。 療養患者の中には、恐らく今度の法改正であるいは打ち切りになる者が出るのではないか、こういう不安があるのです。そこで、管理四の現在の患者さん、これはやはり従来どおり、管理四のままとしておくべきではないかと私は思うわけでございますが、これについて、ひとつ大臣からお願いいたします。
○石田国務大臣 法改正によって取り扱いは変わると思いますが、既得の権利を侵すようなことは絶対にいたさせません。
○大橋委員 その大臣のお言葉で関係者の方は本当に安心なさると思いますが、運用面でも決して後退することのないように、ぜひともお願いしたいと思います。 それから、じん肺と合併症を今度分離したことにつきまして、合併症は管理二、三でも療養ができることとなっているわけです。これは私、前向きの改善だと評価しているわけでございますが、問題は、合併症発生の原因がじん肺そのものから発生してくるわけでございますので、これらの健康管理を明確にするために、合併症にかかった者は管理四というような立場での待遇をしていくべきではないか、このように思うのでございますが、この点はいかがでしょうか。
○桑原政府委員 じん肺とその合併症と今回の法改正で分けたわけでございますけれども、じん肺というのは不可逆性の症状になっております。したがって、それが進むともとに戻らないということでございますから、その健康管理というのは、やはり際立って違った形で対応していきませんと取り返しがつかなくなるということでございます。合併症の方は可逆性でございますから、一定の治療を加えれば治るということでございます。したがって、その管理区分については、あくまでもそれは補償とか何かじゃなくて、予防のためにつくった区分でございますから、これはやはりそういったじん肺に注目いたしまして、それが進まないようにするというところに基本を置いていますから、そういうレッテルを張ったようなわけでございます。したがって、あくまでも合併症は治るという前提の病気でございますから、療養していただいて、できるだけ早くこれを治すということ、そして健康管理は、またおのずからじん肺と違った形でやっていくことがいいのではないかというのが、現段階における医学の考え方でございます。
○大橋委員 合併症の範囲が今度規定されたわけでございますが、きょうの参考人のお話等も伺っておりますと、これ以外にも、いわゆる専門家によれば、肺炎、かぜ症候群、肺がん、あるいは長年にわたる薬物服用のための胃腸あるいは胆のう等の障害の発生率が高い、こういうことが指摘されてきているわけですね。ですから、専門家から幅広く意見を求めて、循環器、内部臓器系の疾病を合併症に加えていく方向でなければならぬと私は思うのですけれども、この点について、将来こういうものも含めていく御意思があるのかどうか、もう一度お尋ねします。
○桑原政府委員 合併症をどこまで広げるかという問題につきましては、基本的には専門家の御意見を聞きながら決めなければなりませんが、現段階では、午前中申し上げましたように、三つを考えております。 なお、こういった問題は、別に三つに限るわけではございませんで、今後の医学的な解明が進めば、省令によって引き続きそれを指定していく、そういった法技術的な窓を開いておりますので、いま御指摘のような問題も含めて、専門家会議に御検討をいただくことにいたしております。その結果を待ちたい、こういうふうに思います。
○大橋委員 この管理区分四の状態にある人というのは、本当に見るからに気の毒な状態に置かれているわけでございますが、労働省として、これまで管理区分四と認定された人が何人いたのか掌握されているかどうか、あるいはその管理区分四の中で死亡された方はこれまで何人いるのか、あるいはまたその死亡の原因が業務外と認定された方々はどの程度あるとつかんでおられるか、お尋ねをいたしたいと思います。
○桑原政府委員 昭和三十五年にじん肺法が施行されたわけでございますが、昭和五十年末までに管理四と決定されました方の数は、いわゆる局長に区分決定を受けるために事業者から提出して管理四とされた者、これは一般原則によるものでございますが、これが五千八百十六名でございます。それから、先ほどからお話がございました随時申請によって管理四とされた者が九千九百六十三名、合計一万五千七百七十九名でございます。 それで、この内訳もいわゆる労災との関連でございますが、私ども特に死亡者について、その死亡の原因ごとに統計をとっておりませんので非常に恐縮でございますが、じん肺によって死亡して、遺族補償を受けられた方が千六百五十三人、こういう数字はつかんでおります。
○大橋委員 大臣、先ほどから話しておりますように、管理区分四の療養者という方は、本当に気の毒な状況のもとに置かれているわけですね。ところが、亡くなったときには、これが直接業務上であったかどうかという診断が下されてくるわけですけれども、管理区分四の療養者の場合は、業務上の疾病の関連性の厚薄にかかわらず、業務上として取り扱ってあげるべきではないか。と申しますのは、確かに、医療の進歩で命を延ばす効果は非常に上がっていると思うのです。 〔斉藤(滋)委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、現在もなおその根本的な治療方法はございませんし、究極的には、これによって死んでいかなければならないという運命を持たれているわけですね。本当にお気の毒でなりません。 ですから、この管理区分四になった方々は、先ほどから言いますように、業務上の疾病の関連性の厚薄にかかわらず、業務上とみなすべきではないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
○石田国務大臣 これは、私も医者でありませんが、大変むずかしい問題だろうと思います。特にじん肺によらない他の原因という場合もあり得るわけなので、その関係は非常にむずかしいと思うのです。たとえばリューマチという病気は、それそのものでは死なない。しかし、リューマチのためにだんだん悪化して、ほかの病気を併発するということもあって、併発された余病で死んでも、それはやはりリューマチと無関係だとは言えないだろうと思うのです。そういうような関連性も考えなければなりませんが、しかし、じん肺が非常に重い場合、たとえばいま申しましたようなリューマチと関連のある場合、これはじん肺と直接的な関係がない場合においてもじん肺として扱う、つまり言いかえれば、職業病として扱うという方針で臨みたいと思います。 ただ、全部が全部やってしまえということになりますと、他の原因もあり得るわけですから、そう言い切ることはむずかしいと思いますが、方針としては、じん肺が非常に重篤な場合においては、それがじん肺と直接関連が見られない疾病によって死んだとしましても職業病として扱いたい、こう思います。
○大橋委員 実は私、昭和四十八年ごろに陳情を受けたことがあるのですが、その一例ですけれども、じん肺で亡くなった七名の患者、これは管理区分四ですけれども、そのうちのわずか二名だけが業務上なんですね。それで、業務上の方は労災補償があるわけでございますが、他の方は漏れたということでの陳情が来ているわけです。素人の目から見ると、同じようなお気の毒な状況の中にいらっしゃる方であったようでございますが、そういうことで、じん肺というのは、労働している中からの発病であり、そしてそのような重い状況にまで発展していく、あるいはそれで亡くなっていくということでございますので、少なくとも管理四の状況になった方々が亡くなった場合は、一時金的なものを出してでも何か手当てをしてやったらどうだろうかという気がしてならぬのですけれども、この点どうでしょうか。
○石田国務大臣 いま申しました重篤な状態というのは、そういう意味を含んで申し上げたつもりであります。
○大橋委員 まあ重篤な方は遺族補償が出るわけですが、そうでない方々はやはりいっぱい不満があろうかと思います。もともと労働しながらの病気じゃないかという御不満もあろうかと思いますので、きょうこの場で結論を出しなさいと私、言うわけじゃございませんが、何かいま言ったような特別の一時金的なものでも出して救済していくようなことも検討していただきたいと思います。 それから、要するにじん肺法といいましても、もとをただせば予防が肝心だと思うわけです。私は、去年の十月十九日にこの社労委員会で同じ問題を取り上げたわけですけれども、そのときに濃度基準も含む粉じん障害防止規則をつくるべきではないかと質問しましたら、いま検討中でございますという答弁をいただいておるのです。それからもうかなり日数がたっているのですけれども、これはどのような状況になっているか、御報告を願いたいと思います。
○桑原政府委員 粉じん障害防止規則につきましては、いま作業、検討中でございます。粉じんの種類が非常に多うございまして、どういうふうに濃度基準を規制するかというようなことで専門的な意見がなかなか一致しない面もございます。したがって私どもとしては、なかなかむずかしいわけでございますが、今年度内をめどに一つの結論を出したいというふうに考えております。
○大橋委員 きょうの局長さんは、今年度内をめどにという具体的な期日をお示しになったので、前回よりはかなり前進した御答弁だと思います。むずかしい問題だろうということは私もわかります。しかし、これを何らかの姿で防止規則をつくらないと、安全衛生法あるいはじん肺法等の趣旨が薄れる、片手落ちになる、このような気がしてなりません。是が非でもこの基準を実現してもらいたいと思います。強く要求しておきます。 それから、じん肺の健康診断ですね、これもいろいろ質疑があっておりましたけれども、この方法について、現行法では心肺機能検査となっているのを、改正案では肺機能検査として心機能検査を外しているわけでございますが、その理由をお聞きしたいことと、それから肺の変化の進行によって心臓にも負担のかかることが明らかになっているわけでございますので、現行どおり心肺機能検査をすべきではないか、このように思うわけでございますが、この点はいかがでございましょうか。
○山本(秀)政府委員 現行、心肺機能検査となってそれが実施されているということでございますが、実際はじん肺の場合は、早期に肺の変化があらわれまして、それが進行しますと、漸次呼吸機能の異状を呈してくるわけでございます。その状態は、先ほど佐野先生もおっしゃいましたけれども、心臓よりも先に肺機能の変化がくるということでございまして、肺機能検査をやればあえて心臓機能の変化を見る必要はないというのが専門家の御意見でございましたので、肺機能検査ということにした次第でございます。
○大橋委員 なかなか専門的な問題ですので、いまの御答弁で次に移りますけれども、じん肺管理区分の決定通知についてですが、現行法では使用者を通じまして労働者に、あなたはじん肺管理区分何ぼである、このように知らされることになっているわけですけれども、仮に事業主がいずれかの理由で労働者にそのことを伝達することを怠ったとなれば、労働者は知らず知らずのうちに粉じん作業を続行して思いがけない重い状況になる、重くなって初めて気がつくということがあるのではないかと思うのですけれども、今度基準局長から直接労働者に通知したならばどうだろうか、このような気がしてならぬわけでございますが、この点についての御見解を承りたいと思います。
○桑原政府委員 いま御指摘のような、企業によっては、有所見者があってもそれを隠しているというようなことも間々あるかとも思います。そういったこともありまして、今回の法改正に踏み切ったわけでございます。基本は、あくまでも事業主が使っている労働者の健康に責任を持つということでございますから、事業主にその決定の内容を知らして、そしてそれに基づいていろいろな健康管理措置をやってもらう、このたてまえはやはりあるのではないかと思います。 問題は、そういう事業主として十分な義務を履行しない者に対してどうするかという問題でございますから、それは必要によっては基準局長の方から提出命令を出させるとかいうような手当てをする。第二番目といたしましては、区分が決定されたら、それを事業主が労働者本人にはもちろん文書で通知をし、そしてまた知らした事実を記録しておく。そういたしますと、私どもの監督官が事業所に監督に行きました場合にそれを確認できるわけでございます。そういったようなことをして、義務履行をしない事業主に対しては十分な手当てをしていくということでございまして、基本は、やはり事業主がみずからその決定通知をもらって、それに対して十全な、労働者に対する作業転換を含むいろいろな義務づけられている措置をやらなければならぬ、こういう法律的な仕組みにならなければならぬ、こういうふうに考えます。
○大橋委員 いまのお話は十分理解できましたが、要するに事業主を通じてやるのが原則だ。ただ、私が心配しているのは、義務を履行しないことの心配をいま言っているわけですから、それについての手当ては具体的に何か考えられていますか。
○桑原政府委員 いまもちょっと申し上げたと思いますけれども、監督署長が、そういった事実十分な法律上の義務を果たしていない場合には提出命令をかけるわけでございます。これは現行法にないわけですから、そういう手当てを今度したということ。それから、現実に監督官が行って、じん肺の健診と申しますか、そういうレントゲン写真を撮って管理区分をしているかしていないかというのを見るには、現実に記録の保存義務を今度課しますわけですから、そういったことで十分事業主の法による義務の履行をさせる。こういった二点にわたって今度手当てをいたしたわけでございますから、私は、それで十分ではないかと思います。
○大橋委員 実際の運用面を見ていく以外にないと思います。 時間が迫ったようでございますので、最後に作業転換の措置についてでございますが、中小企業、零細企業になりますと、仮にこの場ではもう無理だ、あなたは作業転換なさいと言ってみても、転換させる場所がないのじゃないかと思うのです。こういうことで非常にこの点は不安になるのです。この点が一つ。 それから、今度の法律の内容を見ますと、勧奨と指示によって、勧奨の場合は三十日分の手当、指示の場合は六十日分の手当、こういう内容が示されております。これは審議会の中でいろいろと論議された結果、このような額が決まったのだろうとは思いますけれども、私、非常に理解しにくい決め方だなという気もしてなりません。これは私、特別にここで論議する気はございませんが、いずれにいたしましても、作業転換の措置はあっても、中小企業あるいは零細企業は実際的に無理じゃないかという心配がなされてならぬわけですが、こういう点についてのお考えを聞いておきたいと思います。
○桑原政府委員 作業転換につきましては、管理三のロあたりになりますと、どうしても悲惨な管理四になるということをぜひ食いとめなければならぬということでこういう規定を設けているわけでございますし、この規定について、やっぱり私どもは、いろいろ困難は伴いましょうけれども、いろんな手当てをしながらこの規定が有効に働くようにいたしたいと思うわけです。 けさ方もお話し申し上げましたように、中小企業では、そういう粉じん職場以外に職場がなかなかないという面もございますが、こういう点も私どもも事業主とよく相談をしながら、場合によっては粉じん職場以外の職場をつくろうという事業主もあると思いますので、そういった意味においては、非常に低利な安全衛生融資、これはわりあいに喜ばれている融資で、そういった作業場をつくる場合にも使える融資でございますが、そういったような制度の活用、それからまた、作業転換ができるように事業主あるいは労働者にいろいろな制度を使って、五十二年度もこういった援護措置に対する予算も一応組んでございますが、そういった中小企業に対する作業転換がしやすいような形のいろいろな工夫を今後もやってまいりたいと思います。
○大橋委員 最後に、大臣に要望を申し上げて終わりたいと思います。 この安全衛生法、じん肺法については、もうかなり各委員からの質疑で問題点が明らかになってきたわけでございますので、わが国の労働者の健康を守り、安全を守るために出されたこの問題点をさらに見直していただいて、より充実した安全衛生法あるいはじん肺法にさらに今後改正されますことを強く要求いたしまして、私の質問を終わります。
○橋本委員長 次に、田中美智子君。
○田中(美)委員 実は、大分県の南部にじん肺の患者が非常に集中的に出ているということを聞きました。ここでは約千三百六十名じん肺の患者がいる、その中にいま確認されただけでも管理四の重症患者が五百名を超えているというふうに聞いています。この人たちがどうしてじん肺になったのかという主な原因というのを調べてみましたら、ここは伝統的に出かせぎにトンネルを掘りに行かれるのだそうです。ですから、非常に有期的な間だけ働きますので、あちらで一年とかこちらで何年とかという形で働いて、雇われる先も違うわけです。そういう形であちらを転々と動いて結局病気になって帰ってくるというふうな状態になっているわけです。ですから、一定の会社の中で固定してそこでじん肺になった場合というのは、非常に原因もつかみやすいし、わかるわけですけれども、こういう人たちというのは、どこに責任があるのかわからない、そういうような形で放置されているというふうに言われています。 それで、大臣御存じだと思いますけれども、いまじん肺の審議会では、こうした人たちを救うために、建設業などで労働者の健康を守るために、元請の責任を明確にして、共同健康管理をするような、そういうものを創設するような答申が出ているわけですけれども、これは早急にすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○桑原政府委員 確かに御指摘のような問題が議論されております。私ども、一つの提案ではないかと思っております。 これについては、結局、転々と歩かれる労働者でございますから、特定の事業主との結びつきが非常に弱いわけです。したがって、事業主の共同的な、そういう健康管理をやっていく何かシステマチックな方式は考えられないかということでございますから、これについては、私どもとしても研究してみたいと思っております。
○田中(美)委員 いまから研究するのではちょっと遅いのじゃないか。非常に狭い範囲に非常に多くの人が出ている。そこの地域というのは、伝統的に明治時代から動いている人が多いわけですね。ですから、いまから研究というのはあれですし、答申でも出ているわけですので、一体いつごろをめどにしてこういう者を救うことができるのか、ただ研究しますということでは、もうずっと放置されているわけですからね。
○桑原政府委員 私ども、この答申を受けました後、労働基準審議会の災防部会の下にまた建設部会というのがございまして、わりあいに専門的な方がお集まりですので、ここで御議論をいただくことにいたしております。 特に、こういった建設労働者は転々と動かれるものですから、建設業については、巡回健康診断を特に五十二年度から積極的にやろうということで、それを先に進めていきたいと思っておりますが、そういう共同化については、いろいろ議論があろうかと思いますので、建設部会で議論をしていこう、こういうことになっております。
○田中(美)委員 実は、私のところに訴えがありましたのは、大分県の津久見市の四浦というところに竹尾定己さんという方がいらっしゃいます。この人は大正十年の生まれですけれども、もう亡くなったわけです。これは管理四の方なんですけれども、胃がんという診断を受けたわけです。じん肺が重篤のために手術ができないという形で、死因というのは直接には胃がんだという形に決められまして遺族補償が出ていない。現在もこの方の御両親が生きているし、それから奥さんとお子さんがあるわけです。ですから、奥さんが一人で夫の両親と子供二人を抱えて、四人の扶養家族を女一人で、農業をしながら必死で生きていらっしゃるわけです。 これは、どう見ても、先ほどもお話がありましたけれども、管理四でもうよろけているわけですから、こういう方が胃がんというのはね。先ほどの労働科学研究所の佐野辰雄先生ですか、参考人で来ていらっしゃいましたが、あの先生のお話を聞いていましても、気管支とか肺だけでなくて、内臓にも非常にがんが起きる、特に胃がんが多いというようなことを先ほど言ってらしたわけですね。 そういうふうに見ますと、これはどう考えても、手術をすれば治るのだけれども、じん肺だからできないということと、それから先ほどの医学博士のお話とあわせまして、これはどうしても合併症として扱うべきではないかというふうに思うわけです。 現在、これは労働保険審査会で審査中だというふうに言われておりますけれども、何年も審査中で放置しているということは、ちょっと問題ではないかと思いますので、この点どういうふうにお考えになっていらっしゃるでしょうか。
○桑原政府委員 この問題は、昭和四十九年一月に具体的に遺族補償等の請求が出てまいりまして、いろいろ専門家の意見を聞きましたら、胃がんとこのじん肺との間には、なかなかその辺の関係が十分解明できないというようなことで不支給になっているわけですが、それを不服といたされまして、大分の労災保険審査官に審査請求されて、そこでもやはり同じような事由で、五十年三月でございますか、棄却になっているわけです。 そういうことで、五十年五月に中央審査会に来ておりますが、ここはいろいろ専門の先生もいらっしゃるわけでございますから、そこで十分御審査があるのではないか、こういうふうに思っております。
○田中(美)委員 そういう冷たいことをおっしゃらないで、現にこれが医学的に確かに関連があるのだということが解明されない限りは遺族年金を出さないということでなくて、先ほど大橋先生からもお話がありましたように、結局管理四というのは——一、二、三、四となぜ四まであるのか、四というのはもう重症なわけですよ。これは、いまの段階ではほぼ治らない病気だ、そうすれば、あとのものというのは、私は何かあろうとも——たとえば先ほど大臣がおっしゃいましたように、これは、ほとんどはやはりじん肺と認定すべきだというふうな大臣のお答えがあったわけですけれども、交通事故だとか特別の自殺だとか、そういうもの以外は、そういうぐあいのものは一から全部をやれと言っているのじゃなくて、四というのはもう本当によろけているわけですからね、そのために転んだ、転んで死んだらこれは事故死なんだというようなことではなくて、これはやはりじん肺じゃないか、私はそういうふうに思います。 〔委員長退席、中山(正)委員長代理着席〕 ですから、この竹尾さんの問題というのをお聞きいただいて、そしてどういうふうになっているかということをお調べいただきまして、私のところにお答えいただきたいと思いますけれども、大臣どうでしょうか。
○石田国務大臣 がんとじん肺との因果関係は、われわれ素人ではどうもつけようがない、しかし、でき得る限り、そういう境遇におられる人たちのことについては配慮するという姿勢で臨みたいと思います。 それから、いずれにしろ、中央の審査会にかかって時間がかかり過ぎることは困ることでありますので、できるだけ速やかに処理をすると同時に、処理になお時間を要するといたしましても、その場合は、その理由をわれわれの方に明らかにしてもらい、そしてあなたのところへお届けするように配慮をいたします。
○田中(美)委員 そのように配慮をして私の方にお知らせ願いたいと思います。 先ほど申しました共同健康管理の問題も、早急に検討を進めていただきたいというふうに思います。よろしいですね。
○石田国務大臣 例の下請、元請という関係は、これは日本独特の存在でありまして、先般来EC各国からいろいろな人が日本の労働事情、雇用関係を調べに来られても、この問題が一つの大きな中心議題になる問題でした。元請が同じところの下請だけを転々とするなら元請の責任ということもいいのですが、元請のところも転々とするのですから、なかなかどういう形がいいか、つまり元請に責任を持てと言っても、元請のところも動いているわけなのですから、非常にむずかしいことがあると思うのです。 それで、これは医学的見地からだけでなくて、そういう建設業それ自体のあり方及び責任のとり方、これは勤労者に対する関係だけじゃなくて、工事の手抜きとか、何かそういうような問題も含めまして、それから、たとえば公共事業など、こちらが現金を払っても下請の方には手形で渡すというような関係も一切含んだ問題として検討しなければならぬことだと思います。そういうことにメスを入れた検討をいまやってもらっているところでございます。
○田中(美)委員 至急それをしていただきたいというふうに思います。 それから、こういうふうに一地域に重症患者が五百人も出ているというふうなところは、やはりいまその人たちは生きているわけですからね、先ほど申しました竹尾さんという方は亡くなった方で、あと遺族をどうするかという問題ですが、いま現在生きていらっしゃるけれども、重症でいらっしゃる人々、この人たちを、ただ、治らない病気だからしようがないのだとほっておくのではなくて、やはりこれだけ大勢の人が集中的に出ているわけですから、専門医を置いたり、専門病院をつくって、そこに専門医を置くというふうなことをしていただきたいというふうに思うわけです。 これについては、大分県ではじん肺対策に関するお願いというものを五十一年の七月に出しておりますし、佐伯市長からも陳情書が出ております。それから佐伯市南海部郡地区じん肺団体連合会というところからも、この専門病院をつくってほしいという要求が出ているのは、大臣も十分御存じのことだというふうに思います。 そういう点で、いま生きていらっしゃる方というのは早急にやってもらわないと困るわけで、ぜひこの専門病院を至急つくっていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○石田国務大臣 大分県においては、労災病院はないわけなんでして、まずそこからつくっていかなければならぬと思うのです。つくるまでの間、どこかの病院にいわゆる委託病院の指定をしたいと思うのですが、基準局長に聞くたびごとに、受け手がないと言うんですね。 そこで、受け手がないのは非常に困ったことなんですが、受け手があれば、いろいろな機械とか器具とかそういうものを貸与してやってもらうということができるのですが、労働省は医師会とはわりにうまくいっているんですけれども、そこで苦しいのでございますが、しかし、そういう実情を踏まえて、一生懸命探すなり口説くなりして、そういう処置をとりたいと思います。
○田中(美)委員 受け手がないと言っても、県も市もそうした要請書を出しているわけですから、十分話し合えば、私はそんなことはないというふうに思います。やはり労働省の説得や努力が足らないのではないかというように思いますので、向こうから陳情書が患者団体からも出ているわけですから、至急その点をやっていただきたいというふうに思います。よろしいですね。
○石田国務大臣 こちらもほっておるわけではないのでして、力が足りない、努力が足りないと言われれば、一言もありませんけれども、一生懸命やっているけれども、相手がつかまらないというだけのことで、それをそれでも済みませんから、何とか探して、取っつかまえてやってもらうようにしたいと思っております。
○田中(美)委員 次の質問に移ります。 安衛法ですけれども、この二十三条で、使用者には休養室を設置するということを法律で義務づけている。これは規則六百十八条では、このように書かれております。「事業者は、常時五十人以上又は常時女子三十人以上の労働者を使用するときは、労働者がが床する」寝るですね、「が床することのできる休養室又は休養所を、男子用と女子用に区別して設けなければならない。」こういうふうにあるわけです。これに違反した場合には、六カ月以上の懲役とか五万円以下の罰金があるというほど厳しく休養室を義務づけているわけですね。 そこで、その休養室というのは、一体どういうのが休養室か、こういうことを労働衛生専門官に一昨日ですか、私は労働省の見解として聞いたわけです。そうしましたら、この休養室とか休養所というのは、畳やベッドなどがあって、使用するのに当たって常時かぎがかかっていたり、その都度上司の許可が要るとか、使用日及び使用時間が決められているものは休養室ではない、ですから、かぎもかかっていない、時間もフリーだ、労働者が気分が悪くなったときに休める、休憩時間にはそこに行って横になれるというところでなければ休養室でないというのが、労働省の見解だということを伺ったわけです。 それで、お聞きしたいわけですけれども、私のところにこのような訴えが来ております。これは愛知県の名古屋市の熱田区に愛知時計電機株式会社というところがあります。ここでは、千人の労働者のうち女子が二百人ですから、当然休養室が必要なわけです。しかし、ここでは全く休養室がない。それで昼休みでも、夏など特に屋外で仕方がないので新聞紙をかぶって横になっているというような、こういう大きな企業でそういうことをやっている。 ですから、こういうことでは労働省は一体何をしているのだという感じがするわけです。 たくさんあるわけですけれども、もう一つ、やはり名古屋市の中村区に名鉄本社があります。これは大きな鉄道会社です。ここは労働者が八百人おりまして、女子八十名、これも当然休養室が要るところですけれども、ありません。 それから、名古屋駅の前に名鉄メルサという建物があります。そこの九階、十階に伊藤忠商事というのがあります。これはおわかりですね。ここは男子七十名、女子百十名です。これも休養室が要るはずですが、ここにも休養室がありません。ここには和室というのがありまして、お茶とかお琴とかそういうものに使う部屋があるのですが、しかし、これはいつもかぎがかかっていまして、お茶とお琴をするときだけしか使えないわけですから、労働省の見解によれば、これは休養室とは言えないわけですね。 それから愛知トヨタ自動車株式会社、これは名古屋市の昭和区の高辻というところにあります。ここも本社四百名、そのうち女子が百名です。ここも休養室が全くありません。 こういうふうに私のところに訴えがあったところだけでも、大企業にこういう休養室がない。これは法違反なはずですね。法律で義務づけられているというわけですので、こういうものの御指導はどうしていただけるか。いっぱいあると思うのですけれども、いま私のところの訴えは、この四件が来ているわけです。大臣、これは至急指導していただけますでしょうか。
○石田国務大臣 私は、伺いながら非常に驚いているわけなので、早速取り調べて、法違反ですから是正措置をとらせます。 なお、詳しいことは基準局長からお答えいたします。
○田中(美)委員 早速調べてちゃんととっていただくのならば、基準局長もちゃんと大臣のお言葉をお聞きになっていらっしゃるわけですから、そのとおりにやっていただきたいと思います。 それで、その結果、いつ休養室ができたかということ、できた時点を、それが指導の結果いつできたか、それをお知らせいただきたいというふうに思いますが、基準局長よろしいですか。
○桑原政府委員 監督の能力にも限界がありますので、御指摘のような不十分な面があったと思いますけれども、私ども法律違反については、それに対する是正をしなければならぬと思います。数も膨大なものでございますから、どういう手順でやりますか、もう少し時間をかしていただきたいと思います。 ただ、こういった休養室その他をつくる場合に、企業によっては資金その他も要ると思いますから、そういった面については、安全衛生費等もございますから、そういうようなものも使っていただくような形でいろいろそういった啓蒙もしなければならぬ。この問題については、ただ監督だけやって、やれやれというだけでもいかないようでございますから、あわせてそういうことも含めてやってまいりたいと思います。
○田中(美)委員 そんな大臣より後退したようなことを基準局長が言うことはなってないじゃないですか。金も要ることだし、あなたはそこの名鉄の重役じゃあるまいし、そんな法律で決められたものをやってないということは——私は、いま日本じゅう全部調べろと言っていません。たった四社、すぐやってみろ、とう言っているわけです。そうして今後ほかのところもやれと言っているのですからね。そういうおかしなことを基準局長言わないでほしい。大臣の指導がちょっと悪いのじゃないですか。
○石田国務大臣 確かに一言多かったです。ましてや、いま御指摘の企業は金がないとは言わせない。ですから、これは厳重に調べて事実を掌握して、法律違反はこれは是正させます。 〔中山(正)委員長代理退席、委員長着席〕
○田中(美)委員 それでは労働省としては、こういうものをいままであちこちどういうふうに御指導していらしたのですか。こんな大きな、大臣でさえ金がないとは言えないという大企業がこういうことをしているのですけれども、御指導はどういうふうにやっていらっしゃるのですか。
○桑原政府委員 私どもといたしましては、休養所、仮眠所、いろいろ法的に規制された条項については、定期監督についてはきちっと監督をいたしておりますけれども、事業所は数多いし、監督官は少ないわけですから、目こぼしがあったことは事実だと思います。そういったことで、御指摘のものについては、さらにそういった面の努力をしながら監督してまいりたいと思いますけれども、特にそういったことで重点的に業種をしぼってやっているわけでございます。 たとえば休養室なんかでも、病院とか自動車運転手とか本当に夜遅くまで働かなければならぬというようなところもございますから、そういう優先的な順位でやっておりまして、場合によっては、そういう一般的な企業に目こぼしがあるということがあるのじゃないかと思っております。
○田中(美)委員 それはやっていただきたいと思いますけれども、労働衛生専門官というのは百四十四人しかいないわけですから、そこにそういう点で限界があるとおっしゃっていらっしゃるのだと思いますけれども、その問題は時間がありませんので、次に参ります。 大臣にお聞きしたいのですけれども、おひざ元の労働省では休養室はおありですか。
○石田国務大臣 あります。
○田中(美)委員 本当ですか、大臣。(石田国務大臣「本当だろうな」と呼ぶ)(笑声)もう時間がありませんので大急ぎでやりますが、私は……。
○橋本委員長 多少いいですよ。
○田中(美)委員 はい。 いま大臣、自信がないような、本当ですかとそちらを見ておりますけれども、私は見てきておるわけですよ。これは女子だけしかないのです。これは女子も男子もと書いてあるでしょう。そんなうそを言ってはいかぬです。私はちゃんと確認をしてきておるわけですからね。女子だけはあるのです。男子がない。女男差別じゃないですか、おひざ元でこんなことをやっていて。
○石田国務大臣 私が省内の部屋を全部見て回るわけではございませんから、したがって、所管をしている者にあるかと聞いたら、あると言いますから、そのとおり答えたのです。役所の部屋、部屋全部見て調べて歩くわけにもまいりませんので。うそを言う意思はないのです、担当者がそう言うのですから。
○田中(美)委員 大臣は御存じない。だけれども、担当者がうそをついているわけですね。あなたは知らないはずはないでしょう。そんなうそを言うものじゃないですよ。ないのですからつくってほしいわけです。
○山本(秀)政府委員 私は、医者でございますので、よく診療所に参りまして、医師と話をしたり、健康診断をやってもらいますが、隣を見ますとベッドが三つございまして、臥床できるようになっております。
○田中(美)委員 診療室と休養室とは違うのですよ、先生。労働基準法で違うのですよ。本当に労働省がそんな状態では、指導ができないのは無理もないですね。診療室と休養室とは違うんですよ。ですから先生、あなたはうそをついているのです。
○橋本委員長 先生でなくて安全衛生部長です。
○田中(美)委員 医者だとおっしゃったからです。(笑声)
○石田国務大臣 安全衛生部長で、かつお医者さんです。
○田中(美)委員 だから先生と言っているのです。(笑声)ですから大臣、やはり法律で決められたことを労働省が守らないということはないですよ。まず自分のおひざ元から、大至急男子の休養室をつくっていただけますか。法違反ですよ。
○石田国務大臣 診療所を私は見たわけではありませんけれども、その診療所にベッドを三つ置くというのは、大体診察は一つあればいいのですから、あとは休養のときに、疲れたり何かするときに、そこで休むことができるようになっているそうであります。
○田中(美)委員 だから違うのですよ。それは休養室でなくて診察室でしょう。そんなのはだめですよ。労働省の診察室でベッドが三つなんと言っても、それは、いつでもごろっとなれるようになっていなければならないわけです。だから、診療室と休養室とは違うということですよ。 もう一つ、厚生省にお聞きしますが、厚生省にはありますか。厚生省は国民の健康を守るところですからね。
○鈴木説明員 厚生省としましては、内科の通路を渡りまして中を通っていきますと、ベッド四台が三十平米のところに一応ございます。
○田中(美)委員 それはまた診療室でしょう。(笑声) 男女が分かれておりますか。
○鈴木説明員 内科の医師の許可とかそういうことではなくて、ちょっと休みますと声をかけて休むようになっております。 それから男女の別は、カーテンで全部仕切ってあります。
○田中(美)委員 この法律で言えば、診療室と休養室は違うんですよ。声をかけるということは、許可を求めることですからね。それから診療所の真ん中にカーテンを置いたから、それで男と女の区別がなんて、それはなりませんよ、そこに寝るんですからね。日本の男なんというのは、ろくでないのがいっぱいいるのですから。(笑声)
○石田国務大臣 いま念を押して聞きましたら、診療所にベッドが一つですね。それと、相当隔てたところの隣に二つベッドが置いてある、それが休養所で、こっちは診療所、ちゃんと壁で隔ててあるのです。
○田中(美)委員 カーテンで隔ててあるというのは、これはだめですよ。そんなのは男女別々の部屋になっていませんよ。
○鈴木説明員 内科の中に一応壁がございます。その中にカーテンで仕切って男女が別々に……。
○田中(美)委員 そうすると、休養室というのは男女別々になっていないでしょう。診療室と別々になっているということでしょう。そして声をかけるということは、やはりそこで一つの許可が要るわけですよ。そんなのは診療室ですよ。いわゆる休養室という、この安衛法二十三条には違反をしておるわけです。 もう時間がありませんから、ここでこれ以上言っても仕方がないことですが、労働省自体や厚生省が法律に違反することをしている。足元の労働者の健康というものに対して非常に関心が薄いというか、不親切であるというか、そういう点というものは大臣、今後十分に直していっていただきたいというふうに思います。 これで、時間になりましたから質問を終わります。
○橋本委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○橋本委員長 速記を戻して。 次に和田耕作君。
○和田(耕)委員 労働安全衛生法及びじん肺法の一部改正というわけでございますけれども、この一部改正の第一条に、化学物質を取り扱うということがはっきり出ているんですけれども、化学物質以外のものについては、どういうふうなお考えを持っておられますか。
○山本(秀)政府委員 化学物質以外にいろいろな物質があるわけでございますが、天然産物である有機物質、これについての御質問であろうかと思います。たとえば繊維産業あたりでは、綿なり毛なりというものが舞っておるわけでございますけれども、これについて障害があるという報告もございますけれども、まだまだ少数の実態調査結果であるようにわれわれは伺います。そこで、専門家の方々にいろいろお教えを請うておるわけでございますが、その肺障害につきましては、いま少し実態を調べた上で、必要であるならば動物実験もやって、しっかりした調査をしていかなければならぬ、このように考えております。
○和田(耕)委員 有機物質、化学物質以外のもの、ちりによる、あるいはその他の障害、騒音でもいいのですが、障害があった場合には、それが明らかになってくると、この法律で適用できますか。
○桑原政府委員 今回、化学物質について特に規制を強めましたのは、非常に重篤な病気になるわけでございます、特にがんを中心にしまして。そういうことで、私どもといたしましては、今度安全衛生法の改正をお願いしておりまして、一般的にいろいろ有害物がございますが、それには現在の安全衛生法で大体十分ではないか、また、それに必要な規則もたくさんつくってございまして、それによって対応していきたい、それで今回は、特に問題のある化学物質を重点に置いて改正いたしたわけでございます。
○和田(耕)委員 繊維の労働者でいまの綿と同じような症状を起こしてくることを、このごろ非常に問題にしているのですけれども、いまお答えがあったのですけれども、これがはっきり実情が把握されてきた場合は、これはやはり綿肺法とかそういうものをつくることになるのか、法律的な措置はどういう扱いになりますか。
○桑原政府委員 今回のじん肺法の改正におきまして、じん肺の定義を鉱物性粉じんというものに限らずに、一般に「粉じん」と書いたわけでございます。これは、いま先生の御指摘のように、いろいろ粉じんからじん肺と同様な非常に治りにくい病気になるということが判明いたしますならば、そういうものについては逐次指定をしていきたいという考え方でございます。
○和田(耕)委員 いま、そのようないろんな形のちりで人体の障害を起こしている種類、大体わかっている種類はどれくらいありますか。
○山本(秀)政府委員 じん肺法の適用対象になっておりますけい肺、それから石綿粉じんを吸うことによって起こる石綿肺あるいは溶接をするときに発生をいたします鉄粉を吸入することによって起こる溶接工肺というような無機性粉じんによる肺の障害と、それからアメリカ杉——米杉と言っておりますが、あるいはラワンであるとか日本古来のネズコというような木材粉じんによって起こってまいります気管支ぜんそくというような種類、それから、それ以外にも最近はじん肺専門会議で御討議願ったようなプラスチックによる障害というようなものもあるのではないかというふうなことでございますし、また先ほども申し上げましたように、綿による粉じん、肺の障害というものもあるのではなかろうかということでございます。
○和田(耕)委員 そういうことになりますと、じん肺法という法律の件名、名前を変える必要はないのですか、たとえば粉じんというようなことになると。
○桑原政府委員 特に歴史的な経緯がございまして、鉱物性粉じんを吸いますと、線維増殖性変化を起こして治らないという、医学的には不可逆性変化と申しておりますが、そこに注目してこの法律ができ上がっておるわけでございます。 したがって、今回粉じんの範囲を一応法律的に広げておりますけれども、それもあくまでもじん肺と同じように、そういった不可逆性的な、病気になればもう治らないというようなものにつきまして広げていくわけでございまして、ただ、いたずらに広げるということではございません。
○和田(耕)委員 それでは、たとえば綿のようなちりであっても、不可逆的な変化というようなものを起こさないものは、この法律の対象外になるということですね。
○山本(秀)政府委員 綿でもじん肺様の変化をレントゲン上呈するということが報告されているわけでございまして、これが線維増殖性変化を起こす、いわゆる普通のいままでのじん肺というものと全く同質のものであるとするならば、当然このじん肺法の対象になり得るであろうというふうに考えておるわけでございます。
○和田(耕)委員 そういう点を繊維労働者の諸君で非常に心配しておる人がありますので、粉じんという名前を入れたということで行政の趣旨はわかるのですけれども、これに似通ったいろいろな病気あるいは合併症が出てくるわけで、できるだけ広範囲にこの法律を適用するような運用をしてもらいたいと思います。 そうして有害な化学物質の調査ということが、今後のこの法律改正の一つのポイントになっておるようですけれども、これは労働省が直接調査機関、設備を持つようになりますか。
○桑原政府委員 たてまえといたしましては、あくまでも事業主が有害性の調査をしていただくということでございます。ただ、場合によっては、扱う物質が非常にたくさんの事業所で扱われておって、しかも特定の事業主にやらせるには非常にむずかしい有害調査になるということもあると思います。そういった面もございますので、労働省としても、二年なり三年計画で、そういった国で直接検査ができるような施設をつくりたいということで、一応そういった調査費等も入っておるようなわけでございます。
○和田(耕)委員 たとえば厚生省には国立衛生試験所がありますね。ああいうものを労働省もこういう問題については利用するということになるのか、あるいは労働省として行政の責任を持つ立場から権威的なそういうものを将来つくりたいとお思いになっておるのか、いかがでしょう。
○桑原政府委員 化学物質のこういった検査というのは、非常に専門家的なスタッフも要りますし、片手間ではできないと思っております。したがって、そういった施設、それから陣容等を整備しながら、相当大きな経費で、労働省の機関というわけにはいきませんが、中央労働災害防止協会というのがございますが、それの付属機関というようなかっこうで、また別に労働省が持っております産業医学総合研究所というのがございますが、それとのタイアップを考えながら、そういった十分な対応をしていきたい、かように考えております。
○和田(耕)委員 いずれにしても、これは他の設備を一時借用するとか、たとえば大学の機関にひとつ頼むとかいうような形ではなくて、もっと総合的なものを、労働省の直接指導できるような形で持つというようなお考えを持っておられるのか、そういうところまでは考えておりませんか。
○桑原政府委員 化学物質はたくさんございますから、単に労働省だけでこの解明ができるかどうかという問題もございますし、午前中でございましたか、御質問ございましたように、国際的な協力というものも非常に必要ではないか、何万という種類にも上りますので。それで、労働省といたしましては、いま申し上げましたように、そういった専門的な検査の施設というものをぜひつくりたい、こういうふうに考えております。
○和田(耕)委員 いままで食品添加物とかAFなんとかたくさんありましたが、いろいろな調査機関で違った結果が出てくる、国際的にもいろいろ違った結果が出てくる、そういうぐあいに、ある機関で、たとえば発がん性があるというようなことになると、とにかく行政的には一遍禁止する、また、後からそうでないということになると解除する、そういうケースが非常に多いですね。 これは、やはりそういうふうな問題が、化学物質ですから、この場合でもいろいろ考えられるわけですが、やはり行政の立場から一応頼みになる権威のあるものだという機関があれば、その判断が仮に間違っておっても、その判断に従って行政の処理をしていくということになるわけですけれども、いずれにしても、そういう権威のあるものをつくらないと、従来いろいろ混乱することになっていくわけで、その権威のあるものがどういうふうな組織になるか、あるいは国としての権威のあるものができる、あるいはその中にも労働省とか厚生省とか文部省とかいろんな所管のものがあるとかいうふうなこと、いろいろあるんですけれども、いずれにしても、行政の立場からここでそういう結果が出たから、これを目安にして行政をやっていくというものですね、国際協力にしても、日本にそういうものがあれば、たとえばアメリカのそういうもの、ドイツのそういうものとの連絡ができるという形ですね、勝手気ままに個人の化学者が、いろいろなごく限られた範囲で、限られた調査の方法でもってある結論を出してくる、そういうことに対してそれは間違いだというふうなことが言えない、そういうようなことがあると思いますので、ひとつ権威的な研究試験機関というものをもっと真剣に検討していただきたいと私は思いますが、いかがでしょうか。
○桑原政府委員 確かに本当に信頼できる、そういった機関というものがありませんと、あいまいな有害調査で国民あるいは関係者に不安だけを与えていたのでは意味がございませんから、私どもといたしましては、そういった信頼できる研究機関というものをぜひつくりたいというふうに考えております。
○和田(耕)委員 またそれは、これから申し上げる産業医というのがありますね、これは産業医といっても、普通の医者の資格を持っておる人なんですけれども、そういう人をここで訓練するとかいろんなことを書いておられますけれども、そういうものを訓練するにしても、こういうふうな化学的な実態を確かめて、そして行政をするという場合には、いずれにしても権威的なものがないと、医者の訓練にしても、そういうものがないとやりにくいというように私は思うんですね。 労働大臣、いまの御質疑をお聞きになっていただいて、これは労働省だけということを私は申し上げておるわけではないので、国として、こういう行政を処理する場合の権威的なものをぜひともつくり上げる必要があると私は思うのですが、いかがでしょうか。
○石田国務大臣 労働者の健康を守るために産業医というものの制度を設ける、その産業医に対しては、どういう要件が必要であるかということを当然付与していかなければならないものだと思うわけでありますが、そういうむずかしい条件をつけて一体数がそろうかということになりますと、そこにもまた問題がございますので、現状を踏まえて交渉その他に出席をしていただく、これもかなりの数に上っているわけであります。 現在、九州で建設しております産業医科大学は、そういう方面の指導者を養成するということを目標にし、また、そういう方面の研究をするということも主目標にいたして、御指摘のような権威あるものに育てていきたい、こう思っております。 これは公衆衛生の面からの研究でありますが、そのほか職業病その他個々の個人個人の病気等については、労災病院あるいはそれに付属する研究所等の活用を行っていきたいと存じております。
○和田(耕)委員 それからもう一つ、この法律の最後の方に実施の期間をかなりずらしておりますね。これはどういう意味ですか。
○桑原政府委員 この安衛法の改正部分でございますが、一応猶予期間を置いておりますのは、主として五十七条の二につきまして、五十七条の三もそうでございますが、化学物質の有害性の調査ということになりますと、これは試験研究機関の整備、それから民間に義務づけておりますから、大きな企業で、やはりそういう研究体制、何といいますか有害性の調査体制というものをつくらなければなりませんし、この御議論をいただいた審議会の場でも、やはりある程度そういう研究体制の整備等も勘案しながら、この義務づけの規定を運用していけというような御示唆もございますので、こういった現実の実態を見きわめながら、この施行期日を決めなきゃならぬということで、多少猶予期間を長く置いておるわけでございます。
○和田(耕)委員 こういう法律として、こういうケースはわりあい少ないケースじゃないかと思うんですけれども、これに指定してある機関で大体確かめられるという見通しはついているわけですか。
○桑原政府委員 私どもといたしましては、先ほど先生御指摘の信頼できる権威のある機関をつくるべきだというお話がございまして、この計画も私ども、やはり二年ぐらいかかるのではないかと思っております。百億以上の予算でそういうものをつくらなければなりませんし、また、そういうものがないと、せっかくつくった法律が現実にどこかでデッドロックに乗り上げますので、そういうことも含めましてこういった施行期日にいたしておるわけであります。
○和田(耕)委員 これは、これから未知の問題ですから、かなり慎重を期していただきたいと思いますけれども、こういう法律ですから、余り経過的な期間を、二年というのは相当の期間ですけれども、置くというのは、やはり何か頼りない感じもするわけで、できるだけこれを短縮する必要があると私は思いますね。そうして、そのためにはいろいろな施設をもっと早くするような方法も必要だし、そういう感じがするんですけれども、これは、いろいろと成算があってのことでしょうけれども、そういう危惧を持つことを申し上げまして、私の質問を終わります。
○橋本委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○橋本委員長 これより本案を討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決をいたします。 労働安全衛生法及びじん肺法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○橋本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○橋本委員長 この際、住栄作君、村山富市君、大橋敏雄君、和田耕作君、浦井洋君及び工藤晃君から、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。その趣旨の説明を聴取いたします。住栄作君。
○住委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表いたしまして、本動議について御説明を申し上げます。 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。 労働安全衛生法及びじん肺法の一部を改正する法律案に対する附帯決議 政府は、労働者の安全と健康の一層の確保を図るため、次の事項について適切な措置を講ずること。 一 国は化学物質等の有害性調査のための施設の整備に努めるとともに、既存の化学物質について、その有害性調査を国際的な連携もとりつつ、計画的、積極的に推進すること。 二 労働者が産業の場で取り扱う化学物質について、労働者の健康を確保するために必要な表示の充実を図ること。 三 産業医確保のための積極的対策を講ずるとともに、産業医制度の充実を促進する具体的方策を拡充強化すること。 四 じん肺の合併症については、労働者保護の立場に立ち、専門家の意見を十分尊重して、その範囲及び具体的要件を定めること。 五 改正じん肺法の運用に当たつては、現行法により労働者に与えられている保護を損なうことのないよう慎重に配慮すること。 六 本改正法の円滑な施行を確保するため、労働基準監督官、安全・衛生専門官の増員と、労働安全・衛生を担当する行政体制の整備拡充を図り、労働災害の防止に即応できる態勢を確立すること。 七 問題の多い業種についての専門の部会の設置等、労働基準審議会の運用の充実と労災防止指導員の活用に努めること。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
○橋本委員長 本動議について採決いたします。 本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○橋本委員長 起立総員。よって、本案については、住栄作君外五名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。 この際、労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。石田労働大臣。
○石田国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして善処してまいる所存でございます。 —————————————
○橋本委員長 なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○橋本委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○橋本委員長 次回は、明二十七日水曜日午前九時五十分理事会、十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時三十二分散会